委員長 | 河野ゆりえ君 |
副委員長 | 早坂 義弘君 |
副委員長 | 田の上いくこ君 |
理事 | 伊藤こういち君 |
理事 | 内山 真吾君 |
栗下 善行君 | |
林あきひろ君 | |
斉藤まりこ君 | |
栗林のり子君 | |
大場やすのぶ君 | |
両角みのる君 |
欠席委員 三名
出席説明員教育庁 | 教育長 | 藤田 裕司君 |
次長 | 松川 桂子君 | |
教育監 | 宇田 剛君 | |
技監 | 矢内真理子君 | |
総務部長 | 安部 典子君 | |
都立学校教育部長 | 谷 理恵子君 | |
地域教育支援部長 | 田中 宏治君 | |
指導部長 | 増田 正弘君 | |
人事部長 | 浅野 直樹君 | |
福利厚生部長 | 小菅 政治君 | |
教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 小原 昌君 | |
企画調整担当部長 | 岩野 恵子君 | |
教育改革推進担当部長 | 藤井 大輔君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 高木 敦子君 | |
指導推進担当部長 | 瀧沢 佳宏君 | |
人事企画担当部長 | 黒田 則明君 |
本日の会議に付した事件
教育庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第三十八号議案 東京都学校経営支援センター設置条例の一部を改正する条例
・第三十九号議案 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
・第四十号議案 都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
・第四十一号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
・第四十二号議案 東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京都教育施策大綱(案)について
○河野委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより教育庁関係に入ります。
これより予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、教育庁所管分、第三十八号議案から第四十二号議案まで及び報告事項、東京都教育施策大綱(案)についてを一括して議題といたします。
本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○安部総務部長 去る二月十二日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をお開き願います。
今回要求のございました資料は十六件でございます。
一ページをお開き願います。1、都立特別支援学校スクールバスと医療的ケア児専用通学車両の予算の推移でございます。
スクールバス及び医療的ケア児専用通学車両の予算額、配車している学校数、運行するコース数を年度別にそれぞれ記載してございます。
二ページをごらんください。2、同じくスクールバスと医療的ケア児専用通学車両の配車状況でございます。
このページから次のページにかけまして、それぞれの配車台数について、学校別にそれぞれ記載してございます。
四ページをごらんください。3、公立小中学校の三十五人学級に必要な教員数及び経費でございます。
三十五人学級にした場合に新たに必要となる教員数及び経費について、小学校、中学校それぞれ学年別に、また、合計を記載してございます。
五ページをごらんください。4、教職員の標準法定数と、標準法に根拠を持つ教職員数の都の定数及び標準法以外の都の定数でございます。
令和三年三月一日時点の見込み数である教職員の標準法定数と、標準法に根拠を持つ都の令和三年度定数及び標準法以外の都の令和三年度の定数につきまして、校種別に記載してございます。
六ページをごらんください。5、都立学校整備費の推移でございます。
都立学校整備費の当初予算額と新設、改修など工事内訳について、校種別、また、年度別に記載してございます。
七ページをごらんください。6、公立小中学校児童生徒の就学援助受給者の推移でございます。
各年度における就学援助を受給した児童生徒数及び受給率について、要保護、準要保護の別に記載してございます。
八ページをごらんください。7、都内公立特別支援学校の医療的ケアが必要な幼児、児童、生徒の数及び配置看護師数でございます。
(1)では、医療的ケアが必要な幼児、児童、生徒数について、都立、区立の別、また、年度別に記載してございます。
(2)では、配置看護師数につきまして、同様に記載してございます。
九ページをごらんください。8、小二加配、中一ギャップ加配の活用状況、学級規模の縮小とTTの選択状況でございます。
令和二年度における小二加配、中一ギャップ加配を活用している学校数につきまして、学級規模縮小、TT等の選択別、また、区市町村別に記載してございます。
一〇ページをごらんください。9、都内公立小中学校及び高等学校の不登校児童生徒数と不登校出現率の推移でございます。
各年度における不登校児童生徒数と不登校出現率につきまして、校種別に記載してございます。
一一ページをごらんください。10、東京都公立学校教員採用選考名簿登載者数、期限つき任用教員名簿登載者数等でございます。
(1)では、教員採用選考名簿登載者数、期限つき任用教員名簿登載者数、その内訳として、四月一日の任用数、四月二日から三十日までの任用数、五月以降の任用数について、年度別に記載してございます。
(2)では、期限つき任用教員名簿登載者のうち、五月一日までに任用のあった者の教員採用選考の受験者数、翌年度の名簿登載者数、合格率につきまして、年度別に記載してございます。
一二ページをごらんください。11、東京二〇二〇大会に関する事業と予算額の推移でございます。
オリンピック・パラリンピック教育を推進するための五つの事業につきまして、その予算額について年度別に記載してございます。
一三ページをごらんください。12、都内小中学校及び都立高校、特別支援学校における標準法定数と標準法に根拠を持つ都の定数の推移でございます。
各年度における副校長、養護教諭、学校栄養職員等、寄宿舎指導員、一般事務及び進路指導担当、特別支援教育コーディネーターそれぞれの標準法定数と標準法に根拠を持つ都の定数につきまして、校種別に記載してございます。
一四ページをごらんください。13、都内公立学校の産休、育休代替教職員及び時間講師の採用候補者名簿登載者等数と任用人数でございます。
(1)では、産休、育休代替教職員につきまして、令和元年度における採用候補者名簿登載者等数と任用人数を記載してございます。
また、(2)では、時間講師につきまして、平成二十九年度から令和二年度までの状況を同様に記載してございます。
一五ページをごらんください。14、都立学校における新型コロナウイルス感染症への感染が判明した学校数及び人数の状況でございます。
令和二年六月一日から令和三年二月二十八日までの学校数及び人数について、校種別にそれぞれ記載してございます。
一六ページをごらんください。15、東京都教育施策大綱(案)骨子に対する都民への意見募集の結果についてでございます。
このページから一八ページにかけまして、令和二年十二月二十一日から令和三年一月二十日までの間に行われました都民への意見募集の結果につきまして、項目ごとに意見の件数と主な内容を記載してございます。
一九ページをごらんください。16、都内公立小中高等学校の自殺者数の推移でございます。
各年度における自殺者数につきまして、校種別にそれぞれ記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○河野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○田の上委員 女性がたくさん入っている理事会は時間がかかりますという森元会長の発言と、わきまえている等、それに続く数々の発言は、日本の性差別に対する後進的な姿を露呈してしまいました。この日本のイメージを覆すことは容易ではありません。
オリンピックムーブメントは、オリンピズムを広げていく活動全般のことを指し、何も大会開催だけをあらわすものではありません。五輪憲章では、さまざまな活動を四年間かけて行うとされ、大会は、その中の一つとして一年目に開くよう定められています。
日本では、招致から決定、準備の過程の中で、この五輪憲章が行き渡っていなかったと思われても仕方のない状況です。
学校教育の中では、この数年間、オリンピック・パラリンピック教育が実施されてきたと認識しています。
オリンピック憲章に示されている人権について、学校ではどのような取り組みをされてきたのか、伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、平成二十八年度から、小学校第四学年以上の全ての児童生徒にオリンピック・パラリンピックに関する基礎的な知識や情報をまとめた学習読本を配布しております。
学習読本には、オリンピック憲章を示し、フェアプレーの精神や女子のスポーツ参加の拡大など、人権にかかわる内容を掲載しております。
学校においては、子供たちが学習読本などの補助教材を活用し、オリンピック・パラリンピックの精神を学び、多様性の尊重や相手を思いやる心の醸成を図っております。
○田の上委員 差別や偏見のない社会を構築していく、そのために、子供たちが小さいうちからさまざまな教育を受けているわけであります。オリンピック憲章が生かされるよう、今後とも、多様性の尊重や相手を思いやる心の醸成ということで、ぜひしっかりと進めていただきたいと存じます。
前回の事務事業質疑でも取り上げましたが、大会観戦の引率の件です。
学校連携観戦チケットに変動があるなど、状況に変化が生じた場合には、学校の意向を十分に踏まえた上で実施するとのご答弁をいただいておりました。
昨年のQアンドAで示されたスケジュールでは、一月中に再度、意向調査をして、三月に発券数決定となっていました。
コロナ禍の中でおくれが生じているものと認識しておりますが、現場では、夏休みのスケジュールをどうしたらいいのか、計画をしなくてはならない、実踏しなければならない等、今後どのように進めていくべきなのか、都の連絡を待っている状況です。
現場に混乱が起きないよう、適時連絡をするべきと考えますが、教育現場での大会観戦についての見解を伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、暑さ対策や会場までの移動など、子供の競技観戦に係る内容をまとめ、校長会や区市町村教育委員会の指導室課長会等において定期的に周知するとともに、各学校に通知をしてまいりました。
観戦する会場や日時につきましては、令和二年十二月に、各学校へ配券、割り当て案を通知し、令和三年度に向けての準備を依頼しているところでございます。
現在、大会組織委員会などの関係機関と、具体的な感染症対策など、子供の安全に係る事項について協議を行っており、調整が整い次第、各学校に通知し、参加の意向を改めて確認した上で決定通知を発出いたします。
さらに、安全な競技観戦に向けて、関係機関との調整内容を踏まえ、観戦の手引を作成、配布し、観戦説明会や実地踏査の準備などを進め、随時、各学校へ通知してまいります。
○田の上委員 コロナ禍の中で、さまざまなおくれが生じているものとは存じますけれども、ぜひ随時学校に通知をしていくということで、しっかりと区市町村の教育委員会並びに学校と連携を図っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、小学校の英語教育についてです。
小学校での英語教育は、昨年四月から新学習指導要領の全面実施となりましたが、現状について伺いたいと思っております。
