文教委員会速記録第十三号

令和三年十一月九日(火曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長白戸 太朗君
副委員長斉藤やすひろ君
副委員長ほっち易隆君
理事内山 真吾君
理事風間ゆたか君
理事とや英津子君
もり  愛君
竹平ちはる君
土屋 みわ君
龍円あいり君
斉藤 りえ君
アオヤギ有希子君
清水 孝治君
谷村 孝彦君

欠席委員 なし

出席説明員
オリンピック・パラリンピック準備局局長延與  桂君
次長小池  潔君
技監荒井 俊之君
理事総務部長事務取扱渡邉 知秀君
理事中澤 基行君
調整担当部長菅原 雅康君
大会企画調整担当部長中嶋 初史君
自治体調整担当部長聖火リレー担当部長兼務小池 和孝君
事業連携担当部長折笠眞由美君
計画推進部長競技・渉外担当部長兼務川瀬 航司君
運営推進担当部長運営担当部長兼務梅村 実可君
連携推進担当部長高角 和道君
ボランティア担当部長小高 都子君
パラリンピック部長丸山 雅代君
障害者スポーツ担当部長加藤 みほ君
大会施設部長鈴木 一幸君
開設準備担当部長利用促進担当部長兼務柏原 弘幸君
選手村担当部長斉藤  有君
担当部長輸送担当部長兼務松本 祐一君
スポーツ推進部長鈴木 研二君
国際大会準備担当部長篠  祐次君

本日の会議に付した事件
オリンピック・パラリンピック準備局関係
事務事業について(質疑)

○白戸委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、オリンピック・パラリンピック準備局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これよりオリンピック・パラリンピック準備局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、オリンピック・パラリンピック準備局長に延與桂さんが就任されました。
 延與局長から挨拶並びに交代のあった幹部職員の紹介があります。
 延與桂さんをご紹介します。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局長
十月二十五日付でオリンピック・パラリンピック準備局長に就任いたしました延與桂でございます。
 引き続き、大会の総仕上げを行うとともに、大会のレガシーとして、誰もがスポーツを楽しみ、健康増進や人とのつながりなど、スポーツの力を享受できるスポーツフィールド東京をつくり上げるため、全力で取り組んでまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、先般の人事異動により交代のあった当局の幹部職員についてご紹介申し上げます。
 まず、大会調整担当理事で総務部長事務取扱の渡邉知秀でございます。自治体調整担当部長の小池和孝でございます。小池は、聖火リレー担当部長を兼ねてございます。事業連携担当部長の折笠眞由美でございます。計画推進部長の川瀬航司でございます。川瀬は、競技・渉外担当部長を兼ねてございます。運営推進担当部長の梅村実可でございます。梅村は、運営担当部長を兼ねてございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○白戸委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。

○白戸委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○渡邉理事 去る九月二十二日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます文教委員会要求資料をご覧ください。
 表紙をおめくりください。資料1、TOKYOスポーツ施設サポーターズ事業の協力先及び利用実績をご覧ください。
 令和三年八月三十一日現在のTOKYOスポーツ施設サポーターズ事業に係る協力先、貸出施設名及び利用実績について記載してございます。
 続きまして、資料2、都立スポーツ施設における新型コロナウイルス感染症の影響による休館状況をご覧ください。
 新型コロナウイルス感染症を理由とした各施設の休館状況を一覧で記載してございます。
 続きまして、資料3、都立スポーツ施設における利用状況をご覧ください。
 都立スポーツ施設における二〇一九年から二〇二一年の月別の利用人数を一覧で記載してございます。
 続きまして、資料4、令和二年度東京二〇二〇大会の成功に向けた区市町村支援事業実績をご覧ください。
 東京二〇二〇大会開催関連事業費補助、スポーツ振興等事業費補助及びスポーツ環境整備費補助について、令和二年度の事業実績及び予算現額、決算額を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○白戸委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○土屋委員 自由民主党の土屋でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、私からは東京二〇二〇大会についてお伺いいたします。
 大会は、コロナの影響で史上初の延期となりましたが、多くの関係者のご尽力により、無事開催することができました。大会に向け練習を重ねてきたアスリートの方々にとっては、開催できるのかどうか、不安だったことと思います。関係者が一体となり、成功できたこと、心から敬意を表したいと思います。
 そして、先日の決算特別委員会の分科会質疑において我が会派から指摘いたしましたが、大会成功は、東京都はもとより、都内各区市町村の努力がなければ、なし得なかったことであります。
 区市町村は、大会成功に欠かせない重要なパートナーであり、住民と直接関わり、向き合ってくれている中、分科会の質疑においても、昨年度以降、これまでに、区市町村と連携して取り組んできたことを確認いたしました。
 そして、今年の大会時も、区市町村の取組やイベントは、コロナにより大きく制限を受けたことと思います。特に、事前キャンプで海外からの選手らの受入れを行うホストタウンなどは大変だったと思います。
 そこで、コロナ禍において、選手と住民双方の安全・安心を確保しながら事前キャンプを実施するため、各自治体はどのように取り組んだのかをお伺いいたします。

○小池自治体調整担当部長聖火リレー担当部長兼務 事前キャンプは、各国が大会直前に任意でトレーニングを行うもので、受入れ自治体においても、地域振興や国際交流の促進、スポーツの振興など、様々なレガシーが期待される取組でございまして、都内では、十三区六市と一つの民間団体において事前キャンプの受入れが行われました。
 これらの自治体などにおきましては、コロナ対策調整会議を踏まえ、選手と住民双方の安全・安心を確保するため、移動や宿泊など場面ごとのコロナ対策をまとめた選手等受入れマニュアルを作成いたしました。
 そのマニュアルに基づき、選手の移動のための専用車両の確保や、宿泊施設、食事会場等における選手と一般客との動線の分離、練習施設の消毒、換気の徹底などの感染対策を行ったところでございます。
 さらに、選手等の行動をあらかじめ決められた用務先に限定させるとともに、健康管理の徹底のため、選手等には、事前キャンプ実施期間中、毎日、また、選手と接触機会のある自治体職員や宿泊施設のスタッフ等については四日間に一回など、定期的にコロナ感染症のスクリーニング検査を実施いたしました。

○土屋委員 事前キャンプを受け入れた自治体は、コロナ前には想定もしなかった対応に迫られたということで、今ご答弁にありましたように、受入れマニュアルの作成や、そのマニュアルに基づく具体的な対応は新たに追加された業務であり、自治体にとって大変な労力だったと思います。
 また、幾つかの自治体においては、感染症対策を含め、受入れ準備を進めている最中に、相手国からの申出により事前キャンプが取りやめになったケースがあり、準備を進めていた自治体のことを思うと、非常に残念だったと思います。
 このような状況下において事前キャンプを受け入れるには、都の支援が欠かせなかったと思いますが、都は自治体に対し、コロナ対策をはじめ、大会前にどのような支援を行ったのか、伺います。また、特にコロナ対策について、その成果をお伺いいたします。

○小池自治体調整担当部長聖火リレー担当部長兼務 都は、事前キャンプなどを受け入れる自治体に対して、コロナ対策調整会議における検討状況や、スポーツ大会やイベント等における感染防止策などの情報提供、選手等受入れマニュアルの作成に当たっての助言を行いますとともに、自治体が選手等に対し実施するスクリーニング検査の体制整備などを行いました。
 また、事前キャンプ地などを所管する各保健所に対し、キャンプの実施状況などを情報提供するとともに、検査によりコロナ陽性疑いが出た場合の対応などについて相談や協力依頼を行いました。
 さらに、都は、国から交付された財源をもとに、区市町村が実施する感染症対策に要する経費を補助するホストタウン等新型コロナウイルス感染症対策補助金を創設いたしました。
 事前キャンプ受入れ自治体などと都が連携してコロナ対策に取り組んだ結果、自治体が事前キャンプ期間中に実施した約一万二千件のスクリーニング検査において陽性が確認されたのは、ホテルスタッフ一名のみでございました。
 このように、選手等から感染者を一人も出すことなく事前キャンプを実施することができたところでございます。

○土屋委員 事前キャンプ地において、選手から一人も感染者が出なかったということは、マニュアルやプレーブックに基づき、受入れ自治体において行動管理や健康管理が徹底され、しっかりと事前キャンプ地内で対策が取られていたことの証左だと思います。
 海外選手との交流ということでは、事前キャンプ以外に、国が推進したホストタウン制度があります。私の地元である世田谷区もアメリカの共生社会ホストタウンになっており、延期前から、アメリカとは様々な交流を行ってまいりました。
 東京大会は、世界中から選手が集まり、国際交流を行う絶好の機会でありましたが、コロナ禍においては、従前のように対面で多くの人たちが集まって交流を行うことは難しかった状況であり、そのような中、ホストタウンにおいて、創意工夫しながら、選手らと住民との交流が多く行われました。
 具体的にどのような交流が行われたのか、お伺いいたします。

○小池自治体調整担当部長聖火リレー担当部長兼務 ホストタウンは、東京二〇二〇大会の参加国、地域と人的、経済的、文化的な相互交流を図る自治体で、国がその登録を行う制度でございます。
 コロナ禍でのホストタウン交流の実施には、原則として、大会出場前の選手等とは接触が生じない形態にするなど、制約がありました。
 そのような中におきましても、一部のホストタウンでは、事前キャンプ中に選手等とオンライン交流を行ったり、大会出場後には、選手がキャンプ地を訪問し、安全対策を講じた上で、スポーツのデモンストレーションやメダルを披露したり、子供たちと一緒に盆踊りをするなどの交流を行いました。
 また、選手と直接の交流ができなかったホストタウンにおきましても、練習見学会を実施したり、手作りによる選手歓迎の横断幕や応援メッセージなどを練習会場に展示し、選手等へのおもてなしなどを行いました。
 このような取組は、都内十七のホストタウンで行われたところでございます。

○土屋委員 大会時の世界の国々の人たちとの交流という面では、各自治体が当初思い描いていたものとは違っていたかもしれません。しかしながら、様々な制約がある中で、工夫を凝らし、海外から来た選手や関係者をおもてなしできたことは大変有意義だったと思います。大会時の交流を通して生まれた新たな関係が、今後も継続していくことを期待します。
 続いて、聖火リレーについてお伺いいたします。
 これも、区市町村と連携し、準備を進めてきた取組であります。
 オリンピック聖火リレーは、大会の延期に伴って一年間延期された後、三月に福島県からスタートして全国各地を巡り、大会直前に都内に聖火が到着しました。
 聖火リレーは、大会につながる最後の機運醸成の機会であり、我が会派としては、その重要性を指摘するとともに、実施に向けての支援をしてまいりました。
 特に機運醸成という観点から、一人でも多くの方が聖火リレーに参加できるよう求め、グループランナー制度なども導入されましたが、結果的に、コロナの影響により、当初の計画から多くの見直しが行われたところです。
 そこで、グループランナーなど聖火リレーにおける取組は最終的にどうなったのか、お伺いいたします。

○小池自治体調整担当部長聖火リレー担当部長兼務 聖火リレーのランナーは、原則として、オリンピック聖火リレーでは一人で走行し、パラリンピック聖火リレーでは三人一組で走行することとされておりましたが、組織委員会と協議を重ねた結果、より多くの方に参画いただき、地域の盛り上げが図られるよう、複数人で走行できるグループランナーが設定されました。
 都内の聖火リレーは、コロナの感染状況を踏まえまして、島しょ地域の一部を除いて公道走行を見合わせ、その代わりに、それぞれの日のセレブレーション会場等において、聖火ランナーがトーチにともした聖火を次のランナーにつなぐ点火セレモニーを実施いたしました。
 この点火セレモニーにつきましては、グループランナーの方々にも聖火ランナーとして参加いただき、その模様はインターネットのライブストリーミングで多くの方に視聴いただいて、機運の盛り上げにつなげたところでございます。

○土屋委員 コロナの影響により、残念ながら、ランナーが公道を走る姿は島しょ地域でしか見ることができませんでした。しかし、その代わりに、点火セレモニー会場では、グループランナーも含め、聖火ランナーがトーチで聖火をつないで会場を盛り上げ、その模様を会場に来られなかった方々にもネット配信し、多くの方が閲覧したと聞いております。
 準備を進めてこられた区市町村や都の関係者にとっては苦渋の決断だったとは思いますが、開会式へとつながる聖火の道を、様々な工夫を講じ、つなげたことは評価したいと思います。
 また、パラリンピック聖火リレーは、オリンピックと異なり、当初から、日程などの制約により、全ての区市町村は通過しないこととされていました。
 我が会派としては、オリンピックの聖火リレー同様、パラリンピック聖火リレーについても、機運醸成という視点から、少しでも多くの自治体が参加できる機会を設けるよう働きかけてきましたが、どのように実施されたのか、お伺いいたします。

○小池自治体調整担当部長聖火リレー担当部長兼務 パラリンピック聖火リレーは、パラリンピック大会の開催機運を盛り上げる重要なイベントでありますが、都内は五日間であることから、全ての区市町村でリレーを実施することはできませんでした。
 このため、リレーを実施しない自治体にもパラリンピック聖火リレーに参画してもらうため、都内全六十二区市町村におきまして、それぞれの地域の特性を踏まえた様々な方法によって採火し、それらの火を持ち寄って、都民広場において、パラリンピック聖火、東京都の火として集火いたしました。
 また、パラリンピック聖火リレーでは、聖火をともしたランタンを施設などで展示する聖火ビジットを実施することも可能となっておりまして、都内二十一の自治体が庁舎や福祉施設などで展示を行いました。
 あわせて、都としても、地域の障害者福祉施設や都立特別支援学校などで聖火ビジットを実施いたしました。
 新型コロナの感染拡大の中で、公道走行はできませんでしたが、多くの自治体に参画いただき、パラリンピック大会の開催に向けて、都内各地域の盛り上げを図ることができました。

○土屋委員 パラリンピック聖火リレーも、公道でのリレーはかなわなかったものの、都内各地で採火をしたり、展示をするなどの様々な工夫により、リレー以外でもパラリンピック大会の開催機運を盛り上げることができたということであります。
 そして、パラリンピック聖火リレーのコンセプトは、シェア・ユア・ライト、日本語で、あなたはきっと誰かの光だということであり、社会の中で誰かの希望や支えとなっている多様な人を光と表現し、それが集まり、出会うことで、共生社会を照らす力になるという願いを表現するものでした。
 そういった意味で、コロナ禍でしたが、六十二全ての区市町村から光が集まり、全国の火と合わせて開催都市東京で一つになった姿を全世界に配信できたことは意義があったと思います。
 特に、聖火リレーのルートではなくても、福祉施設などに聖火が訪問するビジットなど、パラリンピック聖火リレーの趣旨に沿った取組が区市町村と連携して行われ、開会式へとつながったことは、機運醸成に大きく寄与したと思います。
 さて、これまで、区市町村と連携した大会時の取組について確認してまいりました。加えて、我が会派では、都内だけではなく、オールジャパン、そして官民一体となって取組を求めてきました。
 それは東京大会の招致理由に起因します。大会招致当時、東日本大震災の影響も重なり、日本全体が先行きの見えない不安と閉塞感に覆われており、その状況を打開するために進めてきたのが東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックでありました。都民、そして国民一人一人がより主体的に大会に参加していくことが重要だと主張し、そのための取組を支援してまいりました。
 結果、東京大会の開催を契機に、大会前から、公的機関をはじめ様々な団体が大会の盛り上げに関わるとともに、まちおこしや文化活動など様々な取組が行われてきました。
 その成果についてお伺いいたします。

○川瀬計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 東京二〇二〇大会においては、地方自治体等の公的機関をはじめ、自治会、町内会、商店街、商工会などの地域団体、体育協会や競技団体などのスポーツ関連団体等が実施する大会の機運醸成や大会後のレガシー創出に向けた取組を、東京二〇二〇参画プログラムとして組織委員会が認証してまいりました。
 本プログラムには、二〇一六年の事業開始以降、全国で約二千五百団体が参画し、約十六万件のアクションが認証、実施されました。
 本プログラムは、全国全ての都道府県で展開され、地域の祭りや伝統芸能体験など、地域の方々のつながりの醸成にも寄与したものと考えております。

○土屋委員 東京大会を基軸にした多くの取組が、都内だけではなく全国で展開されてきたということで、大会をきっかけに、自分たちの地域をよくしたい、そして、みんなに知ってもらいたい、そういった動きが広まったことは重要です。東京二〇二〇参画プログラムに参加された多くの方々が得た知見や経験が、将来に向けて社会や地域に継承され、大会レガシーの一つになっていくことを期待しています。
 最後に、障害者スポーツについてお伺いいたします。
 一年延期、コロナ禍の開催と、かつてない事態に直面しましたが、九月五日、東京二〇二〇パラリンピック大会が幕を閉じました。無事に大会を終えることができたのは、医療従事者をはじめ、多くの関係者の尽力によるものであり、IPCのパーソンズ会長は、閉会式で、ありがとう東京、逆境の中、共にやり遂げましたと力強く語られました。
 パラリンピックでの日本人選手団の活躍は目覚ましく、金メダル十三個、銀メダル十五個、銅メダル二十三個、合計五十一個のメダルを獲得し、大会が大いに盛り上がりました。そして、この地元開催で東京にゆかりのある選手も多く活躍されました。
 そこでお伺いいたします。都は、東京ゆかりの選手が東京二〇二〇パラリンピック大会で活躍できるよう、選手に対して競技活動を支援してきましたが、その取組の概要と成果について教えてください。

○加藤障害者スポーツ担当部長 都は、平成二十七年度から、パラリンピック等の国際大会で活躍できる選手を発掘する事業を実施し、これまでに競技体験会を十八回、延べ一千二百十二名が参加をいたしました。
 また、アスリートの育成強化にも取り組み、平成二十八年度から、国際大会への出場が期待できる東京ゆかりの選手を東京アスリート認定選手として、計百九十三名認定し、競技活動に係る経費支援や、競技パフォーマンス向上を目的としたトレーニングの実技講座などを実施してまいりました。
 こうした取組によりまして、東京二〇二〇パラリンピック競技大会に、目標の二十五人を大幅に上回ります六十二人の東京ゆかりの選手が出場し、そのうち十六人がメダルを獲得いたしました。

○土屋委員 六十二人が代表選手となり、十六人がメダルを獲得したとのことで、その中には金メダルを獲得した選手もいます。まさにすばらしい成果だというふうに思います。
 東京二〇二〇大会を始まりとして、さらに多くの障害者に競技スポーツの魅力を知っていただき、高みを目指して取り組んでいただきたいと思います。
 そのために、都は、今年度、どのような取組を行っているのかをお伺いいたします。

○加藤障害者スポーツ担当部長 都は、平成二十七年度から、国際大会を目指す次世代選手の発掘、育成に取り組んでおりまして、本人の希望と体力測定結果に基づき、専門家による一人一人に合った競技スポーツについての助言や、各競技の体験機会を提供するほか、競技団体の練習会を案内するなど、本格的な競技活動につなげてまいりました。
 今年度は、今月六日に体力測定会を実施いたしまして、七十人が参加をいたしました。今月下旬の競技体験会には百三十八人からの参加申込みがございまして、昨年度と比較して約二倍となっております。
 競技体験会では、パラリンピック競技だけでなく、知的障害者サッカーや視覚障害者ボウリングなどの競技も対象として実施いたします。
 さらに、今後、様々な競技のスポーツの情報を掲載する専用サイトを開設し、競技ルールや魅力を動画等により分かりやすく紹介いたしますとともに、ホームページの概要をまとめた冊子を作成して、学校やリハビリテーションを行っている医療機関等に配布してまいります。
 こうした取組を通じまして、より多くの障害のある方が競技スポーツを始めるきっかけづくりに努めてまいります。

○土屋委員 世界を目指すヒーローやヒロインの存在は、スポーツや運動に取り組む障害者の裾野を広げ、また、スポーツで可能性を追求する姿は、障害のあるなしを問わず、多くの人の関心を引きつけます。今後も東京出身のアスリートが数多く出てくるよう、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 そして、ここまで申し上げてきたとおり、パラリンピックで活躍するアスリートを見て、自分も世界レベルを目指したい、仲間と競い合いたいと思う方がいらっしゃいます。
 その一方で、身体的にスポーツ活動ができないと思っている方や、スポーツに関心を持てない方もいるなど、受け止めは様々です。そのため、日頃、スポーツに親しんでいない方にもスポーツのよさを知ってもらい、健康の維持増進や仲間づくりのきっかけにしてもらうことが重要だと考えます。
 しかしながら、お話を伺ったところでは、地域スポーツを支えるスポーツ推進委員などと障害のある方の暮らしを支える障害部門などとが、なかなか顔を合わせる機会が少ないのが現状とお聞きしました。
 そこで、地域において障害のある方にスポーツ、運動の楽しさを体感していただくためには、スポーツ部門が福祉部門などの現場の声をよく聞き、連携していくことが重要と考えますが、都はどのように取り組んでいるのかをお伺いいたします。

○加藤障害者スポーツ担当部長 障害のある方が身近な地域でスポーツに親しめる環境づくりに向けましては、スポーツ部門と福祉部門等との連携が重要でございます。
 そのため、都は、モデル事業を実施する地区を選定し、具体的な連携方法の在り方につきまして検討を行ってまいりました。
 昨年度は、地区の体育協会や社会福祉協議会などの担当者が連携し、福祉施設におきまして利用者向けの運動プログラムを提供いたしました。
 福祉施設の職員からは、運動種目が充実し、多くの利用者が飽きずに運動を続けられているとの成果が挙げられたほか、地域スポーツクラブ等からは、今後は地域の障害のある方の指導にも積極的に関わっていきたい等の前向きな意見がございました。
 本モデル事業では、スポーツと福祉の連携による効果が確認されたことから、今後は、リハビリテーションなど医療等との連携にも取り組み、他の地区にも広げられるよう効果検証を実施してまいります。

