文教委員会速記録第八号

令和四年六月九日(木曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長白戸 太朗君
副委員長斉藤やすひろ君
副委員長ほっち易隆君
理事内山 真吾君
理事風間ゆたか君
理事とや英津子君
もり  愛君
竹平ちはる君
土屋 みわ君
龍円あいり君
斉藤 りえ君
アオヤギ有希子君
清水 孝治君
谷村 孝彦君

欠席委員 なし

出席説明員
生活文化スポーツ局局長横山 英樹君
次長理事兼務渡邉 知秀君
理事古屋 留美君
総務部長久故 雅幸君
都民生活部長馬神 祥子君
消費生活部長片岡 容子君
私学部長戸谷 泰之君
スポーツ施設部長小池 和孝君
企画担当部長吉原 宏幸君
都民活躍支援担当部長小野 由紀君
男女平等参画担当部長樋口  桂君
事業推進担当部長松本 祐一君
開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務柏原 弘幸君
教育庁教育長浜 佳葉子君
次長福崎 宏志君
教育監藤井 大輔君
総務部長田中 愛子君
都立学校教育部長村西 紀章君
地域教育支援部長岩野 恵子君
指導部長小寺 康裕君
人事部長吉村美貴子君
福利厚生部長田中 宏治君
教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務秋田 一樹君
特別支援教育推進担当部長落合 真人君
指導推進担当部長瀧沢 佳宏君
人事企画担当部長稲葉  薫君

本日の会議に付した事件
意見書について
生活文化スポーツ局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百十四号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 生活文化スポーツ局所管分
・第百三十七号議案 東京都男女平等参画基本条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・有明アーバンスポーツパーク(仮称)整備運営事業実施方針(案)について
教育庁関係
契約議案の調査
・第百五十六号議案 都立府中高等学校(四)改築及び改修工事請負契約
・第百五十七号議案 都立あきる野学園(四)増築及び改修工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百十四号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 教育庁所管分
・第百三十八号議案 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
・第百三十九号議案 学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・第百四十号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第百四十一号議案 義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
・第百四十二号議案 都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
・第百七十号議案 教育職員免許法関係手数料条例の一部を改正する条例
・諮問第二号 地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関する諮問について
報告事項(質疑)
・令和四年度東京都立高等学校入学者選抜における追加合格事案の発生と再発防止に向けた今後の取組について

○白戸委員長 ただいまから文教委員会を開会します。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取扱いを理事会に一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○白戸委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○白戸委員長 次に、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっています。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和四年六月八日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
文教委員長 白戸 太朗殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第百五十六号議案 都立府中高等学校(四)改築及び改修工事請負契約
 第百五十七号議案 都立あきる野学園(四)増築及び改修工事請負契約
2 提出期限 令和四年六月十日(金)

○白戸委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の契約議案の調査並びに生活文化スポーツ局及び教育庁関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより生活文化スポーツ局関係に入ります。
 初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、生活文化スポーツ局長から紹介があります。

○横山生活文化スポーツ局長 過日の委員会を欠席させていただきました当局の幹部職員をご紹介させていただきます。
 事業推進担当部長の松本祐一でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○白戸委員長 紹介は終わりました。

○白戸委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百十四号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、生活文化スポーツ局所管分及び第百三十七号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○久故総務部長 去る五月二十七日の当委員会におきまして要求のありました資料のうち、付託議案関係についてご説明申し上げます。
 お手元に配布の令和四年文教委員会要求資料をご覧ください。
 表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、付託議案に関して要求のありました資料は二件でございます。
 一ページをお開き願います。1、クオータ制の対象となる都の附属機関等の定義及び機関数でございます。
 種別ごとに定義及び機関数を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、クオータ制の対象となる都の附属機関等の委員数、女性委員数及び女性委員任用率一覧でございます。
 二ページから六ページまでございまして、令和三年四月一日時点の状況を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○白戸委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○土屋委員 自民党の土屋みわでございます。
 第百十四号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算についての質疑から始めさせていただきます。
 ウクライナ侵攻が始まり、三か月が経過しましたが、当初、住宅がないことに困っていた方たちも、避難生活が長期化する中、住居をはじめ食料や仕事など、必要な支援も変わってきているのではないかと思います。
 そこで、現在、どのくらいの避難民の方が都内に来ていて、どのくらいの方が都営住宅に入居しているのか。また、それらの避難民に対する支援では、今どのような課題があるのかをお伺いいたします。

○小野都民活躍支援担当部長 六月五日現在、出入国在留管理庁によりますと、都内に住民登録をしている避難民は百八十名、また、都営住宅への入居者数は六十八組百二十六名でございます。
 国、区市町村、地域の支援団体等が様々な支援を行っておりますが、避難民に十分に伝わっていないケースや、避難民のニーズを把握し切れていないケースもございます。

○土屋委員 避難民の方々は、戦禍からの避難生活を余儀なくされ、予想だにしていなかった環境に置かれています。そうした方たちが言語や文化が異なる中で生活していくには、様々な困難があります。
 夫や父親らがウクライナに残っているため、避難者は、日々の戦況や家族の安否確認に追われつつ、日本語の壁に直面しながら、生活必需品や就労先の確保といった課題に悩まされていることが多いと聞きます。
 先ほど、支援が十分に避難民に届いていないとのご答弁がありましたが、これは大変大きな課題でもあります。
 こうした課題を解決するために、今回の補正予算ではマッチング支援を提案されていると思いますが、その目的と概要についてお伺いいたします。

○小野都民活躍支援担当部長 本事業の目的は、避難民の方が地域で自立して安定した日常生活を送れるようにしていくことでございます。
 そのため、都、つながり創生財団が、外国人支援等の経験、ノウハウのある団体と連携し、避難民の方々が抱える生活上の困り事やニーズを聞き取り、国や都、区市町村、国際交流協会などの支援策につなげてまいります。

○土屋委員 今回の支援は、支援する側の視点のみだけではなく、避難民の視点にも立ち、しっかりとニーズを聞き取って、きめ細かなフォローを可能にするものであることが分かりました。このマッチング支援の取組に期待したいと思います。
 また、今後、社会の情報化、デジタル化による通信分野の支援なども含め、避難民のニーズはさらに多様化していくものと考えます。支援の方法は一つではなく、一人一人の状況により様々な形があると思いますので、今後も、個々の状況を踏まえ、柔軟に対応していっていただきますようお願いいたします。
 次に、公衆浴場に対する支援について伺います。
 公衆浴場は、コロナ禍の利用者減や、昨今のエネルギー価格高騰の影響により、非常に大きな打撃を受けています。
 公衆浴場は、レトロなたたずまいが魅力的なもの、ほかでは見られないペンキ絵が味わえるようなもの、露天風呂やプールを併設しているものなど、個性豊かな銭湯がたくさんあります。厳しい社会情勢の中にあっても、公衆浴場は、日本の文化としてしっかりと守っていかなければなりません。
 我が会派は、昨日の一般質問において、公衆浴場の利用促進に向けた支援について質問したところでありますが、今回予定されているスポーツイベント等と連携した公衆浴場利用促進事業については、その場限りの取組ではなく、波及効果をもたらすものとすることが必要です。
 そこで、より多くの都民に参加していただくとともに、その効果を公衆浴場全体に広げるためにどのように取り組んでいくのか、伺います。

○片岡消費生活部長 本事業は、イベント等への直接の参加者だけでなく、家族や友人などを誘って無料入浴券を利用できるようにすることを予定してございます。
 また、入浴券の配布につきましては、都主催のスポーツ、文化イベントをはじめ、都内各所で実施される多くの都民が参加するイベントと連携してまいります。
 都内には、様々な個性を持つ銭湯があり、本事業をきっかけとして、新たに銭湯の魅力に気づき、様々な銭湯に何度も足を運んでもらえるよう、SNSなどを活用した広報も積極的に展開してまいります。

○土屋委員 今年は東京二〇二〇大会一周年記念のイベントがめじろ押しとなりますので、そうした機会をしっかりと捉えて、日本の宝である銭湯を積極的にPRしてほしいと思います。
 さらに、こうした利用促進のための支援に加えて、経営の安定化を図るための直接的な支援も重要であります。今回の補正予算においても、公衆浴場クリーンエネルギー化等推進事業の拡充に係る経費が計上されています。
 この事業は、公衆浴場の使用燃料を重油などから都市ガスなどのクリーンエネルギーに転換する経費や、省エネ、創エネ設備を設置する経費を補助するというもので、このうち太陽光発電装置の設置などについて、今回、補助率を引き上げるなどの拡充を行うとのことであります。
 ただ、銭湯の場合、瓦屋根が多く、また、特に都内ではビル内の銭湯も多く見られるため、太陽光発電装置などは、物理的に設置できるところは既に設置していたり、新たな設置は容易には進まないのではないかという懸念もあります。現に、太陽光発電の補助の申請は、年に一件程度と聞いております。
 これら設置を促進するために、具体的にどのように取り組んでいくのか、伺います。

○片岡消費生活部長 公衆浴場の省エネ、創エネ化に当たりましては、導入時の負担が大きいことから、補助率を二分の一から三分の二に引き上げるとともに、太陽光発電装置の設置に当たって屋根の補強等を行う場合に係る経費も対象といたします。
 また、太陽光発電装置を既に設置していながら老朽化している場合も想定しまして、補修や更新に係る経費等も新たに補助の対象といたします。
 こうした取組により、省エネ、創エネ化のさらなる促進を図ってまいります。

○土屋委員 ありがとうございます。特に太陽光発電装置については、省エネ、創エネ化に向け、包括的に補助していくものであることが分かりました。
 都議会自民党ではこれまで、時代の変化に応じて、新たに見いだされた魅力や価値が長きにわたって支持される、いわば持続可能な銭湯となるよう、都には支援をお願いしてきたところでありますが、今回のような公衆浴場の未来を見据えた取組を、ぜひ今後とも続けていっていただきますよう期待いたします。
 次に、私立学校省エネ設備等導入事業費補助の補正予算について確認させていただきます。
 都におけるCO2削減については、急速に進む地球温暖化を背景に、一層、迅速に取り組んでいくべき大きな課題であります。
 CO2削減のためには、より広範囲な取組が必要であり、私立学校においても省エネ対策を着実に進めていくことが重要です。
 今回、昨今の世界情勢などを踏まえ、緊急対策として私立学校省エネ設備等導入事業費補助の補正予算を計上したことは、私立学校の省エネ対策を加速させる、非常に大切な取組であると考えます。
 まず、この事業の概要及びこれまでの取組と昨年度の実績についてお伺いいたします。

○戸谷私学部長 私立学校省エネ設備等導入事業費補助は、各学校の省エネを進め、都内のCO2削減を図るため、省エネ型の照明器具や空調設備、太陽光発電設備などを導入する私立学校に対し、その経費の一部を補助する制度でございます。
 これまでも東京都は、各学校のニーズを踏まえ、対象経費の見直しなど制度の充実に努め、積極的に省エネに取り組む学校を支援してまいりました。
 直近の令和三年度においては、百六十九件、約十二億六千万円を補助したところでございます。

○土屋委員 非常に高いニーズがある本事業ですが、今回、補助率を引き上げることの狙いについてお伺いいたします。

○戸谷私学部長 昨今の世界情勢等から、原油高騰やガスの供給不安などエネルギー問題が深刻化する中、今後の電力需給の逼迫等に備えるとともに、温暖化の原因となるCO2の排出削減のため、私立学校における省エネ設備等の導入が一層進むよう、補助率を二分の一から三分の二に引き上げるものでございます。

○土屋委員 この補助の拡充は大変意義があることであり、この事業効果を高められるよう、各学校への周知を促進していくことが不可欠であると考えますが、各学校に対し、どのように周知を図っていくのか、お伺いいたします。

○戸谷私学部長 私学財団や私学団体とも連携いたしまして、説明会の開催や新たなチラシの配布などを行うとともに、各学校の状況を踏まえまして、今回の趣旨や狙いを丁寧に伝えてまいります。
 今後とも、より多くの学校で省エネの取組が進むよう、支援をしてまいります。

○土屋委員 東京における低炭素社会の実現のためには、多くの都民の理解と協力が必要であり、将来を担う子供たちが通う学校現場での省エネの取組は大変重要であります。学校の意見や状況をしっかりと把握していただきながら、今後とも補助事業を継続して取り組んでいただきますよう、お願いいたします。
 替わりまして、男女平等参画基本条例の改正について伺います。
 少子高齢化の進展、産業構造の変化、家族形態の多様化など、急速に進む時代の変化に対応するためには、固定的な意識や慣行を見直し、男女が個性と能力を十分に発揮し、あらゆる分野に対等に参画できる男女共同参画社会の実現が必要です。東京、そして日本の社会経済の活力にとっても、女性の参画は不可欠であります。
 都では、本定例会で、東京都男女平等参画基本条例の改正によりクオータ制を導入し、東京都の審議会等における女性任用の促進を図っていくとのことですが、現状と目標についてお伺いいたします。

○樋口男女平等参画担当部長 都はこれまで、審議会等を所管する局担当者向けの研修や、知事名による各団体への女性委員の推薦依頼など、様々な取組を行い、令和三年四月一日現在の女性委員の任用率は三五・八%まで上昇してきました。
 令和四年度末までに四〇%とする目標を掲げております。

○土屋委員 クオータ制は、多様な人材の社会進出の後押し、人材の多様化確保、また、グローバル社会にふさわしい、一様ではない社会づくりの貢献につながる効果があることが期待されます。
 この四〇%という数値目標達成のためには、様々な工夫と努力が必要であり、各審議会等の委員を選任する各局に対する支援が不可欠であると考えますが、どのような取組を行っていくのか、お伺いいたします。

○樋口男女平等参画担当部長 各局に対し、クオータ制導入の意義を徹底するため、研修や説明会を丁寧に行うことで、積極的な女性委員の登用を促進してまいります。
 また、都立大学との連携による専門的知見を有する女性委員候補者の紹介や、内閣府の人材情報の提供を通じて、各局の取組を支援してまいります。

○土屋委員 ありがとうございます。
 先ほども述べましたように、価値観の多様性や安定した人材確保など、今後、審議会等に登用される女性を増やしていくことが重要でありますが、そのために、様々な分野において女性の社会参画をさらに進めるべきと考えますが、具体的な取組について伺います。

○樋口男女平等参画担当部長 女性活躍推進大賞を受賞した企業や団体等の先進的な取組について、様々な媒体を活用し広報を充実させ、働く場や地域など、様々な分野における女性の社会参画を促してまいります。
 また、若者がキャリアデザインを知るサイト、WILLキャリッジや、男性の家事、育児参画に向けたマインドチェンジを目的とするサイト、TEAM家事・育児に参加してもらうなど、受賞団体との連携を強化し、効果的な発信に取り組んでまいります。

○土屋委員 クオータ制に求められるのは、単純に機会の均等ではなく、社会における多様な価値観に柔軟に寄り添い、多様性を認める社会へと変貌する第一歩でもあります。
 女性が活躍できる社会の実現に向けた取組を東京から横展開していけるような東京モデルを確立していっていただくことを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○龍円委員 横山局長をはじめ生活文化スポーツ局の皆様、都民ファーストの会の龍円あいりです。よろしくお願いいたします。
 ウクライナ避難民支援に関してお伺いしたいと思います。
 この間、私のところにも、ウクライナから避難されてきた方々を支援している人や団体からご相談をいただいてまいりました。私が関わった方々は、子連れで避難されてきておりました。
 私はシングルマザーなので、子供を一人で育てているわけなんですが、一人で子育てするのは、ただでさえ大変なのに、避難先で祖国に残してきたパートナーや家族の心配をしながら、言葉も、食べ物も、文化も、価値観も、何もかも違う国でお子さんたちを健全に育てていこうとすることを想像すると、壮絶な環境過ぎて、本当に支援が必要だなというふうに感じております。
 そこでまず、今、日本にいらっしゃるウクライナ避難民と、そのうち、子供の数と割合についてお伺いいたします。

○小野都民活躍支援担当部長 出入国在留管理庁によりますと、ウクライナ避難民の入国者数は、六月五日現在で千二百三十九名、そのうち十八歳未満の子供は二百八十三人で、全体の二二・八%となっております。

○龍円委員 ありがとうございます。国内に子連れの避難民が相当数いることが分かりました。
 男性は祖国に残っていることから、ほとんどが母子避難ということになるかと思います。子供にとっては、日常生活から引き剥がされて、お父さんやお友達ともお別れし、祖国に帰れるのかどうか、家族や友達にまた会えるのかどうかも分からない中で、頼りとしたいお母さんも不安いっぱいということでして、健全な育成が簡単ではない環境になっているのかなというふうに思います。そこから一刻でも早く、少しでも安心して、心身ともに健康を保てる環境へとつなげていくことが重要だと思います。
 また、母親としても、子供の状態が不安定だったり、悪くなってしまったりすると、精神的にさらにつらくなってしまうと思います。
 このことから、子供に対しては、できる限り早く支援を行うことが重要だと考えますが、どのように対応しているのか、お伺いいたします。

○小野都民活躍支援担当部長 今後、避難民の方々にニーズを聞き取っていくことになりますが、避難民の中には、比較的、避難生活への適応が難しい子供が多いことから、学校教育や日本語学習、また居場所づくりなど、子育てや子供に対する支援が喫緊の課題であると認識しております。
 このため、子供向けの日本語学習や学校教育のサポート事業を行っている国際交流協会や支援団体などの活動場所や問合せ先の情報をリスト化し、区市町村に対し、マッチング事業実施に先行して提供しております。

○龍円委員 今回のマッチング事業の実施を待たずに、先行して、子供たちについては支援団体へつなぐことを急いでいらっしゃるということでした。ありがとうございます。
 また、聞くところによりますと、避難されてきた方々で、学校にまだ行っていないお子さんも多いということです。生活が不安定な中で、子供を学校につなげるのは後ろ手になってしまっているのかもしれません。しかし、お子さんのことを考えても、また、そのご家族にとっても、学校にお子さんが行くことで社会とつながることは大切なことと思います。
 また、仕事が見つかる前であっても、お子さんが小さければ保育所を利用できるようにすることなども重要だと思います。
 これらのことは、東京都ではなく区市町村が行うことではありますが、自治体によっては対応が違ったり、また、区市町村側も、対応をどうすべきか悩んでしまっていたりという面もあるかもしれません。東京都としても、区市町村と連絡を密にして、後方から支援していただきたいです。
 また、そのほかの支援なども、支援団体についても、避難民対応に慣れていないところも多いかと思いますので、様々な課題、困っていることもあるようです。
 都は、マッチング支援において、避難民のニーズのみならず、支援団体などの困り事にも対応し、しっかりと連携し、教育を始めようとする様々な支援を行うべきだと考えますが、どのように対応していくのか、お伺いいたします。

○小野都民活躍支援担当部長 今後、避難民が抱える生活上の困り事やニーズを聞き取り、支援策につなげてまいりますが、その際、支援団体などからも、支援を行う上での課題についてヒアリングを行ってまいります。
 この課題等を関係者で共有することで、団体間の相互連携など、実効性ある支援策につなげてまいります。

○龍円委員 避難民にヒアリングするとともに、区市町村とも、そして支援団体からもヒアリングしてニーズを把握して、困っていることに応えられる支援をしていくとのことです。その中でも、子供のことをしっかり聞き取っていただいて、支援団体などともしっかり連携して、子供たちが前向きに明るく、少しでも、一日でも早く安定した生活が送れるように、支援のほどよろしくお願いいたします。
 また、支援団体から私に寄せられたお声として、身元引受人がいらっしゃる避難民については、国からの生活費支援がなくて、日本財団さんからの支援に頼っているとのことでありました。ただ、この日本財団からの手続がとても遅れているとのことなんです。
 ウクライナ人の平均月収が六万円とのことで、日本で、特に東京都で生活が始まると、貯蓄があっという間に消えていくそうで、生活費が足りなくなっているとのお声もいただいております。
 こういう支援団体からの声なども、しっかり今後も聞いていただいて、対応できるところから速やかに対応していただけるよう要望させていただきまして、質疑を終えさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○斉藤(や)委員 私の方からも、この補正予算案、様々ございますけれども、ウクライナ避難民に対する支援団体等との連携について、マッチング支援について簡単に質問させていただきたいと思います。
 私のところにウクライナ避難民の親子の受入れの相談がございましたのは、ゴールデンウイーク明けの五月九日のことでございました。八日だったか九日。
 私は目黒区が選挙区なんですけれども、この方はバレリーナなんですね。ウクライナには、国立歌劇場、五大歌劇場という有名な劇場がありますけれども、そのハルキウというところの歌劇場にいらっしゃるバレリーナが、目黒区の先生の助けを得て、仕事が先に決まったケースなんです。
 職場が目黒に決まったのですが、仮住まいの予定が渋谷区。なぜかといいますと、都営住宅だけじゃなくて、民間の事業者も、空きスペースを使って、三か月間無料にしますよということをネットで配信しておられます。たまさか恵比寿にある民間のオーナーが善意で三か月無料ということで、板橋区にいる受入れの方の助力によって、渋谷区内に仮住まいが決まったのですけれども、職場が目黒区と。こういう広域にわたって、五月に話がスタートしました。
 よく話を伺ってみますと、本当は、目黒区で仕事が決まっているので、目黒区内の都営住宅に入居ができればということがあったんです。なぜかといいますと、この方は、住まいを確保した先に、今度は子供がいると。まさに就学前の子供がいらっしゃるので、親子で来日するケースだったわけですね。
 そこで、私は、こういうことについては、東京都としては政策企画局にヘッドクオーターがあるということを伺っておりましたので、目黒区の受入れ担当もいるということでしたので、おつなぎをして、やれやれと思って、どうでしたかと、その受入れの方にお話を聞いたら、何もできないといわれましたと。結局、自分で探します、ありがとうございましたという、元気いっぱいのLINEが来たんですね。
 文字ですから、何もできないということは、言葉の語彙が、強さが分かりません。しかし、とても失望感がそのLINEの文字から私は読み取れましたので、すぐ電話をしました。固定電話はありません。その方もウクライナから先に来た方だったのですけれども、話を聞いてみたら、やっぱり行政として慣れていないんですね。
 これは、誰々が悪いというふうに、その方をこう、何をやっているんだという話じゃなくて、みんな手探りでやっているわけなので、その親子がまず安心してもらえるかどうかが大事だということで、分かりましたと。全然寄り添えていないというふうに実感があったものですから、私がやってみようということで、都営住宅の方にも、政策企画局の窓口の方も共に、まず都営住宅はどうなんだとお話をしました。
 そうしましたら、五月十三日に、非常に幸運なことに都営住宅の空き住戸が見つかりました。五月十三日には、来日に合わせる形で、もう場所は決まっていました。そして、東京都は一時滞在ホテルがありましたので、六月五日には入居ができたケースだったんです。
 この方はウクライナ国立の歌劇場で働いておりましたが、バレエのコンサートがもう既に六月四日に、目黒のパーシモンホールという、非常にそういう文化ホールでありまして、そこにもう既に、自分がアレンジした演目、ウクライナの舞踊なんかも入れながら、親子でそこで元気に一緒にいるという姿を見まして、私もちょっと安心したわけです。
 課題であった保育園も、目黒区議会議員と連携しまして、目黒区にはちゃんと、東京都と目黒区がつながっていますから、保育園の問題についても、基礎自治体が汗をかいて入園先も決まりました。
 ということで、この親子については、今後、課題は自立支援。どのくらいこの期間が長くなっていくかが分かりませんので、寄り添っている方についても、その方も暮らしがありますから、いつまでもその方に付き添っているわけにいかないので、自立支援が大事になっていくなというふうに思っていたところ、今回の補正予算でこの仕組み、マッチングの支援ができるということなので、これは非常にいいな、大事だなというふうに、私は大変に期待をしているところでございます。
 先ほどの他の委員のご答弁の中で、現在、東京都にも約百八十人ですか、六月五日現在でしょうかね、おられるということでありますが、皆さん、置かれている状況は様々だと思うんですね。様々であるということは、それに対する対応すべき部署も多岐にわたるでしょう。
 そして、どのくらいの期間、日本に滞在するのか。祖国に帰りたい気持ちがあるのは当たり前ですが、長期化の様相もございますので、寄り添った支援の継続が非常に重要であるということでございます。
 また、長くなって恐縮ですが、幸い目黒区にはポーランド大使館がございます。ポーランド大使館と地元の区議会議員なんかも、日頃から付き合いがありますので、本国でも避難民を大変受け入れているポーランドなどもございます。在外公館が多く、ユネスコ活動の歴史も目黒は古い。そして、目黒区の国際交流協会、MIFAという、地道な活動をずっとしている団体。ノウハウの蓄積がある目黒区だったから、私は非常によかったのだと思っています。
 しかしながら、都営住宅が立地している地域は、必ずしも−−国際交流の状況も様々でございまして、たまたまそこに都営住宅があるからといって基礎自治体に全てお任せするのは、これはスキルがばらばらですから、大変なことになるのは容易に想定されるわけです。
 そこで、その課題を克服するための仕組みとして、今回のマッチング支援が提案されたと理解していますけれども、重複は避けていただいて結構なんですが、都としての今後の対応について伺いたいと思います。
 特に区市町村との関係などについて、中心に伺いたいと思います。

○小野都民活躍支援担当部長 避難民の方々のニーズを把握し、区市町村に伝えるとともに、対応が困難な事項については、必要なサポートを行ってまいります。
 また、東京都は、区市町村との連絡会議などを活用し、自治体や民間支援団体の先行事例を共有して、区市町村の取組を促してまいります。

○斉藤(や)委員 こうした機会は、本当はなければない方がいい。戦争という状況があって、多くの人の命が失われているわけですから、こういうことは起こってほしくないのですが、日本は、こういうことについて、どこまで人道的な支援ができるかが国際的に問われている中で、都市として、寄り添った支援は大変よい、大事な取組であると思います。
 しかし、実際に、仕組みがあっても、避難民にその支援が届きまして、都民の気持ちが届いていく、愛が届いていくということは、とても大切なことでございまして、安心して喜んでいるだけでは、何もしていないのと同じになってしまいます。
 そこで、この仕組みを、確実に実効性ある、機能させていくための具体的な取組があればお伺いしたいと思います。

○小野都民活躍支援担当部長 避難民の方々に対しては、都営住宅に入居する前から、様々な機会を捉え、本取組を周知いたします。
 区市町村とは、連絡会議等を通じて情報共有するなど、本取組についてしっかりと連携を図ってまいります。
 これらにより、避難民の方々が孤立せず、支援につながるよう、広域自治体として地域を支援してまいります。

○斉藤(や)委員 今、部長からご答弁がございましたけれども、せっかく補正予算も組んでつくる仕組みでございますので、現場でどういうようなことが起こっているかということについては、財団のマンパワーも駆使していただきまして、いろんなケースがあると思いますので、そういった状況を共有しながら、試行錯誤あると思いますが、寄り添っていただきたいと思います。
 都営住宅の立地場所自体が、必ずしも東京の中で均一化に広がっているわけじゃありません。都営住宅を大変多く受け入れていただいている自治体もあるわけです。そういったところが空いているからといって、たまさかそこに、国際的にそういうウクライナ避難民の方が行かれる。周りは、そういうことについて、初めてのケースということで、最初はとても驚かれると思うのですが、でも、それがスタートとなって、これからすばらしい地域づくり、日本人の真心がウクライナの一人一人につながることが、口先だけの外交官の外交以上に、大事な国益につながっていくということもありますので、これからは地域の現場、その人が大切であると思います。
 また、国際交流の組織やノウハウなどは、先行している地域にどんどん聞いていただいて、それこそつなげていただいて、初めてのケースであれば、最初はどうだったか−−みんな最初はおっかなびっくりのところがありますけれども、アンコンシャスバイアスというのはここにも通じると思うんですね。子供の方が日本語は−−もう言葉の壁なんか、簡単乗り越えられるのが子供なんですね。
 ですから、そういう思い込みというものも排除して、できるだけその家族に寄り添った、人に寄り添った−−そして、この方も、バイオリニストのご主人が遅れて来ることになっています。出国が許されることになったそうですが、そういう方が合流したときのその先まで、とにかく先手先手で寄り添っていくことが必要であると。
 だからこそ、その連携の核が必要でございますので、つながり創生財団、期待しております。しっかりとそれを活用していただいて、継続的に寄り添っていくことを要望して、質問を終わりたいと思います。

