文教委員会速記録第四号

令和四年三月十五日(火曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長白戸 太朗君
副委員長斉藤やすひろ君
副委員長ほっち易隆君
理事内山 真吾君
理事風間ゆたか君
理事とや英津子君
もり  愛君
竹平ちはる君
土屋 みわ君
龍円あいり君
斉藤 りえ君
アオヤギ有希子君
清水 孝治君
谷村 孝彦君

欠席委員 なし

出席説明員
教育庁教育長藤田 裕司君
教育監増田 正弘君
総務部長安部 典子君
都立学校教育部長谷 理恵子君
地域教育支援部長小菅 政治君
指導部長藤井 大輔君
人事部長浅野 直樹君
福利厚生部長田中 宏治君
企画調整担当部長岩野 恵子君
教育改革推進担当部長佐藤 聖一君
特別支援教育推進担当部長滝沢  毅君
指導推進担当部長瀧沢 佳宏君
人事企画担当部長黒田 則明君
高校改革推進担当部長田中 愛子君

本日の会議に付した事件
教育庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第五十四号議案 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
・第五十五号議案 学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第五十六号議案 東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第五十七号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例

○白戸委員長 ただいまから文教委員会を開会します。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、教育庁所管分及び第五十四号議案から第五十七号議案までを一括して議題としたいと思います。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○安部総務部長 去る二月十日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をお開き願います。
 今回要求のございました資料は十五件でございます。
 一ページをお開き願います。1、都立特別支援学校スクールバスと医療的ケア児専用通学車両の予算の推移でございます。
 スクールバス及び医療的ケア児専用通学車両の予算額、配車している学校数、運行するコース数を年度別にそれぞれ記載してございます。
 二ページをご覧ください。2、同じくスクールバスと医療的ケア児専用通学車両の配車状況でございます。
 このページから次のページにかけまして、それぞれの配車台数等につきまして、学校別にそれぞれ記載してございます。
 四ページをご覧ください。3、公立小中学校の三十五人学級に必要な教員数及び経費でございます。
 三十五人学級にした場合に新たに必要となる教員数及び経費につきまして、小学校、中学校それぞれ学年別に、また合計を記載してございます。
 五ページをご覧ください。4、教職員の標準法定数と、標準法に根拠を持つ教職員数の都の定数及び標準法以外の都の定数でございます。
 令和四年三月一日時点の見込み数である教職員の標準法定数と、標準法に根拠を持つ都の令和四年度定数及び標準法以外の都の令和四年度定数につきまして、校種別に記載してございます。
 六ページをご覧ください。5、公立小中学校児童生徒の就学援助受給者の推移でございます。
 各年度における就学援助を受給した児童生徒数及び受給率について、要保護、準要保護の別に記載してございます。
 七ページをご覧ください。6、都内公立特別支援学校の医療的ケアが必要な幼児、児童、生徒の数及び配置看護師数でございます。
 (1)では、医療的ケアが必要な幼児、児童、生徒数について、都立、区立の別、また年度別に記載してございます。
 (2)では、配置看護師数について、同様に記載してございます。
 八ページをご覧ください。7、中一ギャップ加配の活用状況、学級規模の縮小とTTの選択状況でございます。
 令和三年度における中一ギャップ加配を活用している学校数につきまして、学級規模縮小とTT等の選択別、また区市町村別に記載してございます。
 九ページをご覧ください。8、都内公立小中学校及び高等学校の不登校児童生徒数と不登校出現率の推移でございます。
 各年度における不登校児童生徒数と不登校出現率につきまして、校種別に記載してございます。
 一〇ページをご覧ください。9、東京都公立学校教員採用選考名簿登載者数、期限付任用教員名簿登載者数等につきましてでございます。
 (1)では、教員採用選考名簿登載者数、期限付任用教員名簿登載者数、その内訳として、四月一日の任用数、四月二日から三十日までの任用数、五月以降の任用数につきまして、年度別に記載してございます。
 (2)では、期限付任用教員名簿登載者のうち、五月一日までに任用のあった者の教員採用選考の受験者数、翌年度の名簿登載者数、合格率について、年度別に記載してございます。
 一一ページをご覧ください。10、東京二〇二〇大会に関する事業と予算額の推移でございます。
 オリンピック・パラリンピック教育を推進するための五つの事業につきまして、予算額につきまして年度別に記載してございます。
 一二ページをご覧ください。11、都内小中学校及び都立高校、特別支援学校における標準法定数と標準法に根拠を持つ都の定数の推移でございます。
 各年度における副校長、養護教諭、学校栄養職員等、寄宿舎指導員、一般事務及び進路指導担当、特別支援教育コーディネーターそれぞれの標準法定数と標準法に根拠を持つ都の定数につきまして、校種別に記載してございます。
 一三ページをご覧ください。12、都内公立学校の産休、育休代替教職員及び時間講師の採用候補者名簿登載者数と任用人数でございます。
 (1)では、産休、育休代替教職員について、令和二年度における採用候補者名簿登載者数等と任用人数を記載してございます。
 また、(2)では、時間講師につきまして、平成二十九年度から令和三年度までの状況を同様に記載してございます。
 一四ページをご覧ください。13、都内公立学校における新型コロナウイルス感染症への感染が判明した学校数及び人数の状況でございます。
 令和二年度は令和二年六月一日から令和三年三月三十一日までの、令和三年度は令和三年四月一日から令和四年二月二十八日までの学校数及び人数について、校種別にそれぞれ記載してございます。
 一五ページをご覧ください。14、都内公立学校における都独自のPCR検査活用実績、教職員の定期検査実施状況でございます。
 (1)では、令和三年九月一日から令和四年二月二十八日までの都独自のPCR検査の各学校数と検査数につきまして、校種別にそれぞれ記載してございます。
 また、一六ページの(2)では、令和四年二月七日から同月の二十八日までの教職員の抗原定性検査の定期検査実施状況につきまして、校種別等にそれぞれ記載してございます。
 一七ページをご覧ください。15、都内公立小中高等学校の自殺者数の推移でございます。
 各年度における自殺者数につきまして、校種別にそれぞれ記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○白戸委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○ほっち委員 それでは、質問に入らせていただきます。
 東京都では、様々な事業を展開されております。その中でも、継続して地道に事業を行う、ブラッシュアップをしながらでも、いろいろと続けられている事業もありますし、また、今期、来年度、令和四年度、新しく新規で行う事業など、様々な事業があると思います。
 その中でも、まず初めに、継続をして地道に行っている事業について、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まずは、乳幼児期からの家庭教育の支援についてであります。
 コロナ禍の昨今、学校や職場、家庭において、これまでどおりの活動ができなくなるなど、日常生活に負担や影響が出ています。生活の変化に伴って、生活リズムを保っていくことは、子供の健やかな成長を育む上で重要なことだというふうに考えます。
 来月、四月から、小学校では新入生を迎えて、新たに一年生となる子供のいる家庭では、子供が早く小学校での学校生活になじんで、元気に楽しく学ぶことができるよう願っているというふうに思っています。そのためには、子供が基本的な生活習慣を身につけられるよう、家庭での環境が整えられることが重要というふうに考えます。
 例えば、都教育委員会が発行している「そうだ、やっぱり早起き・早寝」(資料を示す)この冊子になりますけれども、こちらのような冊子が小学校の入学説明会等で配られております。
 私の息子も、今、小学校一年生です。去年、こちらの冊子の方を頂戴してきて、うちの妻と息子がこれをやっていたなというふうなことを気づかせてもらいました。
 それは何でかというと、この中のシールを、まだ小学校に入る前なんですけれども、楽しく、できたね、あれだねといいながらやっている姿を見て、こういうのがあるんだなということを一年前に見させてもらったなというふうな思いで、今、この冊子を見させていただきました。
 こちらの冊子の方も、平成二十年度から継続して地道に発行が続けられているということであります。
 心と体の基礎は乳幼児期に育つともいわれています。子供の健やかな成長を育むためには、基本的な生活習慣のほかにも、乳幼児期からの家庭での教育について、自発的な取組を促したり、親が不安に思っていることなどに関する情報が手に届くよう、地域で支援をしたりすることが大変重要であるというふうに考えます。
 そこでお伺いをいたします。乳幼児期からの家庭教育の支援に関する都教育委員会の取組についてお伺いをいたします。

○小菅地域教育支援部長 都教育委員会は、乳幼児期からの教育が人間形成の基礎を培う重要なものであることから、心身の発達の基礎知識、生活リズム、生活習慣の大切さを保護者に伝えるための情報等をウェブサイトに掲載し、啓発や情報提供を行うとともに、子供の生活習慣確立のための学習教材を、全ての都内公立小学校に入学する保護者を対象に配布し、家庭での活用を働きかけております。
 また、地域において家庭教育支援の取組が効果的に実施されるよう、区市町村の行政職員、幼稚園教諭、保育士、子育て支援団体関係者等を対象として、家庭教育の現代的な課題や子供の発達理解等について学ぶ研修会を開催しており、今年度は、コロナ禍における子供の現状と家庭の支援や、電子メディアと子供の生活リズムをテーマとして実施いたしました。
 令和四年度におきましても、これらの取組が効果的に展開できるよう、関係機関とも連携し、子供の健やかな成長を支援してまいります。

○ほっち委員 地道な活動だというふうに思いますけれども、基本的な、基礎、基本だというふうに思っていますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 また、継続をし、地道に行う事業の一つとして、道徳教育の充実というものがございます。都教育委員会では、道徳教育を充実させるために、都としての道徳教材、道徳教育の教材集を発行しています。優れた教材を学校や家庭でも活用することは、大変大事だというふうに思っています。
 改めて、その取組についてお伺いをいたします。

○藤井指導部長 都教育委員会は、平成二十四年度から都独自の道徳教育教材集を作成し、東京の子供たちの豊かな心を育んでおります。
 教材集には、生命を尊重することや、生きることの喜びやすばらしさ、自然の偉大さなどに関する教材を掲載し、子供たちが様々な生き方を学ぶことができるようにしております。
 また、本教材集を紹介する保護者用リーフレットを作成、配布し、学校だけでなく、家庭でも、保護者と子供が教材の内容について語り合うことができるよう工夫をしております。

○ほっち委員 私は、令和三年第四回定例会におきまして、道徳教育を充実させるためには、教員の指導力向上が欠かせないと考えるということで、都教育委員会の取組を伺う質問をさせていただきました。ご答弁として、教員の指導力を高める取組を進めて、子供たちの豊かな心を育んでいくという答弁をいただきました。
 そこで、改めて、道徳教育における教員の指導力を高めるための都教育委員会の取組についてお伺いをいたします。

○藤井指導部長 都教育委員会は、教員の指導力向上を図るため、指導教諭等の優れた授業から指導の工夫等について学ぶことができる道徳授業力向上セミナーを、毎年、小中学校別に年二回ずつ開催してきました。
 来年度は、セミナーの回数を年三回ずつに増やし、子供の興味、関心を引き出す効果的な指導方法などについて学ぶ機会を充実させてまいります。

○ほっち委員 教材と、指導していただく教員の皆さんの、セミナーを受けていただいて意識を持っていただく。これは教育の基礎だというふうに思っていますので、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
 続いて、命を守る防災教育についてお伺いをさせていただきます。
 (資料を示す)こちらの防災ノート、小学生から中学生、高校生まで、都の教育委員会−−こちらの様式になったのは平成三十年からということでありますけれども、その以前から、いろいろな幾つかの冊子になって、これが一つにまとまって、平成三十年から防災ノートという形で、皆さん、配布をしていただいています。
 子供たちが机上で防災ノートの知識を得ることも大変重要だというふうに考えますけれども、やはりまずは防災体験の施設等々で勉強して学習したりとか、あと、避難所運営を想定した学習を通して実体験、体験的に学んでいくことというものも重要であるというふうに考えます。
 そこで、都教育委員会の見解をお伺いさせていただきます。

○藤井指導部長 児童生徒が災害を身近に感じる体験等を通して、実際に災害が発生したときに適切に判断し、行動できるようにすることが大切でございます。
 都教育委員会は、毎年七月から九月を防災ノート活用促進月間として設定しており、防災ノートでの学習のみならず、都内防災体験施設等の活用を促しております。これらの施設では、VRで災害を疑似体験でき、地震や風水害が発生したときの具体的な対応等を学んでおります。
 今後、これらの取組に加え、地域防災力をさらに強化するために、中学生を対象とした避難所運営の疑似体験講座を新たに実施するなど、防災について体験的に学ぶ機会の充実を図り、児童の命を守る実践的な力を高めてまいります。

○ほっち委員 今のご答弁にもありましたけれども、七月、九月というのは、この防災ノートの活用促進月間ということで、実際、夏休みには、このノートを持って体験の施設に行きましょうという形で、このノートも頂けませんかというような問合せを、都教委の方にも、また学校の方にもいただいているというふうにお伺いをしています。
 そこで、防災について、どこででもタブレット上で学習できることが大切であるというふうに考えますけれども、東京都教育委員会の取組についてお伺いをさせていただきます。

○藤井指導部長 都教育委員会は、一人一台端末の整備の進展に合わせ、これまで冊子で配布していた防災ノートを刷新し、令和四年度から、防災教育デジタル教材、防災ノートを都内全校の児童生徒に配信します。
 防災ノートのデジタル教材化に伴い、写真や文字等の拡大、関係動画の視聴などの機能を加えて、一人一台端末を活用して効果的に学習できるようにしてまいります。
 今後、このデジタル教材を授業や家庭での学習で活用するよう促し、児童生徒が様々な機会に防災について学べるようにしてまいります。

○ほっち委員 今のご答弁にもあるとおり、今、一人一台端末になっていますので、これを生かしていただきながら、やはり子供たちに、自分の命は自分で守るんだという意識をしっかりと持ってもらえるようにしてもらいたいなと。
 あとは、机上で学ぶだけではなくて、やはり体験をして、こういうときにはこんな危険があるんだということをしっかり子供たちが認識できるように、そのような教育環境をつくっていってほしいなというふうに要望させていただきます。
 続きまして、子供を笑顔にするプロジェクト、こちらは新規の事業というふうにお聞きをしております。
 来年度実施に向けて、現在、意向調査を行っているというふうに聞いていますけれども、どのような意向調査を行っているのか。また、今後はどのように進めていくのか、お伺いをいたします。

○藤井指導部長 意向調査では、学校のニーズを把握するために、スポーツや芸術等の参加するテーマや実施する日程について希望を尋ねております。また、多くの学校の希望に沿えるよう、複数の案の回答をお願いしております。
 今後は、その調査結果を踏まえ、多様なプログラムを作成し、その内容が伝わるよう周知に努めてまいります。
 実施に当たっては、より多くの学校が参加できるよう、日程調整なども丁寧に行い、子供たちの思い出に残る機会を提供してまいります。

○ほっち委員 こちらの事業なんですけれども、やはり各学校で年間の予定表というものを策定しているというふうに思います。それもあって、多分、都の方も、できるだけ意向を聞いていっていただけるような形で融通を利かせようというふうな努力をされているのは重々理解はできるのですけれども、私としては、もうちょっとその計画を早めにやって、そして、学校側が自分たちの予定を変更はしないにもかかわらず、ぎゅうぎゅうに詰め込まないような状況、スケジュールを取っていただけたらよかったのかなというふうに、私自身、少し感じるところもありますので、そこら辺も注意していただきながらやっていただきたいというふうに思っています。
 また、コロナ禍にあって、昨年の東京二〇二〇大会で子供たちの観戦は一部に限られたり、また、運動会の中止ですとか、運動会の内容等々も、縮小して運動会を開催するような形で、子供たちがスポーツに触れる機会というのが減っているというふうに私自身感じています。
 子供たちの健全な成長を考えると、子供たちがスポーツに触れる機会が重要というふうに考えています。
 このプロジェクトでは、テーマの一つとしてスポーツが挙げられておりますけれども、どのような取組が想定されているのか、お伺いをさせていただきます。

○藤井指導部長 今後作成するプログラムにおいては、文化やスポーツなど、レガシーの視点を踏まえ、関係団体と連携を図りながら多様なプログラムとしていくことを検討してまいります。
 スポーツ分野においては、仲間と共に、スポーツ観戦や、パラスポーツなどのする、見るなどの体験を通して、友達との一体感や連帯感を感じられるものになるよう検討を行ってまいります。

○ほっち委員 スポーツに限らず、文化、全て、いろんなことをやっていくというふうなことは理解できます。できたら、子供たちが今のこのコロナ禍の中でも、みんなであのとき、あれ行ったね、あそこ行ったね、あそこで楽しかったねと、本当にこのプロジェクトの言葉のとおり、子供が笑顔で、あのときよかったねと思っていただけるような、本当に記憶に残るようなプロジェクトにしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 続いて、ヤングケアラーについてお伺いをさせていただきます。
 学校におけるヤングケアラーへの支援については、気づくことに加えて、関係機関につなぐことを重視すべきと考えています。
 東京都教育委員会の見解をお伺いさせていただきます。

○藤井指導部長 学校においては、ヤングケアラーなど、家庭の状況を要因とする子供が抱える課題を早期に発見するとともに、関係機関と連携して解決に導いていくことが重要でございます。
 そのため、教員は、子供の生活リズムの乱れ、服装や忘れ物の状態等の変化を捉え、支援が必要な場合には、スクールソーシャルワーカー等を活用して、家庭の状況を把握した上で福祉等への適切な支援につなげてまいります。

○ほっち委員 学校において適切な関係機関につなぐを強化するために、教育と福祉のつなぎ役であるスクールソーシャルワーカーの小中学校への配置を支援する取組を強化していくべきと考えますが、都教育委員会の今後の取組について、次に伺います。

○藤井指導部長 都教育委員会は、ヤングケアラーなどの子供が抱える課題に対応するため、区市町村教育委員会がスクールソーシャルワーカーを活用できるよう、その配置に係る経費を支援しております。
 今後、スクールソーシャルワーカーの学校や家庭を訪問するなどの活動時間を増やす区市町村への補助を拡充することにより、学校が子供たちの小さな変化を早期に発見し、速やかに専門家と連携した支援を開始できるよう、体制を強化してまいります。

○ほっち委員 また、都立学校に派遣をするユースソーシャルワーカーの専門性を強化するとしていますが、都教育委員会は具体的にどのような取組を進めていくのか、お伺いをいたします。

○小菅地域教育支援部長 ヤングケアラーへの対応は、家庭内のデリケートな問題であること、本人や家族に自覚がないといった理由から、支援が必要であっても、表面化しにくいため、支援が届きにくいという課題があります。
 都教育委員会としましては、こうした生徒たちへの支援の充実を図るため、来年度から、福祉や精神保健分野に専門的な知識を有し、生徒たちの気持ちに寄り添い、生徒のニーズを着実に把握できる豊富な支援実績を有するユースソーシャルワーカー主任の増員を図ってまいります。

○ほっち委員 今いただいた答弁から、小学校、中学校ではスクールソーシャルワーカーの量を増やす、そしてまた、都立学校では、今度はユースソーシャルワーカーの質の向上を行うということで、しっかりと取り組んでいただきたいと思うと同時に、先ほどもありましたけれども、今、教育と福祉の連携ということが、多分、学校教育の現場では大事だというふうに強く思っておりますので、しっかりとした連携を取っていただきながら、誰一人も取り残さないような形で行っていただきたいなというふうに思います。
 続いて、子供の体力強化、また、スポーツ部活動強化についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 東京の子供たちの体力は、体力が一番高かった昭和六十年頃と比べると、低い状況が続いています。
 現在、都は、六月に体力テストを実施して、翌年の一月に各学校に結果を返しているというふうに聞いています。
 より短期間に集計をし、その結果を体育の授業等々の改善に役立てる必要があるというふうに考えますが、都教育委員会の今後の見解についてお伺いをさせていただきます。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、子供たちの体力を向上させるため、平成二十三年度から東京都統一体力テストを実施し、その調査結果を踏まえ、学校における体育の授業改善を図るとともに、休み時間の運動遊び等の活動や部活動の充実を図ってまいりました。
 今後、児童生徒に一人一台端末が配備されることも踏まえ、体力テストのデジタル化を進め、集計までの時間の短縮を図るとともに、各学校において体力テストの結果を分析できるシステムを開発することにより、子供たち一人一人の力を最大限伸ばす個別最適な学びを実現し、体力向上を図ってまいります。

○ほっち委員 ありがとうございます。
 また、現在、子供たちの体力が、できる子とできない子、二極化しているというふうにいわれています。
 そこで、運動が苦手な生徒も含めた都立高校生の体力を高める、よくゆる部活ともいわれているそうですけれども、取組について、これまでの成果と今後の取組をお伺いいたします。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、運動が苦手な生徒に着目し、生徒の多様なニーズに応える運動機会を設け、生涯にわたって健康を保持増進できる資質、能力を高めることを目的に、令和二年度から、エンジョイスポーツプロジェクトモデル事業を都立高校二校で実施してまいりました。
 指定校では、ヨガやダブルダッチなど、誰でも楽しみながら取り組める運動を取り入れたことにより、運動への興味、関心が高まった、また、運動が楽しいと思う生徒が増えたなどの報告がございました。
 来年度は新たに、指定校として六校を指定し、引き続き生徒の実態に応じた体力を高める取組の充実を図ってまいります。

○ほっち委員 実際、運動が苦手な方の話を聞きますと、走るのも嫌だとか、動くのは嫌だという人はいないのですけれども、やはり体育の授業が本当に嫌だったという人も結構いらっしゃいます。今回のこの取組は、新しい取組だなというふうに思うと同時に、やはり苦手な方がしっかりと取り組めるような、間口を広く取っていただいて、いろんな可能性を持っている都立高校生ですから、体力向上はもちろんですし、様々な体験を−−逆に私は、スポーツだけにこだわらず、文化的なこともやってもいいのかなというふうに思っていますので、ゆる部活という枠でいけば、スポーツだけじゃなくて、文化も入れて、できるだけみんなが楽しんでもらえるようなこともしていただきたいなというふうに思います。
 次に、体育の授業等においても、学び方、教え方の転換を図り、個別最適な学びを実現するべきというふうに考えます。
 東京都教育委員会の今後の取組をお伺いいたします。

○瀧沢指導推進担当部長 個別最適な学びを実現するためには、一人一台端末を活用し、子供たちが自らの課題を解決することができるよう、体育授業等の改善が必要でございます。
 来年度、都教育委員会は、幼稚園、小中高等学校及び特別支援学校の全ての校種において、推進校三十校を二年間指定し、デジタル技術を活用した体育の指導法について研究開発をしてまいります。
 また、研究成果について、授業の公開や研究発表会等を実施することを通して、他校への普及啓発をしてまいります。

○ほっち委員 全ての校種でこの推進校をつくってやっていくということでありますので、それぞれで新しい発見というか、新しいデータというのが出てくると思いますので、できるだけそれをいろんな方に周知をしていただいて、東京都全体の子供たちが、みんながレベルアップするように取り組んでいただきたいというふうに思います。
 続いて、スポーツ部活動の強化についてお伺いをさせていただきます。
 来年度、科学的トレーニングの積極的な導入と効果的な活動を推進することを目的に、Sport-Science Promotion Clubとして新たに運動部活動を指定すると聞いています。
 そこで、科学的トレーニングの具体的な取組についてお伺いをさせていただきます。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、令和四年度から、Sport-Science Promotion Clubで指定した運動部活動の全生徒を対象に、コンディションを管理するアプリを活用することにより、疲労度など、日々、変化するデータを蓄積、分析できるようにし、けがの未然防止を図ってまいります。
 また、屋外競技においては、運動中にGPSを活用することにより、運動量、スピード、加速度等のデータを戦術の立案に生かすなど、効率的な練習を検証してまいります。
 さらに、希望する部活動にスポーツアナリストやスポーツ栄養士、フィジカルトレーナーなどのスペシャリストを派遣し、スポーツ医科学に基づく多角的な指導体制を構築してまいります。
 これらの取組を通して効率的、効果的な活動を推進し、指定した運動部活動のさらなる競技力の向上を図ってまいります。

○ほっち委員 このスポーツ部活動の強化については、私自身、さきの定例会においても要望をさせていただきました。やはり、都立高校でも、しっかりと上を目指せば目指せるんだ、全国大会に出られるんだというふうな形で、しっかりと強くするんだという思いを教育委員会の中でも持っていただいて、しっかりとレベルアップを図っていただきたいなというふうに要望をさせていただきたいと思います。
 また、次年度以降の体力向上施策における様々な取組について効果が期待されておりますけれども、そこで、これらの実践や成果を、より教員や多くの都民に発信していくことが重要になるというふうに考えます。皆さんがやっていらっしゃるこういう政策がしっかりと前に、都民の皆さんにも、こうやっていって、都立高校なり、区市町村の小中学校の子供たちが動いているんですよ、活動しているんですよということを広く知っていただきたいなというふうに思っています。
 それについて、東京都教育委員会の取組についてお伺いをしたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 来年度、体力向上施策に関わる各事業の活動内容や成果を報告書や発表会などで周知するとともに、いつでもどこでも情報を入手できる情報発信ツール、体育健康教育ポータルサイトを開設し、指定校、部の先進的な取組事例や成果などを掲載することにより、教員や、より多くの都民に情報提供をしてまいります。

○ほっち委員 ありがとうございました。しっかりと周知徹底をしていただきたいというふうに思います。
 続いて、都立工業高校の改革についてお伺いをさせていただきます。
 都教育委員会では、都立工業高校の改革について、昨年十一月に新たなプロジェクトの中間まとめを公表し、その後、パブリックコメントを経て、二月にプロジェクトを取りまとめ、策定をしました。
 まず初めに、パブリックコメントではどのような意見があったのか、お伺いをさせていただきます。

○佐藤教育改革推進担当部長 Society五・〇を支える工業高校の実現に向けた戦略プロジェクトの中間まとめでは、社会からの期待に応える工業高校の将来像とその実現に向け、推進すべき施策を公表いたしました。
 中間まとめに対しまして、都民からは、DXやITなど、時代の流れを機敏にキャッチしつつも、そこに必要な人材の育成方針を発信してほしい、学び続ける力、チームで働く力などのヒューマンスキルを育成してほしい、世界最先端の産業機械や技術を学ぶ機会を検討してほしい、工業高校の実習設備の近代化を進めてほしいなどのご意見が寄せられました。

○ほっち委員 これまでの本会議などで、我が会派からの質問に対する答弁からは、今後、工業高校では、産業界の変化にも対応した先端分野の技術の学習の導入や、生徒が実社会との結びつきを実感しながら、意欲や探求心を高める教育活動の充実なども図りながら、これからの時代にふさわしい、多くの生徒に選ばれる工業高校を実現していくとのことでありました。
 こうした工業高校を実現するためには、都民からの意見にもあったように、方針を打ち出すだけではなくて、しっかりと発信をし、都民、産業界からの理解を得ていくことが必要であります。
 都教育委員会の見解をお伺いいたします。

○佐藤教育改革推進担当部長 本プロジェクトにつきましては、中間まとめを公表した後、区市町村教育委員会、工業高校のPTA関係者、産業団体等に説明を行い、都立工業高校の将来像や今後の施策等について理解を促進してまいりました。
 今後、小中学生やその保護者等を対象として、生徒による作品などの展示や、ものづくり、実験等のワークショップを開催するほか、動画等を作成、配信したり、企業などにも工業高校の取組を紹介するなど、工業高校の特色ある教育内容や充実した進路など、その魅力等の発信強化にも取り組んでまいります。

○ほっち委員 また、意見の中では、工業高校の実習設備の近代化を進めてほしいという意見もありました。実際、工業高校では、高額な実習設備も多くて、なかなか更新が進まずに老朽化が進んでいくという現状もあるというふうに聞いております。
 産業界で技術革新が進んでいく中、工業高校の実習環境も充実させていくということは重要であります。
 どのように今後充実をさせていくのか、見解をお伺いいたします。

○佐藤教育改革推進担当部長 近年、技術革新に伴い、産業界ではDXが推進されております。工業高校では、産業界で活躍する人材を育成するため、こうした社会変化にも迅速に対応し、産業界の実情に即して教育内容や環境を充実させる必要がございます。
 このため、都立工業高校においては、実習等に必要な設備更新を拡充し、産業用ロボットや電動自動車、3D技術を活用した測量システムや製作の機材など、最新の実習設備の導入を進めるとともに、企業等からの協力も得ながら効果的な活用方法等を研究し、実習環境の充実を図ってまいります。

○ほっち委員 企業等とも連携を取っていただきながら、様々なニーズに応えられる都立高校として、選ばれる工業高校になるように要望をさせていただきます。
 続きまして、特別支援教育についてお伺いをさせていただきます。
 先日の予算特別委員会の一般質問で、我が党の小松都議からも質問をしたとおり、特別支援学校に対する都民のニーズは高まっており、特別支援学校の教室不足の解消に向け、一層の取組を進め、教育環境を整備していくことが重要であります。
 そこで、文部科学省実施の教室不足調査の結果によると、令和元年度における都の不足教室数は二百六教室でありました。令和三年度調査では五百十四教室に増えています。
 不足教室数が増加した理由について、まずお伺いをさせていただきます。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 これまで文部科学省が実施してきた特別支援学校の教室不足調査では、普通教室を間仕切りした教室数が公表されてきましたが、今回の調査では、特別支援教室等から普通教室に転用した教室数も加えて公表することとなりました。
 都教育委員会では、児童生徒数の増加に対応するため、計画的に学校の新設や校舎の増改築等に取り組んでおり、前回の調査と同じ方法で不足教室数とされる数を算定した場合、令和元年度の二百六教室に対して、令和三年度は百九十教室となります。

○ほっち委員 今の答弁をいただきますと、この間も教室の整備に取り組んできたということでありますけれども、教室不足の解消に向けて、今後どのようにさらに取り組んでいくのか、改めてお伺いをさせていただきます。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、現在、特別支援学校の新設などに向けた工事等を進めており、令和九年度までに四校の新設と五校の増改築等を行う予定でございます。
 また、これらの学校以外にも新設等を検討しており、今後、全都的な学校配置のバランスや、必要な施設を設置するための面積、周辺道路の状況等を勘案し、関係自治体などとも調整の上、設置場所を決定してまいります。

○ほっち委員 都市部では、学校用地を探すこと、大きい敷地を探すことはなかなか難しいというふうに思いますけれども、特別支援学校の教室不足の解消というのは重要な課題であるというふうに思います。速やかに整備を進めていただくよう要望して、次の質問に入ります。
 特別支援学校においては、教育環境の整備とともに、教育内容の充実も重要であります。
 障害の状態等に伴う学びにくさは多様かつ個人差が大きく、障害に伴う困難さを軽減し、子供たちの学びを充実させるためにはデジタルの活用が有効であります。このため、我が党ではこれまで、定例会などにおいてデジタルを活用した教育について取り上げてまいりました。
 そこで、令和四年度から、都立特別支援学校の高等部においても一人一台端末の環境が順次整う中、この端末をしっかりと活用できるようにしていくことが重要であるというふうに考えます。
 そこで、高等部の一人一台端末の活用に向けた方策についてお伺いをいたします。

○藤井指導部長 都教育委員会は、端末を効果的に活用する方策を検討するため、外部有識者と都立特別支援学校の教員で構成する検討委員会と、端末の活用を実践する研究指定校を新たに設置いたします。
 検討委員会は、新しい学習指導要領に基づき、インターネットによる調べ学習や、芸術系の教科における創作活動など、端末を活用しながら学んでいくことが適している内容を検討いたします。
 指定校は、生徒の障害の状態に応じて、端末と支援機器を組み合わせながら、これらの内容について効果的な指導を行うための方法を研究してまいります。
 このような取組の成果を各学校に周知し、高等部における一人一台端末を効果的に活用できるようにしてまいります。

○ほっち委員 一人一台端末は、実際にデジタル教材を操作できるようになり、子供たちの興味、関心を高めるなど、知的障害のある児童生徒の学習に効果があるというふうに考えます。
 都教育委員会は、知的障害のある児童生徒に向けた学習用デジタル教材を独自に開発していくというふうに聞いておりますけれども、そこで、この教材の開発について、令和四年度はどのような取組を行う予定であるのか、お伺いをいたします。

○藤井指導部長 都教育委員会は、文部科学省が発行している教科書に準拠した、知的障害のある児童生徒の学習用デジタル教材を開発してまいります。
 そのために、外部の有識者と教員により構成する検討委員会を設置し、小学部の算数の教科書を分析して、デジタル教材にするための検討を行うこととしております。その後、外部事業者と連携しながら、年度内にデジタル教材を完成させてまいります。

○ほっち委員 ありがとうございます。
 続いて、我が党の第四回定例会代表質問において、視覚障害のある児童生徒がデジタルを活用するに当たっては、アプリケーションの導入や支援機器の整備が不可欠であり、これらを活用した指導法の研究や開発に取り組んでいくというふうに聞いています。
 そこで、都立盲学校において、デジタルを活用した指導の充実をどのように図っていくのか、お伺いをいたします。

○藤井指導部長 都立盲学校においてデジタルを活用した指導を進めていくために、点字による学習が必要な児童生徒の在籍者数に合わせ、今年度、点字ディスプレーの整備を完了させております。
 来年度、盲学校四校の中から研究指定校を決定するとともに、視覚障害のある児童生徒のデジタル活用に詳しい専門家を助言者として迎え、事業研究を実施いたします。この事業研究では、端末の画面を見やすくできるアプリケーションや点字ディスプレーを活用しながら、紙の教科書と学習者用デジタル教科書を併用する際の効果的な指導方法を研究開発してまいります。
 都教育委員会は、研究開発の成果を他の都立盲学校に普及し、デジタルを活用した指導の充実を図ってまいります。

○ほっち委員 ありがとうございます。
 また、聴覚障害のある児童生徒に対しては、都立聴覚障害特別支援学校において、デジタル式の集団補聴システムと音声文字変換ソフトを導入し、情報保障の充実を図るというふうに聞いております。
 聴覚障害のある児童生徒にとって、聞こえの支援は大変重要であります。
 情報保障のデジタル化はスピード感を持って進めるべきと考えますが、今後、どのように支援を充実していくのか、お伺いをいたします。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 デジタル式の集団補聴システムについては、令和四年度に開校する立川学園で四月からの使用を予定しています。ほかの都立聴覚障害特別支援学校三校においても、各校の状況を踏まえながら、令和四年度中に整備を行う予定でございます。
 また、音声文字変換ソフトについては、令和四年度当初から都立聴覚障害特別支援学校全校で利用できるよう、整備を進めているところです。
 今後とも、児童生徒一人一人の障害の状態に応じた適切な情報保障の実現に取り組んでまいります。

