委員長 | 入江のぶこ君 |
副委員長 | 加藤 雅之君 |
副委員長 | 伊藤しょうこう君 |
理事 | 斉藤 りえ君 |
理事 | 白戸 太朗君 |
理事 | とや英津子君 |
北口つよし君 | |
鈴木 純君 | |
龍円あいり君 | |
桐山ひとみ君 | |
アオヤギ有希子君 | |
大松あきら君 | |
阿部祐美子君 | |
清水 孝治君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 浜 佳葉子君 |
次長 | 福崎 宏志君 | |
教育監 | 藤井 大輔君 | |
総務部長 | 田中 愛子君 | |
都立学校教育部長 | 村西 紀章君 | |
地域教育支援部長 | 岩野 恵子君 | |
指導部長 | 小寺 康裕君 | |
人事部長 | 吉村美貴子君 | |
福利厚生部長 | 田中 宏治君 | |
教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 | 秋田 一樹君 | |
事業推進担当部長 | 筒井 宏守君 | |
企画調整担当部長 | 篠 祐次君 | |
高校改革推進担当部長 | 池上 晶子君 | |
教育改革推進担当部長 | 佐藤 聖一君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 落合 真人君 | |
指導推進担当部長 | 瀧沢 佳宏君 | |
人事企画担当部長 | 稲葉 薫君 |
本日の会議に付した事件
教育庁関係
事務事業について(質疑)
○入江委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初めに、委員の所属変更について申し上げます。
去る十月十八日付をもって、伊藤ゆう議員が当委員会から厚生委員会に変更になり、新たに、桐山ひとみ議員が厚生委員会から当委員会に所属変更になった旨、通知がありましたので、ご報告いたします。
この際、新任の委員をご紹介いたします。
桐山ひとみ委員です。
○桐山委員 ミライ会議の桐山ひとみです。どうぞよろしくお願いいたします。
○入江委員長 紹介は終わりました。
なお、議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。
○入江委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより教育庁関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○田中総務部長 去る十月十八日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をご覧願います。今回要求のございました資料は、二十件でございます。
それでは、一ページをご覧ください。1、令和四年度における国の標準を下回る学級編制基準の弾力的運用の実施状況についてでございます。
このページから四ページにかけまして、令和四年度における状況について、都道府県及び政令指定都市ごとにそれぞれ記載してございます。
五ページをご覧ください。2、公立小中学校の三十五人学級に必要な学級数、教員数及び経費でございます。
小学校及び中学校における三十五人学級の実施に伴い、必要となる学級数、教員数及び経費について、それぞれ記載してございます。
六ページをご覧ください。3、栄養教諭の配置状況(都道府県別、区市町村別、都立学校別)でございます。
(1)は令和三年五月一日現在の栄養教諭の配置人数を都道府県別に、(2)は令和四年五月一日現在の配置人数を区市町村別に、(3)は令和四年五月一日現在の都立学校における配置人数を区分別にそれぞれ記載してございます。
七ページをご覧ください。4、都内公立小中学校及び高等学校、特別支援学校の冷房設備設置状況でございます。
特別教室及び体育館等の保有室数、冷房設置室数、設置率について、校種ごとにそれぞれ記載してございます。
九ページをご覧ください。5、都立学校の冷房設備設置の実績(平成二十九年度から令和三年度まで)でございます。
冷房設備を設置した高等学校と特別支援学校の学校数について、年度別、区分別にそれぞれ記載してございます。
一〇ページをご覧ください。6、学校教職員定数と児童生徒数の推移(平成二十五年度から令和四年度まで)でございます。
教職員定数と児童生徒数について、年度別、学校種別にそれぞれ記載してございます。
一一ページをご覧ください。7、都立学校の教職員定数配当基準の主な推移(平成二十五年度から令和四年度まで)でございます。
教職員定数配当基準の主な推移について、このページには高等学校の全日制課程を、一二ページには定時制課程を、次の一三ページには特別支援学校をそれぞれ記載してございます。
一四ページをご覧ください。8、教育管理職選考、四級職(主幹教諭、指導教諭)選考及び主任教諭選考の合格予定者数、受験者数及び合格者数の推移(平成二十五年度から令和四年度まで)でございます。
教育管理職選考などの選考区分ごとの合格予定者数、受験者数、合格者数について、選考年度別にそれぞれ記載してございます。
一五ページをご覧ください。9、東京都公立学校教員採用者数、期限付任用教員名簿登載者数及び任用数、臨時的任用教員採用候補者名簿登載者任用数(令和四年度採用)でございます。
(1)は令和四年度採用の校種別の教員採用者数並びに令和四年度の期限付任用教員名簿登載者数及び各時点における校種別の任用数を、(2)は、臨時的任用教員採用候補者名簿登載者のうち、各時点における校種別の任用数をそれぞれ記載してございます。
一六ページをご覧ください。10、区市町村立小中学校の特別支援教室の児童生徒数、教員定数、教員数(令和三年度及び令和四年度)でございます。
各年度における小学校及び中学校の特別支援教室の児童生徒数、教員定数、教員数をそれぞれ記載してございます。
一七ページをご覧ください。11、教育職員の病気休職者数(平成二十八年度から令和二年度まで)でございます。
教育職員の精神疾患による休職者数とその他の疾患による休職者数について、年度別にそれぞれ記載してございます。
一八ページをご覧ください。12、妊娠出産休暇及び育児休業を取得した教職員数と育児休業取得期間(平成二十三年度から令和二年度まで)でございます。
(1)は妊娠出産休暇を取得した教職員数を年度別に、(2)は育児休業を取得した教職員数を年度別、取得期間別にそれぞれ記載してございます。
一九ページをご覧ください。13、スクールサポートスタッフと副校長補佐、部活動指導員の配置状況(区市町村別)でございます。
区市町村別に各配置予定数をそれぞれ記載してございます。
二〇ページをご覧ください。14、都立学校におけるJET及びALTの配置状況でございます。
JETについては令和四年十月三日時点、ALTについては令和四年十月二日時点の配置校数、配置人数を校種別にそれぞれ記載してございます。
二一ページをご覧ください。15、都立高等学校及び中等教育学校におけるオンライン英会話実施状況について(平成二十九年度から令和三年度まで)でございます。
都立高等学校及び中等教育学校において実施しているオンライン英会話について、実施校数、実施回数、事業者を年度別にそれぞれ記載してございます。
二二ページをご覧ください。16、都立特別支援学校における医療的ケア児のための専用通学車両の運行台数、看護師の同乗状況、利用している児童生徒数でございます。
令和四年九月の一か月における運行台数等につきまして、学校ごとにそれぞれ記載してございます。
二三ページをご覧ください。17、都立特別支援学校の保有普通教室の状況(令和三年度及び令和四年度)でございます。
各年度における五月一日現在保有する普通教室数と、その内数として転用教室数について、また、普通教室の間仕切り教室数について、障害種別及び学校別にそれぞれ記載してございます。
二四ページをお開き願います。18、都立特別支援学校の重度重複学級数の推移(平成二十五年度から令和四年度まで)でございます。
五月一日現在の学級数について、障害種別、学部別、年度別にそれぞれ記載してございます。
二五ページをご覧ください。19、東京都教育委員会における障害者雇用の実績と雇用率の推移(平成二十九年から令和三年まで)でございます。
六月一日時点での法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数、障害者の数、実雇用率、不足数を年別にそれぞれ記載してございます。
二六ページをご覧ください。20、島しょに住所を有し、寄宿舎に入舎している児童生徒数の推移(平成二十九年度から令和四年度まで)でございます。
五月一日時点の各寄宿舎に入舎している児童生徒数について、住所地別、年度別にそれぞれ記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○入江委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○鈴木委員 都議会自民党の鈴木純でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
初めに、防災教育について、まず伺わせていただきたいと思います。
東京都は、今年五月に、首都直下地震や南海トラフ巨大地震等の東京における被害想定を十年ぶりに見直しました。その中で、やはり十年前と違うのが、人口の高齢者層が増えたことや、南海トラフ地震が七〇から八〇%に引き上げられたことなど、いろいろと、また十年前とかなり変わってきたなという印象があります。
同じ東京であっても、震源地や起こる時刻等によって対応は異なり、都民一人一人が自分の命を自分で守ることができることが極めて重要であると考えております。
子供たちに対しては、防災教育として、まず、自分の命を自分で守ることができる自助の力や、災害が起きたときに互いが助け合う共助の精神をしっかりと身につけさせていくことが重要であると考えておりますが、都教育委員会の取組を伺わせていただきます。
○小寺指導部長 都教育委員会は、小学生が災害時を想定したVR体験等を通して自らの身を守るための学びを深められるよう、防災施設でのプログラムへの参加を促しております。
また、中学生が避難所の運営について疑似体験するゲームを通して協力して地域防災に関わろうとする態度を身につけることができるよう、学校での避難所運営講座の実施を支援しております。
○鈴木委員 今、小中学校のことでご答弁いただきまして、都立高校においてなんですが、都立高校においては、地域と連携した防災訓練の充実を図っていると聞いておりますが、その取組についても伺わせていただきます。
○小寺指導部長 高校生が発災時に地域の一員として貢献できるようにするため、令和三年度から、全ての都立高校において、地域の消防署や町内会等と連携し、初期消火や炊き出し等の訓練を実施しております。
また、生徒により編成された防災活動支援隊が中心となって、自治体の防災担当職員から助言を受けながら、避難所の設営や運営のための訓練を行っております。
都教育委員会は、こうした学校の取組を一層促進するため、防災教育研究校を指定し、地域と連携した訓練の改善充実を支援するとともに、実践発表会を通して、他の学校への普及啓発を図っているところでございます。
○鈴木委員 ありがとうございます。
都立特別支援学校における防災訓練についてですが、新型コロナ対策のため、様々、制約のある中でも、全ての学校で工夫して実施したと聞いております。
各学校の取組についても伺わせていただきます。
○小寺指導部長 都立特別支援学校では、小グループごとに避難場所を分けるなどの感染症対策を十分に講じた上で、児童生徒が災害時に落ち着いて行動できますよう、地域の自治会等と連携しながら、起震車体験、応急救護訓練、非常食の調理体験などを行ってまいりました。
○鈴木委員 コロナ禍で、やはり各地域の避難所運営だとか様々なものが、今、工夫されていると思います。地震に対する備え、災害に対する備えというのは、本当にこれでいいということは決してないと思いますので、これからも取り組んでいただきたいと思います。
次に、グローバル人材の育成について伺わせていただきます。
今まで、コロナ禍に入る前は、各学校で国際交流というのが行われております。恐らく、私の地元の区でも行っていた。それが、大体、友好都市、姉妹都市だとか、そういったところで交流するのかなと思っているんですけれども、また今、非常に、コロナ禍で、なかなか現地には行けていないと思います。
この国際交流について、これまでの実績と今後の取組について伺わせていただきます。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会はこれまで、都内の公立学校に対して、国際交流コンシェルジュによるワンストップサービスを通じ、在京大使館との交流などを支援するとともに、十の国や地域と教育に関する覚書を締結し、交流活動を行う海外の学校の開拓等を行ってまいりました。
また、幼児期から高校まで、英語力に応じて主体的に学べるサイト、Tokyo English Channelにおいて、今年度は、オンライン上で都内と海外の生徒が集い、スポーツ、文化、SDGsなど様々なテーマについて議論する場を設定しております。
さらに、都立高校生を中東やオセアニア等に派遣しまして、多様な文化や伝統を体系的に学ぶとともに、現地の高校生との交流を行う予定でございます。
○鈴木委員 これから国際交流を行っていくということで、コロナの状況とかも鑑みて、どういった形、その場その場で、本当にベストな選択をしていただければと思います。
次に、中学校英語スピーキングテストについて伺わせていただきます。
今年度のスピーキングテストの実施というのが、東京都の今後の英語教育においては極めて重要だと考えております。
ただ、これまで度々指摘されてきた採点や試験監督、そして、公平、公正な実施運営が担保されるのか、都教育委員会の見解を伺わせていただきます。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会では、今年度のスピーキングテストの実施に当たりまして、都内公立中学校第三学年の全生徒約八万人を対象にプレテストを実施し、着実な準備を進めてまいりました。
採点につきましては、今年度のスピーキングテストを実施するに当たり、五月に加え、十月にフィリピンの採点センターを訪問し、セキュリティや採点体制など、採点業務の実施について直接確認をし、現地採点センターでは、採点に係る体制が構築されており、公平、公正な採点が実現できる環境であることを確認しております。
試験監督につきましては、事業者が基本協定及び実施協定に基づきまして、各会場に必要な人数を配置するとともに、それぞれの役割に応じた研修を実施し、確認テスト合格者のみに監督業務などを当たらせることとしております。
また、会場内外の安全に十分に配慮し、警備員を配置する予定でございます。
○鈴木委員 ありがとうございます。このスピーキングテストについて、いろいろな意見があるのも理解しております。スピーキングテスト自体には、もちろん反対ではないけれども、やはり中身がどうとかという話ももちろん、いろんなご意見があると思います。
今回、初めての試みになるわけですね。受験する学生、そして保護者の方、また現場の教職員の方、こういった方たちが、やはり非常に、今後どうなっていくのか、不安を抱いているというのは、もちろん少しでもあると思うんですけれども、今ご答弁いただいたとおり、これからしっかりと準備していっていただきたいと思います。
以上です。
次に、教員確保について伺わせていただきます。
教員を確保するために、今年度新たに、教員採用セミナー、TOKYO教育Festa!を開催したと伺っております。
目的や特徴について伺わせていただきます。
○吉村人事部長 教員採用選考の応募者増加に向けましては、教育現場の実際の状況や教員のライフスタイルなど、志望を固めるために必要な情報を、個々のニーズに応じて発信していくことが重要でございます。
TOKYO教育Festa!では、現職教員と直接やり取りができる座談会コーナーや、校種別に分けられたミニセミナー、模擬授業や研修体験のほか、給与や休暇制度、キャリアプランの紹介など十九のブースを展開し、都の教職の魅力とリアルを多角的に発信いたしました。
既に免許を取得している参加者には、臨時的任用教員の個別相談ブースを設け、具体的な任用手続の紹介を行いました。
○鈴木委員 教員の実態を知ってもらうという、いい取組だと思います。なかなか、報道とかで倍率がどうとか、そういった部分でしか、あまり−−ふだん暮らしている方というのは、興味がなければ、そういった部分でしか分からないと思いますので、あとは労働時間がどうとかですね。これはすごくいい取組だなと思っております。
どのくらいの参加者があったのか、実績と成果、それを踏まえた今後の取組についても伺わせていただきます。
○吉村人事部長 当日の来場者は、五百七十一名でございました。大学生が五割、社会人が二割のほか、高校生や採用選考候補者など、多様な層の参加がございました。
東京や近県以外に、北海道や九州など地方からの参加も一割ございました。
参加者アンケートで、都の教員になる気持ちが強くなったかを聞いたところ、とても強くなった、強くなったの声が八割に上り、また、自由意見では、教員が自分らしく働いているのがかいま見えた、教師になることへの不安が和らいだなど、前向きな評価が多数寄せられました。
今回参加があった大学生や社会人など、様々な層のニーズをさらに詳細に分析し、各層に応じた支援策の検討や、より戦略的なPRを実施してまいります。
○鈴木委員 八割の都の教員になる気持ちがとても強くなった等、変化が見られるということで、逆に二割の方は、やっぱりやめようかなと思った方もいるかもしれないということが想定されると思います。
ただ、しかし、今の実態に沿ったところで知ってもらうというのが非常に重要なことであり、教員確保に向けては、学生のみならず、社会人等、様々な層からの志望者を増やしていくことが重要であると思います。その観点から、今回のTOKYO教育Festa!は、よい試みだったと評価しております。
引き続き、新たな受験者の獲得に向け、対策を充実していってもらいたいと思います。
続いて、外部人材の活用について伺わせていただきます。
小学校担任は、各教科の授業だけではなく、学級経営、児童への対応、保護者対応等、多くの業務をこなさなければなりません。これらの負担の軽減を行わなければなりませんが、都教育委員会は、今年度から、区市町村が担任業務を補佐するエデュケーションアシスタントを任用、配置する場合、支援を行う取組を開始いたしました。
このエデュケーションアシスタント配置支援事業の今年度の取組事業と成果について伺わせていただきます。
○稲葉人事企画担当部長 今年度は、一地区二十校の小学校にエデュケーションアシスタントを配置しています。
アシスタントは、授業の補助、給食準備の補助、休み時間の見守りなどの業務を行っています。
アシスタントがいることで、児童に応じた個別指導を行いながら授業を進めることができる、教材研究や授業準備の時間が取れるとの評価を得ています。
○鈴木委員 次に、同じ外部人材の中で、副校長支援に関する外部人材について伺わせていただきます。
校長が学校の顔としましたら、副校長は学校運営の要であると感じております。
都が公表した令和三年度の学校における働き方改革についての中の教員の一か月当たりの時間外労働の状況では、副校長の超過勤務時間は、相対的に教員より長く、業務が多忙ということが分かります。
都教育委員会は、平成二十九年度から、副校長の業務を直接補佐する外部人材の配置を進めておりますが、この取組の効果、昨年度と今年度の配置状況及び今後の取組について伺わせていただきます。
○稲葉人事企画担当部長 昨年度、支援員を配置した学校では、副校長の一週間の勤務時間が約六時間二十分短縮され、若手教員等の人材育成や地域連携等の業務など、副校長本来の役割に専念できるようになったとの評価を得ています。
令和三年度は、区市町村立学校五百六十九校、都立学校四十六校に支援員を配置し、令和四年度は、これまでのモデル事業の効果検証を踏まえ、配置校数の規模を拡大し、区市町村立学校八百八十四校、都立学校百三十四校に支援員の配置を進めています。
今後も、学校や区市町村の意見も十分に踏まえて対応いたします。
○鈴木委員 ありがとうございます。今年度は、これまでの取組の効果検証を踏まえ、規模の拡大を行ったとのことでありますが、副校長の超過勤務時間は依然として長く、勤務時間が長い副校長に優先して支援員を配置するなど、工夫を行うと同時に、効果が出ている取組なので、さらに多くの学校で支援員を配置し、副校長の負担の軽減が進むよう、取り組んでいただきたいと思います。
次に、性暴力等の防止について伺わせていただきます。
教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律への取組状況について、まず伺わせていただきます。
教職員による児童生徒に対する性暴力は、子供たちの権利を著しく侵害し、生涯にわたって、回復し難い心理的外傷など、心身に対して重大な影響を与えるもので、あってはなりません。
児童生徒への性暴力に対して社会の目が厳しく向けられる中、国会でも、昨年、大きな動きがありました。教職員による性暴力から児童を守るための施策を推進するための法律案が、国会で議員立法として提出され、令和三年五月、衆参全会一致で成立し、本年四月に法が施行されたところであります。
性暴力から児童生徒を守っていくためには、何よりも、学校現場を預かる教職員が性暴力に対して正しい規範意識を持つことが重要であります。
法が施行されたことで、教職員による性暴力に対する世間からの目はますます厳しくなっており、教職員に対して、児童生徒に対する性暴力は断じてあってはならないことを改めて意識づけていく必要があると考えております。
教職員に対しては、どのように周知徹底を図っているのか、伺います。
○吉村人事部長 法の施行を受けて、服務の厳正に関する通知を発出し、校長や区市町村教育委員会等を通じて、全ての教職員に対し、児童生徒に対する性暴力は絶対にあってはならないことを周知し、指導及び防止の徹底を図っているところでございます。
毎年七、八月に実施している服務事故防止月間では、本年度初めて、性暴力の防止を重点テーマとした研修を行い、全教職員が事例演習やセルフチェックに取り組み、改めて意識づけを図っております。
同月間では、触らない、個人的なメール等を送らない、二人きりにならないという三ない運動の推進を呼びかけ、ポスターを掲示しております。
○鈴木委員 法律では、教職員による児童生徒に対する性暴力を早期発見するための措置について定められ、地方公共団体は、性暴力に関する通報及び相談を受け付けるための体制整備、必要な措置を講ずるものとされておりますが、都ではどのような取組を行っているのでしょうか。
○吉村人事部長 都教育委員会では、性暴力被害の早期発見のため、本年四月、性暴力被害の対応に専門的知見を有する外部弁護士による第三者相談窓口を新たに開設し、相談を受け付けております。
七月には、都内公立学校の全ての児童生徒に対して相談シートを配布いたしました。相談シートは、児童生徒が記入しやすいよう、発達段階に合わせて表現を工夫し、学校で困ったことや嫌なことがあった場合、すぐに声を上げられるよう、通年で受け付けております。
○鈴木委員 今ご答弁いただきました、性暴力等に関して悩みを抱える児童生徒の声をしっかり酌み取り、早期発見につなげていくことは、極めて重要であると考えております。
その取組の一つとして第三者相談窓口を設けたということでありますが、これまでの相談件数、そして、相談にはどのような対応をしているのか、伺わせていただきます。
○吉村人事部長 第三者相談窓口には、四月末の開設以来、九月末までに、児童生徒、保護者等から三十八件の相談がございました。
受け付けた相談につきましては、内容に応じて、学校経営支援センターや区市町村教育委員会を通じて事実確認等を行い、不適切な行為が認定された場合は、服務事故として処分の手続を進めるほか、緊急性を要するものについて、警察への相談等を早期に行うなど、事案に応じた迅速な対応を行っております。
○鈴木委員 今後とも早期発見をしっかりと行っていただき、教職員の不適切な行為に対しては厳正に対処し、性暴力の根絶に取り組んでもらいたいと要望いたします。
次に、教育DXについて伺わせていただきます。
初めに、都立高校における一人一台端末について伺います。
十月二十四日の決算特別委員会において、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトについて、私、質疑させていただきました。小中学校については、一人一台端末体制が整っております。そして、都立高校については、本年四月入学生から一人一台端末を導入するための準備をしてきたということを確認しております。
そこでまず、令和四年度都立高校新入生から導入した一人一台端末について、改めて購入支援の仕組みについて伺うとともに、端末を購入した生徒数、そして、授業での活用状況について伺わせていただきます。
○篠企画調整担当部長 都教育委員会では、都立高校生が端末を自在に活用できるよう、保護者負担を三万円とする補助制度を令和四年度新入生から開始しております。
新入生のうち九九・八%が端末を購入し、家庭からの持込みを含め、全ての新入生が端末を活用し、電子ペンも使いノートを取る、資料を複数の生徒で共同編集するなど、デジタルを活用した学びが進められております。
生徒からは、教室前方のスクリーンの内容を手元の端末で見ることができる、課題がデータで配信され、提出も容易になったなどの声が上がっております。
今後も、新入生等の円滑な端末購入をサポートできるよう準備を進めてまいります。
○鈴木委員 ありがとうございます。本当に今の時代に沿ったやり方で、非常に利便性も上がっているということで、これからも進めていただきたいと思います。
そして、決算特別委員会で、令和二年度から二か年で全都立学校の校内無線LAN環境を整備したとの答弁をいただいております。都立高校において、今後、一人一台端末の活用とともに、校内無線LANの利用も増え、これまで以上に通信量が増えていくと思いますが、都立学校の通信環境をこれから強化すべきと思います。
工事の状況について、現状を伺わせていただきます。
○篠企画調整担当部長 都立高校では、高校段階の一人一台端末の導入により、課題配信や双方向型の授業が増え、通信需要も増大しております。
そのため、都教育委員会は、令和四年度から、都立高校においてインターネットに接続する通信回線の増強工事を開始しており、既に工事を行った学校では、授業などに必要な通信速度を確保できております。
今後も、工事を順次進め、デジタルを活用した学習環境をさらに整えてまいります。
○鈴木委員 これまでの質疑を通じ、都立高校におけるICT環境の整備状況が分かりました。今後は、全ての公立学校で一人一台端末を活用した教育を進めていただきたいと思います。
教育のデジタル化の進展は、忙しい教員の負担軽減に資するものと考えております。都区内、市町村の小中学校では、統合型校務支援システム導入が進んでおります。島しょ地域では導入されていないとも聞いています。
東京の子供たちの教育の質を確保していくためには、島しょ地域でも、ほかの地区に遅れることなく、システムの導入を進めていかなければなりません。
島しょ地域の教育のICT化を進めていくことも重要であり、都として必要な支援を行っていくべきと考えておりますが、この島しょ地域のところで見解を伺わせていただきます。
○篠企画調整担当部長 都教育委員会は、児童生徒数が少ないなどの理由から統合型校務支援システムの導入が進んでいない島しょ地域において、今年度より島しょ地域における教育DX推進事業を開始し、島しょ地域の小中学校でのシステム導入に向けて、各町村教育委員会との検討を始めてございます。
○鈴木委員 今、答弁いただきました島しょ地域における教育DX推進事業を開始したということで、その具体的な取組についても教えてください。
○篠企画調整担当部長 本事業では、六月に、全九町村教育委員会が参画する島しょ教育DX協議会を立ち上げ、システム導入による業務効率化やデータの利活用を通じた教育の質の向上などのメリットについて、共通認識の形成を進めてまいりました。
さらに、システムの仕様や調達方法について調整を進めており、今後も引き続き、都が積極的に支援することで、島しょ地域でのスムーズなシステム導入を目指してまいります。
○鈴木委員 これから社会を生きていく全ての子供たちが、教育のデジタル化を通じて質の高い教育を受けられるよう、都教育委員会にはしっかりと支援していただくことを要望いたします。
次に、都立学校空調整備について、最後に伺わせていただきます。
今年の夏も酷暑ということで、特に夏休みの前の六月から、極めて厳しい暑さが続いていたと認識しております。記憶にもあります。
授業を受ける生徒が適切な環境で学ぶことができるよう、都立学校における空調設備の設置は極めて重要であります。
そこでまず、高等学校や特別支援学校など都立学校における空調設備の設置状況について、改めて確認させてください。
○村西都立学校教育部長 高等学校の普通教室や、授業で利用する音楽室、パソコン室などの特別教室における空調設備の設置状況につきましては、普通教室は全て設置済みであり、特別教室は約八割となっております。
特別支援学校では、普通教室は全て設置済みであり、特別教室についても、ほぼ全ての教室で設置が完了しております。
また、高等学校の体育館や武道場等につきましては、全体として約四割となっておりますが、体育館につきましては、全て空調設備が設置されております。
また、特別支援学校の体育館につきましても、全て空調設備が設置されております。
○鈴木委員 二十五年前、私ちょうど中学三年生で、当時はやはり、天井に扇風機がついているような、そんなような形で済んでいたと。平均気温が、またあれから随分変わった。当時でも、三十度でも暑く感じたのですが、今、三十度が涼しく感じるような状況でありますので、これから設備においても進めていただきたいと思います。
今の答弁いただきました普通教室と体育館については、全て設置されていることを確認させていただきました。特別教室や武道場等については、いまだ設置が完了していないため、今後、計画的に設置を進めていくべきだと考えております。
また、都議会自民党には、団体からの要望として、給食調理室への空調設置を強く求める声が届いております。
今後、都教育委員会として、特別教室や武道場、給食調理室への空調設備の設置についてどのように取り組んでいくのか、伺わせていただきます。
○村西都立学校教育部長 特別教室及び武道場等への空調設備の設置につきましては、計画的に整備を進めておりまして、特別教室については令和八年度までに、武道場等については令和九年度までに設置を完了する予定でございます。
また、給食調理室につきましては、これまで調理員の休憩室における空調設備の設置を進めてきており、これについては設置を完了しております。
今後は、日頃の給食を提供しながら設置工事を進めることが困難であった給食調理室につきましても、各学校における給食室の施設の状況や実情を把握した上で、設置が進むよう検討してまいります。
○鈴木委員 特別教室や武道場等については計画的に取組を進めているということは、評価しております。今後は、給食調理室についても、学校教育活動と空調設置工事の両立や施設の状況など、様々な課題があることは理解しております。空調設備の設置を進める方向で検討していただくことを要望して、質問を終わります。ありがとうございます。
○白戸委員 都民ファーストの白戸でございます。今期も、どうぞよろしくお願いします。
それでは、まず最初に、グローバル人材についてお伺いいたします。
先日、海外にたまたま行くことがありまして、その際に私が感じたのは、日本では円安のことばかりいわれていますが、実はインフレの方が激しいなということでした。
ただ、世界では、インフレによる物価高騰だけではなくて、所得も伸びているんですね。ですから、物価高騰に対して、さほど不満が出ているわけではありません。
しかし、日本人が行くと、このインフレと円安のダブルパンチで大変なことになっております。
この円安は経済格差から来ているもので、インフレなどと併せて、日本の競争力の低下を顕著に表しているものだと考えます。その要因は幾つもありますけれども、最も大きいのが、日本が国内の状況ばかり見て経済活動をしてきたということがあると思います。
このままでは、ますますこの傾向は強まり、日本という国の未来は明るくありません。だからこそ、世界の中の日本、そして世界の中での東京という観点で物事を見て、考える人間を育成していく必要があると思います。
何も英語ができる人間をつくることがグローバル教育ということではなく、世界の基準で物事を考えられるようにしていくことが大切だと考えます。
ただ、そのためには、世界の状況を、日本語という一つのフィルター、日本のメディアという一つのフィルターをかけるのではなく、英語で直接情報を獲得したり、コミュニケーションできたりすることが大切です。なので、生きた英語に触れさせる経験がとても重要であると考えます。
そんな危機感を持って、東京の子供たちに生きた英語を体験させるべく設立されたTOKYO GLOBAL GATEWAY。私も開業時に伺わせていただきましたけれども、何かちょっとした海外のようなしつらえになっており、私自身もちょっとわくわくした、そんなことを覚えております。
まず、スタートから四年たった、このTOKYO GLOBAL GATEWAYの取組状況と成果について伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 今年度のTGGの利用見込みは十二万人を超えまして、年間の利用者としては、これまでで最も多くなる見込みでございます。
利用者の評価につきまして、TGGでの体験が事後の英語学習の刺激になったかという質問に対して、約九割の児童生徒が、とても思う、思うと回答をしております。
また、約九割の教員が、児童生徒に英語学習への意欲や積極性の向上などの変容が見られたと回答しているなど、高い評価を受けているところでございます。
○白戸委員 多くの子供たちが利用し、さらに利用者の評価も高いというのは、施設の狙いが適切であったのではないかと思います。
ただ、設立直後から聞かれていたのが、施設が遠いという声もありました。これは東京の江東区の青海に、私の地元であるわけですけれども、やはり遠いという意見もありました。
そこで、このTOKYO GLOBAL GATEWAYから遠い多摩地域からの利用状況はどの程度であったか、教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 令和二年度に行いました調査では、都内のTGG利用者五万九千四百三十一人のうち、多摩地区からの利用者は一万四千四百六十五人であり、その割合は全体の二四・三%でございました。
○白戸委員 二四・三%、約四分の一ということです。生徒数の割合からすると、やはり少し少ないのかなという感じ。これは、やはり距離的なことも影響しているというふうに考えるのが妥当だと思います。
そんな距離的なハードルを解消すべく、来年の一月に、立川にTOKYO GLOBAL GATEWAY GREEN SPRINGSを開設予定と聞いております。
この新施設の開設に向けた取組状況を伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、令和五年一月の施設開設に向け、今年四月の施設名称等の公表以来、区市町村教育委員会や各種連絡会等において情報提供を行っております。
また、多摩地域ならではの自然をテーマとしたプログラムの開発等を行っており、今後、学校によるトライアル利用等を通じ、より学習効果の高いプログラムが提供できるよう検証を行ってまいります。
○白戸委員 多摩地区の子供たちにとって、期待がかなり高い施設ということがいえると思います。そして、後発、二つ目の施設ということもありまして、この青海の事例から改善を重ねまして、質の高いプログラムを、そして、楽しく学べる機会の創出をぜひお願いします。
このTGGのような取組は、都内でも生きた英語や雰囲気に慣れる貴重な機会で、英語学習のモチベーション自体も高めてくれますが、さらに、やはり海外の言葉や文化に触れる機会は刺激的で、子供たちの人生に大きな影響を与えてくれると、私自身の経験からしても確信をしております。私自身も、海外で受けたカルチャーショックは数え切れないほどありまして、そのおかげで今の自分があるというふうにも思っています。だからこそ、子供たちには海外に出て、言葉はもちろん、異文化、異なる習慣にもまれてほしいと考えます。
東京都では、都立高校生の海外派遣を平成二十四年度から行ってきましたが、ただ、ここ数年はコロナ禍で中止になっています。そして、この春から、また再開するとも聞いています。この取組について聞こうと思ったのですが、先ほど重複する質疑がありましたので、割愛させていただきます。
ともあれ、海外に出ますと、今まで自分の生きてきた世界が、実はほんの一部でしかない、いや、むしろかなり少数派であったりもする、そんなギャップを経験することで、多様性も育まれるのではないかと考えます。ぜひ多くのグローバル人材がこの東京から育ってくれるよう、学校教育やTGG、海外派遣など、積極的に取り組んでいただけるようお願いします。
グローバル人材に欠かせない要素の一つが語学です。これまで述べてきたように、語学だけが全てではありませんが、意思の疎通、コミュニケーションできることは大切です。
そうした観点から、我が会派は一貫して、次代の東京を担う子供たちが、東京はもとより、海外も視野に入れて活躍できるよう、教育において使える英語を育成する取組を強化するための提言を行ってまいりました。
今年から導入される中学校英語スピーキングテストの導入においても、これまで都教委が進めてきたグローバル人材育成の一環であると捉えております。
もう今月末ということになりますが、十一月二十七日に実施されるスピーキングテストの実施まで、もう本当に一か月を切っております。都教委には、この実施に万全を期していただきたいと考えております。
そこで、都内公立中学校の三年生約八万人が受験するスピーキングテストの実施に向けて、都教委の現在の準備状況。そして、昨年はプレテストを実施されておりますが、様々な検証ができていると思います。今回の実施に当たり、その経験をどのように生かしていくのか、伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 テスト実施まで一か月に迫り、テスト実施の最終段階に来ていると認識しております。事業者はもちろんのこと、教育庁内にも実施本部を設置するほか、七百人を超える職員を各会場に派遣するなど、万全の体制を整えております。
都教育委員会は、令和元年度は都内公立中学校第三学年約八千人、令和二年度には約九千二百人を対象にプレテストを実施しました。令和三年度は、都内公立中学校第三学年の全生徒約八万人を対象にプレテストを実施いたしました。
これまでのプレテストを通しまして、学習指導要領に準拠した問題の作成や、出題内容の妥当性、採点、評価の公正性、公平性、そして試験会場での運営、試験監督等の役割、また新型コロナ感染症対策など、円滑な実施に向けた検証を重ね、改善等をしてまいりました。
これらを踏まえ、テストでは、生徒が学習の成果を発揮できるよう、引き続き万全の体制で実施してまいります。
○白戸委員 担当する事業者だけではなく、都教委としても、実施本部を立ち上げて体制を構築していることが確認できました。
どんなことでも、初回は多くのハードルがあります。しかし、入試にミスは許されません。昨年のプレテストの経験も生かし、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
スピーキングテストの会場は、通い慣れた中学校ではなく、都立高校や大学などを活用して実施されると聞いております。中学生にとっては初めて行く場所ということで、道に迷って時間に遅れることや、当日になって体調が悪くなり、受験できなくなるなど、様々なことが想定されます。こうした事態が発生したときに、都教委が適切に対応を取る必要があると考えます。
そこで、中学生が安心してスピーキングテストを受験できるよう、都教委はどのような配慮や準備をしているのか。また、保護者や中学校にも適切な情報提供が必要でありますが、このあたりの見解をお伺いします。
○瀧沢指導推進担当部長 各中学校に割り当てられた会場につきましては、本日、十一月一日以降、区市町村教育委員会を通じて各学校及び生徒に順次通知をしてまいります。
また、会場までの地図や、受験する際に生徒が守るべき留意事項などを記載した受験票あるいは受験の手引を、十一月十四日以降に配布する予定でございます。
試験当日につきましては、テスト中に体調が悪くなった場合ですとか、交通機関に遅延が生じた場合など、不測の事態や緊急時の対応につきましても連絡体制を構築するなど、事業者と緊密な連携を図りながら、万全を期して体制を整えております。
さらに、当日、専用のコールセンターを設置し、生徒からの緊急の問合せ等にも迅速に対応できる体制を整えてまいります。
○白戸委員 都内の公立中学校三年生八万人が受験する大規模なテストとなります。様々なことが起き得ることを事前に想定して、受検生が力を発揮できるよう、万全を期していただくようお願い申し上げます。
中学校英語スピーキングテストについては、初めて実施ということもあり、その内容や学習の方法などに関して、生徒や保護者への分かりやすい情報提供が欠かせませんが、取組について伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 令和四年度の本実施に当たりまして、ウェブサイトや都内公立中学校全生徒に配布するリーフレット等により周知を図ってまいりました。
九月には、これまでの配布物や動画をまとめたスピーキングテストの特設ページをウェブサイト上に開設いたしました。また、その特設ページにテストに関するFAQを掲載したり、ツイッターで、テストの実施や内容に関する一般的な疑問に答える内容について、広く情報を発信してまいりました。
また、十月末には、特設ページにおいて、スピーキングテストに向けた学習の仕方やアドバイスを伝える動画の配信を開始したところでございます。
今後も、定期的な発信を続けるとともに、生徒一人一人に対して、テストに対するFAQや当日の受験の仕方などをまとめた手引などを配布し、安心して受験できるよう、情報提供を続けてまいります。
○白戸委員 リーフレットによる情報提供はこれまでも行われてきましたけれども、やはりこの世代は、リーフレットよりもホームページ、ウェブ上にどんどんと情報を出していくことが、非常に−−我々よりもウェブにアクセスする頻度というのは、情報リテラシーが高いものですから、そういったことも、このように、今、積極的に進めていただきたいと思います。
都教委では、平成三十一年の二月に英語スピーキングテストの実施方針を策定して以来、テストの実施に向けて数々の準備を重ねてきたと聞いております。
初めての試みでもあり、これまで多くの課題について検討し、準備をしてきたと思いますが、こうした事業の検討に当たっては、都教委、この事務局内部だけの検討にとどまらず、執行機関である教育委員会の委員と意見交換を行いながら進めることが重要だと考えますが、都教委では、英語スピーキングテストに関し、教育委員とどのような議論を重ねてきたのか、伺います。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都教育委員会におきましては、平成三十一年二月に、東京都中学校英語スピーキングテスト、当時は仮称でございましたが、この事業実施方針を教育委員会定例会に報告して以降、テストの実施年度や不受験者の取扱いなどの入学者選抜における活用方法等について、複数回にわたり、教育委員会定例会への報告を行ってまいりました。
また、教育委員会に対しては、定例会の場に限らず、随時、英語スピーキングテストに関する検討状況の説明や意見交換等を行ってきたところでございます。
教育委員からは、家庭環境等により有利、不利が生じないようにすること、採点の信頼性を確保すること、丁寧に説明していくことなどの意見があり、これらを踏まえて準備を進めてきたところでございます。
○白戸委員 教育委員とも意見交換を十分に行いながら、テストの実施に向けて準備を進めてきたということですが、引き続き、着実に準備を進めていただきたいと思います。
次に、スピーキングテストに関しては、これまで文教委員会でも本当に多くの議論を行ってまいりましたが、改めて、重要な点を幾つか確認していきたいと思います。
まずは、このスピーキングという、解答が一律に定まらない、八万人の受験者の採点をぶれることなく評価できるのか、こういった不安の声が多く出ていると聞いております。
公平、公正に実施することについて見解を伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 採点は、大学の学位のほか、大学院等の機関が英語を母語としない生徒に対する英語教授法のプログラムを修了した者に与えますTESOLと呼ばれます証明書を取得するなど、高度な英語力と英語教育に関する専門的な知識や技能を有する者が、事前に本テストの採点に係る研修を受講し、基準を満たした者のみが行っております。
また、情報管理を徹底した環境において、採点基準に従い、二名の専任者が採点を行います。採点者間で採点結果が異なる場合に備え、上位の採点リーダーが判定する仕組みを確立しております。
採点結果は、さらに事業者による点検を経て確定し、都教育委員会が確認をしております。
なお、令和三年度に都内全公立中学校三年生を対象に実施いたしましたプレテストにおきましても、所定の期間内で公平、公正に採点が完了できることを確認しております。
○白戸委員 スピーキングテストの解答、正解は一律に決まるものではないというのは、これは当たり前のことであります。言語はコミュニケーションの手段ですから、様々な表現も当然あり得ます。
しかし、だからといって、その評価ができないとか、能力を検証できないということでは、またないと思います。統一的な基準をつくり、研修を受けた複数の専任者が関与することで、正しい評価は可能ではないかと考えます。
そもそも、現在、既に学力検査においても、例えば、解答とか正解が一律ではない記述式の問題はたくさん出題されております。これも、定められた基準に従い、複数の採点者が採点を行い、点検を行うことで適正な評価が定められております。スピーキングテストも、これと同様に、適正に評価し、その結果を入試に活用するのも、これは可能であると我々は考えております。
次に、受験者は、スピーキングテストの採点が適正に行われたということをどのように確認するのか。これは大事な点ではあります。ぜひお伺いします。
○瀧沢指導推進担当部長 スピーキングテストの採点に関して、出題方針や問題の構成、採点基準などは、既に都教育委員会の特設ページで公開をしております。
また、テスト終了後に、各設問ごとのそれぞれの評価に対応した複数の解答例を公表するとともに、採点が終了した後には、スコアや到達度、学習アドバイスが記載された結果帳票を受験した生徒一人一人返却することで、結果をお知らせいたします。
なお、音声データや評価に関する情報につきまして、希望する受験者が確認できるよう、準備を進めてまいります。
○白戸委員 採点の結果については、スコアレポートのほか、解答例や採点基準も公開されるということになっており、そして、希望すれば、音声や評価に対する追加情報も確認できるということですね。ある意味、これでスピーキングテストの透明性は一定確保されていると思います。
次に、スピーキングテストの不受験者に対する措置も改めて確認します。
まず、そもそも都教委は、スピーキングテストの都立高校入試への活用において、なぜ不受験者の措置を定めたのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 都立高校入試を受検する生徒の中には、スピーキングテストの実施日以降に都立高校入試を受検することが決まる国立、私立中学校の生徒や、都外から転入してくる生徒、さらには、吃音や緘黙等の障害、疾患のある生徒、事故や病気等のやむを得ない理由によりスピーキングテストを受験することができなかった生徒が一定数存在いたします。
都教育委員会としては、こうした様々な事情や状況にある生徒が都立高校の入試を受検する場合は、著しく不利にならないよう、スピーキングテストに相当する点数を付与する措置が必要との認識から、不受験者の措置を定めたものでございます。
○白戸委員 本来はやはり、これはスポーツと同じありまして、決められたときに決められた結果で全てさばいていくというのが当たり前なんですが、ただ、四万人という多くの多様な生徒が受検する都立高校の入試ですから、やはり一律的に対応を取るということは、公平性の確保をするということにはならないというふうには考えます。
むしろ、様々な事情や状況がある生徒に対して合理的な配慮となる適切な措置を実施することこそが、我々、東京都、そして都教委としての責任であり、必要な対応であると考えます。
この不受験者に対する措置があるから、スピーキングテストの入試活用は不公平だからやめるべきだというような声もありますが、こうした声は、この措置の趣旨、なぜこれができているかというのを、なかなかご理解されていないのかなというふうにも思います。
また、スピーキングテストの結果を都立高校の入試で活用する意義は、学習指導要領で定められております、中学学習で身につけた英語の四技能の話すことに関わる学習の成果を測ることが目的でありまして、その意義を損なうものではないでしょう。
いずれにしても、様々な事情、状況にある多様な生徒が受検する都立高校入試におきましては、スピーキングテストの不受験者に対する措置が必要であり、妥当な制度設計であるとは考えます。
しかし、そこで大事なのは不受験者の定義です。誰が不受験者なのか。これをしっかりと事前に提示しておくことこそが重要で、周知がまだこれは十分じゃないのかというふうにも懸念しております。
そこで、この不受験者の定義を改めてお伺いします。
○村西都立学校教育部長 不受験者の措置の対象となる生徒は、吃音や緘黙等の障害、疾患のある生徒、スピーキングテスト実施日以降に都立高校入試を受検することが決まる国立、私立中学校の生徒や、都外から転入してくる生徒、事故や病気等のやむを得ない理由によりスピーキングテストを受験することができなかった生徒などでございます。
これまでも繰り返し、この点については周知してまいりましたが、引き続き、しっかりと取り組んでまいります。
○白戸委員 ありがとうございます。このあたりの周知と、そして、的確に、厳正に遂行していただきたいと思います。
次に、不受験者に対する措置の算定方法について具体的に教えてください。
○村西都立学校教育部長 スピーキングテストの実施日以降に都外から転入してくる生徒や、事故や病気等のやむを得ない理由によりスピーキングテストを受験できなかった生徒など、テストの結果がない生徒に対して、都教育委員会は、都立高校入試におきまして、最も参考になり得る数値である英語学力検査の得点が同じ者等のスピーキングテストの結果の平均値を用いまして、スピーキングテストに相当する点数を算出し、付与することとしております。
都教育委員会としては、様々なケースを想定しても、この方法が最も合理的で最善な方策であると判断しております。
○白戸委員 不受験者の算定方法についても様々な意見があるのは存じ上げておりますが、やむを得ない理由でスピーキングテストを受験できない生徒に対しては、何らかのこうした措置が必要である以上、テストの結果がない生徒に対して、何らかの方法によってスピーキングに相当する点数を付与しなければいけないと考えます。
その際に、データがある中で最も参考になるのは、英語の学力検査の得点を用いて、同じ水準の受検生のスピーキングテスト結果の平均に基づいて算出するという方法は、与えられた現在の入試選考材料の中では、実施し得る代替の手段としては、現状では合理的な方法であると考えられます。
そして、点数でいいますと、次に、このスピーキングテストの配点は二十点となっておりますが、この理由について改めて伺います。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会では、グローバル人材の育成に向けまして、スピーキングを含めた四技能の習得を通じた使える英語力の育成を重視した施策を展開しているところでございます。
都立高校入試におけるスピーキングテスト結果の活用に当たりましても、学習指導要領で求められる四技能の習得状況を測り、使える英語力を重視するという考え方の下、適切に配点したものでございます。
なお、都立高校入試では、学力検査の得点七百点、調査書点三百点及びスピーキングテストの結果二十点の合計である総合得点千二十点で選抜を実施するものでありまして、スピーキングテスト二十点の配点によって、入試全体のバランスが崩れるものとは考えておりません。
○白戸委員 入試においては、学習指導要領で求められる成果、すなわち、英語では、話すことを含めたこの四技能をしっかり検証することが本来の姿だと思います。将来を担う子供たちには使える英語の強化が不可欠であり、これを重視した結果が、この配点に表れているものではないかと受け止めております。
また、他教科と比較して、英語が二十点分高くはなりますが、千二十点満点で選抜される都立高校入試において、大きくバランスを崩すものではないと考えます。
そして、このスピーキング、使える英語が必要だというこの現状を考えますと、これはあくまでも個人的にですけれども、将来的にはもっと高くなっていいんじゃないかなとも考えております。
次に、大学入試のあり方に関する検討会議の提言について伺います。
