委員長 | 白戸 太朗君 |
副委員長 | 斉藤やすひろ君 |
副委員長 | ほっち易隆君 |
理事 | 内山 真吾君 |
理事 | 風間ゆたか君 |
理事 | とや英津子君 |
もり 愛君 | |
竹平ちはる君 | |
土屋 みわ君 | |
龍円あいり君 | |
斉藤 りえ君 | |
アオヤギ有希子君 | |
清水 孝治君 | |
谷村 孝彦君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 藤田 裕司君 |
次長 | 福崎 宏志君 | |
教育監 | 増田 正弘君 | |
技監 | 矢内真理子君 | |
総務部長 | 安部 典子君 | |
都立学校教育部長 | 谷 理恵子君 | |
地域教育支援部長 | 小菅 政治君 | |
指導部長 | 藤井 大輔君 | |
人事部長 | 浅野 直樹君 | |
福利厚生部長 | 田中 宏治君 | |
教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長 新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 | 稲葉 薫君 | |
企画調整担当部長 | 岩野 恵子君 | |
教育改革推進担当部長 | 佐藤 聖一君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 滝沢 毅君 | |
指導推進担当部長 | 瀧沢 佳宏君 | |
人事企画担当部長 | 黒田 則明君 | |
高校改革推進担当部長 | 田中 愛子君 |
本日の会議に付した事件
教育庁関係
事務事業について(質疑)
○白戸委員長 ただいまから文教委員会を開会します。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより教育庁関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い、教育長から幹部職員の紹介があります。
○藤田教育長 さきの人事異動により交代がございました幹部職員及び本日の委員会に新たに出席をいたします幹部職員につきましてご紹介させていただきます。
初めに、次長の福崎宏志でございます。続きまして、人事企画担当部長の黒田則明でございます。最後に、高校改革推進担当部長の田中愛子でございます。
どうぞよろしくお願いを申し上げます。
〔理事者挨拶〕
○白戸委員長 紹介は終わりました。
○白戸委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○安部総務部長 去る九月二十二日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。今回要求のございました資料は十七件でございます。
それでは、一ページをご覧ください。1、令和三年度における国の標準を下回る学級編制基準の弾力的運用の実施状況についてでございます。
このページから四ページにかけまして、令和三年度における状況につきまして、都道府県及び政令指定都市ごとにそれぞれ記載してございます。
五ページをご覧ください。2、公立小中学校の三十五人学級に必要な学級数、教員数及び経費でございます。
小学校及び中学校における三十五人学級の実施に伴い、必要となる学級数、教員数及び経費について、それぞれ記載してございます。
六ページをご覧ください。3、栄養教諭の配置状況でございます。
(1)は、令和二年五月一日現在の栄養教諭の配置人数を都道府県別に、(2)、(3)は、令和三年五月一日現在の配置人数を、区市町村別及び都立学校について、それぞれ記載してございます。
七ページをご覧ください。4、都内公立小中学校及び高等学校、特別支援学校の冷房設備設置状況でございます。
特別教室及び体育館等の保有室数、冷房設置室数、設置率について、校種ごとにそれぞれ記載してございます。
九ページをご覧ください。5、都立学校の冷房設備設置の実績でございます。
冷房設備を設置した高等学校と特別支援学校の学校数につきまして、年度別、区分別にそれぞれ記載してございます。
一〇ページをご覧ください。6、学校教職員定数と児童生徒数の推移でございます。
教職員定数と児童生徒数について、年度別、学校種別にそれぞれ記載してございます。
一一ページをご覧ください。7、都立学校の教職員定数配当基準の主な推移でございます。
教職員定数配当基準の主な推移につきまして、このページには高等学校の全日制を、一二ページには定時制課程を、次の一三ページには特別支援学校をそれぞれ記載してございます。
一四ページをご覧ください。8、教育管理職選考、四級職選考及び主任教諭選考の合格予定者数、受験者数及び合格者数の推移でございます。
教育管理職選考などの選考区分ごとの合格予定者数、受験者数、合格者数につきまして、選考年度別にそれぞれ記載してございます。
一五ページをご覧ください。9、教育職員の病気休職者数でございます。
教育職員の精神疾患による休職者数とその他の疾患による休職者数について、年度別にそれぞれ記載してございます。
一六ページをご覧ください。10、妊娠出産休暇及び育児休業を取得した教職員数と育児休業取得期間でございます。
各年度における、(1)は妊娠出産休暇を取得した教職員数を、(2)は育児休業を取得した教職員数を取得期間ごとにそれぞれ記載してございます。
一七ページをご覧ください。11、スクールサポートスタッフと副校長補佐、部活動指導員の配置状況でございます。
区市町村別に各配置人数をそれぞれ記載してございます。
一八ページをご覧ください。12、都立特別支援学校における医療的ケア児のための専用通学車両の運行台数、看護師の同乗状況、利用している児童生徒数でございます。
令和三年九月の一か月における運行台数等につきまして、学校ごとにそれぞれ記載してございます。
一九ページをご覧ください。13、都立特別支援学校の保有普通教室の状況でございます。
各年度における五月一日現在保有する普通教室数と、その内数として転用教室数について、また、普通教室の間仕切り教室数について、障害種別及び学校別にそれぞれ記載してございます。
二〇ページをお開き願います。14、都立特別支援学校の重度重複学級数の推移でございます。
五月一日現在の学級数につきまして、障害種別、学部別、年度別にそれぞれ記載してございます。
二一ページをご覧ください。15、東京都教育委員会における障害者雇用の実績と雇用率の推移でございます。
六月一日時点での法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数、障害者の数、実雇用率、不足数を年別にそれぞれ記載してございます。
二二ページをご覧ください。16、島しょに住所を有し、寄宿舎に入舎している児童生徒数の推移でございます。
五月一日時点の各寄宿舎に入舎している児童生徒数について、住所地別、年度別にそれぞれ記載してございます。
二三ページをご覧ください。17、区市町村、都立学校の学校給食に地場産物を利用している自治体数、学校数、地場産物の利用率の推移でございます。
五月一日時点の完全給食実施校数、地場産物使用校数、利用率について、区分別、年度別にそれぞれ記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○白戸委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○土屋委員 自民党の土屋みわでございます。よろしくお願いいたします。
まず初めに、コロナ禍であっても、教育が停滞し、子供たちの成長の歩みを止めてしまうこと、そして、子供たちの将来の挑戦の芽を摘んでしまうことは絶対にあってはならないと思います。
その中で、私自身も海外の教育を十一年間受けた者として、海外と日本の教育の違いというものを大いに痛感する中、グローバル人材の育成について、まず質問をさせていただきます。
昨今、ITの進化、技術進歩の高速化により、日々、新しいものやサービスが登場し、私たちの生活様式が大きく変容する中、働き方や人材育成にも大きな変化が生じています。
ビジネスの世界でも急速にグローバル化が進んでおり、WEF、世界経済フォーラムの世界競争力報告資料を基にした国際競争力ランキングにおいて、日本は九位です。
我が国の国際競争力は、観光など一部分野では高まったものの、人材育成をほぼ企業に依存し、国として十分な制度設計を図ってこなかったことが今日の日本全体の競争力低下を招いている一因でもあり、世界的にIT化やグローバル化に伴う構造変化が進展する中、日本のグローバル化が低迷している背景には、国際社会でビジネスや研究開発を行うことのできる人材の不足や、グローバルな視野を持って技術経営ができる人材が不足していることが挙げられます。
このように、日本は、グローバル人材になり得る人材自体が不足しており、世界的に見ても、その成長が遅いといわざるを得ません。
国内外のグローバル化が急速に進展する中、広い視野と感覚を持って様々な場面で活躍できる人材の育成は、東京都、ひいては日本の発展にも欠かせないものであり、グローバル人材を育成する取組を東京都全体でも加速させていくべきです。
グローバル人材を育成するためには、世界の様々な人と交渉できる語学力、コミュニケーション能力や論理的思考力などのベースとなる力に加え、日本人としてのアイデンティティー、また、異文化に対する理解力、さらには、失敗を恐れずに課題に果敢に取り組むチャレンジ精神などを身につけさせる教育が必要であると考えます。
そのためにも、学生の留学機会の提供拡充、あるいは、海外の学校と姉妹校提携や、海外の人たちと触れ合う機会の創出などの取組を積極的に進めていくべきだと考えますが、都立学校における海外との学校間交流の拡充に向けた都教育委員会の取組についてお伺いいたします。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、国際感覚豊かな若者を育成していくことを目的として、都立学校と海外の学校との交流を推進しております。
昨年度までに、カナダやオーストラリアの州教育省をはじめ、九つの国や地域における教育行政機関と教育に関する覚書を締結し、海外の交流校の開拓や交流機会の創出等を行っております。今年度は、新たにベトナム・ハノイ市と覚書を締結いたしました。
また、こうした覚書なども活用しながら、今年度は海外学校間交流推進校を七十二校に拡充し、インターネットを活用した姉妹校交流の実施など、都立高校の国際交流活動を支援しております。
具体的には、ハノイ市内の高校と、日本を代表する観光地などに関する意見交換を行った事例のほか、ファッション、食文化、工業、第二外国語等、各学校が力を入れている分野に関する交流活動を行うなど、コロナ禍においても、オンラインを活用しながら国際交流を推進しております。
○土屋委員 コロナ禍の中、オンラインによる学生同士の交流は、留学や異文化を身近に感じる機会でもあり、いつでも、どこにいても交流ができるオンライン交流は、人とのつながり、そして海外とのつながりを身近にさせる点でも、とても効果的だと考えます。
世界中の様々な文化や伝統に触れる機会に恵まれた子供たちは、教室を超えて、より深い理解を得られることができることから、学生たちの海外との学校間交流が今後さらに活発に行われることを期待いたします。
国際化は、日本を基準に世界を見ることですが、グローバルとは、住んでいる国や地域に関係なく、地球単位で物事を考えることでございます。
今後、グローバル化がさらに進み、世界規模の広い観点から、日本がどう見られているのか、日本はどうすべきかという感覚を身につけることが必要とされ、言語や文化、習慣が全く異なる人たちと切磋琢磨し、対等にビジネスができる関係性を築いていかないといけなくなる。
そういった世界基準で勝負できる人材育成が急務であると思いますが、それには、IB、国際バカロレア、国際的な視野を持つ人間の育成を目指す人材育成プログラムの積極導入が効果的だと思いますが、国際バカロレアの取組成果についてお伺いいたします。
○佐藤教育改革推進担当部長 都教育委員会は、平成元年に開校した国際高校に、次代を担う人材の育成と海外大学への進学資格の取得を目的に、IBコースを平成二十七年に設置しました。
IBコースでは、国際バカロレア機構が認定した海外大学への進学資格を取得できるディプロマプログラムによる教育活動を実践しており、このプログラムの終了後、国際バカロレア機構が実施する統一試験に合格することで、その資格を取得することができます。
具体的には、一年目は、高等学校学習指導要領の科目の多くを英語で学び、二年目以降、ディプロマプログラムで学習します。また、コースの特徴的科目、創造性・活動・奉仕において、思考力や挑戦する力などのグローバル人材に必要な資質、能力を身につけていきます。
生徒は、こうした学習の成果を生かし、セネガルやガーナでの学校建設ボランティアに参加したり、グローバルサイエンスキャンパス全国受講生研究発表会で受賞したりしています。
海外大学への進学資格につきましては、令和二年、三年の卒業生の全員が取得し、令和三年の卒業生二十二人のうち十六人が海外大学に進学しました。
今後とも、都教育委員会は、これまでの成果を蓄積するとともに、課題解決を図り、海外大学進学に向けた支援を継続してまいります。
○土屋委員 ありがとうございます。
政府は、二〇二〇年までに候補校を含むIB認定校を二百校以上にするとの目標を掲げましたが、現在、国内認定校は百校にも満たず九十六校、うち東京は二十四校、DP、ディプロマ課程実施校は十二校です。
世界には毎年十万人以上のIBDP生が誕生しており、まだまだIBは日本では浸透し切れていませんが、多くの世界有数の教育機関で評価されているプログラムでもあります。
教科書や教科にとらわれることなく幅広い学びを得ることができ、人格形成という部分にも重きを置いている点でも、今後の時代の荒波を乗り越えるために、IBに挑む経験、そして、そこから学ぶことは、その後の人生においても大いに役立つはずです。
英語が話せるだけではなく、国際社会で活躍できる能力や多様性などを持ったグローバル人材、IBDP生を東京から数多く輩出できるよう、IB認定校増の取組をしっかりと進めていただくことを期待いたします。
さて、東京都は、来年度から都立立川国際中等教育学校附属小学校を開校させ、公立初となる小中高一貫教育をスタートさせると聞いております。
そこで、都立立川国際中等教育学校附属小学校では、グローバル人材を育成するためにどのような取組を行っていくのかについてお伺いいたします。
○佐藤教育改革推進担当部長 都教育委員会は、世界で活躍し、貢献できる人間の育成と、喫緊の教育課題に関わる研究推進を目的として、令和四年四月に都立立川国際中等教育学校に附属小学校を開校いたします。
同校では、小学校一年生から都独自の教材を用いた英語学習を行うことに加え、英語以外の外国語に触れる機会の創出や、学んだことを実践する海外姉妹校訪問等の学校行事などにより、児童が日常生活の身近な話題について外国語でやり取りできる力を育成してまいります。
また、異なる学年の児童生徒との交流や探究的な学びの拠点となる図書エリア、国際交流エリア等を一体化させた施設、ラーニングコモンズを活用し、多様な価値観を受容し、協働して新しい価値を創造する素地を養ってまいります。
都教育委員会は、引き続き、外国人ALTの確保など、開校までに必要な準備を着実に進めてまいります。
○土屋委員 ありがとうございます。グローバル人材は一朝一夕に育つわけではなく、その役割を担う学校教育の重要性が一層高まっていると思います。今後、日本では、グローバル教育を通して、外国人講師による英語教育の拡充や留学生の受入れ、海外留学などの取組を強化していくことが必要です。
コロナ禍を経て、世界はかえって近くなり、世界との距離が縮まったからこそ、日本でも、そして世界でも戦える人材を育てていかなければなりません。それがグローバル教育であり、時間や空間のボーダーを超えた国際的な学びをどのように提供できるのか、最良の在り方について、今後も検討を進めていただきたいと思います。
それと同時に、グローバル人材を育成できる教育者の育成も目下の急務でありますので、そちらも併せてしっかりと取り組んでいただきますよう強く求め、グローバル人材育成についての質問を終わります。
続きまして、島しょ地域の都立高校について質問いたします。
島しょの都立高校は、子供たちが地元で高校生活を送り、地域の将来の担い手となっていく観点から、重要な役割を果たしています。しかし、生徒数の減少傾向が見られる中、生徒同士の切磋琢磨の機会が少なくなるとの懸念が生じています。
島しょの都立高校では、生徒数の減少などの課題があり、島外から生徒を受け入れて活性化につなげている高校があると聞きます。
これまでの島外から入学する生徒の受入れ実績についてお伺いいたします。
○谷都立学校教育部長 都教育委員会は、島しょの高校及び地域の活性化を図るため、島しょの高校に入学したい島しょ以外の地域の生徒を、地元町村と連携してホームステイ等で受け入れる事業を行っております。
神津島村では平成二十八年度から、八丈町では平成二十九年度から本事業を開始いたしました。
今年度までに、神津島村で二十人、八丈町で五人を受け入れており、応募者も年々増加傾向にございます。
○土屋委員 自然にあふれる東京の島しょ地域で三年間の高校生活を送るのは、島外の生徒にとっても大変魅力的で、有意義な環境だと思います。
実施町村では、島外の生徒が島の行事に参加することで、学校や地域の活性化にもつながっていると聞いておりますが、本事業の効果について、都教育委員会のご見解をお伺いいたします。
○谷都立学校教育部長 島しょ以外の地域から入学した生徒は、豊かな自然環境に囲まれる中で、少人数の学校できめ細かい指導を受けながら学ぶことができております。また、地元の方との日常的な交流や、ホストファミリーまたは寮での生活を通して、自主性、規律性などを身につけております。
島しょの生徒にとっては、中学校までに自分と違う学校生活を経験してきた生徒が同級生となり、お互いに切磋琢磨することで、様々な教育活動や学校全体の活性化にもつながっております。
地域にとっても、文化サークル活動や小学生の学習面でのサポート事業等に生徒が参加し、地域の活性化につながっていると聞いております。
○土屋委員 島外生徒の応募者が増え、島しょの高校にも様々な教育的効果があることが分かりました。
神津島では、島外生徒の受入れ開始後、地元の中学生が神津高校に進学する割合が高まったとの話も聞いております。さらに、地元の方々との温かみのある交流により、生徒の成長にとってかけがえのない経験となり、地域振興にとっても意義のある取組だと思います。
そこで、現在の二町村での実施だけでなく、今後、ほかの地域にも拡大していくべきと考えますが、ご見解をお伺いいたします。
○谷都立学校教育部長 本事業を実施している二校の卒業生からは、島しょの生徒が、他の地域から来た同級生に島を案内する中で、この島のよさを改めて実感した、島しょ以外の地域から入学した生徒は、島での生活を通じて、自然と人間の共生について、もっと学びたいと思ったといった感想が寄せられるなど、双方の生徒に教育的効果が見られ、学校や地域の活性化にもつながっております。
都教育委員会はこれまで、島しょの町村が実施するホームステイ費用等の補助や、中学生に対する情報発信を行い、事業の促進を図ってまいりました。
今後も、各島しょ町村との連携を密にしながら、本事業の実施拡大に向けて協議を進めてまいります。
○土屋委員 ありがとうございます。ぜひ島しょの町村と十分に調整しながら事業拡大をしていただきたいと思います。
ところで、同じ島しょ地域にある都立高校の中でも、大島南部に位置する大島海洋国際高校は、都内で唯一、海洋について学ぶことができ、ほとんどの生徒が島外から入学し、寄宿舎で生活するといった大変特色ある学校でありますが、大島海洋国際高校の実習船「大島丸」は新しい船となり、令和二年度から航海実習を開始しています。
現在は、大島北東部の岡田港を活用している状況でありますが、航海実習以外の授業でも利用できるようにするため、学校に近い南部の波浮港を活用すべきと考えますが、ご見解をお伺いいたします。
○谷都立学校教育部長 実習船「大島丸」は、令和二年三月に竣工し、令和二年度から航海実習を開始しており、今年度は、感染症対策を徹底した上で、航海の基礎や操船実習などを実施しております。
現在、航海実習等の乗船に際しては、岡田港を活用しております。学校に近い波浮港に安全に入港するためには、港の航路の広さ、深さを確保することが必要な状況でございます。
波浮港への入港が可能となれば、「大島丸」の停泊中に船内生活体験や船内機材に関する学習ができるようになることや、地域との連携の観点からも効果があると考えております。
今後、波浮港への入港の実現に向けて、関係者と連携して取り組んでまいります。
○土屋委員 実習船「大島丸」が波浮港を活用できるよう、着実に取り組んでいただきたいと思います。
現在、我が国において、船舶による輸送や港湾整備などの海洋産業を担う人材が不足していたり、国際的には海の環境問題が深刻化するなど、海洋に関する教育の重要性が増しています。そのような中で、大島海洋国際高校が、大島の自然と実習船、寄宿舎といった環境を最大限に活用した教育を行い、海洋人材を育成していくことは大変重要であると考えます。
私も、十三歳からの五年間、海外での寄宿舎生活を送りましたが、数多くの、ほかでは得がたい貴重な経験をすることができました。
そういったことなどからも、ぜひ、生徒の生活環境はもとより、環境に関する専門的な学習環境を整備する取組を積極的に進めていただきたいと思います。
最後に、島しょの都立学校施設の整備についてお伺いいたします。
島しょの都立学校では、昭和四十年代に建築された校舎があるなど、施設の老朽化が進んでいます。こうした中で、島内の生徒はもとより、島外から生徒を安心して受け入れることができるよう、安全・安心な施設整備は大変重要であります。
そこで、島しょの都立学校について、老朽化した施設の改修などをどのように進めていくのか、ご見解をお伺いいたします。
○谷都立学校教育部長 安全で快適な学習環境を維持するためには、日頃から、施設、設備の点検により速やかに不具合を発見し、必要な改修等を行うことが重要でございます。
このため、都教育委員会は、毎年、島しょの都立学校を含め、学校に対するヒアリングや現地調査等を実施し、施設、設備の老朽化等の現状を把握しております。その上で、危険防止や法令への適合性、学校運営上の必要性など、様々な角度から検討を行い、計画的に必要な改修等を行っております。
島しょの学校については、今年度、大島海洋国際高校において校舎の屋上防水や空調改修等を、小笠原高校において体育館への空調設置や武道場の天井改修等の工事を実施しております。
また、来年度の工事実施に向けて、大島高校においてブロック塀の改修、八丈高校において視聴覚室の天井改修等に係る実施設計を行っております。
今後とも、島しょの都立学校に在籍する生徒の安全で快適な学習環境を維持するため、施設、設備の改修等を計画的に実施してまいります。
○土屋委員 学校施設は、子供や教職員が使用するだけでなく、地域の多くの人が集う場でもあり、安全性や快適性などの機能を高めていくことが重要です。学校施設を長く使っていくためには、教育内容、方法の変化や社会環境の変化などを想定した長期的な視点を取り入れた施設整備を創意工夫の下に行い、児童生徒の成長を支える場にふさわしい環境が充実していくことを求め、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○内山委員 私からは、高校段階の一人一台端末について質問をさせていただきたいと思います。
まず、高校段階のICTの導入に先駆けまして、令和二年度末には、市区町村立の学校において一人一台端末の整備が進んできました。
この小中学校の利活用についてどの程度進んでいるのか、伺いたいと思います。
○岩野企画調整担当部長 市区町村立学校では、GIGAスクール構想に基づき、令和二年度中に、ほぼ全ての学校で児童生徒一人一台の端末及び校内の通信環境の整備が完了いたしました。
現在、小中学校では、情報収集、整理、意見交換等、授業等の様々な場面に端末を活用し、子供たちの理解を深める学習の取組などが進められております。
また、八割の学校では端末の持ち帰りを行っており、放課後のオンラインによる補習や毎日の宿題等、家庭での学習にも活用されております。
○内山委員 ありがとうございます。とはいえ、各市区町村の取組によっては、多少の進捗状況の違いというものも見られるとも聞いています。ぜひ都教育委員会の方でもサポートをしていっていただきたいなと思っています。
一方で、都立高校のデジタル活用の状況について伺いたいと思います。
○岩野企画調整担当部長 都教育委員会は、昨年の一斉臨時休校以来、都立高校においては、生徒のスマートフォン等を使用し、デジタルを活用した学習を進めるとともに、各校に学習者用端末を八十台、さらに指導者用端末も追加で配備いたしました。
また、学習支援ソフトの操作や効果的な利用方法、好事例の紹介等を教員研修として実施し、各校のオンライン活用を進めてまいりました。
今年九月時点で都立高校の実施状況は、昨年六月時点と比べ、同時双方向型の授業は三九ポイント増の八六%の学校で取組が行われており、動画配信等のオンデマンド型なども含めると、約九〇%の学校でオンラインを活用した学習の取組が進んでおります。
○内山委員 ありがとうございます。都立高校においても、今、高い数字というのが示されました。とはいえ、八六%とか九〇%ということは、逆にいえば一割から二割の学校では実施されていないという、恐らく何らかの要因があるんだと思います。この辺りも、ぜひ都教育委員会として支援をしていただければなと思っています。
一方で、いよいよ来年、令和四年から、高校の一年生においても一人一台端末というのが導入をされるという中で、一人一台の端末を導入する、調達する、こういったところで、今、都教育委員会の皆さんでも様々動かれていると思いますが、その中で、仕様書を示して、このパソコンの、この仕様書に合うものを調達してくださいねと、こういう形で事業者に投げているわけですが、もともと仕様検討委員会というものがありまして、そこで出された結論と、実際の仕様書について違いがある。
すなわち、仕様検討委員会で出されたものから、かなりいろいろ肉づけがされて、この仕様書というものが出来上がっているのですが、なぜそういう状況に至ったのか、理由についてお伺いしたいと思います。
○岩野企画調整担当部長 都教育委員会は、高校段階の一人一台端末整備に向け、令和二年度、端末仕様や機器調達の仕組み等について調査を行いました。
この調査結果に基づき端末仕様を検討するため、令和二年度中に、学識経験者、都立学校、都立特別支援学校の学校長等を含む委員で構成する端末仕様等検討委員会を二回開催いたしました。
委員会では、高校段階における学習等を踏まえ、端末の形状や性能における仕様の概要をまとめました。
さらに、令和三年度、保護者等の端末購入を支援する業務委託に当たり、総合評価方式による入札手続を進めるため、外部有識者も含めた技術審査委員会を開催いたしました。
その中では、端末仕様等検討委員会での仕様概要を基に、調達する端末や、端末を販売するためのECサイトの仕様書等を確定し、入札の準備を行ってまいりました。
技術審査委員会では、端末仕様等検討委員会でまとめた仕様概要に基づき、セキュリティ面や学習における具体的な使い方、また、一般的な価格帯等の観点も含め、入札手続に用いる詳細な仕様書を確定いたしました。
○内山委員 ありがとうございます。その結果、どういう仕様書が出来上がったかというと、明らかに特定の機器しか選定できないような仕様書が出来上がってしまったという状況になりました。
とはいえ、様々検討されている中で、いや、そうじゃないんだという都教育委員会の説明もありながら、その仕様書をしっかりと満たすものというのは、どう考えても機種が限定されてしまうという中で、その仕様書で機種を判断して、入札できなかった業者というのもあるのではないかなというふうに考えています。
その辺りの対応についてはどのように行ったのか、伺いたいと思います。
○岩野企画調整担当部長 高校段階の一人一台端末について、今年度、技術審査委員会においてまとめました入札に係る仕様書を財務局の電子調達システムで公表した八月下旬以降、様々な端末メーカーや調達等を行う事業者から、本契約に関して問合せがあり、問合せをいただいた各事業者等には、仕様書の内容について丁寧に説明を行ってまいりました。
○内山委員 ありがとうございます。今の答弁のところでいえば、問合せがあったところに関しては丁寧に説明をされたということでありますが、問合せがなかったところに関しては、当然、説明するすべがありませんので、この仕様書において、私は、あまり適切なものがつくられたのではないんじゃないかという懸念、疑問を持っています。
そういった中で、今回、デジタル局もありますし、この機種に関して、私の率直な感覚ですが、教育庁の皆さんが詳しいとはなかなか思えないんです。
そういった中で、いろんなこういった、正式名称でいうと仕様検討委員会とか、様々な方々からご意見をいただいてということも分かるのですが、決算委員会の全局質疑でも指摘させていただいたとおり、ベンダーロックインの懸念というものもある中においては、しっかりとこの辺りは、現場の先生方の意見を聞くのも重要ですが、どういった仕様書をつくっていくのかというのは、しっかりと検討していっていただきたいなと思うんです。
そういった中で、来年度以降の仕様書作成はどのように対応していくか、都教育委員会の見解を伺いたいと思います。
○岩野企画調整担当部長 令和五年度入学生における一人一台端末等の仕様の検討に当たりましては、令和四年度生徒の持ち物として整備する端末の活用状況等を把握する必要がございます。
さらに、今年度と同様、総合評価方式による入札手続を行うため、外部有識者を含む技術審査委員会等において、端末の活用状況も踏まえながら、端末等の仕様について検討、決定していきます。
なお、今年度の入札におきまして事業者等から出された仕様書に対する質問につきましては、次年度の仕様内容の参考としてまいります。
○内山委員 ありがとうございます。OSが最新のものになっていなかったりだとか、様々、例えば、情報Ⅰのカリキュラムに沿って必要ではない、ある種、過剰なといっていいか分からないですけれども、必要最小限のものではないということの中で機種が限定されていってしまったという経緯があるかと思います。この辺りは、ぜひ次年度に向けて検討をしていっていただきたいなと思っています。
一方で、一人一台端末を都が準備するECサイト、要は、ECサイトをつくって、そこから保護者の方々はパソコン端末を購入するわけですが、この購入自体は義務ではないわけです。こういったところにECサイトがあるので、そこでこの機種が指定されていて、これを購入してくださいというものなわけですが、この経由をした場合に金銭的な補助というものを検討しているという状況なわけですが、一方で、そうじゃなくて、やっぱり自分はこのPCが欲しいんだ、この端末が欲しいんだということも、当然、これからのICTの中では重要な、むしろ、指定された機種を買うということよりも、自分で必要なものを探して、それを購入して活用する方が、よっぽどICTのリテラシーは高いわけですから、こういった人たちを排除するということがあってはならないと思うんです。
そういった中においては、自分で購入した場合の保護者負担軽減策について、都教育委員会の見解を伺いたいと思います。
○岩野企画調整担当部長 令和四年度から導入する高校段階における一人一台端末整備に当たりましては、都教育委員会が推奨する端末から、各学校がその学習の実態に合わせ端末を指定し、保護者がその端末を購入いたします。
都教育委員会では、保護者等が端末購入を容易に行えるよう、保護者に対し、端末購入が行えるECサイトの仕組みを提供していく予定です。
端末は、原則、都が提供する仕組みにより購入していただきますが、生徒の興味、関心など様々な事情により、個人で端末の購入を希望する場合が考えられます。こうした場合を含めまして、保護者負担軽減策の在り方については、様々な観点から詳細を検討しているところでございます。
○内山委員 ありがとうございます。今の答弁を聞いて、少し安心をいたしました。様々な観点から詳細を検討していくということでありますので、ぜひ引き続き、そのご検討をいただきたいと思います。
そういった中で、学校サイドとしては、ある意味、一つの機器を選定して、それを全員が同じものを使っていれば、学校の先生だって−−PCに、もしくはICTに精通している先生ばかりじゃないわけですよね。そういう中でいえば、子供たちが同じ機器を使っていた方が、より扱いやすいというのがあるというのは理解します。
ただ、その教員のICTのリテラシーとか能力によって、子供たちの可能性だとか、そういったものが妨げられてしまうということは、あってはならないことなんだと思っています。
そういった中で、家庭から機器を持ち込んだ、まあ、購入するなり、もともと持っていた端末を持ち込んだ際に、こういった子たちが、学校側から、ある種、いや、それは指定された機器じゃないんだから知らないよというような、こういう対応があってはならないと思うんです。
そういった中では、しっかりと、そういった指定された端末以外のものを持ち込んだ生徒に対するフォローというのが重要かと思いますが、都教育委員会の見解を伺いたいと思います。
○岩野企画調整担当部長 現在、都立学校では、生徒が所有するスマートフォン等により、授業等においてオンラインを活用しております。生徒は、校内の無線LAN環境にスマートフォン等を接続していますが、接続できないなどの不具合が生じた場合は、各校に配置しているデジタルサポーターが、教員と連携し、不具合の原因を探り、校内の無線LANに接続できるようにするなど、生徒を支援しております。
令和四年度の入学生が家庭から端末を持ち込む場合にも、現在と同様、教員とデジタルサポーターが連携し、事前に端末を学校に持ってきてもらい、性能の確認や通信テストを行うなど、生徒を支援し、生徒全員がオンラインを活用した学習に取り組めるよう環境を整えてまいります。
○内山委員 これからの時代というのは、どういったICTの機器を使うかというのも、これは多様性であり、個性だと思います。そういった中で、それを、なかなか管理しづらいからといって、学校側、教員側として排除することがないよう、不適切な指導があることがないよう、強く求めたいと思います。
続きまして、この令和四年度の入学生からは一人一台端末というのが、今の仕組みによって整備されるわけですが、来年度の二年生、三年生についてはどのような対応をするのか、見解を伺いたいと思います。
○岩野企画調整担当部長 高校段階の一人一台端末の整備は、保護者が購入し、生徒の持ち物として、令和四年度新入生から、学年進行により整備を行ってまいります。そのため、一年生から三年生までの全生徒の整備が完了するのは令和六年度となります。
現在、都立学校に在籍する一年生、二年生につきましては、卒業までの間、昨年度の一斉休業時に区市町村教育委員会へ貸与した四万二千台の端末を回収し、各都立学校へ配備するとともに、生徒所有のスマートフォン等も併せ、デジタルを活用した授業等の取組を進めてまいります。
○内山委員 ありがとうございます。学習指導要領の改訂に伴って、また、GIGAスクール構想が、今年、中学三年生まで広がったものの連続性も踏まえてという中で、来年、高校一年生においてはこういった対応になっていくわけですが、一方で、それはあくまで、こちらの枠組み上の話でありますので、現在の社会を生きていく中で、来年の高校一年生はそれが大丈夫だけれども、二年生、三年生は、そういった教育の質に格差が生じてしまうということはあってはならないのではないかなと思います。その辺りも、ぜひ柔軟な対応というものを求めておきたいと思います。
続きまして、都立高校における男女別定員制についてお伺いをしたいと思います。
まずは、これまでの男女別定員制の考え方と経緯についてお伺いしたいと思います。
○田中高校改革推進担当部長 男女別定員制は、戦後、男女別枠であった旧制中学校及び旧制高等女学校の共学化を進めるに当たり設けられたものでございます。
平成元年度入学者選抜からは、昭和六十三年十月に東京弁護士会からの勧告を受けたことなどを踏まえまして、都内公立中学校第三学年の男女の人口比に応じた男女別定員を設定しております。
その後、平成十年度入学者選抜からは、男女の合格最低点の点差を緩和するために、一部の学校で定員の一〇%を男女合同で決定する緩和措置を導入しております。
さらに、都教育委員会は、平成二十六年以来、入学者選抜検討委員会におきまして、男女別定員制の緩和を実施してきた成果等を検証してきておりまして、令和元年の公私連絡協議会の第五次中期計画の協議におきまして、都教育委員会は、男女別定員制については、社会環境の変化等に伴い、その在り方について、都民からの意見も多く寄せられているところである、そうした状況も踏まえ、男女別定員による受検生における不公平感をなくし、より男女平等な入学者選抜とするために、男女別定員について、見直しを含めた検討を進める必要があると主張してまいりました。
同じ協議におきまして、東京私立中高協会は、公立学校としての基本的な立場として理解する、しかし、公立中学校における生徒の男女人員の実態などを考慮しない就学計画は現実的であるとはいえない、また、私立学校への影響も大きいことは明白である、現行の男女別定員緩和校の活用などにより、実態に即した対応をすべきであると主張し、協議を重ねてまいりました。
○内山委員 丁寧にこの間の経緯をご答弁いただき、ありがとうございました。
そういった中で、この時期に男女別定員制から男女合同定員制に移行することを示した理由についてお伺いしたいと思います。
○田中高校改革推進担当部長 現在、男女別定員設定校の約七割で男女の合格最低点に差が生じております。また、東京でのオリンピック・パラリンピック大会を経て、多様性の尊重や男女の障壁をなくすことがより重要視されるように社会が変化しておりまして、東京都としても、男女平等参画について強力に推進しているところでございます。
こうした点を踏まえ、全ての都立高校で男女合同による入学者決定を目指していくこととしております。
男女合同選抜の実施に当たりましては、受検生や中学校の進路指導に与える影響等を考慮する必要がございまして、段階的に進めることとしております。
○内山委員 ありがとうございます。こちらは、やはりこれまで進めてきたものからすれば、大きな転換になると思います。
ただ単純に男女の定員を、これは段階的にですけれども撤廃をしていって、最終的には全く男女別の定数を設けないというところまで、何年かけていくか分かりませんが、進んでいくという中において、当然、この学校は、傾向によっては、これまでは女子の方が受かりづらかったのが女子が受かりやすくなると。こういうところが全体的には多いわけなんですが、一方で、この学校は男子の方が受かりづらかったものが受かりやすくなるという、こういう様々な、百校以上ある都立高校の中では傾向があって、そうすると、当然、今まで、ある程度フィフティー・フィフティーだった男女比、もしくは人口比によってそのまま男女比になっていたものが、この学校は、極端なことを最終的にいえば、確率でいえば、八割、九割、男子か女子というようなことも起きてくるのだとは思います。
そういった中で、今回は、ジェンダー平等という切り口から男女の定数というものを撤廃していこうという中でありましたが、一つの、今ここで問われているものというのは、入り口の段階での学力の平等性というものが問われているんだと思います。であるのであれば、私たちは、この改革というか、方向性には賛成です。
しかし、一方で、じゃ、無意識のうちに、学力という一点において平等性を担保するということが、本当に教育の世界で必要なのかということも懸念があるわけでございます。これは前提の話です。
全局質疑でも申し上げましたが、魅力ある学校づくりのために、不登校だとか、自ら命を断ってしまう子供たちだとか、様々な子供たちのために魅力ある学校づくりをしていこうといっている一方で、高校に入るところでは、もうシビアに、そこでは学力で平等性が求められる。
そうなると、小学校、中学校においての魅力ある学校づくりと、この高校入試のところの整合性というのは、一体全体どうなってくるんだと、こういう議論というのは出てくると思います。
そういった中で、当然、今、男女別の定員というところだけで推移でご説明があった中では、一貫して、できるだけ男女平等な形にしていこうということでありましたが、一方で、現場から見れば、当然、指導上の懸念だとか、様々な懸念というのが、声が出ているのも事実だと思います。
そういった中で、こちらを選べばこちら側でのメリットが享受できない、もしくは、こちらを選べばこちら側のメリットは享受できないという、そういった問題も出てくると思いますので、ぜひここは慎重に、本当に子供たちにとっての利益が何なのか、本当の意味での男女平等というのはどういうことなのかということも念頭に入れながら検討を進めていっていただきたいと思います。
時間もありますので、少し早口になりましたが、私からの質疑はこれで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
○谷村委員 それでは、初めに、都立高校の特色化についての質問をさせていただきます。
これまで、都立高校の特色化に向けて、都教委として取り組んでこられたと思いますが、その取組状況についてご説明をお願いいたします。
○佐藤教育改革推進担当部長 都教育委員会はこれまで、社会状況の変化や生徒の多様性等に対応するため、都立高校改革推進計画に基づき、普通科目に加え、専門科目についても幅広く学べる総合学科高校や、不登校や中途退学を経験した生徒を主に受け入れるチャレンジスクールなど、多様なタイプの学校を設置してまいりました。
また、難関国立大学等への進学を目指す進学指導重点校や、小中学校で十分能力を発揮できなかった生徒の学び直しを支援するエンカレッジスクールを指定するなど、学校の個性化、特色化を図ることにより、生徒一人一人の能力を最大限に伸ばす学校づくりを推進してまいりました。
各学校においては、設置や指定の理念を踏まえた学校経営を行うとともに、都教育委員会とも連携し、それぞれの魅力や特色の周知に努めているところでございます。
○谷村委員 そうした取組の中で、都教委におけるスポーツ特別強化校の趣旨及び内容についてご説明をお願いいたします。
○瀧沢指導推進担当部長 スポーツ特別強化校は、都教育委員会が指定している指定校及び推進校の中で運動部活動に重点的に取り組んでいる都立高校を対象に、部活動の一層の振興を図り、その学校のさらなる特色化の推進を目的としております。
平成二十七年度から二十九年度まで、第一期強化校として二十三校五十部を指定し、平成三十年度から今年度まで、第二期強化校として四十校五十八部を指定しております。
○谷村委員 平成二十七年から二十九年度までで、第一期強化校として二十三校五十部、また、平成三十年度から今年度まで、第二期強化校として四十校五十八部を指定しているということですけれども、これ、部活の競技、種類に合わせると様々な数になりますけれども、教育監、どういう部活の種類がありますでしょうか。
○増田教育監 第一期スポーツ特別強化校におきましては、相撲部、陸上競技部、バレーボール、硬式野球部等々、そのほか、ヨット、ボート、フェンシング、アーチェリー、自転車競技、ボクシングなど、各学校の特色を示すような部活動を指定してまいりました。
第二期につきましても、同様の部活動の指定はもとより、コンテンポラリーダンス等、各学校の特色ある部活動をさらに指定したところでございます。
○谷村委員 ボート、ヨットというのは第二期の方じゃないですか。
○増田教育監 ボート、ヨットにつきましては、本所高校、小松川高校のボート部、日本橋高校のボート部、それから、ヨット部については、日本橋高校のヨット部を、第一期、平成二十七年度から平成二十九年度のスポーツ特別強化校の部活動として指定しております。
○谷村委員 じゃ、これで全部で、部活動の種類になると何種類というふうにご認識されていますでしょうか。
○増田教育監 すぐさま何部ということを、今の段階で、私、まとめている資料がございませんので、申し訳ございませんが。
○谷村委員 分かりました。
これ、事務事業質疑ですので、じゃ、お伺いしますけれども、教育監というのは、日常的にどういうお勤めをされているのか、業務内容というのを教えていただけますでしょうか。
○増田教育監 教育監の職務につきましては、いわゆる教育指導内容の専門的な分野につきまして教育長を補佐する職務として認識しております。
○谷村委員 今のその内容には、部活動というのは入りますか、入りませんか。
○増田教育監 部活動についても所掌業務に入ります。
○谷村委員 ということであれば、今、第一期、第二期と、このスポーツ特別強化校を指定して、部活動の強化、特にスポーツについて取り組んでいるわけですので、何種類の部活動が指定になっているのかというのはご存じではないのでしょうか。
○増田教育監 今、手元にある資料につきましては、第一期スポーツ特別強化校及び第二期スポーツ特別強化校の指定校の一覧についてはございます。
重複している部活動もございますことから、今ここで正確に、どの部活が何部ということでお答えすることができないような状況でございます。申し訳ございません。
○谷村委員 教育監という方が、そういう事務所掌の状況でいいのかということを大変疑問を持ちますけれども、一型で十七種類、二型で七種類とかとなっていくと思いますが、これは間違いないでしょうか。−−お答えできないなら、それは結構です。
ただ、これが都教委のレベルなのかなというふうに思いますと、大変不安な思いになりますし、安心して児童生徒をこの東京都の教育体制の中に組み込んでいっていいのか、そういう場で子供たちを任せていいのかという、大変大きな不安になるということを、まず申し上げておきます。
