文教委員会速記録第七号

令和三年五月二十八日(金曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長河野ゆりえ君
副委員長早坂 義弘君
副委員長田の上いくこ君
理事伊藤こういち君
理事とや英津子君
理事内山 真吾君
龍円あいり君
栗下 善行君
林あきひろ君
斉藤まりこ君
栗林のり子君
大場やすのぶ君
両角みのる君

欠席委員 一名

出席説明員
生活文化局局長野間 達也君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務古屋 留美君
消費生活部長工藤 穣治君
私学部長戸谷 泰之君
文化振興部長蜂谷 典子君
都政情報担当部長内山 裕道君
都民活躍支援担当部長小野 由紀君
文化総合調整担当部長片岡 容子君
文化施設改革担当部長石井 浩二君
オリンピック・パラリンピック準備局局長中村 倫治君
次長理事兼務延與  桂君
次長小池  潔君
次長理事兼務福崎 宏志君
次長総務部長事務取扱理事兼務佐藤 智秀君
技監荒井 俊之君
理事中澤 基行君
計画推進部長田中  彰君
運営担当部長末村 智子君
競技・渉外担当部長川瀬 航司君
事業推進担当部長船川 勝義君
パラリンピック部長丸山 雅代君
大会施設部長鈴木 一幸君
開設準備担当部長利用促進担当部長兼務柏原 弘幸君
施設担当部長久野健一郎君
スポーツ推進部長鈴木 研二君
教育庁教育長藤田 裕司君
次長松川 桂子君
教育監増田 正弘君
技監矢内真理子君
総務部長安部 典子君
都立学校教育部長谷 理恵子君
地域教育支援部長小菅 政治君
指導部長藤井 大輔君
人事部長浅野 直樹君
福利厚生部長田中 宏治君
教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務稲葉  薫君
教育改革推進担当部長佐藤 聖一君
特別支援教育推進担当部長滝沢  毅君
指導推進担当部長瀧沢 佳宏君

本日の会議に付した事件
教育庁関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
・都立立川地区チャレンジスクール(仮称)(三)新築工事請負契約
報告事項(説明・質疑)
・令和二年度東京都一般会計予算(教育庁所管分)の繰越しについて
生活文化局関係
報告事項(説明・質疑)
・令和二年度東京都一般会計予算(生活文化局所管分)の繰越しについて
陳情の審査
(1)三第二七号 東京都情報公開開示請求制度の改善に関する陳情
オリンピック・パラリンピック準備局関係
報告事項
・令和二年度東京都一般会計予算(オリンピック・パラリンピック準備局所管分)の繰越しについて(説明・質疑)
・有明アリーナ管理運営事業報告の公表について(令和元年度)(説明)
陳情の審査
(1)三第六号 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの中止に関する陳情

○河野委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の傍聴人の定員は、当面の間、委員会傍聴規則第五条第二項の規定により、四名にいたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○河野委員長 次に、議席について申し上げます。
 議席は、お手元配布の議席(案)のとおりといたしたいと思いますので、ご了承願います。

○河野委員長 次に、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議事課の担当書記の関優佳さんです。
 よろしくお願いいたします。
   〔書記挨拶〕

○河野委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、教育庁、生活文化局及びオリンピック・パラリンピック準備局関係の報告事項の聴取並びに生活文化局及びオリンピック・パラリンピック準備局関係の陳情の審査を行います。
 なお、本日は、予算の繰り越しに関する報告事項については、説明を聴取した後、質疑を終了まで行い、提出予定案件及びその他の報告事項については、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、教育長から紹介があります。

○藤田教育長 さきの人事異動で教育庁幹部職員に交代がございましたので、ご紹介をさせていただきます。
 教育監の増田正弘でございます。地域教育支援部長の小菅政治でございます。指導部長の藤井大輔でございます。福利厚生部長の田中宏治でございます。次に、教育政策担当部長でオリンピック・パラリンピック調整担当部長を兼務いたします稲葉薫でございます。続きまして、教育改革推進担当部長の佐藤聖一でございます。紹介の最後になりますが、特別支援教育推進担当部長の滝沢毅でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○河野委員長 紹介は終わりました。

○河野委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。

○藤田教育長 令和三年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております教育庁所管の案件につきましてご説明申し上げます。
 初めに、条例案についてでございます。
 都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 本条例は、公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償の基準を定める政令の一部を改正する政令の施行に伴い、規定を整備するものでございます。
 次に、契約案についてでございます。
 都立立川地区チャレンジスクール(仮称)(三)新築工事請負契約でございまして、校舎棟の新築工事を行うものでございます。
 以上が教育庁関係の提出を予定しております案件の概要でございます。
 詳細につきましては、この後、総務部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

○安部総務部長 それでは、私から、提出予定案件の詳細につきましてご説明申し上げます。
 初めに、条例案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料、令和三年第二回東京都議会定例会議案(条例)の表紙をおめくりいただき、目次をお開き願います。
 今回提出を予定しております条例案は一件でございます。
 一ページをお開き願います。都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 三ページの新旧対照表をごらんください。公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償の基準を定める政令の一部を改正する政令の施行に伴い、介護補償の限度額について改正するものでございます。
 施行日は、公布の日からとしております。
 次に、契約案についてご説明いたします。
 お手元の資料、令和三年第二回東京都議会定例会議案(契約)の表紙をおめくりいただき、目次をお開き願います。
 今回提出を予定しております契約案は一件でございます。
 一ページをお開き願います。都立立川地区チャレンジスクール(仮称)(三)新築工事請負契約でございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は四十八億三千四百五十万円、契約の相手方は、東京都港区赤坂六丁目一番二十号、安藤ハザマ・大勝建設共同企業体でございます。
 工期は、契約確定の日の翌日から令和六年九月十三日まででございます。
 三ページから九ページにかけまして案内図、配置図、各階平面図を、一〇ページに契約議案の概要を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。ご審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○河野委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。−−なければ、資料要求はなしと確認をさせていただきます。

○河野委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○稲葉教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年度一般会計予算の繰り越しにつきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料、令和二年度教育庁所管繰越説明書をごらんください。
 一枚おめくりいただき、一ページをお開き願います。Ⅰ、総括表でございます。
 一般会計につきまして、予算現額十一億七千二百三十四万余円、繰越明許費予算議決額二億九千三百万余円、翌年度繰越額は、同額の二億九千三百万余円となっております。
 財源は、全て繰越金でございます。
 二ページをお開き願います。Ⅱ、内容としましては、番号1、オリンピック・パラリンピック教育の推進でございます。
 東京二〇二〇大会の延期に伴い、学校連携観戦運営に係る業務委託及び暑さ対策グッズ製作契約につきまして、事業に係る財源を繰り越すものでございます。
 以上でご報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○河野委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○内山委員 私からは、東京二〇二〇大会の学校連携観戦事業についてお伺いをしたいと思います。
 本来であれば、繰り越しのものでありますので、質疑をするのはなじまないかなとも思ったのでありますが、さまざまな場所で、さまざまな議論も、この間、起きていますので、確認の意味を含めて端的に質問させていただければというように思います。
 本来であれば、このコロナ禍でなければ、今回の二〇二〇大会というのは、まさにこれだけチケットがとれない中でも、そのうちの約一割のチケットを、組織委員会と東京都で連携をして子供たちのために確保して、そして、希望する、ここが重要ですけれども、希望する子供たちにそのチケットを提供するという、ある意味、史上最高のチルドレンファーストの大会というのが計画をされていたわけです。
 もちろん、暑さ対策だとか、さまざまな懸念もありました。とはいえ、そういったことも一つ一つ乗り越えながら二〇二〇年を迎えたわけですが、残念ながらコロナ禍で延期になってしまい、この間、また感染拡大の問題で、そこにまたこの問題が、少し誤解もありながら、今、議論が一部で再燃しているのではないかなというふうに思っています。
 そこでまず、お伺いさせていただきたいのが、新型コロナウイルスの感染拡大の中で、子供たちの観戦に関して心配をする声もありますが、改めて、子供たちの競技観戦の意義について、東京都教育委員会としての見解を伺いたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 オリンピック・パラリンピック教育でさまざまな学習や体験を積み重ねてきた子供たちにとって、世界のトップアスリートが最高峰の競技を繰り広げる姿を目の当たりにすることは、その後の人生の糧ともなる貴重な経験でございます。
 子供たちの安全・安心を十分に確保した上で、競技観戦によって一人一人の子供に心のレガシーがしっかり残せるよう、引き続き、関係機関と連携を図りながら取り組んでまいります。

○内山委員 ありがとうございます。ドイツの教育学者のクルト・ハーンが、大人が子供に考えを強いるのは間違っているが、経験を子供たちに提供するのは大人の義務であるという言葉をいっています。まさに、こういった千載一遇の世界的なイベント、子供たちがそれを肌で感じるというのはすばらしい機会だと思っていたのですが、そこにコロナ禍ということで、なかなか難しい部分があるのかなというふうに思っています。
 そういった中で、現在も緊急事態宣言下でありますし、こちらも恐らく六月二十日まで延期というふうに今進んでおりますが、その中で、さまざまなIOCの方々の発言もありますけれども、東京として、日本として、そもそも大会をどうしていくのかというものは、今、水面下でもかなり議論がなされているのではないかなというように思います。
 これが、例えば、今、選択肢として一般的に挙げられているのは、このオリ・パラ大会の中止なのか、延期なのか、それとも無観客でやるのか、もしくは観客を減らしてやるのか。まあ、フルに入れてやるというのは、なかなか現実的ではないと思いますけれども、そのあたりの選択肢がある中で、これはなかなか、どれになるかというのは、当然、まだまだ私たちもわからないし、教育庁さんとしても、全ての選択肢というものを見ていかなくてはならないんだなというように思うんです。
 そういった中で、保護者や学校関係者の皆さんから、学校観戦が実施できるのかというような、こういう声も聞こえてきております。
 とはいえ、先ほど申し上げたように、どういった状況になろうとも、しっかりと、希望される方々に希望する形で提供していくためには、そういったものを全て想定した上で準備を進めていかなくてはならないというように思いますが、都教育委員会として、現在、どのように取り組んでいくのか、見解を伺いたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、東京二〇二〇大会の競技観戦を楽しみにしている子供たちや学校が安心して競技観戦できるようにするために、大会組織委員会のみならず、鉄道事業者とも連携を図り、準備を進めております。
 具体的には、各学校の会場までの移動や感染の状況に関する情報の収集や、それらを踏まえたシミュレーションを行っているほか、大会期間中の安全対策として、緊急時の連絡などを一元的に集約する運営本部の設置、会場内における連絡員や誘導員の配置などにも取り組むこととしております。
 今後、組織委員会からの観客上限数に係る情報等を踏まえ、学校の意向も十分に配慮した上で、安全・安心な学校連携観戦事業を実施してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。今、答弁の中であったように、学校の意向にも十分配慮した上でという答弁がありました。これはかなり重要だなと思っていまして、これはもともと、先ほども申し上げたように、希望される自治体ないしは希望される学校、児童生徒にチケットを用意するという趣旨のものでありますので、ごく一部でいわれているような学徒動員だとか、そんなようなもののためにこの事業があるわけではないというのは、私も十分、この間、理解をしています。
 その中で、暑さ対策というのは前からいわれていましたけれども、例えばコロナの感染状況を踏まえた上で、我が学校では、改めて、これはちょっと安全が確保できないから中止にしたいということであれば、これは十分に都教委としては認めているものでありますし、極端なことをいえば、当日、気温が例えば三十五度を超える、四十度近い、もうこんなに暑くなってしまったら、暑さ対策で子供たちを管理できない、安全が確保できないとなれば、当日のキャンセルすら認められているわけですよ。
 ですから、そういった意味では、この学校の意向を十分配慮した上でというのが、どれだけ都民の皆さんに伝わっているのかなというのはちょっと疑問がありますので、ここは、私は本当に声を大にしていいたいなというように思います。
 そういった中で、暑さ対策がこの間ずっといわれてきた中で、さらに今回は、新型コロナウイルスの感染防止というものも、あわせて必要になってきています。
 子供たちの安全・安心な競技の観戦の実現に向けて、都教育委員会ではどのように対応策を考えられているのか、伺いたいなと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、暑さ対策として、低学年の児童には、気温が下がる時期に開催されますパラリンピック競技大会への配券を割り当てるなどの配慮を行うとともに、競技観戦する子供たち向けに遮光ボードや冷却用タオル、引率教員向けに熱中症応急キットを配布いたします。
 コロナウイルス感染症対策としては、都教育委員会の感染症対策ガイドラインに加えまして、大会組織委員会による観客向けの感染症対策ガイドラインの徹底に努めていくとともに、各学校に手指消毒薬を配布いたします。
 都教育委員会は、子供たちや保護者、そして学校が安心して競技観戦ができるよう、大会組織委員会などの関係機関と連携し、安全対策に万全を期してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。緊急事態宣言もどうなるか、また、感染状況もどうなるか、大会の運営自体がどうなるか、こういったことがわからない中で、都教育委員会や各市区町村の教育委員会、また、学校、教員、本当に多くの皆さんが、手探りの状態で子供たちのために活動されているということに、本当に私は敬意を表したいなと思っています。
 これはオリンピック・パラリンピックだけではなくて、例えば移動教室のようなものも、今、各市区町村で延期になっています。中止になっているところもあるのかもしれません。しかし、延期になっているところ、もしくは、緊急事態宣言が延期にならなければ実施はできるんだけれどもなというような学校さんなんかも、実地踏査には行かれたりだとか、いろんな各関係部署と打ち合わせを詰めながら、できるんだったらやらせてあげたい、でも、緊急事態宣言が延期になったら、延期になって、または中止になって、さまざまなところで、できるだけの準備というのは進めているという現状があります。
 これは、このオリンピック・パラリンピックも同じことなんじゃないかなというように思います。
 ですので、現段階において、方針の変更があるのですか、ないのですかということ自体の質問は、私はナンセンスだなというように思いますが、そういった中で、安全・安心な競技観戦に向けて、引率する先生たちに対して実施する内容について、最後にお伺いしたいなと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 東京二〇二〇大会における競技観戦は、学校の教育活動の一環として行われるものであり、引率する教員が必要な情報を十分に把握し、子供たちの安全に十分配慮して実施することが重要であります。
 そこで、都教育委員会では、令和三年四月から、各学校の引率予定の教員を対象といたしまして、実際の競技会場内の移動のルートや会場内の施設を確認する実地踏査の機会を提供しております。
 実地踏査につきましては、会場利用上の都合などから、緊急事態宣言期間中に行わなければならない会場もございますが、実地踏査の意義に鑑み、参加者のマスク着用の徹底はもとより、実施回数をふやしまして、さらに小グループに分けて説明を行うなど、感染症対策を講じながら実施をしたところでございます。

