文教委員会速記録第七号

令和四年五月二十七日(金曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長白戸 太朗君
副委員長斉藤やすひろ君
副委員長ほっち易隆君
理事内山 真吾君
理事風間ゆたか君
理事とや英津子君
もり  愛君
竹平ちはる君
土屋 みわ君
龍円あいり君
斉藤 りえ君
アオヤギ有希子君
清水 孝治君
谷村 孝彦君

欠席委員 なし

出席説明員
生活文化スポーツ局局長横山 英樹君
生活安全担当局長小西 康弘君
次長理事兼務渡邉 知秀君
理事古屋 留美君
総務部長久故 雅幸君
都民生活部長馬神 祥子君
都民安全推進部長小室 明子君
消費生活部長片岡 容子君
私学部長戸谷 泰之君
文化振興部長蜂谷 典子君
スポーツ総合推進部長中嶋 初史君
スポーツ施設部長小池 和孝君
企画担当部長吉原 宏幸君
都民活躍支援担当部長小野 由紀君
男女平等参画担当部長樋口  桂君
治安対策担当部長油谷 行泰君
若年支援担当部長米今 俊信君
文化戦略推進担当部長宮永 浩美君
デジタル推進担当部長松下 裕子君
文化施設改革担当部長石井 浩二君
企画調整担当部長稲垣 敦子君
国際連携担当部長木村 賢一君
スポーツレガシー活用促進担当部長船川 勝義君
アーカイブ担当部長事業連携担当部長兼務澤崎 道男君
スポーツ担当部長山根  勉君
事業推進担当部長河野 和久君
事業推進担当部長西沢  拓君
事業推進担当部長工藤 慎市君
パラスポーツ担当部長齊藤 陽睦君
事業推進担当部長清水俊二郎君
開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務柏原 弘幸君
施設整備担当部長小久保信一君
施設整備担当部長久野健一郎君
スポーツ施設担当部長永井 伸芳君
教育庁教育長浜 佳葉子君
次長福崎 宏志君
教育監藤井 大輔君
総務部長田中 愛子君
都立学校教育部長村西 紀章君
地域教育支援部長岩野 恵子君
指導部長小寺 康裕君
人事部長吉村美貴子君
福利厚生部長田中 宏治君
教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務秋田 一樹君
事業推進担当部長筒井 宏守君
企画調整担当部長篠  祐次君
高校改革推進担当部長池上 晶子君
教育改革推進担当部長佐藤 聖一君
特別支援教育推進担当部長落合 真人君
指導推進担当部長瀧沢 佳宏君
人事企画担当部長稲葉  薫君

本日の会議に付した事件
生活文化スポーツ局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・令和四年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 生活文化スポーツ局所管分
・東京都男女平等参画基本条例の一部を改正する条例
報告事項(説明)
・有明アーバンスポーツパーク(仮称)整備運営事業実施方針(案)について
陳情の審査
(1)四第八号 いじめの被害に遭った生徒の診断書の評価に関する陳情
教育庁関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・令和四年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 教育庁所管分
・学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
・学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例 
・都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
・都立府中高等学校(四)改築及び改修工事請負契約
・都立あきる野学園(四)増築及び改修工事請負契約
・教育職員免許法関係手数料条例の一部を改正する条例
・地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関する諮問について
報告事項(説明)
・令和四年度東京都立高等学校入学者選抜における追加合格事案の発生と再発防止に向けた今後の取組について
請願の審査
(1)四第三号 都立高校入試への英語スピーキングテストの導入の延期・見直しに関する請願

○白戸委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の担当書記に交代がありましたので、ご紹介します。
 議事課担当書記の関優佳さんです。
 議案法制課の担当書記の高嶋直人君です。
 よろしくお願いします。
   〔書記挨拶〕

○白戸委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化スポーツ局及び教育庁関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、報告事項の聴取並びに請願陳情の審査を行います。
 なお、本日は、提出予定案件及び報告事項につきましては、説明を聴取し、資料要求をするにとどめ、質疑は会期中の委員会で行います。ご了承願います。
 これより生活文化スポーツ局関係に入ります。
 初めに、先般の組織改正により、生活文化スポーツ局が設置されましたので、生活文化スポーツ局長から挨拶並びに幹部職員の紹介があります。
 横山英樹君を紹介いたします。

○横山生活文化スポーツ局長 去る四月一日付で生活文化スポーツ局長を拝命いたしました横山英樹でございます。
 白戸委員長をはじめ委員の皆様方のご指導、ご鞭撻をいただきながら、全力で事務事業に取り組んでまいる所存でございます。よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、四月一日付の組織改編に伴い就任をいたしました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 生活安全担当局長の小西康弘でございます。次長でスポーツ総合推進担当理事を兼務いたします渡邉知秀でございます。文化振興担当理事の古屋留美でございます。総務部長の久故雅幸でございます。都民生活部長の馬神祥子でございます。都民安全推進部長の小室明子でございます。消費生活部長の片岡容子でございます。私学部長の戸谷泰之でございます。文化振興部長の蜂谷典子でございます。スポーツ総合推進部長の中嶋初史でございます。スポーツ施設部長の小池和孝でございます。企画担当部長の吉原宏幸でございます。都民活躍支援担当部長の小野由紀でございます。男女平等参画担当部長の樋口桂でございます。治安対策担当部長の油谷行泰でございます。若年支援担当部長の米今俊信でございます。文化戦略推進担当部長の宮永浩美でございます。デジタル推進担当部長の松下裕子でございます。文化施設改革担当部長の石井浩二でございます。企画調整担当部長の稲垣敦子でございます。国際連携担当部長の木村賢一でございます。スポーツレガシー活用促進担当部長の船川勝義でございます。アーカイブ担当部長で事業連携担当部長を兼務いたします澤崎道男でございます。スポーツ担当部長の山根勉でございます。事業推進担当部長の河野和久でございます。事業推進担当部長の西沢拓でございます。事業推進担当部長の工藤慎市でございます。パラスポーツ担当部長の齊藤陽睦でございます。事業推進担当部長の清水俊二郎でございます。開設準備担当部長で戦略的活用担当部長を兼務いたします柏原弘幸でございます。施設整備担当部長の小久保信一でございます。施設整備担当部長の久野健一郎でございます。スポーツ施設担当部長の永井伸芳でございます。最後に、当委員会との連絡に当たります総務課長の富岡麻紀子でございます。
 なお、事業推進担当部長の松本祐一は、公務のため、本日の委員会を欠席させていただいております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○白戸委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。

○白戸委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○横山生活文化スポーツ局長 今定例会に提出を予定しております生活文化スポーツ局関係の議案の概要についてご説明を申し上げます。
 今回提出を予定しております議案は、予算案一件、条例案一件の計二件でございます。
 初めに、令和四年度補正予算案についてでございます。
 恐れ入りますが、お手元の資料第1号、令和四年度補正予算説明書の一ページをお開き願います。Ⅰ、補正予算総括表でございます。
 表の右から二つ目、補正予算額の欄をご覧ください。
 表の上段、歳入の補正予算額といたしましては、一億六千四百万余円でございます。
 続きまして、表の中ほど、歳出の補正予算総額といたしましては、六億一千三百万余円でございます。
 二ページをお開き願います。Ⅱ、内容についてでございます。
 表の上段、歳入は、国庫支出金の総務費国庫補助金を計上しております。
 こちらは、今回補正いたします歳出予算の財源となる国庫補助金を計上するものでございます。
 表の中ほど、歳出は、生活文化スポーツ費の都民生活費及び消費生活対策費、学務費の助成費を計上しております。
 以上で令和四年度補正予算案の説明を終わります。
 続きまして、条例案についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の資料第二号、令和四年第二回東京都議会定例会議案の表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。
 今定例会に提出を予定しておりますのは、東京都男女平等参画基本条例の一部を改正する条例の一件でございます。
 以上で私からの議案の説明を終わらせていただきます。
 詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○久故総務部長 引き続きまして、議案の詳細につきましてご説明申し上げます。
 恐縮ですが、お手元の資料第3号、令和四年第二回東京都議会定例会議案の概要の一ページをお開き願います。
 初めに、予算案についてご説明申し上げます。
 まず、1、ウクライナ避難民対応についてでございます。
 ウクライナ避難民等に対する支援団体等と連携したマッチング支援として、二千万円を計上しております。
 都、つながり創生財団、支援団体が連携して、ウクライナ避難民等が抱える生活上の困り事やニーズを把握、共有することにより、国や都、区市町村、国際交流協会などの支援策に確実につなげ、避難民の生活をきめ細かく支援いたします。
 次に、2、公衆浴場関係についてでございます。
 公衆浴場クリーンエネルギー化等推進事業の拡充として、九千三百万円を計上しております。
 都内公衆浴場の省エネ、創エネに資する設備の設置支援について、電力需給の逼迫に備えた緊急対策として補助率の引上げ等を実施いたします。
 また、スポーツイベント等と連携した公衆浴場利用促進事業補助として、一億三千五百万円を計上しております。
 原油価格高騰の影響を大きく受けている公衆浴場の経営を支援するため、都が主催するスポーツ、文化イベント等の参加者に無料入浴券、モバイルクーポンを配布するとともに、都内公衆浴場で定期的に変わり湯を実施し、公衆浴場の利用を促進いたします。
 一枚おめくりいただき、二ページをお開き願います。3、私立学校関係についてでございます。
 私立学校におけるPCR検査の実施として、七千二百万円を計上しております。
 私立学校において、児童生徒等の感染判明時に保健所による濃厚接触者の特定及び検査が即時に実施されない場合や、宿泊を伴う学校行事や部活動の大会等に参加する場合に、感染拡大を未然に防止するため、PCR検査を実施いたします。
 また、私立学校省エネ設備等導入事業費補助の拡充として、二億九千四百万円を計上しております。
 都内私立学校の省エネに資する設備の設置支援について、電力需給の逼迫に備えた緊急対策として補助率の引上げを実施いたします。
 一枚おめくりいただきまして、三ページをご覧ください。
 続きまして、条例案についてご説明申し上げます。
 東京都男女平等参画基本条例の一部を改正する条例でございます。
 本条例は、都の政策の決定過程に多様な価値観や発想を反映させるため、都の附属機関等の委員構成について、男女の比率を割り当てるクオータ制を導入するなど、条例の規定を整備するものでございます。
 2、改正内容をご覧ください。
 (1)でございます。都の附属機関等の委員を選任するに当たっては、知事が別に定めるものを除き、男女いずれの性も委員総数の四〇%以上となるよう努めなければならないことといたします。
 (2)でございますが、都の附属機関等は、一つの性の委員のみで組織しないものといたします。
 3、施行期日は記載のとおりでございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○白戸委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言を願います。

○とや委員 四点お願いをします。
 今回の男女平等参画基本条例の改正で、クオータ制の対象とすることを予定している附属機関等の定義と、その数を会議体の種類ごとにお願いします。
 二点目、同じく、男女平等参画基本条例のクオータ制の対象となる附属機関等の名称と現在の委員数、充て職を除いた委員数、それぞれの女性の委員数と割合を一覧でお願いします。
 三つ目、有明アーバンスポーツパーク事業でPFIを採用するに当たり、他の運営手法と比較した資料。
 四点目、有明アーバンスポーツパークの利用者の見込み数と採算、スケートボード、スポーツクライミング、3ⅹ3バスケットボールの競技人口。
 以上四点、お願いします。