○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
 私からも、まず、補正予算についてから伺っていきたいと思います。
 ロシアのプーチン政権がウクライナに侵略してから三か月以上がたっていますが、たくさんの命が奪われて、痛ましい事態を目にして、多くの人たちがやりきれない憤りを感じ、胸を痛めています。
 祖国を破壊され、住む場所を失った人たちが世界中に避難しています。親戚や知り合いを頼れる人もいれば、それができない人たちもいます。
 日本には千人を超える方々が避難しており、東京には、先ほど答弁がありましたように百八十名、都営住宅には六十八組ということでありました。
 一刻も早く戦争を終わらせて祖国に帰ることができるよう、全世界が一致することが求められていますが、やはり当面の暮らしを立て直すということが緊急に求められています。
 そこで、東京都の役割も非常に重要だと思いますが、東京都も、避難民の方々の支援に都営住宅の提供、マッチング、アウトリーチ支援などを開始するということですが、ウクライナ避難民の支援は各局にわたると考えます。どのように連携しているのか。全体を把握しているのは生活文化局なのか、全体を統括している局はどこなのか、改めてお聞きします。

○小野都民活躍支援担当部長 政策企画局が中心となり、全庁横断のチームを立ち上げ、支援を行っております。
 関係局が定期的な会議をしており、当局も参加しております。

○とや委員 全庁横断的なチームを組んで、生活文化局としても参加をして、情報共有などに取り組んでおられるということでありました。
 先ほど来、お話があった都営住宅ですけれども、都営住宅に入居している人たちは、現在六十八組といわれていますが、どういった人たちなのか。今後も増えることを見込んで百戸用意しているようですが、都営への入居者以外にウクライナの避難民の方々がいらっしゃると思うのですが、その状況についてお答えください。

○小野都民活躍支援担当部長 現在、都営住宅に入居している方々は、国内に身元保証人がおり、都営住宅への入居を希望している方でございます。
 また、避難民は都営住宅入居者以外にもいらっしゃいます。

○とや委員 先ほど、他の委員からお話があったように、民間の住宅にお住まいの方もいらっしゃいます。
 身寄りのある人もいるし、ない人もいらっしゃいますが、いずれにしても、暮らしたことのない土地で新たな生活を営まなければならないということは、多くの人たちが感じていると思います。一定期間滞在するのは、非常に不安だと思います。自分に置き換えてみると、先行きが見えないという中で、誰でも心も不安定になるんじゃないかと思います。
 そうした中、支援がしっかりと行き届くことが重要なんですけれども、都営住宅避難民以外の支援は、今回、補正予算で組まれました生活文化局の支援スキームの対象になるのでしょうか。お答えください。

○小野都民活躍支援担当部長 今回のマッチング支援の目的は、避難民が地域で自立して安定した日常生活を送れるようにしていくことでございまして、その対象は、都営住宅に入居している方だけにはとどまりません。

○とや委員 ただ、都営住宅に入居されている方々というのは、東京都は把握ができていると思うのですが、それ以外の方々に対して、どういう状況にあるのか把握するというのは、非常に難しいのかなというふうに思うわけですけれども、それで、アウトリーチもするということですが、どういうふうな対応をされるのか、お答えください。

○小野都民活躍支援担当部長 区市町村と連携して支援をしてまいります。

○とや委員 区市町村との連携もいろいろあると思うのですけれども、丁寧にやっていただきたいなというふうに思います。
 知らない国に来たときに一番懸念されるのが、やっぱり言葉の壁だというふうに思います。
 支援団体が四六時中、通訳ができるわけではないわけで、日常生活に困らない支援が必要だと思いますが、こうした点ではどういう対応をされているのか、するのか、お答えください。

○小野都民活躍支援担当部長 区市町村等の窓口において、通訳が必要な場合には、つながり創生財団がリモート通訳を実施するほか、生活情報に関する冊子をウクライナ語で作成するなどの対応を行っております。
 また、ウクライナ大使館による翻訳機の提供について、避難民の方にお知らせしております。

○とや委員 つながり創生財団が中心となって、今回、補助金という形で実施するというふうには聞いていますが、翻訳機の提供についても、避難民にお知らせはしているということでありました。
 その翻訳機や翻訳アプリもそうなんですが、国の環境整備交付金というのがありまして、翻訳機や翻訳アプリの導入を自治体が行った場合、交付金の対象になるというふうに聞いています。
 都として活用しているのかどうか、お答えください。

○小野都民活躍支援担当部長 つながり創生財団は、設立時から多言語相談ナビを運営しておりまして、ウクライナ避難民支援については、早い時期から独自にワンストップ相談窓口を開設して対応してきております。

○とや委員 この国の環境整備交付金は、各自治体が翻訳機や翻訳アプリの導入を決めたときに活用ができるというもので、もともとあった交付金を活用するというスキームになっていると思います。ただ、もともとこの交付金を活用していないと、新たに、新規で活用はできないというふうにお聞きしました。
 避難民の方々は都内に広く点在しており、そういう点では、各自治体の役割が非常に重要だと思います。交付金については、活用できる自治体を−−本当でしたら、今までこの整備交付金を活用していなくても、基準を緩和するとか、国はやるべきだと思いますけれども、そうだとしても、今の交付金を活用していたとしても、自治体によっては、まだ活用できていない、あるいは知らないというところもあると思います。ぜひさらに区市町村と連携をして、相談にも乗っていただいて、避難民の方々が困ることのないよう対応をお願いして、この質問は終わります。
 次に、公衆浴場についてです。
 公衆浴場は、現在では四百八十軒程度に減ってしまって、一時期は百軒くらい減っていた時期と比べれば、今、年々、二十軒ぐらいの減少と聞いています。
 私どもは、この委員会でも、代表質問でも、浴場の支援について、活性化について、度々お聞きしてきたわけですが、地域のコミュニティの拠点としても、震災時の役割や文化的価値を考えても、都民にとって貴重な財産であります。減らさずに充実発展してもらいたいと思っています。
 今回は、補正予算で、クリーンエネルギー化等推進事業で九千万円、そしてスポーツイベント等と連携した公衆浴場利用促進事業補助で一億四千万円が計上されています。どちらも、事業者にも、利用者にも喜んでもらえるように活用を進めていただきたいと思っています。
 そこで、まずお聞きしたいのが、クリーンエネルギー化の推進事業です。
 初めに、公衆浴場の現在使用しているエネルギーの種類とそれぞれの割合についてお答えください。

○片岡消費生活部長 令和三年の実績では、都市ガスが約七割と最も多く、次いで、雑燃料、重油、廃油等の併用が約二割となってございます。

○とや委員 ガスへの切替えが進んできて、ほとんどがガスを活用して営業しているということです。
 今回の補助は、クリーンエネルギーということで、これまであった二分の一の補助を三分の二に引き上げて活用を図ってもらいたいということなんですけれども、私たち、この間、浴場さんに、銭湯に何回か訪ねて伺ってきました。
 太陽光発電を既に利用している方もいらっしゃいました。その方は、七台、屋根に上げているそうですが、夏は百度のお湯が千リットルぐらい取れるので、足しにはなるということをお聞きしました。
 ところが、この間のクリーンエネルギー、太陽光やLEDの利用の実績を見ますと、非常に少ない。この五年間を見ても、太陽光は一件とか、ない年も、ゼロとかいうことがありました。
 補助率を上げて、太陽光については、それに関わる費用について、蓄電池とかもつけて補助するということですから、利用拡大につなげられることを期待しています。
 一方、私たちは、この間、浴場の経営者さんたちからお話を伺うと、やはり燃料については直接の支援が重要だということをおっしゃっています。これは本当に重要だと思ったんです。
 コロナ禍で自主的に一か月半休業した方が、痛手は非常に大きいと訴えていらっしゃる方、サウナをやっている方は、感染拡大協力金をもらったけれども、間に合わないという方もいらっしゃいました。利用者が減った浴場もあれば、何とかお客さんを減らさない努力をしている浴場もありました。
 そういう努力をしながらも、一番負担が大きいのが水光熱費、特にガス代だというふうにおっしゃっています。燃料は、ガスを皆さん使っているのですけれども、料金が非常に上がって大変だという声を聞いてきました。ある浴場では、キロリットル十万円上がってしまったというところもありました。
 直接の補助や、水道代、電気代への補助も必要ではないでしょうか。

○片岡消費生活部長 今回の措置は、国の臨時交付金を財源としているものなんですけれども、省エネ、創エネの促進を行うものでありまして、都の独自予算でのガス代への直接補助を行う考えはございません。
 水道料金、下水道料金については、現在も減免制度がございます。

○とや委員 ガス代への補助はしていないということであります。
 燃料費への補助は、都内の自治体の事業を見ますと、行っている区とそうでない自治体があります。このような差が、結構、自治体によってあるわけで、それをカバーする上でも、東京都がガス代などの補助をすることは重要だと考えます。
 今回、臨時交付金を活用してクリーンエネルギーの導入ということですけれども、都独自の予算を組んでいただいて、公衆浴場の支援を強化していただきたいと求めておきます。
 スポーツイベントのモバイルクーポン、それから、定期的な変わり湯も、今回実施されるということです。利用客がこれで増えていけばいいなと思うのですが、この間、東京都は、浴場活性化支援実証事業を平成三十年から令和二年の三年間やってきて、終了をしています。公衆浴場が五百軒を切って、固定客はもちろん、今後どのようにお客を増やしていくのかが課題だと思います。
 特に、この間、コロナ禍で予定されていたイベントも中止になるなど、浴場にとっても、非常に苦難が続いてきたと思います。
 今回、スポーツ、文化イベントとのコラボで、都民に公衆浴場を知ってもらう機会となり、それをきっかけに、また行ってみようという行動につながるということを目的とされているということですが、まずお聞きしますが、このモバイルクーポンですが、どういう文化、スポーツ事業が対象になるのか。そして、スポーツの参加者あるいは観戦者ともに配布をするのかどうか、確認をさせてください。

○片岡消費生活部長 無料入浴券につきましては、多くの都民が参加するイベント等と連携し、会場等において配布します。来場した方がご入手いただけます。

○とや委員 来場すれば、参加者、観戦者ともに配布してもらえるということですが、大体、十二万人ぐらいだというふうにお聞きしていますが、もらったとしても、行ける銭湯と行かない銭湯が出てきてしまうというのは、そういった懸念は各方面からあると思いますので、満遍なくこのクーポンを各浴場で享受できるように、努力、広報などもしていただきたいと思います。
 それから、定期的に変わり湯を実施するということですが、定期的というのはどのくらいの間隔をいうのか、教えてください。

○片岡消費生活部長 実施回数につきましては、現在、浴場組合と調整中でございます。

○とや委員 調整中ということでありますが、変わり湯についていえば、各自治体でやはり補助を行っているところもあって、様々、取り組まれております。
 今回の取組が、先ほども申し上げましたが、銭湯に行ったことがない人が銭湯の魅力を知るきっかけになればよいと思いますが、こういった取組というのは、続けなければ、いずれ利用者は遠のいてしまうんじゃないかというふうに思います。広く活用できるように、広報もしっかりしていただきたいということを求めておきます。
 そして、やっぱり根本的な問題として、これ以上、公衆浴場を減らさないということが非常に大事だと思います。
 安定的に経営できる環境をつくってほしいなと思いますが、その重要性についてお答えください。

○片岡消費生活部長 都はこれまで、浴場組合が実施する情報発信等への補助や改築支援など、様々な補助事業を通じて公衆浴場を支援してまいりました。
 今回、これらに加えて、新たに、スポーツ、文化イベント等と連携した利用促進と、省エネ、創エネに資する設備の設置支援の拡充を行います。

○とや委員 その重要性を聞いたのですけれども、はっきりとお答えいただけませんでした。この間も様々な、代表質問でも、あるいは一般質問等でも、この重要性については、東京都も自覚して認識しているわけだから、きちんと正面から答えていただきたかったなと思います。
 補正予算については、これで終わります。
 次に、男女平等参画条例の一部改正について伺っていきたいと思います。
 長年の各種の意思決定が男性中心に行われて、そのために男性の経験を反映させた決定がされてきた例も少なくない中で、女性が意思決定する。それが必要だとされる多くの人たちの声と、それに応えて社会も動いて、東京都も今回の条例改正に踏み切ったというふうに思います。
 今回、東京都が各種審議会等の委員に男女の割合を、クオータ制を条例に書き込むということになったのは、非常に大事な前進だと思っています。同時に、書き込むだけでなくて、大いに発言できる環境をつくって、実態が伴うものになることを期待します。
 そこで、常に各局では、目標も定めて取り組んできていると思いますが、この取組状況をお答えください。

○樋口男女平等参画担当部長 都の審議会等の女性委員の任用率を、令和四年度末までに四〇%以上とする目標を掲げております。
 その目標に向け、各局において女性委員の積極的な任用を進めているものと認識しております。

○とや委員 さらなる目標達成に向けて頑張っていただきたいなと思うわけですが、今回、クオータ制の対象となる会議体、附属機関等という形で広がったということは、非常に歓迎したいと思います。
 資料をいただきましたが、懇談会や専門家会議も対象になっていますが、女性任用率には、まだばらつきがあるというふうに思います。
 これらの機関について、条例の趣旨、今後の取組、特に女性の登用を促していくために、局としてどのような取組をされていきますか。

○樋口男女平等参画担当部長 各局に対し、クオータ制導入の意義を徹底するため、研修や説明会を丁寧に行うことで、積極的な女性委員の登用を促進してまいります。
 また、都立大学との連携による専門的知見を有する女性委員候補者の紹介や、内閣府の人材情報の提供を通じて、各局の取組を支援してまいります。

○とや委員 都立大との連携というご答弁がありました。東京は大学の集積地でもありますので、ぜひ都立大だけではなくて−−定期的に懇談もされているということ、これはちょっと違う局かもしれませんけれども、そういったことを東京都はやっているわけですから、ぜひそういった大学とも連携をしながら、専門的知見を有する女性委員候補者を紹介できるような仕組みも構築していっていただきたいというふうに思います。
 今回、ようやく条例改正という形でしっかりと位置づけられたわけですけれども、女性の政策や方針決定過程への参画は徐々に進みつつあるのですが、やっぱりその状況は、国際的に見て十分とはいえないというふうに思います。東京都が率先して男女平等社会をつくる先頭に立ってほしいと思います。
 そして、今後、公的分野あるいは私的分野を問わず、政策、方針決定過程への女性の参画を拡大していくために、あらゆる分野における政策、方針決定過程への女性の参画の促進について取組を進めていただきたい。そのために、東京都としても力を発揮していただきたいと思っています。
 その上で、今、課題となっている問題について伺いたいのですが、職務指定の委員についてです。
 これは三月にも伺ったわけですが、今回の条例改正でも、職務指定委員は除く委員の総数に対しての数値だというふうに聞いているわけですが、職務指定は対象外と。
 ジェンダー平等社会を目指す上でも、職務指定委員を入れた総数でのクオータ制が求められていると思いますが、いかがでしょうか。

○樋口男女平等参画担当部長 法律や条例等の規定において役職が指定されている委員等につきましては、都の裁量で決めることができないため、男女を問わず、任用率の算定対象外としております。

○とや委員 確かに、都の意向で自由に決めることはできないかもしれませんけれども、やはり職務指定委員を入れた総数でクオータ制をきちんと目指していくという態度、姿勢を東京都が明らかにするということがすごく重要じゃないかなと思います。
 同時に、私は、今回、この質問で職務指定委員の男女の割合についてお聞きしたいと思っていたのですが、その割合についても、対象外としているために数値は取らないというお話を聞きました。そして、職務指定の委員に女性が少ないという現状は、今、一般的に、これはどこでもいわれているのですが、その分析もしないというふうに伺いました。これはちょっと残念だなと思います。
 国の審議会の委員等における女性委員の参画状況の調べでは、委員総数での女性委員の割合を出して、各審議会別に現状と対策を示しています。都としても、このように行うべきではありませんか。

○樋口男女平等参画担当部長 職指定委員は、都の裁量で決めることができないため、東京都の附属機関等におきましては、男女を問わず、任用率の算定対象外としております。

○とや委員 算定対象外だからやらないと。国がやっていても、やらないということです。それだと、やっぱり、全体として女性の審議会等における割合を本当の意味で上げていくということにはならないと思います。
 国は、職務指定委員について、早くから問題意識を持って調査もしています。それに私、気がついたのですけれども、かなり前からなんですよね。例えば、二〇〇六年当時から、各都道府県の審議会の職務指定委員の実態について調査を行っていることが分かりました。審議会などにどうやったら女性委員を増やせるかを考え、職務指定規定の緩和なども検討していました。
 例えば男女平等参画審議会などで、こういった問題についても、ぜひ議論できるようにしていっていただきたいなと、これは要望しておきます。
 そして、国では、目標達成に向けた具体的な方策については、委員として適切な女性を任命できるよう、各団体などと連携して候補者の情報収集や人材発掘に努めて、団体に対しては、女性を推薦するよう協力を要請すると。職務指定の委員に関しても、女性委員の指名について配慮の申入れを行うなどしています。
 今後、改選の機会を捉えて女性候補者の積極的登用に取り組むというところもありました。
 なかなか難しい壁があるということは分かるのですけれども、やはりこうした努力は必要だと思うのですが、いかがでしょうか。

○樋口男女平等参画担当部長 都は、専門的知見を有する女性候補者の紹介や、内閣府の人材情報の提供を行うとともに、知事名による各団体への女性委員の推薦依頼を行っております。
 なお、国において、職務指定の委員に関しても、女性委員の指名について配慮の申入れを行うとのことでございますが、これにつきましては、国の一部の審議会において、衆議院及び参議院から指名され任命している委員について、女性委員の指名配慮の申入れを行ったものと承知しております。

○とや委員 衆議院や参議院についても、まだまだ女性の議員さんが少ないという中で申入れを行っているんだと思うんですね。都議会も同じような感じだと思います。議員も職務指定ですから、そういったことも含めて、都には努力してもらいたいというふうに思います。
 女性は、労働者であると同時に、賃金が支払われない労働にも従事している場合が多くいらっしゃいます。近年、男性も育児に参加したり、育児休業を取ったりしていますが、まだその数は少なくて、仕事と家庭生活の両方を経験している方は女性が多いといえます。男性とは違う経験をしてきた女性が政策などの意思決定に関わる意義は、非常に大きいと思います。
 ぜひこういった問題についても、先ほども申し上げましたけれども、男女平等参画審議会などを活用するなどして、女性の声をどうしたら生かせるのか、取組を強化するためにどうするのか、議論する場を設けていただいて、さらなる女性の声を生かせるような政策決定ができる審議会等を目指していただくことを求めて、終わります。

○斉藤(り)委員 立憲民主党の斉藤りえです。
 東京都男女平等参画基本条例の一部を改正する条例について質問をいたします。
 この改正案では、いわゆる東京都版クオータ制の導入がうたわれていますが、私は大変すばらしいことであると賛同をしております。
 一方で、男女平等や共生社会など、表現としてうたわれることは多くとも、実態が追いつかない、伴わないといったケースも多々あることは、私も、女性として、また、障害を持つ当事者として痛感してきている次第です。
 そこで、やはり耳触りのいい表現や、うたい文句だけに限らず、実態が伴っていくために、私たちは政治の立場で向き合っていく必要を感じています。
 まず、東京都の附属機関の性別の構成比率を四〇%に上げることについてですが、現状として、構成比率はどのような比率であるのか、教えてください。

○樋口男女平等参画担当部長 都の審議会等における女性委員の任用率は、令和三年四月一日現在で三五・八%となっております。

○斉藤(り)委員 この現状からして、四〇%という目標は、高いのか、低いのかが分かりにくいですが、現実的な設定なのでしょうか。

○樋口男女平等参画担当部長 都の審議会等における女性委員の任用率は、令和三年四月一日現在で三五・八%となっており、令和四年度末までに四〇%という目標は適切な設定と考えております。

○斉藤(り)委員 私は、分かりやすい比率での目標設定はとても大切であると理解する一方で、質的に、それぞれの組織でどのような環境になっているのかについて、とても高い関心を寄せています。
 比率は達成しているから男女平等であるかという指標には必ずしもならないケースもあり、その点については、今後、しっかりと環境整備が必要であるのではないかと考えています。
 具体的には、組織ごとに構成比率の達成は前提として、その達成によって、職場や組織に何らかの変化が起きたか、または、起きる兆しを構成している人たちが感じるかどうかの点だと思います。
 また、目標設定は横並びに設定するしかないですが、機関の特性によっては、それが難しい機関などもあるかもしれませんが、いかがでしょうか。

○樋口男女平等参画担当部長 審議会等の設置目的に沿った適任者の確保に向けて、改選の機会を捉えた女性委員の積極的登用など、各局において様々な努力をしていただいていると認識しております。

○斉藤(り)委員 もちろん努力いただくことは大切ではありますが、機関の特性的に、必ずしも性別の構成比率による平等が適していない機関があるとすれば、先ほど言及した質的なアプローチなどを優先するなども検討してもいいかもしれません。
 さらに、気になっているのは、多様な性についてどのような配慮がされているのかが、条例案では分かりにくいように感じました。
 多様な性については、どのような扱いになるのでしょうか。

○樋口男女平等参画担当部長 審議会等の委員について、男女いずれの性も四〇%以上とすることにより、多様な性の委員にも配慮しております。

○斉藤(り)委員 ぜひとも多様な性についても弾力的な運用をお願いしたいと思います。
 その過程の中で、もしかしたら性別表記などを明確にすること自体が適していないケースもあるかもしれません。多様な方々の意見を反映させていく上ではとても重要な点もあり、同時に、プライバシー保護、人権の問題など、全てにおいてセンシティブな部分を含む案件でもあるので、ぜひとも、完璧はないにしろ、都度、弾力的に整えていくことができる運用をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、ウクライナ避難民等に対する支援団体と連携したマッチング支援についてお伺いします。
 長期化しているウクライナでの戦争において、多くの市民が犠牲になっています。私たちは、遠い国の話という扱いではなく、国際社会の大切な仲間として、一日も早く戦争の終結、平和を取り戻していくための外交努力を支援しなければいけません。
 それぞれの立場で何ができるかを考え、行動に移していく。映像で流れてくる現地の厳しい状況を目の当たりにすると、心が痛むと同時に無力さを痛感しますが、私たちにもできることが多くあることを、都民の皆さんとも共有していければと考えています。
 そうした中で、今回のマッチング支援は、とても重要な役割を担うと理解しています。多文化共生社会の実現を目的として、その一翼を担うつながり創生財団が難民支援でも機能していければ、今後の東京都の多文化共生施策は大きく前進すると期待しています。
 まずお伺いしたいのは、都としてウクライナからの避難民をどの程度受入れを想定しているのか、教えてください。

○小野都民活躍支援担当部長 都営住宅への受入れは、七百戸まで対応可能でございます。

○斉藤(り)委員 住居としてのハード面の規模、キャパシティーは七百戸ということは理解しましたが、私が気になるのは、避難民の方々が東京都に来て、ハード面だけでなく、安定した豊かな生活を送ることも含めた、受入れのキャパシティーの規模感になります。
 これは、やはり一時的であり、その後、定住するにしろ、この地域での生活で、人権的にも、文化的にもウエルビーイングを整えることが大切だと考えています。そうした視点に立っての受入れ施策をどう整えていくか、それが重要になると思います。
 そういう意味も踏まえ、この事業において、どの程度の避難民の方々に対応することを想定しているのか、ニーズを聞いていくことが可能なのか、教えてください。

○小野都民活躍支援担当部長 マッチング支援事業は、避難生活上の困り事やニーズを聞き取り、国や都、区市町村、国際交流協会などの支援策につなげていくものでございます。

○斉藤(り)委員 つながり創生財団が、今回、重要な役割を担うことになりますが、実際に、今回のように支援団体との連携並びに国や都、区市町村、国際交流協会などの施策とつながりを持った取組がどの程度実施できているのか、類似するスキームでの実施実績があるのかについて教えてください。

○小野都民活躍支援担当部長 つながり創生財団は、日頃から、区市町村や国際交流協会をはじめとする外国人支援団体と連携して事業を推進しております。
 今回のマッチング支援事業に類似するスキームとしては、コロナ禍で緊急対策として設置した東京都外国人新型コロナ生活相談センター、通称TOCOSがございます。

○斉藤(り)委員 今回のケースは、戦争からの避難による避難民であることについて、近年の外国人支援とは異なる点であると思います。災害においても起こり得るケースですが、戦災によってメンタルヘルスが不安定になっている方々も多くいると思う中で、これまでとは異なるケアが必要だと考えています。これは、つながり創生財団としても経験してきていないケースでもあるかもしれないので、そうした視点でも配慮していく必要があると思います。
 そういう状況下で、つながり創生財団が連携をしていく支援団体がどのような役割を担えるかも重要になると思います。
 現在、想定している支援団体はどのような団体になるか、教えてください。

○小野都民活躍支援担当部長 ウクライナ避難民支援に経験のある団体との連携を想定しております。

○斉藤(り)委員 先ほども述べていますが、これまでの外国人支援や外国ルーツの子供たちへの支援などとは、戦争や災害による避難民は異なるわけで、想定している支援団体が経験してきているケースと合致するかは不透明な場合もあります。そういう意味でも、支援団体との組み方や支援団体へのサポートも含めて、柔軟かつ弾力的な連携をするべきだと考えています。ぜひ避難民の方のウエルビーイングを最優先で検討いただければと思います。
 また、きめ細やかや困り事という表現も事業の内容として記されていますが、避難民の生活を考えると、多岐にわたると思います。
 どの程度の範囲まで想定されているのか、お聞かせいただければと思います。

○小野都民活躍支援担当部長 日本語学習、子育て、教育、就労など、避難生活上の困り事を想定しており、今後、具体的なニーズを把握しながら対応してまいります。

○斉藤(り)委員 世代や属性によっても、支援の種類は多種多様になると想定されます。
 特に、子供たちの支援において、教育はとても大きな要素になります。同時に、当事者に限らず、受入れの側からしても、受け入れる学校やクラス、子供たちがどのように受け入れるかも重要な視点になります。この機会に、多文化共生の視点に立った教育と環境整備を進めていくことに積極的に取り組むことが、中長期で考えたときに大切になると考えています。
 ぜひ次年度予算編成においても、一時的な対策ではなく、中長期で多様な文化背景を持つ方々を受け入れていく多様性豊かな東京を実現していく機会に活用していただくことをお願いして、次に移らせていただきます。
 続いて、公衆浴場に関する質問をいたします。
 私たちは、公衆浴場が都民生活に欠かせない存在であり、年々減少している状況に危機感を抱いています。その公衆浴場が、コロナ禍による利用者減少に加え、昨今のエネルギー価格高騰の影響により、より一層、経営状況が悪化していると認識しています。
 今回の都の補正予算案では、クリーンエネルギー化等推進事業の拡充と公衆浴場利用促進事業補助が計上されています。都内の各市区独自でも支援策を講じており、都としては、苦境にあえぐ都内全体の公衆浴場が存続できるよう支援していく必要があると私たちは考えておりますが、今回の補正予算はそのような予算案なのか、懸念があるため、何点か質問いたします。
 まず、クリーンエネルギー化等推進事業の拡充ですが、これは、太陽光発電装置やその附属機器としての蓄電池、LED照明器具、コージェネレーション設備、高効率空調の設置工事の補助率を二分の一から三分の二に拡充するとあります。
 しかし、事業継続が危うい状況にあるような公衆浴場が、三分の一の金額を自己負担までして設備投資できるとは考えにくいことです。
 都は、この事業を活用する浴場をどの程度見込んで計上しているのでしょうか。伺います。