○内山委員 ありがとうございます。
 繰り返しになりますが、子供たちの安全・安心というものを守りながら、一方で、さまざまなイベントが中止や延期になってしまっている子供たちのために、できるのであれば最高の舞台を提供してあげたい、こういった思いの中で、どちらかが最優先とかということではないですよね。どちらも確保できる状況であれば、しっかりと行っていきたいという、本当に難しいかじ取りはあるんだと思います。
 さまざまな声もあろうかと思いますが、引き続き、子供たちのために何が一番になっていくのか、チルドレンファーストの理念を最優先に取り組みを進めていただくことを最後にお願い申し上げまして、私からの質問とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○斉藤委員 私からも、東京二〇二〇大会の延期に伴う繰り越しについて伺います。
 学校連携観戦運営委託及び暑さ対策グッズの調達にかかわる費用、二・九億円の繰り越しということですけれども、この繰り越し自体に、学校連携観戦の是非、さらにはオリンピック開催そのものの是非がかかる問題です。その観点から質問をいたします。
 まず、根本的なことから伺います。
 ことしの夏のオリンピックの開催については、中止または再延期を求める声が圧倒的です。五月に発表された朝日と産経での世論調査では、ともに八割以上が中止または再延期を求めています。国内だけでなく、海外の世論調査でも中止や再延期を求める声が大半です。
 弁護士の宇都宮健児さんが行っている五輪開催の中止を求めるインターネット署名には、現在、四十万を超える賛同が集まり、小池都知事にも届けられています。
 学校連携観戦についても、厳しい批判や不安の声が寄せられています。
 コロナの感染が終息せず、変異株の脅威もある中で、子供たちを競技会場に連れていく、こういうことに対して、子供たちにコロナの感染が広がったらどうするのか、子供たちを危険にさらすようなことはやめてほしい、こうした動員の計画はやめてほしいというような悲痛な声が上がっています。
 この世論を都教育委員会はどのように受けとめているのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 こうした声は、新型コロナウイルス感染症への不安と認識をしております。
 オリンピック・パラリンピック教育でさまざまな学習や体験を積み重ねてきた子供たちにとって、世界のトップアスリートが最高峰の競技を繰り広げる姿を目の当たりにすることは、その後の人生の糧にもなる貴重な体験であると考えております。
 東京二〇二〇大会の競技観戦を楽しみにしている子供たちのため、競技観戦を希望している学校が安心・安全を十分に確保した上で競技観戦を実施し、子供たちの心のレガシーとなるよう、準備を進めているものでございます。

○斉藤委員 感染拡大に関する不安というふうに認識していると。認識しているのに、なぜ強行しようとしているのかということが、今、本当に大きく問われていると思います。安全に行っていくといっていますが、その中身がない。そのことに、みんな本当に不安を感じているんです。言葉だけでは具体的なものにはなりません。
 今回は、学校連携観戦の延期に伴う費用の繰り越しの報告ですけれども、そもそも、こうした世論に背を向けて、都教育委員会がこのままこの計画を強行するということでいいのでしょうか。保護者や教員だけでなく、多くの都民、国民から批判の声が上がっていること、このことに向き合って、中止の判断を行うことが求められています。まず、そのことを指摘しなければなりません。
 その上で、この学校連携観戦の概要について伺います。
 参加予定の幼稚園、小中学校、高等学校と特別支援学校の希望者数はどうなっているのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 学校連携観戦に参加を予定している公立の児童生徒数は、令和二年十二月時点で、幼稚園、こども園約四千人、小学校約四十八万人、中学校約二十四万人、高等学校約八万人、特別支援学校約六千人の合計約八十一万人でございます。

○斉藤委員 調査をまとめた昨年の十二月時点の数として、全体で約八十一万人ということです。このことは、我が党の新聞、機関紙「しんぶん赤旗」で報じて、大きな衝撃として受けとめられています。
 コロナの感染防止に、社会全体で、また学校現場で必死に努力をしているというときに、また、変異株の脅威もあるという中で、都知事自身が人流の抑制を繰り返し訴えている状況です。それなのに、八十一万人もの子供たちを公共交通機関を使って遠出させる、人混みの中に連れていくということに、保護者や教員だけでなく、多くの方々から、東京都はとんでもないことをしている、正気なのか、また、この計画はすぐにでもやめてほしい、そういう声が私のもとにもたくさん届いています。
 調査を行った時点と現在では、状況が一変しています。
 少なくとも都教育委員会として、改めて現時点での参加の希望と理由の調査を行って、学校現場の声を聞くべきですが、いかがですか。

○瀧沢指導推進担当部長 今後、組織委員会から提供されます観客の上限設定に関する情報などを踏まえながら、各学校の参加に係る意向調査を行う予定であり、現在、準備を進めているところでございます。

○斉藤委員 今ご答弁いただいたのは、チケットの配券を行うための調査であり、あくまでも組織委員会が決める観客の入場制限に合わせて希望をとるというものです。
 私が求めているのは、そういう事務的なことではなくて、今、コロナの感染も終息されないばかりか、変異株の危険もある、世論の大半が中止か再延期を求めている中で、現場の教員や保護者の声を聞いて、その実態を都教育委員会がつかんでいく必要があるということを求めています。そして、その声を都として組織委員会に届けていくということが重要です。
 さらに詳細について伺います。
 昨年五月に示されている学校連携観戦チケット最終意向調査における留意事項には、チケット配券決定後のキャンセルについて、正当な理由なくキャンセルすることは認められませんと記載されています。
 例えば、当日に猛暑が予想された場合やコロナの感染状況が悪化しているなどの理由でキャンセルすることは認められないのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 当日の猛暑や新型コロナウイルス感染症の感染状況によって、校長が競技観戦を取りやめると判断した場合には、キャンセルすることができるというふうにしております。

○斉藤委員 猛暑やコロナの理由でキャンセルできると。
 さらに伺います。
 学校で観戦に行くとなった場合でも、新型コロナへの感染が心配で児童生徒が参加しないことを選択した場合、欠席扱いになってしまうのか、また、欠席した場合は、内申などで不利益な扱いになってしまうのかという不安の声も上がっています。
 都教育委員会としてどのように対応するのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 競技観戦当日を学校行事として位置づけ、授業日として設定した場合、参加しない児童生徒の出欠席の取り扱いは、不利益にならないよう、また、保護者の理解が得られるよう、適切に判断することを校長に依頼しております。
 不参加になった場合であっても、児童生徒に対してオリンピック・パラリンピックに関する課題学習を与えることなどにより、ほかの校外学習と同様に出席扱いにするなどの工夫が考えられます。

○斉藤委員 今、政府、組織委員会、そして小池都知事が五輪の開催ありきで突き進み、都教育委員会もこれに追随していくという現状の中で、この学校連携観戦に当たって、教員が児童生徒を引率するための会場への視察が行われています。
 現在、何カ所の会場で、何人の教員が参加したのか、伺います。
 また、今後行われる実地踏査、現地視察では、何カ所、何人の教員の参加が予定されているのか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 本日までに、十会場で実施をし、千七百八名の教員が参加しております。
 また、今後、十一会場で実施し、約九百三十人の教員が参加する予定でございます。

○斉藤委員 この教員たちの実地踏査、会場への下見についても、「しんぶん赤旗」で報道しています。
 参加した教員からは、緊急事態宣言で小池都知事が人流の抑制を強調している中、教員の感染リスクがある下見を本当にやるとは思わなかったという驚きの声、また、公共交通機関を使って一日数百人もの教員を集めるのはリスクが高い、これがきっかけで学校に感染が広がる可能性もあると懸念する声も届いています。
 本当に、小池都知事と、今、都教委が行っていることが感染症防止に矛盾しているということをいわざるを得ません。
 学校連携観戦会場における実地踏査についての通知では、その目的に、教員が幼児、児童生徒を安全に引率するため、会場視察を行い、引率時の安全対策や留意点等を確認すると明記しています。
 引率時の安全対策について、特にコロナの感染防止対策としては、具体的にどんなことが確認されたのでしょうか。マニュアルやガイドラインなどはあるのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 実地踏査では、引率する教員が会場内の動線を歩き、児童生徒の実態に応じた安全対策や留意点を確認しております。
 具体的には、新型コロナウイルス感染症に係る対策として、三つの密の回避を踏まえた動線やトイレの広さなどに加え、会場入り口に設置しております検温所などについて確認をしております。
 また、安全対策に向けたマニュアル等につきましては、基本的感染症対策及び学校行事に係る留意点を示しました都教育委員会による新型コロナウイルス感染症対策と学校運営に関するガイドラインがございます。
 今後、組織委員会においても、感染症対策などを含めた競技観戦のルールを示す予定と聞いており、これに合わせて、引率者が安全に競技観戦ができるよう、競技観戦の留意点を取りまとめ、周知してまいります。

○斉藤委員 実地踏査では、安全対策や留意点を確認しているということですけれども、私のところには、実地踏査に参加した先生から、こういう声が届いています。
 公共交通機関を使わないといけないとなると、一般の方も乗り合わせているわけで、それで子供たちがコロナに感染しないで安全・安心に引率できるとは思えない、集められたこの下見では、教員からの質問にも、都側は曖昧に答えるだけで、時間が延長した、また、実地踏査の段階でも、子供たちが会場までの移動に使う公共交通機関や競技観戦時の感染対策がほとんど示されていないという声が届いています。今の答弁とは、実態がかけ離れているという状況です。
 新型コロナウイルス感染症対策と学校運営に関するガイドラインとおっしゃいましたけれども、これは、ふだんの学校生活の中で使っているものであって、オリ・パラ観戦時のものではありません。
 環境が変わったところでどういう対策が必要なのか、その対策を講じることが必要なのに、実地踏査でも示されなかった、こう聞いています。
 今後、組織委員会からの競技観戦のルールが示される予定ということもおっしゃいましたけれども、現時点で示されていない中で、安全の保障などないと教員の皆さん方が感じるのは当然ではないでしょうか。
 たとえ希望校だけだとしても、競技観戦に来てくださいと、この状態で呼びかける。それは私は無責任ではないかというふうに思います。
 今回のこの報告についてですけれども、学校連携観戦運営委託と暑さ対策グッズの調達に係る費用の繰り越しについて、念のために伺います。
 コロナ感染防止という観点から、安全対策は、暑さ対策以上に必要になるんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 感染症防止対策につきましては、各学校が都教育委員会の新型コロナウイルス感染症対策と学校運営に関するガイドラインなどに基づきまして、マスクの着用や検温、手洗いなど基本的な感染症対策を徹底するとともに、家庭における健康観察も、保護者に協力を依頼してまいります。
 今後、組織委員会から示される競技観戦時の感染症防止対策等も十分踏まえてまいります。
 こうした感染症防止対策が徹底されますよう、引率教員向けの説明会や競技会場の実地踏査で丁寧に説明を行っております。

○斉藤委員 私がちょっと確認したかったのは、コロナの感染の防止対策として、新たな費用が必要になってくるんじゃないかということをお伺いしました。
 例えば、消毒や検温のための資材、密を避けながら誘導するための誘導員の新たな配置など、こういうことは想定されていないのでしょうか。ご答弁をお願いします。

○瀧沢指導推進担当部長 今回は、令和二年度の予算の繰り越しということで計上しております。感染症対策等につきましては、令和三年度の予算として計上しております。
 このため、この中には入っておりませんが、例えば、手指消毒用の消毒を配布するなどの予算については計上しており、安全に観戦が行われるように各学校に配布をし、また、その適正な使用について周知を図ってまいります。

○斉藤委員 手指消毒等の資材というのは令和三年度の予算でということですけれども、それ以上に、やっぱり求められてくるということはあると思うので、そこら辺は、やはり適当にはしてはいけない、きちんと考えていかないといけない、そういう部分だと思います。
 夏の猛暑の対策に加えて、コロナの感染防止対策のために、炎天下でもマスクが必要な状況になっています。
 東京都医師会の尾崎会長は、子供の競技観戦について、競技は真夏の時期で、しかも、会場が屋外の場合もある、マスクの着用による熱中症の危険も大人以上に考えなくてはなりませんと指摘をしています。
 子供たちが炎天下でマスクをつけて歩くということについて、その危険性や対策について、都教育委員会として専門家の声は聞いているのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 文部科学省では、専門家の意見も踏まえた学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル 「学校の新しい生活様式」 を作成しております。そのマニュアルでは、身体的距離が十分にとれないときはマスクを着用するべきとされておりますが、夏季の気温、湿度や暑さ指数、いわゆるWBGTですが、こちらが高い日には、熱中症などが発生するおそれがあるために、できるだけ人との十分な距離を保つ、近距離での会話を控えるようにするなどの配慮をした上で、マスク外すこととしております。
 本マニュアルに基づきまして、学校連携観戦におきましても、気候や周囲の状況、児童生徒の様子などを踏まえ、臨機応変に対応できるようにしてまいります。

○斉藤委員 いろいろご説明されましたけれども、要するに、改めて専門家に聞いているということはないということだと思います。
 通常の学校生活でのマニュアルのお話をされましたけれども、真夏の屋外での移動や競技観戦などは、通常の学校生活にはないものです。子供たちの体に大きな負担を強いる猛暑とコロナの中での対策、これは安易に考えていいということでは全くないというふうに思います。しっかり対策をやれているのかということが見えてこないということが、多くの不安を招いているというふうに思います。
 子供たちの救護体制はどうなっているのか、伺います。
 駅から会場までや競技会場での救護所の子供たちの利用は確保されているのかどうか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 駅から会場までのラストマイルや競技会場内には、救護所やクールスポットが設置される予定でございます。
 学校は、これらの施設を利用することが可能となっており、ラストマイル上に配置されます都の職員や、競技会場内の大会組織委員会の職員、学校連携観戦運営の連絡員や誘導員などが連携しながら救護活動を行う予定でございます。
 引き続き、安全対策について万全を期してまいります。

○斉藤委員 救護所が設置される予定だということですけれども、それはわかるのですが、このめどはついているのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 設置の詳細につきましては、オリンピック・パラリンピック準備局及び組織委員会と調整をしているところでございます。

