委員長 | 入江のぶこ君 |
副委員長 | 加藤 雅之君 |
副委員長 | 伊藤しょうこう君 |
理事 | 桐山ひとみ君 |
理事 | 斉藤 りえ君 |
理事 | とや英津子君 |
北口つよし君 | |
鈴木 純君 | |
アオヤギ有希子君 | |
大松あきら君 | |
白戸 太朗君 | |
阿部祐美子君 | |
伊藤 ゆう君 | |
清水 孝治君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 浜 佳葉子君 |
次長 | 福崎 宏志君 | |
教育監 | 藤井 大輔君 | |
総務部長 | 田中 愛子君 | |
都立学校教育部長 | 村西 紀章君 | |
地域教育支援部長 | 岩野 恵子君 | |
指導部長 | 小寺 康裕君 | |
人事部長 | 吉村美貴子君 | |
福利厚生部長 | 田中 宏治君 | |
教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 | 秋田 一樹君 | |
高校改革推進担当部長 | 池上 晶子君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 落合 真人君 | |
指導推進担当部長 | 瀧沢 佳宏君 | |
人事企画担当部長 | 稲葉 薫君 |
本日の会議に付した事件
教育庁関係
報告事項(質疑)
・令和四年度中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の実施状況について
請願陳情の審査
(1)四第四二号 小・中学校の給食費の無償化に関する請願
(2)四第四四号の一 笑顔あふれ、温かい触れ合いを通じて互いに学び、成長する学校に関する請願
(3)四第四六号 東京の全ての子供たちに行き届いた教育を進めることに関する請願
(4)四第七七号 不登校からの学校復帰成功事例集の配布・備付けに関する陳情
(5)四第一〇五号 学校給食費の補助等に関する陳情
(6)四第一〇八号 都立特別支援学校の寄宿舎指導員の採用試験実施と増員配置に関する陳情
(7)四第一〇九号 不登校児童生徒への多様な学習機会と経済的支援制度を求める意見書の提出に関する陳情
(8)四第一一一号 イチョウ並木を含む明治神宮外苑の名勝指定に関する陳情
(9)四第一一二号 都立高校入学者選抜の英語の学力検査に「四技能」を出題することに関する陳情
(10)四第一一八号 学校給食及び昼食における「心身の健康の増進と豊かな人間形成」の実現に関する陳情
(11)四第一一九号 マスク着用の有無による差別・偏見等防止の啓発及び換気システムの導入等に関する陳情
○入江委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の報告事項に対する質疑及び請願陳情の審査を行います。
これより教育庁関係に入ります。
初めに、令和四年度中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の実施状況についての報告事項並びに請願四第四二号、請願四第四四号の一、請願四第四六号、陳情四第一〇五号、陳情四第一〇八号、陳情四第一一二号、陳情四第一一八号及び陳情四第一一九号を一括して議題といたします。
本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
昨日に引き続き、本件に対する質疑を行います。
質疑の重複はできるだけ避け、簡潔に、そして、理事者の答弁は簡潔明瞭に行っていただくなど、委員会の円滑な運営にご協力をいただきますよう、改めてお願いいたします。
では、本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○アオヤギ委員 これからの個人情報の、今、ベネッセに保管されている情報を削除してほしいという場合に、削除していただけるのかというふうにお聞きをしましたところ、四年保管して削除ということだと思うんですけれども、そうしますと、特段、入試とかに使わない方の情報、さっきもいったように、ベネッセに残したくないと希望される方は削除できるのですか。
改めてお伺いします。
○瀧沢指導推進担当部長 個人情報の扱いにつきましては、法令等に基づき、適切に対応してまいります。
○アオヤギ委員 法定等に基づくと削除できるのですか、それともできないのですか。
そこをきっちりお答えください。
○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しになります。
個人情報につきましては、法令等に基づき、適切に対応するということでございます。
○アオヤギ委員 法令の中身なんですけれども、法令の中身はご理解いただいていますかね。法令の中身では、開示請求をして、開示された保有個人情報のみが削除できるということで、開示請求して、開示されなければ削除できないんです、基本的には。法令等に基づいてやるのだと削除できないんです。そういう状況です。
ですので、やはり、登録で本人の意思というか、保護者の同意も得ずに取った情報ですから、残されるのは嫌だと希望する方にはきちんと、都教委自身がそれに応えるということは別に構わないことなので、やっていただきたいのだけれども、今、法令等に基づいてやるということは削除しないということですので、一旦登録すると削除してもらえない、そういうことだと思います。
これは、受験する全ての方に周知すべきだと思います。入試に使わない人たちもたくさんおりますので、こういったことをあらかじめ示しておくべきだと思います。
次に、IRT処理についてお伺いします。
ESAT-Jは、各パートの素点を足しても、合計点が百点になりません。素点を採点後、IRT処理をするということを都教委はやっているというふうにいっております。そして百点満点になるんだと、以前、ご説明がありました。
専門家の方からは、IRT処理は、違うテストを受けても、一人の人が同じ結果になるようにするために標準化する、等化するものだということです。例えば、英検二級を取っていた人が、英検の別の試験を受けても二級となるように処理をするというものです。
今回、ESAT-JでIRT処理をしたと聞いておりますけれども、このIRT処理は、なぜしたのでしょうか。
何と何を等化しようと処理したのですか。
○瀧沢指導推進担当部長 生徒の話すことの能力を国際的な基準であるCEFR等に照らして測定するということと、テスト結果の経年変化等を比較するということを可能にするために行っているものであります。
○アオヤギ委員 CEFRに照らして測定するとともに、それと経年で比較するためと。
専門家の方によりますと、IRT処理の仕方は二つです。等化したいそれぞれの試験に同じ受験者を入れる方法と、もう一つは、それぞれの試験に同じ問題を一問入れる、かませるわけですね。そして等化できるということでありますけれども、先ほど、前半、後半の平均点が少し違っていたようですけれども、ほぼ一緒なんですけれども、これは、前半、後半を分けてIRT処理をしたのですか。
○瀧沢指導推進担当部長 全体は、同じ条件の下で行っています。
○アオヤギ委員 全体を処理して、今度、その処理された中から、前半の方と後半の方の平均点を出したということですか。それでいいですか。
分けて平均点を出さないと、点数が違わなくないですか。それとも、一緒にしちゃったら、それは前半、後半の違いを測っていないということじゃないですか。
○瀧沢指導推進担当部長 IRTをかけるということと、前半、後半のスコアの平均を比較することは別の問題ですので、全体でスコアを出して、それぞれ前半と後半のスコアの平均を出したら、先ほどお話しした数字になったということだけであります。
○アオヤギ委員 そうですかと聞いているんですから、簡潔に答えていただければいいんじゃないですか。私は、そういう質問をしていますから。
等化された点数ですので、そういった平均点は、ちゃんと前半、後半の方を分けないと出ないというふうに思います。
そして、次に……(発言する者あり)ちょっと邪魔しないでいただけますか。(発言する者あり)妨害しないでください。
十一月二十七日の試験と十二月の追試の試験は等化していますね。
○瀧沢指導推進担当部長 IRTをかけます。
○アオヤギ委員 等化しているということです。
十一月の試験の平均点は六十・七点で、十二月十九日の予備日の試験の結果を加えた平均点は六十・五と発表されています。十一月二十七日の受験者数は六万九千五百二十九人、十二月十九日は千六百六十八人ですから、計算すると、十二月十九日の追試の平均点は五十二点程度になるということでありますけれども、追試の方の平均点が低い理由は何ですか。
○瀧沢指導推進担当部長 十二月十八日だと思います、二回目は。
平均点が低い理由は、その受験者の結果ですので、その理由を私がこの段階でお話をするという立場にはないと思います。
受験層が違うわけですから、平均点が違うということは当然起こると思います。
〔発言する者あり〕
○入江委員長 質問は、明瞭に、簡潔にお願いいたします。
〔発言する者あり〕
○アオヤギ委員 妨害するのをやめてください。ちゃんと私は質問しています。(発言する者あり)分からないからって、そうやって妨害するのはやめてください、伊藤議員。(「分からないじゃない、だって。分かりやすくいってよ。一生懸命聞いているんだから」と呼び、その他発言する者あり)分からないからって、しゃべっていたら分からないじゃないですか。
○入江委員長 静粛に願います。
質問を続けてください。
○アオヤギ委員 十二月十八日の平均点が低い理由は分からないけれども、十一月二十七日の平均点が高いことは、学力は、みんながスピーキングテストを頑張った成果だと、さっき、十一月二十七日の理由はいったじゃないですか。十一月二十七日の試験はいったと思いますけれども、何で後半の追試の試験の平均点、低い理由をいってください。
だって、前半の本試験のはいったでしょう。経年で平均が高かったのは、それは子供たちが頑張ったからだと、さっき理由をいったわけですけれども、追試の平均点が低いのは、理由は分からないのですか。
○瀧沢指導推進担当部長 十一月二十七日に受けた、あるいは全体のスコアが上昇したということは、昨年と同程度の母数を持つものを比較した上で上昇したということで、当然、昨年度よりも上がっているわけですから、これまで三年間頑張ってきた結果であろうと。それは、教員、子供が頑張ってきた結果であろうというふうに考えているということであって、十一月二十七日と、非常に数が少ない十二月十八日を比較して、低い理由をというふうにいわれても、それを私がどういうふうに回答することができるか、それは難しいです。それはできないというふうに思います。
○アオヤギ委員 自分たちが出したその結果、十一月二十七日と十八日を等化しているわけですよね。十八日を等化していて、それでもなお、この平均点全体から算出していくと、五十二点程度に低いということが指摘されているんですよ、専門家の方たちも。その理由を聞いたけれども、分からないということでありました。
次に、採点については二人体制でやっていると、先ほどからいっていますけれども、確認ですけれども、機械採点は入れていないですよね。
○瀧沢指導推進担当部長 機械採点が何を指しているのか、ちょっとよく把握できませんが、AI採点のことをおっしゃっているのであれば、今回、AI採点は行っていません。
○アオヤギ委員 機械採点していないということでありました。確認しました。
都教委はこれまで、ホームページなどで、令和元年と令和二年のプレテストの結果、それから令和三年度のプレテストの結果、これをグラフにして比べております。
これらを比べるということは、この四回のテストとプラス追試験のテストを等化しているということですか。
○瀧沢指導推進担当部長 IRTをかけるということの意味ですけれども、それは、それぞれの受けている生徒個人個人のスコアをつけるためにIRTをかけているわけで、それぞれの集団がある、それぞれの試験の平均点を等化するために行っているというのは、考え方が全く異なるということであります。
ですから、同じCEFRの基準に基づくスコアに基づいて、それぞれの試験を全部、受験者についてはスコアを出しています。それを平均したものを比較しているということなわけで、それぞれの平均点を比較したところで、それを等化しているというような表現を正確ではないというふうに思います。
○アオヤギ委員 答弁内容が違うので指摘をしますけれども……(発言する者あり)ちょっと静かにしてもらえますか。
等化している理由を、先ほど経年で比較するためといいましたよね。比較するためにはIRT処理は必要ですよね。ですから、令和元年も、令和二年も、令和三年も、今回のテストも一緒に今、比較して、その結果が、子供たちが頑張った成果だと。
今回、Aが多めに出ているという成果、そうやって比較していっているわけですから、これはIRT処理を、この四つと追試も含めて等化しているということで、教育長、答えていただけるのですか。
○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しますが、IRTをかけてスコアを出す、それは個人のスコアを出すためにIRTをかけているということであります。
それらの年ごとの、何人か受けた中での平均のスコアを出すというのは、そのIRTをかけて終わった後のスコアの平均を出しているわけですけれども、今年度の受験者の数、それの十一月二十七日と十二月十八日では、母数が全く異なります。
それから、昨年度、その前、令和元年度、それぞれ受けている母数が全く違うので、それらを比較した上で、どういう分析をするのか、相関を見るのかというのは慎重に行うべきであるというふうに思います。
○アオヤギ委員 じゃあ、ホームページで、わざわざグラフや折れ線グラフの比較をするというのは意味がないと。それはやる……(発言する者あり)ちょっとやめてくださいよ、本当に。(発言する者あり)何で介入するんですか、そんなこと。何で……(「当たり前じゃないですか。繰り返ししないでくださいといわれているんだから」と呼ぶ者あり)繰り返しなんかしていません。(「しているじゃないか、十分」と呼ぶ者あり)していません。
○入江委員長 質問は簡潔にお願いいたします。
○アオヤギ委員 この平均を比較しているということは、それはそういう比較をやってきた、そのためにやっているんだと先ほどいっていますから、そういったことをするために、各個別で出すのではなくて、いろんな、令和元年からやってきたテストを等化しているのではないかなということでお聞きしているけれども、その等化している意味が、ちょっと違うと思うんです。