国の検討会議で指摘されていることについて、若干混同されているような点もあると思いますが、大学入試で民間の資格、検定試験の活用が見送られたということで、都教委が実施するスピーキングテストも中止すべきだという声も実際にあります。
都教委は、このことに関してどのように考えられているのか、お伺いします。
○瀧沢指導推進担当部長 大学入試のあり方に関する検討会議の提言でございますが、大学入学共通テストにおいて、複数日程の様々な試験問題による民間の資格、検定試験を活用し、英語の四技能評価をするという手法に関する提言でございました。
提言では、地理的、経済的事情への対応、障害のある受験者への配慮、目的や内容の異なる試験の利用などが課題として指摘されたところでございます。
一方で、都教育委員会が実施いたしますスピーキングテストにおきましては、これらの課題について、もとより対応しているところであるということを確認しております。
さらに、提言におきましては、大学入学共通テストにおいてではなく、各大学の個別の試験で、資格、検定試験の活用により四技能の英語力の評価を推進するということを提言しております。
したがいまして、大学入学テストにおける民間の資格、検定試験の活用が見送られたことを理由に、都教育委員会が実施するスピーキングテストも中止すべきという指摘は当たらないというふうに考えております。
○白戸委員 大学入試のあり方に関する検討会議で指摘された問題は、今回、都が実施する英語スピーキングテストのこととはちょっと異なるものであって、指摘された課題は十分に対策がなされているものと思われます。このあたりも、しかし、誤解を正すような丁寧な説明はまだまだ必要かと思います。よろしくお願いします。
都教育委員会は、全国で初めて、都内の公立中学校の三年生全ての生徒を対象にした英語のスピーキングテストを導入し、都立高校入試にも活用することに踏み出すことになります。
これは、東京都はもちろんですが、日本の中学生の英語教育の大きな新たな第一歩となります。ぜひここで教育長の決意をお伺いしたいと思います。
○浜教育長 都教育委員会では、小中高等学校における英語教育により、生徒の使える英語力の育成を推進しております。
スピーキングテストは、授業で学んだ内容の到達度を把握するとともに、英語指導の改善充実を図ることを目的に、都教育委員会が教育活動の一環として、都内の公立中学校の三年生全員を対象に実施するものでございます。
都立高校入試においては、義務教育の最終段階として、学習指導要領で求められている力が身についているかを測る必要がございます。
英語については四技能の習得状況を測ることが重要であり、今回新たに、話すことの技能の評価として、スピーキングテスト結果を都立高校の入試で活用することといたしました。
これまでスピーキングテストについては、三年間のプレテストなど、時間をかけて検証を積み重ね、適切に実施できることを確認してまいりました。
また、昨年九月にテストの実施や入試活用を公表し、さらに今年の九月に、例年と同様に、都立高校入学者選抜実施要綱の中でその詳細を発表しております。
テストの実施まで約一か月。中学生や生徒たちは準備を進めています。都教育委員会としては、こうした準備を進めている生徒が安心してスピーキングテストを受験でき、持てる力を十分に発揮できるように、しっかりとその環境を整えるべく、組織を挙げて万全の体制で臨んでいく決意でございます。
○白戸委員 ありがとうございます。これまでに、スピーキングテストやその入試の活用について、本委員会において本当に多くの議論をしてきました。今日改めて、その論点を中心に質疑を行ってきましたけれども、都教委の実施方針や制度設計について検証させていただきますと、現状において最善の方法で挑んでおり、理解するところではあります。
もちろん、先々は、技術革新等々によりまして進化していくことと思います。しかし、重要なことは、現在の日本が置かれている状況を考えると、次の東京を担う子供たちが使える英語力を身につけられるよう、早急に、かつ積極的に施策を推し進めていくことです。
我が会派は、今後も、グローバル人材育成という大きな目標の実現に向けて、都教委に様々な提案をしていくことを申し上げ、次の質問に移ります。
都内の小中学校の不登校の子供は増加を続けておりまして、令和三年度における都内公立小中学校の不登校の子供の人数は過去最大となっています。
そこで、不登校の子供の人数とその要因について伺います。
○小寺指導部長 文部科学省の調査では、令和三年度の都内公立小中学校の不登校の子供の人数は、小学生が七千九百三十九人、中学生が一万三千五百九十七人でございます。
この調査によりますと、不登校の要因といたしましては、小中学校ともに無気力、不安が最も多く、コロナ禍において生活のリズムが乱れやすい状況により、登校する意欲が湧きにくい状況にあったことなども考えられます。
○白戸委員 都内の小中学校の不登校の子供は、平成二十五年度以降、増え続けておりまして、この五年間だけでも約一・八倍。増加傾向は顕著であります。
その要因として、コロナ禍での生活環境の変化や学校生活での様々な制限などが交友関係などにも影響して、登校に対する意欲が低下したり、さらに、オンラインなどで、学校に行かないことに対して抵抗がなくなってきたというようなこともあるかと思います。
そこで、学校における不登校の子供への支援に関する都教委の取組を伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、不登校の未然防止、早期支援等にきめ細かに対応できるよう、都内全ての公立小中学校にスクールカウンセラーを配置し、教育相談体制の充実を図ってまいりました。
また、不登校の子供に対する教職員の支援の在り方等を示したガイドブックを作成し、その活用を促すなど、学校の取組を支援しております。
○白戸委員 小中学校の不登校の子供たちへの支援、よく分かりました。
しかし、不登校になった子供たちも、当然、未来はあるわけで、そうした子供たちが希望を持って学び続けられる環境の確保も大切であります。
そんな機会の一つとしてフリースクールなどがありまして、不登校の子供たちの増加に伴い、このフリースクールなどに通う子供も増えております。
また、教育機会確保法が平成二十八年に制定され、フリースクールなど学校以外の教育の機会を支援することが法的に整備され、社会的な環境が整ってきたこともあり、今後、フリースクールなどに通う不登校の子供たちは、さらに増えていくと考えられます。
そのために、学校とフリースクールなどとの連携を推進していくことが重要であると考えますが、都教委の見解を伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、学校とフリースクール等との連携を推進するため、令和二年度から、区市町村教育委員会、学校、フリースクール等の教職員が一堂に会する東京都学校・フリースクール等協議会を継続的に開催し、パネルディスカッション等を通じて、効果的事例について共有を図るなどしてまいりました。
こうした取組に加え、本年度からは、フリースクール等に通う不登校の子供の実態を把握するための調査研究を行っております。
○白戸委員 我が会派でも、そうしたフリースクールなどの視察にも行かせていただきましたが、学校には通えなくても、自分の居場所があるということは、子供たちにとって、とても大切なことなんだということを実感いたしました。都教委として、ぜひしっかりと連携を取り、もう一つの教育機会として進めていただきたい。
その連携を進めていくに当たり、今年度、都教委として、フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業というのを開始しておりますが、その目的と、申請を通った調査対象の件数について伺います。
○小寺指導部長 ご質問いただきました調査研究事業の目的は、フリースクール等に通う不登校の子供及びその保護者の支援ニーズや、フリースクール等での活動内容などを把握するために調査研究を行い、都教育委員会の施策立案に生かすことでございます。
本年度の七月末時点での申請のあった件数のうち、調査対象として確定した件数は三百十一件となっております。
引き続き申請を受け付けており、調査対象者の決定を行ってまいります。
○白戸委員 フリースクールなどに通う不登校の子供の保護者は、心理的にも経済的にも負担が重なっており、都としてしっかりと支えていくことが必要だと感じております。そのために、こうした調査が進んでいることは大きな進歩であると考えます。
令和三年度の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の結果によりますと、都内小中学校では、千二十七人のフリースクールなどに通っている不登校の子供たちがいるようです。そのうち、前半期では、先ほどの数字がありましたけれども、約三割ぐらいということでしょうか。
今後、より周知を高めていただきまして、多くの方の調査を行い、支援を進めていただきたいと思います。
さて、先ほど述べたように、フリースクールなどに通う不登校の子供たちの保護者は、様々な負担を抱えております。そして、フリースクールなどに通う不登校の子供たちは、近隣にスクールがないため、電車などを使い、少し離れた場所に通う子供たちも少なくありません。しかし、通えなくなった、もともとの在籍校に対して遠慮するというようなところがありまして、通学定期の申請ができないという保護者もいるということを現場では聞いておりました。心理的な不安が、結果として経済的な負担も増やしていくという悪い連鎖が起きているということになります。
もちろん、この子供たちは、本来、在籍校の校長に申請書を提出するなどによって、通学の定期乗車券を購入することができるということになっております。しかし、それを心理的なハードルで遠慮してしまっているという状況です。しかし、これは子供の教育を受ける権利であり、申請することに遠慮は要りません。
ぜひ、このような状況にならないためにも、こうした通学定期乗車券制度の適用を、小中学校により一層周知を図っていく必要があると思いますが、都の見解を伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、不登校の子供に対する支援の在り方について、教員や保護者等が理解を深められるよう、令和二年度末に、未来を創るかけがえのない子供たちの自立に向けてと題する冊子を作成し、都内公立小中学校及びフリースクール等に配布いたしました。
この冊子には、フリースクール等に通う子供のための通学定期乗車券制度の適用などが掲載されておりまして、フリースクール等との協議会、区市町村教育委員会の担当者や校長を対象とした連絡会などで説明し、周知をしてまいりました。
今後とも、様々な機会を捉え、学校等に対し、この制度の適用について啓発を図ってまいります。
○白戸委員 ぜひこの機会を捉えていただきまして、学校はもちろんですが、窓口となる自治体、そして、何といっても保護者の皆さんにも周知を広めていただきたい。そして、不登校の子供たちの学ぶ機会をより広げていただきたいと思います。
ここまでは小中学校についてお伺いしてきましたけれども、高校生への支援も必要と考えます。高校生に対して、学校内での支援とともに、学校外における支援も行っていると聞いていますが、このあたりを確認させていただきたいと思います。
不登校をはじめとした、高校の生活を送ることに困難を抱える生徒などへの支援に関する都教委の取組について伺います。
○岩野地域教育支援部長 都教育委員会では、学校内でのユースソーシャルワーカーによる支援に加え、学校外での学習支援や相談の場、生徒同士の交流の機会を提供する学びのセーフティネット事業を実施しております。
本事業は、子供や若者への支援実績のあるNPOと連携し、平成三十一年度から都内三か所で実施してきております。加えて、令和四年十月からは、新たに一か所を追加したところでございます。
○白戸委員 高校生に対しても、学校内の支援体制の構築のみならず、学校外における学びの機会を設けていることが分かりました。
これについて、具体的にちょっと確認させていただきたいのですが、学びのセーフティネット事業を通じて、不登校などの困難を抱える生徒に対して、どのように具体的なアプローチをしているのか、また、どのような成果があったのか、伺います。
○岩野地域教育支援部長 本事業では、生徒個々の状況やニーズに応じ、学習支援や体験活動等のプログラムを提供するほか、様々な相談に応じる体制も整え、学校等とも連携を図り、丁寧な支援を実施しております。
令和三年度は、四百八十七名の生徒等が事業に参加し、その中には、不登校の生徒が学校に復帰したり、通信制課程の生徒が前向きにレポート作成に取り組み、卒業したなどの成果がございました。
○白戸委員 高校生においても、不登校などの困難を抱える子供たちへの支援の取組とその成果を確認させていただきました。
不登校を生まない学校の在り方を考えていくのは、これはもう一番大事なことではありますが、そこだけではカバーできない子供たちをどう応援していけるのか。今後、我々もさらに検討していき、都教委の皆様と一緒に取り組んでいただけるようお願いして、次の質問に移ります。
ここまで、不登校になった子供たちをいかにフォローアップするかということを質疑させていただきましたが、その不登校が、前年度から四万九千人近く、二五%増えているという一番大きな要因は、学校活動の様々な制約が影響し、その一つがマスク着用であるということも指摘されております。
マスクをつけた状態では、相手の表情を読み取ることができず、相手の感情を読み取れないなど、コミュニケーションの不調があると聞いております。
マスクの着用においては、文部科学省に合わせ、六月より野外活動での着用が必要でないことを指導されておりますが、現状では、まだまだ現場で改善されていないように見受けられます。
そこで、都教委において、学校におけるマスク着用について、どのような指導をしているのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、六月に、文部科学省からの通知を踏まえ、夏季における児童生徒の適切なマスク着用につきまして、屋外や屋内など、具体的な場面等を例示したリーフレットを作成し、都立学校や区市町村教育委員会に対して周知をしてきております。
また、十月下旬には、マスクの着用に関する文部科学省からの新たな通知も踏まえまして、十分な身体的距離が確保できる場合には着用の必要がないこと、体育の授業や運動部活動の活動中、登下校の際には、感染対策上の工夫や配慮を行いながら、児童生徒に対してマスクを外すよう指導すること、こういうことにつきまして、都立学校及び区市町村教育委員会に対して周知を行っているところでございます。
○白戸委員 確かに、六月から何度も事務連絡として同様のメッセージを出しているにもかかわらず、マスクの着用については、登下校時などの状況に応じてマスクを外せる場面においても、子供たちのマスクは、ほぼ皆さん着用しているというのが現状でございます。
学校現場において、活動場所や場面に応じためり張りのあるマスク着用が行えるよう、都教委としてもさらなる周知を図り、理解してもらうことが重要であると考えますが、いかがでしょうか。
○岩野地域教育支援部長 都教育委員会は、区市町村教育委員会に対し、感染拡大防止を図るためのリーフレットを通じて、場面に応じた適切なマスクの着脱について情報提供をしております。
今後も、学校の教員にこの内容が理解されるよう、校長会や指導室課長会など、あらゆる機会を捉えて周知を図ってまいります。
○白戸委員 大人と違って、子供たちの場合は、自己判断というのが非常に難しいわけでして、まず、教師や学校が適切に指導することが必要だと思います。そして、様々なご意見がある中で、先生方も、行政から明確な指針を出していただくことが必要とも考えます。そして、その指針をしっかりと行き渡らせることも大切です。ぜひしっかりと周知し、子供たちの笑顔を取り戻していきたいというふうに考えております。
マスクだけでなく、新型コロナウイルス感染症は、子供たちの学校生活にも大きな影響を与えました。休校、オンライン授業で、実際に顔を合わせる機会が失われ、学校に戻っても、マスクはもちろん、黙食や、親近感の伴うコミュニケーションも制約されました。
そんな環境が子供たちの成長に影響しないはずがありません。私自身は、これから出てくるこれらの影響を非常に心配しております。
だからこそ、そんな子供たちに、体験の機会を通じて笑顔になり、コミュニケーションを図り、前向きな気持ちで学校生活を送ってもらいたいと、我が会派が強く要望し、都教委で取り組んでいただいたのが、この子供を笑顔にするプロジェクトでございます。
この事業枠の取組についても、多くの学校、多くの子供たちが参加しやすいよう、都教委が事業費用を負担し、都立学校だけではなく、区市町村立の学校にも直接提供するという点で、ある意味、大変意欲的な事業ではないかと考えております。
こうした事業の趣旨から、できるだけ多くの学校が参加することが重要であると考えておりますが、現在の参加状況について、まず伺います。
○筒井事業推進担当部長 九月末の時点で、都内の公立学校二千百三十六校のうち、プログラム内容を検討中の学校を含め、約八割の千六百六十五校から参加申込みをいただいております。
○白戸委員 この子供を笑顔にするプロジェクトは、今年度の新規事業でありますが、千六百を超える−−これ、八割近いということでありますね−−公立学校から参加申込みがあったということです。目下のこの状況で、このプロジェクトに対して、学校からかなりの需要があるということが分かります。
これは、やはり現場で、先ほど申し上げたように、リアルな体験、そして、コミュニケーションの不足に対する懸念があることを表しているのではないかなと私は思っております。
そして、このプロジェクトがさらに効果を上げていくためには、できるだけ多くの学校や生徒が参加するとともに、体験するプログラムの内容も大切だというふうに考えております。
体験プログラムについては、学校の特色や実情に応じて選択できるよう、多様性が確保されるとともに、受動的なものよりも、体験する内容が重要であると思います。
体験可能なプログラムは、その範囲や広がり、数といった点で、学校に対し、どの程度示されているのか。また、特徴的なプログラムとしてどのような内容があるのか、伺います。
○筒井事業推進担当部長 体験可能なプログラムでございますが、スポーツ、芸術、伝統文化の参加、鑑賞体験、自然体験、科学技術体験などの領域で、百七十一のプログラムを提示しております。
特徴的なプログラムにつきましては、生徒が野外の自然の中で、グループでアイデアを出し合い、コミュニケーションを取りつつ、ゲーム感覚で課題に挑むプログラム、第一線で活躍したトップランナーに半生を語っていただき、対話や交流を通じて、生徒が将来の夢や目標に向けた手がかりをつかむプログラムなどがございます。
○白戸委員 百七十一という体験内容、かなり多様なものになっており、その内容についても、子供の自主性や協調意識、そして共同意識、子供の成長の糧となるプログラムが組み込まれているのは、非常に好ましいことだと考えます。
私も、子供たちが共に楽しみ、共に活動する、いわゆるチームビルディング的な体験ですね、まさにこのコロナ禍で不足していた体験でありまして、友達とのコミュニケーションや信頼関係を築く重要なものであると考えております。
こういったプログラムを授業と同じぐらい、いや、もしかしたら、それ以上に大切な子供の学校内での体験であり、こうした機会を提供しているということは、高く評価したいと思います。
このプロジェクトに関しては、公立学校の八割近くと、多くの学校の参加があり、プロジェクト、そして体験するプログラムにおいても意義があるものと受け止めております。
子供を笑顔にするプロジェクトについては、この意義と効果などを総括し、その成果を今後の体験活動に生かしていくことが重要であると考えますが、都教委として、このプロジェクトの総括にどのように取り組んでいかれるのか、伺います。
○筒井事業推進担当部長 プロジェクトの総括についてでございますが、まず、実施校への実施プログラムに係るアンケート等によりまして、学校の狙い、期待した効果、実施後の評価等を把握いたします。
さらに、学校教育、子供の体験活動、子供の心理等を専門分野といたします有識者をアドバイザーとして、外部からの視点も組み入れて、プロジェクト全体としての意義、生徒、学校への効果、意義、効果の高い体験や得られた気づき等を総括し、今後の体験活動へ生かしてまいります。
○白戸委員 学校によるプログラムを選択した狙いや効果、そして実施後の評価を把握するとともに、外部の専門家による客観的な視点も含めてプロジェクトの総括を行うということ、引き続き、しっかりと事業の評価や検証を進めて、その成果を今後の体験活動に生かしてもらいたいと思います。
ただ、こうした活動の評価は、点数などで表すのが非常に難しいというのも確かです。しかし、教育というのは、本来、そういった側面が多くて、単純に比較できるものではありません。そして、そこにこそ、人間力を育てる大切なポイントがあるのではないかとも考えます。
それらを含めまして、このプロジェクトは、コロナ禍における単年事業とされていますが、私は、先ほど申し上げた子供たちのチームビルディング体験など、意義や効果が高いと考えられるものについては、何らかの形で今後も体験できることが重要であると考えております。こうした点にも意識を持ちつつ、総括を進めていただくようお願い申し上げます。
さて、六年間にも及ぶオリンピック・パラリンピック教育、これにより子供たちに育成した五つの資質が、昨年の東京二〇二〇大会の開催により、子供たちの中に、直接的な体験を通して定着したのではないでしょうか。
このオリ・パラ教育は、三つのフェーズがあると個人的には考えており、まずは事前学習。これは、これまで取り組んできたように、大会という機会に向けて様々な学びを深めていく時期です。
そして、それを実際に体感するのが大会時の実体験期間ですね。これは、これまで学んできたことを、実際の大会において確認し、体感し、昇華させていくというもので、今回は、その部分に関しては制約が多く、子供たちにとって、若干、消化不良の部分があったかもしれません。
これらを経まして、それらを定着し、未来に向けて発展させていくべきが、このポストオリ・パラのレガシー教育であると考えております。
そこで、都教委は、子供たちが身につけたこれらの資質をレガシーとしてさらに伸ばしていくために、どんな取組を行っていくのか、伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、オリンピック・パラリンピック教育の成果を踏まえ、共生社会の実現に向けた取組を継続、発展させることができますよう、各学校が大会までに行ってきた活動について写真や動画などで紹介するデジタル資料をホームページに公開したところでございます。
また、今年度中に、ユニバーサルデザインのまちづくりや環境に配慮した都市の実現など、東京都が大会に向けて進めてきた取組や、その先の取組をまとめた映像資料を作成してまいります。
○白戸委員 学びは、大会によって一区切りつきましたが、終わりではありません。ここまでの学びをさらに継続、発展していけるように、しっかりと支援をしていただきたい。
そして、先ほども申し上げましたが、新型コロナ対策により、様々な制約の中で開催された東京二〇二〇大会は、子供たちの教育プログラムを変更せざるを得ないというところが多くありました。
私が強く記憶しているのは、選手村の川向かいに豊海小学校というのがあるんですけれども、ここは、小学生たちが川向こうにいる選手村に対しても、直接、選手たちに声援が送れなかったり、対話できなくなってしまった選手たちに向けて、校舎とか、フェンスとか、そういったところに、国旗とか、そして選手に対するメッセージ、こういったものを掲示しまして、選手に対してエールを送ったわけです。
それに対して、今度は選手村の方から、小学校に見えるようにメッセージが掲示されていたということがありました。
これは本当に、直接のコミュニケーションができない中での、非常に何か訴えかけてくるものがあるなと、私自身も、非常に胸が詰まるものがありました。
制約がある中でも、こうしたつながりは、子供たちにとって、非常に強い印象と喜びをもたらして、かけがえのない体験、大切な思い出になったことと考えます。
このような制限がある中で一定の成果を残せたことは間違いないのですが、やはり一〇〇%の経験をさせてあげられなかったというのも確かでございます。
だからこそ、終了後にもリアルな追体験を充実させ、大会のレガシーを継承できるようにすることが大切だと考えますが、都教委の見解を伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、大会後も、アスリートとの交流を通して、子供のスポーツへの関心や夢に向かって努力することへの意欲を高められるよう、都内公立学校にオリンピアンやパラリンピアンなどを派遣しております。
また、学校に対してボランティア情報を提供したり、外国の大使館との交流をコーディネートしたりするなど、様々な体験ができるよう支援しております。
○白戸委員 大会でできなかったリアルな交流が後からでも加わることで、大会時の記憶と結びついて、さらに広がっていくということが期待されます。これは大人もそうですけれども、子供も必ずそうなります。ぜひ、この大会の温度がまだ残っている間に、こうした活動をしっかりと進めていただけるよう要望しておきます。
そして、このオリ・パラ教育における体験は、子供たちにとって、世界とのつながりを実感し、豊かな国際感覚、言葉を換えるならば、先ほど申しておりましたけれども、グローバル人材育成教育の貴重な機会であると思います。
やはり国際感覚というのは、ただ人と人、物と物が出会うから生まれるのではなくて、何かを通じて、目的があったり、結びついたり、何かを通して人が見えたときに、その背後にある世界を感じ取って養っていくものだと考えます。
そうした意味で、オリンピック・パラリンピックという機会を通して、この目的を通して人と人が交流したから、このような機会になったのではないかと考えます。
大会を通じて高まった国際交流や国際の感覚をさらに高めていくために、引き続き、子供たちが海外の人々と直接関わっていけるような交流をすることが重要であると考えますが、都教委の取組を伺ってまいります。
○小寺指導部長 都教育委員会は、次期大会開催都市であるパリを所管する教育行政機関と令和元年に覚書を締結して、芸術文化、教育、オリ・パラ教育等をテーマとした学校間交流、情報交換等を行ってまいりました。
こうした取組の一環として、今年度中に都立高校及び特別支援学校の代表生徒をパリに派遣いたしまして、オリ・パラ教育の理念や取組を紹介するとともに、パリの生徒と一緒にパラスポーツや日本文化を体験した上で、意見交換などを行うこととしております。
帰国後、成果発表会を行い、広く都立学校に伝えることで、生徒の国際感覚の醸成を図り、東京二〇二〇大会のレガシーとして継承できるようにしてまいります。
○白戸委員 子供たちは、東京の子供たちではありますけれども、世界の子供たちでもあります。昨今の国際状況を見ていますと、日本人が世界の中で生きているんだという感覚が、他国に対してちょっと薄いのではないかなと懸念しております。生活や言葉はもちろん、友達も経済も、全てを通して世界的な感覚を持って活動できるようなグローバル感覚を育んでいただけるよう、このような国際イベントを、今後も積極的に活用していくべきだと考えます。
オリンピック・パラリンピック教育は、大会が終わっても、終わりではありません。本日、お話にあったように、これからさらに発展していけるよう、引き続き取組を進めていただけるようお願いし、次の質問に移ります。
次に、高校段階一人一台端末の仕様についてお伺いします。
昨年度の端末の仕様は、事前に行われた仕様検討委員会が求めたそれを上回る内容であり、結果的には単一OSを指定しているのではということが報道等でも問題になりました。
そのことについて、我が会派は、令和五年度の事業設計においては、デジタルサービス局の支援も受けつつ、OSの数を限定することのない適切な要求仕様に改めるよう求めてきました。
今年度の端末購入支援業務委託事業において、どのような見通しかを確認するとともに、事業の進捗状況をお伺いします。
○篠企画調整担当部長 都教育委員会は、令和四年度新入生の一人一台端末の検討に当たり、仕様検討委員会で定められた仕様概要を基に仕様の内容を具体化し、入札を行ってまいりました。
入札においては、いずれのOSの端末も選定できるようにするなど、適切に対応してまいりました。
令和五年度入学生等に対する端末の仕様についても、今年度の端末活用状況等も把握するとともに、デジタルサービス局の支援も受け、仕様が複数の端末を提案できる内容となっていることを確認してございます。
今後は、総合評価方式による入札手続を進め、端末の調達等を確実に行える事業者を決定し、令和五年度新入生等の円滑な端末購入をサポートできるよう準備を進めてまいります。
○白戸委員 複数の端末を提案できる内容に改められているということは評価いたします。しかしながら、この三つのカテゴリーそれぞれにおいて、提案できる機種数を二種類以下にするという縛りがまだ設けられております。
サイトから購入できる機種の数が増えると、一機種当たりの供給量が減って、発注増に伴う価格を抑える効果が期しにくいというのがその理由でありますと聞いておりますが、端末の販売価格を抑えるのは入札側の努力であって、都の教育庁が縛る必要はないと考えます。条件は最低限にとどめることを改めて要望しておきます。
続いて、教科、情報に関して質問させていただきます。
東京、そして日本がこれからもっと上がっていくために、さきに述べたグローバル化とDXが不可欠でありまして、連日、高度IT人材の不足が新聞などをにぎわせております。
都内公立校におけるグローバル教育、情報教育の充実は、都の責務です。
今年、情報Ⅰを設置した都立高校は、来年度以降に情報Ⅱを設置することができます。
情報Ⅱは、情報を使って価値を生み出す側の人材育成を目指すものであり、我が会派は、情報Ⅰの学びを充実させることで、生徒の興味、関心を深め、情報Ⅱの履修希望者を増やすことや、情報Ⅱの履修をするなどした意欲のある生徒を都立大学の入試で評価することなどを求め、いずれも、ここまで前向きな答弁をいただいております。
そこで、都立高校の情報Ⅰの充実に向けて、都教委の今年度の取組について伺います。
○篠企画調整担当部長 都教育委員会は、今年度から実施している情報Ⅰの充実に向けて、教員向け指導力向上研修とともに、デジタル補助教材の導入を五十四校で、情報Ⅰへの専門家派遣等の取組を十三校で行っております。
デジタル補助教材は、プログラミング等を自分のペースで繰り返し学習できる教材で、生徒がその楽しさを実感できるよう、授業で活用しております。
情報Ⅰへの専門家派遣では、実社会を支える情報技術を理解できるよう、IT企業の専門家による講義と実習を実施し、生徒からは、デジタルが社会課題の解決につながっていくと感じたなどの声が上がってございます。
今後は、授業の内容を全都立高校に動画配信する予定でございます。
○白戸委員 生徒自らが楽しさを実感したり、意欲が持てる取組ができていることは確認できました。
今後、情報Ⅱを教えるに当たっては、担当する教師に、より一層高い専門性が求められてまいります。指導者の研修を充実させるとともに、専門家の活用も必要だと考えます。
また、興味、関心を持った生徒がより学べる場として、授業ではなくて、これまでも求めてきましたプログラミング関連の部活などの充実も、改めて要望しておきます。
さて、続きまして、教員関係に移りたいと思います。
非常に個人的ではありますけれども、我が家は、ずっと教員の家系で、祖父も両親も、そして弟も教員だというお話は、以前したかもしれません。私自身も、一応、教員免許を持っていまして、ちょっと道を誤りまして、こんなところにおりますけれども、一応、教員免許も取った、そんなところでございます。
ともあれ、そんな中で育ちましたので、教育は教員の質と熱意であるということは強く感じております。もちろん、周囲の環境もいいにこしたことはない。もちろんそうなんですが、やはり一番のポイントは教員で、これこそが教育の質を決めてしまうと考えます。
だからこそ、よい人材の確保は重要でありますが、残念ながら、全国的に教員不足が続いているのが実情です。
東京都では、小学校教員不足、さらにこれは深刻です。二〇一九年から二一年度の三年間、小学校全科の受験倍率は二倍程度。そして、今年度の選考は、何と一・四倍ということになっています。
採用の一次試験、これは筆記試験の方ですけれども、一次試験の倍率は一・一倍ということで、平たくいうと、これ、筆記試験で学習レベルを測るのがもう難しいという、そんな状況にもなっています。
しかし、まだこの志願者自体が減少傾向で、二〇一四年、平成二十六年までは五千人を超えていたこの志願者は、徐々に減少して、今年の選考では二千九百五十三名まで落ち込んでおります。これ、実は、実際の受験者はさらに少ない二千五百五十五人だったということで、かなり深刻な状況ではあります。
そんな状況の中で、東京都においては、年度当初、小学校の教員の欠員が五十人程度だということでありました。
二学期のスタートとなる九月時点における都内公立小学校の状況はどういうものか、伺います。
○吉村人事部長 都内公立小学校では、休職等の理由により、九月上旬の時点で百三十人程度の欠員がございました。
欠員に対しましては、随時、臨時的任用教員を確保し、補充しております。
○白戸委員 東京都の公立小学校において働いておられる教職員の方は三万三千人ということで、年度途中に一定数の、病気や、それから退職者が発生するということは理解できます。
欠員に関しては、臨時的な教員を補充しているということではありますけれども、とはいえ、かなりこれは深刻な状況。一刻も早い代替教員の確保が不可欠です。
臨時的任用教員の確保にどのように取り組んでいるのか、伺います。
○吉村人事部長 臨時的任用教員の確保に向けましては、教員OB等への働きかけに加え、社会人の免許保有者の獲得に向けて、東京しごと財団との連携や、転職サイトによる募集告知、転職フェアやTOKYO教育Festa!での相談会等を実施しております。TOKYO教育Festa!の転職相談ブースでは、七十名の個別相談に応じました。
また、幅広い層に募集情報が届くよう、テレビやラジオ、デジタルサイネージやユーチューブ広告の活用など、多様な媒体を活用したPRを実施しております。
こうした取組と併せまして、今年度から臨時的任用教員の候補者選考を通年で実施し、年間を通じて候補者を確保しております。
○白戸委員 現在、臨時的任用の確保に向けて、様々な取組が進んでおられることが分かりました。
しかし、実は、現在、雇用に向けて苦労されているのは教員だけじゃないんです。一般企業も同じなんですね。一般企業も、雇用のために、様々な手法を取り入れて今行っております。
教員確保も同じく、このように既存の手法にこだわらずに、転職サイトなど、現状に合わせた手法をどんどんと取り入れていくことが大切だと思います。
都教委には、一刻も早く代替教員を確保し、子供たちが安心して教育を受けられる環境を整えていただきたいと思います。
また、先ほど述べたように、教員選考においても、毎年応募者が減少しているなど、全国的に厳しい状況が続いています。応募者の増加に向けては、これまでの受験者層に加えて、転職者層の掘り起こしなども重要ではないかと考えております。
そのような中、今年度の教員採用選考から社会人の受験要件を一部緩和したと聞いておりますけれども、その概要と実施状況について伺います。
○吉村人事部長 これまでの選考は、教員免許状取得者または翌年四月一日までに免許取得見込みの者を対象としておりました。
今年度から導入した社会人経験者の特例選考では、より多くの社会人が受験しやすくなるよう、受験時に免許取得見込みがない者も、合格後三年後の四月一日までに免許取得すればよいこととしました。
今年度の選考では二十八名の応募があり、合格者は九名でございました。
○白戸委員 社会人が勤務を続けながら計画的に教員を目指すでことができる、すばらしい取組であると思います。また、新卒者だけではなく、社会人経験者の導入を促すことにもなるでしょう。
ただ、一つだけ、もう一つ、注文させていただくなら、この社会人枠は、現在四十歳以上という制限がございます。ぜひこれも緩和できると、さらに推進されるのではないかなと考えておりますので、ご検討いただきたいと思います。
ぜひ今後も、受験者の拡大に向けて、さらにこの制度の充実をお願いしておきます。
さらに、現在の採用選考は、合格発表が十月の中旬ということで、民間企業の内定時期よりもかなり遅いということで、学生の中には民間企業を先に選択してしまうという声もよくいただきます。
より多くの学生に教員採用選考を受験してもらえるよう、選考の時期を早める検討も必要だと思いますが、都教委の見解を伺います。
○吉村人事部長 採用選考の早期化につきましては、教育実習の実施時期や近隣県との協議など、様々な関係機関と調整を図っていく必要がございます。
現在、文部科学省が都道府県教育委員会や大学等の関係団体から成る協議会を立ち上げたところであり、本協議会での議論を踏まえつつ、学生がより教員を目指しやすい選考制度を多角的に検討してまいります。
○白戸委員 これ、検討が開始されたというのは、非常に明るい話題だと思います。教師という仕事の魅力アップ、もちろん、これも図っていかなければいけないのですが、採用方法などにも工夫を加えて、現状に合わせたリクルーティングができるように進めていただきたいと思います。
教員志願者の減少には、教師はもうブラックだ、ブラックな職場なんだというイメージがあるようです。確かに教員の仕事は多岐にわたり、勤務時間の減少をどのように進めていくかという取組も重要です。
現状の教員は、授業や子供と向き合う時間のほかにも、学校を運営する上で必要となる業務も担っております。
多岐にわたる業務を担う教員の働き方改革を一層推進すべきという考えから、我が党は、昨年の第三回及び第四回定例会の代表質問において、負担の大きい校務を担っている教員の授業時数の軽減に関する取組について質問し、拡充を検討するという旨の答弁がありました。
今年度は、実施規模を約二倍に拡大して実施しているということでございますが、改めて、これまでの取組と成果について伺います。
○吉村人事部長 都教育委員会では、教務主任等の学校運営における中核的な業務を担う教員について、負担軽減の観点から、担当する授業時間数を軽減する取組を全小中学校で実施してまいりました。
令和元年度からは、小中学校四百二十四校で、小学校の校内研究を担う教員や中学校の学年主任などへ時数軽減の対象を拡大するモデル事業を三年間実施してまいりました。
実施校の教員からは、他の教員をフォローでき、教員間の連携が強化された、子供に関わる時間が増えたなどの声が寄せられ、学校全体で一人当たりの在校時間が短縮される効果も確認できました。
モデル事業の成果を踏まえ、今年度からは、実施校を八百八十四校に拡大して取組を進めているところでございます。
○白戸委員 こうした取組によって、時数軽減の対象の教員だけではなくて、その教員に余裕ができたことで周囲の教員にサポートに回れるということで、学校全体の成果に結びついているというお話でした。いわゆるプラスの連鎖が出ているということであり、非常に有効な取組だと考えます。
小中学校の校長会からも、期待が非常に高いと聞いております。今後も、この成果を検証しつつ、さらなる取組の充実につなげていただくよう要望しておきます。
続いて、夜間中学校の教員、それも養護教諭について伺います。
都内は、夜間学級を設置する中学校が八校ございますが、いわゆる夜間中学は、義務教育を修了しないまま学齢期を経過した方、不登校など様々な事情で十分な教育を受けられないまま中学を卒業した方などに義務教育を受ける機会を実質的に保障する役割を担っている学校でございます。
この夜間中学校に関して、国は、全ての都道府県及び指定都市に、少なくとも一つは設置をするということを目標に上げておりまして、令和四年四月の時点で全国に四十校の夜間中学校が設置されている状況からしますと、東京都内八校ということですから、かなり取組として進んでいるということがいえます。
一方で、先日、都内の一部夜間中学において養護教諭がいないということを耳にしました。
他県の夜間学級では、正規または非常勤などで養護教諭に当たる者が配置されている例も多いと聞いておりますが、都内の夜間中学校での配置状況をお伺いします。
○吉村人事部長 国のいわゆる標準法において、夜間学級は、独立した学校ではなく、昼間の学級と合わせて一つの学校として教職員定数を算定することとされており、養護教諭については、学校全体で一人の配置となっております。
そのため、都教育委員会では、学校に対して一人の養護教諭を配置しており、このほかに、各学校においては、都が任用する非常勤教員の養護教諭の配置や、設置自治体による会計年度任用職員の配置などにより、夜間学級にも対応できるようにしております。
○白戸委員 国の基準では、養護教諭の配置は一人ということなんですが、昼と夜の時間帯にそれぞれ生徒が通ってくることを考えますと、現実的には、夜間学級の時間帯まで対応するというのは、なかなか難しいのかなというふうに考えます。
設置自治体による会計年度任用職員の配置なども工夫されているようですが、自治体によっては、勤務日数などにばらつきがあるとも聞いております。そのため、そうした自治体に対し、都が支援するなど、検討できないか、ぜひ要望しておきます。
ここまで述べてきたように、教育の質を高めるには、教員の確保が重要です。教員を確保するためには、教員という、この職業の魅力を高めていくことが重要です。
そのためには、教員の負担軽減を進めるということが待ったなしの状況で、さきに述べた授業数の軽減というのももちろんありますが、教員の仕事をアシストする外部人材の活用というのもあります。
中でも、配布物の印刷や教材の制作作業など、必ずしも教員でなくてもできるんじゃないかというような業務を教員に代わって行うスクールサポートスタッフの活用が、現場でもかなり有効であるというふうに聞いております。
都教委は、スクールサポートスタッフの配置を行う区市町村教育委員会への支援を行っております。私が昨年の決算特別委員会第二分科会で令和二年度の配置状況を質問した際も、多くのスクールサポートスタッフを学校で活用していることが分かりました。
そこでまず、昨年度及び今年度のスクールサポートスタッフの配置状況についてお伺いします。
○稲葉人事企画担当部長 スクールサポートスタッフについては、令和三年度は、五十四区市町村において千七百八十三人の配置を支援いたしました。令和四年度は、五十四区市町村で千八百五十六人の配置を進めています。
○白戸委員 年々、配置数は増えていることが分かりました。これは、現場のニーズとうまくマッチしているからだと思います。
そして、配置数だけではなくて、効果的に活用することも、教員の負担軽減を図るためには必要です。具体的な取組事例の他区市町村の積極的な共有などの対応も必要と考えます。ぜひ十分な対応をお願いします。
特に、教員の超過勤務時間の縮減に効果が認められる取組であるので、今後さらにスクールサポートスタッフの活用を進めていただけるようお願いします。
次に、同じく外部の人材を活用する社会の力活用事業について伺います。
都教育委員会は、昨年度から、小学校において授業を任せることができる専門性の高い外部人材を一人で授業ができる講師として任用する区市町村教育委員会を支援する事業を開始いたしました。
昨年は、主に小学校三、四年生の外国語活動で講師が授業を行ったと聞いておりますが、これ、何も外国語教育だけではなくて、他の授業でも、他の教科でも活用を進めるべきだというふうに考えますが、見解を伺います。
○稲葉人事企画担当部長 社会の力活用事業では、区市町村教育委員会が外国語活動以外の教科等で特別非常勤講師を活用した場合も補助の対象としており、昨年度は、国語やプログラミングでの活用の実績がございました。
今年度からは、新たに体育の授業ができる人材を都教育委員会で募集し、区市町村教育委員会へ紹介をしています。
○白戸委員 小学校の各教科などでの外部人材活用ができることが分かりました。
ただ、専門家とはいえ、子供に教えるという、いわゆる講師になるということは、一定の資質を持った方でないとできないと考えます。これが外部指導者を入れる難しさの一つではないかとも思います。それぞれの専門性、そしてもう一つ、教師としての人的な資質、この両面をクリアする人材の確保は、なかなか簡単ではないと思います。
こうした人材の確保は必要なんですが、人材確保のために、講師が学校で授業を実施するに当たって、子供たちを教えるというスキルを身につけてもらうために、都教委としてどういうふうに取り組んでいるのか、伺います。
○稲葉人事企画担当部長 外部の力の人材確保については、各種関係団体への働きかけを進めるとともに、東京学校支援機構、TEPROの活用も行っています。
また、都教育委員会が募集した講師に対しては、都教育委員会が主催します講座への出席を義務づけまして、児童への対応や授業の進め方、服務に関する理解など、学校で授業を行うための基本的知識を身につける機会を提供し、修了者を区市町村教育委員会に紹介しています。
○白戸委員 人材確保の取組は理解しましたが、これに加えまして、子供たちが講師から充実した授業を受ける際に、学校生活にも生かしていくということですから、講師と学校が十分に連携を図った連帯意識といいますか、共通意識を持っていくことが必要だと思います。
地元でちょっと聞いたんですが、先生のやりたい方向と学校の方向がなかなかうまく一致しないと、結局、板挟みになるのは子供たちでございます。
そのあたり、都教委として、講師と学校が連携を十分に取れるような策を取る必要があると思いますけれども、取組について伺います。
○稲葉人事企画担当部長 都教育委員会は、講師が学校と十分な連携を図った上での授業が行えますよう、授業実施前における担当教員との打合せや、担当する児童の状況を把握するための授業参加の時間についても、人件費を補助の対象としています。
○白戸委員 外部人材を学校に入れることというのは、子供たちだけではなくて、実は、他の教員も、ある意味、よい刺激を受けることになるというふうに思います。
どうしても学校の先生というのは、ずっと最初から、卒業した当時から学校だけにいることが多いですから、そういった意味で、外部人材は、実は教員の中にも刺激を与えてくれるのではないかと私は考えております。そういった意味で、この取組も着実に進めていただきたいと思います。
そして、学校を教員だけで運営していくことは、むしろ困難な時代になったのではないかなというふうにも思います。学校において、この外部人材の活用は積極的に進めるべきであると、改めて要望しておきます。
一方で、さきに述べたように、外部の人材の確保に苦労することもあるということです。この取組を進めるためには、外部人材を安定的に確保していく必要があります。
そこで、先ほど出ましたTEPROについて伺います。
さきに述べたように、教員の負担軽減には、学校が必要とする外部人材を確保し、紹介することで学校を支援していくということが必要です。
その点、TEPROのSupporter Bankは、外部人材の確保、紹介を通して学校を支援する事業であります。
まずは、令和三年度のSupporter Bankへの登録者数、登録者の状況について伺います。
○篠企画調整担当部長 令和三年度末現在、東京学校支援機構、TEPROのSupporter Bankに登録されたサポーターは一万七十一人で、そのうち、個人登録五千六百七十六人、団体登録は百十五団体、四千三百九十五人でございました。
二十代から七十代まで、幅広い年齢層から、通訳や特別支援教育などの専門スキルの高い方や、時間的ゆとりがあって活動が可能な方など、幅広く登録をいただいているところでございます。
○白戸委員 今おっしゃったこの数字を、多いというのか、少ないというのかというのは、非常に難しいところではありますけれども、どちらにしても、より多くの方に学校を応援してもらえるように、今後もサポーターの登録者数を伸ばすことは必須であります。
さらにサポーターを募集していくに当たって、まだまだ課題があるのではないかと思いますが、見解を伺います。
○篠企画調整担当部長 サポーターは、それぞれ活動を希望する地域が異なり、登録者数が比較的少ない地域もございます。
また、大学生などは、就職など様々な事情により活動の継続が難しくなるケースもあることから、サポーター登録者数を増やしていくことが必要でございます。
さらに、特別支援教育など、学校からの求人ニーズが高いにもかかわらず、サポーターの登録が少ない分野についても、サポーターの増加を図る必要がございます。
○白戸委員 サポーターの登録エリア、職種、ライフサイクルなど、偏りなどの課題があるということですが、これはある意味、仕方がないことだというふうには考えます。
だからこそ、その分、より多くの登録者が必要だということで、学校支援の輪をこれからも広げていくためにも、登録者数の確保にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
そこで、このサポーターを増やすための取組、どんなことをされているのか、伺います。
○篠企画調整担当部長 TEPROでは、リーフレットやホームページ、SNS、ターミナル駅のデジタルサイネージなどを活用して、Supporter BankのPRなどを展開しております。
また、登録者数が比較的少ないエリアを分析し、沿線の鉄道やバスに広告を掲出するほか、区市町村の広報紙に記事掲載を行うなど、戦略的な広報を行ってございます。
さらに、サポーターの登録が少ない分野については、NPOや大学等に働きかけ、団体登録に結びつけるなどにより、人材確保につなげてございます。
今後とも、効果的な広報を行うなど、サポーター登録者の増加に努めてまいります。
○白戸委員 この募集に関しましては、教員の募集と同じであります。過去の事例にとらわれず、現状に合わせて様々な手法を取り入れていくという必要があると思います。
また、登録エリアの課題があるということなんですが、エリアを絞った、よくマーケティングで使うエリアマーケティングというような手法も取り入れて、効果的に促進をされたいと思います。
いずれにしても、学校教育は、当該教員だけで行っていくものではなくて、社会全体で行っていくものであります。より多くの方に関わっていただけるような手法の一つとして、このTEPROというのは非常に有効な手段だと考えますので、しっかりと進めていただけるよう要望して、私の質問を終わります。
○入江委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十二分休憩
午後三時二十九分開議
○入江委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○北口委員 まず初めに、私からは、理数教育についてお伺いをさせていただきます。
令和元年度の東京都教育ビジョン(第四次)基本方針の一つである社会の持続的な発展を牽引する力を伸ばす教育について、理数教育の推進が掲げられております。
事務事業概要には、日進月歩で技術革新する現代社会において、世界をリードするためには、科学技術の土台となる理数教育の一層の充実を図り、将来の科学技術立国日本を支える人材として活躍できる素養を育成することが必要と記されております。
知識や技術を学ぶだけではなく、それをどう創造的に生かしていけるかが重要です。論理的思考や創造力の向上を促してイノベーションを起こす、ゼロから一を創り出す人材を育成する、そのための理数教育の推進というふうに理解をしております。
そこで、まずは、今年度、都立立川高校について創造理数科が設置されたというふうに聞いておりますが、高校における理数科の設置について、検討状況や進捗状況をお伺いいたします。
○佐藤教育改革推進担当部長 都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)では、立川高校と特別区内への理数科設置に向けた検討を行うことといたしました。
立川高校創造理数科は、令和四年四月、理数系分野の幅広い素養と情報活用能力等を併せ持ち、新しい価値を生み出す人材育成を目的として開校し、東京大学先端科学技術研究センターの協力によりアートセッションを体験するなど、STEAM教育に取り組んでおります。
特別区につきましては、Next Kogyo START Projectにより、科学技術高校を当該校として、理数分野と技術、工学分野の資質、能力を融合し、協働してイノベーションを生み出す人材育成を目的に、令和六年度の理数科設置に向け、教育課程などの検討を行っております。
○北口委員 まずは、本年四月から立川高校で開始された創造理数科ではSTEAM教育に取り組んでいるとのことでありました。ありがとうございます。
また、特別区においても、科学技術高校において、令和六年度を目指し、理数科の設置に向けて準備を進めているということでございます。
まだまだ始まったばかりの取組ではございますが、ぜひ高校における理数科の取組、継続をしていただきたいと思います。
続いて、関連してプログラミング教育についてお伺いをいたします。
小学校、中学校、高校においても、理数科の設置と同様の趣旨でプログラミング教育が順次開始をされております。
令和二年度からは、小中学校向けのプログラミングキャラバンを実施し、プログラミング教育の充実に取り組まれていると伺っております。
改めて、その目的とこれまでの実績についてお伺いをいたします。