○斉藤委員 もう大会まで二カ月を切っているところですけれども、まだ調整中ということなんですよね。
 東京都医師会の尾崎会長は、五月二十六日付の毎日新聞でこう述べています。五輪の延期前は、駅から競技場までの沿道にも救護所を設置する予定となっていた、協力要請に応じてくれていた医療従事者に改めて聞くと、発熱外来やワクチン接種で無理といわれている、救護所ではなく、見守り隊を置いて医師につなげるという方法などを検討中だが、実際に対応が可能なのかどうかは見えてこないというふうにいっているんです。子供たちが救護所を利用できる体制もできるかどうか、不明な状態なわけです。
 都教育委員会は、ただ組織委員会につき従って、こうした救護の体制なども、みずから状況を調べようということも必要だと思うんですけれども、こうした重要な情報も学校と共有せずに、参加する学校を募るだけでは、余りに無責任だといわなければなりません。
 さらに、サポートや誘導にかかわるボランティアや契約スタッフ、都の職員などは、PCR検査やワクチン接種を行うわけではありません。ふだんなら接触しないはずの多くの人と、子供たちは接触することになるわけです。
 教員から、コロナの感染を防げる保証はないという声が上がるのも当然ですし、保護者からも、子供たちを危険にさらさないでというのは当然だというふうに思います。
 そもそもですけれども、先ほどのガイドラインや緊急事態宣言下での学校での対応について、都教育委員会は依頼を出して、各学校は、それに基づいて感染防止対策に努力をしています。
 その中で、都教育委員会では、現在、全ての部活動を中止にする、また、一堂に集まって行う行事、校外での活動は延期にするというふうにしていますが、それはなぜでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 緊急事態宣言下において、学校における感染症の発生や感染症拡大のリスクを低減するために実施しているものでございます。

○斉藤委員 要するに、感染防止のために、こうした制限を行っているわけですよね。学校現場では、これを必死に守って、先生たちも力を尽くしている、そして、子供たちもそれに応じているわけです。部活動が原則禁止、行事も中止か延期になっているという状況です。
 その依頼の前書きには、新型コロナウイルス感染症の変異株による割合は急速に増加していることを踏まえ、感染症対策を一層徹底してくださいと、都教育委員会がみずから、ここに下線を引いて強調して示しています。
 こうした中で、ふだんの生活域から出て不特定多数との接触もある、大規模でより危険なイベントに連れ出す学校観戦自体が、ふだんから学校で行っているガイドラインに基づく、この通知に基づく感染防止対策と矛盾するのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 各学校は、日ごろから、都教育委員会の感染症ガイドラインなどに示しております感染症対策を徹底して教育活動を継続しております。また、今後の感染状況の改善に伴い、制限してきました教育活動を再開できるように準備を進めております。
 都教育委員会は、東京二〇二〇大会の競技観戦を楽しみにしている子供たちや学校が安心して競技観戦できるようにするために、通常の教育活動と同様に、実施が可能となる状況を想定しながら、大会組織委員会、オリンピック・パラリンピック準備局の関係機関と連携を図り、準備をしているところでございます。
 また、先ほども答弁させていただきましたが、さらに、今後、大会組織委員会による競技観戦時の感染症防止対策なども発出される予定でございます。こちらもあわせて各校に周知をしてまいります。

○斉藤委員 今、現状は、緊急事態宣言を解くことができなくて、またさらに延長だというふうになっているわけです。通常どおりに学校が戻るという見通しが今立っていないわけですよね。
 そうした中で、オリ・パラの大会開会まで二カ月を切って、実踏調査も始まっている。こういう中で、感染状況がどうなるのかさえもわからない、それで、組織委員会からのガイドラインというのもまだ出てこない。
 こういう状況で、このまま突っ込んでいくということは、安全が担保されていないのと同じだというふうに私はいわなければならないと思っています。
 今、保護者が東京都に対して、学校観戦の計画中止を求めるネット署名を始めて、数日で約一万五千筆以上の署名が集まっています。子供たちをコロナの感染の危険にさらしたくない、そういう声や、親の心配から行かせないと、親子関係に亀裂が入ってしまう、また、五輪中止は圧倒的な世論、不安な中で強行すれば子供の心が傷ついてしまう、こういう声が届いています。
 教員からも、コロナの感染リスクに加え、熱中症の懸念も大きいこと、また、教育課程への影響を鑑みても、学校観戦を直ちに中止することを求める要望が都教育委員会に提出されています。
 こうした保護者や教員の声に、都教育委員会としてどのように答えるのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 オリンピック・パラリンピック教育でさまざまな学習や体験を積み重ねてきた子供たちにとって、世界のトップアスリートが最高峰の競技を繰り広げる姿を目の当たりにすることは、その後の人生の糧にもなる重要な経験でございます。こうしたことから、学校連携観戦は、競技観戦を希望する学校に参加の機会を提供するものでございます。
 都教育委員会は、学校連携観戦の実施に当たりまして、新型コロナウイルス感染症対策や暑さ対策などを徹底し、関係機関との連携を図りながら、競技観戦を希望する学校が安心して競技観戦できるよう、児童生徒の安全確保に万全を期してまいります。
 また、学校に対して、新型コロナウイルス感染症対策と学校運営に関するガイドラインなどに基づきまして感染症対策を徹底するように示しております。その上で、競技観戦に係る感染症対策などの安全対策について、各学校が保護者に対し、具体的な感染症対策や競技会場までの経路などを丁寧に説明することを通して、保護者の理解を求めてまいります。

○斉藤委員 いろいろとご説明いただきましたけれども、保護者や教員の声を聞くという答弁ではないんですね。あくまでも強行して、そのための理解を得ていくと。
 大会のことも、今、夢のようにおっしゃいましたけれども、今、既に、選手も辞退した方がいますし、ワクチン接種も格差があって、フェアな大会にはなっていません。安全対策といっても、今ある学校のガイドラインだけ。安全対策に万全を期していくといっても、その中身がないのだから、誰も安心できないし、多くの方が、この言葉、安心・安全と繰り返されるけれども、中身がない、聞き飽きているという状況なんです。
 ふだんの生活域から子供たちを連れ出して、ふだんなら接触のない物や人に触れる機会になる学校連携観戦で、子供たちももちろん、接触する人々にもワクチン接種やPCR検査も行わない中で、まともな安全対策や救護体制も不明確。これでは、子供たちの安全を守る対策は破綻しているといわざるを得ません。
 そもそものオリンピックのあり方についても伺います。
 都教育委員会はこれまでに、オリンピック・パラリンピック教育を各学校で実践してきました。五輪憲章には、友情、連帯、フェアプレーの精神と相互理解、そして、人間の尊厳を大切にし、平和な社会の推進を目指すことをその理念に掲げています。
 しかし、IOCのバッハ会長から、東京五輪の開催のために、誰もが幾らかの犠牲を払わないといけないという発言があり、日本の国民の心を大きく傷つけました。大きな批判の声が上がりました。
 バッハ会長は、その後に、日本の国民に対していったことではないという釈明をしていますが、それでもこれだけ大きな批判の声になったのは、五輪の開催の強行で、実際に国民、都民に大きな犠牲が強いられるからだというふうに思います。
 第一に、五輪のために、医師や看護師など医療従事者の体制が割かれます。
 今、現実に、自宅療養で苦しんでいる患者さんや、病院をたらい回しになり、医療にアクセスできないまま命をなくす人たちがいます。医療体制を五輪のためにとられてしまえば、都民、国民の命を救うための医療が逼迫して、そして医療崩壊になりかねません。命の犠牲が起こり得る、こういう状況です。
 第二に、五輪を契機に、変異株も含むコロナの感染拡大になれば、さらに苦しい自粛や緊急事態宣言が強いられることにもなりかねません。
 今でも生きていくこともままならない経済状況が広がっている中で、本来なら、この夏のオリンピック中止をすれば、東京都の力を、こういう傷ついている命や経済を救っていく、そういうことに振り向けていくことができるんです。
 そして、今、中止や再延期を求める大半の声を置き去りにしていくことで分断される社会、子供たちの安全まで、五輪のもとに犠牲にされようとしている。
 こういう大会のあり方は、子供たちに教えてきたオリンピック憲章の理念に大きく反するものではないでしょうか。
 都教育委員会は、教育者として、子供たちにこれをどう説明できるのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 お尋ねのバッハ会長の発言でございますが、その発言の意図につきまして、都教育委員会としては承知しておらず、お答えをする立場にはないと考えております。

○斉藤委員 もう一回、聞きたいと思いますけれども、こうした大会のあり方は、子供たちに教えてきたオリンピック憲章の理念、今、もう大きくかけ離れている、そういう状況だと思います。
 バッハ会長の言葉に日本の国民が敏感に反応したのも、今お話ししたとおり、この夏の五輪開催には、現実に都民、国民の犠牲が伴うからです。
 さらに、各国の選手のワクチン接種にも格差があり、今や日本も含めてですけれども、渡航や入国が制限されている国もあります。既に大会への出場を断念している選手もいる中で、フェアプレーのオリンピックにもなりません。
 このオリンピックが、皆さんが子供たちに教えてきたオリンピックの理念に沿った大会だということを教育者としていえるのですか。ご答弁をお願いします。

○瀧沢指導推進担当部長 これまでオリンピック・パラリンピック教育のもと学習を行ってきた、その成果の一つとなるように、学校連携観戦を通じてオリンピック・パラリンピックの理念を少しでも実感できるように、引き続き、安全な実施に向けて準備を進めてまいります。

○斉藤委員 オリンピックが延期になって、もう一年たつわけですね。この一年間の間に、政治、行政がきちんと責任を持って科学的な対策を行って、PCR検査の拡大、そしてコロナを抑えていく、こういうことや、十分な国民、都民の休業補償をやって、人流を本当の意味で抑制できる、そうした責任ある対策、科学的な対策を行って、今現状、仮にコロナが終息できていれば、今、部長さんがおっしゃったように、今までの学習の成果として、本当に喜べるオリンピックになったんじゃないかというふうに思います。
 しかし、現実、そうはならなかった。私たちは繰り返し、科学的な対策を行って、みんながこのコロナの危機を乗り越える、そういうことを訴えてきましたが、しかし、政治の責任はそういう形を果たすことがないまま、今に至っているという状況です。
 私は、この間、寄せられた中学生の言葉に、本当に涙が出る思いでした。去年は五輪の観戦をとても楽しみにしていたけれども、今はみずから参加しない選択をしているという中学一年生のお子さんです。その理由について、自分がコロナに感染する可能性も、感染させる可能性もあるから、今、大変な医療の人に迷惑をかけてしまうかもしれないから参加をしないというふうにいっているんです。子供たちは、立派に社会の状況を理解して、医療の現状、社会のことを思いやって行動しようとしているんです。
 都教育委員会は、昨年末、医療従事者に感謝を伝えようと、各学校に通知を出しました。ところが、今やっていることは真逆のことです。医療従事者も、今、オリンピックは無理だと、悲鳴のような声を上げているんです。
 こうした子供たちの姿勢に、むしろ学ぶべきだというふうに思います。
 そんな中ですけれども、大会組織委員会では、無観客開催でも子供たちの学校連携観戦は行うという議論が始まったということも報じられました。オリンピックの体裁のために子供をあくまでも利用しようとするような姿勢に大きな批判の声が上がっています。
 この件について、組織委員会から、都教育委員会には報告や意見聴取はあったのでしょうか。また、都教育委員会からは確認をしているのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会では、無観客開催でも子供たちを競技会場に招待するという報道の後、大会組織委員会に連絡をし、事実確認を行ったところでございます。
 組織委員会からは、本報道は仮定に基づく報道となっており、組織委員会は承知していないとの回答を得ております。

○斉藤委員 これは、組織委員会の関係者が明らかにしたということで報じられているんですけれども、本報道は仮定に基づく報道となっており、組織委員会は承知していないというのは、本当に意味がわからないですよね。
 承知していないなら、この報道は間違いで、無観客でも学校観戦を行うという検討はないということでいいのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になりますけれども、私どもとして、組織委員会からのお話もございませんし、確認したところでも、組織委員会自身が、本報道は仮定に基づく報道となっており、組織委員会として承知していないという回答を得ているということで、私どもとしては、知り得る状況としては以上でございます。

○斉藤委員 組織委員会が承知していないということなら、大変な誤報だというふうなことだと思いますけれども、ちゃんと抗議しないといけないと思います。それから、本当に中身をちゃんと確認しないといけないというふうに思います。
 私は、このことについて、学校観戦を担当している文科省、直接的にはスポーツ庁ですけれども、この検討について、組織委員会から連絡や打診はあったのかということも聞きました。しかし、担当の方は、聞いていないというふうに繰り返していました。
 私は、組織委員会が、文科省や都教育委員会など子供たちの教育にかかわる関係機関の頭越しに、無観客でも学校観戦を行うという検討をするということは言語道断だというふうに思います。子供を預かる教育現場の責任者として、文科省とともに、そのような独断は許さないということを組織委員会に抗議するべきだというふうに思います。
 五輪の開催や子供の学校連携観戦について、IOC、日本政府、そして小池都知事の強硬な姿勢が今、際立っています。そうした中で、都教育委員会が、東京都の子供たちのために、また、保護者や先生たちに寄り添って守る役割を果たすことが今大きく求められています。
 IOCのコーツ副会長は、緊急事態宣言のもとでも五輪は開催できるという強硬な発言を行って、また大きな批判を受けました。
 都教育委員会としては、たとえ緊急事態宣言のもとでも、無観客開催でも組織委員会が学校観戦をやるといったときに、都として、子供を守る判断をして学校連携観戦の中止を決断するべきですが、いかがでしょうか。それとも、独自で中止の判断を行わず、従っていくということなのか、ご答弁をお願いします。

○瀧沢指導推進担当部長 学校連携観戦は、子供たちにとって、世界のトップアスリートが最高峰の競技を繰り広げる姿を目の当たりにできる貴重な経験の機会であると考えております。
 都教育委員会は、関係機関と連携を図りながら、競技観戦を希望する学校が安心して競技観戦できるよう、安全対策に万全を期してまいります。