それでは、いろんなIRT処理をやっているベネッセが作ったテストに対して、問題を監修するということで、問題を監修しているんだというふうにいっておりますけれども、今回、学習指導要領外の問題もあったけれども、指摘されないで、それは、今度、等化していると。だから、等化しているので、それを変えることができないでやっていると。
いろんなテストがある場合、等化をして、そして経年で比べるんですね。IRT処理をして、同じ試験の問題の難しさにするわけです、検定試験というのは。事前にする場合もあると。
そういった、事前にIRT処理をかけて、いろんな問題を作って、同じ試験者を、何人かその問題を解かせてやっているということで、初めて経年で比べられるわけですけれども、そういったことをやっているのか。
先ほどいったように、IRT処理の仕方というのは、同じ受験者を入れるか、同じ問題を入れるかなんですけれども、都教委は過去の問題は今公開していますので、だから、同じ問題を入れることはできない。だから、同じグループの、試験を受けるグループをこの四回の試験と追試試験を入れないと等化はできないというふうに専門家は指摘しておりますけれども、どうやっているのか、お示しください。
○瀧沢指導推進担当部長 ご質問の趣旨が正確に分かりかねるので、お答えは差し控えたいと思います。
〔発言する者あり〕
○入江委員長 質疑の重複と簡潔性に欠けていると思われますので、改善をお願いいたします。
○アオヤギ委員 それで、IRT処理というのを何のためにしたのか、そういった、今いっているご説明と一般的なIRT処理が違うんですよ。だから、そういったことをしているということが、この監修をしながらIRT処理をするということでいろいろ処理をしてしまうと、監修していくと、ちょっと分からなくなってしまうのではないか、ブラックボックスだというふうにいわれているものもあります。
それで、今回、先ほどもいいましたけれども、プレテストよりもグレードAが大幅に増える、こういった分布になりました。
そして、こういった評価になったのですけれども、ESAT-Jはアチーブメントテストだから、絶対評価ということでよろしいですか。
○瀧沢指導推進担当部長 ESAT-Jグレードに基づく評価ですので、絶対評価です。
○アオヤギ委員 絶対評価ということで、都教委もホームページなどでいっているとおり、Aに全員がなる可能性もある、そういうのが絶対評価ですけれども、都立学校教育部長にお伺いしますけれども、都立高校の学力検査、これは相対評価ですよね。
確認します。
○村西都立学校教育部長 学力検査は、得点順に順位をつけることにより選抜を行うという意味において、いわゆる相対評価ということでございます。
○アオヤギ委員 ですから、アチーブメントテストは絶対評価で、学力検査は相対評価ですから、絶対評価であるESAT-Jの結果は、当日の学力検査に点数加算することはできませんね。
○村西都立学校教育部長 選抜目的である学力検査と到達度の評価であるスピーキングテストは、試験としての意義、性格は異なります。したがいまして、学力検査の得点としては合算しません。
したがって、二十点は、学力検査の中ではなく、外出ししているということでございます。
〔「質問者が理解できていないんじゃない」と呼ぶ者あり〕
○アオヤギ委員 理解しております。
当日の学力検査には入れられないというものなんです、ESAT-Jはアチーブメントテストですから。ESAT-JのAがアチーブメントですから。
そういったことを今いっておりますけれども、これまでの入試選抜の検討委員会の資料では、ベネッセの試験は正規分布しているんだ、こういう発言があります。そして、正規分布、つまり正規分布というのは、きれいな平均点、山ができる、相対評価をしているから入試選抜に使えるんだということを議論している。このときは、つまり入選検で令和四年まで、当日の学力検査に点数を入れようとしていましたよね。
○村西都立学校教育部長 過去に行われた入学者選抜検討委員会の議論の過程では、様々な検討がございました。
その様々な検討の中で、いろいろ検討を重ね、現在の制度としてまとめているということでございます。
○アオヤギ委員 だから、先ほど学力検査に入れられないといっていたのを、検討の中で、ちょっと前まで、令和三年までは学力検査に入れようとしていた。正規分布しているから、相対評価だから入れられるんだ、こういった議論だったわけです。
そして、都立学校教育部の入選検の議論になると、だんだん煮詰まってくると、現場から、採点に一か月半かかるということを知り、入試当日には入れられないと。入試の前倒しになると、私立などからの批判を避けるために、アチーブメントテストだと都教委はいうようになりました。
令和三年から協定上にアチーブメントテストだと変わったのは——令和四年八月に結ばれた覚書で、民間試験を活用したという文言を取って中学校英語スピーキングテストのみとして、都内公立中学校所属の第三学年を対象とし、義務教育段階のアチーブメントテストというふうに書かれるようになりました。
ですから、ESAT-Jが、ちょっと前までは相対評価のような正規分布をしているというのが、都合が悪くなったんじゃないですか。
都教委は、ESAT-Jの特設ページで、試験前に、全員Aを取る可能性があるから頑張れといってきました。
信頼ある検定試験は、その時々によって、絶対評価になったり、相対評価になったり、勝手に変えられませんよね。
確認いたします。当たり前です。
○瀧沢指導推進担当部長 相対評価になったり、絶対評価になったり、都合よく変わったという指摘は全く当たりません。
当初から、受検ではなく、全て受検——つまり都立高校を入試として考えている人だけではなく、全員を対象に到達度を測るために行っているわけですから、絶対評価であり、当初からCEFRの基準を考えた上で絶対評価で行うということを考えているのであって、今のご指摘というのは当たらないというふうに明確にお話をいたします。
○アオヤギ委員 この議事録を見ますと、明らかなんですね。自分たちで、これは正規分布しているといっていて、その後、今度は絶対評価だ、全員がAになるかもしれないと、アチーブメントテストになったら、そういうことをいっているのは事実です。
こういったことで、都合よくそういった処理をしたりすることはできないということであります。指摘しておきます。
ベネッセとの協定書についてですけれども、委託ですか、共同スキームですか。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、事業者との協定に基づき、本事業を行っております。
○アオヤギ委員 今のお話ですと、委託なのか、共同スキームなのか、はっきりお答えいただけますか。
協定で、先ほどは、とや議員の質疑で、個人情報の徴取だけは委託形式になっているとおっしゃいましたけれども、これは委託なんですか、それとも共同実施スキームなんですか。
○瀧沢指導推進担当部長 今のご答弁と、先ほど、とや先生にご答弁したとおりであります。
協定に基づき実施をしており、個人情報については委託という形式を取って実施をしているということで、答弁したとおりでございます。
○アオヤギ委員 この協定書というのは、ちょっとそのことを、私、協定書のことについて財務局に確認しました。
協定書の中に委託が入っているというのは、通常あり得ない、聞いたことがないといわれましたけれども、委託契約であれば随意契約というふうになるはずなんですが、随意契約書というのはありますか。
○瀧沢指導推進担当部長 委託契約ということではなく、協定の中に基づく役割分担として行っているというものでございます。
○アオヤギ委員 この協定というやり方が、通常の委託、指定管理者、PFI、そういったものとは全然違うわけですね、都教委がやっているのは。
どんどん覚書を上書きしていくというようなことでありますけれども、試験の製作を委託している形に協定書上はなっているのですけれども、監修はしている。その業務で分担しているのは、試験の製作をベネッセは分担しているわけですよね。だけれども監修をしているということですけれども、もし委託だったら、まるっと委託に変えていたら、直接は、委託した部分、製作という業務には口を出せませんから、監修できないのですけれども、都教委が監修したといっておりますが、監修した場所をお示しください。
○瀧沢指導推進担当部長 本事業は、都教育委員会が事業者との協定に基づき行っています。ですので、委託ではありません。
○アオヤギ委員 協定書に基づきといいますけれども、この監修した箇所。問題を作成したものをベネッセからもらって、監修したわけですよね、問題作成委員会で。そういった監修した箇所をお示しいただかないと、監修したというのは分からないわけですよね、本当に。実際に監修したのか分からないということですよね。
きちんと答えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、有識者等を委員とした問題等検討委員会において試験問題を検討して作成をしています。
具体的な内容については、当然ながら、運営上の機密事項、極めて秘匿性の高い機密事項ですので、公表はいたしません。
○アオヤギ委員 でも、問題はもう公表されていますし、監修したというのだったら、示さないと、その証明にならないと思います。それを指摘しないと監修したことにはなりません。
二〇一九年の事業選定の募集要項を見ますと、民間試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト事業となっており、選定されたのはベネッセですけれども、この場合の民間試験というのは、ベネッセのGTECですよね。
○瀧沢指導推進担当部長 ベネッセが実施している資格、検定試験は、GTECが一つだと思います。
○アオヤギ委員 GTECだということであります。
募集要項を見ますと、事業者が既に実施している資格、検定試験の実績を基に提案するとなっており、事業者に対して、新たなテストの開発など、全く違うものをつくるようには求めていませんので、そういう契約の下で、ベネッセの検定試験のGTECの技術、そして問題形式を使わないと実施できないですよね。
○瀧沢指導推進担当部長 今のご指摘は全く異なります。
繰り返しお話をしているように、ESAT-Jは、都の作成の方針に基づき、新たに独自に作成するというものですので、事業者がそのまま作成するというものではありません。
当然、ほかに資格、検定試験を実施している団体もございますから、そちらと組む可能性というのも当然ありますが、今回は、これまでたくさんの受験者を持つ、適正に円滑に実施できるノウハウを活用するということを条件にした上で、選定委員会を開いて決定したという過程でございます。
○アオヤギ委員 GTECの様々な技術を使わないと、採点だったり、また、その問題形式を合わせないと試験実施できないのは明らかです。そういう、全く違うといっても、募集段階で民間試験の技術を審査し、それが選定され、それを基にスピーキングテストをやるわけですから、これはベネッセの場合はGTECだということであります。
採点についても、これまでも聞いてきましたけれども、人数など実態は明かされていませんが、確実にいえるのは、ベネッセに採点を委託され、ベネッセの検定の試験の技術を使うしかないので、ベネッセが用意した採点者は研修を積んでいることになっていますので、GTECを採点して得た技術であることと、その研修をした人たちにESAT-Jを採点してもらうには、GTECの問題形式をESAT-Jの問題形式に合わせないとできないということになります。
そういう理解でよろしいでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 そのようなことはないと思います。
○アオヤギ委員 違うというふうにおっしゃいましたけれども、どう違うんですか。説明していただけますか。
問題形式、一緒じゃないですか。
○瀧沢指導推進担当部長 そうでなければできないというご主張だと思いますので、その理由を一緒にご指摘いただければ、それについて、そうではないということをより具体的に説明できるかと思いますけれども、今そのように仮定されているその理由が、あまり明瞭ではないなので、詳しくご答弁することはできないという状況でございます。
○アオヤギ委員 ベネッセが採点者を養成しているわけですよね。ベネッセが採点者を集めているわけですよね。その採点者が採点する、いろんな一問一問を流れ作業でやっていく採点者がいるわけですけれども、そのノウハウは、ベネッセの場合はGTECを使わないと不可能ですよね。
○瀧沢指導推進担当部長 採点のノウハウというのが何を指しているか、よく分かりませんので、当然、研修を行えば採点をするということは可能であります。
高度な能力を持つということを条件にしていますが、それがGTECの採点をした経験があることが必須であるという合理的な根拠はないと思います。
〔発言する者あり〕
○アオヤギ委員 委員長、ちょっと、長引くからやめてもらえますか、そういうの。
だから、採点の技術を得た採点者がいますよね。学力評価機構にいる採点者は、その技術がないと採点はできませんけれども、ベネッセが集めた採点者ですから、ベネッセの検定試験で慣れていないと、採点を慣れていないと、それはESAT-Jも採点できませんよね。
ベネッセが集めた、ベネッセが研修した採点者ですよね。
○瀧沢指導推進担当部長 GTECの採点を経験していなければESAT-Jを採点できないということはないと思います。
○アオヤギ委員 じゃ、その根拠を示してくださいよ。(発言する者あり)その根拠を示してくださいよ。
ESAT-Jの採点者はベネッセが集めたんでしょう。ベネッセが研修をして、ベネッセが集めた人です。そのベネッセの研修というのは、採点をするのは、もともとのベネッセの検定試験であるGTECであるんじゃないですか。
問題形式を一緒に合わせていますから、採点できるんじゃないですか。
○瀧沢指導推進担当部長 これまでも繰り返しお話ししてきていますように、高度な英語力と、それから英語力に関する専門性の資格を持つ者という基本的な条件の下、今回のESAT-Jを採点するに当たっての研修を実施し、それにパスした者だけを、選ばれた者だけが採点するということで、GTECとの関係はありません。
○アオヤギ委員 その研修はベネッセがやっているということですよね。都教委はやらないから。ですから、これはGTECの技術を使わないとできないということであります。
次に移りますけれども、都立学校教育部——教育長、じゃ、説明していただけますか。そんな人を愚弄して。(「委員会を愚弄しているよ」と呼ぶ者あり)そんなことないですよ。何でそういうことをいうんですか。