スポーツ特別強化校というのは、都の教育委員会で指定している内容ですよね。もう少しご認識を持っていただければと思いますが。
じゃ、このスポーツ特別強化校におけるこれまでの実績というのは、どのようなものであったでしょうか。別に教育監じゃなくて結構ですので。
○瀧沢指導推進担当部長 これまで指定した運動部活動が、全国高等学校総合体育大会において、ボート、少林寺拳法の競技で優勝、関東大会においては、相撲、なぎなた等の競技で、延べ二十四回優勝するなどの実績を上げております。
○谷村委員 このスポーツ特別強化校を受けて、学校、また、生徒、保護者の皆さんが一生懸命頑張っておられるわけです。にもかかわらず、都の教育委員会の、教育庁の幹部の方は、そういったこともきっとご認識ないんだと思って、大変残念で仕方ありません。
このスポーツ特別強化校における顧問教諭の配置について、どのように配慮がなされているのか、見解をお伺いします。
○浅野人事部長 東京都教育委員会は、適材適所の配置を行い、教育活動を活性化することを目的として、教員の異動を実施しております。
部活動の顧問を担う教員については、校長が各教員との面談等を通じてその専門性等を把握しており、都教育委員会は、校長が策定した人事構想に配慮して配置を行っております。
校長の人事構想上必要な者で、部活動において顕著な実績を上げ、本人も残留を希望する者は、異動要綱で定める年数を超えても異動対象としないことができることとしてございます。
○谷村委員 今のご答弁は、これは都立高校全てに当てはめる、スポーツ特別強化校に指定をしているしていないにかかわらず、全ての部活の顧問教諭の配置、人事異動に当てはまるということで、そういう趣旨でご答弁されたということでよろしいですか。
○浅野人事部長 先ほどご答弁申し上げたものは、全ての都立高校で当てはまります。
ただし、スポーツ特別強化校におきましては、スポーツ特別強化校のミッションとして部活動の振興を図っておりますので、それを踏まえた人事構想を校長先生はつくられることになりますので、それに配慮した配置を行っていくということになります。
○谷村委員 原則、全ての学校の部活動の顧問教諭にも当てはまるという認識でよろしいですか。部活動も教育の一環であるとしっかりと位置づけられて、十年ぐらいたちますでしょうか。その配置については、最初のご答弁では、私はスポーツ特別強化校の話をご質問したわけですけれども、ご答弁は必ずしもそうじゃなかったので、ちょっともう一回、確認をさせていただきます。
スポーツ特別強化校もさることながら、一般の指定を受けていない学校においても、部活動をしている顧問教諭、頑張っている顧問教諭というのも、校長の部活動をしっかり活発にやっていこうという構想を持っている学校の中においては、顧問教諭についても、六年という縛りにかかわらず対応できるということでよろしいでしょうか。
○浅野人事部長 各校におきましては、校長が各校のミッションに基づいて人事構想を策定いたします。部活動を持っている高校におきましては、その部活動の振興というものも、各校の校長の考えるミッションの中に入ってきますので、その意味では、全部の都立高校において当てはまります。
ただし、スポーツ特別強化校においては、その学校のミッションにおいて、部活動の振興強化というのが、より大きなといいますか、高いといいますか、になりますので、各校長はそれを踏まえた人事構想を策定することになり、その人事構想に対して、都は配慮して配置を行う、こういうものでございます。
○谷村委員 このスポーツ特別強化校なんですけれども、よくよくお話をお伺いすると、先ほどもありましたけれども、一型で二十九校四十六部、それから二型で十一校十二部、そして準特別強化部で十一校十一部ということで、これ、学校が指定されているのではなくて、その学校の中の特定の部が指定をされているというのが事実のようなんですけれども、しかし、このスポーツ特別強化校という名称によって、学校全体がスポーツ特別強化校と指定を受けているという認識をしている、あるいは受け止めている生徒、保護者の方がおられるわけであります。
強化校を受けようが受けまいが、部活動を頑張ろう、スポーツも強化してやっていこうという、それはそれでいいことではありますけれども、スポーツ特別強化校というのは、必ずしも学校全体を指定しているわけではないのですが、例えば、あるスポーツ特別強化校のホームページでは、学校長の挨拶として、本校は何年度に創立五十周年となります、今年度も、東京都教育委員会より、スポーツ特別強化校、それから、オリンピック・パラリンピック教育アワード校、事業推進部門、環境部門の指定を受けており、部活動、学校行事で力いっぱいに頑張る経験を通して人間力を高める指導を徹底しています、また、学習活動は、学校で学ぶことを充実させて、将来の自己実現に向けて、自ら考え、判断できる授業を目指していきますというふうに、ざあっといくわけですけれども、こういう学校案内あるいは学校長の挨拶を読むと、この学校全体がスポーツ特別強化校になっている、そう指定されていると受け止めるのが自然であるわけです。
その結果として、この学校はスポーツ特別強化校という趣旨を受け止めるに当たって、そういう状況なのに、生徒あるいは保護者が、この学校はスポーツ特別強化校という指定を受けているのに、必ずしも、部活動で活躍をしている顧問教諭に対して、あまり温かくない対応をしている、ちょっと冷たい、むしろ勉学の方を重視している先生の方を重用しているかのように受け止められているという事実がありました。
部活動を活発に行うことは、どこの学校でも進められていることではありますが、スポーツ特別強化校という考え方、受け止め方、あるいはネーミングによって、学校、生徒、保護者の間で微妙な誤解、それが学校長の学校経営に対する不信にもつながってしまっているという一事例を、私はお話として受け止めさせていただきました。
このスポーツ特別強化校について、どういうものなのか、学校全体を指定しているのか、特定した十七種類あるいは七種類の部活を指定しているのかということを、きちんと説明を、あるいは発信をしていかなければならないと思いますが、見解を求めます。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、スポーツ特別強化校で指定される部に対して、指定の前に、学校管理職や顧問教諭等を対象とした説明会を実施し、競技力向上などを目指す本事業の趣旨及び基本方針について説明をしております。
また、生徒、保護者に対しては、顧問教諭等を通じて、本事業について説明するとともに、保護者に協力を呼びかけ、部活動運営を行っております。
ただ、先生ご指摘のとおり、第一期、第二期の指定におきましては、事業名をスポーツ特別強化校として募集しておりますが、実際には一部の部活動を強化校と指定しているという実態がございます。
第三期の指定に当たりましては、競技力向上に加えて、科学的トレーニングの導入により短時間で効果が得られるような、合理的でかつ効率的、効果的な運動を推進する部活動を指定することとしており、そういう視点も踏まえて名称を改めていきたいというふうに考えております。
こうした内容につきまして、学校、保護者、生徒の理解が得られるよう、丁寧に説明をしてまいります。
○谷村委員 あえてスポーツ強化校というものから外すとか、それによって、部活動が活発に取り組んでいたのが後退するとか、そういう趣旨ではありませんけれども、この強化校、それを指定している学校等について、保護者も生徒もそう受け止めて頑張っていて、でも実際は、私たちが所属している部活動はそれから外れていたんだみたいな、そういうがっかり感というものを持たせないように、ぜひ事業としては、正確な発信あるいはネーミング、名称等をつけていただきたいと思います。
続きまして、教員の異動について質問いたします。
昨年の十一月五日の教育庁に関する事務事業質疑で、通算して十年間、人事異動の対象とならない教員がいて、校長先生の学校経営の大きな阻害要因となっていることを指摘させていただきました。これは、東京都中学校長会の皆様からいただいたご要望を踏まえて取り上げさせていただいたものであります。
これまで小中学校においては、五十八歳以上の教員の異動は原則実施されず、また、定年退職した学校でそのまま再任用教員になる方が多いことから、通算して十年間を超えて同じ学校に引き続き勤務する方が多数おられました。それが当たり前の状況になっておりました。
この理由は、異動要綱で、現任校において引き続き三年以上勤務する者を異動の対象とし、六年に達した者は異動することになっていたことによるものであると。また、運用上、定年三年前の五十八歳以上の者は異動対象としないという取扱いをされていたと。
その結果、例えば満五十五歳で異動してきた教員の方は、異動可能となる三年後は、既に五十八歳になって異動することができない。そのため、引き続き、定年である六十歳まで勤務し、定年後、再任用教員として五年勤務することで、通算して十年間、同じ学校に勤務することになっていたわけであります。
この運用が続けられてきた結果、十年以上という長期在職している教員の方の中には、学校改革の意欲を持って着任した校長先生が新たな学校経営方針を示しても、従来のやり方を変えようとしない教員がいるという、強いご指摘を私どもはいただいたわけであります。
ここの学校のことは自分の方がよく知っているんだという、長くいるがゆえにということだと思いますけれども、そんな感じで、校長が何をいおうが、自分に対しては何もできないでしょうというような感じで、こういった人が一人でもいると、その組織、その姿をまねする後輩などが出てきたりして、組織自体が機能しなくなってしまうわけであります。
不幸にも、こうした教員がどの学校にも一人や二人は存在しているという状況であるということもお伺いをいたしました。
この校長先生の新たな取組の具現化を妨げるような弊害が往々にしてあると聞いております。こうした弊害をなくすために、昨年の事務事業質疑で、小中学校の教員の方々の中で、定年三年前の五十八歳以上の方でも、校長先生の判断で異動対象とすべきと訴えさせていただきました。
また、再任用教員は、その後は一年、一年、契約で更新されますので、必ずしも同じ学校に勤務させる必要は全くなく、また、その存在が学校長の学校経営の大きな阻害要因になるならば、必ずしも再任用の契約を更新する必要もないわけであります。
これを受けて、昨年、浅野人事部長からは、今後、五十八歳以上の者についても、原則として異動の対象とすることについて検討してまいります、その際、本人と校長への十分な周知期間を取るため、令和四年度異動を目途としてまいりますというご答弁をいただいたところであります。
よかれと思って配慮されてきたこの人事上の配慮が、全く逆手に取られて、先ほど申し上げたような状況が生じております。
都教育委員会の皆様も、学校現場の状況をよくご認識いただいているということもあるのだと思いますが、また、市区町村立小中学校の再任用教員については、そのときは、原則として、定年退職時に所属していた区市町村に配置を行っているということでした。また、再任用の異動について課題の整理を行ってまいりますという答弁もされております。
この再任用制度についても、様々、今後、変化があるのかもしれませんけれども、こうしたご答弁どおり、来年度、令和四年度から、五十八歳以上の教員の方の人事異動が可能になるのかどうか。そして、再任用教員の方について、学校間での人事異動についてどういうふうな対応をされるのか、見解を求めます。
○浅野人事部長 区市町村教育委員会等と意見交換を行ったところ、五十八歳以上の者を異動対象とすれば、現任校在籍年数の長期化に歯止めがかかり、人事の活性化が図られるなどの意見をいただきました。
このため、教員の定期異動実施要綱等を改正し、令和四年四月一日異動から、定年退職を迎える前年度まで異動要綱が適用されることとし、五十八歳以上の者も異動対象といたしました。
なお、六十歳で退職し、再任用教員を希望しない者、及び経過措置として、今年度五十八歳、五十九歳の者については、校長の人事構想に基づき、異動対象から外すことを可能としております。
今回の改正により、校長が学校経営を行いやすくなるものと考えており、六十歳を超えた期間を含めて、教員の資質、能力の育成や活用を図っていくことが可能となります。
再任用の異動についてでございますが、まず、今年度より教員公募による応募を可能とすることで、異動を促すことといたしました。
今後、定年引上げ後の新たな再任用制度の詳細を分析しながら、再任用教員も異動対象とすることを基本に、異動の仕組みを検討してまいります。
○谷村委員 再任用の方につきましても、先ほどの五十八歳以上の方についても、一部の方の問題かとは思いますが、本来、その資質や経験を評価されて再任用されているはずの方々が、これまでは通算で十年を超えるような人事異動がないために、そこに安住してしまい、その持てる能力が発揮されない、また評価されない結果になっていた、あるいは、なっていることについては大変に残念なことであります。
これが人の世の常なのかもしれませんが、人事異動の大きな原則を令和四年度から変更することによって、定年前であっても、再任用になられても、持てる力を学校現場で思う存分に発揮されるようになることを強く念願いたしておきます。
次に、世界一、忙しいといわれております日本の学校の副校長先生支援について質問いたします。
都教育委員会では、平成三十年二月に学校における働き方改革推進プランを策定し、都内公立学校を対象に様々な取組を進めてこられました。しかし、教員の皆様の多忙化の解消は、まだまだ道半ばであります。
その中でも、とりわけ忙しいといわれているのが、学校経営の要となる副校長先生であり、この副校長先生の業務負担を軽減していくことが急務となっております。そこで、副校長先生支援の観点から、都の取組について確認させていただきたいと思います。
まず、産休、育休代替教員の任用についてであります。
副校長先生の業務は多岐にわたっておりますが、その中でも特に負担が大きいといわれているのが、産休や育休に入る教員の代わりとなる、いわゆる産休、育休代替教員の任用であります。
まず、この産休、育休代替教員とはどのようなものなのか、また、都では年間どのくらいの人数に上るのか、ご説明をお願いします。
○浅野人事部長 産休、育休代替教員とは、教員が妊娠出産休暇または育児休業を取得する場合に、その期間中の代替として任用される教員でございます。
任用期間は、妊娠出産休暇または育児休業の期間内で設定され、単年度ごとに任用しております。
任用規模については、都では、毎年三千人から四千人程度を任用しており、令和二年度は三千六百三十六人の任用を行いました。
○谷村委員 都内の公立学校の教員数は約六万人というふうに伺っておりますけれども、それに対して三千人から四千人を、毎年度毎年度、産休、育休代替教員として副校長先生が確保しなければならないという大変な数であると思いますが、これだけの人数を、三千人から四千人、毎年度、年度途中からどのように確保しておられるのか。
また、任用に当たって、学校ではどのような業務を行っているのか、ご説明をお願いします。
○浅野人事部長 都教育委員会では、毎年度、産休、育休代替教員の採用候補者を募集し、選考を行っております。
選考合格者については、採用候補者名簿に掲載し、市区町村教育委員会を通じて学校に提供しております。
さらに、この名簿登載者から適任者が見つからない場合のために、通年で特別認定による候補者を募集しており、市区町村教育委員会に人材情報として提供しております。
また、学校においては、都が提供する候補者名簿等から任用候補者を選定し、個別に折衝を行い、合意に至った場合は、小中学校では市区町村教育委員会に任用の申請を行っております。
○谷村委員 今ありました、選考合格者による採用候補者名簿に登載されるのが一つ、もう一つは、通年で特別認定による候補者を募集しているという、二段構えになっているわけですけれども、この特別認定による候補者というのは、どういう方々を指すのでしょうか。
○浅野人事部長 特別認定とは、学校からの申請に基づき、都教育委員会において、名簿登載者でない者を特別に採用候補者として承認する制度でございまして、この制度によって認定された方でございます。
○谷村委員 その特別認定になる人の資格、条件というのはどういうものなのでしょうか。
○浅野人事部長 該当する校種、教科の教員免許を取得している者でございます。
○谷村委員 教員免許を取得している方であれば、全て特別認定候補者になれるということなのでしょうか。
○浅野人事部長 教員免許を取得している者であれば、特別認定による任用が可能な者という前提による候補者でございます。
○谷村委員 それでは、選考合格者による採用候補者名簿と、この特別認定候補者の違いは何なのでしょうか。
○浅野人事部長 選考に基づく名簿登載による方は、あらかじめ産休、育休代替教員の採用選考に応募していただきまして、選考によって合格された方が名簿登載方式による方々でございます。
特別認定については、先ほど申し上げた方でございます。教員免許を持っている方であります。
○谷村委員 ということは、ちょっと確認させていただきますけれども、採用選考によって、この採用候補者名簿に入る人は、基本的に採用選考試験を受けて合格した人は入ると。だけど、特別認定候補者というのは、免許さえあれば代替教員になれると。
この違いは何なのでしょうか。
○浅野人事部長 制度の立てつけといたしましては、もともと名簿登載者からの任用を原則といいますか、想定といいますか、してございます。ただしといいますか、学校において産休、育休代替教員を任用する必要性があった際に、その名簿から候補者を探す、ただ、なかなか見つからないというときに、名簿に載っていない方からでも特別認定として任用することができる、そういうものでございます。
○谷村委員 採用試験によるこの名簿に入っていない人を特別認定する、いわゆる代替教員として位置づける権限というのは、どなたがお持ちなのでしょうか。
○浅野人事部長 すみません、説明が足りなくて申し訳ないです。
特別認定による候補者の方は、採用予定の学校で、校長あるいは副校長先生から面接を受けます。そして、校長は、その面接した結果を都教委に対しまして意見書として提出してまいります。そして、都教委におきまして、その意見書や本人の作成した申込書等を基に選考するという流れでございます。
○谷村委員 採用選考の名簿に登載されていない方も学校で見つけて、副校長先生が探して、条件に合う方を見つけて、意向を確認して、校長先生の面接を受けて、地教委なり都教委に申請を出すわけですよね。
片や、選考名簿に載っている人は、試験を受けて合格をしている人なわけです。
合格していない人で、その学校長の面接を受けられるという方は、これは誰が面接を受けるという権限を持っているのでしょうか。
○浅野人事部長 どちらの方も産休、育休代替教員でありまして、その教員に任用するに当たりましては選考を経ています。
そして、名簿から任用される方については、その名簿に登載する際に、あらかじめ選考しているというふうになります。
特別認定の方につきましては、まず、任用を希望する学校において、人となりを観察し、また、校長先生が意見書を書き、そして、その意見書を基に、都教委が本人からいただいた書類等も併せて、そこで選考するというものになります。
○谷村委員 だから、どういう方がその学校長の面接を受けられるようになるのか、どういう資格の方が。
都教委がつくった選考名簿以外の人が、ある日突然、その学校長の面接を受けて、試験も受けておらず、しかし、代替教員として認められるわけですよね。片や、選考試験を受けて、合格する人、不合格する人とあるでしょうけれども、都教委が実施する選考試験を受けて名簿に登載されるわけですよね。
試験を受けている人と、受けないで学校長の面接を受けるというのは、どういう人がその学校長の面接を受けられるのでしょうか。
○浅野人事部長 最初の頃のご質問でもありました、どういった方が特別認定候補者になれるのか、その資格は何なのかということとも関連いたしますが、教員免許を持っている者であれば特別認定候補者になれるものでありますので、その方が、任用を希望される、予定される学校と、何といいますか、マッチングするといいますか、出会うといいますか、による経緯は様々かと存じます。
○谷村委員 ということは、教員免許を持っておられる方が代替教員になりたいと思えば、そういう、いわゆる産休、育休の教員が出そうだという情報を得れば、副校長先生のところに会いに行って、私、してもらえませんかといって学校長と面接して、いいね、じゃ、代替教員として地教委、都教委に申請しますよと、こういうシステムだということでしょうか。
○浅野人事部長 任用される学校の校長におきましては、その者が実際に教育活動をする者でありますので、その人物をしっかり見極めるということになります。
したがいまして、校長としては、その人がどういう人なのかというところは、それは大きな関心を持って、教職としての適格性があるかないかということに注目して面接等を行うことが通常であるかと思います。
○谷村委員 片や、代替教員になるのに、選考試験を受けて名簿登載されて、それで、各学校の産休、育休教員が誕生した段階で、副校長先生あたりから電話あるいは連絡が来るのを待っているわけですよね。
片や、そういう試験を受けないで、何らかの情報をもらって、私、代替教員になりたいとアクションしても、それでもなれるということですよね。
そんなことで採用できるんだったら、教員の本採用試験もそういう方向にしたらどうですか。
○浅野人事部長 正規教員の教員採用選考におきましては、能力の実証を行うために、都教育委員会におきまして、筆記試験、面接、その他、いろんな選考資料を基に資質の高い者を採用するようにしてございます。
すみません、先ほどのやり取りの中で、ちょっと説明が漏れている部分を少し補足いたしますけれども、特別認定の方でございますけれども、学校としては、名簿に掲載されている候補者から任用するというのを原則としておりまして、そこで、名簿の中からどうしても、住所などいろんな事情で、うまい人が見つからないというときに、例外的に特別認定という方式での認定もあるというものでございます。制度的には、そういう立てつけでございます。
○谷村委員 この任用規模を先ほどお伺いしました答弁で、令和二年度は三千六百三十六人任用されたというふうにご答弁されましたけれども、このうち特別認定で任用された方は何人いらっしゃるのでしょうか。
○浅野人事部長 臨時的任用教員全体三千六百人ほどございますけれども、おおむねでございますが、約半分程度でございます。
○谷村委員 ということは、半分もいらっしゃるということであれば、何のために選考試験を実施されているんですか。
先ほど正規教員のお話をされましたけれども、じゃ、この代替教員は能力がなくてもいいということなんですか。
○浅野人事部長 正規教員ですけれども、能力があることが必要でございます。
そして、何で名簿選考をやっているのかということでございますけれども、都教委といたしましては、最初の制度の第一原則である名簿による任用をしていきたいと思っているわけでございますが、実態といたしまして、集められるといいますか、応募されてくる方がなかなか少ないということで、このような状況になってございます。
○谷村委員 能力が必要であるけれども、能力を確認する手続は取らないというのはどういうことなのでしょうか。
○浅野人事部長 特別認定候補者の件だと思いますけれども、能力の確認は、任用予定校、希望校での校長との面接によって、そこで確保しておるという考え方でございます。その意見書を基に、都教委で選考するというものでございます。
○谷村委員 校長先生の面接によって能力が確認されるというのであれば、この名簿登載する際に選考試験をしているという意味はどういう意味があるんですか。
なぜこちらでは試験を受けて、どっちにしても、名簿登載された後で校長先生の面接を受けるわけですよね。そのときにも能力は確認できるわけですよね。
何でこちらは二段構えでそういう能力を確認して、特別認定候補者については、一回の校長先生の面接だけの能力確認で済ませているのでしょうか。
○浅野人事部長 制度の本則といたしましては、名簿による採用が本則でございますので、そちらの方が基本でございます。
なお、また少し補足いたしますけれども、教員は免許職種でございますので、免許取得に当たり、一番ベースとしての資質、能力は免許において確保されているという事情もございます。
○谷村委員 ちょっと今の答弁では、もうこれ、議論できないですよね。免許を持っているから能力が確認されているというのだったら、毎年毎年、何のために採用試験をやっているんですか。免許を持っているということで一定の能力がありますという議論をするんだったら、毎年毎年、物すごい時間とお金をかけて、総力をかけて採用試験をやっているのは、あれは何のためなんですか。
そういうことで済むのだったら、代替教員のための選考試験は要らないんじゃないですか。何でやっているんですか、わざわざ。
○浅野人事部長 すみません、私の説明も悪く、大変恐縮でございますけれども、臨時的任用教員の任用は、まず、あらかじめつくった、選考によって合格された方によって構成されている名簿からの任用を原則としてございます。これが原則でございます。
ただし、どうしても見つからないという事情もございますので、そういった場合の例外的な措置として、この特別認定がある、そういう事情でございます。
○谷村委員 その例外的に始まった特別認定候補者が、今や半分になっているわけですよね。
令和二年度で三千六百三十六人いらっしゃった。実際に何人か、数字を出してくださいよ、この特別認定で代替教員として任用された方。
○浅野人事部長 すみません。大変恐縮でございますが、今、手元に数字がないものでございますので、後ほど回答させていただければと思います。
○谷村委員 確認させていただきますが、選考試験によって都教委がつくった名簿の中で−−これが毎年三千人から四千人ですから、その程度の名簿があると思ってはいましたが、この特別認定候補者も入れて、それぐらいの数だという、しかも、半分は特別認定になっているという状況下で、ということは、実際に副校長先生の産休、育休代替教員の任用については、半分は名簿から探してやっているけれども、半分は自分たちの情報網にかかった人、こういう人がいるよ、こういう人がいいよ、あの人が前もやっていたよという情報をもらってやっているということですよね。
これは、その学校長だったり、副校長だったり、あるいは地教委の人事の担当だったり、そういう人が知り得ている人に対して特別認定候補者として声をかけているということですよね。違いますか。
○浅野人事部長 特別認定による任用者でございますけれども、その事情は様々なものがございまして、今、先生がご指摘になられたようなケースは、名簿による選考のケースでもあります。名簿によって能力実証された方でありますけれども、任用期間が一定程度あり、そして、その次の任用期間はいつというのも分かるので、その段階でいろんな学校が任用に向けての様々な計画を立てる、そういったこともございます。
○谷村委員 じゃ、特別認定候補者というのは、どういう形で人選しているんですか。はっきり説明してくださいよ。
選考名簿によってやっているのがそうだとおっしゃるのであれば、各学校はどうやって特別認定候補者というのを集めているんですか。どういう情報でやっているんですか。
○浅野人事部長 特別認定による候補者でございますけれども、繰り返しになって恐縮ですが、いろんなルートがございます。
また、先ほどもご答弁いたしたことの繰り返しになってしまうのですけれども、名簿から適任者が見つからない場合のために、都の方で特別認定の候補者というのもまた集めて、そちらの方も学校の方にご紹介するという、そういったこともやっております。
したがいまして、学校としては、そういったような、自分として特別に知り得たわけではないけれども、都教委からの情報によって任用するということも可能でございます。
○谷村委員 じゃ、都教委が試験を受けていない人を正式に認定名簿として出しているということですよね。ひどくないですか。じゃ、このための選考試験って何なんですか。
いや、教員免許があればいいんだと。選考試験をやっている必然性というのを、ちょっと論理的に説明してくださいよ。そうじゃない名簿の人を特別認定候補者として学校に紹介をしているというのであれば。
○浅野人事部長 誠に恐縮でございますが、私の説明が悪くて、本当に申し訳ありません。
臨時的任用教員の能力の実証でございますけれども、名簿による選考の方については、その名簿登載選考において能力を実証して、ちゃんと質の担保というものをやっており、特別認定の方につきましては、校長先生に学校で面談していただいて、その意見書を都教委に出してもらい、その意見書と本人から出してもらったものに、都教委でその資質を確認するということをやっているところでございまして、どちらの方も能力の担保といいますか、そこはちゃんとあるという点では、そこの部分は同一でございます。
○谷村委員 これは全く理解できないですよ。申し訳ないですけれども。
選考採用で名簿登載されている方も校長先生と面談するんでしょう、ちゃんと学校のニーズに合うかどうかという。そこでもニーズに合うかどうかの能力も確認するわけですよね。
何で、片や試験があって、片や試験が必要ないのか。試験を受けた人も紹介し、そうでない人も紹介するというのは、ダブルスタンダードじゃないですか。おかしくないですか。
○浅野人事部長 名簿から任用される方も、校長先生は任用前に学校で面接されますけれども、それは、何といいますか、採用選考としての面接ではなく、選考としての位置づけは、その前の名簿でやっているという、理論的にはそういう整理でございます。
また、特別認定の候補者名簿を都から送付している事情でございますけれども、産休、育休名簿選考は、年に一回やっておるところでございまして、その後に新たに臨時的任用教員をやってもいいなという方も当然いらっしゃいますので、そういった方も対象になりますので、そういった方が特別認定の方に入ってくるというものもございます。
○谷村委員 これはもう明確に改善していただきたいと思うんですが、じゃ、名簿登載された方で、選考試験を受けて名簿に登載された人は声がかからなくて、試験を受けないで、その名簿に別なルートで登載された人が任用されるというケースがありますか、ないですか。
○浅野人事部長 原則、名簿から任用するというのが大原則でございます。そして、その名簿でどうしても見つからないというときに、るるご説明申し上げております特別認定による任用のコースといいますか、ルートといいますか、それによるというものでございます。(谷村委員「だから、実態は半分だといっているじゃないですか」と呼ぶ)おっしゃるとおりです。はい。(谷村委員「半分採用しているのに、原則はないだろう」と呼ぶ)(「手を挙げて、手を挙げて」と呼ぶ者あり)
○谷村委員 改めて申し上げます。原則といいながらも、実態は半分は採用しているわけじゃないですか、選考試験を受けずに。その原則を大きくゆがめられているわけですよね。
あなたと繰り返し質疑をしてもしようがないですよ。教育長、これ、答えてくださいよ。おかしくないですか。
○藤田教育長 すみません。議論が少し、答弁等々、ちぐはぐになっておりますけれども、まず、大原則としては名簿登載方式。これは、名簿登載されるに当たっては、きちっと能力実証、選考という形でやって、合格をした者が名簿に載ります。
一方で、先ほど来、少しご説明がありましたけれども、居住地の関係であるとか、いろんなことで、なかなか名簿登載者から見つからないということが間々あります。なおかつ、名簿登載者が、数が潤沢に集まればよろしいのですが、そういうところも数が少ないというところがございますので、その代替的措置、例外的な措置として、特認という、特別認定の方にまいります。
その際も、いろんなルートで、この先生はというような情報をたくさん持っておりますので、都教委あるいは学校、地教委の方で持っていますので、そういった中から都教委の方からご紹介をする、名簿情報を差し上げる、あるいは、学校が独自に探すという中で、まずは校長の面接をやり、それは能力実証のための面接であって、その申請があって、都教委の方がそれを受けた形で選考という形で能力実証を最終的にはやって、任用になります。
ただ、全体としては、原則と例外というところの問題が非常にありまして、この産育代替の名簿登載方式を取りましたのは、もう大分、昭和の時期で、その後、急速に職員が高度成長期などでもたくさんの方が必要だということで、なかなか埋まらないときに、例外として特認制度が説かれてきたと。ただ、長年たつ間に、先生がおっしゃるように、どっちが原則で例外か分からないような運用になってきているのも事実でございます。
そういったことから、ただいまの議論をしておりましても、やはり対外的にも非常に分かりにくい部分もございますので、こうした二つの制度が併存していることについても、委員ご指摘のとおり、様々な課題が生じることもございますので、今後、学校現場の意見、何よりも現場の副校長先生の産育代替の教員を探すご苦労を軽減していくというのが一番の目的でございますし、そのためには、教職員の魅力を高めて名簿登載の教員を潤沢とまではいきませんけれども、そういった形を多く登録できるようにしたいと思いますので、この辺は、学校現場の意見も聞きながら、整理をして分かりやすい制度に改善していきたいというふうに思っております。
○谷村委員 結局、いろんなルートといういい方をされていますけれども、実際にはコネなんですよ。産休、育休代替教員を探している副校長先生に情報が入る人は、そのルートに乗っかるわけですよ。コネで入っているんですね、実態は。あるいは、地教委のそういう人事関係の人とか、こういう先生を知っているよとか、この先生が今年度まだ空いているよとか、それが半分で入ってきているわけじゃないですか。
片や、正規の試験を受けて名簿登載されて順番待ちをしている、片や、コネで入っているんですよ、半分も。そういう制度を−−これは、四人、五人いらっしゃる教育委員会の委員はご存じなんですか。教育委員会で、こういうことをやっていますという議論、議題に出されたことはあるのでしょうか。
○浅野人事部長 いろんな議案の中で、たまたま臨時的任用教員である教員をテーマとした議論をする際に、この教員は臨時的任用教員であるということは話題に上ることはありますが、臨時的任用教員制度とはどんなものなのか、どんなふうな任用で手続をやっているかということは、議論は最近はしていないと思います。
○谷村委員 これ、現状の制度を変えていただくために、きちんと−−コネで入っている半分と、選考試験を受けて名簿登載されている人と、本来、原則外として始まった制度がこういう状況にまでなっていると。
質問の趣旨は、副校長先生が大変な状況になっているというところ−−後も質問はありましたけれども、やめますが、副校長先生の負担が大変になっていると。それでどうするかといって、この名簿登載者の中で一人見つけるのに、百人以上当たっているというのが四%もいらっしゃるという事例もあるわけですから、そういう選考試験をやらないで済むんだったら、選考試験なんかやめちゃえばいいじゃないですか。学校長が面談して、その能力があるかどうかというのを確認できるというのであれば、選考試験なんか要らないじゃないですか。
そういうダブルスタンダードで任用されるとかされないとかという制度を続けていくことは、絶対に許されないと思います。
最後、その点だけ確認してください。
○浅野人事部長 委員ご指摘のとおりかと存じます。産休、育休代替教員の任用に当たりましては、選考に基づく名簿登載方式を基本としながらも、異なる方法として特別認定により選考していたこと、例外で始まったにもかかわらず、長年の過程の中で規模も大きくなってしまったことなど、現状の方法には課題があると認識してございます。現在の任用方法の在り方をしっかりと精査、総括していく必要があると考えております。
今後、学校における教員確保にも配慮しつつ、公正で使いやすい制度に改めてまいりたいと存じます。
○谷村委員 早急に改善、改革していただくことを望んで、求めまして、質問を終わります。
○とや委員 共産党のとやです。よろしくお願いします。
私からは、都教委における障害者雇用について伺っていきたいと思います。
障害者権利条約が二〇〇六年に国連に採択されて、今年で十五年がたちます。日本は二〇一四年にこの条約を批准していますが、条約では、働くことについても、障害に基づく差別の禁止、あらゆる形態の雇用に関わる全ての事柄、例えば採用、昇進、作業条件など、これらについて求めています。
日本では、条約批准に向けての対応として、障害者雇用促進法を、この間、何回か改正してきたわけですが、雇用の分野における障害を理由とした差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供義務を掲げて、二〇一六年四月に改正されて施行しています。一六年、この年には障害者差別解消法も施行されています。
ところが、この二年後に発覚したのが障害者雇用率の水増し問題です。中央省庁の八割が雇用している障害者の数を水増ししていることなどが分かりました。障害者当事者にとっては衝撃的な事件でした。そして、障害のある人と共に働くことの意義を根本から問うことにもなっています。障害者権利条約に立ち返って、その後の対応をきちんと確認をしていく必要があると思います。
この間、その水増し問題だけではなくて、障害者施設の殺傷事件や精神科病院での身体拘束、虐待事件などがありまして、障害者だけでなくて、社会全体をも揺るがす大問題も続いてきました。多くの障害を持つ人たちが自分らしく生き、働ける社会をつくることは、今とても重要だと思っています。
来月は障害者週間がありますので、この機会に障害者の雇用について伺っておきたいと思います。
障害者雇用促進法では、職業生活においても、障害者は経済活動をする労働者の一員として、本人の意思と能力を発揮して働くことができる機会を確保されることを目的として法改正が行われました。
東京都教育委員会は、この法改正を受けて、昨年度、障害者活躍推進計画を策定しております。
本年三月より法定雇用率が引上げになって、都道府県教育委員会では、この雇用率二・五%となっていますが、東京都教育委員会の障害者雇用率は、昨年度、そして今年度でどのようになっているでしょうか。また、全国の実雇用率平均と併せてお答えください。
○安部総務部長 昨年度の六月一日時点におきます都教育委員会の障害者雇用率は一・八六%であり、都道府県教育委員会全体の障害者雇用率は二・〇六%となっております。
今年度の障害者雇用率は、現在、算定中となっております。
○とや委員 昨年度は一・八六%ということでありました。今日お示しいただいた資料にも、時系列に五年分出していただいております。
厚生労働省の集計結果の資料、昨年度を見ましたら、都道府県等の教育委員会において、在籍している障害者の数は一万四千九百五十六人で、前年より一一%増加していて、実雇用率は二・〇五と。都道府県は二・〇六で、市町村教育委員会では二%というふうになっていました。
また、都道府県教育委員会は、四十七機関中十五の機関が法定雇用率を達成していると書いてありました。
東京都教育委員会として、達成に向けてどのような課題があるのか、あるいは、どうしたら達成するのか、達成できるのか、よく検討していく必要があると思います。
一方、障害者の水増しの問題が発覚した際に、障害者雇用促進法改正案が審議を国会でされていたのですが、ここの参考人質疑が非常に印象的でした。
このとき、全日本視覚障害者協議会の田中代表理事が、障害者雇用の水増しの根底には、国による障害者差別、排除の考え方があるというふうにおっしゃいました。徹底した検証を求めています。同時に、単なる数合わせになってはいけないというふうにおっしゃいました。今後も障害者権利条約に沿った抜本的な見直しを行うよう求めています。
そこで伺いますが、都教委として、障害のある教職員あるいは事務職など、障害者の雇用の重要性についてどのように認識していらっしゃるか、お答えください。
○安部総務部長 都教育委員会として障害者雇用を進めることは、障害のある人が自らの適性に応じ、能力を最大限に発揮して活躍できる社会を実現するだけでなく、障害のある教職員との関わりが、児童生徒にとって共生社会に関する自己の考えを広げる教育機会となると考えております。
○とや委員 障害のある方々が活躍する社会の実現、そして、共生社会を広げる教育機会にもなるというお答えでしたが、これ、私、とても重要な認識だと思っています。ぜひ大切にして、障害のある方々の雇用を進めていただきたいと思います。
東京都教育委員会の雇用する職場では、公立小中学校や都立学校などで働く教員をはじめ、様々な職種の方が就労をしていますが、障害者雇用ではどのような取組を行っているのか、教員、その他の職種、それぞれお答えください。
○安部総務部長 都教育委員会では、教員採用選考における障害に配慮した選考の実施をはじめ、チャレンジ雇用や教育庁サポートオフィスにおいて事務補助などを担う非常勤職員として障害者雇用を進めております。
また、令和三年度から、教育庁サポートオフィスで一定の勤務実績のある者を選考いたしまして、常勤職員として正式任用する取組も実施しております。
○とや委員 一二年から始まった東京都教育委員会版のチャレンジ雇用では、知的障害者と精神障害者を教育事務補助員として雇用して、就職に必要な力をさらに高め、雇用期間は三年間と聞いています。
それでは、チャレンジ雇用における教育事務補助員の実績について伺います。また、障害の種別についてもお答えください。
○安部総務部長 チャレンジ雇用におけます教育事務補助員の雇用実績は、令和三年度十一月一日現在、四十九人でございます。そのうち、知的障害のある職員が二十三名、精神障害のある職員が二十六名となっております。
○とや委員 今、私、申し上げたのですけれども、この事業を開始して以来、障害をお持ちの方から、いろいろ問合せも寄せられてきました。ここで働きたいという方々もいたし、自分の就労の機会のチャンスになるだろうかと、そういった声もお聞きしてきました。
この制度自体、民間の企業などでの就労のステップアップとして、さらに充実をしていただきたいと思いますが、この就労は、先ほど申し上げたように、知的障害の方と精神障害の方のみで、身体障害の方を対象にしていません。その理由をお答えください。
○安部総務部長 東京都教育委員会におけますチャレンジ雇用事業は、精神障害もしくは知的障害のある方の就職に向けた力を高めることを目的として実施しているものでございます。
○とや委員 精神と知的の方の就職に向けた力を高めるということが目的ということなんですが、例えば、私、全国全てではないのですけれども、調べたところ、長野県では、チャレンジ雇用も三障害を対象にしていて、週二十時間未満の勤務を希望する人も対象にしています。教育委員会の中では、学校の事務室などで勤務して、様々なコミュニケーションをやりながら、悩みも抱えながら働いているというお話でした。そして、昨年は、ここは実雇用率が二・八八%を達成しています。
東京では、肢体不自由特別支援学校の保護者からは、学校で身につけた学習の成果が、就労場所が足らないために就業と結びつけられていない、チャレンジ雇用制度の対象にぜひ肢体不自由者を加えてください、こう要望が上がっています。
都教委は、この要望に対して、教育庁サポートオフィスが知的、精神、身体のある方を教育事務サポーターとして雇用しているとお答えになっています。同時に、障害に配慮した職場環境と仕事内容、支援体制を確保し、誰もが働きやすい環境を整備すると答えていらっしゃいます。
身体に障害を持つ人にも、ぜひチャレンジ雇用についても門戸を開いていただくよう求めておきます。
次に、今、述べた教育庁サポートオフィス、パレットについて伺います。
都教育委員会では、二〇一八年からパレットを開設して、障害の種別を問わず一般就労として雇用する会計年度職員の雇用を開始しています。
先日、私もパレットに伺わせていただいて、明るい雰囲気のあるオフィスで働く皆さんの様子も拝見させていただきました。
まず伺いたいのが、パレットの教育事務サポーターの仕事内容、雇用実績について教えてください。
○安部総務部長 教育庁サポートオフィス、パレットに勤務する教育事務サポーターの仕事内容ですが、教育庁の常勤職員の業務のうち、人事給与や印刷物製本など複雑で高度な業務から、各種庶務的な事務や軽作業、環境整備などに関する業務となっております。
雇用実績は、令和三年十一月一日現在、九十一名となっております。
○とや委員 私、実は、この障害者の方々の雇用問題については、計画が出た際に質疑させていただいたんですね。このときに、ぜひ正規雇用の道をつくってほしいというふうに求めさせていただきました。今年度から正規雇用を始めていただいたというふうに思っているのですけれども、これ自体は、すごくよかったなと思っています。
先ほど紹介した障害者の権利条約では、二十七条で、障害者にとって利用しやすい労働市場及び労働環境において、障害者が自由に選択し、または承諾する労働によって生計を立てる機会を有する権利を含むという文言が入っています。そういう意味でも、生計を立てるための糧になる労働環境、労働について、やっぱりその道を開くということはとても大事だと思っています。
この正規雇用についてなんですが、今年度の予算は何人分組んだのか、また、募集と選考人数、採用数についてお答えください。
○安部総務部長 令和三年度におきましては、十八人分の人件費を計上しております。
また、選考案内上の採用予定者数は十名程度、受験者は十六名、採用数は六名となっております。
○とや委員 十八名分の人件費を組んだということですが、なぜ採用の予定人数が十名なのか、ちょっと分からないのですが、ここはちょっと納得いかないところです。しかも、実際は六名しか採用をしていません。
正規雇用に当たって、お聞きしたところ、一年以上勤務していること、週三十五時間以上勤務していることが、教育庁が定めた受験の要件というふうにお聞きしました。これらをクリアしている方々が受験していることを考慮すれば、人件費として計上した人数は、定数ですから、全て採用していただきたかったというふうに思います。今回は受験者が十六名ですから、十六名全員採用するべきだったのではないかと申し上げます。
