文教委員会速記録第四号

令和五年三月十三日(月曜日)
第四委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長入江のぶこ君
副委員長加藤 雅之君
副委員長伊藤しょうこう君
理事桐山ひとみ君
理事斉藤 りえ君
理事とや英津子君
北口つよし君
鈴木  純君
アオヤギ有希子君
大松あきら君
白戸 太朗君
阿部祐美子君
伊藤 ゆう君
清水 孝治君

欠席委員 なし

出席説明員
生活文化スポーツ局局長横山 英樹君
生活安全担当局長小西 康弘君
次長理事兼務スポーツ総合推進部長事務取扱渡邉 知秀君
理事古屋 留美君
理事川瀬 航司君
総務部長久故 雅幸君
都民生活部長馬神 祥子君
都民安全推進部長小室 明子君
消費生活部長片岡 容子君
私学部長戸谷 泰之君
文化振興部長蜂谷 典子君
スポーツ施設部長小池 和孝君
企画担当部長吉原 宏幸君
都民活躍支援担当部長小野 由紀君
男女平等参画担当部長樋口  桂君
治安対策担当部長油谷 行泰君
若年支援担当部長米今 俊信君
文化戦略推進担当部長宮永 浩美君
デジタル推進担当部長松下 裕子君
国際連携担当部長事業推進担当部長兼務木村 賢一君
事業推進担当部長三浦 大助君
アーカイブ担当部長事業連携担当部長兼務澤崎 道男君
スポーツ担当部長山根  勉君
事業推進担当部長河野 和久君
パラスポーツ担当部長齊藤 陽睦君
事業推進担当部長工藤 慎市君
開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務柏原 弘幸君

本日の会議に付した事件
意見書について
生活文化スポーツ局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 生活文化スポーツ局所管分
・第百十号議案 令和五年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 生活文化スポーツ局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十四号議案 東京都体育施設条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・国際スポーツ大会への東京都の関与のガイドライン及び同ガイドラインを踏まえた世界陸上・デフリンピックの取組について

○入江委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、議席について申し上げます。
 本委員会室の議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承ください。

○入江委員長 次に、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○入江委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○入江委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 令和五年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和五年三月九日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
文教委員長 入江のぶこ殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月九日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十六日(木)午後五時

(別紙1)
文教委員会
 第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中
        歳出
        債務負担行為 文教委員会所管分
 第百十号議案 令和五年度東京都一般会計補正予算(第一号)中
        歳出 文教委員会所管分

(別紙2省略)

○入江委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化スポーツ局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより生活文化スポーツ局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、生活文化スポーツ局所管分、第四十四号議案、第百十号議案、令和五年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、生活文化スポーツ局所管分及び報告事項、国際スポーツ大会への東京都の関与のガイドライン及び同ガイドラインを踏まえた世界陸上・デフリンピックの取組についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○久故総務部長 去る二月九日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元に配布の令和五年文教委員会要求資料をご覧ください。
 表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、今回要求のありました資料は十一件でございます。
 一ページをお開き願います。1、Tokyo Tokyo FESTIVALの主な事業でございます。
 令和三年度の主な事業の概要を二ページまで記載しております。
 三ページをお開き願います。2、私立専修学校修学支援実証研究事業の授業料支援実績額、協力校数及び受給者数の推移でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの実績を記載しております。
 四ページをお開き願います。3、私立小中学校等の児童生徒数並びに私立小中学校等就学支援実証事業の国への交付申請者数、受給者数及び実績額でございます。
 令和元年度から令和三年度の実績を記載しております。
 五ページをお開き願います。4、私立学校の児童生徒の自殺者数でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの状況を記載しております。
 六ページをお開き願います。5、新型コロナウイルス感染症に係るPCR検査の私立学校における活用実績及び教職員の定期検査の実施状況でございます。
 活用実績と実施状況を記載しております。
 七ページをお開き願います。6、知事の附属機関(審議会等)の委員数、女性委員数及び女性委員任用率一覧でございます。
 令和四年八月一日時点の状況を九ページまで記載しております。
 一〇ページをお開き願います。7、配偶者暴力防止等民間活動助成事業の実施状況、予算額の推移でございます。
 令和元年度から令和四年度までの実績と令和五年度の予算額を記載しております。
 一一ページをお開き願います。8、都内配偶者暴力相談支援センターの相談件数の推移でございます。
 都と区における平成二十三年度から令和三年度までの実績を記載しております。
 一二ページをお開き願います。9、都内配偶者暴力相談支援センターの相談件数(月別)の推移でございます。
 都と区における令和元年度から令和四年度までの実績を記載しております。
 一三ページをお開き願います。10、男女共同参画に関する施策についての苦情処理機関の都道府県別設置状況でございます。
 都道府県別の設置状況を記載しております。
 一四ページをお開き願います。11、不健全図書類の指定件数、名称及び指定理由でございます。
 平成十四年度から令和三年度までの指定件数と、令和元年度から令和三年度までの不健全図書類の名称及び指定理由を一五ページまで記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○入江委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 よろしくお願いします。
 初めに、青少年の安全なインターネット利用について伺わせていただきます。
 これまで都では、インターネット技術の進展に合わせ、青少年のネット適正利用の啓発講座、ファミリeルール講座や、SNSトラブル防止動画コンテストなど、青少年に向けた取組を行っていますが、昨今では、次世代のインターネットであるメタバースが社会的に注目を集めており、今後、さらなる利用の拡大が見込まれています。
 大人でも、ネットの知識はあるものの、メタバースの経験がない方も多いのではないかと考えられ、特に青少年は、大人と比べて社会的な経験も少ない中、こういったツールを安易に使うことでトラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。
 そのため、今後、行政として青少年に向けた啓発を進めるべきであると考えますが、メタバースの拡大に伴い、青少年が適切にメタバースを利用するためにどのように取り組んでいくべきか、都の認識を伺います。

○油谷治安対策担当部長 都は、青少年がインターネットを安全・安心に利用する環境を整備するため、様々な取組を進めているところでございます。
 メタバースにつきましては、現在、総務省や内閣府等におきまして、その利活用に向けた環境整備に係る課題整理等の議論が進められております。
 都としましても、その状況を注視しながら、国や業界団体と連携し、青少年がメタバースを適正に利用できるよう、メタバースサービスの拡大に合わせて啓発に取り組むことが必要と認識しております。

○鈴木委員 私も、安全なメタバース環境の構築に当たっては、適正利用の啓発に取り組むことが重要だと考えております。
 そこで、都では、来年度予算案に新規事業として親子で体験メタバース教室を計上しております。
 本事業の意義と具体的な内容、今後の展開についても伺わせていただきます。

○油谷治安対策担当部長 都は、全国自治体に先駆けまして、来年度から、メタバースの適正利用をテーマとした体験型の啓発講座を新たに開催いたします。
 具体的には、親子でメタバース空間にアクセスし、実際に体験してもらうことにより、その利便性や利用上の注意点などを伝え、メタバースに係る知識の普及とリテラシーの向上を推進してまいります。
 また、本事業を通じて得られますノウハウや参加者の声などを国や業界団体に共有することにより、メタバースの適正利用に向けた事業者の自主的な取組を促進してまいります。

○鈴木委員 今後、メタバースは、インターネット利用の一角を占めるものになると考えられることから、適正利用の普及啓発に取り組むことを期待しております。
 次に、私立中学生の授業料助成について伺います。
 東京の私立学校は、各学校が独自の建学の精神に基づき、特色ある教育を展開しており、東京の公教育において極めて重要な役割を果たすとともに、都民からも熱い期待が寄せられています。
 私立に通う高校生は六割近くになっているだけではなく、中学生も全体の約二五%となり、中学、高校ともに大きな存在感を発揮されています。
 私学に通う生徒、保護者の大きな関心の一つに授業料があり、私立高校生については、国の就学支援金に加え、都の独自助成である特別奨学金制度によって、都内私立高校の平均授業料相当額まで負担軽減されており、就学機会の確保に大きく寄与していると考えております。
 一方、私立中学生は、その平均授業料が私立高校を上回るだけでなく、国が実証事業として補助していた年間十万円の支給が令和三年度に終了したことで、保護者には大きな負担となっていました。
 都議会自民党は、私立学校の果たす役割をしっかり受け止め、都議会公明党さんとの連名で、私立中学校に通う生徒に対する授業料助成を行うよう、一月十九日に緊急要望を行い、都はこの趣旨を踏まえ、令和五年度当初予算案に四十億円を計上していただきましたが、まず、この私立中学校等特別奨学金の概要及び積算の考え方について伺わせていただきます。

○戸谷私学部長 本事業は、高校の授業料補助と同じ所得要件でございます年収約九百十万円未満の世帯を対象に、生徒の授業料負担を軽減するものでございまして、最大で年額十万円を補助するものでございます。
 対象規模につきましては、私立高等学校等特別奨学金の受給者が都内私立高校生の約半数であることから、その割合を適用することといたしました。
 都内私立中学校に通う生徒が七万九千八百九十六人でございますので、約半数の三万六千人を補助対象として予算を計上してございます。

○鈴木委員 本事業は、公私間格差を是正し、保護者の経済的な負担を軽減するという、今回の緊急要望の趣旨に沿ったものであると受け止めております。
 また、東京における私立中学校、高等学校は、全国に比べて学校数も生徒数も多く、こうした東京特有の事情を踏まえて、私立学校や保護者への支援を考えていく必要があると考えますが、改めて本事業を実施する意義について伺います。

○戸谷私学部長 都内では、中学生の四人に一人が私立中学校に通っておりまして、全国平均の三倍を上回る割合であるなど、私立中学校のニーズが高い状況でございます。
 また、都内の多くの私立学校で中高一貫教育を推進しておりまして、中学入学の時点で将来の進路を決める生徒や保護者が多くなってございます。
 こうした東京における私学の特殊性を踏まえまして、教育費負担を軽減することで、厳しい家計状況にあっても、生徒一人一人が個性に応じた学校選択ができるよう、子育て世帯に寄り添った支援として、都の独自補助を実施することといたしました。

○鈴木委員 中学、高校という生徒にとって最も多感な時期に、同一の環境の下、落ち着いた教育が受けられ、長い人生の基礎となる知性と感性をバランスよく成長させられることは、とても大きな魅力だと感じています。
 各生徒にとって自分に適した学校を選択でき、また、親の経済的事情で断念することを少しでも減らすことで、生徒一人一人が個性豊かな人間として成長し、東京の、そして日本の未来を切り開くことができるよう、本事業をしっかり実施していただくことを要望いたします。
 次の質問に入ります。
 東京都は、昨年三月、文化行政の方向性や重点施策を示した東京文化戦略二〇三〇を策定いたしました。この戦略では、二〇四〇年代の東京の姿として、芸術文化で躍動する都市東京を目指すとしており、文化においても世界最高水準の東京の実現を掲げ、我が会派の目指す方向性と軸を一つにするものであります。
 本戦略では、アーティストやそれを支える周辺人材の育成について触れておりますが、東京の芸術文化のプレゼンスを高め、世界と伍していくためには、芸術文化を担う人材の育成が不可欠です。
 今回の予算案で、都は、芸術文化を担う人材の中でも、特にアートマネジメント人材を対象とした海外派遣事業を新たに開始するとのことでありますが、本取組の意義と概要について伺います。

○蜂谷文化振興部長 東京から世界に通用する作品を生み出し、発信していくためには、芸術文化を支える演出家やプロデューサー、キュレーター等の人材の育成が重要と考えております。
 そこで、来年度から、こうしたアートマネジメント人材を対象に、例えば世界最先端の演出や舞台技術、展示手法をじかに学んだり、アート界の第一線で活躍する人々との人脈づくりを行うことを目的とした短期派遣事業を開始することといたしました。

○鈴木委員 私が住む台東区の中の上野公園にも、東京文化会館や東京都美術館があり、海外の有名なバレエやオペラ、海外作家の展覧会が開催されています。
 海外から来てもらうだけではなく、東京の優れた芸術を世界に発信していくためには、それをプロデュースしたり、作品の魅力を引き出したりするアートマネジメント人材の存在が重要であると考えていることが分かりました。
 これまで都が行ってきたアーティストへの支援に加え、芸術文化を支えるアートマネジメント人材の育成を目的として事業を開始することは大変意義のあることだと思いますが、具体的にどのような派遣を行うのか、また、どう生かしていくのか、伺います。

○蜂谷文化振興部長 演劇や音楽などの舞台芸術を支える演出家やプロデューサー、美術を支えるキュレーター等のアートマネジメント人材について、広く募集することを想定しております。
 十名程度を選定いたしまして、欧米やアジアなどの著名な芸術文化機関やシアター、芸術文化フェスティバル等に派遣する予定でございます。
 派遣後は、その成果の報告会等を予定しております。

○鈴木委員 海外の有名な文化施設やフェスティバルには、世界中から芸術文化に携わる人々が集まっていることから、そのような場所に行って学び、交流を深めてくることは大変有意義なことと思います。
 派遣期間が長期間にわたると、二の足を踏む方もいらっしゃるかと思いますが、短期間だと、自分もチャレンジしてみようと考える方も多いのではないかと考えます。
 派遣された方が有意義な経験ができるよう、しっかり制度を構築し、サポートしていただきたいと思います。
 次に、パラスポーツについて伺わせていただきます。
 先日の文教委員会で、我が会派の伊藤副委員長が指摘いたしましたが、パラスポーツの振興に向けて、来年度に創設予定の東京二〇二〇大会レガシー基金も活用して、重層的、多面的に事業を展開していかなければなりません。
 都は、障害者のスポーツ参加を進めることやパラスポーツへの関心を高めることについて、様々な資源を活用して、また、工夫を凝らして取組を進めております。
 また、パラスポーツ振興の取組の成果指標の一つとして、都はこれまでも、障害者のスポーツ実施率を調査しておりますが、直近三年程度の推移と、令和四年度の主な結果について伺います。

○齊藤パラスポーツ担当部長 障害のある十八歳以上の都民のスポーツ実施率は、コロナ前の令和元年度は三七・〇%、コロナ直後の令和二年度は三一・九%でございました。令和三年度は三五・四%、令和四年度は三五・二%であり、コロナ前の水準までには至らないものの、回復傾向にあります。
 主な実施状況としては、実施場所は、道路や自宅が四割を超えている一方、民間や公共のスポーツ施設はおのおの一割程度でありました。また、実施種目としては、ウオーキングや散歩、体操が上位でありました。
 過去一年間にスポーツを実施していない人の割合は四四・四%で、前年度同様、約半数であり、その理由としては、活動したいと思わないが七二・七%と最も高かったところであります。

○鈴木委員 スポーツをする目的は、機能維持、回復や健康増進など、人それぞれ異なりますが、地域で行われるスポーツ教室に参加することは、仲間づくりなど、障害者の社会参加の手段の一つとして有効であると考えます。
 そのため、我が会派はこれまでも、身近な地域で障害者がスポーツに取り組めるようにする環境整備の一つとして、特別支援学校の活用拡大を求めてきました。
 障害者にとってバリアフリーが確保されたスポーツの場である特別支援学校の体育施設を活用した事業の来年度の取組について伺います。

○齊藤パラスポーツ担当部長 障害者が身近な地域でスポーツ活動ができるよう、都は、特別支援学校の体育施設を活用して施設貸出しと体験教室を実施しており、令和五年度は、実施校数を二十九校から三十一校に拡大いたします。
 体験教室については、これまで、誰もが参加できる事前予約制のレクリエーションスポーツ等の教室として実施をしてまいりました。
 来年度は、障害者のニーズも踏まえ、新たに、予約せずに気軽に参加でき、かつ障害特性に応じて、自分に合った種目を選択できる教室を開始いたします。
 また、スポーツに関心のない方の参加のきっかけとなるよう、ヘブンアーティストによる音楽やダンス等のパフォーマンスと組み合わせて実施するなど、プログラムの充実を図ってまいります。

○鈴木委員 文化的なパフォーマンスをスポーツのプログラムに取り入れるという発想は、文化とスポーツの部署が一つの局に統合されたことで、互いの連携が深まった証左でもあると私は考えております。こうした様々な工夫により、来年度は、さらに体験教室の参加者が増え、交流の場が広がっていくことを期待しております。
 昨年の第四回定例会で、我が会派が、活動できる場所が少ない、自分の障害を理解してサポートしてくれる人が不可欠という障害者の声に応えて、環境整備に着実に対応していくことが重要と伺いましたが、都は、特別支援学校の体育施設の活用など従来の取組に加え、行き慣れた場所でスポーツを楽しめる仕組みを検討するとのことでした。
 先ほどの調査結果でも言及のあった、活動したいと思わないなど、スポーツへの関心が低い人も含めて、障害者がスポーツ活動に親しめるよう、令和五年度は具体的にどのように取り組むのか、伺います。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都は、来年度、慣れた場所で安心して楽しめる環境を提供するため、福祉作業所や放課後等デイサービスなどを対象として、気軽に運動に取り組んでいただける事業を開始します。
 具体的には、まず、福祉作業所等に指導者を派遣し、利用者の障害種別や程度等に応じた運動を定期的に実施することで、体を動かすことの習慣化を図ります。
 さらに、近隣の体育館等での運動プログラムを実施し、スポーツ施設に出向いていただくきっかけを提供します。
 また、こうした取組に対して、地元自治体やスポーツ施設職員等が積極的に関わるよう促し、それぞれが行う取組にニーズやノウハウを反映させることで、障害者が参加しやすい環境の整備につなげてまいります。

○鈴木委員 福祉施設での運動習慣の定着は、障害者のQOL向上につながり、また、地域でスポーツを通じて障害のある人とない人との交流機会が増えれば、社会において障害への理解や多様性への認識が変わります。
 都が新たに始める事業の中では、地元自治体や関係団体にも関与していただくとのことですので、ぜひこれらの取組が身近な地域でも行われるよう、区市町村にもきめ細かく橋渡しをしていただくことを求めておきます。
 次の質問に入ります。
 新規恒久施設について伺わせていただきます。
 四月の東京アクアティクスセンター再開業をもって、新規恒久施設は全て再開業となります。
 新規恒久施設については、指定管理料を赤字とする論調もあるところですが、都立スポーツ施設は、スポーツを核とするまちづくりに貢献し、また、スポーツやレクリエーションなどを楽しむ人が集うことで、地域に活気やにぎわいをもたらすといった役割が期待されております。
 東京二〇二〇大会を契機に新しく整備された新規恒久施設がこうした役割を発揮していくために、都としてどのように取り組んでいくのか、伺います。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 都は、昨年一月に公表いたしましたTOKYOスポーツレガシービジョンにおきまして、都立スポーツ施設を最大限活用するための取組の一つとして、地域との連携を掲げており、スポーツ振興に加え、地域の魅力向上や活性化に寄与することとしております。
 例えば、昨年六月に再開業いたしました大井ホッケー競技場では、地元区、競技団体と連携したホッケー教室の開催や、大会やイベントの盛り上げに地域の団体が参画するなどの連携を進めております。
 また、来月に再開業いたします東京アクアティクスセンターでは、地域の方々にもご参加いただけるオリンピアンによる水泳教室の実施や部活動との連携など、地域と共に水泳利用の促進を図ってまいります。
 引き続き、各施設の特性を生かし、地域との連携を深めてまいります。

○鈴木委員 各施設において、スポーツ振興に加え、地域の魅力向上や活性化に貢献していくとのこと、地域と連携した取組が行われていることは評価いたしております。
 新規恒久施設には、今、答弁のあった大井ホッケー競技場とアクアティクスセンターに加えて、今定例会で条例案が付議されている海の森水上競技場とカヌー・スラロームセンターがあり、海の森水上競技場は、二千メートルに及ぶ水上コースと広大な陸域を有し、また、カヌー・スラロームセンターは、国内初の人工スラロームコースで、唯一無二の存在であります。
 一方で、地元とも連携しながら、地域に活気やにぎわいをもたらすことも重要でありますが、都の取組について伺います。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 海の森水上競技場では、昨年四月末に、地域の皆様にもご協力いただき、再開業イベントを実施した後、地元の競技団体によるカヌー大会や合宿利用などで利用されております。
 また、カヌー・スラロームセンターでは、地元区が主催するカヌー教室と連携した大会等の開催や、激流を生かし、地元の消防団の水難救助訓練など、地域と連携した取組などの活用を進めております。
 引き続き、各施設の特性を十分に生かしながら様々な事業を展開し、地元住民をはじめ、多くの都民の皆様にご利用いただける施設としてまいります。

○鈴木委員 この二つの施設は、国際基準を満たした競技場であるなど、際立った特性を持っており、これを最大限に発揮して多様な取組を展開することで、都民に親しみを持ってもらえる施設にしていただきたいと思います。
 東京二〇二〇大会で整備した都立スポーツ施設が、大会のレガシーとして、都民の様々な利用ニーズに応えられますよう幅広く活用するとともに、地域住民をはじめ多くの都民が施設に足を運び、様々な体験ができる取組をお願いいたします。
 次に、国際スポーツ大会について伺います。
 東京二〇二〇大会は、年齢や障害を超えたアスリートの輝きによる共生社会の実感や、バリアフリー化をはじめとする、まちや暮らしの変化など、多くのレガシーをもたらし、今後、このレガシーをさらに発展させていくことを期待しております。
 一方、昨年夏以降の東京二〇二〇大会をめぐる諸問題により、国際スポーツ大会を取り巻く環境は厳しさを増しておりますが、国際スポーツ大会を機に、世界中のアスリート、観客等が東京を訪れることは、東京のみならず日本全体の活性化にも資するなど、多くの意義を有します。
 こうした意義を実現するために、都が国際スポーツ大会へ今後どのように関与していくのかが問われていると感じています。
 都は、昨年末、国際スポーツ大会への関与のガイドラインを作成しましたが、まず、このガイドラインの作成の趣旨と、どのようなプロセスを経て作成されたのか、伺います。

○三浦事業推進担当部長 都は、国際スポーツ大会の運営組織がスポーツの根幹であるフェアネスを体現した公正で信頼されるものとなるよう、大会運営組織へ都がどのように関与するかを検討するため、弁護士等の外部委員で構成する有識者会議を設置しました。
 会議では、各委員から、企業統治等の専門的知見を踏まえ、大会運営組織のガバナンス確保に向け、具体例を含め、多くの有益なご意見をいただきました。
 いただいたご意見を踏まえ、本ガイドラインでは、大会運営組織の始動期から取り組むべき事項につきまして、具体的な取組も含め、体系的に整理しております。

○鈴木委員 ガバナンス確保に向けた取組はいろいろとあると思われますが、本ガイドラインでは、主にどのような方策を示したのか、伺います。

○三浦事業推進担当部長 ガバナンス確保に向け、具体的には、外部委員を含む選考委員会を設置し、役員等を適切に選任するとともに、コンプライアンス確保のための委員会を設置し、役員、職員へ継続的な教育を実施することを示しております。
 また、外部委員を含む契約調達管理委員会を設置し、収入、支出に係る手続を、契約の事前、事後にチェックすることとしております。
 さらに、情報の公開、発信を積極的に行うことを原則としつつ、非公開情報につきましては、公正性を担保できる仕組みを構築し、非公開の理由を含め、丁寧に説明することも盛り込んでおります。

○鈴木委員 国においても、スポーツ大会のガバナンスについて議論、検討が進められている中で、こうした状況も踏まえ、都が作成したガイドラインをどのように取り扱い、今後の国際スポーツ大会へどのように活用していくのか、見解を伺います。

○三浦事業推進担当部長 国におきましては、昨年十一月に、大規模な競技大会のガバナンス体制を検討するためのプロジェクトチームが設置され、先月、ガバナンス体制等の在り方に関する指針の案が公表されました。
 都は、この指針の内容を精査し、必要に応じてガイドラインをさらに充実しながら、二〇二五年に開催予定の世界陸上とデフリンピックの準備運営体制が確立できるよう、各大会の特性等も踏まえ、本ガイドラインを活用してまいります。

○鈴木委員 状況に応じてガイドラインをブラッシュアップし、ガバナンスの強化に結びつけていく姿勢は重要であります。
 今後も、必要な取組を強化し、大会運営組織と力を合わせ、スポーツの力によって東京の未来をつくっていくという国際スポーツ大会本来の目的を実現していただきたいと思います。
 次に、世界陸上、デフリンピックの機運醸成について伺います。
 我が会派は今定例会において、二〇二五年に東京で開催される世界陸上とデフリンピックについて、その意義を質疑してきました。
 世界各国から集まるアスリートの熱戦を間近で見て応援するまたとない機会であり、特に次世代を担う子供たちに、こうした機会を通じて感動を届け、スポーツのすばらしさを感じてもらうことは重要であります。
 都が来年度検討している両大会の機運醸成においても、子供たちの参画という視点が重要であると考えております。見解を伺います。

○工藤事業推進担当部長 都は、本年二月、二〇二五年に開催される世界陸上、デフリンピックを通じ東京都が目指す姿を「ビジョン二〇二五 スポーツが広げる新しいフィールド」として取りまとめ、子供たちの大会への参画を取組の柱の一つと位置づけました。
 これを踏まえ、都は、来年度実施する大会に向けたイベントにおいても、子供たちが参加できる機会を提供し、大会の盛り上げにつなげるよう取り組んでまいります。
 具体的には、大会の魅力を分かりやすく発信するとともに、両大会の競技を体験できる場を設けてまいります。
 また、子供たちがアスリートに触れ合い、交流する機会を提供していきます。
 こうした取組を通じて、子供たちにスポーツから多くを学び、成長できる機会を届け、大会に向けた機運を醸成してまいります。

○鈴木委員 来年度の両大会の機運醸成においても、子供が参画する機会が提供されることが分かりましたが、両大会を契機として、次世代を担う子供たちに夢や希望、多くの学びを与えられますよう取り組んでいただくように要望し、質問を終えます。

○伊藤(ゆ)委員 冒頭に、先日の文教委員会における私の不規則発言について、ご迷惑をおかけしましたことをおわび申し上げます。今後、このようなことがないようにいたしたいと思います。
 それでは、私の方から、予算に関わります生活文化局に対する質疑を行わせていただきたいと思います。
 まず、日本語学校について伺いたいと思います。
 大方の日本人の意識として、移民に対して賛否があるように感じますけれども、好き嫌い、あるいは賛成、反対にかかわらず、今、既に日本は、世界的に見れば移民大国になっているという現状があることを改めて認識した上で質疑をしていく必要があるのではなかろうかと思っています。
 というのも、これはOECD、経済協力開発機構によって発表されていますが、三か月以上滞在する予定で日本に来た外国人というのは、二〇一八年の時点で、もう既に年間五十万人を超えています。
 この五十万人というのはどれぐらい多いかというと、実は、ドイツ、米国、スペインの次に多い数ということでございまして、年間二百三十万人程度来るドイツ、百万人程度来る米国、そしてスペインに次いで、日本は五十一万人、既に来ているということであります。
 つまり、移民賛成、反対を問わず、既にもう多くの外国人の方々が日本にやってきている中で、ただ、日本の、そういう意味では、三か月以上滞在をする外国人の特性というのは、ある意味、世界的にもあまり例がない。例えば特定技能、あるいは、この間、最も増えてまいりました技能実習生という形での日本滞在者あるいは就労者ということになろうかと思います。
 また、この間に、日本の政府を挙げて留学生三十万人計画というのも、ある意味、達成をされました。あるいはまた、高度人材というのも、日本の活力のためにも、あるいは、いわゆるグローバルなクロスイノベーションのためにも招聘してきたという経緯があります。
 そうした中で、技能実習生はお子さんを連れてくることができませんので、その点については今後の課題になろうかと思いますが、少なくても高度人材の方々、これはプロ野球選手に限らずですけれども、料理人の方、あるいはまた、様々な技能を有して高度人材と認定された方々、こうした方々は、今、日本にお子さんたちを連れてこられる。ご家族を連れて日本で就労されるというケースが大変多くございます。
 ただ、多くの外国人の方々、特にそうした高度人材の方々にお話を聞くと、日本でとにかく働きたいけれども、しかし、日本勤務を命じられたときに一番気になるのは、やっぱり子供の教育環境、それから、自分自身が日頃行っているスポーツができるのかというスポーツ環境、そして同時に、そういう意味では、日本の様々な行政支援がどれほどあるのかという話でしたが、何にしても子供の教育に関する意識の高さというのは、とりわけて外国人就労者の方々にあろうかと思います。
 既に五十一万人を超えている、多くの年間にいらっしゃる外国人労働者あるいは在留者の方々に対する日本語支援というのが、これから必須になってきているのではないかと私は感じてございます。
 この間、東京都も、国の日本語教育に関する推進の新法などに合わせて、地域のボランティア団体などにご協力を仰ぎながら、日本語で苦労されている外国人のお子さんを応援しようということで予算を組まれていることは、既に周知のとおりですけれども、しかし、そこに、日本語を学ぶに当たっては、極めて難しいハードルが幾つもあります。
 我々は日本人ですから、当たり前のように漢字を身につけて、読み方も分かる。しかし、外国人からすれば、そもそも漢字自体が極めて難解な表意文字だというふうに思います。
 アルファベットに慣れている方々にしてもそうですし、また、アラビア語などについても同様だと思います。
 ですから、漢字の音訓読みがあり、そして、平仮名を交ぜ合わせた読み仮名があり、様々に非常に高度なこの日本語というのを、外国人の、それも低学年のお子さんたちに教えていくに当たっては、ボランティアベースだけでは賄い切れないものがあろうかと、これまでも再三提案をさせていただきました。
 そこで、日本語学校の教師というのは、やっぱり日本語を教えるプロですから、ぜひ日本語学校も地域の連携の中に組み入れて、そして、なかなか日本語が分からずに授業についていけないお子さんたちの支援に当たってもらうべきではないか、こう問題提起をこれまでもさせていただき、この間に、都として地域における日本語教育の会議に初めて日本語学校関係者を加えていただいたと、このように認識をしています。
 この日本語学校関係者に加わっていただいた検討会議のまとめにおける成果はどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。

○小野都民活躍支援担当部長 今年度、地域における日本語教育の在り方について検討する会議において、初期段階の日本語を教えるには、専門的なスキルやノウハウが必要との意見があり、日本語学校関係者に委員に加わっていただきました。
 これまで、地域における日本語教育は、日本語学校が関与することは少なく、ボランティアによる日本語教室が中心となって行ってきておりました。
 今回の検討会においては、地域日本語教育については、区市町村を中心として、日本語学校を含む様々な主体が連携することの重要性を確認いたしました。

○伊藤(ゆ)委員 今回、そういう意味では、様々な連携の重要性を認識していただいたということです。
 まず、今回の検討会会議のまとめにおける都の役割というのは、どの立ち位置というんですかね、スタンスになるのか、伺いたいと思います。

○小野都民活躍支援担当部長 地域日本語教育を推進するためには、それぞれの地域性などを踏まえ、各区市町村が中心となって体制整備に取り組んでいくこととなります。
 都は、広域自治体として、地域での日本語教育を支える区市町村や小中学校、日本語学校や日本語教室など、様々な主体の役割と連携の重要性について各団体に説明するとともに、取組への参加を促してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ありがとうございます。基本的に、各区市町村において地域性を踏まえた体制を整備して、ボランティア団体であれ、日本語学校であれ、例えば地域の小中学校において、日本語が分からないから日本語の勉強についていけないお子さんたちをケアしていくというのは、基礎自治体がある、その特性を生かして重要な答弁だというふうに思います。そのとおりだと思います。
 ただ、日本語学校に関しては、今日は、あまり話しているとまた時間が長くなるので申し上げませんが、いろんな歴史的な経緯があり、都として、少なくてもどこに日本語学校があるのかという所在地、あるいは、どんな日本語学校なのかという実態について、これは少なくても、本来であれば告示行為といって、日本語学校を事実上認可している法務省さん、あるいは文科省さんがご承知である情報を−−これまでは、都に共有されてこなかったというふうに承知しています。
 これは、都に共有されなかったということは、図らずも、例えば私の地元の目黒区にも共有されていませんし、二十三区どこの自治体も、どこに日本語学校があるのかという情報を把握できていないという状況がこれまではございました。
 私、先般、文科省と法務省さんに掛け合って、とにかく東京都とまずは情報を共有してほしいということで、既に情報の共有が図られたことと思います。
 やはり地域といっても、基礎自治体がまずどこにどんな日本語学校があるのかが分からないと、お声のかけようがないということもありますので、そこは広域行政を預かる東京都として、ぜひ主体的に国と基礎自治体の間に入っていただきたいということを、ここで申し上げておきたいと思います。
 その上で、外国人住民が増えていく中で、日本語学校の役割はさらに重要になると思います。
 ちなみに、私も、昨年、もう売却しましたけれども、日本語学校を数年間経営していまして、意外な方々から日本語学校で勉強したいというお声がありました。それは留学生だけじゃなしに、インドネシアの大使からお願いされまして、インドネシアの大使館の職員の子女をお預かりしましたけれども、いわば、そういった留学生のみならず、地域で、あるいは日本の大学などで勉強されている外国人のお子さんも、やはり本格的な、つまりは日本語検定一級とか二級とかを目指すような日本語を勉強するに当たっては、日本語学校を頼りにしたいという潜在的なニーズがございました。
 ですから、申し上げますが、そうした外国人住民が増えていく中で、日本語学校の役割というのは、改めて高まっていると思います。
 この点について、都として今後どのように取り組むのか、伺いたいと思います。

○小野都民活躍支援担当部長 都は、区市町村に対し、国が実施している地域日本語の体制づくり推進事業を通じ、必要な経費の助成、先進事例の共有や助言などにより支援しております。
 今後も、国と連携を図りながら、各区市町村に対する支援の在り方を検討していくとともに、引き続き、地域日本語教育の体制整備に向け、庁内各局や区市町村と連携してまいります。
 なお、現在、国において新たな日本語教育関連法案が議論されており、日本語学校の位置づけについても検討されているため、都は、こうした動向を注視してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 お願いしたいと思います。特に、今、新法の話、それからまた法律の話を改めてしていただきましたが、国の方でも、先ほどちょっと申し上げたような新法が出来上がり、また改正されていくんだろうと思います。
 一個には、今、外国人のお話をさせていただきましたが、外国人のお子さんを支援すること自体が、優秀な高度人材、高度人材に限りませんけれども、優秀な外国人人材を日本に招聘する大きな要素になるということがまず一点です。
 それから、もう一つは、日本語というのは、やっぱりかなり特殊な言語だと思います。私は、ある意味、中国語に平仮名をつけて、これほど美しい、また、いろんな助詞の使い方によって多様な表現ができる日本語というのは、世界に例がないと思いますけれども、ゆえに、これを学ぶというのは大変労力の要ることであり、かつ、よく外国人の駐日大使なんかとお会いしたときに思いますけれども、日本語をしゃべれる、しゃべれないというのは、やっぱり日本人にとっても、コミュニケーションの上でえらい重要な要素です。
 つまり、英語がグローバルスタンダードになって、英語を学ぶことも非常に重要ですけれども、しかし、日本語を理解してくださる外国人というのは、日本の文化そのものを理解してくださる方々という考え方もあります。
 ですから、日本語教育というのは、国内だけの問題じゃなしに、海外でももっと広く、本来であれば日本語教室を開いて、多くの方々に日本の文化とか言語というのを理解していただくということが、私は日本の国力につながるというふうに強く思っています。
 戻りますけれども、少なくても日本語を世界に広げたり、来た外国人に日本語を伝えていく機能として日本語学校があるんですが、これ、東京都内だけでも二百五十校あるんですね。
 法務省さんの中の入管庁さんが主として所管をされています。私も何度か、そこの所管の官庁の皆さんと意見交換をしたり、私の学校自体も一度検査に来ていただいたりしましたが、やっぱり二百五十もあると、今、ただでさえ多忙な入管庁の手が足りないと私は思います。
 全国には四百を超える日本語学校があるといわれていますが、各地域において、つまり各地域というのは、各地域の基礎自治体や、あるいは都道府県において、どこにどんな学校があるか、さっきも申し上げましたが、玉石混交で、十分にその実態というのを自治体において把握されていないという実情があります。
 この裏には、一つには、私学助成と違って、全く公的な予算が入っておりません。これは全くです。これは、自治体からもそうだし、国からも公的な予算が入っていないがゆえに、少なくても許認可を預かる国は別ですが、東京都も二百五十校の実態が十分にというか、ほとんど実態を承知されていないという歴史的経緯があると思います。
 先ほど来、お話があったように、日本語学校の公的な役割がこれから極めて高まっていくし、高めていかなきゃいかぬと思っていますので、ぜひこれは法務省さんともよく協議をしていただいて、都としてできること、やっぱりメッシュの細かい日本語学校に対するケアであったり、あるいはチェックというのは、やっぱり東京都の方ができると思います。
 これは法務省さんも、ある意味、望んでいるんだろうと思うので、そこは、都と法務省でよく、ぜひ協議していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 次に、フリースクールについて伺いたいと思います。
 都民ファーストの会はこれまでにも、フリースクールに対する手厚い支援ということを、予算要望でも何度となく要望してまいりました。
 昨年、これは教育庁所管分ですけれども、一億円、調査検討費ということで予算をいただきまして、協力してくださるフリースクール利用者の方々にモニタリング料としてお支払いをしているということであります。
 今年は、その予算が三億円に増額されて、私は、今年、フリースクールビッグバンを起こしたい、こういうことをずっと申し上げてきているところです。
 そういう意味では、このフリースクールビッグバンへのカウントダウンが今年始まったという感があります。
 私たちは、利用者の負担軽減として利用料の支援を都に求めるとともに、都としてフリースクールを認証して、認証フリースクールに対する支援を行っていくべきだということを、昨年の予算要望でも小池知事に求めてまいりました。
 認証されると何が違うかといえば、当然、認証されれば、その事業者に対して、経営支援だとか、場合によっては、立ち上げる際の都有地の提供などもできるかもしれません。
 既に、私もちょっと経験がありますけれども、ソーシャルファーム条例をつくって、そして、日本に全くない支援の在り方というのをソーシャルファーム企業に対して行ったという経緯もあります。
 ですから、そのソーシャルファーム企業に対しても、やはり今、支援金という形で経営補助を行ったり、あるいは、今後、優先発注みたいな話が出てくるんじゃなかろうかと思っています。
 そこで、フリースクールの認証制度について、私どもが要望したこの制度、どのように今検討がなされているのか、伺いたいと思います。

