委員長 | 入江のぶこ君 |
副委員長 | 加藤 雅之君 |
副委員長 | 伊藤しょうこう君 |
理事 | 斉藤 りえ君 |
理事 | 白戸 太朗君 |
理事 | とや英津子君 |
北口つよし君 | |
鈴木 純君 | |
龍円あいり君 | |
桐山ひとみ君 | |
アオヤギ有希子君 | |
大松あきら君 | |
阿部祐美子君 | |
清水 孝治君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 浜 佳葉子君 |
次長 | 福崎 宏志君 | |
教育監 | 藤井 大輔君 | |
総務部長 | 田中 愛子君 | |
都立学校教育部長 | 村西 紀章君 | |
地域教育支援部長 | 岩野 恵子君 | |
指導部長 | 小寺 康裕君 | |
人事部長 | 吉村美貴子君 | |
福利厚生部長 | 田中 宏治君 | |
教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 | 秋田 一樹君 | |
事業推進担当部長 | 筒井 宏守君 | |
企画調整担当部長 | 篠 祐次君 | |
高校改革推進担当部長 | 池上 晶子君 | |
教育改革推進担当部長 | 佐藤 聖一君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 落合 真人君 | |
指導推進担当部長 | 瀧沢 佳宏君 | |
人事企画担当部長 | 稲葉 薫君 |
本日の会議に付した事件
教育庁関係
事務事業について(質疑)
○入江委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
お手元に配布してあります会議日程の十一月一日とあるのは、十一月二日に読み替えることをご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより教育庁関係に入ります。
昨日に引き続き、事務事業に対する質疑を行います。
発言を願います。
○アオヤギ委員 日本共産党のアオヤギ有希子です。
まず最初に英語スピーキングテストについて、そして病弱教育について、次が特別支援学校のペースト食について、最後に特別支援教室について伺っていきます。
最初に、英語スピーキングテストについて伺います。
この中では、スピーキングテストの導入の決定過程の疑念について、次にベネッセとの協定書について、それから利益相反について、不受験者の扱いや逆転現象について、ESAT-Jそのものの問題点などについて質問してまいります。
まず最初に、パネルをご覧ください。ちょっと小さくてすみませんけれども、都立高校入試に、民間試験としてスピーキングテストを導入することについての検討過程をまとめたものです。
向かって左側から右に年表が進んでいきますけれども、二〇一三年、国が教育再生実行会議で大学入試への民間試験の導入の検討を始めた年に、都教委は、東京都英語教育戦略会議を設置しました。英語教育戦略会議は、二〇一六年に、都立高校入試にスピーキングテストを加えるべきとした報告書を出しました。
都教委は、それを提言、答申というふうに扱って、二〇一七年に東京都立高等学校入学者選抜英語検査改善検討委員会を設置、具体化の方向性を検討し、十二月に、話すことの検査には民間の資格、検定試験団体の知見の活用が有効と、報告書で提言をしました。
そして、二〇一八年四月には、英語「話すこと」の評価に関する検討委員会が設置され、二〇一九年二月に出されたこの検討会の報告書は、試験はタブレット端末で行うことや、実施時期は十一月末とすることなどを定めています。
しかし、前回の九月十五日の質疑でもいいましたけれども、これらの検討会は、条例上、定めのある附属機関ではないので、提言などは出せません。
そこでお伺いしますが、この三つの検討会は、それぞれ都議会に報告や都民からのパブリックコメントはありましたか。
○瀧沢指導推進担当部長 平成二十五年度から二十八年度に設置されました英語教育戦略会議、平成二十九年度に都立高校入学者選抜英語検査改善検討委員会、平成三十年に英語「話すこと」の評価に関する検討委員会等の報告書、こちらは、委員であります外部有識者や学校関係者などの意見を集約し、様々な角度から幅広く議論し取りまとめ、都教育委員会に報告したところでございます。
また、平成三十年二月の、スピーキングテスト実施や入試への活用に関する施策を含むグローバル人材育成計画の策定に当たり、パブリックコメントを行っております。
○アオヤギ委員 三つの検討会は、都教育委員会に報告したけれども、都民の意見を聞いたり、都議会に報告をしたりはしなかったということであります。検討会ごとに合意形成を図っていくべきだったと思います。
そして、またパネルに戻って、二〇一八年度には、公益財団法人日本英語検定協会がフィージビリティー調査を受託し、中学生千人を対象にスピーキングテストも行われています。
そして、二〇一九年には、毎年開かれる都立高等学校入学者選抜検討委員会の特別部会を開き、入試にどのように民間テストを取り入れるかを検討しますが、この議事録を見ますと、これは、委員が疑問を投げかけたり、難しいと述べたりしておりますけれども、都教委が二〇一三年の英語戦略会議を持ち出して、決まったことだからというふうに導入を進めるような議事録もあります。
二〇一九年二月には、都議会文教委員会に都立高校改革推進計画・新実施計画の報告があり、そのたくさんある報告の中の一つに、都立高校入試に話すことの評価を導入していくことが触れられていますが、民間試験を導入することなどは記載されていませんでした。
そして、その後、すぐに民間事業者を募集するわけです。
そこでお伺いします。ベネッセと協定を結んだ二〇一九年八月のときに、都議会に報告がありましたか。
○瀧沢指導推進担当部長 令和元年八月、都教育委員会が事業者と民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト——このときは仮称ですけれども——事業について基本協定を締結したということを公表しております。
○アオヤギ委員 公表したということですけれども、都議会には報告はありませんでした。
都議会に、先ほど申し上げたように、二〇一九年二月の文教委員会、都立高校改革推進計画の報告の中で、都内公立中学校の三年生全員を対象にしたスピーキングテストの実施に向け、検討、準備を進めるとともに、入学者選抜での活用法等について検討を進めてまいりますという報告がありましたけれども、民間試験の導入を考えていることは、この説明だけでは分からないし、決まっていないという状況でありました。
しかし、同年、二〇一九年、この議会の直後ですね、三月に民間事業者の募集要項を出して、八月にベネッセと協定を結びました。
そこでお伺いしますけれども、都教委の中では、いつ、誰が民間試験を導入することを決めたことになっているのか、お伺いします。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会として、平成三十一年二月にスピーキングテストの実施に関する方針を決定し、公表いたしました。
○アオヤギ委員 平成三十一年、すなわち二〇一九年二月に都教委が決めたということです。しかし、同じ月の都議会には、民間試験とは一言もいっていないので、都議会、都民にとっては、ベネッセとの協定締結は寝耳に水だったわけです。
しかし、実は、都教委は早い段階、先ほどのパネルのように、二〇一三年の戦略会議の段階で、報告書に民間試験を列挙して、四技能を測る試験が大学入試に一層多く活用されることを踏まえ、高校までの英語授業、コミュニケーション能力に重点を置くとし、次の英語検査改善検討委員会、「話すこと」の評価に関する検討委員会で、民間試験の導入を具体化しました。にもかかわらず、都議会に報告することは、都教委はしませんでした。
条例上に定めのない検討会は、報告書を出すに当たり、採決もしませんし、委員の属性など選定も、都議会の議決が入らないので、チェックが入らず、極めて恣意的な内容になる可能性があります。
しかも、これらの会議や検討会のメンバーも問題です。
最初に、入試へスピーキングテストの導入の検討をと提言した英語戦略会議のメンバーは、ベネッセと楽天と英検と英語教育協議会や、GTECを推薦している学者、英検と検定試験を作った学者など、検定試験の利害関係者が外部有識者の過半数を占めていました。もちろん、全員が利害関係者ではありません。
また、学校での英語の授業は、英語を使って授業をやるようにと主張する文科省の役人も入っています。都の教育行政の検討会に国の役人が入ることは、都や区市町村の行財政運営は、区市町村自らその権能を持ち、国が口出しをできないという憲法の大原則からも逸脱しており、違和感を感じるものです。
こうした、公平な立場、客観性を持った検討会だとはいい難い状況にあったことが分かります。
ベネッセや英検、楽天、英語教育協議会など、企業、法人が委員として入り、この検討会で方向づけられ、入試にスピーキングテストを具体化した事業をベネッセが受託しましたが、この検討会では、そのほかにも多くの提言をつくり、具体化しました。その事業も、英語教育戦略会議のメンバーが、ここで提言として出された事業に対して受託をしたり、協力会社になったりしております。
そこでお伺いしますが、英語教育戦略会議の委員で、その後、報告書で示された提言において、都の事業を受託や協力した法人、会社はどこでしょうか。そして、事業名もお答えください。
○瀧沢指導推進担当部長 今、ご質問の段階で、特定の委員のみをご抽出して指摘をされていますけれども、英語教育戦略会議におきましては、より幅広い外部有識者、学識経験者あるいは産業界、学校関係者、教育庁の関係者などをメンバーとして開催している、非常に人数の多い、大きな会議でございました。設置の年限もかなり長期にわたっていて、この後の中長期的な方向性を幅広く検討するということで検討を行っております。
例えば、バカロレアに関する専門家でありましたり、あるいは、文科省の役人という表現がございましたし、英語で実施することを主張するというふうにお話をされましたが、英語で授業を行うというのは(アオヤギ委員「そんなことは聞いていませんよ。何の事業かを聞いているのですけれども」と呼ぶ)学習指導要領に記載されている内容でございます。個人的に、何か方向性を主張するというものではございません。その中で、例えば外部検定試験の委員あるいは社内で英語を公用語としている会社など、様々な先進的な取組をされている方々を委員としてお呼びしたということでございます。
今ご質問にありましたような、都の事業の受託を協力したところはどこかということでございますけれども、株式会社ベネッセコーポレーションが、平成二十九、三十、三十一年度に都立高校等におけるオンライン英会話授業に係る業務、そして公益財団法人日本英語検定協会が、平成三十年、中学英語スピーキングテストのフィージビリティー調査及び東京都中学校英語スピーキングテストにおけるAI、人工知能採点検証に係る業務を受託しております。
また、一般財団法人英語教育協議会、こちらは株式会社TOKYO GLOBAL GATEWAYの構成員となっているところでございます。
○アオヤギ委員 質問したことにちゃんと答えてください。余計なこと、聞いていないことは答弁しなくていいですから。
ベネッセと英語検定協会、協議会、これらが、ここに、戦略会議で、提言じゃないけれども提言としたものを実行に移し、そして、受託や協力企業として入っております。
五つの企業から成る、そういった株式会社TOKYO GLOBAL GATEWAYが都と協定を結びましたけれども、そのうちの一つ、英語教育協議会、ELECが英語教育戦略会議の委員でした。しかも、二〇一四年五月二十八日の戦略会議の議事録を見ますと、この協議会から来ている委員が、英語村、後のTOKYO GLOBAL GATEWAYですけれども、東京都がやる気があるなら、ぜひやってほしいと発言をしています。
そして、こういった発言は、ぽちぽちと出てくるのですけれども、その内容が報告書に書かれ、さっきいったグローバル人材計画、提言十九になっているわけです。
だから、グローバル人材計画は、先ほど何か別のことをいっていましたけれども、戦略会議の報告書をそのまま番号を振って提言としているものです。
英語村という話も、スピーキングテストの話も、全ての委員がしているわけではありません。特定の委員だけが発言していたもので、これを実施していく根拠にするには、あまりにも不十分な議論だったと、議事録を見て感じます。