次に移ります。都立学校教育部に質問します。
都立学校の入試の試験官というのは、もちろん高校の先生でありますから、入試の選抜では、試験会場の廊下で騒いでいる子供など、そういった環境は、都立学校の学力検査ではありますか。
○村西都立学校教育部長 都立高校入試の試験会場におきましては、適切に受験環境を整えております。
○アオヤギ委員 普通は、こういった学力検査の会場は、みんな試験を受けるために来ていますから、そして、毎回、こういった試験の監督をしている方たちがいらっしゃると思いますので、そういったことはないというふうに思います。
出題内容が受検前に漏えいするということなどが都立学校ではあるのですか。
○村西都立学校教育部長 当然のことではありますが、都立高校入試におきましては、適切に試験問題の管理を行っております。
〔発言する者あり〕
○アオヤギ委員 いや、だから、都立学校教育部では高校の先生がやっていますから、こんな環境は、通常、普通はそんな漏えいなどはあり得ないわけです。
採点はどのように点検していますか。
○村西都立学校教育部長 採点に限らず、入学者選抜業務につきましては、要領等に基づき適切に行っております。
○アオヤギ委員 都立学校教育部では、こういった入試を毎年やっていますし、直営で、技術をいろんな先生が磨きながら毎年試験の監督をして、最大限ミスが出ないようにやっていることと思いますし、採点についても、直接、学校の中で何度も点検もできますし、ミスがあった場合には、それは都教委もチェックして是正したというのが、去年の三人の方の状況だと思いますけれども、こうした状況と、今回のESAT-Jの試験会場、そして採点についても明らかではありませんし、試験会場については、都教委は、一日限りのアルバイトで可能だと今でも考えているのですか。
○瀧沢指導推進担当部長 試験当日の運営につきましては、事業者が適正に行うこととしております。
○アオヤギ委員 先ほど、とや議員の質疑でもありましたけれども、およそ、そんな完遂している、履行がちゃんとされているような状況ではなかったことが明らかになっています。アルバイトには難しい。
こうした、ベネッセがアルバイトの募集をかけて、集まらずに、都教委が追加で七百人ですか、やるということになるということも含めて、このオーダーをしてきた試験監督のそういった状況をつくったのは、都教委だといわざるを得ません。
こういった都立学校の入試の状況と全く違うのが、今回のESAT-Jの状況だと指摘をしておきます。
都教委が違うといっても、先ほどの問題形式、GTECと問題形式を一緒にしているということですから、似るのは当然であるというふうに思います。
しかも、今回、十一月二十七日と十二月のテストどちらも、パートCの絵を見て答える問題がよく分かりにくい絵になっている。場面設定が特異であるのは、GTECの試験と同じ特徴です。GTECの仕様を使っているので、一緒なのではないですか。
しかも、それは、都教委がその仕様を変更することができないのではないですか。
○瀧沢指導推進担当部長 まず、当日の運営については、試験監督等々は事業者が行うということになっておりまして、必要な人数を全て確保し、実施をしたということで、その足りない分を都教委が派遣して補ったというようなお話は、全く事実と異なりますので、明確にここで改めて答弁をさせていただきます。それぞれ行った業務が全く異なります。
それから、問題の絵についてですけれども、問題の絵が似ているという根拠もはっきりしませんし、それによって英語のスピーキングの力に差が出るという根拠もないので、お答えのしようがないというところでございます。
〔発言する者あり〕
○入江委員長 質疑は、簡潔明瞭に、分かりやすく、事実誤認がないようにお願いいたします。
○アオヤギ委員 ESAT-Jの、そういったGTECと似ているという指摘、それから、問題形式を一緒にしないと——ベネッセのそういった採点者が採点の技術を積んでいるということは、GTECで試験の訓練をしてきたわけですから、このGTECとESAT-Jが似るのは当然だと思います。こういったことも、多くの子供たちが受験して点検されているわけですけれども、やはりGTECは試験対策になるといえると思います。
藤田前教育長は、我が党の星見てい子前議員の利益相反の指摘に対し、事業者は、本スピーキングテストに関する模擬試験や関連教材の作成、販売を行わないこととしておりまして、国のご指摘のような事業で指摘されたような事例は、本事業によっては起こり得ないものというふうに認識してしております、今後とも、事業者には、誤解を招くことのないよう、行動には十分注意するよう、基本協定の条項に基づき、厳しく指導してまいりますと断言しました。
しかし、その後、結ばれた覚書には、ESAT-Jに特化した試験対策の試験は販売しないというふうに、特化したというふうな言葉がつけ加えられました。
この特化という言葉は、なぜ入れたのですか。
○瀧沢指導推進担当部長 特化のことについてでございますが、令和四年第四回定例会で送付のありました文書質問においても同様の回答をしておりますけれども、利益相反行為に関する具体的な事項を明確に示す表記としたということでございます。
○アオヤギ委員 しかし、問題形式はGTECそのものですから、特化などという言葉を入れなくとも、GTECをやっていた人は対策になります。
これについても、都教委はベネッセの利益相反行為をまともに調査していないことが、都民の方の開示請求の資料で明らかになっています。
この方の開示請求ですけれども、このように開示しました。
令和四年十一月一日に行われた都議会文教委員会において、実施事業者が利益相反行為を行った場合にしかるべき対応をすることと、事業実施者に対してモニタリングしているとの答弁に対して、一、開示請求日時時点において存在する全てのモニタリング内容などの一切の文書や図面や電磁的記録、二、開示請求時において利益相反行為とみなしたケースに対する対応が分かる一切の文書や図面や電磁的記録。
これに対して、開示しない理由が、請求に係る文書は作成しておらず、存在しないためというふうに書かれておりますけれども、こうしたことから、モニタリングをしていないということではないですか。
○瀧沢指導推進担当部長 開示請求は、それを示す文書に対する、文書がなければ不存在ということになるかと思います。
モニタリングについては、定期的、継続的に実施をしております。
○アオヤギ委員 実施をしても、文書に残さなければ、何をどの方がしたのか分からないということであります。
こういった利益相反に対して、特化をするという言葉を入れたり、きちんとこれを禁止する、そういった条項になっていない、そして、調査もちゃんとした記録がないということは、これは利益相反を禁止しているとはいえないというふうに思います。
次に、ESAT-Jのスコアが返還され、Can-do statementsというグレードごとに、全く同じコメントが書かれているのが今返されておりますけれども、このESAT-JのCan-do statementsも、都教委はCEFRに準拠していると説明してきました。
ESAT-JのCEFRの関連づけは、ベネッセがしたということでよろしいでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 ESAT-Jのグレードのセッティングにつきましては、CEFRあるいはCEFR-Jとの関連を、設定委員会を別に、有識者を委員とする会議を開催して、そこで決めたもので、ベネッセが決めたものではありません。
○アオヤギ委員 しかし、二〇一九年の募集要項にも、事業者は、CEFRに準拠した試験にすることと、CEFRやCEFR-J関連づけに関する説明資料を提出しますと求めておりますけれども、このときベネッセが提出したのは、GTECのCEFR関連づけの資料を提出したということですね。
○瀧沢指導推進担当部長 ちょっと質問の趣旨がよく分からなかったのですけれども、いつの時点でベネッセが出しているものなのかということですけれども、繰り返しになりますが、現在行っているESAT-JのESAT-Jステートメントについては、そちらの検討委員会の方で出したものでありまして、過去にベネッセが出したものがどうであるかということに関わらず、オリジナルとして作っているものであります。
○アオヤギ委員 募集要項にそう示してあるんですよ。募集要項で、ベネッセにこういった資料を出すようにと。そして検定試験を選定しているわけですから、これはGTECのCEFRに準拠したということを、使っているということを、客観的事実として指摘をしておきます。
GTECがCEFRに準拠しているからこそ、そのグレードを使って、ESAT-JもCEFRに準拠しているといえるのではないですか。
ベネッセの試験でCEFRの関連づけを出したということですね。
○瀧沢指導推進担当部長 募集要項では、それぞれ、CEFRまたはCEFR-Jとの関連づけに関する資料を提出するということにしていますけれども、別の試験団体であれば、それぞれの試験団体が作成したものを出すということになるかというふうに思います。
繰り返しの答弁になりますけれども、そのときに出したものと、その後、ESAT-Jを作成していく過程で作った資料とは同じものではありませんので、そこでなければできなかったというのは曲解であるというふうに思います。
○アオヤギ委員 GTECのCEFRの関連づけを行ったのは、GTECの推薦者だった方、また、「GTEC for STUDENTS Can-do statementsの妥当性検証研究概観」など研究発表を様々している、GTECのCEFR関連づけの文献を様々発表している根岸雅史氏であり、東京都のスピーキングテストの事業審査委員会に外部有識者で参加しています。
都は、こうした事実を調査していたのですか。
○瀧沢指導推進担当部長 技術審査委員会は、英語教育、弁護士、公認会計士などの外部有識者、それから庁内委員などから構成をし、選定を行いました。
これらの委員の中には、事業者との利害関係者はおりません。
○アオヤギ委員 こういった、おりませんといっても、ベネッセのGTECのCEFR関連づけをした人が外部有識者で事業選定委員会に入っています。
こうした事実、根岸氏がこういったGTECのCEFR関連づけの文献を発表していることは、ホームページで確認すれば分かることです。数多く出てきます。
それを知っていたのですか。
○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しになりますが、委員の中には、事業者と利害関係者であるというふうに判断される、そういう人はおりません。
○アオヤギ委員 利害関係者そのものじゃないですか。GTECの中で仕事をしたことがあって、そしてCEFR関連づけを、何回も文献を発表しながらやってきた方ですので、こうした方が事業審査の段階で外部有識者として入ることは不公平な審査、公平な審査とはいえないということであります。
教育長にお伺いしますけれども、こうした利害関係者が入った検討会や事業選定の技術審査委員にまでGTECに関わる仕事をしてきた人物が関わって事業実施に至っていることをご存じだったでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しになりますけれども、事業者と、先ほど個人名を出して指摘をされましたけれども、その方は、利害関係者には当たらないというふうに繰り返しお話をしています。
利害の関係というのがどういうものなのか、具体に示されておりませんし、繰り返しになりますが、利害関係者ではないので、それを知っていたかどうかということ自体が問題になるということではありません。
○アオヤギ委員 知らないというふうにおっしゃいますけれども、これはネット上でちゃんと文献を発表していることは確認できますし、そういったGTECのCEFR関連づけをしたという学者さんでありますから、まさにGTECがCEFRに準拠しているんだと。その技術を使ってESAT-JもCEFRに準拠しているということでありますから、これは、客観的事実でこういったことがいえます。
そしてさらに、財務局が出している業務委託等における総合評価方式活用の手引及び企画提案方式活用の手引で定めるルール、都教委は、協定書も含めて、このルールに準拠しているのでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 業務委託等における総合評価方式活用の手引及び企画提案方式活用の手引に準じ、事業者を適正に選定いたしました。
○アオヤギ委員 これに準じといっておりますけれども、この手引には、都の事業との間に利害関係を持つ学識経験者として選ぶことは避けてくださいと書かれています。
都の事業、この場合、中学校英語スピーキングテストの事業にベネッセが入札した時点で、この根岸氏に辞退してもらい、違う人にすべきではなかったですか。
○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しになりますが、利害関係者という定義が非常に曖昧です。私たちとしては、利害関係者ではないというふうに考えてお願いしているということを繰り返しお話をしております。
○アオヤギ委員 この調査は、あまりにずさんだといわざるを得ません。こうした利害関係者の調査は、ずさんだといわざるを得ません。
この手引は都との、先ほどの財務局が出している手引ですけれども、学識経験者の規定、先ほどいったものを守っていないのではないですか。
さらにです。準拠などもしていません。これは、先ほどいった守っているということが、もう破られているということであります。
東京都立高等学校入試選抜英語改善検討委員会第四回では、議事録を見ますと、主任指導主事、都側の事務局がこういったことをいっています。
先ほど民間検定試験団体の知見を活用するという文言がございましたとおり、極力ですね、そういった知見が最大限発揮されるような形での作成ということを考えている、ですので、私ども、それこそ一年間一緒になってというよりは、むしろですね、既にこれまで積み重ねてきたものが民間団体にございますので、そういったものを生かして、そして、そこで東京都の意見もしっかりかませていくということなので、そのようなことがございますと発言した箇所があるのですけれども、このような発言をしているのですが、その前に、先ほどの根岸氏が何かを発言して、黒塗りになっています。
この事務局の発言の後に瀧沢部長が発言をして、そして、また根岸氏が何か発言しております。