○吉原企画担当部長 いわゆるフリースクールに関しては、来年度、子供政策連携室が、当局を含む各局と連携し、学齢期の子育ちの観点から調査等を実施する予定でございます。
 関係各局による検討チームを立ち上げ、フリースクール等に通う子供や支援団体に対するヒアリング及び先進事例調査に取り組むとともに、ニーズや課題を分析し、認証制度の実効性も含め、有効な施策の方向性について検討していくこととしております。

○伊藤(ゆ)委員 認証制度の実効性を含めて、有効な施策の方向性について検討していただくということで、ぜひこれは認証化に向けての検討を進めていただきたいと思います。
 なお、これは先日、都民ファーストの会の中に、私どもフリースクールPTというのを今年から立ち上げまして、今、会派の中でも議論をさせていただいています。ですから、どういった認証がいいのかということも、これは影響が物すごく大きな話なので、私どもからも、今後、提案をさせていただきたいと思いますが、一つには、まず、フリースクールといっても、様々な形態、事業規模、ロケーションがあるということも私たちは承知をしてございます。
 非常にスタンダードなということでいえば、朝方から夕方まで、学校に通っていない、あるいは通えないお子さんたちをお預かりして、様々な学習指導要領に基づかない自由な指導、学習をそこで行っていただくというのがスタンダードな形だと思いますが、時間もお昼だけやっているところがあれば、例えばプログラミングのような、そうしたパソコンを中心としたような教室を開いているところも様々あります。
 ですから、様々あるものに対して、一つ枠をあまりきつくはめてしまうようなことがあると、これはフリースクールじゃなくなるという側面が一方でありますが、一方で、一定の定義を定めていかないと、フリースクールと、いわゆる何とか教室というものが全て混然一体となってしまって、都として支援しづらくなるという側面もあると思います。
 ですから、今後、私どもも考えをまとめた上で提案をさせていただきますけれども、できる限り今ある多様なフリースクールの形態を守りつつも、アフタースクールとは違うといった点でフリースクールの多様性を認めていただきながら、認証制度に向けてご検討をいただきたいというふうに思います。これができますと、申し上げたような、様々な都としての支援があり得るんだろうと思います。
 そのときに、今時点、これの検討を担っていただいている局はどの局になるのか、まず、ちょっとお伺いしたいと思います。

○吉原企画担当部長 フリースクールに関しては、子供政策連携室が検討チームを立ち上げ、調査等を行うこととしておりまして、当局もチームの一員として検討を行ってまいります。

○伊藤(ゆ)委員 それは次の質問で答えてもらいたかったのですが、今、伺いたかったのは、どこの局が担うのかということなので、生活文化局と、今の答弁にもあるように子供政策連携室が、少なくても今、所管されているという理解でよろしいですか。
 それからあと、教育庁も入っているというふうに承知していますが、それで理解としては合っていますでしょうか。

○吉原企画担当部長 そのとおりでございます。
 子供政策連携室、当局と教育庁とも連携して検討チームの検討を進めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 三局で、もちろん予算をつけていただいたのは、まずは教育庁ということですので教育庁、それから子供政策連携室、そして御局ということになりますが、これは、私から改めて、べき論でお願いしておきますが、これはやっぱり、ぜひ生活文化局で今後−−まずスタートとしては、もちろん三局で連携していただくのは結構なんですけれども、今後、生活文化局でしっかり担っていただきたいというふうに思います。
 というのは、私学に対する助成をされているのも生活文化局であります。もちろん私学とフリースクールは全く同質のものではありませんけれども、しかし一方で、教育庁は学習指導要領をある意味しっかり徹底していくというのが、やっぱり教育庁の立場であり、フリースクールの基本的な学習内容とは、どうしても相入れないところがあると思います。
 そういう中で、どこに継続的に担当していただきたいかといえば、やっぱり御局、生活文化局だというふうに私は思っていますので、ぜひ今後、主の所管として、積極的にこのフリースクールの認証制度についてリーダーシップを発揮していただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。
 なお、さっきの話にちょっと戻りますが、所管のことでいいますと、これも要望だけで結構ですが、日本語学校についても、今、少なくても東京都の中に日本語学校課というのはどこを探してもないし、日本語学校をどこが担当しているのかというのも、予算をつけていませんし、何も、別に許認可権限もないんだろうと思いますが、さっきの話じゃないんですけれども、やっぱりせっかく会議体に入っていただく、地域との連携の中で非常に重要だという認識を示していただいているわけですから、これ、生活文化局の中に日本語学校課というのを私はぜひつくってもらいたいんです。そこで玉石混交の学校をスクリーニングしてもらいたいというふうにも思いますので、これは要望だけさせていただきたいと思います。
 次に、海の森水上競技場の見直しについて伺いたいと思います。
 先日、白戸議員からも、予算委員会において、海の森水上競技場に関する、本当に建設的な提案を幾つもさせていただきました。重複しない中で質疑をさせていただきたいと思います。
 まず、一個、前提条件として伺いたいのは、既に、恒久施設の一つである海の森水上競技場については、競技団体等と協議をした上で利用計画というのを出していただいて、そして、もう既に完成して使用開始になっていますので、実際の使用状況と照らし合わせることができるんだろうと思うんですが、この施設利用計画と現在の使用状況の差について、まず伺いたいと思います。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 平成二十九年四月に、大会後の施設運営の指針となります新規恒久施設の施設運営計画を策定し、海の森水上競技場では、年間の大会開催目標を三十大会、来場者目標を三十五万人としております。
 昨年四月末には、都民の皆様にいち早くご利用いただくため、大会に必要な水上でのスタート設備の整備や陸域での工事など、利用に制限がある中で再開業したところでございます。
 現在の利用状況でございますが、本年一月末時点までの約九か月間で、大会数は十二大会、来場者数は約五万五千人でございます。

○伊藤(ゆ)委員 利用計画の中においては、三十大会で三十五万人、現在は、大会数十二大会で五万五千人ということで、大分、やっぱり開きがあります。
 これはコロナの影響ももちろんないことはないと思いますが、私は、これもかねてから指摘していますけれども、いささか三十大会三十五万人という計画が、果たして本当に実現可能な厳しめの数字だったのかというのを、やっぱり疑問に思います。
 一大会に一万人以上の来場者を呼んでくるというのは、海の森水上競技場を利用する競技においてはなかなか簡単ではないんじゃないかと。蓋を開けてみて、やっぱり十二大会にとどまったり、五万五千人ということもあったので、これはやっぱり、海の森水上競技場を造っていくプロセスにおいても、競技団体の皆さんのご要望というのが強かったわけですから、その競技団体の皆さんに改めて奮起していただいて、より目標に近づける努力を、都からも、改めてですけれども、要請していただきたいというふうに思います。
 今まで、そういう意味では、競技団体を中心に、ある意味、計画を立てられてきた側面があろうと思いますが、もう既に都としては、例えば、これはボート競技、カヌー競技にとどまらず、イベント会場としても大いに利用していこうということで、アイドルファンで有名なクロちゃんことクロフェスというようなイベントが行われたり、あるいは、様々な民間事業者のイベントがあの会場を使って行われていると思うんですけれども、こういうイベントには、ある意味、音も出せるし、もってこいの場所だというふうに私も感じます。
 今後、こうしたイベントを幅広く検討していくべきと思いますが、都の見解を伺いたいと思います。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 都は、新規恒久施設のさらなる活用促進や収支改善に向け、昨年十二月に、スポーツだけではなく、文化やエンターテインメント、まちづくりなどの有識者から成る専門委員会を設置して検討しております。
 委員からは、海の森水上競技場については、雄大な景観や広大な陸域を生かし、例えば様々な水上イベントやグランピング、大規模な音楽フェスなど、競技以外の多目的利用を一層拡大すべきとの意見も頂戴しております。
 引き続き、競技施設の特性を生かした多様な事業を展開し、多くの都民に利用され、にぎわう施設となるよう検討してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 私は、そういう意味で、最初に見直しについてというふうに申し上げましたけれども、やっぱり当初の計画を見直して、今のお話のとおり、様々なイベントなどに活用できる施設として、改めて運用計画をつくっていくべきだというふうに申し上げておきたいと思います。
 その際に大事なのが、私も幾つかのイベント事業者さんに、こういう場所がありますよというふうにお話をしました。図らずも、臨海部のフジテレビ南側とかの都有地については大変人気があって、イベントで使おうと思っても、なかなか取れないというようなことがあります。
 そういう中で、そんな場所があるんだということで、皆さん、大変関心を持つのですが、やっぱり一番の課題は、シャトルバスをどうするかという問題であります。
 そのシャトルバスについて、まず一つは、海の森水上競技場の方の駐車場。どこにシャトルバスが止まれるのか、あるいは何時から止まれるのか。やっぱり、できる限り柔軟な運用をしていただいて、朝から使えるというふうにしないと、例えば九時からとかいわれてしまうと、設営ができないというようなことになります。
 この点、柔軟な駐車場の運用がまず必要だと思いますが、見解を伺いたいと思います。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 海の森水上競技場では、現在、約五百台の駐車場の整備等を進めており、大規模な大会やイベント時に運行されるシャトルバスの駐車スペースは確保される見込みでございます。
 また、駐車場の運用につきましては、主催者等のニーズ把握に努め、早朝や夕方などに柔軟な運用を行うことにより、利用しやすい環境整備に取り組んでまいります。

○伊藤(ゆ)委員 今のは海の森水上競技場の方なんですけれども、もう一個は、今度は出発する場所がどこかということの方が、むしろ重要かもしれません。
 まず、今現在は、例えばイベント主催者が海の森水上競技場にシャトルバスを出そうとすると、どこから出られるんですかと局に聞いたら、国際展示場の駅ということなので、ビッグサイトの駅ということでよかったですかね。
 それはそれで工夫していただいているんだと思うんですけれども、りんかい線というのは、十五分に一本とか、二十分に一本ぐらいしか来なかったり、そもそも高かったり、様々します。
 そういう意味では、ビッグサイトからシャトルバスも大事ですけれども、よりターミナル駅、例えば、分かりませんけれども、東京駅だとか、かつては築地なんかも、私はよく、あそこに区の持っているバスプールがありますので、そこを使わせてもらったりしましたが、いろんなアクセスのいい主要な駅、品川駅なんかもそうかもしれませんけれども、そういうところからシャトルを出せるということが明らかになると、多くの事業者さんたちは、非常に使い勝手がよくなるんだと思います。
 この点についての都の見解を伺いたいと思います。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 イベントを開催するに当たりまして、主催者が利用者のアクセスしやすい場所から送迎バスを運行することは、集客力を高める上で有効であると考えております。
 都は、指定管理者とも連携し、主催者の要望等も聞きながら、海の森水上競技場への送迎バスの運行に必要な情報を関係部署から収集するなど、主催者に対して必要な支援を行ってまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ぜひ主催者に話を聞いていただいて、そして、やっぱりバスを止めるといっても、地元自治体との協議なんかもあるでしょうから、ぜひ都の方で計らっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 次に、東京マラソンについて、一問だけ伺います。
 先般、東京マラソンが、非常に天候もよく、そして、ある意味、コロナが少しずつ明けてきたことを象徴するように、多くのランナーに笑顔が戻って開催されたということは非常によかったことだと思います。
 一方で、外国人の方々がいらっしゃって、そこら辺で用を足すというようなことが随分報道されました。あれは非常に残念でなりません。
 ちなみに、私の目黒区の目黒川の周辺も、今の時期、桜まつりというのをやるんですけれども、桜まつりも、一日に二十三万人から、実は目黒区民と同じぐらいの数の人たちがあそこに乗降してくるのですけれども、一番の問題は、やっぱり用を勝手に足しちゃうということで、周辺住民の方々も大変迷惑していますし、臭いも含めて、いいものじゃありません。
 そういう意味で、やっぱり東京の目玉の一つであるスポーツイベント、東京マラソンですので、国際的に見ても、これは注意するということが、当たり前のことですけれども、非常に重要なんじゃなかろうかと思います。
 この点について、都として今後どのように対応するのか、伺っておきたいと思います。

○河野事業推進担当部長 今回の東京マラソンでは、大会全体で千百十四基の仮設トイレを設置いたしまして、うちスタート会場には六百五十基設置いたしました。
 また、ランナーに対しましては、トイレ以外のところで用を足さないよう、事前に参加案内でお願いするとともに、会場においてもアナウンスにより呼びかけておりました。
 このたび、一部のランナーによるスタート地点の植栽に用を足す不適切な行為が確認されまして、主催者と共に重大な問題として受け止めております。
 これまでも、トイレの利用実態を踏まえ、増設などの対応を行ってきたところでございますが、改めて、注意喚起の方法やトイレの配置場所を見直すほか、現場での声かけを徹底するなど、主催者の東京マラソン財団と共に対策を検討しまして、次回大会に向けて着実に改善を図ってまいります。

○伊藤(ゆ)委員 国によっては、こうしたマラソン大会で、とすると用を足すということがあるのかもしれませんけれども、やっぱり日本ですので、日本のよさ、それは環境であったり、衛生であったりというところがあろうかと思いますので、ぜひ、郷に来ては郷に従えで指導を徹底していただきたいと思います。
 最後に、パラスポーツイベントについて伺いたいと思います。
 八月二十四日が東京オリンピック・パラリンピック二〇二〇のパラリンピックの方の開会式となりました。東京は、いうまでもなく、二度目のパラリンピックを開催した初めての都市ということで、そのレガシーを後世に受け継いでいく必要が大いにあるというふうに思います。
 昨年八月二十四日に行われた有明アリーナでのパラリンピック一周年記念イベントは、多様性にあふれた大変すばらしいパフォーマンスを、私もじかに拝見できたところでございます。
 都民とこうしたイベントを通じて感動を改めて分かち合うということは、非常に貴重な機会であり、これらのイベントを主催された東京都には、まず敬意を表したいと思います。
 昨年八月二十四日のこのイベントの成果について伺いたいと思います。

○工藤事業推進担当部長 昨年八月のパラリンピック一周年記念イベントでは、車椅子バスケットボールのエキシビションマッチを開催いたしました。当日は、九千人以上の方に来場いただきました。
 また、分身ロボットやVRシアターなどDXも活用し、障害福祉施設の利用者や特別支援学校の児童生徒などにも観戦機会を提供いたしました。
 イベント参加者からは、生で観戦ができて感激したや、パラリンピックの感動を振り返るきっかけになったなど、満足の声も多くいただいております。

○伊藤(ゆ)委員 私は、最近よく、家が近いので、渋谷のまちを歩きますと、本当に渋谷区の長谷部区長の取組によって、随分まち並みが変わったなと思いまして、何かの折に長谷部区長から聞かせていただいた記憶がありますけれども、とにかく意識は景色から変わるというフレーズを聞いて、確かに、このまち並みというのはそういうことだなということを実感した記憶が随分前にあります。
 何かというと、確かに渋谷区のまちを歩きますと、いわゆるショーウインドーの中で、車椅子の利用者のマネキンに洋服が着せられていて、それがそのうちの商品になっていたり、様々なところに、車椅子であったり、また、そうした障害を抱える方々が利用するような、何というのでしょうか、ケアする器具なども展示されていたりということで、それにとどまりませんけれども、意識は、本当に景色から変わっていくんだなというふうに思っています。
 八月二十四日というのは、そういう意味で、東京パラリンピックの開会式でありますので、この記憶をやっぱり風化させてはならないのではないかと思います。
 現に、私の子供、あるいはまた、その周りの子供たちも、パラアスリートに対する見方が、がらっと変わりました。どういうふうに変わったかというと、私の集会に、この間、あるパラリンピアンに来てもらって、少し講演していただきまして、そこに子供たちを呼んでいたんですけれども、かつてパラリンピアンに講演をしていただいても、何ていうんですかね、子供たちが、ぱっと刮目するということがあまりなかったんですが、今回、やっぱりパラリンピックを契機に、本当に目を見開いて、言葉言葉一つ一つに対して、大きく子供たちがうなずいたり、納得したり、テレビでしょうけれども、ある意味での観戦したことによる感動というのを、その講演の中で改めて思い返している姿というのが、非常に印象的に残りました。
 やっぱり八月二十四日のそうした記憶を風化させないためにも、私は、去年、今年に限らず、来年度も、来年度というと今年のことになりますが、パラリンピックの記憶を継承させる取組を実施する必要があるというふうに考えます。
 特に、やっぱり象徴的な場所でやるということが非常に重要だというふうに思っていまして、様々、都内には象徴的な場所がありますけれども、やっぱり東京マラソンの出発地点である、こうした都庁周辺のオープンスペースを使って象徴的に、東京が主催者として行ったパラリンピックのイベントというのを毎年開いていくべきだと、このように私は考えていますが、所見を伺いたいと思います。

○工藤事業推進担当部長 東京二〇二〇パラリンピックの感動を呼び起こし、パラスポーツの魅力を広く都民と共有する機会は重要と認識しております。
 パラリンピック開幕日の八月二十四日は、JPCがジャパンパラリンピックデーと定めており、都としても、これと連動し、パラスポーツのさらなる普及に向けて取り組んでまいります。
 より多くの方が参画し、楽しんでいただけるよう、都庁周辺のオープンスペースでのイベント開催も視野に入れ、今後、具体的な検討を進めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ぜひこの周辺で、そしてまた、我々ももちろん協力をさせていただきますけれども、盛り上げて、この感動というのを後世に伝えていきたいというふうに思います。
 この間、外国人の、これは名前はいいませんけれども、割に著名なスポーツ関係者にお話を伺ったら、とにかく、ロンドンも上手でしたけれども、恐らくパリも上手なんだろうと。それはやっぱりPR。レガシーというのは、やっぱり、あうんの呼吸じゃ伝わりませんよということを教えていただいて、そうなんだろうなと思いました。
 日本人は、いいことをやったときに、できるだけいいことをやったといわないという美徳がありますけれども、世界においていえば、やっぱりPRを相当しないと、せっかく日本で取り組んだすばらしい取組が伝わっていかないという側面がありますので、この辺は惜しみなく、特にこういうイベントをやるときに、ぜひ、来る来ないは別にしても、海外のメディアの皆さんにいっぱい来ていただいて、そして声をかけて、日本というのは、そのレガシーを引き継いでいるんだということを世界にアピールしていただきたいなというふうに思います。
 最後に、一点だけ要望を申し上げておきます。
 私、この間、文教委員会の教育庁のところでも申し上げたのですけれども、四、五日かけてドバイに行ってきました。ドバイのよしあしは、ここで申し上げませんけれども、一個、非常に象徴的なものがありまして、それは、ルーブルドバイといったか、ドバイルーブルといったか覚えていませんが、たしかルーブルドバイという美術館がありまして、そこはドバイの中心地からちょっと離れたところにありますけれども、アブダビの方にあるんですが、そのルーブルドバイに行って、まず驚かされたのは、名前ですよね。ルーブルドバイ。
 ルーブルはパリにしかないと思っていましたので、行って聞いてみましたら、これは、ドバイ、UAEが国策としてやっているのでしょうが、三百五十億円出して、パリのルーブルに名称を貸してくれということで、何十年間かお借りするということで契約したそうです。
 やっぱりこのインパクトが強くて、ルーブルにあるものが見れるんじゃないかと。実際に行くと、また大変な収蔵品がいっぱいありまして、ゴッホもあればダビンチもありましたし、そして、もっと驚かされたのは、私がよくいう歌川広重の世界というのは、日本橋から奥に富士山が見える、あの有名な絵というのか版画がありますけれども、あれがまさにルーブルドバイに飾ってあって、私も非常に驚きました。
 また、日本のよろいとか甲冑というのが、甲冑はよろいですね、刀とかが、多くの西洋の人たちを中心に注目を集めていました。
 ああいうのを見ますと、海外へ行くと、やっぱり日本のどこが注目されているかということもよく分かりますし、また、ルーブルという名前を、別に江戸東京博物館にルーブルという名前をつけてほしいと思いませんけれども、そういう何というんですかね、戦略というのも、一つ参考にはなると思います。
 ちょうど江戸東京博物館は、今、改修工事を行っていると思うんですけれども、やっぱりVRとかARとかメタバースとか、これは前からいっていますけれども、組合せがいいので、ぜひ博物館の魅力をどうしたら高められるかということを、不断に努力して検討していただきたいと思います。
 ぜひ、そのためにも、生活文化局の皆さんには海外に行っていただきたい。見ないと分からないですよ、これ。私は、最近いろいろありますので、私費で行ってきましたけれども、皆さんは、ぜひ公費で仕事として、これは行って、世界の最先端の、そしてまた、様々な戦略的につくり上げられている博物館、美術館をご覧になっていただいて、世界一の江戸東京博物館というのをぜひ目指してつくり上げていただきたい、磨き上げていただきたいなということを申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

○加藤委員 初めに、東京二〇二〇大会の記憶を伝える展示について質問をいたします。
 都議会公明党は、さきの代表質問で、かねてからの主張でありました、東京大会のアーカイブ資産やボランティアの映像等を活用し、都が大会を成功に導いた取組を体感できるような展示を、交通至便で人の集まる都有施設で行うべきと求め、横山局長から、東京スポーツスクエアで行った後、改修後の江戸東京博物館で常設展示するとの答弁を得ました。
 そこでまず、都は、来年度、東京スポーツスクエアで東京二〇二〇大会の記憶を伝えるアーカイブ資産を展示するに当たり、具体的な展示内容をどう考えているのか、伺います。

○澤崎アーカイブ担当部長事業連携担当部長兼務 一つ一つのアーカイブ資産の背後には、大会の価値や意義にまつわる様々なエピソードがございます。
 例えば、メダルの作成に際しては、持続可能性への取組として、多くの方々が原料となる金属の回収にご協力くださり、都庁舎だけで約十四万六千個の使用済み携帯電話等が集まりました。また、聖火リレーのトーチの素材の一部には、東日本大震災の復興仮設住宅のアルミ廃材が再利用されております。
 東京スポーツスクエアでは、アーカイブ資産の現物に、こうした解説を加えた展示を行います。そのほか、記念撮影ができるフォトスポットを設置いたします。
 来館者の方に大会を身近に感じてもらうとともに、大会の歴史的価値や社会的意義を未来に伝えるきっかけとなるよう、効果的な展示に努めてまいります。

○加藤委員 贈収賄や談合事件で大会の負のイメージが募っている時期でもありますので、できるだけ早期に展示を行っていただいて、都民に大会の感動を再びよみがえらせるよう要望しておきます。
 次に、スポーツを通じた被災地交流事業について伺います。
 この事業についても、開始当時から、会派として一生懸命応援をしてきました。私の墨田の地元でも、被災地から多くの少年少女を受け入れてきました。
 そして、都は、被災地の競技会場も、十年以上経過して復活していることから、今年度からは、会場を東京から東北に移し、被災三県と連携した新たな交流事業を開始しております。
 震災学習もプログラムに含まれ、参加した子供たちにとって大変貴重な経験になったと聞いていますが、新年度の取組についてお聞きします。

○山根スポーツ担当部長 これまで築いてきた被災地との絆をレガシーとして、今年度から、復興が進む被災地を舞台にスポーツを通じた交流事業を開始いたしました。
 来年度は、福島県と宮城県に加え、新たに岩手県でも交流事業を実施し、より多くの子供たちに参加していただきます。
 さらに、震災遺構の見学など、被災地ならではの震災学習につきましては、東京の子供たちだけでなく、被災地の子供たちにとっても、防災や復興について学び考える貴重な機会となっていることから、各県とも連携の上、可能な限り充実を図っていきます。
 今後も、スポーツを通じた都と被災地の交流を深め、その絆を継承してまいります。

○加藤委員 被災地を元気にする取組としても、被災地においての交流は、非常にいい取組だと思います。また、大震災から十二年がたちまして、当時を知らない被災地の子供たちも多くなっていることから、防災教育としても有効であります。ぜひ今後も、対象者を拡大しながら続けていってもらいたいと思います。
 次に、女性活躍につながる職場体験ツアーについてなんですけれども、国内におきましては、リケジョという現代語があるように、女性の理系分野は珍しいという雰囲気があります。
 今回、JAXAで新たに三人目となる女性宇宙飛行士の米田あゆさんは、小さい頃に、同じ女性の向井さんに憧れて宇宙飛行士を目指したとインタビューで語っておりました。
 都では、今年度、デジタル分野での女性活躍を推進するため、女子中高生の職場体験ツアーを開始するとしておりますが、その目的について伺います。

○樋口男女平等参画担当部長 大学等の学生のうち、科学、技術、工学、数学分野に占める女性の割合は、OECD加盟国中、日本が最下位となるなど、大きく後れを取っております。特にデジタル分野におきましては、ジェンダーギャップ比率に大きな偏りがございます。
 そこで、都は、デジタル分野の企業と連携し、女子中高生を対象とした職場体験ツアーを実施し、将来の進路選択を応援することといたしました。

○加藤委員 やっぱり、若いうちから大きな刺激を受けるということが非常に大切だと思います。
 そこで、今回、初めて開催される、デジタルの一大企業であるメタ、フェイスブックジャパンへの職場体験ツアーの概要や応募状況について伺います。

○樋口男女平等参画担当部長 職場体験ツアーでは、オフィス見学に加え、様々な部署や職種の女性社員によるパネルディスカッションや、社員への質問会を予定しております。
 また、募集人数四十名に対して六百名を超える応募が寄せられ、大きな反響がございました。
 そのため、フェイスブックジャパンの協力により、八十名まで参加できるようにするとともに、より多くの方々にご視聴いただけるよう、ライブ配信も行う予定でございます。

○加藤委員 当初の四十名の募集に対し、六百名を超える応募があったということで、非常に関心が高いということが分かります。
 そこで、こうした取組を今後も継続し、充実させていくことが重要だと考えますが、来年度の取組について見解を伺います。

○樋口男女平等参画担当部長 来年度につきましては、今回の職場体験ツアーの参加者アンケートの結果や企業の意見等も生かしながら、さらなる内容の充実を図ってまいります。
 また、より多くの女子中高生が参加できるように、職場体験ツアーの実施回数を増やしてまいります。

○加藤委員 Z世代というのは、やっぱりデジタル世代でもありますので、できるだけ多くの女子中高生が参加できるよう、今後の取組をお願いしたいというふうに思います。
 次に、まち中でよく見かけるようになりました電動キックボードの安全対策について伺います。
 昨今、まちじゅうで電動キックボードの貸出場所であるポートをよく見かけるようになりました。私の家の近くにも大学がありまして、そこにもシェアリングのキックボードを置いてあります。
 あるシェアリング事業者では、ポート数が都内で約千二百か所整備されており、利用料金もリーズナブルで、クレジットにより決済ができるなど、スマホ一台で簡単に利用できることから、若者を中心に人気が高まっています。
 一方で、普及に伴い、都内での事故や違反も頻発しており、昨年九月には、全国初の死亡事故も都内で発生をいたしました。
 そこで、都の電動キックボードの安全利用に関する普及啓発について、これまでの取組について伺います。

○小室都民安全推進部長 都では、警視庁と連携の上、よくある事故事例や運転時に注意すべき点などを記載したリーフレットを作成し、昨年十一月のTOKYO交通安全キャンペーンの機会を捉えまして、西新宿の飲食店や街頭での配布など啓発活動に取り組みました。
 さらに、電動キックボードを製造、販売している事業者や家電量販店、シェアリング事業者を通じて、幅広い利用者にリーフレットが行き渡るよう啓発に努めてまいりました。

○加藤委員 既に安全対策に取り組んでいただいているところでありますが、新たな交通ルールを盛り込んだ改正道路交通法が、本年の七月一日に施行される見通しとなっております。十六歳以上なら、免許、ヘルメットなしで乗れるようになります。ヘルメットは努力義務と聞いておりますけれども、速度制限、こうしたこともあると伺っております。
 こうした法施行を契機に、利用者の増加も見込まれると思います。
 そこで、事故や違反を未然に防ぐには、利用者に新たなルールを周知徹底することが必要ですが、具体的な取組について伺います。

○小室都民安全推進部長 電動キックボードの利用者には、購入する方とシェアリングサービスを利用する方がおりまして、それぞれに乗車前のルール確認を促すことが重要でございます。
 このため、都では、ナンバープレートを交付する区市町村窓口や家電量販店、製造販売事業者を通じて、新たなルールを記載したリーフレットを配布し、購入者への周知を図ってまいります。
 また、シェアリング事業者と連携し、利用者がスマートフォンで会員登録をする際に動画の視聴を促すほか、SNS等も活用して周知に努めてまいります。

○加藤委員 やっぱり簡単に借りられるだけに、電動キックボードの事故や違反が起こった際に、利用者がルールを知らなかったというようなことがないように、しっかりと対応していってもらいたいと思います。
 次に、不足をしております保護司についてお聞きをします。
 犯罪や非行をした人が立ち直って社会で再出発するためには、これらの人を地域が受け入れ、ハードとソフトの両面から更生を支援することが重要であります。
 ハード面としては、帰るべき住居のない刑務所出所者等の主要な受皿となっている更生保護施設について、都は、その建て替えに対する補助を検討していると、先日の都議会公明党の代表質問に対しても、都から答弁がありました。
 一方で、ソフト面の要ともいえる保護司は、犯罪をした人等が、孤立することなく社会の一員として生活が送れるよう取り組んでおり、地域社会にとって欠くことのできない存在です。
 しかし、様々な原因により、その担い手の確保が年々困難となっており、将来に向けて保護司制度の存続が危ぶまれていると聞いております。
 そこでまず、都内の保護司を取り巻く現状と課題について伺います。

○油谷治安対策担当部長 都内の保護司の人数は、法務省の令和四年の統計によりますと、定数四千三百七十五人に対して三千三百三十八人であり、充足率が七六・三%と、全国の充足率八九・〇%に比較して低い状況にございます。
 不足の背景といたしましては、高齢化が進む中で、活動が社会的に十分理解されていないことや、活動に伴う精神的な負担等により、新規の担い手が少ないことなどが挙げられております。
 そのため、保護司活動に対する理解促進と人材の確保が喫緊の課題となっております。

○加藤委員 昨年の事務事業質疑でも私から質問させていただきましたが、都は、再犯防止に関するポータルサイト、リスタ!NETを新たに立ち上げたり、支援者に向けた研修会を開催したりするなど、保護司の活動を支援する取組を積極的に進めています。
 一方で、ただいま答弁にありましたように、保護司の平均年齢は六十五歳と高齢化しております。保護司制度を持続可能なものとしていくためには、保護司活動の周知や、幅広い人材への就任の働きかけを行うなど、さらなる後押しが必要であると考えます。
 その一環として、都は来年度、新たに保護司活動に関する都職員への説明会を実施するとのことですが、その目的と内容について伺います。

○油谷治安対策担当部長 都の職員には、公務を通して困難を抱える方の支援に関わった経験を持つ者もおり、立ち直り支援に適性ある人材と考えることができます。
 そこで、都は、来年度新たに、退職予定者を含めた都職員のうち、希望者に対して、保護司活動の理解促進とその確保に関する説明会を開催いたします。
 説明会では、東京保護観察所と連携して、保護司の活動内容や制度についての説明に併せ、ゲストスピーカーによる講演を行うなど、その仕事や魅力、活動意義などを伝えてまいります。
 この説明会を契機として活動に関する都の職員の理解を深め、保護司の確保に努めてまいります。

○加藤委員 都の職員は、豊富な行政経験や知見を持つことから、保護司の人材としても期待できます。この説明会により、一人でも多くの都の職員が、保護司活動も含め、様々な形で再犯防止に携わり、東京の更生保護の充実につながるよう努めていってもらいたいと要望いたします。
 次に、町会、自治会防災力強化助成について質問をいたします。
 町会、自治会は、住民に最も身近な存在であり、防災においても極めて重要な役割を果たしていますが、都は、この町会、自治会に対して、来年度、不足している防災備蓄品の購入を支援し、関東大震災から百年の節目に災害への備えを強化していく予算を計上しています。
 私の地元の町会では、何が不足し、何を備えるべきか、既に話合いが始まっており、多くの町会、自治会がこの助成に期待を寄せています。
 一方、町会、自治会からは、都の助成制度というと、申請の手続が難しく、煩雑ではないかとの心配の声も多数聞いています。地域の底力発展事業ですか、あの事業も、地元から書類が煩雑だという声を結構いただいているわけでございます。
 そこで、多くの町会、自治会がこの取組に参加できるよう、申請の敷居を下げるような工夫が必要と考えますが、見解を伺います。

○馬神都民生活部長 来年度実施する助成事業では、申請書類の記入事項を見直すとともに、申請書の作成を簡単に行うことができるウェブシステムも導入し、手続の負担を軽減いたします。
 これらの取組により、多くの町会、自治会の活用を促進してまいります。

○加藤委員 ちなみに、令和三年度、町会、自治会を対象に行われた新型コロナウイルス感染拡大防止普及啓発事業助成、約三千の町会、自治会から申請があったと。感染防止グッズの配布などを行った助成でありますけれども。そして、令和四年度、町会、自治会による防災対策普及啓発事業助成は、約千八百の町会、自治会から申請があったと聞いております。
 こうしたことから、来年度の町会、自治会防災力強化助成は関東大震災百年の節目に行われるものでありまして、私も、実は各町会の新年会などで、この事業を大いに宣伝をさせていただきました。そうしたことから、都内に約九千ある町会、自治会の大多数が申請し、それぞれの町会、自治会で地域防災力の強化を図れるよう期待しておりますので、局としても、しっかりと対応をお願いしたいと思います。
 最後に、多文化共生について質問をいたします。
 昨年五月、都は、十年ぶりに被害想定の見直しを行いました。今後、いつ発生してもおかしくない大規模な災害に備えるため、都民の防災意識を高めていくことが必要です。
 特に、在住外国人には地震の経験がない方も多く、少しの揺れでもパニックになってしまう人もいます。一般的な防災知識を教えることも必要ですが、その前に、地震とはどういうものかを体験することも大事です。
 都はこれまで、外国人向けの防災訓練を実施してきています。この訓練は、日本に住む外国人が地震による揺れを体験しながら、そういう場合、どうしたらいいのかを学ぶことができ、参加者や大使館などからも評判がいいというふうにお聞きしています。
 一方で、体験型であるため、参加者数には限界があるのも実態であります。
 そこで、新型コロナが落ち着き、今後、在住外国人がさらに増加することが予想される中、より多くの人が参加できるように工夫していく必要がありますが、都の見解を伺います。

