文教委員会速記録第十七号

令和四年十一月十日(木曜日)
第四委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長入江のぶこ君
副委員長加藤 雅之君
副委員長伊藤しょうこう君
理事斉藤 りえ君
理事白戸 太朗君
理事とや英津子君
北口つよし君
鈴木  純君
桐山ひとみ君
アオヤギ有希子君
大松あきら君
阿部祐美子君
伊藤 ゆう君
清水 孝治君

欠席委員 なし

出席説明員
生活文化スポーツ局局長横山 英樹君
生活安全担当局長小西 康弘君
次長理事兼務渡邉 知秀君
理事古屋 留美君
理事川瀬 航司君
総務部長久故 雅幸君
都民生活部長馬神 祥子君
都民安全推進部長小室 明子君
消費生活部長片岡 容子君
私学部長戸谷 泰之君
文化振興部長蜂谷 典子君
スポーツ総合推進部長中嶋 初史君
スポーツ施設部長小池 和孝君
企画担当部長吉原 宏幸君
都民活躍支援担当部長小野 由紀君
男女平等参画担当部長樋口  桂君
治安対策担当部長油谷 行泰君
若年支援担当部長米今 俊信君
文化戦略推進担当部長宮永 浩美君
文化施設改革担当部長石井 浩二君
国際連携担当部長事業推進担当部長兼務木村 賢一君
事業推進担当部長清水俊二郎君
事業推進担当部長塩田 孝一君
事業推進担当部長三浦 大助君
スポーツレガシー活用促進担当部長事業推進担当部長兼務船川 勝義君
アーカイブ担当部長事業連携担当部長兼務澤崎 道男君
スポーツ担当部長山根  勉君
事業推進担当部長河野 和久君
パラスポーツ担当部長齊藤 陽睦君
事業推進担当部長工藤 慎市君
開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務柏原 弘幸君
スポーツ施設担当部長永井 伸芳君

本日の会議に付した事件
生活文化スポーツ局関係
事務事業について(質疑)

○入江委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、委員の所属変更について申し上げます。
 議長から、去る十一月二日付をもって、龍円あいり議員が当委員会から厚生委員会に変更になり、新たに、伊藤ゆう議員が厚生委員会から当委員会に所属変更になった旨、通知がありましたので、ご報告いたします。
 この際、新任の委員をご紹介いたします。
 伊藤ゆう委員です。
   〔委員挨拶〕

○入江委員長 紹介は終わりました。
 なお、本委員会の議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承ください。

○入江委員長 次に、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会の傍聴人の定員は、委員会傍聴規則第五条第二項の規定により五名にいたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○入江委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○入江委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化スポーツ局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより生活文化スポーツ局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代などがありましたので、局長から紹介があります。

○横山生活文化スポーツ局長 先般の人事異動及び役職に変更のあった幹部職員をご紹介させていただきます。
 国際連携担当部長で事業推進担当部長を兼務いたします木村賢一でございます。スポーツレガシー活用促進担当部長で事業推進担当部長を兼務いたします船川勝義でございます。事業推進担当部長の塩田孝一でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○入江委員長 紹介は終わりました。

○入江委員長 これより事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○久故総務部長 去る十月十八日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元に配布の令和四年文教委員会要求資料をご覧ください。
 表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、今回要求のございました資料は十六件でございます。
 一ページをお開き願います。1、消費生活相談員数及び都、区市町村ごとの相談受付時間等の状況でございます。
 都、区市町村の消費生活相談員数及び相談受付曜日や時間について記載しております。
 二ページをお開き願います。2、文化振興施策に係る予算及び決算の推移でございます。
 平成三十年度から令和三年度までの予算額及び決算額の推移、令和四年度の予算額を施策別に記載しております。
 三ページをお開き願います。3、都立文化施設等に係る予算及び決算の推移でございます。
 平成三十年度から令和三年度までの予算額及び決算額の推移、令和四年度の予算額を施設別に記載しております。
 四ページをお開き願います。4、都立文化施設に係る収支状況(令和三年度)でございます。
 施設ごとの経常収益と経常費用、当期経常増減額を記載しております。
 五ページをお開き願います。5、都立文化施設等の職種別職員数の推移でございます。
 平成三十年度から令和四年度までの職員数について、職種別に記載しております。
 六ページをお開き願います。6、私立学校経常費補助(一般補助)の生徒一人当たり単価及び全国順位並びに全国平均単価の推移でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの推移を学校種ごとに記載しております。
 七ページをお開き願います。7、私立幼稚園等一時預かり事業費補助及び私立幼稚園預かり保育推進補助の対象園数と補助実績の推移でございます。
 それぞれの実績について、平成二十九年度から令和三年度までの推移を記載しております。
 八ページをお開き願います。8、私立学校の耐震化の状況でございます。
 耐震化の状況について、学校種ごとに記載しております。
 九ページをお開き願います。9、アートにエールを!東京プロジェクトの応募、支払い状況でございます。
 個人型、ステージ型について、応募数、個人登録数及び企画採択数、支払い数を記載しております。
 一〇ページをお開き願います。10、都立文化施設に係る新型コロナウイルス感染症の影響による国と都の財政支出額(令和三年度)でございます。
 国と都の財政支出額とその内容について記載しております。
 一一ページをお開き願います。11、私立外国人学校教育運営費補助の推移でございます。
 平成二十一年度から令和三年度までの実績の推移を学校ごとに記載しております。
 一二ページをお開き願います。12、東京都若者総合相談センター、若ナビαの相談件数(令和四年度)でございます。
 令和四年度の実績を月ごとに記載しております。
 一三ページをお開き願います。13、東京都における自転車事故の状況でございます。
 平成二十九年から令和三年までの状況の推移を記載しております。
 一四ページをお開き願います。14、TOKYOスポーツ施設サポーターズ事業の協力先及び利用実績でございます。
 平成三十年度から令和四年度までの実績の推移を協力先ごとに記載しております。
 一五ページをお開き願います。15、都立スポーツ施設における新型コロナウイルス感染症の影響による休館状況でございます。
 施設別に休館状況を一六ページまで記載しております。
 一七ページをお開き願います。16、都立スポーツ施設における利用状況でございます。
 施設別に利用人数の推移を一八ページまで記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議をお願いいたします。

○入江委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○伊藤(し)委員 それでは、よろしくお願いします。
 まず、再犯防止の推進について伺います。
 犯罪をした人が社会で再出発するためには、保護司をはじめ、地域の関係者が連携して支援していくことが重要です。
 私の地元には矯正施設もあり、保護司や地元市、民間団体等が連携して立ち直り支援に取り組み、再犯防止に力を入れています。
 その一方で、都内では、再犯防止推進計画を策定済みの市区町村は約三割にとどまっているそうで、地域の立ち直り支援を進めるには、広域自治体である都が市区町村に対し、再犯防止の取組が進むように後押しすべきと考えます。
 そこで、市区町村における再犯防止の取組を促進するため、都はどのような支援を行っているのか、伺います。

○油谷治安対策担当部長 犯罪をした者等が社会復帰を果たす際には、就労や住居、福祉等の問題を抱えることで、地域社会への定着が困難となるケースがあります。
 しかし、地域における再犯防止を担う市区町村には、体制やノウハウの不足等により、取組が進んでいない自治体も多くございます。
 そこで、都は今年度新たに、再犯防止に関する区市町村サポート事業を開始し、市区町村の職員を対象とした研修会や、住民からの相談を適切な解決につなげるフォローアップ、専門用語等を紹介するメールマガジンの配信などの三つを実施しております。
 また、今年度、国の関係機関も参加する再犯防止等の推進に向けた区市町村担当者連絡会を初めて開催いたしました。
 こうした再犯防止に必要な知識、ノウハウの提供や、国と自治体間の連携強化により、自治体が取り組むための環境を底上げし、市区町村における再犯防止対策を推進してまいります。

○伊藤(し)委員 今年度より開始いたしました市区町村の取組を支援する都の事業内容を確認いたしました。
 さて、市区町村が継続して再犯防止に取り組むためには、職員の育成や役所内の体制を整備することも必要です。
 それでは、ご答弁いただいた区市町村サポート事業の研修会について、その内容と狙いについて伺います。

○油谷治安対策担当部長 市区町村に対するヒアリングでは、再犯防止に取り組む意向はありますが、専門知識や経験を持った職員がいない、役所内の理解が進まないため難しいといった声が多く聞かれております。
 そのため、都では、犯罪お悩みなんでも相談における相談実績を活用して、市区町村職員を対象とした研修会等を開催し、社会福祉士などの専門家による再犯防止の基礎知識に関する講義や事例演習を実施しております。
 このように、都は、市区町村単独では習得が困難である再犯防止の専門知識、ノウハウを効果的に提供することで、市区町村における人材育成の支援や体制整備を後押ししているところでございます。

○伊藤(し)委員 ご答弁にもありましたが、犯罪をした人が社会復帰をするときには、就労や住居、福祉等の複合的な問題を抱えているケースも多いと聞いています。
 しかし、市町村の窓口では、ノウハウが少ない中で、どの機関と連携して支援につなげていくかなど、住民対応に苦労しているケースもあると聞いています。
 それでは、区市町村サポート事業で行っているフォローアップとはどのような取組なのか、伺います。

○油谷治安対策担当部長 犯罪をした者等の立ち直り支援について、市区町村が住民から相談を受けた場合、相談者の問題を適切に把握、分析して、助言の提供や支援機関につなぐことが重要であります。
 本事業では、住民からの相談を適切な解決につなげるフォローアップとして、犯罪お悩みなんでも相談と連携し、社会福祉士などの専門家が市区町村における住民対応での疑問等を受け付け、解決に導いております。
 フォローアップに当たっては、電話相談だけでなく、必要により、相談員である専門家が市区町村の職員と共に住民と直接面談するなど、きめ細かく対応しております。
 このように、住民対応の面でも再犯防止に関する専門的な観点から支援を行い、市区町村の取組を促進してまいります。

○伊藤(し)委員 罪を犯した人は、背景に様々な問題を抱えていることが多く、立ち直りを支援することは困難ですが、大切なことです。今後とも、都が市区町村を力強く後押しすることで、地域における実効性ある再犯防止の展開を求めておきます。
 続きまして、電動キックボードの安全対策について伺います。
 電動キックボード利用者の増加に伴い、都内での事故や違反も頻発しており、今年九月には全国初の死亡事故も、残念ながら都内で発生しました。
 そこで、電動キックボードの現状と、道路交通法における取扱いについて伺います。

○小室都民安全推進部長 電動キックボードは、道路交通法上、インターネットや家電量販店などで購入する原動機付自転車と、レンタルで利用できる小型特殊自動車の扱いに区分されております。
 小型特殊自動車に区分される電動キックボードでは、ヘルメットの着用を任意とするなどの規制緩和を行い、安全性を検証するための実証実験が行われております。
 その結果を踏まえ、本年四月に道路交通法が改正され、特定小型原動機付自転車の区分が新設されました。
 今後、改正法が二年以内に施行され、新しい区分となる特定小型原動機付自転車につきましては、十六歳以上であれば免許不要で、十六歳未満は運転禁止、ヘルメット着用は努力義務、低速での歩道走行などが認められる予定でございます。

○伊藤(し)委員 電動キックボード、原動機付自転車、小型特殊自動車、特定小型原動機付自転車と、それぞれちょっと分かりにくいので、改正内容につきましては、今後、より分かりやすい周知に向けた様々な手法の検討をお願いします。
 さて、電動キックボードが新たな移動手段となり、利便性が高まる中、利用者の増加による事故は未然に防ぐべきであります。
 去る三定の代表質問においても、我が会派の三宅幹事長より、電動キックボードの死亡事故発生を受けて、慎重な対応を求めたところです。
 そのためには、法改正の施行を待たずに、一刻も早く安全利用に関する普及啓発に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○小室都民安全推進部長 電動キックボードの利用者の増加に伴い、事故が多発することのないよう、ルールや安全な利用方法を普及啓発していくことは重要でございます。
 このため、都では、警視庁と連携の上、よくある事故事例や運転時に注意すべき点などを記載したリーフレットを新たに作成し、来月のTOKYO交通安全キャンペーンにおいて配布するなど、啓発活動に鋭意取り組んでまいります。
 さらに、電動キックボードを販売しているインターネット事業者や家電量販店、レンタル事業者にも働きかけ、幅広い層の利用者にリーフレットが行き渡るよう努めてまいります。

○伊藤(し)委員 今後も、警視庁、事業者とも連携し、安全第一に向けて十分な普及啓発に努めるなど、しっかり対応していただくことをお願いします。
 続きまして、文化振興について伺います。
 今年も九月に、伝承のたまてばこ−多摩伝統文化フェスティバル二〇二二−が地元八王子市で開催されました。雨の予想のため、残念ながら屋外から屋内に変更となりましたが、多摩地域に根づく伝統文化を三年ぶりに多くの方にご覧いただきました。この伝承のたまてばこは、伝統文化や芸能に気軽に親しめる取組として好評を得ています。
 それでは、今年度実施した伝承のたまてばこの内容とその成果を伺います。

○蜂谷文化振興部長 本年は、九月十七日、十八日の両日開催し、主催の八王子市のほか、多摩地域の二十二の市町村の後援や協力を得て、八王子車人形をはじめ、獅子舞やおはやしなど十五の公演を行いました。
 あわせて、人力車に乗ってまちを巡る体験や、お手玉作りやけん玉などの子供遊び、八王子で作られた手織り機を使って織物体験なども実施いたしました。
 二日間の公演や体験に延べ約三千人が参加し、多くの方々に多摩地域の多様な伝統文化の魅力を発信することができました。

○伊藤(し)委員 地元自治体や出演団体の協力を得ながら、様々な伝統文化の鑑賞や体験の機会を提供することは大切だと思います。
 しかし、こうした伝統文化や芸能の担い手の減少により、その継承が難しくなりつつあるとも聞いています。より多くの都民が伝統文化に触れる機会を創出することを我が会派はこれまで求めてきました。
 都は今年度から、大人のための伝統文化・芸能体験事業を開始しましたが、その目的と、先月立川で行った事業内容についても伺います。

○蜂谷文化振興部長 大人のための伝統文化・芸能体験事業は、伝統文化、芸能を次世代に継承し、担い手に活躍の機会を創出するとともに、現役世代に鑑賞や体験の機会を提供し、裾野を広げるために開始いたしました。
 第一回目の体験事業では、古典芸能の解説や、生け花、琴、三味線の体験、そして、琴と生け花を融合したパフォーマンスを鑑賞いただくとともに、継続して学びたい方のための稽古場の情報提供なども行いました。
 当日は、三十代、四十代の参加者も多く、アンケートでは、体験して楽しさを知れてよかった、三味線が楽しくて習ってみたいと思った、生け花は満足度が高かったなど、評価する意見を多くいただきました。

○伊藤(し)委員 アンケートの結果では、多くの現役世代からおおむね好評が寄せられたとのことで、この事業の意義について確認できました。
 今後とも、担い手から協力を得て、また、現場の声も聞きながら、都民が気軽に伝統文化や芸能に触れる体験の機会を提供できるよう、事業を充実させることを求めておきます。
 次に、地域スポーツクラブへの支援について伺います。
 今年は、東京二〇二〇大会から一周年記念イベントが各地で行われましたが、大会の成果を東京のスポーツ振興にどのように生かしていくかは大きな課題です。
 今年一月に公表したTOKYOスポーツレガシービジョンでも、スポーツ機運のさらなる向上や地域との連携促進を今後の取組としています。
 また、競技力の向上も大切ですが、スポーツの裾野を拡大していくことも重要です。
 さて、地域の子供から高齢者まで、障害の有無にかかわらず、誰もがより身近な場所でスポーツを楽しめる場として、地域スポーツクラブがあります。
 私の地元八王子市でも十九の地域スポーツクラブがあり、各地域で幅広い世代が様々なスポーツを楽しんでいます。
 それでは、地域スポーツクラブはどのような目的で設置されている組織なのか、伺います。

○山根スポーツ担当部長 地域スポーツクラブは、地域の日常的なスポーツ活動の場として、地域住民自らが主体となって運営するスポーツクラブでございます。
 国は、生涯スポーツ社会の実現に向け、総合型地域スポーツクラブの全国展開を推進しており、多世代、多種目、多志向という特徴を持って、地域住民により、自主的、主体的に運営されております。
 なお、都におきましては、単一種目のスポーツクラブにつきましても、多世代等の要素が備わっていれば、地域スポーツクラブとして設立、育成を総合的に支援しております。

○伊藤(し)委員 地域スポーツクラブの設置目的について確認しました。
 我が国の総合型地域スポーツクラブは、令和三年時点で約三千六百クラブが育成され、スポーツの振興や地域づくりなど多様な活動を展開しているそうです。
 しかし、地域によっては、認知度が必ずしも高くないことや、継続的な運営に苦労しているとの声も聞きます。
 そのような地域スポーツクラブへ、現在、都はどのような支援を行っているのか、伺います。

○山根スポーツ担当部長 都は、人材養成、研修事業をはじめ、地域スポーツクラブの設立、活動を支援するための各種事業を展開しております。
 具体的には、安定したクラブ運営を支援するため、スタッフへの専門的、実践的な研修の実施や、会員に限らず、広く都民を対象とした事業をクラブが実施する場合の支援、また、クラブ間の相互育成を促進するための交流会などを行っております。

○伊藤(し)委員 地域スポーツクラブへの支援について確認しました。
 ところで、活動の休止や大会の中止など、コロナの波が来るたびに翻弄され、地域のスポーツも大きなダメージを受けました。最近になり、活動も本格的に再開し、この秋には、私も様々な地域のスポーツイベントにお招きいただき、楽しそうに汗を流す市民の皆さんと触れ合うことができました。
 さて、少子高齢化などによる会員減少や、指導者の高齢化などの課題もありますが、今後とも、東京のスポーツ振興を語る上で、地域スポーツへの支援は、継続的に現場に即した対応を進めるべきと考えます。
 地域スポーツクラブに対する今後の取組の方向性についても伺います。

○山根スポーツ担当部長 国は、令和四年度から、地域スポーツクラブの質的充実を図る取組として、総合型地域スポーツクラブ登録・認証制度をスタートさせ、都もこの制度の運用を開始いたしました。
 この制度は、クラブの活動実態やガバナンス等に関する登録基準を設け、基準を具備していると認められる総合型クラブを登録クラブとして認定するものでございます。
 制度初年度である今年度は、都内で三十八クラブが認定されました。
 都は、この制度も活用しながら、都内の地域スポーツクラブがより身近なスポーツの拠点としての役割を果たせるよう、都内クラブ全体の質的充実や地域での認知度向上に努めてまいります。

○伊藤(し)委員 地域スポーツクラブの今後の取組の方向性についても確認しました。
 登録、認証制度は今年から国が開始した制度ですが、それはそれとして、登録、未登録にかかわらず、地域スポーツクラブが身近なスポーツの場として果たしている役割には変わりはありません。
 都は、今後も、こうしたクラブが地域のスポーツ環境の充実や発展に貢献できるよう、これまで実施してきたクラブへの支援の継続を求めたいと思います。
 次に、コロナ禍における地域スポーツイベントの支援についても伺います。
 新型コロナ発生から三年近くが経過し、地域のスポーツも大きなダメージを受けました。第一波の頃は、大会どころか練習も中止されましたし、その後は、コロナの波により、社会生活同様に、スポーツもそのたびに影響を受けてきました。
 現在では、ウイズコロナの時代に入り、感染防止を図りながらの練習の継続や、大会の開催も徐々に本格化していますが、今後のコロナの新しい波がまた来ることも想定されています。
 すなわち、スポーツ大会の開催機運も戻ってきていますが、大きな競技団体等と違い地域の小規模な競技団体は、コロナ対策のノウハウがなく困っていると、これまでもよく声をお聞きいたしました。
 命や健康が第一であることはいうまでもありませんが、スポーツの振興を図る上で、こうした状況にも都として支援すべきですが、見解を伺います。

○山根スポーツ担当部長 長期化するコロナ禍により、地域のスポーツ活動は大きな制約を受けました。
 こうした中、都では、消毒液の購入経費や講習会のオンライン開催に係る経費等を新たに補助メニューに追加し、コロナ禍での地域の大会開催等を支援してまいりました。
 多くの地域においては、これらの補助も活用しながら、規模の縮小や日程の変更等、様々な工夫や努力を重ね、大会等を開催しているところでございます。
 今後は、これまでの大会運営で得た知見や実例を集約し、都のホームページで公開するとともに、地域のスポーツ団体に共有を図って、スポーツイベント等の開催の手助けをしてまいります。

○伊藤(し)委員 コロナ禍も足かけ三年がたち、都では様々な分野で対策を行い、知見を積み上げていますので、そのノウハウを地域に還元して、多くの都民がスポーツに取り組める環境づくりをサポートしていただきたいと思います。
 続きまして、パラスポーツの振興についても伺います。
 昨年、東京は世界で初めて二度目の夏季パラリンピックを開催し、各国代表パラリンピアンのすばらしい活躍に勇気や感動を与えていただきました。
 以前、パラスポーツ体験に私も参加しました。ボッチャやシッティングバレーボール、また、車椅子バスケは難易度が高いため、車椅子ポートボールにチャレンジしてみましたが、車椅子を自由に操ることさえ難しく、パラスポーツの奥深さの一端を実感しました。
 パラリンピック開催により、パラスポーツの認知度は向上しましたが、パラ競技のように競技性の高いスポーツには取り組めない障害者もいるという話も聞きます。
 都は、二〇三〇年までに、障害者のスポーツ実施率を五〇%にすると定めています。
 そこでまず、障害者のスポーツ実施状況について伺います。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都は、障害のある都民のスポーツ、運動に関する意識、実態を把握することを目的として調査を実施しております。
 令和三年度の主な調査結果としては、週一日以上スポーツを行う障害者の割合は三五・四%と、前年度と比較して三・五ポイント増加しました。
 一方で、スポーツや運動を全くしなかった人の割合は四五・九%であり、前年度より一・三ポイント減少しました。
 スポーツを実施しない理由としては、活動したいと思わないが七七%と最も高く、さらにその具体的な理由としては、運動が嫌い、体力がない、意欲が湧かないなどが挙げられました。
 また、スポーツを実施している人の実施種目については、ウオーキングが七七・二%で最も多く、パラリンピック競技については、例えば車椅子バスケットボールは一・六%、シッティングバレーボールは一・一%でありました。

○伊藤(し)委員 障害者のスポーツの実施状況について確認しました。
 スポーツを実施していない人は約半数もいて、理由の大半が活動したくないということでした。障害者のスポーツには、健康づくりのほか、リハビリや社会参加など多くの価値があり、そのよさを知り、スポーツを始める方が増えてほしいと思います。
 そのためには、生活に身近なスポーツの場の確保や、病院や福祉施設の職員から運動を勧めていただくなど、福祉や医療部門などが一緒になってパラスポーツを推し進めることが重要と考えます。
 我が会派は、地域での様々な部門の連携について、都が後押しすることを求めてきましたが、現在、地域でどのような取組が行われているのか、伺います。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都は、地域におけるパラスポーツの振興を図るため、専門的な見地から支援を行えるよう、東京都障害者スポーツ協会から市区町村にアドバイザーを派遣しております。
 その結果、例えば、スポーツ分野の人材が福祉施設においてタオル等を使った運動プログラムの企画、指導を行うことで、施設職員がその方法を習得し、利用者の毎日の運動実施につながりました。
 このほか、体育館での運動プログラムにおきまして、理学療法士が体の動かし方について参加者やその介助者に助言を行ったほか、ウオーキングの効果を上げるため、歩幅の調整や姿勢等の指導を行いました。

○伊藤(し)委員 パラスポーツ推進のための地域での具体的な取組を確認しました。
 アドバイザーによる助言により、幾つかの自治体において分野間の連携の成果があるようですが、パラスポーツを楽しんでいる姿を見かけることはまだ多くはありません。
 そこで、パラスポーツをさらに普及させるためには、障害者のお住まいやお勤めの身近な場所での支援がますます重要になってきます。
 そのため、様々な部門の連携による取組が大切ですが、スポーツに携わる自治体職員が福祉や医療部署と連携するなど、新たに取組を始めることは簡単ではありません。
 様々な分野の関係者が連携して、障害がある人のスポーツや運動の機会をつくる取組を多くの地域に波及させていくため、都は、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都は今年度、自治体職員向けの連絡会議を新たに設置し、福祉施設等との連携事例や事業効果を紹介することで、地域に合った方法等を考えていただくきっかけを提供しました。
 先行的に取り組む自治体からは、スポーツ関係者からは障害者が参加しやすいプログラムを日常的に意識するようになった、スポーツ分野の人が指導を行うことで、福祉施設職員の取組意欲が向上し、利用者の運動機会の充実につながったなどの報告がありました。
 また、会議後、参加自治体からは、先進事例に触れたことで連携の必要性がより明確になった、できることから取り入れてみようと思った等の声がございました。
 今後は、医療なども含めた多様な主体との連携による好事例の紹介や、事業の改善策についての情報交換の場を提供することにより、市区町村の取組を一層後押ししてまいります。

○伊藤(し)委員 市区町村に対する支援について確認しました。
 実際の市区町村の現場で取り組むには時間と労力もかかりますので、都が粘り強く後押しして支えていくことを求めておきます。
 さて、健常者も障害者も、スポーツの発展には、そのスポーツを愛好するプレーヤーとよき指導者、そして実施する場、施設、この三つの要素が必要です。特に実施する場については、障害者のニーズに応じたスポーツ施設の確保が求められます。
 すなわち、障害者がスポーツをする場所の確保が重要ですが、都は現在、市区町村や民間の施設における場所の確保に向け、どのような後押しをしているのか、伺います。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都は、障害のある方のスポーツの場の確保に向けて、様々な取組を行っております。
 具体的には、市区町村に対し、パラスポーツを行う上で必要となるコートの新設、改修及びバリアフリー化の工事費等に対して補助を行っております。
 また、公立及び民間のスポーツ施設におけるスタッフの配慮や設備面での工夫等、障害者の受入れ促進に向けた好事例を発信しております。
 あわせて、スポーツ施設を所有している企業等が、その活動に支障のない範囲で、パラスポーツが実施できる施設を含め都民に貸し出す事業を実施しております。
 今後も、市区町村や企業等様々な主体と連携し、障害のある方が身近な地域でスポーツに親しめる環境を整備してまいります。

○伊藤(し)委員 障害者のスポーツの実施促進や場の確保に向けた取組について伺ってきました。
 市区町村において、多様な分野が協働する取組や、施設整備の支援を行っているとのことですので、都は、積極的な補助制度の活用を促すとともに、様々な方法により後押しすべきです。
 また、企業など多様な主体との連携を含め、引き続き、パラスポーツのさらなる場の拡大に向けて取り組んでいただくようお願いしておきます。
 次に、世界陸上について伺います。
 二〇二五年に開催される世界陸上競技選手権大会の開催地が東京に決定しました。陸上競技では、オリンピックと並ぶ世界最高峰の大会で、非常に注目度も高いと認識しています。
 世界陸上の東京開催は、日本全体にとっても極めて有意義であり、東京二〇二〇大会を開催した経験を生かし、スポーツの力で、東京、日本に元気を取り戻すための旗印とすべきであります。
 招致主体である日本陸連によれば、経済波及効果は約五百億円にも上るとの試算もあり、コロナ禍で疲弊した日本経済再生という意味でも重要です。
 同じ年には大阪万博も予定され、広く相乗効果を生み出すことも視野に、国や市区町村、競技団体と連携して、オールジャパンで取り組んでもらうよう強く求めます。
 そこでまず、改めて、世界陸上の歴史と概要について伺います。

○三浦事業推進担当部長 世界陸上は、一九八三年に、当時の国際陸上競技連盟によって創設され、第一回大会がフィンランドのヘルシンキで開催されました。
 連盟に加盟している二百以上の世界の国、地域から約二千人の選手が出場する単一競技の国際大会としては、サッカーやラグビーのワールドカップなどと並ぶ一大イベントとされております。
 一九九一年の東京大会までは四年ごと、以降は二年ごとに開催され、今年のアメリカ・オレゴン大会までの十八回で十五か国、十七都市が会場となりました。
 次回の大会は、来年、ハンガリーのブダペストで開催され、二〇二五年の東京大会で第二十回となります。

○伊藤(し)委員 世界陸上の概要を確認いたしました。
 我が会派は、日本陸連が大会を招致する段階から、開催実現に向けて、日本陸連に加え、文科省やスポーツ庁とも様々な調整を行い、都に対して積極的な取組を求めてきました。
 そこで、決定に至るプロセスとして、招致段階の都のスタンス及び具体的な取組についても伺います。

○三浦事業推進担当部長 都は、本年五月に、日本陸上競技連盟からの大会招致等に係る協力要請を受け、世界陸上の東京開催に係る意義を踏まえ、積極的に対応することといたしました。
 具体的には、五月下旬のワールドアスレティックスの評価パネル来日時に、東京二〇二〇大会運営を経験した豊富な人材を有するなどの東京の強みを大会に実際に携わった職員がアピールするなど、日本陸連と一体となって対応いたしました。

○伊藤(し)委員 招致主体である日本陸連の取組に加え、都の積極的な対応もあって、世界陸上の東京開催が決定したことを確認しました。
 この世界陸上の東京開催は、将来的に東京にもたらす波及効果を含め、多様な意義があると考えますが、都の見解を伺います。

○三浦事業推進担当部長 都は、都民のスポーツへの関心を喚起するとともに、東京のプレゼンスをさらに向上させるため、積極的に国際スポーツ大会の誘致、開催に取り組んでおります。
 世界陸上は、二百を超える国、地域が参加する世界最高峰の国際スポーツ大会でございます。二〇二五年に東京で世界陸上を開催することは、東京二〇二〇大会でかなわなかった世界最高水準の選手による熱戦を間近で見て応援する絶好の機会となります。
 さらに、大会を契機として、次代を担う子供たちに感動や勇気を送るとともに、東京の国際的プレゼンスを高める好機ともなるものでございます。

○伊藤(し)委員 世界陸上の東京開催が多様な意義を有することを確認しました。
 オリンピック・パラリンピックは、無観客という前例のない厳しい中での開催となりましたが、世界陸上は有観客で開催し、多くの都民にスポーツのすばらしさを届ける機会としていただきたいと思います。
 都は、こうした意義を踏まえ、二〇二五年の東京大会の成功に向け、さらに積極的に取組を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○三浦事業推進担当部長 大会の成功には、準備、運営等を担う大会運営組織の役割が重要でございます。
 都は先月、日本陸上競技連盟と連携して、公正性が確保され、都民、国民の信頼を得られる大会運営組織の設立に向け、法律及び会計の専門家も含む設立準備会を立ち上げました。
 設立準備会では、大会の開催意義を踏まえたビジョンの方向性や、コンプライアンスに配慮した仕組みの構築などについて検討、議論を重ね、大会運営組織の円滑な設立につなげていく予定でございます。

○伊藤(し)委員 大会の成功に向け、都が関係者との連携体制を構築の上、準備作業を進めていることを確認しました。
 この設立準備会での議論、検討を踏まえ、ぜひしっかりとした大会の運営組織の設立、そして大会の成功につなげていただくことを求めます。
 また、大会を成功させるためには、東京二〇二〇大会がもたらしたハード、ソフトの多岐にわたるレガシーを最大限に活用することも重要なポイントです。二〇二〇大会のレガシーを生かした上で、世界陸上を通じて一層の発展につなげることを要望しておきます。
 次に、デフリンピック大会について伺います。
 世界陸上が開かれる二〇二五年には、デフリンピック大会も東京での開催が決まっています。デフリンピック大会については、都民、国民がふだん見ることがないデフアスリートの活躍を世界レベルで感じることができる機会です。
 また、東京二〇二〇大会のレガシーとして、パラスポーツ全体の振興にも寄与するものですが、多くの都民、国民は、デフリンピックのことについて、まだよく知らないというのが実情ではないでしょうか。
 そこで、まず初めに、デフリンピック大会の概要について伺います。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務 デフリンピック大会は、国際ろう者スポーツ委員会、ICSDが主催し、四年ごとに開催される、デフアスリートを対象とした、陸上、水泳等、多くの競技から成る国際大会です。オリンピック・パラリンピック競技大会と同様、夏季大会と冬季大会がございます。
 第一回夏季大会は、一九二四年にフランスのパリで開催されており、二〇二五年における東京での開催は、デフリンピック大会百周年の記念すべき大会となります。
 直近の大会といたしましては、本年五月に、ブラジルのカシアスドスルで開催され、七十三か国、地域から二千四百十二人の選手が参加いたしました。
 日本選手団は、新型コロナウイルス蔓延のため、大会途中で競技出場を辞退したものの、過去最多の三十個のメダルを獲得し、メダル獲得ランキングでは四位となりました。

○伊藤(し)委員 国内ではまだなじみが薄いようですが、デフリンピックは百年もの歴史があり、直近の大会においても日本選手が大いに活躍していることを確認しました。
 世界陸上ですと、日本陸連も創設されて百年であり、ほぼ同様の期間の歴史を刻んでいることになります。
 そこで、デフリンピックに関し、もっと多くの都民、国民に知ってもらう必要がありますが、大会の特徴や課題についても伺います。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務
大会の特徴として、競技運営において、ランプや旗など、デフアスリートのための視覚的保障が整えられていることが挙げられます。
 その一方で、デフスポーツの競技団体には、国際大会の開催経験がほとんどないことが課題となっております。
 また、都で把握している過去大会の調査では、開催意義に鑑みて、行政が大会運営面や財政面において指導的な役割を果たしておりました。
 これらのことから、二〇二五年デフリンピック大会におきまして、大会の責任主体である全日本ろうあ連盟に対し、関係者のサポートが必要になると考えております。