また、条例で定めていないこの検討会は、こうした結論や提言を出すことができない中、TOKYO GLOBAL GATEWAYも実行に移し、それを進めるよう発言していた事業者が受託するということは、都民から見ても、あまりに不公正な選定ではないかといわれても仕方がない状況であるといわざるを得ません。
TOKYO GLOBAL GATEWAYの予算額は、約十億円です。民間企業に見積りを聞いたりすることは、都庁内であるということを聞いておりますけれども、事業の〇〇をやってほしいと企業からいわれ、仕事を与える、これはあり得ないということだと思います。
スピーキングテスト導入とベネッセの事例とも併せて、特定の企業の利益誘導型の検討会になっていたのではないかと疑念を持つものです。こうした検討会が都議会にも報告されず、どんどん水面下で具体化され、そういったことになっては都議会のチェックのしようがありません。
また、ベネッセと五年間の協定を結んだその年の数か月後に、大学入試での民間試験導入が頓挫したわけですけれども、このときに立ち止まって、都議会や都民に意見を聞けばよかったのではないでしょうか。
いかがお考えでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 先生がお話しされている中で、異なることについては修正をするべきだと考えますので、お話をいたしますが、TOKYO GLOBAL GATEWAYは、五者から成るSPCで運営をされています。その中でELECについては、このSPCとの間には資本関係はございません。メインは学研と市進であります。そのことについては、先生のお話の中に関わることですので、最初にお話をいたします。
また、前回もご同種のご質問がありましたので、お話をいたしましたけれども、ここで提言といっているのは、意見を束ねたものということで表現しているものでしかございません。
国の方が中止をされて、そこで立ち止まるべきだというお話がありましたが、これは、この前に何人かの委員の方々からも質問があったときにもご説明をいたしましたが、国の仕組みと、今回、都が進めている仕組みというものは、全く違うものであります。
国の方は、既存の資格、検定試験をそのまま複数使うことができる、しかも、大学の共通テストの代わりに使うというスキームであります。
都のこのスピーキングテストは、東京都が実施主体となって、総合評価方式によって協定を結んだ事業者と共に問題作成あるいは採点などを行い、かつ、受験料につきましても都の公費で行うということで、国のものとは、課題になったものが全てクリアされているというふうに考えているという点につきましては、先ほども同じ話をしたとおりでございます。
ですから、国が頓挫したときに立ち止まるということは全く考えておりませんでしたし、現在でも変える必要はないというふうに考えています。
○アオヤギ委員 国と同じように、英語戦略会議でも大学入試のことを提言に書いて、そして同時進行で動いてきたわけです。
前もいいましたけれども、英語戦略会議のメンバーの企業だったり、その研究者というのは、国の大学入試にも関わっている方たちであります、全員ではないですけれども。
その中で、先に東京都がベネッセと協定を結んで、その後、国の方が頓挫しておりますから、都民からすると、何で国が止まったのに止まっていないんだろうというのが大きな疑問なわけです。五年間も、そのとき協定を結んじゃっていますので。そういった疑問に答えるものではありませんでした。
そして、次にお伺いしますけれども、昨年や今年、東京都教育委員会内で、都教委の事業の方向性を決めるような会議体で、利害関係者を呼んだ検討会を開いているかどうか、お伺いします。
○瀧沢指導推進担当部長 ご質問の趣旨は、英語教育戦略会議の報告書に記載された提言に関連するということだというふうに考えます。
その事業において、昨年度及び今年度、今後の方向性を決めるような検討会などは開いておりません。
○アオヤギ委員 戦略会議の内容じゃなくて、都教委全体で、都教委の事業の方向性を決めるような、例えば何とか計画とか、そういったことで会議体で利害関係者を呼んである、そんな検討会はありますか。
○瀧沢指導推進担当部長 事前にお話を聞いている限りでは、この英語教育戦略会議のご質問の中でというふうに理解をして準備してきました。
今、都教委全体でというご質問の趣旨だということが分かりましたが、現在、すぐにお答えすることはできかねます。
○アオヤギ委員 先日の質疑で、工業高校を工科高校に名称変更する際、外部有識者を入れて検討会をしたお話がありましたけれども、そちらの外部有識者は利害関係者ではなく、検討結果もパブリックコメントをしているということが確認できました。これが普通の検討会の在り方ではないでしょうか。
私どもは、条例上、定めのない検討会の問題については、都立病院の独法化の議論の際も問題を追求してきました。それは、都立病院経営委員会で独法化が望ましいと発言し、その後、その検討会の結果を最終答申として独法化に突き進みましたが、同委員会の委員だった監査法人トーマツがその発言をしているんですけれども、都から独法化の調査委託の事業を受けていたことが明らかになりました。現在は、トーマツは、都からの事業は受託していません。
それほど検討会に受託企業がいるということは重大なことであり、一年以内にこうした検討会が開かれれば、住民監査請求の対象になります。
全国では、附属機関ではない専門家会議が機関意思の表明と紛らわしいことをしたら地方自治法違反になる、こういう裁判の判例は幾つも確定をしております。地方自治法百三十八条の四の規定や二百二条の三の規定に違反し、合議体の結論として実行に移してきたことが問題になったわけです。
ですから、総務局が各局に提言や紛らわしい言葉を使わないことや、検討会で話された内容は、あくまで意見表明であって、ほかの意見を入れずに実行に移さないよう通知を出しているわけです。
この英語教育戦略会議から始まる三つの検討会は、長年、地方自治法違反の状態で、都議会にも報告されず実行に移されてきたため、都議会のチェックも、都民のチェックも入れられない状況でした。つまり、都民にとっては、いきなり民間試験の申込みの段階でこれを知るという不意打ちをされた状況です。
そうした八万人の子供たちを巻き込むような事業については、都民にしっかり意見を聞くべきであり、いまだに合意形成がされていない最大の理由だと厳しく指摘をします。
ベネッセ自身が英語戦略会議に参加し、その後の事業に関係していたことについても問題ですが、加えて、英語スピーキングテストの事業者にベネッセを選定するその過程にも疑問があります。
先ほど示した三つの検討会及び事業選定のための総合評価方式で行った民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト事業審査委員会全てに、外部有識者などとして委員となった方がいらっしゃると思いますが、いかがですか。
○瀧沢指導推進担当部長 委員のメンバーということであれば、外部有識者におります。
○アオヤギ委員 お一人いらっしゃいます。その方は、都教委が呼ぶからいらっしゃっているんだと思うんですけれども、その方は、先ほどもいったとおり、大学入試民間試験の導入時に作業部会に入り、また、ベネッセのGTECの推薦者であり、ベネッセのホームページにも載っています。ベネッセと一緒にGTECのスコアの分析などを行っている方です。
英語戦略会議では、GTECが実施され、議論されていたことは、九月十五日にもお話ししましたけれども、都教委がこの方を委員として選んだわけですけれども、GTECと深い関わりのある方が、ベネッセを含む事業者の選定になぜ入れるのですか。
このとき、ベネッセをはじめ四者がプロポーザルに参加し、ベネッセが選ばれました。
公平、公正性を欠いているのではないですか。
○瀧沢指導推進担当部長 名簿は明らかになっていますので、その有識者が誰であるかということは、調べようと思えば分かります。ですから、その方の名誉のために明確に申し上げます。
その有識者がベネッセと何か利害関係があるかのような、それを誘導するような今のご発言はいかがなものかと。どういう根拠に基づいて利害関係があるというのか、関係があるというのか、明確にした上で質問をされるべきだというふうに考えますし、その有識者の方は、ベネッセとのみ、何か事業、例えば研究などを行っているわけではないということも併せて申し上げます。
なぜかといえば、日本の中で、広く歴史がある検定を行っている団体といえば、公益財団法人の英語検定協会とベネッセ、この二つぐらいなわけです。それ以外に海外のものもございますけれども、非常に規模が小さい。
ですから、日本における英語教育を向上させるという観点から、様々な大学の英語指導に関わる方々は、このような検定試験を開発するところ、あるいは、そのほかの教育産業等々と意見交換等々しながら、国、それから、都においても政策を検討してきたという実態がございます。
ですので、そのような様々な著書もある方、有識者を、第一人者として都教育委員会が依頼をし、委員になっていただいているというわけですので、それをもって不適切だという指摘は、私たちは全くそのように考えておりません。
改めて、繰り返し申し上げますけれども、英語教育の専門家あるいは応用言語学の専門家、このような方々で、非常に歴史がある、実績がある方々は、そのような英語検定協会であったり、ベネッセであったり、そのほかのブリティッシュ・カウンシルであったり、そういうところと様々連携をして研究をしている、その延長で様々研究をしているということはありますが、それをもって、利害関係であって、その方がメンバーであったから不適切であったというようなご指摘は当たらないというふうに明確に申し上げます。
○アオヤギ委員 ホームページに書いてあるんですよ。それを私はいっているだけです。
その方が、先ほど、ほかの企業とも関わりがあるからといいますけれども、ベネッセとも関わりはあるじゃないですか。何で選定に入るんですか、その人が。公平、公正とは全くいえないと思いますよ。
本当にいろんな方がいて、検定、検定とおっしゃいますけれども、検定の専門家を探すこと自体、幅広い意見を入れているというふうにいえないと思います。私はそう思います。
三つの検討会は、多くの検定試験の利害関係者が出席して、検定試験の活用、話すことを測る、これに執着した検討を行い、具体化してきました。
視野が狭く、もっと広い専門家を入れるべきではなかったですか。
○瀧沢指導推進担当部長 委員がどの部分を指して視野が狭いというふうにおっしゃっているのか分かりかねますが、この三十年来、学習指導要領では、いわゆるスピーキングも含めて四技能を総合的に育成するという取組をずっと行ってきているわけであります。
ですから、四技能を測る取組をしていくというのは、国を挙げて、継続している大きな取組の流れであります。ですから、その継続した検討の中で、四技能をどうすれば測ることができるかという検討をしてきたと。
これについては、繰り返しお話をしているところですが、四技能を学校で勉強しているのに、どうして話すことだけ適切に評価されないのかという意見が、多数、生徒の中にも、学校現場の教員の中にもあるわけです。
何か不得意な生徒がいるという話も先ほど出ましたけれども、それと同じように、単語を覚えたり、あるいは文法を覚えたり、長文を読んだりということは苦手だけれども、でも、やっぱり英語を使ってコミュニケーションをしたいという生徒あるいは将来話せるようになりたいというふうに思っている生徒は多数いるわけです。
私も元教員でしたから、そのような生徒にたくさん触れてきました。ただ、そういう生徒たちが必ずしも十分に評価されていないというのが、この三十年間の英語教育に携わる実務者の課題意識なわけです。
ですので、幅広い意見を集約した結果がここに結びついているのであり、それが狭いという指摘は、非常に根拠がない指摘であるというふうに考えております。
あるいは、たくさんの委員を呼ぶことによって広い議論が行われたからこそ、このような結果になったということも併せてお話をいたします。
○アオヤギ委員 それは、そう思っているだけじゃないんですか。企業を戦略会議で呼んでいるじゃないですか。大学入試だって、こんなことはやっていないですよ。大学入試で問題になったのは、GTECに出資している方が入っていたということが、成基コミュニティというところが入っていたということが問題になりましたけれども、東京都はもっと露骨ですよ、企業が四者も入ってやっているということでは。そんな利害関係がない方はいっぱいいるじゃないですか、専門家が。ちょっとそれは検討会の在り方として重大だと思います。