○小野都民活躍支援担当部長 外国人向けの防災訓練は、体験型の訓練のため、参加人数が限られることや、年一回の開催であるため、日程の合わない方が参加できないという課題もございました。
 そこで、今年度は、本所防災館と連携し、地震体験や消火体験などの訓練を試行で複数回実施いたしました。その結果、既存の資源を活用することで効率的に訓練を実施することができ、訓練回数を増やすことや、参加者の体験機会を確保することが可能となりました。
 来年度は、より多くの方に参加機会を提供できるよう、さらに拡充を図ってまいります。

○加藤委員 この本所防災館は、地元の墨田区にあるんですけれども、日本人にとっても非常に好評の施設であります。様々工夫しながら取り組んでいることは評価をいたします。今後も、参加した人の意見などを聞きながら、さらに工夫していってもらいたいと思います。
 一方、実際に災害が起きた際、避難所等へ避難することができても、言語の壁により、避難所におけるルールなどの情報が得られず、他の避難者とのトラブルが生じたということも聞いております。
 都では、平成八年度に東京都防災語学ボランティア制度を創設しました。災害時には、区市町村の要請に基づき、避難所等へ語学ボランティアを派遣し、支援することとしています。
 都は、今年度、この区市町村への派遣をより一層迅速に行えるよう、東京都防災語学ボランティアシステムを構築いたしました。このシステムは、災害時に区市町村の要請を受け、即座にボランティアの派遣につなげるものと聞いており、できる限り早く避難所支援を行う意味でも、いい取組と思います。
 そこで、災害時にこのシステムが効果的に稼働できるため、日頃から区市町村やボランティアの方が利用できる環境を整えることが重要だと考えますが、見解を伺います。

○小野都民活躍支援担当部長 東京都防災語学ボランティアシステムを災害時に効果的に機能するよう、区市町村の多文化共生担当部署と防災担当部署に対して操作研修等を実施したほか、二区市と図上訓練を実施し、システムの習熟度向上と課題の洗い出しに取り組んでおります。
 また、語学ボランティアに対しては、操作研修や動画教材等の提供も行っております。
 今後、防災担当とも連携しながら、多くの区市町村に本システムを活用していただき、有事の際に迅速に避難所等の支援が行えるよう取り組んでまいります。

○加藤委員 災害時に、語学ボランティアシステムにより確実かつ迅速なボランティア派遣ができるよう、引き続き、語学ボランティア、区市町村と連携を密にして取り組んでほしいと思います。
 さて、外国につながる子供には、これ以外にも様々な問題があります。
 生活のための日本語は学ぶことができても、教科としての学習の日本語についていけず、高校などに進学することができなかったり、せっかく入学できても、授業についていけなかったりしているのが現状です。
 また、親の都合で連れてこられた子供が多く、日本での生活になじめなく、成人しても就職できない人もおり、在留資格を失ってしまうケースもあると聞いています。
 このようなケースに至る前に、学習としての日本語を教えるNPO法人や在留資格の情報を知っていれば、日本でもっと活躍することができるはずです。
 区市町村でも相談窓口などを持っていますが、自ら相談に行く子供は少ないのが実態です。退学に至る人も多いと聞いております。
 そこで、子供たちが困っていることを聞き取り、適切な支援策などにつなげていくことが必要だと考えますが、見解を伺います。

○小野都民活躍支援担当部長 在住外国人の困り事は、生活から教育、就労など様々あり、区市町村などでも相談窓口などを設け、対応しておりますが、相談につながらないケースも多くございます。
 そこで、子供たちが居場所としている日本語教室や国際交流協会などで悩みを聞き出し、適切な支援策につなぐことが必要でございます。これらを担う人材を多文化キッズコーディネーターとして設置する区市町村を支援してまいります。
 来年度は、まず、二か所の区市町村で先行実施するとともに、つながり創生財団に法律や福祉の専門家チームを設置し、多文化キッズコーディネーターをサポートしてまいります。

○加藤委員 コーディネーターの役割に期待をしております。
 こども基本条例が施行され、全ての子供を主体として施策を進める。そうした中で子供政策連携室ができ、それが今後さらに拡大をしていくと。教育庁では、日本語教育の専管部署ができます。
 どうかオール都庁で、生活文化スポーツ局としても、多文化共生の主体の局として、しっかりと進めていくいただくことを求めて、質問を終わります。

○アオヤギ委員 文化芸術の振興について、まずお伺いします。
 昨年の文化戦略二〇三〇の質疑の際にも、文化芸術振興について質問してきました。そこでは、文化芸術分野で働く方々のほとんどが個人事業主、フリーランスであり、新型コロナの感染拡大中でも、様々な感染対策も自腹になる。また、公演中止やイベントの規制などで収入が減り、準備してきたものが発表できず、展望を失っている方も少なからずいらっしゃることを、アンケートを取った芸能従事者団体からの報告を述べました。
 こうしたことから、私は、芸術文化に携わる方々への支援を拡充するよう求めてきたところです。その一つが、文化芸術分野でのハラスメントをなくすために支援をできないかということです。
 そこでお伺いしますが、来年度実施予定の東京芸術文化活動サポートセンターですが、どういった資格の方が、何人体制で相談を受けるのでしょうか。

○宮永文化戦略推進担当部長 サポートセンターの相談体制につきましては、検討中でございます。

○アオヤギ委員 この相談体制は、弁護士やカウンセラーなど専門家が必要だと思います。
 また、サポートセンターでは、著作権の相談や契約の相談を受けるとのことで、これについても、日本では、著作権についてまだまだ確立されておらず、海外では、少しでも出演したものが再放送されると出演料がもらえるのに対し、日本では、そういったことを守っているのは、ごく一部の会社だけであることなどを関係者から聞いてきました。
 また、出演に当たっての契約や経費負担についてですが、事務所に所属して活動できる方は、ある程度、経費負担をしてもらう場合もありますけれども、多くの方々は、交通費、通信費、その出演のために必要になったレッスン料やメーク用品代、資料代など、経費は自腹です。
 現場では、いまだに契約が口約束だったり、経費の範囲が不明確な場合も少なくなく、仕事が突然キャンセルになっても、何の補償もなかったり、経費が報酬を上回ることもあるとのことです。
 都として、契約書のひな形や、明確にすべき経費区分の例などをネット上に示すことを求めてきました。
 著作権の相談や契約の相談を受けるのは重要ですが、相談を受けた後、どのような対応になるのですか。

○宮永文化戦略推進担当部長 サポートセンターの相談につきましては検討中でございますが、外部の専門家等とも連携し、対応する予定でございます。

○アオヤギ委員 専門家の方が相談を受けて、そのままにするのではなく、解決につながるように体制を整えていただきたいというふうに思います。
 契約書のひな形ですけれども、ひな形を作ることが大切です。先ほども述べたように、口約束で、もし異論をいうと、次に呼んでもらえなくなるなど、立場が弱い状況であると関係者は述べられています。
 また、とや議員の文書質問でも求めていますが、文化芸能従事者の権利が適切で明確な契約書を交わすことは、報酬や著作権などの保護に加え、ハラスメント防止にも有効であること、また、契約によらず、口約束で仕事内容が明記されないことがパワハラやセクハラが生じる原因の一つとなっていることを示し、例えば、契約書に性的なシーンや肌に触れる演技の有無の記載を必須とするなどの方法もハラスメント防止になると考えられ、都の施策を求めてきました。
 そこでお伺いします。契約書のひな形を作ることが文化芸術団体から要請されています。都として作成することを求めますが、いかがですか。

○宮永文化戦略推進担当部長 昨年七月に、文化庁の検討会がガイドラインを取りまとめており、契約書のひな形が掲載されております。

○アオヤギ委員 文化庁が契約書のひな形を公開したことは重要ですけれども、それでは、少なくとも都の助成事業では契約書のひな形を活用してはどうですか。

○宮永文化戦略推進担当部長 都は、既に契約書のひな形が掲載された文化庁のガイドラインを周知しており、都内の芸術文化団体等におきまして、自主的に対応を進めるものと認識しております。

○アオヤギ委員 周知しているということでありますけれども、自主的にということではなく、ぜひ確認を行っていただきたいというふうに思います。
 また、文化芸術分野でのハラスメントが告発されています。しかし、どうしても立場が弱く、仕事がもらえなくなるのではという懸念から、ハラスメントの告発をためらうことなどが考えられます。
 都として、サポートセンターにおいてハラスメントの相談機能の設置も必要ですが、サポートセンターでは相談を受けるのですか。

○宮永文化戦略推進担当部長 サポートセンターの相談窓口では、ハラスメントなどの悩み事に対応してまいります。

○アオヤギ委員 ハラスメントにも対応だということでありますけれども、ぜひこちらも解決に結びつけるように、支援を関係機関とつないでいく必要があると思います。
 また、少なくとも都の助成事業でハラスメントを防止するために、ハラスメント講習を実施するなど、徹底する仕組みをつくっていただきたいですが、いかがですか。

○宮永文化戦略推進担当部長 サポートセンターでは、ハラスメントなどの相談に対応するほか、アーティスト等の活動に必要な講座も実施いたします。

○アオヤギ委員 講座も実施ということですので、都の助成事業をはじめとする文化芸能の関係者に対して講習を進めていただきたいと思います。
 また、海外では、俳優の方々へのメンタルケアも充実しています。例えば、俳優の方々が様々な役をやるときに、メンタルケアとセットとなっているということです。
 俳優の方々が働き続けられるように、このメンタルケアをする仕組みが必要ですが、いかがですか。

○宮永文化戦略推進担当部長 サポートセンターの相談窓口では、創作活動を継続するための様々な相談に対応してまいります。

○アオヤギ委員 様々に対応ということで、どう対応するのか、詳細はよく分かりませんが、俳優の方々へのメンタルケアを重視して、俳優の方々を守っていただきたいと思います。
 次に、中小芸術団体への支援についてです。
 この点も予算が計上されていることは大変重要だと思います。
 これまでコロナ禍で開催が難しくなっており、文化芸能従事者の皆さんは、収入が大幅に減る、また、収容人数を大幅に減らすなどの対応で収入が減る、また、開催のために借金をすることなど、実態をお聞きしてきました。
 そんな中、都は、アートにエールをの事業で、文化芸術の従事者の個人や団体に対して助成を行い、自分の活動に対して報酬があるのはうれしいと、とても歓迎されていました。
 しかし、今年度は、大規模の文化団体の助成事業にとどまっており、中小の団体は、国の制限がなくなっても、第六波、七波、八波で感染者が爆発的に増え、休演になることが一番増えているのに、助成がほとんどないということを訴えておられました。
 そこでお伺いしますが、来年度、都が中小の芸術団体に助成する意義について伺います。

○蜂谷文化振興部長 人流の回復も踏まえまして、東京の芸術文化の多様性を創出している中小規模の団体の公演に助成をするものでございます。

○アオヤギ委員 中小の芸術団体の方々が文化の多様性を創出しているという評価であるとのことでした。東京が文化芸能従事者が一番集まる場所であり、多様性を創出する場所にふさわしい支援を行っていただきたいと思います。
 今回、劇場など場所を借りる費用も助成に入るということですので、重要だと思います。
 これまでアートにエールをについては、助成額の上限が二百万円であり、今回、百万円の二分の一の補助では十分なのかなと思いますが、そこでお伺いしますが、今回のパフォーミングアーツが、なぜ百万円の上限で二分の一補助なのか、もっと増やすべきではないでしょうか。

○蜂谷文化振興部長 中小規模の団体に対する助成でありまして、百万円を上限といたしました。

○アオヤギ委員 様々な団体がありますので、助成額の増額を要望します。
 また、海外の国のアーティストへの支援として、様々な分野のアーティストが一か所に集まり、住まい、暮らしながら創作活動をして、分野を超えて刺激をし合うような場がある、そういった国があります。こうしたことも求めてまいりましたが、今回、都営住宅、JKKの空き店舗を利用したアーティストの創作環境の整備についても予算計上がされています。
 アーティストの創作環境支援について、規模や期間、アーティストの方の費用負担について概要をお示しください。

○宮永文化戦略推進担当部長 都営住宅の空き店舗を活用した創作スペースは、全六区画を、それぞれ約三か月ずつ、低廉な使用料金でご利用いただきます。

○アオヤギ委員 場所は、笹塚、初台の都営住宅の空き店舗だそうです。ここの貸し出すスペースには住むことはできないわけですけれども、アトリエのような場所として利用ができ、三か月単位で入れ替わるということであります。
 若い芸術家などが区画を超えて交流できたり、都営団地の中ですから、住民の方々とも交流できればと考えます。
 そこでお伺いしますが、区画や対象人数を増やし、期間も延ばして、様々な分野のアーティスト同士が交流できるようにしていただきたいですが、いかがお考えでしょうか。

○宮永文化戦略推進担当部長 本事業は、都営住宅の空き店舗等を活用して、アーティストへ低廉な価格でアトリエを提供するとともに、交流することとしております。

○アオヤギ委員 今、交流もあるということですので、利用されたアーティストの方々の創作活動に寄与し、また、住民の方々など、アートに触れる機会を増やして交流するためにも、区画を増やし、借りる期間の延長をしていただきたいと要望いたします。
 次に、男女平等参画の分野のDV対策についてお伺いします。
 DVとは、親密な関係にある相手に力を持ち、支配を続けるために繰り返し行う虐待行為のことだと、DV加害者更生プログラムに取り組むNPO団体、アウェアの山口代表は新聞記事で述べておられます。また、加害者になるのは、育った環境から学んだ力の支配の関係や、男らしさ、女らしさのジェンダーバイアスなどで、誰にでも起こり得るとおっしゃっておられます。
 ですから、DV加害者への対応が不可欠ですが、DV加害者に対する更生プログラムについては、これまでも質疑の中で重要性を訴えてまいりました。
 DV加害者や痴漢の加害者などは、何度も何度も加害を繰り返してしまい、被害者を苦しめます。間違った価値観から繰り返してしまうと専門家はいいます。ですから、加害者がストーカーになる場合や、場合によっては重大な事件にまで発展することもあり、被害者が逃げるだけの対策ではなく、被害者へのカウンセリングや加害者の更生の対策が求められています。
 都は、今年度、内閣府委託調査研究事業で、DVの加害者に対するDVをやめるための教育プログラムを始めています。
 来年度のDVの加害者の更生プログラムについて、今後の展開についてお示しください。

○樋口男女平等参画担当部長 来年度につきましては、今年度実施した配偶者暴力加害者プログラムの試行実施結果や、今後示される国の方針を踏まえ、実施いたします。

○アオヤギ委員 今は試行実施であるので、今後は本格実施に向けて進めていただきたいと思います。
 現在は、このプログラムは有料であるので、ぜひ無料に向けてハードルを下げていくことが必要だと思います。
 先ほどのアウェアでは、カリフォルニア州の取組をモデルに、週一回、二時間のプログラムを最低五十二回受けてもらい、費用は一回三千円だそうで、加害者は、仲間がいれば、びっくりするくらい正直に話し、間違った価値観に気づくための教材やビデオなどで新しい価値観を学ぶということであります。ですので、今後はもっと拡充が必要だと考えられますので、要望いたします。
 次に、区市町村の支援について伺います。
 これまで、配偶者暴力相談センターが多摩地域の市町村に一つもない状況があるので、設置を求め、私どもの組替え予算でも設置の提案をしております。
 女性への暴力をはじめとするジェンダー不平等の状態が深刻な状況であり、相談件数も高い水準で推移をしています。そのような中、都の施策だけでなく、区市町村においてジェンダー平等の施策を進める必要があると考えます。
 そのためには、都が区市町村の取組を支援するという、他の所管では当たり前の施策を、男女共同参画の所管でも実施していくべきだと考えます。
 そこでお伺いします。区市町村への補助の状況はどのようになっているのでしょうか。

○樋口男女平等参画担当部長 都は、区市町村に対して、相談員研修の実施や啓発カード等の配布のほか、都と区市町村との連携会議などを開催し、幅広く支援しております。

○アオヤギ委員 今お答えになったのは、都がウィメンズプラザなどで開催する事業で、区市町村への補助金はゼロ円となっています。
 生活文化スポーツ局の中でも、各所管が区市町村への支援メニューを持って充実させています。自治会の支援やスポーツの支援、若者の相談支援、消費生活の支援など、あらゆる分野で区市町村への支援メニューがあります。
 消費生活の分野でも、学校に対して、成年年齢引下げの問題など消費者教育が実施されています。
 DVの加害者も被害者も生み出さない立場から、子供たちが早い時期に、力と支配の価値観が間違っているということを学ぶことも重要だと山口代表もおっしゃっております。ですから、学校教育でのデートDVなどを学べるように支援することも、東京都が支援していただきたい一つです。
 また、被害者に対しても、被害者が逃げる選択しかない制度を変えていくことが求められています。
 被害者に対するカウンセリングについても、今は自費診療となっている中、メンタルケアが進まない状況もあると聞いています。
 そうした中で、例えばデートDVなど、学習会などを区市町村が学校に対して行おうとするときに、講師料に対して補助を行ったり、DV加害者更生プログラムを行おうとする区市町村に支援するなどを行って、ジェンダー平等をさらに発展させていくことが必要不可欠だと考えます。
 デートDVのプログラムや様々な課題に対して区市町村が事業を行おうとするときに、補助を都がすべきではないでしょうか。

○樋口男女平等参画担当部長 区市町村においては、国の交付金を活用し、地域の実情に応じて様々な事業に取り組んでおります。
 都は、区市町村に対して、相談員研修の実施や啓発カード等の配布のほか、都と区市町村との連携会議などを開催しており、引き続き幅広く支援してまいります。

○アオヤギ委員 国の交付金は、メニューなども来年度は増える予定だと聞いております。今年度は、全国で十億円程度であったということであります。
 東京都においても、今求められている水準に向けて、区市町村への補助金も創設して、また東京都自身も、被害者の相談支援をさらに発展させ、加害者の更生プログラムを充実させていただくことを要望し、次の質問に移ります。
 次に、障害者スポーツ振興について伺います。
 北区にある東京都障害者総合スポーツセンターと、国立市にある多摩障害者スポーツセンターは、公益社団法人東京都障害者スポーツ協会を指定管理者として運営されています。初めてそのスポーツをする入門者、初心者から、大きな大会に出場するアスリートまで、多くの方々に親しまれ、利用されている施設です。
 二〇二〇年四月以降は、新型コロナウイルスの感染拡大の下、感染拡大防止のため、開館時間や利用人数を制限しながら運営されています。感染拡大防止は何より重要なこととはいえ、障害者施設も含めた他の施設が、感染状況に応じて制限を緩和するなど柔軟に対応しているのに比べ、現在に至っても制限が厳し過ぎるのではないかというご意見も伺っているところです。
 まず、二つの障害者スポーツセンターの二〇一九年度、二〇二〇年度、二〇二一年度、二〇二二年度におけるそれぞれの利用実績、延べ利用人数をお伺いします。

○小池スポーツ施設部長 障害者総合スポーツセンターの利用者数についてでございますが、二〇一九年度であります令和元年度が十四万八千八百三十九人、翌令和二年度が六千九百四十三人、令和三年度が一万五千八百一人、令和四年度は十二月までの実績でございますが、三万一千九百九人でございます。
 また、多摩障害者スポーツセンターにつきましては、二〇一九年度の令和元年度が八万六千九百七十人、翌令和二年度が六千八百六十一人、令和三年度が一万二千二百六十人、令和四年度は、十二月までの実績で二万三千七百三十九人でございます。

○アオヤギ委員 総合スポーツセンターの方は、コロナ前は年間約十五万人の利用があったところ、現在でも、まだ三万二千人程度しか利用がないということであります。
 多摩スポーツセンターは、改修により、二〇一九年五月まで東京スタジアムの一角で縮小して運営し、六月は移転のため休館、六月三十日からリニューアルオープンですから、二〇一九年の八万七千人というのも、通常開館の年に比べれば少ないと思います。二〇二二年度は二万人という程度の利用となっています。
 現在も開館時間や利用人数の制限が行われていますが、どのような考え方で行っているのか。例えば、今年三月の利用不可の時間帯は、どのような基準により設定されているのか、また、利用人数の制限はどのようになっているのか、お伺いします。

○小池スポーツ施設部長 開館時間は、午前の部、午後の部、夜間の部の三つの部を設定しておりまして、時間帯ごとに入替え制としております。
 体育館やプールなど施設ごとの利用可能な時間枠につきましては、利用者のニーズを踏まえて設定しておりまして、例えば障害者総合スポーツセンターにおきましては、利用の多い午前の部と午後の部を中心に利用可能としているところでございます。
 また、利用できる人数につきましては、感染の状況や広さなどを踏まえまして、密にならないよう設定しているところでございます。

○アオヤギ委員 それでは、午前、午後、夜間それぞれの利用時間は、何時から何時までですか。また、コロナ以前は何時から何時までだったのでしょうか。

○小池スポーツ施設部長 現在の利用時間につきましては、午前の部は九時から十一時三十分まで、午後の部は午後一時から四時まで、夜間の分は午後五時から八時までとなっておりまして、各時間帯の合間は、コロナ対策のため、入替えの時間に充てているところでございます。
 新型コロナウイルスの感染拡大以前は、最大で午前九時から午後八時三十分までで、利用時間帯の区分は設けてございませんでした。

○アオヤギ委員 現在は、午前、午後、夜間の三つの部に分け、それぞれの時間帯の合間に、一時間から一時間半の時間を設けて利用者の入替えに充てているとのことです。入替えとともに、消毒も行っていると伺っています。
 それに加えて、これはセンターのホームページにある開設状況の表で確認できますが、日によって、ある日は、プールが午前中は利用不可、卓球室は夜が利用不可など、この三月は、全体の二割程度の時間帯が利用不可になっています。少し前までは、利用不可の時間帯がさらに多い状況だったということです。
 各時間帯の合間に入替えや消毒を行っているのに、さらに午前、午後、夜間などの時間帯を利用不可にする必要があるのでしょうか。ステイホームといわれていた時期などなら、まだ理解できますけれども、現状では首をかしげざるを得ません。
 さらに、利用者は、一日のうちに、どこか一つの時間帯しか利用できないというルールが設けられているため、例えば午前の部に利用するといっても、交通ラッシュを避けて来る方もおられますから、十時過ぎになってしまう。一時間程度の練習で、もう帰らなければならないと、利用を諦めてしまう人もいるとのことでした。
 また、開館状況の表では、団体と表示される団体利用の時間帯が設定されています。これは、団体の予約が入っている時間帯を団体としているのではなく、あらかじめ団体の枠を設け、その時間帯は五人以上のグループで予約を受け付けることとなっているそうです。
 そこでお伺いしますが、この団体の枠は、午前、午後など、一つの利用区分で何団体が利用できるのか、また、団体の申込みがなかった場合は個人利用ができるのでしょうか。

○小池スポーツ施設部長 障害者スポーツセンターにおきましては、毎日の時間帯ごとに団体で利用できる枠を設定しておりまして、一つの時間帯枠での施設利用は一団体のみとしております。この時間帯枠は、団体が専用利用できるよう設定しているものでございまして、個人での利用はできません。

○アオヤギ委員 一団体しか利用できない。つまり、例えば広い二十五メートルプールや体育館をたった五人で利用した場合でも、ほかの団体や個人は利用できません。
 総合スポーツセンターには、陸上競技やゲートボールができる運動場や、コートが三面あるテニス場もあります。これら感染リスクがより低い屋外施設でさえも、五人のグループが一団体利用したら、他の団体や個人は利用できなくなります。幾ら感染防止といっても、これはやり過ぎではないでしょうか。
 さらに、団体の予約がなかった場合でも、個人利用はできず、施設は空いたままになるということです。
 また、教室という枠があり、これはセンター主催のスポーツ教室のことですが、例えば十三時から十四時まで教室だった場合、以前だったら、教室が終われば、また一般開放していたのに、現在は、十四時以降も、午後の時間帯は全部使用禁止、教室に参加した方も帰ってくださいとなると伺っています。
 少人数の団体でも一団体しか利用できない、団体の予約が入っていなくても一般開放がされない、教室の後も利用ができない。つまり、施設が空いているのに利用できないのは何とかならないかとご意見を伺っております。
 一般開放を増やしていくべきではないでしょうか。

○小池スポーツ施設部長 団体枠の数につきましては、指定管理者におきまして、団体からのニーズと一般利用者のニーズを踏まえて設定しているものでございます。
 団体枠と一般枠とでは配置する人数が異なるため、当日、その場で切り替えることなどは困難でございます。また、団体枠と一般枠のほかに、教室での利用枠を設けておりまして、教室での利用者が他の利用者と交わらないようにすることで、安全管理や感染症対策を講じているところでございます。

○アオヤギ委員 コロナ前は、予約がなければ、団体枠が一般枠に切り替えられ、利用できたし、対応できる人員配置もされていたと伺っています。また、通常の体育施設では、例えばプールは、団体はレーン貸しが一般的で、他のレーンは他の団体や個人が泳いでいます。障害者スポーツセンターでも、コロナ前はそうした使い方をしていたと思います。
 社会全体では、もう移動制限も、飲食店の営業時間の制限も、イベントの収容人数の制限もありません。
 もちろん障害者の皆さんの感染防止は引き続き重要ですが、だからといって、社会全体とあまりにもかけ離れた利用制限をするのは、逆に障害者のスポーツをする権利を奪うことになりかねません。感染防止をしながらでも、もっと多くの時間、もっと人数が利用できるのではないでしょうか。
 コロナ前は、総合スポーツセンターは年間十五万人、多摩では、二〇一九年で八万七千人もの方々が利用し、スポーツを楽しんでいた施設です。利用可能な時間、利用人数の制限などを見直して、障害者が利用しやすい運営にすることを強く要望します。
 関連して、サポートスタッフの雇用についても伺います。
 障害者スポーツセンターのサポートスタッフは、障害のある方が障害やレベルに合わせてスポーツが楽しめるよう、障害に合わせた器具や用具の使い方を教えてくれ、また、卓球やテニスなど、一人ではできないスポーツを一緒にしてくれるスタッフです。
 現役世代の方、会社を定年退職した方、大学生など、アルバイトとして雇用されている方がいます。競技者としての実力をお持ちであると同時に、障害者スポーツにも精通し、この方たちがいなければ障害者スポーツセンターは成り立ちません。
 サポートスタッフの方々が配置されているのは、利用者にとって重要で、いつでも対応できるよう常駐していることが必要不可欠です。
 サポートスタッフの方々の雇用は、コロナ禍でどのようになっているのか、伺います。

○小池スポーツ施設部長 障害者スポーツセンターにおきましては、体育館やプールなどの施設ごとにサポートスタッフの数を決めておりまして、コロナ禍におきましては、さらに消毒作業等を行うスタッフも追加で配置しているところでございます。
 センターには様々な職のスタッフがおりますため、お尋ねのサポートスタッフのみの使用時間や人件費は指定管理者の運営に委ねておりまして、都として詳細を把握するものではございませんが、障害者スポーツセンターの総人件費は、令和元年度から三年度まで大きな変動はございません。

○アオヤギ委員 常駐するように雇用を行っている、消毒もしてもらうことも含めて行っている。例えば体育館が閉まっていても、卓球場に入ってもらえるというご答弁と思います。
 ところが、実際は違います。センターの利用時間、利用人数が減少していることに伴い、サポートスタッフのシフトが減り、収入が減っていると伺っています。
 例えば、昨年二月のオミクロン株の感染拡大時には、午前、午後、夜間のどこか一つの時間帯が、二日に一回のみ利用可能になる。つまり六分の五は利用不可という状況であり、希望してもシフトに入れない、シフトの枠が激減したこともあったそうです。
 シフトが激減した上に、休業手当が支払われるのは、シフト確定後に休館などを行った場合だけであります。それ以外にシフトが減っても、本人の希望の上、決定したものだとして、何の補償もされないということでした。
 コロナの影響で仕事が減ったのであれば、本来、休業手当を支払うべきです。また、休業手当が支払われないのであれば、国の休業支援金の対象になりますから、そうした案内を手続できるよう支援するのが当然です。
 シフトが減ってしまった方に対し、新型コロナウイルス感染症対策休業手当の支払いや、支援金、給付金の案内はしたのでしょうか。

○小池スポーツ施設部長 コロナ禍におきましても、施設ごとにサポートスタッフの数は決めておりまして、そのスタッフは、時間帯ごとに必ず常駐するよう雇用しているところでございます。
 なお、感染症対策に尽力するため、消毒用スタッフも含めて、開館している施設には重点的に人員を配置しているところでございます。
 スタッフの勤務シフトが減ったという事実につきましては、指定管理者から報告を受けてございません。

○アオヤギ委員 スタッフの勤務シフトが減ったという報告は受けていないという答弁でした。要するに、利用制限をしていても、サポートスタッフは従来どおり雇用しているということであります。
 しかし、実際にはシフトは減らされています。スタッフの方々には、予算の都合でシフトを減らさなければならないという説明がされたこともあったと伺っております。
 障害者スポーツセンターの利用料は無料で、運営全般を都の支払う指定管理料で賄っているわけですが、コロナの感染拡大による閉館や利用の制限などにより指定管理料を減らしたなどのことがあるのですか。
 総合センターと多摩、両センターの指定管理料の推移を伺います。

○小池スポーツ施設部長 障害者総合スポーツセンターの指定管理料につきましては、令和元年度から三年度は、決算額でそれぞれ五億一千八百万余円、四億九千四百万余円、五億五百万余円、四年度から五年度は、予算額でそれぞれ五億四千二百万余円、五億六千三百万余円でございます。
 また、多摩障害者スポーツセンターは、令和元年度から三年度の決算額で、それぞれ四億六千五百万余円、三億三千二百万余円、三億四千八百万余円となっており、四年度から五年度は予算額で、それぞれ三億六千五百万余円、三億七千五百万余円となっております。
 両センターとも、令和元年度から五年度にかけまして、人件費を含む指定管理料は大きく変動してございません。

○アオヤギ委員 多少の変動はあるものの、年ごとの小さな修繕や備品の購入によるもの、二〇二〇年には若干金額が落ちているのはイベントを中止したからで、人件費は変えていないと説明を受けました。
 では、実績はどうでしょうか。二〇一九年度から二〇二一年度の施設ごとのサポートスタッフの使用時間の実績や人件費の実績はどのようになっているのか、伺います。

○小池スポーツ施設部長 繰り返しになりますが、障害者スポーツセンターには様々な職種のスタッフがおりまして、お尋ねのサポートスタッフの使用時間や人件費につきましては、指定管理者の運営に委ねておりまして、都として詳細を把握するものではございませんが、障害者スポーツセンターの総人件費あるいは指定管理料につきましては、令和五年度から大きく変動していないところでございます。

○アオヤギ委員 総人件費が変化していないということでありました。サポートスタッフの雇用は、消毒などをしていただくことも含め、確保している人件費も大きく変動していないということです。
 本来であれば、当然のことだと思います。都に雇用されている時給で働く職員も、コロナの影響で本来の仕事がなくなっても、他の仕事をしていただく。在宅勤務で研究、研修をしていただくなど、賃金はきちんと支払いました。
 しかし、実際には、サポートスタッフの仕事も収入も大きく減っているとのことなので、現在も、シフトの希望を出しても半分以上勤務を入れてもらえないこともある、また、シフトの希望を出す時点では開館状況が分からないので、どれだけ希望を出せるか、勤務を入れられるか見通しが立たず、雇用や収入が不安定で不安な状況になっている、サポートスタッフを辞め、安定的に働ける仕事に移ってしまった人もいるとのことです。
 自分で調べて休業支援金の申請をした方もいるそうです。休業支援金は雇用主が書類を書く必要がありますから、センターでもシフトが減っていることを認めているということではないでしょうか。この支援金も今月で終了ですから、切実な問題です。
 シフトを減らしたという報告も受けていない、都から指定管理料をコロナ前と同等に支払っている、それなのに実際はシフトが減っている、希望を出しても入れてもらえないというのは、どうにも不可解だといわざるを得ません。きちんと調査をして、雇用と収入が守られるよう改善していただくことを強く求めます。
 アルバイトの方々も人間であり、生活があります。ましてやサポートスタッフの皆さんは、障害者スポーツセンターにとって、スポーツをする障害者にとって、かけがえのない存在です。今後、開館時間や利用者が増えていけば、いていただかなければ困る方々です。
 今後も指定管理料の維持をするのは当然のこと、そして、サポートスタッフの方々の雇用を維持し、障害者がスポーツに親しめるようにすべきではありませんか。伺います。

○小池スポーツ施設部長 サポートスタッフなども含めまして、障害者対応の経験やノウハウを持つ人材は重要でございます。
 しかしながら、指定管理者から、勤務の大幅な減少により継続的に雇用が維持できなかったとの報告は受けてございません。
 今後とも、障害のある方が気軽に安心してスポーツを楽しんでいただけるよう、適切に施設を運営してまいります。

○アオヤギ委員 総合、多摩の障害者スポーツセンターの開館時間や利用人数の制限、利用のルールを見直し、より多くの方々が利用していただけるようにすること、サポートスタッフの雇用については、調査をして改善していただくことを重ねて要望いたします。
 最後に、障害者が身近な地域でスポーツできる環境の整備について伺います。
 二〇二一年十一月の事務事業質疑で、私は、障害をお持ちの方が身近な区市町村のスポーツ施設を利用したいと思っても、必ずしも受入れ体制が十分でなく、実際に断られてしまった事例もあることを紹介し、充実を求めました。
 都の支援の一つとして、障害者向けの水泳教室などのイベント時の人員配置には補助があるわけですが、やはり特別なときだけでなく、いつでも対応できるような人的配置が求められていると思います。
 区市町村のスポーツ施設を障害者の方が利用しやすいように、人的配置に対し都が補助するなど、取組を進めていただきたいと思いますが、いかがですか。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都は、障害種別や施設利用の場面ごとに施設管理者が配慮すべき事項をまとめたマニュアルを活用し、区市町村や公立スポーツ施設等に対し、障害者の受入れ促進を呼びかけております。
 今年度はマニュアルの改定を進めており、来年度は、そのマニュアルを活用して、希望する区市町村、スポーツ施設へアドバイザーを派遣するなどの取組を実施してまいります。

○アオヤギ委員 来年度は、新たにアドバイザーを派遣するということで重要だと思います。都が二〇一六年に作成した施設利用促進マニュアルをどのように実践していくのかのアドバイスをするというふうに伺っています。
 同時に、アドバイスをもらった後に実践するには、人的体制を厚くしなければ、やりたくてもできないとなってしまいますので、日常的な人的配置にも支援を行っていただきたいと重ねて要望します。
 障害者の方々がどの地域に住んでいても、スポーツに親しみ、新しいスポーツにも取り組める環境を都がつくることは重要です。
 障害者スポーツ振興について、都は、さらに振興し、広げていくには、どのようなことが必要だと考えているのか、お伺いします。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都はこれまでも、体験型イベントの開催等により普及啓発を図ってまいりました。
 また、特別支援学校の体育施設の活用などによる場の確保のほか、指導員など支える人材の育成、選手の発掘等の競技力向上などの取組を進めてまいりました。
 引き続き、障害者のスポーツ参加促進に向け、スポーツに親しみやすい環境整備等に取り組んでまいります。

○アオヤギ委員 この二十一日には、東京都パラスポーツトレーニングセンターがオープンしますが、都の施設でも、区市町村の施設でも、障害者がそれぞれのニーズやレベルに応じてスポーツに親しめるようにすることがますます求められています。思い切って施策を充実させていただくことを要望し、質問を終わります。

