文教委員会速記録第五号

令和五年三月十四日(火曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長入江のぶこ君
副委員長加藤 雅之君
副委員長伊藤しょうこう君
理事桐山ひとみ君
理事斉藤 りえ君
理事とや英津子君
北口つよし君
鈴木  純君
アオヤギ有希子君
大松あきら君
白戸 太朗君
阿部祐美子君
伊藤 ゆう君
清水 孝治君

欠席委員 なし

出席説明員
教育庁教育長浜 佳葉子君
次長福崎 宏志君
教育監藤井 大輔君
総務部長田中 愛子君
都立学校教育部長村西 紀章君
地域教育支援部長岩野 恵子君
指導部長小寺 康裕君
人事部長吉村美貴子君
福利厚生部長田中 宏治君
教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務秋田 一樹君
事業推進担当部長筒井 宏守君
企画調整担当部長篠  祐次君
高校改革推進担当部長池上 晶子君
教育改革推進担当部長佐藤 聖一君
特別支援教育推進担当部長落合 真人君
指導推進担当部長瀧沢 佳宏君
人事企画担当部長稲葉  薫君

本日の会議に付した事件
教育庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
・第百十号議案 令和五年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 教育庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十五号議案 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
・第四十六号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・都立高校の魅力向上に向けた実行プログラム(案)について

○入江委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、教育庁所管分、第四十五号議案、第四十六号議案、第百十号議案、令和五年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、教育庁所管分及び報告事項、都立高校の魅力向上に向けた実行プログラム(案)についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○田中総務部長 去る二月九日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をお開き願います。
 今回要求のございました資料は十六件でございます。
 一ページをお開き願います。1、都立特別支援学校スクールバスと医療的ケア児専用通学車両の予算の推移(平成二十六年度から令和五年度まで)でございます。
 スクールバス及び医療的ケア児専用通学車両の予算額、配車している学校数、運行するコース数を年度別にそれぞれ記載してございます。
 二ページをご覧ください。2、都立特別支援学校におけるスクールバスと医療的ケア児専用通学車両の配車状況(令和四年度)でございます。
 このページから次ページにかけまして、スクールバス及び医療的ケア児専用通学車両の配車台数等について、学校別にそれぞれ記載してございます。
 四ページをご覧ください。3、公立小中学校の三十五人学級に必要な教員数及び経費でございます。
 三十五人学級にした場合に新たに必要となる教員数及び経費について、小学校、中学校それぞれ学年別に、また合計を記載してございます。
 五ページをご覧ください。4、教職員の標準法定数と、標準法に根拠を持つ教職員数の都の定数及び標準法以外の都の定数(校種別)でございます。
 令和五年三月一日時点の見込み数である教職員の標準法定数と、標準法に根拠を持つ都の令和五年度定数及び標準法以外の都の令和五年度定数について、校種別に記載してございます。
 六ページをご覧ください。5、公立小中学校児童生徒の就学援助受給者の推移(平成二十四年度から令和三年度まで)でございます。
 各年度における就学援助を受給した児童生徒数及び受給率について、要保護、準要保護の別に記載してございます。
 七ページをご覧ください。6、都内公立特別支援学校の医療的ケアが必要な幼児、児童生徒の数及び配置看護師数(平成二十四年度から令和三年度まで)でございます。
 (1)では、医療的ケアが必要な幼児、児童生徒数について、都立、区立の別、また年度別に記載してございます。
 (2)では、配置看護師数について、同様に記載してございます。
 八ページをご覧ください。7、中一ギャップ加配の活用状況、学級規模の縮小とTTの選択状況(令和四年度)でございます。
 令和四年度における中一ギャップ加配を活用している学校数について、学級規模縮小とTT等の選択別、また区市町村別に記載してございます。
 九ページをご覧ください。8、都内公立小中学校及び高等学校の不登校児童生徒数と不登校出現率の推移(平成十四年度から令和三年度まで)でございます。
 各年度における不登校児童生徒数と不登校出現率について、校種別に記載してございます。
 一〇ページをご覧ください。9、東京都公立学校教員採用選考名簿登載者数、期限付任用教員名簿登載者数等(平成三十年度から令和四年度まで)でございます。
 (1)では、教員採用選考名簿登載者数、期限付任用教員名簿登載者数、その内訳として、四月一日の任用数、四月二日から三十日までの任用数、五月以降の任用数について、年度別に記載してございます。
 (2)では、期限付任用教員名簿登載者のうち五月一日までに任用のあった者の教員採用選考の受験者数、翌年度の名簿登載者数、合格率について、年度別に記載してございます。
 一一ページをご覧ください。10、都内小中学校及び都立高校、特別支援学校における副校長、養護教諭、学校栄養職員等、寄宿舎指導員、一般事務及び進路指導担当、特別支援教育コーディネーターそれぞれの標準法定数と標準法に根拠を持つ都の定数の推移(平成二十六年度から令和五年度まで)でございます。
 各年度における副校長、養護教諭、学校栄養職員等、寄宿舎指導員、一般事務及び進路指導担当、特別支援教育コーディネーターそれぞれの標準法定数と標準法に根拠を持つ都の定数について、校種別に記載してございます。
 一二ページをご覧ください。11、都内公立学校の産休、育業代替職教職員及び時間講師の採用候補者名簿登載者等数と任用人数でございます。
 (1)では、産休、育業代替教職員について、令和三年度における採用候補者名簿登載者等数と任用人数を記載してございます。
 また、(2)では、時間講師について、平成三十年度から令和四年度までの状況を同様に記載してございます。
 一三ページをご覧ください。12、都内公立学校における新型コロナウイルス感染症への感染が判明した学校数及び人数の状況(校種別)でございます。
 教職員、児童生徒等の感染が判明した学校数及び感染が判明した人数を校種別、月別に記載したものでございます。
 一四ページをご覧ください。13、都内公立学校における都独自のPCR検査活用実績(校種別、使用目的別)、教職員の定期検査実施状況及び陽性の疑いが判明した数でございます。
 (1)は、都が独自に行うPCR検査の活用実績について、使用目的別、校種別、月別に、学校数、検査数及び結果の結果陽性の疑いが判明した数を記載したものでございます。
 また、一五ページの(2)では、教職員を対象とした抗原定性検査による定期検査の実施状況について、校種別、月別に、学校数、検査数及び検査の結果陽性の疑いが判明した数を記載してございます。
 一六ページをご覧ください。14、都内公立小中高等学校の自殺者数の推移(平成二十九年度から令和三年度まで)でございます。
 各年度における自殺者数につきまして、校種別にそれぞれ記載してございます。
 一七ページをご覧ください。15、都内公立中学校三年生における生徒数及び令和四年度中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)受験者数でございます。
 (1)は、令和四年五月一日現在の都内公立中学校三年生の生徒数を記載したものでございます。
 (2)は、令和四年度中学校英語スピーキングテスト、ESAT-Jの受験者数を記載したものでございます。
 一八ページをご覧ください。16、中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)事業の令和五年度の予算額のうち、中学校三年生のテストと、一、二年生のテストそれぞれの金額でございます。
 令和五年度における英語スピーキングテストについて、中学校三年生を対象としたテスト実施に係る予算額と、中学校一、二年生を対象としたテスト実施に係る予算額をそれぞれ記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○入江委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 よろしくお願いいたします。
 初めに、エデュケーションアシスタントについて伺わせていただきます。
 小学校の担任の先生は、各教科の授業だけでなく、学級経営や児童への対応、保護者等の対応が多く、業務を一人でこなさなければなりません。
 都教育委員会では、子供との関わりに特にきめ細かな対応が求められる小学校一年生から三年生までを対象に、学級担任の業務を補佐するエデュケーションアシスタントを配置する取組を今年度から実施しており、アシスタントが、学年便りの作成、保護者への連絡、授業、給食等の補助を行うことで、担任教員の負担軽減を行っております。
 以前、今年度の事務事業質疑において、この事業のさらなる拡大を要望したところでありますが、今年度の成果と来年度の取組について伺わせていただきます。

○稲葉人事企画担当部長 今年度は、現時点で一地区、二十校、五十七学年にアシスタントを配置しています。
 配置した学校の教員からは、アシスタントがいることで教材研究等の時間が取れる、大人の目が増えることで教員の精神的な負担感が減少したとの評価を得ています。
 こうした成果を踏まえ、来年度は、五地区、百校に規模を拡大します。

○鈴木委員 実施規模が二十校から百校に拡大されたことは評価いたします。本当でしたらもっと増やしたかったんですよね。なかなかできないことがあったということで、一応百校までは拡大されたということで評価します。
 都教育委員会では、外部人材を活用した様々な取組を行っており、教員の時間外労働の縮減に直接つながる取組もあれば、時間ではなく精神的負担の軽減や教育の質の向上など、質的なものもあると考えます。
 今後、この事業をさらに拡大していくためにも、どのような効果があるのか、様々な角度から検証を行っていく必要があると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○稲葉人事企画担当部長 今年度は、アシスタントを配置した学校の教員に対してアンケートを行い、アシスタントの具体的な業務内容や、教員の負担感の変化、授業の質の向上等について実態を把握しました。
 来年度は、教員のみならず児童、保護者等にもアンケートやヒアリングを行うなど、第三者による授業観察など多角的な視点から効果検証を行い、アシスタントのより効果的な活用方法等を検討していきます。

○鈴木委員 ありがとうございます。小学校の負担軽減や教育の質の向上を図る重要な取組でありますので、しっかりと効果検証を行い、今後さらなる規模の拡大に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 次に、英語力の強化について伺います。
 令和五年度では三つの柱を掲げ、その中の一つである、自ら未来を切り開く力の育成において、今後、英語力の強化を図っていくために、新規事業を幾つも実施予定でありますが、その中の二点、伺わせていただきます。
 まず、子供たちが将来英語を使いこなすことができるようにするためには、英語で会話する楽しさや必要性を体感できる機会を増やすことが重要であると考えます。
 英語を学ぶ初期段階である小学校で、今後、都教育委員会はどのように取組を進めていくのか、伺います。

○小寺指導部長 都教育委員会は、来年度、希望する小学校に一週間ネーティブ人材を配置するイングリッシュウイークを設定するなど、子供が授業、給食、休み時間等、学校生活全体での交流を通して英語に親しむことができるようにしてまいります。

○鈴木委員 やはり、英語が話せるようになるというのは、英語が話せる環境にあるということが非常に大事だと思っておりますので、いろいろと努力していただきたいと思います。
 続いて、宿泊TGGについて伺わせていただきます。
 グローバル人材の育成について、国際交流の事業を拡大するに当たり、実際に海外で使える英語力の向上や国際交流に挑戦しようとする生徒の意欲を喚起することが重要であると考えます。
 TGGは、体験型英語学習施設として平成三十年九月の開業からこれまで、学校の教室とは異なる空間の中で、外国人スタッフとの体験的な活動を通し、英語を使う楽しさや必要性を体感できるプログラムを提供してきております。
 今年一月には、多摩地区にも新たに開設し、同様のプログラムを提供していますが、都教育委員会は、TGGのノウハウを活用し、来年度、TGG宿泊プログラムを実施するとのことでありますが、取組内容について伺わせていただきます。

○瀧沢指導推進担当部長 生徒の英語力や意欲の向上に向けて、来年度、TOKYO GLOBAL GATEWAYにおいて、新たに都立高校等の生徒百二十人を対象に、一泊二日の宿泊プログラムを三回実施いたします。
 宿泊を伴う英語漬けの環境を創出することにより、国内にいながら海外留学で必要となる様々な場面を疑似体験することなどを通して、生徒の英語力や意欲の向上を図り、世界を舞台に活躍できる人材の育成に努めてまいります。

○鈴木委員 ぜひ、これから子供たちの英語力を強化するために、考えられることをどんどん実施していただければと思います。
 次に、手話言語条例施行を踏まえた都立ろう学校における取組について伺います。
 昨年六月の都議会第二回定例会におきまして、東京都手話言語条例が全会派一致で制定され、同九月一日から施行されました。
 十一月の文教委員会事務事業質疑では、我が都議会自民党の伊藤副委員長から、この条例第十条の学校における支援について質疑を行わせていただきました。
 手話を必要とする多くの子供たちが通う都立聴覚障害特別支援学校、いわゆるろう学校において、教員等の手話技能向上や、保護者等が手話を学習する機会の提供など、条例の趣旨に沿った取組を進めるためには、手話通訳士等のさらなる活用が重要である旨、強調したところであります。
 都立ろう学校における手話通訳者等の活用について今後の取組を伺います。

○落合特別支援教育推進担当部長 都立聴覚障害特別支援学校において、手話言語条例第十条に規定された学校における支援を実現するためには、手話に関する高い専門性を有する手話通訳士等を積極的に活用することが有効でございます。
 都教育委員会では、令和五年度から、都立聴覚障害特別支援学校で、教職員の手話技能向上のための校内研修や、保護者向けの手話講習会などに講師として手話通訳士等を招聘するための経費を計上いたしました。

○鈴木委員 ありがとうございます。手話通訳士等のさらなる活用に向け、条例の趣旨に沿って新たに予算措置がなされるとのことで、この取組を着実に進めていただきたいと思います。
 都立ろう学校では、子供たちだけでなく、保護者、その他の関係者にも、聴覚に障害のある方が多いと仄聞しております。
 こうした聴覚に障害のある保護者等が、いつでもどこでも支援を受けられるよう、都立ろう学校において、ICTを活用した遠隔手話通訳等の利用を促進することも重要であると考えます。
 現状と今後の取組について伺わせていただきます。

○落合特別支援教育推進担当部長 都の事業所窓口では、スマートフォンから遠隔手話通訳を利用できるサービスを提供しており、都立聴覚障害特別支援学校でも、このサービスに接続する専用QRコードを受付に掲出し、活用してございます。
 令和五年度からは、遠隔手話通訳サービスや、音声を文字に変換するアプリケーションを利用できる専用のタブレット端末を全ての都立聴覚障害特別支援学校に配備し、聴覚に障害のある保護者等が、いつでもどこでも支援を受けられる環境を整えてまいります。

○鈴木委員 引き続きどうぞよろしくお願いいたします。質問を終わります。

○白戸委員 私からは、教員の確保についての問題を質疑させていただきます。
 教員の確保を考えますと、教員の働き方改革は喫緊の課題で、先週の予算特別委員会で私が質疑させていただきました部活動の地域連携、地域移行は、重要な取組であると考えております。
 一方、働き方改革を進めるためには、これはほんの一部でしかありません。デジタル化や、教員の負担軽減、働く場の魅力向上など、様々な角度から進めていくことが重要であると考えます。
 そこで、本日は、学校における働き方改革の取組について幾つか伺ってまいります。
 まずはデジタル化について。
 都立学校の授業では、一人一台端末の活用が進むとともに、成績管理などの校務のシステム化も進んでおります。
 こうしたデジタル化は当然進めるべきなのですが、この際、授業における端末活用支援や、デジタル化に伴う様々な周辺業務も発生すると思われますけれども、都の取組について伺います。

○篠企画調整担当部長 都立学校では、端末の保守管理や教室内におけるネットワーク接続トラブルへの対応など、デジタル化に伴う様々な業務をデジタルサポーターが担っており、これまで業務委託により行ってまいりました。
 今後、生徒の一人一台端末を授業でより効果的に活用していくため、教員との密接な連携が一層必要となることから、デジタルサポーターを直接雇用に段階的に切り替えてまいります。
 また、年度当初に、生徒の情報などをシステムに入力する業務が新たに発生しており、こうした教員の業務を軽減するため、令和五年度から、入力支援業務を順次委託してまいります。

○白戸委員 デジタル化の導入時や学年の始まりですよね、こういったデータ入力業務というのは、不慣れな教員にとっては大きな負担であると聞いております。ここをサポートいただくのはかなり効果が高いのではないかと思います。
 こうした学校や教員への支援も行っていただきながら、デジタル化をしっかりと推進させていただきたいと思います。
 次に、教員の授業時数の軽減について伺います。
 教員が担うべき業務の中には、年間の時間割や学校行事の企画、生活指導、進路指導の実施といった学校の教育活動の基盤となる業務、いわゆる校務といわれているものがあります。
 この間、我が会派は、負担の大きい校務を担う教員の働き方改革を推進するために、授業時数軽減の取組について質疑を重ねてまいりました。
 こうした中、都教委では、時数軽減の対象となった教員の校務を拡大する取組を進めており、現場では、対象となった教員だけではなくて、その教員が周囲のサポート役に回れるということで、学校全体によい影響が出ているという話でした。
 こうした成果を踏まえまして、私は、昨年の本委員会事務事業質疑において、本事業のさらなる拡充を求めたところではありますが、来年度はこれをどのように進めていくのか、取組と現状と併せて伺います。

○吉村人事部長 都教育委員会では、学校全体の教育計画の立案等を担う教務主任など、中核的な校務を担う教員について、授業時間数を軽減するため、その時間数分の講師を配置する取組を全小中学校で実施してまいりました。
 令和元年度からは、小学校の校内研究を担う教員や中学校の学年主任などへ時数軽減の対象を拡大し、今年度は八百六十八校で実施しております。
 配置校では、対象となる教員が子供と向き合う時間や他の教員をサポートできる時間が増えるとともに、学校全体で在校時間が短縮される成果も確認されており、来年度は、規模を千二百五十七校へと拡大して、取組をさらに推進してまいります。

○白戸委員 この取組は、対象となった教員に余裕が生まれることで、校務の充実はもちろんですが、他教員のフォローをしていただくことで、学校運営の全体がもちろんよい方向に進んでいきます。
 さらに、こういった教員の心理的な余裕の変化、余裕が出てくることによって、実は子供にも非常にこれは影響してくるというふうに考えられます。そして、何より、教員の私生活、プライベートも充実するということで、大変有効な取組ではないかなと考えております。ぜひ今後とも、この取組の充実を図っていただきたいと思います。
 次に、学校における働き方改革の一環として、魅力ある職場づくりの観点から、職員室の環境改善について伺います。
 現在、都庁舎では、これはやっぱり、ようやくといった方がいいんでしょうかね、都庁舎でもようやく生産性の向上と新しい働き方の実現に向けて、未来型オフィスの整備を順次進めているところでもありますが、学校の職員室は、都庁舎よりも古いことが多く、使い勝手が悪い、どちらかというと雑多なイメージがあります。
 学校を、若者から選ばれる職場、若者が選ぶ職場としていくためには、こうした職員室の古いイメージを変えていくことも必要と考えますが、その取組について伺います。

○稲葉人事企画担当部長 都教育委員会は、教員相互のコミュニケーションの活性化や、学校運営の効率化に資するよう、今年度、職員室の環境改善に向けたヒントや、好事例を紹介する動画を配信し、各学校の意識啓発を図っております。
 こうした取組も踏まえ、来年度は、都立学校二校の既存の職員室において、レイアウト変更や共用スペースの整備等を実施し、改築等を行う三校での事例とともに、その成果を発信するなど、学校現場の魅力向上に向けて取り組んでいきます。

○白戸委員 働き方改革を進めるには、仕事の量の問題もあります。システムの変更もあります。さらには環境の変化も大切です。
 この教員活動の中心となるのは、やはり職員室、その職員室の改善は、その変化を一番目にすることができる、効果を実感しやすいといいますか、そういった意味で、この教員の職場環境改革は、一つ有効な手段ではないかと考えます。
 来年度は、トライアルで小さな規模からのスタートということでありますけれども、その効果をしっかりと検証いただきまして、再来年以降、本格的にいろいろな学校にも広げていくという取組につなげていただくことをお願いし、次の質問に移ります。
 次は、都立高校におけるユースヘルスケア事業について伺います。
 我が会派の要望により、今年度予算措置をされ、昨年の十月から都立学校において、新たに産婦人科医を学校医として任用し、生徒や保護者から様々な相談に応じるユースヘルスケア事業が開始をされております。
 そこで、今年度の事業の実施状況と来年度の取組をお伺いします。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会では、都立高校等の生徒が抱える思春期特有の様々な健康上の悩みに対し、医療的な専門知識に基づいた対応ができるよう、産婦人科の学校医によるヘルスケアに関する相談を行っております。
 生徒や保護者からは、月経に関することや、体重、外見の悩み、思春期特有の心身の不調など、様々な相談があり、産婦人科の学校医は養護教諭と連携し、対面やオンラインにより助言を行うとともに、専門的な診療が必要な場合は、医療機関への受診を案内しております。
 昨年の十月からこれまでに四十八件の相談が寄せられております。
 今年度は、都立高校や特別支援学校など十校の都立学校において本事業を実施しており、来年度は、新たにチャレンジスクールやエンカレッジスクール、通信制の高校などを加え、多様な校種の十五校に相談事業を拡大してまいります。

○白戸委員 これはやはり学校内に設置していただいたということは非常に大きいかなというふうには考えております。外にありますと、生徒たちがそれを相談に行くというのは、相談に行くこと自体がハードルになってしまいます。
 思春期ですから、特有、様々な悩み、一人で抱え込むことがないように、学校現場で医療的な専門知識に基づいた産婦人科医の助言を気軽に受けられる、こういう体制、本当に大きな意義があると思います。
 来年度は十五校に拡大するということですが、新たに相談事業を始められる学校においては、しっかりと生徒や保護者への周知、これは生徒や保護者が分かっていないと意味がありませんので、生徒や保護者への周知にしっかり努めていただきたいと思います。
 続きまして、中学校の夜間学級の養護教諭等の配置支援について伺います。
 都内には、区部及び市部の中学校八校に、義務教育未修了の方などが学ぶ夜間学級が設置されており就学の機会を提供しております。
 この夜間学級は、昼間の学級と合わせて一つの学校ということになっているために、国の基準では養護教諭の配置が学校全体で一人ということになっており、結果的にいうと、夜間学級の時間帯には養護教諭が不在ということになってしまっております。
 設置自治体による会計年度任用職員の配置なども工夫されておりますけれども、一部には配置に至っていない学校もあります。つまり、夜間には養護教諭がいないという状況もあるようです。
 近年、この夜間学級に通う生徒は、学齢期に不登校だった方々はもちろんなのですが、外国籍という方もいらっしゃって、学びのセーフティーネットとしての役割もあり、この養護教諭が果たす役割は非常に大きいのではないかと考えます。
 私も昨年の事務事業質疑におきまして、他県の夜間中学における養護教諭の配置状況なども踏まえ、都の取組を充実するように求めてまいりましたが、そのような中、来年度の予算案に、設置自治体の取組を支援するための予算が新たに計上されたということを評価いたします。
 そこで、この支援事業の具体的な内容について伺います。

○吉村人事部長 夜間学級を設置する中学校では、通常の養護教諭の配置に加え、設置自治体による会計年度任用職員の配置などにより夜間学級の時間帯にも対応しております。
 都教育委員会は、こうした自治体に対して、来年度から新たな支援策を開始し、月二十日、夜間学級の授業時間数四時間に準備等の時間を加えた一日五時間を上限として、会計年度任用職員の配置に要する経費を支援いたします。
 これにより、夜間学級に通う生徒が、より一層安心して学べる環境を整えます。

○白戸委員 昼、夜の学級がありますので、どうしてもこれは当たり前なんですが、昼の学級が中心となりがちです。しかし、夜間学級も、先ほど述べたように、大切な学びの機会で、そして、この場所が大切な時間となっている方も少なくないようです。
 だからこそ、この夜間学級が、安心できるような、そんな場所にしていかなければならず、このような取組が非常に大切なのではないかと考えます。ぜひ、必要な自治体が活用できるように、自治体に対しての周知もよろしくお願いします。
 これで私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○加藤委員 それでは、初めに、豊かな心を育む体験活動の充実について質問をいたします。
 今年度、都教育委員会が取り組んだ子供を笑顔にするプロジェクトは、多くの公立学校が参加し、コロナ禍で様々な制約ある学校生活を送ってきた子供たちから、たくさんの喜びの声を聞いています。
 特に、WBCの観戦では、都内百十五校、約一万一千人の児童生徒が招待されました。私の地元の小学校も選ばれまして、試合前セレモニーにも参加でき、忘れられない特別な日になったと思います。
 また、先日、地元の小学校での取組を実際に見させていただきましたが、憧れの声優と間近で交流し、子供たちの歓声やあふれる笑顔に、生涯残るすてきな思い出になったと思います。来年度も引き続き、全ての公立学校を対象に体験活動を実施すると聞いており、私も大いに賛同しております。
 今年度の成果を踏まえて、来年度については、体験活動を充実させ、子供たちの成長につなげてもらいたいと思います。
 また、さきの予算特別委員会で都議会公明党は、子供たちの芸術文化に親しむ機会の充実を求めたところでありますが、教育庁としても、生活文化スポーツ局と連携して取り組んでもらいたいと存じます。
 そこで、この子供の体験活動について、来年度の展開について伺います。

○筒井事業推進担当部長 令和五年度の体験事業は、今年度の学校による体験プログラムの選択状況を踏まえまして、協働して課題解決に取り組む体験や共生社会に資する体験、科学、技術等に触れる体験を充実させ、協調性や積極性、他者理解など、子供たちの豊かな心の育みにつなげてまいります。
 また、芸術文化体験につきましては、これまで学校内での鑑賞においては、生徒とのコラボレーションなどを実施して、参加型の体験とするよう努めてまいりました。
 来年度は、生活文化スポーツ局と連携し、劇場での鑑賞においても、演者との交流やバックステージツアーなどプラスアルファ体験の充実を図り、より深く心に残る体験となるよう取り組んでまいります。

○加藤委員 すみだトリフォニーホールを拠点とする新日本フィルハーモニー交響楽団、これも、演奏だけでなく、参加者との交流、そして体験会など、様々な工夫を凝らしていますので、こうしたところも大いに活用していただきたいというふうに思います。
 次に、部活動指導に関して質問いたします。
 先日、他県のことではありますが、部活での体罰などで教員が逮捕に至る事件がありました。古い体質、考え方は変えていかなければなりません。
 元女子バレーボール日本代表の益子直美さんは、指導者が怒ることを禁止するバレーボール大会を全国で開催をしております。体罰の指導でうまくなる、強くなるという時代遅れは排除しなければなりません。
 そこで、部活動については、勝利至上主義による厳しい練習を課す指導の改革を進めることにより、体罰を絶対に起こさないようにしていくべきと考えますが、これまでの都教育委員会の取組について伺います。

○小寺指導部長 都教育委員会は、令和元年度に策定した部活動に関する総合的なガイドラインの中に、指導者が身につけるべき資質、能力や、科学的トレーニングによる効率的、効果的な指導の在り方を掲載するなど、都立学校や区市町村教育委員会に対し、体罰の根絶に向けた適切な指導について周知徹底を図ってまいりました。

○加藤委員 この指導方法の改善に向けた取組は理解をいたしました。
 一方で、より適切な部活動指導を実現するには、専門の指導者を配置することにより、教員の負担軽減を図ることも必要であります。
 教員が全く経験のない部活動担当になったら、これはもう、教える方も教わる方も、本当に悲惨だというふうに思うんですね。
 そこで、令和二年度より、都立学校や都内の公立中学に部活動指導員が配置されていますけれども、これまでの実績について伺います。

○小寺指導部長 部活動指導員につきましては、令和三年度、都立学校百八十校に八百十八人を配置するとともに、都内公立中学校に対して、国と都が三分の一ずつ経費を補助し、二百九十一校に五百二十三人の配置を支援いたしました。
 配置している学校からは、専門的な技術指導が行われるようになり、生徒の意欲や競技力が高まった、教員の部活動への従事時間が減少し、負担が軽減されたなどの成果が報告されております。

○加藤委員 冒頭申し上げました事件のように、高い技能を有する指導者であっても、中高生を相手に指導を行う経験は必ずしも十分とは限らず、熱心さのあまり体罰につながるような行き過ぎた指導に至ってしまうことが懸念されます。
 そこで、部活動指導員の資質、能力を一層向上させていくことが必要であると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○小寺指導部長 これまで都教育委員会は、都立学校の部活動指導員を対象に、年に二回、適切な指導等について学ぶ研修会を実施するとともに、区市町村教育委員会に対して、この研修の動画を送付し、中学校の部活動指導員の研修での活用を促してまいりました。
 今後、この研修会において、生徒自身が運動量やコンディションを確認して練習量を調整するなど、科学的トレーニングを導入している部活動の効果的な取組を周知することにより、生徒の主体性を促す指導や精神面からの支援の在り方等について学べるよう、内容の充実を図ってまいります。

○加藤委員 余談なんですけれども、私も中高生の頃は根性主義の時代で、科学的なトレーニングとは程遠い練習をしていたこともあり、大事な腰を傷めてしまいました。強くなれたことはよかったんですけれども、失うものも大きいと、そのように感じます。そうした意味で、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、部活動指導を充実するためのTEPROの活用ですね。
 この活用で、部活動指導員は、TEPRO Supporter Bankを通じて学校に紹介されるケースもありますが、このTEPROにおいても、部活動指導を希望するサポーターの資質向上が必要不可欠と考えますが、その取組を伺います。

○篠企画調整担当部長 公益財団法人東京学校支援機構では、部活動指導を希望するサポーターを対象に、毎年度研修を実施しております。
 令和四年度は、多様な児童生徒への配慮などについて研修を実施し、五十名が参加いたしました。また、指導者の役割やアンガーマネジメントなどについてオンデマンドで配信し、約八百六十回視聴されております。
 これらの取組を通じて、サポーターの資質向上を図り、部活動指導に貢献できる人材を紹介しております。

○加藤委員 この研修を充実させて、多くの人的資源を投入できるよう取組をお願いいたします。
 次に、日本語教育について質問をいたします。
 まず、特別の教育課程の指導体制についてでありますが、小中学校に続きまして、来年度から、都立高校においても日本語指導が必要な生徒に対して特別の教育課程を編成し、指導を実施することができるようになりますが、各学校における指導体制の整備に向けた都教育委員会の取組について伺います。

○小寺指導部長 都教育委員会は、今年度中に、日本語指導に関する特別の教育課程の編成や指導体制の在り方、筆記試験及び面接等のアセスメントや指導の方法などを掲載した教員向けハンドブックを作成し、全ての都立高校に配布いたします。
 各学校では、来年度から特別の教育課程を実施するに当たり、教員の中から、指導計画の作成や外部人材との連絡調整等を行う日本語指導コーディネーターを指名することとしており、都教育委員会は、コーディネーターを担う教員の授業時数を軽減するため、その時数分の講師を配置するなど、学校の取組を支援してまいります。

○加藤委員 次に、多文化共生スクールサポートセンター事業について質問します。
 本定例会における我が会派からの在京外国人生徒募集枠を設定する全日制高校八校以外にも日本語指導に関わる外部人材活用の支援の充実を図るべきという代表質問に対しまして、都教育委員会からは、新たに東京学校支援機構、TEPROと連携し、専門家を、定時制課程も含め日本語指導を必要とする生徒が在籍する全ての都立高校に派遣するとの答弁をいただきました。
 令和五年度から、特別の教育課程が高等学校にも導入される中、都教育委員会が実施している多文化共生スクールサポートセンター事業の大幅な拡充を図ることは、日本語指導のさらなる充実に向けた大きな前進であり、評価をいたします。
 そこで、この多文化共生スクールサポートセンター事業の具体的な拡充内容について伺います。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会は来年度から、日本語指導支援員や通訳、在留資格について相談できる弁護士や行政書士等の専門家を、日本語指導を必要とする生徒が在籍する全ての都立高校に派遣いたします。
 日本語指導支援員や通訳につきましては、各学校における対象生徒数に応じて必要な人数を派遣することにより、生徒の日本語能力に基づくきめ細かい支援を実現してまいります。
 また、東京学校支援機構が本事業を実施するに当たっては、日本語指導のノウハウを持つNPO等と連携し、ふさわしい人材の開拓や、学校に派遣される人材に対する事前の研修を行うなど、支援員等の人材育成にも取り組んでまいります。

○加藤委員 かねてからの我が会派の要望に沿うものであり、画期的なこととして今後の事業展開に大いに期待したいと思います。
 一方、在京外国人設置校については、都議会公明党が二十数年間、増設を訴えてきて、やっと八校、百六十名となりました。現在の定員では不足するため、定時制高校に入学せざるを得ない実態もあります。
 都と同様、日本語指導を必要とする子供が多数公立学校に在籍する神奈川県においては、二十校、二百五名の受入れ枠があります。生徒数は東京の方が圧倒的に多いわけですから、これは改善しなければいけません。
 出入国在留管理庁の二〇二一年十二月の高校生世代の数字、いる数字ですね。神奈川が三千三百二十七人に対して東京は倍の六千七百七十一人です。特に現在、府中西高校一校にとどまる多摩地区の在京外国人枠設置校の拡充を要望いたします。
 また、神奈川県においては、県とNPO団体が共催し、県内六か所で外国人の中学生等を対象に公立高校への進学ガイダンスを行っています。保護者だけでなく、中学の教員も生徒を引率し、各会場では、県教委のブースと、そして複数の高校が何か所にまとまって説明ブースを用意し、そして、説明者は副校長など学校を代表する教員が熱意あるプレゼンを他校と競い合って、そして進路をサポートしているとお聞きしました。
 次の取組として、こうしたことを参考に、都が現在、NPOに委託して行っている説明会についても、都とNPOがより連携するとともに、都教委と中学を所管する教育委員会が連携して実施できるよう検討することを併せて求めておきます。よろしくお願い申し上げます。
 次に、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーなど、専門家を活用した生徒のサポート体制の充実について質問をいたします。
 昨年、夜間中学を担当する教員から、スクールカウンセラーなどの専門家が週に一度でも常駐してもらえれば、生徒との人間関係もできるし、その専門家も、生徒の顔色を見れば変化に気づくと、このようにいっておられました。一般の小中学校の親御さんからも、この充実を求める声をいただいてきました。
 そこで、都は、スクールカウンセラーの活用について、常勤化も視野に入れて、学校への配置を促進する取組を強化すべきと考えますが、都教育委員会の取組について伺います。

○小寺指導部長 都教育委員会は、平成二十五年度から都内全ての公立小中高等学校にスクールカウンセラーを配置し、順次、配置日数の拡充を図ってまいりました。
 また、今年度から、小中学校四校、都立学校四校において、スクールカウンセラーの勤務日数を増やす検証事業を行い、利用率や相談者の満足度等を調査しております。
 来年度は、この調査の結果を分析し、スクールカウンセラーの効果的な活用方法を検証してまいります。

○加藤委員 次に、区市町村におけるスクールソーシャルワーカーの活用について、さらなる支援の充実を図るべきと考えますが、都教育委員会の取組について伺います。

○小寺指導部長 都教育委員会は、スクールソーシャルワーカーの活用を希望する全ての区市町村に対し、その経費を補助してまいりました。
 今年度は、スクールソーシャルワーカーによる定期的な学校訪問等を通して、教員との連携を強化したり、専門的な資格を有する者を任用する十一の自治体への支援を拡充しており、来年度は、こうした取組を行う自治体を増やしてまいります。

○加藤委員 都議会公明党のかまた悦子議員が、さきの一般質問において質問し、浜教育長から、都立高校において、発達障害等により困難を抱える生徒の就労に向け、必要となるビジネスマナーや具体的な就労スキルなどを身につけさせるとともに、障害特性に応じたインターンシップや就労先の開拓、就職後に職場定着するまでを一体的に支援するなどの就労支援事業を令和五年度から実施するとの答弁がありました。
 そこで、この発達障害等による困難のある都立高校生を対象に、民間の力を活用した就労支援事業を開始するとのことでありますが、具体的にどのように進めていくのか、伺います。

○落合特別支援教育推進担当部長 来年度、発達障害等の困難を抱える方の就労支援に実績を持つ連携可能な事業者等を公募するとともに、都立高校の中からモデル校を五校程度選定いたします。
 連携事業者決定後に、モデル校と支援内容等の詳細を決定し、モデル校に在籍する発達障害等により困難を抱え、就労に関心のある生徒などの参加を募集し、発達特性に応じた職業訓練やインターンシップ、企業とのマッチングなど、就労に向けた支援を実施してまいります。

○加藤委員 民間の力を活用する場合でも、教員はもとより、スクールカウンセラーやユースソーシャルワーカー、一般的にはスクールソーシャルワーカーですけれども、都立高校ではユースソーシャルワーカーというようですけれども、このユースソーシャルワーカーなども生徒の支援に積極的に関わっていくべきだと考えますが、見解を伺います。

○落合特別支援教育推進担当部長 就労支援事業を行うに当たっては、教職員が、生徒や保護者の考えや意向を十分に聞き取り、民間事業者等と連携を図りながら取組を進める必要がございます。
 具体的には、生徒の進路に関する相談、悩みや不安などを担任の教員やスクールカウンセラーが聞き取り適切に支援することや、ユースソーシャルワーカーが生徒の抱える課題に対応して就労支援事業者と連携を行うことなどが考えられます。
 こうした教職員の対応により、困難を抱える生徒が意欲的に取り組めるよう、現在、具体的な検討を進めているところでございます。

○加藤委員 本事業の実施においては、民間事業者任せとなることがないようにする必要があります。生徒が在籍する学校の担任や、進路担当の教員はもとより、スクールカウンセラーやユースソーシャルワーカーなどの職員ともしっかり連携し、困難を抱える生徒が就職し、その後も就労し続けられるように取り組んでいただきたいと思います。
 次に、都立高校の生徒の進路実現に向けた支援について質問をいたします。
 都立高校における生徒の進路実現に向けた支援、特に大学進学に向けた支援について伺います。
 都教育委員会は、生徒の大学進学希望の実現に向けて、組織的、計画的に進学対策を進めるため、進学指導重点校、進学指導特別推進校、そして進学指導推進校を指定しており、私の地元の墨田川高校も、進学指導推進校に指定されております。
 令和五年度予算では、進学指導推進校に対する学力向上支援の強化を図るため、いわゆる校内予備校が新規事業として計上されております。
 先日、墨田川高校の卒業式に出席をいたしまして、校長先生と懇談した際に、この校内予備校も大変期待していますと、このようなお話がありました。小寺指導部長も一緒に出席をされておりましたので、そのことはご存じだというふうに思うんですけれども、そういう形でお話をされておりました。
 そこで、この校内予備校の具体的な取組について伺います。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会は来年度、生徒が自らの経済的環境にかかわらず、希望する大学への進学に向けて、複雑化する傾向にある大学入試に的確に対応できるよう、進路指導を中心とした教育活動を組織的、計画的に展開する進学指導推進校十五校で、予備校等と連携した受験対策講座を実施いたします。
 この受験対策講座では、放課後や土日、長期休業中など、学校活動の空き時間や期間を活用し、希望する生徒に対し、大学受験において大きな配点を占める英語や、高校の早い段階で苦手意識を持つことが多い傾向にある数学などの講座を無償で実施いたします。
 この講座の実施に当たりましては、各学校における授業内容や生徒が希望する進路などを踏まえ、事前に予備校等と調整を図り、その実情に応じたきめ細かい効果的な支援が可能となるようにしてまいります。
 本事業の実施によりまして、効率的、効果的な受験対策への支援を強化するとともに、教員の指導力やノウハウの向上のほか、教員の働き方改革の促進にもつなげてまいります。

○加藤委員 すみません、さっき、小寺指導部長、橘高校でしたね。間違えて申し訳ないです。
 この校内予備校の取組は、より一層複雑化する傾向にある大学入試に対して、民間事業者のノウハウを活用し、生徒が、合理的で効率的な受験対策を高校内において進めることが可能となる施策であります。しかも、無償での受講が可能となっており、経済的環境に左右されず、生徒の進学を後押しできるものだと思います。
 また、答弁にありましたとおり、様々な学校業務を抱える忙しい教員にとっても、考える力を育成するための授業や、その準備に有効に時間を活用することができるようになることで、教員の働き方改革にも大いに資するものであると考えます。
 ぜひ、成果につながるよう取組に期待をしております。大変失礼しました。学校経営部長さんでしたね、東部の。大変失礼いたしました。
 次に、今いいました橘高校のことについて質問したいと思います。
 ものづくりから流通、販売を行う都立校初の産業高校としての都立橘高校について伺います。
 私の地元である橘高校が位置する墨田区は、ものづくりのまちとして知られており、今でも伝統の技が継承され、職人さんが活躍をしております。
 橘高校は、生徒が伝統工芸に関する学習を通じて技能を習得し、後継者不足となっている伝統工芸分野における人材育成の拠点としての役割が期待をされております。
 こちらも三年ぶりに卒業式に出席をいたしましたが、もう本当に感動的な卒業式でありまして、また、かつて私が工作機械等の更新、こうしたことを訴えておりまして、実際、そうしたことがもう改善されているということを確認させていただきました。
 この伝統工芸のたくみも派遣をしていただいて、教えていただいてということを伺っております。
 そこで、この伝統工芸の次代を担う人材を安定的に育成していく上で、橘高校の魅力を幅広くPRしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○村西都立学校教育部長 都立橘高校では、伝統工芸教育推進校として、陶芸、ガラス工芸、染色、木工などの伝統工芸に対する知識や技術を身につけるとともに、パソコンを使ったデザインや造形などの学習にも力を入れ、江戸から受け継いだ伝統と現代感覚を融合し、新たな価値を生み出すための教育活動を行っております。
 また、こうした伝統工芸品を制作することに加え、製品の市場調査や流通、販売までを一貫して学ぶことも可能となっております。
 来年度は、こうした特色ある橘高校の魅力を、学校紹介動画を新たに制作することなどを通じて発信し、中学生や保護者、中学校の教員等に幅広く周知することによりまして、ものづくり分野で活躍できる人材の確保、育成につなげてまいります。

○加藤委員 今後も橘高校の特色ある教育活動の発信に力を入れていただくとともに、伝統工芸の担い手をより多く育成していただくことをお願い申し上げます。
 次に、フリースクールについて質問をいたします。
 都はこれまで、フリースクール等に通う不登校児童生徒の支援ニーズ等を把握するための調査研究を行い、その協力者の保護者へ月額一万円の協力金を給付しております。
 本定例会の代表質問におきまして、都議会公明党から、協力金をさらに拡充するように尋ねたところ、協力金を月額二万円に増額し、より多くの保護者から調査への協力が得られるようにするとの答弁をいただきました。
 まず、そこで、今年度の調査研究への協力者の人数について伺います。

○小寺指導部長 今年度、調査協力者として登録している不登校の子供の人数は五百二十六人となってございます。

○加藤委員 調査協力者は五百二十六人ということでありますが、フリースクールに通う都内の子供たちはもっと多いのではないかと考えます。
 実際にフリースクールに通っている子供の人数を伺います。

○小寺指導部長 令和三年度の文部科学省の調査では、都内公立小中学校に在籍しながらフリースクールに通う不登校の子供の人数は千二十七人となっております。

○加藤委員 倍以上いらっしゃるということで、今の答弁で、このフリースクールに通う不登校の子供のおよそ半数の方しか、この調査の対象となっていないということが分かりました。さらに多くの方にご回答いただけるよう、一層の周知を図っていただくことをお願いいたします。
 最後に、教員用端末の活用について質問をいたします。
 都内公立小中学校では、児童生徒一人一台端末を活用した授業が進められています。いわゆる国のGIGAスクール構想に基づき、端末の配布が終わりまして、活用が進んでいるという状況でございます。
 また、教員も様々な場面で端末を活用しておりますけれども、実は、学級担任以外の教員には、例えば非常勤の教員ですね、端末が行き渡らないという自治体もあるというふうに聞いております。
 教員が学校で端末を有効に活用できるようにするべきと考えますが、都教育委員会の考えを伺います。

○篠企画調整担当部長 国は、平成三十年度から、自治体に対し、地方財政措置により学級担任用の端末整備を促し、令和三年度から四年度には、学級担任用以外の端末についても配備できるよう、自治体に対し補助を実施してまいりました。
 都教育委員会は、国に対し、必要な財政措置を引き続き要望していくとともに、今後、区市町村立学校における教員の端末活用状況を把握し、工夫して端末を活用している事例を指導資料、学びのアップデートで周知するなど、有効活用を促してまいります。

○加藤委員 充実した授業が行えますよう、今後の取組に期待して、質問を終わります。

○アオヤギ委員 日本共産党のアオヤギ有希子です。
 まず初めに、特別支援教室について伺います。
 都民の反対を押し切って、今年度から、小中学校の特別支援教室の教員配置基準が、区市町村ごとに、児童生徒十人に対し教員一人から、十二人に対し一人に引き下げられました。
 その結果、前回の資料でいただきましたが、小学校では、児童生徒数が昨年度は二万三千四百五十人だったのが、今年度は二万五千二十二人に増えているのに対し、教員定数は二千三百六十九人から二千百十八人に減っています。
 子供が千六百人近く増えているのに、教員定数は二百五十人以上減っている。しかも、五月一日時点の実際の教員数は十五人も欠員が生じている状況です。
 中学校も、生徒数は五千五百九十八人から六千四百十三人と八百人以上増えているのに、教員は二十三人も減って五百六十七人です。大変な減り方です。
 その結果、教員一人で十二人どころか十三人、十四人、もしくは、もっと多くの子供たちを受け持っている。子供の指導を受けられる時間が週に二時間どころか一時間になってしまった、中には月二回になってしまったというお話も伺っています。
 発達障害の子供たちに必要な支援が教員削減により減らされているといわざるを得ない状況が広がっています。
 そこでお伺いしますが、今年度の児童生徒の週当たりの平均の指導時間はどれくらいですか。小中学生の時間数、それぞれお答えください。

○落合特別支援教育推進担当部長 令和四年度の計画上の週当たりの特別支援教室での指導時間の平均は、小学生が約一・八時間、中学生が約一・五時間でございます。

○アオヤギ委員 計画上で二時間を切っているので、実際はもっと低いのではと考えます。
 東京都公立学校情緒障害教育研究会の調査によれば、昨年度、二〇二一年度、小学校では七割以上の子供が週二時間の指導を受け、三時間以上と合わせると約八割が二時間以上の指導を受けていました。一時間の子供は約二割でした。
 それが十二対一となった今年度、どのように変化したのか。指導時間数だけではなく、教育の中身や効果も含めて、都教委はきちんと学校現場の意見を聞き、検証する必要があると思いますが、いかがですか。

○落合特別支援教育推進担当部長 特別支援教室での指導は、児童生徒の障害の状態などに応じて適切に設定するものでございます。
 令和三年三月に公表した特別支援教室の運営ガイドラインにおいて、児童生徒の実態把握、課題の抽出、指導目標の設定、在籍学級と連携した指導などの方法について具体的に定めており、本ガイドラインに基づき学校が適切に指導していると認識してございます。

○アオヤギ委員 実際に子供たちを教えている教員の意見を聞くべきです。私たちがお話を伺った特別支援教室の先生も、週二時間の指導が必要な子が週一時間になってしまうことが生じているとおっしゃっていました。週二時間の指導では、通常、小集団活動一時間、個別指導一時間となりますが、週一時間ではどちらかしかできないそうです。
 しかし、例えば、個別指導だけでは不十分で、子供は、小集団の中で友達を見て、自分も同じかもしれないと自分を客観視して直したり、こういう方法もあるんだなと気づいたり、自己肯定感を失わずに学ぶことができるそうです。
 小集団活動で体を動かすことで、体の機能も鍛えることができます。週一時間では、それができなくなってしまうと先生は訴えていました。
 必要な子供は、せめて週二時間の指導を保障できているかという視点が重要だと思いますが、見解を伺います。