あわせて、瀧沢部長は先日の質疑で、四技能を測るには、民間の検定試験が唯一、安定的な方法で、それ以外、方法がないからという答弁をされました。
しかし、これらの検討会は、特定の事業者の意見を聞いて実施する利益誘導型になっているのではないですか。
○瀧沢指導推進担当部長 残念ながら、英語教育戦略会議が立ち上がったときには、私は委員ではありませんので、私の考えで何かを進めるということは、できる立場ではございません。
また、それ以外の方法も含めて様々な検討をしてきており、例えばフィージビリティーテストの話が出ましたが、そのときには、機械ではなく、対面式で行うというインタビュー形式の試験も同じように行っております。
最初から何か方向性が決まっていて、そのようにしたというのは、全く事実とは異なるもので、ただ、インタビュー形式でやると、非常に時間もかかりますし、あるいは、採点委員の採点の質をそろえるということも難しいということもあって、例えば、ほかに岩手県で実施した場合にも、なかなか安定的に行われなかったという、そういう様々な情報や提言があって、この方法が望ましいということを、様々な委員の方々の意見を集約した結果として出たものであります。
○アオヤギ委員 全然、何の話をしているのかなという感じです。ベネッセなどを外部有識者として、もし会議を開くのであれば、それらの利害関係者をプロポーザルや入札に入れなければ済む話です。
三つの検討会では、民間事業者のテストを導入することが最優先で、いつプレスをするかなどを話されておりますけれども、都議会への報告や説明や、何をもってESAT-Jをやるのかなどの法的根拠なども検討した形跡がありません。議事録では分かりません。
こうした検討をしないで進めてきたのではないですか。
○瀧沢指導推進担当部長 それぞれの委員会については、設置要項に基づいて設置をしております。それぞれで会議を行い、その報告書もまとめた上で公表もしております。
何か秘密裏で検討して決めていったというご指摘は当たりません。
○アオヤギ委員 秘密裏にとかというふうな質問じゃないんですよ。そういった説明などはしていなかったでしょうということです。
決定過程からも、都議会、都民の意見を聞かずに進めてきており、ESAT-Jを入試に活用する根拠はなく、都教委は説明責任を全く果たしておらず、実施できるような状況ではないと思います。
次に、東京都とベネッセの協定書について伺います。
今年度、実施協定書などを持ってくるよう求めていましたが、数日前に、やっと都教委は私たちに渡しました。その一部は黒塗りです。
この理由をお示しください。
○瀧沢指導推進担当部長 基本的には公開するものというふうに考えておりますが、条例に基づき、秘匿事項に当たるというふうに判断したものについては黒塗りにしているというものは、ご説明は、今まで繰り返ししてきたものと同じものであります。
○アオヤギ委員 何を根拠に決めているのでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 業務遂行に支障を及ぼすおそれがあるということで非開示にしているもので、情報公開条例第七条六号を非開示の理由としております。
○アオヤギ委員 情報公開条例七条の六号は、事業遂行に支障があるといえば、実施機関にとって都合の悪いものは何でも非開示にできてしまうという側面もあり、本来は、都民の知る権利の保障の観点から、慎重に適用されなければならないものです。
採点者や試験監督など、秘匿事項というようなことが答弁されておりますけれども、契約について、なぜ秘匿事項が多いこのような協定にしたのでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 秘匿事項が多いこのような協定にしたのではなく、運営体制、問題作成、採点業務などについては、都立高校入試などでも同じですけれども、テストの公正、公平な運営上の機密事項であります。ですから、公表しないということにしております。
○アオヤギ委員 高校とかの場合は、特に公務員の人たちがやっているというのは分かりますから、それは内容を公開する必要はないし、それは公平性のために公開しなくていいですけれども、ベネッセというのは企業体ですので、運営体制や採点業務などについては、初めて協定を結んでいるわけですから、黒塗りであっては、隠す必要はないというふうに思います。
また、ベネッセの委託先、再委託先の数、これは今まで答弁されておりませんけれども、数はいえますか。それとも、数をいうことが、何かベネッセに不利になるのでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 非開示としているのは、繰り返しになりますが、運営体制や問題作成業務等について、機密事項であるから公表をしていないわけです。
ですから、公務員であれば信用できるからいいけれども、ベネッセは公開しなければいけないという理由は、全く当てはまらない。必要ですから非公表としているということでございます。
○アオヤギ委員 今、聞いたのは、どこでやっているかとか、採点内容とか、その内容を公表しろといっているんじゃないんですよ。数を何でいえないのですかと。何者に委託して、その先、何者に再委託されているのか。
数をいうことだって、それは、公表していくといったのですから、すればいいじゃないですか。
いかがですか、数について。
○瀧沢指導推進担当部長 数も含めて、運営体制、問題作成業務等について、テストの公正、公平な運営上の機密事項に当たると判断し、公表しないということにしています。
○アオヤギ委員 今年度の実施協定、九月二日ということになっております。
例年は四月一日なんですけれども、このずれというのは、何か理由があるのですか。
○瀧沢指導推進担当部長 今年度の円滑な運営に向けて調整を続けてきた結果であります。
○アオヤギ委員 今年に入っても調整が必要だったということですよね。
今年の実施協定についているベネッセの実施計画がありますけれども、個人情報の取扱いや記録媒体の消去、再委託のときは書面による東京都の承諾を得ることなどが書き込まれ、第十二に、本規程に定める事項に違反した場合は、本協定を解除することができるというふうに書かれております。
私は初めて見たのですけれども、これはどういう規定なのか、ご説明ください。
○瀧沢指導推進担当部長 文言にあるとおりで、今、委員がお読みになったとおりでございます。
○アオヤギ委員 それでは、これだと、再委託を事前に書面による東京都の承諾を得ない場合などについては、この協定を解除することができるということだと思うんですけれども、再委託を無断でベネッセが行った事例や、再委託先、再々委託したという例があったかどうか、調べていますか。
○瀧沢指導推進担当部長 協定に基づいて事業者が実施しているというふうに考えております。
また、適宜、内容については、都教育委員会としても把握をしているところでございます。
○アオヤギ委員 今、考えているとおっしゃいましたけれども、やっぱりこれは、その事例があるかどうか、きちんと把握する必要がありますけれども、どういう調査を行ったのですか。
○瀧沢指導推進担当部長 調査を行って、何か発見するという種類のものではないというふうに思います。
適正に実施する責任が事業者にはありますし、そのように把握していくということでございます。
○アオヤギ委員 調査をする立場だ、これは把握しなければならないと思います。
協定書にも、再委託先の十四者かな、真っ黒で見えますけれども、その先がある可能性があるわけですよね。調べないと分からないですけれども。
だから、きちんとそれは把握をして、その場合に解除することはできるんですから、それを把握していくのが、この協定の立場だというふうに思います。
正直いいますと、プレテストのお話でも、私たちがこれはミスでしょうと指摘したことについて、都教委はミスと認識していないと発言したり、現場は混乱しているでしょうというと、していないと発言する。都教委の認識や説明が、都民が知った事実と違う、実際と違うわけですから、きちんと再委託先がどうなっているのか公表して、チェックを受けるべきだと思います。
また、我が党の斉藤都議への答弁の中で、都教委は、プレテストの成果物はベネッセが東京都に渡したものだ、情報だという発言がありましたけれども、プレテストの成果物というのは、昨年の税金が投入され、実施された都の事業の成果物です。
それを都議会にもなかなか渡さない、都民にも知らせないなど、説明責任がある都教委が出さないということはあっていいのでしょうか。それはおかしいと思いますよ。
いかがですか。
○瀧沢指導推進担当部長 ご指摘の報告書につきましては、協定に基づいて、事業者が都教委に提出するものであるというふうに定められておりますので、その旨をお話をしたところであります。
○アオヤギ委員 ですから、税金を使ってやっているわけですから、成果物を見て、しっかり都民の目で検証するということが必要なんですよ。そういったものを、きちんと都議会や都民に渡すと。協定書だって、ちゃんと渡してくださいよ、みんなに。
都議会に諮らないで、何か執行部だけで事業を実施できると思っているのではないですか。都民に十分に説明し、理解を得ることや、都議会に理解を得ることをせずに、先に進むことはできないということです。
一番重い決定は、都議会の議決です。二元代表制の下、そういった議決が重要ですけれども、それが今、英語スピーキングテストでは、延期、見直しを求める請願が継続審査となっています。進めとも、進むなともいっていない、審査中という状況です。それが今年度に入って、この九月にこういう判断がされているわけですから、それを承知していますとか、そういったことで済まされない事態だということを認識してください。
説明員として説明責任を果たしてください。説明できない、把握していない、そういうことをするのであれば、都民の税金を投入したESAT-Jをやる資格がないといわざるを得ません。
次に、利益相反についてお伺いします。
採点者について、五月のとや議員の質疑では、都教委は、ESAT-Jの採点者は、ベネッセのほかの商品の採点などと兼務をしていないと答弁しています。しかし、兼務禁止は、文書では交わしていないということでありました。
専任の採点者といいますが、約一か月間の間はESAT-Jの採点を専任で行っているかもしれませんけれども、それ以外のときは何の業務をしているのですか。
○瀧沢指導推進担当部長 申し訳ありません、ちょっと語尾がよく聞こえなかったのであれですが、一か月以外は何をしているのかという(アオヤギ委員「それ以外のときは、その方は何の業務をしている人なんですか」と呼ぶ)それも繰り返しの答弁になりますけれども、採点委員の個人のことに関わりますから、秘匿事項に関わります。それ以外のことというのをお話しすることが必要であるというふうには考えていません。
○アオヤギ委員 他の業務をやらないと社員として成り立たないんじゃないかなというふうに思います。都は、約一か月間だけ依頼をしているはずですから、ベネッセの関連会社の職員としてふだんから働いているわけですから、ESAT-Jの採点以外の業務をやらないと、仕事として成り立たない、生活できないと思います。採点の公平性や正確性を担保するには必要な情報です。
ある専門家の方は、正解がたくさんあるものを採点する場合、誰が採点しても同じ結果になるように、採点の基準をそろえることが必要だと指摘しております。それが採点のノウハウになり、そのノウハウがGTECと同じだとすると問題であるといっています。また、もし採点の基準をそろえることをしていないと、採点にばらつきが出る、公平な採点にはならないと述べられています。
そこでお伺いしますが、ESAT-Jの採点のノウハウは、ベネッセのGTECのノウハウを利用しているのではないですか。
○瀧沢指導推進担当部長 GTECの採点のノウハウというものが一体何を指しているのか、私にはちょっと分かりかねるので、答弁は差し控えたいと思います。
○アオヤギ委員 お答えにはなりませんでした。
この都教委の英語スピーキングテストが、昨年の秋までは中学校英語スピーキングテストSupported by GTECという名前だった理由を、瀧沢部長は九月十五日の質疑で、規模が小さいときは事業者が使うシステムを有効に活用したと述べられました。