○片岡消費生活部長 本事業は、昨今のエネルギー価格高騰により大きな影響を受けている中、省エネ、創エネ化の取組を進めようとしている公衆浴場の設備設置を支援するため実施するものでありまして、今回、総額約九千万円を計上してございます。

○斉藤(り)委員 この事業では、設備投資できるような体力のある浴場に対するものであると理解しました。
 それでは、厳しい経営状況にある浴場に対しては、もう一方の公衆浴場利用促進事業補助で支援するということなのだと捉えますが、この事業は、若い世代の利用を促す狙いから、スポーツ、文化イベント等で無料入浴券をモバイルクーポンで配布する予定とのことです。
 このような世代の方たちが、都内全ての公衆浴場を満遍なく利用するような仕組みは考えているのでしょうか。イベントが開催された地域偏在はないのでしょうか。また、設備が整った公衆浴場に集中してしまうのではないでしょうか。都の見解を問います。

○片岡消費生活部長 都内には、最新設備を有する銭湯や、昔ながらの情緒豊かな銭湯など、様々な個性を持つ銭湯があり、入浴券の配布と併せて、多くの銭湯を紹介してまいります。
 また、入浴券を配布するイベントは、広く都民が参加できるよう、地域等を考慮して調整します。
 あわせて、ラベンダー湯などの変わり湯を都内全浴場で集中的に実施することで、各銭湯の魅力向上につなげてまいります。
 この事業をきっかけとして、多くの銭湯に新たに足を運んでもらうことを期待しております。

○斉藤(り)委員 この無料入浴券の配布については、原資が税金である以上、幅広く多くの都民に周知し、行き渡るような取組でなければなりませんが、都はどのように取り組むのでしょうか。

○片岡消費生活部長 入浴券の配布につきましては、都主催のスポーツ、文化イベントをはじめとする多くの都民が参加するイベントにおいて、会場にQRコードを設置し、気軽に入手できるようにいたします。
 また、イベント等への直接の参加者だけでなく、家族や友人などを誘って無料入浴券を利用できるようにし、最大延べ十二万人に入浴していただけるようにいたします。

○斉藤(り)委員 今回の補正予算による事業を通じて、より多くの都民が公衆浴場を利用し、より多くの公衆浴場が支援されるよう、さらなる工夫を講じるよう求めて、質問を終わります。ありがとうございました。

○もり委員 都民ファーストの会東京都議団、もり愛です。
 まず初めに、第百三十七号議案、東京都男女平等参画基本条例の一部を改正する条例について申し上げます。
 この条例改正は、東京都の審議会等の委員を、男女いずれの性も委員総数の四〇%以上となるように選任するクオータ制の導入を進めるものであり、私たち都民ファーストの会としても、これまで意思決定の場への女性比率を高めることを強く求めてきたことに応える改正であり、東京都の女性活躍の取組を加速するものとして、この条例改正を高く評価しております。
 都では、本定例会で東京都男女平等参画基本条例の改正によりクオータ制を導入し、東京都の審議会等における女性任用の促進を図っていくとのことですが、審議会等といっても、設置根拠は様々であります。
 そこで、改めて、条例の根拠となる附属機関等の定義についてお伺いをいたします。

○樋口男女平等参画担当部長 附属機関等の定義といたしましては、法律または条例に基づく附属機関のほか、要綱等で設置する懇談会、専門家会議、連絡調整会議なども含めており、幅広く対象としております。

○もり委員 ありがとうございます。法律または条例に基づく附属機関や、要綱等で設置する機関も対象としているとのことです。
 本条例が対象としている都の組織の範囲についてお伺いをいたします。

○樋口男女平等参画担当部長 対象となる都の組織の範囲でございますが、知事が設置する局や本部等に加え、行政委員会、公営企業等としております。

○もり委員 ありがとうございます。大変幅広い範囲にわたっておりますので、ぜひ四〇%以上を目指していただきまして、専門的な知見を生かせる委員の任用の促進をさらに進めていただくようお願いを申し上げます。
 内閣府の男女共同参画局、区市町村女性参画状況の見える化マップでは、全国の自治体ごとの審議会や管理職における女性比率が見える化をされております。
 都内で最も審議会の女性比率が高い区市町村は小平市で、現在、四一・九%。地元大田区は、青梅市の二〇・四%に次いで二一・七%と、二十三区の中では低い状況がありました。
 この取組を区市町村や民間団体にも広げていく必要があると考えます。
 都として、どのように働きかけを行っていくのか、お伺いをいたします。

○樋口男女平等参画担当部長 クオータ制の導入は、都の率先行動としての取組であり、今後は、この取組を区市町村や民間団体においても広く波及させ、女性も男性も参画できる社会を目指すことが重要でございます。
 そのため、クオータ制の導入の意義などを区市町村連絡会議等で紹介し、区市町村の取組を促してまいります。
 また、東京都商工会議所連合会など三十二の民間団体と学識経験者で構成する、女性も男性も輝くTOKYO会議における意見交換などを通じて取組を広げてまいります。

○もり委員 ありがとうございます。区市町村はもちろんのこと、三十二の民間団体との意見交換を通じて、広く取組を広げていただくとのご答弁をいただきました。
 さきの代表質問では、我が会派の質問に、小池都知事より、都庁管理職の登用について、女性管理職比率を令和七年の二五%を目標に、キャリア形成支援などの取組を拡充していくとの答弁もありました。ぜひこうした都の率先行動としての取組を、区市町村や民間団体、また都内企業にも広く波及をさせていただき、東京から、女性をはじめ、誰もが活躍できる社会の実現を願い、次の質問に移ります。
 続きまして、公衆浴場関係の補正予算について伺います。
 地元大田区は、都内でも有数の銭湯を有する銭湯特区として、かつては百八十か所を誇っていた銭湯数も、今は大きく減少している現状があります。都としても、都民の公衆衛生と地域コミュニティの拠点として公衆浴場の経営を支援することは大変重要な課題であると、これまでも支援拡充を訴えてまいりました。
 この夏や冬の電力需給の逼迫が懸念される中、都としても、こうした目の前に迫る危機を乗り越えることが喫緊の課題です。
 公衆浴場についても、電力需給の逼迫に備えた緊急対策として、今回、公衆浴場クリーンエネルギー化等推進事業の拡充に係る経費が計上されています。大きく影響を受ける公衆浴場の長期的な視点での経営支援に迅速に取り組んでいただき、この取組は、電力を減らし、つくり、ためる取組として高く評価できます。
 この中で、特に太陽光発電は、脱炭素化に資するとともに、電力をつくる取組として、非常に有意義であると考えます。
 太陽光発電装置の設置について、その具体的な事業拡大の内容と狙いについてお伺いをいたします。

○片岡消費生活部長 設備投資の負担を減らすため、従来、二分の一としていた補助率を三分の二に引き上げるとともに、特に設置が進んでいない太陽光発電装置につきましては、さらなる負担軽減に向けて補助対象の範囲を広げます。
 具体的には、電力需給が逼迫する状況においても事業を継続できるよう、夜間、非常時等においても電気の使用が可能となる蓄電池や燃料電池に係る経費を新たに補助の対象といたします。
 さらに、発電装置の設置に当たって屋根の補強等を行う場合に係る経費や、既設パネルの補修、更新及び撤去に係る経費も新たに補助の対象としまして、公衆浴場の一層の省エネ、創エネ化を促進してまいります。

○もり委員 ありがとうございます。蓄電池や、また、設置や撤去に関わるなど幅広い、補正での支援を行っていただくことを感謝申し上げます。
 今回の補正予算では、これまで以上に補助率を高めていただき、電気をつくる取組とためる取組を一体的に支援していくものであるとご答弁をいただきました。太陽光発電装置、LED照明器具、コージェネレーション装置、高効率空調の設置の支援により、長期的な視点で光熱費の削減による経営支援にもつながる、とてもよい取組だと考えます。
 今後も公衆浴場の創エネ、省エネ化の取組が進むよう、具体的にどのような働きかけを行っていくのか、お伺いをいたします。

○片岡消費生活部長 公衆浴場組合を通じて、構造的に設置が可能な公衆浴場に対して設置を呼びかけるとともに、その設置事例を紹介するなどの働きかけを行い、今後も公衆浴場が省エネ、創エネ化に向けて継続的に取り組めるよう支援してまいります。

○もり委員 ありがとうございます。ぜひ、持続可能でクリーンな公衆浴場の拡充に向けて多くの公衆浴場での導入が進むよう、積極的な周知と働きかけをよろしくお願いいたします。
 また、スポーツイベント等と連携した公衆浴場利用促進補助として一億四千万円を計上しています。生活文化局が生活文化スポーツ局と、都民の生活文化とスポーツの所管が連携した取組は、とてもよい取組であると思います。
 公衆浴場は、入場料金統制額が五百円に引き上げられるとの報告が出るなど、厳しい状況にありますが、この無料入浴券の配布等の事業が、新たな銭湯利用者のニーズの掘り起こしに寄与するような事業となるよう期待をしております。
 この無料入浴券は、どのようなイベントで配られるのか。先ほど、枚数は十二万枚と伺いましたが、イベントの内容などをお伺いいたします。

○片岡消費生活部長 入浴券につきましては、夏以降、東京二〇二〇大会一周年に関連して、多くの都主催のスポーツイベントが開催され、また、秋には様々な文化イベントもあることから、主にそれらのイベントにおいて配布を想定してございます。
 若者やファミリー層をはじめ、最大延べ十二万人に対して入浴券を配布する予定でございます。

○もり委員 ありがとうございます。十二万人規模と大変規模が大きいので、ぜひ多くの子供たち、スポーツ少年や若い女性にも都内の銭湯のすばらしさを再発見していただけるような取組となるよう、期待をしております。
 今回、モバイルクーポンでの配布とのことで、都内の銭湯の中には、キャッシュレスに対応していない銭湯もあるのではないかと危惧しております。
 モバイルクーポンはどのようなものなのか。また、デジタルに慣れていない銭湯でも使いやすいものとなっているのか、お伺いをいたします。

○片岡消費生活部長 モバイルクーポンは、イベント会場等において、スマートフォンでQRコードを読み込んでクーポンを入手し、それを都内各浴場に提示して、店舗コードを入力することにより利用することを想定してございます。
 銭湯側では、特に機器を用意する必要はなく、利用者のスマートフォンの簡単な操作だけで利用が可能でございます。

○もり委員 ありがとうございます。特に新たな機器を必要としないとのことで、安心いたしました。
 この無料入浴券の配布とともに、都内公衆浴場で定期的に変わり湯を実施し、公衆浴場の利用を促進するとのことです。
 具体的にどのように実施をするのか、お伺いをいたします。

○片岡消費生活部長 スポーツや文化イベントの参加者に配布するモバイルによる無料入浴券の利用時期と合わせまして、桃の葉、シークワーサー、ラベンダー、ユズなど、様々な変わり湯を都内の各浴場で集中的に実施してまいります。
 これにより、銭湯の魅力をPRし、新たな利用者やリピーターの増加につなげてまいります。

○もり委員 ありがとうございます。大変面白い、変わり湯などの名前を挙げていただきました。
 我が子も銭湯が大好きで、五月五日のこどもの日は、大田区で子供無料、また、毎月一日は小学生無料と、浴場組合の皆様も、本当にご努力をいただきながら魅力発信に取り組んでいただいております。ショウブ湯やササの香りのパンダ湯の銭湯の日など、本当に子供にも大人気で、家庭のお風呂では体験できない魅力があります。
 昨年は、二〇二〇大会と連携したインバウンドを想定した事業も計画されておりましたが、コロナ禍で無観客となりました。インバウンド再開とともに、都が誇る日本の伝統文化に触れていただける場所として、幅広い世代、利用者にリピーターとなっていただけることに寄与する事業となるよう願い、質問を終わります。ありがとうございました。

○竹平委員 よろしくお願いいたします。
 私の方も、この補正予算の公衆浴場関係、質問をさせていただこうと思いましたけれども、ほとんど、私もお聞きしたかったことが前の議員の皆様からございましたので、一点だけ、ちょっとお伝えをさせていただこうというふうに思っております。
 それは、クリーンエネルギー化等推進事業につきましてですけれども、こちらの方につきましては、私自身も、地域の浴場、銭湯の皆様にお話を聞かせていただいてまいりましたけれども、本当に大変な、ガス料金も上がったりと、本当に悲痛なお声もいただいているところでございました。
 また、一方で、太陽光パネルですとか、そういったものにつきましても状況をお聞きいたしましたところ、やはり、たとえこの補助があったとしても、大変自己負担が大きい、設置は難しいという、そういうお声もございました。
 また、設置をするとなると、屋根がパネルの重さに耐えられるのかとか、ほかの修繕も必要になってしまうのではないかという、そんな心配のお声もあったということでございました。
 そういったことで、今回、補助対象も、屋根の修繕とか、そういったところも入るということでございますので、こういった利用したいという方々が、この事業を知らなかったということがないように、ぜひ周知の方をしていただければというふうに思います。
 やはり省エネ、創エネ化というのは大変重要だというふうに思いますので、これはもうお聞きしませんので、しっかりとまた推進をお願いしたいというふうに思います。
 それから、スポーツイベントとの連携の公衆浴場利用促進事業でございますけれども、浴場数も、都内では令和四年四月末現在で四百七十六店舗ということで、年々減っている状況だというふうに伺いました。
 長引くコロナ禍でまた利用客が減り、さらに追い打ちをかけるように、ウクライナ情勢の影響で、原油価格の高騰によって経営が厳しいという、そういったお声もたくさん伺っているところでございますけれども、本当に各店舗も、また、それぞれの組合も、工夫をしながら、ここまで乗り越えてこられました。昨今の情勢を鑑みますと、一層の支援が必要だというふうに思うところでございます。
 そういった中で、我が党は、今年、第一回定例会で、この公衆浴場における新たな利用者の拡大、また、リピーターの確保に向けた支援策を求めてきたところでございます。そういった中で、今回の事業が補正予算案に盛り込まれたことは高く評価するところでございます。
 この事業の狙いにつきましても、新たな客層、若者やファミリー層など、そういった方々の利用者の創出のきっかけになる、そういった目的でやられるということでございますので、ぜひしっかりと、こちらの方も盛り上げてやっていただきたいというふうに思うところでございます。
 そして、一点、モバイルクーポンということで、先ほども、慣れない方もおられるということで、大変簡素な形でやれるということでございました。
 一方で、こちらのクーポンというのが、紙とか、そういったことでも行うということも伺っております。
 そういった中で、ただ一点、私が懸念をしているところは、こちらのクーポンというものがどういう形で手元に届くのかとか、心配しているのは、紙とかですと、クーポンの転売とか、不正利用のリスクへの対策も大変必要じゃないかなというふうに思っているところでございます。
 そこら辺、どのような対策を考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

○片岡消費生活部長 不正利用の防止のため、クーポンを入手できる期間を限定するとともに、クーポン利用数の推移を随時確認してまいります。
 また、万一、転売等があった場合は、通報、削除を依頼する等の対応を行います。

○竹平委員 ありがとうございます。しっかりと、そういった対策も大変重要だなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、新しい方々が利用されるということで、大変うれしいことですけれども、一方で、やはり銭湯を利用するマナー、そういったものもしっかりと周知をしていくということも必要ではないかというふうに思いますので、そこら辺もしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
 今回の取組をきっかけに新たな利用者が増えて、さらに、利用した方がリピーターとなっていただきまして、浴場業界のさらに活性化につながることを期待したいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、男女平等参画基本条例の一部を改正する条例について質問をさせていただきます。
 本定例会で東京都男女平等参画基本条例に男女の比率を割り当てるクオータ制の導入をするための条例案が示されております。現状では女性の任用率が低いため、東京都の審議会等における女性任用の促進を図っていく意義があると考えております。
 私は、都の政策の決定過程に多様な価値観を反映させるための女性の参画を図ることは大変重要であると考えております。
 まず、幾つか確認をさせていただきたいと思います。
 現在、都の審議会等の総数は三百四十四あり、そのうちクオータ制の対象となる審議会等は二百二十五あると聞いております。
 どのような審議会等を除きクオータ制の対象としているのか、お伺いいたします。

○樋口男女平等参画担当部長 審議会等の総数三百四十四機関のうち、全ての委員が職指定である審議会等や、権利調整関係の審議会等、調査時点で委員が選任されていない審議会等を除き、二百二十五機関をクオータ制の対象としております。

○竹平委員 続きまして、都の審議会等の女性任用率の算出方法についてお伺いいたします。

○樋口男女平等参画担当部長 女性委員の任用率につきましては、クオータ制の対象となる二百二十五機関の委員総数から、男女問わず職指定委員を除き、残る委員数に対する女性委員の割合として算出しております。

○竹平委員 今回の条例改正では、クオータ制の対象の審議会等、一つ一つに対しては、一つの性の委員のみで組織しないということに加えまして、職指定委員数を除き、総委員数に対する女性委員の割合を四〇%以上とすることだということが分かりました。
 都議会公明党はこれまで、長年、女性の登用を増やすよう、議会の場で発言してまいりました。しかし、任用率は、長い間、二〇%台でございました。小池知事就任後、二〇一九年に初めて三〇%を超えたわけでございますが、生活文化局の皆様が大変なご努力をされて、また、各局に働きかけてきたことを存じております。その結果、現在の三五・八%まで進んできたと私は思っております。
 都は、今年度末には四〇%という目標を掲げていますが、これまでの様々な取組により、目標は達成し得ると認識しております。
 そのような状況にもかかわらず、今回、条例改正によりクオータ制を導入する意義について伺います。

○樋口男女平等参画担当部長 都の政策決定過程に多様な価値観や意見を反映させるため、条例で審議会等にクオータ制を導入することを提案しております。
 任用率の管理に条例根拠を持たせることにより、強力に推進することが可能になります。
 また、条例で都の方針を明確化することにより、区市町村や民間団体の取組も促してまいります。

○竹平委員 分かりました。任用率の管理に条例根拠を持たせることは大変重要であると私も考えております。
 今までの都政における女性参画の歩みを考えると、選任する側に努力義務を課すことが必要であると思っております。この東京都の姿勢が、市区町村や、また民間にも波及をし、それぞれの大事な方針や意思決定過程に女性の参画が拡大していくことを強く期待しております。
 そこで、任用に当たっては、国内外を問わず、専門的知識を有する人材が委員として審議会等に参加できるようにしていくことが重要であります。
 こうした世界で活躍するような人材を委員として選任していくためにも、委員が審議会等に参加しやすくなるための配慮が必要と考えますが、どのように工夫をしていくのか、お伺いいたします。

○樋口男女平等参画担当部長 委員が審議会等に出席しやすい環境を整えることは、幅広い専門人材の参画につながります。
 そのため、様々な委員が参加しやすくなるよう、オンラインの活用や開催時間を考慮するなど、会議開催の配慮について各局に周知を図ってまいります。

○竹平委員 ぜひ様々な工夫をしながら、専門的な知見を持った女性の任用も一層促進されることを強く要望して、終わります。ありがとうございました。

○白戸委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○白戸委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○白戸委員長 次に、報告事項、有明アーバンスポーツパーク整備運営事業実施方針(案)についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○久故総務部長 去る五月二十七日の当委員会におきまして要求のありました資料のうち、報告事項についてご説明申し上げます。
 お手元に配布の令和四年文教委員会要求資料を、恐縮ですが、いま一度ご覧ください。
 表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、報告事項に関して要求のありました資料は二件でございます。
 おめくりいただきまして、七ページをお開き願います。3、有明アーバンスポーツパーク(仮称)運営手法の比較でございます。
 手法ごとに比較した内容を記載しております。
 八ページをお開き願います。4、有明アーバンスポーツパーク(仮称)における利用者見込み数及び事業採算想定並びにアーバンスポーツの競技人口推計でございます。
 利用者見込み数、事業採算想定、各アーバンスポーツの競技人口を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○白戸委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○土屋委員 再び自民党の土屋みわでございます。よろしくお願いいたします。
 東京二〇二〇大会では、スケートボードをはじめアーバンスポーツ施設などが仮設で設置されましたが、日本選手の活躍もあり、大きな注目を集めました。
 都は、こうしたアーバンスポーツの盛り上がりを東京大会のレガシーとして大会後に引き継いでいくため、大会の仮設施設を有効活用し、多くの都民が利用できる有明アーバンスポーツパークとして整備することは高く評価いたします。
 都は、有明アーバンスポーツパークをどのような施設として整備しようとしているのか、基本的な考えについて、まずお伺いいたします。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 有明アーバンスポーツパークにつきましては、大会の仮設施設を活用し、発展させていくとともに、有明レガシーエリアのにぎわい創出に貢献する施設として整備してまいります。
 また、植栽、緑化や水辺空間の魅力を生かす施設の配置や整備を行い、海上公園内の施設として調和を図ってまいります。
 有明アーバンスポーツパークの整備を行うことで、東京二〇二〇大会におけるアーバンスポーツの盛り上がりを未来に引き継いでまいります。

○土屋委員 アーバンスポーツは、まだまだ歴史が浅く、国民的なスポーツに育てていく上では、競技の裾野拡大、競技力向上とともに、競技に対する理解を広げていくことが肝腎であります。
 先日の新聞でも報道されたように、夜間に住宅街で滑る騒音のほか、認められていない場所での滑走をやめるよう、繰り返し注意しているが、聞き入れてもらえないなど、マナー違反が問題となっています。こうした行為が繰り返されないよう、しっかりと注意喚起をしていただきたいと思います。
 都は、さきの本会議における我が会派の質問に対し、都内各地のアーバンスポーツ施設や競技団体、区市町村とも連携していくとの答弁がありましたが、アーバンスポーツを普及していくために、今後どのように連携を進めていくのか、伺います。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 有明アーバンスポーツパークにおきましては、初心者から上級者まで、レベルに合わせた体験会、スクールや競技会などの開催を通じて、都内各地のスポーツ施設と連携し、アーバンスポーツの普及につなげてまいります。
 あわせて、特にスケートボードにつきまして、競技団体や区市町村と連携し、競技者や愛好者に対するマナー啓発や安全対策などの取組を行い、施設の地元をはじめ、幅広く都民の理解を得てまいります。

○土屋委員 新しいスポーツを普及していくために、区市町村や競技団体と連携した取組を着実に進めていっていただきたいと思います。
 その上で、アーバンスポーツを根づかせるためには、地域の理解が欠かせません。アーバンスポーツパークが有明にできてよかったと思っていただけるよう、しっかりと取り組んでいただきますようお願いいたします。
 また、二〇二四年のパリ大会でも、アーバンスポーツでの日本選手の活躍が期待されるところであります。
 それに向けて、有明アーバンスポーツパークの利用について、都はどのように考えているのか、お伺いいたします。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 有明アーバンスポーツパークは、令和六年度末の全面開業を目指して整備を行いますが、大会レガシーゾーンにつきましては、令和五年度末に先行して開業いたします。
 さらに、先行開業に先立ち、今年七月三十日、三十一日にスケートボード都民体験会を開催するとともに、アーバンスポーツの競技会やスケートボード施設の暫定利用を、工事日程とも調整の上、適時実施してまいります。
 こうした活用により、二〇二四年のパリ大会に向けても利用できるように取り組んでまいります。

○土屋委員 利用可能なところから先行して開業し、積極的に利用機会の提供を進め、東京大会からパリ大会へ、アーバンスポーツの熱気を途切れることなくつないでいっていただきたいと思います。
 また、こうしたアーバンスポーツの盛り上がりなど二〇二〇大会の成果を今後のスポーツ振興に生かし、都市の中でしっかり根づかせていくことが重要です。
 今年一月に公表されたTOKYOスポーツレガシービジョンでは、有明アーバンスポーツパークも含めて、全十八の都立スポーツ施設を戦略的に活用していくことが示されましたが、今後どうやって連携していくのか、お伺いいたします。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 有明アーバンスポーツパーク以外の都立スポーツ施設では、今年度、十二施設で次期指定管理者を募集することとしております。次期指定管理者の募集では、TOKYOスポーツレガシービジョンで示した戦略的活用の考え方を取り入れます。
 具体的には、各施設の特性ごとに、スポーツでのさらなる活用、幅広い活用による新たな体験機会の提供、施設と地域との連携の提案を求めます。
 あわせまして、十八施設全体でのネットワーク活用策の提案を募集することで、有明アーバンスポーツパークにとどまらず、各施設の連携により、多くの都民に利用される施設としてまいります。

○土屋委員 ありがとうございます。アーバンスポーツの普及や都立スポーツ施設の戦略的活用など、二〇二〇大会のレガシーを生かした都の取組は、高く評価できるものであると思います。
 今後とも、東京のスポーツのさらなる発展に向けて、施設の整備や競技の裾野拡大など、都の積極的な取組を要望して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○龍円委員 よろしくお願いいたします。
 東京二〇二〇大会で、スケートボードは大いに盛り上がりました。大会では、国や地域にかかわらず、選手がお互いにたたえ合ったり、喜びを分かち合う姿に、本当の意味でのスポーツマンシップについて考えさせられるとともに、世界の平和の祭典において、最も大会を印象づける競技の一つだったと思います。感動した人も多かったんじゃないかなというふうに思います。
 大会以降は、スケートボードの人口が増えまして、どこのスケートボードパークも利用者であふれているというふうに伺っております。
 私は、同じく新競技で注目されたサーフィンに、今は見る影もないのですけれども、三十代の間はどっぷりとはまっておりました。同じ横乗りのスポーツということもありまして、少し近しい部分があります。サーフィンは、スポーツであるのですけれども、そこに哲学があって、生き方そのものだというふうに感じているサーファーが多いと感じておりました。
 スケートボードにも、同じように、この生き方みたいなところ、ライフスタイルみたいなところまで含めてのスポーツなんだなというふうに感じております。
 スケートボードをはじめとするアーバンスポーツを大会レガシーとして引き継いでいく施設として、有明アーバンスポーツパークがPFIによって整備される件ということでございます。白戸委員長の地元でもあります。
 このPFI手法によって整備し、運営していく場合と、それから、都が民間事業者に運営を委託する場合とを比較しますと、財政負担が縮小されるとのことですし、大会レガシーとして仮設施設を有効利用する観点からも有意義であるというふうに考えております。
 このパークは、有明レガシーエリアの中に位置しております。レガシーということで考えますと、世界が見せてくれたスケートボード特有のスポーツマンシップ、スピリット、生き方、ライフスタイルまでをもレガシーと考えまして、この東京に根づかせていくことに期待したいと考えております。
 逆に、ただのスポーツ施設となってしまって、競技だけできる施設にしてしまうと、本当の意味ではレガシーにならないんじゃないかなというふうに考えております。
 そういう点から見ても、民間が主体的に関われるPFIの方がいいだろうなというふうに私自身も考えております。
 そこで、改めまして、このPFIを採用することにした理由についてお伺いいたします。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 施設の整備、運営に当たりましては、指定管理者に管理運営をさせる指定管理者制度や、民間の資金等を活用したPFI手法などがございます。
 このうち指定管理者制度は、施設整備、改修は都で行い、施設運営は民間の経営能力やノウハウ等を活用して行うものでございます。
 一方で、PFI手法は、民間の資金、経営能力等を活用し、施設整備、運営、維持管理を一貫して実施し、質の高いサービスの提供ができるものです。
 これらの各整備運営手法の特徴を勘案いたしまして、大会レガシー施設においての民間事業者の創意工夫を生かした利用者の様々なニーズへの柔軟な対応や、都の財政負担の縮減等の観点から、PFI手法を採用することといたしました。