○落合特別支援教育推進担当部長 特別支援教室の指導は、児童生徒の障害の状態などに応じて適切に設定するものでございます。

○アオヤギ委員 実際に子供たちを教えている教員の意見を聞くべきです。教員配置が減ってしまったために、年度途中の受入れが一層しづらくなっている、また、大変な子を受け入れるために、本当はもっと在籍した方がよい子が年度途中で退室せざるを得なくなる状況も生じているそうです。教員配置基準の引下げが子供たちへの支援を切り下げていることを直視すべきです。
 また、特別支援教室に通うお子さんの保護者の方から、入室するときにも非常に困難だったということをお聞きしております。そのお子さんは、保護者の方が、お子さんの集中力が途切れるときがあり、かんしゃくを起こしたり、また、あるときは、集中してやれるものはどんどんのめり込む、授業中も集中力が途切れると歩き回ってしまう、こういったことに気づいたことから、学校に相談して特別支援教室の入室を相談しました。
 しかし、学校側から、特別支援教室には定員があるといって、今はIQの低い子供たちが入っているので、お子さんは通常級でお願いしたいということをいわれました。入りたいなら専門の病院で診断を受けてくれということで、診断を受けたらIQは高く、なおかつ注意欠陥の傾向があるということが分かりました。その診断をもって特別支援教室に入室することになりました。
 そこでお伺いしますが、IQが高いと特別支援教室には入れないのでしょうか。また、入室するには病院で診断を受けないと入室できないのでしょうか。

○落合特別支援教育推進担当部長 特別支援教室の入室に当たっては、児童生徒の実態を把握した上で、心理士等の意見、行動観察の状況、発達検査の結果などを踏まえ、学校で総合的に検討すること、特別な指導が必要と学校が判断する場合は、保護者に適切に説明し合意形成を図ること、その後、学校が区市町村に申請を行い、区市町村が、教育学、医学、心理学等の観点から、入室の適否について総合的に判断することなどにつきまして、令和三年三月に公表した特別支援教室の運営ガイドラインで定めてございます。

○アオヤギ委員 IQに関係なく、発達障害の傾向がある場合は入室するのは当然のことです。しかし、教員が不足していると、現場では様々な理由で入室を断るということが現実に起きているのです。
 そのお子さんは、特別支援教室に通うようになり、目覚ましく成長したと学校の先生からもいわれ、保護者の方も、漢字を練習するなど短期的な記憶を使った勉強が苦手だったのができるようになったなど、特別支援教室でできることを積み上げていくということが飛躍的な変化になったということです。また、小集団指導で他者との関係もつくっていけるようになったということです。
 一方、先生の不足を感じているということで、先生は二人で三つの学校を掛け持ちしており、入室しにくい状況があったのではということでした。
 また、別の地区のある学校では、年度途中で担任を持っていた先生が辞め、現場では仕方なく特別支援教室の先生を担任に回すということが起きました。
 今年度も昨年度も各地でそういう実態があるというお声を聞いております。これでは、特別な支援の教育を受ける必要がある子供たちが受けられない状況が起きているということです。
 配置基準を十二対一にしたことで、年度途中から子供たちが増え続け、現場では入室を制限したり、担任不足の影響で特別支援教室を閉じなければならないことは許されません。教員を配置して一刻も早く改善すべきです。
 そこでお伺いしますが、教員配置基準を十対一に戻していくべきではないでしょうか。

○落合特別支援教育推進担当部長 教員配置基準については、平成三十年度以降、区市町村に対し、特別支援教室導入完了後に見直すことを丁寧に説明し、令和三年度に全ての公立小中学校への特別支援教室の導入が完了したことから、新たな基準により教員を配置してございます。

○アオヤギ委員 以前も指摘をしましたが、平成二十八年度に基準を引き下げたときは、それが暫定的だなどとはいっていませんでしたし、区市町村教育委員会には説明したかもしれませんが、今回の十二対一への引下げも、きちんと都民に説明して、意見を聞くことをせず、突然、区市町村教育委員会に、十二対一にするので、過員となる教員の解消計画をつくるようにと依頼して初めて発覚したという状況でした。
 都民に隠して進めたことを反省し、十二対一の教員の配置基準の引下げは、子供たちによくない影響が生じていることを直視し、十対一に戻すことを強く求めます。
 また、十二対一といっても、先ほどもいったように、必ずしも先生の担当する子供の人数が十二人になっているというわけではありません。年度当初に入室している子供の数の全体割る十二人をして教員を配置していますので、年度途中で必ず入室する子供はいますから、十二人は年度途中から超えることになります。
 そこでお伺いします。年度途中で入室する子供たちが増えたら、年度途中でも配置すべきではないでしょうか。

○落合特別支援教育推進担当部長 年間を通じて安定して指導できる体制を維持するため、年度途中に児童生徒が増減した場合でも、教員数の増減は行ってございません。

○アオヤギ委員 年度途中に入室する子供たちに対応する教員を配置しないから、現場では、時間数を減らしたり、断ったりすることが起きるのではないですか。
 特別支援教室があるからこそ、発達障害のお子さんが普通学級の勉強がよく分かるようになるわけで、特別支援教室を五月の時点だけの子供の数で把握するだけで、それであとは知らないというのは極めて無責任な対応だと指摘をしておきます。
 特別支援教室の在籍期間の問題も深刻です。一昨年、都教委は、在籍期間を原則一年、最長二年という誤解を与えるガイドラインを作成し、二年までしか在籍できないと学校や保護者たちに説明した自治体が続出しました。
 私たちは、この問題を議会で取り上げ、教育長から、指導期間は二年で終了というわけではなく、必要な期間、継続できるという旨、ご答弁いただき、また、部長からも、原則の指導期間を一年としたのは、一年間のサイクルで振り返るという趣旨で、退室をせかすものではないというご答弁もいただきました。
 このことに間違いがないか、改めて確認をします。

○落合特別支援教育推進担当部長 指導期間は、学校の一年のサイクルに合わせ、必ず振り返りを行う趣旨で原則一年としたものであり、退室をせかすものではございません。
 また、一年の指導終了後、必要な場合は一年間延長し、延長終了時には、特別支援教室での指導継続を含め検討し、適切に指導することなどをガイドラインで定めてございます。

○アオヤギ委員 ところが、特別支援教室の在籍期間は原則一年、最長二年として、それ以上は在籍できないと保護者に説明している学校や自治体が今でもあります。
 そのような実態を知っていますか。

○落合特別支援教育推進担当部長 そのような事例は報告されてございません。

○アオヤギ委員 きちんと把握していないだけのことと思います。今、私がお伝えしましたので、認識し、そうした誤解がなくなるよう手だてを打っていただきたいと思います。
 というのも、先ほどご紹介したお子さんの学校でも、五、六年生になったら小集団指導はなくて、週に一回になりますが行きますかといわれ、効果があるので、希望して入室しているそうですけれども、入室した最初のときに、おおむね二年だという話もあったといいます。
 議会での先ほどの答弁、退室をせかすものではないということを学校に示して入室しているそうですが、本来ならば、もっと低学年から入室した方がよい子供も、二年という話を学校からされて、入室を遅らせて、高学年になってからしようと考える方もいるそうです。
 ガイドラインの原則一年、最長二年という文言が誤って使われています。原則一年、最長二年までというような対応をされれば、子供たちが発達に応じた学びができなくなってしまいます。
 そもそもガイドラインがそうした誤解を与えている文面になっていることは問題です。ガイドラインをきちんと訂正すべきではありませんか。

○落合特別支援教育推進担当部長 ガイドラインにおいて、原則の指導期間の考え方、必要な場合の指導期間の延長、延長後に特別支援教室での指導継続を含め検討し、適切に支援することなどについて定めております。
 なお、区市町村教育委員会には、指導期間の考え方を示した資料を作成、配布するなどして繰り返し周知してございます。

○アオヤギ委員 区市町村に示した資料がまた分かりにくくて混乱を招いたということは、昨年度さんざん申し上げました。しかも、それらの対応をした下で、今年度になってからもそういう状況が生じているということです。
 誤解を解く対応をする、こういったことが必要ではありませんか、改めてお伺いします。

○落合特別支援教育推進担当部長 繰り返しのご答弁になりますが、ガイドラインにおいて、原則の指導期間の考え方、必要な場合の指導期間の延長等について、適切に支援することについて定めてございます。
 なお、区市町村教育委員会には、繰り返し周知をさせていただいてございます。

○アオヤギ委員 小学校一年生の保護者の方から訴えもいただいております。全部は長いので、一部を読みます。
 入学して、想像はしていましたけれども、我が子の苦手な読み書き、数字の認識、こんなにもできないものかと。当の本人も、できないことや、様々なことがストレスになり、かんしゃくや泣き叫ぶことも増えました。救いは支援教室です。先生方が優しく受け入れてくださり、息子が分かるように、聞き入れやすいように、いろいろと工夫してくださっているんだと思います。とにかく週に一度の支援教室の時間が大好きなんですとおっしゃっています。そして、週に複数回利用できるようにしてほしいのですが、今の環境では申し訳なくてお願いできません。療育に週一回通えるようになりましたが、遠くて大変です。一年生から子供が自分を嫌いにならず、自信を持って育つ教育環境を心から求めます。そして、期限の制限をつけないでほしいです。こうおっしゃっています。
 子供たちに寄り添って、子供たちの健やかな成長を助ける立場に立つべきです。在籍期間は二年を超えてもよいことを改めて周知すること、誤解を与えるガイドラインの記述は訂正することを強く求め、次の質問に移ります。
 次に、都立高校の入試のリスニングテストのトラブルについてお伺いします。
 報道によりますと、東京都は、二十一日に行われた都立高校の入試の英語のリスニングテストで、一つの学校で音声が流れないトラブルがあったとして、この学校でテストを受けた四百三十四人全員に対し、リスニングで満点となる二十点を与えることにしたと。
 教育委員会は、このうち中野区の鷺宮高校で行われた英語リスニングで機材に不具合があり、音声の一部が流れないトラブルがあったと公表しました。この学校は四百三十四人がテストを受けていて、都は、公平を期すためだとして、全員に対し、リスニングで満点となる二十点を与えたと。
 このほか、大田区の六郷工科高校では、一人の生徒に対して、問題冊子を配るのが遅れたトラブルがあったため、配り終えるまでの設問分十二点を、テストを受けた七十人全員に与えることとしたという報道です。
 都立鷺宮高校、都立六郷工科高校での今回のトラブルについて、何が原因か、それぞれお示しください。

○村西都立学校教育部長 令和五年二月二十一日に実施した東京都立高等学校入学者選抜の英語学力検査のリスニングテストにおきまして、放送機器の不具合により放送の一部分が流れない事案と、検査監督者が受検者一名に対して、問題冊子の配布が遅れる事案が発生しております。

○アオヤギ委員 受検者一名に対して問題の冊子が遅れるということで、そこにいた全員に措置したということです。当然の措置だと思います。
 今回のような機器のトラブルというのは過去五年間でどのくらいありましたか。

○村西都立学校教育部長 過去五年間で四件ございます。

○アオヤギ委員 四件ということでかなり多く感じます。しかし、そのために是正措置をしたということだというふうに伺っております。
 そこでお伺いします。是正措置をした理由をお答えください。

○村西都立学校教育部長 放送機器の不具合により、リスニングテストを中止せざるを得ない状況となったため、採点上の対応を行ったものでございます。

○アオヤギ委員 機器の不具合があれば、潔く中止し、是正措置をするということです。
 都立学校教育部入学選抜担当は、是正措置ができるのですから、入試に活用するスピーキングテストがどういう状況で行われ、採点されたのか、公平性が担保されているのか、確認すべきです。試験場での状況をどのように都立学校教育部は確認したのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 スピーキングテストにつきましては、都教育委員会として、事業者及び配置した都職員からの報告、区市町村教育委員会の聞き取りにより、適切に実施されたことを確認しており、テストの結果を都立高校入試で活用したところでございます。

○アオヤギ委員 今、どのように確認したかを聞いています。確認することは、都立学校教育部の責務だというふうに思います。きちんと答えていただきたいと思います。
 私ども英スピ議連や団体の皆さんと共同で行った調査では、幾つもの機器トラブルが子供たちや保護者から報告されています。
 ある中学三年生の保護者の方のアンケートです。
 試験が始まる前、準備段階で、動画を見ながらイヤホンの取付けをしたそうですが、それができず、戸惑ってしまい試験監督を呼んだそうですが、つけてもらえず、その間にも動画は先に進んでしまい見ることができなかったら再起動して最初になってしまったとのことです。なので、一人だけ遅れて試験を受けたのですが、ほかの人が終わっても、一人だけ終わっていないので、みんなに注目されながらやらなければならない状況で、緊張と恥ずかしさで、最後の方は全然集中できないまま終わったそうです。トラブルがあった場合などは、一旦中断して一斉にやるとかできなかったのでしょうか。疑問に思います。
 次に、中三生の声です。
 後半組だったのですが、隣のクラスの声がちょこちょこ聞こえてきました。イヤホンの上から変なヘッドホン、括弧はてなをしたのですが、設定のときに片耳のイヤホン、ヘッドホンをつけた際に、少し外れてしまっていて、音を大きくしてしまいました。設定が終わり試験開始までヘッドホンを外せといわれ外し、その際にイヤホンをしっかりとつけ直しました。試験が開始され、ヘッドホンをつけたとき、設定のときの音のままで大音量でうるさかったので、音を下げようとしたのですが、ボタンを押しても全く下がらず、頭に大きな音が響き渡り、途中で頭が痛くなって泣いてしまいました。機材についても、イヤホンの先端のカバーを自分たちでつけろといわれ、つけたのですが、なかなかつけられずに、説明だけが先に進んでしまい、追いつけませんでした。試験監督も自習中に爆睡していて気分が悪かったです。こういった声が寄せられています。
 こうしたトラブルなど、実態が赤裸々に四百八十件近く寄せられています。どの事例も、もし都立高校入試で起きたなら是正措置されていると思います。
 調査を国際班任せにするのではなく、きちんと確認をして是正すべきではないですか。

○村西都立学校教育部長 繰り返しになりますが、スピーキングテストにつきましては、都教育委員会として、事業者及び配置した都職員からの報告、区市町村教育委員会の聞き取りにより、適切に実施されたことを確認しております。
 したがって、テストの結果を都立高校入試に活用したところでございます。

○アオヤギ委員 どうしてこうも入試のときの是正措置とESAT-Jの対応が違うのでしょうか。都立学校教育部では、これまで一定程度保ってきた入試の公平性、公正性を今回、投げ出すということでしょうか。子供たちのことを考えると、怒りしか湧きません。
 都立学校教育部入学選抜担当は、都立学校の入学に関することを行う課です。都立学校教育部は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十一条に書いてある入学に関することの権限を持っているか、改めて伺います。

○村西都立学校教育部長 都立高校の入学者選抜につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十一条により、都教育委員会の職務権限となっております。

○アオヤギ委員 こうした職務権限があるのですから、粛々と、こういった対応、是正措置すべきだということを厳しく指摘しておきます。
 次に、スピーキングテストのIRT、テストが同じ難しさになっているのかについてお伺いします。
 IRT、アイテム・レスポンス・セオリーの略で、項目応答理論と訳されます。これをESAT-Jでは採用していることは前回でも聞いております。問題、試験の難しさをそろえるという技術であります。
 例えば、英検二級の問題を、英検二級の人がどの試験を受けても二級になるというように、問題の難しさをそろえるということです。等化ともいいます。特に、本試験と追試験の問題の難しさが一緒でなければ入試には入れられません。
 そこで伺います。過去のプレテスト、令和元年から今回のテスト、そして来年度までの協定の期間がありますが、それらのテストは全て等化しているのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 等化についてでありますが、改めてですが、異なる試験を受験した人の得点から試験の性質による影響を排除して、受験者の能力に相応する何らかの共通のスコアに変換して比較を可能にする操作であります。
 ということで、プレテスト、本年度のテスト、それから次年度以降についても、IRTと呼ばれる統計的な処理を行うことで、話すことの能力の測定をしてまいります。

○アオヤギ委員 十一月二十七日に実施した本試験と十二月十八日の予備日に実施した再試験は、平均点に八ポイント以上の差がありますが、この差は、問題の難易度の影響を受けておらず、受験した生徒の能力の差を表すものといえますでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しになりますけれども、スピーキングテストは、本試験、それから追試験につきましては、IRTをかけることによって、統計的な処理を行うことを通して比較することを可能としております。
 なお、十一月二十七日と十二月十八日の比較のお話がありましたが、この二日間では受験者数が大きく異なります。十一月二十七日には約六万九千人、それから十二月十八日には千七百人程度ということですので、比較をする場合には、その母数となる集団を適切に慎重に判断することが必要であるかというふうに考えます。
 このことから、平均点を比較することには合理性がないというふうに考えており、都教育委員会としても、十二月十八日の平均点は公表をしておりません。

○アオヤギ委員 最初にご答弁いただいたとおり、プレテストも、今回の二つの試験、そして今度の来年度の試験も等化しているということですので、比べられるというもので、同じ問題の難しさになっています。
 また、受験者数が違っても平均を出しているのですから、比べられるというふうに思います。
 問題なのは、プレテストから追試験の中で、十一月二十七日のものだけが、テストにおいて八ポイントも差が出ていることで、専門家は、プレテストだけでは等化したとは考えにくい。等化がうまくいっていないのではといわれております。
 そこでお伺いします。等化の方法は、同じ問題をテストの中に入れて問題を解いてもらう方法と、同じグループの受験者に問題を解いてもらうという方法、二つです。ESAT-Jは問題が公開されていますので、同じ問題は入れることができません。
 同じ受験者を入れたものでしょうか。もしESAT-Jが等化されているのであれば、どのように等化したのか、お示しください。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しになりますが、IRTという理論を使って統計的な処理を行っているということは今お話しのとおりでございます。
 その等化のやり方、仕方につきましては、今幾つかお話がございましたが、そのことも含めて、公平な採点、評価を行っていく上での重要な内容になりますので、公表することは差し控えたいと思います。

○アオヤギ委員 どのように等化したのかお答えになりませんでした。公正な運営をするためだといいますけれども、公平さを分かるためにはどうしたか、どうやってやったか示すべきだと思います。
 先ほどもいったように、等化をしていなければ、本試験、追試験の問題の難しさが違うということになり、入試に活用できません。都教委が等化をしているといっても、何の証明にもなりません。
 等化をするには、大量の等化された問題、項目ともいいますけれども、そのアイテムバンクというものがなければ、等化は不可能だと専門家はおっしゃっています。
 そこで伺います。項目バンク、アイテムバンクはESAT-Jにあるのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 今ご質問の中にありましたけれども、ほかの試験等についての研究を基に、このスピーキングテストについていろいろご評価されているということだと思いますが、そういう研究をされるのはやぶさかではないし、していただければいいと思いますけれども、既に存在している、例えばTOEFLやTOEIC等々は問題を公開していませんし、あるいは、どのように等化を行っているかについても、実施団体自身が公表するということは行っておりません。
 ですから、問題も公表し、その等化の仕方も両方とも公開するということは通常行わないというふうに認識をしております。
 質問ですけれども、項目バンクにつきましても、今お話ししたような内容の延長上にあると考え、採点業務の具体的な方法については、テストの公平、公正な運営上の機密事項に当たるというふうに考えておりますので、公表することは差し控えたいと思います。

○アオヤギ委員 公表することは差し控える、公平、公正、ちょっと前段でいったことが聞き取れなかったわけですけれども、結論としては差し控えるということだと。いえないということだと思います。
 これが示されないと等化をしたことにはならないし、等化をしたらベネッセのアイテムバンクを使うしかない、このどちらかです。公正、公平な運営のために機密事項といいますが、公正かどうか、公平かどうか、確かめるために都教委はどういう等化をしたのか示す必要があります。
 複数の専門家が、ESAT-Jのように、全問題を公開しながら三回のプレテストを実施しただけで等化が可能とは考え難いといっておりますけれども、都教委とベネッセは何か特別な方法で等化を行ったのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 先ほどの答弁の繰り返しになるかと思いますけれども、問題の公開を行っているということはご承知のとおりで、ほかの多くの検定試験が問題を公開せず、しかも正答も公開せず、そのほか等化のやり方も公開せずということで、その公平性を担保しているということは承知していますが、スピーキングテストにつきましては、学習の改善に生かしたいということから、問題を公開するという非常に大きな決定をして実施をしているわけでございます。
 問題を公開すればIRTは不可能かといえば、そんなことはございません。それは、それぞれの研究の方のご意見だと思いますが、ですので、結論として申し上げますと、適正にIRTをかけることによって等化を行っているということでございます。

○アオヤギ委員 TOEFLとかは問題は公開していないので、これは問題を交ぜてやる方法なので公開できないんですね。
 都教委はもう問題を公開していますので、問題を公開している場合、ちゃんと受験者を、様々なテスト版を受験してもらって等化している、そういった試験があります。そっちに当たるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、きちんとお答えがないということであります。
 次に、ESAT-Jを等化するに当たっては、過去のGTECのデータを利用していないのか、確認いたします。

○瀧沢指導推進担当部長 スピーキングテストの評価については、都教育委員会が独自に作成した問題であるということに基づいて適切に行っております。

○アオヤギ委員 独自に作成した問題に基づき適切に行っているということでありますけれども、そういうことは等化を行っているということなのか、専門家の皆さん、ESAT-Jの過去のテストを含めて等化するには数が少な過ぎるといっています。
 幾ら答えをいわなくても、都教委が等化をできていませんから、ベネッセの技術、GTECのアイテムバンクを使うしかないということであります。都教委自身がすることはできませんから。
 GTECのアイテムバンクを使っているなら、ESAT-JはGTECと等化をしているということになります。こうしたことから、似てくるのも当然であります。
 さらに、ESAT-Jの採点基準、GTECの採点基準も、区切りもほぼ一緒であります。採点基準について、ESAT-JとGTECの区切り、内容を比べますと、読みますけれども、ESAT-Jの音声の観点のゼロ点の採点基準は、求められている解答内容が明らかに外れていると書かれ、GTECの発音、流暢さのゼロ点の採点基準、出題意図から明らかに外れている。求められている解答内容、出題意図はほぼ同じ意味だと思います。
 その後、ESAT-Jは英語ではない、あるいは英語として通じない。GTEC、英語ではない、あるいは英語として通じない。
 最後の項目ですけれども、ESAT-Jは力を測るための十分な量の発話がない。GTEC、力を測るための十分な量の発話がない。
 零点の説明だけでなく、他の点数の採点基準も、少し表現を変えただけで一緒です。表現まで一致する部分も多く、これは意味が一緒だと考えますが、いかがですか。

○瀧沢指導推進担当部長 学習指導要領に基づいて試験問題を作成し、評価をしているということ、学習指導要領の中に記載されている文言を使いながら当然作っています。
 それから、その結果については、CEFR-Jと呼ばれる客観的な指標に相対させる形で作っております。ですから、その二つが似るということは、蓋然性が高いというふうに考えます。
 いずれにしても、同じものではないということは、今、委員がお話ししたとおりで、違うわけですので、似ているといわれても、そういう評価の仕方があるのかなというふうにしかお答えすることはない。
 以上です。

○アオヤギ委員 都教委が今、皆さん、受験者に配っている評価がありますね。これと、あとGTECが公表している評価、採点基準の欄があるんですね。これはもう本当に、点数の幅、語らい、文法がゼロ点から四点、発音、流暢さがゼロ点から三点、こういうことが全く一緒なんですね。
 ベネッセが採点者を集めますから、こうしたベネッセが集めた採点者にとっては、採点基準が、ベネッセの試験、GTECと同じでなければ、一から採点基準を覚えなければならないということになるので、現実的ではないと私は思います。
 問題形式も採点基準も一緒のESAT-JとGTECはほぼ同じであるといえると思います。ベネッセがGTECを各自治体に販売することは利益相反になります。
 前回の質疑で、等化する理由として、先ほどもおっしゃいましたけれども、CEFR等に照らして測定するということと、経年で比較するということだと最初におっしゃいましたけれども、CEFRについても、この委員会で何度も答弁されています。
 CEFRはヨーロッパの言語共通参照枠で、これをESAT-Jは基準にして対応づけしているのだと説明されています。
 そこで伺いますが、ESAT-JとCEFRの対応づけは、GTECとは全く関係なく、これまでのGTECに関わるデータを使うことなく行われたのか、確認します。

○瀧沢指導推進担当部長 ESAT-J、スピーキングテストのCEFR-Jへの対照は、独自に行っているものであります。

○アオヤギ委員 例えば、GTECとCEFRとの対応づけについては、報告書が上がっております。ネットで大きな長い論文が書かれております。
 専門家によりますと、この調査を見ると、特定のテストをCEFRと対応づけするには相当の過去の受験者のデータが必要であるというふうに書かれておりますけれども、そのようなデータのないESAT-Jをどのように対応づけしたのでしょうか。専門家は、GTECのデータを使わなければ不可能といわれていますが、違いますか。

○瀧沢指導推進担当部長 スピーキングテストは独自の問題であるということで、それを踏まえて採点を行っているということは先ほどお話をしたとおりであります。
 また、それ以上のお答えにつきましては、採点の中心に関わることですので、お話しすることは差し控えたいと思います。

○アオヤギ委員 CEFRの基準に合わせるのだと、経年で比較するために等化するのだということですけれども、そこで、もう一つお伺いしますが、この等化というものは、いつまで続けるのでしょうか。等化を始めれば、ずっとベネッセと等化することになりますけれども、いつまでですか。いかがですか。

○瀧沢指導推進担当部長 重複するかもしれませんが、スピーキングテスト、ESAT-Jは独自にCEFRとの対照を行っているというふうにお話をしているとおりです。
 ですから、今の事業者とこれからもずっとやっていかなければいけないということの根拠はちょっと分かりかねますので、今後一緒にやっていかなければいけないということにはつながらないというふうに考えますし、最初の質問の等化をいつまでやるのかというのは、この試験の成り立ちからいって、絶対評価により行うということは一番最初からいっていることですので、これからずっとIRTに基づいて絶対的な評価を出していくということに変わりはありません。

○アオヤギ委員 IRTをやるには、先ほどから説明しているように、GTECの技術を使わないと難しいんですね、客観的事実から見ても。本当にちゃんと等化されているというのであれば、GTECのこの技術を使うしかないんですけれども、そこに等化しますと、ほかの会社の試験とGTECというのはもちろん等化できませんから、都の英語スピーキングテストを行う事業者はベネッセ一社になってしまうのではないかというふうに思いますけれども、いかがですか。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になって恐縮ですけれども、CEFRあるいはCEFR-Jというのは絶対的な基準、評価として指標として示されているもので、それ以外に様々な資格、検定試験団体が資格試験を実施していますが、それぞれの試験が、CEFRの指標と結びつく相対表を作って、CEFRの段階ではどれに当たるかということを示しているわけです。
 ですから、それが行えるのはベネッセだけではないわけです。どの試験であっても、CEFRと対照を行うということはできるわけです。現に、もう既に行っているわけです。
 TOEFLであっても、TOEICであっても、あるいは英検であっても、IELTSであっても、だからこそ、大学入試でも様々、複数の試験が使われているわけですから、何か特定の事業者とずっと行わなければ、この試験が続かないという指摘は全く事実とは異なります。

○アオヤギ委員 今いわれた、各試験がCEFRに準拠しているんだということを、今ホームページで探すとなかなかないんですね。これは大学入試のときにとても厳しく批判されたことなんです。
 CEFRに各試験を合わせたといっても、なかなかこれを検証することができない。その間に大学入試の試験は中止になりましたから、今この対応づけというのはもう載っていないんですね。
 そういったことで、ずっとできるんだ、比較できるんだと。一緒の基準にできるんだというのは、ちょっと間違いだと思いますし、IRTというのは個別の検定試験の等化をそれぞれやっていると思いますけれども、それぞれの試験が同じ問題の難しさになるように、その会社がやっていることですから、一つに合わせますと、そこに合わせ続けなければならないということになります。
 専門家は、CEFRの対応づけ自体、都教委が恣意的に行っていると指摘をしておられます。
 入試改革を考える会の大内武蔵大学教授、同時通訳者の鳥飼玖美子先生は対談で、都教委のCEFRの対応づけが恣意的だとし、CEFRは欧州評議会で提唱されたこともあって、複数の言語を学習することによって言語同士が相互の関係を築き、新しいコミュニケーション能力をつくり上げる、複言語主義を理念としていますが、その点はすっかり忘れ去られています。大学入学共通テストの英語民間試験の活用では、CEFRが複数の英語民間試験を比較する基準に使われていましたからね。CEFRの使用方法が全くでたらめですと大内さんが述べておられ、鳥飼玖美子先生は、日本ではCEFRを権威あるものとして担いでいますが、当のCEFRは二〇一八年に大幅に内容を改定し、伝統的な四技能はコミュニケーションの現実を測るには不十分だと明言しています。従来の四技能という枠組みでコミュニケーションを測ることが無理なぐらい実際のコミュニケーションは複雑なので、七技能にしました。例えば、話すは、発表のように一方的に話すことと、相手のいる相互行為を区別します。それから、書くも、従来のような中での形式で文章を書くことのほかに、ツイッターやSNSのように、文字の制限がある中で気楽につぶやいたり、打ったら即座に打ち返したりという対話に近い書くことのやり取り、新たに追加、加えられました。さらに、仲介という概念も、通訳、翻訳にとどまらず、それを大幅に拡張したコミュニケーションとして捉えています。日本ではそういうことが面倒なのか、一切触れられていません。
 というように、大幅にCEFRの参照枠が変わっているのに、古い参照枠を恣意的に使っているということです。このようなことは続けられないというふうに指摘をしておきます。
 CEFRの理念ともかけ離れたスピーキングテストは、民間試験を導入するための建前にすぎないと厳しく指摘をするものです。
 次に、協定書についてお伺いします。
 ESAT-Jはベネッセと協定書を結んでいます。多くの所管では委託契約、工事請負契約、指定管理などが結ばれ、内容が説明されています。
 そこでお伺いしますが、都教委の総務部では、委託契約や工事請負契約など内容の調査は、どういう範囲で調査や確認を行い、財務局が確認を行うのはどの範囲でしょうか。協定書はどこが調査するのでしょうか。

○田中総務部長 総務部では、教育庁所管の事業に関する契約のうち、東京都教育委員会の所掌に係る事項に関する契約の委任等に関する規則に定められている契約について、東京都契約事務規則に従って行っております。
 規則で教育庁に委任されている範囲は、例えば、委託契約では一千万未満、建築工事では三億五千万未満となっております。
 財務局では、教育庁に委任されているもの以外の契約を行っております。
 協定については、事業実施部署で適切に手続を行っております。

○アオヤギ委員 様々な契約は財務局と教育委員会とすみ分けをしていますけれども、協定は実施部署が行っているということです。
 財務局も、教育庁総務部も、契約内容について専任で行う部署ですから精通していると思われますが、協定はどちらも関与していないということと、本当にきちんと執行できる契約なのか、契約内容に不備がないか、ESAT-Jは指導担当部でチェックしなければならないということになります。
 担当所管は、協定に基づいてといいながら、個人情報の収集は委託形式などといい、これについては財務局は委託形式などという言葉は聞いたことがないといっております。自分たちに都合のいいようにしているようにしか見えません。
 協定書にした理由を改めてお伺いします。また、中学校一、二年生のスピーキングテストは協定ですか、委託契約ですか。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、都内公立中学校三年生の約八万人を対象に独自のスピーキングテスト実施するに当たり、事業者側の技術革新等による提案を随時生かし、事業者の既存スキームを活用するということにより、コストを低廉化するなどの理由により協定という仕組みで実施をしてまいりました。
 一、二年生のスピーキングテストについては、様々な方法を検討中でございます。

○アオヤギ委員 これまでの協定については事業者の既存スキームを活用すること、技術革新による提案を随時生かすということは、随時、契約内容が変えられるということだと思います。
 委託契約の場合、履行確認をきちんと調査し、モニタリングなどを行い、事業者が実施できなかった場合には入札から除外するなど、契約解除があると思いますが、協定の場合では、都教委がベネッセに改善命令など指示をできるのでしょうか、お伺いします。

○瀧沢指導推進担当部長 協定に基づき適正に実施をしてまいります。

○アオヤギ委員 協定に基づき適正に実施するというのは、できるのかできないのかちょっと分からないんですけれども、一応、協定の中には改善命令などができるように書いてあります。
 もう一つお伺いしますけれども、不測の事態が発生したときにどのようにベネッセに改善させるのでしょうか、協定書では何条にどのように書いてありますか。

○瀧沢指導推進担当部長 中学校英語スピーキングテスト事業の基本協定その二の第二十一条に協議をすることが書いてございますので、それに基づいて行います。

○アオヤギ委員 二十一条に両者の協議によって疑義を解決するということが書かれています。東京都側がベネッセに対して、疑義が生じたら説明させ、求めていることをやらせるというのが本来の姿だと思いますけれども、しかし、この協定では、そうはなっておらず、ベネッセの疑義に対しても話し合って都が答えるというふうに見えます。
 東京都とベネッセ同士で疑義は解決できるかもしれませんけれども、これでは、都民の疑義は解決できるものではありません。今回、七万人規模の一斉テストは、都教委も事業者も初めてでした。だからこそ、日にちを分けて行ったプレテストでは発生しなかったミスや不具合も起きる可能性が十分にあります。
 そして、子供たちからも、試験監督からも、隣の教室から解答が聞こえた、イヤーマフをうまくつけられず、手を触れてはいけないといわれたので解答が聞こえてきた、問題内容がトイレで事前に分かったなど、声が寄せられています。
 これに対して、都教委は一貫して、条例に規定がないとかいって、子供たちから調査もしないで入試に活用してしまうというのは言語道断です。
 都教委が事業主ならば、きちんと客観的な立場から調べて是正するのが事業主の責務であり、東京都は民間企業ではありませんので、公金を投入した公共事業である以上、事業者を指導し、都民、それを代表する都議会に調査結果を明らかにする責務があります。どういう契約であろうともです。
 それは、地方自治法第二条にもあるように、地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を上げるようにしなければならないからであります。
 都議会は、その費用を議決する場ですから、無駄に使われていないのか、事業がきちんと行われているのかチェックする必要があり、それを説明するのが都教委の責務です。しかし、これまでも聞いていますけれども、試験監督が何人集まって、採点者が何人で行ったかもいまだに説明されていません。
 ですから、説明がきちんとされていない、不具合があったとしても、当事者がいっているのに何も調査しない、事業者に対して改善命令をしない、指導しないで入試に結果を活用するという、ESAT-Jに対する税金の支出は、極めて不当な税金の支出であると厳しく指摘をするものです。
 命令や契約解除が簡単にできないような仕組みである協定というやり方は、五億円という多額の税金を投入し、八万人もの中学生の将来に関わるような事業においては不適切だと思います。問題が起きたときに一々事業者と確認をしながらやらなければならないような事業手法は間違っています。
 協定書というのは災害時の連携協定のような、事業者に緊急時に物資を届けてもらうなど、事業者がそのときにやれることをやれる範囲でお願いをするような場合、協定で行われるのは理解するのでありますが、きちんと実行し、公平性が担保できたか説明責任を果たすべき事業においては、協定では不適切だと厳しく指摘をして、次に移ります。
 次に、教員の増員や働く環境の改善についてお伺いします。
 今年度初め、四月、五十人の担任不足が生じたことが報道されました。私は、その報道の前月、今から一年前の三月に、教員不足の問題について質疑をしました。内容は、特別支援教室の教員配置が、先ほどもいったように十人に対して一人の配置から十二対一にされるため、四百人もの教員を通常学級に異動しようとしている、こうしたことはやめるべきということと併せて、新採用の教員数から退職見込み数を引くと百二十人しか純増にならないということを指摘し、正規教員の採用があまりに少な過ぎる、このことを指摘してきました。
 そして、四月になると、大幅に当初の見込みと変わり、特別支援教室に入室するお子さんも増え、教員定数は四百人の減ではなくマイナス二百五十一人、さらに、十五人もの教員の欠員が生じる状況でした。ですので、見込んでいた四百人全員が通常学級には異動にならなかったということです。
 新たに小学三年生の三十五人学級のための教員も必要でしたので、大幅に正規の教員増が必要でした。
 また、期限つきの教員の名簿登載者もほかに就職していたなど、誰も成り手がいなくなったために、小学校では四月段階で五十人不足し、九月には百三十人不足するという事態になっています。
 そのため、産休、育休代替教員が今も配置されずにいる学校では、時間講師が複数人で穴埋めをしているけれども、その中の一人が辞めてしまったという学校や、欠員が一人や二人ではなく、三人、四人となっている学校もあると聞いております。
 こうした状況では、子供たちの学ぶ環境としても問題ですし、教員の働き方がさらに多忙化し悪化しているのではないかと思われます。
 こうした状況を一刻も早く解決するためにも、正規の教員の大幅な増員が必要ですが、来年度は、産休、育休代替教員の配置が前倒しで配置されることとなり、歓迎するものですが、こちらも実施するには大幅に教員が必要です。
 正規教員、期限付教員の確保が不可欠になっていますが、令和五年度当初に必要な教員数を配置することができるのでしょうか。また、本年度の欠員も解決するのでしょうか、確認します。

○吉村人事部長 令和四年度に実施した教員採用選考では、近年の採用動向を踏まえて推計値の一層の精緻化を図っており、今年度の欠員分も含め、必要な教員数を確保しております。
 現在、年度当初の学級数確定に向けまして、学校からの申請に基づき、新規採用教員の配置事務を進めております。

○アオヤギ委員 必要な教員を確保するということでした。
 推計値の精緻化ということは去年も聞いたところですが、教員不足を生まないためには、きちんと正規教員を採用し、期限付教員の方たちを調整弁のように使おうとしないことが必要だと思います。
 次に、産休、育休代替教員の四か月前倒し任用では、新たに七百人の教員が必要ということです。四月一日時点で、七月までに産休に入る先生の代替教員の人件費は国が負担し、都は、四月以降に前倒し採用される代替教員、また、七月以降に産育休に入る教員の代替教員を最大四か月前倒し採用する費用を独自に負担するということです。
 そこでお伺いしますが、この産休、育休代替教員の前倒しの対象は、男性教員も対象ですか。

○吉村人事部長 男性教員も対象でございます。

○アオヤギ委員 男性も対象ということで、産育休に入る全ての方がスムーズに産育休を取れるように、四か月前倒しで教員の配置を確実にしていただきたいと思います。
 この制度のメリットは、四か月間で新しく来る先生と引継ぎができるということです。また、四月に代替教員を先々の人の分まで確保できるのもメリットです。
 次に、産休、育休明けの教員が子育てをしながら働ける環境をつくることも大事です。あまりにも長時間労働が続き、自分の子供を大切にできなくなると退職してしまう。また、教員を目指す若い皆さんも、これではプライベートを大事にできない、教員にならない選択をする方がいると。少なくありません。
 そこでお伺いしますが、産休、育休明けの教員が時短勤務をする場合、時短勤務の保障ができているのでしょうか。

○稲葉人事企画担当部長 都教育委員会は、教育職員が、妊娠出産休暇や育児休業から復帰後、育児と仕事との両立を図ることができるよう、育児時間や育児短時間勤務、部分休業といった制度を設けています。

○アオヤギ委員 育児時間は一歳三か月までのお子さんがいる方は全員取れるのですが、一年以上産育休に入る方も多いので、対象になる方も限られると思います。また、育児短時間勤務は就学前のお子さんがいる教員が対象ですが、職務遂行上、支障を来す場合は取得できないものです。
 長時間労働に加え、教員不足の中、産休、育休明けでまだ小さいお子さんがいても、なかなか早く帰れないという実態があるのだと思います。
 そこでお伺いしますが、産休、育休明けの教員が保育園などの場所の関係で異動を希望する場合、希望する学校に異動ができる状況でしょうか。

○吉村人事部長 保育園等の事情を有する教員につきましては、個々の事情に配慮し配置しております。

○アオヤギ委員 全ての教員の異動の希望など、なかなか配慮ができていないということが、特に今年あちこちで起きているようです。よく教員の方々と異動の希望を相談していただきたいと思います。
 また、様々な研修や、文書の提出などに時間を取られ、授業の準備のための時間が後回しになってしまうという声があり、私どもは、予算要望でも、この改善を求めているところです。
 教員の持ち時間数も多い中、さらに研修で様々な書類を出さなくてはならず、点検もあるということで、不必要なものはなくし、内容を精選すべきだと思います。
 先生の業務を増やすような研修は減らすべきだと思いますが、いかがお考えですか。

○小寺指導部長 都教育委員会は、初任者研修のような法で義務づけられた研修や、様々な教育課題に対応するための研修等を実施しており、その内容や方法について、実施後の受講者アンケートや校長等からの意見を集約し、必要な見直しを行っております。

○アオヤギ委員 必要な見直しを行っているということですので、教員の皆さんは、授業のための研究などにもっと時間を使いたいと考えていますので、研修は精選していただきたいと思います。
 次に、新しく入った教員へのサポート体制も不可欠です。
 今年は多くの欠員が生じているため、来年度、多くの新しい教員が配置されることとなると思います。これまで期限付教員として採用された方が、大変な職場に配属され、自分は教員に向いていないと辞めてしまった人がいると関係者からお聞きをしました。
 既に欠員になっている現場では、穴埋めのために、残った教員が労働強化となり、さらに体調を崩して辞めてしまうというような負のスパイラルに陥ると専門家の方々が述べられ、現に複数人が欠員の学校は労働強化になっていることは明らかです。
 そこへ新しい方が配属されれば、何の手だても取られないと、この負のスパイラルに巻き込まれる可能性もあります。来年度は新採用の方に加え、以前、教員経験のある方にまた教員になってもらうというカムバック採用も始まります。こうした方々が教員不足を解消してくれる助けになるわけですから、とても大切です。これらの方々をしっかりサポートする体制が必要です。
 そこでお伺いしますが、学校内の先生でサポートをして連携や相談ができる体制が必要ですが、いかがお考えでしょうか。

○吉村人事部長 新たに採用した教員には、担当教員を決めて支援を行うとともに、定年退職した管理職等が小中学校において学級経営等をサポートする取組を行っております。

○アオヤギ委員 従前の取組は承知しているところなんですけれども、新しく配属された方々がきちんと相談できる体制をつくっていただきたいと思います。時間的余裕がなければできないというものなので、慢性的な長時間労働を是正していただきたいと思います。
 先ほども答弁にあったように、新人の方は法定の研修もあります。また、いきなり四月から担任をするというのは大変負担になるのではないかと思われます。新人の方の離職率も深刻です。
 しっかりと引継ぎや担任を持つための研修ができるよう、新採用の方は担任を持たせないようにしてはどうでしょうか。

○吉村人事部長 繰り返しになりますが、新たに採用した教員には、担当教員を決めて支援を行うとともに、定年退職した管理職等が小中学校において学級経営等をサポートする取組を行っております。

○アオヤギ委員 新採用の方の離職を防ぐために、一年目の担任を免除することを求めます。
 さらに、学校関係者の方からは、先生が、年度直前の学級増、加配などで配置されると、新採用の先生が配置されることが多く、次年度の異動では、学校のことをよく分かったベテランの先生を異動させなければならない、経験の浅い先生が多い学校もあり、学校経営がうまくいかないとの声もあります。ベテランの先生をとどまらせる制度をつくることを要望いたします。体制が不可欠だと考えます。
 次に、教員へのパワーハラスメントの対応についてお伺いします。
 私どもは、教員の方々や学校を辞めた方々からお話をお聞きしました。辞めた方の中には、パワハラを職員室の中で受け、上司も誰も止めなかったということや、また、別の方は、部活に熱心な指導教員がなかなか帰らせてくれず、長時間労働で体調を崩してしまった、若手や中堅の先生が上司に物がいえない学校もある。子供を権利の主体にし、意見を表明する、そうしたことを保障する教育現場で、教員の人権が守られていない現状があると感じました。
 近年では、パワーハラスメントが認識され、東京都にも、パワハラの相談窓口や、いわゆる内部告発である公益通報窓口が設けられていますが、パワハラの相談窓口と公益通報の窓口の違いと相談の流れをそれぞれお示しください。

○吉村人事部長 パワハラにつきましては、都立学校の教職員を対象として、学校経営支援センターに相談窓口を設置しているほか、全公立学校の教職員を対象に、外部弁護士による第三者相談窓口を設置しております。
 公益通報につきましては、事務局及び都立学校の教職員を対象に、教育庁及び学校経営支援センターに通報窓口を設置しているほか、事務局や都内全公立学校の教職員に加え、都民等も通報できる外部弁護士による窓口を設置しております。
 窓口に寄せられた事案につきましては、都教育委員会が、区市町村教育委員会や学校経営支援センター等関係機関と連携して対応しております。

○アオヤギ委員 弁護士などの窓口も設置されていますけれども、相談した後は、都教委と学校経営支援センターとでの対応になります。もちろん守秘義務はあるとのことですが、教育委員会内部にということになります。
 特に校長のパワハラを、ふだんから校長と連絡を取り合っている学校経営支援センターで事実確認をする、調査をするというのは、被害を訴えた教員よりも校長のいい分を肯定的に捉えやすい人間関係の下での調査となり、客観性、中立性に疑問があります。
 パワハラの相談件数を伺っておりますけれども、令和三年度のパワハラ相談件数四十一件、公益通報弁護士窓口への令和三年度の通報件数は四十九件と伺っておりますが、この中でパワハラや公益通報として認められるのはごく僅かだと伺っています。
 これではパワハラがなくならないし、いっても無駄と思われ、泣き寝入りするしかない人も多いのではないでしょうか。公益通報も内部告発ですので、教育委員会の外に相談窓口を設ける必要があると思います。また、こうした制度も知らない教員もいますので、周知を徹底していただきたいというふうに思います。
 一番大事なのは、通報者が不利益を被るということは絶対にあってはならないということです。
 そこでお伺いしますが、パワハラの相談窓口、公益通報窓口の相談者に不利益や報復を被らないように相談者を守ることが大原則です。どのように守っていくのでしょうか。

○吉村人事部長 パワハラ相談につきましては、対応マニュアルに基づき、加害者とされる職員に対して、相談者への報復や相談者と当該問題について話し合うことは禁止であることを説明しております。
 また、相談者には、相談を理由に不利益な取扱いはしないこと、加害者などによる報復的な行動があれば、直ちに相談窓口に申し出るよう説明しております。
 公益通報につきましては、公益通報者保護法におきまして、通報を理由とする解雇の無効や、不利益な取扱いの禁止等が規定されており、通報者、被通報者双方に説明をしております。

○アオヤギ委員 通報者を守るために、また、解決をしていくために、相談体制は客観的立場から対応できる専用の窓口が必要だと考えます。
 学校経営支援センターは、人事など他の業務で学校と密接に関わっています。第三者の立場で先生の相談に乗り、調査をする人と場所が必要ではないですか。

○吉村人事部長 公益通報弁護士窓口及び第三者窓口では、弁護士が相談を受け付け、相談内容に応じて関係機関に引き継ぎ、関係機関は、中立的な立場から適切に事実確認を行い、対応をしております。