この改善検討委員会、これまでも議論してきましたが、附属機関でも何でもない、そういった場所であります。意思決定機関でもありません。
こうした中で、今も前後が黒塗りになっているわけですけれども、この内容というのは決定過程の一部ですので、きちんと公表すべきではないですか。
○瀧沢指導推進担当部長 文書の開示に当たりましては、規定等々を踏まえた上で、開示すべきでないと判断した部分については開示をしないという形で、全体の文書を開示しております。
なお、改めて、今の中でも個人名が出てきていますのでお話をいたしますが、有識者の中には、専門分野に関連して、無報酬で事業者が主催する英語教育の研究会に参加している、あるいは、講演会をやって、それに対する対価として報酬等が払われている、あるいは寄稿を行っている——文章を書いて送るという意味での寄稿ですね——など、そういうことがあるということは承知しておりますが、これらをもって個別の事業者に関する利害に関わる関係者には当たりません。
○アオヤギ委員 この入試選抜英語改善検討委員会というのは、事業選定の大分前に行われていますけれども、事務局の発言だけを見ても、具体的に幾つかの事業者を想定しながら、事業者も決まっていないときから具体的な検討をしたのではないですか。
一部非開示の理由は何ですか。
○瀧沢指導推進担当部長 外部の資格、検定試験の団体は多数あります、ベネッセだけではなくてですね。それが大前提でもあります。
また、検討委員会の委員には、様々な組織あるいは様々な有識者が、代表として会議に出席をしていただいており、全ての委員から、様々な立場からの多様な意見による自由闊達な議論を妨げないということで非公開としている部分があるということでございます。
何か事前にその事業者を決定に導くというようなことが議論される場ではありませんし、また、そのようなことが可能な仕組みにもなっておりません。
○アオヤギ委員 そう断言するのであれば、公開していただきたいと思います。もう事業選定の大分前ですから、これは意見を束ねたものなんだというふうにこれまでもいってきました。
しかし、こういった場で、この検討会というのは、それぞれの検討会の答申に基づいて具体化しましょう、こういった発言から開始されているわけですね。で、具体化されていると思われるのですけれども、全部黒塗りで分からないようになっております。
しかし、意見を妨げないためといいますけれども、試験は実施してしまっていますので、きちんと検証するために公開すべきだというふうに思います。こういったことが、なぜこう決まっていったのか、これは明らかにしていくべきだというふうに思います。
瀧沢部長は、この間の質疑の中で、民間試験について、日本の中で広く歴史がある検定を行っている団体といえば、公益財団法人の英語検定協会とベネッセ、この二つぐらいなわけですとおっしゃっています。それ以外の外国のものもございますけれども、非常に規模が小さいといったり、四技能を測るためには、既に百万人を超える、数百万単位で受検者がいる民間資格、検定試験が唯一、安定的に行われる方策で、それ以外に方法がないからというふうに議会答弁でいっておられました。
特定の事業者しかできないスキームであることが、「話すこと」の検討委員会、英語改善検討委員会などで話されてきたことがうかがえます。
「話すこと」の検討委員会、英検のフィージビリティー調査を経て、タブレット端末を募集することになりました。ベネッセが選ばれた理由では、既にタブレット端末を多く持っていることが評価となりました。
そこで伺いますが、事業者の募集をかける時点でタブレット端末を数多く持っていたのは、ベネッセだけではないのですか。
○瀧沢指導推進担当部長 もちろん、ほかにも複数、応募したところがあるわけですが、ほかのところが持っていたかについて、ここで公表する内容ではないというふうに思います。
○アオヤギ委員 公表するとかじゃなくて、客観的事実で、検定試験を皆さん、各社がやっていたわけですが、そのとき、タブレット端末での試験を取り入れていたのはベネッセだけであるというものであります。その五年前の時点ですけれどもね。
そして、選定した理由も公表されていますけれども、タブレット端末を多く持っているからということが書いてあります。
こうしたことからも、都が出した資料でそうなっていますので、特定の事業者が有利だったのではないか。しかも、その企業と利害関係のある外部有識者が事業選定の段階でも入っていたことは、公正を欠く選定だったといわざるを得ません。
ベネッセと英検ぐらいだと、この間いっておられますので、英検も含めて、もう事業選定の際には入れられないということであります。
教育長にお伺いしますけれども、この複数の検討会で、事業実施に向けて、決定過程で多くの検定事業者を呼んで決めていったことや、事業選定の際にも利害関係者が入って選定をしてきた、こうした事実をご存じですか。
○瀧沢指導推進担当部長 過去の私の答弁についての引用がありましたが、客観的な事実として、日本において二つの検定試験が規模が大きいということはお話をしましたが、それをもって、今回のESAT-Jの協定の事業者として、ほかの団体がいなかったということではありません。世界的な規模を見れば、ほかにもたくさんあるわけですから、そこにご提案というものも当然あってよかったということでもあります。
また、ベネッセの利点がタブレットであるということを書いているのは、もちろんそうですが、それだけが理由ではありませんし、ほかの事業者が、ほかによいところがあるということも当然あり得たわけですので、初めから、それをもってベネッセありきで進めたということはございません。
あと、もう一度、繰り返し重ねていいますけれども、利害関係者はおりません。
○アオヤギ委員 私、教育長に知っているかどうか聞いたんです。瀧沢部長は、ずっと検定試験と一緒の英語戦略会議や英語検査改善検討委員会や、全部、長年やってきたわけですから、当事者ですので、そのことを知っているかと聞くのは、教育長に対して聞いているわけです。
教育長の立場で、この黒塗り部分を確認することはできるのですから、教育内部の文書ですから、確認すべきではないですか、教育長。
○浜教育長 先ほど来、この事業の方針を決定する検討経過、かなり古いものからについて、ずっとお話がございますが、このことについては、私が着任した昨年四月以降でも、何度も瀧沢部長は繰り返しご答弁申し上げておりますが、もちろん私も確認はしておりますが、利害関係者の意向に左右されるわけではなく、適正に検討を積み重ねてきた結果として、公平、公正な形で事業を進める、この今のやり方を検討して取り組むことにしたわけでございますので、あたかも不正があったかのような、決められたストーリーにのっとったご質問で、どのような答弁をしても受け付けていただけないというこのやりとりは、大変心外でございます。
ですので、この間の、例えば利害関係者の問題でありますとか、検討経過に不正があったかのようなご発言については、ぜひ訂正していただきたいと思います。
○アオヤギ委員 利害関係者が不正をしたといっているわけじゃないです。利害関係者をその場に——財務局が定めるルールに準拠するといいました。先ほどの準拠するといったルールですね、財務局が示しているルールには、利害関係者を入れないようにしようということが定められている。それで入っているということでありますから、そこで不正をしたかどうかじゃない。入らないでくださいということをいっているわけです。
こうしたことを、きちんと調べれば分かることですので、これを事前に知っていたということであれば、これは教育長も含めて責任が問われることだというふうに思います。(浜教育長発言を求む)まだ質問しておりません。質問しておりません。質問しておりません……(発言する者あり)
○浜教育長 重ねて申し上げますが、利害関係者は検討に入っておりません。
○アオヤギ委員 私は質問していません。
協定書には、中学校の役割が多く書かれています。案内書の受領、説明会参加、先生ウェブサイト登録、生徒用申込み資料の受領、配布、特別措置の承認、生徒による申込みに関する情報の入力状況確認、受験票の受領、配布、予備日受験該当生徒の申請、申込み状況の確認、生徒への結果帳票の受領、配布、自校の結果確認、これだけ中学校の役割が書かれていますけれども、協定書以外に、調査書にESAT-Jの結果を書き込む仕事もあります。
どれもが入試には欠かせない業務であり、受験票の配布や申込み状況の確認など、しっかり執行できていなければ、入試の公平性が担保できたとはいえなくなります。
しかし、都が区市町村教育委員会に通知をしたとおり、中学校へはESAT-Jの協力を依頼している関係にすぎません。
協定書の中学校の役割について強制力はありますか。
○瀧沢指導推進担当部長 令和四年第四回定例会で送付のあった文書質問において回答しておりますが、スピーキングテストは、区市町村教育委員会との連携協力の下、実施をしております。
○アオヤギ委員 これは強制できないですね。連携協力という関係であります。
中学校の先生からは、二度とこのようなテストはやりたくないなどの厳しい批判の声が上がっています。
一方、申込み率は九五%と高くなっておりますが、全く違う事業ですけれども、私ども、学校でのPCR検査を求め、修学旅行前にだとか、授業で陽性者が出たときに実施されていますけれども、厳密に保護者の同意を得て、同意が得られた人のみ検査となるため、実施率は九割など達していません。
こうしたことからも、都立高校入試に活用するということをかさに、現場に強制したのではないですか。
○瀧沢指導推進担当部長 そのようなことはございません。
○アオヤギ委員 そのようなことはしていませんということですので、強制ではないのですね。中学校の関係者の皆さんにも、ぜひお伝えしたいと思います。
このアチーブメントテストは強制できませんから、来年度計上されている中学校一、二年生のスピーキングテストも強制ではありません。
ふだんからのスピーキングテスト、これを英語の先生たちはやっていますので、それを調査書点に入れています。全く外部の検定試験をやる必要はありません。
ESAT-Jの保護者の同意の仕方も非常に問題がありましたから、こうしたいいかげんな事業をわざわざやる必要はないということを、中学校の関係者の皆さん、保護者の皆さんに申し上げておきます。
通常、都庁内の契約では、一括再委託を禁止する条項が契約書にはあり、無断で再委託していないか、委託内容を受託者が履行しているか、履行調査を行うことになっていますと財務局がいっておりますけれども、今回の協定書について、瀧沢部長が、調査を行って何かを発見するという種類のものではない、適正に実施する責任は事業者にあり、そのように把握していくということであるという答弁をしています。
だけれども、調査はしていないのですか。
○瀧沢指導推進担当部長 令和四年第四回定例会で送付のあった文書質問においても回答しておりますけれども、事業者は、都教育委員会との協定に基づき、本事業を行うこととしておるということの趣旨で私はお答えしたところです。
なお、協定に基づく業務の履行の確認は、所管部で毎年行っております。
○アオヤギ委員 調査の履行確認をしているということであれば、調査を行って何かを発見するものではないという、あのときの答弁は撤回されますか。
○瀧沢指導推進担当部長 ちょっと質問の趣旨がよく分かりませんが、繰り返しになりますけれども、事業者は、協定に基づいて本事業を行うこととしているということをご説明した上で、今、お話を追加でいたしましたのは、履行の確認は、所管部で毎年定期的に行っているということを行ったことで、前回のものと矛盾することではないと考えます。
○アオヤギ委員 だから、全く違うことをいっていますよね、今。調査を行って何か発見するものではないといっていた。だけれども、毎年、履行確認していると。
履行確認するのが当然ですから、調査を行って何か発見するものではないというのは間違いですよね。
○瀧沢指導推進担当部長 その二つは、全く矛盾するものではないと思います。調査する必要はなく、履行の確認は毎年行っているということで、その二つが矛盾するということは全くないと思います。
○アオヤギ委員 今、ちょっと聞こえなかったのですけれども、調査をする必要がないのですか。
ない状況が続いている、そういうことですか。
○瀧沢指導推進担当部長 履行の確認は、毎年行っているというふうにお答えをしております。
○アオヤギ委員 履行の確認は行っているけれども、調査はしていない、そういうことですか。
履行の確認というのはどういうことですか。内容をお示しください。
○瀧沢指導推進担当部長 履行の確認がどういうことかという質問の趣旨もちょっとよく分からないのですが、協定に基づく業務を行っているわけですから、毎年、その内容がきちんと行われているかについて確認しているということであります。
○アオヤギ委員 ちゃんと調査をしなければ、幾らそういった履行確認していると——調査をしていない、履行確認はしているということで、ちょっと意味が私も分からないのですけれども、きちんと執行されているのか、様々な子供たちの声や試験監督の声がありますけれども、この再々委託先が試験監督のところでは事業を行っていましたけれども、子供たちに対してどんなことをしたのか、分からないではないですか。
○瀧沢指導推進担当部長 ご質問の内容がかなり変わりまして、ちょっと質問の内容が分からないのですが、事業というのが何を指しているのか、あるいは子供というのがどこのことを指しているのか、先ほどのお話との文脈が分からないので、申し訳ありません、ちょっと回答ができません。
○アオヤギ委員 事業というのは、今の試験の現場での試験監督が再々委託されていますけれども、その方たちがどういう履行状況なのか、そして、子供たちから直接意見を聞いていないということが質疑の中で明らかになっていますけれども、これでは、ちゃんと履行したか、分からないのではないですか。
○瀧沢指導推進担当部長 子供たちから意見を聞かなければ確認ができないということではないと思います。
○アオヤギ委員 子供たちから聞かないということなんですか。じゃ、聞かないでできるということですか。今のお答えはそうですよね。
子供たちから状況を聞かなくても事業はできる、そういうことですよね。今お答えになりましたよね。
○瀧沢指導推進担当部長 当日の確認については、先ほど来、繰り返しお話ししている内容でございまして、状況を確認しております。