○ほっち委員 ありがとうございます。
 次に、中学校における言語障害に関する通級についてお伺いをいたします。
 子供たちは、一人一人の障害の状況に応じて適切に支援することというのは大切であります。先日の予算特別委員会一般質問にて、吃音のある中学生への支援について、我が党から質問をさせていただきました。英語スピーキングテストを機に、吃音のある中学生や保護者から支援の充実を求める声が上がっております。
 そこで、都では、中学校の言語障害に関する通級が設置されていないのはなぜか。通級の設置も含め、区市町村のニーズを把握した支援を検討すべきと考えますが、見解を伺います。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 都における言語障害の指導は、小学校では、在籍する学級とは別の場に通う通級指導学級により行われております。しかしながら、これまで中学校では通級による指導は行われておりません。
 小学校では、学年が進行する中で、困難さの改善や対処法の習得が進み、多くの児童が在学中に通級による指導を終了しています。
 中学校では、教科担任制となり、学習内容に専門性が増すこと等から、在籍する学級において、各教科の担任が連携し、個々の場面での配慮により困難さを軽減する取組が行われております。
 吃音等の言語障害は、生徒一人一人によって状態が異なり、必要な支援も多様であるため、今後、中学校における適切な支援の在り方について、区市町村教育委員会のニーズを把握してまいります。

○ほっち委員 先日の予算特別委員会の総括質疑の場において、区市町村教育委員会に啓発資料を配布したとの答弁がありました。吃音に対する理解、啓発については継続的に行っていくことが重要であるというふうに考えますが、学校によっては配布が十分ではなかったというふうな声も一部で聞かれております。
 そこで、周知を強化し、理解、啓発を進めるため、都教育委員会の今後の取組についてお伺いをいたします。

○藤井指導部長 吃音のある生徒への支援の充実に向けては、中学校に対して、思春期の吃音の特徴や生徒の不安の心情の理解等を促すことが重要でございます。
 これまで都教育委員会は、区市町村教育委員会に対して、教員向けの啓発資料を配布し、所管の中学校への理解、啓発に活用するよう依頼してまいりました。
 今後は、新たに、中学校長会やスクールカウンセラー対象の研修会において、生徒が話しやすい環境を整えるための工夫について説明を行い、都内中学校での吃音に対する理解、啓発を一層促進してまいります。

○ほっち委員 通級により授業等を抜けることには負担もあって、在籍する学級において支援がなされてきた状況については理解ができるものであります。今後の支援の在り方については、改めて区市町村とも連携をし、また、保護者の声も丁寧に聞き取っていただきたいというふうに思います。また、中学校に対する理解、啓発についても取組を強化していっていただきたいというふうに要望して、次の質問に入ります。
 次に、障害のある子供たちに対する芸術教育の推進についてお伺いをさせていただきます。
 障害のある子供たちの可能性を伸ばすためには、芸術的能力の発掘と伸長が重要であります。芸術教育においても、時代の流れに合わせてデジタルを活用していくべきであると考えます。
 そこで、障害のある子供たちの芸術教育の充実を図る上では、一人一台端末を芸術教育の拡充にも活用できるものと考えますが、都教育委員会の今後の取組についてお伺いをいたします。

○藤井指導部長 一人一台端末の整備により、児童生徒が写真や映像を撮影することが容易になっております。都教育委員会が開催している障害のある児童生徒の芸術作品を展示する東京都特別支援学校アートプロジェクト展においても、写真作品が出品されるようになってきております。
 そこで、来年度、都立特別支援学校三校を指定し、写真や映像等のデジタル表現に関する指導内容や指導方法の研究開発事業を実施することといたしました。指定校は、芸術系の専門学校等から講師を招聘し、連携して図画工作や美術の授業研究に取り組むことにしております。
 また、研究開発の成果について、他の都立特別支援学校に普及を図り、児童生徒の可能性を広げる芸術教育を推進してまいります。

○ほっち委員 毎年実施されている東京都特別支援学校アートプロジェクト展の子供の作品についてですが、アートプロジェクト展の開催期間以外も障害者アートの理解促進に活用すべきというふうに考えますが、都教育委員会の今後の取組をお伺いいたします。

○藤井指導部長 平成二十八年度以降、アートプロジェクト展に展示した作品を都立特別支援学校のスクールバスの車体に掲載し、ラッピングバスとして運行することにより、障害のある児童生徒が創作する芸術作品の魅力を広く知らせてまいりました。
 今後は、ラッピングバスの運行に加え、インターネット上に新しくホームページを立ち上げて作品を掲載し、その魅力をさらに広く発信することといたしました。
 これらの取組を通して、障害者アートに対する都民の理解を一層推進してまいります。

○ほっち委員 ラッピングバスですね、私もよく見かけさせていただいています。ああいうものをできるだけ、子供たちが描いたものを広く都民の皆さんに見ていただいて、こういう子たちも頑張っているよということをしっかりとアピールしていただきたいなというふうに思います。
 続いて、スクールカウンセラーについてお伺いをさせていただきます。
 特別支援学校にスクールカウンセラーを今後新たに配置するモデル事業を実施して、特別支援学校の生徒の不安や悩みのカウンセリングをすることになるというふうに思います。
 特別支援学校の生徒の特性に応じた専門性が必要なのではないかというふうに考えますが、東京都教育委員会の見解をお伺いいたします。

○藤井指導部長 本モデル事業では、障害の程度の軽い生徒が多く在籍している知的障害特別支援学校高等部の就業技術科及び職能開発科と、高等部を設置する聴覚障害特別支援学校にスクールカウンセラーを配置いたします。
 知的障害及び聴覚障害のある生徒へのカウンセリングを実施するには、思春期の生徒の心情の理解に加え、障害の状態に応じた分かりやすい言葉遣いや表現が必要となってまいります。
 さらに、生徒自身が不安な気持ちを的確に表現できない場合もあることから、生徒の特性を十分に把握した上で推察することも求められます。
 このモデル事業により、特別支援学校に配置するスクールカウンセラーに求められる専門性を研究してまいります。

○ほっち委員 今までいただいた答弁をお聞きしますと、様々な問題意識を持って取り組んでいただいているということは十分理解ができました。引き続いて、特別支援教育の着実な推進に向け、全力を挙げて取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。
 続いて、東京都の英語教育についてお伺いをさせていただきます。
 DXに対応した英語教育の推進についてであります。
 このたび東京都教育委員会が新たに構築をする英語学習教材についての情報を提供するウェブサイト、この狙いをお伺いさせていただきます。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、来年度、東京における先進的で多様な英語教育の取組を紹介する新たなウェブサイトとして、Tokyo GLOBAL Student Naviを開設いたします。
 本ウェブサイトは、多様なコンテンツの中から、利用者一人一人の英語の習熟の程度や興味、関心に応じたオンライン教材や情報サイトへとご案内をいたします。
 これにより、都の英語教育に係る取組の認知度を高めるとともに、デジタル機器を効果的に使った学びを促進してまいります。

○ほっち委員 続きまして、今、答弁にありましたウェブサイト、Tokyo GLOBAL Student Navi、こちらの特徴についてお伺いをさせていただきます。

○瀧沢指導推進担当部長 本ウェブサイトは、ワンストップサービスを提供するポータルサイトであり、利用者が知りたい情報や教材に容易にアクセスすることができるようになっております。
 また、多様な動画コンテンツを通じて生きた英語を学ぶ機会や、オンライン上に英語で議論する場を設定することで、いつでもどこでも主体的に英語を使う場面を創出してまいります。
 さらに、東京ならではのリソースや、都教育委員会が持つ海外の教育行政機関とのネットワークなどを活用し、多様な人々と交流する機会を提供してまいります。
 児童生徒が一人一台端末により、こうした学びの場を活用し、主体的に英語学習に取り組めるよう支援してまいります。

○ほっち委員 今お話しいただいた以外にも、様々な英語教育に対して取り組んでいらっしゃるということは理解しております。どうか東京都の英語教育がさらに前進することを皆さんに要望して、次の質問に移ります。
 続いて、外国人の子供に対する取組についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 令和二年十月時点に、日本で就労する外国人は約百七十二万人と過去最高を記録しております。現在はコロナ禍と、コロナでありますけれども、実際、このコロナが終息後、今後も日本で就労する外国人の増加というものが想定をされています。
 こうしたことから、国も、学校における受入れ体制の充実ですとか、きめ細かな日本語指導の充実に取り組む方針を打ち出しております。
 直接、外国人の子供を受け入れているのは区市町村でありますけれども、この区市町村に対して、東京都はどのように取り組んでいくのか。また、日本語指導の充実を図るための取組について、東京都はどのように取り組んでいくのか、お伺いをさせていただきます。

○小菅地域教育支援部長 都教育委員会はこれまで、区市町村教育委員会が行う日本語の理解が十分でない子供への通訳者の派遣をはじめとした、学校生活を送る上で必要な取組に関する経費について支援を行ってきました。
 来年度は、就学していない子供を学校につなぐため、就学状況の把握や連絡など、区市町村が多様な関係者と連携して取り組む経費について新たに支援してまいります。
 また、令和二年度に日本語指導の充実に関する映像教材を作成し、都内全公立学校に配布して授業で活用できるようにしました。
 来年度、この教材をインターネット上で再生できるようにすることで、児童生徒が一人一台端末を利用し、日本語の習得状況に合わせた学習を効果的に行うとともに、家庭等において繰り返し学習できるよう支援してまいります。

○ほっち委員 こちらの方、小学校に入っていらっしゃる外国人の方たちは、まだいいです。でも、その前の、入る前の方たちへのアプローチということをしっかりと取り組んでいただきたいと思います。区市町村への支援、また、デジタル化で家庭においての学習支援、しっかりとこの二つで取り組んでいっていただきたいというふうに思います。
 最後に、学校の働き方改革を進めるための外部人材についてお伺いをさせていただきます。
 東京都教育委員会ではこれまでも、学校現場で多くの外部人材を活用してまいりましたが、その中で、配布物の印刷や授業準備の支援等といった、必ずしも教員でなくてもできる業務を教員に代わって行うスクールサポートスタッフの配置支援に約三十億円の予算が計上されております。
 この取組は、今年度、五十四の区市町村教育委員会で活用されているということでありますけれども、令和二年度の執行率は六五・七%と低い結果であります。
 これには様々な原因があるというふうに思いますけれども、そこで、この取組を効果のあるものとするためには、都教育委員会がまずは課題を把握し、区市町村教育委員会が使いやすいものとすべきだというふうに思いますが、東京都教育委員会の見解を伺います。

○浅野人事部長 都教育委員会は、各学校においてスタッフの活用が一層進むよう、例えば、複数のスタッフを組み合わせて活用できることや、学期初めの繁忙期に増員ができることなどを区市町村教育委員会に説明するとともに、来年度から報酬単価の引上げを行います。
 さらに、先進的な取組を活用事例集等で周知していくとともに、学校現場の意見を聞きながら、本事業がより一層活用されるよう取り組んでまいります。

○ほっち委員 今回、さらに報酬単価の引上げ等々も行っていくというふうに、今ご答弁いただきました。しっかりと周知をしていただきながら−−区市町村の方にまずは使ってもらわないと全く意味がないことでございますので、しっかりと周知をしていただいて、常に使いやすいようにブラッシュアップもしていただきながら前に進めていっていただきたいというふうに思います。
 次に、副校長に集中する業務負担の軽減を図るため、副校長業務を補佐する支援員を配置する学校への支援についてお伺いをさせていただきます。
 この取組は、来年度から、全体の約半数になります支援員の配置校を拡大するということでありますけれども、支援員の確保が課題ではないのかというふうに考えます。
 そこで、支援員の確保という課題に対して、都教育委員会はどのような取組を行っているのか、見解をお伺いいたします。

○浅野人事部長 区市町村教育委員会においては、支援員を採用するに当たり、元副校長などの学校勤務経験者を求める傾向がございます。
 このため、都教育委員会では、支援員のさらなる円滑な確保のため、学校勤務経験者以外の活用例を周知しております。
 具体的には、民間企業を経験した方の知識等を副校長の調査業務や外部との連絡調整等に生かすなど、様々な人材が効果的に活用できる事例を紹介しております。
 また、そうした人材の確保に向けて、東京学校支援機構、TEPROの活用を促しております。

○ほっち委員 この事業は、実際、小中学校では五百六十九校から八百九十四校、また、都立学校においても四十六校から百三十四校に拡大をしていくという事業であります。
 実際にこれを使っていらっしゃるところからの声だと、副校長先生経験者の方とか校長先生経験者の方がこの支援事業−−教育等々で事前に研修で、教育委員会の方からも、こういう業務ですよということもしっかりお話はしていただいているのですけれども、自分よりも経験がある方が自分の補佐をしていただくということで、多少、やっぱり気を遣わなきゃいけないとか、ちょっとスムーズに進まない部分もあるやに聞いておりますので、できるだけ円滑に進むように取り組んでいただきたいというふうに思います。
 続いて、次に、社会の力活用事業についてお伺いをさせていただきます。
 この取組は、子供に夢と希望を与えることができる授業が行われることが期待ができるという一方で、教員免許を持たない外部の人材に、小学校に対する授業を一人で任せることをためらう学校もあるのではないかというふうに考えます。
 また、区市町村においても、どういう手続を行ったらよいのか、また、どのような効果があるのか分からないということもあるのではないでしょうか。
 こうした懸念を払拭し、専門性が高い外部人材の活用をさらに広げるための取組について、都教育委員会にお伺いをさせていただきます。

○浅野人事部長 都教育委員会は、学校が専門性の高い人材を安心して活用できるようにするため、授業の進め方などの必要な講座を受講し、学校に勤務するための知識等を身につけた人材を区市町村教育委員会に紹介しております。
 また、紹介された人材が区市町村教育委員会で円滑に任用されるよう、講師の公募から授業開始まで、具体的な事務手続について案内するとともに、こうした人材の授業を通じて得られる学びの効果について紹介しております。

○ほっち委員 この取組は、教員の負担軽減だけではなくて、教育の質の向上にも寄与するものというふうに考えます。本取組を行う学校が増えるように、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 また、来年度から、小学校低学年の担任を支援するため、家庭への連絡文書の作成や、子供の観察や相談対応等も行う副担任を配置する区市町村教育委員会を支援する事業も開始するということであります。この取組も、進めていく上で様々な課題が出てくることが予想されます。これらの課題を放置することなく、区市町村と連携を取りながら、活用が進むよう取り組んでいただくことを最後に要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○内山委員 私からは、外部の人材、また外部の力を活用して、子供たちへの教育力を上げる、または先生方の負担軽減を図る、こういったところに特化をして、少し細かくなる部分もあるかと思いますが、質疑をさせていただきたいというように思っています。
 まず最初に、新規予算として不登校の未然防止に向けた相談体制の強化が挙げられておりまして、学校に通うことができない子供たちへの支援を充実させるために、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの効果的な活用方法について検討を行うものというふうにされています。
 私も、昨年の事務事業のときに、このスクールカウンセラーについては、まず効果測定もしっかりしていかないと、大きな予算ですから、進めようにも、その根拠になるものが脆弱なんじゃないかという指摘をさせていただきました。
 例えば、不登校の未然防止に、このスクールカウンセラーないしはスクールソーシャルワーカーが恐らく有用なんじゃないかというのは、私も何となく分かるんです。しかし、それによって、じゃ、不登校が未然に防止できたというエビデンスが本当にあるのかどうかというと、残念ながら、導入して以降も、不登校というのはどんどん右肩上がりというところもありますので、ここはしっかりと検証しながら、何が足りていて、何が足りていないのかというところも総合的に判断していただきたいということを事務事業質疑で申し上げました。
 その上で、今回、検証していくということでありますので、どのように検証していくのか、お伺いしたいと思います。

○藤井指導部長 スクールカウンセラーについては、現在、一校当たり週一回程度派遣をしているが、予約がいっぱいでなかなか相談ができないことがあるという声もあります。
 こうした現状を踏まえ、都教育委員会は、小中学校四校、都立学校四校において、スクールカウンセラーの勤務日数を増加するモデル事業を実施し、スクールカウンセラーの利用率や相談者の満足度等を調査することにより、適切な派遣回数や活用方法等を検討してまいります。
 また、スクールソーシャルワーカーについては、現在、区市町村がそれぞれの実態に応じて運用しておりますが、十分に支援が行き届くだけの活動時間が確保できていないという声もございます。
 そこで、二つの区市町村において、スクールソーシャルワーカーの活動時間を増加する学校を設定し、児童生徒のアセスメントに必要な時間や、児童生徒を取り巻く環境の改善状況等を調査することにより、効果的な配置形態や活用方法等を検討してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。ぜひ効果検証して、効果的な配置に努めていただきたいなというように思っています。
 もう一方が、スクールソーシャルワーカーも、ある意味、学校と家庭の、福祉と教育の連携のところの配置なんだと思うんですが、学校と家庭の連携推進事業が挙げられている中で、この事業の概要についてお伺いをしたいと思います。
 また、令和四年度はどれくらいの規模で実施する予定なのか、併せてお伺いをいたします。

○藤井指導部長 学校と家庭の連携推進事業の目的は、小中学校において、民生児童委員等の地域の人材が学校と協働して、不登校、いじめや暴力行為等の問題行動、児童虐待等の課題を抱えている児童生徒及びその保護者への支援を行うことにあります。
 具体的には、家庭と子供の支援員が家庭訪問等を行い、児童生徒と保護者の悩みに寄り添いながら課題解決に向けて相談支援を行うなど、学校と家庭のパイプ役を担ってまいります。
 令和二年度は、三十一の自治体、三百八十三校で、令和三年度は、三十四の自治体、三百九十七校で本事業を実施しております。
 令和四年度においては、区市町村等の要請に応じて実施校数を増やし、四百校を超える学校で実施する予定でございます。

○内山委員 ありがとうございます。
 様々な人材の確保というところで申し上げると、そもそも外部人材の活用というのは、前提として、例えば、本来であれば教員を確保したいんだけれども、なかなか確保しづらいというところがあったり、また、スクールカウンセラーとかスクールソーシャルワーカーも、それなりの専門人材ですから、それが無尽蔵にいるわけではないという中で考えれば、この学校と家庭の連携推進事業を担う皆さんというのは、地域に必ず複数いらっしゃる方々ですから、ここを活用していくというのは、私、かなり有用なんじゃないかなと思っています。
 一方で、徐々に、都教委のご努力もあって実施校数が増えてきてはいますが、まだ四百校ということで、全体からすれば五分の一ぐらいということだと思うので、ぜひこちらも鋭意頑張っていただいて、実施校数の方を増やしていけるように頑張っていただきたいなというように思っています。
 続きまして、中学校の部活動指導員と外部指導員についてお伺いをしたいと思います。
 この部活動指導員というのが国の補助事業を活用して行われているということで、実施がされ始めてきました。
 まずは、中学校における部活動指導員のこれまでの成果と課題についてお伺いしたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 部活動指導員は、教員の負担軽減を図るため、技術指導や大会引率などを行うことができる学校職員として位置づけられており、国の補助事業を活用し、令和二年度は、三十六地区の中学校二百八十六校に配置を支援しております。
 その結果、学校からは、教員に代わり、大会引率してもらい、教員の負担が軽減した、生徒がより専門的な指導を受け、意欲が向上したなどの成果が報告されております。
 一方、既に独自の予算で従来の有償ボランティアである外部指導員を配置している、地域のクラブチームなどが少なく、人材確保が困難であるなどの理由で部活動指導員を配置していない地区もございます。

○内山委員 ありがとうございます。
 私、この部活動指導員が配置をされる前から、部活動のそもそもの外部指導員という大きな枠組みの中での指導員の配置についての質疑というのは、事務事業質疑であったり、決特の場であったり、様々な場で、教育庁の皆さんとさせていただいてきたかなというふうに思っています。
 そういった中で、今、成果の一つとして、三十六地区二百八十六校に配置を支援ということがありました。これが本当に成果なのかどうかというのが、私ちょっと疑問に感じるところがあるんです。
 というのは、全く何もない中で部活動指導員を配置したというのであれば、これは成果なんですが、もともと外部指導員を配置していない自治体なんて一つもないわけですよ。
 そういった中で、例えば、これまでは外部指導員として頼んでいた人を部活動指導員に付け替えただけだと、はっきり申し上げれば、現場は何も変わらない。まあ、ある種、市区町村の持続可能性を支援するということにはなるかもしれないのですけれども、一番大事なのは、子供たちに関わる大人、専門性を持った指導員の数が増える、もしくは、先生方が部活動指導員が配置されたことによって負担が軽減される、こういったことが、私、二つの大きな要点だと思うんですが、そこがなかなか、この数字からは見えてこないんだと思うんです。
 そういった意味では、令和四年度、新年度から外部指導員の配置支援について予算化をされているのですが、ここも、これまで全ての自治体が外部指導員を既に配置しているわけですから、その配置している指導員の負担が、市区町村の単費ではなくて、少し都からお金もらえたね、でも、結局、現場は何も変わらなかったねだと、これは本当に、都教委の皆さんが支援をしたい方向性と合っているのかどうかというのが、かなり私は懸念が出てくるんじゃないかと思うんですが、この辺りについて、まず、この外部指導員の配置支援についての狙いと方向性についてお伺いしたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 部活動に参加している生徒にとって望ましいスポーツ環境を構築していくためには、スポーツ、文化など、専門的な知識や技能などを有する多様な人材の協力が必要でございます。
 今後、都教育委員会は、区市町村教育委員会が新規の外部指導員の配置を希望する場合など、地域や学校の実情に応じ、人数、時間、回数など、効果的に配置できるように支援してまいります。
 また、指導員の確保が難しい場合には、東京学校支援機構、TEPROと連携をしまして、部活動指導ができる人材を紹介して、中学校の部活動の一層の充実を図ってまいります。

○内山委員 ありがとうございます。
 私から、二点、意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 一点目は、まさに今、ご答弁があったように、現場が変わらない支援であったら、私は意味がないと思っておりますので、ぜひ新規の配置だとか、もしくは、今、既に配置されている方の活動時間がこれによって増えるとか、様々な現場が助かるような、もしくは子供たちがこの恩恵にあずかれるような配置、制度設計は結構難しいかとも思いますけれども、より学校や市区町村の教育委員会と連携をしながら構築していっていただきたいなというふうに思っています。
 もう一点は、学校支援機構、TEPROなんですが、なかなか現場の先生方の話を聞くと、TEPROができたから助かっているよと、まだまだそういう意見というのは少ないんじゃないかなというふうに思っています。事あるごとに、こういった場においてTEPROを紹介して活用していっていただくことでしか、やはり先生方の認知度というのは上がっていかないと思いますので、ぜひこの機も捉えて、TEPROの活用というものもお願いしたいというように思っています。
 続きまして、副担任配置支援事業についてお伺いしたいと思います。
 本取組を確認したところ、小学校の低学年−−三年生は中学年になるのか。一年から三年生において、副担任を学年に一人配置をして、様々な業務を補助していただくという事業だというふうに聞いておりますが、小学校の四年生から六年生は対象外ということであります。
 一概に小学校低学年、一年から三年生と、四年生から六年生で、どちらが大変なのかといわれると、例えば低学年の方が、単純に比較すれば手がかかります。幼稚園から上がってきて一年生がいて、そこから。単純に手はかかる。一方で、五年生、六年生も、また違った意味で大変さというのがあるんだと思います。
 そういった中で、一概にはいえないような気がするのですが、伺いたいのは、なぜ小学校一年から三年生のみを対象としているのか、お伺いしたいと思います。

○浅野人事部長 小学校では、特に低学年において児童間での発達段階の差が大きいため、例えば教室移動や給食の配膳等の場面では、学級担任が児童一人一人に配慮する必要がございます。
 そのため、一年生から三年生までの各学年に支援員を配置し、学級担任の業務を補佐させることといたしました。
 今後、学級担任の負担を軽減するとともに、学年の教員全体で子供へのきめ細かな支援ができるよう取り組んでまいります。

○内山委員 ありがとうございます。今回は、こちらはモデル的に取り組んでいくということでした。
 小学校三年生までということで、今年の新三年生から三十五人学級が始まるということで、新四年生以上に関しては、ずっともう三十五人学級の恩恵にはあずかれずに上がっていく学年になっていくわけです。私の長女も新四年生ですから、その保護者の気持ちというのは痛いほど分かるんです。ああ、ここからかという。まあ、しようがないです、どこかで線引きしなきゃいけないですから。しようがないのですが、当事者の保護者としては、そこに対する複雑な思いというのがあるわけです。
 一方で、先ほど申し上げたように、一年から三年が、本当にそこが確実に大変かというと、必ずしも学校によってはそうではないし、学年によって、いやあ、学年はやっぱり手がかかるとか、この学年はいろんな事情があるという学年と、四年生、五年生、六年生にもあるわけです。
 ですので、例えばですけれども、三学年分補助するのであれば、学校側が三学年選べると。そうすると、別に学校が一、二、三と指定すれば、だったら、そこで使えばいいし、ある学校によっては、一年と二年と五年生もしくは六年生と使うかもしれない。もしくは、一年生、二年生というのは授業数が少ないですから、どうしても五時間目、六時間目は空くことが多いんです。そういうところをほかの学年で活用しようとか、様々、実は、学校にある程度任せると、この活用方法というのはさらに充実していくんじゃないかなというふうに思っています。ぜひその辺りも含めて、こちらの事業を検証していっていただきたいなというふうに申し上げたいと思います。
 続きまして、社会の力活用事業についてお伺いをしたいと思います。
 こちらは、社会で活躍している人材を学校現場で活用できる取組であり、子供が社会と触れ合うことができる教育効果が高い取組というふうに考えておりますが、先日の予特の一般質問で、我が会派からの質問に対して、予算規模三百校に対して、今年度の実施は六十二校という答弁でございました。
 この取組の執行状況が余り高くない。初年度の取組ですから、認知も含めてなのかなというふうに思っているのですが、今年度、都教育委員会は、小学校三、四年生の外国語活動の授業を行う講師を区市町村教育委員会に紹介しておりますが、この取組を多くの学校で行ってもらうためには、単純な教科だけではなくて、総合的な学習の時間を含む多くの教科等で人材を活用していくべきだと考えますが、見解を伺います。

○浅野人事部長 社会の力活用事業では、区市町村教育委員会が確保した外部人材を講師として任用した場合、補助の対象としており、今年度は国語と外国語で実績がございました。
 今後も、総合的な学習の時間を含め、各教科等で活用できることについて、区市町村教育委員会へ周知を行ってまいります。
 また、都教育委員会は、今年度、学校からのニーズが高い小学校三、四年生の外国語活動の授業を行う人材を募集し、区市町村教育委員会に紹介を行いました。
 来年度は、小学校体育の授業を行う専門的な人材の紹介も行い、この取組を広めてまいります。

○内山委員 ありがとうございます。この制度自体は、例えば派遣をしてもらうわけにもいかず、また、ゲストティーチャーというわけにもいかず、会計年度任用職員という中で、一つの単元を持ってもらうという、そもそも、結構、ハードルの高い前提があるのかなというふうに思っていますが、そういう意味では、外国語活動とか、こういったものに配置しやすいというのはあるのかなと思っています。
 一方で、社会の力を活用していくということに関しては、それだけではなくて、総合的な学習の時間というのの一単元を持っていただくというのは、かなり親和性が高いんじゃないかなというふうに思っておりますので、ぜひ子供にとって社会と触れ合い、様々なことを学ぶことができるように、広く活用されるように取り組んでいっていただきたいというように思っています。
 続きまして、端末導入支援員の配置状況についてお伺いしたいと思います。
 都教育委員会は、来年度から、デジタル利活用支援員について、区市町村立学校に一校一人の配置を可能とする経費を補助すると聞いています。
 今年度、都が支援をしている端末導入支援員について、区市町村立学校での配置状況についてお伺いしたいと思います。

○岩野企画調整担当部長 都教育委員会は、令和二年度から、区市町村立学校における端末の円滑な導入を目的に、端末導入から一年間、一校一人の支援員の配置を可能とする補助を行ってまいりました。
 令和三年度は、五十五の区市町村が本補助制度等を活用しております。その配置状況は、一校当たり週五日以上が一自治体、週に二日から四日が十六自治体、週一日以下が三十八自治体となっております。

○内山委員 ありがとうございます。
 私、実は、幾つかの学校の現場の先生方から、この端末導入支援員を、何とか常勤、常駐させてもらえないかという要望をいただきました。調べてみたところ、都としては別に、週に一日とか二日とかという縛りをつけずに、常駐化できるだけの予算を組んでいるということで、私、ちょっと驚いたんです。
 今、お伺いしたところ、週五日以上、ある種、常駐ですよね。されている自治体は一つあって、二日から四日−−二日と四日というのは大分違うような気がしますけれども、二日から四日というのは十六自治体、週一日以下というのが三十八自治体ということで、これは、東京都がそこに何か制限を加えているというよりは、市区町村の教育委員会の考え方なのかなというふうに感じています。
 とはいえ、学校現場は、それをあまり理解というか、区市町村の考え方というよりは、東京都として配置しているんじゃないのという、こういう意見も聞いています。
 そういった中では、この支援員の常駐化というものを望む声がかなり来ている中で、区市町村の教育委員会がこの補助制度をさらに活用するための取組というのは必要だというふうに思いますが、対応を伺いたいと思います。

○岩野企画調整担当部長 小中学校では、一人一台端末が整備され、端末を活用した学びが行われております。支援員の役割は、教員のデジタルスキルの向上に伴い、端末を円滑に導入する段階から、授業計画の作成支援を行う等、授業に関わる支援へ移行してきております。
 そのため、都教育委員会は、来年度、新たに、一校一人のデジタル利活用支援員の配置を支援することとし、人件費だけでなく、交通費等も補助対象経費といたします。
 本補助制度を周知し、区市町村が支援員を配置できるよう取り組んでまいります。

○内山委員 ありがとうございます。様々、るる、外部人材、外部の力を活用する取組について質疑をさせていただきました。
 大事なのは、先ほども部活動のところで申し上げましたが、子供たちが受けられる教育だとか、そういったものがしっかりと向上すること、または学校の先生方の負担が軽減されること、この二点に尽きると思います。
 そういった中での制度設計というのは、区市町村の教育委員会とのやり取りというものもあろうかと思いますので、大変だと思いますが、ぜひ皆さんの頑張りに期待をして、私の質疑を終わりとさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○谷村委員 都議会に議席をいただきまして二十一年目になります。この間、様々な教育行政というのを見てまいりましたけれども、東京都の教育委員会のレベルというのは、本当に高いものをお持ちで、実際に現場も持ち、その指標というのも大きなものを描いて、ずっと進めてこられていることに、つくづくすばらしい取組をされているなと思っております。
 特に、この間、東京発教育改革の取組であったり、あるいは特別支援学校については、もうこれでいいというのもなかなかないと思いますし、難題、課題、いっぱいあると思いますけれども、この特別支援教育に対する取組も本当にすばらしいものを、絶えずし続けていただいていると思います。
 ですので、ちょっと事前に申し上げていないのですが、コロナになって三年目を迎えました。学校行事であったり、授業そのものであったり、あるいは学校生活でいくと、友達同士であったり、学校の先生と児童だったり、先生と生徒だったり、あるいは保護者も含めて、人と人とのつながりというものが学校生活に大変大きな影響を与えていると思います。
 去年か一昨年か、申し上げましたけれども、この新型コロナの対応で、当時の政府が一番最初に取り組んだのが全国学校一斉休暇というものでありました。休業要請を全国にするというようなこともありました。
 これが、現在、長引いて三年目を迎えているわけですけれども、新型コロナ三年目を迎えて、教育上の影響というのはどのようなものが今あるのか、また、それをどのように受け止めておられるのかというのをお尋ねしたいなと思っているのですが、また今回も教育監をご指名してもよろしいですかね。
 都の教育委員会として、三年目を迎える学校現場、教育上、子供たちにどういう影響を与えているのかというふうなご認識をお持ちなのか、こういう場じゃないと、なかなかお尋ねもできないものですから、ぜひよろしくお願いします。

○増田教育監 ご質問、ありがとうございます。
 今、谷村委員からありますように、コロナが発生し、当初の段階、学校一斉休業という形で、今度の新しい高校三年生になる子供は、入学式もできずに学校生活に入ったということがございました。
 その間、学校では様々な工夫を行い、生徒とのつながりを維持するために、学校現場なりに努力をさせていただきました。
 とはいえ、やはり学校が通常営まれているときとは違い、今、委員からあったように、教員同士もそうですし、教員と生徒もそうですし、もちろん生徒同士もそうですし、人間関係というのが、通常のときよりは希薄になっているのは否めないかと思います。休業が明けて、改めて、そういうところに気がつき、学校なりに工夫をしているところでございます。
 また、こうした状況がある中で、社会も様々変わっていきました。デジタルがかなり活用される状況になり、学校と家庭をつなぐツールとしても有効であるというようなことが証明されてきて、学校現場でも、その活用に取り組んでいるところでございます。
 こうした取組をしているところですが、まだやはり、学校現場において様々な活動の制限が影響しているところではございます。児童生徒の様々な工夫もあり、当初の段階よりは前向きな教育活動ができているかとは思いますが、まだまだ影響は強いかと思いますので、教育委員会といたしましても、区市の教育委員会あるいは学校と連携しながら、今後の教育活動の充実に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