今年の法定雇用率は、先ほど質問したところ、集計中ということですが、今年の三月に二・四%から二・五%に引き上がりました。子供の数の増加に応じて教職員も増えて分母が大きくなった分、雇用率がまた下がってしまうということも想定されます。
この五年間のデータを見ても、なかなか都の教育委員会での実雇用率を上げるというのは非常に難しいのかなというふうには思っているのですが、努力していただきたいし、東京都教育委員会は、障害者活躍推進計画で、二〇二四年六月一日時点で雇用率を二・六%に上げていく、達成するという目標も掲げております。
これらの目標を達成するために、計画に掲げられた目標を達成するためにどのような取組を行っていきますか。
○安部総務部長 障害に配慮した教員採用選考の実施に加えまして、先ほどから申し上げておりますチャレンジ雇用でありますとか教育庁サポートオフィスにおきまして、障害のある方を非常勤として雇用すること、それと、やはり一定の勤務実績のある方を常勤職員として正式任用していくことなど、こうしたことを、障害の特性に応じた多様な形態による雇用を予定しております。
○とや委員 いただいた資料を見ますと、法定雇用率達成のために、昨年度は二百六十三・五人必要だったということになっています。今年度は、まだ集計中だから分からないということですが、これ自体、非常に高いハードルなのかなと思います。
計画目標である二・六%を達成するには、さらに多くの雇用が必要になります。それだけに、より働きやすい魅力的な職場環境とする必要があると思います。
介助者を活用する場合の費用について、これも昨年質問させていただいたのですが、身体障害を持っている人たちが介助者を活用して通勤する、あるいは職場で介助をお願いする、その場合の、例えば負担軽減を図る必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
○安部総務部長 通勤手当につきましては、条例等に基づき、職員本人の通勤に要する経費を支給することとなっております。このため、通勤に介助者を同行した場合に係る費用は、ご本人のご負担となっているところでございます。
それと、職場におきましては、私ども、非常勤の方に支援員をつけて業務の支援を行っているところでございます。
○とや委員 昨年伺ったときとほぼ同じの答弁なんですが、介助が必要な人が仕事をする場合、通勤には、今、移動支援は使えません。介助費も自己負担です。そのため、最初から就労から排除されているという人も多くいらっしゃいます。これは、障害者権利条約にも、合理的配慮からも逸脱しているのではないかというふうに思います。
支援員というお話がありましたが、それは五人に一人つけているインストラクターのことだと思うのですけれども、そのインストラクターの方が身体障害をお持ちの方の介助をするということにはならないと思います。そこは指摘しておきたいと思います。
国の労働政策審議会の障害者雇用分科会では、通勤や職場等における支援の在り方について議論が行われています。その中では、雇用と福祉の一体的展開の下、切れ目のない就労支援策として提供されることを目指し、検討を深めていくべきだとしています。
国も、障害のある方、特に重度の方も含めて障害を持っている方が働くには、現在は支援は不十分であるということを認めています。
通勤や職場での介助者の配置に関わる費用、せめて費用を、当面、都として支給して、希望する方々が就労する機会を提供できるということを検討していただきたいということを求めておきます。
もう一つは、障害の種別や障害の重さ、特性に合った仕事を開拓していく必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
○安部総務部長 都教育委員会では、障害者の方の雇用を拡大するに伴いまして、これまで障害特性等に配慮した職域の拡大を図っているところでございます。
○とや委員 障害特性に配慮しつつ職域の拡大を図るということですが、例えばどのような職域の拡大を図っていらっしゃるのでしょうか。
○安部総務部長 業務といたしましては、印刷などの簡易な業務から報告書などの製本、あとは説明会のアンケートの集計ですとか、各種会議の議事録作成など、ちょっと複雑な、高度な業務まであります。そうした業務の中から、一人一人の障害特性や能力に応じて業務を分担していただいております。
また、現在では職場の清掃であるとか消毒作業、あとは、今、コロナウイルスのホテル療養施設における備品整備など、多岐にわたり業務を広げているところでございます。
○とや委員 今おっしゃっていただいた様々な職域、職種、種類、仕事の内容は、これまで皆さんがご努力して拡大をしてきてくださったんじゃないかと思うわけです。
それ以外のところもやっぱり拡大していかないと、とてもとても目標は達成できないし、長く勤めるという意味でも安心して働ける、障害特性に応じた職場環境という意味でも、さらなる職域の拡大が必要だというふうに思います。ぜひ、ここはさらなる努力をしていただきたいということを求めておきます。
障害のある方に長く勤務していただくためにどのような工夫をしているのか、お答えください。
○安部総務部長 これまで、障害特性に応じました施設整備のこういったハード面の整備、あと、支援職員の配置や相談体制、人材育成などのソフト面の環境整備を行ってきているところでございます。
○とや委員 全国手をつなぐ育成会連合会の副会長さん、小出さんとおっしゃるのですが、障害の特性に応じた職場環境整備の重要性を挙げて、せっかく入った人が途中で辞めたりすることのないようにしてもらいたいと述べていらっしゃいます。正規化をはじめとする処遇の改善は、ますます重要だと思います。
また、社会福祉士などの資格を持つ、先ほどおっしゃったインストラクターですね、現在、五対一で配置していらっしゃいます。仕事の調整あるいは相談をすることが、障害を持っている人たちが安心して長く就労する保障にもなります。
そして、そのインストラクターの皆さんも、実は会計年度職員であります。こうした人たちも含めて正規化への道をつくり、安定した生活基盤をつくれるということが長く働けることにつながるんじゃないかと思いますので、併せて処遇改善を求めていきたいと思います。
先ほど来、紹介させていただいた障害者権利条約では、障害者が全ての人権及び基本的自由を差別なしに完全に享有することを保障することが必要であると再確認したいといっています。直接差別、間接差別、合理的配慮の否定は差別に当たるともいっています。
東京都教育委員会として、障害をお持ちの方が、その重さや種別で差別されることなく、働くこと自体、自立した生活と自己実現の手段としても実感できるような職場を目指していただきたいということを求めて、質問を終わります。ありがとうございました。
○白戸委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間の休憩をいたします。
午後三時二十九分休憩
午後三時五十分開議
○白戸委員長 休憩前に引き続き委員会を開催いたします。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○風間委員 子供たちの学びを保障するという観点から質問をしてまいりますけれども、子供たちの学びの環境を支えている学校現場の先生方には心より敬意を表すところであり、その先生方の働く環境を整えていくということが大変に重要なのだと思っています。
一方で、あまりにも多忙であったり、中にはブラックだというような話も出てきたりということで、先生方の成り手が年々減っているというような報道にも接し、こういった状況を何とか改善していかなければならないなという問題意識を持っているところでもあります。
現場の先生が必死に、日々、子供たちと向き合っている状況で、少しでも多くの時間、子供たちに向き合って、子供たちに学びとなるような影響を与えてほしいなと思う一方で、職員室の中での業務に追われて帰る時間が遅くなってしまうというようなこと、こんな話も先生方から聞いているところであります。
先ほど、谷村委員からの質疑によって明らかになったことが多々あり、私も大変驚きました。先日、地元の学校の校長先生と、毎年のように産休、育休となって、担任の先生がいないというような状況を見てきたものですから、その先生方が、校長先生が、一件一件、リストの中から電話をかけて、それでもなかなか見つからないというような状況も、ほかの校長先生からも話を伺っていたところですから、相当に苦労されていると。
それがどうして改善していかないんだろうと疑問に思っていたところでありますけれども、先ほどの谷村委員の、ほかのご質問をやめてでも行われた細かな追及によって明らかになったことは、まさにこれから、採用に関して、または代替教員の在り方ということについて見直していく大きな機会になったと思います。
私もこの分野の質問を予定しておりましたので、事前にやり取りをさせていただきましたので、その観点から、まずは質問させていただこうと思います。
まず、リストがあるということで、一件一件電話をする。しかし、もう決まっているという答えがかなり多くあるという話を先生からも聞いているところであります。なぜこのようなことが発生してしまうのか。
または、そこで幾らかけてもつながらない、もう決まってしまった、もしくは、もうほかの仕事が決まってしまっただとか、そういう状況にもかかわらず名簿が更新されないという状況も問題だと思いますし、そうなってきた際に、先ほどのお話があったように、特別認定ですか、そういったことにもつながっていくのだろうなと。
そろそろ根本的に代替教員の在り方というものを見直していくべきではないかと思うのですが、都の教育委員会の認識を教えてください。
○浅野人事部長 産休、育休代替教員制度の任用制度でございますけれども、今後、学校における教員確保にも配慮しつつ、公正で使いやすい制度に改めてまいりたいと思っております。
○風間委員 改めていくというお話がありましたので、ぜひ具体的に提言もしていきたいと思うのですが、まずリストについて、このリストが電子化もされているというお話も伺いましたけれども、既に決まっている方に重複して連絡をしてしまうケースというのが多々ある。連絡したのに、もう決まってしまった。
これ、学校管理職、忙しい副校長先生や校長先生が、限られた時間の中で時間を見つけて電話をして探している。こういった状況で、なおも担任が見つからないまま、副校長先生が担任を兼ねているなんていうケースが私の地元なんかでは結構あるんです。こういったロスを解消していくということも、即取り組んでいかなければならないことだと思います。
東京都全体でDXも進めていることですから、既にアプローチ済みで話が進んでいる方がリストの中にいるようであれば、そういったフラグを立てて、そこに電話しないようにすればいいだけのことだと思いますけれども、こういった技術も駆使しながらリストを充実させていく。
先ほど谷村委員からもお話がありましたように、採用面接をする、しないを含めてですけれども、このリストの充実というのが大変重要だと思うのですけれども、こういったことも含めて検討していくつもりがないのか、伺います。
○浅野人事部長 都教育委員会でございますが、産休、育休代替教員について、毎年、採用候補者選考を行い、名簿を区市町村教育委員会等に提供してございます。
また、さらなる採用候補者の確保に向け、退職教員や教職課程を有する大学などへの広報活動を積極的に行うとともに、ハローワークと連携して、教員免許所持者への周知を図るなどの取組を行っております。
引き続き、学校が必要とする人材を円滑に任用できるよう、候補者の確保に努めてまいります。
○風間委員 それは努めていくのでしょうけれども、私が伺ったのは、そういったデジタルを駆使して現場の校長先生、副校長先生の無駄な業務を省いていくという考えは東京都の教育委員会にあるのか、今後そういったことを進めていくべきではないかという伺いをしたのですけれども、それについてはいかがですか。
○浅野人事部長 教員の負担軽減のためには、様々な取組がございます。働き方改革の取組でございます。そういったことも行いながら、教員の負担の軽減に努めてまいりたいと存じます。
なお、産休、育休代替教員制度の任用でございますが、今後、公正で使いやすい制度に改めてまいりたいと存じます。
○風間委員 具体的な取組の改善を期待していますけれども、そういった現場の校長先生の忙しさなどを見ているからか、例えば男性教員が育休を取りたいなと思っていても、なかなか声を上げにくいというような声も耳にするところです。
実際に男性の育児休業の取得というのはどのような状況なのか、教えてください。
○黒田人事企画担当部長 令和元年度における都内公立学校に勤務する男性教育職員の育児休業取得率は八・一%となっています。
○風間委員 八・一%という数字が育休を取れる男性教員の中での比率なのだとすれば、少し低いなあという印象を持ちますけれども、例えば東京都の職員全体の育児休業取得率と比べても、やっぱり少し低いのではないかなと思います。
しかし、働き方改革やジェンダー平等という観点からいきますと、男性の育児休業取得ということは、もっともっと取りやすい環境をつくっていかなければならないと思いますけれども、都の教育委員会としては、この辺り、どのような見解を持って取組を進めているのか、教えてください。
○黒田人事企画担当部長 総務局が男性職員に対し実施した調査では、育児休業を取得しやすい職場の雰囲気の醸成を求める声が最も多い結果となっております。このことを踏まえまして、都教育委員会では、管理職に対して、職務として男性教育職員の育児休業取得促進に係る取組を行うよう求めております。
また、男性教育職員に対しては、育児プランニングシートを活用した管理職との面談を通して育児参加を促進するとともに、パパ職員ガイドブックの配布を行っております。
こうした取組により、男性教育職員が育児休業を取得しやすい職場づくりを推進してまいります。
○風間委員 ぜひ進めていただくように、そこは求めておきます。
産休、育休代替教員に限らずですけれども、先ほど申し上げたように、教員の確保ということが大変な課題だと認識していますけれども、例えば新年度になったときに、クラスが予定よりも増えてしまったということで、四月当初、クラスが急遽増えた場合などに予定していた人数を超えてしまうということから、手配できなかった事例みたいなことを現場から耳にすることもあるわけですけれども、こういったことにどのように対策を取っているのか、教えてください。
○浅野人事部長 年度当初に必要とすると見込んだ教員数が、実際に必要となった教員数と異なる場合もございます。
こうした場合、教員採用選考の結果、不合格となった者のうち、成績が上位で希望する者を期限付任用教員候補者名簿に登載し、欠員が生じたときは必要に応じて任用してございます。
○風間委員 ということは、四月当初、クラス編制をした際には、教員が予定よりも必要だという状況でも、四月の一週間後、学校が始まるときには担任の先生がいないということはないというような状況がきちんと確保されているということでよろしいですか。
○浅野人事部長 例えば、令和三年四月七日時点の小学校の欠員は十九名ございましたが、これらは期限付名簿登載者から任用して配置してございます。
○風間委員 そのような形で、担任の先生がいない、学校の先生が足りない状況は回避されているということが確認できたので、安心しました。
いずれにしても、教員の確保ということが非常に重要な課題となってきている中で、先ほど申し上げましたように、教員の確保、特に東京都は、報道等によっても、かなり困難を極めた時代もあるということですけれども、この質と量の確保ということについては頭を悩ませていることなのだと思います。
実際に今年度の採用状況等について状況を教えてください。
○浅野人事部長 令和四年度採用の教員採用候補者選考の受験者数は八千六百七名、名簿登載者数は二千六百五十名、受験倍率は三・二倍でございました。
過去三年間の受験倍率は、二・七倍から三・〇倍で推移してございます。
○風間委員 少し倍率も上がってきて、状況は改善されているのかと思いますけれども、危険水域といわれる二倍を切るような状況というのは、特に小学校の教員ということにおいては、まだまだ懸念があるのではないかなと感じているところでもあるわけですけれども、一方で、高倍率の職種といいますか、中学、高校の教員などは倍率も高いと認識しておりますけれども、小学校の教員という意味でいいますと、この危険水域を脱しているという状況なのかどうか、都教育委員会の見解を教えてください。
○浅野人事部長 選考倍率、受験倍率でございますが、若干の改善は見られるものの、依然として厳しい状況が続いていると認識してございます。
○風間委員 今後、少子化も進むという見込みの中で、小学校の教員養成というところも、なかなか増やすことのできない状況ということは重々承知しておりますが、一方で、地方に、地元に帰って、同じ小学校教員をやるのであれば地元に貢献したいというような学生たちからの声も聞いたことがあります。
東京都としては、依然として厳しい状況なのだと思いますが、特に小学校の教員採用ということについてどのような工夫をされているのか、ぜひ教えてください。
○浅野人事部長 これまで都教育委員会は、受験者を拡大するため、教員志望者への説明会や相談会、現職教員の声などを伝えるパンフレットを活用した広報活動などを行ってまいりました。
受験者の確保に向け、引き続きPRに努めてまいります。
○風間委員 学校現場の多忙さということに加えて、その多忙から来るストレスも含めてかもしれませんけれども、学校現場におけるハラスメント行為ということが度々報じられているところでもありますし、セクハラやパワハラということに加えて、先ほどの産休というところに関係してくるマタハラというような行為についても度々耳にするところであります。
こういったことを、東京都教育委員会として、現状、どれほど実態があるのかということを把握されているか、教えてください。
○浅野人事部長 都教育委員会では、学校経営支援センターにセクハラ、マタハラ、パワハラについての相談窓口を設置し、都立学校に勤務する教職員からの相談を受け付けております。
令和二年度にセクハラ、マタハラの相談はございませんでしたが、パワハラ相談を五十三件受け付けました。
区市町村立学校では、区市町村教育委員会が設置した相談窓口等で相談を受け付けてございます。
○風間委員 私、地元世田谷でも、セクハラの案件等々は、報告を区の教育委員会から年々受けてきているところですので、区市町村立学校内でも、そういった行為は、ある程度、まだまだあるんだろうなということは想定できます。
この防止策についてはどのように取り組んでいるのか、教えてください。
○浅野人事部長 都教育委員会は、ハラスメントの防止のため、年二回、服務の厳正に関する通知において、都立学校長に対し、自らを厳しく律するとともに、教職員へ十分に指導を行い、未然防止に取り組むよう促しております。
区市町村教育委員会にも、この旨を周知してございます。
○風間委員 働きやすい環境を確保するという意味で、このハラスメント行為が、学校現場で、大人の間で行われないように、今後も徹底をお願いしておきます。
学校現場の多忙化の解消という観点から質問を進めていきますけれども、スクールサポートスタッフについては、希望する学校でほぼ配置できている状況というところから、地元の学校からも、かなり助かっているというようなお話も伺っているところであります。
一方で、先ほどもお話がありましたように、学校のマネジメントの核となる副校長先生に業務が集中しているということについては、先ほども上げましたように、場合によっては、教壇に立ち、担任も行わなければならないということに加えて、事務処理業務などの業務負荷がかなり高いというような状況から、副校長補佐職が非常に鍵を握っているんだろうなと思います。
この配置状況について、現状と今後の予定について教えてください。
○浅野人事部長 副校長の負担を軽減し、学校経営等に集中できる環境を整備するため、平成二十九年度から、副校長を補佐する非常勤職員を学校に配置する学校マネジメント強化モデル事業を実施してございます。
今後とも、区市町村の要望を踏まえた支援を行ってまいります。
○風間委員 伺ったのは、現状、どの程度行われていて、今後どのように拡大していけるのかということについて伺ったのですけれども、教えていただけますか。
○浅野人事部長 学校マネジメント強化モデル事業の実績でございますが、令和二年度は、区市町村立が四百七十六校、都立は四十校でございます。
今後につきましては、区市町村の要望を踏まえた支援を行ってまいります。
○風間委員 副校長先生からお話を伺っていたところ、配置できている学校、できていない学校、まだ現状としてあるものの、ある学校の先生からは大変に助かっているという話を伺いますので、今後、希望する学校にはぜひ配置をしていけるように求めておきます。
学校現場の多忙化という観点については、スクールサポートスタッフの配置によって、かなり解消しているという声も聞きます。先日、教育庁から話を伺った際には、学校生活支援型というようなスクールサポートスタッフも、今後モデル事業で展開していくということですので、学校多忙化解消に向けて進めていくことを期待しております。
スクールサポートスタッフの配置に加えてですけれども、コロナ対応で学校現場がさらに多忙化が進んでいる。除菌や検温などを含めて、コロナ対応で先生方がこれまで以上にやらなければならないことも増えてきているということを伺います。
これについて、スクールサポートスタッフの方々には、申し訳なくてお願いできないというような声も聞こえてくるところでありますけれども、こういったコロナ対応とスクールサポートスタッフの関係について、都教育委員会としてはどのような位置づけにされているのか、確認させてください。
○浅野人事部長 新型コロナウイルス感染症対策のための消毒作業や健康観察の補助などの業務については、教員の負担軽減を図るため、スクールサポートスタッフの活用が可能でございます。
このことについて、都教育委員会は区市町村教育委員会へ周知してございます。
○風間委員 学校の多忙化の一つの要因としては、保護者対応というものも入ってくるのだろうと認識しています。様々な保護者からの相談なども学校管理職が対応しているようなケースも多々ありますし、場合によっては、こじれて裁判沙汰になっているなどというケースも、これまで地元の教育委員会からの報告でも確認をしてきたところであります。
こういったことにきちんと法的な対応が必要なときに、スクールローヤーという制度等もあるかと思いますけれども、現状、このスクールローヤーの配置や、法律の専門家が学校現場をサポートするという体制について、どのような状況なのかを教えてください。
○藤井指導部長 都教育委員会が区市町村等に対して行った調査によれば、令和二年度は、五十五の自治体で弁護士を活用した学校法律相談体制を設置しております。
都教育委員会では、学校、保護者等からの相談に対して、必要に応じて弁護士等の意見を活用し、公平、中立な立場で助言する学校問題解決サポートセンターを教育相談センター内に設置しており、区市町村教育委員会や学校に活用を促しております。令和二年度は、学校、区市町村教育委員会からの相談は四十件でございました。
また、都の政策連携団体であるTEPROに学校法律相談デスクを設置し、都立学校で生じる様々な問題の解決に向け、支援を行っております。令和二年度は、都立学校からの相談は八十八件でございました。
今後とも、都教育委員会は、学校問題解決サポートセンターやTEPRO、学校法律相談デスクを学校等が活用できるよう周知をしてまいります。
○風間委員 今お話がありましたTEPRO、東京学校支援機構というんでしょうかね、こういったところとも連携して法律相談等も行っているというようなお話を伺いました。
このTEPROでは、人材バンクということで、学校の多忙化解消に貢献をされているというようなことでありますけれども、この法律相談以外にはどのような実績が今のところあるのでしょうか。
○岩野企画調整担当部長 TEPROの実績でございますが、TEPRO Supporter Bankという人材バンクがございます。こちらは、学習支援や部活動支援など、教育活動を支える外部人材を学校のニーズに応じて紹介する事業でございます。サポーターには、企業OBや学生、地域の方々など、学校支援に意欲のある方が登録しております。
この事業では、例えば、教員免許の必要のないスクールサポートスタッフやICT支援などの人材の紹介を行っております。
具体的には、スクールサポートスタッフにつきましては、令和二年度に、学校等から八百四十五人の求人があり、それに対して五百四十人のサポーターを紹介し、百三十人の採用がございました。
引き続き、TEPROと連携を図り、学校ニーズに応じた適切な外部人材を確保し、教員の負担軽減と学校教育の充実に努めてまいります。
○風間委員 今のお話によりますと、かなり、そういった外部機関といいますか、委託をすることによって、必要な人材の確保が学校現場にマッチングできているというようなことなのだと思いました。
冒頭に触れました産休代替となりますと、教員免許保持者というようなことになってきますので、なかなか難しい面もあろうかと思いますけれども、こういったマッチングの業務に関しては、そういった外部のリソースも活用しながら、学校現場の多忙化解消に向けて東京都教育委員会一丸となって取り組んでいくことを求めていくところであります。
最後に、このように公立小中学校の教育というのが、今や市区によってもかなり特色があるような状況であり、教員の異動によって自治体をまたぐことによる問題点、課題なんかもあろうかと思います。
採用面に関しても、先ほどのお話にもありましたように、居住地によってお断りがあったりというようなことも耳にしているところでありますが、地域に根差した教育を進めるためにも、市区の職員同様に、採用を含む人事権の移譲ということについて、東京都教育委員会としても検討を進めるというような時期ではないかと思いますが、見解を問います。
○黒田人事企画担当部長 公立小中学校教員の人事権移譲につきましては、区市町村によって賛否両論があり、移譲が行われる場合には、必要な法改正がなされた上で、地方分権の観点から、義務教育の実施主体である全ての区市町村に給与負担と併せて移譲されるべきであります。
加えて、教員の採用、異動、昇任等について不均衡を生じさせないよう、広域的な調整を図る仕組みや、区市町村が給与負担をするための適切な財源の確保が不可欠であります。
都教育委員会では、今後とも、人事権の移譲に係る国の動向について注視してまいります。
○風間委員 学校現場の多忙化解消ということについて何点か確認させていただきましたけれども、引き続き多忙化解消に向けて取組を進めていくことを期待しています。
続いて、子どもの権利条約にのっとった子供の権利確保が東京都内の学校現場で確保できているのかという視点から、幾つか質問を進めてまいります。
二〇一九年一月に、国連子どもの権利委員会で日本の状況が審査されたことは、多くの皆さんが知っているかと思いますけれども、ここで多岐にわたる勧告があった、改善すべき課題があったということなのだと捉えております。
子供の権利を守る取組は国全体で取り組んでいく必要が当然ありますけれども、特に子供たちが多くの時間を過ごす学校現場、国がなかなか進めていかないということなのであれば、この首都東京において、子供の権利を確保するということについて、東京都の教育委員会として取組を進めていく必要があるのではないかという観点から、幾つか質問を行います。
現状、都の教育、東京都内での教育現場においては、都教委では人権教育の推進という形で掲げておりますけれども、子どもの権利条約ということにのっとって、この取組を進めていくという文言は、私が確認した中ではなかったわけですけれども、こういった観点から、東京都内の公立学校の現場は子どもの権利条約にのっとっているといえる状況かどうかを伺います。
○藤井指導部長 児童生徒に自他の権利を尊重する態度を養うためには、指導する教員が人権教育について正しく理解することが必要でございます。
そのため、都教育委員会は、都内公立学校の全教員に配布している、人権教育の実践的な手引である人権教育プログラムを活用し、教育活動全体を通じて、児童生徒が基本的人権について理解が深められるようにしております。
○風間委員 例えば、私の地元世田谷区の学校の中には、子どもの権利条約ということについてのポスターが学校の中に掲示されていて、子供たちが自分たちは守られている存在なんだということが周知されるような取組が行われていたりするんですね。
こういった、子供たち自身が自分たちは守られている存在なんだということをきちんと知っていくということがまずは重要だろうなと思うのですけれども、都の教育委員会としては、東京都内の全域で、こういった子供の権利の周知について何か取り組んでいるというようなことはないのでしょうか。
○藤井指導部長 子どもの権利条約については、特にその内容について、例えば小学校及び中学校では社会科で、高等学校では公民科及び家庭科などで取り上げて学習をしております。具体的には、社会科や公民科において基本的人権の保障について考える際に、併せて、子どもの権利条約に定められた権利等について学習しております。
今後とも、学校教育のあらゆる機会を通じて、児童生徒に権利及び義務をともに正しく理解させることができるよう、各学校を指導してまいります。
○風間委員 国連の勧告の中には、外国にルーツのある子供たちの権利保障ということも勧告が出されていたりするわけですけれども、東京都内の学校現場において、外国にルーツのある子供たちの支援策ということについては十分な状況といえるのかどうか、確認させてください。
○藤井指導部長 都教育委員会は、都立高校入学選抜において、在京外国人生徒を対象とする募集を設定しており、令和四年度は八校で百五十五人の募集枠を設定するなど、就学機会の確保に取り組んでおります。
また、区市町村教育委員会に対して、日本語指導のための資料や教材の作成、配布、日本語学級設置校や日本語指導が必要な子供が多く在籍する学校への教員の加配などを行っております。
○風間委員 各区市町村の教育委員会ごとに取組も進めていることは承知していますけれども、こういった、各自治体によっても取組に多少のばらつきがあるということで、例えば外国にルーツのある子供が、なかなか日本語の理解が進まずに進学を諦めているケースがあるのではないかというような懸念もありますので、引き続き、都教育委員会としても東京都全体の取組が進んでいくように求めておきます。
次に、子供の権利侵害という意味でいいますと、なかなかなくならない教員による不適切な指導、体罰といったところが毎年報告をされているような状況であり、まだまだ完全にはなくなっていない状況だということについては大変に残念な思いを、毎年、報告を見るたびにしているところであります。
こういった不適切な指導だとか、場合によっては言葉による暴力で子供たちが傷ついているケース、または、これは東京に限ることではありませんけれども、報道等によれば恋愛感情を利用した性暴力なども含めて、学校現場にあってはならないというものだと考えます。
現状、都教育委員会としては、こういった不適切な指導も含めて、どのような対策を行っているのか、改めて確認させてください。
○浅野人事部長 子供を指導する立場にある教員が不適切な指導等を行うことはあってはならず、防止に取り組む必要があると考えております。
都教育委員会では、全ての教職員向けに服務に関する指針等をまとめたガイドラインを作成し、その中で、児童生徒等との関係、立場を利用した不適切な行為や体罰等について、教職員が取るべき具体的な行動例等を示しております。
また、年二回、服務事故防止月間を定め、都内全ての公立学校等において、教職員に対して意識啓発を行っております。
○風間委員 研修等でも行っていることとは思いますけれども、感情的になったときにとっさに口に出してしまうとか、手が上がるということは、もうほとんどなくなってきたのかもしれませんけれども、そういった状況がまだまだ、なくならない状況なのだと思いますので、研修一本やりで、なくならないのではないかという懸念もありますので、都教育委員会としても、東京都内でこういったことが再発しないように、さらに取組を進めてもらえればと思います。
子供の権利侵害という意味でいいますと、この東京都の、都議会でのやり取りの中から注目されましたのは、校則の問題が挙げられるのかと思います。
頭髪や下着の強制などによる校則ということで、子供の人権侵害とも指摘されるようなことがこれまでにもあったわけですけれども、この改善に向けて、都教育委員会としてどのように取り組んでいるのかを確認させてください。
○藤井指導部長 学校は、子供の人権を尊重する視点を踏まえ、教育目標や生徒の実態等に応じて、校長の権限と責任において校則を定めております。
都教育委員会は、本年四月、全都立高等学校に対して、学校の実情や生徒の意見等を踏まえ、自校の校則等を点検し、必要な見直しを行うよう通知をいたしました。
内容としては、生徒の人権を保障したものであること、社会通念上、合理的と認められる範囲であること等の視点で点検し、また、生徒や教職員等が話し合う機会を持つなどの過程を経て見直すよう、周知をしております。
○風間委員 学校の校則の問題については、時代の変化に伴って見直していく取組が進んでいるということを今確認したところでありますけれども、かつてはやはり、問題を抱えている生徒に対して指導する上では、校則があった方が指導しやすいというようなこともあったのかもしれませんけれども、主権者教育の一環として、今、校則自体も自分たちで一緒に考えていこうと、ルールメーキングプロジェクトが全国的にも進み始めていたりもします。
自分たちが生活する空間をどのようなルールを設けていくのかということを、生徒自身が一緒に考えてつくっていくと。自分たちがつくったものに関しては自分たちで守っていこうという、こういった取組が進んでいたりもしますので、ぜひ東京都内の学校、都立学校中心になるかと思いますけれども、こういった取組も進めていくように要望しておきます。
最後に、子供の権利という観点からは、国連からの勧告にもありました、性的マイノリティーの子供に対しての差別的なものがあってはならないということも指摘をされていたところであります。
現在、東京都の教育委員会としては、性的マイノリティーの児童生徒に対する差別をなくしていくために、理解促進の取組はどのような状況なのか、教えてください。
○藤井指導部長 都教育委員会は、教員が性自認や性的指向など多様な性の在り方について正しい知識、認識を深められるよう、医療や心理の専門家による講演等を実施し、学校における適切な対応を促しております。
今後とも、人権教育の研修等で教員の理解を深め、性自認や性的指向に関する悩みを持つ児童生徒に対して、きめ細やかな対応ができるよう、取り組んでまいります。
○風間委員 続いて、障害を持っている子供たちに対しての子供の権利という観点から、少し質問を進めていきたいと思います。
障害者理解の促進というのは人権教育推進の一環でありまして、これを進めていくためにも、障害がない子供たちも、ある子たちも一緒に学んでいくというインクルーシブ教育の推進こそが重要だと私は考えているところでもあります。
一方で、就学相談であったりとか学校行事などにおいて、管理職を含む教員がこういった観点に欠けているというようなケースが散見されますし、相談も受けてきたところであります。
都教育委員会としては、このような教員のインクルーシブ教育に対する理解の欠如についてどのように捉えており、また、どのような対策を取っているのか、教えてください。
○藤井指導部長 都教育委員会は、教員一人一人が特別支援教育の理念や現状を理解し、特別な支援を必要とする幼児、児童生徒に対する指導力の向上を図る必要があることから、全ての教員に対して特別支援教育に関する研修を実施しております。
具体的には、採用一年目から三年目及び教員経験が十年程度の教員を対象とした研修において、障害者理解など特別支援教育について学ぶ機会を設定しております。さらに、受講を希望する教員等を対象に、指導経験等に応じて特別支援教育に関する専門性の向上を図ることができるよう、多様な研修を実施しております。
管理職については、校内で特別支援教育が推進できるよう、管理職の候補者となった時点で全ての者を対象に研修を実施し、必要な合理的配慮等を組織的に行い、教職員に対して適切な指導助言をできるようにしているところでございます。
○風間委員 また研修というお話が出てきましたけれども、教員研修の現場、私もかつて東京都の教員研修で講師を務めたことがありますけれども、日常の業務の忙しさから研修に来たといったときに、そこで、特に講座形式のものを学んだとしても、それが自分の意識変容につながっていくか、また行動変容につながっていくかということは、少し別問題だなというふうにも感じているところです。
こういった不見識な言動によって傷つく子供が出てしまうということはあってはならないことでありますので、研修一本やりではなくて、学校現場で−−特に就学前相談のときには、こういうケースはよく聞きます。こういったことで傷つく障害を持った子供が出ていかないように、ぜひ複合的な取組を今後期待しています。
次に、発達障害を持っている子供たちの指導ということで、かつては通級指導学級というところだったかと思いますけれども、これが特別支援教室に移行したと。
当初、こういった取組が進んだことに対しては、大変に歓迎の声もありましたし、また、通級によって保護者が付き添っていかなければならないという状況が解消されたことによって、歓迎する声も多々ありましたし、また、現状としては、こういった発達の凸凹を抱える保護者としては、少しでも早いうちに、こういった発達支援教室で学ばせたいという声も多々聞くところであり、今やこの希望者数が大変に増加している状況だと認識をしています。
一方で、増えてしまったからか、希望しても、なかなかかなわないというような声もよく聞くところでありますけれども、現状、特別支援教室の状況について教えてください。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、在籍学級での支援や特別支援教室への入室の考え方などを盛り込んだ特別支援教室の運営ガイドラインを令和三年三月に策定いたしました。
本ガイドラインでは、小中学校に在籍する発達障害のある児童生徒に在籍学級での支援などで対応できるのか、特別支援教室での指導が必要なのかを学校で検討し、指導が必要な場合は、区市町村の判定委員会を経て入室の判断を行うことを定めております。
都教育委員会は、本ガイドラインに基づいた特別支援教室の適切な運営に向け、引き続き区市町村教育委員会と連携してまいります。
○風間委員 こういった特別支援教室への期待感も高まっているような状況と、また、発達の凸凹のある子供の比率というのが、もしかしたら上がっているのかもしれません。実数としては増加傾向だということは認識しておりますけれども、こういった状況から、特別支援教室の教員が削減されるのではないかということで、今、ネット上では反対署名運動なども展開されていると耳にしているところであります。
希望する保護者もしくは児童生徒が発達支援教室をきちんと利用できるような環境をつくっていくことも重要だなと考えるところですけれども、都教育委員会の見解を教えてください。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 発達障害のある児童生徒が増加傾向にあることは事実でございます。
私どもといたしましては、特別支援教室、必要な生徒がきっちり指導を受けられるように体制を整えていきたいというふうに考えてございます。
○風間委員 心強い答弁をいただいたと思います。
やはり自分の子供が発達に凸凹があるという状況を知ったときに、保護者としては困惑をするでしょうし、そこで何とか特別に指導してもらえるのならば、そういったものを利用したいと考えるのは理解できます。
一方で、インクルーシブ教育という観点から、これも推進していく必要があり、先ほどの答弁では、こういったことを客観的に判断する基準があるということですから、インクルーシブの中で、通常教室の中で学んでいくことで指導が適切だというケースもあろうかと思いますので、こういったところを、しっかりと保護者の不安に寄り添って対応していけるような体制を整えていくことを求めておきます。
続いて、障害を持っている生徒の進学ということについてどのような状況なのか、少し伺いたいと思いますが、障害を持つ中学生が高等学校への進学を希望した際に、東京都教育委員会としてはどのような取組を行っているのか、教えてください。
○谷都立学校教育部長 都教育委員会では、都立高等学校入学者選抜において、障害のある受検者に対し、問題用紙や解答用紙の拡大、検査時間の延長などの配慮を行っております。
今後とも、志願者に対し、入学者選抜を受ける機会が公平に確保されるよう、適切に対応してまいります。
○風間委員 門戸は開いているということと、その支援策も取られているということを確認しました。
特別支援学校の中学生の中には、都立高校に進学をしたいという希望があるということも承知をしておりますけれども、こういった特別支援学校で都立高校の進学を希望する生徒に対しての指導体制等についてはどのような状況なのかも教えてください。
○藤井指導部長 都立特別支援学校中学部においては、進路指導や進路先見学などの機会を通して、生徒が卒業後の進路に関わる事柄について関心を持てるようにしております。
高等学校への進学を希望している生徒に対しては、希望が実現するよう、丁寧な進路指導を行っております。
こうした取組により、令和二年度の都立特別支援学校中学部卒業生八名が高等学校に進学をしております。
○風間委員 法によって、本人と家族の意思を最大限尊重するということが定められているわけであり、東京都の教育委員会として、こういったことにもきちんと対応しているということが今確認できましたので、安心しました。今後も、障害を持っているお子さんでも、希望する進学にきちんと支援していける体制を維持していくことを求めておきます。
次に、不登校の傾向にある子供たちに対しての取組について、子供の学びの保障という観点から伺っていきたいと思います。
今の公立校の指導や学級などになじめずに不登校になる児童生徒が年々増加しているというのは報じられてもいるところでありますけれども、東京都の教育委員会としては、この不登校傾向にある子供たちの支援、または不登校となってしまった児童生徒に対してはどのような支援を行っているのかを確認させてください。
○藤井指導部長 都教育委員会は、不登校の未然防止、早期支援、長期化への対応といった子供の状況に応じて公立小中学校及び区市町村教育委員会が適切に対応できるよう指導資料を配布するとともに、区市町村教育委員会が設置する教育支援センターの運営に係る経費の一部を補助するなどの支援を行っております。
○風間委員 今お話がありました教育支援センターの設置ということについては、民間事業者の活用による好事例なども注目をされていることかと思います。
東京都全体で教育支援センターが拡充されていくように財政的な支援も行っているということですが、今後の支援体制について拡充すべきと考えますが、都の見解を伺います。
○藤井指導部長 都教育委員会は、区市町村教育委員会が教育支援センターを新たに設置する場合の経費やフリースクール等と連携した取組に係る経費の一部の補助を令和二年度から開始しております。
今後とも、様々な民間団体などと教育支援センターが協働するなどの学びの機会を増やす取組を推進してまいります。
○風間委員 教育支援センターの取組と併せて、不登校の特例校ということについても注目をされているところですが、東京都としては、既に八王子市、福生市、調布市、大田区の教育委員会で不登校特例校の設置事例があるというふうに認識をしております。
こういったニーズも高まってきていると感じるところですけれども、東京都の教育委員会として、不登校特例校の設置支援ということについてはどのような状況なのかも教えてください。
○藤井指導部長 都教育委員会は、区市町村教育委員会に対し、分教室型の不登校特例校の設置を全国に先駆けて働きかけてまいりました。
分教室型は、本校から離れた他の建物の一部を使用して設置しており、施設設備等に係る負担が小さく、速やかな設置が可能となっております。
また、設置に当たっては、都の配当基準に基づき正規教員を配置し、初年度に必要な物品の購入費用の一部を補助するなどの支援を行っております。
○風間委員 冒頭申し上げましたように、こういった、今の指導の在り方になじめなかったり、学級の中でのトラブル、いざこざによって学校に行けなくなってしまった子供たちが増加傾向にあるというところから、こういった取組が進んできているということは大変に重要だと考えておりますので、引き続き東京都教育委員会としても注力していくように求めておきます。
続いて、不登校や登校渋りの子供の中であったりとか、今の学級の中でなじめないと感じる子供たちの中には、いわゆる知能指数が極めて高いギフテッドといわれる子供も一定数いるといわれております。
東京都の教育委員会としては、このような子供たちの支援について何か行っているのかということを確認させてください。
○藤井指導部長 現在、都教育委員会では、優れた資質を有する子供の力を伸ばす教育として、理数に対して高い意欲や能力を持っている児童生徒を対象に、小学生科学展や中学生科学コンテスト等を実施しております。
○風間委員 そういった取組も、場合によっては、学校に行っている子などは参加できるのかもしれませんけれども、不登校の傾向の子供だったりすると、なかなか参加できずに、その能力を伸ばしていく道すらないというようなこともあろうかと思います。
ギフテッドの子の支援という意味では、渋谷区が先駆けて取り組んできているところでもありますけれども、今後、そういった子供たちの実態把握も含めて、東京都の教育委員会−−また、文部科学省も取組を検討し始めていることかと思いますので、東京都の教育委員会としても取組を検討していくように求めておきます。