○斉藤委員 今のご答弁ですと、どんなにIOCが強硬な姿勢だったり、おかしな状況だったとしても、都教育委員会としては、独自で判断しないでついていく、そういう姿勢だということ、そういう答弁だというふうに受けとめましたけれども、これは本当に、生徒たち、教育現場や先生たち、保護者、皆さんに失望を与えるものだと思います。
 どんなにおかしい状況でも、唯々諾々とつき従っていく、これが東京都の教育者のトップの姿なのかということ、これは本当に残念な状況だと私は思います。
 さらに伺います。都教育委員会は、学校ごとの参加を判断することができるとしていますが、このことについて、学校任せの状況で、もし児童や生徒、教員にコロナの感染が起きた場合には、誰が責任をとれるのかと、教員から不安の声が上がっています。
 学校連携観戦でコロナの感染が起きた場合は、都教育委員会として責任をとれるのでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、競技観戦が子供たち一人一人の心にかけがえのない記憶として刻まれるように、関係機関との連携のもと、感染症防止対策などを徹底し、子供たちの安全確保に万全を期してまいります。

○斉藤委員 責任をとるとは明言されないわけですよね。学校連携観戦を進めながら、安全対策もまだ示さない、救護体制もどうなるかわからない。そういう状況で進めておきながら責任をとるとはいえないというのは、これは本当に、学校現場にとって衝撃だと思いますよ。非常に無責任な状況だと思います。
 安全確保に万全を期していくといいますけれども、中身が示されていなくて、何も担保がされていない、こういうことに先生たちは不安を感じているんです。
 コロナの感染状況がたとえ落ちついたとしても、五輪大会を契機に、感染がまた広がるという懸念もあります。五輪開催の結論を待つのではなく、本当に影響の大きい子供たちに対しては、変異株への感染の危険を伴う学校観戦を直ちに中止をするべきです。
 少なくとも、子供たちの命の安全に責任を負っている文科省ともしっかりと協議をするべきですけれども、いかがでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 文部科学省からは、感染症を含め、安全・安心に係る通知やマニュアル等が適時発出されているところでございます。
 都教育委員会としても、それらを踏まえて感染症対策などの取り組みを実施しているところでございます。
 子供たち一人一人が心にかけがえのない記憶として刻むことができるよう、二〇二〇大会が実施されることを前提として、関係機関と連携を図り、安全対策などに万全を期してまいります。

○斉藤委員 大会が実施されることを前提にと、あくまでもこういう答弁です。私は、本当に子供の命を守るという立場、子供の命最優先で守るという姿勢で、文科省とも一緒に話をしてほしいというふうに思います。組織委員会にただついていくだけ、こういうのは、本当に今、危険だというふうに思います。
 東京都医師会の尾崎会長は、我が党の「しんぶん赤旗」の紙面でこう述べています。子供たちが、暑い中、マスクをつけてのコロナ対策など、大人よりも気を使わなければならないことがある、そして、子供たちの学校観戦は、冷静に考えて中止を判断すべきだと明言しています。医療従事者、しかも、東京都の医師会のトップの方からのこうした見解は、本当に重たいものだと思います。
 それを皆さんしっかり受けとめて、向き合って、そして、何かがあってからでは取り返しがつきません。本当に子供たちの安全を守る、その立場で中止を決断していく、このことを強く求めまして、私の質疑を終わりにします。

○河野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。

○河野委員長 これより生活文化局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、局長から紹介があります。

○野間生活文化局長 四月一日付人事異動で生活文化局の幹部職員に交代がございましたので、紹介させていただきます。
 総務部長でオリンピック・パラリンピック調整担当部長を兼務しております古屋留美でございます。消費生活部長の工藤穣治でございます。私学部長の戸谷泰之でございます。文化振興部長の蜂谷典子でございます。都政情報担当部長の内山裕道でございます。都民活躍支援担当部長の小野由紀でございます。文化施設改革担当部長の石井浩二でございます。最後に、当委員会との連絡調整に当たります総務課長の富岡麻紀子でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○河野委員長 紹介は終わりました。

○河野委員長 次に、理事者からの報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○古屋総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年度東京都一般会計予算の繰り越しにつきまして、お手元の資料第1号、令和二年度生活文化局所管繰越説明書によりましてご説明いたします。
 資料の一ページをお開き願います。Ⅰ、総括表でございます。
 一般会計につきまして、予算現額、繰越明許費予算議決額、翌年度繰越額及びその財源内訳を記載しております。
 生活文化費につきまして、予算現額が二十六億四千三百万余円、繰越明許費予算議決額が十四億九千五百万余円、翌年度繰越額が十四億八千九百万余円となっております。財源は、全て繰越金でございます。
 また、学務費につきましては、予算現額が五億四千八百万余円、繰越明許費予算議決額が二千八百万余円、翌年度繰越額が同額の二千八百万余円となっております。
 財源は、全て繰越金でございます。
 二ページをお開き願います。Ⅱ、内容、番号1、文化事業の推進でございます。
 繰越理由でございますが、文化プログラム事業につきまして、東京二〇二〇大会の延期に伴い、事業の一部を翌年度に継続実施するものでございます。
 番号2、オリンピック・パラリンピック教育の推進でございます。
 繰越理由は、東京二〇二〇大会学校連携観戦運営に係る業務委託につきまして、大会の延期に伴い、事業の一部を翌年度に継続実施するものでございます。
 以上でご報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○河野委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。自席で質問させていただきます。
 私からは、生活文化局所管分の繰り越しということで、東京五輪延期に伴うものということです。
 文化芸術支援につきましては、第一回定例会の予算特別委員会でも取り上げさせていただいてまいりました。委員会では、東京における文化芸術の役割の重要性について尋ねたところ、知事は、芸術文化は、東京の都市としての魅力を形成する要素だけではありません、コロナ禍にあって、さまざまな状況に置かれる人々を支え、感動や喜びをもたらす重要なものであると認識を示しています。
 コロナ禍、緊急事態宣言が、この間、延長されてきて、都民は、映画館、美術館、博物館などが閉館して、文化に親しむ機会は激減しています。東京都は、東京オリンピック・パラリンピック開催に当たって文化プログラムを実施してきましたが、さまざまな事業が延期や中止を余儀なくされて、今回もこの報告ということであります。
 まず、お聞きしたいと思います。昨年度に開催できずに繰り越しとなった事業にはどのようなものがあるか。その中の、例えば東京キャラバンや、TURNや、トーキョー・メット・サラダ・ミュージック・フェスティバル、サラダ音楽祭ですね、これらの概要について、金額もあわせてお示しください。

○蜂谷文化振興部長 昨年度に開催できずに繰越明許となった事業のうち、東京キャラバンとは、多種多様なアーティストが出会い、伝統文化や演劇、音楽など、さまざまな分野の芸術文化が一堂に会して、交わりながらパフォーマンスなどを繰り広げるプロジェクトでございまして、繰越額は二・二億円となっております。
 TURNとは、障害の有無、世代、性、国籍などの背景や習慣の違いを超えた多様な人々の出会いによる相互作用を表現として生み出すアートプロジェクトの総称でございまして、繰越額は一億円でございます。
 また、サラダ音楽祭は、誰もが歌い、聞き、踊り、参加して楽しめるということをコンセプトに、東京都と東京都交響楽団が、東京芸術劇場やその周辺エリアを中心に展開する音楽祭でございまして、繰越額は一・四億円となっております。

○とや委員 今、三つの事業についてお答えをいただきました。新しい出会いや多様性を重視する、誰もが文化芸術に参加できる取り組みが企画されているということがわかりました。
 ほかにも、オペラ夏の祭典では三・二億円、スペシャル13では一・二億円、ライブサイトの設置等の経費は二・二億円、これは五輪のライブサイト内における文化のブースの経費だというふうに思いますが、また、選手村等の伝統文化体験には一・八億円という事業が盛り込まれていると伺っております。
 それから、Tokyo Tokyo FESTIVALプロモーション・ブランディング、この事業も繰り越しとなっています。この事業はどのような事業でしょうか。
 また、Tokyo Tokyo FESTIVALには、民間の文化芸術団体の音楽だとか、あるいは演劇の公演などへの助成制度もあるわけですが、このうち、昨年度実施した事業は幾つあったのか、また、今年度に延期された事業は幾つあるのか、伺います。

○片岡文化総合調整担当部長 TTFプロモーション・ブランディング事業は、二〇二〇大会に向けた文化プログラムを展開するに当たり、事業アイコン等を通じたブランディングや、イベントやウエブサイトでのプロモーションを通じ、オリンピック・パラリンピックが文化の祭典でもあることを広く伝える事業でございます。
 また、TTF助成事業は、令和二年度に二十五事業が実施され、令和三年度に八十八事業が延期されてございます。

○とや委員 TTF助成事業と今ご説明いただいたのですが、この助成制度は、二〇二〇年度の公募が最後の機会でありました。採択事業は、二〇二〇年度の文化プログラム、Tokyo Tokyo FESTIVALの公式プログラムとして位置づけられます。
 ところが、コロナ禍によって、二〇年度は二十五事業実施したものの、八十八事業が延期となったということです。
 これらの事業は、今年度、無事に開催されることを私たちとしては願うばかりですが、今年度に入っても、四月七日からのコロナの蔓延防止措置がとられて、四月二十五日からは緊急事態宣言となって、今月十二日に延期されて、さらに六月以降も延長されるということが、きょうにも発表されるという状況であります。
 そうした中で、繰り越ししたものの、既に中止になったものもあります。
 今年度の開催状況、中止状況はどのようになっているのか。繰り越しに限らず、TTF事業全体はどのような状況になっているのか、お答えください。

○蜂谷文化振興部長 今年四月の緊急事態宣言を受けまして、サラダ音楽祭ポップスコンサートを中止しましたほか、スペシャル13の一部事業の延期やオンライン配信への変更を行っております。

○とや委員 四月二十五日から五月七日までは、都立施設は原則休館です。イベントは無観客開催が要請されて、五輪のテストイベントは実施されていましたけれども、例えばサラダ音楽祭の日比谷野音は、五月二日でしたけれども、これは残念ながら中止になったということであります。
 サラダ音楽祭は、八月にはメーンプログラムが予定されていて、オーケストラと歌とダンスのコンサートを開催されるということをホームページでも拝見させていただきました。都響の音楽監督、大野さんの指揮のもとで、毎年大好評の赤ちゃんから入場オーケーのOK!オーケストラ、そして、メーンプログラムのフィナーレを飾る音楽祭のメーンコンサートも予定されているわけです。
 さらに、子供向けの鑑賞型公演、これは企画制作が東京芸術劇場になっていますが、ミニコンサートやワークショップなど、魅力的なプログラムがめじろ押しだと案内もありました。
 ぜひ都民誰もが楽しめるイベントは開催していただきたいと思います。
 一方、中止になったものへの支払いについてはどのようになるのか。また、中止になった企画に参加予定だったフリーランスのアーティストやスタッフ等への補償などはどのようになっているのか、お答えください。

○蜂谷文化振興部長 出演料やキャンセル料等につきましては、それぞれの契約内容に従って支払われているものと認識しております。

○とや委員 東京都が主催のものは、中止になった場合は、それまでにかかった経費は都からプロモーターに支払っているということであります。
 プロモーターが契約している事業者や個人に対してどのようにしているかは、それぞれの契約内容が違うということですが、やはりコロナ禍という状況のもとで、都の要請によって事業が中止になったわけだから、関係者が打撃をこうむらないように、そんな補償をしていくことが必要だと思います。
 アーティストの皆さんは、一部を除けば、多くがコロナ禍で生活が逼迫しています。メンタルもとても厳しい状況に陥る人もいます。最低でもキャンセル料が支払われているかどうかなど、目配りをしていただきたいということを要望しておきます。
 文化芸術関係者は、文化プログラムにかかわっている人ばかりではありません。これは皆さんよくご存じだと思うんですが、コロナによって事業を中止したり、観客数を制限したりせざるを得なかった文化関係者に、都の独自の支援が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○片岡文化総合調整担当部長 都では、昨年度、コロナ禍で厳しい状況に置かれたアーティストやスタッフ等を支援するため、アートにエールを!東京プロジェクトを実施いたしました。
 今年度も同プロジェクトのステージ型を追加募集し、民間団体への助成事業も拡大したところでございます。

○とや委員 今年度の追加募集は、一月から三月に中止や入場制限となった公募等を対象にしたものだというふうに聞いていますが、百件の募集に対してどの程度の応募があったのでしょうか。お答えいただけますか。

○片岡文化総合調整担当部長 四百八十二件となってございます。

○とや委員 約五倍ということであります。一月から三月の緊急事態宣言では、イベントは入場制限で、中止の要請ではなかったわけです。しかし、実際には中止を余儀なくされた企画もありますし、募集の五倍も応募があると。応募があったものは、全て採択をしていただきたいと思います。これは強く要望しておきます。
 そして、四月以降、コロナ対策として三回の補正予算が専決処分されて、四回目の補正が今度の六月議会に提案される予定です。
 ところが、先ほど説明いただきましたが、生活文化局関連の補正予算は一切ありません。合計一兆二億円もの補正予算が組まれて、飲食店などへの協力金や支援金などは、不十分ながらも組まれているのに、イベントを中止したり、入場者数を制限して協力している文化芸術への東京都としての支援が一切ないわけです。本当にこれは一体どうしたことかといわずにいられません。
 先日、私は、映画監督や美術家、女優さんにお会いして、現在、文化芸術に携わっている方々のお話を聞きました。東京は文化の集積するまちであり、日本の映画の興行収入の五〇%も東京だという話も聞きました。そういった点からも、東京における新型コロナによる文化芸術に対する影響は極めて甚大だといえます。
 五月十二日から、劇場やホールは、収容率五〇%で使用が可能となったわけですけれども、映画館や美術館、博物館などは、なぜか引き続き休業要請の対象になって、科学的な根拠があるのか、公平でないと、大問題になりました。こうした対応を是正するとともに、きちんと補償や支援をしていくことが必要です。
 私、予算特別委員会の中でも紹介しましたが、演劇緊急プロジェクトによる文化芸術に携わる全ての人の実態調査アンケートでは、コロナ禍で、三二・五%、三人に一人が死にたいと思ったことがあると答えています。
 ことし四月には、全国音楽家と音楽関係者の実態調査アンケートも行われています。これはぜひごらんになっていただきたいと思うのですが、仕事の業態は、雇用されている人が八・五%に対して、フリーランスは八五・五%に上っています。多くの音楽関係者が、非常に不安定な状況にあるということがわかります。
 何のお金が足りないのかという質問に対しては、職業維持のための費用が足りないと答えた人が断トツで六五・四%、次が家賃で四八・一%、食費は四五・八%と続いています。職業が維持できなければ、暮らしていくことはできません。
 公的支援や国に対しての思いを聞くと、困っている音楽家への補償、給付をしてほしい、文化芸術をないがしろにされていると感じていることが多いと答えた人もいます。不要不急といういわれ方は、生きていなくてよいといわれているようでした、無観客ならよいという施策も、全くお門違いだ、助けてください、このままでは一家心中です、こういった、たくさんの切実な実態が伝わってくる記述でありました。
 都として、パフォーマンスをすることが前提の支援ではなくて、東京の文化を守っていく、この立場で現金給付を含めた支援をすべきです。強く要求をしておきます。
 最後に、今回の繰り越しは、東京二〇二〇大会の文化プログラムとして実施される事業なわけですが、そのオリンピック自体、ここまで緊急事態宣言が長引く状況の中で、中止すべきだとの世論が八割を超える状況であります。私たちは、今回の五輪開催は中止して、コロナ対策に集中すべきだと訴えてきました。
 しかし、選手村での伝統文化体験などはともかくとして、文化プログラムは、二〇二一年度予算として新しく組み直したものも含めて、東京の文化芸術を振興する重要な取り組みとなっています。
 今後、オリンピックが中止になった場合、文化プログラム事業はどうなるのでしょうか。オリンピックの開催のいかんにかかわらず、可能なものは実施すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○蜂谷文化振興部長 オリンピック・パラリンピックは文化の祭典でもございまして、これまでも、アートイベントや都立文化施設での公演などの文化プログラムにつきましては、感染拡大防止に最大限配慮して実施をしているところでございます。