○谷村委員 ありがとうございます。難しい、お話しいただければ切りがないような、すみません、ご質問をさせていただきまして、しかし、コンパクトにお答えいただきまして大変にありがとうございます。
 三年目に入るということで、ひょっとしたら、中学校一年生、二年生、三年生あるいは高校一年生、二年生、三年生、コロナでそのまま−−友達との関係あるいは学校行事の関係、先生との関係といったもの、また、あるいは様々な学習の遅れとか、そういったことについて物すごく影響がある中で、今、増田教育監からも心強い話をいただきましたけれども、現場の学校の先生も本当にご苦労されているかと思います。
 オミクロン株になって、また現在、感染者の低年齢化というのが進んでおります。これまでとは違って、学校現場でも感染拡大の状況になってきたということもありますので、引き続き全力で取り組んでいただきたいと思っております。
 とにかく、学校教育の現場において、コロナによって失われた二年間あるいは失われた三年間といわれないような、その子たちにしてみれば、中学校生活あるいは高校時代というのが、限られた三年間の中で、もう二年間失われているわけですけれども、それを取り返せる令和四年度の学校教育の取組であっていただきたいなということを強く念願いたしております。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、昨年の事務事業質疑でも取り上げさせていただきましたが、副校長先生の支援について確認をさせていただきたいと思います。
 先ほど来、出ておりますけれども、副担任制度のスタートにつきましては、私ども公明党は本会議代表質問でも取り上げさせていただきましたので、その点につきましては、改めてなぞることを避けて質問をさせていただきます。
 世界一、忙しいといわれております日本の学校の副校長先生、特に市区町村立小中学校の副校長先生は、もう本当に忙しいということをいわれ続けておりまして、その支援の在り方の一つが副担任制度でもあるかと思いますが、スタートの段階ではまだまだ、一歩、歩みを進めた状況になるかと思います。
 平成三十年二月に学校における働き方改革推進プランを策定し、都内の公立学校を対象に様々な取組を進めてこられていますけれども、今度、このコロナが入ってきて、感染対策、消毒をしたり、時に体温を測ったりという様々な、より多忙感というのは増している状況かとは思います。
 そうした中でも、とりわけ忙しいといわれております副校長先生、学校経営の要でもありますし、教員の穴が空いた場合にそれを埋めるという取組もされております。
 この副校長先生の通常の業務負担の軽減というのが大変重要になってくるわけですが、その負担軽減の急所となるのが、都内で年間三千人から四千人もいらっしゃるといわれる産休、育休代替教員の選考及びその任用に関する業務であります。
 昨年の事務事業質疑の際には、大変申し訳ありませんが、これまでの状況はダブルスタンダードになっていたのではないかということを指摘させていただきました。
 この選考制度は、これまでは、大前提として、採用候補者を募集し、選考を行い、選考合格者については採用候補者名簿に登載をする、そして、市区町村教育委員会を通じて学校に情報を提供する。その一方で、この名簿登載者から適任者が見つからなかった場合のために、通年で特別認定というものをして、候補者を募集し、市区町村教育委員会に人材情報として提供している、そこで、事実上、学校長の面接だけで任用の可否を決めているという状況がありました。
 採用選考し、名簿登載をする方法と、そうしたルートに乗らないで、学校長の面接だけで特別認定をする方法の二つの選考方法が存在をしていたという、こうした状況を改善するために取り上げさせていただきました。昨年の質疑では、今後は、学校における候補者の選定が効率的に行えるよう、また、採用候補者名簿と特別認定候補者の人材情報等を統合するというご答弁をされたわけであります。
 その後、教育庁におかれましては、この選考制度の見直しや、産休、育休代替教員の採用に係る事務の見直しをしていただいたことと思います。
 まず、この選考制度をどのように見直し、改善していただいたのか、お伺いをいたします。

○浅野人事部長 産休、育休代替教員の採用に当たっては、採用候補者選考の合格者名簿から採用することを原則としつつ、名簿登載者から適任者が見つからない場合に、例外的に校長の面接結果を基に選考する特別認定による採用を行ってまいりました。
 名簿登載選考と特別認定による任用とが、長年の経過の中で並立するに至っており、このことは、産休、育休代替教員の希望者からも、学校側からも分かりにくいものとなっております。
 このため、特別認定制度を廃止して選考を一本化することとし、新たな選考を令和四年三月一日から実施しております。

○谷村委員 ありがとうございます。選考を一本化したということですけれども、具体的には、両面、大事な面があったと思います。
 一本化をして、どういう選考方法に変更されたのか、ご説明をお願いします。

○浅野人事部長 選考を採用候補者選考に一本化した上で、年間を通じて選考を実施することといたしました。
 選考内容については、選考申込書と併せて論文の提出を求めることとし、書類により選考することを原則としております。
 選考合格者は採用候補者名簿に登載し、学校は、この名簿の中から採用候補者を選ぶこととなります。
 また、名簿登載期間について、採用希望者の負担軽減や学校が必要とする人材の確保などの観点から、従前の二年から三年に見直しました。

○谷村委員 名簿の登載期間を二年から三年に見直したということでありますけれども、産休、育休代替教員として勤務される方にとっては、結局、三年ごとに選考を申し込む必要があるという制度なわけですけれども、産休、育休代替教員の中には、もう何年にもわたって、ずっとこの代替教員として立派に勤務しておられる方もいらっしゃるようですが、ある意味では、立派な論文を書ける人よりも、学校現場で力を発揮される方こそ優先的に任用していくべきだと私は思っております。
 産休、育休代替教員として勤務実績がよければ、それを考慮した選考制度にしてもよいのではないかと思いますが、見解を求めます。

○浅野人事部長 今回の見直しでは、能力実証のため、原則として全員に論文の提出を求めることとしております。
 ただし、継続して代替教員として働いている方については、勤務の実績を評価する方がより適切であることから、論文に代えて当該勤務実績による能力実証を選考に活用することで、次の期間の名簿登載が可能となる仕組みといたしました。

○谷村委員 この産休、育休代替教員の任用につきましては、実際の学校の業務負担で最も大きいのが、副校長先生による名簿登載者との交渉業務というふうに伺っております。
 この交渉業務の負担について、都の教育委員会としてどういうご認識でおられるのか、改めてお伺いをいたします。

○浅野人事部長 学校は、名簿登載者の中から採用候補者を選び、候補者と直接、勤務条件のすり合わせを行うこととなります。
 交渉の中では、学校が必要としている教科や校務分掌等と、採用候補者の勤務に当たっての希望とが一致しない場合や、採用候補者が既に他の学校で任用されていることもございます。合意に至らなかった場合、他の候補者と交渉していくことになります。

○谷村委員 これまでは、百人以上交渉して−−交渉に向けて当たりをつけることからカウントしていたと思いますけれども、百人以上当たっても任用に至らなかったという声もお伺いしました。
 名簿登載者から採用候補者を選び、直接、勤務条件のすり合わせをし、採用候補者の条件を確認しようとしたら、交渉の中で、学校が必要としている教科や、あるいは校務分掌と、採用候補者の勤務に当たっての希望とが一致しなかったり、そして、条件が合致してコンタクトを取ろうとしたら、既に他の学校での任用が決まっていた、あるいは任用されていたというケースも少なくないようであります。
 毎年、都内で三千人から四千人も学校で任用するわけですので、これはもう本当に大変な、交渉だけでも大きな負担になっていると思います。
 こうした交渉に係る学校の大変な負担に対して軽減をする必要があると思いますが、見解をお伺いいたします。

○浅野人事部長 来年度、代替教員を必要とする学校と採用を希望する候補者との間のマッチングを支援するシステムを開発いたします。
 このシステムでは、学校において希望条件に合う候補者を検索可能になるとともに、候補者からは、募集案件の検索や学校への応募、希望条件の入力や更新ができるようになります。
 これにより、学校ごとに採用可能な候補者を絞り込むことができ、学校の業務負担の軽減につながるものと考えております。

○谷村委員 DX、デジタルトランスフォーメーションの時代ですので、児童生徒に一人一台端末を提供して教育を進めていくわけでありますので、学校の先生がいつまでもアナログでお仕事をされていますと子供たちに笑われてしまうような、そういう時代に既に入っていると思います。システム開発による改善をぜひ進めていただきたいと思います。
 一方で、このシステムで候補者を見つけても、実際の交渉に苦労する場合もあるのではないかと思いますが、先ほども申し上げましたけれども、システム開発以外の支援策というのはどういうものになるでしょうか。

○浅野人事部長 システムの開発に加え、来年度から、学校の求めに応じて、採用候補者の意向確認や勤務条件のすり合わせなど、採用候補者との交渉業務を学校に代わって行う取組を開始いたします。
 これにより、採用候補者との交渉に係る学校の負担軽減を図るとともに、学校における人材確保を支援してまいります。

○谷村委員 各学校を教育委員会でしっかりとサポートしていただく、交渉そのものをしっかりとやっていただくというご答弁であったかと思います。
 この取組でまた、まだまだ学校支援ができないという状況であれば、産休、育休代替教員の任用については、先ほどもありましたけれども、全国で初めて誕生したTEPRO、そういうところにも、いわゆる産休、育休代替教員というのをお願いした方がいいんじゃないかというお声もあります。
 ただ、一方で、先ほどの質疑もありましたけれども、いや、まだTEPROはそんなところまでいっていないという状況でもあります。
 教育委員会でもご苦労され、TEPROでもご苦労されていると思いますけれども、今、教育分野だけではなく、あらゆる分野で、日本だけでなく世界中で人材獲得競争というのをしているわけでありますので、この産休、育休代替教員の任用の在り方につきましては、教育委員会の在り方そのものの根幹に関わることかもしれませんので、結果的に、今回のこのシステム改善あるいは交渉を教育委員会が担っていただけるという状況で改善されることを強く期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○白戸委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時五十五分休憩

   午後三時十五分開議
○白戸委員長 休憩に引き続き委員会を再開いたします。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○とや委員 日本共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
 初めに、都立高校の書道の教員の採用について伺っていきたいと思います。
 高校教育における芸術科目の位置づけはどのようになっていますでしょうか。伺います。

○藤井指導部長 高等学校の芸術科は、芸術への永続的な愛好心を育み、感性を高め、豊かな情操を養う教科でございます。
 学校は、芸術科の各科目のうち、音楽Ⅰ、美術Ⅰ、工芸Ⅰ、書道Ⅰの四科目の全部または一部を教育課程に位置づけ、全ての生徒は、これらのうちから一科目を履修する必要がございます。

○とや委員 音楽Ⅰ、美術Ⅰ、書道Ⅰ、工芸Ⅰのいずれかを必修で週二時間、さらに、二年生や三年生で、それぞれの科目のⅡやⅢを選択する生徒もいると伺っています。
 授業の中で表現活動を行ったり作品を鑑賞したりすることを通して、豊かな創造性や人間性を育み、また、芸術に対する感性や素養を身につける重要な機会になっていると思います。
 また、高校のときの授業や先生の影響を受けて、芸術が好きになった、また、大人になっても楽しんでいるという方も多いのではないでしょうか。
 ところが、その芸術科目の中で、書道の先生が東京都にはいない、正規採用されている書道の先生は一人もいないというご指摘をある方からいただきました。
 確認をいたしますが、現在、都立高校の音楽、美術、書道の正規教員はそれぞれ何人いるでしょうか。また、最近十年の新規採用数はそれぞれ何人ですか。十年間の合計と平均人数でお願いをいたします。

○浅野人事部長 現在の都立高校における各科目の正規教員は、音楽百五十人、美術百三十二人、書道〇人でございます。
 最近十年の都立高校における新規採用数は、十年間の合計で、音楽五十三人、美術三十四人、書道〇人であり、年平均で、音楽五・三人、美術三・四人、書道〇人でございました。

○とや委員 都立高校は、中等教育学校も入れて百九十一校あって、全日制、定時制、通信制を合わせて二百四十課程があります。にもかかわらず、音楽の先生が百五十人、美術も百三十二人しかいないのかと、ちょっと驚いたのですけれども、書道の先生は一人もいない、〇人ということです。採用も、少なくともこの十年間、行われていないということです。正規教員が一人もいないのだから、十年どころか、長年にわたって採用されていないのではないかと思います。
 書道の先生が少ないというのであれば、まだ分かるのですけれども、一人もいないというのは大変驚きました。
 書道の正規教員が一人もいない理由を伺います。

○浅野人事部長 各高校の教育課程は、校長の責任の下、編成されるものであり、書道は芸術科の選択履修科目の一つでございます。
 また、校長は教育課程に合わせて教員の構成を決めており、各校長からは書道の正規教員配置の要望はございません。
 これらのことを踏まえ、書道の教員は採用しておりません。

○とや委員 校長から書道の正規教員配置の要望はないということですが、正規教員がいなければ要望のしようがないのではありませんか。
 都立高校で書道の時間を設けている高校は何課程あって、時数の合計は何時間になるでしょうか。お答えください。

○浅野人事部長 令和三年度において、書道が設定されている課程は百八十七課程であり、措置されている講師時数は、合計で週千六百五十五時間でございます。

○とや委員 百八十七課程ということです。週に一千六百五十五時間もの授業があって、全て時間講師で賄われていると。時間講師の奮闘に頼っている状況です。
 授業で教えるだけでなくて、学校全体の授業計画なども、書道に関しては、全て講師がつくっている現状があるわけです。
 それで、百八十七課程のうち、書道の時間が十八時間以上ある課程数、十五時間以上ある課程数はそれぞれどのくらいあるのか、伺います。

○浅野人事部長 令和三年度において措置されている講師時数が週十五時間以上の課程は二十七課程であり、そのうち週十八時間以上の課程は十一課程でございます。

○とや委員 高校教員の持ち時数の上限は週十八時間でありますから、少なくとも一校で週十五時間程度の授業時間数があれば、正規教員を配置するのは当然ではないかと思います。現状でも、そうした学校が三十校近くあるということが分かりました。正規教員を置けるだけの時間数があるのに、全部講師で賄っているというのは、望ましい状況とはいえないのではないでしょうか。
 ある時間講師の方の教え子の中には、学芸大学に行って書道の先生になりたいと希望する生徒がいたそうです。時間講師の方は、その生徒のために、授業時間以外の時間も使って一生懸命指導をして、生徒は、見事、学芸大学に合格して卒業したわけですが、結局、東京都には採用がないので、諦めて国語の先生になったというふうなお話を聞いています。
 その時間講師の方は、せっかく志を持って書道の教師になりたいという生徒がいたのに、不安定な時間講師の職しかなくては、ぜひその道にと勧めることができなかったとおっしゃっていました。
 何とも残念な話だと思いますし、時間講師の方は、いわばボランティアで時間外に指導してあげたということになるわけです。
 こうした教育者としての熱意や使命感に頼る、あえていえば利用するような状況も望ましいとはいえません。こうした方々に、生活も仕事も安定して力を発揮できる正規教員になってもらってこそ、子供たちへの授業も充実したものになるのではないでしょうか。
 書道も、音楽や美術と同様に重要な芸術科目だと思いますが、いかがですか。

○藤井指導部長 学習指導要領では、高等学校の芸術科は、音楽、美術、工芸、書道に関する各科目から、生徒が興味、関心等に応じて、少なくとも一科目を選択し、学習する教科でございます。
 書道は、書道の幅広い活動を通して、書に関する見方、考え方を働かせ、生活や社会の中の文字や書、書の伝統と文化と幅広く関わる資質、能力を育成することを目指しております。

○とや委員 今のご答弁は、学習指導要領の指導の目標です。
 学習指導要領や評価方法の改訂などがある際も、時間講師が個人の努力で対応していくには大変な苦労があるとのことです。先生方の自主的な研究会が各教科にありますが、書道でも、昔々に採用された正規の先生が残っていたときには、その先生が中心になって授業研究などができていたというわけです。しかし、時間講師ばかりで運営も難しくなってしまったということを伺いました。
 書道の時間があるわけですから、その授業の質を向上させて内容を充実していけるよう、そういった形での教員の配置が必要です。
 書道の教員も正規で配置するべきではありませんか。

○浅野人事部長 各高校の教育課程は、校長の責任の下、編成されるものであり、書道は芸術科の選択履修科目の一つでございます。
 また、校長は教育課程に合わせて教員の構成を決めており、各校長からは書道の正規教員配置の要望はございません。
 こうした状況も踏まえ、引き続き適切に対応してまいります。

○とや委員 先ほども申し上げましたけれども、正規教員が長年ずっといなければ、配置を要望しようという気持ちにもならないのじゃないでしょうか。
 他県の状況を調べてみました。すぐに分かったのが、今年度の教員採用試験の結果です。
 埼玉県の高校教員の最終合格者数は、音楽十二人、美術工芸十人、書道は七人です。神奈川県の高校教員は、音楽五人、美術六人、書道は一人合格です。千葉県は、中高共通の枠で、音楽二十三人、美術二十四人、書道は、高校だけの枠で十人が合格をしています。近県では、これだけ採用しているわけです。
 書道の正規教員がいない、採用もしないのは、正常な姿とはいえないと思います。ぜひ今度の試験からでも新規採用を行うことを強く求めておきたいと思います。
 次に、時間講師の方の社会保険の適用について伺います。
 時間講師の方の社会保険は、小中学校の場合、区市町村単位で一つの事業所とみなされ、同じ区内であれば、複数の学校の合計で週二十時間以上、授業を持っていれば加入対象になると聞いています。
 ところが、都立高校の場合は、学校ごとに事業所とみなされるため、一つの学校で週二十時間教えていないと加入ができない状況があります。時間講師の多くは複数の学校の授業を掛け持ちしていますから、一つの学校で週二十時間というのは大変高いハードルです。ある時間講師の方は、複数の学校の合計で週二十四時間も教えているにもかかわらず、対象外となっているそうです。
 社会保険に加入できれば、保険料の半分は事業主負担となりますし、年金も、国民年金にプラスして厚生年金ももらうことができます。社会保障の充実という点で、時間講師にも、できるだけ加入できるようにする運用が求められていると思います。
 都立高校は、なぜ一校ずつで事業所になっているのでしょうか。

○田中福利厚生部長 社会保険は事業所を単位に適用され、社会保険の適用を受けている事業所を適用事業所といいます。
 東京都教育委員会における健康保険、厚生年金保険の適用事業所の設置は、社会保険事務所の指導助言に基づき、小中学校は各区市町村教育委員会、教育出張所を適用事業所とし、都立学校は各都立学校を適用事業所として社会保険事務所から適用を受けています。
 都立高校は、各学校において、経営、庶務、経理等の事務、職員の人事給与、福利厚生の事務を行い、適用事業所の事業主が行うべき事務を所定の期間内に適正に行うことができ、適用事業所として適正な設置となっております。

○とや委員 都立高校は、経理や人事給与等を各学校において行っているというご説明でありましたが、時間講師の勤務や給与の管理は、学校だけで完結しているわけではありません。
 そして、中学と高校で教えている時間講師の方に伺ったところ、時間講師から見て、雇用や給与支払いの仕組みに、中学校と高校では違いがないということです。
 時間講師は、都知事名で東京都に雇用をされています。そして、勤務時間は、中学校でも高校でも学校ごとに管理をされ、給料の支払いは、都教委から学校ごとに分けて銀行に振り込まれる、所得税や雇用保険料は、授業時数の一番多い学校分からまとめて差し引かれると伺っています。
 小中学校は、各区市町村教育委員会ごとでまとめて一つの適用事業所になれるのであれば、都立高校も、必ずしも一校一校を別々の適用事業所にする必要はないのではありませんか。
 改善を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○田中福利厚生部長 都教育委員会の適用事業所は、健康保険法、厚生年金保険法に基づき適正に設置したものでございます。
 各都立高校は、現行法制度の下で適用事業所としての設置となっており、今後も法令改正等を注視してまいります。

○とや委員 法令に基づきとおっしゃいましたが、それは、さっきの答弁でもありました、社会保険事務所の指導や助言に基づいて適用事業所を決めたのは、じゃ、いつかといいますと、一九八四年、三十八年も前だと伺っています。その頃は、今とでは社会状況も大きく変化をしています。非正規雇用やパートタイムの方などの休暇などの諸制度や社会保険などを保障していく方向に時代は動いています。
 この都庁舎の中で働いている会計年度職員の方々も社会保険に入っています。時間講師の方々も数年前から会計年度職員になっていますけれども、その中で、時間講師だけ取り残してよいはずがありません。
 複数の学校に勤務するという時間講師の仕事の特性を踏まえた上で、どのようにしたら社会保険の対象とできるのかという視点で考えて工夫していただきたいと思います。見直しと改善を強く求め、次の質問に移ります。
 英語スピーキングテストについて伺います。
 東京都教育委員会は、来年からスピーキングテストを都立高校入試に活用する方針を持っています。
 今年度は、公立中学校など五百九十二校、約六万四千人がプレテストを受けました。
 代表質問でも取り上げましたが、このスピーキングテストは、問題の作成から試験監督、採点まで全て、都教委と協定を結んだ株式会社ベネッセコーポレーションが行います。
 専門家や英語教員、保護者などから、多くの問題点や懸念が表明されています。昨年十二月には、英語教育の関係者が都庁で記者会見をして、導入中止を訴えました。今でも都民の合意があるとは到底いえない状況であります。
 懸念されている問題は幾つかあるわけですが、都立高校入試は、生徒の未来を左右しかねない、人生を左右しかねない重要な入試であることから、まず問われるのが採点の正確さや公平性です。
 私も、都教委のホームページから問題を拝見しました。このテストは、絵を見て状況を説明して、自分が好きなこととの関係で理由についてスピーチするなど、答えが無限にあるものでした。しかも、スピーキングなので、発音なども採点の対象になります。全員を同じ基準で公平に、限られた期間で採点することは難しいテストだと思いました。英語教員をはじめ関係者から、短期間で正確に公正、公平な採点は困難ではないかとの声が上がっています。
 採点期間は約四十五日間と聞いていますが、どのような体制で行うのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 採点は、今年度、採点期間についての検証を実施済みでありまして、次年度は、所定の期間内で完了するために必要な人数の専任者が、都教育委員会が監修した基準に従い、複数の者による採点、審査を経て結果を確定してまいります。
 なお、採点は、大学の学位や英語教授法の資格を持つなど高度な英語力と英語教育に関する専門性を有する者が、事前に本テストの採点に係る研修を受講し、基準を満たした者のみが専任で行っております。

○とや委員 都教委からもこうしたお話を伺ったわけですけれども、必要な人数の専任者が何人なのか、複数の者が採点に当たるといいますが、複数とは何人なのか、これもいえないということでした。
 さらに、現地では、採点センターで専任の人が採点するそうですが、組織名、企業名もいえない、ベネッセの子会社で現地で採点に当たるとしている学力評価研究機構との関係もいえないということでありました。
 採点者は、今おっしゃったように、高い英語力とか英語教育の専門性を有するとおっしゃっていますが、どこの社員かもいえない。
 これでは、客観的にどんな英語力があるのか、どうやって正確性、公正性を担保するのか、全く分かりません。つまり、採点の正確さ、公平性は、今のご答弁では全く分からない。証明できないわけです。
 しかも、分からないことだらけのテストの採点は、海外、フィリピンで行われます。東京都は、フィリピンでの採点については、二〇二〇年三月の予算特別委員会での星見都議の質問に、次年度以降、採点場所を訪問し、直接現地で確認をすると答えていらっしゃいます。
 コロナ禍、海外へ渡航することが困難な下で、どのように公平、公正に採点が行われているか、確認するのでしょうか。お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 新型コロナウイルス感染症の影響のため、現地への訪問は行っておりませんが、オンラインにより、採点が安全かつ公正、公平に行われているということを継続的に確認しております。
 現在、現地の感染症の状況を注視しながら、視察の準備を進めております。

○とや委員 オンラインでは現地の情報がつかめないことは、誰でも分かります。現地に視察できたとしても、これまで、プレテストでは現地に行ったことがないわけですよ。確認ができなかったわけで、ほぼぶっつけ本番のような感じでやらなきゃいけないわけです。
 問題が分かったとき、どうするのですか。お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 今のご質問の趣旨としては、体制に問題があった場合、それの把握についてのことだというふうに理解いたしますけれども、先ほどの答弁と重複いたしますけれども、継続的にオンラインで確認をしているということ、それから、現在、感染症が改善しているという状況もありますので、できるだけ早く現地にも行き、確認した上で、着実に採点を行うという体制で取り組んでまいります。

○とや委員 例えば、視察に行けたとしますよ。行った現地で問題があることが分かった場合、どうされるのですかとお聞きしました。

○瀧沢指導推進担当部長 まず、問題がないように準備を進めているところでございます。
 仮に問題があったのであれば、それは、当然、可及的速やかに改善をしていくわけですけれども、そういう状態にならないように万全の準備を尽くしていくのが私たちの役目だというふうに考えております。

○とや委員 万全の準備をしていても、今の段階では問題があるかないかも分からないじゃないですか。しかも、仮に是正が間に合わないような問題だったらどうするのでしょうか。都教委の皆さんは、綱渡りのようなことをやろうとしているということを指摘させていただきます。
 採点を行う組織や経営形態、契約関係、採点者の人数、採点方法等の情報は非公開です。都教委は、公平に採点できるかどうかの客観的情報を都民に示そうとしてはいません。生徒や保護者、教員の納得は得られるわけがなくて、重大な問題だと思います。
 さらに、先ほど、都教委の方々が監修した評価の基準というふうにおっしゃったわけですが、採点の仕方を知って、私も驚きました。一点を争う入学試験であるにもかかわらず、採点結果がAからFの六段階に分けられておって、この評価方式は、スピーキングテストのスコアが一点の差であっても、段階別評価では、入学者選抜においては四点の差になるという場合があるということです。
 このような入学者選抜評価方法は、正確さを欠いて、入試には適さないという教育関係者からの指摘もあります。問題ではないでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 本テストにおける段階別評価は、自分のことについて、質問に答えたり、話したりすることができる、身近な話題について、相手と意見交換ができるなど、英語を使って何ができるかを示した基準に従いまして、統括的に評価したものであり、AからFまでの六段階で表しているものでございます。
 入学者選抜においては、この六段階で提出された評価を二十点を満点とする数値に置き換えて取り扱い、適切に評価することとしております。
   〔発言する者あり〕

○とや委員 ちょっとやめさせてもらえませんか、委員長。(発言する者あり)委員長。

○白戸委員長 不規則発言を慎んでください。
 とや理事、続けてください。
   〔発言する者あり〕

○とや委員 注意をしてください。

○白戸委員長 はい。今、注意しています。

○とや委員 今のご答弁は、何をいっているか分かりません。
 この評価方法は、スピーキングで百点から八十点はAがつきます。そして、配点は二十点がつきます。しかし、七十九点の人は、Bになってしまって十六点しかもらえないのです。
 一点違うだけで配点に四点も違いが出るというのは、公平性に欠けている。教育関係者の皆さんからは、僅か一点の差が合格、不合格を分ける入試において、このような換算の仕方が許されるとは思えませんと、この方は中京大の大内裕和教授ですが、指摘をされていらっしゃいます。とても生徒や保護者の納得がいかないのではないかと声も上がっております。
 さらにお聞きします。
 アチーブメントテストといいながら、総合得点とESATグレード、CEFRという参考数値しか返ってきません。
 これでは、本人が自分の得意な分野と、あるいは不得意な分野とを自覚して、その後の学習に役立てることはできないのではないでしょうか。お答えください。
   〔発言する者あり〕

○白戸委員長 お静かにお願いします。

○瀧沢指導推進担当部長 先ほど来、お話しの段階別評価におきましては、それぞれ、Can-do statementsと呼ばれる、英語を使って何ができるかということを具体的に示しております。それを個人票で示し、現在の英語の力で何ができるのかということを示しております。
 加えて、それぞれ、今後の本人のスピーキングの学習に向けてどのような取組をするべきなのかというアドバイスと併せて提示をしているもので、適切なフィードバックを行っているというふうに考えております。

○とや委員 適切なフィードバックというお話がありました。
 私は、このスコアレポートをいただきました。(資料を示す)今、部長がおっしゃったESATグレード、Can-do statements、簡単なアドバイスが書いてあります。それにスコアが書いてあって、ESATグレードが書いてある。これはAからFまでの評価です。さらに、参考として、CEFRレベル、A2とかA1、これだけなんですよ。
 これだけしか書いていないのに、分野別に、自分がどこがいけなかったのか、どこができていたのか、これでは今後の学習に役立てることはできないわけですよ。何のためのスピーキングテストなのか、何のためにやるのかということが問われてくると思います。
 そして、ご本人が成績を開示請求しても、これ以上のものは返ってこないんじゃないかというふうにいわれているのですが、入試の学力テストと同じような形で、本人が開示請求すればこれ以上のもの、分野別の回答は、開示請求しても返ってきますか。お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 通常、入試の開示請求というのは、その採点の結果について開示されるものですが、このテストでは、本来より、その結果については、個人票という形で本人に返されるものであります。ですので、通常の開示請求に当たるものについては、もう既に開示が行われているというふうに考えております。
 なお、問合せ等々に応じる窓口については開設をいたしますので、そちらを利用していただくことも可能です。

○とや委員 結局、これだけしかもらえないということであって、開示請求の対象にはならないということが分かりました。
 人が行うのだから間違いもあるわけで、それを確認もできないというのは、やっぱりおかしいですよ。ほかのテストでは開示できるのだから。
 ここで次に行きたいと思うのですが、このテストを実施する民間事業者は、本当に生徒や保護者、教師、学校の信頼に足るのかどうかです。これは都教委への信頼とも深く関係する問題だと思っています。
 都教委と協定を結んでテストを実施するのは、先ほども申し上げましたベネッセコーポレーションです。公平性、中立性が担保できるのか、利益相反になるのではないかなどの批判が多く寄せられております。
 そこでお聞きしたいのが契約についてです。
 都教委とベネッセコーポレーションは協定を結んでいるけれども、ベネッセに対し、教材販売などを禁じる条項はどこにありますか。

○瀧沢指導推進担当部長 事業者と締結している基本協定及び覚書におきまして、事業者が本スピーキングテストに関する模擬試験あるいは関連教材の作成、販売をしたり、ウェブサイトにおいて教材の購買を誘導する表記を行ったりすることなど、具体的な禁止事項を明記した上で、利益相反行為を禁止しております。

○とや委員 私も確認をいたしましたが、基本協定には、具体的に教材販売などを禁じる規定はありませんでした。あるのは覚書でした。
 では、この覚書を結んだのはいつですか。

○瀧沢指導推進担当部長 令和二年の六月でございます。

○とや委員 当時の我が党の星見都議が、この問題を、二〇二〇年の三月、令和二年の三月に質問したときに、教育長は、本事業者は本スピーキングテストに関する模擬試験や関連教材の作成、販売を行わないこととしていると答弁をされております。
 ところが、今のお答えで分かったのは、この公平性、中立性を担保するための覚書は、当時の星見都議の質問の後に結んだということになります。星見都議が質問したときには、協定書のどこにもそんなことは書いていないのに、いかにも協定を結んでいるから大丈夫だという、率直にいって、私たちはうそをつかれたのかなというふうに、欺くような答弁をされているのかなといわざるを得ません。いかがでしょうか。(発言する者あり)委員長、やめさせて。

○白戸委員長 質疑に問題があれば注意します。

○瀧沢指導推進担当部長 ご指摘のベネッセコーポレーションについてのウェブページにつきましては、その後も確認をしておりますけれども、直接関連する宣伝のような内容についてはないことを確認しております。ですので、基本協定を結んでいた時点から、そのような利益相反行為が行われているというふうには私どもは考えておりません。
 ただし、より具体的に何がいけないのか、何を禁止するのかということを、双方でよりクリアに把握した方がいいという共通の理解の下で覚書を締結することにより、より確実な対応をすることにしたものでございます。

○とや委員 いや、三月の答弁との関係でお聞きしているんですよ、そのときどうだったかと。ベネッセがどうだったかとか、そういうことを聞いているわけではないんです。
 そのときの答弁でいったことと今との、その後の覚書との関係で、ちょっと違うんじゃないですかと聞いているんですよ。そこについてお答えくださいといっているんです。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になりますけれども、基本協定につきまして、もう既に規定をしている内容ではありますけれども、より具体的に利益の相反に関わる点について双方で確認するという、さらに具体的な内容について確認するということのために、あえて上書きで覚書を結んだというものでございます。

○とや委員 当時の基本協定には何も書いていないんです。実施協定にも書いていなかったんです。いないのに、書いているかのような答弁をされたんですよ。そして、その質問が終わった後、慌てて六月に覚書を結んだということなのではありませんか。都民の信頼を損ねる答弁はやめていただきたいと思います。
 ベネッセは、二〇二〇年の三月時点で、進研ゼミのオンラインスピーキングのホームページで、入試や検定合格につながる、英語で話す力を伸ばすと表示をしていました。ところが、現在は、検定合格に役立つとされ、入試につながるという文言が削除されています。削除すればよいという単純な事柄ではありませんが、少なくとも入試につながるという表現は、公平性、中立性の観点から適切ではなかった。
 そして、三月時点では、公平性、中立性に関わる協定を結んでいなかったので、ベネッセはホームページに掲載していたということだと思いますが、いかがですか。

○瀧沢指導推進担当部長 今のご質問の内容ですけれども、一般的にオンラインの英会話を事業として行っている企業であり、それが、中学あるいは高校、大学等々の入学試験でこれだけ広くスピーキングについても問われている状況の中で、入試にもつながるということで、自分たちの取組についての説明をしていたというふうに考えます。
 これは、私たちがその後も禁止をしています、特にこの事業協定を結ぶことによって、東京都のESAT−Jを協定で行っているということを直接的に明示をして、それで誘導するということを禁止しているわけでして、当時から、利益相反に当たるような、そういう行為ではなかった。むしろ、そのようなつながりをあえて取り出すことによって、誤った認識が広まることがないようにということで、風評が広がらないようにということで、その後、適切にさらに取組を重ねているという状況でございます。

○とや委員 私、非常に苦しい答弁だと思いますよ。一般の人たち、今、聞いていますけれども、そんなことは通用しませんからね。民間事業者のテストを入試に活用することについて、私は、大変安易に考えていたんじゃないかといわざる得ません。
 ほかにも、最初のプレテストでは、問題用紙や結果返却の用紙にベネッセと分かるロゴを入れていましたが、後から削除をしました。
 入試の公平性、中立性、利益相反という重大な問題について、考えが及んでいなかったと指摘せざるを得ないわけです。
 そして、都民や関係者から懸念が表明されているためか、最近では、このテストは、民間事業者のテストではなくて都教委のテストだということが強調されています。
 「AERA」の二月二十一日号では、都教委の国際教育推進担当課長が、スピーキングテストは、都が事業主体、民間事業者が主体だった共通テストとは違います、事業者に丸投げすることなく、全工程を共有して進めていますと述べた記事になっています。
 では、伺いますが、英語スピーキングの問題は東京都が監修するとしていますが、著作権はどこにあるのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 原則として事業者が保有しております。

○とや委員 事業者、すなわちベネッセが所有しています。都が事業主体どころか、ベネッセが事業主体で、著作権などの権利もベネッセが持っているんです。都とベネッセの関係は、委託と受託ではなく協定です。
 その理由について、都教委は、我が党の文書質問に対しても、事業者の既存スキームを活用したり、事業者の資格、検定試験として、私立高校、他道府県で活用することを可能とするためだと正式に答弁をされています。都立高校の入試で使われるスピーキングテストが、民間事業者の検定試験として事業活動で使うことができる、どうにでもなるということなんです。教育委員会が特定の民間事業者の事業活動に協力する、都教委公認で事業活動ができるということになってしまいます。
 とても慎重に検討してきたとは思えません。安易な民間事業者の活用は、公教育の在り方そのものが問われる事態を招きかねません。
 代表質問でも指摘をしましたが、文科省の検討会議は、大学入試共通テストでベネッセの子会社が記述式問題の採点を請け負っていた問題で、採点事業者に知り得た情報を漏らしたり、目的外使用したりすることを禁じ、違反した場合の損害賠償の契約を結んでも、なお機密漏えいやグループ企業間での利益相反の懸念が指摘されるということで報告書をまとめ、これを理由の一つとして記述式問題の導入は中止されました。契約を結んでも、なお機密漏えいやグループ企業間での利益相反の懸念が指摘され、中止になったわけです。
 私は、都教委も、ぜひ考え直すべきだと思います。とても慎重に検討したことは、どこまで検討したんだろうかといわざるを得ないですね。
 それだけではないです。一番大事な現場の声を聞かないで、生徒や教師にも多大な負担を強いることになるのではないかと危惧をします。
 その一つが、先ほどもちょっと出ていました吃音や言語障害、聴覚障害対策です。
 当事者生徒の保護者や関係者からの意見や要望が出ていて、今議会でも多くの議員から発言が出ていました。
 特に吃音生徒への配慮として、都はどう取り組むのか、改めて確認をさせてください。