○白戸委員長 ただいま、とや理事から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○白戸委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○白戸委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 それでは、有明アーバンスポーツパーク(仮称)整備運営事業実施方針(案)につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料第4号、有明アーバンスポーツパーク(仮称)整備運営事業実施方針(案)についてをご覧願います。
 まず、1の事業の概要です。
 当事業は、「未来の東京」戦略に基づき、有明レガシーエリア内に若者に人気のある都市型スポーツの場を整備するもので、東京二〇二〇大会のレガシーを生かし、スケートボード施設、屋内ボルダリング棟、3ⅹ3バスケットボール設備を備えた大会レガシーゾーン及び地域のにぎわい創出に貢献する施設を設置するものです。
 民間の資金、経営能力等を活用し、効率的かつ効果的に施設運営を行うため、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づくPFT事業として実施いたします。
 次に、2の実施方針(案)の内容です。
 まず、(1)の位置づけですが、PFI法に基づき、公平性、透明性や民間事業者の参入に配慮し、民間事業者が行う維持管理または運営等の範囲や事業スケジュール等を策定するものです。
 次に、(2)の概要ですが、当事業では、大会レガシーゾーンとともに多目的ゾーンを設置いたします。大会レガシーゾーンの施設を都が整備し、多目的ゾーンの施設を民間事業者が整備いたします。
 大会レガシーゾーンについては、施設の維持管理、運営及び必要に応じた改修を行うものとし、利用者がより快適にアーバンスポーツを体験できる空間を創出いたします。
 多目的ゾーンについては、有明親水海浜公園と調和し、かつアーバンスポーツその他各種スポーツの振興に寄与し、地域のにぎわい創出に資する施設を、民間事業者の提案、資金により整備いたします。
 また、多目的ゾーンの電気、水道、植栽等のインフラは、上記施設と併せ、事業者が整備を提案、実施し、都は、整備費用の一部を負担いたします。
 施設の運営については、両ゾーンを一体として、民間事業者の独立採算で運営し、都の財政負担を最小化し、効率的、効果的に事業を実施いたします。
 また、利用者の安全対策を徹底するとともに、マナーの普及啓発に十分取り組むことといたします。
 次に、3の今後の予定です。
 実施方針に基づき、事業者公募を実施するとともに、各ゾーンを順次開業いたします。
 具体的には、令和四年十月頃、募集要項等を公表し、令和五年六月頃に事業契約締結を行う予定です。その後、令和六年三月頃に大会レガシーゾーンを先行開業し、令和七年三月頃には全面開業する予定です。
 なお、資料三ページには有明アーバンスポーツパーク位置図等を、資料四ページには実施方針(案)の概要を記載しております。あわせて、資料第5号として、実施方針(案)全文も添付しております。後ほどご参照願います。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○白戸委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言願います。--なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
   〔発言する者あり〕

○とや委員 すみません。先ほど四点資料を請求しましたけれども、有明アーバンスポーツパークについては二点、改めて請求させていただきます。
 有明アーバンスポーツパーク事業でPFIを採用するに当たり、他の運営手法と比較した資料。
 そして、有明アーバンスポーツパークの利用者の見込み数と採算、スケートボード、スポーツクライミング、3ⅹ3バスケットボールの競技人口。
 以上です。

○白戸委員長 二点ずつ分けるということですかね。(とや委員「はい」と呼ぶ)
 ただいま、とや理事から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○白戸委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○白戸委員長 次に、陳情の審査を行います。
 陳情四第八号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○戸谷私学部長 いじめの被害に遭った生徒の診断書の評価に関する陳情につきましてご説明を申し上げます。
 お手元に配布してございます陳情審査説明表の一ページをご覧ください。
 陳情四第八号、新宿区のいじめ撲滅会代表、遠藤茂さん外一名から提出された、いじめの被害に遭った生徒の診断書の評価に関する陳情でございます。
 要旨でございますが、都において、私立学校におけるいじめの被害に遭った生徒のPTSDの診断書を評価し、いじめ有無の判断に使用していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、学校で発生したいじめの重大事態への対処については、いじめ防止対策推進法第二十八条において、事実関係を明確にするための調査を、学校の設置者または学校が適切な方法により行うものとされてございます。
 なお、東京都は、所轄する私立学校に対して、いじめ防止等のために必要な措置が講じられるよう指導助言を行ってございます。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願いを申し上げます。

○白戸委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○もり委員 四第八号、いじめの被害に遭った生徒の診断書の評価に関する陳情について申し上げます。
 都は、東京都いじめ防止対策推進基本方針を策定し、いじめの未然防止、早期発見、早期対応及び重大事態への対処を行う方針を定めています。いうまでもなく、いじめは、いじめを受けた児童生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を及ぼし、いじめを受けた児童生徒の心に長く深い傷を残すものであり、絶対に許されない行為であり、基本方針の中でも、いじめの禁止が掲げられております。
 一方で、私も区議会議員時代から、いじめのご相談も受けてまいりましたが、区立小中学校の場合は、教育委員会に相談し、対応を求め、改善した事例もある中で、私立学校においていじめが発生した場合には、親御さんが区市の教育委員会や教育支援センターに相談しても改善は難しく、当時、私が実際にお話を伺った方も、教頭先生による部活内でのパワハラを学校に相談しても対応してもらえず、高校を中退せざるを得なかったとのお話を伺いました。
 いじめを担当した弁護士さんからは、学校に抗議すると、嫌だったらやめればいいと転校を余儀なくされ、公立の数倍の相談が寄せられるとの声、また、私立学校の場合は、教育委員会のように学校を指導する機関がなく、治外法権で子供が守られないといった声も寄せられております。
 そこで、都内の私立学校においていじめが疑われるような重大事態が発生した場合、学校及び都はどのような対応を行っているのか、お伺いをいたします。

○戸谷私学部長 重大事態が発生した場合でございますが、学校及び東京都は、いじめ防止対策推進法などに基づきまして、必要な対応を行ってございます。
 具体的には、学校においては、事態の対処をするための組織を設け、質問票の使用、その他の適切な方法により、事実関係を明確にするための調査を行っております。
 また、東京都においては、学校が調査を進めるに当たって、学校からの相談に丁寧に対応するとともに、今後のいじめ防止等のために必要な措置を講ずることができるように、指導助言を行っているところでございます。

○もり委員 重大事態が発生した場合には、学校における事態に対応するための組織を設け、事実関係を明らかにし、都は、学校が調査を進めるに当たって、学校からの相談に丁寧に対応し、いじめの防止等のために必要な措置を講じるよう指導助言を行っているとの答弁をいただきました。
 私立学校におけるいじめに対して、対応してもらえる窓口がない、私立のいじめは治外法権、私学のいじめは地元の教育委員会でも動いてもらえず誰も助けてくれなかったとの保護者の声も聞かれる中、私立学校のいじめに対して、都が指導助言を行っていることが周知されていないように感じます。都民に一番身近な区市町村窓口との連携も重要です。
 また、いじめの実態把握について、学校現場のいじめ問題に対して増加するいじめの認知件数と、旭川のいじめ事件でも親御さんが三年間訴え続け、三年たってやっと第三者委員会が認めたように、学校現場でのアンケート調査が機能していなかった事例もあり、深刻です。
 現行の教育現場で行われているいじめ実態アンケートの設問がかなりダイレクトで、いじめられている本人や、いじめている当事者が答える際、本当の実態が見えづらいとの学校現場からの声も伺いました。今後、さらなる改善も求められると考えます。
 都内の高校生の約半数が私学に通っている現状もあり、また、都議会でも公私間格差の是正を訴え、都では私学助成を充実させてきた経緯もあります。私立学校のいじめに対しても、児童生徒の相談に真摯に寄り添っていただきたいと考えます。
 私立学校のいじめ問題に関する相談窓口をホームページで公開している道府県もあり、生活文化スポーツ局の私学部ページでは、いじめの対応についての項目は見られませんでした。都が対応を行っていることを知らない保護者、児童に届くよう、ぜひ生活文化スポーツ局の私学部のホームページに相談窓口を周知していただきたいと要望いたします。
 平成二十六年に施行された東京都いじめ防止対策推進条例では、いじめ防止の総合的、効果的な実施の施策の推進を目的として、都立、公立のみならず、都内の私立学校も対象となっており、東京都教育相談センター、東京都いじめ相談ホットラインが設置をされております。
 いじめ、学校生活、家族、友人関係など、都内在住、在籍の児童から高校生相当の年齢までの二十四時間対応のフリーダイヤルでの電話相談と、中高生に対してはLINE相談、また、学校や区市町村教育委員会等で相談をしても解決しない場合について、保護者対象の学校問題解決サポートセンターもあり、東京都教育委員会の所管ですが、私学部担当の方に確認したところ、私立に関する相談が寄せられた際には、生活文化スポーツ局私学担当がしっかりと連携して、学校への対応を行っていくということを確認させていただきました。
 いじめ相談ホットラインのカード状のパンフレットは、学校、警察、児相と様々な所管の相談窓口が大変分かりやすく、とてもよいと感じますので、いじめを未然に防ぐためにも、都内の全ての学校の子供たちに配布をしていただくとともに、子供、若者が利用する学校や公共施設等のトイレ等にも設置していただき、私立学校のいじめで悩む当事者、保護者にも支援が届くよう、一層の周知をお願い申し上げます。
 今回の陳情は、都において、私立学校におけるいじめの被害に遭った生徒のPTSDの診断書を評価して、いじめ有無の判断への使用を求める陳情です。今回の陳情にある個別案件については、裁判においても判決が出ていることから、診断書の一点でいじめの有無を判断することは難しいと考え、陳情については不採択を申し上げます。
 しかし、都として指導助言を行ったにもかかわらず、今回、陳情に上がるように、長年、児童、保護者の悩みが解決をしていないことは大変残念に思います。
 いじめの解消の定義を、被害を受けた児童生徒が心身の苦痛を感じていないこととしている府県もあり、私立学校の実態が明るみになりづらい状況があるからこそ、都は、真摯に児童、保護者に寄り添い、相談だけではなく、子供の権利の視点から、また子供の人権、教育権が侵害されることのないよう、引き続き私立学校に対しても丁寧に指導助言を行うよう強く要望し、意見とさせていただきます。

○アオヤギ委員 それでは、私からも、いじめの問題の陳情について質疑をいたします。
 まず最初にお伺いしますけれども、今回の陳情の事案については、どういうメンバーで、どういう調査を行ったのか、伺います。

○戸谷私学部長 法令等に基づきまして、事態への対処及び同種の事態の発生防止のために、学校の下に組織を設けまして、質問票の使用、その他の適切な方法により、事実関係を明確にするための調査を行ってございます。

○アオヤギ委員 今回の事象の中身というのは、詳しくは分からないんですけれども、国は、大津市のいじめ事件を受けて、二〇一三年にいじめ防止対策推進法を制定しました。そこでは、第二十八条で、いじめにより重大な被害が生じた疑いがある場合には、その事態に対応したり、同じような被害が生じるのを防ぐために、速やかに学校や学校設置者が組織を設け、事実関係を明確にするために調査を行うとしています。
 そこで伺いますが、この陳情の事案は重大事態だという判断だったのでしょうか。