○土屋委員 ありがとうございます。先ほども申し上げたとおり、スポーツの部署には、福祉や医療などの現場からの声が届きにくいと思われます。そういった状況下で、都がリーダーシップを執って、各地域における様々な分野の連携を推し進め、障害者のスポーツ環境を整備していくことは非常に重要な取組です。ぜひ地域の取組を後押しする具体的な方策を検討していただきたいと思います。
 今回、東京二〇二〇大会の取組について、特に区市町村とのつながり、区市町村や地域とのつながりを軸に振り返りました。
 大会は、質疑にあったように、区市町村をはじめ全国のそれぞれの地域において、大会の成功を信じ、支えた方々の協力により成功することができたのだと思います。特にパラリンピックの成功は、障害者スポーツへの理解を深めるとともに、地域での定着やその後のさらなる発展にもつながるものであります。
 大会を通じた様々な取組を、今後の東京、そして日本各地の発展に生かしていただくよう求め、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○もり委員 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会が閉会をいたしました。今回の東京二〇二〇大会の開催に当たっては、コロナ禍での一年の延期、感染が増加する中で、都民、国民の皆様も、開催に当たって様々な不安や懸念もあり、専門家からも五輪パラリンピック感染拡大リスクに関する提言が提出をされ、国民感情も酌み取った上で、苦渋の決断として無観客開催となりました。
 当初想定されていた暑さ対策、感染状況を見ても、本来、十月十日が体育の日であり、開催国の気候に合わせた開催の在り方が求められると感じました。現在の感染状況を見るにつけ、秋の大会開催であったら、もっと多くの子供たちに大会をじかに見せてあげたかったと思わざるにはいられません。
 東京都の責務として、都民の命と暮らしを守ることを最優先に感染拡大防止に取り組んできた中、感染拡大防止と安全・安心な大会の両立という、大変難しい対応を求められました。
 オリンピック・パラリンピック大会時を安全・安心な大会とするために、新型コロナ対策としてどのような対策を行ったのか、お伺いをいたします。

○梅村運営推進担当部長運営担当部長兼務 大会開催に向けましては、都、国、組織委員会等で構成されるコロナ対策調整会議におきまして、専門家も参画して幅広く議論を行ってまいりました。
 こうした議論を踏まえ、選手、大会関係者が守るべきルールとしてプレーブックを取りまとめ、各国選手団や競技団体など大会関係者に周知徹底を図ってまいりました。
 プレーブックに基づき、選手、大会関係者に対しては、基本的な感染防止策の徹底に加え、水際対策、入国後の定期的な検査、滞在先や移動手段を限定するなどの行動管理、健康管理を行いました。
 徹底した感染防止策を行った上でもアスリート等に感染者が発生した場合には、選手村総合診療所内の発熱外来で迅速に対応するとともに、保健所機能を担う保健衛生拠点と組織委員会感染症対策センターが連携して、大会に係る感染症対策を一元的に行いました。
 こうした対策の推進により、安全・安心な大会の実現に取り組んでまいりました。

○もり委員 ありがとうございます。大会の開催に当たっては、感染防止策の徹底とともに、都内の医療提供体制の逼迫に対して、選手村に発熱外来を設置し、迅速な対応に取り組んだとのご答弁をいただきました。
 東京二〇二〇大会の開催は、都民の意識に影響を与え、人流の増加によるコロナ感染の拡大につながったとの見解もあります。
 結果はどうなったのか、都の見解をお伺いいたします。

○梅村運営推進担当部長運営担当部長兼務 都は、ライブサイトとパブリックビューイングの見直しを行い、都民の皆様には、オンラインによる見どころの配信やSNS応援の実施などにより、ステイホーム観戦を呼びかけました。
 また、テレワークの実施など交通需要マネジメントにご協力いただき、人流の減少、抑制を図ってまいりました。
 その結果、大会期間中、道路、鉄道等の混雑が予想された重点取組地区におきまして、昼間時間帯の滞在人口は、大会前より約一割減少いたしました。
 なお、感染状況の動向を示す指標である実効再生産数は、推定感染日ベースで、七月二十一日の一・四をピークに下落傾向に転じ、九月九日には〇・六三まで減少いたしました。

○もり委員 ありがとうございます。ただいまの答弁では、大会におけるステイホーム観戦の推進や交通需要マネジメント等の呼びかけに、多くの都民の皆様にご協力をいただき、人流の抑制が行われたとの答弁をいただきました。
 また、分科会の先生からも、バブルや選手村の検査がうまく機能したと評価をされ、国内選手の感染は確認されなかったということは評価に値すると考えます。
 一方では、海外から渡航の選手やコーチに限ると感染が確認されたのも事実であり、私たちの会派では、水際対策の徹底を国にも要望してまいりましたので、この五輪の傾向を見ながら、経済の再開に当たっては、やはり水際対策を徹底することを、さらに都から国にも要望していかなければと感じています。
 次に、パラスポーツについてお伺いをいたします。
 世界最大の障害者スポーツの祭典であるパラリンピックが、今年の夏、無事に開催をされ、東京は、世界で初めて二回目のパラリンピックを開催した都市になりました。
 コロナ禍の開催になり、計画していたけれども、できなかったこと、変更しなければならなかったことなど、多々あったと思います。それでも、アスリートたちの活躍で、大会期間は日本中をパラリンピックの話題が席巻いたしました。
 都は、コロナの影響が続く中で、この夏にパラリンピックの機運醸成にどのように取り組んだのか、お伺いをいたします。

○丸山パラリンピック部長 東京二〇二〇パラリンピックを多くの方に観戦、応援していただけるよう、コロナの影響により集客型のイベント等が制約を受ける中、オンラインの活用を含め、様々な取組を行いました。
 まず、大会開幕前の七月からパラリンピックの特設ウェブサイトを開設し、出場選手のメッセージや競技の魅力を伝える動画配信などを多数行いました。中には累計視聴数が六十万回を超えるものもあるなど、多くの方にご視聴いただきました。
 開幕直前の八月二十日からは、出場選手が登場するテレビCMを放映し、二十四日の開会式当日には、注目選手を紹介するチラシを新聞折り込みで二百五十万部配布いたしました。また、各界で活躍されているパラ応援大使やメダリスト等にご出演いただき、競技の見どころや選手の魅力を伝えるトークショーなどもライブ配信いたしました。
 このほか、実際に見て体験できる場として、パラリンピックギャラリー銀座を開設し、ボッチャ等の競技体験や各種展示を実施したほか、都庁舎では東京ゆかりアスリートの応援パネル展示等を実施するなど、パラリンピックの機運醸成に取り組みました。

○もり委員 ありがとうございます。オンラインを中心に、リアルの場も利用しながら、工夫をして取り組んでいただいた様子が分かりました。
 直前の無観客開催の決定で、プロモーションの変更を余儀なくされたでしょうし、時間のない中での対応になったかと思います。
 オンラインの活用は、より多くの方にパラリンピックを楽しんでいただく機会を提供できたと思います。先ほども六十万回を超えるものもあったなど、本当に多くの方に見ていただいたことをお答えいただきました。ここで得た知見や手法をこれからの事業に生かしていただきたいと思います。
 また、障害者差別解消条例を制定した東京都として合理的配慮の推進が求められる中、オリンピックの開会式には手話通訳がなかったという課題も明らかになりました。パラリンピックの開会式、閉会式は、ともに、ろう者の手話もとても分かりやすく、また、まさに多様性を体現したパフォーマンスが多くの方に感動され、私も本当にパラリンピックの閉会式は感動したのですけれども、現在、超党派で手話言語条例を検討している議会としても、パラリンピックのレガシーとして、あらゆる場面において合理的配慮の推進が一層進むことを願っております。
 さて、都民ファーストの会は、パラリンピックマラソンを応援してまいりました。沿道での観戦は自粛となりましたが、大会の最終日に、車椅子、上肢障害、視覚障害と、障害の異なるクラスのアスリートたちが東京の名所を駆け抜け、三人の日本人メダリストが生まれるなど、東京二〇二〇大会はすばらしいフィナーレを飾りました。
 都は、この夏、パラリンピックのマラソンを多くの方に応援していただけるよう、どのように取り組んだのか、お伺いをいたします。

○丸山パラリンピック部長 パラリンピックマラソンは、東京二〇二〇大会全体の最後を締めくくる大変象徴的な競技であることから、多くの方に応援していただけるよう、これまで様々な盛り上げの取り組みを行ってまいりました。
 沿道での観戦は自粛となったため、自宅等で楽しみながら観戦、応援していただけるよう、競技解説や日本人出場選手のプロフィールなどを盛り込んだ見どころマップを作成し、ホームページで公開するとともに、区市町村の窓口や都庁舎などで配布いたしました。
 また、アスリートやパラ応援大使等が出演する応援盛り上げ動画を制作し、開会式の日に合わせて公開しました。この動画には、分かりやすいコースや見どころの紹介、人気グループによる応援ソングなどを盛り込み、幅広い世代が楽しめる内容といたしました。
 その結果、累計視聴数は五十万回を超え、多くの方にご覧いただき、競技の応援につながったと認識しております。

○もり委員 ありがとうございます。スタート時は雨模様でしたが、次第に雨も上がり、白熱したレースが展開をされました。日本人アスリートは、視覚障害の女子の部で道下選手が金メダル、男子の部で堀越選手が銅メダル、上肢障害の男子の部で永田選手が銅メダルと、すばらしい結果を残してくれました。
 二〇二一年に東京でパラリンピックがあったことは、都民の記憶に長く残ることになるに違いありません。パラリンピックという大きなイベントは成功しましたが、真に問われるのは、パラスポーツの取組を、大会後、しっかりと定着させていけるかだと考えます。引き続き、ぜひ都の取組の推進をお願い申し上げます。
 オリンピック・パラリンピック競技大会において、持続可能性は重要なテーマです。組織委員会は、国際連合と持続可能な開発目標、SDGsの推進協力に関する基本合意書に署名しており、東京二〇二〇大会の開催を通じてSDGsに貢献することとしてきました。
 大会の準備、運営に当たっては、多くの物品を調達することから、資源を無駄なく活用し、環境負荷を軽減する取組が求められております。
 組織委員会の資産物品の管理、処分については、これまでも我が会派として取り上げてきたところですが、ここで改めて、組織委員会が調達した物品の適切な処分に向け、どのように取り組んでいるのかについてお伺いをいたします。

○高角連携推進担当部長 組織委員会では、持続可能性に配慮した運営計画におきまして、資源管理分野の目標として、調達物品の再使用、再利用を掲げ、資源を一切無駄遣いしない大会の実現を目指してまいりました。
 具体的には、物品の調達時点でレンタル、リースを優先し、次いで、買戻し特約付売買契約を選択することとしており、購入した物品につきましても、有効活用を図るため、民間事業者への再販等のほか、関係機関と連携した後利用先の確保に大会前から取り組んでまいりました。
 また、後利用先が見つからなかった場合も積極的なリサイクルに取り組むなど、再使用、再生利用を追求することとしております。

○もり委員 ありがとうございます。資源を一切無駄にしない大会の実現を目指して、東京都が、持続可能性に配慮した運営計画を作成し、取り組んでいたことを高く評価しております。
 一方で、マスコミでも報道されたように、無観客開催となったことによるボランティアのお弁当の廃棄や、大会撤収時に医療品の廃棄が行われたことは大変残念です。末端の委託事業者にまで、そのマインドが徹底をされていなければ、目標を達成することはできません。
 また、コロナ禍で、多くの困窮した都民がフードパントリーや食料配給に列をつくっていた状況から、今後はこのようなことがないよう、フードロスを削減する視点からも、今後も開催を予定される東京都のスポーツ大会等においても、余ったお弁当等が発生する際には、廃棄するのではなく、支援団体につなぐような、必要とする方につなぐ仕組みを都のマニュアル化をしていただくことを強く要望いたします。
 資源を一切無駄にしない大会の実現とのことで、東京二〇二〇大会が持続可能な大会になったと評価を得るために、都としても積極的に協力していくべきであると考えます。
 特に公費が含まれる物品については適正な処分が求められますが、都としてどのように取り組んできたのか、また、こうした取組の成果をどのように発信されるのかについてお伺いをいたします。

○高角連携推進担当部長 組織委員会が調達した物品の後利用に向け、都も組織委員会と連携して取り組んでおります。特に、大枠の合意に基づきまして都が経費負担している共同実施事業で調達する財産の再使用に当たっては、庁内各局で可能な限り有効活用を図るとともに、都内区市町村等に照会を行うなど、調整を行っているところでございます。
 こうした取組の結果については、組織委員会が今後取りまとめる予定の持続可能性大会後報告書の中で報告し、公表されることとなっております。

○もり委員 局横断的に庁内各局での有効利用や、区市町村等とも連携しながら物品の有効活用を行うとのことで、調達物品は都民の財産です。ぜひ無駄にすることのないよう取組を進めていただき、持続可能な社会を築くことも二〇二〇大会のレガシーとして、今後も推進をお願いいたします。
 その上で、東京二〇二〇大会に向け、都が調達したシティキャストのユニホームについてお伺いをいたします。
 シティキャストの中には、活動に参加したいが、コロナ禍で活動できなかった方も多いと思います。大会中は、こうした方にお渡しできなかったユニホームに関する報道がありました。
 我が会派では、学校と連携し、ボランティアに意欲のある中学、高校生へ未使用のユニホームを提供し、大会のレガシーとしてボランティアマインドを引き続き醸成するような要望を行いましたが、その後の取組状況についてお伺いをいたします。

○小高ボランティア担当部長 都は、大会を契機としてボランティア文化の定着を図るため、シティキャストの募集段階から、多くの方に大会後もボランティアを続けていただけるよう取り組んできたところであり、こうした目的のため、保管しているユニホーム、ポロシャツでは、約二万三千着を引き続き効果的に活用してございます。
 具体的には、これまで参加できなかった方も含め、大会後のスポーツ関連イベントにおける活動の機会をご案内し、その際、初めて活動されるシティキャストの方にユニホームをお渡しするなどの取組を進めております。
 また、教育庁と連携し、オリ・パラ教育の一環として、学校が設定したボランティア活動へ参加する生徒にユニホームを着用いただく取組を進めております。
 ユニホームは、東京二〇二〇大会において国内外から高い評価を受けたボランティアの象徴であり、その精神を体現するものでございます。
 今後も、関係局との連携の下、ユニホームを有効に活用して参加機運の拡大を図り、大会のレガシーとしてボランティア文化の定着を目指してまいります。

○もり委員 シティキャストのユニホームが、大会後も東京のボランティア文化の定着を目指して活用されることは、とてもよい取組だと考えます。
 大会に参加していただいたボランティアの皆様が大会後も活動を継続していただけるような仕組みづくりについて、私も以前から要望してまいりました。
 今回、東京都つながり創生財団に東京ボランティアレガシーネットワークが新たにオープンすることを伺いました。大会のレガシーとして、都民の皆様が地域社会の担い手として手を差し伸べ合う社会参加の機会が広がり、都民ボランティアの皆様が都内で活躍いただくことを期待しております。
 次に、大会のレガシーについてお伺いいたします。
 東京二〇二〇大会が都民に何を残したのか。大会が閉会して終わりではありません。大会後の有形無形のレガシーを、今後、都民の皆様に理解していただくことが重要だと考えます。
 多くの経費がかかったが大会を開催してよかったと、多くの都民に理解を得てもらうためには、大会が東京にもたらした改革、つまりレガシーを分かりやすく調整し、広く都民に伝える必要があると考えます。
 この点について、先日の決算特別委員会第二分科会で我が党の白戸議員から、昨年度の取組を中心に質疑をさせていただきました。そのときにも、グラフやイラストなどで視覚的に分かりやすくポイントを伝えるインフォグラフィックを活用することは大変重要であり、今後も大いに活用していただきたいと考えます。
 そこで、広く都民に大会のレガシーを理解していただくために、インフォグラフィックを活用した取組についてお伺いをいたします。

○川瀬計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 都はこれまで、都民が大会のレガシーを理解しやすいように、大会に向けた都の取組のPR版を作成するなど、レガシーの広報に努めてまいりました。
 大会が実施され、東京に注目が集まる今年度は、より多くの都民が視覚的に大会のレガシーを理解できるように、インフォグラフィックを活用した広報素材を作成し、SNSやホームページに加え、大会時には、東京都メディアセンターやメインプレスセンターにおいても国内外のメディアに向けて発信を行いました。
 また、都営地下鉄におけるデジタルサイネージの活用やポスターの掲出など、現在も様々な媒体を活用して広く発信に努めており、今後、庁内でさらに連携し、図書館や美術館などの文化施設や大学等、多くの人目に触れる施設を中心にポスターの掲出を進めてまいります。
 今後とも、大会のレガシーが都市のレガシーとして発展する姿を都民に分かりやすく伝わるよう、積極的に発信に取り組んでまいります。

○もり委員 今ご答弁にあった、昨年度作成したインフォグラフィックを私も拝見いたしました。カラフルなイラストで大会の効果、レガシーを図式化しており、とても分かりやすくて、いい取組だと感じます。今後とも、インフォグラフィックがぜひ都民の皆様にレガシーを実感してもらえるよう、積極的な発信をしていただきたいと思います。
 東京二〇二〇大会のレガシーとして、多くの都民が身近に多様なスポーツを楽しめる環境整備はとても重要です。
 都は、未来の東京戦略において、スポーツフィールド東京を実現するため、スポーツの場を東京の至るところに広げることとしておりますが、具体的な取組についてお伺いをいたします。

○鈴木スポーツ推進部長 都では、本年三月に策定しました未来の東京戦略において、日常生活の様々な場をスポーツができる場として整備するなど、都民の日常にスポーツが溶け込んでいるスポーツフィールド東京の実現を目指しています。
 具体的には、区市町村におけるスポーツ環境整備に対する補助や、都立特別支援学校の体育施設をパラスポーツの場として活用する取組など、都民に身近な地域のスポーツ振興の支援に取り組んでおります。
 また、都内の大学、企業等が所有するスポーツ施設を活用するTOKYOスポーツ施設サポーターズ事業など、大学や民間企業等との連携によるスポーツの場の拡大にも努めております。
 さらに、東京二〇二〇大会後のスポーツ施設の戦略的な活用や、大会の仮設施設を活用した有明アーバンスポーツパークの整備など、都のスポーツ施設等の新たな魅力を最大限に発揮する取組を進めております。
 引き続き、こうした取組を推進し、スポーツフィールド東京の実現につなげてまいります。

○もり委員 スポーツフィールド東京の実現に向けては、多くの都民が多様なスポーツを身近に楽しみ、スポーツを通じた交流や健康増進など、都内で身近に参加できる環境整備がハード、ソフト両面で必要です。今回、パラスポーツに関心を持った方も多くいらっしゃいますが、まだ身近にパラスポーツに触れられる機会は限られており、学校施設や自治体との連携も求められます。
 また、今回、初めて五輪競技となったスケートボードも、日本選手の活躍により、大きく大会を盛り上げていただきました。
 有明アーバンスポーツパークは仮設での整備でしたが、今後、自治体とも連携した活用も期待をされ、また、地元大田区にも民間のパークが整備をされておりましたが、スケートボードの音の課題など、スポーツ振興には地域の理解の促進も求められます。
 また、区内では、多摩川の河川敷で、年に数回、馬術連盟の皆さん主催の馬術教室を開催していただいておりますが、馬術など体験の場が限られている競技もあります。
 ぜひ都としても、自治体と連携しながら、都内で多様なスポーツに親しめる一層の環境整備をお願いいたします。
 次に、東京二〇二〇大会に向けて新たに建設された新規恒久施設についての今後の活用についてお伺いをいたします。
 さきの文教委員会において、私は、過去のほかの大会の事例のように、競技施設が大会後に利用されず放置されるようなことが決してないよう、都民の利用やアマチュアスポーツ、障害者スポーツ等で多くの都民に利用され、親しまれる施設としていただくよう要望いたしました。
 先月末に、東京二〇二〇大会時にはアーチェリー会場であった夢の島公園アーチェリー場が、新規恒久施設のトップを切って再開業したと伺いました。
 東京二〇二〇大会に向け建設された新規恒久施設は、大会後、都民の方に親しまれる施設としていくことが大切です。
 今後の活用について、都の見解をお伺いいたします。

○柏原開設準備担当部長利用促進担当部長兼務
都が整備いたしました新規恒久施設は、東京二〇二〇大会のレガシーとして、多くの都民に利用され、親しまれる施設としていくことが重要でございます。
 都は、外部有識者等の意見を幅広く聞きながら、平成二十九年に、大会後の施設運営の指針となる新規恒久施設の施設運営計画を策定し、早期に指定管理者等を決定し、大会後の利用に円滑に移行できる体制を整えてまいりました。
 現在、各施設管理者におきましては、大会後の再開業に向けまして、スポーツ大会の誘致や都民のスポーツ体験会、周辺の公園との連携によるイベントの開催など、多くの都民にご利用いただけるよう準備を進めております。
 先月末には、その第一弾として夢の島公園アーチェリー場が再開業いたしまして、アーチェリーやタッチラグビーなどの体験会が行われ、参加者から好評を得たところでございます。
 また、先週末には、全日本アーチェリー連盟によるナショナルチーム選考大会が開催されましたほか、社会人や学生を対象とした全国レベルの大会などの開催が予定されております。
 今後、さらに専門家の意見も伺いながら、各施設における幅広い活用方策の検討を深めまして、新規恒久施設が都民の貴重なレガシーとなるよう取り組んでまいります。

○もり委員 ありがとうございます。とても楽しそうな様子が伝わってまいりました。
 新規恒久施設は、夢の島公園アーチェリー場を皮切りに、大会後の改修工事が終わり、開業準備が整った施設から、順次、再開業していくと聞いています。再開業となった暁には、多くの都民に利用され、また、世界水準の大会を開催するなど、施設が持つポテンシャルを最大限に発揮し、東京二〇二〇大会のレガシーとしていくよう、今後の取組について期待を込め、次の質問に移ります。
 復興五輪の取組についてお伺いをします。
 東京二〇二〇大会の大きなテーマの一つが復興五輪でした。百年に一度という大震災に見舞われた東日本の復興への歩み、震災を忘れることなく共に歩んでいく、そういったメッセージを、大会を通じて国内外の多くの方に被災地を訪れていただきたいと願っておりましたが、今回の東京二〇二〇大会はコロナ禍の中で開催され、福島県をはじめ被災地に多くの観客が実際に訪れることができませんでした。
 そうした中で、国内外へ復興五輪をどのように伝えてきたのか、お伺いをいたします。