○龍円委員 大会レガシー施設として、民間事業者の創意工夫を生かしていくとのことでした。
 間違っても、スケボーがもうかるから手をつけておこうという事業者ではなくて、スケートボードの独特のスポーツマンシップ、カルチャー、ライフスタイルまでを十分に理解した事業者に関わってもらえるようにしていただきたいと思います。
 東京二〇二〇大会のスケートボード日本代表チームで活躍されたチームメンバーからお話を伺う機会がありました。スケートボードの世界では、あまりプロとアマチュアと、そして、一般の大人から子供までの間に壁がないそうなんです。同じスケートボードのパークの中で、日常的にいろんな方々が一緒に楽しんで、上の世代が下の世代を育てていくような風潮があるそうです。
 あの堀米選手も、地元のパークで、少し上のお兄さんたちに教えてもらったりしながら育ったそうで、ファミリーのようなつながりの中で育ってきたというふうに伺いました。
 有明アーバンスポーツパークは、大会時の競技施設は東京二〇二〇大会で世界最高峰の戦いが行われた場ですので、非常にハイレベルの実力がないと利用できないんじゃないかなというふうなイメージを持たれてしまっていることと思います。
 東京都がアーバンスポーツ普及のために整備するからには、トップクラスの競技者だけではなくて、利用者の間口を広くして、小さい子供や地元の親子など、初級者からプロも含めた中上級者まで様々なレベルの人が利用できることが、このスポーツのよさでもあります、みんなが一緒に楽しみ、たたえ合うという、喜び合うという環境を確実に確保していく上で重要かと思います。
 有明アーバンスポーツパークで、子供の頃から、ほかの利用者や年代を超え、さらにはプロらと交流しながら育っていくような施設となってほしいと考えますが、見解をお伺いいたします。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 東京二〇二〇大会を契機として、新たなスポーツとして都市型スポーツが注目を浴び、これらのスポーツを新たに始める方が増えております。こうした方々に、アーバンスポーツに親しめる場を提供していくことは重要でございます。
 このため、オリンピックで技を競う上級者が利用できる施設を設けるほか、スケートボードやボルダリングの初心者も楽しめるエリアも設置いたします。
 また、この施設では子供向けのスポーツ教室を開催するなど、様々な年代や技術レベルの人が気軽に利用できる施設としてまいります。

○龍円委員 初心者が楽しめるエリアからプロも楽しめる施設になるということでありました。あとは、世代やプロ、アマ、若者、子供が交流できる工夫というのも確保していくことが重要かなと思います。民間事業者のみならず、スケートボードシーンを今、引っ張っているスケートボーダーからも意見を聞いて、そんな工夫を盛り込んでいただけたらと思います。
 私が聞いた話だと、例えばなんですけれども、危ないからということでフェンスを立ててしまうこと一つ取ってだけでも分断が生まれてしまって、外から施設内に入っていきにくい。私たちのレベルでここの施設を使っていいんだろうかみたいな分断になってしまうというふうに聞きましたので、そういう心理的なバリアも取っていくような工夫を、当事者のスケートボーダーの皆さんからも聞いて取り組んでいただけたらと思います。
 ぜひ、一部のスケートボーダーだけが独占的に利用しやすくなってしまって、ほかに利用したい人が肩身が狭かったり、遠慮してしまうような場所にならないようにしていただきたいです。
 このパークは、都内でも最大規模のスケートボードパークとなりますので、このパークのクオリティーがスケートボード業界そのものを育てていくことになるという側面もあるかと思います。PFIだからこそ、長期的な視点から民間の力を十分に活用して、公正な観点から運営をお願いいたします。
 さて、このパークの中では、大いにスケートボード、盛り上がってほしいと考えているのですけれども、一方で、パークの施設の外での練習や滑走を懸念する声が地元住民から上がっているそうです。
 マンションの敷地で滑ろうとする人と、そして住民とが口論になってしまったり、実際に器物を傷つけてしまっているようなケースも発生しているというふうに伺っております。
 レガシーとしてスケートボードシーンを盛り上げるためには、スケートボードをしていない人にも応援していただけることと、特に地元の方々の理解や応援したいと思う気持ちがとても重要です。
 有明アーバンスポーツパークの整備を進めるに当たり、パークを利用するスケートボーダーはもちろんのこと、パーク以外の路上でスケートボードをする人も、マナーを守って、地域住民に迷惑をかけることがないようにしていくことがとても重要です。
 都は、どのような取組を行っていくこととしているのか、お伺いいたします。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 スケートボードが競技として発展していくためには、技術の向上のみならず、マナーを普及啓発していくことが重要であります。
 このため、施設運営事業者にはマナー講習を行わせるとともに、利用者にはマナー講習の受講を義務づけることを検討してまいります。
 あわせて、スケートボードで滑走する際には周囲に配慮するなど、スポーツとしてのマナーを十分指導し、地域の皆様の理解を得ながら運営していくよう、競技団体等とも連携して取り組んでまいります。

○龍円委員 スケートボードマナーを事業者や利用者に伝えていくことですとか、競技団体とも連携していくとのことでした。
 スケートボードについてのお声なんですけれども、私の地元の渋谷でも、実は聞かれております。渋谷には、区立の宮下公園内にもパークがあるほか、今後、代々木公園の一部にスケートボードパークが整備される予定になっております。
 渋谷は、路上でのスケートボードカルチャーというのを育ててきたまちでもありますので、一概にこれが全部駄目だというふうにはいえないのですけれども、一方で、マナーを守らないで地元の人には煙たがられているという側面も、残念ながらあります。
 ぜひ都内のスケートボードパーク同士も横でつながっていただいて、一体的なマナー啓発を進めていただくよう、よろしくお願いいたします。
 スケートボード先進国のアメリカでは、施設以外で滑走していると、警察に逮捕されることもあるというふうに伺っております。警察が稼働しないとならないような事態にならないように、民間企業や団体とも連携して取り組んでいただくよう、よろしくお願いいたします。
 繰り返しになりますけれども、有明アーバンスポーツパークこそが、このスポーツ業界そのものを育てていくという側面がありますので、東京都がその辺はしっかりと責任を持って進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 さて、スケートボードの話ばかりになってしまいましたが、次に、有明アーバンスポーツパーク全体に視点を移してまいります。
 大会レガシーゾーンは都が整備、そして、多目的ゾーンは事業者が整備、運営は一体的に事業者が行うということですが、具体的な役割分担はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 都は、大会レガシーゾーンにおけるスケートボード施設、屋内ボルダリング棟、3x3バスケットボール設備等に係る整備を実施いたします。
 多目的ゾーンは民間事業者が整備するものでございますが、電気、水道、植栽等の基盤施設につきましては、公共施設として求められる水準の範囲内で、整備費用の一部を都が負担するものであります。

○龍円委員 レガシーゾーンは、3x3などの施設が整備されるとのことでした。
 3x3は、今日は深掘りはしませんけれども、東京の都心部において楽しむスポーツとしては、とても相性がいいというふうに思っております。
 地元の渋谷区のセンター街、有名なあのセンター街の中に3x3のコートを仮設で造って大会を開催したりして、非常に盛り上がったりしておりました。
 今後、都内のあちこちに3x3のコートが増えていってほしいななんていうふうに思っておりますので、そんな視点も踏まえて、整備のほどよろしくお願いいたします。
 多目的ゾーンは民間事業者が整備するとのことだったのですが、これまでの都の検討において、どのような施設が整備されるというふうに考えているのでしょうか。お伺いいたします。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 多目的ゾーンに設置される施設は、海上公園施設でございまして、アーバンスポーツその他、各種スポーツの振興に寄与し、有明北地区のにぎわい創出に資する施設に限られます。
 このため、具体的には、サッカー場、テニスコート等の運動施設や、売店、カフェなどの飲食店、施設利用者を対象とする駐車場等の便益施設などが考えられ、これらを組み合わせた施設となることを想定しております。

○龍円委員 ありがとうございます。
 一つ要望があるのですけれども、バリアフリーですとかユニバーサルデザインというのは、誰もが利用できる、誰も排除しないという意味なんですけれども、私は、それを一歩踏み込んだインクルーシブ公園というのを推進させていただいております。このインクルーシブな観点は、ともすると抜け落ちがちなんですね。この有明アーバンスポーツパークにおいても、全ての面において、インクルーシブな視点も忘れないように取り入れていってほしいと思っておりますので、その辺も踏まえた整備をお願いいたします。
 PFIによって民間の創意工夫の発揮が期待される一方で、公園の敷地を利用して都が設置するスポーツ施設であることを踏まえれば、整備される施設は公共性が保たれていることも重要です。
 また、民間事業者による独立採算とするに当たっては、事業業の採算性が不可欠でありますが、こちらについて、併せて都の見解をお伺いいたします。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 当施設は、過度に収益性を追求した施設とするものではなく、アーバンスポーツをはじめとするスポーツ振興に寄与し、地域のにぎわい創出に貢献する公共施設として整備してまいります。
 整備に当たりましては、海上公園との調和を図ることが必要であるとともに、東京都海上公園条例や各種法令、ガイドライン等による建蔽率等の各種制約がございます。
 そのため、土地建物使用料等については配慮が必要で、PFI法等により無償とすることなどにより、事業者の独立採算による整備、運営とするものでございます。
 また、事業者の整備、運営につきましては、モニタリングを徹底することで、適正な事業運営を担保してまいります。

○龍円委員 有明アーバンスポーツパークを、都の施設としてPFI手法により整備、運営を進めていく上で、公共性と採算性をいずれも確保していくことが図られているとのことでございました。
 繰り返しになりますが、アーバンスポーツの業界そのものを育てていく場所となりますので、業界の在り方も含めた、その視点も必ず忘れないようにして、事業者の選択、そして運営まで適正なものとなりますように、都としてきっちりと取り組んでいってもらいたいと思います。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○白戸委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間の休憩をいたします。
   午後三時二十一分休憩

   午後三時四十分開議
○白戸委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤(や)委員 有明アーバンスポーツパークについて質問をしたいと思いますが、第一回定例会に続いての、このパークについての質問ということになります。
 まず初めに、当該施設をPFIで実施していくに当たっての安全対策について、改めて伺いたいと思います。
 アーバンスポーツを楽しむ若い方々の行動を見ますと、大変に−−文化という話が先ほどございましたけれども、夢中になって、安全という概念とか、あとルール遵守、これはとても大切だと思うのですけれども、マナーですね、そういったものの意識が、これは思い込みかもしれませんけれども、希薄になっているんじゃないかなと思うようなシーンも、実際に私も遭遇しております。
 特に駒沢は、パークがございまして、利用者が自主的にいろいろアイデアを出して造った、簡易なところから始まったのですけれども、やはり本来目的、最初から制度設計をきちっとやって、インクルーシブデザインというか、参加しながら、インクルージョンしながら造ったようなものじゃなくて、自然発生的にできているところがあるのですけれども、やっぱりマナーが悪いと、近隣から必ず苦情が出て、恐らく、昨日、議場でも強く声を発した議員の方がいましたけれども、多分、駒沢公園に近い方じゃなかったのかなと推測したのですけれども、その気持ちも分からないわけじゃありません。
 せっかくこういうすばらしい、二〇二〇大会のレガシーとしてすばらしいパークができるわけですから、安全とかルールの遵守についてはしっかりと、やっぱりそれを強調した形で運営をしていただきたいというふうに思っている一人です。
 実際に第一回定例会では、頭を打つことによって軽度外傷性脳損傷、MTBIということで、皆様にもさんざんお話をさせていただきましたけれども、頭蓋骨に守られている脳は、実は非常にダメージを受けやすいわけですね。脳振盪という形で体験される方もおられるのですけれども、遅発性、後から重篤な状況になる方もいます。ですから、頭を非常に打ちやすいスポーツでもあるということに注意があります。
 それから、体がまだ出来上がる前から、倒れたり衝撃があると、背骨の成長に影響がある。実は、私の家族に腰痛がある子がいるのですけれども、スポーツ選手に背骨がつながっていない状況がある人に見受けられるのは、若いうちから、結構そういう、ハードに体に衝撃があると、骨の成長がし切る前にその影響を受けてしまって、筋肉がついている方については、腰痛はあまり顕在化しないのですけれども、それが弱いと腰痛ということで、それが発現するということもあるということで、スポーツと体のつくりというのは非常にデリケートなところがあるんですね。
 ですから、そういったことも、ちゃんと知識を、認識をした上で楽しんでいただきたいと思う一人でございます。
 そこで、改めて、けが防止、安全に向けては、施設設置者として、都がしっかりと安全対策を講じるべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 有明アーバンスポーツパークでは、スケートボード施設や屋内ボルダリング棟などを整備することとしておりまして、スケートボード施設では、ヘルメット着用の義務づけを行うとともに、ボルダリング施設におきましては、安全性を確保するため、マットを敷設するなど、危険防止対策を徹底いたします。
 また、施設の利用に当たりましては、利用開始時の安全講習を実施するなど、利用者の安全確保を図ってまいります。

○斉藤(や)委員 ご答弁だけ伺うと、しっかり実施してほしいというふうに返すしかないのですけれども、やはり先ほどの委員のお話にありました、ファミリーというか、血がつながっているファミリーはもちろんのこと、世代を超えて仲間意識が強い世界でもあると思うんですね、このアーバンスポーツの分野というのは。
 そういった意味では、やはりきちんとするところはきちんとする、そして、楽しむところは大いに楽しむ。勇気も必要な部分もございます。
 ですから、そういったことは、次の世代に、姿勢として大人が背中を見せていくということはよくありますけれども、本当に言葉をちゃんと駆使して、科学的にも含めて、なぜそういう注意が必要なのかということを理解した上で−−やはりスポーツ全体を、このアーバンスポーツ全体を牽引する非常に象徴的なパークであるので、この点、しっかりと行っていただきたいというふうに要望させていただきたいと思います。
 そして、第一回定例会の委員会質疑でも取り上げましたけれども、先ほど申し上げました脳振盪や軽度外傷性脳損傷、MTBIの周知が、啓発が大切だということになります。
 医療政策として予防の観点から、実は東京都は、基礎自治体が啓発のリーフレットを作成していただいていますけれども、その費用については、包括補助のメニューとして支援をしていただいています。福祉保健局予算です。
 江東区は、非常にMTBIに先進的に、啓発に早くから取り組んでいただいている区になります。このパーク自身が江東区内に設置をされますけれども、当然のことながら、当該施設を区内の児童や生徒、江東区民、これは堀米君も江東区によって育てられたというふうにいっていましたけれども、金メダリスト。江東区民が多く利用することも考えられると思います。また、そういう企画も出てくるでしょう。
 そこで、都は、この当該施設内でのMTBI予防について、地元江東区との連携をしっかりしていただいて取り組んでいくべきだと考えますけれども、見解を伺います。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 けが対策やMTBI予防について、当施設で対策を行うことはもとより、自治体や競技団体等とも連携いたしまして、広く周知啓発していくことが重要でございます。
 このため、東京都の広報をはじめ、地元区とも連携した広報媒体を活用して、きめ細かく周知を行い、利用者に幅広く啓発できるよう取り組んでまいります。

○斉藤(や)委員 ただいまの部長のご答弁で、とても私がうれしく思いますのは、実は、この東京都独自の広報というのは、MTBI関係では初めてになると思います。
 各区が基礎自治体として−−これ、医療政策の中では、国の方も、いわゆる保険対象の疾病として位置づけられているところまで、まだ全国の調査が行き届いていない疾患というふうに整理されてしまうんですね。
 そこをあえて、東京都は包括補助というメニューを使って、各基礎自治体が啓発をするためのリーフレットの作成などにお金を出していただく。これはとても知恵が発揮されているところなんですけれども、こういったスポーツの啓発、スポーツの楽しい場を通じて−−都独自の広報というふうに今ご答弁いただきましたけれども、これはとても期待をしているところでございますし、また、江東区、地元とも連携しながら、例えば江東区が作っているものをパークの中で利用するようなこともございます。そうした広報媒体も活用いたしまして、しっかりと利用者に幅広く啓発をしていただきたい、このようにお願いでございます。
 けがをしたり、MTBIを発症してしまうと、これは脳の回復というのはなかなかございません。予防していくことが大事です。その努力が大事です。知っていてなってしまうのと、知らずにそうなってしまって後悔するのは全然違いますので、ぜひ伝わる広報をしっかりお願いしたいと思います。
 そして、今日は、もう最後の質問になりますけれども、当該施設の整備、運営について質問をしておきたいと思います。
 今回の整備、運営に当たりましては、PFI事業によりまして独立採算で行うということですけれども、民間事業者のインセンティブを確保するとともに、都民に対しまして質の高いサービスを継続的に提供していくことが必要だからこそ、PFIという事業の手法を採用しているんだというふうに理解しております。
 スポーツフィールド東京の人気スポットとして、地域のにぎわいを本当につくり出していただいて、都民から愛される、そして理解される施設となるように、都としてはしっかりと、このPFIを活用した整備、運営を行っていただきたいと考えるわけであります。
 特に、先ほど他の委員の質問に、モニタリングという手法を使って、しっかりと運営を担保しますというお話がございましたが、このモニタリングというものの仕組みも、ちょっと詳しめにお話しをいただいて、ご答弁いただきたいと思います。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 有明アーバンスポーツパークでは、民間の資金や経営能力等を活用し、質の高いサービスを提供できる事業者を選定いたしますとともに、モニタリングを徹底してまいります。
 モニタリングに当たりましては、適正なサービスの提供を担保するために、定期的に財務や事業実施状況の報告書の提出を求めるなど、きめ細かい対応をしてまいりたいと思っております。
 また、独立採算で事業が行えるよう、土地建物等を無償とするとともに、事業者の利益が出た場合には、都にその利益の一部を還元する仕組みとしております。
 今後、実施方針や募集要項等を策定し、多くの都民に利用される施設として整備、運営を行ってまいります。

○斉藤(や)委員 今ご答弁がございましたモニタリングというのは、とても大切な手法ですが、運営は一括して民間事業者に任せる、施設も。ですから、縛りが強くなり過ぎますと、そのよさが発揮されないわけですね。さはさりながら、任せっ放しでもいけない。なぜならば、それは公共施設という側面があるからだというご答弁もございました。
 だから、全体観に立って、先ほどいった都民に愛されるというのは、単に赤字か黒字かとか、採算がどうかということではなくて、やはり公共施設であれば、自分たちがオーナーとして、できたんだから大いに利用しようじゃないか、家族で行こうよ、こんなに便利なところに、スケートボードができる、アーバンスポーツができるパークはないよということで、多くの都民から本当に愛されて、よかったと思われるようなパークとして育てていくためには、きちんとした説明も必要でしょうし、スポーツをしない方に対しても配慮が必要だということになりますので、このモニタリングというのをきっちり徹底していただきたいと思います。
 そして、造りっ放しではなくて、プロフィット、その一部が−−これを多くの方に利用していただくことが大事ですね。そのために、民間事業者もいろんな工夫をすると思うんですね。ですから、それがうまくいったときには、都にその利益の一部が還元される仕組みもあるんだよということを、都民にしっかり理解をいただきたいわけですね。
 そのお金をもって、またさらに、これは一般財源の方に入っていきますので、健康増進とか様々な、このスポーツに関わらない方々にそれが還元されていくというふうになっていきますので、そうしたPFIの特徴も、都民にしっかりと理解していただきたいと思います。
 ぜひとも民間事業者と都が一体となって、この東京二〇二〇大会のレガシーの一つとして−−ゴン攻め、ビッタビタという言葉も、一年前、大変盛り上がりました。そして、十三歳、真夏の大冒険という、世代的には本当に若い方々が主役となった、そのシーンが思い浮かびますが、大いに盛り上がりました有明アーバンスポーツパークが、特に若い、金メダリストの江東区民の堀米雄斗さんや、あるいは、十三歳、今、十四歳になったのでしょうか、西矢椛さんなどの世代、同世代の皆さんに特に愛されるスポーツフィールドとなりますように、東京の名所になりますように育てていきたいと思って、質問を終わりたいと思います。

○アオヤギ委員 日本共産党のアオヤギ有希子です。
 有明アーバンスポーツパークについて伺います。
 都の資料には、民間の資金、経営能力及び技術能力を活用し、効率的かつ効果的に施設運営を行うため、PFI法に基づくPFI事業として実施と書かれています。
 事業手法を決めた過程について、都直営が検討されていないのはなぜですか。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 当施設は、大会の仮設競技施設を生かし、レガシーを引き継いでいく施設でございます。
 民間の資金、経営能力等を活用し、施設整備、運営、維持管理を一貫して実施することで、アーバンスポーツに親しむ環境を整え、地域のにぎわい創出に貢献する施設となるよう、PFI手法を採用いたしました。

○アオヤギ委員 にぎわい創出といわれておりますけれども、どうして都直営で検討しなかったのかは分かりませんでした。
 内閣府によると、VFM、バリュー・フォー・マネーの算定は、導入可能性の検討段階で計算するシミュレーションのバリュー・フォー・マネー、VFMがあるとしています。
 一般的に、自治体がPFIの事業方針を検討するときに、必ずVFMを各事業方針で示し、直営と比べ、PFIはこれだけ利益が生まれるという試算を出して、それを理由にPFIを選定したというのが、どの自治体でも行われていますけれども、VFMの試算はされているのでしょうか。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 バリュー・フォー・マネー、VFM評価は、PFI法やガイドライン等により、今後の特定事業の選定に当たって行うものとされておりまして、適切に対応してまいります。

○アオヤギ委員 特定事業の選定に当たって行うのではなくて、公表するというふうに書いてあります。その前に試算するのは、どの自治体でもやっております。
 VFMを出さずに、どのように都はPFIが優位だと判断したのですか。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 当施設につきましては、他の整備運営手法とも比較し、PFI手法を採用した場合には、民間の資金、経営能力等を活用し、施設整備、運営、維持管理を一貫して実施することで、質の高いサービスの提供ができるため、選択することといたしました。

○アオヤギ委員 今のお答えですと、都がよいと思ったからPFIにしたということしか分かりません。PFI方式を選んだ明確な根拠がないといわざるを得ません。
 知事は、民間の活力を存分に生かした整備をすると、アーバンスポーツパークについて所信表明で述べられています。民間活力を使うことを知事が勝手に決めるのではなくて、ほかの手法とも十分検証して実施するのがPFIの基本的な手順でもあります。
 また、会計検査院は、昨年五月、全国のPFI事業の検査をしています。そこでは、VFMの見積りが実際よりも多く見積もられていて、収益がPFIの方が小さかった、サービスの水準が下がったなどが指摘をされています。
 こうした指摘をこの事業にも反映させなければならないと思いますが、PFI事業の検証はされているのでしょうか。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 国の府省等におけるPFI事業のVFM評価やモニタリング等において、令和三年五月に会計検査院が報告をしたことは承知しております。
 当事業を進めていくに当たりましては、法令やガイドライン等に沿って適切に対応してまいります。

○アオヤギ委員 こういった検証は必要であると考えます。会計検査院のこの指摘は、私たちもずっと指摘してきたことです。
 VFMを大きく見積もってPFIに飛びつき、結局は赤字になる、事業者が撤退して取消しになる、こういったことが全国で繰り返されてきました。
 VFMを出さないで定性的に見積もれば、つまり、都がいう民間事業者が施設整備、運営、維持管理を一体にできるのだという評価だけで利益が出るというわけではありません。事業方式を選定する過程が極めて不明確だといわざるを得ません。
 そして、アーバンスポーツパークのエリアの区分についても疑問があります。
 大会レガシーゾーンと多目的ゾーンに分かれていますけれども、多目的ゾーンは商業施設を含めたものも想定しているそうですが、そのように決めた過程を教えてください。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 大会のレガシーを引き継いでいくため、スケートボード施設、屋内ボルダリング棟、3x3バスケットボール設備等を、都が大会レガシーゾーンとして整備することといたしました。
 その上で、海上公園と調和しつつ、アーバンスポーツその他、各種スポーツの振興に寄与し、有明北地区のにぎわい創出に資するものとして、多目的ゾーンも設置することといたしました。
 両ゾーンを一体として、民間事業者の独立採算で運営していくものでございます。
 なお、この区域は、法令、ガイドライン等による制約があり、過度に収益性を追求した施設となるものではございません。

○アオヤギ委員 過度に収益性を追求しないエリアだといいますけれども、民間企業は営利目的ですから、収益を上げることが目的であり、株主に対する責任です。収益でアーバンスポーツパークの維持管理、運営の費用、人件費を捻出しなければなりませんから、収益も追求されるし、利用料金も収益に左右されます。
 多目的ゾーンが入ってきた経緯についてですが、PFI事業を都が選定する上で、都が意見交換をした企業は何社ですか。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 事業内容等を具体化していくため、令和二年十二月にヒアリング実施について公表の上、募集いたしました。
 その結果、十二の民間事業者が参加いたしました。

○アオヤギ委員 十二社だったということです。
 都の募集要項を見ると、事例にPFIやPFI方式でつくられる特別目的会社、SPCによる事業を想定とも書かれています。PFIのための意見を聞いているとしか思えません。そうした提案の中で、多目的ゾーンということが出てきたということであります。
 多目的ゾーンを造り、さらにスポーツ施設の運営をすることができる事業者は限られています。
 それらの事業者も、今後、入札に入ることは可能なのでしょうか。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 今後、参加資格を公表した上で事業者を募集することとしておりまして、参加資格要件を満たせば応募することができます。

○アオヤギ委員 事前に事業実施のための準備ができるという点では、都に提案が採用された会社は有利だというふうに考えます。どう公平性を担保するのかが問われています。
 要求資料の数字では、十年間の契約で、十年後には多目的ゾーンは基本的に更地にするという契約で、また、レガシーゾーンは十年で見直すということですが、せっかく根づいたスケートボード競技やボルダリングの愛好者が、十年後に行き場を失うのではないかという懸念がありますけれども、継続して施設を都民に提供すべきではないでしょうか。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 当事業終了後の取扱いにつきましては、施設の利用状況や競技の普及状況等を勘案いたしまして、その後の施設の在り方を検討してまいります。

○アオヤギ委員 一方、アーバンスポーツであるスケートボードやボルダリングは、多くの愛好者が増えている競技です。スケートボードは、まちじゅうで使ってはいけない場所でやっている状況がありましたけれども、そうした中で、この施設を残すということは、愛好者、競技者にとって大変意義があることと考えます。
 多くの若者が来ることも考えられます。若い皆さんが気軽にアーバンスポーツに親しむには、交通費もかけて来るわけですから、入場料などは安価にしたり、シャワーなど、スポーツ施設に必要な施設も整備しなければならないと考えます。
 都のスポーツ施設であり、スポーツに親しむ都民を増やすため、都は努力をしていかなければなりません。
 こうしたシャワーなど、スポーツ施設に必要な施設はどうなるのでしょうか。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 都民がスポーツに親しんでいただくために必要となる設備等につきましては、今後、要求水準書等において示しました上で、事業者からの提案を募ってまいります。

○アオヤギ委員 多目的ゾーンは、もともとBMXで使われていたということであります。
 レガシーというのであれば、多目的ゾーンで行われていたBMXはどう残すのでしょうか。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 東京二〇二〇大会で整備されたBMXをはじめとした仮設競技施設は、大会終了後に撤去することを前提として造られたものでございます。
 このうち当施設では、耐久性等も考慮し、レガシーを引き継いでいくものとして、スケートボード施設、屋内ボルダリング棟、3x3バスケットボール設備を整備することといたしました。

○アオヤギ委員 BMXに限らずスポーツ施設を増やしていくのは都の使命であるのですから、多目的ゾーンもスポーツ施設にしていくべきだと思います。
 大会レガシーゾーンの利用料金ですけれども、これはどうなるのでしょうか。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 当施設では、今後公表する要求水準書等において、事業者に求める利用料金の設定に関する考え方を公表してまいります。

○アオヤギ委員 PFIになれば、要求水準書は出しますけれども、民間事業者の提案を選ぶだけで、都が料金設定はできない仕組みです。
 条例で設定して安価に設定する、子供、障害者料金など設定すべきではないでしょうか。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 当施設は、幅広い年代や技術レベルの方に気軽に訪れていただき、楽しんでいただける施設を目指しておりまして、今後公表する要求水準書等において、事業者に求める利用料金の設定に関する考え方を公表してまいります。