○入江委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時三十八分休憩

   午後四時開議

○入江委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○阿部委員 私は、東京都の若者支援策について、まずお伺いをいたします。
 一九九〇年代以降の経済低迷の長期化と社会変化の中で、若者は、貧困、教育機会、労働市場、社会保障からの排除、家族形成の自由の阻害、地域間の分断など、様々な面で厳しい状況に置かれている、それは政策や制度の不備にも起因しており、特に日本社会に強固に存在する自己責任論、家族責任論が若者支援政策の拡充を阻害してきた、しかし、少子高齢化が進行する中で、若者が多様で自由な選択を通じて自らの可能性と活力を発揮できるようにするための社会的条件を整えることは、若者自身にとってのみならず、社会の維持存続にとっても喫緊の課題となっている。
 日本学術会議は、二〇一七年、若者の支援策の拡充に向けた提言の冒頭で、このように語っています。私も同様の問題意識を根底に置いて質問をいたします。
 まず、令和五年度の若者支援の予算が前年度より減額になっている、この要因について説明をしてください。

○米今若年支援担当部長 令和五年度予算案、若年支援の推進におきましては、若者応援プロジェクトにおいて効果的な情報発信を行うことで、実施手法の見直しを行い、前年度に比べ約千三百八十五万円の減となっております。

○阿部委員 残念ながら、トータルで減額となっていることを確認いたしました。
 ところで、若者支援予算の中では、実質的に若者を支援する仕組みとしては、若者総合相談センター、若ナビαの事業が挙げられます。
 若ナビαは、LINE相談を始めてから、相談数がLINEに置き換わっている傾向がありますが、全体の相談件数は減少しています。
 要因をどのように分析しているのでしょうか。

○米今若年支援担当部長 東京都若者総合相談センター、若ナビαの相談者の一部には、同じ内容を繰り返し頻繁に相談してくる方がいらっしゃいます。
 これまで若ナビαでは、このような方に丁寧に対応し、解決に導く取組を続けており、相談件数の減少の要因と考えております。

○阿部委員 ところで、その若ナビαは、昨年春、委託先が突然変更されました。これによって大きな混乱を招いたと認識をしております。
 委託先変更の経緯を説明してください。

○米今若年支援担当部長 東京都若者総合相談センター運営委託契約は、毎年度、総合評価方式による入札を経て事業者を決定することといたしております。
 令和四年度におきましては、二者が入札に参加し、現受託者が落札した結果、委託先が変更となりました。
 なお、もう一方の参加者は、入札価格が予定価格を超過したため、落札基準に基づき、合計点が算出されなかったものでございます。

○阿部委員 総合評価方式ということでありますけれども、実際には、価格の問題で一者のみが対象になったというご説明だったと思います。
 この委託契約、単年度ということですけれども、変更前と変更後、委託金額はそれぞれお幾らでしょうか。

○米今若年支援担当部長 契約金額は、令和三年度が七千三百七十五万六百円、令和四年度が七千八百十万円でございます。

○阿部委員 委託先との契約期間が短いと、長期的なスタッフの確保ができず、支援の質が高まらないのではないか、そうした課題が出てくるかと考えますけれども、どのようにお考えでしょうか。

○米今若年支援担当部長 若ナビαでは、悩みを抱える、より多くの若者に気軽に利用していただけるよう、令和二年度にLINE相談の導入、令和三年度にオンライン面接相談の導入、令和四年度に相談受付時間の拡大を行うなど、相談環境の整備に取り組んでまいりました。
 このように、若ナビαでは、若者のニーズを踏まえて不断に見直しを行ってきておりまして、単年度契約の方が、運営体制の変更など柔軟な対応が可能となり、利用者の利便性向上に資すると考えております。

○阿部委員 若ナビαは、電話での相談受付時間を延長しております。当然、スタッフの増強を図る必要があり、金額が上がるのは当然のことと思います。
 先ほども申し上げましたけれども、総合評価方式といいながら、二者のうち一者を価格で排除すれば、実質的に価格以外の要素は勘案されないまま委託業者が決まってしまうことになります。
 このことを踏まえた上で伺います。
 受託事業者の若者相談分野における過去の実績には、どのようなものがあるでしょうか。

○米今若年支援担当部長 現在の若ナビαの受託者からは、例えば、窓口受付業務、学校関連業務等の実績があったと聞いております。

○阿部委員 その学校関連業務というのは、学校図書館の受付ですよね。相談業務ということではないと思います。
 若者対象だけではなく、この会社は、主にビル管理を主体とする会社であって、相談分野における実績は全くありません。
 若ナビαの相談員の平均経験年数をお伺いいたします。

○米今若年支援担当部長 現在、若ナビαに所属する相談員三十二名の実務経験年数の平均は、約六年でございます。

○阿部委員 では、この三十二人、常勤が二人で、あとは非常勤あるいはアルバイトであるというふうに聞いております。もし不正確であればご訂正ください。残り三十人は非常勤と聞いております。
 その上で、誰がどのように相談員のスーパーバイズを行っているのか、教えてください。

○米今若年支援担当部長 若ナビαの現受託者は、精神保健分野の医師及び弁護士各一名をスーパーバイザーとして選定しております。
 スーパーバイザーは、相談員に対して指導助言を行う役割を担っております。
 具体的には、相談員の研修講師を務め、相談対応の質の向上を図るとともに、個別の相談案件について支援の方向性等を調整する会議に参加し、より適切な見立てを行い、状況に適した対応を行うための助言を行っております。

○阿部委員 今、働いていらっしゃる方々も、急遽決まったとはいえ、専門的な資格を持って相談業務に当たっているということは承知しております。優秀な方々が相談に当たっておられることと推察をいたします。
 ただし、昨年三月の入札の後、急遽、有資格者の求人が出され、しばらくは相談対応どころではなかったというふうにも聞いております。
 でも、それだけではありません。相談業務というのは、内容が深刻であるほど、電話やLINEの言葉のやり取りだけでは終わらずに、地域での息の長い伴走支援が必要となってきます。
 地域の支援団体からは、受託業者が替わってから、若ナビとの連携関係が、この一年間、一切、切れてしまったという声も届いております。東京都は何のためにこの事業をやっているのかというお声もいただきました。
 昨年度までの受託団体は、長年、地域で多様な支援活動をしてきた社会福祉法人で、地域の支援団体とのパイプが構築をされていました。だからこそ、相談内容により地域の支援団体に適切につなぐことができていたと評価もされていました。これは、あくまでも聞いた話です。それが切れてしまったと。これは、民間支援団体だけではなくて、実は自治体からも戸惑いの声をいただいております。
 どういった事業者が受託することが適切か、これは、具体の団体について、私がとやかくいうことではないと思っております。しかし、少なくとも若者支援、地域での伴走の経験がない事業者にいきなり委託をすることは、これは大変センシティブな内容を含むものでありますので、大変課題を感じるところであります。
 特に、地域とのつながりが希薄なまま滑り出すというのは、これまでの相談あるいはこれからの、今抱えている相談を、じゃ、どこにつないでいくのか。
 それは、地域の支援団体も、それぞれの歴史と、あるいは得意分野、そうしたものが一つ一つありますので、そうしたものが分かった上でつなぐ、あるいは信頼関係があった上でつなぐ、そうしたことがとても大切になってくる分野だと思います。
 そういった意味では、こうした分野に一切関わってこなかった、相談業務をやってこなかった、つまりは、この分野について様々なパイプを持っていないそうした団体に、いきなり三月に委託先が替わってしまうというのは、相談業務の在り方としては、非常に問題があるのではないかと私は思っておりますが、改めて都の見解、お考えを伺いたいと思います。

○米今若年支援担当部長 本入札の場合、制度上、例えば窓口案内業務に関する一定の履行能力等があれば入札参加資格を満たすこととなり、都は、資格を有する事業者の参加を妨げることはできません。
 ただ、都は、契約仕様書に基づきまして、現受託者に対しまして意見交換等を行い、ご指摘の関係支援団体とのつながりの強化等、そこら辺の指導助言は行ってきておるところでございます。
 また、委託先の変更に伴って大きな混乱があったということでございますが、相談者からの苦情は受けておらず、混乱はなかったと認識しているところでございます。

○阿部委員 相談者からの苦情というのは、普通はないと思いますよ。相談する方が、かなり深刻な相談も多い分野ですので、単に相談しなくなるだけ、あるいは、結局、支援してもらえないだけということだと思います。
 それで苦情をいってくる方が、多分、珍しいのではないかなと。まあ、いらっしゃるかもしれません。だけれども、苦情がないイコールうまくいっているというのは、少なくとも相談支援の分野では、ちょっと短絡的なのではないかなというふうに思います。
 また、都の入札制度、この制度自体にも、私は問題がかなりあるのではないかなというふうに思っております。この事業だけではなくて、自殺予防などに関わるような、極めて命に関わるような事業についても、その相談の受託先が単年度で入札にかけられるという仕組みになっているということも併せて伺いました。
 入札ということになると、もう生活文化スポーツ局だけの話ではないというのは承知しておりますけれども、であれば、入札に関わる部局に対して、こうした問題については、単年度で入札−−しかも今回は、総合評価といいながらも、結局は価格で決まったという面が非常に強い。こうしたことにならないように、ぜひ知恵を絞っていただきたいと思っておりますし、この入札については、実は、ほかにも奇妙に感じる点が幾つかあります。ただ、これは、さらに資料をそろえて伺う必要があると思っておりますので、別の機会にしたいと思っております。
 ただ、冒頭に申し上げたとおり、若者支援の分野というのは、日本の行政の中で、いまだに政策あるいは制度が不十分であるというふうに私は認識しております。そして、このことは、当事者のみならず、東京、そして日本社会全体でも喫緊の課題であります。
 イギリス、フィンランドをはじめ、欧州では、若者支援の公的制度が発達しておりますが、日本では重視されてきませんでした。
 都教委では、都立高校においてユースソーシャルワーカーを支援に組み込んでおりますが、対象は都立高校のみとなっております。それ以外の組織に所属している若者たち、あるいは所属のない若者たちは対象になっておりません。
 伴走型の若者支援に向けて、ユースワークの場への支援や、あるいはユースワーカーの育成に力を入れるべきではないかと思いますが、見解を伺います。

○米今若年支援担当部長 都では、若者の居場所づくりや支援スタッフの育成等に取り組む区市町村に対しまして、費用の一部を補助する若年自立等支援体制整備事業を行い、社会的自立に困難を有する若者に対する支援を行っております。

○阿部委員 こうした分野を、ぜひ制度面からも、抜本的にやはり拡充を考えていっていただきたいと思います。
   〔米今若年支援担当部長発言を求む〕

○米今若年支援担当部長 大変失礼いたしました。ただいま若年自立等支援体制整備事業と申し上げましたが、若者自立等支援体制整備事業でございます。失礼いたしました。

○阿部委員 では、次は、障害者スポーツについてお伺いいたします。
 先月、文教委員会の中でも、また今日の委員会の中でも、障害者スポーツについて様々な質疑がなされているところであります。
 その中で、障害者スポーツの関心が減少した理由として、前回の文教委員会の中では、東京二〇二〇大会の閉会による露出機会の減少が影響しているとのご答弁をいただきました。
 ただ、私は、このご答弁では、まだあまり納得をしていないところでありまして、都の調査によりますと、二〇二〇大会より以前、五年前と比べても、はるかに関心の度合いが低下してしまっている。これは、露出機会の減少だけでは説明がつかないのではないかと思っております。
 所管としてどのような課題意識を持っているのか、改めて見解を伺います。

○工藤事業推進担当部長 これまでの調査結果から、パラスポーツの競技を知らない、どのような選手がいるのか知らないという方は減少傾向にあり、パラスポーツの認知度は向上したと考えております。
 一方、パラスポーツを身近な場所でやっていない、身近にパラスポーツに関わっている人がいないという回答は、改善傾向にあるものの、関心がない理由の上位でございました。
 これらのことから、パラスポーツへの関心を高めるためには、パラスポーツを身近に感じられるよう、引き続き取り組んでいく必要があると考えております。

○阿部委員 キーワードは身近ということだったかなというふうに思います。
 では、そのパラスポーツへの関心を高めるために、具体的にどのような取組を進めていくのか、伺います。

○工藤事業推進担当部長 パラスポーツを身近に感じ、関心を高められるよう、パラスポーツの観戦会や誰もが参加できる体験型イベントの開催、SNSによる魅力発信など、チームビヨンドの取組を通じて、引き続き取り組んでまいります。

○阿部委員 そもそも、障害者スポーツ、パラスポーツ、障害者自身にとって、スポーツ、パラスポーツが身近な存在になっているのでしょうか。
 特にコロナ禍では、障害者が外出しづらく、もともと少ない運動機会が失われてしまいました。このことも大きく減っている背景の一つにあるのかなと考えているところではありますけれども、先ほどもアオヤギ委員の質疑の中でありました。
 そんな状況の中で、都立障害者スポーツセンターは、長期にわたり著しく利用が制限されてきました。こうした利用の制限の状況は、ちょっと過剰だったのではないかと私自身も感じているところです。
 ただ、先ほど、どのような状況であったかというのは、詳しい質疑がありましたので、ここでは割愛をさせていただきまして、ただ、過去、いろいろな制限があったということではありますけれども、新型コロナウイルスは、五月から五類となる予定であり、制限を緩和すべきと考えますが、今後の見通しについてお伺いをしたいと思います。

○小池スポーツ施設部長 障害者スポーツセンターの利用者につきましては、基礎疾患を有している方が多く、感染した場合の重症化リスクが高いことから、よりきめ細かな対応を行っているところでございます。
 先般、新型コロナウイルス感染症を感染症法上の五類に位置づける方針を、一月に国が発表し、二月にはマスク着用の考え方を見直す方針も示されたところでございます。
 こうしたことを受けまして、施設の全面開館の時期につきましては、指定管理者と協議しながら検討を進めているところでございます。

○阿部委員 検討を進めておられるということで、来月から新年度が始まるということもありますし、ぜひ速やかな全面開館に向けて検討をお願いしたいと思います。
 また、これまでの利用者の方々だけではなく、せっかく新年度ですし、コロナも明けてくるという社会情勢の中で、新たな利用者にも、このスポーツセンターの情報あるいは全面開館になるんだということが届くように、多様な手段で広報をしていただきたいと思います。
 それから、先ほども質疑の中でありましたけれども、やはり利用制限に伴って、センターで働いている、特に非常勤職員やアルバイトの方々のシフトが大幅に減らされたというふうに私自身も聞いているところです。
 先ほどの質疑の中で、障害者対応の経験やノウハウを持つ人材は重要という、そうした認識を示されたことは、とても大切なことであると評価をいたします。
 しかし、残念ながら、やはり私が把握している数字としても、実際にはかなりシフトが減ってしまっていたのではないかと。先ほどのご答弁とは若干異なる数字を手元に持っているところであります。こうしたことでは、障害者スポーツを支える人材が脆弱になってしまう、あるいは他の分野に流出をしてしまう、こうしたことを恐れるものでもあります。
 そこで、障害者のスポーツ活動を進めていくためには、それを支える人たちの育成が必要だと考えておりますけれども、東京都はどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都は、障害者のスポーツ活動を支える人材を育成するため、区市町村職員やスポーツ、医療、福祉、教育関係者を対象に、事業の企画、実施や障害者のサポート方法等を学ぶセミナーを実施しております。
 また、スポーツ現場を支える人材である障害者スポーツ指導員の育成に向けて、公立スポーツ施設職員や区市町村職員等を対象に指導員養成講習会を開催しております。
 さらに、支える活動に関心のある都民に向け、障害特性に応じたサポート方法等が学べるボランティア講習会等を開催しております。

○阿部委員 ありがとうございます。いろいろな形で講習会あるいは指導員を養成している、そのことは分かりました。
 ただ、その講習会を受けたり、資格を持ったりするというだけでは、先ほどのシフトの話もそうなんですけれども、その方々がそこで活動する場がなければ、機会がなければ、結局、その方々の活動というのはできない、あるいは、そのことに当たれないということになってしまいます。
 そこで、支える人たちの活動の場の確保も欠かせないと思いますが、それはどのように取り組んでいるか、お伺いします。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都は、障害者のスポーツ活動を支えたい人に向けて、特別支援学校の体育施設を活用したパラスポーツの体験教室やイベント等を活動の場として提供しております。
 また、都や区市町村、競技団体等が主催するイベント等における活動の場に関する情報を専用ポータルサイトにおいて発信しております。

○阿部委員 ちょっとここ、突っ込みますけれども、やっていること自体はいいことだと思うんですけれども、それだけでは、やっぱり障害者スポーツを支える人たちがそれで食べていけない。手弁当でしか参入できないということでは、やっぱり一定の広がり以上のところにはいかないと思うんですよね。イベントのときだけ出ていくというような形では、なかなかこれ以上の広がりがない。
 そのことに問題意識を持っておりますし、障害者側から見たら、やっぱり、自分がスポーツをやりたいときに、そうした人がいない、場所がないということになってしまうのではないか。
 障害者がスポーツ施設で活動を行うときに、個々の障害を理解して、きちんと支えられる職員が、そもそも不足しているのではないでしょうか。そのことが障害者がスポーツ活動をちゅうちょすることにつながっているのではないでしょうか。
 こうしたことに対して、都はどのように取り組んでいるのか、重ねてお伺いいたします。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都は、都内に障害者専用のスポーツセンターを二か所設置しており、障害のある人が、いつ一人で来ても気軽にスポーツやレクリエーションが楽しめるようにしております。
 また、身近な地域のスポーツ施設において障害者の受入れを進める人材を育成するため、公立スポーツ施設職員や区市町村職員等を対象に障害者スポーツ指導員養成講習会を開催しております。
 加えて、公立スポーツ施設職員等を対象に、障害のある人のスポーツ施設利用に際し施設管理者が配慮すべき点をまとめたマニュアルにおいて、障害者の受入れ対応の好事例などを紹介し、活用を働きかけております。

○阿部委員 都がいろいろ工夫をされているのは分かります。先ほどの質疑の中でも、福祉施設に指導員を派遣するというような事業もご紹介されていました。
 障害を持った方々が、先ほども、そもそもやりたいと思わないという方々の割合が非常に高いというのは、それだけ、やはり過去にスポーツでネガティブな思いを持つ経験をしてきた、そのまま大人になってしまったという方も多いのではないでしょうか。あるいは、スポーツをしたいと思っても、なかなか自分を受け入れてくれる場所がない。
 その中で、ただ教室をやりますとか、大会をやりますというだけで、じゃ、やってみようかという気になかなかならない。だからこそ、身近な場所で、いつでも楽しさが分かる、そうした場をつくってほしいし、そこにはやっぱり人が必要なんですね。スポーツセンターの話もそうですけれども、やっぱり人にしっかりとお金を出していく、障害者スポーツを支える身近な人をつくっていく。
 でないと、ここの分野に、もともとすごくスポーツが好きな人以外は、なかなか足を一歩を踏み出してくれない。そういった状況を何とか改善していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 痴漢対策についてお伺いします。
 昨年の第四回定例会で、私は、痴漢対策について本会議で質問をし、小池知事からも、この問題に本気で取り組んでいくとのご答弁をいただきました。
 新年度に痴漢撲滅プロジェクトが盛り込まれたことを大変評価したいと思いますが、具体的にどのような取組を考えているのでしょうか。

○油谷治安対策担当部長 都は、関係局や警視庁で構成されるプロジェクトチームを立ち上げ、被害実態調査を実施し、キャンペーンに反映するなど、官民連携での施策を展開してまいります。

○阿部委員 プロジェクトチームを立ち上げて官民連携でということで、大変期待をしているところです。
 ただ、やはり、こうしたことを設計していくには一定の時間がかかるかと思います。
 来月には、各学校で入学式があります。新たに電車通学を始める生徒も多くいますが、入学式直後の新入生が狙われやすいとも聞いております。
 プロジェクトチームの発足はこれからだということは承知をしておりますけれども、教育委員会とも連携しながら、入学式の時期に合わせて何らかのアクションを取るべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○油谷治安対策担当部長 都ではこれまでも、女性に対する犯罪被害防止対策として、時期を捉えた啓発を行ってきております。
 来年度は、若年層を中心とした被害実態調査を行い、その結果を踏まえたキャンペーンを実施するなど、関係局等と連携した取組を実施してまいります。

○阿部委員 まずは被害実態調査を行って、その後で、それに基づいてキャンペーン等をやっていく。これはこれで、流れとして、それはそれでいいと思うんです。でも、入学式は、もう来月に来てしまうんですよね。手順を踏むことも理解はいたしますけれども、その間にも被害者は生まれてしまいます。
 明日の教育庁での質疑の中でも求めていきたいと思いますけれども、すぐできることはすぐやってほしいと思います。これはお願いです。
 配偶者暴力対策についてお伺いします。
 児童相談所への虐待通報件数が増えているその背景の一つとして、面前DV件数の増加があります。
 東京都ではDV相談などを行っていますが、面前DVへの対応についてお伺いいたします。

○樋口男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザでは、配偶者暴力について相談を受けた際、面前DVについても聞き取りを行っております。
 面前DVのおそれがある場合には、相談者に対し、子供に与える悪影響を自覚させ、適切な対応を促すとともに、必要に応じて児童相談所等の専門機関を案内しております。

○阿部委員 面前DVを経験している子供が心理職に発見される、そのことを待つだけではなくて、子供自身が自らの状況に気づく、そういった機会をつくることも大切だと思っております。
 そのため、周囲の大人が異変に気づき適切に対応する、そしてまた、子供自身が何らかの気づきの機会を得るそうした場を設定する、そのことも私は大切だと思います。
 都としての見解を伺うとともに、現在の取組と今後の展開があれば教えてください。

○樋口男女平等参画担当部長 配偶者暴力と児童虐待は表裏一体の関係であり、被害を受けている親子に対して適切に対応することが重要でございます。
 そのため、都は、ふだん子供と接する機会の多い教員や民生児童委員などを対象に、配偶者暴力の子供への影響や対応について研修を行っており、引き続き取り組んでまいります。

○阿部委員 これは考え方の問題なんですけれども、今のご答弁、それはそれで、周りの大人が気づくということはとても大切なことだと思っております。
 ただ、例えば女性自身がDV被害に遭っている場合、やはりそれは、周りの方に気づいてもらうだけではなくて、これがDVなんだ、自分が今置かれている状況はDVなんだ、あるいは面前DVなんだ、あるいはデートDVなんだ、そうやって気づくためには、本人がDVとは何かということを、ある程度知識として持っていることも、これまた大切だと思っております。そして、そのことが、結果的にエンパワーメントにつながる可能性もあります。
 ですから、子供といっても、年齢層は大変広いですから、それによって対応の仕方や比重は変わってくるとは思いますけれども、やはり子供自身の気づきの場、機会、これは教材などを含めてもらっても構いません。そうした場や機会を、ぜひ工夫していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 その上で、DV被害をなくす唯一の方法は、やはりDV加害者をなくすことだと思っております。
 先ほども少し質疑に出ておりましたけれども、東京都は、内閣府やNPOと連携して、加害者向けのプログラムを試行的に実施いたしました。
 その実施状況と成果、そして今後の展開を伺います。

○樋口男女平等参画担当部長 都は、今年度、国の配偶者暴力加害者プログラムの試行実施として、昨年九月から本年二月まで、加害者によるグループワークを十八回実施いたしました。
 参加者からは、自らの意識や行動に変化があったとの声が寄せられております。
 来年度につきましては、試行実施の結果や今後示される国の方針を踏まえ、実施いたします。

○阿部委員 この加害者プログラム、今は試行実施という形ではありますけれども、もう随分前から、十年、二十年前ぐらいから、こうしたことは、議論に上っては、なかなか実施されてこなかったという、そうした長い経緯があろうかと思います。
 国の方針も大切ではありますけれども、東京都として先進的に取り組んでいく、そうした価値のある分野だと思いますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 日本語教育についてお伺いします。
 先ほどからも、日本語教育について幾つか質疑があったと思いますが、外国人の方々の来日の背景や理由は様々ですけれども、もう既に多くの外国人が日本社会を構成するメンバーとなっております。スムーズな日本社会への適応には、日本語学習というのは、非常に有効な手段であると考えております。極めて有益であると考えております。
 そこで、新年度予算の初期の日本語教育モデル事業、これは、特に最初の第一歩、日本社会に適応するための入り口としても、極めて意義の大きいものだと考えますが、来年度の取組内容と進め方についてお伺いをいたします。

○小野都民活躍支援担当部長 初期日本語教育については、対面での実施が望ましいですが、対面では参加が難しいケースも想定されます。
 こうした状況を踏まえ、来年度、初期日本語教育モデル事業として、オンラインによる日本語教室を実施いたします。
 有識者によるワーキンググループにより、実施方法や指導内容の検討、実施結果の検証を行ってまいります。

○阿部委員 対面が望ましいけれども、新年度は、まずはオンラインでということでした。
 私の認識の中では、次のステップはオンラインでもいけると思うんですけれども、初学者については、なかなかオンラインでは難しいのではないかと。
 特に初学者でも、東京に来ている、特に家族に帯同されてやってきている人たちというのは、多くが、日本に自分の意思で来たというだけではなくて、親に連れられてきた、あるいは、本当は本国に残っていたかったのにというような方々も少なくありません。そうした方々の日本語学習のスタートというのが、多分、ここが一番難しくて、そこを解決するのが東京都としての役割だと思うんです。
 日本語を勉強したいという意欲を持っているお子さんというのは、既にある資源の中でも、いろいろアクセスを自分たちからできる。だけれども、そうではなくて、初学者の中、初期日本語、特に一番難しいのが、日本語を自ら学ぼう、あるいは、日本文化、社会の中に自分から飛び込んでいこうという意欲が決して高くない方々に対する教育をどうするかということをぜひテーマにしていただきたいと思うと、ちょっとオンラインというのはどうかなと大変心配に思っているところではあります。
 ただ、スタートラインとして、いろいろなことをやっていただける中で、またぜひご検討をいただきたいと思っているところではあります。
 実際の実施方法なんですけれども、この初期の日本語教育については、地域の中でも、既に高い実績を持っている団体もあります。積極的に活用すべきではないかと思いますが、お考えをお聞かせください。

○小野都民活躍支援担当部長 実施方法については、有識者によるワーキンググループで具体的に検討してまいります。

○阿部委員 ぜひ現場の声をしっかりと聞きながら、ご検討いただければと思います。
 先ほども申し上げましたように、やはり地域の初学者の中には、必ずしも本人の希望でなく来日したケースも少なくありません。とすると、意欲の問題だけではなくて、学校制度あるいは受験制度の違いから、なかなか就職あるいは進学に結びつかない、そうした意欲が本人が希薄であったり、あるいは、家族も、そうしたことに対する認識が、本国の常識あるいは文化に引っ張られているというようなことも間々見られます。
 こうした子供たちが、日常生活はもちろん、学校や社会でも困らないよう、きめ細かな支援が必要だと思いますが、都の見解を伺います。

○小野都民活躍支援担当部長 子供の抱える課題は様々であり、区市町村をはじめ地域で活動する支援団体等が連携し、進めていくことが必要でございます。
 都では、外国にルーツを持つ子供の就学、進学支援のための学習サポートなど、民間団体等が実施する事業に助成しております。

○阿部委員 地域によって民間団体の有無もいろいろですし、場合によっては、その地域の民間団体、あるいは、場合によっては、そうした資源がないので、日本語学校の資源に協力をしていただく、そういった、いろいろな考え方がある、やり方があると思います。
 また、日本語学習以外のところでは、例えば在留資格については地元の行政書士会などと協力していただくとか、そうしたことを、やはりある程度、行政として連携する、あるいはイニシアチブを取っていくということも必要だと思いますので、ぜひご検討をいただければと思います。
 エシカル消費についてお伺いします。
 今回の予算特別委員会の代表質問の中で、都議会立憲民主党、中村都議の質疑の中でも、エシカル消費ということを扱わせていただきました。
 昨年九月に内閣府の消費者委員会が出した今後の消費者教育の方針に関する意見において、エシカル消費などSDGsの達成に向けた行動ができる消費者の育成が重要であるとされております。
 さきに改訂された学習指導要領においても、持続可能な消費生活や環境に配慮した消費生活を取り上げております。
 このように、SDGsを達成し、持続可能な未来を実現するためには、人や社会、環境に配慮した消費行動であるエシカル消費が不可欠です。
 そこで伺います。エシカル消費の推進として、東京都は、まずどのような取組をしてきたのでしょうか。

○片岡消費生活部長 都はこれまで、都民にエシカル消費を普及するため、大学と連携した若者向けPR事業や、幼児と保護者向けのデジタル絵本作成などを通じ、理解の促進を図ってまいりました。
 都民に日常生活の中でさらにエシカル消費を継続的に実践してもらえるよう、今年度からは、企業等と協働してエシカル消費を推進するプロジェクト、TOKYOエシカルを開始いたしまして、情報発信や都民への体験の場の創出を行っております。

○阿部委員 今ご紹介いただきましたTOKYOエシカル、これは企業等と連携してエシカル消費に関する情報発信等をしているということですが、これ、理念的なものだけでは、エシカル消費、なかなか分かりにくいものも、伝わりにくいものもあるかと思います。
 これは環境問題全てそうなんですけれども、環境だけじゃないですかね、エシカル消費については。これは都民の日常的な行動につなげていくことが大切だと考えておりますが、プロジェクトでは、今後どのような展開を考えていらっしゃるでしょうか。

○片岡消費生活部長 今後は、より多くの企業等の参加を得ながら、専用サイトやSNSで、エシカル消費に関する、すぐに役立つ情報や商品等に関する情報などコンテンツをさらに充実させ、発信いたします。
 また、企業等との協働によるエシカル消費を学べる子供向け企画や、エシカル商品を購入できるマルシェなどの体験型事業等の実施を予定しておりまして、日常的なエシカル消費の実践につなげてまいります。

○阿部委員 一つの商品あるいはサービスが、本当に環境にいいものなのか、あるいは、本当に倫理的、人道上、適正なものであるのか、そうしたことを一つ一つ見ていくというのは、実はとても大変なことで、かつ、本当にそれがエシカルであるのかということを判断するそのための情報を得る、そうしたことというのは、極めて難しいとともに、技術の進歩などによって変化していくこともあります。
 エシカル消費について学ぶあるいは情報を提供するときには、何が本当にエシカルなのか、クリティカルに見ながら、常に意識や行動を都民自身が変えていくということが求められております。そうした視点も持ちながら、この分野は推進をしていっていただければと思います。
 東京都のアートについてお伺いします。
 東京都は、本年度、都内の五十一のアートスペースを六ルートに分けて無料シャトルバスで巡るアートウイーク東京の試みを実施いたしました。
 参加人数と実施の成果をお伺いいたします。

○宮永文化戦略推進担当部長 今年度のアートウイーク東京の参加者数は約三万二千人でございまして、様々なジャンルのアートに触れ、ギャラリーやアーティストを知るきっかけとなったなどの声をいただきました。

○阿部委員 大小の多様なアートスペースが点在する東京、この東京の面白さを生かした試みとして関心を持っております。
 大変よかったという声がある一方で、興味はあるが行けなかった、もっと会期を延ばしてほしい、そういった声もあります。
 一方で、無料のバス運行では、規模拡大に限界があるようにも感じます。今後の展開をどのように考えているのでしょうか。

○宮永文化戦略推進担当部長 引き続き、美術館やギャラリーを巡るバスの周遊事業といたしまして実施し、多くの人々が多様なアートに出会える場としてまいります。

○阿部委員 バスが無料のままでは、なかなか今の規模から拡大していくというのは難しいんじゃないかなと。いや、どんどん東京都が予算を出してくれればいいのですけれども。
 あるいは民間とのタイアップ、特に民間のアートマーケットなどを含めた企画、そうしたことも含めながら、マネタイズ、そして持続可能な拡大ができていくような、そんな企画に育てていただきたいなというふうに思っております。
 質問はここまでなんですけれども、ただ、今年についていえば、文化の担い手であるクリエーターさん、この方々の多くが個人事業主です。今年度、目前に迫ったインボイスの問題、特に文化の中でも、アニメですとか声優さんですとかのお声も聞いてまいりましたけれども、制度導入で深刻な打撃を受ける、そうしたことが危惧をされております。
 一方で、国の政策の中で、文化の担い手が潰れてしまわないように、何らかのフォローが必要ではないかと思います。これはちょっと、すぐにご答弁というわけにいかないとは思いますけれども、ぜひこの分野、文化を守るという視点から関心を持っていただきたいと思います。
 また、もう一つ、生活文化スポーツ局に対しては、東京大空襲に関わる証言ビデオのデジタル化を今、進めていらっしゃると思います。これについても、デジタル化や公開など着実な進展を求めたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。

○桐山委員 ミライ会議、桐山ひとみです。よろしくお願いします。
 それでは、私からも質疑をさせていただきます。
 まず最初に、地域力の向上に向けた取組から、地域の底力発展事業助成について伺ってまいります。
 長期化するコロナ禍で生活様式も変化している中で、地域における防災対策や、あるいは地域の見守り、また、さらには高齢者の健康づくりをはじめとする医療や介護も地域でと求められてきております。地域コミュニティの強化、それから地域力向上という中で、町会、自治会の役割は再注目もされております。
 一方、町会、自治会が減少している傾向も中にはあります。高齢化に伴い、役員などの成り手や若い世代の加入者がいないなど、課題が重なっているとも聞いております。そういったことから、区市町村でも、課題解決に向けた運営費を補助するなど、インセンティブを設けながら加盟促進の取組も同時に行っております。
 最近では、コロナ禍の影響により、お祭りや集まるイベントを中止してきた一方で、オンラインでの活動で、高齢者の間でもデジタルの活用が進められてきました。福祉の現場においては、感染を恐れ、家に閉じ籠りがちな高齢者に対して、スマホを活用し、健康体操を一緒にオンラインで行うなど工夫もなされてきたところです。
 都は昨年度から、十分の十の事業で、地域の底力発展事業の中に、このデジタル活用支援メニューが増えております。
 そこで、今年度、地域の底力発展事業助成でデジタルを活用した事業の申請がどれくらいで、全体申請件数に占める割合と、それから、どのような事業が申請されていたのか、まずお伺いをしたいというふうに思います。

○馬神都民生活部長 今年度は、全体で五百八十件の申請があり、そのうちデジタルの分野は二百七十九件と約五割を占めています。
 例えば、防災訓練時のLINEを活用した安否確認や、町会イベントのPR動画を制作して地域住民に周知する取組のほか、スマホ教室の開催等がございました。

○桐山委員 今年度は、全体で五百八十件の申請ということで、デジタル分野は五割を占めているということでした。このコロナ禍においても、こういったデジタルの活用支援のメニューということで、非常に多くの町会、自治会が、こういったデジタルに取り組んでいっているという様子が分かりました。
 あわせて、このデジタルデバイド対策として、今年度から講師おまかせスマホ教室を行っており、町会、自治会は、会場の用意と、そして参加者の募集だけでよくて、都は、会場に講師を派遣し、教材も用意をしてくれる、パッケージとなっているものがスタートしております。
 これは非常に申請しやすいということで、先ほども、このスマホ教室の開催等ということでご答弁をいただいておりましたが、数多くの町会、自治会が、これをパッケージとしてご利用されているということも理解するところです。
 こういったパッケージとなって申請しやすい取組として、助成金をこれからもっと使っていただくためには、先ほども出ておりましたが、申請の煩雑さとか、やっぱり簡素化をしていくことが非常に重要かと思います。
 そこで、今後、デジタルを活用した事業をパッケージで、例えばデジタル活用といっても、どんな事業計画、事業メニューにしたらいいんだろうというのを、やはりなかなか企画立案が難しいという町会、自治会の声も聞きますので、こういったものを、パッケージでさらにメニューを増やしていただいたり、あるいは申請の簡素化をさらに進めていただきたいと考えておりますが、その取組について伺います。

○馬神都民生活部長 都は、今年度、地域の底力発展事業助成の申請に当たって、ウェブ上で質問事項に答えていくだけで簡単に申請書が完成する仕組みを導入いたしました。

○桐山委員 先ほども質疑でありましたように、今年度からは、ウェブ上で、スマホで簡単に申請ができる仕組みを構築してきたんだということでありました。
 こういった取組をどんどん進めていっていただきたいなというふうに思うわけですが、それでも書面でまだまだ事業計画を、かなり簡単になってはいても、まだまだ、もう少し減らしてほしいというような声も聞いておりますので、ぜひこういった簡素化も進めていただきたいし、先ほどの答弁にはありませんが、ぜひ今後も、こういったパッケージを活用したもので、そちらも選べるし、自主事業もどうか計画をしてきてくださいというような形でもって、より町会、自治会の後押しになるような取組をしていただきたいなというふうに思っております。
 また、こうした町会、自治会の様々な先進的な取組を、町会、自治会だけでなく、より多くの都民に周知をし、知っていただく必要があると思いますが、今後どのように実施をするのか、伺います。