○戸谷私学部長 いじめ防止対策推進法第二十八条に定められた重大事態であると認識してございます。

○アオヤギ委員 重大事態だったということであります。
 疑いがあるときや、保護者の申立てがあったときは、重大事態として対応することが事態を深刻化させないためにも非常に重要です。
 そうすると、その調査が行われたことと思いますが、文科省は、法制定後の四年後、いじめの重大事態の調査に関するガイドラインをつくりました。その初めに、学校の設置者、学校において、いじめの重大事態が発生しているにもかかわらず、法、基本方針及び調査の指針に基づく対応を行わないなど不適切な対応があり、児童生徒に深刻な被害を与えたり、保護者等に対して大きな不信を与えたりした事案が発生していると述べ、調査の方法や保護者への説明の仕方、情報をくれた子供を守ることなど、突っ込んで学校の対応の仕方を示しています。
 調査主体については、公平、中立性が確保された組織が客観的な事実認定ができるように構成することとされており、保護者への説明も詳しく書かれています。
 職能団体からの推薦を受けて選出した者であることなど、公平性、中立性が保たれていることを説明すること、必要に応じて、職能団体から、専門性と公平、中立性が担保された人物であることの推薦理由を提出してもらうことと書かれ、いわゆる第三者による調査をすることになっています。
 さらに、説明を行う中で、被害児童生徒、保護者から構成員の職種や職能団体について要望があり、構成員の中立、公平性、専門性の確保の観点から、必要と認められる場合は、学校の設置者及び学校は調整を行うと、保護者の意向を反映させることについても書かれています。
 ですから、中立の立場の専門家など、第三者を入れた調査を行うのは私立学校においても大前提ですけれども、いかがお考えでしょうか。

○戸谷私学部長 調査における第三者の参加につきましては、重大事態の状況に応じまして、ガイドラインの内容も踏まえて、学校の判断で行うものと考えてございます。

○アオヤギ委員 被害児童生徒、保護者の立場に立って行うということが大前提だというふうに考えます。
 保護者への説明の仕方ですけれども、ガイドラインでは、学校の設置者及び学校は、詳細の調査を行わなければ、事実の全容は分からないということを第一に認識し、軽々に、いじめはなかった、学校に責任はないという判断をしないこととあります。
 保護者の問合せにどのような対応をしたのでしょうか。

○戸谷私学部長 学校は、調査に当たりまして、法令やガイドラインに基づいて適切に対応を行ってございます。
 ガイドラインでは、調査方法について、保護者の要望があった場合には、可能な限り反映することとなってございます。

○アオヤギ委員 私立学校でのいじめ事件に対しての調査に当たっては、文科省が求める水準で実施していかなければならないと思います。その際に、学校だけでは公平、中立な立場の専門家の確保が難しいということも考えられます。
 公平な立場で調査するには、都は、学校設置者に対して、専門家の紹介など支援すべきではないでしょうか。

○戸谷私学部長 東京都は、専門家の紹介等につきまして、学校から相談があった場合には、窓口の紹介など情報提供を行っております。

○アオヤギ委員 一学校で対応することというのは難しいことも多いですので、よく相談に乗っていただきたいと思います。
 法には、地方公共団体の再調査について定められています。本件において、都は再調査をしていませんが、それはなぜですか。その検討はどのように行ったのでしょうか。

○戸谷私学部長 調査が適切かつ十分な内容、方法により実施されていることや、同種の事態の発生防止に係る取組が適切に行われていることから、東京都は、いじめ防止対策推進法第三十一条第二項に基づく再調査は実施しないこととしたものでございます。

○アオヤギ委員 学校の調査は、いじめはなかったという結論になったことは、陳情者が提出しているもう一つの総務委員会に付託されている陳情で分かるわけですけれども、都としては、学校の調査は適切だったと判断しているということです。
 ガイドラインでは、私立学校が十分な支援体制が整備できていない場合、都道府県の私立学校所管課は、適切な支援を行い、都道府県教育委員会に助言または支援を求め、連携しながら対応することとされています。重大事態が私立学校で発生した場合は、教育委員会と所管課で連携し、対応しなければなりません。被害児童生徒の立場に立って調査、解決、そして、子供のケアをすることが求められています。
 私立学校でのいじめを防止するために、法律やガイドラインにのっとって調査や対策をしていくべきですが、今後どのようなことを都はやっていくのでしょうか。

○戸谷私学部長 東京都はこれまでも、法令等に基づきまして、学校がいじめ防止等のために必要な措置を講ずることができるよう、学校や保護者からの相談に丁寧に対応するとともに、必要な指導助言を行ってございます。
 今後も引き続き適切な対応を行ってまいります。

○アオヤギ委員 今の答弁でちょっと聞き漏らしているんですけど、法律などに従ってということで、そこにはガイドラインも含まれているということでしょうか。お答えください。

○戸谷私学部長 今の法令等の等でございますけれども、ガイドラインも含まれてございます。

○アオヤギ委員 この文科省がつくったガイドラインというのは、非常に被害児童生徒の立場に立って、それを守る立場でつくられているなというふうに感じますので、ぜひ保護者や、それから私立学校にも伝えていただきたいなというふうに思っております。
 この陳情に対する意見を申し上げます。
 まず最初の私の質問で、どういうメンバーで調査をしたのかという問いに、具体的なお答えがありませんでしたが、法やガイドラインの趣旨に照らせば、第三者を入れ、客観的、中立的な立場から調査を進めることは、事実を明らかにする上で、保護者の納得を得る上でも重要だということを指摘しておきたいと思います。
 また、再調査をするか否かの検討をどのように行ったのかという質問にも回答がありませんでした。ガイドラインが策定されたのは二〇一七年で、陳情者の事案はそれより以前ですけれども、やはりガイドラインに沿った対応になっていなかったのかということを、もう一度点検していただきたいと思います。
 陳情については、診断書のみをもっていじめの有無を判断するのではなく、適切な調査で全容を明らかにしていくことが大切だと考えますので、賛同することはできないと申し上げて、質問を終わります。

○白戸委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○白戸委員長 異議なしと認めます。よって、陳情四第八号は不採択と決定いたしました。
 陳情の審査を終わります。
 以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。

○白戸委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、教育長に浜佳葉子さんが就任されました。
 浜教育長から挨拶並びに交代のあった幹部職員の紹介があります。
 浜佳葉子さんを紹介いたします。

○浜教育長 令和四年第一回都議会定例会におきまして、教育長の任命にご同意をいただき、四月一日付で拝命いたしました浜佳葉子でございます。
 子供たち一人一人に応じたきめ細かな教育を推進することにより、未来の東京の担い手となる人材をしっかりと育成できるよう、全力で取り組む所存でございます。
 文教委員の皆様方のご指導、ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、さきの人事異動で教育庁幹部職員に交代がございましたので、ご紹介させていただきます。
 教育監の藤井大輔でございます。総務部長の田中愛子でございます。都立学校教育部長の村西紀章でございます。地域教育支援部長の岩野恵子でございます。指導部長の小寺康裕でございます。人事部長の吉村美貴子でございます。教育政策担当部長で新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長を兼務いたします秋田一樹でございます。事業推進担当部長の筒井宏守でございます。企画調整担当部長の篠祐次でございます。高校改革推進担当部長の池上晶子でございます。特別支援教育推進担当部長の落合真人でございます。人事企画担当部長の稲葉薫でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○白戸委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。