○小池自治体調整担当部長聖火リレー担当部長兼務 復興オリンピック・パラリンピックとして、世界中の皆様にこれまでいただいた支援の感謝を伝えるとともに、復興に向けて力強く歩む被災地の姿を発信することは重要でありまして、都はこれまでも、海外メディアを対象とした被災地取材ツアーなど様々な取組を行ってまいりました。
 こうした認識の下、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受ける中ではありましたが、昨年度も引き続き、被災県などと連携いたしまして、被災地の若者が将来を担う意気込みなどを語る復興支援映像を新たに国内外へ配信いたしました。
 そして、大会期間中は、特設ウェブサイト、みんなの東京二〇二〇応援チャンネルを通じまして、被災地で活動する団体による多様なパフォーマンス等を動画で配信するなど、オンラインを活用した発信に取り組んだところでございます。
 さらに、東京都メディアセンターにおけるブリーフィングや、メインプレスセンターにおける復興情報発信ブースの設置などにも取り組みまして、メディアを通じながら、広く国内外へ復興オリンピック・パラリンピックを発信してまいりました。

○もり委員 ありがとうございます。コロナ禍の中でも、復興五輪の様々な取組をしていたことをご答弁いただきました。こうした取組がしっかりと実を結び、大会後も復興五輪が被災地、日本全国、そして、世界にレガシーとして根づくことを心から願っております。
 次に、東京二〇二〇大会における多文化共生の推進、多言語の取組についてお伺いをいたします。
 東京二〇二〇大会で海外から訪日する大会関係者や観戦客が快適に過ごせるよう、多言語化の推進に取り組んでまいりました。
 具体的にはどのような取組を行ったのか、また、今後どのように取り組んでいくのかについてお伺いをいたします。

○中嶋大会企画調整担当部長 都では、平成二十六年から、国、自治体、民間団体、企業、庁内各局から成る多言語対応協議会を設置し、二〇二〇大会に訪れる海外からの関係者や観客が快適な環境で東京に滞在することができるよう、多言語に関する様々な取組を進めてまいりました。
 具体的には、大会に向けて駅の案内サインの改善といたしまして、新宿、渋谷、池袋などの主要ターミナル駅構内における表記の統一化や、多言語対応券売機の導入などを実施してまいりました。
 また、宿泊施設や飲食店については、国内外旅行者のためのわかりやすい案内サイン標準化指針の観光施設、宿泊施設、飲食店編の策定や、多言語メニュー作成支援サイトによる飲食店の支援、小売業向けのガイドラインを策定いたしました。
 大会本番時には、会場内への日本語、英語、ピクトグラムの案内サインの設置、ボランティアの対応可能言語の腕章やバッジでの表示を行いました。
 また、国等と開発や普及を支援してきた翻訳アプリなどの翻訳ツールを競技会場や選手村で活用し、様々な言語で選手や関係者への案内や誘導を行うことができました。
 一方、大会では、観客としての訪日外国人は受け入れられなかったところですが、将来にわたり訪日外国人が円滑に移動し、安心して快適に過ごせる都市環境の向上を目指し、東京大会のレガシーとして、様々な事業の多言語化を推進してまいります。

○もり委員 大会に向けて官民一体となった多言語化の取組についてお伺いいたしました。残念ながら、東京二〇二〇大会に海外からの観客は訪れませんでしたが、このような取組は、海外から観光客が訪れるようになったときには、海外の方に快適な環境で過ごしていただけることが期待でき、東京大会のレガシーとなると思います。今後も引き続き、全庁を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 また、飲食店におけるハラール対応が進んだとの話も聞いておりますが、一方では、世界統一のピクトグラムと都のピクトグラムに若干の違いがあり、より分かりやすい表記を求める指摘がありました。一層の多文化共生社会の実現に向けて、取組の推進を要望いたします。
 先日は、東京二〇二〇大会の東京ゆかりのオリンピアン、パラリンピアン、また、大会を支えてくださった皆様が集い、感謝状贈呈式が開かれました。子供たちとメダリストの交流事業も行われ、テレビで活躍を応援していた子供たちが本当に目を輝かせてスポーツ選手を迎えていた姿に、私も本当に感動いたしました。スポーツの持つ力を感じさせていただきました。
 こうした皆様は、本当に東京都の大変重要な資産です。今後も、スポーツを通じ、アスリートの競技力向上とともに、都民に対してオリ・パラのレガシーを直接選手たちが伝えていただけるような交流の機会についても要望し、質問を終わります。ありがとうございました。

○谷村委員 それでは、東京二〇二〇大会についてお伺いします。
 大会は、コロナ禍という困難な状況での開催となりましたが、世界中から多くのアスリートを迎え、歴史に残る大会として成功を収めることができたと思います。この間のオリンピック・パラリンピック準備局の皆様のご尽力に心からの敬意を表します。
 また、このたび、延與局長、ご就任、誠におめでとうございます。
 私自身、この大会招致、大会準備、大会運営の推進に取り組んでまいりましたが、大会終了後のこれからの一年間が一番重要であります。大会の意義をきちんととどめ、レガシーを確実に残し、そして大会経費の総決算をしていく。オリンピック・パラリンピックを東京で開催してよかったなと、都民の皆様をはじめ全ての関係者に喜んでいただけるかどうかは、延與局長をはじめオリンピック・パラリンピック準備局の皆様のご双肩にかかっておりますので、引き続きご活躍をいただきますよう、よろしくお願いをいたします。
 さて、東京二〇二〇大会はコロナ禍での開催に当たり、最重要課題は、何といっても安全・安心な大会を実現するということでありました。大会時には、海外から多くのアスリートや大会関係者が来日する。そのため、感染防止対策として、空港での水際対策をはじめ、入国後の検査などの健康管理、都民との接触を回避するための行動管理などを徹底し、アスリートと関係者及び都民、国民の皆様の両方にとって安全な大会となるよう、専門家の意見を反映し、厳格にコロナ対策が進められました。
 しかしながら、さきの第三回定例会の代表質問で都議会公明党が指摘しましたように、大会開催が感染拡大に影響を及ぼすかのような心ない悪質なデマもありました。その指摘に対して、都からは、感染状況の動向を示す指標である実効再生産数は、七月二十一日の一・四をピークに下落傾向に転じ、九月九日には〇・六三まで減少しているという具体的な数字を示し、答弁がなされたところであります。
 しかし、立憲共産等の皆さんは、この東京二〇二〇大会の中止を訴えて、それを都議選の公約にまで掲げられましたが、その公約は、都議選が終わる前に既に破綻をしてしまいました。
 このたびの東京大会の成功は、立憲共産等によるオリ・パラ大会の中止、オリンピック・パラリンピックのせいで感染が拡大してしまうといった極めて悪質な、ただ批判を繰り返すだけの政党、政治家がいる中で、アスリートや関係者の皆様、ボランティアの皆様、そして都民、国民の皆様が、このコロナ対策に、感染防止対策にご協力してくださったたまものにほかなりません。
 日本共産党に至っては、ポスターにてんびんのようなものを描いて、そこにオリンピックと命の文字を並べて、あたかもオリンピックよりも命の方が軽く扱われているようなものまで貼り出しておりました。
 しかし、共産党は、このオリンピック・パラリンピックが全ての関係者の皆様のご尽力によって、感染拡大を引き起こすことなく、無事に成功裏に閉幕されそうになると、そのポスターをさっさと剥がしておりました。
 また、日本の主力メディアでは、社説でオリンピック・パラリンピック大会を中止するべきと訴えておきながら、自らは東京二〇二〇大会のオフィシャルパートナーはやめないという、言葉と行動に一貫性のない新聞社もありました。
 この新聞社は、東京二〇二〇大会のオフィシャルパートナーになり、協賛者に名を連ねておられる。大会組織委員会に支払う協賛金は、推定で約六十億円以上とされ、昨年末、大会一年延期に伴い、その際にも追加の協賛金を支払うことにも合意をしている。
 そして、コロナ禍での開催の不安をあおる記事を書き続けて、五月二十六日には、中止の決断を首相に求めるという社説を掲載しました。
 その内容は、誰もが安全・安心を確信できる状況には程遠いとして、オリンピックを開く意義はどこにあるのかと疑問を投げかけ、そもそもオリンピックとは何か、社会に分断を残し、万人に祝福されない祭典を強行したとき、何を得て、何を失うのか、首相はよくよく考えなければならないとして、オリンピック開催をほぼ全否定しました。
 しかし、この新聞社は、この社説掲載後も東京二〇二〇大会のオフィシャルパートナーとして居座り続けて、オリンピックのブランド力をフルに活用することで営業力の強化につなげております。
 繰り返しになりますが、その一方で、オリンピック中止を社説で掲げたわけで、さすがにこの新聞社の中でも、社内でも、この社説には全く納得できないという、かなり大きな物議を醸したようであります。
 この新聞社は、社としての方針と紙面は違うと釈明しているようですが、問題なのは、紙面の報道内容ではなくて、新聞社としての方針がオリンピック中止というのであれば、少なくとも新聞社としてオフィシャルパートナーは辞退するべきであるということに問題提起がされているわけであり、常に最低限の見識が求められるジャーナリズムとしては、あまりにも恥ずべき釈明だという指摘は多いようであります。
 さて、東京二〇二〇大会は、これを支えてくださった多くの方々のご協力と献身的なご努力に報いるためにも、都は、コロナ対策の結果について、エビデンスを示し、しっかりと実態を明らかにする必要があります。
 最初に、水際対策について、海外から入国する関係者を減らしつつ対策を徹底するということでしたが、その結果についてお伺いします。

○梅村運営推進担当部長運営担当部長兼務 海外からの大会関係者につきましては、大会運営の簡素化や海外入国者数の絞り込み等により、オリンピック大会で当初の約十四万一千人から約三万三千人へと約四分の一に、パラリンピック大会で約三万六千人から約一万人へと約三分の一に、来日人数を縮小いたしました。
 また、アスリート及び大会関係者の入国に当たりましては、海外を出国する十四日前から健康観察を行うとともに、出国前に二回の検査を行い、それぞれ陰性を確認し、日本入国時にも検査を行うなど、徹底した水際対策を行いました。
 この結果、アスリートと大会関係者を合わせた空港検疫における検査数約五万四千件に対して、陽性者数は五十五人であり、陽性率は、大会前の想定〇・二%を下回る〇・一%となりました。

○谷村委員 海外から来日する大会関係者を大幅に抑えるとともに、国策に失敗したという会派もおりましたけれども、水際対策を徹底した結果、空港検疫での陽性者の割合は非常に低かったということを確認させていただきました。
 次に、海外からの選手や大会関係者が入国した後にどれぐらい陽性者になったのか、確認しておきたいと思います。
 入国後も、安全・安心な大会を担保するため、スクリーニング検査を行い、健康管理を徹底したとのことですが、その結果についてお伺いをします。
 また、多くのアスリートの皆様等が滞在した選手村においてクラスターが発生したという話は一部にありましたが、それは事実でしょうか。確認をさせていただきたいと思います。

○梅村運営推進担当部長運営担当部長兼務 東京二〇二〇大会におけるスクリーニング検査につきましては、入国後三日間、アスリート及び大会関係者に対して毎日実施いたしました。それ以降は、アスリートは、原則毎日検査を行い、大会関係者は、アスリートとの接触の程度や役割等に応じて定期的に検査を行いました。
 パラリンピック大会におきましては、日本国内の感染状況を踏まえた、さらなる感染防止対策として、大会関係者に対する検査頻度を上げることといたしました。具体的には、選手村で業務に従事するスタッフは、四日に一回の検査を原則毎日、七日に一回の検査であったスタッフにつきましては、四日に一回実施といたしました。
 この結果、大会期間中のスクリーニング検査数約百一万件に対して、陽性者数は三百四人であり、検査数に占める陽性者数の割合は〇・〇三%と低く抑えられました。
 また、選手村におきましては、感染防止策を徹底したことに加え、スクリーニング検査の実施による早期の陽性者対応を行ったことで、クラスターとされた事例は報告されておりません。

○谷村委員 入国後についても健康管理を徹底した結果、陽性者率は低く抑えられたとのことであります。特にパラリンピックにおいて検査体制を充実したのが、その結果にも反映されたのだと思います。
 また、アスリートが集中する選手村においてもクラスターは発生していなかったとのことで、今ご答弁ありましたけれども、こうした様々な結果を踏まえて、大会の安全性について、専門家はどのように評価しているのか、お伺いをいたします。

○梅村運営推進担当部長運営担当部長兼務 東京二〇二〇大会を通じて徹底した水際対策や定期的なスクリーニング検査などを行った結果、IOCの外部専門家からは、大会は安全に行われたと評価されました。
 また、東京都のモニタリング会議や組織委員会の専門家ラウンドテーブルなどにおきましても、大会における基本的なコロナ対策や海外入国者数の絞り込み、厳格な行動管理や健康管理、陽性者が確認された場合の迅速な隔離など、行動管理や検査などの対策がうまく機能したとし、全体としては対策は有効であったと評価されました。

○谷村委員 このコロナ対策は、客観的な情報と分析がなければ、正確な議論はできません。それは、すなわち数値と専門家による考察であります。大会におけるコロナ対策が科学的に実施され、専門家からも高く評価されていることを確認させていただきました。
 結局、立憲共産等がオリンピック・パラリンピックを中止するべきだと主張したのは、これはもう選挙目当ての大騒ぎであり、都民、国民の皆様の不安をあおり、政治利用をした姿であり、これは末代にわたって語り継がれるべき汚点であると思っております。オリンピックの開催に当たっては、オリンピックを絶対に政治利用しないという大原則があるわけであります。
 そもそも日本共産党は、オリンピック・パラリンピックの東京招致それ自体に大反対をしておりました。しかし、東京招致が決まると、それまでの態度を百八十度翻して、突如として、IOC総会の決定を尊重するとして、東京招致に賛成する立場に変わりました。当時の猪瀬知事も、さすがにこれにはびっくりをしておりまして、強烈な皮肉をいっておりました。
 また、これは共産党内外の方々が大変に驚いておられました。共産党として招致反対を主張しておきながら、IOCが東京開催を決定すると、党の決定が翻ってしまった、こんなことをしてしまえば、日本共産党の決定は、国際社会の決定によって、いとも簡単に覆されてしまうといった批判が展開されたわけであります。
 しかし、昨年三月に、IOC総会に代わり、臨時のIOC理事会で東京大会の一年延期が決定された際には、今度は、共産党は延期反対にかじを切って、IOCの総意を尊重するどころか、踏みにじったわけであります。
 オリンピック・パラリンピックの東京招致、東京開催に対する考え方に一貫性がない。パラリンピックの開催に反対しておきながら、障害者スポーツの振興を主張しておられますが、これも一貫性に欠けております。
 今となっては、多くの都民の皆様は、この共産党のごまかしのロジックを見抜いておられますが、都としては、大会にご協力してくださった多くの方々に感謝の意をお伝えする意味においても、大会が安全・安心に開催されたという客観的な成果を都民の皆様に丁寧に説明していただくよう、改めて強く求めておきます。
 次に、開催都市の顔としてご活躍いただきましたシティキャスト、都市ボランティアの皆様の件についてお伺いをいたします。
 大会直前に無観客での開催が決まり、観客をお迎えするはずだったシティキャストの役割は大きく変わってしまいました。
 そのような中、参加された方々は、おもてなしの心を持って一生懸命に活動され、多くのアスリートや大会関係者から、感謝と称賛の声が寄せられております。海外選手のSNSの発信などによって、シティキャストの皆様の貢献度の高さを改めて認識することもできました。こうしたボランティアの皆様の活躍を、レガシーとしてさらに発展させていくことが大変に重要であると思います。
 初めに、大会で活動に参加されたシティキャストの皆様の人数と、あわせて、参加された方々から、今後の活動についてどのような意見があったのか、お伺いをいたします。

○小高ボランティア担当部長 大会の無観客開催に伴い、観客案内の活動に代え、空港における選手のお迎えやお見送り、パラマラソン沿道付近における観戦自粛の呼びかけ、オンラインを活用した大会の応援などの活動への参加を募集いたしました。
 その結果、参加意向を示していた一万六千百五十一名のうち、一万一千九百十三名が活動へ参加し、延べ二万六百七十六回活動いただきました。その中で、約八割の方が活動に満足したと回答いただきました。
 大会後、今後の活動意向に関するアンケートを実施したところ、九六%の方から、今後もボランティア活動を続けたいとの回答をいただきました。
 また、ボランティアを続けるに当たり、都に取り組んでほしいことをお伺いしたところ、活動機会の提供と回答した方が七二%、活動情報の提供と回答した方が六五%でございました。

○谷村委員 当初の活動形態が直前になって大きく変わっても、一万人を超える方々、一万一千九百十三人というお話でしたけれども、これは七四%の方々のご活躍をいただいた。こうした方々のご活躍があってこそ、東京大会の成功につながったわけであります。
 立憲共産等、また、一部メディアの悪質な扇動によって、自らの感染不安も間違いなくおありだったと思います。また、立憲共産等、一部メディアの悪質な扇動によってボランティア参加を見送られた方々も、この四千二百三十八人の中にはおられたかもしれません。
 こうした中で、シティキャストとしてボランティア活動を進めてくださった皆様に、改めて敬意と感謝の思いを表したいと思います。
 また、九六%もの方から、今後もボランティア活動を続けたいとのご回答があったとのことです。都は、この思いをしっかりと受け止めていただきたいと思います。
 都議会公明党は、シティキャストの皆様の活動に関し、障害の有無に関係なく、誰もがボランティア活動に参加できるように、その環境整備を強く求めてまいりました。
 テレビでパラリンピックの開閉会式を拝見しましたが、障害の有無に関係なく、参加された方々お一人お一人が、それぞれの個性の下、一体となって参加され、輝いておられました。
 シティキャストの活動では、特に障害のある参加者の方々に対してどのような配慮を行っていただいたのか、また、参加した方々からはどのようなご感想、ご意見があったのか、お伺いをしたいと思います。

○小高ボランティア担当部長 都は、障害の有無にかかわらず、シティキャストの方々に安心して活躍いただけるよう、活動に当たり、参加者が配慮を求める内容や障害特性に応じ、きめ細かい対応を行ってまいりました。
 具体的には、本人の意向も踏まえ、介助者やほかの参加者とペアを組んで活動いただくとともに、必要に応じ、付添いや声かけなどのサポートを行いました。
 また、視覚に障害のある方が参加する場合は、現場の状況を丁寧に説明した上で来場者の案内などを行っていただき、聴覚に障害のある方が参加する場合は、手話や筆談で小まめにコミュニケーションを取りながら活動いただきました。
 足が不自由なため、座った状態で活動を希望する方には、受付カウンターの座席に座って来場者を案内いただくなど、個々の状況に応じ、適切な対応を行いました。
 活動へ参加した障害のある方からは、安心して楽しく充実した活動を行えた、今後もボランティアを続けていきたいとの声をいただいたほか、活動についての説明が丁寧だった、ほかの参加者と交流できてよかったなどの意見もいただいたところでございます。

○谷村委員 障害があるということで、これまでボランティアに関心があっても参加できないという方もいらっしゃったと思います。このシティキャストでの取組がきっかけとなって、障害の有無にかかわらずボランティアに参加できる環境が広く定着するよう取り組んでいただきたいと思います。
 参加された方のお声を改めてお伺いしますと、障害の有無に関係なく、今後もボランティアを続けたいというご希望が多くの方から寄せられております。こうした方々のお声を大切に受け止め、ボランティアマインドとして、大会後のレガシーとして、東京というこの大都市にしっかりと根づかせていくための仕組みづくりや機会の提供が必要と考えます。
 今後の取組について見解を求めます。

○小高ボランティア担当部長 大会を契機に高まったボランティア機運を一過性のものとせず、大会後も着実に維持、継続を図ることは、レガシーとしてボランティア文化の定着や共助社会の推進に寄与する観点から重要でございます。
 都は、今月二日、大会で活躍したシティキャストなどボランティアの方々が大会後も活動を継続し、活躍の場を広げるためのポータルサイト、東京ボランティアレガシーネットワークを開設いたしました。
 現在、シティキャストの方々にポータルサイトへの登録を案内しており、登録いただいた方には、関係局と連携し、多彩なボランティア情報の中から、本人の興味、関心に応じた活動情報を継続的に提供してまいります。
 また、大会後におけるボランティア機会の確保にも取り組んでおり、先月開催した都民スポーツ大賞表彰式の運営サポートや、東京スポーツスクエアで大会関連の展示などを行う東京二〇二〇ARIGATOイベントにおいて競技体験サポートなどの活動を行っていただきました。
 引き続き、シティキャストとして参加した方に活躍いただける機会の確保に努め、ボランティア文化の定着に向けた取組を進めてまいります。

○谷村委員 このボランティアマインドにつきましては、東京大会の大きなレガシーであると思います。大会に向けて培われたこのボランティア精神、助け合いの心を一つの文化として定着させ、相手を理解し、互いに支え合う共生社会の実現に向けて、引き続き力強く取り組んでいただきたいと思います。
 次に、大会開催の意義について改めてお伺いをしたいと思います。
 このコロナ禍にあって、世界中のアスリートに最高の舞台の提供ができたことや、ボランティアの活躍が東京の将来に向けてレガシーとなったことをはじめ、東京大会には多くの意義があったと思っております。その一つが復興五輪であります。
 都議会公明党は、大会の原点は復興オリンピック・パラリンピックであるとし、これまでも、大会を通じて被災地に夢と希望を届けられるよう取り組んでまいりました。
 さきの第三回定例会においても、これまでの取組と成果について質疑を行い、知事から、被災地での競技開催や聖火リレーの実施をはじめ、メインプレスセンターにおける情報発信や復興モニュメントの設置など、様々な取組を行ってきたとの答弁がありました。
 そこで、メインプレスセンターの復興ブースにおける情報発信の状況や、国立競技場に設置された復興モニュメントの今後の取扱いなど、改めて被災地支援に関する取組について具体的に説明をいただきたいと思います。

○小池自治体調整担当部長聖火リレー担当部長兼務 東京二〇二〇大会におきましては、その原点である復興オリンピック・パラリンピックの実現に向けて、被災地での競技開催をはじめ、様々な取組を行ってまいりました。
 メインプレスセンターの復興ブースでは、都や組織委員会、国等がこれまで実施してきた取組の紹介や、震災の語り部の方をお招きしたブリーフィングなどを実施いたしまして、大会期間中、国内外の多くのメディアに情報発信を行いました。
 このほか、都庁で開催いたしました聖火リレー式典の会場を、福島県産のヒマワリや岩手県の大漁旗、宮城県の七夕飾りなど被災地ゆかりの品々で装飾するなど、多くの機会を通じまして、復興に向けて力強く歩む被災地の姿を発信いたしました。
 さらに、大会期間中には、復興仮設住宅の廃材アルミを原材料とし、被災地の中高生からのメッセージを載せた東京二〇二〇復興のモニュメントを国立競技場横に設置いたしました。
 このモニュメントには、大会に出場したアスリート等からのサインを加えまして、本年十二月に、福島県のJヴィレッジなど被災三県にそれぞれ移設いたしまして、レガシーとして活用していただく予定でございます。