○伊藤(し)委員 東京では、東京二〇二〇大会やラグビーワールドカップなど、大規模国際大会の開催実績があるものの、デフリンピックはそれらの大会とは異なることを確認しました。
 国内では、デフスポーツの国際大会の開催経験もほとんどなく、大会の責任主体である団体に対し、関係者のサポートが必要とのことですが、開催まで三年に迫っています。準備を間に合わせるためにどうしていくのか、都の見解を伺います。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務 デフリンピック大会の開催に当たっては、デフスポーツの競技団体の国際大会の開催経験がほとんどないこと、また、準備期間が限られていることなどから、開催地の自治体である都のほか、国や競技団体などの関係者が力を合わせて取り組むことが重要です。
 具体的には、競技運営面では、JOCや日本スポーツ協会傘下の競技団体、さらには、日本パラスポーツ協会傘下の競技団体の協力が必要です。また、大会運営面などにおいて、国をはじめとする公的機関の支援が不可欠です。
 都は、招致段階において、大会時の都立施設の活用や、東京二〇二〇大会で得た知見を基に、様々な助言を提供するなど、招致主体の活動を応援してきました。
 今後、引き続き、大会の成功に向けて、東京二〇二〇大会の経験を最大限活用し、大会準備を支援するとともに、準備運営体制や関係者の連携協力、都の役割などを早急に検討してまいります。

○伊藤(し)委員 大会の準備運営体制や関係者の連携協力の構築が今後の鍵であるということを確認しました。
 二〇二五年には、世界陸上とデフリンピックが東京、日本で開催されます。大会開催を通じて、都民、国民、次代を担う子供たちにスポーツの価値、感動や勇気を届け、東京、日本のプレゼンスをさらに高めていく必要があります。
 オリ・パラの貴重な経験やノウハウを活用し、関係者ともしっかりと準備、検討を進めることを求め、私の質問を終わります。

○白戸委員 よろしくお願いします。
 私からは、まず、この議会棟の地下の部分にパスポートの発給センターがございます。登庁時に地下鉄から上がってくるとき、毎日のように通過していますので、コロナ禍の前の非常に混雑した状態、そして、コロナ禍になってから、閑散としたところ、本当にこういうのを心苦しく見てきたわけでございます。
 我々は都庁に毎日のようにいますので、このような発給センターを見慣れてはいるんですけれども、ふだんはここにはほとんど縁のない方が多いわけで、そういう方が、これから海外に行くんだぞということで、手続に来られる方の、そういう高揚感を持った感じがかいま見られる姿は非常にほほ笑ましいところではありましたし、そんな方々の姿が少しずつ今戻ってきているというのをうれしく思っているところです。
 さて、そんなパスポートの申請なんですが、いまだにこれは全て紙ベースで進んでいます。世の中のデジタル化が急速に進んでいます。そして、都庁内の手続もデジタル化に進んでいますが、このパスポートに関しては、今のところなかなか進んでいないというのが現状でございます。
 もちろん、このパスポートの発給業務は、国から、法定受託事務であることは承知しておりますが、パスポートの電子申請について、現在の進捗状況をお伺いします。

○馬神都民生活部長 国は、本年四月に、電子申請が可能となるよう旅券法を改正し、来年三月二十七日施行に向け、第一段階として、旅券の切替え申請、いわゆる更新の電子化についてのシステム開発に取り組んでいます。
 現在、都は、電子申請開始に向け、新たに発生する業務フローの作成のほか、旅券事務所内のシステム導入のための整備を行っております。
 引き続き、外務省と連携し、準備作業を適切に進めてまいります。

○白戸委員 更新申請の電子化については、来年の三月二十七日に向けて進められているということ、これは本当にすばらしい進化だと思います。私も何度かパスポートを申請しておりますけれども、経験上、大体忙しいときに限って申請をしなきゃいけないというパターンになるので、もうちょっと早くやっておけばよかったなというのをいつも後悔するんですが、そういった意味では、オンラインで進められることで、利用者の利便性は非常に進歩するのではないかというふうに思います。
 それでは、今お話がありました更新できるということなんですけれども、初めてパスポートを取得する際の申請の電子化についてはどうなっていますか。

○馬神都民生活部長 初めて旅券を取得する際、また、前回取得した旅券の有効期限が切れてしまった等の場合につきましては、戸籍謄本の提出が必要となっていることが電子申請の課題となっております。
 外務省からは、令和六年度に法務省が構築する戸籍情報連携システムにより提供される戸籍電子証明書を利用することで、新規旅券の発給申請の電子化を実現すると聞いております。

○白戸委員 なるほど、この戸籍謄本の提出というのがハードルになっているということですね。ただ、先々はこちらも、戸籍照会の電子化により、パスポートの電子申請が進んでいくということで、申請される方も利便性が非常に進んでいくのではないかというふうに思います。
 そして、それとともに、実はこれ、発給する自治体の手間も削減されていくというわけで、お互いウイン・ウインな進化だと思います。ぜひ着実に進めていただきたいと思います。
 ここまでお聞きしたように、パスポートの発給申請の電子化は段階的に進められているようですが、これらを単に国に任せるのではなくて、現場を持つ都のノウハウを生かして、都民にとってさらに使いやすい仕組みとなるよう、都としても努力していくべきだと考えますが、この取組、見解を伺います。

○馬神都民生活部長 これまで、電子申請の受入れ準備にとどまらず、全国会議、都の要望により設置された国と都の連絡会や、システム検証を通じて、全国の旅券発行件数の四分の一を占める都のノウハウや意見を伝えてきております。
 今後も、段階的にシステムが整備されていく機を捉え、分かりやすいものとなるよう国に働きかけ、都民にとって利便性の高い仕組みとなるよう努めてまいります。
 さらに、システム稼働に向け、外務省と連携して、電子申請制度が段階的に拡充されることや、システムの利用方法など、周知を行ってまいります。

○白戸委員 これ、全国の四分の一ですよね。全国の発給数の四分の一って、これ、かなりすごい数字だなという感じがします。
 もちろんこれは、コロナ禍においてビジネス需要にぐっとセグメントされたところによっての結果だということだとは思いますけれども、ふだんでもかなり人口比に対して東京都の発給というのは結構高い率であるということは認識しております。
 そんな東京だからこそ、積極的にこの利便性を高める努力をして、全体のサービス向上を推進いただきたいと思います。
 パスポート申請の利便性を高めることは、より海外に出ていくことのハードルを下げることになります。国際社会における東京や日本のプレゼンス向上に資することだと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
 続きまして、レガシー関連について質問させていただきます。
 私の地元であります有明のアーバンパークは、東京二〇二〇大会の競技施設を生かし、若者に人気のある都市型スポーツの場を整備するものであって、アーバンスポーツをはじめ、各種スポーツの裾野拡大に貢献する施設となっています。
 地元の皆様の間でも、この日本随一の施設が発展することにより、有明はまだ非常に新しいまちですから、有明というこの新しいまちのアイコンになってほしいというような声もたくさん聞いております。非常に期待を受けているということでございます。だからこそ、今後の整備の方向性には大きな注目も集まっています。
 この施設は、PFIにより整備、運営される予定となっておりまして、先日開催されましたこのアーバンスポーツTOKYO二〇二二というこの間のイベントがありましたけれども、アーバンスポーツは、この大都市東京との親和性も非常に高く、いや、大都市であるからこそ取り組んでいくべきではないかと強く感じたところでもあります。今後、東京において大いなる発展の可能性を持つとも考えます。
 施設として、このスケートボードパークはハードとしてのレガシーがそのまま残されていますけれども、その他、ボルダリングや3x3バスケットボールの施設なども整備すると聞いております。
 今後の活用をどのようにしていくのか、伺います。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 有明アーバンスポーツパークの大会レガシーゾーンにつきましては、先般公表いたしました要求水準書の中で、年間八万人を目指し利用促進することとしておりまして、スケートボード、ボルダリング、3x3バスケットボールについて、それぞれ年一回以上、競技大会を行うこととしております。
 また、民間の創意工夫を生かして、スポーツ教室や体験会をはじめとしたアーバンスポーツを始めるきっかけづくりや、継続した施設利用につながる取組を実施することとしております。
 今後、PFI事業者を公募する中で、官民対話等により、事業者の当事業への理解を深めていき、より質の高い提案を求めてまいります。

○白戸委員 もう先月になりますけれども、このアーバンスポーツTOKYO二〇二二、本当に多くの観戦者、そして多くの競技者が全国から来場して、本当ににぎわいを見せていたのが印象的でした。
 その中でも、やっぱり映像で見ていたあのコースで自分もパフォーマンスできるんだということで、子供たちへの刺激、そして喜び、これは本当に大会のレガシーなんだなということを強く感じた次第でございます。
 また、会場では、このアーバンスポーツを子供から大人まで気軽に体験できるエリアや、初心者教室も提供されておりまして、スポーツの導入機会を提供するすばらしい取組であったのではないかと感じました。
 今後、こうした取組を増やしていくことが、アーバンスポーツの振興はもちろんなんですけれども、さらには、東京都が目指しておりますスポーツ実施率の向上にもつながっていくのではないかと改めて認識をいたしました。
 このように、スケートボード、ボルダリング、3x3バスケットボール以外のアーバンスポーツ、例えば、あそこでもやっていましたけれども、ブレイキン、そしてパルクールなどについても、都民が気軽に体験でき、新たにスポーツにチャレンジできる場を、機会を提供していく必要があると思いますが、有明アーバンスポーツパークでは、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 有明アーバンスポーツパークにおきましては、要求水準書の中で、BMX、パルクール、ブレイキン等の大会、イベント等を誘致し、アーバンスポーツ全体の振興、裾野の拡大に資する取組を実施することとしております。
 先般行われましたアーバンスポーツTOKYO二〇二二におきましても、パルクール世界選手権のほか、子供たちも参加できるBMXやブレイキンなどの体験会や、トップアスリートによるデモンストレーションなどが実施されておりました。
 競技団体とも連携しながら、多様なイベントの開催など、幅広くスポーツを体験して楽しめる施設としてまいります。

○白戸委員 さきにも述べましたけれども、アーバンスポーツですから、まさに都会と相性のいいスポーツで、東京こそが取り組んでいくべきであろうと考えます。有明アーバンスポーツパークでの整備運営事業はもちろんですが、そのほか、まち中やビルの公開空地などを利用して活性化していくべきではないかと思います。
 今後、アーバンスポーツパークを中心に、アーバンスポーツの振興につなげていっていただきたいと期待しております。
 続きまして、辰巳の水泳場でございます。
 東京二〇二〇大会が終わりまして、水球会場となっていました東京辰巳国際水泳場は、アイスリンク施設に転用することが決まっております。
 このアイスリンクなんですけれども、昨年の一月末に、高田馬場にありましたシチズンプラザが閉鎖されまして、二十三区内のスケートリンクは明治神宮外苑のアイスアリーナのみと今なっています。
 東京全体でも、西東京のダイドードリンコアリーナと江戸川区のスポーツランド、さらに、先月ちょうどリニューアルオープンしましたけれども、東大和市の東大和スケートセンターのこの四施設のみということになっています。
 日本スケート連盟によりますと、フィギュアスケート、それからスピードスケート、さらにアイスホッケー、この三つのスポーツの国内競技人口は二万六千人程度とされております。その中で、東京には何と四千六百人いらっしゃる。
 ちなみに、冬季スポーツが非常に盛んな北海道のこの人口は四千三百人ですから、北海道のスケート人口よりも東京スケート人口の方が多いということなんです。
 ちなみに、北海道のスケートリンクの数は三十四か所あります。東京は今いったように四か所ということで、非常に東京では厳しい状況であるということが分かると思います。ですから、スケート関係者にとっては悲願であった本格的なスケートリンクの都内の誕生ということになります。
 そんなわけで、スケート界、さらにはスケートファンにとって待望の施設なんですが、先日の報道などでは、辰巳国際水泳場のアイスアリーナの改修費について、急激な円安の影響などで資材価格が高騰し、予算が増えるというような記事も掲載されておりました。
 世の中、これ全て、あらゆるものが今価格上昇しておりますので、工事用の資材の上昇もある話かとは思いますが、都では、この辰巳のアイスアリーナの転用に向けて、工事費の高騰についてどのような状況になっているのか、伺います。

○永井スポーツ施設担当部長 現在、工事費を取り巻く状況としては、鋼材等の原材料価格の上昇を受けた建築資材高騰や、円安による輸入資材の高騰の影響が挙げられます。
 例えば、鉄骨材料については、建設物価調査会のデータによりますと、昨年の夏頃から急激に上昇しております。また、円安による輸入資材の今後の資材価格についての情勢も不透明な状況であります。
 辰巳アイスアリーナへの改修工事は、鉄鋼などを用いたアイスリンクの新設、リンクフェンスの設置などを実施するものであり、こうした状況を踏まえ、現在、整備内容や整備費について精査を進めているところでございます。

○白戸委員 この円安の急激な進行、そしてウクライナ情勢など、社会情勢が大きく変化している中で、この影響を受けて、建築資材の高騰などによって整備費が増えることは、ある意味やむを得ないことだとは思います。しかし、できる限り縮減の努力もすべきだということで皆さんにもご協力をいただきたいと思います。
 そして、もう一つ大切なのは、工事費の観点だけではなくて、都が辰巳にアイスアリーナをなぜ整備するのか、その意義や目的をしっかりとすることです。
 そこで、辰巳水泳場をアイスアリーナとして整備する意義について伺います。

○小池スポーツ施設部長 辰巳国際水泳場の後利用につきましては、近接するアクアティクスセンターとは異なる機能を有する施設としての活用を検討し、屋内施設を活用する競技団体の意向も踏まえ、スポーツ振興審議会に諮った上で、都内に施設数が少なく、利用ニーズも高い、通年のアイスリンク施設として整備することといたしました。
 昨年九月には、施設運営計画の中間まとめを公表しておりまして、フィギュアスケートやアイスホッケーなどの競技大会開催に活用するほか、アスリートの競技力向上、都民が利用できる場として、スケートやカーリングなどの教室を通じ、誰もが氷上スポーツに親しめる場としていくこととしております。
 また、大会やアイスショーなどの開催によりまして、見るスポーツを促進し、地域の活力創出にも貢献することとしております。

○白戸委員 先ほども述べましたが、都内に通年のアイスリンク施設が整備されるということは、競技力の向上など氷上スポーツの振興に資するだけではなくて、見るスポーツとしても地域に貢献する意義は大きいと考えます。
 また、さきに述べたように、スケートの関係者からも、このアイスリンクの要望も非常に強いものがありました。都民や競技者が待ち望んでいますこのアイスリンク施設ができるだけ早く開業できるよう、計画策定や施設整備を着実に進め、都内全域の氷上スポーツの振興につなげていただきたいというふうに思います。
 続きまして、先月開催されましたTOKYO二〇二〇レガシーワークショップ、私も参加させていただきました。その際には、局長と音響問題でいろいろと意見をさせていただきました。大変ありがとうございました。
 このレガシーワークショップに参加をさせていただいた際に、シティキャストへのアンケート結果を用いての報告がありました。その内容に、実は改めて感心させられました。そのときの資料、こういう形でお配りいただいて、本当に非常に参考になった資料なんですけれども。
 そこでまず、東京二〇二〇大会後、都ではシティキャストへのアンケートを行いましたが、都は、このアンケートからどのようなことが読み取られたと考えるのか、お聞かせいただきたいと思います。

○澤崎アーカイブ担当部長事業連携担当部長兼務 都は、大会後の昨年九月、シティキャスト約一万六千名を対象にアンケート調査を行い、約八千名から回答を得ました。
 これによりますと、回答者の九六・四%が今後もボランティア活動への参加を希望しております。
 また、複数回答で尋ねたシティキャストへの活動参加理由は、オリンピック・パラリンピックに関わりたいが九三・三%と高かった一方、大会後の興味のある分野では、スポーツの七一・二%と並んで、地域活性、まちづくり、観光の六五・五%、多文化共生、国際協力の六〇・四%が高い割合を示しております。
 このことから、シティキャストが、引き続き高い活動意欲を持っていること、活動参加をきっかけに、スポーツだけでなく、地域や多文化共生社会への関心を持つ方が増えたことが読み取れます。

○白戸委員 これ、当然オリ・パラのボランティアですから、オリ・パラへの関心によって応募するというのは九三%、これはもう圧倒的に多いのは当然のことであります。
 しかし、大会後です。注目すべきは大会後のアンケートで、スポーツだけじゃなく、地域振興や多文化共生、教育などへの関心を持つようになった。これは本当にすばらしいことだと思います。
 また、大会後に取り組むようになったことというようなアンケートで、様々なボランティアや地域活動への参加、そして、配慮の必要な方が困っている場合にお声がけすることなど、幅広く取り組んでいることも分かり、大いなる進歩だと感じます。
 これは、この東京二〇二〇大会のボランティア事業が、ボランティア精神、助け合いの心を促進したことは間違いなく、大会の大きなレガシーであると考えます。
 レガシーというと、一概に施設とか物になるんですけれども、そういったものだけではなくて、このようなマインドの変容も大変重要で、これも大切にしていく必要があると考えます。
 そこで、都は、今後、ボランティア文化のレガシーとしての定着につなげるためにどのような取組を行っていくのか、伺います。

○澤崎アーカイブ担当部長事業連携担当部長兼務 アンケート結果によれば、ボランティア活動を続けるに当たり、都に積極的に取り組んでほしいものは、一位がボランティア活動機会の提供、二位が活動情報の提供となっております。
 都は、こうした意向も踏まえ、大会後も、大会一周年記念イベント等でボランティア活動機会を提供してまいりました。
 また、これらの活動情報を、大会を契機に設置した東京ボランティアレガシーネットワークや、障害者スポーツボランティア情報のポータルサイト、TOKYO障スポ & サポート等を通じて提供し、ボランティアの募集等につなげております。
 今後も、各種スポーツイベントや国際交流、多文化共生の活動機会の拡充や情報提供を進め、ボランティア文化の大会レガシーとしての定着につなげてまいります。

○白戸委員 これまで日本人は、ボランティアの文化が根づきにくいといわれていましたが、この二〇二〇大会を機に大きく変化したのではないでしょうか。この変化を定着させるために、都としてしっかりと後押ししていく必要があります。
 まずは、活動機会の提供や情報の提供が重要で、レガシーネットワークなどを通じて、しっかりと提供いただけるようお願いします。
 また、もう一つ見逃せないのが、スキルアップの場やボランティア同士の交流の機会を求める声も意外と多いということです。
 私が、七月の一周年記念イベント、これは国立競技場だったと思いますが、参加させていただいたときに、ボランティアの方とお話をする機会がありました。あの場に、皆さんも見られたと思いますが、数千人のボランティアの方がウエアを着て参加をされておりました。
 実は、ボランティアの皆さんに聞くと、あのボランティアの皆さんは、一年ぶりにリアルにみんなが集まれるという、いわば同窓会のような位置づけでみんなが集まったということでした。
 大会のときは、あのときの世論とか報道を思い出していただくと分かるんですが、最初は、ボランティアのウエアを着てまちを歩くのさえ嫌だった、怖かった、もしくは、自分の会社の職場でさえ、オリ・パラのボランティアに行っていますといえなかった、当初はそんなこともあったそうです。
 そんな状況の中で、ボランティア同士で励まし合って、支え合って、終了時には大切な同志になったということでした。当時の状況を思い返しますと、本当に苦労を一緒に乗り越えてきたからこそ、より強い結びつきができて、活動への思い入れも強くなっているということがよく分かりました。
 こうした皆様は、今後も、リアルに集まれる場を、集まれる機会を望まれておりまして、それが結果的に、ボランティアの輪の広がりとか、連携の強化につながっているという側面もあるようです。ぜひこちらも検討の方、よろしくお願いします。
 ここからは、国際スポーツイベントについてお伺いします。
 世界に誇る国際都市としての発信強化、さらに、経済の活性化のためにも、国際スポーツイベントの開催は大変重要でございます。
 世界の観光客の傾向は、今後ますます目的型であるとか体験型に移行していくものと思われ、スポーツイベント開催は、世界中から注目を集めるとともに、海外からも多数の参加者、観客、メディア、関係者などが来日するなど、インバウンド成長戦略にもつながる絶好の機会になり得ると考えます。
 今後、さらに世界に向けて東京の文化的な魅力を発信し、より多くの方に東京に訪れてもらうためにも、国際イベントの招致、開催を積極的に進めるべきと考えますが、都の取組について伺います。

○河野事業推進担当部長 国際スポーツ大会の開催は、スポーツの振興はもとより、都市のプレゼンス向上、ひいては大会の参加者、観客など、海外の方々が東京を訪れるきっかけにもなるものと認識しております。
 都は、東京で様々な国際大会が開かれるよう、競技団体の大会開催などを支援する事業を実施しておりまして、今年度は三大会の開催を支援しております。
 各大会の開催に向けましては、主催者と連携し、国内外に向けて大会のPRを行うとともに、より多くの方に来場していただけるよう、競技体験会の実施などに取り組んでおります。

○白戸委員 確かに今年だけでも、レガシーハーフマラソン、そして、今月開催されます自転車のイベント、様々なイベントが出てくるわけですけれども、これ、かなりインバウンド対応、インバウンドの方の興味をそそるイベントだと考えます。
 昨今の欧米諸国のインフレ、さらに円安など、こういったことでインバウンド需要というのは高まっていくとはもちろん思いますけれども、その経済的なインパクトはもっと大きくなっていくのではないかなと思います。そして何よりも、世界の中での東京の存在感を示し、都市の魅力を深め、国際力やプレゼンスを高めていくためには、国際的な大きなイベント開催は非常に有効だと考えます。
 もちろん、開催方法や開催形態についてはしっかりと精査し、円滑で適正な運営がされるよう留意していただくことも要望しておきます。
 そんな国際スポーツのイベントの一つでありますデフリンピックが二〇二五年に東京で開催されることが決まりました。このデフリンピックにつきましては、招致の段階から我が党は積極的に応援を行ってきたこともあり、招致の決定を大変うれしく思っております。
 そして、二〇二〇パラリンピックの大会で高まったパラスポーツへの機運をしっかりと引き継いで盛り上げていくという点で、大変絶好のタイミングであったとも考えます。
 そこでまず、この招致において、東京都は具体的にどのように対応してきたのか、伺います。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務 二〇二五年デフリンピック大会の東京招致に関し、都はこれまで、招致主体である全日本ろうあ連盟の取組を積極的に応援してきました。
 具体的には、二〇二五年大会の立候補に必要となる大会の開催日程、競技会場、宿泊、輸送の方針等の計画作成に関し、東京二〇二〇大会で得た知見等を生かした助言を行うとともに、競技団体との関係構築など、必要な調整を行いました。
 また、都立施設を二〇二五年大会の会場として最大限活用するとともに、都立施設以外の会場について、施設管理者との調整を行いました。

○白戸委員 東京都が、東京二〇二〇大会の経験も生かして、全日本ろうあ連盟の招致活動に対して、招致計画へのアドバイス、そして関係団体との調整を図るなど、積極的に応援してきたことで、東京開催の決定につながったことがよく分かりました。これも二〇二〇大会のレガシー活用の一つではないかと考えます。
 パラリンピックの歴史は一九六四年の東京大会から始まっているので、五十八年というところですけれども、デフリンピックは、先ほどもお話がありましたが、一九二四年から始まっていますので、既に百年という歴史です。こういうことも意外と知られておりません。
 そんな歴史のある障害者スポーツ大会の起源のようなこの大会が、日本で初めて、それも東京で開催されるということはすばらしいと考えます。
 全日本ろうあ連盟の開催計画では、大会コンセプトとして、デフアスリートを主役に、デフスポーツの魅力を伝え、人々や社会とつなぐこと、デフリンピックムーブメント、誰一人取り残さない世界、SDGsの実現などを挙げています。
 二〇二五年、デフリンピック大会を東京で開催する意義について、都の見解を伺います。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務 デフリンピックは、デフアスリートによる陸上、水泳等、多くの競技から成る国際大会で、東京及び日本での開催は、夏季、冬季大会を通じて初めてとなります。
 デフアスリートが活躍する姿は、ろう者やろう文化への理解を深め、人々の交流を促進するとともに、大会開催を通じて、スポーツの一層の振興を図り、障害の有無にかかわらずスポーツを楽しむ機会を生み出すことができます。
 また、デフリンピックにおける視覚的保障の取組等を機に、社会のユニバーサルコミュニケーションへの関心を高め、最新のデジタル技術なども活用することで、誰とでも容易に交流を図ることができる共生社会実現への弾みともなります。
 さらには、多彩な芸術文化やおもてなしの心など、東京、日本の魅力を世界に発信する好機になると考えております。

○白戸委員 二〇二五年のデフリンピック大会の開催が、共生社会の実現に向けた弾みとなるなど様々なメリットがあるということはよく分かります。
 そして、大切なことは、この意味を都民の皆様にもしっかりと共有していくことだと考えます。多くの皆さんが理解し、応援してもらうことで、その価値も高まります。
 さて、これから二〇二五年デフリンピック大会は、本格的な準備フェーズに入っていくことになりますが、先ほども述べた東京二〇二〇大会の貴重な経験などを今後どのように生かしていくのか、見解を伺います。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務 東京二〇二〇大会の開催により、スポーツ実施機運やパラスポーツへの関心の高まり、ボランティア文化の広がりといった様々なレガシーが創出されました。
 また、都では、千人もの職員が東京二〇二〇大会開催に直接関わり、関係者の連携体制づくり、宿泊、輸送や会場運営等のオペレーション、大会開催機運の盛り上げなど、国際スポーツ大会の準備、運営に必要なノウハウを得ることができました。
 今後、東京二〇二〇大会で得たこうした経験やノウハウを、円滑な二〇二五年デフリンピック大会の準備につなげてまいります。

○白戸委員 大会準備を円滑に進めていくために、招致活動に続き、都が二〇二〇大会で得たノウハウを提供するなど、大会のレガシーをフルに生かして、積極的に取り組んでいただきたいと考えます。これこそ、パラリンピックの開催をさらに生かしていくということにもつながります。
 一方で、財政面の検討も必要です。
 現在、二〇二五年デフリンピック大会の予算について、おおむねどのくらいと見込んでいるのか、また、過去大会の事例などを掌握しているのか、その点についても伺います。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務 都では、聴覚障害者をはじめとした障害者スポーツ大会の支援調査を行うとともに、二〇〇九年にデフリンピックを開催した台北市に職員を派遣し、関係者にヒアリング調査を行いました。
 オリンピック・パラリンピックと異なり、デフリンピックでは情報が不足しており、現在、都が公式報告書等で把握しているデフリンピックの予算規模は、二〇〇九年台北大会と二〇一七年トルコ・サムスン大会のみであります。
 当時の為替レート換算で、大会運営費及び施設整備費を合わせた予算規模として、二〇〇九年台北大会は約百七十億円、二〇一七年サムスン大会は約百五十億円程度でありました。
 なお、二〇二五年デフリンピック大会の予算につきましては、全日本ろうあ連盟が、今後、国際ろう者スポーツ委員会と大会のサービスレベルを具体に調整していくと聞いており、その中で精査、検討が進められていきます。

○白戸委員 過去大会のおおよその予算規模が分かるところではあります。また、二〇二五年、デフリンピック大会の予算は、これから大会サービスレベルを具体に調整する過程において整理されていくことも分かりました。
 デフリンピック大会は、デフアスリートの世界最高峰の大会であることに鑑み、適正なサービスレベルを確保しつつも、やはり関係者や都民、国民が、理解、納得できる適切な予算となるよう、都としても、関係者と共に精査、検討を進めていただきたいと思います。
 最後に、二〇二五年のデフリンピック大会を成功に導くために、今後どのように進めていくのか、伺います。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務 大会の成功には、全日本ろうあ連盟のみならず、国やスポーツ界が連携して、適切な準備運営体制を構築し、大会準備を進めていくことが重要です。
 都は、デフリンピック大会の開催意義を踏まえ、デフリンピック開催にふさわしい準備運営体制や、関係者の連携協力、都の役割等を早急に検討してまいります。

○白戸委員 デフリンピック大会の東京開催は、東京二〇二〇大会の経験やノウハウを有している都が、そうした都ならではの役割を果たすことで、一層すばらしい、意義のある大会になると考えます。
 東京の強み、都が持つレガシーという資産を有効に活用いただきたい。そのためにも、関係者と共に、円滑な準備運営体制や関係者の連携協力について、さらに議論を深めていっていただけるよう要望しておきます。
 そして、もう一つの国際スポーツイベント、二〇二五年に世界陸上競技選手権大会の開催地が東京に決定いたしました。既に四十年近くの歴史があり、世界全体から大勢の選手が集結するビッグイベントであり、私もこの夏のオレゴンでの興奮を思い出し、わくわくしているというところでございます。
 この世界陸上は、過去に日本の、この東京でも、そして大阪でも開催されています。これまでの日本開催の大会の実績、内容について伺います。

○三浦事業推進担当部長 一九九一年の東京大会は、当時の国立競技場を会場とし、八月二十三日から九月一日まで十日間開催されました。百六十七の国、地域から千五百十七人の選手が出場しており、日本人では、マラソンの谷口浩美選手が金メダル、山下佐知子選手が銀メダルを獲得しております。
 また、二〇〇七年の大阪大会は、長居陸上競技場を会場とし、八月二十五日から九月二日まで九日間開催されました。二百一の国、地域から千九百三十人の選手が出場しており、マラソンで土佐礼子選手が銅メダルを獲得しています。

○白戸委員 あの暑い開催の中での谷口選手の金メダル、私も非常によく覚えております。あの大会ができたのに、何で東京はマラソンができなかったのかなというのはちょっと不思議な感じもするんですが、それはさておきまして、どちらにしても、世界陸上は非常に規模の大きな大会です。競技団体ではなく、官民一体となって、開催の準備、運営に取り組まなければ、開催はできません。
 開催に当たっては、過去の大会の経験も参考にすべきだと考えますけれども、一九九一年東京大会はもう既に三十年以上も前、そして大阪大会でも十五年前ということになりますが、一番間近な大会が開催された都市としては大阪です。その大阪ではどのように取り組んだのか、伺います。

○三浦事業推進担当部長 大会報告書によりますと、大阪市は、世界陸上開催がスポーツ振興を通じたまちづくりにつながるとともに、まちの国際化や活性化の大きな契機となると認識しておりました。
 大会開催に向けては、大阪市が運営組織の中核を担い、開催年度における組織体制約百四十人のうち、約半数は大阪市の職員が携わったと聞いております。
 また、開催費用は全体で約百億円であり、大阪市がそのうち約四割を負担しております。
 さらに、広報、PR活動、おもてなし事業などに取り組んでいたとのことでございます。

○白戸委員 世界陸上は単一競技の国際大会としては、先ほどもお話がありましたけれども、サッカーのワールドカップ、そしてラグビーのワールドカップなどと並ぶビッグイベントであります。当然、メリットやデメリットも含め、様々な波及効果も期待できるため、開催される都市の公的な役割が相当に大きいということもうかがえます。
 都は、今後、この世界陸上の開催に当たり、このような視点も踏まえながら、どのような役割を担っていくのか、見解を伺います。

○三浦事業推進担当部長 世界陸上は、アスリートの熱戦を間近で見て応援する機会となるだけでなく、次代を担う子供たちへの影響や、東京の魅力発信など、多くの開催意義を有しております。
 都は、日本陸連などの関係者と連携して、大会の成功に向け、積極的に取り組んでまいります。
 先月、大会の招致主体である日本陸上競技連盟と連携し、運営組織の設立に向けた準備会を立ち上げ、議論、検討を開始したところでございます。
 都が大会の成功に向けて担うべき役割につきましては、設立準備会における議論なども踏まえ、今後、関係者と調整しながら整理してまいります。

○白戸委員 まずは、この大会の運営組織の設立に向けて注力し、その上で、都の役割を整理するという手順で取組を進めていくことが分かりました。
 この設立準備会ですが、先月立ち上がったということですが、第一回目の準備会はどのような議論を行ったのか、また、今後どのように進めていくのか、併せて伺います。

○三浦事業推進担当部長 第一回の設立準備会では、組織の構築、運営に必要となるガバナンスの指針として、令和元年にスポーツ庁が定めましたスポーツ団体ガバナンスコードを踏まえて議論、検討を進めていくこと、また、具体的には、実務担当者及び専門家から成る作業部会を設け、検討を取りまとめの上、設立準備会に報告させることを確認いたしました。
 今後は、設立準備会及び作業部会で丁寧に議論を重ねていくこととしており、十分な検討を踏まえ、大会運営組織の円滑な設立につなげてまいります。

○白戸委員 昨日開催されましたオリンピック・パラリンピック特別委員会、ちょうどこの同じ部屋でございましたが、我が会派の伊藤都議より、組織のガバナンスについて質疑があったところでもあります。
 国際スポーツ大会に、ある意味、逆風が吹いている今だからこそ、今回の事件の教訓を生かし、ガバナンス強化を図るなど、議論、検討を積み重ねて進めていくことは重要かと思います。
 大規模国際イベントである世界陸上の成功には、都民や国民の理解が不可欠であり、そのためにも、この議論のプロセスを含め、情報をオープンにしながら、一歩一歩着実に準備を進めていただきたいと考えます。
 また、この二〇二五年は、世界陸上とデフリンピック大会が同年に開催され、世界中が東京に注目をされるという重要な年でもあります。
 さきに国際スポーツイベントの重要性についてはお話をしておりますが、この両大会の開催を通じ、国際スポーツ都市東京を世界にPRし、同時に、東京の技術や文化など、すばらしい魅力の発信につなげていただくことを要望し、質疑を終わります。ありがとうございました。