対象は小学校三年生から六年生で、三年生、四年生は外国語活動が年間三十五時間、五年生、六年生は外国語科が年間七十時間と聞いております。
国では、平成三十年度から英語専科指導教員の加配を段階的にふやし、令和二年度では三千人の加配を予算措置しています。
都では、加配がされているのは、全対象学年で二十二学級以上の学校と聞いております。
都においては時間講師も活用しているかと思いますが、英語専科指導加配と時間講師の配置実績を伺います。
○浅野人事部長 都教育委員会では、令和二年度において、国の加配定数を活用して、英語の専科指導教員を百八校に配置するとともに、英語指導に必要な時間講師を、申請のあった三百三十四校全てに配置しております。
なお、令和三年度においては、英語の専科指導教員について百四十五校の配置を予定しており、また、時間講師については、現時点で三百九十五校から申請を受けております。
○田の上委員 時間講師においては、現時点で三百九十五校から申請とのことで、全体数の三分の一弱ぐらいの学校が申請をしているのかと思います。
そうしますと、多くの学校では、学級担任の教員が英語を教えている状況かと思いますが、教員の負担軽減がさまざまな形で図られている現在、負担がふえているのではないかと懸念いたします。都教育委員会の見解を求めます。
○浅野人事部長 都教育委員会は、二十二学級以上の大規模な学校には英語の専科指導教員を、それ以外の学校には時間講師を配置することとしており、令和三年度予算案においても、全ての学校に配置するための経費を計上しております。
今後、英語指導の専門性の確保や教員の負担軽減を図るため、区市町村教育委員会への説明会等を行い、英語専科指導教員や時間講師の一層の活用を促してまいります。
その際には、時間講師等が直接英語を指導する方法に加え、専門性のある学級担任が他の学級も含めて英語を指導し、英語以外の授業を時間講師等が担うことも可能であることについて周知してまいります。
○田の上委員 ご答弁をいただきました。時間講師の活用については、融通のきいた形でできるということでございます。これからまた一層の周知を図っていただけることと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
また、この小学校の英語教育でございますが、以前より、かなり準備をされてきたこととは思いますが、改めて、実施をされたこの一年間の効果をどのように分析されているのか、伺います。
○増田指導部長 都教育委員会は、小学校の英語教育について教員の指導力向上を図るため、教員が授業の基本的な流れを理解することができるよう、映像から学ぶDVD資料を作成し、都内全ての公立小学校に配布するなどしてまいりました。
こうした取り組みを通して、教員が教材を工夫して作成することや、自信を持って指導することができるようになり、児童が英語で話したり、聞いたりすることに加えて、段階的に読んだり、書いたりすることにも取り組めるようになっております。
具体的には、将来の夢や住んでいる地域について、簡単な語句や基本的な表現などを用いてポスターを作成した上で互いに紹介し合うなど、積極的に英語でコミュニケーションを図っている児童の姿等を学校訪問などにより確認しております。
○田の上委員 まだ導入して一年ということで、これからまた、いろいろ検討していくものもあるかとは思いますけれども、先ほどのように担任の先生が担当することが多いという中で、DVD資料を作成したり等、工夫をされていることだと思います。子供がその年齢なりに理解できるコミュニケーションというものをしっかりと構築していっていただきたいと思います。
次に、スピーキングテストについてです。
東京都教育委員会は、平成三十年四月に、英語「話すこと」の評価に関する検討委員会というものを設置し、都内公立中学校三年生等を対象に、民間資格、検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテストを実施することにしました。
本来は、来年度が本格実施でありましたが、コロナの影響もあり、スケジュールがおくれているようでございます。
都教育委員会が目指す小中高等学校で一貫した英語教育が方向性として掲げられていますが、小学校で受けた英語教育がどのように中学校の英語教育に効果があり、そして、中学三年生のスピーキングテストにつながるのでしょうか。
話すことの力をはかるとされているスピーキングテストですが、都立高等学校入学者選抜においてテスト結果を活用するとされています。
これまでの一貫した英語教育の効果とテストの実施意義を伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、小中高校における一貫した英語教育を通して、世界で通用する使える英語力を育成することを目指しております。
具体的には、小学校で培われた英語によるコミュニケーションを図る資質、能力を土台に、中学校においては、関心のある事柄について即興で伝え合ったり、自分の考えや意見を伝えたりする力を育成する授業が行われております。
こうした取り組みによって、都の中学生の英語力は国の目標値を上回るなどの成果があらわれております。
また、スピーキングテストにより、義務教育終了時点における話すことに関する能力を客観的に把握することを通して、中学校における指導のさらなる充実を図ってまいります。
さらに、スピーキングテストの結果を高校入試に活用することで、中学校と高校との円滑な接続を実現し、高校における英語四技能の総合的な育成に向けた授業改善につなげてまいります。
○田の上委員 都の中学生の英語力は、国の目標値を上回るなどの成果があらわれているとのことでございます。これからもこの一貫した英語教育というものを、ぜひ試行錯誤しながら進めていっていただきたいというふうに思います。
二〇二二年度スピーキングテストの本実施の前に、約八万人を対象に確認プレテストというものが行われます。プレテストを土曜授業のときに実施しなくてはならない、また、それぞれ生徒がスマホで申し込みをするなど、学校現場では、どうしたらよいのかということで不安が生じているようでございます。
令和三年度は、都内全公立中学校でのプレテストの実施に向けて、区市町村の教育委員会に、より一層の周知をすべきと考えますが、見解を伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 令和三年度は、都内全公立中学校でのプレテストの実施を見据えまして、四月下旬に区市町村教育委員会を対象とした説明会、また、五月中旬に中学校を対象とした説明会を実施し、本事業の目的や実施方法、授業改善に向けた活用方法等について、改めて周知徹底を図ってまいります。
また、申し込みから受験までの流れがわかるリーフレットを、都内公立中学校第三学年の全生徒に対象を拡大して配布するとともに、スピーキングテストを疑似体験できる動画をウエブサイト上に掲載するなど、十分な理解に向けた取り組みを強化してまいります。
○田の上委員 説明会等を実施していただけるということでございます。約八万人の学生、生徒を対象としたものでございます。生徒や教員が混乱に陥らないように、ぜひとも周知徹底をお願いいたします。
スピーキングテストにはヒアリング部分もございますが、試験会場の環境で聞こえにくい等、さまざまな課題を多く聞くところです。入学選抜に影響のある試験なら、なおさらその環境は重大であります。緊張している学生たちが安心して受けられる環境をつくっていくことが必要です。
今回のスピーキングテストでは外部会場も使用する予定ですが、場所により音声が聞こえにくいなどのトラブルが発生しないように配慮すべきと考えますが、対策を伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 スピーキングテストを受験する際には、生徒一人一人がマイクつきイヤホンと防音用のイヤーマフを使い、タブレット端末からの音声による出題に対し、回答音声を録音する方式で実施することにより、会場の状況に左右されることなくテストに臨めるようにしております。
今年度までの三年間に実施したプレテストにおいては、トラブルは発生しておらず、令和三年度のプレテストにおいても、引き続き、生徒が安心してスピーキングテストを受験できるよう準備を進めてまいります。
○田の上委員 マイクつきイヤホンの上に防音用のイヤーマフを使うということで、二重の対策をしていただけるということでございます。ぜひとも、これからも環境整備に努めていただきますようお願い申し上げます。
次に、コロナ対策です。
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種でございます。
ワクチン出荷がおくれており、このままでは高齢者の接種もなかなか完了しないものと懸念いたします。
江戸川区では、教育現場のPCR検査を独自に行いました。今後も、適時、教職員を初めとする教育現場でのワクチン接種も検討に加えていくべきかと思っておりますので、意見だけ申し上げます。
また、自治体によっては、ワクチン接種会場に小中学校が利用されることがございます。
学校の教職員がかかわらないで実施されるものと推測いたしますが、学校が会場として使用される場合の接種実施の体制について、また、子供の安全確保の対応について伺います。
○田中地域教育支援部長 国は、令和三年二月一日に通知を発出し、教育委員会が所管する体育館等の学校施設等を使用したいという要望が示された場合には、積極的に協力するよう要請しました。
ワクチンの接種会場として学校の施設を使用する場合には、各区市町村のワクチン担当部署と教育委員会は連携協力するとともに、実施計画の確認や接種会場の責任者との打ち合わせなどにより、消毒を含めた原状復帰の方法等を確認し、会場校の教職員に負担が生じないようにすることが大切であるとしています。
また、教育活動に支障がないよう配慮しつつ、学校等における児童生徒等との接触がなされないような動線の設定や、接種後の会場の消毒など、必要な対応に遺漏のないよう配慮を求めています。
○田の上委員 承知いたしました。ありがとうございます。
次に、入試の応募状況についてです。
都はこれまで、生徒一人一人の能力や特性、興味、関心、進路希望等に応じて学ぶことができるよう、多様なタイプの都立学校を開設してきましたが、そのうち五校がチャレンジスクールとなっています。
中学時代に不登校経験を持つ生徒や、長期欠席等が原因で高校を中途退学した者等を主に受け入れる総合学科、三部制の高校で、他部履修により三年での卒業も可能とするというものであります。
夜間部の希望が少なく、定時制の応募状況を見ても、夜間ニーズが減少しているように思われます。生活スタイルや学習のニーズは年々変化をしてきております。
こうした新たなニーズに合わせて、チャレンジスクールの増設等を検討していくべきと考えますが、見解を伺います。
○藤井教育改革推進担当部長 都教育委員会は、都立高校改革推進計画に基づき、生徒が自分のライフスタイルや学習ペースに合わせて午前部、午後部、夜間部の授業時間帯を選択できる三部制のチャレンジスクール等を新設するなど、規模拡大に取り組んでまいりましたが、その入学者選抜の状況は、毎年度、募集人員を超える数値で推移しております。
このため、現在の都立高校改革推進計画・新実施計画において、チャレンジスクール二校を足立区と立川市に新設し、不登校や中途退学経験のある生徒など、多様な入学を希望する生徒がより多く入学できるよう整備することといたしました。
今後とも、多様化する生徒、保護者のニーズに応えられるよう、着実に取り組みを推進してまいります。
○田の上委員 多様化する生徒、保護者のニーズに応えられるように、また取り組みを進めていただけるということで、よろしくお願いいたします。
最後に、教員の働き方改革について、意見だけ申し上げます。
前回の事務事業質疑でも、コロナ禍の中での教員の異動について、職住接近ができないものかという質問をさせていただきました。