○白戸委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○浜教育長 令和四年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております教育庁所管の案件につきましてご説明申し上げます。
 初めに、令和四年度教育庁所管補正予算案についてでございます。
 新型コロナウイルスの感染拡大を未然に防止するため、都立学校及び区市町村立学校におけるPCR検査の実施についての経費を計上しております。
 また、教職員の新型コロナウイルス感染症陽性者を早期に発見し、学校での感染拡大を防ぐため、都立学校及び区市町村立学校における教職員等への抗原定性検査の実施についての経費を計上しております。
 また、コロナ禍における物価高騰等による学校給食費の価格上昇分に対して、保護者負担を軽減するため、物価高騰部分の購入経費に対する補助を緊急対策として実施する経費を計上しております。
 以上を合わせまして、五億五百万余円を計上しております。
 次に、条例案についてでございます。
 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例外五件でございます。
 次に、契約案についてでございます。
 都立府中高等学校(四)改築及び改修工事請負契約外一件でございます。
 次に、諮問案についてでございます。
 地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関するものでございまして、審査請求人から、東京都知事に対して、都教育委員会が行った退職手当支給制限処分の取消しを求める審査請求がございましたので、知事が議会に諮問し、答申をいただくものでございます。
 以上が教育庁関係の提出を予定しております案件の概要でございます。
 詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○田中総務部長 それでは、私から、提出予定案件の詳細につきましてご説明申し上げます。
 初めに、令和四年度教育庁所管補正予算案についてご説明いたします。
 お手元の令和四年度教育庁所管補正予算説明書をご覧ください。
 一ページをお開き願います。1、教育庁所管補正予算総括表でございます。
 表の上段、網かけをしてございます歳入予算の補正予算額は、三億八千八百万余円の増額でございます。
 表の中段、網かけをしてございます歳出予算の補正予算額は、五億五百万余円の増額でございます。
 二ページをお開き願います。2、歳入予算の内訳でございます。
 内容は、教育管理費、高等学校費、特別支援学校費及び教育指導奨励費の補正に伴う国庫支出金の更正でございます。
 三ページをお開き願います。3、歳出予算の内訳でございます。
 都立学校及び区市町村立学校におけるPCR検査の実施、教職員への抗原定性検査の実施及び都立学校における学校給食費支援事業の実施でございます。
 内容についてでございますが、PCR検査の実施については、児童生徒等の感染が判明した際に、保健所による濃厚接触者の特定及び検査が即時に実施されない場合や、修学旅行などの宿泊を伴う教育活動、部活動の大会参加等の校外活動を実施する際に、児童生徒等に対し実施するものでございます。
 また、教職員等への抗原定性検査については、公立中学校、中等教育学校、都立高等学校及び特別支援学校において実施するものでございます。
 また、学校給食費支援事業については、コロナ禍において、海外情勢の影響等を受け物価が高騰する中、給食の主食であるパン、麺、米について、令和四年度の物価高騰分を都が補助し、保護者負担の増なく、都立学校において安定的に給食を提供する事業を緊急対策として実施するものでございます。
 次に、条例案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料、令和四年第二回東京都議会定例会議案(条例)の表紙をおめくりいただき、目次をお開き願います。
 提出予定の条例案は六件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 二ページの新旧対照表をご覧ください。
 地方公務員法の一部を改正する法律の施行により、定年前再任用短時間勤務制が導入されることに伴い、関係する規定を改めるものでございます。
 施行日は、令和五年四月一日でございます。
 次に、三ページをご覧ください。学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 四ページの新旧対照表をご覧ください。
 こちらも、地方公務員法の一部を改正する法律の施行により、定年前再任用短時間勤務制が導入されることに伴い、関係する規定を改めるものでございます。
 施行日は、令和五年四月一日でございます。
 次に、七ページをご覧ください。学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 一四ページの新旧対照表をご覧ください。
 こちらも、地方公務員法の一部を改正する法律の施行に伴う改正であり、定年前再任用短時間勤務制が導入されることに伴い、関係する規定を改めるとともに、一九ページをお開きいただきまして、定年引上げ開始以降の給料に関する規定を設けるほか、規定の整備を行うものでございます。
 施行日は、令和五年四月一日でございます。
 次に、二三ページをご覧ください。義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 二五ページの新旧対照表をご覧ください。
 こちらも、地方公務員法の一部を改正する法律の施行に伴う改正であり、定年引上げ開始以降の教職調整額の算定に関する規定を設けるものでございます。
 施行日は、令和五年四月一日でございます。
 次に、二六ページをご覧ください。都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 二八ページの新旧対照表をご覧ください。
 公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償の基準を定める政令の一部を改正する政令の施行に伴い、介護補償の額を改定するものでございます。
 施行日は、公布の日でございます。
 次に、二九ページをご覧ください。教育職員免許法関係手数料条例の一部を改正する条例でございます。
 三〇ページの新旧対照表をご覧ください。
 教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律の施行により、教員免許更新制が廃止されることから、教育職員普通免許状の有効期間の更新等に係る手数料を廃止するものでございます。
 施行日は、令和四年七月一日でございます。
 次に、契約案についてご説明いたします。
 お手持ちの資料、令和四年第二回東京都議会定例会議案(契約)の表紙をおめくりいただき、目次をお開き願います。
 提出予定の契約案は二件でございます。
 一ページをお開き願います。都立府中高等学校(四)改築及び改修工事請負契約でございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は三十七億六千三百七十六万円、契約の相手方は茨城県水戸市吉沢町三百十一番地一、株木建設株式会社でございます。
 工期は、契約確定の日の翌日から令和六年九月三十日まででございます。
 三ページから一〇ページにかけまして案内図、配置図、各階平面図を、一一ページに契約議案の概要を記載してございます。
 恐れ入ります、一二ページをご覧ください。都立あきる野学園(四)増築及び改修工事請負契約でございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は十七億八千二百万円、契約の相手方は東京都千代田区三番町二番地、松村・坪井建設共同企業体でございます。
 工期は、契約確定の日の翌日から令和六年十一月二十九日まででございます。
 一四ページから一八ページにかけまして案内図、配置図、各階平面図を、一九ページに契約議案の概要を記載してございます。
 次に、諮問についてご説明いたします。
 お手元の資料、令和四年第二回東京都議会定例会議案(諮問)の表紙をおめくりいただき、目次をお開き願います。
 今回提出を予定しております諮問は、地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関する諮問についての一件でございます。
 一ページに諮問文を、二ページに審査請求の趣旨等を記載してございます。
 三ページをご覧願います。諮問の詳細についてご説明いたします。
 一及び二は、審査請求人の氏名及び審査請求の年月日でございます。
 三、審査請求の趣旨及び理由でございますが、四の経緯と併せてご説明いたします。
 本件事案及び処分を行った経緯でございますが、審査請求人は、板橋区立中台中学校の主任教諭の職にあった者ですが、平成二十八年十月頃から平成二十九年七月頃までの間及び平成二十九年八月三日に、右足の靴に取り付けた動画撮影機能つき小型カメラを使用して、複数名の女性のスカートの中の下着等を撮影いたしました。
 処分庁である都教育委員会は、これらの事実を認定し、平成二十九年十二月二十七日に、地方公務員法の規定に基づき、請求人を懲戒免職処分とするとともに、退職手当条例の規定に基づき、退職手当を全部不支給とした処分を行いました。
 これに対しまして、請求人は、平成三十年三月二日、本件懲戒免職処分を不服とする審査請求を東京都人事委員会に対して提起するとともに、本件支給制限処分は重きに過ぎ、違法または不当であるので取消しを求める審査請求を東京都知事に対して提起いたしました。
 このため、地方自治法第二百六条の規定に基づき、審査庁である東京都知事が、本件審査請求の裁決に当たり、今回諮問するものでございます。
 五は、審査請求に対する処分庁の考え方でございます。
 都教育委員会といたしましては、事実を適正に認定しており、処分に違法はなく、人事委員会に対する審査請求は請求棄却により終了していることから、本件処分に関して事実の誤認はなく、懲戒免職相当の非違行為があったことは明らかであり、本件支給制限処分は、退職手当条例に規定する実情を勘案して決定した妥当なものであり、重きに過ぎ、違法または不当であるとの請求人の主張は失当であると考えております。
 六は、審査庁である東京都知事の考え方でございます。
 処分庁が行った本件処分に違法または不当な点はなく、本件審査請求には理由がないことから、本件審査請求を棄却すべき旨の答申を求めるとしております。
 七は、人事委員会に対する審査請求の経過を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○白戸委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○とや委員 全部で六点お願いしたいと思います。
 都内の教員免許保有者数、うち正規教員として公立学校に勤務している人数、私立学校に勤務している人数。
 二つ目、これまでの免許更新者数と免許を失効した人数を年度別にお願いします。
 三点目が、あきる野学園の現在の児童生徒数、学級数、普通教室、特別教室、転用教室、間仕切り教室、実際に特別教室として使用している教室、それぞれの数、増築後の児童生徒と学級の見込み数、普通教室数、特別教室数をお願いします。
 四点目、都立学校の給食費の額。一食当たりと月額でお願いします。
 五点目、学校給食費の今回の補正予算による補助額の算出根拠。
 六点目、昨年度の三月と今年度の陽性者数と、都教委のPCR検査及び抗原検査の実績を、三月の文教委員会資料のような形でお願いします。加えて、都教委のPCR検査や抗原検査で判明した陽性者数を出していただけると。
 お願いしたいと思います。

○白戸委員長 ただいま、とや理事から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○白戸委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○白戸委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○浜教育長 このたび、令和四年度東京都立高等学校入学者選抜におきまして、二つの都立高校で合格者決定の判定に誤りがあり、三名の受検生が追加合格となる事案が発生いたしました。
 本来合格であった三名の受検生及び保護者の皆様に深くおわび申し上げますとともに、都立高校を受検した生徒をはじめ、現在、受検に向けて取り組んでいる中学生及び保護者の方に不安を抱かせ、都民の皆様の都立高校に対する信頼を損なったことに対しまして、また、白戸委員長をはじめ委員の皆様方にご心配、ご迷惑をおかけすることになりましたことに心からおわびを申し上げます。
 入学者選抜における誤りは、受検生の人生を左右することにつながり、断じてあってはならないことでございます。
 今後、このような事態が起こることのないよう、都立高校の信頼の回復に向け、都教育委員会は、学校と一体となって、再発の防止に向けて実効性のある改善策を講じてまいります。ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
 詳細につきましては、都立学校教育部長からご説明させていただきます。

○村西都立学校教育部長 令和四年度東京都立高等学校入学者選抜における追加合格事案の発生と再発防止に向けた今後の取組につきましてご報告いたします。
 恐れ入ります。報告資料の一ページをご覧ください。
 令和四年三月一日火曜日に、都立高等学校の入学者選抜第一次募集の合格発表を行いましたが、二つの都立高校におきまして、合否判定を誤ったため、本来合格である三名の受検生を不合格としていたことが明らかとなり、追加合格とする事案が発生いたしました。
 1のA高等学校についてご説明いたします。
 (1)の誤りの内容でございます。
 都立高等学校入学者選抜要領には、合格者の決定方法について、学力検査の得点と調査書点の合計を総合成績とし、総合成績の数値の大きい者から順に合格者とすること、総合成績が同点である場合には、学力検査の得点の高い者を上位とすべきことが明記されております。
 しかし、当該校では、調査書点の高い者を上位にして合格者として決定し、本来合格である一名の受検者を不合格として発表しておりました。
 (2)の誤りの発生原因でございます。
 当該高校では、入学者選抜を担当する教員が選抜要領に記載されている取扱いを正しく把握せず、合否判定の審査資料を誤って作成しておりました。その審査資料を基に選考委員会において審査が行われ、校長もその誤りに気づくことなく、本来合格である一名の受検者を不合格としておりました。
 資料の二ページをご覧ください。
 次に、2のB高等学校についてご説明いたします。
 (1)の誤りの内容でございます。
 当該校の入学者選抜では、インフルエンザ等学校感染症罹患者等に対する追検査の措置を申請する者がいました。選抜要領には、追検査の措置申請があった場合、申請者分の数を確保する方法について明記されております。
 しかし、当該校では、その方法を誤ったことから、本来合格である二名の受検者を不合格として発表しておりました。
 (2)の誤りの発生原因でございます。
 当該高校では、入学者選抜を担当する教員が選抜要領に記載されている取扱いを正しく把握せず、合否判定の審査資料を誤って作成しておりました。その審査資料を基に選考委員会で審査が行われ、校長もその誤りに気づくことなく、本来合格である二名の受検者を不合格としておりました。
 次に、3の発覚の経緯及び対応でございます。
 発覚の経緯でございますが、本年四月に、教育庁職員が入学者選抜の課題や改善策を検討するため、令和四年度の都立高校入学者選抜に係る資料を整理している際に、当該校の誤りに気づきました。
 発覚後、速やかに、当該高等学校の校長が、当該受検者及び保護者に対して、合格であること及び経緯等を説明し、謝罪を行いました。
 また、本件の発覚を受け、教育庁及び各学校において同様の誤りがないか点検を実施し、他に誤りがないことを確認しております。
 資料の三ページをご覧ください。
 4の再発防止に向けた今後の取組でございます。
 まず、(1)の臨時校長連絡会の開催でございます。
 本事案の発生を受け、臨時の校長連絡会を開催し、入学者選抜に係る教職員としての職務遂行に向けた自覚と意識の再確認を行うとともに、本事案の内容、誤りの発生原因等の検証、分析について報告、また、再発防止に向けた取組について説明を行います。
 (2)の入学者選抜に係る教職員を対象とした研修の強化についてでございます。
 今回の二つの事案では、校長や副校長など入学者選抜に関わる教職員に、選抜要領に定める合否判定の方法等に関する知識や理解が不足していることが明らかとなりました。
 このため、新たに、校長及び副校長を対象とした合否判定の方法等に関する集中研修会を実施することといたしました。
 また、例年九月及び十一月に実施している入学者選抜実施要綱説明会や選抜要領等説明会については、関係教職員の悉皆として実施してまいります。
 また、教職員研修センターが実施しております職層研修や年次研修において、新たに、入学者選抜に関する研修を組み込み、必要な知識、理解の徹底を図ってまいります。
 (3)の合否判定資料を作成するシステムの改善についてでございます。
 現在、各高校においては、システムを活用し、受検者の総合成績を数値の大きい順に並べる選考用資料を作成しております。
 今回、A高等学校と同様の誤りの発生を未然に防ぐため、総合成績が同点である場合には、学力検査の得点が高い者が上位となるよう、システムのプログラムを改修してまいります。
 (4)の選考委員会における審査の実効性の確保についてでございます。
 各高校において実施する選考委員会の審査の万全を期すため、合否ボーダーラインの設定、総合成績が同点である場合の合格者の決定方法、合格者数の確認など、点検箇所を明示したチェックリストを教育庁が新たに作成し、そのチェックリストを活用した審議を行うなど、選考委員会の審査の実効性の確保を図ってまいります。
 以上でご報告といたします。このたびは、このような事態を招き大変申し訳なく、深くおわび申し上げます。