○アオヤギ委員 相談の窓口が弁護士でも、調査は結局、学校経営支援センターで行うのでは、幾ら言葉で中立的といっても実際には難しいと、私はこの間、幾つかの先生方から相談を受ける中で感じています。
 本気でハラスメントを根絶しようとするなら、学校に直接調査を行う第三者の立場の窓口を設けるべきです。
 最後に、子供を権利の主体として、子供の人権を尊重するには、先生の権利、人権も守られなければなりません。ハラスメントを根絶し、長時間労働を是正し、先生の意見を表明ができ、子供の発達を保障するための研究の自由、教育の自主性が担保されなければなりません。
 先生がやりがいを持って働き続けられるために、都教委はどのようなことに取り組むのでしょうか。

○吉村人事部長 今ほどご答弁差し上げてきましたとおり、都教育委員会では、外部弁護士による第三者窓口を設置するなど、ハラスメントの根絶や外部人材の活用による働き方改革など、教員がやりがいを持って働き続けられる環境の整備を行っております。

○アオヤギ委員 今、教員不足、教員の離職が深刻です。ぜひ、ハラスメントを根絶して、先生が意見を表明することができ、研究の自由、教育の自主性が守られ、働き続けられる環境を整備していただきたいと要望して、質問を終わります。

○斉藤委員 立憲民主党の斉藤りえです。
 まず、令和五年度予算案にある都立特別支援学校図書館の充実についてお伺いいたします。
 こちらは、具体的に何を充実するのか、お聞かせください。

○落合特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校の図書館につきまして、全校共通の管理システムを導入いたします。

○斉藤委員 今回の管理システムは、どういった本が対象なのでしょうか。点示本など特定の障害児向けの本なのでしょうか。
 このシステムにより、全ての特別支援学校での貸し借りが可能となるのでしょうか。

○落合特別支援教育推進担当部長 具体的な本の選定につきましては、各学校の判断でございますが、新システムは全ての蔵書が対象となります。
 新システムでは、都立特別支援学校間の横断検索が可能であり、これを貸し借りに活用することも可能でございます。

○斉藤委員 管理システムの構築によって、これまで以上に図書館を活用できる基盤が整うことはとてもすばらしいことであると理解しています。
 一方で、これは学校図書館に限った話ではなく、図書館という施設を最大限機能させるためには、図書司書の存在はとても大きなものであります。
 特に、特別支援学校のような特徴のある学校図書館においては、学校図書館の充実という言葉に期待するのは、システムの構築はもちろん望ましいことでありますが、専門的に図書館利用者と向き合える司書の存在だったりもします。
 国内外問わず、図書館は、知の拠点として、公共の中で大きな役割を担っています。その役割を担保するために、司書の方々が能動的に職務に向き合っていることは周知の事実であり、日本でも、欧米のそうした図書館に追いつけと、近年司書の育成に力を入れている現状もあります。
 学校図書館も同様に、利用者、特に次世代を担う若年層の知の拠点、知への欲求に応えていく施設であり、機能を果たすべきであると考えています。
 すぐに何かというものではありませんが、システム面での充実と並行して、人によるサービス面、図書館のさらなる発展に向けた取組についてもご検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、インクルーシブな教育についてです。
 二〇二一年十二月十日の文教委員会で、私は、インクルージョンに関する実践研究について質問し、都教委は、当時、二区市と連携して行っていた実践的研究事業について、検討協議会で成果を共有するとともに、区市町村の特別支援教育担当者を集めた連絡会等で周知を図っていくと答弁していました。
 そこで、令和五年度予算では、インクルーシブな教育についてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、令和二年度からの三年間にわたり、通常の学級と特別支援学級等の交流及び共同学習の充実に向け、実践的研究事業を実施してまいりました。
 令和五年度は、これまでの事業の成果を生かしながら、区市町村において交流及び共同学習が拡充するよう支援していきます。

○斉藤委員 ありがとうございます。実践的研究に関しては、どのような分析がなされるのかにも強い関心を寄せています。インクルーシブな教育の在り方は、インクルーシブな社会の創造にも影響を与えますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、特別支援学校PTA連合会から上げられた要望について取り上げます。
 昨年九月に、特別支援学校PTA連合会から、会派として予算要望を伺い、小池知事に対しても要望書を提出してきました。とりわけ、昨年六月十五日には、都議会で手話言語条例が成立したこともあり、ろう学校のPTAの皆様からは、手話での情報保障など、ろう学校における聴覚障害者のコミュニケーションへの支援拡充を求める要望をいただいていました。
 こうした要望に対する令和五年度予算での都教育委員会の対応についてお伺いさせてください。

○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、令和五年度から、都立聴覚特別支援学校において、教員研修や保護者向けの手話講習会等に手話通訳士等を講師として招聘するための経費を計上いたしました。
 また、遠隔手話通訳サービスや、音声、文字変換アプリケーションを利用する専用タブレット端末を聴覚障害特別支援学校に配備し、窓口等で聴覚に障害のある保護者などが支援を受けられる環境を整備いたします。

○斉藤委員 ありがとうございます。手話言語条例の制定やデフリンピックの開催など、聴覚に障害を持つ当事者や家族にとって、新しい景色が見える期待が膨らむ状況が整いつつあると思います。
 こうした要望も期待の表れでもあり、私たちも、デフリンピックに向けた機運醸成の一つとしても積極的に取り組みたいと考えています。
 ろう学校の生徒においても、技術の発展や社会の変容で、これまでは描けなかったキャリアパスを描いていくことに意欲的な子たちも増えていくと思いますので、ぜひ、次世代のためにもご支援をお願いしたいと思います。
 次に、デフリンピックに関連して質問します。
 先ほどから述べていますが、二〇二五年にはデフリンピックが開催されます。パラリンピック開催の際には、障害理解教育に力を入れ、その効果も大きかったと思いますが、私は、デフリンピック開催を契機として、耳の聞こえない人がいることをもっともっと皆さんに知っていただき、理解していただきたいと思います。
 まず、令和五年度予算案にあるろう学校におけるデフリンピック教育の充実について、その内容を伺います。

○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、来年度、ろう学校へのデフアスリートや国際手話通訳士等を招聘し、デフリンピックに向けた教育を実施してまいります。

○斉藤委員 次に、令和五年度予算案にあるデフリンピックを契機とした聴覚障害の理解教育の普及について、その内容を伺います。

○小寺指導部長 都教育委員会は、来年度、ろう学校の児童生徒の意見を取り入れながら、聴覚障害への理解を深めるための映像教材を作成し、都内公立学校での活用を促してまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。生活文化スポーツ局への質疑の際にも触れておりますが、デフリンピックは、単なるスポーツイベントでもなければ、デフアスリートの超人的な能力を知ってもらうための機会でもありません。
 デフリンピックの開催を機に、共生社会とはどのような社会なのか、その共生社会を目指すに当たって、多様な人々はどのように理解するべきなのかという大きなチャレンジの通過点として、イベントが存在すると理解しています。
 この機会を最大限に活用するためにも、多様な人々の存在、特にデフリンピックにおいては、聴覚に障害を持っている人たちへの理解というものに力を入れて、よい形で多くの方々に知っていただく契機にできればと考えています。
 おかげさまで、東京都も手話言語条例が制定されました。こうした取組が点として存在するのではなく、大きな共生社会の実現に向かった大切なピースとしてパズルを一つ一つはめていく、そうした取組にしていけるかが今回のデフリンピックでは試されているところだと感じています。私たちもできる限り応援をしていきますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 次に、学校におけるユースヘルスケアについてお伺いします。
 都立学校で産婦人科医によるユースヘルスケア相談が開始されていますが、今年度の実施状況についてお伺いします。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、都立高校等の生徒が抱える思春期特有の様々な健康上の悩みに対し、医療的な専門知識に基づいた対応ができるよう、産婦人科の学校医による相談を昨年の十月から開始しております。
 相談事業を行っている十校におきましては、月経に関することや、体重、外見の悩み、思春期特有の心身の不調など、様々な相談がこれまでに合計四十八件寄せられております。

○斉藤委員 ユースヘルスケア、具体的には、月経やPMSに関する相談であったり、思春期特有の悩みに対しての相談ですが、とてもニーズが高いものであると理解しています。
 今年度の実績を踏まえながら、次年度はどのようにしていくのか、方針を伺わせてください。

○村西都立学校教育部長 今年度は、都立高校や特別支援学校など十校の都立学校において本事業を実施しており、来年度は、新たにチャレンジスクールやエンカレッジスクール、通信制の高校などを加え、多様な校種の十五校に相談事業を拡大してまいります。

○斉藤委員 この取組ですが、相談については、いわゆる受動的な待ちの姿勢になると思います。一方で、性教育やPMS、月経などへの理解促進は能動的な取組も必要となると認識しています。
 本取組は、今後、能動的な取組を拡充していく可能性はあるのか、ご見解をお伺いします。

○村西都立学校教育部長 産婦人科の学校医は、思春期の生徒が抱える健康に関する課題を解決するため、専門性を生かした個別相談の実施に加えまして、ヘルスケアに関する正しい理解や対処方法について広く周知するため、学校で生徒や保護者を対象とした講演会を開催するなど、ユースヘルスケアに関する理解促進に向けた取組も、今年度から実施しているところでございます。

○斉藤委員 PMSや生理痛による体調不良を訴える児童生徒に対しての対応はどのようになっているのでしょうか。
 欠席や授業、試験における対応についてお伺いします。

○小寺指導部長 生理による体調不良のため、やむを得ず欠席となる児童生徒に対しましては、各学校において、必要に応じて、オンラインも活用しながら、個別の学習支援を行ったり、定期考査等を受けられない場合には、これまでの学習の経過や、代替する課題への取組等を踏まえ、評価を行っております。

○斉藤委員 ありがとうございます。このトピックは、とてもセンシティブな問題であるとは思いますが、性別を超えて向き合わなければいけないと考えています。生理痛一つ取っても、人によって重い軽いはありますし、十人十色の感じ方でもあると理解しています。
 他方で、そうした性別による身体の特徴の違いや、正しい理解をしていくことが、女性の生きづらさを軽減していくことでもあり、まさに教育なんだと思っています。男性だから分からないではなく、男性も女性もそうした人間の特徴を理解した上で、支え合う社会の形成が、まさに共生社会につながると考えています。
 学校には、女性特有の体調不良によって、勉強に集中したくてもできない子たちも多くいると思います。また、社会には、体調不良でも、声を上げることに遠慮する女性もたくさんいることは私も理解しています。ですが、まずは学校からでも、そうした理解をしっかりとし、また、女性教員も、体調不良を同僚や生徒にも隠さずに示していける環境をつくっていくことなども求められると思います。
 この問題は、私自身も当事者でもありますので、積極的に今後も取り上げていきたいと思います。何とぞよろしくお願いいたします。
 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

○入江委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時四十七分休憩

   午後四時十分開議

○入江委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○桐山委員 ミライ会議、桐山ひとみです。よろしくお願いします。
 まず、スピーキングテストについてから質疑をさせていただきます。
 これまでも何回も、度々、私はこの場でも質疑をさせていただいておりますし、一般質問、あるいは今回、予算委員会でも米川議員が質疑を用意させていただいておりましたが、調整をさせていただいておりましたが、質疑の積み残しもあるということで、この場で質疑を進めていかせていただきたいとも思っております。
 さて、中学三年生は受験を終え、結果が出たところであります。私は、スピーキングテストを実施することに対しましては、これまで一貫して反対を貫きさせていただいております。また、これまでの都教委の答弁を聞いていましても、なかなか情報が開示されなかったり、あるいは子供たちの声を一向として聞かない姿勢に対しては、私は大変不満に思っております。
 先ほどもアオヤギ議員の質疑の中で、英スピ議連をはじめ、専門家と共に調査をした――実際、現場でスピーキングテスト、ESAT-Jを受けた生徒のうちの四百八十件もの声が私たちにも寄せられております。
 そこでは、これまでも度々ご紹介をさせていただいたとおり、試験をした本人しか分からないんですよね。この本人しか分からない、こういった声をなぜ都教委は聞かないのかという、この姿勢を貫き通すことが私は理解ができません。
 さて、今後もこのスピーキングテストを進めていかれるんですよね。そのためにも、この課題改善のためにも、受験生にしか分からない声を聞いていくべきだと思いますけれども、子供たちの声を聞こうとしない理由について、まず伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 生徒の意見を聞くには幾つかの方法があり、中学校を通じて意見を聞くということもその一つであると理解をしています。
 都教育委員会と区市町村教育委員会の間、また、区市町村教育委員会と中学校の間では、スピーキングテストに限らずに日常的に意思疎通を行い、必要な情報を共有する仕組みがあります。
 その中で、テスト終了後に区市町村教育委員会から状況を聞き取った結果、管下の中学校から解答に影響を与えるような報告はなかった、あるいは中学校からの意見や報告は受けていないという報告を都教委として受けています。
 また、日常的なコミュニケーションの機会を通じて同様の報告を受けております。

○桐山委員 生徒の意見を聞くには幾つかの方法があるということで、中学校を通して意見を聞くこともその一つであると。だとすれば、今回、区市町村教育委員会から状況を聞き取ったけれども、特に解答に影響を与える報告がなかった、これもいつも同じ答弁をいただいておりますけれども、また、事業者からの報告も特段受けていないと。
 しかし、受験生はこれまで、実際に、じゃあ例えばですよ、子供たちが何かトラブルを感じていた、先生、これ問題じゃないのと例えばいったことが、受験前ですから、もし内申に響いたらどうしようとかという生徒も中にはいたはずですよね。
 ですので、私は、例えばこういった中学校を通して意見を聞くこともその一つだというのであれば、アンケート調査で、いわゆる無記名ですね、どういった状況があったのか、例えば、他人の声が漏れてきていたとか、あるいは先ほどから出ている、トイレですれ違ったときに解答をいい合うことができたとか、別教室にいても、待機をしていても声が聞こえているとか、そういった声を逐一拾う必要があるんじゃないでしょうか。
 今回、スピーキングテストの実施状況ということで報告を上げましたよね。その中の改善の一つの中で、今後は、音声等に配慮し、生徒がより集中した環境で受験できる教室配置等を検討するんですよね。これ何でやるんですかという話なんです。
 結局、これまで我々がこの委員会の質疑の中で、別教室に待機していて、前半組、後半組と分けていたおかげで、そういった声が聞こえたとか、教室の座っている子供たちの配置の関係で声が漏れてきたとか、そういった声があったからなんじゃないですか。
 そういうふうに今後改善をするのであれば、そういったもっと細かい情報を、現場で行われていた当日の状況を把握して、改善につなげることが重要だというふうに思います。
 今後もこういった子供の直接の声、子供たちは卒業して高校生になってしまいます、改善をする気はないのですか。再度お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 スピーキングテスト全体として改善すべき点は改善していく、それはこれからも、とどまることなくやっていくべきだというふうには考えております。
 そのことと、子供たちの声をお聞きすることがないのかという趣旨のご質問だというふうに考えるのであれば、先ほどお話ししたことと重複して恐縮ですけれども、意見を聞くというのには様々な方法があり、それを通じて把握をしているというふうに認識をしています。

○桐山委員 ぜひ聞くべきだと思います。ここにいる都教委の職員の皆さんも我々も、実際現場にいないし、実際イヤーマフをつけて試験をしたわけじゃないんですよ。事業者だって、実際試験を受けたわけじゃないんですよ。子供たちしか分からないんです。
 ですので、今後のためにも、どういうことが子供たちの感覚として、当日、本当に漏れていたという声がどれぐらいあったのかとか、別室で前半、後半組に分かれて待っていたときに、どれぐらいの数の子からそういうお声が届いているのかとか、そういったことをぜひやるべきだと思いますよ。
 私は、こういった姿勢が――いやいや、中学校から報告が上がってこなかったから、特に区市町村教育委員会からも聞き取りしたけれども特段なかったからとか、こんなのでいいんですかねと私は思いますので、大変怒っています。
 それから、子供たちは、実際、スピーキングテストが終わった後に、物すごいモチベーションが下がりました、そういった声も届いています。私自身は中学三年生の親でしたから、周りのたくさんの中学三年生の受験生の声を聞きました。自分自身も聞き取りをしました。学校の先生にも聞いています。こういった状況の中で、いや、本当にこれ聞かないのかなと。モチベーションが下がって、ああ、やっぱり私立にしようとか、ちょっと解答が来るまでの間不安だから、進路の、最終的に都立のランクを一つ落とそうとか、本当にいろいろな声を聞いています。そういった調査も、私は今後のためにするべきだと思いますけれども。
 次に、スピーキングテスト採点ミスについて伺っていきます。
 都立高校入試に当たって、都教委は、中学校に調査書の諸活動欄にスピーキングテストの記載を求めています。その法的根拠について伺います。
 また、調査書の諸活動欄へのスピーキングテストの結果の記載は、必ず記載しなければならないのか、また、中学校の判断で記載しなくてもよいのか、伺います。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、学校教育法施行規則に基づき、都立高等学校入学者選抜実施要綱におきまして、調査書の様式や記載事項を定め、各教科の学習の記録などに加え、スピーキングテストの結果を記載することを中学校に求めております。

○桐山委員 中学校に求めているということは、中学校の判断で記載しなくてもよいのではなくて、必ず記載しなければならないという答弁なんですか。もう一回確認させてください。

○村西都立学校教育部長 学校教育法施行規則では、調査書を生徒の進学先に送付しなければならないという規定になってございます。
 調査書に記載することは必ずやっていただく、都立高校の入学選抜を受けるのであれば、やっていただくという形になっております。

○桐山委員 もう一回聞きますけれども、英語のスピーキングテストを実施するかどうかについては、教育基本法の教育の独立性の観点から、中学校が実施しないと判断することができるが、都立高校入試は都教委の事務だから、中学校に強制できるという理解でよろしいですか。
 もう一回お願いします。同じことを聞いていますよ。

○村西都立学校教育部長 地教行法等で、入学者選抜に関する職務権限は都教育委員会にございます。
 したがいまして、入学者選抜において調査書を使用するということでございますので、都立高校入試を受けるという限りにおいては、調査書においてスピーキングテストの結果を記載することは、当然求めるということでございます。

○桐山委員 当然求めるということですね。
 間違ったスピーキングテストの結果を記載した調査書を作成、生徒へ発行したことになりますけれども、これが服務事故となるのではないかと考えますが、見解を伺います。

○吉村人事部長 中学校長は、東京都立高等学校入学者選抜実施要綱に基づき記載したものでございます。

○桐山委員 質問をよく聞いてもらいたいんですけれども、都教委が強制して記載させたことは分かったんですよ。でも、そんなことを聞いているのではなくて、都教委が強制したものだから服務事故にならないのですか。それとも、都教委が強制したものであっても服務事故になるのですかと聞いているので、お答えいただけますでしょうか。

○吉村人事部長 今ほどお答えしましたとおり、中学校長は、東京都立高等学校入学者選抜実施要綱に基づき記載したものでございまして、問題があったとは考えておりません。

○桐山委員 問題があったことはないということなんですね。
 この間の採点ミスの件ですよ。都教委において、ベネッセがスピーキングテスト結果を返す前に見直しを実施していれば防止できたにもかかわらず、採点ミスが発覚をし、中学校長が該当する生徒の調査書の再作成など、試験の事務を混乱させていると思います。
 服務事故として取り扱わないのか、伺います。

○田中総務部長 都教育委員会は、スピーキングテストのスコアやグレード評価を修正した受験者及び保護者に対して直接説明し、謝罪するとともに、当該受験者の都立高校への出願手続については、受験者の希望を確認するなど、責任を持って対応したものと考えております。

○桐山委員 これもぜひ私の質問をよく聞いてもらいたいんですけれども、採点ミスに対して、保護者や受験生に対してどのように対応したかを質問しているんじゃないんですよね。
 これまで、過去にも採点ミスの事件は多数あったと思います。これは服務事故として取り扱われています。
 今回、入試事務を混乱させたことは、服務事故として取り扱うのか取り扱わないのかという質問をしているので、明確にお答えください。

○田中総務部長 繰り返しになりますが、都教育委員会は、スピーキングテストのスコアやグレード評価を修正した受験者及び保護者に対して直接説明し、謝罪するとともに、当該受験者の都立高校への出願手続について、受験者の希望を確認するなど、責任を持って対応したものと考えております。

○桐山委員 全く同じ答えなので、そのことは分かっているという話なんです。取り扱わないんですかということです。これは重大なことだと思いますよ。アチーブメントテストといいながら試験に使っているのですから。それをわざわざ強制して、調査書の諸活動欄に書かせて、それをまた訂正させている事務のことですよ。
 三月二日に教育庁は、英語スピーキングテストの音声データの提供について、報告資料を公開しました。しかし、提供するデータについて、受験者本人以外の個人情報を保護する観点により、記録された音声データから受験者本人の音声を抽出処理したデータとしています。
 加工したのだから件数は把握しているはずですが、識別できる音声録音情報が入っていたのは何件あったのか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 音声データを提供するに当たっては、受験者本人以外の個人情報を保護する観点により、必要に応じて、記録された音声データから受験者本人の音声を抽出したデータを提供しております。

○桐山委員 受験者本人以外の声が、誰の音声かが識別できる程度に鮮明に入っていたのか確認するため、守秘義務を課した第三者による確認を許可すべきだと考えますが、都の見解を伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 スピーキングテストの性質上、周りの音が録音されるということは十分に起こり得ることだと考えています。
 そのため、解答音声は高機能集音マイクを口元に設定して録音しており、隣の生徒の音声は、受験者本人の音声の録音状態とは明らかに異なることを確認しております。第三者による確認は必要ないと考えています。

○桐山委員 今、周りの音が録音されることは十分に起こり得るという想定の中だとすれば、先ほどの子供たちからの声、正しいことですよね、そうしたら、こういった声もぜひ拾って、十分起こり得ることですよね、今回、そういった声が入っているデータを加工して、それを抜き取って行うということですから、はっきりいって生データじゃないですよね。これで第三者による確認の必要もないということです。
 今回、この英語スピーキングテストで、周りの受験生の答えも聞こえていたなどの問題が、先ほど申し上げましたように指摘をされております。それを消去したデータの提供とは、まさに不都合な証拠を消去して提供することにほかなりません。
 受験者の生のデータを提供すべきと考えますが、見解を伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 音声データの提供は、生徒がテストを振り返り、今後の学習に生かしてもらうことを目的として実施するものであります。スピーキングテストの性質上、周りの音が録音されることは十分に起こり得るというふうに、先ほども答弁したとおりであります。
 そのため、解答音声はマイクを口元に設定し録音しており、隣の生徒の音声は、受験者本人の音声の録音の状況とは明らかに異なるということも確認しているということでございます。
 音声を提供するに当たっては、受験者本人以外の個人情報を保護するという観点から、必要に応じて、記録された音声データから受験者本人の音声を抽出処理したデータを提供することとする必要があるために、そのように行います。
 もとより、カナル型のイヤホンを使ってイヤーマフを装着し、さらにホワイトノイズを流すなどの遮音対策を行った上で、生徒が試験中に実際に聞いている、聞こえてくる音と、タブレットに録音されている周囲の音とは異なるものであります。
 したがって、条件が異なる下で録音された音声から受験者本人の音声を抽出することが、当日、周りの受験者の声が聞こえたという証拠を消去するという指摘は、全く当たらないということを申し添えます。

○桐山委員 最後に、周りの受験者の声が聞こえたという証拠を消去するという指摘には当たらないと力強く述べられておりましたけれども、そういったことも分からないわけですよ、はっきりいって。
 それと、今後の学習に生かしてもらうことを目的として音声データを提供していくんですよ、振り返るためにとおっしゃっておりますけれども、これ別に全員に返すわけではなくて、希望者のみということだったというふうに思います。
 私は、前回も申し上げましたとおり、音声データは全員に返却すべき、マイページからアクセスして、みんなが自分のを振り返るために。もう皆さん、解答例も出されていて、文字情報としては、解答例がありましたよ。どうやって見比べるんですか。
 速やかに、今後の学習に生かしてもらうというふうに目的として音声データの提供をするという、積極的に開示しますよという姿勢なのであれば、子供たちには、マイページを使ってアクセスできるような環境を整えた方が、よほど今後の学習に生かせられるのではないかなというふうに私は思います。
 音声データの開示の時期について伺います。
 エンカレッジスクール、チャレンジスクール、英語学力検査を実施していない学校などは対象外となった理由について伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 入試にスピーキングテストの結果を活用しない学校の受験者については、令和五年五月一日から申請を受け付けることにしています。

○桐山委員 こちらもそうなんですけれども、いわゆる合否の結果で、そういった不合格になった子たちが優先的だと思いますけれども、入試にスピーキングテストの結果の活用を用いない、いわゆる私立だったり、エンカレッジスクールやチャレンジスクールだと思うんですが、これ遅くないですか。何で同じ日にできないんですか。先ほどいっているように、全員に開示したらいいと私は思うんですよね。
 みんな高校生になるんですよね。自分たちの音声データ、何を自分が発話して解答したか分からないじゃないですか。確認したいと思っている子たちもいると思いますよ。
 音声開示の請求について、なぜ全員同じ日程で開示請求ができるようにしないのか。都立高校の合格、不合格で開示請求時期を分けるのは、アチーブメントテストの趣旨から全く根拠がないと考えますが、分けている理由を再度伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 今回、私どもが提供しているシステムに申請していただければ、誰でもその音声を聞くことはできます。
 また、音声データの提供の申請を受け付けて、その後、請求をしていただいた内容を確認して、提供するためのウェブサイトを準備するなど、期間を想定し、七万人以上受験しているわけですので、その受付処理が円滑に提供できるように、複数の申請時期を設定したということであります。
 なお、提供に係る事務手続日程については、入学者選抜の答案開示の日程に準拠しています。

○桐山委員 何度も申し上げますように、マイページを持っていますから、そこにアクセスして開示できるように、クラウドとかを通して簡単にできませんかね。
 それから、例えば都立高校、あるいは中学校へ、こういった全生徒の音声データを提供し、今後の学習に生かすということも私は大変重要なことだと思います。
 実際のところ、中学の英語の教員は分かっていますよね、それぞれの生徒のスコア。こういったことも含めて、これだけ中学校を使ってきたのですから、しっかりとそういった授業に生かせるとか、先生たちが評価できないから、今回外部のこういったスピーキングテストで評価をしてもらって、わざわざ都立高校の入試にプラスしているんじゃないですか。こういったことも、ぜひ今後検討していただきたいというふうに思います。
 音声データの開示請求を弁護士や代理人が受験者や保護者から委任状をいただいて請求したら、教育庁は開示に応じるのか応じないのか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 音声データは、受験者または保護者から申請があれば、本人の音声を抽出処理したデータを提供いたします。

○桐山委員 今聞いているのは、保護者から申請があればというのは分かっているんですよ。
 その保護者が、いわゆる弁護士や代理人や、そういった方に委任状をもって代理で申請をするということはできないのかと聞いているんですけれども、できるのかできないのか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 前提が幾つか不明確なのでお答えしかねますが、条例等に基づいた手続の申請は、それは可能であるというふうに思います。その場合の対応は、条例に従って対応していくことになります。

○桐山委員 次に、スピーキングテストの会場について伺います。
 令和三年度に行われたプレテストは、都教育委員会が実施をしたテストです。中学校で行われたものは、公正、公平に実施できなかったということでよいのか、再度伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 令和三年度のプレテストも公平、公正に行われましたが、今年度、令和四年度につきましては、結果を入学者選抜に活用するということを踏まえて、より一層、公平、公正を確保するために、都立高校等で実施をいたしました。

○桐山委員 よく分からないので、もう一回聞きますけれども、三年度のプレテストも公平で公正に行われたと。四年度は、都立高校の入学者選抜に活用するから、より一層、公平、公正の確保が必要であったという答弁をいただきました。
 ということは、都立高校の入試選抜に使うテストの公平、公正と、プレテストの公平、公正は違うということですか。都立高校入試選抜に使うテストの公平、公正の、より一層という、答弁として表現をされたことは、一体どういうことなのか、お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 それぞれの中学校においても、様々な試験が行われているわけです。ですから、公平、公正な環境というのは確保されているというふうに考えております。
 ただ、初年度、入試で活用するということから、より厳格な運用をするということで実施をしたということを申し上げています。

○桐山委員 より一層と辞書で引くと、以前のよりももっとさらに、これ以上にとかというふうな表現ができるんですけれども、テストなんですよね、試験に活用するから、より厳密にというふうにおっしゃいました。
 都教委は、英語スピーキングテストの実施は、高校入試事務ではなく、学習指導要領の学習程度を確認するためのアチーブメントテストだと説明をしてきました。通常の授業を受けていれば解ける問題だとも説明してきました。それなら、アチーブメントテストの公平、公正で十分足ります。
 都立高校入試選抜に使うテストだから、もう一回聞きますよ、より一層、公平、公正が必要という理由が分からないんですよ。その理由について、もう一度お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になりますが、中学校において様々な試験が行われる場合にも、公平、公正な試験というのは行われているというふうに認識をしています。
 その上で、入試にも使われるということを踏まえて、より一層の公平性を担保するために実施をしたということをお話をしております。

○桐山委員 要するに、高校入試で、アチーブメントテストではないから、都立高校で実施したのではないでしょうか。それをアチーブメントテストといい張ってこれまでこられているのですから、都立高校の受検生は約四万人なのに、公立中学校の三年生、約七万人に受験をさせて、三万人分の費用が、無駄が生じているのではないでしょうか。
 公平、公正に行われたと先ほども繰り返されますが、三年度のように、公平、公正に行われたテストの結果をそのまま中学校の調査書に書くのでは、公平、公正なものにならないその理由を明確に伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 スピーキングテスト、ESAT-Jは、集団に準拠するいわゆる相対評価の試験ではありません。ですから、アチーブメントテストであるということは全く変わりません。
 その上で、今のご質問ですけれども、テストは公平、公正に実施をされたというふうに認識をしておりますので、令和四年度の都立高校入試でも結果を活用したものでございます。

○桐山委員 結論は、公平、公正だったということですよね。先ほどから、プレテストのときも公平、公正に行われていましたということなんですから、中学校で実施を、わざわざ会場は都立高校じゃなくても、公平、公正に実施できるんじゃないですかねと私は思います。
 令和五年度予算に計上された中学一、二年生のスピーキングテストも、都教育委員会が実施するテストであります。
 都教育委員会の管理下である都立高校等をまた主な会場として行われるのか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 中学校一、二年生を対象としたテストの実施方法については、検討中でございます。

○桐山委員 プレテストのときに、公平、公正に実施をされているのですから、中学校でできるかと思います。また、中学三年生も公平、公正にできるのではないか、そういった体制をきちっと取っていくべきだと私は思います。
 スピーキングテストは、授業で学んだ内容の到達度の確認が目的の一つとなっております。文法を、授業で習っている文を出題するからこそ、スピーキングテストのパートAでは、聞いている人に意味や内容が伝わるように英文を声に出して読んでくださいと記載していたと考えます。
 メイ ハブ シーン、この助動詞プラス完了形を用いた過去に関する推測の表現でありますが、都教育庁の指導部から米川議員が聞き取りをしたところ、葛飾区の教育委員会に派遣されている職員からは、授業で学んでいないとの答えであったそうです。
 そこで、都内公立中学校三年生は授業で学んでいるのか、もう一回伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 現行の学習指導要領は、英語を使って何ができるかという観点が重視されており、多様な表現を扱うことが求められています。
 その上で、ご指摘の今回のスピーキングテストの音読の問題は、中学校で学ぶ単語を用い、場面に応じて、英語として自然となる文を作成し、出題したものでございます。

○桐山委員 中学校で学ぶ単語を使い、場面に応じて、英語として自然となるような文を作成し、出題していると。これは英文の意味や内容が分からなくてもいいから、英文を声に出して読めばいいならば、パートAの聞いている人に意味や内容が伝わるように英文を声に出して読んでくださいとの記載は、出題ミスになり得ると考えるんですけれども、ならないのでしょうか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になりますが、今回のスピーキングテストの音読の問題は、中学校で学ぶ単語を用い、場面に応じて英語として自然となるよう文を作成して出題したものであり、指摘には当たりません。

○桐山委員 今回返された解答例を見ても、今回は、強く読むところや区切りは参考です、復習等に利用してくださいということで、いわゆる音読の部分ですね、パートAのところ、こういった形で解答例として示されております。
 私は、先ほども申し上げましたけれども、こういう解答例を見るだけでは――これを読むだけでも、本当に聞いている人に意味や内容が伝わるには、正確な発音と適正な流暢さで音読する力はつくとは思わないんですね。
 何でこういう出題内容で、こういうわざわざ強く読むところを区切り、参考ですとも書きながら、こういうふうに示されているのかもちょっと分からないのですが、話す力をつけるのであれば、先ほども申し上げた、全員に音声データを返してあげて、正解解答例の、ネーティブな解答例を出してあげて、実際自分がどうか聞き比べた方がよっぽど参考になるんじゃないかなというふうに思います。
 都教委は、メイ ハブ シーンが中学校の学習指導要領にはなくて、高校で学ぶ内容であることを出題前から知っていたのか、または出題後に指摘を受けて初めて知ったのか、いつ知ったのか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、問題等検討委員会において試験問題を検討し、作成をしております。
 具体的な事項につきましては、試験実施上の機密事項に当たるため、公表はしておりません。

○桐山委員 そもそも中学校で学ぶ英文法の範囲で、英語として自然となるように文をつくることはできないのか、都教委はその能力がないのか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しになりますが、都教育委員会は、問題等検討委員会において試験問題を検討し、作成をしております。
 今回のスピーキングテストの音読の問題は、中学校で学ぶ単語を用い、場面に応じて英語として自然となるよう文を作成し、出題したものでございます。

○桐山委員 同じ答弁の繰り返しなんですけれども、聞いている人に意味や内容が伝わるようにということなので、今の、現中学生は学んでいないんですよね。単語は習っているとは思いますけれども、メイ ハブ シーンは習っていないですよね。こういったことを意味や内容が伝わるように話せるかということも、これまでも何もお答えにはなっていません。
 都教委に、中学校で学ぶ英文法の範囲で、英語として自然となるように文をつくることができるにもかかわらず、あえて高校で学ぶ英文法を使った問題文を作成した意図を伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になりますが、都教育委員会は、問題等検討委員会において試験問題を検討し、作成をしております。
 今回のスピーキングテストの音読の問題は、中学校で学ぶ単語を用い、場面に応じて英語として自然となるよう文を作成し、出題したものでございます。

○桐山委員 この出題の仕方が、問題がない、いわゆる学習指導要領の範囲を逸脱しているのではないかというふうに指摘をされている中で、これを問題ないというなら、今後も高校で学ぶ英文法を使って英語として自然となるよう文を作成し、出題し続けるのか、伺います。そうでなければ、そうしない理由も伺っておきます。

○瀧沢指導推進担当部長 問題等検討委員会において、出題方針に基づき試験問題を検討し、作成してまいります。

○桐山委員 今後のこともなんですけれども、これ、ちゃんとやってくださいね。学習指導要領の範囲内でやると、出題するといってきましたよね。問題ないということですから、何か問題が生じると重大な問題ですよね。しっかりとこのあたりも検討し、作成することを求めておきます。
 英語スピーキングテストは、文部科学省が実施する学力テストと同様に、都教委が区市町村の教育委員会に対して強制するものでもなく、区市町村の教育委員会が任意に協力して実施するものです。
 すなわち、区市町村教育委員会は協力しない選択肢を有していると理解しておりますが、それで間違いないか、確認をしたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 スピーキングテストは、区市町村教育委員会との連携協力の下で実施をする事業でございます。

○桐山委員 今のご答弁ですと、先ほどから調査書もほぼ記せということで、半強制なのかなということで指摘をさせていただいておりますけれども、今申し上げているのは、区市町村教育委員会は協力しない選択肢を有しているのではないですか。任意に、今もご答弁にあった連携協力の下ですから、連携と協力はするでしょう。様々なこれ以外のものも連携協力の下、実施する事業はたくさんあります。
 これは試験ですから、試験に活用するのですから、そういったことを伺っているんですけれども、任意に協力して実施するもの、すなわち区市町村教育委員会は協力しない選択肢を有していると理解しているのか、再度伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁で恐縮ですが、スピーキングテストは、区市町村教育委員会との連携、そして協力の下、実施する事業でございます。

○桐山委員 英語スピーキングテストは、区市町村が任意に都教委の英語スピーキングテストを行うとしたもので、その趣旨は、進路指導の参考資料を得るためであります。
 今般、この結果を都立高校入試に活用し、つまり、選抜の資料として用いるために、高等学校に対し、その結果の提供を行った。
 平成二十六年九月四日付の公私連絡協議会作成の確認文書の確認事項との関係性、このあたりはどうなっているのか、伺います。

○村西都立学校教育部長 スピーキングテストは、都教育委員会が実施主体となり、都独自の内容で出題するテストでございます。
 したがいまして、スピーキングテストは、公私連絡協議会の確認事項として記載されている、いわゆる業者テストには当たらないものでございます。

○桐山委員 英語スピーキングテストの成績を都立高校入試に活用できるなら、都教委が中学三年生に対して到達度テストとして五科目の試験を行い、その結果を調査書の諸活動欄に記載をし、都立入試で活用することも可能と考えますが、そういう理解でよろしいか、都教委の考えを伺います。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、現在、都立高校入試におきまして五教科の学力検査を実施し、選抜を行っております。
 したがいまして、五教科の到達度テストを実施し、その結果を入試で活用することは考えておりません。

○桐山委員 これもなんですけれども、質問をちゃんと聞いてもらいたいんですが、都立高校入試がどう行われているかというのは周知の事実なんですよ。また、五科目の到達度テストを実施する予算が今回、計上はされていません。
 そんなことを聞いているわけではなくて、質問は、五科目の試験を行い、その結果を調査書の諸活動欄に記載をして、都立入試で活用することは可能か、可能ではないのか、どちらかというふうに聞いているので、お答えください。

○村西都立学校教育部長 地教行法等により、入学者選抜を行う職務権限は都教育委員会にございます。
 したがいまして、その調査書の様式を定めて、そこにスピーキングテストの結果の記載を求めて、その結果を活用することは、法令に基づく対応であると考えております。

○桐山委員 英語の読む、書く、聞く、話す、この四技能を高校入試で出題することが推奨されている中で、話すことについては、都教委は、アチーブメントテストである英語スピーキングテストを実施して、都立高校入試に活用するとしています。このことを前提として質問しているので、もう一回同じことを聞きます。
 五科目のアチーブメントテストとして、到達度テストとして実施をすると都教委が決めた場合、今回のスピーキングテストと同じことをいっているんです、これは諸活動の記載欄を使って、例えば高校の入試選抜にできるのかできないのか、それが可能なのかどうなんですかと伺っているので、お答えください。

○村西都立学校教育部長 入学者選抜の方法につきましては、都教育委員会が職務権限として決定するということでございます。様々入学者選抜の方法はございます。その中において、こうした場合はどうなるか、仮定のご質問にはお答えするわけにはいかない。
 ただ、今現在、五教科の学力検査を実施して選抜を行っている中で、わざわざ五教科の到達度テストを実施して、その結果を入試で活用することは考えていないということを申し上げております。

○桐山委員 今のご答弁だと、先ほど、その前に、仮定のことはお答えすることができません。ですが、そもそも英語は、読む、書く、聞く、話すで四技能を高校入試で出題することが推奨されているわけじゃないですか。それをあえて今回、いわゆるスピーキングテストですよね、話すということをわざわざ推奨されていて、同じことじゃないんですか。
 だから、五教科も到達度テストに――例えば不足する部分、これと同じですよ、四技能で例えば評価ができないところとか、そういったところを都立高校の入試で活用すること、調査書の諸活動欄に記載することを都教育委員会が認めて、それを中学校の学校長に記載させているわけじゃないですか。だから、できるのか、可能なのかどうなんですかと聞いているんです。もう一回伺います。

○村西都立学校教育部長 繰り返しになりますけれども、入学者選抜の方法については、都教育委員会が責任を持って職務権限として定めると。
 もう一つ、先ほど申し上げた学校教育法施行規則には、入学者の決定を行うに当たっては、学力検査、調査書、その他の資料に基づいて行わなければならないと。そういった規定がございます。
 そういった規定もちゃんと考慮に入れながら、現在、学力検査と調査書、さらにはスピーキングテストについて総合的に勘案した形で合否判定を行っていると、そういう状況にございます。
 したがいまして、学力検査をなくして全部到達度テストにして、それを調査書に記載させてというようなことは、現在考えておりません。

○桐山委員 そんなことをいっているんじゃないんですよ。別に、そんな、学力テストを全部やめろなんていういい方はしていないです。
 実際のところ、今回のこのスピーキングテストは、ウルトラC技みたいな形で非常に複雑に絡み合って、うまいことしたなという感じですよ、はっきりいって。本来だったら、調査書欄に書くことを強制なんかできないですよ、試験に。
 次、行きます。都立高校の入試について伺います。
 二月二十一日に実施された都立高校入試で、高校生が試験中に教室内で業務に従事したのか、また、業務委託契約に基づいて業務に従事した方と報道されていますが、事実関係を伺います。

○村西都立学校教育部長 都立高校入試におきましては、コロナ禍における感染対策等の業務に対応するため、巡回警備、試験監督の補助について委託事業者を活用しております。
 今回、委託事業者から聴取した結果、都立高校の一校で、委託事業者が雇用した高校生が試験監督の補助業務を行っていたことを確認いたしましたが、都立高校入試の試験監督は教員が行っており、入試は適正に実施されております。

○桐山委員 業務に従事する方は、仕様書で学校関係者を除くとしていたとのことですが、誰が確認するんですか。また、学校現場での業務に従事する方の本人確認はどのように行ってきたのか、伺います。

○村西都立学校教育部長 委託業務の従事者の要件の確認につきましては、事前に事業者が行うことになっておりますが、今回は、この要件確認が十分ではなかった旨の報告を事業者から受けました。
 また、委託事業者の従事者につきましては、事前に事業者が身分確認を行い、業務当日には、監督者が当該従事者を確認した上で業務に当たっております。

○桐山委員 教職員が直接業務に従事する方への指示、命令をすると、偽装請負、派遣法違反になりますが、どのような業務体制になっていたのか、受託会社の業務責任者は学校現場にいたのか。
 また、都立学校に勤務していた経験のある方に聞きますと、問題や解答用紙を厳格に管理をして試験は行われているんだと。どこの誰かも分からない方が出入りするだけでなく、試験監督業務に関わったのは不適切、重大な事故であると考えますが、いかがでしょうか。

○村西都立学校教育部長 本業務に係る委託の仕様書におきましては、委託業務内容を明確に定めるとともに、教員等との連絡調整及び他の従事者への指示、監督を行うものとして、各高校に業務監督者を配置することを明記しております。
 実際の業務に当たりましても、本仕様書に従い、委託事業者の従事者に指示等を行う必要がある場合には、事業者の業務監督者を通じて行っております。
 なお、どこの誰かも分からない方が出入りするだけでなくと、今、委員おっしゃいましたけれども、委託事業者の従事者につきましては、先ほど申し上げたとおり、事前に事業者が身分確認を行い、業務当日にも監督者が当該従事者を確認した上で業務に当たっているところでございます。

○桐山委員 そうすると、業務に当たっているということですけれども、高校生が業務に携わっていらっしゃったんですよね、実際にね。もっと前にこういったこともきちっと徹底をしていれば、もっと早く分かっていたんじゃないですかね。
 なぜこのようなことが起こったのか、都民、受検者に対して、第三者委員会を設置して、外部の方により調査する必要があると考えますが、伺います。

○村西都立学校教育部長 本事案につきましては、既に事業者への聴取を行っており、従事者の要件の確認が十分ではなかった旨の報告を都教委は事業者から受けております。
 今回の事案は望ましくなく、適切とはいえない案件であり、再発の防止に努めてまいります。

○桐山委員 確認が十分取れていなかったということで、事業者からの報告をそのまま公開するつもりはあるのかということです。また、その報告を受けてどのような改善を指示したのか、それに対して事業者はどのような措置を講じることとしたのか、伺います。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、既に委託事業者に聴取を行っておりまして、従事者の要件確認が十分でなかった旨の報告を受けております。
 本事案については、都議会の皆様にご説明をさせていただくとともに、既に取材等にも対応しております。
 なお、当該従事者は一月二十六日、推薦入試日でございますけれども、二月二十一日の業務のみを受託しており、今年度の履行は終了しております。
 今後、都教育委員会として再発の防止に努めてまいります。

○桐山委員 ぜひ再発の防止に努めて、厳格にきちっと対応していただきたいというふうに思います。
 次に、グローバル人材について伺います。
 グローバルな環境で活躍できる力を育む取組について、具体的にどのような環境を用意するのか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、令和四年三月に策定した東京グローバル人材育成指針において、小中高等学校を通じて育成すべき資質、能力を設定しております。
 具体的には、主体的に英語を学び続ける態度と英語力を基盤とし、国内外の諸課題の解決を追求する思考力、自分らしさや郷土を理解し、世界の一員として社会に参画する力、多様な文化を背景とする人々と協働する力を身につけることを目指し、多様な取組を展開しております。

○桐山委員 次に、知事の施政方針表明の中でも、英語漬けという言葉が出てきました。都教委が考える英語漬けの環境とはどのような状態を指すのか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 英語漬けの環境とは、TOKYO GLOBAL GATEWAYの特徴を表現するときに使っております。
 児童生徒が、プログラム参加中に英語だけを用いて、海外の生活などの疑似体験を行う環境を指しています。

○桐山委員 TGGのところの表現のときに使ったんだということですが、先ほどのどなたかの質疑の答弁の中でも、今回、高校生は海外派遣に行きますね、そのときにも、こういった環境が英語漬けの環境になるという表現をされておりました。
 ともすれば、一部の子じゃなくて、本当に全ての子供がそういう英語漬けにさらされて、すごいグローバルな人材を輩出できるような体制を整えたらいかがですか。
 東京都といえば英語、これも知事の施政方針の表明の中で出ておりましたが、東京といえば英語、英語力の東京という看板をなぜ立てたのか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 なぜ英語力の東京という看板を立てたのか。(桐山委員「立てたいのか」と呼ぶ)立てたいのかということでよろしいでしょうか。(桐山委員「はい、いいです」と呼ぶ)
 都教育委員会は、英語を話す、触れる機会をつくるなど英語力の強化、次に、国際感覚を培うための国際交流、そして、さらに生徒の海外への派遣につなげるなど、重層的に英語力を伸ばす施策を展開しているところでございます。