○とや委員 感染拡大防止を図ることは当然ですけれども、都として、文化芸術活動は最大限保障し、制限が必要な場合は、科学的根拠をしっかり示して、必要な場合はきちんと補償することが必要です。
 アーティストやスタッフが安心して活動でき、また、休業できる環境がなければ、そのパフォーマンスや技術を守っていくことはできません。そして、五輪の文化プログラムとしての事業の終了以降も、東京の文化芸術への公的支援は一層強めていくことが必要です。そのことを強く求めて、質問を終わります。ありがとうございました。

○河野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時三十三分休憩

   午後二時五十分開議
○河野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤委員 私からは、学校連携観戦について、東京二〇二〇大会の延期に伴う繰り越しについて伺います。
 私立学校の児童生徒が安全に競技観戦するための誘導等に係る費用の繰り越しということですけれども、この繰り越し自体に、学校連携観戦の是非、さらにはオリンピックの開催そのものの是非もかかわってくる問題だと思います。その点から幾つか質問をいたします。
 まず、学校連携観戦ですが、参加する私立の学校種ごとの参加希望者数、また、全体の参加希望者数について、本事業の対象となる私立学校の児童生徒数に対する割合について伺います。

○戸谷私学部長 学校連携観戦に参加を予定している私立の児童生徒数でございますが、令和二年十二月の時点で、幼稚園、こども園約五千八百人、小学校約八千人、中学校約二万五千人、高等学校約五万一千人、特別支援学校約二百人の合計約九万人でございます。
 本事業の対象となる私立学校の児童生徒数に対する割合については、約二七%となっております。

○斉藤委員 私立学校全体の約二八%に当たる九万人の児童生徒が参加するということです。
 ことしの夏のこのオリンピックの開催についてですけれども、中止または再延期を求める声が圧倒的です。五月に朝日と産経で発表された世論調査では、ともに八割以上が中止または再延期を求めています。また、国内だけでなく、海外の世論調査でも中止や再延期を求める声が圧倒的です。
 学校連携観戦についても、厳しい批判や不安の声が寄せられています。
 コロナの感染が終息せず、変異株の脅威もある中で、子供たちを競技会場に連れていくことに対して、コロナの感染が広がったらどうするのか、子供たちを危険にさらすようなことはやめてほしい、こういう悲痛な声が上がっています。
 コロナの感染防止に、社会全体で、また学校現場で必死に努力をしているとき、また、変異株の脅威もある中で、小池都知事自身が、人流の抑制、こういうことを繰り返して訴えているそういう中で、子供たちを公共交通機関を使って遠出させる、人混みの中に連れていくということに、保護者や教員だけでなく、多くの方々から、本当なのか、正気なのか、東京都はとんでもないことをしている、この計画はすぐにやめてほしい、こういう声が続々と届いています。
 調査を行った時点と現在では、状況が一変しています。
 改めて、私立学校の児童生徒の参加の希望やその理由について、私学行政を担う都として調査を行うべきですが、いかがでしょうか。

○戸谷私学部長 観客の上限設定に係る情報等を踏まえながら、今後、各学校の参加に係る意向確認を行う準備を既に進めているところでございます。

○斉藤委員 今のご答弁は、チケットの配券を行うための調査であり、あくまでも組織委員会が決める観客の入場制限に合わせて希望をとるというものです。
 これも教育庁でも質疑しましたけれども、私が必要だと思っているのは、そういう事務的な調査ではなくて、今、コロナの感染も終息されないばかりか、変異株の危険もある、世論の大半が中止か再延期と求めている中で、現場の教員や保護者の声も聞いて、その実態を都としてつかんでいく必要があるというふうに思っています。そして、その声を、都教育委員会とともに組織委員会に届けていくということを強く求めます。
 今、政府、組織委員会、そして都知事が五輪の開催ありきで突き進み、都教育委員会もそれに追随していくという現状の中で、学校連携観戦に当たって、教員が児童生徒を引率するための会場への視察が行われています。
 私立学校では、現在、何カ所の会場で、何人の教員が参加したのか、伺います。

○戸谷私学部長 これまでに八会場で実施しておりまして、四十九名の教員が参加しております。

○斉藤委員 実地踏査は、公立の教員と一緒に行われているということですけれども、公立ではこれまでに一千七百八人が参加したということなので、全体を合わせると一千七百五十七人が参加したことになるということです。
 この実地踏査に参加した教員からは、緊急事態宣言で小池都知事が人流を抑制ということを強調している中、教員の感染リスクがある下見を本当にやると思わなかった、こういう驚きの声や、また、公共交通機関を使って一日数百人もの教員を集めるのはリスクが高い、これがきっかけで学校に感染が広がる可能性がある、そういう懸念する声も届いています。
 本当に、知事と、都で行っていることが、人流を抑制するという感染防止にも矛盾しているというふうにいわざるを得ません。
 変異株の広がりも懸念されている中で、教員の実地踏査ももちろんですが、子供たちが学校観戦に参加することについて、私学行政を担う都として、その危険性をどのように認識しているか、伺います。

○戸谷私学部長 競技観戦に当たりましては、新型コロナウイルス感染症防止対策を万全に行っていくことが重要でございます。
 このため、都といたしましては、感染症防止対策の徹底について、引率教員向けの説明会や競技会場の実地踏査で丁寧に説明をしていくとともに、今後、組織委員会から示される競技観戦時の感染症防止対策等を十分に周知してまいります。

○斉藤委員 引率教員向けの説明会や競技会場の実地踏査で丁寧に説明していくということと、今後、組織委員会から示される競技観戦時の感染症防止対策等を十分に周知していくということですけれども、この実地踏査に参加した教員からは、こういう声が届いています。
 公共交通機関を使わなくてはいけないとなると、一般の方も乗り合わせているわけで、それで子供たちがコロナに感染しないで安全・安心に引率できるとは思えない、集められたこの下見では、教員からの質問にも、都側は曖昧に答えるだけで、時間が延長したということです。また、実地踏査の段階でも、子供たちが会場までの移動に使う公共交通機関や競技観戦時の感染対策がほとんど示されていないという声も届いています。今のご答弁とは、実態がかけ離れているという状況なんです。
 今後、競技観戦時の感染症防止対策が組織委員会から示されるということですけれども、今の時点で具体的な中身が示されていなければ、安全が確保できるというふうに教員が感じないのは当然だというふうに思います。
 学校連携観戦での子供たちの安全を守るための救護体制について伺います。
 駅から会場までのラストマイルで、子供たちのための救護所の利用はできるのかどうか、私学行政として確認はしているのでしょうか。

○戸谷私学部長 救護所については、オリンピック・パラリンピック準備局等と連携いたしまして、適切に利用できるよう調整しております。

○斉藤委員 救護所を利用できるように調整しているということですけれども、先ほど教育庁でも聞いたのですけれども、調整しているという段階で、その確保のめどというのは立っていないという状況が明らかになっています。
 東京都医師会の尾崎会長は、五月二十六日付の毎日新聞でこう述べています。五輪の延期前は、駅から競技場までの沿道にも救護所を設置する予定となっていた、協力要請に応じてくれていた医療従事者に改めて聞くと、発熱外来やワクチン接種で無理だといわれる、救護所ではなく、見守り隊を置いて医師につなげる方法などを検討中だが、実際に対応が可能なのかはまだ見えてこない、こういうふうにいっているんです。子供たちが救護所を利用できる体制もできるのかどうか、今の医療体制の逼迫の中で不明な状況なんです。
 私学行政として、都教育委員会任せではなく、こうした状況もみずから調べて、本来なら、重要な情報を学校と共有することが必要だと思います。参加する学校を募るだけ、これで、確実な子供たちの安全な体制ができるのかどうか確認していない状況では、本当に無責任だといわなければなりません。
 さらに、サポートや誘導にかかわるボランティアや契約スタッフ、都の職員などは、PCR検査やワクチン接種を行うわけではありません。ふだんなら接触しないはずの多くの人と、子供たちは接触をするということになるわけです。
 教員から、コロナの感染を防げる保証はないという声が上がるのも当然ですし、保護者から、子供たちを危険にさらさないでという声が上がるのも当然だと思います。
 私立の幼稚園や私立学校に通う子供たちの安全を守るために、教育庁や文科省とも協議をして、オリ・パラ大会への学校連携観戦を直ちに中止することを強く求めて、質問を終わります。

○河野委員長 ほかに発言がなければお諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○河野委員長 次に、陳情の審査を行います。
 陳情三第二七号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○内山都政情報担当部長 東京都情報公開開示請求制度の改善に関する陳情につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております陳情審査説明表の一ページをごらんください。
 陳情三第二七号、中央区の太田健一さんから提出された東京都情報公開開示請求制度の改善に関する陳情でございます。
 要旨でございますが、都において、情報公開開示請求を受理する部署と、請求者が開示決定文書等を取りに行く部署及び方法が異なり、多くの都民や利害関係人を困惑させている現状を改めるため、情報公開開示請求制度の受け付け及び受け渡しを行う部署を一元化していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、公文書開示請求の受け付けは、対象公文書を特定するため、請求者がどのような情報を知りたいのかを確認し、対応を行う必要があることなどから、公文書を主管する主務課が請求受け付けを行うことが多くなっております。
 請求者が所管部署について不案内である場合、複数の部署にまたがる請求や電子申請による請求を行う場合などは、生活文化局が請求を受け付けた後、各局などに振り分けております。
 また、開示に当たっては、主務課が日時及び場所を請求者とあらかじめ調整するよう努めることとしており、開示決定等の内容について補足説明を行うなどの対応をしております。
 なお、令和元年七月からは、開示請求等が多い公文書情報をあらかじめデータベースに登録し、都民等が開示請求によらず、無料で即時にダウンロードできる公文書情報公開システムの運用も行い、都民等への情報提供にも努めております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○河野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○田の上委員 私からは、この陳情に関して意見を申し上げます。
 請求受け付けについては、基本的に公文書を主管する主務課が担っており、各局に振り分けているとのことです。
 受け付けについては、これまでのように一元化が可能ですが、受け渡しについては、内容によって部署が異なるため、また、説明が必要なため、各部署で開示する必要があります。
 都民をたらい回しにしないよう、部署ではなく、場所の一元化というなら考えられるとは思いますが、各局、各部署がかわるがわる説明をすることになり、現実的には非効率と考えます。
 郵送などで開示する場合は、各局にまたがっているものを一つにまとめて郵送しているものと認識しております。
 一方で、デジタル化を加速、強化することが必要です。
 生活文化局では、開示請求等が多い公文書に関しては、あらかじめデータベースに登録し、ダウンロードできる公文書情報公開システムを運用しており、情報公開に資する取り組みであると評価をしております。
 また、都のホームページは、幅広い都政情報を知らせる重要なツールですが、情報量が多過ぎることもあり、なかなか欲しい情報にたどり着けないということがあります。
 ページの下にまで行かないとリンクにたどり着かない、文字が小さくてハイパーリンクに見えないなど、行政のホームページは、東京都に限らず、概して使いにくいものです。そしてまた、特に要綱などは探しにくいものです。
 都のホームページは、グーグルのカスタム検索になり、以前に比べると、かなり検索しやすくなりましたが、サイト内検索の工夫をすることも必要です。各局対応にもなりますが、ヒットするタイトルのつけ方など、改良の余地があると考えます。
 あらゆる情報をホームページに掲載することは重要ですが、ただ掲載するのみならず、情報を検索する側の立場に立つということが必要です。
 今後とも、都民への情報公開に資するよう、さらなる改善を要望いたしまして、意見といたします。

○斉藤委員 私からも、この情報公開開示請求制度の改善に関する陳情についての意見を申し上げます。
 陳情者は、陳情の理由として、開示請求は、主に生活文化局に提出し、開示された文書のコピーは、その文書を所有している部署から受け取ることになること、請求した文書を所有している部署が複数にまたがるときは、それぞれに受け取りに行かなければならないこと、さらに、その受け渡し方法が部署により異なること、事前に担当者に受け取り日のアポイントメントをとらなければならないことなどを挙げていらっしゃいます。これらのことが、開示請求をする都民にとってわかりづらいということと、利便性に欠けるということだと思います。
 情報公開制度は、都民の知る権利を保障し、公正で透明な都政の推進と都民による都政への参加を促進するために重要な制度です。都民が知りたい情報にアクセスしやすくするために、手続はできるだけ簡単に、わかりやすく、手間がかからないようにすることは大切です。
 全て陳情者のいうようにはならないかもしれないですけれども、できるだけ都民がそれぞれ都合のよい方法を選べるようにするなど、できる改善は、ぜひ積極的に行っていただきたいと思います。
 そうしたことから、この陳情は趣旨採択を主張し、意見とします。