○白戸委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○白戸委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○白戸委員長 次に、請願の審査を行います。
 請願四第三号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○瀧沢指導推進担当部長 請願四第三号、都立高校入試への英語スピーキングテストの導入の延期・見直しに関する請願についてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会付託請願・陳情審査説明表の一ページをお開き願います。
 本請願は、千代田区の都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求める会代表、池田真澄さん外三千二百四十五人から提出されたものでございます。
 本請願の要旨は、都において、都立高校入試への中学校英語スピーキングテスト結果の導入の延期、見直しをしていただきたいというものでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、中学校英語スピーキングテストは、中学校における学習により身につけた話すことの力を客観的に評価し、中学校と高校における英語指導の充実を図るとともに、全ての中学生が、英語を学習することの意義や価値を実感し、生涯にわたり学び続ける意欲を高めることができるよう実施をいたします。
 採点につきましては、都教育委員会が監修した基準に従い、複数の者による採点、審査を経て結果を確定しております。令和三年度に都内全公立中学校三年生を対象に実施いたしましたプレテストにおいて、所定の期間内で公平、公正に採点を完了できることを確認しております。
 本テストにおける評価は、自分のことについて質問に答えたり、話したりすることができる、身近な話題について相手と意見交換ができるなど、英語を使って何ができるかを示した基準に従い、到達度を総括的に六段階で表し、入学者選抜では日頃の学習の成果として段階別評価を点数化し、適切に活用いたします。本テスト終了時には、六段階の到達度、スコアと個々の解答状況に応じた学習アドバイスが記載された結果帳票を、受験した生徒一人一人に返却をいたします。
 本テストは、中学校での学習内容から出題し、その成果を測るものであることから、授業で学習したことを習得することで、十分に対応できるものでございます。
 本テストにおいて生徒が入力した個人情報は、実施に必要な目的のみに使用され、テスト終了後は、法令等に従い、適切に削除いたします。
 都教育委員会は、事業者と締結している基本協定及び覚書において、事業者が本テストに関する模擬試験や関連教材の作成、販売をしたり、本テストの申込みのページや教員向けのウェブサイトにおいて、教材の購買を誘導したりする表記を行うなどの具体的な禁止事項を明記し、利益相反行為を禁止しております。
 また、都立高校入試への出願においては、返却されたテスト結果を基に中学校において進路指導を行う期間等を確保しているとともに、本テストの不受験者が都立高校を受検する際には、不利にならないように取り扱うこととしております。
 都教育委員会は、中学校英語スピーキングテストを着実に実施し、都立高校入試にも活用してまいります。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○白戸委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○龍円委員 浜教育長をはじめ都教委の皆様、都民ファーストの会の龍円あいりです。よろしくお願いいたします。
 都民ファーストの会の文教委員会の所属の議員なんですけれども、全員が海外での生活経験があります。質問に先立って、英語が話せることが、大人になってからもどのように生活やキャリアに役立つのか、それぞれ実感を話し合う場を設けさせていただきました。英語スピーキングテストの実施は、都教委の英語教育において大きな一歩であると全員が評価し、期待していることを確認したところでございます。
 私自身は、スウェーデン、イギリス、アメリカに合計十二年住んでおりました。スウェーデンは、東京都の人口とほぼ同じ程度の小さな国なんですけれども、スウェーデン語を話します。しかし、スペシャルニーズのあるお子さんとか、移民であるなどの特別な理由があるお子さんを除くほとんどのお子さんが、小学生ともなれば英語が話せておりました。
 父は、スウェーデンの大学で働いていたんですけれども、大学では英語で授業を行っておりました。こんな小さい国ながら、イケア、ボルボ、H&Mなどといった世界の中で活躍する企業を有したり、ノーベル賞といった世界的に評価が高い賞を実施したりもしています。小さい国でありながらも存在感がある国であるというその背景には、ほとんどの人が英語が話せるということも大きいのじゃないかなというふうに感じております。
 私自身が、英語が話せることで最も役立ったのは、アメリカでダウン症のある息子を産んだときに、医療的な説明とかいろいろ受けるんですけれども、そこで理解して正しく対応できたということが非常に大きかったと思います。また、ダウン症に関する情報が、日本語だとかなり限定的なのに対しまして、英語ができることによって、世界各国の情報やサービスにアクセスできることが非常に助かっております。
 スピーキングの翻訳機能というのは、最近、日々改良されているものの、実際のところ、英語が読めて話せないと、情報を得る上でバリアとなってしまうことがまだまだ少なくありません。
 英語スピーキングテストが東京の底力を上げて、個々の可能性を広げるとともに、言葉による情報に制限がかかってしまうというバリアを取り除いていくために役立っていくことに期待しております。
 都教委として目指す子供たちの将来像と、それから、英語スピーキングテストを導入する目的、それによって期待する効果についてお伺いいたします。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、グローバル化が進む社会において、英語をツールとして使いこなし、広い視野や多様な人々と協働する力を持ち、豊かな国際感覚を身につけて世界を牽引していくことができる人材の育成を目指しております。
 このため、小中高校における一貫した英語教育の推進により、生徒の使える英語力の育成に向け施策を展開しており、スピーキングテストはその取組の一つとして行うものでございます。
 本テストは、中学校における学習により身につけた話すことの力を客観的に評価するとともに、本テストの結果を都立高校入試に活用することで、生徒の高校における学習につなぎ、中学校と高校における英語の指導の改善充実を図ることを目的に実施いたします。

○龍円委員 世界を牽引する人材育成のために、使える英語力を育成する施策の一環としてのスピーキングテストであるとのことでした。
 そういった目的や将来像を踏まえて、スピーキングテストの結果を都立高校の入試に活用することは、どのような意義、そして、意図からなのでしょうか。改めてお伺いいたします。

○村西都立学校教育部長 都立高校の入試におきましては、義務教育の最終段階として、学習指導要領で求められている力が身についているかを測る必要がございます。
 英語につきましては、聞くこと、読むこと、書くこと、話すことの四技能の習得状況を測ることが重要でございます。
 今回、話すことの力を客観的に評価するスピーキングテストの結果を都立高校の入試で活用することによりまして、受検者が中学校の学習で身につけてきた英語の四技能に係る学習の成果を測ることとしたものでございます。

○龍円委員 入試においても、話すこと、使える英語力についても測っていこうということだと思います。
 英語スピーキングテストの実施を評価しているんですけれども、その目的ですとか、今お話しいただいた期待する効果を忘れて、ただの受検のためのテストとなってしまわないように、そこからぶれることがないようなテスト構成にしていただきたいと思います。
 私自身は、この使える英語以前の時代に育ったわけなんですけれども、例えば、ディス イズ ア ペンシル、アイ アム ア ガールという言葉なんかは、中一の最初で学ぶ言葉だと思うんですけど、実際の英会話の中で活用したことは一回もないフレーズなんですね、これは鉛筆ですみたいな。
 ということで、英語を教える上で丁寧にしていこうとした結果、使わない、そして使えない英語になってしまわないように気をつけていただきたいと思います。
 現在、オンラインでスピーキングテストの例題が出ているんですけれども、これを見ると、少し懸念を感じる部分があります。それは、質問の準備時間が僅か十秒で、それに対して解答できる時間が十秒といった感じで、準備時間と解答時間がとても短いという点です。
 日本語でもそうなんですけど、必ずしも言葉が早く出ないという方もいらっしゃいます。時間がたった十秒しかなくて時計がカウントしていると、緊張のあまり頭が真っ白になっちゃうような生徒もいらっしゃるんじゃないかと思います。
 あと、緊張のあまり、かんでしまった場合、ああ、いい直しをしようと思っている間に十秒たっちゃうかもしれないですし、たまたまくしゃみが出たとか、鼻が詰まって話しにくいとか、せき込んでしまったとか、そういう生理的な現象でも十秒って過ぎてしまう可能性があります。
 いろんな特徴、コンディションがある生徒がテストを受けることを考えたときに、スピーキング能力を発揮できずに制限時間に達してしまう生徒さんもいそうな気がしております。
 また、解答時間が十秒だと、聞かれた問いに対して文章で解答しようとすると入り切らない可能性があります。なので、まるでクイズに解答するように、名詞だけをぽんと解答した方が時間に入る可能性が高いため、安全策として、私だったら名詞だけを解答するような方向に行ってしまうんじゃないかなと思うんですね。
 しかしながら、質問に対してぶっきらぼうに名詞だけで解答するというのは、親とか友達に対してはあると思うんですけれども、相手に対して失礼な印象を与えてしまう可能性がありますので、一般的にはそのような解答の仕方はしないんじゃないかなというふうに思います。
 何がいいたいかというと、実際にはスピーキングで使わないようなぶっきらぼうな表現をすることが正解となってしまう、安全策となってしまうというのが、これが、本来の目的である使える英語力を伸ばすことと逆方向に向かってしまう可能性があると思っています。
 英語スピーキングテストの目的や目指すべき将来像からぶれないように、時間制限も含めてテストの問題全般について検証を重ねて、都教委による継続的な改善をよろしくお願いいたします。
 このスピーキングテストに関して、私の元に届いた心配する声としましては、スピーキングには自信がないんだけれども、ふだんの英語の点数のいい生徒さんはテストを休んだ方が入試において点数が高くなるということをいい始めているような塾があるということなんです。それではスピーキングテストを導入する本来の目的から離れてしまいます。
 このように、テストを休んだ生徒が都立高校の入試を受検する場合には、具体的にはどのような取扱いとするのか、見解をお伺いいたします。

○村西都立学校教育部長 スピーキングテストは、都教育委員会が実施主体となり、学校の授業で学んだ内容の定着度を把握するとともに、英語指導の改善充実に活用する教育活動の一環として実施するものでございまして、都内の公立中学校三年生全員を対象としております。
 スピーキングテストの実施日及び予備日に、インフルエンザ等の罹患など、やむを得ない理由等により受験することができなかった生徒が都立高校の入試を受検する場合は、不利にならないように取り扱うこととしております。
 やむを得ない理由の具体的な内容につきましては、都教育委員会が個別のケースに応じて適切に判断いたします。
 点数の算出につきましては、スピーキングテストをやむを得ない理由等により受けることができなかった不受験者と、入試における英語学力検査の得点が同じ者等のスピーキングテスト結果の点数の平均値を用いまして、スピーキングテストの評価を定めることとしております。

○龍円委員 都立高校の入試において、スピーキングテストの不受験者として取扱いの対象となるのは、当日、インフルエンザなどで感染するなどして、やむを得ない理由で受けることができなかった生徒であるということでした。
 受検のために、要は、うそをついて、虚偽の理由で欠席した生徒に関しては、点数をゼロ点にされてしまう可能性があることなど、しっかり周知していただくようお願いいたします。
 また、やむを得ない理由については様々なケースが想定されますので、都教委が個別に適切に判断していただくよう、改めてお願いいたします。
 今回の請願者は、公平性について大変心配されているようです。今回のオンラインの例題を見ますと、個人の意見とか議論をするような内容のものではなくて、解答がシンプルなものが多いことから、基準が明確にあることで、ばらつきが出る可能性は低いとは感じます。
 しかしながら、都教委として採点する現地に赴いて、採点がきちんと丁寧に行われているのかチェックするなどして、公平性がきちんと担保されていることを確認することは重要なのかなと思います。
 都教委として採点する現地に赴いて、採点がきちんと丁寧に行われているかどうかチェックなどをして、採点の公平性が担保されていることを確認し、懸念を払拭していくべきだと考えますが、都教委の見解をお伺いいたします。

○瀧沢指導推進担当部長 去る五月十五日から十七日までの間、フィリピンの採点センターを訪問し、セキュリティや採点体制など、採点業務の実施について直接確認をしてまいりました。
 視察の結果、現地採点センターでは、採点に係る堅牢な体制が構築されており、公平、公正な採点が実施できる環境であることを確認してまいりました。
 今後も、採点期間中にも改めて現地を訪問し、確認を行ってまいります。

○龍円委員 採点期間中も現地に赴いて確認するということで、公平性が担保されているということを都民の皆様に分かりやすく、チェック機能を続けていただけたらと思います。
 使える英語を育てるという都教委の方針、本当に大きな評価をしております。スピーキングテストが、使える英語を育てるという観点からずれることがないよう、運用開始後も随時検証、改善を尽くすとともに、公平性が損なわれないようにチェック機能を働かせていくことを改めて要望いたしまして、質疑を終えます。ありがとうございました。