○北口委員 私からも、初めに、まず、デフリンピック大会についてちょっとお伺いをさせていただきます。
 我が党は、招致段階から公明党東京都本部に二〇二五年デフリンピック支援委員会を設置し、全日本ろうあ連盟、また、東京都聴覚障害者連盟とも意見交換や学習会を実施するなど、積極的に支援を行ってきました。
 こういったこともあって、今回の招致決定を大変喜ばしく感じているところでございます。今回の大会で聴覚障害者への理解と社会の情報保障の取組が一層促進されることを期待しております。
 これまでも我が党は、東京での大会開催に向けては、過去に行われたデフリンピック大会の状況等を調査し、実態を把握することが重要であるというふうに主張をしてまいりました。
 こうした過去大会の状況や開催都市ごとの特色等を加味しながら、東京の大会計画を策定し、二〇二五年の大会の準備を進めていくべきだというふうに考えております。
 都は、今年五月に行われましたブラジルでの大会の視察に行ったというふうに聞いておりますが、そこで学んだ知見などについて見解を伺います。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務 都は、本年五月に、ブラジルのカシアスドスルで開催されたデフリンピック大会へ職員を派遣し、大会運営などを調査いたしました。
 ブラジルでの大会では、公的施設や地元の大学、スポーツクラブなど、既存のスポーツ施設を最大限活用し、大規模な仮設物設置は行っておりませんでした。また、開会式も、選手行進がメインで、大がかりの演出はありませんでした。
 大会全体を通じて、簡素でシンプルな運営であり、ろう者と健聴者が共に協力し、手作りの大会をつくり上げていました。
 競技運営では、国際手話や翻訳アプリによるコミュニケーションのほか、フラッシュランプや旗などで競技に必要な音声や審判の合図を知らせるなど、デフアスリートに対する視覚的保障が行われていました。
 今後、ブラジルでの大会の調査を踏まえ、二〇二五年デフリンピック大会の開催責任主体である全日本ろうあ連盟や関係者と共に、大会準備の検討を進めてまいります。

○北口委員 五月のブラジルでの大会調査を通じまして、大会運営に関する様々な知見を得てきたということがよく分かりました。
 オリンピック・パラリンピックとは異なり、簡素ではあるが、関係者の協力による一体感のある大会であったことがうかがわれます。今後の検討に生かしていただきまして、大会準備を進めていただきたいというふうに思います。
 また、二〇二五年デフリンピックの開催に当たっては、大会の主役であるデフリンピアンが存分に活躍できるよう、ろう者と健聴者が密接に連携をし、大会の準備を進めていくことが大切だというふうに考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務 大会の成功のためには、ろう者と健聴者が協力し、共に大会をつくり上げていくことが重要です。
 大会の準備、運営に当たっては、競技運営に必要な視覚的保障や手話人材の育成などが必要となるため、全日本ろうあ連盟等と連携していきます。
 一方で、デフスポーツの競技団体が国際大会の開催経験がほとんどないという点については、都が、東京二〇二〇大会の経験、ノウハウを生かすことや、デフスポーツの競技団体とJOC、日本スポーツ協会、日本パラスポーツ協会傘下の競技団体との関係構築を促進することで、ろう者と健聴者がしっかり連携した準備運営体制を確保できるよう、早急に調整してまいります。

○北口委員 デフリンピックを共につくり上げていく過程で、ろう者と健聴者の相互理解が進み、また、共生社会の実現の弾みとなることが重要であります。
 全日本ろうあ連盟をはじめとした関係者が一体となり、過去の大会も参考にしながら、最新のICT技術を活用して効果的な情報保障に努めるなど、ぜひ、東京らしい魅力的な大会となるように取り組んでいただきたいというふうに思います。
 さて、我が党は、東京二〇二〇大会を通じて、被災地の復興を一貫して支援してまいりました。東京二〇二〇大会では、福島県で野球、ソフトボールが、また、宮城県でサッカーがそれぞれ開催をされ、被災地に勇気を与え、復興の後押しとなりました。
 そして、デフリンピックでは、福島県でサッカーが開催されることになっているというふうに聞いております。サッカーを福島県で開催することになった理由をお伺いいたします。

○清水事業推進担当部長 二〇二五年デフリンピック大会では、福島県のJヴィレッジにおいてサッカー競技が行われる計画でございます。
 Jヴィレッジは、サッカー競技の開催に必要な天然芝のグラウンド六面を一か所で確保できるなど、選手にとっても、競技運営にとっても、良好な環境を有しております。
 同時に、Jヴィレッジは、福島復興のシンボルであり、ここでの競技開催により、復興が進む被災地の姿や魅力の発信につながるものと考えられます。
 こうしたことから、福島県のJヴィレッジがサッカー会場とされたところでございます。

○北口委員 デフリンピックのサッカーが福島県で開催されることは、東京二〇二〇大会のレガシーを引き継ぎ、そしてまた、東日本大震災を忘れないという意味でも、被災地にとっても大変意義のあることだというふうに考えます。
 ぜひ、このデフリンピック大会においても、スポーツの持つ力を通じて被災地に元気を届けられるように、福島県と連携し、取組を進めていただきたいというふうに思います。
 デフリンピック大会開催まであと三年です。この短期間で様々な準備が必要となろうと思います。
 我が党としても、これまで公明党東京都本部に設置されていた二〇二五年デフリンピック支援委員会を、国を挙げて大会を推進していくために、公明党本部に二〇二五年東京デフリンピック大会推進本部を設置し、党を挙げてこのデフリンピック大会を支援していきたいというふうに思います。
 大会の成功はもとより、この大会を契機に、ろう者と健聴者が手を取り合う共生社会の実現につなげるために、都は、東京二〇二〇大会の経験を生かして、関係者と密接に連携をし、大会準備、運営において主体的な役割を果たしていくことを期待して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、先ほど来、これも質問があるように、世界陸上について私からも一点お伺いをさせていただきます。
 二〇二五年に開催されるこの世界陸上、東京開催が決定をいたしました。
 都は先月、日本陸連と連携して、大会運営組織の設立に向けた準備会を立ち上げ、着実に準備を進めているということでありますが、大会が都民、国民から親しまれるためには、人々が大会を身近に感じられる仕組み、中でも、次代を担う子供たちが参加できる機会をつくっていくことが重要であるというふうに考えております。
 残念ながら、オリ・パラでは、子供たちの観戦事業はコロナの影響でなくなってしまいましたが、子供たちが、世界最高峰の舞台で躍動するアスリートに触れる機会や、観客がいる大型の競技場の雰囲気に触れることは、何にも代えがたい貴重な経験になるというふうに考えております。
 次代を担う子供たちの参画の機会について、都の見解をお伺いいたします。

○三浦事業推進担当部長 大会の開催に当たっては、できるだけ多くの人々に、とりわけ子供たちにスポーツのすばらしさを実感していただける機会をつくり出していくことが重要でございます。
 大会を招致した日本陸上競技連盟も、招致段階から、大会を契機に子供たちのアスリートとの交流などに取り組みたいという意向を示してございます。
 今後、日本陸上競技連盟など関係者と協議し、子供たちをはじめ、都民、国民が参加できる仕組みについて検討してまいります。

○北口委員 世界陸上につきましては、大会運営上、いろいろな制約もあると思いますが、工夫して、大会への都民、国民の参加に向けた取組の検討を進めていただきたいというふうに思います。
 また、さきに質問しましたデフリンピックについても、この貴重な機会を逃さずに、ろう学校の参加など、学校とも連携をして、子供たちに希望を与えるような取組を検討していただきたいということも併せて要望をして、次の質問に移ります。
 次に、パラアスリートの支援についてお伺いをいたします。
 東京二〇二〇パラリンピック大会で盛り上がったパラスポーツの機運をレガシーとして未来につなげていくことが重要だと考えております。
 東京大会で躍動したパラアスリートたちは、既に二年後のパリ大会に向けてトレーニングを開始しております。また、大会を見て、新たにスポーツを始めた人も多いというふうに聞いております。さらには、先ほど来の質問のとおり、デフリンピックの開催も決定をしております。
 こうした世界の舞台で活躍するヒーロー、ヒロインの存在は、これからトップを目指すアスリートたちの原動力となり、ひいてはスポーツ、運動をする障害者の裾野を広げていきます。さらにいえば、施設の整備や人の意識の変化など、もたらす効果は計り知れません。
 都はこれまでも、パラアスリートの支援に取り組んできておりますが、パラリンピック競技以外のパラスポーツも含めまして、アスリートの競技力向上に取り組むべきというふうに考えておりますが、都の見解をお伺いいたします。

○齊藤パラスポーツ担当部長 大会で盛り上がった機運を生かし、引き続きパラスポーツの関心度を高めていくとともに、障害者のスポーツ実施率を向上させるためには、アスリートの活躍が重要でございます。
 都はこれまで、国際大会への出場が期待される東京ゆかりの選手に競技用具の購入費や海外遠征費等を支援してまいりました。
 また、今年度から、ガイドランナーや競技アシスタントなど、選手を支えるスタッフに対しても、国内外の大会参加に伴う経費等を支援しております。
 今年度、デフスポーツなども新たに支援の対象とし、より幅広いパラアスリートの活躍を後押しいたします。
 こうした取組を通じまして、引き続き、国際大会で活躍する東京ゆかりの選手の競技力向上を支援してまいります。

○北口委員 デフも含めたパラアスリートを支援することは、オリ・パラ大会に向けて盛り上がったパラスポーツをより幅広く後押しする重要な取組となります。ひいては障害者への理解促進、共生社会の実現への後押しともなります。ぜひ、今後とも継続をして、パラアスリートとその関係者への支援、お願いをいたします。
 次に、障害のある方のスポーツ施設利用についてお伺いをします。
 障害のある方の中には、身近なスポーツ施設の利用を希望している方も多いです。
 本年三月、文教委員会での、障害のある方の施設利用が進むよう、環境整備を働きかけていくべきという我が会派の主張に対しまして、都は今年度、障害のある方の施設利用に際し、施設管理者が配慮すべきマニュアルを改定するとのことでしたが、現在の取組状況をお伺いいたします。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都は、平成二十七年度に作成した障害のある方のスポーツ施設利用に際して施設管理者等が配慮すべき点をまとめたマニュアルを、今年度、東京二〇二〇大会の開催や、障害者差別解消法の改正等を契機に進められた新たな取組事例を収集した上で改定することとしております。
 具体的には、障害当事者や有識者等を構成員とする検討委員会を設置し、意見聴取をするとともに、公立、民間スポーツ施設に対してアンケートやヒアリングを実施し、好事例を調査、収集しております。
 検討委員会の委員からは、車椅子だけでなく、つえや義足といった補装具の方の利用の視点を踏まえることや、施設のバリアフリー情報の発信の重要性を紹介した方がいいなど、様々なご意見をいただいております。

○北口委員 区市町村職員や施設管理者など、スポーツ施設の運営に携わる人にとって分かりやすいマニュアルとなるように、改定に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 さらに、マニュアルを配布して終わりではなく、実際に施設の方がこのマニュアルを見て実践してもらうことが大切です。皆様に活用してもらえるマニュアルとなるよう、普及にも積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 ここまで、スポーツをテーマに確認をさせていただきました。人間が限界に挑む姿は、どんな競技であっても美しく、そこには健常者も障害者も関係ありません。時代が大きな転換点を迎えていますが、スポーツの力で東京に新しい時代の価値観が創造されることを期待しております。
 さて、話題は変わりまして、次は、自転車の交通安全対策について質問をさせていただきます。
 警視庁は、自転車の交通違反による事故が相次いでいることを受け、昨今、取締りを強化しております。悪質で危険性が高い場合は、重点的に刑事罰の対象となる赤切符を交付する方針と聞いております。
 自転車の事故が相次いでいるとのことですが、改めて、都内の事故件数及びその動向についてお伺いをいたします。

○小室都民安全推進部長 近年、都内の交通事故件数は減少傾向にございますが、自転車事故の件数につきましては増加傾向にあります。
 警視庁の統計によりますと、令和三年に発生した自転車関与事故の件数は一万二千三十五件で、二十代から五十代が多うございます。また、自転車側に違反があった割合が六割を超えております。特に十代や二十代など若年層において割合が高いです。
 事故発生場所では、交差点が四七・三%、事故の類型では、出会い頭での事故が三五・五%と多数を占めております。

○北口委員 自転車事故は増加傾向にあり、自転車側に違反がある割合も高くなっているということですので、安全確保のために、危険運転に対する取締り強化は必要であります。
 それと同時に、交通ルールやマナーの周知も重要であるというふうに考えております。自転車は免許も必要がなく、気軽に乗ることができるため、ルールを十分認識していない利用者も多いと思います。
 自転車安全利用の普及啓発は非常に重要であり、今後も取組を強化していくべきというふうに考えますが、現在の状況についてお伺いをいたします。

○小室都民安全推進部長 自転車安全利用の推進のためには、事故の当事者となることが多い若者を含め、幅広い世代に普及啓発を行うことが重要でございます。
 都は、毎年五月の自転車安全利用TOKYOキャンペーンをはじめとしまして、シミュレーターを用いた交通安全教室や事業者向けセミナーなどを、学校や区市町村、関連団体等と連携して実施しております。
 さらに、来年二月には、自転車の交通ルール等を学習できるスマートフォン向けアプリをリリースする予定であり、現在、若年層やフードデリバリー事業者等の意見も取り入れながら開発中でございます。
 こうした取組を通じて、幅広く都民に対し、自転車安全利用を推進してまいります。

○北口委員 コロナ禍の影響もあり、自転車通勤をする会社員、そしてまた、飲食店の宅配の自転車等が増えております。
 自転車を取り巻く交通環境も時代とともに変化をしてきております。スマホアプリもリリース予定とのことで、今後は学校と連携するなど、新しい取組にも期待をしたいというふうに思います。
 こうした取組を推し進めながら、時代に合った自転車の安全利用を促していただきたいというふうに思います。
 最後に、町会、自治会の支援についてお伺いをいたします。
 首都直下地震や水害などの大災害時、発生直後の混乱の中では、近隣とのつながりや助け合いが極めて重要となります。いわゆる共助を緊急時に発揮するためには、日頃から地域の顔が見え、つながりをつくるような取組が大切であります。
 とりわけ災害時には、高齢者だけではままならず、若い方々の力が必要となりますが、残念ながら、町会、自治会の防災訓練に参加をしますと、若い方をあまり見かけることがありません。
 町会、自治会の多くは、新規住民の未加入等による加入率の低下、減少や、担い手不足などの深刻化といった問題を抱えているのが現状でございます。若い世代や非会員の町会、自治会活動への理解と、参加促進のための施策の充実が求められていると思います。
 都は、従来の地域の底力発展事業助成に加え、地域コミュニティ活性化事業で町会・自治会応援キャラバンというのを行っておりますが、この狙いと内容についてお伺いをいたします。

○馬神都民生活部長 本事業は、担い手不足の町会、自治会が、多様な主体との連携協力により、運営力を強化していくとともに、今までにない発想も取り入れた新たな活動を行うことで、これまで町会、自治会活動に参加してこなかった方々への理解や加入促進につなげていくことを目指しております。

○北口委員 町会・自治会応援キャラバンはまだまだ始まったばかりだとは思いますが、これまで実施した事業の成果等があればお伺いをいたします。

○馬神都民生活部長 参加した町会、自治会の多くは、若い世代や非会員への参加促進につながる事業企画のニーズがございました。
 これらの相談を受け、例えば防災訓練において、家族で楽しめる子供向け防災クイズといったコンテンツの充実や、地域のNPOの協力を得た周知活動など、従来にない企画を提案しています。
 これまで参加してこなかった若い世代も参加するような成功例も出てきております。

○北口委員 このキャラバンを実施するには苦労もあろうかと思いますが、このような取組、ぜひ充実をさせて、町会、自治会の活性化を図り、若い世代や非会員の町会、自治会活動への参加促進につなげていただきたいというふうに思います。
 以上です。

○アオヤギ委員 それでは、私から、順次質問を伺っていきます。
 最初に、若者支援について伺っていきます。
 私は、十年前に市議会議員になったときから、様々な困難を抱える若者への相談窓口の設置を自治体に求めてきました。この十年間を見ても、若者への支援は大きく変化してきたと感じています。さらなる拡充を求める立場から質疑をいたします。
 まず最初に、東京都には、直接若者から相談を受ける若ナビαが設置されています。
 そこでお伺いしますが、若ナビαの過去五年間の相談件数の推移をお答えください。

○米今若年支援担当部長 東京都若者総合相談窓口、若ナビαにおける相談件数は、平成二十九年度六千九百八十一件、平成三十年度八千六十七件、令和元年度八千三十九件、令和二年度七千八百七十八件、令和三年度七千百六十四件でございます。

○アオヤギ委員 相談件数を見ますと、令和二年度、三年度が少し減っているようにも見えます。
 一方、令和二年度からLINE相談を行っており、二十三時まで受けているそうですけれども、昨年度の若ナビαの相談実績のうち、LINE相談の状況をお示しください。

○米今若年支援担当部長 若ナビαでは、令和二年度から、若者になじみがあるツールであるLINEによる相談を開始しており、令和三年度のLINE相談は三千十五件、相談全体の約四割となっております。

○アオヤギ委員 全体の四割を占めているとのことでした。相談の入り口が低くなったのではないかと考えます。
 一方、区市町村が行っている総合相談では、併設で、グループワークや様々なセミナーなどを行うサポステ、若者サポートステーションですね、同じ悩みを持つ若者が様々な趣味を一緒に楽しむ居場所をつくっている、そういった自治体もあります。相談にマンツーマンで答えるだけでなく、こうした居場所も若ナビαには必要だと思います。
 ひきこもりの若者や就職などの悩みを抱える方など、様々悩みを持つ若者が相談に来られると思いますけれども、若ナビαに相談に来る若者の状況についてお示しください。

○米今若年支援担当部長 令和三年度に寄せられた主な相談内容は、生きづらさや孤独を感じるといった自分自身に関することが最も多く、次いで、仕事に関すること、家族関係に関することとなっております。

○アオヤギ委員 今お答えにあった中で、家族関係に関することとありました。
 この間、旧統一協会の問題で反社会的な活動が明るみになっておりますけれども、その中で、宗教二世の問題、家族からのネグレクトの被害や、結婚、恋愛などに介入する、精神的な束縛など、家族からの被害に苦しむ実態があることが明るみになっています。
 そこでお伺いしますが、家族からのネグレクトやDVに苦しむ若者にはどのように対応しているのでしょうか。

○米今若年支援担当部長 若ナビαでは、お尋ねのような場合も、相談員が丁寧に相談を受け止め、必要に応じ、都立精神保健福祉センター、都や区市町村等の女性相談窓口、警察など適切な機関を案内しております。

○アオヤギ委員 今、相談窓口を列挙していただきましたけれども、今後は、弁護士や、場合によっては被害者団体などにつなぐことも必要だと考えます。
 また、宗教二世の方々の相談は、これまでどこに行ったらいいか分からないという状況でしたので、相談に乗っていただけるのであれば、しっかり周知を図っていただきたいと思います。
 また、様々な相談窓口がそれぞれ専門家につなげるということを、今、この所管でもあると思いますので、今後、各所管の相談窓口が連携した取組をして、一元的に丁寧な相談に乗っていただきたいと思います。
 次に、区市町村の若者総合相談についてですけれども、先ほどもいいましたように、区市町村の若者総合相談窓口では、就職やひきこもりの青年の相談窓口や居場所、また、無料塾などを併設しているところもあり、相談に来た青年に対して、次の活動につなげるということができるようになっているというところが多いです。
 若ナビαは都心に一か所という状況で、多摩地域の若者は交通費もかかり、距離の問題で一歩が踏み出せないということにもなりかねません。身近な地域に相談窓口があることが求められております。
 都は、こうした区市町村の総合相談窓口に対し補助を行っています。都が補助をしている区市町村の相談窓口数についてお伺いします。

○米今若年支援担当部長 子ども・若者育成支援推進法に基づき、都内区市町村が開設する子ども・若者総合相談センターの設置や拡充に当たり、都が補助を行った施設は七か所でございます。

○アオヤギ委員 全都で七か所に総合相談があるということです。内訳は二十三区が四区と、多摩地域が、私も住んでいる八王子含む三か所ということです。
 数年前、八王子市でも、総合相談窓口を、就労支援を行う若者サポートステーションと併設させ開設したところです。
 そこで相談を受けて、就職関係の悩みであれば、就労に向けて履歴書の書き方や面接の仕方をしたり、ひきこもりの方に対しては、家族からの相談を受けたり、本人が相談に来られるようになれば、様々な体験を仲間と一緒に体験するプログラムもあります。
 私は、コロナ禍が始まった直後に、そこに見学に行きましたけれども、就職活動というのもコロナ禍でストップした状況でありましたが、何か勉強したいという若者が仲間と一緒に集まって、セミナーや活動をしに来ていました。
 こうした窓口が多摩地域にももっと必要だと思いますが、しかし、まだまだ足りない状況です。今、都が設置している若ナビαは都心に一か所ですけれども、多摩地域にも設置していただきたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。

○米今若年支援担当部長 若ナビαでは、電話やLINE、メールで相談を行うとともに、相談者の申出や相談員の判断等により、面接相談も実施しております。
 面接相談を受ける方が若ナビαに来所できない場合、相談者が訪問可能な公的機関等に相談員が出向いて相談を実施するほか、令和三年度からは、オンラインによる面接相談も実施しております。

○アオヤギ委員 相談員が出向いている場合もあるということでありますけれども、身近な地域に相談窓口と居場所支援など次の支援が併設されていることが若者の支援をする上でとても重要だと考えています。
 相談窓口と放射線状の一方的な関係ではなく、同じ悩みで悩む青年同士が緩やかにつながれる場所が次への一歩の力になっているからです。都自身が窓口を増やし、次の支援を併設することを要望します。
 そして、ひきこもりの方の実態としては、外に出るのも勇気が要る状況があります。ましてや多摩地域から都心に行くということは、それだけでハードルが高いというふうに思います。そうしたことから、ひきこもり支援など、なかなか遠方に出向いて相談に行くとは考えにくいと思います。
 窓口を各区市町村にさらに広げていくために、補助を拡充する必要があると思いますけれども、いかがお考えでしょうか。

○米今若年支援担当部長 都は、区市町村に対し、社会的自立に困難を有する若者の相談窓口の設置等の費用の一部を補助しており、令和二年度に、区市町村の要望を踏まえ、相談体制の整備を行う場合、補助の上限額を一自治体当たり二百万円から三百万円に引き上げております。

○アオヤギ委員 区市町村の要望で補助率を引き上げたということは大変重要なことだと思います。この補助は二分の一の補助率ですので、合計で六百万ということです。
 これは開設時と拡充時の支援ですので、さらに経常的にかかる家賃や人件費についても支援の対象として、区市町村が支援を広げやすくしていただきたいと思います。
 次に、若者支援のうち、地域で若者が活動していくために必要なことについてお伺いします。
 東日本大震災以降、ボランティアの役割が注目され、災害時など活動する方が増えていると思います。多くの若者が東日本大震災をはじめ様々な現場で活動しているのを見聞きしております。そうした若者の皆さんの参加が大きな力になって、地域を励ましていると思います。
 一方、参加する上で課題もあると思います。私が所属していた八王子市議会と八王子市内の大学などでつくられる大学コンソーシアムという団体がありますけれども、その懇談の中で出された声は、八王子市内で災害が起きたとき、災害ボランティアに行きたかったけれども、交通費などがかかるため行けなかったなど、率直な声が寄せられました。
 こうした課題があると思いますけれども、若者が地域で活動を進める上での課題は何ですか。

○馬神都民生活部長 若い方の地域でのボランティア活動についてですが、都が令和三年度に実施した実態調査によれば、二十代の若者がボランティア活動に参加しようと思ったのに参加しなかった理由は、活動する日や時間に都合がつかなかったからが最も多く、次いで、仕事、学業、家事などで時間的余裕がなかったからでございました。

○アオヤギ委員 時間的余裕がなかったなどの理由があるということです。
 学生は学ぶために大学に行っているわけですから、そこに余裕がなければ、なかなか地域での活動は難しくなります。学費の問題でも、アルバイトで費用負担している方など余裕がない大学生もたくさんいます。
 また、そうした一方、東日本大震災以降、大学にボランティアサークルや、そうした活動を行うゼミなども増えてきたように見受けられます。こうしたサークルやゼミの学生が、学びの一環として地域でボランティア活動に取り組んでいるケースもあります。
 私の地元の自治会では、お年寄りの相談窓口でたくさんの学生ボランティアを受け入れ、研修などを行い、自治会にも活気が出ています。
 そこでは、相談窓口の職員の方がコーディネーターの役割を果たし、大学のサークルごとや、大学の先生を通じてゼミごとボランティアで来ており、都内の各大学から次々とお年寄りの支援の現場のボランティアを経験しています。
 担当者の方からお話を聞くと、世代が違う若者が自治会などの地域で活動する上では、学生一人が飛び込むのはなかなか難しいと。中には、突然どなられたりして、学生が困惑することもある、学生を人手の頭数のように扱うと失敗してしまうという趣旨のことをお聞きしたことがあります。ですから、必ず学生の声を聞き、振り返りをする大人の存在が欠かせないということでした。
 そこでお伺いします。
 大学生や若者が身近な地域で活動するには、様々な支援やコーディネートをする専門的な知識を持つ方が必要だと考えます。
 地域でボランティアをすることが学生本来の学びの一つとなるように、ただ学生を派遣するのではなく、振り返ったり応援する専門家を配置して、若者が地域の中で学び、活動できるよう支援を進めていただきたいと思いますが、いかがですか。

○馬神都民生活部長 都は、東京ボランティア・市民活動センターを通じて、運営に関して助言するなど、大学ボランティアセンターの支援を行い、大学生の活動を促進しております。
 また、地域のボランティアセンターでは、夏のボランティア体験事業などを通じて、若者の活動を支援しております。

○アオヤギ委員 大学のボランティアセンターの支援というのも大事だと思います。さらに、大学のサークルやゼミ、それに関わる先生などと地域をつなぐコーディネーターを配置して、地域が学生の学びの場として生かされるよう支援を進めていただきたいと思います。
 次に、DV、ドメスティック・バイオレンスの被害も加害もなくしていく取組についてお伺いします。
 昨年の質疑で、DVの被害をなくすためには、加害者に対する対応が必要であることを申し上げました。DV加害者から逃げるということだけでは根本解決にはならず、DV加害を繰り返してしまうことも多く、DV加害者自身がこうしたスパイラルから抜け出さない限りは被害が続き、エスカレートするケースも少なくありません。
 都は、今年度予算で初めてDV加害者に対する国のプログラムに参加するということを、説明を受けておりますけれども、進行状況はどのようになっているでしょうか。

○樋口男女平等参画担当部長 都は今年度、国の配偶者暴力加害者プログラムに関する調査研究事業に参加し、民間団体と連携して試行実施しております。
 本年九月から来年二月まで、加害者によるグループワークを十八回にわたり実施する予定でございます。

○アオヤギ委員 こうした取組は初めてですので、大きな第一歩だと思います。
 この取組をさらに広げていくということが必要ですが、お伺いしますけれども、DV加害者に対するプログラムは再発を防止するために欠かせないものだと考えますが、都はいかがお考えでしょうか。

○樋口男女平等参画担当部長 被害者支援の一環として、加害者に自らの暴力の責任を自覚させるとともに、暴力の再発を防ぐことを目的として、配偶者暴力加害者プログラムを試行実施しております。

○アオヤギ委員 昨年、こうした加害者に対する取組が全くなかったわけですけれども、被害者支援の一環としてということで、加害者のプログラムが必要だということを認識してのことだと思います。
 一度受けた加害者からの相談や、それに対応するプログラムは、中途半端にやめることはできないと思います。この加害者プログラムの取組については、都が継続してやっていくべきではないでしょうか。

○樋口男女平等参画担当部長 現在、国の配偶者暴力加害者プログラムに関する調査研究事業に参加し、民間団体と連携して試行実施をしております。

○アオヤギ委員 今やっているというお話でありますけれども、DV被害をなくす上で欠かせない取組ですので、途中で投げ出すことなく事業を広げていただきたいと思います。
 次に、DVの相談状況についてですが、コロナ禍で家庭内の時間が増え、そのしわ寄せが女性に集中し、DVが増えている状況もありました。
 そこでお伺いしますが、東京ウィメンズプラザにおけるDVの相談状況についてお伺いします。

○樋口男女平等参画担当部長 令和三年度の東京ウィメンズプラザにおける相談件数は五千百九十六件でございまして、前年度と比較し、約千三百件増加しております。
 令和三年度からは、LINEによる相談を開始するとともに、相談専用ダイヤルを新設しております。

○アオヤギ委員 昨年は、LINE相談を始めたことと、相談員が増えて相談が急増しているという状況だと思います。
 女性を取り巻く環境も決して改善しているという状況ではなく、むしろ顕在化しているのではないかと考えます。さらに相談窓口が必要であると考えます。
 区市町村でも独自にDVをなくす取組も進めています。男女共同参画センターなどで、相談受付だけでなく、大学生や高校生に向けたデートDVの講座、講師派遣など様々行われております。
 こうした区市町村が行う講習会などへ都が財政補助をして、さらに施策を推進すべきではないでしょうか。

○樋口男女平等参画担当部長 都は、区市町村に対して、相談員研修や出前講座を実施するほか、都と区市町村との連携会議などを開催し、幅広く支援をしております。

○アオヤギ委員 今のお話ですと、区市町村に対してそういった支援は行っているけれども、区市町村が行う講座などへの支援はないということです。
 都として、各区市町村が行う様々な取組の一部を補助したりするなど、予算を増額して、DVをなくす取組をさらに広げていただきたいと思います。
 そして、これも昨年も求めたことですけれども、配偶者暴力相談支援センターが多摩地域には一つもありません。一方、二十三区には十七区に配暴センターがあります。DV相談の増加、相談内容の多様化もあると考えられ、また、配暴センターにしかできない機能があります。
 保護命令の関与や配偶者暴力被害相談の証明書の発行は、配偶者暴力相談支援センターのみの業務となっています。こうしたことが多摩地域では相談窓口だけでは対応できず、警察や裁判所に行き、手続をしなければならないという状況です。
 そこでお伺いしますが、配暴センターがない多摩地域に設置を進めるには財政支援が必要ですが、いかがお考えでしょうか。

○樋口男女平等参画担当部長 配偶者暴力に関する相談につきましては、市町村がそれぞれの実情に応じて窓口を設置するなどして対応しております。
 都はこれまでも、市町村を訪問し、整備する際のノウハウの提供や助言を行うなど、支援を実施しております。

○アオヤギ委員 市町村にノウハウの提供ということでありました。市町村は財政負担の重さやDVに対する優先順位が低い場合もあると考えます。市町村の実情もよく聞いて、財政支援をして、多摩地域に早期に配暴センターの設置を求めます。
 また、女性が直面する困難からすると、様々な区市町村へのメニューや、独自の事業への予算措置が少ないと思います。ぜひ拡充を求め、次に移ります。
 次に、スポーツについてお伺いします。
 この間、コロナ禍の影響で、各スポーツ施設の利用制限があった期間がありました。大幅に利用ができなくなる時期もあり、スポーツ団体、サークル等に大きな影響を与えています。
 そこで、最初にお伺いしますが、各スポーツ施設の利用人数の制限はどのようになっているでしょうか。

○小池スポーツ施設部長 都立スポーツ施設におきましては、これまで、国が定めた新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針に基づきまして、団体が施設を貸切りで利用する場合の人数制限を設定しておりまして、現在は、例えば大声なしのイベントの場合、収容定員が五千人以下であれば、定員まで収容可能となってございます。
 また、プールやトレーニングルームなどの個人使用施設につきましては、感染症拡大防止のために、指定管理者が三密を回避するなどの観点から、利用状況等に合わせて、個別に利用人数の上限を設定しているところでございます。

○アオヤギ委員 国の方針によって、現在はほとんど制限がないということですけれども、感染拡大中には制限がありました。
 また、プールなどは、最近まで、一レーン十人以内、それ以外の方はプールサイドで待っているという施設もあったと聞いています。
 施設の指定管理者によっての制限もあるようでありますが、東京武道館では、現在も利用人数を制限しているとお聞きしました。この理由についてお示しください。

○小池スポーツ施設部長 東京武道館につきましては、第一武道場及び第二武道場におきまして、観客席三十席を含めて、それぞれ八十人以下となるよう利用人数の制限を行っております。
 これは、指定管理者が、競技の特性等を踏まえて感染症拡大防止のために設定しているものでございます。

○アオヤギ委員 分かりました。ぜひ、利用者の方には、なぜ制限が解けないのか疑問に思われている方々がいますので、根拠も示して説明していただきたいと思います。それとともに、感染状況などに合わせて、常に見直しをしていただきたいと思います。
 一方で、利用制限期間があると、団体の方々の活動そのものに影響が出てきています。施設側からや自主的に人数を減らして実施した場合、会場費が現在は減免がなく、赤字になりながら実施している場合もあります。
 大会を実施する団体からは、大会がないと練習する機会も減り、団体やサークルの存続の危機になること、また、大会に多くの方が参加してありがたいという方がたくさんおられ、大会を実施することが重要だと感じているということも伺っています。
 また、区市町村の施設によっては、人数制限の規模に従って利用料を減免する措置をした施設もあるとのことです。
 そこでお伺いしますが、利用制限をしている場合の団体利用の利用料減免を東京都でも実施すべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。