こういった子供たちの教育的支援ということについては、東京都教育委員会としても様々工夫してきていることと思いますが、続いて、都立高校の入試という観点から質問をしたいと思います。
先ほどの他会派からの質問でもありましたけれども、東京都の都立高校魅力化の推進ということも含めて、都立高校への入学希望者が増加傾向にあるということについては大変に喜ばしいことなのだと捉えております。
一方で、人気が高くなってきていると入りにくくなってしまうということも当然あるわけであり、先ほどの他会派の質問では、ジェンダー平等の視点でありますとか、不公平感の解消というようなことも含めて、東京都の教育委員会は取組を進めていると認識をしております。
一方で、東京都の入試制度ということについては、中学生の内申点が非常に大きな影響を及ぼすということから、例えば今のギフテッドの話なんかにも少し関係してきますけれども、発達の凸凹のある子供は、例えばクラスの中で落ち着きがなかったり、特異な能力を持っていながら、なかなかそれを生かし切れずに授業態度が悪くなってしまったりというようなことで、そういう子供たちが内申点を必ずしも取れるというような状況ではないような話も耳にするところです。
しかし、内申点は、現場の先生方が定期テストの点や通常の授業態度、こういうことを含めて決定をしていくというものですから、公平性があるのかどうかということについて、保護者の皆さんから意見を寄せられることも多々あるわけです。
こういったことに対して、東京都の入試制度に関しては、かなり進んでいるんだというようなお話も伺ったところですけれども、今の東京都の都立高校の入試について、どういった配慮、特徴があるのかということを確認させてください。
○谷都立学校教育部長 都立高等学校入学者選抜では、主として推薦に基づく選抜と学力検査に基づく選抜などを行い、入学者を決定しております。
推薦に基づく選抜においては、面接、小論文や、中学校の学習の評価である調査書等に加え、生徒の思考力、判断力、コミュニケーション能力等を見るための集団討論を実施し、入学者を決定するなどの工夫を行っております。
学力検査に基づく選抜においても、調査書に基づき算出される調査書点などを加え、総合成績で合格者を決定するなど、生徒を多面的、多角的に評価する内容としております。
なお、例年、入学者選抜において、具体的に説明する募集案内の冊子等を公立中学校三年生の全員に配布し、選抜の種類や、学力検査点と調査書点との割合などの制度を理解した上で受検できるよう配慮しております。
○風間委員 ほかの会派からも、高校の魅力化だったり、特色ということで、IBコースなんかも含めて話が出てきましたけれども、やはりそういった特色のある学校には人気がかなり集中するでしょうし、そういったことを目指して、中学校生活を一生懸命、いい成績を取ろうと頑張っている生徒がいることも認識をしています。
一方で、そういったことを知らなかったというような生徒も、保護者もいたりしますけれども、こういった情報提供については、各区市町村立の学校がしっかり責任を持って行うものだということは承知しておりますけれども、やはり多くの子供たちがチャレンジできる環境をという意味では、中学入学の段階あたりから都立高校の−−今、各市区町村教育委員会と連携を取りながら、小学生向けに説明会などをやっていることも承知しておりますけれども、そういった高校の内申点の制度なんかも含めて周知徹底していくことを要望しておきます。
最後にお伺いしますが、東京都の教育委員に今年度新たに就任された新井紀子先生の取組ということは、以前から私、注目しておりまして、先生が問題提起してきた読解力の低さの問題、これは今、日本全体で低い傾向にあるという新井先生の警鐘については、私も関心を持ってずっと見てきたところであります。
こういった読解力の低さに対して、板橋区なども先進的に取り組んできたということも注目をしてきたところなんですけれども、新井先生が東京都の教育委員に加わったということで、特に東京都の教育において読解力の低さの問題に対して取り組んでいくことを大いに期待しているところですけれども、東京都の教育委員会として、委員になったから特段取り組んでいくということはないと承知はしておりますけれども、どのように読解力の低さを認識していて、今後どのように取り組んでいくつもりなのかということを聞かせてください。
○藤井指導部長 学校教育においては、子供たちの学力の向上に向け、文章で書かれた情報を的確に理解し、自分の考えの形成に生かすための読解力等が低いことが課題であり、学習指導要領に基づき、各教科等における言語活動のさらなる充実が求められているところでございます。
都教育委員会はこれまで、子供たちの言語活動を推進する取組を進めてきており、今後とも、学習指導要領改訂の趣旨を踏まえ、都内公立学校における言語活動の充実を図るなど、全ての学習活動の基盤となる読解力の向上に向けて取り組んでまいります。
○風間委員 都の教育委員会でも、こういった読解力の問題についても闊達な議論が進んでいくようなことを期待しておりますので、よろしくお願いします。
以上で私からの質問を終わりにします。
○ほっち委員 よろしくお願いいたします。
私からは、学習用の端末トラブルの対応についてお伺いをさせていただきたいと思います。他の委員からもいろいろご質問がありましたので、割愛してお話しをさせていただきます。
先日、読売新聞でも、全国の七十四自治体を対象に実施をした調査で、十四自治体がいじめや誹謗中傷などのトラブルを確認していたということが新聞の記事に載っていました。
都内においても、町田市の小学六年生の女の子が、いじめを訴える遺書を残して自殺をした問題があります。こちらの方では、文字で会話をする端末チャット機能に中傷が書き込まれていて、それが原因ではないかというふうなこともいわれています。
当たり前のことですけれども、自分がされて嫌なことは人にもしないという原則はデジタル空間にも当てはまることであり、子供たちにもしっかりと教えることが重要ではないかなというふうに、私自身、思っています。
そこでお伺いをさせていただきますけれども、学習用端末を学習のために適切に活用できるようにするため、東京都教育委員会は、各教育委員会の担当指導主事を集めた連絡会において、対応事例等の情報交換を行ったというふうに聞いています。
その連絡会の成果を踏まえた都の取組についてお伺いをさせていただきます。
○藤井指導部長 今月、都教育委員会は、区市町村の担当指導主事連絡会を開催し、子供たちが学校や家庭で端末を安全・安心に活用できるようにするため、フィルタリング等の設定例や、子供が目的外の利用を行った際の対応事例等について協議をいたしました。
この連絡会では、子供たち自身がパスワードを管理する力を育む取組や、不適切な使用を検知し、学校の指導に生かしている取組が紹介されるなど、各区市町村における端末の適切な活用の推進に資する情報を共有することができました。
今後とも、一人一台端末の活用が進む中で新たな課題が発生した場合は、パスワードの管理やフィルタリングの対応を含め、各区市町村に対して速やかに情報を提供し、子供たちが端末を一層適切に活用できるよう、各学校を支援してまいります。
○ほっち委員 実際、コロナ禍でオンライン授業をやりましょうということで、前倒しをして配置して、子供たちがやっています。実際、教える側も、教わる側も、子供たちも情報の教育というのがちょっと置き去りになって、急いでやりましょう、やりましょうと、一生懸命、取り組んでいらっしゃるのは非常に理解できるのですけれども、やはりこういう情報的なものというのは、常に子供たちもパソコンをいじったり、端末をいじっていて、こんなこともできる、あんなこともできると、多分、大人よりもいろんなことを発見する力があると思います。
その中で、これからも我々が考えられないようなトラブルも、多分、今後、起こっていくというふうに思っていますので、今こうやっているからいいではなくて、常に情報をブラッシュアップしてもらいながら、情報共有してもらいながら、各区市町村の教育委員会にもしっかりと情報を伝えて、子供たちが適切にできるように行っていただきたいというふうに思います。
次に、安心・安全な学校生活を送るために、安全対策としての防犯カメラについてお伺いをさせていただきます。
先日も、保育園、幼稚園等々でナイフを持った不審者が園の中に入ってきて、実際、防犯カメラを見て、怪しいねということで、職員の方たちが連携して、園庭で遊んでいる子供たちを園の中に入れて、それから、その方に声をかけて、みんなで取り押さえたというふうな案件もありました。
やはり安心・安全に子供たちが学校生活を送るためには、いろんな外から来る方たちのチェックもしっかりしなきゃいけないなというふうに考えています。
また、平成十三年の大阪教育大学の附属池田小学校のような大きな事件も起こっています。
学校内への不審者の侵入は、これまでにも時々発生しておりますけれども、都教育委員会は、学校内の安全確保のために公立の小中学校に防犯カメラを設置する際の支援事業を行っておりますけれども、現在までの成果をお伺いさせていただきます。
○小菅地域教育支援部長 都教育委員会は、学校への不審者の侵入を防止し、学校内の安全を確保するため、平成二十七年度から平成三十年度までの四年間の計画で東京都公立学校防犯設備整備補助事業を実施し、区市町村が公立小中学校の敷地や建物の出入口に防犯カメラを設置、更新する場合の支援を実施してまいりました。現在、本事業を延長し、令和三年度末までの事業として実施しております。
これまで、区市町村の希望を把握しながら、計画的に防犯カメラの整備を進め、今年度末までに都内公立小学校千二百六十校に四千八百七台、公立中学校五百九十一校に二千三百九十一台の防犯カメラを設置する予定でございます。これにより、防犯カメラの設置を希望する全ての区市町村の公立小中学校に設置が完了する見込みになります。
○ほっち委員 希望する学校に全て完了する見込みというふうなお話がありました。実際、成果があったというふうに思いますけれども、ただ、防犯カメラを設置したから終了というわけではなくて、子供たちの安全確保に活用をしっかりとされ続けるよう、今回設置をしてから、しっかりとされ続けるように、今後もしっかりと取り組んでいきたいなというふうに思っています。
また、都の教育委員会の防犯設備整備補助事業は今年度で終了するということですけれども、今後、設置をした防犯カメラを有効に使い続けてもらうために、都教育委員会はどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○小菅地域教育支援部長 不審者の侵入などの非常時に防犯カメラが有効に機能するためには、各学校において、カメラの設置場所や録画機能などを定期的に確認するとともに、それらを教職員が理解していることが必要です。
今後、都教育委員会は、毎年度実施している区市町村の学校施設担当者向け研修会などにおいて、学校現場での防犯カメラの適切な維持管理などについても学ぶ機会を設け、校内の安全管理について、より一層の理解を促してまいります。
○ほっち委員 希望する学校は、これからもあるかもしれません。今年度で終了という形になっていますけれども、希望がもしあれば、また設置の補助も、今回で終わりですけれども、できるだけしてあげられるような体制もつくっていただきたいなというふうに思っています。
あと、実際、設置をしても、管理職というか、校長先生とか副校長先生とか、管理職の方だけが知っているわけではなくて、やはり全教員が、ここにあって、こういう見方ができるんだとか、そういうことを学校の先生自身も理解していただくと同時に、教員の方も学校が替わったりしますので、そういう情報提供をしっかりと行っていただきながら、子供たちが安心・安全に学校生活を送れるように、一つ一つ取り組んでいただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。終わります。
○もり委員 教育庁所管の事務事業について質疑をさせていただきます。
コロナ禍の中、教育庁の皆様、学校現場の先生方におかれましては、感染拡大防止と子供たちの学びを止めないための施策に大変ご尽力をいただき、敬意と感謝を申し上げます。
教育は、未来を担う子供たちの可能性を育む、行政として大変重要な役割を担っており、コロナ禍で伺った地域の課題、また、都民の皆様よりお寄せいただいた声を基に、誰一人取り残さない東京都の教育行政の推進を願い、質問させていただきます。
コロナ禍の一斉休校期間、オンライン学習についていくことができず、不登校の子供の増加や、勉強に遅れが出ているお子さんもいるとの保護者の声が聞かれます。
東京都では、全ての児童生徒に確かな学力を育む教育を掲げ、きめ細かい指導、基礎的、基本的な知識、技能の定着を図ることとしております。
ご家庭に基礎疾患や重篤化のリスクを抱えるご家族がいる子供の場合、緊急事態宣言下では、家庭内感染を防ぐための対策として自由登校を認めるケースもあったと聞きます。
一方で、オンライン学習についていくことができない生徒もいたと聞いております。
こうした初期の学びのつまずきを放置することは、勉強が分からないから学校に行きたくない等の不登校につながる場合もあります。
東京都として、感染防止対策と子供たちの学びを止めないための支援について、国のGIGAスクール構想を前倒ししてICT教育の推進に取り組んでいただいたところですが、感染が心配で登校することができなかった子供の学びの支援についてお伺いをいたします。
○藤井指導部長 都教育委員会は、感染不安等により登校できない児童生徒に対して、オンライン等を活用した個別の対応を行うことにより学びの継続に努めるよう、区市町村教育委員会を通じて各学校に周知してまいりました。
併せて、家庭学習の参考となる資料や教材等を提示し、児童生徒の主体的な学習を促しております。
各学校では、こうした児童生徒に対して、授業内容や学習課題をオンラインにより提供することに加え、教員が家庭と連絡を取り、健康状態や学習状況を把握するなど、児童生徒一人一人の状況に応じ、きめ細かに対応しております。
○もり委員 ありがとうございます。一人一人の生徒に対して、きめ細やかな対応を行っていただいたとご答弁をいただきました。一人一台端末の環境を活用し、先生方が様々に工夫を行いながら、オンライン等、学びの継続に取り組んでいただいたこと、一人一人の状況に応じ、きめ細やかにご対応いただいていることを確認させていただきました。
先日も区内の小学校の先生とお話しする機会があったのですけれども、コロナ禍で、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの予約も大変取りづらいと、保護者の方からも伺いました。学校教員の先生方のご負担も増えていると思います。
生徒一人一人のきめ細やかな生活や福祉の課題に寄り添うスクールソーシャルワーカーの常勤配置については、以前より我が会派からも要望を続けております。改めて、今とても必要とされていると感じますので、きめ細やかに児童生徒を支える配置の拡充についても要望いたします。
次に、主権者教育についてお伺いをいたします。
今回の衆議院選挙の投票率を見ましても、戦後三番目の低さと、投票率の低さが課題となっております。十八歳選挙権となりましたが、若者からは社会への不満や憤りはあるものの、それが投票行動に結びついていない現状が見てとれます。
投票率が八〇%を超える北欧の国々では、民主主義について、日々の暮らしや学校の授業でも、毎日のニュースを学校の授業で取り上げ、ニュース番組や新聞記事を話し合う時間を教育現場で設けていると伺いました。正しい一つの答えにたどり着くことが目的ではなく、多様な意見を聞き、いろいろな考えがあることを知った上で話し合い、自分で考えるスキルを磨くことが大切だと考えます。
今のSNS等は、アルゴリズムで自分の好む意見や情報が集まる傾向があり、同じような意見ばかりが全てであるかのような世界は、かえって視野が狭くなる。私の知人の大学教授の方も、昔の学生は新聞を読んでいたので、ある程度、一通りのニュースを知っていたが、最近の若者は、好きな分野には関心が深いが、物を知らないことに驚くこともあると伺いました。
多様性を重んじるこれからの社会を築く子供たち、生徒一人一人が主権者として社会に参画する力を身につけ、選挙への関心を高めていくことが重要であると考えます。都教育委員会の取組をお伺いいたします。
○藤井指導部長 高校生が国家及び社会の有為な形成者となるためには、現代社会の諸課題を自らの課題として捉え、他者と協働して、よりよい社会を形成する力、とりわけ政治参加に関する知識などを身につけることは重要でございます。
そのため、都立高校では、選挙管理委員会と連携した出前授業や模擬投票等を行い、民主政治の推進における選挙の意義などを指導しております。
また、都教育委員会が作成した有権者としての意識を醸成する指導資料や、複数の全国紙等を授業で活用するとともに、生徒同士の活発な意見交換を通して、社会的事象等について多面的、多角的な考察を促し、公正な判断力を育んでおります。
都教育委員会は、こうした取組への支援を継続するとともに、優れた実践事例等を全都立高校に発信するなどして、生徒の社会参画への意欲を育む主権者教育の一層の充実を図ってまいります。
○もり委員 ありがとうございます。ぜひそうした取組が子供たちの投票行動にもつながっていくような、実際に生きた教育となることを期待しております。学校で社会や公民で選挙制度を学んでいても、それが生きた学びにつながってはいないのではないかと感じておりましたので、ぜひそういった具体的な取組につながるような教育が求められていると感じます。
先日は、地元の自治会でも、選挙管理委員会から本物の投票箱を借りてきた、子供の遊び場をテーマに模擬投票が開催をされておりまして、とてもいい取組だと感じたのですけれども、学校はまさに児童生徒にとっての社会です。幼少期から子供たちが、自分たちが声を上げることによって地域や学校が変わったと、そういう小さな成功体験が、子供たちにとっても、自分たちの一票が社会を変えるという貴重な体験になると考えます。
教育現場における子供議会、模擬投票を授業の中で行うことは、大変よい主権者教育の一環だと考えますので、ぜひ都内の小中学校、幼い頃からの取組にも広げていただき、学年に応じた実践的な主権者教育の推進に取り組んでいただくよう要望いたします。
学校における民主主義教育の取組として、生徒会選挙も重要な機会だと考えます。
自身が学生時代、中学校は横浜だったのですけれども、放送室から政見放送が行われ、候補が公約を掲げ、校門前でたすきをかけた、かなり本格的な選挙活動が行われたことを思い出します。
私も、母に名前を入れたたすきを縫ってもらい、中学校選挙に出た頃を思い出すのですけれども、その中で、靴下の自由化、髪ゴムの自由化など、校則についても生徒同士で議論が行われていました。
ブラック校則が学校でも取り上げられていましたが、本来、学校のルールを生徒会が生徒の総意に基づいて改正することができれば、主権者教育の推進にも大きく役立つと感じます。
先ほども質疑がありましたが、都立高校において、高校の校則の点検や見直しについて取り組んでいると伺っております。先ほど質疑がありましたので、質疑は行いませんが、こちらは、校長先生の権限と責任によって校則を定めて、生徒たちが改正にも意見を盛り込むことができるとご答弁をいただきました。
都立高校において、校則等について生徒と教員が話し合う機会は大変重要な機会だと考えます。生徒会活動をぜひ活発化していただき、生徒による学校自治の推進を進めることは大変有効だと考えます。本来、学校の校則とは、生徒を縛るものではなく、児童生徒がよりよい学校生活を送るためのものです。ぜひ学校ごとに生徒の自発性を高め、闊達な議論が行われるよう、現場の取組を期待いたします。
次に、子供たちが夢を持って育つように、職業体験について質疑を行いたかったのですが、今年は、コロナ禍で通常の取組ができなかったと伺いました。ぜひ社会科見学のフィールドは、地域の町工場であったり、商店街、様々なロールモデルと触れ合う機会が、子供たちの夢や将来像を育むきっかけとなると考えます。引き続きの取組を要望いたします。
大田区には、かつて高度成長期を支えた優れた町工場が数多くありますが、後継者不足の課題などもあり、都内の子供たちがものづくり、製造業の技術力の高さとものづくりの面白さを知っていただく機会はとても重要です。
都立高校の工業科の生徒が、企業で一定期間、職業訓練を行うデュアルシステムは、ものづくり企業への関心を高め、職業人として必要な技術を身につけるため、大切な取組だと考えます。現在の取組状況についてお伺いをいたします。
○谷都立学校教育部長 都教育委員会は、企業と連携した長期の就業訓練により実践的な教育を行うデュアルシステム科を工業高校三校に設置しております。
就業訓練を通して生徒の職業観、勤労観を醸成するとともに、職業人として必要な知識、技術を習得させ、実習先企業への就職など、卒業後の進路につなげているところでございます。
就業訓練に参加した生徒からは、社会人としての受け答えができるようになった、難しい加工作業ができるようになったといった感想があり、就職後すぐに役立つマナーや技術の向上も見られております。
今後も引き続き、生徒の進路実現と東京のものづくりを支える人材を育成するため、企業と連携した取組を推進してまいります。
○もり委員 ありがとうございます。こちらのデュアルシステムの生徒を受け入れた地元の中小企業さんからも大変高い評価をいただいており、三校に設置をしていただいておりますので、ぜひ拡充に引き続きの取組をお願いいたします。
都立高校、特別支援学校が、福祉避難所として避難所開放を行う方針が示されております。都立高校と特別支援学校の避難所開放については総務局の所管なので、ここでは質疑は行いませんが、学校と地域がどのように迅速な連携を取ることができるか、日頃からの地域との連携が欠かせないと考えます。
都立学校と地元自治体、地域との連携について、公立の体育施設が近くにない地域では、身近な都立高校の体育施設を利用できないかという地域の声も聞かれます。
都教育委員会では、どのような仕組みで都立学校体育施設を開放しているのか、お伺いをいたします。
○小菅地域教育支援部長 都教育委員会では、都民の学習、文化、スポーツ活動の振興に資するとともに、地域に開かれた学校づくりの一環として都立学校施設開放事業を実施しております。
各都立学校では、学校開放事業運営委員会を設置し、学校教育活動に支障のない範囲で開放日を定め、都民等で構成された登録団体に対し、体育館、グラウンド等の体育施設を開放しております。
学校開放事業運営委員会には、区市町村の社会教育担当者を委員として委嘱するとともに、各学校のホームページや東京都生涯学習のホームページを通じた情報提供を通じ、地域に事業の周知を図っております。
○もり委員 ありがとうございます。都立高校は、本当に身近にありながら、ふだんはなかなかその中を見ることができないもの、近くて遠いような存在と思われないように、ぜひ地域の社会貢献としても、こういった事業のより周知にも努めていただきたいと要望いたします。
次に、学校施設による再生可能エネルギーの推進についてお伺いいたします。
地域における拠点として、学校施設の再生可能エネルギー施設の設置は、子供たちの環境意識を高めることにも寄与し、災害時に避難所としての役割を担う視点からも一層の推進が求められると考えます。
東京都としても、学校施設における再生可能エネルギーとして太陽光発電施設の設置の推進に取り組んでおりますが、都教育委員会の取組をお伺いいたします。
○谷都立学校教育部長 太陽光発電設備を整備することは、環境負荷の軽減や災害発生時におけるエネルギー供給の確保に有効でございます。
このため、都立学校では、新築、改築工事を行う際、併せて校舎屋上等に太陽光発電設備を整備しております。例えば、昨年開校した八王子西特別支援学校など、百キロワットを超える規模の設備を設けている学校もございます。
令和三年五月一日時点においては、二百四十八校中百一校で合計二千六百キロワットを超える整備状況となっております。今年度は五校での整備を予定しており、その中には百二十キロワットの設備を設ける永山高校などを含んでおります。
今後の新築、改築時には、敷地条件等に応じて最大規模の設備を設けるなど、再生可能エネルギー活用に取り組んでまいります。
○もり委員 ありがとうございます。先日、COP26が閉会をいたしました。ゼロエミッション東京の推進を目指す上でも、新設の学校には、かなり大規模な太陽光発電施設を設置していただいていることを高く評価いたします。ぜひ一層の推進をお願いいたします。
本年、東京では、世界で初めて二回目のパラリンピックが開催され、誰一人取り残さない合理的配慮の行き届いた社会の環境整備が求められます。
現在、都議会では、超党派での手話言語条例の策定に向けた動きもあり、会派で大塚ろう学校を視察させていただきました。
聴覚障害児には早期からの支援が必要ですが、現在では身近な地域での就業前の療育の場がないことが課題となっており、大塚ろう学校では、生後ゼロ歳から就学前までのお子さんに寄り添う、きこえとことばの乳幼児教育相談事業が行われており、とてもよい取組であると感じる一方で、支援を必要とするご家族が相談事業とつながるためには、学校と医療の協力、連携が欠かせません。
これまで連携をしていた帝京大学の手話に理解のある医師が異動したことで相談事業が減少したと、現場のお声も伺いました。
令和三年度、国では聴覚障害児支援中核機能モデル事業として、乳児からの切れ目のない支援の強化に向け、福祉部局と教育部局が連携を強化し、聴覚障害児支援の中核機能を整備することが位置づけられております。
東京都として、必要なお子さんに乳幼児相談事業が届くよう、局を超えて医療現場への働きかけも求められると考えますが、都教育委員会の取組をお伺いいたします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 幼稚部を設置する都立聴覚障害特別支援学校では、乳幼児教育相談を実施しており、地域における早期教育相談の拠点として、医療機関等との連携の下、保護者からの相談に応じ、障害に関する知識の提供や聴力検査の実施、コミュニケーションの工夫等の様々な支援を行っています。
医療機関等に対しては、学校が実施している乳幼児教育相談における支援の内容などの情報を提供し、聴覚障害のある乳幼児を早期の相談につないでいただけるよう、依頼をしています。
今後とも、医療機関等に積極的に働きかけ、乳幼児からの早期支援に取り組んでまいります。
○もり委員 ありがとうございます。大塚ろう学校を視察させていただき、手話と口語の両方で、それぞれのお子さんに合わせたきめ細やかな授業が行われており、指導に当たられている先生方のスキルの高さを実感いたしました。また、音楽の授業では、聴覚障害の子供たちが全身で音楽を感じながら楽器の演奏をする姿がすばらしく、コンクールで賞を受賞するなど、すばらしい取組を拝見させていただきました。
専門性を持った教員の育成、教員の資質、能力の向上について質問させていただきたいとお話を伺ったのですが、OJTで学校生活の中で教えていく、先生方が就任されてから、現場での実践を通じて力量を身につけていらっしゃるとのことで、とても大変なご努力だと感じました。
手話は一つの言語であり、福祉の現場でも手話通訳者が足りていないことが指摘をされております。手話を体系的に学ぶため、都立高校の学校指定科目、教科として、選択科目の一つに手話を設けることも方法としてあるのではないでしょうか。今後、都として、手話言語条例の制定も見据えて、言語としての手話を体系的に学ぶ環境整備が教育現場でも求められると考えますので、こちらは要望とさせていただきます。
都立特別支援学校における宿泊訓練について、令和三年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、宿泊を伴わない形で訓練を実施したとお聞きをいたしました。
加えて、実施に当たってどのような工夫を行ったか、取組についてお伺いいたします。
○藤井指導部長 都立特別支援学校では、児童生徒の防災意識の向上を図るために、宿泊防災訓練により応急救護訓練などに取り組んでおり、今年度も、学校による徹底した感染症対策の下、工夫を行いながら訓練を実施しております。
具体的には、従来、夕食時に集団で行っていた備蓄食料を利用する訓練を、日中に各教室等に分散して少人数で実施したり、児童生徒下校後、教職員だけで避難所設営訓練を実施したりするなどの工夫を行っております。
○もり委員 首都直下型震災等の大規模災害が発災した際に、避難所の運営を行う上では、地域や関係機関との連携が重要であると考えます。
地域や関係機関と連携した避難所設営訓練などの今年度の実施状況についてお伺いをいたします。
○藤井指導部長 大規模災害の発生時には、地域の方々の特別支援学校への避難が想定されております。そのため、地域や関係機関等と連携して実践的な訓練を行うことが大切でございます。
本年七月から十月までの間に、都立特別支援学校五十七校全校が宿泊防災訓練を実施しております。うち三十六校が地域や関係機関等と連携した避難所設営訓練などの取組を行っております。
新型コロナウイルス感染症の影響により、近隣の自治体等との初期消火訓練などを見合せた例もございましたが、地域の消防署、区市の防災課などの協力を得て、効果的な訓練となるよう実施してまいりました。
○もり委員 ありがとうございます。三・一一の際にも、避難所で障害のあるお子さんたちが大変つらい思いをしたというような事例も聞いております。障害のある子供たちを対象とした安全教育の推進においては、このように非常時を想定した訓練を体験することは大変意義があると考えます。全校で取り組んでいただいたということですので、ぜひ引き続きの取組をお願いいたします。
次に、共生社会の実現に向け、誰一人取り残さない学びのセーフティーネットとして、日本語を母語としない子供の学校現場における教育環境の充実についてお伺いをいたします。
全国で外国人の子供、若者が増加している傾向があり、国の外国人労働者受入れ拡充の動きからも、コロナ禍が落ち着けば、今後も増加することが予想されます。
私の地元大田区も、外国にルーツを持つ区民は増えており、各クラスに二、三名の日本語を母語としない子供がいる学校もあります。先日も、先生からお話を伺った際、全く日本語が分からない児童生徒もいると伺いました。
先月、東京の日本語教育を考えるつどいも開催をされ、実際に外国から日本に来て、現在は大学に進学した学生さんのお話を伺った際、日本語が分からないのに、教室に座っている時間がとてもつらかった、コミュニケーションが取れないことで友達もできず、日本語教室の先生だけが救いで、地獄のような日々だったと伺いました。
子供が学校生活を地獄のような時間と話したことは、私も大変ショックを受けました。子供たちにそのようなことを強いることは、とても酷です。ある程度コミュニケーションが取れるまで、日本語教室で集中的に授業を受けられるなど、東京都として、多文化共生と日本語を母語としない子供の教育に関して、体系的な指針の設定が求められると考えますので、ぜひこちらは強く要望とさせていただきます。
文科省の中教審の諮問の中にも、外国につながる生徒や障害のある生徒など、誰一人置き去りにしない教育の実現を掲げています。文科省では、夜間中学校の設置、充実に向けた手引を示し、現在、夜間中学校の約八割が外国籍のお子さんであり、定時制高校においても、その傾向は顕著です。日本語教育が必要な子供への支援の必要性が指摘をされており、高校は、小中学校と比べても手薄であるとされています。
文科省の調査では、日本語教育が必要な公立高校生の高校中退率が、全国の退学率の七倍もの高い割合となっていると発表されました。
国際高校をはじめとする七校では、在京外国人特別入試枠を設けていただいておりますが、倍率が高く、入学を希望する多くの外国人の高校生が入れないでいる現状があるとお聞きをしました。
入れない高校生の多くが定時制高校に入学をしています。
都では、都立高校改革の中で、チャレンジスクールの新設と規模拡大に取り組んでいただいておりますが、特に三部制の定時制高校の高校中退率が高いと、現場の先生から伺いました。日本人も含め、年間八十名近く中退をする高校もあると聞いております。
チャレンジ校は、もともと不登校等、様々な課題を抱えている学生が多いことが中退の背景だと伺ってはおりますが、これらの問題を放置しておくことは、Society五・〇の時代に活躍をできる人材育成という点からも大きな損失だと考えます。
日本語の習得が十分でないがゆえに、卒業後も非正規労働で働く割合が高く、都教委は、高校中退は課題としてこれまでも取り組んでいただいておりますが、三部制高校の入試制度やシステムそのものの課題ではないでしょうか。
誰一人置き去りにしない学びのセーフティーネットという視点から、よりきめ細やかな日本語教育の充実が求められると考えます。都立高校において、日本語指導が必要な生徒に対し、よりきめ細やかな指導を行い、学びのセーフティーネットの役割を果たしていくべきと考えます。
都教育委員会の取組をお伺いいたします。
○藤井指導部長 都立高校においては、在京外国人生徒を対象とする募集を設定しており、令和四年度入学者選抜では八校で百五十五人を募集するなど、就学機会の確保に取り組んでおります。
また、都教育委員会は、都立高校に入学した日本語指導の必要な生徒が早期に授業内容を理解することができるよう、授業中や放課後などに外部人材を活用した個別の学習指導を充実させるための取組を支援しております。
さらに、東京外国語大学やNPOと連携するなどして、日本語指導充実のための教員用ハンドブックを令和四年度末までに作成することとしており、これらの取組を通じて、日本語指導が必要な生徒に対する指導の充実を図ってまいります。
○もり委員 ありがとうございます。ぜひ国際都市東京としても、未来を担う若者たちのきめ細やかな指導に引き続き取り組んでいただきますよう要望して、次の質問に移ります。
次に、特別支援学校卒業後の障害者の生涯学習について、都教育委員会としての取組を伺ってまいります。
特別支援学校卒業後の子供たちの多様な学習活動の充実について、私も以前から取組を求めてまいりました。当時は、特別支援学校卒業後は福祉保健局の課題であるとの回答があり、一方で、福祉保健局に伺うと、生涯学習は教育の所管であるので福祉の施策ではないとのことで、まさに障害者の生涯学習の課題は、制度と制度のはざまにあり、光が当てられてこない課題であったと考えます。
一方、私の地元の大田区では、特別支援学校卒業後も学んでいきたいというお子さんたちのために、NPOおおきなきさんが、訪問大学として、障害や病気のために通所施設等に毎日利用が難しい方へ、ご自宅へ講師が訪問し、長年、生涯学習の支援を行っていただいております。
こうした民間の取組も受け、二〇一七年、文科大臣より各教育委員会に対し、障害者の生涯を通じた多様な学習機会の充実についてのメッセージが周知をされ、二〇一八年、学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議を設置し、二〇二二年までの障害者の学びに関する課題についての強化策として、多様な学びの機会提供の推進、障害の特性を踏まえた学びの場づくり、学校教育段階から将来を見据えた教育活動の充実、学校卒業後の組織的な継続教育の検討が挙げられております。
特別支援学校卒業後の障害者の生涯学習について、都教育委員会の取組についてお伺いをいたします。
○小菅地域教育支援部長 都教育委員会では、障害のある方々の豊かな地域生活と社会参加促進を目指し、都立特別支援学校におきまして、都内在住、在勤または在学の障害のある成人の方々を対象に公開講座を実施しております。
各学校では、講座の企画に際し、学校を卒業すると体験の機会が減少するスポーツや芸術などの活動に加え、受講対象者への事前のアンケート等で把握した内容を踏まえ、多様な学習ニーズに応えられるよう、工夫を図っております。また、就労先の定着支援を図る観点から、社会人としてのマナーを学ぶ講座なども実施しております。
○もり委員 ありがとうございます。都教育委員会としても、障害のある人々の豊かな地域生活と社会参加促進を目指して様々な取組を行っていただいている旨、ご答弁をいただきました。スペシャルニーズのある方の特性を踏まえた学びの場づくりについては、今後もさらなる充実が求められると考えます。
東京都としても、障害のある方もない方も、心のバリアフリーの促進、そして、共に学び、共に生きる共生社会コンファレンスの実施による障害者の学びの場に携わる実践者同士の交流とともに、今後の担い手の育成も重要です。
東京都教育委員会の役割として、教育振興基本計画に障害者の生涯学習に関する目標や事業を位置づけて取組を推進していただくことを要望し、質問を終わります。ありがとうございました。
○斉藤(や)委員 私の方から、まず初めに、医療的ケア児の課題について質問をしたいと思います。
先日、東京都の医療的ケア児の親の会の代表の皆様と懇談する機会がございました。これまでの都議会公明党の要望を踏まえまして、都立特別支援学校では、校内における医療的ケアの充実や医療的ケア児専用通学車両の運行、そして病院内の分教室での分身ロボットの活用など、ここ数年間で子供たちへの支援の充実が着実に図られております。そのスピード感ある進展には目をみはるものがございまして、高く評価をしたいと思います。
これまで学校で授業を受けることが難しかった子供たちが授業を受けられるようになったこと、そして、保護者の付添いが必須であった子供が付添いなく通えるようになること、こうしたことが徐々に実現されておりまして、非常にこれは意義深いことであると思います。都教育委員会の努力、そして、何よりも現場である学校の努力には並々ならぬもの、親の思いも感じます。
こうした特別支援学校での充実がある一方で、障害のある子供とない子供ができるだけ同じ場で学ぶインクルーシブな教育、これはインクルーシブ教育とインクルーシブな教育はちょっと違いますが、インクルーシブな教育に関するニーズもございます。
未来の東京戦略などにおいても、このインクルーシブな教育について触れておられますけれども、今年度策定が予定されている特別支援教育推進計画の第二期の次期実施計画ではどのような検討が進められているのかを伺いたいと思います。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 令和三年三月に都が作成した未来の東京戦略では、障害の有無等に関わらず、個々の教育的ニーズに的確に応え、多様な学びの場を備えたインクルーシブな教育を推進することが挙げられております。
また、東京都教育施策大綱では、様々な状況の子供たちが学習活動に参加していることを実感しながら充実した時間を過ごせるよう、柔軟な仕組みによる多様な学びの場を創出することを挙げております。
こうしたことを踏まえ、今年度策定する次期実施計画では、特別支援教育推進計画(第二期)が目指す共生社会の実現に向けて、一人一人の教育的ニーズに応える多様な学びの場の充実や、障害のある子供とない子供の交流活動の充実などを検討してまいります。
○斉藤(や)委員 ただいまのご答弁で、多様な学びの場ということがございました。これは非常に重要なことであると思います。できるだけ共に学ぶことを目指しながらも、私は、この多様な学びの場というものをどう実効性あるものにするかが大事だと思います。
保護者の方には、共に学ぶといいながら、やはり障害のある方とない方ということでグループをつくって、結局は、同じ時間にいるのですけれども、別な扱いをされてしまうことで、非常に残念な思いをしているような現実もまだございますので、そうしたことをできるだけなくしていくような、インクルーシブなからインクルーシブ教育へ進んでいけるような、そういった教育を応援したいと思っている一人でございます。
障害のある子供も、一人一人、障害の程度、状況が違います。それぞれにとって適した学びの場というものがあるはずであります。例えば、発達障害などで、通級を活用しながら通常の学級で学ぶことで伸びるお子様もいれば、専門性の高い教員や設備、スキルの整った場所で、特別支援学校で学ぶことで力を伸ばしているお子様もいると思います。
最も大切なことは、子供自身、お子様自身が、学んでいる、そして成長しているという実感をその子が体感すること、充実した学校生活を過ごして、生きるための力を伸ばしていけることだと思うわけであります。
そのために、特別支援学校のみならず、小中学校の特別支援学級や通級指導学級、そして通常の学級など選択肢となる多様な場を用意することで、子供自身を中心に置いて考えて、その子の成長を最も促せる場を選んでいくことが大切であると思います。
一方で、多くの保護者の方のお話を伺いますと、特別支援学校や特別支援学級などでの教育内容がなかなか分かりにくいというお声をお聞きします。十分な理解がされないまま、知らないがために、そういった場所を敬遠されることがあるかもしれません。
そこで、お子様が通う学校を保護者が選ぶ入り口となる就学相談の果たす役割が非常に重要であると思いますが、その充実が不可欠であります。
都教育委員会の取組と今後の方向性について伺いたいと思います。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 障害のある子供の就学に当たっては、子供とその保護者が、それぞれの学校や学級での教育内容や支援内容などについて理解することが重要であり、そのためには、入学する学校を決めるための就学相談の仕組みについても、情報を十分に得ていることが必要でございます。
都教育委員会ではこれまで、就学前の幼児の保護者を対象に、早期からの相談を促すパンフレットの配布や学校見学の機会の提供をしてまいりました。また、毎年度の区市町村の担当者向けの説明会において、特別支援学校の教育内容等についての情報提供を重ね、保護者への周知を依頼しております。
今後、保護者が都の特別支援教育について正しく理解し、対象となる幼児にとって最適な学びの場を選択できるようにするため、就学相談の仕組みを保護者向けガイドとして分かりやすくまとめ、さらに低年齢の段階から情報を提供してまいります。
○斉藤(や)委員 やはり、このようなお子様を授かったご家族に、その選択肢があるということが大事だと思うんです。知った上で、その選択肢を自分で選んでいく。
迷うことは恐れることではないと思います。迷っているときには、上から目線で、あなたはそこで学ぶことができないとか、そういうふうに決めつけるようなことがあってはならないというわけでありまして、ぜひとも、そうした保護者向けのガイドなどをつくりながら、寄り添っていただいて、励ましていただいて、その子が最高の学びの環境で成長できるように力を合わせていきたいと思います。
医療的ケア児の保護者の方が、長期間、学校に付き添っていたり、人工呼吸器を使用するお子様は、通学の際にスクールバスに乗れなかったりしておりました。都議会公明党の要望によって、これはもう強い要望によって、徐々にその改善が図られてまいりました。
その中で、都教育委員会では、今年度から保護者負担軽減のための保護者付添期間の短縮化モデル事業を実施しております。保護者の期待は大変大きいものがございます。
そこで、現在の取組状況について伺いたいと思います。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、令和三年度から、六校の特別支援学校をモデル校として指定し、区市町村や関係機関と連携した医療的ケア児の健康観察等を就学前から実施することにより、入学後の保護者付添期間の短縮化を図るモデル事業を開始しております。
モデル事業では、区市町村教育委員会の就学相談を経てモデル事業を実施する特別支援学校への入学を予定する幼児に対して、学校の看護師が就学前の施設に訪問して健康観察を開始しています。
引き続き、モデル事業を着実に実施し、より多くの医療的ケア児の入学後の自立と保護者負担の軽減に向け、付添期間の短縮化の取組を進めてまいります。
○斉藤(や)委員 しっかり取り組んでいただきたいと思いますが、ほかにも我が党には、知的障害特別支援学校等の医療的ケア児の保護者から、専用通学車両を運行してほしいという、そういう負担軽減を求める声が寄せられております。また、多くの医療的ケア児の保護者から、学校看護師を確保してほしいと。学校での付添いの代理人や、通学時に福祉タクシーを使用する際、非常に経済的負担がございますので、そうしたことについての負担軽減の声もございます。一遍には実現しないかもしれませんが、力を合わせて応援していきたいと思います。
本年九月には医療的ケア児支援法が施行されまして、学校や学校設置者の責務が法的に位置づけられました。医療的ケア児が保護者の付添いなく学校に通えるよう、さらに保護者負担の軽減や通学支援の拡充などについて検討するように要望しておきたいと思います。
さて、様々な方が都立学校に入学する時代を今迎えております。都立高校にも特別な支援が必要な生徒が在籍している場合があります。
私も先日、ある保護者の方から誘われまして、ある高校の公開授業を見学させていただきましたが、その学校では、知的障害の生徒、発達障害の生徒さん、また身体障害の生徒の方が一生懸命勉強している姿を公開授業の中で拝見してまいりました。
しかし、高校の教員だけでは、そうした生徒の状況に応じた適切な指導が難しい場合があるのは事実だと思います。このような都立高校に対しても、状況によっては専門的な支援が必要になることがあると思います。
特に卒業後を見据えた進路指導については、都教育委員会としてどのような支援をしているかを伺いたいと思います。
○藤井指導部長 都教育委員会は、都立高等学校等に在籍する特別な支援を必要とする生徒のための進路連絡協議会を、年二回、都内六か所の学校経営支援センターを主体にして開催しております。
本協議会では、情報交換や事例研究等を実施することで、都立高等学校等の進路指導担当者と都立特別支援学校の進路指導担当者との連携体制を構築しております。