教員に経験を積ませる人材育成の視点や、全都的な視野に立った異動を勘案する一方で、働き方改革の観点も考慮し、通勤時間がおおむね九十分以内におさまる配置に努めている、また、保育、育児、介護、健康上の理由など特別な事情がある者については、個別の事情に配慮した異動を行っているというご答弁をいただきました。
しかしながら、九十分におさまる配置といいながらも、実際は、退勤時刻に乗り継ぎのバスがないなど、教育委員会で計算したものよりは長くなって、百二十分近くなってしまうという例を聞いているところでございます。
例えば民間企業では、自転車を使ってほしいと推奨したときに、自転車置き場の代金を通勤手当として上乗せしたりとか、そういった工夫もされているかと思いますけれども、そういった交通ルートについてまで教育委員会が定めてしまうと、なかなか融通がきかないところがございます。
例えば自転車利用でございますが、妊婦の方が自転車に乗るというのはなかなか考えにくいものであります。そういったことをしっかりと考慮していただきたいと思っております。
コロナ禍の中で、テレワークがままならない職業が教員の仕事であります。いま一度、個別の事情に配慮していただき、また、合理的な交通手段ということを含めて異動を心がけていただきますよう、要望だけさせていただきます。
以上です。
○早坂委員 きょうは、三つのテーマについてお伺いしたいと思います。
一つは国のバリアフリー法改正について、二つ目は学校施設について、三つ目は都立専門高校について、大きくこの三つを伺いたいと思います。
まずは、バリアフリー法改正についてであります。
昨年五月、国のバリアフリー法が改正されました。学校関係に対する内容は、大きく二つ。一つは、これまで対象となっていなかったバリアフリー化義務施設に公立小中学校が含まれるようになったこと、もう一つは、公立小中学校で心のバリアフリーに関する教育が求められるようになったことです。
この法改正で、ハードとソフトの両面から学校のバリアフリー化が一気に進むのではと、関係者の期待は大きく膨らんでいます。そこで、順番に伺ってまいります。
まず、バリアフリー法の改正で、公立小中学校の施設には、新たに何が求められることになったのでしょうか。
○田中地域教育支援部長 公立の小学校、中学校、義務教育学校及び中等教育学校の前期課程が、建築物移動等円滑化基準、いわゆる建築物バリアフリー基準への適合義務の対象となる特定建築物に追加されました。
令和三年四月一日以降、公立小中学校等の新築、増築及び改築を行うときには、建築物移動等円滑化基準に適合させる義務が課せられることとなります。
具体的には、車椅子使用者用トイレの設置や、移動経路を高齢者、障害者が円滑に利用できるよう段差のないものにすることなどが必要となります。
ただし、都においては、既に高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例、いわゆる建築物バリアフリー条例及び東京都福祉のまちづくり条例により、学校について、法で義務化されていない大規模な修繕や模様がえを行う場合にも適合義務が課されています。
○早坂委員 今般のバリアフリー法の改正を踏まえ、文部科学省のバリアフリー化調査研究会議では、今後五年間、つまり令和七年度末までの施設の三つの整備目標案を示しました。
第一に、全ての公立小中学校にスロープを設置し、段差を解消すること、第二に、避難所に指定されている全ての公立小中学校に車椅子用トイレを設置すること、第三に、要配慮児童生徒や教職員が在籍する全ての公立小中学校にエレベーターを設置することです。
昨年十二月、文部科学省は、学校施設の現在のバリアフリー化状況について発表しました。
そこで、第一の、全ての公立小中学校にスロープを設置し、段差を解消するということに関してはいかがでしょうか。
○田中地域教育支援部長 令和二年五月一日時点の、都内公立小中学校等について、門から校舎の出入り口までの一つ以上の移動経路で段差が解消されている学校の割合は七八・〇%であり、校舎の昇降口等から同じ階にある教室までの一つ以上の移動経路で段差が解消されている学校の割合は六七・四%となっています。
○早坂委員 第二の、避難所に指定されている公立小中学校の割合と、そこでの車椅子用トイレの設置状況に関してはいかがでしょうか。
○田中地域教育支援部長 都内公立小中学校等について、校舎が避難所に指定されている学校の割合は九八・二%、屋内運動場が避難所に指定されている学校の割合は九九・六%となっています。
これらの学校のうち、車椅子使用者用トイレが設置されている学校の割合は、校舎については七六・二%、屋内運動場については三五・八%となっています。
○早坂委員 高校については、今回の国の調査対象となっていませんが、都立高校において、避難所として指定を受けている学校の割合と、そのうち車椅子トイレが設置されている学校の割合について伺います。
○谷都立学校教育部長 都立高校について、避難所として指定を受けている学校の割合は八六・二%、そのうち、障害者に対応し、車椅子での利用が可能なトイレが設置されている学校の割合は九六・九%となっております。
○早坂委員 第三の、要配慮児童生徒や教職員が在籍する公立小中学校の割合と、そこでのエレベーター設置状況に関してはいかがでしょうか。
○田中地域教育支援部長 都内公立小中学校等について、配慮が必要な児童生徒等が在籍している学校の割合は二一・九%、これらの学校のうち、校舎にエレベーターが設置されている学校の割合は四〇・五%となってございます。
○早坂委員 同じく都立高校における要配慮生徒や教職員が在籍する学校の割合と、そこでのエレベーターの設置状況に関してはいかがでしょうか。
○谷都立学校教育部長 都立高校につきまして、今年度在籍している障害のある生徒、保護者等から、円滑な移動のための介助職員の配置等の支援を求められた学校は一四・三%、これらの学校のうち、校舎にエレベーターが設置されている学校の割合は八八・九%となっております。
○早坂委員 要配慮児童生徒や教職員が在籍する学校のうち、エレベーターが設置されていない学校の割合は、公立小中学校では六割に及ぶことがわかりました。恐らく、その児童生徒の教室は、一階に配置して対応しているのではないかと想像いたしますが、小学校なら六年間、その児童が所属するクラスは、ずっと同じ一階にしているのでしょうか。もしそうなら、どうして自分たちのクラスだけという気持ちになるだろうと思います。
また、学校は、自分のクラスの教室だけでなく、家庭科室や音楽室、今だとランチルームが設置され、そこで授業を受けたり、給食を食べたりということがあります。そうした場合、全てが一階に設置されているとは思えず、つまり、車椅子では行かれない教室があると想像しますが、現場ではどうしているのでしょうか。
教職員の場合はなおさらです。二階以上に上がれない教職員が、その学校で、ほかの教職員と同じように働けているのでしょうか。
要配慮生徒や教職員が在籍する学校で、エレベーターがない学校での実態について伺います。
○谷都立学校教育部長 都立高校につきましては、障害のある生徒等の状態に応じ、介護職員による支援や階段昇降機の使用などにより対応しております。
区市町村立学校につきましては、学校設置者である区市町村が、児童生徒の障害の状態に応じて個別に検討、対応するものでございます。
令和元年度に都教育委員会が行った調査研究事業の報告書によりますと、階段昇降機の設置や特別支援教育支援員の配置など、区市町村は実情に応じた対応を行っております。
○早坂委員 階段昇降機は、障害当事者からは、とても不人気。つまり嫌がられる設備です。
また、支援員の配置ということは、みんなで手で抱えて移動させるということでしょうか。一度、現場を見に行きたいと思います。
スロープ、車椅子、エレベーターの設置状況について、それぞれ伺ってまいりました。今回の法改正とあわせ、国は、令和七年度末までの五年間を緊急かつ集中的にバリアフリー整備を行う期間と定め、来年度から補助率を三分の一から二分の一に引き上げます。
そうしたことから、公立小中学校のバリアフリー化が一気に進むと、関係者の期待は膨らんでいますが、その期待に対して冷ややかな見方もあるようです。
一つは、公立小中学校は、今回のバリアフリー法改正で、新たにバリアフリー化義務の対象になりましたが、先ほどご答弁があったとおり、東京都では、既に福祉のまちづくり条例の対象になっていたこと、つまり国基準が東京都基準に追いついてきただけで、法改正は、これまでよりも高い基準でバリアフリー化を進めるものではないということであります。
そして、もう一つは、東京都基準も国基準も、対象となるのは新築もしくは大規模改修時のみで、既存施設のバリアフリー改修は、義務ではなく、努力義務にとどまるということ。すなわち、少子化の時代、学校の新築は限られているし、耐震改修が終了した現在、大規模改修の機会も限定的、したがって、法改正があってもバリアフリー化が加速するものではないというものであります。
今回のバリアフリー法の改正は、区市町村に対して求めるものであり、都道府県の役割に関しては、この法にも、また、法改正を踏まえて文部科学省が改定した学校施設バリアフリー化指針にも記載はありません。
しかし、文部科学省のバリアフリー化調査研究会議では、都道府県の役割に関して、わずかに、区市町村立学校も含めた学校施設のバリアフリー化が加速するような方策を講じることが必要だと述べている程度に限られています。
ですが、それでいいのでしょうか。今回の質疑で改めてわかったことは、既存施設のバリアフリーこそが肝だということであります。これまで東京都は国基準の上を行っていたと自負するなら、同一基準となった現在、東京都はさらに一歩進めて既存施設のバリアフリー化まで踏み込んでこそ、東京都らしい施策だといえます。
そして、既存施設のうち、どういった施設を優先するのか、そして、それをいつまでに実現するのか、そういったプランを策定するなど、学校のバリアフリー化を実現するトップリーダーの地位を堅持していただきたいと思います。
話はやや脱線しますが、これまで学校のバリアフリー化が進んでこなかったのは、障害者は、公立の一般学校ではなく特別支援学校に通うものだという分離教育が、かぎ括弧つきの常識だったことにあると思います。
先ほどのご答弁に、車椅子トイレやエレベーターの設置率がありました。ただ、そのご答弁ではわからなかった部分があります。
学校によっては複数の校舎があります。そうした場合、一つの校舎だけに車椅子トイレやエレベーターがあっても、それは、あるという答えになります。
また、その一つの校舎にしても、全てのフロアに車椅子トイレがあるのか、どこか一つのフロアに一カ所だけしか車椅子トイレはないのか、どちらであっても、答えは、あるです。
つまり、実態はよく把握できません。
学校に通っている児童生徒が、あるいは教職員が交通事故に遭って車椅子生活になると、その瞬間から、バリアフリー化が進んでいない学校には通えなくなってしまいます。これは福祉の問題ではなく人権の問題です。
大規模災害が発生すれば、学校は避難所になります。
水害の場合には、校舎の二階以上に避難する必要があるかもしれません。エレベーターがあるか、車椅子用トイレは二階以上にもあるのか、死活問題です。
また、避難してくる人は、車椅子に限らず、高齢者もたくさんいるであろうことを考えると、トイレの洋式化は必須です。
そうした問題を抱えた状況は全て、障害者は、一般学校ではなく特別支援学校に通うものだという常識ゆえ、バリアフリー整備が進まなかったことから発生しているのだと思います。
話を既存施設のバリアフリー化こそが肝だということに戻します。そのためには、区市町村が既存学校施設のバリアフリー化推進計画を策定することが重要ですが、その前に、東京都が率先して既存都立学校のバリアフリー化推進計画を策定する必要があると思います。
また、こうした計画の策定に当たっては、障害当事者の参画は当然のことです。しかし、障害者なら誰でもよいというわけではなく、バリアフリーに関する一定レベルの知見をお持ちの方でなくてはなりません。東京都の役割として、必要に応じて区市町村にバリアフリー化改修のアドバイザーを派遣することも考えるべきです。