○小池スポーツ施設部長 都立スポーツ施設における利用料金の減額または免除につきましては、東京都体育施設条例第八条及び東京都体育施設条例施行規則第七条に定められております。
 新型コロナウイルス感染拡大防止のための利用制限等を理由とした利用料金の減額や免除は対象となってございません。

○アオヤギ委員 条例の通常の規定にはコロナに対する減免制度はありませんけれども、都知事が認めたときという減免の要件もありますので、都議会に説明していただきながら、ぜひ、利用制限によるスポーツ団体の影響を考慮していただき、減免していただきたいと思います。
 次に、こうしたあらゆるスポーツ団体がコロナ禍でも活動を継続し、競技スポーツの振興に寄与しているわけですが、コロナ禍の二年間、練習もままならない時期もありましたので、団体に加盟する人自体が減っている状況もあり、団体の存続に関わる状況も生まれているとのことです。
 こうした団体やスポーツジムなどで講師として働くインストラクターも、多くが個人事業主ですから、支援を必要としています。
 そこでお伺いしますが、スポーツ振興に寄与する全てのスポーツ団体、インストラクターに財政的支援をしていただきたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。

○山根スポーツ担当部長 都では、地域の競技団体や地域スポーツクラブなどが行うスポーツ振興を目的とした事業に対しまして、必要な事業費等を補助しております。

○アオヤギ委員 今お答えいただいた補助は、アスリートを輩出するような一部のスポーツ団体にしか行われていません。それ以外の団体も、競技スポーツを都民の間で広げる役割を果たし、スポーツ振興に寄与していますので、ぜひ財政支援に踏み出して、スポーツ実施率を引き上げていただきたいと思います。
 スポーツ実施率は、コロナ禍でも若干上がっていますけれども、内訳を見ますと、自宅や道路のスポーツ、ウオーキングなどが増えています。
 一方、都民のスポーツ活動に関する実態調査では、今後、スポーツイベント、大会に参加したいと思うかという問いに、参加したいと思うと答えた方は四三・四%に上り、平成二十八年度の三三・四%を大幅に上回っています。競技スポーツに親しむ機会、施設があれば参加したいということであると思います。
 ぜひそうした機会をつくっている団体を支援するのと同時に、競技スポーツをする都立施設は二十三区に偏っているため、市町村の住民は地元の施設がどれだけ利用できるかがスポーツ実施率に直結します。全ての都民が身近な地域においてスポーツに親しむ機会を広げていくことが求められています。都として、区市町村が設置するスポーツ施設の支援を行っていますが、都内全域のスポーツ施設整備計画も持って、スポーツ実施率の引き上げを図っていただきたいと思います。
 また、コロナ禍により、都民の競技スポーツ実施には大きな影響が生じています。このような中、都として支援を行い、都民一人一人が身近なところでスポーツに親しめる機会を広げ、スポーツ実施率の向上を目指し、スポーツの振興を進めていくべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。

○山根スポーツ担当部長 これまで都は、市区町村におけるスポーツ環境整備への支援や、子供から高齢者まで気軽に参加できるスポーツイベントの開催など、誰もが、いつでも、どこでもスポーツを身近に感じ、楽しめる環境づくりに努めてまいりました。
 こうした多面的な取組により、引き続き、都民のスポーツ実施率の向上を図り、スポーツの振興を進めてまいります。

○アオヤギ委員 ぜひ施設整備計画を持ってスポーツ振興を進めていただきたいと思います。
 次に、障害者のスポーツ施策についてです。
 障害者の方々が身近なスポーツ施設でスポーツに親しむためには、介助員などが配置されれば利用が進むということです。
 視覚障害者の方々からは、プールの補助員の要望があり、昨年の事務事業質疑では、区市町村のプール施設で、誰でも利用してくださいと広報に書いてあったので、期待して施設に問い合わせたら、介助する人がいないということで利用できなかったということでした。
 その後、その施設では、視覚障害者の方でも利用できるようになったとお聞きしています。
 視覚障害者の方は、歩道でウオーキングをするというのは困難があり、プールでの運動なら介助員がいれば運動できるということです。
 そこでお伺いしますが、区市町村の施設で日常的な補助員の配置ができるよう、都が経費を支援すべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都は、障害種別や施設利用の場面ごとに施設管理者が配慮すべき事項などをまとめたマニュアルを活用し、区市町村や公立スポーツ施設等に対し、障害者の受入れ促進を呼びかけております。
 本マニュアルでは、視覚障害のある方の案内、誘導方法や、他の利用者への配慮を促す方法等を具体的に紹介しており、セミナー等により普及を図っております。

○アオヤギ委員 都有施設では補助員がいますけれども、区市町村ではばらつきがあり、住み慣れた地域で障害者の方々が安心して利用できるよう、区市町村に直接支援をしていただきたいと思います。
 また、区市町村が障害者向けの事業を行っていますけれども、事業を行う際には、障害者が安心して参加できるサポート体制の整備が必要です。
 都は、区市町村が行う障害者スポーツ事業に対し補助を行っており、要件として、障害者のサポート体制の確保を定めていると聞いていますけれども、補助対象の要件となるサポート体制とは具体的にどのようなものでしょうか。あわせて、要件を満たす昨年度の補助実績についてお伺いします。

○齊藤パラスポーツ担当部長 区市町村が行う障害者が参加できる継続的なスポーツ事業については、障害者スポーツ指導員や手話通訳の手配など、障害者が安心・安全にスポーツを行うための体制整備を補助要件としております。
 令和三年度は三十八地区、四十六件の事業について補助を行いました。

○アオヤギ委員 補助の要件として指導員の手配などをすることを求められているということで、障害者の皆さんが安心してこの事業には参加できるという体制になっているということでした。
 補助を実施した区市町村は三十八地区ですが、全域ではないという状況です。障害者の水泳に関しての補助の実施状況を見ますと、毎年一部の区市にとどまり、スポーツ施設の担当者の理解が進んだところでは利用が進んでいるんだけれども、そうでない自治体はなかなか進んでいない実態もあるということを昨年もお話ししました。
 障害者の方々の利用が進んでいる自治体の事例も示していただくことが必要であると、昨年の質疑でも求めたところです。
 そこでお伺いしますが、障害者が住み慣れた地域でスポーツ施設を利用するためには、区市町村のスポーツ施設担当者の障害者への理解が欠かせないですが、区市町村のマニュアルの改定中ということでありますけれども、どのような観点で改定するのか、お伺いします。

○齊藤パラスポーツ担当部長 本マニュアルにつきましては、東京二〇二〇大会の開催や、障害者差別解消法の改正等を契機に進められた新たな事例を収集し、改正をすることといたしました。

○アオヤギ委員 障害者の社会的障壁をなくしていくと、そうした大きな流れがありますので、ぜひ、好事例のマニュアルを区市町村にも示して、区市町村の施設というのは指定管理者が多いですから、指定管理者への指導にも生かしていただきたい。
 そして、どこのエリアに住んでいても、障害者の方々がスポーツに親しめるよう、都が責任を持ってスポーツ振興を図っていただきたいと思います。
 次に、私立学校に通うお子さんの特別支援教育や、スクールカウンセラー、また、スクールソーシャルワーカーについて伺っていきます。
 公立学校に通うお子さんの状況を見ますと、特別支援教室に入室するお子さんなど、特別な支援を必要とするお子さんが大幅に増えていることが分かっております。
 また、私立学校の関係者の皆さんからは、一定数のお子さんを受け入れているため、支援を求める声があります。
 そこで、最初にお伺いしますが、私立の特別支援学校や特別支援学級の設置状況、障害種別をお示しください。

○戸谷私学部長 都内に設置されております私立特別支援学校は四校、特別支援学級を設置する学校は二校でございます。
 特別支援学校のうち、聴覚障害児を対象とする学校が二校、知的障害児等を対象とする学校が二校でございます。
 また、特別支援学級を設置する学校は、自閉症児を対象としてございます。

○アオヤギ委員 特別支援学校が四校、学級が二校、障害種別は、知的障害児と聴覚障害児、自閉症児を対象とする学校があるということでした。
 やはり公立と比べますと、障害種別は全てに対応しているわけではない状況が見えますが、学校の現場では、私立学校の建学の精神に共感して入学され、学校が多くの発達障害などのお子さんを受け入れております。
 障害児を受け入れることに対する補助の状況についてお伺いします。
 特別支援学校、学級、幼稚園、専修学校など、それぞれお答えください。

○戸谷私学部長 私立特別支援学校と特別支援学級を設置する学校法人に対しましては、私立特別支援学校等経常費補助によりまして、運営費の一部を補助しております。
 また、幼稚園に対しては、障害児がいる場合に、私立幼稚園特別支援教育事業費補助などによりまして、運営費の一部を補助しているところでございます。
 さらに、私立専修学校の高等課程におきましては、特別支援教育を実施している場合に、私立専修学校特別支援教育事業費補助によりまして、運営費の一部を補助しているところでございます。

○アオヤギ委員 私立特別支援学校に対しては、子供一人当たり約三百十万円で人数分という掛けた額となり、特別支援学級では、約百十五万円掛ける人数と。幼稚園の補助は、一人の場合は七十八万円と。専修学校高等部も、一人、同様に約七十八万円となっており、専修学校の関係者からは、障害のある生徒を受け入れており、私立特別支援学級と同程度の支援を求めています。こうした声にも応えていくべきだと考えます。
 また、公私を問わず、私立には一定数の障害のあるお子さんが通い、私立学校が対応をしてきました。
 そこでお伺いしますが、私立に通う特別な支援を必要としている子供に対する支援の必要性について、いかがお考えでしょうか。

○戸谷私学部長 東京都は、児童生徒の自立や社会参加に向けた特色ある特別教育を実践し、障害のある児童生徒の教育に大きな役割を果たしている私立の特別支援学校等への支援は重要なことであると認識しております。

○アオヤギ委員 重要であるという認識が示されました。ぜひ、特色ある特別支援教育を、さらに支援を進めていただきたいと思っています。
 冒頭に申し上げたとおり、公立の小中学校の発達障害など、特別な支援を必要とするお子さんは大幅に増えている状況です。
 都の特別支援計画上も、発達障害の子供たちの予測は右肩上がりですし、実際、昨年と比べ、公立小学校で約千六百人増の二万五千二十二人、中学校で約八百人増の六千四百十三人です。こうした状況は、私立学校においても一緒だと考えられます。
 そこでお伺いしますけれども、特別な支援を必要とする子供たちの人数の推移をお示しください。

○戸谷私学部長 全国の国公私立学校を対象といたしました国の調査によりますと、通常の学級に在籍し、障害に応じた特別の指導を受けている児童生徒数は増加をしているところでございます。

○アオヤギ委員 特別の指導を受けている児童生徒は増加ということでした。
 国の調査を見ますと、私立学校では、肢体不自由児などはほとんどいない一方で、自閉症やADHDなど、発達障害のお子さんは一定数受け入れております。
 現場のお話では、以前から障害のある子供たちを受け入れてきた学校のそうした実績を知り、入学される方が多くいる学校もありますが、公立のように特別支援教室がなく、苦労があるというお話もありました。
 実際、発達障害児の人数、右肩上がりになっています。早期発見、早期療育ということからも、支援が必要だと分かったときに、私立学校でも対応できるようにしていかなければならないと考えます。
 また、現状では、特別支援学校や学級を設置した場合にしか補助はなく、通常級にいるお子さんに対応する場合の学校への補助はありません。
 そこでお伺いしますが、先ほど示された特別な支援を必要とするお子さんに対する補助を拡充していくべきではないでしょうか、お考えをお聞かせください。

○戸谷私学部長 東京都は、私立学校に対して、教育条件の維持向上、保護者負担の軽減、私立学校の経営の健全性を高めるために、基幹的補助である経常費補助をはじめ様々な支援を実施しているところでございます。

○アオヤギ委員 従来の経常経費のお話でありました。
 特別支援学校、学級を開設すれば、先ほどのように補助はありますが、通常級に通う発達障害などのお子さんがいる場合は、どうしてもサポートする方などが必要ですし、公立の特別支援教室をもし私立学校が持とうとすれば、全部自費になってしまうということです。多くの子供たちは通常の学級にいますから、そこに対する支援を求めます。
 さらに、私立学校に対するスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの必要性も高まっています。
 スクールカウンセラーは、子供たちへの心理的な相談に乗る臨床心理士などでありますけれども、公立では、都教委が週一回とプラスアルファのスクールカウンセラーを派遣し、区市町村によっては、さらに週一回の追加派遣などが行われています。
 スクールカウンセラーに対しての補助がありますが、現在の配置状況はどのようになっているのか、お示しください。

○戸谷私学部長 東京都は、各学校における生徒指導の充実を図るために、臨床心理士等の資格を有するスクールカウンセラーを配置した場合には、私立学校経常費補助金の特別補助によりまして、一校当たり四十万円の補助を行っているところでございます。
 令和三年度に補助を行った学校数は、小学校が三十二校、中学校が八十二校、高等学校が百七十七校でございます。

○アオヤギ委員 多くの学校がこの補助を利用して配置しているということでありました。
 一方、スクールソーシャルワーカーは、子供たちが抱える複合的な問題に対する福祉の専門家です。公立では、国と都と区市町村の公費負担で行われています。
 私立学校でも様々な困難を抱えるお子さんの対応が求められていると学校関係者からお話がありました。特別支援教育のように、ソーシャルワーカーに対する補助を要望しています。
 私立学校に対して東京都の補助はありませんけれども、スクールソーシャルワーカーの配置も求められていますが、いかがお考えでしょうか。

○戸谷私学部長 スクールソーシャルワーカーの配置につきましては、各私立学校において判断することと考えてございます。

○アオヤギ委員 各学校の判断ということでありました。
 公立では都が補助をしていますし、子供を取り巻く環境は公立と同様である状況がありますから、ぜひ現状、各学校がどういう対応をしているのかをまず把握して、それに対応した支援をしていただきたいと思います。
 先ほどのスクールカウンセラーの補助についても、四十万円という補助では、恒常的に配置するには学校の負担が大きくなると考えられ、配置する時間を増やせば増やすほど、学校の持ち出しになります。四十万円から増額していただきたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。

○戸谷私学部長 東京都といたしましては、スクールカウンセラーの配置を促進するために補助を実施しているところでございます。
 なお、専任従事とするかどうかという問題につきましては、各学校の判断でございます。

○アオヤギ委員 公立でも私立でもますます特別な支援を必要とする子供たちへの支援、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの必要性が高まっていると思いますので、私立学校に対する東京都の支援を、私学振興の立場から拡充をお願いして、質疑を終わります。

○入江委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時五十分休憩

   午後四時五分開議

○入江委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤委員 立憲民主党の斉藤りえです。
 まず、文化事業について取り上げます。
 東京都では、多くの文化事業が年間を通して行われ、多様な文化活動が展開されています。今年の秋は三年ぶりに開催されたイベントやお祭りなども多く、久しぶりに文化芸術の秋を満喫できた都民も多かったのではないかと思います。
 毎週末、各地で開催される文化事業やイベントに参加しながら、改めて、その活動が持っている意義、そして、可能性を体感いたしました。
 そうしたすばらしいイベントや活動が各地で展開されている中で、その取組をしっかりと観覧者に伝えていく、みんなで感動を共有していくための情報保障はしなければならないと感じています。
 障害の有無や言語の違いがあったとしても、文化芸術による感動はそれらの壁を越えていけるきっかけになると思います。
 今後も各種文化事業の実施が計画されていますが、情報保障はどのようになっているのでしょうか。
 観覧者は多様な方々が想定できる中で、イベントや事業ごとに異なる対応となると不平等が生じると思います。今年度に限らず、次年度以降の方針も含め、例えば、アート作品の文字情報化や多言語展開、舞台手話通訳の推進などの検討はされているのか、お伺いいたします。

○宮永文化戦略推進担当部長 都は、都立文化施設におきまして、聴覚に障害のある方を対象に、学芸員と手話通訳者が展覧会のテーマや展示作品の見どころを解説する鑑賞会や、視覚に障害のある方を対象に、演劇公演の舞台装置や登場人物などについて事前に説明する舞台説明会等のプログラムを実施しております。
 今後も引き続き、アクセシビリティー向上の取組を進めてまいります。

○斉藤委員 多様な方々にとって、アクセシビリティーが向上されることは、文化芸術の裾野を広げて、文化芸術の理解者や担い手を増やすことにもつながると思います。
 また、加齢によって障害を持つ方々が増える高齢社会においては、生涯にわたって豊かな文化芸術に触れることのできる環境づくりにも寄与できると考えています。
 私も積極的に応援をしてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 続いて、デフリンピックについてお伺いします。
 次回のデフリンピックが東京にて開催されることが決定しました。これは、オリ・パラに続いて東京の多様性を向上させていく大変大切な機会であると私は考えています。
 これは、都としてでもありますが、当事者にとっても大切な機会であり、当事者団体の皆さんと連携して、実り多い大会にしていくことが望まれます。
 第二十五回デフリンピック競技大会の開催準備の進捗状況、特に当事者団体との連携について詳しくお伺いさせてください。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務 二〇二五年デフリンピック大会の招致段階におきまして、都は、大会計画作成への助言や競技団体との関係構築等、必要な調整を行うなど、招致主体である全日本ろうあ連盟の取組を積極的に応援してきました。
 今後、開催に当たっては、全日本ろうあ連盟等関係者との連携協力等を検討してまいります。

○斉藤委員 招致主体である全日本ろうあ連盟の皆さんにとっては、これまでの努力がようやく実ったことであり、私も大変うれしく思っています。
 一方で、この機会は、その他の当事者団体にとっても機会と捉えていただきたいと考えています。
 デフリンピックには、ろう者だけではなく、中途失聴や難聴などの障害をお持ちの方々も多く参加します。聴覚に障害を抱えている多様な方々への理解はもちろん、情報コミュニケーションに障害を持つことの意味、社会の在り方など、この機会を生かして、社会の多様性を向上していくことにつながることを切に願っています。
 都におかれましては、多様な当事者団体との連携をお願いいたします。
 次に、スポーツ振興についてお伺いします。
 オリ・パラ東京大会のレガシーを受け継いでいく感動を共有するためにも、情報の保障は不可欠となります。これは先ほどの文化事業や文化活動とも通じることでもあります。レガシーの継承は、情報コミュニケーションあっての継承になります。
 一方で、イベントごとに情報保障の取組が統一されていない感が否めないとも痛感しています。
 先日、オリンピック東京大会一周年記念イベントに参加しましたが、その際に活用されていたおもてなしガイドアプリの取組は、各方面から高い評価を受けていました。私も聴覚に障害のある当事者として、とてもいい取組であると評価をしています。
 デフリンピックに向けて、例えば、パラスポーツのイベントでも情報保障の取組を実施するなど、統一感を持たせることが必要と考えていますが、ご見解を伺わせてください。

○工藤事業推進担当部長 東京二〇二〇大会の競技会場では、都は、組織委員会と連携し、アスリートや大会関係者に対して、競技会場のアナウンスを文字配信し、スマートフォンで確認できるようにいたしました。
 こうした大会での取組を踏まえ、今年度は、チャレスポTOKYOやBEYOND STADIUMなどのパラスポーツのイベントにおいて、音が聞こえにくい方に向けて文字配信を実施しております。

○斉藤委員 いろいろなイベントが存在する中で、情報保障に統一感を持たせていくことは簡単なことではないと理解しています。
 ただ、一定の指針の下で、いい取組をみんなで取り組んでいくことは、スポーツ振興の根幹にあるファンを増やしていくことにもつながりますのでお願いします。
 さて、パラスポーツはアスリートだけのものではありません。障害者が誰でもスポーツを楽しめる環境づくりが大切です。
 ただ、障害者のスポーツ活動には、多くの人の支援が必要です。例えば、会場での受付、駐車場整理、体育館のライン、テープ引きなど、すぐに取り組めることもたくさんありますが、障害のことを理解し、一人一人の状況に合わせた支援を行うには知識や経験が必要になる場面も少なくありません。
 障害のある人のスポーツ参加を支援する資格として障害者スポーツ指導員があり、この資格を持っている人の存在が大切であると考えます。
 まず、都内の障害者スポーツ指導員の人数と活動内容についてお伺いいたします。

○齊藤パラスポーツ担当部長 日本パラスポーツ協会が公認する障害者スポーツ指導員の都内における登録者数は、令和四年三月時点で、初級が二千四百四十一人、中級が五百十九人、上級が九十三人で、合計三千五十三人でございます。
 指導員の主な活動としては、障害がある方が参加する大会や教室などで、参加者の安全管理に配慮した指導やサポートなどがございます。

○斉藤委員 三千人を超える人が資格を有しているということで大変心強く思います。
 しかし、障害者スポーツ指導員の資格を持っている人のうち、実際に活動をしていない人も多くいると聞きます。せっかくの有為な人材ですから、活動の後押しをすることが重要だと思います。
 そこで、障害者スポーツ指導員の活動を活性化していくための取組についてお伺いいたします。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都は、活動経験が少ない指導員等を対象に、活動再開を促す研修会や指導員同士のネットワークを構築するフォーラムを実施しております。
 また、経験不足により不安を感じている指導員の方などを対象に、実際に現場の経験を積んでいただく事業を実施しております。
 あわせて、障害者スポーツをサポートする方向けの専用ポータルサイトを通じて、イベント等における活動の場の情報を提供しております。

○斉藤委員 活動にちゅうちょしている障害者スポーツ指導員に一歩が踏み出せるような事業に取り組んでいることが分かりました。
 また、地域の事業に参加することで、自治体や競技団体と顔見知りになることは次の活動にもつながります。
 活動の場の情報発信に当たっては、事業の主催者である区市町村や競技団体と都がしっかりと連携し、より多くの活動情報が提供されるよう取り組んでほしいと思います。
 また、スポーツの種目や障害の種別によるミスマッチが起こらないよう、具体的な情報を提供するとともに、希望の多い障害種別に対応できる方を増やしていくなど、きめ細かな後押しをお願いします。
 最後に、東京都のダイバーシティについてお伺いします。
 ダイバーシティは幅広い概念でもありますが、一つ取り上げるとすれば、多文化共生施策もダイバーシティ実現に向けた大きな一翼を担っていると理解しています。
 ですが、地域活動、多文化共生の推進等の取組において、地域力向上と多文化共生が別枠のように捉えられているように感じています。
 本来であれば、これらはパッケージであり、例えば、町会や自治会の新たな担い手の中で、国籍などを問わない新住民を受入れていくなどの支援も内包してもいいのではないかと考えています。
 台東区では、地域の防犯パトロールを町会と外国人住民が連携して実施する取組がなされていたと伺いました。
 こうした協働を支援する、促すということも、多文化共生の地域力向上につながると考えますが、ご見解をお伺いしたいと思います。

○馬神都民生活部長 多文化共生社会づくりの推進には、地域コミュニティの中核である町会、自治会が中心となって、在住外国人を地域の一員として受け入れる意識を高めていくことが重要でございます。
 このため、こうした町会、自治会の多文化共生につながる取組に対し、地域の底力発展事業助成の補助率に関する特例措置を適用し、支援しております。

○斉藤委員 こうした課題や悩みを抱えている町会や自治会、地域は少なくないと思います。それは、地域側もそうですが、新たに地域に移り住んできた外国人や他地域からの移住者にとっても同様だと思います。
 そうしたときに、何らかの協働のきっかけをつくることが双方をつなげていくことにつながり、結果として、地域力が向上する機会創出になると思います。
 台東区に限らず、様々な取組が増えていると思いますので、事例の共有や協働の支援などについての施策も積極的に進めていただければと考えています。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

○桐山委員 それでは、私から質問させていただきます。
 まず最初に、都民生活、男女平等参画の推進の施策、女性活躍に向けた取組推進の発信について質疑をさせていただきたいと思います。
 男女共同参画は国際社会で共有されている規範です。けれども、日本は、世界経済フォーラムが公表した男女平等度合いを示すジェンダーギャップ指数二〇二一年度版では、百五十六か国中百二十位に沈んだことに表れているとおり、世界の潮流からも大きく立ち遅れているといわざるを得ません。
 令和の時代はまさに百年時代といわれておりまして、日本人の平均寿命は、男性八十一歳、女性八十七歳で、長寿であるということは知られておりますが、さらに、女性の二人に一人が九十歳、四人に一人は九十五歳まで生きるともいわれています。
 そして、結婚したら一生一緒は当たり前ではない時代ともなり、一九七〇年当時の婚姻件数が約半分以下に減少。毎年、離婚件数も婚姻件数の三分の一ともいわれており、令和二年の家族構成も単独世帯が最多、配偶者がいない世帯が全体の半数近くを占めているともいわれています。
 また、男女間の賃金格差の大きな問題や、女性の給与は男性の八割以下となっているOECD諸国と比較しても低い現状など、こういった背景を内閣府が現状把握をする中で、このたび、令和四年六月に女性版骨太方針というものが示されたところであります。
 東京都は、女性活躍の推進に向けた取組といたしまして、東京都男女平等参画基本条例に基づく行動計画として策定をされました東京都男女平等参画推進総合計画の推進の中で、女性も男性も輝くTOKYO会議というものを設置されています。
 この女性も男性も輝くTOKYO会議の概要と、そして、今年度の開催状況について、まずお伺いをさせていただきたいと思います。

○樋口男女平等参画担当部長 都では、民間団体等と連携協力して、女性の活躍を推進するため、経済団体や医療、教育など、幅広い分野の三十二団体と学識経験者から構成される女性も男性も輝くTOKYO会議を設置しております。
 今年度は、第一回を五月に開催し、クオータ制や性別による無意識の思い込みなどの取組について意見交換を行っております。

○桐山委員 ありがとうございます。平成二十九年から設置をされていて、この間も年間二回ずつぐらい会議をされているということも、議事録を通しても拝見をさせていただいているところですが、今年度の取組としては、クオータ制の導入ですとか、アンコンシャスバイアスの取組ですとかを中心に議論されているということも分かりました。
 この団体を見ますと、三十二の様々な団体の取組ということで、これまでも、それぞれの企業や団体さんの中での取組事例ですとか、あるいは、こういうアンケート調査をしましたよというようなところでの共有を図られるということで、非常に意義のある会議だなというふうに感じている次第であります。
 こういった現場の生の声は、三十二もの団体を総出で聞く機会というのはなかなかないと思うんですが、このTOKYO会議で交わされた意見や議論が、その後、庁内で施策にどのように生かされているのかについて伺いたいと思います。

○樋口男女平等参画担当部長 TOKYO会議で議論された内容につきましては、全局で構成する東京都男女平等参画推進会議で共有し、各局の施策に生かすとともに、取組状況につきましては、次のTOKYO会議で報告しております。

○桐山委員 この議論をされた中身について、必要あるものについては、特に全庁的に共有を図られ、そして、各局に、課題が施策に生かされているということが分かり、また、そこからさらに、そういった取組を、どういうことに取り組んでいるのかということについても、また改めて次のTOKYO会議の中で報告をされているということで、しっかりとPDCAサイクルにきちっと取り組まれているのかなというふうに伺ったわけであります。
 そこで、女性活躍を応援、支援していく上で、私は、女性の健康支援というものがセットでなければならないというふうに考えております。
 この間、私、厚生委員会に長くおりましたもので、実際に、女性の健康とか、女性の健康づくりというようなキーワードになりますと、どうしても厚生委員会の所管部署の中で答えられる範囲の中では答えていただくんですけれども、そこから、あるいは就労ですとか、あるいは健康を今後どういうふうに周知をしていきましょうか、女性活躍という部分がつきますと、なかなか厚生部門でお答えしていただけないことも多々あったわけでありますけれども、今回、国の方も、ようやく女性版骨太方針の中ででも、フェムテックの推進ですとか、明確に女性の健康について、特に更年期の支援など、今後調査をされるというようなこともうたわれているようであります。
 これまでなんですけれども、このTOKYO会議の中で、こういった女性の健康支援についての議論が交わされたことがあるのかどうなのかをまず伺わせていただきたいと思います。

○樋口男女平等参画担当部長 これまでTOKYO会議では、構成団体による更年期障害等に関するアンケート結果や女性の健康意識づくりに向けた活動などについて、都と構成団体間で情報共有を行っております。

○桐山委員 ありがとうございます。以前にもこの構成団体の中で更年期障害に関するアンケート調査をされたような結果などの情報共有があったということについて確認をさせていただきました。
 なかなか、デリケートといいますか、女性の健康について、特に更年期といいますと、働く、ちょうど四十五歳、あるいは五十歳を超えた段階のときに、女性のホルモンの減少によって起こる障害であります。
 この女性のホルモンの不調というものを正しく理解し、そして、対策やケアにしっかり取り組むことで、これは管理や対処ができるというふうにもいわれています。
 更年期は全員がまあ女性、男性もなんですけれども、特に女性は、ホルモンの影響による不調というものが非常に多く、平均して六三%まで生産性が下がるとまでいわれている、こういったデータもあるといわれています。
 女性の健康は、更年期が仕事に与える影響は少なくなく、男性更年期の場合も、ストレスによって男性ホルモンが低下をして、鬱症状なども出やすく、年間自殺者数のおよそ五分の一を男性更年期世代が占めているとも報告もあるようであります。
 こういった更年期世代のホルモンの影響による不調というものは、特に女性活躍をする上ではしっかり支援していくことが大事だというふうに思っております。
 今後、男女平等参画を推進していく部署といたしまして、なかなか一概に何かを捉えて発信していくのは難しいと思いますけれども、できるだけ正しく理解をすることという意味では、しっかりとこの会議の中でも問題共有をしていただき、また、クオータ制を導入していくことも、今年度、重点政策として挙げられているように、やはり女性の職員の比率を上げていく、審議会での女性の比率を上げていくという場面においても、こういった問題を真摯に受け止めていただきつつ、どういう形で、支援をしていきながら、女性が輝きながら、そういった場面で活躍をしてもらえるのかなということを考える機会をまたぜひご検討いただければというふうに思っておりますので、意見として述べさせていただきたいと存じます。
 都民生活については以上で終了させていただきたいと思います。
 次に、私学助成のことについて質疑を移らせていただきます。
 東京都独自の助成制度であります私立高等学校等授業料軽減助成金について伺ってまいります。
 私立高校生には、公立高校生と同様に、年収目安九百十万円未満の世帯を対象に、国から就学支援がある中、この就学支援金が二〇二〇年度より引き上げられまして、これに伴って、東京都独自の助成額も拡大をされたということであります。
 東京都独自の助成制度、私立高等学校等授業料軽減助成金の対象や助成額について、国の就学支援金、全国私学の平均授業料を勘案した三十九万六千円まで支給され、さらに東京都は上乗せをされる中で、四十六万九千円までが上限となって、年収九百十万円未満の世帯までが実質無償化の対象になっているという事業です。
 そして、通信制高校についても、この間、令和三年から年額二十五万八千円を上限に助成をされており、本部校、いわゆる通信制でも、都内の認可の通信制以外の、いわゆる都外に本部校があって、都内にサテライトの学校がある通信制の高校にもこのような形で助成をされているという事業の一つです。
 その中で、通信制に通う生徒は年々増えてきていると思うんですけれども、この助成金を使われての昨年度の実績など分かりましたら教えていただきたいというふうに思います。

○戸谷私学部長 令和三年度の特別奨学金の私立通信制高校の受給者につきましては、三千四百三十人でございます。

○桐山委員 先ほども申し上げたように、多様な学びの機会が、選択肢がすごく今増えてきております。私の娘も今、中三に入りまして、もちろん上もいますけれども、いよいよ受験シーズンに入ると、いろんなパンフレットが手元に、学校からもそうですけれども、郵送物を介して来ます。
 その中で、最近になって、北海道にある本校だとかが池袋の方にサテライトがあるんだとか、そういった通信制の高校のご案内が非常に増えているなということを目にするわけであります。
 こういった通信制高校に通う生徒の中にも、例えば私立の高校に通っていたけれども、途中で退学をされたりですとか、もちろん都立もそうですけれども、中退をされた生徒が通信制に通っている割合もかなり増えてきているのではないかともいわれておりますけれども、私立高等学校の特別奨学金を受給するために、中途で退学をしたとかで通信に入ったというような子の要件として、絶対この要件を守らなければこの助成金を受けられませんよという要件があるのであれば教えていただきたいというふうに思います。

○戸谷私学部長 特別奨学金における私立通信制高校の在学要件の基準日が十月一日でございます。

○桐山委員 すみません、ごめんなさい。ちょっとかみ砕かせてもらっていいですか。基準日が十月一日で、今ご答弁で分かりました。例えば在籍の日数みたいなもの。三か月要件とか六か月とかないと認めませんよみたいなものもあるのかというのも併せて教えていただけますか。すみません。

○戸谷私学部長 通信制につきましては、やはりそういったいろいろご事情があって、出入りというものも生徒さんによって異なってまいりますので、そういった意味で、基準日を十月一日としているところでございます。