このことにより、高校卒業後の進路決定においては、都立特別支援学校高等部の進路指導の手法を生かすことで、生徒の状況に応じた就職や、就職のための支援機関等を紹介することが可能となっております。
○斉藤(や)委員 せっかく普通校で頑張っていて、その先、希望が持てるようにしていくことが見えてこないと、まだまだ応援は足りないということでありますが、今後は、卒業後、仕事ができるような職業訓練の場だとか、これは教育と就労の、ちょうどつながる部分であるかもしれません。教育庁のお話だけじゃないのですが、教育と就労の連携が重要になるシーンも出てくると思います。その際は、企業側、雇う側の考え方にもしっかりと配慮しながら、うまくマッチングができるように、教育の場からも頑張っていただきたいと思うわけです。
こうした定員割れをしている都立高校、定員内不合格を出さないことから、これは伝統的に東京都立はそのようにしております。入試選抜において、知的障害のある生徒の方が入学することを許可している高校が複数、増える傾向にあるのではないかと思います。様々な特性のある児童生徒に接する教員、こういった教員の人権意識、こういったものも、また重要になってくると思うわけであります。
都議会公明党が主導し、全会派一致で成立した東京都こども基本条例。こうしたこども条例も、全ての子供が誰一人取り残されることなく、将来への希望を持って、伸び伸びと健やかに育っていく環境を整備していかなければならないと明記されておりますけれども、その環境の一番大事な存在が教員である、このように考えます。
そのためには、子供たち一人一人が周りの全ての人々から理解され、大切にされる環境を整えることが必要不可欠でありまして、特に子供が多くの時間を過ごす学校の中で人権教育を進めていくことは重要です。
そこで、都教育委員会は、教員の児童生徒理解を含めた人権感覚向上のため、どのような取組をしてきたかを伺いたいと思います。
○藤井指導部長 全ての人が思いやりを持って支え合うことができる共生社会を実現するためには、人権教育を推進していくことが重要でございます。
そのためには、教員の人権感覚を高めていくことが必要不可欠でございます。
都教育委員会は、人権教育に関する実践的な手引である人権教育プログラムを毎年改定し、新たな課題について、全教員が正しい理解と認識が深められるよう、支援しております。また、この手引には、人権尊重の視点から、日頃の指導の在り方を個々の教員が確認するためのチェックリストを掲載し、活用を促しております。
さらに、区市町村教育委員会を対象とした連絡会において、各地区の人権教育の実践や意識啓発に関わる取組についての情報交換を行っております。
都教育委員会は、これらの取組により教員の人権感覚の向上を図ってまいります。
○斉藤(や)委員 多くの先生方が、本当に忙しい中、様々なこのプログラムを実践されていることにも本当に敬意を表したいと思いますが、中には、実際に、障害のある子供の方が、児童生徒さんが、学校の現場で心ない言動で心が傷ついている、そうした声を保護者から聞くことがあります。
そこで、様々な出来事が発生している各学校で、一人一人が大切にされる人権教育が進むことこそ最重要であると思います。教員の人権感覚向上に資する研修が必要であると思います。
都教育委員会では、この教員の皆様の人権感覚向上のため、どのような研修を実施しているかを伺いたいと思います。
○藤井指導部長 都教育委員会は、若手教員育成研修や教育管理職候補者研修等、経験年齢や職層に応じた研修において、いじめ問題や体罰防止等を取り上げるなど、教員の人権感覚を育成しております。
また、各学校での人権教育の推進役となる校長、副校長及び担当教員を対象とした研修会において、児童虐待への対応の専門家を招聘し、人権課題について理解と認識を深める講演会等を実施するとともに、人権教育プログラムを活用した効果的な校内研修の実施を促しております。
こうした取組により教員の人権感覚を高め、都内公立学校における人権教育の充実を図ってまいります。
○斉藤(や)委員 私も、人権教育プログラムの学校教育編を拝見させていただきました。チェックシートというのが、ここにあるんですね。(資料を示す)この中に障害に関する言及がないのではないかというお声が保護者から寄せられております。毎年改定してアップデートして、一生懸命、研修もしているわけですから、ぜひとも−−障害のあるお子様が普通級に入ってくる、そういった時代になりました。
ですから、教員の側も、ぜひともそのチェックリスト、障害のある方に接するときに、どういう言葉遣いが傷ついてしまうのか−−障害は持つんじゃないんです。障害があるかなしか。持つという言葉自体、傷ついてしまう方もいる。持ちたくて持っているわけじゃないわけですから。そうした言葉遣いですとか、そういったことを学校の先生もしっかりとチェックしていただくことが、これから重要になってくるんだろうなと思っております。
いじめ防止について話を移したいと思います。
学校いじめ対応のマニュアルでございますけれども、令和三年二月に改定いたしましたいじめ総合対策に、新たに開発された保護者プログラム、地域プログラムというのが掲載されておりますけれども、その背景と内容について伺いたいと思います。
○藤井指導部長 都教育委員会の調査によると、都内全ての公立学校において、学校のいじめ防止に関する方針をホームページに公表するなど、保護者や地域住民に周知し、理解を得るよう努めたと回答しております。
一方で、いじめ防止に関する学校の方針の内容について、知っている、どちらかというと知っていると回答した保護者の割合は約二割、地域関係者の割合は約五割にとどまっております。
こうした背景を踏まえ、都教育委員会は、令和二年度に、学校が保護者、地域の方々と共にいじめ問題について考え、理解を促すことができる演習形式のプログラムを開発いたしました。
具体的には、保護者会で、いじめられた子供といじめを行った子供の保護者双方の立場から対応の在り方を考えたり、教員と地域住民等の協議会で、いじめを生まない環境づくりに向けた地域の役割について話し合ったりする内容となっております。
○斉藤(や)委員 せっかく全公立学校において、いじめ防止に関する方針を周知したと学校側はいっているのですが、逆に今度は、保護者の側とか地域関係者の方に聞くと、その割合が二割とか五割になっているという、このギャップを埋めていくことがとても大事だと思います。ぜひ新しいプログラムをしっかりと活用していただきたいと思うわけであります。
いじめ問題というのは、やはり早期の発見が重要であると思うんです。
私も、いじめられた経験があります。信じてくれる人は少なくなりましたけれども。本当にいじめというのは、その人によって、とても違うんですね。受け止める側の問題がとても大きいと思います。
そうした環境を乗り越えるような、元気な健やかな子供の育成というものをみんなで応援していきたいと思うんですが、いじめを早期に発見し、対応するためにも、子供が相談しやすい環境を整備していくことがとても大事だと思うんですね。私には、そういったことを発信する恩師がおりましたし、仲間がいたわけです。
都教育委員会の取組について伺いたいと思います。
○藤井指導部長 都教育委員会は、いじめの早期発見や早期解決などに資するため、平成二十六年度から、子供を対象とした定期的なアンケートや、スクールカウンセラーによる小学校五年生、中学校一年生、高校一年生を対象とした全員面接の実施などを通して、子供が相談しやすい学校の環境づくりを促進してまいりました。
こうした相談体制の充実に加え、子供自身が不安や悩みを抱えたときに、信頼できる周囲の大人に助けを求めることができるようにするため、SOSの出し方を学ぶDVD教材を開発し、平成三十年度から、都内全ての公立学校において、この教材を授業等で活用して指導を行うよう促しております。
さらに、学校に対し、教員が子供のSOSを確実に受け止め、適切に支援する力を高めるために、新たに開発したロールプレー形式の研修プログラムを提供し、令和三年度から校内研修で活用を促すなど、学校における対応力のさらなる向上を図っております。
○斉藤(や)委員 様々な開発プログラムがございます。ぜひそれを活用して子供たちを守っていきたいと思っております。
次に、フリースクールのお話、先ほど他の委員がお話ししましたので、割愛する部分は避けますが、実は、フリースクールと学校の連携、都議会公明党の同僚の議員は、もう本当に大分県に行ったり、様々行ったり、研究して、その結果、すばらしい成果を東京都教育委員会につくっていただきました。
未来を創るかけがえのない子供たちの自立に向けてということで、不登校の子供たちへの支援のポイントということで、フリースクールのことがしっかりと紹介されている。これを教育委員会がつくってくださったのは、都議会公明党の要望を受けてここまで前進してきたことを、ここでお話をしたいと思います。
この冊子を活用して、保護者や教職員がフリースクール等に対する理解を深めていくべきだと考えますが、都教育委員会の取組を伺いたいと思います。
○藤井指導部長 冊子、未来を創るかけがえのない子供たちの自立に向けてには、子供の社会的自立に向けて、子供の気持ちに寄り添うことの重要性、フリースクール等で相談、指導を受ける際の留意点、子供を支援する具体的な事例等を掲載しており、各学校及び学校に通うことのできない子供の保護者等に配布をしております。
また、都教育委員会は、フリースクール等との連携を図るために実施している東京都学校・フリースクール等協議会において、この冊子を基に、区市町村教育委員会及びフリースクール等の担当者へ、互いの取組を理解することの必要性などを伝えております。
さらに、都内公立学校の校長対象の連絡会や、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの連絡会で冊子の内容を説明し、学校、家庭、関係機関が連携した支援を推進しております。
○斉藤(や)委員 本当にすばらしい取組で、これは過日、日本教育新聞で全国に東京の取組が発信されております。東京都教育委員会が協議会をつくって、フリースクール側と連携を図っているということが全国に紹介されました。とてもうれしいことです。
ぜひ不登校等−−学校に行けないことが悪いんじゃないんです。ひきこもりの問題の背景にも、その出口論として、学校に行きなさい、仕事しなさいと。そうじゃない。そういう状態にある、その居場所をちゃんとつくることができるかどうかがとても大切だということが分かってまいりました。
学校に引っ張っていくというんじゃなくて、学校でない場所でも学ぶことができるし、そしてそれが、いわゆる学校に行っている子供たちと同じ評価というか、ちゃんと出席日数もカウントされたり、また再び友達と同じ場所で学ぶことができたり、そうした多様な居場所づくりというものが非常に重要であるというふうに考えます。このフリースクールとの連携をこれからもしっかりとやっていただきたいと思います。
続きまして、SDGsに関連して、持続可能な社会づくりに向けた教育について質問をしたいと思います。
私も、何度もこれを申し上げてまいりましたが、持続可能な社会づくりに向けた教育推進事業は大変に頑張ってやられておりますけれども、今年度実施されたオンラインによる研究発表会の成果と今後の取組について、都教育委員会の見解を伺いたいと思います。
○藤井指導部長 都教育委員会は、今年度指定した推進校の研究成果を都内公立学校等に対して広く発信し、持続可能な社会づくりに向けた取組を一層推進することを目的に、本年十一月にオンラインによる研究発表会を開催いたしました。
研究発表会当日は、都立高校の授業実践の視聴、推進校五校による研究発表及び研究協議、有識者を講師とする講演を行っております。
研究協議では、児童生徒が生活する地域における未来のよりよいまちづくりに向けて自分たちの考えを深める学習活動などが発表され、学校と地域が連携して児童生徒が身近な問題を地球規模の課題と結びつけることの重要性について、参加者で共通理解を図りました。
今後、推進校が取り組んできた好事例を整理し、全公立学校に向けて発信していくことを通して、学校と地域との連携をさらに深めていくことができるようにしてまいります。
○斉藤(や)委員 環境や持続可能な社会づくりについては、子供の方が先生になるケースが各家庭であると思います。買物をするときでも、お子様から、お母さん、こちらの方が地球に優しいんだよということで、リサイクルできるような商品を勧められたり、あるいは、基礎自治体で、SDGsというか−−その言葉が大事だというのじゃないと思うんですね。そうした地域、自治体を挙げて自分事として、本当に様々な、資源の有効活用ですとか、環境に対しての配慮ですとか、自分たちの地域が盛り上がっていくように知恵を出していこうという、その取組自体がとてもすばらしいわけであります。
遠いヨーロッパのルールに任せるんじゃなくて、自ら自分たちの足で掘り起こしたときに、もっと前から、日本というのはそういうことについて気がついていたんだと。渋沢栄一翁の話のもっと前から、近江商人の話のもっと前から、そうした日本に生まれている子供たちに、ぜひとも胸を張ってヨーロッパの子供たちにもしっかりやっているんだよということを主張していただけるような子供に育ってもらいたいなと思っております。
そうした観点から、いろんなことを論理的に想像して−−私もちょっとおっちょこちょいなところがございまして、いろんなことが頭の中で巡って、うまく表現できないことがあります。論理的な思考が重要だというふうに同僚からいわれておりますけれども、今、プログラミング教育というものが、いよいよ本格的になってまいります。
現行の学習指導要領における小学校及び中学校のプログラミング教育の背景と狙いについて伺いたいと思います。
○藤井指導部長 将来の予測が難しい社会では、何が重要かを考え、情報技術を効果的に使いこなしながら、論理的、創造的に思考して課題を発見、解決し、新たな価値を創造する資質、能力を身につけることが求められております。
これらの背景の下、小学校では、コンピューターの仕組みを体験的に学ぶことにより論理的思考力を育むことなどを目的とし、さらに中学校では、生活や社会に関わる問題を見出して、課題を設定し、それを解決する力の育成のためにプログラミング教育を実施することとしております。
○斉藤(や)委員 私も受けてみたかったプログラミング教育でございますけれども、都教育委員会は、小中学校のプログラミング教育の充実に向けて、今、学校をどのように支援しているかを伺いたいと思います。
○藤井指導部長 都教育委員会は、プログラミング教育の専門家を都内公立小中学校の希望校に派遣するプログラミングキャラバンを実施しております。
小学校では、コンピューターに対する一連の命令を考え、試行錯誤しながら、明るさを検知するセンサーを動作させて部屋の照明を点灯させたり、多角形を描いたりする実習を通して論理的思考力を育む内容の訪問講座を実施しております。
中学校では、離れた人とメッセージをやり取りするプログラミングの実習を通して、生活をより便利にする身近な課題を設定し、解決する力を育成する学習方法を学校を訪問して助言するなど、担当する教員を支援しております。
また、情報教育研究校を指定し、プログラミング教育の先進的な実践事例を開発してポータルサイトで公開することで、都内公立学校におけるプログラミング教育を支援しております。
○斉藤(や)委員 これからの時代は、いわれたことをただやればいいということでは、なかなか乗り越えていくことができない課題がたくさん、多いといわれております。その課題について、解をどうやって出していくのかという論理的な思考がとても大事だということで、これは、私のような立場の者もとても大切であるというふうに思いながら、プログラミング教育の成功をしっかりと応援していきたいと思います。
都の教員の方は、情報科というものを選択されている教員で構成されていると伺っております。人材としては、東京都は全国的に大変優位なところにあるはずですので、全国を牽引していくようなプログラミング教育をぜひ実行していただきたいと思います。
続きまして、主権者教育の部分になりますけれども、法教育、法に関する教育について質問したいと思います。
六年前の、民法改正によりまして、我が国の成人年齢は、二〇二二年、来年の四月から成年年齢が引き下げられます。これは、世界的にも成年年齢は十八歳とすることが主流であることに加えまして、公選法の選挙権の年齢引下げや、憲法改正国民投票の投票年齢は十八歳以上と定められておりますが、若者の自己決定権を尊重して、その積極的な社会参加を促すことが重要であるから、民法改正になったわけであります。
東京都では、これまでのキャリア教育に加えまして、消費者という立場では契約上の取消し権が行使できなくなることを学校の現場でも教えておりますし、また、地球環境に配慮したエシカル消費の重要性、これは生活文化局も一生懸命、力を入れております。金融による経済の仕組み、資産形成の重要性などは、今までの社会保障一辺倒のライフ設計じゃなくて、金融教育というものの重要性も、今、非常に注目されております。国民が財政面から国を担うために納付する租税の重要性はいうまでもございません。
租税教育など、様々な主権者としての立ち位置から学ぶ内容というのは多いのですけれども、来年度から学習指導要領が改訂されまして、都立高校では、法、政治及び経済に関する新しい学び、公民科の新科目として公共というものがスタートすると伺っております。
選挙権のみならず、裁判員裁判制度の裁判員に高校生の段階で選ばれることになります。人を裁く責任を負うことから、司法参加の意義については、さらなる理解を深める取組が必要であると考えます。
そこで、法の意義及び役割、司法参加の意義など、法に関する教育の充実を図るべきと考えますが、都教育委員会の取組について伺います。
○藤井指導部長 高校生が法の背景にある基本的な価値や司法制度の機能、意義を理解し、法的なものの考え方を身につけるためには、現実社会の諸課題に関わる具体的な主題を設定し、解決する学習活動を行うことが重要でございます。
生徒の司法参加意識を高めるには、弁護士、司法書士、行政書士等との連携が効果的であり、都教育委員会は、こうした授業展開例を示した指導資料を作成して、学校が法に関する教育を推進できるよう支援しております。
今後、これらの資料を活用して、公民科の授業等で模擬裁判を実施し、裁判員制度に対する生徒の理解を深めるなど、具体的な体験を通して、生徒が司法に関心を持ち、積極的に参画する意識を醸成していくことができるよう、法に関する教育の一層の充実を図ってまいります。
○斉藤(や)委員 弁護士だけでなく、行政書士、まちの法律家といわれて、最も親しく、近いところにおられる行政書士の先生方や司法書士の皆様、あるいは大学院生、何も資格を持たなくても、そういった子供たちについて勉強を、学びに火をつけてくれる存在がございます。そうしたことを、しっかり教育委員会として指導資料を作成して、学校で使えるような支援を行っていただきたいと思うわけでございます。
また、高校生などになりますと、文字だけじゃなくていろんな、SNSですとか、あるいは映像ですとか、様々、興味を持つツールというものがございます。
最近、私の友人である弁護士が監修に参加した昔話を題材にした裁判のドラマ、桃太郎が鬼退治で殺人罪に訴えられてしまうというテーマでございましたけれども、演劇スタイルというか、ドラマなんですけれども、そこに若い方がいわゆる裁判員として−−桃太郎を、殺されてしまった鬼の奥さんが原告になって訴えているわけですけれども、検察官から責められるシーンがありましたが、そういった面白い、親しみやすい切り口というのは、私ではなかなか思いつかないことも題材としてありますので、堅い話だけでなくて、様々なツールを使って、学びの現場で先生方を応援するツール、ぜひとも応援していきたいと思います。
次に、がん教育について伺いたいと思うわけでございます。
がんの学びというものも、実は長年、公明党が、国においてはがん対策基本法、こうしたものの改正などもずっと訴えまして、学校に国民的な病ともいわれるようながんについての、健康教育の一環として、学びの場でがん教育について推進していくことが重要であるということを訴えてまいりました。
学校において、今、これが、平成三十年の改定を受けまして東京都がん対策推進計画、協議会の提言も拝見いたしましたけれども、平成三十年五月に立派なものがまとめられておりますけれども、今、教育の現場で、いよいよがん教育が実行されていくときを迎えております。
がん教育の目的について、改めて都教育委員会の見解を伺いたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 がん教育は、健康教育の一環として、がんについての正しい理解と、がん患者や家族など、がんに向き合う人々に対する共感的な理解を深めることを通し、自他の健康と命の大切さについて学び、共に生きる社会づくりに寄与する資質や能力の育成を図る教育でございます。
○斉藤(や)委員 このがん教育は、単に医学的な知識を身につけるということではなくて、それは確かに、不治の病といわれた時代から、今は克服できる病気ということが、もう科学的に、また医療の発達になってまいりましたけれども、今、それに併せて、共に生きる社会づくりに寄与する資質と。これは、がんによって、長くがんとともに生きている方々、ご本人や、あるいは家族の方のお話も伺うことも大事ですが、そうした二つの側面を柱にしているのが、このがん教育の特徴であります。
がん教育を効果的なものとするために、どのように行うのがよいと考えているか、都教育委員会の考え方を伺いたいと思います。
○小菅地域教育支援部長 がん教育を効果的に実施するには、発達段階や授業の狙いに応じて外部講師を活用し、内容の充実を図ることが重要であると考えます。
例えば、中学校二年生のがんという病気の知識を得る授業では、学校医やがん専門医など医療従事者を講師として招き、科学的根拠を示しながら、がん検診や治療法、緩和ケアの実際や最新情報など専門的な内容を取り上げ、子供たちの理解を深める実践が行われております。
また、小学校六年生のがんにかかった体験を学ぶ授業では、がん患者やがん経験者を招き、患者の気持ちや生活の様子について語っていただくことで、健康や命の大切さの理解を深める取組が行われております。
都教育委員会では、学校において外部講師を活用したがん教育を促進するため、外部講師のリスト化をするなど、体制整備を進めているところでございます。
○斉藤(や)委員 学校の現場には(資料を示す)教師用、そして児童生徒用ということで、小中高別に様々なこういったリーフレットも作っておられます。私が本当にすごく大事だなと思っているのは、緩和ケアということについての言葉がちゃんと説明されています。
今は、治療が開始されると同時に、緩和ケアを同時に行うことも大事だということが今の最前線なんですね。そういったことを子供のときから、おじいちゃん、おばあちゃんが、もしかしたらがんを患うかもしれない、お父さん、お母さんがそうなるかもしれない、そのときに、我慢するんじゃなくて、緩和ケアが大事なんだから、最初からそういうことをお医者さんと一緒にやっていこうよというような子供になっていったらすばらしいなと思うんですけれども、そういったことの気づきが、既にこうやって学校の現場に入っていることは大変にありがたい。忙しい先生方には大変にご苦労をおかけしますけれども、こうしたことは、とても学びの中でも大事であると思います。
今、外部講師のリスト化という話があったのですけれども、令和二年度で結構でございますが、がんの教育の実施状況について、外部講師の活用状況をちょっと伺いたいのですが、お願いします。
○小菅地域教育支援部長 都内公立学校でがん教育を実施した学校は千九百十校、約八六・四%でございました。このうち、小学校では九六%、中学校では九五・一%、高等学校では八七・三%が体育及び保健体育の授業で行っておりました。
また、がん教育を実施した際に外部講師を活用した学校は二百十一校ございまして、がん教育を実施した学校のうちの約一一%でございました。
今後とも、関係機関と連携して、外部講師の活用を含めて、がん教育の充実に取り組んでまいります。
○斉藤(や)委員 今のお話では、外部講師を活用した学校は二百十一校で、がん教育を実施した学校のうちの約一一%、これをもう少し増やしていくように頑張っていただくというお話でございました。
やはり、がんを体験している方、目の前で生きている方にお話を伺うだけで勇気が湧きますし、また、そういう方々が目の前にいたときにどういうお言葉をかけたらいいのかということを考える、そういったことも、とても子供の成長につながっていくと思いますので、ぜひとも外部の方の活用に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
健康に関して、目の健康について一言触れておきたいと思うんです。ICTの機器の話はたくさん出てまいりました。実は、これからICTということで様々な端末を見ることで、目にいろんな負担がかかっていくということを非常に心配している保護者の方も、またお医者さんもおられます。
一人一台の学習用端末を使う上で、目の健康を確保するための注意喚起について、都教育委員会の取組を伺いたいと思います。
○藤井指導部長 子供たちが一人一台端末を活用する上で、長時間使用することにより健康を害さないよう、学校や家庭が配慮していくことが必要であります。
都教育委員会は、令和三年二月に作成、配信した、一人一台端末の効果的な活用のための指導資料の中で、長時間にわたり動画等を視聴しないことや、三十分に一回程度、二十秒ほど画面から目を離して目を休めることなどを掲載し、健康への留意事項を周知しております。
また、三月には、文部科学省が制作した健康面の配慮事項も含めた端末運用時のチェックリストを、四月には、文部科学省が制作した健康への配慮等に関する子供及び保護者向けの啓発リーフレットを学校に配布しております。
端末による健康への影響については、科学的に解明されていない事項もあるため、今後とも、最新の情報を随時学校に提供してまいります。
○斉藤(や)委員 端末を見るというのは、家の中でもゲームなんかを見ているわけですし、学校の中の現場が原因だということにならない、それだけじゃなくなると思うのですが、ただ、義務教育などは特にそうですけれども、学校の現場というのは、みんな一緒にやるわけですね。ですから、そういう環境に子供たちが入っていくわけですから、よく保護者とも連携を取っていただいて、目の健康については細心の注意を払っていくことが重要であろうというふうに思いましたので、一言質問させていただきました。
次に、教育の管理職の確保ということで、学校リーダー育成プログラムについて質問したいと思います。
せっかく情熱を持って教員になられても、授業、部活動、保護者の対応に追われておられる先生方は大変多くおられます。上司が頑張っている姿を見ることができれば、若い後輩もやる気が出るものであると思います。
学校経営を担う校長先生の存在意義は大きいのですが、副校長先生は本当に大変な思いをされている。
教育管理職選考における受験者の低迷が続いているというふうにも仄聞しておりますけれども、教育管理職の掘り起こしのために学校リーダー育成プログラムというものを実施しているということを聞いておりますが、これはどういう趣旨で始めたのかを教えていただきたいと思います。
○浅野人事部長 今日の学校が抱える様々な課題に対応していくためには、学校経営を担う教育管理職の人材育成及び確保が重要でございます。
学校リーダー育成プログラム事業は、区市町村教育委員会と都教育委員会とが連携して、将来、教育管理職としての活躍が期待される若手教員を中心にリーダーとしての資質、能力を高め、学校マネジメント能力の育成を図る研修として平成二十五年度から実施しております。
○斉藤(や)委員 平成二十五年度から実施しているということでございます。
この学校リーダー育成プログラムの具体的な内容について、まとめてで結構ですので、お伺いしたいと思います。
○浅野人事部長 まず、区市町村教育委員会と学校経営支援センターにおいて、学校経営の基礎的な知識を学ぶ学校マネジメント講座を実施しております。
次に、学校マネジメント講座受講修了者の中から特に優れた資質を持つ者として推薦された者を対象に、都教育委員会において学校リーダー育成特別講座を実施しております。
学校リーダー育成特別講座では、民間企業における組織マネジメントを参考にしながら、学校でのマネジメントを実践するためのグループ討議等を実施しております。今年度は、オンライン視聴、ウェブ会議、集合研修を織り交ぜた形式で実施し、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の教員百九十一人が参加いたしました。
学校リーダー育成特別講座修了者に対しては、都教育委員会と区市町村教育委員会が連携して継続的な育成に努め、教育管理職選考受験につなげております。
○斉藤(や)委員 この特別講座修了者の方のお声というものをちょっと聞いてみたのですけれども、管理職という視点から学校の全体を考える視点を持ったことはなかった、でも、こういう研修に入ると、そうした視点から学校の状況を考えることができたことは、あしたからの自分の学年運営などに生かしていくことができるということ、とてもそれを実感できたということでした。
また、企業などとの交流、なかなか学校の外の環境との交流が、学校の先生はありそうでないのですけれども、企業での取組事例なども講義していただいて大変刺激になったと。
こういう方々が現場で管理職になっていくのには、もうちょっと時間があるようでございますけれども、いよいよ、この平成二十五年に始まったプログラムの成果が問われるときを迎えつつあります。大変楽しみでございます。
また、今日は省略しますけれども、国際高校、私も卒業式、入学式に行って、もう本当に度肝を抜かれるというか、こういう学校が都立としてあるんだということを何度も体験しておりますけれども、バカロレアで、IBというか、一〇〇%、バカロレアの資格を取っているというのは世界一ですから。一〇〇%ですから。コロナ禍の中で頑張った、こうした現場における成果、そして、学校の先生を大いにたたえたいと思います。
そうした目立つ国際化の話とは別に、今度は、さっき、島のお話もございましたから、ハード面は省略しますが、大島海洋国際高校の話なんです。私も二度、学校を訪問させていただきました。
来年度、水産科に学科改編を予定しているということでございます。海洋の知識や技術、環境問題について、より実践的な教育を行うべきと考えますが、現在の国際高校と名がついている大島海洋国際高校の取組について伺いたいと思います。
○谷都立学校教育部長 都立大島海洋国際高校では、海洋教育の充実を図るため、令和四年度に学科改編を行います。
学科改編後の教育内容としては、航海、潜水、魚の養殖などの技術の習得を図ることに加え、国際的な課題である海洋環境や、海洋データの分析で必要となる情報処理など、現代社会に対応した科目を設置してまいります。
さらに、実習船「大島丸」により、水中生物や海底資源等を映像や音波、捕獲などの多様な方法で調査するなど、実践的な教育内容を充実させてまいります。
こうした取組を推進することにより、海洋環境、海洋資源の保全と活用への高い意識と実践力を養い、国際的に活躍する海洋人材を育成してまいります。
○斉藤(や)委員 東京都の伊豆七島は大変恵まれている島だというふうに、ほかの県からいわれているようであります。我が同僚の議員も島留学というものを提案して、先ほど他の委員の質問がありましたので、外から伊豆七島の島に学びに来ている子が増えていることは大変うれしく思いますが、この海洋高校を目指して多くの人材が集まることを大変楽しみにしております。
そして、潜水ができるプールがまだしっかり整っていないというのも見てきましたけれども、ハード面のことは学校の計画があると思いますので、しっかりと応援しながら、寮の方の改築とか、様々あると思いますけれども、応援してまいりたいと思っております。
最後の質問になります。第四十六回の全国高校総合文化祭について、最後に質問をしておきたいと思います。
来年の夏、初めてこの東京都を開催地として第四十六回の全国高等学校総合文化祭が行われることになります。本大会が、コロナ禍を乗り越えて多くの人々に希望を与える芸術文化の祭典となることを期待している一人であります。
先日、十月三十一日にプレ大会総合開会式を実施したと聞いておりますけれども、その目的と成果についてお伺いしたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 全国高等学校総合文化祭は、全国の高校生が一堂に会し、日頃の文化部活動の成果を発表する国内最大の芸術文化の祭典でございます。
十月三十一日のプレ大会総合開会式は、来年の東京大会に向け、生徒による運営等を検証するとともに、開催を広く都民に周知することを目的として実施をいたしました。
大会を運営する生徒は、舞台進行や出演者の誘導などを綿密に計画し、滞りなく進行することができました。
また、舞台上では、生徒が企画した東京の豊かな文化や自然などを紹介する映像や、都内高校生によるオリジナルミュージカルなどを発表いたしました。
これらの様子をオンラインでライブ配信するとともに、後日、オンデマンドで配信をしております。
生徒たちが全力で取り組む姿を都民に広く発信しており、これまでに約七千五百回、再生されております。
○斉藤(や)委員 甲子園だけではない、野球だけではない、ラグビーだけではない、サッカーだけじゃない、吹奏楽は全国大会が結構盛んですけれども、それ以外の文化部の活動、本当に様々な活動があると思いますが、この総文祭、楽しみにしている高校生に向けて大いに盛り上げていくことが重要であると思いますが、今後の取組について、最後に伺いたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 来年の東京大会の開催について、これまで、大会ホームページや動画配信により大会の概要を周知するとともに、広報グッズやポスターの配布など等によりPR活動を行ってまいりました。
開催まで一年を切っていることから、今後は、これらの取組に加えて、多様な広報活動を展開してまいります。
具体的には、高校生世代にとって身近なコミュニケーションツールであるSNSを活用し、生徒の目線で総文祭への思いや魅力を伝えるメッセージ等を配信するなどの広報展開に力を入れてまいります。
また、都立図書館との共同展示の企画や、他局主催イベントにおけるPRなど、局内外の取組と連携するとともに、会場となります自治体の協力も仰ぎながら、より幅広い層の都民にも周知をしてまいります。
このように様々な媒体を活用し、総文祭の魅力が伝わるよう、一層の機運醸成を図ってまいります。
○斉藤(や)委員 この総文祭が東京で、全都道府県の最後に回ってくるわけですけれども、コロナの後にこの総文祭を東京で迎えることは、とても意義があることだと思うんです。
今回の総文祭は、コロナ後の新たな文化振興策を東京を挙げて考えるときに、高校生自らの様々な創意工夫が、そのまま東京都の未来に向かっての政策に生かされる最大のチャンスに巡ってまいりました。どうか高校生の頑張りを東京の新しいコロナ後の文化振興策につなげていただきたいとお願い申し上げまして、質問を終わります。
○白戸委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間の休憩をいたします。
午後六時三十分休憩
午後六時五十分開議
○白戸委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行します。
発言を願います。
○アオヤギ委員 日本共産党のアオヤギ有希子です。
まず、病弱教育についてお伺いします。
都民の方から、病弱教育、特に病気で病院に入院をし、治療を受けている子供たちの教育の充実についてご要望をいただき、先週は、都立小児総合医療センターの中にあります武蔵台学園府中分教室を視察させていただきました。
府中分教室の中には、小児精神疾患で入院している子供たちのためのひだまり学級と、小児がんなど体の病気の子供たちのわかば学級があり、入院期間中の在籍ということで出入りは多いのですが、伺ったときには、それぞれ三十人から四十人くらいの小中学生が在籍し、五階と六階の専用の教室で学んでいました。
コロナ前は、もっと多くの子供たちが入院していたそうですが、都立病院ということで、コロナ病床などの対応があり、入院数が抑制されているそうです。
分教室は、治療の状況や体調が許せば、一日六時間の授業が受けられますし、友達との交流もあります。教室の前には、子供たちが病室から背負ってきたランドセルがかけられ、また、文化祭ということで、子供たちの作品が所狭しと廊下に展示されていました。
楽しそうに過ごす子供たちの様子や、マンツーマンや少人数での授業の様子も拝見し、入院中の子供たちに寄り添い、励まし、教育を保障するかけがえのない場所になっていることを実感しました。
都内には、こうした特別支援学校の分教室が五つの病院にあり、また、区市町村立小中学校などが設けている院内学級が五つの病院にあると伺っています。
病院内に分教室や学級がない病院に入院している場合は、希望して、病院の許可があれば、肢体不自由特別支援学校の訪問教育が週二回ほど受けられ、例えば、小平特別支援学校からは十以上の病院に訪問をしているということです。
これらの病院内での教育を受けるには、もともと通っていた学校から、病院内の学級を持つ学校に学籍を移す、つまり転校しなければなりません。
そこで、まず伺いますが、小学校において、現在の学籍異動の条件や異動に所要する期間はどれくらいですか。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 区市町村の小中学校に在籍する児童生徒が入院した後の手続を始めるに当たっては、治療を優先するため、病状等が安定し、学習活動を行うことについての主治医の了解が必要となります。
都立特別支援学校への転学までに要する期間は、個々の希望や病状等により異なるため、一律の設定はしておりません。
これまでの事例では、学籍の異動に要する期間は二週間から三週間程度であることが多くなっております。
○アオヤギ委員 二、三週間かかるということです。
それから、現在の治療法として、ずっと入院して治療を受けるのではなく、一週間入院し、その後は二週間自宅療養、そして病院に通うということをしながら、がんの治療を行う、また一週間入院するということを繰り返す場合もあるそうですけれども、退院してすぐに元の学校に通えるわけではなく、しばらくは自宅療養するというような形が増えていると伺いました。
一時帰宅中や退院後の自宅療養中には、どこの学校に在籍して教育が受けられるのか、伺います。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 病院からの一時帰宅では、引き続き入院することになるため、都立特別支援学校の分教室や訪問教育を実施する特別支援学校に在籍することとなります。
退院後の自宅療養中は、特別支援学校から転学し、もともと在籍していた小学校や中学校の在籍となります。
児童生徒は、それぞれが在籍する学校で適切に教育を受けることとなります。
○アオヤギ委員 次に、もともとの在籍校と入院中の在籍校との連携はどのようになっているのか、お伺いします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 特別支援学校に転学する際には、転学相談を実施し、小中学校での学習状況などを引き継ぐこととしています。
疾病等による入院に伴う転学であっても、同様に相談を行い、入院中の指導に生かしております。
また、退院後、もともと在籍していた小中学校に戻る際には、入院中の学習状況などを特別支援学校から提供し、退院後の学習が円滑に進められるよう連携しております。
○アオヤギ委員 転出入の際には引継ぎを行うということです。
この間、関係者からお話を伺い、また、書籍も紹介していただいて読みました。最近は、入院が短期化し、自宅療養が長くなっているということで、先ほど二、三週間ほどかかるとのご答弁でしたが、病弱教育が受けられる学校への学籍異動がうまくいかなかったり、自宅にいる間の教育が受けづらくなったりする事例もあると伺いました。
お伺いした府中分教室では、一時帰宅中の児童生徒に対し、オンラインで授業をするということも昨年から始めているということです。
ほかの分教室の先生にも伺いましたが、分教室にいる間は、相当手厚くフォローしていらっしゃるというふうに感じました。
同時に、訪問教育の場合は、週二回に限定されてしまう。または、やはり転校するということで、引継ぎはしっかり行うにしても、子供は、退院したら元の学校に戻りたいと考えて、転校中も元の学校とつながりたい、つながりを持ちたいと期待しているけれども、なかなか難しいという現状もお聞きしました。
実際、四十人の児童生徒を担任している先生が入院中の子供に何か対応すると、物理的余裕がないということもあるのだろうというお話も聞いたところです。
現場の先生方は、子供たちや時代のニーズに合わせて様々な工夫をしていると、私も武蔵台で実感しましたけれども、教育委員会としても条件整備をして、さらに充実させていただきたいと思います。
そして、この分教室の高校生の教育についてお伺いします。
重要な役割を果たしている分教室ですが、高校生になりますと、様々な課題があると伺っています。
義務教育でありませんから、通常の転校であれば、時期も決まっているし、試験もあります。進級や卒業するためには単位を取らなければならず、そのために、それぞれの科目ごとに七五%以上の出席だとか、定期テストや提出物などを設けているのが普通の高校です。
入院して高校から特別支援学校の高等部に転校する場合は、就学相談を経て、小中学校と同じような手続で転校できると聞いていますけれども、また元の高校に戻るときに、それらの条件をクリアするための調整に、非常に苦労するという場合もあるそうです。
都立高校に在籍していた生徒が、病気等の事情により特別支援学校の院内学級への編入後、再度、在籍していた都立学校へ編入学する場合の手続について、また、都立高校への編入後の学習の評価や単位の認定はどのように行っているのでしょうか。お伺いします。
○谷都立学校教育部長 都教育委員会は、生徒が病状の改善等に伴い、再度、在籍していた都立高等学校への編入学を希望する場合には、学校が随時編入学の手続を行う旨の要項を定めており、生徒の学習活動が円滑に継続できるようにしております。
また、再度、高等学校に編入学をした後の学習の評価や年度末の単位認定については、生徒の学習状況等を踏まえ、それぞれの生徒の在籍している高等学校において行うことになっております。
○アオヤギ委員 院内学級に在籍していて都立高校に戻る場合は、随時、戻ることができるというお話でありました。単位認定も、病院内での学習状況を踏まえて行うということであります。
高等部のある分教室の先生に伺いましたら、病院内で受けることのできる科目や授業は、元の高校とは全く同じとは限らないけれども、単位の読替えなどを行って、入院していたことにより、生徒が留年したり、卒業できないなどの不利益にならないよう、かなり柔軟に、自主的に対応しているという部分もあるというふうにお聞きをしました。
特に近年、合理的配慮への理解が広がり、柔軟な対応をしてくれる都立高校が急速に増えていることもお伺いしました。
同時に、中にはまだ、規定どおりの出席や単位の修得がなければならないと考える学校があったり、入院が必要な子供たちへの教育をよく知らないという学校もあると聞いています。
高校生で病気になることは、どこの学校でも起こり得ることだというふうに思います。
在籍する学校で弾力的に単位の認定ができるということについて周知していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○藤井指導部長 転学等の事情のある場合の単位の修得等については、生徒に不利益のないよう、弾力的に取り扱うことができることとなっており、引き続き校長連絡会等を通じて周知してまいります。
○アオヤギ委員 ぜひ機会あるごとに周知をお願いしたいと思います。
次に、小児総合医療センターの高等部についてお伺いします。
都立特別支援学校の病院内の分教室は、国立がん研究センターにある都立墨東特支のいるか分教室、東京大学医学部附属病院にある北特支のこだま分教室、国立成育医療研究センター内の光明学園のそよ風分教室、国立精神・神経医療研究センター内の小平特支の武蔵分教室、そして、視察させていただきました都立小児総合医療センターの府中分教室があります。
このうち、墨東、光明、北、小平特支の分教室には高等部がありますが、小児医療センター内の府中分教室にはありません。どういう経緯があるのでしょうか。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、入院している児童生徒に対して、病院内に分教室を設置するとともに、特別支援学校の教員が病院を訪問して行う病院内訪問教育を実施しています。
現在、病院内に設置している分教室につきましては、武蔵台学園府中分教室を含め、訪問教育の実施状況、施設設備の状況等を総合的に勘案し、病院と協議するなどして設置してきた経緯がございます。
○アオヤギ委員 総合的に勘案しということですけれども、高校生に対しても教育を保障することは必要です。中学部まであるのに、なぜ高等部がないのか、疑問に感じます。
病弱で入院や自宅療養を余儀なくされている高校生の教育を受ける意義や教育を受ける権利について、どのように考えていますか。お伺いします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 入院している生徒の学習の機会を確保することは、生徒の学ぶ意欲に応え、学習の遅れを防ぐとともに、治療への不安等の軽減を図りながら、病気に向き合う気持ちを育てる意義があると考えています。