○谷村委員 都民広場で開催されたオリンピック聖火リレーの到着式の際、上空を通過するブルーインパルスを見上げるように、ヒマワリも輝いていたのを覚えております。
 被災地の花は、メダルの副賞として贈られる勝利の花束、ビクトリーブーケでも使われておりました。岩手県のリンドウ、宮城県のヒマワリ、福島県のトルコギキョウなどであります。デザイン的にも本当によかったという評価もされております。
 被災地で希望を込めて育てられた花は、アスリートの皆様に感謝の気持ちとして届けられました。被災地復興への大きな支援を多くの国々からいただいた、その感謝の思いが届けられたわけであります。
 東京大会は、一年間延期されたことによって、くしくも東日本大震災から十年という節目に開催されることになりました。引き続き、被災地に寄り添い、この大会の理念を後世に語り継いでいただきたいと思います。
 また、オリンピック・パラリンピックには、平和の祭典という、ほかの大会にはない特別な意味があります。近代オリンピックの父と呼ばれるクーベルタン男爵は、スポーツを通じて世界平和に貢献することを目指し、その思いはこの東京大会にも受け継がれております。
 大会開催を通じて世界平和を希求することは、オリンピック・パラリンピックだけが有する価値であります。
 平和の祭典としての大会時の取組と今後の予定についてお伺いをいたします。

○川瀬計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 オリンピック憲章では平和な社会の推進がうたわれており、東京二〇二〇大会においても様々な取組が行われてきました。
 国連総会では、スポーツとオリンピックの理念を通じた平和な世界の構築を目指し、オリンピック休戦決議が採択されました。
 また、オリンピックで二十九名、パラリンピックで六名となる難民選手団の参加が実現したほか、ボランティア研修を通じて大会と平和についての理解を深めるなど、組織委員会等と連携して取り組んできたところであります。
 さらに、オリンピック期間中には、選手の方々に平和への祈りを込めてサインいただくモニュメントであります休戦ムラールを選手村に設置いたしました。
 今後は、この休戦ムラールを、民族や国境を越えた平和の祭典を象徴するレガシーとして都有施設等で活用することを検討してまいります。

○谷村委員 コロナ禍という困難な状況下での開催だったからこそ、この平和の祭典という大会の意義を発信していくことが重要であると思います。休戦ムラールなど平和の祭典の象徴については、レガシーというものとして末永く次世代へ引き継いでいただきたいと思います。
 東京大会は、開催直前まで、開催延期、中止など様々な臆測が飛び交い、立憲共産等による政治利用やネガティブな報道もありました。
 しかし、大会が終わった今、参加したアスリートの方々や大会を見守ってくださった多くの都民、国民の皆様が、この大会をどのように受け止めておられるのか、それこそが大会の真価を決定づけるのではないかと思っております。
 アスリートの方々や国民の皆様は、この東京大会をどのように評価したのか、ご認識をお伺いします。

○川瀬計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 東京二〇二〇大会に対する国民の関心は高く、国内でのテレビ視聴率につきましては、オリンピック開会式が五六・四%、パラリンピック開会式は二三・八%でありまして、リオデジャネイロ大会のオリンピック開会式の二三・六%、パラリンピック開会式の七・八%より、視聴が大幅に伸びたと組織委員会から聞いております。
 また、オリンピック・パラリンピックそれぞれの大会終了後に実施された全国世論調査によりますと、オリンピック開催については約六割が、パラリンピック開催については約七割がよかったと回答しております。
 さらに、国内、海外のアスリートがインタビューやSNSなどを通じて、大会関係者やボランティア等に対し、日本の皆さんの協力のおかげで、私たち何千人ものアスリートが今日ここで競技をし、夢を実現することができました、コロナ禍で開催していただき、ありがとう、地元東京のオリンピックでプレーできたことは本当に幸せですといった感謝の気持ちを表していました。

○谷村委員 今ご答弁いただきましたけれども、オリンピックは六割の方が、パラリンピックでは七割の方から、開催してよかったという声が上がっております。このことは誇りに思っていただいてよいのではないかと思います。この大会の成果を、都民、国民の皆様、そして世界に向けて発信していただき、今後の都政の発展へとつなげていただきたいと思います。
 これまで、東京大会の意義や、大会が安全に開催されたことなどを確認してまいりましたが、最後に、大会経費の整理という課題が残されております。
 私自身、五輪文書等管理条例を議員提出議案として提出し、質疑では答弁に立たせていただき、成立させていただくことができました。
 また、大会経費については、昨年の本委員会の事務事業質疑において、様々な角度から議論をさせていただいたところであります。その際、大会経費の執行について、その状況を適宜確認、把握するとともに、都が経費を負担する共同実施事業については厳しく管理を行うべきと求めました。
 その後どのように取り組んでいただいたのか、お伺いをいたします。

○菅原調整担当部長 大会経費の執行につきましては、組織委員会の収入と支出の状況について毎月報告を受け、前月からの変動要因などを確認することにより、キャッシュ・フローの状況などを継続的に把握し、ホームページで公表しております。
 また、共同実施事業については、共同実施事業管理委員会の下に設置している東京都作業部会をこれまでに九十六回、パラリンピック作業部会を二十二回、新型コロナウイルス感染症対策作業部会を十五回開催し、延期に伴い生じた追加経費も含め、必要性、効率性、納得性などの観点から、一つ一つの案件について経費の精査と確認を行ってまいりました。
 特にコロナ対策関連の経費については、水際対策、入国後の移動、行動管理、健康管理など感染防止対策に係る事業が新たに必要となる中で、コロナ対策作業部会において経費の精査と確認を行ってまいりました。
 こうした取組により、コスト管理と執行統制の強化を図りながら、安全・安心に大会を開催するための準備を円滑かつ着実に進めてまいりました。

○谷村委員 大会経費の全体については、毎月、組織委員会の収入と支出をチェックし、また、公費を負担する共同実施事業については、新たに対応が必要となったコロナ関係の経費も含め、一件一件、きちんと精査と確認を行ってきたとのご答弁でありました。
 大会が終了したことにより、新たな契約締結というものは限られるかもしれませんが、引き続き精査をお願いしたいと思います。
 コロナ禍での開催となった本大会では、安全・安心を確保するため、最終的に多くの会場で無観客開催という苦渋の決断をしました。その結果、当初予定していたチケット収入が減り、組織委員会の収支が不均衡となることが懸念されております。
 都議会公明党は、さきの定例会において、コロナ禍という特別な状況下での開催であったことを踏まえ、赤字になった場合には、国に対して応分の負担を求めるべきであると強く主張しました。
 改めて都の見解をお伺いしたいと思います。

○菅原調整担当部長 大会の開催に当たり、組織委員会、国、東京都の三者は、平成二十九年五月の大枠の合意による役割、経費分担に基づき、連携協力して大会準備を進めてまいりました。
 大会の延期後も、延期に伴う追加経費や新型コロナウイルス感染症対策が必要となる中、これらの経費について明らかにし、それぞれの役割を果たしながら、組織委員会、国とも一体となって取り組んでまいりました。
 一方で、コロナの影響によりまして、オリンピックとパラリンピックにおける観客は大部分が無観客となり、これに伴うチケット収入の減少が見込まれております。
 大会経費については、現在、組織委員会において収入及び支出両面における精査を進めているところであり、今後とも、都民、国民の理解が得られるよう取り組んでまいります。

○谷村委員 最終的な経費や負担については、都民、国民の皆様に丁寧にご説明し、理解を得ていく必要があると思います。都としてしっかりと取り組んでいただくよう強く求めておきます。
 東京大会の閉会から、はや二か月が経過しました。東京大会に参加した選手は、オリンピックでは、過去最多と並ぶ二百五の国、地域から約一万一千人、パラリンピックでは、リオ大会を上回る百六十二の国、地域から約四千四百人となっております。特にパラリンピックの選手数は過去最多となりました。
 選手のパフォーマンスも高く、オリンピックでは二十六個、パラリンピックでは百五十七個の世界新記録が誕生しております。
 困難を乗り越え、世界中から集結したアスリートの皆様のご活躍を、全世界の人々が一体となって、心の底から応援することもできました。まさにコロナ禍にあって分断された世界をスポーツの力で一つにした大会といえます。
 都においては、大会を開催した意義を改めて受け止めていただくとともに、大会の取組を一過性のものとして終わらせるのではなく、今後の大都市東京のレガシーとして発展させ、そして将来に継承していただくよう求めて、質問を終わらせていただきます。

○とや委員 まず、質問に入る前に、今、公明党の谷村委員より、何度も、例えば立憲共産党という言葉があって、それに続けて、事実と違うと見られるような発言が何度か見られました。
 立憲共産党などという会派も政党もありませんので、そういった事実と違う文言については削除することを含めて、ぜひ適切な対応を委員長にお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

○白戸委員長 本件に関しては、理事会で協議したいと思います。

○とや委員 政党や会派がそれぞれの立場に基づいて政策を議場で述べる、そして論戦をする、理事者に対して。そういったことは大いにやるべきだと思います。だけれども、特定の人物や会派や政党を誹謗中傷するようなことというのは、やっぱり間違っていると思います。私は、議会の役割として非常に恥ずかしい、そのことを申し上げておきたいと思います。
 それから、東京五輪についてです。
 オリンピックが終わって、多くのアスリートの皆さんたちの活躍にもかかわらず、暗たんたる気持ちでいるという有識者の皆さんの指摘があったり、前代未聞の延期を経て、コロナ禍でもオリンピックやパラリンピックが開催されて、国民の皆さんにはあらゆる自粛を求める一方で、それとは相入れない世界的なイベントを行ったということに対して、多くの人たちから危惧の声も寄せられました。四十万人を超える人たちから署名も集められて、記者会見まで行われて、やっぱり命を大切にしてほしいという声がありました。
 感染拡大は非常に大きく広がって、八月は新規感染者のピークが大会期間中に発生して、五千人を超えたという日もありました。そういう中で、八月は、医療にかかれないで自宅療養中で四十四人の方も亡くなったと。そういう大会だったというふうに私たちは思っています。そういう意味でも、私たちとしては……(発言する者あり)この大会がどんなものであったのかということを、あらゆる立場から……(発言する者あり)検証すべきだというふうに思います。
 委員長、質問をしているので、私、聞こえなくなっちゃうんですよ。不規則発言をやめさせてください。
 東京都の教育委員会の委員や、六月まで日本オリンピック委員会、JOCの理事も務められた山口香さんは、コロナ禍での五輪とパラリンピック、開催国の日本は大きな宿題をもらったとおっしゃっています。メダルが取れた、感動したで終わらせず、持続可能なオリ・パラを考えるためにも、様々な角度からの検証が必要だと述べていらっしゃいます。
 こういう下で行われたオリンピック・パラリンピックですから、職員の皆さんも本当に大変だったと思います。いろんな声がある中で、現場の人たちがご苦労したというお話はたくさん聞いています。そういう意味で、皆さんには感謝もしたい。だけれども、その一方で、検証をしっかりやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 その山口さんは、今さらですがと前置いた上で、この時期の開催は残念でした、もう少し延期できれば、もっとみんなが楽しめた、選手たちには完全な形でやらせたかったし、国の活力にも貢献できたと思う、感染状況を考えると、政府や東京都は国民の安心・安全を担保できたとはいえない、外国選手が大会をアメージングと称賛する一方で、日本人は入院もできず自宅療養中に亡くなっているというギャップは異様で、何をするにも、決まったから引き返せない、立ち止まれないという思考は危険ですとおっしゃっていました。
 東京での開催は終わりましたが、今後のオリンピックはどうあるべきか、教訓をしっかり生かすためにも十分な検証が必要だと、重ねて申し上げておきたいと思います。
 コロナ対策とか、財政問題とか、重要な検証項目が多くあるのですけれども、今日は、幾つかの懸念される課題について伺っていきたいと思います。
 先ほども少し出ていましたが、まず、食品ロスの問題です。
 小池知事は、二〇一八年三月に開催された東京都食品ロスもったいないフェスタで、オリンピック選手村をつくる際、選手の皆さんに日本の食材を提供しつつ、食材が余らないように工夫しながら運営していこうと考えていると発言していますが、東京二〇二〇大会の持続可能性に配慮した運営計画と飲食提供に係る基本戦略はどのように生かされたのか、伺います。

○高角連携推進担当部長 組織委員会では、持続可能性に配慮した運営計画におきまして、資源管理分野の目標として食品廃棄物の発生抑制を掲げており、効果的な食品ロス対策を講じることとしております。
 これを踏まえ、選手村等においては、飲食提供に係る基本戦略の中で示されました、食べ切れる量を考慮して料理の給仕量を調整するポーションコントロールや、飲食提供数の予測など、ICT技術等も活用して食品ロス削減に取り組んだところでございます。

○とや委員 効果的な食品ロス対策を検討し、食品ロスの削減に取り組んできたということです。
 しかし、実際に開催された大会では十三万食の弁当などが廃棄されたと組織委員会が発表し、報道もされています。
 食品ロスが生じた場所と量についてお答えください。なぜ大量のロスが生じたのか、原因と検証結果についても伺います。

○高角連携推進担当部長 組織委員会によれば、開会式当日のオリンピックスタジアムにおいて約四千食の余剰が生じていたことを確認しており、弁当の発注段階における予定見込みと、その後のスタッフ等のシフト変更による当日の実需との間に誤差が生じたことが一因だとしております。
 その後、各会場におきまして発注量の適正化措置を取った結果、余剰は、オリンピックの閉会式で約二百食、パラリンピックの開会式で約百食まで改善したとのことでございます。
 組織委員会では、大会本番の体制に移行した七月三日から八月三日までの三十二日間において、二十会場で約十三万食の余剰が出たことを確認しており、発生してしまった余剰分につきましては、飼料化リサイクル、バイオガス化に取り組んでいるところでございます。
 なお、大会全体の最終的な結果につきましては、組織委員会内で精査中と聞いております。

○とや委員 今回、コロナ禍の下で、観客数は春に決めるといっていたのが決められず、結局、開会二週間前になって無観客開催となりました。
 しかし、開会直前に無観客となったことがロスにつながったのかといえば、そうではなくて、今のご答弁にありましたとおり、開会式などは、スタッフなどのシフトの変更によって、予定数と実際の必要数に大きな差が生じてしまったということです。弁当の発注数は、日々、調整できるはずであったにもかかわらず、なぜ大量のロスが生じたのか疑問です。
 十三万食を単純に三十二日間で割れば、毎日、四千六十三食を廃棄していたということになります。廃棄率は二五%だというふうに報道されていて、大変な量だというふうに思いました。
 その気になれば発注量はコントロールできたし、事実、弁当廃棄が「報道特集」で報じられた後はロス数を減らしているわけですから、食品ロスの削減を掲げながら、なぜそこに注意を払わなかったのか、納得がいきません。
 持続可能性の運営計画あるいは飲食戦略には対策が明記されていました。どれだけしっかり予測され、対策が立てられていたのか。
 結局、運営委託会社、ケータラーに任せて、組織委員会として十分な対策が立てられていなかったんじゃないかと思うんですけれども、ここについてはどうでしょうか。お答えください。

○高角連携推進担当部長 繰り返しの答弁になりますけれども、選手村等におきましては、飲食提供に係る基本戦略の中で示されました、食べ切れる量等を考慮して料理の給仕量を調整するポーションコントロールや、飲食提供の予測など、ICT技術等も活用して食品ロスの削減に取り組んだところでございます。

○とや委員 結局、ポーションコントロールも、ICT技術も、「報道特集」で報道するまで、なかなか効いていなかったんじゃないかなというふうに思います。
 この報道を見た都民からは、フードバンクに行列ができる状況の一方で大量の食品ロスを出してしまうことに、批判の声も寄せられていました。
 ある都民の方は、五輪で弁当を廃棄したことに不信感でいっぱいだと述べておられました。その方は、子供に関わる仕事をしていて、夏休みにご飯を食べられているのかなという子供たちがたくさんいるそうです。
 また、別の方は、自分の働いているホテルが組織委員会に予約されているが、結局、誰も宿泊せず、用意した朝食を廃棄している、宿泊しないならしないで連絡をくれればよいのにと、毎日、用意した食事を廃棄するのはむなしいと情報を寄せてくれました。別のホテルでも同様のことが起きているという報道がありました。
 現場の皆さんは一生懸命やっていたのだと思いますが、外から見れば、一体、どんな対策を立てていたのかという疑問や怒りとならざるを得ません。
 大会全体の最終的な結果については、組織委員会内で精査中というご答弁もいただきましたが、メディアでも指摘されているとおり、全会場、全期間の食品ロスの量が明らかになっていません。
 選手村の食堂についても、大会の運営の方法上、二十四時間のビュッフェ形式で、食品ロスが相当出たのではないかと懸念されていますが、それも公表されていません。
 今後、全体の状況とその検証結果について、しっかりと情報公開をして、教訓として今後につなげていってほしいと思います。
 そして、こうしたロスの課題は食品だけではありません。未使用の消耗品などについても同じことがいえます。使われずに余った消耗品が廃棄されていたともいわれています。消耗品の調達額は五百万にも上ると。
 組織委員会も、あってはならないことをおわびすると述べたということですが、未使用の医療品などの扱いについて、東京都及び組織委員会の方針をお答えください。また、処分する場合はどのような手続を踏むのか、手続の要らない場合はあるのか、併せてお答えください。

○高角連携推進担当部長 東京都では、物品の管理事務に関しまして、東京都物品管理規則を定めており、再使用が可能なものや、職員が余分に所持しているものについては、物品管理者に回収、返還させ、再使用物品の優先使用に取り組み、いかなる用途にも供することができない場合に廃棄することとしております。
 また、組織委員会では、財産の管理及び処分を適正に行うため、財産管理処分規程を定めておりまして、財産の処分に当たっては、大会前から再使用、再生利用に取り組み、廃棄するのは、いずれも困難であるときに限ることとしております。

○とや委員 組織委員会では、財産管理処分規程に基づいて、大会前から再使用、再生利用に取り組んできたということですが、その規程が守られることなく、大会会場の医務室用に準備していたマスクやガウンの未使用分の一部が廃棄されたということです。
 では、廃棄されたものはどのくらいあったのか。報道に出ているのは一部の会場だと思いますが、その全容をお答えください。また、どのように活用されたのかも、併せてお答えください。

○高角連携推進担当部長 組織委員会では、大会前から調達物品の再使用、再生利用に取り組んでおり、廃棄するのは、いずれも困難であるときに限ることとしておりました。このため、未使用の医療用消耗品についても、宿泊療養施設への転用、会場の施設管理者及び協力医療機関に対する無償譲渡等を実施してまいりました。
 しかし、オリンピックのみで使用した九会場で撤収作業を急ぐ中、サージカルマスク六百六十箱、ガウン三千四百二十枚、消毒液三百八十本が廃棄されたと聞いております。
 その後は、保管場所を確保した上で、可能な限り有効活用できるよう、引き続き取り組んでいるところでございます。

○とや委員 今お答えいただいた幾つかの消耗品、廃棄されたものなんですが、これは報道の範囲だと思うんですが、これ以外はないという理解でよろしいのでしょうか。

○高角連携推進担当部長 大会全体の最終的な結果については、組織委員会内で精査中と聞いております。

○とや委員 こちらについても、まだ精査中ということで、まだ出てくるかもしれないということであります。
 今回の大量廃棄の原因と教訓をどのようにお考えなのか、お答えください。

○高角連携推進担当部長 組織委員会では、会場撤収に当たり、施設所有者への会場引渡しスケジュールや、未使用品の保管場所の制約が廃棄につながったとしており、その後、保管場所を確保した上で、有効活用の徹底に取り組んでいるところでございます。

○とや委員 保管場所を確保したと。
 制約があって、保管場所の制約が廃棄につながったということですが、保管場所はどこですか。

○高角連携推進担当部長 現在、組織委員会内で精査中ということで、詳細はこちらの方で精査中と聞いております。

○とや委員 いや、だから、どれだけの廃棄があったのは精査中というのは分かるんですが、保管場所を確保したとおっしゃるから、保管場所はどこですかと聞いているんですけれども、どこですか。

○高角連携推進担当部長 繰り返しになりますが、現在、組織委員会内で精査中と聞いております。

○とや委員 じゃ、保管場所もまだ見つかっていないということなのでしょうか。そこをちょっとはっきりしてほしいのですけれども。保管場所はあるけれども、確保したということであれば分かるんですけれども。だって、実際に物品があるわけだからね。
 それも今、探しているということなのでしょうか。そのくらいは分かるでしょう。お答えください。

○高角連携推進担当部長 組織委員会からは確保済みだと聞いております。

○とや委員 組織委員会からは確保済みだと聞いているが、場所についてはいえないということですね。
 保管場所の確保も、大会準備の段階から想定できたというふうに思います。併せて、消耗品などについては、先ほど出ていた財産管理処分規程が徹底されていたのかどうか、検証することも求めておきます。
 次に、関連して3Rの取組も重要です。
 大会前に、この委員会で選手村の設備や備品などの再利用について質問させていただきました。3Rの取組では、都や区市町村の公共施設への再利用など、組織委員会と検討を深めているというご答弁もありました。
 ルームエアコンについては、一部都有施設での活用も考えられるという答弁も返ってきていますが、選手村の再利用の、3Rなどの検討状況についてお答えください。

○斉藤選手村担当部長 選手村の宿泊棟で使用した主な設備としましては、組織委員会が調達したルームエアコン、給湯器、ユニットバス、トイレがございます。
 ルームエアコンにつきましては、組織委員会がリースにより調達をしているため、所有権を持つリース会社が全数量リユースする予定と聞いております。
 給湯器等につきましては、現在、組織委員会が、無償譲渡の希望があった都内自治体と譲渡時期、譲渡場所、費用負担等の具体的な条件の調整を行っております。
 ユニットバス及びトイレにつきましては、引き続きリユースに関する調整を行うなど、組織委員会と連携し、3Rに努めてまいります。
 引き続き、持続可能性に配慮した大会として、組織委員会と連携し、3Rの推進に取り組んでまいります。