○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
 私からも、請願第三号、都立高校入試へのスピーキングテストの導入の延期、見直しに関する請願について伺っていきたいと思います。
 この請願の願意は、都において、都立高校入試への中学校英語スピーキングテストの結果の導入の延期、見直しを求めるというものであります。
 私どもは、請願理由にあるとおり、採点の公平性、家庭の経済格差によるテストへの影響、不受験者の問題など、どれを取っても都立高校入試選抜に活用するにはあまりにも問題が多過ぎることから、延期、見直しに賛成です。
 今、私どもは、五月十四日から英語スピーキングテストについてアンケートを行っているんですが、十日間で二百人を超える人たちが回答を寄せてくださいました。
 その中には、自由記述欄で、子供の将来を左右する受検に公平性に欠けるテストを導入するのはやめてほしいとか、都立高校を受検するとなれば、テストを受けなければならなくなり対策が必要になりますとか、一月の結果を見て一旦決めた志望校を変更しなければならない受検生も出てくるなど、心配や中止を求める声が多数寄せられています。
 保護者や関係者のこうした声は、英語スピーキングテストの様々な問題点が解決されず、納得を得られていないことの証左であります。
 本来、教育は、英語を話すことの楽しさ、心が弾むような異文化との交流などを学べるよう、環境をまず整備すべきだと考えます。
 しかし、今回提案されております英語スピーキングテストの入試への活用は、子供たちの願いや教員の日頃の努力に応えるものになっていないのではないかと思います。
 今日は、この立場から、保護者や専門家、当事者も寄せていますが、こうした声を、寄せられている疑問点を中心にお聞きをしていきたいと思います。
 三月にも質疑をさせていただきましたが、まず、採点の公平性、正確性についてであります。
 英語スピーキングテストは、アチーブメントテストとして実施され、それが都立高校の入試選抜に活用されるわけですが、最も重視されなければならないのが採点の公平性、正確性です。
 三月の質疑の際に、都教委は、現地への視察はこれからということでした。今、質疑の中で、フィリピンに最近行かれたということです。この答弁を聞いていましたら、十五日から十七日までの間に採点センターを訪問したと。セキュリティや採点体制について直接確認をして、ESAT-Jの採点に係るノウハウも構築されていた、公平、公正な採点ができる環境であったと確認してきたということです。
 公平な、公正な採点ができる環境とは、どういうことをいうのかということです。三月の質疑の答弁で、部長は、複数の者による採点、審査を経て結果を確定してまいりますと。採点は、大学の学位や英語教授法の資格を持つ者など、高度な英語力と英語教育に関する専門性を有する者が事前に本テストの採点に係る研修を受講し、基準を満たした者のみが専任で行っているということでした。しかし、これでは、大体何人で採点をするのか、どこの社員なのか、やはり分かりませんでした。
 フィリピンに行かれたんですから、改めてお聞きします。
 フィリピンでの採点は、採点センターの専任者が採点するということですが、学力評価研究機構の社員が行うのでしょうか。その関連会社なのでしょうか。体制はどうなっているのか、何人で採点するのか、お答えいただきたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 現地の施設の確認の事項についてでございます。
 現地で採点する採点者につきましては、今、理事からもお話があった資格等々を有しているということを確認してきております。
 また、学力評価研究機構の職員が現地におりまして、視察にも一緒に当然行くわけですけれども、それの関連している会社に属する専任者が行うということを確認しております。
 それから、人数につきましては、必要な採点期間中に採点するのに十分プラスアルファの人数を確保しております。細かい人数につきましては、採点のセキュリティを担保する上で、秘匿事項に関わると思いますので、ここでの言及については控えさせていただきたいと思います。

○とや委員 学力評価研究機構の社員ではなくて、関連会社の専任の社員だということです。人数については十分用意しているけれども、その体制については秘匿事項だというふうにおっしゃいました。結局、聞いていることについては具体的にはお答えいただけませんでした。
 このフィリピンに行ったときの様子をお聞きしたんですが、現地に行っても採点をしている現場を確認していません。今回のスピーキングテストは、ベネッセが協定を結んで、採点は学力評価研究機構が行うけれども、実際にやるのは関連会社だと。実際、誰が採点するのか、何人で行うのかが不明です。
 このため、都民からは、例えばベネッセですから、進研ゼミやGTECの採点者などが英語スピーキングテストの採点も行うのではないかとか、そういう人たちが同一人物として採点をするのではないかと懸念の声も上がっています。これについてはいかがでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 採点に係る採点者につきましてですけれども、先ほど来お話をしていますように、高い専門性を有する者を特別に充てております。
 また、研修を行い、それに合格した者のみということで、その採点業務に当たる採点者というのは、社員の中でも非常に高い専門性を有している者に限られます。
 それと併せまして、ほかの、例えば今、進研ゼミというお話がありましたが、そのような業務と兼務するということはないというふうに規定をしておりまして、それも確認してきたところでございます。

○とや委員 今、兼務はしないということを規定しているとおっしゃいましたが、どこで規定しているのか、教えていただけますか。

○瀧沢指導推進担当部長 どこでというのは、我々と学力評価研究機構、その上のベネッセとの間での取決めとして合意しているということであります。

○とや委員 取決めというのは、例えば、実際に協定書とか、あるいは覚書だとかに、採点については同一人物にしないとか、そういった規定をどこかの文書に盛り込んでいるのか、取り交わしているのかどうか、確認させてください。

○瀧沢指導推進担当部長 文書で取り交わしてはおりません。
 ただし、先ほど来お話をしていますように、ほかの業務とこの採点の業務に必要となる資質、能力が違うということと、研修を経ないとこの業務に当たれないというシステムとしているということから、その制度を構築しているということをお互いに交わし、それが行われていることを確認しているということですので、その担保は十分に確保できているというふうに考えております。

○とや委員 担保は十分に確保できているということですが、文書では取り交わしていないということでした。
 やっぱり関係者や保護者の皆さんなど、都民の皆さんなどから寄せられている懸念を払拭すると。公平性も、それから正確性も担保していくとしているというのであれば、きちんと文書として確認して、それで初めていえるんじゃないかと思います。
 やっぱり採点者が、ベネッセがいろんな事業をやっていて、同じ採点者を使うということになれば、やっぱり問題です。各種講座をやっていて、例えばその講座を利用している子供たちに、ベネッセのオンラインなどをやっておけば有利になるからとかいって勧めるとか、こういったことが行われていても、それを調べるすべもないわけですよね。ですから、こういうことはあってはならないということで、ないというのであれば、きちんと文書で取り交わすべきだというふうに思います。
 それから、先ほどのお話では、公平、公正な採点ができる環境だったということですが、採点が行われる時期にもフィリピンにまた行かれるということでした。
 都教委自身が、公平に正確に採点が行われているのか確かめることが次に行ったときにできるのか、採点の全日程を現地で立ち会うなど、実際に確認をすることはできるのでしょうか。お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 まず、一般論になりますけれども、入試、あるいは検定試験等々の採点について、誰が、いつ、どこで、どのように行っているかについての情報の開示については、そのセキュリティを担保するために、一定程度、秘匿事項が含まれるということは、通常、当然であるというふうに考えております。
 ただ、今回、非常に影響が大きい試験であるということを鑑み、私たちも、ベネッセとそれに上乗せする形で協定等を結び、様々な中身につきましても確認をしているという前提であるということをお話をさせていただきたいというふうに思います。
 また、適正に行われているかどうかを、例えば今年の十一月以降に視察を行ったのでは必ずしも十分ではないというふうに考えています。つまり、そのためにプレテストをこれまでも行ってきましたし、今回行ったものにつきましても、事前に問題点がないかということを確認しているわけであります。
 ですから、当然、採点期間に見るのも必要ですけれども、その期間については今後確認をしていきますが、安全で公正にきちんと採点ができるというシステムを、きちんと堅牢なものをつくるということがまず大事であり、あと、それがきちんと運営されることを確認するという二段階で確定していくということが極めて重要だと考えております。

○とや委員 一般論としてというふうにおっしゃいました。入試の場合とか、テストの場合とか、秘匿事項だとおっしゃいましたが、これまでの都立高校の採点は先生たちがやっていましたから、今回とは全く違うというふうにいわなければなりません。民間事業者だからこそ、秘匿事項が大幅に増えているということになると思います。
 さらに、もう一ついえば、プレテストで確認をしてきたといいますが、フィリピンに行ったのは今回が初めてです。初めてであって、プレテストのときにも行くことはできませんでした。ですから、部長がいうのはどうかなというふうに思います。
 専門家の方々からは、全日程、全て八万人の採点に立ち会うとか、採点の信頼性の担保に関わることはほぼ不可能だと指摘がありました。採点の公平性を担保する材料がほぼないということです。
 これまで都立入試選抜の採点は、今申し上げたように学校の教員が行ってきました。実際にやってきた教員の話では、細心の注意を払っても間違いはあると。先ほども報告がありましたけど、例えば二〇一二年度実施で六人分とか、一三年度でも十二人、一四年度も四人が採点ミスのため不合格となっていたという事例もありました。
 しかし、英語スピーキングテストは、現地の採点について、結局確認はできない、自分のスコアも開示することもできません。これは大きな問題だと指摘をさせていただきます。
 採点の公平性や正確性に関わる問題はそれだけではありません。このテストは、アチーブメントテストとして位置づけられています。学習の到達度を測り、その結果を英語指導の改善に活用するというものです。ですから、生徒に評価結果をどのように返すかが重要です。
 これは、前回も質問させていただきましたが、このテストは総合点しか生徒に返されません。個々のパートに分かれて行われたテストの点数についても、自分がどこが不足していたのか、どこが点数がよかったのか、パートごとの点数は公表されていないわけです。
 学習アドバイスを読んでも、本当にその子が自分自身のスピーキングの程度を測る、どこが不足してきたのか、どこが減点されたのか、加点されたのか、そういうことも分からない仕組みとなっています。また、どこに比重が置かれたのかも全く分かりません。
 さらに、問題は、入試に活用しますから、調査書点ということになります。これは、前回質問させていただきましたが、例えば、今回、AからFの六段階評価がされますが、スコアが一点の差でも四点の差ができると私は指摘させていただきました。八十点から百点の子がAの評価、二十点の幅があるわけですが、七十九点の子は、一点低かっただけでBの評価になってしまいます。結局、六十五点から七十九点がBの評価ですから、七十九点取っても六十五点の子と同じ評価です。
 一点を争う入試に、このような評価は適切とはいえないんじゃないかと指摘をさせていただきました。それに対して、答弁は、適切な評価であるということでした。一点の違いが、評価は十六点も低い六十五点と同じであるということのどこが適切なのか、お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 まず、このテストの評価の在り方について、改めてのご説明になりますけれども、このテストの評価は、学習指導要領でも示されている外国語運用能力等を評価する国際的な基準として使用されているCEFRと呼ばれるこのグレードを踏まえて、自分のことについて質問に答えたり話したりすることができるですとか、身近な話題について相手と意見交換ができるなど、いわゆるCan do-statementsと呼ばれる、英語を使って何ができるかという基準に従い、その達成度を総括的に六段階で評価するというのが試験の成り立ちであります。
 ですので、その六段階を出すことが、このESAT-Jの評価であり、入試に当たってはそれを二十点に換算するということでありますので、そのやり方につきまして、私たちは妥当であるというふうに考えております。