○馬神都民生活部長 デジタル普及啓発事業では、先進的な取組内容を、SNS広告などにより広く都民にPRしてまいります。
 この取組により、町会、自治会のデジタルを活用した活動の活性化を図るとともに、多くの人に関心を持っていただけるよう努めてまいります。

○桐山委員 来年度は、今ご答弁をいただいたように、こういった先進的な取組を表彰されていくということだったと思います。こういった表彰制度を導入する中で、積極的にこういったものを、デジタルを活用した活動の活性化をしっかり図っていただいて、地元の中でもなかなか、自治会、町内会が今何やっているのかなとか、若い世代の方々が加入をしていくために、知らないこともたくさんあるので、まず知ってもらうという、すごいハードルを下げるわけですけれども、そういった取組をぜひ後押ししていただきたいことを要望しておきます。
 次に、シニア・コミュニティ交流大会について伺います。
 シニア世代ということで六十歳以上を対象に、平成三十年を第一回目として、コロナ禍でずっと中止でしたけれども、三年ぶりにTOKYO縁ジョイ!の名で交流大会が開催をされております。
 種目としては、ダンススポーツや囲碁、将棋、健康マージャン、カラオケと、多くの参加者が見込まれたと伺いました。
 そこで、大会の参加者数とその内訳、事業の広報をどのようにして行ったのか、また、コロナ禍における工夫についてと開催の当日の状況を交えて、ぜひご答弁をお願いしたいと思います。

○吉原企画担当部長 三年ぶりとなる今年の大会では、寒波の影響もあり、当日欠席の方が出たものの、ダンススポーツ延べ四百七十名、囲碁八十三名、将棋五十四名、健康マージャン二百三十二名、カラオケ九十八名の計延べ九百三十七名の方に参加をいただきました。
 事業の周知については、「広報東京都」等へ開催のお知らせを掲載するほか、都内区市町村と連携しながら、老人福祉センターや老人憩いの家への募集案内の配布なども行いました。
 コロナ対策については、東京iCDC監修の下、三密回避、検温や手洗い等の基本的な感染対策を徹底するほか、種目別のガイドラインに基づいた対策を行いました。

○桐山委員 やはりこの人数を見ても、ダンススポーツというのは非常に人気があるんですね。四百七十名ということでした。
 コロナ禍の開催ということで、東京iCDCの監修の下で、三密の回避や検温、手洗い等の基本的な感染対策の徹底ですとか、あるいは、それぞれの団体のガイドラインに基づいて開催ということで、ダンスでは、ペアダンスということで非常に密着をしたり、あるいは囲碁、将棋、マージャンなどは、手指でそれぞれいろんなものを触るということ、それから、カラオケは声を発するなど、そういった対策を取られながら無事に開催をされたということで、非常に好評だったというふうに理解させていただきました。
 一方で、寒波の影響もあって、当日の欠席者が出たということでございました。こちらは、本当に非常に残念だったと思いますが、引き続き、来年度に向けて、こういった多くの参加者が無事に事故なく行えることをぜひ取り組んでいただきたいなというふうに思います。
 そこで、今後の事業の方向性ということですけれども、私は、せっかくなので、この種目にとどまらず、ぜひもっと種目を増やせないかというふうに思っております。
 健康づくりということにおきましては、やはり福祉の面ではフレイル予防ということで、元気高齢者支援ということでつながるものだというふうに想定されるわけですが、コロナ前では、観客−−今、多分、無観客だったとは思うんです。観客の皆さんに、第一回目では、体験コーナーとして、ニュースポーツやレクリエーションスポーツといった体験のコーナーなどもあったというふうに聞いておりますが、そういったこともぜひ、体験する、そういった機会も、こういう場を使いながら、ぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、今後の事業の方向性についてお伺いします。

○吉原企画担当部長 本事業では、競技だけでなく、参加者同士の交流を促す企画の充実などを図り、より多くの方に参加いただき、新たな交流を生み出すことで、シニア世代の方々が身近なコミュニティ等で生き生きと活動できるきっかけとなる大会を目指しており、引き続き着実に実施してまいります。

○桐山委員 着実に実施をしていただきたいと思います。
 やはり、こういう場に、多分、東京都内中、いろんなところから集まられて、そこでお友達になって、また地域に戻ったりとか、外の場でそういった交流が深まるということは、非常に有意義なことだというふうに思っておりますので、ぜひ今後の取組にさらに期待をさせていただきたいというふうに思います。
 次に、男女平等参画について伺っていきます。
 アンコンシャスバイアス、無意識の思い込みについてです。
 自分自身は気づいていない物の見方や捉え方のゆがみや偏りをいい、自分自身では意識しづらく、ゆがみや偏りがあるとは認識をしていないため、無意識の偏見と呼ばれております。
 内閣府の男女共同参画局は、令和三年度と令和四年度に、性別による無意識の思い込みに関する調査研究をされ、調査結果も発表されています。
 家庭、コミュニティの領域と職場の領域での性別役割、その他、性別に基づく思い込みについてなど、設問に対しまして、性的役割意識に縛られている人は、いまだ、まだ多く、特に男女とも根強いのは、男性は家計を支えるべきと、年齢が上がるほど割合が多い傾向ということ。それから、現代的な価値観にアップデートされていると思われがちなZ世代でも、一定数が性別による無意識の思い込みにとらわれている傾向があるようです。
 近年は、度々話題になる男性の生きづらさについては、男性は家計についての責任を負わされやすい性別であることが指摘をされておりますが、こういった結果を見ても裏づけられると、注目も一方でされているようであります。
 都では、性別によるこの無意識の思い込みへの取組として、幅広い世代に対して啓発をしていく必要があります。
 今回、新規事業として、テーマパークでの職業体験等を通じて職業への固定観念を払拭する親子参加型のイベント等を実施するとのことであります。
 そこで、このテーマパークと連携をした職業体験事業を実施する目的について、まずお伺いします。

○樋口男女平等参画担当部長 これまで、性別による無意識の思い込みに対する様々な取組を行ってまいりました。
 今後は、大人と子供、双方に働きかけ、職業への固定観念を払拭することを目的とした事業を実施することといたしました。

○桐山委員 今回は親子ということですけれども、このアンコンシャスバイアスの理解のためには、親世代が理解を推進することはもちろんなんですけれども、子供にはどのように説明をしていくのかということだと思います。
 職業体験事業の対象、今回、テーマパークということですので、このテーマパークがどういったテーマパークなのかという、非常に関心があるわけですけれども、今お考えになっているこの職業体験事業の対象者や対象年齢や、どのようなテーマパークで実施をされることが想定されているのか、伺いたいと思います。

○樋口男女平等参画担当部長 主に小中学生とその保護者を対象とし、学びと遊びの要素を併せ持ったテーマパークでの実施を予定しております。

○桐山委員 テーマパークなんですけれども、都内で職業の体験と思いつくテーマパークといったら、キッザニアというものがあったと思うんですね。私も、子供が小さいときに伺った施設の一つでもあるんですけれども、こちらは様々な職業体験ができる場所でありまして、子供の自立性や社会性を養うことができるということで、自発性を大事にしている施設ということで、親は、どっちかというと見守っているだけというような状況の施設だと思います。
 東京で考える、親子で職業体験ができるというと、こちらなのかなという、勝手に想像させていただいているわけですけれども、こういった場で、子供が実際、職業体験をしながら、親は見守っておりますけれども、やはり遊びで終わってしまってはいけない事業だというふうに思っておりますので、今後、このテーマパークと連携した職業体験事業をどのように進めていかれるのか、具体的な概要について伺っておきます。

○樋口男女平等参画担当部長 参加型のイベントを実施し、職業選択に関する性別による無意識の思い込みに親子が共に気づくきっかけとしてまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。
 どこのテーマパークになるかは分からないですけれども、先方さんの方で、こういった、例えば職業の無意識の思い込みというところがしっかり精査をされていて提供できるようにしないと、行ったところで、女の子はこの職業で、男の子はこの職業でみたいなところで体験をしてしまったら、今回の事業にはならないので、ぜひこういったところも、今後、先方の選定のところで、そういったところも十分、当然ながら留意をしなければいけませんが、取組について、ぜひ遊びで終わらないようにお願いをしたいというふうに思います。
 次に、結婚支援について伺います。
 都は、石原都政の時代から結婚支援について取組が始まりましたが、小池知事が国会議員時代に、結婚支援について高い関心を持ち、取り組まれていたことから、知事就任以来、結婚支援策が加速をし、行政が関わりを強く持ち始めたという認識をさせていただいております。
 そこで、そもそも都が結婚支援事業に取り組んでいる理由について伺います。

○小野都民活躍支援担当部長 結婚や出産を希望する全ての人が家庭を築き、安心して子育てできるよう、社会全体で支援していくことが必要でございます。
 都内には、婚活関連の民間事業者が多いことも踏まえ、都は、個別のあっせん等は行わず、結婚を希望している方が一歩踏み出すためのきっかけづくりを行ってまいりました。

○桐山委員 今ご答弁にあったように、都内には婚活関連の民間事業者が多い。いわゆる民間が多い。そして、いわゆるマッチング、個別のあっせん等は行わずに、希望している方が一歩踏み出すためのきっかけづくりということで、多分、機運を醸成するための支援だというふうに認識をさせていただいたところです。
 要するに、これまでは、しっかりと民間とのすみ分けができていたのかなというふうに思うわけでありますが、さて、今回、新規事業においては、これまでの質疑、答弁を聞いていますと、来年度は、少子化対策として位置づけ、結婚支援、マッチング事業が予算化されております。
 なぜ今まですみ分けができていたのに、民間に任せないでマッチングまで行政が行うことにしたのか、なぜ取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。

○小野都民活躍支援担当部長 都では、結婚から妊娠、出産、子育てといった切れ目ない少子化対策を行う必要がございます。
 昨年度実施したアンケートでは、結婚を希望する人のうち、七割が婚活していないと答えております。
 他県では、行政主導のマッチングサービスをきっかけに活動を始める方が増え、結果として、民間の婚活サービスの需要の掘り起こしにつながったと聞いております。
 この方たちの後押しをすることで、社会全体の結婚機運の醸成につなげてまいります。

○桐山委員 今回は、ご答弁にあったように、少子化対策が必要であると。結婚が、いわゆる出産をするに当たっての入り口であるというようなお答えだとは思うんですけれども、田の上議員の一般質問の中でも申し上げたように、少子化対策としての結婚支援ということについては、子供を産み育てるために、私たちは結婚が全てではないというふうに考えております。
 事実婚や、例えば夫婦別姓の問題など、まだまだ、パートナーとの多様な生活を認める社会になることが私は課題だというふうに思っておりますし、今まで、せっかく民間を圧迫しないで、いわゆるすみ分けができていたことを、今回からは、交流をし、マッチングのところまであっせんをしていくという新規事業であります。
 一方で、この婚活、マッチングサイトにおいての消費者被害への対策、いわゆる詐欺に遭ったとか、こういったことがよく報道されているわけですけれども、今回、新規事業でも、このマッチングアプリに関わる消費者被害への対策ということで、三百万円ということで、たしかそうだったと思いますが、費用が計上されていたと思いますが、こちらの方が私は非常に重要じゃないかなというふうに思っております。
 ぜひ引き続き、マッチングアプリで詐欺とか悪質な商法に引っかかるような状況というものは、やはりまだまだありますので、こういった安心して利用できる環境の整備を、これからもぜひ、民間と一緒にガイドラインを作成しながらつくっていただきたいというふうに思いますし、私はちょっと、今回の、すみ分けがせっかくできていたのにマッチングまで行くということについては、いかがなものかというふうに考えておりますので、意見として申し上げておきたいと思いますので、結婚支援については終わります。
 次に、治安対策の推進の方から、メタバース教室について伺います。
 これも先ほど質疑がありましたが、社会や経済を支える可能性を秘めると注目をされているウェブ三・〇とメタバース、両者は別の概念ですけれども、親和性が高くて、将来的に二つが組み合わさった領域でのビジネスや経済活動が活発になることが見込まれております。
 現在のメタバースの活用ということで、よく聞いたり、見たりするものでいうと、エンターテインメントやビジネスの分野で進んでおりまして、有名ブランドなどの間でも、分身となるアバターに着せる衣装や雑貨などを販売する動きなども相次いでいるともいわれております。
 今回、親子でメタバース教室ということが開催をされるということですけれども、先ほども質疑のやり取りの中でありましたように、ようやくメタバースの活用について、国の総務省や内閣府の方で動き出しました。様々な課題が山積をする中で、ようやく検討が始まったというところです。
 そんな中で、安全な使い方を親子で体験しながら学べるイベントを実施されるということでありますけれども、何をもって、まず安全なのかということで、このメタバース教室を事業化されるということです。
 先ほどもありましたように、国に、全国に先駆けて行うんだということだと思いますけれども、このメタバース教室を、まだまだいわゆる法的にも整備がされていない中で、先駆けて東京都がなぜやらなきゃいけなかったのか、この事業化に向けた背景について伺います。

○油谷治安対策担当部長 いわゆるメタバースは、今後、様々な分野での活用が大いに期待されているものであります。
 今後、青少年のメタバース利用の拡大も見込まれますことから、都といたしましても、現段階から適正利用の啓発に取り組むこととしたものでございます。

○桐山委員 いわゆるメタバースということですけれども、まだまだこのメタバースの存在が確立をされていない、先ほど申し上げました、確立をされていない状況ではある中で、今、現状では、この間、ちょっといろいろ調べていたら、ジャニーズのなにわ男子というアイドルが、仮想空間、いわゆるメタバース空間で、自分たちのアバターをそれぞれ作られて、それをファン同士で交流をしたり、また、会話ができるような、そういったお部屋を開設されたということが調べている中で分かったわけですけれども、こういった活用が、確かに今、これが本当にメタバースなのかというのもあると思うんですけれども、そういったことが、今、非常に若い世代にも取り込まれてきている状況だというふうには、私も認識はしています。
 鈴木委員からもありましたけれども、それ以前に適正利用ということで、都民安全部からしてみれば、やはり、青少年がインターネットを使いながら変な有害サイトに行かないようにですとか、先ほども結婚支援のところにもありましたけれども、こういった被害に遭わないようにするための予防とか、そういった対策をしっかりしていかなければならないというふうに考えております。
 一方で、今、これはメタバースではないといわれていますが、「あつまれ どうぶつの森」とかも、そこから発展して、物を売ったり、買ったりとか、あるいは、そこで選挙活動ができるみたいな、そういったことも導入されたりとかしている現状を考えると、やはり、もう実際、子供たちがそういったものに、仮想空間の中にどんどん入り込んでいるというようなことも見受けられるわけであります。
 今回、私は何をいいたいかというと、法整備がまだ確立されていないのに、いわゆる何が、メタバースというのはこれが危険ですよとか、これが安全ですよというのが、まだそこまで確立されていませんけれども、そういった中で、どういった教室にされていくのかなというのが、実際のところ、あまり見えないんですよね。
 ゲームの世界だったら分かるんですけれども、このメタバース教室というのを、具体的にどういうふうに行っていくのかということについてお伺いをしたいというふうに思います。
 その中で、先ほどもありましたように、適正利用をどのような形で実際に伝えていくのかということですけれども、ぜひご答弁をお願いします。

○油谷治安対策担当部長 親子でメタバース教室に参加し、実体験してもらうことにより、メタバースの利便性や利用上の注意点などを理解してもらい、リテラシーの向上を推進してまいります。

○桐山委員 あまり具体的なことが分からない、何をどういうふうに使っていくのかが分からないのですけれども、確かに、このメタバースがいろんな分野で今後取り組まれていくという状況になるかと思いますので、それ以前にインターネットの活用の仕方ということで、適正利用についての別の角度からも、ぜひ青少年の健全育成も込めて取組を行っていただきたいことを要望しておきます。
 次に、文化振興策に移りたいというふうに思います。
 東京文化戦略二〇三〇を柱に、今後、様々な施策を総合的に展開をしていくとのことです。先ほどもありましたけれども、私からも質疑をさせていただきますが、まず、アートマネジメント人材海外派遣事業についてです。
 新規事業であります、このアートマネジメント人材派遣事業について、この事業の目的と事業概要についてお伺いをしたいのですが、多分、私のいただく答弁よりも、先ほどの鈴木委員の答弁の方が、めちゃくちゃ詳細にお答えをいただいておりましたので、ぜひ私にも詳細を、もう少し詳しくご答弁をいただけますようお願いいたします。

○蜂谷文化振興部長 芸術文化を支える若手演出家やプロデューサー等のアートマネジメント人材を対象に、海外で一流の作品に触れ、海外とのネットワークを構築するための短期派遣事業でございます。
 こういったことを、アートマネジメント人材を対象に、人脈づくりですとか、展示手法、舞台技術などを学んでいただくことを目的とした短期派遣事業でございます。

○桐山委員 もう少し具体的にお伺いしたいんですけれども、このアートマネジメント人材、先ほど、ちょっと割愛しますけれども、十名程度を選定し、海外の芸術文化機関に派遣をされるということであります。
 とはいっても、十名程度というこの十名が、アートマネジメント人材ということですので、若手の演出家やプロデューサー、それぞれ舞台芸術とか、あるいは美術とか、音楽とか、いろんな様々なジャンルがあるんですけれども、大体、これらをどのような形で、どのような種別の人材を考えていらっしゃるのか、お答えいただければお願いします。

○蜂谷文化振興部長 演劇や音楽、美術等のアートマネジメント人材を広く募集の上、十名程度を選定する予定になっております。
 海外の芸術文化機関やシアター等に派遣をする予定でございまして、こちらは募集でございますので、ジャンルは、どういった人材が応募されてくるかによってくるかと思います。
 派遣後は報告会等を予定しております。

○桐山委員 ありがとうございました。詳しく教えていただきまして、ありがとうございました。こういった人材を育成していくことは、非常に重要なことであります。応募ではありますけれども、ぜひ幅広いジャンルの方々が海外に派遣をされて、そして、帰ってこられた際には報告会を開催されるということでありますので、ぜひ次につなげていただけるような施策の充実をお願いしたいというふうに思います。
 次に、若手アーティストに対する制作支援についてお伺いします。
 都が来年度開始する予定の若手アーティストに対する制作支援事業ですけれども、新人と中堅の間に位置する若手アーティストの支援ということですけれども、こちらもそうなんですが、この目的と、具体的に、どのジャンルに何を支援するのか、予算の内訳についてお伺いします。

○蜂谷文化振興部長 こちらは、活動を始めて間もない新人と実績を積んだ中堅の間に位置する、美術や映像などの若手アーティストを対象にいたしまして、活動を支援する制作経費などを計上しております。
 次代を担うアーティストの育成支援を通じまして、国内外で活躍できるアーティストを輩出し、東京の現代アート振興を図ってまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。こちらの方は、新人は手厚く、また、ベテランさんは手厚くのちょうどはざまにある方々の支援ということだというふうに認識をさせていただきました。
 美術や映像などの若手アーティストを対象にするということでありますので、こういった支援も、先ほどの海外支援と同時に進んで、人材を育成するという視点で、ぜひ期待をしていきたいというふうに思います。
 次に、先ほども出ておりました東京芸術文化活動サポートセンター(仮称)ですけれども、そちらについて伺います。
 この東京芸術文化活動サポートセンターについては、どのようなアーティストの相談窓口になるのか、もう一度、詳しくご答弁をお願いいたします。

○宮永文化戦略推進担当部長 ジャンルや経験を問わず、東京の芸術文化を担うアーティスト等の持続的な活動を支援するため、契約の相談対応や助成事業の情報提供など、サポートセンター機能を整備いたします。

○桐山委員 ありがとうございます。
 コロナ禍においても、特に芸術分野におけるアーティストは、先ほどの質疑でもあったように、やはり個人事業主やフリーランスで活躍されている方も非常に多く、コロナ禍においては、多くが、公演が中止や延期になった際に、契約を結んでいなかったり、制度や支援があったにもかかわらず、知らないでいる方もあり、不利益を被ったなど、ご意見も寄せられてきたところです。
 また、税制の部分ですとか、来年度から導入予定のインボイス制度もよく分からない、大変困っているんだというご相談も来ているところです。
 このサポートセンターが、契約の相談対応あるいは税制など助成事業についてのサポートなどを行う機能となるとの答弁をただいまいただいたところですので、さらに、こういった個人事業主やフリーランスへの支援のためにも、弁護士や税理士や行政書士や、あるいは様々な専門家、先ほどメンタルケアという話もありましたけれども、そういった専門家にしっかりとつながることの仕組みをしっかりと構築されることを求めておきたいというふうに思います。
 次に、シビック・クリエイティブ・ベースについてお伺いしようとしていましたが、こちらの方は意見に代えさせていただきますが、これは昨年、渋谷の方にオープンされたシビック・クリエイティブ・ベース東京ということであります。
 こういった場所に、例えば一人でふらっと行ったときに、あ、ここ何だろうと思って入ったときに、アーティストさんが何か作業をしているときに、そういった交流ができる場としてもぜひ、何というんですかね、交流ができるようなスペースになっているんだと思うんですけれども、なかなかまだ知られていないと思いますので、ぜひこちらの広報もよろしくお願いいたします。
 次に、局から予算要求段階で二十二億九千六百九十五万円を新規事業として計上をされておりました子供の芸術文化体験の提供と創造活動への支援についてです。
 これは、多様な文化資源が集積する東京の魅力を生かし、都と芸術文化団体の共同事業として、公演の鑑賞にとどまらない、子供たちの心に深く残る芸術文化体験事業を提供する、鑑賞とプラスアルファの体験、通常の公演鑑賞に加えて、アーティストとの交流ですとか、あるいはバックヤード体験や特別な体験を提供するですとか、また、スペシャルコンテンツとしてのファッションショーや演劇の舞台に出演するなど、参加型のスペシャルコンテンツも実施するなど、芸術文化、エンターテインメントを広く子供たちに提供するといった取組だったということで、いわゆる当初の局からの予算要求段階では二十二億円もの予算ということで、約二十三億円ですけれども、このような大きな規模での、非常にすばらしい事業じゃないかと思っていた事業だったのが、現在では、財務局の調整後にはすっかりと皆減をされてしまいました。
 この子供の芸術文化、エンターテインメント体験事業については、今後どのように事業を進めていくのか、お伺いします。

○蜂谷文化振興部長 来年度は、教育庁の体験事業に協力いたしまして、子供たちがより深く芸術文化に親しめるよう、芸術文化団体等と連携してメニューを充実してまいります。

○桐山委員 来年度は、教育庁の体験事業に吸収をされるんだということだと認識をしています。
 子供の家庭環境等によらず幅広く体験の機会を提供するために、学校を通じた事業として再構築ということで、文化の考えていた予算が、教育庁の今年度、単年度として行っていた、いわゆる子供を笑顔にするプロジェクト、継続的な事業が来年度示されておりますが、こちらは非常に大好評だったんですね。
 バスを借り上げて、バスに乗せて、ほとんど学校側は何もしないでも、全部、全ての予算を見てくれるという、非常に大きな事業の一つなんですけれども、こちらも、教育庁の方で来年度は継続的な事業として残るということで、今ご答弁にありましたように、今年度はノータッチだったけれども、来年度は、直接事業ではないけれども、間接的に子供たちへ、文化に親しめるように、文化団体と連携をしてメニュー提供をしていくということだというふうに、ご答弁を聞いて、そのように感じております。
 そこで、どのようなメニューを充実させていくのかが重要になると思いますが、具体的にどのようなメニューを充実させるのか、伺います。

○蜂谷文化振興部長 ミュージカルやダンス、演劇などの幅広い分野の芸術文化の鑑賞と、そして、その背景に触れる機会等を充実させてまいります。

○桐山委員 短いご答弁なんですが、ミュージカルやダンス、演劇などの分野の芸術文化の鑑賞と背景に触れる機会を充実とのことでした。
 多分、担当として来年度行いたいと思っていた事業が、報われないと意味がないというふうに私は思っているんですけれども、しかしながら、こういった文化芸術、エンターテインメントのジャンルというのは、やはり家庭において、親が興味がなかったり、あるいはチケット代が高額だったりするので、こういった見に行く機会、観劇をする機会がないという状況もあり、家庭では余裕がなければ後回しにされる分野だというふうに認識をしています。
 ですから、私は、文化部単独で予算要求で考えた事業を残してほしかったなというふうにも一方で思いますが、しかし、教育庁でやる子供を笑顔にするプロジェクト、事業名は変わっておりますが、これらは、野外活動の体験やアスリートの交流やスポーツ観戦、また、今、文化で考えている、こういう文化芸術、エンターテインメント事業のたくさんのメニューがある中で、文化部が考える、私たちのを取ってくださいと。取ってもらわないと、学校側が選ぶので、やはり先ほども申し上げたように報われないんです。
 ですので、できるだけ魅力的なメニューを、特に演劇やミュージカルなどは、日程との調整ですとか、あるいは、観客席を貸切りにはできないと思いますけれども、やはり席をキープしなきゃいけない関係とか、いろいろあると思いますけれども、ぜひ多くの魅力的な鑑賞の機会の充実を図っていただきますよう、強く要望しておきたいと思います。
 次に、スポーツ振興のための施策について伺っていきます。
 スポーツ庁は、ちょっと古いですが、令和三年度スポーツの実施状況等に関する世論調査ということで、スポーツ実施率がどうなのかという調査をしています。
 もう今、三期が始まっておりますけれども、第二期のスポーツ基本計画においては、スポーツ実施率を週一回以上が六五%程度、週三回以上が三〇%となることを目指す目標は掲げており、今もたしか変わらないと思うんですけれども、まだまだ六五%までにならない。その当時は五六・四%、まだまだ低い数値が打ち出されております。
 特に、男性よりも女性の実施率が低く、年代別でも、全ての年代層で減少傾向はあるものの、特に二十代から五十代の働く世代が引き続き低い結果となっています。
 また、障害者のスポーツ実施率も、週一回以上で四〇%以上の目標に対しまして、三〇%ちょいということで、まだ低い推移であります。
 スポーツをする、見る、支えるのための取組の推進を、障害の有無にかかわらず、スポーツの振興のため、環境を整備することが重要です。
 しかし、このスポーツ実施率を上げるというのは、とても容易なことではないというふうに私は考えています。
 スポーツというと競技スポーツというイメージもあり、福祉的な視点でいえば、自らの健康のために、適度な運動から始めて、日常における身体活動量を増やすといった視点でないと、意外とハードルが高いと感じるものだというふうに思います。
 スポーツ環境の整備というと、施設整備、いわゆるハード整備ということになるわけですけれども、区市町村においても、そんな簡単に−−補助制度がすごく良質の、いい補助制度を用意していただいたとしても、それぞれの年次計画とのタイミングが合わなくて、なかなかこういったハード整備の補助制度が活用できないという声も伺っています。
 これからは、やはり既存の公共施設を、できるだけお金を使わずに有効活用していく、あるいは、公共施設の空いている場所、例えば、役所が閉まってしまいました、その後の夜の時間、駐車場は空いています、公共施設の駐車場を活用して、その時間、何かプログラムを提供したり、運動をできる状況などを提案することなど、あるいは、障害者の方は、どうやって運動するんですかと聞くと、大概の方々は近くでお散歩をするということが日常生活の体を動かす機会ですというと、やはり身近な公園ですとか、あるいは道路ですとか、そういったところが運動をするという場所になるというふうにも伺っております。
 こういった様々な工夫を今後提供することが重要だと思います。
 そこで、スポーツ実施率向上に、より身近な場所で都民が体を動かせる仕掛けを区市町村がつくる必要があると考えますが、都はそのためにも支援をするべきですが、見解を伺います。

○山根スポーツ担当部長 都は、今年度から、スポーツ実施率向上に資する区市町村の取組に対して支援を行っております。
 具体的には、地域住民対抗のスポーツ大会や、スポーツに親しむきっかけづくりとなる体験会等、区市町村が主体となって実施するスポーツイベントの経費を補助しております。
 来年度も、都民の誰もが身近な場所でスポーツを楽しめるよう、引き続き区市町村の取組を支援し、スポーツ実施率の向上を目指してまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。ぜひこういった、様々な区市町村が今後、スポーツ実施率向上のためのソフト面というか、取組を行っていく、こういった事例もぜひ横に展開をしていただいて、補助メニューもぜひ拡充をしていただきたいことを要望しておきたいと思います。
 次に、プロスポーツチーム等との連携について伺います。
 プロスポーツのようなトップレベルの試合観戦の機会を都民に提供することは、スポーツ実施率を高める上でも重要です。見るスポーツの楽しさを知るきっかけとなります。
 そこで、プロスポーツチーム等との連携事業について、取組内容についての意義を伺います。

○山根スポーツ担当部長 都はこれまで、都内を拠点とするプロスポーツチーム等と連携し、子供たちを招待するスポーツ観戦事業を行ってきました。
 今後は、連携するチームの数を増やし、試合観戦の機会をより多く提供することにより、スポーツに触れ、親しむきっかけづくりにつなげてまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。この見るスポーツというのも大切です。今もWBCで盛り上がっていますけれども、見るスポーツでやる気が出たりですとか、あるいは、今回もテレビの観戦が増えていますけれども、障害のある方も、できるだけ見て楽しめるという、やはり情報の保障もしていかなければなりません。こういったところも、今どんどん、民間の中でそういう技術開発の中で、様々な情報保障の部分での取組があります。こういったところも、プロスポーツ等のチームとの連携の中で、障害のある方でも楽しめるような取組をぜひお願いしておきたいというふうに思います。
 次に、障害者スポーツの実施率向上に向けた課題について伺っていきます。
 スポーツ庁の調査においても、先ほど述べましたように、週一回のスポーツ実施率が三一%と、いまだ低い現状です。
 都はこれまで、パラリンピックを契機に、パラスポーツの推進と環境整備と手厚い補助制度の下で市区町村支援を行ってきましたが、まだまだ障害者のスポーツ活動の場が不足をしており、環境整備が課題となっています。
 意識調査でも、実施場所が、先ほど申し上げたように、上位は公園や道路、スポーツ施設に出向いてスポーツや運動をするということは、まだまだランク的には非常に低い位置を占めていることが発表もされています。
 各区市町村では、これ以上施設を造ることや、なかなかパラスポーツ専用といった施設を造ることは困難な現状であります。
 そんな中で期待されているのが特別支援学校活用促進事業。体育館とグラウンドを障害者団体等のスポーツの活動の場として活用することは重要で、私は、何度もこの点についても取り上げ、質疑をさせていただいております。
 しかし、私がなぜここにこだわっているかというと、私の地元西東京市の田無特別支援学校は、体育館の入り口に、外側ですけれども、段差があり、バリアフリーの点で課題があることから実施校になってはいません。
 いわゆるスロープがないと駄目だということなんですけれども、しかし、段差があっても、知的や聴覚などの障害のある方は支障なく利用できることから、西東京市にはほかの特別支援学校がない、たった一校ということで、選定基準としては最優先に考え、田無特別支援学校をぜひ実施校として選定をいただきたいというふうに考えております。
 昨年の事務事業質疑でも、都は、選定の考え方として、敷地内に段差がないこと、学校運営に支障を来さないよう独立した動線を確保できること、市部と区部との地域バランス等を考慮しているとの答弁がありました。
 そこで、実施校選定に関して、バリアフリー環境の確保だけではなくて、当該自治体内に対象校がない場合は優先的に対象校とすべきと考えますが、都の見解を改めて伺います。

○齊藤パラスポーツ担当部長 特別支援学校活用促進事業の利用団体としては、身体、知的、精神など、様々な障害種別の方々が登録しております。
 このことを踏まえ、実施校については、肢体不自由の方も利用しやすいよう、敷地内に障壁となる段差がないことや、学校運営に支障を来さないよう独立した動線を確保できること、区部と市部の地域バランス等を考慮して選定を行っております。

○桐山委員 ありがとうございます。前回と変わらないご答弁なんですが、教育の方の施設改修の方でも問合せをさせていただいた際に、やはり学校現場においては、いわゆる教育上必要がない場所。外側、独立した動線ということですので、体育館が外から入れるということでの階段しかなくて、外側スロープといいますと、ふだんの学校生活の中では、そちらは使いませんからということです。
 じゃ、実際、中を通って、学校が許可してくれたらいいのかということをご相談させていただいた際には、学校の中を許可される場合は、多分、オーケーなんでしょうけれども、中に実際スロープはあるんですね。でも、スロープはあるんだけれども、めちゃくちゃ急勾配になっているので、これは−−実は田無特別支援学校は、歴史的な背景の中から、地域住民からすごく反対運動が起こって、なかなかこの学校が設立できないという困難さがあって、体育館が、間口からすごく遠くのところに位置をされて、さらに少し地下にあるような体育館を造った経緯があるんですよ。なので、四十年ぐらいたっているんでしょうか、非常に古い施設なので、どうしてもスロープがすごく急勾配なんですよね。
 やはり担当の方に問い合わせたら、いや、中も、スロープはあるけれども、急勾配だから無理ですというお答えでした。
 何をいいたいかというと、実際、学校のバリアフリーが、施設改修とかが進んでもらわないと、ずっと優先順位が下で、なかなかこの学校は、最後まで地域の障害のある方々のスポーツをする拠点にもなり得なくなるんですよね。
 すごく期待をされている、学校は一校しかないのに、非常にこういう弊害があるということ、これは私は何とかしたいというふうに思っています。
 ですので、できれば−−スロープがないということは、肢体不自由の車椅子の方々がご利用ができないのかもしれませんけれども、しかし、知的や聴覚の方はできるわけです。こういったことをぜひ考慮していただいて、今後の選定に関しまして、ぜひ内部でご検討していただけますように、強く要望させていただきたいと思います。
 次に、eパラスポーツについて伺います。
 障害の施設では、コロナ禍の影響で他施設との交流がなくなり、外で運動する機会が少なくなっているとのことです。
 また、都が実施している調査によると、身体的な理由により運動ができない障害のある方も多くいらっしゃるとの結果も出ています。
 以前訪問をした高齢者施設では、レクリエーションの時間に高齢者の皆さんが、ボタン操作で太鼓をたたくeスポーツを行っていました。これは「太鼓の達人」というんですけれども、実は福祉部の方でも、フレイル予防の予算、補助制度がついていたのですけれども、eスポーツというのはフレイル予防にはならないよということで、以前は補助対象にはならなかったのですけれども、最近では、このeスポーツが健康分野でも非常に、補助も認められて活用が始まっているというふうにも聞いております。
 こういったeスポーツをプレーしながら、障害の進行予防や集中力など心身機能の維持向上を目指すことが可能で、リハビリ効果としても期待されております。
 そこで、障害の程度や環境等の様々な要因により、思うように運動ができない方に気軽にスポーツを楽しめる機会を提供していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都は、来年度、外出困難ではあるものの、体を動かす意欲のある障害のある方を対象に、eパラスポーツ事業を開始いたします。
 この事業では、障害者自身が操作できるよう、個々の状態に合わせて加工した機器を各施設に提供し、スポーツを体験して楽しんでいただきます。
 また、施設同士の交流の場を設けるとともに、障害のない人とも交流する機会を提供いたします。