さて、バリアフリー法改正の二つ目の柱は、心のバリアフリー推進です。
まず、心のバリアフリーとは何か、伺います。
○増田指導部長 心のバリアフリーとは、障害の有無等にかかわらず、全ての人々が相互に理解を深めようとコミュニケーションを図り、支え合うことであると認識しております。
このような認識のもと、都教育委員会は、学校における人権教育を通して、共生社会の実現に向け、多様性を理解し、互いに認め合う態度等を児童生徒に育む教育を推進しております。
○早坂委員 今回の法改正によって、区市町村が心のバリアフリーを推進することが定められ、学校におけるバリアフリー教室の開催などが提起されました。また、新学習指導要領でも心のバリアフリー教育を実施するものとしています。
現在、公立小中学校において、どのような心のバリアフリー教育が行われているのか、伺います。
○増田指導部長 各小中学校では、特別の教科道徳、総合的な学習の時間、特別活動等の中で、児童生徒の実態や地域の実情等に応じ、さまざまな工夫をして、障害への理解を深め、ともに生きていこうとする態度を育むための心のバリアフリーに関する教育を行っております。
例えば、道徳科において、点字ブロックの役割を理解することを通して、生徒が視覚障害者にとって生活しやすい社会のあり方について考える学習や、総合的な学習の時間において、社会福祉協議会と連携して、児童がアイマスク体験や車椅子体験を行う学習等を実施しております。
○早坂委員 では、都立高校においては、どのような心のバリアフリー教育が行われているのか、伺います。
○増田指導部長 全ての都立高校等で平成二十八年度から実施している都独自の教科、人間と社会において、都教育委員会が開発した教科書を活用して、社会のさまざまな課題をテーマとして考える学習を行うとともに、地域等と連携した体験活動を行っております。
心のバリアフリーにかかわる学習としては、例えば支え合う社会というテーマについて、議論しながら考えるとともに、地域の社会福祉施設等を訪問して障害者等と交流する活動などを行っております。
また、学校行事などでパラアスリート等を招聘した講演会や車椅子等を体験する活動を行っている学校もございます。
こうした取り組みを通じて、心のバリアフリーについての理解を深め、共生社会の実現に向け、生徒の視野を広げております。
○早坂委員 東洋大学の川内美彦元教授が行った調査によると、心のバリアフリーという言葉を知っている人は半数で、言葉は知っているが、意味は知らないを合わせると七割に及びます。
また、心のバリアフリーという言葉から連想されるのは、優しさ、思いやり、ハートがぬきんでて多く、いずれも六割以上の回答でした。一方で、権利は三割、尊厳は二割にとどまりました。
我が国が批准している障害者権利条約は、障害者の人権、基本的自由、尊厳といった観点から述べられています。
また、総理大臣出席のもと、十三人の閣僚で構成されたユニバーサルデザイン二〇二〇関係閣僚会議では、心のバリアフリーの推進には、第一に、障害の社会モデルの理解、第二に、障害者差別禁止、そして第三になって、困難や痛みを想像し、共感することだと位置づけています。すなわち、心のバリアフリーは、人権や尊厳にその中心があるのです。
ちなみに、障害の社会モデルとは次のようなものです。一階から二階に上がるのに、車椅子だと上がれません。その理由は個人に障害があるからだとするのが障害の個人モデルです。しかし、エレベーターがあれば二階に上がれます。すなわち、二階に上がれるかどうかは、エレベーターのありなし、すなわち社会環境に障害があるというのが障害の社会モデルです。
しかし、健常者でも、階段がなければ二階には上がれません。すなわち、その人の移動の障害になっているのは、実は、個人の身体の障害ではなく、階段やエレベーターのありなしという社会的な障害なのです。
話が少し脱線しますが、障害の害の字を平仮名で書く人がいます。その理由は、障害者の存在は害ではないというものであります。その理屈からいえば、障害の障も、差しさわりという意味で問題があるように思いますので、平仮名にすべきと思いますが、そこまでする人はまれです。ですが、障害の社会モデルの立場からすれば、害があるのは、個人ではなく社会環境なので、障害と漢字で書くのに何も問題はないということになります。
話を都立高校が行っている心のバリアフリー教育に戻します。
先ほどのご答弁にあった、東京都独自の教材である人間と社会という(資料を示す)このテキストがありますが、教科書がありますが、この中には、心のバリアフリーという言葉はどこにも出てきません。
また、項目の中の支え合う社会で、それに関係したことが扱われているとのご答弁でありましたが、そこには人権や尊厳に根拠を求める記載は全くありません。
障害者本人の意向を無視して、一方的に優しさやいたわりとなる、弱者、あるいは、よき障害者像を求められることに息苦しさを感じている障害者もいます。
優しさやいたわりは大切なことですが、その前提には人権や尊厳があり、本人の意向があるのです。そうしたことに対する理解なくして、優しさやいたわりだけを教えることは間違っています。逆にいうと、優しさやいたわりがなくても、不平等を感じない社会を築いていくことが大切なのです。
繰り返しになりますが、優しさやいたわりを否定するものではありません。優しさやいたわりの前提に、個人の人権や尊厳が基盤としてあるということです。
今後は、都立高校でも公立小中学校でも、心のバリアフリーを真正面から取り上げ、障害の社会モデルに関する指導の充実を図るべきと考えます。ご見解を伺います。
○増田指導部長 今後、都教育委員会は、都内全ての公立学校の管理職等を対象とした人権教育の研修会において、障害を乗り越えて社会に貢献している方から講演いただくとともに、人権教育の手引として全教員に配布する人権教育プログラムに、全ての人の社会参加の実現に向けて必要なことなどを考えさせる教材として文部科学省が作成した心のバリアフリーノートを活用した指導事例を掲載してまいります。
こうした取り組みを通して、学校における共生社会の実現に向けた指導の充実を図ってまいります。
○早坂委員 東京都独自の教科書、人間と社会の改訂の際には、ぜひ心のバリアフリー、障害の社会モデルを取り入れていただきたいと思います。
先ほどの川内教授は、心のバリアフリーという言葉の心の部分から連想されるのは優しさやいたわりであって、その基盤となる人権や権利は想像しにくい、つまり心のバリアフリーという言葉自体に問題が内包されていると指摘しています。
国のバリアフリー法改正に関して、るる伺ってまいりました。観念的、理念的な部分も多く、それを児童生徒に正しく伝えていくことは大変だろうと思います。ですが、その前に、東京都自身が障害の社会モデルの理念をしっかりと認識しておく必要があります。
念のため、申し上げますが、障害の社会モデルは、私が新しい学説を調べてきて紹介したのではありません。障害者権利条約や障害者基本法を通底する考え方です。
そして、これは今や、障害分野にとどまらず、高齢者を初め、社会に暮らす全ての方々に適用されるべき考え方だといえます。つまり、行政にかかわる皆様にとって、基礎的な素養として身につけておいていただくべき事項だと考えます。
先ほどの私の心のバリアフリーとは何かという質問に対し、教育庁からは、障害の有無等にかかわらず、全ての人々が相互に理解を深めようとコミュニケーションを図り、支え合うことだとのご答弁がありました。
では、なぜそうしなければならないのでしょうか。それを突き詰めると、平等、人権、尊厳といったキーワードが必然的に浮かんでまいります。障害者はかわいそうだから優しくしてあげなさいといった哀れみの感情とは全く別のものです。
健常者も障害者も、つまり誰もが、それぞれの自分の希望する場所で活躍できるような環境を社会の側が準備することが必要です。社会全体のバリアフリー化は、今なお、その発展途上にあります。共生社会の実現に向けて、これからも提案を続けてまいりたいと存じます。
さて、二つ目の大きなテーマ、学校施設に関して伺いたいと思います。
都市の品格、まちの品格は、街路樹や建築物などのまち並みの風景にあらわれると思います。
先日、文京区の六義園周辺や武蔵野市の井の頭公園周辺の住宅街を歩く機会がありました。感覚的な物いいで恐縮ですが、周辺の個々の住宅が六義園や井の頭公園の雰囲気と相まって、大層、上品なまち並みを構成していると感じました。
一方で、港区のお台場周辺は近未来的なまち並みです。個々のビルやマンションのデザインが、そうした雰囲気を互いに守り立てています。
民間建築物のデザインは何らかの規制で強制されたものではありませんが、まちを構成するメンバーが、それぞれのまちにふさわしい役割を果たしているのだと思います。
さて、都立高校のデザインです。百八十六校のうち、私が実際に見たことがあるのは十校程度でしかありません。美しいかどうかというのは個人の感覚にすぎませんが、率直にいって、私が知る都立高校の中で、建築物として美しいと感じる都立高校は、残念ながらありません。
例えば、都庁のほど近く、新宿駅の向こう側の、新宿御苑にも面した都立新宿高校。大正十年に府立六中としてスタートした歴史を持ち、かつては東大現役合格者数で全国一を誇った名門校で、卒業生には、林健太郎東大総長や速水優日銀総裁など、すばらしい方々を輩出している都立高校です。
ですが、校舎のデザインは、失礼ながら、実につまらない。そばを通るたびに、その思いを強くします。私がつまらないと感じる理由は、建物に特徴がないからです。オフホワイトの抑揚のない壁がそびえ、個性を打ち出すことをかたく禁じられているように感じます。
新宿駅周辺の意匠に富んだデザインの建築物とは明らかに異質で、また、隣り合った新宿御苑の見事な庭園樹木ともひどくふつり合いな、個性のないデザインです。
実は、この新宿高校のみならず、私の住まいの近くの都立荻窪高校も、杉並高校も、西高校も、杉並工業高校も、どれも同じに見えます。
もちろん、私立学校とは異なりますので、教育という目的を果たす以外の部分に余計な税金を使うことには議論があるかもしれません。しかし、成熟した都市の一角を担うという意味で、都立高校の建築においても、一定レベルの美しさを維持すべきと考えます。
そこで、都立高校の新築や改築等の設計がどのような考え方で行われているのか、伺います。
○谷都立学校教育部長 都立高校の校舎等の新築、改築等に際しましては、安全で衛生的かつ快適な教育環境となるようにすることや、建築関係法令に基づき、周辺地域の環境との調和を図るとともに、日照や通風等、生活への影響を最小限とすることなど、生徒の利用や地域住民の理解等の視点を踏まえ、設計を進めております。
また、そのほかに、環境に対する負荷の低減や、維持管理の簡便性とコストの縮減等についても配慮を行っております。
○早坂委員 数年前にリニューアルされた京王線高尾山口駅をご存じでしょうか。新国立競技場を設計した隈研吾先生の作品で、以前のつまらない駅が、改修によって見違えるような美しいものになりました。木材を明るく配置したこの駅は、たとえ高尾山に用がなくても、この駅だけは見に行きたいと思わせるくらい、すてきなデザインです。
今後、都立高校の新築は予定されていないと思いますが、こういった改修で魅力ある建物にブラッシュアップしていくことは可能だと思います。そうした場合には、まだ世に出ていない若い建築家に活躍の機会を与える機会にすべきだと思います。
私たちがおります都庁は、丹下健三先生のデザインです。独創的なデザインで、東京のシンボルの一つになっています。
都立高校も同じように、地域社会のシンボルになり、地域の皆様の憧れになればすばらしいと思います。もちろん機能重視は当然ですし、先ほど申し上げたバリアフリー化も国基準のはるか先を行くよう、大いに進めていただきたいと思います。
さて、私たち東京都議会議員のところには、毎日、さまざまなご相談が飛び込んできます。以前、いただいたご相談は、都立高校の校舎の雨漏りがひどいので、何とかしてというものでありました。雨漏りでサーバーと端末パソコンがぬれてしまい、一週間以上、使えなかったと伺いました。
