委員長 | 白戸 太朗君 |
副委員長 | 斉藤やすひろ君 |
副委員長 | ほっち易隆君 |
理事 | 内山 真吾君 |
理事 | 風間ゆたか君 |
理事 | とや英津子君 |
もり 愛君 | |
竹平ちはる君 | |
土屋 みわ君 | |
龍円あいり君 | |
斉藤 りえ君 | |
アオヤギ有希子君 | |
清水 孝治君 | |
谷村 孝彦君 |
欠席委員 なし
出席説明員生活文化局 | 局長 | 武市 玲子君 |
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長 新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 | 古屋 留美君 | |
都民生活部長 | 馬神 祥子君 | |
男女平等参画担当部長 | 赤羽 朋子君 | |
教育庁 | 教育長 | 藤田 裕司君 |
次長 | 福崎 宏志君 | |
教育監 | 増田 正弘君 | |
技監 | 矢内真理子君 | |
総務部長 | 安部 典子君 | |
都立学校教育部長 | 谷 理恵子君 | |
地域教育支援部長 | 小菅 政治君 | |
指導部長 | 藤井 大輔君 | |
人事部長 | 浅野 直樹君 | |
福利厚生部長 | 田中 宏治君 | |
教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長 新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 | 稲葉 薫君 | |
企画調整担当部長 | 岩野 恵子君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 滝沢 毅君 | |
指導推進担当部長 | 瀧沢 佳宏君 | |
人事企画担当部長 | 黒田 則明君 |
本日の会議に付した事件
生活文化局関係
付託議案の審査(説明・質疑)
・第二百二十六号議案 令和三年度東京都一般会計補正予算(第十七号)中、歳出 生活文化局所管分
教育庁関係
契約議案の調査
・第二百十号議案 都立光明学園(三)南棟改築工事請負契約
付託議案の審査
・第二百一号議案 都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第二百十九号議案 杉並区学校教育職員の教育管理職(副校長)任用審査に係る事務の受託について(質疑)
・第二百二十五号議案 東京都立学校における柔道事故に伴う損害賠償の額の決定について(質疑)
・第二百二十六号議案 令和三年度東京都一般会計補正予算(第十七号)中、歳出 教育庁所管分(説明・質疑)
報告事項(質疑)
・「東京の特別支援教育の充実に向けて 東京都特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画(素案) 」について
○白戸委員長 ただいまから文教委員会を開会します。
初めに、契約議案について申し上げます。
契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
令和三年十二月八日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
文教委員長 白戸 太朗殿
契約議案の調査について(依頼)
左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
記
1 調査議案
第二百十号議案 都立光明学園(三)南棟改築工事請負契約
2 提出期限 令和三年十二月十日(金)
○白戸委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の契約議案の調査、生活文化局及び教育庁関係の付託議案の審査並びに教育庁関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより生活文化局関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第二百二十六号議案、令和三年度東京都一般会計補正予算(第十七号)中、歳出、生活文化局所管分を議題といたします。
本案について理事者の説明を求めます。
○武市生活文化局長 令和三年第四回定例会に提出いたしました生活文化局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
今回提出いたしました議案は、令和三年度補正予算案一件でございます。
私から議案の概要をご説明申し上げます。
恐縮ですが、お手元に配布しております資料第1号、令和三年度生活文化局所管補正予算説明書の一ページをお開き願います。Ⅰ、補正予算総括表でございます。
表の右から二つ目、補正予算額の欄をご覧ください。
表の中ほど、歳出は七百四十四万一千円でございまして、生活文化費の都民生活費を計上しております。
以上で議案の説明を終わらせていただきます。
詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○古屋総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 引き続きまして、私から、議案の詳細につきましてご説明申し上げます。
恐縮ですが、今お開きの資料第1号、令和三年度生活文化局所管補正予算説明書の二ページをお開きください。
Ⅱ、内容でございますが、年末年始の女性に対する電話相談支援体制の確保といたしまして、七百四十四万一千円を計上しております。
令和三年十二月二十九日から令和四年一月三日までの期間、緊急的な相談支援として、東京ウィメンズプラザで女性に対する電話相談を実施いたします。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○白戸委員長 説明は終わりました。
これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○ほっち委員 それでは、私から質問させていただきます。
二〇二〇年一月に国内で最初の新型コロナウイルス感染症が確認をされて以来、二年に及ぶコロナ禍の影響は、社会システムや人々の生活に多大な影響を及ぼしています。
さらに、新型コロナウイルスの新しい変異株であるオミクロン株の市中感染に対する不安もあります。
コロナ禍においては人とのつながりが希薄になり、孤立や孤独が深刻化しやすい懸念がある中、年末年始の女性に対する電話相談、昨年も実施をされましたけれども、大変重要な事業だというふうに思っています。
時間の関係上、先ほどご説明がありましたとおり、概要等々は今お話しいただきましたので伺いませんけれども、十二月二十九日から一月三日まで行うということで、クリスマスから年末年始、いわゆるホリデーシーズンは、楽しい期間でもある一方、特に孤独感を感じやすい時期でもあるというふうに思います。
一人暮らしの方など、何かあったときにどこに相談していいか分からない場合など、大変心強い取組であるというふうに思います。
まずは、昨年も実施されたと思いますけれども、年末年始特別相談の昨年度の相談件数と相談者の年代について、どのような状況だったのかをお伺いさせていただきます。
○赤羽男女平等参画担当部長 昨年の相談件数は百八十六件でございました。
相談者の年代は五十歳代が最も多く三二%、次いで三十歳代が二〇%、六十歳代が一八%、四十歳代が一五%となっておりまして、二十歳代が最も少なく、五%でございました。
○ほっち委員 今のお話を伺って、いろんな年代から相談が寄せられているという状況が分かります。
また、二十代の方は五%ということで、相談される方が多ければいいというわけではなくて、むしろ少ない方がいいのかなということも私はもちろん思います。
年末年始も相談を受け付けているということが都民の皆さんにしっかりと分かるように、伝わるように、今後もやっていただきたいというふうに思っています。都民の皆さんが知らないよと、後で知っておけばよかったなという形にはならないように、しっかりとこの事業を事前に広く皆さんに周知をすることが必要だというふうに私自身思っています。
そこで伺いますけれども、若い方々も含め、広く情報が届くように工夫をするべきというふうに思いますが、どのような広報を実施するのか、お伺いをさせていただきます。
○赤羽男女平等参画担当部長 都民の皆様に広く周知するため、「広報東京都」特別号及び都のホームページに掲載いたします。
その他、各区市町村の担当部署並びに男女平等参画センター、庁内及び各関係機関で構成する配偶者暴力対策ネットワーク会議のメンバー等を通じまして周知を図ることとしております。
さらに、ツイッターなどを活用したSNS広告や、検索サイトにおいて、検索結果に連動して広告が掲載されるリスティング広告等を活用するなど、必要な人に必要な情報が届くよう広報を実施してまいります。
○ほっち委員 相談事業は、実際に相談される方だけではなくて、何かあったら相談できる場所があるんだよというふうな、そういう情報をしっかりと伝えていただいて、安心感というか、支えというか、そのような形でやっていただきたいというふうに思っています。
重要な事業効果であるというふうに考えていますので、ぜひいろいろな手段で広報を工夫してやっていただきたい。そして、取りあえず、まずは、こういうことをやっていますということをさらにいろんな方に、本当に知らなかったら、後で知っておけばよかったねというふうにならないように、取組を進めていただきたいというふうに思っています。
次に、年末年始は家庭の中にいる時間が長くなるということから、お休み等々も多くなりますので、配偶者暴力が起こりやすくなるのではないかなというふうに懸念をしております。
また、最近の若い方などは、電話よりも、むしろLINEですとか、電話が苦手な方ですとか、あとは電話がかけづらいというふうな状況の方もいるというふうに思います。
そこで、そのような方々に対応するために、本年度から開始した配偶者等からの暴力に関するLINE相談も年末年始、実施をすべきというふうに思いますけれども、検討等々を行うべきというふうに思いますが、見解を伺います。
○赤羽男女平等参画担当部長 若年層や、電話では相談しづらい配偶者等からの暴力の被害者が一人で悩むことのないよう、実施に向けて検討いたします。
○ほっち委員 できるだけ実施をしていただきたいというふうにお願いをしておきます。
本当に年末年始、孤立というか孤独というか、やはりそういうところが見えない方たちをできるだけ探すというふうな形で、皆さんがこれからやられる事業、しっかりと効率よく効果的にやっていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
以上で終わります。
○もり委員 本日は国際人権デーです。誰一人取り残さない都政の実現を願い、同じく、年末年始のセーフティーネットについて質問をさせていただきます。
補正予算の中に、年末年始の女性に関する電話相談支援体制の確保として七百四十四万一千円が計上されています。昨年度に引き続き、年末年始の相談体制を強化していただいた取組を高く評価しております。
コロナ禍が長引く中、子供の貧困の背景にあるひとり親家庭の困窮、女性の孤立など、大変厳しい状況に置かれている女性も多く、仕事や住まい、DV被害や孤立など、悩みは多岐にわたります。どこに相談してよいか分からないという方にとって、相談窓口は心の支えとなる事業です。
メンターカフェの取組もそうですが、こうしたちょっとした悩みに寄り添うことで、重篤な問題に至る前に、必要な支援とつなぐことが大変重要な役割であると考えます。
年末年始、クリスマスやお正月でまちがにぎわう時期こそ、孤立している方は誰も頼ることができず、孤独や不安でつらい状況にあったり、仕事や住む場所に不安を抱えている方など、緊急的な措置と同時に、安全・安心な場所に出会えるまで、ある程度伴走型の支援とつなげることが求められます。
東京ウィメンズプラザの相談事業において、どのように専門窓口につないでいただいたのか。福祉や就労など、それぞれの方に応じた専門窓口につなぐことも求められますが、専門窓口が年末年始は開いていないおそれもあります。DVシェルターやTOKYOチャレンジネット等、必要があれば窓口につなげていただきたいと思います。
まず、昨年度は百八十六件の相談が寄せられ、DVの方も一割程度いたとのことを伺いました。年末年始は区市町村の窓口は閉まっている状況であると思いますが、緊急性の高い相談が寄せられた際の対応についてお伺いをいたします。
○赤羽男女平等参画担当部長 配偶者等からの暴力に関する緊急性の高い相談に関しましては、警察への相談を助言しております。
また、例えば、生きているのがつらいなど、自殺のおそれのある相談に対しては、こころといのちのほっとラインをご紹介するなど、相談者の状況とご意向に沿った情報を提供し、適切に対応しております。
○もり委員 昨年は九時から四時であった事業を五時まで一時間延長していただいております。他の相談事業に比べると、夜間、深夜の相談がないことで、せっかく電話をしても必要な支援につながらない方が出るのではないかと危惧します。五時以降の相談について、二十四時間対応の東京都女性相談センターや若年被害女性等支援モデル事業、住まいを失った方へのチャレンジネットの窓口等、類似の相談窓口につなげることが求められると考えます。
相談時間を過ぎた場合は、ほかの相談窓口につないでいるのか、電話がつながらなかった方への対応についてお伺いをいたします。
○赤羽男女平等参画担当部長 相談時間外につきましては、音声案内により、警察や東京都女性相談センターの連絡先など、緊急の相談先をご案内しております。
○もり委員 ありがとうございます。
昨年度の実績によると、六日間で百八十六件とのことですが、緊急事態宣言下の東京都女性相談センターを以前、内山都議と視察に伺ったところ、四回線の電話が常につながった状況があり、相談がこれ以上増えようがないという厳しい状況を目の当たりにしました。
この相談事業は、何名体制で、実際に対応されている方はどのような専門性を持っているのか、お伺いをいたします。
○赤羽男女平等参画担当部長 相談は午前九時から午後五時まで、常時三ポストで対応いたします。
相談員は、臨床心理士、精神保健福祉士などの資格を有し、女性の悩みや配偶者からの暴力などに関する相談業務に一年以上従事した実績を持つことを要件としております。
○もり委員 ありがとうございます。本当に心に寄り添う、先ほど年代別なども聞いていただきましたが、本当に多岐にわたるので、そういった心の悩みに寄り添うような体制をお願いいたします。
補正予算が組まれたとしても、既に区市町村の広報の発行には間に合わないことを危惧していたんですけれども、先ほどのご答弁で、東京都特別版を発行したり、ホームページに掲載していただくとのご答弁がありました。多くの方の目に留まるところにカード型の案内を置いたり、支援を必要とする方に届く広報が必要だと考えます。
若い方は今、LINEが大変主要になっておりますので、LINEアカウントは多くの都民が登録して情報を得ていると思います。また、新型コロナ対策のパートナーサポートなども、様々な局をまたぐLINEとも連携をしながら、ぜひコロナ禍で困窮されている方への広報としても、支援情報を併せて要望したいと思います。
引き続き、必要とする方にしっかりと都の支援が届き、一人でも多くの都民の方が安心して年末年始を迎えることを願い、質問を終わります。ありがとうございます。
○竹平委員 私の方からも、この予算案の電話相談支援についてお尋ねをさせていただきます。
質問が重複する部分もあろうかと思いますので、少しはしょりながらというふうに思っているところでございます。
やはり長引くコロナ禍にありまして、多くの方々が本当に不安の中でお過ごしになったかというふうに思います。もう絶対に孤立、孤独をさせないという、そういった観点から、この年末年始の電話相談は大変重要な取組だというふうに思っているところでございます。
昨年に引き続きましての相談ということでございますけれども、先ほど昨年の状況もお聞きいたしました。相談件数百八十六件ということでございましたけれども、こちらの相談の中身はどのようなものなのかということ、そして、どのように対応をしているのか、まずお聞きしたいと思います。
○赤羽男女平等参画担当部長 一般的な相談では、話す相手がいなくて孤独、不安、家族関係の悩み、離婚が決まったが今後の生活が不安など、百六十三件の相談が寄せられております。
配偶者等からの暴力に関する相談二十三件は、夫の暴言、モラハラなどでございました。
相談者の中には、自らが望んでいることや状況を整理できていない方も見られるため、相談員が丁寧に傾聴、助言することにより悩みを整理し、不安の軽減につなげております。
また、相談内容や相談者のご意向により、適切な機関等を情報提供するなど、支援しております。
○竹平委員 分かりました。相談の中身につきましては、相談をして、それで、そういう相談に乗っていただいて安心したりとか、そういうケースもあろうかと思いますけれども、やはり一方で、配偶者の暴力などということで大変深刻な、また、迅速な対応が求められるケースもあろうかというふうに思います。
先ほど、相談に乗る方が、臨床心理士ですとか精神保健福祉士など資格を有した方々が行っているというふうなお話もございました。大変重要だというふうに思います。
具体的に、この方々がどのように対応をなさっておられるのか、状況を教えてくださいませ。
○赤羽男女平等参画担当部長 これら相談に当たりましては、事前に東京ウィメンズプラザのマニュアルに基づきまして、対応方針等を確認し、適切な相談対応ができるよう努めております。
○竹平委員 中には本当に深刻な、こういった問題ということで、警察ですとか、または他機関へ紹介をするなどの連携が大変必要だというふうに思っております。
年末年始、区市町村や、また支援機関などが休業になっている場合が多いかと思います。そういった中で、どのように連携をしておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○赤羽男女平等参画担当部長 紹介する支援機関が休業している場合は、業務再開後の支援機関に円滑に相談ができるよう、必要な情報を助言いたしまして、相談者の不安の軽減に努めております。
配偶者等からの暴力など、緊急な対応が必要な場合には、警察への相談を助言するなど、適切に対応しております。
○竹平委員 ありがとうございました。何しろ、誰もが安心して暮らせる、誰一人、孤独、また孤立をさせないという思いで、相談者への寄り添った支援をぜひ行っていただきたいというふうに思います。
先ほども、この相談の周知というお話が、質疑がございました。これは大変重要なことで、こういったいい相談窓口を設けているといっても、知らなければ何にもなりませんので、ぜひここの周知についてもしっかり行っていただきたいというふうに思います。
先ほどの「広報東京都」の特別号でしょうか、また、ホームページなど、ツイッター、SNSだとか、そういった情報発信もしていくというふうにございました。ぜひそういった様々なツールを使いながら広報をしていっていただきたいと思います。
そして、都民の身近な自治体である区市町村、また、NPO、社会福祉法人など、そういったところにも周知をしていただき、広く都民に周知が行くことを望むところでございます。
また、電話相談ということでもございましたけれども、やはり様々なツールも相談の方法として考えていく必要もあろうかと思いますので、ぜひ様々なことを工夫していただきまして、何よりも孤独にさせない、困った方が本当に必要な支援につながりますよう強く要望して、終わります。ありがとうございました。
○アオヤギ委員 私からも、電話相談についてお伺いします。
この電話相談は昨年にも行われていたということでありますけれども、今回は、電話の受付時間を延ばしたということで聞いております。
実績は百八十六件ということでお答えいただきましたけれども、内容の特徴についてお答えいただきたいと思います。
○赤羽男女平等参画担当部長 相談の例といたしましては、一般的な相談では、話す相手がいなくて孤独、不安、家族関係の悩み、離婚が決まったが今後の生活が不安などの相談が寄せられております。
また、配偶者等からの暴力に関する相談では、夫の暴言、モラハラなどがございました。
○アオヤギ委員 DVなども含まれていたということです。
内閣府は、コロナ下の女性への影響と課題に関する研究報告書で、様々な支援制度ができたけれども、情報が行き届いていないことや、役所の敷居の高さや、電話料金や心理的な問題から電話での相談をしにくいというケースを指摘しています。
この電話はフリーダイヤルですか。
○赤羽男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザで実施する特別電話相談でございますため、既に広く周知している東京ウィメンズプラザの電話番号を活用いたします。
なお、この電話番号はフリーダイヤルではございません。
○アオヤギ委員 既に知られている番号であるということでありますけれども、東京ウィメンズプラザの存在を知らない都民もまだ数多くいると思いますし、特に年末にかけてくる女性は、ふだんの相談の電話にかけてくる人ではないので、もっと知らないという人が多いのではと考えます。
フリーダイヤルにして、東京ウィメンズプラザの〇三の番号にアナウンスを入れて、この期間はフリーダイヤルですということもできますので、敷居を低くする上でもフリーダイヤルの実施を求めておきます。
昨年、年末年始に各地で年越しコロナ相談会などが開催されていました。そこでは、女性の相談のブースをつくって行っている団体さんもありました。こうした各地の相談会などで女性が支援を必要と判断して、相談会の人がこの番号を案内した場合に、相談した人に対してどう支援につなげるのか、お答えください。
○赤羽男女平等参画担当部長 相談内容や相談者のご意向によりまして、適切な機関を情報提供するなど、支援いたします。
○アオヤギ委員 東京ウィメンズプラザの相談の方法をお聞きしますと、原則、名前を聞かずに話を聞いたり、助言すると先ほどから答弁がありますけれども、支援先の電話番号を教えるというようなことなんだそうですけれども、これではせっかく相談した方が、なかなか次に自分でもう一回電話するということでは支援につながらないのかなというふうに感じます。
内閣府も、プッシュ型の支援が必要と報告書では書いていますけれども、私も去年、八王子で行われた相談会の相談員の一人として行った際にも、また、コロナ前から生活相談などを受けた際にも、相談者は一回の電話で様々な支援を案内しておかないと、二度と連絡が取れなくなったり、ご本人が遠慮しているケースも少なからずあります。こういう制度があるから使いましょうと案内しないと、なかなか一歩を踏み出せないというのが現状だというふうに思います。