○アオヤギ委員 子供たちの声を聞かないというのは重大なことだと思います。こうしたことで、勝手に事業者からの報告だけでミスをしていないと、履行確認をきちんとしないで——子供たちの声の中では、様々な不公平な状況がありました。それを、協定の相手であるベネッセがミスをしたら、都教委が尻拭いをする、また、瑕疵のある事業が、こうしたことではストップされないということではないですか。子供たちがこれに巻き込まれるということで、本当にひどいことだと思います。
こうした子供たちからの訴え、私も何回も見ました。アンケートに答えてくれた方は、非常に正確に試験会場などの状況をお伝えいただいています。
そうしたことを聞かないで、子供たちに、こうした自分たちで尻拭いを——協定の相手がミスをした、瑕疵をした場合でも尻拭いをしてしまったら、事業がきちんと行われていなくてもストップできないということではないですか。
○瀧沢指導推進担当部長 今のご質問の中での、子供たちに公平ではないことが行われたとか、あるいは尻拭いをしているということも三回出されましたけれども、それが一体、何を指しているのか分からないので、答弁は差し控えたいと思います。
○入江委員長 改めて、質問は明瞭に、簡潔にお願いいたします。
○アオヤギ委員 さらに、こうした調査をしないということ、子供たちの声を聞かないということは、子供たちにとって非常に危険です。
今回、実際、私も、この間も生活文化局の審議のときにもいってきましたけれども、再々委託とか一括再委託がされていないかどうか、こうした履行確認をしなければ、重大事故が起きたこともあります。埼玉県の市営プールの死亡事故がその一例ですけれども、委託、再委託となると、末端の事業者の労働者の単価というのは下がりますから、安全性の確保が確実に履行されたかが担保できないおそれがあります。
試験監督や採点業務は、本当に再々委託で完璧に履行できたといえるのでしょうか。
今、再々委託されていますよね。まずベネッセに委託をして、そして学力評価機構にされていますから再々委託ですけれども、そうした状況で完璧に履行できたのか、調査をできるのでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 再々委託になるとコストが下がって質が下がるというのは、それは決めつけの議論でありますから、そういうことが必ず当てはまるということではないというふうに思います。
繰り返して答弁しておりますけれども、当日の運営については、協定に基づいて事業者が行うということになっておりますので、そのように行われているというふうに理解しております。
○アオヤギ委員 この再々委託が業務の質を担保できないというのは、一括再委託を禁止しているのと同じ理由でありまして、きちんとこれは履行されたか、都教委自身が——この試験監督の募集の状況も、試験の間際まで集まらなかったという状況、募集がかけられていたという状況がありますし、結局、試験監督の方からは、試験会場に来なかった人もいるというようなことも報告されていますけれども、こうしたことが、一日限りのアルバイトではどうしても起きてしまうという状況があるということは明らかです。こういったことが、子供たちにとってどれだけ危険なことか。
様々アンケートの中でも、子供にいろんなハラスメントのようなことをした事例を書いてきた方もいます。こうした……(発言する者あり)そうなんです。アンケート結果ですね。(発言する者あり)そうですね。何か質問ありますか。
そういった事例がありました。そうしたことが起きています。
私は、この子たちの言葉は信用に足るというふうに思いますけれども、私たちは、こうした一日だけのアルバイトが子供たちに接するということはどれだけ危険なことか、認識が甘いといわざるを得ません。
都教委は、事業者に対して、協定の内容をまともに調査もせず、指導もせずに、一緒になって、お互いができなかったこと、お互いの瑕疵を取り繕い合っているのではないですか。なかったことにしようとすると。
子供たちの声をなかったことにしようとすることもありました。数多くありました。
しかし、どれも、こうしたことが取り繕い切れていません。
過去の議事録を見ると、みんなから、その委員の方からミスを指摘されたのに対して、その声に対して対策をしないということが数多く見受けられます。
令和二年に開かれた令和三年度の入選検では、委員長が、八万人規模の一斉のプレテストの実施が困難となった、中略しますけれども、本番で行うには、八万人の規模のプレテストの実施でどのような課題があるか検証する必要があると、このとき発言しています。
しかし、いっていたにもかかわらず、結局、いきなり一斉のテストを行ってしまい、こうした今の重大な結果になってしまいましたが、なぜ、このときにいった言葉をそのまま検証しなかったのですか。
八万人のテストを一日でやる、こういったことをしないのは、試さずに、失敗せずにできるということですか。
○瀧沢指導推進担当部長 今の質疑の中で、生徒に対してハラスメントを行ったというようなお話がありましたが、非常に個人的なことに関わることで、それをこのような公開の場でお話をするということについて、極めて重大なことであるというふうに考えております。
個人様々な事情があって起きているということもありますし、さらにいうのであれば、アルバイトはハラスメントを起こすというような表現の仕方を……(アオヤギ委員「そんなこといっていないです」と呼ぶ)いえ、そのような表現をされていました。アルバイトには任せられないというような表現があるというのは、それは非正規の労働者の方々に対する侮辱であるというふうに思います。
一貫して、そのようにアルバイトにはできないというような表現がありますけれども、それは極めて、これからの働き方ということを含めても、できた、最初につくったストーリーでのせていこうというふうに考えております。
また、アルバイトで集まらなかったということもありますが、それも類推をしているだけであって、事実かどうか、確認をすることができないはずであります。
また、八万人についてのお話もございますけれども、八万人できるかどうかを検証する必要があるというのは当然のことでありまして、そのための方策を考えて実施を検討し、今日に至っているということであるということでございます。
○アオヤギ委員 事実、やっていないじゃないですか。プレテストは、日にちがばらばらで、何日間にもわたってやった。一日でやるというのは、非常に大変なことだと思いますよ。
アルバイトの募集を、その日に一斉に来てもらって、そして、研修も事前にしなければならないけれども、なかなかそういった研修もきちんと行われていない、そういった事例もあったということが試験監督をされた方からもいわれております。
そして、同じく入選検の議事録ですけれども、令和二年に行われた入選検では、都教委がこういっております。学力検査の中に入れても、調査点の中に入れても、どのようにしてもデメリットが出てくるため、現段階では解消する方法はないということをいわれていますが、これは、どのようにこれに対応したのですか。
○瀧沢指導推進担当部長 事前に通告を受けておりません。
どのような文脈でそのようなことが書かれているのかも確認のしようがありませんので、お答えすることはできません。
○アオヤギ委員 都教委がいった言葉ですけれども、令和二年度に行われた入選検の議事録です。こういったことが都教委の中で、都教委自身が発言をして改善してこなかった、デメリットがあっても改善をしてこなかったということが、今の、今回の重大な事案につながっているというふうに思います。
例えば、試験監督についても、先ほど質疑があったように、試験監督はアルバイトでできるんだと。都教委の考えの甘さ。ベネッセは、結局、集め切れなかったわけですけれども、本来なら受託事業者が履行、つまり、試験監督を集め切れなかった時点で指導をして、場合によっては契約を解除する、こういったこともしなければならないと思いますけれども、都教委は、都教委の職員を六百七十人、先ほど高校の先生を含めた数を答弁されていましたけれども、こうした人数を配置して、何とか試験を履行しようとした。しかし、子供たちの声からも、質疑で明らかになったとおり、ぐだぐだの試験だった、失敗だったというわけです。
子供の声についても、先ほど、とや議員の質疑で、これについても、可能性を強調したものだと決めつけました。こういったことは本当に重大だと思います。じゃあ、問題があったときに、子供たちはどうやって声を上げればいいんですか。こんな決めつけをされたら、危険な目に遭っても声を上げられないじゃないですか。
こうしたトラブル、子供たちからの声を無視して、それを聞こうとしない、隠す。こういったことは、企業でいったら、リコールを隠すのと一緒だと思いますよ。どうして都教委が、こうした隠すことを許されるのですか。都教委だと許されるのですか。
また、採点ミスについても同じです。このようなことが、受託者が採点ミスを起こしたら、入試に入れられないと判断するのが、入試に活用しないというのが一番誠実な対応だと思いますが、しかし、ベネッセに再調査をさせて、結果をもって、それ以外にミスはないんだと決めつけて入試に活用する。こういった取り繕いを行うということを続けております。
バスの運行もそうです。バスも保護者の方から指摘をされて、バスの本数が少ないところがあると指摘をされると、バスを手配する。五校へのバスの用意しかできなかったではないですか。全然、取り繕えていません。
こうした都教委の取り繕いのために税金が投入されています。協定にもないことまで、入試に活用するためなら何でもする、これが実態なんじゃないですか。
〔発言する者あり〕
○入江委員長 通告時間を過ぎております。(発言する者あり)では、瀧沢部長、答弁でお願いします。
○瀧沢指導推進担当部長 今、長い質問がございましたけれども、繰り返し、先ほど来、事実は異なるということをいっていますが、改めて、また繰り返されているのでいいますが、バイトが足りないということも、外から確認できることではないというふうに思いますし、足りないから都の職員を送ったというのも、事実とは異なります。また、派遣した人数も、学校の教員を含めたものではありません。
また、取り繕うといういい方をされましたけれども、それぞれ子供たちのことを考え、あるいは中学校の意見を聞きながら改善を加えていくということを、取り繕うという表現をされているわけですけれども、私たちは、最善の環境で実施できるようにということで、この間、継続して様々取り組んできたということでございまして、何かそれらの一つが起きたから中止すべきだという議論になるというのは、私たちの考えとは相入れないものでございます。
〔アオヤギ委員発言を求む〕
〔発言する者あり〕
○入江委員長 十二時前後で休憩がありましたので、まだ通告時間、議会局に質問します……(発言する者あり)アオヤギ委員、簡潔にお願いいたします。
○アオヤギ委員 私の方を決めつけといって、そして、自分たちがこうやって失敗したことを隠して入試に活用する、これは絶対許せないことです。こうやって責任を取らないで一緒にやるということは、子供たちの命を預けるわけにいかない、責任を取らない人に預けるわけにはいかないというふうにいわざるを得ません。
この入試活用を断念して、子供たちを巻き込まないでいただきたいというふうに思います。
以上で終わります。
○入江委員長 アオヤギ委員に伺います。
何点か、利害関係、ハラスメントなど、ちょっと事実誤認に当たるような発言があったようにも思われますが、何かご意見、最後に述べることはございますか。
○アオヤギ委員 特にありません。
○入江委員長 特にありませんか。
質疑を続けます。
○桐山委員 それでは、陳情七七号、一〇九号、不登校に関連して質疑をさせていただきます。(発言する者あり)
○入江委員長 え、今、採決でしょう……。失礼いたしました。
請願陳情一くくりについて、ほかに発言がなければ、本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了といたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○入江委員長 異議なしと認め、本件、請願陳情一くくりに対する質疑は終了いたしました。
これより採決を行います。
初めに、請願四第四二号を採決いたします。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○入江委員長 起立少数と認めます。よって、請願四第四二号は不採択と決定いたしました。
次に、請願四第四四号の一を採決いたします。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○入江委員長 起立少数と認めます。よって、請願四第四四号の一は不採択と決定いたしました。
次に、請願四第四六号をお諮りいたします。
本件中、第四項を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○入江委員長 異議なしと認めます。よって、請願四第四六号中、第四項は趣旨採択と決定いたしました。
次に、陳情四第一〇五号を採決いたします。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○入江委員長 起立少数と認めます。よって、陳情四第一〇五号は不採択と決定いたしました。
次に、陳情四第一〇八号を採決いたします。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○入江委員長 起立少数と認めます。よって、陳情四第一〇八号は不採択と決定いたしました。
次に、陳情四第一一二号を採決いたします。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○入江委員長 起立少数と認めます。よって、陳情四第一一二号は不採択と決定いたしました。
次に、陳情四第一一八号を採決いたします。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○入江委員長 起立少数と認めます。よって、陳情四第一一八号は不採択と決定いたしました。
次に、陳情四第一一九号を採決いたします。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○入江委員長 起立少数と認めます。よって、陳情四第一一九号は不採択と決定いたしました。
○入江委員長 次に、陳情四第七七号及び陳情四第一〇九号については、内容に関連がありますので、一括して議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○小寺指導部長 陳情四第七七号及び陳情四第一〇九号の二件につきましてご説明申し上げます。
お手元の文教委員会付託請願・陳情審査説明表の一五ページをお開き願います。