○桐山委員 先ほども答弁の中にもあったように、生徒の海外派遣へつなげて、重層的に英語力を伸ばす施策を展開していくんだということだと思います。海外で研修をして、英語圏なんですよね、行けばみんなが英語漬けになって、英語が流暢に話せるように、そういったことにつながるんだということだというふうに認識をさせていただきました。
 多様な学びがある中で、グローバル人材といっても英語だけではありません。フランス語やイタリア語や中国語や韓国語や様々な科目においても、今後、都立高校内においても、例えば、東久留米総合では韓国語とか、選択科目とかにあったかと思うんですけれども、こういった今、Kポップとかがはやっている中で、子供たちは、取っつきやすいのが実は韓国語だということもよく聞いております。
 そういったことも、グローバルな人材を育成するために、英語が基盤としてあるとはいえ、多様な学びのグローバル人材の育成という視点から、しっかりとそういったところも都立高校の中で取組を行っていただきたいというふうに思います。
 グローバルな人材育成とはどのぐらいのレベル、グローバルな人材の育成といっても幅広いんですけれども、超エリートの、グローバルの、世界に羽ばたく子供たちの育成をしたいのか、どのレベルを望んでいるのか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 どのようなレベルかというのも若干抽象的ですし、あるいは様々な学齢がいますので、一言でお答えするのは難しいかと思いますが、繰り返しになりますが、都教育委員会は、令和四年三月に策定をしております東京グローバル人材育成指針、この中で総合的に示しておりますが、主体的に英語を学び続ける態度と英語力を基盤とすること、国内外の諸課題の解決を追求する思考力、そして、自分らしさや郷土を理解し、世界の一員として社会参画する力、そして、多様な文化を背景とする人々と協働する力、これらを四つ設定しておりまして、総合的に身につけていくということを目指しております。

○桐山委員 グローバルな人材の育成、グローバルな人材とはということで、幅広いレベルがあるかとは思いますけれども、多様な子供たちがいる中で、英語だけではなくて、多様な人材、グローバルな人材をぜひ育てていただきたいというふうに思います。
 それから、スピーキングテストに戻ると、私たちミライ会議は、このスピーキングテストについては、一貫して反対をさせていただいております。今回の一、二年生導入につきましても、まだ不透明です。これからどういうふうにやっていくのかも、質疑の中でもまだまだ、まだ検討段階ですということです。不透明な部分がたくさんあり、あるいは、たくさん私もこの間で指摘もさせていただいております。
 アチーブメントテストとして、今後の授業に生かす、子供たちの振り返りに使うのであれば、何度も申し上げますけれども、音声データは、すぐ皆さん全員に返すべきだと思いますし、都立高校、あるいはその出身校であります中学校にも、そういった音声データを戻してあげて、そして、今後の授業の展開に使う、そういったこともやらないと、スピーキングテストは皆さんやるんですよね、続けていくんですよね、私がこれだけ反対して、やめてください、止めてください、ストップですと叫んだって、やるんですよね。やるんだったら、そこはしっかりやらないと、子供たち、申し訳ないけれども、中学三年生は実験台に使われたと思っていますからね。それは二度と返らないんですよ。
 中学三年間、マスクで始まってマスクで卒業し、今回マスクを外していい卒業式になっていますけれども、中学三年生、めっちゃデリケートですよ。今だってマスクを外したくない、顔を見られたくないとかという多感な時期ですよ。こういった様々な授業や行事がことごとくなくなっている中三生に、スピーキングテストだけ本格実施するのは本当に酷な話だったと思いますよ。
 そういったことを都教委はしっかりと子供たちのことを考えて、取組を行っていただきたいと思います。そういった意見を申し上げて、次の質問に行きます。
 次に、校内予備校について伺っていきます。
 校内予備校ということで、先ほども少し質疑があったところです。校内予備校と呼ばれておりますが、このいわゆる校内予備校と呼んでいる新規の事業の正式な事業名、それから、本事業の目的と都立十五校を選択した理由について伺います。

○村西都立学校教育部長 いわゆる校内予備校の事業名は、進学指導推進校の学力向上支援でございます。
 本事業は、生徒の大学進学希望の実現に向けて、複雑化する傾向にある大学入試に的確に対応できるよう、予備校等と連携し、効率的、効果的な受験対策への支援を強化する目的で、進路指導を中心とした教育活動を組織的、計画的に展開する進学指導推進校で実施することとしたものでございます。

○桐山委員 いわゆる校内予備校ということで、新聞報道で校内予備校かということで報道が先行したのだと思いますけれども、事業名は進学指導推進校学力向上支援という事業名ですね。
 しかしながら、先ほどの質疑のやり取りを聞く中ででも、やはり予備校なんだと、校内の予備校としてやっていくんだというようなやり取りもあったところです。
 ただいま答弁で、複雑化する傾向にあるという、その傾向とは何を指すのか、まず伺います。

○村西都立学校教育部長 複雑化する傾向にある大学入試とは、知識の理解の質を問う問題や思考力、判断力、表現力等を発揮して解くことが求められる問題を重視する大学入学共通テストの導入など、入試の傾向を捉えたものでございます。

○桐山委員 この事業は、大学入試に対応することが目的だとすれば、補習という位置づけではないということなのでしょうか。お答えください。

○村西都立学校教育部長 本事業は、生徒の大学進学希望の実現に向けて、効率的、効果的な受験対策への支援を強化することが目的でございまして、各高校がその実情に応じて予備校等と調整し、具体的な内容を定めることとなります。

○桐山委員 各学校がその実情に応じて予備校と調整をして、具体的な内容を定めていくことになるというご答弁でした。
 教育庁は、都立高校での教育の目的をどう考えているのか、基本的なことを伺います。

○村西都立学校教育部長 今回策定する都立高校の魅力向上に向けた実行プログラムでは、生徒一人一人に応じたきめ細かな教育を推進し、未来の東京を担う人材を育成することなどを目標として掲げております。

○桐山委員 基本的なことを伺いました。
 次に、偏差値教育についてですけれども、この偏差教育については、都教委の見解はどのようにお考えになっているのか、伺います。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、生徒一人一人に応じたきめ細かな教育を推進し、未来の東京を担う人材を育成することを目標に掲げ、特色ある学校づくり等に取り組んでおります。

○桐山委員 大学に進学したい高校生がいて、都立高校だけではその生徒の希望に応えられない、その高校生を予備校に通わせてあげることが一番いいとお考えであれば、校内予備校などとまどろっこしいことはしないで、正面から予備校経費を生徒に補助してあげればいいのではありませんか、伺います。

○村西都立学校教育部長 都立高校には、多様な入学の動機や進路希望、学習経験など様々な背景を持つ生徒が在籍しており、各学校の特色に応じた支援が必要でございます。
 したがいまして、校内で展開することにより、各学校の実情に応じたきめ細かい効果的な支援が可能になるものと考えております。

○桐山委員 校内予備校とは、予備校経費補助の代わりに高等学校の場所を予備校に提供して、予備校教師の手当を東京都が支払う、校内で予備校の授業をするとのことですが、これは高校がすべきことなのでしょうか。都教委の見解を求めます。

○村西都立学校教育部長 本事業は、生徒の大学進学希望の実現に向けて、複雑化する傾向にある大学入試に的確に対応できるよう、効率的、効果的な受験対策への支援を強化する目的で、予備校等のノウハウを活用して実施する取組でございます。

○桐山委員 効率的に効果的である、それが予備校なんだと。そういったノウハウを校内に活用することが目的達成のための近道なんだ、そのようなご答弁だったかと思います。
 次に、公平性の観点から伺います。
 校内予備校は、希望する生徒に対して実施するとのことですが、希望する生徒は全員校内予備校に入れるのか、それとも、定員を定めて何らかの基準で選抜することになるのか、伺います。

○村西都立学校教育部長 先ほど答弁したとおり、今後、各学校の実情に応じて対応していくことになりますが、事業の具体的な実施方法については、現在調整中となっております。

○桐山委員 先ほど補習といういい方をしたと思うんですけれども、補習というと、学校の授業が例えば六時間目までありました、七時間目、八時間目を使ってやる、大体これを補習といういい方をよくしますよね。補習は、多分今も行っている高校があると思います。実際に、例えば英語教員とか数学の教員が行っていることもあるかと思います。
 今回は、予備校ということでありますから、学力を、今、例えば英語や数学に苦手意識がある子が、少しでもその苦手意識克服のためにと捉えるのか、それとも、大学受験のために、絶対、こういう予備校の先生が来たから、ぜひやってみたいというのか、それぞれ多分、いい方はあれですけれども、すごいできる子と、少し、もうちょっと頑張れという子との差があるというふうな状況もあるかもしれない、これも想定なんですけれども。
 ただ、ないものをつくるとなったときに、定員は設けないで、私は全員受け入れるべきだと思うんですよ。公費を使って、そういう先生を導入して、みんな希望制でどうぞといったときに、それが五人であろうが、蓋を開けたら五十人だったといっても、それはしっかりと予算を措置していくべきだというふうに考えております。
 こういったことも、それぞれの学校が定めるということで、まだかなり不透明な状況でお答えできないこともあるのかなというふうな認識をさせていただいております。
 次の質問に行きますが、校内予備校を設置する今回のこの十五の都立高校と、ほかの都立高校はどこがどう違うのでしょうか。公平性に欠けるのではないかと考えますが、選択した基準を伺います。

○村西都立学校教育部長 都立高校には、先ほど申し上げたとおり、多様な入学の動機や進路希望、学習経験など様々な背景を持つ生徒が在籍しており、都教委としては、各学校の特色に応じた支援が必要であると考えております。
 進学指導推進校の十五校は、生徒の大学進学希望の実現に向けて、進路指導を中心とした様々な教育活動を組織的、計画的に展開する学校として、都教育委員会が指定していることなどから、本事業を実施することとしたものでございます。

○桐山委員 今回のこの十五校というのは、進学指導推進校ということで選ばれているかと思いますけれども、進路指導を中心とした様々な教育活動を組織的、計画的に展開する学校ということです。
 いわゆるこれ以外の学校というのは、教育活動を組織的、計画的に展開する学校とは認められないという認識でよろしいのか、お答えください。

○村西都立学校教育部長 それぞれの学校には、学校の特色に応じた支援が必要であると考えています。
 そうした観点から、進路指導を中心とした様々な教育活動を組織的、計画的に展開する学校として、都教育委員会が指定しているというところでございます。特色の中での指定ということでご理解いただければと思います。

○桐山委員 特色の中での、この十五校を選定したと。いわゆる進学指導重点校ですとか、進学指導特別推進校とかは、進学率が高いよね、いわゆる校内予備校を設置してあげなくても、自力で、みんな合格率が高いよねという位置づけなんですかね。
 大学進学予備校に通っている生徒と校内予備校に通う生徒との間にはどのような違いがあるのか。大学進学のために生徒に予備校の授業を受けさせることが教育庁の仕事であるなら、生徒の選択の幅を広げるために予備校費用を補助する方が公平で効率的なのではないでしょうか、見解を伺います。

○村西都立学校教育部長 これは先ほどの質問とちょっと角度が違う観点かと思いますが、何度も繰り返すように、今回の支援は、都教委として進める各学校の特色に応じた支援が必要である、そういう認識でございます。
 また、校内で展開することにより、各学校の実情に応じたきめ細かい効果的な支援が可能になると考えております。

○桐山委員 高校生は、全員が大学に進学するわけではありません。大学進学を希望する生徒にだけ、校内予備校のサービスを提供するならば、専修学校や各種学校への進学を考えている生徒、就職を考えている生徒に対しても、教育庁が、在学中から高校での外部講師によるコーチングなど、こういったことをどんどん進めていくことが公平なのではないかというふうに考えております。
 どうして今回、大学進学を希望する生徒のためだけに校内予備校という形での予算をつけるのでしょうか、伺います。

○村西都立学校教育部長 進学や就職など、進路が多様な高校におきましては、民間の外部人材を活用したビジネスマナー講習や様々な採用試験対策講座など、各学校の実情に応じた取組を既に実施しております。

○桐山委員 進学や就職などの進路が多様な高校においては、こういった外部人材を派遣して取り組んでいるということでした。
 今回、十五校の進学指導推進校以外の学校の中でも、やっぱり大学に進学する生徒もたくさんいると思うんですよね。そういったところもしっかりと、こういった対応をしていくべきだと考えるんですけれども、今後の展開として、あくまでも今回は試行的実施というイメージで予算化をされているのか、まず伺います。

○村西都立学校教育部長 試行的の捉え方でございますけれども、今回、進学指導推進校という特色を持って指定されている十五校について、校内予備校を展開するということとしております。
 今後の展開については、またこうした事業実績等を見ながら、他の事業と同様に考えていくことになると思います。

○桐山委員 次に、外部人材の活用について伺いますが、すなわち、いわゆる予備校の活用は、受験業界の活用については現実的な選択とお答えになっている新聞記事等も拝見をさせていただきました。
 この現実的な選択とは、学校の授業だけで完結せず、受験のために塾に通う生徒がいて、生徒の希望をかなえるためには、民間の受験業界が公教育に関与していかないと、高校の授業だけでは大学に合格させてあげられないということなのでしょうか、伺います。

○村西都立学校教育部長 報道で出されている現実的な選択との発言の趣旨でございますけれども、予備校等と連携した本事業の活用によって、生徒の大学進学希望の実現に向け、複雑化する傾向にある大学入試に的確に対応し、効率的、効果的な受験対策への支援を強化することが可能になる、そういう意味でございます。
 したがいまして、高校の授業だけでは大学に合格できないというような決めつけでは、この事業は全くございませんで、予備校のノウハウを活用しながら、生徒のためによりよい方法を取っていく、そういう事業を立てたということでございます。

○桐山委員 大学入試に対応するということは、合格率を上げることが目標なのだとすれば、外部人材を活用することによって学力が向上して、大学合格率が上がるのか伺っていきたいと思います。また、予備校では、〇〇大学に何名合格などと貼り出してありますし、有名予備校では、教師の年俸は何千万円にもなるというふうにも聞いたこともあります。
 数値目標を定め、外部講師も共同責任者として評価をされる、こういうことになりますが、それでよろしいでしょうか。

○村西都立学校教育部長 本事業の事業効果につきましては、生徒の大学進学希望の実現に向けて実施する事業でございますので、そうした事業目的等に沿って、他の事業と同様、今後適切に評価してまいります。

○桐山委員 今、本事業の事業効果については、事業目的に沿って、他の事業と同様に適切に評価をしていくということでした。
 その評価をしていくということなんですけれども、先ほども申し上げましたように、それぞれの大学に向けての希望ある生徒の思いをかなえてあげたいということで、ということは、やはり合格をさせてあげるために、予備校のノウハウを活用しながら提供していくという事業だと思います。
 一方で、先ほど申し上げましたように、非常に、予備校では本当に合格をするために、講師もペナルティーを科せられているというふうにも聞いておりますが、こういった評価ですよね、どういうふうに評価していくのですかね。
 事業目的に沿ってということですので、それは合格者数を見るのか、そういう何か数値を立てるのか、それとも、十五校ありますから、十五校それぞれを競わせるような形になるのか、そのあたりどういうふうに評価していくのか、もう一回伺います。

○村西都立学校教育部長 一般的に、事業を評価する視点というのは様々あると思います。
 この事業の場合ですと、単純な合格者数という進学実績のみならず、一人一人の生徒や教員に対する効果とか、そういった多様な観点から、それは他の事業も同じだと思います、そういった観点から、通常の事業と同じように、きっちりと事業検証して評価するということには変わりはございません。

○桐山委員 予備校の授業は、往々にして都立高校の授業の速度、進み具合と合致はしていないというふうに思います。校内予備校は原則毎週一回で――これも分からないですよ、毎週一回にするかどうかは別ですけれども、年間二十四回想定をされているということです。
 三年生だけかなと思っていたのですけれども、そうではなくて、全学年、いわゆる一年生から三年生まで、三学年おのおの時程を組まなければいけないと思います。各学校で誰がそのカリキュラムをつくって、予備校の担当者が決まったらどういうふうに調整をしていくのですか。
 また、予備校の授業の内容についても、それぞれの専科教員とどんな調整を行ってやっていくのか、全くのノータッチなのか、それとも緻密に調整をしながらこういった展開を進めていくのか、分かっている範囲がありましたら教えてください。

○村西都立学校教育部長 まさしくそういったことで、事業の具体的な実施方法等については、各学校の実情に応じて予備校と調整し、実施することが重要になるというふうに考えております。

○桐山委員 よく先生の負担のこともあったと思うんですけれども、どういう形でこの二十四回――意外に年間二十四回は少ないなというイメージが湧くわけです。本来の予備校に行っている子は、すごい週に何回も行っていたりとか、もちろん受験前になったら毎日行っている子もいるかもしれませんけれども、こういった二十四回という想定は、例えば土曜日を使うとか、休日を使うとか、あとは一番想定されるのは夏季休業中の夏休みの期間で短期集中、一週間とか十日とかで行うのは、何となく外部講師が来て、大学受験のための集中講座を行いますとかというイメージだとすれば、結構イメージが湧くんですけれども、そのあたりについても、それぞれの各学校が定めていくという認識でよろしいのか、もう一回伺います。

○村西都立学校教育部長 実施時期やその実施方法については、各学校、様々な学校行事もありますし、様々な学校活動との関係性を踏まえて、また、事業での展開も踏まえて、実情に応じて定めていくということになると思います。

○桐山委員 高校の教員ですね、例えば英語教員とか数学の教員でできないことの理由について伺いたいのですが、高校の先生には大学入試に対応する――先ほどから出ておりました複雑化する傾向にある大学入試に対して、英語の先生や数学の先生はそれに対応する授業ができないんだというお考えでしょうか、伺います。

○村西都立学校教育部長 ここははっきり申し上げておきますが、本事業は、複雑化する傾向にある大学入試に的確に対応できるよう、予備校等と連携し、効率的、効果的な受験対策への支援を強化するという観点から行うものでございまして、したがいまして、受験対策に当たって、あくまでも学校の教育の主役は教員です、その教員が中心となることは前提として、受験対策に当たって予備校等のノウハウを効率的に、効果的に活用するということであって、高校の教員の大学入試に対応する能力の問題と、そういうことは全く関連性がないというふうに考えております。

○桐山委員 今後、予備校と連携をしてということですので、それぞれが、英語や数学の先生が予備校のやっている授業を見学したり、もちろん、もしかしたらサポートをしたり、その学校おのおのの考え方の中で、そういったことも進めていかれる、また、その先生方がどういう教え方をしているのかなということとか、そういったことも、研修といういい方はあれですけれども、そういった自分の授業にも生かせられるようになるという認識なのかなというふうに理解させていただきます。
 報道やこの間の質疑の中でも、教員の負担軽減の狙いがあるとの報道でもありましたけれども、先ほどからも申し上げていますが、教員が補習という形でできない理由は何ですか。

○村西都立学校教育部長 教員が補習という形でできないということではなくて、本事業を活用するに当たっても、教員が補習を行う場合には、その内容等を十分考慮に入れて、例えば補習でできない部分をやるとか、この部分の単元を重点的に学習するというようなことは各学校が判断するということができるシステムになっておりますので、予備校等と調整して、各学校の実情に応じて本事業の活用を図るということになっております。

○桐山委員 教員は、学校行事や生徒指導など、学習指導以外にも様々な業務を抱えているので、補習までは無理だと判断していることもあるかと思います。
 都教委の担当が答えていらっしゃるこういった報道なんですが、様々な業務を抱えていること自体の負担を軽減していってあげなければならないんじゃないかな、いわゆる本来の教員免許を持っているという、指導するという、自ら指導している生徒を見ることが負担だということではないとは思いますけれども、これが負担だということなのか、お答えください。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、既に従来から、生徒一人一人に対応した効果的な教育や指導が実現できる、そういった観点から、専門知識や技能を有する民間の外部人材を有効に活用してまいりました。
 また、デュアルシステムなど、民間企業と連携して都立高校における教育の充実を図っております。
 今回の事業も、予備校等と連携し、効率的、効果的な受験対策への支援を強化するための取組であって、そうした点で教員の働き方改革にも資するものというふうに考えております。

○桐山委員 教員の働き方改革にも資するものであるということです。
 ちょっとスケジュールをお伺いしていきたいです。
 今後のスケジュールといいますか、これ十五校ですよね、今回十五校で一年生から三年生、三学年、どういう時間配分をするにしても、いわゆる相当の講師の人数が必要になると思うんですね。
 これからこのスケジュールをお伺いしていく中で、仕様書ですとか、あるいは、いつ入札をするのかとか、どういう形態、一社で全てを賄えるようなシステムというか、そういう形でもって仕様書を作成していくのか、それとも複数社の中からいろんな学校に派遣をしていくのか、どういった想定を考えているのか、今後のスケジュールについて、そしてまた、本契約まで行った後、いつからこの事業が開始することを想定しているのか、伺います。

○村西都立学校教育部長 本事業の具体的な実施方法や契約スケジュール等について、また、その契約方法につきましては、これから選定をすると。契約上、今いえることはちょっと限られてくるということですので、この場での答弁はちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
 いずれにしても、速やかにですね、期待する学校にこの事業が届くよう、努力してまいります。

○桐山委員 最後に、予備校についての最後の質問ですけれども、今後も公教育に受験業界を参入させて、教員の負担軽減を図っていく考えなのか、伺っておきます。

○村西都立学校教育部長 繰り返しになりますけれども、あくまでも都立学校においての教育は、教員が主体になるということというふうに考えておりますし、実際、この事業においても、教員が各学校の実情に応じて予備校等のノウハウを活用する、そういう位置づけてやる事業でございます。
 したがいまして、公教育に受験業界を参入させるとか、そういった各民間のノウハウを活用することは、これは大いにやるべきであるというふうに考えていますし、実際、都教委としては、生徒一人一人に対応した効果的な教育や指導を実現するという観点から、これまでも様々な民間人材を活用してまいりました。
 今回の事業もその一環としての取組でありまして、引き続きこうした考えで施策を展開してまいります。

○桐山委員 いわゆる校内予備校なんですけれども、まだ具体的にはこれから――まあスケジュールをお伺いしました。これから契約に入るまでの間、様々な仕様書の中で細かい詳細を詰めていくということで、お答えできないということでした。
 できますれば、速やかに、様々なことが決まりましたら、こういったことも詳細なることをぜひ、議会側にも報告を怠らずお願いをしておきたいというふうに思いますので、この質問は終わりにしたいと思います。
 次に行きます。エデュケーションアシスタントについて、まず伺っていきます。
 これも質疑が重なっておりますので、重なっていないところを少し伺っていきたいと思いますが、エデュケーションアシスタントということで、今年度、試行的、試験的に江戸川区で二十校実施をされて、一年生から三年生まで、それぞれ一校三名を配置されたと伺っておりました。その中で、先ほどの答弁でもありましたように、現在では、江戸川区は五十七学年で活動しているということです。
 そして、いわゆる教室、副担任、学級担任の補佐というような役割ということで、授業や、あるいは給食の準備、補佐、様々なサポート、学級担任の業務の補佐をするようなアシスタントとして配置をされていると。
 その中でも、江戸川区で一年を通してやった際に、学校からは、教材研究等の時間が取れているですとか、教員の負担感が減少したとか、そういった評価も出ているとのことです。
 今回、この資格要件のことなんですけれども、一点伺いたいのが、まず、江戸川区につきましては、この資格要件、どのような資格者、どういう募集をされているのか、伺います。あわせて、多分、都教育委員会からは、このような人材をお願いしますというような通知もされているかと思うんですけれども、そのあたりも併せて伺います。

○稲葉人事企画担当部長 都教育委員会からは、エデュケーションアシスタントとして想定する人材として、子供との関わりに適性があり、かつ一定の事務能力がある者等を示しておりますが、江戸川区教育委員会においては、これを参考としながら募集を行い、先ほどお話がありましたように、現在、五十七学年で活動しております。
 江戸川区についてどのような資格要件を課しているかは、こちらとしては特に指定をしているものではございません。

○桐山委員 ありがとうございます。いわゆる教員免許を持っていなくてもいいですよということだというふうに認識をさせていただいているんですけれども、そこで、評価としては非常に高い評価ということで、来年度からは、一地区から、この江戸川からさらに五地区に拡大をされるということであります。
 一地区に二十校を上限に配置されると思いますが、来年度、この選定に当たっての五地区につきましては既にもう選定されているかと思いますが、これはどこの地区になるのか、お答えいただけましたらお願いします。

○稲葉人事企画担当部長 選定地区は、令和五年度予算案が成立した後に確定するものでございまして、お答えは差し控えたいと存じます。

○桐山委員 分かりました。来年度のこの五地区のまず選定基準、どういった形で選定をされてきたのか、申請件数も併せて伺えればと思います。

○稲葉人事企画担当部長 実施地区の選定でございますが、四月当初から事業実施が可能なことや、効果検証に協力いただけることなどを踏まえて総合的に判断をいたしました。
 申請地区数については、五地区を上回る申請があったということだけお答えしたいかと思います。

○桐山委員 申請件数は私も自分で自力で調べていますので、二十地区で申請があったということです。
 それから、今回の新規での五地区については、今はまだお答えできないということでしたけれども、先ほど選定基準について伺った際に、実施地区の選定に当たっては、四月当初から事業実施が可能、これは極めて――四月当初から事業実施が可能って、めちゃくちゃ難しいんですよね。
 なので、もう今年度中にいわゆる申請をして、採択をされた五地区があって、既にホームページ等を検索すると、今、もうこのエデュケーションアシスタントの募集をしている状況があるところがありまして、それを見させていただくと、それぞれの要件がこんなに異なるんだな、先ほどの江戸川区のときには、特段多分要件を設けていない、私が調べた限りでも要件も示されていないんだなというふうに思うんですけれども、例えば、もうこれはホームページに出ていますからね、調布市は、資格要件は、学校の教員免許は不要です。しかしながら、学校教職員や行政事務職員または一般企業の常勤職員の経験者である方ということで資格要件が定められていたり、東久留米は、学校管理職、教員、先ほども似ていますね、これは二年以上の経験とか三年以上の経験とか、ワードとかエクセルのソフトウエアを、まあパソコン、事務処理ができる人ということで募集をされております。
 職務、どういうことを頼みたいですということも、それぞれ出し方が違うとは思うんです。今回の、多分五地区においても、その学校の状況に応じて様々な人材を募集して、それぞれの一年生から三年生の学級に入って、担任の先生の補助、サポートをされていくということだというふうに認識をさせていただきます。
 ところで、今回、二十地区の申請がありました。この二十地区の申請をして、今回、五地区だったわけですけれども、これ、どのタイミングでこの五地区の選定を決めたのかということをまず知りたいです。
 二十地区の申請があったところは、申請は手を挙げたけれども、漏れなくいわゆる不採択になりました。不採択になった時期、これを知った時期って、大体この区市町村はどのぐらいの時期に知るものなのでしょうか。教えてください。

○稲葉人事企画担当部長 今回の募集に関しましては、一月二十五日を期限として募集をいたしまして、二月中に決定しております。

○桐山委員 ありがとうございます。二月中に決定をしたということでした。
 今回、五地区のみの選定ということなんですけれども、今年度始めた江戸川も、検証する機会というふうに伺っておりましたけれども、次の新年度においての五地区もまだ検証期間なんだという認識でよろしいのか、伺います。

○稲葉人事企画担当部長 事業については、検証を実施していくことになります。

○桐山委員 ありがとうございます。次の五地区も検証するんだということだと思います。
 私は何がいいたいかというと、今回、二十地区申請があったということであります。私は多摩地域なので、多摩の方しか調べていないんですけれども、多摩地域でいくと、新規採択は多摩地域三市、五地区のうち三市、多摩なんですね。さっきちょっと述べましたけれども。
 そのほか、申請が八王子、小平、福生、狛江、我が西東京、そして瑞穂町であります。青梅、東大和、小金井、羽村もあったかと思いますが、それぞれ、先ほど二月中に五地区決定したので、多分そのあたりにお伝えをされていると思うんですけれども、うちの西東京もそうですけど、八王子、小平、福生、狛江、瑞穂は、当初の予算計上をしているんですよ。ということです。で、困惑されています。
 多分、申請の段階において、五地区だというふうな認識がなかったということも若干伺っているところなんですが、これ多分そごの、いったいわないの話になりそうなので、そこは突っ込みませんけれども、今回、江戸川においても、いわゆる教員免許も持っていなくても、一年生から三年生のいわゆる教員の負担軽減のために教室内に入って、様々な補助、サポートをしてくれるということで、新年度、五地区を別に検証しなくても、めちゃくちゃ効果があると私は思うんですよ。
 負担軽減にもつながって、すごく各自治体もめちゃくちゃ必要とされる、もう人材不足で、提供していただくなら本当に手を挙げたいと思っている自治体も多いかと思うんですよね。
 ですので、こういった、いわゆる市区町村で予算計上してしまった、ちょっと私は多摩の今申し上げたところしか調べられていませんけれども、実際のところ、予算計上しちゃっているんですよ。
 二月というと、我々西東京市でも、もう本当に数万円ぐらいの誤差でも緻密に予算計上するために、財政の関係で緻密に計算をして積み上げ、積み上げ、積み上げやってきているわけですよ、補助金とかを活用しながら。
 ですので、その中で採択されるものだと思って計上されているということを伺うと、非常にこれ、いわゆる一般財源を投下しながら、いっときは事業を始めなきゃいけない、もう我々もスタート切っちゃいますというお話を伺っています。
 また、この後、例えば東京都が、さらにこういったところの二十地区申請があったけれども、全て今後対応してあげますよみたいな、そういった取組が行われるのだとすれば、たくさんの要望があるのだとすれば、私は補正で対応できるような措置をしていくべきだと思いますし、予算の範囲が五地区しかないのか分かりませんが、ぜひそのあたりも検討していただきたいというふうに思いますが、見解を伺いたいと思います。

○稲葉人事企画担当部長 まず、区市町村教育委員会に対しては、数地区を補助対象とする旨を周知して募集してございます。
 自治体の申請内容等を総合的に判断し、予算の範囲内で選定をしたところでございます。

○桐山委員 ぜひ、今申し上げましたように、今、数地区を補助対象とするということだと思いますけれども、まさかの五地区だけだというふうには思っていないから、これだけ予算計上されているんだと思うんです。
 そこがさっきいった、説明でいったいわないになるのかもしれませんけれども、ぜひこういったところを調査していただきたいというふうに思うんですよね。そういった自治体の要望も上がってくると思いますので、ぜひ調査をお願いすることを強く要望して、この質問に対しては終了させていただきます。
 次に、不登校対策について伺ってまいります。
 本事業は、都立、公立小学校、中学校等に在籍する不登校児童生徒のうち、不登校の児童生徒に対する相談指導を行っていることが主たる目的ということで、フリースクール等に通う、まあ調査費ですよね、に今年度一万円ということで、協力金として一万円をお支払いしている事業の一つです。
 フリースクールで、区市町村教育委員会と連携協力体制を構築できる施設であることが前提条件とされておりますが、その条件に合った不登校児童の生徒をモニターとして、調査研究協力者に協力金を今年度は一万円を支払っている事業であります。
 まず、千人規模の調査として予算化をしましたが、これは現在、何人調査をされているんですかという問いをしようと思っていましたが、五百二十六人であるということで、フリースクールに通われているのが千二十七人だったですよね。そのうちのまだ五百二十六人の方が現在は調査に協力をされているということだったと思います。
 そこで、このアンケートに答える頻度というのは、年に何回行ってきたのか、伺います。

○小寺指導部長 調査協力者として登録した時点で、基本情報等に関する初回調査を行い、その後、毎月実施する調査につきましては、三か月分まとめて回答をいただくことといたしております。

○桐山委員 次に、公立中学校における不登校児童生徒が、フリースクール等に通う児童生徒及び保護者に必要な支援を把握する調査研究事業を実施し、効果検証をするということで、この協力金が来年度からは一万円支給から二万円に増額をいたしますが、その理由について伺います。

○小寺指導部長 今年度の調査では、調査協力の負担が大きいという保護者の声があったためでございます。

○桐山委員 ただいまの答弁では、一万円の協力金だったけれども、二万円に増額した理由としては、調査協力の負担が大きいんですと、今年度はそういった保護者の声があったから、一万円から一万円さらに増額をして二万円にしたということだと思いますが、調査協力の負担とは、具体的にどのようなものが負担になっているのか、伺います。

○小寺指導部長 調査協力者である保護者からは、調査の回答に多くの時間がかかるなどの声が寄せられております。

○桐山委員 調査の回答に多くの時間がかかるということですね。それに対して一万円から二万円に増額する、それだけの理由なのかという形ではあるんですけれども、それで一万円から二万円、私が何をいいたいかというと、本来であれば、フリースクール、認証制度の話もありますけれども、私も認証制度を、都が実際、取組を行いながら、そこにお墨つきを、都が認証したそういったフリースクールが補助を受けていくというような仕組みを構築していただきたいことは以前も要望させていただきましたが、いわゆるモニターさんですよね、アンケートにお答えしますって、よくあることなんですけれども、それをわざわざお金を払って協力をお願いする行為、そうもしない限りそういったアンケートに回答してもらえる方が集まらないのかということになるんじゃないかなというふうに思っております。
 特に不登校に対することは、私、たくさんいいたいことはあるんですけれども、やはりこういったアンケート調査をするに当たっては、不登校児って、学校しか分からないんですよね。もし自分の子供が不登校だったときに、同じ学校で、誰誰ちゃんと誰誰ちゃんも誰誰君も不登校だったと知らなかったとか、そういった情報はやっぱり出ないじゃないですか。
 なので、やはり学校の学校長を通して、できるだけダイレクトにそういった情報とか、例えば保護者の、私は親支援をよくしてほしいというんですけれども、こういった取組もぜひしていただけるようなことを、都教委の方でそういった仕組みを考えていただけないかなというふうにも思っているところです。
 それから、この事業について調査協力金、こんな人はいないとは思うんですけれども、この調査を目的として、フリースクール等で活動すること、調査協力金を得るためにフリースクールに子供を通わせる保護者が出てくる場合があるのではないかと。
 こんなことはないとは思いますけれども、もしかすると、今までは引き籠もっていて、特に別にフリースクールに通うそんな意思はないんだけれども、協力金で二万円もらえるそうだから、変な意味での背中を押して無理して行かせちゃうみたいな、そういうことはあってはならないのかなと思うんです。
 そのような場合もあるんじゃないかなというふうに考えるんですけれども、都の見解を伺います。

○小寺指導部長 本調査の事業の目的は、フリースクール等に通う不登校の子供及びその保護者の支援ニーズや活動内容などを把握するために実施しているものでございます。
 この調査協力者を選定するに当たりましては、審査委員会を設けておりまして、子供が不登校であること、また、不登校であり、かつフリースクールに通っている、そのフリースクールは不登校の子供を対象としていることなど精査をいたしまして協力者を決定しておりますので、ご指摘のようなことはないというふうに考えております。

○桐山委員 ありがとうございます。ぜひフリースクールの今後の活用については、これが調査研究をされた後に、こういったフリースクールの認証制度につながっていくのかなというふうに思いますので、ぜひ他局とも連携を取りながら取組を行っていただきたいことを要望しておきます。
 それから、小中学校への別室支援員への配置について伺いますが、今回どのような学校にどのような支援員を配置されるのか、資格要件等も含めて伺います。

○小寺指導部長 校内別室指導員は、別室であれば登校できる不登校の子供の多い小中学校に配置し、支援員の資格要件は各区市町村が定めることといたしております。

○桐山委員 現在、学校現場におきましては、保健室対応ですとか、空いている先生が対応をして、スクールカウンセラーなど、それぞれ対応などあるかと思います。
 こういった中でも、別室指導員ですから、別室をまずなかなか確保できないんだというような、教室がもういっぱいですというような声もあるかと思うんですけれども、この支援員の資格要件は、先ほど区市町村が定めることと答弁でありますけれども、都教委が想定している支援員の役割はどんなものを想定しているのか伺うと同時に、併せて別室登校できる人数を何人から多いということか、補助率も併せて伺っておきます。

○小寺指導部長 校内別室支援員の役割でございますが、子供一人一人に応じた学習指導や相談対応等を行うことでございます。
 区市町村の希望を踏まえ、目安として、別室であれば登校できると想定される子供が十人以上いる学校に配置することといたしております。

○桐山委員 ありがとうございます。ぜひ、こういった別室対応は結構、今の教員が、スクールカウンセラーとか空いている先生が交代交代でそういった生徒を対応しているという声も聞いておりますので、こういった支援、取組を行っていただけると大変いいのかなというふうに思います。
 次に、不登校対応専門教員というものも今回新規でありますが、これもどのような学校にどのような教員が配置をされるのか、伺います。

○吉村人事部長 不登校対応専門教員は、不登校生徒が多い中学校を対象に、学校のニーズに応じた適性を配慮し、配置いたします

○桐山委員 こちらは、先ほどの別室の支援員とは異なりまして、教員ということは、教員免許を持った先生ということなのでしょうか。
 また、学校のニーズに応じた適性を配慮していくということはどういうことなのか、具体的な業務も伺っておきたいと思います。また、先ほどと同様に、併せてこれも不登校の生徒が多い中学校とは何人以上のことをいうのか、教えてください。

○吉村人事部長 不登校対応専門教員は、都内公立中学校で配置について希望のあった学校の中から、不登校の生徒の割合が高い学校を対象に、生徒への学習支援や相談対応など、当該学校の不登校対応に関するニーズに応じた適性を配慮し、教員を配置いたします。

○桐山委員 ありがとうございます。不登校対応専門教員ということで、教員を配置するということであります。なかなか学校に行けない、引き籠もっているお子さんがいる中で、こういった先生が、例えば自宅にいる子に対してオンラインで直接やり取りができるとか、そういった取組もぜひ期待をしたいなというふうに思っております。
 それから、ソーシャルワーカーについては一点だけ伺いますが、長期にわたる不登校児童生徒については、特に心理資格を持つ相談員やスクールソーシャルワーカーによる積極的な訪問支援が一層求められてくるかと思います。
 この訪問型支援について、都教委としての見解を伺いたいと思います。

○小寺指導部長 都教育委員会は、平成二十四年度から各小中高等学校にスクールカウンセラーを配置し、また、スクールソーシャルワーカーを活用する区市町村に支援を行っております。
 こうした人材を活用いたしまして、各学校は、家庭訪問を含めて子供の支援に当たっております。

○桐山委員 ぜひ不登校の、特に小学校はまだ、例えば担任がすごく丁寧に自分の時間を割いて家庭訪問をしたりとか、子供に直接会って話をしたいということで訪問されることもあります。また、中学校に上がった途端になかなかこういった、学校と疎遠になってしまうというような傾向もあるというふうに伺っております。
 そんな中でもできるだけ、先生方の負担をとか、先生の心理面とかを支えるためにも、ぜひスクールカウンセラーとか、こういったスクールソーシャルワーカーと一緒になって、こういう訪問支援を一層進めていただきたいというふうに重ねて要望しておきたいと思います。
 それから、今回は質問しませんけれども、バーチャルラーニングプラットフォームについてなんですが、今回これも新たに、こういったプラットフォームを準備されるということです。バーチャルラーニングですね。いわゆる仮想空間というか、バーチャルの中の学校ですね、バーチャル学校だと思うんです。
 これ、新宿区でデモ運用を行って、それを検証して、広く区市町村に展開していくんだという事業だと思います。これも不登校の子供たちには大変重要なプラットフォームとして、活用がすごく期待されるものがやっと出たんだなというふうな認識をしております。
 一方で、学校では、先ほどからの支援員だったりとか、別室の対応の支援員だったりとか教員だったりとか、学校に来るという前提のところでは非常に手厚く、内部での支援員の配置とかを、取組を行っていただいておりますが、一方で、ほとんどの子は、なかなか学校に来られなくて、家庭で過ごすことが多いです。
 そういう子たちにとって学びの場ということで、こういったプラットフォームを使いながら、これから相談スペースを開設したり、どういった交流ができるのかなとか、様々な期待があるわけでありますので、私もこれをまた、市区町村、どこまでが活用されるか分からないんですけれども、ぜひこういったところも注目をさせていただきたいというふうに思います。
 それから、次です。
 GIGAスクールの関係で、現在、都内公立小中学校一人一台端末及び校内通信のネットワーク環境、これも先ほどのご答弁では、児童生徒の端末の整備については国の補助金を活用して、一人一台端末もこの令和三年九月までに完了したと。校内ネットワークについても、これも完了しているんだというご答弁だったかと思います。
 そこで、令和三年九月までに全ての中学校において端末導入が完了したわけでありますが、今後、自治体においては、端末の更新ですとか、あるいは準備をしていく場合、国や都の補助が大変必須なんだというふうに伺っております。
 また、安心・安全に、効果的に学習に活用していくためには、ソフトウエア、フィルタリングソフトや学習用ソフトなど、端末の破損やバッテリー交換、財政負担も大変深刻なんだという市区町村からの声も伺っております。
 それらの現状は、区長会とか市長会からも要望が高いものだというふうに認識をしておりますが、都として今後どのように対応されるのか、国と都の動向なども併せて伺います。

○篠企画調整担当部長 国は、令和元年度補正予算においてGIGAスクール構想を加速させ、小中学校のICT環境の整備を促してまいりました。
 都教育委員会は、こうした経緯や自治体の要望なども踏まえ、令和二年度以降、国に対して端末の更新や保守管理等の経費についても補助対象の範囲とすることなど、必要な財政措置を要望しております。
 国は、端末の更新に係る費用の負担の在り方などについて、今後検討していくこととしております。

○桐山委員 国の方が端末の更新に関わる費用負担等について今後検討していくというふうにただいまご答弁いただきました。国が何らかの、こういった費用負担について要望が上がってくる実態を調査される中で、今後の補助の在り方ですとか、考えていただけるのかなというふうに思っておりますので、引き続き東京都としても要望を強く進め、お願いしたいというふうに思います。
 それから、令和五年度からは、全国学力・学習状況調査が各学校のネットワーク環境を使って実施される予定であります。
 今後も学校のネットワーク環境を用いて実施されるものが増えてくることが大変多く予想されているとも伺っており、その際に、これまで以上に同時かつ大容量の接続を求められるようになると、各学校のネットワーク環境の帯域増強のための増築化費用ですとか、あるいは機器の保守料の回線使用料のランニングコストが増大されるというふうな要望もいただいております。
 こちらの部分も併せて、国、都の補助制度が大変必要なんだということの、切実な区市町村要望もありますので、ぜひこちらの方も併せて要望していただきたいことをお願いしておきます。
 まだたくさんあるんですけれども、ちょっと絞ります。都立特別支援学校活用促進事業の推進ということで伺っていきます。
 特別支援学校からは、様々な改修や修繕の要望がたくさん上がってくるかと思いますが、改修等の実施対象はどのように決定されるのか、その選定手続について伺っておきます。

○落合特別支援教育推進担当部長 学校の外壁補修、屋上防水工事など、施設設備の改修については、各学校からの要望を受け、老朽化の度合いや危険性、緊急性等を考慮し、優先度の高いものを選定しております。
 なお、軽微で緊急性を要する修繕については、学校から連絡を受けた公益財団法人東京学校支援機構が、その都度迅速に対応を行っております。

○桐山委員 それぞれの学校から、防水工事ですとか、そういった外壁補修ですとか、改修については各学校から要望を受けて、老朽化の度合いや危険性などを考慮して優先度の高いものから順次選定をされて、工事を行うということが分かりました。
 それから、軽微で緊急性を有するもの、いわゆる金額の低いものについては、TEPROがその都度迅速に対応しているんだというご答弁でした。
 特別支援学校もバリアフリー化を求められていると思いますが、バリアフリー化の状況について伺います。

○落合特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校の屋内運動場のバリアフリー化の状況につきましては、令和四年九月一日時点で、改築工事中の一校を除く五十七校のうち、バリアフリートイレを設置している学校は五十校で八八%、昇降口から屋内運動場までスロープ等による段差解消を行っている学校は五十校で八八%、エレベーターを設置している学校は、一階建ての建物を除いた四十九校中四十七校で九六%でございます。

○桐山委員 ありがとうございます。都教育委員会は、バリアフリー化の現在の状況をどのように考え、今後どのように対応するつもりなのか、伺います。

○落合特別支援教育推進担当部長 現時点でバリアフリー化されていない学校につきましては、主に築年数が古い場合であり、改築や大規模改修等に合わせてバリアフリー化を図っていく予定でございます。

○桐山委員 やはり特別支援学校においては、古い学校も多く、もちろん新設校は、とってもバリアフリーが完璧に進められているかと思うんですけれども、大変築年数が古い学校がどんどん残っていくんですよね。
 今でも教室が足りないですとか、特別支援学校の入学する人数が増えてくるという状況の中で、まだまだカーテンで仕切っていたり、パーティションで仕切っていたりとかしながら、工夫しながらそれぞれの学校が教室確保ということもあります。
 そういった状況の中でも、できるだけ特別支援学校の教育環境の整備というのを、やはり優先的にやっていく必要があるのではないかなというふうにも考えております。
 それから、バリアフリーの考え方なんですけれども、校内バリアフリーは、いろんなバリアフリーがあるとは思うんですが、やはり特別支援学校は、それぞれの地域における防災の拠点といいますか、福祉避難所に指定されるところもあるかと思います。そういったところで、障害のある方が外部からいらっしゃるときのバリアフリーを進めていくためにも、ぜひできるだけ、こういった築年数が古い場合もありますけれども、改築や大規模改修を待たずに、ぜひ取組を行っていただきたいなというふうに思います。
 それから、生活文化スポーツ局にも申し上げた件が一つあります。
 田無特別支援学校、西東京にありますが、唯一の、地域では一校しかない特別支援学校です。この間も様々な学校にも私も訪問させていただく中で、活動も子供たちの様子も伺っております。
 そんな中で、生活文化局が都立特別支援学校活用促進事業ということで事業を実施しておりますが、この田無特別支援学校は、対象校となかなかならないんですよ。その対象校になるためには、敷地内に障壁となる段差がないこと、学校運営に支障を来さないように独立した動線が確保できることなど、施設整備の条件があるとされています。
 これらをクリアして対象校となるには、学校の改修が必要でありますけれども、こういったことについて都教育委員会の見解を伺っておきます。

○落合特別支援教育推進担当部長 毎年、都立学校からの要望を踏まえ、老朽化の度合いや緊急性等を十分考慮し、優先順位をつけ、改修を行っております。
 都教育委員会といたしましては、特別支援学校を障害者スポーツの拠点とすることは意義ある取組と考えてございます。教育活動に必要な施設整備につきましては、順次整備してまいります。

○桐山委員 一方で、生文の方では、都立の特別支援学校の施設をお借りして、そういった障害者のスポーツをする団体さんを優先的に使用ができるような環境の整備を一方でしておりますけれども、先ほどから申し上げた、いわゆる障壁ですよね、バリアフリーになっていない。誰もが使える、いわゆる車椅子の人も、知的や、ろう者や盲の方もそうですし、あるいは様々な障害のある方も誰でも使えるような環境となるためには、バリアフリーにしていなければいけないという、一つあることは十分承知をしておりますが、一方で、田無特別支援学校は、中に入りますと、過去の歴史はご存じだと思いますが、非常に反対運動が地元で起こって、なかなか学校を設立するのが困難だった歴史的背景があり、間口から非常に遠い体育館になって、少し地下に潜っているような造り込みになっています。古い学校ですから。
 そういったこともあって、中から通れるからいいじゃないかと、動線確保できないかといっても、急勾配のスロープで、ちょっと半地下のように下がっているものですから、急勾配だから無理だとか、あるいは、外から入れる間口があるにもかかわらず――学校開放していますから、都立の方でしていますけれども、スロープがないから駄目だとか、そういったところで、うちだけじゃないと思うんですよね。
 そういった学校が、一方で、特別支援学校を障害者のスポーツの拠点とすること、意義があることだというふうにおっしゃっていただいたように、こういった取組の支援をぜひ行っていただくために、生活文化局が行う事業の大前提として、こういった障壁がないような形でぜひ行っていただきたい、もう応援してもらいたい、そういった思いで、強く要望させていただきたいと思います。
 まだ時間はあるんですけれども、少し絞りますので、用意しておりました都立特別支援学校の職業の教育について、あるいは子供を笑顔にするプロジェクトについて、それから部活動の地域移行については、また別の機会に質疑をさせていただきたいと思いますので、それらにおきましても、新年度におきまして、取組を子供たちのためにぜひ前進していただけますことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