○アオヤギ委員 意義があるというご答弁でありました。私は、権利についてもお伺いしましたけれども、こうした高等部を必要とするお子さん方の中には、再入院、再々入院で入られるということで、卒業して大学生になるということもできる方もいれば、残念ながらお亡くなりになる方もいらっしゃいます。でも、最期のときまで教育を受けたいという、そういった権利を保障するのが都の義務ではないでしょうか。そうしたことを実現する教育環境が求められていると思います。
実際、都立小児総合医療センターにも、高校生は入院しています。そして、教育を受けたいと希望した場合、小平特支の訪問教育を受けられると聞きましたけれども、在籍する生徒は、現在、何人ですか。また、一年のうちで、短期間でも在籍する生徒は何人ぐらいですか。お伺いします。
また、武蔵台学園の分教室は、同校の中学部卒業生などに、高校の宿題や勉強のアドバイスを自主的になさるということがあるとお伺いしました。年間、何人ぐらいの子供がこのような支援を受けているのですか。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 令和三年十一月一日現在、都立小児総合医療センターに入院し、小平特別支援学校の教員による訪問教育を受けている児童生徒はおりませんが、令和三年度中に、約二か月間、訪問教育を受けていた生徒が一人おります。
また、同センターに設置している武蔵台学園府中分教室の中学部を卒業した者で、再度、同センターに入院した際に、教育的な配慮から、同分教室の教員が学生の相談等を行う事例は、年間で数件あると聞いております。
○アオヤギ委員 年間で何人もいらっしゃるということです。ここに高等部がないと、単位を取ったりすることができないということになります。
小児医療センターは、初診は十五歳までということですので、高校生の年齢で入院してくるお子さんは、ほとんどが府中分教室で学んだことのある生徒なのだと思います。
そうしたお子さんが、週二回の訪問教育や教育的な配慮ということではなく、正式な形で、小中学生のときと同じ府中分教室で学べる条件や環境を整えることは、教員や子供同士の人間関係を考えても、教育を受けることのできる時間を考えても必要ではないでしょうか。
都立小児総合医療センターにある分教室にも高等部をつくることを求めますが、見解をお伺いします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 入院している児童生徒に対しましては、今後も、病院の理解と協力の下、病院内に設置している分教室や病院内訪問教育により適切に対応してまいります。
なお、武蔵台学園府中分教室に高等部を設置する予定はございません。
○アオヤギ委員 五つある分教室のうち、総合医療センターにだけ高等部がないというのは、本当に納得いきません。総合医療センターは拠点病院なんです。小児がんの拠点病院、全国の。全国からもいらっしゃっていますけれども、そういった病院に高等部がないというのはおかしいと思います。
都立同士の病院と学校ですので、率直に協議をしていただいて、ぜひ高等部を設置していただきたいと思います。
このテーマの最後に、病気で学校を欠席している子供たちについてお伺いします。
教育委員会で統計を取っていますけれども、病気による長期欠席の定義と、小中高等学校にそれぞれ何人ずついるのか、お伺いします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 令和二年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査におきましては、連続したものであるか否かを問わず、令和二年度の間に三十日以上登校しなかった児童生徒を長期欠席者としております。
また、長期欠席の理由が病気な者とは、けがを含む本人の心身の故障等による入院、通院、自宅療養等のため欠席した者のこととされております。
なお、令和二年度におきまして、長期欠席の理由が病気である児童生徒の人数は、小学校が千九百八十六人、中学校が千七百九十九人、高等学校が九百四人、合計四千六百八十九人でございます。
○アオヤギ委員 小中高を合わせて都内で五千人近い児童生徒が、病気により年間三十日以上欠席しているということでした。
この中には、ご本人の病状により教育を受けることが難しい場合も含まれていると思いますが、同時に、入院や自宅療養をしている期間も教育を受けたいのだけれども、一回の入院期間が短く、転校の手続をしているうちに退院になってしまうと考えてか、入院している病院では教育を受けられる条件がないなど、様々な理由で教育の手が届いていないお子さんもいると推測されます。中には、実はネグレクトや虐待の場合もあるのではないかという懸念も指摘されています。
病気で欠席になると、一般的には、仕方がない、まずは治療に専念して、元気になったら、また学校に来てねと考えがちですが、病気であっても、教育は保障されるべきですし、教育を求めている子供たちもたくさんいると関係者はおっしゃっております。
病気で長期欠席している子供たちはどうしているのか、どういう教育ニーズがあるのか、その実態を国立がん研究センターでも調査されています。
厚生労働省の受託事業で国立がん研究センターが調査した結果では、高校では休学が六一・三%と最多、退学も八・八%と多かった、小学校、中学校の患者では、九〇・七%、七七・六%が病院内等に設置された特別支援学級で授業を受けたと回答したのに対して、高校の患者は一九・四%と少なく、逆に、利用したものはないと答えた回答が六一・一%を占めていたというふうに調査結果を示しておりますけれども、病気で長期欠席している、そうした実態を明らかにして、子供たちの教育保障についても検討し、充実をしていただくことを求めて、次の質問に移ります。
次に、教員の採用状況と特別支援教室についてお伺いします。
来年度から、いよいよ三十五人学級が小学校三年生から始まります。毎年、教員の採用を増やしていかなければ三十五人学級に対応できなくなるわけですが、資料要求した資料など、資料を出していただきました。ありがとうございます。
この間の五年間の推移を示していただきました。
平成二十九年から令和三年度までの採用人数を小学校で見ると、令和元年の一年だけは二千百六十一人となっている以外は、大体、千六百人で推移しています。
また、この五年間の、平成二十八年度から昨年までの退職者を見ますと、五年前の千二百六十人から毎年数十人少なくなって、令和二年は千六十三人になっています。新卒での採用数が少ない世代が六十歳を迎えつつあり、退職者が減ってきているものと考えられます。
また、小学校では、この五年間では退職者数を上回って採用がされてきていますけれども、高校は、採用数が退職者数を毎年下回っており、中学も、平成二十九年と三十年は大幅に採用数が退職者数を下回っています。
来年度ですけれども、小学校全科における令和三年度末の教員の退職見込み者数と、令和四年四月一日、小学校三学年が三十五人学級になった場合の必要人数をお伺いします。
○浅野人事部長 小学校全科における令和三年度末時点の退職見込み者数は千四十四人、令和四年度の採用候補者名簿登載者数は千百六十四人、うち小学校三年生の三十五人学級に必要な人数は三百六十三人でございます。
○アオヤギ委員 見込みの数なんですけれども、三十五人の必要人数三百六十三人に対して、退職者数と新規の採用、差引き百二十人分増えるという見込みです。どうしても足りないので、様々なところから教員を集めないと三十五人学級にできないと予測するものです。
また、毎年の学校長、副校長会の皆さんの要望が、年度途中で何らかの事情で欠員となった場合に、特に年度の後半に補充に困難を抱えているということをお聞きしております。都教委が期限付任用採用候補者名簿から配置できずに、学校が教員を探して特別認定になる場合もあると聞いています。
そこでお伺いします。都内公立学校において、令和二年度、学校側が補充を求めた人数は分からないということでしたので、任用になった期限付任用教員数と、期限付任用教員採用候補者名簿から採用できずに特別認定になった人数をお伺いします。
○浅野人事部長 都内公立学校における令和二年度に期限付任用教員採用候補者名簿登載者から任用された教員数は三百七十三人でございました。
また、特定の教科等で期限付名簿からでは欠員を埋められない場合に、都教育委員会が特別に認める者を任用することができる特別認定制度により任用された者は四十五人でございます。
○アオヤギ委員 期限付任用教員採用候補者名簿というものは、前年度の教員採用試験を受けて、二次試験までは受かったけれども、採用されなかった方たちの中で、本人の了解を得た方の候補者名簿であります。
例で申し上げますと、以前、私どもが資料要求した数で、令和二年度の場合をいいますと、本採用である名簿登載者数は三千四百十八人、これは四月一日から正規で入る方です。次に期限付任用教員登録者数、これは、二次まで合格したけれども、採用にならなかった方が千六百五十人ということで、この千六百五十人の方たちから任用していくわけですけれども、実際は、年度初めの任用というのは進むのですけれども、年度後半に入りますと、このリストの方たちは別の仕事に就いているとか、希望をされないということがあるので、マッチングもちょっと合わないという場合もありますので、実際に任用になるのは減るということであります。
学校の要望に対しては、特別認定教員による確保もできずに、今度、講師を探して−−授業をしなければなりませんので、講師を探す対応をしたり、欠員のまま諦めてしまった例も含めると、要望というのは本当に多いのではないかと思います。こうした対応でできない場合が学校の大きな負担となっています。
年度途中で必要となる教員の状況を踏まえると、来年度の三十五人学級に移行するには相当な増員が必要なことは間違いありません。
国は、来年度、三十五人学級に向け、予算を都に支出しますけれども、その代わりに、都が習熟度別授業や小学二年生までの少人数学級の加配に充てていた予算の一部を、三十五人学級対応予算に振り替えるため、削減すると文科省が説明しています。
少人数加配が何人削減されるのか、教員が何人削減されるのか、また、都が実施している習熟度別への影響についてお伺いします。
○浅野人事部長 国は、令和三年度、小学校第二学年の学級編制の標準を三十五人に引き下げるに当たり、教員加配の一部を削減いたしました。その規模は全国で三千人であり、これに伴い、都においても二百九十四人の加配定数を削減しております。
令和四年度以降、仮に国が加配定数をさらに削減した場合、都の習熟度別指導の実施に影響が生ずる懸念があることから、都は国に対し、必要な教職員定数を別途確保するよう要望しております。
○アオヤギ委員 小学校二年生については、加配で少人数学級をしていたものが、今年度から基礎定数化されたわけですので、いわば行って来いということになりますけれども、来年、小学三年生の対応の予算は国から来るのですけれども、習熟度別など少人数加配がどうなるかはまだ不透明ということで、国に要望しているということでした。
法律では、国会で附帯決議が採択され、少人数加配は削らないということが書かれておりますけれども、当然、国に支援を求めることはそうなんですけれども、東京都自身が教員を確保し、少人数加配の充実や少人数学級を前倒しで実施することも求められています。
今回の資料要求でも、一ページ目に、全国の加配を実施した、充実している状況がありますけれども、全国ではこういった努力がされているわけですから、東京都も力を発揮していくべきだというふうに思います。
また、教員採用の上で影響が出るのが、公務員の六十五歳定年制度です。
六十五歳定年はどのように実施されていくのか、また、採用はどうなっていくのか、お伺いします。
○浅野人事部長 令和三年六月に国家公務員法等改正案及び地方公務員法改正案が成立したことを受け、都においても、国と同様、職員の定年を原則六十五歳に引き上げる予定でございます。
具体的には、令和五年四月一日に定年を六十一歳に、以降は二年に一歳ずつ定年を段階的に引き上げ、令和十三年四月一日に六十五歳に到達する予定でございます。
定年の段階的な引上げ期間中は、定年退職者の発生状況に留意しつつ、必要な新規採用を継続してまいります。
○アオヤギ委員 二年ずつ持ち上がっていって、六十五歳の定年が実施されるのは令和十三年になるとのことでした。その間、定年退職者が発生しない年もあり、そうしますと、採用に大きく影響が出ることが予想されます。
しかし、現状では、四月一日付の任期付採用が発生するほど、また、二日以降もあるのですけれども、正規の採用がもともと足りず、三十人学級や、この後、話します特別支援教室にも教員が大幅に必要であり、退職者がいなくても、新採用は人数を確保しなければならないと考えます。
むしろ、この機会に、毎年きちんと確保して、子供たちの教育を充実させ、教員の長時間過密労働を解消し、教員の世代間のバランスを整えていくことにも取り組んでいただきたいと思います。
教員の長時間労働をなくす働き方改革という点では、教員の持ち時間数の多さの改善も喫緊の課題です。
そこでお伺いしますが、教員の持ち時間数が、小学校が二十六時間で、中学が二十四時間なのはなぜですか。
教員の時間数を減らす上でも、産休や急な欠員に対応するためにも、教員をもっと増やし、ふだんから持ち時間数を減らしていくように手だてを取るべきではないでしょうか。
○浅野人事部長 国は、いわゆる標準法の制定時において、一教員当たりの指導時数を、週、小学校では二十六時として教員定数を算定しており、現在も、その考えは大きく変わっていないと聞いております。
都教育委員会では、こうした標準法の考え方を踏まえ、時間講師の指導時間数の算出に当たっては、教員の標準的な持ち時数を設定してございます。
都独自の教員を増やせというご質問でございますが、教職員定数につきましては、教育の機会均等や全国的な教育水準維持の観点から、国の責任において行われるべきと考えておりまして、引き続き国の動向を注視してまいります。
年度の初めの児童生徒数の増などに対しましては、年度当初に必要とする見込んだ教員数が、実際に必要となった教員数と異なる場合もございます。
こうした場合、教員採用選考の結果、不合格となった者のうちから、成績が上位であり、希望する者を、先ほどご説明いたしました期限付任用教員候補者名簿に登載いたしまして、欠員が生じたときには必要に応じて任用してございます。
○アオヤギ委員 国の標準法で決めているというお話ですけれども、この標準法は一九五八年に制定されており、その当時算出されていたのが週二十四時間と二十六時間であります。しかし、当時、なぜこの時間としたかは調査の結果とされており、現状はもっと働く時間は長くなっているわけです。
都は、この国の法律の下、同じ持ち時間数で運用していますが、都が時間数を減らすために教員を増やしたり、様々、対策し、予算を出していくことは、ほかの道府県もやっていることですので、都が今、負担の大きい校務を担う教員の時間数軽減、こういったことも行っていると聞いておりますけれども、今年度はモデル事業で、来年度以降は本格実施してほしいと思いますけれども、根本的には、持ち時間数を減らし、教員を増やすことが一番の解決策だと思います。現状に合った持ち時間に見直すことを要望します。
そもそも時間軽減についても、一校分全部足し合わせると二十数時間になり、正規教員の一人分に相当します。正規教員を増やすことを重ねて求めます。
次に、特別支援教室についてです。
代表質疑でも議論し、この年限については、最長二年ではなく、場合によっては二年以上認められる、いられるということが答弁されています。
特別支援教室は、学校で保護者と子供の同意の下、WISCという検査を行って、発達障害の種類を判定して入室していくと。その子に合った、その障害の特性に合った支援を週二回程度受けて、普通級に戻って、またその課題を克服しながら、振り返りながら常にやっていく、そういった場であります。
お子さんにとっては、そこの教室が、自分の課題も分かりますし、認められるという自己肯定感を育む場というふうに教員の方もおっしゃっておりましたけれども、そうしたことを繰り返しながら、普通のクラスでも同じようなことができるように、訓練しながら、一生懸命、行っておられます。
一方、都は、今年の九月二十七日を期限に、各区市町村に対して、教員の配置数を子供十人に対し一人という基準を十二人に一人に変えるので、教員が余るという、過員といっておりますけれども、異動させる教員のリストを作るよう求めていました。
この特別支援教室の教員の過員解消計画は、全区市町村が提出したということですけれども、人数はどれくらいになっているでしょうか。
○浅野人事部長 過員解消計画で示された過員解消数は、学校ごとに令和三年度の児童生徒数を基に算出した教員数から令和四年度の児童生徒数の見込み数を基に算出した教員数を控除した数でございます。
全区市町村の合計数は、小学校が四百二十八名であり、中学校は八十一名でございます。
○アオヤギ委員 小学校で四百二十八人、中学校で八十一人も、特別支援教室から教員が減るということです。合計で五百九人にもなります。何よりまず、五百人以上の教員を削減するということは、とても許されることではありません。
この数は見込みの数ですから、来年四月に特別支援教室にいる子供の数を単純に自治体ごとで十二で割りますから、正確には現時点では分からないのですけれども、とにかく、このリストの方には異動の声をかけて、もし異動させて、実際には子供が多く来て足りなくなってしまったら、新採用の教員を充てるという対応ですから、乱暴なやり方だといわざるを得ません。
現場からは、そもそも十対一の今でも、年度途中の入室をする子供の分の先生は配置されませんから、どんどん担当する子供が増えて十人以上になる、子供が増えれば一人当たりの授業時間を減らさなければならない、また、子供に合わせた指導方法を考えたり、新しい工夫をしたりする時間が取れなくなってしまうというような声が上がっています。
また、異動があるとすれば、準備には最低一年は必要だ、人がいないから通常級から異動したのにまた異動といわれるのは違和感を感じている、また戻れるのか、大幅に人数が増えたときに、途中でも加配してほしいなど、現場の声は切実なものがあります。
そこでお伺いします。公立小中学校通級指導学級等設置要綱で十二対一と決めるわけですけれども、現場や子供たちの意見はどのように反映するのでしょうか。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、特別支援教室の制度導入を円滑に進めるため、平成二十八年度から暫定的な基準を適用し、特別支援教室の導入完了後に見直すこととしてきました。
平成三十年度及び令和元年度には、区市町村教育委員会や小中学校に対して、特別支援教室の指導の実態や運営に関する聞き取り調査などを実施いたしました。こうした調査の結果などを踏まえ、今後は、指導の質を維持しつつ、新たな基準を適用していくことといたしました。
なお、新たな基準の適用につきましては、これまで、区市町村教育委員会に対して丁寧な説明を繰り返し行ってきたところでございます。
○アオヤギ委員 聞き取り調査をしたといいますが、事前に伺ったところによりますと、聞いた相手は主に区市町村の教育委員会で、現場の教員や子供たちの保護者は聞いていないということでありますし、十二対一の話は、現場は何も知らされていませんでした。
そもそも、都教委が今年七月に十二対一にするという資料を、当初、区市町村教育委員会止まりにしていたと聞いています。十二対一にすることを説明なくして、声を反映することは不可能だと思います。
指導の質といいますが、先生を減らしてしまえば、労働強化になって質が低下をするのは当たり前だと思います。なおかつ、年度途中で入室する子供は教員の数に反映させないために、要綱に十対一となっていても、十人以上、多いと二十人近くになっている教室があると聞きます。
要綱がそもそも守られていない中、十二対一を基本とすれば、さらに年度途中では増え、結局は、現場の子供たちにしわ寄せが行くのではないですか。
どういう影響が出ると考えているのか、また、どういう声があるのか、お答えください。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 特別支援教室の教員配置につきましては、通常の学級編制に伴う教員配置と同様に、年度当初に基準日を定め、児童生徒数を基に教員配置を行っております。
特別支援教室におきましても、年間を通じて安定した指導ができる体制を維持するため、年度途中に児童生徒が増減した場合でも、教員数の増減は行っておりません。
なお、区市町村教育委員会からは、在籍学級への支援の充実など、様々な意見を頂戴しているところでございます。
○アオヤギ委員 どうして年度当初の子供の数だけで配置数を決め、それが安定して指導できる体制につながるのか、説明はありませんでした。教員が減った場合の影響についても、ご説明はありませんでした。声については、在籍学級への支援の充実の声があったということでありますけれども、声はそういったものだけではなくて、もっと多くの教員配置数を求める声はあったというふうに思います。
先ほど、教員採用についての質問でお答えいただいた来年の見込みの数ですけれども、三十五人学級対応の教員の必要人数三百六十三人に対し、退職者と新規採用の差が百二十人しかないということから、あとの二百四十三人はどこから連れてくるのかということが疑問です。
都が出した過員解消計画では、異動対象となった人は、通常の学級や教科に配置されると書かれています。
この方たちは、三十五人学級対応のために特別支援教室から教員を異動させるのではないですか。
○浅野人事部長 過員解消に伴う令和四年四月一日付の特別支援教室からの異動は、特別支援教室の教員配置基準の見直しによるものでございます。
○アオヤギ委員 小学校だけでも四百人以上の特別支援教室からの教員が通常の学級に行くわけですから、三十五人学級で来年度から必要な人数に充てられていると考えるのが自然です。教員の全体数を抑えたいという意図があるのではないですか。
せっかく三十五人学級になって教員が増えたのに、発達に課題があるお子さんの支援は、教員を四百人も減らしてしまう。本末転倒だといわざるを得ません。
また、新採と退職者の差が百二十人しかないように、資料要求の一五ページの病休の教員は毎年七、八百人おられ、また、産休の教員は毎年千人以上、育休も、一年以上取る方は毎年四百人以上となっています。
その中で三十五人学級に引き上げられるわけですから、特別支援教室の四百人の先生を当てにするのではなく、本採用の教員を増やすべきです。
今、コロナ禍で子供たちに大きなストレスがかかっており、特別支援教室の対象か、見極めが非常に難しくなっていると現場から声が上がっています。こうしたことを考えても、増やしていくことこそが必要です。
また、過員解消計画では、特別支援教室の公募は今後縮小が想定と。子供は増えていると数字を示しながら、縮小が想定ということはどういうことなのか、疑問です。
都側から過員解消計画や年限の説明を聞いた際、様々な支援を区市町村に対して行うから大丈夫なんだという趣旨をお伺いしましたけれども、その一つの、児童生徒が特別支援教室を退室したとき、通常のクラスでの支援員で、特に教員の資格は要らない発達障害教育支援員について配置するということですけれども、今どういう状況ですか。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 令和三年度の状況でございますが、区市町村からの申請に基づき、九地区、百十一校でのサポート人材の配置に対し、今後、補助金を交付する予定でございます。
○アオヤギ委員 これも、まだほとんど進んでいません。そして、この配置は区市町村が行い、そこに都が補助するわけですけれども、退室を誘導しているといわざるを得ません。
通常の教室の中でも、子供に支援が必要なことは理解しておりますけれども、ならば、児童生徒数の退室率が前年より高ければ二分の一補助で、そうでなければ四分の一補助という補助スキームですけれども、こうしたことが本当に誘導しているといわざるを得ませんけれども、どういう場合であっても、支援は一律にしていくべきです。
また、なぜ十二対一にするのか、道理ある説明はありませんでした。
既に十二人を超えているという現場の実態からも、十二対一の配置はやめるべきではないですか。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、特別支援教室の制度導入を円滑に進めるため、平成二十八年度から暫定的な基準を適用し、特別支援教室の導入完了後に見直すこととしてきました。
今後は、都教育委員会職員の学校への巡回による指導助言や、学校の優れた取組を紹介することなどを通じて、教員の指導の質を維持しつつ、新たな基準を適用してまいります。
○アオヤギ委員 子供たちの発達の保障のためには、子供の課題に合わせた丁寧な関わりが必要です。そのためには、最低でも十対一の教員配置数が必要であり、十二対一への基準引下げは中止することを重ねて求めておきます。
最後に、子供たちが指導を受けられる期間についてお伺いします。
三定の代表質疑では、都は、三年以上、特別支援教室での指導の継続が可能である旨を答弁しましたが、しかし、実際、学校では、一年原則、最長二年までということを説明され、それ以上なら特別支援学級でといわれた方もいらっしゃるということでありますけれども、保護者への書面で、二年を超えて指導することがあることを明記していない区市町村もあります。
この通知を出し直して周知すべきではないですか。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、学校生活の一年間のサイクルが終了する時点で必ず振り返りを行うという趣旨で設定した原則の指導期間の考え方などについて、本年三月に特別支援教室の運営ガイドラインを作成し、周知したところでございます。
また、本年十月には、原則の指導期間の考え方、必要な場合の指導期間の延長、延長後に特別支援教室での指導継続を含め検討し、適切に支援することなどを解説した資料を作成し、区市町村教育委員会に丁寧に説明しているところでございます。
○アオヤギ委員 指導期間については、もう一度、書面で説明したということでありますけれども、この書面を見ますと、二年後のところに、三年目以降、振り返りを行い、入室と書かれ、指導目標の見直し等により改めて指導を開始と、小さくですけれども、書いてあります。
書面だけではなく、区市町村の疑問にも双方向で応えて丁寧に説明していただきたいというふうに思いますし、必要な場合は三年以上いられることを徹底していただくことを改めて強く求め、質疑を終わります。
○斉藤(り)委員 立憲民主党の斉藤りえです。
まず、いじめ対策と学校サポートチームについてお伺いします。
都が実施した最新の調査では、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校におけるいじめの認知件数が前年度比で大幅に減少していることが分かりました。
まず、この要因をどのように分析されているか、教えてください。
○藤井指導部長 令和二年度においては、新型コロナウイルス感染症対策として、一斉の臨時休業期間があったこと、分散登校等により児童生徒同士の関わりが減少したことなどの影響により、いじめの認知件数が令和元年度と比較して減少したと考えられます。
いじめは、どの学校でも、どの子供にも起こり得るという認識の下、学校では、児童生徒を対象としたアンケートや学級担任による面接、学校いじめ対策委員会での情報共有等を通して、軽微ないじめも見逃さず認知するよう努めております。
○斉藤(り)委員 コロナ禍においては、児童生徒間の直接的な接触が減少したことによって認知件数が減少した可能性は、私も理解しております。
他方で、直接的な接触に限らず、私たちが把握できていない部分でのいじめの可能性は否定できないとも考えています。逆に、そうしたいじめは認知することが困難であり、周囲が連携しながら児童生徒の変化などに気づいていくことが大事であると考えています。
そうした児童生徒を取り巻く大人などの連携において、学校サポートチームの制度は、とても重要な役割を担っていると理解しています。
いじめを含めた学校で起きる諸課題に対して、学校サポートチームの機能が期待されていますが、これまでの取組への評価はどのようなものか、伺います。
○藤井指導部長 学校サポートチームは、外部の専門家の協力を得て、学校だけでは解決できない子供を取り巻く問題の未然防止や早期解決を図るため、都内全ての公立学校に設置されております。
学校からは、学校サポートチームの活用により、専門家の協力を得て、複合的な視点から解決に向けて支援することができた、チーム会議で自校の健全育成に係る取組状況を振り返ることにより、学校の取組の課題を客観的に把握することができたなどの成果が報告されております。
○斉藤(り)委員 私は、児童生徒を取り巻く環境はもちろん、学校を取り巻く環境も激変している中で、それぞれが専門外での負担を強いることなく、専門家の協力を得て、チームで連携して、児童生徒や学校が抱える諸課題の最適解を見つけていくことが大切であると考えています。
そうした取組が、結果として教職員の働き方改革にもつながるほか、児童生徒や保護者にとっても、豊かな教育環境の充実につながると考えています。
そこでお聞きしたいのは、この学校サポートチームの制度は、特別支援学校においても機能すると想定して設計されているか、教えてください。
○藤井指導部長 学校サポートチームは、ろう学校を含めた都内全ての特別支援学校に設置されており、専門家から助言を受けて、各学校では、いじめ問題等の解決に向けて効果的に活用しております。
○斉藤(り)委員 特別支援教育においては、こうした制度がスタートする以前から、児童生徒の障害の特徴に即した様々な専門家との連携が求められてきました。そうした意味では、改めて、こうした制度も活用しながら、特別支援学校が抱える諸課題をみんなで共有し、解決していくことは、インクルーシブの視点でも大切なことになってくると感じています。ぜひとも、学校サポートチームが様々な学校における諸課題解決にさらに機能されるように、引き続きの取組をお願いいたします。
さきにも触れましたが、特別支援教育について質問を続けます。
特別支援教育は、基礎自治体の設置する学校における特別支援学級と都立の特別支援学校が連携しながら、児童生徒の状況に即した指導内容を組み立てていると理解しております。
他方で、連携と簡単にいっても、現実問題として様々な課題があると感じています。
現在、特別支援学級と特別支援学校との間で行われている児童生徒への指導内容の充実のための連携は、具体的にどのような取組があるのか、お伺いいたします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校は、地域における特別支援教育の充実を図るためのセンター的機能を担っており、区市町村教育委員会と連携して、小学校、中学校等に在籍する障害のある児童生徒の教育の充実に取り組んでいます。
具体的には、区市町村教育委員会や小中学校からの要請に基づく巡回相談や研修会への講師派遣、副籍等による交流及び共同学習の実施など、様々な形で地域の小中学校との連携を図っています。
引き続き、都立特別支援学校が専門的な知識やノウハウを生かし、地域の特別支援教育について中核的な役割を果たしてまいります。
○斉藤(り)委員 ありがとうございます。方向性としては、とてもよいとは感じていますが、実際の運用の中では難しい点もあるかと思います。制度設計などでサポートできることがあれば、ぜひ現場の方々からの意見を踏まえて、私たちも応援していきたいと考えておりますので、引き続きの取組をお願いいたします。
特別支援学級と特別支援学校における転学についてお伺いします。
私の元に、特別支援学級から特別支援学校への年度内転学の障壁が高いという報告が保護者の方々から寄せられました。
特別支援教育を受ける児童生徒の特殊性を鑑み、こうした対応については弾力的に行っていくべきと考えておりますが、ご見解を教えてください。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 障害のある児童生徒の就学先決定に当たり、区市町村教育委員会は、本人、保護者、専門家の意見も踏まえ、一人一人の障害の状態や発達の段階などに応じて十分な教育が受けられるよう、総合的に判断する必要があります。
その上で、就学先の各学校においては、各教科や児童生徒一人一人に応じて作成する個別の一年間の指導計画により、教育活動が計画的に進められています。
都教育委員会では、年度途中に転学した際に、教育活動が途切れることや環境が大きく変わることによる児童生徒の負担に配慮し、転学は年度替わりを原則としております。
ただし、転居や障害の状態の変化など、特別な事情により年度途中に転学する必要がある場合には、転入校や区市町村教育委員会、都教育委員会が十分に連絡を取り合いながら相談を進めることとしています。
○斉藤(り)委員 原則的な考え方は理解をしていますが、学期途中で不登校になるなど、学校に通えなくなった児童生徒が年度内に学びの機会が失われることは、ご家庭にとっても難しい状況になりますし、何よりも、児童生徒本人にとって、つらい状況に置かれることにつながります。ぜひ区市町村教育委員会との連携の中で、きめ細やかな、かつ弾力的な対応がなされるようにご配慮をお願いいたします。
次に、聴覚障害特別支援学校における学びの保障についてお伺いします。
聴覚障害を持つ人とのコミュニケーションは手話が主立ったものであると理解をされがちでありますが、実際のところ、手話に限らない多様なコミュニケーションが不可欠であります。
これは、聴覚障害特別支援学校においても同様であり、文字情報による保障は、学びの保障においてとても重要になります。私が議会でも活用している音声文字変換ソフトなども、学校教育において有効に活用される事例も増えてきています。
聴覚障害特別支援学校における文字情報の保障についてどのようにお考えか、教えてください。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都立聴覚障害特別支援学校では、聴覚の活用や口話、手話、指文字など、児童生徒の障害の状態に応じて多様なコミュニケーション手段を活用し、指導を行っています。
また、集団補聴システムを配備するとともに、電子黒板や見える校内放送を活用するなど、様々な機器を活用して情報保障の充実を図っております。
既に音声文字変換ソフトにつきましては、一部の聴覚障害特別支援学校で活用しており、その活用状況を踏まえ、他校への拡大を検討するなど、引き続きデジタル化の進展等に適切に対応してまいります。
○斉藤(り)委員 これは、単に聴覚障害特別支援学校における学びの保障、指導の充実といった観点だけではなく、特別支援の中核的な役割を担う特別支援学校における指導の方法から区市町村の学校が学び、区市町村の学校において学ぶ聴覚障害の児童生徒の学びの充実につながると考えています。ぜひとも、そうしたフロントランナーとしての意識と取組も含め、引き続きお願いいたします。
続いて、インクルーシブ教育についてお伺いします。
全国的にも交流及び共同学習などのインクルーシブな教育の実践が増えてきている中で、東京都においても、複数の地域において実践が進められています。
オリ・パラにおける多様性理解の機運の高まりもある中で、こうした実践をしっかりと発信していくことが、インクルーシブな教育の基盤をつくり、多様性理解を促すと考えられます。
東京都教育庁として今後どのように進めていくのか、また、区市町村とどのように連携していくのか、お聞かせください。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、令和二年度から、学校におけるインクルージョンに関する実践的研究事業を実施しています。
本事業では、小中学校における交流及び共同学習を活発化するために、豊島区と日野市の協力を得て、通常の学級と特別支援学級の交流や、小中学校と特別支援学校とのオンラインを活用した交流などを実践しています。
また、令和二年十月に実践的研究事業等検討協議会を立ち上げ、豊島区と日野市に加え、その他の区市町村教育委員会のオブザーバー参加も募り、研究事業の取組内容等について意見交換を行っております。
引き続き実践的研究事業を進め、その成果等について区市町村と共有するなど、連携を図ってまいります。
○斉藤(り)委員 こうした実践を発信していくことは、後に続いてチャレンジする学校や地域、保護者などを励ます効果もあると考えています。また、そうした積み重ねが、インクルーシブな社会、多様な価値観を認め合う社会の基盤形成につながると考えています。
日本におけるインクルーシブな教育を東京が牽引していく、示していく、そうした気概で一緒に取り組んでいきたいと考えています。引き続き、よろしくお願いいたします。
○清水委員 それでは、よろしくお願いしたいと思います。
事務事業の質疑ということで、私からは、立川エリアを起点とした多摩地域の教育の推進についてお伺いしたいと思います。
都教育委員会は都内各地で様々な教育活動をされていると思いますが、いよいよ来年度、令和四年度を起点に、私の地元でございます立川の市域で、東京都のこれからの教育が実践されるわけでございます。
例えば、それは、チャレンジスクールの整備ですとか、都立立川高校に理数科の設置、あるいは、都立立川国際中等教育学校への附属小学校新設による小中高一貫教育の実施ですとか、体験型英語学習施設の整備、都立立川ろう学校に知的障害教育を併設し、新たに都立立川学園特別支援学校を開校するなどなどでございます。
これまで、立川市は基地のまちである、軍都立川といわれてきましたが、最近では、JR立川駅周辺のにぎわいから商都立川になりまして、いよいよ今後は教育のまち立川になるのかなということで、非常に楽しみにしているわけでございます。
東京都のこれらの教育の実践が立川エリアに集積したのは、私は、立川市が多摩地域における公共交通、特に鉄道敷の結節点であるがためだと思うわけでございますが、都教育委員会は、立川エリアのこれらの教育の集積がなされることによりまして、どのような効果がもたらされると期待されておられるのか、まずはご見解をお伺いしたいと思います。
○佐藤教育改革推進担当部長 都教育委員会はこれまで、都立学校の学科改編の対象や新設校の設置場所等につきましては、都民ニーズや地域バランス、交通の利便性などを総合的に勘案した上で都立高校改革推進計画等に位置づけ、設置を進めてまいりました。
今後、多摩地域に開設が予定されている学校等は、こうした考えに基づき設置するものでございまして、多摩地域在住の子供たちの多様な学びを実現するとともに、都全体の教育の質の向上にも資するものと考えております。
○清水委員 ありがとうございました。多摩地域の子供たちの多様な学びの実現に寄与するのであるというふうなことでございます。
何か、地元の私から立川のことを申し上げると、お手盛りみたいな感じでございますが、お許しいただければなと思うわけでございますけれども、おかげさまで、立川は多摩の中心のまちといわれておりまして、周辺の首長さんからは、立川がよくなれば、私たちのまちもよくなるんですと、そこまでいってもらえるようになりました。
逆をいいますと、それだけ立川は期待されているわけでございますので、立川が多摩地域の方々に何が貢献できるのか、そのような視点でこれから進めていかなければならないと思っているわけでありまして、今回の、これからの東京都の教育の場の実践が立川で行われるということにつきましても、やはり立川の持っているポテンシャルをどうやって生かしていくのか、あるいは、これだけの多様な学びが立川エリアで行われているんだよということを、多摩地域を中心としました東京の皆様方にどれだけ認知、周知ができるのか、こういうことが、これから具体的に検討されていかなければならないと思っているわけでございます。
したがいまして、私も若干いろいろと考えてまいりましたので、個別具体に、これから何点かお伺いしていきたいと思いますので、ご見解をお伺いしたいと思います。
まずは、都立立川高校の創造理数科の新設に伴います多摩地域の子供たちの学習意欲の向上についてというタイトルでお伺いしたいと思います。
令和四年度に、普通科に加えまして、新設、併置されます都立立川高校の創造理数科におきましては、これからの社会において、新しい価値の創造に向けて求められる資質ですとか能力を、探究的な学習を通じて養うことを目的としているそうでございます。
研究機関ですとか地域との連携におきまして、授業外のワークショップなども企画いたしまして、実物に触れるなどの機会を提供する構想もあると聞いております。
他方、立川市に所在します国の機関であります国立極地研究所ですとか、同じく統計数理研究所は、理数分野の世界的な先端研究施設でございまして、これらの施設を活用することにより、理数科で学んだことをどう生かし、そのためにはどう学べばよいか、思考を深める取組が展開できる環境が立川市内にあるということは大変な強みだと私は思います。
そこで、多摩地域の子供たちにとって、都立立川高校の生徒さんが学んだことを追体験することができる機会を得られることは、その後の学びにおいて、とても有用な体験となるとともに、より年齢の近い目標設定として都立立川高校の生徒さんを意識し、学ぶ意欲につながるものと考えますが、都教育委員会の見解をお伺いしたいと思います。
○佐藤教育改革推進担当部長 都立立川高等学校の創造理数科では、Society五・〇時代を見据え、文系、理系の垣根を越えた文理融合などの視点を持ちながら、大学、研究施設などの多様な外部機関との連携や、多摩地域等の自然を生かしたフィールドワークなどにより、生徒自らが設定したテーマによる研究活動などの探究的学習や理数教育の充実を図ってまいります。
こうした創造理数科で学ぶ高校生の姿は、多摩地域在住の子供の理数への興味、関心を引き出し、目標にもなり得るものでございます。
このため、創造理数科の特色ある取組につきましては、多くの中学生等に広報を行うほか、地域との交流機会も通して、幅広く都民への情報発信に取り組んでまいります。
○清水委員 ありがとうございました。
あわせまして、都立立川高校の生徒さんの学びを、これは広く公開するとともに、公立学校ですとか各市の教育委員会との連携を広げていただいて、都立立川高校の生徒さんと、例えば各市で実施している理数好きを育成する科学センターのお子さんたちとの交流などを通じて、双方の学びを深めるなどとして、多摩地域全体の学力向上の契機とすべきと考えるわけでございますが、ご見解をお伺いしたいと思います。
○佐藤教育改革推進担当部長 都立立川高等学校は、立川市教育委員会との連携により、生徒による小中学生向け理科教室を開催したり、理数に関する教育内容や指導法の研究開発成果等を多摩地域の都立高校等に発信したりするなど、理数教育の実践を地域や他校に還元し、東京都の理数系人材の裾野拡大や理数教育の充実に取り組んでおります。
今後とも、都教育委員会は、創造理数科が、これまでの立川高等学校の実践を生かし、多摩地域をはじめとした東京都全体の理数教育のさらなる充実に貢献していけるよう、開設に向けた準備を着実に進めてまいります。
○清水委員 ありがとうございました。取組の検討についてお伺いしたわけでございます。
都立立川高校は、古くは府立二中といわれておりまして、多摩地域の優秀な生徒さんが集まってきた学校でございました。ぜひとも、これを契機に、その復権につなげていただければなと個人的には思っている次第でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
続きまして、全国初の小中高一貫校でございます都立立川国際中等教育学校と各市町村との連携についてお伺いをしたいと思います。
来年度、いよいよです。都立立川国際中等教育学校へ附属小学校が新設となります。ここで公募がされたわけでございますが、実に、男女両方とも三十倍を超えるという倍率を誇ったわけでございまして、既にもう、地域では大変な人気校になっているわけでございます。
全国初の小中高一貫校が誕生するわけでありますが、地域の公立小中学校におきましても、在籍する学齢期の子供たちだけではなく、ゼロ歳から十八歳までの成長ですとか学びを見通した指導を展開していくことが、つなげていくことが大切だと私は思うわけであります。
そのためにも、幅広い学齢期を一貫する小中高一貫校である都立立川国際中等教育学校の教育実践を広く周知し、各市町村の教育委員会とも実践を共有していく必要があると考えますが、見解をお伺いしたいと思います。
○佐藤教育改革推進担当部長 都立立川国際中等教育学校及び同附属小学校は、十二年間を一貫した教育課程を編成し、一貫教育の仕組みを生かした学びの実践や、喫緊の教育課題の改善を図るための研究に取り組む学校でございます。
都教育委員会は、区市町村教育委員会に対して、令和四年度の開校に向け、同小学校で実施する予定の英語教育や探究的な学び等について情報発信をしてまいりました。
また、既に区や市、村が設置している小中一貫教育校の取組の成果について情報交換するなどの連携を図ってまいりました。
今後とも、都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携を図り、都全体の義務教育段階における教育内容の向上のため、同小学校で行う実践的な取組やその成果を共有する機会を設けてまいります。
○清水委員 ありがとうございました。これからもその取組を継続あるいは充実をしていただければなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
あわせまして、都立立川国際中等教育学校では、探究的な学びをベースとした教育活動を特色といたしまして、自分で問いを立てるための土台づくりからスタートして、十一学年あるいは十二学年においては、成果を論文にまとめ、国内外に発信する探究プログラムを実施しているわけであります。
また、私の地元でございます立川の公立小中学校では、全校が教育課程特例校といたしまして、地域に根差した探究的な学習を進めていく立川市民科−−この市民科というのは、お役所の市民課ではございませんで、理科ですとか社会科の科ですね。立川市民科を教育課程に位置づけているわけであります。