○桐山委員 施設に出向くということです。非常に重度の障害のある方は、自宅にいることが多かったり、施設にいらっしゃる方が多くて、実際、自分が体験をするとか、なかなか困難な状況があるかと思います。
 ちょっと例が違いますけれども、重度障害のある方が、自分の分身ロボットを使って接客して、いわゆる就労の機会が生まれて、接客、お店に来られた方々と分身ロボットで交流ができるとかという、一方でそういうことも進んでいることを知ったときに、先ほどの高齢者の方々がeスポーツを使って健康になるという、そういった発想もどんどん進んでいくこと、ちょっとした補助だったりとか、ちょっとしたボタン一つでとか、簡単なことなんですけれども、重度の障害のある方にとっては非常に難しいこともあるかもしれませんが、そういったことで、先ほども健康のところでも申し上げたように、気軽にこういったスポーツの機会を提供していくということは非常に大事なことだと思います。
 できるだけ、来てもらうばかりではなくて、こうやって出向いて、出前方式とか、そういったことを有効活用していただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
 ちょっと質疑は行いませんが、国際スポーツ大会への東京都の関与のガイドラインについて、意見だけ述べさせていただきます。
 我々、会派といたしましても、東京二〇二〇大会後の組織委員会の汚職や談合事件については、大会運営に関わるガバナンスの崩壊だと指摘をさせていただき、都としても第三者による検証をすべきだと、何度も声を上げさせていただいております。
 国際大会への関与の在り方が問われている中でガイドラインが示されたところでありますけれども、まずは組織委員会を−−都はこれまで、申し上げていますが、組織委員会とは別の組織であり、捜査に支障があるからと、議会や都民への説明がいまだない姿勢を貫いているということは、これまでも、一般質問や、あるいは予算委員会の中でも指摘をさせていだいております。
 こういった姿勢が一方でありますけれども、今後、二〇二五年には世界陸上あるいはデフリンピックが開催を予定されております。
 このガイドラインにつきましても、コンプライアンスや情報公開、ガバナンスの確保の徹底、そして内部統制や外部のチェック、こういったことを積極的にできる体制の構築をまずもってしていかなければならないということで、このガイドラインにも示されておりますので、ぜひこういった取組の強化をお願いしておきたいと思います。
 そして、まずは、二〇二〇大会後の汚職や談合について、失われた信頼を取り戻すためにも、第三者による検証をするということを、この場を借りて求めておきたいというふうに思います。
 以上でスポーツ関係は終わります。
 最後に、二件ほどあります私学助成の方に移ります。
 私立中学校等特別奨学金についてです。
 都は、令和五年度予算案において、新たに私立中学校等特別奨学金補助として四十億円を計上しております。
 さきの文教委員会において、私立小学校に対する補助がない理由について問われると、私立中学校に通う児童生徒の割合は、小学校では約四%である一方で、中学校は約二五%、高校は五七%であり、中高では一貫教育を行う学校が多いなどの状況が大きく異なっているとの答弁がありました。
 そこで、私立学校に通う児童生徒の数は、中学校は約二五%、小学校は四%ですけれども、なぜ四%だと駄目で、二五%だと補助をするのか、伺います。

○戸谷私学部長 都内では、中学生の四人に一人が私立中学校に通っておりまして、全国平均の三倍を上回っているという状況でございます。
 また、多くの私立学校で中高一貫教育を推進しておりまして、その時点で将来の進路を選択する子供が多いということから、支援することとしております。

○桐山委員 私立小学校の多くは小中高の一貫校であります。
 なぜ小学校は補助対象にならないのか、伺います。

○戸谷私学部長 私立小学校に通う児童は全体の約四%でございまして、中学校とは状況が大きく異なることから、実施は考えておりません。

○桐山委員 よく分からないのですけれども、小中学校は義務教育期間です。国立または公立の小中学校は授業料が無償であり、家計の状況にかかわらず、就学の機会は確保されている状況だというふうに認識をしています。
 今回は私立中学校に補助を出されるということですけれども、一方で、高校入学段階で私立を選択する、あるいは私立に通わざるを得ない家庭にとっては、その教育費負担は非常に厳しいものがあります。
 年収の目安、九百十万円未満の世帯には、国の就学金支援金と東京都の特別奨学金によって、都内の私立高校の平均授業料相当額まで実質無償化が図られている状況です。
 年収九百十万円の基準を超えたとしても、その暮らしは、決して余裕があるものとはいえないのではないかと思います。
 そこで、今回、私立中学校に補助ということを優先されたわけでありますけれども、高校の授業料助成の所得制限の撤廃を私は優先すべきと考えますが、見解を伺います。

○戸谷私学部長 私立高校等の授業料の助成は、親の経済状況に子供の学校選択が左右されるべきではないとの考え方などから、国が定めた基準も踏まえまして、年収約九百十万円未満という所得制限を設けて実施しているところでございます。

○桐山委員 これが絶対駄目だというふうには申し上げていませんけれども、先ほど申し上げましたように、小中学校では義務教育期間です。自ら選択をされて私学に行かれている方のほうがほとんどだと思いますけれども、その中で、やはり義務教育終了後、いわゆる高校、大学という状況が一番教育費がかかるんですよね。
 今回も所得制限を残したという状況だったと思いますが、優先順位が高いのは、やはり高校生の授業料の所得制限をまず撤廃すべきことが優先ではないかなというふうに私は考えております。
 引き続き、この問題提起をさせていただきたいと思いますので、高校の授業料の所得制限撤廃、ぜひ取組を行っていただきたいことを強く要望しておきます。
 次に、学校における体験活動の充実についてです。
 都は、令和四年度に、先ほどもありました子供を笑顔にするプロジェクトを実施しております。これは、新型コロナウイルス感染症の影響で学校の行事が中止や縮小となる中で、見る、聞く、触れるなどの体験を通して子供が笑顔を取り戻す、学び続けていこうとするきっかけとすることを目的にされておりますが、これは都内の小中高、特別支援学校を対象とし、いわゆる公立だけのものではありません。
 本年度は、執行委任という形で、都内の私立学校にも利用の機会が提供されておりました。私立学校でどれぐらいの利用がされたのか、気になるところであります。
 そこで、このプロジェクトについて、令和四年度末における都内私立学校の利用見込みについてお伺いします。あわせて、利用が多かった分野や、どのような声が私立学校から届いているのか、伺います。

○戸谷私学部長 都内私立学校によるこの事業への参加見込数は、延べ五十七校でございます。
 また、最も利用が多かったのは、職業体験やワークショップ等の体験活動でございまして、ほかには、芸術、伝統文化の鑑賞やアスリートによる講演などが多い状況でございます。
 参加した学校からは、ふだん学校ではなかなかできない体験ができた、あるいは、新たな気づきを得た生徒が多く、楽しい時間となったなど、評価する声がございました。

○桐山委員 この事業の利用を促進するために、都内の私立学校に対してはどのような方法で周知を行われたのか、伺います。

○戸谷私学部長 都の私立学校向けウェブサイトにおいて、複数回にわたり周知を行うとともに、各私立学校関係者が多く集まる会議などの場におきまして、事業内容や個別プログラムの説明を行うなど、様々な手段で周知を実施したところでございます。

○桐山委員 この子供を笑顔にするプロジェクトを踏まえ、来年度もこうした取組を行っていくことが重要です。教育庁の方でも、既に示されているところです。
 こういった事業を私立学校にもぜひ興味を持ってもらうことが大切だというふうに考えておりますが、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。

○戸谷私学部長 来年度は、学校における体験活動を充実させるため、豊かな心を育む活動や芸術文化鑑賞等、多様な機会を提供してまいります。
 また、利用実績のある学校の声を、事業内容と併せて紹介するなどの周知を行ってまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。先ほども申し上げました、この事業は、学校においては非常に人気が高く、予算要望も高い事業の一つが教育庁の方でございます。
 先ほども文化のところで申し上げましたが、生活文化スポーツ局としては、そもそも大きな事業として計上されておりました。こういった事業をしっかりと学校に選択をしていただけるように、魅力的なメニューを提供するということでございます。
 私学部におきましても、こういった舞台や芸術鑑賞に触れる機会をPRしていただき、選択できるような取組の強化をぜひお願いしたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○伊藤(し)委員 それでは、私からも電動キックボードの安全対策について伺います。
 電動キックボードは、道路交通法上、原動機付自転車の扱いに区分されていました。その後、経済産業省では、令和三年四月から、産業競争力強化法に基づき、認可を受けたシェアリング事業者が提供する車両を小型特殊自動車に位置づけ、ヘルメットの着用を任意とするなど、規制を緩和する実証実験を行っており、全国で十四事業者が参加し、安全性の検証を行いました。
 その結果を踏まえ、最高速度や大きさが自転車程度のものについては、原動機付自転車と同様に扱うことが必ずしも適当でない場合も認められることから、昨年四月に道路交通法が改正されました。
 昨年の文教委員会事務事業質疑において、改正道路交通法における新たな交通ルールについて、分かりやすい周知に向けて様々な手法を検討するよう要望したところですが、その改正道路交通法が本年七月一日に施行される見通しとなりました。
 そこで、まず確認ですが、電動キックボードの交通ルールは、七月からどのようになるのか、伺います。

○小室都民安全推進部長 七月から施行されます改正道路交通法では、最高時速二十キロ以下などの条件を満たした電動キックボードを特定小型原動機付自転車と規定し、十六歳以上は免許がなくても運転できるようになります。
 ヘルメット着用は努力義務で、車道のほか自転車道も通行でき、最高時速を六キロ以下に制御する機能を使用すれば、例外的に歩道走行も可能となります。
 また、ナンバープレートの設置や、自賠責保険への加入が義務づけられます。

○伊藤(し)委員 改正点を確認しました。
 今回のルール改正で重要な点は、十六歳以上であれば、免許不要でも運転できることであります。すなわち、安全な利用を推進するためには、自動車免許を取得しておらず、交通ルールを十分には把握していない高校生や大学生など、若年層への啓発が重要になってきます。
 そこで、先ほど公明党の加藤副委員長より、利用者へのルールの周知について質疑がありましたが、電動キックボードの新たなルール等について、若年層への十分な普及啓発に取り組む必要があると思いますが、都の見解を伺います。

○小室都民安全推進部長 改正道路交通法の施行を契機に、電動キックボードの利用の拡大が見込まれる若年層を中心にルール等を周知し、安全な利用を促していくことが重要でございます。
 このため、都では、若年層が多く集まる場所において啓発イベントを開催し、体験試乗等を通じて、新たなルールや安全な乗り方を普及してまいります。
 さらに、リーフレットや動画を作成し、都内の高校や大学に配布するほか、ターゲティング広告等も活用しながら、若年層を中心に普及啓発を実施してまいります。
 こうした取組により、電動キックボードの事故や違反を未然に防げるよう努めてまいります。

○伊藤(し)委員 電動キックボードの新たなルールの適用により、目的地へのラストワンマイルを埋める移動手段として活用の広がりが見込まれますが、安全利用が大前提です。
 私の地元南大沢で実証実験を行う事業者は、GPSを活用した遠隔制御により、一定以上の交通量がある道路を走れないようにしたほか、夜間に貸出しを行わないなどの安全対策を取っています。
 今後とも、警視庁や事業者と連携し、このような取組を後押しするなど、安全対策にしっかり取り組んでいただくことを求めておきます。
 次に、コロナ後を見据えた地域スポーツの振興について伺います。
 新型コロナウイルスが猛威を振るったこの三年間、各地域のスポーツ団体では、模索しながら、日頃の練習の実施や大会の開催に向けて工夫を重ねてきました。しかし、練習の中止や大会規模の縮小等により、参加者数は減ってしまっています。
 少しずつコロナが終息し、さらに、五月にはコロナの位置づけが二類相当から五類に変更となる中、いよいよスポーツ大会も再開の動きが本格化していくと思います。
 将来を担うジュニア世代やコロナで運動する機会が少なくなった地域の高齢者が身近な場所でスポーツに親しめるよう支援をしていくことが、今後さらに重要になると考えますが、都はどのように取り組んでいくのか、伺います。

○山根スポーツ担当部長 多くの地域においては、都の支援も活用しまして、様々な努力を重ね、スポーツ活動に取り組んでおり、支援事業の実績は、コロナの影響が大きかった令和二年度を底に徐々に回復してきております。
 都といたしましては、この機を逃さず、区市町村の団体等が実施するジュニア世代や六十歳以上の高齢者を主な参加対象とするスポーツ教室や大会、講習会等への支援を、地域のニーズを踏まえながら行ってまいります。
 こうした取組を通じて、コロナ後も見据え、都民がより身近な地域でスポーツに親しんでもらえるよう、活動を後押ししてまいります。

○伊藤(し)委員 コロナ後を見据えた地域スポーツの振興への取組を確認しました。
 都がこれまで実施してきたジュニア育成やシニアスポーツの支援は、とても効果があったと思っています。
 私は、太極拳連盟の会長を地元で約二十年間務めていますが、会員はシニア世代がほとんどで、太極拳を通じて、生きがいづくりや健康づくりに取り組んでいます。昨年秋に、三年ぶりにようやく大会を開催できました。
 また、市内のスポーツ団体も、コロナ禍で苦労した団体が多数あります。
 東京のスポーツ振興は、全国や世界レベルで活躍するトップアスリートを支援することももちろん大切ですが、そうしたアスリートを生み出す基盤となる地域スポーツの振興も、同時に重要だと考えています。
 今後とも、次代を担うジュニアの育成や、超高齢社会が進む中での元気なシニア世代の応援をするための各種スポーツ施策や支援を拡充していくことを求めておきます。
 次に、配偶者暴力被害者等セーフティネット強化支援事業について伺います。
 新年度予算でも約六千万円計上されています。
 さて、令和三年度東京都配偶者暴力被害者等セーフティネット強化支援交付金の交付申請について、提出期限は同年六月三十日正午までになっていたようですが、ある団体の交付申請書が開示請求されました。開示された申請書には、収受期限を過ぎた七月一日の収受印が押されたものにバツ印が記入され、横に六月三十日の収受印が押されているそうです。
 一般的に、役所の収受印について、日付を一日早くすることは考えにくいことから、これは、期限を過ぎた七月一日に団体から提出され、その後、期限内である六月三十日提出分にしようと内部処理されたと疑いの声が寄せられました。
 そこで、事実確認をさせていただきます。
 これは、団体から、いつ、すなわち何月何日に提出されたものでしょうか。

○樋口男女平等参画担当部長 令和三年六月三十日に収受したものでございます。

○伊藤(し)委員 六月三十日に収受したということですが、では、なぜ七月一日の印が押されているのでしょうか。

○樋口男女平等参画担当部長 実際、令和三年六月三十日に文書を収受しましたが、誤って押印したため、訂正して、正しく押印し直したものでございます。

○伊藤(し)委員 今、確認をさせていただきましたが、六月三十日に間違いなく収受をしたと、こういう理解でよろしいんですよね。
 六月三十日に申請を受け付けたけれども、間違って翌日の七月一日の判こを押してしまったということでよろしいですか。

○樋口男女平等参画担当部長 ご指摘のとおりでございます。

○伊藤(し)委員 そうしますと、東京都の業務として、そういうことはよくあるのでしょうか。申請期限の締切りというのは、かなり厳格なもので、多分、それを一日過ぎると、もう受付できませんよというふうに、もちろんお断りされることというのが基本的だと思います。
 それを受け付けた方、すなわち、今回でいえば福祉保健局なんですけれども、間違って翌日の判こを押すということがあり得るのでしょうか。
 六月三十日の、しかも六月三十日中というのであれば、二十三時五十九分五十九秒まで六月三十日なので、もしかしたら、そういうことはあり得るかもしれないのですけれども、昼の正午ということで決まっていて、間違えて押すということは本当にあるのでしょうか。もう一度お願いします。

○樋口男女平等参画担当部長 本件につきましては、誤って押印したため、訂正して、正しく押印し直したものでございます。

○伊藤(し)委員 そうしましたら、もう一個だけ確認させてください。
 こうしたことは、福祉保健局ではよくあり得るのでしょうか。いろんな行政サービス、福祉保健局のサービスで申請期限の締切りというのはあると思うんですけれども、その収受印というのを翌日に間違えて押してしまうというケースは、今回は極めてレアなケースなのか、しょっちゅうあることなのか、部長でいいですかね、お答えください。

○樋口男女平等参画担当部長 ご質問が福祉保健局ということでしたけれども、生活文化局ということでよろしいでしょうか。−−当局におきましては、部署ごとに分かれておりますけれども、通常は、そういったことはあまりないというふうに認識しております。

○伊藤(し)委員 すみません、局を間違えてごめんなさい、生活文化局です。
 そんなに頻繁にはないということでよろしいんですよね。それは、もちろん当然だと思います。
 ですから、今回につきましても、都民の皆さんに疑念を抱かれていることは間違いないことなので、このような収受印管理が常態的に行われているとすれば、ゆゆしき事態ということをいわざるを得ません。
 局長におかれましては、今後、徹底的に調査を行って、こういったことがないように業務改善をすべきと思いますので、その点を求めて質問を終わります。

○横山生活文化スポーツ局長 今ご指摘の点につきましては、十分注意をしてまいりたいと思います。
 本件につきましては、ちょうど締切りの前後ということで、疑念を抱かれるようなことに結果としてなってしまう事態でございます。
 事務処理に対して徹底をするように局職員を指導してまいります。

○白戸委員 私からは、まず、先般行われました東京マラソンについて伺いたいと思います。
 今回、四年ぶりということで、三万八千人が参加しての開催となりました。さきに質疑に出ましたが、そんなトラブルもありましたけれども、全般的には、今回の大会の開催は、たくさんの方に感動を与え、東京のまち全体を大いに盛り上げたのではないかというふうに思います。
 そこでまず、今回、定員三万八千人の通常規模で東京マラソンを開催されたことについて、都としてどのように受け止められているのか、伺います。

○河野事業推進担当部長 新型コロナウイルスの影響によりまして、一般ランナーの参加見送り、それから、大会の中止と延期、参加規模の縮小を余儀なくされてまいりましたが、今大会は、これまでの感染対策の実績と感染状況を踏まえた対策を講じまして、沿道でのマラソン祭りの再開と併せまして、通常規模で開催することができました。
 今大会は、MGCなどの選考も兼ねていたことから、国内で注目されるエリート選手の白熱したレースが展開されたほか、年齢や国籍を問わず、多くの一般ランナーがコースを埋め尽くしました。
 切れ目のない沿道からの応援や大会を支えるボランティアなど、走る人、応援する人、大会を支える人、全ての方々の力により大会が実現し、まさに東京が一つになる日となったと受け止めております。

○白戸委員 今回、私も、スタート、それからフィニッシュ会場、さらにコース沿道にも行かせていただきまして、多くの観客の熱気を感じるとともに、コロナ前のスポーツイベントの雰囲気が戻ってきたんだなということをしみじみと実感しました。
 また、日本各地の大会がコロナからの回復途上という感がまだまだ否めない中で、東京がこのようなフルスペックでの開催を行ったことは、選手はもちろんなんですが、他の大会を大きく勇気づけたのではないかというふうに思います。私のところにも、各地の大会関係者から、非常に喜びの声が届いております。やはり、この東京マラソンが日本のマラソン界を牽引しているんだなというのも再認識したところでございます。
 一方で、新型コロナウイルスの影響で中止されていた市民マラソンが各地で今、再開されている中で、ランナーが突然倒れて心肺停止になるという事例も続いております。残念ながら、お亡くなりになる事故も発生しているところです。これは専門家の分析によりますと、やはりコロナ禍でのブランクが、練習不足、準備不足を招いたのが要因ではないかというふうに分析されているところです。
 幸いにも、今回、東京マラソンでの心肺停止はなかったと聞いておりますけれども、これだけたくさんの方が走られる大会は、これがいつあってもおかしくないし、たしか、僕の記憶が正しければ、過去にこれに近い、これに類することがあったように記憶しております。
 どちらにしても、こういうことが起き得るということを心して、万が一の対策が非常に重要であると考えます。
 こうしたランナーの心肺停止のリスクに対してどのように準備し、取り組んできたのか、伺います。

○河野事業推進担当部長 参加するランナーに対しましては、ランナー受付時に、ご自身で健康管理をしていただくためのメディカルチェックリストを配布するとともに、当日は、スタート直前まで、体調不良の場合の参加自粛を繰り返し呼びかけました。
 また、医師をはじめ看護師や救急救命士、ボランティアなどでメディカルチームを組織するとともに、救護所を増設し、医師、看護師などのスタッフを増員する対応を行いました。
 さらに、心肺停止時の蘇生は、早期に適切な処置を行う必要がありますことから、コース上をランドクターやAEDのモバイル部隊が走行したほか、約一キロメートルごとにAEDを持ったスタッフを配置しまして、万一の場合に処置ができるよう備えました。

○白戸委員 スタート会場で、選手たちに、体調が悪ければ無理しないでくださいといった呼びかけは何度も聞いておりました。参加者は、当然、大会ですから鼓舞しなければいけないのですが、それだけではなくて、参加者に冷静さを訴えかける、これは非常に難しいところだと思いますけれども、うまくバランスを取られてアナウンスされていたんじゃないかなというふうに思います。
 このように、安全な大会を実現するためには、何より参加するランナー自身が自覚を持って行動していただくことが非常に重要です。また今回、参加されたランナーはもとより、主催者の安全に対する高い意識の下、現場の運営スタッフ、そして関係者の方々の全ての思い、行動が一つになったことで安全な大会ができたのではないかと考えます。
 東京マラソンが加盟するアボット・ワールドマラソンメジャーズの六大会は、世界陸上競技連盟が認定しますロードレースのエリートプラチナラベルの大会に格付されています。この六つしかありません。認定要件には、大会の安全性も含まれていると聞きます。そうした意味でも、メジャー大会にふさわしいものであったのではないでしょうか。
 また、今回の東京マラソンは、海外ランナーの参加人数が顕著でした。私自身、シックスメジャーズ、この六大会全て完走した人に贈られるシックススターフィニッシャーメダルというブルーのやつがあったのですが、このメダルを目指して参加された多くの方とお話をすることができましたが、皆さん、すごく興奮されているのが印象的でした。何年ぶり、何年越しに来られたんだという興奮だと思います。
 そして、参加選手の中で三分の一が外国人という状況に、コース上はもちろん、コース沿道にも多くの外国人が応援に駆けつけまして、私は見ていて、さながら海外マラソンのような感覚を覚えました。こうした光景はなかなか、国内マラソン大会はたくさんありますけれども、ほかで見ることができないんじゃないかなと思います。
 また、国内外のランナー同士が、至るところでコミュニケーションを取っていました。言葉はなかなか通じなくても、走るという共通言語がありますから、こういったもので交流できるんだなと。これもスポーツの持っている大きな魅力ではないかと考えます。
 今回、大会前にビッグサイトで開催されていましたけど、東京マラソンEXPOにも、多くの外国人の方が来場されていました。出展されていた関係者の方にヒアリングしたところ、インバウンドの旺盛な購買意欲が、本当にEXPOの売上げを支えてくれたということもいっておられました。グローバルなイベントとして、東京マラソンは、東京が国際都市としての輝きを持たせるだけでなく、様々な経済効果も非常に高かったのではないかと考えます。
 このような国際スポーツイベントへの参加は、社会問題に意識が高いことでも知られています。だからこそ、ロンドンマラソンでは、一大会で百万ポンド以上の寄附が集まるわけです。
 今後も、東京も、このファンドレイズのような社会的意義の取組により、より大会のプレゼンスを高めていくことが多くの海外ランナーの参加にもつながっていくというふうに考えます。
 そこで、今後、世界トップレベルの大会としてどのように取り組んでいくのか、伺います。

○河野事業推進担当部長 東京マラソンは、ふだん走ることができない都心を駆け抜ける醍醐味に加えまして、回を重ねるごとに世界トップレベルの大会に発展し、アジア唯一のメジャー大会として、海外ランナーにとっても人気のある大会となってございます。
 今大会は、参加定員の復活とともに、これまでの渡航制限によって参加がかなわなかった出走権をお持ちの方を含め、約一万二千人もの海外ランナーが参加いたしました。
 今後も、この勢いを絶やすことなく、寄附文化の醸成や環境に配慮した取組などの推進によって大会の価値を高めるとともに、世界一安全・安心な大会として世界中の方々に楽しんでいただけるよう、引き続き、主催者である東京マラソン財団と連携してまいります。

○白戸委員 トップレベルというお話がありましたけれども、これは何をもってトップレベルなのかというところです。競技大会としてはもちろんなんですが、やはり社会的な意味も重要で、SDGsやファンドレイズなどへの取組も非常に大切であると思います。今回参加されていた外国人ランナーの皆さんのお話を聞いていると、そんな志の高さを感じることも少なくありませんでした。都市マラソンは何のために開催するのか、何が求められているのか、そんなことをいま一度考えていく必要があります。
 今回、大会に参加したランナーをはじめ、沿道で応援していた人を含めて、皆さん、本当に一様に喜んでおられました。輝いておられました。このような大会を提供できたことは、都民として大変誇りにも思います。
 東京マラソンは、まちを変え、人を変えることができる貴重なイベントです。東京マラソンは、今後も、単なる市民マラソンではなく、社会的な意識を持った国際マラソンイベントとなるように取り組み、そんな発信も推進していただけるよう要望して、次の質問に移ります。
 今、質問させていただいた東京マラソンの例に見られるように、国際スポーツ大会を機に、世界中のアスリート、観客が東京を訪れることは、都市のプレゼンス向上や経済効果など、大いに意義があるものだと思います。
 もちろん、開催規模が大きくなればなるほど、その効果も大きいのですが、関与する人も企業も多くなり、二〇二〇大会のような残念なことが起きる可能性もあります。だからこそ、都は昨年末、国際スポーツ大会への関与のガイドラインを策定し、ガバナンス確保の視点で取組を整理している、これは非常に大切なことだと思います。
 と同時に、国際スポーツ大会には、先ほど挙げた都市のプレゼンス向上や国際親善、平和への寄与など、多くの意義もあります。
 都が関与するガイドラインにおいては、このガバナンス確保と同様に、このような大会開催の意義をどのように実現していくのかという視点も重要だと思います。
 そこで、このガイドラインでは、国際スポーツ大会の開催の意義を実現するために、どのような考え方を取っているのか、伺います。

○三浦事業推進担当部長 本ガイドラインでは、基本的な考え方として、国際スポーツ大会を通じて東京の発展に寄与するため、東京二〇二〇大会で生み出されたレガシーをさらに発展させていくとともに、未来の東京につながるレガシーを残していくこととしております。
 また、都民の誰もが、年齢、障害の有無などにかかわらず、スポーツの力を実感し、大会開催の意義が社会に広まっていくよう、大会への参画を推進することとしております。

○白戸委員 よりよい東京の未来をつくっていくという国際スポーツ大会の意義を実現するという視点が、このガイドラインに盛り込まれているということが分かりました。
 これがなければ、そもそも開催する意味も失ってしまうわけで、ガイドラインだけではなくて、実際の運営に大いに生かしていただきたいと思います。
 東京では、二〇二五年に、世界陸上とデフリンピックという二つの国際スポーツ大会が開催されます。この二つの大会を通じてどのような東京の未来をつくっていくのか、伺います。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務 都は、本年二月、二〇二五年に開催される世界陸上及びデフリンピックを通じ、スポーツの力によって東京の未来をつくるため、東京都が目指す姿を「ビジョン二〇二五 スポーツが広げる新しいフィールド」として作成いたしました。
 ビジョン二〇二五では、基本的な方針として五つの取組の柱を設定し、大会を通じてインクルーシブなまち東京の実現に貢献していくこととしております。

○白戸委員 両大会に向けてビジョンを策定し、東京の未来に向けて進めるということですね。これだけの大会が二つも同じ年に開催されるということは、非常にわくわくすることでもあるんですが、実際に運営するとなると、これは非常に大変なことです。
 だからこそ、しっかりとビジョンを持ち、ガバナンス確保と同時に、未来に向けての姿を示していけるように進められたいし、我々も、しっかりとそのステップを後押ししていきたいと考えております。
 さて、このビジョンにおいては、五つの取組の柱の一つにユニバーサルコミュニケーションの促進が挙げられております。我が会派も、両大会を契機として、デジタル技術を活用したインクルーシブな社会の実現に取り組んでいくべきであると考えており、ちょうど先週の予算委員会でも、私がeパラスポーツについて質疑をさせていただき、様々取り組んでいく旨の答弁をいただきました。
 このデジタル技術活用についても、昨年十二月の第四定例会の我が会派の代表質問において、大会に向けて関係局や事業者などと連携し、技術活用の実証やPRに取り組むという答弁がありまして、都の取組に大いに期待しているところであります。
 さて、そこで、このユニバーサルコミュニケーションの促進に向けてどのような取組を進めていくのか、伺います。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務 都はこれまで、庁内各局や事業者と連携し、ユニバーサルコミュニケーション技術の実証やPRに取り組んでまいりました。
 具体的には、本年二月に東京武道館で行われたろう者等が出場する空手道大会や、国内外から多くのスタートアップが集うCity-Tech.Tokyoの東京都ブースにおいて、音声をテキスト化する透明ディスプレーなどを展示、使用するとともに、障害のある方の声も伺いながら、技術の活用可能性についても検証を行いました。
 今後とも、関係局や事業者等と連携し、展示会やイベントの場を活用して、ユニバーサルコミュニケーション技術の開発や社会への普及を促進するよう取り組んでまいります。

○白戸委員 音声のテキスト化の透明ディスプレーなど、非常に、なかなか興味深いものだと思います。ぜひほかのイベントでも、どんどんと試していただきたいなと考えております。
 私は、こういった事業のポイントは、当事者の意見をいかに反映していくかが大切だとも考えております。ややもすると、こういったものは技術の披露の場になってしまうこともあり、そのために、障害のある方も、技術を持つ方も、事業者がしっかりと連携をして進めていくことが大切だと考えております。
 引き続き、このように様々な取組を行っていくことで、両大会を通じてインクルーシブなまちを実現し、東京の未来を切り開いていっていただけるようお願いします。
 私は、昨年の十一月十日、当委員会の事務事業質疑において、デフリンピック大会の予算についての質疑もさせていただきました。
 その後、大会開催に向けた検討は順調に進んでおりまして、先月の十七日には第一回の大会準備連携会議が開催され、大会の事業規模として百三十億円規模という試算が示されました。
 まず、二〇二五年に開催予定のデフリンピックの事業規模百三十億円とは、どのような試算根拠なのか、伺います。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務 二〇二五年のデフリンピック大会の事業規模については、全日本ろうあ連盟が、東京都のこれまでの国際スポーツ大会の経験に基づく助言などを参考に試算したものであります。
 この試算は、デフリンピック規約や過去のデフリンピック大会を踏まえ、二〇二五年大会のサービス水準を国民体育大会と同レベルと仮定したものです。
 今後、都も、全日本ろうあ連盟と連携し、関係団体と大会のサービス水準等を協議、調整していく中で、大会経費をさらに精査してまいります。

○白戸委員 二〇二五年デフリンピック大会の事業規模については、大会のサービスレベルを国体並みとして、デフリンピックの規約、過去大会を参考にして試算したということですけれども、国体並みというと、オリンピックや世界陸上などと比べると、かなりシンプルな運営になるのかなとは思いますが、何といってもデフアスリートの世界最高峰の大会でもあります。何が本当に必要なのか、逆に何が削減できるのか、都としても、今後、全日本ろうあ連盟としっかりと連携して、経費の精査を進めていただきたいと思います。
 一方で、この大会開催に当たっての百三十億円の財源をどのように確保していくのか、そして、他の過去大会はどのようにしていたのか、伺います。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務 デフリンピック開催は、パラスポーツの振興やユニバーサルコミュニケーションの促進など、共生社会の実現に向けたはずみとなることから、二〇二五年大会は、民間、国、東京都などの関係者が協力しながら開催を支援していくことが重要であります。
 このため、大会の開催意義や魅力などを発信し、民間からも幅広く支援を求め、寄附、協賛や各種助成など多様な協力を得るとともに、国に対しても協力を求めてまいります。
 なお、都が公式報告書等で把握している過去のデフリンピック大会の事業規模は、当時の為替レート換算で、二〇〇九年、台北大会で約百七十億円、二〇一七年、サムスン大会で約百五十億円程度であり、両大会とも、その収入のほとんどが公的資金により賄われていたとのことであります。

○白戸委員 二〇二五年大会に向けまして、民間から幅広く協力を求める、これもそうなんですが、その一方で、過去大会の実例や、今回は共生社会の実現という大会の開催意義を踏まえますと、適切な公的な負担も検討していくべきかと考えます。その中で、もちろん国に対しての協力依頼もしっかりと働きかけていっていただきたいと思います。
 そして、何より一番大切なのは、このデフリンピック開催意義を積極的に発信し、都民、国民の理解、納得を得ていくことが大切で、こうした点に留意をして、しっかりと準備を進めていただくよう要望しておきます。
 続きまして、電動キックボードの安全対策について伺います。
 先ほど、加藤副委員長、伊藤副委員長からも質疑がありましたけれども、ちょっと違った角度から質疑をさせていただきます。
 現在は、テクノロジーの活用により、様々なモビリティーが提案されております。その中でも、海外では既に五年以上前から実装されているこの電動キックボード、今般、国において道路交通法の改正が施行され、特定小型原動機付自転車として、新たな車両区分による運用が開始されます。
 我が会派では、このような状況を見据え、昨年、知事に要望を行い、各局で連携して実装と普及を後押ししていくように求めました。
 昨年要望したように、電動キックボードの安全な利用を啓発する際には、その普及を阻害する形ではなく、推進するための交通安全対策が行われるよう、事業者と協議の上で、連携をして取り組むべきだというふうに要望させていただきましたけれども、見解を伺います。

○小室都民安全推進部長 電動キックボードの安全利用を推進するためには、利用者により身近なシェアリングや製造販売を行う事業者と共に普及啓発していくことが効果的でございます。
 都はこれまで、改正道路交通法の施行を見据え、事業者と安全対策等に係る意見交換を行いながら、キャンペーンや啓発を実施しております。
 今後、都は、警視庁による取締りや区市町村等の取組と併せ、シェアリング事業者団体と連携協定を締結し、制作するリーフレットや動画について助言を得るほか、広報物の活用や啓発イベントの開催等について協力して取り組んでまいります。

○白戸委員 今後、電動キックボード以外にも、新しいモビリティーが次々に登場してくると思われます。過去の概念にない新しいモビリティーは、往々にして道路上では邪魔者扱いにされ、非難の対象になっていきます。しかし、今後の都市交通において、それらは新しい可能性を秘めている可能性も十分あるというふうに考えます。
 もちろん、ルールをつくり、取り締まることも大切です。ただ、それをどうやって、その可能性の芽を摘まずに広げていけるのかという視点も持つことが大事だと思います。そのためには、今回のような事業者との連携した取組がよい先行事例になるように進めていっていただきたいと思います。
 続きましては、オレオレ詐欺などの特殊詐欺対策について伺います。
 令和四年は、八年ぶりに全国での被害総額が増加に転じまして、約三百六十億円の被害が生じております。
 また、少々古いデータですけれども、二〇一八年に実施された警察庁のアンケートによれば、犯行グループからの初回接触の九五%以上が固定電話となっており、固定電話を利用している高齢者が狙われやすいという傾向は明らかです。
 都はこれまで、平成二十八年から令和三年度の六年間で、累計約十四万台の自動通話録音機設置補助事業を行ってきました。補助事業は昨年で終了していますが、この間に、多くの自治体で自動通話録音機の設置事業が創設されるなど、この対策を前進させる効果があったのではないかと思います。
 特殊詐欺被害者の多くは高齢者でありまして、令和四年は被害額も増加していることなどから、今後もより一層の対策強化が求められます。
 そこで、現在、都が行っている特殊詐欺被害防止の取組について伺います。

○油谷治安対策担当部長 都では、高齢者の特殊詐欺被害防止対策として、リーフレットの配布、劇団員による実演式防犯講話等の啓発事業を実施しております。
 さらに、今年度から新たに、希望者が自宅等において電話やSMS、ショートメッセージサービスにより還付金詐欺等の手口を実体験できる事業を、都内四自治体において実施いたしました。

○白戸委員 確かに、電話やSMSによる詐欺の手口を実体験できる体験事業、これはかなりリアリティーを感じられる興味深い取組だと思います。やはり分かりやすくなければ、講習をやっても意味がないということなので、そういった意味では、非常に分かりやすいのではないかなというふうに感じております。
 高齢者の中には、こういった詐欺には絶対引っかからないといっている方が多いのですが、そう思いながらも、残念ながら被害に遭ってしまう方が多いのが今、実情でございます。
 だからこそ、この事業は、今年度、四自治体で行ったということですが、今後は、より多くの人に体験していただくことが大切だと思います。
 そこで、高齢者の特殊詐欺被害を防ぐために、来年度の体験型の啓発事業の取組をさらに強化していく必要があると考えますけれども、見解を伺います。