雨漏りの修理は、どこから水が漏れてくるのか確認が難しく、工事の業者さん泣かせです。もちろん、この学校の修理は現在は終わりましたが、このときの雨漏りは初めてではなく、今現在、その後、一度も雨漏りがないかどうかは伺っておりません。夏休みなどの長期休業を使って、徹底的に補修工事を行ってほしいと思います。
これは、私がたまたまご相談をいただいた件でありますが、恐らくオール都立高校では、このような施設整備に係るさまざまなトラブルが日々寄せられているだろうと思います。しっかり予算を割いて、安心して学校生活が送れるようにしてほしいと思います。
こうした事態が起こらないよう、老朽化した施設、設備の改修など、日ごろから取り組んでいくことが重要と考えます。ご見解を伺います。
○谷都立学校教育部長 安全で快適な学習環境を維持し、事故の発生を未然に防止するには、日ごろから、施設、設備の点検により速やかにふぐあいを発見し、必要な改修等を行うことが重要でございます。
このため、都教育委員会は、毎年、学校に対するヒアリングや現地調査等を実施し、都立学校の施設、設備の老朽化等の現状を把握した上で、学校運営上の必要性や実施の時期などを踏まえ、改修等を行っております。
ご指摘のありました都立高校の校舎棟の雨漏りにつきましては、学校からの報告を受けて雨漏りの補修工事を行っている最中に大雨があったといったことから生じたものでございます。
その後、当該補修工事を速やかに完了するとともに、校舎棟内の別の場所において発生した雨漏りについても補修工事を実施いたしました。
そのほか、体育館棟の屋上防水工事につきましても、今年度、実施したところでございます。
今後とも、こうした施設、設備の改修等によりまして、生徒の安全で快適な学習環境を維持していくとともに、ご指摘のような事案が発生した場合には、学校運営に支障が生じないよう、迅速な対応に取り組んでまいります。
○早坂委員 このお話を私に持ち込んでくださったのは、面識のない教職員の方からでした。雨漏りはこのときが初めてではなく、学校長から教育庁の修繕担当へ何度も申し入れているにもかかわらず、予算がつかないのか、順番が回ってこないのか、いずれにせよ、事態は一向として改善されない状態が続きました。そうしたところに大きな被害が起こり、しびれを切らせて、見ず知らずの私のところにSOSが届いたというわけです。
当時、その教職員の方から現場写真を見せていただきました。バケツにぽたぽたと雨水が落ちるというレベルではなく、思わず、これはひどいと言葉が漏れてしまうほどのレベルでした。
現場の教職員が見ず知らずの都議会議員にSOSを出すということは、よほどのことだろうと思います。そうした現場のじりじりした焦燥感を、本庁の皆様にもぜひとも共有していただきたいと思います。
さて、三つ目の専門高校について伺います。
都立専門高校では魅力的な取り組みがスタートしていますが、生徒には、専門性だけでなく、社会人として基礎的な力も定着させること、そうした教員を育成していくことが必要です。
これらが相まって相乗効果を発揮し、専門高校の魅力を高めていくと考えます。ご見解を伺います。
○藤井教育改革推進担当部長 専門高校では、専門的な知識、技能に加え、生徒が社会人として必要な資質、能力を身につけることが重要であり、各学校では、授業や実習等の協働的な学習のほか、企業等との連携したインターンシップなどで主体的に取り組む力やコミュニケーション能力を育成しております。
また、技術革新が加速度的に進む中、産業界の実情に即した学びを取り入れていくため、従来の教員研修に加え、都立工業高校では、令和三年度から新たに、教員が先端的取り組みを行う企業や研究所等を視察し、担当者等と意見交換を行い、教育内容を研究する活動も実施してまいります。
こうした取り組みにより、地域産業で即戦力となり得る生徒に必要な資質、能力の定着を図るとともに、それを支える教員をも育成し、専門高校ならではの魅力を一層高めてまいります。
○早坂委員 専門高校は就職率が高く、企業側にも専門高校の特色ある取り組みを発信していくことで、就職を目指す生徒がよりふさわしい進路を実現していくことが可能と考えます。ご見解を伺います。
○藤井教育改革推進担当部長 専門高校では、卒業後の就職を目指し、専門的な知識、技能の習得や資格取得に取り組んでいる生徒も多く、各学校では、きめ細やかな進路指導や相談を行っております。
また、今年度、東京労働局とも連携し、就職希望の都立高校生を対象に合同説明会を開催したほか、今後、業界団体とも連携し、企業等と工業高校との交流会を開催するなど、企業と学校との相互関係を深める取り組みを進めていく予定でございます。
さらに、都立職業能力開発センターで開催する地元中小企業やハローワーク等との連絡協議会に工業高校が参加し、人材確保等に関する意見交換も実施してまいります。
こうした取り組みを通じ、専門高校の取り組みに対する理解を促進するとともに、企業等のニーズも把握することにより、生徒の希望や特性に合った進路実現を支援してまいります。
○早坂委員 就職支援については、都庁では産業労働局の取り組みばかり耳にしておりましたが、都立専門高校としても、就職支援の視点で産業界との連携を持っていただくことを要望いたします。
以上です。
○伊藤委員 私から、まず初めに、防災教育について質問をしたいと思います。
先日の三月十一日に、東日本大震災から十年を迎えました。改めて亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、いまだ避難生活を余儀なくされている方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
また、東京においても、あのとき、児童生徒の下校が始まるまさにそのときに、経験したことのない大きな揺れに襲われ、子供たちの安全を第一に確保した現場の先生方の姿がありました。
そして、その後も、甚大な被害に遭った被災地に、東京から志願する教員を募り、派遣を行うなど、都教委として総力を挙げて支援をしてまいりました。
また、都議会公明党の要請を受けて、都教委は、教育的な観点からさまざまに被災地を支援してきたことに改めて敬意を表したいと思います。
東日本大震災のような地震災害に加え、近年、毎年のように発生する風水害等による甚大な被害状況を踏まえ、学校においては、改めてさまざまな災害に備えた防災教育の充実を図ることが重要であると考えます。
そこでまず、都教委は、防災ノート「災害と安全」や東京マイ・タイムラインを学校での防災教育に活用してきたということでありますが、これまでの都教委の取り組みについて伺いたいと思います。
○増田指導部長 都教育委員会は、学校と家庭が一体となって防災教育に取り組むことができるよう、平成二十七年度に防災ノートを作成し、都内に在学する全ての児童生徒に配布いたしました。
その後、平成三十年度には、防災ノートと「三・一一を忘れない」、「地震と安全」の三冊の補助教材を統合し、新たに、総合的な教材集、防災ノート「災害と安全」として刷新いたしました。
この防災ノートは、学校での防災学習や地域の防災訓練等において効果的に活用できるよう、地震災害のほかに、風水害、火山災害等、さまざまな災害を網羅しており、児童生徒がこの教材を活用し、状況に応じて主体的に判断し行動できるようにする学習を重視した内容となっております。
また、令和元年度から、風水害発生時の避難行動を確認できるようにするために、総務局が作成した東京マイ・タイムラインのシートを都内公立学校の全ての児童生徒に配布し、学校での事前指導を通して、各家庭で話し合いながらシールを張ったり、必要な事項を書き込んだりして、このシートを完成させるよう促してまいりました。
○伊藤委員 今、答弁にありました防災ノート、(資料を示す)私も読ませていただきましたけれども、大人の私が読んでも、よくまとまっているなというふうに思いますので、ぜひこれからも、これを活用して防災教育に役立てていただきたいと思います。
私は、防災教育は、人間の力ではとめることができない自然災害等に対して、どこの地域で発生した災害であっても、人ごとではなく、自分のこととして捉え、家族や友人とともに備えを考えることがまず第一歩であり、そして、みずからの命を守り、ほかの人の安全にも思いをめぐらせ、有事の際には、それを行動に結びつけられるようにすることが重要であると考えます。
防災教育について、都教育委員会の見解と取り組みを伺いたいと思います。
○増田指導部長 学校、家庭、地域が一体となった防災教育を通して、児童生徒にみずからの命を守り、身近な人を助け、さらに地域に貢献することができる資質や能力を身につけさせることが重要でございます。
そのため、都教育委員会は、毎年七月から九月までを防災ノート活用促進月間に設定し、この期間に、児童生徒と保護者が防災ノートを活用しながら、地域等でともに学ぶことができるようにする取り組みを推進してまいりました。
例えば、学校を通じて、小学生とその保護者に対し、東京消防庁の施設等で行われる防災体験に親子で参加するよう促したり、都内全ての公立中学校の一年生を対象として、家族と一緒に標語を考える防災標語コンクールを実施したりしております。
また、全ての都立高校等において、原則として毎年四月から七月までの間に、一年生等を対象に、授業や防災訓練の中で東京マイ・タイムラインの家庭での作成に向けた指導を行うこととしております。
○伊藤委員 私はこれまで、阪神・淡路大震災の経験から、議会の中で災害対策の強化を一貫して求めてまいりました。
先日の本会議一般質問においても、全国各地で発生している豪雨、土砂災害などに対して、行政が事前に発信しているハザードマップなどの防災情報や、発災時に発信する臨時情報が住民の避難行動に十分に結びついていないという課題を指摘いたしました。
そして、都民の自主的な避難行動につながるマイタイムラインの作成や、複数の情報を重ね合わせて水害リスクを肌で実感できるデジタル映像、さらに、VRを活用して災害を疑似体験できる取り組みなどを提案してまいりました。
そして、総務局を中心に、こうしたデジタルを活用したさまざまなツールが発信されるようになりました。
今後、都における防災教育についても、子供たちが災害の疑似体験等を通して防災を自分のこととして考えられるようにするため、デジタルを活用した学習を取り入れるべきと考えますけれども、都教委の見解を伺いたいと思います。
○増田指導部長 児童生徒が教材等を活用して災害に関する正しい知識を身につけることに加え、災害を身近に感じる体験等を通して、実際に災害が発生したときに適切に判断し行動できるようにすることが大切でございます。
そのため、都教育委員会は、来年度、安全教育推進校等において、デジタルを活用し、児童生徒が防災について知識と体験を結びつけて学ぶことができるようにする取り組みを試行的に実施いたします。
具体的には、東京消防庁と連携して、防災館やVR防災体験車の中で、三百六十度パノラマ映像で仮想空間を体験できるVRにより、児童生徒が地震や風水害を疑似体験し、どのようにすれば自分や他の人の安全を守ることができるのか、現実感を伴って考えられるようにする機会を新たに設定いたします。
今後、こうした取り組みの成果を検証し、都内公立学校における防災教育のデジタル化を推進してまいります。
○伊藤委員 都は、今後、都内公立学校における防災教育のデジタル化を推進していくということでありました。都議会公明党は、一貫して児童生徒の一人一台端末の整備を求めてまいりましたけれども、BYODにしても、CYODにしても、できるところから、ぜひデジタルを活用し、迫る災害を自分事として学べるリアルな防災教育を推進していただきたいと思います。
次いで、デジタル環境の整備について伺いたいと思います。
都議会公明党は、先日の本会議代表質問において、教育長より、都立学校の校内無線LANを、計画より一年前倒しをして整備を行うとの答弁をいただきました。
そこで、確認の意味も含めて、都立学校の校内無線LAN整備について、当初の計画と令和三年度の取り組みについて伺いたいと思います。