○桐山委員 分かりました。基準日を十月一日というふうに決められていることは理解させていただきました。
 先ほども申し上げましたように、多様な学びの機会がすごく増えているなということがある中で、やはりこういった詳細の、細かい情報がなかなか入手しにくいというのが通信の特徴なのかなというふうに思っています。
 もちろん本部校がしっかりしている学校だと、こういう制度が東京都にありますよというのを保護者に何度も通知が送られてくるという状況もありますけれども、一方で、対面でない分、学校から郵送で送られてくるか、あるいはメールで知らせていただくかの情報でしかない中で、見逃される方々もあるのではないかというふうにもありますので、こういったところも、通信制の学校に対しても丁寧にご説明をいただく中で、できるだけ保護者にこういった情報をお届けできますようにぜひご努力をお願いしておきたいと思います。
 次に、私立高等学校におけます英語のスピーキングテストについて何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 私立の中学校の所管は、私立学校法第四条第二号及び第四号によって、都道府県知事が所轄庁となり、東京都では生活文化スポーツ局が担当しています。
 十一月一日に、都立高校に進学を希望する私立中学校の生徒に対して、英語スピーキングテストの受験を認める根拠について、私は、教育委員会の方に質疑をさせていただく中で、教育委員会は、学習指導要領の内容の到達度を測るアチーブメントテストであり、学校の授業に生かしていただくものである趣旨の答弁もいただいております。
 もちろん公立中学校の生徒に対する英語スピーキングテストの受験について生徒の負担もありませんので、その費用は東京都が負担することになります。
 さて、私立中学校の生徒への助成は生活文化局の所管であって、東京都では数々の私学助成メニューもそろえている中で伺っていきたいと思います。
 スピーキングテストについて、まず、私立中学校の生徒はそもそも受けない前提にあり、不受験者扱いとなり、不公平で不平等だとの声の中、突如として、都立高校受検希望者で、スピーキングテストを積極的に受験し、活用したい生徒は選択できるようになったことについて、いつ、どこで、どのように、どのような話が浮上し、また、私学部として、どのタイミングで私学に周知を図ったのか、その一連について、まずお伺いをしたいというふうに思います。

○戸谷私学部長 スピーキングテストの受験資格などの検討経緯につきましては、生活文化スポーツ局私学部では把握してございません。
 なお、周知につきましては、東京都教育庁から都内の国立及び私立の中学校長宛ての通知文がありまして、それを私学部から都内の私立中学校に対して、本年九月八日に送付しているところでございます。

○桐山委員 ありがとうございます。スピーキングテストの受験資格等の検討経緯については承知をしていないということ。それから、この私学に対する、受験をしてもいいですよというような案内については、通知文は、私学部から都内の私立中学校に対して、令和四年九月八日に送付をされたというふうに今ご答弁をいただきました。
 その送付文の内容も私も見せていただきましたけれども、内容云々については申し上げませんけれども、やはり引っかかるところが、出されている資料の中でも実はあるんですね。
 令和四年中学校スピーキングテストの実施要項の中で、三番の国立、私立中学校に在籍する生徒のESAT-Jの受験についてというところの一番目のところに、第三学年の生徒は、積極的にESAT-Jの結果を都立高校入学者選抜に活用したい等、必要な場合は受験を可能とするというふうに書いてあって、本来であれば、私立は活用したい。
 何のことか分からなかったら申し訳ないんですが、公立中学校は、アチーブメントテストといって、到達度を測るテストをやりますよということなんですが、私立学校は、皆様ご承知のように、多様な学びがあり、独自性を尊重している学校ということで、アチーブメントテストは多分それぞれの学校で行われているものだというふうな解釈をさせていただいている中で、結果を都立高校入学者選抜に活用するだけのためのアチーブメントテストであるにもかかわらず、細かいんですけど、ここの、等と書いてあると、それはそういう以外の者でも受験を可能とできるのかということをいいたくなっちゃうんですよね。
 そういったことを、私学部が、多分中身もあまりご覧にならないまま通知文を出されているのではないかというふうに申し上げておきたいと思いますが、特段何か私学部に対して、こうしてほしい、ああしてほしいということは今のところはありませんので、安心していただきたいというふうに思います。
 次に、私立中学校の生徒が、教育委員会が実施するスピーキングテストを受験する場合、生活文化スポーツ局として、この受験料の無償化の措置を行っているのかということを伺いたいと思います。

○戸谷私学部長 生活文化スポーツ局といたしましては、措置を行ってございません。

○桐山委員 ありがとうございます。行っていないということが分かりました。
 次に、私立中学校の生徒に対するアチーブメントテストの受験料の無償化の措置というものは、教育委員会が実施するアチーブメントテストであっても、行政の所管上、その費用は生活文化スポーツ局に計上して執行すべきだというふうに私は考えているんですけれども、その費用が教育委員会に計上されていることについて、生活文化スポーツ局の見解がありましたらお答えいただきたいと思います。

○戸谷私学部長 スピーキングテストの所管である教育庁において判断するものでございます。

○桐山委員 教育庁ということで分かりました。
 学習指導要領の内容の到達度を測るアチーブメントテストという性格のものであれば、それは英語スピーキングテストに限りませんよね。国語や算数や社会など、ほかの教科についても教育委員会がアチーブメントテストを実施することも可能なわけですし、また、英検や漢字検定など民間試験の受験料の無償化の措置というものを教育委員会が実施して、例えば私学も含めてできるのであれば、私学全員の分も教育委員会が支出できるのかなとか、いろいろと考えられるわけであります。
 次に、生活文化スポーツ局として、学習指導要領の内容の到達度を測るアチーブメントテストであれば、全ての教科について、それは教育委員会の所管であるという見解をお持ちなのかどうかも伺いたいと思います。

○戸谷私学部長 私立学校では、生徒の学習到達度の測定につきましては、各学校の責任で行っているところでございます。
 なお、アチーブメントテストには様々な主体が実施するものがあると認識してございます。

○桐山委員 ありがとうございます。それぞれの学校でもしっかりやっていただきたいなというふうに思っております。
 次に、中学校の各学年で学習する内容を定める学習指導要領は中学校の教育の中核的な内容です。
 その到達度を測ることは、私立中学校についても教育委員会の所管であるとすれば、現在のように、私学については生活文化スポーツ局が所管をし、公立学校については教育庁、教育委員会が所管するということではなくて、国の文部科学省と同じく、教育庁の下に都道府県の教育行政を統合し、私学、公立を問わず、学習指導要領の内容の到達度を測るアチーブメントテストを実施することができるようにするということも、先ほど申し上げましたが、考えられると思いますが、このことについて生活文化スポーツ局、見解がありましたらお答えいただきたいと思います。

○戸谷私学部長 私立学校は、それぞれの学校におきまして、建学の精神に基づき、個性豊かな教育活動を実施しておるところでございます。
 生徒の学習到達度の測定につきましても各学校の責任で行っているところでございます。

○桐山委員 私立の中学校に対して、英語スピーキングテストを受験させるのは都立高校の入学に関する試験であるからだということであります。
 生活文化スポーツ局としても、高校受検のためのテストだから、教育委員会が実施するその費用の無償化も教育委員会が措置するということであれば、権限の侵犯はないと考えますが、生活文化スポーツ局としての見解をお伺いしたいと思います。

○戸谷私学部長 スピーキングテストの所管は教育庁でございまして、当局においてお答えするものではないと考えてございます。

○桐山委員 ありがとうございます。
 今回このように、生活文化スポーツ局に対して、英語スピーキングテストの質問をさせていただいているかといいますと、やはり今回も、かなり都教委の中で同じことを繰り返すだけということが行われておりまして、教育委員会が、専門家や都民の疑問に答える形で真摯に説明を行ってきていないということがあります。
 また、ご案内をしっかり、私学部から郵送されている中身についても、協定の本文ですとか、あるいは利益相反に関する覚書などの情報公開が不明瞭な中で、やはり説明、保護者の理解も含めてですけれども、今回複雑につくられている、制度設計になっているものですから、なかなか私立の保護者の皆様にも実際のところ声が届いていないというふうに考えるわけであります。
 もちろんほとんどの私学に今、通っていらっしゃるお子さんは、中学からそのまま高校に上がられる方がほとんどだとは思いますけれども、中には途中でおやめになる方もいれば、都立を受検される方もやはり多い、中にはいらっしゃるということを、一人でもいるのであれば、やはり丁寧に今回の情報も行き届くようにしなければ、結構私学は私学で、先ほどから、独自性を尊重しているがゆえに、そういう私学の親御さんとお話をすると、そんなの知らないというのと、うちは関係ないと、対象じゃないので関係ないという形でお返事が返ってきている状況であります。
 こういったことが今起こっている状況の中で、ぜひ私立の中もしっかりと、なんていったらいいんですかね——なかなか口を出せないのかもしれないんですけれども、今回、私は、東京都の教育委員会が、私学のところまで手を突っ込んで、いわゆるアチーブメントテスト、到達度を測るテストは、各それぞれがやっているよ、大きなお世話だよということもあるかもしれませんけれども、そういったことが現在行われているということをぜひご理解いただく中で、私学部としても情報を取りに行っていただきたいと思うんですよね。
 私学部としても、一連の経過は知らないけど、突然、私学に通われているお子さんの状況が変わったときには、都教委から、こういう通達、通知を送ってくれというふうにいわれて、はい、分かりましたと送っているだけですよね。多分今のご答弁を聞いている流れでは。
 でも、やはりもっと声が上がってきていいはずだと思うんですけれども、多分私学協会は都教委と連携を取りながらこの間やっていて、私学部については特段の情報が入っていないのかなというふうにいわざるを得ないというふうに思います。これ、ちょっと長くしたくありませんので、この辺で終わらせていただきたいというふうに思います。
 次に、パラスポーツのことについて質疑を移らせていただきます。パラスポーツについてです。
 パラスポーツに関わる市区町村の支援ということでお伺いをしたいと思います。
 都は、東京二〇二〇大会の成功や大会後のパラスポーツの振興を受けて、都自ら様々な取組を実施するほか、各区市町村の事業に対しても支援を行ってきました。パラスポーツを地域に根づかせていくには、都民にとって身近な自治体での取組が進むことが大切だと考えています。
 まずお伺いしたいのが、東京二〇二〇大会パラリンピックを契機として、都がこれまで実施してきたパラスポーツ振興に寄与する区市町村向けの補助事業の概要、それから、どのように取組に対して支援をしてきたのか、まずお伺いします。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都はこれまで、市区町村が実施する障害のある方が身近な地域で継続的にスポーツを楽しめる事業や環境整備に対して支援を行ってまいりました。
 ソフト支援としては、平成二十七年度に事業を開始し、昨年度は、上限三百万円、補助率二分の一で補助を行いました。
 具体的には、ボッチャなど、障害のある方が参加できる教室や支える人材を養成する講習会など、様々な事業を支援いたしました。
 また、ハード支援としましては、平成二十六年度に事業を開始し、一施設当たり上限一億円、補助率原則二分の一により、体育館への入り口へのスロープの設置やトイレのバリアフリー化等を支援しました。

○桐山委員 オリ・パラ、パラリンピックに向けて、これまで、補助率も高く、区市町村に対して、ソフトとハードの両面から支援をされてきたことというのも今ご答弁で分かったところです。
 ハード補助について伺います。
 大会後、スポーツ環境整備費補助事業として、引き続き区市町村に対する支援を行っているとお伺いしましたが、その概要と、具体的にどのような支援を行っているのか、伺います。

○山根スポーツ担当部長 都は、市区町村を対象に、パラスポーツを行う上で必要となるコートの新設、改修及びバリアフリー化の工事費等に対しまして、一施設当たり五千万円を上限として、原則二分の一の補助を行っております。
 これまで、視覚障害者向け音声案内誘導装置の設置や、障害の有無にかかわらず、安心してスポーツを楽しめる多目的広場の整備等に対して支援を行ったところでございます。

○桐山委員 ハード整備事業なんですけれども、結構大規模な工事が必要なバリアフリー化というものの事業ですけれども、なかなかハードルが高くて、補助率二分の一ということで裏負担もあるということでありますから、なかなか改修するまでに至らないから今回補助を使うのをやめようという声ですとか、あるいは、例えば体育館とかだと、大規模改修計画と併せて、本当はこの補助事業が使えるんだったら使いたいんだという声ですとか、そういったときに、この補助メニューがあるのに、たまたまタイミングとして合わないですとか、あるいは固定式のもので、移動式のものの備品は駄目だとかというのがあったと思うんですけれども、例えばパラで考えると、パラ専用というと、地元の中では、誰もが使えるようにしたいから、専用となったら扱いが難しいから、我々としてもちょっと財政的なところでどうしても優先順位が低いとなってきます。
 そういったところで、収納しやすい備品等もぜひ認めていただきたいというような声もありますので、その点についてはお伝えしておきたいと思います。
 それから、身近にある区市町村のスポーツ施設において、こういった大規模バリアフリー整備をしなくても障害のある方の受入れが促進されることが重要と考えますが、取組について伺います。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都は、障害のある方の施設利用に際し、施設管理者等が配慮するべき点をまとめたマニュアルを作成し、市区町村や公立スポーツ施設などに配布するとともに、セミナー等で普及を図ってまいりました。
 また、こうした取組に加えて、オンライン上で障害種別や利用場面ごとの対応が簡単に検索できるよう、ウェブ教材化を行い、さらなる活用を促しました。

○桐山委員 ありがとうございます。
 こういったマニュアルがあるということは私も初めて知ったわけですけれども、大きな工事をしなくても、例えば何かテープを使って、視覚の目印になるように少しテープを貼って、そういった案内板にしてみるとか、そういった取組ができればより効果的なのかなというふうに思っております。もちろん改修をしてもらえるといいとは思うんですけれども。
 次に、特別支援学校活用促進事業について伺います。
 この事業は、特別支援学校の体育館やグラウンドを障害者団体のスポーツの活動の場として活用するものでありまして、大変意義が深い事業です。私は、この間も何度か質疑をさせていただいておりますが、この取組も応援をしております。
 年々この実施校が増えていることを大変評価しておりますが、残念ながら、私の地元の西東京市の田無特別支援学校がまだ実施校にはなっておりません。
 市内では一校しか特別支援学校がないですので、できれば、こういったところがしっかり地域に根差して拠点になってほしいなと思うと同時に、学校の方も、学校長の先生が積極的に開放したいという思いもあることから、現地を見ていただいたら、実は体育館は別で、外側の入り口があって、動線がきれいに分かれている状況にはなっているんですけれども、どうしても階段のところが実はバリアフリーになっていなくて、階段だから、あそこはちょっと無理、選定、今回は無理かもしれませんというようなお話もあるところです。
 そこで、バリアフリーに課題がある体育館であっても、当該自治体内に特別支援学校の活用促進事業の対象校がない場合など、体育施設として優先的に対象にすることも考えられますが、実施校選定についての都の考え方についてお伺いをいたします。

○齊藤パラスポーツ担当部長 特別支援学校活用促進事業の利用団体としては、身体、知的、精神など、様々な障害種別の方々が登録しております。
 このことを踏まえ、実施校については、敷地内に障壁となる段差がないことや、学校運営に支障を来さないよう独立した動線を確保できること、市部と区部の地域バランス等を考慮して選定を行っております。

○桐山委員 ありがとうございます。実施校の選定はご答弁いただいて理解をさせていただいております。障害者が身近な地域でスポーツができる環境というのがやっぱり市区町村の中では拠点になる場所というのをすごくこの事業に対して期待をしていると思います。
 ぜひ、本事業では施設の貸出しと併せて、障害の有無にかかわらず、誰もが参加できる体験教室も実施をしていらっしゃるかと思いますけれども、こういった双方ともしっかり利用者が増えてくるといいなというふうに思っております。
 さて、都立特別支援学校活用促進事業の実施対象校が地域におけるパラスポーツの拠点になっていくとよいと考えておりますが、本事業の利用者からどのような声が届いているのか、伺います。

○齊藤パラスポーツ担当部長 本事業の施設貸出しを利用している団体からは、スポーツ活動の場所が増えた、スポーツ活動が充実したものになったなどの声をいただいております。
 また、体験教室の参加者からは、年代や性別を問わず、皆で参加できて楽しかった、体を動かすきっかけができたなどの声をいただいております。

○桐山委員 ありがとうございます。こういった声というのはすごく増えてくるといいなというふうに思います。
 まだまだ地域の中ではこういった拠点が少ない状況ですので、引き続き、このパラスポーツの拠点、その中で、団体さんの育成ですとか、そういうふうに発展できるようなことに期待しておりますので、ぜひ今後も引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、国際大会誘致についてですけれども、まず、デフリンピックについてからです。
 東京二〇二〇大会では、パラリンピアンが躍動する、これも本当によかったなと思っているわけでありますけれども、この中で、二〇二〇大会が一年延期になったときも、やはり企業やスポンサーが撤退をする、そして、パラアスリートが非常に苦労したという声も伺いました。
 その後、大会が終了しても、同じようにアスリートのスポンサー契約が終了するなど、競技活動を継続するために、経済的な負担が非常に過大になっているというふうに聞いております。
 そこで、東京ゆかりのパラアスリートが国際舞台で活躍できるようにアスリートを支援する必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都はこれまで、パラリンピック等の国際大会への出場が期待される東京ゆかりの選手に対して、競技用具等の購入、修繕費などの支援を行ってまいりました。
 また、ガイドランナーや競技アシスタントなど、選手を支えるスタッフについて、選手の大会、合宿帯同時の旅費や参加費など、競技支援活動費等を支援しております。

○桐山委員 すみません。デフはもうちょっと後でした。ごめんなさい。
 次に、東京二〇二〇大会を踏まえて、レガシーとして、今後、共生社会の実現につながる視覚障害者や聴覚障害者への対応など、都が整備、改修した競技施設における情報アクセシビリティーの取組が非常に重要だと思いますが、その取組について伺います。

○永井スポーツ施設担当部長 東京二〇二〇大会に向けて、都は、視覚や聴覚に障害をお持ちの方を含めて、誰もが的確に情報を得られるよう、各競技施設において情報アクセシビリティーの向上を図ってまいりました。
 例えば、デジタルサイネージやサインによる案内のほか、視覚障害者向けには誘導ブロックや音声案内、聴覚障害者向けには観客席に集団補聴設備や個室トイレに災害の発生を知らせるフラッシュライトを設置いたしました。

○桐山委員 ありがとうございます。
 先ほども斉藤理事の方からも質疑がありましたように、やはり障害のある方にとっても、する、見る、支えるという、こういったスポーツ立国戦略の基本的な考え方の一つというものはしっかり重要視をしながら、ハード整備はもちろんなんですけれども、こういった最新テクノロジーの技術開発もどんどん進んできておりますので、ぜひ、実証実験とかを通して、当事者の声を聞いていただく中で体感をしていただきたい機会をぜひ増やしていただきたいというふうに思います。
 ちょっと時間がないので、駆け足で行きたいと思います。
 次が、デフリンピックについては、先ほどからそれぞれの質疑がなされる中で、今後の課題としては、関係者の連携や構築が大変重要なんだということ。それから、なかなかデフスポーツの国際大会の経験がないということで、これからも課題があるので、しっかりとこういった協力関係をしながら取り組まれていくということのご答弁をいただきましたので、ぜひ今後もしっかりと取組を後押ししていただきたいというふうに要望に代えさせていただきたいと思います。
 次に、世界陸上について何点か質疑をさせていただきます。
 世界陸上の競技大会は、一九九一年東京大会は、一九九一年八月二十三日から九月一日までの間、先ほども質疑がありましたが、大阪大会は、二〇〇七年八月二十五日から九月二日まで開催されました。
 東京の二〇二二年八月二十五日の温度は、最高二十九・三度、最低二十三度。湿度は平均七七%、最低五七%で、九月まで三十度を超える暑さと八〇%近い湿度を観測しています。
 東京二〇二〇大会では、二〇一九年九月二十七日、ドーハ世界陸上大会で棄権者が続出したことに端を発し、IOCは急遽、暑さ指数、WBGTなる基準を持ち出し、世界陸連も同調しながら、マラソン競技と競歩競技を札幌に移転しました。
 もちろん二〇二五年の八月から九月にかけて、夏の気温や湿度がどうなるのかはまだ分かりませんが、東京の気温は上昇しています。世界陸上大会の主催はワールドアスレティックスです。東京都ではありません。そこで、東京二〇二〇大会の轍を踏まないように確認をしていく必要があります。
 そこで、今年七月に、二〇二五年世界陸上競技選手権大会の東京開催決定の経緯についてお伺いします。

○三浦事業推進担当部長 二〇二五年の世界陸上競技選手権大会につきましては、日本陸上競技連盟が昨年十月に招致に向け立候補し、今年五月に、都や国に対して、大会招致等に係る協力要請を行いました。
 その後、大会を主催するワールドアスレティックスの評価パネル来日時に、東京二〇二〇大会の経験をアピールするなど、都は、招致活動を積極的に応援いたしました。
 こうした経緯を経て、七月十五日に、ワールドアスレティックスの会議において、東京開催が決定いたしました。

○桐山委員 経緯についてはありがとうございました。
 次に、ワールドアスレティックスは、東京二〇二〇大会と同じような気象条件の下で、なぜ東京でマラソンや競歩を含む世界陸上競技大会を開催することとしたのか、分かりましたら伺います。

○三浦事業推進担当部長 二〇二五年世界陸上の開催日程につきましては、現在、八月下旬から九月中旬の間で調整中でございます。
 招致主体である日本陸上競技連盟からは、暑さ対策の観点も含め日程調整を進めていると聞いているところでございます。

○桐山委員 私は、この東京二〇二〇大会でのマラソンと競歩の札幌移転は、ドーハ開催予定だった、十月十七日のドーハでの国内オリンピック委員会の連合会議に向けて、世界陸上大会、当時、世界陸連の会長に就任したばかりのセバスチャン・コー氏に対して高まっていた批判を回避するために、急遽IOCが、暑さ指数ともなるこういった基準を持ち出したのではないか。そして、僅か一週間で決定をされた。
 もう皆さんご承知のとおりだと思いますが、東京二〇二〇大会でのマラソンと競歩の札幌移転を決定した後といいますと、この後は、この暑さ指数、WBGTなる基準はお払い箱、用済みになったのではないかといわざるを得ない状況があるわけであります。
 そこで、今年のパリも大変暑い夏でした。IOCは、暑さ指数なるこの基準をパリ・オリンピックなどにも適用しているのか、情報があればお伺いします。

○木村国際連携担当部長事業推進担当部長兼務 パリ二〇二四大会組織委員会より、パリ二〇二四大会においても、暑さ対策の検討において、暑さ指数、WBGTを使用する予定であると聞いております。

○桐山委員 ありがとうございます。パリ大会でもこの基準なるものを予定するということが分かりました。
 東京と同じように、こういった数値を用いられる中で、オリンピックでも、また都市移転もあり得るのかといったことも注目をしていきたいというふうに思います。
 次に、東京で世界陸上大会を開催するに当たり、世界陸連は、暑さ指数なるこの基準についてどう考えているのか、私は明確にすべきだというふうに考えておりますが、当局の見解がありましたら、ぜひお伺いいたしたいと思います。

○三浦事業推進担当部長 東京二〇二〇大会におきましては、暑さ指数も含めた様々な気象情報を把握するとともに、国際競技連盟が定める基準等も踏まえ、競技実施について判断されていたものでございます。
 世界陸上の東京開催に当たりましては、こうした事例も踏まえ、適切な大会運営が実施されるものと認識しております。

○桐山委員 端的にいえば、東京で世界陸上を開催するならば、この暑さ指数なる基準に同調して、マラソン競技と競歩を札幌に移したのは誤りだったのではないかなということを認めることの方が先なのではないかというふうに私は考えています。
 世界陸上競技大会の主催はワールドアスレティックスで、主管は公益財団法人日本陸連というふうにされております。こういった国際競技大会では、開催都市が重要な役割を今後果たします。
 福岡で開催される世界水泳ですとか、あるいは、パラの陸上競技も神戸の方でも開催を予定しておりますけれども、この中でも、しっかりと運営体制の中で、自治体の知事が就任をされたり、監事の一人は会計管理者が就任していたりとしております。
 東京で、世界陸上競技大会で組織委員会を今後つくられ、東京都の幹部が副会長や理事や監事に就任することになるのではないかと想定をしておりますが、東京二〇二〇大会の汚職事件や不明瞭な会計処理を防ぐことができなかったのかという現実があります。
 そこで、世界陸上を開催するに当たり、東京二〇二〇大会における東京都と組織委員会との情報共有等に関する反省と教訓を踏まえ、都と大会運営の組織の関係について考えるべきでありますが、見解をお伺いいたします。

○三浦事業推進担当部長 世界陸上につきましては、先月、大会運営組織の設立に向け、設立準備会が立ち上がったところでございます。
 今後設立される大会運営組織と都の関係につきましては、設立準備会における議論等も踏まえ、今後、関係者と調整してまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。
 次に、東京二〇二〇大会の組織委員会で行われたような汚職や不明瞭な会計処理を防止するために、適切かつ透明性が担保された経理が必要だと考えます。
 世界陸上において、どのような体制をつくっていかれるのか、お伺いをしておきます。

○三浦事業推進担当部長 設立準備会では、組織の構築、運営に必要となるガバナンスの指針として、令和元年にスポーツ庁が定めましたスポーツ団体ガバナンスコードを踏まえて議論、検討を進めることとしております。
 今後、設立準備会で議論及び検討を重ね、大会運営組織の設立につなげてまいります。

○桐山委員 先ほどから世界陸上のことを申し上げておりますけれども、今回、二〇二〇大会は都民の税金を使い、その中で組織委員会の不祥事ということで、都民や国民の信頼をかなり失ってきているのではないかといわざるを得ません。
 こういったことをしっかりと正していくためにも、今後、国際大会招致においては、また財政的な支援をしていく計画で進めていかれると思います。
 そういったところで、やはり都民や国民の理解と信頼を取り戻していく、また、理解をしっかりしていただくためにも、こういった会計処理も、透明性の担保をするですとか、あるいは組織においても、意思決定の場にしっかりと東京都が入っているということが大変重要なのかなというふうに思っておりますので、引き続き、この設立準備会での議論と検討の中で、そういった課題認識をしっかり持っていただいて、取組を行っていただきたいというふうにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

○鈴木委員 よろしくお願いいたします。
 大きく、子供の安全対策として、町会関係で伺わせていただきたいと思います。
 全国の令和三年、昨年における刑法犯の認知件数は、調べたところ五十七万件弱。戦後最少となっておりまして、それに伴って、都内の治安情勢についても減少しているということで、これはコロナの原因ももちろんあるとは思うんですけど、数が減っているということは、それはいいことだと認識しております。
 ただ、そうした中においても、子供が被害者となる犯罪はいまだに発生しておりまして、子供をしっかりと犯罪被害から守るための施策が大切であると認識しております。そのためには、地域における取組を推進することが不可欠と考えております。
 これまで、東京都の地域における子供の安全対策に係る取組について、まず伺わせていただきます。

○油谷治安対策担当部長 都はこれまで、地域を巡回する民間事業者等に、業務をしながらまちの見守りに協力してもらう、ながら見守り連携事業や、ボランティアの裾野を広げるため、防犯ボランティア団体結成促進事業を推進しております。
 また、防犯団体とその取組を紹介する子供見守り活動事例集を作成、配布しているほか、こうした団体の活動を支援するため、ポータルサイト、大東京防犯ネットワークにより、各種情報を発信しております。

○鈴木委員 地域において民間事業者等と連携しながら、今、答弁いただきました防犯ボランティア団体の結成の促進、そして、支援したりしているということを今いただきましたが、これらは非常に重要な取組であると私も認識しております。今後ともそうした取組をしっかりと推進するべきと考えております。
 また、特に民間事業者等と連携する意味合いの強い、ながら見守り連携事業と防犯ボランティア団体結成促進事業について、具体的な取組内容や現在の状況を伺わせていただきます。

○油谷治安対策担当部長 ながら見守り連携事業は、地域を巡回する配送事業者などと協働して、まちを見守るネットワークを構築する取組でございます。
 本年十月末現在、三十三の事業者、団体が、住民の安全・安心に係る異常を認知した場合の関係機関への通報や区市町村が希望する箇所の見守り等に協力しております。
 また、防犯ボランティア団体結成促進事業は、ランニングや犬の散歩をしながら地域の見守り活動に協力していただける防犯団体の結成を促進する取組でございます。
 本年十月末現在、都の登録団体数は「未来の東京」戦略での令和四年度末の計画数値目標九百四十団体を上回る千三十二団体に達しております。

○鈴木委員 子供の安全確保のためにも、そうした取組については、今後も推進していただきたいと思います。
 また、今年度から、子供の安全対策のための民間事業者と連携した新たな取組を開始したと仄聞しております。
 その事業の目的と概要、実施状況についても伺わせていただきます。

○油谷治安対策担当部長 都は本年度より、子供、保護者の防犯意識向上と地域ぐるみで子供を見守るという社会機運醸成を目的として、親子で利用する機会の多い商業施設等と連携して行う、TOKYOこども見守りの輪プロジェクトを開始いたしました。
 本事業では、子供の防犯標語、イカのおすしを分かりやすく解説する動画の放映やイベントの共催など各種啓発のほか、従業員による見守り活動等を推進しております。
 本年六月、四事業者と覚書を締結し、都内五十六店舗において取組を開始しており、これまで、八月にイトーヨーカドー木場店、九月にイオンモール多摩平の森等、一区三市一町の商業施設において、防犯啓発イベントを共催いたしました。

○鈴木委員 ありがとうございます。本年度、イトーヨーカ堂さんやイオンさん等、大手流通小売事業者と連携して、子供を守るための取組を推進しているということは、質問自体も答弁も結構地味な部分はあると思うんですけど、こういった部分はすごくすばらしいと思います。非常に大事だなと思います。
 このような親子が訪れる店舗や場所はほかにもありますので、今後は、本事業を様々な業種に展開し、連携の輪を広げていっていただきたいと思います。
 今、既存の取組をお伺いさせていただいて、そして、新たな取組、新旧様々な取組をこれからも着実に推進し、未来の宝である子供をぜひとも犯罪被害から守っていただきたいと思います。
 次に、私立幼稚園における園バスの安全対策の状況について伺わせていただきます。
 学校における子供の安全・安心の確保は非常に重要であると考えております。昨年七月では、福岡県で園児が送迎バスに置き去りになり死亡事件が発生して、また、今年に入っても記憶が新しい、静岡県の認定こども園で園児が送迎バスに置き去りになり亡くなるという痛ましい事故が発生しています。
 私も幼稚園の年少の子供もいるんですけど、そういった同じ世代の子供というのは、やっぱり自分が子供を持ったときと持っていないときとの気持ちを比べると、すごく自分自身も変わって、今の親御さんの、また、保護者の気持ちを、想像できないほどの悲しみや怒りだったり、悔しさだったり、いろんなことを感じていると思います。
 このような事故を繰り返してはなりませんし、また、さきの都議会第三回定例会におきまして、都議会自民党の代表質問に対して、都知事は、直ちに都内全ての保育所等に対して緊急点検を開始する、また、施設管理者向けのオンライン講習会を速やかに開催し、優れた取組事例を共有すると答弁をいただきました。
 まず、幼稚園に対して実施した緊急点検の内容について伺わせていただきます。

○戸谷私学部長 送迎バスの実態を早期に把握するために、国からの通知に基づきまして、本年九月に書面にて緊急点検を実施したところでございます。
 送迎バス運行における人員配置や園児の確認方法などに加えまして、実際に園児の見落としがあった事例の有無などについて確認しているところでございます。

○鈴木委員 緊急点検の実施の結果についてもお願いします。

○戸谷私学部長 送迎バスを保有する幼稚園は、七百十四園中四百二十七園でございまして、約六割でございました。
 送迎バスを保有するほぼ全ての園において、バス降車時の見回りを実施している一方で、連絡がなく欠席した園児について、保護者への確認ができていないことがある園が約七%存在するなどの実態も明らかになったところでございます。
 また、置き去り事故を防止するシステムなどの導入は全体の二%程度でございました。
 現在、緊急点検の結果に基づきまして、実地調査を開始したところでございます。

○鈴木委員 ありがとうございます。いろいろな、様々な実態が明らかになったということで、緊急点検は意義があり、そして、意味があったものだと思っております。
 引き続き、実地調査の場において、現場の声をしっかり聞き、幼稚園の安全確保を強化していただきたいと思います。
 次に、東京都が早急に実施するとしていた、先ほどの中での知事の答弁ですね、オンライン講習会の実施状況についても伺わせていただきます。

○戸谷私学部長 東京都は、幼稚園などの現場において、すぐに取り組める安全対策を共有し、事故予防の取組を強化するということを目的といたしまして、先月の十月二十日から、オンライン講習会を実施しているところでございます。
 講習内容といたしましては、都における緊急点検の結果や各園における事故防止の具体的な取組と工夫、ヒヤリ・ハットからの気づきなどを紹介しているところでございます。
 各園がいつでも受講しやすいように、オンデマンド形式によりまして、ユーチューブ動画で公開してございまして、現時点での視聴回数は約二千三百回となってございます。
 各園においては、こうした内容も踏まえつつ、できる対策を積極的に実施し、安全の確保に努めているところでございます。

○鈴木委員 状況は理解できました。
 国が今後、安全措置の導入義務化の実施やそれを踏まえた財政措置を検討しているようでありますが、都としても、国の動向を踏まえつつ、幼稚園等の安全管理に係る支援を早急に実施していく必要があると思います。
 また、この私学関係で質問はいたしませんが、子供の安全・安心を含めた教育環境を整えるということももちろん大事であり、そして、東京には幼稚園から高校まで多くの私立学校があり、公立学校と共に公教育の一翼を担っていると理解しております。
 東京都は、経常費補助をはじめとする様々な支援によって、私立学校の教育環境の充実や公私格差の解消に努めていただいているのが現状だと思っております。
 私立学校の振興助成法の第一条で、この法律は、学校教育における私立学校の果たす重要な役割に鑑み、国及び地方公共団体が行う私立学校に対する助成の措置について規定することにより、私立学校の教育条件の維持及び向上並びに私立学校に在学する幼児、児童、生徒または学生に係る修学上の経済的負担の軽減を図るとともに私立学校の経営の健全性を高め、私立学校の健全な発達に資することを目的とすると書いています。
 また、教育基本法の第八条では、私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割に鑑み、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならないとも記載されております。
 また、こういった法律も踏まえて、公私格差の解消に努めていただいているんですけど、どうかこれからも、さらにご理解をいただいて、私学の方も応援していただきたいと要望いたします。
 そして、町会、自治会支援について、最後、伺わせていただきます。
 私が住む台東区というのは下町で、都心部に比べれば、やはり町会の組織が割としっかりしていて、町会活動が活発な地域であるんですけど、私も地元で、昨年まで町会の青年部長を約七年間務めさせていただいて、いろいろな、年末の歳末警戒だとか、地元でいえば隅田川花火大会の警備、サンバカーニバルの警備、いろんなことがあるんですけど、また、有名なところでいうと三社祭り。この前、局の課長さんでも毎年担ぎに来ていますという課長さんもいらっしゃったりとか、それはすごくうれしく思ったんですけど、今年ようやく神社の境内の中では担ぐことができたと。そういった、徐々にいろいろな地域の状況が、町会自体も動き始めている、そのような形で感じております。
 東京都は、こうした町会、自治会が行う地域のお祭りやイベント、防災訓練などの様々な地域活動を地域の底力発展事業助成によって長らく支援をしていただいております。私の地元でも多くの町会、自治会がこの助成金を地域のため活用させていただいております。
 そこでまず、この地域の底力発展事業助成について、昨年度と比べた今年度の状況をお聞かせください。