○伊藤(し)委員 それでは、都立高校における教育の充実について伺います。
 都立高校においては、次代の東京を担う生徒の育成に向けて、教育内容の一層の充実を図る必要があります。
 これまで都教委は、様々なタイプの高校を設置するなど、各学校の特色を打ち出しながら、中学生やその保護者に選択肢を提示してきました。
 一方、我が会派はかねてより、都立高校においては、デジタル化やグローバル化に対応した有用なスキルを取得できるようにするなど、生徒が社会に出た際に活躍できるような支援を行うべきと提案してきました。
 昨年十二月の第四回都議会定例会において、我が会派からの提案に対して教育長からは、進学や就職などの進路が多様な普通科高校において、デジタルスキル、使える英語力、コミュニケーションスキル等を習得するための新たな支援を検討していくとの答弁があり、スキルアップ推進校の指定制度に係る予算が計上されています。
 そこでまず、都教委がこのスキルアップ推進校指定制度を創設した目的について伺います。

○村西都立学校教育部長 都内の公立中学校卒業者の高等学校等への進学率は約九八・五%に達しておりまして、都立高校には多様な入学の動機や進路希望、学習経験など、様々な背景を持つ生徒が在籍しております。
 こうした状況の中で、大学への進学や就職等の出口のみを目標とした学習ではなく、卒業後、大学等において学びを深めたり、実社会で様々な課題に接したりする際に必要となる力を身につける必要がございます。
 このため、都教育委員会は、進学や就職など進路が多様である普通科高校を新たにスキルアップ推進校として指定し、実践的なスキルの習得を重点的に支援する制度を創設したものでございます。

○伊藤(し)委員 スキルアップ推進校指定制度を創設した目的について確認しました。進学や就職など、進路が多様である普通科高校で実践的なスキルの習得を重点的に支援する制度であるということでした。
 それでは、次に、新たに創設したスキルアップ推進校では、具体的にどのような支援をするのか、伺います。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、来年度、スキルアップ推進校として十五校の都立高校を指定し、民間の教育機関等との連携の下、基礎的なデジタルスキルや使える英語力、多様な業界の職場体験を通じたコミュニケーションスキルを習得する新たな支援を実施いたします。
 具体的には、夏休みなどの学校の休業期間等を活用し、ワードやエクセル等のビジネスソフトの習得のための講座を集中的に開催するとともに、英検の資格取得講座を実施いたします。
 これに加えて、高校三年間の在学期間中に三つの業界分野の職場体験を実施するなど、社会において有用な基礎的スキルの習得を図れるよう支援してまいります。

○伊藤(し)委員 ビジネスソフトの習得や英検の資格取得は、生徒が卒業後、社会に出て活躍するために有用なスキルであり、高校時代の三年間で集中的な支援を実施することは意義があると考えます。
 ただいま三つの業界分野で職場体験を実施するとの答弁もありましたが、この職場体験プログラムの内容についても伺います。

○村西都立学校教育部長 職場体験プログラムでは、民間事業者と連携しながら多様な業界の受入れ企業を開拓し、参加する生徒の希望や関心のある企業で職場体験ができるようにしてまいります。
 また、職場体験の実施に当たっては、ビジネスマナーや業界研究等の事前研修を行うとともに、二日から三日間の職場体験では、キャリアコンサルタント等の資格を持つファシリテーターの助言の下、効果的な体験ができるよう配慮してまいります。
 さらに、職場体験終了後には、参加した生徒が体験で得た新たな気づきや感想をグループで振り返る事後研修も実施いたします。

○伊藤(し)委員 この職場体験をきっかけに、将来の進路について深く考える機会を提供することは、高校生にとって大事なことだと思います。
 数年前より私の地元八王子市でも、市教育委員会の取組として、地元青年会議所とも連携し、通常の教育課程と比較して、より本格的な職場体験を希望する中学生に実施しております。
 今回スタートする職場体験は、三日程度と短期間でありますが、三年間で三つの業種を体験できる貴重な機会ですので、受入れ企業と学校とも緊密に連携することを求めるとともに、スキルアップ推進校の取組をブラッシュアップしていくことを期待しております。
 次に、総合学科高校における人材育成についても確認します。
 総合学科高校は、国語や理科など普通科目から、情報や美術、国際関係などの専門科目まで、自分の興味、関心や進路希望に応じて幅広く学べる単位制の高校であり、都においては地域バランスを考慮し、全日制課程で十校の高校が配置されています。都教委は、新年度事業として、この総合学科においてNPOと連携した社会人基礎力向上事業を実施するとしています。
 そこで、社会人基礎力向上事業を新規で実施する背景や意図は何か、伺います。

○池上高校改革推進担当部長 総合学科では、生徒に自己の特性や進路について深く考えさせ、自己実現を目指す意欲を培うとともに、社会の変化に主体的に対応し、社会に貢献できる人材の育成を目指しております。
 このため、一年次には、全ての生徒が必履修科目の産業社会と人間において、自己の進路への自覚を深めるとともに、三年次には、各自でテーマを設定して課題研究に取り組むなど、系統的なキャリア教育を行っております。
 来年度から実施する社会人基礎力向上事業は、こうした総合学科の特色であるキャリア教育の一層の充実を図るものでございます。

○伊藤(し)委員 新年度から実施する社会人基礎力向上事業は、総合学科の特色であるキャリア教育の一層の充実を図るものであると確認をしました。
 文科省によると、キャリア教育とは、一人一人の社会的、職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育と定義づけしています。
 また、キャリア教育のステージは、学校で様々な教育活動を通して一人一人の基礎的、汎用的能力の発達や育成、職業人としての自立を促すことがキャリア教育の最大の目的としているとのことです。
 それでは、新年度から始まる社会人基礎力向上事業の具体的な内容についても伺います。

○岩野地域教育支援部長 社会人基礎力向上事業では、授業で学んだ知識等を生かし、実社会の中でそれを実践していく取組を展開してまいります。
 具体的には、NPOと連携し、プロジェクトを立ち上げ、地域の人々や企業などの関係者と生徒が一緒に地域の活性化や高齢者の支援等、地域の課題に実践的に取り組み、生徒に前に踏み出す力や考え抜く力、チームで働く力などの社会人基礎力を習得させることを目指してまいります。

○伊藤(し)委員 授業で学んだ知識をそのまま知識で終わらせるのではなく、実社会の中で実践していく経験は、高校生が巣立っていく上でとても重要な学びの形だと思います。もちろん、社会人になっても、生涯にわたって勉強の毎日ですが、生徒にとって有意義な事業となるよう求めておきます。
 最後に、浜教育長に伺います。
 都教育委員会は、今般、都立高校の魅力向上に向けた実行プログラムの案を公表し、本委員会においても報告を受けました。プログラムでは、自ら未来を切り開く力の育成や生徒目線に立った支援の充実、質の高い教育を実現するための環境整備など、三つの施策の方向性に基づき施策を展開することとしています。
 そこで、今後の都立高校における教育の充実について、改めて教育長の考えをお伺いして、質問を終わります。

○浜教育長 子供たちや教育を取り巻く環境は大きく変わっておりまして、Society五・〇時代の到来、グローバル化の進展に加え、コロナ禍を機に不登校など厳しい状況に直面した生徒の存在が一層顕在化するという状況がございます。
 こうした都立高校を取り巻く状況を踏まえまして、今般策定する実行プログラムでは、実社会で有用なスキルの習得や使える英語力の強化、生徒の居場所づくりの推進など、集中的に施策を展開していくことをお示ししたものでございます。
 今後、生徒一人一人に応じたきめ細かな教育の推進と、未来の東京を担う人材の育成に向けまして、幅広い観点から多角的な取組を一層強力に推進してまいります。

○入江委員長 議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時三十五分休憩

   午後七時四分開議

○入江委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○伊藤(ゆ)委員 それでは、すみません、少し長丁場になりますけれども、スムーズに質疑をさせていただきたいと思います。ご協力をお願いします。
 私からは、まず初めに、スタディーアシストについて質問させていただきたいと思います。
 都は、さきの定例会でも、都民ファーストの会の代表質問に答える形で、都立高校の中にいわゆる予備校を設置して、そして、進学、あるいはまた、補講的な意味合いで生徒諸君の学力の向上に期すということで、いわゆる校内予備校の事業をスタートすると表明をされました。高く評価をさせていただきたいと思います。
 私は、かねがね塾のない社会へとずっといって、この間、活動してまいりました。その塾のない社会の本質は、親の経済格差が子供の教育格差にならない社会、すなわち、塾に依存しなくても希望の進学が遂げられる社会、いってみれば当たり前のことですけれども、随分、当たり前のことが当たり前じゃなくなってきてしまった戦後数十年かというふうに思います。
 かくいう私も、随分、塾のお世話になって、何とかかんとか、高校受験、大学受験をさせてもらいましたが、やっぱり行けている子と行けていない子の明らかな格差というものを私自身実感をしてきた一人であります。
 そういう意味では、格差がない、すなわち、塾に頼らなくても済む公教育の確立のために、ステップを踏んで、多くの子供たちが塾に行かなくても希望の進学、あるいは、最終的な目標はやっぱり希望の職に就けるということが、仕事に出会えるということが教育の最終目標でもあろうかと思っています。
 そうした観点から、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず、都立の校内予備校の前身ともいえるスタディーアシストについて伺います。
 私は、中学校の中で、まず、予備校的な、あるいは塾の機能を取り込んだ授業というものを放課後に行うべきだということをかねてから申し上げてまいりました。
 結果、平成三十年だったと思いますけれども、都として、スタディーアシストということで、中学の中に、いわゆる塾の機能を取り込んで放課後教室を開かれたと思います。
 その事業内容と、そして、その成果をまず伺いたいと思います。

○岩野地域教育支援部長 スタディーアシスト事業は、放課後や長期休業中等に、学習塾等の人材を活用し、学校や公民館等で中学三年生を対象に進学等に向けた学習支援を行うものでございます。
 同事業はこれまで、受講生全体の八割以上が志望校に合格するなどの実績を上げており、今年度は二地区十三校で取り組まれているところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 福生市でも実際に事業が行われて、そして、ここには東京都の方で公表されている資料がございますけれども、(資料を示す)その中で、今のお話のとおり八割以上の受講生が合格したことに加えて、塾に行けない私にとってはよい場所だった、分からないところでも教えてくれたので塾に対するイメージが変わり勉強するようになった、志望校への合格に役立ったと、ほとんどの受講生が満足と回答されたというふうに記載されていました。
 このとおりでしょうか。

○岩野地域教育支援部長 現在、二地区で取り組まれているところでございますが、先ほども申し上げたように、受講している生徒の八割以上が希望校に合格しておりまして、生徒からも好評の声をいただいているところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 一方でですね、まあ一方でと対立軸じゃありませんけれども、併せて、都は、スタディーアシストとは別に地域未来塾というものも事業として展開をされています。
 この地域未来塾について伺いたいと思います。

○岩野地域教育支援部長 地域未来塾は、小学生から中学生までの児童生徒を対象とし、学習習慣の確立や基礎学力の定着を図るため、放課後や長期休業中等に地域人材を活用して行う学習支援でございます。
 同事業は平成二十八年度から実施しており、今年度は三十一地区六百六十七校で取り組まれております。

○伊藤(ゆ)委員 今お話しのとおり、多くの地域、また、多くの学校でこの地域未来塾が利用されているということでございました。
 ある意味、スタディーアシスト事業よりも地域未来塾を採用する自治体が多いというふうに聞いています。
 この地域未来塾に比べて、いわゆるスタディーアシストは、塾との連携というところに、いわば手を挙げる自治体にとってはハードルの高さがあるのかなと、こういうふうに考えています。
 一方で、地域未来塾は逆に、地域の方々、大学生だとかボランティアの方々にお手伝いいただくということで、ある意味、本気で大学を目指すといったときに、プロフェッショナルな指導ということに関しては、進学塾の先生たちには、なかなか、劣るところがやっぱりあろうかなというふうにも思います。
 そういう意味では、今後、この地域未来塾とスタディーアシストの強みというのをベストミックスさせていく必要があるのではなかろうかというふうに思います。
 今回、都は、両事業を組み合わせて、スタディーアシストプラスとして実施できるようにしたと聞いていますが、それはどのようなものなのか、伺いたいと思います。

○岩野地域教育支援部長 地域未来塾は、中学校三年生の進学支援ができる人材確保に困難を感じているとの区市町村教育委員会の声がございます。
 そのため、地域未来塾において、地域の人材に加え、進学指導ができる塾講師等の人材活用可能とした事業をスタディーアシストプラスとして実施いたします。
 これにより、区市町村に対し、事業の取組を促してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 これまでは地域未来塾が多くの地域で取り入れてこられた一方で、なかなか塾の先生を活用することができなかったというところを、今までのスタディーアシストの事業と組み合わせて両方を使えるようにしますと、こういう理解でよろしいですよね。――はい。
 そういう意味では、今後重要になってくるのは、これから様々な中学校の中でも、こうした組み合わせたスタディーアシストプラスが利用されていく上で、課題になりそうなことというのもあろうかと思います。
 それは、塾の経営者の方々に聞きますと、優秀な塾の講師というのは、その塾にとってもエースであり、ある意味、稼ぎ頭でありますので、どうしても学校に派遣をするということになると移動の時間も含めて機会逸失になるということで、できれば、やっぱり来てもらって、そして多くの授業を受けてもらうことによって収益を上げたいと。ここの部分で、塾の派遣ということについては、やっぱり課題が残るんだろうと、こういうふうに思います。
 一方で、最近、またほかの塾の経営者の方々に伺うと、それはどこの塾でも、やっぱり同じ悩みを抱えている。塾講師が足りないという事情を抱えている中で、最近は、いわゆる大学生などに塾講師としてのまずスキリングをすると。そして、講師として育てながら、例えば、今回のような例でいえば学校を支えるという仕組みにしていった方が、むしろエース級の先生を呼んでくるということよりもハードルが低くなるんじゃないか、また、持続可能なんじゃないかと、このようにご指摘をいただきました。
 そうした考えについての所見を伺いたいと思います。

○岩野地域教育支援部長 スタディーアシストプラスでは、従来までの地域未来塾における基礎学力の定着等の学習支援に加えて、進学等に向けた学習支援を行うものでございます。
 そのため、学習支援員として参加する大学生等に対する指導のレベルアップを図るための研修費用についても補助対象とし、支援人材の育成も可能といたします。

○伊藤(ゆ)委員 そういう意味では、まさしく大学生に対する指導のレベルアップ、そのための研修も対象にしますということで、持続可能な仕組みに磨き上げているのが今回のスタディーアシストだというふうに理解をさせていただきました。
 そのほかに、スタディーアシストプラスで新しく取り入れている部分というのがどこかあれば、お知らせをいただきたいと思います。

○岩野地域教育支援部長 小中学校における一人一台端末が整備されたことも踏まえ、オンラインによる学習や一人一人に合った学習支援を行うことができるよう、児童生徒の学習進度を管理するサービスの活用についても補助対象としてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 そうすると、本当に使いやすそうな仕組みだなというふうに感じさせていただきます。
 問題はやっぱり、こうした東京都が用意をしたスタディーアシストのような取組、都立校の中に設置される予備校は、いわば東京都の直営なので、これは自治体が手を挙げる挙げないにかかわらず東京都の方で調整が図られるものと思いますが、スタディーアシストについては、自治体の手が挙がらないと実施してもらうことができないということであります。
 そういった意味で、自治体の手が挙がるように促す必要があると思いますが、見解を伺いたいと思います。

○岩野地域教育支援部長 都教育委員会ではこれまで、取組事例を掲載した冊子等を作成したり、学校支援に取り組む教育委員会関係者の連絡会議において本事業を紹介するなど、スタディーアシスト事業の取組を周知してまいりました。
 今後は、本事業の利用が増加するよう、さらに周知に努めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 本当は学校の先生たちが見に行ってくれることが一番いいのですけれども、本当にお忙しいということも確かにあろうかと思います。
 ただ、やっぱり現場を見ないとなかなか分からないところがあろうと思いますので、今のような周知のための冊子等があろうかとは思いますけれども、ぜひこれは多くの方々に、特に教育関係者に見ていただけるように、そこも働きかけをお願いしたいというふうに思います。
 改めて申し上げますけれども、やっぱり教育というのは何のためにあるのかといったら、子供たちの学力を伸ばすというのが、まず当たり前ですけれども、私はあると思います。
 ただ、その学力を伸ばす最大の目的は何かといったら、やっぱり自分に合ったいい仕事に出会うとか、また、自分にとっていい職業に就けるようにしてさしあげるというのが教育の根幹だというふうに思いますし、それ自体がやっぱり国力につながっていくというふうに考えます。
 そういう意味では、学校の中に塾をつくるなどと、昔から私が申し上げますと、いかにも多くの方々から、学校をないがしろにしているみたいな議論あるいはご批判をいただくことがあるんですが、塾と学校を対立構図で捉えること自体が、ある意味、学校教育の進化の妨げになってきたんじゃないかなというふうに思います。
 必ずしも、別にこれは対立構造で捉える必要がなくて、やっぱり学校は学校のよさがあると思います。人間形成にも、やっぱり学校の先生たちというのは大いに貢献してくださっていると思います。
 一方で、受験に関していえば、塾の先生たちの教え方のプロフェッショナルさというのは、これもまた否定できない部分があろうと思います。
 ですから、やっぱりそれぞれのよさ、それぞれの強みというものを、お互いにいいところ取りしていくことも非常に重要であり、また、それが都立高校の多様性を生んでいくんだろうと思います。
 究極的には、子供たちが学校教育を通じて、あるいは極端なことをいえば、学校教育のみでいい仕事に出会え、あるいはまた、いい進学、そしてまた、いい職業に就けるということだというふうに考えていますので、ぜひその観点に照準を合わせて、また改めて、この事業の推進をお願いしたいと思います。
 あわせて、塾代支援について伺いたいと思います。
 私どもは都民ファーストの会として、かねてからありました中高に対する塾代二十万円の支援、しかし、これが対象世帯がかなり世帯所得で限られていたということもありますので、予算要望に予算要望を重ねまして、先般の予算要望で、去年ですかね、対象世帯を四倍から五倍に広げていただきました。
 かつ、塾代の貸付事業というのは、合格すれば、あるいは進学すれば、これは返さなくていいという制度ですので、本来、物すごく使い勝手のいいものであろうというふうに思います。
 問題は、必要な世帯にその情報が届いているかどうか。いささか自治体任せになっていたところに対して、東京都教育委員会から、ぜひひな形となるようなチラシとかを作って周知していただきたい、このようにお願いをした結果、(資料を示す)こういうチャレニャンというかわいいキャラクターまで作っていただいて、かつては本当に、白黒で紙にテキストだけばっと打っているような自治体もあった中で、これを一つフォーマットにして、今、各学校に配られるようになったということで成果が出ていると思いますが、その成果、あるいは、この周知についてのお考えを伺いたいと思います。

○岩野地域教育支援部長 都教育委員会は、福祉保健局と連携し、受験生チャレンジ支援貸付事業について、その内容が分かりやすく伝わるよう工夫したチラシを、都立高校と公立中学校の全ての二、三年生に対し直接配布し、周知してございます。
 また、都立高校や区市町村立教育委員会に対して、進路に関する面談時やSNSの活用等、様々な機会を捉えて、生徒や保護者に対し周知するよう依頼するとともに、公益社団法人全国学習塾協会を通じて、都内の学習塾への周知の働きかけも行ってございます。
 こうした取組の成果もあり、貸付件数は、令和五年二月末現在で、前年度と比較し一・五倍に増加しているところでございます。
 子供たちが家庭の経済状況等にかかわらず希望する進路を選択できるよう、学校や区市町村教育委員会とも連携し、本事業の一層の活用に向けて取り組んでまいります。

○伊藤(ゆ)委員 今、一・五倍に増えたということは、まず一つは評価をしたいというふうに思いますが、対象世帯が、予算の上で四倍から五倍に広がっています。そういう意味で、より一層の周知に努めていただきたいと思います。
 私ども、随分、局の皆さんにも、むしろ塾に営業をかけてみてくださいということで、塾からこれを周知されれば、塾の方も、使ってもらえるということでありがたがられると思いますので、それも今後も力を入れていただきたいと思います。
 あわせて、やっぱり学校の中でこういう分かりやすいチラシが配られたり、見られたりすることが非常に重要だと思っています。
 と同時に、基本的には、これは福祉保健局さんの予算ですよね。なので、教育庁の皆さんには、福祉保健局さんと連携をして、例えば、これ、フリースクール、後でまたちょっと質疑しますけれども、フリースクールから高校受験に臨むというような子たちにも使えるわけですよね。ですから、それで塾に行くという子もいれば、場合によっては、フリースクールそのものを塾とみなせるのかどうかも、これは解釈の問題だと思います。
 ぜひ福祉保健局さんと連携していただいて、フリースクールでも使えるのか、フリースクールにいる子供たちが塾に行ったときに使えるのかを含めて、この周知と使い方というものを検討していただきたいというふうにお願いしておきます。
 次いで、これまでずっと提案してまいりました都立工業高校改革の今後について伺いたいと思います。
 今年の四月は、都立工業高校にとりまして、ある意味、改革元年ともいえるのではなかろうかと思います。もちろん、これまでに不断の努力を東京都教育庁の皆さんがしてくださった成果が花開く、今年、令和五年だというふうに思っています。
 特に新年度、四月より工業高校の名称が工科高校に変わります。私は、平成三十一年の予算特別委員会で、私自身、この工業高校改革を教育長に質問させていただきました。その当時、中井教育長だったと思いますけれども、中井教育長から工業高校改革に着手するという力強い答弁をいただいて、その後に改革検討会が専門家の手によって立ち上がったということであります。足かけ四年程度になります。
 都立工業高校における外部人材の活用、あるいは企業などとの連携、既に町田工業高校では、日本アイ・ビー・エムと組んでP-TECH構想というものがスタートして、日本アイ・ビー・エムさんから教育内容のご提供をいただいたり、逆にまた、優秀な学生においては日本アイ・ビー・エムさんに採用していただけるというような仕組みもあり得るというふうに聞いています。
 現状と今後の取組について伺いたいと思います。

○小寺指導部長 ご質問にお答えさせていただきます前に、先ほどの答弁、一部訂正させていただきたいと存じます。
 私、先ほど桐山理事のご質問で、スクールカウンセラーの全校配置の開始年度を平成二十四年度と申し上げましたが、正しくは平成二十五年度でございます。おわびして訂正させていただきます。
 大変お待たせいたしました。答弁させていただきます。
 都立工業高校では、都教育委員会が昨年二月に策定いたしましたNext Kogyo START Projectを踏まえ、外部人材や企業等との連携を深め、生徒のものづくりやデジタル活用に関する知識や技能の一層の向上を図っております。
 例えば、高い製作技術を有する企業の職員から助言を受け、実社会に役立つものづくりに取り組んだり、IT企業や専門学校と連携し、将来に生かせるプログラミング技術を学んだりしております。
 今後、都教育委員会は、工科高校への校名変更や学科改編を迎えるに当たり、学校を支援する企業等を募るためのホームページを新設し、連携企業の拡充を図るなど、各学校の魅力の創出に向け、教育内容を充実させてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 委員の皆さんも、既にご覧になられているかもしれませんけれども、今日はあえてパネルにもしませんが、特に都立工業高校、これから工科高校においては、各学校を、例えばAIを学ぶ学校、あるいはまた、ドローンを学ぶ学校、プログラミングを学ぶ学校など、これまで以上にそれぞれの学校に時代に合った特色を持たせたという意味で、私は本当に、就職に強い学校に昇華するというふうに確信をいたしております。
 まして、すばらしいのは、やはり企業の皆さんというのは、最先端の技術をよくご存じでいらっしゃるし、企業が欲しいと思う人材こそが、そういう意味では送り出したい人材でもあろうかと思います。そういう意味で、この取組というのを、さらに一層推進していただきたいというふうに思っています。
 私、実は、自分は図らずも中学、高校、大学と、浪人したりしながら行きましたけれども、やっぱり日本は、よくいうのですけれども、特に東京はかもしれませんけれども、東京は、生まれたときから子供たちが首都高の、何か高速な運転というものを余儀なくされているかのように、首都高に乗せられて、小学生あたりから、はい、中学受験、高校受験、大学受験、そしてようやく、例えば都庁に受かれば、そこが一つゴールかもしれないし、あるいは、大手の企業さんに入れればそこがゴールかもしれませんが、物すごく首都高のようなハイウエーが強くて、一回そこから、こう何ていうんですかね、インターチェンジを降りてしまうと、もう一回ハイウエーに戻してもらえないという風潮があるし、社会の仕組み自体が、実はそうなっているような気がしてなりません。
 ただ、学校がどうしても合わないけれども、しかし、例えばプログラミングがうまいとか、あるいは、今、芸能界で活躍をされている方が表現がうまいとか、様々にそういう意味では能力を発揮できて、そしてまた、すばらしい仕事に就いている方々が中にはたくさんいらっしゃいます。
 しかし、その仕事と出会える場所が、一回ハイウエーから降りてしまうと、なかなかないというのが現状なんじゃなかろうかと思っています。
 そういう中において、後ほどまた改めて申し上げるフリースクールは、一つのパーキングエリアというか、サービスエリアのような役割を果たすと思いますし、そこから、バイパスとなって都立工科高校に入って、そして自分のやりたいと思えることに出会えたら、すばらしい人生がまたそこで花開くのではなかろうかというふうに思います。期待しています。
 そのためにも、例えば都立工科高校、これから卒業生がたくさん、改めて改革後に出ていくと思うんですけれども、ぜひトレースしていただきたいと。どんな職業にどういう形で就いているのか、それは少し時間のかかる調査になるかもしれませんけれども、お願いをしたいと思います。
 というのも、実は、これも何年か前の予算特別委員会で私は質疑しましたが、都立高専がありますよね。あれは総務局ですけれども、都立高専の調査報告書というのがあって、これはすごくでよくできた、トレースした調査結果というのが出ていました。
 つまり、高専を卒業した方々がどんな学科を卒業して、どんな就職をして、そして、実際、二十代にして幾らもらっているかという年収まで全部カテゴライズされて報告書に載っていました。
 中には、二十代前半にして一千万を超えている、たしか福祉器具を作る専門学校を出て、そして就職された方とか、そういう方々の年収等も、一つグラフとして紹介されていました。
 こういうのは、何といったって、やっぱりいい仕事に出会いたいと思っている子供たちにとっては、一つ自分の希望の光にもなるし、そしてまた目標にもなろうかと思います。
 この都立工科高校の魅力向上のためにも、改革後の卒業生のその後をトレースして公表することで、将来に希望の光を当てることができると私は考えます。
 見解を伺いたいと思います。

○池上高校改革推進担当部長 工業高校の生徒の卒業後の活動状況等を把握し、高校の教育内容の充実や改善につなげていくことは重要でございます。
 このため、来年度は、工業高校の卒業生の活動状況調査を実施し、卒業後の進路状況等を把握するとともに、卒業生の視点から工業高校に求める教育内容などを把握してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ぜひ年収にも踏み込んで調査をしてくださいということは要望しておきます。
 今、いわゆる小中高、義務教育から高校という希望の進学を遂げる人もいれば、中には不登校になってフリースクールに行く人もいますし、そもそも、もう最近では、小学校が多分合わないだろうということで、不登校ではなくて最初からフリースクールを選択されるお子さんたちもいらっしゃいます。
 私は、中野にあるフリースクールを時々視察させていただきます。行きますと、マックブックで、うちの子供なんかよりも、よっぽどスムーズにというか、能力高くユーチューブの動画やプログラミングをされている子供たちの姿というものを拝見します。
 自分たちで作った動画を見せ合って、それがまた、非常にクオリティーの高いものだったりするので、見せ合いっこしながら技術がどんどんどんどん高まっていくと。これはこれですばらしい教育だなというふうに思いました。
 ただ、ふだん中学校に通うことがやっぱり困難でフリースクールなどに通う子供たちには、なかなか都立工業高校、今後は都立工科高校をはじめとした都立校の魅力というのが伝わっていないんじゃないかなと、そんな気もいたしました。
 しかし、ある意味、小中、そしてまた私立に行く子、あるいは都立高校に行く子がいると思いますけれども、例えば小学校あるいは中学校で不登校になった、そしてフリースクールに行った子たちにこそ、改革された都立工科高校の魅力が伝われば、あ、これは自分に合っているんじゃないかということで、希望の進路になる可能性が大いにあるというふうに思います。
 そういう意味で、こうしたフリースクールなどに情報発信をしていくように求めたいと思いますが、見解を伺いたいと思います。

○池上高校改革推進担当部長 都立高校の特色を都民に分かりやすく届けることは重要でございます。
 都教育委員会では、来年度、工業高校の生徒たちが取り組む作品づくりを広報に活用するなど、PRの強化に取り組みます。
 また、専門高校をはじめ、都立高校の学校紹介動画を制作し、学校の魅力を分かりやすく発信してまいります。
 これらの取組により、工業高校を含めた都立高校の魅力を、学校に通うことができない生徒などにもフリースクール等を通して伝えてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 フリースクール等を通して伝えていくということなので、ぜひこの周知を行っていただきたいと思います。
 動画やパンフレットも重要なんですけれども、まずはやっぱり、例えばですけれども、フリースクールから都立工科高校を選んでくれる先輩が出てきて、やっぱり何といったって、子供たちは、割と年の近い先輩からの口コミというのは非常に重要だというふうに思います。
 最近は、中学校にうちの子供も在学していますけれども、高校を見学して回るということを中学校がやってくれるということもあります。その中に、それこそ工科高校も入れてもらったりとか、様々な形でフリースクールあるいは一般の中学校も含めて魅力が伝わるように、そして先輩が後輩を呼び込むような学校づくりになるように、ぜひ皆さんにご努力をいただきたいというふうに思います。
 工科高校の次は、商業高校改革だと思っています。
 先般の都民ファーストの会の代表質問の中でも、商業高校改革について質問をさせていただきました。改めて伺いたいと思います。
 会計知識を習得した学生は、文字どおり会計通となって、就職時の強みとなることは請け合いです。
 まずは、その都の取組について伺いたいと思います。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、来年度、民間の教育機関等と連携し、簿記検定の資格取得講座を全ての都立商業高校十校で実施いたします。
 具体的には、専門学校等の外部講師の講座をオンデマンドで配信し、生徒が時間や場所に制約されることなく個人の生活スタイルに合わせて学習でき、繰り返し受講することも可能な方法で行います。
 こうした簿記に関する民間の検定講座と学校の授業を生徒が併せて活用することで実践的な会計知識の習得の促進を図り、ITや金融など幅広い業界の企業ニーズに即したビジネス人材を育成してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ぜひお願いしたいと思います。中小企業なんかは特にそうですけれども、会計士を、あるいは公認会計士を雇い上げているところというのはほとんどないと思います。大企業は別でしょうけれども、あとは顧問契約を結んで時々見てもらうみたいなことなんですが、でも、やっぱり中堅企業になってくると、日常的に会計士に確認をしなければならないことというのはかなりあって、そういう意味では、レベルの高いというか、ノウハウのある会計士あるいは簿記検を持っている方というのは大変喜ばれるというふうに思います。
 ただ、まず商業高校に入った学生に対して、一番最初に、学校の中でどこから授業のスタートを切るかというのも、これは重要だと思うんですね。工科高校の方は、ドローンとかAIとか、いかにもおもしろそうなところから実技科目っぽく入るので、取っつきやすいというんですかね、興味を持ちやすいと思いますけれども、商業高校というのはなかなか、会計で、割に地味な計算の連続だったりすると思うんです。だから、飽きちゃわないようにということは重要だと思うんです。
 町田工業高校に、以前、何人かのうちの議員で視察に行かせていただいたときに、いいものを見せていただいたのは、授業そのものというよりも、高校一年生で進学したばかりのお子さんたち、四月だったと思いますけれども、かなり初期の段階でのレクリエーションを見せていただきました。
 そのときには、学校の先生がしゃべるというよりは、学校の先生がコーディネーターになっていて、主に演台には、日本アイ・ビー・エムだったと思いますが、日本アイ・ビー・エムの方を含めて、ほか二社の三十代の社員さんたちがいらっしゃっていて、そして、皆さんから、どうぞ質問を何でもいいですから受け付けますという形で、一時間、二時間とそういうQ&Aの時間というのを取って、あれは授業というのか、レクリエーションだと思いますけれども、されていました。
 それはやっぱり、入ってきたばっかりの高校生で、まだ隣近所の友達の顔と名前も一致しているんだかしていないんだか分からないぐらいの時期でしたが、アイスブレークしていましたね。
 つまり、そのときに、ぱっと何人かいっぱい手を挙げて、どんな仕事なんですか、どんなことをやっているんですかもありましたが、もう単刀直入に、今、幾ら稼げているんですかということを質問されていました。
 これ、いや、僕、実はこれぐらい収入があって、実はこういうスキルを身につけると、今、同期のメンバーよりもちょっともらっているんですよみたいな話が物すごく受けるんですよ。それは自分の将来につながると思えば、やっぱり学習に意欲が出ると思います。
 ですから、工科高校でもそうですけれども、工科高校の成功例というのを、今度は商業高校の中でも、最初から取っつきにくい勉強、勉強ということよりも、そうした将来像が見える、そういうところから授業の口火を切ってもらいたいなというふうに思います。
 それと、これも要望として申し上げますが、私が少なくても知っている限り、保育園経営者とか病院経営者からよくいわれるのは、かなり一般の企業と違って、保育園、例えば認証保育園なんかは、株式会社がやっていると、株式会社の会計とは別に認証保育園の会計というのを東京都とかに提出しなきゃいけないんですよね。それは認可保育園も一緒だと思います。
 それから、病院も、かなり変わった会計であったり、あるいは診療報酬の点数の計算をしなきゃいけません。
 こういうちょっと特殊な会計について専門知識のある人というのは、本当に引く手あまただと思います。
 ですから、一般的な会計も大事だと思いますけれども、いわゆる都立商業高校ならではのコースというのをぜひつくっていただいて、これはぜひ企業からもそういったニーズをよく聞いていただいて、専門コースをつくることで子供たちに明るい希望の光を与えていただきたいというふうに思います。
 次は、都立高校の受検制度について、私の意見だけ、これは申し上げておきたいと思います。
 国の調査によりますと、公立小学校、中学校における不登校児童生徒の数は、平成三十年のときは約一万四千二百人、令和三年になって二万人を超えて二万一千五百人に大幅に増加をしています。このことはかなり大きなニュースにもなり、この間、不登校児対策の予算というのも相当組まれているということは承知をしております。
 こうした背景を受けて、我が会派、都民ファーストの会はフリースクールへの支援拡充を求めたところであり、東京都教育委員会の皆さんのご尽力によって、来年度も、利用者負担の軽減につながるモニター調査というものが実質行われるわけでございます。そのことについては、申し上げるまでもなく評価をさせていただいています。
 この不登校の生徒や、例えば発達障害などを抱える生徒などが増加している傾向の中で、学ぶ意欲のある生徒をどのようにして都立高校としてしっかり受け入れていくかという議論が改めて必要になってきているというふうに感じております。
 特に、フリースクールなどに、例えば中学校のときから通い始めた方というのは、中学校には日常的には行けていない子がかなり多いですよね。それと、当然ながら、内申点に関しては、相当な不安を抱えながら都立高校の受検をせざるを得ません。
 もちろん、今いうまでもなく七対三の、試験とそして内申点との比率がありますが、その中でも私が非常に危惧をしておりますのは、体育とか音楽などの実習科目が、普通教科の五科目に比べて内申点において二倍になっているんですよね、二倍になっている。
 これは、様々なご議論があって、そういう今、内申点の配分になっているんだと思いますが、これやっぱり、フリースクールとか、とにかく不登校になった子たちからすると、ほかの普通科目に関してはテストだけ受けに行くとかいうことで、何とかかんとか、三を取るとか四を取るとか努力ができるところがあろうかと思いますけれども、体育とか音楽などについては、これは二倍にされちゃうと、不登校の子にとっては取り戻しようがないんじゃないですかね。かなり難しいと思いますよ、現実に学校に行けていないという中では。
 そういう意味で、この間、チャレンジスクールなどの新設や、時間延長などの特別措置による試験の実施、あるいはまた、外国人にとっては外国人枠入試の設定などに都が取り組んできたことは評価しています。していますが、より多くの多様な生徒を受け入れ、一人一人の実情に合った学習のチャンスを提供していくという観点から、入試や入学後の学習環境の整備について、都教委として改めて取り組むように求めておきたいと思います。これは結構、切実な問題だと。よろしくお願いします。
 再三申し上げてきましたフリースクールについて伺いたいと思います。
 本当におかげさまで、昨年、モニタリング調査ということで、月々一万円の調査費を各ご協力いただいている保護者の方にお渡しをするということで、私どもは、そうした保護者の方々から、大変ありがたいというお声をいただいておりますが、都に寄せられている、まずこの一年間の声というものを伺いたいと思います。

○小寺指導部長 フリースクールに通う不登校の子供及びその保護者の支援ニーズなどを把握するための調査研究におきまして、現在までの調査の中で、フリースクールに通うことで、人間関係が構築され、意欲が向上したなどの回答が多く見られました。このほかに、学習についていけず進学が不安であるなどの回答もございました。
 また、フリースクールに通う子供の実態を調査してくれることへの感謝の声に加え、調査協力の負担が大きいという声もございました。

○伊藤(ゆ)委員 大変評価する声があったという一方で、負担の声もあったということです。
 この負担の軽減をどのように図っていくのか、伺いたいと思います。

○小寺指導部長 来年度は、調査協力金を二万円に増額し、さらに多くの方に調査に協力していただけるようにしてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 昨日の生活文化局との質疑の中でもちょっと触れましたけれども、現時点においてはこの一万円を二万円にしていくということで、大変喜ばれるというふうに思います。
 一方で、フリースクールの経営そのものも、どこのフリースクールにお話を聞いても、本当に厳しいと思います。ほとんど行政支援は今まで受けてきていませんので、皆さん、手弁当でやっている。本当に持続可能なんだろうかと思うようなところがございます。
 一方で、フリースクールを頼りにするお子さんの数は大変増えていますよね。もう一回聞きませんけれども、今日の答弁の中でも、フリースクール利用者が千人程度という話がありました。
 ただ、今、都内の不登校者が二万人いるんですよね。合っていますか。――だとすると、全員がフリースクールを希望しているわけじゃないでしょうけれども、全然拾い切れていないと、今の時点でも思います。
 そういう意味でも、フリースクールの経営あるいは学校の基盤そのものを支援してさしあげることも必要になってくると思います。
 そういった意味では、本当に今回、いろいろ知恵を絞って、こういう形で予算をつけていただいて大変ありがたく思いますが、これを発展的に、認証制度というものをつくっていこうということで、都民ファーストの会もPTを立ち上げて、今、提言をさせていただきたいというふうに思っています。
 そういう意味では、先般、生活文化局にも申し上げましたが、今後は、これはやっぱり所管を生活文化局に移して、そして、生活文化局の方で、この認証制度についてはしっかり検討してもらう、そして仕組みをつくってもらうということが望ましいというふうに思っていますので、その点については、どうぞご認識をいただけたらありがたく思います。
 次に、区立小中学校の太陽光パネルの設置促進について伺いたいと思います。
 私、昨年は環境・建設委員会に所属をいたしておりまして、その質疑の中で、区市町村の小中学校の屋上の太陽光パネルの設置面積が少ないことを取り上げました。
 事実、都立高校においても、恐らく、今、平均でいえば、一つの高校でついているパネルのワット数というのは、三十キロワットとか四十キロワットぐらいなんじゃないでしょうか。現時点では、それを大幅に広げていく、大きくしていくということですが、ちょっと記憶が怪しいものですけど、八王子西特別支援学校でしたかね、関しては、既に百三十キロワットあるというふうに聞いています。一回、写真で拝見しましたが、ほぼ屋上全部、太陽光パネルみたいな形なんですけれども、できないことはないと思います。
 ただ、私の目黒区や、あるいは二十三区を見て回っても、学校の屋上にそれほど、充実した太陽光パネルを張っているところというのはほとんど見たことがありません。
 私は聞いたのですが、学校の施設に、まあ、区ですよね、区ですから区立小中学校でやられる。区であれば、学校の施設に太陽光パネルを張るときに補助金はないのかという話を聞いたら、そもそも、国が二分の一、この補助金を出すというスキームがまずある。プラス四分の一、東京都がそこに上乗せで補助金を出すスキームがあると。ですから、結果的に、設置する区は四分の一の費用で済むということが、環境・建設委員会の私の質疑の中で明らかになりました。四分の一ですよ。
 ということは、多分、今、百三十キロワットぐらいつけるとどれぐらいになるのか分かりませんが、仮に百三十キロワットをつけるのに一千万円ぐらいかかるとしても、四分の一だから二百五十万。百三十キロワットあると、多分、夏の終わりの暑い頃の授業でもエアコンを回せるんじゃないですかね。そう考えると、二百五十万円は、多分、三、四年でペイすると思います、軽く。
 ですから、区からしてみたら、この制度さえ知っていれば、つけない方が、むしろ損というぐらいですね。
 ただ、区の施設管理課長というのは環境局とつながっていないところがあって、これは、随分、環境局の皆さんにお願いしましたが、とにかく区市町村の環境のセクターの方だけじゃなくて、学校の施設管理課長とかに、この情報をちゃんと流してくださいという話をお願いしました。
 結果、環境局が積極的に都内の区市町村教育委員会にも情報提供をしたというふうに伺っているんですけれども、その後の状況について伺いたいと思います。

○岩野地域教育支援部長 区市町村立小中学校の太陽光発電設備等の設置に当たりましては、環境局事業である地産地消型再エネ増強プロジェクトの活用が可能であり、本事業につきましては、令和四年度から補助率を三分の二に拡大しております。
 そのため、都教育委員会は環境局と連携し、昨年の五月と九月に区市町村教育委員会の施設主管課長宛てに本事業を周知するとともに、十二月には、区市町村の学校等施設整備事務担当者を対象に、太陽光発電設備等の設置の意義や補助内容について説明をいたしました。
 こうした取組により、令和三年度まで補助申請の実績がありませんでしたが、令和四年度には、五つの自治体、八つの小中学校等で活用されております。
 引き続き、環境局と連携し、補助制度の活用を促し、区市町村の取組を支援してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 全く実績がなかったものが、本当におかげさまで、環境局の取組、そしてまた皆さんから周知していただいたことによって、五つの自治体、八つの小中学校ということですけれども、まだまだ広がるんだろうと思います。
 今、補助率が三分の二に拡大しましたということなんですが、じゃ、これは結果的に、区は三分の一負担になるんですか、それとも、先ほど私が申し上げたように四分の一……(岩野地域教育支援部長「六分の一」と呼ぶ)六分の一負担になる、そうですか。だから、増やしていただいた、拡大したことによって、これまで四分の一負担だったのが、さらに六分の一でしょう。そうすると、なおすぐにペイすると思うので、お願いします。
 それで、うちの目黒区も、今一番の懸案はやっぱり学校の建て替えで、学校の建て替えというのは区の負担が物すごい大きいですよね。あまり国の補助等もそんなに入りませんので、これはすごく喜ばれるので、ぜひ周知をお願いしたいと思います。
 そういった意味でも、まず隗より始めよということで、都有施設への設置が今進んでいます。
 都立高校の現状況の太陽光パネルの取組状況を伺いたいと思います。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会では、都立学校の新築、改築工事等の際に太陽光発電設備の設置を行っておりまして、今年度末時点で、都立学校二百四十八校中百九校に合計三千百キロワットを超える太陽光発電設備を設置する見込みとなっております。
 また、二〇三〇年のカーボンハーフの実現に向けて、新築、改築工事等の際に設置することに加えまして、今年度から、既存校舎のうち、まだ太陽光発電設備を設置していない都立学校や増設を行う余地がある都立学校についても、関係局と連携して設置を加速化しております。
 来年度は、新築、改築工事等が竣工する五校に最大百十キロワットの太陽光発電設備を設置してまいります。また、既存校舎のうち、まだ設備を設置していない都立学校につきましては、環境局と連携し、二十校で新たに設置するとともに、既に設備を設置している都立学校については、財務局と連携し、三校で増設を行ってまいります。

○伊藤(ゆ)委員 大変力強い答弁でありがとうございます。
 これは要望です。設置していただくときに、ただ設置するだけじゃなしに、そこに子供たちがいるわけですから、よく企業に行っても、今、太陽光パネルがこれぐらい発電してくれていますとかとありますよね。あるいは売電もできますよね、夏休みだったら。
 これはやっぱり、自然エネルギーの循環とはどんなものかというのが分かるように、ぜひ見える化してくださいということは、工事の問題だと思いますけれどもお願いしておきます。
 さて、この太陽光パネル、私は自然エネルギーの普及促進にもなるという観点もありますが、それのみならず、災害などにおいて、これは非常用電源にもってこいだと思います。都立高校もご多分に漏れず、もちろん地域の避難所に当然指定されていることと思います。ですから、今既にもう冷房とかクーラーとかがついていると思います。そこまで回せるかどうか分かりませんけれども、少なくても今一番何が大事かというと、携帯電話の充電だと思います。
 避難所で携帯電話の充電ができるかどうかは非常に重要だと思うんですが、問題は、太陽光パネルをせっかく学校に設置しました、震災がありました、そして、例えば電力会社さんからの送電がもう全部途絶えてしまって停電しています、みんなが体育館に集まってきました、そこに太陽光パネルがあって、これで発電しているから、じゃ、取り出して携帯電話を充電しようと思ってみても、工事が外部に出せる、出力になっていないと取り出せないんですよね。いたずらに発電だけしているという状態になるわけですよ。
 これは全く意味がないので、ぜひ都立高校の工事において、しっかり出力、つまり停電時に外から取り出せるという工事にしてもらいたいと思うんですが、どうなっていますでしょうか。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会では、再生可能エネルギーを積極的に活用する観点から、新築、改築工事等の際において、停電時にも特定のコンセントに電力を供給する自立運転機能を有する太陽光発電設備を設置することとしておりまして、今年度末時点の設置校百九校のうち、八十一校でこの機能を有する設備を設置しております。
 また、今後、既存校舎に太陽光発電設備を新設、増設する際にも自立運転機能を有する設備を設置し、災害等による停電時に、投光器や携帯電話の充電などのために電源として活用できるよう整備を進めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 やっぱりこれは、すごく重要な点だと思うんですよね。あとまだ二十校はこの機能がついていないということなので、こんなのも、大した金額じゃないですからね、工事。これはぜひ来年度やってください。それは答弁は求めませんけれども、二十校はすぐにやっていただきたいと思います。
 問題はさらにあって、問題ということはないのですけれども、課題はさらにあって、停電時でも電力を取り出して、避難してきた住民の携帯電話の充電などに電力を提供できることを地域の皆さんに知っていてもらわないと――多分、ここにいらっしゃる職員の皆さんも、まさか都立高校の現場になかなか行けないと思いますし、まして、都立高校は、必ずしもその地域に先生たちが住んでいるとも限りません。
 そういう意味で、広く周知するという点についての見解を伺いたいと思います。