事業者のシステムは今も使っていますか。
○瀧沢指導推進担当部長 基本協定、実施協定に基づき、都教育委員会が求める業務に対して事業者がシステムを構築し、適切に対応をしております。
○アオヤギ委員 システムを構築とありますけれども、それは新たにつくったのですか。それとも再構築というか、新たにつくったかどうか、お答えください。
○瀧沢指導推進担当部長 この場合に、新たになのか、それとも改良を加えているのか、それを二択で答えるというのは非常に難しいというふうに思います。
少なくとも、改善を加えていますので、当時とは違うものであるということはいえると思います。
○アオヤギ委員 そもそも民間試験を使う理由として、各検討会では、独自にテストを作るのは莫大な費用がかかるとして、低廉化を図れるとしています。
第三回英語「話すこと」の評価に関する検討委員会では、受験者数の規模拡大による受験料の低廉化の可能性を図ってまいりますと事務局が発言しています。
こうした安上がりの採点業務にするには、事業者が持っている採点ラインを使うことが必要だと思いますが、それはGTECと同じ採点ラインではないですか。
○瀧沢指導推進担当部長 GTECと同じかどうかにつきましても、システムの内容に関わるので、お答えはいたしません。
ただ、公金を使って、予算を使って行っておりますので、予算の中で最大の効果を達成するために、使い方について追求していくのは、行政機関としては当然の在り方であるというふうに考えております。
○アオヤギ委員 同じ採点ラインだと、問題形式を一緒にする必要があり、現にESAT-Jは、GTECと問題形式が一緒ではないですか。都が関与する形にするということが検討会でも出てきています。
ですから、監修だけ行って、制作はベネッセにお願いして、採点ラインも同じにしないと、新たに開発するのは、五億円とかでは済まない莫大な費用がかかるのではないですか。
○瀧沢指導推進担当部長 今、そのようにお考えだということは承りましたけれども、それについてお答えする立場にはございません。
○アオヤギ委員 お答えになりませんでした。
問題形式が一緒であると問題が似ているわけですけれども、先ほどいろんな答弁の中で、最近、似ているということをおっしゃっておりますが、それは学習指導要領に基づいているからなんだとおっしゃっていましたけれども、同じ学習指導要領に基づいてやっている英検のフィージビリティーの検査は、ESAT-Jと全然違います。GTECの方がESAT-Jに似ています。学習指導要領に基づいてやれば、誰がやっても似たようなものになるというのは詭弁だと思います。
都教委は、今ホームページで、授業でこれをやればいい、試験対策になるという都教委の教材の動画をアップしておりますけれども、そこでお伺いしますけれども、試験対策は、どんなことをすればよいと考えていますか。
○瀧沢指導推進担当部長 先生がどの教材等々のことをおっしゃっているのか、確認のしようがありませんが、試験対策という名目で何かを作っているということはないと思います。
何をすれば試験につながるのかというお話であれば、従前からお話をしていますように、授業で行っていることをそのまま出題するということですので、ふだんの授業でやってきたことをしっかり勉強するということであります。
ぜひ、新しくムービーも作りましたので、それも見ながら、不安に思っている方もいるということも踏まえた上で作ったものでありまして、何か試験の対策というような趣旨で作ったものとは異なります。
○アオヤギ委員 試験対策じゃないということですね。そのホームページにあるのは、見てくださいということだと。
都教委が公開している動画は、はっきりいって、一人で中学生がやるには難しいという声が届いています。あれだけやって準備をするというのは難しいと考えます。その点、GTECは、出題形式が似ているし、採点の傾向も分かるので、受けていた子は有利だと考えます。
それで、利益相反についての覚書をご覧ください。
持っていると思いますけれども、基本協定その二に関する覚書ですが、第一条、禁止行為の二項、(二)、本スピーキングテストの対策に特化した解説文、練習用教材を作成し、販売すること及び本スピーキングテストの対策に特化した模擬試験を実施すること、以下省略します。(三)、本スピーキングテスト問題を流用した解説本、練習用教材を作成し、販売すること、また、本スピーキングテスト問題を流用して模擬試験を実施することと書いていますが、この試験対策になっていた場合、都教委は、これをやめさせる立場であることを確認します。
○瀧沢指導推進担当部長 今、委員が読み上げられましたけれども、この内容に反するのかどうか、ここに書いてある文言に反するかどうかが問題になるものであります。
○アオヤギ委員 だから、違反した場合は、これをやめさせるという立場ですか。
○瀧沢指導推進担当部長 この覚書に記載されていることが根拠であります。これに反することがあれば、この覚書の中に書いてあるように、是正措置をすることができる、改善に向けた指導を行うことができるというふうに定めていますので、そのとおりでございます。
○アオヤギ委員 そのとおりだと。だから、やめさせる立場だということであります。
ベネッセの進研ゼミ中学講座でオンラインスピーキングとして現在販売しているものは、二〇二〇年の予算特別委員会で星見てい子前都議が問題ではないかと指摘したときには、入試や検定合格につながるなどの文言が入っていましたが、今でも、その文言を削除しただけで、同じものを販売しています。
覚書に違反するのではないですか。
○瀧沢指導推進担当部長 そのとおりだといったのは、ここに書いてあるとおりだという趣旨でいったものであります。
ですから、スピーキングテスト対策に特化した解説本あるいは練習用教材、これを販売する、あるいは三番に書いてあるように、この問題を流用した解説本、練習本などを作成し販売する、あるいは問題を流用して模擬試験を実施することというふうに明確に明記してありますから、これに反した場合には指導の対象になるということでございます。
○アオヤギ委員 今、聞いたのは、進研ゼミの中学講座、オンラインスピーキングが入試や検定合格につながるという文章、文言を取っただけで販売していますけれども、これは違反しないのですかと聞いています。
○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になりますけれども、本スピーキングテストの対策に特化した解説本、練習用の教材、これを禁止しております。
ポイントは、本スピーキングテストの対策に特化しているということでありますから、そこが判断の基準になるということでございます。
○アオヤギ委員 ESAT-Jとか、入試につながると書いていなければよいというものではありません。これを都教委が容認するというだけで、公平性、公正性に対するESAT-Jや都教委の信頼は崩れ去ったといわざるを得ません。
ある自治体では、令和四年度から始まる英語スピーキングテストに備え、GTECという四技能を測るテストをやっていますとして、入試対策として行っています。専門家の方は、GTECとESAT-Jの採点者が同じ場合、採点者の癖を見抜くことができるので、受けた方は有利になると指摘をしています。
こういう実態があるのですから、GTECや、また、先ほどの進研ゼミの販売をベネッセにやめさせるべきではないですか。
○瀧沢指導推進担当部長 どのような方がどのようにお話ししたのか、ここで確認のしようがございません。あるいは、今のは様々な臆測の上に成り立ったご意見であります。
繰り返しになりますけれども、先ほど来、お話をしていますように、このスピーキングテストの対策に特化したものにつきましては、禁止をしているということでございます。
○アオヤギ委員 進研ゼミの販売、GTECをやめさせるかどうかというのはお答えになりませんでした。
藤田前教育長は、議会でこう答弁しています。毎年度、都教育委員会と事業者が実施協定を締結し、事業者は、本スピーキングテストに関する模擬試験や関連教材の作成、販売を行わないこととしておりまして、国のご指摘のような事業で指摘されたような事例は、本事業によっては起こり得ないというふうに認識しておりますと答弁されています。
利益相反となるようなことがないか、きちんと把握をして、是正するのが東京都の立場ではないですか。
○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、協定その二に関する覚書として示しているとおり、ここにある、対策等に特化した解説本、練習用教材、これらを作成し、販売すること等々、具体的に、明確に利益相反に当たるというふうに双方が理解するものについては書いてございます。
それ以外のものについては、効力はないということでございます。
○アオヤギ委員 ベネッセの商品であるGTECも、進研ゼミ、オンラインスピーキングも、入試の問題の作成者が学習教材や問題集、テストを作っているわけです。そもそもESAT-Jに特化していなければよい、流用していなければよいなどという覚書の規定が甘過ぎると指摘をしておきます。
ESAT-Jの出題方針、採点のノウハウを知り尽くしたベネッセが、名前は違っても、対策になるものを作るのは容易です。こうした状況では、公平性、公正性、中立性が担保できているとは全くいえません。この点をとっても、ESAT-Jは中止しかないと強く申し上げます。
採点の公平性と不受験者の扱いについて伺います。
採点の透明性の問題で、受験者が希望すれば音声データを開示すると、答弁が九月にありました。
音声データが開示され、何らかのミスが発見された場合、当事者だけでなく、その当事者の点数を用いて算出された不受験者の点数にも影響が出て、今までとは違う膨大な採点のし直しがあると思われますが、今の都立学校の体制で正確にできるのでしょうか。
○村西都立学校教育部長 スピーキングテストの結果の活用に限らず、入学者選抜については万全を期してまいります。
○アオヤギ委員 さらに、音声だけ公開されても、採点結果も併せて公開してもらわなければ、採点が適正に行われているかどうか分かりません。
設問別の点数は公表するのでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 評価の結果については、結果帳票として、生徒全員に一人一人に返却をいたします。
あるいは採点の基準について、あるいは評価の方針についても、もう既にオープンにしております。
また、どのような回答例であればどのような評価になるのかということについても多数示すということを、これまでもお話をしてきているところでございます。
音声データと併せて、評価に関する情報を開示するということで準備をしているということについては、これまでお話ししてきたとおりでございます。
○アオヤギ委員 設問別の点数を公開しないなら、音声データの公開の意味も半減しますし、採点は、やはり不透明なままだということになります。とんでもありません。セットで公開しなければ意味がない。入試に必要な透明性を確保できていないと重ねて申し上げたいと思います。
そもそも、設問別の採点結果がなければ、アチーブメントテストとしても成り立たないと思います。
また、到達度を、二月に結果を返されても、英語の授業に生かされないことになります。
こうしたことも、いまだに準備ができていないということを指摘しておきます。
そして、公平、公正な入試という点でも大きな問題は、不受験者の扱いです。
都立学校教育部は、今年の入学者の合否判定でミスがあり、都教委が見つけ、三人の方を入学させるということを行いました。
都立学校教育部にお聞きしますけれども、一点でもミスが起きないように合否判定をしてきた立場を堅持するのか、お伺いします。
○村西都立学校教育部長 繰り返しの答弁になりますが、スピーキングテストの結果の活用に限らず、入学者選抜については万全を期してまいります。
○アオヤギ委員 不受験者の逆転現象について、専門家の南風原先生は、実際の子供が取った点数から不受験者を決めて、都教委のやり方で不受験者の点数を出すと、実際の結果が二十点だった子は下がり、下の方の点数の子は上に上がるという現象があると示されています。不受験者が二番目に飛び込んでくる可能性もあり、全ての受検生に影響を及ぼす制度だということであります。
不受験者がいるということ自体、試験を実施したことのある専門家からは大変驚かれます。