陳情四第七七号、不登校からの学校復帰成功事例集の配布・備付けに関する陳情でございます。
本陳情は、足立区の上原昌仁さんから提出されたものでございます。
本陳情の趣旨は、都において、不登校の生徒たちの学校復帰支援対策として、不登校からの学校復帰成功事例集の都内公立学校への配布、備付けを早期に実現していただきたいというものでございます。
これに関する現在の状況でございますが、文部科学省は、令和元年十月の通知により、不登校児童生徒への支援は、学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要があることなど、支援の視点を示しております。
こうした趣旨を踏まえ、都教育委員会は、学校において、不登校児童生徒の安心・安全な居場所づくりや、デジタル機器を活用した支援の取組を強化するモデル校を指定して、実践研究を行っております。
また、不登校児童生徒の学校復帰のみならず、社会的自立に向け、公的機関である教育支援センターや不登校特例校における支援の充実、民間施設であるフリースクール等との連携の強化など、多様な教育機会を確保するために区市町村教育委員会が行う取組を支援しております。
さらに、平成三十年度には、不登校への適切な対応に関するガイドブックを独自に開発し、都内全公立小中学校に配布いたしました。令和二年度には、本ガイドブックに基づく校内研修資料を作成し、学校での活用を促してまいりました。
次に、陳情四第一〇九号、不登校児童生徒への多様な学習機会と経済的支援制度を求める意見書の提出に関する陳情でございます。
一八ページをお開き願います。本陳情は、葛飾区の不登校児童の支援を考える親の会、村谷麻美さん外二百五人から提出されたものでございます。
本陳情の趣旨は、都議会において、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の第三条第二号の規定に基づき、1、教育機会確保法の制定時における附帯決議の事項を実現し、子供の多様な学びの拡大に努めること、2、フリースクール等の民間施設の設立及び運営補助金等の経済的支援制度を検討することについて、国に意見書を提出していただきたいというものでございます。
これに関する現在の状況でございますが、都教育委員会は、国と連携を図り、不登校に関する施策を進めております。
本年度、都教育委員会は、近年、フリースクール等に通う子供が増加していることや、フリースクール等の規模、活動内容等が様々であることを踏まえ、一人一人に寄り添った多様な支援の充実に向けて、フリースクール等に通う子供やその保護者に必要な支援等を把握するため、調査研究事業を実施しております。
今後とも、国と情報を共有し、不登校児童生徒の状況に応じた教育の機会の確保に努めてまいります。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○入江委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○桐山委員 陳情第七七号、それから一〇九号、不登校に関連して質疑をさせていただきます。
私は、不登校児童生徒に対しては、学校の復帰だけが目的ではない包括的な支援を求めております。
都教育委員会がこれまで行っている学校での面談や教育相談、スクールカウンセラー等の相談事業に対しては、学校復帰が前提としている事業だと感じているところです。
教育庁は、意見の中で、学校での居場所づくりやデジタル機器を使用した取組など、実践研究をしていると述べていますが、研究結果としてどのような効果があるのか、そして、何を期待しているのか、伺います。
○小寺指導部長 本年度の実践研究では、教室とは別の場で、子供が相談したり、学習したりする環境を整えることで教室に戻れた事例や、一人一台端末を通して配信された授業を視聴することを通しまして学習意欲が高まった事例などが報告されておりまして、これらを踏まえ、不登校の未然防止や早期支援の効果を検証しているところでございます。
○桐山委員 実践研究では、教室とは別の場で、子供が相談したり、学習したりする環境を整えることで教室に戻れた事例等が上がっており、現在、検証を行っているとのことでございました。
学校現場においては、突然、学校に行けたということで、教室には入れないのですけれども、保健室とか別室とかで対応するにしても、不登校担当教員が現場にいるわけではなくて、手が空いている教員やスクールカウンセラー、あるいは保健師などが対応している現状も多いと伺っており、学校全体での、この人員のサポート体制ということでは課題が上がっているように思います。
そういったことも含めまして、陳情の趣旨では、学校復帰のサポート支援のガイドブックの作成とかいうことも述べておりますけれども、一方で、学校復帰だけが目的ではありませんが、学校復帰を目指そうとしているお子さんも中にはいるわけでありますので、そういったところの学校内での人員サポート体制をぜひ充実することも重要なのかなということにつきまして、趣旨は賛同するところであります。
また、特に、私は、子供たちのケアはもちろんですけれども、保護者が子供の状況を理解し、不安な毎日を軽減してあげること、焦ったりせず、子供に寄り添い、時間がかかっても待ってあげること、親は、子供の子育てが悪かったと責めることもあり、家庭でもぎくしゃくする負のループに陥ってしまう傾向もあります。同じ不安や悩みを抱える保護者と話をするだけで安心へとつながって、お母さんが元気で明るくいられるよう、そんな場の提供も支援の一つとして、学校現場のこと以外でも積極的に取り組んでいただきたいと思います。
そんな中で、多様な学びの機会の一つにフリースクールがありますが、実際は学校ではなく、文科省は、フリースクールを不登校の子供を受け入れることを主な目的とする団体施設と定めていますが、フリースクール自体は、法や制度などによって定められた学校ではないため、その定義は様々です。
そこで、フリースクールは、学校の代替役割に加え、不登校児童生徒の社会的自立や心理的安定のための支援を行う役割、家族システムへ働きかける役割、学校と家庭との関係を調整する役割を果たしています。
しかし、フリースクールは、運営費不足、人材不足、場所の確保の困難さや職員のスキルについてなど、切実な課題も抱えています。公的な財政支援や公的枠組みの整備についても、今後、前向きに検討するべきです。
また、ひきこもり支援に対してと同じように、福祉的サポートや自立支援としての教育庁だけでは支援が行き届かない場合は、福祉保健局と連携をし、包括的支援が必要と考えますが、見解を伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、不登校の子供の多様な学び場での支援の在り方を検討するため、学校とフリースクール等の協議会において意見交換等を行ってまいりました。
また、区市町村へのスクールソーシャルワーカーの配置を促進するなど、福祉等の関係機関と連携した対応を進めてまいりました。
○桐山委員 ご答弁でも、学校とフリースクール等の協議会において意見交換を行ってこられた、あるいは、区市町村へのスクールソーシャルワーカーの配置を促進するなど、補助金等の事業も通してあるのかというご答弁がありました。しかし、こちらも、スクールカウンセラーと同様に、まだまだ一校に一人常駐できるような体制も整っていません。
そして、今、ソーシャルワーカーの配置の件もありましたように、東京都としては、一校に一人の配置という準備もされているのかもしれませんが、しかしながら、区市町村には、財政状況の差がある関係から、なかなか難しい課題が残っているということも伺っておりますので、ぜひそちらの方の拡充も求めておきます。
次に、陳情一〇九号における、二〇一五年九月、義務教育の段階に相当する普通教育の多様な機会の確保に関する法案、通称フリースクール法案の審議で、多様な学び方も義務教育の一つの選択肢として認めていこうという、この法案の魂ともいうべき部分が、残念ながら保守議員たちに潰されて削除されたことが大変印象深く記憶に残っているところです。そして、その法案の名称からも、この多様なという言葉が削除されて、通称、不登校対策法案として制定されたという、何ともこのような経緯のある法案となっており、それを受けまして、現在も、その法律の下で東京都も施策を講じているかと思います。
そこで、陳情趣旨にもありますように、その法案の附帯決議がなされており、不登校の児童生徒が、いわゆるフリースクール等の学校以外の場において行う多様な学習活動に対しては、その負担の軽減のための経済的支援の在り方について検討し、その結果に基づき必要な財政上の措置を講ずること、これは国が責任を持って対応すべきであることを踏まえ、こちらの方には、意見書提出には賛成です。
さて、都は、フリースクール等に通う子供やその保護者にアンケート調査を行い、その協力金として月一万円を支給している事業を行っています。令和五年新年度予算では、増額して二万円支給と予算案が計上されておりますけれども、一人一人に寄り添った多様な支援ができるような仕組みを、この調査によって何を目指しているのか、伺いたいと思います。
○小寺指導部長 ご質問の調査研究事業の目的は、フリースクール等に通う不登校の子供及びその保護者の支援ニーズや活動内容などを把握し、都教育委員会の施策立案に生かすことでございます。
○桐山委員 調査の段階から、ぜひ実施段階へと早急に進めていっていただきたいと思います。
フリースクールでは、教育を事業として行っているわけではなくて、子供の支援施設であって、居場所の提供事業でもあります。
今後、このモニター制度といわれるようなものを使い、そして協力金として支払うことが、不登校支援としてのフリースクールに通うことのインセンティブにつながっているとすれば、今後、この先も支援を続けていかなければなりませんし、一方で、要望が多いように、東京都が補助金を出す場合には、補助金交付要綱で対象となるフリースクールを定めることで民間団体への補助対象施設と変わらないことから、可能なのではないでしょうか。
私は、不登校の子供たちにとって、居場所や多様な学びの機会が身近なところで自らが選択できるよう、社会全体で支援できる理想を目指し、これからも不登校支援を取り組んでまいりたいと思います。
以上で質問を終わります。
○入江委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
初めに、陳情四第七七号を採決いたします。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○入江委員長 起立少数と認めます。よって、陳情四第七七号は不採択と決定いたしました。
次に、陳情四第一〇九号を採決いたします。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○入江委員長 起立少数と認めます。よって、陳情四第一〇九号は不採択と決定いたしました。
この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午前二時十二分休憩
午前二時二十九分開議
○入江委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
陳情四第一一一号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○岩野地域教育支援部長 陳情四第一一一号、イチョウ並木を含む明治神宮外苑の名勝指定に関する陳情についてご説明申し上げます。
請願・陳情審査説明表の一九ページをお開き願います。
本陳情は、千代田区の大橋智子さんから提出されたものでございます。
本陳情の要旨は、都において、近代日本における西洋式庭園の名作である明治神宮外苑について、その地歴を重んじ、都の名勝に指定することを検討していただきたいというものでございます。
これに関します現在の状況でございますが、東京都指定名勝については、所有者及び関係自治体の意向を踏まえ、東京都文化財保護条例に基づき東京都文化財保護審議会に諮問し、答申を受けた後、東京都教育委員会が指定しております。
現時点では、イチョウ並木を含む明治神宮外苑の名勝の指定について、所有者及び関係自治体の意向は示されておりません。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。
○入江委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○白戸委員 イチョウ並木を含む明治神宮外苑の名勝指定に関する陳情への意見表明をさせていただきます。
明治神宮外苑は、国家事業として整備された貴重な西洋式の庭園でございます。さらに、百年という年月がたち、都民に愛され、憩いの場として活用されています。
かねてから我が会派では、神宮外苑の再開発では、緑の総量が増加し、そのエリアが育んできた様々な価値が適切に継承されるように取り組むこと、また、創建時の趣旨を踏まえ、都民の共感を得ながら、将来につなげていく取組を行っていくことが大切であると主張してまいりました。
ですから、文化的価値の高い庭園であり、公益性が高いということは十二分に理解するところではあり、今後しっかりと保全していくべきというのは大いに賛同するところであります。
しかし、東京都文化財保護条例三十三条二項などによると、都指定名勝の指定には、その所有者の同意を得なければならないとされています。
また、同三条四項には、都教育委員会は、この条例の執行に当たっては、関係者の所有権そのほかの財産権を尊重しなければいけないともされています。
これは、指定により、その財産に様々な制約がかかることになるため、所有者や地元自治体の明確な意向が必要であるという趣旨であります。
条件に照らし合わせれば、現在、所有者や地元自治体から指定を求める意思は示されておらず、都による指定もできないことから、本陳情をそのまま採択とするのは難しいと考えます。
ただ、明治神宮外苑を都民の共感と参画を得て、次の百年に向け、みんなで育てていく取組が大切で、明治神宮外苑創建の趣旨にかなうと考えるところです。
所有者である明治神宮や地元自治体である港区から要望が来た場合は、積極的に対応いただくことをお願いし、意見表明とします。
それから、追加させていただきます。
先ほど、アオヤギ議員の発言の中に、個人の名誉に関わることがあるように感じられました。後日の理事会において、議事録を精査の上、委員会として適切な対応を取られることを求めます。
以上です。