○村西都立学校教育部長 太陽光発電設備を設置する都立学校では、災害等による停電時にも電源として活用できる利点を、今後、関係区市町村にも十分、情報提供をしてまいります。
 また、地域における防災訓練等の際に、停電時における電源としての活用について、区市町村と連携し、地域住民にも周知を図ってまいります。

○伊藤(ゆ)委員 お願いします。ただ、これは皆さんだけの問題じゃなくて、私たち議員にも責任が大いにあると思いますけれども、地域地域で、小中学校はやっぱり区立なので、例えば地域の消防団とか町会とかと連携して定期的に、コロナのときはともかくですが、避難訓練だとか防災訓練だとか、結構やっていますよね。ですから、例えばスタンドパイプがどこにあるかとか、ありがたいことに、結構、よく皆さんご承知でいらっしゃるんです。
 ところが、例えば、うちの地元にも都立高校が幾つかありますけれども、そこで連携して地域で防災訓練をやったという記憶が私はないんです。若干やっているかもしれませんが。
 やっぱりやっていないところが多いので、これは、今のお話というのはそうした地域の皆さんに、負担はまたかけちゃいますけれども、一定程度しっかり周知をするためにも、区市町村に働きかけをして、ぜひ、こういう形で、例えばこういうふうに電力が取り出せるんですよということは、キーパーソンの皆さんがいらっしゃると思いますので、周知できるようにしてください。
 その延長線上なんですけれども、都立高校、昼は先生がいて、生徒たちもいるので、いざ、ばあんと地震が来たときに、家が倒壊したら、そこ逃げ込むことができると思うんです。これ、夜はどうなるかなんですね。
 私、たまたま、昔、桜修館の目の前に住んでいて、放送室で電源を切り忘れちゃった学生がいたものですから、夜中の二時か三時に金属音みたいなハウリングがぶわっと出てきて、夜中の二時か三時ですよ、それで私も起こされるように路上に出たら、寝巻き姿の近所の人たちがいっぱい出てきているわけですよ。
 何とか止めてくれ、止めてくれというんですけれども、今、塀が高いでしょう。誰も止められないわけですよ。
 それで、あなた都議会議員なんだから、どこかに連絡して、これを何とかしろといわれたんですが、学校施設管理者なんて私は知りませんし、結局、区役所の管理職の携帯を知っていたので電話したんですけれども、区役所も全く管理していないから分からぬと。結局、入れないわけです。
 結果的には、何とかかんとか、区役所から都庁の幹部職員に連絡していただいて、開けてもらったのが何時間かしてからですけれども、ようやく解決しました。
 このことは以前にも指摘をして、今は、どこに連絡をすれば警備会社につながるかということは、電話番号は書いてあるんですけれども、やっぱりこれ、鍵を開けられないと、いざとなったときに、そんな警備会社がすぐ来てくれるとも思えないので、この施錠というか解錠、夜中においてどういう対応するかというのは、非常に重要だというふうに思います。
 この鍵の管理について、どのように把握しているのか、伺いたいと思います。

○田中総務部長 都教育委員会は、避難所に指定されている都立学校施設の鍵の管理について、区市町村が避難所開設時に速やかに学校施設を解錠できるよう、区市町村に鍵を預けるなどの対応を周知してございます。
 個々の学校の管理方法の詳細については把握していないため、今後調査してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 今、体育館にも個別の鍵もかかっていますから、本当に寒いときなんかは、もし夜中に来て誰も入れないみたいな話になったときの混乱というのは大変なものだと思います。ぜひ調査していただきたいと思います。
 できたら、鍵は、もう既に渡しているところもあるかもしれませんけれども、個々に町会長さんにお渡ししたり、結構、預かる方も負担だという話もあるんですね、消防団の団長さんにしても。なので、例えばなんですけれども、よく今、工事現場に行きますと、こういうキーボックスみたいなのがあって、番号を合わせると、その中から鍵が取り出せるというような形で共有するということが私はあっていいんじゃないかと思うんですけれども、この点についてのお考えも伺いたいと思います。

○田中総務部長 鍵の取扱いについてでございますが、学校の安全管理に関わることであるため、防犯上の観点を考慮しつつ、区市町村と連携を図りながら、円滑に避難所運営が行われるよう、学校の実態調査の内容も踏まえ検討してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、小中高と特別支援学校の整備について伺いたいと思います。
 いうまでもありませんけれども、これまで皆様の大変なご努力のかいがあって、特別支援学校が都内は大分増えてきています。足りている、足りていないというのはあると思いますが、ただ、特別支援学校は都が整備して、そして、もちろん小中学校は、例えば区が整備するということで、それぞれで整備がされています。
 そこで、ちょっと事例として伺いたいのですけれども、都と区市町村で一体的に高校を整備したことというのは、これまで事例としてあるのか、伺いたいと思います。

○村西都立学校教育部長 都と区市町村で連携し、都立高校と区市町村立の小中学校を一体的に整備した事例としては、連携型中高一貫教育校である都立新島高校と新島村立新島中学校を整備した事例がございます。
 本事例では、老朽化していた新島高校の改築、改修に合わせて、新島高校に隣接させる形で新島中学校も同時に移転、改築することといたしました。新島高校の改築、改修は都が、新島中学校の移転、改築は新島村がそれぞれ工事を行い、高校と中学校が相互に連携しやすい学校環境を一体的に整備しております。
 現在、新島中学校は、新島高校との連携型中高一貫教育における施設利用に係る覚書に基づき、新島高校の体育館やグラウンド等の運動施設を共用しており、村の学校建設費の負担軽減にもつながっております。

○伊藤(ゆ)委員 ありがとうございます。一緒に造ったことによって、例えば体育館とかグラウンド、これも施設整備としてはお金が結構かかりますよね。それを一体的に造ったことによって、都の方で負担してさしあげることができたという事例です。
 何でこんなことを聞いているかといいますと、もちろん、もう既に整備されている学校は本当によく機能していただいていると思いますが、やっぱりこれからは、特別支援学校は特別支援学校、小中は小中とセパレートで整備をしていくというだけではなくて、インクルーシブな教育というものが求められているのではないかと、こういうふうに思います。
 この点について、国連から日本に対して勧告が出されていると聞いていますが、実際にはどのようなものでしょうか。

○落合特別支援教育推進担当部長 昨年九月に公表された、国連の障害者権利委員会による日本国政府に対する総括所見においては、分離特別教育を終わらせることを目的とし、障害のある子供がインクルーシブ教育を受ける権利を認識すること、通常の学校へのアクセシビリティーを確保すること、合理的配慮を保障し、インクルーシブ教育を確保することなどについて要請されております。

○伊藤(ゆ)委員 今、国連の勧告にもあるとおり、インクルーシブ教育を確保すること、そして、特別支援に通っていらっしゃるお子さんの中でも、例えば普通学校というんですかね、普通級の方に通級したいという人もいますよね。例えば、週に何回かは特別支援、週に何回かは普通校の方に行きたいと。ところが、そこが相当離れてしまっていたりすると、なかなかそれがかなわないということもあろうと思います。
 ですから、私は、これは大がかりな話になると思いますけれども、特別支援学校の新設に当たっては――都内の市区町村でこれから統廃合、目黒区なんかもよく統廃合していますけれども、統廃合をしたり、あるいはまた、改修とか増築とか新設しているところがあります。特別支援学校の新設に当たっては、区市町村と連携して整備検討をしていくべきと私は申し上げておきたいと思います。ぜひこれは今後検討してください。よろしくお願いいたします。
 さて、少し続きになりますけれども、東京都教育委員会では、令和二年度から今年度まで、豊島区と日野市の二区市を研究事業の実施地区に指定して、特別支援学級などと通常学級の子供の交流や共同学習を進める、学校におけるインクルージョンに関する実践的研究に取り組んできたと承知しています。
 このうち豊島区では、区が指定した小学校の通常の学級と特別支援学級において、交流及び共同学習の充実に向け、多様な実践を重ねてきたと聞いております。
 そこで、豊島区における三か年の取組の成果について伺いたいと思います。

○落合特別支援教育推進担当部長 豊島区では、区が指定した研究校の全学年で、国語、算数などの教科における交流及び共同学習の研究を重ねてまいりました。
 研究においては、教科の単元の一部を取り上げる、個に応じた学習用プリントを作成する、指導計画や評価を通常の学級と特別支援学級それぞれに設定するなどの工夫により、交流及び共同学習を行いました。
 また、校内のシステムで児童の記録や教材等のデータを教員が共有、検索できるようにすることで、共同学習を円滑に進めてきたところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 研究事業においては、区市町村教育委員会や教員、保護者、児童生徒を対象としたアンケート調査を実施したと聞いています。
 そこで、アンケート調査結果から判明した課題についても伺いたいと思います。

○落合特別支援教育推進担当部長 調査の結果、通常の学級、特別支援学級、特別支援学校いずれの児童生徒においても相互理解が深まったなど、一定の成果が表れていることが分かりました。
 一方、区市町村の調査では、交流及び共同学習では、学校行事等の特別活動での取組が多く、教科での取組は、体育等の一部を除いては低調であることが明らかとなりました。
 また、研究地区の教員への調査では、約半数が交流及び共同学習に関する専門的知識やノウハウの不足を課題として感じることが分かりました。

○伊藤(ゆ)委員 この研究事業において、成果と課題がそれぞれ明らかになったとのことでありますが、それらを踏まえて来年度はどのように取組を行っていく予定であるのか、具体的な取組内容を伺いたいと思います。

○落合特別支援教育推進担当部長 令和五年度は、これまでの成果を生かしながら、より多くの自治体を対象とし、約十校において交流及び共同学習拡充支援事業を実施してまいります。
 実施に当たりましては、専門性向上のための教員向け研修や、これまでの研究成果を踏まえた個別の指導案等の作成を促してまいります。
 また、外部有識者を交えた連絡協議会を開催し、各自治体の取組の共有を図るとともに、教育手法等の普及を図ってまいります。

○伊藤(ゆ)委員 インクルーシブな教育というのは、やっぱり、障害のある子あるいはまた障害のない子それぞれが交流してお互いに助け合うというようなことも育まれることと思います。
 今回の研究事業、大いに参考にしていただいて、ぜひこれは様々なところで、その研究成果というものを活用してもらいたいというふうに思いますし、また、様々というか、多くの先生たちに理解を広めてもらいたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 支援員への都の補助について伺いたいと思います。
 私も最近になってちょっと勉強させていただいて、不勉強だったんですが、東京都は発達障害教育支援員への補助は行っていますよね。――いますと。
 一方で、発達障害以外のほかの障害に対して、都は支援員への補助を行っていないというふうに聞いていますが、この認識で合っていますでしょうか。

○落合特別支援教育推進担当部長 特別支援教育支援員につきましては、都からの直接の補助という形ではございません。

○伊藤(ゆ)委員 ですから、そうなると、ほかの障害に対する特別教育支援員に支払う予算というのは、基本的に、例えば区なら区ということになろうかと思います。
 こうなると、区もなかなか、財政的に豊かなところが限られていますので、中には普通級での就学を望む児童生徒に対しても特別支援学校での就学を進める傾向が、この予算の部分であるんじゃないかというふうに、お母さんたちやお父さんたちも感じているというふうに聞いています。事実、特別支援学校をすごく強く勧められた、しかし、できれば普通級で学ばせたかったと。支援員の問題が実はあるんだというようなことを、本音で区の職員から聞いたことがあるというようなことも私は伺いました。
 これは、行政の予算の都合から、普通級での就学を望む保護者や児童に特別支援学校を強く勧めるということはあってはならないのではないかと思います。
 都として、このような傾向があるというふうに理解をされているかどうか、まず伺いたいと思います。

○落合特別支援教育推進担当部長 就学先の決定までの過程においては、保護者と区市町村教育委員会の見解が必ずしも一致しない場合があることを伺ってございます。
 都教育委員会では、区市町村向けの説明会において、合意形成の重要性について周知するとともに、子供にとって最適な学び場を保護者が選択する際の参考となる保護者向けガイドの作成を進めているところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 これまで様々な経緯があって、この予算の負担を区がする、都がするということがあったんだろうとは思いますが、今の答弁のとおり、保護者と区市町村教育委員会の見解が必ずしも一致しない場合があるということは、都としても認識していただいていると思います。
 その背景は様々かもしれませんが、その一因として、この支援員の予算というものがあるんだとすれば、これは何とかしていただきたいというふうに思うところです。
 私は、様々な障害のある子供たちをサポートする特別教育支援員の予算は、やっぱり、ぜひ都が負担をするべきだというふうに考えております。支援員の増員と支援員への予算拡充が、障害を抱える子供へのインクルーシブな教育の確立につながると私は確信しています。
 都の見解を伺います。

○落合特別支援教育推進担当部長 特別な支援を必要とする児童生徒の支援を行う特別支援教育支援員の配置に係る経費については、国による地方財政措置で必要な経費が措置されてございますが、区市等は、地方交付税を含む一般財源の中から全額負担している状況がございます。
 区市等からは、地方交付税によらない財政支援を国に強く働きかけてほしいといった要望や、都においても財政支援を求める要望もございます。
 都教育委員会では、支援員の配置につきまして、区市町村が地域の実情に応じて計画的に配置できるよう、国の補助事業とし、区市町村の負担を軽減できるよう要望しているところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 二〇一二年のロンドン・オリンピックのときに、私は初めて言葉を知りましたが、ソーシャルインクルージョンという言葉がロンドン・オリンピックのキーワードになりました。そのソーシャルインクルージョンには、ヨーロッパならではの移民の皆さんに対するソーシャルインクルージョンの意味合いもあったと聞いています。
 いずれにしても、ソーシャルインクルージョン、社会全体で障害を抱えた子供あるいはその保護者世帯を包み込んでいくということが、まさしくこの文明社会における、また、先進国における東京のありようだというふうに思っています。
 ぜひこれは、今、区市町村から、国に働きかけてほしいという要望もあれば、都に対しても財政支援の要望があるわけですよね、実際。あるんだと思います。ですから、国に対してぜひ強く働きかけていただきたいと思いますし、同時に、国がなかなか動いてくれないということは、受動喫煙にしても子育て手当にしても幾多あったと思いますが、やっぱり、そういうときこそ東京都がまず率先して、国を牽引する形で動いていただきたい。これはもう明確にいえば、この支援員への予算は、ぜひ都で負担して、こうした行政負担あるなしが子供たちの学びの場の選択に影響しないようにしていただきたいということを強くお願い申し上げたいと思います。
 最後に、昨日の生活文化局の質疑でも申し上げましたが、グローバルな人材を育てていくという観点で伺いたいと思います。
 グローバルも様々ありまして、グローバルの押しつけとかいうことも最近は出てきています。いずれにせよ、まずは世界を俯瞰してみるということが非常に重要なことであろうかと思っていまして、私も、コロナがようやく明けましたので、昨年はウクライナのこともあったからポーランドへ行きましたし、韓国へ行って、ここのところ、またドバイへ行ったり、今年はフィンランドだエストニアだと、いっぱい行ってみようと思っています。
 やっぱりいろんなところへ行って、いろんなものを見てくると、海外のよさも分かりますけれども、実は、それよりも日本の優れたところも浮かび上がってくるようによく見えます。
 この間、海外に行ったときに、ある外国人にいわれましたけれども、とにかく日本語が美しいということをいわれまして、彼は三か国語ぐらいしゃべる人でしたけれども、やっぱり日本語みたいな言語は非常に珍しくて、難解な表意文字である漢字に対して、私は世界一の発明だと思いますけれども、仮名字というのをまず発明し、平仮名を発明し、それを組み合わせることによって、国民全体が日本語というものを使えるようにしたという歴史的な経緯があります。
 かつ、助詞があることによって、その置きどころによって、短歌も俳句も、助詞の置きどころによっても全然意味が変わってきますけれども、多様な表現方法があると思います。
 言語に限らずですけれども、先般は、これもちょっと昨日申し上げましたけれども、UAEのアブダビにルーブル・ドバイという立派な博物館があって、そこへ行ってきましたけれども、中世の甲冑とかがばあっと並んでいて、それもドバイのやることですから、世界中から立派な同じ時代の甲冑を全部集めてきているんですけれども、外国人の方が、特に西洋の方々がどこに一番集まっているかといったら、日本の甲冑ですよ。やっぱり、ああやって中世の時代の騎士といわれる人たちが着ていた甲冑を見ても、日本の武士が身につけていたあの甲冑というのは、ちょっと特殊な、特別な美学みたいなものがそこから伝わってきます。
 こういうのも、海外へ行って見てみるとよく分かるんですけれども、江戸東京博物館で見ていると、いつも見ている光景になってしまって、相対化できないということがあります。
 すみません、長くなりましたが、何せグローバルな人材をつくるというのは、単に海外から物を入れてくればいいということだけじゃなしに、日本の置かれている立場を、よく海外に行くことによって相対化すると同時に、日本の強み、何を子供たちに伝えてあげなきゃいけないのかということも、海外へ行くとよく分かるような気がします。
 ぜひ、これも隗より始めよで、子供たちに大いに海外に行っていただくことも大賛成ですけれども、まず、やはり都庁の職員、東京都教育庁の皆さんに、コロナがようやく明けてきましたので、大いに海外に行っていただいて、そして視察をしていただくことによって、いろんなものを学校の教育現場に伝えていただいて、また、学校の先生たちなんかも、できる限り連れていっていただきたいということをお願いしたいと思います。
 この海外に職員が飛び立っていくということについて、教育長の見解を最後に伺いたいと思います。

○浜教育長 都教育委員会では、グローバル人材の育成に向けまして様々な事業に取り組んでおります。ただ、この間、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、海外派遣などの国際交流は大変制約された状況にございました。
 今年度半ばになりまして、ようやく少しずつ再開ができておりまして、ヨーロッパや中東に生徒、高校生などを派遣するということもできておりますし、まさに昨日、オーストラリアに向けて高校生が出発をいたしまして、今朝早く無事に到着したという連絡もあったところでございます。
 このように児童生徒を海外に派遣するに当たっては、それに先立ちまして、都教育委員会の職員が現地に赴きまして、直接、どういうところに生徒を訪問させるか、どういうところを見せるか、あるいは、どういうことに気をつけたらいいか、どういう方のお話を聞くのがいいかなどなど、実際に調査をし、調整をし、意見交換をするということが大変重要になっております。
 これは準備でもありますけれども、職員自身にとっても大変有意義な機会となっております。
 こうしたグローバル人材の育成は、おっしゃるように、まず、職員もグローバルな感覚を持っていなければ十分できないということでございますので、こうした職員の海外派遣につきましても、できるだけ機会を捉えて進めてまいりまして、職員自らも国際感覚を身につけられるように教育委員会を挙げて取り組んでいきたいと思います。

○伊藤(ゆ)委員 ありがとうございました。ちょっと長い質疑になりましたけれども、たくさんの力強いご答弁をいただきました。
 最後に、海外に行って、この間、韓国のエンタメの経営者、事業者の方とお話ししましたら、韓国のエンタメの強みは何かといったら、マーケットを世界に持たないと絶対売れないということです。
 やっぱり日本のマーケットは……

○入江委員長 伊藤委員、申告時刻が過ぎておりますので……。

○伊藤(ゆ)委員 過ぎましたか。分かりました。
 いずれにしても、海外を見ていただいて、ぜひ多くの方々に共有していただければと思います。
 以上にします。

○北口委員 私からは、英語教育についてまず伺わせていただきます。
 グローバル化が進む国際社会に生きる子供たちにとって、英語を用いて様々な人々とコミュニケーションを図りながら課題を解決する力を身につけるということは極めて重要だというふうに思います。
 英語の話す力を身につけるためには、英語を話す機会を増やすことが効果的であろうかというふうに考えております。
 都教育委員会では、いつでも、どこでも、誰でも英語を学習できる環境と、英語で交流する機会を充実させることで、自分の考えや意見を英語で発信する力の強化に取り組んでいるというふうに伺っております。今年度実施したこのESAT-Jも、そのための取組の一つだというふうに理解をしております。話す機会の創出のために、こうした取組は大切だというふうに考えております。
 来年度、都は、中学校において、中学一、二年生でもスピーキングテストを実施するということですが、まず、その目的をお伺いいたします。

○瀧沢指導推進担当部長 小学校において身につけた英語の話すことの力を把握しまして、小学校までの学習の成果を中学校に円滑に接続をしていくとともに、各学年の学びの連続性を意識した指導を行うために、次年度、中学校一年生、二年生におけるスピーキング力を測るテストとして実施をいたします。

○北口委員 英語の話す力、このスピーキング力を測るテストとして実施するとの答弁でございました。こうした取組を通して、生徒児童の各自の能力に合わせた指導がより充実していくことを期待しております。
 また、大事なのは、こうした取組が英語を話す機会の創出にしっかりとつながっていくことであり、さらには、子供たちが英語を話すことが楽しくなるということだというふうに感じます。これを機に、ICTなども活用しながら、子供たちがもっと意欲的になって英語で話すことが楽しくなるような、さらなる工夫が教育の現場で進むことを期待しております。
 関連しまして、次に、都立高校における取組についてお伺いをいたします。
 中学生が身につけてきた英語の話す力を、都立高校入学後もさらに伸ばしていくことが必要でございます。
 都立高校においては、次年度、オンライン英会話の取組を拡充していくとのことですが、その目的と具体的な取組内容をお伺いいたします。

○瀧沢指導推進担当部長 オンライン英会話でございますが、ネーティブの講師と一対一で対話する機会を拡大しまして、使える英語力や積極的な態度を育成することを目的として実施をいたします。
 これまでGlobal Education Network20指定校で実施をしてまいりましたが、令和五年度は、全ての都立高校等に対象を拡大いたします。
 具体的には、英語の授業の中で実施をするほか、各学校の状況に応じて、例えば放課後や各家庭で、資格、検定試験の対策であるとか夏期講習、海外派遣前の実践練習、在宅での宿題などとして柔軟に活用できるようにしてまいりたいと考えております。

○北口委員 オンライン英会話を、全ての都立学校に対象を拡大するとのことでありました。ありがとうございます。また、各学校の状況に応じて、取組も柔軟に活用できるようにするという答弁でございました。
 子供たちにとって、先生以外でネーティブに触れる貴重な機会となります。予算もかかることではありますので、いろいろと制限のある中での実施になるかというふうにも思いますけれども、昨年の取組の成果も踏まえながら、少しでも定期的に、また継続的に取組が進みますよう要望しておきます。
 また、あわせて、私立の中高一貫校などでは、中学のときから、このオンライン英会話に取り組む学校もあるというふうに聞いております。公立の中学校でも、こうした取組が積極的に進みますように、区市町村の教育委員会とも連携して取り組んでいただきたいというふうに要望しておきます。
 次に、STEAM教育についてお伺いをいたします。
 従来の理数教育は、科学、技術、工学、数学を融合したSTEM教育の視点から探求的に学ぶことが重要というふうにいわれてまいりました。近年は、これに芸術を加えたSTEAM教育が重視されるようになり、科学的な思考のみならず、創造力とデザイン力まで含め、総合的な力が求められております。
 将来、グローバルな視点で世界の研究者たちと協力をして、多様性を尊重し、創造力にあふれ、そしてまた課題解決に臨むことができる真のグローバル人材の育成が重要でございます。
 来年度、都は、都立高校生を対象にSTEAM教育を柱とする海外交流を実施するとのことでございますが、具体的な内容についてお伺いいたします。

○小寺指導部長 来年度、都教育委員会は、世界水準のSTEAM教育に直接触れることができるよう、希望する都立高校生四十人程度をアメリカやヨーロッパの国々に派遣いたします。
 派遣先では、世界トップランキングの大学で行われる理工、芸術系等の講義への参加や、最先端の技術で世界をリードする企業の訪問など、現地でしか体験できない機会を設けることといたします。
 こうした取組を通して、生徒の論理的思考力や創造性を高め、将来の科学技術立国日本を支える人材を育成してまいります。

○北口委員 こうした取組を通して、次世代のグローバル人材の育成につなげてほしいというふうに思います。
 大事なのは、交流後、生徒たちが認識を新たにしたり、目標を確認したり、自身の変化を実感したそのときに、そこをしっかり捉まえて、寄り添って育てていくことだというふうに考えます。大切な機会ですので、海外交流のその後の取組にもしっかりと取り組んでいただきますよう、要望させていただきます。
 次に、プログラミングコンテストの取組についてお伺いをいたします。
 これからの子供たちは、多様化、グローバル化がますます進んで、情報があふれる世界の中で生きていくことになります。さらに、デジタル技術の急速な進歩の中で、その仕組みを理解し、使いこなしていくことも求められます。
 もっといえば、IT関連で世界で活躍する人材を求めるならば、あらゆる機器に搭載されるソフトウエアの仕組みを理解して、その重要性を認識する必要があります。
 令和五年度、都教育委員会は、都立高校においてアプリ開発等のソフトウエア開発環境整備を行うとのことですが、その取組と狙いについてお伺いをいたします。

○篠企画調整担当部長 令和五年度、都立学校の生徒が利用している統合型学習支援サービスの付加機能として、モバイルアプリの開発環境を、都立高校生五千人を対象に提供いたします。
 こうした環境を活用し、生徒は、文化祭や体育祭の開催に当たっての情報提供を行うなど、学校生活における身近な問題を解決する手段としてアプリを開発いたします。
 こうして自らが開発したアプリを生徒同士で共有、利用し、自分のアプリが実際に役立つ体験をすることで、プログラミングの力で社会の課題を解決しようとする意欲を高めてまいります。

○北口委員 アプリの開発環境を都立高校生に提供して、アプリ開発を通して課題解決を図る力を向上させていくということでございました。何とぞよろしくお願いいたします。
 ソフト開発に触れることによって、現在のテクノロジーの基盤を理解する一助になることはもちろんのこと、柔軟な発想、論理的な思考力や課題解決のための原因の考察力など様々な力が養われます。
 こうした取組で生徒の積極的な姿勢や興味を湧き出させるためには、プログラミングスキルを発表する場も必要かというふうにも思います。都教育委員会は、開発したアプリの発表の場としてプログラミングコンテストを実施するというふうに聞いております。
 コンテストの結果を広く周知をして、アイデアを共有したりするべきというふうに考えますけれども、見解を伺います。

○篠企画調整担当部長 都教育委員会は、高校生がアプリを開発するスキルを切磋琢磨する場として、テーマごとにアプリを募集し、有識者が審査するコンテストを実施いたします。
 コンテストにおける優秀作品を公開して、アプリ開発のアイデアやプログラミング技術を共有し、高め合うことで、高校生のデジタルを活用した問題解決力の育成を図り、デジタル人材の裾野を広げてまいります。

○北口委員 ありがとうございます。こうした取組を通して、STEAM教育が一層推進し、世界を舞台に活躍する人材がこの東京都から陸続と輩出できることを期待して、次の質問に移ります。
 最後に、送迎バスの安全装置について質問いたします。
 この委員会でも質疑がありましたけれども、昨年九月、静岡県の認定こども園での送迎バスの園児の死亡事故がありました。これを受けて、国において置き去りを防止する対策が検討され、保育園や幼稚園に加えて、特別支援学校の送迎バスについても安全装置の設置が義務化されることになったと承知をしております。
 都立特別支援学校のスクールバスについても安全装置の整備を着実に行う必要があると考えますけれども、都教育委員会の取組について伺います。

○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、都立特別支援学校のスクールバスの安全装置設置を計画的に実施しております。
 今年度運行しているバスのうち、来年度も契約が継続するバスにつきましては、令和四年度補正予算を活用して安全装置の設置に着手してございます。
 令和五年度予算では、装置の市場への供給状況を踏まえながら、四月以降、速やかに残る全てのバスに安全装置を設置してまいります。

○北口委員 スクールバスに児童生徒が取り残される事故を防ぐために安全装置を設置することは大変有意義でございます。
 ただ、機械任せにするのではなくて、児童生徒が降車した後のバスの車内を、しっかりと人の目で確認することも重要です。
 また、特別支援学校のスクールバスにおいては、児童生徒の障害特性による衝動的な行動や自傷他害など、様々な車内トラブルも発生していると承知しておりまして、こうしたトラブルを防ぐ観点からも、学校にバスの安全運行のための人員を確保することが必要だというふうに思いますが、都の見解をお伺いいたします。

○落合特別支援教育推進担当部長 児童生徒等のバス車内への取り残し防止や車内の安全確保のためには、障害特性等を把握している学校職員がバス事業者の添乗員等を支援することが必要でございます。
 都教育委員会は、来年度、障害のある児童生徒の指導等の経験がある方をスクールバス安全運行支援員として都立特別支援学校に新たに配置し、バスの降車確認のほか、バスに定期的に乗車して運行事業者に助言等を行うことで、スクールバスの安全確保体制を強化してまいります。

○北口委員 ぜひ安全対策をしっかりと進めていただければと思います。
 なかなかバスの安全装置が入手できないというような話も聞いております。速やかにできるようにぜひお願いして、質問を終わります。

○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
 私からは、まず、英語スピーキングテスト、ESAT-Jについて伺っていきたいと思います。
 初めに、二月九日の文教委員会に引き続いて、個人情報取得の問題について伺います。
 なぜ個人情報取得の問題にこだわるかといいますと、ESAT-Jの申込みに当たって、情報漏えいを何度も起こしているベネッセのサイトに、顔写真を含む個人情報を選択の余地なく登録させられる、保護者の同意はいいかげんである、サイトの利用規約などには都教委の免責事項が満載である、誰が個人情報の取得者なのかもすっきり説明がされないまま情報を提供しなければならなかったという、生徒の個人情報や権利が尊重されているとはいえない状況で、事業だけはどんどん進められて、保護者も都民も怒りを感じているからです。
 前回の質疑では、ESAT-Jの事業は協定に基づくものですが、個人情報の取扱いは、都教委からベネッセに委託する形式を取って実施しているとの答弁がありました。
 委託形式にしたのはいつからか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 本事業に関する基本協定を締結した令和元年からでございます。

○とや委員 つまり、事業を開始した当初からだというご答弁でありました。
 それでは、なぜ委託する形式としたのか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会と事業者は、協定等で役割分担を定めながら中学校英語スピーキングテスト事業を進めており、個人情報の取得と管理に関する業務については、協定等に基づく事業者の役割として、法令等に従って適切に取り扱っております。

○とや委員 非常に分かりづらい答弁でありました。
 では、ご答弁でいう協定等とはどの文書をいうのか、また、法令等とは何を指しているのか、お示しください。

○瀧沢指導推進担当部長 募集要項と基本協定その二、また法令等とは、個人情報の保護に関する法律、同法施行令、個人情報保護に関するガイドラインでございます。

○とや委員 つまり、募集要項と基本協定で、個人情報を扱う申込みなどの業務は事業者、つまりベネッセの役割としたから、それが委託形式で法令に従って適切にやっているんだということですね。
 法令等とは、個人情報の保護に関する法律です。その施行令、国の個人情報に関するガイドライン、要するに法律に関連する一連のものだと理解しました。
 私も、募集要項と基本協定を確認しましたが、個人情報保護法やその施行令、ガイドラインを法令等というと定義されております。事業者、つまりベネッセは、個人情報を取り扱うこととなった場合は法令等を遵守すると記載されておりました。
 そこで、大きな疑問が生じます。
 最初のご答弁のとおり、令和元年の基本協定、つまり事業の最初の段階から、個人情報を取得する主体は東京都で、ベネッセはその取扱事務の委託を受けているのだとしたら、なぜ募集要項や基本協定の法令等が、個人情報保護の法律やその施行令、ガイドラインのみと定義されて、都の個人情報保護条例が含まれていないのか、お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、事業者に対し、個人情報の保護に関する必要な措置について、事業者応募の段階で、募集要項に個人情報保護法、同法施行令及び個人情報保護に関するガイドラインを遵守することを明記しております。
 また、基本協定、その後に交わした覚書においても、事業者に対し、募集要項等で定めた個人情報の取扱いの規定を遵守するように定めており、個人情報保護の取扱い、必要な措置については、十分に事業者に対して明示をしております。

○とや委員 個人情報の扱いは、民間事業者が自分自身で保有する個人情報であれば個人情報保護法です。東京都が保有し、その取扱いを事業者に委託するのであれば、都の個人情報保護条例に従って行うことになります。
 個人情報の所有者が誰であるかによって、適用される法律や条例は違います。都教委が個人情報の取得の主体で、ベネッセにその扱いを委託するのであれば、その扱いは条例に基づくことになりますから、募集要項などでベネッセに遵守を求める法令の中には、必ず個人情報保護条例を含んで記載されるはずなんです。
 ところが、実際には条例のジョの字もないわけですから、基本協定締結当初から、都がベネッセに個人情報の取扱いを委託しているとはいえないんじゃないでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になりますが、スピーキングテストにおいては、個人情報の取得と管理に関する業務については、協定に基づく役割分担として事業者が適切に取り扱うこととしており、また、令和四年度の本試験に向けて、覚書として改めて明文化をしております。

○とや委員 先ほどと違うことをいいましたよね。説明になっていないと思います。
 裏返していえば、基本協定を締結したときから委託形式だったとすれば、それにもかかわらず、都教委はベネッセに個人情報保護条例をきちんと守って仕事をするように求めていなかったわけです。条例の遵守の義務づけがないまま、三年も個人情報を取り扱う仕事をさせていたことになります。
 いかがでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、都教育委員会と事業者は、協定等で役割分担を定めながら中学校英語スピーキングテスト事業を進めており、個人情報の取得と管理に関する業務については、協定等に基づく事業者の役割として、法令等に従って適切に取り扱っております。

○とや委員 法令というのは、先ほどおっしゃったじゃないですか。法令というのは法律なんですよ。
 募集要項での法令の定義の中に条例は入っていません。そもそも、条例に基づいて都の所有する個人情報の扱いを委託する場合は、契約書や協定等に、安全管理、秘密の厳守など、個人情報保護について必要な事項を明記する、受託者等に個人情報保護について責務を課すことが通達されているんです。
 しかし、基本協定には法令等、つまり法律、施行令、ガイドラインを守るようにと、ごく一般的な内容が書いてあるだけです。
 それで基本協定を締結したときから委託形式で仕事をさせてきたというのであれば、都教委は、個人情報保護条例第八条の委託をするときに必要な措置を講じていないということになるのではありませんか。大問題だと思いませんか。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しになりますけれども、これまで、募集要項、それから基本協定その二において、法令等に基づいて個人情報については扱うことというふうにしており、ご指摘は当たらないというふうに認識をしております。

○とや委員 法令等というのは個人情報保護法です。条例は書いてありません。協定にも書いてありません。
 現に東京都は、昨年の八月二十二日、先ほどちらっといいましたけれども、都教委が個人情報の取得者で、ベネッセは個人情報を取り扱う事務の委託を受けたものとするという覚書を結んでいます。そこには東京都の個人情報保護条例に従うことと、ここにはきちんと記載されていました。
 その後に結んだ実施協定と実施計画には、個人情報保護の取扱いについてベネッセが遵守すべき事項が、二ページ以上にわたり、非常に細かく書いてありました。そうしなければ委託をしたことにならないからしたのじゃないですか。
 基本協定には、そのようなものが一切ありません。募集要項にもありません。その二にもありません。同じ委託をしたのだといわれても、通るものではありません。
 そして、八月二十二日に個人情報取得者との取扱いの委託を覚書で決めたとしても、七月七日からESAT-Jの申込みが始まっていますが、この時期は覚書のない状態で行われていたんです。遡って適用させることはできません。
 七月七日からのESAT-Jの申込みに当たっての生徒の個人情報の収集は、どの角度から見ても不適切だとしかいえません。だから、実際に申込みをした保護者や生徒たちも、違和感を覚えて納得ができないんです。
 これまでの質疑で、浜教育長も瀧沢部長も、個人情報の取得について、事業者に個人情報保護法、同施行令及び個人情報保護に関するガイドラインを遵守するよう、募集要項や基本協定に明記してきた、求めてきたと、先ほどから繰り返し答弁してきました。しかし、都の個人情報の収集管理を委託していると主張しているのに、条例に従うよう明記をしてきた、遵守を求めてきたとは一言もおっしゃっていません。やっていないからです。ここに大きなごまかしがあるといわざるを得ません。
 これで今後もESAT-Jを続けることは断じて認められないと、厳しく申し上げておきます。
 次に、採点ミスについて伺います。
 前回の質疑では、作業の経費自体は間違いなくかかっている、それをどのように負担するのかは協議しているというお答えをいただきました。
 費用については、今回、東京都の持ち出しはないということで間違いありませんか。それはベネッセのミスということでしょうか。
 また、どこに原因があって音が取れなかったのかなど、その原因はお分かりになったのでしょうか、お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 採点業務は、協定で事業者が行うことになっておりますので、今回かかった費用、これは事業者が払うということになります。
 また、原因については、現在、調査中でございますけれども、機器の不具合であるということが今は想定されております。

○とや委員 今のお答えを聞いて、東京都の持ち出しはない、協定にも分担金要項にも記載されていると。業務として、問題の策定とか、採点業務がされるからということだったんですが、再度点検をするということはどこにも書いていません。あるのは、募集要項で、点検を行える体制を確保と一般論が記載されているだけです。
 だから、負担の在り方を協議されてきたんだと思いますけれども、ベネッセの採点システムや、この採点の体制が危ういんじゃないかというふうに思います。根本的に見直しが求められていると思います。
 そこで、採点のシステムそのもの、どういう採点をしてきたのかについて改めて伺っていきたいと思います。
 ESAT-Jの採点ミスについては、最初からいろいろな可能性を想定して、七万人を万全の体制でやってきたとおっしゃっていました。
 しかし、想定外の事故が起きて、事態が起きて、採点システムが対応していなかった、こういうことがあると。こういうことがあると、ほかにも欠陥があるんじゃないかというふうに懸念します。
 そこで伺っておきたいのですが、生徒の解答音声について、プレテストの段階で今回のような再点検はしたのでしょうか。なぜプレテストの段階で採点システムに問題があることを発見できなくて、今回発覚したのか、教えてください。

○瀧沢指導推進担当部長 令和四年度において、つまり今年度においては、都立高校入試への活用などに向けて万全を期すために、予備日の結果返却以降も、受験者全てについて、予定していた解答音声データの再確認を行ったということでございます。
 また、今回、評価の修正を行った解答音声データは、一定の機械音のみが録音されているという、解答音声が部分的に確認できない箇所があるというもので、受験者が無解答なのか、あるいは機器の不具合なのか、判別が難しいという事象であるということが原因でございます。

○とや委員 要するに、今年度は都立高校入試への活用があるから、万全を期すために解答音声データを全部再確認したということで、プレテストのときは、同じような再確認はしていなかったということでよろしいですか。確認します。

○瀧沢指導推進担当部長 プレテストのときにも点検を行っているのですけれども、今お話ししたように、帳票を返した後に改めてやるということは、昨年度は行っていません。
 そういう意味では、今年は万全を期すためにもう一度やったということであります。

○とや委員 要するに、プレテストの段階では、今回と同じような、全員の生徒たちの解答音声のデータの再確認はしていなかったということです。何のためにプレテストをやってきたのかと思います。
 度々この問題については指摘されているんですが、検証を何度も何度も重ねてこそ、万全の体制といえるんじゃないかと思います。それもしないで八万人を一度にテストする。もうぶっつけ本番でやったわけです。それが本当に危険だということだと思います。
 それにしても、まだ腑に落ちないことがあります。八人の修正が今回あったということですが、問題は八問です。八人の八問を採点した。その採点者は二名ですから、これを掛け合わせていくと、最大百二十八人の採点者が機械音の入った解の音声データとして採点したことになります。
 機械音が聞こえれば、おかしいと思ったり、バックアップデータの確認をするんじゃないでしょうか。採点を返す前に、問題はもう発覚していたんじゃないのでしょうか。なぜそれだけ多くの採点者がおかしいと思わず、採点を完了してしまったのでしょうか。お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になりますけれども、今回は、修正を行ったそのデータですけれども、それは一定の機械音のみが録音されているということで、部分的に確認できない箇所があったという状況でした。
 ですので、機械の不具合であれば、通常は何の音も入らないわけですが、そうじゃなく一定の機械音は入っていたということなので、生徒が何も話していないのだというふうに判断されたと。それは統一してされたと。
 ですから、無解答であれば、ちゃんとバックアップデータに当たるという仕組みにしているわけですけれども、そこをすり抜けてしまったという例があったということで、判別が困難な事象であったというふうに考えています。

○とや委員 それは前も聞いているので、分かっていて質問をしているんです。私がいっているのは、この間ずっと、二人体制でやる、あるいは、その人たちが分からなくても次の人がいるということで人間が採点してきたと。人間が採点をしていれば、どこかで気がつくはずじゃないかということなんです。採点システムに瑕疵があったとしてもですよ、ルールに。プロの採点者であればなおさらです。ところが、今回は、それに気がつかず、違う判断をしてしまったというわけです。
 そこでお聞きしておきたいのですが、都教委は、フィリピンの優秀な採点者が二名、不測の事態に備えてもう一名、三名体制で採点を行う、ちゃんと人間が採点するんだと、この間、繰り返し説明してきました。
 この採点体制について、前回の質疑でAIは使っていないというご答弁がありました。機械を使っているんですかと聞かれましたよね。AIは使っていませんとおっしゃったわけですが、では、AI以外の機械採点をしたのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 AI以外の機械採点というのは、ちょっと何を指すのか分からないので、繰り返しますが、AI採点はしていません。

○とや委員 AI以外の機械採点というものはないということですか。機械で採点していないのですか。それを聞いているんですよ。
 何かプログラムしたようなもので、AI以外の機械で採点しているか、していないか、答えてください。

○瀧沢指導推進担当部長 これまで繰り返し答弁してきたように、採点センターの限られた採点委員が採点しているということであります。
 あわせて、AIでの採点は行っておりません。

○とや委員 採点センターの資格を持ったプロの人たちが採点してきたということは聞いています。
 設問の中の部分的な部分でも、機械が採点したことはないのですかと聞いているんですよ。機械で採点していないのですか。そこを聞いているんです。教えてください。

○瀧沢指導推進担当部長 かみ合っていないということはないと思うんですけれども、採点は採点委員が行っているんです。ですから、それ以外は採点していません。採点委員が採点しているんです。

○とや委員 じゃ、人間以外は採点していないという確認でいいのですか。採点をしてきたのは全て人間であって、機械は一切入れていないということでよろしいのでしょうか。
 もう一回お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しですが、採点は採点委員が行っているわけです。それ以外にAIのような採点も行っていません。(とや委員「ほら、そうやっていうでしょう」と呼ぶ)AIでの採点も行っていません。

○とや委員 AIのことを聞いているんじゃないんですよ。AI以外はどうなんですかと聞いているんですよ。何でちゃんと答えられないのですか。
 採点は採点委員でやっているのは分かっています。AI以外の採点の機械は入れていないんですかと聞いているんですよ。

○瀧沢指導推進担当部長 AIのことは、協定に記載があるので、いっているだけであって、同じことをいっているわけで、採点は採点委員が行っているのですから、それ以外のものは行っていないんです。

○とや委員 分かりました。機械は入れていないということなんですね。
 今回のことを考えたときに、なぜかAIを出してきていて、機械採点はしていないのかと聞いたときに、AI採点はしていないというふうにお答えになりました。じゃあ、ほかの機械は使っているのかなというふうに思いましたが、そうでないということで、それはそれで問題だと思いますよ。
 最低でも八人違えたわけだから、人間が百二十八人も、延べでそれだけ人間が関わって採点しても、それが気がつかなかったということです。これはこれで問題でありますし、きちんと検証をしていただきたいというふうに思います。
 データの開示について伺います。
 個人情報保護条例に基づく開示請求なのかどうか、任意で開示請求だというお話を聞いているんですが、先ほどの質疑で、開示データは加工したものであるということ、それから個人情報保護条例上の開示もできることが確認をできました。そうですね、個人情報保護条例に基づく開示もできるということでありました。
 そこでお聞きしたいのですけれども、この場合、都教委が個人情報のデータを生徒に提供する場合、抽出処理をするということをおっしゃっていました。
 抽出処理をするということはどういうことなのか、教えてください。

○瀧沢指導推進担当部長 今、理事のお話の中で、若干、正確に確認しておきたいと思うのですけれども、開示ができるというふうにいっているわけではなくて、条例に基づいて開示請求はできるということをお答えしたわけです。それがどうなのかというのは、また別の問題だと思います。条例に基づいた対応をすることになると思います。
 それから、抽出処理がどういうことかということについてですけれども、受験者本人の音声のみを取り出し、本人の音声を確認できることができるようにすることでございます。

○とや委員 本人の音声だけ取り出すということであれば、元のデータではなく、別のデータが本人に提供されるということでした。
 先ほど、ちょっと私、聞き逃したのですが、そもそも音声データの開示の目的を教えてください。

○瀧沢指導推進担当部長 生徒の学習に役立てるということが目的であります。

○とや委員 生徒の学習に役立てていくためと。これはアチーブメントテストという意味もあるので、そのようにおっしゃったのだと思います。
 今後の学習、スピーキング力の向上に活用するという目的であるというのであれば、なぜ開示の実施時期を別々にしたかという疑念が生じます。先ほどもお話がありましたけれどもね。
 都立高校の不合格者は三月六日からで、合格者は五月一日からです。どうしてこの二つに分けたのか、教えてください。

○瀧沢指導推進担当部長 先ほど答弁したとおり、繰り返しになりますけれども、申請を受けて、その後、返せるデータの処理をして、そして、個人にURL等々を返すという一連の作業が必要なわけです。その作業に一定の期間がかかります。
 受験者が非常に多い中で、どれぐらいの申請があるかということも、初年度で分からないという中で、円滑に返却ができるというために区間を分けたということであります。
 なぜ、先ほど理事がお話ししたような分け方をしたのかということについては、入学者選抜の方の開示でそのようにしているので、その方が分かりやすいだろうという配慮をして、今年度はそういう仕組みでスタートしたということでございます。

○とや委員 分かりやすいだろうと。先着順で受け付ければいいんじゃないですか。開示請求が出たら、生徒が次々と申込みをして、先着順で受け付けていけば、それはそれで済むと思うんですね。
 分かりやすくするためにということですが、不合格者は三月六日から開示するというのは、私は入試の透明性の確保というふうに思ったのですけれども、そういうことはお考えにはなっていなかったのですか。

○瀧沢指導推進担当部長 開示する、音声を提供する目的は、先ほどからお話ししていますように、あるいは桐山理事からもお話がありましたように、ぜひ学習に生かしてもらいたいということでずっと検討してきて、ようやくこの時期に可能になったというものであります。
 それ以外に、何かこの音声が返ってくることによって意味があるということで活用していただくことは、それはそれぞれの方の受け止めかと思いますけれども、私たちのやってきている最大の目的というものは、受験者に返すことによって、ぜひ今後の学習に生かしてもらいたいということであります。