○河野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○河野委員長 起立少数と認めます。よって、陳情三第二七号は不採択と決定いたしました。
 陳情の審査を終わります。
 以上で生活文化局関係を終わります。

○河野委員長 これよりオリンピック・パラリンピック準備局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、局長から紹介があります。

○中村オリンピック・パラリンピック準備局長 四月一日付の人事異動により当局の幹部職員に異動がありましたので、ご紹介申し上げます。
 次長で総務部長事務取扱の佐藤智秀でございます。佐藤は、大会準備調整担当理事を兼ねてございます。事業推進担当部長の船川勝義でございます。パラリンピック部長の丸山雅代でございます。施設担当部長の久野健一郎でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○河野委員長 紹介は終わりました。

○河野委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
 初めに、令和二年度東京都一般会計予算(オリンピック・パラリンピック準備局所管分)の繰越しについての報告を聴取いたします。

○佐藤次長理事兼務 令和二年度東京都一般会計予算(オリンピック・パラリンピック準備局所管分)の繰越しについてご説明申し上げます。
 お手元の資料第1号、令和二年度繰越説明書をごらんください。
 一ページをお開きください。繰越明許費総括表でございます。
 明許繰越が生じた事業の予算現額一千四百二十億七千八百万余円に対しまして、繰越明許費の予算議決額は六百六億一千四百万余円、繰り越しいたしました額は四百六十八億八千九百万余円でございます。
 財源は、分担金及び負担金、繰入金、繰越金でございます。
 次に、繰り越しの内訳についてご説明申し上げます。
 二ページをお開きください。まず、番号1の東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催準備でございます。
 繰越明許費の予算議決額は二百六億四千三百万余円、繰越額は二百五億七千七百万余円でございます。
 次に、番号2のオリンピック・パラリンピック競技施設等の整備でございます。
 繰越明許費の予算議決額は八十三億二百万余円、繰越額は八十二億三千九百万余円でございます。
 三ページをお開きください。番号3の共同実施事業等でございます。
 繰越明許費の予算議決額は三百十二億一千二百万余円、繰越額は百七十六億二千百万余円でございます。
 次に、番号4の体育施設における通信環境の整備提供でございます。
 繰越明許費の予算議決額は二億四千九百万余円、繰越額も二億四千九百万余円でございます。
 繰越理由でございますが、番号1から4まで、いずれも、東京二〇二〇大会の延期に伴いまして、事業の一部を翌年度に継続実施するものでございます。
 続きまして、四ページをお開きください。番号5の東京マラソンの開催補助でございます。
 繰越明許費の予算議決額は二億六百万余円、繰越額は二億百万余円でございます。
 繰越理由でございますが、東京マラソン二〇二一の延期に伴い、事業の一部を翌年度に継続実施するものでございます。
 以上で報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○河野委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○斉藤委員 オリンピック・パラリンピック準備局所管の一般会計予算の繰り越しについて意見を申し上げます。
 繰り越しのほとんどは、東京二〇二〇大会の延期に伴うものです。
 新型コロナウイルス感染症対策として、四月二十五日から緊急事態宣言が発出され、五月十二日に延長され、さらに六月一日以降も延長することを、小池知事が政府に要請するという事態です。
 私たちは、一月以来、主張していますが、国内や世界の感染状況やワクチンの供給状況を見れば、ことしの夏の東京オリンピック・パラリンピックは中止し、コロナを抑え込む対策、都民の命と安全、生活を守る対策に集中すべきです。
 したがって、これらの繰り越しについても、今からでも極力執行を取りやめ、使わなかった分は、コロナ対策や都民施策に活用することを強く求め、意見とします。

○河野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○河野委員長 次に、有明アリーナ管理運営事業報告の公表について(令和元年度)の報告を聴取いたします。

○柏原開設準備担当部長利用促進担当部長兼務 令和元年度の有明アリーナ管理運営事業報告の公表についてご報告させていただきます。
 お手元の資料第2号をごらんください。
 本件は、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づく公共施設等運営事業、いわゆるコンセッション方式による有明アリーナの管理運営事業について、令和元年度の業務実施状況とその事業評価の結果を公表するものでございます。
 まず、1、対象となる事業期間ですが、実施契約締結日の令和元年七月三十日から令和二年三月三十一日までの最初の年度分でございます。
 次に、2、業務実施状況についてですが、本施設の本格的な利用がまだ始まっていない準備期間及び維持管理期間に該当し、運営権者である株式会社東京有明アリーナにおきまして、統括管理業務及び開業準備業務を実施しているところでございます。
 具体的な実施状況でございますが、(1)、統括管理業務につきましては、主なものとして、統括管理責任者を初め、各業務の業務責任者及び業務担当者を設置し、業務全体を一元的に管理できる業務実施体制を構築したこと、本施設に追加的に設備等を整備するための投資計画を検討したこと、セルフモニタリングの実施体制を検討し、モニタリング実施計画書を策定してモニタリングを実施したことなどが挙げられます。
 次に、(2)、開業準備業務でございますが、主なものとして、本施設のコンセプト、施設概要、アクセス等を記載したホームページを作成したこと、都と準備業務全般の協議、調整を実施したこと、各種のスポーツ競技団体と国内主要大会の誘致に向けて協議したこと、エリアマネジメント組織の準備のため、有明エリアのステークホルダーと情報交換をしたことなどが挙げられます。
 続きまして、3、事業評価の実施についてでございます。
 事業評価は、運営権者による適正かつ確実なサービスの提供がなされているかをモニタリングにより確認、評価するものでございます。
 実施手順でございますが、まず、運営権者によるセルフモニタリングを実施いたします。
 具体的には、運営権者が、業務計画書や実施契約等に従い本事業を履行しているか、セルフモニタリングを実施いたします。
 裏面をごらんください。
 次に、都がモニタリングを行います。
 具体的には、運営権者によるセルフモニタリングの結果及び財務状況等について、都の示した要求水準を満たしているか、財務状況が悪化していないか等を確認いたします。その際には、有明アリーナ管理運営事業モニタリング委員会を設置し、第三者による専門的な見地からの意見も聴取いたします。
 モニタリング委員会での意見を踏まえて、モニタリング結果を事業評価として取りまとめます。
 令和元年度の事業評価を取りまとめたものが、4、事業評価の結果でございます。
 初めに、(1)、統括管理業務でございます。
 こちらについては、統括管理責任者の設置等の管理体制が構築され、関係者との打ち合わせやセルフモニタリングの構築等、精力的に実施としております。
 続きまして、(2)、開業準備業務でございます。
 こちらにつきましては、ホームページ等の作成や、利用規則、利用料金の策定に向けた調整、大会誘致に向けた関係者との協議等、運営業務の開始に向けた準備等を適切に実施としております。
 続きまして、(3)、財務状況及びリスク管理への対応状況でございます。
 こちらについては、施設利用開始前のため、収入は見込んでおらず、費用も事業者選定時の提案書の範囲内となっております。
 また、リスク管理につきましては、施設利用者がどの程度見込めるか、アリーナ需要等の調査を実施しているとともに、今後、運営業務の開始に向けまして、保険の付保やマニュアル等の整備を実施予定であり、引き続き、進捗を確認する必要があるとしております。
 以上を踏まえまして、(4)、総合評価でございます。
 要求水準等の未達状態や財務状況の悪化、その他問題等は認められず、開業に向けて着実に業務を実施していると評価しております。
 一方で、新型コロナウイルス感染症の流行及び東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の延期に伴う本事業への影響については、今後、注視する必要があるところでございます。
 なお、参考資料1として報告書、参考資料2としてモニタリング委員会の委員名簿を添付しております。後ほどご確認いただければと存じます。
 よろしくご審議のほどお願いいたします。

○河野委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○とや委員 東京二〇二〇大会の延期に伴う都立新規恒久施設の活用状況を施設ごとにお願いいたします。
 以上です。

○河野委員長 ほかにないですね。−−ただいま、とや理事から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された理事と調整の上、ご提出願います。

○河野委員長 次に、陳情の審査を行います。
 陳情三第六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○末村運営担当部長 それでは、お手元の陳情審査説明表をごらんください。
 二枚おめくりいただき、右肩に整理番号1とあります資料をお開き願います。
 陳情三第六号、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの中止に関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情は、埼玉県北葛飾郡杉戸町の小畑孝平さんから提出されたものでございます。
 本陳情の要旨は、都において、次の二点を関係機関に働きかけていただきたいというものでございます。
 まず一点目は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックについては、これを中止することでございます。
 二点目は、オリンピック中止による剰余金等を、東京都民、特に生活困窮者等の養護等、救済のために利用することでございます。
 現在の状況でございますが、一点目と二点目につきまして、現在、都は、東京二〇二〇大会の開催に向けて、全ての方にとって安全・安心な環境が提供できるよう、国、組織委員会等関係者と連携協力し、準備を進めております。
 新型コロナウイルス対策につきましては、国、都、組織委員会等で構成される新型コロナウイルス感染症対策調整会議におきまして、幅広く議論を行い、昨年十二月に中間整理を取りまとめております。この中間整理を踏まえ、本年二月、アスリート等や大会関係者が守るべき基本原則や方針などを定めたプレーブックが組織委員会等により取りまとめられております。
 その後、調整会議におきまして、変異株等に対応した追加的な対策を整理するとともに、プレーブックにつきましては、出入国に係る措置や検査、行動ルールを具体化、精緻化するなどの改定が行われたところであり、今後、大会までにさらにブラッシュアップしていくこととしてございます。
 なお、海外からの観客につきましては、IOC、IPC、国、組織委員会、東京都の五者協議で受け入れないことを決定し、観客数に係る判断は、国内の感染状況を踏まえ、六月に国内のスポーツイベント等における上限規制に準じることを基本に行うこととしております。
 説明は以上でございます。

○河野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○両角委員 都民ファーストの会東京都議団として、陳情三第六号に対する意見を申し述べます。
 国連事務総長が世界保健機関において戦争状態にあると述べるなど、新型コロナウイルス感染症が引き続き世界中で猛威を振るっています。日本国内においても、国の甘い水際対策もあり、変異ウイルスが拡大し、全国の重症者数が過去最多を更新する事態となっています。
 ワクチン接種についても、国のワクチン確保のおくれや、本来は重点的に配分すべき大都市圏を十分に優先しなかったこと等も重なり、必ずしも十分には進んでいません。
 都内の感染状況は、都民の皆様の多大なご協力により、何とか踏みとどまっていますが、引き続き予断を許さない状況です。
 このような中、私たちの最大の使命は、都民の命と暮らしを守り抜くことです。これまでも私たちは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に当たっては、大会における安全・安心の確保、都民、国民の皆様の理解が得られることが何より重要であり、第一回定例会の代表質問においても、開催に当たっては、無観客も含め、想定すべきと提案をしてまいりました。
 緊急事態宣言が引き続き延長され、都民、事業者の皆様に引き続き多大なご協力をお願いする中で、一部のIOCや政府関係者の発言から見受けられる都民、国民の理解と共感を得ようとしない姿勢は、決して許されるものではありません。
 新型コロナの感染状況は引き続き予断を許さない中で、都民の命と暮らしを守り抜くためには、科学的、論理的な分析に基づき、無観客での開催や再度の延期も含む、あらゆる選択肢を視野に入れるべきです。
 私たちは、こうした視点のもと、今後の感染状況などについて、都民、国民の皆様の理解と共感を得ながら判断していくことこそが都民ファーストの姿勢であると考えます。
 私たち都民ファーストの会東京都議団は、引き続きこうした姿勢を堅持し、まずは、この緊急事態宣言下において感染拡大を抑え込むべく、都民、国民の皆様とともに全力で取り組んでいくとともに、状況によっては、大会のあり方そのものを検討し、都民の皆様のご理解をいただけるよう行動してまいることをお誓い申し上げ、本陳情に対する意見といたします。

○とや委員 共産党のとや英津子です。陳情について質疑させていただきます。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの中止に関する陳情でありますが、この陳情の願意は、新型コロナによる医療逼迫や変異株の発生、さらに、国民世論が、ことし夏のオリンピックの中止、延期を求める声が、どの世論調査を見ても過半数を超えるもとで、人の命を大切にし、SDGsにのっとった真の共生社会を求める立場から、東京二〇二〇大会の中止を求めています。
 また、中止による剰余金等を、東京都民、特に生活困窮者等の養護等に利用することとされています。
 我が党は、東京五輪パラリンピックの開催と新型コロナ感染症対策は両立しないことは明らかであり、ことし夏の東京五輪は中止をして、新型コロナ対策に、都も国も全力を挙げるべきだと考えております。したがって、陳情には賛成であります。その立場から質問させていただきます。
 緊急事態宣言の再延長が避けられない状況になっていますが、世論調査では、今申し上げたとおり、六割から七割、あるいは八割というところもありますが、中止あるいは延期と答えています。
 WHO上級顧問の渋谷健司氏も、東京五輪パラリンピックの開催について、できる状況にない、この認識を示しています。コロナを抑えられておらず、数万人規模の選手らを受け入れれば、医療体制が維持できないおそれがあると主張しております。
 こうした世論や専門家の意見について、まず、都の認識をお聞きします。

○田中計画推進部長 大会の開催につきましては、これまでも、さまざまな調査などが報じられていることは承知しております。都として、現下のコロナ対策に全力を尽くしているところでございます。
 大会のコロナ対策につきましては、国、組織委員会等の関係者とともに、水際対策、入国後の移動、行動ルールなど対策の具体化を進め、組織委員会がプレーブックとしてまとめ、第二版を作成したところでございます。
 安全・安心な大会に向けて、今後のさまざまな知見も踏まえ、対策の実効性を高めてまいります。
 引き続き、IOC、国、組織委員会など関係者と連携し、着実に準備を進めてまいります。

○とや委員 ここまで世論が盛り上がって、専門家からのさまざまな指摘があるにもかかわらず、着実に準備を進めていくというご答弁でありました。
 安全・安心な大会として開催される可能性が極めて低い状況のもとで、四月二十八日に、四カ月ぶりにコロナ対策調整会議が開催されました。
 変異株等に対応した追加的な対策が発表されていますが、その内容と、その内容を実施した場合の一日当たりの検査数は幾つになるのか、伺っておきたいと思います。