○篠企画調整担当部長 都教育委員会では、小中学校で必修化されたプログラミング教育を充実するため、プログラミング教育の専門家を都内公立小中学校の希望校に派遣するプログラミングキャラバンを実施しております。
これまで、令和二年度に小学校五十校、令和三年度に小学校五十一校、中学校四校、今年度は小学校五十三校、中学校二校で実施し、児童の論理的思考力を育成するよう支援をしてまいりました。
○北口委員 ありがとうございます。教員と専門家が一緒になってキャラバンを実施しているとのことでありました。充実した内容で開催されていることを高く評価しております。
プログラミングキャラバンを受講した子供や教員はどのような反応だったのか、お伺いいたします。
○篠企画調整担当部長 受講した子供からは、プログラミングは面白いと思った、信号や自動販売機などもプログラムで動いていることが分かったなど、興味、関心を引くとともに、身の回りにプログラムが使われていることを実感している感想が寄せられました。
また、教員からは、子供自身が考える場面が多く見られた、プログラミングは実際の社会で役に立っていることを理解させることができたなどの感想が寄せられております。
○北口委員 ありがとうございます。こうした取組からは、単にプログラミングという技術が社会の中でどのように使われているかだけではなくて、好奇心を育て、自発的に考え、そして自ら行動する、そうした想像力の発揮にも寄与するものだと思います。大変有意義な取組だと思いますので、ぜひ次年度以降も、もっと多くの学校で実施していただき、また、転じて、プログラム教育の質が向上することを期待しております。
小学校、中学校、高校それぞれの段階での理数教育について、一部伺わせていただきました。これらの取組の根本目的である、自ら価値を創造する力の開発、ゼロから一を生み出す力の開発は、これからの日本にとって、非常に重要な取組であります。これらの取組は、その第一歩と認識をしております。
まだ始まったばかりで、本当に成果が出るまでには、質、量ともに改善を図りながら、粘り強く取組を継続することが必要だと考えております。今後も応援しておりますので、中長期的な視点で取組を継続し、目的が成就されることを期待しております。
次に、SNSの使い方、ネット利用における注意点など、情報のモラル教育についてお伺いをいたします。
近年、子供たちの間でのSNSトラブルが時々話題になります。ネットやSNSは、非常に便利で、既に日常生活に欠かせないものとなっておりますが、使い方を間違えると、誤った情報に振り回されたり、人を傷つけたり、いじめの道具にもなってしまいます。
都教委としても、早くから対策に取り組んでいただいていることと思いますが、東京都における情報モラル教育について、これまでの取組と現状についてお伺いをいたします。
○篠企画調整担当部長 都教育委員会では、平成二十八年度から、発達段階に応じた情報モラル教育の教材であるSNS東京ノートを作成し、毎年内容を見直しながら、都内公立学校の全ての児童生徒に配布し、その活用を図ってまいりました。
各学校では、一人一台の学習者用端末を適切に使うことや、SNSなどを利用する際に、他者を傷つけないよう配慮することなどについて、指導を繰り返し行ってまいりました。
令和二年度からは、SNS東京ノートをデジタル化し、ウェブサイトに掲載することで、子供たちが端末で日常的に活用できるようにいたしました。
今後も、こうした取組を通じて、子供たちの情報モラル意識を高めていくよう、学校を支援してまいります。
○北口委員 SNSによる児童生徒間のトラブルについては、様々な取組がなされていると思いますが、こうした地道な取組がトラブルの抑制の一因になっていることは間違いありません。大事な取組ですので、ぜひ内容を改善しながら、今後も継続をして取り組んでいただくことを要望しておきます。
また、社会の価値観が目まぐるしく変化をする中で、学校で指導すべき社会モラルのようなものが今後も現れるかもしれません。都教委には、その面においても、今後も柔軟な対応を期待しております。
次に、オリ・パラ教育について、私からも質問させていただきます。
オリンピック・パラリンピックを契機に始まったオリ・パラ教育のレガシーについてお伺いします。
オリ・パラ教育において子供たちに重点的に育成してきた五つの資質の一つであるボランティアマインドについて、これからの日本を支える大事な視点であると考えております。
オリ・パラでは、多くの若者がボランティアとして大会を支えてくれましたが、これを一過性のものとせず、日本に根づかせていくためには、教育の果たす役割が重要であると考えております。
このボランティアマインドについて、大会後、学校ではどのように育成をしているのか、その取組と現状をお伺いいたします。
○小寺指導部長 オリンピック・パラリンピック教育の成果を踏まえまして、今年度、ボランティアマインドの育成を図る取組を行っている都内公立学校は千三百五十三校ございます。
これらの学校では、例えば地域の防災訓練に参加し、炊き出しを手伝ったり、福祉施設を訪問し、車椅子の整備や修理を行ったりしております。
○北口委員 約千三百五十校の都内公立学校でボランティア教育を実施しているということでございました。それぞれの学校では、様々な工夫をしながら取り組んでいただいている様子を聞かせていただきました。
日本は、これからますます少子高齢化の時代を迎えます。制度上、様々な政策が重要ですが、根本的に社会に助け合いの精神がなければ成り立っていきません。今後も、ボランティアマインドが定着するように、質、量ともに拡充することを期待しております。
あわせて、これからの時代、国際社会で生きていく子供たちは、外国の人と積極的に交流できる力が求められてまいります。
オリ・パラ教育をきっかけとして、学校で継続的に行われている国際交流の取組についてもお伺いさせていただきます。
○小寺指導部長 これまでオリ・パラ教育を通して豊かな国際感覚を育成してきた学校では、例えば、海外の子供たちと絵手紙やビデオを交換したり、パリと東京の子供が、それぞれの国で撮った映像をドラマに編集し、共同で映画を制作したりしてまいりました。
こうした取組に加えまして、今年度は、学校二〇二〇レガシーの一環として、全国高等学校総合文化祭において、パリの学校と協力してファッションショーを行う学校などもございました。
○北口委員 全国高等学校総合文化祭において、次回のオリンピック開催国であるパリの学校と協力して取組を行った学校もあったとのことで、こうした先進事例は一部かもしれませんけれども、ICTの発達した現在では、ネットを駆使すれば、海外交流も比較的容易にできるのではないかなというふうにも考えます。ぜひ海外の姉妹都市などとも連携しながら、こうした取組がさらに広がっていくことを期待しております。
次に、昨年まで実施していた夢・未来プロジェクトの後継事業であるアスリート派遣事業についてお伺いをいたします。
オリンピアンやパラリンピアンに直接子供たちが触れる機会を設けることは、大変意義のあることと思います。
このアスリート派遣事業について、実施の目的や、実施校数及びその実施の内容についてお伺いをいたします。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、オリンピアンやパラリンピアン等を学校に派遣してスポーツの特性や楽しさを学ぶことを目的にアスリート派遣事業を行っており、今年度、公立学校五十校に派遣することとし、十月末現在、二十八校で実施をしたところでございます。
実施した学校では、陸上競技や車椅子バスケットボールなどのアスリートによる講話や競技体験を行っております。
○北口委員 一流のアスリートとの出会いは、単にスポーツとの出会いにとどまらず、子供たちの心に人格の触れ合いによる様々な啓発を与えるはずであります。もしかしたら、子供にとっては一生の出会いの場となることも想像いたします。調整等、様々ご苦労もあるかと思いますが、多くの学校で、この一期一会の出会いが生まれますように、今後もぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。
次に、特別支援教育についてお伺いをいたします。
障害のある子供たちの能力を最大限に伸長するという視点から、保護者が我が子にとって最適な学びの場を選択できるようにするためには、就学前の早期からの保護者への情報提供が重要であると考えます。
私の地元にある都立水元特別支援学校においては、特別支援教育に対する関係者の理解啓発を図るために、地域の幼稚園などに対して巡回相談を行っている例もあるというふうに聞いております。
こうした学校単位の取組だけでなく、都教育委員会においても、就学前の保護者への情報提供をしっかりと行っていくべきと考えますが、その取組をお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、保護者が就学前の早期の段階で都の特別支援教育について理解し、障害のある児童生徒本人にとって最適な学び場を選択できるよう、保護者向けガイドを令和五年度に策定する予定でございます。
現在、千百名を超える保護者からのアンケートの分析や、対面によるインタビュー調査を実施しており、これらの結果を盛り込んでまいります。
○北口委員 保護者の協力を得ながら、現在、ガイドを作成しているということでございました。完成したガイドが、障害のある子供たちの多様な学びの場についての保護者と教育委員会、そして学校との共通理解に資するものとなるように期待をしております。
さて、近年の都立特別支援学校には、肢体不自由校以外においても、医療的ケアを含め、多様なニーズのある児童生徒が入学しているとのことであり、学校における適切な支援が必要なのではないかというふうにも考えます。
このような児童生徒が安全で安心な学校生活を送れるようにするためには、都教育委員会としても取組を進めていくべきというふうに考えますが、見解を伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校には、様々な障害の状態にある児童生徒が在籍しております。
そのため、例えば姿勢を保持することが困難な児童生徒に対しては、座位が安定するよう、補助椅子などを用意しております。
また、食べる機能や飲み込む機能が弱い児童生徒に対しては、食材を通常よりも軟らかく仕上げた給食を提供するなど、可能な限りの対応をしてございます。
今後とも、各学校や児童生徒の実態に応じて、必要な支援を検討してまいります。
○北口委員 都立特別支援学校には、障害のある子供一人一人の教育ニーズに応じた適切な指導、支援の充実を図り、児童生徒たちの自立や社会参加を実現していくことを強く願っております。
都教育委員会に対しては、引き続き、障害のある子供たちの多様なニーズに対応した教育環境を整えていただくことを要望しまして、次の質問に移らせていただきます。
次に、教員の採用について、私からも何点かお伺いをさせていただきます。
さきの第三回定例会の代表質疑において、我が党からも質問をさせていただきました。学校現場では、教員の確保が難しくなってきております。応募者数も、年々減少してきているようでございます。
教員は、人間の中で人間を育てる仕事ということで、確かに苦労も多い仕事だとは思いますが、同時に、これほどやりがいのある仕事もないのではないかというふうにも思います。力とやる気がある方には、ぜひとも教員を目指してほしいというふうに思いますが、近年の採用状況には、課題意識を持って注視をしているところでございます。
今年度実施した教員採用選考では、全体の受験倍率は過去最低の二・一倍でございましたが、この原因をどのように捉えているのか、まずはお伺いをさせていただきます。
○吉村人事部長 受験倍率が低下した理由は、受験者数の減少に加え、採用者数が増加したことにございます。
具体的には、近年の全国的な教員の大量採用により、これまで教員採用選考に再チャレンジしてきた層が既に正規採用されており、既卒者の受験者が減少しております。
一方で、小学校における三十五人学級の学年進行や特別支援学校での児童生徒数の増加等により採用者数が増加しており、これらのことが倍率に影響していると考えております。
○北口委員 受験者数の減少に加えまして、三十五人学級の進行等もあり、採用者数も増加したとのことでございます。構造的な要因も一部あることが分かりました。
しかしながら、受験者数の減少は対策を講じなければなりません。
三定の答弁では、教員採用選考の受験者増に向けては、広報の充実が重要、情報発信に努めるとの答弁をいただいておりますが、教育庁ではどのようなPRを行っているのか、お伺いをいたします。
○吉村人事部長 教員採用選考のPRといたしましては、ツイッターやインスタグラムなどのSNSによる情報発信や、大学説明会や個別相談会、テーマ別説明会などを実施しております。
また、新たなPR策として、教職に興味のある方に対面で直接東京の教職の魅力を伝える採用セミナー、TOKYO教育Festa!を十月に初めて開催いたしました。
TOKYO教育Festa!では、参加者から、現場で実際に働いている先生方の声を聞けてよかった、世間一般のイメージで教員はブラックだと思っていたが、学校は変わりつつあることが分かったなどの声がございました。
○北口委員 新たに開催したTOKYO教育Festa!では、参加者から、現場の先生と直接話ができてよかったという声があったということでございます。教員を目指す学生にとっては、現職の教員と直接コミュニケーションが取れる大切な機会で、大変重要でございます。教員を目指す学生がそうした機会に恵まれるよう、今後も工夫しながら取組を推進していただきたいと思います。
その意味で、教育実習の場も、学校現場に直接触れる数少ない機会でございます。
都教委は、現在、教育実習についてはどのような支援を行っているのか、お伺いをいたします。
○吉村人事部長 現在、都教育委員会では、各大学から実習を希望する学生の人数や実習希望校を受領し、区市町村教育委員会等を通じた各学校とのマッチングを支援しております。
○北口委員 教育実習は、教員という将来に希望を持ってもらったり、成長のきっかけとなる重要な場だというふうに考えます。都教委では、実習先の調整をサポートしているということでございますが、さらに、この点について様々な点で支援策を充実していただくことを要望しておきます。
学生の受験者の獲得に向けては、三定の我が党の代表質問では、大学三年生の選考実施など、早期に人材を確保する取組を検討していくことも必要だとお訴えをさせていただいたところでございます。
改めて、本件について都教委の見解をお伺いいたします。
○吉村人事部長 教職を目指している学生の中には、進路が早期に決まることを望む声があることは承知しております。
文部科学省では、教員採用試験の早期化等を検討すべく、都道府県教育委員会等の関係団体から成る協議会を十月に立ち上げたところでございます。
都としても、協議会での議論を踏まえつつ、学生がより教員を目指しやすい選考制度を多角的に検討してまいります。
○北口委員 ぜひこうした取組を続けまして、教員確保につなげていただきたいというふうに思います。
またあわせて、一度教職に就きながら、介護など様々な事情で退職せざるを得なかった方たちに、教員に復帰してもらうといった働きかけも重要でございます。こうした取組についても、ぜひ検討を進めてほしいというふうに思います。
教員確保について、教員の負担軽減も一つのテーマでございます。先ほど来、質問等ございましたが、私からは、教員の負担の一つとなっている部活動の指導について質問させていただきます。
多くの先生方が情熱を持って指導に当たってくださっておりますが、放課後や休日の活動も多く、大変なのも事実でございます。
都は、令和二年度より、部活動指導員は会計年度任用職員という位置づけで、中学校及び高等学校で部活動を指導しております。
そこで、その目的と現在の配置状況についてお伺いをいたします。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、部活動の充実と教員の負担軽減を図ることを目的に、顧問教諭に代わって、専門的な技術指導や大会引率、審判などを行うことができる部活動指導員を配置しております。
昨年度は、都立学校百八十校に八百十八人を配置するとともに、中学校には、国の補助事業を活用いたしまして、二百九十一校に五百二十三人の配置を支援いたしました。
○北口委員 部活動支援員の取組が前進していることを確認させていただきました。ぜひこれからも、必要なところに必要な支援が届くようにご尽力いただきたいというふうに思います。
最後に、教員のメンタルヘルスについてお伺いをさせていただきます。
メンタルの不調による教員の休職者は、東京都において増加傾向にあり、休職率は全国平均よりも高いというふうに聞いております。
これまでも都教委は、教員に対してメンタルヘルスケア対策を実施してきたことは認識をしておりますが、高い志を持って教職に当たっている教員が、メンタル不調によって休職となることがないよう、未然防止に向けた対策を充実させる必要があります。
都教委が今年度から開始した教職員向けメンタルヘルス対策出張相談事業は、相談を待つのではなく、相談員が学校に出向くアウトリーチ型の事業であり、高く評価をしております。
現在の取組状況をお伺いさせていただきます。
○吉村人事部長 本事業では、臨床心理士等が訪問した学校の全教職員と面談を行い、様々な悩みや相談に応じる中で、メンタルヘルスケアが必要な教職員を早期に発見し、産業医や病院等の専門機関へ紹介を行っております。
今年度は、二地区十九校を対象に実施しており、面談を受けた教職員からは、心的な負担が軽くなった、自分から相談窓口に行く必要がないことがありがたかったなどの評価を得ております。
今後、相談内容の傾向等を分析し、職場環境の改善等につなげてまいります。
○北口委員 訪問した学校の全教員と面談を行うということでございます。自分からは個別に相談しにくい場合も、全員面談なら目立つことなく相談できるということで、大変よい機会になるかと思います。メンタル不調の防止並びに職場環境の改善等につながる効果的な事業であるというふうに思いました。
今年度は二地区での実施とのことでございますが、ぜひこの事業の拡充に努めていただき、優秀な先生方が元気に仕事ができるように支援していただくことを要望しまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○とや委員 日本共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
まず、本日の資料の用意、ありがとうございました。
私からは、今日は三つのテーマに沿って質問したいと思います。
一つは特別支援学校の問題、もう一つは教員不足、さらに英語スピーキングテストの質問をさせていただきます。
初めに、特別支援学校の問題についてです。
障害のあるなしにかかわらず、どの子もよりよい環境で学ぶ権利を持っています。ところが、東京では、障害を持つ児童生徒の増加により教室が不足し、間仕切りで教室を分けたり、本来違う用途、例えば音楽室や図書室などの教室を普通教室として使う転用が行われています。
学校が大規模化し、教員同士や、それ以外の職員との打合せも複雑化しています。職員室も手狭で、背中合わせで座っていると、後ろを通ることができないほど、ぎゅうぎゅう詰めの学校も見てきました。
都教育委員会が教室不足解消のために努力をされてきたことは理解するものですが、依然として解消されていないのが現状です。
こうした下、特別支援学校設置基準が定められて、教室不足については、今年三月の文科省調査では、東京都は、本来違う用途に使うために整備した教室を児童生徒数の増加に伴う一時的な対応をしている、そうした教室は千二百三もあることが分かりました。そして、そのうち五百十四の教室が、実際の授業に支障が生じているという結果が出ています。
同時に、本日用意していただいた資料では、昨年と比較して、保有普通教室は二千二百五十二室から二千三百十五室に増えていますが、転用教室は三百七十四から三百八十九に増えています。
教室不足解消に向けた現在の取組状況と、今後の解消の見通しをお答えください。
○落合特別支援教育推進担当部長 令和四年四月に立川学園を開校するなど、必要な教室の確保に取り組んでございます。
引き続き、計画的に教育環境の整備を進めてまいります。
○とや委員 立川学園特別支援学校は、今年四月に聴覚と知的の併置校となっています。大規模化で、グラウンドは一部校舎となって、かなりぎゅうぎゅうですよね。後で述べますけれども、この大規模化も大きな課題だと思います。
今、特別支援学校では、通常の学校ではあり得ないことが起きているということを自覚していただきたいと思います。このまま放置することは許されません。
保護者からは、新設された学校でも、児童生徒の増加に教室数が追いつかなくなるのではないか、毎年入学してくる生徒の数を見ていると、数年後には足りなくなるのが分かるという声も聞いています。早急に解消することが必要です。
東京都特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画が作成されていますけれども、この計画が全て実施されれば、教室不足は解消できるのでしょうか。
○落合特別支援教育推進担当部長 平成二十九年二月に策定いたしました東京都特別支援教育推進計画(第二期)におきまして、知的障害特別支援学校学級数分の普通教室の確保を政策目標としてございます。
現在、その目標に向けて整備を進めてございます。
○とや委員 特別支援教育推進計画の実施計画では、知的障害児の数は、十年後に約二千八百人増えるとされています。
私たち、昨年の定例会で、学校の新規建設や増改築等にどう取り組むのですか、一校二百人程度として、十校以上増設が必要ではないかと質問させていただきました。
このとき、当時の教育長は、このとき素案だったわけですが、素案に示したとおり、新たに必要な新設校や増改築等について、現在検討中でございますと答弁をしています。これは去年の四定だったのですが、三月になっても検討中で変わりませんでした。
そして、四月に策定されて出てきた施設整備計画では、新設校と増改築等を行う学校が記載されていませんでした。これは本当に問題だと思います。
今まで空白のまま計画を策定したことがあるのでしょうか。
空白部分は、いつまでに決定し、具体化するのか、お答えください。
○落合特別支援教育推進担当部長 現在、関係自治体などとも調整しながら、特別支援学校の新設等を検討しているところでございます。
今回の東京都特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画では、初めて学校名や設置場所を検討中とし、記載いたしました。
○とや委員 これまでなかった事態が生じているということであります。空白のまま計画が出てきたことはないんですよね。ぎりぎりまで掲載できるようにご努力されたとは思うんですが、事の重みを教育庁は認識していただいて、全庁で取り組んでいく課題だというふうに思います。これは以前から私ども申し上げていますけれども、全庁的な課題として、ぜひ働きかけていただきたいと思っています。
計画策定段階でも検討中、今でも検討中で、今後の見込みがあるのかと、とても危惧しています。
第二期計画の期間は、平成二十九年から令和八年です。知的障害の子供たちだけでなく、全ての特別支援学校に在籍する子供たちの教育環境をまともにしていくことが早急に求められています。
今、間仕切り、転用教室で学んでいる子供たちは、幾ら皆さんが努力したとしても、学校が改修、改築あるいは増設される頃には卒業してしまう子が多いでしょう。長年、解消できずに来た都教委の責任は、極めて重たいといわなければなりません。
そして、先ほど申し上げた大規模化の問題も深刻です。通常級の場合は、小学校の適正規模が十二学級から十八学級といわれています。これ以上になれば過大校といわれているわけです。一学年三クラスを超えることは望ましくないという意味が込められているわけです。ところが、それをはるかに超えている特別支援学校が、東京には幾つもあります。
以前、私、視察させていただいた鹿本学園。先ほど申し上げましたが、本当にぎゅうぎゅうでした。二〇二〇年度で、児童生徒数は何と四百五十五名、百六学級の大規模校です。
児童生徒の数が過大になることで、学校施設の利用も制限される、全校規模の行事の開催も難しくなります。子供たちが具体的な体験ができる調理室などの特別教室は不可欠ですが、それがなかなかできないようなことが生じているんじゃないかと。
大規模校ではなくて、子供たちが学習に集中でき、落ち着いて学ぶことができる手厚い教育を受けられるよう、早急に適正な規模での増設で教室不足の解消を図るよう、強く求めておきます。
次に、特別支援学校の教育環境の改善について、具体的に伺っていきたいと思います。
この間、特に肢体不自由児の特別支援学校については、複数の障害を併せ持つ、二つ以上の障害を併せ持つ重複障害の子供については、一学級三人で手厚い教育とケアを受けることができる重度重複学級での在籍とするよう、私たちは求め続けてまいりました。
先日伺った都立墨東特別支援学校でも、重複障害を持つ子供たちの多くが、重度重複学級ではなく普通学級に在籍しており、改善の必要性を感じたところです。
そこで伺います。特別支援学校の教育課程のうち、この学校に在籍する、準ずる教育課程、自立活動を主とする教育課程、知的代替教育課程のそれぞれの子供の人数について、各学部別にお答えをいただきたいと思います。
○落合特別支援教育推進担当部長 墨東特別支援学校に今年度在籍する児童生徒のうち、小学部については、準ずる教育課程が七名、知的代替教育課程が十八名、自立活動を主とする教育課程が六十名、中学部につきましては、準ずる教育課程が七名、知的代替教育課程が十四名、自立活動を主とする教育課程が十九名、高等部につきましては、準ずる教育課程が三名、知的代替教育課程が九名、自立活動を主とする教育課程が十九名となってございます。
○とや委員 私、学校を見学させていただいて思ったのは、やっぱり重度の子供たちが多いということでした。
特に自立活動を主とする教育課程は、一般的には、肢体不自由の程度及び知的障害の程度ともに重度で、各教科の学習が著しく困難なために、自立活動の内容を主として学習する方が多くて、それが適切であると考えられる場合に行われるものです。ですから、本来なら重度重複学級に在籍すべき子供たちです。
こういう子たちが、今のご答弁でも自立活動の子供たちが多いんですよ。ですから、やっぱり障害の重たい子供たちが、この学校には多く在籍しているということが分かります。
学習風景を拝見させていただきましたが、じゃ、この子たちが重度重複学級に入っているかというと、そうではありませんでした。本当に子供たちの障害に合わせた適切な教育ができるのかというふうに思いました。
見学中に教室で遊んでいる、あるいは学んでいる子供たちについて説明を受けましたが、複数の障害を持つ全介助の子供も重複学級にはいませんでした。普通学級でした。
都教委としても、きちんと見に行っていただいて、子供たちの現状を把握していただいて、適切な学級規模での編制を組んでいただきたいと思っています。
拝見して、私がこの間、保護者などから伺ってきた話を裏づける状況もたくさんありました。重重学級が少ないのではないかということを本当に感じています。
それで、現状について、一つ確認したいのですが、重度重複学級数と在籍人数を、学部ごとにそれぞれ何人在籍しているのか、お答えください。
○落合特別支援教育推進担当部長 墨東特別支援学校の今年度の重度重複学級でございますが、小学部が八学級二十四名、中学部が三学級九名、高等部が一学級三名でございます。
教育課程につきましては、この全員が自立活動を主とする教育課程でございます。
○とや委員 自立活動を主とする教育課程の子たちは重重に入っているということですが、全員ではないわけです。
重重学級の十年間の学級数の推移についてもいただいたのですが、この間、十一学級前後で推移していて、全然増えていないんですよね。
それで、今のお答えいただいた数字から在籍率を見てみると、例えば重重学級に在籍している小学部の子供たちは、八十五人中二十四人で二八・二%、中学部は四十人中九人で二二・五%、高等部三十一人中三人で九・七%にしかなりません。
これは、全国的に見て、子供の障害が重度化にあるとかということがいわれている中で、文科省の調査でも、肢体不自由の重複学級の在籍率が、これは昨年のデータですが、八五・三五%というふうになっています。この数字と比較しても、極端に低いんですよ。とっても不自然だと思います。
これ、毎回いっているんですけれども、何で東京の子供たちだけが重複学級に入れないのか、こういう疑問が出てきても仕方がないんじゃないかと思いました。
複数の障害を持つ子供は重複学級に入れて、手厚い教育を受けさせるべきだと思います。しかし、この間、東京都は、総合的に判断としかいわず、重重学級をほとんど増やしてきませんでした。これは、教員を増やしたくないのではないかといわなければなりません。
重重学級の規模は三人。普通学級は六人です。高等部になると八人になってしまいます。教員の数は減るので、それだけ一人の子供にかけられる教育が薄まり、危険性も高まるわけです。
私は以前、特別支援学校で働く先生からお話を伺った際、子供たちは学校で多くを学び、生きる力をつける、そのために手厚い教育が必要と聞きました。重度の子供たちは、先生に伝えたいことがたくさんあって、先生は、その子の心の動きを見て、その子が伝えたいことをちゃんとキャッチして教材を選び、提供するそうです。その子の知的好奇心にちゃんと応えることができるのが教員だとおっしゃっていました。
ここでお聞きしたいのですが、こうした教育は、教員にしかできない仕事ではないですか。
○落合特別支援教育推進担当部長 学校教育におきまして、教員が主となりまして、児童生徒に対して教育を行っていくということは、もとより、そのとおりでございます。
私どもも、学校の申請等に基づきまして、しっかり適切な人的配置をさせていただいているところでございます。
○とや委員 今、正面からお答えいただけなかったのですけれども、もとより、そうだというふうにはいっていただきましたけれども、教員にしかできないことというのは、ちゃんとあるわけですよね。
子供たちは先生が大好きで、本当に取り合いになっちゃうそうです。ところが、都教育委員会は、こうした先生たちを増やすどころか、介護職員制度を導入して先生を減らしてきました。重重学級を増やさず、本来受けられる教育が受けられない子供たちが出てきています。子供の障害に応じた先生の数にすることが、とっても重要だと思います。
食事の時間も学びの時間だと聞きました。食べることで命の危険と向き合い、一口の量を自分ですくえるようになる。自分の命を自分で守ることを学ぶ時間だそうです。ところが、人手がいないと、介助として食べさせるしかなくて、食べたということにはなるけれども、子供たちが学ぶ給食の時間ではないという話も聞いてきました。
もう一度伺います。これは給食の話ですが、こうした教育としての摂食指導は、教員がすべき仕事です。教員でないとできない仕事ではないでしょうか。
○落合特別支援教育推進担当部長 学校現場でございますが、特に、委員のお話にありました墨東特別支援学校でございますが、教員のほかに、学校介護職員であったり、作業療法士、言語聴覚士、様々な専門人材を配置してございます。
教員とそれぞれの専門職員が共同して指導に当たっているところでございます。
○とや委員 私が聞いたのは、そういうことじゃないです。教員にしかできない仕事があるでしょうと。
例えば、教育としての摂食指導だとか、あるいは、先ほど申し上げた子供たちの知的好奇心にちゃんと応えるような、そういった教育は教員特有の仕事。学習指導要領に基づいて子供たちを教育するのは、教員しかできませんよね。
端的にお答えください。
○落合特別支援教育推進担当部長 学校でございますが、様々なマンパワーを活用しながら学校運営をしているところでございます。
先ほど、教員が主としてということでございますが、学校介護職員も含めて、様々な人的なもので学校運営を行っているところでございます。
○とや委員 学校を運営するに当たって、校長先生や副校長先生がいて、墨東の場合は肢体不自由ですから、介護職員がいらっしゃって、講師がいて、専門の理学療法士などもいて、いろんな人がいて学校の運営が成り立っているというのは当たり前であって、分かっています。そういう中で、教員にしかできない仕事があるでしょうと。それを具体的に例を挙げて、私は聞いたんです。そこを答えていただきたいんです。
先ほど申し上げた、子供の知的好奇心に応えていくために教材を選んだりして提供する仕事、あるいは、子供の命を守るために摂食指導という形での教育、これは教員特有の仕事ですよね。
お答えいただきたいと思います。
○落合特別支援教育推進担当部長 教員でございますので、当然、学習指導要領にのっとった指導を行っていくというものが基本であるというふうに考えてございます。
ただ、様々なマンパワーを活用しながら学校運営をしていくというのが重要なことというふうに考えてもございます。
○とや委員 様々なマンパワーがあって、教員だけじゃなくて、看護師さんも含めて学校が成り立っているというのは当たり前だし、それは承知しています。その上で、なくてはならない教員の仕事について尋ねたわけです。ここはきちんと答えていただきたいなと思いました。
私たちは、保護者からも各学校の様子を聞いています。ある学校では、重重クラスにいた子供が転校したけれども、状態も変わらないのに普通学級に入らざるを得ない例があると聞きました。
これはどういうことでしょうか。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、校長から申請のあった児童生徒につきまして、その時点での発達や行動、疾病の側面から総合的に判断いたしまして、重度重複学級の対象を認定してございます。
○とや委員 今また総合的といいましたけれども、総合的にといえばいいというものではないです。
この間、私たちが聞いてきた話は、実際に重度重複学級を増やすことができないから、仮に転校生を重重学級に入れれば、これまで在籍していた子供を普通学級に移さざるを得ない、こういった話も聞いています。法律にも抵触する問題といわれても仕方がありません。都教委として、子供の状態にふさわしい学級での教育を受けさせるべきであります。
そして、やっぱり、あまりに教員が手薄で、教育的にももちろん問題ですが、いつ事故が起きてもおかしくないという声も届いてきているわけです。
保護者からも、先生を増やしてほしいという声があることを承知していますか。
○落合特別支援教育推進担当部長 墨東特別支援学校の保護者から、学校に対しまして、教職員の増員に関する要望が寄せられていることにつきましては承知してございます。
○とや委員 承知しているのであれば、今の職員体制が、子供の教育を受ける権利どころか、危険すらあることを認識すべきだと思います。
複数の障害を持つ子供が重重学級に在籍できれば、先生を増やすことができるわけです。そして、命を守り、より手厚い教育が可能になっていくわけです。
例えば、今年の小学校一年生の重重学級の数、在籍人数及び普通学級の数、また、準ずる教育課程と自立活動、知的代替に対する生徒の数をそれぞれ教えてください。
○落合特別支援教育推進担当部長 墨東特別支援学校の今年度の通学籍の小学部一年生のうち、重度重複学級は二学級、在籍人員は六名であり、普通学級数は三学級、在籍人員は十七名でございます。
教育課程につきましては、準ずる教育課程が二名、知的代替教育課程が二名、自立活動を主とする教育課程が十九名でございます。
○とや委員 学級数でいうと、この学年は五学級なんですよね。だけれども、自立活動主は、子供たちが十九人もいるわけです。本来、この子たちが全員重重学級に入れば、学級数は七学級に増えて、先生も増やせるわけです。それをしないから先生が増やせないということになるわけです。
先ほども申し上げたように、先生と関わりたい、コミュニケーションを取りたいという子供たちの要求を察知して、適切に対応できる教員が足りないんです。子供の教育を受ける権利を尊重し、重重学級を実態に合わせて配置することを求めておきます。
看護師についても伺います。
足りないのは教員だけではありません。肢体不自由校に十分な配置が求められている看護師も不足しています。
現在の看護師の配置状況についてお聞きするのですが、看護師は特別支援学校にどのように配置されているのか、配置基準について伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 医療的ケア児が多数在籍する肢体不自由特別支援学校では、学校における医療的ケア全般の管理を行う常勤看護師を、規模に応じまして、一人または二人を配置してございます。
また、医療的ケアの主たる実施者のうち、常勤看護師を補佐する主任非常勤看護師や、医療的ケア児専用通学車両にも乗車する総合非常勤看護師は、学校の実情に応じまして、それぞれ二名以内で配置してございます。
非常勤看護師につきましては、指導医の指導助言の下、学校が算定した必要数を踏まえ、配置してございます。
○とや委員 ありがとうございます。
看護師については、常勤看護師は、規模に応じて一人または二人配置ですけれども、非常勤看護師全体については、配置基準が明確になくて、それで分かりづらくなっているのかなと思うんですが、墨東特別支援学校の看護師の配置状況と欠員についてお答えください。
○落合特別支援教育推進担当部長 墨東特別支援学校では、令和四年十一月現在、常勤看護師二名、総合非常勤看護師二名、非常勤看護師二十一名、合計二十五名を配置しております。
現在配置できていない主任非常勤看護師につきましては、募集中でございまして、代わりに非常勤看護師を配置してございます。
なお、医療的ケア児専用通学車両につきましても、乗車可能な非常勤看護師を募集しているところでございます。
○とや委員 ここは、主任非常勤看護師が配置できていないということです。主任看護師は労働時間が週三十一時間ですが、代わりに配置できている非常勤看護師さんは週十九時間ということで、実際は、もっと短い人たちもいるというふうに聞いています。
二十五人というと、何か多そうですけれども、実際は教室に入れない。私が行ったときも、本来ならばこの教室にいるはずの看護師さんが、隣の教室に行ってしまっているという実態もありました。
やっぱり看護師さんの配置は本当に大事で、現場は綱渡りだというふうに聞いています。重度の子が増えて、人工呼吸器の子も、この学校は七名も在籍しているわけです。
保護者の負担軽減を目的に、東京都はガイドラインを改定して、これまでより保護者の学校滞在時間を短縮する方針としていますが、しかし、そのために、看護師や教員を増員するとか、加配したわけではないわけです。
ある学校では、人工呼吸器のお子さんは知的代替の教育課程に在籍しているため、教員は、教室でほかのケアの子を見ながら、呼吸器の子にも気を配らなければならない、それが本当に大変だと。命を預かっているわけですからね。そういった声も聞きました。呼吸器の子の保護者を外すのであれば、一人の呼吸器の子に一人看護師をつけるような措置が必要だと思っています。
この学校でも、先ほど申し上げたように、グループ学習中に、本当だったら看護師がつくところを、いないところもありました。看護師はなるべく来るけれども、来ないときは教員が見るということになってしまっているようです。
体制は変わらないのに、ガイドラインを変えて教員と看護師が対応しましょうというのは、あまりに一方的で、現場に負担を強いるものではないかと思います。
特に人工呼吸器の子供には、一人に対して一人看護師をつけるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○落合特別支援教育推進担当部長 学校では、対象児童生徒一人につき看護師を一人配置しなくても、人工呼吸器の管理を安全かつ適切に実施する体制を確立してございます。
○とや委員 どうしてそういう答弁ができるのか、不思議です。さっきから、さんざん、さんざんですよ、綱渡りだといっているじゃないですか。命の危険だって感じるといっているじゃないですか。できないから求めているんです。
どの子にも教育を受ける権利があるわけです。どの子にも、ひとしく十分に学ぶ環境を保障していく、その責任が都教委にはあると思います。
看護師も教員も増やすべきです。そして、子供の障害に応じた教員配置ができるよう、きちんと法律を守って、重度重複学級を早急に増やすということを強く求めて、この質問を終わります。ありがとうございました。
次に、教員不足の問題です。
先ほどから、複数の会派の皆さんから教員不足のお話がありました。私からも質問させていただきます。
各学校で、年度当初から教員がそろわないとか、病休や育休代替の先生がいないということが問題になっています。
ある小学校では、三年生の担任が不足し、配置できる期限付任用教員が見つからないので、算数の少人数加配の教員を担任に充ててほしいと、都教委にいわれたとのことです。
また、別の小学校では、やはり三年生ですが、今年度から三年生も三十五人学級になって、二十人と十九人の二クラスになると喜んでいたのに、始業式になっても二組の担任の先生が不在で、数週間、二クラスが一緒に一つの教室で、一組の先生が担任となって授業をしたということです。保護者の方は大変驚いたといっていました。
ある特別支援学校では、四月一日に教員が基準どおりに配置されず、その後も都教委から配置がないので、学校でも、あらゆるつてで探し回って、七十代の先生が、フルタイムは無理だけれども、時間講師ならといってくれて、やっと来てもらったという話も聞いています。
さらに、産育休代替の教員も不足していて、とても育児休業は取れないと、産休明け、つまり産後八週間で職場復帰した先生もいたそうです。
そもそも、教員が足りないということはあってはならないことだと思いますが、いかがですか。
○吉村人事部長 子供たちの学習環境を整えるためには、適切な教員確保が重要でございます。
○とや委員 教員を配置基準どおりに配置することは、教育条件を整備する教育委員会の仕事であり、学校が子供たちに教育を保障するための土台となるものです。責任を持って取り組む必要があります。
そこで確認をしたいと思います。今年四月七日、五月一日、九月一日の小中高等学校、特別支援学校の教員の不足数をそれぞれお答えください。
○吉村人事部長 不足の状況でございますが、小中学校の学級数が確定する四月七日時点では、小学校で五十名程度、中学校で十名程度、高等学校でゼロ名、特別支援学校で三十名程度。
都立学校の学級数が確定する五月一日時点では、小学校で五十名程度、中学校で数名、高等学校でゼロ名、特別支援学校で十名程度。
九月一日時点では、小学校で百三十名程度、中学校で十名程度、高等学校で数名、特別支援学校で十名程度となっております。
○とや委員 不足というのは、欠員に期限付任用教員だとか臨時的任用教員、産休代替教員を充てることができなかった、まさに先生がいない状態です。
小学校では、四月七日に五十人も不足していたわけです。九月一日には、さらに増えて百三十人も不足している。特別支援学校は、五十八校しかないのに、四月一日に三十人も不足していたと。驚くべき数です。
念のために確認しますが、期限付、臨任といった常勤の教員が見つからなくて、やむを得ず時間講師に来てもらう場合がありますが、その場合も、教員の不足数から除かれるのでしょうか。
○吉村人事部長 欠員の補充につきましては、学校の実情に合わせまして、臨時的任用教員のみならず、時間講師による補充も認めております。
○とや委員 時間講師は、一日六時間までの授業しかできないわけです。朝の会とか給食指導、校務分掌などは持てませんから、本来は、欠員はフルタイムの教員で補充すべきものです。時間講師で補充しても、不足数からは除かれるということですから、実際には、もっと多くの不足が生じているという深刻な事態だと思います。
年度途中の欠員は、本来、期限付任用教員名簿から任用し、補充していくということになるわけですが、先ほど紹介したとおり、年度途中どころか、四月段階で、既に期限付の教員はもういないと都教委にいわれたという話は、何人もの先生から伺っています。
どんな状況なのかと、名簿登載者数と実際に任用された数を資料に出していただいたわけですが、期限付教員の名簿は一千三百五人だけれども、九月一日までに三百十六人しか任用されていません。つまり、千人は任用されていないのですけれども、なぜでしょうか。
○吉村人事部長 今年度は、特に小学校全科において、期限付任用教員の名簿登載者の多くが既にほかの職に決まるなどして、採用に至りませんでした。
○とや委員 期限付任用教員の多くが既に就職するなどして採用できなかったとおっしゃったわけですが、今の時代に、じっと任用されるのを待っているような人たちがいるのかなと思うわけですが、いかがですか。
○吉村人事部長 今年度、期限付任用教員の名簿登載者のうち、五月までの間には三百人を任用しております。
○とや委員 三百人任用できたということですが、期限付の名簿に載った方々も生活しなければならないわけですから、都合よく待っていられないわけですよ。
期限付名簿登載者は、教員採用試験を受けた方、つまり東京で先生になろうと志した方々です。そして、都教委としても、東京の教員として十分働いていただけると判断した方々だと思います。この方々が、千人も別のところに就職してしまって、欠員は埋まらない。
都教委のホームページでは、急募、皆様の力をお貸しください、免許状が休眠中の方などもご相談くださいと、とにかく常時、臨時的任用教員を探している状況です。私も度々見ます。この状況を何とか改善することは急務だと申し上げたいと思います。
それから、さらに驚いたことに、ある中学の正規教員が別の中学の授業も教える、いわゆる掛け持ちが生じていると聞きました。
正規教員が二校を掛け持ちしているその仕組み、それから、いつからそのようなことが始まったのか、また、今年度の掛け持ちの状況を伺っておきたいと思います。
○吉村人事部長 令和四年度当初、中学校技術科において、正規教員等の配置が困難な状況が見込まれたため、所属校での指導時数に余裕がある教員を活用した他校での兼務による指導を、新たに区市町村教育委員会に提案しております。
令和四年度は、八校に対して十一名の技術科教員が兼務による指導を行っております。
○とや委員 今年度、始めたということです。私も、今までそのような話は聞いたことがなかったので、そこまで教員が足りないのかと衝撃を受けました。
本来は、教員配置基準に基づいて、必要な教科の教員をきちんと学校に配置するべきですが、見解を伺います。
○吉村人事部長 教科ごとの教員数につきましては、各学校の教育課程の特色や教員ごとの持ち時数を踏まえ、学校が希望する必要数に基づく配置を基本とし、教員採用試験で応募者数が少ない一部教科におきましては、正規教員に加え、臨時的任用教員や時間講師などを活用しております。
○とや委員 教員は、必要数に基づき配置するのが基本です。応募者が少ないからという理由で臨任や時間講師で対応するのは例外的な措置で、さらに、今回のような掛け持ちでの対応は例外中の例外だと思います。
技術科は、電気回路や機械が動く仕組み、あるいは木工や金属加工、栽培など、人間が科学の法則を利用して様々なものを創り上げていることを知ったり、また、実際に自分でもやってみるという重要な科目だと思います。ものづくりや科学的思考にもつながる科目だというふうに思っていますが、早急に解決が必要だということを求めておきます。
産休、育休代替教員の確保についても伺います。
資料をいただきました。新規に産休に入る教員は、この十年を見ても増加しているというふうに思うんですが、若返りや教員増もあるわけですから、当然だと思います。
産休、育休代替教員は、都教委の提供する名簿に基づいて学校が探すわけですが、副校長先生が名簿に幾ら電話をかけても、引き受けてくれる人が見つからない。見つかるまでの数か月間は、ご自身が担任に入りながら、夜になると電話がけをするとか、ほかにも副校長の仕事というのはたくさんあって大変な負担だったと、繰り返し伺ってきました。
私たちは、ほとんどの道府県は、代替教員探しは、学校でなくて教育委員会がしているということを示して、東京都でも教育委員会が行うことを求めてきました。
そこで、今年度から、ようやく産育休代替職員を都教委が探すシステムが始まったわけですが、どのような仕組みで、どのような体制で行っているのか。また、この間の学校からの希望数、都教委の紹介数、任用件数をそれぞれお答えください。
○吉村人事部長 産休、育休の代替教員につきましては、学校から依頼を受け、人事部において、学校の条件に即した臨時的任用教員候補者の紹介を行っております。
業務を開始した令和四年五月から十月末までに、今後の予定も含めまして、約五百件の依頼がございました。これまでに百五十人程度の候補者を紹介し、四十人程度が任用されております。
○とや委員 学校から五百件の依頼があって、紹介できたのが百五十人、三割です。実際に任用につながったのは四十人、八%ということです。
せっかく始めたのに、希望に合わせて紹介できていないのはなぜでしょうか。
○吉村人事部長 候補者名簿から学校の条件に合わせた候補者を抽出し、折衝しておりますが、任用時期や校務分掌、勤務地など、採用候補者と学校の条件が折り合わないことがあるためでございます。
○とや委員 この取組は、学校や副校長の負担軽減として大変重要な取組だと思っています。ぜひ継続、拡大していただきたいと思うわけですが、先ほど申し上げたとおり、名簿はもう枯渇していると思うんですよね。都教委のホームページで、常時、急募、臨時的任用教員と募集しているわけですから、学校で探して見つからないものは、都教委で探しても、なかなか見つからないのだと思うんです。
さっき、任期付名簿が一千三百人のうち、千人が既に就職してしまったという話があったわけですが、やはり四月から確実に任用できるようにする、そのことを早く知らせることが必要ではないでしょうか。
例えば産休や育休は、突然発生するわけではなくて、少なくとも半年くらい前から分かっている場合がほとんどです。
年度途中で産育休に入ると分かっている場合は、その代替として、四月から期限付任用教員を配置すれば、教員を確保しやすいし、また、仕事の引継ぎもスムーズに進むのではないでしょうか。
○吉村人事部長 産休、育休の代替教員の任用につきましては、女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律、地方公務員の育児休業等に関する法律により、それぞれ産休、育休の期間に臨時的任用を行うものとされており、法を踏まえて対応しております。
○とや委員 今のご答弁ですと、法律により、産休、育休の期間に任用を行うものとされているということですが、これは、その期間以外には任用してはいけないという意味ではありません。
いかがでしょうか。
○吉村人事部長 繰り返しになりますが、同法を踏まえて対応しているところでございます。
○とや委員 私たち、念のために文部科学省にも電話をしました。産休、育休代替の教員を四月から早めに雇用することは、何の問題もないと確認をしています。四月から任用すれば、確保もしやすくなりますし、妊娠した先生が産育休に入るまでは、チームティーチングをしたり、また、子供たちの様子をあらかじめ把握したり、教員にとっても子供たちにとっても、よいことばかりだと思います。ぜひ検討をしていただきたいと要望しておきます。
さらに考えれば、産育休代替教員を期限付や臨時的任用で確保しようとするから、探すのが大変なんだということだと思います。
産育休に入る教員は毎年一定数いるわけですから、その代替分も含めて、正規教員を多く雇用することも有効だと考えますが、いかがでしょうか。
○吉村人事部長 繰り返しになり、誠に恐縮でございますが、同法を踏まえて対応しているところでございます。
○とや委員 何度尋ねても、法律で臨時的任用しかできないかのようにおっしゃっているわけですが、これも文部科学省にも問い合わせたんですよ。産休、育休代替職員に正規教員を充てることは、全く問題ないという回答でした。法律でも、職員の配置換えなどで対応できない場合に臨時的任用をするとなっております。
そもそも知事部局の職員の場合は、人事異動のときに、産休、育休に入る職員が分かっているときは、一人多く配置するなどで工夫しているわけです。予定外に年度途中に産育休が生じる場合は、職員の前倒しの正規採用で補充をしています。それでも難しい場合に、初めて臨時職員の任用となっています。
毎年、産育休に入る教員は一定数いるわけですから、産育休に入った教員が戻ってきたら、教員が余ってしまうなどということもなくて、回していけると思います。
ホームページで急募などとしているよりも、子供たちにとっても、学校現場にとっても、教育庁の皆さんにとっても、苦労の少ない方法だと思います。ぜひ検討をお願いします。
そして、教員が不足する根本的な原因です。
教員の長時間労働が知れわたることになって、文部科学省や都教委でもその解消に取り組んでいますが、思うように成果が上がっていないことがあります。
教育学部の学生ですら、教員になったら体を壊してしまうと敬遠したり、学生本人が教職を希望しても、親が、それだけはやめておけと反対する状況もあると聞いています。
教員確保のためには、教員の労働条件を改善することが不可欠です。教員の長時間労働が改善しない原因の一つに、給特法により、教員は、どれだけ残業しても、調整額として月給の四%しか残業代が払われないため、いわば残業させ放題、働かせ放題になっていることが指摘されております。
そこで伺いますが、新卒の教員の初任給は幾らでしょうか。また、教員の所定内労働時間は何時間であるか。同じ給料の公務員が月四十五時間の残業をした場合、残業代は幾らになるのか、お答えください。
○稲葉人事企画担当部長 新卒採用の教員の初任給は、月額で約二十四万八千七百円でございます。
また、教員の正規の勤務時間は、一日当たり七時間四十五分、一週間当たり三十八時間四十五分です。