○とや委員 ルームエアコンは、以前、お聞きしたとき、大体、一万五千台だというふうに聞いておりまして、全数量がリユースになるということです。給湯器は三千八百台が調整中と。ぜひ有効活用していただきたいと思います。さらに、ユニットバスは四千七百個分で、トイレは九百台と聞いていますが、リユースで調整中ということです。
 これは、大会前の質疑の中でもそのような答弁があったわけですが、なぜ今になっても調整中なのか分かりません。大会前から見通しを持って活用方法を検討していると私どもは理解していましたので、ちょっと驚いています。知事も、こうした問題については力を入れていたわけですから、有効活用を早急に決めていただくように求めておきます。
 暑さ対策についても伺っていきたいと思います。
 二〇二〇大会招致をめぐって、組織委員会は気候に関して、温暖で晴れの日が多い東京の夏は、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できる理想的な気候とアピールしていました。しかし、現実はどうだったか。
 暑さについては、大会前から開催時期そのものの変更、ガイドラインの策定等、私どもも意見を述べてきましたが、この問題についてもしっかりと検証することが必要です。
 大会で熱中症になったアスリート、関係者、棄権したアスリートは何人いらっしゃいますか。

○梅村運営推進担当部長運営担当部長兼務 組織委員会によりますと、大会期間中に発生した熱中症患者数は百八十四名であり、そのうち、選手が七十五名、大会関係者が百九名でありました。
 各競技種目の結果につきましては、棄権も含め、組織委員会から試合後に公表されておりますが、全体として、各競技種目の棄権者数につきましては集計は行われておりません。

○とや委員 棄権者が何名出たのかは、組織委員会としても集計していないという答弁だったのですけれども、私はそれはおかしいと思っています。熱中症かどうかは別としても、何人の方が棄権したのか、そのくらいは把握していて当然だと思います。
 報道では、女子マラソンは十五人、男子マラソンでも、レース中に棄権する選手が相次いで三十人がリタイアしたと報道されています。
 出場したアスリートも棄権したアスリートもエントリーしていたわけですから、棄権したアスリートについても実態を把握することは、検証をしていく上でも不可欠ではないかと思います。正確に人数をつかんで公表することを求めておきます。
 暑さや熱中症で棄権者も出て、大会期間中に日程変更を行った競技もありましたが、その理由は何なのか。テストイベントを行っているはずなのに、これは生かされたのかどうか、お答えください。

○川瀬計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 組織委員会からは、台風、暑さ、降雨、雷等の気象条件による競技への影響については、あらかじめテストイベント実施の成果なども踏まえて対応方針が定められており、気象予報や当日の天候等を踏まえ、IOC、IPC、IF、組織委員会とが連携して、国際競技団体が定める暑さに関する基準等に沿って大会を運営したと聞いております。
 オリンピックでは、台風の影響により、アーチェリー、ボート、サーフィンが日時を変更して実施されました。
 また、暑さへの対応として、テニス、女子ゴルフ、女子マラソン、男子サッカーについては競技時間が、女子サッカーの決勝戦については競技時間と会場が変更されました。
 パラリンピックでは、暑さと降雨への対応のため、車椅子テニスの競技時間が、アーチェリーについては、雷の予報のため日程が変更されました。

○とや委員 テストイベント実施の成果等も踏まえて検討された方針にのっとって競技が実施されたということですが、万全に大会を、安全・安心に行っていくということで、大会までの間に、何度も日程変更とか時間の変更もされてきた。ですから、様々な経験を積んできたんじゃないかと思うのですが、今のお答えですと、テストイベントが生かされたのかどうか、ちょっと実態との関係で分からないというふうに申し上げておきたいと思います。
 分からないのが、日程変更や時間の変更、あるいは会場の変更をするに当たって、想定外の問題が生じたのか。そこはどうなのか。もし想定外の問題が生じたとしたら、それはどんなことなのか、お答えください。

○川瀬計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 組織委員会からは、台風、暑さ、降雨、雷等の気象条件による競技への影響については、あらかじめ対応方針が定められており、気象予報や当日の天候等を踏まえ、IOC、IPC、IF、組織委員会とが連携して、国際競技団体が定める暑さに関する基準などに沿って大会を運営したと聞いております。

○とや委員 基準に従って大会運営をしたということですが、特に暑さについては、例年とさほど変わらない酷暑だったというふうに思います。そういった中で、日程や時間を変更したという事態が起きています。当初から懸念された暑さに対する認識の甘さがあったのではないかというふうに申し上げておきます。
 東京都も、組織委員会も、暑さ対策の気象状況への対応には苦労したと私は思っています。東京の暑さと、それから湿度がどれだけ苛酷なものかは、先ほど申し上げたように、マラソン会場を札幌に変更したことや、熱中症患者が二百人近く出たことでも明らかです。こうした下で、厳しい暑さに対する批判の声が相次いで、急な日程変更をせざるを得なくて、スタッフの皆さんも困惑したという事態なのかなと思います。
 報道では、医療スタッフからも批判の声が上がって、暑さについては予想どおりであり、酷暑による会場変更は到底正当化できるものではないと猛省を促しているという報道もありました。
 実際、具体的に選手や関係者からどのような声が上がっていたのか、お答えください。

○川瀬計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 組織委員会からは、暑さへの対応として日程変更が直前となった競技については、一部のアスリート等から批判の声もあったものの、IOC、IPC、IFと十分な協議、連携を図ったことにより、全体として、競技運営のための適切な対応と受け止められ、大きな混乱もなく実施されたと聞いております。

○とや委員 一部のアスリート等から批判の声はあったといってらっしゃいますが、具体的にどのような声があったのかはお答えいただけませんでした。
 トップの選手がフィニッシュラインで倒れ込み、嘔吐、その他の選手も次々倒れ、さながら戦場のような光景となったトライアスロン男子のゴール地点だとか、残忍な湿度とか、死ぬかもしれないとか、今まで経験した中で最悪の暑さと、相次ぐ選手たちからの苦情を受けて、試合開始時間を変更したテニスもありました、女子アーチェリーの試合後には、選手が熱中症で気を失い、担架で運ばれる事態ともなりましたと、こういった報道もあります。
 開催時期については、当初から様々な指摘が各方面からあったり、私どもも、苛酷な夏の開催がアスリートファーストといえるのかと、時期の変更も含めて意見を述べてまいりました。しかし、結局は、アスリートファーストだといいながら、最後はIOCの決断、都合で決められたというのが実態ではないでしょうか。ここについても、しっかりと検証する必要があると思います。
 オリンピック憲章の人権尊重の理念を生かす意味でも、今後の大会は、どこの都市がこれからなっていくか、開催都市になるかにもよりますが、開催時期の再検討が求められているのではないかと思います。開催都市として、IOC、組織委員会など関係者に、ぜひ率直に総括するよう求めることを要請しておきます。
 次に、大会関係者の輸送に関わったバスの運転手さんの問題について伺います。
 二十四時間体制で大会関係者やメディア関係者の輸送に携わったバスの運営についてですが、この運営は、組織委員会から近畿日本ツーリストに一括委託をされているわけですが、委託内容についてお答えください。また、輸送体制と実績について伺います。

○松本担当部長輸送担当部長兼務 大会関係者を輸送するバス調達や運用等については、組織委員会がKNT-CTホールディングス株式会社と委託契約をしてございます。
 この委託には、一日最大でバス車両約二千二百台及び運転手約二千三百人の確保、運行計画、運行管理、精算などの業務がございます。

○とや委員 一日最大二千二百台のバス、二千三百人の運転手を確保したということです。
 今回のオリンピック・パラリンピックは、新型コロナ対策として、いわゆるバブル方式を取って、感染防止対策は万全にして、選手は毎日PCR検査をするし、スタッフも必要な頻度でPCR検査を行うとなっていました。それで、実際にバスの運転手さんが二千三百人、全国からコロナの緊急事態宣言中のこの東京においでになったわけです。
 ところが、来てみてびっくりです。感染防止をしながら安全にバスを運行するには、この勤務環境、宿舎環境では不安が大き過ぎると、私たちにも相談をいただいたわけです。
 バス運転手の宿泊場所は、組織委員会が手配した国立オリンピック記念青少年総合センターでした。A棟、定員五百人、二十から三十の部屋が一つのユニットになっていて、六畳ほどの個室にはシングルベッドがあるだけ。ユニット内でのトイレ、洗面所、シャワーが各二つずつ共用です。ポットや冷蔵庫も共用です。
 乗務員に配られた小冊子には、感染対策として三密を避けるなどが列記されていますが、朝は、歯磨きや洗面、ひげをそる人、髪を染める人などで、洗面所もトイレも行列ができている、お風呂は浴槽が使えず、シャワー二つだけで、足拭きマットがいつもびしょびしょだった、タオル類やシーツの交換は五日ごとの交換だ、コインランドリーのない棟もあって、別の棟に行くものの、いつ行っても誰かが使っていて、いまだに自分のものは洗えていない状況だと伺いました。
 感染対策は全然なっていない、換気もしていないし、手洗いといったって消毒液があるくらい、施設の中ではマスクを外している人もいて、生活部分が共用なので、ずっとつけているのは無理があるということなんだと思うんですけれども、お風呂とトイレ、洗面所は個室にないと感染者が出ると思う、エレベーターに乗るのも怖い、みんなとんでもないところに来たと驚いているというお話でした。
 宿泊施設の環境、食事の提供など運転手の処遇、コロナ対策はどのように行ったのか、お答えください。

○松本担当部長輸送担当部長兼務 大会関係者の輸送に従事するバス運転手の宿泊施設は、一日当たり三千室超の確保が必要であることや、費用、車両基地からの利便性、運転手の管理面等を考慮し、組織委員会が国などの研修施設などを活用いたしました。
 宿泊施設では、バス運転手一人当たり一部屋を当初から割り当てていたほか、新型コロナ対策として、消毒液の設置、施設共用部の定期的な消毒など、適切に実施しておりました。
 また、築地の車両基地では、地元商店街からの出店やキッチンカーの配置など、個々の運転手が食事を購入できる環境を整えておりました。
 ワクチン接種につきましては、都の大規模接種会場での機会を確保し、一般社団法人東京バス協会を通じて希望する運転手の接種を促したほか、バス運転手のPCR検査を定期的に実施し、結果として新型コロナウイルスの陽性者は発生いたしませんでした。

○とや委員 一人一部屋といいますが、部屋にあるのはベッドだけで、あとは共用だけだったのです。全国各地から来て、知らない者同士で密になる上に、順番待ちということでは、安心して疲れを取ることができません。命を預かり、慣れない東京の道を走るのですから、しっかり休息して体調も整える必要があるのに、それができる環境ではないということです。
 また、ワクチン接種は東京バス協会を通じて促進したということですが、それは都内のバス会社の乗務員の話です。乗務員は全国から来ています。
 ある乗務員の方は、ワクチン接種を申し込みましたが、ワクチンの不足で打てなかったといいます。ワクチンを打ってほしいと会社側に頼んだ運転手もいました。会社側は優先接種を打診しましたが、駄目でした。ワクチンを打っていないから怖い、こんな施設は嫌だと怒って帰った乗務員もいたといいます。
 PCR検査も、その役割とアスリートとの接触のレベルに応じて定期的に実施とされていたものの、当初は全く受けられず、やっと実施されても七日に一回ということで、海外選手やメディアを輸送しているのに少な過ぎるという声も聞きました。
 大会中に生じたバス運転手の処遇をはじめとした課題をどのように認識していますか。組織委員会と協議し、検証、改善はしたのでしょうか。

○松本担当部長輸送担当部長兼務 大会関係者輸送の担い手であるバス運転手が安心して業務に携われる環境づくりが重要であり、宿泊施設では、当初より運転手専用のフロントを設置し、二名二十四時間体制で運転手の要望を伺い、迅速に改善する体制を取っておりました。
 例えば、洗面所等が共用である一部の施設では、共用部が混雑することがないよう、一つのフロアで出勤時間の異なる運転手を組み合わせて部屋を決めたほか、希望者へのリネン交換、アメニティーの提供など、きめ細かく対応いたしました。
 運転手の声を聞き、改善に努めたことで、円滑な大会輸送につながったものと認識してございます。

○とや委員 運転手の声を聞き、改善に努めたのは当然です。シフトの組合せで部屋を決めたというのは、地方からの運転手さんは一定期間で交代しますから、その際の部屋割りで徐々に改善していったということですよね。リネン類の交換も、シーツとバスマットはされたが、バスタオルは対応もしてもらえなかったと。デポのサーモグラフィーも、後からやっと設置されたという話も聞きました。
 組織委員会の側からすれば、要望に応じ改善したということなのかもしれませんが、運転手の側は、何もぜいたくな要望をしたわけでもなくて、感染防止や安全に働く前提すら整っていなかったということになるのだと思います。
 そもそも、新型コロナ感染拡大の緊急事態宣言下での感染防止対策が必要な状況で、宿泊場所が青少年が交流する研修をするための施設でよかったのかということがあると思います。せめてビジネスホテルを取ってほしいという声も、私、聞いていますから。
 小池知事は大会の成功の側面しかいいませんが、大会を支える全ての人たちの人権を尊重したものになっていたのでしょうか。こうした問題も、開催都市と組織委員会の課題として、総括にしっかりと盛り込んでいただくことを求めておきます。
 最後に、多様性について伺うのですが、東京都は二〇一八年に人権条例を定めています。条例は、二〇二〇大会を見据えて、性的マイノリティーを理由とする差別のない東京の実現や、ヘイトスピーチのない東京を実現しようと、新たな人権課題にも光を当てるものです。
 そして、多様性と調和が今回の大会のフレーズとして使われました。
 新宿には、日本初の常設のLGBTQセンターであるプライドハウス東京レガシーが開設し、東京大会の理念を象徴する公認の施設に選ばれています。
 東京都が、二〇二〇大会終了後も多様性を尊重する社会にふさわしい役割を果たすことが求められています。
 開催都市本部会議資料の二〇二〇大会がもたらした価値では、史上最も多様性あふれる大会と項目を設け、オリンピックでは、性的マイノリティーであることを明かして参加する選手の数が過去最多の百八十二人に上り、一六年リオ大会の三倍になり、パラリンピックでも過去最多の二十八人で、同じく二倍になったとあります。
 この要因をどう考えますか。

○川瀬計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 二〇一四年十二月、IOCはオリンピック憲章を改正し、性的指向による差別が禁止されることとなりました。
 また、組織委員会は、多様性と調和という大会ビジョンの基本コンセプトを踏まえ、性的マイノリティーの方々などの権利の尊重を盛り込んだ持続可能性に配慮した調達コードの策定や、職員へのLGBT研修などを行いました。
 都も、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例を制定し、大会を支えるシティキャストや都職員を対象にした研修を実施するなど、大会を通じた人権尊重の理念の実現に取り組んでまいりました。
 このように、東京二〇二〇大会開催に至るまでの間、様々な関係者が性的マイノリティーの方々が大会に参加しやすい環境づくりを進めてきたところであります。

○とや委員 私は、二〇一九年十一月のオリンピック・パラリンピック及びラグビーワールドカップ推進対策特別委員会、ここでLGBTの問題について取り上げております。その際、紹介したのが、誰も排除しないスポーツ環境づくりのためのハンドブックです。
 その中にはカミングアウトを支えようという項もあって、一六年のブラジル五輪で、五十人以上の選手がLGBTQであることをカミングアウトしたけれども、日本人選手は誰一人いなかったということが記載されています。それだけ日本のスポーツ界はカミングアウトが難しい状況なのですと記載されています。
 今回の大会でカミングアウトした日本人選手はいらっしゃいますか。

○川瀬計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 IOC、IPC、組織委員会では公式にカウントしていないとのことでありますが、日本人選手がいないという一部報道がされていることは承知しております。

○とや委員 東京都が人権条例を定めて、今ご答弁でも様々な努力をしてきたといっているにもかかわらず、その報道は承知しているという答弁だけで済まされるのかなと思います。ここは厳しく指摘をしておきます。きちんと東京都としても、本当に多様性を尊重するのであれば把握しておくべきだと思います。
 LGBTQ選手が過去最多となった背景について、LGBTQに関する情報発信施設、プライドハウスを運営している松中権さんは、海外では、欧米を中心に八十以上の国でLGBTQへの差別を禁止する法律ができて、同性同士でも結婚できるなど、婚姻の自由を保障する国も増えている、それに伴ってLGBTQに対する社会の理解度や受容度が高まり、カミングアウトしやすくなったとおっしゃっております。
 東京都は、いかなる種類の差別も許されないという、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念が広く都民等に一層浸透した都市となることを目的として条例を制定しているわけです。
 二〇二〇年大会開催都市の東京では、大会を契機に、条例の精神、特に多様な性の理解の推進が、レガシーとしてこの東京で生かされる環境があるとお考えでしょうか。

○川瀬計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 性的マイノリティーであることを公表するかしないかというのは、本人の自由な意思に基づくべき行為であると認識しております。
 都としては、引き続き、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例に基づき、多様な性の理解を推進するとともに、性的マイノリティーの方も含め、全ての人に優しい社会づくりに向けて取り組んでまいります。

○とや委員 カミングアウトするかどうかは本人の自由です。そして、カミングアウトをちゃんと自分がしてもいいんだということを保障するのは東京都の責任だということですよ。
 総務局が基本方針を策定しているのは存じ上げていると思いますが、二〇二〇年の大会で、海外のアスリートが過去最多のカミングアウトをしているにもかかわらず、日本のアスリートができない現状を考える必要があると思います。
 プライドハウスでは、東京大会に合わせて作成した、先ほど紹介したハンドブックと合わせて二種類あるのですが、松中さんは、これらをオリンピック・パラリンピックが終わった後も、スポーツ大会など様々な場面で指針としてほしいと述べています。
 多様性と調和のスローガンを一過性のものとせず、根づかせていかなければならないともいっているわけですが、こうした当事者の声を、局としてどのように受け止めますか。

○川瀬計画推進部長競技・渉外担当部長兼務 当局は、東京都スポーツ推進総合計画というものを既に策定しているところでありますが、性的マイノリティーの方について、正しい知識と合理的配慮を心がける必要があると定めております。
 東京都のスポーツ振興におきまして、誰もがスポーツを楽しむことができるよう取り組んでいるところであります。

○とや委員 誰もがスポーツを楽しみたい、それが、性別に関係なく、性的指向に関係なく取り組んでいきたいと、その意向を尊重して計画を立てて、それが実効あるものにしていくということは非常に重要だと思うんですよ。そこをしっかりと受け止めるべきだと思いますよ。先ほどの答弁を聞いていて、私、ちょっとどうなのかなと思いましたね。それは厳しくしておきます。
 今回、先ほども申し上げましたけれども、前代未聞の延期を経て、コロナ禍でオリンピック・パラリンピックが開催されてきました。国民にはあらゆる自粛を求める一方で、それとは相入れない世界的イベントを行うことは、国民に誤ったメッセージを発出することになって、結局は、医療にかかれず、感染は広がって、新規感染者のピークが大会期間中に発生し、五千人を超えたというお話もさせていただきました。
 今回の大会は、今日取り上げたテーマだけでも多くの検証材料があるということが明らかになったと思います。今後、どの都市で開催されたとしても、人権尊重の理念が生かされる大会にするために、東京都の役割は本当に大事だと思っています。
 ぜひ東京都も、組織委員会としても、連携をしながら十分な検証をすることを求めて、質問を終わります。

○白戸委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間の休憩をいたします。
   午後三時三十三分休憩

   午後三時五十四分開議

○白戸委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行します。
 発言を願います。

○斉藤(り)委員 まず初めに、障害者スポーツについてお伺いいたします。
 今年の夏、東京都では、とても難しい環境下で東京二〇二〇大会を実施しました。大会開催については、都民の中で様々な意見がありましたが、各国のアスリートが見せるスポーツと自己実現の圧倒的な魅力は、多くの国民を感動させ、多くの障害を持つ人たちを勇気づけたと感じています。
 特に障害を抱える子供たちにとっては、私もチャレンジしたいと思う機会の創出に確実につながっていると感じていますし、世界の舞台で活躍する夢を見る子供たちも少なくないと思っています。
 他方で、国内において障害者スポーツをめぐる環境整備はまだまだこれからの部分も多く、せっかくの東京大会での機運が高まり、国民理解も高まる今だからこそ、障害者スポーツの推進を多角的に考えていく、行動していくことが、東京二〇二〇大会のレガシーポリシーとも合致すると考えています。
 そこでお伺いしたいのは、アスリートの強化や競技の普及は競技団体が担っていますが、今回、国内外から光が当たったパラアスリートの競技力向上に向けて、都は競技団体にどのような支援を行っているのか、お聞かせください。

○加藤障害者スポーツ担当部長 都は、パラリンピック競技のほか、知的障害者サッカーや聴覚障害者バレーボールなど、障害者スポーツ競技団体に対しまして、練習会や強化合宿等に係る活動経費の助成を行っております。
 また、競技団体の体制強化を図っておりまして、今年度は、コンプライアンス等に関する講習会の実施や、専門的知識を有する企業人等のボランティア活動であるプロボノを活用し、運営体制強化の支援に取り組んでおります。
 さらに、弁護士による助言等により、団体に対し、法人格取得に向けた支援を行っております。
 今後とも、競技団体が障害者スポーツ振興におきまして主体的な役割を果たせるよう、支援してまいります。

○斉藤(り)委員 パラリンピック期間中は、競技の中継、配信のほか、アスリートの紹介などがメディアで取り上げられ、多くの人が障害者スポーツに触れることができました。
 スポーツを通じた仲間づくり、健康や身体機能の維持、世界大会出場など、スポーツとの関わりは、障害者一人一人、千差万別でありますが、スポーツをしたいという気持ちに応えられるよう、競技団体を支援するとともに、ニーズに合った取組を進めていただきたいと思います。
 障害者スポーツにおいては、パラアスリートなどのトップアスリートが活動に専念しやすい環境を整えていくことは、とても大切なことであります。その一方で、各方面から障害者スポーツへの理解や参加を促していく取組も、同じように重要です。
 また、パラリンピックは、どうしても肢体不自由者の競技が多い大会ですが、障害者スポーツに関心が高まっているこの機を捉え、知的障害や聴覚障害などの様々な障害者スポーツにしっかりと光を当てていく工夫も大切な点になります。
 都は、幅広い障害者スポーツの普及にどのように取り組んでいるのか、お聞かせください。