○末村運営担当部長 四月二十八日のコロナ対策調整会議におきまして、アスリート等及び全ての大会関係者は、出国前二回の検査に加え、入国後三日間は毎日検査を実施するほか、滞在期間中、アスリート等については原則毎日、アスリート以外の大会関係者は、アスリートとの接触に応じて定期的に検査を実施することといたしました。
 アスリート等や大会関係者への検査は、一日最大五万件から六万件程度と見込まれてございます。

○とや委員 検査についての追加対策についてお答えいただきました。一日最大五万件から六万件、検査ができるということでした。
 アスリートを初めとして大会関係者は、毎日、PCR検査で、最大五万件から六万件できるわけですけれども、現在、東京都が可能だとしている一日最大九万七千回の検査数に含まれるのかどうか、こちらについてもお答えください。

○末村運営担当部長 大会時に選手や大会関係者に必要な検査は、組織委員会におきまして、民間事業者と調整を行っておりまして、都が可能だとしている検査数には含まれてございません。

○とや委員 九万七千回の検査数にも含まれていない、変異株の対策として、アスリートには毎日検査をする、アスリート以外の大会関係者は、接触に応じて定期的に検査をするということです。
 私、今、答弁を聞いていて、本当に東京都は、その気になれば検査できるんだなというふうに思いました。
 東京五輪のために、アスリートを初め大会関係者には毎日検査を行うこととしている根拠をお答えください。

○末村運営担当部長 国、組織委員会、都、感染症の専門家等で構成される調整会議におきまして、アスリート等への検査を毎日行うことといたしました。
 IOCの医療の専門家も加わり、作成したプレーブックにおきましても、アスリート等に対し、未検出の陽性者によって感染が広がるリスクを最小限に抑えるため、原則として毎日検査を行うことを定めております。
 検査を含め、これらの対策は、感染拡大を防止し、全ての参加者の安全と日本の居住者を守るために実施されるものでございます。

○とや委員 日本の居住者は、PCR検査は、アスリートのように毎日することはできません。
 私ども、一年前から繰り返しPCR検査の重要性を訴えてまいりましたが、国も、組織委員会も、都も、感染力の強い変異株の対策には、毎日PCR検査を行うことが必要だと認識しているということです。
 一方、都民は、今申し上げましたけれども、常に感染と隣り合わせで暮らしています。それでも、現在、東京での一日の検査数は、五月中旬以降で一万件を超えた日は、五月十七日の一万四千七百人と十八日の一万四百八十九人であり、それ以降は一万人以下です。
 国が行っている繁華街や駅前、大学での検査も、直近の週で、一日、千五百件程度、今度の六月議会に提案されている、都が無症状者に行う検査も、一日、千三百件にすぎません。
 選手や関係者は、一日、五、六万件の検査が可能なのに、都民には一万人に行くかどうかという検査数なわけです。
 ワクチン接種はどうでしょうか。国と都は、医療従事者及び六十五歳以上の高齢者には、七月末までに接種を終わらせることを目標に進めていますが、対象となっている方々からは、電話がつながらないとか、インターネットが使えないなどの相談が多く寄せられています。自治体の多くは混乱して、職員からも悲鳴が上がっています。
 この国のワクチン接種率は、何と世界で百二十八位といわれているほどです。
 選手に対するワクチン接種をIOCが確保したと報道されていますが、日本選手団へのワクチン接種について、接種のスケジュール、具体的な接種の体制、ワクチンの確保状況等の検討状況を伺います。

○川瀬競技・渉外担当部長 本年五月、IOCは、ファイザー社及びビオンテック社から提供されるワクチンを各国選手団に配布すると発表しました。
 日本選手団に対しても、政府が国民向けに用意するワクチンとは別のものとして提供されることになり、バッハ会長は、ワクチンを接種することで、ワクチン接種は、個人の健康だけでなく、地域社会の連帯と他者の健康への配慮でもあるという力強いメッセージを送ることができると述べています。
 また、JOCによれば、日本選手団が二回ワクチン接種できるよう、JOC、JPC、政府間で調整し、六月一日から東京都北区のナショナルトレーニングセンターで開始されるとのことであります。
 接種は、競技団体ごとにチームドクターが中心となって行い、既に選手団全員の接種に必要な数量のワクチンが確保されているとのことであります。

○とや委員 今、私は申し上げましたが、ちまたの高齢者の置かれている状況とは大きな違いがあるといわざるを得ません。
 今いろいろご説明いただきましたが、検査にしても、ワクチンにしても、こういうダブルスタンダードな状況に、都民はもとより、世界中の人たちが不信を募らせているんじゃないでしょうか。
 五輪大会のバブルの中は安全・安心だと。一方で、バブルの外では都民が十分な検査も受けられない。ワクチンの接種は、高齢者にも、残念ながら七月までに行き渡らない状況であります。生活が大きく制限されて、仕事や収入が激減している人も少なくないわけです。
 このことについてどう考えていますか。

○末村運営担当部長 都は、感染の再拡大を防ぎ、感染を徹底的に抑え込むため、現下のコロナ対策に全力を尽くし、都民、事業者の皆様にご協力をお願いしているところでございます。
 安全・安心な大会の実現に向けましては、水際対策、健康管理、行動管理など、さまざまな対策を徹底して進めてまいります。

○とや委員 先ほどの質問に対する答えと同じことをいっているんですよ。
 私は、今聞いているのは、選手団の方々は、バブルの中は安心・安全な環境がある、一方で、バブルの外では都民が十分な検査も受けられない、ワクチンの接種は、高齢者にもなかなか行き渡らない状況がある、生活が大きく制限されて、仕事や収入が激減している人も少なくない、このことをどう考えるのかとお聞きしているんです。局長、どうですか。

○中村オリンピック・パラリンピック準備局長 東京都全体といたしまして、感染の再拡大を防ぎ、感染を徹底的に抑え込む、これがまず基本でございまして、現下のコロナ対策に、都政として全力を尽くしているところでございます。この中で、都民、事業者の皆様にご協力をお願いしているところでございます。
 ご案内のとおり、大会の安全・安心ということは大変に重要でございます。もちろん、都民の健康、命を守るというのも重要でございます。どちらもしっかりと対応していくという形でございます。
 安全・安心な大会の実現に向けて、大会といたしましては、水際対策や健康管理、行動管理など、さまざまな対策を徹底して進めてまいります。

○とや委員 結局、最後は大会の推進だと。大会が最優先だという答えにしかならないわけですよね、局長もね。
 安全・安心なのはバブルの中であって、その中にいるのは都民じゃないわけです。都民は満足にPCR検査もできなくて、無症状の感染者は放置されている。先ほど答弁された感染力の強い変異株の脅威にもさらされて、そういう中で暮らしている多くの都民の命、そして健康を最優先にすべきではないでしょうか。
 昨年の緊急事態宣言中に、オリ・パラ局の皆さん、本当にご苦労だったと思いますが、全庁を挙げて感染対策に取り組もうじゃないかということで、その強化のために福祉保健局などの支援をされて、軽症者が療養するホテルなどにも派遣されていたと聞いています。
 一日も早くコロナを終息させて都民の命を守ることに、人も割いて集中していただきたい、全庁を挙げてやっていただきたいというふうに強く求めておきます。
 さらに伺います。アスリートは、ワクチン接種後もPCR検査を行う予定ですか。伺います。

○末村運営担当部長 プレーブックに定めるコロナ対策は、ワクチン接種を前提としてございません。
 ワクチン接種に係る対応につきましては、現在検討してございます。

○とや委員 検討ということは、行わない可能性も否定できないということでしょうか。
 そもそもプレーブック自体について、専門家は不十分との見解を示しています。
 そして、ワクチン接種をしても、感染を完全には防げないといわれているわけですが、ワクチン接種後のPCR検査などの対応をこれから検討しているということ自体、認識の甘さがあるのではないでしょうか。
 しかも、バブル方式については、選手たちの気分転換のために組織委員会がプロデュースするショッピング計画だとか、メディアがルールを守れるのかという懸念も理事会で出されるという報道も拝見させていただきました。
 非常に手厚くて、まさに知事もおっしゃっている総力を挙げた対策をとりながら、実は不十分、不完全だということです。
 もしかしたらうまくいくかもしれないという、かけをするべきではありません。かけられるのは、都民、国民、世界の人々の命です。このことは強く指摘をしておきます。
 医療についても伺っていきたいと思います。
 新規感染者は、昨日は六百八十四人でした。重症者はもちろん、軽度の人でもいつ急変するかわからないもとで、医療機関は、今、最前線で頑張っているわけですが、そういう中で、五月十九日から二十一日に開催されたIOC調整委員会会議後の橋本聖子組織委員会会長のコメントでは、オリンピック指定病院として、都内九カ所の病院から内諾をもらっているということでありました。
 その中には、都立墨東、広尾、多摩総合の三病院も入っていると思いますが、オリンピック病院としての協定は結ばれたのでしょうか。

○末村運営担当部長 アスリート、関係者の受け入れを行います大会指定病院についての協定締結につきましては、現在、組織委員会において調整を進めております。

○とや委員 調整中ということですが、昨年、オリンピックが延期になる以前は、実は三月までに協定を締結するスケジュールで準備が進められていたと。つまり、感染拡大がなければ、昨年の三月に協定を締結して、七月のオリンピック開催になるというスケジュールだったと聞いていますが、それがそのまま一年ずれても、本来だったら、ことしの三月末までに協定を締結するということになるのでしょうが、それがいまだに協定も結べていないということであります。
 何が原因で、今、調整中なのか、お答えください。

○末村運営担当部長 組織委員会におきましては、大会時の対応に支障がないよう、各医療機関の意向等も踏まえながら、協定締結に向けた調整を丁寧に進めているところでございます。

○とや委員 コロナ病院に指定されている、例えば広尾病院では、出産予定の妊婦さんも転院しなければなりませんでした。それだけ都立病院は、コロナ感染の最前線で頑張ってもらわなきゃならない、そういう病院として東京都は位置づけていたということではないでしょうか。
 新型コロナを受け入れている病院では、都内のコロナ感染拡大の第三波と同じような規模になってきている、受け入れ人数がふえている状況で、かなり厳しくなりつつあるといっています。
 そこで伺っておきたいのですが、五輪関係者から入院が必要な患者が出た場合、指定病院では優先的に受け入れるということでしょうか。
 また、コロナ以外の病気やけがの場合、コロナの場合のそれぞれについてどう対応するのか、お聞かせください。

○末村運営担当部長 アスリート等に対する選手村総合診療所や競技会場の医務室での診断の結果、専門的な治療が必要な場合には、大会指定病院に搬送することとなってございます。
 大会指定病院につきましては、アスリートの外傷治療が中心でございますが、コロナ対応も含め、地域医療に支障が生じない範囲で必要な医療サービスを実施していくこととしてございます。

○とや委員 地域医療に支障が生じない範囲で必要な医療サービスを実施するということでありますけれども、組織委員会としては、大会関係者の専用病床は求めてはいないけれども、優先的に使用可能となる病床を準備してもらうということを求めているということであります。
 選手の治療に円滑に対応できるようにするということですが、今ある体制で対応して、医師や看護師の補充も行わないと聞きました。大会会場のある他県の知事は、選手優先の病床は確保できないとの声も上げています。
 これでは、大会関係者と都民の命をてんびんにかけることになりかねません。コロナ対応で厳しい運営を迫られている病院をオリンピック病院にすること自体、無理があるのではないでしょうか。
 医師会の尾崎会長は、先日、記者会見で、今の状況が続けば、開催は難しくなると思っていると述べています。さらに、今の感染状況が続く限りは、大会に協力するということは非常に難しいという見解も示しています。
 医療現場からの声を真摯に受けとめて、科学に基づいた判断をすべきだということを指摘しておきます。
 次に、ライブサイトについても伺いたいと思います。
 東京都は、組織委員会と共催でライブサイトも運営するとして準備に取りかかっているということですが、例えば代々木公園では樹木の剪定も行われたようですが、代々木公園のライブサイトの準備状況、樹木の剪定はどのように行われたのか、計画、そして実施状況をお答えください。

○船川事業推進担当部長 ライブサイトの代々木公園会場における枝の剪定については、会場設営工事のための資材搬出入や、設営作業の動線上、車両が接触するごく一部の枝を、安全上の観点から剪定したものでございます。
 具体的には、公園管理者や、ふだんから樹木の管理を担っている専門業者と相談し、三十六本の樹木を対象に、樹木の生育や公園環境への影響がない必要最低限の範囲で行うこととしました。
 作業については、今月二十四日から二十六日にかけて、計画どおり実施いたしました。

○とや委員 都民からいろんな問い合わせがあるので、ちょっと確認をしたいのですけれども、当初の代々木公園のライブサイトの準備をするための樹木の剪定の計画は、都民の声を受けてとか、あるいは、いろんな指摘も受けながら、計画は変更されたのですか、それともされなかったのですか。それだけお答えください。

○船川事業推進担当部長 今回の剪定作業につきましては、当初計画どおりの三十六本の樹木を剪定いたしました。

○とや委員 当初からの計画に変更はないということであります。
 この問題については、剪定に対する疑問の声も寄せられたり、都民から、まだオリンピックが開催できるかどうかわからないのに−−ライブサイトの中止を求める署名も行われて、十万人に上る人たちが声を上げたということも聞いています。感染を拡大する危険をはらむライブサイトへの危惧の声だといえるのではないでしょうか。
 どんな犠牲を払ってでもオリンピックを開催するという考えは、やはり改めるべきではないか。こういったところからも声が上がっているということを受けとめていただきたいと思います。
 東京都は、密を避けて人流を抑制するために、飲食店は、時短営業やお酒の提供禁止が求められています。現在、映画館も、博物館も、美術館も休業です。こうしたもとで、オリンピックを盛り上げるために開設されるのがライブサイトなわけです。本当にこれは必要なのかという疑問が湧いて当然だと思います。
 そこでお聞きしますが、東京五輪が無観客開催となった場合、ライブサイトはどのように開催するのでしょうか。来場者数は何人くらいになるのか、お答えください。

○船川事業推進担当部長 ライブサイトにつきましては、安全・安心な運営ができるよう、組織委員会策定のライブサイト実施における新型コロナウイルス感染症対策の指針や、専門家の知見等を参考に、事前申込制の導入や、フィジカルディスタンスに配慮しました会場レイアウト、小まめな消毒の実施等、必要な感染症対策の検討を進めております。その中で、来場者数についても精査しております。
 いずれにせよ、感染症の状況等も踏まえながら、安全・安心な運営ができるよう準備を進めてまいります。
 それと、先ほどの剪定についてのご質問の件で、私の方から、今月の二十四日から二十六日ということでお話を差し上げたのですが、これは正確には今月の二十四日、二十五日ですので、訂正させてください。