このように、各市におきましても、地域との連携により探究的な学習を特色としている学校は多く、都立立川国際中等教育学校を中心に各地区、各学校が教育実践の交流をして、お互いの探究的な学びの意欲を高めることによりまして、ひいては、教員の皆様方の指導力向上につなげるべきと考えるわけでありますが、見解をお伺いしたいと思います。
○佐藤教育改革推進担当部長 都立立川国際中等教育学校及び同附属小学校では、思考する力を向上させるため、教科等における探究的な学びや、学んだことを実践する学校行事等を教育課程に位置づけて実施するとともに、小中高一貫した本校独自の探究プログラムの開発に取り組んでまいります。
都教育委員会は、同小学校が実施する公開授業等の情報を区市町村教育委員会に向けて積極的に発信し、研究協議等の場において、参加した小学校の教員同士が相互に教育実践を学び合い、得られた成果を自校に還元できるよう働きかけてまいります。
○清水委員 ありがとうございました。ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
それでは、続きまして、多摩地域における体験型英語学習施設の活用について伺いたいと思います。
これは、令和五年一月になりますが、JR立川駅北口の新しい街区でありますグリーンスプリングスに開業予定の体験型英語学習施設は、多摩地域の子供たちにとって、その利便性から、グローバルに活躍する人材の育成の機会が増えることにつながり、いわゆる体験格差解消に寄与するものだと考えるわけであります。
現在、江東区の青海にございますTOKYO GLOBAL GATEWAYでは、施設内に非日常空間を設定いたしまして、スタッフと英語でコミュニケーションを取る体験をしているわけであります。
立川の施設におきましては、ぜひ青海の実績に加えまして、近隣の環境を利用した発展的なシチュエーションの設定により、より現実的な英語でのコミュニケーションを楽しく学べるプログラムを設定してほしいと思うわけであります。
そのためには、先ほど申し上げました新街区でございますグリーンスプリングスに設けられておりますホテルですとかレストランなどの諸施設ですとか、中庭のビオトープやカスケードなども活用して、多様な体験を通じた英語学習が展開できる、この立地の強みを生かしたプログラムの設定をすべきと考えますが、見解をお伺いしたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 多摩地域での体験型英語学習施設につきましては、学校等への意向調査において、青海にございますTOKYO GLOBAL GATEWAY、TGGと同様のプログラムを期待する声が多く寄せられております。
このことから、TGGの特徴でございます、学校の教室とは異なる空間の中で、外国人スタッフと体験的な活動を通し、英語を使う楽しさや必要性を体感できるプログラムを提供してまいります。
加えまして、学校関係者や有識者の意見を取り入れながら、事業主体であります運営事業者や施設管理者とも密に連携をしまして、施設の立地、特徴や地域資源等を有効活用することにより、多摩地域ならではの魅力を備えたプログラムを実現できるよう、令和五年一月の開業に向けて準備を進めてまいります。
○清水委員 ありがとうございました。期待が持てるわけでございますが、あわせまして、幾つかアイデアがございますので、ちょっと申し上げたいと思います。
特に、このグリーンスプリングスに隣接いたします国営昭和記念公園は、季節ごとの豊かな自然体験によりまして、雨水利用ですとか、あるいは落ち葉や剪定枝などの堆肥化など、環境にも配慮いたしました施設運営がされておりまして、英語を通じた環境学習なども展開できるのではないかと思います。
また、近接している、これも新しい街区でありますファーレ立川街区には、世界三十六か国から九十二人の作家さんによります百九点もの屋外パブリックアートがあるのですが、そういったものを活用し、軟らかな感性育成と英語学習を同じステージで展開できる強みを生かした新たな学習が展開できるかと思います。
これらの多様なアイデアを活用いたしまして、多摩ならではの英語学習の起点とする取組を展開していただき、世界都市東京のキーとなる二十一世紀を担う人材育成を展開するための運営を期待するものでありますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、都立立川学園特別支援学校と多摩地域の公立学校の連携による特別支援教育の充実について伺いたいと思います。
これは令和四年四月でございます。都立立川ろう学校の歴史と伝統を引き継ぎつつ、聴覚障害教育の一層の推進に加えまして、知的障害のある児童生徒さんのための教育環境が整備された都立立川学園特別支援学校が開校されるわけであります。
さきの委員会でも申し上げましたが、市内南砂小学校は、隣接する都立立川ろう学校との交流を約五十年間継続しておりまして、お互いの児童は、交流を通じて、多様性の可能性などについて自然に多くのことを学んでいるそうでございます。
そこでお伺いしたいと思うのですが、このような交流ですとか障害理解に向けた地域への啓発を、これからできます立川学園となります特別支援学校の学校経営に組み込んでいくことが必要であると考えますが、見解をお伺いしたいと思います。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 立川ろう学校では、小学部、中学部、高等部の各学部において、近隣の小学校、中学校、高等学校との交流活動を実施するとともに、地域の防災訓練にも参加するなどしており、障害に対する理解促進に取り組んでおります。
立川学園においても、立川ろう学校の取組を継承して、近隣の学校や地域との交流活動等に取り組んでまいります。
○清水委員 ありがとうございました。
また、あわせまして、GIGAスクール構想によりまして公立学校の児童生徒に貸与している一人一台のパソコン等を活用し、多摩地域の公立学校と都立立川学園特別支援学校が連携を図ってもらい、遠隔での学習支援ですとか、様々なサポートができるような体制を整えるべきと考えますが、同じく見解をお伺いしたいと思います。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校小学部、中学部及び公立小学校、中学校に一人一台端末が配備されましたため、デジタルを活用することにより、在籍する学校にいながら、児童生徒がほかの学校の児童生徒と交流活動を行うことも可能となりました。
立川学園におきましても、デジタルを活用した多様な交流活動の実施を検討してまいります。
○清水委員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いしたいと思います。デジタルがこれからの未来を開いていくんだなというふうにつくづく考えたわけでございます。
個別具体のお伺いの最後に、現在建設中でありますチャレンジスクールと地域との交流について伺いたいと思います。
令和七年に開校予定というふうに伺っておりますが、チャレンジスクールを造っているこの敷地は、立川市内の住宅街のど真ん中にございまして、これまで、都立多摩社会教育会館として、図書館ですとか、ホールの貸出しなどによりまして、周辺の地域の皆様に大変親しまれていたエリアでございます。
チャレンジスクールは令和七年に開校予定と聞きますが、これまでのように、地域との交流を深めるために取組を検討していくべきと私は考えるわけでございますが、ご見解をお伺いしたいと思います。
○佐藤教育改革推進担当部長 平成二十九年十月に公表した立川地区チャレンジスクール基本計画検討委員会報告書におきましては、教育課程編成の基本方針として、地域貢献を推奨し、特色ある学校行事や部活動等の体験活動を推進することとされております。
今後とも、都教育委員会は、本報告書に基づき、近隣の福祉施設や保育所等における就業体験やボランティア活動、地域の方々との交流など、地域に根差した体験的な学習が円滑に行われるよう、連携先の確保等について検討してまいります。
○清水委員 ありがとうございました。ぜひとも交流の取組を期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
特にこのエリアは、立川市でいいますと錦町というエリアでございまして、市内でも町会ですとか自治会の活動がすごく活発でございますので、この取組に大いに期待しておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
これまで、立川市に集められた、これからの立川の教育につきまして、この周知方ですとか、あるいは立川の持つポテンシャルの生かし方について個別具体的に伺ってきたわけでございます。
若干、急なお伺いだったかもしれませんが、ぜひとも参考にできるものは参考にしていただいて、これからに役立てていただければ幸いでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
私の質問の最後になります。
これら多摩地域の児童生徒さんが、立川エリアで実践される東京都のこれからの教育を受ける機会が広がるように、これは都教育委員会として取組を進めていくべきと考えますが、ご見解をお伺いしまして、質問を終えたいと思います。ありがとうございました。
○谷都立学校教育部長 都立高校等に入学を希望する生徒等に、各学校の魅力や特色などの学校を選択するための情報をより効果的に発信することは重要でございます。
各学校では、学校見学会、学校説明会や個別相談会を実施するとともに、ホームページに、各学校の特色等を紹介するサイトや、生徒目線からの学校の魅力が伝わるよう、在校生が作成した学校紹介動画、まなびゅーを掲載しております。
また、今年度実施した都立高等学校等合同説明会では、全校が立川高校、新宿高校、晴海総合高校の三会場に分かれて参加し、中学生や保護者から個別相談を受けるとともに、特設サイト上では、学校案内パンフレットや教育活動の動画を掲載いたしました。
今後も、各学校と連携し、様々な工夫を重ね、都立高校等を目指す中学生や保護者に各学校の魅力や特色を分かりやすく伝えてまいります。
○清水委員 どうもありがとうございました。
○白戸委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後八時三十三分休憩
午後八時五十五分開議
○白戸委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○龍円委員 こんばんは。龍円あいりです。
都教委の皆様におかれましては、常日頃、子供たちの教育に関して邁進してくださっており、心から感謝申し上げます。
文教委員会の所属の希望がかないまして、これで四年目となりました。私が都議会議員を志している最大の理由は、誰もが自分らしく輝きながら、社会の仲間の一員として参加することができるインクルーシブの社会を実現することです。
そんな社会の実現のためには、学校教育において、スペシャルニーズ、障害のある子もない子も、同じ教室において共に学び、育っていくインクルーシブな教育環境を推進していくこと、多様なお子さんが自分らしく学び育つことができる学校におけるインクルージョンが必要不可欠であると考えておりまして、そのために、この文教委員会での質疑を続けてまいりました。今回も、その観点から質問をさせていただきたいと存じます。
教育庁の皆様は、お付き合いも長くなってきたので、特別支援教育に携わってくださっている皆様には、私が何を理想としているのか、少し分かってくれてきたのかなという実感もありまして、大変ありがたいです。
私がいうインクルーシブな教育は、文科省が定めている、連続性のある多様な学びの場を用意する、いわゆるインクルーシブ教育システムとは別になります。
一九九七年に、国連子どもの権利委員会の一般議論の項目において、学校におけるインクルージョンについて、障害のある子供のインクルージョンは、限られた場合に与えられる特権ではなく権利であると示されていますが、私の考え方は、まさにこれと一緒でして、全てのスペシャルニーズのある児童生徒がインクルードされるべきだと考えています。
私は、今、小学二年生の、ダウン症候群があって知的な発達がゆっくり、そして、成長はもっとゆっくりな子供を育てております。
子供が生まれたアメリカでは、スペシャルニーズのあるお子さんのほとんどが、通常の学級の中に在籍していながら特別支援教育を受けていました。都議会議員になったばかりの頃は、このようなアメリカのような、通常の学級そのものが特別支援教育の主戦場となるような、アメリカ版のインクルーシブ教育を理想として都議会議員になりました。
しかし、皆様と議論をさせていただいたり、現場の視察をさせていただいたり、また、子供を通じて見えた学校現場などから、だんだんと、アメリカ版のインクルーシブ教育は、既に東京都には特別支援学校が、立派なものがありますので、現実的ではないんだなということが分かりました。ですので、今は、東京都版の新しいインクルーシブな教育をつくっていく必要があると考えるようになりました。
特別支援学校や特別支援学級、現在は、通常学級と共に学ぶことがほとんどない分離された教育環境であります。
それで、この東京版の新しいインクルーシブな教育では、支援学校であっても支援学級でも、スペシャルニーズのあるお子さんとないお子さんが、日常的に、そして継続的に一緒に学ぶインクルーシブな環境の確立を確実にしていきたいと考えております。
地域の教育委員会ですとか学校の裁量に任せている今のままですと、どうしても分離する方向に遠心力が働いているようでして、その逆のインクルーシブの求心力となる方向の力を、都教委として意図的に生み出していただきたいというふうに思っております。
また、一方で、通常の学級の中で、スペシャルニーズがある児童生徒に対する教員の皆様のスキルアップですとか、教員のサポート体制を充実していくことも重要だと考えております。
今現在は、特別支援学校や支援学級判定のお子さんは、ニーズに合った教育を受けたいのなら分離された環境を選ぶ必要がありまして、インクルージョンを得たいということであれば、親が付き添ったりとか、仕事を辞める必要があったり、ニーズに合った支援を受けられないことを受け入れる必要があるという状況です。
その状況の中で、多くの親は、教育的ニーズに合った分離された環境というのを選びまして、インクルージョンという、本来は権利であるのですけれども、それを放棄している状況になっていると思います。
ただ、親御さんの皆さんにヒアリングしてみると、わざわざ自分の子供を地域から分離させたいと思っているわけではなくて、可能であれば、地域のお子さんたちとつながりを維持したいという思いを持っている保護者さんも多くて、就学決定のプロセスは、教育的なニーズなのか、インクルーシブなのかという、両てんびんにかけて、どちらかを諦めなきゃいけないという選択をすることになりますので、親にとっては非常に難しい選択を迫られているという状況になっています。
さて、なぜ私がここまでインクルーシブにこだわるのかというと、インクルーシブの社会の実現に必要不可欠であるというのはもちろんのことなんですけれども、インクルーシブ教育は、スペシャルニーズのあるお子さんのみならず、スペシャルニーズのないお子さんにとっても、全てのお子さんにとってよい影響を与えることが分かっているからです。
どんないい影響があるかというのは、去年の事務事業質疑で長々と演説させていただきましたので、今日は割愛させていただきたいと思いますが、その効果は、年に数回程度、ちょっと交流してみましたという状況からは生まれてこないものになります。くどいのですけれども、日常的で、かつ継続的に共に同じ場所で学び、育つことによってのみしか得られないものになっております。
今の都教委の取組を見てみますと、全ての学びの場において、インクルーシブの効果が期待できるような取組の芽となるようなものが存在しておりますので、これをぜひ皆様と一緒に大きく育てていきたいというふうに願っております。
文科省では、今年の一月に、新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議報告を取りまとめました。これを見ますと、特別支援教育の推進のための考え方として一番最初に掲げられているのが、障害のある子供と障害のない子供が、可能な限り、共に教育を受けられる条件整備です。
ここからも、国の方でも、理想としては、共に教育を受けることが重要だとの認識はあることがいえます。
しかし、残念ながら、リアルな現場では、先ほどお伝えしたように、遠心力が働いていまして、見えない分離する力が働いていて、スペシャルニーズのあるお子さんたちは、どんどんと分離される方向に行ってしまっています。
国の動きも期待したいところではありますが、都では、先行して東京版の新しいインクルーシブな教育を実現していただいて、日本中のモデルとなって未来を明るく照らしてほしいと願っております。
さて、前置きが長くなりましたけれども、この観点から見ると、学校におけるインクルージョンに関する研究事業は、大いに期待を寄せております。
この事業は、昨年は新型コロナウイルス感染症拡大に伴いまして取組が難しかったということで、事業期間を令和四年度まで延長したと伺っております。
実施地区である豊島区と日野市において具体的な取組が進められているとのことですが、今年度の実施状況についてお伺いいたします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 今年度、豊島区では、通常の学級と特別支援学級の交流及び共同学習を活発化するため、区が指定した小学校において、教科、学校行事、委員会活動など、多様な教育活動の場面で交流などの機会を増やして実践しております。
また、日野市では、特別支援学校と小中学校との間で、オンラインを活用して、子供たちが登下校時に挨拶による交流を行うとともに、学校生活の様子を相互に視聴して感想を交換するなどの取組を実施しております。
両区市で交流などに参加した児童生徒からは、友達がたくさんできてうれしかった、リモートでもつながっていることを実感したなどの感想があったとの報告を受けております。
○龍円委員 豊島区の実践する小学校では、交流と共同学習の機会を増やしているとのことでした。教科、つまり、ふだんの学習においても共に学んでいるということで、よい取組だと思います。
先ほど触れた文科省の有識者会議の報告によりますと、特別支援学級の児童生徒が、在籍する学校の通常学級の一員としても活動するような取組が重要で、交流や共同学習を年間指導計画に位置づけて、年間を通じて計画を実施することが必要だというふうに書かれておりました。ぜひこういった視点を盛り込んだ研究を進めてほしいと思います。
また、この実践校には、通常の学級の中に知的障害のお子さんがいらっしゃると聞いております。共同学習をしているお子さんたちの効果と、そして課題、一方の通常学級にいらっしゃるお子さんの効果、インクルーシブな環境の中での効果と課題を比較してみることによって、インクルーシブな環境を推進するためのヒントになると思いますので、こちらの方の通常学級にいるお子さんも研究対象に含めていただきますようお願いいたします。
日野市の方なんですけれども、オンラインで挨拶するということで、最初に聞いたときは、えっ、それがインクルーシブの実践なのかというふうにびっくりしてしまったのですが、聞くところによると、日々、子供たちの様子が変わっていって、積極的に挨拶するようになったというふうに伺っております。
東京版の新しいインクルーシブな教育というのを考えたときに、副籍交流を成功させるというのは、非常に重要な鍵になってくると思っております。
都内で最も先進的な取組をしている国立市だと、週三日は特別支援学校、週二日は地域の小学校というような、すごい副籍交流をしているところもありまして、心から感嘆するのですが、そのようなことを全ての特別支援学校の生徒ができるようにするのは、簡単というか、難しいかと思います。
でも、インクルーシブ教育のよさは、日常的で継続的な交流がないと意味がないので、ここは、この研究を通じて、例えば、週五日はオンラインで交流します、だけれども、月に一回とか二回はリアルで会うというような実践をすることによって、より現実的で効果的な副籍交流の在り方が見えてくるかもしれないなというふうに期待を寄せておりますので、日野市では、オンラインの挨拶だけではなくて、この後のコロナの状況も鑑みながら、副籍交流の在り方を見据えた実践研究をしていただきたいと思っております。
去年の事務事業でも質問させてもらいましたが、学校におけるインクルージョンに関する実践的研究事業等検討協議会では、豊島区と日野市の取組内容について、希望するオブザーバーの自治体にも参加いただいて意見交換を行っているということでしたが、今年度はこれまでに何回開催しまして、どのような意見があったのか、お伺いいたします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 実践的研究事業等検討協議会については、今年度六月と十一月の二回開催し、豊島区及び日野市から実施状況等について報告を受けるとともに、委員及びオブザーバー参加をした区市町村教育委員会による意見交換を行いました。
協議会の場では、交流及び共同学習を進めていくためには、少しの時間からでも交流等の機会を増やしていくことが重要である、通常の学級の教員と特別支援学級の教員との共通認識を深めていくことが必要である、また、直接的な交流とオンライン交流を効果的に組み合わせていくことが有効であるなどの意見がございました。
○龍円委員 協議会の中で、少しの時間であっても交流の機会が増えることが重要という意見があったということだけれども、本当にそうだなというふうに思います。
私は今、子供を学校に毎日送迎していまして、支援者が足りないときは学校内での付添いというのもしていますので、図らずも学校現場におけるインクルージョンの現状を、日常的にこっそり横目で視察するという現状が続いています。
私の子供が在籍しているクラスの様子なんですけれども、今、二年生ですけれども、子供が周りの子供たちに完全に溶け込んでいまして、驚いたことに、クラスメートのほぼ全員が、息子のニーズだったりとか、違い、特徴とかを理解していまして、ごくごく自然に手助けしたり、一緒に活動を楽しむ様子が見られています。
息子も、見ていると同級生が大好きで、一語文とか二語文とか、あとはジェスチャーとか表情を使って果敢にコミュニケーションを取って、何やら会話が成立していまして、楽しそうに遊んだり、そして活動したりする姿を見ております。成長も目覚ましいものがあって、本当にインクルーシブな教育のよさというのを、今、十分得られているような気がしております。
一方で、特別支援学級のお子さんは、遠足、学芸会とか運動会のようなイベントになると一緒に活動しているのですけれども、交流が全くないわけではないのですが、いつも一緒にいる息子と支援学級のお子さんを比べてみると、やっぱり距離感は少し違うのかなというふうに感じております。ただ、これは、支援学級のお子さんだから距離感が違うということではなくて、ただただ、やっぱり毎日一緒にいるとかということの違いだというふうに感じております。
急に一緒に活動しても、支援学級のお子さんのニーズというのは、通常学級のお子さんたちには理解することができませんし、支援学級のお子さんも、ふだんは少人数のクラスにいるのに、いきなり大人数の学級に入ってしまうと、ちょっとびっくりしてカーテンの裏に隠れているような様子も見られたりしていました。
なので、もっと日常的で継続的な行き来があれば、違ってくるんじゃないかなというふうに思わずにはいられません。支援学校であろうが、支援学級であろうが、オンライン等も活用しながら、短い時間であっても、日常的で継続的な交流、共同学習を実現していってほしいと思います。
今年度新たに、都内全区市町村を対象に交流及び共同学習に関する実態調査を実施するというふうに聞いておりますけれども、その状況についてお伺いいたします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、通常の学級と特別支援学級との交流及び共同学習の現状を把握し、今後の検討の基礎資料とするため、本年十月に、都内全区市町村の知的障害及び自閉症・情緒障害特別支援学級を設置する小中学校を対象として実態調査を実施し、約五百五十校から回答がございました。
現在、調査結果を取りまとめているところであり、今後、内容の分析等を行った上で、交流及び共同学習の促進に向けた方策の検討を進めてまいります。
○龍円委員 協議会での意見、そして、今回のこの調査結果をしっかり参考にしていただいて、今後の方策を検討してください。また、副籍交流についても、ぜひ実態を把握していただきますようお願いいたします。
先ほどの文科省の有識者会議報告においては、市区町村教育委員会における人的環境整備として、適切に特別支援教育支援員を確保、配置していくことも求められるというふうに書いてありましたので、この方策の検討の際には、人的な支援についても検討いただきますようお願いいたします。
東京版のインクルーシブな教育を推進するには、地域の学校の通常学級の教員の皆様を含めた全ての教員の特別支援力の向上なくしては実現し得ないと思っております。
ただ、通常学級の先生は本当に忙しいですし、教員ご本人のやる気だけに任せたスキルアップだとうまくいかないので、特別支援学校のノウハウをもっと地域の学校に伝授していくことですとか、教員の先生が気軽に相談できるような専門家だったり、特別支援学校の教員がいらっしゃることや、そして、教員のサポートができる人材の配置、特別支援コーディネーターに活躍してもらうなどといった複合的な教育的な支援も必要です。
先ほど、私の子供はとてもいい環境で学んでいるというふうに鼻高々にお伝えしたところなんですけれども、最初からそうだったわけではありません。去年の事務事業質疑では、ちょっと愚痴もいってしまったのですけれども、小学一年生のときは、本当に学校の校長先生や担任の先生が、おろおろ、おろおろと戸惑っておられまして、その先生を特別支援学級の先生がサポートするという感じでもなくて、先生が頼れるような専門家が身近にいないということが大変なことなんだなというふうに感じまして、このような問題意識を持った次第です。
そこで、まず、全ての教員の特別支援教育の資質向上のために実施している研修についてお伺いいたします。
○藤井指導部長 教員一人一人が特別支援教育の理念や現状を理解し、特別な支援を必要とする幼児、児童生徒に対する指導力の向上を図ることは重要でございます。
都教育委員会は、特別支援教育が全ての学校において実施されるものであることから、採用一年目から三年目の全教員を対象とした研修において、特別支援教育の在り方や障害のある児童生徒の理解等について学ぶ機会を設定しております。
また、教員経験が十年程度の全ての教員を対象とした研修においても、障害の特性理解や支援の在り方、関係機関等との連携など、特別支援教育について学ぶ機会を設定しております。
さらに、受講を希望する教員等を対象に、指導経験等に応じて、合理的配慮に基づいた指導の工夫など特別支援教育に関する専門性の向上を図ることができるよう、多様な研修を実施しております。
管理職については、校内で特別支援教育を推進できるよう、管理職の候補となった時点で全ての者を対象に研修を実施し、必要な合理的配慮等を組織的に行い、教職員に対して適切な指導助言を行うことができるようにしております。
○龍円委員 ありがとうございます。義務づけられている研修と、そして、希望者向けの専門性向上の研修をしているとのことでした。
文科省では、つい先日、十月二十五日に、特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議が立ち上がりまして、全ての教師には、障害の特性等に関する理解と指導方法を工夫できる力や、多様な教育的ニーズのある子供がいることを前提とした学級経営、そして授業づくりをしていく必要があることが示されたばかりです。ぜひ今後、こういった側面で先生たちの困った感を解消できるような取組を進めていただけるようお願いいたします。
さて、そんな困っている先生がいたときに、本来でしたら、先生を強力にサポートできるのが地域の小中学校の特別支援コーディネーターです。地域の専門家や特別支援学校との連携などについて、重要な役割がこの特別支援コーディネーターには期待されています。
そこで、特別支援コーディネーターのスキルアップのためにどのような支援をしているのか、お伺いいたします。
○藤井指導部長 都教育委員会は、各学校における特別支援教育の推進役を担う特別支援教育コーディネーターの資質、能力の向上を図るため、必要な知識及び課題解決の手法を習得し、関係者間の調整を図りながら具体的な支援策を実行できるよう、経験年数に応じた研修を実施しております。
経験が二年以下のコーディネーターについては、個別指導計画の作成と活用の在り方等について理解が深まるようにしております。また、経験が三年以上のコーディネーターについては、事例を通した組織的な対応や、外部機関との効果的な連携などの講義や演習を通して、さらなるスキルアップを図っております。
さらに、特別支援学校のコーディネーターについては、地域の学校に対して必要な助言や支援を行うことができるよう、高度な専門性を身につけさせるための講義や演習を併せて行っております。
○龍円委員 ありがとうございます。特別支援学校の特別支援コーディネーターと地域の特別支援コーディネーターの皆さんが、講演とか演習で顔を合わせる機会があるということなので、ぜひここから人間性を構築してネットワーク化されていくような取組も推進していただきますようお願いいたします。
去年の事務事業でも触れましたが、教員たちのスキルアップには、特別支援学校と地域の小中学校の人事交流というのが今以上に活性化されていくことも重要だというふうに考えております。
去年に引き続きでお伺いするのですけれども、特別支援学校と地域の小中学校の人事交流はどれぐらいあるのでしょうか。教えてください。
○浅野人事部長 都教育委員会では、教員の特別支援教育に関する専門性を高めるため、小中学校と特別支援学校との間において、三年間の期限をつけた異動を実施しております。
制度開始から今年度までの九年間で、小中学校から特別支援学校には百九十一人、特別支援学校から小中学校には百三十人、計三百二十一人の教員が異動いたしました。
○龍円委員 ありがとうございます。去年の答弁から比較しますと、今年度は、地域の小中学校から特別支援学校へ人事の異動は二十五人増えて、特別支援学校から地域の小中学校には九人増えたという計算になります。
さきの文科省の有識者会議でも、人事交流を積極的に進めていくことが期待されるというふうに触れられておりますし、ぜひ東京都でも、手挙げ制での人事交流ではなくて、教員のやる気による人事交流から、システムとして本格的な人事交流をさらに深めていただけたらと思っております。
地域の小中学校の教員と特別支援学校間の人事交流を、今後さらに増やしていくことはできないのでしょうか。お伺いいたします。
○浅野人事部長 小中学校の教員が期限付により人事交流することで、特別支援学校の教員から、個に応じた専門性の高い実践的指導方法を学ぶことができます。また、特別支援学校から戻った後は、地域の特別支援教育を推進する役割を担うことができるようになります。
この人事交流の仕組みについては、これまでも教員向けの説明会の開催やリーフレットの配布により周知等に努めてまいりました。
今後、異なる校種間の人事交流を一層促進することで、異なる学校種を経験する教員を増やし、人事交流を通じた人材育成が充実するよう検討してまいります。
○龍円委員 ありがとうございます。この人事交流、本当にいい効果が生まれていると思いますので、ぜひ今後も検討のほどよろしくお願いいたします。
さて、次に、通常の学級におけるインクルーシブを推進するには、特別支援教室の効果的な活用も非常に重要だと考えています。
都教委が今年の三月に策定した特別支援教室の運営ガイドラインでは、原則の指導期間を一年とする考え方が示されました。これを受けまして、保護者からは、えっ、一年間しか支援してもらえないの、もし、もっと支援が必要だった場合、どうなるのというような不安の声も聞かれているようです。
指導期間を原則一年とした背景の考え方、そして理由を教えてください。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 特別支援教室での指導は、発達障害のある子供たちの学習上の困難等を改善し、より多くの時間を在籍学級で過ごせるようになることを目的に実施しております。
指導に当たっては、その成果の十分な評価が行われないまま指導が継続されることのないよう、指導目標の達成状況を確認する必要があります。そのため、学校生活の一年間のサイクルが終了する時点で必ず振り返りを行う趣旨で、指導期間を原則一年間と定めました。
なお、必要な場合は指導を一年間延長し、延長終了時には、特別支援教室での指導継続を含め検討し、適切に支援していくことといたしております。
○龍円委員 ありがとうございます。保護者の皆様にも、この事実をもっと伝えていけるようにしたらと思います。
特別支援教室のもともとの機能というのが、より多くの時間を在籍している通常学級の中で有意義に過ごせるようにすることを目的とした支援という点からも、この支援教室の活用方法さえ間違えなければ、インクルーシブな教育の推進の大きな力になるというふうに信じています。
先ほどからしつこいくらい、申し訳ないのですけれども、現在の学校現場には遠心力が働いていまして、分離したい、分離したいというところがありますので、ぜひ分離する力に負けることなく、この支援教室をしっかり求心力を働かせていただきまして、しっかりと力をつけて通常の学級に戻って、そして、その子らしく学ぶことができるような支援を続けていただきたいというふうに思っております。
今回、都教委が、指導期限を原則一年として、期限が来たらしっかりと振り返って、目標は実現できたのか、通常の学級に完全に戻るのか、はたまた、もう少し延長して利用するのかを検討する機会を設けたというのは高く評価することができるのかなというふうに思います。
振り返った上で、まだ支援教室で取り組むべき課題があることが確認された場合は、支援教室を次の年も利用できることになったということで、やっぱりお子さん一人一人、発達は違いますので、その子に合った利用期間となっていくことは合理的なことだというふうに思います。
さて、支援教室という、よい仕組みを都教委が全国に先駆けてつくったのは、とてもすばらしいことですが、まだまだ新しい取組ですし、支援教室の支援のクオリティーの向上というのも課題なのかなと思います。
都教委の特別支援教室巡回運営指導員が特別支援教室を設置する学校に直接訪問して具体的な指導や助言を行っているとのことですけれども、特別支援教室巡回運営指導員は、具体的にどのような人材がどのようなことを実施しているのか、お伺いいたします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、適切な特別支援教室の運営に資することを目的に、知識やノウハウを有する元校長などを特別支援教室巡回運営指導員として採用し、公立小中学校に対して特別支援教室の運営ガイドラインに沿った指導助言を実施しております。
具体的には、運営指導員が直接学校を訪問し、授業の観察を行い、校長や教員から聞き取りなどをした上で、具体的な指導目標を設定する際の留意点を指導したり、他校の好事例を基に助言したりするなど、一人一人の子供たちの障害の困難さの改善に向けた助言等を実施しております。
○龍円委員 専門的知識のある元特別支援学校などの校長先生などが各学校を巡回するということは、とてもすばらしいことだというふうに思います。
支援教室の先生のスキルアップも期待できるのですけれども、もちろん、利用する児童生徒一人一人の指導目標というのをしっかり合理的なものに設定することによって、具体的で明確な支援が可能になってくるというふうに思います。
また、支援教室をハブにしまして、専門人材と学校が日常的に相談できるような関係性を築いていくことで、ひいては、その学校の特別支援力の向上にもつながってくるのではないかなというふうに期待しております。
特別支援教室はインクルーシブ教育の要なんですけれども、支援教室で得たスキルなどを、在籍する通常の学級に戻って、はい、あとは一人で頑張ってね、それを実践してねというのは、スペシャルニーズのある子にとっては難しいかなというふうに思います。
一つ得たスキルをほかのシチュエーションで応用していくというのは、私たちが想像する以上に、スペシャルニーズのあるお子さんにとっては難しいことになります。
そこで、都教委は、令和三年度から、通常の学級で発達障害のあるお子さんたちをサポートするために発達障害教育支援員配置促進事業を開始するというふうに去年聞いたのですけれども、そのときは、うれし過ぎて小躍りしそうになりました。
この事業の内容と実績についてお伺いいたします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 発達障害のある児童生徒が学校で充実して過ごすためには、特別支援教室での指導の成果を在籍する学級で発揮できるようにする必要がございます。
そのため、都教育委員会では、区市町村が在籍学級において教員と連携を図りながら子供たちの学びを支援するサポート人材を配置することを促進していくため、その費用の一部を補助する発達障害教育支援員配置促進事業を令和三年度から開始いたしました。
令和三年度は、区市町村からの申請に基づき、九地区、百十一校でのサポート人材の配置に対し、補助金を交付する予定でございます。
○龍円委員 九地区、百十一校での人員配置の予定ということでした。この発達障害教育支援員を全ての区市町村にぜひ配置されるように取組を進めていただきたいと思います。
ちなみに、ある自治体だと、なぜか拠点校に支援員が重点的に配置されているというふうに聞きました。ちょっとそれだと支援の在り方として違うのかなというふうに思いますので、各区市町村の教育委員会に、この支援員の本来の趣旨に沿った配置がされるような周知も併せてしていただきますようお願いいたします。
先ほど特別支援コーディネーターのスキルアップについてお伺いしたのですけれども、どんなに能力をアップしても、各学校のコーディネーターは、担任もしていらっしゃる教員が担っていることが多いので、日々の業務に忙殺されて、なかなか期待されているほどには活躍できていないというふうに聞いております。
特別支援コーディネーターへの支援を強化するため、都教委は、令和三年度から特別支援教育コーディネーター業務補助事業を開始しました。
この事業の内容についてお伺いいたします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、区市町村が特別支援教育コーディネーターの業務を補助する人材を配置する場合に、その費用の一部を補助する特別支援教育コーディネーター業務補助事業を令和三年度から開始いたしました。
本事業により、発達障害を含む特別支援教育の学校での推進役を担う特別支援教育コーディネーターが学校内外の関係者との連携や調整に一層注力することで、特別支援教育の指導の充実を推進してまいります。
○龍円委員 こちらのコーディネーター業務補助事業は、まだ立ち上がったばかりの事業ですので、今後、区市町村で利用されてほしいです。ぜひ来年度に向けて、しっかりと区市町村教育委員会への周知をお願いいたします。
支援教室は、支援教室の中で完結するのではなくて、通常の学級の中でより生き生きと有意義に学校生活を送ることを支援する、インクルーシブな教育環境の推進において重要な場所ですので、間違って、これが分離される場所とならないように、都教委として、しっかりと支援教室の運用を、本来の目的、そして意義を忘れることなく進めていただきますよう、心からお願い申し上げます。
なお、余談になるのですけれども、先ほどの国の有識者会議の報告では、この支援教室の対象に、軽度の知的障害児も対象にするべきなのではないかといった議論も出ているようです。
国連の障害者権利委員会は、コロナ感染で開催がちょっと延期されてしまっているのですが、来年には日本に対する勧告が示される予定となっています。委員会へは、支援教室の対象に知的障害を含まないのは障害種別による差別である可能性があるというふうなパラレルレポートも提出されていると伺っています。
国連がこれに対してどのような見解を示すのかは分かりませんけれども、インクルーシブ教育を推進したい私からしますと、障害種別を限定することなく、通常学級に在籍する支援を必要とするお子さんたち皆さんが利用できる特別支援教室になってほしいなというふうに考えております。
次に、都立高校におけるインクルーシブです。
令和三年度から、どの高校でも通級による指導が受けられるようになりました。発達障害のあるお子さんにとって、高校進学は簡単ではない場合があります。都立高校では、バラエティー豊かな学部とか専門的な技術を学べる学校がありますし、お子さんご自身が学びたいと思うことを、通級の支援を受けながら学べるというのは、大変すばらしいことだと思います。
高校における通級による指導は、どのような体制で実施しているのでしょうか。また、現在の通級指導の実績についてお伺いいたします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都立高校における通級による指導は、通級を担当する教員と、発達障害の子供への指導経験やソーシャルスキルトレーニングに関する知識などを有する外部の専門人材とが、チームティーチングにより、主に放課後の時間帯などにおいて実施しております。
現在、通級による指導を実施している都立高校は二十一校でございまして、対象となる生徒は六十九人でございます。
○龍円委員 早速、六十九人の生徒が支援を受けながら学んでいるということでした。
通級を担当する教員と外部の専門人材によって指導を行うとのことでしたが、こうした実施方法による効果はどういったものがあるのでしょうか。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 都立高校の通級では、自立と社会参加につながるよう、卒業後の進路を見据えた指導を実施しております。
具体的には、聞いた情報を記憶していくことが苦手な生徒に、授業中や職場での場面を想定し、教員の話や上司の指示の内容をどのようにメモするかなどの実践的な指導をしております。
学校からは、外部の専門家を活用した指導により、生徒が聞き取った内容を効率的に記録することができるようになった、積極的にコミュニケーションを図る態度が身についてきたなどの声を聞いております。
○龍円委員 都立高校の通級が始まるに当たって、最初は、担当するのが都立高校の教員ということで、教員の方からは不安の声もあったようなんですけれども、専門家を活用したことによって、きめ細やかな支援につながっていることが確認できました。ありがとうございます。
さて、一旦、高校の話をいたしましたが、地域の小学校に話を戻します。
肢体不自由児にとっては、物理的なバリアフリーというのも重要になってまいります。平成三十年の事務事業質疑で、区市町村の小学校のバリアフリーについて質問をさせていただきました。
当時確認した小学校のエレベーター、段差スロープの設置状況が、その後どのように変わったのか、お伺いいたします。
○小菅地域教育支援部長 都教育委員会が実施している調査によりますと、区市町村立小学校におきまして、平成二十八年五月一日時点及び令和二年五月一日時点で、エレベーターや階段に椅子昇降機等が設置されている割合は二六・三%から三〇・四%、段差スロープが設置されている割合は六七・一%から七七・七%となっております。
○龍円委員 エレベーターや椅子昇降機が四・一%増加と、少し増えておりまして、価格的にはそれより設置しやすい段差スロープが一〇%増加したということで、少しずつ改善されていることが分かりました。
令和二年に、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー法が改正されまして、令和三年四月一日から施行されています。
これによって、学校では何が変わるのか、また、都は今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○小菅地域教育支援部長 いわゆるバリアフリー法の改正によりまして、令和三年四月一日以降、公立小中学校におきまして新築、増築等を行うときには、車椅子使用者トイレの設置や、移動経路を段差のないものにすることが必要となりました。
都におきましては、法改正以前から、既に都の条例に基づき、大規模な修繕などを行う場合にも施設のバリアフリー化が課されておりまして、都教育委員会は、区市町村がバリアフリー化の整備を行う際に、国の助成制度を活用することを積極的に促しております。
今後、区市町村立小中学校のバリアフリー化がより一層進むよう、文部科学省の担当官を招き、法改正の趣旨や整備目標及び国の支援制度等についての講演会を開催してまいります。
○龍円委員 国の方を招いて、区市町村の担当の方が直接バリアフリーの重要性や国の支援制度を聞くことができる機会を設けるということで、よい取組だと思います。
区市町村の小中学校の整備は、前回の質疑のときにも区市町村の責任であるというふうに答弁をいただいていて、承知しております。しかし、前回の質疑のときにもお話ししたのですけれども、自治体の財政状況によっては、バリアフリー、特に価格の高いエレベーターとか椅子昇降機の設置が進みにくいという課題もあるというふうに私としては認識しております。
現在、都は、耐震化とか空調整備については、小学校、中学校の補助をしていると思います。今日配られた資料を見ますと、小中学校の特別教室は九一・一%、そして体育館等では六五・七%で空調設備も設置されたようですので、これらが一段落したなというふうになった後は、このバリアフリー化についても、都として支援をしていただくことを検討していただきますよう要望させていただきます。