都立学校教育部長は、不受験者との逆転現象について、たまたま起きるとか、一定のルールの下で行えば、合理的で最善の方法ということを繰り返しいっておられますけれども、先ほどの答弁とは真逆の立場だといわざるを得ません。これは説明ではなく、都教委の感想だと私は思います。受検生に対して大変失礼だと思います。
ESAT-Jを入試に活用するからこそ、不受験者が生まれ、逆転現象が起きる。
重大な瑕疵ではないでしょうか。
○村西都立学校教育部長 この問題につきましては、入試において、英語の四技能をしっかり測るということが必要であるという、まず大前提がございます。そのために、ESAT-J、スピーキングテストの結果を活用することとしたということでございます。
この活用に当たっては、先ほど来、申し上げているとおり、事故や病気、やむを得ない理由により受験することができなかった生徒は必ず出てきます。そういった生徒のために、著しく不利にならないよう点数を付与する特例的な措置が都教委として必要だと判断しているからでございます。
判断したからには、スピーキングテストの結果がない生徒に対して点数を付与する措置として、現在、与えられた選考材料の中で、学力検査の得点を用いて、その平均値を用いてやる方法が、最も納得性があって合理性があるということを先ほど来から申し上げています。
○アオヤギ委員 活用するから起きることですよね。それを棚上げして、そういう説明をするのはおかしいと思います。
指導推進担当部長にお聞きします。
民間の試験を八万人に導入すると、様々な瑕疵が出てきています。例えば不受験者が出ること、これは分かっていたことです。検討会でも話されていました。
また、都教委は、令和元年七月八日の入選検で、国際班、そちらの課ですけれども、ミスを限りなくゼロにしていきたいとも話されています。
ミスは起こり得ると自覚しているように思えますけれども、ESAT-Jのデメリット、瑕疵はあると思いますか。あるとしたら何だと思いますか。それとも、全く瑕疵がないと認識しているのですか。
○瀧沢指導推進担当部長 万全を期して実施してまいります。
○アオヤギ委員 瑕疵があるかどうか、聞きましたけれども、答弁はありませんでした。
学校向けの今年度の説明会では、現場で都教委が一方的に説明をして、質問は受け付けず、QRコードを読み取って、後で問い合わせてくださいということだったと聞いています。これでは、文章の解釈次第で、間違って保護者に説明してしまうのではないかと思います。
実際、ある学校では、スピーキングテストの不受験者については不利にならないように取扱いしますと、これだけ一文が入っているため、保護者の中には、任意のテストだと認識して、受けないと二十点失うということが分からなかったという方が、つい先日もおられました。
都教委やベネッセが、区市町村教育委員会や学校、保護者に周知徹底することをあまりにも甘く考えているのではないですか。周知をできずに点数を失ったら、都教委に責任があるのではないですか。
いかがお考えでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 入学者選抜に活用することを公表以来、様々な方法を使い、様々な団体あるいは学校、保護者向けに周知をしてきたところでございます。
○アオヤギ委員 自分たちの責任の所在は、あるといいませんでした。これ、重大なことだと思いますよ。実施できないんじゃないですか、こういったことでは。
都立学校教育部にお伺いします。
こうした都教委の周知が不十分で受験できなかった、試験会場に遅刻した、あまりに多くのミスが出た、採点のミスが出たということが十分予見されます。ミスが出ないように取り組んできた都立学校教育部の立場から、ESAT-Jの二十点を入れないという緊急の措置を判断すべきではないですか。
地教行法の二十一条、入学に関することを所掌しているんですから、そういった判断ができる立場にあります。
採点ミスがあった場合などは、こういった試験をやっている方のお話ですと、ミスが出たという場合は、まず、その点数をゼロ点にするということをやって点検するということを行うそうですけれども、二十点を総合点に入れないのが、公平性、公正性を担保するのになるのではないですか。
○村西都立学校教育部長 先ほど来、繰り返しておりますが、入学選抜については万全を期してまいります。
仮に誤りが明らかになった場合は、きちんと、これまでどおり、これまでやってきたとおり、是正措置を取りますので、適切に対応していきます。
○アオヤギ委員 是正措置をするということでありました。ぜひ、こういう判断を直ちにしていただきたいというふうに思います。
次に、ESAT-Jが、そもそも英語教育につながるのかということについてお伺いします。
まず、お聞きしますけれども、ESAT-Jを入試に活用すると中学校の英語教育が充実するということが、実施の目的の一つとしてずっといわれてきました。
あのESAT-Jの四問を解くと、なぜ英語力が上がるのか、理由をお示しください。
○瀧沢指導推進担当部長 試験を受けると、その生徒の英語力が上がるということと、試験の結果を教員等々が授業の改善に生かしていくということとは全く違うもので、私たちがこれまでずっといってきたのは、その後者であります。
入試にスピーキングを入れることによってスピーキング力を高めるということを目的というふうにいってきているのではなく、先ほどもお話ししましたように、今、教科書も大きく変わって、通常から、あるいは小学校から話すこと、聞くことをずっと勉強してきているわけです。ですから、それを適正に評価しようというのがスタートであります。
ですから、私たちがお話をしてきているのは、その結果を授業改善等々に生かしていくということと、それから、本人が自分の到達度を把握することによって、その後、高校、あるいは大学に進学するのであれば大学入試、あるいは就職、留学等々、ずっと資格、検定試験を活用することで英語力を証明していくという機会になる生徒はたくさんいると思います。
ある意味、その入り口として使っていくということをお話ししているものであります。
○アオヤギ委員 授業を改善したければ、直接、支援したらどうですか。クラスを少人数にするとか、直接、支援をしていただきたいというふうに思いますし、ESAT-J、とても独特のテストで、何回もあのテストを訓練した人が高得点を取り、流暢にすらすらと発音をした人が点数が高くなるのではないかという専門家の指摘や、慣れなので、極論をいうと筋肉の判定のテストだと専門家の指摘があります。
テストとしても破綻しているというご指摘がありますが、タブレット端末に話しかけることが英会話といえるのでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 英会話というのは、一般的な用語であります。スピーキングでありまして、スピーキングの能力を測定する方法としては考えられるものであります。
加えていえば、世界中で長年にわたり使われています資格、検定試験、例えばTOEFLのiBTもそうですし、TOEICのSWもそうですし、あるいは英検、IELTS、ケンブリッジ英検等々、押しなべて全ての試験についてスピーキングは行われておりますし、その中の幾つかについては、例えばTOEFLのiBTはそうですけれども、音声を吹き込むという形で試験を行っております。
○アオヤギ委員 何の話をしているか、全く分からないのですけれども、答弁になっておりません。
子供たちの声なんですけれども、実施計画に試験会場を教えるのが十一月十四日ということで書いてあったのですけれども、私は、その日が試験会場を伝える日だと思ったのですが、先ほど、何か十一月一日に通知するというふうにお答えがあったように思うんですが、十一月一日にしても、なぜもっと早く示さないのかという、あまりに遅過ぎると思います。中学三年生の状況、たどり着けないという委員のお話もありましたけれども、見えていないんじゃないかなというふうに思います。
ベネッセは検定試験ができるかもしれませんけれども、こういった事例を見ますと、入試にノウハウがあるというのを疑問に感じます。
また、準備している子供がいるからやるんだというふうにいわれますけれども、準備をしているのは、GTECをやっている方や自治体、塾に行って受験をしている子供たちのことなのか。実際、現場の子供たちの声を聞いた塾の先生からは、ESAT-Jは終わったという子がいると。つまり、やることを諦めたということです。追い詰められている子供たちに心が痛みます。
お伺いしますけれども、瀧沢部長は、受験料がゼロ円だから、大学入試のようにはならないといっておられますけれども、ベネッセ以外の企業が、もう入試のための対策模試を作っています。入試にベネッセの試験を導入することで、新たな市場を開いてしまったわけです。
そっくり模試というものは、模試をやって志望校を決めるわけですけれども、それが、一回、四千二百円の五教科の模試に、スピーキングテスト追加は三千三百円ですよ。これは経済格差が生まれてしまうんじゃないですか。
いかがお考えでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 まずは、都教育委員会の監修の下で試験問題を作っているというのは、繰り返しになりますけれども、学習指導要領に基づき、教科書は六種類あるわけですけれども、そのどの教科書を使っていても差が出ないようにということで問題を作っています。ですから、ふだんの授業をしっかりやることで必ず対応ができるという試験にしていることが、まず第一点目であります。
続いて、様々なコンテンツをウェブ上に上げています。ですから、授業に加えて、意欲のある生徒については、それを活用することで、さらに伸ばすことができるというふうに考えております。
○アオヤギ委員 そういったことだけでは済まなくて、塾に行ってやる方もいらっしゃいますし、そんなにやれないという方もいらっしゃいます。そういった現実を受け止めていただきたいと思います。
最後に、ある中学三年生の方が新聞に投書をしました。
引用しますけれども、都立高校を受検する今の中学三年生を対象に、十一月、初めて英語スピーキングテストが実施される、私は中学三年生で都立高校への進学を希望しているため、このテストを受けるが、不安に感じる、タブレット端末を使って音声を録音するのだが、きちんと読み取ることができるのか、緊張してしゃべれなくなってしまうかもしれないなどと感じている、スピーキングテストの採点は、採点者によるぶれが生じるのではないだろうか、入試は、たった一点でも合否に影響するので、受検を迎える中学三年生にとって、とても困惑することだ、私は、中学三年生に対して、詳しくスピーキングテストについて説明するべきだと思う、初めてのことで不安な気持ちでいっぱいだ。
こういうお言葉ですけれども、この声についてどう思われますか。
○瀧沢指導推進担当部長 様々な意見があることは承知しており、生徒が安心して受験できるよう、実施に向けて万全を期してまいります。
○アオヤギ委員 子供たちの声、こうやって発することも大変なことだったと思いますけれども、こういった声の後ろに多くの子供たちがいるということを本当に自覚していただきたいと思います。
説明責任も果たさずに、またいろんなことを、認識が全然違っていたりということで、もうやれる状態じゃないというふうに思います。直ちに断念すべきということを指摘して、英語スピーキングテストの質問を終わります。
次に、都立特別支援学校の病弱児について質問します。
病弱児には、病院に入院中の病院内の分教室に入るお子さんと、寄宿舎から特別支援学校に来られるお子さんがいらっしゃいます。お子さんの入れ替わりもあるため、様々な要望があっても、つかみにくい実態がありました。
この間、保護者の皆さんから寄せられた声を聞いています。まず、病弱児の寄宿舎の問題です。
光明学園には病弱児の寄宿舎がありますが、二〇一七年に併置校となってリニューアルはされましたが、お風呂場が男女が隣り合わせになっているということです。この寄宿舎は、小学部から高等部まで利用しており、思春期の子供たちもいます。保護者の方から、お風呂場の場所を分けてほしいという要望がありました。
そこでお伺いしますが、光明学園の病弱児の寄宿舎の入浴などの生活空間を分けることについて必要ですが、いかがですか。
○落合特別支援教育推進担当部長 男女の浴室が同じ階にありますが、これまでも、学校が寄宿舎の運営において適切に対応してございます。