さらに、同じ給料の都の行政職員が月四十五時間超過勤務をした場合の超過勤務手当は、約八万五千円でございます。
○とや委員 教員の初任給には調整額四%が含まれているわけですが、これは、お答えいただいた例の場合、たった八千円程度だと伺っています。
四十五時間というのは、せめて月の時間外労働をここまで減らしましょうという都教委の目標ですが、単純化すれば、四十五時間残業をすれば、普通の労働者であれば八万五千円の残業代がつくのに、教員の場合は八千円、十分の一以下しか支払われないということです。
実際には、もっと長時間働いている先生がたくさんいます。教員に残業代を払うことは、適正な労働時間の管理や人員配置につながります。
給特法の改正を国に求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○稲葉人事企画担当部長 給特法の在り方等については、現在、国において教員の勤務実態調査を実施しており、その結果等を踏まえ、検討していくこととされています。
都教育委員会は、こうした国の動向を注視しますとともに、国への働きかけについても検討していくこととしています。
○とや委員 教員を雇用している都教委が、率先して国に働きかけることを強く求めておきたいと思います。
また、今、五十代の教員が大学生の頃は、教員になれば、国の奨学金の返済の返還免除になったと。
都独自に奨学金返済を肩代わりする制度を実施すれば、全国的な呼び水にもなり、有効だと思いますが、いかがでしょうか。
○吉村人事部長 奨学金の返還免除は、教員志望者の増加に向けて、国レベルで行われるべきものであることから、全国都道府県教育委員会連合会で国に要望しております。
○とや委員 もちろん国全体で行われるべきですし、また、そもそも奨学金は基本的給付型であるべきですが、東京都が率先して実施することで、国にも広がると思います。ぜひ検討していただきたいと思います。
教員不足は、従来のやり方では解決しないことは明らかです。教員の希望者を増やすには、教員の長時間労働を解消し、教員が授業やその準備、教材研究などに余裕を持って取り組むことができて、子供たちに向き合った教育をできるようにし、やりがいを持って仕事に取り組めるようにすることが必要です。
そのためには、教員を抜本的に増やして、教員の週当たりの授業の時間数を減らすことや、少人数学級を推進することなどが求められます。
都教委は、国に要望することはもちろん、教員の増員や少人数学級は都独自にもできるわけですから、ぜひ積極的に取り組むことを求めておきます。
このテーマの最後に、先ほど来、複数の会派からご質問がありました副校長の負担軽減について伺います。
教員探しや対外的な窓口、学校施設の管理をはじめ、多くの校務を抱えて、教員が欠員の場合に代わりに学級担任に入るなど、学校で最も多忙を極めるのが副校長先生です。
都教委は、その副校長を補佐する非常勤職員を置く制度をつくり、歓迎されています。
副校長を補佐する支援員の配置状況を伺います。
○稲葉人事企画担当部長 支援員の配置は、令和三年度は、区市町村立学校五百六十九校、都立学校四十六校に配置し、令和四年度は、区市町村立学校八百八十四校、都立学校百三十四校に配置を進めています。
○とや委員 二〇一七年度にモデル事業を開始して、今年度から本格実施ということですけれども、配置の自治体が増えていることが分かります。
この事業を行うことによって、どんな効果があったのか、お答えください。
○稲葉人事企画担当部長 配置によって、副校長の本来の役割に専念できるようになったとの評価がございます。
○とや委員 評価を得ている、喜ばれているということであります。副校長先生にお話を私たちは伺っているわけですが、専属で補佐をしてもらえるので、気兼ねなく仕事をお願いすることができ、本当にありがたいとおっしゃっていました。
とはいえ、区市町村立学校は千九百校ぐらいあるわけで、都立学校は二百五十校程度ありますから、今年度の配置は、まだ半分以下であります。さらに充実することが求められています。
ある小学校では、七月一日から二十日までに副校長が処理しなければならなかった各方面からのメールは、九十通にも上ったそうです。
そうした状況を認識していらっしゃるでしょうか。
○稲葉人事企画担当部長 個別のメールの件数までは承知してございませんが、副校長の時間外労働は、一般教員と比べ、相対的に長いということは認識してございます。
○とや委員 九十通もどんなメールかといいますと、研修開催のお知らせやコロナの抗原検査の延長のお知らせ、ポスターや標語の募集、都教委が今年度開始したフリースクールに通う不登校児童生徒の調査研究事業のお知らせ、また、その訂正のお知らせもありました。多種多様なものが毎日大量に送付され、どう処理するかを判断しなければいけません。
見落としたら子供たちに大きな影響が出るものもあって、印刷して配布が必要なものもあって、メールチェック一つとっても、本当に大変だと感じました。
区市町村が会計年度職員として雇用し、費用は全額東京都の負担ということですが、区市町村により、配置に大きなばらつきがあります。
今日も資料で出していただいたわけですが、全校に配置しているところもあれば、ほとんど配置していない自治体もあります。勤務時間も、週四日のところもあれば、週一、二回だったり、一日の勤務時間が短かったりと、様々だったと伺っています。
それでも、どの自治体、学校でも、副校長の補佐が必要ないということはなくて、一校に一人つけてもらえたら本当にありがたいと、副校長先生はおっしゃっていました。
希望する学校には、全て副校長補佐をつけるべきですが、いかがですか。
○稲葉人事企画担当部長 学校や区市町村教育委員会の意向も踏まえて配置支援を行っています。
○とや委員 それは非常に大事なことですが、先ほども、ほかの会派からも質問がありました。
今後の取組についてお答えください。とっても大事なことですから、よろしくお願いします。
○稲葉人事企画担当部長 繰り返しになりますが、学校や区市町村教育委員会の意向も踏まえて配置支援を行っています。
○とや委員 ちゃんと答えてください。今後の取組について伺っているんです。今やっていることを聞いていません。
いかがですか。
○稲葉人事企画担当部長 繰り返しになりまして、恐縮ですが、学校や区市町村教育委員会の意向も踏まえて配置支援を行っております。
○とや委員 これからのことは、お答えいただけないんですか。さっき答えていましたよ。きちんと答えてください。
もう一度聞きます。今後の取組についていかがですか。
○稲葉人事企画担当部長 繰り返しになりますが、配置数は増やしているところであり、学校や区市町村教育委員会の意向も踏まえて配置支援を行っています。
○とや委員 はっきりいいますけれども、こちらが求めていることに対して、きちんと答えてくださいね。
この事業は、副校長先生たちに喜ばれているし、必要な事業です。ですから、皆さんも、モデル事業をやって、本格実施でこれから拡大していく意向も持っていらっしゃると思うんですよね。
そういう意味でも、やってきましたというだけじゃなくて、きちんとこれからもやっていくというふうに、その意思を示していただきたいということを申し上げて、次の質問に移ります。
英語スピーキングテストについてです。
昨日は、入試改革を考える会の皆さんと英語スピーキングテストの都立高校入試への活用中止のための都議会議員連盟共同で記者会見を行いました。都教委が強行しようとしているテストについて、新たな問題点も指摘され、都民の合意が得られていないということが浮き彫りになったわけです。
そして、今日、私のところにも届きましたが、自由法曹団東京支部から英語スピーキングテストの中止または都立高校入試への活用に反対する声明が出ました。どういう中身か、少し紹介しますが、問題文を読んで英語で解答をする形式で、正解は一つではなく何パターンもあるんだ、この事業者による採点基準は不明であり、本当に公平、公正な採点ができるのか、疑問であるということです。
さらに、一日のうち、前半組と後半組に分けて受験することになっていて、同一時間での受験ではないということで、試験の公平さに疑問があるとおっしゃっています。
サイトの登録についても、周知も十分でなく、保護者には混乱が広がっていると述べていらっしゃいます。
さらに、ESAT-Jの成績を都立高校入試に加算することについても問題点が見られると指摘しています。教育の機会均等の点からも大きな疑問が残るというふうにおっしゃっているわけです。
さらに、先ほどグローバル人材のお話が質疑でありましたが、自由法曹団の先生方は、グローバル化する社会の中で、英語スピーキング能力が重要となることは間違いはない、このようにおっしゃっています。その上で、しかしながら、多くの子供にとって人生を左右しかねない高校受験の場で、その子自身の努力以外の要素により合否が決まることを認めるべきではないというふうにおっしゃっています。
自由法曹団の東京支部として、ESAT-Jの実施、ESAT-Jの都立高校受検への活用に反対するものであるというふうな内容でありました。
この間、都民からは、英語スピーキングテストの欠陥について、多くの問題点、指摘がされてきました。当事者である中学三年生の保護者、それから当事者も声を上げ、教員や学識経験者からは、公開質問状や要請書、記者会見も連続して行われています。
これだけ都民がテストの問題点を指摘しているのにもかかわらず、都教委は、はっきりいって暴走しているのかなと思います。
同時に、この間の都教委のやり方について振り返ってみますと、都教育委員会の在り方そのものが問われているのではないかと思います。
そこで、今日は、まず、都教育委員会そのものの在り方、権限について伺っていきたいと思います。
まず、教育基本法についてです。
教育基本法第十六条一項を読んでください。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 教育基本法第十六条第一項には、教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行わなければならないと規定されております。
○とや委員 ありがとうございます。
本条の第一項は、教育は、不当な支配に服することなく行われるべきとありますが、次です。次に、教育行政について、役割分担と相互協力の下というふうにして、区別して規定しています。
では、教育基本法第十六条第二項、第三項は、教育行政における国及び地方公共団体の役割を規定するものとあるわけですが、ここについて都教委の見解を求めます。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 教育基本法第十六条第二項及び第三項は、教育行政における国と地方公共団体の役割と責任を定めたものであり、教育行政は、国と地方がそれぞれの役割を担いながら協力して実施していくものと認識しております。
○とや委員 ご答弁のとおり、国と地方公共団体の役割を規定しているというのが、この条文の趣旨です。これは、教育行政に携わる都教委の皆さんなら、知らないはずはないと思います。
では、十六条に教育行政における地方公共団体の任務を定めているから、何でもできるのでしょうか。本条三項は、二項に定める国の教育行政の目標と任務を対比する形で、地方公共団体の目標と任務を一般的に示したものです。
執行機関である首長や教育委員会に対して、その任務を遂行するための必要な権限が包括的に与えられたわけではないわけです。執行機関である教育委員会は、法律または条例の定めに基づいて具体的な権限を行使されなければならないんです。
それを規定している、確認しているのが地教行法第二十四条です。
これ、紹介しますが、ここでは、教育委員会及び地方公共団体の長は、それぞれ前三条の事務を管理し、及び執行するに当たっては、法令、条例、地方公共団体の規則並びに地方公共団体の機関の定める規則及び規程に基づかなければならないとあります。
これ、ちょっと長いんですけれども、何をいいたいかというと、都教委は、この間、十六条三項を持ち出して、あたかも何でもできるようなことをいっていますけれども、そうではありません。
では、法律に基づいて権限を行使する場合、都教委の権限の及ぶ範囲はどこまでなのかについて聞いていきたいと思います。
教育基本法第十六条三項には、地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るためとあります。地域内にあるどの学校に対しても、教育行政としての権限を持っているわけではないわけです。
そこでお聞きしますが、学校教育法第五条では、学校の設置者は、その設置する学校を管理し、法令に特別の定めのある場合を除いては、その学校の経費を負担するとありますが、これを設置者管理主義といいます。
東京都の教育委員会の管理すべき学校はどのような学校をいうのか、伺います。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 学校教育法第五条に基づき、都教育委員会が管理等を行う学校は、都が設置した学校でございます。
○とや委員 都が設置した学校とは都立学校であります。
そして、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、地教行法第二十一条ですね、教育委員会の職務権限として、所管に属する学校、つまり、今おっしゃってくださった、自ら設置した学校の組織編制や教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導に関することと定めています。
また、この地教行法三十三条では、教育委員会は、法令または条例に違反しない限りにおいて、その所管に属する学校の管理を行うことと定めています。
つまり、都教委は、自ら設置した都立学校に対しては、管理権や指導助言などの権限を持っていますが、区市町村が設置した区市町村立の中学校に対しては、管理権も指導助言の権限もありません。
都教委が区市町村立学校に対して、ああしろ、こうしろだとか、ESAT-Jを受けろなどという行為は、区市町村教育委員会の権限を侵害するものです。
次に、教育委員会はどのような仕事をするのかについて、お聞きしておきたいと思います。
都教育委員会は、教育行政機関でしょうか。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都教育委員会は、都において教育行政をつかさどり、教育に関する事務について管理執行する執行機関であり、教育に関する行政機関でございます。
○とや委員 教育に関する行政機関です。都教育委員会や区市町村教育委員会は、教育に関する事務について管理執行をする機関ということであって、教育機関ではありませんよね。
お答えいただけますか。教育機関ではありませんよね。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 教育に関する行政機関でございます。
○とや委員 教育に関する行政機関であって、教育機関ではありません。
教育機関とは、学校や図書館などを指しますが、教育行政は教育機関ではないので、教育活動はできません。
間違いないですか。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 先ほどご説明したとおり、教育に関する行政機関でございますけれども、都教育委員会といたしましては、都における教育の振興を図るという上におきましては、国及び区市町村と相互に協力しながら行っていくべきものと考えております。
○とや委員 聞いたことにきちんと答えていただきたいんです、大事なことなので。
教育行政は教育機関ではないので、教育活動はできません。
これで間違いないですか。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 ご指摘の教育活動というものの範囲がどこまでかというのは、ちょっと分かりかねますけれども、私ども教育委員会の執行する権限につきましては、いわゆる地教行法に定められているとおりでございます。
○とや委員 教育行政は教育機関ではないので、教育活動はできないです。
都教育委員会は、私どもの第三回定例会の代表質問に対して、スピーキングテストは、学校の授業で学んだ内容の到達度を把握するとともに、英語指導の改善充実に活用する教育活動の一環として実施するものであり、都内公立中学校の三年生全員を対象としておりますとお答えになっています。教育活動の一環だと答えているんですよ。
区市町村学校に対して、都教委は教育活動はできないのではありませんか。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 先ほどの答弁と一部重複いたしますけれども、都教育委員会といたしましては、英語スピーキングテストは、教育基本法第十六条第三項に基づき、行っているものでございます。
都における教育の振興を図るためには、区市町村と相互に役割を果たしながら、相互に協力をして実現に努めていくというふうに考えております。
○とや委員 相互に連携はするけれども、都教委が直接教育活動をすることはできないんですよ。教育活動ができるのは学校です。あるいは図書館とかね。これは、皆さん、よく分かっていると思います、私なんかよりもよっぽど。
都教委は、地域における教育の振興を図るために、ESAT-Jは、自らの教育活動として実施するものである、このように主張していますけれども、教育の行政機関である都教育委員会は、所管する教育機関、つまり都立学校の教育を管理する権限を持つだけです。教育活動を教育機関に代わって行う権限はありません。
自らの教育活動などといい張るのであれば、教育の地方自治、設置者管理主義に違反して、区市町村教育委員会が所管する公立中学校において、教育行政の範囲を逸脱して教育活動を違法に行ったことになるんです。つまり、二重の意味での逸脱した行為、違法に当たる行為だといわれても仕方がありません。
都教委がESAT-Jを実施しようとするのであれば、先ほどおっしゃっていましたが、英語教育振興のため、市区町村に対して指導助言を行うことを目的に、中学生のスピーキング能力に関するデータ収集を目的とする調査という目的以外にできません。
都教委が実施しようとする英語スピーキングテストは、ここまででも二重三重に法を逸脱し、不当な支配をしているということです。きっぱり中止をすべきです。
次に、試験監督について伺っていきたいと思います。
十月二十四日の決算質疑で我が党の斉藤委員が、試験監督について、経験やスキルは一切問いませんとか、初めての方でも高時給とか、自宅でウェブで理解度チェックなど、募集広告が出ていることについての質問に対し、ESAT-Jに当たるかどうか、確認していないと答弁されました。
実は、英語スピーキングテストの問題については、十月十四日にも要望書が、大津由紀雄氏をはじめ五名から提出されていましたけれども、ここでも指摘があります。
この求人広告についてですが、指摘された求人広告は、全てESAT-Jのためのものなのでしょうか。お答えください。
○瀧沢指導推進担当部長 指摘されています要望書に出ている求人広告については、一部はそうですが、それ以外はESAT-Jと明示をされておりませんので、お答えする立場にございません。
○とや委員 すみません、今、一部はそうだとご答弁いただいたのですが、一部とはどの程度なのでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 過去のものということで添付されているものがあって、その中には、一部あった時期があるという指摘がなされていますので、そのいわゆるハードコピー、そのペーパー、要望書をいただきましたので、それについては見ました。
ただ、それ以外については、現在、それがあるかどうかについては確認をしておりませんし、それ以外のものについてはESAT-Jという記載はありませんので、それを答えるという立場にはないというお答えをしたところでございます。
○とや委員 それはおかしいと思います。ESAT-Jと書いてあるもの以外を確認しないと。都教委が行うテストを実施するための監督を募集するわけですから、どういう監督なのか、実施方針などで定めているわけですし、どういう人が来るのか、どういう募集をかけるのか、きちんと把握しておくのが当然だと思います。
この間、都教委は、英語の話す力をつけさせたいとか、グローバル人材育成などといってきたわけです。ところが、今この段階になって、いろんな募集広告についても指摘がされているわけですが、きちんと確認しないというふうになっているわけです。本当に子供たちのことを真剣に考えてテストをしようとしているとは、とても思えないわけです。
広告には、ベネッセスピーキングテストと書いてあります。括弧内にESAT-Jと書いてありますけれども、この求人広告は、高校入試に活用するテストの監督求人として適切と考えていますか。
○瀧沢指導推進担当部長 試験監督につきましては、都教委との協定に基づいて、事業者が確保するということになっております。ですので、それについて、私たちの方で適切かどうかということを答える立場にはございません。
また、それ以外の広告についてはESAT-Jという記載はございませんので、それを、私たちの方でそうであると認める立場にもございません。
○とや委員 協定に基づいてやっている、それ以外は答える立場にないということですが、十四日の記者会見では、非常に重要な問題点が指摘されていました。ご覧になったと思います。
例えば、大学で、試験監督は教職員が行うそうですが、一年で一番緊張する時期だとおっしゃっていました。子供たちも緊張する一日です。
その試験監督の募集に、アルバイト五千人、単発、一日さくさく稼げるというふうに書いてあって、あまりにもふざけているのではないかというふうなこともお話がありました。これが入試の監督をする人の集め方かという厳しい指摘もあったわけです。
受検生の緊張を分かっているのか。立てなくなって貧血を起こす、吐いてしまうなど、緊張が強いられるそうです。どんな扱いをされるか分からない、子供の心情を理解できない人が監督や試験会場でのスタッフとしてふさわしいのか、子供に思いやりが感じられないやり方ですとおっしゃっていました。
こうした指摘に対して、真摯に応えるべきだと私は思います。真摯に応えるのであれば、きちんとつぶさに調べて、募集広告についてもふさわしいものになっているかどうか、きちんと見るべきだと思います。
さらに、ベネッセが都教委に報告した最終報告では、二十三件中十七件が監督者が起こしたトラブルだというふうになっていました。
初めて会場に行くような人が試験監督でいいのかということも、この間の開示請求資料で明らかになっているわけですが、これらの監督の求人の広告を掲載するに当たって、都教委は、ベネッセと事前に相談はされたのでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 求人に関することについて、情報共有はしております。
ただ、それぞれの広告等を使って、どのような求人をしているのかということについて、それぞれ個別のことを確認するということではございませんし、繰り返し、そごがないように改めてお話をいたしますけれども、提出された要望書の中に出ているものの一部として書かれているESAT-Jの広告については、今、理事がお話をされたような、そういう文言が使われているものではありません。それ以外のものについては、ESAT-Jという名称はございません。
○とや委員 今、情報を共有しているとか、話はしたといっているのですが、そうであれば、どういう対応をしたのか、お答えください。
○瀧沢指導推進担当部長 どういう対応をしたというのが、何のことをお話ししているのか、ちょっと分からないのですけれども、繰り返しになりますけれども、事業者が実施協定に基づいて、テストの実施に必要な人員は確保するということになっております。その進行状況については、情報共有をしているということでございます。
○とや委員 進行状況のみ情報共有をしているということでした。
私は、今、ご答弁を聞いていまして思ったのですけれども、先ほど来、やっぱりテストを受ける、試験を受けるのは子供たちです。大変な緊張を強いられるわけですよ。ですから、あんな広告が流れていたら、保護者だって、子供たちだって、それはショックを受けると思います。もし違うなら、違うということで、きちんと確認をして答えていただきたかったというふうに申し上げておきます。
この間、都民からは、質問や要望書が都教委に届いているわけですが、十四日の記者会見の前に要望書を渡した皆さんは、なぜ十四日にやったのかというと、やっぱり二十日の教育委員会に間に合うように急いだとお聞きしました。
教育委員会の皆さんには、きちんと渡していただけましたか。
○瀧沢指導推進担当部長 教育庁内で適切に対処いたしました。
○とや委員 適切に対処したの意味がよく分からないので、もう一度お答えいただきたいのですが、お一人お一人の教育委員の方々に目が通るようにお渡しいただいたのでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になりますけれども、教育委員会事務局において適切に対応いたしました。
○とや委員 適切の意味が分かりません。
二十日の日は、このESAT-Jの問題については何も出なかったというふうに聞いています。本当に渡していただいたのかなと思いました。
それから、この要望書に対して、それでは教育委員会としてどのように対応するのか、お答えください。
○瀧沢指導推進担当部長 要望書の内容については拝読をいたしました。その上で、事務局、教育委員会として、事業を適切に実施していくということでございます。
○とや委員 要望書をご覧になった、拝読したということでありますが、そこに書かれていることは、ESAT-Jについては、一つは不受験者の扱い、もう一つは監督の扱いについて、試験監督のことについて書かれていらっしゃいました。非常に詳しく書かれていたわけですから、きちんと検証していただきたいなと思っています。
それから、監督の資質の問題についてですが、このとき、十四日の会見のときのをご覧になっていると思いますが、京都工芸繊維大名誉教授の羽藤由美氏によれば、会場運営担当者や試験監督者の確保について、入試に求められる公正性、公平性、機密性などを担保するとともに、とっさの判断を求められる想定外のトラブルにも対応できる大勢の人々が必要だったけれども、一年の一時期だけに確保するのは困難とおっしゃっていました。
試験にふさわしい監督をはじめ、試験会場スタッフは集まったのでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しになりますけれども、試験監督等につきましては、都教委との協定に基づいて、事業者が確保するということにしております。
また、要望書の中で、その広告についての記載がされていて、それはESAT-Jと書かれていないものですので、一般論としてお話をいたしますけれども、試験監督や補助に当たるスタッフについて、アルバイトを含む非正規雇用の方にできないという前提の下に立つという考え方には私たちはありません。
ですので、重要なのは、正規雇用なのか、あるいはアルバイトなのか、そういうことではなく、研修を通してしっかりと業務を理解していただいて、その上で、当日、適切に業務を行うということであるというふうに考えますし、またさらに、個人の能力に頼るのではなく、当日、組織的に対応できる、そういう体制をつくっていくということが大事であるというふうに考えております。
ですから、何か殊さらにあの広告を取り上げて、もし、こういう広告で集まる人で重要な任務ができるのかというようないい方であるとしたら、それは、そういう考え方には私たちは立たないというふうに申し添えたいと思います。
○とや委員 先ほども紹介しましたが、プレテストのときも、監督のトラブルといわれるようなものがかなり散見されているわけですよね。そういったことがあるわけだから、指摘されているんじゃないでしょうか。
それに、実際にやはり、先ほども申し上げましたが、入試に求められる公正性や公平性、機密性、とっさの判断を求められる想定外のトラブルにも対応できる大勢の人員が必要だ、それを一年の一時期だけに確保するのは困難だというふうに申し上げているんです。
これ、実際に集まったかどうかが、ちょっと私たちは分からないのですが、集まらなかったらどうするのでしょうか。
今、ベネッセに丸投げ状態でやっているわけですけれども、ベネッセ以外の、ほかの高校の教員あるいは都の職員の協力をお願いすることは、議連でのヒアリングではないと聞きましたが、いかがでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 重複する答弁で恐縮ですけれども、事業者が基本協定等に基づいて必要な人員を確保し、会場に配置するということで協定を結んでおりますので、試験監督業務等は事業者が行うものであります。
○とや委員 事業者以外の人たちの手は借りないということですが、先ほどお話がありましたが、約七百人の都の職員を配置するというお話がありました。
中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の実施に係る運営協力についてという事務連絡をいただきました。
ここに書いてある中身なんですが、これは、そもそも、本来はベネッセの仕事じゃないでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 協定に基づいてベネッセが行うこととしているものとは、全く違うものであります。
今回、この配置をする目的についてですけれども、通知をお持ちだと思いますけれども、この運営協力職員は、英語のスピーキングテストの実施日に、都教育委員会として実施状況を把握するとともに、必要な対応を行うために派遣するというものでございまして、本テストの円滑な実施に向けて、必要な体制を組み、万全な体制を取っていくというために行うものであって、事業者が行うものを肩代わりするというものを指しているものではありません。
○とや委員 主な業務内容を拝見させていただきました。運営事業者との打合せ、環境確認、会場への道案内、集合状況の確認、回収した携帯電話の管理、本部との連絡、これは都庁ですね。その中には、トラブル発生時の本部への緊急報告、本部からの状況確認依頼や指示に対応すると。あとは警備業務委託の履行確認と、様々な業務内容が書かれているんですが、私がいただいた、先ほどから部長がおっしゃっている実施協定、この協定書を拝見させていただきましたが、テストを行うに当たって、実施運営の役割分担というものが書いてあります。
東京都は、実施内容に係る問合せ対応、全体監修、全体の結果の確認というふうになっているんですよね。
それから、図がありました。これ、指揮命令系統ですね。受験に関する不測の事態等による中学校、東京都及び事業者の連携体制というふうになっているんですが、ここには、東京都が本部に連絡するだとか、そういうことは一切なくて、ここに書いてある運営協力員というんですか、ここに携わる人たちのことは一切書いていません。
英語テスト協力員というふうにいうそうですけれども、例えば不測の事態になったときには、ベネッセが全て責任を持つ体制になっていて、実施運営本部と東京都のみが連絡を取ることになっています。職員と東京都が連絡を取るという図にはなっていないんですよ。
実施に対して不測の事態が発生した場合は、受験会場より実施運営本部へ連絡するというふうになっています。これはどういうことなんでしょうか。
この英語テスト協力員の方々も、不測の事態が起きたら本部に緊急連絡をする。つまり都庁に緊急連絡をすることになっているわけです。
これについてご説明いただけますか。
○瀧沢指導推進担当部長 今、理事が実施協定、基本協定を引用してご説明されましたが、まさにそれは、そのとおり運営するわけです。
先ほども、ちょっと言葉でお話ししましたけれども、子供たちのために、安心して受けてもらうために、都教育委員会としても万全の体制を組むということを目的として、別経路として万全を期すための体制を取るということでありますので、そこの協定の中に書かれている一部を今回のもので代替するということを指すというものではなく、別の体制として、つけ加えて行うというものでありまして、その目的は、ひとえに、当日、十一月二十七日に、子供たちが安心して円滑に受けられるように、その体制を組むということであります。
○とや委員 ごまかしちゃ駄目ですよ。ちゃんと協定を取り交わして万全の体制でやると、これまでずっといってきて、ここへ来て協定書にないことをやるわけですよ。子供たちのためなんていって、ごまかしちゃ駄目です。
ベネッセがやる仕事の一部を東京都の職員がやるというのは、これまで聞いたことがありません。
ベネッセから見たら、これは仕事がきちんとできない。契約不履行に当たるんじゃないでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 先ほど答弁したつもりだったのですけれども、もう一度、お話をいたしますが、協定に示されているベネッセの役割業務については、ベネッセがしっかりと行う責務があります。ですから、それは行います。
ただ、それ以外に、都教育委員会が万全の体制をつくるために体制を取るということを何かで禁じられているというものでもありませんし、両方、二つの経路で緊急事態等々に対応できるような体制を取るということが、何か問題になるというご指摘の趣旨が理解しかねるので、先ほど来のことを繰り返しますけれども、ベネッセがやるものを、一部、都教委が代替するということでは全くありません。
ですので、書かれていないのは当然であるというふうに考えています。
○とや委員 最初から東京都が、この受験の当日に、試験の当日に万全を期して職員を派遣してやるというのであれば、そういう指示命令系統にしていなければおかしいです。おかしいです、そんな二系統でやるなんて変ですよ。それぞれやるなんていうのは。
結局、ベネッセと関連企業や委託業者が関わって、丸投げ状態で試験が行われる計画だったけれども、とうとう会場運営について正常に行われる可能性が低くなったり、都民からいろんな批判もあったり、そういうこともあって、都庁の職員まで動員するんじゃないかといわざるを得ません。
この協定書から見れば、これは東京都がベネッセの事業を、仕事を一部肩代わりすることになりますから、契約不履行といわれてもおかしくないですよ。
もうめちゃくちゃですよ、やっていることが。今になって、こんなことをやり始めるんだもの。駄目ですよ。それを子供たちのためだなんていって、ごまかしちゃいけませんよ。本当におかしいと思います。
既に破綻しているといわなければなりません。英語スピーキングテストを強行すべきではないと思います。子供にも、保護者にも、関係者にも、こんなことは説明できないですよ。
こういったテストを強行すれば、大きな損害を与えることになります。ここで立ち止まって、テストは中止すべきだと思います。
最後に、テストのトラブルについて伺っていきたいと思いますが、入試改革を考える会の、ミスやトラブルはなかったのかとの公開質問に対して、都教委は、機器の不具合が原因で録音できなかったとか、あるいは採点や評価に影響を及ぼす事象は発生していないと限定的に回答し、ミスやトラブルがあったことを隠していました。実際は、ベネッセから、ミス、トラブルとして二十三件も報告されていたことが明らかになっています。
我が党の斉藤まりこ都議も、先月二十四日の各会計決算特別委員会で、この問題を質疑しています。
試験監督に起因するミス、トラブルが多いことは斉藤都議が質問したとおりなわけですが、加えて、生徒から試験中にタブレットから音声が飛んで聞こえると申出があって、イヤホンなどをつけ直させたところ、問題がないというので、そのまま続行したという記載もありました。ここには、先生と相談した結果、再受験は行わないことになったという、こんな例も報告されていました。
これは、機器の不具合が原因で採点や評価に影響を及ぼしたということではないでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 機器のトラブルについては、二つ意味が解釈できますので、それは分類するべきだと思いますけれども、実際にその機械に不具合があったということと、あと、生徒が不具合があると感じたということがあると思います。
そのどちらのケースかということが判明するわけではないですが、説明を以前にもしているように、生徒から訴えがあった場合には、すぐに機械を交換することによって、受験ができないということを迅速に避けるという対応を取っております。
ただ、その後、当然、機械にトラブルがあったかどうか、実際に後日確認をしておりますが、その機械がトラブルがあったということはございません。
○とや委員 タブレットから音声が飛んで聞こえるというのは、まさに機器の不具合じゃないかと思います。タブレットが不具合だったのか、イヤホンの不具合だったのか、分かりませんが、音が飛んで聞こえたということですから、不具合なんじゃないかと思います。
それで解答できなかったわけですから、採点や評価に影響を及ぼしたということではないでしょうか。
なぜそうした事象はないというふうに回答したのか、お答えください。
○瀧沢指導推進担当部長 理事が今お話しされたとおり、学校を会場として、教員と相談した上で、トラブルということでなく、再受験を、再録音しないということで、本人も納得の上で終わったということですので、事故であるということではない。
録音も採点も行われたということでありますので、トラブルとしては報告をしていません。
○とや委員 この子は、結局は再受験しなかったわけですよね。やっぱりこうした例は、一件一件、丁寧に見て分析する必要があると思います。
この間、この資料をいただいて、たくさんのミスやトラブルがあったにもかかわらず、影響はなかったとか、トラブルはなかったとかというふうに回答するというのは誠意に欠けるし、検証をして、しっかりと分析をして対応に当たるというのが当たり前だと思うんですが、なかなかそれができていないというふうにいわなければなりません。
しかも、今のお話を聞いていてもそうですけれども、いかにも生徒がやりそうな失敗だと判断して終わらされているとしたら、非常に問題だというふうに思います。
それから、子供の訴えをどう見るかということでいえば、もう一つ、指摘したいことがあります。
十月二十四日の質疑において、隣の音が録音されてしまうという指摘に対して、あり得ないと答弁をされましたが、なぜそのようなことがいえるのか、お答えください。
○瀧沢指導推進担当部長 スピーキングテストにおける音声ですけれども、テスト専用に開発した高機能の集音マイクを口元に設定して録音するという形で行います。このため、非常に小さな声や、あるいは解答時間中の呼吸音も含めて、非常に細微な音まで確認することができるという体制にしております。
加えて、タブレットを使った中での事前準備、あるいは問題の例題というのがありますけれども、その中で、本人の音声を録音して確認するというプロセスを繰り返し行うわけです。
また、ヘッドホンセットについているマイクのほかにも、タブレットにもサブ音声を録音できる仕組みというふうにしておりまして、二重三重に、様々な事態も想定しながら受験をするという仕組みにしておりまして、本人の音声と周りの音声が確実に区別できるということを、実験をもって検証しているということでお話をしたところでございます。
○とや委員 私は、そもそもトラブルについて、そのトラブルを認めなかったこと自体が問題だと思っています。
さらに、今申し上げた例についても、プレテストを受けてきた子供の声をきちんと聞くべきだというふうに思います。話もきちんと聞かずにそういうことがいえるというのは、子供に寄り添っているとは、とてもいえないと思います。
八万人もの子供たちが受験すれば、必ず間違いがあるわけですし、そういったことを目前に控えて、都教委が取ってきたプレテストの最終報告に対する姿勢というのは、都民からの批判に耐えられるものではないと思います。
それだけではありません。二十四日の質疑では、中学校の先生から、タブレットの画面の反応で、声の大きい隣の生徒の声に反応しているようだったと記録がありました。この問題を斉藤委員がただしたところ、瀧沢部長はGTECではないかと答弁をしました。しかし、この話は、一九年のプレテストの際に寄せられた記録の話です。
様々なトラブルが報告されていても、あり得ないと否定し、本当に検証したのかといいたくなるような答弁に終始していたというふうに思います。このまま検証もせずにテストを実施することは許されません。
子供たちが一生に一度の高いハードルを越えようと必死になっていることを考えれば、このような綻びだらけのテスト、破綻したテストは実施を見送るのが、都教委に今求められていることだと思います。
子供たちのために、きっぱりと中止をするよう求めて、質問を終わります。
○入江委員長 議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後五時四十九分休憩
午後六時五分開議
○入江委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○阿部委員 私からは、まず、前半で英語スピーキングテストの運営について、そして、後半で特別支援教育、その他についてお伺いをしたいと思います。
今月二十七日に実施が予定をされております英語スピーキングテスト、ESAT-Jの結果を都立高校入試に利用することへの疑問が、保護者や学校関係者、専門家の間から次々に湧き上がっています。
議会においても、先日の決算特別委員会でも、我が会派の風間議員をはじめ、多くの会派の議員さんが英語スピーキングテストの問題を指摘しておりました。特に不受験者の扱いや点数換算などの不合理さ、一企業を窓口として、公立中学校の個人情報を、事実上強制的に収集することへの不信感、そもそも英語教育の充実に資するのかどうかということについても、専門家の方々の意見が分かれているところです。多くの不具合が、ますます鮮明になってきております。
それに加え、今、テスト運営について看過できない問題が多数存在するのではないかという疑念が湧き上がっています。
まずは、試験の概要を確認したいと思います。
今回の申込者数の総数と内訳についてお伺いします。
○瀧沢指導推進担当部長 約七万六千人でございます。
○阿部委員 中学生約八万人の九五%、七万六千人。これは、大学の共通テストの東京都内受験者数に匹敵する極めて大規模な試験であることが分かります。この規模感を、ぜひ委員の皆様とも共有をしたいと思います。
ところで、内訳についてはご答弁がありませんでした。
公立中学生がほとんどだと思いますけれども、この中に私立や国公立中学生、県外中学生などは既に入っているのでしょうか。教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 すみません、ちょっと語尾がよく把握できなかったのですけれども、これの内訳というのは、この中に国立や私立が入っているかということでしょうか。
国立や私立については、別の申込期間もありますので、公表はしておらず、今の時点で申込数が七万六千人というふうにお伝えしているところでございます。
○阿部委員 今のところ、公表していないということでした。
では、このうち、発声に関する障害があるなどして特別措置を受ける生徒の人数は何人でしょうか。対応についてもお伺いします。
○瀧沢指導推進担当部長 特別措置を受ける生徒についてというお尋ねかと思います。
特別措置につきましては、関連する情報をリーフレットなどに加えてウェブサイトを通じて提供するということなどを通じて、今年度は申請の受付期間を延長することなどを取るという改善を加えました。
生徒や保護者が教員などと十分に相談しながら措置の申請をできるようにしたところでございまして、人数については公表していません。ただ、措置が必要な生徒には申請をいただいているというふうに考えております。
また、対応についてのお尋ねもございましたが、特別措置の専用の会場を設置いたします。
○阿部委員 必要な生徒は申請していると都教委が考えているだけでは不十分で、確実に申請が行われていることが大切だと思います。
数字は個別の情報を持ちませんけれども、例えば、この人数が百人、二百人であれば、やはり制度が周知されていない、十分利用されていないということになります。ですので、やはり数字がどの程度であったかというのは、これは公表をする必要があるのではないかと思います。
また、今、専用の会場を設置するというふうに伺いましたけれども、これは専用の教室ということでしょうか。それとも、まさに会場そのものが専用ということで理解していいのか、教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 特別措置を実施する専用の会場を設置いたします。ですので、教室だけということではなく、その会場を設置いたします。
○阿部委員 ありがとうございます。
会場ということですので、逆に特別措置で受験する生徒については、ほかの同級生とは違った、ちょっと遠方の会場に行かなければいけないのかなというふうに思います。
さて、都教委は、発声に関わる障害や、あるいは不登校など、やむを得ない理由によって受験ができない生徒についての申請も受け付けると説明しています。
この措置に基づいて不受験が承認された人数を伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 個別の状況や障害特性などに応じて、やむを得ない理由によりESAT-Jを受験できない生徒に対する措置を申請し、都教育委員会が承認することで、不受験者として、都立高校の入学者選抜において不利にならないように取り扱うことというふうにしております。
先ほどと同じ回答になって恐縮ですけれども、こちらにつきましても、人数は公表をしておりませんが、措置の必要な生徒には申請をいただいているというふうに考えております。
また、数については公表はしなくても、その規模等々に応じて十分に、申請をいただいているかということについての検証は、内部でしっかりとやっていくということはやっていきたいというふうに思います。
○阿部委員 すみません、ちょっと語尾が聞こえなかったのですけれども、申請がきちんとできているかという検証は、これからやるということでよろしかったでしょうか。ちょっと後で確認させてください。
ただ、不登校の場合もこの措置が適用され得るということは、学校側に渡されたマニュアルには、当初明記されていなかったのではないでしょうか。今でも、このことを知っている先生というのはそんなに多くはありません。
不登校の生徒も、受験ができない措置を受けられるということ、やむを得ない理由により受験ができない生徒として申請を受け付けるというのは、このルールは、一体、いつ決めて、学校にいつ、どのように伝達したのか、併せて教えていただければと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 当初から不登校についても説明をしてきているということで、それは変わっておりません。これは、通知を八月に出している中に含まれております。
○阿部委員 ありがとうございます。
これは八月六日の通知ということでよろしいでしょうかね。申請の受け付けが始まったのは七月からだったと思いますし、夏休みに入って、学校の先生たちは、これは後でまた伺いますけれども、不登校の生徒さんたちに申請をするようにということで、夏休みに家庭訪問までし始めているんですよ。
それから八月六日に通知を出したということなんですけれども、この通知というのは、各市区町村教育委員会に出したということなんでしょうかね。これは書類ですか。メールか何かなんでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 各学校に通知をしています。
○阿部委員 この通知、夏休みということもあったのかもしれません。多くの先生が今も知らないままです。先ほど、この措置が十分に必要な生徒に届いているかどうか検証するということをおっしゃっていただいておりましたので、ここはぜひ検証していただきたいと思います。現在でもこの措置を知らないという先生が多い中で、どうやって必要な生徒が申請できるのかというのは、非常に大きな問題だと思います。
次に移ります。
ESAT-Jは、大学共通テストの受験者に匹敵する生徒が対象になっているというのは、先ほど確認したとおりですけれども、会場数は、共通テストよりもさらに多くなるのではないかと想定します。
必要な会場数と、都立高校並びに外部施設の内訳を教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 都立学校を含む外部会場を、先生がおっしゃる人数に必要な数を用意しております。
こちらにつきましては、実施協定に基づき、求められる要件を満たす会場及びスタッフを、受験会場に必要な人数の配置も含めて配置をしているということにしております。
○阿部委員 会場数も答えられない試験というのは、一体、何なのかと思うんですけれども、なぜ会場数さえ答えられないのでしょうか。かなり理解に苦しみます。
これ、都教委がやる試験ですよね。もしかして、いまだ確定していないのでしょうか。それとも関心がないのか、あるいは、ベネッセにお任せしているから、都教委としては、これに対しては知り得ない−−知り得ないということはないと思うんですけれども、なぜ会場数が答えられないのか、教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 近日中に区市町村教育委員会、学校には通知をいたしますので、その時点で、当然、会場については分かります。
今日のこの時点では公表しないということであります。
○阿部委員 スタッフの話は、先ほどいろいろ出ましたので、少し飛ばしますけれども、会場ですね、先ほど、十一月一日以降、つまり今日以降に、会場について各学校に伝える、また、受験票は十四日以降であるというようなご答弁がありました。
これ、当初は、十月中旬には各学校に連絡すると、都教委では明言をされておりましたけれども、なぜ十一月一日以降、上旬ということにずれ込んでいるのか、その理由を教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 最終調整をした結果でございます。
○阿部委員 ということは、これは、まだ会場について最終調整ができていない、全ての会場が確定しているわけではないから、会場のお伝えもできないし、会場の数もいえないという理解でよろしいかと思います。もし違っていたら教えてください。
こんな状態で大丈夫かなと思うんですけれども、受験票の送付も、二週間前と明記をしてあったものが、十四日以降という表現になってしまいました。これ、間に合うのでしょうかね。
会場の確保が相当遅れているというふうに、とても心配をしているんですけれども、受験票の送付というのも、これ、七万六千通。今、郵便物の配達というのは相当時間がかかります。土曜日の配達もありません。二週間のうちには祝日も含まれるんですよね。
これ、受験票のトラブル、到着しない、あるいは前々日ぐらいになっちゃうんじゃないかというような、そうした事態も想定されるんじゃないかと思うんですけれども、それに対しては、何か対策をされていますか。
すみません、ちょっとこれについては、事前に質問を投げていないですけれども、これだけずれ込んでいるということは、受験票の送付についてもかなり心配なので、何か考えていることがあったら教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 私の回答がちょっと不明瞭で誤解があったかもしれませんが、会場については、確定はしているんですけれども、区市町村あるいは学校に通知するという手続上の問題で、まだこの場では公表しないというふうにお答えをしたところでございます。
また、通知について、受験票ですね、これは十一月十四日というのは、当初からそのようにいっていますので、これが遅れるということはないというふうに考えております。
○阿部委員 ぜひそうあってほしいと思います。
会場が決定しているのであれば、なぜ調整のために、二週間、半月も遅らせなければいけないのか、理解に苦しむところです。会場を早く学校に伝えるということは、生徒と学校両方の利益になりますので、教育委員会の段階でとどまらせているのが今の状態だというご説明であるならば、ぜひそこは早く解消していただきたいと思います。
それから、会場までの移動方法について伺います。
会場がいまだに分からないということは、学校にとっても、それから生徒本人にとっても、大変な不安材料となっております。
試験会場まで、生徒は個別に行くことになるのでしょうか。どのような手段で移動することを想定しているのか、教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 試験の当日は、徒歩あるいは公共の交通機関等々を使って移動することになります。
○阿部委員 これも簡単におっしゃいますけれども、大学受験をする高校三年生でも、受験生は必ず会場の下見に行きます。ましてや、今回は中学生です。年末年始を挟む大学受験とは違って、二学期中で毎日授業がある中で、塾もある、あるいは、この時期、模試もあります。そういった中で、中学三年生が下見の日程を取るというのは、すごく難しいことでもあります。そこはご理解いただきたいと思います。
ましてや、都立高校が会場であれば、交通不便地域、公共交通の不便な地域も含まれてくるのではないでしょうか。日曜日の試験であれば、路線バスの運行頻度が下がることもあります。
大学受験、共通テストでは、交通機関の特別ダイヤや臨時便が組まれることもありますけれども、受験生徒数に応じて、関係路線のバスの増便などの手配はされているのでしょうか。もしバスに生徒が乗り切れずに間に合わない場合は、生徒の自己責任になっていくのでしょうか。