○とや委員 子供たちは、調査書点を一点上げるだけでも大変な努力が要るんだと教員の先生、現場の先生方にお聞きしました。人生で最初の難関である高校入試で、たった一点の差で四点も差がついてしまうCan do-statementsによって評価されてしまうということが、本当に入試にふさわしいのかということを申し上げているんです。
 ですから、こうした評価をされても、当事者、保護者、専門家の皆さん、納得いくわけがありません。一生懸命練習して受けたテストの結果が今後に生かせない、あるいは入試でも、一点の差なのに、実はもっと幅の大きい差にされてしまったということになれば、生徒はどう思うでしょうか。そこを考えていただきたいと思います。
 英語の点数の比重が重たいことにも違和感があります。調査書点に加算されるESAT-Jの点数は二十点です。これに英語の調査書点二十三点をプラスすると四十三点、ほかの教科は二十三点なので、比較するとかなり大きくなります。
 そこでお聞きしたいんですが、中学校の学習の成果を測る高校入試、あるいは日常的な学習において、国語や数学、英語も含め、様々な教科を学んだ成果を測るというのが高校入試です。どの教科も重要であるという認識はお持ちですか。

○村西都立学校教育部長 どの教科も重要でございます。

○とや委員 どの教科も重要なのに、なぜ二十点もの加算になるのか。この問題では、前回の質疑で他会派の方の質問に明確にお答えになっていません。
 改めて、他の教科と英語の重要性、こんなに違うのはなぜなのか、お答えください。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会では、グローバル人材の育成に向けまして、使える英語力の育成を重視しております。四技能の育成を目指した施策をこれまでも展開してきております。
 こうした考え方の下、適切に配点をしたものでございます。

○とや委員 どの教科も重要だといいながら、四技能に基づく配点を適切に評価したということですが、いっていることが矛盾しているのではないかと思います。
 どの教科も、生徒が学んで、就職や、あるいは進学、生きていくために大事な知識や経験です。それを入試で特定の教科のみ比重を大きくするというのは、生徒も保護者も教員も、そのための対策を重視しなければならなくなってしまいます。
 私たちが今実施中ですけど、アンケートでは、英語を使う職業に就いている保護者の方から意見が寄せられました。この方は、自分の経験から、スピーキングには、読み書き以上に、子供本人にはどうしようもない、学校外での経験、幼少時の海外生活、英語塾などが非常に影響すると感じていると述べられていました。この方は、英語に関心があって、自分も経験を持って英語に関わる職業に就いている方です。その方がこのようにいっているわけです。
 英語の比重が重くなればその対策が必要になって、経済的な格差が学力の格差になるということで、多くの人たちが批判しているわけです。公教育としてやっていいことなのかといわなければなりません。子供たちや保護者、教員にプレッシャーを与えるようなことはやめるべきです。
 次に、GTECとESAT-Jについて伺います。
 三月十七日に朝日新聞EduAに、都の英語スピーキングテストESAT-Jと、ベネッセの行う英語テストGTECの中の中学二、三年レベルのGTEC Coreと酷似しているという記事が掲載されました。ご覧になっている方も多いと思います。
 区立中学の生徒が、ESAT-Jのプレテストとネット上のGTECのサンプル問題をやってみたら、どっちがESAT-Jで、どっちがGTECなのか、交ぜられたら分からない、まんまやんと、GTECを受けている学校は都立高校入試の対策になる、ずるくねと話したということです。区立中学校で英語を教えていた元教員の先生も、GTECそのものではないかと、問題構成と問題傾向、採点基準を見て、一緒だと思ったという記事であります。
 私も両方のサンプルを見てみました。本当にそっくりでびっくりしました。パートAは英文を読み上げる問題で二問、パートBは絵を見ながら質問に答える問題で四問、パートCは四こまのイラストを見ながら、登場人物になったつもりでストーリーを話す問題、パートDは質問に対して自分の意見をいう問題です。出題形式も出題数も各パートの準備時間も解答時間もほぼ同じです。
 中学生が、GTECを受ければ入試対策になる、ずるくねといっているとおり、学力が同じでも形式が似た試験を受けた経験のある生徒の方が、そうでない生徒よりも、よい点数を取りやすいことは明らかです。
 ESAT-JとGTECは酷似していると。どこが違うのかと思いますが、いかがですか、お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 ESAT-Jは、都内公立中学校の英語指導の改善に資することを目的として、学習指導要領の目標を踏まえて、東京都が決定した出題方針に基づいて、都独自の内容で出題するものであります。
 試験の構成、あるいは採点の観点、これら大きな枠を捉えて、それで似ているというのは、内容についての把握を十分にしていない意見だというふうに考えておりますので、そのような誤解に基づく不安が広がらないように、都独自の作問により、その目的を達成するための独自の問題であるということを今後も引き続き周知徹底をしてまいります。

○とや委員 ESAT-Jは、学習指導要領を踏まえているから、GTECとは違うんだということです。事前にお話を伺ったときにも同じ説明をいただいたわけですが、学習指導要領準拠で出題しているところがGTECとは違うということです。
 それで、私、もう一度よくGTECのホームページを見てみましたら、GTECが選ばれている理由というページがありまして、そこの第一番目に、小中高生が受験するのに適した問題、学習指導要領に即した出題と書いてありました。
 GTECだって学習指導要領に即してつくられているわけです。そして、酷似していると指摘されているGTEC Coreは中二から中三レベルということですから、まさに内容的にも同じだということではありませんか、いかがでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になりますけれども、ESAT-Jは、都内公立中学校の英語指導の改善に資することを目的として、専門の検討委員会にて独自に開発している問題でございます。
 GTECの表現がどうかであるということにかかわらず、私たちは、独自に分析をしております出題方針、出題内容、問題数、評価等々に基づいて作問をしているものであり、繰り返しになりますが、似ているからGTECを受ける者が有利であるというような間違った認識が広まることがないように、ふだんの授業をしっかりやればいい点数が取れる、また、都教委が作成してオンライン上で公表しているコンテンツなどを利用することによって、塾に行く行かないにかかわらず、英語力を伸ばすことができるということについて、改めて周知をしてまいります。

○とや委員 私、都が監修したと、独自の出題、問題をつくるんだとおっしゃったので、開示請求の資料を取り寄せてありますから見ましたけれども、全部真っ黒で見えないんですよ、全然。だから、そういっても、私たちは知るすべがありません。
 そして、ESAT-JとGTECは、結局、出題形式も出題数も準備時間、解答時間も同じです。問題文の日本語もよく似ています。内容も、どちらも学習指導要領に基づいているわけです。実際にやってみた中学生や中学の先生も、それから、私は、英語教育の研究者のお話も伺いましたが、そうした方々がみんなそっくりだといっているわけです。これは本当に重大な問題です。
 中学生がいっていたように、まず、GTECを受けた生徒は有利になってしまう、よい点を取りやすくなってしまうということがあります。
 実は、このGTECは、個人で受験することはできなくて、学校単位でしか申し込めません。実際には、区市町村単位で中学二年生か三年生で一斉に受験しているというパターンがほとんどです。
 住んでいる自治体でGTECをやっているかどうかで有利、不利が生まれてしまう、これでよいと思いますか、お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しになりますけれども、中学三年生の段階で学習した内容で、その学習指導要領で定めている目標に照らした能力を評価するということであれば、出題の形式等々が似ているということが起こる可能性は十分にあります。
 例えば、ほかの検定試験でも、音読、あるいは一問一答、それから、それに対する自分の意見を述べる、こういう問題が行われているということもあります。
 繰り返していいますけれども、GTECを受けることによって、それが有利であるということはないということを繰り返しお話をしています。
 ですから、自らが様々な機会を捉えて努力をして能力を伸ばすということは推奨されるべきですけれども、それは、GTECを受験することによってのみもたらされることではないということを誤解がないように周知をしていきたいということを繰り返しお話をしています。

○とや委員 明確にお答えいただかなかったわけですけれども、私どものアンケートでは、十四人の中学生や保護者が、GTECをやったり、やる予定があると回答しています。五区市の方が自治体名も教えてくださいました。
 いろいろご説明いただきましたけれども、やっぱり多くの方々が、実際やってみて、あるいは分析してみて、本当に酷似しているといっているんですよ。
 そこでお聞きしたいんですが、都内の区市町村で、どこの自治体が、幾つの自治体が中学校でGTECに取り組んでいるか調べていますか。把握をしていますか。

○瀧沢指導推進担当部長 区市町村がGTECを採用している数についてということだと思いますけれども、そちらにつきましては、それぞれの区市町村の判断ということで、私どもとしてそれを調べるということはしておりません。

○とや委員 公平性に影響を与えかねない問題として、調べるということを検討しなかったんですか。

○瀧沢指導推進担当部長 先ほどの答弁と重複いたしますが、GTECを受けることが、そのまま直接的に有利であるという考え方に私たちは立っておりません。ですので、調査はしておりません。

○とや委員 非常に安易だとしかいいようがありません。
 しかも、先日、教員向けの説明会の資料では、ESAT-Jに使うタブレット端末が紹介されていました。これは、GTECで使うものと同じではありませんか。

○瀧沢指導推進担当部長 機械については、それぞれ年次ごとで更新しているものもありますので、全く同じであるかどうかということについては、ここでお答えするのは差し控えたいと思います。

○とや委員 ネットで検索しますと、GTECを受験している生徒の風景、画像ですね、幾つも出てくるんですよ。タブレットはESAT-Jと同じでした。アイパッドなど日常的によく目にするものではなくて、ベネッセ独自の製品と思われる白い厚みのあるタブレットです。同じではないですか。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になりますが、年次ごとに変更するということも当然あります。
 これまで、GTECが使っているタブレットについては、当然、我々も取り寄せて確認はしていますが、今、理事お話しのように、周りに白いプラスチックのものがあるというようなものは、子供が使うのに適切なように、堅牢な構造にするために、通常のタブレットと違う、ただし、画面につきましては受験する上で最適になるように行われているというふうに説明を受けています。
 繰り返しになりますけれども、ESAT-Jで使うタブレットにつきましては、それと同じものであるということはここでお答えすることはできません。

○とや委員 答えられないということです。
 器材一つでと思うかもしれないというかもしれませんけれども、形式に慣れているとか、実際に近いというのはとっても重要で、だからこそ今でも高校入試のそっくり模試などが実施されているわけですよ。秒単位で答えをまとめて話さなければならないスピーキングテストであればなおさらです。住んでいる自治体でGTECをやっているかどうかで有利、不利が生じるようなテストは、入試に用いるべきではありません。
 しかも、このことは、企業間の公平な競争という点でも問題があります。朝日新聞でも、中学の先生が、今までは英検を案内してきたけど、GTECにした方がよいと思ったとコメントをしていましたが、GTECに誘導する状況を都教委がつくり出すことになります。
 また、ある会社では、今、東京都教育委員会が過去に実施したプレテストを研究して作題し、問題をつくるですね、ESAT-Jの模擬試験をやりますと申込みを受け付けていますが、ベネッセでは、都教委のテストを研究して作題することにコストをかける必要がなくて、GTECを事実上の模擬試験として利益を得られるわけです。この点も厳しく指摘しておきます。
 最後に、不受験の扱いについて伺います。
 不受験者について、ESAT-Jの結果は学力検査の英語の得点から推定するということになっていますが、どのように推定するのか、伺います。

○村西都立学校教育部長 スピーキングテストの実施日または予備日にも、インフルエンザ等の罹患など、やむを得ない理由により受験することができなかった生徒などが都立高校の入試を受検する場合は、不利にならないように取り扱うこととしております。
 具体的には、スピーキングテストをやむを得ない理由等により受けることができなかった不受験者と、入試における英語学力検査の得点が同じ者等のスピーキングテストの結果の点数の平均値を用いて、スピーキングテストの評価を定めることとしております。