○加藤障害者スポーツ担当部長 都は、パラリンピック競技はもとより、肢体不自由の方や聴覚障害、知的障害の方などが取り組むパラリンピック競技以外のスポーツにつきましても、普及啓発に取り組んでおります。
 具体的には、障害者スポーツ専門ポータルサイトによりまして、脳性麻痺の方が行うサッカーや視覚障害の方向けの卓球など、様々なスポーツの紹介などを行っております。
 また、今後は、競技スポーツに本格的に取り組みたい方向けの情報サイトを開設いたします。
 さらに、都立特別支援学校活用促進事業におきましては、弱視の方を主な対象としたロービジョンフットサルや、聴覚障害者卓球などのスポーツ教室を実施いたしますとともに、参加体験型イベント、チャレスポTOKYOにおきましても、パラリンピック競技だけでなく、多様な体験機会を提供しております。
 こうした取組を通じまして、東京二〇二〇大会後の機運の盛り上がりも生かしながら、障害者スポーツの普及を図ってまいります。

○斉藤(り)委員 多様な対象を巻き込んでいくためには、様々な角度からの施策が重要になりますので、ぜひ引き続き取組をお願いしたいです。
 また、これは質問というよりもお願いになりますが、冒頭にお伝えしたように、障害を持っている子供たちが、私もチャレンジしたいとなったときに、気持ちよくそのチャレンジの背中を押してあげられる環境をつくっていくことがとても重要だと感じています。
 特に障害を持つ子供の保護者の方々は、とても大変なご苦労をしながらも、子育てに向き合っていると思います。その保護者の皆さんが、いざ我が子が障害者スポーツなどに意欲的になったとき、その自己実現の可能性が出てきたときに、それを応援してあげられる環境を整えていくことが本当に大切だと感じています。
 そのためには、周囲がそうした障害者スポーツや障害を持つ人たちへの理解を高めていくことしかありません。それはまさに教育の分野ですし、学校教育、社会教育の両面で保護者の方々へのサポートを通じて、子供たちの未来を描くサポートもしていければと思っています。
 さて、話を元に戻すと、先ほどの話とも関連しますが、障害者スポーツの体験の機会を設けたり、大会や競技紹介など様々な情報を発信するなどにより普及に取り組んでいるとのことでした。
 障害者スポーツへの関心がこれからも続くよう、こうした取組を継続し、さらには強化していただきたいと思います。それが結果的に、障害を持つ当事者や保護者などの周辺への理解や配慮につながると思います。
 そうしたことのために、東京二〇二〇大会のレガシーをどのように残していくかが大切な点になります。
 私は、すばらしい環境がそろっている東京都において、トップレベルの障害者スポーツ大会を開催していく、誘致していくことも一つの有効な手段だと考えています。そうした大会は、パラリンピックがそうであったように、障害者スポーツへの理解を促し、そして、楽しんでもらう機会の創出になります。
 障害者スポーツは、国内外に様々な大会があります。障害の種別によってもいろいろありますが、都はこれまで、国際的な障害者スポーツ大会について調査を実施していますが、その調査内容をお聞かせください。

○加藤障害者スポーツ担当部長 都は、障害者スポーツの振興に資するよう、様々な障害者スポーツの国際大会の開催につきまして、必要な事項を調査しております。
 令和元年度は、これまでまとまった資料がなかった国際的な障害者スポーツ大会につきまして、文献やヒアリングによる調査を実施いたしました。
 令和二年度は、大会実施の主体となる競技団体等の運営体制や活動状況に関する調査を実施いたしました。
 今年度は、運営主体でございます競技団体以外の各種ステークホルダーの関わりにつきまして調査を実施しております。
 今後も、こうした調査結果も活用しながら障害者スポーツの振興を図ってまいります。

○斉藤(り)委員 私は、都民の皆さんに、パラリンピックに限らない障害者スポーツの奥深さと興奮と、何よりも感動を知っていただきたいと考えています。そうした多様な大会を通じて、東京が真のダイバーシティになっていくと信じております。今後の調査、大会開催や誘致の検討を、何とぞよろしくお願いいたします。
 さて、東京二〇二〇パラリンピック大会は、一人一人がお互いを認め合う多様性と調和の重要性を改めて認識し、共生社会を育む契機となる大会でした。
 障害者スポーツの普及促進活動は、打ち上げ花火方式で、一度大きな大会を開催して、それで終わりではなく、定期的、持続的に行うことが大事だと考えます。
 そして、この理念の実現に向けては、障害のある人とない人がパラスポーツを通じて交流し、相互理解を深めていくことが大切だと考えます。
 都は、世界で初めて二回目のパラリンピックを開催した都市として、こうした交流の機会を積極的に提供していくことが必要だと考えますが、都のこれまでの実績と今後の取組について伺います。

○加藤障害者スポーツ担当部長 都は、障害の有無にかかわらず、誰もが共にスポーツを楽しめるよう、都立特別支援学校の体育施設を活用し、体験教室を実施しております。
 令和二年度は、八校のグラウンドで十八種目、計二十六回、オンライン形式で三種目、計二回開催いたしました。
 体験教室には、実施校の在校生、福祉施設利用者、近隣住民、ボランティアなど様々な方にご参加をいただきまして、参加者数は五百八十八人でございました。
 実施後のアンケートでは、障害のある人とない人がスポーツを通じて一緒に交流できて、よい経験となったなどの声をいただいております。
 今年度は、年度末までに、二十六校のグラウンド等で三十三種目、計九十七回開催予定でございまして、十月末までに十九種目、計二十五回実施をいたしました。また、九月と十月には、オンライン形式で二種目、計二回実施をいたしました。
 今後とも、スポーツを通じた障害のある方とない方の交流の促進に努めてまいります。

○斉藤(り)委員 体験教室には、障害者だけでなく、近隣住民の方を含め様々な方が集まり、交流を深めているとのことでした。引き続き、身近な場所で、障害のある人もない人も共に参加ができるこのような機会を継続的に提供していただくことを求めておきます。
 さらに、東京二〇二〇大会後も継続的に障害者スポーツを発展させていくためには、大会後の関心の高まりを生かして、障害者スポーツを理解し、支える企業を増やしていくことが必要です。
 都では、競技団体と企業等をつなぐ障害者スポーツコンシェルジュ事業を実施していますが、これまでの成果と今後の取組について伺います。

○加藤障害者スポーツ担当部長 都では、平成二十八年度から障害者スポーツコンシェルジュ事業を実施しております。
 この事業では、東京都障害者スポーツ協会に企業等向けの相談窓口を設置いたしまして、障害者スポーツに関する情報提供や助言を行っております。
 相談窓口には、企業からの相談といたしまして、競技団体の具体的な支援方法を知りたい、社員に障害者スポーツのボランティアを体験させたい、顧客向けの体験会を開催したいなどがございました。
 また、平成二十九年度から、企業等と競技団体おのおののニーズのマッチングを図る交流会を開催しておりまして、今年度は十一月下旬に実施をいたします。
 交流会を通じてこれまでに実現いたしました具体的な支援の事例といたしましては、競技団体によるオンライン指導へのITツールの無償提供、競技の普及啓発用のVR動画を無償で作成し提供する、学生ボランティアの派遣による競技大会運営の支援などがございました。
 今後とも、多くの企業に障害者スポーツを支える活動に取り組んでいただけますよう、支援をしてまいります。

○斉藤(り)委員 これまでも、企業と競技団体をつなぐ取組を通じて具体的な支援の実例が生まれているとのことでした。障害者スポーツを支援したい企業や団体とのネットワーク構築を行っていますが、大変すばらしい事業だと思います。
 企業や団体が障害者スポーツに関わることを通じて、障害者スポーツを支える裾野が広がるだけでなく、ひいては社員一人一人にも障害に対する理解が浸透してくると考えますので、支える企業が増えていくよう、こうしたスポーツと企業のマッチングのための交流会を継続し、さらに強化していただきたいと思います。

○龍円委員 こんにちは。龍円あいりです。
 文教委員会の所属はこれで四年目になりまして、これが四回目の事務事業質疑となりました。
 私は今までインクルーシブな社会の実現を目指して、オリ・パラ準備局さんとはこれまで、スポーツのインクルーシブという観点から、スペシャルニーズ、障害のある大人も子供も、身近な地域で日常的に運動やスポーツを楽しめる環境を推進する観点から質問を続けてまいりました。
 パラリンピックが、今年の夏、無事開催されました。パラリンピックに向けて、スペシャルニーズのある方々のスポーツや運動が注目されまして、パラリンピック選手の方がおっしゃるには、パラバブルのような状態が続いてまいりました。
 重要なのは、これでバブルがはじけるのではなくて、レガシーとしてパラスポーツがしっかりと社会に根づいていくことと、そして、スペシャルニーズのある方々にとって運動やスポーツをしやすい環境がより一層社会に実装されていくことにあるかと思います。
 もしそれができなかったら、本当にもったいないことこの上ない状況なので、オリ・パラ準備局の皆様には、引き続き、スペシャルニーズのある方々のスポーツや運動のしやすい環境づくりに邁進していただきたいと存じます。
 パラリンピックをテレビ等で観戦したことで、スポーツや運動をしたいと感じた方や、本格的に競技に取り組んでみたいと、思いや夢を持った当事者の方々もおられることと思います。
 また、私のようにスペシャルニーズのある家族がいる者にとっても、家族が健康に体を動かして、本人が望めばいろいろな挑戦をする環境が整ってほしいとの思いを深めたことと思います。
 その中で、東京都が今年度から本格実施している都立特別支援学校の体育施設を活用する事業は、非常にいい取組で、参加者の皆様からも喜ばれています。
 スポーツや運動をしたいと思っても、スペシャルニーズのある人やその家族にとっては、遠くの施設まで行かないといけないとなると、移動そのものが大変なことも多々ありまして、日常的に運動やスポーツをすることは難しくなってしまいます。そこで、都立特別支援学校のように、より身近な施設を使えることは、非常に重要なことだと思います。
 また、パラリンピックを機に、車椅子バスケなどチーム競技をやってみたいと思われる方ですとか、もっと本格的に運動に取り組んでみたいと感じた方も多いことと思います。スペシャルニーズのある方々は、それぞれのニーズも違ってきますので、細やかなニーズに応える事業として発展を続けていただきたいと思います。
 ここ一年半くらいは、コロナ禍ということもありまして、なかなか難しい状況であったとは思いますが、都は、都立特別支援学校の体育施設を活用する事業において実施している体験教室において、どのような工夫でスペシャルニーズのある方の様々なニーズに対応しているのか、伺います。

○加藤障害者スポーツ担当部長 都は、都立特別支援学校の体育施設を活用して、障害の有無や程度にかかわらず、誰でも参加できる体験教室を実施しております。
 具体的には、重度障害の方でも取り組みやすいレクリエーションスポーツや、知的障害の方が参加しやすいよう、ルールを工夫したプログラムなどを実施しております。
 また、今年度から新たに、本格的に競技スポーツを始めたい人が基礎的な技術を学べるよう、複数回のプログラムも実施しております。
 こうした取組を通じまして、障害のある方の様々なニーズに対応したスポーツの機会を提供してまいります。

○龍円委員 ニーズに応じてプログラムを工夫したりですとか、本格的に取り組みたい人向けのプログラムも開始したとのことで、大変いい取組を進めてくださっていることと思います。
 今後も、利用者等のお声を大切にしながら、プログラムや支援などに工夫を凝らしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、東京都スポーツ文化事業団が開設している都立特別支援学校活用促進事業のホームページを拝見したのですけれども、情報があまり、残念ながら分かりやすく提示されていないような印象を受けました。スペシャルニーズのある方々にとっては、情報のバリアフリーというのも非常に重要になりますので、もう少し分かりやすい情報提供及び予約方法としていただけるよう要望させていただきます。
 さて、スペシャルニーズのある方々の中には基礎疾患がある人も少なくないことから、現在はコロナ感染が減っているとはいうものの、外出を控えている方がたくさんいらっしゃいます。また、人工呼吸器を使用する医療的ケアがある方など、スポーツ施設に行って運動すること自体がなかなか難しい方もおられます。そういう方たちにも体を動かしていただくための機会を提供することが重要だと私は考えております。
 今年三月の文教委員会で、都の取組について質問をさせていただきました。その際、都は、外出を控えがちなスペシャルニーズのある方々が、自宅など身近な場所で取り組める運動動画を作成していくことを明らかにしました。
 現在、その取組について伺います。

○加藤障害者スポーツ担当部長 これまで都は、コロナ禍において障害のある方等が自宅などでも体を動かせるよう、東京都障害者スポーツ協会と連携しまして、誰でも取り組みやすい運動動画の配信を行ってまいりました。
 今年度は新たに、運動になじみのない方でも飽きずに続けられるよう、音楽の活用や運動の効果の解説を加えた動画を作成いたしまして配信を行います。
 また、視覚障害のある方の利用も想定し、分かりやすい言葉で解説をいたしますとともに、聴覚障害のある方向けに、要点を文字情報で表示するなどの配慮を行います。
 さらに、障害のある方の日常生活の場でございます福祉施設での活用を促しますため、指導の留意点などを掲載したマニュアルを作成いたしますとともに、その内容について講義や実技研修を実施して、理解を深めていただきます。
 こうした取組を通じまして、障害のある方が身近な場所で気軽に運動できる環境を創出してまいります。

○龍円委員 ありがとうございます。こちらの動画なんですが、ユーチューブで配信されているのを拝見させていただきました。様々な工夫を凝らしているのが感じられるものとなっていました。
 もう少し再生回数が伸びてもらいたいな、もっと多くの当事者、関係者、家族に見てもらいたいなというふうにも感じました。そのためには、動画の中に、例えばなんですけれども、スペシャルニーズの当事者がもっと登場してもいいというふうに感じました。
 当事者が一緒に画面の中でチャレンジしていてくれると、私もできそうだとか、うちの子にもチャレンジさせたいと思ったりすることと思います。また、いろんな当事者が参加すると、その当事者が所属しているコミュニティでの視聴も期待できるので、動画をもっと広く見ていただくことにもつながると思います。
 また、現在は、若いインストラクターの方が中心に出演していらっしゃるのですけれども、小さいお子さんだったりとか、シニアなどが登場するなど、いろんな世代が出ていただけると、よりインクルーシブになるのではないかなというふうに感じました。今後も工夫を続けていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 さて、スペシャルニーズのある方が安心してスポーツや運動を行うには、支える人材と、育成と、その方々とのマッチングについて、これまで委員会や本会議で質問を続けてまいりました。
 先ほどの特別支援学校の体験教室に関する答弁にもありましたけれども、参加者は、その個々によってニーズにかなり違いがあります。マンツーマンのサポートを必要とする方もおられますし、より多くのボランティアの方々が必要となります。
 しかし、障害のことがよく分からないですとか、ちゃんとできるのか不安だといった理由で、ボランティア活動にはまだまだハードルがあるように感じています。
 そこで、一般の都民の方を含めて、より多くの方にボランティアとして活躍いただきたいと考えますが、都はどのように取り組んでいるのか、伺います。

○加藤障害者スポーツ担当部長 都は、本年三月、障害者スポーツボランティア情報のポータルサイト、TOKYO障スポ&サポートを開設し、多くの方に関わっていただけるよう、募集情報を掲載しております。
 このサイトでは、その魅力を知っていただくため、経験者の体験談を掲載いたしますとともに、初めての方でも不安を感じることなく活動していただけますよう、心構えや障害のある方への配慮等を学ぶeラーニング講座を配信しております。
 さらに、実際の活動に結びつきますよう、相談窓口を設け、ボランティアコーディネーターが活動希望者から丁寧に聞き取りを行い、マッチングの支援や助言を行っております。
 今後は、障害の疑似体験と、障害への配慮やサポート方法を、実技も交えて学ぶことができる講習会を実施いたします。
 こうした取組によりまして、引き続き、障害者スポーツボランティアの拡大に取り組んでまいります。

○龍円委員 障スポ&サポートを拝見させていただきましたが、こちらは、先ほどの東京都スポーツ文化事業団が開設している都立特別支援学校活用促進事業のホームページとは違って、大変見やすくて分かりやすいものになっておりました。また、ボランティアの魅力なども伝えようとしているのが、とてもいいなというふうに感じたところです。
 スペシャルニーズのある方が東京でスポーツを始めたいと考えたときに、ウェブで検索すると思うのですけれども、大体、入れるキーワードが、障害、スポーツ、東京といったワードで検索すると思うんですね。そうすると、東京都障害者スポーツ協会が、高い確率で、上の方でヒットしてくることと思います。
 障スポ&サポートについても、この協会のホームページのトップのスライドしているバナーですとか、サイドのバナーに張るなどしたりして、あと、先ほどのユーチューブの動画の概要覧にリンクを張るなどして、ホームページにより多くの人を誘導するような取組もさらに進めていただきますようお願いいたします。
 また、eラーニングも、とてもよい取組ですので、今後、継続していただけたらと思います。
 スペシャルニーズのある方々にとって、スポーツをするためには特別な用具が必要となることがあります。例えば、車椅子バスケットボールや陸上競技ですと、競技用の車椅子だったりとかが必要になりますし、ゴールボールやボッチャでは特別なボールが必要だったりというふうに、専用の用具、用品をそろえる必要があります。
 しかし、これらの用品は、とても高価なものもありますし、保管場所が必要なことから、障害者スポーツの教室を主催する地域の団体で、これらの用具を所有している団体が少ないというふうに思います。
 そのため、スペシャルニーズのある方々が身近な地域でスポーツに取り組めるように、スポーツ教室等を実施する団体に対して用具の貸出しなどの支援が必要ですが、都の取組と、そして実績についてお伺いいたします。

○加藤障害者スポーツ担当部長 都は、地域における障害者スポーツの取組を促進するため、障害者スポーツ地域開拓推進事業を実施しておりまして、区市町村や地域スポーツクラブ等の団体に対し、用具の貸出しを行っております。
 これまでに、区市町村等が実施するパラスポーツ体験会で使用する競技用車椅子や、社会福祉協議会主催の福祉祭りで使用するボッチャ用具などの貸出しを行っておりまして、コロナ前の令和元年度は百二十四件、今年度は九月末現在で十七件の実績がございました。

○龍円委員 スポーツ教室等を主催する団体に対して用具の貸出しを行っているとのことで、コロナ禍の前は件数も多かったことから、様々な団体からニーズがあったことが分かります。今後も、この用具貸出しによって、地域における障害者スポーツの場、スペシャルニーズのある方々のスポーツの場の充実につながっていくことを期待いたします。
 また、今年の私の一般質問でも要望させていただきましたけれども、ブレードのように個々の方に合わせてカスタマイズする必要があるものは、貸出しするのが非常に難しいですし、さらに、かなり高価なんですよね。なので、一般的に購入するのが難しい用具もあります。ブレードさえあれば、子供時代からスポーツや学校の体育に参加しながら育つことができるのに、その機会が与えられていない人、そしてお子さんも多くおられます。
 今後は、こういった個々の体に合わせる必要があるような用具についても、東京都として支援していくことを検討していただけますよう、改めて要望させていただきます。
 パラリンピックで盛り上がったこの機運を東京都に根づかせていくためには、今後も障害者スポーツの国際大会等が東京で開催されることで、観戦することや参加することが継続的に身近にあることも重要です。
 私はダウン症のある息子がいますけれども、息子が生まれたアメリカでは、スペシャルオリンピックスがとっても身近にありました。スペシャルニーズのある人の多くが、このスペシャルオリンピックスの地域大会を目指して頑張っていまして、たくさんの方が小さい頃からスポーツを楽しんでいる様子を見て、大変驚きました。そんなふうに、頂点には国際大会があるのですけれども、そこにつながっていくルートとして身近にスポーツがあるような、そんな環境がありました。
 せっかくパラリンピックによって、バリアフリーでアクセシビリティーのすばらしい施設が東京都に増えて、それが可能となるハード面での環境がそろいましたので、そういったソフト面での環境も、東京に育てていくべきだと考えます。
 パラリンピックのレガシーを引き継ぎ、スペシャルニーズのある人たちの国際大会を観戦したり、または出場を目指したりすることができることが大切だとの視点から、国際大会の開催に向けた調査について、令和元年度に文教委員会で質問させていただきました。
 都は、令和二年度にも調査を実施していると聞いていますが、先ほど斉藤委員からも質問がありましたので、調査内容については省きますけれども、これらの調査を受けた結果についてお伺いいたします。

○加藤障害者スポーツ担当部長 都は、令和元年度から、様々な障害者スポーツ大会の開催について調査をしております。
 令和二年度でございますけれども、大会実施の主体となる競技団体の運営体制ですとか活動状況につきまして、四つの団体を対象にヒアリング等の調査を実施いたしました。
 その結果でございますが、競技団体ごとの競技力向上の取組、それから、健常者スポーツ団体との連携、スポンサー企業等の確保など、活動状況が把握できました。
 今後も、こうした調査結果も活用しながら障害者スポーツの振興を図ってまいります。

○龍円委員 ありがとうございます。ぜひスペシャルオリンピックスのように、国際大会にひもづいて地域大会も盛り上がるようなスポーツ振興の在り方などを参考にした施策の展開をお願いいたします。
 スポーツ、そして運動は、健康にいいだけではなくて、精神的な充足も与えてくれ、また、仲間や友達を広げるきっかけとなる、すばらしいものです。今後も、スペシャルニーズのある方たちが日常的に運動やスポーツをできる環境の整備と、競技活動が継続できるよう支援を続けていただきますよう、お願いいたします。ありがとうございました。

○斉藤(や)委員 私からも、障害者スポーツについて伺いたいと思います。
 先ほど、同僚委員の谷村委員が包括的なオリ・パラ大会についての質問をされましたけれども、その最後に、演説として、レガシーとして一過性に終わらせないことが大事だということを受けまして、私は、特にパラスポーツについてを中心に伺いたいと思います。
 東京での二回目のパラリンピックが、数多くの感動を残して閉幕いたしました。このバトンを、次の開催都市パリに渡すことができたわけですが、報道でも、パリ大会の組織委員長から、東京から確かにリレー、バトンを受け継ぐことができた、東京大会のおかげで、このオリンピック・パラリンピックのバトンを受け継ぐことができたという、そういった高い評価もございましたが、口でいうのは簡単ですが、開催に至るまで、その道のりは決して平たんなものではなく、様々な困難、最後まで困難の連続との格闘であったということは過言でないと思います。
 まず、この場において、新しい体制においてスタートしたオリ・パラ準備局の皆様、顔ぶれを拝見いたしますと、組織委員会の方から戻られた方を含めまして、また一丸となって、そのレガシーを東京都の組織としても、オリンピック・パラリンピックのレガシーをスポーツフィールド東京という形でも展開できる政策展開を、共に議会側としても一緒に取り組んでいきたい、このように申し上げますし、また、心からお疲れさまでしたと、大会の成功、本当にありがとうございましたと申し上げたいと思います。
 数多くの方々の尽力で乗り越えたこの大会ですが、開幕後は、アスリートたちの限界に挑戦する姿に世界中から注目が集まりました。
 大会には、東京からも多くのパラアスリートが出場いたしましたけれども、大会中、どのような形でこのパラアスリートを応援したのか、都の取組を伺いたいと思います。