○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
質疑に入る前に、今、白戸委員からお話がありましたので、一言申し上げます。
本日の文教委員会で、都民ファーストの伊藤ゆう都議の不規則発言があまりにも大きく、常軌を逸しているといわざるを得ませんでした。質問に立つ女性都議に対する恫喝そのものだといわざるを得ません。
加えて、浜教育長についても、質問を遮る形で答弁に立つということがありました。
委員会運営にも大きく関わる責任者である入江委員長にも責任があるといわざるを得ません。
やはり委員会運営を円滑にするということであれば、不規則発言とか、委員が質問していることを遮るというのは、これはやっぱりやってはいけないことだと思います。
これについては、また後日、改めて対応させていただくつもりであります。
それでは質問に入ります。
イチョウ並木を含む明治神宮外苑の名勝指定に関する陳情について質問します。
陳情者は、都において、近代日本における西洋式庭園の名作である明治神宮外苑について、その地歴を重んじ、都の名勝に指定することを検討していただきたいと述べています。
文化庁の説明によれば、名勝とは、文化財保護法において、庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で、我が国にとって芸術上または観賞上、価値の高いもののうち重要なものとされているとしています。
また、都の文化財保護条例の定義もこれに準じております。
神宮外苑は、文化庁の二〇一二年六月の全国調査、近代の庭園・公園等に関する調査研究報告書において、国や地方公共団体による名勝としての登録の候補となり得るもののうち、第一次選定事例並びにその中でも特に保護措置を充実させる必要性が高いと認められるものとして重要事例に位置づけられております。
この件について、東京都はどのように受け止めておりますか。
○岩野地域教育支援部長 都指定名勝の指定については、都文化財保護審議会の審議を通じ、判断されるものです。
なお、明治神宮外苑イチョウ並木につきましては、国の近代の庭園・公園等に関する調査研究報告書におきまして、名勝の指定の可能性がある事例と評価されていることは承知しております。
○とや委員 神宮外苑のイチョウ並木について、国の調査研究において、名勝に登録すべき対象として高い位置づけを与えられていることを、東京都として承知しているとのご答弁でした。
続けてお聞きいたします。
二月三日の衆議院予算委員会で、立憲民主党さんの質問に対し、永岡文部科学大臣は、神宮外苑のイチョウ並木について、現時点で文化財指定などの可能性があると考えており、従来から自治体に伝えている、まずは保存と開発が両立できるよう、地元の自治体が所有者などと調整をしてもらうことが必要と答弁しています。
この答弁について、東京都の受け止めを教えてください。
○岩野地域教育支援部長 先ほどの答弁と重複いたしますが、明治神宮外苑イチョウ並木につきましては、国の近代の庭園・公園等に関する調査研究報告書におきまして、名勝の指定の可能性がある事例と評価されていることは承知しております。
現時点で、明治神宮外苑イチョウ並木につきましては、所有者や地元自治体からの名勝の指定の意向は示されておりません。
○とや委員 先ほどと同じ答弁ではありましたが、要するに、東京都として、調査結果についての国からの発信は、きちんと受け取っているということと理解をさせていただきました。
国の調査研究報告書は、全国調査で寄せられた回答、それから文献調査による事例約四千四百件から、近代の庭園、公園等に関する有識者による検討会を経てまとめられたものです。最終的に千五百件程度の第一次選定事例にまとめられています。さらにそこから、風致が優秀で芸術上または観賞上の価値が高く、学術上の価値が高いものとして、百七十九件の重要事例が選定されました。
ですから、この重要事例に選定されたということは、イチョウ並木の文化財としての価値について申し分ないということにほかなりません。
さらにいえば、イチョウ並木が分類された並木道について、第一次選定事例は全国で八十三か所、うちイチョウ並木を含む重要事例は、たった五か所しかありません。
このように、神宮外苑、とりわけイチョウ並木の文化財としての価値は明らかだと思いますが、都は、神宮外苑の価値、イチョウ並木の価値をどのように捉えていらっしゃいますか。
○岩野地域教育支援部長 都教育委員会では、明治神宮外苑及びイチョウ並木の価値につきまして、判断をしておりません。
都文化財保護基準に該当するかどうかにつきましては、都文化財保護審議会の審議を通じて判断されるものです。
○とや委員 今、手続的なお話をいただきましたが、手続的にはそうなのでしょうが、そこに進む上でも、東京都がより主体的に、イチョウ並木や神宮外苑の文化財としての価値判断を持つべきだと思います。
事実、小池知事もこの間、事業者への要請において、四列のイチョウ並木から聖徳記念絵画館を望む象徴的で風格のある景観をイの一番に評価し、とりわけ神宮外苑の象徴である四列のイチョウ並木の保全には万全を期すことを求めて、環境影響評価の知事意見においても、将来にわたり、イチョウ並木を健全に育成することを求めています。
東京都は、本当に国の調査研究報告書の結果や大臣答弁を受け止めて検討したことはないのでしょうか。
検討したことがあれば、その内容を教えてください。検討したことがなければ、なぜ検討していないのか、その理由を教えてください。
○岩野地域教育支援部長 明治神宮外苑イチョウ並木につきましては、都指定名勝の指定に関し、現時点で所有者や地元自治体の意向が示されていないため、検討を行っておりません。
○とや委員 都の文化財名勝指定に当たって、東京都の教育委員会は、まず、所有者及び関係自治体の意向を踏まえて、そして、条例に基づいて東京都の文化財保護審議会に諮問し、答申を受けた後、指定をするという手続については理解をいたします。
その上で、国が調査で明らかにして、また、知事自らも評価している神宮外苑、とりわけイチョウ並木の文化財としての価値に鑑みて、都からより積極的に、事業者や地元自治体に対して名勝指定へのプロセスを打診することがあってもよいのではないかと思います。
ちなみに、イチョウ並木四列のうち、二列は都道に含まれているということはご存じだと思います。ご案内のとおりです。
都が実際に名勝に指定した過去の事例に照らしても、神宮外苑やイチョウ並木の名勝指定は、全く不思議なことではありません。
都内の都、国、自治体指定の名勝の数をそれぞれ教えていただけますか。
○岩野地域教育支援部長 令和五年二月現在、指定されている名勝の件数は、国指定が十四件、都指定が十二件、区指定が三件でございます。
○とや委員 どうもありがとうございます。
それでは、このうち、管理者、所有者が宗教法人のものを教えていただけますか。
○岩野地域教育支援部長 指定されている名勝のうち、管理者、所有者が宗教法人のものは、国指定のものは一件、都指定のものは五件です。
○とや委員 明治神宮と同じ宗教法人が管理、所有する名勝は、国指定が十四件中一件、都指定は十二件中五件ということです。
東京都の条例でいうところの有形文化財、つまり建造物や彫刻といったものであれば宗教法人のものが多いことは想像できるわけですが、名勝という景勝地についても、意外と宗教法人の管理、所有のものが多いということが分かりました。
では、次に、都内の名勝のうち、庭園について、起源の一番古いものと一番新しいものについて、その年を教えてください。
また、一九一二年、大正元年になりますが、以降に起源を持つものも教えてください。
○岩野地域教育支援部長 都内の名勝で庭園であるもののうち、起源が最も古いものとしては、寛永二年に築庭を開始したと伝わる小石川後楽園、江戸時代初期と伝わる伝法院庭園がございます。
最も新しいものといたしましては、昭和十年ごろとされる旧朝倉文夫氏庭園がございます。
また、大正元年以降に起源を持つものは八件でございます。
○とや委員 改めて教えていただいて、本当に幅広く、江戸時代から昭和まで指定がされているんだなということを知りました。
また、神宮外苑が開園したのと同時期のものも、それなりに数があることも分かりました。
こうしたこれまでの事例に照らしても、神宮外苑やイチョウ並木が名勝指定に適さない理由は見当たらないと思います。少なくとも、東京都の方にちゅうちょをする理由はないと思います。
実は、こうした過去に名勝に指定された庭園の中に、名勝に指定される以前の話ではあるわけですが、東京都が所有者から買い取った庭園の事例もあります。
東京都が買い取るなど、積極的に保存に動いたものを教えてください。
○岩野地域教育支援部長 殿ヶ谷戸庭園につきましては、都が土地を取得し、昭和五十四年に開園したと聞いております。
なお、名勝として指定されたのは平成十年であり、名勝として保存するために取得したものではありません。
○とや委員 それはそうなんですけれども、だから、名勝に指定される前というふうにいったのですけれども、しかし、建設局の公園緑地部が発行している東京都における文化財庭園の保存活用計画、これ、共通編というのがあったのですけれども、ここにはこのように記されています。
殿ヶ谷戸庭園は、大正二年から四年に江口定條の別荘として整備され、昭和四年には岩崎彦彌太の別邸となった、武蔵野台地の段丘崖を巧みに利用した庭園であり、崖上には明るい芝生地、それから、崖下には湧水を利用した林と竹林がある和洋折衷の庭園である、昭和四十年代の開発計画に対して起こった住民運動が発端となり、昭和四十九年に東京都が岩崎家から買収し、整備された後、昭和五十四年に公開されたとありました。
ここに描写されているように、やはり元から優れた景観を有していた場所なんですよね。それで、結局、この後に名勝に指定されたという経緯だと思います。当時の建設局は炯眼であったと思うわけです。
私は、神宮外苑やイチョウ並木についても、東京都がそうした見識を大いに発揮してもよいと思います。別に都に買い取れといっているわけではありませんけれども。
ここまで、都に対して、積極的に名勝指定に動くことを求めてきましたが、所有者は、やっぱり不安があるかもしれません。
そこでお聞きしますが、東京都は、イチョウ並木や神宮外苑を名勝に指定することは、神宮外苑の市街地再開発事業と矛盾するとお考えですか。
○岩野地域教育支援部長 都文化財保護条例では、条例の執行に当たっては、都教育委員会は、関係者の所有権その他の財産権を尊重することとされており、現時点で所有者の意向は示されておりません。
○とや委員 明らかに矛盾するという答弁はなかったと受け止めました。
先ほどの国の調査研究報告書でも、まとめには、多くの庭園、公園等は、利用や機能面において周辺環境と密接な関係を持っており、庭園、公園等を適切に保護するためには、周辺の地域を含めた景観計画や都市計画との連携が不可欠である、この報告書が都市計画及び地域振興などの幅広い分野にも活用され、その結果、庭園、公園等が地域の文化遺産として十分に認識され、将来にわたり継承されていく第一歩となることを期待したいというふうになっております。
文化財保護と都市計画や地域振興を対立させるのではなくて、連携をうたっているわけです。これは、恐らく明治神宮の意向にも沿うものだと思います。
さらにお聞きします。
名勝に指定されることにより、保存や活用に当たって、公的な財政措置が取られるようになりますでしょうか。その内容を教えてください。
○岩野地域教育支援部長 東京都指定名勝に指定された場合には、都文化財保護条例に基づき、名勝の管理または修理につき、多額の経費を要し、所有者がその負担に堪えない場合などは、所有者に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができます。
○とや委員 イチョウ並木については、本当に都民の財産というか、国民の財産じゃないかなと私は思いました。これからさらに百年守られなければならないと思います。そのためにも、東京都の財政支援があることは重要です。
さらにお聞きします。
都は、東京都が所有、管理する名勝について、国指定のもの六件、都指定のもの一件について、文化財の保存活用計画を策定していると聞きました。
では、民間の個人や法人が所有する東京都の指定文化財について保存活用計画を立てる際、東京都はどのように関わりますか。
○岩野地域教育支援部長 文化財の所有者等からの依頼に基づき、指定された文化財が適切に保存、活用されるよう指導、助言を行うため、都職員が計画策定のための委員会に参加しております。
○とや委員 ありがとうございます。都が、より主体的に保存、活用に関わっていけるようになるということなんですよね。所有者にしても、やっぱり、より安定的に文化財としての価値を高めたり、発揮できることになると思います。
以上のように、名勝指定は、所有者の意向にも沿うし、有利に働くことが多いと思います。そのことを、ぜひ東京都から所有者に伝えていただきたいと要望しておきます。
それから、都が名勝に指定した後、国の名勝になった例は、何件中、何件ありますか。
○岩野地域教育支援部長 国指定の十四件のうち、都指定であったものは四件でございます。
○とや委員 この数だけを聞けば、国が直接乗り出して、国指定の名勝にしていくことも大いに期待したいと思うんですね。同時に、先ほどの国会答弁や、国会で誕生した議連の申入れに対する文科省の様子を見ていても、ちょっと待ちの姿勢に見えると。やはりここは、東京都がイニシアチブを発揮してほしいと思います。
最後に、もう一度お聞きしますが、イチョウ並木や神宮外苑を名勝指定するために、東京都として積極的に取り組むべきではありませんか。
○岩野地域教育支援部長 現時点では、イチョウ並木を含む明治神宮外苑につきましては、都指定名勝の指定に関し、所有者や地元自治体の意向が示されておりません。
○とや委員 意向が示されてはいないのですけれども、そこを乗り越える条件は十分にあることが、私、今日の質疑で明らかになったと思うんです。陳情者が求めるように、せめて都の名勝指定の検討ぐらいは、直ちに行うべきだと思います。
陳情の採択を主張したいところですが、継続ということで主張し、質疑を終わります。ありがとうございました。
○阿部委員 陳情第一一一号、イチョウ並木を含む明治神宮外苑の名勝指定に関する陳情について、これはもう既に一定の質疑がありましたので、意見として申し上げます。
明治神宮外苑は、自然の豊かさ、景観の美しさ、また独自の歴史的価値、そしてまた公益性の高さ、どれを取っても、都民の宝、そして国民の宝というべきものであり、まさに陳情者が求めるとおり、名勝指定にふさわしいものと考えます。