○岩野企画調整担当部長 都立学校の校内無線LAN整備の当初計画では、令和二年度から令和四年度までの三カ年で、全都立学校二百五十四校の整備を行う予定としておりました。
都政におけるデジタルトランスフォーメーションの進展により、教育におけるデジタル化を一層進める必要から、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトを前倒し、校内LAN整備につきましても、令和二年度から二カ年で進めることとしたところでございます。
令和二年度は八十七校で整備を行いましたが、令和三年度は、さらに百六十七校で整備を行う予定でございます。これにより、全ての都立学校において高速通信環境が整うこととなります。
○伊藤委員 来年度中には、全ての都立学校において校内無線LANの整備が完了するということでありました。これによって、通信環境など都立学校のハード面の整備が整っていくことで、常時接続による一人一台端末で授業を行うためには、ICT支援員による教員へのサポートが必要であると考えます。
なぜならば、全ての教員がICTに精通しているわけではなく、機器の操作や管理、実際に授業でのICTの活用をどのようにすればいいのか、心配する教員もおります。
そこで、来年度、都教委が都立学校に配置するICT支援員の規模と主な業務について伺いたいと思います。
○岩野企画調整担当部長 都教育委員会は、令和三年度、全ての都立学校にデジタルサポーター−−ICT支援員のことをいいます−−を常駐で配置いたします。
都立学校のデジタルサポーターの主な業務は、生徒が操作するデジタル機器の活用支援、授業における機器及び学習用ソフトウェアの活用支援や教員研修、デジタル環境の保守、運用支援などでございます。
○伊藤委員 先日の私の一般質問において、都教委は、一人一台端末の環境で学習を進めるモデル校を指定するという答弁がありました。
今後の都立高校、特別支援学校高等部でのCYODによる一人一台端末整備に向けて、このモデル校でデジタルサポーターを有効に活用して好事例を周知していくべきと考えますけれども、都教委の見解を伺いたいと思います。
○岩野企画調整担当部長 都教育委員会は、来年度、教育委員会が所有する端末を活用し、一人一台環境で学習を進めるモデル校を都立高校及び特別支援学校高等部から十校程度指定いたします。
モデル校では、授業等における一人一台端末の活用方法や、教員の指導方法等の検証を行うとともに、実践例を全都立学校に発信していくことが求められます。
そのため、配置されるデジタルサポーターは、教員と連携し、端末活用が促進されるよう、支援業務に取り組んでいく必要がございます。
今後、都教育委員会では、モデル校の訪問やデジタルサポーターの定例会などを通して各校の実態を把握し、端末活用に効果的な取り組みや実践例等を取りまとめてまいります。
さらに、クラウドを活用し、デジタルサポーターや教員が利用できる掲示板にこれらの取り組みを掲載し、関係者間で情報を共有していきます。
こうした取り組みにより、令和四年度から導入する一人一台端末の活用を着実に進めてまいります。
○伊藤委員 次に、不登校の子供たちへの支援について質問をいたします。
都議会公明党は、不登校の子供たちを社会全体で受けとめ、行き場がない子供たちに目を向け、誰ひとり置き去りにすることがないよう支援していくことの重要性を訴え続けてまいりました。
不登校の子供たちの問題は、数十年前から、どこの学校でも起きておりました。そして、以前は、親は通学するように厳しく子供を指導して、学校もそれを強要して、余計に行けなくなってしまった子供は、だめな子、だめな親と、冷たい視線が向けられていました。
しかし、子供たちは、その重圧から逃れようと、みずから命を絶つということが各地で起きてしまいました。
そして、文科省は、無理をしてまで学校に通学させなくていいという通達を出しました。しかし、この通達の前に、あるいは同時に、不登校となった子供たちの新たな受け皿となる居場所や学ぶ場、相談できる窓口などの対応策をとっていなかった。
私は、品川区の児童センターの指導員をしておりましたので、その当時、学校に行けなくなってしまった子供が児童センターをよりどころにして来てくれることもあって、子供の目線に立って、一緒に遊んだり、勉強したりして過ごしたことがありました。しかし、児童センターはあくまで児童福祉施設であり、当然ながら、学校は欠席扱いでありました。
一方、公明党は、各地方議会や国会でもこの問題を取り上げ、調査を重ねていきながら、二〇一七年二月に教育機会確保法が施行となり、二〇一九年十月に、文科省は不登校児童生徒への支援の在り方についてという通達を出しました。
これによって、不登校の児童生徒への支援は、学校への復帰を目標とするのではなく、社会的に自立することを目指すことと、大きく方針が転換されました。そして、フリースクール等の民間施設での学習支援、屋内外での活動などを、児童生徒が在籍する校長の判断で出席扱いにできるようになったわけであります。
この取り組みを社会全体で理解を深め、進めていこうと、先駆的にガイドラインをつくり、取り組み始めた大分県の実践を、都議会公明党は視察、調査をし、都においても、こうした取り組みを求めてまいりました。
そこで、改めて、不登校の児童生徒が社会的に自立することを目指すことについて、都教委の見解と、これまでの取り組みを伺いたいと思います。
○増田指導部長 学校に通うことのできない子供が社会から孤立することなく、自立に向けて成長できるようにするためには、一人一人の子供の気持ちや置かれている状況を十分に理解した上で適切な支援を行うことが重要でございます。
そのため、都教育委員会は、不登校の子供に対する支援のあり方について、教員や保護者等が理解を深められるよう、本年一月に、未来を創るかけがえのない子供たちの自立に向けてと題する冊子を作成いたしました。
この冊子には、子供の支援に携わる大人たちが子供の気持ちを共感的に受けとめた上で、学校と家庭、教育支援センター、フリースクール等が連携して支援することの重要性等について、具体的な事例を含めて掲載しております。
都教育委員会は、この冊子を学校や不登校の子供の保護者等に配布するとともに、二月に、区市町村教育委員会やフリースクール等の担当者に対して、冊子の内容について説明し、理解を促したところでございます。
○伊藤委員 今答弁にございました、未来を創るかけがえのない子供たちの自立に向けてと題する冊子を一部いただきましたけれども、(資料を示す)これも読ませていただきました。大変にすばらしい内容だというふうに思います。
大分県に視察に行ったときのガイドラインは、(資料を示す)これでありましたけれども、これもすばらしかったけれども、都の今回つくっていただいたこれも、本当にすばらしいと思います。
保健室や相談室、教育支援センターや、先ほどのICTを活用した学習など、子供にとってさまざまなアプローチと選択肢が考えられております。
そして、何といっても、フリースクールについては、学校、家庭、地域などが理解を深め、連携して子供たちの自立につなげられるよう工夫されている冊子であります。ぜひこの冊子を実効性のあるものにしていただきたいと思います。
さて、ここまで、フリースクールなど、どこかで社会とつながっている子供のことで質問をしてまいりましたけれども、一方で、都内公立小中学校における不登校の子供のうち、学校やフリースクールなどの学校外の施設など、どこにもつながっていない、どこからも支援を受けていない子供はどのぐらいいるのか、伺いたいと思います。
○増田指導部長 文部科学省の調査によると、昨年度の都内公立小中学校における不登校児童生徒の人数は、小学校が五千二百十七人、中学生が一万八百五十一人でございました。
そのうち学校内外の機関等による相談、指導等を受けていない児童生徒の人数は、小学生が八百二人、中学生が二千三百六十九人であり、不登校児童生徒全体に対する割合は、小学生が一五・四%、中学生が二一・八%となっております。
○伊藤委員 今答弁をいただいた、小学生が八百二人。どこにもつながっていない子供たちが八百人を超えている。都内だけで、どこにもつながっていない子供たち、中学生が二千三百六十九人。これは、大変に多くの子供たちが悩み苦しんでいることだと私は痛感します。
私はこれまで、社会から孤立して引きこもってしまい、中学校卒業のときに、形だけ卒業証書が届く子供たちに出会うことがたびたびありました。
義務教育期間中は、何とか社会との接点が見出せる可能性がありますけれども、どこの機関ともつながっていない子供は、中学校卒業後、どこからも支援を受けられず、そのまま長期間にわたってひきこもりにつながっていく可能性があります。そして、近年、社会的課題となっている、いわゆる八〇五〇問題へとつながっていくことが大変に心配であります。
このような子供たちが社会から孤立することがないよう、社会の中で、どこかが、誰かが切れ目のない支援を行うことが絶対に必要である、このように思いますが、都教委の見解を伺いたいと思います。
○増田指導部長 子供が学校に通えなくても、将来、社会的に自立できるようにするためには、一人一人の状況に応じた多様な教育の機会を確保することが大切であり、子供が学校や学校外のいずれの機関からも支援を受けていないという状況を改善する必要がございます。
これまで都教育委員会は、学校に通っていない子供の学びの機会の拡充に向けて、区市町村が分教室型の不登校特例校や教育支援センターを新規に設置する場合に、経費の一部を補助するなどしてまいりました。
今後、子供が学習したり、人とかかわったりする機会を得られずに社会から孤立することがないよう、一人一台端末の活用により、子供が自宅から学校での学びに参加できるようにする実践例や、スクールソーシャルワーカーの仲介により、子供が福祉面からの支援を切れ目なく受けられるようにする実践例を学校等に示すなど、社会全体で子供を支え、育てていく取り組みの一層の充実を図ってまいります。
○伊藤委員 今答弁にありました、子供が福祉面からの支援を切れ目なく受けられるようにする、こうした実践例も示していくということでありました。
中学を卒業してしまうと、どこにも属さなくなってしまう子供がいる、このことに、私たちはしっかり着目していかなければならないと思います。私は、中学三年生から孤立していく子供について、行政の縦割りではなくて、横串を刺して、都教委としても、しっかりとかかわっていただきたいということを強く求めておきたいと思います。
次に、コロナ禍における子供の変化について伺いたいと思います。
新型コロナウイルス感染症との闘いから一年が過ぎました。このたった一年の間に、子供たちを取り巻く環境は大きく変わりました。
昨年の三月、年度末が迫るころには、突然の一斉学校休業によって、約三カ月間、学校に通えなかった。緊急事態宣言もあった。そして、ソーシャルディスタンスをとること、三密を避けること、また、子供たちにとっては、家族での外食や旅行、友達とのかかわりなども制限をされ、多くの子供たちがストレスを抱えている状態となっています。
また、保護者の経済状況など家庭環境に変化が生じ、そうした影響が子供にも及んでいることが大変に心配であります。
そうした中で、学校は、子供たちの心のよりどころとして、子供たちを精神面から支える役割を果たしていかなければならないと考えます。そのためには、タイムリーに子供たちの不安や悩みをキャッチして、しっかりと受けとめていくことが重要であります。
そこで、コロナ禍において、都教委は、子供たちの受けとめについて、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、伺いたいと思います。
○増田指導部長 コロナ禍において活動の制約等が続く中、多くの子供がさまざまな不安や悩みを抱えていることから、学校は、そうした状況を早期に捉え、心のケアを行うことが必要でございます。
そのため、都教育委員会は、学校に子供へのアンケート様式を示し、学級担任等が定期的に子供たちの不安や悩みを聞き取り、丁寧に声かけするよう徹底を図ってまいりました。