私の参加した相談会ではいろんな方が関わっていまして、専門家もいらっしゃいまして、ちゃんと相談者のカルテのようなものをつくって、何の支援につなげたのか、どういう結果になったのかと、しっかりと記録に残すということを徹底していました。
もちろん守秘義務を守りますけれども、どういう支援があったのか、いろんな人が関わるので、分からなくなってしまうというのを防ぐためです。
ぜひ、都が開設する相談窓口なのですから、本人の了解が得られた人には、都の支援先でも、一度聞いたその情報をそのまま提供してつなげるという、二度手間にならないように支援していただきたいと要望します。
私自身、このウィメンズプラザの相談の電話は知らなかったんですけれども、コロナの相談会でも連携していたのは、チャレンジネットとか、住居の確保の窓口でした。
女性の相談窓口があることを、各区市町村や相談会を開くそういった団体の皆さん、都民に、どう周知するのですか。
○赤羽男女平等参画担当部長 区市町村の担当部署並びに男女平等参画センターなどを通じまして、周知を図ることといたしております。
○アオヤギ委員 周知を図るということですので、ぜひ、支援を求めてきた女性に対して、年が明けたときにも支援につなげられるように、そういった相談の電話にしていただきたいということを申し上げて、質疑を終わります。
○斉藤(り)委員 年末年始の女性に対する電話相談支援についてお伺いします。
私も、多くの方々と接し、悩みや思いに触れてきた経験があります。やはり、そういうスキルを持っている方、経験を有している方、専門家などを積極的に活用しながら、必要としている方々の不安が少しでも軽減される施策になってほしいと心から願っています。
最後に、もう一つ、本取組では、電話相談を主として取組をされていますが、電話相談が困難な対象をケアすることは、何らかの方法で、あるのでしょうか。具体的には、聴覚障害を持った人や配偶者等からのDV被害者などは、電話での相談が困難なケースもあります。
今年は間に合わなくとも、LINEやアプリなどの文字情報でのケアや、そのほかのコミュニケーションも今後検討いただきたいですが、いかがでしょうか。
○赤羽男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザでは、配偶者やパートナー等からの暴力被害者で、聴覚などに障害があり、電話による相談が困難な方に対しましては、面接による相談を実施しております。
その際、メールで面接相談をお申し込みいただき、日程を調整し、ご希望により手話通訳を用意するなど対応しております。
また、配偶者等からの暴力被害者で電話がかけづらい状況にある方に対して、LINEによる相談も実施しておりまして、年末年始の対応につきましても検討してまいります。
○斉藤(り)委員 ありがとうございます。
聴覚障害者に関しては、電話リレーサービスなどの取組も増えてきていますので、今後、様々な方法でこの取組が必要な方々への間口が広がっていけばよいと考えております。とても難しい取組ではありますが、引き続きのご尽力をお願いいたします。
○白戸委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○白戸委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で生活文化局関係を終わります。
○白戸委員長 これより教育庁関係に入ります。
初めに、契約議案の調査を行います。
第二百十号議案を議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○アオヤギ委員 都立光明学園、第三期の南棟改築工事について質疑をいたします。
この光明学園は、平成二十九年から一期、二期の工事が完了して、今回三期目の工事の請負契約の案件です。
この間、私たちも、国の特別支援学校の設置基準について伺ってまいりましたけれども、この光明学園においては、国の設置基準については満たしているのか、校庭も含めてお答えください。また、教室をパーティションで区切った、そういった教室はどれくらいあるのか、お示しください。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 令和三年九月に公布された国の特別支援学校設置基準では、特別支援学校に備えるべき教室等の施設及び設備や、校舎及び運動場の面積等について定めており、施設等の基準については、令和五年四月一日以降に建設工事を開始する学校に適用されることとなっています。
このため、平成二十九年度から改築工事を開始している光明学園については、当該基準の適用外ではありますが、この基準に本校の状況を照らし合わせると、教室等の施設は基準どおりとなります。校舎の面積については基準を上回っていますが、本校に運動場を設ける予定はございません。
なお、本校では、校外の運動施設の利用等の工夫などにより、適切な教育環境を確保しております。
また、令和三年度において、間仕切りを行って使用している普通教室の数は十四教室となっています。
○アオヤギ委員 令和五年からのお話なんですけれども、設置基準は満たしているということでありますけれども、設置基準を満たすということは、かなり学校の面積が広く見積もられているというか、広いんですけれども、例えば教室だけで計算されているわけじゃないんですね。設置基準では教室だけというふうに書かれていませんので、例えば、子供が通る廊下だったり、いろんな場所が含まれております。給食室とか様々な、子供が行かない部屋は除外されておりますけれども、そういったことで満たしている形になります。
パーティションの教室については十四教室あるということで、国の設置基準でも、パーティションのことについては、どう解消するかとか、そういった具体的なことも今回示されていないというのが現状です。
校庭については、ここでは造らないという工事だということでありますけれども、今後、令和五年四月以降は造っていかなければならないというのが国の設置基準でありますので、そういった対応をしながら新しい特別支援学校も造っていただきたいんですけれども、このパーティションで区切られた教室というのは、やっぱり特別支援学校の子供たちにとっては決してよい環境とはいえません。狭い空間では集中しづらく、パーティションの隣のクラスのお子さんが隣の点呼に反応してしまうとか、そういった普通級では考えられないような状況が今、特別支援学校では起きているということであります。一刻も早く解決しなければならない問題です。
光明学園では、この十四のパーティション教室は南棟改築で解消できるのか、お伺いします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 令和六年二月に光明学園の改築工事が完了した際には、間仕切りを行って使用している普通教室は解消できると見込んでおります。
○アオヤギ委員 光明学園では解消できるということでした。ぜひほかの学校でも一刻も早くパーティションの教室を解消するために、増設を求めておきます。
次に、医療的ケア児はこの光明学園に何人いるのか。そして、医ケアバスには何人乗っているのでしょうか。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 光明学園の肢体不自由教育部門に通学して授業を受ける医療的ケア児は、令和三年五月時点で六十六人であり、医療的ケア児専用通学車両に乗車している医療的ケア児は、令和三年九月時点で二十二人でございます。
○アオヤギ委員 医ケアバスに乗車しているお子さんは二十二人ということで、六十六人の中には、二十八人はスクールバスを使われていると。
医ケアバスに乗車しているお子さんのうち、おおむね四割弱が看護師が同乗、それ以外は親が同乗しているということをお聞きしております。看護師が本当に足りないということであります。医ケアバスに乗車していないお子さんでも乗車を希望している可能性は十分にあります。
さきの決算分科会で私は、通学に福祉タクシーを使わざるを得ず、月数万円の費用が通学にかかっているご家庭もあると紹介しましたけれども、早急に対応していただきたいと重ねて申し上げて、質疑を終わります。
○白戸委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○白戸委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
お諮りいたします。
本案は、異議のない旨、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○白戸委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
以上で契約議案の調査を終わります。
○白戸委員長 次に、付託議案の審査を行います。
第二百一号議案、第二百十九号議案、第二百二十五号議案及び第二百二十六号議案、令和三年度東京都一般会計補正予算(第十七号)中、歳出、教育庁所管分を一括して議題といたします。
本案のうち、追加提出されました第二百二十六号議案、令和三年度東京都一般会計補正予算(第十七号)中、歳出、教育庁所管分について理事者の説明を求めます。
○藤田教育長 令和三年第四回東京都議会定例会に提出いたしました教育庁関係の案件についてご説明を申し上げます。
今回提出いたしました案件は、令和三年度教育庁所管補正予算案についてでございます。
児童生徒の心のケアのため、スクールカウンセラーの配置に当たり、四千六百万余円の経費を計上するものでございます。
詳細につきましては、この後、総務部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
○安部総務部長 それでは、私から、提出いたしました案件の詳細につきましてご説明申し上げます。
お手元の令和三年度教育庁所管補正予算説明書をご覧ください。
一ページをお開き願います。1、教育庁所管補正予算総括表でございます。
表の中段、網かけをしてございます歳出予算の補正予算額は四千六百万余円の増額でございます。
二ページをお開き願います。2、歳出予算の内訳でございます。
スクールカウンセラーの配置でございます。内容は、スクールカウンセラーの追加派遣により、児童生徒の心のケアをより一層充実させ、不登校をはじめとした諸課題へ機動的に対応し、安心・安全な学校運営体制を構築していくものでございます。
以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○白戸委員長 説明は終わりました。
その他の議案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○土屋委員 自民党の土屋みわです。
スクールカウンセラーについてお伺いさせていただきます。
不登校やいじめ問題だけではなく、生徒の心のケアを行い、教師と保護者の橋渡し役として知られるスクールカウンセラーではありますが、まず、スクールカウンセラーの業務内容、そして、問題解決にどういった働きかけをするのかをお伺いするとともに、都は、どのような基準でスクールカウンセラーを採用しているのかを教えてください。
○藤井指導部長 スクールカウンセラーは、不登校やいじめ、児童虐待等の未然防止、早期発見等、児童生徒の悩みを抱えている問題の解決に向けて、学校において、子供の心理に関する支援に従事する職員であります。
具体的には、児童生徒や保護者からの相談に応じ、面談を行うことや、授業観察等を通して、支援に必要な情報を収集し、教員への助言や援助を行うことが職務内容であります。
採用に当たってのスクールカウンセラーの資格要件は、公認心理師、臨床心理士、精神科医に加えて、心理学系の大学及び大学院における学部長、教授、准教授、講師、助教の職にある者またはあった者としております。
応募者のうち、スクールカウンセラーとしての役割を理解し、その職務を遂行する熱意のある者の中から、選考によって任用候補者を決定しております。
○土屋委員 ありがとうございます。スクールカウンセラーは、児童生徒が抱える問題をフォローするために、児童生徒本人はもちろんのこと、保護者や教職員の支援も広く行うということでありますが、生徒の悩みは、勉強や部活などにおけるストレスのほか、いじめが原因となり不登校となってしまう場合、時には自殺を考えてしまうようなケースまで、一人一人異なります。
それぞれの悩みを受け止め、心のケアを施す重要なポジションということで、都の定める一定の基準を持つスクールカウンセラーを配置することは、より質の高い支援ができると考えます。
なお、学校教育相談体制のさらなる充実に向け、都内の全公立小中高校にスクールカウンセラーが配置され、スクールカウンセラーの存在の認識も保護者などにも高まってきており、最近は保護者からの面接依頼も多くなってきていると聞いています。
現在、都には何人のスクールカウンセラーがいるのか、どういった配置がされているのかをお伺いいたします。
○藤井指導部長 都教育委員会は、都内全ての公立小学校千二百七十四校、公立中学校六百二十二校、高等学校二百四十七課程にスクールカウンセラーを配置しております。
令和三年四月一日時点で、都内公立学校に都教育委員会が配置しているスクールカウンセラーの実数は千五百十四人であり、この中には複数校を担当しているスクールカウンセラーもおります。
一校当たりの勤務時間と日数は一日七時間四十五分、年間三十八日でございます。
○土屋委員 都のスクールカウンセラーの配置状況は、小中高校と、いずれも全国トップの高い水準であり、不定期配置の学校はありませんが、一部、小学校や高等学校で週四時間未満の定期配置にとどまっている学校もあります。より手厚いフォローを受けられるよう体制を整えていただきたいと思います。
そして、このたびの一般会計補正予算において、スクールカウンセラーの配置の充実として、スクールカウンセラーの追加派遣の実施が挙げられていますが、この事業の目的をお伺いいたします。また、どういった派遣がされる予定なのか、教えてください。
○藤井指導部長 コロナ禍で活動の制約が長期化している中、子供が漠然とした不安や深刻な悩みを一人で抱え込まないように、一人一人に寄り添った丁寧な対応が重要となります。
こうした状況を踏まえ、学校の要請に応じてスクールカウンセラーの派遣回数を増やすことによって、子供の不安や悩みの解消に向けた取組の充実を図ることを目的としております。
スクールカウンセラーの派遣は、一校当たり、通常の三十八回に加え、令和四年一月から三月までの間、一校につき三回を上限として追加を希望できるようにいたしました。
○土屋委員 子供にとって相談しやすい環境の整備や、いじめの解決に向け、子供たちが主体的に行動しようとする態度の育成などの充実を図っていく必要があり、現場からは、週一回の派遣だけでは時間が足りない、予約が取れない、なかなか継続的な相談ができないなどの声があります。
今回の時限的な措置だけではなく、今後もっと相談できる環境を充実していくべきだと思いますが、ご見解をお伺いいたします。
○藤井指導部長 スクールカウンセラーについては、都教育委員会は、平成七年度から都内公立学校への配置を開始し、その後、国の補助制度を活用しながら順次拡大を図り、平成二十五年度から都内全ての小中高等学校に配置しております。
また、平成二十八年度から高等学校全日制、定時制、通信制のそれぞれの課程別に配置するとともに、スクールカウンセラーを配置する全ての学校において、年間勤務日数を、それまでの三十五日から三十八日に拡充いたしました。
こうした取組に加え、区市町村教育委員会が一定の条件により選出した学校について、配置日数を拡充するとともに、今回の補正予算で追加派遣の措置を提案しているところでございます。
このほか、連絡会を通してスクールカウンセラーの対応力の向上を図るなど、子供たちが相談しやすい環境を整えております。
○土屋委員 ありがとうございます。
いじめや不登校、事件、事故など、教育現場では様々な問題を抱えています。スクールカウンセラーは、成長、発達段階にある児童生徒たちが抱える悩みや課題に対し、専門家としての知識やスキルを生かし、よりよい方向に進むよう支援してくれる、また支援により本人たちの不安や苦痛を和らげるだけではなく、学校の運営体制がスムーズになり、教職員の負担軽減という観点からも、教育の質が上がるということにもつながっていくと考えます。
このように、児童や生徒の心に寄り添ってくれる存在であるスクールカウンセラーの配置の充実は、東京都の未来を担う子供たちの健やかな成長や社会に欠かせないため、スクールカウンセラー配置のより一層の充実を図っていただきますよう、改めてお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○内山委員 私からは、まず、都立学校における柔道事故に伴う損害賠償の額の決定についての中から質疑をさせていただきたいと思います。
残念ながら、どれだけ注意をしていても起きてしまう事故というものがあるのは、一方で事実であるかなと思うんですが、一方で、防ぎようのある事故というのも現場では多く見られるのではないかなというふうに思っています。
そういった中で、そもそも今回の柔道事故ということでありましたが、柔道を含む体育の活動中における事故防止に向けた教員の資質向上について、都教育委員会でどのように取り組んでいるのか、伺いたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は令和元年七月に、部活動に関する総合的なガイドラインを作成し、各競技における安全に留意した練習内容、方法等を掲載して、部活動における重大事故を防止するための具体的な対策を都内全中学校及び高等学校に周知をいたしました。
また、毎年、都立高校等で、体育の授業や部活動で柔道を担当する教員を対象とした講習会を実施し、安全な柔道指導のポイント等について周知することにより、事故防止の徹底を図っております。
これらを踏まえて、各学校では、競技の特性や活動場面、生徒の技能の習熟度等に配慮した安全な練習計画を作成し、実践をしております。
引き続き、都立高校等での柔道を含む体育活動における事故防止に向けて、教員等の資質向上に努めてまいります。
○内山委員 ありがとうございます。
教員を対象とした講習会を実施しているということでありますが、参加される教員の皆さんは、任意というか、希望者が参加されるということでありました。そういった中では、できるだけ多くの教員がしっかりと、例えば柔道というものだったり、様々なスポーツ特性というのがありますから、そういったものに対して、指導する上での留意点というものが分かった上で指導ができるように、これは、安全だけではなくて、競技においても、安全がしっかりと理解されている上で指導を行うのと、そこがぐらついている中で指導を行うのでは、これは子供たちの教育的意義というものも大きく変わってきますので、ぜひそこはさらなる充実をしていただきたいなというように思っております。
今回の柔道事故に関しては、本当に不幸が重なった部分というのがあるのかなというふうに私自身は認識をしていますが、一方で、先日裁判もありました都立墨田工業高校の水泳の飛び込み事故については、見れば見るほど、やはり指導者の過失というものが極めて大きかったのではないかなというのも感じますし、指導者としての安全管理というものが本当にずさんといってもいいのではないかというふうに私は感じています。
詳細についてはここでまたお話をしませんが、そういった中で、まず一点、水泳の事故の再発防止に向けた教員の資質向上についてどのように行っていくのか、また、きたのか、都教育委員会の取組について伺いたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 平成二十八年七月に発生いたしました水泳中の重大事故を踏まえ、各学校代表の保健体育科教員が参加する研修会を臨時に開催いたしまして、原則として水中からスタートすることなど、安全を最優先した水泳指導の徹底を図ったところでございます。
また、毎年、水泳事故の未然防止を図ることを目的に、区市町村教育委員会の体育担当者や都立高校の保健体育科教員を対象とした安全な水泳指導のための講習会を開催し、施設設備の安全管理や、事故防止に向け、適切な水位での指導や、複数人による監視体制などの留意事項につきまして周知を図り、生徒指導に生かせるように促しております。
引き続き、教員等が水泳事故を未然に防止し、安全な指導が実践できるよう、資質の向上に取り組んでまいります。
○内山委員 ぜひ再発防止に向けた取組をしっかりと行っていただきたいと思います。
本件に関しては、本当に指導法は、全然専門的な知見に基づかない、ある種、思いつきで行ったというふうにも伺っておりますし、それが、いきなり起きた事故ではなくて、最初の一人、二人が、額を打って、危ない、これはちょっと駄目なんじゃないかというふうに訴えたにもかかわらず、指導を続けて、三人目でしたかね、頸髄損傷で本当に大きな事故が起きてしまったということであります。
本当に、どこのタイミングでも、幾つものタイミングで、そもそも飛び込みをやらせているわけですから、そこからして問題なわけなんですけど、そういった、幾つも止めるタイミングがあったにもかかわらず、止めずに、最終的には生徒に重大な事故を起こしてしまったというのは、私は本当に痛ましい事故だなというふうに思っているんですが、この案件が六か月の停職処分ということでいいのかどうかということも一方で議論があるのかと思います。
故意か過失かでいえば、それは故意じゃないですよ、けがさせようと思って指導する指導者はいませんから。それはどう考えても過失なんですけど、その過失の割合というのは、本当にかなり綿密に練られた指導の中で起きてしまう過失の事故なのか、それとも、かなりずさんな指導の中で起きてしまった事故なのかによっては、これは同一視することは私はできないと思うんですね。
そういった中で、遡ってそういった処分を覆すというのはなかなかこれは難しいと思うんですが、少なくとも未来を変えることは私はできると思うんです。
そういった中で、もうこれは本当に、今回のこの墨田工業の件とは離れて、一般論としてお伺いしますが、教員の非違行為に対する処分の考え方と今後の対応についてお伺いをしたいと思います。
○浅野人事部長 一般論で申し上げますが、懲戒処分については、地方公務員法により処分の種類と事由が定められており、都では、職員の懲戒に関する条例において、懲戒の手続と効果を規定しております。