○瀧沢指導推進担当部長 本テストの実施に当たりましては、障害等に応じた合理的な配慮に基づく適切な措置を設定しており、吃音の生徒には、解答時間の延長とともに、採点のときに注意して聞くなどの配慮を行っております。
 また、令和三年度プレテストでは十二日間としていた措置申請の受付期間を、来年度は延長することとしております。

○とや委員 今お答えいただいたわけですけれども、私たちは当事者の保護者の方々からもお話を伺いました。意見書も出ていて、東京都が一定の配慮をしてくださったことはよかったと思っています。
 しかし、今のご答弁でも、注意して聞く配慮をするとお答えになったのですけれども、例えば吃音のある生徒の音声採点において、非流暢性、音の繰り返しだとか、引き伸ばしだとか、間が空いたりとか、それは減点はしないという理解でよいのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になりますけれども、吃音をはじめとする様々な障害に対して合理的な配慮を行う措置を様々設定しております。
 それぞれの特性に応じて、それを十分に考慮した上で、それぞれの適切な採点を行うということで、加えて、なるべく肯定的に、内容が伝わったかどうかということを基準に採点をしておりますので、ここで、減点するのかしないのか、個別のことについてお答えすることはできませんけれども、なるべく前向きに採点するという方針は、全ての試験の採点において貫かれた考え方でございます。

○とや委員 吃音のある子が、周囲の無理解によるからかいやいじめを経験して、スムーズに言葉が出てこないことで劣等感や自己否定感を持っているというお話も聞きました。前向きに捉えていただいて、減点しないようにしていただきたいというふうに思っています。
 吃音を隠して、親や担任も吃音で悩んでいることに気がつかないということもあるそうです。私、紹介されたツイッターを拝見しましたけれども、たくさんの生徒が吃音に悩んだりして、英語スピーキングに不安を持っています。それを見ていて切なくなりました。
 保護者は、英検のスピーキングは一対一の面談方式で、個別の症状の特性について、特記事項で面接委員に伝えられるから、こうした配慮ができないだろうかともおっしゃっていました。
 広島大学の川合紀宗氏は、中学三年生という思春期の子供は、メタ認知力が高まり、他者から見てどう思われているかが気になります、生徒の発達を支援していくためには、思春期に見られる様々な態度や行動の表面のみを見て判断するのではなく、その背景要因を理解して適切に支援していく必要があるというふうに述べています。
 吃音をはじめ、言語にハンディキャップを持つ生徒の支援を行う通級指導学校は、今年度、小学校で百九十三学級設置されていますが、先ほどもお話がありましたが、中学、高校にはありません。中学校に言語障害の通級指導学級、教室もなくて、小学校卒業とともに支援が途絶えてしまっている現状があります。少なくとも中学校での支援の充実が必要だとおっしゃっています。
 しかし、都の要綱には中学校以上の設置の項がないわけです。ぜひ中学校以上も支援できるよう、要綱の改正を含め、検討していただくことを求めておきます。
 次に、スピーキング力が向上したというふうな今年度の結果も拝見させていただいたわけですが、そのエビデンスについてちょっと伺います。
 これまでプレテストを三回行ってきていますが、どのような効果がありましたか。

○瀧沢指導推進担当部長 文部科学省が実施しております英語教育実施状況調査によれば、国の目標値を上回る英語力を持つ中学生の割合は、プレテスト実施以降、年々増加をしております。
 また、これはプレテストになりますけれども、今年度実施しましたスピーキングテストでは、国の目標に達していると評価された生徒の割合は八〇%を超えています。

○とや委員 スピーキングテストは、これまで三回行われてきたわけです。しかし、一回目は約八千人、二回目は九千二百人と、一部の生徒しか受けていません。加えて、結果は総合点のみなわけですから、これだけでスピーキング力が向上できたというエビデンスとはとてもいえないと思います。
 むしろ、教員が日常、不断に生徒の英語力をつけるための努力をしてきたからこそではないでしょうか。
 ある先生は、中学校が今でも四十人学級で、一人一人の英語を先生が聞き取り、励まし、指導する機会を毎時間取るのは、本当に不可能だとおっしゃっています。しかし、それでも、学期に一、二回は、外国人講師との面接テストを行ったり、スピーチや会話などを企画し、人に伝える楽しさ、英語でコミュニケーションすることで異文化体験を味わう機会をつくっているといいます。こうした努力が子供たちの英語力を育てているのです。
 一方、新学習指導要領の下で、英語がかなり高度になっているということも事実です。これまでの二倍の語彙も学ぶことになっていますし、加えて、高校から下りてきた仮定法や現在完了進行形などの難しい文法事項も扱って、早々に英語を諦めてしまう生徒も増えているという声も上がっています。
 本当の、真のスピーキング力をつけるために求められているのは、生徒が伸び伸びと楽しく英語を学べる環境をつくっていくことではないでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 生徒のスピーキング力を伸ばすためには、教員が生徒の理解の程度に応じた英語を用いて、積極的に生徒とコミュニケーションを図るとともに、生徒の興味、関心に応じた題材を扱うことで、生徒が主体的に活動に参加できるよう工夫するとともに、発話に対して適切に評価することが重要でございます。

○とや委員 先生が生徒のスピーキング力をつけるためには、入試のための英語スピーキングを実施するよりも、ほかにやることがたくさんあるはずです。もっと現場の先生の声を聞いていただきたいと思います。
 例えば、スピーキング力をつけるためにも、現在、二学級三展開で授業が行われていますけれども、一学級二展開にして、英語についても効果的な授業を行うべきですが、いかがでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 中学校では、授業において、ペアワークやグループワークなど様々な学習形態を工夫しているほか、ICTの活用により、英語が堪能な地域人材や他校の生徒と英語を用いた交流を実施するなど、それぞれの先生方が工夫をして、学習集団の規模にかかわらず、様々な形態の指導を効果的に行うことによりスピーキング力を伸ばしております。
 ぜひこの授業を通して、そのような先生たち、あるいは生徒たちの頑張りを評価していきたいというふうに考えて授業を進めております。

○とや委員 現在、少人数指導は既に行われていて効果が上がっていると、この間、都教委はおっしゃってきました。それなのに、今、学習集団の規模にかかわらずスピーキング力が伸びるというのは、ちょっと矛盾しているんじゃないかなと思います。
 小規模な集団で、教師が生徒一人一人に目が届けば、丁寧に教えられることははっきりしています。生徒の受験生に通知されるのが総合得点とグレードのみでは、生徒がどこが苦手で、どこがよくできているのか分からないという声があると、先ほども申し上げました。
 さらに、先生たちからたくさんの声が出ています。授業ではやることが多過ぎて時間が足りません、テスト対策に特化したスピーキング練習が入ることで、基礎、基本を学ぶ時間が削られ、かえってスピーキング力が落ちることが予想される、ますます英語嫌い、苦手感を持つ生徒が増えて、塾通いができる家庭と経済的に厳しい家庭との格差が拡大し、二極化がさらに進むことも危惧していますと、そうした声がたくさんたくさん寄せられています。もっとじっくりと豊かに学ぶ中で、真のコミュニケーションができる力を育てたいと願っているとおっしゃっているわけです。
 英語スピーキングの入試活用には、これまで、今日質疑してきたことも含めて、このほかにも多くの問題点があります。今日、質疑しただけでも、十分、中止の材料があるのではないでしょうか。
 英語スピーキングはきっぱりと中止して、生徒も教師も、伸び伸びと楽しく授業の中で英語を学ぶことができる、教えることができる、その中で力をつけていけるような教育へと転換することを求めて、質問を終わります。

○斉藤(り)委員 立憲民主党の斉藤りえです。
 まず初めに、音や光、匂い等に敏感な子供たちへの対応についてお伺いします。
 近年、ハイリー・センシティブ・チャイルドと称される音や光、匂い等に敏感な子供たちへの対応が、学校現場においても求められています。
 学校現場においては、こうした子供たちの対応のほかにも、多様な特性や障害を持つ子供たちの対応にきめ細かな対応を求められていることは重々承知しており、現場の教員が真摯に子供たちに向き合っていることに心より敬意を表しております。
 本件については、代表質問でも取り上げられておりますが、私からは、こうした音や光、匂い等に敏感な子供たちの対応について、また、保護者へのサポート等についてどのように対応しているかをお伺いいたします。

○藤井指導部長 微細な刺激に敏感なことが要因となって集団での活動になじめない子供には、個別のきめ細かな配慮が必要でございます。
 学校では、保護者と情報を共有しながら、このような子供に対して、刺激の軽減を目的に、教室環境への配慮や相談室等での対応を行い、安心して学習が行えるよう配慮をしております。

○斉藤(り)委員 こうした特徴や障害などは、時に、その子供の単なる性格や不得手、得手に捉えられるケースもありますが、そうした場合に、当事者はさらに困難に直面します。そうしたケースが増えないように、教員や学校において、該当する特徴を持つ子供たちへの対応について、都として周知をしていければと考えております。
 次に、子供目線の施策推進についてお伺いします。
 都では、いじめ等に対して、相談体制の拡充の中で保護者へのサポート体制の強化を掲げていると伺っています。
 そこで、実際に、保護者へのサポート体制の強化は具体的にどのような事業を想定して補助を行うのか、また、その事業の効果はどのような指標で評価を行うのか、伺います。

○藤井指導部長 いじめを受けた子供や保護者の支援を充実していくため、区市町村と連携して、保護者等が、いじめ対応の初期の段階から、法律や医療等の専門家のサポートを受けて学校に相談できる仕組みづくりを行うことを想定しております。
 事業の枠組みについては、他の自治体の取組を参考にして、今後検討してまいります。

○斉藤(り)委員 私は、税金を投入して実施する政策においては、効果を測ることや正しい指標で評価を行うことは、とても大切なことだと考えています。
 他方で、時には、そうした公共政策の評価として明確にならない場合でも必要不可欠な取組などがあるとも理解しています。いじめなど、子供たちの命に直結する課題に対しては、短期的な効果や結果にとらわれ過ぎずに施策を実施することも大切だと感じています。
 特に、本件について感じているのは、いじめ事案に対して、当事者はもちろん、その当事者を見守る保護者の苦悩は、とても大きいということです。保護者は、家庭内のことであるゆえに、抱え込み、孤独を感じているケースも多々あると認識しています。そうした保護者を社会で包摂していくことは、いじめを社会全体で捉えて、減らしていく意味でも不可欠だと考えております。
 ぜひとも区市町村や専門家と連携いただきつつ、保護者の方々に寄り添う施策の検討をお願いいたします。
 次に、子供を笑顔にするプロジェクトについて取り上げます。
 コロナ禍では、子供たちに様々な制限を課して感染拡大防止に協力をいただきました。これは、社会全体でとても大切なことであり、大切な人の命を守る行為であることという認識は、子供たちも理解してくれていると認識しています。
 しかし、やはり子供たちが豊かに、健やかに育つためには、様々な体験や刺激が必要です。そうした観点からも、このプロジェクトはとても大切であり、積極的に推進していきたいと思っています。
 実際に、具体的にどのような体験活動を想定しているのか、お伺いします。

○藤井指導部長 都教育委員会は、来年度、友達と共に心動かされる体験や思い出に残る様々な機会を創出し、子供たちの豊かな感性を育んでいく事業を実施いたします。
 本事業では、スポーツや芸術、伝統文化などのテーマに係る体験活動を予定しております。

○斉藤(り)委員 ぜひ多様な体験活動を提供できるようにしていただければと思います。
 また、同時に、学校における教育活動の負荷を軽減させていく視点も重要だと考えております。必要な単元と組み合わせて実施できるなど、そうした視点もあってもいいかと考えておりますので、より有効な取組にできるように応援していければと思います。
 続いて、社会的な自立を支援する学びのセーフティーネットの構築についてお伺いします。
 社会や環境が複雑化している中で、子供たちを取り巻く教育環境も複雑化していると感じていますが、そうした状況下において、学校組織には、多様な人材が関わり、子供たちと向き合っていくことが不可欠だと認識しています。
 そうした中においては、都が進める都立高校におけるユースソーシャルワーカーの充実の意義には、とても共感しております。
 具体的にどのような充実策を検討しているか、お伺いします。

○小菅地域教育支援部長 都教育委員会では、都立高校における不登校や中途退学等の課題の解決に向け、福祉や就労分野で豊かな支援経験を有するユースソーシャルワーカーの確保に努めてきたところです。
 来年度からは、ヤングケアラー対策をはじめとした困難な課題を抱える生徒に対応するため、専門性が高く、関係機関との連携を的確かつ迅速に行うことができるユースソーシャルワーカー主任の増員を図ることとしております。

○斉藤(り)委員 我が国においては、北欧などで古くから注目されてきたユースワーク分野の遅れが指摘されている中で、どのような人材をユースソーシャルワーカーとして確保し、育成、そして対応力の向上を行っていくかは、今後のユースワーク分野の大きな課題であると認識しています。
 そのような現状の中、都として、どのようにユースソーシャルワーカーの対応力の向上について具体的に取組を行っており、また、今後行っていくと考えているか、お伺いします。

○小菅地域教育支援部長 都教育委員会では、ユースソーシャルワーカーの資質、能力を向上させるため、専門的知識を習得する研修を計画的に実施するとともに、ソーシャルワークや精神保健等の専門家から、必要に応じて指導や助言を受ける機会などの設定を行っております。

○斉藤(り)委員 また、ソーシャルワークに限らず、学校組織は、教員以外の外部人材の活用が機能しないケースが多々あったと理解しています。これは、総合学習などにおける外部人材の活用などにおいても指摘できる点ではあるが、今回のような施策においては、人材が学校組織で機能する仕組みもしっかりと考えていかなければ、ニーズのある子供たちを救えないと考えています。
 ユースソーシャルワーカーが学校組織の中で機能するため、どのような体制づくりを行っているのか、お伺いします。

○小菅地域教育支援部長 都教育委員会では、不登校や中途退学などの課題が顕著な高校をユースソーシャルワーカーの継続派遣校として指定するとともに、生徒支援の中心的役割を担う自立支援担当教員を配置しております。
 この自立支援担当教員は、校内ケース会議を企画し、支援を要する生徒の情報を校内で共有化します。そこで得た情報を基に、ユースソーシャルワーカーが福祉等関係機関との連携を行うなどして課題解決を図っております。

○斉藤(り)委員 次に、バーチャルラーニングプラットフォームについてお伺いします。
 子供や学びの多様化が進む中で、こうした取組は不可欠だと感じています。
 これから具体的な調査研究が進むと認識していますが、現時点で想定しているモデルや仕組みはあるのか、お伺いします。

○藤井指導部長 バーチャルラーニングプラットフォームは、仮想空間における多様な学びの場を提供することを想定しております。
 今後、実現の可能性について調査を行ってまいります。

○斉藤(り)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

○もり委員 令和四年度予算における柱として、あらゆる場面で段差のない共生社会を形成するとして、社会のバリアを取り除き、誰もが輝ける社会、子供の笑顔があふれる社会を目指し、こども基本条例やコロナ禍の影響を踏まえ、改めて子供の目線を大切にし、いかなる状況においても、全ての子供が成長できるよう、社会全体で子供に寄り添う東京都の実現が掲げられております。長引くコロナ禍は、様々な課題をあらわにし、子供への影響が顕著です。
 ヤングケアラー支援についてお伺いします。
 先日、地元の方から、雨の中を、お父さんだけ傘を差しかけて、自分はぬれて車椅子を押している女の子を見たと話を伺いました。お子さんは小学生、お父さんは四十代とのことで、地域包括支援センターに連絡したものの、お父さんが介護保険の対象でないので支援できないといわれ、支援につながらず、とても困ったと伺いました。最終的に学校のスクールソーシャルワーカーに相談したことで福祉的な支援につながった事例です。
 我が会派では、早期からこの課題について提起し、局横断的な支援体制の強化を求めてまいりました。ヤングケアラー対策費として、昨年の八億円から今年度十三億円と、予算も拡充され、福祉保健局と教育庁が、ヤングケアラーマニュアルの提供等、連携しながら、支援体制の構築に向けて連携を強化することは大きな前進だと考えます。
 家庭内に問題を抱え込んでしまい、課題が周囲に表面化しづらいため、早期発見につなげるには、日々、子供と接する学校の役割が重要です。学校においてヤングケアラーを早期に発見し、適切な支援につなぐことができるようにするため、スクールソーシャルワーカー等の福祉の専門家の役割が期待されております。
 国の調査においても、全日制高校生の四・一%、中学生の五・七%がヤングケアラーという実態の数字から、中学生の割合が高いことから、区市町村におけるスクールソーシャルワーカーの活用について、さらなる支援の拡充を図っていくことが必要と考えますが、都教育委員会の取組についてお伺いをいたします。

○藤井指導部長 都教育委員会は、ヤングケアラーなど子供が抱える課題に対応するため、区市町村教育委員会のスクールソーシャルワーカーの配置計画に沿って、その経費を補助しており、令和三年度は五十の自治体における配置を支援しております。
 また、スクールソーシャルワーカーの対応力向上のため、社会福祉等の学識経験者による講演や協議を通して、学校や関係機関との連携の在り方等についてスクールソーシャルワーカー同士が情報を共有できるようにするなど、専門性を高めております。
 今後、スクールソーシャルワーカーが学校や家庭を訪問するなどの活動時間を増やすとともに、専門的な資格を有する者の任用を推進する区市町村への補助を拡充することにより、教員との協働や、関係機関との連携強化を図り、子供への支援につなぐ取組を一層充実してまいります。

○もり委員 ありがとうございます。スクールソーシャルワーカーの配置と活動時間の拡充、専門性を強化することにより、子供への支援につなぐ取組を充実させていくとのことで、今後の区市町村の支援の充実が期待されます。子供たちの小さな変化に気づくためには、常勤での配置が求められると考えますので、お願いをいたします。
 自治体ごとの財政状況で区市の取組に差が生じてしまうことが懸念されますが、区市の取組状況について伺ったところ、区市が六分の三、都が六分の二、国が六分の一の負担とのことで、多くの区市では取組が行われており、導入をされていない島や町では、地域コミュニティによる見守りが機能しているということで、あえて専門家を入れなくても、地域の目が行き届いているといった事例も伺いました。
 また、都立高校におけるユースソーシャルワーカー活用の充実策について、都教育委員会の取組についてお伺いをいたします。

○小菅地域教育支援部長 都立学校に派遣するユースソーシャルワーカーについては、専門的知識や支援技術を習得する研修を計画的に実施するとともに、社会福祉や精神衛生等の職能団体が実施する研修会への派遣などにより、専門性の向上を図ってきました。
 来年度からは、ヤングケアラーをはじめとした生徒を取り巻く複雑かつ困難な課題に、より的確に対応するため、社会福祉に関する専門的知識を有し、かつ支援経験が豊富なユースソーシャルワーカー主任を増員し、迅速かつ的確な生徒支援に努めてまいります。

○もり委員 子供にとって、自分の家庭以外の家庭は見えません。ヤングケアラーのお子さんから、お母さんに喜んでもらえることがうれしいとの声や、子供が家族の介護をするのは当たり前との認識があり、国の調査結果では六割のお子さんが負担に感じていないとの回答や、声を上げることができず、実際には、調査よりももっと多くのお子さんが、この課題に直面しているとの懸念があります。
 七七%のお子さんがヤングケアラーという言葉を知らないと回答していることから、学校現場での早期支援につなげるため、子供たちの家庭の状況を知り、子供たち自身がヤングケアラーについて理解を深め、SOSを出していいんだよと、学校現場で相談につなげるための子供たちへの周知を図ることが求められると考えますので、区市町村の学校現場とも連携しながら、周知の取組を要望いたします。
 次に、いじめ問題へのサポート強化についてお伺いします。
 都は、いじめ対策の予算として、令和四年度新規事業として三千万円を計上し、専門家が保護者の相談に直接乗り、いじめ防止に取り組んでいく体制を区市町村の中に置き、専門家を活用しサポート体制を強化するとしています。
 私も、区議時代、いじめの相談を受けることも多く、ご家族も交えて相談する中で、どうしても現状の学校での問題が解決せず、学校に通うことができないとの訴えに、被害児童が学校を転校することで楽しく通えるようになった事例も何件かありました。被害者にとことん寄り添う支援はとても重要ですが、一方で、いじめの被害児童のみが環境を変えねばならない理不尽を感じたのも事実です。
 いじめの加害者の背景においても、家庭で虐待やネグレクトを受けていたり、問題を抱えていることが懸念をされます。
 学校におけるいじめをなくすためには、いじめの加害者といわれる子供とその保護者に対しても十分なサポートが必要と考えますが、都教育委員会の見解と取組についてお伺いをいたします。

○藤井指導部長 いじめを行った子供が、相手の心身に苦痛を与えたことを理解し、よりよい人間関係を築くことができるよう、学校は、保護者との連携の下、毅然とした指導に加え、その行為の背景を踏まえた支援を行うことが必要でございます。
 そのため、都教育委員会は、いじめの行為の重大性に応じた相談室での個別指導や関係機関と連携した対応、子供が抱える課題の改善に向けたスクールカウンセラーによる子供や保護者への助言等、いじめを行った子供への指導や支援の効果的な事例を学校に示すなどしてまいりました。
 今後、こうした取組に加え、他の自治体の取組や組織的対応の事例について調査するとともに、都教育委員会が設置する有識者会議である、いじめ問題対策委員会において、いじめを行った子供への対応の在り方について協議するなど、学校におけるいじめ対策を推進してまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 次に、心と命を守るための支援、相談体制の強化についてお伺いをいたします。
 コロナ禍で、二〇二〇年の若者の自殺数は小中高で四百九十九名、不登校の児童は約二十万人と過去最多を記録しており、都では、令和四年度、生活文化スポーツ局、福祉保健局、教育庁が連携をしながら、心と命を守るための支援として、昨年の十億円から十二億円と予算を増額し、コロナ禍で様々な悩みを抱えている方々の境遇に寄り添い、社会全体で支えるサポート体制を強化するとしています。
 子供、若者の思春期の不安定な心に寄り添い、不登校や自殺などを未然に防ぐための取組が求められ、中高生向けSNS相談の強化が挙げられています。
 都教育委員会が実施しているSNS教育相談は、匿名で相談できることから、子供たちが不安や悩みを気軽に相談できるメリットがあると考えます。
 SNS教育相談の相談件数は、前年と比べてどのように変化しているのか、お伺いをいたします。

○藤井指導部長 令和二年度におけるSNS相談の対応件数は四千二百一件でございました。
 令和三年度における相談対応件数は、令和四年二月末時点において、昨年度の年間対応件数を超えております。

○もり委員 令和二年度の相談対応件数が四千二百一件とのことで、大変多くの相談が寄せられ、若者の支えになっていると思います。
 月末や夏休み終了前の期間など、子供たちが不安を抱えやすい時期にはSNSによる相談も集中すると考えられ、相談が集中する時期にどのように対応しているのか、お伺いをいたします。

○藤井指導部長 SNS相談では、通常、五回線の相談体制で子供たちからの相談を受け付けております。特に相談が多く寄せられる期間については、回線数を二倍に増強しております。
 具体的には、始業式や入学式が行われる四月上旬、大型連休の終わる頃である五月上旬、夏休みの終わり頃である八月下旬、冬休みの終わり頃である一月上旬に、日程を区切って回線を増やしております。

○もり委員 ありがとうございます。状況に応じながら拡充して、倍の十回線に増加していただいていると伺いました。
 子供たちが誰かに悩みを打ち明けることにも、勇気が必要な行動だと思います。多くの相談が寄せられている時期には、回線の増強とともに、現在、時間の延長も行っていただいており、今後も、寄せられた相談にしっかりと対応していただけるよう要望いたします。
 LINEを活用したSNS相談では、匿名により若者が気軽に相談できることで、問題が深刻化する前に課題に寄り添うことができるといったメリットがある一方、子供たちが不安や悩みを気軽に相談できるSNS教育相談の中で、死にたいとの自殺のリスクが懸念される場合、また、虐待を受けているといった重篤な相談が寄せられた場合、都教育委員会ではどのように対応しているのか、お伺いをいたします。

○藤井指導部長 SNS相談は、匿名で気軽に相談できるものでございます。
 児童虐待を受けたと思われる相談があった場合には、内容を相談員が丁寧に聞き取った上で、児童相談所に通告しております。

○もり委員 ありがとうございます。
 緊急性の高い事案については、相談者の命を守ることを最優先に、個別の支援につなげることも重要だと考えます。コロナ禍の子供たちの自殺が増えている背景、メンタルヘルスの問題がいきなり自殺に現れるのではなく、日々、目の前で見ている悩み事、生きづらさがあり、その結果にある自殺を、生きづらさへの丁寧な支援を重ねることで、結果的に自殺を食い止めると伺いました。局横断的な、重層的な相談強化が未然防止につながると考えますので、ぜひ引き続き、事業の充実、継続と、現場である区市とも連携しながら、支援を必要とする中高生への事業の周知をお願いいたします。
 次に、多文化共生教育の推進、学びのセーフティーネットについてお伺いをいたします。
 外国にルーツを持つ子供の就学について、令和元年度に文部科学省が行った学齢相当の外国人の子供の就学状況の調査では、全国で約二万人の子供が就学をしていない可能性があることが分かり、うち約四割が東京都でした。
 都教育委員会は、文部科学省の調査後、外国人の子供の就学促進についてどのように取り組んできたのか。また、区市町村教育委員会が実施する就学促進をさらに支援していく必要があると考えますが、今後の取組についても、併せてお伺いをいたします。

○小菅地域教育支援部長 都教育委員会は、外国人の子供を就学につなげていくため、区市町村教育委員会向けの、学校等への就学のための手引や、十七言語による保護者向けの就学案内を作成し、区市町村教育委員会に活用を促してきました。
 こうした取組に加え、都教育委員会は、就学していない外国人の子供に対する日本語教室の開設や地域社会との交流促進など、区市町村が実施する就学促進の取組に係る経費につきまして、来年度から、国の制度に上乗せして支援を行うこととしました。
 今後も、外国人の子供の就学促進に向け、区市町村教育委員会等と連携し、取り組んでまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 この二万人という数字のうち、四割が東京都ということで、本当に多いと驚きました。共生社会の一員として、共に地域に生きる外国にルーツを持つ子供が、初期の段階でしっかりと日本語を学ぶ環境になければ、地域住民とのコミュニケーションや今後の進路、就職にも大きく影響を与える問題です。
 区市町村教育委員会が実施する日本語教室の開設や地域社会との交流促進等、国に上乗せして支援を行っていただくとのことで、昨日の生活文化局の質疑の中でも国の予算もついておりますが、区市の日本語教育の担い手はボランティア団体が支えていることも多く、持続可能な支援体制の強化に向け、ぜひ一層、区市と連携し、誰一人取り残さない教育のセーフティーネットとなるよう願います。
 また、今年度は、日本語指導教材のデジタル化のために四千万円が新規事業として計上されています。来日間もない児童生徒が日本の学校に転入する際に困ることや、小中高と学年に応じ、一人一台端末を利用して学校生活に必要な日本語の習得を得るもので、現場での活用を期待いたします。
 次に、多文化共生スクールサポート事業についてお伺いをいたします。
 高等学校において日本語指導が必要な生徒は、十年前から二・七倍に増加しており、東京都には、令和二年度の数字で、外国籍の高校生が千四百八十八名、日本語指導が必要な生徒は、外国籍生徒七百九名、日本国籍生徒七十七名と、多くの生徒が日本語指導を必要としている現状があります。
 都教育委員会は、多文化共生スクールコーディネーターを四校に四名配置し、私の地元の大田区の六郷工科高校では、地域の日本語指導NPOとの連携が行われ、教育現場からも、とてもよい取組だと聞いており、事業の終了に不安の声も聞かれます。
 令和二年度及び三年度の二年間で実施してきた多文化共生スクールコーディネーター事業の対象校を、これまでの在京外国人募集枠設置校四校から、来年度は八校全校に拡大していくとのことですが、拡大に当たって、この二年の取組をどう生かしていくのか、お伺いをいたします。

○谷都立学校教育部長 都教育委員会は、令和二年度から、在京外国人生徒向けの入試を行う学校四校で、NPO等と連携してコーディネーターを派遣し、外国人生徒それぞれの課題に対応した取組を行ってまいりました。
 コーディネーターを派遣した学校では、コーディネーターの助言の下、生徒の能力に応じた効果的な日本語学習指導が行われ、日本語能力の向上が図られた、また、在留資格や生活習慣など外国人特有の悩みにも、専門家による相談へつなげ、改善を図ったなどとの報告を受けております。
 来年度からは、八校全校に拡大し、こうした優れた取組の共有を図り、外国につながる生徒に対する支援を充実してまいります。

○もり委員 現行の四校から八校に拡大し、優れた取組を共有していくとのことですが、在京外国人生徒向け入試を行っている八校以外にも、外国につながる生徒は在籍しており、これらの学校に対しても支援が必要だと考えます。
 都教育委員会の取組についてお伺いをいたします。

○藤井指導部長 都教育委員会は、全都立高校を対象に、外国につながる生徒に対して個別の日本語指導等を実施することができるよう、言語に応じた外部人材の活用を支援しております。
 今後、外国につながる生徒に対する指導の充実を図るため、東京外国語大学やNPOと連携して日本語指導等充実のための教員用ハンドブックを作成し、各学校での活用を促してまいります。

○もり委員 拡充をしていただくということですが、在京枠がない学校ほど支援を必要としており、日本語を理解できないことで生徒が孤立することのないよう、指導の充実を要望いたします。
 都内に外国籍の高校生が千五百人以上いる中で、在京外国人募集枠の設置校の八校、百五十五名の枠では、二〇一九年の数字を見ても、年間百人以上が入学できていない状況があります。
 同じ規模の神奈川県では、外国籍高校生千五百一名に対し、外国人高校入試の募集枠が十八校、百八十七名と、多文化教育コーディネーターは三十校に派遣されており、今後、事業のさらなる拡充を求めるものです。
 多文化共生スクールサポートセンター事業のスキーム図を拝見いたしました。都教育委員会のトップダウンではなく、日本語指導が必要な生徒を中心に、地域住民、都民、NPO、ボランティア、企業や団体、通訳の専門家等が、それぞれ連携しながら体制を構築することが求められると考えます。
 神奈川県教育委員会では、多文化共生のネットワーク会議を立ち上げて、共によりよい体制づくりに向け、多様な参画により効果を上げていると伺いました。東京都でも、全国に先駆け、一九九七年に、外国人都民会議を大きな期待を持って設置された経緯があると聞いています。
 文科省から、高等学校における日本語指導の制度化及び充実方針についての概要が発表され、二〇一三年四月には、全ての日本語指導が必要な生徒を対象とし、学校の体制づくりが求められております。もう一年です。ぜひ生活文化局とも連携をしながら、多様な主体の参画による体制整備を要望いたします。
 次に、学びのセーフティーネット、退学率の削減の取組についてお伺いをいたします。
 チャレンジスクールは、小中学校で不登校を経験した生徒が、新たに目標を見つけてチャレンジするための都立学校です。チャレンジスクールなどの三部制高校には、不登校や中途退学を経験した生徒、外国につながる生徒など、多様な生徒が在籍しています。
 昨年、都議会文教委員会に、チャレンジスクールの過去十年間の退学者数をまとめた資料が提出されておりますが、三部制高校で中退率が多い現状について、都教育委員会の見解をお伺いいたします。

○藤井指導部長 チャレンジスクールをはじめ三部制高校の中途退学の主な理由としては、学校生活、学業不適応、進路変更などとなっており、学校全体で中途退学防止に取り組む必要がございます。
 そのため、これらの学校では、中途退学防止に向けた計画を策定するなど、学力向上やキャリア教育の充実、教育相談体制の整備などに組織的に取り組んでおります。
 都教育委員会では、各学校の取組の充実に向け、三部制等の定時制課程を対象に、生徒の人間関係構築を支援するグループエンカウンター事業を実施するとともに、学校がスクールカウンセラーやユースソーシャルワーカー等を活用しながら、生徒一人一人に寄り添い、中途退学防止に向けた取組が充実するよう支援しております。

○もり委員 コロナ禍で不登校数の増加が顕著な中、チャレンジスクールなど三部制高校、夜間定時制は、学びのセーフティーネットとしての役割を果たしてほしいと要望いたします。
 障害のある子供の可能性を育み伸ばす、特別支援学校卒業後の学びの支援についてお伺いします。
 文部科学省では、平成二十六年の障害者権利条約の批准、生涯学習の機会確保の規定、また、平成二十九年の文科大臣メッセージ、特別支援教育の生涯学習化に向けてを発表し、私も、障害者の生涯学習の推進に向けた都の取組を求めてまいりました。
 特別支援学校の障害者の学びの支援について、令和四年度の都教育委員会の取組についてお伺いをいたします。

○小菅地域教育支援部長 都教育委員会では、障害のある方々の豊かな地域生活と社会参加促進を目指し、都立特別支援学校において、障害のある成人等を対象とした公開講座を実施してまいりました。
 また、区市町村における障害のある方等を対象とした生涯学習、社会教育事業の実施状況を調査し、情報提供を行うとともに、本年度は、広報誌「とうきょうの地域教育」の特集として、障害のある方の生涯学習推進を取り上げ、都民への普及啓発を図ってきました。
 来年度からは、文部科学省の学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業を活用しまして、障害のある方の生涯学習を支援する地域コンソーシアムを設置するなど、支援体制の構築に努めてまいります。