○アオヤギ委員 まだ分かれていないので、今後は男女の生活空間を分ける、入浴のスペースを分けるという対応をしていただきたいと思います。
病院内分教室について、この場でも、一般質問でも取り上げてきました。
東京都は、特別支援学校の病院内分教室は、病気になった子供たちのかけがえのない場所になっていることを、関係者の皆さんから教えていただきました。
病気になった子供たちが学びの空白が生まれるケースもあるとともに、高校に入学した場合、入学した後、病気を発症すると退学になるのではないか、早く復学したいという思いから、なかなか、分教室に入室をする決断が遅れることがあり、学びの空白になりかねません。
また、一度、分教室に入ったとしても、また空白ができることや、分教室で学んだことが単位になることなど、学校側の理解と本人への説明も必要です。
そこでお伺いしますが、都立高校の病弱児に対する理解や制度の案内が必要ですが、都立高校では、病気で入院をする生徒に対してどういう対応を取っているのでしょうか。
○小寺指導部長 都立高校では、入院しなければならなくなった生徒の病気の状況や意向を踏まえまして、保護者とも面談を行うなどして、一人一人に応じた学びへの支援を行っております。
○アオヤギ委員 一方、子供たちの保護者の皆さんからすると、分教室に入るために退学になると不安が大きくなるということです。
退学になると、学校から連絡が来なくなるのではないか、忘れられてしまうのではないかという思いが、入院初期の子供たちや保護者の心理的負担は重いといいます。
そこでお伺いします。学籍を地元の学校に置いたまま、通級学級のような形で病院の分教室や訪問教育を受けられるようにしてほしいと要望がありますが、いかがですか。
○落合特別支援教育推進担当部長 通級による指導では、病院内分教室や病院内の訪問教育のような教科の指導を行えないとなってございます。
○アオヤギ委員 行えないという答弁でしたが、当事者の皆さんにとっては長年の課題であり、学校側も理解が進んでいる状況ではないので、こうした声を受け止めていただきたいと思います。
次に、子供たちの平均在籍期間についてお聞きします。
現在のがん治療などでは、学校は休むけれども、入院せずに週一回の治療など、必ずしも入院していないケースがあります。
そこでお伺いしますが、病院内分教室の平均在籍期間はどのくらいか、お答えください。
○落合特別支援教育推進担当部長 令和三年度におけます平均在籍期間は、八十日程度でございます。
個々の状況であり、転校の回数の平均は把握してございません。
○アオヤギ委員 また、分教室の特徴として、様々な学校のお子さんが来て、教科書もばらばらであることがあります。これを教える分教室の先生方のご努力は、並大抵のものではないと感じます。
また、教科書全てに対応できない場合もあり、元の学校と違う教科書の場合もありますが、様々な教科書が地元の学校では使われておりますけれども、分教室で学んだことが各学校で単位として認められるようにしていただきたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。
○小寺指導部長 都立高校では、入院中の特別支援学校分教室での学習の成果等を踏まえまして、生徒一人一人の進級や卒業について総合的に判断しております。
○アオヤギ委員 病気になった子供たちにとって、学びが治療に向き合う重要な役割であると、関係者の方からも教えていただきました。
また、多くの同じ病気で苦しむ仲間、先生の役割も大きいものがあります。
こうした事例を一般質問でもご紹介しましたけれども、仲間と交流する中で、その認識、自分も、そういった若い皆さんのためになりたいと思った方のお話をしましたけれども、いるか分教室は、患者でなく高校生としていられる場所だと手記を残している青年、二十四歳で亡くなりましたけれども、その方がお伝えしていたのは、学びが生きるエネルギーになる、それが病院内分教室だということであります。この青年が残してくれた言葉を大切にしなければならないと思います。
また、分教室で働く先生からも、どんな小さいお子さんでも、最後のときまで小学生でいたいということがあって、先生たちはベッドサイドに行って教えるということです。
子供でも大人でも、最後まで生きたい、学びたいという気持ちは同じことではないでしょうか。
病気により失われた生活を補うという発想ではなく、なりたくなかった病気だろうけれども、病気になって始まる新たな生活をできるだけ輝かせることに力を尽くしたいと、ある先生が述べられています。こうした分教室で、病気の子供たちは大切な時間を過ごしているのではないでしょうか。
そこでお伺いしますが、単に知識を学ぶだけでなく、教員や仲間との関係を通じて子供の心身の成長を支える意味でも、病院内分教室は大きな意義があると思いますが、いかがでしょうか。
○落合特別支援教育推進担当部長 他者との関わりを通じ、子供たちの成長を促すことは、学校教育の持つ意義の一つと認識してございます。
○アオヤギ委員 都立小児総合医療センター内の府中分教室には、高等部がありません。ほかの分教室には、全て高等部があります。
つくらない理由について、改めてお伺いします。
○落合特別支援教育推進担当部長 病院内分教室につきましては、訪問教育の実施状況、施設設備の状況等を総合的に勘案し、病院と協議するなどして設置しております。
小児総合医療センターでは、武蔵台学園府中分教室で小中学校段階の児童生徒に授業を行ってございます。また、高校段階の生徒につきましては、病院内訪問教育により、小平特別支援学校の教員が病院を訪問して学習機会を確保してございます。
○アオヤギ委員 都立小児総合医療センターでは、高校世代の子供は、今、訪問教育を受けている方はいないということを聞いておりますけれども、中学、小学で発症して、一度、分教室に入っていた方は、相談に乗るケースがあるというふうに聞いております。
こうしたことから、やはり一定数、高校生の病弱児がいらっしゃるというふうに考えますので、小児総合医療センターにも高等部をつくるべきだと思いますが、いかが考えますか。
○落合特別支援教育推進担当部長 入院している児童生徒に対しては、今後も、病院の理解と協力の下、病院内に設置している分教室や病院内訪問教育により、適切に対応してまいります。
○アオヤギ委員 都立病院は独法化されてしまいましたけれども、国立と都立病院など、しっかり連携して、都立学校、都立特別支援学校が連携してつくっていますので、しっかりこのニーズに応えて、かけがえのない場所をつくっていただきたいと要望します。
次に、特別支援学校のペースト食についてお伺いします。
知的障害児の特別支援学校で、経管栄養で入学された方が、その後、ペースト食、初期食といいますけれども、口から食べられるようになったのに、出来上がった給食を学校でペーストにしてもらえないという相談を受けました。
ダウン症などの知的障害児の中には、当初は経管栄養であったけれども、成長するにつれて、口からペースト食などに食べ物の硬さが変わっていくお子さんがいます。
そこでお伺いしますが、都立知的障害特別支援学校でペースト食を食べるお子さんの受入れ状況は何人ですか。そのうち、学校給食を食べているのは何人で、弁当を持参している人は何人ですか。
○村西都立学校教育部長 都立知的障害特別支援学校では、令和三年度において、五名に初期食を提供しております。
○アオヤギ委員 そこでお伺いしますけれども、発達段階に応じた給食を食べることは、大事な教育の一つだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
○村西都立学校教育部長 可能な限り、生徒の状況に応じた対応が必要であると考えております。
○アオヤギ委員 どの知的障害特別支援学校においても、ペースト食の給食を食べられるように改善していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○村西都立学校教育部長 知的障害特別支援学校では、これまで、主に普通食を提供する生徒を想定した学校給食調理業務委託の契約をしていること、また、学校によっては、給食施設の構造上、初期食を調理することが困難なケースもございます。
こうした各学校の実態を把握し、対応を検討してまいります。
○アオヤギ委員 子供たちが年度途中で成長し、食事が変わっていくことも考えられます。
一方、委託は、毎年度途中で契約を変えていくなど課題がありますが、改善していただきたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。
○村西都立学校教育部長 繰り返しになりますが、各学校の契約内容や給食施設の実態を把握した上で、対応を検討してまいります。
○アオヤギ委員 ぜひ、切実な声ですので、成長に合わせた給食を必要なときに提供できるように改善していただきたいと思います。
ちょっと時間が押してしまいまして、すみません、特別支援教室については、後日、またの機会にさせていただきたいと思います。
以上で質疑を終わります。
○斉藤委員 立憲民主党の斉藤りえです。
まず初めに、東京都教育ビジョンについてお伺いします。
ビジョンは、私も大いに共感をし、賛同いたしております。
一方で、教育の現場や子供たちの実態を見ますと、十人十色の個性や得手不得手はもちろん、家庭の社会経済的状況、さらには障害の有無といった、まさに多様な子供たちがおります。そうした状況下で、このビジョンを実現させていくことは、とても難しいことであると理解しております。
そこでお伺いいたしますが、ビジョンの定める次代を担う東京の子供の姿を育成していくに当たり、例えば、聴覚障害や視覚障害など、情報コミュニケーションに障害を持つ子供たちに国際化を促す場合に、どのようなサポートを想定しているのか、お聞かせください。
○小寺指導部長 都立特別支援学校におきましては、聴覚障害や視覚障害の児童生徒が将来にわたり様々な人と主体的に関われますよう、手話や筆談、点字や音声ガイダンスなどを活用してコミュニケーション力の向上を図っております。
○斉藤委員 ありがとうございます。国際化に限らず、将来にわたり様々な人と主体的に関われることが、私も大変重要だと考えています。そうした中で、多様な手段を用いてコミュニケーション力を向上させることが、児童生徒の将来の可能性を大きく広げると思っています。
また、コミュニケーションの力だけではなく、そうした多様な児童生徒に確かな学力を身につけさせていくことも大変重要なことだと考えています。
教育委員会は、全ての児童生徒に確かな学力を育む教育を掲げておりますが、多様な児童生徒に柔軟に対応していく指導の在り方は想定しているのでしょうか。例えば、授業を録画し、授業時間に限らず、児童生徒のペースに合わせた学習機会を提供することなども、確かな学力の定着につながる可能性もあると思います。
そうした柔軟な対応は想定していますでしょうか。
○小寺指導部長 都教育委員会は、一人一台端末の効果的な活用などを通して、子供一人一人の個性や能力に合った最適な学びを実現し、確かな実力を身につけられますよう、各学校の取組を支援しております。
○斉藤委員 一人一台端末やデジタル媒体の活用は、個別最適な学びの実現にも大きく寄与すると感じております。デジタル媒体を使用することや導入することが目的化せずに、その機器を活用して、どのように多様な児童生徒の学びを豊かにしていくのか、そうした意識の啓蒙も含めてお願いいたします。
続いて、中学校の英語教育におけるスピーキングテストについてお伺いします。
中学校における英語教育では、話すことの評価を行うスピーキングテストが実施されるが、生徒の聞こえ方の違いや吃音などの特性、障害を有している場合、どのような指導を行うことができるのでしょうか。
○小寺指導部長 都内公立学校においては、例えば難聴の生徒に対して、視覚的な情報により理解を補いながら、英語でのコミュニケーション力を高める指導を行っております。
また、吃音の生徒に対しましては、自分なりの発音や表現で英会話ができるよう指導しております。
○斉藤委員 これは、実際にスタートしてみて、どのような状況になっているかを、都度、確認していく必要があると考えています。
学校教育において、評価は大切な部分であると認識しています。実際に運用が始まって、現場の先生方が、評価の点で、どのように障害を有している生徒と向き合っているかは重要な視点です。
また、吃音の生徒が自分なりの発音や表現をすることが、本当に推奨されるかについても確認が必要だと思います。