○馬神都民生活部長 昨年度は、コロナ禍の影響もあり、第三回までの決定件数は百九十四件でございました。これに対し、今年度の同時点での交付決定件数は四百七十五件でございますが、このうち昨年度はなかったスマホ教室を除きますと、二百五十件になりまして、五十六件の増加となっております。
 また、昨年度は中止となった事業も多くございましたが、今年度は約九割が実施できる見込みでございます。

○鈴木委員 去年に比べて徐々に活動が増えてきていることが分かります。
 一方、都内には約九千の町会、自治会があると仄聞しておりまして、まだまだ多くの町会に底力助成金を使っていただけない、まだ知らない町会、どうなんでしょうね、あるのかもしれないですけど、町会、自治会が今動き始めたこの機を捉えていくことが重要であるのかなと認識しております。
 この地域の底力の助成については、町会、自治会の皆様から、申請に係る労力について、申請がしづらいとか、その後に説明会へ行ったり、そういうのが大変だとか、そういった話もいろいろ伺っているんですけど、地区のセンターの職員等と相談しながら、最終的には申請書を一緒に書いている町会とかというのが大体なんですかね、これがもっと簡単に申請できないかと、そういった声も多く聞いております。
 そこで、より多くの町会、自治会に地域の底力発展事業助成を使ってもらうために、さらに申請しやすい工夫が必要と考えておりますが、見解を伺わせていただきます。

○馬神都民生活部長 都は、より多くの町会、自治会が地域の底力発展事業助成を活用できるよう、書類の削減やQ&A、記入見本の充実等、申請手続の負担軽減を図ってまいりました。
 今後さらに、町会、自治会向けのポータルサイトにおいて、質問事項に答えていくと申請書が完成するような仕組みを導入するなど、助成制度の一層の活用を促進してまいります。

○鈴木委員 これで終わりますが、今、答弁でいただいた中で、答えていくと申請書が完成するような仕組み、これがまた完成した場合には、もちろんこういったものも申請しやすくなりまして、横にももっと広げられると思うんですね。様々な助成金だとか、補助金だとか、いろんなところにも使えるんじゃないのかと。
 そういうのができたら本当に便利なのかなと思っておりますので、どうかこれからも、そういった部分で申請しやすいような仕組みをつくっていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。質問を終わります。

○伊藤(ゆ)委員 それでは、二十分の通告をしていますが、できるだけ十五分ぐらいでまとめたいと思いますので、場合によっては要望とか、それから通告していた質問も少し私の方での解説で要約させていただきたいと思いますので、よく聞いていただければと思います。
 私からは、まず、日本語教育について伺いたいと思います。
 先般の一般質問でも触れた内容になりますけれども、多くの都内の地域の学校においても日本語が十分にできないお子さんが今、在学をされていて、そのお子さんにとっても大変苦労が絶えないということを聞いています。
 日本語は、いうまでもなく、英語なんかに比べても極めて難しい言語でありますので、こうした実態を捉えて、国の方でも既に令和元年に日本語教育推進法なるものが施行されています。
 主な趣旨は、多文化共生社会の実現とか、諸外国との交流促進ということですが、何といっても、総合的、効果的に日本語教育を実施する、こういうふうにこの法律ではうたわれているところであります。
 そういう意味では、初めて日本語教育の重要性というものが国会議員の皆さんの議連によって、こうして成立をしたわけであります。
 その上で、令和元年六月に都道府県知事に対して、この法の趣旨を踏まえた取組を求める通知が国から発出をされています。
 これを、都として、まずはどのように受け止めて、具体的にどのようにアクションされているのか、伺いたいと思います。

○小野都民活躍支援担当部長 在住外国人が必要な日本語能力を身につけ、日本人と共に活躍できる環境を整備することは喫緊の課題と認識しております。
 生活のための日本語に関しては、令和二年度に地域日本語教育の実態調査を実施しております。その結果、地域の日本語教室は、外国人にとっての居場所や相談場所としての機能を担っており、地域の多文化共生推進の重要な拠点となっていることが明らかになりました。
 令和三年度に地域日本語教育の考え方を整理し、今年度からは、文化庁の補助金を活用して、地域で日本語教育を推進する仕組みづくりや日本語教室で活動するボランティアの育成など、区市町村等の事業を支援しております。

○伊藤(ゆ)委員 法に基づいて、そしてまた、この機を捉えて、東京都の方でも様々な事業を組み立てていただいている。こういうことについては評価をさせていただきたいと思います。
 また、地域のボランティア、うちの目黒区においてもMIFAという団体があったり、その中における日本語教室というものが活用されて、また、東京都の支援を受ける。こういうふうにも聞いています。
 ただ、そうしたボランティアの皆さんには本当に頭が下がる思いでいっぱいなんですけれども、私も日本語学校を経営してきた経験から、日本語はやっぱり非常に難しいです。
 使っている側としては自然に使っていますけれども、自分の子供を見ていても、漢字一つ覚えるのに、朝から晩まで、学校に毎週行って、ようやく漢字が書けるということですけど、外国人にとってみれば、漢字も見たことがないですし、それから、そもそも会話もできない状態の中で、いわゆるN5とかいう日本語検定のレベルで来日してきて、そして、例えば週に一回とか二回程度、特に小さいお子さんにとってみれば、そのペースで勉強をさせてもらったとしても、これ、現に小中学校に通っていて、算数とか、社会とか、理科とか、地理とか多分やっているんだと思いますけど、いきなり日本語でそれを習得できるかといったら、週一回のボランティアの皆さんのご助力だけでは、到底追いつけるものではございませんで、そういう意味では、地域地域に、特に都内は今、大体三百校ぐらいあるんじゃないでしょうかね、日本語学校がありますから、この法の中でも日本語学校が位置づけられていて、ぜひ日本語学校と地域の学校が連携をして、この難解な日本語を習得できるようにするべきではなかろうかと私は思います。
 そういう意味で、日本語学校との連携は法の趣旨にかなうものと認識しているんですけれども、見解を伺いたいと思います。

○小野都民活躍支援担当部長 学習や就労など、分野ごとに必要となる日本語能力の習得には様々な方法がございますが、日本語教育の専門知識を生かすことも重要でございます。
 生活文化スポーツ局においては、地域における体制づくりを検討するに当たり、日本語教育のスキルやノウハウを持っている日本語学校の関係者にも参加いただき、より実効的な体制構築を目指してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 お願いします。日本語学校の先生たちは、法務省、あるいは文科省の定めるプログラムをまずはしっかり習得されている方々であり、一定の認定を受けた方々でもあります。
 また、教え方も本当に、日本語は、あめもあれば、雨もあれば、様々な読み方もありますし、それから、雨の降り方一つとっても、これだけ、三十種類とか四十種類とか軽くあるんじゃないでしょうかね、雨の降り方の表現一つとっても。そんな言語、なかなかないんですよ、本当に。なかなかない中で、どうしたらうまく教えられるかというのは本当にプロフェッショナルな領域だと思います。
 一方で、これ、余談ですけど、経営者としていうのもなんですけど、多分日本語学校で働いている人たちの所得というのは物すごく低いです。物すごく低いのは、これ、私学助成は、当然私立はお金が入っていますから一定程度の所得というものが保障されていると思いますけれども、日本語学校というのはまるで一円も税金が入っていません。
 そういう意味では、完全に留学生の皆さんからのいわゆる学費だけで賄っていますけれども、物すごくもうかっているとか、物すごくお給料を教師に払ってあげられている学校というのは、私、ほとんど見たことがありませんので、これはやっぱり持続可能なんだろうかというふうにいつも思います。
 ただ、物すごく熱意のある先生たちが多いのは、やっぱり日本語を外国の人に理解していただくということそのものが日本文化を理解していただくということにもなるし、それから、来る人にとっても、そしてまた、日本に来てから帰る人にとっても、日本語を習得していただくということが国際交流に物すごくつながっていく。
 日本の様々なカルチャーが世界に発信されていくということをすごく理解されているので、熱心に、様々な厳しい労務環境の中でも働いてくださっていますけど、これは本当に、放置しておくとなかなか難しいんじゃないかと思いますので、今、申し上げたのは、留学生とかいうよりも、どちらかというと、地域における日本語のできない小中学生とか、お父様、お母様のご都合で日本に来たお子さんのことを取り上げてお話ししましたが、こういうお子さんたちが、それこそ日本に来て、そして、インターナショナルスクールに入れば別ですけれども、まずは地域の小中学校に入るわけですね。そうすると、ついていけない中で何が起きるかというと、まずは親がそれを見ていて、やっぱり日本に連れてくるべきじゃなかったとなるんですよね。
 やっぱり、シンガポールだ、どこだって、日本人の人たちも働きやすいという環境においては、子供が通いやすい学校というのは必ず十分に用意されているという傾向は強くありまして、これはインバウンドというんですかね、あるいは、国際金融都市を目指すという意味からも、ぜひ基本的な教育インフラとして、少し日本語学校というものを位置づけていく必要があるんじゃなかろうかと思います。
 そういう意味では、ちょっと今日は予算委員会でもないので、財政的な措置まではいいませんけれども、どういう形でか、日本語学校が持続可能になっていく仕組みというのをぜひ皆さんで考えていただきたいなと思っております。
 続いて、パラスポーツの支援について伺っておきたいと思います。
 パラが本当に無事に終わって、東京二〇二〇大会を契機に一層バリアフリー化の進んだ東京というものが今、期待されているわけですけれども、都立のスポーツ施設、また、区立のスポーツ施設、様々ありますが、まずは都立のスポーツ施設において、具体にバリアフリー化がどれだけ進んだのか、まさにその進捗状況、数字でご答弁をいただけたらありがたいと思います。お願いします

○永井スポーツ施設担当部長 大会を契機に整備した新規恒久六施設については、アクセシビリティ・ガイドラインに従い、全てバリアフリーに配慮した施設といたしました。
 また、東京体育館をはじめ、大会で使用した既存の五施設についても必要な改修を行い、バリアフリー化の充実を図りました。
 加えて、新たに整備する有明アーバンスポーツパーク、東京都パラスポーツトレーニングセンターは、今後の整備におきましてバリアフリー化を図ってまいります。
 なお、都内に二か所ある都立障害者スポーツセンターは、既に改修工事を完了しております。
 こうした状況を踏まえ、都立スポーツ施設十八施設におきましては、現時点で十五施設について、バリアフリー化の工事の進捗が図られております。
 その他の既存施設につきましては、駒沢オリンピック公園総合運動場の体育館や陸上競技場、東京武道館がございますが、第三次主要施設十か年維持更新計画に位置づけられておりまして、今後、大規模改修の機会などを捉えてバリアフリー化を進めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ありがとうございます。ちょっとあえて細かく伺ったのは、やっぱり表層的にというか、抽象的にバリアフリー化を進めておりますというやり取りだけですと、全体像が見えてこない。これは目標設定を明確にするということが重要だろうと思います。
 本当に都立施設は、パラがあったということもあり、今ご答弁があったように、これだけ進んできたということは高く評価もし、敬意を表したいと思いますが、やっぱり区立、うちの地域でいえば目黒、あるいは二十三区、あるいは都内市町村、様々なスポーツ施設があって、パラとか、それから、オリで使われた、あるいは使われる予定だった施設については、東京都の予算も入って、随分バリアフリーが進んだと思うんですけど、しかし、やっぱりまだ十分じゃないところもあろうかと思います。
 これはやっぱり、パラを開催した主催都市として、地域の施設だということではなしに、ぜひ区市町村と連携をして、やっぱり足りない部分がまだあると思うので、そこはこういう進捗状況というのをつぶさにぜひ把握していただきたいなというふうに思います。
 そういった意味で、かつては都内の公共スポーツ施設でバリアフリー、どこで、どういうスポーツができるのかというような、いってみればグーグルマップみたいなものがなかったわけですけれども、今回、東京都は、このTOKYO障スポ・ナビというのをつくって、私も拝見しましたけど、まあ物すごい使いやすい。
 例えば、自分はどんな障害がある、そしてまた、例えば世田谷でこんなスポーツがしたいと、そういう選択項目を入れていくと、ぱぱぱぱぱっと、それこそぐるなびみたいに対象の施設を出してくれる。
 ただ、私、これ、残念ながら知らなかったんです。勉強不足といえばそれまでですけれども、こんなにいいものがせっかくできたのであれば、特に議員さんたちの周りには、そういう車椅子だとか、障害を抱えていらっしゃる方々が結構いらっしゃって、当然、発信力もありますから、もうちょっとこれも、これ、チラシをいただいたんですけれども、よく書いてあるんですが、やっぱりグーグルマップみたいに地図がわっと出てくるんだとか、もっと伝わりやすいような啓発のポスターでも、チラシでも、それからまた、やっていらっしゃるんでしょうけど、ツイッターとかでも発信していっていただくということが非常に重要で、議員さん、百二十七人いますから、まずは議員さんたち一人一人に発信してもらえるように、ぜひこれは働きかけてくださいよ。知事にもぜひお願いしますけれども。
 そういうことで、この取組というのは非常にすばらしいというふうに思っております。このことは要望をするにとどめさせていただきたいと思います。
 同時に、私の友人で、かつ今、東京都のアドバイザーなんかもやっているのかもしれませんが、パラリンピアンのアイスホッケーの銀メダリストで上原大祐さんという方がいらっしゃって、彼からよく、いろんなバリアフリーのこととか、東京都のまだ足りていないところとか、いろいろお話を聞くんですけれども、一番よく聞くのは、例えば、こういうところで車椅子を利用できますよというふうに表示はされていると、表示はされているんだけど、いざ行ってみると、例えば、そこの施設、管理者の方が必ずしもそういった前提をよくご理解されていない。たまたまそのとき管理をされているというような方が、いやいや、ちょっと車椅子で入ってしまうと、傷ついちゃうんでね、床が傷ついたりするので使えないんですよ、うちといって、断られるケースが結構あったりして、それはすごく不便というか、そもそもその日のスポーツができないというようなことがあって、苦労されているというような話がありました。
 こういう声というのは現にあるのでしょうか。都として把握しているかどうか、ちょっと伺いたいと思います。

○工藤事業推進担当部長 都は、バリアフリー情報の充実を図るため、令和三年度、障害者スポーツ専門ポータルサイト、TOKYO障スポ・ナビを改善することとしまして、障害当事者などから施設利用に関して様々なご意見をいただきました。
 障害当事者などからは、競技用車椅子の利用に難色を示す施設もあるため、利用できるか知りたいという趣旨のご意見もありました。
 このことを踏まえ、令和三年度末に、競技用車椅子の利用可能な体育館等が検索可能となるように改善を図りました。
 このサイトには、現在、体育館が百六十施設掲載されており、このうち競技用車椅子が利用可能な体育館は約八十施設となっております。

○伊藤(ゆ)委員 そういう意味で、そういう声も一部あったというようなことでした。
 東京都の施設もそうですけれども、区市町村の皆様方にも、特に施設管理者に対して、競技用車椅子を使っても床は傷まないと。今のような記載のある施設においては大丈夫ですよということをやっぱり周知していくべきだと思うんですけれども、その点については見解を伺いたいと思います。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都はこれまで、障害のある方の施設利用に際し、施設管理者等が配慮すべき点をまとめた障害者のスポーツ施設利用促進マニュアルを作成し、機会を捉えて、区市町村等への周知を行ってまいりました。
 本マニュアルでは、競技用車椅子に関して、競技者は、赤、グレー、白など、床に色のつきにくいタイヤの車椅子を使用していることや、足を保護するバンパーには保護材が設置され、床に傷がつかないような工夫がされていることを分かりやすく写真で説明をしております。
 引き続き、本マニュアルの周知、活用を区市町村等に働きかけてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 これは質問しませんけど、オリ・パラの新規恒久施設を造るに当たって、それこそさっき申し上げたような上原大祐さんや、また、元自民党の総裁の谷垣先生にも様々なご意見をいただきながら、ハードを造った上でトイレをどうしたらいいかとか、様々なご意見をいただいたと思うんです。
 その中に本当になるほどなと思うようなご意見がいっぱいあって、例えば、スポーツ施設の中において、当然汗をかいたりしますから、シャワールームがあったりしますよね。健常者の人だったらシャワールーム、カーテンが一枚あればいいんでしょうけど、カーテンが二枚あるとすごくいいんだというのです。
 それは何かといったら、車椅子でそのまま入っていって、そして、車椅子で入っていきますから、その車椅子がぬれちゃうと、そもそも出てきた後だって、お尻がもうびちゃびちゃになっちゃうわけですよね。
 ですから、車椅子で入って、車椅子の前に一枚カーテンを挟んで、そして、そこに座って、そして、自分はそこで脱いでやると、車椅子はぬれないで、カーテンを後で取れば座れると。
 やっぱりそういう利用者じゃないとなかなか分からないなという工夫というか、気づきというのがあって、それに対して、東京都も随分工夫してくださったと思うんですね。
 今回、パラで気づいたことというのは、区市町村の施設においても応用が利くというか、当然大して金かけずに改善できるものは多分たくさんあるんだと思う。やっぱり東京都は広域行政なので、ぜひ、今回のパラで得た教訓というのを区市町村の皆さんに、やるか、やらないかは、もうそれは区市町村の判断ですけど、ぜひ提供していただいて、そして、よりよい施設になったらなというふうに思いますので、そのことをお願いしておきたいと思います。
 最後に、結局時間いっぱいになっちゃったけど、今回、パラを八月二十四日に開会して、今年もパラ一周年イベントというのをおやりになって盛り上げていただいていますけれども、やっぱりこうしたパラリンピックの感動と記憶を未来につなげていくためにも、八月二十四日の機会を捉えて、都として、都民、国民の記憶に刻み続けるような取組をしていく必要があると思いますが、見解を伺いたいと思います。

○工藤事業推進担当部長 東京二〇二〇パラリンピックの感動や記憶を未来につなげていく取組を実施していくことは重要でございます。
 都は今年度、JPCが八月二十四日をジャパンパラリンピックデーと定めていることを踏まえ、パラリンピック一周年記念イベントとして、記念セレモニーや車椅子バスケットボールのエキシビションマッチなどを実施いたしました。
 また、パラリンピックが開催された八月、九月をTOKYOパラスポーツ月間と位置づけ、競技体験やパラアスリートとの交流等を通じて、パラスポーツへの興味、関心をさらに高める様々な取組を展開いたしました。
 今後もこうした節目の機会を捉え、パラスポーツムーブメントのさらなる拡大につながる取組を進めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 お願いします。
 今年なんかもやっていただいているように、大きい競技場、国立競技場を使ったり、様々な競技場を使ったり、有明アリーナを使ったりして、しつらえていただく、企画していただくことも非常に重要だと思いますが、今年はまだ一年しかたっていないんですけれども、十年、二十年、三十年とたったときに、やっぱり一番記憶に刻んでおかなきゃいけないのは都庁の職員さん、主催都市の職員と、それから、何よりも主催都市の都議会議員の面々だと思います。メンバーは代わっているかもしれませんけど。
 ですから、やっぱりそういういわゆるイベント的なものも大事ですし、私なんか多分、一番よく使いやすくて、みんなの目に留まるのは都庁のあの広場、ありますよね。あの都民広場というのかな、ああいうところで、ちょっとみんなで車椅子に乗って、どれぐらいのスピードで走れるかとか、一周できるかとか、本当に簡単なことかもしれませんが、とにかく八月二十四日の前後に都民広場なんかを使って、みんなで記憶をずっと継承し続けるということが非常に重要だと思うので、これ、ぜひ生活文化スポーツ局の皆さん、企画していただきたいと思いますので、そのことも要望をして、終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○加藤委員 初めに、文化振興策について質問します。
 都議会公明党は、東京の文化戦略について、代表質問等を通じて具体策を提示し、東京文化戦略二〇三〇に反映してまいりました。特に新人アーティストを支援するため、昨年度から開始されましたスタートアップ助成については、昨年の第四回定例会で拡充を要望し、予算に反映されたところであります。
 都に昨年度の実績を聞いたところ、応募倍率が平均十倍近くとなっているということで、多くのアーティストのニーズがあることが分かりました。
 そこで、改めて、スタートアップ助成の概要と、昨年度と今年度の予算額について伺います。

○蜂谷文化振興部長 スタートアップ助成は、活動歴三年未満の若手の芸術家や芸術団体等がチャレンジする新たな芸術創造活動を支援するものでございます。
 個人に三十万円、団体には百万円を上限に助成を行い、若い才能が芸術活動をスタートするための後押しを行います。
 本助成の昨年度の予算額は六千五百万円であり、今年度は一億円に増額をいたしました。

○加藤委員 予算が六千五百万円から一億円に大幅に増額されたということで評価をいたします。
 こうした予算を活用するためにも、今年度も募集を実施し、アーティストのニーズに応じてきめ細かく対応していると思いますが、それでは、スタートアップ助成における今年度の応募状況や採択状況について伺います。

○蜂谷文化振興部長 今年度は、これまで三回の募集を行ったところでございます。第一回は二百三件の申請があり、三十八件採択いたしました。第二回は八十八件の申請があり、二十八件を採択いたしました。
 現時点で昨年度よりも採択率は高くなってきており、若手アーティストの活躍の機会を広げております。

○加藤委員 このスタートアップ助成は、今年度中にもう一回募集があるというふうに聞いております。これからも定期的に助成の募集を行い、ぜひ多くの若手アーティストにご利用いただき、これからの東京の芸術文化を支えるアーティストの活躍の場を増やしていただきたいと思います。
 そして、二〇四〇年代においては、これらのメンバーが東京の文化芸術の中核となって活躍していることを期待しております。
 次に、今般、報道によりますと、札幌市にある納骨堂が、運営法人の経営不振により、差し押さえられた後、競売にかけられて、建物を明け渡すよう裁判所から求められるという事案が発生をいたしました。
 これを受け、運営法人は、納骨堂の閉鎖に向け、契約者に対して遺骨を引き取るよう呼びかけたことから、契約者から戸惑いや憤りの声が上がっているとのことです。法人の代表者が行方不明となって、遺骨が引き取れないとか、また、永代供養料が返ってこないという問題が生じております。
 一方、都内は、用地の制約などにより、他の地域と比べ納骨堂の設置数が比較的多いことを反映し、消費生活相談が寄せられていると思います。
 そこで、都内の消費生活センターに寄せられた納骨堂に関する相談について、過去五年の件数と主な内容について伺います。

○片岡消費生活部長 都内の消費生活センターに寄せられた納骨堂に関する相談件数は、平成二十九年度八件、平成三十年度十件、令和元年度二十件、令和二年度十件、令和三年度十六件でございます。
 主な相談内容は、契約している納骨堂との間での解約トラブルや、管理料など利用料金に関する相談、また、契約を検討している方からの留意すべき点に関する問合せなどでございます。
 納骨堂に関する都民からの様々な相談に対し、相談者個々の事情を踏まえて適切に対応しております。

○加藤委員 都内の納骨堂に関する消費生活相談の状況が確認できました。
 特に都内は地価が高く、敷地面積も広く取れないため、納骨堂の設置数が多いことから、今後、札幌市のような運営法人の経営不振によるトラブルが生じる可能性があります。
 折り込み広告などチラシが大量に配布されておりますけれども、使用料金は分かっても、経営状況まではなかなか、それでは分かりませんね。そうしたことから、トラブル防止の周知や、もし今回のような事態が生じた場合でも、これまでと同様、相談者の個々の状況に応じた丁寧な相談、対応をしていただき、都民が安心して納骨堂を利用できるよう求めておきます。
 次に、多文化共生の問題に関し、つながり創生財団の取組について質問します。
 二〇二二年十月現在、都内の在住外国人は五十七万人を超え、この数は全国の約二割を占めており、今後も増加が見込まれます。
 こうした方々の中には、文化の違い、日本語や生活上のルールが分からないなどの理由から、地域とのつながりを持てない方も多いようです。
 また、都営住宅居住者の中には、日本語が分からないことを理由として、生活上のルールを守らないとの声も聞いております。
 東京が今後も発展していくためには、日本人の方、そして外国人の方、双方が交流して、相互に理解し合い、共に活躍できる社会の実現が欠かせません。
 東京都は、二〇二〇年十月に、多文化共生社会づくりを取組の柱の一つとする東京都つながり創生財団を設立していますが、改めて、財団を設立した背景、狙いについて伺います。

○小野都民活躍支援担当部長 在住外国人の増加や都民の価値観の多様化を背景に、東京におけるコミュニティの在り方が変化する中、その活性化を図る必要がございました。
 そのため、それまで東京都国際交流委員会が行ってきた多文化共生社会づくりの取組を引き継ぎ、発展させるとともに、ボランティア文化が定着し、相互に助け合う共助社会づくりを推進するための財団を設立いたしました。

○加藤委員 多文化共生社会と共助社会の大きな二本柱の下、同財団が東京のコミュニティの活性化を図るために設立されたとのことですが、それでは、これまでの取組について伺います。

○小野都民活躍支援担当部長 つながり創生財団では、多文化共生ポータルサイトにより、外国人が生活に必要な情報発信を行うとともに、多言語相談窓口を設置し、区市町村等を支援しております。
 また、コミュニケーションツールである「やさしい日本語」の幅広い活用を促進するとともに、都内の支援団体等とのネットワークづくりを進めております。
 加えて、外国人が地域とのつながりをつくれるよう、町会、自治会支援を通じて、地域の防災訓練など、外国人と日本人が交流する取組などを実施しております。
 さらに、今年度は、ウクライナ避難民に対する支援を充実させるため、区市町村を中心に、社会福祉協議会やNPOなどが集う会議を開催するなど、地域における各分野の連携を進めております。

○加藤委員 つながり創生財団が、外国人が地域に溶け込めるよう、様々な事業に取り組んでいることは理解しましたが、冒頭述べたように、共同住宅内でのコミュニケーション不足やコミュニケーションを忌避するといった課題もあります。
 そこで、こうした取組を発展していっていただきたいと思いますが、今後の展望について伺います。

○小野都民活躍支援担当部長 引き続き、外国人が地域社会の一員として安心して暮らしていけるよう、在住外国人支援事業の充実を図るとともに、区市町村や地域の国際交流協会、NPOなど、都内の支援団体とのネットワークをより一層強化してまいります。
 さらに、ウクライナ避難民支援事業であるポプートヌィク・トーキョーなどを通じて広がった新たな連携を各地域における多文化共生社会づくりへつなげ、都民一人一人が活躍できる社会の実現を目指してまいります。

○加藤委員 多文化共生社会の構築は幅広な取組が必要となりますので、生活文化スポーツ局だけでなく、住宅政策本部や教育庁など、都庁内の各局との連携もよろしくお願いをいたします。
 つながり創生財団のように多文化共生と共助を行う財団は全国的にも珍しいと聞いております。今後は、そうした強みやウクライナ避難民支援の経験を生かしながら、東京はもちろん、日本における多文化共生社会づくりを牽引するような存在を目指していただきたいと要望して、次に移ります。
 共生の問題としてのもう一つの課題として、過去に犯罪をした人を地域が受け入れ、更生を支援することが重要であります。
 刑法犯検挙人員全体に占める再犯者の割合は約五割と上昇傾向であり、地域では、保護司や民間団体などの支援者が、犯罪をした人の社会復帰や再出発を助けるために指導や援助を実施しています。
 取組に当たっては、再犯防止に関する行政の情報や支援機関の情報を活用することが必要です。
 しかし、実際に支援に当たっている方々からは、情報が様々な場所に点在して探しづらい、どのような支援手段があるか分からない等といった声を聞きます。
 そこで、犯罪をした人などの支援者の活動に対して、ホームページなどで再犯防止に関する情報を提供することが必要だと考えますが、見解を伺います。

○油谷治安対策担当部長 犯罪や非行した者の立ち直り支援を実現するためには、地域社会や関係機関が連携しつつ、様々な情報を活用することが重要であります。
 そのため、都は、今月末に再犯防止に関するポータルサイトを新たに開設し、支援者や犯罪をした本人とその家族等を対象に、再犯防止に関連する情報を提供いたします。
 本サイトでは、行政や関係機関の情報を一元化して適切に提供することで、支援者の取組を後押しし、地域の安全確保に寄与してまいります。

○加藤委員 立ち直り支援に当たっては、支援する対象者の様々な状況に応じて、適切な支援方法や支援機関を探すことが必要であります。
 それでは、このポータルサイトを活用することでどのような情報を得られるのか、伺います。

○油谷治安対策担当部長 本サイトでは、支援分野や地域、任意のキーワードなどの検索条件により、三百件以上の支援機関や団体の情報、様々な支援制度を検索することができます。
 また、これまでの相談事例を基に支援方法や連携する機関を紹介することも可能であります。
 あわせて、都や国、都内区市町村等の最新情報を集約して掲載しております。
 このように、再犯防止に資する幅広い情報を提供することで、地域の再犯防止の取組を促進してまいります。

○加藤委員 新たな取組に期待をしております。
 さきの第三回定例会では、更生保護施設の建て替えに対する都の支援策を求める請願の賛同者として私も名を連ね、全会一致で採択されました。
 施設で社会復帰の手助けに取り組むスタッフも、近隣の人を招いて食事会を開くなど、地域との共生にいろいろと取り組まれています。このポータルサイトが、双方にとって活用され、効果が生まれるよう期待をしております。
 次に、都議会公明党が提案しましたスポーツを通じた被災地交流事業についてですが、まず、これまでの取組について伺います。

○山根スポーツ担当部長 都は、震災直後より、スポーツを通じて被災地の子供たちに夢や希望を与える支援を行ってまいりました。
 具体的には、被災した子供たちを東京に招待し、都内家庭でのホームステイや東京の子供たちとの交流試合、国際スポーツ大会の観戦などを実施してきました。
 また、この夏は、オリンピック・パラリンピック一周年記念行事として、被災地の子供たちを国立競技場での記念セレモニーに招待するとともに、これまで交流してきた都内の野球、サッカーチームと交流試合を行ったところでございます。

○加藤委員 私の地元墨田区でも、震災直後より、被災地の子供たちと、この事業を通じて長年交流をしてまいりました。
 参加者からは、震災のことを知ることができた、新たな友情が生まれ、すばらしい思い出ができたと多くの喜びの声を聞いてきました。中には交流事業後も個人的に交流を続けているケースもあり、固い友情が結ばれています。
 この取組は二〇二〇大会を目指して行ってきたわけですが、復興オリ・パラを掲げた東京二〇二〇大会からは一年が過ぎました。
 今後の被災地交流はどのように実施していくのか、伺います。

○山根スポーツ担当部長 震災から十年の節目を迎え、今年度より、会場を東京から復興の進む東北に移し、被災三県と連携した新たな交流事業を開始いたしました。
 まず、八月に、オリンピックの舞台となった福島県あづま球場において、都と三県の高校生による女子ソフトボールの交流試合を実施いたしました。併せて行った震災学習では、震災遺構を目の当たりにした都内の生徒から、自分たちが次の世代に受け継がなければならないと思った等の声が聞かれました。
 さらに、十二月には、宮城県で、小学生による女子サッカーの交流試合と震災学習を予定しております。
 今後とも、被災地に寄り添いながら、スポーツを通じた都と被災地の交流を深めてまいります。

○加藤委員 都内に招く取組から、今後は逆に被災地に出かけていくという取組は、東京の子供たちにとっても新たないい刺激となりますので、今後もできるだけ多くの団体が参加できるよう、拡大をお願いしたいと思います。
 最後に、二〇二〇大会のアーカイブについて質問をいたします。
 東京二〇二〇大会では、残念ながら競技を会場で直接見る機会がありませんでした。そこで、大会の感動や興奮を直接感じることができる貴重なアーカイブ資産を活用し、大会の成果や感動を確かなレガシーとして後世に長く伝えていくことが重要です。
 都が、大会終了後、直ちに都庁舎等において、アーカイブ資産を展示していたことは承知しておりますが、その後の取組について伺います。

○澤崎アーカイブ担当部長事業連携担当部長兼務 都は、さらなるアーカイブ資産等の有効活用のため、昨年十一月、外部有識者から成るアドバイザリー会議を設置し、本年五月に、東京二〇二〇大会アーカイブ資産等活用方針を策定いたしました。
 この方針に基づき、東京二〇二〇大会一周年記念イベントをはじめ多数のイベントで展示を行っております。
 多くの都民、国民の皆様が聖火リレーのトーチやビクトリーブーケを手に写真撮影を行うなど、大会を身近に感じ、感動を新たにする機会となっております。
 これに加え、都内区市町村をはじめ、全国の自治体でも展示できるよう、貸出しを開始したところでございます。