○油谷治安対策担当部長 今年度、事業実施後に行ったアンケートでは、体験者の多くから、電話やショートメッセージサービスを受けた際に適切に対応できるようになったなどの声がありました。
 来年度は、より多くの方に体験していただくため、高齢者等が集まるイベントに出張する形で講師を派遣し、最新の手口や、だまされてしまう心理などについて学ぶ事業を実施いたします。
 実施場所につきましても、都内全域の希望する区市町村や高齢者施設等において、年二十五回実施する予定でございます。
 今後とも、区市町村等と連携しながら、より一層、特殊詐欺被害防止対策を推進してまいります。

○白戸委員 区市町村と連携して、この事業を多くの方に体験していただくということです。この取組を通じて、一人でも多くの高齢者が被害に遭わないように対策を進めていただきたいと思います。
 一方で、例えば民間事業者が提供する特殊詐欺対策サービスとして、通話データをクラウドに転送して、AIが解析して、特殊詐欺と思われる場合には、本人や親族の電話番号、メールアドレスに注意を促すような技術、サービスがあるとも聞いております。
 こうした高度技術を活用したサービスを特殊詐欺被害防止策に生かしていく検討も必要じゃないかというふうに考えております。
 そこで、このような技術、サービス活用による特殊詐欺被害防止対策について、都の見解を求めます。

○油谷治安対策担当部長 お話のAIとクラウドサービス技術を活用した特殊詐欺被害防止通信サービスは、全国で数百台程度利用されているといわれておりますが、特定の通信事業者のみが提供するサービスであること、AIの解析技術、コストなどの検証を含め、実験段階であると承知しております。
 現時点では、こうしたサービスに関する情報を収集しながら動向を注視してまいります。

○白戸委員 まだ実証実験段階ということですが、こうした取組は非常に大切で、ぜひこういった情報を集めながら、民間だけではなくて、行政、警視庁などでも導入を検討いただきたいと思います。
 こうした新しい仕組みも活用することで、一人でも被害者を減らすよう、特殊詐欺被害防止対策について広く情報収集をして、より効果的な施策を検討していくことを求めまして、質疑を終わります。

○入江委員長 議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時四十八分休憩

   午後七時十分開議

○入江委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○北口委員 では、私からは、まず最初にデフリンピックの取組についてお伺いをさせていただきます。
 二〇二五年、東京で開催されるデフリンピックは、ろう文化を理解し、共生社会を実現するために大きなはずみとなります。公明党はこれまでも、デフリンピックの招致について一貫して支持し、そしてまた推進をしてまいりました。
 さきの本会議代表質疑、また予特の代表質疑でも取り上げ、大会の準備促進などを求めてきたところでございます。
 障害者スポーツは、障害者の生活を豊かにし、社会とのつながりをつくる大切な機会となります。パラリンピックでパラスポーツへの認知度も上がっているこの機会を捉えまして、二年後に迫る大会に向けて、さらに機運を高めていくことが重要だというふうに考えます。
 そこでまず、デフリンピックを目指し、共生社会の実現に向けたメッセージを都民に分かりやすく発信していく必要があると考えますが、見解を伺います。

○工藤事業推進担当部長 都は、来年度、共生社会への理解を促進するため、ホームページにおいて、デフアスリートのインタビュー記事や、選手の応援に使える手話を分かりやすく学べるコンテンツを掲載するなど、大会開催に向け、様々な情報を提供してまいります。
 また、デフリンピックの開催や共生社会について理解を深めるため、障害者、子供など多様な方に分かりやすく伝えられるよう、複数種類の動画を作成し、街頭ビジョンやSNS等で発信してまいります。

○北口委員 ホームページや街頭ビジョンなどを活用しまして、共生社会実現に向けたメッセージを発信していくということでございます。機運醸成については、大会開催まで途切れることなく、SNS等も含めて、あらゆるメディアを通して発信を続け、努めていただきたいというふうに思います。
 次に、ボランティアの活用について質問をいたします。
 東京二〇二〇大会を機に、ボランティア活動への機運も高まってまいりました。共生社会実現に向けては、共に支え合うボランティア文化を醸成し、大会においても、障害の有無にかかわらず、多様な方の参画を得ていくことが重要だと考えます。
 二〇二五年に向けては、デフリンピックとともに世界陸上も開催されますが、両大会におけるボランティアの参画に関し、過去大会の例も踏まえて、都の見解をお伺いいたします。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務
都では、先般策定した「ビジョン二〇二五 スポーツが広げる新しいフィールド」において、みんなでつくる視点を重要と考え、多様な人々が力を合わせて大会をつくり上げる方向性を示しました。
 昨年夏にアメリカのオレゴンで開催された世界陸上の会場では、多数のボランティアが笑顔でアスリートのサポートや観客の案内を行っておりました。また、ブラジルのカシアスドスルで開催されたデフリンピックでも、手話人材を含め、ボランティアが運営を支えておりました。
 二〇二五年に開催される両大会に向けても、大会運営組織と連携し、障害の有無などにかかわらず多くのボランティアが活動できる場を提供できるよう取り組んでまいります。

○北口委員 両大会の開催において、ボランティアの活動についても検討されているということがよく分かりました。アスリートとの触れ合いや国際大会での社会貢献の経験、これは何物にも代え難い貴重な機会となるはずでございます。また、障害の有無にかかわらずとの答弁でございましたので、ぜひ障害者のボランティアも、積極的に参画の機会の提供に努めていただきたいと思います。共生社会の実現をさらに進めていくために、関係者と連携をしながら、具体的な取組を進めていってほしいと思います。
 次に、障害者のスポーツ施設利用についてお伺いをいたします。
 障害者のスポーツについて、専門家によると、運動不足になると、筋肉の活動が減り、日常生活においてさらに動くのがおっくうになってしまう、また、体を動かすことで生活習慣病の予防につながるということから、体を動かすことはとても大切であるということであります。
 また、スポーツや運動をする障害者からは、生き生きする、また、仲間もできるし、いろんな人と出会いがあるという前向きな言葉も聞かれております。
 スポーツをしていない障害者も多くいるというふうに聞きますが、そういった人に一歩を踏み出していただくためにも、身近な地域でスポーツに取り組める環境が整っていることが重要でございます。
 都は、今年度、障害のある人にスポーツ施設を利用してもらうため、施設管理者等が配慮すべきマニュアルの改定を進めております。このことについて、昨年の事務事業質疑において、その進捗をお尋ねし、都からは、新たな取組事例を掲載する、また、検討委員会等を設置し、意見を聞きながら進めているとの趣旨の答弁をいただいております。
 このマニュアルは、新しい事例を追加するのに加え、施設がより一層使いやすくなるような内容を工夫して取り上げるべきと考えますが、都の取組を伺います。

○齊藤パラスポーツ担当部長 障害種別ごとのコミュニケーションのポイント等を解説するほか、改定に当たっては、現在のマニュアルのトイレなど共用施設や体育館などのスポーツ施設の利用に当たって、施設側が実際に工夫している取組について、新たな事例を収集し、掲載することとしております。
 また、施設整備に当たって、障害のある人の意見を反映した事例、ホームページ等によるバリアフリー情報発信の事例、デジタル技術を活用したコミュニケーションツールの紹介などを新たな項目として取り上げる予定であります。
 なお、併せて、利用場面ごとの対応方法を分かりやすく伝えるための動画の作成を進めております。

○北口委員 内容を充実させ、見やすく、また分かりやすい、そして、手にした人がすぐに自分の施設ではどうすればいいのかと工夫したくなるようなマニュアルに、ぜひしていただければというふうに思います。
 また、新たなマニュアルは、配布したら終わりではなくて、実際に施設の方がマニュアルを見て実践してもらうことが大切であるため、積極的に普及に取り組んでいただくことを事務事業質疑においても求めてまいりました。予算特別委員会の我が党の代表質問でも、パラスポーツの裾野拡大のためには、スポーツ施設の環境整備が重要であることを指摘しました。
 専門的な知識のある人が、この新たなマニュアルを使って、施設管理者等の取組を後押ししていくべきと考えますが、来年度の取組をお伺いします。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都は、来年度、希望する都内公立スポーツ施設にパラスポーツの専門知識を有するアドバイザーを派遣し、施設の状況やニーズに合わせて、障害者のスポーツ施設利用の促進に向けた支援を実施してまいります。
 具体的には、アドバイザーが障害のある人や施設職員と一緒に、受付などの共用部分や体育館などのスポーツ施設の使いやすさを障害のある利用者の視点から検証し、改善に結びつけます。また、教室などの事業を実施する上で必要なソフト対応等の助言を行います。
 このほか、区市町村が所管するスポーツ施設や民間スポーツ施設に対し、改定したマニュアルを活用して、障害の理解や配慮のポイント等に関する研修を実施いたします。

○北口委員 区市町村職員や指定管理者等スポーツ施設の管理運営に携わる方、民間スポーツ施設のスタッフなどにしっかりと活用していただけるよう、積極的な普及に努めていただきたいと思います。
 最後に、自転車の交通安全についてお伺いをいたします。
 都は、我が党の提案で、平成二十五年に自転車安全利用条例を策定し、東京都自転車安全利用推進計画の下、自転車事故の減少に取り組んでおります。
 計画策定後、自転車事故の件数や死者数は減少傾向でありましたが、近年、増加傾向に転じてしまいました。
 これまでも都は、学校や区市町村等と連携をして、様々な自転車安全利用教育を推進してまいりましたけれども、事故防止に不可欠なこの教育は、幅広い世代に対応できるよう、多様な手段を備えるべきと考えております。
 そのような中、都が二月にリリースした自転車安全学習アプリについては、新たな教育ツールとして注目をしております。
 そこで、この自転車安全学習アプリの特徴は何か、また、広く活用してもらうためにインセンティブを講じていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○小室都民安全推進部長 東京都自転車安全学習アプリ、輪トレは、交通ルールやマナーを楽しみながら学習でき、自転車運転の疑似体験やクイズによる効果測定を行い、合格証を発行する無料アプリでございます。
 スマートフォン等を利用することにより、場所や時間の制約がなく、手軽に自転車の安全利用について学ぶことができます。
 今後、学校や自治体、企業等に専門のスタッフを派遣し、活用に向けた説明会を実施いたします。
 また、合格証を取得された方には、シェアサイクルや文化施設の割引等、様々な特典を用意してございます。
 このような取組により、多くの都民に活用していただけるよう、普及を図ってまいります。

○北口委員 学校や自治体、企業における説明会を実施するとの答弁でありました。学生や中高生に関しては、楽しみながら学べるこうしたアプリは効果的であるというふうにも考えます。私も実際、触ってみましたけれども、三十分程度できちんと学べて、楽しく勉強させていただきました。
 文化施設の割引などのインセンティブも得られるということでございますので、教育庁とも連携をして、自転車通学をする高校生などに着実に普及をしていただきたいというふうに思います。
 また、二人乗り、三人乗りで子育てに奮闘している保護者の皆様の中には危険な運転も見受けられます。普及につきましては、こうした層にも声が届くように、さらなる工夫をしてほしいというふうに思います。
 また、先月、目黒区の車道で自転車走行中に、タクシーのドアが開いたところにぶつかって、後続のバスにひかれて亡くなってしまうという事故が発生してしまいました。こうした停車中の自動車の追越し時の注意喚起の事例も、ぜひこのアプリに取り込むなど、今後、適時充実に努めていただきたいというふうに思います。
 さて、本人が注意をしていても事故に巻き込まれる場合もあります。事故に遭った際には身を守る手段として、ヘルメットの着用が非常に重要でございます。昨年の道交法の改正によりまして、この四月からヘルメットの着用が努力義務になります。
 そこで、ヘルメットの着用に対する今後の都の取組についてお伺いをいたします。

○小室都民安全推進部長 警視庁の昨年の統計では、自転車死亡事故の六割が頭部への損傷によるものであることから、自転車走行時のヘルメットの着用は極めて重要でございます。
 このため、都では、自転車安全利用TOKYOキャンペーンをはじめとする交通安全イベントでの啓発のほか、リーフレット配布やインターネット広告の配信に努めております。
 今後は、自転車安全学習アプリにおきましても、ヘルメットの重要性を伝えるほか、説明会の場など、あらゆる機会を捉えて、ヘルメット着用についての普及啓発を行ってまいります。

○北口委員 ヘルメット着用に向けての啓発も、ぜひアプリに搭載してください。そしてまた、先ほど来、議論になっております電動キックボード等につきましても、ぜひこうしたアプリを活用できるように要望をしておきます。
 また、都内には、ヘルメットの購入促進のために独自に補助金を出している自治体もございます。都としても、今後、ヘルメットの購入促進をする区市町村を支援する補助制度の創設を要望させていただきまして、質問を終わらせていただきます。

○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
 まず、平和祈念館と平和行政についてから伺っていきます。
 先週の金曜日、三月十日は東京都平和の日であり、七十八年前に東京大空襲があった日であります。三月十日だけでなく、一九四二年に一回、さらに一九四四年十一月二十四日から一九四五年八月十五日まで百十四回、都内各地で合計百十五回の空襲を受けたことが東京都戦災誌には記録されています。
 東京空襲から七十八年目、日本が起こした侵略戦争の中で、アメリカの空軍機による無差別攻撃で、東京でも十万人規模の犠牲者がありました。軍人だけでなく、大半は一般民間人、赤ちゃんや母親、お年寄りなどでした。
 改めて、戦争の悲惨さと平和を語り継ぐことの大切さについての認識を伺います。

○蜂谷文化振興部長 戦争の記憶を風化させることなく、次の世代に語り継ぎ、平和の大切さを伝えていくことは重要でございます。
 そのため、都は、東京都平和の日条例を制定し、毎年継続して、三月十日の記念式典をはじめ、東京空襲資料展の開催など、平和関連事業を実施しているところでございます。

○とや委員 今年も式典が行われておりました。戦争の記憶を風化させることなく、次世代に語り継ぐことは重要だと。ロシアのウクライナ侵略から一年が経過した今も戦争が続いている下で、今、本当にその立場に立って平和行政を進め、平和の大切さを発信し、戦争を許さない国際秩序を確立していくかが、東京都に、そして私たち一人一人に問われていると思います。
 平和を語り継ぐ取組の一つとして、先週を中心に東京空襲資料展が開催されておりました。この十年間の来場者数の推移を伺います。

○蜂谷文化振興部長 東京空襲資料展につきましては、令和元年度は新型コロナウイルス感染症の影響により中止となりましたが、この十年間は、おおむね九百人から二千人程度で推移しておりまして、平均は約千五百人でございます。

○とや委員 ちょっと経過が分からないんですけれども、平均は大体千五百人だということです。
 池袋の東京芸術劇場で行われた空襲資料展は、地下一階のシアターウエスト、イーストの入り口部分の大きなロビーに面したアトリエで開催されております。ロビーには資料展の看板や東京都平和の日条例などが大きく掲げられていることは、とても大事だと思いました。
 アトリエでは、軍用機と戦争、罹災者と北海道集団帰農などのテーマでの展示が行われ、毎年テーマを変えての展示が行われていることが分かります。
 そして、後でも述べますが、資料展でしか見ることができない、九人の東京空襲体験者の証言ビデオの上映がされておりました。
 最終日の土曜日に観覧した人によりますと、小さな展示室に常時十名ほどの人々が、入れ替わり立ち替わり訪れていたそうです。資料展が見たくて来た方、看板に誘われて入室した方、それぞれだと思いますが、やはり関心の高さ、平和の大切さを忘れないようにしたいという方々がたくさんいらっしゃるということだと思います。
 しかし、展示室は大変小さくて、東京空襲の全体が分かるような展示をするには、とてもスペースが足りません。
 例えば、同じ時期に、毎年、浅草公会堂で行われる東京大空襲資料展は、区民らの実行委員会によるものですが、空襲体験者の絵や焼失範囲を示した地図、焼けてゆがんだ食器などを展示し、展示を見に来た方々は、全てが焼けるというのはいかに大変なことかと絶句していたと報道がされています。
 昨年五月に亡くなった早乙女勝元さんが館長を務めていた江東区にある東京大空襲・戦災資料センターも、東京空襲の被害の全体像が、どんな方々が、どこでどのように被害があったのか、統計的にも、そして一人一人の方々にも焦点を当てて展示され、現在でも進化を続けています。
 今年の東京都主催の資料展は、東京芸術劇場をはじめ、府中市、町田市とも共催して都内三か所で行われています。都庁の議会棟の一階でも展示をされていました。私も拝見させていただきました。ただ、議会棟の一階は、議会関係者か、議会に用事のある人しか来ませんから、本当に見る人も少ない状況です。気がつかないで通り過ぎちゃったという人もいらっしゃいました。
 全体として多くの都民に戦争の悲惨さと平和の大切さを知っていただくには、まだまだ充実が必要だと思いますが、見解を伺います。

○蜂谷文化振興部長 東京空襲資料展につきましては、東京都のホームページや「広報東京都」、新聞、SNSの活用などにより、広く周知を図っております。
 来年度以降は、資料のデジタル化に着手いたしまして、より広く活用してまいります。

○とや委員 ホームページや広報に載せていただいているというのは存じ上げているんですが、やっぱり議会棟を見ますと、ちょっと閑散として寂しいなというふうに思います。
 戦争の悲惨さ、平和の大切さを伝え、発信していくためには、空襲犠牲者一人一人に対し、なぜ家族もあり、希望もあった人生の途中で死ななければならなかったのかに思いを寄せて、大切にしていくことが欠かせないと思います。そうした視点からの展示、また東京空襲の全体像が分かる展示へと、十分なスペースも確保して、学芸員さんなどの体制も増やして充実させていっていただきたいと思います。
 犠牲者一人一人の尊厳を守るという点で伺っていきたいと思います。
 東京大空襲の犠牲者は何人でしょうか。また、東京都平和記念館基本構想懇談会の報告に記載されている死者は何人なのか、伺います。

○蜂谷文化振興部長 昭和二十八年発行の東京都戦災誌によりますと、東京大空襲の死者数は八万三千七百九十三人でございます。
 東京都平和記念館基本構想懇談会報告には、東京大空襲での死者数は九万人にも及ぶと記載されております。

○とや委員 一方は八万三千七百九十三人、一方は九万人にも及ぶと。つまり、九万人に近いということで、人数にぶれがあります。
 三月十日以外の空襲も含めた東京空襲全体の犠牲者数も、東京都平和記念館基本構想懇談会の報告では、死者九万四千二百二十五人とされて、また、生活文化局作成の東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑のパンフレットでは、東京空襲などによる殉難者、約十万五千人と記載されております。
 東京空襲被害者の実態については、東京都関係の集計でも、集計によって数に違いがあり、また、東京都が公表してきた犠牲者数の根拠や経緯に曖昧さがあると、都民の方からご指摘を受けています。死者や犠牲者を一人一人の命とするのであれば、一人一人きちんと数えなければいけない、曖昧にせず、根拠を調べ、一致させていかなければならないというのが空襲を体験した方々の意見です。
 広島市では、現在でも新しい被爆者の遺品が見つかれば、その遺品は誰が使っていたのか、その方はどのような状況で被爆をしたのか、一つ一つ調べていると聞いています。
 東京都では、平和祈念館建設が凍結されたことにより、そうした努力がほとんど途絶えてしまっています。東京都平和の日条例は、第二次世界大戦の悲惨を我々は忘れることができないといっていますよね。都民一人一人の命の尊厳を尊重するために、研究者などの協力も得て、都として犠牲者数の解明や調査、検証などを進めていっていただきたいと思います。
 証言ビデオについても伺います。
 東京都は、世論に押されて、また、都議会各会派からの質問もあって、今年度、証言ビデオの公開、活用に向けて動き始め、来年度は六千四百二万円の予算が計上されました。
 昨年六月以降、証言ビデオ公開に向けた取組が行われているわけですが、アンケートの内容、また、回答などの具体的な進捗状況を伺います。

○蜂谷文化振興部長 証言映像につきましては、活用に係る同意や公開する場合の条件につきまして当事者の意向確認を行っており、一月末現在で百十三人の方から公開や活用についての同意をいただいております。

○とや委員 現在は、たった九人の方の証言ビデオが、一年のうち三月の一週間程度の期間だけ、東京空襲資料展が開かれる会場でのみ視聴できるという状況です。これがずっと続いています。
 この証言ビデオも、私も本当に見たいと思っているのですが、まさに都議会の予算特別委員会などが開催されている時期で、なかなか行くことができません。都庁の大会議場で開かれる平和の日記念行事の際のロビーの展示でビデオも上映されているのではないかと行ってみたこともあるんですけれども、そこですら上映されていなかったということです。
 証言ビデオでは、一九九六年から九八年の撮影当時、六十六歳から七十五歳の方が証言されて、空襲当日の様子、どのように逃げたか、ご家族はどうしたか、空襲後の生活はどうだったか、財産を失った苦労などを語っていらっしゃると聞いております。
 もちろんお顔を出して語っていらっしゃいますし、ご自宅の玄関先での姿を映している方もいて、個人情報だから公開しないでほしいなどとみじんも考えていないとか、ご自身の体験や証言を語り継いでほしい、戦争の悲惨さを忘れずに、平和な社会、世界をつくるために役立ててほしいと願っていらっしゃることが伝わってくるそうです。
 一月末で公開を同意してくださった百十三人の方々はもちろん、証言してくださった方は、全員そうした思いでいらっしゃるのではないでしょうか。
 七十五歳の方は、空襲当時二十五歳、ご存命であれば、現在百二歳です。それを考えるだけでも、一九九〇年代のビデオ撮影がいかに重要だったかと思います。証言者の方々が語った事実、思いを、本当に大切に、埋もれさせることなく、いつでも誰でも見られるようにしなければいけないと改めて感じています。
 証言ビデオについてはどのように公開するのでしょうか。活用方法について伺います。

○蜂谷文化振興部長 証言映像の公開方法につきましては、今年度実施しております調査などを踏まえて検討してまいります。

○とや委員 平和の日記念行事企画検討委員をしている私どもの都議団の大山都議に説明をいただいていますが、証言者三百三十人に同意確認書を郵送して、一月三十一日現在で公開に同意してくださったのは百十三人だと。
 記入内容など要確認の方が十一人、映像を見てから確認したいなど保留の方が四人、郵便は届いたが返信がまだの方が五十二人、宛先不明で戻ってきたのが百五十人ということでした。まだ二百人以上の方々の同意が得られていない、これからだということです。
 十万人もの犠牲者から見れば、三百三十人という証言者はほんの僅かです。これらの証言を一つも埋もれさせてはならないと思います。
 少なくとも、連絡が取れない方を待っているのではなくて、新聞広告を出すとか、公開しておいて連絡を待つなどの方法も取って、公開ビデオの数を増やしていくことが必要だと思いますが、いかがですか。

○蜂谷文化振興部長 回答が得られていない方につきましては、引き続き、電話等による確認を行っているところでございます。

○とや委員 郵便だけでなくて、電話などの方法で確認も始めているということです。さらに、あらゆる方法で連絡をつけていただきたいと思いますし、どうしても連絡がつかなければ公示送達という方法もあるわけです。証言してくださった方は、公開して平和に役立ててほしいと思って証言したことは間違いありません。一つの証言も埋もれさせることのないようにお願いしたいと思います。
 また、証言ビデオや遺品、戦災資料は、デジタル化によるホームページなどで見られるようにすることも必要ですが、同時に、保管場所で児童や生徒、個人、グループなどがいつでも視聴、閲覧できるようにしてほしいとの要望も伺っております。
 いかがでしょうか。

○蜂谷文化振興部長 資料につきましては、来年度以降、デジタル化に着手し、より広く活用してまいります。
 活用方法につきましては、今年度実施している調査等を踏まえまして検討してまいります。

○とや委員 広く活用するということですから、ぜひ都民の皆さんのご意見もよく聞いていただいて、いつでも誰でも見ることができる、見て語り合うこともできる、できるだけ生の資料を見ることができる環境をつくってほしいと思います。
 広く活用できるという点では、学校や民間団体への貸出しなども以前から要望を伺っています。ぜひ検討していただくことを要望しておきます。
 さらに、撮影したままの証言ビデオは一時間くらいになるとも伺っています。生のままの証言も重要なんですが、同時に、都民や子供などが見やすく、分かりやすいようにしていくためには、ある程度編集をしたり、短くすることも必要になってくると思います。
 その際、やはり何をどう編集するかの判断は、東京空襲に関する専門的な知識が要りますし、同時に、空襲体験者のご意見を伺うことも重要です。学芸員などの充実や、体験者のご意見を改めて伺う機会を設けることなどにも取り組んでいただくことを求めます。
 新たな資料の収集についても伺います。
 東京都は、九〇年代に、平和祈念館の建設に向けて、都民の方から戦災資料を提供していただき収集してきましたが、現在は行っていません。
 世田谷公園の中にある世田谷区立平和資料館は、今でも資料を収集して、三人の専門員の方が運営し、常時、資料を入れ替えながら展示しています。区民から寄せられた戦争体験者のDVD、あるいは体験記のファイルも自由に読むことができて、資料の貸出しも行っています。子供たちの平和学習の場にもなっています。
 東京都でも、空襲犠牲者の証言や遺品は、引き続き収集していく必要があると思います。これまで、都の空襲関連資料をどのように収集してきたのでしょうか。
 また、世田谷区の平和資料館での取組をご存じでしょうか。伺います。

○蜂谷文化振興部長 東京空襲関連資料は、平成七年から十二年にかけまして設置されていた資料収集委員会において検討し、収集したものでございます。
 世田谷区立平和資料館が戦争に関する資料の収集、展示等を行っているということは承知しております。

○とや委員 九十歳近くなって、今までつらい思い出に口を閉ざしていた方が、ウクライナの戦争を目の当たりにして、やっぱり戦争の悲惨さを語らなくてはいけないと、初めて語ったという方もいらっしゃいます。
 空襲で亡くなった家族の遺品を手元に保存してきたけれども、平和の役に立つなら、見てくださる人がいるならと、今からでも提供したいという方もいらっしゃいます。ぜひ東京都でも、今、所有している資料の研究と活用を深めるとともに、戦争の体験の掘り起こしを再開し、後世に残していく取組も行ってほしいと思います。
 今、「ペーパーシティ」という映画が上映です。監督のエイドリアン・フランシスさんは、二〇〇〇年に来日して都内に住み続けてきましたが、東京大空襲のことは全く知らなかったそうです。
 東京大空襲は、原爆が投下された広島や長崎に匹敵する被害があったのに、東京には、ほとんどその痕跡がないことが奇妙だと述べていらっしゃいます。広島には平和記念資料館、長崎には原爆資料館があるのに、東京にはないことも不思議に思っていると語っていらっしゃいます。
 今日、私がるる申し上げたことを実現していくためにも、平和祈念館の前にできることはたくさんありますが、やはり平和祈念館をしっかり建設し、平和行政を位置づけ、体制を厚くして、いつでも平和への思いを新たにすることができる、発信も研究もできるようにしていくことが必要だと思います。
 平和祈念館建設に向けて、都が議会に提案し、検討を開始していただきたいと思いますが、いかがですか。

○蜂谷文化振興部長 東京都平和祈念館(仮称)の建設につきましては、平成十一年の予算審議におきまして、都議会の合意を得た上で実施することとの付帯決議がなされた経緯があり、都議会での一定の審議と合意が必要であると考えております。

○とや委員 従来の答弁を繰り返されましたけれども、ここを乗り越えなきゃ駄目だと私は思っています。
 付帯決議当時の理由の一つとされた都の財政状況は、大きく改善されているじゃありませんか。来年度の一般会計の予算規模は、過去最大の八兆四百十億円にもなっているわけです。
 議会はもとより、都民世論、マスコミ報道などでも、建設を求める声は日に日に大きくなっています。議論するにも、生活文化スポーツ局からの提案が必要です。
 東京都は、平和国家日本の首都として、世界の都市と連携し、文化交流等の推進に努め、人々の相互理解に立脚した国際秩序の形成と恒久平和の実現に貢献する責務を深く認識し、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓い、ここに東京都平和の日を定める、これが東京都平和の日条例です。
 ここに立脚をして、都の責務を認識し、平和祈念館建設に向けた前進を開始していただくことを強く求め、この質疑は終わりまして、次の質疑に移ります。
 朝鮮学校について伺います。
 東京都は、私立外国人学校に対して教育運営費補助を出していますが、十三年前、都内朝鮮学校のみ補助を打ち切りました。こうした中、多くの方々が差別的扱いに抗議をして、復活を求める取組が粘り強く続いてきました。
 二〇二一年四月には、誰一人取り残さないこと、子供は権利の主体であること、学ぶ権利、差別禁止を明記した東京都こども基本条例が議員提案で成立をしています。子どもの権利条約の理念も入り、都民からは歓迎されています。
 都議会でも、朝鮮学校について、自民党、公明党、日本共産党、立憲民主党など、超党派の議員が参加する勉強会も行われてきました。その勉強会を経て、東京都には都民の要望書が届けられていますが、子供たちや保護者からもたくさんの声が届いています。
 私も読ませていただきましたが、子供たちからは、例えば、僕にとってウリハッキョは授業だ、休み時間は将棋をしたり、サッカーをしたり、鬼ごっこをしたりして楽しい、それから朝鮮語や朝鮮文化を学びたい、こうした朝鮮学校の子供たちが差別に遭いながらも、学校が楽しくて、また、自分の祖国のことを知りたいという学習意欲を持ちながら学んでいることがつづられています。
 一方で、僕たちを仲間外れにしないでとか、在日の皆さんのことを全く知らない議員もいて傷ついたとも述べています。
 国籍、信条、社会的身分に関係なく、多様性を受け入れることが当たり前の社会を子供たちのためにつくっていきたいと書かれた保護者の文章もありました。
 二月十日に都民が生活文化スポーツ局に届けたこれらの要望書や子供たちの声を、知事に渡していただけましたか。そして、生活文化スポーツ局長、さらに担当部局などで受け取り、共有し、読んでいただけましたか。
 お答えください。

○戸谷私学部長 東京都として、要望等の内容については確認してございます。

○とや委員 では、局長に伺います。
 読んだのであれば、その受け止め、感想を述べてください。(戸谷私学部長発言を求む)局長です。

○戸谷私学部長 学校に通う子供たちや保護者の皆様の思いが書かれておりました。

○とや委員 何で局長は答えないんですか。局長に聞いているんですよ。局長の感想を聞いているんですよ。ちゃんとお答えください。

○横山生活文化スポーツ局長 ただいま私学部長から答弁申し上げましたとおりでございます。

○とや委員 今日は、傍聴者の方もいらっしゃっているんですよ。ちゃんと聞こえるように感想を述べていただきたかったです。
 学校に通う子供たちや保護者の思いが書かれていたということを述べていただいたのは、よかったと思います、ちょっと素っ気ないんですけれどもね。全部お読みいただいたのであれば、その声に応えた対応をお願いしたいと思います。
 子供たちや保護者の声の中には、こども基本条例が成立したことをとても喜んでいる声もたくさんありました。制定された条例をすばらしいと思いましたと述べていますが、一方で、条例ができても差別され続けていることに傷ついているということも分かりました。
 昨年制定された東京都こども基本条例は、多くの人に歓迎されていますので、全部紹介したいくらいですが、このこども基本条例の前文、大事なところなので読んでいただきたいんですが、四段目、四パラ目は何と書いてありますか。読んでください。

○戸谷私学部長 全ての子供が誰一人取り残されることなく、将来への希望を持って、伸び伸びと健やかに育っていく環境を整備していかなければならないと書かれております。

○とや委員 ぜひこの立場を堅持し、子供たちが伸び伸びと健やかに育つ環境を整備する、都に課せられたこの任務をしっかりと認識していただいて、施策を実行していただきたいと思います。
 では、東京都こども基本条例の対象は、朝鮮学校の子供たちも含まれますか。

○戸谷私学部長 東京都こども基本条例に規定されております子供とは、全ての子供であると認識してございます。

○とや委員 朝鮮学校の子供たちも含まれるということです。当たり前のことですけれども、そういうふうに答えていただいたということです。
 では、もう一つ聞きます。
 私立外国人学校教育運営費補助は要綱で規定されていますが、条例と要綱では、どちらが上位法ですか。

○戸谷私学部長 条例であると認識してございます。

○とや委員 こんなことを一々一々聞かなきゃならないのも情けないんですけれども、都は、補助要綱で、別途知事が定めるまでの間、指定対象から除くという文言を、この要綱で追加して、十三年前からそのままです。
 しかし、今読んでいただいたこども基本条例は、誰一人取り残さないことが書いてあるではありませんか。そして、この条例の対象には、朝鮮学校の子供たちはちゃんと入っているとご答弁されました。
 条例に照らせば、都の制度からあえて排除したりすることは許されないはずです。朝鮮学校の補助金停止は、子供たちを排除するということに匹敵し、条例違反といわれても仕方ありません。条例に合わせて見直しをすることを強く求めておきます。
 ここからは、子供たちや保護者は大変傷ついているわけですが、生活文化スポーツ局のこの間の答弁についてです。二〇一八年の私の質問に対しても、それから、先日の都議会本会議でも述べた補助金停止の理由です。
 判断の根拠を述べてください。例えば、アンケートを取ったとか、住民投票でもされたのでしょうか。

○戸谷私学部長 東京都として判断したものでございます。

○とや委員 都として判断したということです。この間、都は判断の理由を明確にできていません。それは、朝鮮学校が要綱の要件が外れるわけでも、法令に違反しているわけでもないからです。
 根拠にもならない理由で、補助金は十三年間停止されてきました。その際、都が使ってきたのが都民という言葉です。都として判断したのなら、都民に責任を押しつけるようなことはやめるべきです。
 そこで、都が責任を押しつけている都民について伺いますが、都民の定義を教えてください。都民の要件は何でしょうか。

○戸谷私学部長 東京都の住民でございます。

○とや委員 そうです。東京都の住民は都民なんですよ。朝鮮学校の子供も、保護者も、先生の多くも都民です。住民税も払っており、正真正銘の都民ではありませんか。
 東京都は、補助実施を決めた一九九五年、当時の資料では、実施理由の一つとして、都内に定住する外国人は都民として納税の義務を負っており、教育費の一定額を補助することにより、教育の充実と負担の軽減を図ることが適当であると書かれております。東京都は、その都民を、子供たちを差別しているわけです。
 しかも、先ほど述べましたが、都議会では超党派で勉強会も行われているわけですよ。東京都こそ理解をしておらず、大きな矛盾を抱えていると思います。その矛盾を起こしたきっかけが、議員の意見と当時の石原都知事の発言なんですけれども、こうした経緯を考えると、これは世界から見ても本当に恥ずかしいことだと思います。
 そこで伺っておきたいのですが、二〇一〇年以降、国連の人権関係、子供の権利関係の勧告が出ていますが、どのようなものが何回出ていますか。
 そして、国と都は、これらの勧告などにどのような対応をしてきたのでしょうか。

○戸谷私学部長 ご指摘の勧告は、国に対して発出されたものであると認識してございます。都として受け取っているものではございません。
 なお、ウェブサイト等で確認したところ、国連の人種差別撤廃委員会及び子どもの権利委員会から、二〇一〇年、二〇一四年、二〇一八年に総括所見が出されてございます。

○とや委員 今、国に対して発出されたものといいましたけれども、とんでもありませんよ。国連子どもの権利委員会からは、中華学校や朝鮮人学校など、児童のための学校の補助金が少な過ぎることを懸念する内容が二〇一〇年に出されているじゃありませんか。停止どころか、拡充を求めているではありませんか。
 二〇一四年には、国連人種差別撤廃委員会から、朝鮮学校に対し、地方自治体によって割り当てられた補助金の停止あるいは継続的な縮小を含む、在日朝鮮人の子供の教育を受ける権利を妨げる法規及び政府の行動について懸念するという総括所見が出ています。
 日本国内でも、弁護士会から、補助金停止について批判の声明などが出ています。
 人権を尊重する立場から批判と勧告が出されているんです。ところが、勧告を、国も都も、ことごとく無視してきました。
 こども基本条例にも逸脱し、世界標準から大きく立ち遅れていることを認識していただき、やっぱり態度を変えていただきたいと思います。
 朝鮮学校とこども基本条例については、先日の都議会の本会議では、他党の方々が質問されていました。東京都は、基本条例を認めながらも、施策の性質を踏まえて判断などと答弁もしています。こうした答弁が、さらに当事者を傷つけているんです。
 それだけではありません。各種学校そのものが、他の学校種、専修学校などと比較しても、補助メニューが少なくて、補助金の額が少ないのも現状なわけです。
 施策の性質を踏まえてというふうにいっているんですが、例えば、朝鮮学校は各種学校に分類されていますが、各種学校が対象となっている補助制度で朝鮮学校に交付されているものにはどんなものがあり、なぜ補助しているんですか。