○もり委員 ありがとうございます。私の地元、大田区のおおきなきさんは、障害のあるお子さんが社会の一員として生き生き生活すること、豊かに自分を表現することを目標に、特別支援学校卒業後、通所施設等の毎日の利用が困難な方たちの生涯学習の支援を行う訪問大学を実施し、重度の障害のある方が、視線の入力で表現する喜びを実感したり、きらきら輝く学びの姿がとてもすばらしいです。
 「とうきょうの地域教育」百四十五号では、障害者の生涯学習推進が特集で掲載されており、障害者に寄り添い、新たな魅力を引き出す学びの場として期待をされております、生涯を通じてインクルーシブな学びに取り組むみんなの大学校さんや、More Timeねりまの活動等、今年度からは推進体制を構築していただくという取組を高く評価しております。特別支援学校卒業後の多様で豊かな生涯学習が都内で推進されるよう、お願いをいたします。
 次に、島しょ地域での先進的な取組について、大学進学等に向けたオンラインチューター制度等の導入として、新規に七百万円の予算が計上されております。
 島しょ地域は、区市に比べ予備校がない点や、離島である地理的な進学への課題があり、島しょ振興に向けて、島しょに住む子供たちが多様な進路を描けるような支援が求められると考えます。
 都教育委員会は、来年度から、都立八丈高校でオンラインチューター制度を始めると聞いています。その取組について伺います。

○岩野企画調整担当部長 八丈高校で行うオンラインチューター制度は、大学進学した八丈高校の卒業生を募集し、オンラインで後輩となる在校生の受験勉強等の相談に乗り、大学進学を支援するものでございます。
 八丈高校では、大学進学を目指す生徒は、学習面や受験の不安などを気軽に相談できる先輩が限られており、生徒の大学進学への意欲を後押しする環境づくりが求められております。
 このため、都教育委員会は、来年度、オンラインチューター制度を八丈高校で試行し、高校生の進路実現を支援してまいります。

○もり委員 島の子供たちが、実際に進学した卒業生に進路相談に乗ってもらえることは、自身の卒業後の不安や悩みに対して、ロールモデルに出会うことで、今後の進路や進学について描く助けとなり、とてもよい取組だと考えます。
 こうした取組があることは、島しょ地域の子供たちの進学率を後押しすることとなると考えますので、ぜひ八丈高校の事例から、ほかの島においても好事例の横展開を図っていただくことを要望いたします。
 最後に、東京都中学校英語スピーキングテスト事業について伺います。
 中学校英語スピーキングテストに関し、都教育委員会は、民間事業者と協定を締結して実施を行いますが、民間事業者を活用するメリット及びTOEFL等の世界基準の試験に準拠した形になっているのか、見解を伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 中学校英語スピーキングテストは、都教育委員会が英語の資格、検定試験の運営実績のある民間事業者と協定を締結し、都独自のテストを作成し、実施するものでございます。
 また、事業者のノウハウを活用することで、タブレットなど試験資材の調達及び輸送、試験会場の運営、問題作成及び採点の進捗の管理、申込みから結果返却までのシステムの構築などを行い、大規模な試験の円滑な実施を可能としております。
 さらに、本テストは、都教育委員会の監修の下に作成する問題により、生徒の話すことの学習成果を的確に測るとともに、結果を外国語運用能力などを評価する国際的な基準でありますCEFRレベルで示すことができる設計としております。

○もり委員 プレテスト、そして、今後実施されるスピーキングテストの結果から、随時、教育現場にフィードバックを行い、英語教育の質の向上につなげるべきと考えます。
 プレテストで得られた英語教育の課題認識と解決に向けた取組について最後にお伺いして、質問を終わります。

○瀧沢指導推進担当部長 令和三年度の中学校英語スピーキングテストの結果から、受験した生徒の八割が、国の目標値であるCEFR、A1レベル以上であり、簡単な語句や定型表現を用いて情報を伝えるということができております。
 一方で、自分の考えと理由を具体的に話すことですとか、複数の文を使って順序立てて話すということなどに課題も見られました。
 今後は、本テストの結果分析に基づきます効果的な実践事例や動画教材の活用など授業改善に向けた具体的な取組を、英語教員対象の説明会やウェブサイトに掲載をするなどして共有することにより、英語を使ったコミュニケーション活動を一層充実させてまいります。

○もり委員 ありがとうございました。

○斉藤(や)委員 都議会公明党はこれまで、医療的ケア児、その保護者への支援に取り組んでまいりました。本日は、令和四年度の予算案について、医療的ケア児への支援について、まず質問をいたしたいと思います。
 まず、医療的ケア児専用通学車両の件でございます。
 この運行開始から拡充まで、一貫して推進してまいりました。都教育委員会では、この間、肢体不自由特別支援学校におきまして専用通学車両の運行拡大に取り組んでいることを評価するものであります。
 しかし、いまだに専用通学車両の乗車がかなわないという保護者のお声があるのも事実でございます。肢体不自由特別支援学校以外の特別支援学校にも医療的ケア児が在籍している状況がありますが、専用通学車両が運行しておらず、保護者が付き添って通学をしている現実があります。
 こうした保護者の負担を軽減するために、肢体不自由特別支援学校以外でも、安全を確保しながら専用通学車両を運行することが必要であります。
 都教育委員会では、来年度から知的障害特別支援学校での運行を計画しているとのことでありますが、来年度の取組について伺いたいと思います。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 令和四年度は、知的障害特別支援学校二校で、計二台の専用通学車両の運行を予定しております。
 運行に当たりましては、車内で立ち上がったり、座席を移動したりする可能性がある医療的ケア児の障害の特性を踏まえ、車両内でのケアの実施に必要となるスペースや同乗する看護師の配置など、医療的ケアの実施体制を整備し、安全の確保を図ってまいります。

○斉藤(や)委員 安全確保をしながら実施に挑戦されるということで、ぜひよろしくお願いします。
 この特別支援学校の医療的ケアの安全な実施体制を整備し、保護者の負担を軽減するためには、医療的ケアを担う人材の確保が必要でございます。
 我が党は、令和三年第四回定例会の代表質問で、看護師以外の人材にも視野を広げて活用することを提案し、都教育委員会は、検討する旨、答弁がございましたが、来年度の取組について伺いたいと思います。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校で安定的に医療的ケアを実施していくためには、ケアを担う人材を多様な方法で確保することが重要でございます。
 そのため、都教育委員会では、新たに、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく第三号研修を修了し、医療的ケアの経験がある介護福祉士等を医療的ケア専門員として採用する予定です。
 医療的ケア専門員は、保護者の付添いが多い学校に重点的に配置し、校内の医療的ケア実施体制の充実を図ってまいります。

○斉藤(や)委員 この新たに法に基づく第三号研修を修了した介護福祉士等というところが、非常にこれは重要でございまして、スキルが重要でございますが、看護師の方々のそういったスキルなどもしっかりと教えていただくことも含めて、この人材の拡充というのは非常に重要だというふうに思っております。今回、その決断をされたことを高く評価するものでございます。
 学校の医療的な実施体制を整備するとともに、保護者の付添い期間を短縮していくこと、これもかねてから我が党から提案をさせていただきました事業でございます。保護者の付添い期間短縮化モデル事業について、既に実施を始めておられますけれども、来年度は規模を拡大するとのことですが、施設を訪問して健康観察を行う日程を確保し、十分な引継ぎを行うために、入学をする学校を決定する就学相談を早期に開始することが必要であると聞いております。
 そのためには、対象となる保護者や区市町村に対して、この事業の趣旨を丁寧に説明して、より多くの協力が得られるようにするべきと考えますが、その周知をどのように進めていくのか、伺いたいと思います。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 来年度の保護者付添い期間の短縮化モデル事業の実施に当たりましては、年度当初に、区市町村教育委員会の就学相談担当者向けの説明会において、本事業の詳細について説明し、周知をいたします。その上で、都教育委員会では、都の作成した保護者向け事業説明パンフレットを活用し、医療的ケア児の就学相談を早期から開始するよう、区市町村教育委員会に働きかけをしてまいります。

○斉藤(や)委員 ただいま就学相談のお話をさせていただいたのですけども、この就学相談の働きかけというのは、実は非常に重要でございます。医療的ケア児に限らずですが、障害のあるお子様の保護者が、我が子が入学する可能性がある様々な学びの場について十分に知識を得て、よくよく考えた上で、納得感を持って決めていくことが何よりも重要であります。
 就学期以前には、ほのぼのとした形で、地域や家族でいろんな、障害があってもなくても、同じ状況で非常に楽しく生活してきたことが、就学期に、障害がということで一変しまして、相談時の学校側の言葉に、奈落の底に突き落とされたと思うぐらいショックを受けたという声を、複数、私は耳にしております。
 その入学となる、その入り口となるこの就学相談の役割は、大変に大きく、重要であると思います。その充実が不可欠であると考えます。我が党は、令和三年の事務事業質疑で、その取組の方向性を伺いました。
 そこで、非常に重要な就学相談の充実に向けて、来年度の取組について伺いたいと思います。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、都内在住で今後就学する予定の幼児の保護者を対象に、就学相談への理解を促すパンフレットの配布や特別支援学校を見学する機会を提供しています。
 来年度は、保護者が就学相談の際に役立ったと感じた情報や相談した際の心情などを把握するため、これまでに就学相談を経験した保護者を対象とした調査を実施いたします。
 この調査結果を踏まえ、就学相談の対象となる保護者が必要としている情報などを盛り込んだ保護者向けのガイドを作成、配布し、就学相談の一層の充実を図ってまいります。

○斉藤(や)委員 私も、目指すところは、分離をしない、本当に普通の学びの場で一緒に学んでいくことを目指している一人でございます。
 しかしながら、特別支援学校は一つの、大事な必要な能力を、サポートを強化することによって、その子の幸せのためにできた学校ということで、これは歴史があることでありますので、そうした特別支援学校の目指すべきところを私は否定するわけではありません。
 しかしながら、やはり早期に就学相談を始めると、早くから分けられてしまうんじゃないかという、そういう気持ちにもなってしまいかねません。それは、実は逆で、できるだけ早く、そういった学びの場もあるんだけれども、よくよく考えて挑戦していきましょうという、そういった信頼関係が非常に重要だと思うんですね。私は、そういうふうに思っているんです。
 この就学相談は、学校側と保護者の信頼関係が重要でありますが、よかれと思ってかけたお言葉が、聞いた側は傷ついているということが実際にあるんです。その意味で、今ご答答弁がありました事後調査、どうだったのですかと、そういった調査は非常に有意義な取組であると評価をしたいと思います。調査結果を踏まえた新たなガイドに期待をしていきたいと思います。
 そして、次は就労に関してなんですけども、ある就労支援機関の経営者から、特別支援学校の卒業生が、せっかく企業就職したんだけれども、就職した仕事が続けられずに離職して、就労支援機関に、ある面、戻ってきて、企業で仕事ができないということで離職をして就労支援機関を利用している方のお話を、その経営をしている方から伺いました。離職によって傷ついてしまって、本人の自己肯定感が低下している場合もある、そういったことが多くあるんじゃないかと。再度、企業就労に向けて支援するには、気持ちの立て直しということも含めて負担が大きいというふうに伺っております。
 都立知的障害特別支援学校では、企業就労を希望する生徒を対象に、職業に関する専門教育を行う就業技術科や職能開発科が設置されております。大変に評価されている学科ですが、より多くの希望する生徒が企業に就労し働き続けられるように、こうした専門的な教育を受けられる学校を選択肢として用意することが重要と考えるものでもあります。
 改めて、この就業技術科、職能開発科の特徴と今後の取組について伺いたいと思います。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校では、障害のある生徒の就労に向けて、現在、知的障害が軽度の生徒を対象とした就業技術科を五校に、軽度から中度の生徒を対象とした職能開発科を四校に設置しています。
 これらの学校では、企業就労に向け、専門教科の授業で、生徒の障害の状況に合わせて、例えば模擬的なテレワーク環境での実習を行うなど、社会の就労状況の変化に対応した実践的な学習を行っております。
 また、生徒本人の進路希望と企業の求める人材のマッチングを図るため、ガイダンスやきめ細かな面談を繰り返し実施しております。
 都教育委員会では、今後、さらに職能開発科を四校に新設し、生徒の進路希望の実現に取り組んでまいります。

○斉藤(や)委員 この特別支援学校の医療的ケアについて、我が党の要望を踏まえて着実に進んでいることを高く評価し、そして、特別支援学校卒業後の就労への取組についても、学校の新設とともに、生徒が就労した後の職場定着を視野に入れて支援を進めていっていただきたいと思います。
 推進計画の素案には、職場定着の支援が記載を、明記されております。こうした取組を現在取りまとめている中だと聞いておりますけども、その計画にしっかりと位置づけて、都の特別支援教育が一層推進されることを期待していきたいと思います。
 これに関連しまして、先ほどの、不用意に、気がつかないで発言した言葉で傷つくということがあります。特別な支援が必要な子供たち一人一人が大切にされる環境を整えていくためには、学校の環境の話なんですが、教員の皆様の人権感覚をさらに向上させていくことが大切だということ、これは事務事業質疑等でも私も質問させていただきました。
 そこで、特別な支援が必要な子供たちに関する教職員の人権感覚向上のための都教育委員会の取組を伺いたいと思います。

○藤井指導部長 教員は、常に人権感覚を研ぎ澄ませながら、的確な児童生徒理解に基づき、全ての子供に対して、一人一人を大切にした指導を行っております。
 都教育委員会は、教員の人権感覚のさらなる向上を図るため、都内公立学校の全教員に毎年配布している指導資料の中に、特別な支援を必要とする児童生徒の特性を適切に理解しながら自己肯定感を高める指導の重要性について、教員が自己点検できるようにするためのチェックポイントを新たに追加することとしました。
 今後、管理職等を対象とした研修会において、その内容を周知し、利用を促すことで、特別な支援を必要とする児童生徒一人一人に応じた指導の充実を図り、全ての子供が安心して学校生活を送れるようにしてまいります。

○斉藤(や)委員 人権意識を研ぎ澄ませていて、実際にそう配慮されている先生方が圧倒的に多いことは私も分かっております。しかしながら、そうした中にあって、実際に傷ついている方がおられるのも、これも事実。これは大変多くの児童生徒さんがおられますので。
 そして、大事なことは、これから普通級、普通のクラスに、そういう配慮が必要な子が普通に入ってくることを目指している私としては、そういう特別な配慮が必要な子がいるということを前提とした、そうした学びというか、先生方は大変だと思いますけれども、そうしたチェックポイントなども活用いただいて、自分のやっていることが、振り返ってどうだったのかということを、きちんとやっぱり確認していくことが非常に重要であるというふうに、ますます重要になってくると思いますので、チェックポイントを新たに追加していただくということですが、ぜひどうぞよろしくお願いしたいと思います。
 片方で、笑顔になる、子供を笑顔にするプロジェクトをつくっておきながら、悲しい子供をつくってはいけないということで、先に、特別な、スペシャルニーズの、必要なお子様についてのお話をしましたが、次は、まさしく、令和四年度、非常に大きな取組だと思いますが、子供を笑顔にするプロジェクトについて短く質問したいと思います。
 このプロジェクトの実施に当たりましては、ほかの委員からも質問がありました。重なっているところははしょりますが、要は、学校が困らないようにしていくことも重要だと思うんですね。
 学校のニーズに即した充実した活動となるように、意向調査を今している最中だと思いますが、そうしたことを踏まえた上で、学校が困らないような体制を整えていただきたいと思いますが、見解を求めたいと思います。

○藤井指導部長 都教育委員会は、来年度、友達と共に心を動かされる体験や思い出に残る様々な機会を創出し、子供たちの豊かな感性を育んでいく事業を実施いたします。
 事業実施の準備として、学校のニーズ等を把握するために行っている意向調査では、スポーツや芸術等の希望するテーマや、学校が希望する日程等を調査しております。
 今後、調査の結果を踏まえ、具体的なプログラムを作成するに当たっては、様々な分野の団体等の協力を得ながら、多様なプログラムとなるよう取り組んでまいります。
 また、円滑に実施できるよう、体制も整えてまいります。

○斉藤(や)委員 私は、今の円滑に実施できるような体制を整えていくというところ、これは非常に大事だと思いますので、ぜひとも、そういった体制をしっかりつくっていただきたいと思うわけであります。
 ウクライナの話をちょっといたしますが、ウクライナへのロシア軍の軍事侵攻によって、ウクライナの子供たちの映像が、毎日のようにニュース等で報道されております。子供たちの笑顔が消えている様子を、今、この東京の子供たちも見ているわけであります。
 そうした遠い国のことだと思わないで、ウクライナの子供たちが笑顔になるようなことがしたい、それが自分たちの笑顔にも通じるんだというふうに考えていくような子供を育てていくことが大事だと私は思っております。
 三月十一日、三・一一東日本大震災の日に、東京芸術劇場に巨大な絵が展示されました。ニュース報道でご覧になった方もいると思うんですが、キッズゲルニカという取組がありまして、ピカソが一九三七年の無差別爆撃に抗議して描いた絵、ゲルニカという絵ですけれども、この絵のサイズが七・八メートルの三・五メートル、非常に大きな長方形の絵ですけれども、ほぼ同じサイズの用紙に平和の祈りを込めて絵を描く、そうした取組が進んでいます。
 二〇一七年にウクライナの地で描かれた、特にキエフ州のスラブチチという市で描かれた一枚の絵が、実は日本に、個人蔵なんですけれども、収蔵されておりまして、それを今回、ウクライナの軍事侵攻のことを見て心を痛めた人が、ぜひ多くの人に知ってもらいたいということで−−その絵は、太陽があって、笑顔があふれて、猫もいたり動物もいたり、大変みんなを楽しくする絵なんですけれども、その絵を二〇一七年に描いてくれたウクライナの子供たちがいます。
 日本の東日本大震災の復興を祈って、日本の平和を祈って笑顔を届けてくれたキッズゲルニカが東京芸術劇場に飾られました。都議会公明党が橋渡しをいたしました。
 今は逆に、こういった大変な状況がウクライナの地でありますけれども、こうした世界の友達、同じ世代の子供たちを笑顔にしていきたいというような願いを、具体的な行動を示すような、そうしたプロジェクト、そうした取組なども、こうした子供を笑顔にするプロジェクトといったところにメニューとして入れていただきたいなと、今日は要望しておきたいと思っております。
 ちょっと飛躍したような感じで、大変、きょとんとしている方もおられますけれども、SDGs教育について触れたいと思います。
 都教育委員会は、我が党の提案を受けて、新たな学習指導要領の全面実施前からSDGs教育、すなわち持続可能な社会づくりに向けた教育推進事業として、平成二十九年から五年間にわたり、推進校を指定して研究を進めておられます。
 昨年の第三回定例会の一般質問で、私の質問に対しまして教育長がご答弁されました。これからの子供たちには、地域社会や地球規模の諸課題を自らの課題として受け止め、協働して解決するための資質や能力を身につけることが求められると、この認識を述べられた後に、今年度の研究推進校の成果について、オンライン開催による発表会ではありましたけれども、全公立学校に向け発信し、人材育成に努めると答弁されました。
 そこで、改めて、令和三年度の持続可能な社会づくりに向けた教育推進事業における成果や課題を踏まえまして、令和四年度に実施される地域人材資源活用推進事業の目的、内容について伺いたいと思います。

○藤井指導部長 平成二十九年度から令和三年度まで実施した持続可能な社会づくりに向けた教育推進事業では、子供が身近な問題を自分事として捉え、解決していこうとする力の向上を図っております。
 今後さらに、子供が社会の複雑な問題、課題を解決していく力を身につけさせるために、地域の人材等を活用するなど、様々な人と協働する学びを一層推進していく必要がございます。
 都教育委員会は、今年度から、都立高等学校六校を指定し、地域社会を教材に探求活動を行う地域探究推進事業を実施しております。
 さらに、来年度、新たに都内公立小中学校等十七校を推進校として指定し、地域人材資源活用推進事業を実施します。
 推進校では、各校の地域の実情等を基に、郷土や地域、伝統文化、知的財産や消費者等をテーマとして、地域人材等の協力を得て地域の課題を解決する学習を行い、子供たちに持続可能な社会のつくり手となる資質、能力を育んでまいります。

○斉藤(や)委員 今ご答弁があったその事業、そういうことを目的とした事業を進めている、そこで学んでいる子たちが、今回のウクライナの問題について心を痛めていないはずがないんですよ。
 日経新聞に出ました、ウクライナ侵攻、学校、教え方模索という記事です。(資料を示す)学校の先生方は悩んでいます。児童生徒さんから、様々、質問されるんです。自分のことと捉えてというタイトルがついていますけれども、まさに今学んでいく、今ご答弁があった、その成果として、今起こっている平和に対する重大な挑戦といいますか、侵略ですけれども、人権侵害でもあります。様々な課題がそこに見られるのですけれども、政治的な問題、国際的な問題で、非常に学びの場では捉えにくいことといえども、そういったことにちゃんと反応している子がいるということは、とても大切なことだと思います。
 大事なこと、そういうときに、子供たちに大人がどう向き合うことができるか。教育の現場でも、正解があるわけではないのですけれども、そういった意見交換などを大いに交わしていくことが大事じゃないかなというふうに思ったので、ウクライナの話をここで取り上げさせていただきました。
 ちょっと場面は替わります。今度は環境教育の視点でございます。環境教育等での外部人材の活用という角度の質問になります。
 去る一月二十三日に、日本生態系協会、公益財団法人ですけども、ここが主催の全国学校・園庭ビオトープコンクール二〇二一というイベントがあったんです。上位五賞、優秀な五つの学校は、文部科学大臣賞をはじめ、発表大会に出席できるんですね。
 二年に一度、開催されるこの大会に、私、いつも声をかけていただくんです。この会合は秋篠宮皇嗣殿下がご臨席される大会でございます。
 最優秀というべき文部科学大臣賞には、今回は愛知県の上鷹見小学校が輝いたんです。僅か六十七名の小さな学校です。
 四年生がメダカづくりに造ったビオトープづくりがきっかけになったということも、ちょっとお話を聞きましたが、三年生から六年生の環境委員がしっかりビオトープを見る当番になっていて、学年ごとに役割が決まっているんですね。
 そして、学びの話を聞きますと、いつどこでそんなことを勉強できるんだと思うのですけれども、いえいえ、総合的な学習以外にも、生活科、理科、図工、国語なんかでも−−こういった、学校に造っているビオトープがあるんです。ビオトープの中に学校があるみたいな学校なんですけれども。
 小学校六年生の作品で、国語で秋の一句ということを紹介していましたが、踏めば鳴る落ち葉の声のサクサクと。これ、分かりますよね。枯れた葉っぱの上を歩くと、サクサクサクと音がするんですね。こういった音を聞ける環境って、すばらしいと思います。
 そうした体験活動などを学びの中に入れているわけですが、この学校は、何でこんなにすごいのかなと思って、ずっとその話を聞いていましたら、学校の先生に一級ビオトープ管理士がおられるんですよ。一級ビオトープ管理士、これはプロですが、この一級ビオトープ管理士の先生の下に行うビオトープ学習は質が高いものです。アクティブラーニングそのものでありますというふうに、その先生も語っておられました。年間カリキュラムの中心に学校におけるビオトープを据えて、児童の主体性を見事に育んでおられました。
 これは東京でできるかというと、なかなかそれはちょっと、それをすぐにというふうに私は思っているわけじゃないのですけれども、東京は、今回、上位五校に入っていませんでしたけれども、一生懸命、頑張っている学校はございます。都内でも、学校ビオトープを活用している学校もあります。
 そこで、私は、学校の先生は大変お忙しいし、いろいろやることがあるし、ビオトープ管理士なんて、受けている時間も、そういったあれはない。そういった中で、まさに外部人材、教員だけでは対応し切れないビオトープ管理等に外部人材活用は有効と考えたのです。そして、TEPRO Supporter Bankにそういった方がおられないかなとか、環境教育に活動希望がある人材の登録状況なんかを調べたいなと思いました。
 そこで、この登録状況と、環境分野の専門性ある人材の確保に向けた今後の取組について伺いたいと思います。

○岩野企画調整担当部長 TEPRO Supporter Bankは、学校活動に意欲のある人にサポーターとして登録していただいており、様々な活動分野のサポーターが教育活動を支援することで、教育の質の向上や教員の負担軽減を図っております。
 環境教育で活動希望があるサポーターの登録状況ですが、現在、三十名程度の登録があり、そのうち、ビオトープ管理の経験がある方も数名サポーターとなっております。
 今後、TEPROが専門性のある団体等とより一層の連携を図り、環境分野等の学校が求める人材を紹介できるよう、都教育委員会として働きかけ、学校の外部人材活用を促してまいります。

○斉藤(や)委員 今ご答弁がございました、その登録状況の中に環境教育で活動希望がある方も登録されているということですが、ビオトープ管理の経験があっても、その管理士かどうかは分かりません。しかしながら、ぜひお会いしに行きたいなと思っておりまして、ちゃんと連絡をして参りますので、突然行ったりしませんので。
 そういった先生方、経験のある方々のお力をぜひお借りしながら、アクティブラーニングにつながるような環境教育、こういったことを東京の中でも進めていけたらなと思って質問させていただきました。
 黙っていれば、そういったニーズなんかはありませんとなってしまうのですけれども、いやいや、そういうことが大事なんだということを掘り起こしていくようなことも必要だと思います。広く啓発いただくように要望しておきたいと思います。
 続きまして、今度は高等学校で、すばらしい学校の質問をします。大島海洋国際高校のことです。大島海洋国際高校の実習船について絞って質問したいと思います。
 海洋教育は、国土の全てが海に囲まれている日本にとっては非常に重要であることはいうまでもなく、国内の排他的経済水域の約四割を有する東京都の都立高校におきまして海洋人材を育成していくことは、東京都が果たすべき重要なミッションであると考えております。
 海洋には、漁業や物流といった産業に加えまして、近年では、海に存在するエネルギーの問題、鉱物資源の活用の問題、さらには、SDGsの優先課題として海洋等の環境の保全も盛り込まれるなど、様々な課題がございます。
 国際的な視野でこれらの海洋課題に取り組んでいくためには、実体験を積む必要があり、航海実習は必要不可欠なものであります。欠かせないものであります。
 大島海洋国際高校では、水産科に学科改編後、より実践的な海洋教育が展開されると聞いております。
 特に、実習船による航海や海洋観測などの学習を充実することが重要であると考えますが、都教育委員会の取組について伺いたいと思います。

○谷都立学校教育部長 都立大島海洋国際高校の実習船「大島丸」は、竣工した令和二年度から民間事業者に運航を委託しております。委託先の事業者は、海洋調査船の運航を専門としており、海洋環境の観測や調査、操船についてのノウハウを有していることから、生徒が行う調査や訓練の内容を、将来に役立つ実践的なものとする体制を構築しております。
 学科改編後となる来年度以降は、「大島丸」の観測機器などを実際に活用し、海洋に関する専門的、実践的な航海実習を行うことで、海洋教育の充実を図ってまいります。

○斉藤(や)委員 「大島丸」ができたわけなんですけれども、コロナになってしまって、なかなか能力をフルに発揮できない大変つらい状況が続いているとも伺っております。何としてもこのコロナ禍を乗り越えて、すばらしい海を舞台に、すばらしい人材が世界規模で飛躍していただくことを非常に楽しみにしているわけでございます。
 海洋の調査、観測については、充実した設備と実習を行う体制、これは人ですね。今回は、新たに、民間の優れた能力を持ったところに人材を得たわけですけれども、そうした人が環境。そうした、何を聞いてもきちんと答えてくれるような人の中で実習を行う体制が特に整っていることは大変すばらしいことだと思います。
 ぜひ我が国の高校における海洋教育をリードしていただいて、国際的に活躍する海洋人材を育成していただきたいと願うものでございます。しっかり応援していきます。
 続きまして、法教育について質問させていただきます。
 改正民法の施行により、いよいよ四月から成年年齢が十八歳に引き下げられる話、昨日の生活文化局の委員会でも、消費生活部との質疑で取り上げさせていただきました。未成年取消し権が行使できなくなった高校生世代が出てくるわけです。
 こうした世代を狙う犯罪の被害者にならないように、十八歳成人の意義や効果、さらには、この四月からじゃないのですけれども、二〇二三年、令和五年の四月ですかね、候補者名簿整備の後ということで、裁判員に高校生が選ばれる可能性が出てまいります。そうしたことを事前に知っておくことは重要であり、私はかねて、高校の先生から、十八歳成年はそういうことがあるので、とても心配と同時に、学びが大事だということを、現場の先生から、もう何年も前から聞いていました。そうしたことから、私はかねてより、この成年年齢十八歳引下げに対する質問を様々行わせていただいたわけであります。
 そこで、その引下げがまさに四月に来ることに伴いまして、法に関する教育の充実を一層図っていくべきである、そのように思うわけでございますが、今後の都教育委員会の取組について伺いたいと思います。

○藤井指導部長 都立高校では、教科、公民の授業等で、生徒が、主権者としての政治参加や多様な契約及び消費者の権利と責任などとともに、法の背景にある基本的な価値や、裁判員制度など司法制度の機能と意義を学んでおります。
 各学校は、これらの学習を行うに当たり、弁護士、司法書士、行政書士等と連携して、模擬裁判など体験的な学習を実施しており、生徒からは、論理的に思考することの大切さと、人を裁くことの厳しさを実感することができた等の声が上がりました。
 今後、新科目、公共の授業等で活用できるようにし、こうした優れた実践事例を、全ての都立高校の主権者教育を担当する教員研修会等で周知し、生徒が裁判員制度の意義などを理解するとともに、積極的に司法参加する責任があることを生徒自身が自覚できるよう、法に関する教育の一層の充実を図ってまいります。

○斉藤(や)委員 ありがとうございます。
 私、今年の一月十二日に、法教育の現場へちょっと行ってきました。私自身、一般社団法人のリーガルパークという、そういった団体があるのですが、その協力要請を受けて、都立富士高校の法教育の現場に、授業に参加してまいりました。それは身分を隠してというわけじゃないのですけれども、都議会議員としてじゃなくて、個人として参ったわけです。
 実は私、お役をいただきまして、架空設定の、あおぞら市という市を架空に設定して、その市長選挙の候補者の一人として呼ばれたわけなんですよ。
 もちろん、模擬選挙なので、立候補の立会演説会とかあるのですけれども、選挙公報も事前に作られていまして、私の意思じゃなくて、そういう役目を演ずるようになっているのですけれども、その候補者の一員として行ったんです。
 三人いる候補のうち、ほかの二人は女性の、キャリアですばらしい、総務省から来た方とか、あとビジネスキャリアのある方とか、きらきらした感じの方の中に、私は男性として立候補したわけですけれども、皆さんに対して、どういう市にしたいのか、一生懸命、訴えました。みんな、いろいろ質問もしてくれました。
 その投票結果、私は一票しか入らなくて最下位だったんですね。それで、私を誘ったリーガルパークの先生は、現職の都議会議員の先生がこういうことではなんてということで、私も大変つらい体験をしたわけなんですが、いやいや、私は、そのときに目にした高校生の好奇心をとても身近に感じてきたわけなんです。体験学習というのはすばらしいなと思いました。
 そして、本来、公職選挙法によります投票は−−憲法十五条は秘密投票ですから、投票の秘密が憲法で規定されていますので、人に相談して誰に入れるかなんてあり得ないのですが、それは授業ですから、誰がいいかなとかグループ学習するわけですよ。そのグループに呼ばれたりしたのですけれども、結局、誰も入れてくれなかったという、そういうことが投票の結果、分かったわけです。
 ただ、生徒さんからは、仲間に事前に相談することで理解が深まったと。政治参加というのも、投票は一人だけれども、大いにいろんな人と語り合っていいわけですね。
 そして、難しい話は横に置いて、そのリーガルパークの主催者である弁護士、今井弁護士はNHKにも出ている方ですけれども、大事なことを皆さんに分かってもらいたいということで、板書で、憲法で一番大事な考え方は人権なんだけれども、治者と被治者の自同性、治める側と治められる側が同じ対等な存在なんですよということを分かってくださいという、憲法を知るという勉強も併せてしたんですよ。
 私は、すばらしい−−私も大学は法学部で勉強しまして、一番最初に習ったのは、治者と被治者の自同性という民主主義の根幹です。
 そういったことを学んだ子が、今回のロシアのプーチン大統領の、そうした国を率いている大統領、民主主義の国といいながら、本当に物をいう自由があるのかなとか、どうなんだという観点なんかも、そういった法教育を受けてからは、多分、関心を持って見られるんじゃないかと思ったりもするんですね。
 そうしたことで、私は法教育というのは、単に知識を、何条、何条とか、そういう条文を覚えることが大事なんじゃなくて、自分の存在がいかに−−人権というものはすばらしいものであって、それを相手に対してもきちんと認めていくことが大事なんだと。自分だけがよければいいじゃなく、相手の人権をちゃんと尊重できる、自分の人権も守ってもらいたい。そうしたことがこういった法教育の現場で語られることを、私は非常に期待をしているわけでございます。
 長くなりましたが、そういったことも体験してまいりましたので、ぜひ法教育を、令和四年度以降、しっかり進めていただきたいと思っております。
 続きまして、これもいつもいつもということで、皆様、MTBIでございます。
 軽度外傷性脳損傷、自転車から落ちたりして頭を打ったりすると、ヘルメットをしていても、中の脳が頭蓋骨に当たったりして、見た目には、何も血も出ていない、骨折もしていないんだけれども、脳に損傷が起こっていることがございます。よく脳振盪という形でスポーツの現場で出てくることがあるのですが、決して侮ってはいけない怖い状況なんです。
 こうしたMTBI、マイルド・トラウマティック・ブレイン・インジャリーということで、軽度ということが書いてあるのですけれども、それは、血が出たり、骨が折れたりするというものじゃないんだけれどもということで軽度ということがついています。
 私は、昨年の第三回定例都議会において、このMTBIが学校の運動の部活動中に発生する事例も多いことから、教員の方は、MTBI、軽度外傷性脳損傷の正しい対処法について理解することの重要性について提案をし、都教育委員会の取組状況について見解を伺ってまいりました。
 そこで、改めてなんですけれども、私が質問を申し上げた後の取組状況について、その後の状況につきましてを中心にご答弁いただきたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 区市町村では、実態に応じて、頭部外傷に関する症状や対処法などの普及啓発資料を作成しております。
 都教育委員会は、こうした資料を、十月に開催された区市町村教育委員会の指導室課長会や、十一月、十二月に開催された中学校及び高等学校の保健体育主任を対象とした協議会などにおきまして周知し、事故発生時の対応力の向上に努めてまいりました。