○加藤委員 私の地元におきましても、この展示を子供たちと一緒に見る機会がありまして、トーチを触ったり、表彰台に上ったりと、子供たちは大喜びで写真に収まっておりました。すばらしい取組だと思います。
 すばらしいだけに、この資産の展示は、イベントでの展示という一過性のものではなく、末永く後世に伝えていくべきと考えます。
 都議会公明党は一貫して、都としてアーカイブ資産等を有効に活用できる場を設け、スポーツの魅力を後世に伝えていくべきと訴えてきましたが、都の検討状況について伺います。

○澤崎アーカイブ担当部長事業連携担当部長兼務 現在、都は、活用方針に基づき、都庁第一本庁舎二階のほか、東京体育館、東京都障害者総合スポーツセンター等で常設展示を実施しております。
 また、将来的には、現在改修工事による休館中の江戸東京博物館でも展示する予定でございます。
 江戸東京博物館での展示開始までの間につきましても、関係局と調整の上、都有施設での常設展示の充実に努めてまいります。

○加藤委員 アーカイブ資産本体の展示の際は、資産誕生の背景等、関係者の苦労した点等も併せて伝えていくことが重要です。
 本来なら、誰もが直接会場で得る人と人との触れ合いによる喜びや大会の興奮を支えているスタッフの存在というものを実感できたわけですけれども、残念ながら無観客であったため、分からない状態で大変残念だと思います。
 選手のビデオメッセージを見ましたが、コロナ禍の中、とてもすばらしい大会だったと、一様に皆、称賛をしておりました。
 そして、おもてなしをしてくれたボランティアの活動などにも多くの賛辞が寄せられています。そうした裏方の存在をクローズアップすることも大切です。大会ボランティア、シティキャスト、共に二〇二〇大会の生き証人ともいうべき存在です。
 大会の興奮を、すばらしさを後世に伝える存在としても、この常設の情報発信の拠点においても活用の取組を検討していただきたいと要望します。
 メダルのリサイクルの取組も多くの国民の協力があったわけです。こうしたことから、概要説明パネル等を充実するなど展示方法を工夫し、広く都民、国民が、資産の価値や大会の意義を認知できるよう、しっかりと進めてもらいたいと要望しまして、質問を終わります。

○入江委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時二十二分休憩

   午後六時四十九分開議

○入江委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○とや委員 日本共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
 今日は、私からは、平和行政について、それから、先ほども出ていました幼稚園等の通園バス問題、さらに文化芸術について、三つのテーマについて伺っていきたいと思います。
 まず初めに、平和行政についてです。
 東京大空襲から七十七年、その記憶を後世に伝え、恒久平和を実現していくかどうか、これが私たち都民に問われています。
 第二次世界大戦末期、東京の都内全域でアメリカ軍の激しい空爆がありました。一九四四年十一月から終戦までの十か月間で、それは百回を超えています。アメリカは、木造住宅が密集する市街地に焼夷弾を投下し焼き尽くす、あるいは住宅と工場も一緒に焼き尽くす、これが最適な爆撃方法であると綿密な研究の上に作戦を展開したといわれております。
 一九四五年三月十日の東京大空襲のとき、民間人、非戦闘員が無差別で攻撃をされてきた、この数約十万人が犠牲になりました。国が始めた戦争で無数の国民の命が奪われ、生活が破壊され、多数の人々が心身に深い傷を負いました。
 この間、私ども日本共産党都議団は、繰り返し都として平和の取組の強化をするよう求めてまいりました。その一つが空襲関連資料や証言映像の公開です。
 東京都は毎年三月に、空襲資料展で九人の証言ビデオを公開していますが、実は、そのほかの三百人以上の方々については公開の対象にしていないということで、日の目を見ていません。
 そうした下で、都議会第二回定例会代表質問におきまして、空襲関連資料の公開についてだということで、平和に対する意識が高まっている今、戦争の記憶を風化させないためにも、資料のデジタル化に着手し、より広く活用していくことといたしましたとお答えになりました。
 戦争の記憶を風化させないことの重要性について、まず、都としての認識をお答えください。

○蜂谷文化振興部長 戦争の記憶を風化させることなく、次の世代に語り継ぎ、平和の大切さを伝えていくことは重要でございます。
 そのため、都は、東京都平和の日条例を制定し、毎年継続して、三月十日の記念式典をはじめ東京空襲資料展の開催など、平和関連事業を実施しているところでございます。

○とや委員 平和の大切さを伝えることの重要性を改めてお答えいただきました。
 東京都が証言映像の公開や資料のデジタル化に向けて動き出してくれたことに、ご遺族や都民から喜びの声が届いています。さらにこの取組を加速していただきたいと思います。
 さらに、東京都は、証言映像の公開に向けて、個人情報の取扱いや当事者の意向などを十分踏まえて、慎重に検討をしてまいりますと、このようにも答弁をしております。この進捗状況を伺います。

○蜂谷文化振興部長 今年度の東京都平和の日記念行事企画検討委員会で報告いたしましたとおり、個人情報の取扱いや当事者の意向を踏まえ、慎重に検討することとしておりまして、意向確認等を委託により実施しているところでございます。

○とや委員 現在、委託業者が決まって、聞き取りを行うために意向確認の作業が始まっていると。フォーマットを作成して、検討委員会に諮って作業を進めるということです。
 今年度中にめどがつくようですが、実際にどのような作業をしているのか、業者への委託内容についてもお答えいただきたいと思います。

○蜂谷文化振興部長 委託内容につきましては、映像資料の当事者の意向確認をはじめ、資料のデジタル化の手法や活用方法についての調査等となっております。

○とや委員 証言映像につきましては、知事も、制作から二十年以上が経過しておりまして、将来にわたり継承していくための対策が急務と認識を示しています。
 当事者が今どうしているのか、実際にかなり昔の話ですから、雲をつかむような話にも思えるわけですが、ぜひ三百人を超える方々の所在を突き止めていただいて、そして、ご家族の意向確認を急いでいただくことを求めておきます。
 空襲関連資料や証言映像は、ぜひ広く都民に公開をして、容易にアクセスできるように図書館やインターネットでも公開することが重要ですが、いかがでしょうか。

○蜂谷文化振興部長 公開に向けましては、今年度実施する調査等を踏まえまして、検討してまいります。

○とや委員 調査を踏まえてということですが、せっかく調査をして公開するわけですから、都民の皆さんが容易にアクセスできる環境をつくっていただくようお願いをしておきます。
 貴重な証言映像の公開、戦災資料の収集を通じて、戦争を過去のものとせず、しっかりと検証していくことが重要です。そして、それは行政が責任を持って行うことが求められています。
 先ほど、平和に対する意識の高まりというお話がありました。平和関連の予算の拡充も求められているわけですが、そこで、東京都の平和関連の予算の推移を過去十年分お答えください。

○蜂谷文化振興部長 生活文化スポーツ局における平和関連の予算につきましては、令和四年度の予算は、東京都平和の日記念行事や東京空襲メモリアル事業で三千五百四十七万一千円でございまして、この十年間はほぼ同水準で推移しております。

○とや委員 この十年間、大体三千五百万円ぐらいということでした。率直にいって、ちょっと少ないのかなと思います。
 広島や長崎の予算を調べました。
 広島県では、国際平和拠点ひろしま構想推進事業を進めています。これだけでも二億円の予算を組んでいます。核兵器廃絶に向けた新たな政策づくりでは、国連等と連携してNPT運用検討会議での働きかけ、国際平和のための対話イベント。平和の取組への賛同者拡大と世界への働きかけとして、国際社会等へのアウトリーチ事業、核兵器廃絶と国際平和の実現のために活躍し、平和貢献できる人材を育成する。平和資源の集積機能等を備えた体制の整備も行っています。国際平和拠点ひろしま構想推進のため、構想推進委員会の開催も行っています。
 長崎では、原爆被爆対策部があって、被爆百年の目指す姿を掲げ、被爆者のいるうちにしておかなければならないこと、被爆者のいない時代に備えて今から準備しておくべきことを視点に取組を進めています。原爆資料館の活用の推進、被爆の実相を伝える場の充実や次世代の継承者の育成も行っているということです。記念式典はもとより、県外の原爆・平和展も開催し、平和の文化醸成事業もやっています。原爆資料館の運営費には一億二千万ぐらいかけています。
 東京都は、一般会計だけで十兆円という額を持っています。平和の取組をもっともっと拡充していく必要があると思います。
 戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓って、東京大空襲により、一夜にして多くの尊い命が奪われた三月十日を東京都平和の日と定め、この趣旨を広く都民の皆様に伝えるため、毎年、平和の日の記念式典をはじめ東京空襲資料展の開催、空襲犠牲者名簿の収集など、平和関連事業を実施していますと先ほどお答えになったわけですが、私は、この平和の日記念行事も拡充が必要だと考えます。
 委員の増員、それから、広く都民から意見を聞く機会を設けるということも併せてお答えいただけますか。

○蜂谷文化振興部長 東京空襲関連資料は広く活用してまいりますが、東京都平和の日記念行事につきましては、企画内容が定着し、参加者、来場者からも多くの賛意が得られておりますことから、委員の増員は行っておりません。

○とや委員 ぜひ、資料は広く活用していただきたいと思うわけですが、この記念行事については、もちろん参加者や来場者からは賛意が得られています。それは当然のことです。
 しかし、コロナでなかなか、やっぱり参加が絞り込まれてきたとか、あるいは検討委員会の人数が絞り込まれてきたとかということで、当時の遺族の方や、あるいは戦災を経験した方々にとっては、やっぱりもうちょっと自分たちの声を聞いてほしいというのが実情です。ぜひご検討をお願いしたいと思います。
 最後に、平和祈念館のことです。
 昨年、ちょうどこの時期の陳情質疑の中で、部長が、証言映像は、東京都平和祈念館で展示することを前提として収集、作成したものとお答えになっています。本来、平和祈念館で展示し、広く都民に平和の大切さを知っていただく、これはそのとおりだと思うわけです。
 そうだというのであれば、ぜひ平和祈念館の設立に足を踏み出していただいて、広く都民に証言映像を公開すると同時に、平和祈念館で展示をしていく、その原則に立って、平和祈念館の設立の準備室を立ち上げるべきですが、いかがでしょうか。

○蜂谷文化振興部長 東京都平和祈念館(仮称)の建設につきましては、平成十一年の予算審議において、都議会の合意を得た上で実施することとの付帯決議がなされた経緯がございまして、都議会での一定の審議と合意が必要であると考えております。

○とや委員 東京都が提案をすれば、都議会はきちんと議論の場を設けてやることになります。この答弁でいつもいつも逃げていらっしゃるんだけれども、ぜひ足を踏み出していただきたい。そして、ご遺族や戦災の経験者の皆さんの思いに応えていただきたい。そのことを申し上げて、次の質問に移ります。
 次に、幼稚園の通園バスの件です。
 先ほどもお話がありました静岡の認定こども園で三歳の子が送迎バスに置き去りにされ、熱中症によって亡くなるという痛ましい事故が起きています。幾重にも大人のミスや見落としがあって、決して防げない事故ではなかったんじゃないかと思うわけです。
 この事故だけでなく、この間、保育園や幼稚園、認定こども園など幼い子供が通園する施設で、バスの置き去り、それだけじゃない、行方不明なども起きています。あってはならないことだと思いますが、ここで都の認識を伺いたいと思います。

○戸谷私学部長 幼稚園等において、園児の安全・安心を確保することは重要なことでございます。

○とや委員 幼稚園等において、園児の安全・安心を確保することは重要という認識をお示しいただきました。大事な答弁だと思います。
 こうした認識は、恐らくどの自治体でも、保育施設でこういった事故が起きれば示されていると思うんですね。しかし、繰り返されることに本当に胸が痛みます。東京でこのような事故は起こさない強い決意を持って子供の命を守っていただきたいと思います。
 そこで、まずお聞きしたいのが、保育園や幼稚園の置き去り、あるいは行方不明がなくならないわけですが、これまで東京都は、こうした事故を防ぐためにどのような対応をしてきたのか。また、今回の静岡の事故を受けて、どのような対応をしたのか、お答えください。

○戸谷私学部長 東京都では、送迎バスを運行する場合の留意点を含む園児等の安全管理に係る国の通知を各園に周知し、注意喚起を行っております。
 また、書面にて緊急点検を実施するとともに、実地調査を行っているところでございます。

○とや委員 これまでは国の通知であったと。それを、今回の事故を受けて、国が緊急点検を行うよう指示してきたというものだと思います。同じような事故が繰り返されている現状からの点検だと思います。
 私も、この緊急点検の結果を拝見させていただきました。ヒューマンエラーが原因の事故を防ぐため、送迎バスの安全装置の義務化が予定されているようですが、徹底した検証で子供の命を守ることが求められていると思います。
 そこでお聞きします。
 東京における行き帰りの幼稚園バスの置き去り、保育中の行方不明など、これ、過去何件ぐらいあったのか。また、緊急点検において、事故にまでは至らなかったものの、何らかの見落としがあった事例はありますでしょうか、あれば何件あったのか、お答えください。

○戸谷私学部長 これまで、幼稚園から事故の報告は受けておりません。
 また、今回の緊急点検で、車内で子供の見落としがあったけれども事故に至らずに途中で見つかった経験があると答えた園は二十四園ございました。

○とや委員 重大な事故には至らなかったけれども、二十四件の見落としが確認をされています。これは報告ということですが、実際どうだったのかなと思います。
 幼稚園は、特に、今回の緊急点検でも保育園とかよりも断トツに多くて、送迎バスの導入園は四百二十七園、バスの台数でいえば一千九台というふうになっています。多くの園が送迎バスを活用しているだけに、私立幼稚園などを所管している生活文化スポーツ局としても、徹底した対策を講じていただきたいと思うわけです。
 そこで、今どのような人的配置で幼稚園の運営や送迎バスの運行が行われているかということをお聞きしたいと思います。
 まず、東京都における幼稚園教諭の配置基準と園バスの人員の配置基準をお答えください。

○戸谷私学部長 教職員の配置基準につきましては、国が定める幼稚園設置基準に基づきまして、各学級ごとに、少なくとも専任の教諭等を一人置かなければならないとされております。
 なお、園バスにつきましては、特に基準は設けられておりません。

○とや委員 幼稚園教諭の場合、各学級ごとに一人の専任教諭が配置されなければならないというふうになっていますが、保育園も基準が非常に問題があると思うんですが、幼稚園の場合は、大体、学級規模は三十五人以下が原則で、この基準はやっぱり変えてほしいという声も寄せられているわけです。
 同時に、バスについては基準が設けられていません。これは大きな課題だと思います。この点を東京都としてぜひ重く見ていただきたいと思うわけですが、国に、幼稚園の通園バスの運転手と添乗員の基準、あるいは資格なども定めることを求めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。また、都独自に送迎バスの人的配置基準を定めていただきたいと思うんです。これについてお答えいただけますか。

○戸谷私学部長 幼稚園の人的配置等を行うに当たりましては、幼稚園設置基準というものが大原則になってございます。そういった中で、各幼稚園、必要に応じて、実情を踏まえながら運用しているところでございます。
 各幼稚園の実態につきましては、現在、まさに実地調査を行っているところでございます。

○とや委員 特に送迎バスの問題で今日お話しさせていただいているんですけど、送迎バスについて人的な配置基準がないというのは、やっぱり問題だと思うんですね。ですから、ぜひ国にも設けるように求めていただきたいし、当面、東京都でも人的配置の基準を設けていただきたいということを強く要望しておきます。
 送迎バスの人員の配置基準がない中、東京都として園への指導検査はどのように行ってきたのか、今後拡充の予定はあるのでしょうか。お答えください。

○戸谷私学部長 私立幼稚園につきましては、学校保健安全法に基づきまして、学校安全計画を策定することとなっており、東京都は、適宜状況の確認を行っているところでございます。
 今後とも、必要に応じて確認を行ってまいります。

○とや委員 安全計画は、園全体の安全の確保のために立てる計画で、これ自体大事なものだと思います。一方で、送迎バスは、この計画の中にきちんと項目として位置づけられていないとお聞きしています。
 安全計画の中に送迎バスの項目も入れていただくこと。また、人的な配置について基準がなければ、私、指導検査も難しいと思うんですよね。ですから、ぜひ基準をつくって乗務員を配置してほしいということを要望しておきます。
 次に、マニュアルの問題です。
 事故を防ぐための方法の一つに、マニュアルの作成と徹底があるということです。
 都が調査した結果が出ていますが、幼稚園の四百二十七園中、子供の欠席連絡等の出欠状況について保護者への確認を取っていない園は何園あったのか、マニュアルや記入様式を策定していない園は何園なのか、改めて確認させてください。

○戸谷私学部長 保護者への確認を行わないことがある、または保護者への確認を行わないことが多いと回答した園は二十八園ございました。
 また、マニュアル及び記入様式は策定していないが、任意の方法で行っていると回答した園は八十二園ございました。

○とや委員 保護者への確認を行わないことがあると答えている、あるいは行わないことが多いと回答した園が二十八園もあるんですよね。これは子供の安全確認を徹底するという意味でも、改善していく必要があると思います。
 また、事故を起こした園では、送迎バスのマニュアルも作成していたわけですが、安全対策が十分検証されていないということで、当面の間、このマニュアルの運用は行わないという報道を拝見しました。作成されているからよいというのではなく、やはり人間の目でしっかりと確認することが重要だと思います。
 今回の事故の検証として重要なのが、子供が現に登園しているかどうか確認を怠ったということです。バスの運転手のほかに、事故防止の観点で全ての園が子供の対応ができる職員を同乗させることとしていますが、子供の名前や座席、人数等を確認し、記録している園は三百九十八園にとどまっていました。この緊急点検、アンケート調査だけでなく、直接園に出かけていき、状況を調査すべきだというふうに思います。
 今、実地調査をされているというふうに先ほどもお聞きしましたが、区部や市部は区市が行って、町村部は東京都が行っているということです。作成したマニュアルが機能しているかどうかも検証する必要があると思います。ぜひこうした点も考慮して、区市町村とも連携して調査を行ってください。
 研修をしっかり行って、職員の皆さんが自覚的に降車時の確認、あるいは出欠状況の共有をすることが重要だと思います。そのために研修も重要です。先ほども出ていましたけどね。バス通園における子供の見落とし事故防止につながる研修を園内で実施している園は二百二十二園にとどまっていました。
 都として研修はどのようにしているのか、今後、事件を受けて拡充すべきと考えますが、いかがですか。

○戸谷私学部長 各園において行っている研修に加えまして、東京都は、事故予防の取組強化を目的として、オンライン講習会を開始したところでございます。

○とや委員 このオンライン講習会ですが、オンデマンドで流していただいているということですが、今回、研修は一回目と聞きました。そして、次回は未定と伺いました。
 継続的、系統的に行っていただくことを求めますが、いかがでしょうか。

○戸谷私学部長 現在は、まず迅速に、今回の事故が起こったことを踏まえまして、各園に安全確保、事故防止というものを徹底するために、まず、急ぎ、様々な事例等を含め、オンデマンドで、ユーチューブで流しているところでございます。
 今後につきましては、様々考え方はあると思いますけれども、現在開始して、まずは見ていただくことが大事かと思ってございます。

○とや委員 命がかかっているわけですから、幼稚園の皆さんからよくお話を聞くのは、やっぱり人が足りないということなんですよね。ですから、そうした実情も鑑みていただいて、当面できることとして、研修については継続して行っていただきたいということを求めておきます。
 静岡では、ふだん乗っていない前園長が運転して子供を見落としてしまったわけですが、調査結果では、通常運転、同乗する者とは別の者が通園バスを運転、同乗する場合に、確認内容の手順等の引継ぎを行っているかどうかの調査では、四百七園が行っていますと答えているんですが、二十園が行っていないという結果となっているわけです。
 今後どのように強化をするのか、お答えください。

○戸谷私学部長 現在、各園で行っている実地調査において状況を確認しているところでございます。

○とや委員 調査をしていただいて、実地調査というのはとても大事だと思うんですけれども、ただ、やっぱりその後のことを見通していただきたいなと思うんですね。それがきちんと徹底できていなかったこともあって、事故が繰り返されているんじゃないかなと思うんですね。
 先ほどお話がありましたが、子供を失った親の気持ちになれば、やっぱりこれはもう早急に対策を立てていただきたいというふうに思います。
 運転手の確保が難しい、あるいは資格を持った職員を同乗させるための人件費の負担という実態があります。
 都として支援はあるのでしょうか。なければ創設して、子供の命を守ることを優先していただきたいと思いますが、いかがですか。

○戸谷私学部長 東京都は、私立幼稚園経常費補助などを通じまして、私立幼稚園における教職員の人件費等を含む教育活動に要する運営費の一部を補助しているところでございます。
   〔とや委員「経常経」と呼ぶ〕

○入江委員長 挙手をお願い。

○とや委員 はい、失礼。経常経費補助には、私立幼稚園における職員の人件費や運営費の一部を補助する制度があるんですけれど、資料を拝見しますと、幼稚園はほかの学校よりも本当に少ないんですよ、低いんですよね。これは、やっぱり引き上げていく必要があるなというふうに思います。
 同時に、バスの補助だとか支援はこの中に入っていません——あ、あった。幼稚園は一人当たり二十一万六千円しかないんですよね。この中からバスの運転手の確保だとか、あるいは乗務員の確保のためのお金を引き出す、捻出するというのは、事実上無理だと思います。
 そこを考えれば、やはりここに焦点を当てた支援が必要なんじゃないかと思います。これがないから、運転手も添乗する職員も雇用できなくて、臨時でお願いして、また事故が起きてしまうという可能性が出てきてしまいます。
 生活文化スポーツ局が、子供の命を守るという立場で再発防止に取り組んでいただきますよう重ねて求めて、次の質問に移ります。
 文化芸術の問題です。
 文化や芸術の発展は、豊かな人間性を育み、社会の進歩に欠かせないものです。また、芸術文化を自由に創造し享受することは、国民の基本的な権利であり、その条件を整えることは行政の責任であり、政治の責任でもあると思います。
 中長期的に文化の灯を絶やさないことが重要だと考えますが、いかがでしょうか。

○蜂谷文化振興部長 都は、芸術文化の灯を絶やさない取組を進めてきておりまして、様々な文化事業を実施するとともに、アーティストに対する助成事業などを実施して、芸術文化活動を幅広く支援しております。

○とや委員 コロナ禍の下で、芸術文化の分野は、特に小さな劇団などは大きな痛手を負っています。
 第七波で多くの文化や芸術関係者が困難に陥ったというふうに私たちは聞いているわけですが、今、部長にお答えいただいた文化の灯を絶やさないことはとても重要だと。都としても様々な事業を実施しているということですが、それにふさわしい取組をお願いしたいと思うんです。
 この間、演劇緊急プロジェクトの皆さんが、舞台芸術に携わる全ての人の実態調査アンケートに取り組んだんですけれど、インターネット調査で、八月中旬から九月中旬まで一か月間に八百七十二件の回答があったとのことです。それによると、第七波、今年六月以降の公演の中止や延期を経験した人たちが約五割にも上っております。
 コロナ禍、小規模な芸術文化団体等から不安や心配の声が寄せられていると思いますが、東京都として、関係者からどのような声を聞いていらっしゃいますか。

○宮永文化戦略推進担当部長 今年八月に、現場の声を聞くため、芸術文化団体等とのネットワーク会議を開催し、コロナ禍の厳しい状況などの声をいただきました。

○とや委員 先ほどご紹介したアンケートに、公演が中止や延期になったときの思いが回答されています。泣くしかなかった、むなしい、悲しい、残念、やるせない、申し訳ないとつづってくださった方、これまでの金銭的、体力的、精神的な努力が全て無駄になってしまった気がする、すぐに再演など不可能と分かっているので、世の中に生み出されない、なかったものとされることになる、やりきれない、芸術家として作品を世に出せない、待っている観客に届けられない悔しさと、純粋に仕事、収入がなくなったことの困窮、劇場入りしてから、これからゲネプロのときに感染者が判明、全ての経費を支払わなければならず、助成金だけでは賄い切れず赤字となった、何とか資金をやりくりするが、すがるもののない絶望感は今も続いていると。
 フリーランスと思われる方からは、ワンステージ支払いの場合、出演予定だった分のギャランティーが支払われるのか不安、そして中止が決まって、すぐさま相談できる空気でもないため、時間をなるべく空けたくないが空気を読んでしまう、もう一度舞台をやろうと思う気持ちが薄くなる、こう述べていらっしゃいます。
 また、本番ステージに出た回数掛ける手当が報酬額のため、公演がなくなった段階で稽古場までの交通費や稽古期間の食事代も全て負担している、時間的拘束もあるため、その期間を無駄にした感覚が強い、俳優という仕事を全うできなかったというお客様や仕事関係の方への自責の念も強い、周りの俳優やスタッフさんがどんどん辞めていく不安もあると。
 時間をかけ自分自身の全てをかけて表現しようとしていたものが中止になった無念さや悔しさ、精神的打撃と経済的、金銭的打撃、一度の中止が後々まで尾を引いていることがつづられていて、胸が痛くなる思いでおりました。(「質問しなよ、早く。みんなの時間なんだから」と呼ぶ者あり)何なんですか。(「質問しなよ。」と呼ぶ者あり)

○入江委員長 静粛に願います。

○とや委員 委員長、伊藤委員の不規則発言、やめさせていただけませんか。

○入江委員長 静粛に願います。
 質問を続けてください。

○とや委員 文化芸術を生み出しているこうした方々の思いを酌んだきめ細かい支援が求められています。
 金銭的打撃という点では、アンケートの集計でも、これまでの中止や延期により、三分の二の方々が個人負担をしており、団体の負担額は、三分の二の団体が百万円以上、そのうち半数が五百万円以上だとの回答でした。
 中止や延期した公演の年内の上演は可能だとの回答は一割以下です。来年度以降の公演に影響がないとの回答も一割以下です。予定どおり公演できないと後々まで影響が続くということが表れているわけです。
 緊急事態のときは支援があったけれども、大きく感染が広がった第七波以降で、東京都としてどのような支援をしていらっしゃるのか、お答えいただけますか。

○蜂谷文化振興部長 都では、芸術文化団体等の協力を得て、様々な文化事業を実施するとともに、アーティストに対する助成事業などを実施して、芸術文化活動を幅広く支援しております。

○とや委員 様々な文化事業を実施し、アーティストに対する助成事業も行ってきたということですが、一番困難を強いられた第七波に対応した事業はないわけです。
 例えば、アートにエールを事業、やっていただきました。二〇二〇年度から行われましたが、個人型では二万七千二百四十九人、ステージ型では第一回で千四百七十件の応募がありました。これは、私たちも当事者からお話を聞いていまして、やっていただいてよかったという評価が出てきましたが、結局、もう終わってしまっているわけです。
 演劇関係者からは、好きなことをやっているのだから仕方ないという考え方もあるけど、コロナ禍で人と人とのつながりが希薄になっている今、人と人とをつなげる役割を持っているのが芸術だと、文化だと、社会的な位置づけを強めてほしいんだと話していらっしゃいました。
 この業界の皆さんは、第七波の七月から八月は公演中止が相次いだそうです。先ほども紹介しましたが、この数でいいますと七十七公演にも上っています。しかも、これは全体の一部です。
 そして、中止になった場合などに文化芸術団体や劇場の負担はとても大きく、都としてコロナ禍でも活動を持続させることが今とても求められている、重要だと考えますが、いかがでしょうか。

○蜂谷文化振興部長 都では、コロナ禍にあっても文化の灯を絶やさないよう、芸術文化団体やアーティストに対する助成事業などを実施して、芸術文化活動を幅広く支援しております。

○とや委員 文化の灯を絶やさないよう幅広く支援しているというふうにおっしゃるんですけど、いただいた資料を拝見させていただきましたが、例えば文化事業の推進でいえば、二〇一八年あたりだと三十三億円あったものが、今年度の予算計上では二十一億円と減ってしまっています。
 コロナで増減はあるんですけれども、ちょっとあまりにも減り方がひどいんじゃないかなというふうにいわざるを得ません。ぜひ、本当に文化の灯を絶やさないために、支援を強化していただきたいと思います。
 東京都は、コロナ禍、地域での振興につながる芸術文化活動を対象に、芸術文化魅力創出助成が今回開始されたわけですが、この問題について伺いたいと思います。
 まず、その実績を伺います。

○宮永文化戦略推進担当部長 芸術文化魅力創出助成につきましては、五月に実施いたしました第一期の募集で申請のあった百二十七件の中から四十一件を採択いたしました。
 なお、第二期の募集につきましては、採択に向けて審査を行っております。

○とや委員 ありがとうございます。今審査を行っているというお話でした。
 ホームページを拝見させていただきましたが、多様な芸術創造活動とその担い手を支えると。そして、官民一体となって世界に誇る芸術文化都市の実現を目指すというふうにありました。すごくたくさんのジャンルが記載されておりまして、特定のジャンルにとらわれない芸術活動が対象となっているということでした。
 これを今審査中ということですが、今後も続けていっていただきたい。そして、募集の枠も広げていただいて、支援を拡充していただくよう求めておきます。
 また、東京都は、地域の実情を踏まえて区市町村との連携を深めるために、十一月には連携に向けた会議が開かれるということです。この内容についてお答えください。

○蜂谷文化振興部長 都と区市町村の共同による文化事業の展開などについて情報共有を行う予定でございます。

○とや委員 明日行うというふうに聞いていますが、これは、六本木アートナイトなどがそれに当たるそうですが、地域に根差し、魅力ある文化芸術の取組もぜひ広げてほしいと思います。
 今年六月には、だれもが文化でつながる国際会議が開催されました。私も出席させていただきました。東京藝術大学や海外からの来賓も出席して、共生社会についての議論も行われたようです。
 今後の取組についてお答えいただけますか。

○宮永文化戦略推進担当部長 だれもが文化でつながる国際会議では、障害者の鑑賞サポートなど、国内外の先進事例を共有、発信することができました。
 引き続き、芸術文化による共生社会の実現に向けて取り組んでまいります。

○とや委員 この国際会議、意義あるものだと思います。国籍や民族などの違い、障害のあるなし、こうした違いを超えて文化でつながる可能性を示したものだと思います。
 文化芸術団体の方々とお話しした際、関係者の事務所や稽古場など、横の連携ができる場所について要望がありました。このとき、東京都の施設などを利用して、文化や芸術関係者が交流し、情報共有する場から世界へアートの発信もできるんだ、世界から来る人を受け入れることもできるという夢のある話でした。今お話しいただいた、この国際会議の内容にもつながるんじゃないかなと思いました。
 そこでお聞きしますが、文化戦略では、アーティストや芸術団体等が継続的に活動できる仕組みをつくることを掲げています。
 三月のアオヤギ委員の質問に対し、稽古場、アトリエなどの創作環境の提供につきましては、今後、具体的な検討に着手するとお答えになっていますが、検討状況について具体的にお答えください。

○宮永文化戦略推進担当部長 稽古場、アトリエなどの創作環境の提供につきましては、検討を進めております。

○とや委員 まだ検討だということです。早くこの検討を進めていただいて、場所を確保していただいて、多くの関係者の皆さんが交流できる場所を確保していただきたいと思います。その際は、ぜひ関係者の意見を取り入れていただくよう要望しておきます。
 また、文化戦略では、若者が主体的に芸術文化を体験する取組が位置づけられています。私たち、この関係者からお話を聞いたときに、内閣府が行った調査についてお話がありまして、若い人たちが今、孤立感を深めていると。そういう中で、やっぱり芸術の果たす役割の重要性についてお話しいただきました。
 次世代を育成していくという点も重要だと思います。そのためにも、気軽に若者が文化や芸術に触れる機会を増やしていただきたいと思います。
 都立施設の料金体系の見直しも記載されていたわけですが、どのような方向で検討されているのか、お聞かせください。

○石井文化施設改革担当部長 料金体系は、趣旨、目的、対象と効果、収支への影響等を踏まえて、総合的に判断すべきものと考えております。

○とや委員 それはそうなんですけど、若い人たちが気軽に文化に触れる機会を提供するということを文化戦略に書き込んだわけですから、早期に具体化していただきたいというふうに思います。
 東京都は、都立美術館をはじめ、優れた作品を展示する施設があります。私も昨年は幾つかの展示会、企画展へ行かせていただきました。ゴッホ展、あるいは今年はフェルメールとオランダ絵画展、それからボストン美術館展も行かせていただきました。
 本当に大変な年月をかけながら——ボストン美術館展は一回駄目になっていますから、ご苦労があったんじゃないかなと思います。海外からの作品を日本に持ってくること自体、とても慎重さも要りますし、計画性も必要とされるということも聞いています。
 だからこそ、多くの都民の人たちにそれを享受してもらいたいし、特に若い人たちが身近に文化芸術に触れる機会を増やそうという都の取組、とてもいいと思っています。
 それには低廉な入場料が不可欠であります。ぜひこの点を考慮して、文化芸術に今後も力を入れていただくことを要望しまして、質問を終わります。

○阿部委員 本日は、事務事業質疑ですので、生活文化スポーツ局の事業概要に沿った形で確認や質問を行い、また、若干の意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず初めに、「やさしい日本語」について伺います。
 東京都の人口の四%を外国人が占め、英語の話者よりも日本語の話者の方が多いという調査結果が出ています。簡易な表現や表記を用いるなどして、日本語に不慣れな外国人にも分かりやすい「やさしい日本語」で必要な生活情報を発信していくことが、当事者だけではなくて、行政や社会にとっても合理的であろうと思います。
 そこでまず、「やさしい日本語」の活用を促進するための東京都の取組について伺います。