英会話は、他者とのコミュニケーションを指しますので、その文脈や状況をどのように向上させていけるかが指導だと考えています。そうした状況下で、吃音の生徒が自信を持ってもらえる指導ができるのであれば、それは大変望ましいとは感じていますが、スピーキングテストが自己肯定感を下げることにならないようにしていただきたいと思います。
次に、子供たちが文化的な活動に触れる機会について伺います。
文化芸術活動と子供たちとの接点や機会は、家庭の社会経済的状況に左右されることが多いと認識しています。
確かに、そうした機会がすぐに直接的に受験や学力に反映されるかといえば、そうとはいえないかもしれません。しかし、文化芸術活動に触れることは、確実に子供たちの知的好奇心や人間力を豊かにし、結果として学力の向上にも大きく寄与し、人生のウエルビーイングを高めていくと考えています。
何らかの事情で文化芸術活動に触れる機会が少ない子供たちがいるとすれば、そこから格差が生まれてくる可能性もあります。
文化的な活動に触れる機会の少ない子供たちに機会を創出していくべきだと考えますが、都教育委員会の取組についてお伺いいたします。
○小寺指導部長 都教育委員会は、学校が芸術文化団体等を招聘し、子供たちに幅広い分野の鑑賞や体験等の機会を提供できるよう支援をいたしております。
○斉藤委員 ありがとうございます。私は、確かな学力を育むことは大変重要であると考えていますが、同時に、文化的な活動によって育まれる知的好奇心や感性、人間力も、子供たちの人生を大きく左右する大切な学びの機会だと考えています。学力の向上では見えにくい点から格差が生まれる可能性もあり、こうした視点も持って子供たちを育てていければと思います。よろしくお願いいたします。
続いては、質問ではなく、意見を申し上げます。
施策展開の方向性〔8〕でも掲げていますが、海外留学支援や海外留学生の受入れについてです。
コロナ禍では、随分と国境を越えてのリアルな交流が薄れてしまいましたが、これから再び、日本から海外へ、海外から日本へと、人々の往来が増えてくると期待しています。そして、そうした国を越えての交流の体験や経験は、確実に子供たちにとっても社会にとっても、多様な価値観を学び合う大切な機会になると信じています。
一方で、障害を有する子供たちには、そうした機会が限定的であるとも感じております。私は、障害を持っている子供たちも、海外で様々な価値観や、障害を持つ当事者がどのように社会の中で位置づけられているかなどに触れていただきたいと考えています。
また、海外の福祉先進国から、障害を持つ当事者である青年などを招聘し、子供たちと交流させるなど、自らの可能性を大きく広げる施策もあってもよいと考えています。
現在は、まだまだコロナ禍でもあり、こうした取組を直ちに着手していくことは困難であることも理解できますが、今後、障害のある子供に対する施策についても検討していただければと考えます。よろしくお願いいたします。
次に、いじめ防止等についてお伺いします。
近年は、子供たちからの教育相談が、フリーダイヤルよりも、LINEなどのSNSを活用した相談がより機能していると伺っています。
都教育委員会の取組の状況について教えてください。
○小寺指導部長 都教育委員会は、相談窓口といたしまして、電話、来所、メール、SNS、ウェブチャットによる相談を受け付けております。
○斉藤委員 ありがとうございます。本当に困っている子供たちがどのような手段を用いて教育相談にアクセスするかは、その子ごとに異なると思います。しかし、そこに一縷の望みを持って、勇気を持って連絡をしていることを考えると、ぜひとも、より機能している方法を、場合によっては拡充していくなりの対応をお願いします。
関連してですが、都では、特別支援学校や、特別支援教育を受けている児童生徒、障害のある若者たちからの相談実績なども、数字として把握しているのでしょうか。また、その場合は対策などは取っているのか、都教育委員会の取組についてお伺いさせてください。
○小寺指導部長 都教育委員会が設置しております相談窓口は、児童生徒が匿名でも相談できるようにしておりますため、校種や障害の有無等については把握いたしておりませんが、特別な支援を必要とする児童生徒から相談があった場合は、個別に適切に対応いたしております。
○斉藤委員 これは大変難しい点ではあると思いますが、障害などは、差別や偏見の対象となる場合が多々あります。子供たちにとっても、それは同様で、さらには、近年、ハイリー・センシティブ・パーソンのような症状が出ている子供たちも多くいると伺っています。そうした状況下で、そのいじめや悩みの原因が何なのかを把握することも、今後のいじめ防止に向けて重要であるとも考えています。
関係団体などと連携していただき、障害の有無や原因の把握も一考いただければと思います。
以上で私の質問は終わります。ありがとうございました。
○清水委員 ようやく番が回ってまいりました。あと二人でございます。先が見えてまいりましたので、最後までお付き合いいただければと思います。
今回、私は二つの項目の質問を用意してまいりましたが、多摩地域におけますTGGの取組につきましては、昨日の委員会の冒頭で、他の委員の方からの質疑がございました。重複いたしますので、その件につきましては割愛とさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、私からは、都立立川国際中等教育学校附属小学校についてお伺いをしたいと思います。
公募によりまして、男女とも約三十倍もの倍率の中から、今年度、七十名の一年生、三十五人学級の二クラスというふうな児童の皆さんが入学をなさいました。この子供たちは本当に、保護者の方はもちろん、地域や都の教育委員会からも大きな期待を背負っているわけでございまして、私もよく拝見するのですが、楽しそうに伸び伸びと学習をしていることだと思います。
そして、この子たちが、近い将来、本当にこの地から、この学校から世界に羽ばたいて活躍していただける、そのような姿が容易に想像ができるわけでございます。
しかしながら、私も地元でございますので、何点かちょっと気がついた点がございますので、この際、質問をさせていただきたいと思います。
今回、スタートいたしました都立立川国際中等教育学校の附属小学校、これは、都民ニーズですとか地域バランスに基づいて、この立川の地に開設されたものであると理解しておりますが、もう一つ、重要なポイントは、交通の利便性、三多摩の交通の結節点が立川であったと、そういうことが理由だと伺っておるわけでございます。
この点につきまして、まずは現状を確認したいと思います。
この附属小学校開校から約半年がたちました。七十名の子供たち、児童たちは、現在、どのように通学しているのでしょうか。
通学手段の現状についてお聞かせをいただければと思います。
○佐藤教育改革推進担当部長 在籍する児童七十人の交通手段の割合は、立川駅から学校まで路線バスの利用者が八一%、国立や国分寺市のコミュニティバスの利用者が三%、自宅から学校までの徒歩通学者が一六%でございます。
○清水委員 ありがとうございました。七十名の子供たちのうち、バスを利用している方が八一%ということで、多数を占めているというふうなお答えでございました。
ちなみになんですが、併設されているといいますか、大本の方の中等教育学校の生徒さんたちは、前期課程、後期課程がございますけれども、どのような通学手段をなさっているのか、併せてお聞かせいただければなと思います。
○佐藤教育改革推進担当部長 本年四月時点の立川国際中等教育学校の在籍生徒九百十七名の通学手段の割合についてですけれども、立川駅から学校まで徒歩通学が約五三%、自宅から自転車の利用が約二〇%、立川駅から学校まで路線バス利用が約一〇%、自宅から学校まで徒歩通学が約一〇%、その他の路線バスの利用者が約七%でございます。
○清水委員 ありがとうございました。状況がよく分かったわけでございます。やっぱり中等教育学校に通っていらっしゃるお兄さん、お姉さんたちは、歩いてこの学校まで行く方が五三%もいらっしゃるというふうなことであります。
冒頭、私、この中等教育学校、また附属小学校がこの立川の地にできたのは、交通の利便性ですよというふうなお話をさせていただきました。しかしながら、実は、皆さん、ここは立川と国立の行政境でありまして、決して駅から近い学校ではないということを、ちょっとご理解していただければなと思います。
大体、最寄りの駅はJR立川駅の北口なんですが、この立川国際中等教育学校及び附属小学校までは、直線距離に直して一・五キロメートル、大人の足で約二十分かかるような場所であります。
もう少し詳しく説明いたしますと、近くに立川競輪場がございまして、昔は、この通り、そこまでの道が通称オケラ通りといわれておりまして、昼間からお酒を飲んだお父さんたちが外れ車券をばらまきながら、よたよたと歩いていたと。そのような時代が、何十年か前はあったんです。
ところが、最近は立川市の方も、それではやはり地域の安全・安心につながらないということで大分取組を進めてまいりまして、警備員や誘導員などを配置いたしたり、あるいは清掃員などを駆使しまして、本当にきれいな、そして、かえって安全な道になっているわけでございます。
そういったところを、今、七十名のお子さんたちがバスで通っていらっしゃる。これ一年生ですからね。この一・五キロを二十分以上かけて歩くというのも、なかなか大変なんでしょうけれども、これ、来年から順次、新一年生が増えてくるわけでございまして、そうなりますと、単純に一学年七十名といたしますと、六年、つまり令和九年度には児童数が、七十名掛ける六ですから四百二十名になるわけであります。
そうしますと、この利便性の確保というか、特に私が心配しているのは、この児童、いわゆる子供たちが、果たして安心して通学ができるかという点でありまして、今後、四百二十名もの子供たちの多くが、附属小学校の場合はバスによって通学することを前提とするかと思います。そうしますと、バスの確保ですとか、バス利用時の安全対策、これをしっかりと構築していかなければならないと思います。
現在、都の教育委員会では、この点につきましてどのような見解をお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。
○佐藤教育改革推進担当部長 現在、附属小学校は、保護者の協力の下、児童が乗車するバスに同乗して、児童の見守りや分散乗車などの指導を行っております。
都教育委員会は、年次進行に伴う児童数の増加により、路線バス利用の際に、附属小学校の児童や中等教育学校の生徒が無理なく安全に通学できるよう、安全確保の観点から、通学手段の方法について必要な検討を行ってまいります。
○清水委員 ありがとうございます。私もやはり気になりまして、将来のことを考えて、このままの状況でいいのかなと思っておりまして、一番児童が利用するであろうバス路線、これ、立川北口から出ております、地元の立川バスの立53という系統だそうでございますけれども、この時刻表を調べてみました。
そうしますと、附属小学校の登校時間は八時十分でありまして、ついでに中等教育学校の方は八時二十分というふうなことで、七時台のバスに乗らなければならないのかなと思います。
そうしますと、この立53の七時台の時刻表を見てみますと、七時二分、十九分、三十五分、五十分と四便しかないんですね。それで、ついでに、仮に路線バスの大型車両だとすると、最大の乗員数が七十がマックスだろうといわれております。
そうすると、単純計算でも足りませんので、ぜひ地元のバス会社との検討の際は、この増便も、ぜひとも検討していただければなと思います。
特に、この立53が走っている道というのが、立川の北口のメイン道路の立川通りというところでありまして、朝晩の通勤通学のラッシュ、これはすごくバス路線の一番太い線でありまして、なかなか思うように進まない場所でございますので、その辺も考慮していただきながら、ぜひとも地域の方とご検討を進めていただければなと思います。
また、通学時におけます子供たちの安全確保は、やはり、やり過ぎるということはないと思いますので、今後もぜひ、安全・安心な通学手段についてはしっかりと対応していただきますよう、よろしくお願いをしたいと思います。
さて、都立立川国際中等教育学校附属小学校に期待されている大きな役割の一つが、多摩地域在住の子供たちの多様な学びを実現することであると伺っております。そういった意味では、この附属小学校は、立川市のみならず、多摩地域全体から注目を浴びているといっても過言ではないかと思っているわけであります。