○とや委員 私は、三月六日にしたのは、やっぱり入試の透明性の確保ということもあったんじゃないかと思います。そうであるとしたら、抽出したデータではなくて、採点したデータを開示するべきだというふうに思います。
 いかがでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 先ほどお話ししたように、本人のみの音声にして返すということは、個人情報の保護の観点から、法令を遵守するという観点から必要なことなのでやっているということであります。

○とや委員 先ほども桐山委員もおっしゃっていましたけれども、やっぱりどういう声がどのように入っていたのか、どういう状況で採点されたのかということを生徒たちは知りたいわけですよ。
 そういう意味では、任意開示であったとしても、個人情報保護条例上の開示であったとしても、採点データをそのまま生徒に開示すべきだというふうに考えます。これは強く求めておきます。
 次に、学習アドバイスなど、PDFが公開されています。この問題です。
 私、代表質問に今回立たせていただきましたが、都教育委員会は、生徒一人一人に対して、スコアや到達度、学習アドバイスが記載された結果帳票を返却するとともに、採点基準や解答例をホームページで公表しておりますというふうに答弁されて、現在、区市町村教育委員会にも送り、学校のホームページにもアップされています。
 令和四年度中学校英語スピーキングテスト、ESAT-J各パートにおける解答例と、英語力アップのためのアドバイスを公表しているわけですが、この二つの資料を開くと、GTECという文字がソースに表示されるということで、都民から問合せが来ています。
 どういうことか、ご説明ください。

○瀧沢指導推進担当部長 今、理事がお話を紹介してくださいました資料を作成するに当たって、都教育委員会がその資料を作成するに当たりまして、事業者から基礎資料の提供を受けました。実際の解答例、このデータを受け取ったということです。
 その際に、当該の文書ファイルのプロパティー情報にGTECという表記があったということでございました。
 文書ファイルの内容を全面的に書き換えて作成したわけですけれども、そのプロパティー情報が自動的には書き換えられないということのために、元のプロパティー情報が残ったままになり、文書ファイルに残ってしまったということが状況であります。
 このため、文書ファイルの内容とプロパティー情報というのは、もちろん全く関係はございません。

○とや委員 違う、関係ないといわれても、もともとGTECの資料を使っていたわけですよ。オリジナルで作ってきたというふうにおっしゃりたいのかもしれませんけれども、GTECという名称が出ている以上、ESAT-Jと無関係ということの証明にはなりません。
 この解答例やアドバイスは、一体、誰が作ったのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 先ほどもお話ししましたように、実際の解答例を受け取って、それを基に都教育委員会が作成したものです。

○とや委員 都教育委員会が策定したということですが、私は確認しましたら、先ほどプロパティー情報が残っていたとおっしゃいましたけれども、最近になって、GTECの文字を消したり、なぜか区市町村教育委員会の資料の部分をクリックすると都教委のホームページに飛んでしまったりと、あえてGTECの文字を消して違うものと差し替えているのはなぜでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 事のてんまつについては、先ほどお話ししたとおりであります。プロパティーにGTECという文字が残っているということは、修正といいますか、こちらは都教委が作ったファイルですので、それが表示されるのが望ましいということで、都教委のページに上げているものはそのようにしています。
 それ以外の区市町村等々が対応しているかについては、それぞれで判断していただいているものだと考えております。

○とや委員 都教委のホームページに上がっている資料については、作成日が、区市町村教育委員会のホームページ、学校のホームページに上がっている資料と同じでした。だけれども、更新日が違っていました。ですから、都教委だけが直したのかなということは容易に分かります。
 GTECの名前があったということは、もともとGTECの解答例として作られたものを書き換えて保存したのではないでしょうか。ESAT-Jのオリジナルとして新規作成したものであれば、あえてGTECとは入れないのじゃないですか。
 GTECとして作成されたものに手を加えて作成したのではありませんか。

○瀧沢指導推進担当部長 そのようなことは全くございません。都教育委員会の担当者が時間をかけて作った資料であります。
 ただ、あの資料の性格からして、実際に使われた多数の解答例が、それぞれがどのように評価されるのかということを示す必要があったので、事業者から情報を提供したと。その提供されたファイルのプロパティーがそのまま残っているということであって、今のような臆測に基づくお話というのは、担当者も非常にやっているわけですから、そのようなことは全くないということを断言します。

○とや委員 要するに、GTECの資料を使っているんですよ。駄目ですよ、そんなことをいったって。
 都内の中学校に送られているものを、もう私も確認をさせていただきました。名古屋大学の大名力教授をはじめ、都民も確認をしています。複数の学校のホームページのタブにGTECと表示されていることを確認しています。普通は、GTECという文字が出てくるわけはないんですよ。おかしいですよ。
 これまで、今も部長はおっしゃいましたけれども、GTECとESAT-Jは似ていても違うと。そういってきた都教委の主張に、さらに不信感が湧くことになったわけです。
 もっといえば、ESAT-Jの対策として、GTECをやればよいと思わせるようなもので、利益相反だといわれても仕方がありません。
 都教委は、この間、ベネッセのホームページにSupported by GTECとあったとき、入試や検定に役立つと表示されていることで、利益相反そのものと、うちの星見都議に指摘されて、基本協定で厳しく指導することになっていると答弁をしました。しかし、協定書にはそんな内容はありませんでした。慌てて後から覚書を結んだのです。
 そのことを、その後、指摘した私の質問に対しても開き直りました。
 九月のアオヤギ都議の質問では、ベネッセと協定を結んで、この試験を実施準備してきたことは事実だといいながら、規模が小さいときは、協定を結んでいる事業者が使うシステムを有効に活用、安定的に活用するという観点からやってきたという話でした。
 その後、プレテスト、確認プレテスト、年度を追って拡充してくる中で、名称を新たに与え、独自の試験であるということについて丁寧に周知をしてきたとお答えになっています。丁寧に周知してきたとお答えになっているんですよ。
 先ほどのアオヤギ都議の質問でも、IRT、等化がGTECによるものであること、CEFRの対応づけなどの指摘がされましたが、それも否定をしています。
 ところが、今回、生徒に配布する解答例と英語力アップのアドバイスにGTECと出てきたわけです。
 GTECとESAT-Jは違うと、どれだけ言い訳をしても、GTECとESAT-Jは同じではないかという声が上がるのは当然だし、疑念が晴れるどころか、ますます深まっております。
 GTECの問題作成に関わっている人がESAT-Jにも関わっているからこそ、ESAT-Jの解答例のプロパティーにGTECと出てきているのではないでしょうか。そうだとしたら、本当に利益相反もいいところです。
 民間事業者の利益のために公教育を利用するようなことはやめるべきです。これについても厳しく指摘をしておきます。
 逆転現象について伺っていきたいと思います。
 今回の都立高校受検生は何人だったのでしょうか。そのうち英語スピーキングテストを受験していないのは何人ですか。その中でスピーキングテストの受験対象者でない者、受験者の措置申請承認書の交付を受けた者、それ以外の人は、それぞれ何人か、教えてください。

○村西都立学校教育部長 令和五年二月二十一日に実施しました都立高校入試の受検者数は四万二千七百八名でございます。
 このうち、吃音や緘黙等の障害、疾患のある生徒や、病気などのやむを得ない理由により受験できなかった生徒など、スピーキングテストの不受験者の情報につきましては、各高校において管理されておりますが、個々の受検者の属性に関わる事項であり、また、試験の実施運営に係る情報であるため、公表しないこととしております。

○とや委員 不受験者の生徒の中には、仮のESAT-J結果を与えられる子が含まれております。その人数もいえないということです。
 では、都立高校入試の受検生のうち、都外生及び国私立中学生は、それぞれ何人だったのですか。そのうちESAT-Jを受けた人、受けなかった人は何人でしょうか。

○村西都立学校教育部長 都立高校入試における都外の中学校や国立、私立中学校に在籍する受検者の人数につきましては、入学者の選抜に係る事務を行う上で直接必要がない情報であるため、都教育委員会として、こうした情報を把握しておりません。
 また、これらの受検者の個別の情報は各高校において管理されておりますが、個々の受検者の属性に関わる事項であるとともに、試験の実施運営に係る情報であるため、公表しないこととしております。

○とや委員 生徒個人の名前を聞いているわけでもないのに、なぜ公表できないのか、おかしいと思います。
 では、今回の高校入試で逆転現象が起きたのは何人でしょうか。生徒は、逆転が起きたかどうかを知る手だて、手段はありますか。

○村西都立学校教育部長 理事が逆転現象とおっしゃる措置につきましては、いわゆるスピーキングテストの不受験者の措置についてであると思っております。
 スピーキングテストの不受験者の措置は、先ほど私が申し上げましたとおり、障害のある生徒や病気等で受験できなかった生徒、スピーキングテストの実施日以降に私立、国立中学校の一部の生徒などが著しく不利にならないようにするための措置であって、様々な事情、状況にある多様な生徒が受検する都立高入試においては必要な対応であって、合理的で最善の方策であると思っております。
 なお、不受験者にはスピーキングテストそもそもの点数がないわけですから、それに対して、そもそも逆転現象という考え方は成立しないというふうに考えております。

○とや委員 答弁漏れですよ。
 生徒は、逆転が起きたかどうかを知る手段はないでしょう。それをちゃんと答えてください。

○村西都立学校教育部長 答弁漏れとおっしゃられてもですね、知る手段がないといっておりますけれども、不受験者の措置の結果、与えられた評価につきましては、きちんと本人に開示いたします。

○とや委員 不受験者には、一応、ESAT-Jのグレード、仮の結果が渡されると。しかし、それを知ったからといって、逆転が起きていたかどうか、何も分かりません。
 先ほどから、著しく不利益になる子たちがいる、そして最善の方法だとおっしゃいましたよね。とんでもありませんよ。こうした現象が起きるのは、都教委がESAT-Jを入試に持ち込んだ結果、起きる現象なんですよ。何か生徒に手心を加えてあげるような、何か同情しているようなことをいっては駄目ですよ。
 学力検査の得点とESAT-Jの得点の相関関係を証明するデータを、都教委は持ち合わせていません。それなのに、学力検査とESAT-Jの結果は同等だろうという前提で合否判定を行うわけですよ。
 ESAT-Jが高得点であっても合格圏内から外れる場合もあるし、学力検査も同じ現象が起きる可能性もあるし、反対の可能性もあります。
 これは、不受験の子供たちの問題だけにとどまらず、全ての受検者が影響を受ける可能性があるんです。この制度を持ち込んだからなんですよ。やってあげているなんていい方はしないでください。
 都教委は、生徒や保護者に、こうした現象が起きるということを知らせていますか、説明をしていますか。

○村西都立学校教育部長 この間、この委員会でもるる説明してまいりましたが、スピーキングテストを受験することにおいては、吃音、障害のある生徒や、たまたまその日に病気等で受験できなかった生徒、実施日以降に私立、国立中学の一部の生徒は受けられない場合がございます。そういった生徒に対して著しく不利にならないような措置を実施するのが不受験者の措置であります。
 それは一定の計算ルールに従い、得点するものがないわけですから、最も参考になる英語学力検査の得点をもって、その平均値を取ってやるということで、合理的で最善の方策であるといっています。
 一律に全て同じ条件で受検の条件がそろえば、それは確かに理想であると思いますが、英語の四技能を測る上で、こうした措置を実施しているということでございます。
 したがって、そもそも点数が逆転するとか、そういった概念は成立しないというふうに考えております。

○とや委員 答えていないですね。生徒や保護者にも知らせていないんですよ、そういう傲慢な態度だから。
 南風原東京大学名誉教授は、仮のESAT-J結果となる平均点を計算するための同点者の人数が限られているために、平均が統計的にも不安定になる、また、仮のESAT-J結果が全体の平均の方向に偏る傾向がある、そのために逆転現象が起きやすくなるといっています。
 そして、不受験者の扱いや逆転現象について、これだけ批判の声が上がっているのに、実際に仮の結果を与えて合否判定に使った結果、どうだったのか、公表も説明もしようともしません。入試に不可欠な公平性や公正性も透明性も確保できていないわけです。
 こうした欠陥を持つ入試制度をわざわざ導入する。だから、専門家からも声が上がっているんです。
 今、部長は、そんなのは当たり前みたいないい方をしましたけれども、そんなことはないですよ。子供に恥ずかしいんじゃないかと思いますよ。
 こういう試験は、本当に入試の根幹を崩すものだといわなければなりません。きっぱりやめていただきたいと申し上げておきます。
 一、二年生へのスピーキングの導入について、最後に伺いたいと思います。
 英語スピーキングテストは中止しかないと思っています。ところが、来年度は、中学三年生が受験して都立高校入試に活用するESAT-Jに加えて、中学一、二年生でもスピーキングテストを実施するとして、突如、一月の予算案で発表され、都民は驚愕しています。
 三学年分で三十五億円もの予算がついています。とんでもありません。
 三十五億円のうち中学三年生のESAT-Jの予算額は幾らでしょうか。また、その積算根拠を示してください。

○瀧沢指導推進担当部長 七億千二百五十万六千円であり、会場費や人件費、資材の運搬など、テスト実施に係る運営費等として計上しています。

○とや委員 では、今年度の予算について、ちょっとお聞きしておきたいのですが、今年度の予算額は五億円ですが、なぜ二億円も来年度は増えているのか、教えてください。

○瀧沢指導推進担当部長 試験を実施する会場として大学等の施設をより多く確保するための費用として、必要な経費を計上しているためでございます。

○とや委員 今年も、行ったこともない場所が会場に指定されて、一時間もかけて行かされたとか、しかも交通費は自己負担だったとか、バスが混んでいて乗れなかったので、会場と駅の間をたくさん歩いた、何分も歩いたと。十三時の集合時間に合わせ、朝十時半に家を出て、夕方五時半の帰宅まで、軽食すら食べられなかったなどの状況が相次ぎました。
 加えて、あえて二億円もの予算をかけて民間貸し会議室などを用意することに教育的意義があるとは全く感じられません。
 中学一、二年生に行うという英語スピーキングテストの予算額、これについても伺いたいと思います。また、その積算根拠も示してください。

○瀧沢指導推進担当部長 二十七億六千五百七十万四千円であり、会場費や人件費、必要な機材の調達、運搬などの運営費等として計上しております。

○とや委員 三年生が七億円だとすれば、一、二年生は十四億円だと考えるのが自然ですが、さらに十四億円もプラスした約二十八億円にもなっているのはなぜでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 一、二年生を対象としたテストにつきましては、新たに事業者を公募する予定であります。
 新たな事業者が応募する際には、必要な資材や機材を調達する必要があるため、それらの経費を計上しているためでございます。

○とや委員 スピーキングテストだけのために、タブレット購入費として十四億円も予算計上するというのは考えられないですよ。
 中学生は、既に一人一台端末で自分用のタブレットを持っているじゃないですか。その上、一回の試験のためだけにタブレットを購入するなど、全くの無駄じゃないでしょうか。
 しかも、中学生もいっていましたが、スピーキングはコミュニケーションであり、ICT機器に向かって一方的に話す訓練を中学一年生からすることに、どれだけの意味があるかと。都民の納得を得られるものではありません。
 さらに、タブレット使用をはじめ、民間事業者を使って、一、二年生も三年生と同じようにやることを考えているとしたら、とんでもないです。
 教育上の効果に疑問があることはもちろん、入試活用の問題にとどまらず、民間企業のウェブ上に顔写真も含めた個人情報を登録させる問題とか、保護者からも強い批判が上がっています。
 中学校の先生方からも、子供たちが申し込んだかどうかの確認、保護者への説明、当日、道に迷ったなどの対応のための学校待機、欠席者数や追試対象者への連絡、欠席理由の聞き取りなどの業務が膨大で大変な負担だった、学校の会場の状況をもっと想像してほしいと声が上がっています。それを三倍に増やそうというんですよ。
 そもそも英語スピーキングテストは、区市町村教育委員会や学校に強制できるものではありません。このことについて、我が党は再三確認をしています。
 ところが、東京都はこの間、国も都もですが、世界で一番企業が活躍しやすい国を支える人づくりを教育に求めて、教育の統制を強めて、無理やりテストを押しつけてきたわけです。
 財界が求めるグローバル人材を育成するために、専門家からの批判も無視して、大学入試への英語スピーキングテストも具体化されました。
 国の教育再生実行会議が入試改革を推進した動機、これは英語民間試験の活用ですよ。大学や高校の英語教育が巨大な市場になっているからです。そのために、実行会議の関係者や自民党と試験業者との癒着の疑惑も度々浮上してきたじゃないですか。
 こうした背景を持ち、導入された英語スピーキングテスト、ESAT-Jは、ここへ来て、もう何度も何度も議論してきましたが、綻びが出ています。今こそ教育の原点に立って、入試の原点に立って、公平、公正に実施できるように見直してほしいと思います。
 大津由紀雄関西大学客員教授、以前も紹介しましたが、今やるべきは、英語教育、特に教員の養成だとか教員研修の充実だとおっしゃっています。また、中学一年生で習う語彙と文法事項の多さに、現場は大混乱しているんだとおっしゃっています。
 都として、こうしたところに目を配って、豊かで楽しい外国語教育の実現のために予算を使うべきです。三十五億円もあったら、先生を中学校全校に一名ずつ増配置できるではないですか。その方がよっぽど子供たちのためにもなるし、先生の長時間労働の解消にも役立ちます。
 英語スピーキングテストの予算三十五億円は削除することを強く求めて、次の質問に移ります。
 千代田区立の神田一橋中学校の通信教育課程についてです。
 この通信教育課程は、全国で唯一、卒業認定を受けられる通信制の中学校です。これまで尋常小学校か国民学校初等科を修了していることが入学条件でありましたが、都教育委員会と千代田区教育委員会の判断によって、今年度から六十五歳以上であれば入学できることになって、現在十五名の方が学んでいます。
 先日、スクーリングを視察させていただきました。スクーリングは年に二十回あって、九教科全てを学びます。
 教員配置は、専任の正規教員が一名で、あとは昼間の中学と兼任の時間講師が科目ごとに一名ずついて授業をしているということでした。
 中学校の卒業証書を持っていても、実際には小学校すらなかなか通えなかった方もいらっしゃるため、一律に中学校レベルの授業をするのではなくて、国語と数学は、クラスを二つに分けて、それぞれに合わせた学習ができるようにしているとのことです。
 私が行ったときは、数学の授業では方程式を学んでいました。英語も分からないのに、xとかyとかいわれても分からないよとの声や、方程式を実生活で使うことがあるのかなどの疑問も気軽に出されて、店で買物をするときに、商品ごとに消費税率を掛けてから総額を出しても、商品の合計額に消費税率を掛けても答えは同じになるなど、なるほどと思うような説明がされていて、皆さん、大変楽しそうに学んでいました。
 生徒さんは、遠い方は、日野市から中学のある神保町まで通学しているとのことです。皆さん六十五歳以上ですから、AEDを備えるなど保健室も充実させて、区費で養護教諭を配置し、また、一人一台端末もきちんと貸与して、希望者には、スクーリングとは別にタブレットの使い方講習会をしているそうです。
 生徒として尊重し、教育条件を整えようという行政の姿勢を感じることができました。
 通信制中学の意義と果たしている役割を伺います。また、対象年齢を六十五歳に引き下げた理由を伺います。

○岩野地域教育支援部長 中学校通信教育課程は、学校教育法により、尋常小学校卒業者等に対し、通信による教育を行うことができるとしており、戦後の混乱の影響等で教育の機会に恵まれなかった者の教育の場となっております。
 これに加え、神田一橋中学校通信教育課程では、別科生として、六十五歳以上の者で、戦後の混乱の影響等により十分学べなかった者を対象に、国が定める規定に基づき、校長が受講を許可しております。

○とや委員 国民学校の初等科卒業でなくても、つまり小学校卒業や、また、中学校の卒業証書を持っていても、戦後の混乱の影響で十分に学べなかった、そういう人たちを対象にして拡大したということで、大変重要だと思います。
 同時に、六十五歳以下でも十分に学べなかった方々がいらっしゃいます。二〇二〇年の国勢調査の結果、東京都には義務教育未修了者が三万九千九百六十九人いることが明らかになっています。このほかに、いわゆる中学校の形式卒業者、中学校にほとんど通わないまま卒業証書をもらった方々も大勢いらっしゃいますので、教育機会確保法第三条第四項でいわれている義務教育を十分に受けていない人々は、東京都内に膨大にいることになります。
 これらの方に教育の機会を確保していく、保障していくことは重要だと思いますが、いかがですか。

○岩野地域教育支援部長 都内には、義務教育の機会の確保を図るため、神田一橋中学校通信教育課程や、八つの中学校夜間学級が設置されており、学齢を超過した義務教育未修了者の方等に対し、就学の機会が提供されております。

○とや委員 教育機会確保法でいう義務教育を十分に受けていない人々の教育の機会の確保を図るため、神田一橋中学校の通信教育課程や夜間中学があるという大事なご答弁です。だとしたら、ぜひ千代田区の教育委員会とも協議をして、年齢制限をさらに引き下げていただくことを要望したいと思います。
 毎日通学が必要な夜間中学には通えなくても、スクーリングが年二十回の通信制中学なら通えるという方もいらっしゃいます。
 通信制中学は、義務教育を十分に受けていない方々が、希望に応じて教育を受けたり、豊かな人生を送ることができるようになる教育機関として積極的に周知していくことが求められていますが、いかがですか。

○岩野地域教育支援部長 都教育委員会は、通信教育課程の生徒募集に関するポスターを作成し、区市町村教育委員会などの関係機関に掲示を依頼するとともに、各区市町村が作成する広報紙等への掲載を依頼するなど、周知に努めております。

○とや委員 夜間中学は遠くて行けなかったり、毎日は行けないと、自主夜間中学に通っている方もいらっしゃいます。
 一昨年は、関係者のご努力でマスコミにも取り上げられて、通信制中学が多くの人に知られる存在となりました。しかし、継続して知らせていかなければ、必要な方になかなか届かないと思います。引き続き、あらゆる手段を使って周知を行っていただくことをお願いします。
 神田一橋中学は、区立中学なんですが、神田一橋中の通信制に対し、都教育委員会はどのような役割を担っているのか、伺います。

○岩野地域教育支援部長 学校教育法施行細則第五条の二により、設置者である千代田区教育委員会は、前年度の末日までに、教育計画に関する事項等について都教育委員会に届け出ることとなっております。
 また、都教育委員会は、教員の配置や給与の負担等を行っております。

○とや委員 教員の配置や給与の負担は、都の役割だということです。
 夜間中学と教育を語る会の皆さんが、昨日、都議会の各会派を回られたようで、神田一橋中学校通信教育課程の教職員体制の抜本的改善を都教委と区教委に求める要請署名が、昨日現在で一千五百三十七筆になっていると知らせてくださいました。昨年の秋から、署名が続々と集まっているということです。
 神田一橋中学には、現在は一年目の別科生しかいませんが、四月に新入生が入学すると、一年目、二年目の生徒が在籍することになります。私、視察をさせていただきまして、国語と数学に加え、英語も二グループに分けて授業ができた方がよいと感じました。
 授業時間数が増えますが、どのように対応するのか、伺います。

○吉村人事部長 引き続き、国の基準に基づきまして、教員を一人配置するとともに、地区からの申請に基づき、必要な講師を配置いたします。

○とや委員 各授業の講師は、千代田区教育委員会からの申請があれば、都として必要な講師を配置するということですね。
 一年目の生徒と二年目の生徒に同じ授業をするわけにはいきませんから、来年度はそれだけでも授業時間数が増えるわけです。さらに、生徒の学力の幅が広いですから、一斉指導では、どの生徒も理解ができ学力が向上する授業にすることはなかなか大変です。だからこそ、会の皆さんも要望をしていらっしゃるのだと思います。
 都教委として、必要性をしっかり認識していただいて、十分な講師の配置を行っていただきたいと思います。
 今のご答弁では、正規教員は、引き続き国の基準に基づき一名配置するとのことでしたけれども、生徒の増加に対応し、二名にする、最低でも月十六日勤務の非常勤教員を配置することも要望されています。いかがでしょうか。

○吉村人事部長 生徒数は、今年度十五人であり、来年度は十八人程度となる予定と聞いております。
 引き続き、生徒数百人以下の場合、教師一人という国の基準に基づく教員配置等により、適切に対応いたします。

○とや委員 今年度入学した方の中には、やっぱりご高齢ですから、残念ながらお亡くなりになった方とか、今年一年で通学をやめてしまう方もいて、少し人数が減ってしまうと伺いました。
 あえて、来年度のことをちょっと聞きましたら、入学希望者を加えて十八名程度という数字も聞いています。先ほども申し上げましたが、一年目と二年目の生徒では別の授業をする必要がありますから、授業も、それ以外の教員の仕事量も当然増えると思います。
 国の基準に基づく配置といいますけれども、国の基準は、生徒百人に対して教員一人です。なぜこんなに低いのかと、びっくりするような基準になっています。
 例えば、通信制の高校は都内に三校ありますが、通信制高校の教員の配置基準はどのようになっていますか。

○吉村人事部長 都立高校通信制課程の教員定数は、国の基準に基づきまして、生徒数に応じて算出しております。
 例えば生徒数が五十人までの場合は、教員一人と、進路指導等の担当教員一人を配置することになっております。

○とや委員 つまり、五十人までは正規教員が二人配置されるということです。最低でも、これくらいの配置があってよいのではないでしょうか。都独自に増やすことを重ねて要望いたしまして、次の質問に移ります。
 小中高特別支援学校への長年にわたる日の丸、君が代の強制は、教育に欠かせない自由や自主性を奪ってきました。こうした問題について、CEART勧告、国連自由権規約勧告などについて伺っていきたいと思います。
 東京では、入学式、卒業式などにおいて、教師が国旗に向かって起立し、国歌を斉唱しない、あるいは音楽教師が伴奏を拒否するなどのことがあれば懲戒処分にしてきました。
 このような対応の基になっているのが、東京都が二〇〇三年に定めた一〇・二三通達です。処分された教職員は、延べ四百八十名余に上ります。
 一〇・二三通達によって、卒業式等において全ての参列者が起立、斉唱しなければならないとして、国旗・国歌をツールとして愛国心を植えつけようとする、当時の石原都政の強い政治的思惑があって、そして、その背景には一九九九年の国旗・国歌法の成立があるわけです。
 都教委は、二〇〇三年の通達に基づいて、国歌斉唱を求める職務命令に従わない教職員に対して、職務命令違反、一回目は戒告、二回目、三回目は減給、四回目以降は停職と、回を重ねるごとに懲戒処分を重くするやり方をつくり上げてきました。
 その後、二〇一二年の最高裁判決で、二回目以降の不起立に対する減給以上の処分が取り消されて以降は、今度は三回目までを戒告とし、四回目以降の不起立に対して減給処分とする取扱いをしています。結局、都教委の態度は処分ありきです。
 こうした下で、被処分者の会の皆さんの良心の自由を守る裁判が今も続いています。
 同時に、東京都教育労働組合の皆さんが、二〇一四年、ILOとユネスコが合同でつくった専門家委員会、CEARTに、日の丸・君が代の強制はILO、ユネスコ教員の地位に関する勧告に違反していると申立てを行っています。
 審査の結果、二〇一八年十月、第十三会期に、ILOとユネスコの勧告として、日の丸・君が代の強制を是正することを求める勧告が行われています。しかし、日本政府は、この勧告を無視しました。
 これを受けて、市民の皆さんがCEARTにレポートも送って、その結果、二〇二一年第十四会期において、再び勧告を含む最終報告書が出されています。
 その勧告が、昨年の十一月十八日に文科省から都教委にメールで送付されています。都民団体の国の情報開示請求及び我が党の都教育委員会への開示請求で明らかになっています。
 メールでお手元に届いていると思いますが、受け取った部署はどこでしょうか。その部署と教育委員会全体で共有はしたのかどうか、伺います。

○吉村人事部長 CEART第十四回会合報告書について、文部科学省から人事部職員課に情報提供がございました。
 当該情報提供があったことにつきましては、関係部署に共有しております。

○とや委員 関係部署で共有したと今おっしゃいましたが、関係部署とはどこですか。また、いつどのように共有したのか、教えてください。

○吉村人事部長 今ほどご答弁申し上げましたように、文部科学省から情報提供がございました以降、教育庁内の関係部署に共有してございます。

○とや委員 関係部署はどこかと聞いたのに、お答えになっていません。
 教育委員会全体の方針に関わる、また、教職員の皆さんの思想や良心の自由、処分に関わる非常に重大な、大事な文書ですから、浜教育長とは共有されたのでしょうか。また、教育委員の皆さんには見せたのですか。

○吉村人事部長 繰り返しのご答弁になり、恐縮ですが、教育庁内の関係部署に情報共有しております。

○とや委員 浜教育長はご覧になったのでしょうか。非常に重要な問題なのに、きちんとお答えいただけないわけです。教職員に対しても、議会や都民に対しても、非常に不誠実な態度だといわざるを得ません。
 CEART勧告とはどのような内容なのか。英語で届いていますから、ちゃんと翻訳して読まれたのでしょうか。
 その中のパラグラフ、百七十二、百七十三のaとc、この勧告の内容を示してください。

○小寺指導部長 ご質問の勧告は、都教育委員会に宛てられたものではないため、これについて見解を述べる立場にはございません。

○とや委員 見解は聞いていませんよ。読んだかどうか、聞いているんですよ。見解なんかは聞いていないですよ。
 読んだかどうか、それを示してくださいといっただけですけれども、どうですか。

○小寺指導部長 ご質問の勧告は、都教育委員会に宛てられたものではございません。
 したがいまして、これを読んだとか読んでいないとかいうことを、私が把握しているものではございません。

○とや委員 先ほど共有したといったじゃないですか。把握していないと今おっしゃいましたね。うそだったんですか。
 文部科学省からメールが来たら、読むのが当然ではないでしょうか。読まなかったら職務怠慢ですよ。
 都教委に宛てられたものではないと今おっしゃいましたが、文科省からのメールは、都教育委員会と大阪府教育委員会、大阪市教育委員会と、特定の三つの教育委員会に宛てられたものです。
 そこの中には、私たちが開示した文書の中には、本報告書に記述されている内容については、特定の地方公共団体の事情に関する内容が多くあるため、関係の深いと考えられる貴教育委員会に対して送ると書かれているんですよ。
 これ以上やってもしようがないので、読み上げます。二〇二一年十月に採択され、二二年二月に公表された十四会期の勧告です。
 本申立てに関して、意見の相違と一九六六年の教員の地位に関する勧告の理解の相違を乗り越える目的で、政府及び地方レベルで教員団体との労使対話に資する環境をつくる、教員団体と協力し、本申立てに関連するCEARTの見解や勧告の日本語版を作成する、本申立てに関して、一九六六年勧告の原則がどうしたら最大限に適用され、促進されるか、日本語版と併せ、適切な指導を地方当局と共有する、懲戒の仕組みや方針及び愛国的式典に関する規則に関する勧告を含め、本申立てに関して合同委員会が行ったこれまでの勧告に十分配慮する、上に挙げたこれまでの勧告に関する努力を合同委員会に逐次知らせるというものです。
 つまり、勧告は、今の都教委の教員の扱いが一九六六年の教員の地位に関する勧告に沿ったものになっていないのではないかという立場から、対話を促しているんです。教育委員会と教員団体で話合いをちゃんとしてください、そして、教員団体と共有し、日本語訳を作って、努力をCEARTに知らせてくださいというものなんですよ。
 教育長をはじめ、皆さんでちゃんと共有して、ちゃんと読んでいただきたいということを強く要望をしておきます。
 CEARTの十三会期の勧告は、冒頭にも申し上げたとおり、この間、文科省が無視をして、都教委などに送付することもしてこなかったんです。少なくとも、今回の十四会期の勧告は、情報提供だけといいつつも送付してきたんです。私は、これは大きな変化だと思います。
 CEARTの基準は、教員の責任や権利、懲戒の手続などについて、各国の対応が一九六六年の教員の地位に関する勧告に沿ったものになっているか、つまり世界標準になっているのかということなんです。この基準で判断をして勧告をしています。
 十三会期の勧告は、国歌斉唱をしたくない教員にも対応できる式典にすること、消極的な混乱をもたらさない不服従の行為への懲罰は避けること、懲罰審査機関に同僚教員の関与をさせることなどを求めていました。つまり、都教委のしていることは、世界標準ではないよという勧告だと思います。
 そして、対話をして解決してくださいと勧告をしているんです。対話での解決も、今の国際的に求められる重要な到達だと思います。
 都教委は、グローバル社会に対応することが大事だと常日頃からいっているにもかかわらず、日の丸・君が代問題では、国際的な意見も受け付けず、貝のように口を閉ざし、対話もしようとしないじゃないですか。議会に説明しようともしない。まるで鎖国のような状態ですよ。
 CEARTの勧告をちゃんと受け止めて、教員団体と対話を始めるべきではありませんか。

○小寺指導部長 先ほど共有というふうにお答えしていますが、送られてきたという事実を共有しております。内容について一人一人が読んでいるか読んでいないか、職員は大勢おりますが、一人一人が読んでいる読んでいないかは、私は把握しておりません。
 なお、本件勧告は都教育委員会に宛てられたものではないため、これについて見解を述べる立場にはございません。

○とや委員 見解は求めていないですよ。ちゃんと人の質問を聞いてくださいよ。CEARTの勧告を受け止めて、教員団体と対話を始めてくださいといったんです。もういいです。
 問題は、教職員の思想や良心の自由という人間としての存在、権利に関わる問題です。対話もしない、説明もできないままに日の丸や君が代の強制や処分を続けていくことは理が立たないと厳しく指摘し、教職員組合と対話を開始することを重ねて求めるものです。
 自由権規約についても、いろいろ意見が来ています。スペインのゴメス委員という方からは、二二年十月に、東京都教育委員会という名前を出して、国歌斉唱並びに国旗掲揚に関したものについて質問が来ていて、総括所見が出ているんですよ。
 この中には、二〇〇三年の東京都教育委員会により発出された、教員と生徒に対して一〇・二三通達を強制するために取られた措置と規約との整合性を説明してくださいと述べております。
 この所見についても見解を伺いたいと思いますが、政府から連絡が来ていないから確認していないとおっしゃると思いますので、もう聞きません。
 重大な問題があります。都教育委員会が教員の思想、良心の自由を奪い続けてきたことで、子供にも影響が出ています。
 二二年十一月の国連自由権規約総括所見、パラグラフ三十八では、式典の間、児童生徒らに起立を強いる力が加えられているとの申立てを懸念するとあります。
 子供への影響があることを都教委として認識していますか。

○小寺指導部長 ご質問の指摘については、政府から連絡を受けておらず、確認しておりません。

○とや委員 都教委そのものがやってきたことを指摘されているんですよ。一〇・二三通達が発出されて以降、教員が式典の場で起立するかどうか、指導主事が見張るようになったとか、教員への締めつけも強くなりました。
 特別支援学校の先生も、生徒の授業があるのに都教育委員会に呼び出されたり、教員が本来の仕事ができなくなっています。生徒の介助よりも起立することを強制されていると訴えている方もいらっしゃいます。
 コロナ禍に、わざわざ国歌のCDまで学校に配布したという事実もあります。そこまで徹底しているわけです。
 そんなことをしていたら、教員不足なんか解消しませんよ。
 今、都教委がやるべきことは、教員を締めつけたり、処分をすることではありません。教育環境をちゃんと整えて、先生たちが自主的に授業を組み立てることができるように、先生を増やすなどの取組こそ求められているわけです。
 生徒に対して式典の前に思想、良心の自由を説明してきた先生が、一〇・二三の通達以降できなくなったという訴えもあります。そうした訴えも出てきています。生徒へ内心について教えたら、適切に指導とかいって脅かすとか、話した先生が厳重に注意されたとか、そういう話が来ています。生徒が卒業式で起立したかどうか調べるとか、こんなことはやめるべきですよ。
 ここで伺っておきたいのですが、教員が児童や生徒に思想、良心の自由を説明すること、これは間違っていますか。

○小寺指導部長 児童生徒に対する国旗・国歌に関する指導は、学習指導要領に基づき、国旗・国歌の意義を理解させ、我が国と外国のそれらを尊重する態度を育てることなどを目的として行うものであり、児童生徒の思想、良心の自由を侵すものではございません。

○とや委員 間違っているかどうかを聞いたのに、何で何か違うことを答えるんでしょうね。正面から答えられないんですよね。間違っていないといえないんですよね。
 先ほども申し上げましたけれども、やっぱり都教委がやってきたこと、この間のコロナ禍でもはっきりしていますよ。何で校歌を歌わせないで国歌を歌わせるのか、CDまで流すのかと、私は本当に思いましたよ。
 本来だったら、教員や児童生徒が自主的に卒業式、入学式を創意工夫することは尊重されるべきではないでしょうか。お答えください。

○小寺指導部長 コロナ禍における対応といたしましては、国歌、校歌、式歌ともに、感染症防止対策の視点から歌唱は行わず、演奏と耳で聞くことについて指示しておりますので、国歌だけを歌うとか、そのようなことは事実に反しております。
 また、思想、良心の自由を説明することにつきましては、憲法で定められている憲法十九条における思想、良心の自由については、社会科等をはじめ、各教科で指導をいたしております。

○とや委員 普通、CDまで配りません。一〇・二三通達以降、学校の議論で進めてきた行事のやり方も一律になり、大変味気なくなってしまったと。定時制は対面だったのに、一方を向くだけになったとか、特別支援学校の先生も、車椅子の子も無視して壇上に上らなければならなくなったとか、そうやって先生たちと生徒の自主的な取組や、生徒を中心としたセレモニーもできなくなってきました。
 CEARTや国連自由権規約からは、複数回にわたって勧告が出てきましたが、都教育委員会は、本当に国とともに無視をし続けています。
 市民と共に、私はこの間、都教育委員会にレクチャーをした際も、都教育委員会が答える立場にないと、当事者意識を持たない無責任な発言をしました。
 今日も、議会論戦であるにもかかわらず、誠意のない答弁、正面から答えない態度を取りました。都教委の態度は、世界から見れば、本当に異常だと思います。
 各国の学校での国歌斉唱、国旗掲揚の状況は様々ですけれども、紹介したいと思います。
 ヨーロッパは、そもそも式典がありません。卒業祝いやパーティーやダンス、パフォーマンスなどの催しがあります。ドイツは、第二次大戦で敗戦し、国歌が軍国主義を想起させると廃止されました。公の場では歌うことはタブーです。卒業式は行いますが、国歌斉唱はない、そういう国は、スペイン、スウェーデン、スイス、ベルギー、アメリカ、カナダなどなんですが、高校の卒業式は、二、三日にわたって行事が行われ、まちを挙げてお祭り。スイスも、卒業生のパフォーマンスを交えてにぎやかに行われているそうです。本当に子供たちを中心に据えているというふうに思いました。
 卒業式などで国歌斉唱、国旗掲揚があるのは、韓国やネパール、インド、義務があるのは、中国や日本、ロシアです。
 特にロシアは、卒業式などで国歌を流していましたが、義務ではありませんでした。しかし、ウクライナへの侵攻が続く二〇二二年、国旗を掲げ、国歌を歌うことが義務づけられました。こうやって国家統制に使われているわけです。
 一方で、民主主義が発達している国々では、義務づけはないし、子供たちが本当に伸び伸びとしています。
 教育委員会は、教員や生徒を統制したり、自由を奪うようなことはやめるべきです。本来の仕事である教育環境をしっかりと整えることに力を注ぐことを強く求めて、質問を終わります。ありがとうございました。

○入江委員長 議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後十時六分休憩

   午後十時二十分開議

○入江委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○阿部委員 都議会立憲民主党の阿部祐美子です。遅い時間になってまいりましたが、できるだけコンパクトにいきたいと思います。
 まず初めに、学校の教師を取り巻く課題についてお伺いいたします。
 都教委は、教員の働き方改革及び教員確保策の推進に関する予算を、今年度九十九億円から百二十九億円と三割増としました。特に、負担の大きい校務を担う教員の時数軽減と、そのための講師配置や、産休、育休代替教員の四か月前倒し確保などは、教職員団体も求めてきたことであり、評価をしているところです。
 一方で、現在でさえ教員等の確保が難しい中で、これらの事業の担い手となる人員が確保できるのか、危惧をしているところでもあります。
 そして、病気休職者の増加も教員不足に拍車をかけております。さらに、教員不足による多忙さ、あるいはいら立ちが、さらなる病気休職者を出してしまう、そんな一因になるというマイナスのスパイラルにも陥っているところだと感じられます。
 そこでまず、教員のメンタルヘルス対策についてお伺いをいたします。
 公立学校教員の二〇二一年度の精神疾患による病気休職者数は、全国で五千八百九十七人と過去最多となっております。都道府県別の対教職員数割合で見ると、東京都は一・六三と全国二位となっております。
 また、都教委は、専門病院での二十四時間相談体制や復職支援プログラムなど、全国的に充実した対策を取っているにもかかわらず、休職者が高止まりをしております。
 この状況をどのように受け止めているか、まずお伺いをいたします。

○吉村人事部長 精神疾患による休職には、児童生徒への指導や対人関係の悩み、個々の家庭事情等、様々な要因がございます。
 このことを踏まえ、アウトリーチ型の相談事業などを実施しており、安心して職務に取り組める環境整備に努めております。

○阿部委員 今回、またアウトリーチ型のフォローアッププログラムの規模拡大を図るとのことで、この点では期待をしております。
 ところで、病気休職者一人の経済損失は、本人給与の約三倍との試算もありますが、休職者の増加が財政負担並びに教員不足を加速することについては、どのような見解をお持ちでしょうか。

○吉村人事部長 メンタルヘルス等のサポートを強化し、教員の活躍を支援するため、アウトリーチ型の相談事業など、安心して働ける職場環境に向けた取組を実施しております。

○阿部委員 すみません、ちょっと質問に対するストレートなお答えではなかったかなというふうに思いますけれども、病気休職者が増加すれば、本人が苦しむのはもちろんのこと、本人の休職期間中の給与保障や代替教員の人件費、既存教職員への負荷など、経済的損失、すなわち税金の流出も莫大になります。
 逆にいえば、それを回避するために予算を投入しても、これは十分に回収できるということでもあります。
 少し話がそれますけれども、教育政策や予算配分に当たっては教育経済学の視点を取り入れるということを、東京都あるいは都教委として考えてもいいのではないかと思っております。
 文科省は、令和五年度新規事業として、ICTやSNSを活用したメンタルヘルス対策の実施と効果検証など、公立学校教員のメンタルヘルス対策への調査研究事業を打ち出しております。この事業は、都道府県教委から市区町村教育委員会に再委託の形を取っております。
 都内自治体の中には、都教委が呼びかければ手を挙げたいとの声もあると聞いておりますが、都教委として積極的に呼びかける考えはあるでしょうか。

○吉村人事部長 文部科学省が全国で五自治体を対象に調査研究事業を実施すると伺っておりますが、具体的な通知はまだ届いておりません。

○阿部委員 事業によっては、早く情報を仕入れて動き始めている事業もある、今日の質疑の中でも、そういった事業もあったかと思います。ぜひ積極的な姿勢を取っていただきたいと思っております。
 メンタルヘルス対策は、教職員だけではなく、一般企業にとっても大きな課題であり、その対策も進んでおります。六万四千人の教員を抱える都教委は、巨大企業に匹敵をいたします。民間企業において効果が検証された対策をベースに、悩み事が顕在化されてからの面談に限らず、予防的環境を構築することも検討してはいかがかと思っております。
 次に、教員の性暴力についてお伺いいたします。
 昨年四月に、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律が施行されたことを受け、都教委は、教職員等による児童生徒へのわいせつな行為、セクシュアルハラスメント、その他不適切な行為を早期に発見するため、外部弁護士による第三者相談窓口を設置、また、児童生徒への相談シートの配布を行っております。
 初めに、相談シートの本年度の配布方法と配布済み確認の有無、また、現在までの反応や今後の配布並びに第三者窓口のお知らせ方法、ちょっと多いですけれども、一遍にお伺いします。

○吉村人事部長 全ての公立学校の児童生徒に相談シートを配布しており、相談を通年で受け付け、随時対応しております。
 相談シートは、年度ごとに配布いたします。
 また、相談先を記載したチラシを配布し、ホームページでも案内しております。

○阿部委員 全校で配布して、通年で受け付けということです。
 この東京都の第三者窓口には、既に、昨年四月から十二月までの間に、電話とメールを合わせて六十件の相談が寄せられているとホームページにも記載をされております。
 区市町村でも第三者窓口を設置しているのかどうか、設置の有無と設置状況、また、都とどのように連携しているかについてお伺いいたします。

○吉村人事部長 法の指針では、区市町村が性暴力等の相談体制を整備することとしておりますが、第三者相談窓口を新たに設置することが必須ではなく、教育相談センター等、既存の窓口等も活用して相談に対応しております。
 都の第三者相談窓口に寄せられた相談につきましては、区市町村教育委員会や学校と連携して対応しております。

○阿部委員 私は、第三者窓口の市区町村での設置状況を伺ったわけで、それは必須じゃないから伺ったわけですね。必須であったら、皆さん、設置しているということで、設置状況をお伺いしました。今のお答えだと、都教委としては把握をしていないということになるのでしょうか。
 また、教師による性暴力やセクシュアルハラスメント予防には、教職員の研修も不可欠だと考えております。
 現在の研修の実施状況がどうなっているのか、お答えください。また、管理職の研修も行われているのか、学校全体で意識を共有するための研修をどのように工夫されているか、教えてください。

○吉村人事部長 年二回の服務事故防止月間において、性暴力やハラスメントの防止を重点テーマとする研修を実施しているほか、年間を通じて各学校で服務事故防止研修を行っており、管理職も対象でございます。

○阿部委員 こうしたことは、全校で意識を合わせていかないと、また、同僚の皆さんも意識を高めていただかないと、なかなか発見ができないと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 相談シートを配布するのは、これはあくまでも在校生ということになります。
 生徒だけでなく、校内の別の教員や保護者からの相談も対応しているのか、また、過去に学校で教師から性暴力を受けた卒業した児童生徒についても、そのケースも対応するのか、確認させてください。

○吉村人事部長 第三者窓口では、相談対象を限るものではなく、児童生徒や保護者、教員など、幅広く相談を受け付けており、元児童生徒からの相談にも対応しております。

○阿部委員 元児童生徒からの相談にも対応している。これは、すごく大切なことだと思っております。ただ、その人たちにどうやって相談窓口の存在を知ってもらうのか、ここは大きな問題でもあると思っております。
 私、長年、区議会議員をしておりまして、様々なご相談を受けてきました。最初は子育ての相談だったというのが、話を聞いてみると、実は過去にリストカットがあった、もっと遡ってみると、学校での教師からの性被害があった、そういったケースもあります。一件じゃないです。
 それで、とても嫌な話なんですけれども、特に小学生ぐらいだと、ひとり親とか、親が不在がちであるとか、そうした家庭機能が弱い家庭、そうした家庭の子供たちが狙われてしまう。これは本当にひどい状態だと思います。悪質だと思います。
 その子たちが卒業後も何十年も苦しみ続けて、また、人生の選択肢もすごく制限されてしまっている。こういう人たちの思いをぜひ、時間がたったからということで相談窓口から疎遠になってしまうのではなくて、しっかりと受け止める窓口であってほしいと思いますし、その窓口の存在は、繰り返し広く広報していただきたいと思います。
 こうした学童期に学校の教師から性被害に遭った当事者にお話を聞きますと、当時は何が起こっているのか分からなかった、それが性被害だったと気づいたのは卒業して何年もたってからだった、その後もどうしていいか分からなかった、そんな話も聞いております。
 相談窓口もとても大切ですが、相談に至るためには、当事者が被害を被害だと認識する、そのための学ぶ機会が必要です。
 都教委では、現在、生命(いのち)の安全教育についてどのように取り組んでいるのか、また、今後どのように展開するのか、伺います。