○斉藤(や)委員 都教育委員会は、大変すばらしい、このガイドラインをつくってくれました。(資料を示す)令和元年七月、東京都教育委員会。この中にMTBIの記載が七六ページにございまして、どういう症状が出るか、未然防止にはどういうことが必要かということが書いてあって、そして、先生方がどういう行動を取っていいかというフローチャートもついているわけなんです。
 脳の外傷が見た目に軽度のように見えても、実は、重篤な状況が後から遅発的に出ることが十分ありまして、大変に重い高次脳機能障害に至ることもございますので、とても注意が必要です。
 この脳の健康ということは、これからどんどん、やっぱりもっと啓発していかなきゃいけないと思っているので、何度も取り上げているわけですが、実は、東京二〇二〇大会の開催の中で、大変に若い人が活躍したスポーツ、スケートボードがありました。
 あるいはBMX。考えられないような、自転車を駆使してアクロバットのような着地もする。しかし、ヘルメットを装着しなければ、とても危険なスポーツであります。
 そうした人気が高まっている中だからこそ、この頭部に対するリスクも、それを体験して楽しもうと思っている子供たちに、きちんとやっぱり教えていかなきゃいけない。脳に対するダメージがこういうふうにあることもあるので、気をつけようねということを、未然に、事前にしっかり知って行動することが大事だし、大人の大事な役目であるというふうに思います。
 そこで、この頭部へのリスクについて子供たちを直接指導する教員などですね、学校の中だけじゃありませんから。ですから、正しくそういったことを理解することが必要であると考えますが、改めて都教育委員会の見解を伺いたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 頭部を打った場合には、目立った症状がなくても、時間の経過とともに軽度外傷性脳損傷などの重篤な症状を来す可能性があることから、適切に対処することが必要でございます。
 都教育委員会は、毎年、部活動に関する総合的なガイドラインに掲載されている軽度外傷性脳損傷を含む頭部外傷に関する知識や事故発生時の具体的な応急処置等の内容を研修会等において説明し、教員の理解促進を促しております。
 引き続き、関係局と連携し、研修会等において、頭部外傷に関する症状や対処法などの普及啓発資料を情報提供等を行うことによりまして、事故防止と適切な対応について徹底を図ってまいります。

○斉藤(や)委員 かつて本会議場でも質問させていただいたときに、教育委員会がつくってくれたガイドラインを私学の現場でも活用してくださいということも、関係局ということでお願い申し上げました。実際に、そういうことを活用するように情報提供しているということです。
 そして、福祉保健局の部門におきましては、区市町村が地域でそうした啓発をするためのリーフレットを作ろうという動きを各地でやっておられまして、公明党東京都本部所属の議員も一生懸命推進しているわけですが、各基礎自治体には、そういった啓発用のリーフレットができているんです。
 ですから、二十三区は、もう全部の区でできているはずですから。区部の方はできているんですけど、全部ではありません。各地域でありますので、例えばスポーツクラスター、例えば江東区などにも、そういったスポーツをする場がこれから大変出てきますけれども、基礎自治体にはありますので、そこに集まっていただいた方に対しては、区の作られたリーフレットを活用することだって可能なんですね。
 全てを教育委員会でやる必要はございませんし、学校の外のことを先生方がやるというのは違うと思うのですけれども、頭部を守らなきゃいけない、そうしたスポーツがこれから人気になっていけば、MTBIに気をつけようといったことを、各基礎自治体とも連携しながら啓発していくことが重要であろうと思うわけであります。
 基礎自治体の教育委員会には重ねて、地元の子供たちの脳の健康をしっかり守れるような情報提供は、教育委員会としても、しっかりお願いをしていただきたいと思います。
 次に、総合文化祭東京大会ですね。バッジをつけて私も歩いております。
 昨年の事務事業質疑に続いて、総合文化祭の東京大会について質問を簡単にしたいのですけども、昨年、東京二〇二〇大会、オリ・パラ大会が開催され、感動を呼ぶ大会となったのですが、その一年後となる今年の夏に、七月三十一日から八月四日の間に、国内最大の高校生による芸術文化の祭典である、これは文化部のインターハイともいわれておりますけれども、第四十六回全国高等学校総合文化祭東京大会がいよいよ開催されます。
 四十六番目の開催都市となるわけですが、二〇二三年は鹿児島県。昨年のプレ大会での鹿児島県との交流の模様も、私もユーチューブで楽しく拝見をさせていただきました。このプレ大会は、東京二〇二〇大会がコロナ禍で一年延期となりまして、オリ・パラ大会の直後となったわけですが、現在の高校生はオリ・パラ教育を学んできた世代でもございます。
 そこで、東京都の高校生が、オリ・パラ教育のレガシーを発揮して、総文祭東京大会を自ら企画し、実施することが重要であると考えますが、都教育委員会の取組について伺いたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会はこれまで、オリンピック・パラリンピック教育を通し、生徒の障害者理解や豊かな国際感覚などの資質を育成してまいりました。
 現在、今年七月の総文祭東京大会の実施に向け、自ら企画や運営に携わりたいと希望した高校生六百八十六名が実行委員となり、オリ・パラ教育で培った資質を生かし、準備を進めております。
 具体的には、実行委員が主体となり、特別支援学校と高等学校の生徒が合唱部門での手話コーラスなどで協力して活動することですとか、海外の高校生との交流発表を行うことを企画しております。
 さらに、障害のある方や海外の方など、全ての人が気持ちよく観覧できる、おもてなしの在り方を検討しております。
 都教育委員会は、このような生徒の活動を支援し、共生社会に必要な主体性や協調性、多様性を尊重する態度などを育むとともに、大会成功に向けて着実に準備を進めてまいります。

○斉藤(や)委員 先ほど、我が党の谷村委員からの質問にご答弁がございましたけれども、コロナを経験しているからこそ、こうした高校生たちが今まで我慢してきたことを、もう本当に最大限に喜びと、発揮できるような大会になるように、しっかりと応援もしていきたいと思います。
 私、詩吟に大変興味がございまして、目黒区の吟剣詩舞道連盟の顧問も仰せつかっているのですが、会場に来られる方は高齢者の方が大変多いんですよ。そこで、私、総文祭の話をしました。インターハイともいわれている高校生の集いに詩吟の部門があるんですよとお話をしましたら、みんな、ええっという感じで、何で私たちのグループに入ってきてくれないんだろうみたいな、そういったこともございまして、私、現場に行って、若々しい高校生の吟剣詩舞というのはどういうものか、ちょっと拝見してみたいなと思っておりますので、ぜひ大いに成功を盛り上げていきたいと思います。
 文字どおり、東京都は未来の東京への歩みを始めたわけであります。多様な価値をお互いに尊重し合える共生社会の実現も、非常に重要です。このとうきょう総文二〇二二を自ら企画立案して、みんなで実行、みんなで考えた、高校生が自らの力でやったこの大会、未来の東京の君へ、今の東京をつないで、「きみへつなぐ」というテーマだというふうに伺っておりますが、ぜひ大成功を応援していきたいと思います。
 ここまでが、私が今まで事務事業質疑等を含めて大いに盛り上げていこうと思った課題でございますが、最後に、いろいろ伺ってまいりましたが、東京都の中学校の英語スピーキングテスト事業について、これはどうしても取り上げさせていただきたいと思います。
 令和四年度十一月に実施予定の東京都中学校英語スピーキングテスト事業について、これから、残りの時間、ちょっと質問したいと思います。
 皆さん、ちょっとこの機会に、本当にいい機会なので確認をしていただきたいと思うんですが、そもそもこのテストは、話すことの能力を測るアチーブメントテスト、どのくらいできるようになったか、到達度を見るテストとして実施するものと聞いているわけです。
 そこで、一番大事なのは、その目的ですね。まず、本スピーキングテストの目的について伺っておきたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、小中高校における一貫した英語教育の推進により、生徒の使える英語力の育成を目指しており、スピーキングテストは、その取組の一つとして行っております。
 本テストは、中学校における学習により身につけた話すことの力を客観的に評価するとともに、本テストの結果を都立高校入試に活用することで、生徒の高校における学習につなぎ、中学校と高校における英語指導の充実を図ることを目的に実施をいたします。
 全ての中学生が英語を学習することの意義や価値を実感して、生涯にわたり学び続ける意欲を高めることができるよう、スピーキングテストを実施してまいります。

○斉藤(や)委員 今のご答弁、目的のところで非常に明確なことは、一過性の問題じゃないんですね。今までどうだったか、そして、未来に向かってそれがどうつながっていくかということに、測る価値が、意味が、目的があるわけだと思います。
 大事なことは、中学生一人一人が使える英語能力を身につける、その向上していく伸びの在り方を見るものともいえると思うんですね。他人と比較するためのものじゃありません。
 そういうことでいえば、試験にそれを使うことについての心配というのは、ほかの人が合格して、ほかの人が落ちちゃうみたいなことで、結局、使われちゃうんじゃないかということがメインになっちゃうと、何で試験にという話になるんだと思うので、それは、この後、伺うとしまして、私はこれは、自分にちゃんと能力がついているかどうかを見るのに非常に重要だと。何で勉強するのかと、そういったことも含めましてね。
 今までの英語教育の効果を前提に、今度は高校段階で引き続き勉強していくわけですから、引き続き英語を学び続けるという、つなぎの役目が非常に期待できると思います。他人と比較するものではありません。
 といいながら、今申し上げましたように、令和五年度都立高校入学者選抜テストに結果を活用するとしておられまして、入学試験の配点の面で、英語の割合が他の教科よりも高くなるのではないかと、他の委員からありましたけれども、心配の声があるのも事実です。
 そこで、高校入試にどのように活用していくのか、伺いたいと思います。

○谷都立学校教育部長 入学者選抜において、中学校から提出される調査書には諸活動の記録の欄がございまして、特別活動等及び学校内外の活動について取り上げ、その事実や実績を客観的な記録として記入することとしております。
 スピーキングテストの結果は、中学校における英語、話すことの学習の達成度を示す客観的な記録でありますことから、調査書の諸活動の記録の欄に、本スピーキングテストのAからFまでの六段階の評価を記載することといたしました。
 段階別の評価の六段階に合わせて、二十点を満点として点数換算し、学力検査点と調査書点の合計である総合得点千点に、日頃の学習の成果として加えることとしたものでございます。

○斉藤(や)委員 合計千二十点中の二十点分ということが今のご答弁で明らかになったわけですが、全体として、他の科目との配点の違いは、さっきいった、学び続けることの実施の目的を達成するためには、合理的な範囲内にあると私は感じます。
 そして、日頃の学習の成果として記載されるわけで、試験と同じ日に、その日に何点というわけじゃないわけです。日頃、頑張っている人が、そのときに自然な形で、スピーキングテストで客観的なものを持つことで、学びにまた拍車がかかるということにもつながる、このように考えるわけでございます。
 次の懸念、八万人の解答を正確かつ適切に採点できるかというお声です。
 採点の公平性を担保するための取組について伺いたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 採点は、大学の学位や英語教授法の資格を持つなど高度な英語力と英語教育に関する専門性を有する者が、事前に本テストの採点に係る研修を受講し、その基準を満たした者のみが専任で行っております。
 また、都教育委員会が監修した基準に従い、複数の専任者による採点、審査を経て結果を確定しております。
 採点に当たっては、コミュニケーションの達成度を重視することとし、生徒の多様な解答を積極的に評価することとしています。

○斉藤(や)委員 このコミュニケーションの達成度、多様性も評価する。多様性だから答えがないじゃないかというのは、もう切りがないんですよ。そうじゃなくて、その子が本当に次の学びにつなげていくようにということで、これが必要なことは誰も否定しません。
 あとは、その可能性、大丈夫なのかということの確認なんですけど、そういったことは全部、この目的の達成に向けては乗り越えていくべき話だと思います。きちんと多様性も評価するということです。
 それでは、スペシャルニーズのある生徒さんへの配慮は当然あると思いますが、これは先ほどご答弁がありましたけれども、ちょっと簡単に、簡潔にお願いします。

○瀧沢指導推進担当部長 全ての生徒が安心してテストを受けるために、障害等に基づく合理的な配慮として、視覚、聴覚、吃音、発話障害などに係る十四区分を設定し、解答時間の延長、音声を文字化した資材の使用、採点時に注意して聞くといった障害特性に応じた措置を行っております。
 また、来年度は、特別措置に関する情報を、リーフレットに加え、ウェブサイトでも提供するとともに、申請の受付期間を延長することにより、生徒、保護者が教員と十分に相談をしながら措置が申請できるようにしてまいります。
 今後とも、生徒の能力が適正に評価されるよう、生徒、保護者の意見を丁寧に聞き、適切に対応してまいります。

○斉藤(や)委員 しっかりと周知徹底、受付期間の延長など、こういった合理的な配慮は、本当に徹底してやっていただきたいと思います。
 質問は最後ですが、私立中学校から都立高校への入試を目指す生徒さんとか、スピーキングテストを受けられなかった生徒さんはどういうふうなことになるか、伺っておきたいと思います。

○谷都立学校教育部長 スピーキングテストをやむを得ない理由などで受けられなかった生徒が都立高校入試を受検する際には、不利にならないように取り扱うこととしております。
 具体的な方法につきましては、保護者や中学校等に対して適切な時期に周知してまいります。

○斉藤(や)委員 今のご答弁は、スピーキングテストをやむを得ない理由で受けられなかった生徒を不利にならないように取り扱う、そして、具体的な方法については、今ご答弁はありませんでした。適切な時期に周知するということでございましたけれども、この点については、私も、しっかりと今後フォローしていかなきゃいけないと思うんですね。周知の時期はいつですかと聞いたりはしません。そういったことをしっかりフォローしていきたいと思います。
 ここまで、高校の入学試験にスピーキングテストを加えることについて、挙げられている懸念について確認をさせていただきました。その答弁を聞いて、各委員の皆さんも理解を深める材料としていただきたいと思って、これを取り上げたわけでございますが、中学校までの英語学習の成果を振り返って、高校入学後の英語につなげていくためには、英語のスピーキングテストは意義ある事業であると思います。
 これは、自分もそうだし、指導している先生方もそうです。自分の教え方は大丈夫なのかな、ちゃんとその子は伸びているのかなと。やっぱりその伸び方を確認する意味でも、非常に英語の−−話せる英語が、なぜ日本は駄目なのかということの課題がずっとあるんです。
 私も話せないです、はっきりいって。威張る話、自慢する話じゃないですけど、これだけ勉強したのに、何でなのかなと。やっぱりスピーキングに対して重きを置いてきたとは自分は思えないんですね。どちらかというと、書く方とか読む方はできます。ウクライナの情報も英語で読んでいます。
 そういう能力とコミュニケーションの能力は若干違うのかなということも思ってきた者とすれば、私は生まれてくるのがちょっと早過ぎたなと。ぜひ私は、今の先生方の下で学んで、そのスピーキングテストを受けてみたい。そういうふうに意義ある事業だと思っております。(「まだ間に合う」と呼ぶ者あり)あの、不規則発言(笑声)
 一人一人の生徒が安心してこのスピーキングテストを受けて、力を最大限発揮できるように、公正であることは当たり前なんです。公正らしさ、そういうふうに見えるということも大切でありまして、公正らしさにも十分配慮しながら、万全な運営体制を構築することが極めて重要であると申し上げております。
 公平な採点や個人情報の厳格な管理など、懸念の声がありますが、これをしっかりやるのは当たり前のことであって、東京都教育委員会が責任を持って、事業者との協定に基づき、本テストを公平、公正に実施していくことを強く強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。

○白戸委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時四十九分休憩

   午後六時十分開議
○白戸委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○アオヤギ委員 日本共産党のアオヤギ有希子です。
 まず最初に、医療的ケア児の専用通学車両についてお伺いします。
 私も、この問題では看護師の増員を求めてきました。
 関係者のお話を聞くと、A校では、希望した人はほぼ乗れているんだけれども、B校は、ほとんど乗れないというお話と、あわせて、専用通学車両に乗る学校の非常勤看護師が、全員、週十九時間の上限で働いているようだというお声をお聞きしました。都に聞くと、そうだということでありました。
 十九時間という縛りがあると、週五日働いたとして、一日、三、四時間しか働けません。朝、子供の家に行き、乗車させますから、七時ぐらいから十一時ぐらいまでしか勤務できない状況になります。そうすると、一番多くの看護師を必要とする給食の時間までいられないということになります。
 ということは、希望どおり専用通学車両に乗れる学校は、多くの看護師さんのリレーのような状況で乗車させていたというふうに思われます。この看護師の配置をどの学校でもやるということは不可能に近いというふうに思います。
 また、コロナ禍の看護師不足、正規の仕事に就く看護師も多い中、会計年度任用職員の処遇で、看護師が必要な人数が集まるのかという疑問があり、週十九時間以上も働けるように求めてきたところですけれども、今回、三十一時間とされたことは前進ですけれども、上限を三十一時間にしたのはなぜですか。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 医療的ケア児専用通学車両への乗車が可能な都立特別支援学校総合非常勤看護師は会計年度任用職員でございまして、勤務時間は、東京都公立学校会計年度任用職員の勤務時間、休暇等に関する規則において、一週間当たり三十一時間以内と定められております。

○アオヤギ委員 新たに三十一時間で募集をするということも大事ですけれども、今いる看護師の皆さんにも、本当は十九時間以上働きたいという方もいらっしゃるかもしれません。
 こうした方々に長く働いていただくことも、専用通学車両に乗車できる子供を増やすことができるようにするものですけれども、今いる十九時間で採用されている看護師には、週三十一時間勤務の看護師への応募に向け、どういう働きかけをするのでしょうか。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 非常勤看護師の採用選考は、ほかの会計年度任用職員と同様に、公募により実施しております。
 現在、都立特別支援学校に在籍している週十九時間以内で勤務する非常勤看護師に対しては、学校を通じて採用選考の実施について周知を図っております。

○アオヤギ委員 看護師不足の中、正規職員なら働きたいという人もいらっしゃると思います。
 また、医療的ケア児が学校にはたくさん集まるわけですから、より専門的な技術が必要ですが、そうしたときに、正規で専任で働く方が技術を身につけやすいというふうに思います。
 医療機関でも正規の看護師を雇っているわけですから、そこと競って看護師を確保するには、より待遇のいい環境でないと看護師は確保できません。
 正規の看護師も必要と考えますが、いかがでしょうか。

○浅野人事部長 都立肢体不自由特別支援学校では、医療的ケア全般の管理を担う常勤看護師と医療的ケアの主たる実施者である非常勤看護師が、教職員等と連携しながら医療的ケアを実施しております。

○アオヤギ委員 ぜひ正規の配置増も求めておきます。
 決算分科会で、肢体不自由児の保護者の皆さんは、専用通学車両には乗れず、福祉タクシーを利用して学校に行く場合、月数万円の費用がかかり、学校に行くことを控えざるを得ないという方がいることを示し、早期に就学奨励費に入れるよう求め、さらに文教委員会では、とや都議の質疑で、福祉タクシーの費用を就学奨励費に入れる検討をすると答弁しましたが、実施すべきですが、どうですか。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 令和四年度からは、医療的ケア児が専用通学車両に乗車できるようになるまでの間に福祉タクシー等利用した場合、通学費の支援対象とする予定でございます。

○アオヤギ委員 通学費の対象とする予定ということであります。
 この制度の中身ですけれども、利用時間数や回数、料金の上限はありますか。確認します。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 医療的ケア児が専用通学車両に乗車できるようになるまでの間に保護者が利用した福祉タクシー等の経費を支給対象としてございます。

○アオヤギ委員 乗った分は就学奨励費に含まれるということを確認しました。
 あわせて、このタクシーに乗って学校に行き、同乗した保護者が帰るときの公共交通機関の費用も、これまでどおり負担はないということでありますから、そうしたことも一緒に周知をして、希望する方が全員乗車でき、学校に行けるようにしていただきたいと思います。
 次に、正規の教員の増員についてお伺いします。
 来年度から小学三年生の三十五人学級がいよいよスタートされます。多くの教職員、保護者の皆さんが心から待ち望んでいたことです。
 コロナ禍で求められる感染症対策でも、ソーシャルディスタンスが学級で求められ、一斉休校時の分散登校での少人数での授業が子供たちによい効果があったことも報告されています。
 子供たちがよく分かる授業、行き届いた教育を提供するために不可欠なのが少人数学級であると考えますが、三十五人学級の意義と教育的な効果についてどのように考えていますか。

○小菅地域教育支援部長 義務教育における学級編制は、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任において行われるべきと考えております。
 効果等につきましては、今後、国が検証していくものと考えます。

○アオヤギ委員 国が検証するというお答えですが、区市町村からも、議会からも、少人数学級を求める声はたくさんあります。効果がないとは決していえないというふうに思いますので、しっかり都として検証していただきたい。効果があると区市町村もいっておりますので、検証していただきたいと思います。
 都は、この間、負担の大きい校務を担う教員の持ち授業時間数の軽減が、モデル実施から本格実施とされ、やるということであります。学校長の方々や副校長の先生の方からの強い要望もありました。その本格実施は歓迎するものです。小学校、中学校に派遣を措置して、校務の多い教員の授業をその講師がやるものです。
 小学校に措置される講師は、小学校全科の教員の免許でよいわけですけれども、中学校の場合は、それぞれの校務の先生の教科はばらばらになり、その先生の教科に合った講師を措置することになります。
 負担の大きい校務を担う教員の時数軽減は、小学校、中学校で大幅に校数が増えていますけども、どのように講師を確保するのでしょうか。

○浅野人事部長 都教育委員会は、時間講師を確保するため、年間を通じて採用候補者選考を行い、名簿を区市町村教育委員会に提供しております。
 また、さらなる候補者の確保に向け、大学などへの広報活動を積極的に行うとともに、ハローワークと連携して周知を図るなどの取組を行っております。

○アオヤギ委員 こうした時数軽減は多くの学校で求められていますが、今回、小学校五百七十六校、中学校三百八校となっており、全校ではありません。
 時数軽減の配置校はどのように決めるのでしょうか。

○浅野人事部長 時数軽減の対象校については、申請のあった学校の中から、地域間のバランスや区市町村教育委員会の意向等を踏まえて、予算の範囲内で決定しております。

○アオヤギ委員 ぜひ希望する学校全てに配置をしていただきたいと思います。同時に、事務事業質疑でも申し上げましたが、この時数軽減は、合計すると正規職員一人分くらいになるものです。正規で配置することを要望しておきます。
 また、産休、育休代替教員の確保については、学校や副校長の業務を支援するシステムを導入する予算がつけられました。一歩前進です。
 講師にも拡大するとともに、さらに、副校長が講師を探し回らなくても済む、都教委が責任を持って確保するシステムを構築していただきたいということを求めておきます。
 時間外勤務についての調査について、都が報告しておりますけれども、令和三年度までの三年間の状況が公表されています。
 特別支援学校の副校長のみ、月四十五時間以下が減り、四十五時間以上八十時間という項目が増えている結果が出ています。
 副校長の補佐をする支援員の配置は、特別支援学校でどうなっているか、分かりますでしょうか。

○浅野人事部長 都教育委員会では、副校長を直接補佐する支援員を配置しており、特別支援学校を含む都立学校全体で、今年度は四十六校に支援員を配置し、来年度は百三十四校に支援員を配置いたします。

○アオヤギ委員 都立校全体で百三十四ということで、まだそれが特別支援学校がどれくらいかということは分かりませんけれども、特別支援学校では、医療的ケア児のバスの運行のため、副校長は、朝六時台に学校に到着して鍵を開ける学校もあるそうです。そうした負担が勤務時間の増につながっていないか、心配です。増えた要因をよく分析して、対策を要望します。
 また、特別支援学校全校に対し、補佐する人材は必要だと思います。全校配置を求めます。
 文科省は、年間標準授業時間数を定めています。平成二十七年、我が党が標準時間数を超えた割合を調査したところ、小学校第一学年で、年間標準である八百五十時間を六十一時間超えた学校数を比べると、全国平均で約四二・四%の学校がオーバーをしていたのですけれども、東京は六〇・二%、約六割が六十一時間オーバーしていることが分かりました。
 直近の状況はどのようになっていますか。

○藤井指導部長 都教育委員会が都内全公立小学校を対象に行った平成三十年度の授業時数についての調査では、第一学年では六七・八%、第二学年では五六・六%、第三学年では七二・七%、第四学年では六八・一%、第五学年では六二・三%、第六学年では五八・五%となっております。

○アオヤギ委員 この標準授業時間数を超えているのが六〇%以上と、それぞれの学年でその前後ということで、依然として多くなっているということです。教員の授業の持ち時間数は減らすべきときが来ていると思います。
 そもそも、この持ち時間数は、文科省が小学校週二十六時間、中学校週二十四時間と定めておりますが、昭和三十三年のときの想定を現代にまで引きずっているものです。昭和三十三年は、週六日の勤務を想定し、つくられていますので、現在の週五日の勤務に当てはめると、当然、一日の時間数が増えるわけです。
 さらに、二〇〇三年に、国はゆとり見直しを行い、標準授業時間数を増やすことを教員の増員なしに行ったため、現在の標準授業時間を上回る働き方になっているのが教員の長時間労働につながっています。
 小学校の二十六時間で関東の学校を計算すると、一日、六こまをこなす日があり、試算をすると、その日は二十五分しか校務に当てられなくなる計算です。授業準備、採点、報告書作り、コロナ禍ではアルコール消毒、オンライン授業の準備の時間を考えると、とても二十五分では足りないというのが現状です。
 そういった中で、学級では、例えばいじめが起きたり様々な問題が発生すれば、恒常的な残業がある中で、担任の先生はとても大変な状態になります。
 一日は二十四時間しかありません。この週二十六時間という授業時間数は、最初から限界を超えている状態だと思います。学級に四十人もいては、学級担任は大変な状況ではないでしょうか。この認識をお伺いします。

○藤井指導部長 各学校においては、学級担任の対応は多岐にわたっており、様々な問題が起きた場合、学級担任だけでなく、学年主任や生活指導主任等、複数の教員で組織的に対応してまいります。

○アオヤギ委員 その対応の仕方は分かるのですけれども、そういったことが重くのしかかると。残業している中で、さらに、おうちに訪問するだとか、そういったことをすれば、また大きな負担になることは間違いありません。そこに、今、教員の皆さんが直面している状況だと思います。
 都の校務負担の軽減制度には、担任する先生など指定された校務がない先生には負担軽減がありません。持ち授業時間数を減らす必要があるのではないでしょうか。認識をお伺いします。

○浅野人事部長 都教育委員会は、学校が組織として、より効率的に運営されるよう、学校運営に係る業務のうち、負担の大きい業務を担う教員について授業時数を軽減しております。

○アオヤギ委員 学級担任も負担が多いというふうに思います。負担軽減を求めておきます。
 学級担任の負担を軽減するため、専科の先生の配置も重要で、私たちも文教委員会で求めてきました。
 数年前ですけれども、その当時、文科省が我が党の国会議員の質問に対して、一時間当たりの指導時数に対しては一時間の準備時間が必要であることを認め、答弁したことについて、都も同じ考えかと問うと、同等の時間が必要だと、都も答えています。
 授業の準備時間を確保する上でも、小学校に教科担任制を導入することは効果的であると思いますが、いかがお考えでしょうか。

○浅野人事部長 都教育委員会では、令和三年度から、教科担任制の推進校において、高学年の理科または体育に専科教員を配置するとともに、学級担任が他の教科を分担して指導する取組を行っております。

○アオヤギ委員 これは重要な取組だと考えます。多くの学校が求めていることだと思いますので、本格実施を要望します。
 次に、定数条例についてですが、特別支援教室から通常級への異動が四百二十八人になる見込みであると、昨年の文教委員会で答弁されています。
 定数条例を見ると、小学校では四百十四人増えるのは三十五人学級対応等のためということですが、特別支援教室から四百二十八人、中学では八十一人の教員が通常学級に異動しなければ、およそ八百人以上の定数増をしなければならなかったということでしょうか。

○浅野人事部長 特別支援教室の教員配置について新たな基準を適用するに当たり、令和三年九月時点で区市町村が見込んだ小学校の特別支援教室の過員解消数は、計四百二十八人でございます。
 令和四年四月一日の教職員の配置については、都の配置基準に基づき適切に対応してまいります。

○アオヤギ委員 はっきりとお認めになりませんけれども、特別支援教室の四百人以上の教員がいなければ、さらに必要になってくる教員が増えるのは間違いないと思います。
 三十五人学級の必要人数を資料要求でもらっておりますけれども、一学年三十五人学級にするには三百人程度必要ですが、必要人数分だけ教員を増やすだけではなく、教員の退職者数、病休者数、子供の増加数など増減があるため、来年度については四百十四人プラス四百二十八人分増やす必要があったということです。
 その次の年も、持ち上がりで四年生を三十五人学級にするためには、特別支援教室からの教員の異動は来年はないため、同規模の約八百人程度の教員を増やさなければならないということでしょうか。

○浅野人事部長 令和五年度の小学校の教職員定数については、第四学年の三十五人学級の実施のほか、児童数の増減等、様々な要素を見込む必要があり、現時点では未定でございます。

○アオヤギ委員 来年度、三十五人学級にするため、四百人もの特別支援教室の教員を減らしたことは、本当に許し難いものだということを改めて指摘をしておきたいと思います。
 また、十二対一にするという要綱の変更も、もう内部で決定してしまったとお聞きをしています。現場には、まず過員解消計画の提出を昨年に求め、なぜ十二対一にするのか、丁寧な説明がなされていないことも重大です。そんな中、都の内部だけで十二対一を決められるということは、意思決定過程の透明性がないといわざるを得ません。厳しく指摘をしておきます。
 教員の増員の話に戻りますけれども、資料要求で得た数字によると、病休者数は、毎年、七百人から八百人を推移しています。産休、育休を取得した教員は、毎年、一千人を超えます。産休、育休、病休で、毎年、一定数の教員が休みに入ることは分かっていることです。こうした方の代替を、期限付の教員や講師などで対応するのには限界があります。
 四月に教員が足りないということで、期限付任用の四月一日の任用や四月中の任用がいまだにあります。四月一日の任用は五十八人、四月任用は二百六人というのが昨年度の数字だったと思いますけれども、期限付任用教員名簿登載者は、教員採用試験の二次試験まで通り、あとは面接が受かれば本採用だったはずの方です。四月に足りないのですから、この人数を前もって見込んで採用すべきではないかと思います。
 四月中の任用を減らす。つまり、その分、正規として採用をすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○浅野人事部長 都教育委員会では、翌年度当初に必要とする教員数を算出して、必要な教員数の確保を行っております。

○アオヤギ委員 その必要な人数に入れていただきたいというふうに思います。あらかじめ正規の教員の増員をしておくべきだと考えます。
 また、新規採用者数が退職者を上回って採用しなければ、三十五人学級などに対応できません。
 小学校全科における来年度新採用になる教員の数と令和三年度末退職見込み数を伺います。

○浅野人事部長 小学校全科における令和四年度の採用候補者名簿登載者数は千百六十四人、令和三年度末時点の退職見込み者数は千四十四人でございます。

○アオヤギ委員 前回お答えいただいた数と同じだということで、百二十人が純粋な増員ということになりますけれども、やはり定数条例の四百十四人の増員には届かないものです。退職者を大幅に上回っての採用がなければ、来年の三十五人学級の対応にも、また、年間の病休者数にも対応できなくなるということを指摘しておきます。
 鳥取県では、三十人学級を小学校で進めるということが報道されました。全国的には、三十五人学級を全学年で実施している、そうした自治体も数多くあります。全国で少人数学級を独自に実施している県は数多くあります。
 全国一、財政力のある東京にできないのはなぜですか。

○小菅地域教育支援部長 義務教育における学級編制は、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任において行われるべきと考えております。

○アオヤギ委員 国の責任もあるのですけれども、ほかの県ができるということで、東京にできないということなどないと思います。五千億という増収もあるわけですから、子供たちの教育の充実のために使うべきだと思います。
 教員の持ち授業時間数が大幅に超過する中で、恒常的に残業するような働き方になっています。子供たち一人一人に寄り添った教育をするには、学級担任の役割は大きく、負担軽減をしていく必要があります。毎年の産休、育休の教員、病休の教員の数を考慮すれば、せめて四月中の期限付の任用を、ちゃんと正規の先生として採用し、配置することが求められています。
 したがって、持ち授業時間数の基準を改め、週の持ち時間を減らすこと、また、少人数学級を都独自に前倒しし、正規の教員を増やしていくべきだと考えますが、認識をお伺いします。

○浅野人事部長 講師時数算定上の教員の標準持ち時数や学級編制の基準については、いわゆる標準法に基づき定めているものであり、これらの見直しは、国の責任において行われるべきと考えております。
 引き続き、国の動向を注視してまいります。

○アオヤギ委員 従来の答弁がなされましたけれども、現場は本当に疲弊していますので、こうしたことを率先して都が進めていただきたいというふうに思います。教員の現状に目を向けて、持ち時間数を減らす、少人数学級を早期に実現することを都の責任で行うことを求め、次に移ります。
 次に、特別支援学校の設置基準についてお伺いします。
 公立特別支援学校における教室不足調査の結果が公表されました。
 東京都の不足数は、前回、令和元年の二百六教室から五百十四教室となっています。この理由をお示しください。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 これまで文部科学省が実施してきた特別支援学校の教室不足調査では、普通教室を間仕切りした教室数が公表されていましたが、今回の調査では、特別教室等から普通教室に転用した教室数も加えて公表することとなったためでございます。

○アオヤギ委員 今回の文科省の調査の項目ですが、七項目あります。仮設建物借用教室百八十三教室が転用、特別教室の転用三百一、管理諸室の転用百二十九、教室の間仕切り二百七十八、体育館・廊下等の間仕切り一、倉庫・準備室等の転用四十四、その他の対応二百六十七教室、合計千二百三教室となっています。
 このうち、授業実施に支障が生じており、今後整備の必要がある教室五百十一、今後必要が見込まれることから、新たに整備が必要な教室三、合計五百十四が不足教室となっています。
 児童生徒等の増加に伴う一時的な対応をしている教室数の千二百三教室、不足教室五百十四と、大幅にこれが減るのはなぜですか。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 教室配置上、普通教室と特別教室を入れ替えて使用している場合など、授業の実施に支障が生じていない教室の数を除いたためでございます。

○アオヤギ委員 間仕切りの教室は、特別支援を必要とする子供たちにとって、決してよい環境とはいえません。授業に集中できない環境です。今回、音楽室など特別教室の転用も示されました。これだけの転用は看過できません。
 文科省は、当面適用外とした既存校も、可能な限り速やかに設置基準を満たすことと明記し、各県に集中取組計画を二一年度末までの策定、実施を求めています。特別教室や図書室などの転用も、原則、認められないことになります。
 集中取組計画策定の有無で、東京都はありというふうになっています。いつからいつまでが集中取組期間ですか。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 文部科学省の調査では、令和二年度から令和六年度までを集中取組期間としています。
 都教育委員会は、都立特別支援学校の教育環境の改善を図るため、当該期間を含む平成二十九年度から令和九年度までを計画期間とする東京都特別支援教育推進計画(第二期)を策定しております。