都教育委員会では、教職員のさらなる自覚を促し、服務規律の徹底を図るため、教職員の主な非行に対する標準的な処分量定を定めております。
処分量定の決定に当たっては、被害の大きさなどの社会的重大性の程度、過失の大きさなどの信用失墜の度合いなどを総合的に考慮することとしております。
標準的な処分量定については、これまでも、社会状況の変化などに伴い見直しを図ってきたところであり、今後とも、学校教育を取り巻く環境の変化を的確に捉えて検討を行うなど、適切に対応してまいります。
○内山委員 環境の変化を的確に捉えて検討を行うという、適切な対応をしていくという答弁でした。ぜひしっかりと検討して、対応していっていただきたいというように思っています。
続きまして、スクールカウンセラーの追加派遣についてお伺いをしたいと思います。
このスクールカウンセラーの追加派遣に関しては、同規模の追加派遣は令和二年度も実施をされたかと思います。その実施状況と効果検証、実際、追加派遣をしてどうだったのかという効果検証があって初めて、じゃあもう一回やりましょうという話になるんだと思うんですが、その効果検証について伺いたいと思います。
○藤井指導部長 令和二年度におけるスクールカウンセラーの派遣は、一校当たり、通常の三十八回に加え、七月二十二日から八月七日までの間と、一月から三月までの間、それぞれの期間において、一校につき三回を上限として追加を希望できるようにし、学校の状況を踏まえ、実際の派遣日数を決定しております。
令和二年七月二十二日から八月七日までの間においては、全体の約九%である百九十九校に対し三百五十八回の追加派遣を、令和三年一月から三月までの間においては、全体の一六%である三百七十五校に九百八回の追加派遣を行いました。
追加派遣された学校では、授業観察を通して、コロナ禍において不安や悩みを抱える子供の様子を把握したり、学校に通うことができなくなる兆候に対し、早期に対応したりするなど、スクールカウンセラーを効果的に活用した事例が報告されております。
○内山委員 ありがとうございます。
この後、スクールカウンセラー追加派遣の目的を伺おうと思ったんですが、そちらは他の委員の方から質問があったので、割愛をさせていただきます。
そういった中で、そもそもスクールカウンセラーの配置の意義というものも、先ほど他の委員の質疑の答弁の中でありました。いじめだとか不登校等の課題、恐らくここには自殺とか、こういった様々な子供たちのメンタルの面での課題に向き合うための心理職の配置というのが大きな目標であり、追加派遣の目的も、学校の要請に応じて、子供たちのメンタルが不安定になっているこのコロナ禍においてやっていこうということですから、これ自体は私は了としたいと思うんです。
ただし、この令和二年度に子供たちの状況はどうだったか、スクールカウンセラーもこの間ずっと配置をしてきて、先ほどの答弁もあった中で、不登校に対してアプローチをしていこうということでスクールカウンセラーをずっと配置してきてどうなったか。また、令和二年度で追加配置をされた、じゃあ令和二年度はどうだったかというと、不登校は過去最多、児童生徒の自殺も過去最多という中で、なかなか結果として対応がし切れているのかどうかというのは、私はかなり疑問を持っているんです。
これは別にスクールカウンセラーがいいか悪いかという議論ではなくて、この量で足りているのか、もしくは、ここはあくまで子供たちのメンタルのところでアプローチする中で、これだけではなくて、また違った様々なアプローチをしていかなきゃならないのか、私はそういうところもしっかりと考えた上で、このスクールカウンセラーというものの配置というのはしていかなくてはならないのではないかなというふうに思っています。
そういった中で、今回のスクールカウンセラーの活用に対して、どのように効果検証をしていくのか、伺いたいと思います。
○藤井指導部長 学校は、スクールカウンセラーの活用を通して、相談体制の見直しや、教員との連携の在り方等を分析し、校内での検証を行い、教員のスキルアップを図るなど、次年度につなげております。
都教育委員会は毎年度、スクールカウンセラーを配置する全ての公立学校から、スクールカウンセラーを活用した相談の回数や、校内における教育相談体制の工夫などについて報告を受けております。
これらの情報から取組の成果や課題等を分析し、校長やスクールカウンセラーそれぞれを対象とした連絡会等において改善の方策を示すなどをしております。
○内山委員 せっかく配置をされるスクールカウンセラーですから、ぜひ効果的な活用を、また様々な事例も横展開しながら広げていっていただきたいなというふうには思っています。
一方で、スクールカウンセラーの意義だとか効果検証というのを聞くと、どうしても文章で出てくるというのが私のこの間の印象です。数字では一切出てこない。例えば、相談件数は増えても、先ほど申し上げたように、不登校の件数だとか、自殺の件数、様々な課題として捉えられているところの数字が改善されたという話、答弁というのは私、聞いたことがないんです。全校配置している自治体の話も聞きましたけど、そこでも聞いたことがない。
なかなかそういった数字にアプローチするのは難しいというのも分かります。分かりますが、その数字というのは、一つ一つの数字に一人一人の子供たちの人生がそこにあるわけですから、あくまで私は、数字にしっかりとアプローチできるような対策というのをしっかりと教育庁の皆さんにはしていっていただきたいなというふうに思っています。
今回は、スクールカウンセラーの追加配置ということで、これ自体は了としたいと思いますが、これにとどまることなく、コロナ禍における子供たちの精神的な悩み、不安、こういったものに向き合っていただくよう強く要望させていただいて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
私からも、スクールカウンセラーについて伺っていきたいと思います。
スクールカウンセラーの配置の拡充が一般会計補正予算に盛り込まれました。昨年に続いての措置であります。
今もお話がありましたが、昨年からのコロナ感染の広がりで、多くの子供たちがストレスを抱え、学校に行きたくないと感じている児童生徒も増加をしております。
今回、東京都が発表しました不登校児童生徒の状況ですけれど、八年連続で増加しているということで、代表質問でも取り上げさせていただきました。そして、本当に悲しいことですが、自ら命を絶ってしまう子供たちも過去最多ということで、非常に支援が求められていると思います。
スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置すれば全て解決するかといったら、そういうことではありませんけれども、やっぱり学校内できちんと子供たちを観察して、一緒に解決をしていくという意味で、専門家の派遣をするということは非常に大事だと考えます。
そこで伺っていきたいんですが、今ご答弁がありました。重なりますけれども、大事なことなので伺います。
スクールカウンセラーの派遣は、昨年の夏休み期間中に七月二十二日から八月七日の期間、また、今年一月から三月の間に、通常の三十八回に加えて、一校につき三回を上限として追加するという措置を取っています。こうした拡充を行った検証結果、そして、どのような結果が出たのか、実績と結果をお答えください。
○藤井指導部長 令和二年七月二十二日から八月七日までの間においては約九%の学校が、令和三年一月から三月までの間においては約一六%の学校が追加派遣を希望しております。
追加派遣された学校では、授業観察を通して、コロナ禍において不安や悩みを抱える子供の様子を把握したり、学校に通うことができなくなる兆候に対して早期に対応したりするなど、スクールカウンセラーを活用した事例が報告されております。
○とや委員 スクールカウンセラーについては、私たちのところにも、予約がいっぱいになっているとか、カウンセラーさんが不足しているのではないかということを裏づけるような声が届いています。七月二十二日から八月七日、そして、一月から三月の期間も、追加派遣実績が必ずしも高くはないのかなという感想を持っています。
そういう中で、例えば、保護者の皆さんから届いている声の中で、いじめのアンケートを取る際に、子供に相談できる相手は誰かと保護者が聞くと、担任か家の人といわれて、スクールカウンセラーさんの名前が出てこなかったという声もありました。学校が本当にスクールカウンセラーさんをきちんと活用できているのか、周知できているのか、ここら辺の検証、分析が必要だと思います。ぜひこの辺も今後検証をしていただきたいと求めておきます。
今回の補正予算は、一月から三月と期限を切って、一校三回までの派遣の拡充が行われますが、昨年と今回の拡充期間を一月から三月とした理由をお答えください。
○藤井指導部長 昨年度においては、東京都が実施した都民の心と命を守る緊急自殺予防対策の一環として、コロナ禍における児童生徒の心のケアの一層の充実に向け、学校の要請に応じてスクールカウンセラーの追加派遣を行いました。
令和三年度においては、コロナ禍で活動の制約が長期化している中、進級や進学等を控えた時期に機動的な対応ができるよう、学校の要請に応じて追加派遣を行うことといたしました。
○とや委員 自殺対策ということも昨年はあったということですが、東京都は、ほかの所管局ですが、自殺対策のキャンペーンということも秋にもやっているわけです。また、新学期が始まる時期の九月とか、あるいは進級、進学の時期の四月から五月など、節目になる時期というのは一月から三月だけではありません。
国立成育医療研究センターの調査が今年二月から三月にかけて、また九月にも行われました。小学校以上の子供の回答では、四二%がコロナのことを考えると嫌な気持ちになるということを選択しています。すぐにいらいらするは三七%、最近集中できないは三二%、一つ以上のストレス反応を選択した子供は回答全体の七六%に上っています。
一年を振り返っての感想では本当に様々な声が寄せられていました。前向きな話もあるんですが、ネガティブな声では、嫌な一年で悲しかった、もう死にたい、心の限界が近づいている、せっかくの小学校最後の年なのに何だか悲しかったなどなど、たくさんの書き込みが子供たちの苦しさを表していました。カウンセラーの先生に伝えたいこともあるというお子さんも書き込まれていました。
保護者からは、常に二人ぐらい配置して、子供の遊んでいる様子や授業の様子などを見守って、困っていそうな子供にはカウンセラーの人から声をかける、こうしたことをしてもらえると親も安心だし、子供も心を開けるという声が寄せられています。
子供の深刻な状況から見て、スクールカウンセラーと、また、スクールカウンセラー以外にもスクールソーシャルワーカーの派遣をしている自治体もあります。こうした職種の派遣回数を増やすことが必要ではないでしょうか。伺います。
○藤井指導部長 スクールカウンセラーについては、都教育委員会は、都内全ての小中高等学校に配置し、平成二十八年度から、年間勤務日数を、それまでの三十五日から三十八日に拡充いたしました。
スクールソーシャルワーカーについては、区市町村が策定する配置計画に沿って経費を補助しております。
今回、コロナ禍における子供の心のケアの充実を図るために、スクールカウンセラーの追加派遣の補正予算を提案しているところでございます。
○とや委員 追加派遣をもう一回やってくださるということは歓迎したいと思いますが、まだまだ足りないのではないかなということであります。
文部科学省が行ったスクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーに関する委託事業、大阪府立大学から出ている報告書では、学校でのスクリーニングとスクールカウンセラーなどの配置が効果を上げているという結果が出ておりますが、どういうふうに受け止めていらっしゃるか、お答えください。
○浅野人事部長 令和二年度に文部科学省が委託した調査研究の報告書では、いじめ等の重大事案発生の課題にスクリーニングが有効であるかを検証したところ、スクールカウンセラー等の配置はスクリーニングに有効に機能することが示唆されたとされております。
引き続き国の動向を注視してまいります。
○とや委員 調査では、スクリーニングが有効に機能するには、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの常勤化が有効であるという二段階の仮説を立てて検証をしています。
現在のように週一回では、予約しても何日も待たなければならない状態が続いて、重大事案が発生する可能性も高くなるんじゃないかと思います。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが子供の様子を系統的に観察して、学校や家庭との連携を図っていくことが、今、本当に重要だと思います。
保護者の皆さんから寄せられている声ですが、信頼関係をしっかりとつくっていくために、ふだんから一緒に過ごしていくことが必要なんじゃないかという声も寄せられております。
派遣回数を増やしていく、同時に、やっぱり系統的にきちんと子供たちの様子を見守っていくという意味で、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが安定して仕事ができるよう、正規の職員として雇用すべきですが、いかがでしょうか。
○浅野人事部長 スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーは、現行の制度では、学校教育法等において必置の職とされておらず、また、いわゆる標準法においても教職員定数として算定されておりません。
先ほど答弁いたしましたが、現在、国は、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの常勤化に向けた調査研究を実施しているところであり、引き続き国の動向を注視してまいります。
○とや委員 国の動向を注視するということではあるんですけれども、子供の状況は、私は待ったなしだというふうに思います。
先ほども申し上げましたが、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが配置されてすぐに子供の課題が全て解決するというものではありませんが、ありませんが、やっぱり学校にとっては支援の一つ、大きな助けとなるし、子供たちが心を開いて、スクールカウンセラーさんなら話ができるとかいった状況も生まれています。ぜひ常勤配置を、正規で雇っていただいて、雇用していただいて、配置していただきたいと思います。
保護者から寄せられた声を紹介しておきます。
昨年のコロナの一斉休校明けに、小学四年生の息子が週に二、三日しか学校に行けなくなり、とても苦労しました、生活のリズムが崩れたわけではなく、ただ家にいるのが居心地よくなってしまったことや、学校に行く意義が見出せなくなってしまったようで、親として、学校でお友達と過ごすことや勉強することの意義を伝えつつ、あの手この手で意欲が持てるようにしましたが、その状況は年末まで続き、夫婦共々どうしようかと悩み、親の方がプレッシャーを感じるような思いでしたと。
その中で、初めてスクールカウンセラーさんとの面談をお願いし、お話をしましたが、スクールカウンセラーさんからは、そのままでも大丈夫、きっとお子さんには思いが伝わりますよといわれました、私たち親のプレッシャーを解いてくれるようなお話を聞けて救われる思いでした。
スクールカウンセラーさんは、そうした児童が増えているということもいっていました、以前から不登校で悩んでいた保護者の人も、カウンセラーさんの予約が週一回でなかなか取れないということも聞いていると、こうした親子が少しでも救われるように、日常的に機会を増やしてほしいと思いますという声を寄せております。
ぜひ、東京都教育委員会としても、こうした現場の実態、保護者の声、学校の声に耳を傾けて、必要な派遣回数、そして、一番望まれるのはカウンセラーの常勤化です。ご検討をお願いして、質問を終わります。
○風間委員 私も、スクールカウンセラーの件に関して質問を用意していましたけれども、用意していた質問に関してはほぼ答弁が出てきていますので、一言、意見、要望を伝えさせていただければと思います。
私自身も区立の小中学校に通う子供がおりまして、スクールカウンセラーさんに相談に行ったなんていう話を聞いたりしていると、もはや、特に小学校の中ではスクールカウンセラーの先生に相談をするというのが割と常態化しているというか、誰でも気軽に相談できる体制になってきているんだなというところを感じるところでもあります。
一方で、なかなか枠を取れないだとか、相談したいときにできないなんていう話も聞こえてくるところでありますので、今回このようなコロナ禍での追加予算を組んででの要望に応えていくということに関しては賛成するものであります。
子供たちの心の声というのが、スクールカウンセラーの皆さんに様々な形でヒントとして届いているのではないかなと感じるところでありますし、私も、スクールカウンセラーの関係に関わったことがありますけれども、子供たちから聞こえてくるサイン、これを解決になかなか持っていけない状況というのが一つの課題としてあるのかなと感じています。
といいますのは、やはり守秘義務の問題から、子供たちから相談を受けた内容について、スクールカウンセラーの方が直接その問題解決に向けて取り組めないというような問題点もあろうかと思いますので、子供たちの心の声、友達とのいざこざであるとか、先生との相性だとか、そういった様々な隠されているヒントを、今度は現場の例えば担任の先生だったりにどのようにフィードバックをしていくのかというような解決策なんかも、東京都の教育委員会としては、さらに今後研究を進めていっていただければなと思いますので、要望とさせていただきます。
質問は、まずは、杉並区の学校教育職員の教育管理職任用審査に係る事務の受託についてということで伺います。
事務事業質疑のときにも私が意見させていただきました人事権の移譲ということについてはなかなか難しいことは承知をしております。
しかし、一方で、地域の子供たちを育てるには地域に密接した先生を採用していくということで、品川区と杉並区が独自に採用しているこのことに関しては私も注目をしているところでありますし、特に品川区に関しては、採用だけではなく、今回杉並が都教委に事務委託をしているという教育管理職の任用審査だとか、または承認審査、こういったところに関しても品川区では独自にやっているということですね。
品川区の取組に関しては私も注目をしているところですけれども、一方で、杉並区は、採用は独自でしていながら、都教委に、任用審査、昇進審査に関しては事務委託をしているということでありますけれども、杉並区の教育委員会からの意図をどのように受けて、都教委としてはこれを受託しているのか、教えてください。
○浅野人事部長 杉並区学校教育職員の給与負担や採用、昇任は、任用審査手続を含め、杉並区が行うことが原則でございます。令和三年八月、杉並区教育委員会から都教育委員会に対して、都と能力実証水準の均衡を図る必要があるため、杉並区学校教育職員に対する教育管理職、すなわち副校長の任用審査の事務を委託したいとの依頼がございました。
都教育委員会は、広域自治体として行政を担う立場から、都内義務教育において一定の水準を確保、維持する必要があり、杉並区が任用する副校長の能力実証については、区の求めに応じ、都が行うことが適切であるため、都が受託することにいたしました。
○風間委員 区教委独自で採用することも大変に負荷がかかることだと思いますし、昇任、任用の審査というのも負担がかかるということもあろうかと思いますので、そのノウハウを持っている都教委に委託をしていくということはよく分かります。
都教委としては、こういったノウハウに関しても、杉並区からの求めがあれば、ノウハウの開示、もしくは情報の共有なども今後行っていくようにお願いを申し上げて、この件は質問を終わります。
もう一つ、柔道事故の件についてもお伺いいたします。
柔道による事故で、特に学校の中で行われている柔道といえば、体育の授業であるとか部活動ということになろうかと思います。これによって重度の障害をいまだに抱えている当時のお子さんたちがいることも承知をしておりますし、これによって長らく行政機関との裁判を行ってきた悲しい事件というのもこれまで見てきたところであります。
ですので、柔道事故に関しては、今回上げられた案件というものが四年前の事故であったということが、今回このように上がってきたということについては、この四年間でどのようなことが進められてきたのかということを含めて、簡単にご説明願います。
○瀧沢指導推進担当部長 平成二十九年十月二十八日の事故発生後、被害生徒は病院に救急搬送され、入院をいたしました。学校及び都教育委員会は、被害生徒等に謝罪をするとともに、接触のある体育活動を控えるなどの対応を行ってまいりました。
令和元年十一月に、症状が固定したということを受けまして、令和二年三月、日本スポーツ振興センターに障害等級が認定され、四月に被害生徒に給付金が支給されました。
その後、被害生徒側の代理人である弁護士を通じて、令和二年五月に当局に損害賠償の請求があり、関係局と請求内容等について検討し、損害賠償額を算定いたしました。
○風間委員 こういった案件で損害賠償が請求された際に、各行政機関では争うようなこともあり、裁判になるというようなケースもあったように承知をしております。
そういったところから、今回は、こういった等級も確定しているということから、裁判にはならずに進みそうだという話を聞いていて、安堵しているところですけれども、東京都から提示していることに関して、今でも後遺症に悩んでいる本人、また、ご家族は納得されているのかということをお聞かせください。
また、この事故に関しては、練習中に起こったものということで、練習を一緒にやっていた相手方も、事故を負わせてしまったということについては相当に悩んでいるのではないかということも想像できますけれども、こういった部活動の練習の際に起こった事故で、こういった相手側に、さらなる何か負担感、例えば損害賠償請求ですとか、裁判ですとか、そういうようなことがあるのは大変に残念なことでありますけれども、こういった相手方に対してはそのような負担感が発生しないのかどうかということも確認させてください。
○瀧沢指導推進担当部長 東京都は、都の損害賠償額算定基準に基づき、令和二年五月に被害生徒側が請求いたしました損害賠償の内容を検討し、損害賠償額を算出したところでございます。令和三年七月に、被害生徒側におおよその賠償額を提示しており、被害生徒側は了承をしております。