○戸谷私学部長 校舎等の耐震工事等の補助や、新型コロナウイルス等感染防止のための保健衛生用品等の購入費補助がございます。
 例えば、耐震工事補助につきましては、法律の改正により、学校の設置者に対して耐震化への努力義務が課せられたことを受けて、都内全ての私立学校を対象としてございます。

○とや委員 国の補助、例えば耐震補助は、法的に位置づけられ、義務だから補助をすると。国が専修学校を対象として補助していたものを、都は、単独補助で各種学校の耐震化も補助をしているわけです。これは、必要性を認め、筋が通っていると思います。つまり、都の判断でどこを対象にするかを決めることができるわけです。
 しかし、都は、新型コロナウイルスの補助などは朝鮮学校も含めて各種学校も補助しているのに、外国人の学校運営費の補助だけは補助しないという立場です。これは全く筋が通らないと思います。ほかの外国人の学校も対象とした各種学校に補助しているものは、朝鮮学校にも交付しなければならないんです。
 さらに、もう一つの問題として、子供が通う学校については、専修学校も各種学校も区別なく支援を行うべきです。
 都のホームページを見ますと、東京には各種学校が六十五校ぐらいあるんですが、その支援のメニューを見ますと、例えば、専修学校や一条校のみの補助としているものには、体育館の空調機導入補助あるいは学校のCO2排出削減の促進、ICT機器、校内無線LAN、校務支援システムの補助もあります。
 しかし、この中には、都の単独補助があったとしても、各種学校が対象になっていないものがありますよね。
 各種学校は、朝鮮学校のように、資金繰りに苦労しながら運営している学校が多いです。例えば、猛暑の夏、西東京朝鮮第一初中級学校では、エアコンの故障で、買換えの費用をなかなか用意できなかった、だから、クラウドファンディングで集めたそうです。子供たちの教育環境に責任を持つ私学行政としてどうなのかと私は思います。
 ぜひ、朝鮮学校をはじめ、子供たちが学ぶ学校に補助をしていただけるよう要望しておきます。
 次に、東京都がいまだにホームページに掲載している朝鮮学校の報告書について伺います。
 私は、この報告書を初めて読んだのは二〇一八年でした。一度掲載をやめたのに、小池知事になって再度アップしたと聞きました。そして、読んで本当に驚きました。こんな調査を東京都はやっていたのかと。まるで戦前、戦中の弾圧のように思いました。なぜ学校の教育内容にここまで介入するのか。しかも、補助金の要件とは何の関係もないのに、教科書の内容までチェックしている。このようなことをする権利は東京都にはないと思います。
 ホームページには、今でも報告書が載っています。
 この報告書ですが、調査に入ったのはいつですか。そして、補助金を停止する前なのか、後なのか、併せてお答えください。

○戸谷私学部長 平成二十二年度に補助金の交付を凍結いたしまして、平成二十三年十二月から平成二十五年十月にかけて調査を実施しております。
 調査実施後の平成二十五年度に、正式に不交付を公表してございます。

○とや委員 調査の前に、既に補助金を停止しているんです。順序が逆じゃないですか。今のご答弁で、朝鮮学校への調査は、補助金停止の理由ではないことが分かりました。
 当時の石原知事は、朝鮮学校への補助金は、かつて都議会の要望を受けて創設された経験があるから、まず、議会の方でしっかり議論をしてもらいたいと述べたのですが、その議論を待たずに補助金は停止されたそうです。
 朝鮮学校が補助金の要綱の対象が外れたとか、法令違反を起こしたわけではないのに、その後、都議会でも朝鮮学校への攻撃が行われ、在日朝鮮人を標的にしなければならないと公言をしたと聞いています。
 調査書が公開され、石原知事は、徹底的に、長時間、アトランダムに、たくさんの人を張りつけてやると記者会見で述べたとも聞きました。
 なぜここまで敵意をむき出しにしなければならないのでしょうか。そして、その対応が今でも続いていることに、私は本当に異常さを感じます。
 さっきは平和祈念館の話をしましたけれども、日本はかつて、戦争で朝鮮半島を植民地支配したんですよ。日本で働くことを余儀なくされた人たちは二百万人を超えています。日本の敗戦後も六十万人の人々が日本に残らざるを得なくて、今日に至っています。
 政治や外交という国同士の問題を、一般人も巻き込む、子供たちまで巻き込む。何の罪もない人たちを敵視し、権力を使って抑えつける。私はそこにファシズムを感じます。
 都は、調査に入った際、朝鮮学校に対し、反日教育を行っているのかと聞いていますよね。
 どうだったのですか。

○戸谷私学部長 過去に実施した調査におきまして、朝鮮学校は、反日教育をしているとは全く思わないと説明をしてございます。

○とや委員 これも当たり前です。こう答えていらっしゃいます。反日教育をしているとは全く思わない、国家や民族によって歴史観は様々である、朝鮮が植民地となった歴史について、事実として教えている、朝鮮学校では、文化、スポーツなど日本社会と様々な交流をしており、生徒たちは反日的な考えを持っていない、このように答えたんです。
 先日、私は、板橋の東京朝鮮第三初級学校に行きました。ここは住宅街の中にあるんですけれども、地域の子供たちも一緒にサッカークラブもやって、学校の校舎を使って、その活動を行っていると聞きました。
 ほかの日にはチャリティーイベントにも参加をさせていただいて、日本人も朝鮮人も関係なく、子供たちを真ん中に置いて、歌や踊りを楽しみ、朝鮮の文化を堪能させていただきました。
 このとき、日本の支援者の皆さんが、スタッフとして汗をかいてお手伝いをしていました。手作りのキンパやチヂミ、朝鮮の食文化にも触れることができたわけです。多文化共生とは、こういうことじゃないでしょうか。ゆがんだ考えは、いいかげんに改めるべきです。
 確認しますが、過去に実施した朝鮮学校への調査報告書において、教育課程に関する記載があったかと思いますが、どのようなものでしょうか。

○戸谷私学部長 調査報告書の内容調査の前段に当たります朝鮮学校の概要といたしまして、教育課程及び週当たりの科目別授業時間数等について、初級、中級、高級部において、国語−−これは朝鮮語です−−や朝鮮歴史等の民族科目があることや、体育、家庭のように、日本の学習指導要領に比して授業時間数が少ない科目があること、道徳、総合的な学習の時間が設定されていないことなどを除けば、おおむね日本の学校に準じた教育課程となっていると記載しております。
 なお、調査につきましては、授業の様子等の教育内容や学校運営、施設財産について、より具体的に確認し、その結果を報告書に記載しているところでございます。

○とや委員 調査を行うこと自体、問題なんですよ。その上で申し上げますが、学校の教育の内容も、何の問題もありません。むしろ、日本で暮らし学ぶ子供たちがアイデンティティーを育むために自分のルーツを知る、祖国の歴史や文化、言葉を学ぶことは、とても重要だと思います。私たちの国と置き換えれば分かることですよ、反対だったら。
 この調査がどうして行われたのか、何を根拠にして行ったか分かりませんけれども、要綱にも法令にも違反していないのに、子供の学校に踏み込んでいく。許されないことですよ。
 そこで伺っておきたいのですが、東京都は、朝鮮学校以外の外国人学校に調査を行っていますか。

○戸谷私学部長 朝鮮学校の運営等の実態を確認するために平成二十三年十二月から平成二十五年十月にかけて実施した調査と同様の調査を、ほかの外国人学校に対して行ったことはございません。

○とや委員 どこの学校にも調査は入っていないんですよ。そんな権利は東京都にないからです。つまり、朝鮮学校だけをターゲットにして調査に入って、見せしめ的にホームページに掲載しているんです。こんなことは、もうやめるべきです。こうした都の行為が、どんな事態を招いているか、ご存じですか。
 補助金の停止がヘイトを助長しています。二〇一九年五月に、練馬区において、高校授業料無償化だとか、朝鮮学校の補助金復活を求める活動がありました。この活動に対して威嚇する行為があって、東京都人権条例に基づき、二〇一九年十月にヘイトスピーチと認定されていますが、それについてご存じですか。

○戸谷私学部長 威嚇行為がヘイトスピーチと認定されたことについては承知をしてございますが、ご指摘の活動の詳細までは承知してございません。

○とや委員 国が高校授業料無償化から朝鮮学校の子供たちを排除し、東京都は朝鮮学校への補助金を停止していることが、こうしたヘイトスピーチにつながって、子供たちが危険にさらされているんです。まち中でチマチョゴリを着ることもできなくなっています。一刻も早く停止を解除して、補助金交付の決断をすべきだと思います。
 私の地元練馬では、毎月二十日、区内のどこかの駅で支援者や生徒や先生たちが宣伝し、スピーチをしています。今年に入ってから、一月も私も一度参加しましたが、生徒がスピーチをしているときに、死ねという、絶対にいってはならない言葉を投げつけた人がいました。ツイッター上でも、議員や匿名のアカウントが心ない言葉で罵り、拉致やミサイルを理由に無償化排除や補助金停止を正当化しています。
 しかしですね、皆さん、子供たちは何の関係もないんですよ。これは誤った認識から発せられた言葉じゃないですか。
 お答えください。

○戸谷私学部長 ツイッター上での発言につきましては、コメントする立場にはございません。

○とや委員 コメントする立場にないといいますが、朝鮮学校の子供たちの問題については所管局なんです。子供たちは、日々、危険にさらされています。それは、東京都が補助金を停止し、報告書をいまだにホームページに上げていることも一つの要因になっているんです。現状をもっともっと知ってほしいと思います。
 それでは、聞きたいと思うんですが、マイノリティーの子供たちの権利についてです。
 都の補助金停止は、マイノリティーの子供たちの権利侵害といっても過言ではありません。極端にいえば、対象が子供一人あるいは二人であっても、多数の有権者の声だからと権利を侵害すること自体、許されないのではないでしょうか。
 人権条約や子どもの権利条約、こども基本条例に照らしても、子供の権利は最優先に守らなければなりません。その立場で判断をしてもらいたいと思います。
 都としての認識を確認したいと思いますが、マイノリティーの子供の権利保障は大切ではないでしょうか。

○戸谷私学部長 東京に集う多様な人々の人権が誰一人取り残されることなく尊重され、人権尊重の理念が広く都民等に一層浸透していくことが重要であると認識してございます。

○とや委員 誰一人取り残されることなくということなんです。子供は、国籍を問わず社会の宝物です。そして権利の主体です。だから、最大限の権利保障を大人が行うべきなんです。民族や学校の種別で差別することは、子供は社会の宝という立場から、最も逸脱した態度だと思います。
 この際、東京都が本気になって人権尊重の立場に立って、こども基本条例を実効力あるものとするために実践していくことが重要です。それが誤った認識や誤解を解消していくことに必ずつながっていきます。そのための一歩を踏み出し、補助金の交付をしていただきたい。都内の朝鮮学校全てに補助金交付をしていただくことを強く求めて、この質問を終え、次の質問に移ります。
 男女平等参画推進総合計画の第三者機関についてであります。
 推進計画が二二年三月改定されました。二二年度から二六年度までの五か年の計画として計画事業数、それは都の施策とか、都民、事業者の取組、九百二十二事業を掲載しています。
 その中で、私も審議会の委員の一人として意見を述べさせていただいた、ジェンダー平等、男女平等参画を進めていくための第三者機関の設置が盛り込まれました。素案の際にも委員会でも意見を述べましたが、歓迎しつつ、実効性のある機関として運営していただきたいと思います。今日は、その立場から、第三者機関に絞って質問をさせていただきます。
 これまで東京都には、男女平等参画推進総合計画について進捗をチェックしたり、評価、分析する機関はありませんでしたが、唯一あったといえるのは、男女平等参画基本条例十一条、年次報告が義務づけられております。
 知事が年次報告を出すこととされていますが、これまで、誰がどのように年次報告を出してきたのでしょうか。

○樋口男女平等参画担当部長 男女平等参画の状況、男女平等参画施策の実施状況等について取りまとめ、都として公表しております。

○とや委員 年次報告は、各事業や予算の実施状況を取りまとめたもので、評価も分析もありません。
 では、男女平等参画推進総合計画では第三者機関の設置が示されたわけですが、これまでの年次報告とどのように違うのか、教えてください。

○樋口男女平等参画担当部長 男女平等参画推進総合計画を着実に推進し、その実効性を確保するため、第三者機関が達成状況について把握し、意見を述べることとしております。
 男女平等参画施策の実施状況等につきましては、これを踏まえ公表することとしております。

○とや委員 第三者機関とこれまでの年次報告の違いは、とても大きいと思います。それは、計画を推進していく、実効性を確保することが目的となっているからです。生活文化スポーツ局のみの取組にとどまらず、全局を挙げて推進計画の事業を効果的に実施していくための機関として機能していただきたいと思います。
 そこで確認です。第三者機関の位置づけと役割、重要性について、改めて示してください。また、その機関はどこに担っていただくことになるのか、お答えください。

○樋口男女平等参画担当部長 第三者機関は、男女平等参画推進総合計画を着実に推進し、その実効性を確保するために設置する必要がございます。
 女性も男性も輝くTOKYO会議を第三者機関として位置づけることとしております。

○とや委員 今、答弁が、総合計画を着実に推進し、実効性を確保までは前の答弁と同じなんですが、そのために必要と考えたということです。審議会の中でもこの意見を述べさせていただいたし、女性差別撤廃アクションの方々なんかも、第三者機関は大事ですよということをずっといってきたわけで、設置されたことは本当によかったなと思います。
 そして、その機関は、女性も男性も輝くTOKYO会議だということです。全部じゃないのですが、これまでの議事録も読ませていただきました。委員が一言ずつ出身団体の取組を述べているという感じでありましたが、すごく多くの委員が一堂に会しているため、本当に深まるのかなと思いました。
 そこでちょっと確認しておきたいんですが、女性も男性も輝くTOKYO会議は、どのような委員で構成されて、これまで年に何回会議を行ってきたのか、今後、第三者機関として設置された後、どのような役割を担っていくのか、会議の回数も併せて伺います。

○樋口男女平等参画担当部長 女性も男性も輝くTOKYO会議につきましては、三十二の民間団体及び三名の学識経験者で構成し、年二回開催しております。
 来年度は、第三者機関として年二回の開催を予定しております。

○とや委員 これまでも二回、来年度からも二回と。これだけ多くの委員がいて、年二回でどうやって第三者機関の役割が果たせるのでしょうか。
 ちょっとここで聞いておきたいんです。分科会とかは設けるのでしょうか。どうですか。

○樋口男女平等参画担当部長 分科会の設置の予定はございません。

○とや委員 分科会も設けないと。年二回では、結局、東京都の事務局が主導して行うことになりかねないと思います。
 しかも、専門家は三名だけと。公募の都民もいないと聞いています。
 しかも、この会議体の構成を拝見しますと、事業者の代表が多いですよ。むしろ評価される側の人たちじゃないかと思いました。
 もうちょっとよく考えていただいて、本気で計画の推進をしていくためにはどうしたらいいか、どのように会議を持ったらいいか、検討してほしいと思います。
 そして、今後は評価、分析も行っていくということなので、私はとても期待していたのですが、計画には、都の男女平等参画推進総合計画の状況に関する調査、情報収集及び分析を行い、その達成状況を第三者機関を設置し把握していきますと書かれておりますが、情報収集や評価、分析は、TOKYO会議が行うのでしょうか。

○樋口男女平等参画担当部長 情報収集及び分析につきましては、東京都が実施いたします。

○とや委員 結局、分析も東京都が行うと。本来、都の役割としては事務局的な役割を担ってもらって、第三者機関の委員さんが意見を述べて、その意見を集約して、議論の材料として第三者機関に提供し、第三者機関が評価、分析も行うというのが筋じゃないと私は思うんですが、そうはなっていないわけです。
 計画の体系ごとに事業などの評価も必要になると思うんですが、これはどうなるのか、各局の自己評価はどういうふうに行っていくのか、また、第三者機関の皆さんは、どういう指標だとか基準で意見を述べることになるのか、そこら辺は決まっていますか。

○樋口男女平等参画担当部長 各局において、具体的な数値目標を設定するとともに、男女平等参画の状況に関する調査、情報収集及び分析を行い、その達成状況については、第三者機関が把握し、意見を述べることとしております。
 女性も男性も輝くTOKYO会議は、経済団体や医療、教育など幅広い分野を代表する方々や学識経験者を委員としており、それぞれの立場からご意見をいただくこととしております。

○とや委員 評価の基準もつくらないで、どうやって分析ができるのかと思います。学識経験者の皆さんは、どういう役割を発揮してもらえるのか。せっかく設けた第三者機関を効果的に活用すべきだと思うんです。
 この会議で集約されたものは、各局、担当局にフィードバックしていただくということになっていくと思うんですけれども、ちょっと仕組み、これからですので、もうちょっとよく検討を重ねていただきたいと思っているんです。
 報告書は策定するのか、それを広く都民に公開するのか、この二点をお答えください。

○樋口男女平等参画担当部長 女性も男性も輝くTOKYO会議の会議資料及び議事録を都のホームページで公表する予定でございます。

○とや委員 そうすると、今までと同じなんですよ。今でも、会議資料だとか議事録は都のホームページで公開しているんです。もうちょっとブラッシュアップしてもらうというか、拡充してもらいたいと思っています。
 それに加えて、広く都民に意見をもらえるように報告書としてまとめてもらいたいと思っています。
 例えば、埼玉県は、審議会が役割を発揮して、計画の評価、分析をしています。目黒区は、審議会が区長から諮問を受けて答申という形で提言を発表しています。以前、私、東久留米を紹介したのですが、評価の視点を十つくって、公募市民が手弁当で一生懸命評価を、何度も何度も集まって行っています。そのくらいの構えが必要じゃないかと思うんです。
 埼玉県や目黒区の、計画について第三者機関の評価方法について、今ちょっと紹介しましたが、ご存じですか。

○樋口男女平等参画担当部長 埼玉県及び目黒区では、男女平等参画施策の実施状況等について、審議会が審議や評価等を行い、意見を述べることとされていると承知しております。

○とや委員 例えば、目黒区の答申を読みますと、対象となる事業ごとに指標の目標値があって、提言があって、分析の着眼点も設けて分析しているんですよ。評価の理由まで記載されていました。
 東京で本当に新たな取組が始まるわけです。ほかの自治体も参考にしながら、ぜひ第三者機関を機能させていただきたい、魂を吹き込んでいただきたいと申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○斉藤委員 立憲民主党の斉藤りえです。
 まず、デフリンピックについて質問をさせていただきます。
 二〇二五年にデフリンピック東京大会が開催されることが決定し、各所において準備が急ピッチで進められていると存じております。時間が限られている中で、できることを模索しながら、よりよい大会にすること、単なるイベントではなくレガシーが残る大会にしていくことが求められています。
 そのような状況においては、コミュニケーションの部分は大会運営の肝になると考えています。特に手話の問題は、国際手話人材が不足しているという、とても難しい状況にあると認識しています。
 そこで、国際手話人材を育成していくことが急務と考えていますが、どのような対応を考えているのか、お伺いさせてください。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務 デフリンピック大会において、大会主催者である国際ろう者スポーツ委員会や各国選手団等とのコミュニケーションを円滑にするため、国際手話ができる人材の育成が必要です。
 そのため、都は来年度から、国際手話育成講座の受講費用の支援を行い、大会までに百六十人程度を育成してまいります。

○斉藤委員 釈迦に説法ではありますが、人材育成は容易ではありません。言語の習得はとても難しいことは、ここにいる誰もが理解していることだと思います。手話言語においても同様で、さらに国際手話となると、多くの英語の通訳者を短期間で育成していくことに通じるほど大きなチャレンジであると認識しています。ぜひ予算措置も含め、積極的な取組をお願いいたします。
 また、コミュニケーションは国際手話だけではありません。日本の聴覚障害者同様に、各国の聴覚障害をお持ちの選手団の皆さんも、必ずしも手話を習得している方ばかりではありません。実際にブラジル大会では、英語表記による案内やピクトグラムなど、文字やイラストを活用した情報発信が有効であったと報告を受けています。
 多様なコミュニケーション手段を確保していくことはもちろんのこと、社会のデジタル化が進む中でのテクノロジーへの期待も高まる大会になると想定されます。
 そこで、東京都として、どのようなコミュニケーションの形を二〇二五年に向けて目指していくのか、お伺いさせてください。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務 二〇二五年に開催する世界陸上とデフリンピックを契機に、日本の最新技術を活用し、ユニバーサルコミュニケーションを促進していくことは重要であります。
 このため、都は、都庁各局等が実施する各種展示会等におけるPRとともに、競技会場等における技術活用の実証を進めてまいります。

○斉藤委員 さきにも述べましたが、やはりレガシーを残していくという視点は、とても重要であると認識しています。後世において、二〇二五年の東京大会を機に大きく変わったといわれるような文化を形成していく、そこを目指していただければと思います。
 そうした意味では、技術や大会運営、おもてなしなどが個別に存在するのではなく、大きなグランドデザインというのか、全体を通したビジョン、ストーリーに沿って描いていくことが不可欠であると考えています。
 デフリンピックとは直接的なつながりにはなりませんが、先日実施された、つながる音楽会は、とてもすばらしいイベントでした。私も、聞こえないながらも、スクリーンに歌詞が表示されるなど様々な工夫がなされていて、会場で楽しむことができました。そして、多くの人と感動を共にすることができました。こうしたインクルーシブな取組は、まさにデフリンピックの機運醸成にも有効であると感じました。
 こうした取組をデフリンピックの機運醸成にも大いに活用していくべきであると感じましたが、ご見解をお聞かせ願います。

○工藤事業推進担当部長 都はこれまで、チャレスポTOKYOやBEYOND STADIUMなどのパラスポーツのイベントにおいて、音が聞こえにくい方に向けて文字配信などを実施してまいりました。
 デフリンピックの機運醸成における各種イベントの実施に当たっても、会場アナウンスの文字配信や情報保障機器の展示などにより、ユニバーサルコミュニケーションを促進してまいります。

○斉藤委員 既に時代も社会も大きく変わり、こうした工夫が社会の至るところで見られるようになりました。これは、これまで皆さんが積み重ねてきた取組が確実に社会に広がっていることの表れであるとも受け止めています。
 障害の有無や言語や人種の違いを超えて、共にその場で感動できる環境が整いつつある中で、そうした取組の延長線、そして通過点としてデフリンピックもあり、目指すべきは、より豊かな共生社会であるという大きなビジョンが大切であると感じています。
 ぜひ、すばらしい取組を単発のイベントなどにするのではなく、つながりの中で生かし、デフリンピックはもちろん、共生社会の機運醸成に寄与していただければと考えています。そうした機運の高まりは、デフリンピックへの関心や協力を得ることにも大きくつながっていきます。
 デフリンピックの開催資金は約百三十億円と試算をされていますが、民間からの幅広い協力を得ることが重要と考えていますが、ご見解を伺わせてください。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務 デフリンピックは、共生社会の実現に向けたはずみとなることから、二〇二五年大会を民間、国、東京都などの関係機関が協力しながら支えていくことが重要であります。
 そのため、大会の財源については、民間から幅広く支援いただけるよう、大会の意義や魅力等を発信するなど、大会の機運醸成に取り組んでまいります。

○斉藤委員 ぜひ、大会の趣旨、目指すべき共生社会のビジョンを広めながら、幅広い方々にご理解をいただければと思います。これは、単に資金を集めるということだけではなく、このファンドレイズを通じて、より主体的に、自分事に共生社会を考えていく市民を増やしていく運動でもあります。
 私たちも積極的に活動し、多くの方々にご理解をいただき、賛同してもらえるように取り組んでいきたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

○清水委員 何とか頑張れば九時に終わるようでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 私からは、予算の部局別審査、生活文化スポーツ局でございますが、ちょっと柄にもないんですけれども、多文化共生社会について、ちょっとやらせていただければなと思います。
 在留外国人の数が増え続けているというのは、もうお話しになっているとおりでございますけれども、私の地元は立川市なんですが、そこでも大変多くの外国人の方を目にするようになりました。
 もとより、立川市というのは基地のまちでございますので、その昔、戦後は立川基地がアメリカ軍に接収されておりましたので、フィンカム基地といいまして、米軍の方向けの夜のご商売なんかもありまして、小さい頃は、そこには行っちゃ駄目だよなんていわれていたのですが、それとは別に、横田基地というのも立川市内にはございます。Yナンバーをつけた車が五日市街道を往来していると。
 つまり、立川の方にとって、外国人というのは見慣れている存在であるわけなんですが、それとは全く別の形で、例えば西にあります都営のアパートなんかでは、自衛防災組織に、どう見ても外国籍みたいな方が一生懸命応援しているという姿もありますし、私もたまには西武線の駅に、朝、街頭で立ったりなんかするんですが、八時近くになりますと、多分、あれは村山の方に行っているんじゃないかと思われるのですけれども、会社勤めに、出勤に急いでいる外国人の方に対して、一生懸命お訴えをさせていただいているというような事態であります。
 最近はコロナということで、そういった外国の方の増え方もあまり顕著になっていないんじゃないかなと思っているわけでございますけれども、これから先、東京都が今後も発展するためには、やっぱりこれは、外国人の方も東京で活躍できるようなことが大切だと思うわけであります。
 今月の初めでしたか、G-NETS Leaders Summitというんですか、小池知事が頑張っていらっしゃいまして、多文化共生の実現というのも共同声明の中に入ったようでございます。
 これから先、東京都がグローバルな社会のリーダーシップを取るためには、しっかりと多文化共生社会をつくっていかなければならないのですが、しかしながら、どうしても言語ですとか文化が異なる外国人というのは、日本で生活するためのルールなどが分からないといったような様々な困難を抱えているんじゃないかというふうに聞いております。
 区市町村では、このような困難を抱えている外国人の様々な相談に応じているようでありまして、その状況は地域によってまちまちであるというふうに聞いております。外国人の方が東京のどこに住んでも安心して暮らせるようにしていく、そのためには、生活ですとかコミュニケーションのサポートというのをしっかりとやる必要があろうかと思います。
 そこでお伺いしたいと思うんですが、広域自治体であります東京都は、現在、つながり創生財団というのを設立いたしまして区市町村を支援しているようでございますけれども、外国人相談に関して具体的にどのような支援を行っているのか、まずはお伺いしたいと思います。

○小野都民活躍支援担当部長 東京都つながり創生財団では、東京都多言語相談ナビを開設し、十五言語で相談に応じ的確な情報提供を行うとともに、適切な窓口へつないでおります。
 また、各区市町村の窓口での解決が困難な専門的な知識、スキルを要する複雑な案件に対応するため、専門家との連携体制を構築し、法律相談、在留相談を実施することで区市町村を支援しております。
 加えて、区市町村等の相談窓口で活動する相談員を対象に、外国人相談者を取り巻く実情や相談現場の需要に沿った事例共有会や研修を開催し、相談員のスキルアップを図っております。

○清水委員 ありがとうございました。広域自治体としての役割として、それぞれ区市町村では手に負えないような専門的なことなんかを東京都がバックアップしていただいているんだなと思うんですが、今、法律相談というふうな話がございました。
 法律相談につきましては、容易に想像がついたわけでございますが、法律といっても、いささか広うござんすというやつでございまして、具体的にどのような内容の法律についてご相談があるのか、その状況についてお示しをいただければなと思います。

○小野都民活躍支援担当部長 財団の法律相談には、例えば、住まいに関する家主との契約トラブルや、離婚後の在留資格や子供の親権についての相談などが寄せられております。
 相談に当たっては、通訳を配置し、相談者が直接弁護士と相談できる体制を整備しております。

○清水委員 ありがとうございました。住まいに関する相談というのは、やはり東京で生活するには、まず初めの一歩ということで、外国の方もお悩みになるのかなと思います。我々日本人でも、なかなか不動産の法律というのは専門的で、知らない部分があるかと思うんですが、そういったことを使い慣れている言語を使って相談することができるということが、外国の方の安心につながるんじゃないかなと思います。引き続きしっかりと支援をしていただきますよう、よろしくお願いしたいと思います。
 さて、先ほどご答弁にございました東京都多言語相談ナビが設置されて約三年になるというふうに聞きました。この三年間といいますと、何といってもコロナの蔓延ですね。それに加えましてウクライナ避難民の受入れなど、これまで経験のない事態を経まして、都内各地の相談窓口に寄せられている相談も複雑多様化しているんじゃないかななんていうふうに考えます。
 そうした背景の中、都内各地で行われております、現場を預かっております相談窓口には、どんな課題が今生じているのか、お聞かせをいただければなと思います。

○小野都民活躍支援担当部長 財団は、昨年度から、区市町村等への支援の充実を目的にヒアリングを実施してまいりました。
 その結果、新型コロナウイルスやウクライナ避難民受入れなどの対応に当たっては、新しい相談窓口が順次立ち上がる等、つなぎ先となる連携機関の情報が短期間で更新されていく状況が見られたこと、こうした状況において適切な相談対応を行うには最新情報を把握することを求められますが、限られた各地域の相談体制の中で、常に最新情報を収集、整理することは困難との声がございました。
 また、他の地域の相談員と気軽に情報共有や意見交換ができる場が欲しいとの声もございました。

○清水委員 ありがとうございました。最新情報といいましても、それぞれ区市町村が横の連携を取るのもなかなか大変でしょう。また、気軽に意見交換をするという場をつくるというのも、区市町村が主導となってやるというのは、なかなか難しさがあろうかなと思っているわけでございます。やっぱり、そういったことをしっかり支援する、相談体制を充実させるというのが重要かと思うわけでございます。
 都として、こうした課題に対して真摯に向き合っていただきまして、しっかりと対応を取っていただきたいと思いますが、ご見解をお伺いしたいと思います。

○小野都民活躍支援担当部長 ヒアリングにより把握した声を踏まえまして、都内各相談窓口で外国人相談に当たる職員がいつでも容易にアクセスでき、日々の相談対応に活用できる相談支援システムを構築することといたしました。
 システムの機能としては、相談に必要な最新情報をタイムリーに共有できる仕組みや、相談員同士が情報交換できる仕組み等を想定しております。
 来年度は、実際に使用する相談員の意見を聞くなど、利便性や安全性に配慮して設計、構築を進め、早期の稼働を目指してまいります。

○清水委員 ありがとうございました。相談支援システムというふうな一つの解決策が出てまいりました。これはできるだけ早く稼働できるよう、お願いをしたいと思います。そのためには、区市町村の現場の窓口の方のご意見をしっかり聞いていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、多文化共生社会づくりに伴う地域の底力発展事業助成についてお伺いしたいと思います。
 この地域の底力発展事業助成は、我が党の要望によりまして始まった助成事業だというふうに聞いておりますが、現在は、本当に党派を超えまして、皆さんから大変高い評価を得ている事業なのかなと思っております。
 その中でも補助率十分の十という助成、これはすばらしいですね。十分の十という、まず響きがいいです。町会、自治会にとって大変使いやすくて、活動を続ける一助となっているわけでございます。
 この特例措置につきましては、オリンピック・パラリンピックの特例を引き継ぐ形で、多文化特例としてつながっているわけでございますが、町会、自治会の様々な事業に多文化共生社会づくりにつながる事業が含まれる場合に適用されるんだというふうなことでありまして、もはや導入されて、はや三年となっているわけでございます。
 そこでお伺いしたいと思うんですが、これまでの多文化特例の活用状況、どのような事業が申請をされているのか、お伺いしたいと思います。

○馬神都民生活部長 多文化特例が導入された令和二年度の申請件数は十八件、令和三年度は七十九件、コロナ禍が落ち着きを見せてきた今年度は百九十三件となっております。
 例えば、「やさしい日本語」を使った在住外国人も参加しやすい防災訓練や、在住外国人に地域のお祭りである武者行列に参加してもらって日本文化を体験してもらい、終了後、ごみの分別を一緒に行って分別のルールを知ってもらうなど、町会、自治会の様々な事業に特例が活用されております。

○清水委員 この三年間はコロナ禍で、町会、自治会活動も思うようにできなかったのかなと思っているわけでございますが、この多文化特例につきましては百九十三件、先ほどのデジタル活用事業の二百七十九件には及びませんが、大変活用をされているんだなと思いました。
 二〇四〇年になりますと、十人に一人が在住外国人となるといわれているわけでございます。そういった中では、これから先、様々な課題を解決していかなければならないのかなと思っています。
 例えば、ごみ出しのルールを守らないでありますとか、コミュニケーション不足からのトラブルもまだまだ多いと聞いております。先ほどご答弁いただきました事例にありますような取組を増やしていただいて、相互理解につなげていかなければならないかと思っています。
 しかしながら、在住外国人は、実は二十代、三十代の方を中心とした、まだまだ活力いっぱいの若い世代が多いと聞いております。今後は、引き続き、盆踊りだとか、あるいは防災訓練といった町会、自治会のイベントに在住外国人の方にも参加してもらうような取組を広げるとともに、さらに発展をしていただいて、在留外国人を町会、自治会の担い手として巻き込んでいく必要があろうかと思いますが、都の見解をお伺いしたいと思います。

○馬神都民生活部長 在住外国人は、共に地域コミュニティを支える人材でございます。
 これまでの多文化特例を活用した事業では、在住外国人が町会、自治会のイベントに参加するだけでなく、例えば、若い在住外国人が子供祭りなどの行事を手伝ってくれるようになった事例も出てきております。
 今後、こうした事例を分かりやすくまとめ、広く発信することで、町会、自治会が在住外国人と一緒に地域コミュニティの課題解決に取り組めるよう後押ししてまいります。

○清水委員 ありがとうございました。希望の持てるようなご答弁をいただいたかと思います。
 私、今回、質問するに当たりまして、多文化共生って何だろうと改めて考えてみたんですよね。そうしましたら、多文化共生というのは、多文化と共生という言葉を二つくっつけた和製語だそうですね。日本だけに使われている表現だそうでございます。
 世界的には、多文化主義、マルチカルチュラリズムというふうに表現しているようでございますが、この多文化主義というのは、すごく奥深い概念だそうでありまして、それぞれ多文化主義というものについては、我々人間は誰でも用いている、内在しているものだというふうなものでして、本来、促されてやるようなものではなく、自然にそうなるものだということだそうです。帰国子女の方なんかが、本当に世界人みたいな感じでいわれている雰囲気を出しているのは、そのせいかと思います。
 したがいまして、ぜひとも多文化共生社会づくり、我々がやろうとしている、今質問した範囲内に収まるようなことなく、矮小化するようなことのない取組にしていただければなと思うんですね。
 例えば、相手方の文化を尊重するあまり、多文化フェスティバルなんかを開催されますと、タイ人の方には、じゃ、グリーンカレーを持ってきてくださいだとか、先ほど出ました韓国、朝鮮人の方には、キンパだとかチヂミを持ってきてよなんていうふうな、そういった文化の分類というんですか、そういうことをしてしまっては、この多文化主義ということには当てはまらなくなってしまうんじゃないかと。
 確かに、在住の外国人の方も住民登録をしているわけですから、我々行政に携わっている者は、その生活の課題解決には手を貸さなければいけない。したがって、生活ですとかコミュニケーションの支援をしなければいけないのですが、その後の、私、地域の底力発展事業でもお話をさせていただきましたような、外国人の方と一緒に、あるいは、そういった理解を深めてもらって、連携ですとか協働とかして、この日本で、東京で生活をしていけるような、そんなグローバルな社会ができるような、そういった東京都の施策を展開していっていただければ、肝要かなと思っておりますので、皆様方に期待しておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げまして、ちょうど九時前となりましたので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○入江委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○入江委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時五十八分散会

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