そうしたことも検討されているのか、教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 ご質問の内容が、何か特別なバスをチャーターするとか、増発するとか、そういうようなことかというふうに理解いたしましたが、そのようなことは考えずに、試験は午後ですので、時間を持って会場に公共機関を使って行っていただくということをお伝えしていきたいと思っております。
○阿部委員 これ、試験監督でも、道に迷った場合のコールセンター、問合せ窓口があるということなんですけれども、むしろ、生徒さん、中学生の方をより心配しなければいけないと思っております。
この場合に、一体、生徒は、道に迷いました、あるいは、その他不具合がありました、なかなか到達しませんと、それはどのような形で対応していただけるのでしょうか。
先ほどコールセンターというお話もありましたけれども、電話でそれを伝えて、何か対応を聞くということになるのでしょうか、教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 今、委員お話しのとおりで、当日につきましても、それよりも前も、現在もそうですが、問合せ窓口というのは設定していますけれども、当日についても、緊急の事態も想定しながら、回線を増強して、不測の事態等々も想定しながら、何かあった場合にはそちらに連絡するようにということを、受験票や、あるいは手引などにも大きく分かるように記載をして、それで生徒たちに配布をするということを考えています。
○阿部委員 これは、中学生の生徒が、皆さん、携帯電話を持っているという前提でコールセンターということでよろしいのでしょうか。後でお答えください。
併せてお伺いします。遅刻の取扱いです。
大学の共通テストでは、試験開始後も、一定時間は入室が可能ですけれども、ESAT-Jの場合には、テストの特性上、試験開始後の受験は不可能ではないかと思います。
一方で、前半、後半に分かれて受験するのですが、前半には間に合わないけれども、後半の時間には間に合うという場合に、前半スタートの生徒と後半スタートの生徒が同時に着いた場合に、例えばですけれども、後半スタートのみ受けることができるのか、それとも、もう最初にスタート時間に間に合わなかったら、もうそこで完全に切ってしまうのか、どういう扱いをされるのでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 今、前半、後半の受験というお話がありましたけれども、生徒が会場に着く集合時間と、それから解散の時間、これ自体は全員同じです。その中で、前半に受ける子供と後半に受ける子供が交わることが絶対ないようにというオペレーションでやりますので、後半から受けるということは考えていません。
遅刻、欠席の状況などにつきましては、いろいろな状況があると思いますので、それぞれ個別の状況に応じて適切に判断をしてあげたいというふうに思っております。
○阿部委員 個別の状況を適切に判断ということで、そうなってくるんだと思いますけれども、各会場の中で同一の状況については、同一の判断がどの会場でも取られるということで、徹底をお願いしたいと思います。
さて、高校がスピーキングテストの点数を勘案しない場合、その場合の受験の判断についてお伺いしたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 委員お尋ねの、高校が点数の勘案をしない場合というのは、各高校がスピーキングを使う使わないという判断をするということかというふうに思いますが、このスピーキングテスト自体につきましては、都教育委員会が実施主体となりまして、学校の授業で学んだ内容の定着度を測る、それと同時に、英語指導の改善充実に活用する一環として実施するということですので、都内の公立中学生三年生全員を対象として実施するものでございます。
○阿部委員 都教委は、従前よりアチーブメントテストとしてご説明をされてきたので、そういうことだと思うんですけれども、ただ一方で、都立高校の中には、あるコースについてはESAT-Jの点数を利用しない、なので、その受験については中学校と相談するようにということがホームページ上で明記をされておりました。
これは普通に解釈をすると、中学校と相談をして、受けるか受けないかを決められるというふうにしか読み取れないんですけれども、これはどういうことなのでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 スピーキングテスト自体は、全ての中学生を対象として受けてもらうということを想定しています。
ただ、都立高校の入試に活用するというときには、中には活用をしない、例えば学力テストを行わない、検査を行わない学校等々もありますし、あるいは、バカロレアのように特別な学校もあるということもありますので、その場合、活用しないというケースもございますが、各学校がそれぞれ独自に決められるというものではございません。
○阿部委員 ごめんなさい、ちょっと今のはかみ合わなかったかなというふうに思います。各学校で独自に決められるというものではないということは分かりました。
しかしながら、だからといって、受けるかどうかは中学校でご相談くださいという表現というのは何を意味するのか、教えてほしいです。
○瀧沢指導推進担当部長 それを今、確認することもできませんし、あるいは、それはその学校がどういう意図で書いたのかというのはちょっと分かりかねますけれども、都教委としましては、従来の繰り返しで恐縮ですけれども、全ての中学生を対象に実施するものでございます。
○阿部委員 都立高校のホームページで、一応それは、写メといったらいいんですか、撮ってありますので、また後でお伝えしても構いません。
いずれにせよ、都教委の意図が都立高校にすら十分に伝わっていないということの証左であるかなというふうには思います。
それから、前回の試験でも数々のトラブルがありました。外部会場となり、人数も圧倒的に多い今回の試験では、現場でも対応し切れないトラブルがたくさん出てくることが想定されます。
試験後に生徒や保護者からの相談を受け付ける窓口は設置をされるのでしょうか。先ほどおっしゃったコールセンターが、そのまま継続的にあるというふうに考えていいのかも含めて、教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 まず、様々な大量なトラブルがないように、万全の体制で行っていきたいというふうに思います。
それから、問合せ窓口については、現在でも開設しています。当日もそうですし、それが終わった後も継続して設置をしているものでございます。
また、この窓口を利用できるのは、生徒、保護者あるいは教員等々を問わず、まずはここに電話していただくという意味で設置をしております。
○阿部委員 とはいえ、先ほどの交通の問題もありました。一定数、受験の意思があっても、受け損ねる生徒も出てくる可能性があるのではないかと思っております。
十二月の予備日の受験者の見込み数と想定される会場数、試験会場とスタッフの確保状況を教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 先ほどの答弁とも若干関連しますけれども、予備日の対象となる受験者というのが、実施日にやむを得ない理由で受験ができなかった、あるいは、できなくて、かつ在籍する中学校長が認め、かつ予備日申請により承認をされた生徒、あるいは、何かしら会場において本人の責めによらない理由で受験ができなかった生徒ということで限定して実施をするというものでありまして、現在の時点で、受験者の見込み数を設定するという数字はないかなというふうに考えております。
以上です。
○阿部委員 人数が未定というのは分かります。ただ、一定の想定をしないと、これ、本番の試験から三週間後の試験ですので、それからの準備というわけにはいかないんじゃないかと思います。
予備日の試験会場は、本来受けるはずだった会場とは、生徒にとっても別の会場になるはずです。予備日受験者の数が確定してから、予備会場とスタッフの確保を行い、生徒に通知する。
生徒への通知は、その後だとは思うんですけれども、それからの確保ということでは、また今回のような、どたばたになってしまうのではないかと思いますけれども、一定の準備はされているんじゃないかと思います。そこを伺っています。お願いします。
○瀧沢指導推進担当部長 協定に基づきまして、予備日につきましても、会場の確保あるいは当日の体制について準備するということにしておりますので、委員お話しのとおり、一定の想定の下で、当然ながら、もう既に準備を行っているという状況でございます。
○阿部委員 この予備日においても、やはり特別な措置が必要な生徒さんも含めて準備が必要だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
試験結果返却後の対応について伺います。
試験結果は一月に返却されます。試験の結果が予想と大きく異なった場合、志望校変更も、ぎりぎり可能なタイミングです。
一方で、多くの志望校変更が出れば、中学、高校双方の事務量は膨大になります。
志望校変更の見込みと、この点に関する都立高校への説明状況を教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 まず、スピーキングテストの日程を十一月二十七日に設定したわけですけれども、この日程の決定につきましては、どの日にちが一番適切なのかにつきましては、長い時間をかけて、区市町村教育委員会あるいは中学校からの意見も踏まえて、最善の日にちということで決定してきたという経緯がございます。
その考えていく上での、一つの一番重要なポイントになったのは、やはり、返却されたテスト結果を基に、中学校において進路指導を行う期間などを確保するということでございました。
もとより、一月以降に志望校を変更する生徒というのはいます。二学期のいわゆる通知表が確定をし、あるいは、中進対と呼ばれる都立高校の希望している数、そういうものが出たりというようなことを経まして、面接等々は、各学校でそれぞれ適宜、中学校で行われているというふうに考えております。
また、高校に対しても、東京都立の高等学校入学者選抜要領説明会あるいは入学者選抜実施要綱説明会などを行っております。
○阿部委員 志望校変更をする生徒は、例年ゼロではありません。しかし、極めて極めてまれです。志望校変更には、通常、各中学校において、三者面談などを踏まえて、かなり丁寧な話合いの下に行われます。
一月は特に、中学校三年生の教員、担任は多忙を極めておりますので、よほどのことがない限り、志望校変更ということは行われず、また、それに伴う事務量というのも極めて多いということは、教育委員会の皆様方であれば、よくよくご存じのことではないかなというふうに思います。
これが本年度から多量に出てきたときの学校運営というのは大変心配をするところではあるんですけれども、それでも生徒さんは、結果を基に志望校変更をしたいときにはちゅうちょなく進めてよいということで、都教委のお考えということでよろしいでしょうか。
また、高校側も、それについて了解をしているということを併せて確認させてください。よろしいですよね。
○瀧沢指導推進担当部長 お話のとおり、必要であれば、ぜひ学校には、三者面談も含めて対応するようにお願いをしております。
この間、中学校には、必要に応じてそのような指導をするようにということを、直接、室課長会あるいは校長会等々を通じて、重ねて依頼をしているところであります。
ですので、各学校でも適宜、進路指導が必要であれば行われている、依頼して、行われるというふうに考えております。
○阿部委員 先ほどから教員の多忙化の話、働き方の話も出てきましたけれども、本当に大変なことですので、中学校の学校の先生たちが、この今のやり取りを聞いてどう思うか、ぜひ考えていただきたいと思います。
さて、ESAT-Jでは、不受験者の筆記得点からスピーキング評価をみなし点として与えるという、驚くべき手法を使うことになっておりますけれども、その筆記点とスピーキング力の相関に関するデータは都教委も持ち合わせていないというふうに、既にご答弁をされております。
今回のESAT-Jの本番で、初めてその相関を分析し得るデータとなりますので、試験後に、そのデータから相関を分析し、公表する必要があるのではないかと考えますが、その予定はありますか。
○村西都立学校教育部長 先ほどもご答弁いたしましたが、不受験者に対する措置を定めている趣旨としては、事故や病気等のやむを得ない理由によりスピーキングテストを受験できなかった生徒などが、様々な事情、状況にある生徒が都立高校入試を受検する際に著しく不利にならないよう、点数を付与する特例的な措置が必要という考え方によるものでございます。
こうしたスピーキングテストの結果がない生徒に対して点数を付与するに当たり、都立高校入試において最も参考になり得る数値である英語学力検査の得点が同じ者のスピーキングテスト結果の平均値を用いて、テストに相当する点数を算出することとしたものでありまして、都教育委員会としては、この方法が合理的な最善の方策であると判断しております。
このため、英語学力検査とスピーキングテスト結果の相関関係を調査し、公表する予定はございません。
○阿部委員 公表する予定はないとのご答弁でしたが、分析し、公表する必要があるというふうに伺いました。
公表はしないとしても、分析はするのでしょうか。
○村西都立学校教育部長 繰り返しの答弁になりますが、スピーキングテストの結果がない生徒に対して点数を付与しなければならないという中で、最も参考になり得る数値である学力検査の得点が同じ者のテスト結果の平均値を用いて、テストに相当する結果を算出するというものでございますので、この方法が合理的で最善の方策であると判断しております。
したがいまして、相関関係というような、調査して、また分析するということもないということでございます。
○阿部委員 ちょっと今のは、おかしな答弁だと思います。合理的な最善の方法であると判断する合理的な理由がないまま、制度をつくっていらっしゃるのが現状です。
その合理性を説明し得るかもしれないデータが今回初めて得られるわけですから、そのデータが得られる段階になって、それを分析しなければ、いつまでたっても、この判断、方法の合理性が証明できません。それでは、テストとしての正当性が、いつまでたっても生まれないことになります。
せっかくここで、今回、ESAT-Jをするというふうにして、取りあえずはテストをする。そこで得られるデータは、学力点とスピーキング力の相関があるのかないのか、その分析に使うべきだと思いますが、改めて答弁をお願いします。
○村西都立学校教育部長 合理的かどうかという考え方ですが、スピーキングテストの結果がない生徒に対して、与えられた入試の選考材料の中から一定の点数を付与しなければならない。
そうした中で、この都教委が取っている方法が最も合理的だということを申し上げております。
○阿部委員 今回の試験によって、その合理性が証明できるかもしれないんですよ、都教委が。データを分析して、ここにこれだけの相関があるねということになれば、次回から、大手を振って、ここには合理性があるといえるわけです。ですから、やはり分析はすべきだと考えます。
なお、現段階では、ESAT-Jと形態が類似するGTECを中学校で取り入れている自治体が複数あります。この自治体の生徒の平均点が、全都の平均と比べて有意に差があるのであれば、これもやはり分析が必要であると思います。
自治体によって有意な差があるとすれば、ここには、やはり生徒の機会の偏りが見られるということになりますので、直ちに見直しが必要であるということも指摘しておきます。
次に進みます。
昨年のテストではトラブルがなかったとしていましたけれども、実際には様々なトラブルがあったことが、情報開示請求によって明らかになりました。
今回は、試験運営上のトラブルが高校入試の結果に直結するため、トラブル隠しは、受験生に泣き寝入りを強いるものとなり、許されるものではありません。ここはご理解いただけると思います。
個々のトラブルに関する相談窓口の設置と速やかな救済措置、試験の信頼性を強化するためのプロセスの検討と公表が必要と考えますが、都教委にその考えはありますでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 幾つかまとめてご質問があったかと思いますが、トラブルに対する救済策につきましては、これは個別に判断をしていくということになろうかと思います。
それから、改善に向けた取組でございますけれども、これは、実施後に検証を行いまして、次年度以降の必要な改善につなげていきたいというふうに考えております。
結果につきましては、教育委員会に報告することを考えています。
○阿部委員 これも、試験の、スピーキングテストの公平性あるいは信頼性というものに大きく関わる点であると思いますので、よろしくお願いいたします。
県外からの受験者と不受験者は、みなし点不明のまま志望校を決めざるを得ない状況になります。
実は、私自身、公立中学校三年の三学期に父の転勤が決まりまして、急遽、引っ越し先の県の県立高校に、新幹線に乗って受験しに行ったという経験があります。
他のほとんどの受検生がESAT-Jの評価を持っている中、自分はそれが不明なまま志望校を決めなくてはいけない、しかも、その評価は他人の英語の得点に左右されるという、非常に不安定な立場に置かれてしまいます。
これは合理的な制度といえるでしょうか。
○村西都立学校教育部長 都立高校の受検では、事故や病気などでやむを得ない理由でスピーキングテストを受けられなかった生徒も存在しますし、また、スピーキングテストの実施日以降に都外から転入される生徒さんもいると。
そういった方々が都立高校の入試を受検する際に著しく不利にならないよう、英語学力検査を基に、特例的な措置として設定しているものでございますので、全て一律にできれば、それはそれでいいことですけれども、こうした措置を講じるべきだというふうに都教委としては、こうした措置が必要であるというふうに都教委が考えた上での制度設計としております。
○阿部委員 志望校の決定に当たって、本人の責めによらない理由により合格に関わる情報格差が存在する、これはフェアな試験とはいえないのではないかと思います。
十月二十七日に公表された令和三年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によると、東京都の中学三年生の不登校生徒は四千九百九十五人、出現率は六%を超えます。今回の申込者は七万六千人、公立中学三年生の九五%が登録を終えたと強調しています。これは何を意味しているのか。
先ほども申し上げましたけれども、不登校の生徒に申込みを事実上強制し、試験に行かなければゼロ点を送りつける。
このことの影響について、都教委はどのようにお考えでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 ご指摘のようなことも配慮した上で、不登校などの個別の状況に応じて、やむを得ない理由によりESAT-Jを受験できない生徒に対する措置というものを設定し、その申請をして承認することで、不受験者として、入学者選抜において不利にならないような扱いを並行して設置しているものでございます。
○阿部委員 先ほども申し上げましたけれども、九五%が登録を終えている。この中には、不登校の生徒がかなりな数、含まれていると数字が物語っています。
都教委が通知を出したのは八月六日です。もう夏休みは始まっています。申込みが始まったとき、不登校生徒が不受験の対象になり得るということは、各学校、教員の間に周知されておりませんでした。
中学校の先生たちは、夏休みを潰して、不登校生徒の自宅を一軒一軒回ってESAT-Jについて説明をし、登録をさせているんです。
都教委は、不登校生徒やコミュニケーションを取りづらい生徒に対して、五教科のテストがなく、内申も問わないチャレンジスクールなどを少しずつ増やしてきて、その制度のおかげで居場所を見つけ、前向きに高校生活を送っている、そんな生徒たちもたくさんいます。これは、本当にいい取組だと思います。そうしたことを必要とする生徒がいるんです。だからこそ、都教委はチャレンジスクールを増やしてきた。そうですよね。
なのに、そんなことを一番よく知っているはずの都教委が、なぜチャレンジスクール希望の生徒や不登校の生徒にまでスピーキングテストを申込みさせなきゃいけないんですか。
受けるつもりのないテストを申込みさせて、受けなかったからと、ゼロ点のテストを送り返してくる。それ、どれだけ残酷なことだと思いますか。
ここは、教育長、浜教育長のご答弁をお願いします。
○瀧沢指導推進担当部長 各学校では、それぞれの生徒の状況に応じて個別に指導した結果であるというふうに思います。
不登校といっても、その時期あるいはその期間は様々でございます。そういう中で、結果として九五%のお申込みがあったということでございますけれども、先生がご指摘のような状況であるということに限らないというふうに考えておりますので、強制して零点を送りつけるということを意図しているものではないということをお伝えしたいと思います。
○阿部委員 今のご答弁は、現実にそぐわない。少なくとも、私が先ほど申し上げたような、受けるつもりもないテストを申込みだけさせられて、結局、試験を受けるつもりもない、行かない、ゼロ点を送ってくる。それがたくさんこの東京都内で起こるんですよ、今から数か月のうちに。
浜教育長のご答弁をお願いしました。
○瀧沢指導推進担当部長 申込期間については、九月中旬以降までございますので、その制度を理解して学校での指導が行われたというふうに考えておりますので、休み中に何か申込みを強制する、そのような指導があったというふうには認識をしておりません。
それぞれ個別に丁寧に指導したと思いますし、現時点で不登校であっても、この先、登校するようになるということも見込まれますので、そういうことも含めて、丁寧に指導する中で申し込んだということもあるでしょうし、不登校でなく登校するようになり、受験できるようになるということも当然あると思いますので、いずれにしても、申請を強制して零点を送りつけるというケースに全てがなるというふうには考えておりません。
○阿部委員 全てでなければいいんですか。
私は、このテストの欠点をあげつらって、教育委員会を批判したり、攻撃しようというつもりでいっているわけではありません。このテストは、車でいえば、開発途中で安全が担保されていない。今、世に出してしまったら、多くの生徒を傷つけてしまう。私は、それを恐れています。都立高校入試への信頼性を傷つけ、都教委の汚点にもなってしまいます。
試験は、文字どおりアチーブメントテストとすれば、るるお話ししたような様々な矛盾も、生徒たちの人生に影を落とさないで済みます。ここは勇気の出しどころではないかと思います。
教育長、ご答弁いただけないですか。
○浜教育長 まず、このスピーキングテストは、都内公立中学校三年生全員を対象に、英語の話す力の到達度を測るために受験していただくものであります。
これについては、不登校の生徒であるから一律に受けなくていいとか、必ず受けなくてはいけないとか、それは一人一人の生徒さんの状況に応じて、場合によっては受けられない生徒さんがいることも、当然想定はしております。
都立高校の受検をするに当たって、このテストの点数を加点するかどうか。受験しなかったけれども、不受験者の取扱いとして、みなし点を加点するかどうかというのは、また、その生徒さんの状況、受けられなかった事情に応じて個別に判断をしていくことになりますので、零点を送りつけるとかそういうことではなくて、都立高校の受検をする場合に加点をするのかしないのかという話と、自分の話す力、英語の学習の成果を確認するために受けていただくというのは、別のことだと思います。
おっしゃっているのは、不登校の生徒が申し込むかどうかということについていえば、今回、たとえ不登校であったとしても、英語の勉強をしているのであれば、受けていただく意味はあると思いますし、これをきっかけに英語の勉強に関心を持っていただく機会にもなるかもしれませんし、それは、一人一人の生徒さんの状況に合わせて、恐らく中学校の先生が個別に対応してくださっていると思います。
零点をつけるか、みなし点をつけるか、不受験者扱いをするのかどうかというのは、今度は、都立高校の一般の受検をする場合に、みなし点が必要かどうかという場合の判断ですから、不登校の生徒が受ける受けないとはまた別の話で、学力検査を実施しない都立高校を受検するのであれば、このみなし点の加点という話は、そもそも議論にならないわけですから、おっしゃるような零点を送りつけるというようなことにはならないと思います。
○阿部委員 教育長からご答弁をしていただいたことについては評価をしたいと思います。
現実には、八月六日の通知で書いてあったことというのは、それまでに生徒たちが、あるいは学校の現場の教員が、不登校の生徒−−不登校であっても、もちろん英語は受けたいという生徒はいる、それはもちろんです。何事にもいろいろなバリエーションはあります。しかしながら、それが選択できるような状態に現実になかったということが問題です。
これが事前に周知をされていて、申込みの段階でそれが選べるのだということであれば、今のご答弁もあり得るかと思いますけれども、それは現実を踏まえてのご答弁としていただきたかったかと思います。
スピーキングテストについては以上ではありますけれども、文科省の令和三年度英語教育実施状況調査を少し見てみたいと思います。
日本の中高生の英語力は、総じて伸びています。今回注目されている言語活動については、東京都は、小学校で九八%、中学校で七八%が、授業における生徒の英語での言語活動が授業の半分以上を占めていると答えています。これは、もちろん全国でも高い値となっております。しかし、高等学校になると、東京都は四八%、全国で真ん中より下ですよね。
パフォーマンステスト、話すことの実施状況はどうでしょうか。
東京都は、小学校で九五%、中学校では九二・九%、非常に多くの学校がパフォーマンステストを実施しています。しかし、高校では僅か三五%です。
担当英語教師の英語使用状況も、東京では、中学校では八一%なのに、高校は四四%に半減します。
興味深い分析があります。生徒の英語力の向上には、生徒の英語による言語活動、そして、英語教師の英語力、この二つが影響している。この結果は、皆さん読まれていると思います。生徒の英語による言語活動は、教師の英語使用割合が高いほど高くなる。
以上のことを考えれば、都教委が本気で生徒の英語力の向上をさせるためには、中学校段階でスピーキングテストを無理やりやらせて現場を混乱させるよりも、もっとほかに高校でやるべきことがあるのではないか。壮大なすり替えではないかと思います。
もう一度、小中高のカリキュラムをしっかりと見直して、専門家を交えて、どの段階でどういった英語活動をすることが、英語教育を進めていくことが、最も生徒のためになるかということを根本から考え直していただければと思います。
特別支援教育に移ります。
まず、特別支援教室について伺います。
東京都教育委員会は、令和三年三月に特別支援教室の運営ガイドラインを公表いたしました。その中で、指導期間は原則一年とし、必要な場合は指導を一年延長できること、延長終了時には、さらに延長できることを含め、改めて支援策を検討するという方針を打ち出しました。これについて、今、様々な現場の受け止めがありますので、改めて真意を確認したいと思います。
特別支援教室を退室する場合の基準と手続についてお伺いしたいと思います。
○落合特別支援教育推進担当部長 特別支援教室の運営ガイドラインにおきまして、特別支援教室の退室の検討に当たりましては、学校が指導の成果を振り返り、指導目標の達成状況を評価することなどを定めております。
学校が、校内委員会での検証を経て、指導目標を達成したと判断できる場合は、在籍学級での支援を検討の上、保護者との合意形成を図ります。
その後、区市町村教育委員会へ報告し、教育委員会が退室の適否について判断することとなります。
○阿部委員 原則の指導期間を定めたことによって、指導方法などに変化はあったのでしょうか。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会が策定いたしました特別支援教室の運営ガイドラインでは、児童生徒の実態把握、課題の抽出、指導目標の設定、在籍学級と連携した指導などの方法について具体的に説明しております。
本ガイドラインに基づき、学校が適切に指導していると考えてございます。
○阿部委員 指導に、目標やそのための期間を意識することは大切な視点だと思います。しかし、一方で、学校現場や保護者の間では、今なお、特別支援教室を一年あるいは二年で出なければいけないのではないか、二年たったら一旦退室して、うまくいかなかったら、また支援教室に戻るといったような様々な、趣旨とずれた受け止めをしている方々もおります。
そうした中で、特に、支援教室に通っても、ただ期間が短くなるだけではなくて、必要な指導時間を受けられていないのではないか、もっと受けたいのに、なかなか一時間しか回してもらえないといったような声もあります。その背景には、実は教員数も関係しているのではないかと考えております。
都教委は、令和四年度から、特別支援教室の教員配置基準を十対一から十二対一に引き下げました。その理由を伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 特別支援教室の教員配置基準は、特別支援教室の制度導入を円滑に進めるため、導入当初の暫定的な基準として適用し、導入終了後に見直すこととしてきました。
令和三年度に特別支援教室の導入が完了したことから、教員配置基準について見直しを行い、令和四年度から、児童生徒十二人に対し教員一人とする新たな基準を適用することといたしました。
○阿部委員 五月一日現在で、特別支援教室の教員は、小学校で二千百三人、中学校では五百六十七人となっております。
これ、仮に十対一のままであったら、五月一日段階の児童生徒数で教員は何人配置となっているのか、お答えください。
○落合特別支援教育推進担当部長 教員配置基準でございますが、導入終了後に見直すこととしてございまして、令和四年度から、児童生徒十二人に対し教員一人とする新たな基準を適用してございます。
基準を児童生徒十人に対し教員一人とすることにつきましては、検討していないこともございまして、委員ご質問の内容につきましては、仮定での人数はお答えができないということでございます。
○阿部委員 仮定での人数といいますけれども、結局、十対一なので、二万五千二十二人あるいは六千四百十三人の生徒に対して、それぞれ十対一ですと、小学校が約二千五百人、中学校が約六百四十人になろうかと思います。小中合わせて五百人近くが、この十二対一という措置の中で削減されたことになります。
先ほどの期間の見直し、そして、それに引き続いて人数が大きく削減された。そのことによって、全体として十分な支援とアセスメントがないままに、支援教室の利用できる時間が減ってしまう、あるいは期間が減ってしまう、そのような受け止めがなされてしまいがちです。
在職期間と、それから教員配置の見直しを同時に行うことは、退室せざるを得ない状況をつくり出しているのではないか、そのような疑念が拭えません。
特別支援学級についてもお伺いいたします。
令和三年度小中学校の特別支援学級担任の特別支援学校教諭免許状の保有率をお伺いします。
○吉村人事部長 特別支援学級の担任の特別支援学校教諭免許状保有率は、令和三年五月一日現在、小学校が二八・八%、中学校が二〇・三%でございます。
○阿部委員 東京都特別支援教育第二期推進計画の第二次実施計画によると、支援学級担任の免許状保有率は、平成二十七年度で、小学校二九・九%、中学校二〇・九%、そして、第二期目標値は、令和九年度に小学校六六%、中学校五三%となっています。
期間の半分が近づいたところで、小中学校とも、保有率は五年前より下がってしまっています。
その理由をどのように分析し、そして対策を取っているのか、お伺いします。
○吉村人事部長 特別な支援を必要とする児童生徒の増加により、特別支援学級の担当教員の増加が免許保有者の増加を上回っているためであり、免許保有者は増加しております。
都教育委員会は、教育職員免許法に基づく認定講習の開講や、認定通信教育受講費の補助の取組により、免許状の取得を促進しております。
○阿部委員 推進計画の中では、パーセントで目標値を定めています。人数が増えたからよいというものではなくて、やはり、自ら定めた目標値に向かって、さらなる努力をしていただければと思います。
そんな中で、認定講習ですね、コロナの影響で認定講習があまり開催できなかったことは理解しますけれども、一方で、通信の認定講習をスタートさせております。しかしながら、このままでは、目標達成には遠く及ばない数字だと思われますので、免許取得に対するさらなる機会拡大のほか、インセンティブ付与も視野に入れて強力に推進することを期待いたします。
次に、特別支援学校についてお伺いします。
視覚障害特別支援学校にも、タブレット端末や点字ディスプレーなどICT機器が配備されました。障害に応じたICT機器の導入は大変有効であり、歓迎をしているところです。
とはいえ、視覚障害特別支援学校の中にも、児童生徒の障害の程度や重複の有無など多様な実態があり、障害の多様性に応じて十分に活用できていないのではないかという声もあります。
実態に対する認識をお伺いします。
○小寺指導部長 都立視覚障害特別支援学校では、児童生徒の障害の状況や程度に応じまして、配備されたタブレット端末や点字ディスプレー等を活用した授業を工夫して行うとともに、学校間で効果的な活用事例を共有いたしております。
○阿部委員 そうしたことも実際になされていて、効果も出ていると思っております。
しかしながら、例えば、弱視等であれば自分で使える読み上げソフトも、全盲の場合は操作に関して音声が必要である、あるいは、重複障害であれば、それぞれに応じたさらなる手だても必要になってまいります。
そうした意味では、やはり、ICTが入っても、結局は使えないよというお子さん、取り残されるお子さんがいないように、さらに現場の声を聞きながら、フォローをしていただきたいと思います。
寄宿舎の老朽化も進んでいます。
視覚で危険を察知、回避することが困難な児童生徒にとって、衛生的で整備された環境は不可欠です。
雨漏りなど、早急に対応すべきと考えますが、都教委のお考えを伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 都立学校の施設設備の状況につきましては、学校の要望や現地調査等を通じまして把握し、児童生徒等の危険防止や安全確保等の観点から、必要な改修を計画的に実施しております。
雨漏りなどの事案につきましても、個々の状況や児童生徒の障害の特性も踏まえまして、緊急度の高いものは迅速に対応しております。
また、都立学校の老朽化への対応につきましては、施設の建築年数や老朽化の度合いなどを総合的に勘案し、計画的に改修や改築を行ってございます。
○阿部委員 対応して問題が解消していれば、この質問はしておりません。対応するというだけではなくて、問題が解消するところまで、ぜひやっていただきたいと思います。
繰り返しになりますけれども、視覚に障害のある子供たちに衛生的で安全な生活の場を、都教委として責任を持って準備していただきたいと思います。
次に、特別支援学校の高等部向けの消費者教育について伺います。
知的障害のある生徒たちは、在学中あるいは卒業後に、消費者被害に遭ったり、あるいは詐欺事件に巻き込まれる、そういったリスクも少なくありません。
そのリスクを軽減するために、在学中から消費者教育に力を入れることが大切であります。
都立知的障害特別支援学校における消費者教育の取組と、昨年度、消費者庁が作成した教材の活用状況についてもお伺いします。
○小寺指導部長 都立知的障害特別支援学校高等部では、消費者教育について、家庭科の中で、基礎的な知識が生活経験と結びつけられるよう、生徒の実態に応じて、工夫して指導をしております。
また、都教育委員会は、消費者庁が作成したリーフレットを特別支援学校長連絡会等で周知し、その活用を促しております。
○阿部委員 犯罪に巻き込まれるリスク、それから性の問題、この二つというのは、本当に人生の大きな大きなリスクです。卒業後の人生を無事に過ごしていけるように、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
都立しいの木特別支援学校についてお伺いします。
千葉県にある東京都千葉福祉園児童寮及び袖ケ浦のびろ学園を利用する児童生徒が通学する施設提携特別支援学校であるしいの木学園、小学部、中学部では、のびろ学園児童生徒、高等部では、千葉福祉園とのびろ学園の子供たちが通っております。
現在、しいの木特別支援学校では、小学部五人、中学部五人、そして、高等部十九人が在籍していると伺っておりますけれども、都立千葉福祉園は、令和六年度末に障害児入所施設を廃止する方針であるとのことです。
しいの木特別支援学校については、保護者にどのような説明を行っているのでしょうか。
○落合特別支援教育推進担当部長 令和三年十二月及び令和四年二月に、検討の方向性につきまして、保護者へ説明を行ってございます。
○阿部委員 これ、もし千葉福祉園の方が計画どおり廃止をされるとなると、支援学校の方も閉校の可能性もあるということで、やはり関係者、保護者の方々の不安が非常に大きいというふうに聞いております。
もし仮に閉校するということになった場合に、転学あるいは入所施設などはどのように確保されるのか。また、千葉県立の支援学校に転学する場合には、住民票の異動が必要になってくるかなど、いろいろご不安に思っている点があるように聞いております。
都教委としては、どのような方針で臨んでいらっしゃいますでしょうか。
○落合特別支援教育推進担当部長 令和六年度以降につきましては、現在、検討を行っているところでございます。
○阿部委員 現在、検討中ということですけれども、ぜひ丁寧な対応をしていただきたいと思います。
都立八丈高校内に青鳥特別支援学校の分教室が開室をいたしました。今年五月に会派で八丈島を訪れた際、分教室も視察をさせていただきました。島で暮らしながら支援学校に通える貴重な存在だと思います。
現在は、一年生が二人、二年生が三人と伺っておりますけれども、島しょ部での高校の今後の展開について伺いたいと思います。
○落合特別支援教育推進担当部長 八丈分教室は、令和三年度から三年間のモデル事業で、高等学校の生徒との交流及び共同学習や、島内の団体、企業等と連携した進路指導などを通じまして、教育内容等を検証することとしてございます。
○阿部委員 島に住み続けることができるというだけではなくて、島の環境に引かれて、本土からといったらいいのでしょうか、転居して島のこちらの学校の方に通学するご家庭もあるというふうに聞きました。
また、特別支援の研修などの少ない島の事情なども勘案して、今後、八丈島を中心とした島しょ部の支援教育の底上げといったらいいのでしょうか、そうしたことにも、ぜひ役立てていただきたいと思います。
次に、医療的ケアについてお伺いしたいと思います。
先ほど、特別支援学校における看護師さんについて質疑がありましたけれども、私からは、専門性の向上という点でお伺いをしたいと思います。
まず、特別支援学校に勤務する看護師さんの専門性の向上についての都教委の取組を伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、都立特別支援学校に勤務する看護師の専門性の向上を図るため、毎年、人工呼吸器管理や緊急時対応等に係る実技研修を実施しており、今年度実施した実技研修では、延べ七十九名が参加してございます。
○阿部委員 区市町村立小中学校が医療的ケアを実施するに当たり、ここでも看護師さんを雇用しているところですけれども、この看護師さん、専門性の向上を図ることができるように、都教育委員会が区市町村教育委員会を支援することが重要であると考えております。
都教育委員会の取組を伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、夏季休業期間中に実施する医療的ケアに関する講習会に、区市町村立小中学校に勤務する看護師などが参加できるようにしており、今年度は、区市町村から看護師八名が受講いたしました。
○阿部委員 この講習に市区町村からも参加ができるというのは、大変ありがたいことだと思います。今後、数も増えていくということと、一方で、区市町村の看護師さんは、学校の中では一人職場になっていたり、なかなか研修の機会も少ないと思います。
単なる技術指導にとどまらず、学校と医療現場の文化の違いですとか、保護者の対応など、そうした悩みも共有できるような工夫をお願いしたいと思います。
次に、日本語指導が必要な子供たちへの教育体制についてお伺いしたいと思います。
文科省では、外国人の子供の就学実態を把握して、教育機会を確保するための全国調査を行いました。
まず、東京都内の外国人の子供のうち、義務教育段階の学齢期に当たる子供の人数とその就学状況をお伺いします。
○岩野地域教育支援部長 文部科学省の調査では、令和三年五月一日現在、東京都に在住する学齢相当にある外国人の子供の人数は二万六千七百二十人であり、うち小中学校に通う人数は一万八千六百六十一人、外国人学校に通う人数は三千三百九十五人でございます。
○阿部委員 今のご答弁から、東京都内には、小中学校にも外国人学校にも通っていない義務教育年齢の子供たちが四千六百六十四人、全体の約二〇%いると推定されます。これは、全国平均よりもはるかに高い値です。
義務教育段階の外国人の子供たちの二割が住む、この東京都。この問題は、まさに東京都の問題であるといえます。義務教育は区市町村の役割とはいえ、東京都全体で取り組むべき課題であると指摘をしておきたいと思います。
都立高校での日本語指導について伺います。
今年の予算特別委員会でも、私は、都立高校での外国に関わる生徒の教育に関する質問を行いました。そして、都立高校等の教員が様々な指導場面で活用ができるハンドブックを作成しているとご答弁をいただきましたが、進捗はいかがでしょうか。
今後のスケジュールについてお伺いします。
○小寺指導部長 日本語指導のための高校教員用ハンドブックは、今年度末までに作成いたします。
○阿部委員 そのハンドブック、生徒を取り巻く法的な環境は、非常に不安定です。
教員用ハンドブックには、在留資格や学校外の支援機関など、学校の先生がなかなか得意としない分野の情報についても掲載すべきと考えておりますが、予定する内容についてお伺いします。
○小寺指導部長 教員用ハンドブックには、外国につながる生徒に対して指導を行う教員にとって必要な情報を掲載する予定でございます。
○阿部委員 何を必要と考えているかというところが、まさに中心課題ではあるんですけれども、外国籍の、特に家族滞在の資格で日本にいる生徒にとっては、高校の卒業で在留資格を失う、そういった非常に大きな危機といったらいいんでしょうか、そうした可能性もあります。情報不足によって大きな不利益を被りかねません。
日本人にとってはなじみが薄く、かつ難解な制度ですので、適切なアドバイスができるよう、ハンドブック内あるいは別刷りのパンフレットなどでタイムリーな内容を解説するとともに、相談機関や専門家につなぐ必要があると考えます。ハンドブックも、それにつなぐ内容をぜひ掲載していただきたいと思います。
ところで、都内八校の都立高校に在京外国人生徒対象募集枠が設定されております。
工業高校については、区部の六郷工科高校、一校であるため、多摩地域の学校にも枠を設定すべきと考えますが、見解を伺います。
○村西都立学校教育部長 在京外国人生徒対象の募集枠につきましては、都内公立中学校における日本語指導が必要な在京外国人生徒数の推移に加えまして、募集校における入学者選抜の応募状況などを踏まえ、募集人員等を決定しております。
今後とも、適切に対応してまいります。
○阿部委員 今、応募状況は、決して高くないことは承知をしております。ただ、ご存じのとおり、法務省は、高校卒業時に就職内定が出ている高校生については、在留資格を家族滞在から特定活動に切り替えるということができる、そんな方針を出しております。これは非常に画期的なことでもあります。
高卒時に就職希望がかないやすいのは、圧倒的に今、工業高校です。だからこそ、工業高校、ぜひ枠を多摩地域でもつくってほしいというお話をしております。子供の人生を左右する不可欠な情報ですので、ぜひこうしたことを勘案して、学校の枠をつくっていただきたいと思います。
倍率が出ないのは、通学に不便だからという面もあるのではないでしょうか。
ぜひ、外国人が今増えてきているところでもありますので、法務省の方針を受けて、先手を取って準備を進めていただきたいと思います。
また、都立高校に対する進学についてもお伺いします。
NPO団体が今、在京外国人生徒向けの進学ガイダンス、通訳の方などもつけて行っておりますけれども、大変役に立っているというふうに聞いております。
ただ、これ、本来は都教委が開催すべきではないかと思いますが、見解を伺います。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会では、既に、主催する都立高校の合同説明会を実施しております。
その合同説明会において、在京外国人生徒の募集枠を設置している高校の相談ブースにおいて、入学後の支援等についての相談を行っているとともに、募集枠を設置する各校においても、個別に説明会を行っております。
また、お話のNPO団体が主催するガイダンスにつきましても、後援名義を出すとともに、区市町村教育委員会への周知等を行っております。
○阿部委員 ご承知のとおり、他県では県教委で主催をしている、県内各地で、いろいろなこうした説明会を行っているという例もあります。やはり今の関わり方では、まだ不十分なのではないかと思います。
今、後援名義などの話もありましたけれども、現在、まだNPOさんが手弁当で、通訳の方の謝金まで自腹で払って開催している状況ですので、ぜひスピーディーに改めて進めていただければと思います。
また、先ほどの数字でも出ましたように、日本語指導を必要とする、あるいは外国につながる子供たちは、東京都が圧倒的に多い状況となっております。
そんな中で教育を充実させていくためには、やはり教育庁の中に専管部署を設置して総合的に対応することが必要ではないかと思いますが、設置の見通しについてお伺いします。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 日本語指導を必要とする児童生徒への教育につきましては、関係部署がそれぞれ機能を果たし、適切に対応しております。
○阿部委員 それではもたなくなってきたのではないかということで、このような説明をさせていただきました。やはり数が増えてくれば、それなりに対応する人たちも、人材をそろえていく必要があります。
最初にハンドブックの話もさせていただきましたけれども、これもハンドブックが完成したら、今度は、各学校において活用する先生方も必要になってきます。特別の教育課程というものも始まります。となると、こうした活用を行っていく責任者も必要になってくるのではないでしょうか。
コーディネーター役を定めていく、あるいは、新年度からは各学校での校務分掌の中で位置づけていく、そうしたことでないと、新しいものというのは、学校の中で新しい仕事が根づいていくということは大変な状況になって、なかなか進まないのではないでしょうか。今のうちから、校務分掌の位置づけということも含めて準備を進めていただくことを強く求めたいと思います。
さて、学びの保障についてもお伺いをしていきたいと思います。
令和二年の国勢調査では、最終学歴が小学校である小卒者の調査を初めて実施いたしました。八十万人に上ることが判明し、政府は、慌ててといいますか、早急な対応に乗り出しているところです。
東京都における最終学歴が小学校の方の人数と、その年代別の内訳についてお伺いしたいと思います。
○岩野地域教育支援部長 令和二年国勢調査では、東京都における最終卒業学校が小学校の者は三万二千二百七十六人でございます。
年代別では、十代が十九人、二十代が百三十七人、三十代が三百人、四十代が五百三十人、五十代が五百五十五人、六十代が五百八十五人、七十代が千二百九十一人、八十歳以上が二万八千八百五十九人でございます。
○阿部委員 今の数字から、八十歳以上が約九割を占めるものの、五十代以下の方々も千五百人を超えているという数字でした。
義務教育を修了しないまま学齢期を経過した方の受皿として、夜間中学が重要な役割を担うと考えていますが、都の見解についてお伺いをいたします。
○岩野地域教育支援部長 中学校夜間学級は、都内では八つの自治体に設置されており、学齢を超過した義務教育未修了者の方等に対し、就学の機会が提供されております。
○阿部委員 夜間中学が八校、都内にあるというのは、確かに、他県に比べれば数は多いかなというふうに思います。ただ、都民への情報というのは、必ずしも十分ではありません。
設置自治体と連携して広報に努めるとともに、義務教育未修了となった背景も勘案しながら、東京都として多様な学習保障を進めていただきたいと思います。
先ほども少し触れましたけれども、令和三年度児童生徒の問題行動調査が十月二十七日に公表されました。
小中学校の不登校児童生徒は二万一千五百三十六人と、前年度の一万七千六百八十八人から二〇%も増加しています。
また、このほかに、新型コロナ回避のための長期の欠席も一万人を超えております。
また、都立高校全日制では九千四百九十八人と、前年度の二・五倍、激増しております。
ここでは慎重な分析が必要と考えますので、本日は都立高校中退の問題を取り上げたいと思います。高校の長期欠席については、また別の機会に取り上げたいと思います。
都立高校における中途退学者及び退学率、そして、その理由について伺います。
○小寺指導部長 文部科学省の調査では、昨年度の都立高校全日制における中途退学者は九百七人で、退学率は〇・八%、また、定時制では五百五十五人で、五・七%でございました。
この調査におきまして、中途退学の主な理由といたしましては、全日制、定時制ともに、在学校以外への進路を積極的に希望した者が最も多く、続いて、学校生活や学業への不適応、学業不振の順になってございます。
○阿部委員 九百七人ということでありますけれども、他の学校に空白期間なく転学した者は中退者には含まれない。また、全日制、定時制の中退者千四百六十二人のうち、進路変更以外の者が計八百七十九人と過半数を占めているということは、数字として押さえておきたいと思います。
その上で、都立高校の中途退学者に対し、都教委としてどのような支援を行っているのでしょうか。
○岩野地域教育支援部長 都立高校を中途退学した者に対し、ユースソーシャルワーカーによる支援と併せ、学びのセーフティネット事業を通じ、高校への再入学に向けた学習支援や生活相談等を実施しております。
○阿部委員 それでは、今の学びのセーフティネット事業の利用対象と参加人数をお伺いします。
○岩野地域教育支援部長 学びのセーフティネット事業の対象者は、都立高校を中途退学した者や、都立通信制課程の生徒及び不登校の生徒等でございます。
令和三年度、都内三か所において四百八十七名が参加いたしました。
○阿部委員 実際には、この事業、通信制課程の生徒さんの利用が多いというふうに聞いております。実質的には、サポート校的な役割も果たしているのかなというふうに思っております。
この通信制高校ですね、先ほど、直接転学した場合には中退者の中に入らないというようなお話もさせていただきました。また、都立の通信制高校というのが、高校を中退しかかった、あるいは中退した生徒さんにとっても、ある意味、セーフティーネットとして機能している部分もあるかと思います。
ただ、通信制高校に入ったからといって、なかなか卒業に結びつくわけでもない。また途中で学びの場から離れてしまうお子さんも少なくないというふうにも聞いております。
通信制高校入学者のうち、卒業に至る生徒の割合についてお伺いします。
○小寺指導部長 通信制高校は、生徒個々の事情により、入学や転学、編入学、卒業の時期が異なりまして、年間を通じて在籍生徒数が流動的であるため、ご質問をいただきましたような割合については算出いたしておりません。
○阿部委員 算出をされていないということであります。
ただ、先ほども申し上げたように、通信制高校というのは、ある意味、学校教育としては最後のセーフティーネット的なところもあります。この関係が切れない努力というのは、現場の方ではかなりされていることと思います。
私立の通信制高校では、在籍者の卒業率を出すというのが、ある意味、当然になっている部分もありまして、先ほどご答弁がありましたような、ちょっと計算のしにくさというのはあるかと思いますけれども、一定の基準を決めて、それを経年で見ることによって動向をつかみ、そしてまた、その数字、在籍者の追跡を行っていく、そして、適切なフォローあるいは政策につなげていくということは、ぜひ必要であるかと思います。
そういった意味で、現場の先生方は大変努力もされているかと思いますけれども、それを可視化して政策につなげていくという意味で、通信制高校の子供たちの卒業に至る割合と努力というものを形にしていただければと思います。
最後の質問になります。
東京都内の登録有形文化財についてお伺いしたいと思います。
東京都内にあります国の登録有形文化財の建造物の登録数と、過去五年間の新規登録数、抹消数について伺います。
○岩野地域教育支援部長 国の公表資料によると、令和四年十月一日現在、都内の国登録有形文化財のうち、建造物の登録数は四百二十一件でございます。
新規登録数は、令和三年度十二件、令和二年度二十二件、令和元年度七件、平成三十年度十八件、平成二十九年度二十八件です。