また、東京都としては、相手生徒側には損害賠償の責任はないと判断しております。
○風間委員 この件に関しては、損害賠償を東京都の教育委員会の方で負担するということで終了するということのようですので了としますけれども、この柔道の事故ということに関しては、ほかの会派からもお話がありましたように、柔道という競技をする以上は必ずついて回るものだと思います。
特に今回の被害者の方のように、経験が浅い場合には様々なリスクを伴うと思うわけですけれども、柔道における再発防止策として、どのような取組を行っていくのかを最後に確認させてください。
○瀧沢指導推進担当部長 事故発生後、平成三十年一月に、都立高校等の保健体育科主任を対象といたしました保健体育科主任協議会におきまして注意喚起を行うとともに、関係機関と連携をして再発防止に努めてまいりました。
また、令和元年七月に作成した部活動に関する総合的なガイドラインに、柔道を含め、部活動で行われる危険性の高い競技種目について、事故防止の具体策などを記載し、全公立中学校及び高等学校に周知をいたしました。
さらに、都教育委員会は毎年、校長連絡会等において、ガイドラインに基づいて事故防止について徹底を図っているところでございます。
○風間委員 部活動にしても、体育にしても、教員もしくは顧問、指導する方の人数の方が、実際に取り組む生徒に比べれば必ず少ない状況になると思います。という意味でいうと、再発防止としては、初心者、初級者、中級者、上級者、レベルごとに、やっていいこと、まだやるべきではないことというのをしっかりと明確に分けた上で、指導がしやすい環境を徹底していくということも重要だと思いますので、今後、そのようにしていただければと要望しまして、質問を終わります。
○白戸委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了といたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○白戸委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○白戸委員長 次に、報告事項「東京の特別支援教育の充実に向けて 東京都特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画(素案)」についてに対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○ほっち委員 それでは、よろしくお願いいたします。
都教育委員会では、平成二十九年二月に第二期の東京都特別支援教育推進計画並びに第一次実施計画を策定し、共生社会の実現に向け、障害のある幼児、児童生徒の自立を目指し、一人一人の能力を最大限に伸長して、社会に参加、貢献できる人間を育成という基本理念の下、これまで東京の特別支援教育の充実に取り組んできたところであります。
このたび第二次実施計画を策定するとのことであり、その素案が公表されました。
我が会派は、さきの代表質問において、都立特別支援学校における職業教育の充実とデジタルを活用した教育について取り上げました。この二点につきましては、我が会派としましても特に重要な事項であるというふうな思いで、この後、質問をさせていただきたいと思います。
まずは、職業教育の充実についてです。
知的障害特別支援学校高等部では、就業技術科及び職能開発科を設置して、生徒全員の企業就労を目指して、実践的な職業教育を行っております。そこで多くの生徒が企業就労するなど、成果を上げていることから、入学に関心を持つ生徒や親御さん、保護者は多いのではないかというふうに思っています。
就業技術科及び職能開発科で学ぶためには、入学者選考に合格をする必要がありますけれども、直近の入学者選考の倍率について、まずお伺いさせてください。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 令和四年度入学者の選考における就業技術科五校の最終出願倍率は、一・一〇倍から一・四七倍となっており、平均倍率は一・三〇倍となっております。
また、職能開発科四校の最終出願倍率は、一・三〇倍から二・一〇倍となっており、平均倍率は一・七二倍でございます。
○ほっち委員 職能開発科の入学者選考については、今お答えいただきましたけれども、一・三倍から二・一倍ということで、かなり高い倍率となっています。
そこで、素案では増設を行うとのことでありますけれども、改めて拡大の取組についてお伺いをさせていただきます。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 職能開発科につきまして、全都的な配置バランス等を勘案した上で、順次設置に向けた調整を進めており、令和四年度以降、既設の四校に加えて、新たに四校を設置する予定でございます。
これにより、入学を希望する知的障害が軽度から中度の生徒が、これまでよりも多く職能開発科で学ぶことができるようになると考えております。
○ほっち委員 保護者の方も、また生徒の皆さんも、やはりしっかりと企業で勤められるようにやっていきたいという多くの希望を持っていますので、しっかりと取り組んでいただきたいなというふうに思います。
急速に進展するデジタル化や、今般の新型コロナウイルスの感染症の影響もあり、今後、企業の経済活動のありようは変わっていくことが予想されます。
企業就労を希望する知的障害特別支援学校の生徒が進路希望を実現していくためには、社会の変化や企業からのニーズの変化に合わせて、職業教育の内容を変化させていくことが必要ではないのかというふうに考えます。
そこで、職業教育を主とする就業技術科及び職能開発科や普通科も含めて、今後の知的障害特別支援学校における職業教育はどのようにしていくのか、お伺いをさせていただきます。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会はこれまで、知的障害が軽度の生徒を対象とした就業技術科や、知的障害が軽度から中度の生徒を対象とした職能開発科を設置し、普通科も含めて、重層的な職業教育を展開してまいりました。
職業教育に関する教育課程の設置方針を示してから十年以上が経過しており、また、就業技術科や職能開発科の設置が進むことにより、普通科に在籍する生徒の実態も変化しております。
今後は、デジタル化の進展等の社会状況の変化を踏まえつつ、卒業生の就労先において担当業務が変わってきたことに応じ、実習内容やその方法を検討してまいります。
○ほっち委員 今お答えいただきましたとおり、デジタル化の進展というのは本当に、常にスピードを持って、前に前に変わっていくというふうに思っています。できるだけしっかりと対応していただきたいと思うと同時に、職能開発科の設置及び職業教育の実習内容の見直しも行うということで、ハード、ソフト両面での充実をしていくとのことでありますけれども、企業就労を希望する生徒が進路希望を実現していけるよう、今後もしっかりと取り組んでいただくことを期待したいと思います。
次に、デジタルを活用した教育についてです。
我が会派の代表質問において、視覚障害におけるデジタルの活用について質問をしたところでありますが、障害に伴う困難さを軽減し、子供たちとの学びを充実させるために、他の障害においてもデジタルの活用が有効というふうに考えますが、第二次実施計画素案では、聴覚障害について、都立中央ろう学校の進学指導にデジタルを活用する予定とのことでありますけれども、どのような取組を行うのか、お伺いをさせていただきます。
○藤井指導部長 都立中央ろう学校では、大学進学を目指し、民間事業者の学習支援アプリケーション等を活用して学習をしている生徒がおります。
こうしたアプリは字幕表示に対応していないことから、聴覚障害のある生徒が学びやすく、学習内容を習得できるような工夫を行っていく必要がございます。
今後、学習支援アプリと音声情報を文字化するアプリを併用しながら学習する方法について検討を行っていくこととしております。
○ほっち委員 聴覚障害のある生徒の学びを深めるためには、学習支援アプリに加えて、音声情報を文字化するアプリを組み合わせて活用することが必要であることを確認させていただきました。
聴覚障害のある生徒の利便性を向上させ、効果的な学習を展開するために、ぜひ取組を行ってほしいというふうに思います。
そこで、都立特別支援学校の高等部にも、次年度から、学年進行で一人一台端末が導入されます。中学時代に既に一人一台端末を経験してきた生徒さんが進学してくるということで、高等部にはもう一段階、レベルの高い端末の活用が期待されるところであります。
計画では、高等部へ進学した生徒が端末を活用してさらに学びを深めていくために、一人一台端末を用いた指導内容、方法の研究開発を行うとのことでありますけれども、どのように進めていくのか、お伺いをいたします。
○藤井指導部長 都立特別支援学校高等部においては、支援機器と適切に組み合わせながら一人一台端末を活用し、個別最適な学びや子供同士の主体的、対話的な学びなどを促進することが必要です。
今後、こうした学びを効果的に行うため、教科等の学習内容の分析を行い、端末を用いて学ぶことが適した指導内容の選定や、一人一台端末と支援機器を組み合わせた効果的な指導方法などについて検討してまいります。
○ほっち委員 支援機器と組み合わせた指導方法について検討するということでありました。デジタルの効果的な活用が子供たちの障害に伴う困難さを軽減し、一人一人の持てる力を今まで以上に伸ばしていけるよう、精力的な取組をお願いしたいと思います。
最後になります。都教育委員会においては、これまでの都議会での議論を踏まえて、また都民の方々の声にも耳を傾けながら、第二次実施計画を策定し、東京都における特別支援教育を着実に推進していただくことを要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○龍円委員 こんにちは。先日は事務事業質疑で、東京版のインクルーシブ教育を推進してほしいとの観点から質疑をさせていただきました。
今回報告されました東京都特別支援教育推進計画(第二期)の実施計画素案を拝読しまして、東京都独自ともいえる踏み込んだ取組を通じて、特別支援教育のさらなる充実と、そして、東京版のインクルーシブ教育を推進しようという姿勢を読み取ることができました。
また、素案からは、皆様の情熱と知恵とを振り絞って努力されている姿もうかがい知ることができ、頭が下がる思いです。
中には、これまで意見交換させてもらったりとか、質疑を通して提案したことなども盛り込まれており、皆さんと考えていることや見ている方向が一緒であることが分かり、ある意味、思いが通じたようなうれしさがあり、都議会議員になって本当によかったなというふうにも感じました。
さて、この計画は素案ということもありまして、しっかり内容を確認するとともに、計画をどのように今後実行していくか、考えているかについて質疑させていただきたいと思います。
先日の事務事業質疑では、東京版インクルーシブは、どこの学びの場であっても、自分の住む地域の学校の通常の学級のお子さんたちと共に学び、育つ機会が、日常的に、かつ継続的にある必要があるというふうに考えているとお伝えさせていただきました。
これを考えたときに、一番ハードルが高いのは特別支援学校に在籍しているお子さんたちのインクルーシブかと思います。
そこでキーポイントとなるのは副籍交流かと思います。私は、特別支援学校に通うお子さんの保護者の友人とか知人が多い方だと思うんですけれども、機会があるたびに、副籍交流について聞くようにしています。
教育委員会から副籍について丁寧な説明があったのかとか、副籍交流はしているのか、しているのだったらどれぐらいの頻度でどんな内容なのか、よかったのか、悪かったのか、副籍交流をしたいと思う理由またはしたくないと思う理由などについて聞くようにしております。
お話を聞いていますと、住んでいる区市町村によっても、そして、学校によっても対応がかなりばらばらであるようです。頻度については、年一回とか、行事のときのみというケースが多くて、月一回だと積極的な学校という印象です。
数は少ないんですが、とても頻度が多いケースとしましては週二日というお子さんもいらっしゃいました。この場合は、区市町村が副籍交流のために支援員や看護師を配置するなど、手厚い対応をしておりました。
保護者によっても当然考え方が違います。可能であれば週二日は地元の学校で学びたいと積極的な意思がある人もいれば、副籍交流に関して不安を感じている方や、難しいと感じている方もいらっしゃいます。
ただ、総じて、交流したいと考えている保護者であっても、実際に希望どおり交流できているというケースは少ないという印象があります。ハードルとなっているのは、やはり地域の学校の受入れ体制がないということかなと思います。ないわけじゃないんですけれども、少ないということだと思います。
特別支援学級がある学校だと比較的受入れに寛容な印象を受けるんですけれども、支援学級もないところだとかなりハードルが高めという感じです。
そこで、保護者が付き添ってくださいと求められることもあるようでして、仕事をしている保護者だと、交流したいけど、月一回も付添いのために仕事を休めないということで諦めているようなお話も伺いました。
積極的に副籍交流を行われている自治体は、学校単位の裁量に頼らずに、教育委員会が主導して、副籍交流をするために特別支援学校と地域の学校を結んだりとか、必要な支援を講じるなどしておりました。
こういう話を聞くと、副籍交流をもっともっと進めるためには、区市町村の教育委員会の考え方、そして、送り出す側の特別支援学校、受け入れる側の地域の学校、そして、保護者、それぞれの気持ちや考え方を把握して、分析した上で、効果的な支援策を講じていく必要があるかと思います。
保護者等を対象とした調査を今後実施するというふうに聞いているんですけれども、その調査対象についてどのように考えているのか、お伺いします。
○藤井指導部長 平成十九年度から副籍制度を導入し、平成二十七年度入学生からは、原則として、小学部、中学部に在籍する全ての児童生徒が副籍を持つこととしております。
学年進行とともに、副籍制度の利用者の割合が減少するなどの状況があることから、特別支援学校の保護者や、副籍制度の教員等を対象とした調査を実施し、現在の課題を改めて把握し、充実策を検討してまいります。
○龍円委員 特別支援学校の保護者や、副籍先の地域の学校の教員などを対象とした調査をして、課題を把握して、充実策を検討するとのことでした。この等、などに含まれているとは思うんですけれども、調査対象には特別支援学校の教員、そして、区市町村の担当者からもぜひお話を聞いていただきたいと思います。
保護者さんへのヒアリングの際なんですけれども、副籍交流はしたくないという場合であったとしても、中には、自分の子供は副籍交流をしたら迷惑をかけてしまうんじゃないかなとか、うまくやっていけないような気がするというような不安ですとか、先ほどもお伝えしたように、仕事の関係上、付き添えないからという理由の場合もありますので、環境や条件が変われば前向きになることも考えられますので、調査の際には丁寧にお話を聞いてくださいますようお願いいたします。
さて、計画素案には、副籍交流について、GIGAスクール構想により一人一台の端末が配備され、こういったデジタルを活用することによって、特別支援学校にいながら、地域の学校との交流活動実施を期待するという趣旨のことが書かれております。
副籍におけるデジタル活用について、どのようにしていこうとしているのか、お伺いいたします。
○藤井指導部長 現在、特別支援学級に在籍する児童生徒と通常の学級に在籍する児童生徒との交流活動を円滑に行うための方策を企画立案、実施する、学校におけるインクルージョンに関する実践的研究事業を、二区市を指定して、令和四年度までの予定で実施しております。
この事業では、デジタルを活用した交流活動を実施していることから、より柔軟な形態での交流活動について、その拡大の可能性を検討してまいります。
○龍円委員 今ご答弁にあった学校における実践的研究については、先日の事務事業質疑でお伺いしたばかりでした。
日野市では、特別支援学校と地域の学校を日常的にオンラインでつないでいるとのことでした。最初は戸惑いを見せているお子さんたちも、毎日オンラインで顔を合わせるうちに積極的に挨拶するなど、変化が見られているとも伺いまして、今後は、この副籍交流をより多くの児童生徒に日常的かつ継続的にしていただくために、オンラインとリアルをハイブリッドで活用して推進することを考えてほしいと、そのときにお伝えさせていただいたところでした。まさにこのオンラインを活用した副籍交流を検討していくことが、この計画素案に盛り込まれているということが確認できたところです。
そう考えると、やはりこの日野市での取組というのは非常に重要かなと思います。ぜひ、コロナが落ち着きましたら、オンラインにとどまらず、リアルとのハイブリッド交流を実践していただけたらと思います。
先日の事務事業質疑では、現在の学校現場には、特別なニーズのある児童生徒を分離する、目に見えない遠心力が働いているというお話をさせていただきました。この遠心力の原因は一つではなくて、様々な要因が複合的に起こしているものではありますが、根本的には、特別支援学校に専門的なノウハウやスキル、そして人材が集約されている一方で、地域の区市町村の小中学校では、最近は発達障害のあるお子さんが増えているものの、特別支援対応力はまだまだ十分ではないことがあるかと思います。
そこで、特別支援学校の専門性を地域の小中学校に伝えて、伝授して、そして、地域の小中学校が自信を持って、様々なニーズのあるお子さん、児童生徒の教育に当たることができるように、都教委としてサポートしていく必要があるというふうに考えております。
そんな観点から見たとき、今回の素案の中で目を引いたのが、アセスメントの開発でした。息子と一緒に経験したアメリカでの特別支援療育と、そして教育において、これはすごいなというふうに感服したのがアセスメントでした。息子は当時まだゼロ歳とか一歳だったんですけれども、アセスメントだけで三時間くらいかけて、各分野の発達を調べておりました。
これが学齢期になりますと、さらに充実したアセスメントを実施して、そのアセスメントの結果を基に個々の目標が立てられ、その目標を達成するための具体的な教育計画と支援策が講じられていました。個々のお子さんにカスタマイズされた、まさにそのお子さんが今必要としている教育が提供されていたのが本当に印象的でした。
今回の素案では、知的障害のある児童生徒の指導内容を設定するためのアセスメント開発を行い、就学相談において学びの場を検討する際に活用できるようにしていくとありますが、どのようなものを開発していくのか、計画をお伺いいたします。
○藤井指導部長 知的障害のある児童生徒においては、知的障害の程度に個人差が大きく、同一学年であっても教科の内容の習得が異なります。
そこで、都教育委員会は、各学校が児童生徒の学習状況や経験等をより的確に把握し、その結果に基づいて、各教科等の最適な指導内容を設定するためのアセスメントを開発してまいります。
これにより、障害の程度が中度から重度の児童生徒の学力面の状況を適切に把握し、指導に携わる教員が共通の方針の下で指導できるようにしていきます。
また、このアセスメントを、就学相談において学びの場を検討する際に活用できるように検討もしてまいります。
○龍円委員 ありがとうございます。日本でも、これまでも発達の程度を調べるアセスメントはあると思うんですけれども、都教委は、教育の指導内容を設定するためのアセスメントを開発するということで、これは恐らく日本全国で例がない新しい取組だと思いますし、実現すれば、ほかの自治体でも参考にされるようなものになるかと思います。
これまでは、個々の教員の経験とか知識に基づいて指導が提供されていたと思うんですけれども、このアセスメントができることによって、経験の少ない教員や新任の先生でも、指標を持って、自信を持って指導に当たれるのはすばらしいことだと思いますので、ぜひアセスメントが本当にいいものとなるよう努めていただきたいと思います。
アセスメント開発に当たっては、ベテラン教員のノウハウやアセスメントの専門的な知識がある有識者、またはアメリカのような海外の先進的な事例も参考にしていただきますようお願いいたします。
現在は、知的障害のあるお子さんたちの教育現場では、同じクラスの中にかなり理解度が違う児童生徒がいらっしゃるのですが、同じことを一斉にその中で取り組んでいる姿をお見かけしたりします。
今回の素案では、知的障害の状況や程度に応じた指導の在り方の研究を行うとあるんですけれども、何を目指して、授業がどのように変わっていくのか、お伺いいたします。
○藤井指導部長 知的障害特別支援学校においては、教科ごとの授業時数を各学校が適切に定めることになっております。
そのため、都立知的障害特別支援学校においては、学校間で教科ごとの授業時数が異なっている状況があり、教育課程の編成に際し、各学校が、指導内容に適した授業時数を検討し、設定する時数の根拠をより明確にしていくことが重要です。
そこで、素案では、児童生徒の障害の状態に応じて、学校が取り扱う教科の内容や、授業時数を設定するまでの考え方を整理していくことを示しております。
この研究により、障害の状態や特性等に応じた授業の充実を図ってまいります。
○龍円委員 先ほどのアセスメントでは、個別のニーズに応じた教育、指導が可能となり、こちらの研究からは授業の組み立て方なども充実されていくことになりそうです。これらを通じて、お子さんのニーズに合わせた、よりきめ細やかな教育が実現していくことを期待いたします。
さて、知的障害特別支援学校以外の都立特別支援学校には、小学校等に準ずる教育課程が設置されております。
先日の事務事業質疑でも、この準ずる教育課程についてお伺いしたところでございます。地域の小中学校の教員と、そして、特別支援学校の準ずる教育課程を担当している教員が連携することで、お互いにスキルアップしていくことができるすばらしい取組だったということを確認したところでございました。
この素案では、この準ずる教育課程について、デジタルを活用した他校との共同学習を計画しているというふうにありますけれども、取組の内容についてお伺いいたします。
○藤井指導部長 都立知的障害特別支援学校以外の特別支援学校によっては、準ずる教育課程で学ぶ児童生徒の数が少なく、子供たち同士で学び合う場面が限られております。
そこで、素案では、学習の活性化を図っていくため、学校間をオンライン上でつなぎ、他校の児童生徒と共に授業を受けられるような取組を進めていくことを示しております。