○アオヤギ委員 要求水準書では、なかなか低額にはすることができないというふうに指摘をしておきます。
 都が事業方式を選定する過程が極めて不明確であり、PFIありきで進められている点、都がスポーツに親しむ都民を増やすという役割から考えても、若者などに安価に提供できない可能性があることや、安定的にアーバンスポーツを提供できない契約である点から、PFI方式にすべきではないと考えますが、都民の意見を聞き、多くの都民がスポーツに親しめる施設にしていくべきですが、いかがでしょうか。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 当施設は、民間の資金、経営能力等を活用して施設の整備、運営、維持管理を一貫して実施することで、アーバンスポーツに親しむ環境を整え、地域のにぎわいを創出する施設となるよう、PFI手法を採用することといたしました。
 現在、PFI事業としての実施方針案を公表いたしまして、都民の皆様から意見募集を行っておるところでございます。
 今後、寄せられたご意見も参考に、実施方針や公募要項等に反映いたしまして、多くの都民がスポーツに親しめる施設として、適切に整備、運営してまいります。

○アオヤギ委員 今、意見募集しているということです。
 都がVFMを出していないなど、PFIに都が決めた決定過程が不明確なこと、民間企業の意見を聞き、それに従っており、恣意的であることは厳しく指摘をしておきます。
 レガシーというなら、安定的に運営できる直営にし、条例上で料金を定め、都民がアーバンスポーツに親しめる施設にするよう求め、質疑を終わります。

○白戸委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○白戸委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了しました。
 以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。

○白戸委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百五十六号議案及び第百五十七号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○田中総務部長 去る五月二十七日の当委員会において要求のございました資料のうち、契約議案関係につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をご覧願います。
 契約議案に関して今回要求のございました資料は、一件でございます。
 それでは、一ページをご覧ください。1、都立あきる野学園の児童生徒数、学級数、普通教室及び特別教室の状況でございます。
 一つ目の表は、障害種別の児童生徒数、学級数を記載したものでございます。
 二つ目の表は、普通教室の数に加え、転用等による確保の状況と合計数を記載したものです。
 三つ目の表は、特別教室の数と、そのうち実際に特別教室として使用している数を記載したものでございます。
 次に、四つ目の表ですが、増築後の普通教室の数及び特別教室の数を記載したものでございます。
 以上、簡単ではございますが、契約議案関係で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○白戸委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○谷村委員 まずは、都立あきる野学園増築及び改修工事について質問をいたします。
 あきる野学園の現状と、増築するに当たっての経緯につきまして、まずご説明をお願いしたいと思います。

○落合特別支援教育推進担当部長 あきる野学園は、平成九年度に、肢体不自由教育部門と知的障害教育部門を併置し、小学部、中学部、高等部の課程を持つ特別支援学校として開設いたしました。
 その後、児童生徒数の増加等により、普通教室の確保のため、今回、増築工事を実施するものでございます。

○谷村委員 まずもって大前提として申し上げておきますが、特別支援学校の増設あるいは新築につきましては、この建て替え等も含めまして、私は推進をしていく立場であります。
 私の地元では、村山特支の建て替え、あるいは、北多摩特支とまだいわれていますけれども、東大和特支の新築、こうした新たな建設と、そして増改築等につきましては、これを推進していく立場ですので、まずそれを申し上げておきます。
 ただ、その二つのことも踏まえましても、特別支援学校につきましては、スクールバスの運行があり、あるいは保護者の方々の送り、お迎えの車両が多くなったりして、地元の道路が渋滞したり、あるいは地域住民の方々からは様々なご意見があります。
 今回、村山特支の建て替え、これは一時移転をしますけれども、その移転先にお住まいの地域の方々からも、また、東大和特支の新設につきましても、その近隣の方からは様々なお声が上がっております。
 そうしたお声にお応えするにしても、特別支援学校は、学校施設の積極的な開放事業を通じて、地域とよりよい関係を築いていくことが大変に重要であります。
 特に北多摩特支、東大和特支につきましては、住民説明会あるいは地元市からも、積極的に学校施設を開放していただくならばという条件が出たとも伺っております。
 また、今回、増改築になります、あきる野学園につきましては、施設開放を積極的にしていないというお声が届いております。体育館はされていたのかもしれませんが、グラウンドに至っては、ほぼほぼ開放されていないのではないかという声もいただいております。
 このあきる野学園の増築工事が終了するのが令和六年度の予定になっておりますけれども、このあきる野学園は、その増築工事が終了した場合、どの程度の施設開放が可能となるのか、お伺いをします。

○落合特別支援教育推進担当部長 増築工事後は、既設のグラウンドなどを加え、新しく造るグラウンドも開放の対象としていく予定でございます。
 新たに設置するグラウンドは、縦が約六十メートル、横が約四十五メートル、約二千七百平方メートルの規模で、ランニングや軽体操などで体を動かしたり、フットサルなどの競技を行うことができる予定でございます。

○谷村委員 新設するグラウンドにつきましては、既存のグラウンドと一体的に運用されれば、基本的に使い勝手も大変よくなるわけですけれども、地形を伺うと、この落差があるということで、いただいた資料では分からない現状があるということですので、グラウンドが分割する形で新設されることになります。
 この学校施設開放事業にしっかりと活用していくということですけれども、基本的には、地域の方が利用する場合は、土日であったり、休日などが中心になるのではないかと思います。
 休日に駐車場等から校内に入るための動線の確保、それから、利用団体が活動する際の設備等の配備など、学校施設開放を推進していくために、利用者がより使いやすいようにしていただきたいと思いますが、見解をお伺いします。

○落合特別支援教育推進担当部長 学校施設開放の際、土日等におきましても利用者が校内に入りやすいよう、校内動線を確保してまいります。
 また、新たなグラウンドの整備に合わせまして、グラウンドに面した位置に、学校施設開放の際、備品を格納できる用具倉庫や、利用者が使用できる屋外トイレを設置する予定でございます。

○谷村委員 用具倉庫とか屋外トイレ等を設置する場所等を拝見しますと、施設開放の意欲というものが設計図では伝わってまいりますので、しっかりと進めていただきたいと思いますけれども、東京都特別支援教育推進計画では、今後も、この特別支援学校の新設が予定をされております。
 特に新設も含めて、今後整備されていく学校においては、施設開放に配慮した施設整備が行われるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○落合特別支援教育推進担当部長 特別支援学校では、校外活動の安全な実施やスクールバスの運行など、地域の理解や協力が必要不可欠でございます。
 そのため、今後新設する学校におきましても、地域と良好な関係を築き、よりよい関係を構築することが求められてございます。
 今後の特別支援学校の整備に当たりましては、児童生徒の教育環境の整備を基本としつつ、地域の実情に応じ、学校施設開放にも配慮した施設整備を進めてまいります。

○谷村委員 あきる野学園の増築工事は、この第二回都議会定例会において議会可決後に工事が開始し、令和六年度まで工事が続くわけですけれども、体育館は増築に影響がないとのことでありますが、既存のグラウンドは、この動線の確保で学校施設開放に影響が出るとも聞いておりますけれども、今年度の使用はどうなるのでしょうか。

○落合特別支援教育推進担当部長 工事期間中は、仮囲いを行うため、外部から既存のグラウンドへの動線が確保できません。
 しかし、この夏に予定してございます災害時の避難用ルートの工事が完了すれば、既存のグラウンドへの動線が確保できるため、それ以降につきましては、施設開放事業を実施することができるというふうに考えてございます。

○谷村委員 当初、この工事が始まるということで、あきる野学園の施設開放は非常に否定的でありましたけれども、今回質疑をさせていただいて、前向きに、既存の体育館にとどまらず、グラウンドについても積極的に開放されるということで確認をさせていただきました。
 特別支援学校に限らず、都立学校におきましては、地域の皆様と様々ないい関係を築いていただいて、皆様からの理解がある学校として、また、地域に支えられる都立学校として皆さんに評価されるように努めていただきますことを心よりお願いを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○アオヤギ委員 共産党のアオヤギです。
 あきる野学園についてお伺いします。
 昨年、国は、特別支援学校の設置基準を公表しました。
 この面積基準では、あきる野学園については、校庭が面積基準を満たしておらず、今回の増改築で、校庭は基準を満たすというふうに聞いております。
 校舎の面積基準は満たしているということでありますけれども、国の設置基準では、玄関など教室以外の場所も面積に含めるので、基準が満たされているように見えますが、要求資料にあるとおり、間仕切り教室、転用教室は、数字でも一定あるということであります。
 一方、国は、昨年は、間仕切り教室や転用教室の報告を厳密に求めました。東京都の転用教室、間仕切り教室は大幅に増え、そして、もともとあったものだと思われますけれども、大きな数字になりました。
 あきる野学園では、転用教室と間仕切り教室は三十七教室あるということですけれども、増築すると、これらは解消できるのでしょうか。

○落合特別支援教育推進担当部長 増築工事により、転用等の状況は大幅に改善する予定でございます。
 増築校舎の供用が開始される際には、在籍者数に応じまして普通教室を確保するとともに、普通教室に転用していた特別教室などを本来目的で適切に活用してまいります。

○アオヤギ委員 おおむね解消できるということでした。一部は残ってしまうということで、やはり間仕切り教室、転用教室は解消して、特別教室をちゃんと使えるようにしていただきたいというふうに思います。
 このあきる野学園ですけれども、どの学区、どの地域から通われているのか、お示しください。

○落合特別支援教育推進担当部長 あきる野学園は、肢体不自由教育部門と知的障害教育部門の併置校であり、それぞれ通学区域が異なります。
 令和四年度現在の通学区域は、肢体不自由教育部門が、あきる野市、羽村市、福生市、日の出町、檜原村でございます。知的障害教育部門が、あきる野市、昭島市、日の出町、檜原村でございます。

○アオヤギ委員 大変広い範囲から通ってきております。
 バスのコースについてですけれども、何コースあるのか、お示しください。知的障害児、肢体不自由児でそれぞれお示しください。

○落合特別支援教育推進担当部長 令和四年度当初のコース数でございますが、知的障害教育部門の児童生徒のみが乗車するコースが五コース、知的障害教育部門の児童生徒と肢体不自由教育部門の児童生徒が同乗するコースが十一コースございます。

○アオヤギ委員 今お示しいただいたコースで、これらのコースで一時間以上乗車する、超えるコースは何コースあるのでしょうか。

○落合特別支援教育推進担当部長 令和四年度の運行計画では、全てのコースの乗車時間が一時間以内となってございます。

○アオヤギ委員 一時間未満ということでした。
 昨年はちょっと、一時間以上かかるコースもあったというふうに聞いておりますけれども、以前、とや議員が質問したように、障害児のスクールバスのコースが長過ぎて、トイレが間に合わなくて、自分でトイレに行ける子までおむつをつけるという実態があるということでした。
 寄宿舎があれば、朝、みんなでリズムをつくりながら、ご飯も食べ、排せつもして、余裕を持って学校に行くことができますが、寄宿舎のない学校は、一時間目が排せつに時間が取られることもあるということでした。
 子供たちの健康を第一に考えれば、寄宿舎か通学時間を短くすることが必要です。
 子供たちの健康のためにバスを増やし、乗車時間を短くできないでしょうか。

○落合特別支援教育推進担当部長 スクールバスの台数は、学校が保護者の意見を十分に聞き取り、児童生徒の住所、乗車人数、乗車時間などを総合的に勘案し、運行コースなどを調整した上で決定しており、引き続き適切に決定してまいります。

○アオヤギ委員 ぜひそういう工夫をしながら、一番遠いお子さんなどもいらっしゃいますから、乗車位置なども工夫しながら、短くしていただきたいというふうに思います。
 あきる野学園の増改修は、特別支援計画(第二期)・第一次実施計画に入っていますが、第二次実施計画の特別支援学校の新設は検討中のままです。
 あきる野学園は、三百人規模の大規模校で、今後、近くに新設して小規模化にするなどの対応も求められています。
 この計画の設置目標は、いつごろ決まるのでしょうか。

○落合特別支援教育推進担当部長 特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画に基づく学校の新設や増改築等につきましては、関係自治体とも調整の上、進めてまいります。

○アオヤギ委員 計画で数字が示されていない状況は極めて異例のことですので、早期に数字を示していただくことを要望し、終わります。

○白戸委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○白戸委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了しました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○白戸委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○白戸委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百十四号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、教育庁所管分、第百三十八号議案から第百四十二号議案まで、第百七十号議案及び諮問第二号、地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関する諮問についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○田中総務部長 去る五月二十七日の当委員会において要求のございました資料のうち、付託議案関係につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をご覧願います。
 付託議案に関して今回要求のございました資料は、六件でございます。
 それでは、二ページをご覧ください。2、教員免許状授与件数と都内公立学校に勤務している正規教員数(平成二十三年度から令和二年度まで)でございます。
 (1)では、各年度において、東京都教育委員会が授与した普通免許状の件数を種別ごとに記載してございます。
 三ページをご覧ください。(2)では、各年度において、都内公立学校に勤務している正規教員数を校種別に記載してございます。
 四ページをご覧ください。3、東京都内における教員免許状の更新者数及び失効者数(平成二十三年度から令和二年度まで)でございます。
 教員免許状の更新者数は、各年度において、東京都教育委員会に教員免許状の更新手続を行った者の数を、教員免許状の失効者数は、各年度末において東京都内の現職教員であった者のうち、更新手続を行わなかったために教員免許状が失効となった者の数を記載してございます。
 五ページ、上段をご覧ください。4、都立学校の給食費についてでございます。
 令和三年度における都立学校の給食費について、一食当たりの単価と月額の給食費について校種別に記載してございます。
 下段をご覧ください。5、都立学校における給食費支援事業についてでございます。
 学校給食の主食であるパン、麺及び米について、各年度における一食当たりの平均単価を記載したものでございます。
 パン、麺の平均単価は、学校給食で使用される頻度の高い主要七品目を、米の平均単価は、学校給食で使用される頻度の高い五銘柄を選定し、算出しております。
 また、増減額は、令和三年度に対する令和四年度の平均単価の増減額を記載したものでございます。
 六ページをご覧ください。6、都内公立学校における新型コロナウイルス感染症への感染が判明した学校数及び人数の状況(校種別)でございます。
 教職員、児童生徒等の感染が判明した学校数及び感染が判明した人数を、校種別、期間別に記載したものでございます。
 七ページから八ページをご覧ください。7、都内公立学校における都独自のPCR検査活用実績(校種別、使用目的別)、教職員の定期検査実施状況及び陽性の疑いが判明した数でございます。
 (1)は、教育活動の際のPCR検査の実施など、都が独自に行うPCR検査の活用実績について、期間別、使用目的別、校種別に、学校数、検査数及び検査の結果、陽性の疑いが判明した数を記載したものでございます。
 九ページをご覧ください。(2)は、教職員を対象とした抗原定性検査による定期検査の実施状況について、期間別、校種別に、学校数、検査数及び検査の結果、陽性の疑いが判明した数を記載したものでございます。
 以上、簡単ではございますが、付託議案関係の要求でございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○白戸委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○もり委員 補正予算について質問を申し上げます。
 コロナ禍において、海外情勢の影響を受け、物価が高騰する中、今回、給食費の原材料の高騰に対して、保護者負担の増額なく、継続的、安定的に給食を提供する視点から、都として、都立の中学、高校、特別支援学校における学校給食費支援を緊急対策として実施していただくための予算として一千万円の補正予算が計上されており、東京都の迅速な対応に感謝を申し上げます。
 今回の補正予算では、対象者を二万人として、補助額は一人当たり三・五円とのことですが、都内は全国的にも物価が高く、これで本当に子供たちの食の質が担保されているのか、不安が残ります。
 決められた給食費の中で、いかに栄養価の高い給食を提供することができるか、給食の栄養士さんたちは日々大変ご苦労されていると、以前、学校現場で伺ってまいりました。
 現在のウクライナ危機等の影響を受け、主食であるパン、麺、米のみならず、野菜、お肉や魚など、多くの食材が高騰しております。
 今回、都教育委員会が行う給食費への支援事業は、主食であるパンや麺、お米の価格上昇分の経費を負担するものとなっています。
 こうした主食以外の食品も値上がりをしておりますが、栄養バランスやバラエティーのある給食の提供ができるのか、都の見解を伺います。

○村西都立学校教育部長 給食費支援事業は、物価が高騰する中、国の交付金を活用し、給食の主食であるパンや米などにつきまして、その価格の上昇分を都が支援することにより、給食費の負担軽減を図る事業でございます。
 パンや米などの主食は、エネルギー摂取に不可欠なものであり、毎日提供する必要があること、また、価格の上昇率が極めて高いことから、支援を行うこととしたものでございます。
 生鮮野菜なども価格は上昇しておりますが、主食分の負担を行うことで、献立や食材の工夫を行い、必要な栄養バランス等を確保した給食を提供できるものと考えております。

○もり委員 ありがとうございます。給食費等の主食を補助することで、栄養バランスを確保していくとの答弁をいただきました。
 六人に一人のお子さんが貧困状態にあるといわれている中で、給食で一日の栄養を取っているお子さんもあり、給食が命綱になっているお子さんがいる現状があり、給食こそ質を大切にしていただきたいと考えます。
 コロナ禍における物価高騰により、都民の生活は厳しい状況に直面しています。
 今回、都教育委員会が行う給食費の支援事業によって保護者の負担軽減が図られるとのことは評価いたしますが、都立学校における生活困窮家庭等への給食費の支援についてはどのように行われているのか、お伺いをいたします。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会では、中等教育学校、附属中学校及び附属小学校の保護者のうち、生活保護世帯等の保護者に対しては、全額の補助を実施しております。
 特別支援学校の保護者に対しましては、所得の水準に応じて、全額または半額を補助しております。

○もり委員 ありがとうございます。生活困窮者等の方たちに対しても手厚い支援が行われていることを伺い、安心しました。また、今回の事業により、物価高騰による上昇分を支援することで、給食の質を落とすことなく、栄養バランスの取れた給食の提供ができることを確認させていただきました。
 東京都教育委員会として、今後とも、子供たちにとって魅力あふれる給食を提供できるよう取り組んでいただきたいと思います。
 育ち盛りのお子さんにとって、給食は、栄養価の数値を満たしていればよいものではなく、学校生活の中での楽しみな時間であると思います。
 先ほどのご答弁でも、生活困窮世帯等の方には支援を行っていただいていることを確認させていただきました。
 親御さんからは、値上げをしてもよいから、おいしくて楽しい、充実した給食を実施してほしいとの声も聞かれます。
 私は、令和三年第四回定例会でも、学校給食の有機食材化を求め、質疑をさせていただきました。
 一昨日、我が会派の代表質問では、米粉の利用促進に向けて、米粉パンの給食での利用促進も期待されています。昨今のウクライナ危機により、肥料が高騰している今こそ、都内農業の有機農産物化とともに、学校給食での提供が進むことを願います。
 世界各国では、未来を担う子供たちこそ、健康でおいしい給食で健やかに育ってほしいと、給食のオーガニック化が進んでいます。
 韓国では、既に国策として学校給食の有機農産物化を進めており、フランスでも、マクロン大統領の公約として、今年度末までに食材のオーガニック比率五〇%に向け、法整備が進んでいると伺いました。ぜひ学校給食における食材の有機食材の推進に向けて、強く要望いたします。
 また、区市町村立学校の給食については基礎自治体の所管となりますが、二十三区と市部など、自治体ごとの財政力には差があり、都内五つの区では、新年度、給食費の値上げを行うとのことで、自治体負担が新宿区と葛飾区、半額自治体負担が中央区、杉並区と墨田区では保護者負担となっています。
 区独自に既に助成している区もありますが、財政的に厳しい自治体においては、包括補助でも都として支援をしていただきたいと要望し、子供たちの健やかな成長を支え、学校生活の楽しみとなるような給食の充実を願い、質問を終わります。ありがとうございました。

○斉藤(や)委員 私も、引き続き学校給食費支援事業について質問したいと思います。
 ロシアのウクライナ侵略によります原油、原材料、食料等の価格高騰は、我が国の経済や国民生活に大きな影響を及ぼしております。
 とりわけ食料価格の高騰は、家計に深刻な影を落としておりまして、子育て家庭におきましては、学校給食への影響に対する不安が高まっております。
 そうした中、今回の補正予算案におきまして、都立学校における学校給食費を支援する事業を開始することとなっております。
 まず、本事業を実施するに当たりまして、都教育委員会の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

○村西都立学校教育部長 学校給食法等では、給食費は保護者が負担すべきものと規定されております。その支援に当たりましては、国が責任をもって財源確保などの対応を行うべきものでございます。
 今回、国におきましては、コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策を取りまとめ、地域の実情に応じ、これまでどおりの栄養バランスや量を保った学校給食等が実施されるよう、地方創生臨時交付金を拡充、活用し、物価高騰に直面する保護者の負担軽減に向けた自治体の取組を強力に促し、必要な支援を迅速に行うこととされました。
 この国の措置を受けまして、都教育委員会は、交付金を活用し、給食費の負担軽減を図るための事業を開始することとしたものでございます。

○斉藤(や)委員 今回の補正予算の迅速な対応については、今、ご答弁でも強調いただきましたが、国の措置を受けて、都教育委員会は、この交付金を活用して給食費の負担軽減を実行するということであります。
 まさに国におきましては、公明党が主導いたしましたが、二・七兆円規模の補正予算を成立させまして、このコロナ禍における物価高騰対策という、そういうコロナ禍という中ですけれども、そこにウクライナの侵略問題が、あるいは円安問題等もかぶってまいりまして、様々な状況で、この物価高騰の対策の一環としまして、活用すべきは、コロナ禍の中で生み出された地方創生臨時交付金の拡充を伴う形で、都への国庫支出金六百八十九億円の一部を今回の給食の支援事業の財源として、都立学校に向けた支援策として創設された事業だということが分かりました。
 一方で、ご答弁でございましたように、区市町村では、自治体ごと、学校ごとに学校給食費を決める形になっているわけですね。学校給食法という法律がございます。しかも、保護者負担という形になっているわけですけれども、この保護者負担の軽減策についても、区市町村の判断で実施されることになります。
 食料等の価格高騰を踏まえまして、恐らくこれは、今、六月定例会が各基礎自治体でも行われているところでございますけれども、区市町村においても、都と同じような、この交付金が入ってきますので、その交付金を活用して、同じような考え方の下、区市町村に国から支出される交付金を活用して補助等の対応を実施していくものと思われます。
 これは思っているだけで、実際にどうなのかということについて、区市町村の対応状況をちょっとお伺いしたいと思います。

○岩野地域教育支援部長 区市町村に対しましては、給食費の負担軽減策が一層促進されるよう、国の交付金の活用を促しております。
 区市町村に対応状況を照会したところ、一部が給食費を据え置いているほかは、今年度当初または年度途中から、臨時交付金を活用し、食材料費の一部公費負担を実施するなど、適切に対応していくことを確認しております。

○斉藤(や)委員 これは全ての自治体じゃないんですね。今もご答弁がございましたけれども、各自治体ごとに対応があるのですが、多くの自治体では、都と同じように、今回の公費負担を実施することが−−適切に行ってくださいよと東京都からもお話をしていただいておりますけれども、各自治体が決めることでございますが、そういった実態であるということが分かりました。
 このウクライナ危機が、さらに今後長期化する可能性があると。もう既に、二月二十四日から始まって、長期化というのは、どの段階で長期というか、あれですけれども、終息の見通しが立っていない中で、家計への影響は、ますますこれから大きいものがあると思うんです。この物価高騰ですね。
 学校給食への一層の支援については、長期化した場合に、都として、国にさらなる支援を求めていくべきだと考えるのですけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○岩野地域教育支援部長 都教育委員会は、物価高騰等、今後の状況も見ながら、国の動向も注視し、必要な対応を行ってまいります。

○斉藤(や)委員 我が党は、一般質問等でも、この給食費に関しては無償化の提案、また、国においては提言も行って、全国の実態調査なども二〇一七年に行っているところでございます。私自身は、給食費は本来無償化すべきものだと考えております。
 一方で、食材費等の学校給食費は、昭和二十九年、戦後の高度成長に入る前に制定された、非常に古い学校給食法という法律の下で、児童または生徒の保護者が負担することとされているわけです。
 子供の心身の健全な発達に直結するこの学校給食は、様々な環境の変化があったとしても、今、この物価高、海外での戦争の状況も、世界の食料というのはサプライチェーンもございますし、様々な影響が国内にも発生するわけですが、様々な環境の変化があったとしても、確実に維持されていかなきゃならない重要な施策であると考えます。政府は、子育て家庭の負担軽減につながる取組を一層強化する必要があると考えています。
 この無償化に当たりましては、現行法の改正、この見直しという、制度全体の枠組みの見直しも必要でございましょうし、財源としてどうするのか、国の責任はどこまでなのか。
 今、世田谷区などは、もう無償化は非常に早く進んでいるというふうに伺っております。基礎自治体で先行してやっているところもありますし、県に対して、埼玉県なども公明党が無償化を強く要求をしているわけですけれども、様々な負担の軽減というのはあるのですが、こうした国の責任において取り組むべき課題が様々ある現実があります。
 国には、調査をしている段階でとどまっているだけじゃなくて、しっかりと無償化に向けての枠組みをどうするかということを取り組むように、都としても求めていくべきだというふうに思います。
 まずは、今の目下のウクライナ危機に直面している現状につきまして、長期化する際に関しましては、国に対して、引き続き、この学校給食へのさらなる支援を要望するべきだと申し上げまして、質問を終わります。

○アオヤギ委員 まず最初に、教員免許の条例改正についてお伺いします。
 免許の更新制度がなくなり、これまでの更新のための講習がなくなるということですが、教員免許状は、かつては更新制度はなく、有効期限もなかったのですが、導入された平成二十一年度を境に、それ以降の免許状には有効期限が書かれてしまっています。
 現在の法律では、有効期限が書かれたものは、更新しなければ失効したことになり、平成二十年度以前に免許を取って現役でない方は休眠となるそうですが、これらの休眠または失効した免許は、法改正でどうなるのでしょうか。

○吉村人事部長 免許更新制導入前に取得し、休眠となっている免許状は、法が施行される令和四年七月一日以降、特別な手続なく使用することが可能となります。
 一方、失効となっている免許状については、そのままでは使用できません。

○アオヤギ委員 更新を行わず失効となった免許状を再び使用するには、どのような手続が必要になるのでしょうか。

○吉村人事部長 必要な更新を行わず教員免許状が失効となった場合は、都道府県教育委員会に再授与申請手続を行うことで、再び免許状を取得することが可能でございます。
 なお、今回の法改正により、これまで再授与申請に当たって必要とされていた免許の更新講習の受講は不要となります。

○アオヤギ委員 再授与の方は、その費用がちょっとかかってしまうのですけれども、講習を受ける必要がなくなります。
 教員をまた目指す場合、教員に戻りやすくなったわけですけれども、そういう方々にも教員を目指してもらうために、どのように周知し、働きかけをするのでしょうか。

○吉村人事部長 免許を再取得する意向のある方に向けては、免許法の改正についてホームページ等で広報を行っており、再取得の手続等について分かりやすく周知してまいります。
 また、都教育委員会では、現在、免許を再取得する方々を含めた多くの方に教員を目指してもらえるよう、充実した研修制度など、東京の教員として働く魅力を発信するとともに、デジタル技術や外部人材の活用等により、教員の働きやすい環境を整備しております。

○アオヤギ委員 今の教員不足を解消するためにも、今お答えいただいた部分もあるのですけれども、教員免許を持った方に教職を目指してもらうということが重要だと思います。
 一方、期限付で任用された方が、任用された先で、とても大変な学級で、自分には教員は向いていないと辞めてしまったというお話や、ネット上には、新任の教員が、もうあしたで辞めると書かれた投稿も目にします。
 教員免許を持った人たちや、更新制度がなくなり復活する人もいます。その方たちに教員を目指してもらい、定着させることが−−子供たちの人格の完成を目指す学校の教員を志す方々を増やして、採用して、やりがいを持って働き続けられる環境にしていくには、どういうことが必要だと考えますか。

○吉村人事部長 先ほども申し上げましたが、免許を再取得する意向のある方に向けては、再取得の手続等について分かりやすく周知してまいります。
 また、多くの方に教員を目指してもらえるよう、東京の教員として働く魅力を発信するとともに、教員の働きやすい環境を整備してまいります。