ここまで、東京都の新しいインクルーシブな教育を実現するためという観点から質問をさせていただきました。
次に、医療的ケア児についてです。
これまで、長年、医療的ケア児の保護者は、学校で付添いを求められてきておりました。それがここ数年で、人工呼吸器を使用する医療的ケア児も含めて、ケアを学校側に引き継いでいく取組が進められているのは、本当に喜ばしいことだというふうに思っております。
そういった状況の下、私が今とても力を入れて取り組んでいるのが、医療的ケア児の母親の就労継続についてです。
医療ケア児がいらっしゃると、将来的にそのお子さんが自立しない可能性もあることから、医療的ケア児の親こそ、両親が共働きを続けることができることが重要になってきます。
ただ、学校側にケアを引き継ぐとはいえ、それまでは保護者が付き添う必要があります。また、入学したときだけではなくて、お子さんによっては、学年が上がって担任が替わるたびに、一か月ぐらい学校に付き添うことを求められたりするそうです。なかなか年に一回、一か月ずつ休ませてもらえる理解がある職場は多くないことから、保護者の代理人が代わりに使えることが重要です。
そこで、去年の事務事業質疑で、医療的ケア児の学校での付添いの保護者代理人となる看護師の取扱いについて、検討するというふうな答弁をいただいたところです。
現在の状況についてお伺いいたします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 医療的ケア児につきまして、入学後、学校看護師に対処方法等の引継ぎを行うまでの間などは、保護者に付添いを依頼しています。
この保護者付添いの負担軽減を図ることを目的として、令和三年度から、医療的ケア児が在籍する全ての都立特別支援学校において保護者代理人制度を導入いたしました。
代理人となる者につきましては、校内で安全な医療的ケアを実施するため、医療的ケア児の成年に達した家族のほか、医師、看護師免許を有する者などの要件を定めております。
各学校には、年度当初から保護者代理人の利用申請があり、年度の途中においても、必要とする保護者から随時申請が出されている状況でございます。
○龍円委員 今年度から保護者の代理人制度を導入されたということで、大変ありがたいです。
ただ、ここに来て、新たな問題が発生しております。おじいちゃんやおばあちゃんなどの家族が代理人となってくれるならいいのですけれども、都心部は核家族ですし、なかなか家族の支援を得られない保護者も少なくありません。
私自身も、医療的ケアがあるわけではないのですけれども、学校に付き添うに当たって、付き添えないときは母に頼みたいところなんですが、母は父の介護をしていまして、できないというようなこともありまして、なかなか家族の支援を受けられない医療的ケア児の保護者さんも少なくありません。
医療的ケア児の場合は、そうなると看護師を代理人とする必要があるのですけれども、この看護師費用を保護者で負担するには、やっぱり高過ぎるんですよね。相場が一時間一万円ということで、例えば一日八時間頼むと八万円になりまして、それを週五日利用したとすると四十万円になります。これを仮に一か月続けると百五十万円以上になってしまうという計算になりまして、なかなかこれは一般の家庭で負担できる金額ではないんじゃないかなというふうに思います。
それを負担するくらいなら、もう正規雇用を辞めて、パートタイムだったりとか非正規雇用に仕事を変えざるを得なくなってしまうんじゃないかなと思います。
そこで、保護者の方々からは、看護師が代理人となる場合の費用の一部であってもいいから、公費負担をしていただきたい旨の要望をいただいております。どうかご検討いただくようお願いいたします。
保護者の付添いなく通学できるようにするためには、学校で医療的ケアを実施する看護師を確保することが重要であります。
訪問看護ステーションといった民間事業者なども活用して、看護師の確保に取り組むべきだというふうに考えますけれども、見解をお伺いいたします。
○滝沢特別支援教育推進担当部長 看護師の確保につきましては、都立特別支援学校の校舎外壁等への看護師募集の横断幕設置や、人材紹介会社の活用、関係団体との連携などにより積極的に取り組んでおり、引き続きこうした取組を進めてまいります。
○龍円委員 関係団体とも連携をしているとのことでした。また、積極的に取り組んでいるとのことでした。
そういった努力をしてくださっていますが、まだまだ看護師が足りていないというふうに伺っております。特に、同じ時間帯にたくさんの看護師の配置が必要となるのが登下校のバスかと思います。お配りいただきました資料の一八ページを見ても、看護師が乗車している割合は、人数が多い光明学園をとっても三六・九%ということのようです。
最近は、短時間の勤務とかフレキシブルな勤務なら仕事復帰できるよという、ご自身がママの看護師さんが多数登録していて、医療的ケア児に特化した新しい事業者も誕生してまいりました。こうしたママ看護師側のニーズと特別支援学校をうまくマッチングするなどの柔軟な運用をすることで看護師の確保を進めることも検討していただきますようお願いいたします。
さて、話は変わりまして、都立肢体不自由児特別支援学校などには、小学校に準ずる教育を行う教育課程が置かれています。この準ずる教育というのは、身体的なハンデとか医療的ケアがあることで特別支援学校に在籍しているのですけれども、知的な発達には遅れがないということで、通常の学級の教育に準ずる教育を受けているお子さんたちのことなんですけれども、都教委は、この準ずる教育課程を取り上げて、教育内容、方法の支援充実を実施してまいりましたが、この事業にはどのような意義があるのか、認識をお伺いいたします。
○藤井指導部長 都立特別支援学校において、準ずる教育課程で学んでいる児童生徒の数は少なく、担当する教員同士が学び合える機会が限られている状況でございます。そのため、学校を超えて指導技術を共有するなど、授業力の向上に取り組めるようにしていく必要がございます。
そこで、都教育委員会は、充実事業として、地域の小学校等を各学校の授業研究連携校に指定し、教材研究や研究授業の参観などを連携して行えるようにいたしました。併せて、各学校が授業改善推進プランを作成し、改善の方向性を共有できるようにしております。
本事業により、特別支援学校の教員が小学校等における最新の教科指導の方法等を学んだり、小学校等の教員が特別な支援を必要とする児童生徒に対する指導について助言を受けたりするなどの効果を上げることができております。
○龍円委員 実は、私の知人のお子さんが、この準ずる教育というものを受けているのですけれども、教育内容が物足りないということで、プライベートで家庭教師を利用しているというふうに聞いておりました。
今のご答弁の中で、都教委の課題の認識というのが分かりました。特別支援学校の教員は、特別な支援は非常に得意なんですけれども、逆にといったら変なんですけれども、通常の学級における教育についてはあまり経験がなく、また、周りに頼れる教員がいなかったということが分かりました。
そこで、地域の学校の教員と助け合おうという事業は、本当にすばらしいことだと思います。
令和三年度におけるこの事業による都立特別支援学校と地域の小学校、中学校及び高等学校との連携の状況についてお伺いいたします。
○藤井指導部長 本事業について、令和二年度当初段階においては、都立特別支援学校十八校が、小学校十五校、中学校十校、高等学校等七校との連携を計画しておりました。
しかし、その後、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、教員が授業研究連携校に容易に訪問できない状況となったため、令和三年度においては、オンラインを活用して新たな連携に取り組み始めたところでございます。
具体的には、特別支援学校の教員が、オンラインにより、連携校の授業公開研究会や区市単位で実施される教科研究会に参加するなどして、授業力の向上に努めております。
○龍円委員 ありがとうございます。すごくいい取組だと思います。
先ほどから、地域の小中学校の教員の特別支援教育力の向上が必要で、特別支援学校の先生のノウハウを地域の教育にどうやったら伝えられるかという質問をしてきたのですけれども、特別支援学校の教員の先生方の方にも、地域の教員から教わりたいことがあるということなので、ウイン・ウインなんじゃないかなというふうに思います。
こういった連携を通じて双方のスキルアップにするとともに、日常的に気軽に、そして、せっかくコロナ禍でオンラインでつながったので、オンラインも活用して質問し合える教員ネットワークが出来上がっていくことに期待いたします。
ここまで質問してきたことを踏まえまして、東京版の新しいインクルーシブな教育の構築を進めていただきますよう改めてお願いするとともに、教員の皆様が自信を持って働けて、そして、スペシャルニーズのある子もない子も、一人一人が自分らしく輝ける力を身につけて社会に羽ばたける取組を進めていただきますようお願いいたします。
さて、話は変わりますが、私は、インクルーシブな社会の実現を目指すという観点から、LGBTQ等の性的マイノリティーの方への偏見や差別をなくして困難さを解消し、そして、多様な性があることが普通の常識として認知され、誰もが自分らしい性で生きられるための政策を進めております。
差別を禁止する東京都人権尊重条例が施行されて、間もなく東京都のパートナーシップ制度も実現する見込みであることは大きなことだと思います。
この文教委員会の質疑でも、学校における性的マイノリティーに関する取組について、何度も質疑してまいりました。というのも、やっぱり学校時代が一番つらかったんだという声を当事者からたくさん聞くからなんです。
都立学校における男女制定員を撤廃していくことが先日示されましたが、学校現場は、すごく当然のことのように、男女によって管理されがちです。性がどれだけ多様なのかを知った上でこれを見ますと、人間を二つのジャンルに分類して、それ以外の人がいないかのように扱うことが、どれほど乱暴なことなのかなというふうに思い知らされる思いがいたします。
何気ない男女というジャンル分けによって存在を否定されていると感じて、生きる希望を失っている児童生徒も多く、誰にも相談できずにいることは、本当はあってはならないことだというふうに考えています。
インクルーシブ教育と全く同じ理論で、子供時代に経験する社会の縮図ともいえる学校において、あらゆる性自認及び性的指向、そう表現する性があることが前提となっていることが、社会を変えていく上で、長い目で見たときには重要なのかなと思います。
性的マイノリティーの児童生徒が、ご自身の存在が普通に違和感なく受け入れられている学校生活を送って、また、周囲のお子さんたちがそれを当たり前のこととして感じられる学校運営が求められています。
そこでお伺いします。都教委が指定している人権尊重教育推進校では、性自認及び性的指向など、性の多様性についてどのような学習や取組が行われているのか、教えてください。
○藤井指導部長 人権尊重教育推進校では、各教科等の学習において、学習指導要領等に示された目標や狙いを踏まえつつ、地域の特色や児童生徒の発達の段階に応じて、様々な人権上の問題を取り上げた学習を行っております。
性自認及び性的指向について児童生徒の理解を深める学習としては、例えば、性の多様性に関わる絵本を教材とした道徳科の授業や、児童生徒が住んでいる地域の同性パートナーシップ制度を題材にした特別活動の授業などを行っております。
また、性自認及び性的指向を理解し、偏見や差別をなくそうとする態度を育むことなどを目的として、関係書籍を集めたコーナーを校内に設置したり、生徒向けに性的マイノリティーの方を講師としたワークショップや、心理の専門家による講演会を実施したりしている推進校もございます。
○龍円委員 学校ごとによって工夫をしながら、性の多様性を理解促進するような取組をしているということでした。
ただ、一部の学校で取り組んでいるだけでは、社会は変わっていきません。この好事例をほかの学校に普及啓発して、取組を広げていくことも重要です。
人権尊重教育推進校の教育内容の好事例などについて、どのように普及啓発をしているのか、お伺いいたします。
○藤井指導部長 人権尊重教育推進校では、人権教育に関する実践の成果等についてまとめたリーフレット等を作成し、都内の学校に配布するとともに、人権教育に関わる授業を他の学校の教員に公開すること等を通して、推進校の実践から得られた成果等の普及啓発に努めております。
また、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、従来行ってきた授業公開等が困難となった場合でも、オンラインを活用して実践を発表するなど、他の学校の教員が参加しやすい方法で成果等の普及啓発を図っている推進校もございます。
○龍円委員 実際に人権教育をしている様子を、ほかの学校の先生が見に行けるというふうな取組をしているということでした。コロナ禍ではオンラインを活用し始めたということなんですけれども、多忙な教員の皆様がわざわざ他校の人権教育を見学に行くというのはハードルが高いというふうに思うので、ぜひコロナと関係なくオンラインでの公開を続けていただけたらと思います。
また、リーフレットについては、ぜひオンラインでも公開していただきますようお願いいたします。
さて、二〇一九年の事務事業質疑で、二〇一九年に作成する人権学習教育ビデオにおいて、性自認及び性的指向に関する人権課題を取り上げたものを作成するとの答弁がありました。
この人権学習教材ビデオの作成、どのようにこの課題について取り上げたのか、お伺いします。また、そのほかにどのような人権課題も併せて取り上げたのか、お伺いいたします。
○小菅地域教育支援部長 都教育委員会では、社会教育関係団体等において、人権尊重の理念を正しく理解し、差別意識の解消を図るための学習を行う際に活用できる教材ビデオを作成しております。ビデオは、隔年で制作し、多様な人権課題の中から二、三のテーマを取り上げ、同じものが重ならないように工夫しております。
性自認及び性的指向に関する人権課題などを取り上げた教材ビデオにつきましては、令和元年度に制作し、令和二年三月に、主に区市町村教育委員会の社会教育関係機関、公立中学校、国公私立高等学校など、約千五百か所に配布をいたしました。
また、本教材ビデオでは、障害者や外国人に関する人権課題などについても取り上げております。
○龍円委員 そのビデオを、DVDですね、去年三月に千五百か所に配布したとのことですけれども、この教材ビデオは、実際にどのように活用されたのか、お伺いいたします。
○小菅地域教育支援部長 本教材ビデオの制作に当たりましては、幅広い年齢層に理解しやすい内容となるよう、性自認及び性的指向に関する人権課題について、トランスジェンダーの当事者が出演したドラマ形式により、本人の体験や心情、打ち明けられた側の気持ちや受け止め方を描くなど、視聴者が人権について自分の日常の問題として考える機会となるよう工夫をいたしました。また、活用の参考となるよう、手引書も併せて配布いたしました。
本年六月に実施した本教材ビデオの活用状況のアンケートによりますと、本教材ビデオは、学校内での教職員、生徒、PTA向けの上映や地域での上映、希望者への貸出しなどに活用され、登場人物の心情が感じられやすかったので、生徒たちも、それぞれの人権課題に対して当事者意識を持って考えることができたなどの感想をいただきました。
○龍円委員 (実物を示す)こちら、ビデオを私も貸していただいて拝見させていただきました。アウティングは本当にいけないんだというのが強烈に伝わってくる内容になっていまして、すごくいいつくりになっていたと思います。
一つ残念なのが、これはDVDで配布して、オンラインでは見られない状況だというふうにお伺いしました。実は私、このDVDを再生する機械が、家にも、そしてパソコンにもなくて、政調会の部屋に行きまして、これを拝見させていただいたような状況になっております。だんだんDVDも見られない環境の方も出てきておりますので、オンラインでこういうものが見られるような状況も整えていただきますようお願いさせていただきます。
電通ダイバーシティ・ラボの二〇二〇年のLGBT調査によりますと、性的マイノリティーの当事者は、人口の八・六%というふうに発表されています。厚生労働省が発表する障害のある人の数は人口の七・四%ですので、このLGBTの方々はそれよりも多いというふうになります。
そう考えると、特別支援教育には膨大な予算をかけているのに対して、性的マイノリティーの児童生徒への配慮、支援はまだまだ微々たるもので、もっともっと学校の隅々にまで、性に多様性があることを浸透させていく取組を進めていただきたいと思います。
次に、話はかなり変わるのですけれども、Tokyo P-TECH事業についてお伺いします。
私たちの会派には、元大手IT企業出身の都議会議員が所属しておりまして、IT人材の育成の重要性について、本会議などで訴えてまいりました。
そんな中、都立町田工業高校でTokyo P-TECH事業が今年度から本格実施されているとのことですが、この教育内容について教えてください。
○谷都立学校教育部長 都教育委員会は、IT人材の育成を図るため、令和元年度からTokyo P-TECH事業を試行的に開始し、今年度からは本格的に実施しております。
本事業は、IT関連企業等や専門学校と連携し、高等学校段階と専門学校段階の五年間を見通した連携教育カリキュラムに基づき、教育活動を行っております。
具体的には、企業等によるIT技術に関する講話や、社会人と高校生がキャリアに関する対話を行うメンタリング、エンジニアによるネットワークやプログラミングなどの授業を、オンラインを活用しながら実施しております。
○龍円委員 高校から専門学校までの五年間の一貫した専門的な教育を受けられることですとか、高校段階からIT企業の職員の方々から、自分が今学んでいることが、どう社会の中で生かしていけるのかという、将来までが見据えられるような取組はとてもいいというふうに感じました。
私が学生時代に、ちょうどウィンドウズ95が発売されまして、デジタルネーティブと呼ばれている世代になるのですけれども、アイフォンが登場したのが二〇〇七年ですので、今の高校生たちは、赤ちゃんのときからタッチスクリーンでスマホを操作する、スマホネーティブ世代というふうにもいえると思います。
そんな世代がこういったIT人材として英才的な教育を受けることによって、この先、すばらしい人材を輩出していくことになるのではないかなと期待しております。
Tokyo P-TECH事業は、今年度から本格実施とはいえ、令和元年から試行的に実施しているとのことですので、これまでに見えてきている事業の成果についてお伺いいたします。
○谷都立学校教育部長 本事業では、参加した生徒の学習意欲の向上や、課題研究が高度な内容に深まっているといった効果が確認されております。
また、生徒からは、役に立つ知識が得られ、考えが深くなった、学習内容が社会で役立つことを実感し、IT系の企業で働く決心がついたなどの声が寄せられており、知識の向上やキャリア観へのよい影響が見られます。
今後も、成果を検証しながら、本事業によるIT人材の育成を推進してまいります。
○龍円委員 ありがとうございます。学習内容が社会で役立つことを実感したことですとか、学習意欲が高まったり、課題への取組が深まっているなというふうに感じているなど、いい効果が出ているのかなというふうに思います。
私自身の高校時代を振り返りますと、自分が学んでいることが社会に出て役立つかどうかという点が全くイメージできていませんでした。ゴールが見えていない中で、やみくもに全力で走れといわれているような感じで、目的や意義が分からないことで、正直、やる気があまり出ませんでした。
このP-TECH事業のように、高校時代から社会で活躍している人たちから学べたり、キャリアを見据えて専門的な知識を学べるのは、とてもよい取組だと思いますので、ぜひ今後、横展開でこういう取組をする学校を増やしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
私は、インクルーシブ教育を推進するための質疑を続けておりますが、それは、いわゆる障害のある子だけではなくて、日本の画一的な教育になじめなかったり、学びにくさがあったり、ほかの学び方だったら、より伸びるお子さんもいることから、特別支援教育以外にも多様な学びというのが選べるようになってほしいなと願っています。
私自身、あまり日本の教育にはなじめませんでした。義務教育も高等教育もなじめないまま、勉強は好きじゃないし、興味のないことを暗記するのは苦痛だし、どんなことをしても、なぜか頭に入らないし、私は駄目な人間だなというふうに、学生時代は自己否定をしながら育ってしまいました。社会人になったときに、本当にそのことによって自信がなかったのを覚えております。
しかし、それからしばらくたって気がついたのですけれども、同じ会派に所属している議員さんたちは知っていると思うのですけれども、私はかなり能力が凸凹しているようなところがありまして、駄目なところは大いにあるのですけれども、ただ、それだけをもって駄目だったわけではない、得意なこともあるんだというふうに、大人になってから気がつきました。
とんだ自己肯定感の話なんですけれども、そんなこともありまして、詰め込み型の教育は、私には全く合わなかったわけなんですけれども、子供時代のどこかの時点で、自分には自分に合った学び方があるんだよとか、自分にも長所があるんだよということに気づけたら、どんなによかったのにというふうに思います。
勉強や探求は楽しいことだし、その先に考えることだったりとか、何かを生み出すこともすごく仕事で役立つということをどこかの時点で知る機会があったら、どんなに楽だったんだろうかというふうに思います。
そこで、特別支援教育の対象にはならないのですけれども、凸凹がある児童とか生徒が自信を失って、学ぶこと自体を嫌いになってしまったり、私のように自己否定を感じないで、得意分野に気づくことができるように、多様な学びがあり、凸凹を上手に受け止める新しい教育が必要だと考えています。そういう意味でも、都教委が新たな東京型教育モデルへシフトしていくことに大変期待をしております。
都教委では、学びのセーフティネット事業を実施しておりますが、その目的と概要についてお伺いいたします。
○小菅地域教育支援部長 学びのセーフティネット事業は、NPOなどとの外部機関と連携し、学校に通うことができない等の理由で高校生活を送ることに困難を抱える生徒や、都立高校の通信制課程に通学する生徒などに対し、学習支援をはじめ、生活相談及び進路相談の機会や生徒同士による交流の場の提供等、個に応じた丁寧な支援を目的としております。
本事業は、令和元年度から都内三か所で、子供、若者支援に実績のあるNPOに委託し、定員七十名、週五日という形で実施しております。
○龍円委員 学校生活に難しさがある生徒や通信教育課程の生徒などを対象とした個別の支援を実施しているとのことで、重要な事業だと思います。
事業を開始して三年が経過していますが、事業の成果と、そして、何か課題があれば教えてください。
○小菅地域教育支援部長 生徒の支援ニーズをきめ細かく把握し、個に応じた支援に努めた結果、不登校であった生徒が、自信を回復し、学校に復帰したり、中途退学経験のある通信制課程の生徒が、スタッフからの励ましにより、前向きにレポート作成に取り組み、また、スクーリングにも積極的に出席したりするなどの成果が上がっております。また、高校を中途退学後、高等学校卒業程度認定試験にチャレンジし、大学や専門学校に進学したというケースもございます。
現在、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、来所人数の制限が必要な場合もあることから、オンラインを活用して学習相談、生活相談に乗るなどの工夫を行い、生徒とコミュニケーションを図り、一人一人に応じた支援の充実に努めております。
○龍円委員 ありがとうございます。この事業によって効果が出始めているとのことでした。
また、コロナ禍でオンラインを活用して学習相談等をしているとのことでした。
困難さを抱えているお子さんにとっては、リアルで会うことも重要なんですけれども、そこまで来ることも難しいと感じるお子さんもいます。オンラインを活用することで安心できるというお子さんもいると思いますので、ぜひリアルとオンラインを今後も引き続き併用することによって、寄り添った取組を継続していただきますようお願いいたします。
この事業なんですが、支援を必要としている生徒に利用していただけるように周知することも重要なのかなと思います。学校に行くことに積極的になれない生徒にとっては、アウトリーチするような形での周知も重要だと思います。
具体的には、どのような形で事業を周知しているのでしょうか。また、都立高校生以外の生徒の参加も可能なのか、お伺いいたします。
○小菅地域教育支援部長 都立学校校長連絡会で事業を周知するとともに、児童相談所の担当者会や東京都若者相談センター、通称若ナビαといった関係機関、加えまして、区市町村の福祉部門や教育相談部門の担当者に対しても、直接訪問し、事業の周知を図っております。
都立高校生以外の利用につきましては、これらの機関からの相談を受け、個々の状況を把握した上で受け入れております。
○龍円委員 都教委の範疇にとどまりませんで、関係機関とも連携をして周知を図っているとのことでした。また、都立高校の生徒さん以外も受け入れているとのことでした。今後も引き続き、この学びのセーフティネット事業を続けていってほしいと思います。
また、最近では、N高とか、ゼロ高とか、ルークスといった、通信制やサポート校の仕組みを使って、独自でユニークな教育を提供している学校も出てきました。学びに多様性があり、凸凹がある人でもうまくフィットする学びの場を見つけられることは、とても重要だと思います。
都教委としても、将来は様々な学びの場とも連携をしていただきながら、お子さん一人一人にとって有意義な学びができる東京を育んでいただきたいと思います。
さて、最後になりますけれども、区市町村の学校の教育活動におけるPCR検査について、都教委が支援する体制についてお伺いいたします。
緊急事態宣言が明けまして感染者数が落ち着いてきている中で、学校では、延期されていた宿泊を伴う行事ですとか、県をまたぐような部活動などが徐々に再開されているに当たって、PCR検査を行うことで活動を安全に行えるようにするニーズが高まっております。
今回、都が実施する区市町村立学校の教育活動におけるPCR検査は、どのような目的で、また、どのような場面で活用することができるのか、お伺いいたします。
○小菅地域教育支援部長 今回、都教育委員会は、区市町村立学校の感染症防止対策の徹底と学びの保障を目指して、各学校の教育活動におきまして、訪問先や主催団体から、参加に当たって検査が求められる場合などに、児童生徒及び教職員を対象にPCR検査を実施できるよう体制を整備いたしました。
具体的には、職場体験や部活動における全国大会への参加などにおきまして検査を活用することができます。
○龍円委員 学校行事や部活動等で検査が求められる場合に利用できるとのことでした。
今回、このPCR検査はどのようなスキームで実施するのか、お伺いいたします。
○小菅地域教育支援部長 今回、都教育委員会が実施する区市町村立学校の教育活動における検査は、令和三年十一月五日から十二月三十一日までを実施期間といたしました唾液の自己採取によるPCR検査でございます。
具体的には、区市町村教育委員会の希望により、事前にPCR検査キットを配備いたします。学校は、行事など教育活動等の実施前に、保護者へPCR検査の実施を案内し、同意書を徴取いたします。その後、PCR検査キットを保護者へ配布し、保護者は、手順に従い、自宅で児童生徒の唾液を採取した後、密閉し、安全に検査事業者へ郵送していただきます。検査結果は、区市町村教育委員会を経由して学校に通知し、保護者へ通知されます。
○龍円委員 このPCR検査の期限についてですが、十二月三十一日までとするとのことでしたが、緊急事態宣言が明けて、すぐさま宿泊を伴う行事などを復活させるのは難しくて、私の地元の渋谷区の学校でも、スキー旅行は一月、そして、修学旅行は三月に開催するという具合に、年明けに延期した学校も少なくないというふうに聞いております。
第六波がどうなるか不明ではあるものの、状況が許せば、実施期間を年度末まで延期していただくことも検討していただきますよう要望させていただきます。
時刻は十時十分になりまして、大変遅くまで、ご清聴ありがとうございました。
○竹平委員 大変遅くなりましたので、早めに終わるように頑張りたいと思います。若干、重なる部分もございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
今、LGBTの話もございました。私も、この問題については大変大事な観点だというふうに思いますので、質問させていただきます。
学校における制服の選択制について、まずお伺いしたいと思います。
LGBTと呼ばれる性的マイノリティーの方は、国内では八から九%の割合といわれておりまして、様々な場面で生きづらさや困難を抱えておられると思います。児童生徒の中にも、周りの理解がないことから、つらい思いをしている子供さんたちもいるのではないかと思います。
先日、今年の春に都立高校を卒業したトランスジェンダーの大学生の女性が、制服を性別に関係なく選べるようにという要望を、オンラインで集めた約一万一千五百人分の賛同の署名とともに都教育委員会に提出をされました。
要望書の提出の前に、都庁内で記者会見を開いたこの大学生は、決してトランスジェンダーだけの話ではありません、性別で服装が決まるのは不合理ですし、様々な理由で制服を苦しいと思っている人たちがたくさんいます、制服を選べないために、学校に通えず、教育を受けられなくなってしまったら、おかしいと話をされました。
制服は、各学校において制服選定委員会などを設置し、決めることではありますが、この要望を受けた都教育委員会の考えを伺います。
○田中高校改革推進担当部長 性同一性障害や性的指向、性自認に係る児童生徒への対応につきましては、学校生活を送る上で様々な支援や配慮が必要と考えております。
このため、学校現場におきましては、児童生徒の心情等に配慮し、制服などの相談に対して個別に丁寧に対応しているところでございます。
今後も、都立学校の全ての生徒が安心して学校生活を送れるよう、都教育委員会としても学校を支援してまいります。
○竹平委員 私の地元の江戸川区では、制服の選択制を導入している区立中学校が増えてきておりまして、スカートやスラックス、リボンやネクタイなどを自由に選べるようになってきております。
ある中学生の親御さんからは、子供はスカートをはくことに抵抗があり、学校に行きたがらなかったが、スラックスがはけるようになって学校に行けるようになったとの声をいただきました。また、機能的にも、冬はスラックスだと暖かくてよいなど、子供たちからも大変好評でございます。
このほか、男子用、女子用という制服の呼び方をやめて、A型、B型などに変更している中学校もあります。
また、制服以外にも、トイレの表記を、男子が青、女子が赤という色を黒に統一し、男女で分けていた出席名簿を混合名簿にするなど、これまでの男子、女子の固定観念にとらわれない取組が広がっております。
都の教育委員会といたしましても、ぜひ当事者の声、保護者の声を踏まえ、制服が自由に選択できるよう、学校を支援していただくことを要望いたします。
さて、制服の選択制について取り上げましたけれども、大事なのは心のバリアフリーであります。
学校においても、先ほどもお話がございました、性的指向、性自認に対する差別や偏見をなくしていかなければならないと思います。そして、教員へのこの理解というものが大変重要かなというふうに思います。
児童生徒の多様性を認め、子供たちが安心して学校生活が送れるよう配慮していく必要があります。そこで、性的指向、性自認に対する差別、偏見の解消について、教職員の研修はとても重要だというふうに思ってございます。
先ほども質問も出ました。もし、何かほかに追加のご答弁があるようでしたら、お聞かせいただきたいと思います。
○藤井指導部長 都教育委員会は、教職員が性自認や性的指向など多様な性の在り方について正しい認識を持つよう、管理職等を対象とした人権教育の研修会において、医療や心理の専門家等による講演を実施しております。
研修会では、性自認や性的指向は多様であり、固定観念や偏見を持たずに対応することの重要さを伝えることに加え、多目的トイレの使用や更衣場所としての保健室等の利用など、具体的な支援例を掲載した資料等を用いて理解を深め、学校での子供への支援を促しております。
これらの研修を通して、各学校において、性自認や性的指向に関する悩みを持つ児童生徒に対してきめ細かな対応ができるように取り組んでまいります。
○竹平委員 ありがとうございます。先ほどのご答弁もありましたように、都教育委員会としても、また、地元、市区町村の教育委員会等でも、このような形で研修も今進められているというお話でございましたので、しっかりと進めていただきたいと思います。
大事なことは、一人一人の人権が尊重され、差別的扱いを受けることのないようにしていかなくてはならないと思います。学校こそが、ジェンダー平等、人権教育を教えていく場であると思います。
児童生徒の中には、自分の心や体に違和感を抱いていても、声に出せない子供もいます。親にも相談できず、教員に相談してくる場合もあるかもしれません。誰一人取り残さないとの思いで、声なき声に耳を傾けていただきたいと思います。
子供たちの幸福こそが教育の目的でございます。全ての教職員が子供たちの多様性を認め、児童生徒が安心して学校生活が送れるよう環境を整えていただきますよう要望いたします。
次に、学校のトイレの洋式化と学校体育館への空調整備について伺います。
これまで都議会公明党は、児童生徒の安心・安全な学校生活や災害時の避難所運営などの観点から、学校トイレの洋式化や学校体育館への空調整備の推進を要請してまいりました。
こうした都議会公明党の要請に応じていただき、都教育委員会は、学校におけるトイレの洋式化や体育館への空調整備を計画的に進めてきていただいていると伺っております。
そこでまず、都立学校におけるトイレの洋式化の状況についてお聞かせください。
○谷都立学校教育部長 都立学校における令和三年四月一日時点での洋式化率は、高校については七八・七%、特別支援学校については九四・二%でございます。
都立学校全体の洋式化率は八二・一%となっており、目標とする都立学校全体での洋式化率八〇%に到達しております。
○竹平委員 都立学校全体として洋式化が大きく進んだことが分かりました。
次に、体育館への空調整備の事業について、この進捗状況をお聞かせください。
○谷都立学校教育部長 都立高校については、改築工事中を除き、全ての学校で計画的な体育館への空調整備に取り組んでいるところでございます。
令和三年九月一日現在、百九十校中、九七・九%に当たる百八十六校の整備を完了しております。
今年度中にさらに三校での整備を予定しており、改築工事中の一校を除く百八十九校で、令和三年度末までに整備を完了する見込みでございます。
○竹平委員 もうほぼ一〇〇%の整備が見込まれるということで、大変うれしく思います。引き続き、しっかりと着実に進めていただきたいと思います。
一方、都教育委員会では、区市町村立小学校においても、トイレの洋式化や体育館への空調整備の推進に取り組んでおられます。
そこでまず、区市町村立小学校におけるトイレの洋式化、その意義、また、整備状況についてお聞かせください。
○小菅地域教育支援部長 学校は、児童生徒が一日の多くの時間を過ごす場所であることから、清潔で扱いやすいトイレを整備し、児童生徒が安心して学習生活できる環境を確保することが重要であると考えております。
また、発災時には学校が地域の避難所となる場合もあることから、避難所としての機能を備えたトイレ整備も併せて進めていく必要がございます。
こうしたことから、都教育委員会は、平成二十九年度から令和二年度までの四年間の計画で洋式化率八〇%以上を目標としまして、東京都公立学校施設トイレ整備支援事業を実施いたしまして、区市町村に対して支援を実施してまいりました。
現在、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、事業期間を延長いたしまして、令和四年度末までの事業として支援を実施しております。
事業を開始した平成二十九年四月一日の区市町村立小中学校のトイレ洋式化率は五七・二%でございましたが、令和三年四月一日現在、七三・九%となっております。
引き続き、各区市町村における整備の進捗状況や今後の整備計画等を把握し、個々の実情に即した計画的な整備を働きかけてまいります。
○竹平委員 ありがとうございます。こちらもかなり進んできたことが分かりました。
学校のトイレは、児童生徒が利用するほか、災害時には多くの地域の方が利用することから、清潔で使いやすいトイレの整備は非常に重要であります。中には、障害のある方や、先ほどのトランスジェンダーの方もいらっしゃいますので、整備に当たっては、多目的トイレ、誰でもトイレですとか、また、体育館のトイレの洋式化も着実に進めていただきたいと思います。
本事業は、今お話がございましたとおり、四年度末まで延長していただきました。これも公明党も要望させていただきまして、このような形で延長させていただきました。しっかりと区市町村立につきましても、このトイレの整備の意義をしっかり説明していただきまして、引き続きの事業の推進を進めていただきたいと思います。
そして、学校体育館の空調整備についても、意義と整備状況についてお聞かせください。
○小菅地域教育支援部長 学校体育館は、体育の授業や学校行事、部活動など児童生徒が日常的に活動する場であるとともに、非常災害時における避難所としての役割も担っております。
都教育委員会は、早期の空調整備を促進するため、平成三十年度以降、区市町村立小中学校の計画的な整備に対し、着実な支援を実施してまいりました。
都内公立小中学校の体育館空調整備率につきましては、令和三年四月一日現在、六五・七%となっておりまして、今年度の都への補助金申請状況によりますと、令和三年度末の整備率は約八二・二%となる見込みでございます。
○竹平委員 ありがとうございます。先ほどの資料も見させていただきましたけれども、体育館空調の整備状況は、自治体ごとに差がある。整備が進まない区市町村もありました。
どのような理由で整備ができていないのか、また、こうした区市町村への対応についてお伺いします。
○小菅地域教育支援部長 令和三年度末時点での屋内体育施設の空調整備について区市町村にヒアリングをいたしました結果、未整備の理由は、段階的に整備する計画であることや、整備方針や整備時期がまだ検討中であるなど、自治体ごとに様々となってございます。
今後は、現在進めている令和三年度の整備を着実に支援するとともに、区市町村の空調整備に係るニーズ等をきめ細かに把握し、今後の支援の在り方について検討してまいります。
○竹平委員 区市町村に対する都の補助は、令和三年度をもって終了と聞いております。それぞれの自治体の実情、意向を丁寧に把握し、空調を必要とする屋内体育施設への早期の設置に尽力している自治体については、引き続き支援をしていただきますよう要望いたします。
次に、都立学校における生理用品の配備についてお聞きします。
都議会公明党は、本年三月の予算特別委員会で、初めて生理の貧困について取り上げました。学校のトイレに生理用品を置いて無料で使えるようにするなどを求めたのに対し、小池知事より、都としても、関係する局の中で、何ができるのか今後検討していくと答弁がありました。また、教育長に対し、学校における生理用品の無償提供に関する緊急要望を行いました。
その後、第二回都議会定例会における都議会公明党からの代表質問に対して、教育長から、本年五月から都立学校七校の女性トイレに先行して生理用品を配備し、九月から全校で実施していく旨の答弁がございました。
そこで、都立学校の生理用品の配備について、現状をお伺いいたします。
○谷都立学校教育部長 都教育委員会は、都立学校において、いつでも生理用品が入手できる環境を整えることが必要であることから、委員お話しのとおり、五月から七校で生理用品の配備を先行実施し、その取組状況を踏まえ、九月から全校での配備を開始いたしました。
生徒が利用しやすいよう工夫することで、使用量が徐々に増加し、先行実施した各校では、現在、月に七十枚から三百枚程度が使用されるなど、校内での定着が図られております。
引き続き、都立学校の全ての児童生徒が安心して学校生活を送ることができるよう支援してまいります。
○竹平委員 都立学校全校に配置できたことは、大変画期的なことであります。都の教育委員会の取組を高く評価いたします。
都の取組が、今、全国に広がっております。私の地元江戸川区でも、全小中学校のトイレに試験的に生理用品の配置がなされました。ジェンダー平等の観点からも、大きな一歩でございます。
今後は、生理への理解が進み、学校だけでなく、様々な場所でトイレットペーパーと同じように生理用品が配置されることが当たり前の社会になることを期待します。引き続きの支援を要望いたします。
最後に、ヤングケアラーについてお伺いします。
ヤングケアラーとは、法令上の定義はありませんが、一般的に、本来、大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子供とされております。
政府による初の全国調査によりますと、世話をしている家族がいると回答した子供は、中学二年生で五・七%、全日制高校二年生で四・一%でした。その中には、家族への世話は、ほぼ毎日している中高生は五割弱、一日平均七時間以上世話をしている中高生が約一割存在しておりました。また、家族の世話をしている場合、健康状態や学校生活などに影響が見られることも分かりました。
国は、今年の三月、ヤングケアラーを早期に発見し、必要な支援につなげるため、ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチームを立ち上げています。
そして、同チームがまとめた報告書によりますと、学校の教職員は、子供と接する時間が長く、日々の変化に気づきやすいことから、ヤングケアラーを発見しやすい立場にあるが、教職員へのヤングケアラーの概念の周知は十分ではない、そのため、教育委員会の教育相談担当者などを対象とした研修の実施や、各自治体において教育委員会と福祉、介護、医療の部局とが合同で研修を行うなどして、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを含む教職員へのヤングケアラーの概念等についての理解促進を図る必要があると示されました。
そこで、学校の教職員がヤングケアラーについて理解できるようにするための都教育委員会の取組についてお伺いいたします。
○藤井指導部長 都教育委員会では、教職員がヤングケアラーについて理解を深められるよう、学校の生活指導担当教員やスクールソーシャルワーカーを対象とした連絡会において、ヤングケアラーの現状や、その支援における学校の役割等について共有する場を設定しております。
その際には、学校での対応事例として、スクールソーシャルワーカーが、幼児の世話を任された子供の学習の機会を保障するため、保護者に助言し、生活環境の改善を図ったという例を紹介し、教職員が具体的な支援の在り方を学ぶことができるようにしております。
こうした取組を踏まえ、各学校では研修等で理解促進を図っております。
○竹平委員 ありがとうございます。ぜひこのヤングケアラーについて具体的に、課題を教職員、またスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、そして福祉分野の方も交えながら学ぶ機会をしっかりと持っていっていただきたいと思います。
さて、子供たちがいつでも相談できる体制を整えていく必要があります。ヤングケアラーは、家庭内のデリケートな問題であること、本人や家族に自覚がないといった理由から、支援が必要であっても表面化しにくい面があります。
他方で、子供の中には、家族の状況を知られることを恥ずかしいと思ったり、家族のケアを生きがいに感じている場合もあります。そのため、子供の心を傷つけないように、気持ちに寄り添い、必要な支援は何か、どのような支援を望んでいるかなどについて聞き取ることが重要であります。それには、周囲の大人が日頃から子供との信頼関係を築き、子供が相談しやすい環境をつくることが必要です。
そこで、学校では子供たちへの相談にどのように取り組んでいるのか、伺います。
○藤井指導部長 学校においては、教員が日常的な対話や注意深い観察、子供へのアンケート等を行うとともに、関係機関等と連携し、子供や家庭が抱える様々な課題を早期に発見できるようにしております。
これらの取組を通して、不安な様子がうかがえる子供には、スクールカウンセラーが相談支援を行うとともに、ヤングケアラー等、家庭への支援が必要な場合には、スクールソーシャルワーカー等と連携しながら、福祉等による支援につなげております。
○竹平委員 教員一人一人が子供たちの声なき声に耳を傾け、子供たちの小さな変化に気づき、早期に支援へとつなげていっていただきたいと思います。
ヤングケアラーの課題解決は、学校だけではできません。教育委員会と、そして福祉部門など関係機関とが連携を密にしてヤングケアラーへの課題に取り組むよう要望して、終わります。ありがとうございました。
○白戸委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○白戸委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会します。
午後十時三十四分散会
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