また、気になる様子が見られる子供がいる場合等に、学校の要請に応じてスクールカウンセラーの派遣回数をふやしてまいりました。
これに加え、都内在住、在学する全ての中学生、高校生を対象としたSNS教育相談について、午後五時から午後十時までであった相談時間を、昨年十二月から本年三月までの四カ月間は、午前九時から午後十一時までに延長するなどの取り組みを行ってまいりました。
さらに、新たに、家庭への支援が必要な状況が生じた場合などに対応できるよう、区市町村教育委員会からの要請を踏まえ、スクールソーシャルワーカーを活用するための経費を追加で補助するなどしております。
○伊藤委員 このコロナ禍において、中学生、高校生を対象にしたSNSを活用した教育相談については拡充をして行ってきたということでありましたけれども、ぜひこのSNS相談について、今、拡充をして九時から夜の十一時までやっていただいていると思いますけれども、三月でぴたっと終わりではなくて、私は、春休み中、また、新年度が始まるしばらく、子供たちが落ちつくまで、ぜひこれは続けていただきたい、このことを求めておきたいと思います。
新型コロナ感染症の影響が長期化をして、こうした事態がいつまで続くのか、全く先が見えない状況にあるわけであります。
先日、大変に心が痛む報道がありました。厚労省の統計をもとに文科省が分析した結果、昨年の小中高校生の自殺者数が四百七十九人で過去最多であって、その後、厚労省が今月上旬に公表した統計では四百九十八人になった。また、きょうの報道では、さらにふえてしまったという報道がありました。
とりわけ、学校の臨時休業が明けた昨年の六月と、学習のおくれを取り戻すために短縮された夏休みが明けた昨年の九月に多かったとされております。
私は、先日、これまで数多くの子供たちの悩みを受けとめ、救ってきた、夜回り先生こと水谷修先生とお会いをし、コロナ禍でこうした事態になっていることに対して、先生の考えを伺いました。
そして、水谷先生は、今、子供たちが何をどのように苦しんでいるのか実態調査をしてほしい、その実態を知った上で、国を挙げて対策に取り組んでほしいと述べられておりました。
コロナとの闘いから一年以上たった今、子供たちの不安やストレスははかり知れません。子供たちの中には、SOSを出したくても、出し方すらわからないという児童生徒もたくさんいるはずです。一年以上、コロナによって嫌な思いをしたことでもいい、我慢してきたことでもいい、誰にもいえなかった心の中の言葉を聞いてあげてほしいと思います。
そこで、今、子供たちがどのような状況に置かれているのか、実態を把握するためにも、また、子供たちの小さな声かもしれません。SOSを−−もうすぐやってくる春休み、そして、本来ならば心弾む新年度を迎える時期に、さらなる対策を講じるべきと考えますけれども、都教育委員会の見解を伺いたいと思います。
○増田指導部長 各学校では、感染症対策を万全に講じる中で、教員が日常における会話や観察に加え、年三回以上実施しているアンケート等を通して、一人一人の子供の状況をきめ細かく把握してまいりました。
これらの取り組みを踏まえ、気になる様子が見られる子供に対しては、スクールカウンセラーが面接を行ったり、家庭への支援が必要な場合には、スクールソーシャルワーカーが関係機関と連携して対応したりして、子供や家庭への支援を行っております。
また、都教育委員会は、毎年十一月に、都内全ての公立学校を対象に、いじめや不登校等に関する調査を実施しており、本年度は、この調査の結果からコロナ禍における子供の状況を把握し、現在、分析を行っております。
さらに、本年度は、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの対応に関する調査の中で、コロナ禍に関連して行った支援の事例について報告を求めているところでございます。
今後、学校において、コロナ禍における子供の不安や悩みを把握するためのアンケート様式例を新たに示し、来年度当初に活用できるようにするなど、子供の実態を確実に捉え、支援につなげる対策の強化を図ってまいります。
○伊藤委員 来年度当初、今、三月ですから、四月に入ってすぐに、子供の実態を確実に捉えて支援につなげる対策の強化を図るという部長のご答弁でありました。ぜひしっかりと子供たちの実態を捉えて対策を打っていただきたいと思います。
小中高生がみずかららの命を絶ってしまう大変憂慮すべきことに対して、先ほどお話しした水谷先生は、一人の子供が命を絶つことは、私たち大人全員の罪です、私たち大人の仕事は、次の世界を担う子供たちを守り育てることなのですからとおっしゃっておりました。私も全くそのとおりであると思います。
最後に、この東京の子供たちのかけがえのない命を何としても守らなければならない、東京都教育長の決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
○藤田教育長 子供たちの命を守るための具体的な取り組みにつきましては、これまでご答弁申し上げましたとおりでございますけれども、大事なことは、これらの支援を必要とする一人一人の子供たちに確実に届くことであるというふうに思います。
これまでの日常とは異なるコロナ禍において、子供が深刻な悩みを一人で抱え込んでしまう心配が多くありますことから、学校、家庭、そして地域が一体となって、子供の小さな変化も見逃さずに必要なケアを行うとともに、子供がいつでも、どこでも、どんなことでも安心して相談できる環境を整えなければならないと考えております。
都教育委員会は、学校や区市町村教育委員会を初め関係機関等と連携をして、子供一人一人の実態に応じて、寄り添い、支える取り組みの充実を図り、未来を担うかけがえのない子供たちの命を全力で守っていきたいと考えております。
○伊藤委員 終わります。
○河野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時四十二分休憩
午後三時開議
○河野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。よろしくお願いします。
まず、少人数学級について伺います。
現在の学級編制の標準は、法的には小学校一年生のみ三十五人で、二年生は財政措置により三十五人にしていますが、国は、四十年ぶりに義務標準法を改定し、来年度から五年かけて、小学校を三十五人学級にするとしています。
さらに国会では、先日、菅首相が我が党の質疑に対し、中学校も含め検討するというふうに答弁をしました。
学習面や生活面のよい効果はもとより、コロナ禍のもとでの子供たちへのケアや感染防止のための身体的距離の確保を考えれば、より早く小中高全学年で少人数学級を実現することが求められています。
今定例会で、我が党は、こうした立場から、本会議、予算特別委員会でも少人数学級について質問しました。きょうは、それらを踏まえて質疑を行いたいと思います。
まず、全国的な少人数学級の実施状況についてです。
東京都が国の標準より少人数の学級編制にしているのは、中学校一年生の三十五人学級だけですが、全国の道府県では、東京以上に少人数学級を実施している県が多数あります。
今年度、東京より学年を広げたり、人数を少なくしたりして少人数学級を実施しているのは何自治体ありますでしょうか。
○田中地域教育支援部長 文部科学省の調査によると、令和二年度において、東京都の学級編制基準を下回る学級編制基準の弾力的運用を実施していると考えられる道府県の数は四十一団体です。
○斉藤委員 東京都の学級編制基準を下回るというのは、要するに学級の児童生徒数が少ないという意味ですね。四十一自治体、ほぼ九割の道府県は、東京都より少人数学級を充実させて実施しているということです。東京都はおくれているというふうにいわざるを得ません。
一方で、東京都も、中学一年生については、国に先駆けて三十五人学級にしています。
そこで伺いますが、東京都が小学校一、二年生と中学校一年生について三十五人学級を可能にしたのはいつですか。
○浅野人事部長 都教育委員会では、小一問題、中一ギャップの予防、解決を図るため、平成二十二年度から、教員加配により、学級規模の縮小とチームティーチング等の活用を学校の実情に応じて選択できる取り組みを開始いたしました。
こうした取り組みや国の法改正等により、小学校第一学年では平成二十三年度から三十五人編制を実施するとともに、小学校第二学年では平成二十四年度から、中学校第一学年では平成二十五年度から、三十五人編制を可能とする教員加配を行っております。
○斉藤委員 都は、平成二十二年度、二〇一〇年度に独自に教員加配をして、小一と中一を三十九人学級にするところから始め、その後、小一は二十三年度、小二は二十四年度に国が三十五人学級にしました。小二は財政措置のみということですけれども、そして、中一については、都が二十五年度に三十五人学級にしました。
約十年前のことになるわけですけれども、都教委はこのとき、教員加配に関わる効果検証に関する調査最終報告書として調査結果をまとめています。緑の冊子ですけれども、私、持ってくるのを今忘れてしまったのですが、覚えている皆さんは多いんじゃないかと思います。ここには、学級規模の縮小、つまり少人数学級になってよかった、効果があるという声がたくさん掲載されています。
例えば校長の意見、学級規模が二十六、二十七名ということから、担任がきめ細かに児童を見ることができ、適時対応することができるようになった、また教員の意見、学級の人数が少ないことで、新規採用者でも児童の個性に合わせた学級運営やきめ細かな学習指導が可能になり、学級が落ちついたなどです。
三年生も一年生と同じ七十九名であるので、一年生のように少人数の方がよい、これは中学校の保護者の声です。三年生は三十九人と四十人の二学級だけれども、一年生は二十六あるいは二十七人の三学級になっているということについての意見です。
都教委は、自身の調査で、こうしたよい結果が出ているということを忘れてはならないというふうに思います。こうした声に応えて、仮に一年ずつでもやっていれば、今ごろ、小中学校全学年を三十五人にすることができたということではないでしょうか。
今からでも、国より前倒しして、都もやるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。ご答弁をお願いします。
○田中地域教育支援部長 学級編制の標準の引き下げの問題ですけれども、義務教育における学級編制は、教育の機会均等や全国的な水準の維持の観点から、国の責任で行われるべきであると考えております。
国は、今般、少人数によるきめ細やかな指導体制を構築するため、義務標準法を改正し、小学校について、学級編制の標準を五年かけて学年進行で三十五人に引き下げることといたしました。
都教育委員会は、今回の法改正による学級編制の段階的な整備を行ってまいります。
○斉藤委員 あくまでも国の責任だということで、こうした消極的な姿勢なのは東京都ぐらいなんじゃないかと、今、思います。多くの県は、国より、今、前進をさせています。全国的な水準という点では、東京都は、もはやおくれた水準にあります。
少人数学級という教育条件を前進させることでよい効果がある、都教委自身の調査でも、また、他県の実践からも明らかではないでしょうか。
さらに、我が党の「しんぶん赤旗」の調査によれば、十五の道県が、さらに来年度も前進させることが明らかになっています。私たちは、これらの県に聞き取り調査を行いました。
群馬県は、来年度から、小学校五、六年生と中学校二、三年生を一気に三十五人にします。その理由の一つに、コロナ対策で密になることを回避することを挙げていました。
子供たちのことを考えれば、感染が一番深刻な東京都がするべきことではありませんか。
○田中地域教育支援部長 学校内感染への対策は、手洗い、マスク着用の励行、日々の健康観察、換気や施設の消毒とともに、教室等における児童同士の間隔の確保に留意するなど、学校生活上のあらゆる場面で予防策を実施することや、教育活動上のさまざまな工夫を行うことが重要と考えます。