ここでどれだけアピールできるかが非常に重要でありまして、それが多摩地域の、ひいては東京都全体の教育に大きく影響すると考えております。
その一方で、本校は、公立で初めて小中高の一貫教育というふうなことをうたっているわけでありますけれども、裏を返せば、ややもすると、これは閉鎖的ですとか、地域にぽつんとある学校ということになりかねません。
そうならないためにも、ぜひとも多様な学びを広い視点で捉える必要がありまして、その一つが地域の小学校との交流であると私は確信しておりますが、都教育委員会の見解をお伺いしたいと思います。
○佐藤教育改革推進担当部長 附属小学校の教員は、立川市教育委員会が主催する小学校教員を対象とした教科指導の研究会に参加し、授業力、指導力の向上に取り組んでおります。
また、附属小学校の児童が、近隣の小学校や幼稚園の児童、幼児との交流活動ができるよう、実施時期や具体的な内容等の検討及び準備を行っております。
○清水委員 ありがとうございました。近隣の小学校や幼稚園の児童、幼児との交流活動に向けて、既に準備されているんだよというふうなことでございました。
これらの異なる環境で学習した子供たちと交流を図ることは、深層的にはダイバーシティに大きく影響を及ぼすんだと考えておりますので、ぜひ積極的かつ継続的に交流の場を設けていただきたいと思います。
他方、生まれ持ったものの多様性、つまり表層的なダイバーシティへの取組も必要であるかと私は考えております。
そこで、都立立川国際中等教育学校附属小学校の近くにございます都立立川学園特別支援学校、聴覚障害と知的障害の特別支援学校でございますが、この都立立川学園との交流が、お互いの表層的なダイバーシティに大きく寄与すると私は考えます。
この立川学園に通う子供たちと積極的に交流を図ることは、子供たち自身がお互いのことを認め合う関係を築くことにつながりまして、附属小学校と立川学園の双方によい影響をもたらし、多様な社会、多様な学びへの積極性を生むものと考えますが、現在、附属小学校ではどのような取組を行っているのか、現状をお聞かせいただければと思います。
○佐藤教育改革推進担当部長 令和三年度、附属小学校は、中等教育学校と共通の校歌の木彫りパネルの制作を、立川学園の前身である都立立川ろう学校高等部に依頼し、完成したパネルを新校舎の体育館に設置しました。
令和五年度には、同附属小学校は、新たに附属小学校の歌のパネル制作を立川学園高等部に依頼するとともに、制作したパネルをきっかけとして、両校の児童生徒による共同作業や交流を予定しております。
○清水委員 ありがとうございました。もう既に交流を進めていらっしゃるというふうなことだと思います。
私もちょっと誤解をしていたのですが、どうしても立川国際というふうな学校名がついておりますと、語学教育だけに注目が集まっているような部分がありまして、私も、国際社会に出ていくということはそういうことなのかなと思っておりましたが、先生方にお伺いしますと、語学教育は、あくまでもツールである、道具であると。やはり世界に羽ばたいていくためには、多様な考え方を学んで、それに対応できるような人間になって育ってほしいというものが立川国際中等教育学校の本旨であるというふうなことを伺いました。
そういった意味におきましては、手話も表現のツールの一つであろうかと思いますし、多言語というのも、その最たるものだと思いますので、都立立川学園との交流をこれからも充実されることを心から願いまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○加藤委員 文教委員会での質問は、私にとって初めてとなりますので、よろしくお願いいたします。
まず、区市町村立小中学校のトイレの洋式化について伺います。
都議会公明党は、児童生徒にとって安全・安心な環境の整備、災害時、地域住民の避難所としての機能強化及び新型コロナウイルス感染症対策等の観点から、これまで区市町村立小中学校のトイレの洋式化推進を要請してきました。
こうした都議会公明党の要請に応じ、都教育委員会が、区市町村立小中学校におけるトイレ洋式化に係る経費について平成二十九年度に支援を開始してから五年が経過をいたします。
私の地元の墨田区も、この五年間で小中学校のトイレの洋式化が進んできておりますけれども、区市町村によっては、整備状況にばらつきがあるというふうに聞いております。
そこで、都内公立小中学校におけるトイレの洋式化の現状と、区市町村における整備の状況について伺います。
○岩野地域教育支援部長 現在、都教育委員会は、平成二十九年度から、都内公立小中学校のトイレ洋式化率八〇%以上を目標とし、東京都公立学校施設トイレ整備支援事業により、区市町村に対して支援を行っております。
事業を開始した平成二十九年四月一日時点で五七・二%であったトイレ洋式化率は、令和四年四月一日時点で七七・七%となっております。
また、区市町村ごとの整備状況につきましては、洋式化率八〇%を超えている自治体が二十七ある一方で、洋式化率八〇%未満の自治体が三十五ございます。
○加藤委員 目標である八〇%には大分近づいているようでありますが、八〇%に達していない区市町村が半数以上あるということになります。
小中学校は、児童生徒が一日の多くの時間を過ごす場所であり、また、災害時には地域の方も利用する避難所となります。そのため、都内全ての公立小中学校において、清潔で誰もが使いやすいトイレを整備していくことは非常に重要です。
区市町村に対する都の補助は、令和四年度をもって終了というふうに聞いておりますけれども、引き続き支援を行っていただきたいと思います。そのためにも、都内公立小中学校のトイレ洋式化の推進に向けて、引き続き取り組んでいただくよう要望をいたします。
次に、日本語教育について質問します。
このテーマは、私にとって、初当選以来ずっと取り組んできた内容でございます。かつて地元のある小学校を訪れた際は、十五か国を超える児童が学んでおりました。また、同じ区内に夜間中学校もありまして、日本語クラスで、多くの外国人が一生懸命、日本語を学んでいる姿を見てきました。多様性に富む東京において、日本人も外国人も活躍できる社会を構築していく、こうした思いで取り組んできました。
その上で壁になっているのが、日本語の指導、修得でございます。数十年かかりましたけれども、いよいよ令和五年度から、日本語指導が必要な生徒に対しまして、特別の教育課程による日本語指導が実施できるようになり、生徒は単位が取れるようになります。
そこで、都立高校においても、特別の教育課程による日本語指導の充実を図るべきと考えますが、各学校の実施に向けた都教育委員会の取組について伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、本年八月に、都立高校の教員に向けた説明会を開催し、日本語指導における特別の教育課程の制度等について周知するとともに、九月には、この制度の対象と想定される生徒の人数や課題等を把握するための調査を行ったところでございます。
また、十月に、全ての都立高校に対し、特別の教育課程を編成する際の個別の指導計画作成の在り方等について説明をいたしたところでございます。
○加藤委員 十一月に入りましたので、新年度のスタートまで、残り五か月というふうになりました。準備を着実に進めていかなければなりません。
そして、この新たな特別の教育課程による日本語指導の充実を図る上で重要となるのが、日本語指導支援員等の人材の確保が必要であると考えます。
そこで、都教育委員会の現在の取組と今後の方針について伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、日本語指導を必要とする生徒が在籍する都立高校において外部人材を活用できるようにしておりまして、来年度以降について特別の教育課程を実施する学校に外部人材を確保できますよう、引き続き検討を進めてまいります。
○加藤委員 日本語指導が必要な人数が一番多いのが東京でございますので、正規教員だけでは、現状を考えると、十分な配置は難しいのではないかと思います。外部人材の力を借りないと、十分な対応ができません。
したがって、外部人材の確保が大切になってくるのですけれども、その一つといたしまして、日本語指導支援員等の外部人材を確保するためのTEPROの役割も重要と考えますが、日本語指導に関するサポーターの登録状況や、人材確保の上での課題や取組について伺います。
○篠企画調整担当部長 TEPRO Supporter Bankに登録いただいているサポーターの約一二%が、日本語指導に関して活動を希望しております。英語や中国語など様々な言語について支援が可能なサポーターがおり、日本語教師資格をお持ちの方もご登録いただいております。
一方、少数言語について対応可能なサポーターがいなかったため、紹介することができなかった事例もございます。学校のニーズとサポーターの状況には、一部でギャップも見られます。
今後、高校において、特別の教育課程により日本語指導が実施できることから、より一層、人材が必要となるため、NPOや大学などとの連携を図るなど、学校が求める人材を紹介できるよう、サポーターの確保に努めてまいります。
○加藤委員 次に、日本語指導を必要とする生徒への学力検査の際の特別措置について伺います。
現在、都立高校入試の学力検査における辞書の持込みは、外国籍の生徒のみ認められております。
しかし、日本語指導を必要とする受検生の中には、日本国籍を持つ生徒も一定数いることから——帰国子女等ですね、こうした特別措置を同様に認めるべきであると考えますが、見解を伺います。
○村西都立学校教育部長 現在、外国籍を有する入国後三年以内の生徒については、ルビを振った学力検査の実施に加えて、辞書の持込みが認められておりますが、日本語指導を必要とする日本国籍の生徒には、ルビを振った学力検査の実施のみが認められております。
副委員長ご指摘のとおり、国籍を問わず、学習意欲のある生徒の進路実現を図ることが必要であり、令和五年度都立高校入学者選抜から、日本語指導を必要とする日本国籍の受検生にも辞書の持込みを認めることとしてまいります。
○加藤委員 かねてより都議会公明党が要望してきたことでありまして、大きな前進であると思います。
この問題は、以前、都教育委員会が設置する入学者選抜検討委員会の特別部会において検討されていたというふうに聞いております。日本語指導を必要とする生徒の入試については、改善に向けた様々な要望が私のところにも届いている状況でありまして、この特別部会を再度、設置していただくことを要望いたします。
また、現在、都教育委員会では、都内八校の都立高校で在京外国人生徒対象の募集枠を設定しておりまして、先日公表しました令和五年度の募集人員において、杉並総合高校の募集人員を五名増やして二十名に増やしたことは評価をいたしますが、多摩地域の在京外国人の募集枠の設定は一校であるため、今後、多摩地域の募集枠の拡大について併せて検討していただくよう要望いたします。
先ほど、同様に、多摩地域に工科の増設というご提案がありまして、非常にいいアイデアだと思うんですが、若干、現状は、工科については応募の人数が下回っている、多くない、こういう現状もありますので、いきなりハードルを上げなくても、この工科も含めたいろんな形の高校を、ぜひ多摩地域にも増やしていただきたい、このように思っております。
そして、第三回定例会の代表質問で、私は、日本語教育を推進する専管部署を設置するなど、教育庁の体制を整備すべきだというふうに求めました。浜教育長から、今後、関係局や区市町村等関係団体と連携を深めつつ体制を整備し、都内公立学校における日本語指導を充実していくとの答弁をいただきました。
こども基本条例の制定で子供政策連携室が誕生し、多岐にわたる外国につながる子供の課題に取り組んでいくわけですけれども、肝腎の教育庁の体制を、専管部署を設けて対応する必要があります。強く要望をいたしまして、質問を終わります。
○入江委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○入江委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午前二時三十七分散会
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