○アオヤギ委員 都の集中期間は随分長いという印象ですけれども、十一月に素案が出された特別支援教育推進計画には、特別支援学校の設置計画が、括弧、検討中のまま議会に報告されています。
 計画開始が目前ですけれども、どのようになりましたか。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画に基づく学校の新設や増改築等につきましては、現在、検討中でございます。

○アオヤギ委員 こうした状態で、新年度に計画開始できないというふうに思います。いつまでに数字を出すのかというふうにお聞きしますと、これも検討中というお答えですので、やはりこれは、早急に間仕切り教室、転用教室解消のための設置数を定めなければならないというふうに思います。
 国は、教室不足解消に向けて、令和二年度から令和六年度までの期間を集中取組期間とし、既存施設を特別支援学校に供する改修事業について、国補助を三分の一から二分の一に引き上げるとしています。
 利用できる場合は、この補助制度を活用すべきですが、お考えをお聞かせください。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、国庫補助制度を活用しながら、都立特別支援学校の新築や増築等を進めており、既に活用可能な補助制度は活用しております。
 なお、ご質問の廃校等の既存施設を特別支援学校として利用に供する改修事業の国庫補助につきましては、制度創設後、対象となる改修事業についての実績がないことから、これまで活用した事例はございません。

○アオヤギ委員 都内には、廃校になった学校など、使われていないケースもあります。子供たちにとっては、小さい規模の学校が望ましいわけですから、そういった学校がある場合には、区市町村とも連携をして積極的に活用をしていただきたいと思います。
 この国補助制度は、既存施設の改修に限らず、新規建設において利用できますけれども、利用状況はどのようになっていますか。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 国の補助制度ですが、特別支援学校の新築または増築に係る国の補助率は、小学部、中学部については十分の五・五、高等部については二分の一であり、都立特別支援学校の新築や増築等に際しては、既に活用しております。

○アオヤギ委員 活用しているということです。
 都が特別支援学校を新たに開校する上で、課題とするものは何ですか。見解を伺います。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 学校を新設する場合は、全都的な配置バランス等を考慮した上で、校舎、グラウンド、体育館や駐車スペースなど必要な施設を設置するための敷地面積や、スクールバスが運行可能な学校周辺の道路幅等を勘案し、開校予定地を選定することが必要でございます。

○アオヤギ委員 こうした分析の下、国補助を使えるようにするのはもちろんですけれども、今回、教室が大幅に不足しているということですから、それに見合った整備を都自身が計画を持っていくべきだと思いますけれども、整備計画については、どういう考え方でやっていくのでしょうか。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、特別支援教育推進計画を策定し、必要な教育環境の改善を計画的に進めているところでございます。

○アオヤギ委員 ちょっと詳しい中身が分からないのですけれども、間仕切り教室、転用教室の解消ということをしっかり打ち出して、それに見合った学校の増設計画を持つよう要望します。
 この教室不足に都自身が真剣に向き合い、それに見合った整備計画を打ち出して、公有地を積極的に活用し、早期に大幅に増設すべきだと考えますが、いかがですか。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、特別支援教育推進計画を策定し、都有地などを有効に活用して、計画的に必要な教室の確保を進めているところでございます。

○アオヤギ委員 都有地、公有地を優先的に特別支援学校の建設のために使うよう、全庁を挙げて進めていただきたいと思います。
 次に、PCR検査とオンライン授業についてお伺いします。
 オンライン授業では、低学年では授業に集中できないということが、保護者の方から数多く報告されています。教えるべきものの何分の一も進まないなどの、実際には、現場では苦労があります。
 オンライン授業は、学校での対面での学びのあくまで補助的な役割という認識でよろしいでしょうか。確認します。あわせて、出欠の扱いについても伺います。

○藤井指導部長 オンラインを活用した授業は、感染症等の発生時において、学校における感染防止を図るとともに、子供たちの学びを継続するために効果的であり、現在、都教育委員会は、オンラインと対面を併せた教育活動を推進しております。
 国の通知では、オンラインで自宅学習した日数は、出席停止、忌引等の日数として記録されることが示されております。
 なお、設置者の判断により、出席停止、忌引等の日数の欄の名称を、オンラインを活用した特例の授業、出席停止、忌引等の日数のように変更することが可能とされております。
 また、学習の状況や成果は、教員が日々その状況を適宜把握し、学校における学習評価に反映することができると示されております。

○アオヤギ委員 休校中、安否を確認する上でも一定有効ですけれども、対面での授業、集団での学習には代えられないものと思います。学校での様々な活動を通じて子供たちは成長していくのだと思いますし、それを保障するのが都の役目であると考えます。
 さらに、新型コロナの感染で、基礎疾患のない十代、十歳未満の子供の死亡事例も報告されています。学校での感染症対策は、より一層強化しなければなりません。
 学校での感染は、都立学校で教員千百八十九人、生徒一万五百四十八人となっており、また、区市町村立学校では、教員二千四百三人、児童生徒が五万七千三十五人となっています。
 この間、学校での検査を求めてきましたけれども、検査実績は、都立学校百三十一校、三千五百二十三件、区市町村立小学校十四校、百七十五件の検査実施数となっています。
 区市町村では、PCR検査ができると知らない自治体、実施していない自治体が多数ありますが、周知を徹底すべきではないですか。

○小菅地域教育支援部長 学校で感染が判明した場合の濃厚接触相当者に行うPCR検査についてですが、区市町村へは、事業の案内を通知するとともに、オンラインで説明会を行い、さらに、未参加の自治体には個別に連絡を取っております。
 また、区市町村立学校の教職員に向けた感染症対策オンライン緊急連絡会でも案内をするなど、綿密かつ丁寧な対応を行っておりますので、再度の対応は考えておりません。

○アオヤギ委員 未参加の自治体に対しての個別連絡というお話ですけれども、これは昨年の九月に行ったということです。
 直近でも運用の仕方が変わっています。例えば、PCR検査をした後、医療機関を受診して、もう一回検査をする必要がなくなるなど、こういった手間を省いている通知を都は出しております。区市町村にしっかり説明していただきたいと思います。
 学校で感染者が出てもPCR検査をやられていない今こそ、この都のPCR検査を行って、陰性が確認されれば、五日間程度で授業を再開できるのですから、しっかり確認することが大事です。科学的根拠を持って再開できるわけですから、利用促進を図るべきです。
 ただの自宅待機だけでは、無症状の感染者の把握はできません。
 また、安心して活動するためには、修学旅行などの校外学習の前後のPCR検査も重要ですが、行く場合はPCR検査を活用できることを改めて通知すべきではないですか。

○小菅地域教育支援部長 学校活動を行う際のPCR検査についてでございますけれども、区市町村へは、事業の案内を令和三年十一月二日に通知し、その後、三回、事務処理の変更等についても含めて通知を発出してございます。
 また、令和四年一月二十一日に実施の意向調査を行いまして、活用の拡大を図りました。
 さらに、令和三年十二月十七日に開催しました区市町村立学校の教職員に向けた感染症対策オンライン緊急連絡会でも、手続等について案内しておりまして、再度の対応は考えてございません。

○アオヤギ委員 修学旅行、校外学習を保障する上でも、一緒に寝泊まりをするということは、やはり感染のリスクが高まるわけですから、しっかり検査をやった上で実施をするということの徹底を求めます。
 都立学校などでの入試の試験官をする教員のPCR検査もされています。ここでは、陽性者も発見して、療養に入ったケースもあるということです。
 こうした検査の抜本的な活用促進が求められています。
 濃厚接触者となっても検査がされない、コロナであることも伝えられず学級閉鎖になるという事態が一向に改善しない状況です。
 こういった中で、保護者の方には、持病があってコロナに感染した場合、重症化すれば子育て自体が危ぶまれるなどの不安から、子供を自主休校させている方々がおられます。学校での学びや子供たちの間の交流などは、本来、保障されなければならないと考えます。
 先生への抗原検査の定期検査が始まりました。これを子供たちにも拡大して、しっかりと安全を確認しながら教育活動を進めていくべきではないかと考えますが、定期検査の実施について、いかがお考えでしょうか。

○小菅地域教育支援部長 都教育委員会は、オミクロン株対策として、厚生労働省のエッセンシャルワーカーを対象とした集中検査の実施を踏まえまして、教職員を対象に、抗原定性検査による週に一度の定期検査を実施しております。これを活用することにより感染拡大を防止してまいります。
 国の見解と同様に、ワクチン接種や検査結果の有無によって学校教育活動に差を設けることを想定しておりませんで、児童生徒に対する定期的な検査は考えておりません。

○アオヤギ委員 都は、国が指定した十二歳以下の子供のいる施設から範囲を広げ、中学校、高校の先生にも対象を広げたわけですから、この定期検査の意義はよくご存じだと思います。感染者が減り始めてきたときにこそ、PCR検査の定期検査が必要です。こうした検査方針をもって安心して学校で教育活動ができるよう、学校全体での定期検査の実施を求めます。
 次に、子供を笑顔にするプロジェクトについてですが、昨日の生活文化局のところで予定していた質疑をさせていただきます。取りまとめは教育庁ということでお伺いします。
 若い世代がアートに触れる機会を広げる方向性というのが示されておりますけれども、このプロジェクトは、その一つというふうに思います。
 生徒や保護者の負担はどうなるのか、確認します。

○藤井指導部長 本事業の実施に係る経費については、都が負担するとしております。

○アオヤギ委員 民間事業者と連携して提供されるメニューを選択するとのことですが、多様なメニューが提供されることが重要です。
 学校公演に力を入れている劇団など、幅広くメニューに加えることや、学校がこれまでのつながりなどを生かした公演をしてきた場合など、こういったものも対象にしていただきたいと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。

○藤井指導部長 本事業については、スポーツや芸術等のテーマに関する体験活動について検討することとしております。
 今後、様々な団体と連携し、多様なプログラムとなるよう取り組むこととしております。

○アオヤギ委員 ぜひ充実した、そうした活動に広げるように求めて、質疑を終わります。

○風間委員 まず、東京都の教育の中でも、これからの時代に向けて、子供たちに対して、グローバルな視野を持って世界に羽ばたいていく、そんなことをイメージした教育を進めていることには大変に評価をしているところであります。
 特に東京は、帰国子女もいっぱいいますし、海外での経験のある保護者もたくさんいるということから、既に、英語を含めて語学堪能な小中高生もいるという認識でおりますけれども、そうでない子供たちもたくさんいるという中で、これから東京都の教育として、そういった国際理解、そしてグローバル教育を含めてどのように行っていくのかという視点から、まずは、海外大学の進学ということについて焦点を当てて伺いたいと思います。
 近年、海外大学に東京都の高校生が進学するというケースが増加傾向にあると。大学進学実績の中には、海外の有名大学に進学をしているということを実績として載せている高校が注目をされたりしているような状況でありますが、多くは私立高校だったりもします。
 一方で、都立の高校生でも、こういったことに関心を持つ生徒も一定数いるわけでありますし、実際に、高校のうちに一年間留学をしてきている子供たちにとってみれば、大学進学は海外にしようかなということも視野に入ってきているかもしれません。
 これは、東京都が指定した都立高校十校ということに限らないのではないかなと思いますが、こういった海外大学の進学を考えるとなったときに、やはり日本の大学の受験対策とはかなり異なってくる。語学だけではありませんので、そういったことへの対策ということになってくると、もう高校三年間で足りるかどうかなという感じだと思います。
 こういったことを専門的にやっている塾は当然ありますけれども、当然、高額な費用がかかるということから、東京都として、こういった支援を既に一部行っていると聞きますが、具体的にどのように行っていくのか。広く東京都立の高校生にも、そういった支援を行っていくべきではないかという視点から伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会はこれまで、東京グローバル10指定校を対象に、海外大学等進学に関する講座の開設、保護者説明会の実施、教員向けヘルプデスクの設置などにより、海外大学等への進学を検討している生徒、保護者及び支援を行う学校へのサポートを行ってきております。
 来年度は、規模を拡大し、実施をする予定でございます。

○風間委員 今、様々なところで情報収集できる状況ですから、こういうことに関心のある高校生が、自ら卒業生などから情報収集して対策をしているなんていう話も聞いているところですけれども、ぜひそういった、都立高校出身者でも、そういった経験をされている方等々の協力をいただくなど、今後、幅広く支援をしていくことを求めておきます。
 続いて、時代に応じて英語教育を行っていくということに関しては、私も賛同しておりますし、話題となっている英語スピーキングテストということに関しても、スピーキング能力を高めていく一つの取組としては重要だと考えております。
 しかし、これを民間事業者と共にやるということに関して、多くの疑念点が上がってきているということなんだと思います。
 その一つは、やはり、その著作権が東京都にないということから、事業者側に著作権を持たせてしまうということのリスクをしっかりと考えているのかなということについては、少し疑問が残っています。
 私は、大学を卒業して、当該事業者に一旦就職をしていますから、その企業がどんな形でどんなビジネスをやっていくかということは、大体、想像はできるわけですけれども、例えば、スピーキングテストで実際に使った問題等が、その事業者の営利活動にそのまま今後使われてしまうのではないかという懸念も、一部の人たちは持っているのではないかと思いますね。
 こういった事業者と組んでいくということは、やはり相応のリスクはあることだとは思うのですけれども、そもそも、かつては公立中学校でも業者テストが入っていたわけであって、これが問題があるということから行わなくなったわけですね。
 それをあえて、このイングリッシュスピーキングということに関しては、そのテストの導入において民間事業者と組んでやらなければならない理由というのは、どこにあったのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 文部科学省は、平成五年二月二十二日付通知、高等学校入学者選抜についてにおいて、業者テストの偏差値等に依存した進路指導を改善するためとして、民間事業者によるテストの実施を取りやめるよう、各都道府県教育委員会に通知した経緯がございます。
 また、平成二十七年六月五日、英語力向上推進プランにおいては、中、高、大学での英語力評価及び入学者選抜では、英語の四技能を測定することを重視し、民間の資格、検定試験の活用を促進することとしております。
 一方で、都教育委員会が進めております、このスピーキングテスト事業は、都教育委員会の監修の下、独自に開発するスピーキングテストとして、事業者との協定に基づき、東京都教育委員会が主体として実施するものであり、中学校における話すことの学習成果を的確に評価し、総合的な英語力の育成に向けた指導の充実を図るとともに、その結果を都立高校入試に活用することで、高校での英語学習に円滑に接続していくことを目的としているものでございます。
 また、試験の著作権については、原則として事業者が保有することとしておりますが、利益相反行為を禁じているということとともに、事業者が本事業以外で利用する場合には、都教委と事前に協議することとしておりまして、独自に利用することはできない規定というふうにしていることも申し添えます。

○風間委員 著作権は先方にあるものの、勝手に使えないということは確認できましたので、引き続き注視してまいりたいと思います。
 先ほども質問がありましたけれども、私が一番問題視しているのは、このスピーキングテストの結果が都立高校の一般入試に影響を及ぼすということなんですね。
 これは予算委員会でも質問しましたけれども、中学生は、都立高校へ入るために、本当に一生懸命、三年間勉強している子もいます。内申点を一生懸命取ろうと思って、日々、勉強している。これは予算委員会の質問でも行いましたが、一生懸命勉強して、テストの結果がよくても、授業態度が悪ければ点数が低くなってしまうというようなことも−−何となく、先生に気に入られる、気に入られないで評価が変わってしまうのではないかなんていう疑念があったりするというのも、これはずっとよく聞く話ではありますけれども、とはいえ、教員免許を持っている先生が評価をしているものだということで納得をしてきたことなんだと思います。
 これが今日の質疑を通して確認したところでも、二十点分をつける人が一体誰なのかということは、結局、分からないまま。合計で何人いるのかということ。学士の資格を持っているといっても、大学卒業で学士ですから、これを持っている人たちであれば、じゃ、それで研修を受けていればオーケーなのか。それを複数で確認をする。じゃ、それで本当に公平性が担保できるのかということについては、今日の質疑を通しても、私はよく分かりませんでした。
 例えば、スピーキングテストはアチーブメントテストだということなのですから、三年間のスピーキングを学んだ評価として、これが英語の成績に反映されるんだということなのであれば、まだ理解できます。
 しかし、それとは別に、都立高校の入試に−−例えば主要五教科であれば、千点換算分の二十三・〇五点ぐらいが主要五教科の通知表の成績として反映されるわけですね。このスピーキングテストは二十点ですから、ほぼ主要五教科一教科分の評価と同じものが都立高校の一般入試に影響を及ぼしてしまうということを考えると、あまりにも大き過ぎるのではないかと感じるわけです。
 これ、二十点にした理由というのはどこにあるのでしょうか。教えてください。

○谷都立学校教育部長 中学校における英語、話すことの学習の達成度を示す客観的な記録として、スピーキングテストの評価をAからFまでの六段階としております。
 段階別の評価のこの六段階に合わせて、二十点を満点として点数換算し、学力検査点と調査書点の合計であります総合得点千点に、日頃の学習の成果として加えるとしたものでございます。

○風間委員 いや、今の話は仕組みの話であって、私は、なぜ二十点もの配分にしたのかということを伺っております。教えてください。

○谷都立学校教育部長 英語の話すことの学習の達成度を示すものとして、学力検査の中に入っておらない、あるいは、ほかの教科とのバランスなども考慮しまして二十点としたところでございます。

○風間委員 一般入試の当日の点数、百点満点が五百点満点で、それが七百点分換算ということになると、英語の中での何点分になるのかなという感じですが、私が重視しているのは、当日の実力ではなくというところの答弁がありましたので、三年間の学習の評価という話でしたから、三年間の、例えば英語の成績、国語の成績、これが当日の一般入試に関しては二十三点分の価値であるわけです。
 それに対して、英語スピーキングが二十点であるというのは、ほぼ同等の点数になるということで、非常に重たいと思っています。それだけ英語スピーキングを重視していくんだということについては、理解はしています。
 ただ、いうなれば、国語は、例えば二十三点分の評価だけれども、英語に関しては四十三・〇五点になるということですね。
 それだけ英語を重視しているんだという東京都教育委員会の考え方なのか、確認させてください。

○谷都立学校教育部長 学力検査点と調査書点の合計である総合得点千点に、話すことの学習の達成度を示すスピーキングテストの評価を、日頃の学習の成果として二十点加えるとしたものでございます。

○風間委員 そんなことは分かっていますよ。
 英語をそれだけ重たくしたということは、それだけの英語の実力が都立高校入試には必要だという判断をされてのことかということを確認しています。教えてください。

○谷都立学校教育部長 繰り返しになりますが、学力検査点と調査書点の合計であります総合得点千点に、話すことの学習の達成度を示すものとしまして二十点を加えるとしたものでございます。

○風間委員 では、内申書、内申点については、例えば通知表の結果等を見て、生徒が、頑張ったのに何でこんな点数なんですかということの疑念があったときに、担任の先生だとか校長先生とかに確認すると、きちんと丁寧に説明している学校もあるということを聞きます。
 でも、この英語スピーキングテストに関しては、結果がぼんと送られてくると。
 何で自分がその点数だったのかということが現段階で分からない状況だと思いますけれども、これは、どこかに問い合わせて、自分がなぜその点数だったのかということを確認できるような体制になっているのか、教えてください。

○瀧沢指導推進担当部長 テストの終了後には、スコアや達成度、学習アドバイスが記載された結果の帳票を、受験した生徒一人一人に返却し、結果を全て公開しております。
 中学校英語スピーキングテストでは、生徒が目的、場面、状況に応じて、深く考えたことや、意見や事実を伝える力などを総合的に評価しております。
 また、生徒が採点結果の妥当性を確認できるように、採点基準や複数の解答例も併せて公表をしております。
 なお、テストに関する問合せに応じる窓口については、今年度に引き続き設定することとしております。

○風間委員 我が家にも中三の区立生がいますので、今年送られてきた結果表というのは目にしました。
 印象としては、体力測定で送られてくるシートに非常に近いなという感じで、定型文が張りつけてあるというような印象を持ったわけですけれども、一体、どこが弱くて、今後どういったものを学習として取り組んでいけばいいのかということはよく分からない。正直、そういう印象も持ったわけですね。
 そうなったときに、でも、それが都立高校の入試に反映するということなのであれば、先ほどから答弁もありましたが、今後どういうふうに勉強していったらいいのかという一つの指標だということでは、現段階ではなっていないんだと思いますので、そういった問合せ窓口等、しっかりフォローもできるような体制であることを期待しています。
 次に、三年間のスピーキングに関する学習ということのアチーブメントを測るものだというお話でした。
 実際に予算委員会でも確認しましたけれども、中学三年間の英語授業でスピーキングをしっかりやっていれば、しっかりとした点数が取れるのかどうか。
 今後、そういった取組を行っていくという答弁がありましたけれども、実際に真面目に、通常のほかの三技能同様、授業をしっかり受けて、在宅でも復習、予習等をきちんとやっていれば、このアチーブメントテストでは、しっかりとAグレードが取れる、そういったレベルのものなのかどうかを確認させてください。

○瀧沢指導推進担当部長 中学校の英語の授業では、いわゆる四技能をバランスよく、全て様々な活動を通して授業が行われております。生徒が事実や自分の考え、意見を英語で伝え合う活動に取り組んでいる状況がございます。
 スピーキングテストは、こうした中学校での学習の内容の中から出題し、その成果を測るものでございます。
 こうしたことから、中学校で行われている通常の授業で学習したことを習得することで十分に対応できるものであり、都立高校入試でも、配点の二十点で満点を取得することは十分に可能でございます。

○風間委員 それは大変に重要なことだと思いますので、引き続き、そういった授業になっているかということも注視していきたいと思います。
 一方で、冒頭に触れましたように、個々の英語に対する能力、中学生の段階で、既にレベルの非常に高い子もいれば、全く英語が苦手だという子もいるかと思います。しかしながら、小学校段階から、かなり英語教育も始まっているところですから、英語が全く初めてという中学校一年生もいないのかなとは思います。
 しかしながら、例えばALT、外国人の英語講師については、各市区町村の教育委員会の取組として、時数だとか、そういったものにもかなりばらつきがあると思いますし、中学校のALT等の配置に関しても、かなりばらつきがあると思うんですね。
 英会話の教育に多少携わっている人間のある程度の暗黙知として、会話に触れる時間が、例えば二千時間を超えると、かなり話せるようになるなんていう話はよくありますけれども、それまでに、中学校のアチーブメントテストを行うまでに、やはりどれだけ英会話に関するような時間を取り組んできたのかというのは非常に重要だと思います。
 その点で、先ほども、中学校の授業の中でかなり工夫していくという点は伺いましたけれども、そういったALTの配置基準等がかなりばらつきがあるということに関しては、地域による特性みたいなものは仕方ないという認識なのかどうか、教えてください。

○瀧沢指導推進担当部長 現在の学習指導要領でも、それに基づく教科書で英語を使いながら授業を行う中でも、既に、四技能五領域と呼ばれるそれぞれの技能について広く活動を行い、授業を行うことが、どの教室でも行われているという状況にございます。
 加えて、各先生方は、授業において、ペアワークであったりグループワークなど、様々な学習形態を工夫して行っています。
 加えて、ICT機器の活用により英語を用いた交流を実施するなど、ALTの配置状況にもかかわらず、様々な形態の指導を効果的に行うという工夫をして授業を実施しております。
 それにより、生徒が授業において英語を使う機会を設定し、スピーキング力を伸ばしております。

○風間委員 英語スピーキングテストの件につきましては、ほかの会派からも、例えば吃音や発音障害、発声障害等の対応については確認をしたところですので、私の方からは、例えば中学校のことばの教室等が設置したくてもできない状況にあるということなどを、地元の教育委員会の幹部から聞いたりもしています。
 先ほどの答弁だと、市区町村の教育委員会のニーズを把握していくというお話でしたので、今後、そういうお話もあるのかと思いますけれども、東京都の教育委員会の方で設置要綱がないことが、各市区町村教育委員会として、通級では行えないことなのだというような話も聞いています。
 しかし、実際に、吃音だとかで悩む中学生が一定数いるというふうに感じていますし、例えば新宿区が独自で行っていることばの教室には、中学生もいらっしゃるというような話も聞いております。
 やはりこの英語スピーキングテストを実施する上で、吃音を持っている方たちへのそういった指導は、今後、中学生であればオンライン等も使って行うことも、可能性としてはゼロではないと思いますので、引き続き検討していただければなと思います。
 一方で、吃音を持つ中学生からのお話として、吃音を持っていることを、例えば授業中に先生からいじられるようなことがあって、非常に苦しい思いをしたなどというようなお話も伺ったことがあります。
 こういったことは、先ほども質問の答弁を伺いましたけれども、改めて、やはり学校の先生だけではなく、吃音というものに対しての同級生の理解ということも非常に重要かと思いますので、教育委員会としての見解を求めます。

○藤井指導部長 吃音のある中学生に対する支援の充実に向け、都教育委員会は、区市町村教育委員会に対して、思春期の吃音の特徴や生徒の不安な心情の理解等を促す教員向けの啓発資料等を配布しております。
 生徒によって言葉の出にくさが異なり、一人一人の状態に合わせた配慮が必要となることから、中学校の教員に対して、吃音についての理解、啓発を図るため、区市町村教育委員会に対する周知を継続してまいります。

○風間委員 よろしくお願いします。
 次に、特別支援教室について伺います。
 これも何度か取り上げていますけれども、やはり特別支援教室のガイドラインの変更ということで、利用している保護者の方から、不安の声がかなり寄せられていますので、いま一度、都の教育委員会の認識を一つ一つ確認していきたいと思いますが、発達障害のある子供の特別支援教室の入室決定までの一連の手続や流れ、または、その指導を担当する教員の人数の算定の仕方、各学校への教員の配置というのはどのように行うのかを教えてください。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 小中学校に在籍している発達障害のある子供につきまして、特別支援教室での指導が必要だと考えられる場合には、特別支援教室の運営ガイドラインに沿って手続を進めることになります。
 具体的には、学校が発達検査の結果等を踏まえ特別支援教室での指導が必要と判断した場合には、区市町村教育委員会に申請を行います。
 区市町村教育委員会は、教育学、医学、心理学の専門家等を交えて、特別支援教室での指導の適否について判断し、その結果を都教育委員会に報告することとなってございます。
 都教育委員会では、年度当初に基準日を定め、子供の数に応じて教員数を算定しており、区市町村教育委員会からの申請に基づき、各学校に教員を配置しております。

○風間委員 その一定の基準において、十人で割っていたところを十二人で割るということなんだと理解しました。すなわち、必要な子供には、きちんと担当の教員がつくということなのだと思います。
 問題は、一つ、その学校の中での判断というか、学校長が最終的に判断するというところで、なかなか認めてもらえなかったというような声もあったりしますので、それがきちんと客観的に判断されるものであるように、都の教育委員会としても、しっかりと指導していただければなと思います。
 あとは、例えば年度の途中からとか転校だとかで、途中で発達の凸凹に気づいたというようなことで指導が必要だと判断された子供がいた場合に、これはもう先生の配置が決まっちゃっているから、例えば、そこでいっぱいいっぱいだったりすると、待機ということなどが起こり得るのかどうかということについて教えてください。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 年度途中で特別支援教室での指導が必要だと校長が判断した場合は、年度当初の手続と同様に、特別支援教室の運営ガイドラインに従い、区市町村教育委員会が指導の適否を判断することになります。
 指導が必要と判断された子供には、学校が個別の障害の状態などに応じた指導計画等を作成した上で、特別支援教室での指導を開始いたします。

○風間委員 年度の途中でも、必要と判断されれば指導が受けられるということを確認できたので、安心をしました。
 その場合、例えば、人数が十二の倍数いっぱいいっぱいだった場合で一人上回ってしまうというようなことは、可能性としてはなくはないと思うのですけれども、そういった場合はどのような対応になるのか。都教委として新たに配置をするのかしないのかも含めて教えてください。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 年度の途中におきまして、特別支援教室で指導を受ける子供の増あるいは減があった場合でも、教員の増減等は行っておりません。

○風間委員 ということは、最初に配置された担当の教員によって、市区町村の教育委員会でやりくりをするということなんだと理解します。
 もう一つ、今回のガイドラインで、例えば不登校の傾向にある子供が受けられなくなってしまうのではないかというような懸念の声もいただきます。
 実際に年度当初に必要だと判断されて特別支援教室の利用をし始めたものの、登校渋りですとか、不登校の傾向になってしまったりすると、この特別支援教室を受けられなくなってしまうのかということを確認させてください。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 国は、不登校の状態にある子供について、発達障害による困難さ等を把握することができ、通級による指導により困難さの改善が見込まれる場合には指導を実施することができるとしており、それ以外の場合は、別室登校等による登校支援を行うことが適当としております。
 特別支援教室で指導を受けている子供が年度途中から不登校の状態になった場合についても、この国の考え方に基づき、区市町村教育委員会が適切に判断することとなります。

○風間委員 不登校の傾向にあっても受けられるということが確認できましたので、安心いたしました。
 不登校の話になりましたので、不登校に対する子供への支援ということについても、先般の代表質問でも伺いましたけれども、少し確認をさせていただきます。
 不登校の子供に対しては、東京都も、様々、支援をしているかと思いますし、代表質問でも触れましたように、フリースクール等に通う方々への調査依頼、協力に対しての支援を行っていくということも、私たちは大変評価をしているところであります。
 この不登校の子供たちが、今、様々な形で、在宅で学んでいたり、フリースクールに通っていたりということで学びを進めている。しかしながら、これ、都立高校を受検したいとなったときに、やはり内申点ですか、そこの点数が、通知表の成績がオール一かオールバーかになってしまうみたいなところで、結局、行きたい都立高校に行けなかったんだ、成績は優秀なんだけれどもというような話も各方面から聞こえてくるんですね。
 こういったことに対しては、教育委員会はどのような見解でしょうか。

○藤井指導部長 都教育委員会は、令和元年の文部科学省通知に基づき、学校に通うことができない子供の学習意欲に応え、自立を支援する観点から、自宅や学校外の支援施設等で行っている学習について、その評価を適切に行い、結果を、通知表その他の方法により子供や保護者に積極的に伝えるよう、区市町村教育委員会を通して学校を指導しております。

○風間委員 何らかの理由で学校に行けなくなってしまった子供でも、学ぶ意欲のある子供たちはたくさんいるかと思いますし、それぞれの手法を見つけて学びを進めるということを支援している東京都教育委員会ですから、学校長の判断に委ねられてしまっている、オール一かバーしか選択がないというのは、あまりにもかわいそうなことだと思いますので、しっかりと学習の成果というものが評価をされるような体制になることを願っています。
 続いて、いじめ対策に関しての質問を行います。
 いじめ対策も様々な取組を行っていて、新たな取組として、いじめ問題へのサポート強化ということも挙げられていますけれども、これは具体的にどのようなことを行うのかを教えてください。

○藤井指導部長 本事業は、いじめを受けた子供や保護者の支援を充実していくため、他の自治体の取組や組織的対応の事例について調査するとともに、区市町村と連携して、保護者等が、いじめ対応の初期の段階から、法律や医療等の専門家のサポートを受けて学校に相談できる仕組みづくりを行っていくものでございます。

○風間委員 いじめを根絶するということは大変に重要なことであり、なかなか難しい問題だと思いますが、こうやって新しい取組を進めていくことは歓迎します。
 いじめ対策に関しては、各市区町村でも様々な取組を行っていますし、ほかの道府県でも行っていることかと思います。国を挙げても新たな事業を行ってきたところで、様々な手法があると認識していますけれども、その中でも、成果のある取組等も、私も幾つも確認をしてきているところですけれども、そういったよい取組が東京都内の中で横展開していくということも重要なのではないかなと考えます。
 こういったことに関しては、東京都の教育委員会としてどのような取組を行っているのか、教えてください。

○藤井指導部長 都教育委員会は、区市町村教育委員会や学校の生活指導担当者を対象とした連絡会を開催し、参加者が情報交換や協議を行う場を設定しております。
 昨年は、十一月に区市町村教育委員会のいじめ対策の担当者が一堂に会し、いじめの確実な認知に向けた組織的な対応や、教員が子供のSOSを受け止め、支援する力を高める取組等についてグループ協議等を行っております。

○風間委員 ありがとうございます。いじめ根絶に向けて、こういった取組が広がっていくことを求めます。
 最後になりますけれども、私も予算特別委員会でも質問をしましたけれども、そういったいじめに関する悩みだけではなく、思春期特有の健康上の悩み等も含めて、やはり中高生には様々な悩みがあるものと思います。
 この件に関して、東京都では、東京ユースヘルスケア推進事業を開始するということの答弁が予算委員会ではあったわけですけれども、都の教育委員会においても、都立高校生の健康上の不安や悩みに対する取組を進めるということですが、具体的にどのような取組を進めていくのかを伺います。

○田中高校改革推進担当部長 都教育委員会は、思春期特有の心身の健康に関する様々な不安や悩みを抱える生徒を支援していくため、今後、福祉保健局と緊密に連携し、子供たちが相談しやすい環境の整備や効果的な相談先の周知などに取り組み、多様な支援体制の仕組みを構築していくこととしております。

○風間委員 小中高の校内において、例えば保健室の先生がそういった悩みに相談に乗ってくれるなんていうのは、これまでもあったことかと思います。
 子供たちが困ったときにいつでも相談できる、学校はそんな安心できる場所であってほしいなと思いますので、引き続きこのような取組を広げていくことを望みまして、私からの質問を終わります。