○加藤障害者スポーツ担当部長 都では、多くの都民に東京二〇二〇大会に出場する東京ゆかりのアスリートに関心を持ち、応援していただくため、スポーツTOKYOインフォメーションのサイト内に特設ページを開設し、出場選手のプロフィールや、試合に向けた意気込み等を掲載いたしますとともに、出場する競技の日程、結果を掲出いたしました。
 また、SNSを活用し、大会直前の八月十七日から九月五日まで、選手が出場する試合の放送日程を発信して広く応援を呼びかけますとともに、メダリストや入賞した選手へのお祝いメッセージをタイムリーに発信いたしました。これに対しまして、選手を応援するコメントやリツイートなどが約四千五百件ございまして、約十四万を超えるツイートの閲覧がございました。
 さらに、都庁第一本庁舎に、大会に出場する東京ゆかりパラアスリートの紹介パネルを展示いたしますとともに、メダルの獲得状況につきましても表示をいたしました。
 これらによりまして、多くの都民に関心を持っていただき、パラアスリートの応援につなげることができたと考えております。

○斉藤(や)委員 この発信によって、これは大変大きい数ですね、リツイート数が十四万件を超える、いわゆるバズったという形になると思いますが、公的な発信において、これほど多くの方のツイートがあったということ自体、都民の皆様の関心、全国の方々、世界もあると思いますが、一気にその関心が高まったことが数字的にも明らかになっております。
 こうしたことが一過性にならないように、引き続きその発信も行っていくべきですが、競技会場での力の限りの応援を子供たちと一緒に行いたかったという、そのことはかなわなかったのですが、ソーシャルメディアで送ったメッセージは、決戦を控えるアスリートの力になったことは間違いないことであると思います。大会のときだけでなくて、これからもパラアスリートがもっと身近な存在になるように情報発信に努めていただきたいと思います。
 さて、大会に参加したのは、決してアスリートだけではございません。これは各種報道で、イタリアの水泳の選手を心から支えるコーチの姿とか、あるいは、日本で、皆様が本当に初めて見るような二人三脚のコーチとの格闘とか、涙や、笑いや、笑顔や、たくさんのものを、スポーツそのもの以外にも拝見することができたわけですが、こうしたコーチや競技パートナーなども、アスリートと共に一緒にメダルを獲得したと、このように見ている方は多いと思います。それに向けて戦った姿がございました。また、審判として大会に参加した方もおられます。
 こうしたパラスポーツには欠かせない、いわゆるスタッフを、都としても支援をしていくべきだと考えますけれども、都の取組を伺いたいと思います。
 あわせて、東京二〇二〇大会に関わったスタッフの方々の実績についてもお伺いしたいと思います。

○加藤障害者スポーツ担当部長 パラスポーツにおきましては、ガイドランナー等の競技パートナーや理学療法士、義肢装具士等のサポーターなど、選手を支えるスタッフが必要不可欠でございます。
 そのため、都では、こうしたスタッフが競技支援活動に取り組みやすいよう、東京パラスポーツスタッフとして認定し、スタッフの職場宛てに認定を行ったことのお知らせを行い、活動への理解、協力を依頼しております。
 また、スタッフの活動の魅力や活躍などを紹介する記事をホームページ上に掲出いたしますとともに、リーフレットを作成し、都内スポーツ施設や理学療法士の団体等に配布をしております。
 今年度は、認定スタッフの活動や魅力を伝える動画を作成いたしまして、大会に合わせ、都営地下鉄等のトレインチャンネル等で放映いたしますとともに、SNS等による情報発信を行いました。
 東京二〇二〇パラリンピック競技大会には、これまで認定いたしました九十八名のうち三十四名が日本選手団のスタッフ等として参加をいたしました。
 このうち、ボッチャの競技アシスタントと視覚障害のある陸上選手のガイドランナーが、選手と共にメダルを獲得したほか、開会式におきましては、指導者や審判員の代表としての宣誓や、聖火ランナーを務めるなど、多くの方が活躍をされました。

○斉藤(や)委員 決して一人ではないと。必ず、そのパラアスリートの陰に支える方がいる。家族は当然でございますが、コーチやスタッフなどのお姿を、これは子供たちにも、本当に多くの方に見ていただきたい。これは様々な映像が残っていることを期待しておりますけれども、大会が終わった後でも、こういったことを、共に学びの場などで一緒に見ることも、とても大切なレガシーになるのではないかと思っております。
 また、このアスリートと一緒に戦った人、例えば、一人一人に合った義手や義足を作る義肢装具士、こうした方々の活躍や、視覚に障害がある方の目の代わりをするガイドランナー、こうした方々がアスリートと同様に多くの人に知られるよう、引き続き、都の取組を期待し、応援したいと思います。
 そして、東京都は、するスポーツを推進しております。未来の東京戦略にも、それがきちんと明確に示されているわけでありますけれども、するスポーツを推進しておりまして、その中で、障害者のスポーツの実施率、これは今、二〇二一年から二〇三〇年までの目標もいろいろ示されております。実施率五〇%を政策目標にしている。このような数字が書いてありました。
 パラリンピックを契機に、都内のバリアフリー環境は改善され、スポーツ施設についても、多目的トイレや音声案内誘導装置の設置など、徐々にバリアフリーの整備が整っております。
 一九六四年の大会の国とは思えないような、見違えるような、そういった整備が進んでいるというお声も先輩たちからもございましたけれども、こうした様々な整備が整ってきていますけれども、スポーツを実施したいと思っても、その施設が障害者にとってどのくらい利用しやすいのか、そうした情報の伝わり方、情報が伝わらなければ、スポーツの実施の意欲を阻害する要因にもなりかねません。
 そこで、スポーツをしたいなと、このように思う障害のある方が施設を利用する際のバリアフリーなどに関する情報発信を充実させて、伝える力をつけていくべきと考えますけれども、都の取組を伺います。

○加藤障害者スポーツ担当部長 都は、平成二十四年度から、障害者スポーツ専門ポータルサイト、Tokyo障スポ・ナビにおきまして、都内の公共スポーツ施設のバリアフリー情報等を提供しております。
 このサイトでは、体育館等のスポーツ施設につきまして、トイレ、更衣室、駐車場等のエリアごとに、手すりや段差などのバリアフリー設備等の有無を簡単に検索することが可能となっております。
 今年度は、バリアフリーに関する法令等の改正も踏まえまして、情報提供内容について、障害当事者や有識者等にヒアリングを行っております。
 施設や設備のハード面だけでなく、障害の種別等に応じたサポートなど、ソフト面の対応の情報につきましても充実を図ってまいります。
 具体的には、プールで利用できる車椅子の貸出しや、トイレ内で緊急事態を光で知らせる設備の有無など、項目の追加を検討しております。
 こうした取組によりまして、利用者のニーズに応じた、より分かりやすい情報を提供してまいります。

○斉藤(や)委員 プールで利用できる車椅子の貸出しなど、具体的なお話もございましたけれども、私も過日、障害のある方がプールで遊びたいというときにも、例えば簡易なベッド、そういった介助ができるスペースということでは、健常者はなかなか分からない、そういった、本当に現場目線の様々な必要なものというものがあると思うんですが、ぜひとも利用される方のお声をしっかり、小さな声を聞く力じゃないですけれども、本当にしっかり捉えていくことが大切なんじゃないかなと心から思っている次第でございます。
 バリアフリーの情報は、使い勝手も含めまして当事者に聞いてこそ、本当に必要な情報となります。ぜひきめ細かく声を聞いていただきたい。
 インクルーシブデザインという概念がございますけれども、これは出来上がる前に聞くんじゃなくて、まさに成熟した社会では、困っている方の声こそが新しいデザインということで、デザイン手法としてインクルーシブデザインというものが、ロンドン、イギリスを中心に発信されておりますが、私もそういったことを提案してきている一人でございますけれども、そういった視点も捉まえまして、ぜひ声を捉まえていただきたい。
 また、バリアフリーの項目の照会を受ける側の施設にとっては、施設が障害者対応になっているかどうかを点検するには、そのお声がとても大切になりますので、そうした当事者のニーズを踏まえまして更新したというその項目の意味を、都として、区市町村などに対しても丁寧に説明をいただきまして、施設のバリアフリーの促進、地域の身近な基礎自治体にもそうした促進を続けていっていただきたいと思うわけでございます。
 WeThe15ですか、都庁舎が紫色というか、あれは何なんだと思った方も多いかと思います。私も、コロナ禍に、あれはどういうことですかとお伺いした方もおられますけれども、このキャンペーンは、かねてからずっと国民に向かって発信されていたわけではなくて、私にしてみれば、突然、そういったシンボリックなところの建物にマッピングがなされたわけですけれども、世界で同時に、あのとき、そういったキャンペーンのイベントが行われたということを知りました。
 全人口、世界人口の一五%の方々が何らかの障害を抱えておられ、そして、日々、懸命に生き生きと生きられている、また、生きられない方については、皆さんの理解を求めているというお声をみんなで共有していこうという、すばらしい取組が世界同時に行われた。これも、東京でパラリンピックが開催された一つの大きな意義として捉まえているわけです。
 こうした機会を捉まえまして、私はラグビーをやっていた者ですが、ウィルチェアラグビーなども大変激しいスポーツでもあり、また、そういった競技ができる場所もなかなかない中で、今回のパラリンピック開催に向けて様々な努力の中で、少しずつ環境も整ってまいりました。ぜひとも、こうした千載一遇のチャンスを生かして、熱くなりやすく冷めやすい国民性を乗り越えて、しっかりと皆さんとレガシーを次の世代に伝えていきたいと思っております。
 そうした観点からいきますと、次の話題ですが、ラグビーのワールドカップの話を申し上げたいと思います。
 二〇一九年大会は、大変にすばらしい大会でございました。東京二〇二〇大会のレガシーも大切ですけれども、二〇一九年のコロナ前の大会のレガシーも、とても大切にしていきたいと思っております。
 二年前の大会は大いに盛り上がりまして、多くの子供たちがラグビースクールへの入会を希望するなど、ラグビーへの興味、関心が高まったわけでございます。
 しかしながら、残念なことに、年が替わり、二〇二〇年の初頭からの新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響で、これは、ほかのスポーツの分野に漏れず、ラグビーにおいても大きな打撃を受けることになりました。
 昨年度は、新型コロナウイルスの影響もありまして、イベントの数そのものが、中止ということで開催が難しかった状況でしたけれども、ラグビーの定着に向けて、都はどのような取組を行ったのかを伺いたいと思います。

○篠国際大会準備担当部長 ラグビーワールドカップを契機に高まったラグビーへの興味、関心を一過性のものとせず、東京のラグビー文化として定着させていくことは重要でございます。
 このため、都は、大会から一年となる昨年秋、東京都ラグビーフットボール協会と連携し、ラグビーの普及発展を図るイベント、TOKYO RUGBY MONTHを初めて実施いたしました。
 初心者向けのラグビー体験会や都内ラグビースクールの交流試合など、ラグビーイベントを、味の素スタジアムAGFフィールドと江戸川区陸上競技場の都内二か所で実施いたしました。
 実施に当たっては、感染症対策を徹底して行い、参加者が安心して参加できるように努めました。
 また、オンラインでトレーニング方法を教えるレッスンを実施し、自宅でも参加できる工夫も行いました。
 イベントには、両会場を合わせて四百六十五名が参加し、参加した子供たちは、元日本代表選手などからパスの仕方をゲーム形式で教えてもらい、コーチや選手と楽しく体験できた、コロナ禍の中、体を動かす機会となり、よかったなどの声が聞かれました。
 ラグビーワールドカップのレガシーとして、さらなるラグビーの普及と裾野拡大につながるよう、今後も取り組んでまいります。

○斉藤(や)委員 昨年のコロナ禍の中、本当に奇跡ともいうべきというか、開催できたこのRUGBY MONTHの初年度の事業、私も参加させていただいて、その後、また大きな波が参りまして、その中で開催できたことは、大切なレガシーが既につくられているなと思っております。
 ラグビーを東京の一つの文化として残していこうというご発言をこの委員会で答弁いただけること自体、大きく東京の捉え方も深まってきているということを、とてもうれしく思っております。国際大会を行う意義は、そういう意味でも大きいんだなと、心から思うわけでございまして、先ほどの障害者の大会もそうですが、そうした機運醸成はとても大切だと思います。
 ラグビーワールドカップが開催された都市として、しっかりとラグビーの普及、振興が図られるように取り組んでいただきたいと思います。
 さて、ラグビー界の方も大きく変化しております。二〇一九年のワールドカップがもたらしたレガシーを継承しようと、約二十年続いたトップリーグに代わりまして、来年一月、ラグビー新リーグ、ジャパンラグビーリーグワンが開幕することになっております。大変楽しみでございます。
 この新リーグは、地域とのつながりや地域貢献を大切にしていくということを聞いております。この新リーグ創設により、参入チームと活動拠点となる地域とのつながりも期待されるところであります。
 開幕戦を含めて八試合が行われた、ここ東京、これはワールドカップのときですけれども、ワールドカップの開催地のレガシーを将来にわたって継承していただき、そして、東京にラグビー文化を根づかせていくため、この新リーグ開幕を機に、東京のラグビーチームと連携することも必要であると考えます。
 都の今後の取組について伺いたいと思います。

○篠国際大会準備担当部長 ラグビーを通じたスポーツの振興を図るには、都内に活動拠点を置くラグビーチーム等と連携し、ラグビーの普及や裾野拡大に努めることも重要でございます。
 都は、新リーグ、ジャパンラグビーリーグワンに参入し、都内全域を活動拠点とする東芝ブレイブルーパス東京、東京サントリーサンゴリアス、リコーブラックラムズ東京の三チームと東京都ラグビーフットボール協会との五者による連携協定を、今月十四日、締結いたします。
 これに伴い、今年度も実施するTOKYO RUGBY MONTHにおいて、三チームの選手が初心者体験会の指導に参加するとともに、引き続き地域貢献活動にもご協力いただくなど、連携した取組を進めてまいります。
 今後とも、ラグビー関係者との連携を通じて、東京におけるラグビーの普及と振興が持続的に行われるよう取り組んでまいります。

○斉藤(や)委員 このレガシーという言葉と併せて、SDGsという言葉も、今そういった、世界が決めた二〇三〇年までに達成しようという達成目標がございますけれども、スポーツの世界においても、こういった持続性というのは非常に重要だというふうに考えます。
 今までは、企業を中心に、ともすれば実業団を中心に、そうしたスポーツの支えというものをお願いしてまいりましたが、これからは、やはりスポーツを愛する方々と共に、官民一体となって、そして企業と一体となって、そうしたものを盛り上げていくことが重要なのかなと。
 そういう意味において、新リーグの一つの目標として地域貢献ということを掲げられている新リーグに対して、東京都が連携をしていくということでございました。しっかりと盛り上げていきたいと思います。
 文化に多様性が非常に重要視されるように、スポーツにおいてもまた、多様性というものは重要であると思います。今回、様々なスポーツをオリンピック・パラリンピックで見ることができました。
 スケートボード、すばらしい活躍がありましたが、スケートのボードを走らせる場所がない、あるいは、ボルダリングもすばらしい結果でございましたが、そう身近に感じることがなかなかできない。
 しかしながら、そういった様々なスポーツを楽しむ機会を提供すると同時に、する、見る、支えるというこの三つの連携によって、大いに東京のスポーツを多様に盛り上げていくことが重要だと思います。
 ラグビーは、特に子供のときには、小学生などでは、けがが重篤化することを恐れて、学校の先生はすごくちゅうちょするということを伺っておりますが、これは、小さいときからラグビーを教える、すばらしいスキルを持った方と接すれば、そういったおそれはありません。結構、体ができてから、自分は大丈夫だと思って過信していくと、高校で初めてやった方が大きな事故に遭って、生涯大変なことになってしまうこともありますが、そういった育成するスキルというのは、プロの方々のお力もあるわけですので、今お話がありました連携をしていく中で、そうした選手などに、あるいはOBの方々に大いに子供たちに接していただいて、危険なプレーがないように指導していくような場をつくっていく、機会をつくっていく、そうしたことが、レガシーを実効あるものにしていくことで大切になってくるというふうに思っております。
 今日の質問は、私の方はこれで以上でございますが、ラグビーワールドカップ、そして東京二〇二〇大会と、世界的スポーツイベントがもたらした興奮と感動、こうしたものを一つの大きな力として、東京都のスポーツ文化、ラグビー文化の普及振興、こうしたこと、そして東京都民の健康、こうしたものにも貢献していくということをお誓い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○アオヤギ委員 それでは、私から、都内のスポーツ施設の増設や、障害者や誰もが利用できる施設を求め、質疑を行います。
 まず初めに、都内のスポーツ施設の状況についてお伺いします。
 昨年も、とや議員がこの点について質問しております。各施設の状況の推移をお伺いします。
 都内のスポーツ施設推移、総数と、二十三区、市立、町村立別にお示しください。

○鈴木スポーツ推進部長 都が都内の公立スポーツ施設の状況を取りまとめました東京都における公立スポーツ施設によりますと、公立スポーツ施設の総数は、令和二年十月時点で二千十三でございまして、設置者別では、区立は千二十六、市立は七百五十三、町村立は六十三でございます。
 平成二十五年十月時点からの増減は、全体で七十二増加しておりまして、設置者別では、区立は七十一増加し、市立は六減少、町村立は四増加してございます。

○アオヤギ委員 全体では七十二増加しているけれども、市立は六減少、町村立は四増加しているということでした。
 都は、この間、オリンピック、ラグビーワールドカップに関する施設整備などについて補助を行ってきました。その結果、関連施設も増加していると考えられます。
 一方、それを含めても、市部では減少しているのは、都民に身近な既存施設がなくなっているのではないかと考えられます。
 昨年、とや議員が都内の各施設について調べていますが、今ご答弁がありました東京都における公立スポーツ施設を見ても、都民の利用が多い施設である、例えば野球場は、平成二十五年は二百七十一か所あったものが、昨年は二百六十三か所に減っている状況です。
 スポーツ庁による調査でも、平成十四年と比べますと、学校体育・スポーツ施設は、全国で二三・二%の減少となっています。
 今回は、お声があった都内のプール施設についてお聞きをしたいと思います。
 プールの設置数の推移について、総数と、二十三区、市立、町村立の設置状況についてお伺いします。

○鈴木スポーツ推進部長 プールにつきましては、まず屋内水泳場が、令和二年十月時点で総数が百八十一でございまして、設置者別では、区立は百三十四、市立は三十八、町村立はゼロでございます。
 平成二十五年十月時点からの増減は、総数で十三の増加、設置者別では、区立が十一、市立が二、それぞれ増え、町村立は増減がございません。
 屋外水泳場の総数は、令和二年十月時点で百二十二でございまして、設置者別では、区立は四十九、市立は六十六、町村立は五でございます。
 平成二十五年十月時点からは、総数で十一減少しておりまして、設置者別では、区立は五、市立は六、それぞれ減り、町村立は増減なしでございます。

○アオヤギ委員 屋内プールは増えているとのことですが、屋外プールは、二十三区、多摩地域ともに減っています。
 屋内プール施設は、区立が百三十四に対して、市立が三十八で、対人口比で考えれば、多摩地域にも六十以上あってもおかしくありませんが、多摩地域にはもともと少ない状況があります。
 それに加え、今、区市町村では学校のプールを縮小する動きも増えているため、実感としては、都民が身近に利用できるプール施設が大幅に減っているというふうに感じています。
 学校の体育館や校庭の開放も、子供たちの団体などでの奪い合いで、大幅に足りていないのが現状です。中野区では、学校の統廃合が五校で行われたため、それまで区民に開放していたテニスコートや、体育館でのバスケット、バドミントンのなどの貸出しがされなくなり、スポーツの機会が少なくなってしまったとのことでした。
 そんな中、住民からはスポーツ施設の建設の願いが寄せられ、非常に切実になっています。東京都町会連合会の予算要望では、多摩地区に都立文化施設、スポーツ施設の整備を求めています。二十三区にスポーツ施設が多く、公共交通機関を使って移動し利用するのは感染拡大のリスクがあるとし、将来を見据えて整備を要望しています。
 一方、自治体は、財政力の問題から、スポーツ施設建設においては、資金調達のためにPFIなどの導入、管理費の削減のため指定管理者制度を導入し、運営されている状況が増えてきています。
 そこでお伺いします。スポーツ施設の指定管理の状況について、二十三区と多摩地域をお示しください。

○鈴木スポーツ推進部長 指定管理の導入状況でございますが、まず、都立スポーツ施設においては、現在、十六施設中十四施設において指定管理者制度を導入しております。
 次に、区市町村立のスポーツ施設では、令和二年四月一日時点で、区立では二百二十七施設中百七十一施設、市立では百八十六施設中百三十九施設、町村立では二十九施設中二施設が指定管理者制度を導入しております。