○小野都民活躍支援担当部長 「やさしい日本語」は、外国人とのコミュニケーションツールとして、生活の様々な場面で活用が広がっていくことが必要でございます。
 そのため、都は、コロナや防災に関する情報等を「やさしい日本語」で発信しております。
 また、活用事例等をウェブなどで周知するとともに、庁内各局や区市等を対象とした研修を実施するなど、活用促進に取り組んでおります。

○阿部委員 コロナ、あるいは防災に関する情報を「やさしい日本語」で発信されているのは拝見をいたしました。ただ、その他の分野では、まだこれからという印象です。
 各部署のその時々の判断に任せるのではなく、最低限伝えるべき情報については、確実に活用していくというアプローチが必要ではないかと思います。
 また、「やさしい日本語」は、外国人ばかりではなく、知的障害や読字障害のある方々にも理解しやすくなる可能性があります。分かち書きやピクトグラムなどを含め、より広い範囲の方々に行政の情報が届くよう、工夫を重ねていただきたいと思います。
 また、この「やさしい日本語」を使っていくその前提として、ある程度の日本語教育が地域の中で行われていることと、きっとセットになっていくものだと思います。それぞれの民族が母国語を守るのはとても大切なことですが、自分の住んでいる国の言葉をある程度理解することも、暮らしの利便性を高めるものです。
 私自身も、ポーランドに赴任をいたしまして、すぐにワルシャワ大学の外国人向けポーランド語教室に夜間通いました。そのおかげで、三か月ほどで何とか個人商店で買物をしたり、ご近所の方と簡単な意思疎通ができるようになりました。こうした学習機会は、外国人が暮らす全ての都市に必要なものだと思います。
 地域日本語教育の推進として、東京都は、多文化共生社会の実現に向けて、令和四年度版日本語教育推進の考え方をまとめました。この考え方に基づく具体的な取組、特に地域の日本語教室への支援状況をお伺いいたします。

○小野都民活躍支援担当部長 都は、地域において日本語教育を推進する仕組みづくりや日本語教室で活動するボランティアの育成など、区市町村等が取り組む事業を支援しております。
 また、つながり創生財団の東京日本語教室サイトで都内日本語教室の情報を発信するなど、支援をしております。

○阿部委員 この地域の日本語教室、立地にはまだまだ偏りがあると認識をしております。
 また、例えば私の地元であります品川区では、日本語能力がゼロに等しい外国人に日本語教育を行うことができる高いスキルと実績を持ったIWC国際市民の会という団体がありますが、手弁当に近い状態で長年運営をされており、これからの時代、ボランティアの善意や熱意に頼るだけでは、都内で広げていくことはなかなか難しいのではないかと思います。新たな活動を生むためにも、既存の活動をしっかりと支えていっていただきたいと思います。
 さて、ロシアによるウクライナ侵攻から八か月余りがたちました。この間、少なからぬウクライナ避難民が日本に入国をしてきています。
 現在の東京都内のウクライナ避難民の人数と対応、そして、今後の支援内容の見通しをお伺いします。

○小野都民活躍支援担当部長 出入国在留管理庁によりますと、十一月一日現在、東京都内に在留の届出をしている避難民は五百二名でございます。
 生活文化スポーツ局では、相談窓口を設置するとともに、避難民等からニーズや困り事を聞き取り、区市町村などの支援策につないでおり、引き続き対応をしてまいります。

○阿部委員 当初考えられていたよりも戦争が長引き、また、エネルギー関連施設が破壊されたことなどから、ウクライナ政府も国外避難者に対して、冬の間は帰国をしないようにというような呼びかけもあります。
 避難が長期化する中で、避難者が生活の糧を得ていくことが大切になっています。避難者の就労支援と日本語学習支援の現状について伺います。

○小野都民活躍支援担当部長 就労や日本語学習などの相談があった場合にも、必要な情報を提供するとともに、適切な機関につないでおります。

○阿部委員 ウクライナからの避難民は、ビザの関係で日本国内の就労にほとんど制限がありません。これは非常に大きなメリットで有利な点だと思います。しかし、日本語ができない等の理由で、ハローワークを通しての就労は実際にはかなり困難であると聞いております。
 一方、個人的には、例えば英語学童保育のスタッフなどとしてご紹介した場合には、割とすぐに決まっていくというような現状もありますので、ぜひ、本人の能力や経験を踏まえたより丁寧なマッチングを期待したいと思います。
 ところで、今年は、旧統一教会の問題も注目を集めております。
 まず、宗教法人の全国の法人数と知事所管の法人数を確認したいと思います。

○馬神都民生活部長 全国の宗教法人数については、文化庁によると、令和二年十二月三十一日現在、十八万五百四十四法人でございます。
 都所管の宗教法人数については、令和四年四月一日現在、五千七百五十三法人でございます。

○阿部委員 全国で十八万以上、また、東京都所管分だけでも六千近く、無宗教の人が圧倒的に多いといわれている日本で、本当にそんなに多くの宗教団体にそれぞれ信者がいて、信仰が寄せられているのか、にわかに信じがたい数字ではあります。また、それだけ多くの法人に税制上の優遇措置が与えられているということでもあります。
 続いて、東京都所管の宗教法人の過去五年間の新規設立数、また、解散の件数とその理由も伺います。

○馬神都民生活部長 都における過去五年間の新規設立件数については、平成二十九年度は三件、平成三十年度は二件、令和元年度は七件、令和二年度は二件、令和三年度は一件でございます。
 解散件数については、平成二十九年度は三件、平成三十年度は四件、令和元年度は一件、令和二年度はなし、令和三年度は一件であり、いずれも信者の減少などによる任意の解散でございます。

○阿部委員 任意解散以外で解散がないとのことです。旧統一教会の問題ももちろんですが、宗教法人を舞台にした刑事事件や民事事件は、報道されているだけでもかなりな数に上ります。社会的に問題がある法人に税制上の優遇措置を与え続けることは、かなりの違和感があります。
 東京都には宗教法人に対する質問権があり、また、この行使については、まさに国でも議論をされているところです。真っ当な宗教法人への社会的信頼を守るためにも、しっかりとした対応を取っていただきたいと思います。
 次に、配偶者暴力について伺います。
 これについては、従前より質疑もありましたので、重複するところは割愛をしながら伺っていきたいと思いますけれども、配偶者暴力の現状は依然深刻であります。警察への全国の相談件数は、十八年間連続最多を記録しております。相談者の約八割は女性です。
 こうしたDV被害に対して、被害が起きてからの被害者支援だけでは、なかなか間に合わないのではないか、DV被害そのものを減らす、つまり加害者を減らす取組、特に加害者の認知のゆがみに対するアプローチがとても重要です。
 この加害者プログラムに対しては、先ほどもご答弁がありましたので、質問としては割愛をいたしますけれども、一歩前進というところで期待をいたしているところです。
 しかし、国や東京都では、もう二十年近く前にも、DV加害者への更生プログラムが検討されながら、時期尚早として見送られた経緯があります。どうもこの国では、女性の安全や尊厳を守ろうとする動きに強い抵抗があるように感じます。
 今回は、同じ轍は踏まないでいただきたいと思います。たとえ国が腰砕けになっても、東京都ではしっかりとプログラムをつくり、それを展開できるだけの仕組みをつくっていく。そして、関係機関や事業と有機的に連動しながら、この問題を根本から改善していっていただきたいと思います。
 次の配偶者暴力相談支援センター、ウィメンズプラザに関する相談も、先ほど質疑がありましたので、飛ばしていきます。
 ただ、ウィメンズプラザでの相談だけではなくて、やはり東京都内広い中で、市区町村で、身近で相談をする場所が必要であるかと思います。
 そこで、自治体の、各市区町村での配偶者暴力相談支援センターの開設状況についてもお伺いしたいと思います。先ほど十七件というお話がちょっとあったような気がするんですけど、もう一度、数を確認したいと思います。よろしくお願いいたします。

○樋口男女平等参画担当部長 区市町村における配偶者暴力相談支援センターについてでございますが、現在十八区で整備されております。

○阿部委員 ありがとうございます。少しずつ増えてきているというふうに受け止めました。
 ただ、まだまだ不十分であろうかと思います。特に先ほどもご指摘がありましたように、やはり多摩エリアで開設がない状況というのは、早急に改善が必要であろうと思っております。
 配偶者暴力相談支援センターの設置は、必ずしも箱物を造る必要はありません。むしろ、専門家の確保を含めた人と仕組みの問題であろうと思っております。
 DV被害に関する相談支援が自治体によってばらつきが出ないよう、より積極的な支援を求めたいと思います。よろしくお願いいたします。
 さて、私は、品川の区議会議員時代から痴漢防止対策の強化を訴えてまいりました。といっても、区レベルでできることは限られており、都議会でぜひ進めていきたいと考えております。
 ところが、警視庁、都民安全、交通局、教育庁、その他関わる部署、いろいろとお話をさせていただきましたけれども、どうも全体の動きがつかめない状況です。
 痴漢防止対策は、都民安全推進部の所管としては、身近な犯罪の防止対策のうちの女性に対する犯罪の防止対策、それの中のさらに一部と聞きました。
 そこで、身近な犯罪の防止対策に係る予算及びそのうち女性に対する犯罪の防止対策に係る予算を確認したいと思います。

○油谷治安対策担当部長 身近な犯罪の防止対策に係る予算額は八千八百五十八万五千円であります。このうち女性に対する犯罪の防止対策に係る予算額は百九十二万五千円であります。

○阿部委員 では、女性に対する犯罪の防止対策の事業内容はどのようなものでしょうか。

○油谷治安対策担当部長 女性に対する犯罪被害防止のノウハウを持つ民間団体と連携し、被害の前兆を把握した際の実践的な対応などを学ぶ講習会を実施しております。
 加えて、女性に対する犯罪被害防止リーフレットを作成し、区市町村の窓口や警察署、学校等を通じて配布し、女性の防犯意識の向上に努めております。

○阿部委員 講習会と、あとはリーフレット、内容も見せていただきました。女性の防犯意識の向上、すなわち被害者になるかもしれない側への心がけを求めているものです。
 痴漢被害は、被害者の心と人生に大きな傷を残しかねないものにもかかわらず、加害者の罪の意識が極めて低いことが指摘をされております。防止対策、予防教育が極めて重要であるにもかかわらず、どの部署もそこに十分なエネルギーを投入していません。
 都民安全だけで今それをやれというのは、これは無理な話ではないかと思います。今の人員で、昔ながらのリーフレットを印刷する程度の予算では、なかなかこの問題に正面から取り組むことはできないのではないか。
 問題は、この東京都に、抜本的な痴漢予防対策を行っていくための組織またはプロジェクトが存在しないということではないかと思います。この問題は一般質問等でも取り上げていきたいと思います。よろしくお願いします。
 次に、健全育成条例に基づく指定図書の扱いについて伺います。
 青少年健全育成審議会に諮問された図書の数と実際に指定された図書の過去三年間の数を伺います。

○米今若年支援担当部長 東京都青少年健全育成審議会に諮問した図書類の数は、令和元年度が十六冊、令和二年度が十四冊、令和三年度が十六冊であり、不健全図書類と指定した図書類の数も同じでございます。

○阿部委員 つまり、諮問された図書の数と指定された図書の数が毎年同じ。審議会に諮問するという手続を取っているものの、事実上、選定段階で指定図書が決まっているということになります。
 では、諮問する図書を選定するための具体的な体制、人数、選定プロセスを伺います。

○米今若年支援担当部長 青少年健全育成審議会の諮問に当たりましては、図書類の調査購入、諮問候補図書類の選定、自主規制団体からの意見聴取という過程を経ており、現在、六名の職員が対応しております。

○阿部委員 毎回九十冊から百冊程度の図書類を購入しているとのことですけれども、自主規制団体からの意見聴取を行う前の段階で、既に諮問候補図書数にまで絞られていると聞きます。それでは意見聴取のプロセスも形骸化していることになります。
 六人の職員で指定図書を選んでいる状態です。また、六人の職員のジェンダーバランスにも偏りが見られます。こうした状況では、このプロセス自体が相当に形骸化しているのではないかといえます。
 その上でお伺いします。
 諮問する図書を選定する基準が曖昧で、裁量の余地が過大であるとの指摘もありますが、見解をお伺いいたします。

○米今若年支援担当部長 審議会に諮問する図書類は、東京都青少年健全育成条例第八条に基づき、条例施行規則第十五条に定める基準に該当するものを選定しております。
 また、より慎重な手続を経るため、諮問する図書類につきましては、条例第十八条の二第二項に基づき、自主規制を行っている各団体から意見を聞いております。

○阿部委員 今のご答弁ですが、自主規制を行っている各団体から意見を聴取するというプロセスを経ることによって冊数が変わらないというのでは、より慎重な手続とはいえないのではないかと思います。
 ところで、青少年にとって不健全との判断が、書店での取扱い中止によって、事実上、全年齢に対する取扱い中止になっていることへの見解も伺います。

○米今若年支援担当部長 青少年健全育成条例の不健全図書類に関する規定は、十八歳以上の方への販売等を一切規制するものではございません。
 不健全図書類は、青少年の目に触れることがないよう、青少年への販売、閲覧等の禁止や区分陳列を義務づけられているものでありますが、十八歳以上の方への販売につきましては、事業者の自主的な判断に基づくものと承知しております。

○阿部委員 私は、子供たちが育つ環境づくりのために大人が責任を果たしていこう、そういう目的で何かをしていくということは価値があることだと思います。
 しかし、今行われている制度、この今行われている指定のプロセスは、客観性を担保するための要件が極めて形骸化をしております。形骸化したプロセスの中で、特定の図書類が取扱い中止、事実上の発禁になることは、別の意味で危険です。そもそも指定図書制度自体が形骸化しているのではないか、抜本的な見直しのアクションが必要ではないかと指摘をしておきます。
 次に、電動キックボードですけれども、これについても先ほど質疑がありましたので、意見だけ述べさせていただきたいと思います。
 ここ一、二年、地元品川区周辺でも、電動キックボードを利用している方の姿を見かけるようになってきましたが、総じて危険なシーンが目立ちます。電動キックボードは車輪が小さく、転倒しやすい構造にもかかわらず、国が次々に安全対策を緩和してきました。そして、九月には初の死亡事故も起きました。
 まち中では、二人乗りや信号無視などの違反をしばしば目にします。メディアや業界団体からも危険性を指摘する声が相次いでいます。都民の安全を守る立場で努力をしていただきたいと要望をしておきます。
 続いて、商品の安全についてお伺いいたします。これは消費生活の方ですね。
 商品等による危害、危険に関する調査として、令和三年度は六件の調査を行ったと事業概要にありました。どのような内容であったのかを伺います。

○片岡消費生活部長 令和三年度は、カップ麺による子供のやけどやペットボトルの安全性、子供の歯ブラシの使用実態等に関する調査を実施いたしました。

○阿部委員 いずれも生活に根差した貴重な成果だったと思います。一部マスコミなどにも取り上げられたというふうに認識をしております。
 それだけに、年間六件の調査というのは少々寂しい気がしておりまして、ここはぜひ力を入れていただきたい分野です。予算と人員を確保して、より多岐にわたる調査を行い、都民にその成果を還元していただきたいと望みます。
 ところで、こうした調査の結果を都民にどのように伝えているのか、情報提供の対象や手段についてお伺いをいたします。

○片岡消費生活部長 調査結果につきましては、プレス発表を行うとともに、消費生活行政のホームページ、東京くらしWEBで広く周知しております。
 また、調査結果に基づいた注意喚起情報をホームページやSNSで積極的に発信しております。
 さらに、昨年度は、保護者向けのリーフレット、誤飲等による乳幼児の事故防止ガイドを、都内の保育所、幼稚園等約六千か所に配布いたしました。

○阿部委員 いろいろ工夫されていることは分かりました。ただ、事故防止の情報を知りたくて行政のホームページを見る人はほとんどいないのではないかと思います。区市町村とも連携して、地域センターや福祉施設などにも行き渡るとよいのではないかなというふうに思います。
 特に乳幼児の死亡原因の上位は不慮の事故が占めている、年々数は長期的に減ってきてはいるけれども、やはり上位にあります。保護者向けの広報は有効だと思います。
 特に乳幼児の保護者は安全情報に敏感ですので、ぜひ各自治体と連携をして、両親学級や、あるいは子育てイベント等、様々な場面でQRコードをPRなどして、今の若いご両親たちは非常にスマホを使っての情報収集にたけておりますので、ぜひその方面でさらに力を入れていただければと思います。
 ところで、この商品等の安全に関する情報は、誰にとっても有用なものです。視覚障害や知的障害、読字障害など障害のある方に向けて、どのように伝えているかもお伺いいたします。

○片岡消費生活部長 事故を防止するためのリーフレットは、イラストを多用するなど、誰にでも分かりやすい内容となるよう工夫しております。
 また、視覚障害等の方を対象に、東京くらしWEBは音声読み上げに対応しているほか、暮らしに役立つ都民向け情報誌、東京くらしねっとの音声情報のCDを年六回発行しております。

○阿部委員 一定の努力をされていることは分かります。ただ、イラストを多用するだけでは、誰にでも分かりやすいとまではいえないのではないでしょうか。特に大切な部分は、冒頭に取り上げた「やさしい日本語」、あるいは分かち書き、ピクトグラムなども使うなど、より多様な都民を想定して情報提供していただければと思います。
 さて、知的障害や発達障害がある人たちが悪質商法などに狙われやすい、巻き込まれやすいことが指摘されています。学校や就労移行支援施設、グループホームなど、様々な場で予防の取組が必要だと考えております。
 知的障害のある子供が通う特別支援学校でも、消費者教育をぜひ進めてもらいたいと思っておりますけれども、消費者教育について特別支援学校ではどのような支援を行っていらっしゃるでしょうか。

○片岡消費生活部長 特別支援学校における消費者教育の支援としましては、授業で活用できるように、お金の使い方や契約トラブルについて学べるウェブ教材を作成、公開しております。
 また、東京都消費者啓発員、コンシューマー・エイドによる出前講座や、悪質商法への対応策等を落語で分かりやすく伝える出前寄席を、特別支援学校からの求めに応じて実施しております。

○阿部委員 私も教材については拝見をいたしましたけれども、まだもうちょっと工夫の余地があるかなというふうに考えております。
 また、消費者庁の方でも最近新しい教材を出しましたので、ぜひ、いろいろ連携をしたり、あるいは情報を収集しながら進めていただきたいと思います。
 この子たちが学ぶ場、やはり支援学校の中でどれだけこうした知識をつけていくことができるかというのが卒業後の人生に大きく関わりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、東京都計量検定所について伺います。
 計量検定所、専門技術の確保と継承をどのように行っているのか、まず確認をさせてください。

○片岡消費生活部長 東京都計量検定所では、計量法に基づき、適正な計量器の供給、維持等のための施策を担っておりまして、計量事業に携わる職員には、検定、検査等に係る専門知識と高度な技術が必要でございます。
 知識、技術水準の確保と継承のために、所内においてベテラン職員によるOJTや、一定期間ほかの担当の職務を経験する交流実習等を実施するとともに、国の研修機関による技術講習や計量士の資格取得の奨励等を行っております。

○阿部委員 高度な技術が必要であると思っております。異動などにも配慮していただきたいと思います。その上で、公正な取引を支えるための技術の維持向上も、今後も努めていただきたいと思います。
 ところで、この計量検定所を生活文化スポーツ局の所管としている意味についてお伺いをしたいと思います。

○片岡消費生活部長 適正な計量の実施の確保は、消費生活の安定と向上に資することから、東京都計量検定所を生活文化スポーツ局において所管しています。

○阿部委員 そのご答弁も分かるんですけれども、ただ、計量検定所、国の主管官庁は経済産業省ということで、また、業務の相手方は消費者というより、むしろ事業者であって、また、他県の状況を見ても、産業系の部署に置かれていることが一般的かなというふうに思っております。
 過去の経緯から今この状態になっているというのは分かるんですけれども、より効率的な都政のためには、特段の支障がないのであれば、所管の見直しも視野に入れてもいいのではないかなというふうに思っております。
 次に、私学行政について伺います。
 生活文化スポーツ局の歳出予算約二千七百億円のうち、私学行政に関わる予算が約二千百三十億円と八割を占めております。私立学校でも公立学校でも、家計の状況によらず学びの場が選べるよう、引き続き十分な、そしてきめ細かな支援が必要だと考えております。
 また、今般のコロナ禍で経済状況が急変した家庭も少なくなかったのではないかと思います。
 まず、奨学給付金利用の過去五年間の推移とコロナの影響についてお伺いをいたします。

○戸谷私学部長 東京都では、私立高校等における授業料以外の教育費負担を軽減するために、低所得世帯を対象に奨学給付金を支給してございます。
 この奨学給付金の受給者数ですが、平成二十九年度が一万六百四十人、三十年度が一万四百六十人、元年度が九千九百五人、二年度が一万百八十一人、三年度が一万百四十五人でございます。
 また、令和二年度から、新型コロナウイルス感染症の影響などに伴う家計急変によりまして、保護者などの収入が激変した世帯も給付金の支給対象としておりまして、その受給者数は、令和二年度が五百二十三人、令和三年度は三百十八人でございました。

○阿部委員 引き続き、厳しい状況にあるご家庭でも学業が続けられるよう、支援をお願いしたいと思います。
 また、このほか、私立学校での通常学級における特別な支援を必要とする児童に対して、学習支援員等を配置できるような補助も検討する必要があると考えておりますので、申し添えておきます。
 一方で、多くの税金を投入する以上、学校法人のコンプライアンス、あるいは適正なガバナンスというものも求められると思います。
 各学校法人の財務状況の報告、公開基準、そして、利害関係者への閲覧状況の確認方法についてお伺いします。

○戸谷私学部長 都道府県所轄の学校法人につきましては、私立学校法第四十七条に基づきまして、財産目録、貸借対照表、収支計算書等を各事務所に備えておきまして、私立学校に在学する者その他の利害関係人から請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、閲覧に供することが義務づけられております。
 各学校法人は、この法令に基づき適切に対応を行っているものと考えてございます。

○阿部委員 これ、法令によって義務づけられていることで、かつ都としては適切に対応を行っているものと考えている。ただ、考えているだけではちょっと心もとないかなというふうに思います。
 実際に私立学校のいわゆる利害関係者の方から、閲覧がさせてもらえないというお声もいただいているところです。ぜひ東京都でも、これは法令による義務づけですので、遵守されているかどうか、しっかりと注目をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それから、私学の助成制度全体の中での各種学校の扱いについてもお伺いしたいと思います。

○戸谷私学部長 各種学校につきましては、法令上、学校教育に類する教育を行うものと規定されているのみで、教育の目的や水準に明確な定めがなく、学校により様々であることから、学校教育法第一条に規定する高等学校などと同様の補助は行っていないところでございます。

○阿部委員 確かに各種学校は一条校ではないので、一条校と同じ、あるいは同等の助成、補助まで求めるものではありません。しかし、都内で教育活動を行い、人材の育成、あるいは社会貢献活動等々を行っている各種学校については、私学助成のど真ん中というよりは、むしろ個々の活動への投資というような形もあってもいいのではないかと思いますので、ご提案をしておきます。
 最後に、文化振興施策についてお伺いをいたします。
 初めに、東京空襲関連資料についてです。
 先ほどもるるご質疑がありましたので、割愛しながらと思っておりますけれども、まず、東京空襲関連資料の保管状況と公開に向けた取組の現状、そして、今後についてお伺いをしたいと思います。

○蜂谷文化振興部長 東京空襲関連資料につきましては、東京都庭園美術館の敷地内にあります倉庫で適切に保管しております。
 今年度の東京都平和の日記念行事企画検討委員会で報告いたしましたとおり、資料をデジタル化し、活用していくこととしておりまして、調査、提案等の業務を委託により実施しているところでございます。

○阿部委員 これまで何度も出てきている話ではありますけれども、保管されている中には三百三十人分の証言映像も含まれております。私たちの会派でも、代表質問等で、資料の公開、さらには、平和祈念館、繰り返し求めてきておりますが、証言をしてくださった方の思いを無駄にすることなく、調査等、その他公開に必要なもろもろを速やかに進めていただきたいと思います。
 また、現在は、江戸東京博物館が工事のため休館中ですが、工事前にも、この博物館には空襲のコーナーがありました。ぜひ開館後には、展示、解説、アーカイブなどで資料の活用を図っていただきたいと思います。
 先ほど、オリンピック資産の展示に関しては、この博物館での展示について具体的なご答弁もありました。空襲資料もまた東京の歴史の生き証人といえる存在であり、この資料を含め、都民、国民に平和の尊さをしっかりと伝え続けていただきたいと思います。
 ところで、空襲資料は、毎年展示等が一部なされていると思います。現在、資料がどのように活用されているのか、伺います。

○蜂谷文化振興部長 都は、毎年三月十日の東京都平和の日に合わせ東京空襲資料展を開催し、都が保有する資料や写真パネル等を展示しております。
 また、年間を通じて、区市町村が主催する平和関連の資料展への資料の貸出しを行っております。

○阿部委員 今年も都内数か所でパネル展が行われました。区市町村での開催についても、ぜひさらに後押しをしていただきたいと思っておりますし、都施設で行う展示、これが芸術劇場と、それから都議会の一階のホールのみで、かつ期間も大変短期間、僅か数日間だったと記憶しております。まずは東京都が、多くの都有施設を持っておりますので、ぜひ積極的な展示の検討をしていただきたいと思います。
 それから、今年、都立の庭園美術館に初の女性館長、妹島和世氏が就任をされました。これはひそかに大変うれしいニュースとして受け止めさせていただきました。
 芸術分野は性別関係ないと思われがちですけれども、実は歴史的には極めてジェンダー差別の激しかった分野でもあることは、ご存じの方も多いかと思います。
 芸術分野におけるジェンダー平等の東京都の取組についてお伺いをいたします。

○蜂谷文化振興部長 男女平等参画推進総合計画の趣旨を踏まえまして、東京芸術文化評議会評議員や、Tokyo Contemporary Art Award選考委員における女性の任用促進など、多様な意見を反映するための体制を整えてきております。

○阿部委員 こうした形で整えていくのはとてもいいことだと思います。
 ただ、これだけではなくて、今後は、芸術作品を作っていく上での、そのプロセスの段階でのジェンダー平等ということにも、ぜひ目配りをしていただきたいと思います。
 最後に、芸術分野におけるコロナの影響について簡単に確認をしていきたいと思います。
 コロナ禍での美術館、博物館入場者と収支の推移についてお伺いします。

○石井文化施設改革担当部長 都立の美術館、博物館は、新型コロナウイルス感染拡大の状況下で、令和二年二月以降、感染拡大防止のために臨時休館や入場制限等を実施いたしました。
 江戸東京博物館、江戸東京たてもの園、写真美術館、現代美術館、東京都美術館及び庭園美術館の六施設の合計の入場者数は、令和元年度が約四百六十一万人、令和二年度が約百五十一万人、令和三年度が約二百四十三万人でございます。
 また、六施設合計の収支は、令和元年度が約三千万円のマイナス、令和二年度が約七千万円のマイナス、令和三年度が約二億三千万円のプラスとなってございます。

○阿部委員 入場者数はかなりな激減ということだったんですけれども、六館で三年度は二億三千万円のプラスということで、二年分のマイナスを補って余りあるということです。
 これ、なかなかすごい数字だなと思うんですけれども、やはりこうしたことは、ぜひ都民に還元もしていただきたいなというふうに思います。
 先ほど入場料の話も出ておりましたけれども、より若い世代に芸術に触れる機会、あるいはそのハードルを低くしていく、そうしたことにぜひ活用していただきたいと思います。
 また、美術館、博物館ではプラスになっているわけですけれども、東京文化会館、あるいは東京芸術劇場、こうした舞台芸術系は大変厳しい状況になっているという数字も出ているところです。
 東京都交響楽団、昨年度のコロナの影響と対応について伺います。

○蜂谷文化振興部長 昨年度は、新型コロナの影響でホールで実施する音楽鑑賞教室が三十八回、定期演奏会が六回、それぞれ中止になりました。
 その中で、代替公演として各学校へのアウトリーチ公演を行うなど、質の高い音楽教室を提供いたしました。
 また、TOKYO MXで、アンコール!都響の放送を開始いたしまして、オンライン配信を強化するなど、都響の認知度向上を図りました。

○阿部委員 やはり昨年度も、まだ相当な中止があったとのことです。ぜひ、各芸術分野、それから、それに関わるアーティストの方々が文化を紡ぎ続けられるように求めて、私からの質問を終わります。
 以上です。

○大松委員 私からは、私学助成について質問をいたします。
 東京の教育力を向上させるためには、公教育の多くを担っていただいております私学を支援することが重要であることは、改めて申し上げるまでもございません。
 そして、教育力といいましても、それは教員の教育力そのものでありまして、私学の教員の皆様方が、伸び伸びとその力を発揮していただけるような支援を行っていくことが最も求められていることでございます。
 先日、教育庁に対する事務事業質疑でも申し上げましたけれども、教員には、教育者という側面と研究者という側面の両面があり、学校現場における教育実践と研究、研修の往復作業によって教育力は磨かれるものと考えております。
 この研究者という側面があまり重要視されていないように感じますけれども、教育力を向上させていくためには、研修、研究を教員の皆様方が存分にできるように支援をすることが不可欠であると考えます。
 先日、都議会公明党は、東京私立初等学校協会から、来年度予算について要望を受けましたが、その中でも、協会側から、教員にとって研修、研究は命のように大切なものと、このように訴えられておりました。
 全国の私立小学校連合会では、毎年、教員同士が互いの教育実践を報告し、共に学び切磋琢磨し合う全国教員研修会を実施しております。東京、関東、西日本など、順次会場を変えながら開催をされておりますけれども、東京の学校にとりましては、都外で開催される場合、交通費や宿泊費がかさむことから、参加を制限せざるを得なくなるということもあるそうでございます。
 東京の私立小学校の教育力を向上させるために、こうした研修、研究会により多くの教員が参加できるよう、支援を拡充していただきたいと思います。
 また一方、多忙なために、外部の研修会に参加する余裕がないという教員も多いことから、校内に講師を招いて研修、研究会を開催することを求める声も増えているとの現状も伺いました。
 そこで、都外で開催される全国規模の研修、研究会への参加費用や、校内での研修、研究会の開催費用に対する支援を強化するべきと考えますが、東京都の見解を求めます。

○戸谷私学部長 教員の資質向上や教育活動の充実を図るための研修は重要でございます。
 そのため、東京都では、教員の研究活動の奨励ですとか、私学団体との共催による研修などに対しまして、私学財団を通じて補助を行っているところでございます。
 例えば、初等学校協会との共催研修では、各科目に応じた研修会を開催するなど、研修参加の機会充実に努めているところでございます。
 今後とも、こうした取組ですとか、各学校への経常費補助など私学助成の充実に努めまして、教員の資質向上や教育活動を支援してまいります。

○大松委員 経常経費の中で対応するようにという趣旨であると受け止めましたけれども、学校によっては、経営状況が厳しいところもあると伺っております。
 いずれの学校においても、経営状況によって教員の研修、研究活動が制約されるようなことがないよう、教員の研修、研究費がきちんと確保できますように、私学助成を拡充するように強く求めておきます。
 次に、子供の安全対策について質問します。
 送迎バスの子供の置き去り事件を受けまして、国では、安全装置の設置義務化などが検討されているところでありますけれども、その間にも、幼稚園などでは、園を運営していかなければなりませんし、子供のバス送迎も行っていかなければなりません。そこで、今すぐにでもできる対策も行っていかなければならないわけでございます。
 さきの第三回定例会では、都議会公明党の代表質問を受け、小池知事が、今回の事故を受け、オンライン講習会を実施すると答弁し、第一回目のオンライン講習会が行われました。
 そのオンライン講習会の内容について、そこで重視した点や扱った具体的な事例などについて伺います。

○戸谷私学部長 東京都のオンライン講習会におきましては、二度と同じ事故を起こさないために、運用の工夫などによって今すぐ事故予防効果を高めることができる取組を速やかに各園に伝えることを重視しております。
 具体的には、園児が降車した後の忘れ物確認とともに、全座席の清掃、消毒を行い、その際にも車内全体を確認するといった取組ですとか、園児降車後の車内最終確認後に、安全点検済みといった表示をバスに掲示して可視化するなどの取組を紹介しております。
 また、ヒヤリ・ハット事例として、園の行事開催に伴って通常と違う場所にバスを止めた際に降ろし忘れが発生したケースなど、ふだんと異なる動きが事故につながるおそれがあることにつきまして、注意喚起を行ってございます。

○大松委員 今すぐに効果を高めることができること、また、速やかに各園に伝えることを重視したということでありまして、こうした都の取組を評価いたしたいと思います。
 今後も、こうしたオンライン講習を効果的に実施していくことが必要であります。
 オンライン講習会について、今後の展開をどのようにするのか、都の答弁を求めます。

○戸谷私学部長 オンライン講習会につきましては、今後も引き続き、各園が事故防止に向けて具体的に活用できる情報や知識を適宜動画にまとめていく予定でございます。
 例えば、安全確保に係る専門家の知見や今後の国の安全関係規定に係る変更内容などにつきまして紹介することを考えてございます。

○大松委員 オンライン講習会、今後も随時実施していただくようにお願いをいたします。
 その上で、子供の置き去り防止、見落とし防止のためのセンサーやブザーなどの安全装置の導入、また、さらに効果的な安全対策を進めることができるよう、そのための都としての財政支援を早急に実施するように要望しておきます。
 庁内の関係部署と連携し、各園の取組が有効に機能し、子供の事故予防策につながるよう戦略的な取組を検討していくことを求め、私の質問を終わります。

○入江委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○入江委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時三十四分散会

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