○アオヤギ委員 私たちは代表質疑でもいいましたけれども、やはり働きやすい環境というのは具体的に、様々な制度を改善しながら、授業時間数などを少なくしながら、そういった提案をして募集していくということを求めておきたいと思います。
 次に、補正予算について伺います。
 まず、新型コロナウイルス感染拡大防止の検査です。
 東京都教育委員会のPCR検査や抗原定性検査の実施期間が六月までだったものを十月まで延長する内容です。
 要求資料をありがとうございました。その数字によれば、感染者があったときのPCR検査は、区市町村立小中学校の利用が都立高校に比べ少なくなっていますが、その理由をどのように考えていますか。

○岩野地域教育支援部長 区市町村立小中学校におけるPCR検査は、各自治体が検査の実施を判断しており、教育活動の実施に伴う検査には活用されていることから、必要な検査は行われていると認識しております。

○アオヤギ委員 必要な検査は行われていると認識しているということですけれども、保護者からは、もっと検査をして、安心していつもどおりの生活ができるようにしてほしいという声が届いています。
 学級閉鎖になっても、コロナの感染が理由かどうかも知らされない学校もあります。また、陽性か陰性かも分からず行動を制限されて生活のリズムが崩れることや、登校できないだけでなく、外で遊べないなど体力が落ちるなど、様々なダメージを子供たちは受けています。
 また、修学旅行などの中止で、何でもすぐに諦めてしまうようになったなどの声もいただきました。
 オンライン授業もされていますけれども、これは勉強が分かるというよりは、画面に向かって勉強に向かうという作業が休みのときは重要なんだと、医療従事者の方もいっておられました。それだけ、みんなと一緒に勉強しているという雰囲気が大事だということだと思います。
 今年一月から二月のオミクロン株の第六波のときに比べれば、今は感染も減少傾向にありますが、子供たちは、二年間もこうしたことを繰り返しているわけです。
 子供たちが自宅待機の中でエネルギーを奪われてしまうこともあります。
 しっかりPCR検査をして、陰性の場合は学校に復帰していくことが求められていますが、コロナ禍の子供たちへの影響はどのように考えていますか。

○岩野地域教育支援部長 小中学校で実施されるPCR検査は、保健所で濃厚接触者が特定できない場合に、感染リスクの高い児童生徒に対して行われております。
 各自治体は、地域の感染状況や感染者との接触状況等を踏まえ、出席停止の期間等を適切に判断しております。
 新型コロナ感染防止対策で活動の制約がある中でも、子供たちが実りある学校生活を送れるようにすることが大切であると考えております。

○アオヤギ委員 沖縄県では、昨年五月から、クラスに一人でも陽性者が出た場合、クラス全体で検査を実施し、濃厚接触者でない子供については、陰性であれば登校できるようにしてきました。
 五月から十二月まで、小中高、特支で二万一千五百八十人が検査を受け、百十六人が陽性だったとのことです。引き算すれば、二万千四百六十四人は、基本的に復帰して学校生活を再開したことになります。
 陽性者が家族と待機をするのは当然のことですが、検査もしないで待機をさせるということは、教育や子供たちの生活を中断してしまうことになります。学級閉鎖になれば、多くの保護者も休むことになります。
 陽性者が出たときのクラス全員の検査など、都が主導し、区市町村に実施させていくべきではないでしょうか。

○岩野地域教育支援部長 都教育委員会では、保健所で濃厚接触者が特定できない場合に、感染リスクの高い児童生徒に対して、保健所に先行して検査が実施できることを区市町村教育委員会へ周知しております。
 検査は、各自治体の判断で実施されております。

○アオヤギ委員 濃厚接触者で、児童生徒も学級閉鎖で自宅待機、外に遊びに行けない状況を解決していくべきだと思います。
 大人は、濃厚接触者でなければ行動制限はありませんが、子供は制限される状況です。ワクチンを打っていない子供も少なくない小学校で検査をすることで、行動制限を少なくできるのではありませんか。
 検査は各自治体の判断で実施されているといいますが、公立学校で利用できる都教委のPCR検査は、感染対策は行わず、感染可能期間に接触した者が対象とされ、限定的です。
 区市町村がもっと幅広く検査すべきと判断して申請すれば、これをはねのけることはせず、申請どおりに検査を認めているとお聞きしておりますが、やはり対象者の基準をもっと柔軟に示すべきではありませんか。

○岩野地域教育支援部長 公立学校のPCR検査は、文部科学省の通知に基づき、各自治体の保健所が特定する濃厚接触者の取扱いに準じ、対象者の基準を定めております。

○アオヤギ委員 もともと、第五波のときに保健所が逼迫し、濃厚接触が疑われるのに検査ができないときの対応で始めた検査だったかもしれませんけれども、やはり対象者の基準を柔軟にして、学級閉鎖をなくして、子供たちの安全な学校活動を保障するという方向での検査もできるようにしていただいて、区市町村が活用できるようにしていただくことを求めます。
 教職員の定期検査についても伺います。
 この検査は抗原検査で、無症状には向かない検査だと厚労省がいっています。
 PCR検査も併用して定期検査をやってきた高齢者、障害者施設では、定期検査で感染を抑えることができています。
 PCRの定期検査を、教職員、そして児童生徒も含め、やっていくべきではありませんか。

○岩野地域教育支援部長 公立学校では、文部科学省の衛生管理マニュアルなどを踏まえ、基本的な感染症対策を徹底して学校を運営しております。
 加えて、都教育委員会は、区市町村教育委員会に対し、感染拡大防止と教育活動継続のための検査体制を整備しております。
 定期的なPCR検査の実施は考えておりません。

○アオヤギ委員 抗原検査では無症状の感染の発見はしづらいので、PCRにしてほしいという声があります。PCR検査で学校での感染を抑えれば、陽性者が出たときの検査は減ると思います。
 また、感染が減っている今こそ、きちんと検査の体制を確立していくことが、保健所の逼迫時にもスムーズに検査がされ、感染拡大を防ぐことにもつながります。
 PCR検査の定期検査を要望して、次に移ります。
 次に、学校給食について伺います。
 今回の補正予算で、都教委として初めて、都立学校の学校給食に補助を開始するわけです。
 昨年から物価が高騰し、二学期になってもまた上がり、三学期になっても上がり、ウクライナ危機でさらに上がって、献立の工夫も限界だと、栄養教諭や栄養士さんの声を伺ってきました。
 国の臨時交付金を活用しての補助ですが、様々な使い道が考えられる臨時交付金をあえて学校給食に使うと判断して補正予算を組んでいただいたことは歓迎したいと思います。
 学校給食を補助することにより、どのような効果があると見込んでいるのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 物価が高騰する中におきましても、保護者の給食費の負担軽減を図りながら、必要な栄養バランス等を確保した給食を提供することが可能となります。

○アオヤギ委員 補助により保護者負担軽減を図りながら、必要な栄養バランス等を確保した給食を提供できるということで、大変重要だと思います。
 これまでの物価の高騰に対し、現場では、給食の質や食育の効果などを保とうと考えれば、保護者の負担する給食費を上げなければならない、保護者の負担増にならないよう給食費を上げないようにすると、食材が限定されるなど給食の質が下がってしまうというジレンマに直面してきました。それを解決するのが公費による補助だと思います。
 同時に、今回の補助は、パン、麺、米の物価高騰分ということで、一食当たり三円から四円で、例えば特別支援学校の中学部の給食費は三百九十円程度ですから、一%にすぎません。
 新聞報道などでは、タマネギは九八・二%、前年度比で上がる、白菜は四五・六%、レタスは三八・三%など、栄養価の高い野菜が値上がりしていますが、そういう認識はありますか。
 もっと補助すべき、補助が必要ではないでしょうか。

○村西都立学校教育部長 令和四年四月の消費者物価指数を見てみますと、令和四年一月と四月を比較しますと、生鮮野菜全体では二・八%の上昇となっております。
 生鮮野菜等の価格は上昇しておりますが、給食において毎回提供されるパンや米等の主食分の支援を行うことで、献立や食材の工夫を行い、必要な栄養バランス等を確保した給食を提供できるものと考えております。

○アオヤギ委員 一月と四月の比較で、生鮮食品は二・八%の上昇とのことですが、今まで使っていた野菜は値上がりしています。前年同月比で見れば、生鮮野菜や果物は一五%、生鮮魚介類も一五%値上がりしています。食用油は三四%も値上がりするなど、大変な状況です。
 子供たちに必要な栄養価を満たす上でも、主食以外の生鮮野菜など、しっかりと考慮すべきだと思います。
 補助は、具体的にどのような方法で行うのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 都立学校では、東京都学校給食会を通じ、パン、麺、米の供給を受けておりまして、月別に支払いを行っております。
 支援開始後、学校給食会は、学校別の支援額を集計し、都教育委員会に請求を行い、都立学校へは、その額を差し引いて請求を行うことになります。

○アオヤギ委員 この方法は、学校に負担がかからないという点はよいというふうに思います。学校給食会の負担にも、ぜひ配慮していただきたいと思います。
 それで確認しますけれども、都立学校の中では、いろんな方法で給食を提供していて、デリバリーランチのような、給食を弁当などで外部に委託して、それを注文してやっている学校もあると聞きますが、そういった学校については補助されるのか。そこをお聞きしたい、確認したいと思います。

○村西都立学校教育部長 今回の支援スキームにつきましては、学校給食会を通じた支援スキームとなっております。
 そのため、外部委託方式を取っている学校は、今現在三校ございまして、都内に委託している学校は二校、都外に委託している学校は一校となっております。
 学校給食会に契約できるのは、都内に委託している学校となりますので、都外に委託している学校一校につきましては、今回の支援が学校給食会を通じて行うということなので、ちょっと難しいということになります。
 このため、食材の今回の支援スキームが受けられない学校につきましては、国の備蓄米補助事業というのがございまして、そういったものの申請などの必要な対応を検討してまいります。

○アオヤギ委員 都外で差があるということでした。備蓄米というのがどういうものなのか、ちょっと今、分からないのですけれども、ぜひ都立校全てに補助が行くように手だてを取っていただきたいと要望しておきます。
 地方創生臨時交付金をこの事業は活用しておりますけれども、物価高騰分への充当です。学校給食に必要な全ての食材の高騰分に対応すべきではないですか。
 また、東京都内は、食料自給率も低く、ガソリンなど輸送費も他県よりかかっています。そういう認識はありますか。

○村西都立学校教育部長 先ほどの答弁の繰り返しのご説明となりますが、生鮮野菜等の価格は上昇しておりますけれども、給食におきまして毎回提供されるパンや米等の主食分の支援を行うことで、献立や食材の工夫を行い、必要な栄養バランス等を確保した給食が提供できるものと考えております。
 なお、輸送費につきましては、通常、食材価格に反映されているものと認識しております。

○アオヤギ委員 食材の価格とは別に、学校給食は、多くの卸業者や小売業者が関わっています。コロナの直後も、一斉休校で給食がストップになり、打撃を受けました。こうした地元の業者を守るためにも、単価引上げが必要です。
 我が党が行った区市町村への給食の議会局調査では、なるべく保護者負担にならないよう、臨時交付金を使う自治体もあるが、使わない自治体、値上げをする自治体、食材の変更で食材の質の低下が懸念される自治体が確認されました。
 物価高騰は、今だけではなく、続いてきております。
 都立学校だけではなく、区市町村へも補助すべきではないでしょうか。

○岩野地域教育支援部長 今般の物価高騰に対応し、区市町村に対しては、国の地方創生臨時交付金の活用を促しております。
 交付金の活用など保護者負担の軽減策の実施につきましては、区市町村が適切に判断しております。

○アオヤギ委員 区市町村にはないということでありますけれども、憲法には、義務教育は、これを無償とすると書かれ、一九五一年の国会で、文部省は無償にすることが理想ということを述べています。
 また、学校給食法には保護者負担が書かれていますが、各自治体が全額補助にすることは否定されないということも国会で確認されています。
 ですから、都内でも、三宅村や檜原村、御蔵島村などは全額補助、一部補助の区市町村もあります。こうした努力に東京都も学び、日本一、財政力のある東京が学校給食の補助に踏み出すべきです。
 また、区市町村の努力で、地元食材や東京産食材の使用を進めているところもあります。しかし、もともと学校給食に納入が大変で、縮小や、やめてしまう農業者も少なくありません。
 今回の物価高騰のあおりを農家や納入業者が受ければ、安定的な供給ができなくなるおそれがあります。
 食材の安心・安全、そして地元食材を進める上でも、都の支援が重要だと思いますが、いかがお考えでしょうか。

○岩野地域教育支援部長 学校給食は学校の設置者が実施しており、国産品の使用や地産地消への取組は、各学校において、地元の農家や食材業者から食材を購入するなど、学校の立地特性等を踏まえ、実施されております。

○アオヤギ委員 物価高騰の中、給食費の単価を上げなければ、十分な栄養価は得られません。もう既に学校現場は、献立の工夫もして、もやしを入れるなど、やり尽くされています。
 また、フードバンクを実施している団体などからは、子育て世代への支援を計画していますが、申込段階で去年の実績を上回って申し込むという、非常に子育て世代の支援が増えている現状があるとお聞きしました。
 知事も、子供たちを取り巻く環境は厳しさを増していると述べられています。
 こうした危機的状況を考慮して、保護者負担を上げず単価を上げるために、都が財政支援をすべきです。いかがですか。

○岩野地域教育支援部長 繰り返しになりますが、今般の物価高騰に対応し、区市町村に対しましては、国の地方創生臨時交付金の活用を促しております。
 交付金の活用など保護者負担の軽減策の実施につきましては、区市町村が適切に判断しております。

○アオヤギ委員 一食の給食を頼りに生活している子供も少なからずおります。また、このままでは、必要な栄養価を満たすのが困難になります。
 こうした危機的状況を都は認識して、それに見合った都による給食費無償化を求め、終わります。

○風間委員 私からも、給食費の関連の質問、既に重複をしている部分はありますけれども、大事なことなので、一点聞いておきます。
 私たち都議会立憲民主党としては、憲法で定められている以上、義務教育無償化ということで、給食費も無償化であるべきだと考えております。
 これは、国として取り組んでいくべきことだと考えておりますけれども、現実としては、小学生も中学生も保護者負担がかなりあるという状況下、その中でも、この給食費の負担感というものは大変大きいものがあるというふうに考えております。
 その中で、この臨時交付金を活用して都立学校で補助していくという取組については評価をするものではありますけれども、先ほど来、答弁にもありましたように、一部の自治体では、給食費補助というものが臨時交付金を使って行われていないという実態もあると伺っておりますので、同じ東京都内の子供たち、また保護者の中でも差異があるということに関しては、大変な大きな課題意識があります。
 先ほど斉藤副委員長から、私の地元世田谷の取組を紹介していただきました。私が区議会議員の時代に、議会で議論をして一部無償化ということを行ったわけですけれども、これ、まさに公明党さん主導で行ったと記憶しておりますが、私たちは基本的に、普遍性が重要であるということから、所得制限があるようなやり方というものに関しては歓迎しないというスタンスでありましたものの、世田谷区の状況からしても、段階的とはいえ、全ての子供たちに無償化するほどの財政力がないということから、国に求めていくとか、国ができないようであれば都に求めていくというようなスタンスでありました。
 先ほど申し上げたように、都内の中でもこのような差異があるという状況に関しては、財政力のある東京都として、今後、給食費に関しては一斉で補助していくというような考え方も必要ではないかと思いますが、見解を求めます。

○岩野地域教育支援部長 都教育委員会は、今般の物価高騰に対応し、区市町村に対して、国の地方創生臨時交付金の活用を促しております。
 各自治体の対応状況につきましては、一部が給食費を据え置いているほかは、本交付金の活用を検討するなど、適切に対応していることを確認しております。
 公立小中学校における学校給食費は、学校設置者である区市町村が地域の実情や特性を考慮して決定しており、保護者負担の軽減策等につきましても、区市町村の判断により行われているものと認識しております。

○風間委員 その種の答弁は、ほかの会派からも聞いておりますので、重々承知しておりますけれども、今後、食材の高騰ということに関しては、しばらく続きそうな気配もありますので、ぜひ東京都として給食費の補助ということを検討していくように求めまして、次の質問に移ります。
 続いて、今回の条例改正で、学校の教職員、定年延長ということから、役職定年制についても変更があるというような報告を受けているところであります。
 これまでも再任用という形で学校管理職、校長、副校長先生が六十歳を超えてもなお再任用で現場で指揮を執ってくださっている学校が私の地元にもたくさんありましたけれども、やはりベテランの先生方がこうやって学校で指揮を執ってくれることに対して、地元の保護者としても安心できる、信頼できるというような声を聞いてきたところでありますが、今回の変更によって、管理職が役職定年になってしまい、六十歳を超えると、むしろ校長先生でいてほしいのに、校長先生でなく一教員として続けていってしまうのではないかなというような懸念があったりしますけれども、このあたりは柔軟に検討していくような話も聞いておるところであります。
 都の教育委員会としての現段階での見解をお伺いします。

○稲葉人事企画担当部長 地方公務員法改正による定年年齢引上げに伴い、役職定年制が導入され、校長、副校長といった学校管理職は、六十歳に達して以降、原則として管理職以外の職に任用される予定でありますが、その導入に当たっては、各地方公共団体の実情に応じた自主的な判断に委ねるべきとの附帯決議がなされているところでございます。
 現在、都においては、六十歳以降の働き方として、フルタイム勤務を基本とした再任用制度が定着し、多くの再任用管理職が勤務をしてございます。
 こうした実情を踏まえ、関係部局と連携し、制度を検討しているところでございます。

○風間委員 ありがとうございます。
 給食費の問題も、学校管理職の問題も、全ては子供たちの学ぶ場所がよりよい環境であるようにという思いからの質問でありました。
 特に学校管理職に関しましては、新陳代謝も必要だとは思います。ただ、やはり今いろいろな状況にある子供たちもいるような学校の中で、ベテランの先生が現場で指揮を執ってくださることへの安心感というのは、保護者からも聞いているところでありますので、ぜひ安心して子供たちが学校生活ができるような制度となるように、引き続き検討を進めてもらえればと思います。質問を終わります。

○白戸委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○白戸委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩といたします。
   午後五時三十一分休憩

   午後五時五十分開議
○白戸委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
 報告事項、令和四年度東京都立高等学校入学者選抜における追加合格事案の発生と再発防止に向けた今後の取組についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取してありますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○ほっち委員 都議会自民党を代表して、ただいまありました報告事項、都立高校入学者選抜における追加合格事案の発生と再発防止に向けた今後の取組について発言をさせていただきます。
 この春に行われた都立高校入試において、合否判定に誤りがあり、三名の方が一旦不合格となり、今回、追加合格となったとの報告を受けました。
 希望する都立高校入試の合格に向けて頑張ってきた子供たちにとっては、このことは、ヒューマンエラーがあるということがありながらも、大変な問題だというふうに思っています。公正、公平であるべき都立高校入試における信頼を回復するためにも、発生した原因を分析し、また、適切な対応が必要不可欠であるというふうに思います。
 今回の誤りは、選抜要領などに記載されている内容を理解していなかったことが主な原因だというふうにいわれています。働き方改革など、様々なことがあり、学校現場の先生方、非常に多忙を極めているというふうに思っています。入試の業務が負担となっていないか、また、皆さん、都教育委員会は、学校現場の声にしっかりと耳を傾けていただきたいというふうに思っています。
 そして、何よりも、再発防止に向けた取組として、システムの改善やチェックリストの作成、また選考委員会の審査の実効性を確保するなど、教員の負担軽減に向けた取組をしっかりと実施していただきたいというふうに考えます。
 先ほど申し上げましたけれども、人が行うことに誤りが生ずることは、やむを得ないことではありますけれども、やはり高校入試、子供たちにとっては人生を左右する、大きく影響するものであります。
 このような誤りが今後発生しないようにしっかりと取り組んでいただくことを強く要望して、意見として申し述べさせていただきます。しっかりと取り組んでください。お願いします。
 終わります。

○谷村委員 それでは、令和四年度東京都立高等学校入学者選抜における追加合格事案の発生と再発防止に向けた今後の取組について質問します。
 今、ヒューマンエラーだから、誤りがあっても仕方がないようなご意見がありましたが、受検生一人一人が人生をかけて、また、入学時、中学生の頃から全力を挙げて取り組んでいる入学者選抜において、あってはならない問題が起こったと私は思っております。
 今年三月一日火曜日に令和四年度東京都立高等学校入学者選抜第一次募集の合格発表を行ったところでありますが、そのうち二校において、合否判定に誤りがあり、本来合格である三名の受検者を不合格として発表した、そして追加合格とする事案が発生したということですが、報告書ではA校、B校というふうになっておりますので、まず、A校について、誤りの内容をお尋ねいたします。

○村西都立学校教育部長 A校につきましての誤りの内容をご説明いたします。
 A校につきましては、合格者の決定方法につきまして、学力検査の得点と調査書点の合計を総合成績とし、総合成績の大きい順に合格者とすること、総合成績が同点である場合には、学力検査の得点の高い者を上位とすべきことが要領で明記されております。
 しかし、当該校の入学者選抜では、総合成績が同点である場合に、学力検査の得点の高い者を上位にすることなく、調査書点の高い者を上位にして合格者と決定し、本来合格である一名の受検者を不合格として発表いたしました。

○谷村委員 これは、総合成績が同点であった場合に−−学力検査と調査書点の高い者を上位にして合格者と決定する。本来、学力検査の方が高い人が合格になるということですけれども、なぜこれ、学力検査の方を上位に置くとなっているのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 入試におきまして、調査書点、学力検査の総合成績となっておりますが、今回、一次募集については、まさしく学力検査を実施したことによるものでございまして、学力検査の得点が優先されるという規定になっております。

○谷村委員 どうして学力検査の得点の方が高い、上位にすると定めているのかをお尋ねいたします。

○村西都立学校教育部長 今回のこの二月に行われた入試が、まさしく学力検査を行うというものでありまして、そういった趣旨から学力検査の得点を優先するという規定になってございます。

○谷村委員 分かりました。
 それでは、B校と称されている、このB校での誤りの内容についてお尋ねをいたします。

○村西都立学校教育部長 B校の誤りでございます。
 B校につきましては、入学者選抜におきまして、二名の方からインフルエンザ等学校感染症罹患者等に対する追検査の措置申請がございました。
 選抜要領には、インフルエンザ等学校感染症罹患者等に対する追検査の措置を申請する者があった場合に、申請者分の数を確保する方法について明記されております。
 当該校につきましては、B校につきましては、その方法を誤りました。その結果、本来合格である二名の受検者を不合格として発表したものでございます。

○谷村委員 A校の場合は、総合成績が同点になったときの対応が誤っていた、B校については、インフルエンザ、新型コロナによる罹患者等に対する追検査の措置申請があったにもかかわらず、その申請者分の数を確保していなかったから起こったということですね。
 これは、A校の場合は学力検査の比較の問題ですけれども、B校の場合は、申請者分の数を確保するためにできていなかったということは、これは学力と関係ない形で不合格というふうにされたということでしょうか。

○村西都立学校教育部長 B校の誤りの詳しい内容でございますけれども、追検査の申請者分を確保する方法でございますけれども、二名の方から申請があった場合に、総合成績順に成績を並べ、その中から、その成績順位のいわゆる下位の者から二名分を確保するという形になっております。

○谷村委員 申請者分の数を確保するべきところをしていなかったということは、不合格になったお子さんは成績と関係があったのですか、関係なかったのですか。

○村西都立学校教育部長 成績順に並べた上で申請者分を確保する形になりますので、成績とは関係がございます。

○谷村委員 じゃ、A校とB校の違いは何でしょうか。

○村西都立学校教育部長 A校も、B校につきましても、学力検査の総合成績順に一覧表を作り、A校の場合は、学力検査の得点が高い者を上位としなければならないところを、調査書点が高い者を上位としてしまった。B校につきましては、申請者分を保留する、確保する際に、やはり成績順の下位の者を確保する必要がありましたけれども、その方法を誤ったということでございますので、A校、B校とも、成績には関係があったということでございます。

○谷村委員 それでは、この発覚後の経緯とその対応についてご説明をお願いします。

○村西都立学校教育部長 まず、A高等学校について申し上げます。A高等学校につきましては四月七日木曜日に、B高等学校につきましては四月十二日火曜日に、教育庁の職員が入試選抜資料を整理している際に誤りに気づき、校長に事実関係を確認し、誤りであることを確認いたしました。
 A高校につきましては四月十一日月曜日に、B高校については四月十三日及び十四日木曜日に、校長と教育庁の入学選抜担当課長が追加合格となる生徒及び保護者を訪問し、改めて謝罪の上、入学手続の案内、損害賠償などの説明を行っております。
 四月十八日から五月十六日までの間、同様の誤りがないか、教育庁及び各学校における点検を実施し、ほかに誤りがないことを確認いたしました。

○谷村委員 これは、どういう整理をして誤りに気がついたのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 教育庁の本庁の入試選抜担当の部署では、毎年度行われた入試について、来年度の入試に生かすために様々な分析を行っておりまして、その内部的な資料を作成する際に気づいたものでございます。

○谷村委員 それで、誤りに気づいたときに、各学校に、二つですけれども、両校に伝えるその方法。
 誰がどのように気づいて、それが誤りだったということを確認して、それをどういう形で校長、あるいは、もう一度、選考委員会を開くようにしたのか、ちょっとその手続についてお尋ねします。

○村西都立学校教育部長 まず、A高等学校、B高等学校とも、両方とも、教育庁の入学選抜担当の担当職員が気づきました。その気づいた内容につきまして、すぐ課長に報告し、全員でその誤りの内容が事実であるかどうかを確認しました。
 その後、実際に選考委員会を行った当該校の校長にも、その事実関係について確認する必要がございますので、その校長に連絡をし、こういう疑義が出ている、事実かどうかということについて校長に確認をいたしました。
 その校長には、都庁の教育庁の本庁に来ていただき、実際、こちらは面接でヒアリングをした上で、これが事実であるということを確定いたしております。

○谷村委員 校長先生にはヒアリングをして、その間違いの指摘が正しいということを確認したということですか。(村西都立学校教育部長「はい」と呼ぶ)
 そうすると、校長先生も戻って、選考委員会なり、何なりの資料を見なきゃいけないと思うのですけれども、それはどういう形で行われたのでしょうか。その選考委員会と校長先生の手続の関係。

○村西都立学校教育部長 こちらから、疑義が出た内容について校長に説明をしました。校長は、まず電話の中では、そういう誤りがあったかもしれないという形で、電話口では答えたというふうになります。
 その後、学校に戻りまして、その選考委員会の資料を確認し、自分の誤りをその選考委員会の資料をもって確認いたしました。
 教育庁がヒアリングした際には、その選考委員会の資料も、改めてこちらで確認をした上で、誤りが事実であることを確認しました。

○谷村委員 それでは、選考委員会は開かれていないんですね。その後の誤りがあったということについて。
 もう校長がそれで気づいたということで、改めて選考委員会は開かれていないということかと思いますけれども、再発防止と今後の取組について確認をさせていただきたいと思います。

○村西都立学校教育部長 今回、二つの事案の発生原因につきましては、今後、より詳細な調査を行っていくことになりますが、大きく二点あるものと考えております。
 まず第一に、校長や副校長をはじめ入学者選抜に係る教職員に、基本的な選抜要領等に定める合否判定の方法に関する知識や理解が不足していたことが挙げられます。
 第二に、ご指摘のとおり、合否判定の審査を行う選考委員会における審査が形式的なものとなっており、実質的なチェックや確認機能が働いていなかったということにあるというふうに考えております。
 このため、再発防止に向けましては、校長や副校長を対象とした合否判定の方法等に関する集中研修会など入学者選抜に係る教職員に対する研修の強化や、合否判定資料を作成するシステムの改善、合否のボーダーラインの設定や−−今回、A高校の誤りでございます。追検査の申請があった場合の対応については、今回のB高校の誤りでございます。
 また、最終的な合格者数をしっかり最後に確認するということが重要でございまして、そのような内容の点検箇所を明示したチェックリストを、今回、教育委員会で作成しまして、選考委員会における審査の実効性の確保を担保してまいりたいというふうに考えて実行してまいります。