実施に当たっては、学校間の連絡を密にし、効果的な授業の実施方法について検討してまいります。
○龍円委員 おっしゃるとおり、準ずる教育の対象の児童生徒の数は非常に少ないので、どうしても子供と先生のマンツーマンになりがちかなと思います。学校のよさを考えますと、何を勉強するかだけではなくて、ほかのお子さんと一緒に学び合うことで育つことも非常に重要です。
そういう意味で、特別支援学校同士をオンラインでつないで、準ずる教育を共に受けることはいい試みだと思います。
また、準ずる教育課程の教員は、特別支援学校などの中だと孤独になりがちなのかなというふうに思いますので、この取組を通じて教員同士の横のつながりが生まれて、連携していくことができることも期待したいところです。
デジタルは本当に様々な可能性を広げてくれていると感じています。
都立特別支援学校の小学校、中学校には一人一台端末が配備されていますが、この端末の活用に向けて、学習者用デジタル教科書、教材を用いた指導方法の開発を行うとしていますが、この内容についてお伺いいたします。
○藤井指導部長 学習者用デジタル教科書、教材には、文字の拡大、音声読み上げ等の機能があり、児童生徒が教科書等の内容を理解しやすくなるといった効果が期待できます。その際、支援機器と組み合わせることにより、児童生徒個々の困難さに対応することができます。
そこで、今後、従前からの紙の教科書と学習者用デジタル教科書を併用する際の効果的な指導方法や、一人一台端末と支援機器とを組み合わせながら、デジタル教科書、教材を用いて効果的に学習できるようにするための指導方法の検討を行ってまいります。
○龍円委員 ありがとうございます。スペシャルニーズのある児童生徒にとっては、こういったデジタルは、本当に個々のニーズに合った学びを提供することができる可能性に満ちているというふうに私も感じております。
息子を見ていても、紙のドリルは一切興味がないんですけれども、アプリだと喜んで独学で片仮名とか平仮名とかを学んで、算数も簡単なものは覚えてしまったので、本当にデジタルの力には驚いております。
ただ、一般的な世間にあるアプリというのは、身体的なハンデがあるお子さんだったりとか、あと、教育内容が進んでしまうと、知的障害のあるお子さんにとっては利用しにくくなっていくというふうな印象も受けているところでありました。
そこで、端末上で操作できる子供に適した教材の整備が必要であるというふうに思うんですけれども、今回の素案に示されている新たに開発するデジタル教材はどのようなものなのでしょうか。また、開発においては、当然その教材を使って指導することになる学校の教員の先生方の知見が活用されるべきだと思いますが、どのように開発していくのか、お伺いいたします。
○藤井指導部長 知的障害のある児童生徒については、デジタル技術を活用した具体的な操作により学習することが効果的であり、学習者用デジタル教材の整備が必要です。
そこで、都教育委員会は、児童生徒が一人一台端末を用いて学習できる文部科学省著作知的障害者用教科書に準拠した学習者用デジタル教材を独自に開発することといたしました。
開発に当たっては、学校の教員などの意見を参考にして、学習内容を習得できる教材となるよう検討してまいります。
○龍円委員 ありがとうございます。スペシャルニーズのある児童生徒のためのデジタル教材を、学校現場の教員の皆様のお知恵を集約して開発していくとのことでした。
これもアセスメントと同じく、東京都独自で、都教委にしかできないようなことで、日本の特別支援教育を底上げするようなよい取り組みになる可能性があるというふうに感じております。
特別支援学校のノウハウが集約されたデジタル教材が誕生すれば、特別支援学校のみならず、地域の小中学校での指導も充実されることが期待されます。
一方で、知的障害のあるお子さんの中には、こういったスペシャルニーズに特化したデジタル教材であったとしても、使用が限定的になってしまう可能性のあるお子さんもいらっしゃると思います。こういったお子さんたちが置いていかれないように、デジタルの活用についてどのように工夫していくのか、お伺いいたします。
○藤井指導部長 都立特別支援学校には、知的障害の程度が重い児童生徒が在籍しており、開発する学習者用デジタル教材が児童生徒の認知の発達に適合しない場合には、個別的な対応が必要となります。
このため、民間事業者等が開発しているアプリケーションの中から、知的障害の程度が重い児童生徒が効果的に活用できるものを選定し、モデル校を設け、指導方法等を検討してまいります。
○龍円委員 民間のデジタル技術はもう本当に爆速で進化していますが、こういった民間の力を活用して、知的障害の重い児童生徒についても、取り残さずに、デジタルの恩恵が受けられるように対応を検討していくとのことでした。
学校現場でアプリを活用すると、ここがいいねとか、逆に、ここはもっとこうすると使いやすくなるのにといった感想が出てくると思います。
そこでお願いしたいんですけれども、こういった感想を民間事業者にフィードバックしてもらって、事業者のアプリの改善につなげていただけないでしょうか。そうすることで、スペシャルニーズに対応するアプリが民間で開発されていくので、保護者が自宅で活用することができたり、また、民間の療育でも活用して、都内のスペシャルニーズのあるお子さんたちに広く役立っていくと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
ここまで聞いてきて、アセスメント、そして、個々のニーズに対応する指導方法の確立、デジタルの力をフル活用して体系的に特別支援学校、そして、地域の小中学校の特別支援教育を総合的にボトムアップしていく姿が見えてまいりました。国よりも先に行こうとするような先進的な取組を進めている姿が見られ、全国的なモデルとなっていく可能性さえ見えております。
さて、インクルーシブ教育を進めていく上では、地域の小中学校の教員のスキルアップも重要ですので、その観点からも質疑を続けさせていただきます。
事務事業質疑において質問させていただきましたが、特別支援学校と地域の小中学校との人事交流は重要です。質疑において、人事交流を増やせないかとの質問をしたところ、人材育成が充実するよう検討していくとのお答えをいただきました。
小中学校と特別支援学校との間で現在実施している三年間の異動交流について、今回の計画素案においてはどのような位置づけになっているのか、その内容についてお伺いいたします。
○浅野人事部長 現在実施しております異なる学校種の間で三年間人事交流する仕組みは、教員の特別支援教育に関する専門性を高める効果がございます。
今回の素案では、人事交流に当たり、教員の公募、異校種への異動、異動先から戻った後の成果還元という一連の流れを、区市町村教育委員会と連携して、より計画的に進めるために、仮称でございますが、育成ガイドラインを策定することといたしました。
また、特別支援学校から小中高校に戻った後は、地域の特別支援教育を推進する役割を担う人材となるよう育成してまいります。
○龍円委員 この三年間で、より効果的に地域の小中学校の先生たちはスキルアップが図れるようになって、そして、特別支援学校の先生は、地域の学校での、ほかの教員の皆様へノウハウを伝授することがより一層できるような異動交流となりそうです。
そして、新たな短期交流の仕組みを検討するというふうにあるんですが、その内容についてお伺いいたします。
○浅野人事部長 今回の素案では、小中学校の特別支援学級の教員と特別支援学校の教員を一年間の期限付で相互に派遣する短期人事交流をモデル実施することとしております。
この人事交流のモデル実施では、小中学校の特別支援学級の教員が、特別支援学校で身につけた専門性や実践力などを元の学校に戻って還元し、学校全体の指導力向上を図ることや、特別支援学校と小中学校との連携を推進することなどについて検証を行ってまいります。
○龍円委員 新たな短期交流というのは三年ではなく一年間の、短いけれども、交流を増やしていくというお話でした。これぞまさに、異動交流の人を増やしてほしいという要望に資する取組だと思います。ぜひ多くの教員の皆様が、一年間ではあっても人事交流をなさっていただけるように取組を進めてください。
次に、特別支援学校教諭の免許取得についてです。
令和元年度の文教委員会の質疑において取り上げさせていただきました。
特別支援学校の教員は、もちろん免許の取得をすることが重要ですけれども、地域の小中学校の教員の皆様にも、特別支援教育力を上げていくことこそがインクルーシブな教育において重要だと考えて、特別支援教育の免許取得や専門性が向上するような取組を要望させていただきました。
今回の素案に、認定通信教育を受講した者について、受講費用補助を行うとの記載があります。
そこでまず、現状の確認なんですけれども、認定通信教育とはどのようなものなのか、お伺いいたします。
○浅野人事部長 認定通信教育とは、教育職員免許法の規定により、教員として三年以上の勤務経験を有する者が特別支援学校等の教員免許状を取得しようとする場合に、国により認定された通信教育の受講により一定の単位を修得する制度のことでございます。
都教育委員会は、この通信教育を受講し、特別支援学校教諭免許状を取得した特別支援学校の教員に対し、その受講費用等の補助を行ってまいりました。
また、令和三年度から、小中学校の特別支援学級を担当する教員もその対象に加え、免許取得を促しております。
○龍円委員 認定通信教育は、例えば首都圏大学などで実施されているもので、対象は、特別支援学校の教員と、今年度からは、特別支援学級の教員とのことでした。特別支援学級担当教員の専門性確保はとても重要ですし、現在実施している免許補助事業は有効であると思います。
今回、特別支援学級の教員に対して新しい取組を行うとありますが、これについてはどのような取組なのでしょうか。お伺いいたします。
○浅野人事部長 特別支援学級担当教員については、教員の特別支援教育の専門性を向上させる観点から、特別支援学校教諭免許状の取得を促進しております。
また、特別支援学級に在籍する児童生徒数が増加している中、専門性の確保は、都内公立学校における特別支援教育の充実に関わる課題でございます。
このため、素案では、知的障害学級と特別支援教室の担当教員のうち、特別支援学校教諭免許状を取得していない者を対象に、免許取得に至る前段階として、認定通信教育のうち、担当する特別支援教育に関する科目を受講し単位を修得した者に対して、受講費用等を支援するものでございます。
○龍円委員 この前段階の受講の補助は、教員にとって学ぶ機会のハードルを下げるよい取組だと思います。
インクルーシブ教育を進めるためには、さらに通常の学級の教員についても特別支援教育の専門性を高めることが重要だと思うんですけれども、そのことについても以前、事務事業質疑でお話しさせていただきました。
ついては、通常の学級についても支援する必要があると思うんですが、通常学級の教員についてはどのように取り組むのか、お伺いいたします。
○浅野人事部長 発達障害の可能性のある児童生徒は、通常の学級を含め、全ての学校、学級に在籍しているものと考えられることを踏まえ、全ての教員の発達障害に関する理解や基本的な知識など、その資質をより高めることができる取組の充実が必要でございます。
そのため、素案では、発達障害教育に関する基本的な知識を習得し、理解することができるよう、免許法認定通信教育の発達障害に関する科目を受講し単位を修得した者に対して受講費用等を支援するものでございます。
○龍円委員 ありがとうございます。何と通常の学級の教員も、専門性を高めるために、発達障害に関する分野を中心とした科目を公費負担で受講できるということで、かなり大きな一歩だと思います。
前回の事務事業質疑では、教員の皆様はとっても忙しいので、オンラインを活用して受講できるようにしてほしいとの要望をしたところでしたが、通信教育なので時間も制限されませんし、働きながらでも勉強しやすいと思いますので、それに資するものだと思います。
講座の内容も免許法で認定されていますので、十分な水準であるといえます。また、期待される効果としては、免許取得に必要な単位の一部を取得できるということによって、やる気のある教員は、だったら教員免許を取得しちゃおうという次のステップに行くモチベーションにもなるかと思います。ぜひ多くの教員に受講していただけるよう、周知の方もよろしくお願いいたします。
さて、地域の小中学校の特別支援教育力を高めるために重要なのは、特別支援学校のセンター的機能が効果的に果たされていくようにすることも重要だと思います。
こちらについても、身の回りの保護者等にヒアリングしてみると、この機能を利用している学校はまだまだ少数派のような感覚があります。
センター的機能による支援の効果を、支援を受けた学校だけにとどめてしまうのではなくて、その地域のより多くの学校に波及していくような必要があると思うんですけれども、今後の取組についてお伺いいたします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、地域における特別支援教育の充実を支援する特別支援学校のセンター的機能を活用し、区市町村教育委員会が指定した特別支援学級を設置する小中学校を重点支援校として計画的に支援する取組を行ってまいりました。
この取組により、重点支援校では、児童生徒の障害特性を踏まえた指導方法の工夫や、教室環境の整備などの改善を図っており、区市町村教育委員会では、研修等を活用した地域内での工夫改善事例の共有なども行っております。
都教育委員会では、今後、各区市町村における好事例を取りまとめ、全ての区市町村と共有するとともに、小中学校の教員対象の研修において、ケーススタディーや情報交換を行うなど、成果の普及を図ってまいります。
○龍円委員 センター的機能の効果をほかの学校にも普及していくとのことでした。
ぜひ今後考えてもらいたいんですけれども、センターとなる特別支援学校には学区域があると思うんですね。その学区域には児童生徒の副籍がある地域の小中学校もあると思うんです。なので、できれば特別支援学校の学区域の地域の小中学校をネットワーク化してしていただけないでしょうか。そうすることで、特別支援学校が、個々の学校に対応して終わりではなくて、各学校に共有されていくことが可能になると思いますし、地域の学校での困り事や疑問について、気軽に特別支援学校に問い合わせられるようになるんじゃないかなと思います。
一方で、特別支援学校からすると、在籍する児童生徒の副籍交流先の学校とネットワークでつながることによって、より一層スムーズな副籍交流を進めていけるのではないかと思いますので、ぜひ検討のほどよろしくお願いいたします。
これらの質疑を通じて、地域の小中学校の教員の特別支援教育力を高めるために、あらゆる施策が進められていくことが見えてまいりました。
最後に、就学相談についてです。
これも周りの保護者に話を聞くと、つらかったという感想を述べる人が多いですし、私にとっても、本当にどれだけ泣いたかというような経験となりました。
子供の可能性について話されたことがなくて、一から十までというか、一から百まで、子供がいかに何々ができないかということを説明され続けられるというような経験となりました。それだけで子供の可能性について話し合えなくなってしまって、意見交換はあまりうまくできなかったんです。
教育委員会からは特別支援学校の判定が出されました。その理由とされたものが、その百もある何々ができないからでした。この判定を受け入れるのは、この百もできないということを親として認めて、子供としてはいいところがないと思わされるような、そんな経験でした。
一方で、私の子供を二歳から見てくれている療育関係者は、アセスメントを踏まえて、通常の学級での伸び代が多くあるとのアドバイスをくださいました。
なぜ、ここが二つ判定が違ってしまうんだろうというふうに考えたときに、判定にはお医者さんが大きく関わっていることに気がつきました。
確かに医師の先生は、リスクだったりとか、駄目なところを見つけるプロフェッショナルなんですよね。なので、すごく納得がいきました。
しかし、医師の先生方は教育に関しては素人なんじゃないかと思います。そのときに、医師が就学先の決定に大きな力を持っていることは、必ずしも最適ではないんじゃないかなというふうに思うようになりました。ぜひ医師以外の療育関係者なども入れた就学相談を進めていただきたいと思います。
今日の質疑の中でも、就学相談の改善に資する取組を進めていただきたいと思います。
区市町村の教育委員会の就学相談の充実に向けて、教育委員会は、医師以外にも心理士などの専門家も活用した支援を行うべきだと考えますが、見解についてお伺いいたします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 障害のある幼児、児童生徒や教育的支援を必要とする幼児、児童生徒の増加に伴い、区市町村教育委員会における就学相談の件数は増加し、相談内容も多様化、複雑化しております。
現在、都教育委員会は、多様化、複雑化する相談内容に対して、医師のほか、心理士、教育関係者や保護者など、様々な専門的知見に基づく助言を行うことができる専門家チームを設置し、区市町村教育委員会を支援しております。
今後の活用につきまして、区市町村からの要請に応じ、オンライン会議システムの活用などによる迅速な対応ができるよう検討してまいります。
○龍円委員 オンラインも今後活用していくということだったので、様々な専門家がこの就学相談に関われるような仕組みづくりをよろしくお願いします。
今日の質疑の中、ほかの質疑でも、この就学相談の改善に取り組んでいくということが分かりました。
保護者からすると、この就学相談というのが特別支援教育との出会いなんですよね。その出会いがつらかったというふうになってしまうと、その後にいい影響があるとは思えませんので、さらに改善に努めていただきますようよろしくお願いします。
この計画の素案を通して、東京版のインクルーシブ教育に向けて、都教委が大いに前進しようとしていることが確認できました。ぜひ計画をしっかり推進してくださいますよう、都議会からも応援してまいりたいと思います。ありがとうございました。
○白戸委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間の休憩をいたします。
午後三時二十五分休憩
午後三時四十五分開議
○白戸委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行します。
発言を願います。
○斉藤(や)委員 よろしくお願いいたします。
昨日まで障害者週間でございました。第四回定例会を迎えるたびに、この十二月三日からの一週間、そのときだけというわけじゃないんですが、特に障害者の皆様たちと思いを共にしまして、そして世界が、WeThe15など、障害者施策について大変多くの方々が日常的に思いを共にする機会が増えてまいりましたが、教育は極めて重要な場の一つでございます。
今日は、そういう意味から、第二次実施計画の策定の考え方から、まずお伺いをしたいわけであります。
都教育委員会は平成二十九年二月に、東京都特別支援教育推進計画(第二期)と、その最初の実施計画である第一次実施計画を作成いたしまして、特別支援教育の推進に取り組んでまいりました。
この計画によって、例えば、知的障害特別支援学校の企業就業率は、平成二十七年度卒業生の四六・四%から、令和二年度卒業生では四九・四%に上昇し、全小中学校における特別支援教室が設置をされ、都立学校でも通級による指導の仕組みが導入されるなど、着実にその取組が進められております。
さらに進展が目覚ましいのは、我が党は本当に様々提案をさせていただいておりますけれども、医療的ケア児への支援であります。
都議会公明党の要望を踏まえまして、例えば、肢体不自由特別支援学校での医療的ケア児専用通学車両の運行や、また、人工呼吸器管理体制の構築、そして、保護者付添いの期間の短縮化モデルの事業を開始するなど、スピード感を持って充実が図られてまいりました。
特別支援教育推進計画(第二期)は、共生社会の実現に向けまして、障害のある子供たち一人一人の能力を最大限に伸ばして、自立や社会参加を促進することを基本理念としておりますけれども、これまでの取組の成果も踏まえた上で、今回のこの第二次実施計画は、どのような考え方、意義で策定を進めていくのか、改めて伺いたいと思います。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、特別支援教育推進計画(第二期)第一次実施計画に基づき、都立特別支援学校のみならず、公立小中学校や都立高校等を含め、特別支援教育の充実を図ってまいりました。
特別支援学校では、職業教育等の教育内容の充実や医療的ケアの体制整備、公立小中学校及び都立高校等では、全ての学校での発達障害のある子供への支援体制の充実などを推進してきました。
第二次実施計画では、こうした第一次実施計画の取組を、さらに前進、充実させるとともに、今回改めて実施した特別支援学校の在籍者数の将来推計を踏まえた規模と配置の適正化や、デジタルを活用した教育の推進など、社会状況の変化等に対応する施策も盛り込み、特別支援教育推進計画(第二期)の基本理念の実現に向けて、全ての学びの場における特別支援教育の充実を図ってまいります。
○斉藤(や)委員 ありがとうございます。特別支援学校の医療的ケアに関しましては、医療的ケアを行う人材の確保や通学費支援についても、さきの代表質問、一般質問で教育長からもご答弁をいただいたところです。しっかりと取組を進めていっていただきたいと思います。
一方で、高校での医療的ケアにつきましては、我が党の要望を受けまして、令和二年度より、たんの吸引や経管栄養などへの対応が開始されておりますけれども、肢体不自由特別支援学校のように人工呼吸器の管理までは対応できておらず、保護者の付添いが必要な状況が続いております。
現在、保護者の対応が必要な都立高校等での人工呼吸器の管理について、今後の取組を伺いたいと思います。
○谷都立学校教育部長 人工呼吸器の操作は、装着している生徒の命に関わることから、安全性を確実に確保することが不可欠でございます。
そのため、都教育委員会は、都立肢体不自由特別支援学校において、人工呼吸器の管理を適切に実施するための校内体制や実施方法などを検討し、取組を進めてまいりました。
こうした特別支援学校での取組を踏まえつつ、令和四年度からを計画期間とする東京都特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画(素案)では、都立高校等においても、人工呼吸器管理等の高度な医療的ケアが必要な生徒についても適切な対応を図っていくとしたところでございます。