抹消数は、令和三年度五件、令和二年度二件、令和元年度四件、平成三十年度六件、平成二十九年度ゼロ件でございます。
○阿部委員 毎年、新規登録がある一方で、少しずつ都内の文化財が抹消されている、そして消えているということが表れていたかと思います。
修繕などに係る都の支援策と、過去五年間の実績、周知方法について伺います。
○岩野地域教育支援部長 都教育委員会では、国の登録有形文化財の保存と活用を図るため、修理に係る設計監理や公開活用に要する経費について、国の補助額に上乗せして補助を行っております。
都による補助の実績は、令和三年度が四件、令和二年度が六件、令和元年度が三件、平成三十年度が二件、平成二十九年度がゼロ件です。
毎年度、区市町村に対し、文化財の所有者等の保存等に係る補助事業計画の集約を依頼する際、併せて補助制度を周知することにより、所有者等にその活用を促しております。
○阿部委員 東京都で上乗せ補助をしていることは評価したいと思います。ただ、実際には件数は極めて少なく、毎年のように抹消があるというのは、先ほども申したとおりです。
そのために、例えば、毎年、台風のために壊れてしまったものを自腹で直していくというような地道な努力を所有者の方々で行っているとともに、先ほどおっしゃったような支援の情報というのは、必ずしも所有者の方々に届いているわけではありません。
そうした意味では、周知の方法、あるいは、所有者さんの団体などもございますので、ぜひ東京都の文化財を守っていくということに力を入れていただきたいと思います。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○入江委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
午後七時四十三分休憩
午後八時十四分開議
○入江委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○桐山委員 ミライ会議の桐山ひとみです。
私たちは、田の上いくこ議員、そして米川大二郎議員と三人で会派を申請させていただきまして、新たに、この文教委員会として参加をさせていただきます。
今回、スピーキングテスト一本ということで質疑をさせていただきますが、立場が少し変わっております関係から、厳しいことも申し上げると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
英語スピーキングテストの都立高校入試の活用には、私たちは反対の立場です。なぜなら、入学者選抜におけます平等性、公平性確保がなされていないからです。
受検生の間に、都内の公立中学校の生徒か、そうでない生徒ということで、社会的身分による教育上の差別が存在すること及びスピーキングテスト、GTECで有利ですよね、訓練できる中学生と、そうではない中学生の間での経済的格差による、経済的地位による不平等が存在をしていること。憲法や教育基本法の平等の原則にも反しているのではないかと、これまでも申し上げております。また、教育基本法第十六条第一項、教育は、公正かつ適正に行われなければならないことにも反しているというふうにも申し上げています。
スピーキングテストを受けない者への得点の付与に合理的根拠もなく、仮想得点の付与により逆転現象が起こり得ること、採点は、ミスがあっても気がつかないお任せで、ブラックボックスといわれても仕方がない。
あまりにも情報も開示しない状況であり、不平等で、不公平で、問題が多く存在するスピーキングテスト導入ということで、何としても私は止めたいというふうに考えている次第です。
教育庁は、組織で決定をしていると、逃げを打たれています。官僚組織の権限の体系であると同時に、責任の体系です。
そこでまず、法律的な事項について確認をさせていただきたいと思います。
これは、事実関係や政策を聞くのではなくて、単なる法律的な理解であるので、明確にお答えができるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず最初に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第十三条第一項及び第二項は何と書いているのか、伺います。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第十三条でございますけれども、第一項は、教育長は、教育委員会の会務を総理し、教育委員会を代表する、第二項は、教育長に事故があるとき、または教育長が欠けたときは、あらかじめその指名する委員がその職務を行うでございます。
○桐山委員 そのとおりです。教育長ということが明記されています。
次に、同じく地方教育行政の組織及び運営に関する法律第十七条第一項及び第十八条の第一項は何と書いてあるか、伺います。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第十七条でございますけれども、第一項は、教育委員会の権限に属する事務を処理させるため、教育委員会に事務局を置くでございます。
もう一つは(桐山委員「十八条第一項です」と呼ぶ)失礼いたしました。地方教育行政の組織及び運営に関する法律第十八条第一項でございます。
都道府県に置かれる教育委員会の事務局に、指導主事、事務職員及び技術職員を置くほか、所要の職員を置くでございます。
○桐山委員 ありがとうございます。今の規定は事務局ですね。教育委員会の事務局を置くという規定がなされておりまして、十八条は、教育委員会の中に、事務局で指導主事、事務職員及び技術職員を置くほか、所要の職員を置くというふうに規定されています。
次に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第十八条の第一項の教育委員会の事務局の指導主事、事務職員及び技術職員、その他所要の職員は、上司の命を受け、事務に従事することが同条第三項、第四項、第五項に規定されていますが、この法律上の、教育委員会において最も上位に位置する上司とは誰なのか、伺います。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 今ご指摘のありました、教育委員会に置かれる職員の事務局の長という趣旨でございますけれども、教育長でございます。
○桐山委員 その最も上位に位置する上司は教育長です。
次に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十二条は、長の職務権限について定めております。
東京都において、この法律に規定する長とは誰のことなのか、伺います。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 地方公共団体の長は、都においては都知事でございます。
○桐山委員 ありがとうございます。
次に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十二条の第五項は、教育委員会の所掌に関わる事項に関する契約を結ぶことは長の職務権限であると定めていますから、東京都教育委員会とベネッセとの契約の職務権限は浜教育長にあるということ、すなわち契約の締結の責任者は浜教育長であるということでよろしいのか、伺います。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 ただいまご指摘のありました第二十二条の規定につきましては、地方公共団体の長の権限を定めておりますので、都知事の権限を定めた条項ということになります。
○桐山委員 ありがとうございます。浜教育長ではなく、都知事というご答弁をいただきました。
次に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十一条第一項は、教育委員会の職務権限について定めていますが、東京都において、この法律に規定する教育委員会とは、誰によって構成されているのか、伺います。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第三条によりまして、教育委員会は、教育長及び教育委員によって組織されております。
○桐山委員 次に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十一条第四項は、学齢生徒及び学齢児童の就学並びに生徒、児童及び幼児の入学、転学及び退学に関することは教育委員会の権限事項であると定めていますから、英語スピーキングテストの実施の結果の都立高校入試への活用の責任者は、浜教育長及び四人の教育委員によって構成される教育委員会であるということでよろしいですか。ご答弁をお願いいたします。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 ただいまご指摘がありましたとおり、入学者選抜に関する事務につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律などに基づき、教育委員会が管理し、執行することとされておりますので、都教育委員会として決定し、その責任において実施するものでございます。
○桐山委員 ありがとうございます。今のスピーキングテストの結果については、四人の教育委員と浜教育長が構成する教育委員会であるということで確認をさせていただきました。
次に、英語スピーキングテストの実施の結果の都立高校入試への活用は、教育委員会では報告事項とされ、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第十四条第三項に規定する議決を行っていないと承知をしていますが、その場合においても、英語スピーキングテストの実施の結果の都立高校入試への活用の権限と責任は、浜教育長と四人の委員によって構成される教育委員会にあるということでよろしいでしょうか、伺います。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都教育委員会の権限に属する事務に関する事案の決定権限につきましては、東京都教育委員会事案決定規程に基づきまして、教育委員会であり、教育長であり、部長など事務局等に合理的に配分されているところでございます。
なお、事務局で決定した案件につきましても、教育委員会定例会には適宜報告しておりまして、教育委員と議論の上、スピーキングテストも含めて適切に事業を執行しております。
先ほどのご指摘のとおり、前の答弁のとおりでございますけれども、管理し、執行する責任につきましては、都教育委員会が責任を持ってやっているということでございます。
○桐山委員 ありがとうございます。
法の規定を質問させていただきましたが、これまでご答弁の中で、組織で決めた、みんなで決めたということで、なかなかその責任の所在がはっきりしておりませんが、今のご答弁によりますと、法の規定によりますと、教育委員会であって、浜教育長が教育行政の第一義的責任者であるということを確認させていただきました。
次に、文部科学大臣の発言について、少し触れておきたいと思います。
国では、令和元年十一月、十二月に、大学入試英語成績提供システム及び大学入学共通テストにおける国語、数学の記述式問題の導入見送りが発表されました。これを受けて、大学入試のあり方に関する検討会議が令和元年十二月に文部科学大臣の下に設置をされ、令和三年七月八日に提言が取りまとめられました。
永岡文部科学大臣は、今年十月十四日の記者会見で、東京都の試験になりますと、入試の試験になりますと、やはり通常の英語教育と、やはり試験に特化した英語の試験、これは大分話が違うかなというふうに思っております、スピーキングテストを実施したいという気持ちは理解できます、しかしながら、それが現実にできるかどうか、それが有効に活用できるかどうかというところは、またちょっと質が違うのではないかというふうに感じておりますとの発言もされているところです。
国では、大学入試のあり方に関する検討会議の報告書を受けて、大学入学者選抜協議会の下に、大学入学者選抜における総合的な英語力評価を推進するためのワーキンググループで検討もされていることから、当然の発言なのかなというふうにも考えております。
そこで、教育委員会は、国での検討状況や、また、文部科学大臣の発言をどう考えているのか、伺います。
また、国の検討状況や永岡文部科学大臣の発言を受けてもなお、英語のスピーキングテストの都立高校入試への活用を見直さないとすれば、独善に過ぎると考えますが、見直しをする考えはないか、見解を併せて伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 まず、国の大学入試制度についての検討につきましては、大学の共通テストにおいて民間の試験を活用するという仕組みについて議論されたものだというふうに理解をしております。
先ほどの答弁とも重複いたしますけれども、そこの中では、経済的な格差の問題、あるいは種類の異なる試験を同時に使うこと、あるいは特別支援等々への配慮等々の課題が指摘されまして、大学の共通テストとして使うことについては取りやめるとし、国立の二次試験あるいは私学の試験等々で活用するという方向で示されているというふうに理解をしています。
また、直近の文科大臣の発言につきましては、大臣の発言についてコメントする立場にはございません。
○桐山委員 そうですね、この共通テスト、英語の民間テスト導入について見送られた経緯で、今、国の方でも検討されていたかと思います。その中でも、やはり社会的な格差ですとか、あるいは経済的格差といわれている部分については、これまた英語スピーキングテストでも、あまり変わりがないといいますか、同じではないか。まだそこが解消されていないのではないかというような、まだまだそういった課題が残されているということはいうまでもないかというふうに思います。
次に、受験の機会の平等性について質疑をしていきたいというふうに思います。
国の検討会議の中の対比ということで、東京都と対比をしながら質疑をさせていただきます。
大学入試のあり方に関する検討会議の報告書では、原則〔2〕として、受験機会、選抜方法における公平性、公正性の確保が掲げられ、特に試験問題の作成や採点をはじめとした試験実施業務において、外部の機関や専門家の協力を得ることについて、機密性、中立性、利益相反の観点から疑義を持たれないような仕組みを十分慎重に構築して行うことが不可欠である、このことは、受験生が安心して受験できるようにするための重要な前提であるということも指摘をされています。
具体的には、大学共通テストへの記述式問題の見送りの段階で指摘された課題の一つとしては、民間事業者の活用に伴う利益相反の懸念の指摘が大きくあります。
大量の答案の採点を短期間に行う必要があったことから、一般競争入札を経て、大規模試験の採点実績がある民間事業者に記述式問題の採点業務の一部を委託したが、当該事業者は、参考書等の販売事業を行う民間事業者のグループ企業であった。
大学入試センターは、採点事業者に守秘義務を課し、採点業務の遂行に伴って知り得た一切の情報について、第三者への漏えいや目的外使用の禁止、これらに反した場合の損害賠償等を規定した契約の締結、採点事業者が雇用する採点者等に対し、試験実施前に試験問題及び試験問題を類推できる情報を開示しないこと等を定めた機密保持契約の締結により、採点作業に関する機密性を保つ体制の確保を図ったが、機密の漏えいや、それに伴うグループ企業間での利益相反が生じるとの懸念が指摘されたというふうにされたわけであります。
そこで、教育委員会に伺いますが、大学入試のあり方に関する検討会議で、受験機会、選抜方法における公平性、公正性の確保が不可欠であるというふうに述べられております。
公立中学校の生徒は、英語スピーキングテストを受けなければ、その得点が零点になるのに対して、国立、私立の中学校の生徒は、英語スピーキングテストを受けなくても仮想得点を得られるという仕組みは、公平、公正な受験制度であると考えているのか。また、考えているとすれば、その理由を明確にお答えください。
○村西都立学校教育部長 スピーキングテストは、都教育委員会が都内公立中学校三年生を対象として実施するものでございまして、公立中学校の生徒で、事故や病気等、やむを得ない理由で受験できなかった生徒には、おっしゃっている不受験者の措置を行い、得点を付与いたします。
また、スピーキングテスト実施以降に都立高校入試を受検することになった国立、私立中学校の生徒や、吃音や緘黙等の障害、疾患のある生徒らに対しても、不受験としての措置を行うこととしております。
いずれにいたしましても、都教育委員会としましては、こうした様々な事情、状況にある多様な生徒が受検する都立高校入試におきましては、こうした措置が必要であると認識しておりまして、合理的かつ最善の方策であると考えているところでございます。
○桐山委員 これまでも何度か、合理的で最善の方策であるということでご答弁をいただいているところでありますけれども、ともすれば、都立高校入試に英語スピーキングテストを導入するならば、志望校に願書を提出した全ての受検生に、平等に英語スピーキングテストを実施すべきだというふうにも考えますけれども、その見解についても伺いたいと思います。
○村西都立学校教育部長 委員がおっしゃるとおり、全て同一の条件で一律に実施することができれば、それは理想形である。それは私もそう思います。
都立高校入試を受検する生徒の中には、スピーキングテストの実施日以降に都立校入試を受検することになった国立中学校の生徒や、吃音、緘黙等の障害、疾患のある生徒、また、お話ししました、事故、病気等のやむを得ない理由によりスピーキングテストを受験することができない生徒などが存在いたします。
こうした様々な事情、状況にある多様な生徒が受検する都立高校入試におきましては、テストの不受験者に対する措置が必要でございまして、合理的な最善の方策であると考えております。
○桐山委員 都立高校の志望校に願書を提出する前に英語のスピーキングテストを実施するとしても、大学入試のあり方に関する検討会議の報告書を踏まえるならば、同日に同一問題で英語スピーキングテストを行うことは困難であり、都立高校入試においても、外部検定試験の活用について、関係者の意見を聞きながら再検討すべきであると考えますが、見解を伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 ご指摘の大学入試のあり方に関する検討会議、こちらは、複数の日程の様々な問題によります民間の資格、検定試験をそのままの形で活用し、英語の四技能を評価するという手法に関する提言であるというふうに理解をしております。
一方で、スピーキングテストは、都教育委員会が主体となりまして統一的に行うテストであり、外部有識者を含む検討委員会などにおきまして、同一日、同一問題で実施する方策について検討を重ね、資格、検定試験において実績のある資格、試験団体の知見、技術を活用する現在の方法で行うこととしたものでございます。
○桐山委員 次に、国立、私立の中学校の生徒の英語スピーキングテストの受験について触れていきたいと思います。
今般、教育委員会は、今年九月になって、突然、国立、私立の中学生に対しても、英語スピーキングテストを受けることができるといたしました。これまでは不受験者扱いだったということだと思います。
国立、私立の中学校の生徒に対しては、この英語スピーキングテストはアチーブメントテストですか。お答えください。
○瀧沢指導推進担当部長 アチーブメントテストでございます。
○桐山委員 私立、国立の生徒さんも、これはアチーブメントテストだというご答弁をいただきました。
令和四年度中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)実施要項によれば、その目的は、都内公立中学校、中等教育学校前期課程、義務教育学校後期課程及び特別支援学校中学部−−以下、中学校という−−における生徒の英語、話すことの力を評価し、英語教育の充実や改善に役立てる。
(2)として、都立高校入学者選抜において、英語、話すことの能力についてESAT-Jの結果を活用し、義務教育の学習の成果を的確に測定するというふうになっております。
そこで、学校教育法第四条第一項第三号により、私立の幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校は都道府県知事の所管となっており、東京都教育委員会が私立の中学校における生徒の英語、話すことの力を評価し、英語教育の充実や改善に役立てるというのは、権限を逸脱する行為と考えますが、教育委員会の見解を伺います。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 今回の取扱いにつきましては、都の教育委員会が実施いたします英語スピーキングテストについて、国立、私立の中学校の生徒も受験を可能とするというものでございまして、都教委の権限で実施できるものと考えております。
○桐山委員 ありがとうございます。
そうすると、今ご答弁の中で、都教委の権限の中でできるというご発言があったと思いますけれども、アチーブメントテストというのであれば、今までのご答弁でいくと、スピーキング力がどこまで到達しているかなと、到達度を測るテストであるというふうに伺っております。
そうすると、受検として考えないのであれば、私立の子でも自分の力を知りたいですよね。そうなったときに、そうしたら、都内の国立、私立の中学校の全員をアチーブメントテストとして対象にしてあげたらいいじゃないですか。その権限でできるんですよね。
ということになりませんでしょうか。そのあたりについていかがですか。
○瀧沢指導推進担当部長 委員のご指摘のアチーブメントテストであるかどうかというご質問に対する回答にもスタートとしてあると思いますけれども、アチーブメントテストというのは、いわゆる到達度を測るテストであるという意味であったり、あるいは、いわゆる目標に準拠するテストであるということで、いわゆる絶対評価のテストであるということ。絶対評価は目標に準拠する。
それに対して、入試などは、集団に準拠する相対的なものでありまして、そういう意味で、国立、私立の生徒にとっても、このスピーキングテストのいわゆるスペック、試験の成り立ちから考えれば、アチーブメントテストであるということを答弁したものでございます。
ですので、それを国立、私立の方にも受ける機会を提供したということでございまして、先ほどの政策担当部長からのご説明につながるということでございます。
○桐山委員 今のご説明を聞いていましても、あくまでも公立の中学生は、基本、全員が受けるということで、アチーブメントテストであるというふうに、これまでも何度もアチーブメントテストであるよということを伺っておりますけれども、一方で、国立、私立の中学生にとっては、今回、受けても受けなくてもいいという選択肢を与えられている中で、英語スピーキングテストは、はっきりいって都立高校の入学選抜のための試験以外の何物でもないのではないかというふうに解釈するしかないと思っているんですよね。
都教委は、あくまでもアチーブメントテストですというふうにおっしゃっておりますけれども、私立の学校にしてみたら、いやいや、うちはアチーブメントテストはやっていませんよとか、それぞれのやり方があるわけですから、そこにやっぱり手を突っ込んでいいのかという議論になるんじゃないかなというふうに思っているんです。
ですので、これ、深掘りしていくと、じゃあ、私立のアチーブメントテストというのであれば、本来だったら、所管局である生文ですよね。生活文化スポーツ局の予算でこれまで、例えば子供を笑顔にするプロジェクトの私立分は、生文の予算に措置していませんか。
今回、私立に関する、受験をされる受験費用は公費で賄うというふうに伺っておりますけれども、それは不公平じゃありませんか。
試験で導入する部分については、教育が予算措置できるんですよねということになるんですけれども、そこは越権行為ではないですか。大丈夫ですか。
その辺についてお答えください。
○瀧沢指導推進担当部長 委員、繰り返し引用されています、いわゆる義務教育卒業段階での英語のスピーキング力を測るテストとして実施するというのは、都教育委員会が都内の公立の中学生を対象として実施する施策としての目的であります。
同時に、国立、私立に通う生徒についても、都立高校を受検するということを予定している場合には、受験の機会を提供するという趣旨で、受験機会の仕組みを整えたという整理でございます。
ですので、国立、私立については、もちろん、それぞれが学校法人の下で運営されているわけですけれども、それに対して、何か都教育委員会が手を突っ込むというようなことを想定しているものではありません。
○桐山委員 さらに、国立、私立の中学校に対して、英語スピーキングテストの結果を調査書に記載させるよう指示することは、これも教育委員会の越権行為になるんじゃないかなというふうに考えるんですけれども、教育委員会の見解を伺います。
○村西都立学校教育部長 先ほど来、出ている地教行法によりまして、都立高校の入学者選抜を行う権限は都教育委員会にございます。
したがいまして、都教育委員会が、選抜に用いる調査書について、その様式を定め、選抜する生徒の中学校に記載をお願いしても、それは越権行為にはなりません。
○桐山委員 分かりました。
また、今回、私立、国立の中学校の、積極的にスピーキングテストの結果を活用したい場合、スピーキングテストの受験を可能としている生徒に関しまして、受験の申込みをしたにもかかわらず、やむを得ない理由がなく欠席した場合、不受験者に対する措置もなく、点数は零点となりますというふうにしているかと思うんですけれども、私立、国立に対する、もともと試験を受けなくても仮想得点を得られる生徒については、一旦、受験申込みをしたけれども、やっぱりやめたといった場合も、これは零点にするということは、明らかにペナルティーを科すようなことになるのではないかなというふうに思うんです。
私立、国立についての、そもそも不受験者扱いだったのですけれども、それを、選択肢を与えたことによって、また様々な想定が起こり得る状況をつくっちゃったわけなんですけれども、それに対して、私立、国立の生徒に合理的な配慮みたいなものがつくられているのかどうなのかということを改めて伺いたいと思います。
○村西都立学校教育部長 すみません、恐縮でございます。委員ご質問の趣旨についてでございますけれども、私立、国立の生徒が受験申込みをして、やむを得ない事情もなく受験しなかった場合の取扱いと。それは不受験者の換算措置はいたしません。
私立、国立の生徒が今選べる状態というような形になりましたけれども、これは個々の事情に基づいた形で、こういう判断をしております。
私立、国立の生徒は、スピーキングテスト実施以後に、自分の、自らの高校に上がれるかどうか、進路決定がスピーキングテストの実施日以降に決まる生徒も多いという現実がありますので、その方たちには不受験者の措置というものを用意しておかないと、ある意味、著しく不利益を与えるということでございます。
初めから都立高校を検討している受検生に対しては、積極的な受験を勧奨しているというところでございます。
○桐山委員 すみません、ごめんなさい。今のに少し関連するんですけれども、そうすると、国立、私立の子で、積極的に受験をしたんだけれども、やむを得ず、その日、病気になったりとか、公立中学校と同じように、そういう子たちには、合理的な配慮という形で点数を付与する制度を設けているのかどうなのかというのはお伺いしたいと思います。
○村西都立学校教育部長 すみません、失礼しました。
やむを得ず欠席というか、不受験になった場合には、不受験者の換算措置を行います。
○桐山委員 分かりました。ありがとうございます。
それでは、次です。
大学の入学試験に活用する場合の採点のことについて、質疑を進めたいというふうに思います。
入学試験は、ふだんの授業の、どのぐらいいっているのかなというのを測るアチーブメントテストですよね。到達度を測るということでアチーブメントテストということで、入学試験の場合は、アチーブメントテストとは違って、一発勝負で一点を争う競争試験だというふうに考えております。
しかも、大学受験とは異なって、浪人はほとんどありません。
このような性格を持つ入学試験には、受検生が納得するような平等性、公平性が欠かせません。特に、採点の透明性は不可欠です。
大学入試のあり方に関する検討会議の報告書の中でも、記述式の問題の採点についてですが、民間事業者に採点業務の一部を委託する仕組みを取ったことについて、一月中旬の二週間という限られた期間に、質の高い採点者を大量に確保できるのかが疑問視された、このことについて、採点事業者からは、これまでの実績に基づき、確保は可能との見通しが示されたものの、実際の採点者は、大学入学共通テスト実施の前年秋以降に試験等により選抜し、さらに必要な研修を行うというプロセスを経て確定するため、採点体制を前もって具体的に明示することができず、受験者をはじめとする関係者の不安払拭には至らなかったというふうにも述べられています。
そこで、採点については、ベネッセの関連会社の、そのまたフィリピンの会社で行うということがいわれているわけですが、教育委員会は、現地まで行って確認をされたと伺っております。
質の高い採点者を大量に確保できると確信されているようですけれども、その確信している理由と根拠を伺います。
また、具体的に何人が採点に当たって、また、答案の一人当たり採点にかける時間がどのぐらいなのか、お示しをいただきたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 事業者とは、基本協定、実施協定に基づきまして、期間内に公平、公正に採点を完了するということを課しております。かつ、去年もプレテストで大規模の採点を完了しているということについても検証をしています。
確信している理由といいますか、それは、そのスタッフを採用し、準備をしているということで、実際に確認をしているということでございます。
○桐山委員 実際、現地に行かれて確認をしてきて、大丈夫だというふうにおっしゃっていると思うんですけれども、どういった採点に対する体制が取られているのか、もし明らかにできるものがあったら、お答えください。
○瀧沢指導推進担当部長 体制という言葉ですけれども、まず、採点に当たりましては、これは今までも繰り返しお話をしてきているところですけれども、大学の学位を持ち、かつ英語の教授法の資格を持つ、これは先ほどお話ししたようにTESOLというものですけれども、これを持つなど、英語力かつ英語教育に関する専門性を有する者という、まず条件をかけ、そして事前に研修を実施することにより、ごくごくトップの者のみ、この採点を行うということにしております。
また、現地に行って確認してきたことということに関していいますと、情報管理を徹底した環境であり、もちろん、セキュリティが何重にも万全になっているという環境の中で、承認システムを経ないと中に入れないというセキュリティ体制を取っていること等も含めて、厳重な体制の中で行うという環境についても、併せて確認をしております。
また、採点に当たっては、具体的には、公表しております採点基準に従い、複数の採点者によりまして評価を行い、確定するということで確認をしております。
○桐山委員 東京都のQ&Aの中で、誰が採点するのですかですとか、あと、公平な採点ができるのですかということで、Q&Aとして述べられている中の一つでご答弁をいただいているんだと思うんですが、その中で、今もご答弁いただいた中で、事前に採点に関する研修を受けてというふうに述べられておりましたが、事前に採点に関する研修を受けてとは、研修を実施する団体はどこで、どのような人が講師になって、どのような研修内容を何日間受けられるのか、このあたり、具体的にお示しをいただきたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 研修は、フィリピンの採点センターで実施をしております。
具体的にどのような内容で行っているかということにつきましては、採点に係る秘匿事項にも関わりますので、ここで申し述べることは差し控えたいと思いますが、都教育委員会が五月と十月に現地を訪問し、その研修の様子も確認しておりまして、スピーキングテストの採点に向けた内容、期間等については、直接確認をしています。
○桐山委員 この採点のことについては、やはりブラックボックスである、不透明だよねという声がかなり多く聞こえてくる中で、やはりこのあたりをきちっと−−本当に採点がぶれなくできるのかということですとか、あるいは、今、都教委が、事前に採点に関する研修も受けて、もうばっちりなんだよ、大丈夫なんだよというようなこの中身も、機密事項だから、なかなかお答えできないということですので、まだまだ分からないことが多いんだなというふうに思っている次第です。
また、複数の採点者による採点、審査を経て、結果を確定していますとありますけれども、結果を確定する責任者は、これは教育委員会ですか。それともベネッセでしょうか。それともベネッセの委託を受けたフィリピンの採点者が、結果を確定する責任者になるのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 採点につきましては、通常、どの検定試験でも、誰がどのように採点しているかというのは、秘匿事項で表されていないものが多いというふうに思いますが、都の議論等々も受けて、なるべく多くの人に理解いただきたいということで、先ほど繰り返しお話ししているような内容もお話をし、高い精度についてご理解をいただきたいという趣旨でご説明をしてきているところでございます。
最終的に評価、結果を確定する責任者は、都教育委員会でございます。
○桐山委員 結果を確定する責任者は教育委員会だということでした。
それから、先ほどから申し上げている、機密事項であるからなかなか、それでもここまで出しているんだよというご答弁だったと思うんですが、採点体制を前もって具体的に明示をすることが必要であるというふうに私は考えております。
フィリピンの採点者の固有名詞を公表することなんかは、全く必要はありません。
フィリピンの会社の名前や社員の人数、採点者の人数及び研修内容などについては、私は公表すべきではないかというふうに思っております。
公表できないのであれば、採点体制を前もって明示することができないのかということになりますが、これは何度も繰り返しになると思いますが、公表できない理由は何ですか。
○瀧沢指導推進担当部長 委員ご指摘の体制というのがどのようなものをイメージしているかにもよるかと思いますけれども、先ほど来、お話をしていますように、専任の採点者、その選定、それから研修システム、そして、複数で、かつ明確な基準に基づき採点を行い、万が一、採点が異なった場合にも上位者が見るというシステムを導入するという形で採点を行うという体制であるということについてはお話をしてきているところでありまして、公平、公正な採点のために必要なものにつきましては、通常のほかの、いわゆる客観テストとは異なる、例えば記述式あるいは面接、実技等々にも準じて、十分に正確性の高い採点の方法を採用している、その体制を構築しているというふうに理解をしています。
○桐山委員 体制については、るる述べていただいたのではないかなというふうに思いますが、学力試験の採点の採点者の具体的氏名というものは、あくまでも公表はされておりませんが、志望する都立高校の校長が責任者となって、校長、副校長、主幹教諭だとか、指導教諭だとか、いろいろありますけれども、採点委員会が行うということがしっかりと明記をされていて、その中で、採点の責任者は都立高校の校長で、責任の所在は明確なんですよね。受検者は、こういった、採点が適切かつ公正に行われることを、一応、信頼することができます。
それでも採点ミスが起こっている現状があるわけですから、わざわざフィリピンで採点をするということが、やはりぶれなく採点ができるのか、あるいは、採点ミスは誰がどこでチェックができるのかということも明らかにされておりませんので、この辺についてもまだまだ不明瞭だなということをいわざるを得ません。
次に行きますが、教育委員会では、英語スピーキングテストの高校入試への活用に当たっては、複数の視点で組織的、多層的に採点を行う体制の構築を行うことをベネッセに指示をしているのか、伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 採点に当たっての体制につきましては、先ほど来、繰り返しお話をしていることですけれども、これは、協定に基づき、採点を行う上で、両者で合意をして行っているものでございます。
○桐山委員 教育委員会では、英語スピーキングテストの高校入試への活用に当たっては、品質管理専門チームの設置を行うことをベネッセに指示したのか、伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 事業者は、都教育委員会との基本協定や実施協定に基づき、本事業を適正に行うことというふうにしております。
○桐山委員 教育委員会では、英語スピーキングテストの高校入試への活用に当たっては、ダミー答案の活用や無作為抽出によるチェック等を行うことをベネッセに指示しているのか、伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 採点の基準に従い、複数の専任者による採点、審査、抽出による点検を経て、評価を確定しております。
方法については、委員お話しのような幾つかの方法があるかと思いますが、どのような方法かについては、秘匿事項なので、ここで申し述べることは避けますけれども、確定するに当たっては、都教育委員会がしっかりと確認をしております。
○桐山委員 教育委員会として、約八万人の答案を短期間に採点する中で、先ほども何度も申し上げていますが、採点ミスをゼロにすることができるという、この確信を持たれた理由、根拠を伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 採点ミスがないように、どのようにシステム、制度を構築していくかということだと思います。
大変恐縮ですが、繰り返しの答弁になるかと思いますけれども、まず、採点委員の質を担保すること、それから、明確な採点基準、複数による採点、ぶれが生じたことも想定した上での確定の仕方、そして最終的な確認、そのようなプロセスを行っていくということで体制を取ることで、そのような仕組みを構築しているということでございます。
○桐山委員 次に、試験の客観性と第三者評価について伺っていきます。
大学入学者選抜における総合的な英語力評価を推進するためのワーキンググループでは、各試験の質や水準等に関する第三者評価の在り方についても制度的課題とされています。
ヒアリングでは、ケンブリッジ大学英語検定機構のIELTSは、英国政府の資格、試験監査機関であるOfqualにより第三者評価を常に受けている試験であるとも報告をされています。
この英語スピーキングテストは、事実上、問題作成から採点までお任せをされているような試験の内容でありますが、問題の質、採点の公正さについて第三者評価を行う必要があると考えますが、見解を伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 委員ご指摘の第三者評価につきまして、これは、大学入試のあり方に関する検討会議の提言の中でも示されているものだというふうに承知をしております。これは、当然ながら大学入試の共通テストを対象としたものであります。
改めてになりますけれども、国の仕組みというのは、それぞれ既存の、それぞれの団体が行う試験をそのままの形で使うものであります。
また、今、委員がお話ししましたように、幾つかのテストを同時に使うという仕組みであったために、その試験間の水準を見るということも必要だということで、第三者評価の必要性ということがいわれているというふうに考えています。
一方で、都教育委員会が実施しますスピーキングテストにおきましては、問題の作成につきましては、外部有識者も含めた問題作成検討会において検討もし、作問をしています。
また、採点に当たりましては、もう先ほど来、お話をしているように、都教育委員会がその内容について確認をしているということで、ある試験問題の実施団体が単独で行うという形ではなく、都教育委員会が関与する中で実施をしているという形でございます。
なお、一般的な都立高校入試におきましても、検査問題や採点について第三者評価を行うということは行っておりません。
○桐山委員 教育委員会では、英語スピーキングテストの問題作成から採点までの客観性の担保、第三者評価を、今のご答弁だと教育委員会が担っているというご説明だというふうに答弁いただいております。
その問題の質や水準に関する第三者評価は、教育委員会のどの組織が、また、誰が責任となって行っていくのか、伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 問題作成につきましては、問題の作成委員会を正式に起案して設定をしておりますので、設置要項に基づいて行っておりますので、そこが責任を持つということになります。
また、採点等につきましても、都教育委員会が責任を持って実施するということでございます。
○桐山委員 分かりました。
次に、秘密保持について伺います。
英語スピーキングテストに関して、ベネッセとの間で守秘義務を課し、採点業務の遂行に伴って知り得た一切の情報について、第三者への漏えいや目的外使用の禁止、これらに違反した場合の損害賠償等を規定した契約締結をしているのかどうか、伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会として、事業者と締結した協定により秘密保持を徹底しております。
○桐山委員 大学入試センターでは、ベネッセに採点業務を委託するに際して、第三者への漏えいや目的外使用の禁止、これらに違反した場合の損害賠償等を規定した契約を締結していました。このような契約の締結は、受験生が安心して受験できるようにするための重要な前提であると考えます。
英語スピーキングテストの実施に際して同様の契約を締結しているのなら、今、協定というふうにおっしゃっていましたけれども、それを公表すべきですが、いかがでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 委員お話しのとおり、事業者と締結した協定により秘密保持を徹底しているということでございます。
○桐山委員 これは、なぜ公表できないものなんですか。
○瀧沢指導推進担当部長 基本協定、それから実施協定等、協定の一部といいますか、基本的には公開をしておりますし、秘匿事項に係る部分については、公開条例に基づき非開示というふうにしております。
○桐山委員 ベネッセが第三者への漏えいや目的外使用を行わないように、教育委員会は、どのように今、担保措置を講じているのですか。
○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁で恐縮でございますけれども、事業者と締結した協定等により秘密保持を徹底しております。
○桐山委員 協定書なんですけれども、これまで、委託ではないというふうに伺い、その中で協定だというふうに述べられてきています。
協定は本当に非開示で、はっきりいって、協定書がもう全てだというふうに、今もたくさんいろんなことが協定書の中にぎっちりと、秘密保持もそうですし、様々な業務に関しての取決めですとかが協定に示されているんだなというふうに思うわけです。
これは、本当にどこを探しても出てこないので、あくまでも非開示ということで出されないということだと思うんですが、こういった協定を結ばれる中で、やはり見えない部分がかなり多いので、こうやって質疑をする中で一個一個聞いていかないと出てこないという状況、それから、質疑をしても出てこない状況、非開示です、機密事項ですということで、やはり今回は、受検生の保護者、子供たちもそうですけれども、その不安払拭をするために、できるだけオープンにできるところはオープンにしていって、信頼性を高めていただきたいというふうに思っておりますが、その点についてはいかがでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 基本的な考え方は、委員と同じ考え方でございます。
なるべくご説明できる点についてはご説明して、理解をいただいて、安心して受けていただきたいというふうに考えており、先ほどの採点委員あるいは採点の方法等についても、その一例ですけれども、なるべく公表をしてきたところでございます。
ただ、ほかの試験と比較しても分かるように、問題の作成でありますとか採点等々、細かい部分につきましては、逆に、その公平性、平等性を担保するために秘匿事項というのが存在するのは、ある程度、やむを得ないところだというふうに思っております。
○桐山委員 またちょっと後に述べていきたいと思います。
次に、利益相反の行為について確認をしていきたいと思います。
大学入試のあり方に関する検討会議の報告書の中でも、大学入学者選抜協議会の下に、大学入学者選抜における総合的な英語力評価を推進するためのワーキンググループが令和三年十月二十五日に設置されています。
令和三年十二月七日、第一回会合の議事録を見ますと、利益相反に関しましては、あり方検討会議では、例えば試験団体がその試験の対策講座を行うことで、高校生の間で地理的、経済的な格差が生じる懸念があるということで、ルールの整備などが必要ではないかということで、制度的な課題として検討することとされています。
そこで、都教委に伺いますが、英語スピーキングテストの実施を担当するベネッセは、参考書等の販売事業を行う民間事業者のグループ企業ですが、英語スピーキングテストの対策講座などを一切行っていないことを教育委員会として確認できているのか、伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 利益相反に当たることにつきましては、覚書で明示をしています。
覚書に反する行為は確認されておりません。
○桐山委員 覚書を交わされているということですが、その覚書は、どのような規定になっているのですか。
○瀧沢指導推進担当部長 ご指摘の覚書は、非常に具体的に内容を記載しています。それが重要だというふうに双方で合意をしたからでありますけれども、ですので、一部抜粋になることをご了承いただいた上でということでございますけれども、大きく分けて四項目あるのですけれども、一つ目として、教材及び模擬試験の販売に関する取引の相手方に提示する教材の説明、宣伝資料に、本事業の、つまりスピーキング事業の実施事業者である旨を記載することなど、それから、スピーキングテストの対策に特化した解説本、練習用の教材などを作成し販売すること、あるいは、このスピーキングテストの問題を流用した解説本、練習用教材を作成し販売すること、問題を流用して模擬試験を実施すること等々、明確な文章で具体的なものを列挙し、それについて禁止をしているという状況でございます。
○桐山委員 ありがとうございます。覚書の中身を列挙していただきまして、ありがとうございます。
利益相反行為は行っていないという確認を、先ほど、その覚書で確認をしていますよということだったと思いますが、これはベネッセからの自己申告なのでしょうか。
これは、どういうふうにして確認行為を行っているのか、具体的に分かれば教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 定期的に双方にて確認をしておりますが、それと同時に、都教育委員会として定期的に確認、いわゆるモニタリングですね、それを行っております。
○桐山委員 今、定期的に確認をして、どうやって調べているかの中ではモニタリングをしているということでした。
先ほど紹介しました国の方のワーキンググループの第一回会合では、英語検定試験を行っている団体からのヒアリング等をされておりまして、その議事録も読ませていただきました。
その中で、英検は、問題集の出版などを含む試験実施団体内部での利益相反に関する問題への対応の在り方というところでございまして、弊会は問題集は出版しておりませんと。
例えば、TOEICは、公式問題集というものは出しておりますけれども、これが利益相反につながるかどうかということにつきましては、またこちらの会議等でご検討いただいた上で、どういった対応が望まれるのか、そういったところをいろいろとご教示をいただければと思っておりますなど述べられております。
しかし、ベネッセのGTECは、学校における目標、指導、評価、検証のサイクルをしっかり回していただくためのツールとしてGTECを活用していただいておりますと述べるだけで、ヒアリングの中では、一切、この利益相反の行為について言及をしておりませんでした。
ベネッセが実施しているGTECについては、これまで、違うけれども似ている、似ているが違うと、一貫して述べられておりますが、このGTECは利益相反行為に該当しないと判断される理由について、明確な答弁をお願いします。
○瀧沢指導推進担当部長 先ほどの覚書と関連させてお話しいたしますと、都のスピーキングテストに特化した試験であるということが条件になるかというふうに思いますが、これも重複するかと思いますが、スピーキングテスト、ESAT-Jは、先ほど来、お話をしていますように、東京都が設置要項に基づき設定しております問題検討委員会、こちらの方で、外部有識者も入れ、独自に問題作成をしているものでございます。
ですので、ベネッセが通常作成している、単独で行っているGTECの問題とは違うものでございます。
どちらも、中学校の義務教育卒業段階を想定すれば、限られた語彙あるいは文法等々、表現等々の中で作問するとなれば、学習指導要領を根拠に作問するというのが最も合理的であり、その範囲が非常に狭いものですから、それに基づいて複数のものを作成しても、例えば音読であったり、あるいは一問一答の質疑であったり、あるいはイラスト等を描写したりというのは、これはそのような活動が学習指導要領にも書かれていますので、似たものになるということは、やむを得ない面もあるというふうに思います。それは英検も同じだというふうに思います。
ただ、いずれにしましても、最初のお話に戻りますが、独自に検討委員会にて作成している問題ですので、GTECとは全く違う問題であるということは、当然、作問を担当しながら理解していることですので、利益相反行為に当たるものであるはずがないというふうに考えております。
○桐山委員 最近、ユーチューブとかを拝見すると、英語講師の方々の動画を拝見する機会もよくあるんですが、その中で、英語スピーキングテスト対策という形でユーチューブで公開されている英語の講師の方々の動画を拝見すると、これはもうGTECに似ているんですよと。傾向と対策は、GTECをやっていれば、結構、合格率というか、点数を取れますよとか、そういった表現で動画にもアップされていて、明らかにこのGTECはESAT-Jにそっくりなんだよというふうに、一般的に、こういうふうにユーチューブでも英語の講師の先生が、そういう解釈の下で、そういう対策を取っていたら点数が取れますよというような動画の配信とかも、今、散見するわけであります。
こういったときに、GTECはあくまでも、違うけれども、似ている。似ているんだと思うんですよ。システム上も、これまでも他会派の皆さんが指摘をされている事項の中でも、イヤーマフを使って、タブレット端末を使って、タブレットに向かって発音をしていくということの形態もそっくりであるということですよね。
あくまで都教委については、これは変えられないんだと思います。似ているけれども違うんですというのは、一貫していらっしゃることだと思うんですが、私も、これはやはり、GTECを使っている中学校も実際にあるわけでありまして、英語の教員に話を聞くと、例えば、GTECを使って、ふだん、それを活用している中学校の生徒は、やはり有利に働くよと。
それは、だって、やっぱり慣れ不慣れの中の慣れの部分であるから−−そのよし悪しはありますよ。いい点が取れるかどうかは別として、そこに向かって、実際、イヤーマフを使って、例えばタブレットに向かって発する行為が、やはり慣れというところでの有利に働くという、英語教員からも、そういったお声も聞くわけでありまして、今後、そういったことも十分検討していかなければならないのではないかなというふうに思っております。
それについて、覚書等々の中で、先ほども利益相反に当たらない行為について、るる述べていただきましたけれども、もし利益相反に値するような問題が生じた場合に、これはどのような対応になっているのか、どのように覚書に記されているのか、教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 利益相反行為が見られたときにどのようにするのかというふうに理解いたしましたけれども、そこには、都が是正措置を求めるということも含めて、対応するということが記載をされています。
いずれにしましても、まず、利益相反行為が行われないようにということで、厳密に双方が−−ベネッセに対して指導していくということが必要だと思っています。
○桐山委員 この覚書に、例えば損害賠償請求とか、そういった、きちっと明記とかされているのですか。
○瀧沢指導推進担当部長 賠償等々の文言を使った記載というのはございませんが、ほかの例を参考にしながら覚書を作っておりますので、必ずしも、そのような文言をこの中に含むことが条件であるというふうには認識をしておりません。
○桐山委員 分かりました。そのように、覚書の中では損害賠償請求という明記はしていないということですね。
疑わしきものというもので、やはりGTECは、似ているけれども違うというところでも、似ているということでの利益相反の疑いというのは残ってくることなので、これについては、引き続き問題提起をしていきたいというふうに思います。