○谷村委員 合格者数の関係で、これは誤りが生じたのでしょうか。
 再発防止の話で今ありましたけれども、合格者数をきちんと確認した上で判定をするべきだったというふうに今ご答弁いただいたような気がするのですが、この合格人員数というのが、A校の場合、百九十二人、B校の場合、二百五十五人、当初ですけれども、これ、この数字を見ただけで、合格者の決定というのが誤りだということが分かるのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 B高等学校の追検査の事例でご説明しますと、追検査がありますと、その二名分は保留をしておかなければならないということでございますので、当初の合格人員について、いわゆる変更がかかることになります。
 したがいまして、その追検査の申請があった時点で、何人合格者を決めなければならないということを、しっかりとそれを事前に把握した上で、最終的な合格者数が整合しているかという最後のチェックが必要になるということをご説明いたしました。

○谷村委員 よく分かりました。B校の場合の追検査の数でということですよね。分かりました。
 この報告資料には、合否判定資料を作成するシステムの改善が必要である、改修をするというふうに書いてありますけれども、このシステムにそもそも問題があったのではないかと思いますが、この点、どういう認識でおられますでしょうか。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会におきましては、都立高校入試における調査書点の換算や学力検査の採点及び換算、また、最後の調査書点と学力検査点の得点の集計による総合成績の一覧表の作成までをシステムを活用して行っております。
 この入試採点システムにつきましては、教育庁の本庁で一括して管理をして委託契約を行っていまして、管理運用を行っているところでございます。
 このシステムは、学力検査を行う一般入試に加えて、推薦選抜や学力検査を行わない入試にも活用しているところでありまして、今回の誤りの事案を受けて、学力検査を行う一般入試の際には、総合成績が同点である場合に、検査の得点が高い者が上位となるようなプログラムを、部分的な改修をやっていくと。
 様々な用途で使っていたことから、学力検査の得点を優先させるという共通のプログラムがちょっと組みにくかった、当初想定していなかったということでございます。

○谷村委員 そこでちょっと、もう一回、繰り返し確認しますけれども、総合点が、総合成績が同点なときに、学力検査の点と調査書点の点を比較して、いわゆる学力検査の点の高い方を上位に置くというシステムに変えるという話ですけれども、これは本当にそうあるべきだと教育委員会で思っておられるのでしょうか。
 私なんかが見れば、先ほどのご答弁のとおり、学力検査を実施しているわけですから、その学力検査の点が高い方がいいというふうに、単純に考えれば受け止められますけれども、受け入れる学校としては、調査書の方がいい方を学校として受け入れた方が、それは何かと、先生の立場からつけられた調査書ですので、そちらの方が高い方を合格、入学させたいという気持ちが働くのかもしれませんけれども、もう一回、確認します。
 本当に学力検査の高い方が優先されるべきだと教育委員会として思っていらっしゃるのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 現在、都教育委員会におきましては、選抜要領におきまして、総合成績が同点である場合には、学力検査の得点を優先するという規定になってございます。
 同点の学力検査を優先するか、調査書点を優先するかについては、様々な議論があるというふうに思っております。
 ただ、現在の規定上は、都教委として学力検査の得点を優先するという要領の記載になってございます。

○谷村委員 このプログラムを改修することに加えて、点検箇所を明示したチェックリストを教育庁が新たに作成するということですけれども、今回の合格者を誤り、追加合格をさせたということについて、学校の責任もあるかとは思うのですが、これ、複数校で起こっております。
 都の教育委員会として責任があるのではないかと思いますが、いや、責任を免れないのではないかと思いますけれども、見解をお伺いします。

○吉村人事部長 生徒が不利益を被るような事態はあってはならないことです。
 服務の観点から関係者への調査を行い、事実認定を行った上で、過去の同様の事案、当該生徒への影響等を踏まえて処分量定を決定し、厳正な処分を行ってまいります。

○谷村委員 すみません、まだそのことはお尋ねしておりません。
 いわゆる服務の問題に関わってくると思うのですけれども、学校長が最終決定者だという、選考委員会で合格候補を決めて、最終決定者は校長だということで、第一義的には校長の責任ということは分かるのですけれども、これ、複雑なシステムを実施させている、あるいは要綱を決めている都の教育委員会としての責任は免れられないのではないですかというふうにお尋ねしております。

○村西都立学校教育部長 地方教育行政の組織及び運営に関する法律におきまして、教育委員会は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務を管理し、及び執行するとされております。
 教育委員会には、本件の事案について、誤りの内容や発生原因、発覚の経緯、再発の防止に向けた今後の取組について報告を行っております。
 各委員からは、あってはならない重大な事態であり、当該生徒に対して丁寧なサポートを実施していくこと、研修の強化も重要であるが、人為的なミスを完全に防ぐことは困難なため、可能な限りシステムを活用することなど、再発防止に向けた取組についての意見をいただいております。

○谷村委員 これは後で議論しますけれども、まるで人ごとのようなコメントであって、大変に失望いたしました。これは後ほど確認させていただきたいと思います。
 この入学者選抜の、こういった事故という表現でよろしいのでしょうか、過去事例というのは、この十年間でどのぐらいあったのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 過去十年間におきまして、合否判定に誤りが判明した事例は六件ございます。

○谷村委員 その都度、改善策を出されているわけですよね。都の教育委員会の在り方として。
 その改善策が−−過去六件、十年間でこういう入学選抜の事故が起こっていて、その都度、改善策というものを出されていると思うのですけれども、じゃ、ちょっと、どういう改善策をずっとされてきたのか、ご説明をお願いします。

○村西都立学校教育部長 まず、平成二十六年度の都立高校入試で判明した採点の誤りに対して、再発防止策として、解答用紙にマークシート方式を導入いたしました。
 また、合格発表日以降、受検者からの自己の答案を確認したい旨の申出があれば、採点済みの答案の写しを交付するなどの対策を講じました。
 他の事例につきましても、複数の者による点検を徹底するなど、校内における体制の整備強化を行ってまいりまして、再発防止に努めているところでございます。

○谷村委員 あと五件については、どうなのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 残りの五件につきましても、点検の回数などの点検の徹底をするという再発防止という形になってございます。

○谷村委員 あまり明確な改善策というのを重ねてこられたわけではないように受け止められますけれども、その際、過去六回における合否判定の事故につきましては、どういう処分が行われてきたのでしょうか。

○吉村人事部長 過去の処分につきましては、校長については戒告処分が行われております。

○谷村委員 では、その件につきまして、後でまたお伺いをしたいと思いますけれども、まず、この追加合格となった、それを告げられたときの生徒さん、あるいは保護者の方はどういうご様子であったか、お尋ねをいたします。

○村西都立学校教育部長 事件の発覚後、入学選抜担当課長と当該校長が、追加合格となった生徒の保護者の方に対し、発覚の経緯、誤りの内容等をご説明しました。
 その後、当該生徒さんの人生を左右することにもつながる非常に重大な過ちであること、あってはならないことであり、深くおわびを申し上げると、改めて謝罪をいたしました。
 様子でございますけれども、当初、不合格となったときの苦しさと落胆による大きな精神的な負担をかけているために、今になって判定の誤りで合格だと告げられても、率直には喜べず、複雑なお気持ちであったろうと推察されます。
 生徒保護者の方は、当初、困惑されている様子でございましたが、我々の説明と謝罪を最後まで聞いていただきました。

○谷村委員 これ、A校がお一人、B校がお二人かと思うのですけれども、それぞれ、いつ、実は合格だったということを告げに行かれたのか、また、どういう立場の方が行かれたのか、お尋ねします。

○村西都立学校教育部長 A高等学校については、四月十一日、校長、副校長に人事異動がありまして、いわゆる選考委員会をして候補者を決定した当時の校長、副校長及び現在の四月から替わった校長、教育庁の入学選抜担当課長が保護者を訪問しております。
 B校につきましては、一人の生徒については四月十三日、もう一人の生徒については四月十四日に、校長、副校長、入学選抜担当課長が謝罪を行っております。

○谷村委員 この場に、都の教育委員会の人はどなたも行かれていないのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 言葉が足りませんでした。
 入学選抜担当課長は、教育庁の本庁の課長でございます。

○谷村委員 分かりました。ありがとうございます。
 それでは、この三人の生徒さん、保護者ともよくご検討されたと思いますけれども、結果的にどういう選択をされたのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 三名の生徒さんでございますけれども、追加合格となった都立高校に入学し直した生徒もいる一方で、現在通っている高校にそのまま通うことを決めた生徒もおります。

○谷村委員 この追加合格を告げられた後に、その後の進路について、生徒あるいは保護者の意向を丁寧に聞き取って対応したのかと思いますけれども、本来普通に入れていた高校生活だと思いますけれども、生徒が順調にそういう生活が送れるかということについて、しっかりとサポートしていただいているのか、その状況についてお伺いをいたします。

○村西都立学校教育部長 追加合格となりました三名の受検生や保護者に対しましては、当該高校の校長や入学選抜担当課長が謝罪を行うとともに、現在通学している学校での生活の様子について伺い、今後の進路についても話合いを行いました。
 その際には、気持ちの希望や整理がついて結論が出るまでしっかりと支えていくこと、入学の意向が固まった際には、責任を持って入学や学校生活をサポートしていく旨をご説明しました。
 また、入学し直した学校におきましては、校長がクラスの生徒に対して、自らの誤りによって不合格としてしまったことを丁寧に説明いたしました。
 その後につきましても、入学選抜担当課長が、当該生徒の保護者に対して定期的な連絡をして様子を伺っております。
 また、当該生徒が通学している高校の校長は、生徒の学校生活を見守るとともに、担任からも随時報告を定期的に受けております。
 現在のところ、いずれの生徒も、元気に学校生活を送っているとの報告を受けております。
 ただし、様子の変化や気になる点が見られた際にはご連絡いただけるよう、保護者の方にお願いするとともに、校長に対しても、報告するよう伝えております。
 今後も、緊密な連絡をし、可能な限りのサポートを行ってまいります。

○谷村委員 今ご説明がありましたけれども、校長先生が自ら、クラスの生徒に対して、自らの誤りによって不合格としてしまったことを丁寧に説明したと。
 でも、先ほどのご説明ですと、A校についてはこういう選択をされていないから、B校前提ということだと思いますけれども、校長先生がクラスの生徒に対して、そういう説明をすることが適切だったのか、それとも必要があったのか、この点についてはどういう見解をお持ちでしょうか。

○村西都立学校教育部長 本来合格であるところを、不合格となり、入学式に出席することができず、入学し直しています。
 途中から学校生活を始めるに当たって、その理由をしっかりと学校長が説明することが必要であったというふうに考えております。

○谷村委員 アンコンシャスバイアスという言葉が最近よく使われておりますけれども、そういうご説明をクラスでされることによって、いわゆる合格と不合格のボーダーラインにいて、校長自らの過ちによって不合格にしてしまっていたんだ、だけれども、本当は合格だったんだと、こういう説明をクラスの中でされた生徒は、どう受け止めるのでしょうか。また、本人もそうですし、クラスメートもだと思うのですけれども。
 ということは、君は、どういうことで途中から来たのという話になると思うのですけれども、校長先生がクラスに対して説明した日にちと、また、その説明について本当に適切だったのか、ちょっと改めて確認したいと思います。

○村西都立学校教育部長 まず、四月十八日に、B高等学校については、生徒が入学し直し、学校に通い始めております。失礼しました。四月十五日と十八日でございます。入学し直し、そのクラスに通っています。
 先ほどご説明いたしましたけれども、やはり、途中から新しい生徒が加わるということに対して、しっかりとその理由を校長がご説明し、その内容を理解していただくということは必要であったというふうに考えております。

○谷村委員 校長先生としての立場として説明をして、おわびをして、どことなく責任を免れるかのように受け止められますけれども、当該生徒にとって、そういう説明というのは本当に適切なのでしょうか。教育論として、ちょっとお答えできる方はいらっしゃいますか。
 そういう合格、不合格のボーダーラインにいて、私の過ちで不合格にしてしまいました、私の責任で不合格にしてしまって、実は合格だったんだというと、それをいわれた側は、もう本当にボーダーラインの外にいたような、本当はいたんだけれども、外されたんだけれども、ボーダーラインでいいんだからというふうに生徒の前でいわれるということについて、これは教育上、当該生徒お二人さんそれぞれ、こういう説明をして、クラスに、あるいは新入学、遅れてですけれども、やることがよかったのか。
 ちょっと明確なご見解−−それでいいとしたのであれば、またあれですけれども、ちょっとご説明をお願いします。

○村西都立学校教育部長 すみません。先ほど、詳細な説明が漏れておりました。
 入学し直した際に、校長がクラスの生徒について、この誤りの内容をご説明することについては、事前に保護者、当該生徒のご同意をいただき、また、その意向を受けた形で行いました。

○谷村委員 大きな出来事の中で、何というのでしょうか、後ほど出ますけれども、大変な状況にある保護者の方あるいは生徒本人が、そういう説明をしてもらうことが本当によかったのかなということは、私はちょっと賛成しかねますけれども、結局、いわゆる学年の中で、ボーダーで一旦はじかれるような学力、総合点にあったということを、暗に皆さんに公表しているわけですよね。この子はそうだという。
 それは本当にいいのかということを、保護者と生徒本人の了解を取ったから、それが正しいんだというのは、甚だ疑問でありますけれども、今後、様々な教育者の方々に、私も、こういう方法が、こういう選択が正しかったのか、大変疑問が残るところですけれども、確認をしていきたいと思います。
 定期的に担任からの報告を受けていらっしゃるということですけれども、その頻度はどのぐらいで受けていらっしゃるのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 教育庁の入学選抜担当課長が現場の校長に確認しているところでございますけれども、現在、一週間に一回程度の報告を受けております。

○谷村委員 それでは、ちょっと話を前に進めさせていただきますけれども、今回の事故、事案につきましては、損害賠償が伴うものであると思います。
 これは、憲法十七条に規定をされている不法行為責任を問うものとしても十分成り立つわけですけれども、この合否判定の誤り、それに対して、生徒、保護者の方に多大な苦痛と負担をかけた、それから、そこが不合格になったので、基本的に、A校の場合、ほかの都立学校という表現でしたので、B校の場合は私立の学校に行かれたというふうに受け止めておりますけれども、四月十三日、半ばまでは、受検した都立、希望した都立高校は不合格になって、新しい学校でスタートしたわけですけれども、その結果として、本来支払う必要のない経費というものが相当数あるかと思いますけれども、こうした全ての損害に対して、漏れなく賠償を行うべきであると思います。
 これ、いわゆる保護者あるいは生徒本人からの請求がある前に、その請求を受けてではなく、請求がある前に対応することができるのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 今回、都立高校の入学者選抜におきまして合否判定を誤ったことによりまして、本来合格者とすべき当該生徒を不合格としたことに関して、都は、国家賠償法に基づき、親権者である保護者の方に、精神的負担を与えたことに対する賠償と、別の高校に入学することになったことに伴い発生した経費に対する賠償を行う予定でございます。
 具体的な賠償内容としましては、入学金や授業料、教科書や補助教材費、制服や通学バッグ、通学費や入学手続に要した交通費など、全てのものが想定されるところでございます。
 教育庁の職員、入学選抜担当課長が謝罪を行った際や、保護者に対して生徒の様子を伺う電話を行った際などに、この損害賠償に関する案内、説明を保護者に対して行ってきておりますが、今後は、保護者を訪問し、より詳細な案内、説明を行いまして、誠意を尽くして賠償の手続を進めてまいります。

○谷村委員 先ほど、この十年間で六件、入学者選抜でいわゆる事故、あるいはこうした事案というものがあったというふうにご説明がありましたけれども、この六件の中に、いわゆる国家賠償法による賠償をした事例というのはあるのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 六件の中にも、国家賠償法に基づく賠償をした事例はございます。

○谷村委員 だから、初めてではないということですね。いい方を換えれば、繰り返されているといういい方もできますけれども、一旦入学した私立学校、私立高校かと思いますけれども、こういう都立高校での入学者選抜で誤りがあって、二人の生徒さんが、実は都立高校に行けるということになると、一旦入学した、いわゆる私立高校の生徒数の確保についても、学校経営という視点から、大きな、重大な問題であると思いますけれども、その私立学校に対して、都の教育委員会として、何かご説明はされていますでしょうか。

○村西都立学校教育部長 不合格となったことを受け止めて別の高校へ入学していた、その当該高校につきましては、教育庁の方から、その高校に出向いて経緯の説明等を行っております。

○谷村委員 これは申し上げるまでもなく、公私比率を毎年確認して、入学者数をお互い調整しているわけですので、こういう事案というのは、私立学校からしてみれば、その学校からしてみれば、甚だ迷惑な話かと思いますし、当初受検したところの学校に入れるようになったということで比較されて、生徒さんがそちらの方で判断されるということでは、仕方ない面もあるかもしれませんけれども、こういった事例、事案というのは、もう本当に様々なところに影響が出てくると思いますので、でも、きちんと対応されているということで確認をさせていただきました。
 それで、ちょっともう一度、少し話を戻しますけれども、この選考委員会が−−校長がいわゆる合格者候補を受けて合格者を決定するというふうになっていますけれども、それを校長に上げるには選考委員会という存在があると。
 この選考委員会において審査が行われるわけですけれども、どのような役割を担い、どういう人がこの選考委員会に入っているのか。組織としてですね。確認をいたします。

○村西都立学校教育部長 先生の説明と少し重複することになると思いますが、ご説明をさせていただきます。
 まず、この選考委員会でございますけれども、東京都立高等学校入学者選抜実施要綱におきまして、各都立高校に選考委員会を置くことが定められております。
 校長を委員長とし、ほかに副校長、経営企画室長、課長及び校長が指定する教職員をもって組織することとなっております。多くの学校では、校長、副校長、教務主任、学年主任、経営企画課長などがその構成員となっております。
 選考委員会におきましては、作成された選考資料に基づき審議を行い、合格候補者を決定いたします。校長は、その選考委員会で決定した合格候補者を合格者として決定される仕組みになっております。
 実際、A高等学校、B高等学校で実施された選考委員会の実施状況でございますけれども、まず、A高等学校につきましては、校長、副校長、経営企画室長、教務主任、教諭の五名で実施いたしました。
 進行については、教務主任が司会を務め、教諭が資料を用いて説明をいたしましたが、資料の体裁に関わる内容以外の質問や意見は特に出ず、終了しております。
 B高等学校につきましては、校長、副校長、経営企画室長、教務主任、主幹教諭、主任教諭の六名で実施をいたしました。
 B高等学校については、副校長が進行を務め、教務主任が資料を用いて説明したが、特に質問や意見は出ず、終了をしております。

○谷村委員 それで、このA高等学校、B高等学校、A校、B校それぞれ、この選考委員会というのは約三十分で終わったというふうに伺っております。
 最終合格者を決定するのは学校長かもしれませんが、合格候補者を決定したのは選考委員会であり、校長はその選考委員会の委員長も務めているということでいけば、事例として挙げられました校長以外に副校長、教務主任、学年主任、経営企画課長、室長あるいは教務主任、主幹教諭、主任教諭等々、この選考委員会に出席をしているその教員、また課長さんにも共同責任が生じると思いますけれども、これは何かしらの特別な、過去六回の事例もあると思いますけれども、私は、この選考委員会にいらっしゃる方の責任も逃れられないと思いますが、確認をさせていただきます。

○吉村人事部長 過去事例におきましては、例えば令和三年度の入学選抜のケースでは、校長に戒告処分するとともに、資料の作成を誤った教員を教育委員会として指導しております。

○谷村委員 今、資料作成に携わったという表現がありましたけれども、A校の場合は、教諭が資料を用いて説明、B校の場合は、教務主任が資料を用いて説明というふうになっていますけれども、この合否判定の資料というのは、どなたが作られるのか。
 要するに、選考委員会に出されるものがあるわけですね、資料として。ボーダーラインの、選考委員会が検討する判断資料というのが出されるわけですよね。
 で、その資料はどういうお立場の方が作り、説明したのは教諭あるいは教務主任というふうになっていますけれども、作成したのは、学校の教諭あるいは教務主任が一人で作られたものなのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 すみません。今の選考委員会のメンバーで、構成員のうち、具体的に誰が選考委員会のその基となる審査資料を作成したかについては、現在、まだ調査不足でございます。
 ただ、審査資料はすごく複雑なものになってございますので、一人で作成することは通常考えられないので、この構成委員会のメンバーの複数の者が関与しながら作成しているというふうに推定はされます。
 すみません。具体的に誰かということは、まだ調査中でございます。

○谷村委員 先ほどの人事部長のご説明だと、処分されたのは、校長と資料作成に携わった者というふうにご説明がありましたけれども、それからもう二か月以上たっているわけですが、その資料を誰が作ったのかということが判明していないのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 繰り返しになりますが、現在、様々な関与があって審査資料が出来上がりますので、具体的に誰が作成したかについては、これから詳細な調査を行いたいと考えております。

○谷村委員 先ほどのご答弁で、東京都立高等学校入学者選抜実施要綱で各都立高校に選考委員会を置くことが求められていて、校長を委員長として、ほかに副校長、経営企画課長あるいは室長及び校長が指定する教職員をもって組織することになっていると。
 前段のご説明で、システムも変えていかなければならないとか、チェック項目を新たに作っていかなければならないというふうになっていますので、このシステムを動かせる人、あるいは都庁の方にも、その役割を持っていらっしゃる方が−−複数とおっしゃいましたので、この選考委員会の中の複数なのか、それとも、この選考委員会の中の人と都庁の教育庁の方が一緒になって作っているのか。
 これ、メンバーが指定されていますので、ほぼほぼ充て職のように選考委員になるという、なるかならないかという人も、教諭か主任教諭かということであるかもしれませんが、大半指定されているわけですよね。
 それで誰が作ったか分からないということはないんじゃないでしょうか。

○村西都立学校教育部長 繰り返しになって恐縮でございますが、具体的に誰が作ったかについては、現在、詳細な調査を実施しているところでございます。

○谷村委員 じゃ、一点だけ確認しますけれども、この資料は、選考委員会の中だけで作られるものなのでしょうか。それとも、教育庁の資料、データ等を使って、連携して作られるものなのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 各学校の様々なケースがございまして、選考委員会のメンバーだけで作るケースと、選考委員会のメンバー外の教諭、教員を補助として作成する場合がございます。

○谷村委員 ということになりますと、この処分対象というのは、選考委員以外の方がなる可能性があるという理解でよろしいですか。

○吉村人事部長 事案の関係者に対して調査を行い、事実認定をする中で非違行為が認められた場合は処分の対象とするものでありまして、調査範囲も含めて検討してまいります。

○谷村委員 おっしゃるとおりで、作られた資料に問題があったわけではないんですよね。資料は結果的な資料でしょうから、その資料の中から合格者、不合格者を、いわゆるボーダーの線を引くところに問題があったわけでしょうけれども、ただ、先ほどの選考委員会の実施状況でいくと、A校の場合は、教務主任が司会を務めて、教諭が資料を用いて説明した、B校の場合は、副校長が司会を務め、教務主任が資料を用いて説明したと。
 その説明で約三十分間、ほとんど質疑が行われることなくオーケーになったということは、最初の誤りの内容について、A校とB校について確認をさせていただきましたけれども、同列になっている、この選択肢があったはずなんですよね、こっちの。だけれども、選択肢の優先すべき事項というのを、学力検査じゃなく、調査書で優先してしまったということになるわけですけれども、それが、そういう資料として出てきていて過ちが起こったのか、それとも、同じ、同列になっていて、間違ってその調査書の方を重視してしまったのか。
 このデータを、検討する資料を誰が作ったのかが曖昧で、どの段階でミスが起こったのかというのが、ちょっと今のご説明だと不透明になるので、ちょっとお願いします。

○村西都立学校教育部長 失礼いたしました。説明が漏れておりました。
 選考委員会に提出された際の資料には、既に誤った場合のボーダーラインの資料が提出されておりました。

○谷村委員 とすると、この選考委員会の三十分間の間で、もうほぼほぼこれでいきますよということで確認ができていたということになりますよね。
 ということは、問題は、その資料を作った人ということになるということでいいのですか。
 その合否、総合点が同列で並んでいて、本来、学力検査の高い方を優先に上げるということを、間違えて調査書の高い方を上げてしまったと。それがもう選考委員会には誤って出てきていたということになりますと、選考委員会の人も、皆さん、全員で印鑑を押すのかどうか分かりませんけれども、それを見極めろという方が難しい話なのかなと思うのですが、もともと間違ったものが選考委員会に資料が提出されたとすると、これまでの誤りの内容が全部覆ってしまうのですが、ちょっともう一回、ご説明をお願いします。

○村西都立学校教育部長 現在、誠に恐縮でございますが、詳しい内容については調査中でございます。

○谷村委員 東京都教育委員会の行っていることについて、都議会では、いわゆる教育行政に対して、きちんとチェックをしなければならない役割があるわけで、厳しく監視する立場があるわけで、これだけの問題が起こっており、報告事項としてご説明をいただいて、今日は貴重なお時間をいただいて審議をさせていただいているわけです。
 何でその点が判明していないのでしょうか。そんな、資料を作った人が分からないなんていうのはおかしくないですか。

○村西都立学校教育部長 誠に恐縮でございますが、現在のところ、調査をしているところでございます。

○谷村委員 ということは、結局、問題点も、どこにあったのかというのは、いまだに分かっていないということですね。その作られた資料に問題があったわけですから。選考委員会は、提出されたもので、はい、分かりましたと、三十分で終わっているわけですよね。
 そうすると、何が原因で誤ったのか、その原因が分からずに再発防止をするのか、それをここで、文教委員会で質疑しても、これじゃ、何も意味がないということになりますけれども、その提出された資料の責任者が分からないというと。
 本当にそれでいいんですか。本当に。

○村西都立学校教育部長 報告資料にもございますとおり、合否判定の資料が誤って作成された事実は確認をしております。
 ただ、その資料を、具体的にどのように誰が作成したかについて調査をしているというところでございます。
 いずれにしましても、選考委員会にかけられて、その選考委員会のメンバーが、校長も含めて、誰も誤りに気づくことができなかったということが結果として残ってございます。
 そこを受けまして、誤りの発生原因というふうに考えてございます。

○谷村委員 じゃ、もう一点だけ確認させていただきますけれども、判定の資料を作成するのに、都庁の教育庁の関係者は関わっていないのでしょうか、関わっているのでしょうか。
 システムにも問題がある、チェック事項も、ちょっと今後変えていきましょうと、先ほどご説明されているわけですよね。
 システムとなると、各学校にそういうシステムがどのようにあるのか、ちょっと私は想像つきませんけれども、この都の教育庁、教育庁という建物、そっちの教育庁が絡んでいるのか、それとも、完全に学校だけで、これは全て完結している話なのか。その点だけ。

○村西都立学校教育部長 実務的な面で、選考委員会を開催し、合格者を決定するのは学校現場になってございますけれども、システムそのものは、本庁で、いわゆるプログラムの運用等の契約等をしておりますので、関与という点では、実務を行う学校現場を教育庁の本庁職員が基本的にはサポートしている、間接的にサポートしているということでございます。

○谷村委員 だから、その可能性があるということで確認をさせていただきましたけれども、お伺いしているところの話ですけれども、校長及び副校長に聴取した結果、選考委員会の出席者のうち、校長をはじめ、副校長や他の選考委員会のメンバーも、合否判定に関する十分な知識がなかったため、誤りに気づかなかったと報告をしていると。さっきの、調査書なのか、学力検査なのかということの話ですけれども。
 でも、出された資料に、既にそれを比較するような状況になっていないで、同点でしたけれども、こっちが上です、こっちが下ですという説明を受けて、この選考委員の方に、それは違うんじゃないのかという、その判断をする資料というのは提出されているのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 選考委員会の資料につきまして、いわゆる成績順に並んだ一覧表が提出されていることは確認しております。
 具体的に、じゃ、その選考基準の学力検査が優先するかどうか、いわゆる選抜要領がその選考委員会に提出されたかどうかについては、申し訳ございません、確認しておりません。
 ただ、この入試選抜事務につきましては、毎年度、選抜要領の説明会を行っていまして、例えば学力検査の結果を優先するという規定につきましては、ある意味、選抜をやる常識として、基本的には研修等で行われていますので、そういった知識は通常はあるというふうに考えております。