○とや委員 自分の学力試験の点数に近い他の受験者のESAT-Jの点数から推計するということだと思います。
 そもそも英語の学力試験の結果とESAT-Jの結果の間に何らかの有意な相関関係があるんでしょうか。英語の学力試験の結果が同じレベルの生徒のESAT-Jの結果は同一であるという前提は成り立つのでしょうか。成り立つのであれば、そのデータを公開すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○村西都立学校教育部長 スピーキングテスト当日や予備日にも、インフルエンザ等の罹患など、やむを得ない理由でテストを受験できなかった者や、また、他県から都立高校を受検する者など、都立高校入試におきましては、多様な事情を抱えた受検者がいることを考慮した特例的な措置が必要でございます。
 スピーキングテストの結果を入試に活用する意義は、学習指導要領で求められている中学校の学習で身につけてきた英語の四技能、話すことに係る学習の成果を測ることが目的でございまして、こうした特例的な措置を実施すること、そういったことも一つ重要な措置であると考えております。

○とや委員 今のお答えは、私が聞いたことのお答えになっていません。もう一度いいます。
 不受験者の取扱いについて、東京都教育委員会でご説明いただいたので、分かります。私が聞いているのは、英語の学力試験の結果とESAT-Jの結果の間に何らかの有意な相関関係があるかどうかです。
 つまり、英語の学力試験の結果が同じレベルの生徒のESAT-Jの結果と同一であるという前提ですよね。それで計算していると思うんですよ。その前提は成り立つのかと聞いているんです。成り立つのであれば、データを公開してくださいと申し上げています。

○村西都立学校教育部長 具体的な相関関係のデータは、ただいま持っておりません。
 ただ、繰り返しになりますが、都立高校の入試におきましては、多様な事情を抱えた受検者がいることを考慮した特例的な措置が必ず必要となります。そうした措置の一つであると考えております。

○とや委員 データがないということです。
 長年英語の教員をしていた方に聞きましたら、十一月から二月までの三か月で生徒の英語の力は大きく伸びるそうです。そして、その伸び方は一律でないといいます。二月時点で同じ点数を取った生徒の十一月時点の英語の力は様々だということであります。都教委の推計方法が成り立つ前提はありません。一点を争う入試に適用するには無理があるとおっしゃっておりました。
 また、都立高校の側でも、英語の得点のみを順位別に並べて、集計する範囲を決めて、平均を算出し、それを基にA、B、Cをつけて、それをまた数字に換算するという作業が必要になります。発表文書にその範囲決めのパターンが五つ例示をされていました。様々な点数と順位のパターンが生じるわけで、集計する範囲を正しく定めるには大変な作業だと感じました。
 さらに、アルファベットを数字にして計算して、それをアルファベットに戻し、さらにまた数字にするという作業もあって、それだけでミスを誘発しそうであります。
 発表文書を見たある専門家は、現場の悲鳴、怨嗟の声が聞こえてくるようだとおっしゃっていましたが、今日の報告でもありましたように、細心の注意を払っていてもミスが生じてしまっている中で、わざわざミスを誘発しそうな計算を高校にさせる意味が分かりません。
 さらに疑問なのは、不受験者とはどんな生徒をいうのかということです。発表資料によれば、不受験者とは、まず、東京都の公立中学校等に在籍する者のうち、ESAT-J当日、予備日を含む、先ほどご説明いただきましたが、インフルエンザ等に罹患した者、学校保健安全法第十九条により中学校長が出席停止の措置を行った者及び受験者本人の責めによらず、やむを得ない理由、病気で入院するとか、交通事故により負傷等によって受験することができなかった者ということです。
 それから、ESAT-J実施日時点で東京都の公立中学校等に在籍していないため、ESAT-Jを受験していない者、例えば私立中学校在籍者とか、他県中学校在籍者等となっています。このどちらかに当てはまらない生徒は、ESAT-Jを受験していなくても不受験者にしてもらえないというわけです。
 例えば、不登校の生徒などはどうなるのでしょうか。発表文書を見ただけでは分かりません。受験しなかった、できなかったけれど不受験者に当てはまらない生徒の扱いはどうなるのか、お答えいただけますか。

○村西都立学校教育部長 都立高校の入試におきまして、スピーキングテストの不受験者として、英語学力検査の得点を基にテストの評価を定め、点数を算出する対象者につきましては、先ほど申し上げたとおり、インフルエンザ等の罹患など、やむを得ない理由等により受験することができなかった者でございます。
 具体的な内容につきましては、様々なケースが想定されるところでございます。
 したがいまして、東京都教育委員会が個別のケースに応じて適切に判断してまいります。

○とや委員 では、例えば場面緘黙で、時間を延長してもらっても話せそうにないというお子さんはどうなりますか。

○村西都立学校教育部長 繰り返しになりますが、具体的な内容につきましては、様々なケースが想定されますので、都教育委員会が個別のケースに応じて適切に判断していきます。

○とや委員 では、不登校の生徒についてはどのように対応するんでしょうか。

○村西都立学校教育部長 やむを得ない理由等により受験することができなかった者でございます。その具体的な内容については、不登校についても様々なケースが想定されます。
 したがいまして、都教育委員会が具体的、個別のケースに応じて適切に判断していくということを申し上げております。

○とや委員 今お聞きしていて思ったんですけど、そういった答弁ばかりだと、むしろ子供たちを不安にさせるだけではないでしょうか。
 不受験者の扱いについて、今後さらに詳しい内容を発表して、生徒や保護者の疑問や不安に分かりやすく応えていくべきではないでしょうか。その予定はありますか。

○村西都立学校教育部長 スピーキングテストの結果を都立高入試で活用することにつきましては、これまでも様々な情報提供を図ってきましたし、今後も丁寧にしっかりと情報提供し、周知を図ってまいります。

○とや委員 これ、とっても大事な質問なんですよ。ちゃんと答えていただきたいと思います。
 今、私が聞いたのは、不受験者の扱いについて、今後さらに詳しい内容を発表してほしいと。生徒や保護者の疑問だとか不安に分かりやすく応えていくべきだということです。
 そういった、応えられるようなものを発表する、詳しい内容を発表する予定はあるかどうかを聞いています。

○村西都立学校教育部長 不受験者として点数の算出をする対象者につきましては、インフルエンザ等の罹患など、自分の責によらず、やむを得ない理由等により受験することができなかった者としております。例えば、交通事故で負傷しているですとか、入院中の生徒とか、そういった具体的な事例を挙げて、これまでも説明しております。
 ただ、このことにつきましては、様々なケースが具体的に想定されることでございますから、その部分については、個別のケースに応じて適切に判断していくということでございます。

○とや委員 結局、さらに詳しい内容を発表して、不安や疑問に分かりやすく応えていく、そういった予定はないということです。
 高校入試というのは、中学生にとって、とっても大きなハードルです。そのハードルを増やして、早い時期に設置していく。試験当日だけではありません。写真を撮影してネットで申し込むこと自体がハードルです。小学校も中学校も不登校が増加している下で、揺れ動く思春期の子供たちにとってよいことなのか、どれだけ検討したのか、大変疑問です。
 不受験者の扱いを見ても、入試に用いるのにふさわしくない推計や扱い、ミスを誘発しかねないやり方になっているといわざるを得ません。
 最後に、英語戦略会議について伺います。都立高校入試に英語スピーキングテストを活用することになった経緯についてです。
 都教委は、二〇一三年六月に東京英語教育戦略会議を設置し、一六年に報告書をまとめています。ここで初めて高校入試にスピーキングテストを導入することを検討することが提言されました。この会議には、産業界の有識者としてベネッセと英語検定協会の委員が参加しています。
 この英語教育戦略会議の位置づけについてお聞きします。
 この会議体は任意のものですか、それとも自治法に定められた附属機関でしょうか、お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 英語教育戦略会議は、東京都における、小中高校における英語教育の改善に関して、取組の方向性を検討するために、教育庁内に設置したものであります。
 法令に基づくものではなく、今後の都教育委員会の取組の方向性を幅広い視野から検討するために委員の方を選出し、議論をしてきたものでございます。

○とや委員 戦略会議は附属機関ではありませんね。
 都の総務局は、附属機関等設置運営要綱の取扱いという通知を出していまして、そこでは、正式な附属機関ではない懇談会等は、合議機関として機関意思を表明する附属機関とは異なり、あくまで出席者の意見または意見交換の場である、機関意思の表明と紛らわしい諮問、答申の扱いを取らないこととしています。これは、教育庁にも通知が届いているはずです。
 ところが、この英語戦略会議の報告書を、都教委は、まさに審議会など都の条例で設置された附属機関の答申並みの扱いをして事業を推進してきました。そのことは、スピーキングテストの評価の在り方や今後の方向性について話し合った入学者選抜英語検査改善検討委員会では、当時の出張教育監がこういっています。昨年九月に公表されました東京都英語教育戦略会議の最終答申の中にございましてと述べていることにも表れています。
 ここに、私、持ってきましたけど、立派な冊子になっているんですよ、こういうふうにね。これ、二〇年のものですけど、グローバル人材育成計画では、まさに、戦略会議の提言はこうなっているから、こう進めるんだという論立てで組み立てられ、しかも、その中身は、グローバル人材に求められる能力の育成に焦点が当てられます。
 そうした本来の在り方と違うところで、ベネッセが加わった会議で生まれて推し進められてきたのが英語スピーキングテスト、ESAT-Jなんです。ベネッセと協定を結んでスピーキングテストを推進する都教委のやり方は、総務局通知にも反し、異常だといわざるを得ません。
 この計画を見ていますと、提言ごとに、平成二十八年までに開始済みと、それから、平成二十九年に推進とに分けて、推進するようになっています。そして、この中で、提言六と七が英語スピーキングにつながる四技能の評価の実施と高校入試検査導入の検討となっていました。
 私、議事録も読みましたけど、子供たちがどうしたら英語を楽しく学べるのか、教師の負担を軽減し、少人数での授業を推進するなどの検討よりも、とにかくリーダーの育成だとか、あるいは役に立つ人材をと、そういった発言が目立ちました。
 英語スピーキングテストの結果を都立高校入試に活用するというのは、本当に子供たちが楽しく英語を学んで、人格の完成を目指した教育を進めるということよりも、経済界に都合のいい人材を育成することにあるということが見てとれました。
 コロナでこの間、子供たちは、友達と触れ合ったり、思いっ切りおしゃべりすることも、部活動も、一緒に教室で学ぶこともままならない状況が続いてきました。学習も遅れがちの生徒もいます。コロナに加えて、受験戦争やいじめ、ひきこもり、子供たちを取り巻く環境は極めて苛酷です。
 特に今の中学三年生は、中学生活が丸々コロナ禍に当たっています。制限の多い学校生活を送ってきたわけです。それに加えて、高校入試は大きなプレッシャーです。さらに、英語スピーキングテストを高校入試に活用することになれば、生徒にさらなる負担になる、現場の教員にもこれまで以上に業務が増えることになります。
 前回の委員会でも提案しましたが、せめて今の二学級三展開を一学級二展開に改善するなど、ぜひ子供たちが楽しく学べる環境を保障してあげてほしいです。
 都立高校入試への英語スピーキングの活用は、きっぱり中止すべきです。請願者の願意に賛成を表明し、質問を終わります。

○白戸委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○白戸委員長 起立少数と認めます。よって、請願四第三号は不採択と決定いたしました。
 請願の審査を終わります。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時十九分散会

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