○小寺指導部長 都教育委員会は、子供たちが性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないようにするため、生命(いのち)の安全教育に関する指導事例を安全教育プログラムに掲載し、都内公立学校の全ての教員に配布いたしております。
 今後とも、こうした指導事例等の活用を促すなど、各学校における生命(いのち)の安全教育の推進を図ってまいります。

○阿部委員 生命(いのち)の安全教育、まだ始まったばかりでありますけれども、とても大切な内容だと思っております。
 ただ、この教師からの性暴力に限っていえば、加害者側がこうした教育を熱心に行うかどうかということもぜひ考えてみてください。各教員の判断に任せるのではなく、学年全体、学校全体での取組としてほしいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、生徒への痴漢被害への対策についてお伺いいたします。
 私は、都議会でも何度か、痴漢対策について取り上げてまいりました。昨年の本会議の中でも痴漢対策に本気で取り組んでいただきたいということで知事答弁もいただいたことは、昨日の生文スの質疑の中でも申し上げました。
 本年度、痴漢撲滅プロジェクトが生活文化スポーツ局所管で新たに予算計上され、全庁的に取り組むということになります。痴漢被害の多くは学生、あるいは、初めて被害に遭ったのは、やはり学生時代、児童生徒の時代ということが多く見られます。
 都教委としては、生徒の痴漢被害について、これまでどのような問題意識を持ち、被害防止と対応のために、これまでどのような取組をしてきたのか、お伺いをいたします。

○小寺指導部長 痴漢等の性被害は、子供の心と体に長期にわたり重大な悪影響を及ぼすものでございます。
 都教育委員会は、教員向け指導資料、安全教育プログラムに、危険を感じたら防犯ブザーを鳴らし助けを呼ぶ、電車やバスに不審な人たちがいたら離れるといった指導事例を学校種別ごとに掲載するなど、安全指導の充実を図っております。

○阿部委員 高校入学とともに新たに電車通学を始める生徒は多く、新入生を狙う痴漢もいます。
 私は、学校は痴漢被害回避あるいは対応の主戦場だと思っております。痴漢被害を回避する行動と、万が一、被害に遭ったときの対応や相談について、あらかじめ学んでおくことが大切です。
 まずは都立学校の新入生だけでも、来月の入学式の時期に、痴漢被害について学ぶ機会をぜひ設けていただきたいと思います。
 これは都教委にしかできないことでもあり、一人でも被害者を減らすために、ぜひやるべきことだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○小寺指導部長 都立高校では、年度当初に、登下校時に遭遇する犯罪や危険について理解し安全に行動できるよう、ホームルーム活動等で指導を行っております。

○阿部委員 これまで何も指導していないとは思っていないです。でも、痴漢被害は今でも頻発をしております。ぜひ実効性のある指導をしていただきたい。
 ただ一方的に先生から生徒へ、一方通行の注意事項として聞くだけではなくて、痴漢からの回避や対処についてクラスで話し合う、そういったことも含めて、被害に遭いやすい女子だけではなくて、男子の意識も変わっていくという、そうした実践も他県ではなされております。
 ぜひいろいろな形で取り組んでいただきたい。そして、本当にすぐにでも被害をなくしてほしいと思っております。
 次に、児童生徒の不登校についてお伺いいたします。
 文科省の調査では、東京都の二〇二一年度の不登校児童は七千九百三十九人と、前年比で二六%、物すごい増えています。生徒は一万三千五百九十七人、これも二〇%増、こうした数字に上りました。
 新年度予算案でも、別室指導支援員の配置や学校外での体験プログラム等々、様々な取組を都教委でも強化しているところです。
 一口に不登校といっても、学校に行きたくない、行きたくても行けない、それは人間関係や学習面、学校文化に起因するものもあり、身体的、精神的疾患あるいは発達障害などが潜んだり、絡み合っていることもあります。
 一方で、また家庭の状況、その他、様々な状況もあります。また、自らの学びの場を学校以外の場に見出す、ある意味、積極的な不登校といえる選択もあり、これを不登校と呼ぶべきか、考える必要もあるのではないかと思っております。
 こうした面からも、非常に増えてきている不登校に対して、あるいは学校の在り方について、これは抜本的に、やはりどこかでまた検討する必要が、単に不登校対策ということではなくて、子供と学校の関係性というものを、都教委としてしっかり見直す必要があるのではないかというふうに考えているところです。
 話がちょっとそれましたけれども、二一年には、いわゆる不登校だけではなくて、コロナ回避による長期欠席が、小学生で七千四百四十四人、また、中学生で二千六百四十三人となっていました。
 このコロナ回避による長期欠席は収束しつつあるのか、都教委としてどのように把握されているか、確認したいと思います。

○小寺指導部長 令和四年度の新型コロナウイルスの感染回避による長期欠席児童生徒につきましては、今後実施する文部科学省の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査により把握いたしてまいります。
 なお、幾つかの自治体から、現在、新型コロナウイルスの感染回避のための欠席者は、ほとんどいないと聞いております。

○阿部委員 では、そのコロナ回避による欠席に対して、学習の保障は行われていたのか、再登校後のフォロー、また、そのフォローの状況など、都教委としてどのように把握しているか、併せてお伺いいたします。

○小寺指導部長 各学校では、理由にかかわらず、欠席した児童生徒に対して、一人一人の状況等に応じ学習支援を行っております。

○阿部委員 ご答弁にありましたように、今現在、コロナを理由とした長期欠席というのは、ほとんどないと思っていいかなと思います。ただ、コロナの間に欠席が続いてしまった生徒の中で、そのままいわゆる不登校に移行してしまう生徒がいないか、そうしたことも含めて、ぜひ注意を払っていただければと思います。
 ここからは、都立高校の魅力向上に向けた実行プログラムについて伺いたいと思います。
 公立中学生の六七%、保護者の八〇%が都立高校全日制を志望して――希望しているといったらいいんでしょうかね、一方で、都立高校の在校生は、私立学校の方が多いという東京都の特徴もあります。
 こうした状況の中で、都教委は、東京都における都立学校の役割をどのように位置づけているのか、また、魅力向上プログラムで何を達成することを目標としているのか、伺います。

○池上高校改革推進担当部長 社会のDX化やグローバル化の進展に加え、コロナ禍を経て、不登校など厳しい状況に直面する生徒の存在が一層顕在化しています。また、都内公立中学生の進路が多様化するなど、都立高校を取り巻く状況は変化しております。
 こうした状況に対応するため、当面、集中的に取り組む施策を体系化し、今般、実行プログラムとして取りまとめているところでございます。

○阿部委員 都立高校が、今後、中長期的にどういう役割を果たしていくかということもぜひご検討いただきたいと思っているんですが、今回のプログラムは、まさに直面する課題に対応したものということで理解をいたしました。
 以下、幾つかの具体的な課題についてお伺いをしたいと思います。
 まず、日本語指導が必要な生徒への支援です。
 私は、昨年度の予算委員会や昨年の事務事業質疑などで、繰り返し日本語指導が必要な児童生徒への支援について取り上げてまいりました。
 東京という都市にとって必要な施策でありながら、残念ながら取組の遅れが目立つこと、また、文科省をはじめ国が動いているタイミングであることなどがその理由です。
 都教育委員会は、これまで実施してきた多文化共生スクールサポートセンター事業について、これまでの在京外国人募集枠設置校八校から、来年度は拡大を予定していると聞いておりますが、その具体的な支援内容について改めて伺います。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、来年度から、日本語指導支援員や通訳、在留資格について相談できる専門家を、日本語指導を必要とする生徒が在籍する全ての都立高校に派遣いたします。
 また、日本語指導が必要な生徒が在籍する学校は、その生徒に対する支援員の派遣につきまして、多文化共生スクールサポートセンターに申請を行い、日本語指導支援員等の紹介を受けることができるようにしております。

○阿部委員 八校以外の在籍校でも多様な支援が受けられる体制になったことは大変評価したいと思いますし、この一年間、とても大変だったと思います。
 ただ、あくまでも、その必要性を判断し、センターに申請をするのは学校の判断です。日常会話がある程度できているからといって、学習言語が習得できているかどうかは別の話であって、本人の学習能力の問題なのか、学習言語の問題なのか、これを見取るというのは専門的な視点も必要です。
 都立高校において個に応じた指導を行うためには、日本語指導が必要な生徒の日本語の習得の状況を適切に把握することが不可欠です。都教育委員会の見解をお伺いいたします。

○小寺指導部長 都教育委員会は、日本語指導が必要な生徒に対して、一人一人の習熟に応じた指導を行うことができるよう、筆記試験や面接等のアセスメントの方法等を掲載したハンドブックを作成し、来年度以降、都立高校での活用を促してまいります。

○阿部委員 このハンドブックに方法が記されているということは、アセスメントの一助になるとは思います。ただ、これで十分といえるでしょうか。必要な生徒が漏れなく必要な支援を受けられるように、ぜひ現場の状況を見ながら、よりよい方法を探していただきたいと思います。
 入学した生徒についてのフォロー体制の拡充について大変期待をしております。しかし、その前の段階についてはどうでしょうか。
 他県に倣って、都教委も、都立高校への入学を希望する日本語指導が必要な生徒に対して高校入試ガイダンスを実施すべきと考えますが、見解を伺います。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会が主催する都立高校の合同説明会では、在京外国人生徒の募集枠を設置している高校の相談ブースにおきまして、入試や入学後の支援等についての相談を行っているとともに、募集枠を設置する各校においても、個別に説明会も行っております。

○阿部委員 それでは不十分だからいっております。
 先ほども別の委員さんからの質疑にもあったかと思いますけれども、例えばNPO主催のガイダンスでは、都立高校の複雑な入試の仕組みを多言語で説明すること、そうしたことも生徒や保護者の好評を得ております。
 また、合同説明会に行く前に、まず、入試の仕組みから多言語で丁寧に伝える必要があるわけです。外国人生徒の中には、母国で学んだ英語が得意な生徒もおりますけれども、例えば、今回の英語スピーキングテスト、この仕組みも日本語で説明されたために、自分の英語力がそこで発揮できなかったというような話も聞きました。
 そうしたことを日本語だけで理解していくのは、とても難しい。そうした様々なフォローが、学校の中で必要であります。
 先ほどの質疑でもありましたので、あえて他県の例を詳しく紹介することはしませんけれども、都教委の方も視察には来られておりましたので、問題意識はお持ちでしょうから、ぜひそれを実行に移していただきたいと思います。
 さて、高校生までは家族ビザでの滞在が多く、より安定的な在留資格確保のため、資格取得が有効です。
 資格取得のための給付型奨学金制度の案内を多言語で行うべきと考えますが、見解を伺います。

○村西都立学校教育部長 給付型奨学金は、出入国管理上の優遇措置を受けられる日本語能力試験などの受講料も支援の対象としております。
 都教育委員会は、日本語のほか、中国語やネパール語など六か国の言語に対応したリーフレットを作成し、入学者選抜の合格発表日に配布するなど、多言語による案内を既に実施しております。

○阿部委員 これ、周知といいますか、送ってはいただいているんですけれども、まだまだ八校以外では、十分に周知といいますか、受け手にとって理解されていない、あるいは学校の先生がまだそういうことをよく知らないということがあるようです。
 それから、奨学金の制度だけではなくて、入学金の書類や在学中の様々なプリント類あるいは提出物、掲示物、こうしたものに至るまで、日本語としては、外国人の方々にとっては非常に難解なものがあります。「やさしい日本語」を使う文化を、ぜひ学校の中で広めていただきたいと思います。これは外国籍の生徒だけではなくて、読字障害ですとか発達障害のある生徒たちにも大変有効だと思いますので、これもぜひ、検討というよりは実行していただきたいと思います。
 ちょっと余談になりますけれども、先ほどまでもインクルーシブ教育についての質疑も何度かありましたが、インクルーシブ教育の推進は世界の潮流です。多様性を認め合う社会をつくる基礎となるものです。
 交流事業や副籍など、制度面で接点をつくることも大切ですけれども、まずは学校の中の様々な書類、これを「やさしい日本語」で書く、あるいは併記をする、ピクトグラムを記す。こうした工夫によって、学校の中の様々な情報がインクルーシブに、外国ルーツの子供たちだけではなくて多くの人たちに伝わる、そうした環境をつくっていくことを学校のスタンダードにする、これもまたインクルーシブな環境づくりだと思いますので、ぜひこれを学校の中で実施していただきたいと思います。
 ちょっと話がそれました。ただ、文科省の調査では、高校生の中退率が一・〇%なのに対し、日本語指導を必要とする高校生の中退率は六%を超えています。都立高校ではどのような状況なのか。
 ただでさえ、東京は、外国につながる子供たちの公立学校在籍率がとても低い状態にあります。その中で中退率は把握しているのか。どうしたら学び続け、卒業にこぎ着けることができるのか。ぜひ頑張っていただきたいところです。よろしくお願いいたします。
 就労等支援事業についてお伺いをいたします。
 都立高校には、発達障害等の困難さを抱える生徒も多数在籍をしております。こうした生徒が卒業後に就職を希望する場合、就労支援になかなか結びつかないという実態があります。
 これは、入学時から就労を見据え学習を行う特別支援学校高等部とは、むしろ対照的です。新年度予算で初めて都立高校生の就労等支援事業が加わり、注目をしているところです。
 これは先ほども質疑がありましたので、事業概要並びに学校側の体制については質問を省略いたします。
 都立高校に発達障害等のある生徒はどの程度いると試算をしているのか、教えてください。

○落合特別支援教育推進担当部長 令和三年度に、都立高校に対し発達障害の可能性のある生徒の在籍数について調査したところ、全日制と定時制を合わせて四千四百名でございました。

○阿部委員 ありがとうございます。四千四百人、少なからぬ人数だと思います。
 その中で、本事業の対象となり得る生徒は、どの程度都立学校内に在籍しているという想定の下で事業を開始するのでしょうか。

○落合特別支援教育推進担当部長 都立高校に在籍している発達障害のある生徒の中には、就労を希望する生徒も一定程度在籍しているという前提の下、就労後の困難をできるだけ軽減するために行う事業でございます。

○阿部委員 どの程度というところに対しては明確なお答えはありませんでしたが、確かに、これを把握するのは難しいことかなというふうに思います。
 まずは、その対象になる生徒さんにこの事業に参加してもらうということが第一かなというふうに思っておりますが、その際に、これは事業者とタイアップしてということですので、実績のある事業者を選定すべきと考えますが、どのような形で選定をするのか、教えてください。

○落合特別支援教育推進担当部長 一定の要件を有する民間団体から、公募により選定する予定でございます。
 要件の内容などにつきましては、現在検討中でございます。

○阿部委員 これ、非常に価値のある事業だと思ってはいるのですけれども、実際にこの事業を始めるには、いろいろと難しい面があるかなというふうに思っております。
 発達障害のある生徒に、あなたは就職するだろうから、このプログラムに参加しなさいというわけにもいかないでしょうし、やはりその対象となり得る生徒さんに魅力を感じてもらって自発的に参加してもらう必要がある。これは教育課程の中に入っている事業ではないと理解しておりますので、自分の時間を使って参加したいと、まず思ってもらわなければいけない。
 貴重なアプローチだとは思いますけれども、仕組みづくりですとか実施の面では、いろいろと難しい面もあると思っております。ぜひ魅力あるプログラムをつくって、多くの生徒さんに参加してもらえる実効性のあるものにしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それから、都立高校の中途退学についてもお伺いしたいと思います。
 高校を中退すると社会との接点が弱くなり、就労はもとより、様々な支援や社会資源とつながりにくくなってしまいます。ぜひ中退というのは避けてもらいたいと思っているのですけれども、実行プログラムの中でも、ニーズは多様化しているというようなお話がありました。
 平成二十四年に都立高校中途退学者等追跡調査が行われましたけれども、その調査から既に十年が経過しております。その間に生徒の態様、課題も変わってきている中で、新たな調査を行うべきであると考えますが、見解をお伺いいたします。

○岩野地域教育支援部長 都立高校において中途退学に至った生徒の状況や背景につきましては、ユースソーシャルワーカーによる支援を通じて把握していることから、調査の予定はございません。

○阿部委員 調査の予定がないというのは残念ではあります。ただ、ユースソーシャルワーカーさんは増強してきているというふうに認識しておりますので、ぜひその知見は大切にしていただきたいと思います。
 校内居場所カフェについて伺います。
 都教委では、校内居場所カフェを、令和六年度、小台橋高校に新校舎完成に合わせて設置することとしておりますが、その概要についてお伺いします。

○岩野地域教育支援部長 校内居場所カフェにつきましては、生徒が自由に交流し、安全で安心な居場所として校内に常設いたします。
 そこでは、ユースソーシャルワーカーが生徒一人一人に応じた相談を行うなど、必要な支援を行ってまいります。

○阿部委員 この校内カフェ、先行する他地域の校内居場所カフェでは、外部NPO等が大きな役割を果たしております。
 外部資源との連携の有無についてお伺いをいたします。

○岩野地域教育支援部長 校内居場所カフェの運営につきましては、現時点では未定でございます。

○阿部委員 現時点では未定とのことですが、ぜひ検討していただきたいと思います。
 生徒にとって、親や教師など近過ぎる関係は、かえって悩みが話しづらいこともあります。また、学校には、よくも悪くも独特の文化がありますが、外の人が入ることで画一的な価値観に風穴を開けることもできます。これは、生徒だけではなく、教師にとっても意義のあることだと考えます。
 また、外部資源が加わっていると、卒業後のケアにつなげやすいというメリットもあります。これが一番分かりやすいかもしれません。
 設置まではまだ時間がありますので、ぜひ地域の支援団体などの資源と連携ができるよう、制度設計を進めていただきたいと要望いたします。
 また、夜間定時制高校についてお伺いをいたします。
 先日も夜間定時制課程の高校卒業式に行ってまいりましたけれども、非常に多様な生徒さんが四年間かけてしっかりと学んで卒業されている姿は、非常に感動的なものでした。
 この夜間定時制高校、今後の展開をどのように考えていらっしゃるか、伺います。

○池上高校改革推進担当部長 夜間定時制高校には、勤労青少年に加え、不登校を経験した生徒や中途退学経験者、日本語指導を必要とする生徒など、多様な生徒が在籍しています。
 こうした状況を踏まえ、個々の生徒の状況にきめ細かく対応した教育内容等の充実を図るなど、望ましい学習教育環境の確保に取り組んでおります。

○阿部委員 かなりポジティブな評価もしていただけたのかなというふうに思います。
 学校には様々なカテゴリーがありますけれども、どんなに社会の変化に合わせて制度を変えていっても、その枠に当てはまらないニーズというのが残ります。合理的に様々な仕組みをつくればつくるほど、そこに当てはまらないニーズというのがやはり残っていく。
 そうした、ある意味ニッチなといったらいいのでしょうか、変化するニーズを受け止める場として、実は夜間定時制高校、これはある意味、合理性のある存在ではないかと私は考えております。ぜひそうした視点も持って、今後の定時制高校についてご検討をいただければと思います。
 中学校の通信制課程、これも先ほど少しお話が出ましたので要望だけにしておきますけれども、二一年度、一人にまで落ち込んだ入学者が、今度は、年齢制限を六十五歳以上の入学を認めたことで、一気に十五人が入学したと。新年度は定員も増やしているというふうに聞いております。
 こうした学びの意欲に応えるためには、やはり教師の複数配置がぜひ必要だと思っております。これは要望といたします。
 都立通信制高校について、これもセーフティーネットの一つだと思っております。ただし、毎日通う全日制や定時制に比べても、高い自己管理能力が通信制には必要です。卒業へのハードルは、かえって高いともいえます。都立通信制に編入した生徒たちが、どの程度、卒業までこぎ着けているのでしょうか。
 昨年の事務事業質疑でも伺いましたが、都立通信制高校入学者のうち、卒業に至る生徒の割合について検討しているのかどうか、改めて伺います。

○小寺指導部長 通信制高校は、生徒の個々の事情により、入学や転学、編入学、卒業の時期が異なり、年間を通じて在籍生徒数が流動的であるため、ご質問いただいたような割合は算出いたしておりません。

○阿部委員 私立の通信制高校は、そういった数字を出してもいるんですよね。いろんな考え方があると思いますし、いろんな計算の方法があると思います。ただ、どういうふうに――何が正しいかではなくて、同じ計算方法で毎年その数字を出していくことによって、暦年の比較をしていくことはできると思うんですよ。ぜひこれはご検討いただきたいと思うんです。
 そして、なぜそういうことをいうかというと、先ほどもいいました。やっぱり通信制で卒業までこぎ着けるというのはなかなか大変なことです。通信制に通う子供たち、中には自己管理がとても大切で、目的意識を持って、その制度を利用しているお子さんもいらっしゃるかと思います。でも一方で、自己管理が苦手な生徒も少なくありません。
 通信制高校という、一つのセーフティーネットに関わりながら、なかなか卒業まで至らない。そして、なかなか社会とつながれないままになってしまう。そうした人を減らしたいと思います。
 あるいは、手厚いサポートやサポート校と提携している通信制高校に多くの生徒が流れているという実態もあります。でも、これはかなり経済的負担が多い選択肢でもあります。それが選べない生徒もいれば、あるいは、経済的には苦しいけれども私立のサポート校等々に行って、そして家計がさらに苦しくなってしまう、そういう家庭だってある。
 そういったことを考えたときに、都立通信制高校の在り方、あるいは、誰を対象として、どういう伴走の仕方をしたらいいのか、今の東京都の子供たちにとって何がベター、あるいはベストなのかということもぜひ考えていただきたいと思います。
 少し質問を飛ばします。英語学習についてお伺いをいたします。
 昨年の英語スピーキングテストでは、録音上の不具合があることが発覚をし、再採点の結果、一部の生徒の得点の修正が行われました。
 不具合の原因調査の状況についてお伺いをいたします。

○瀧沢指導推進担当部長 調査中でございますが、機器の不良であると考えられます。

○阿部委員 随分時間がかかっているなというのが率直な印象です。機械的な不具合であれば、原因の究明にかかる時間は長過ぎるんじゃないでしょうか。原因が分からなければ、再発防止策が取れません。
 ベネッセからの回答が遅いのであれば、試験の実施主体である――東京都はこの試験の実施主体です、実施主体である都教委が、自ら調査に乗り出すべきだと思いますが、そのお考えはあるでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 現在、事業者が調査をしておりますが、約七万一千人、受験者がいたわけで、その受験者が使用した機器を点検することに時間を要しているというふうに認識をしています。

○阿部委員 これ、調査結果が出る見通しというのはあるのでしょうかね。今後もスピーキングテストを行っていく、入試に使っていくというのであれば、不具合の原因も分からないまま、次のテストをやるわけにいかないのじゃないでしょうか。
 見通しがあるのかないのか、その辺も分かりませんけれども、原因が判明次第、公表して、具体的な対策を、これも明らかにすべきだと思っております。それなしに、次のテストはあり得ないと私たちは思っております。
 音声データの開示の申請も受付が始まっております。
 現在の申請数についてお伺いをいたします。

○瀧沢指導推進担当部長 音声データの提供の申請数については、三月十三日、昨日現在で二十六件です。

○阿部委員 十日に聞いたときは二十件で、十三日だと二十六件ということで、少しずつ申請の数は増えているのかなというふうには思っております。
 しかし、そもそもがこれはアチーブメントテストというふうに始まっていて、今後の学習に生かすと。今日のご答弁でも、またこの一年間のご説明でも、今後の英語学習に生かすのだというふうに説明しているにもかかわらず、なぜ申請者のみにしか開示をしないのか、これは非常に謎であります。
 また、合格者は、なぜ五月まで待たなければいけないのか。受付処理のためではなく、音声加工の処理に時間がかかるのではないかと思ってしまいます。
 さて、二月の文教委員会では、再採点に要したコストは、都教委と事業者のどちらが負担するのかと質問したところ、協議中でした。それについては、先ほどもちょっと別の委員との議論でありましたけれども、もう一度確認をしたいと思います。
 どちらの負担となったのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 二月の時点では確認中であるということをお話しいたしました。
 先ほどお話をしたとおり、採点については事業者が行うことですので、事業者が負担するということでございます。

○阿部委員 確認を要する、あるいは協議を要するということは、再採点をするということは、協定書の中では明記をされた業務ではなかったということが分かります。何らかの必要性があって、後から、その具体的な業務を付け加えたということになります。
 そして、そこにコストが発生したということも、今のご答弁からは分かります。事業者にとっては、追加コストの負担を、ある意味強いられたということになります。これは事業者の側からいえば、泣き寝入りをするのか、あるいは、ほかで回収するのかということになってしまうのではないでしょうか。
 英語スピーキングテストの実施を中学校一、二年生に拡大をいたしました。
 一、二年生は、在籍する学校内でのアチーブメントテストの位置づけとしているのか、確認をしたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 スピーキングテストは、生徒の英語の話すことの到達度を客観的に把握するとともに、指導の改善を図ることを目的として実施するものですので、もとよりアチーブメントテストでございます。
 テストの実施方法については、現在検討中、これは先ほどお話ししたとおりです。

○阿部委員 新年度予算案では、三学年分のスピーキングテストのために約三十五億円を予算計上しております。本日いただいた要求資料によれば、三年生は約七億一千二百五十万円、一、二年生は約二十七億六千五百七十万円とのことです。
 本年度、三年生への実施が五億円だったものが、なぜ三学年で三十五億円なのか、その積算内容はどのようになっているのか、教えてください。

○瀧沢指導推進担当部長 先ほど同じ質問があって、お答えをしたかと思います。三年生を対象としたテストについては、試験を実施する会場として大学等の施設を確保するための費用として、一、二年生については、新たな事業者を公募する予定であり、新たな事業者が応募する際に必要な資材を調達する必要があるためということでございます。

○阿部委員 これ、何度聞いても分からないんですよね。三年生については、会場費ものっている。先ほどの質疑から、五億円では済んでいないと考えられますので、七億円までのっかっていくのは、ある程度仕方ないのかな、うなずけるのかなと思いますけれども、一、二年生、二十七億円、これは機材といいますけれども、八万人分、一日に二回使っても、タブレット、年に二、三回しか使わないものを、都が丸抱えで購入するということになるのでしょうか。
 入札に関わることなので、これ以上いいませんけれども、少なくとも事後的に公平性や妥当性が確認できる情報公開が、この入札の後には必要ではないかと思います。
 多くの方々が、今年、三年生がやって五億円、そして三学年に拡大したら三十五億円ということには、やはり今の都教委の説明では納得はされていないのですよね。ここは、入札前ですので多くをいいませんけれども、後から全て確認できるような状態にしておくということが、都教委の責任として必要だと思います。
 この行う事業者、一応、確認をします。競争入札を予定しているのか、それともプロポーザルとして考えているのか、お伺いをいたします。

○瀧沢指導推進担当部長 選定の方法については、現在検討中でございます。
 なお、先ほど委員からお話があった予算についての扱いですけれども、具体的な執行の際には、この予算の範囲内で、年度当初に事業者が都教委との協議を経て収支計画を策定いたします。
 また、事業の実施後には、事業者からの実績報告を受けて東京都教育委員会が内容を精査し、必要額を分担金として支出するというものですので、あくまでも、先ほどお話しした理由で予算額として予算を積んでいるということで、改めてお話をさせていただきました。

○阿部委員 新年度に向けて、東京都教委は、英語力向上のために多くの事業と予算を提案されております。オンライン英会話を全都立高校に拡大することは、生徒の語学力、モチベーション向上に資するものだと私も思います。
 英語力向上を図るのであれば、制度的に矛盾が大きい英語スピーキングテストの都立高校入試活用で予算と労力を費やして受験生と中学校教育を疲弊させるのではなくて、都立高校の英語教育の環境充実、オンラインでも、留学でも、少人数でも、そうした環境をしっかりとつくって、そこにアチーブメントテストを入れていく。そして、英語力向上がこういうやり方でできるんだということを可視化して、その上で、そのエビデンスを持って、中学校が今度は環境充実を図れるように、その予算を東京都としてしっかりとつけていく。そこにアチーブメントテストを入れていく。その順番であれば納得するわけです。
 何で英語教育の充実の環境整備をする前に、しかも、アチーブメントテストと高校入試という全く性格の違うものをいきなり入れて中学校教育を混乱させるのか、非常にこれは不可解です。順番が逆だと思います。
 そこまでのエビデンスをつくれば、入試に英語のスピーキングの能力を、これはスピーキングテストをしなくても、中学校の中でアチーブメントテストの中でしっかりと評価をして、把握して、それが入試に生かせるわけじゃないですか。
 こんな順番にするから、私たちは一年間もいろいろな矛盾について、長い時間、議論しなければいけなかった、指摘をしなければいけなかった。
 この順番の今のやり方というものを、都教委として、今のやり方はよろしくないということをぜひ認めていただきたい。そして、英語教育を充実させるには、どういう順番で行っていったら、誰もが納得して行うのかということをぜひ考え直していただきたい、そういうことをお訴えいたしまして、私の質問を終わります。
 以上です。

○清水委員 よろしくお願いいたします。私からは、教員不足の解消について、教員確保策についてお伺いしたいと思います。
 今日の委員会でも何名かの委員の方からも言及がございまして、これは喫緊の課題なんだなというふうなことを感じているわけであります。
 加えまして、私ども都議会自民党といたしましては、予算特別委員会の代表質問の中で、確かに数を確保しなければならないんだけれども、それと併せて、高い資質を兼ね備えた、そのような人材を確保すべきではないかというふうなことを訴えてきたわけでございまして、浜教育長からも、選考制度の見直しをして増す努力をするんだ、併せて、教員の負担軽減、減らさない取組もするし、外部人材のさらなる活用もするんだというふうなご答弁をいただいたわけでございます。
 じゃあ東京都教育委員会が考えている高い資質を兼ね備えた人材というのは、どういうふうな人物像なのかというところなんですが、先月の二月に改定がされました教員の資質向上に関する指針というのがあるそうでして、そこでこのように書いてあるんですけれども、熱意と使命感、そして豊かな人間性と思いやり、加えまして、新たに多様性に配慮した人権意識、こういったことを持ち得たような方が、都教委の思い描いている人物像だというふうなことでございます。
 しかしながら、今いった三つの人間としての人物像、これは別に、教員ではなくても、どこの一般企業でも、このような方がいたら、すぐ採用したいなと思われるような方ばかりでございまして、もっというならば、今いったような熱意と使命感ですとか豊かな人間性、これを測るはかりもございませんし、物差しもないという、基準を明確にすることがなかなか難しい表現であります。
 そこで、改めてちょっとお伺いしたいのですが、東京都が考えているこのような教育に対する熱心あるいは使命感を持つ教師という視点、これは非常に重要だと思うんですが、具体的にどのような姿を指していらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

○吉村人事部長 指標では、教育に対する熱意と使命感を持つ教師に必要な資質として、子供に対する深い愛情、教育者としての責任と誇り、高い倫理感と多様性に配慮した人権意識を求めております。
 例えば、子供たち一人一人の個性を大事にし、特別な配慮や支援を必要とする子供などを含め、全ての子供が安心して学校生活を送るための学級づくりに力を尽くすこと、また、子供の視点に立って興味や関心を引き出す授業ができることなどでございます。

○清水委員 ありがとうございました。別に意地悪な質問をしたわけではございませんで、素直な気持ちで聞かせてもらったのですが、今、耳を凝らして聞いていたのですが、全ての子供たちが安心して学校生活を送るための学級づくりに尽力される方というふうなこと、これがすごく印象に残っておりまして、誰一人取り残さないというふうなことにもつながるのかなと思います。
 若干余談なんですが、私が今、この時点で考えている理想の教師像というのがありまして、ちょっと懐かしい話なんですが、今から遡るところ四十五年前に、テレビドラマで「熱中時代」ってあったんですが、多分、こうやって拝見しますと、うんうんと納得をしてくれている方が多いので、私と同じ世代の方が多いのかなというふうに思っております。
 主人公は北野広大先生といいまして、北海道の小樽から単身でやってきたということで、俳優の水谷豊さん扮する小学校教師の体当たり物語というふうな感じです。今でこそ、水谷豊さんは、テレビドラマだと「相棒」というやつで刑事ドラマ、「熱中時代 刑事編」というのもあったんですけれども、今もう七十を超えているそうですね。
 この「熱中時代」の教師編のパートワンの方のときは、二十五、六だったそうです。昭和五十三年、昭和の真っただ中でございまして、最高視聴率は四割を超えていたそうで、当時の文部大臣も毎回欠かさずご覧になっていたというエピソードを持っている、そういうテレビドラマというのがありました。
 私の中で一番心に残っている回がありまして、「涙の父母参観日」というタイトルの回なんですよ。これは、新米教師の北野先生が父母参観日の授業に、よせばいいのに、算数を選んじゃったんですね。なかなか算数というのは全員を当てることができないので難しいといわれているんですが、その中で、分数だとか小数点の計算をする授業だったんですけれども、どうしても小数点という概念を理解できないお子さんがいまして、とんちんかんな答えばかりしているんですよ。
 谷田君という方だったと思うんですけれども、クラスのみんなは、その計算は簡単なのでできるんですが、どうしても谷田君ができないから、その谷田君に集中して、その参観日に北野先生は一生懸命教えるんですよ。そうしたら、その谷田君のお母さんが、もう勘弁してくださいと、もういいですから、うちの子供は、ほかのクラスの方に迷惑をかけるから先に進めてくださいとおっしゃって。加えまして、たまたまそこに他校の教頭先生だったお父さんが来ていまして、谷田君のお母さんもそういっているんだから、先に進めたらどうですかと北野先生にいったんですよ。
 そうしたら、北野広大先生は、いや、ちょっと待ってください、私は特別な授業を今日はやりたくないんです、ふだんの授業をやっていきたいんです、ですから、このまま続けさせてくださいと。何をやったかというと、クラスのみんなと、何で谷田君はこういうふうな答えを出してしまうんだろうか、みんなで考えてみようじゃないか、こういう振り方をして、本当にみんなで学んでいくというふうな、そんな姿だったんですね。
 それで、やっぱりテレビドラマですから、結局、谷田君は頑張って正解を導き出すことができたのですが、その後があるんですね。そうしたら、あるとき、北野先生のところに、こっそりと新聞紙にくるんだ生卵が置いてあるんですね。これは何かなと思ったら、谷田君のお母さんがこっそりお礼で置いていったそうなんですよ。実は、谷田君ちは自営業、豆腐屋さんでして、なかなか仕事も厳しくて、谷田君も家の仕事を手伝いながら学校に行っていたということで、ほんの気持ちでこの卵を置いていったと、こっそりと。これがワイシャツだとかスーツの仕立券だと、ちょっと嫌らしくなるんですけれども、これ、生卵というところがいいじゃないですか。親の気持ちでね。
 やっぱり地域の公立学校に通うお子さんたち、それぞれいろんな家庭環境の背景を抱えているというところがある中で、どんな子供もみんな学校に行くのが楽しいよとか、授業が面白いよというふうなことを、そんなことを導き出してくれるような先生、いいじゃないですか。
 確かに、今は教育委員会でもAI教材などの研究もなさっているそうでありまして、どうしたら学習の効率を上げることができるのかですとか、あるいは子供の学習の進捗、これを高めることができるか、そういった効率に走る向きもあると思うんですけれども、やっぱりその個人の最適化というんですか、最適な学習を先生方が熱意を持って探していく姿というのが、私は北野先生いいななんて思っているんです。
 そんなような、それぞれ人によっても違うと思いますし、多分、自分が小学生のときと中学生のときでは理想の先生像というのも変わってくるのかもしれませんが、そういったスキルを持ち得た方をどうやって採用していくのか、確保していくのかというところが一番重要かと思うんです。
 これも、実は代表質問、予算特別委員会の中で我が党から聞かせていただいたのですが、一言でいうと、答弁としては、裾野を広げていくような、そんな取組ですね。採用方法の改善、例えば、大学三年生から採用することができるような仕組みをつくるですとか、裾野を広げるような取組をしていくんですよというふうな答弁をいただいたかと思います。
 確かにスポーツでも何でも、裾野を広げればレベルは高くなるというふうなことがよくいわれるわけでございまして、私も、たくさん教員採用試験に応募してくれれば、いい人材はおのずと集まってくるのかなと思うんですが、せっかく東京都の教育委員会でこのような三つの指針を打ち出しているわけでございますので、これはやっぱり、いい教員を採用するために努力するんだという強い意思を持って、この人材の確保に努めるべきかと思うわけであります。
 そこで、改めまして、こういった資質を兼ね備えた教員を確保するために、都教育委員会としてどのような取組を行っていくおつもりなのか、お伺いしたいと思います。

○吉村人事部長 求める教師像につきましては、採用案内のパンフレットや選考の実施要綱など、あらゆる場面で掲載をしております。
 また、モデルとなる現職教員を採用ナビゲーターとして登用し、オンライン説明会や採用セミナーなどで、教師としての実体験や思い、志望者へのメッセージを語ってもらうことで、東京都が求める教師像を具体的に伝えております。
 来年度は、ご発言にもありましたように、選考制度の見直しも図りまして、社会人や教員復帰者を含めた、より幅広い層から資質を持つ人材を確保してまいります。

○清水委員 ありがとうございました。やはり先輩方の発言というのは、後を追う者としてはすごく重たいものでもあるし、多分、教師になってこういうことがよかったよということを熱く語っていただけるんじゃないかなと思いますので、そういった声が教師を目指している方に届くような、そういった工夫をぜひともしていただきたいなと思います。
 続きまして、教員確保のために住宅施策も大切だということで質問をしたいと思いますが、すみません、余計なことばっかりしゃべっちゃったので時間がなくなってきましたので、一問目はちょっと飛ばさせていただきたいと思います。
 やはり東京の問題というのは、大都市問題の一つに、住宅の確保というところがあろうかと思います。
 それで、せんだっての委員会で教職員住宅の件にちょっと触れられておりましたので、その住宅って何だろうというふうなことで若干調べさせていただきました。いわゆる東京都の職員住宅ということに関しましては、原則廃止の方向で向かっていくということで、限定的に住宅を供給しているそうでございます。
 それは、一番に、災害対策業務を遂行する職員であるとか、あるいは、お医者様みたいに、勤務時間外においても、職務遂行上、一定の場所に居住する必要があるですとか、あるいは僻地に勤務する職員ということに限定されているそうでございまして、これは時代の背景もあって、廃止に向けて今、取組がされているそうでございます。
 しかしながらなんですけれども、私は都議会に来てもう十年もたつのですが、ここでなかなかうまくいった施策があるなと感じているのは、これは福祉の分野なんですが、例えば、介護士さんですとか介護に携わる職員の方向けに借り上げ住宅というふうなことをやっておりまして、それがなかなかうまくはまっておりまして、人材確保のために役に立っていると思っているわけでございます。
 これと同じような、全く同じことはできないと思うんですね、事業所の職員と東京都の職員の違いがあるわけでございますから。しかしながら、何らかの形で、教育委員会の方で教員を目指す方に対して住宅の手だて、アシストをしてあげる。そのようなメッセージを出すだけでも、これは違うんじゃないかなと思っているんです。
 例えば、先ほど北野広大先生の話をしましたけれども、北海道の小樽から単身で来た人が、この大都会で住まいを探すのは大変だと。そんなところも、何らかの支援をしてあげるなんていうのはどうかななんて思うんですけれども、ちょっと教育委員会の見解をお伺いしたいと思います。

○田中福利厚生部長 新規採用予定教員の住宅探しを支援するため、都教育委員会は、一般財団法人教職員生涯福祉財団及び公立学校共済組合東京支部が主体となる事業を立ち上げてもらうことにより、採用前の選考合格者や採用直後の者が利用できる工夫をした事業の創設を調整してまいりました。
 これら事業主体二者と民間住宅関連事業者三者、都教育委員会が連携し、住宅関連事業者ごとの賃貸住宅や割引等の情報を案内する取組を今年二月から開始いたしました。

○清水委員 ありがとうございました。
 今年二月からこのような取組が行われるということで、これはあまり知られていないんじゃないかなと思うんですけれども、ちょっと簡単にもう一回お聞きしたいのですけれども、今、割引等というところがあったんですが、これはすごく気になったのですが、もう少し詳しくご説明していただけますか。すみません、突然で。

○田中福利厚生部長 先ほどご答弁申し上げました、協力いただく事業主体二者から関連サイトに飛びますと、協力していただく事業者三者さんのまたページに飛ぶようなところがありまして、それぞれの事業者さんが、それぞれの企画的に特典みたいのを用意してくれて、例えば手数料を割引してくれるですとか、敷金を一か月割引してくれるですとか、入居三年間は家賃の一定額を割引してくれるですとかというようなことをするというような……(清水委員「割引率は」と呼ぶ)割引率は、例えば一者さんですと三年間家賃二〇%オフですとか、それは事業者さんの努力、工夫でやっていただくというようなことでございます。

○清水委員 ありがとうございます。突然のお尋ねで、すみません。
 三年間、二割引だそうですよ。こういったことをぜひともPRするのも人材確保の一助になるのかなと思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。

○大松委員 東京都教育委員会は、来年度、新しい部署として、グローバル人材育成部を設置します。その主な業務は、英語の教育力の向上、教育の国際交流、日本語を母語としない子供への支援などになると伺っております。
 日本語を母語としない子供への支援につきましては、会派として本会議の代表質問等で質問をいたしましたので、本日は、英語の教育力の向上と教育の国際交流について質問をいたします。
 まず、英語の教育力についてでありますけれども、英語の教育力を向上させるためには、英語科教員の教育力を向上させること、これが最も重要であると考えます。
 東京都教育委員会には、英語科教員を中心に海外の大学に派遣する研修があります。派遣された教員は、大学で英語の教授法を学ぶとともに、派遣先の地域の学校を訪問し、児童生徒や教員と交流するなどして教育力の向上を図ります。そして、帰国後は、研修の報告会を海外の教育関係者を交えてシンポジウム形式で行うなど、大変充実した、そして優れた内容の研修になっております。
 現在は、コロナ禍で教員は海外には派遣されず、オンラインを活用した研修が行われておりますが、令和五年度の海外派遣研修について、渡航を再開し、ポストコロナに向けて研修を充実させていくべきと考えますが、都教育委員会の見解を求めます。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、英語の指導力の向上等を目的として教員の海外派遣研修を実施しております。
 感染症の影響によりまして、昨年度からはオンラインを活用した研修を実施してまいりました。
 来年度は、渡航の再開に向けて、これまで蓄積してきましたオンラインによる研修のノウハウを派遣前後に活用しまして、多くの教員が参加できるように、派遣期間を夏季休業中の一か月間に集中させることで、より効率的、効果的な研修を実施したいと考えております。
 また、教科を問わず、多文化共生への理解を深め、国際的な視野を持った人材育成に向けた実践的な指導力を向上させるため、多文化共生担当教員コースというものも新たに設置をいたします。
 帰国後は、報告会及びシンポジウムを開催しまして、海外教育機関の指導者を招聘しまして議論を行う機会を設けるなど、英語の指導力や、あるいは国際交流に関する実践力をさらに高めてまいります。

○大松委員 教科を問わずと。つまり英語科以外の研修も新たに行っていくということでございます。グローバル人材を育成するためには、英語力だけではなく、多文化共生を理解する資質が重要であります。ぜひ英語科以外の教員の派遣も進めていっていただきたいと思います。
 都教育委員会は、海外の教育委員会や教育省と協定を締結し、海外の教員を都内の小中学校や高校に受け入れたり、教員同士の意見交換を行うなどの教育交流を活発に行っています。こうした交流は、生徒が文化や価値観の違いを実感するとともに、人間同士として心を通わせる体験などを通して、グローバル人材としての資質を養う絶好の機会になっております。
 一方、こうした交流は、教員にとっても、海外の教育法を学び、自身の教育力を磨く好機になると考えます。
 それで、よく教育は医学と比べられることがありますけれども、いずれも人間の命や成長を扱う技術という点で共通をしておりまして、兄弟または姉妹のような関係にあるといわれております。こうした認識の上で、医学には国際的な学会のネットワークがありまして、世界の医師が情報交換、切磋琢磨し合う中で医療技術は発達をしております。
 そこで、教育においても、こうした医学と同様のネットワークが必要であると考えます。例えば、外国語教育など国を超えて共有できるテーマを設けて、現場の教員同士が情報交換や交流を行うことができる国際的なネットワークがあれば、互いに教育力を向上させることができるようになると考えます。都教育委員会が、今、海外に広げている教育協定は、その芽吹きともいうべきものであり、大切に育てていっていただきたいと思います。
 都教育委員会は、海外の教育行政機関との連携に基づく教員同士の交流についても再開するとともに、連携先を拡大していくことも必要であると考えますが、東京都教育委員会の見解を求めます。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、生徒や教員の国際交流を計画的かつ効果的に進めるために、これまでに十の国や地域の教育行政機関と教育に関する覚書を締結してまいりました。
 こうした連携を下に、コロナ禍前には、オーストラリアやカナダ・ブリティッシュコロンビア州との間で、双方の教員が文化や教育事情を紹介し合う情報交換会なども開催したてきた経緯がございます。
 今後、地域や文化、言語など、より幅広い観点から新たな連携先を開拓し、教員同士の多様な国際交流の機会をさらに創出してまいります。

○大松委員 現場の教員同士の国際交流をぜひ広げていっていただきたいと思います。
 海外には、各地方政府、自治体の教育委員会が、首長から独立性を持って活動している国々があります。東京都教育委員会も、東京の教育力の向上に向けて、課題を共有できる海外の教育機関と積極的に交流を広げていくべきと考えます。
 世界は、経済の競争から教育の共創、人材育成の共創の時代へと移行していくものと考えます。国際交流の拡充を通したグローバル人材の育成に向けた教育長の見解を求め、私の質問を終わります。

○浜教育長 都教育委員会は、海外の教育行政機関との連携等を通じ、都立高校生の海外派遣や海外の生徒の受入れを拡充し、様々な国や地域の若者と交流する中で、世界を取り巻く課題について議論する機会を設けるなど、英語を使いこなしながら、多様な考え方や価値観を認め合える取組を充実していくこととしております。
 こうした取組を積極的に進めていくことで、世界で活躍できる人材に必要となる資質、能力を育み、今後、グローバル化が一層進展する社会で、世界の中の一員として主体的、創造的に活躍する人材の育成を一層強力に進めてまいります。

○入江委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○入江委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後十一時四十三分散会

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