○とや委員 五輪が無観客となっても、ライブサイトについては、その数を精査しながら実施するというご答弁でありました。
 もともと、この代々木公園のライブサイトについて、前もってお聞きしたところ、一日、延べ三万五千人掛ける三十日間と聞いています。
 緊急事態宣言下の施設の扱いは、一万平米以上の施設は五千人以下と聞いていますけれども、たとえそのようにしたとしても、人が入れかわりして出入りするわけで、都民への自粛要請や人流抑制になるとはとても思えません。
 先ほど、私、検査やワクチンの問題でダブルスタンダードだというふうなことを申し上げさせていただきましたが、この問題でも、都民からはダブルスタンダードだといわれても仕方がないのではないかと思います。こうした矛盾した対応に、都民から批判の声も相次いでいるということをしっかりと受けとめていただきたいと思います。
 このライブサイトでは、テレビ映像を流す以外に、学生や地元団体のステージも予定していると聞いています。具体的にはどのようなものを考えているのか、お答えください。

○船川事業推進担当部長 ライブサイトでは、競技中継を行わない時間帯にステージイベントの実施を予定しております。
 主な内容としては、連携大学や区市町村からの推薦団体による東京の伝統文化の魅力発信などを披露していただくことを想定しております。

○とや委員 昨年からの緊急事態宣言で、文化プログラムの多くは中止や延期になっています。アーティストの皆さんは、自粛期間中は収入源も絶たれているような状況があるわけです。
 緊急事態宣言下でもオリンピックを実施するとしてライブサイトの準備をしているようですけれども、なぜ期間中はライブサイトを開催できるのか、ステージもできるのかと批判が上がってきている。ここについても、やはり考え直していく、そのことを指摘させていただきます。
 ライブサイトにおける飲食物の販売はどのように予定をしているのか。お酒の販売や、会場内での飲食も可能なのかどうか、確認させてください。

○船川事業推進担当部長 ライブサイトについては、安全・安心な運営ができるよう準備を進めており、とりわけ飲食については、専門家の知見も得て、感染症対策を徹底した上で可能といたします。
 なお、アルコール飲料の販売は予定をしておりません。

○とや委員 ライブサイト等の実施計画案では、主な実施内容として、ライブサイトの拠点会場は、代々木公園と井の頭恩賜公園、競技中継、ステージイベント、競技体験や主催者の展示、飲食売店、大会パートナーの出店が行われるとなっています。
 公式グッズの販売店は調整中というのが現時点の到達かなと思うんですけれども、今いったアルコールの販売については、パートナー企業の権利があるから、組織委員会としては外せないというふうに聞いていたわけですが、パートナー企業の了解が得られたということでよろしいのですか。

○船川事業推進担当部長 パートナー企業との関係は、現在、調整中でございます。
 私どもとしては、提供はないというような考えでございます。

○とや委員 パートナー企業とは調整中であって、まだ了解は得られていないという状況だということがわかりました。
 政府の分科会の尾身会長は、パブリックビューイングなどの関連イベントにより、人の流れの増加が懸念されると指摘しています。専門家の指摘がありながら、ライブサイトなどのイベントの準備を今からするというのは、余りにも安易ではないかと思います。開催ありきの考えを改めるべきであります。
 ここからは、IOCのバッハ会長、コーツ氏の発言についてお聞きしていきたいと思います。
 IOCのコーツ氏は、五月の二十一日、緊急事態宣言下での五輪開催にイエスと発言をしました。何があっても五輪を強行するという、いわば暴走発言です。日本の人々の健康や命より五輪が大事というに等しい暴言であります。
 東京都や組織委員会も同じ考えなのか、伺います。

○末村運営担当部長 ご指摘の発言は、五月十九日から開催されたIOC調整委員会におきまして発言がなされたものと承知してございます。
 調整委員会におきましては、大会時のコロナ対策について、参加する全ての人にとって安全なものになるだろうという評価がなされたところでございます。
 都としては、感染の再拡大を防ぎ、感染を徹底的に抑え込むため、現下のコロナ対策に全力で取り組むとともに、安全・安心な大会に向けた準備に着実に取り組んでまいります。

○とや委員 コーツ氏のこの発言は一線を越えていると、大きな怒りを呼んでいます。
 この問題で、先日、国会がありまして、我が党の畑野議員が、政府も同じ考えなのか、抗議すべきではないかとただしたところ、丸川大臣は、日本政府は国民の安全が第一だ、今後、協議が続くので、IOCには考え方を伝えたいと答えています。事実上、コーツ氏の発言を否定せざるを得なかったわけであります。
 都としてもIOCに抗議すべきではないでしょうか。

○末村運営担当部長 ご指摘の発言につきましては、五月十九日から開催されたIOC調整委員会におきまして発言がなされたと承知してございます。
 調整委員会におきましては、大会時のコロナ対策について、参加する全ての人にとって安全なものになるだろうという評価がなされたところでございます。
 都としては、感染の再拡大を防ぎ、感染を徹底的に抑え込む現下のコロナ対策に全力で取り組み、安全・安心な大会に向けた準備に着実に取り組んでまいります。

○とや委員 東京都が都民の命と安全を守る立場に立つのか、その責任が問われているわけです。コーツ氏のこの発言を認めることはできないということを、やっぱり都として、オリ・パラ大会に責任を持って準備されてきた皆さんとして抗議すべきじゃないですか。
 局長、いかがですか。答えてください。

○中村オリンピック・パラリンピック準備局長 先ほど来、部長が答弁しているとおり、ご指摘の発言は、IOCの調整委員会の中で行われた発言でございます。そこの発言の中の文脈といたしましては、大会時のコロナ対策について、非常にすぐれているというような評価がなされたところでございます。
 なお、IOC等々については、私どもも、かなり日常的に会話をする、あるいは、いろいろな場面でやりとりをするという場合もあります。特にプレーブック等々の改定等も行っている中で、具体的な安全対策、そこの中ではさまざまなやりとりをやって、そういう中でさまざまな主張を、いろいろなレベル、レベルの中でIOCに対しても行ってございます。
 その中では、もちろん大会自体の安全、それと、やはり都民の医療等、そういうことの必要性についても日常的に伝えているところではございます。

○とや委員 プレーブック、六月にこれから改定されるということは聞いていますし、必要に応じて、オリ・パラ準備局の皆さん、東京都の皆さんが、さまざまな情報共有をしたり、意見交換をするということは大変重要なことだと思います。
 だけれども、今回のコーツ氏の発言は本当に一線を越えていて、都民の怒り、国民の怒りを買っているんですよ。ここについては、きちんと東京都として抗議すべきだと思います。これはもう厳しく指摘をしておきます。
 コーツ氏は、緊急事態宣言下でもテストイベントは成功したとも語っています。
 テストイベントの全参加数、そのうち海外からの参加者数、海外アスリートが参加して開催されたテストイベントと海外アスリートの数、また、PCR検査の対象者、さらに、検査により陽性が判明した人がいたかどうか、伺います。

○川瀬競技・渉外担当部長 今年度再開されたテストイベントは、四月三日開始の車椅子ラグビーから五月二十一日終了の射撃まで、これまでに十六競技種別が実施されております。
 組織委員会によれば、アスリート、チーム関係者、大会スタッフなど約一万一千五百名が参加しており、海外からの参加者は約六百八十名でありました。
 そのうち四つの大会は、海外アスリートも参加して開催され、出場したアスリート七百二十九名のうち、海外アスリートは二百五十五名でありました。
 競技ごとの内訳は、バレーボール二十八名、飛び込み二百十二名、マラソン六名、陸上競技九名であります。
 なお、PCR検査につきましては、これまでに実施された十六競技種別の参加者約一万一千五百名のうち、国内外のアスリート及びチーム関係者、アスリートと交わる審判や大会スタッフなどに対して実施されております。
 事前検査により、BMXフリースタイルの大会スタッフ一名に陽性反応が確認され、また、飛び込みの海外チームのコーチ一名が入国検疫で陽性反応が確認されましたが、いずれも速やかに隔離措置が行われております。

○とや委員 今のご答弁で、無症状の感染者が二名出たということがわかりました。大会が開催されれば、選手は一万八千人、大会関係では、関係者だけでも七万八千人に上るということであります。まさに完全はないということをテストイベントは示していると思います。
 緊急事態宣言の休業要請や営業時間短縮要請等によって、多くの事業者が打撃を受けて、仕事が激減して生活苦に陥っている都民も少なくありません。そうしたもとで、五輪関連のスポーツのみが特別扱いされるということです。
 このことをどのように考えているのか、お答えください。

○末村運営担当部長 都は、感染の再拡大を防ぎ、感染を徹底的に抑え込むため、現下のコロナ対策に全力を尽くし、都民、事業者の皆様にご協力をお願いしているものでございます。
 安全・安心な大会の実現に向けましては、水際対策や健康管理、行動管理など、さまざまな対策を徹底して進めてまいります。

○とや委員 五輪関連のスポーツのみが特別扱いをされている、これは誰の目から見ても明らかなんですよね。そのことに対して認識を伺ったのですが、都民、事業者にご協力をいただいている、それしかお答えいただけませんでした。
 私たち、今、地元に入って、皆さんからお話を聞くのですが、商店街を歩くと、緊急事態宣言によって時短営業とされて、アルコール類も売るなといわれている飲食店の方々も、本当に切実な声を上げています。
 ある方は、野球はやってもいいけれども、バットとボールを使うなといわれているようなものだと、そういうふうに怒りをあらわにしていました。なぜ八時なのか、九時なのか、科学的根拠も示されない中で、虐待されているようなものだというふうにおっしゃっています。アーティストの皆さんは、私たちには一円もないと訴えています。シングルマザーが主食も買えない日もあるという状況も伝わってきていると思います。緊急事態宣言が延長されれば、さらに苦境に陥ることは間違いありません。
 そういったとき、今度は、バッハ会長が問題発言を行っています。
 IOCのバッハ会長は、五月二十二日、国際ホッケー連盟のオンライン総会で、五輪の夢を実現するために、誰もが幾らかの犠牲を払わないといけないと発言しました。
 五輪は、人類の調和のとれた発展のために開催するものであって、誰かの犠牲の上に成り立つ五輪や、誰もが犠牲を払う五輪では開催する意義がないと思いますが、いかがでしょうか。

○田中計画推進部長 まず、バッハ会長の発言でございますが、これは、国際ホッケー連盟のオンライン総会に寄せられたビデオメッセージで、安全・安心な大会のため、国際競技連盟などが参加者の削減やプレーブックの遵守などに協力していることに向けて、感謝の意をあらわしたものだと聞いております。
 バッハ会長は、最も優先すべきは、選手たちと関係者、そして、私たちを迎えてくれる開催国、日本の国民にとって安全・安心な大会を開催することであると述べた上で、前例のない事態に対応するために、オリンピックコミュニティの全員が犠牲を払わなければならないと発言しております。
 大会の安全・安心な開催のためには、オリンピック関係者の協力が不可欠だと考えております。大会のコロナ対策につきましては、国、組織委員会、専門家等の関係者とともに対応を具体的に進めてまいりまして、組織委員会がプレーブックとして取りまとめたところでございます。
 また、変異株の増加などを踏まえ、出入国に係る措置や検査、行動ルールを具体化、精緻化するなどの改定も行われたところでございます。
 これらの対策につきましては、WHOにおいても、リスク管理を確実にするための努力として評価を受けております。
 安全・安心な大会に向けて、テストイベント等における実証や、今後のさまざまな知見も踏まえ、対策の実効性を高めてまいります。

○とや委員 いろいろ今ご説明いただいたのですけれども、何をいったとしても、やっぱり犠牲を払っているのは、都民であり、日本国民であるということは−−きょうは、この間、教育庁や、あるいは生活文化局でも斉藤委員が質問させていただきましたけれども、子供たちだって、業者の皆さんだって、アーティストだって、本当に犠牲を払っていますよ。そういう状況があるのに、今でもIOCに対して意見もいわない、抗議もしていないということであります。
 ここで、ちょっとお聞きしておきたいのですが、バッハ会長の幾らかの犠牲とは何を指しているのか、お聞きします。

○田中計画推進部長 先ほどもお答えいたしましたけれども、バッハ会長は、国際ホッケー連盟のオンライン総会において、出席者に向けて、連盟が行う協力への感謝を示す際に、お話しの発言を行ったものでございます。

○とや委員 感謝の言葉、感謝の意を表明したときに犠牲を払うといったということですけれども、結局、わからないということだと思います。
 毎日、大切な命が失われて、医療現場での混乱が起きていますよ。都民の暮らしも崖っ縁です。ワクチン接種率は世界百二十八位でおくれているもとで、五輪選手には全員にワクチン接種を行う。ダブルスタンダードだとも批判をされています。公平性、フェアネスこそ五輪の命ではないでしょうか。
 オリンピック憲章にある平和と友好の祭典、あるいは、オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることだと定めているではありませんか。アスリートも、犠牲の上に成り立つ五輪を望んでいないと思います。
 都民に説明がつかない感染拡大への不安をさらに広げるようなことはすべきではありません。ことし夏の東京五輪は中止をして、都として、あらゆる力をコロナの終息に集中すべきです。
 国とIOCに対して中止の決断を迫るよう求めて、質問を終わります。ありがとうございました。

○栗下委員 オリンピックの開会まで、あと五十六日、二カ月を切りました。
 しかし、都内の新型コロナウイルスの新規陽性者数は、いまだ高い水準にあり、五月三十一日までとされていた緊急事態宣言も再延長せざるを得ない状況です。
 流行の主体も、より感染力の強い変異株に置きかわり、今後の急拡大も懸念されています。
 また、多くの世論調査で反対が多数となっていますが、都民、国民に対して理解と協力を得るための努力も十分でありません。
 東京都議会立憲民主党は、このような状況のもと、東京オリンピック・パラリンピックを開催することは極めて困難であり、中止または延期すべきであると考えています。
 よって、当該陳情は趣旨採択すべきであります。
 以上をもって意見といたします。

○河野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○河野委員長 起立少数と認めます。よって、陳情三第六号は不採択と決定いたしました。
 陳情の審査を終わります。
 以上でオリンピック・パラリンピック準備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時十八分散会

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