○谷村委員 でも、通常、そういう意識はあるといわれながらも、学力検査を重視するのか、調査書を重視するかという根本的なところを勘違いされているわけですよね。
 この選考委員会にどういう資料が出されたかというのも、押さえていらっしゃらないわけですね。順位が既に決まっているものを出されて、合格者候補はこれですと出されたものに対して、その裏づけとなる資料というものが提出されたのか、されていないのかということを押さえていらっしゃらない、掌握していらっしゃらない。
 ということは、今回の事故、事案について、何をされてきているんですか。この二か月間。
 その資料そのものも、誰が作ったか分からないということであれば、結局、次、再発防止に向けた今後の取組をお伺いしようと思っているのですけれども、真剣に調べていないということですよね。どういう選考委員会が行われたのか。
 じゃ、誰が調査書重視だといって、そっちを上げたのかということも分かっていないということですよね。

○村西都立学校教育部長 まず、選考委員会にかけられた資料につきましては、成績一覧表について提出をされ、その資料について説明があり、実質的な質問は出ませんでしたけれども、その際、現場の誰もが気がつかずに終わっているということでございます。
 具体的に、じゃ、その選考委員会の資料を、誰が中心になって−−様々な人間が、実は様々な要素がありまして、関与する形に通常はなるものですから、具体的に、じゃ、誰が関与していたかについては、これから引き続き調査をしたいというふうに考えております。

○谷村委員 だから、結局これ、さっきの人事部長の方のご答弁で、いわゆる責任がある、あるいは処分を受けてきた過去例は、校長先生と資料を作成した人だとおっしゃったので、この質問を聞いているんですね。でも、それはいまだに判明をしていないと。
 それから、出された順位表のものを見て、これでいいのか悪いのかということを選考委員の人が判断する資料が出されているのか、出されていないのかも分かっていないということは、結局これは、全部、校長先生とか、選考委員会あるいは資料を作った人に責任を取らせておしまいにしようというのと同じではないかと思うのですけれども。

○村西都立学校教育部長 失礼しました。選考委員会の、先ほどいった成績一覧表のほかに、A高等学校、B高等学校の誤りの内容である、学力検査の優先ですとか、追検査があった場合の合格者の保留方法につきましては、選抜要領に全部定められておりますので、当日の資料としては、選抜要領について、各委員が持って、または、その資料として必ずあるというふうに考えてございます。

○谷村委員 そんなことは誰もいっていないんですよ。選抜要領は、当然、頭に入っている話だと思うんですけれども、そういうことを申し上げているのではなくて、いわゆる同点、総合点が同点だったのに、どっちが優先されるのか、学力試験の点が高い方が優先されるのか、調査書が高い方が優先されるのかということの認識を、校長先生、副校長先生、選考委員会がみんな間違って理解をしていたという話をずっと今、確認して、そこに問題があったということになるわけですけれども、でも、選考委員会に出された資料は、既に順位が決まっていて、成績と氏名が並んでいて、最後、ここがボーダーですから、これで合格候補者ですという作業をしたということですよね。ずっとおっしゃっているのは。
 だけれども、そのボーダーラインのところでどういう検討をされたかという資料は、提出されたのか、されていないのかすら調査されていないということですよね。
 だから、このボーダーの、順位を作る資料も誰が作ったかも分からない、そして、それをチェックするための資料も、提出されたか、されていないかも分からない。ということは、結局、誰も責任がないということになるじゃないですか。
 それでいいんですか。本当に。

○村西都立学校教育部長 すみません。私の説明が不十分だったと思います。
 まず、繰り返しになりますが、成績一覧表のいわゆる合否判定の資料が必ずあります。学力検査優先については選抜要領、また、追検査についても選抜要領に定められておりますので、選抜要領については、必ず選考委員会の場ではございました。そういうご説明で。
 いわゆるそこの選抜要領の中に、学力検査が優先するですとか、追検査があった場合の保留の方法も記載されております。

○谷村委員 ちょっともうお疲れなのかもしれませんので、どなたか代わりにお答えいただけませんか。
 順位表が出て、ここまでが合格者ですという資料を、どなたかが作って提出をされたと。だけれども、ボーダーのところに問題があったから、今回、本来合格者の人が不合格者になったわけですよね。
 それが、どっちが、同点で学力検査が高い方か、調査書が高い方かというのを、これを確認しない限り、出されたものがオーケーかどうかというのは分からないわけですよね。ここに問題があったというご説明ですから、ずっと。
 選考委員会に、そのボーダーラインの資料というものが出されていたのか、出されていないのかというのをお伺いしているんです。その場に選抜要領があろうとあるまいと、そんなの関係ない話であって。

○村西都立学校教育部長 すみません、理解不足で。
 選考委員会の資料には、そういう資料は出されております。

○谷村委員 じゃ、その作成した人は分からないけれども、ちゃんと、一たび、どの順位であるかというのが出されていて、その裏づけとして、同点だったけれども、調査書が高い方を入れましたよというふうなことが分かる資料があったということですね。分かりました。(村西都立学校教育部長発言を求む)大丈夫です。(村西都立学校教育部長「そういうことです」と呼ぶ)そういうことですね。
 だから、そうなると、この三十分での選考委員会に責任を負わせることが適切なのかどうなのか。その作る過程に、校長先生をはじめ選考委員会の方々が携わっているというなら別ですけれども、どなたが作ったか分からない順位表と、それからボーダーに関する詳しい説明資料があって、これで間違いないですよといわれて、誤りに気づけという方が無理なのかもしれませんし、その場でこっちの説明、五人、六人の選考委員会の人が、いや、調査書が高い方が合格者だというふうに、みんながみんな思っていたということになりますよね。これは、ちょっと先に進みたいので、非常に不可解なことだと思います。
 今後ですけれども、この四月に行われた次の資料を作成していく中で、いわゆる都の教育庁の中でチェックをしていると、これは間違いだということが分かったということですけれども、そうなると、二度と起こらないシステムというのは、今後作ることができるんじゃないかと思いますけれども、その点、お願いします。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会としては、今回の事案は非常に重大なものとして受け止めております。
 こうした事案が今後起こらないように、可能な限りの、考え得る限りの対策を講じていきたいというふうに考えております。

○谷村委員 それでは、時間がかなり過ぎてしまいましたので、確認をさせていただきたいのですが、過去六回、この入学選抜で事故が起こっているということも踏まえて、先ほど、校長先生が戒告を受けたりするという話もありました。
 ちょっと確認ですけれども、戒告処分となった場合に、本人はどういう不利益を生じるのかということだけ、確認。

○吉村人事部長 戒告を受けた場合、履歴に処分歴として掲載され、翌年度の昇給が抑制されます。
 また、勤務手当の成績率も減じられるため、生涯賃金や退職金への影響が生じることになります。

○谷村委員 ありがとうございます。
 ただ、これ、どなたが資料を作ったかというのは判明していないということですので、その作った資料から、校長先生なり、選考委員の方が見抜ける事象だったのかどうか。過去にはそういう処分をされたということですけれども、そこは厳正に確認をしていただいた方がいいのではないかと思います。
 それで、東京都教育委員会なんですけれども、先ほどお尋ねをしたら、まるで人ごとかのようなコメントをされておりましたけれども、今期、六人中五人の方が女性という構成で、非常にこの東京都教育委員会にも期待がかかっていると思うのですが、今回のこの事案について、事故について、都の教育委員会ではどういう審議、議論がなされたのでしょうか。いわゆる六人の教育委員会での話です。

○村西都立学校教育部長 教育委員会には、本件の事案につきまして、誤りの内容や発生原因、発覚の経緯、再発防止に向けた今後の取組について報告を行いました。
 繰り返しになりますが、各委員からは、あってはならない重大な事態であり、当該生徒に対して丁寧なサポートを実施していくこと、研修の強化も重要であるが、人為的なミスを完全に防ぐことは困難なため、可能な限りシステムを活用することなど、再発防止に向けた取組についての意見をいただいております。

○谷村委員 全く人ごとのようにコメントされているわけですけれども、確認ですが、都の教育委員会の位置づけ、いわゆる教育行政の中における位置づけというのはどういうものと認識されていますでしょうか。これは、多分、違う方だと思いますけれども。

○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 先ほどの答弁にもございましたけれども、法律にございます地方教育行政の組織及び運営に関する法律にも定めがございますとおり、教育委員会については、当該地方公共団体、私どもであれば東京都でございますけれども、が処理する教育に関する事務について、管理、執行するということがございますので、その点において責任を負っているというふうに考えてございます。

○谷村委員 そうですよね。いわゆる合議制の執行機関というふうに位置づけられているわけですよね。合議をして実質執行しているのは、都の教育委員会、この六人の方になるわけですけれども、この都立高校の入学者選抜についても東京都教育委員会が行っているわけですよね。
 これが、過去十年間に六回もこういう問題が起こっていながら、教育委員会の委員の人というのは、何ら責任を取っていない。いわゆる人ごとのようなコメントをしているわけですけれども、この定例会というのは、原則、月何回あるのでしょうか。

○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 現在の東京都の教育委員会におきましては、定例会は、原則として月二回開催しております。

○谷村委員 月二回といわれる定例会も、開かれないときもあるようにホームページでは公表されておりますけれども、今回のこの事案については、いつ、どの定例会あるいは臨時会が開かれたか、伺っていませんけれども、いつの教育委員会が開催されたところで報告されているのでしょうか。

○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 今回、先ほど報告いたしました、委員に説明をしたということでございますけれども、定例会の中ではなくて、個別に事案の経過等について教育委員の方に説明したということでございます。

○谷村委員 教育委員会の方は、本当に人格ともに優れた方が選ばれ、都議会の承認もある方々ですので、大変な方々、立派な方々が六人、教育委員として就任されているわけですけれども、お仕事をしていただいていると思うのですが、月二回の定例会で、こういうことがあったら、連絡、報告を受けてやるわけですけれども、月額報酬というのは幾らぐらいでしたか。

○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都の教育委員の報酬でございますけれども、条例に定めがございまして、月額四十二万九千円となってございます。

○谷村委員 皆様、立派な地位にあられて、他の収入も大変多く受け取られながら、月二回の定例会と、こういう事象があったら報告を受けて、月額報酬四十二万九千円を受け取っていらっしゃるわけですけれども、この東京都教育委員会が入学者選抜そのものを実質主宰しているわけですよね。決定をし、執行機関ですから、教育行政執行機関で、しかも首長、東京都でいうと、知事からは独立して行政執行しているわけです、教育行政を。
 その教育委員会の人たちが何ら、入学者選抜という、東京の教育において大変重要な位置づけにある行為に対して、事業に対して−−これだけのことが、一人のお子さんの人生を変えてしまうかもしれない、学校に戻ってきたけれども、その中で本当に、一旦不合格になったことが、その子にとってどれだけの人生に影響を与えるかも分からない、こういうことが起こっても、いわゆる行政執行者たる教育委員というのは、何ら責任を取らない、あるいは責任を感じない、感じていないということだとすれば、私はこれは大きな問題だと思うのですけれども、都の教育委員会として、今回のことについて正式なコメントというのは出されていないのでしょうか。

○秋田教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 先ほどの、報告した際に委員から出たコメント等につきましては、ご説明したとおりでございまして、教育委員会の定例会等で、この案件について正式なコメント等は出していない状況でございます。
 先ほどご説明したとおり、まだ、今、事実関係等の調査を行っておりますので、そういった調査の事実認定等を踏まえて、対応について総合的に考えていくということかと思っております。

○谷村委員 現場の校長先生とか選考委員に責任を負わせるのであれば、第一義的な行政執行権を持っていらっしゃる教育委員の方々にも、これはきちんと明快な責任を取っていただくべきだと私は思っております。
 そうでないと、現場の誰かに責任を押しつけて−−今までの質疑で感じているのは、必ずしも校長先生の責任というのが正しいのかという疑問も残りますし、行政執行者として、こういう事態になったときに、本当の意味で責任を取るという態度あるいは覚悟を示すことで、二度とこの入学者選抜でこのような事故が繰り返されないのではないかと思っております。
 こういう事案が、一か月、二か月たっても、教育委員会から何のコメントも出さない。私どもから見れば、無責任な対応を続けられているように映りますけれども、そうではないことを祈り、期待をしております。
 教育というのは、もう本当に崇高な事業であるだけに、教職員や、また教育委員会が起こすこうした事故あるいは不祥事につきましては、極めて許し難いものがあるわけでございます。
 まずは、この入学者選抜、まだ結論が出ていないということであればきちんと、資料を作成した人、本当に責任を負うべき人というのを明らかにしていただいて、二度と起こらないように強く求めて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○とや委員 とや英津子です。
 私からも、報告事項、東京都立高等学校入学者選抜における追加合格事案の発生と再発防止に向けた今後の取組について伺っていきたいと思います。
 今、たくさんお話を聞きまして、本当に都教委の責任は重大だと思っています。生徒の未来を左右する高校入試選抜において、入試判定の誤りはあってはならないことです。
 今回は都教委によって発見されたわけですが、生徒への十分なケアとともに、やはり再発防止に向けた取組が重要です。やっぱり今後の入試選抜において生かしていくべき教訓を導き出していただきたいと思います。
 まず、伺いたいのですが、若干、質問が重複するのですが、過去、どのくらいの入試選抜における誤りがあったのかです。
 十年間の都立高校入試選抜において、入試判定に誤りがあった事例はどのくらいあるのか。本人の開示請求であった場合とか、あるいは、都教委が今回みたいに発見した場合などあると思いますが、それぞれお答えください。

○村西都立学校教育部長 過去十年間におきまして、合否判定に誤りが判明した事例は六件ございます。
 内訳につきましては、本人の開示請求により判明したものが一件、保護者の問合せにより判明したものが一件、都教育委員会が発見したものが一件、都立高校が発見したものが二件、第三者からの指摘により判明したものが一件となってございます。

○とや委員 過去、何度も誤りがあって、そのたびに是正され、教訓も導き出してきたんじゃないかと思うのですけれども、二〇一四年は、これは過去でもかなり大きな問題になった事例じゃないかと思うのですが、報道では、四十八校、百三十九名の採点ミスがあったということがありました。実際はもっと多いという話も聞いているのですが、本当に大変なことだなと思っています。
 そのたびに再発防止策が検討されてきたと思うのですが、繰り返されているわけですが、過去−−これも重なるのですが、大事なことなので、改めてお聞きしますね。
 過去、合否判定に誤りが判明した後、どのような再発防止策が講じられたのか、具体例について伺います。

○村西都立学校教育部長 平成二十六年度の都立高校入試で判明した、いわゆる大規模な採点の誤りに対しましては、再発防止対策として、解答用紙にマークシート方式を導入いたしました。
 また、合格発表日以降、受検者から自己の答案を確認したい旨の申出があれば、採点済みの答案の写しを交付することといたしました。
 また、他の事例につきましても、複数の者による点検を徹底するなど、校内における体制の整備強化を行い、再発防止に努めてきたところでございます。

○とや委員 過去にも合否の誤りがあって再発防止策が講じられてきたわけですが、今回、二つの高等学校においての誤りの報告を受けまして、例えばB校については、よくよく聞きますと、男女別定員の解消を実施する中で起きた問題で、制度が変わっていく中で、現場にそれがちゃんと徹底できていたのだろうかということも、原因の一つであるんじゃないかというふうに思います。
 さらに、合否判定の基準だとか、採点の過程だとか、システムが複雑であると、よりミスが起きやすいんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○村西都立学校教育部長 合否判定におきましては、様々なものを考慮しながら、しっかりと正確に行っていく必要があると思います。
 もちろん、今、先生ご指摘のとおり、それが複雑になればなるほど、難易度が増して負担もかかるということは、それは事実であろうと思います。
 しかし、複雑になっても、しっかりと選抜要領等に関する研修等で知識を身につけていただいて、または、システムでカバーできるところは可能な限りカバーしていって、その誤りを可能な限りなくしていく、ヒューマンエラーをなくしていくという取組がずっと必要であろうというふうに考えております。

○とや委員 今ご答弁いただいたように、やっぱり複雑になれば難易度も上がるし、採点者の負担も非常に重たくなるということだと思います。ミスが起きやすいんだと思います。
 先ほどのご答弁の中でも、来年の入試選抜に生かしていくために資料を整理している際に誤りに気がついたということであったわけですけれども、来年からは、予定では制度が変わります。それが英語スピーキングテストです。
 今回の再発防止に向けた今後の取組の中で、英語スピーキングテストで生かせる部分はございますか。

○村西都立学校教育部長 スピーキングテストを来年度入試から導入することになりますので、それは新たな要素が加わる形になります。
 その方法というか、しっかりと反映できるように準備を進めているところでございます。

○とや委員 例えば、先日の委員会でもご報告いただいた、議論になった英語スピーキングテストの不受験者の取扱い、推定の点数が出されていくと思うのですけれども、この問題については、そもそも、学力テストとESAT−Jの相関データがない下で不受験者の方の点数を推定すること自体、無理があるというふうに思っています。
 それを前提に伺うのですが、いただいた資料の中を見ますと、この間も指摘しましたけれども、不受験者の点数については、都立高校の側では、英語の得点のみを順位別に並べて、集計する範囲を決めて平均を算出して、それを基にA、B、Cをつけて、それをまた数字に換算するという作業が必要になってきます。
 発表された文書に、その範囲を決めたパターンが五つ例示されていたわけですけれども、これを集計する範囲を正しく定めたりするには、大変な作業が必要だと思います。アルファベットを数字にして計算して、それをまたアルファベットに戻して、また数字にするという、そういった作業が必要になってくるわけで、それだけでミスを誘発しそうだという声もあります。これは指摘させていただいたのですが、こうした作業の結果が合否に関わってくるわけです。
 どうやってミスを防ぐのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 入試では、今回導入するスピーキングテストの結果に限らず、様々な要素について複数人による複数回のチェックを徹底してまいります。
 さらに、システム等も可能な限り活用し、十分な準備をもって対応してまいります。

○とや委員 この間、入試選抜における誤りが、必ずしも一回で終わったということではなくて、繰り返されてきたわけです。
 その際、先ほど答弁いただいた再発防止策で、本人や保護者などが確認できるということが私は非常に重要だと思います。
 先ほどの答弁では、本人の開示請求で判明したものがあったわけですが、その再発防止として、申出があれば、答案のコピーを渡すことができるということがご答弁でありました。答案を返して、それをきちんとご本人あるいは保護者などの目で見てもらっていくということが、やっぱり最も公正な手続だというふうに思います。
 そこで伺いたいのですけれども、英語スピーキングテスト不受験者が入試選抜の結果に疑問を持った場合、先ほどの答弁を聞きましたけれども、今、私が紹介したような採点の過程を生徒は見ることができますか。

○村西都立学校教育部長 都立高校入試におきましてスピーキングテストを活用する際には、出願前に生徒一人一人に渡される調査書記載事項通知書、スピーキングテストの評価が記載される部分でございますけれども、その調査書を一人一人に渡すことにより、調査書に記載されている内容を本人自身が確認することができるという仕組みになっております。

○とや委員 学力テストの採点結果は、問題ごとに点数がつきます。本人が知ろうと思えば、採点の答案を見ることができて、過去にも開示請求があって合否の誤りを見つけることができたということですよね。
 採点ミスなどがあれば訂正も可能だということですが、生徒が渡される英語スピーキングテストの結果というのは、結果のみであって、その採点の過程だとか、不受験者の方の複雑な計算で、なぜ自分がこの点数になったのかということは分からないわけです。
 そこがやっぱり問題だと思うのですけれども、英語スピーキングテストが入試に活用されることによって、生徒も、保護者も、先生も、そして、今回ミスを発見した都教委も、全体を確認することができなくなっちゃったんじゃないかと思うわけですよ。
 入試における合否判定の要素というのは、学力テストと調査書点と英語スピーキングテストの総合点、それが要素ですよね。それをちょっと確認させてください。

○村西都立学校教育部長 調査書点、学力検査の得点、スピーキングテストの得点、今までご答弁してきた、公表したとおりでございます。

○とや委員 これまでは、学力テストの点数についてあるいは調査書について、生徒や保護者は、自分の認識と間違いがあったりすれば、見ることができたし、開示請求ができて、合否判定が覆る場合もあったかと思います。
 しかし、来年からは、予定では、その一部が見えなくなってしまうわけです。そうなったら、今回の教訓だって、再発防止策だって生かせなくなるんじゃないかと非常に危惧していますし、高校入試の選抜そのものを揺るがす事態になってしまっているんじゃないかと思うわけです。
 そこで、一つ伺っておきたいのですが、都教委として、学力テストの選抜のいろんな資料を整理する中で見つけたということですけれども、英語スピーキングテストも含めた全体をチェックすることは可能なのでしょうか。

○村西都立学校教育部長 現時点におきましては、繰り返しになりますが、入試において、出願前に生徒一人一人に渡す調査書記載事項通知書が本人に渡ります。その調査書に記載している内容を、そこで確認することができます。
 後段の都教委がという部分が、ちょっとどこを指すか、あれなのですけれども、基本的には、これまでご説明したとおり、学校現場において選考委員会を経て決定されるということでございます。

○とや委員 渡されるのは結果だけです。その過程も、一つ一つ、どうしてその点数になったのかというのは分からないわけですよ。都教委も、結局、分からないということだと思います。
 今回、私は、何回か質疑をさせていただいてきましたけれども、来年から一つ要素が加わることによって、今回、この再発防止に向けた今後の取組についてということでご報告を受けた様々な取組が本当に生かせるんだろうかというふうに思います。
 子供たちにとって、本当に入試というのは、人生を揺るがす問題です。ところが、疑問を持っても、分からない部分が出てきてしまったら、これは本当に問題だと思います。やっぱり都立高校の入試に英語スピーキングテストを入れた形でやるというのは、根本的に間違っているんじゃないかというふうに思います。
 今日は、この再発防止に向けた取組についての質疑ですけれども、来年から制度が変わるということで指摘をさせていただきました。改めて、正常な形に戻していただきたい。一番負担になるのは子供たちですからね。
 英語スピーキングテストは中止した上で、来年の都立高校入試を行っていただいて、再発防止にしっかりと努めていただくことを求めて、終わります。

○風間委員 私も伺いたいなと思っていた内容については、ほぼ谷村委員が細かく質問をしてくださったので、全容がよく分かりました。
 私自身、今、高校一年の息子もおりますし、その同級生を含めてみんな、今回の同じ時期に行われた都立高校の入試を受けたわけであって、その中には、涙をのんだ、そして第二希望の私立に行った子もいますし、合格で喜んで都立高校に行っている子供たちもいますから、そういった子供たちが身近にいることを考えますと、本当にその子たちにとって心的負担も相当大きかったこの受検でしたし、そういった子供たちの人生を左右するものなのだなということを、親の立場としても改めて感じたところでありますから、本当にあってはならないことがあったと認識しています。
 ほかの会派からも、ヒューマンエラーはあっても仕方ないというふうに私は聞き取れませんでしたけれども、ヒューマンエラーはあるものだという前提で設計をしていくべきだというような趣旨の発言がありました。もうまさに、人がやることですから、ミスはある前提で、それでもミスが起こらないような設計をしていく必要があるものなんだと思います。
 しかしながら、これを、ミスが起こってしまって、それだけの大きな影響を与えた際に、誰が責任を取るのかといったときには、これも谷村委員がお話しされていたように、やはり教育委員会の教育委員さんがその責任を負うものなのだろうと思っていましたし、区議会時代には、そういったミスが起こった際には、教育委員−−今は合議制ではなく、教育長が全ての責任を負うという形になっていたと私は認識していますけれども、教育長が相応の責任を負ったこともありました。
 その観点からすると、今日、これだけのやりとりがあった中で、浜教育長はそのとき教育長ではなかったとはいえ、教育長が一言も発さないということに関しては、多少の不安を覚えるものでもあります。
 やりとりを伺っていて、私の感じたことからお話をさせていただきましたけれども、今回の事案が発覚をして明らかになったことは、同点でも当落が変わってくるんだということなんだと思います。
 これは本当に子供たちにとっても重たいことであって、例えば調査書の点を積み上げていくのに、一点一点取っていくことがいかに大変かということですね。当日の学力検査に関しても、本当に一点の重み、二点、四点という話もありますけれども、こういったところで当落が決まってくるんだということが明らかになったものだと思います。
 そのことも含めて、子供たちにとっては人生を左右する、一点の重みあることに関して、現場の先生たちも、三月、最も忙しい時期の中で、限られた時間で判断をしなければならないというところで起こしてしまったミス、そして、本庁、教育庁の担当の方々も、相当、混乱状況の中で業務をされていることかとは思いますけれども、こういった状況の中で、改めて今感じている責任についてお聞かせください。

○村西都立学校教育部長 都立高校入試における誤りは、受検者の人生を左右することにつながり、あってはならないことでございます。本来合格であった三名の生徒及び保護者の皆様に改めておわびを申し上げます。
 事態の重大さをしっかりと受け止めて、今後このような事態が起こることのないよう、実効性のある再発防止策を講じ、考えられる実効性のある、ありとあらゆる再発防止策を講じ、学校と教育委員会が一体となって実行してまいります。

○風間委員 再発防止策に関しても、今回、教育庁の中で別の分析をする際に発覚したというのが、もしかしたら最後のとりでだったのかもしれないと感じました。
 しかし、これは、本来、やっぱり発覚するのであれば、四月前にせめて見つけるべきものなんだろうと思います。となりますと、今後、その分析することも含めて、教育庁の中でのそういった最後のとりでを三月に前倒しするであるとか、または、学校の中で、もう既にダブルチェック、トリプルチェックはあると思いますけれども、さらに最後のとりでをもう一回置くべきではないかというようなことも含めて、本当に二度と起こらないような再発防止を求めるものであります。
 また、今、とや理事からもお話がありましたように、英語スピーキングテストがこれから二十点加わるということについては、これまた私の息子も、英語スピーキングテストを中学三年生で去年受けました。点数が出てきました。何でこの点数なのかといったときに、全く分からないということなんですね。
 一方で、都立高校に落ちて悔しかったという子は、後に情報開示請求等をしたという子の話も聞いたことがあります。何で自分が落ちたのか分からない、でも、それを見てみて、やっぱり足りなかったんだというような子もいたりしました。
 このように、自分で落ちた理由を本当に納得できるような状況にせめてしなければ、英語スピーキングテストが、自分は何でこの点数だったのか分からないという状態のまま二十点加わるということは、あまりにも、これまで東京都の教育委員会として保ってきた入試の正当性を揺るがすものになるんじゃないかなと、本当に危惧をしています。
 ましてや、一点差でも、イングリッシュスピーキングテストの点数が一点違うだけで、この都立高校一般入試については、四点違ってしまうかもしれない。一点差でもですよ。一方で、十五点違っても、同じ点数ということもある。
 こういったことからすると、明らかに、今まで東京都の教育委員会が保ってきた、この入試の正当性というものに大変な疑義があるということは、入試を専門的に研究をしている方々からも危惧の声が上がっておりますし、また、不受験者に対して、自分の実力とは関係ない他者の数値から類推するということに関して、本当にこんなことが入試で起こってしまっていいのかという危惧もあったりするわけですね。
 このことについても、私は全くそのとおりだと思っていますので、英語スピーキングテストの結果を導入するというのであれば、せめてこういったところに関しては、正当性をより高めていくようなやり方をしなければ、東京都の都立高校入試の正当性そのものが問われ続けてしまうのではないかという懸念を抱いていますので、最後にそのことを申し上げて、質問を終わります。

○白戸委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○白戸委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了しました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時四十八分散会

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