○斉藤(や)委員 今のご答弁によりますと、高校でも令和四年の四月、要するに四年度開始から都立高校においても取組を図っていくというふうにお伺いをいたしました。しっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。
続きまして、規模と配置の適正化、これはとても大切な特別支援学校の課題でございます。第二次実施計画では、特別支援学校の在籍者数の将来推計を踏まえた規模と配置の適正化を図っていくというふうに書かれておりますけれども、この素案では、令和四年度以降、特別支援学校五校の新設と、五校の増改築等を予定していると、そのように書かれております。それ以外の新設校、増改築等を検討中としております。
推計を見ますと、増え方が大変に増え続けている傾向がございますので、今回の第二期が令和四年から令和六年までの三年間の計画でありますけれども、その後の状況も考えますと、それ以外の新設校や増改築等の検討というのは非常に重要になると思います。
候補となる土地を探し出して、新たに学校を開校する際には様々な検討が行われると思いますけれども、どういった要件で検討し、開校予定地と選定していく必要があるのかを伺いたいと思います。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 学校を新設するに当たっては、都有地などの最新の情報を収集するとともに、児童生徒数の将来推計や、全都的な配置バランス等を勘案し、開校予定地を選定しております。
また、校舎、グラウンド、体育館や駐車スペースなど、必要な施設を設置するための敷地面積や、スクールバスが運行可能な学校周辺の道路幅等も予定地選定の要件としています。
○斉藤(や)委員 人口減少といいますか、子供の少子化の問題をいろいろ議論する中で、地域では一つの実相として学校の統廃合というものが進んでおります。その中にありまして、この特別支援教育におきましては、学校の敷地を探していくことが非常に大切だということで、これは、各地域にどういった土地が候補地としてあるのかということをみんなで力を合わせて見いだしていくことが重要だと思います。
学校の現場では、特別支援教室の転用や、普通教室の間仕切りの問題などが生じております。できるだけそういった環境が改善されるように、全力を挙げていくべきであると思います。
また、私の選挙区目黒区では特別支援学校はないんですね。周辺の地域の方々を含めましてお世話になっておりますけれども、目黒区の親の会の方からも、区内に学校をという声は常にございますが、これは地域でのご理解もいただきながら、また、適正な土地があるかどうか、こういった情報共有もしっかりと東京都と地元の方で行っていくべきであると考えております。
そうしたことを踏まえまして、都教育委員会には、しっかりとその中心軸となって検討を進めていただきまして、今後の児童生徒数の増加に適切に対応していただきたいとお願いをしておきます。
続きまして、今度は教材の話を一つさせていただきたいと思います。デジタル教科書についてであります。
今回の第二次実施計画素案をつくるに当たりまして、大きな特徴は、社会構造の変化といいますか、一つはデジタル化ということの変化の中での計画であります。こうしたデジタル化の流れは、特別支援教育には大変にプラスになる部分がございます。
都立知的障害特別支援学校における学習者用デジタル教材を開発するというふうに書かれておりますけれども、学校ではこれまでも、パソコンを活用した指導が行われてきたと思います。
今回、学習用のデジタル教材を都教育委員会が主体となって開発するというふうに書かれておりますけれども、その意義を伺いたいと思います。
○藤井指導部長 これまで特別支援学校では、知的障害者向けの教科書に準拠したデジタル教材が発行されていないことから、パソコンやタブレット端末を授業で活用するため、教員が、児童生徒の状態に応じて、民間業者が開発したアプリケーションを探して使用してきました。
知的障害のある児童生徒については、具体的な操作を通じて思考や判断、表現ができるようにする指導が効果的な場合が多く、タブレット端末などを用いて、デジタル教材を操作しながら学べるようにすることで、より効果的な学習が可能となります。
こうしたことから、一人一台端末の配備を契機に、児童生徒が各自の端末を用いて学習内容を習得できるよう、教科書に準拠した学習者用デジタル教材を都独自に開発していくことといたしました。
○斉藤(や)委員 大変に大事な取組であると思います。教科書がない学びの場であって、今までは、学校の先生が本当に工夫しながら、民間のアプリを探して、教育に資するものを探して努力をされていたという現状があるということでありますが、教科書がないというのは、やはり希少性というか、大勢の方が使うものではないので、様々民間の事業者が教科書というのを開発するのはなかなか難しいかもしれないのですが、本当に教科書というのは、学びの中で、学びの意欲が湧いてきますし、本当に学校にいることを実感するのは教科書と接したときであったという自分の少年時代も思い出します。ぜひとも開発を進めていただきまして、知的障害のある児童生徒への学びの環境を進めていただきたいと思います。
施策の方向性のⅢの中に、変化、進展する社会に対応した特別支援教育の推進とございますけれども、まさにICT機器を活用した教育活動の展開というのは、可能性を無限に感ずるわけでございます。
健常な社会、私たちも普通、特別の障害のあるなしにかかわらず、生涯学習などがこれから重要だ、リカレントや学び直し、自分の知ることを生涯続けていくことの重要さということがいわれていますけれども、特別支援学校の中だけでなくて、そうしたところで学んだことが、その学校から出た後も学び続けられる喜びを自分のスキルを磨いて自分のものにしていただきたい、そのように期待をしております。大いに応援をしていきたいと思います。
続きまして、教員の異動交流についても、今回の実施計画に書かれておりますけれども、教員の存在というのは学びの最大の重要な環境であるというふうに考えます。
小中高校の教員の障害や特別支援教育に関する意識を向上させるためには、特別支援学校の教員が異動交流などで小中高校へ行き来し、そこで周囲の先生のお手本となっていくことが有効であると考えます。
都教育委員会の取組状況について伺いたいと思います。
○浅野人事部長 現在、都教育委員会では、小中学校及び都立高校等の教員の特別支援教育への理解を促進し、専門性を高めるため、小中高校等と特別支援学校との間において、三年間の期限をつけた異動を実施しております。小中高校等に異動した特別支援学校教員が、周囲の教員の指導力を高める役割を担っております。
今後、特別支援学校から異動した教員が校内でのOJTや研修会を実施することなどにより、異動先に在籍する教員の特別支援教育の理解を促進し、指導力向上の役割を果たせるよう検討してまいります。
○斉藤(や)委員 とても大切な取組だと思います。私は、これは事務事業質疑でも質問させていただいたと思うんですが、学校の現場での差別ですね、差別的な言動や態度、これを厳になくしてゼロにしていただきたいと思うわけでございますけれども、学校には人権教育プログラムという、毎年改定されるそういったすばらしいツールもあるわけですが、そこにチェックシートなどもついております。
障害のその親の皆さんのお声を聞くと、話す側は本当に気がつかないで相手を傷つけていることがあると思うんですね。本当に数は少ないと思うんですけれども、現場ではそういうことが起こっているというふうに親の方からお話を伺います。
そういうことをできるだけなくすためには、やはり日々、そうした障害のある方に対する接し方などは、スキルも身につけていかないと、具体的な振る舞いとして、なかなかそれを体現することは難しいと思いますけれども、特別支援学校から異動した先生は、常にそういうことを意識しながら、日々、学びの場でスキルアップを図っている。その教員の方が、今度は例えば普通の学校に行ったときに、自ら体験したことも含めてOJT、まさしく現場でこういうことについてきちんと配慮することが重要だということなど、教員間でそういった話合いができることはとても重要なことであると思います。
また、これは提案ということでございますが、チェックシートも、紙媒体でA4のサイズ一枚にまとめるのも難しいでしょうから、必要なチェックはスマホでも、アプリを開発して、自分で回答しながら、自分の行動が本当に客観的にきちんとしたものであるかということが分かるような、そういった道具をつくるなど、ぜひとも人権教育プログラムのチェックなどにも、そうした交流の成果を生かしていただけないかなと、これは要望でございます。よろしくお願いしたいと思います。
そして、これが最後の質問になると思いますけれども、第二次実施計画の策定に当たりまして、子どもの権利条約を受けまして、こども基本条例というものを策定している東京であります。
重点的に取り組む施策として、かねてから我が党が取り組んでいる医療的ケア児への支援の充実も挙げられておりますけれども、そうした社会状況の変化を踏まえた施策の方向性が様々書かれている今回の計画です。
こうした計画を策定する際には、当事者である子供本人の気持ちや意見を酌み取っていくことが重要である。これは、こども基本条例の本当に大事なところのポイントでありますけれども、そうした子供の気持ちや意見を酌み取っていくことが重要であります。
特に障害のあるお子様の場合、その意見を、保護者など支援者が代弁する。私は代弁というのは大変気をつけなければいけない言葉だと思っておりますけれども、そうしたことが多いシーンがありますけれども、本年四月から施行されました東京都こども基本条例も踏まえまして、この素案の取りまとめに当たりまして、障害のある子供の意見をどう酌み取っていこうとしているのか、また、実施計画策定に向けてどのように反映をさせていくのか、伺いたいと思います。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 素案の取りまとめに向けては、障害種別ごとの特別支援学校の幼稚部から高等部までの子供、小中学校の特別支援学級に在籍する子供、都立高校のコミュニケーションアシスト講座を利用する子供等の中から、学校生活などのテーマについて、グループでの意見交換を通して聞き取りを行いました。
意見交換では、学校に来ていない友達とリモートでつながれるとよい、動画づくりをしたいといった声があり、素案にも反映しているところでございます。
また、現在実施しているパブリックコメントでは、子供たちにも分かりやすい説明資料を作成するとともに、子供の意見を集める専用サイトを設けております。
今後、素案取りまとめで聞き取りをした子供たちにも改めて意見を聞き取りながら、子供の意見等も踏まえ、計画策定に向けた検討を進めてまいります。
○斉藤(や)委員 私がこの代弁という言葉に非常に敏感になっているのには、実はほかの理由がありまして、ひきこもりの政策を推進するに当たって、代弁者機能というものについて当事者の方から猛烈なご意見が寄せられました。よかれと思って寄り添っているつもりが、実は当事者の方の気持ちとうまくマッチングしていないということがあるんだなということを肌身で感じたのがひきこもり施策でございました。
障害のあるお子様を育てている保護者のお気持ちを考えますと、本当に日々、子供の気持ちを酌む、本当に、コミュニケーションの達人といいますか、そういった存在が一番そばにいる親であると思いますけれども、学校という、血がつながっていなくても、その子の独立した人格に対してきちんと向き合いながら、その子供の気持ち、意見をどのように酌み取っていくかということは永遠の課題かもしれませんが、ぜひとも飽くなき挑戦をしていただきたい、このように考えております。
このようなわかりやすい版を拝見しましたけれども、分かりやすいということは、全ての方に分かりやすいものにもなるわけなので、インクルーシブデザインというか、障害のある方を中心に考えた場合に、私たちが気がつかないことをたくさん気づかせてくれるとても大切な存在、仲間であるということを社会全体が共有できるような当たり前の社会になっていくことがインクルーシブ教育の目指すところであると思います。
今回示された素案では、重点的に取り組む施策として、医療的ケア児支援法の施行を踏まえた医療的ケア児へのさらなる支援の充実が挙げられるなど、社会状況の変化も踏まえた施策の方向性がしっかりと示されていると考えます。つくられた方々のご労力に敬意を表したいと思います。
今後のパブリックコメントや子供の意見聴取の結果なども踏まえまして、本素案をさらにブラッシュアップして、東京の特別支援教育を確実に推進する実効性ある計画の策定を期待して、私の質問を終わります。
○とや委員 共産党のとやです。よろしくお願いします。
特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画(素案)が示されました。この間、特別支援教育については、保護者や教員等、関係者を含めて、様々な部分から充実を求める声が上がってきたんだと思います。そういう中で、新たな計画が来年度から始まっていくということになるわけですが、今日は、少し絞り込んで質問をしたいと思っています。
まず、今お話もありました医療的ケア児への支援の充実についてです。
特に医療的ケア児の在宅療養については、家族の負担がとても重くて、二十四時間のケアのために保護者が仕事を辞めざるを得なかったり、正規だった人が非正規にならざるを得ないという、社会とのつながりを失ったり、孤立するなどの状況が長い間生じていたと思います。
医療的ケア児やその家族が学校などの施設に通うことを希望していても、施設側が医療的ケア児を受け入れるためには、その子一人一人に応じた医療的ケアのための人員や設備が整わないために受け入れることができなかった時代もあったと思います。
こうした下で、東京都は、この間、医療的ケア児の実施体制の整備ということで、一七年には肢体不自由児特別支援学校以外の都立特別支援学校にも非常勤看護師を配置する。また、一八年には肢体不自由児特別支援学校全校に、そして、二〇年からは非常勤看護師も配置していただいてきました。人工呼吸器の管理についても拡充をしてきて、さらに、医ケア児の専用車両の運行もするということで、一歩一歩、多くの関係者や保護者、子供たちの要求に応えてきたんだと思います。
それでもまだまだ保護者や子供たちの負担がなかなかなくならない状況があって、二〇二〇年度の決算質疑で、私ども、今日も一緒ですけれども、我が党のアオヤギ都議が、保護者負担の軽減について求める質疑を行っております。
看護師が確保できず、保護者がバスに同乗せざるを得ない。やむを得ず福祉タクシーで通学するお子さんもいると。そのため、交通費がばかにならなくて、月に何万円も使うことになるということで、就学奨励費の対象に福祉タクシーもしてもらいたいという質疑をさせていただきました。
ここで改めてお聞きしておきたいと思うんですが、医療的ケア児の保護者からは、学校への付添いに必要となる費用への支援について要望が非常に強く出ています。保護者が送迎の際に利用した福祉タクシーについて、就学奨励費の対象にすべきと考えますが、いかがでしょうか。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 現在、都教育委員会では、医療的ケア児の専用通学車両を運行しており、車両に乗車できるようになるまでの間は、障害の状態や安全上の理由から、保護者の負担で福祉タクシーを利用する場合があります。
こうしたことから、通学費の支援について今後検討してまいります。
○とや委員 通常の小中高校に通っている子供たちではあり得ないような状況が今まだまだ特別支援学校に通う医療的ケア児には課題として残っています。ぜひ、保護者の負担軽減とともに、子供たちの学ぶ権利を保障できる、そういった事業、施策を拡充していただくことを求めておきたいと思います。
次に、これも先ほどお話がありましたが、都立高校等に通う医療的ケアを必要とする子供への支援について伺っていきたいと思います。
障害があってもなくても子供の学ぶ権利を保障することは非常に重要です。今お話ししたように、特別支援学校では既に様々な工夫や設備を整えていただいて、一定程度、ケアができるような状況が少しずつ整ってきています。
しかし、医療的ケアを必要とする子供たちには、普通学校、都立高校等で学びたいという要求があっても、環境整備ができずに断念せざるを得ない状況が続いてきました。
こうした下で、ようやく都立高校等では、昨年から、医療的ケアを必要とする子供への支援を始めております。在籍者の人数、体制についてお答えください。
○谷都立学校教育部長 現在、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な生徒二名が都立高校に在籍しており、在籍している学校のそれぞれに二名の非常勤の看護師を配置しております。
○とや委員 一人の生徒に二名ずつ看護師がローテーションを組みながら支援しているということです。これは本当に重要なことだと思います。
お話を聞いたところ、会計年度職員で週十九時間の勤務と。こういった措置が始まったきっかけは、実際に医療的ケアを必要とするお子さんが入学してきたということで、ご努力されたと聞きました。
本人の学ぶ権利と意欲を受け止めて環境整備をしてくださったことについては歓迎したいと思います。ぜひさらに拡充していただくことを求めておきます。
子供の学ぶ権利の保障と同時に、親の負担軽減につながるこうした事業ですが、これまで医療的ケア児については、親が一日中付きっきりだったときもあります。
今回の素案の中で、人工呼吸器の管理が必要な生徒の場合も含めて、現在、看護師の支援があって、親の付添いは必要ないという理解でよろしいんでしょうか。
○谷都立学校教育部長 都立高校等での医療的ケアの実施に関しては、安全かつ適切に実施できるよう、要項などにより、たんの吸引や経管栄養など、対象の範囲を定めております。
○とや委員 人工呼吸器の場合は全て看護師ができるというルールにはなっていないということですが、こうした生徒も親の付添いなしで学校生活を送れるようにしていただきたいと思います。
医療的ケア児支援法が施行されて、学校の設置者に対しては、学校に在籍する医療的ケア児が保護者の付添いがなくても適切な医療的ケアその他の支援を受けられるようにするために、看護師等の配置その他の必要な措置を講ずるものとすると定めております。保護者による二十四時間ケアを前提としない医療的ケアありの学校生活の実現も掲げております。
呼吸器管理が必要な生徒について、特別支援学校でもモデル事業が実施されております。都立高校などでも同じく実施に向けてモデル事業を開始すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○谷都立学校教育部長 今般公表した東京都特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画(素案)では、人工呼吸器管理等の高度な医療的ケアが必要な生徒についても適切な対応を図っていくとしたところでございます。
○とや委員 この適切な対応がどこまでなのかということなんですけれども、ぜひ保護者の負担軽減、子供に合った教育ができるようにご努力をいただきたいと思います。
障害者の権利条約、障害者差別解消法の趣旨に照らしてみても、重度の障害や医療的ケアが必要な子供たちが保護者の付添いなしに学校生活を送れるようにすることは非常に重要です。
その際、実施をする場合においても懸念されるのが看護師の配置です。特別支援学校でも現在看護師不足が深刻だと聞いておりますが、双方も含めて、高校等でもどのように看護師不足を解消していくのか。入学してきた子にすぐに対応できるようにすることが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
○谷都立学校教育部長 都教育委員会では、関係団体との連携による求人情報サイトでの広告掲載などにより、看護師の確保に努めております。
○とや委員 看護師の配置については、特別支援学校も都立高校等でも大きな課題だと思います。
看護師の労働条件、勤務条件ですが、時給が千八百円で週十九時間を条件とするという働き方だと聞いています。これだけですと暮らしていけず、ほかの仕事も掛け持たなければならないのではないかと思います。こうした労働条件の改善も含めて、ぜひ検討をお願いしたい。
同時に、呼吸器管理が必要な生徒の場合は、在校中は校内で待機することが必要だと思うんですけれども、今申し上げたように常勤化することが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○谷都立学校教育部長 今般公表いたしました東京都特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画(素案)では、人工呼吸器管理等の高度な医療的ケアが必要な生徒についても適切な対応を図っていくとしたところでございます。
○とや委員 私、看護師さんのお話を聞いたんですけれども、また同じ答弁しかしてくださいませんでした。子供たちが学ぶ権利をちゃんと行使できるという環境は、特に医療的ケア児の場合は看護師の存在が不可欠です。しかも、何かあったときに安全・安心に授業を受けることができる、学ぶことができるようにするためには、お金がかかったとしても常勤看護師をしっかりと配置していくことが必要だと思います。これは求めておきます。
知的障害のない難病を持っているお子さんがいます。呼吸器管理が必要な子なんですが、都立中学校への入学を希望しています。入学がかなった際にはぜひ支援をしていただきたいと思います。強く要望をいたします。
都立高校等への医療的ケアを必要とする子供への支援が可能になったことは本当に重要です。実施するためには、特別支援学校とは全く違う合理的配慮も含めて、設備の問題、施設の問題もあったかと思います。実施にこぎ着けるためには、皆さん本当にご苦労があったと思います。今後とも、さらに拡充をしていただくことを求めて、次の質問に移ります。
代表質問でも取り上げさせていただきました都立特別支援学校の規模と配置の適正化に関する施設整備計画に関わって伺いたいと思います。
素案によれば、特別支援学校に在籍する児童生徒数は現在一万三千四十五人で、十年後の二〇三一年度には一万五千八百三十二人と増え続ける見込みとのことです。
一方、この間、学校整備が追いついておらず、子供たちが詰め込まれていたり、職員室はぎゅうぎゅうで身動きが取れない学校もあります。