○アオヤギ委員 都内では、約七割が指定管理者制度になっているとのことでした。この指定管理者制度のほかに、都立二施設ではコンセッションと貸付けとなっていますし、PFIなどもありますから、直営については、もっと少ない割合になっていると考えられます。
 直営でなく、指定管理や委託の場合、区市町村が直接、毎日、指導監督することはできなくなるため、障害者への理解などにそごが出てくることがあるということについては、後ほどお聞きします。
 また、少数者も含めた全ての都民のスポーツをする権利を保障する本来の公共施設の役割よりも、収益が上がりやすい企画など、どうしても優先される傾向が出ると思います。
 施設の数ですが、先ほどお示しいただいた区市町村の設置状況では、多摩地域の遅れや、人口比で見ても、まだまだ少ない状況にあります。
 この数年は、オリンピック・パラリンピック、ラグビーワールドカップに特化した大規模施設の建設が進められ、都が財政援助をしてきましたが、そうしたものは、必ずしも一般の住民が気軽に使える施設ではありません。
 私の地域でも、競技人口の多いサッカー、野球などは、競技場がチーム、団体で奪い合いの状況で、個人での利用が難しくなっていたり、利用料が安価な施設が少なくなっているために、気軽に利用できなくなりつつあります。
 都は、誰もが身近な場所で気軽にスポーツを楽しめる環境を整備し、スポーツを通じた共生社会の実現を目指すため、スポーツ環境の整備、促進に向けて区市町村が行う取組を支援する補助制度を新たに創設しましたと述べ、また、東京都長期ビジョン及び東京都スポーツ推進総合計画では、週一回以上スポーツを実施する人の割合であるスポーツ実施率七〇%の達成を目標に掲げまして、誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しみ、スポーツの力で人と都市が活性化するスポーツ都市東京を実現すると、昨年、とや議員の質疑で答えております。
 七〇%の実施率達成には、施設の整備は不可欠であります。
 多摩地域ではどうしても、財政力の差から、住民に対するスポーツ施設が少ない状況ですが、自治体が増設する際に東京都の支援は欠かせないと思いますけれども、都の見解をお伺いします。

○鈴木スポーツ推進部長 都は、二〇二〇年までにスポーツ環境の充実、拡大を図るために、平成二十六年度から令和元年度までの六年間を事業期間として、ラグビーワールドカップ二〇一九や東京二〇二〇大会の受入れ体制整備に係る工事も含めまして、スポーツ施設整備費補助事業によりまして、区市町村に対して財政支援を行ってまいりました。
 この結果、合計で二百四十八件に対して支援をし、多くの都民のスポーツ環境の充実、拡大に寄与することができました。
 令和二年度からは、誰もが身近な場所で気軽にスポーツを楽しめる環境を整備し、スポーツを通じた共生社会の実現を目指すため、スポーツ環境の整備、促進に向けて区市町村が行う取組を支援するスポーツ環境整備費補助事業を実施しているところでございます。

○アオヤギ委員 スポーツ環境整備費補助事業は、区市町村が保有する庁舎、コミュニティ施設等、公共施設の一部をスポーツ活動の場として改修する工事費及び備品整備費の補助となっており、五千万円が上限です。
 令和元年度まで実施していた補助事業は、ラグビーワールドカップのキャンプのためには、三分の二補助で三億円の限度額でした。スポーツ環境を拡大する工事でも、上限は一億円となっていました。
 この水準からも、現在の補助制度は補助額が低いと思います。二分の一補助の上限が五千万円で、総額一億円程度で整備できる施設は極めて少ないと思います。
 また、新設が補助対象にならないのも問題だと思いますけれども、要綱を拡充していくべきではないでしょうか。

○鈴木スポーツ推進部長 先ほども申し上げましたが、都は、平成二十六年度から令和元年度までに、区市町村が実施するスポーツ施設整備に対しまして、六年間で二百四十八件の支援を行ってまいりました。
 また、令和二年度からはスポーツ環境整備費補助として、庁舎、コミュニティ施設等の公共施設において、その一部をスポーツ活動の場として整備する工事や、スポーツ施設の暑さ対策を目的とする工事、または障害者スポーツの実施を促進するための工事等を支援してございます。
 これに加えまして、都民が身近な地域でスポーツを実施できるよう、大学や企業等が、その活動に支障のない範囲で、所有しているスポーツ施設を都民に貸し出すTOKYOスポーツ施設サポーターズ事業を平成三十年度から実施しております。
 さらに、障害のある方が身近な地域でスポーツ活動ができるよう、都立特別支援学校活用促進事業も実施しております。
 こうした取組により、都民がスポーツを行う場の確保に努めております。

○アオヤギ委員 従来と、昨年と、ご答弁は一緒のお答えでした。令和元年度まで六年間、二百四十八施設整備できたということはよかったと思いますけれども、オリンピックが終わった後、どう推進するのかが問われています。
 TOKYOスポーツ施設サポーターズ事業についても、資料要求で出た数字では、大学や企業のスポーツ施設を使わない時間に開放していただくものですから、できる時間が限られている。都民要望と合致しないのか、またPRが不足しているのか、とても利用率が低い状況です。何より、この事業に関しては、協力してくださる大学や企業の好意による事業です。
 都民七〇%のスポーツ実施を実現するには、施設整備に都が力を発揮していかなくてはならないと指摘をしておきます。
 次に、障害者スポーツについてです。
 パラリンピック実施に当たっては、共生社会の実現ということが掲げられていましたが、実際の都内施設利用の現場では、障害者の方々が利用しにくい、配慮が足りない対応があったということをお聞きしております。
 視覚障害者の団体から、都内のプールで、誰でも入れますと広報に書いてあり、近所だから行ってみようと問合せをしたら、都のスポーツ施設のように指導員が介助してくれるんだと思って問合せしたところ、指導員は配置できないということで、ガイドヘルパーに付き添ってもらおうと、一緒にプールに入ってくれるガイドヘルパーを見つけ、行こうとしたら、コロナだから、ガイドヘルパーと一緒は駄目だと施設側からいわれ、使えなかったということでした。
 なぜこのようなことが起きるのか、疑問ですけれども、コロナであっても、施設を開設しているならば、ガイドヘルパーが入場できるのは当然のことです。
 まず、都が行っている、障害者がプールに親しむための事業など障害者が参加できる事業費の補助のうち、水泳に関する事業の昨年度の補助実績をお伺いします。

○加藤障害者スポーツ担当部長 障害のある人が身近な地域で継続的にスポーツを楽しめる環境づくりを進めるため、都は、平成二十七年度から、区市町村が主体的に取り組む障害者スポーツ事業に対して補助を行う障害者スポーツ地域振興事業を実施しております。
 令和二年度は、三十六区市町村の七十一件の事業に対して支援を行い、そのうち水泳に関する取組は六区市七件で、事業内容といたしましては、障害者専用コースの設置や、個々の障害特性に応じた指導を実施する水泳教室の開催などがございました。

○アオヤギ委員 障害者の水泳教室など、六区市七件だったとのことでした。内訳については、台東、大田、練馬、葛飾、江戸川、西東京の六自治体だそうです。
 これらの自治体は、例年、繰り返し事業申請がある自治体も多いということです。つまり、担当者が障害者の教室などの重要性を認識して、繰り返し申請実施していると思われますけれども、他の自治体の新規の申請が少ないのも現状です。
 また、都立の施設は指導員が配置されていますが、都立の施設では、障害者が来場したときに付添いなどを行っているそうです。しかし、指定管理者が管理する区市町村立スポーツ施設では、必ずしも障害者の対応の人員を配置されておらず、事例に挙げた場合のように、基本的に、付添いは自分で用意するというところがほとんどであると思います。
 区市町村が管理するプール施設において、障害者がプールを利用できるよう、都の施設のように専門員を配置していただきたいと思います。
 区市町村がその専門員の配置を行う際に、都が障害者利用分の費用を補助して配置を支援してはどうでしょうか。都の見解をお伺いします。

○加藤障害者スポーツ担当部長 先ほどお答えいたしました都の障害者スポーツ地域振興事業におきましては、支援している事業におきましては、障害者スポーツ指導員や医療スタッフなど、障害のある方が安心して安全にスポーツを行える体制を整備することを補助要件としておりまして、そのために必要な経費につきましても補助の対象としてございます。

○アオヤギ委員 ご答弁いただいた地域振興事業、つまり、水泳教室などを行う場合の人員体制の整備については補助をしているということです。
 こうした事業を広げていくことも重要なんですけれども、事業実施に限らず、通常時に区市町村立の体育施設で障害者が個人でプールを利用する際、常時、障害者を指導できる人員を配置していくべきであり、そのような人員を区市町村が増やす際に、都が補助をすべきと考えますけれども、見解をお伺いします。

○加藤障害者スポーツ担当部長 都は、障害種別や施設利用の場面ごとに施設管理者が配慮すべき事項などをまとめました障害者のスポーツ施設利用促進マニュアルを平成二十七年度に作成いたしまして、区市町村や公立スポーツ施設等に対し、障害者の受入れの促進を呼びかけております。
 本マニュアルにつきましては、区市町村や施設の指定管理者等を対象とした障害者スポーツセミナー等によりまして普及を図ってございます。

○アオヤギ委員 マニュアルが冊子になって普及されているということは重要だと思います。また、区市町村や指定管理者向けの講習も行っているということで、それも重要だと思います。ただ、全ての事業者ではないので、より確実に徹底する必要があると考えます。
 障害者への合理的配慮は、障害者差別解消法において、地方公共団体は合理的配慮をしなければならない立場であり、事業者にも課せられた努力義務があります。それ以外の通常の利用の際にスムーズに障害者が利用できるように、各施設で障害者へ合理的配慮を行うのは、公共施設でも、民間の施設であっても、当然の責務であります。
 しかし、今回、公共施設において、障害者のガイドヘルパーが断られるというようなことが起きました。最低限、指定管理者であっても公共施設ですから、合理的配慮を行うべきものです。
 直営であれば、施設にいる職員は公務員ですから徹底しやすいわけですけれども、指定管理者ですと、先ほどもいいましたように、毎日、区市町村が指示を施設に出すことは偽装請負になりますから、できません。
 しかし、東京都が指定管理者に行っているように、仕様書で指示を出すということは可能です。また、定期的なモニタリングでも改善を求めることは可能です。
 かつて私の自治体でも、温浴施設で盲導犬の入場を断ったことが問題となり、改善されたことがありました。盲導犬は、盲導犬の入店可と示している事業者であろうがなかろうが、全ての事業者が店舗などで入場を拒否してはならないというのが大原則です。
 しかし、今回のようなガイドヘルパーの拒否というのは、たまたま視覚障害者の方が、広報で皆さんが利用できると書いてあったことをきっかけに、プールに入ることを試みて分かったことですが、実際は、多くの障害者の方が利用を最初から諦めていたり、合理的配慮に欠ける対応をされても、声にならずに泣き寝入りしているケースも無数にあるのではないかと考えられます。
 こうした誰もがスポーツに親しめる環境整備というならば、障害者の方々が地元の身近なスポーツ施設を利用できるようにしていくことが、都に課せられた責務だと思います。
 指定管理者のスポーツ施設が、今、大幅に増加している中で、ガイドヘルパーが入れないなど合理的配慮が徹底されていないのは、非常に問題があります。指定管理者の意識の問題にするのではなく、障害者がスポーツを利用しやすくするため、区市町村は指定管理者に対して、指示書を用いて、障害者の利用を拒否しないよう指示を行うべきであるというふうに思います。
 都としても、区市町村が指定管理者への指示を行うよう指導助言を行うべきであると思いますけれども、見解をお伺いします。

○加藤障害者スポーツ担当部長 都は、先ほども申し上げましたとおり、障害種別や施設利用の場面ごとに施設管理者が配慮すべき事項や受入れ対応の好事例をまとめました障害者のスポーツ施設利用促進マニュアルを平成二十七年度に作成いたしまして、区市町村や公立スポーツ施設などに配布いたしますとともに、障害者スポーツセミナー等で普及を図ってまいりました。
 本マニュアルでは、障害者スポーツ指導員を配置している事例や、視覚障害のある方の案内、誘導方法などを具体的に紹介しまして、区市町村による取組を促進しております。
 令和元年度には、このマニュアルのウェブ教材化を行い、オンライン上で障害種別や利用場面ごとの対応が簡単に検索できるようにいたしまして、区市町村等に対して、さらなる活用を促しました。
 こうした取組によりまして、地域のスポーツ施設等における障害者の受入れ促進を図ってまいります。

○アオヤギ委員 マニュアルで取り組んでいるということでありますけれども、こうした取組ももちろん重要なんですけれども、より確実に公共施設の指定管理者の対応を変えるには、仕様書が一番的確に指示をできます。
 東京都は、そのような障害者への対応も含めた仕様書を実際に作って徹底しているので、こうした具体的な指示の仕方を区市町村に助言して、事業者が合理的配慮を確実に行っていくことが求められています。仕様書で指示をした上で、このマニュアルを使って、具体的にどう配慮するのか講習していくなど、具体的に進めていくべきだと思います。
 公共の、公立のスポーツ施設は、多くの障害者が利用します。都内二か所の障害者のスポーツセンターも、もちろん多くの方が利用しておりますが、住んでいる地域によっては、ここに行くには移動時間がかかる方も多くおられ、視覚障害者ですと、ガイドヘルパーを長時間使うことになり、実際の余暇活動に充てる時間が少なくなってしまうということも考えられます。
 地元の施設を利用しましょうと、障害者スポーツセンターにも書いてあるそうでありますけれども、ならば、障害者差別解消法に書かれている合理的配慮の努力義務については、確実に各施設で実施し、多くの方が利用できるようなスポーツ施設を増やしていくことも求め、質疑を終わります。

○風間委員 本日、最後の質疑をさせていただきます。
 新型コロナウイルスの感染拡大、また、その終息のめどが立たないという状況下で行われた東京オリンピック・パラリンピック、私自身も、こういった状況下で行われるオリンピック・パラリンピックに懸念の声、心配の声をたくさん受けてきましたし、今回行われました東京都議会議員選挙においても、そういった声を都政に届けていくということも含めて、選挙戦で延期をしてほしい、または、それが無理ならば中止もやむを得ないという考え方で取り組んでまいりました。
 そういった状況下で、そのような心配、懸念を抱いている方々にもきちんと応える形でしっかりと準備をしてこられた、また、終了させることに導いたオリ・パラ準備局の皆さん、そして、大会組織委員会の皆さんのご尽力には心から敬意を表するものであります。
 その一方で、先ほど、ほかの委員からの発言で、あたかも特定の政党やメディアが反対を扇動したかのような発言があったことに対しては、大変に遺憾なことであり、先ほど申し上げましたように、それは、心配の声を、発言する人たちのこういった意見をないがしろにするものであり、到底、私たちとしては受け入れることができません。
 また、そういった方々の声をきちんと反映させられるように、こうして私たちも発言をしているところでありますから、意見の違いはあれども、やはりお互いの意見を尊重しながら、どのような大会にしていくのかということを、また、この大会を通じて何を残していくのかということを前向きに議論していく、その必要があるのだと考えています。
 その観点から、今回のこの東京オリンピック・パラリンピックで分断されてしまったというような感は否めないわけでありますけれども、分断からはネガティブな感情が生まれてきてしまいますし、この大会を通じてどのようにポジティブなものに切り替えていくのか、そういった議論も、今日一日、かなりなされてきたものと思います。
 私からは、お互いの立場や意見は異なれども、お互いの意見を尊重し、共に支え合いながら生きていく社会をつくっていく、すなわち共生社会の実現に向けて、このオリンピック・パラリンピック東京大会をどのようにつなげていくのかという観点から、何点か質問をさせていただきます。
 既に同じ観点で質問されている方もいらっしゃいますので、重複するものは割愛いたしますけれども、まず、障害者の方々だけではなく、共に健常者の方も、また、年齢、性差関係なくスポーツに取り組んでいける環境をつくっていくということが、今回、一つ残していくべきレガシーではないかという観点から質問します。
 ほかの方からの発言にもありましたように、パラリンピックの競技というものは、やはり肢体不自由の方々がかなり活躍をされていましたけれども、例えば重度障害のある方がしのぎを削るような場というのは、それほどなかったわけであります。
 その中で、ひときわ目を引いたのが、ボッチャというスポーツなのだと思います。ボッチャ自体は、例えば重度の障害をお持ちの方も取り組むことができる、また、子供からお年寄り、さらには高齢者施設などでも行われているというような現状がありますから、まさにユニバーサルスポーツの象徴になっていくものなのだろうと私は捉えております。
 私の地元の世田谷区では、ボッチャ世田谷カップというものが開かれておりまして、様々な状況の方々が共にボッチャを楽しむ、取り組むというような取組が行われていますけれども、今後、このユニバーサルスポーツをさらに普及させていくためには、例えば混成チームなども含めて、共に取り組んでいくようなことを東京都として先導していく、こんなことはできないのかなとかねがね思っておりましたが、東京都の見解をお聞かせください。

○丸山パラリンピック部長 パラスポーツの振興を通じて共生社会の実現につなげていくことは重要でございます。
 このため、都はこれまで、障害の有無を問わず楽しめるユニバーサルなスポーツの一つであり、誰でも気軽に参加できるパラリンピック競技のボッチャが体験できる場を積極的に提供してまいりました。
 具体的には、パラスポーツの応援プロジェクト、チームビヨンドや、パラリンピック競技体験プログラム、NO LIMITS CHALLENGEなどのイベントにおいて、ボッチャを通じた交流の場を設けてまいりました。
 また、企業、団体向けのワークショップなどでボッチャの体験会を実施することで、職場で多様性の尊重について考えるきっかけづくりとなるよう取り組んでおります。
 東京二〇二〇大会期間中には、情報発信の場として開設したパラリンピックギャラリー銀座にボッチャコーナーを設け、多くの方に体験をしていただきました。
 今後とも、こうした取組を継続し、ユニバーサルなスポーツとしてのパラスポーツの振興に取り組んでまいります。

○風間委員 ありがとうございます。ボッチャを見たことがある人、または、やったことがある人というふうになってくると、まだまだ少ないのが現状だと思います。企業でチームを組んで取り組んでいるであるとか、小中学校で取り組んでいるだとかという事例が少しずつ増えてきているということは承知しておりますけれども、まだまだ混成チームというところについては普及されていないのが実情かと思います。
 混成チームをすることによる大きな効果というのは、障害理解をさらに促進することにつながっていくと思いますので、東京都としては、福祉部門と連携しながら、こういったスポーツの振興ということで、さらに次なるステップを踏んでいくことを期待しています。
 もう一つ、共生社会の実現という観点からいくと、ほかの委員からもお話がありましたけれども、今回の東京オリンピック・パラリンピックでは共生社会ホストタウンというものがありました。これは国が進めている事業だということは承知しておりますけれども、私の地元世田谷区でも取組を進めていったところでありますし、これは議会もそうですが、世田谷区もそうですし、区民と一体となって取組準備を進めてきたものの、新型コロナウイルスの感染拡大ということから、なかなか描いていたとおりの形にはなっていないという実情もあります。
 これはやはり、共に支え合って生きていく社会を実現するという意味では、各地域がほかの国とつながりを持っていくこと、これは予算面でいうとかなり大変なところもありますから、国として今後どういうふうに支援していくのかということもまだ定かではありませんけれども、東京都もぜひ、東京都内で共生社会ホストタウンとなっている地域はかなりありますから、今後支援をしていく必要があるのではないかと思いますけれども、見解をお聞かせください。

○小池自治体調整担当部長聖火リレー担当部長兼務 ホストタウンは、東京二〇二〇大会に参加する国、地域と人的、経済的、文化的な相互交流を図る自治体で、国がその登録を行う制度でありまして、都内では三十の自治体がホストタウンになっております。
 これらのホストタウンには、共生社会の実現に向けた取組を推進する共生社会ホストタウンとして七自治体、さらに、先導的かつ先進的なユニバーサルデザインのまちづくり及び心のバリアフリーの取組を総合的に実施いたします先導的共生社会ホストタウンとして二つの自治体が含まれております。
 こうしたホストタウンの取組に対しましては、これまで国が特別交付税などの地方財政措置を行うとともに、各ホストタウンに対する情報提供などを行ってまいりました。
 都といたしましても、大会開催時にホストタウンが相手国と交流を行うに当たり、必要なコロナ対策の費用に対して、国から交付された財源をもとに補助金を創設するとともに、各ホストタウンにおける取組について国との調整に当たるなど、支援を行ってまいりました。
 大会が終了いたしまして、今後のホストタウンの在り方につきましては、制度を所管する国において検討されるものと考えております。

○風間委員 ありがとうございます。今の答弁ですと、やはり国が主導というような答弁内容だったかと思いますけれども、この首都東京で、東京都内で各地域が各国とつながって共生社会ホストタウンを継続、発展させていくというような意向のあるところについては、今後ぜひ、東京都としてどんな支援ができるのかということの検討も進めていただければと思いますので、要望しておきます。
 最後に、これもほかの方からの質問がありましたけれども、共に支え合っていくということについては、一つ象徴的だったのが、やはりボランティアの皆さんの活躍だったと認識しています。
 シティキャストについての具体的な数字の答弁も先ほどありましたけれども、ボランティア総数でいうと、この東京オリンピック・パラリンピックに実際に関わった人数というのは、どれほどの方が実際に関わったのかということを教えてください。

○小高ボランティア担当部長 シティキャストへの応募者数は三万六千六百四十九名でして、令和二年八月時点で登録されていた方は三万四百八十六名でした。大会延期後の状況変化などを踏まえ、意向をお伺いした結果、参加見送りの意思表示をされた方は五千八百九十名でございました。
 なお、参加意向を示された方は一万六千百五十一名でありまして、そのうち実際に活動された方は一万一千九百十三名となってございます。

○風間委員 シティキャストの人数は先ほども答弁されていたので把握できたのですけれども、ほかにもボランティアの方がいらっしゃいましたね。
 それも含めて、どれぐらいの方が関わったのかなということをお伺いできればと思います。

○小高ボランティア担当部長 大会関係のボランティアには、シティキャストのほかに、組織委員会で運営いたしますフィールドキャスト、大会ボランティアがおりまして、こちらは、この夏の大会、七万人の方々が活動されたと聞いております。

○風間委員 ありがとうございます。合計で八万人少々の方々が実際にボランティアで関わったというのは、やはりすごいことだと思うんですね。こういったボランティアマインドを醸成するということについては、一つ、結果を残したということだと思います。
 特に、スポーツであればボランティアに参加したいという声を、私も若い人たちからたくさん聞きました。今回の大会では、やっぱり年齢的な制限もあり、学校で企画していた、例えば小中学生のボランティアなどは実際に行われなかったということでありますが、若い人たちがこういったスポーツを通じてボランティア経験をしていくというような環境をこれからもつくっていくことというのが大変に重要なことだと思いますし、世代を超えてボランティアマインドの醸成をスポーツを通じて行っていくということを、ぜひ皆さんにこれから進めていっていただければなということをお願い申し上げまして、私からの質問を終えます。

○白戸委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了としたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○白戸委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上でオリンピック・パラリンピック準備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会します。
   午後五時三十一分散会

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