次に、ベネッセに対する英語スピーキングテストの実施に関するこれまでの予算執行額全てについて伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 令和三年度のベネッセコーポレーションに対するスピーキングテストの執行額は、三億七千五百七十八万七千七百三十二円でございます。
○桐山委員 実施協定の締結を結ばれていると、先ほども申し上げられていたと思うんですけれども、平成三十一年三月の民間資格、検定試験を活用したスピーキングテスト事業の募集要項の中で、財政支援というところだと思うんですが、三十一年度プレテストの実施費用ですとか、結果検証のための費用だとか、財政支援を行って分担金として支払っていくんですよということが、この募集要項の段階でも明記をされております。
この中の募集要項の段階で、受験料と−−あと毎年度、実施協定をされる中で、多分、予算も提案要求されていくんだと思うんですけれども、この分担金について。これについて限度額が示されていると思うんですけれども、これ、限度額を超えないようにと書いてありますが、これは取決めはどのようになっているのか、教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 ご指摘の点は、分担金の交付手続の最後のところに記載があります、都内公立中学校第三学年生徒の増加の真にやむを得ない場合を除き、本募集要項に基づく提案に基づいて事業者が提案した各年度の限度額を超えることはできませんということだと思いますが、ご質問は、この限度額が何かということでしょうか。
この募集要項に基づく提案で示されたものということでございます。
○桐山委員 これは、あくまでも提案時のときの提案額という認識でいいということですよね。分かりました。
それから、ここに書かれてある受験費用なんですけれども、例えば一人当たり幾らという受験費用について、今の段階で、受験費用、一人当たり幾らということを積算できますか。もし分かったら教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 ご指摘の数字でございますけれども、ご用意しておりませんので、それは開示する数字なのかどうかも含めて、ここの場で判断できませんので、回答についてはご容赦願いたいと思います。
○桐山委員 分かりました。また改めて伺う機会があれば伺いたいというふうに思います。後で教えてください。
次に、英語スピーキングテストをベネッセと協定によって実施することとした時期、理由についてお伺いしたいと思います。
また、アチーブメントテストの結果を都立高校入試に活用することとしたのは、ベネッセとの協定締結時からの計画であったのか、それとも、そうでなく、途中年度からあったのか、伺いたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 まず、スピーキングテストをベネッセとの協定によって実施することとした時期、理由についてでございますけれども、民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)−−当時は仮称ですが−−事業技術審査委員会におきまして、四件ありました提案の中から、総合評価方式と呼んでおります方法で審査を行い、令和元年五月に、事業目的を十分に理解し、かつ実施体制が整っているということなど、スピーキングテスト事業の目的を最も達成できる事業者と判断し、最優秀事業者に選定され、その後、都教育委員会が決定したものでございます。
また、平成三十一年二月に、スピーキングテストを入学者選抜において活用することを公表しており、その後、令和元年六月にベネッセコーポレーションと協定を締結したと。
時系列でいいますと、そういう流れでございます。
○桐山委員 分かりました。この募集要項でプロポーザルか何かでされた際の、その後、令和元年六月に新たに協定書を結ばれたときに、都立高校入試に活用するんだよという協定書になったということをご答弁いただき、理解をさせていただきました。
次に、教育委員会では、英語スピーキングテストの都立高校入試への活用については、どのような組織で何回検討を続けてきたのか、伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 平成二十五年度から二十八年度に設置されました英語教育戦略会議で十二回、平成二十九年度に都立高校入学者選抜英語検査改善検討委員会で四回、平成三十年度に「話すこと」の評価に関する検討委員会で三回などの検討を経まして、入試への活用について実施方針を策定いたしました。
○桐山委員 アチーブメントテストとして求められる条件、効果と、入学試験に求められる条件及び効果などの違いについて検討されたのか、伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 スピーキングテストの入学者選抜での活用につきましては、今お話しした検討委員会等において検討してきたものでございます。
○桐山委員 それでは、英語スピーキングテストを都立高校入試へ活用するに当たって、現役中学生、高校生、現職の教員含む様々な立場の有識者から意見聴取を行ったのか、伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 行っております。
○桐山委員 行っておりますの一言だったのですけれども、行っていると。
これは、いつ、どういう手法で行ったのか、教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 先ほど、検討を行ってきた検討会について、三つの検討会、そして回数をお話しいたしましたが、その委員というのは、まさにここに、今、先生がお話をされましたような、様々な立場の有識者でありますとか、現職の職員、これは校長ですとか、あるいはPTAなども含みます。
また、実際に学校に行きまして、現役の中学生や高校生等々からアンケートを聴取する等々、複数の幾つかのやり方を基に、様々、幅広く意見聴取を行ってきたということでございます。
○桐山委員 有識者の方々とか教員については、今ご答弁いただいた中の検討委員会等々の中でご意見を聞いているのは分かるのですが、現役の中学生や高校生に、そのスピーキングテスト、到達度を測るためのテストでという話ではなくて、都立高校入試へ活用するんだよ、このスピーキングテストをということについて意見聴取を行ったのかということを伺っているのですが、その点についてはいかがですか。
○瀧沢指導推進担当部長 中学生、高校生につきましては、何回かにわたりまして、意見といいますか、あるいはアンケートを取るというようなことも含めて行ってきたところでございます。
ただ、今日、具体的な日にち等々は、ちょっと持ってきていないのであれなんですけれども、今、委員のお話のように、具体的にスピーキングをこのような形で評価する、そういうテストを実施することに対しての意見ということで、ストレートに意見を聞いているということは行っております。
生徒たちからは、まず、このような形で試験を経験した後の生徒の意見としては、非常に分かりやすくて、静ひつな中で受験すること、解答することができたということであったり、このような形でスピーキング力を伸ばすことができればいいというような前向きな意見があったということと、あと、これからはそのような力が望まれるということを理解した上で、やっぱり頑張らなきゃいけないなというような意見等々、不安も含めながら、いろんな意見をいただいたということでございます。
○桐山委員 いろんな意見があったんだなと思って、今、伺っていたのですけれども、今の現役の中学生に、私、中三生の親なので、いろんな中学三年生の生の声を聞いてくるわけですけれども、やはり実際、学校で、先ほどから申し上げている、イヤーマフをして、タブレットを使って練習する機会なんてないわけですよね。今、授業の中で何を行っているかといったら、ESAT-Jのスピーキングテスト、十一月二十七日に対応できるための授業ということで、動画を流しながら、どういうふうに答えていけばいいのかというのをやっているそうです。
実際に現役の中学生とかは何といっているかというと、この二十点というのは結構大きいから、それを都立高校の入試に活用してもらいたくないよねという声もあるわけですよ。だって、ないならないで、今までどおり千点で、学力試験と調査書点で、一生懸命、学校で頑張ってきたことが評価されてプラス千点で、それで都立試験を受けられるんだったら、その方がいいもんと、やっぱりいわれますよね、実際のところ。
実際のところ、その中学生が、今、アンケート調査の中でそういったご意見等があったと思うんですけれども、まさに今、それこそ受験を控えていて、まさに十一月二十七日を目前に控えている子供の声は、実際、どんなものか分からない中でやらなきゃいけないということは非常に不安であるという声と、ないならない方がいいということと、あとは、英語に相当苦手意識を持っている子にとっては、やっぱり非常に、いきなり何秒で本当に答えられるのかという不安でしかないという、そういった声も聞こえるわけでありますので、こういった現役中学生の生の声をしっかり聞いてほしいなというふうに思っております。
次に、英語スピーキングテストを都立高校入試へ活用するに当たりましては、先ほど校長という話もありましたが、全都立高校へのアンケート調査を行ったのか、伺っておきたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 先ほど、検討の過程に当たって、様々な検討会を、非常に何回も行ってきたというお話をいたしましたが、その中で、委員として校長が複数おりますので、校長等に意見を聴取してまいりました。
なお、入試の方法については、学校の設置者が決定するものでございます。生徒や保護者等の意見を聞いて、そのまま決めるべきものではないということも申し添えます。
○桐山委員 これまで、中学校にプレテストを通してやってきたと思いますけれども、実際のところ、都立高校の入試へ活用するに当たっては、全都立高校の教員の先生方も、学校長はもしかしたら知っているのかもしれませんが、やっぱり実際のところ、学力試験を担っていく都立校の先生でさえも、この英語スピーキングテスト導入について知らない方々も多かったという現状があるわけですよね。ですので、改めてアンケート調査なんかを行ったのかということを伺った次第です。
次に、英語スピーキングテストを都立高校入試へ活用するに当たって、これは広く都民からの意見募集を行ったのか、伺っておきます。
○瀧沢指導推進担当部長 平成三十年二月に、スピーキングテストの実施や、あるいは入試への活用に関する施策を含むグローバル人材育成計画を作成いたしましたが、その策定に当たりまして、パブリックコメントを行ったところでございます。
○桐山委員 ありがとうございます。
グローバル人材育成計画の策定のときにパブコメを行ったということだと思うんですけれども、これは、施策にひもづいているのは教育施策大綱なのかなというふうに思っているのですが、それで間違いがないかというふうに伺いたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 大綱を踏まえて作成しているものでございます。
○桐山委員 教育施策大綱は、総合教育会議、知事と教育長が会議を持たれて、そして、その総合教育会議の中で教育施策大綱を策定されるというものだというふうに認識をしています。
その中で、これまでも知事が発言する中で、世界に羽ばたくグローバル人材の育成で、国際人の育成ですとか強化が重要なんだということを述べられているわけですけれども、今回、このスピーキングテストに当たりましては、先ほど、グローバル人材育成計画の策定でパブコメをして、広く都民からの意見募集を行ったということですけれども、教育施策大綱の中の羽ばたくグローバル人材の育成というところと、このスピーキングテストをどのようにひもづけているのか、伺いたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会では、グローバル人材の育成に向けて、話すことを含めた四技能の習得を通じた使える英語力を重視した施策を展開しているというところでございます。
スピーキングテストにつきましても、グローバル人材育成に向けた取組の一つとして実施しているものでございます。
○桐山委員 今回のスピーキングテストに関しては、このグローバル人材育成計画の策定の中で位置づけがされており、その大本になっているのは教育施策大綱であるというふうな認識ということで理解をさせていただきました。
ですので、知事も含めて、浜教育長も、積極的にこのスピーキングテストは推し進めていくんだというふうな理解を私なりにさせていただいたところであります。
次に参ります。次、行きます。
次は、英語スピーキングテストのアチーブメントテストとしての実施の中で質疑をさせていただきますが、令和四年度中学校英語スピーキングテストについては、都立高等学校入学者選抜において、英語、話すことの能力について、ESAT-Jの結果を活用し、義務教育の学習の成果を的確に測定するとありますが、都立高校を受検する公立中学校の生徒にとっては、活用される英語スピーキングテストを受けなければならないから、事実上の強制となるのではないか、お答えください。
○瀧沢指導推進担当部長 スピーキングテストは、学校の授業で学んだ内容の到達度を把握するとともに、英語指導の改善充実を図ることを目的として、都教育委員会が教育活動の一環として、都内公立中学校の三年生全員を対象として実施するものでございます。
○桐山委員 これも何度も答弁いただいていることだと思うんですけれども、やはり今回、アチーブメントテストということで全都内の公立中学生全員に受けていただくというスピーキングテストですけれども、都立の入試に活用するということにしたということですので、やはり私は、事実上強制なのではないかなというふうに思っているんです。
それはなぜかというと、保護者も子供たちも、学校からこれまで何度も、都教委からお話がありますように、四月の段階から順番に、確かにパンフレットを学校を通して配布しました。
説明会といっても、ベネッセから別に説明会を受けているわけでもなく、学校の保護者会を通して、少なからず、今回、千点が千二十点になりますよ、英語スピーキングテストを十一月二十七日に受けて、それを都立高校の入試に活用しますよというような程度の説明でしか、はっきりいってないんですよ。
うちだけではありません。いろんな学校の方々にお話を聞いても、それだけで、これまでも、多分、ご答弁の中でもそうだったと思うし、今までの質疑を聞いていてもそうだと思うんですが、いや、そんな声は上がらないよとか、現場から声はないよとか、そういったお話があったと思うんですけれども、声を上げられる材料をあげていないですからね。何が問題で、例えば、何が不公平で不平等になるのかというものも、実際のところ、知らされていないから分からないんですよ。
なので、与えられた材料の中で、仕方がない、入試に活用されるんだって、じゃあ、勉強させなきゃ、受けさせなきゃというふうになるわけですよ。それが、実際、受けなきゃ零点ですといわれたら、やっぱり強制なんじゃないですかといわざるを得ないと私は思っています。
私立や国立中学校における生徒の英語の話すことの力を評価して、英語教育の充実や改善に役立てるかどうかについても、やはりこれも、先ほど、私立、国立のときに申し上げましたように、私立中学校の任意だというふうに私は思っております。
次に、同じように、東京都教育委員会は、区市町村の教育委員会に対しても、指導助言または援助は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律四十八条第一項の権限しかないのですから、都内公立中学校、中等教育学校前期課程、義務教育学校後期課程及び特別支援学校中学部、以下、中学校における生徒の英語、話すことの力を評価し、英語の教育の充実や改善に役立てるかどうかも、これも各公立中学校の任意の判断によるということになると私は思いますけれども、それでよろしいですか。伺いたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 ご質問は、私立、国立の場合には、その学校にとっては任意なのかという趣旨だと思いますが、国立や私立の生徒がこのESAT-Jを申し込むときには、都立高校入試を予定している生徒が個人として申し込むということですので、学校に対して、何かそれを強制するとか、そういうものではないというのは、お話のとおりでございます。
○桐山委員 そうすると、私立はそうだというふうに認識をしていますけれども、今申し上げているのは、それと併せて、公立中学校も任意の判断ではないか。
先ほど、とや理事の方からも質疑があったと思うんですけれども、私は、不当な支配ではないかということについては、東京都教育委員会と市区町村教育委員会はあくまでも、上下関係ではなくて対等の立場だというふうな認識を、法律でもそういうふうに規定されていると思うんですけれども、ですので、先ほどから申し上げている強制をしていることというのは、本来であれば強制できないですよね。
これは、あくまでも各公立中学校の任意の判断で、本来だったら、例えばアチーブメントテストとしてスピーキングテストを受けるとか受けないとかというのも選択肢があるんじゃないかなと思うんですけれども、その点について、もう一度、ご答弁をいただければと思います。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 委員の方から不当な支配の話がありましたので、答弁させていただきますけれども、今回の英語スピーキングテストにつきましては、都の教育委員会が、教育基本法第十六条第三項に基づき、都における教育の振興を図るということで、必要な施策ということで行政機関として適正に実施するというものであると考えております。
したがいまして、ご指摘のありました不当な支配等には該当しないものと考えております。
○桐山委員 教育委員会は、英語スピーキングテストの実施は、教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策大綱である東京都教育施策大綱に基づく施策であるというふうに先ほどもご答弁をいただいたところです。
東京都教育施策大綱では、世界に羽ばたくグローバル人材の育成が記述されており、参考資料の中でも、児童生徒から意見の聞き取りの結果についてとして、世界的に見ても、日本の英語教育や国際理解の教育は遅れている、グローバル化が進む中、英語力は今まで以上に必要という中学生の意見も記載をされています。
しかし、東京都教育施策大綱に盛り込まれた施策といえども、個別具体的な法律の規定に従って実施されなければならないというふうに私は考えています。
そこで、最高裁判決では、学力テストの合法性を、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十四条第二項の行政調査であることにその根拠を求めています。
その上で、調査結果を教育活動上利用すべきことを強制するものではなく、指導助言的性格のものにすぎず、これをいかに利用するかは、教師の良識のある判断に任されるべきものであると考えられるとされています。
よって、東京都教育委員会が区市町村の中学校に対して、個々の生徒の成績評価を目的とし、調査結果を教育活動上利用すべきことを強制することは、さらに、英語スピーキングテストの成績を調査書に記載することを強制することも、必要な指導助言または援助の域を超えて、教育基本法第十六条の教育への不当な支配に該当し、違法性が高いというふうに考えておりますが、改めて教育委員会の見解を伺います。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 先ほどの繰り返しの答弁となり、恐縮でございますけれども、都教育委員会が実施します英語スピーキングテストにつきましては、教育基本法第十六条第三項に基づきまして、都における教育の振興を図るという目的で、行政機関として適正に実施するというものであると考えてございますので、ご指摘の不当な支配等には該当しないものと考えております。
○桐山委員 何度も同じ答弁ですけれども、最後は、裁判とかにならないと判決は出ないのかなというふうに思うわけでありますが、最後の質問を何点かさせていただきます。
文部科学省の見解について伺っていきます。
教育委員会は、第三回定例会で、立憲民主党及び維新の会提案の条例案に対する文部科学省の見解を披瀝されました。
地方自治法第二百四十五条の四第三項では、普通地方公共団体の長その他の執行機関は、各大臣または都道府県知事その他の都道府県の執行機関に対し、その担任する事務の管理及び執行については、技術的助言もしくは勧告または必要な情報の提供を求めることができると規定をされております。
そこで、教育委員会が都議会で披瀝された文部科学省の見解は、地方自治法第二百四十五条の四第三項に基づいて、教育委員会が文部科学大臣に対して技術的な助言を求めたものなのか、その法的位置づけについて伺います。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 ご指摘の文部科学省の見解でございますけれども、こちらにつきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律を所管する文部科学省が、同法の趣旨を踏まえて条例案に関する見解を示したものでございまして、ご指摘のありました地方自治法の技術的な助言等に該当するのではなくて、行政機関同士で問合せをして回答を得たということで、この点については文部科学省とも確認をしております。
○桐山委員 ただいま答弁いただきました、都教委が都議会で披瀝されてきたこの文部科学省の見解は、東京都の誰が、文部科学省の誰に、いつ、何分くらいの話をして、文部科学省の組織として文章で回答を得たのか、伺います。今、行政間同士で回答を求めたということですので、そのあたりも明確にお答えください。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 ご指摘の文部科学省の見解についてでございますけれども、いつということにつきましては、本年九月二十八日に、私ども都教育庁の総務部教育政策課が文部科学省を訪問いたしまして、先方の地方教育行政を所管しております文部科学省の初等中等教育局初等中等教育企画課へ問合せを行いまして、その場で口頭で回答を得たものでございます。
○桐山委員 今のご答弁だと、あくまでも口頭で回答を得たということです。私が申し上げているのは、文部科学省の組織として文章で回答を得たのかということだったんですが、ご答弁では口頭だったということです。
これは、立憲民主党及び維新の会が提案した条例、私、賛成に回った立場ですから、質問する機会がありませんでしたので、ここでお伺いしているわけですけれども、あの第三回定例会に出された条例は違法性が高いという、その見解を求めに行かれたんだと思うんです。
それに対して、自信を持って、これは違法であるというような回答を、答弁をされたわけですから、しっかりと、口頭ではなくて文書で正確に照会されるべきだと思いますが、いかがですか。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 先ほど申し上げたとおり、見解につきましては口頭で得たものでございますけれども、見解の内容につきましては、所管するところが、所管として組織的に回答しているというところでございますので、口頭であっても有効であると考えております。
○桐山委員 口頭であっても、正式だということですよね。
そうしたら、文書で正式に照会をかけていただけませんか。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 先ほどの見解につきましては、既に見解を得ておりますし、議会等でも答弁しているところでございますので、改めて文書で照会する予定はございません。
○桐山委員 分かりました。この点については、また、国会も開かれているようなので、国会の場でもこういった議論がなされることだというふうに、そちらの方に委ねたいというふうに思っております。
最後に、教育委員会は、その権限に属する事務について、議会は条例を制定できないとする教育委員会の見解を述べているようですが、教育委員会が議会の条例による民主的コントロールを受けないという、いわば議会に対しては、予算と同意人事以外に、何ら拘束されずに行政を行うことができる存在であるという、いわば議会を超えた存在であるという主張は、憲法、地方自治法の本旨に反するというふうに考えておりますが、教育委員会の見解をお伺いします。
○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 先ほどの文部科学省に照会した際に、その点も含めて照会して、先ほどの見解を得ておりますので、そこに含まれているものと考えております。
○桐山委員 教育委員会は合議制ということで、レイマンコントロールということで、様々な教育委員会の委員が、本来であれば、そこで、様々な立場で様々な民意の声を上げて、様々な意見を交わして、最終的に意思決定をされるというふうな認識を持たせていただいている一方で、議会は条例提案権もあります。そして、予算の否決をする−−予算権は、教育委員会は持っていませんから、知事しか予算提案権はありませんが、私たちは予算を否決することの権利も持っているわけであります。
あとは裁判でしかないということがあるわけですから、こういった様々な、議会人としてこれからも、このスピーキングテストをどういった形で止められるかということを、みんなで力を合わせて、私どもは声を上げて−−この不平等で不公平なスピーキングテスト、まだまだやっぱりブラックボックスで、今回も国の検討委員会等々も比較もさせていただいたところですけれども、まだまだスピーキングテストについての不透明さは残っているわけであります。
やはり受検生は、一回しかチャンスがないというところにおいて、今、本当に現場で精神的に結構苦しい状況になる中で、十一月二十七日のスピーキングテストを目前に控える中でも、本日、様々な質疑がある中でも、当日のスピーキングテストの会場の問題ですとか、あるいはトラブル対応ですとか、そういったところも、まだまだ不透明さが残っているといわざるを得ません。
これからも引き続き、スピーキングテストにつきましても、私どもは、専門家の先生や、あるいは民意をもっと力にして、しっかりと中止を訴えていきたいことを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○伊藤委員 それではまず、都立特別支援学校へのスクールカウンセラーの活用について伺います。
東京都教育委員会では、東京都特別支援教育推進計画(第二期)を平成二十九年に策定し、現在、第二次実施計画に入っています。
この実施計画は、インクルーシブな教育の推進、医療的ケア児への支援の充実、デジタルを利用した教育の推進の三点を重点としており、そのための具体的な取組の一つとして、様々な分野の専門家を活用した指導、支援体制の充実を掲げています。
さて、これまで特別支援学校では、担任を中心とした生徒指導を行ってきていると聞いています。
この実施計画において、三年間のモデル事業として、特別支援学校へのスクールカウンセラーを初めて配置することとなりましたが、本事業の目的について伺います。
○小寺指導部長 都立特別支援学校では、担任等の教員が、個々の児童生徒の障害の程度、心理的な発達などについて、必要に応じ、作業療法士や臨床発達心理士などの助言を受けながら把握し、きめ細かな対応を行ってきております。
一方、知的障害の程度が軽度の生徒や、聴覚障害の生徒の中には、不安や悩みを教員以外の専門家に相談することを希望する者もおります。
そのため、都教育委員会は、モデル事業として、特別支援学校にスクールカウンセラーを配置し、その成果を検証することといたしました。
○伊藤委員 事業の目的を確認しました。学校内では相談しにくいことも、気軽に相談できるようです。
さて、様々な障害種別の特別支援学校がある中、今回はモデル事業ということで、カウンセリングを求める児童生徒がより多く在籍している知的と聴覚障害の特別支援学校に配置したとも聞いています。
そこで、特別支援学校へのスクールカウンセラーの配置状況と現在の取組についても伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、今年度、知的障害特別支援学校高等部の就業技術科及び職能開発科九校と、高等部を設置する聴覚障害特別支援学校三校の計十二校に、週に一回、スクールカウンセラーを配置しております。
これらの学校では、知的障害や聴覚障害に関する専門性を有するスクールカウンセラーが、生徒の特性に応じて、教員と連携しながら、一人一人に寄り添った教育相談を行っております。
○伊藤委員 配置状況と現在の取組についても確認しました。
スクールカウンセラーは、学校現場における児童や生徒、保護者、教師の相談や支援を行う心理の専門家であり、心理学的支援に関する専門的知識とスキルでカウンセリングを行い、心の悩みに寄り添い、早期の立ち直りやケアを促す役割を果たしています。
さて、特別支援学校への配置のモデル事業は、今年から三か年となっていますので、まだスタートして半年余りですが、児童生徒、また、学校からどのような評価を受けているのかも伺います。
○小寺指導部長 学校からは、障害に理解のあるスクールカウンセラーの丁寧な対応により、子供が安心して相談できており、自ら相談を希望する子供も見られるようになったなどの報告を受けております。
また、教員への助言を通して、児童相談所等と連携を図り、適切な支援につなげた事例などもございます。
○伊藤委員 ご答弁によりますと、少しずつ成果も出ているようです。
このスクールカウンセラーの配置も、特別支援教育推進計画の基本理念である、共生社会の実現に向け、障害のある幼児、児童、生徒の自立を目指し、一人一人の能力を最大限に伸長して、社会に参加、貢献できる人間の育成を目指した施策の一つと考えますが、今後、どのように自立や社会参加につなげていくのか、伺います。
○小寺指導部長 スクールカウンセラーの相談を通じて、障害のある子供の不安や悩みを解消に導くことにより、子供たちが学校生活に意欲を持ち、卒業後の進路についても肯定的に考えられるよう支援をしてまいります。
○伊藤委員 特別支援学校の児童生徒の自立や社会参加は、子供にとっても保護者にとっても重要なことです。モデル事業の成果をしっかり検証して、今後の施策につなげていただくことを求めておきます。
さて、都議会自民党では、先月二十五日、特別支援学校PTA連合会の皆様と、盲、ろう、肢体不自由、知的障害、病弱の障害種別に分けてヒアリングを実施しました。こうした保護者の声も参考に、順次お尋ねします。
まず、都立八王子盲学校の全面改築について伺います。
八王子盲学校は、都立唯一の視覚障害教育の総合校であり、ゼロ歳児の育児相談から高等部まで、幅広い年齢に対応できる教育を行っているのが特徴です。
昭和五年開校であり、現在の校舎は、昭和四十六年及び昭和五十二年の竣工と、かなり老朽化が進んでいました。私も、会派のメンバーと、四年ほど前に学校に視察に伺いました。校舎や寄宿舎なども見学させていただき、歴史を感じるとともに、その分、老朽化も進んでいると実感しました。
さて、児童生徒の学習環境改善のため、都立学校の改築や修繕などについては、都の主要施設十か年維持更新計画に基づき、計画的に進められていますが、老朽化などの実績を勘案し、この八王子盲学校は、全面改築に向けて、基本設計に昨年度着手しました。
そこで、今後の改築スケジュールとその概要について、まず伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 工事スケジュールと概要でございますが、令和五年三月から既存プール棟の解体工事を開始し、その跡地に仮設校舎を建設し、令和六年七月に完成する予定でございます。
令和六年七月から令和十年一月まで仮設校舎を使用し、この間、既存校舎を解体し、新校舎の建設工事を行い、令和十年度から新校舎を使用する予定でございます。
その後、仮設校舎を解体し、グラウンド整備工事を行い、令和十一年度末に全ての工事が完了する予定でございます。
○伊藤委員 新校舎が竣工するまで、約七年間かかるとのことでした。児童生徒や近隣を含めて、安全第一で改築工事を進めていただきたいと思います。
ご説明にあったとおり、現地での改築になるため、児童生徒は、七年間、解体工事などと並行しながら通学し、学校生活を送ることになります。保護者からは、全面改築を歓迎する一方で、工事期間中の児童生徒の学習活動環境の確保を心配する声も聞いています。騒音や振動のほか、校庭を仮校舎の用地とするための代替策など、様々な課題があります。
都教委は、こうした心配や要望に対して、学校や地域とも協力し、丁寧に対応すべきと考えますが、見解を伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 特別支援学校の改築や改修工事を行う際は、児童生徒の障害の特性や安全面に配慮し、学校運営等に支障が生じないよう、適切に対応してございます。
八王子盲学校の工事期間中については、学校の出入口が変更になることから、道路から学校の出入口まで点字ブロックを整備いたします。
また、工事期間中、使用できなくなる体育施設の代替といたしまして、八王子市内のプールや富士森公園のグラウンド、近隣の八王子特別支援学校の体育施設を活用できるよう調整するとともに、仮設校舎の屋上にも運動スペースを設けるなどの工夫を行ってございます。
工事の実施に当たりましては、低振動、低騒音の機器、工法を採用するなど、児童生徒の学習環境等に配慮してまいります。
○伊藤委員 保護者とのヒアリングの際には、長い歴史のある学校なので、膨大な資料があり、その処分費も十分に足りていないなどの心配もされていました。全面改築に向けて、都教委と学校、そして保護者との情報共有は適切に行っていただくよう求めておきます。
次に、都立ろう学校での手話通訳者の活用について伺います。
今年六月の二定において、都議会全会派一致で東京都手話言語条例が制定され、九月一日から施行されました。
ご案内のとおり、この条例は、手話が言語であるという認識の下、手話に対する理解の促進、普及に関する基本理念を定め、東京都の責務や都民、事業者の役割を明らかにした上で、ろう者、難聴者、中途失聴者など手話を必要とする者の意思疎通を行う権利が尊重され、安心して生活できる共生社会の実現に寄与することを目的としています。
第十条の学校における支援について、乳幼児期から手話を獲得、習得するための切れ目ない学習環境の整備や、教員等に対し、手話の理解を深め、手話を習得し、技能を向上させる研修など、必要な支援を行うこと、また、手話を必要とする乳幼児、児童または生徒の保護者等に対し、手話の学習機会の提供や教育相談の環境整備などの努力義務を課しています。
それでは、学校における支援については、数多くの手話を必要とする子供たちが学ぶ都立ろう学校における支援が重要になりますが、都教委の認識をまず伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 手話は、聴覚障害者の重要なコミュニケーション手段の一つであり、手話言語条例の目的を実現するためには、手話を必要とする幼児、児童生徒が在籍する都立聴覚障害特別支援学校において支援を適切に実施していくことが重要であると認識してございます。
○伊藤委員 都立ろう学校について支援を適切に実施していくことが重要との認識も示されました。
さて、ろう学校では、保護者や教職員にも聴覚障害者が多いことから、手話通訳者の活用を進めるべきとの要望が寄せられています。
ろう学校における保護者等への手話による対応状況と併せて、手話通訳者の活用状況も伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 都立聴覚障害特別支援学校では、聴覚に障害があり、手話を必要とする保護者等に対し、手話を使える教員等が日常的に対応しているほか、必要に応じて手話通訳者を活用してございます。
具体的には、式典や保護者会、学校説明会など、聴覚に障害がある保護者等が参加する場合に、専門事業者から手話通訳士の派遣を受けて手話通訳を実施するなどの対応を行っているところでございます。
○伊藤委員 現状では、手話のできる教員等が日常的に対応しており、必要に応じて手話通訳者が活用されていることを確認しました。
手話言語条例では、そうした日常的な対応を行う教員等の手話技能向上のための研修や、保護者等が手話を学習する機会の提供も規定されており、こうした取組を進める観点から、手話に関する高い専門性を持つ手話通訳士などのさらなる活用も有効と考えますが、見解を伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 手話を必要とする者の意思疎通を行う権利を尊重する観点から、都立聴覚障害特別支援学校での教員等の手話技能の向上や、保護者への手話を学習する機会の提供は重要であり、手話通訳士等の活用につきまして、学校現場の実情を踏まえ、対応を検討してまいります。
○伊藤委員 学校現場の実情なども十分把握し、手話通訳者の派遣のほか、遠隔手話等のICTも活用し、意思疎通の確保に努めていただくことを求めておきます。
次に、スクールソーシャルワーカー活用事業について伺います。
いじめや暴力行為、問題行動を起こす児童生徒の背景には、心の問題だけでなく、家庭や生活環境も関わっており、複雑に絡まる問題の解決を学校のみで目指すのは容易ではありません。以前と状況も変わり、教員が各家庭まで支援し、全てに対応することも困難になっています。
こうした課題に対応するため、学校内だけではなく家庭への支援が必要なときに、市町村教育委員会へのスクールソーシャルワーカーの配置を促進しています。
それでは、スクールソーシャルワーカーの活用の意図や目的、また、配置状況はどのようなものなのか、伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、不登校やヤングケアラー等、子供が抱える様々な課題を解決に導くため、教育と福祉をつないで援助するスクールソーシャルワーカーの活用を促進しております。
具体的には、区市町村教育委員会の配置計画に沿って、その経費を補助しており、今年度は、都内五十二の区市や町において配置をいたしております。
○伊藤委員 スクールソーシャルワーカー活用事業は、平成二十年に文科省が導入し、その後、順次、全国に展開しており、都内の五十二の区市町で配置されていることを確認しました。
この事業導入の大きな狙いは、児童生徒一人一人の生活の質の向上と、それを支える学校や地域をつくることであり、家庭や学校、友人、地域社会など、児童生徒を取り巻く環境への働きかけによって問題の解決を目指すと聞いています。
それでは、現在の具体的な活用状況はどのようなものなのか、問題の改善にどのようにつながっているのかも伺います。
○小寺指導部長 区市や町からは、スクールソーシャルワーカーが不登校の児童生徒の家庭訪問を繰り返し行い、家庭環境の改善を図ったことにより登校できるようになった事例や、幼児の世話を任された子供の学習の機会を保障するため、保護者に助言し、生活環境の改善を図った事例などが報告されております。
○伊藤委員 現在の活動状況や事例を確認しました。
さて、先週末に、都教委より令和三年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の資料が机上配布されていました。これは、毎年度、文科省が全国全ての小中高、特別支援学校等を対象に実施しているもので、今回、都内の公立学校等の暴力行為、いじめ、長期欠席者、高等学校における中途退学者などに関するデータをまとめたとのことです。
暴力行為は二千百十九件、いじめの認知件数は五万九千八百三十五件など、児童生徒の実態は厳しい状況といわざるを得ません。こうした状況の改善にも、スクールソーシャルワーカーの活用も含めた様々な取組が必要です。
それでは、スクールソーシャルワーカーの活用における課題は何か、また、課題をどのように改善していくのか、伺います。
○小寺指導部長 学校と福祉等の関係機関との連携による支援を実現するため、教員とスクールソーシャルワーカーが共同して取り組む体制を強化するとともに、スクールソーシャルワーカーの対応力を一層向上させる必要があると捉えております。
こうした課題の改善に向け、今年度から、スクールソーシャルワーカーによる定期的な学校訪問等を通して教員との連携を強化したり、専門的な資格を有する者を任用したりする区市町への補助を拡充いたしているところでございます。
○伊藤委員 さて、スクールソーシャルワーカーを効果的に機能させるためには、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、養護教諭の持つ役割の明確化、そして教職員の理解が重要です。
また、問題の解決の全てをスクールソーシャルワーカーに委ねるのではなく、その専門性や役割、配置する狙いについて全ての教員が理解することや、校長の指揮の下、教育相談体制を整備充実させることが求められています。
それでは、スクールソーシャルワーカーを効果的に機能させるための体制づくりを進める市区町村にどのような支援をしていくのか、伺います。
○小寺指導部長 都教育委員会は、校長対象の連絡会で、スクールソーシャルワーカーの効果的な活用事例を周知するとともに、スクールソーシャルワーカーの連絡会で協議を通して学び合う場を設定するなど、学校が子供や家庭を支える体制の充実を図れるよう支援をしております。
○伊藤委員 今後とも、スクールソーシャルワーカー活用事業が効果的に運用できるよう、対応をよろしくお願いいたします。
次に、子供を笑顔にするプロジェクトについて、他の委員との重複を避けて質問します。
新型コロナウイルス感染症により、運動会や修学旅行などの中止や部活の制約など、学校生活のみならず、日常生活にも様々な制約を受けてきた中で、都内全ての公立学校を対象に、スポーツ観戦や芸術鑑賞など多様な体験機会を提供するため、このプロジェクトを立ち上げ、今年度の新規事業で約四十二億円の予算を計上しました。
できる限り多くの学校と子供が参加することが重要であると考えますが、先ほどの答弁で、九月末時点で約千六百校からの申込みがあったとのことでした。
年度当初は、コロナ第六波の影響により、参加に慎重な学校などもあったでしょうが、着実な取組を経て、自治体や学校に事業の趣旨と内容が伝わったと思います。
さて、参加校も増え、様々なプログラムを実施してきたようですが、実際に体験した子供や学校がどう感じているのか、押さえておくことも大切です。
コロナ禍で様々な我慢をしてきた子供たちは、この体験を通じて前向きな気持ちになったのか、どのようなことを感じ、どのようなことが心に残っているのか、子供や保護者から寄せられている声を伺います。
○筒井事業推進担当部長 まず、生徒からの反響でございますが、行事ができず、悔しい思いをしてきたけれども、元気が出た、頑張ろうと思ったという前向きな声や、生徒を元気づけようと、こうした機会を設け、気遣ってくれた先生への感謝の声、車椅子スポーツ体験では、車椅子の人は大変そうとばかり思っていたけれども、工夫して楽しんでいると聞いて見方が変わった、パラスポーツはとても楽しく、応援したいという気づきの声がありました。
特別支援学校の保護者からは、障害のため難しいと思い込んでいたけれども、バリアフリーが整った環境できめ細かな誘導をいただき、親子で初めて生のスポーツ観戦ができ、楽しかったと、関係者への感謝の手紙もいただきました。手紙は、施設の管理者にも励みとして、大切に保管されているというふうに聞いております。
○伊藤委員 体験した様々な児童生徒の保護者の声を確認しました。
次に、学校における反応についても伺います。
学校では、今回のプロジェクトをどう受け止めているのか、また、プログラムの実施を通じてどのようなことを感じ、今後どう生かすのか、学校から寄せられている声を伺います。
○筒井事業推進担当部長 プログラムを実施した学校からは、生徒が声をかけ合い、協力しながら取り組む姿を見て、改めて他者との関わりや協働の大切さを強く感じた。ふだんは見られない生徒の一面を発見するなど、学級づくりや生徒理解への貴重な機会となった、また、体験プログラムを運営するインストラクターが、子供の反応を見ながら柔軟に工夫する姿勢を教員への刺激としたいなど、今回のプロジェクトを日頃の指導や運営につなげていくとの声も寄せられているところでございます。
○伊藤委員 私の地元八王子市では、全ての学校で活用する方向であり、都内初の日本遺産に認定された構成要素である高尾山薬王院の歴史を学ぶことや、国の重要無形文化財に指定された八王子車人形の体験なども行われ、この事業は来年も継続してほしいとの声も聞いています。
今年度の成果について、外部有識者も活用し総括すると聞いていますが、子供や保護者、学校の声をしっかりと拾い、今回実施された体験のうち、意義や効果が高い体験活動について、何らかの形で引き続き実施できるよう求めておきます。
次に、都立学校における体育館の空調設備の整備について伺います。
先ほど、我が会派の鈴木委員の質疑で、都立学校の体育館においては、全て空調機が設置されていることが確認できました。
まず初めに、体育館の空調の設置により、どのように教育環境の改善が図られたのか、教員や生徒、保護者の評価はどのようなものなのか、伺います。
○村西都立学校教育部長 体育館に空調設備が設置されたことによりまして、授業や部活動をはじめ、入学式や卒業式などの式典のほか、文化祭等の学校行事を行う上で、熱中症のリスクを大幅に軽減するなど、安全かつ快適な環境を実現できたものと認識しております。実際に各学校からは、空調設備の設置以降、好評を得ております。
また、災害の際には、都立学校の体育館は地域の避難所として活用されることとなるため、避難生活を支える上でも重要であると考えております。
○伊藤委員 ご答弁のとおり、都立学校の体育館は、授業や学校行事などで使用されることが第一の目的ですが、今回の空調設備の整備は、真夏や真冬などの災害時に体育館を避難所として活用することも念頭に入れていたと記憶しています。
そこで、体育館の空調設備について、災害対策の観点から伺います。
都立学校体育館のうち、LPガスを動力源とする空調設備は二十二校で採用されました。
そもそも空調機の動力源としての電気、都市ガス、LPガスは、それぞれ特性やメリット、デメリットがありますが、LPガスは、災害時の軒下在庫としての活用が最大のメリットです。都市ガスや電気はパイプラインや送電線による供給ですが、LPガスは、現場にバルクを設置しているため、災害時のエネルギーとして活用できます。
空調機だけでなく、災害用キットにより、こんろによる炊き出しを行うことや、発電機の動力源としても使えるため、投光器やスマホの充電などにも対応可能です。
こうした特性を生かした防災対応をすべきと考えますが、どのように考えているのかも伺います。
○村西都立学校教育部長 LPガスを動力源とする空調機を設置している学校におきましては、空調としてだけではなく様々な電源として活用できる、副委員長おっしゃるメリットを区市町村にも十分情報提供してまいります。
また、地域における防災訓練等の際に、電源としてLPガスの利点につきまして、区市町村と連携し、地域住民にも十分周知してまいります。
○伊藤委員 設置されているLPガスの空調機については、都内で二十二校、地域もばらけておりますので、その機能を最大限生かし、有効活用されることを期待しています。
以上で私の質問を終わります。
○入江委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後十時三十分休憩
午後十時四十四分開議
○入江委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○龍円委員 こんばんは。龍円あいりです。よろしくお願いいたします。
私が生まれ育ったスウェーデンなんですけれども、一九五五年に世界で初めて、義務教育の指導要領に性と共生教育を導入した国であります。
私が子供の頃、一九八〇年から九〇年代なんですが、スウェーデン出身だよというふうにいいますと、あの性についてとても開放な、奔放な国なんでしょうというようなことをよくいわれました。性に関して乱れているというような、そんなニュアンスが感じられた発言でありました。
しかし、私がスウェーデンに関して抱いている印象というのは、正反対であります。スウェーデンは、性に関してオープンではあるのですが、とても健全だと感じています。
学校では、いわゆる包括的な性教育が実施されています。日本の性教育はというと、身体的な生殖の仕組みですとか、二次性徴、それから性感染症の話などが主流ですが、スウェーデンでは、体の話だけではなくて、ジェンダー平等、性の多様性への理解、人間関係において、自身の意見が尊重されることですとか、他者を尊重すること、差別や暴力、社会の規範などの是非、そして、リスクに直面したときにどういうふうにするべきなのか、安全にアクセスできるユースクリニックなどの施設や機関の情報についてなど、本当に幅広いテーマがこの性教育の中で扱われております。
この教育なんですが、性教育という枠組みでされることもあれば、ほかの授業の中にこのトピックが交ぜ込まれているような扱われ方もしているということでありました。
私が聞いて印象に残っているのが、例えば算数のテストの設問の中で、そのとき、ゲイのカップルが部屋に入ってきました、部屋は何人になりましたでしょうかみたいな感じで、脈絡はないように見えるんですけれども、性の多様性ということが普通に使われていることで理解できるような、そんな取組もあるというふうに聞いております。
こういう教育を通じて、子供の、幸福に生きること、ウエルビーイングの学びにもつながっているというふうに聞いています。
数字で見ますと、スウェーデンは、世界ジェンダーギャップ指数二〇二二では五位で、二〇〇六年以来、トップファイブにランクインし続けています。
一方で、また、世界幸福度ランキング二〇二二というのもあるんですが、スウェーデンは七位になります。
この二つのランキングを見比べてみますと、ジェンダーギャップ指数のトップテンのうち五か国が、幸福度ランキングのトップテンにも入っているということなんですよね。なので、ジェンダー平等を大切にしている国というのは、幸福度も高い傾向にあるということが、このことからも分かるかと思います。
これに対して、日本はというと、ジェンダーギャップ指数は百十六位、そして幸福度ランキングは五十四位ということで、どちらも高くはないという現状です。
一方で、性産業については、性産業先進国とも、この日本は呼ばれているようで、ポルノは世界シェアの六割が日本で制作され、アダルト向け市場産業規模は六十四兆円といった試算もあるというふうに聞いております。
ですので、世界から見れば、この日本こそが、断トツで性に関して奔放な国というふうに見られているのではないかなと思います。
この現状を子供、若者目線で見てみますと、性に関する正しくて安全な頼れる情報や人、機関が非常に限られている中で、アダルト向けの偏りがあったり、誤りがある情報がインターネットやコンビニなど身近な場所に氾濫しているという、アンバランスさの中で成長しているということになるかと思います。
都として、幸せに生きることができる次の世代を育成していくために、昨年度、スウェーデンの事例を参考にした東京都版ユースクリニックの創設について、都民ファーストの会の会派として要望させていただきました。
都は、福祉保健局と都教委、そして子供政策連携室の三つの部署が、行政の垣根を越えて連携して、このユースヘルスケア事業の立ち上げに準備してくれていることは、大変大きな希望のある、ありがたい取組だというふうに感じております。
先日の都議会本会議の代表質問でもお伺いしましたが、まずは、都立学校において、十月からユースヘルスケア事業を開始したということですが、その事業内容についてお伺いいたします。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、月経や摂食障害など、都立高校生等が抱える思春期特有の健康上の悩みに対応するため、新たに産婦人科医を学校医として任用し、ヘルスケアに関する専門的な相談を十月から開始しております。
現在、全日制や定時制の高校、特別支援学校など、十校の様々な学校において相談事業を実施しております。
産婦人科の学校医は、養護教諭と連携し、生徒、保護者等からの相談に、対面やオンラインにより助言を行うとともに、専門的な診療が必要な場合は、医療機関への受診を案内することとしております。
○龍円委員 産婦人科医を学校医として迎えるというのは、日本全国を見回しても、教育委員会としてこの規模で実施しているというのは、とても先進的な取組だと思いますので、ぜひこれを成功させていただいて、全国のモデルになっていただきたいと期待しております。
十月から開始したということなので、ちょうど一か月がたったところだと思います。
都立高校や特別支援学校における産婦人科の学校医による相談を開始してから、これまでの各校の具体的な取組についてお伺いいたします。
○村西都立学校教育部長 各学校におきましては、産婦人科医による専門相談の案内を行うリーフレットを全ての生徒、保護者に配布するなど、事業の広報に努めているところでございます。
既に、生徒、保護者からは、月経に関することや、体重、外見の悩み、思春期特有の心身の不調など様々な相談が寄せられておりまして、養護教諭等が専門的な対応が必要と判断し、産婦人科の学校医の相談につなげた事例も出てきております。