一方で、名勝指定に当たっては、所有者や地元自治体の意向を踏まえた手続が必要です。
先ほどのご答弁でも、地元からはまだ意向が示されていないということではありましたけれども、地元港区議会では名勝指定を求める声が上がっており、区側も一定の動きを示しているというふうにも聞いております。
今回の陳情は、まだ所有者の意向を確認していない段階ということで、こうしたことは関係者の気持ちを合わせながら進めていくことが大切ということもありまして、私どもとしては継続審査としたいと思っております。
しかしながら、東京都としては、当該イチョウ並木を含む神宮外苑の重要性に鑑み、地元からの要望を踏まえつつ、積極的に対応することを求めて、意見表明といたします。
以上です。
○桐山委員 それでは最後です。よろしくお願いします。
それでは、私からもイチョウ並木を含む明治神宮外苑の名勝指定に関する陳情について質疑をさせていただきます。
神宮再開発の出発点ということで、私が令和四年第四回定例会本会議の一般質問でお聞きしました、二〇一二年五月、東京都の佐藤広副知事と安井順一技監が、衆議院議員会館に森喜朗氏を訪問されたときの話にあります。森氏がオリンピック招致が駄目になったらどうすると尋ねたのに対して、安井技監は神宮外苑全体の再整備を進めると答えています。
所有者である明治神宮が主導した再開発などではなくて、東京都が主導して進めてきた再開発であることは明白であり、東京都が責任を持ってイチョウ並木の神宮外苑の歴史的価値を保全しなければなりません。
神宮再開発の問題は、環境・建設委員会や、その前段の都市整備委員会、そして、この文教委員会と、多くの委員会にまたがります。それを踏まえた上で、この委員会では、文化財としての明治神宮外苑について質問します。
まず、文化財保護所管に関して質問します。
平成三十年、通常国会において、文化財の滅失、散逸等の防止が緊急の課題であり、未指定を含めた文化財をまちづくりに生かしつつ、地域社会総がかりでその継承に取り組んでいくことが必要で、このため、地域における文化財の計画的な保存、活用の促進や地方文化財保護行政の推進力の強化を図る趣旨の下、地方公共団体における文化財保護の事務は教育委員会の所管とされていますが、条例により地方公共団体の長が担当できるようにする、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、文化財保護法の改正が行われ、平成三十一年四月一日から施行されることとなりました。
そこで、改正法は、都道府県知事が条例を制定して文化財の保護に関することを行うことができる旨を定めていますが、東京都では、知事ではなく、教育委員会が文化財の保護に関することを所管している理由を伺います。
○岩野地域教育支援部長 平成三十一年四月一日施行の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正により、同法第二十三条では、職務権限の特例として、条例で定めるところにより地方自治体の長が管理、執行することができることとされておりますが、都では当該条例を定めていないことから都教育委員会が所管しております。
○桐山委員 条例を定めていないことは承知をしています。なぜ、この法改正で教育委員会ではなくて知事が文化財保護に関して所管ができるようになったのに、そうしない理由を聞いています。
そこで、再度、別の視点で質問させていただきますが、条例を定めずに、引き続き教育委員会が文化財保護行政を担っているという理由として、専門的、技術的判断ができる職員が知事部局にはいないけれども、教育委員会にはいるということなのか、伺いたいと思います。
○岩野地域教育支援部長 教育委員会は、首長から独立した行政機関としての位置づけであり、政治的中立性の確保や継続性、安定性の確保などの点から、文化財に関する事務について所管しております。
○桐山委員 今ご答弁にありましたように、いまだに教育委員会が文化財保護行政を所管している理由は、政治的中立性や首長部局が行う開発行為との均衡を図る必要等があるという理由によるものと考えますが、神宮外苑再開発を進める知事との関係、都市整備局などとの関係について、どのように政治的中立性や開発行為との均衡を図っているのか、伺います。
○岩野地域教育支援部長 都教育委員会では、文化財の指定に当たっては、所有者及び関係自治体の意向を踏まえ、都文化財保護条例に基づき、外部有識者で構成する都文化財保護審議会に諮問し、答申を受けた後、指定しており、指定後も、同条例に基づき、文化財の保護等について適切に対応しております。
○桐山委員 知事部局ではなく、教育委員会に文化財保護行政が委ねられている理由としては、文化財保護行政の継続性という観点もあり、教育委員会には文化財保護行政の知見が蓄積されているものと考えています。
そこで、神宮外苑イチョウ並木の入り口にあります、平成十八年一月に記された解説から質問します。
東京都文化財指定基準の第七、東京都指定名勝には、次に掲げるもののうち、風致景観の優秀なもので、古くから名所として知られているもの、または芸術的もしくは学術的価値の高いものとして、ア、公園、庭園等が規定されています。
そこで、最高二十八メートル、目通り周り二メートル九十センチ、最低十七メートル、目通り周り一メートル八十センチのものを、樹高順に青山口より下り勾配に従って植えられております、絵画館を眺む見事な遠近法の活用ですとの記述がありますが、風致景観の優秀なもので、古くから名所として知られているもの、または芸術的もしくは学術的価値の高いものという観点から、都の評価を伺います。
○岩野地域教育支援部長 都文化財保護指定基準に定める都指定名勝の指定基準である、風致景観の優秀なもので、古くから名所として知られているもの、または芸術的もしくは学術的価値の高いものに該当するかどうかにつきましては、都文化財保護審議会の審議において判断されるものです。
現時点で、明治神宮外苑イチョウ並木につきましては、都指定名勝の指定に関し、所有者や地元自治体の意向は示されておりません。
○桐山委員 残念ながら、文化財指定の責任と権限が明確ではありませんね。
また、今後幾百年、これら兄弟木のイチョウは、成長に成長を続けて老大成し、その偉大なる雄姿を発揮し、外苑々地と融合し、我々に見事な人工自然美を楽しませてくれることでしょうとの記述も書かれていますが、風致景観の優秀なもので、古くから名所として知られているもの、または芸術的もしくは学術的価値の高いものという観点からの都の評価を伺います。
○岩野地域教育支援部長 繰り返しになりますが、都指定名勝の指定基準に該当するかどうかにつきましては、都文化財保護審議会の審議を通じて判断されるものでございます。
○桐山委員 東京都教育庁が、この学術的価値や芸術的価値について答弁ができないということが非常に残念です。文化財保護は所管しているということでありますので、ぜひとも審議会等で、こういった議題に上げていただきたいなというふうに思っている次第でございます。
次、行きますが、東京都は明治神宮外苑について、風致景観の優秀なもので、古くから名所として知られているもの、または芸術的もしくは学術的価値の高いものという観点から、近代日本における西洋式庭園の名作であると評価をされているのかどうか、伺います。
○岩野地域教育支援部長 都教育委員会では、明治神宮外苑につきまして、ご指摘のような評価を行った事実はございません。
○桐山委員 これも残念ですね。指摘のような評価を行った事実はないということで、先ほど申し上げましたように、近代日本における西洋式庭園の名作であるという評価をしていないという、非常に残念なご答弁でした。
次に、文化財保護法第百十条に、緊急の必要があると認めるときは、都道府県の教育委員会は、史跡名勝、天然記念物の仮指定を行うことができるとの規定がありますが、仮指定についての政令、規則、事務連絡、指針等はあるか、伺います。
○岩野地域教育支援部長 昭和二十九年六月二十二日付の文化財保護法の一部改正についてによれば、文化財保護法に基づく史跡名勝、天然記念物の仮指定が行われる場合には、緊急性を十分に考慮するよう通知されております。
○桐山委員 今のご答弁では、緊急性があれば可能なんですね。今回、神宮外苑が再開発で壊されるのですから、緊急事態だというふうに私は考えています。ぜひ東京都も認識を改めていただきたいなというふうに思っています。
次に、文化財保護法第百十一条は、仮指定を行うに当たっては、特に、関係者の所有権、鉱業権その他財産権を尊重するとともに、国土の開発その他公益との調整に留意しなければならないとありますが、仮指定に当たって、政令、規則、事務連絡、指針等で区市町村の意見を聞かなければならないと定めているものがあるのかどうか、伺います。
○岩野地域教育支援部長 文化財保護法第百十条に規定する仮指定を行うに当たり、区市町村の意見聴取を義務づける規定はございません。
○桐山委員 区市町村の意見聴取を義務づける規定はないというご答弁でありました。
次に、文化財は、壊されてしまうと修復が利かないものが多く、文化財保護法の仮指定は、文化財の価値を保全するための緊急の必要があるときに行われるもので、環境影響評価条例の事業の実施制限が解けるのを待たず、事業者が工事施行認可申請を行い、首長部局がその審査を進めている現在の状況は、まさに首長部局が行う開発行為との均衡を図る必要等がある緊急事態だと考えますが、教育委員会の見解を求めます。
○岩野地域教育支援部長 文化財保護法第百十条に規定する仮指定につきましては、二年以内に国の史跡名勝、天然記念物に指定することを前提とした制度であり、陳情内容である都文化財保護条例に基づく都指定名勝の指定には適用されません。
○桐山委員 今のご答弁だと、都指定名勝の指定には適用されないというふうにご答弁をいただきました。
私は、今のこれを緊急事態だというふうに考えているというふうに申し上げました。ですので、この案件が、現在、緊急性があると考えるのか、それとも緊急性があるとは考えていないのか、ぜひ確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○岩野地域教育支援部長 緊急性につきましては、都教育委員会ではお答えできません。
○桐山委員 緊急性があるのかどうかをお答えしていただけないということでした。教育委員会は、仮指定をする緊急性があるとの見解を示したことはないというのが正確なご答弁なのではないかなというふうに思います。
そこで、文化財保護法の仮指定は、今まさに文化財となる可能性があるものが壊されそうな場合に、文化財となり得るものを保全する保全の仮処分に相当するものであり、緊急性の観点から、文化財を壊そうとするものの同意を求めていては機能せず、財産権や公益との調整は、文化財保護審議会での審議において考慮されるべき事柄と考えます。
そこで、教育委員会が仮指定する緊急性があるとの見解を示したことがないということであれば、先ほどから何度も申し上げておりますが、ぜひ教育委員会で審議をし、仮指定する緊急性について審議をしていただきたいと考えますが、見解を求めます。
○岩野地域教育支援部長 繰り返しになりますが、仮指定を行うに当たっての緊急性につきましては、都教育委員会では現時点ではお答えできません。
○桐山委員 今、私が申し上げているのは、お答えできることがないとすれば、ぜひ緊急性について審議をしていただきたいというふうに、要望というか、どうですかということで見解を伺ったわけでございますが、今現在でお答えができないということですので、改めて、仮指定の緊急性について議論を、ぜひ審議をしていただきたいということを要望しておきます。
次に、東京都文化財保護条例について質問します。
東京都文化財保護条例には仮指定の制度はありませんので、都指定の手続は条例に従って進められることになりますが、教育委員会が東京都文化財保護審議会に諮問するに当たって、都条例では、区市町村の申出を受けて初めて手続が始まるという規定はどこにあるのでしょうか、伺います。
○岩野地域教育支援部長 都文化財保護条例では、条例の執行に当たっては、都教育委員会は、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならないとされております。
そのため、都教育委員会では、所有者及び区市町村の意向を踏まえ、諮問を行っております。
○桐山委員 東京都教育委員会が明治神宮外苑の名勝指定を東京都文化財保護審議会に諮問し、区市町村の意見を聞いて審議会の審議に供するという手続について、東京都文化財保護条例に即して適法な手続となるのか、伺います。
○岩野地域教育支援部長 繰り返しになりますが、都文化財保護条例では、条例の執行に当たっては、都教育委員会は、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならないとされており、所有者及び区市町村の意向を踏まえ、諮問を行っているところでございます。
○桐山委員 明治神宮が、財政難から明治神宮外苑を創建した人々の志を受け継ぐことができなければ、明治神宮外苑を国に無償で返還すべきであり、国が受け取らないようならば……(パネルを示す)東京都が明治神宮外苑を受け取り、浜離宮恩賜庭園のように恩賜庭園として管理すべきと提案をしたいと思いますが、見解を伺いたいと思います。
○岩野地域教育支援部長 ご質問の内容につきましては、都教育委員会の所管に属しないため、お答えする立場にございません。
○桐山委員 まずは緊急措置として、文化財保護法の名勝に東京都教育委員会が仮指定すること、同時に、仮指定の効力は二年間なので、文部科学省における名勝指定の手続を進めることを提案いたします。
これは、この陳情の趣旨に沿うものであり、この陳情を採択をした上で、この措置を講ずることを要望して、私の質問を終わります。
○入江委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○入江委員長 異議なしと認めます。よって、陳情四第一一一号は継続審査といたします。
請願陳情の審査を終わります。
以上で教育庁関係を終わります。
なお、本日審査いたしました請願陳情の中で採択と決定いたしました分につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することといたしますので、ご了承願います。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午前三時十七分散会
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