○龍円委員 こんばんは。この定例会では、一般質問で登壇させていただきました。特別支援学校や特別支援学級も含む全ての学びの場におけるインクルーシブな教育の推進と、それから、通常学級における特別支援教育の推進についてご質問させていただいたところでございます。
 藤田教育長からのご答弁は、インクルーシブな教育については、共生社会の実現には、障害のある子、ない子が共に学び、体験し、相互理解を深めることが重要としまして、副籍交流を充実させることや、支援級と通常学級が交流し、共に学んでいく研究事業の成果を普及していくことで、それぞれの学びの場での取組を推進していくことが示されました。
 また、特別支援教室を利用する発達障害のある児童生徒が、在籍する学級で安心して学べる環境づくりをさらに推進していくことも答弁にございました。
 本日の質疑では、これらについて、もう少し深く聞いていきたいというふうに考えております。
 それに先立ちまして、去年の第四定例会の文教委員会で質疑させていただきました東京都特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画の素案のパブリックコメントが去年の十二月二十五日に締め切られたところですので、その内容や状況についてお伺いしたいと思います。
 この計画素案は、去年十一月に都教委が発表したもので、都民から広く意見を募ることで、この内容を反映させ、充実させていくために実施したものだというふうに理解しております。
 私は、ご存じの方も多いと思いますが、ダウン症のある小学二年生の親ですので、LINEですとかメッセンジャーといったSNSのコミュニケーションツールを開きますと、いろんなスペシャルニーズのあるお子さんを育てている親のグループトークに一保護者として参加しております。
 皆さん、やっぱり特別支援教育にお世話になっているということもありまして、誰かが、特別支援教育計画の素案、パブコメをやっているよ、みんなで読んで意見を伝えようみたいな内容の書き込みをしてくるんですね。当然、皆さん関心があるので、それぞれ、パブコメをやったよとか、感想だとか、または疑問などをそのグループに書き込んでおりました。
 皆様のこういうメッセージを読ませていただいて感じたのですけれども、特別支援教育の在り方について、自分のお子さんにとって何がいいのかということを、皆さん、いろいろと考えて、そして悩んでいらっしゃるんだなというのを改めて感じたところでありました。
 それから、この行政の計画素案、皆さん、なるべく分かりやすく書いてくださっていることとは思うのですけれども、たとえお子さんが特別支援教育にお世話になっている方であっても、完全に読み解くというのはちょっと難しい、簡単なことではないのかなというのを感じたところでした。
 私は、こうやって都議会議員として文教委員会に所属して質疑も続けさせていただいておりますので、素案を読みながらも、担当してくださっている職員の皆様のお顔だったりとか、例えば、ご説明をいただいたときのお言葉を思い浮かべたりしながら、素案の硬い文章の中からでも、皆様の思いとか熱を感じ取ることができたような気がして、共感したりとか、時には感動したりすることもあったと思います。
 しかしながら、一般の方々は、そういう補足的な情報がないため、大きな方向性や考え方が見えにくい面もあるのかなというふうに感じたところです。
 ただ、今回のこのパブコメが画期的だったのが、素案の「わかりやすい版」というのを作ったことです。大人であっても、「わかりやすい版」を読んで分かったというふうにコメントをしていたりとか、都が共生社会を目指していることが確認できたというような反応も、そのグループトークの中ではありました。こういう取組は本当にすばらしいんだなというのを、その皆さんの反応から感じたところです。
 そして、今回のパブコメでとても象徴的だった、そして印象的だったのが、子供からの意見も募集したことでした。都教委の真摯な姿勢が伝わってくる、本当にすばらしい、新しい取組だったと思います。
 そこで、まずは、このパブリックコメントの募集に対して、意見が何件寄せられたのか、お伺いいたします。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 第二次実施計画の素案のパブリックコメントでは、子供向けの説明資料、「わかりやすい版」を作成し、都民や学校へ周知するとともに、説明動画のユーチューブでの配信、SNSの活用など、広報の取組を強化いたしました。
 こうした取組もあり、第一次実施計画の策定時の約三倍となる八百九十七件の意見が寄せられ、そのうち、高校生以下の子供からは百九十件の意見が寄せられました。
 現在、こうした意見も参考に第二次実施計画の取りまとめを進めており、パブリックコメントの結果と併せて公表をする予定でございます。

○龍円委員 前回の計画策定時に比べて、パブコメに寄せられた意見の数が三倍になったということでした。
 この第二期の第一次計画は平成二十九年にスタートしていますので、ちょうど私が都議会議員に初めて当選した年なんですよね。当然、その計画の素案のパブコメを実施していた頃は、ここにいたわけじゃないので、都教委の、どういう取組をしたのかは存じ上げないわけなんですけれども、特別支援教育への関心が高まっているということと、あとはやはり「わかりやすい版」があったこと、子供たちの意見を募集したことの意義が、この数からも現れているのかなというふうに感じました。
 さて、重要なのは、何といっても、その意見の中身なんじゃないかなと思います。
 今回のパブリックコメントには、どのような意見が寄せられたのでしょうか。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 パブリックコメントの意見等につきましては、現在、公表に向けて取りまとめを行っているところでございますが、発達障害のある子供への支援の充実や就学相談の充実、副籍制度による交流の推進、医療的ケアの充実に向けた看護師の確保などに関する意見が寄せられております。

○龍円委員 どれも重要なご意見だと感じました。
 就学相談なんかは、何となく漫然と、例年どおりに行われている自治体もあるとは思うのですけれども、実際相談した側の親の満足度があまり高くないといいますか、傷ついたという声があると、先ほどほかの委員からもお話がありました。
 実際、私自身もつらい経験だったのですが、面と向かって、つらかったというふうにはなかなか申し上げにくいものだったので、このパブコメを通して、いろんな立場の方からお話を聞くのはとても重要なことだというふうに改めて思いました。
 そういう意味では、今回、子供からの意見も聞いたことは、本当に意義があると思います。
 子供からはどんな意見が寄せられたのでしょうか。教えていただけますか。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 子供たちからは、パソコンをもっとふだんの授業で使用したい、いろんな人と交流をしたいといった学校活動に関するものや、いつかパラリンピックに出てみたい、私たちへの意見募集があったのはよかったといった意見が寄せられております。

○龍円委員 パソコンをもっと使ってみたい、いろんな人と交流したい、パラリンピックに出たいと、子供たちならではの素直な言葉だなというふうに感じました。何より、教育を受けているお子さんたちご自身の声には重みがあるのかなというふうにも感じました。
 また、子供への意見募集があったことそのものをよかったという意見もあったとのことでした。
 東京都では、こども基本条例が施行されて、今まで以上に子供自身の声を聞いていくことになりましたが、都庁の中でも、先陣を切ってこのような取組をされたことで、とてもいい先行事例になったというふうに思います。
 都教委の皆様には、これからも、大人も子供も意見を参考に、年度内に発表する計画の編成をしていただけたらと思います。
 さて、パブコメの中にも、発達障害のある子供への支援の充実、副籍交流の推進、いろんな人と交流したいなどの意見が寄せられているとのことでした。
 先月の文教委員会でも、発達障害のある児童生徒が利用する特別支援教室は、インクルーシブな教育を推進するための要になり得るという観点から質疑をさせていただいたところです。
 ただ、ぽんと教室だけを設置してしまうと、分離する力が、緩やかではあっても確実に働いている学校現場においては、新たに分離する場所をつくってしまうだけになってしまう可能性があります。
 ですから、発達障害があるからという理由だけで入室して漫然と利用を続けてしまうことがないように、教室に入室する際に、しっかりとアセスメントをして具体的な目標を立てる必要がありますし、その後は、期限を決めて、できれば毎年アセスメントをして達成度を確認して、次の一年も利用すべきかどうかを話し合う場を設けることが必要だというふうに質問させていただきました。
 また、特別支援教室で学んだことを、うまく在籍する学級でも生かせることができるようになるために、そのかけ橋となる支援員や在籍する学級の担任との連携が必要だという点にも、その際に触れさせていただきました。
 そして、一回、特別支援教室を退室したお子さんであっても、成長とともに別のニーズが出てくることが想定されますので、再入室できることについても伺いました。
 これらの質問を通じて、都教委としても、私が目指している方向と同じ方向性で制度設計を考えていることが分かりました。
 また、課題として、特別支援教室の教員の方の負担感がもしあるのだとすれば、それを解決していくためには、教員一人当たりの担当する子供の数を一人、二人変えるというよりは、教員の方が一人で全てを背負い込む必要がないように、教員に対する支援が必要であるということと、そして、教員ご自身の指導力を向上させていくという取組が必要であるということもお話しさせていただきました。
 そして、先日の一般質問では、在籍する通常の学級でお子さんをサポートする支援員について、区市町村による配置を促進するための補助事業を来年度からさらに拡充していくという具体的な答弁もあったところです。
 繰り返しになりますけれども、特別支援教室の正しい運用と、そして、この支援員の配置はとても重要だというふうに考えています。ですので、広くこの制度を利用していただきたいと思うのですけれども、まだまだ学校現場では情報が十分に行き届いていないかもしれないなというふうに感じているところがあります。
 そこで、都内の各区市町村教育委員会への周知、教育委員会から学校現場への周知、そして利用促進に取り組んでいただきたいと思います。
 今後、都教委として、区市町村教育委員会とどのように連携していくのか、お伺いいたします。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 小中学校に在籍する発達障害のある子供の困難さを改善するためには、各学校の特別支援教室や在籍する学級での取組について、区市町村教育委員会と連携して支援していくことが重要でございます。
 現在、都教育委員会では、発達障害教育に関する多くの経験等を有する職員が、区市町村の担当者と共に学校を訪問して、特別支援教室の指導への助言などを行っています。
 今後は、区市町村と共同して、特別支援教室の適切な指導例について新たに動画を作成するとともに、通常の学級で子供を効果的に支援している事例を学校に周知するなど、引き続き区市町村教育委員会と連携した取組を進めてまいります。

○龍円委員 新たに動画を作成して特別支援教室での指導の好事例ですとか、支援員の効果的な活用事例を広く周知していくとのことでした。ぜひいろんな機会を捉えて区市町村にこの事業を知っていただいて、効果的な利用の促進をしていただけたらと思います。
 特別支援教室を利用している知的発達に遅れがない発達障害のある児童生徒は、学校を卒業した後は、東京都ではソーシャルファームも立ち上がったところではありますが、支援のない、または支援が少ない環境の中で生きていくことが多いというふうに考えられます。インクルーシブな社会の実現にとっては、この発達障害のある方々が生きやすい社会にしていくことが重要です。
 そう考えたときに、学校における発達障害者のインクルーシブはとても重要です。改めて、そういう未来を見据えて、特別支援教室や支援員の運用を拡大、引き続き取り組んでいただきますようお願いいたします。
 また、東京都教育委員会が令和元年に発表したインクルーシブ教育システム調査・研究事業では、都内の区市町村の小中学校の実態を調査してくださいました。通常の学級に在籍する発達障害以外の聴覚、視覚、知的、肢体不自由、そして病弱の障害がある児童生徒は、小学校では千百九十一名、中学校では三百十七人いらっしゃいました。
 この児童生徒が取り残されないように、発達障害者の支援の中で培ったノウハウを全てのスペシャルニーズのあるお子さんに活用していくことも、インクルーシブ教育に関するモデル事業が終了した後にはご検討いただきますようお願いいたします。
 次に、特別支援学校におけるインクルーシブを推進する上で重要な副籍交流についてです。
 都立特別支援学校の小学部と中学部に在籍する児童生徒が地元の学校に副籍を持つ制度なんですけれども、パブコメでも関心があったということでした。
 これまでの質疑で、副籍制度については、来年度は保護者を対象にした調査を実施して充実策を検討していくというふうに伺っております。
 この調査結果をどのように活用して副籍交流の推進を図っていくのか、今後の取組についてお伺いいたします。

○藤井指導部長 居住する地域の小中学校に副次的な籍を置く副籍制度について、平成二十七年度入学生から、小学部、中学部に在籍する全ての児童生徒が原則的に副籍を持つこととしております。
 副籍の利用者が、児童生徒の進級に伴い減少している現状を踏まえ、利用者の増加を図るため、来年度、都立特別支援学校の保護者等を対象とした調査を実施いたします。調査の結果を分析して、児童生徒の交流活動の充実を図り、副籍の一層の利用を促してまいります。
 また、特別支援学級と通常の学級との交流などの好事例を収集し、副籍ガイドブックを改定するとともに、区市町村教育委員会に対して周知し、小中学校の副籍に対するさらなる理解、啓発につなげてまいります。

○龍円委員 保護者らからの調査結果を分析して、交流の充実を図るということでした。
 保護者にとっては、このようなアンケートに答えること自体が、副籍交流について考えるきっかけにもなりまして、その新たな充実策を、フィードバックがあることによって、じゃ、うちもチャレンジしてみようと前向きに踏み出すきっかけになる可能性もありますので、ぜひこの調査段階から過程を丁寧に行っていただきますようお願いいたします。
 また、この調査結果を踏まえて、特別支援学校側と、そして受入れ側の地域の学校側も、双方が交流に前向きに変わっていく必要がありますが、平成二十六年三月に発行された副籍ガイドブックを改定すること、そして交流の好事例などをまとめて、区市町村教育委員会に対して周知していくということでした。
 何よりも交流を受け入れる側の地域がウエルカムじゃないと、交流は実現しにくいですので、学校教員の皆様にも、ぜひこのガイドブックをしっかり読んでいただいて、この交流を受け入れると、そのスペシャルニーズのある子だけじゃなくて、在籍しているクラスの同級生にもいい影響を生み出せるということも理解を深めていただけますようお願いします。
 また、当然ですが、お子さんを送り出す側の特別支援学校側も、カリキュラムの遅れなどを気になさることなどから、そんなにしょっちゅう交流しないでよとストップせずに、特別支援学校内では得られないインクルーシブな教育経験を継続的な交流の中から得ることが、お子さんにとってどのような成長を促すかという視点から、副籍交流を喜んで促すような理解増進もお願いしたいと思います。
 つい最近、私がいただいた相談事例としましては、特別支援学校から、週三日は、午後の授業だけ地元の小学校に移動して授業を受けて、そのまま学校内にある学童クラブで過ごしたいという相談を受けました。そうすると、お子さんのニーズに合った教育を特別支援学校で受けながらも、充実したインクルーシブな環境も得られるというものなんですね。
 実は、受け入れる側の小学校はオーケーが出ていて、学童クラブもオーケーが出ていたのですけれども、ストップをかけたのが都立特別支援学校側だったということなんですね。今回の場合は、コロナ感染が心配だからということだったようなので、仕方ないと諦めたということです。
 ただ、すごくいい事例になり得るかなというふうに思いましたので、こういう日常的な交流が進むために、特別支援学校側もフレキシブルな対応ができるように、今回のガイドラインを使って理解を進めていただけたらと思います。
 続いて、スポーツや運動を通じたインクルーシブな交流活動についてお伺いしたいと思います。
 これまでは、オリ・パラ準備局への質問で、スペシャルニーズのある方々が日常的に運動やスポーツを継続的に楽しめるようにするためという観点から質問してまいりましたが、その中で、施設が整った特別支援学校を、スペシャルニーズのある人やない人、そして、子供から大人までがスポーツや運動をする場として提供している事業について確認してまいりました。
 東京二〇二〇大会の開催を経て、インクルーシブな社会に向けて機運が高まっていますし、テレビで見たりしてボッチャなどに興味を持っているお子さんも多いと思います。
 今後は、都立特別支援学校が主体的に、スペシャルニーズのある児童生徒とない児童生徒がスポーツを通じて交流する機会を設けるなどして、スポーツや運動を通じたインクルーシブな交流に取り組んでいってほしいと思いますが、今後の取組について教えてください。

○藤井指導部長 都教育委員会はこれまで、都立特別支援学校における障害者スポーツを推進してきており、今年度は、体育の授業や部活動などにおいて、全校がボッチャやハンドサッカー等に取り組んでおります。
 障害者スポーツは、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が同じ条件で競技をすることができ、交流を深める上で有効なツールとなることを踏まえ、来年度、都立特別支援学校の中から、スポーツ交流推進校十校を新たに指定することといたしました。
 指定校は、障害スポーツを通して、地域の小中学校や都立高校、高齢者施設などとの交流を推進し、児童生徒同士の相互理解を深めるとともに、地域の人々の障害のある児童生徒に対する理解、啓発を図ってまいります。

○龍円委員 スポーツ交流推進校を指定して交流にポイントを置いて、地域の小中学校や都立高校などとスポーツを通じて交流をしていくということでした。恐らくこれは、都立特別支援学校の中ではなくて、地域の中に出向いていってスポーツを通じた交流をするものだと思います。これらの経験は、双方にとって、とてもすごくいいものになると思いますので、ぜひ進めていただきたいと思います。
 実は、オリ・パラ準備局の方へは毎年質問させていただいているのですけれども、スペシャルニーズのある方々が大人になって継続的にスポーツや運動を続けていくためには、支える人たちがいてくださることが重要で、障害者スポーツ指導員の育成とか、ボランティア活動に参加している人を増やしていくことに力を注いできました。
 そうはいっても、身近にスペシャルニーズのある人がいないのに、突如、そうだ、スペシャルニーズのある人と一緒に運動しよう、支援してみようというふうに思い立つ方は多くはないんじゃないかなと思います。
 ただ、こういった交流をしていくことで、支えてみようという人は増えてくるかもしれませんし、また、いずれは、支える、支えられるということではなくて、一緒にスポーツや運動を楽しむという社会の実現にもつながってくるかもしれないということで、大変期待しております。
 次に、医療的ケア児についてです。
 この数年、都教委における医療的ケア児への支援は大幅に拡充してきています。今回の計画の素案を見ても、令和四年度の予算概要を見ても、医療的ケア児への支援について、非常に重点を置いて取り組んでいこうとしているのがうかがえます。
 都教委としては、最速で推進しようとする姿勢が見えているのですが、何といっても課題は、学校における、そして通学車両における看護師の確保でございます。
 今回の定例会の私たちの会派の代表質問において、看護師の働き方について、週当たりの勤務時間について新たな設定を加えるとの答弁がありました。
 改めて、その狙いについてお伺いいたします。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校で医療的ケアを安定的に実施するためには、学校及び専用通学車両でケアを担う人材を多様な方法で確保していくことが重要でございます。
 都教育委員会では、看護師の勤務形態について、現在の短時間でも働ける週十九時間以下の設定に加え、週三十一時間勤務の総合非常勤看護師の職を設けることで働き方の選択の幅を広げ、看護師の確保を図ることといたしました。

○龍円委員 これまでも看護師の方々にヒアリングしておりましたら、出産などを機に離職して、復職したら医療的ケア児のために働きたいという思いはあるものの、育児との兼ね合いから長時間労働は復帰できないんだ、だから働ける場所がないという看護師さんがかなりの数いらっしゃることを聞きました。
 また逆に、医療的ケア児のために働きたいものの、長時間の勤務が可能な場所がないため、諦めていらっしゃる方もいらっしゃるというふうに伺いました。
 こういうふうに看護師の働き方のニーズに見合った働き方を可能にしていくというのは、いい取組だと思います。
 さて、次に、保護者の付添い期間短縮化モデルについてです。
 先ほど、ほかの委員から保護者への周知という質問がありましたが、少し違う視点からお話を伺ってまいります。
 私自身がスペシャルニーズ児の親として、小学一年生は断崖絶壁と勝手に呼んでおりますけれども、仕事を継続することが非常に困難な、あらゆるハードルがあることを経験しました。スペシャルニーズのあるお子さんが就学しても、親が仕事を継続できるようにするための政策を推進しております。
 特にその中でも親の就労継続が厳しいのが医療的ケア児で、今回の一般質問でも、福祉保健局への質問として、医療的ケア児の放課後の居場所の確保について触れさせていただいたところです。
 ただ、放課後の居場所があっても、学校での保護者の付添いがなくならなければ、そもそも親が働くことができません。
 国では、医療的ケア児支援法も施行され、法律の目的に家族の離職の防止が明記されていることもあり、都のこの事業は大きな意義があるというふうに考えております。
 そこで、保護者の付添い期間短縮化モデル事業について、今年度の取組状況について、まずお伺いいたします。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 医療的ケア児の保護者付添い期間短縮化モデル事業についてですが、令和三年度は、肢体不自由特別支援学校六校をモデル校に指定して実施しており、モデル校に入学予定の幼児三十六人が参加いたしました。
 モデル事業では、対象となる幼児が通う施設等に協力を依頼した上で、モデル校の看護師や教員が幼児の健康観察等を実施いたしました。
 参加した幼児の保護者からは、施設から学校にケアを引き継ぐことで、保護者の負担が減りそうだとの期待の声があり、また、施設からは、学校とより丁寧に情報交換を進めることができたなどの肯定的な意見が寄せられております。

○龍円委員 これは、親の付添い期間を短縮する目的で始めたことではあるのですけれども、蓋を開けてみますと、お子さんご自身にとっても、かなり理想的な引継ぎなのではないかなというふうに思います。
 就学前に通っている施設の職員さんたちは、お子さんの医療的ケアのみならず、様々な観点から、そのお子さんのニーズですとか、得意、不得意、好きなものや嫌いなこと、学びやすい支援などをご存じなはずなんです。
 モデル校の教員も看護師と一緒に幼児のいる施設に出向くことで、そういった教育的なニーズや支援方法についても引き継ぐことができるため、お子さんにとっては、よりきめ細やかなサポート体制を用意するのに役立ちそうだなというふうに感じました。よい取組だと思います。
 来年度は、医療的ケア児の入学が見込まれる全ての都立特別支援学校に取組を拡大するということですが、どのように実施していく予定なのか、お伺いいたします。

○滝沢特別支援教育推進担当部長 保護者付添い期間の短縮化には、就学前の医療的ケア児が通う施設と入学予定の特別支援学校とが健康状態やケアの内容について共有し、引き継いでいくことが重要でございます。
 令和四年度の全校への拡大に向けては、就学前の医療的ケア児が通う施設を訪問する肢体不自由特別支援学校の看護師等が、当該施設からの入学が見込まれる特別支援学校と、健康観察記録やケアの引継ぎ内容等について共有する体制を構築いたします。
 また、今年度のモデル校の取組により得られた健康観察や引継ぎ手順等のノウハウをガイドラインとして取りまとめ、都立特別支援学校全校に周知してまいります。

○龍円委員 健康観察や引継ぎの手順などのノウハウをガイドラインにまとめて、全校に周知して実施していくとのことでした。このガイドラインに、医療的ケアのことだけではなくて、ぜひ先ほどお伝えしたような教育的なニーズについても触れて引き継ぐようにしていただきますようお願いいたします。
 次に、追加予算事項で、新規に特別支援学校にスクールカウンセラーを配置するということについてです。
 これも、先ほどほかの委員から質疑がありましたが、専門性の質問だったと思うので、ちょっと違う観点から質問させていただきます。
 これまで特別支援学校の児童生徒の教育相談は、そもそもどのようになっていたのかということと、今回配置することになった理由についてお伺いいたします。

○藤井指導部長 これまで都立特別支援学校では、児童生徒の障害の特性や発達段階を踏まえ、外部の専門家の助言を参考にしながら、学級担任を中心とした校内の教育相談体制を構築してまいりました。
 高等部においては、障害の程度が比較的軽度の生徒も多く在籍しており、生徒が抱える多様な悩みや不安に対して、心理的な面から支援する必要が高まっております。
 このため、令和四年度から、都立特別支援学校にスクールカウンセラーを配置するモデル事業を実施することといたしました。

○龍円委員 高等部の生徒の多様な悩みや不安への心理的な支援の必要性が高まったため、モデル事業を実施することになったとのことですが、この事業の具体的な目的と内容についてもお聞かせください。

○藤井指導部長 本モデル事業では、都立特別支援学校において、生徒の多様な悩みや不安に対するカウンセリングを行い、いじめ、不登校などの未然防止や学校内の教育相談体制の充実を図ることを目的としております。
 配置先として、障害の程度が比較的軽度の生徒が多く在籍している知的障害特別支援学校高等部の就業技術科と職能開発科、高等部を設置する、ろう学校の計十二校を計画しております。
 モデル事業を通して、スクールカウンセラーによる相談の効果を検証してまいります。

○龍円委員 高校生は、卒業後、社会の中で生きていくことになります。それぞれのお子さんが自信と希望を持って生きていけるよう、特別支援学校におけるスクールカウンセラーが大きな役割を担ってくださるよう、モデル事業をしっかり取り組んでいってください。
 令和四年度まで、あと数日となりました。特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画がスタートするに当たり、東京ならではのインクルーシブな教育についてお伺いさせていただき、希望を感じております。ぜひしっかりこの計画を進めていただきますよう要望いたしまして、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○竹平委員 都立高校におけます制服の自由選択制導入推進事業についてお聞きします。
 昨年十一月、都立高校を卒業したトランスジェンダーの大学生の女性が、都立高校の制服を性別に関係なく選べるようにしてほしいと、オンラインで集めた約一万一千人分の署名と要望書を都教育委員会に提出をされました。
 その後、私は、本委員会で、この要望を受けた都教育委員会の考えを質問したところ、学校現場においては、児童生徒の心情等に配慮し、制服などの相談に対して個別に丁寧に対応している、今後も全ての生徒が安心して学校生活を送れるよう、学校を支援していくとの答弁をいただいたところでございます。
 そこでまず、現在の都立高校における制服等の指定状況についてお伺いします。

○田中高校改革推進担当部長 昨年十二月に都立高校における制服等の指定状況について調査した結果、都立中学五校を含む都立高校等百九十六校中、制服または標準服を指定している学校は百八十二校、そのうち女子用スラックスを導入している学校は百四十七校でございました。
 また、制服または標準服を指定している学校百八十二校のうち、制服を男女の区別なく自由に選択できる、いわゆる制服の自由選択制を導入している学校が三校ございました。

○竹平委員 平成二十八年度時点での調査では、女子用スラックスを導入していた学校は九十三校と半数程度であったのに対し、現状は百四十七校、約八割まで増加していること、また、性別に関係なく制服を選べる制服の自由選択制を導入している学校が既に三校あることが分かりました。
 先月策定された「未来の東京」戦略 version up 二〇二二においても、学びの場でのインクルーシブを推進として、都立高校において制服の自由選択を推進との記述がありました。
 そこで、都教育委員会では、都立高校における制服自由選択制導入を一層推進していくため、どのような取組を進めていくのか、お伺いいたします。

○田中高校改革推進担当部長 現在、制服を男女の区別なく自由に選択できる制服の自由選択制を導入している三校をPR校と位置づけまして、その効果や成果等を広く周知してまいります。
 また、今後、制服の自由選択制導入に向けた検討を進めていく学校に対しては、制服の検討会議に外部の有識者を招聘するなどの経費を支援し、都立高校における制服の自由選択制導入を推進してまいります。
 さらに、都教育委員会ホームページの都立高校等検索の充実を図り、これから都立高校に入学を希望する皆さんに対し、女子スラックスの有無、自由選択制導入の有無などの情報を発信してまいります。

○竹平委員 制服の選択制が進んでいることがよく分かりました。制服は毎日学校に着ていくわけですから、毎日、嫌な気持ちで授業を受けるのは、とてもつらいことだと思います。生徒自身が望む制服を選択できるように一層の推進を求めます。
 次に、がん教育についてお伺いいたします。
 がんは、生涯のうち、国民の二人に一人がかかるとされる重要な健康課題であり、かねてから私たち都議会公明党は、学校におけるがん教育の重要性を指摘してまいりました。
 中学校及び高等学校においては、新学習指導要領にがんについての内容が示されました。
 そこで、小学校、中学校、また高等学校における都の教育委員会の取組状況についてお伺いいたします。

○瀧沢指導推進担当部長 小学校では病気の予防、中学校、高校では生活習慣病などの予防等において、がんに対する理解を深め、健康や命の大切さについて学び、生涯を通じて自らの健康を適切に管理し、改善していく能力を育むことが必要でございます。
 都教育委員会は、毎年、有識者や医師などから構成する健康教育推進委員会において、発達の段階に応じたがん教育の教材としてのリーフレット等を作成しており、学校に配布し、授業での活用を促しております。
 また、公立学校の教員等を対象に、専門医やがん経験者等を講師に招聘した研修会を実施し、児童生徒ががんについて正しく理解し、健康と命の大切さについて主体的に考えることができるよう、教員の指導力の向上に努めております。

○竹平委員 がん教育ということで、大変高度な内容で難しい部分もあろうかと思います。そういったことで、実施に当たっては、より理解しやすく行うために、がん専門医やがん経験者などの外部講師を活用して、工夫して行う必要があると考えます。
 都の見解を伺います。

○小菅地域教育支援部長 がん教育の実施に当たり、学校では、外部講師と教員が事前に打合せを行い、がん教育の目標や当日の指導内容、指導方法、講師と学校の役割分担について共通認識を図ることとしております。
 また、外部講師には、指導に当たり、児童生徒の発達段階に合わせて、専門的な知見を平易な表現で解説することや、実体験を紹介してもらうことを求めています。
 こうしたがん教育の進め方等につきましては、都教育委員会が実施する外部講師向けの研修会で紹介し、効果的な指導の充実を図っております。
 都教育委員会は、外部講師と教員が指導の狙いを共有し、共に授業を行うことにより教育効果を高めていけるよう、学校を支援してまいります。

○竹平委員 私の地元、江戸川区におきましても、小中学校でがん教育を行っておりますが、授業を受けた子供たちからは、がんは、ただ怖い病気ではなくて予防ができるですとか、早く見つかれば治るんだとか、また、両親に、ぜひがん検診を受けてもらいたいと思った、がんにつながるたばこをやめてもらいたいと思ったといった、そういった声がありました。
 児童生徒が学校でがんのことを学び、家に帰ってから、授業の内容について家族と話してもらい、子供から話を聞いて、保護者が子供のためにも健康でいたい、検診に行くようにしようと、そうなってくれればいいなというふうに思います。
 子育て世代のがん検診の受診率が低いことも課題となっているわけなんですが、学校でのがん教育が保護者への受診促進にも効果が出ると期待しております。
 全ての児童生徒ががんを正しく理解し、健康や命の大切さを学べるよう、担任と、そして外部講師が連携をしまして、全ての小中学校、高校でがん教育が着実に進められるよう求めます。
 さらに、来年度からは新たに、生徒が生涯を通じて自らの健康を維持管理できるよう、都立高校において、産婦人科医などを招聘した専門的な授業も開始していくと聞いております。児童生徒自身が将来を見据えた自己の健康を管理する力を身につけるための教育の推進を要望いたします。
 次に、都立高校におけます認知症の教育についてお聞きします。
 高齢化が進む中、厚労省の推計によりますと、二〇二五年には、五人に一人は認知症になるといわれ、都内においても、何らかの認知症の症状を有する方が二〇二五年に五十五万人に達するといわれております。
 また、警察庁の全国調査によりますと、二〇二〇年中に認知症やその疑いで行方不明となり、警察に届出があったのが一万七千五百六十五人で、二〇一二年の統計開始から毎年増え続けており、この八年で一・八三倍になっております。
 都内では、過去に認知症の行方不明者が亡くなって発見されたという報道もございました。認知症対策は喫緊の課題だというふうに思っております。
 私の地元の江戸川区では、地域の民間団体が主催する徘回SOS模擬訓練が行われております。そこには地元の中学生なども参加しており、生徒たちは、徘回者の捜索を体験し、認知症の方に対する声のかけ方など、実践的に学んでいます。
 また、昨年、葛西第三中学校では、家庭科の授業に認知症サポーター養成講座を取り入れ、認知症について学んでおります。
 認知症の方が地域で安心して暮らすためには、地域に住む人たちが認知症を正しく理解して優しく見守る温かい社会をつくっていくことが必要であり、子供たちへの教育も大変重要であると考えております。
 そこで、都立高校においても、この認知症について学んでいくべきと考えますが、見解を伺います。

○藤井指導部長 高等学校では、高齢期の心身の特徴や高齢者福祉、支え合う社会などについて、学習指導要領等に基づき、家庭科や保健、都独自の教科、人間と社会等の授業で学習をしております。
 実施に当たっては、高齢者疑似体験を取り入れたり、区市町村の福祉担当と連携し、地域で認知症の方やその家族に対して手助けをする厚生労働省の認知症サポーターの養成講座を活用したりするなど、体験的、実践的な授業の工夫を行っている学校がございます。
 今後、これらの優れた実践事例を、家庭科の教科主任対象の説明会や、人間と社会の担当者研修で紹介するなど、都立高校生の地域社会における高齢者福祉に関わる意識の向上を図ってまいります。

○竹平委員 ぜひ各学校におきまして、この認知症サポーター養成講座などを積極的に取り入れ、生徒の皆さんに認知症への正しい理解を深めていっていただきたいことを要望いたします。
 また、高齢化の進展に伴いまして、東京では、介護に携わる人材が今後ますます必要になるといわれております。高校生が認知症について学ぶ中で、介護などの高齢者福祉の仕事に関心を持ち、介護の担い手として活躍していくことを大いに期待しているところでございます。
 最後に、都立の工業高校改革について質問いたします。
 現在、製造業や建設業などの産業界では、デジタル技術の活用が進み、担い手の人材不足なども課題となっています。
 こうした担い手の確保、育成に重要な役割を果たす工業高校について、都教育委員会では、Society五・〇に向けて新たなプロジェクトを策定いたしました。
 そこで、工業高校の人材育成についてお伺いいたします。

○佐藤教育改革推進担当部長 持続可能な社会の実現が国際的な目標となり、急激に技術革新が進むなど、ものづくりを取り巻く環境が大きく変化しております。
 このため、都立工業高校では、こうした環境の変化や産業界の実情に即した教育を実現していくため、企業等との外部連携を一層推進し、社会の力を取り入れていくとともに、創造的な活動の魅力を実感しながら、ものづくりのプロセスを学ぶ課題解決型の学習や、今後のものづくりに必須となるIT等の学習の強化などに取り組んでまいります。
 これらの取組を通して、Society五・〇の時代に、創造的な活動により、新しい価値の創出や都市課題の解決に貢献できる技術人材の輩出を目指してまいります。

○竹平委員 企業等との連携についてですけれども、先日、企業の方から、ぜひ工業高校に力を貸したいなどというお声も届いたところでございます。
 都教育委員会では、学校教育を支援する企業コンソーシアムの拡大構想や、専門高校に外部人材の活用を進めていく計画もあるとのことですが、技術革新が進む中、工業高校では、こうした社会の力は積極的に導入していく必要があると思います。
 そのためには、連携の形だけを整えるのではなく、実際に授業の内容を考え、企業と連携して教育を行う先生方の育成が必要になるとも考えます。
 そこで、工業高校が企業等と連携し、時代にふさわしい教育を展開していくため、どのように先生方の力を高めていくのか、お伺いいたします。

○谷都立学校教育部長 工業高校におきましては、産業界の実情に即した学びを取り入れるため、来年度から、産業団体や大学と連携し、教員が企業における最新機器を活用した製造現場の見学や開発事例を学ぶ研修を行います。
 これらの取組により、社会で活用されている最先端の知識、技術を教員が習得することを通して、学校の教育内容を充実させてまいります。

○竹平委員 分かりました。ぜひ企業団体や、また大学とも連携をして教員の研修を進めていただき、学校の教育内容をさらに充実していってほしいと思います。
 これからの時代にふさわしい新たな工業高校の取組に期待をして、質問を終わります。ありがとうございました。

○白戸委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○白戸委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会します。
   午後八時三十二分散会

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