教職員、保護者は、小中学校で教室をカーテンで仕切って使うなどあり得ないと。特別支援学校ではそれがまかり通ってしまうのは、障害児の学ぶ権利を保障しているとはいえないのではないかと訴え続け、設置基準がないことが、学校の過大化、過密化の大きな原因であり、特別支援学校にも設置基準が必要だと、長年運動を続けていらっしゃいました。
こうした下で、この九月、国が特別支援学校の設置基準を定めたわけです。この設置基準は最低基準で、この制定を機に、特別支援学校の教育環境が改善されることを強く望みます。
東京都の現在の施設整備標準で、国の基準を上回っている部分はさらに充実させていく。そして、国の設置基準で新たに示された部分もクリアをしていく。さらに、現実の学校でカーテン教室などをなくして、基準や標準を超えた環境を整えていくことをお願いしておきたいと思います。
都教育委員会も、特別支援教育の充実に向けてとして、今回の素案を発表されているわけですが、この素案の中に障害種別ごとの推計値が出ております。現行計画である第一次計画の推計から上方修正されております。推計値の算定方法、上方修正された理由をお答えください。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 児童生徒数の推計値は、教育人口等推計報告書や、特別支援学校及び特別支援学級に在籍する児童生徒数の実績等を基に、回帰分析などの統計的な手法を用いて算定しております。
今回の推計値が前回の推計値を上回った理由としては、主に、学齢期の幼児が特別支援学校へ入学する割合が高まったことによるものでございます。
○とや委員 統計的な手法を用いて生徒数の実績を出しているとのことで、学齢期の特別支援学校へ入学する割合が高まったということですね。東京は子供の数が減っていませんから、この傾向はしばらく続くと思います。そうした傾向を見通した計画をつくることが必要だと思います。
実際、特別支援学校を新設した直後から教室が不足して、カーテンや間仕切り、特別教室を普通教室に転用されていたりする学校もあります。公立小中学校、高校では考えられないことです。
そこでお聞きしますが、代表質問でも取り上げさせていただきましたが、二〇二二年度以降、特別支援学校五校の新設と五校の増改築を予定しているということですが、いつまでに完了するのか、この新設と増改築は何人分になるのか、それぞれお答えください。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 新設校のうち、開校年度を調整中である、仮称でございますが、戸山地区学園特別支援学校を除く四校につきましては、令和九年度までに順次開校を予定しております。
また、増改築等を予定している五校につきましては、令和六年度までに順次工事完了を予定しています。
新設、増改築等により教室が確保されることになる人数につきましては、今後の設計等の時点で決定するため、現時点では確定できませんが、引き続き必要な教室整備を行ってまいります。
○とや委員 新設については戸山を抜かして令和九年度までの開校を予定しているけれども、増改築の人数はまだ確定していないということですが、新たな国の基準ですけど、二〇二三年四月一日以降に建設工事を開始する学校に適用することになるわけですが、新設五校、増改築五校も新たな基準を踏まえて工事をしていただきたいということを求めておきます。
また、今回示された特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画(素案)では、知的障害の子供の数が約二千八百人増加することになります。子供の数から見てもかなりの数の増築が必要となると思いますが、この間の増改築や新設で大規模化が進んでいることを非常に危惧します。
国の有識者会議、あるいは中教審の文書にもあるように、設置基準策定の目的は、特別支援学校の教育環境を改善することと述べられているわけです。大規模化は教育環境の改善とはいえません。
そこで聞いておきたいんですが、現在三百人以上の大規模校は何校ありますか。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 令和三年五月現在、三百人以上の児童生徒等が在籍する特別支援学校は十五校でございます。
○とや委員 十五校あるということですが、この十五校の中には四百人を超える学校があるわけで、例えば王子特別支援学校の四百七十九人、羽村特支は四百五十一人、鹿本学園は四百四十八人などになります。
学校を合併したり増改築することによって大規模校が増えてきました。保護者や特別支援学校の先生方は、小学部、中学部、高等部のある知的障害児のいる学校であれば、児童生徒数は百五十人が上限であること、百五十人が学校に在籍している子供として把握できる限度であるという声を多く寄せられています。
また、他の自治体が作成している指針では、集団活動に適した規模として百人から百三十人が適当、あるいは適正な規模は小中学部九十人、高等部九十人で、百五十人としている自治体もあります。
都教育委員会は、こうした意味での適正規模は設けていないということですが、在籍数の上限をしっかりと定めて、子供たちの教育環境の改善をしていただくことを求めておきたいと思います。
新築や増築を行った学校でも、建設時に想定した人数よりかなり多くの子供たちが在籍することによって、カーテンや間仕切り、転用教室がなかなか減りません。
私、鹿本学園に伺わせていただきましたが、パーティションなどで部屋を区切って、四年生と六年生が同じ教室で授業を受けていたということもありました。
二校を統合した花畑学園も、改築して昨年度開校したばかりですが、既に間仕切り教室、転用教室かな、が生じていました。
ここで伺っておきたいんですが、鹿本学園のカーテン、間仕切り、転用教室の開校時と現在の数についてお答えいただきたいと思います。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 鹿本学園におきましては、間仕切りを行って使用している普通教室の数は、開校時は十教室、令和三年度も十教室となっております。
また、特別支援教室等を転用して使用している普通教室の数は、開校時は十九教室、令和三年度は十一教室となっています。
○とや委員 鹿本学園については、学区域変更で、臨海特別支援学校が対象の子供たちがいて、経過措置が終了することによってこの状況は解消できるというふうに聞いていますが、開校したのは二〇一四年、既に七年経過していて、当時小学校に入学した子供たちは高等部卒業までこうした環境で学ぶということになってしまうと思います。こうした事例はほかにもあると思います。
計画では、適正規模、適正配置計画を着実に実施することにより、間仕切りや転用教室を解消すると述べています。前の計画でも述べられていました。この言葉どおり、一日も早く解消することを求めておきます。
私どもの代表質問で、国の設置基準以下となっている学校が、校舎の面積については二校、矢口特別支援学校と調布特別支援学校とお聞きしています。これは早急に改善が必要です。
また、運動場の面積については、四十一校が国基準に満たないということでした。四十一校もある理由について伺います。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会はこれまで、在籍者数の増加に適切に対応するために、児童生徒数の将来推計を踏まえ、都有地等の情報を基に、配置のバランス等を勘案しながら必要な学校用地を確保し、学校の新設や増改築等を行ってきました。
その際、校舎はもとより、運動場やスクールバスのバスヤードなど、必要な施設整備について、敷地を有効に活用しながら整備を進めてまいりました。
各学校においては、それぞれの状況に応じて、屋内運動場や屋上、中庭等の校内のスペースの活用や、校外の運動施設の利用等の工夫を行うなど、適切な教育環境を確保しております。
また、国の設置基準は、令和五年四月一日以降に着工する学校に適用されるものでございます。
○とや委員 国の設置基準は令和五年度、二〇二三年度以降に着工する学校に適用ということですが、既存校については、すぐには対応できないだろうから、当分の間、現状のままでもよいとなっているわけで、最初に申し上げたようなこの設置基準のできた経緯、あるいは最低基準であることを考えれば、既存校も今までのとおりでよいということにはなりません。
四十一校の建設の経緯はいろいろとあると思いますが、やっぱり特別支援学校の児童生徒の増加に対して、学校を新設せず、既存校に詰め込んだことが原因になっている部分があると思います。
例えば、多摩桜の丘学園ですが、この学校は、一九八五年の開校時は知的と肢体の併置校だったと聞いています。その後、児童生徒の増加によって、一九九七年に南大沢学園養護学校を新設して知的障害部門を独立させました。その後、南大沢学園養護学校の児童生徒が増えて、深刻な教室不足となって、本来なら、さらにもう一校新設すべきところを、何と知的障害部門の一部をまた多摩桜の丘学園に戻すということをしました。これは二〇〇七年のことです。
知的障害部門を受け入れるために、多摩桜の丘学園ではグラウンドに校舎を新築しているんですが、校舎を新築したことにより、グラウンドがカタカナのロの字の形にくるりと建物で囲まれて、非常に狭くなってしまっています。
二〇〇八年の文教委員会で我が党の大山とも子都議が、せっかくのグラウンドが狭くなってしまって、グラウンドの必要性をどのように考えているのかと質問をしていますが、都教委の当時の部長は、グラウンドの面積は約二千二百平方メートルあり、百メートルトラックが通れるから十分だとご答弁をされました。
このとき大山都議が、百メートルトラックではコーナーを回るのも大変だと。この都議の地元の新宿区、土地のない新宿区の近所の小学校でも、二千二百七十六平方メートルあって、中学校は四千三百二十五平方メートルありますよと。体の大きな高等部もいる特別支援学校で、あまりにも狭いのではないかと質疑をしております。
多摩桜の丘学園の児童生徒数は三百五十六人ですから、国の設置基準では四千七百六十平方メートルの運動場、校庭が必要になります。二百四十人までなら三千六百平方メートルが必要です。ところが、限られた敷地の中に子供たちを詰め込むことによって、グラウンドの面積が確保できなくなってしまったということです。
中野特別支援学校の問題もあります。この学校は知的障害の単独校で、敷地面積九千七百二十一平方メートル、一九七八年の開校時の児童生徒数は九十七人でした。それが現在は三百十五人と三倍以上になっています。
グラウンドの面積は、ホームページによれば一千八百平方メートルとなっていまして、これが国の設置基準と比較できる数字かどうか分からないんですけど、非常に狭いことは間違いありません。そこに体の大きな高等部の生徒を含めて、開校当時の三倍もの人数を詰め込んでいるわけです。
今回の第二次計画の骨子案では、学校の新設、増改築は検討中となっていますが、限られた敷地の中に生徒を詰め込むやり方で解消すべきではありません。
児童生徒の増加、あるいは現在の教室不足は、私たちは、今後の増加分に対応するだけでも十校以上は必要なのではないかということを代表質問でも申し上げました。学校の新築でぜひ解決していただくことを強く要望します。
教育とは、人材の育成ではなくて、子供たち一人一人の成長、発達を保障することです。その条件整備には、都教委の皆さんだけが苦労して取り組むのではなくて、知事を先頭に、東京都の全庁を挙げて、土地の確保、必要であれば購入することも含めて取り組む必要があると思います。ぜひ都教委の皆さんからもそのことを知事や財政当局に訴えていただきたいし、私たちも全力で後押しをしていくことを表明して、質問を終わります。ありがとうございました。
○風間委員 かなり質問がなされているところでありますので、簡潔に伺いたいと思いますが、障害者権利条約に基づいてインクルーシブ教育システムの構築、推進、これを中教審の方で示されてから十年となり、この間、現場の公立小中学校を見てきた私としては、なかなか現場は進んでいかないなとか、現場の教員たちの理解がなかなか進んでいかないなということにもどかしさを感じてきたところでありますけれども、今回示された第二次実施計画、第一次との大きな違いは、やはりこのインクルーシブな教育をどのように進めていくのかという意気込みがかなり示されていることだなと、先ほどほかの会派の委員からもありましたけれども、大変に期待が持てるものだと感じているところです。
そこで伺いますけれども、これを現場で浸透させていくということがやはり重要でして、インクルーシブな教育を推進していくために、特に今回都教委が力を入れていくということについて簡潔に教えてください。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 未来の東京戦略では、多様な学びの場を備えたインクルーシブな教育の推進が掲げられています。また、東京都教育施策大綱では、様々な状況の子供たちが、学習活動への参加を実感し、充実した時間を過ごせるよう、柔軟な仕組みによる多様な学びの場の創出を掲げています。
こうしたことを踏まえ、第二次実施計画素案では、全ての学びの場における特別支援教育の充実に向けて、公立小中学校における特別支援教室の充実や、副籍制度を活用した交流活動の推進、学校におけるインクルージョンに関する実践的研究の実施などを掲げています。
今後、パブリックコメントの意見等も踏まえ、計画策定に向けた検討を進めてまいります。
○風間委員 まさに様々な状況にある子供たち、それぞれの状況に合わせたインクルーシブな教育というものがあると思います。その中で、先ほどほかの会派からもありましたが、副籍制度をどのように進めていくのかというのも一つ大きな柱になってくるんだろうと思います。
私も保護者の方から伺う話では、希望していても、なかなか、かないにくい環境にあるとか、学校現場に行ってみると、非常に現場の先生方の負担感が大きく見えて申し訳ないと思って、なかなかお願いしにくいだとか、そういう声も聞いてきましたところでありますし、また、学校によっては、学校管理職の理解がまだまだ乏しいと感じるようなシーンもあったわけです。
この副籍制度をもっと進めていくということ、そしてまたインクルーシブな教育を進めていく上で、市区町村の教育委員会の理解だったりとか、意気込み、やる気、この辺りも大変に重要なことなんだなと感じているところです。
東京都教育委員会が、こういった計画を立てて推進していく上では、やはりパートナーとなってくる市区町村の教育委員会のやる気も大変に重要かと思いますけれども、この辺り、どのように支援、サポートをしていくのか、教えてください。
○藤井指導部長 区市町村の特別支援教育に関する専門性の向上を図るため、指導主事を対象とする連絡協議会を開催し、副籍などの施策の説明や周知、区市町村の指導主事が直面している課題の解決に向けた協議などを行っております。
都教育委員会は、今後もこうした取組を継続し、区市町村を支援してまいります。
○風間委員 東京都の教育委員会のように教員免許を持っている指導主事の先生方がたくさんいらっしゃるわけではないというのが市区町村の教育委員会の状況です。指導主事の先生方は本当に毎日遅くまで役所に詰めて、また現場に行ってという姿を見てきましたので、なかなかこの特別支援の領域に注力をしてということも難しい状況なんだなということも感じてきました。
今後は、指導主事を、この特別支援教育を、より力を入れていくということで、東京都から増員するなどのことも含めて、市区町村の支援体制、こういったことも検討していってもらえればなと思います。
もう一点、特別支援教育、今日もかなり議論が進んでいるかと思いますけれども、ハード面で、特別支援学校の施設設備の老朽化ということはかなり深刻な状況であるところも多いと感じているところでありますし、保護者の皆さんからも、何とかしてほしいという悲痛な声を聞いてきたところでもあります。
福祉避難所に指定されているようなところもほとんどでありますから、首都直下に備えた施設の老朽化対策ということは喫緊の課題ではないかと思いますけれども、この計画を見ている限りだと、なかなかそれに対応しているのかどうかということが見えてきにくいところであります。東京都教育委員会としての見解をお聞かせください。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は毎年、学校に対するヒアリングや現地調査等を実施し、施設設備の老朽化等の現状を把握しております。
その上で、危険防止や学校運営上の必要性など、様々な検討を行い、必要な維持補修等を実施するとともに、校舎の建築年数や劣化状況を踏まえ、老朽化した校舎の改築や大規模改修を計画的に進めています。
また、児童生徒数の将来推計を踏まえ、在籍者数の増加に適切に対応するため、特別支援教育推進計画に基づき、学校の新設や校舎の増改築等を行っております。
○風間委員 ハード面の整備となりますと、予算も大変にかかってくることですから、早急に、タイムリーにということは難しい面も重々理解しているところでありますけれども、首都直下の備えという意味であれば、命にも関わってくることでありますので、可能な限り老朽化対応ということを進めていただくように要望しまして、私の質問を終わります。
○アオヤギ委員 共産党のアオヤギ有希子です。
特別支援計画の計画中の特別支援教室の円滑な運営についてお伺いします。
三月にガイドラインが示され、現場では、指導期間が原則一年、最長二年と書かれていることに対して、疑問の声、不安の声が寄せられ大変混乱しました。
先日の事務事業質疑で、二年後も延長できる趣旨が書かれた書面を配布していることが分かりました。しかし、それでもなお、冊子で配られたガイドラインの原則一年、最長二年ということを説明している区市町村があるということが報告されています。
新しく出した書面でも、延長できるということが最後に小さく書かれているため、書面だけでは徹底が難しいのだろうと考えますが、どのように徹底するのでしょうか。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、学校生活の一年間のサイクルが終了する時点で必ず振り返りを行うという趣旨で設定した原則の指導期間の考え方などについて、本年三月に特別支援教室の運営ガイドラインを作成し、周知したところです。
また、本年十月には、原則の指導期間の考え方、指導期間の延長、延長後には指導継続を含め検討し、適切に支援することなどを示した資料を作成し、区市町村教育委員会に説明しています。
加えて、本年十一月にも、同資料を基に改めて説明するなど、周知徹底を図っているところでございます。
○アオヤギ委員 区市町村などに対して詳しく説明されているということですけれども、十月も十一月も書面開催ということをお聞きしております。つまり、書面の配布が中心ということですので、やはり分かりづらい面は拭い切れていないのではないでしょうか。
二年以上延長する場合、改めて出された書面の方では、入室〔1〕に戻ると書かれているため、これは単純に延長なのか、それとも再入室という意味なのかという疑問も寄せられました。再入室の場合、一定期間を空けなければならないのかなどの声もありました。
二年以上の指導を継続する場合、どういう手続になるのかお示しください。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 特別支援教室の運営ガイドラインでは、それぞれの児童生徒の学習上または生活上の困難に応じた一年間の目標を設定して指導を行い、必要な場合には、一年間指導を延長できることとしています。
また、延長終了時には、児童生徒の状況に応じた適切な支援の在り方を区市町村教育委員会が検討することについて定めています。
検討の結果、特別支援教室での指導が必要と判断された場合は、引き続き特別支援教室での指導を継続することとなります。
○アオヤギ委員 指導を継続ということで、途切れなく指導が延長されるということが分かりました。
この間のガイドラインの文言の影響で、二年以上はいられないのなら、特別支援教室を高学年になってから使おうという方や、中学校の場合、卒業のときまで使いたいので、二年生から使おうなど、利用を先延ばしにして温存しようとする意見もありましたので、延長できることをしっかり周知して、ためらわずに、発達に課題があると分かった時点で利用するよう徹底していただきたいと思います。
一方、このガイドラインで改めて強調されたのは、指導期間は原則一年ということですが、原則一年たったら区市町村教育委員会の判定委員会、就学支援委員会が判定するということですが、区市町村でどういう体制になっているのか、誰が判断するのでしょうか。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 ガイドラインでは、指導目標の達成状況について、学校が設置する校内委員会で確認、検討することとしております。
また、区市町村教育委員会は、教育学、医学、心理学の専門家等により構成する判定委員会などを設置し、指導期間を延長する場合には、校内委員会での確認、検討を踏まえ、総合的に判断することと定めております。
○アオヤギ委員 校内の検討委員会はこれまでも行われてきたことですが、ガイドラインには、延長する場合は、区市町村教育委員会が設置する判定委員会に諮られ、審議されることが書かれ、書面で行われるということです。教育学、医学、心理学の専門家がいる体制が区市町村にそもそもあるのか、書面で全員の判定を正確にできるのか疑問です。
また、校内委員会や区市町村教育委員会で、この間も一年ごとに振り返りはされてきたわけですから、その子がどういう状態なのか判断されているのが大前提なので、殊さら区市町村の判定委員会でと強調されていることに疑問を感じます。
また、保護者からは、支援教室を利用したお子さんの状態を見て、一年はあまりにも短いという声が多数寄せられています。二人のお子さんが特別支援教室に通っている保護者の方は、第一子と第二子の特性が違い、その都度子供に寄り添って、担任の先生と特別支援教室の先生に丁寧に寄り添っていただいているというお言葉でした。
第二子のお子さんは、片仮名が始まった頃から字形が崩れるという課題が出てきて、特別支援学級でそれに合ったビジョントレーニングというものを取り入れたり、手指動作の訓練を取り入れてもらったと、それで自信が出たと。また、三年生になって漢字が出てきたときにまた課題が出て、今もトレーニングしているということです。
この方は、期限を区切るという方針に、どの子も安心して学校に通うという最も大事なことを見失ってしまうのではないかとご意見をいただいております。二人のお子さんの支援を通じて、支援の方法も違う、期間も違うということを実感されているのではないでしょうか。