○龍円委員 ありがとうございます。まだ一か月ということですけれども、早速、様々な相談が寄せられて支援につながっているということが分かりましたので、大変いい滑り出しだと思います。
さて、これまでの代表質問や一般質問などでも、どんなにいい制度であっても、子供、若者は、安心して利用できると思えなければ、たとえ困っていたとしても、相談に行けない、利用できないという実態があるかと思いますので、子供、若者の意見、声を積極的に聞くとともに、子供、若者自身がこの制度設計に関わっていけるよう要望してまいりました。
今回、都教委は、ユースヘルスケア推進事業の実施に向けて、都立高校生を対象にアンケートを実施したというふうに伺っています。
この結果の概要についてお伺いします。
○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、ユースヘルスケア推進事業におきまして、思春期特有の健康上の悩みに対応するための相談窓口を設置するに当たり、実効性の高い相談体制の構築に向けまして、都立高校生を対象に、オンラインによるアンケートを実施いたしました。
アンケートでは、相談しやすい場所、相談窓口に関する情報の入手方法などについて回答を求め、一千百件以上の回答を得ました。
相談しやすい場所としては、学校や病院、また、情報の入手先としては、SNSや学校のお知らせの回答が多い状況でございました。
○龍円委員 ありがとうございます。千人以上の都立高校生の声というのは、非常に貴重な内容だと思います。そして、生徒が相談しやすい場所に学校の回答が多かったということなので、今回の学校における相談体制の充実を図ったことは、ニーズにも合っているのだなというふうに感じました。
今後も、高校生の声を積極的に聞いて、事業の改善に役立てていただきますようお願いいたします。
さて、先ほどもお伝えしましたが、どんなに制度があったとしても、子供、若者が安心して利用できる、利用しやすいと感じることができなければ、困っていても利用されないという話をさせていただきました。
(資料を示す)こちらにWHO、世界保健機関が出している青少年にやさしいヘルスサービスガイドの日本語版、これ、出来たてほやほやなんですけれども、あります。ここにガイドラインが示されていて、とっても分かりやすくなっています。
五つの大きなガイドの、考え方、要素というのがここで紹介されていて、これが大変分かりやすいなというふうに見ています。
例えば、一つ目は、公平であるということ。全ての青少年がヘルスサービスを制限されることなく提供されることということが示されています。
二つ目は、利用しやすいこと。サービスが無料もしくは入手可能な価格であるということ、そして、受付時間が子供が利用しやすいことですとか、ヘルスサービスの存在について周知されていることなどが挙げられております。
三つ目がとても重要だと感じているんですが、受け入れやすいことというふうに挙げられていて、そこに書かれているのが、秘密を保持すること、プライバシーを保障すること、子供、若者に対して、叱ったりとか評価するようなことがないノンジャッジメンタルであること、情報や教育を提供すること、サービスの設計や評価に青少年が積極的に関わることなどが挙げられております。
これまで多くの専門家に話を聞いてきましたが、この三つ目はとても重要だと思っていますので、これが徹底されないと、子供、若者が利用しにくいのかなというふうに思っております。
その後には、四つ目が適切であること、五つ目は効果的であることというふうに掲げられています。
都立学校の産婦人科医の先生方にも、こういったユースフレンドリーなヘルスサービスのガイドについて知っておいていただきたいなというふうに思っていますし、このガイドに沿った対応ができるようにしていくことが望ましいというふうに感じております。
福祉保健局では、相談体制の構築に当たって、こういう観点からも、相談をする人向けの研修などを実施しているというふうに伺っています。ぜひ都教委の皆様も、福祉保健局と連携して、産婦人科を校医として迎え入れる学校の養護教諭などに対して、研修などを通じてユースフレンドリーな環境をより一層整えていただきますようお願いいたします。
実は、このユースクリニックについて、都内の高校三年生から問合せをいただきました。ユースヘルスについて、すごく興味があるということだったのですけれども、都立高校での取組をお伝えしましたところ、すごくいいと思うという声をいただきました。
その高校生がおっしゃるには、個人的なことを相談するときには、もちろん秘密は守ってもらいたいし、個人的に話せるのが重要なんですけれども、性のことについては、一人で話を聞くのではなくて、友達とか同級生と一緒にお話を聞いたりすることができる日常的な機会があるとうれしいなということでした。
例えばなんですけれども、保健室で同級生や友人と一緒にちょっと気軽な感じで、産婦人科医の先生から、生理のこととか、体のこととか、いろんなトピックでお話を聞けるとしたら、ぜひ参加したいというふうにおっしゃっていたそうです。
また、そういうところで産婦人科医の先生と信頼関係が築けていれば、いざ困ったというときに相談しやすいかもしれないということもおっしゃっておりました。
こういう高校三年生のお子さんなんですけれども、お話を聞いてみて、子供時代から遠く離れた私には想像がつかないのですけれども、友達と一緒がいいみたいなのは、やはり子供の声だなというふうに感じましたので、ぜひ都立高校十校での取組の中から、子供の声、若者の声をヒアリングして、来年度以降に向けては、さらに多くの都立高校、都立学校でこの事業を展開できるよう要望させていただきます。
今回は、都立特別支援学校でもこの取組を開始してくださったことは、大きな意義があると思います。
今現在の親世代というのは、ちょうど私ぐらいの世代だと思うんですけれども、自分自身が性教育を受けておりませんので、どういうふうに子供に伝えていったらいいのか分からないという中で、さらに、スペシャルニーズのある子に対してどうやって伝えていけばいいのかということで、保護者の方は悩んでおります。
なので、こういった都立特別支援学校における取組というのは、保護者からも熱烈に求められているものだと思いますので、いい形で、来年度以降、都立特別支援学校での取組も進めていただけたらと思います。
さて、ユースヘルスについては最後の質問になりますが、一定の代表質問において、都教委は、新たに都立高校六校を指定して、ライフプランにおける健康上の課題について、産婦人科医を招聘した専門的授業を実施するとの答弁をいただきました。
この都立高校の指定状況と取組の進捗についてお伺いいたします。
○瀧沢指導推進担当部長 今年度、都教育委員会は、生徒が生涯を通じて、自らの健康や環境を管理し、改善していくための資質、能力を身につけられるよう、指導方法について研究開発に取り組む都立高校六校を指定いたしました。
指定した学校では、健康教育に関する年間指導計画を作成し、保健や家庭科などの教科において横断的に、食事と栄養、喫煙、アルコールなど、健康に関する授業の充実に取り組んでおります。
また、産婦人科医を招聘したライフプランと健康との関わりに関する公開授業を今月から実施してまいります。
○龍円委員 ありがとうございます。ユースヘルスケア事業は相談がメインだったのですが、こちらについては、授業の中で先進的な取組を進めるということでしたので、十一月からスタートするということで、また時期を追って質疑させていただきたいと思いますが、車の両輪のように取り組んでいただけたらと思います。
さて、英語スピーキングテストについて、私から一問お伺いいたします。
先日の文教委員会で、特別な配慮や支援を必要とするスペシャルニーズのある生徒への支援について質疑させていただいたところです。
特別な会場において、個々のニーズに合わせて配慮を組み合わせて提供することですとか、介助者が付き添えること、試験に立ち会う職員に関しては、合理的配慮について研修を行うことなどを確認させていただいたところです。
私からは、様々なニーズのある生徒にとっさに対応が求められるような場面では、ふだんからスペシャルニーズのある子に接している特別支援教育に従事している教職員でないと、なかなか適切に対応し切れない可能性があるということをお伝えさせていただきまして、アドバイザー的な立ち位置で特別支援教育の教職員の配置を要望させていただきました。
そこで、中学校英語スピーキングテストについて、試験当日の特別な配慮を要する生徒への支援についてお伺いいたします。
○瀧沢指導推進担当部長 スピーキングテストの実施に当たりましては、障害等に基づく合理的な配慮といたしまして、障害特性に応じた措置を行うとともに、合理的配慮を提供する特別会場を設置しております。
試験当日において合理的配慮を提供する会場では、申請に応じて、個室や少人数対応等の措置を講じるとともに、合理的配慮に関する研修を受け、十分に理解している試験監督等が業務を行うこととしております。
また、特別支援教育を専門とする都教育委員会の職員を派遣いたしまして、今年度の実施状況を把握するとともに、次年度の実施に生かしていきたいと考えております。
○龍円委員 ありがとうございます。特別支援教育を専門とする職員を会場に派遣してくださるということでした。この職員がいてくださることが分かりまして、特別会場での対応は、かなり安心できるものになることが分かりました。
また、状況を把握するとともに、次年度以降に生かしてくれるということで、大変ありがたいと思います。ありがとうございます。
さて、次は、私のいつものインクルーシブ教育についてお伺いしたいと思います。
私は、多様な人が自分らしく輝きながら参加しているという実感が持てるインクルーシブな社会の実現を目指して、都議会議員を務めさせていただいております。
このインクルーシブな社会というのは、子供時代から変わっていかなければならないという考え方から、遊び場はインクルーシブ公園を、そして、学びの場ではインクルーシブ教育の推進というのをしております。
日本では、スペシャルニーズのある子たちが、ない子たちから別の場所に分離されて教育を受けている状況が続いております。都教委においても、特別支援学校の対象となっている五つの障害がある児童生徒の九割以上が特別支援学校や特別支援学級で学んでおられます。
また、文科省の統計で見ますと、特別支援学級で学ぶ生徒は、この十年で倍になっています。また、支援学校は、知的障害児が右肩上がりで増えているとのことです。
都教委においても、今後、特別支援学校を増設する計画も進んでおります。
この状況から見ると、日本では、着実に分離された場で教育を受けているスペシャルニーズのある子は増えているというのが現状にあると思います。
そんな中、九月の頭に、国連の障害者権利委員会にて、日本政府に対して、分離教育を将来的にはやめるために、まずは、共に学びながらも個々のニーズに合った教育が提供される質の高いインクルーシブ教育を推進するための予算も含めたロードマップを示すようにという勧告が出されたところです。
これが特別支援教育そのものをやめるようにという誤った伝わり方をしてしまっていて、最前線で日々頑張っている特別支援教育の教職員の方ですとか、または特別支援学校を利用しているお子さんの保護者からは、不安の声も聞かれています。
しかし、特別支援教育を分離した環境で提供していることが課題になっているのであって、特別支援教育そのものは否定されたものではないというふうに私は理解しております。
この日本のインクルーシブ教育システムでは、通常の学級に在籍しているスペシャルニーズのある子たちへの支援は、確かに充実してきたと思います。通級の児童生徒は、この十年で倍増したということなんですね。
これは、スペシャルニーズのある子が増えたというよりは、これまで支援がなかったお子さんが支援に結びついたという考えができるので、一つ、インクルーシブな取組だなというふうに感じています。
ただ、この結果、特別支援学校や支援学級で学ぶ児童生徒も大幅に増えているという現状から考えますと、今の日本のやり方の延長線上には、共に同じ教室で学ぶというインクルーシブ教育は推進されにくいと考えていますので、日本政府のことなんですけれども、ぜひ軌道修正をしてもらいたいなというふうに願っているところであります。
さて、前置きが長くなりましたが、都教委では、東京都特別支援教育推進計画の第二次実施計画の中で、共生社会のインクルーシブシティ東京の実現の目標のために、教育のインクルージョンの推進というのを掲げてくださいました。
第三回定例会本会議の代表質問でも要望させていただきましたが、首都東京として、国をリードするぐらいの気概を持って、教育のインクルージョンを推し進めてほしいというふうに期待しております。
そんな中、現在進行形で動いています学校におけるインクルージョンに関する研究事業は、大いに期待をしているところです。コロナの影響もあって、事業期間を令和四年度まで延長したというふうに伺っています。
去年の事務事業質疑では、豊島区と、そして日野市で、それぞれ取組が進んでいるというふうに伺いましたが、実際に実践してみてどうだったのでしょうか。
学校におけるインクルージョンに関する研究事業について、現状についてお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 実践的研究事業で指定している豊島区では、小学校において、算数、国語等の様々な教科の共同学習を実施するとともに、日常的な交流のために、図書館のレイアウトを変更するなどの取組を実施してございます。
日野市では、特別支援学校と小中学校の間で、昨年度までのオンライン中心の交流に加え、今年度は直接交流も積極的に行うとともに、市内全小中学校の教員を対象とした研修会などの取組を実施してございます。
両区市で交流等に参加した児童生徒からは、交流機会を増やしてほしい、相互理解が深まったなどの感想が寄せられてございます。
○龍円委員 ありがとうございます。豊島区では、特別支援学級の児童が、通常の学級で算数とか国語といった教科の共同学習を実施しているとのことでした。
たまたまなんですけれども、この実践校に知人のお子さんが通っているんですけれども、この四年度に支援学級から通常の学級に転籍した児童がいたそうなんですよね。
共同学習するために、支援学級の先生と通常の学級の先生で、計画的に情報交換などが行われたというふうに思うんですけれども、もしかしたら、それを通じて、児童がどうしたら通常の学級の中で学ぶことができるのか、支援学級の先生から通常の学級の先生に伝えることができたのではないかなというふうに思っています。
また、こういう過程を経たことで、支援学級の先生と通常学級の先生の間で、相談しやすいという人間関係も構築できたのかもしれませんし、また、お子さん自身も、通常の学級で学ぶ自信を持てたのかもしれません。
そういったことを通じて、支援学級の児童が通常の学級に転籍されたのではないかなというふうに推測しています。
また、その知人によりますと、共同学習や交流のことが頻繁に学校の新聞に取り上げられているそうなんですね。また、先生たちがインクルーシブ教育について学んで理解を深めてくださったりとか、保護者向けのインクルーシブ教育に関する講演会があったりしたそうで、学校全体でインクルーシブに対する理解が深まっているというふうに感じたというふうに話していました。
こういう形で、支援学級と通常の学級の先生が双方にやり取りをする中で共同学習が進められることのよさを、改めてこの学校の実践から感じました。
また、日野市の実践では、オンラインを併用することで、直接交流の機会は少なくとも、交流の機会が増えるということに期待を寄せているところです。
私は、これまでの文教委員会の質疑の中で、東京版のインクルーシブ教育というのは、全ての学びの場において日常的かつ継続的にインクルーシブな環境があることが重要だというふうに訴えてまいりました。
そこで、特別支援学校におけるインクルーシブについて考えたときに、副籍交流というのがとても重要になってくると思います。
年に一、二回来るお客様ではなくて、日常的に、継続的に交流する仲間にならないと、インクルーシブな教育によって期待される、いい学びですとか効果は発揮されにくいとも話してきたところであります。
さて、今年の三月の文教委員会の予算審議では、今年度は副籍交流の実態調査をすると答弁をいただきました。
その進捗状況についてお伺いいたします。
○小寺指導部長 今年度の都立特別支援学校における副籍交流につきましては、感染症対策のため、計画どおりに実施できない学校が多く、実態調査を行うことは困難でございましたが、二学期以降、交流が再開されたことから、年度末に実施することといたしております。
○龍円委員 コロナの影響で少し遅れているということですが、年度末にこの副籍交流の実態調査をするということでした。
この実態調査の結果を踏まえて、副籍交流をさらに進めていく必要があると思いますが、今後の取組についてお伺いいたします。
○小寺指導部長 副籍制度の活用促進に向けまして、保護者が制度についての理解を深められるよう、実態調査の結果を踏まえ、副籍ガイドブックを改定いたします。
また、教職員が交流実施への意欲を高められるよう、実際の訪問とオンラインを組み合わせた交流など、新たな取組を事例集に追加し、学校を通して周知してまいります。
○龍円委員 平成二十六年にまとめられた副籍ガイドブックを改定してくれるとのことでございました。
さて、この委員会質疑では、副籍交流を受け入れる側の地元の学校側に抵抗感があることにこれまで触れてきたのですけれども、いろんな保護者さんにヒアリングしていましたら、特別支援学校側にも、交流に積極的ではないケースもあることが分かりました。
例えばなんですけれども、ルール上は、この副籍交流は週八時間まで交流が可能だということらしいのですけれども、週八時間、交流したいんだということを特別支援学校にお伝えしたお子さんがいらっしゃったんですよね。特別支援学校側は、ちょっとそれは難しいという話になってしまい、その子は、地元の学校に結局通うことになりました。
この保護者さんからすると、インクルーシブな環境を得ることが最重要だというふうに考えているわけなんですが、その上でも、やはりニーズに合った教育も受けたいというわけなんですが、それがかなわなかったということでありました。
ガイドブックの改定の際には、ぜひ、この週八時間、机上の空論ではなくて、交流を求めるご家庭がいることも前提に、それがどうやったら可能になるのかについても示していただけたら大変うれしいです。
また、週八時間とはいわずとも、月二回ぐらい交流したいよというご家庭も身近にいました。コロナ禍だったということもあるとは思うんですけれども、学校からは年一回程度にしてほしいんだという話が、そのときあったそうです。
この月二回というのは、多分、そんなにむちゃぶりではないというか、常識的な頻度ではないのかなと思うので、ぜひガイドブックの改定の中では、月二回程度だったらできるような、こうするとできるよみたいなものが書かれていると大変うれしいなと思いますので、その辺も、ご検討の方、よろしくお願いいたします。
今は特別支援学校だったのですけれども、次に、特別支援学級におけるインクルーシブについてでございます。
先ほど、豊島区の事例を基に、共同学習と交流の重要性についてお話しさせていただきました。私の認識ではなんですけれども、都内の特別支援学級在籍の児童生徒は、せっかく地域の学校に通っているんですけれども、通常の学級との交流、共同学習は、学芸会と運動会だけというイベントごとにとどまっているのかなという印象があります。
去年の事務事業質疑では、都内全ての特別支援学級がある五百五十校に対する共同学習と交流に関する実態調査をしたこと、そして、その結果を取りまとめ、促進に向けた方策を検討していくという答弁があったところです。
都教委で実施した特別支援学級と通常学級の共同学習と交流の実態調査について、分かってきた実態についてお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、昨年十月、都内全区市町村の知的障害または自閉症・情緒障害特別支援学級を設置する小中学校を対象として、交流及び共同学習の実態調査を実施したところでございます。
実態としては、交流及び共同学習はほとんどの学校で実施されているが、学校行事や部活動での交流に比べると、各教科におきます共同学習の実施は少ないことが分かりました。
また、交流及び共同学習の実施に当たりましては、事前の準備に係る負担や時間割の調整等が課題であることが分かりました。
○龍円委員 ありがとうございます。実態が私の認識とほぼ同じであるということが確認できたところです。こうやって、実態をまず把握するところからスタートしてくださっていることは大変意義があると思います。
今のお話の中で、事前の準備の負担ですとか、時間割の調整が大変だということが課題になっているということなので、つまりは教員の負担がネックになっているのかなというふうに感じてきたところでございます。
この調査から見えてきた課題というのをクリアしていくような支援策を、都教委としては今後進めていただきたいと思いますが、今後、この共同学習や交流を促進していくためにどのように取り組んでいくのか、検討を伺います。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、実践的研究事業を通じて、通常学級と特別支援学級の共同学習に当たってのノウハウや、特別支援学校と小中学校の交流についての事例を蓄積してまいりました。
これらの成果は、年度末までに報告書に取りまとめて公表し、都立特別支援学校及び全区市町村の公立小中学校へ配布するとともに、各区市町村教育委員会を対象とした報告会を開催するなどして普及してまいります。
今後も、学校におきますインクルージョンに関する取組を着実に推進してまいります。
○龍円委員 豊島区、日野市の研究事業の成果ですとか、この調査結果などをまとめて、年度末に公表するということだったので、早くこの公表結果を私も見たいなというふうに待っております。これを基に、さらなる取組を検討していくということで、期待したいと思っております。
インクルーシブ教育は、特別支援教育バーサスインクルーシブ教育のような対立構造のように考えられていまして、現在は、確かにそういう現状はあるのかなというふうに思います。特別な支援を求めるほど分離された環境にならざるを得ず、インクルーシブを求めると特別な支援が減っていくという状況です。
国連では、このインクルーシブ教育は、万人のための教育だというふうに表現されています。スペシャルニーズのある子全てにとって、また、スペシャルニーズのないお子さんにとっても最良の教育だというふうに定義されています。
現状の五つの障害については、九割が分離されていて、一割がインクルーシブなわけなんですけれども、この一割を二割に増やすという話をしてしまうと、いつまでたっても、インクルーシブ教育は一部の人の教育にとどまってしまうというふうに考えております。
一部のインクルーシブ教育ではなく、みんなごととして、していかなければならないというふうに思っております。
都教委におきましては、そういう意味で、重要な観点から政策を進めてくださっていると思います。研究と調査をまとめて終わりにすることなく、必ず特別支援学校と特別支援学級の児童生徒が日常的に交流や共同学習するのが当たり前となるように取組を進めてくださいますようお願い申し上げます。
次に、通常の学級におけるインクルーシブ教育について伺います。
通常の学級に在籍するスペシャルニーズのある児童生徒の個別のニーズに応えていくために、都教委では、全ての小学校、中学校に特別支援教室を設置して、自身の学校で通級指導を受けられるようにしてくれました。
また、この支援教室で学んだことを在籍している通常の学級で発揮できるよう、発達障害支援員を東京都独自で配置し始めたことは、大変重要な取組だと思います。
都教委のこの取組は、全国的にも大変先進的で、これまでの都教委の熱意によって進められてきたことに感謝申し上げます。
令和三年にスタートして、東京都独自のこの発達障害支援員配置促進補助事業の活用状況についてお伺いいたします
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、区市町村が独自に在籍学級で発達障害のある子供を支援する人材を配置する場合、その経費の一部を補助しております。
令和三年度は、九地区百十五校に対し補助を行い、また、令和四年度は、本補助を申請しているのは二十一地区三百六十五校でございます。
○龍円委員 新しい事業ではありますけれども、着実に実績は増えているようです。発達障害のある児童生徒は、各クラスに何人かいらっしゃいますので、何だったら各クラスに配置されるぐらいになってほしいなと思っていますが、より一層、各区市町村への周知と利用を促すよう、取組を進めていただきますようお願いします。
さて、国の制度なんですけれども、地域の区市町村に配置することが可能な特別支援教育支援員は、都内でどのぐらい配置されているのでしょうか、お伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 令和四年五月一日現在、各区市町村が配置している特別支援教育支援員の人数は、都内公立小中学校全体で六千一名でございます。
○龍円委員 特別支援教育支援員は、配置先が通常の学級に限られていないようなので、特別支援学級でも配置されているかもしれませんが、とにかく都内の公立小中学校で六千一人いらっしゃるということで、地域の学校におけるインクルーシブを進める上では、こういう人的な支援は非常に重要だと思います。
この発達障害支援員であっても、特別支援教育支援員であってもなんですけれども、支援者のスキルがとても重要だと考えております。
支援者になるために資格などを求めていないことが多いと思うのですけれども、そのこともあって、個人差が激しいなという印象を受けています。
安全を確保するのが精いっぱいだというような支援者もいれば、ベテランの支援者の場合は、教員ともアイコンタクトを取って、上手に授業への参加を促しているというふうな話を聞いてまいりました。
スペシャルニーズのある子供をサポートする人材を学校が探すことも難しい場合もあります。そうしたときに、学校がTEPROに紹介を依頼することもあると思います。その場合、正しい理解の下で適切に支援できるサポーター人材が必要となってまいりますが、TEPROでの取組についてお伺いいたします。
○篠企画調整担当部長 TEPROでは、サポーターバンクに登録いただいたサポーターを対象とした研修を実施しており、その中で特別支援教育に関する研修も実施しております。
令和三年度は、臨床発達心理士を講師として、発達障害等への具体的対処法、支援者の役割をテーマに、オンラインで研修を実施し、障害者への合理的配慮などの基本的な説明に続き、認知特性の具体例を基に、どのような支援が望ましいかなどについて考える講義を行っております。
○龍円委員 TEPROで、サポーター向けの具体的な配慮や支援方法の内容について研修を実施しているということでした。これは、とてもいい取組だと思います。
ぜひTEPROでは、今後、学校内で支援する人たち向けの研修をさらに充実させていただきたいですし、TEPROに登録していないけれども、学校で支援するよという人たちも受講できるような取組もしていただけると大変ありがたいです。よろしくお願いいたします。
さて、地域のインクルーシブについて考えたときに、地域の特別支援対応力の向上というものも重要になってまいります。
この委員会でも、繰り返し質問してまいりましたけれども、特別支援学校が地域の特別支援対応力を向上していくための中核を担っていただきたいと考えております。
そのためには、この特別支援学校のセンター的機能を、もっともっと有効的に、かつ効果的に使われてほしいと思っております。
また、特別支援学校が、その地域の特別支援教育ネットワークを構築するような役割も担ってもらいたいというふうに考えております。
特別支援学校のセンター的機能が、どの程度、地域の小中学校で利用されているのか、お伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、地域ごとに都立特別支援学校をセンター校として指定し、エリア内の小中学校の要請に基づき、特別支援教育に関して支援するエリアネットワークを構築、運用してございます。
本エリアネットワークを活用した小中学校への支援は、令和二年度以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により件数が減少しているところではございますが、令和元年度が六千百九十件、令和二年度が三千六百七十七件、令和三年度が四千七百八十一件となってございます。
○龍円委員 ありがとうございます。コロナ以前は、年間約六千件で推移していたということでした。
この数を聞きますと、特別支援学校の教員の皆様は、ご自身も教師として仕事している傍らで、こういった地域のために働いてくれているのだと思います。
今後、この件数を大幅に増やしていくというのは無理があるのかなと思いますので、一件ごとが地域に与えるインパクトというのを増やしていくことに注力が必要かなというふうに考えております。
ちなみになんですが、都立高校については、どのようにセンター的機能が発揮されているのか、お伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、都立特別支援学校が都立高校を支援する都立版エリアネットワークを令和四年度から運用してございます。
本ネットワークでは、地区ごとに都立高校の特別支援教育コーディネーターを特別支援学校に集め、年度当初に情報交換等を実施し、その後、個別の高校の相談等に対応しております。
また、特別支援学校の高い専門性を持つ教員により、都立高校の教員を対象とした具体的事例を取り扱うワークショップを実施するなど、より実践的な支援を実施してございます。
○龍円委員 今年度からは、都立高校における特別支援教室の運用も始まったところなんですけれども、都立特別支援学校を中心に都立高校への支援も始めたということが分かりました。すばらしい取組だと思います。
都立高校においても、様々なニーズのある生徒の学びやすい環境の整備に努めてくださっており、感謝申し上げます。
さて、この小中学校や高校に対する特別支援学校のセンター的機能はとても重要なんですが、先ほども確認したように、六千件を二万件に増やすとかというのは、現実的には難しいかなと思いますので、一支援したことが、例えば、そのままネットワークで共有されて十になるような取組が必要なのかなと思います。
今後も、このネットワークを有益に活用するセンター的機能の取組を推進すべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 都内公立小中学校を対象としたエリアネットワークによる支援とともに、都立高校を対象とした都立版エリアネットワークによる支援について、区市町村教育委員会や東京都学校経営支援センターなどとも連携しながら、今後も様々な取組を推進してまいります。
○龍円委員 ということで、このネットワークを通じて、例えば、一支援したことが、いわゆるシェア、拡散という形で広げてもらって、そこにほかの教員から質問ができるみたいなイントラネットワークみたいなのがあれば効果的なんじゃないかなというふうに感じたりもしましたので、今後とも、このネットワークの取組を続けていただきますよう、よろしくお願いいたします。
地域の特別支援対応力の向上ということを考えると、教員お一人お一人の特別支援教育の専門性の向上も重要です。というか、それが要なのかなというふうに考えております。
三月の委員会では、今年度から、特別支援学級や支援教室の教員、通常の学級の教員についても、専門性を高めるために、特別支援学校教諭免許状の取得のための通信教育を受講する費用を公費で一部負担する取組を進めていくという話を伺いました。
これは、通信制が可能になるというのは、忙しい教員の皆様にとっては大変いいことだと思いますし、通常の学級の先生も受講ができるという門戸を広げたことに対して、高く評価したものでありました。
令和四年度、今年度開始したということで、新たな制度の概要と、受講している教員の数について教えてください。
また、多くの教員が受講するために、どのように事業を周知していくのか、お伺いいたします。
○吉村人事部長 特別支援教育の専門性を向上するため、免許法認定通信教育のうち、知的障害または発達障害に関する科目について、担当教員が受講し、単位を取得した場合に補助を行っており、今年度の受講者は二十三名でございます。
受講者の募集に当たりましては、区市町村教育委員会等に制度の説明を行うとともに、教員向けのPR資料を送付しております。
引き続き、対象となる全教員に対して、さらなる周知を行ってまいります。
○龍円委員 今年度は、まだ途中ですけれども、二十三人が受講しているとのことでした。ぜひ多くの教員の皆様に受講していただけるよう、さらに周知をしていただきますようお願いいたします。
さて、座学による知識を深めるだけではなくて、特別支援学校の教員の高いスキルとノウハウを地域に伝授すること、そして、地域の教員の皆様が支援学校で経験を重ねることが必要だとの観点から、三月の委員会では、特別支援学校と地域の学校の人事交流について質疑させていただきました。
都教委からは、短期間であっても、特別支援学校での実務を経験し、障害種別や一人一人のニーズに応じた支援や指導を行うことは貴重な機会となることから、令和五年度から、小中学校の特別支援学級の教員と特別支援学校の教員を一年間の期限付で相互に派遣する、短期の人事交流のモデル事業を実施するということが示されたところであります。
この短期人事交流の実施校数など、現在の準備状況について教えてください。
○吉村人事部長 短期人事交流につきましては、令和五年度、学校経営支援センターごとに二か所ずつモデル実施する予定であり、現在、関係区市町村教育委員会と特別支援学校で、それぞれ交流する教員の人選を行っているところでございます。
令和五年四月一日の人事交流に向けて、引き続き準備を進めてまいります。
○龍円委員 いよいよ来年度の四月から人事交流が始まるということで、とても期待しております。
ただ、支援学校と支援学級の教員の人事交流ということなんですけれども、現在、小学校では、通常の学級に在籍している特別な支援を必要としている児童の対応に担任の先生が困っているような状況もあると思うんですが、特別支援学級の教員が通常学級の教員をサポートするという風潮がそこまでないような感じがしております。
通常学級に在籍する支援を必要とする児童生徒を含めて、学校内全体の特別支援教育のスキルを高めることができるように、人事交流した教員について、どのように校内で活用していくのか、見解をお伺いいたします。
○吉村人事部長 特別支援学校から人事交流で小中学校に異動した教員は、特別支援学級の教員に指導法を教授するとともに、通常の学級に在籍する特別な支援を要する児童生徒の指導について、担任を支援いたします。
人事交流後、特別支援学校から小中学校に戻った教員は、特別支援学校で身につけた専門性や実践力などを、日々の指導や校内の研修などで還元いたします。
こうした交流を通じまして、校内全職員の特別支援教育に係る指導力を向上させてまいります。
○龍円委員 ぜひよろしくお願いいたします。
教員の性格もあるとは思うんですけれども、支援学級と通常の学級の交流とか共同学習が少ないという現状では、教員の連携が少ないのかなというふうに考えています。
支援学級の先生は、うちの子はみたいな感じで教育するのですけれども、通常の学級の子はうちの子ではないみたいな感じで、そんな風潮があるのかなというふうに感じていますので、ぜひこの人事交流を通して学校全体が変わっていくように取組を進めていただきますようお願いいたします。
さて、分離された教育が推進されてしまう背景には、都教委と区市町村教委の予算による構造にも要因があるというふうに考えています。
そこで確認いたしますが、特別支援学校の一人当たりの教育費と、地域の学校の一人当たりの教育費についてお伺いいたします。
○田中総務部長 令和二年度の都内公立学校児童生徒一人当たりの教育費は、小学校で約百八万円、中学校で約百四十一万円、特別支援学校で約七百五十万円であります。
○龍円委員 地域の小中学校は、スペシャルニーズのある子もない子も一緒に計算をしたものなので、あくまでも目安になると思います。
そして、国のことは一旦置いておきまして、特別支援学校にて学ぶお子さんについては、一人当たり七百五十万円、都教委が負担することになります。地域のお子さんは、都と区市町村がそれぞれ負担していると思います。
これを区市町村側から見てみますと、特別支援学校判定をしたお子さんが特別支援学校に進学しますと、区市町村の負担がゼロになります。
一方で、そのお子さんが地元の学校で学びたいという希望が出された場合、単純計算すると、小学生であれば、差額の六百四十二万円について区市町村が負担すれば都立特別支援学校相当の支援をしてあげられるということになります。しかし、残念ながら、ほとんどの自治体では、その差額を上乗せで全額負担するのは簡単ではありません。
一方では費用負担がゼロで、一方では費用負担が大きな額を伴うということから、予算的な理由から、地域から押し出す力が働いてしまっているのではないかなというふうに感じている面があります。
これは、特別支援学校判定を受けたお子さんの保護者なら、多くの方が経験していると思うんですけれども、特別支援学校ではなく地域の学校に通いたいという希望を出した場合、支援ができないよとか、安全確保できないよとか、保護者さんが付き添ってくださいといったことが求められることがあります。
このとき、区市町村の教育委員会からの説明として、予算がないということを結構よくいわれるんですよね。確かにそれが事実だと思うんですけれども、保護者に対して予算がないということをいわれてしまうと、議論の余地がないので、本当に何もできないというような状況があります。
区市町村側からすれば、予算面での構造は変わらずに、就学先を決定するのが区市町村であるというこの構造がある限り、インクルーシブな教育がどんなにいいよというふうに思ったとしても、よりニーズのある子たちは可能な限り特別支援学校に進学させるという、見えない押し出す力というのはなくならないんじゃないかなというふうに思っています。
すぐには難しいとは思うんですけれども、特別支援学校で学ぶのにふさわしいお子さんが、インクルーシブな環境を求めて地域の学校で学びたいというふうに望んだときは、予算を理由に押し出されることがなくなりますように、差額の六百万円相当の予算的支援を区市町村にしていくことを検討いただけますよう要望させていただきます。
さきの障害者権利委員会においても、文科省は、特別支援学校で学ぶ子供の九割が知的障害児、学ぶ場は保護者や本人が選べる、特別支援学校を選んでいるのは保護者と本人だ、保護者と本人が望んでいることなので、減らすのは困難だという趣旨の説明をしていました。
この選べるということなんですけれども、その感覚を持っている保護者さんは僅かだというふうに思っております。
特別支援学校に行けば、手厚くて最高の教育を、安全も保障された状態で受けられるのに対して、地元の学校を選ぼうとすると、あらゆるハードルが立ちはだかって、安全が確保できないといわれたりするわけなんですよね。
この文科省の発言について、都立特別支援学校にお子さんが通っている二家族にヒアリングしてみたのですが、やはり選べるという感覚はないというふうにおっしゃっておりました。
また、分離を選びますか、インクルーシブを選びますかという選択において、分離を選びますというふうに選んだわけではないというふうにおっしゃっておりました。子供の安全・安心の環境から特別支援学校に通っていますが、できれば地域で学びたかったというふうにも話しておりました。
日本のインクルーシブの第一歩は、本当の意味で選べるということが、実現に向かって、一つ重要なのかなというふうに考えております。
東京都として、全ての学びの場におけるインクルーシブな環境が日常的に確保できるようにすることと、学びの場を本当の意味で選べるという環境を推進していただきたいと思います。
都教委の見解をお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 共生社会の実現には、障害のある子供とない子供が共に学び、体験し、相互理解を深めることが重要でございます。
都教育委員会はこれまでも、学校におけるインクルージョンに関する実践的研究や副籍制度の活用等に取り組んでまいりました。
また、発達障害のある子供が在籍学級でも支援を受けられるよう、令和三年度から、区市町村が配置するサポート人材の費用を補助する制度を開始し、充実してきました。
今後、これまでの取組の成果を公立小中学校へ周知し、普及を図るとともに、活用を促すなど、それぞれの学び場においてインクルーシブな教育を一層推進してまいります。
○龍円委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
さて、知的障害の特別支援学校以外の学校には、小学校に準ずる教育課程というのが設置されています。基本的には、通常の学級の学習内容に準ずるものだというふうに伺っております。
この準ずる教育課程で学ぶ児童生徒の数が圧倒的に少ないということから、先生と生徒がマンツーマンのようになってしまって、子供同士で学び合う場面が限られているということがあるそうです。
学習の活性化を図るために、この準ずる教育課程で学ぶ同じ学年の生徒児童が、学校の枠を超えて一緒に授業を受けられる機会を設けるために、特別支援学校において、デジタルを活用して、ほかの特別支援学校と共同学習を実施する予定であることを、昨年、確認したところであります。
この件について、その取組と成果についてお伺いいたします。
○小寺指導部長 今年度、四校の肢体不自由特別支援学校におきまして、学校間で子供同士がオンラインを通して自己紹介をしたり、クイズを出し合ったりして、定期的に合同で学ぶ体験を行っております。
学校からは、子供たちが他校の友達とコミュニケーションを図ることで、学習への意欲が高まったなどの成果が報告されております。
○龍円委員 ありがとうございます。自分と同じ環境にある仲間とつながれるということは、長い目で見たとき、卒業した後の進路とか、そういったことも話し合ったりすることができると思いますので、ぜひこの取組を進めてください。
続いて、医療的ケア児の支援についてお話しさせていただきます。
都立特別支援学校における医療的ケア児専用通学車両の乗車児童と生徒の数と、通学籍の児童生徒に占める割合についてお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 令和四年九月時点で、百七十六名の児童生徒が医療的ケア児専用通学車両に乗車しており、都立肢体不自由特別支援学校に通学する児童生徒の九・五%でございます。
○龍円委員 看護師が足りない、見つからないという課題があるというふうに伺っておりまして、看護師の業務形態の多様化を図るために、週三十一時間勤務の総合非常勤看護師の職を設けるという答弁が、前の委員会でありました。
総合非常勤看護師は、医療的ケア児専用通学車両に同乗する看護師であることから、多くの任用を期待しております。
現在の状況についてお伺いします。
○落合特別支援教育推進担当部長 総合非常勤看護師について、令和四年九月時点では、十七校で二十七人を任用しており、このうち二十五人は医療的ケア児専用通学車両に乗車してございます。
○龍円委員 令和四年度より、通学手段として利用する福祉タクシーに係る交通費を就学奨励費事業から支給されるようになったというふうに聞いているのですけれども、この料金の立替えが高額になることから、利用を諦める保護者がいるようなんです。
都教委に、この件についてお伺いいたします。
○落合特別支援教育推進担当部長 通学に係る経費につきましては、保護者に支払っていただいた上で、年三回の定例払いにより精算してございます。
料金の立替えが高額となり、保護者の負担となっている事例があることは聞いてございまして、今後、対応を検討してまいります。
○龍円委員 対応の検討をよろしくお願いいたします。
さて、最後になります。
都教委に期待したいのは、学校を卒業した後のスペシャルニーズのある方が生涯を通して学び続けることができる環境をつくっていくことでございます。
都教委では、都立学校公開講座などにおいて、スポーツや芸術など、スペシャルニーズのある方を対象とした本人講座を実施して、学びの場を提供する取組を進めてきたと認識しています。
今年度は、その取組を一歩進めまして、学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業を国から受託して、新たな取組を進めていると伺っていますが、どのように取り組んでいくのでしょうか、お伺いいたします。
○岩野地域教育支援部長 都教育委員会は、今年度、学校卒業後の障害者の学びの支援に取り組んでいるNPOや企業、大学等と連携、協働した学習プログラムの開発や、人材育成などを行うため、ネットワークづくりを進めてきたところでございます。
今月には、障害者の生涯学習推進のためのシンポジウムを実施いたします。ここでは、障害のある方の体験談から、ニーズを踏まえた学習支援の在り方等、議論を深め、学びの機会の充実に取り組んでまいります。
○龍円委員 ありがとうございます。超福祉展という中から生まれ出てきた超福祉の学校というイベントの中でこの事業が実施されるというのを、先日のプレス発表で拝見しました。これは大変有名なイベントなので、多くの方に見ていただけるかと思います。
豊かに生きるための生涯学習というテーマがついているんですけれども、この視点はとても共感いたします。今回のこの都教委の取組はとても重要だと思いますので、今後も注目してまいりたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○大松委員 私からは、公益財団法人東京学校支援機構について質問いたします。
東京の教育力をどう向上させていくのか。それは教員の教育力を向上させることであります。そして、そのためには、教員が伸び伸びと力を発揮できる環境を整えていくことであると考えます。
しかしながら、教員を取り巻く現状は、その多くが長時間労働で過労死ラインを超えているなど、大変厳しい労働環境にあり、その改善が最優先課題になっております。
そこで、教員の負担軽減に寄与するものとして期待されているのが、二〇一九年に設立された東京学校支援機構です。
現在、発足から四年目ですが、その機能を強化し、活動を活性化し、活用を広げていくことが重要であります。
この東京学校支援機構の最も重要な機能の一つが、外部人材の確保です。
近年の学校では、ICT教育、外国人の児童や生徒への日本語指導、児童生徒の心理、福祉面の支援など、多様で専門的な対応が求められており、こうした技能を持つ人材を探し、雇用するという業務が、教員にとって大変大きな負担になっています。
そこで、この財団が教員に代わって、様々な分野の外部人材を学校支援者として登録し、学校とのマッチングを図るSupporter Bank事業を行っています。昨年度は、学校側から約二千九百人の求人があり、そのうち約千人のマッチングができたと伺っております。
このSupporter Bank事業は、着実に実績を積み上げているものと評価いたしますが、さらにもう一歩、活用を広げ、教員の負担軽減と教育力の向上を図っていくべきと考えます。
そして、そのためには、学校側からの求人数を増やし、より多くの多様な人材を糾合していくことが重要と考えます。
都教育委員会の見解を求めます。
○篠企画調整担当部長 TEPROでは、各地区の校長会や副校長会等で、Supporter BankのPRや、利用のためのシステム操作についての説明などを行っております。
また、直接、学校や教育委員会を訪問するとともに、サポーターの活動事例や学校の声など具体的な情報を発信し、Supporter Bankの活用を促しております。
今後、今年度新たに配信を始めた教員向けのメールマガジンやSNSなどの発信内容を工夫するなど、TEPROの活動や活用のメリットなどを広く周知して認知度向上を図ることにより、学校からの一層の求人増加に努めてまいります。
○大松委員 次に、特別支援教育について質問します。
教員には、学校現場での実践者という側面と研究者という側面の両面があると考えます。この実践と研究の往復作業によって、教育力というものは磨かれていくものと思います。
したがって、教員の教育力を向上させるためには、研修、研究活動への支援が不可欠であり、特別支援教育においては、より重要になるものと考えます。
先日、都立文京盲学校を訪問し、授業などを視察させていただきましたところ、視覚障害とともに、聴覚、知的、身体など、他の障害を併せ有する多くの重複障害の生徒が学ばれていらっしゃいました。
そして、その一人一人の障害の状況が個々人によって全く違い、教員の方々が、生徒の一挙手一投足から心身の状況を見極めながら懸命に指導に当たっていらっしゃる姿を拝見し、特別支援教育においては、非常に高度で専門的な教育技術が求められるということを感じてまいりました。
こうした重複障害の児童生徒への教育力を向上させるために、特別支援学校の教員が十分な研究、研修に取り組めるよう、支援を強化していくべきと考えます。
都教育委員会の見解を求めます。
○小寺指導部長 都教育委員会は、視覚障害と聴覚障害など、複数の障害を併せ有する児童生徒に対する効果的な指導が行えますよう、異なる障害種の学校の教員が互いに助言し合いながら授業改善を図った事例などをまとめた指導資料を作成し、各学校に周知しているところでございます。
○大松委員 異なる障害種の学校の教員同士の交流ということで、大変効果があるものと思います。こうした取組をさらに拡充できるよう、業務負担の軽減に努めるとともに、教員に対する支援を強化していくよう要望しておきます。
特別支援教育の中でも、最も困難とされているのが、視覚障害と聴覚障害を併せ有する盲ろうの児童生徒への教育です。
言葉は聞こえませんし、手話も、見えないので使えない。コミュニケーションを取ることそのものが非常に難しいわけでございます。特に、先天的に盲ろうの障害がある場合、言葉というものの存在を認識させるところから始めなければなりません。
誰一人取り残さない社会、全ての子供の幸福を実現する社会を目指すならば、こうした最も困難な課題のある児童生徒にこそ、最大限の教育力を注いでいくべきと考えます。
しかしながら、現状は、盲ろうの児童生徒とのコミュニケーションに有効な触手話ができる教員が少ない。また、盲ろうの児童生徒が各学校に一人いらっしゃるかどうかという少人数であることから、担当した経験のある教員も少なく、教育実践の記録、スキル、研究成果が、学校現場で継承、蓄積されにくいという課題があります。
一方、継続して研究し、その成果を蓄積している大学など、教育研究機関があります。そうした教育研究機関と連携するなどして、視覚、聴覚の障害を併せ有し、かつ、その程度が重度の児童生徒への教育力向上に向けた取組を拡充していくべきと考えます。
都教育委員会の見解を求めます。
○小寺指導部長 ご質問いただきましたような児童生徒が在籍しております都立視覚障害特別支援学校におきましては、大学等の専門家や成人の盲ろう者を講師といたしました校内研修を実施し、教員が、障害の特性や指導実践、当事者の立場からの必要な支援などについて学んでいるところでございます。
○大松委員 専門家を交えての校内研修は、非常に重要であると思います。こうした専門家の校内への派遣が定期的に行われるように、支援を強化するべきであると考えます。
また、都教育委員会は、英語教育については、教員の海外派遣研修を行い、教育力の向上に努めております。特別支援教育においても、海外の教育者との交流や連携を図り、その教育力の向上に努めるよう要望しておきます。
最後の質問になります。
学校における盲ろうの児童生徒への教育力の向上のために、触手話など専門的なスキルを持っている福祉分野の人材との協力を進めていくことも検討すべきと考えます。
また、障害者の能力を引き出すためのICT機器の開発や活用が進んでおります。盲ろうの児童生徒を支援する機器の開発や活用も促進していくべきです。関連するメーカーや技術者との連携も積極的に進めるべきと考えます。
視覚障害特別支援学校において、福祉等の関係機関や企業との連携が必要であると考えます。
都教育委員会の見解を求め、質問を終わります。
○小寺指導部長 都立視覚障害特別支援学校では、教職員や視覚障害者支援の専門家等で構成される支援会議を開催いたしまして、一人一人の子供に対する適切な支援の在り方等を検討しております。
また、企業等が開発した支援機器の試作品について、生徒がモニターとして協力する取組などを行っております。
○入江委員長 一旦、速記を止めてください。
〔速記中止〕
○入江委員長 速記を始めてください。
お諮りします。
本日の質疑はこの程度にとどめ、委員会を閉会するとともに、明日、午前零時五分に委員会を開会し、質疑を続行いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○入江委員長 異議なしと認めます。よって、明日は午前零時五分から委員会を開会いたします。
なお、ただいまご出席の皆様には改めてご通知いたしませんので、ご了承願います。
○入江委員長 次に、傍聴券の有効期間についてお諮りいたします。
本日の傍聴券の有効期間を明日の委員会終了までといたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○入江委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後十一時五十六分散会
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