ほかにも多く、本当に、支援期間が一年になるというふうに理解した方は本当に困ると。支援教室の先生と関係をつくるのにも時間が必要だと。そもそも一年で成果が出ることではないと感じているという保護者の多数の声をいただいております。
ガイドラインでは、三か月ごとに校内委員会で評価を行い、一年で本人や保護者の意向確認、巡回相談心理士の所見確認といわれていますけれども、一年、週二回程度で発達障害や課題が改善されると考えておられるのか、お伺いします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 特別支援教室での指導は、十分な評価がされないまま継続されることのないよう、指導目標の達成状況を確認することが重要です。
そのため、ガイドラインでは、児童生徒の学習上または生活上の困難に応じた指導目標を設定し、学校生活の一年間のサイクルが終了する時点で必ず振り返りを行う趣旨で、指導期間を原則一年間としております。
なお、指導目標が達成されない場合の指導期間の延長等についても定めています。
○アオヤギ委員 一年で必ず振り返るという趣旨で指導期間を原則一年と規定したとのことです。そのとおりならば、原則一年で振り返るといった方が伝わると思いますけれども、そういう都の意図を酌み取ったとしても、指導期間が原則一年ということが子供たちに伝えられた場合、一年でできなかったという思いになるのではと危惧をするものです。
今、特別支援教室の子供たちは、自分たちの意思で週二回程度通って、あとの時間は普通級で過ごし、自分の課題に向き合いながら努力しているわけです。子供はロボットではないので、みんながきれいに一年間で指導が終了するということは絶対にあり得ないというふうに思います。
原則一年ということが、子供にとってせかされていると感じ取ってしまうのではないかと考えますけれども、いかがですか。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 ガイドラインで原則の指導期間を一年間と定めた趣旨は、指導目標を設定し、学校生活の一年間のサイクルが終了する時点で必ず振り返りを行うためのものであり、退室をせかすものではございません。
○アオヤギ委員 退室をせかすものではないということですので、現場で振り返りを行うだけなのだと徹底していただきたいと思います。子供の意思を一番尊重して、支援を継続するかどうか判断していただきたいと思います。
さきの事務事業質疑では、児童生徒十二人に対し、教員一人の教員配置基準について、指導の質を維持しつつ、新たな基準を適用と答弁されておりますけれども、教員の受け持つ子供たちの数が増えれば、一人にかける時間も減る。また、何より教員の労働強化になります。
年度途中で入室した子供の数を加味しないので、今でさえ十二人以上になる実態もあります。十対一から十二対一の子供の担当を増やすことが、どうして質の維持につながるのか、維持することになるのか疑問です。どのように質を維持するのですか。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 特別支援教室の指導の質の維持向上について、都教育委員会では、令和二年度から、発達障害教育に関する多くの経験等を持つ職員による巡回指導を行っております。
令和三年度からは、指導の事例を収集してホームページで公開し、教員等への周知を行うとともに、在籍学級での支援も充実するため、区市町村がサポート人材を在籍学級に配置する場合の費用の一部を補助しております。
なお、制度導入を円滑に進めるために、平成二十八年度から暫定的に適用してまいりました教員の配置基準については、今後、新たな基準を適用してまいります。
○アオヤギ委員 巡回や在籍学級の支援は特別支援教室に対する直接的な支援ではありません。
特別支援教室の子供たちに専門的な知識を持つ教員が、一人一人に合った教育を実践し、成果を上げています。それをしっかりと評価をして、計画中にも発達障害のお子さんは増加傾向と書かれているわけですから、拡充こそ必要です。
十二対一が暫定的な数なのだというお話も、通級指導学級から特別支援教室となり、教員配置が区市町村ごとに十対一の体制に変わったときは、そのようなことはいっていませんでした。全校に設置できるんだという説明だったと思います。
教員配置を十二対一に引き下げることは中止して、少なくとも十対一を継続し、計画中にあった特別支援教室に入室するお子さんの増加に見合った対策こそ、今こそすべきだと指摘しておきます。
次に、特別支援学級の固定級についてお伺いします。
先ほどの特別支援教室のガイドラインのフローチャートでも、退室の行き先の一つとして特別支援学級が書かれています。自閉症・情緒障害特別支援学級は、固定級の設置がされていない区市町村もあり、遅れていると感じます。設置状況はどのようになっていますか。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 区市町村立小学校、中学校の自閉症・情緒障害特別支援学級は、令和三年度時点で設置校数が七十三校、設置学級数が百八十九学級となっており、前年度に比べ、設置校数は十二校、設置学級数は三十三学級の増加となっております。
○アオヤギ委員 徐々には増えてきていますが、様々な区市町村の事情で設置できていないところも残されています。
自閉症・情緒障害特別支援学級の意義について、都はどのようにお考えでしょうか。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 第一次実施計画におきまして、発達障害のある児童生徒の中には、特別支援教室による指導では十分にその成果を上げることが難しい児童生徒もおり、自閉症・情緒障害特別支援学級において適切な指導、支援を行うことが有効であるとしております。
○アオヤギ委員 有効であるということであります。
計画中には多様な学びと書かれ、固定級という選択肢も保障していくべきですが、現状は固定級が少ないと思います。どのように増やしていくのでしょうか。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 区市町村立小学校、中学校における発達障害教育は、児童生徒の障害の状態に応じて、通常の学級や特別支援教室、自閉症・情緒障害特別支援学級といった多様な学びの場での教育的支援が行われております。
小学校、中学校の特別支援学級は、設置者である区市町村教育委員会が地域の実情等を踏まえて主体的に学級を設置しています。
都教育委員会は、引き続き、設置を検討している区市町村との連携を図ってまいります。
○アオヤギ委員 都教委は、教員の配置については行っていますけれども、普通の学校に校種が違う学級を持つのは、学校、区市町村にとっては負担があることですので、どの地域にも情緒障害の固定級を設置されるよう、都の力を発揮していただきたいと思います。
次に、素案中の特別支援教育を推進するための個別事業案について何点かお伺いします。
計画の番号87、短期人事交流は、小中学校の特別支援学級と特別支援学校の教員を相互に派遣するものですが、一年の期限付となっています。この人事交流は、これまで三年間の期限付で、小中高校から特別支援学校へ、また逆に、特別支援学校から小中高へと交流がされていました。
これまでの人事交流の制度ですと、交流で配置された先生は学校の基礎定数に入り、学校で実際に担任などをする先生として配置され、加配はありませんでした。
今度の計画の一年の人事交流での特支に配置された教員は基礎定数に入るのか、お伺いします。
○浅野人事部長 短期人事交流は、小中学校の特別支援学級担当教員と都立特別支援学校教員を一年間の期限付で相互に派遣する仕組みでございます。
都立特別支援学校に派遣された教員は当該校の定数に含まれることとなります。
○アオヤギ委員 基礎定数に入るということで、一年で期間が短いということと、実働の先生になるということで、なかなか研修をしにくいのではと考えます。
人事交流は大切ですけれども、せめて基礎定数に入れないなどの措置をしないと、交流で来た先生も、受け入れる先生も、大変な状況になってしまうのではないかなというふうに思います。
そこでお伺いしますが、これまでの三年間の期限付の人事交流について、小中学校及び高等学校の交流のこれまでの九年間の実績と、直近の令和三年四月一日付の異動者の実績をお伺いします。
○浅野人事部長 制度開始から今年度までの九年間で、小中学校及び高等学校から特別支援学校には二百九人、特別支援学校から小中学校及び高等学校には百六十八人、計三百七十七人の教員が異動いたしました。
そのうち、令和三年四月一日付の異動者は、小中高校から特別支援学校には三十人、特別支援学校から小中高校には十四人、計四十四人でございました。
○アオヤギ委員 一年に小中高から特別支援学校、特別支援学校から小中高等学校、それぞれ毎年数十人の規模だったということであります。教員の専門性を高める上で必要な人事交流ですが、現場の負担になったり、一年で慌ただしいため、今よりも希望者が減ったりすれば本末転倒ですので、研修をする目的で、基礎定数に入れないで、人事交流をすることを求めます。
また、特別支援学校の教員の負担をどう軽減するかについては、計画中の番号94、特別支援学校の教員の働き方改革の推進の教員の時数軽減の方策と、副校長の業務を補佐する人材の配置について、都立特別支援学校全校のうち何校配置されているのか。また、公立小中学校で特別支援学級が設置されている全学校のうち、副校長の業務を補佐する人材の配置学級数をお示しください。
○浅野人事部長 令和三年度、負担の大きい校務を担う教員の授業時数の軽減については、全ての都立特別支援学校を対象に実施しております。
また、校務が集中する副校長を直接補佐する人材を配置している学校数については、休校を除く全都立特別支援学校五十七校中十七校、特別支援学級が設置されている公立小中学校六百六十六校中百九十九校でございます。
○アオヤギ委員 特別支援学校には、中核的業務を担う教員の授業時間時数軽減の人員は全校に配置されているとのことでした。
一方、副校長の補佐の人材配置は、特別支援学校でも、特別支援学級でも、一部の学校にとどまっているということでした。特別支援学校でもまだ一部です。小中学校でも、特別支援学級がある場合の学校の負担は普通の学校よりも大きく、副校長の業務量も大幅に多くなっているといわれていますので、早期にこれらの学校全校に配置することが求められています。
次に、計画中の番号6、8、9、10は、プログラミングやアセスメントの開発など、今までも多忙な特別支援学校の現場の教員の負担がさらに増える要素があります。教員を増やし、人事交流の教員は基礎定数に入れないなど、実質配置を増やしていくことが必要ですけれども、いかがお考えでしょうか。
○浅野人事部長 都教育委員会は、学校における働き方改革推進プラン等に基づき、デジタル化の推進や外部人材の活用など、教員の負担軽減に向けた取組を総合的に進めております。
なお、教職員定数については、いわゆる標準法に基づく都の配置基準により適切に措置しております。
○アオヤギ委員 標準法に基づく都の配置基準により適切に措置されているということですけれども、今年の三月の文教委員会の要求資料の数字では、特別支援学校では、標準法の数はちょうど六千人となっていますけれども、実際の配置数は五千八百四十人と百六十人も低いのです。プログラミングやアセスメントを実施するのであれば、加配など工夫していただきたいと思います。
こうした背景として、この間、自立機能活動教員など、教員は減らし、介護職に置き換えられたことなどが影響していると考えられます。計画中、番号24、教員と介護職の協働について、実際は、介護職は教育をすることができないし、教員の指示によって動く仕組みなので、教員の負担が重くなると現場の声を聞いています。
また、介護職にはできない医療行為もあり、子供たちの支援には教員や看護師が必要であると考えます。
特別支援学校にお子さんを通わせた保護者の方からは、特別支援学校の教員は段違いに専門性が高かったといいます。その方は、お子さんが、入学時には支援学級を勧められ、見学をしていて、そこに行かせるつもりだったけれども、特別支援学校も見学した際に、その先生から、その子を伸ばしましょうと。発語が遅いお子さんだったので、ありがとうといえないというときでも、ありがとうが伝わるように伸ばしましょうといわれて、本当に救われたということでありました。支援を受けていいんだというふうに感じたといいます。
そういって、そこに入学され、高等部も卒業され、今では就労支援Bに通われているそうでありますけれども、保護者の方は、知的障害児は、体は動かせるけれども、そういった物理的なバリアはないのでありますが、心のバリアフリーが必要で、それには教員の力が何よりも必要であるということでありました。
その方はPTAも務められ、全国の状況を聞くと、東京の特別支援学校は段違いに先生が本当によいということを実感したということであります。
東京都の特別支援学校の先生たちは技術を引き継いで発展させてきたのだと思います。そのような特別支援学校の教員の障害児へのケアや支援をする力について、都は、どういう役割を果たしているとお考えでしょうか。
○浅野人事部長 特別支援学校の教員は、特別支援教育に関する基礎的な知識や合理的配慮に対する理解を備え、児童生徒一人一人の障害の種類や程度に応じて、自立と社会参加に向けた専門性の高い指導を行う役割を担っております。
○アオヤギ委員 多くの保護者の方からも高い評価をされている特別支援学校の教員の皆さんです。一人一人に寄り添ったケアを実践している教員を応援するのが都教委の役目ではないでしょうか。
先ほどいった介護職についてはどのような課題があると整理しているのか。
まず、どう評価しているのか、介護職についてお伺いします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 学校介護職員が児童生徒に対する介護業務を担うことにより、教員が本来の役割である教育活動に集中できるようになり、それぞれの職の専門性が発揮されております。
また、たんの吸引など、法に基づく研修を修了し、認定を受けた学校介護職員は、児童生徒に対して医療的ケアを実施することが可能となっております。
引き続き、教員と学校介護職員がそれぞれの専門性を生かしながら相互に連携して、指導体制を充実させてまいります。
○アオヤギ委員 先ほどもいいましたとおり、介護職の方々は、できない医療行為、外れたチューブを入れ直すとかということはできないわけです。また、先生ではないので、教員として教えることはできないということで、介護職への転換などで減らされてきた教員を増やして、かけがえのない技術を教員の皆さんが引き継げるよう、今より手厚い配置にするなど、そもそも教員を増やすべきではないでしょうか。
子供の数が増えているのに標準法すら下回っています。特別支援学校の教員の増員についていかがお考えですか。
○浅野人事部長 教職員定数につきましては、児童生徒数に応じて編制された学級数を基に、いわゆる標準法に基づく都の配置基準で適切に算定しております。
○アオヤギ委員 標準法に基づきというご答弁でありましたけれども、先ほども申し上げたとおり、東京都の特別支援学校の教員数は標準法という最低基準を下回っているということです。教員をきちんと配置した上で、介護職員をつけるのは重要ですけれども、教員を減らして介護職員を配置するやり方は改めることを重ねて求めます。
今日、全て質疑し切れなかったものですが、この特別支援教育推進計画第二次実施計画素案について、私たちも、保護者や教員をはじめとする都民の方から様々な意見をいただいております。
現在、パブリックコメント中ですけれども、今回は、当事者の子供たちからも意見を聞こうと、都教委の皆さんが取り組まれていることは大変重要なことだと思います。学校から子供の意見も募集中ですとお知らせがあったというお話も保護者から伺いました。
都民の意見、子供たちの意見をしっかり反映させ、特別な支援を必要とする子供たちの学ぶ権利を保障することのできる計画をつくり、実行していただくことを求め、質疑を終わります。
○斉藤(り)委員 立憲民主党の斉藤りえです。
都教育委員会は十一月二十五日に、特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画の素案を公表しました。
この中で、全ての学びの場における教育を充実させていくことで、障害のある子供一人一人の能力を最大限に伸長し、それぞれの状況に応じた自立や社会参加を促進していくこととし、その先の社会として、共に学び支え合う共生社会、インクルーシブシティ東京の実現を目指していくとしています。こうした考えはとても大切なことであると評価します。
他方で、これを実現するためには、区市町村や学校、現場の教員や保護者、地域コミュニティやNGO、NPOなどとの連携や協働を加速させることが重要です。
そこで、情報の周知を含む連携や協働について質問します。
まず、コミュニケーションアシスト講座についてお聞きします。
令和三年度から開始した通級による指導とは別に、対人関係やコミュニケーションに苦手を感じている都立高校生を対象に、ソーシャルスキルやコミュニケーションスキルを学校外で身につけさせる取組として、コミュニケーションアシスト講座が実施されています。この取組を開始した平成二十九年度には百五十五人の参加者だったものが、コロナ禍の影響を受けなかった令和元年度には二百一人になっていると伺いました。
学校という集団生活の場において、友人との関係などで困っている生徒に、こうした取組を実施していることは大変評価できるものであると考えています。
そこで、生徒はもちろん、保護者や教員などに、この講座の目的や指導内容などを広くアピールしていくことが重要だと考えますが、どのように周知されているかについて伺います。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 コミュニケーションアシスト講座は、対人関係や集団での活動が苦手といった困難を抱える発達障害のある生徒に対して、土曜日や長期休業期間において、障害の状態や課題に応じた指導、支援を行うものでございます。
毎年四月には、こうした講座の目的や内容、実施日や申込方法、活動内容の詳細を見ることができる動画の二次元バーコードなどを掲載した分かりやすいパンフレットを作成し、全ての教員と都立高校生に配布しております。
○斉藤(り)委員 コミュニケーションは、社会生活を送る中でとても重要な役割を果たすと同時に、他者と関係を築いていく喜びは何にも代え難いと感じております。この取組は、そうした観点でもとても重要な施策であると評価しておりますので、ぜひ、この取組が必要な方々に多様な方法で周知を広げていただけますようお願いいたします。
続いて、発達障害のある児童生徒への指導についてお伺いします。
計画素案の施策の方向性Ⅱの中で、小学校、中学校及び都立高校等における特別支援教育の充実において、発達障害のある児童生徒に対して、切れ目なく継続性のあるきめ細かな指導、支援が行われ、児童生徒一人一人が、自尊感情を培いながら社会で活躍するための力を身につけていることを目指す将来像としています。
この間、小中学校での特別支援教室の導入や、都立高校での通級による指導の導入など、小学校、中学校、高校と、発達障害による困難を抱える生徒を支援する仕組みを整備してきたことは評価します。
一方で、支援の情報を共有しながら継続的に指導することが重要です。
都立高校に進学した発達障害のある生徒に関し、区市町村や中学校と連携して支援の内容を引き継いでいくべきだと考えますが、現状について伺います。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 発達障害のある都立高校生に対し、通級等による支援を行うに当たっては、中学校の状況などを引き継ぎ、適切な支援につなげていくことが重要であることから、保護者等の同意を得て、中学校と高校との学校間で情報交換などを行っております。
また、こうしたことの重要性について、通級による指導に関する説明会の場等において、学校に周知しております。
○斉藤(り)委員 切れ目のない継続性のある指導や支援は、市区町村との連携なくしてなし得ないと理解しています。また、学校組織、現場の教員との密な連携を構築することがとても難しいことであるとも理解しています。
しかし、やはり切れ目ない形で子供たちを育てていくためには、そこの部分は不可欠でありますので、ぜひとも柔軟かつ丁寧に進めていただければと考えております。
次に、インクルージョンに関する実践研究についてお伺いします。
同じく、計画素案において、区市町村と連携し、学校におけるインクルージョンに関する実践的研究を区市町村と連携しながら進めるとしています。こうしたインクルーシブな教育を実施していくことは、現在の学校教育においてとても重要であると認識しています。
一方で、こうした実践的研究の成果などについて、区市町村や学校の現場にどのように普及していくかは簡単なことではないと捉えています。
普及はどのように現場に浸透させていくかが重要であると考えますが、具体的にどのような取組を想定していますか。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、学校におけるインクルージョンに関する実践的研究事業において、二区市と連携して、小中学校における交流及び共同学習の促進に向けた実践的研究を行っています。
また、学校関係者等をメンバーとする検討協議会において、研究事業の取組内容等について意見交換を行っております。
引き続き、本事業を進め、検討協議会において成果を共有するとともに、区市町村の特別支援教育担当者を集めた連絡会等で周知を図ってまいります。
○斉藤(り)委員 最初から広く成果を普及させることはとても難しいと理解しておりますので、そうした協議会などで成果を共有し、段階的に普及させていくことが大切だと思います。
また、現場での実践段階では、また違ったアプローチなども必要になると思いますので、フェーズの中で、どのような形がより現場への汎用、浸透がしやすいかなども検討いただければ幸いです。ありがとうございました。
○白戸委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○白戸委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時三十分散会
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