区市町村教育委員会は、これらを踏まえた感染症対策などのガイドライン等を作成しており、各学校では、ガイドライン等に基づき、感染症予防対策の徹底を日々実践しております。
○斉藤委員 学校現場では、当然ですけれども、学校生活上のあらゆる場面で予防策や工夫をして頑張っておられます。今、問題なのは、教育行政としてやれること、その問題です。学校現場でどんなに努力をしても、現在の学級編制の基準では、教室内での机の間隔、身体的距離を十分にとることができません。教員と教室を確保し、少人数学級をできるようにする、これこそ教育行政の仕事ではないでしょうか。
飛沫は一・八メートルまで飛ぶ危険があるということで、私が視察に行ったある学校は、透明なプラスチックの板を、子供たちの机の三方に立てて飛沫を防いでいました。学校として精いっぱいの工夫をしているわけですけれども、九カ月も使っている中で、板が曲がっていたり、傷だらけになったりして、板を通して前を見ると、ゆがんだり、かすみがかかったように見えるという状況でした。こうした板も、十分な距離をとれば外せるかもしれません。
また、別の学校では、三十七人、三十八人、こういう児童たちがすし詰め状態になって、先生がその間を見回る、そういうスペースすらない、こういう状況も見てきました。
我が党の予算特別委員会でも質疑しましたので、きょうは詳しく述べませんが、コロナ禍の子供たちのケアのためにも、この少人数学級は求められています。国待ちということではなく、独自に前進させていただきたいと思います。
少人数学級の早期実現は、保護者からも求められています。
小学校二年生から、学年進行で五年かけて、小学校のみ三十五人学級にするという国の方針は、いいかえれば、小学校三年生以上は、今と何も変わらないということです。
特に来年度の小三は、今は小二で三十五人学級なのが、来年は四十人学級になってしまいます。感染症防止策に逆行する状況です。小二の今は二十人の二学級だけれども、小三になったら四十人の一学級になってしまう、こういう学校がたくさんあります。
来年度の小学校三年生は、二年生のときに比べて教育条件が悪くなってしまう、今の小学校二年生以上には何の恩恵もないのはひどい、体の大きい中学生も少人数学級にしてほしい、こういう保護者の声が届いていますが、こういう声を都教委はどのように受けとめるのでしょうか。
○田中地域教育支援部長 学年進行による学級数の変動は、通常起こり得るものであり、保護者のさまざまな受けとめ方があることは承知をしております。
学校生活においては、学級を基本としながら、教科等の特性や学習場面等に応じたきめ細かな指導により、一人一人の個性や能力に合った学びを実現していくものと考えます。
また、学習規律や落ちついた生活習慣の確立などには、学校でのさまざまな取り組みや工夫が関係していると認識しております。
学級編制のあり方につきましては、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任で行われるべきと考えております。
○斉藤委員 さまざまな受けとめ方があることは承知しているといいますけれども、では、三年生になって一クラス四十人になって、うれしいという声はあるのでしょうか。通常起こり得るといいますけれども、この十年間、ずっとそういうことが起こり続けていたということの方が問題です。
学年四十人、八十人などの二年生の保護者からは、来年は一クラス四十人になってしまうのは困る、何とか避けられないかという声、そういう相談がたくさん届いています。さまざまな受けとめではなく、三年生になっても教育条件が悪くならないように、三年生以上も少人数学級にしてほしい、それが保護者の声です。これをきちんと認識していただきたいというふうに思います。
私たちは調べましたけれども、例えば埼玉県や愛知県、三重県、佐賀県などは、来年度から小学校三年生を三十五人学級にします。先ほどご答弁いただいた四十一道府県には入っていない県もあります。どの県も、国の動きを契機に、来年度からは小三にも踏み出すという動きになっています。
せめて小学校三年生だけでもというのが東京都の保護者の声です。保護者たちは、小学校全学年を前倒しで三十五人にした場合でも、都が独自に財政負担をしなければならないのは四年間だけだというふうに指摘しています。
また、中学校を独自に三十五人学級にすれば、来年の三年生から六年生も恩恵が受けられます。
ぜひこれらの声に応えていただきたいというふうに思います。
国の法改正どおりにやるにしても、独自に前倒しにするにしても、少人数学級の実現に向けて、教員の人数と質の確保は重要です。
都教委は、これらをどう確保していくのか、見解を伺います。
○浅野人事部長 都教育委員会では、教員採用選考の受験者を拡大するため、教員志望の若者への相談会、現職教員の声等を伝えるパンフレットやSNSを活用した広報活動など、さまざまな方策を講じております。
また、学校における働き方改革推進プランに基づき、デジタル技術や外部人材の活用により、教員が働きやすい環境の整備に取り組んでおります。
今後とも、多くの受験者の確保を図り、優秀な教員の採用に努めてまいります。
○斉藤委員 PR活動も大切ですけれども、やはり教員確保のためには、教員の長時間労働を改善する働き方改革は重要な課題です。
昨年十月の教員の勤務状況が二月に発表されましたが、小中高等学校とも、月の時間外労働時間が四十五時間以下の教員が減り、八十時間以上、つまり過労死ライン以上の教員がふえています。コロナという事情があるから仕方ないというふうにはいえない状況です。
それから、若手の教員の志を生かすという点でも、少人数学級は重要だというふうに実感しています。先生方は、学級を落ちつかせるために、学級の人数によって指導方法を変えているというふうに聞きました。例えば、子供が少ないときは、穏やかな声かけで十分だし、さまざまな場面で子供に問いかけ、子供が考えるということを指導ができる。しかし、四十人近くになったら、子供に考える余地を与えるとざわざわするので、座ります、こうです、それは違います、こういう指示で管理することになるということです。
ある若手の先生は、四十人の学級の担任をしていると、子供たちを管理する能力を疑問を持ちながらも身につけてしまう、本当は子供たちに丁寧にかかわり、人格の交流を通じて成長を促す教員になりたいと思っているのに、つらいというふうにいっていました。
少人数学級にすると、教員をたくさん確保するのが大変だということではなく、教員の志を生かした教育の基盤となるんだ、その魅力の一つとして、少人数学級をぜひ推進していただきたいというふうに思います。
教室の確保についてです。
子供が増加している地域では、少人数学級に対応した教室の確保が課題となっています。
都教委として、増改築により確保することが必要な教室はどの程度あると見込んでいますか。また、教室確保のために区市町村にどのような支援をするのか、伺います。
○田中地域教育支援部長 公立小学校に関する施設整備等については、学校教育法第五条により、原則として、設置者である区市町村がその経費を負担することとされています。区市町村教育委員会は、例年、児童の人口を推計し、必要な教室の確保を行っています。
今後五カ年で学級編制の標準を引き下げることへの対応についても、区市町村教育委員会が行うものであり、その実情に応じて教室の確保ができるよう、都教育委員会はこれまでも、国に対し、補助制度の充実について要望しております。
なお、現在、国が、令和三年及び四年それぞれの四月一日時点における普通教室の見込みを把握するために、公立小学校の三十五人学級実施に伴う使用教室の状況について調査を行っています。
○斉藤委員 今、国が調査中ということです。調査結果を東京都もしっかり把握し、国に補助制度の充実を求めていくということは重要です。
あわせて、都の支援も含め、教室が間に合わないということのこの内容の対応をお願いして、次の質問に移ります。
コロナ禍の学校について伺います。
国立成育医療研究センターが二月十日に発表した第四回「コロナ×こどもアンケート」では、小学校四年生から六年生の一五%、中学生の二四%、高校生の三〇%以上に中等度以上の鬱症状があったと報告されています。
子供たちの声として、休校中に心の病気になりました、だから、また休校にならないか、とても心配という小学六年生、コロナに縛られて自由がないという中学三年生、気持ち悪くなったり、夜中に目が覚めたりするという小学一年生、コロナを理由に何でもかんでも中止にしないでほしいという小学五年生など、深刻な声が寄せられています。
都教育委員会として、子供の声に耳を傾け、子供たちや学校にどんな支援が必要か、つかんでいくことが必要だと思います。
十一月の事務事業質疑で、私は、コロナ禍での子供たちの声や現状について聞いているのか伺いましたが、都教委からは、児童生徒が記入するアンケートの例を示して、学校において定期的に不安や悩みを聞き取るとともに、スクールカウンセラーとの面接を、まずは心配な様子が見られる児童生徒から優先して行いつつ、年度内に小学五年生、中学一年生、高校一年生の全員と行うように求めるという答弁でした。
都教委は、こうした子供たちの声、どのような声をつかんでいるのか、伺います。
○増田指導部長 学校からは、聞き取りや面談等を通して把握している子供の実態として、例えばコロナウイルスに感染することが心配で勉強に身が入らない、会話しながら昼食をとることができないので、友人とかかわる機会が減ったなど、さまざまな不安や戸惑いを抱えている状況が伝えられております。
○斉藤委員 子供たちが不安や戸惑いを抱えている状況が学校から伝えられているということです。
学校が子供たちの声を受けとめ、心のケアができるようにサポートすることが必要ですけれども、都教育委員会の認識と取り組みについて伺います。
○増田指導部長 これまでの日常とは異なるコロナ禍において、多くの子供が不安や戸惑いを抱えていることから、小さな変化を見逃さずケアを行うとともに、子供がいつでも、どんなことでも安心して相談できる環境を整える必要がございます。
そのため、都教育委員会は、学校に対しアンケートの例を示し、定期的に子供たちの不安や悩みを把握するよう徹底を図るとともに、学校の要請に応じてスクールカウンセラーの派遣回数をふやすなどしております。
○斉藤委員 子供が安心して相談できる環境を整える必要がある、重要な認識だというふうに思います。
スクールカウンセラーの派遣の回数をふやしているということです。
スクールカウンセラーの充実については、我が党も、そして、私自身、二〇一八年十二月の一般質問も含めて、コロナの感染が広がってからも繰り返し求めてきました。
前回の質疑では、七月末から八月初めの登校日に合わせて派遣回数をふやしたということでしたが、現在は、一月から三月にかけても派遣回数をふやしているということを事前に伺いました。回数をふやしていただいたということは、よかったなというふうに思います。
しかし、学校の今の状況では、例年より元気のない子や自傷行為をするという子がふえている、また、コロナで不安、そして家庭環境が不安定になっている、こういう子たちがふえているというふうに聞いています。スクールカウンセラーが予約でいっぱいだという声が届いています。
引き続き、現場の声をよく聞いて、スクールカウンセラーの常勤化など、拡充していただきたいというふうに思います。
ある都立高校の生徒の保護者さんから、部活動が長期間できなくて子供たちがかわいそうだ、何とかならないかという相談がありました。長引くコロナの緊急事態宣言や自粛の中で、児童生徒たちは、二度と戻らないかけがえのない学校生活の中で、多くの制限や我慢を強いられています。
春の大会を目標に頑張っていた生徒たちが部活動の休止を強いられる中で、近くの中学校や私立高校では、グラウンドで部活動を行っている姿を見ていて、果たして部活動の停止が感染拡大を防ぐ有効な手段なのかと疑問に感じているということです。さらに、部活動停止の理由や見通しさえ告げられずに放置され、生徒たちは納得がいかないという状況だという相談がありました。
行事や部活動については、生徒たちに説明もなく停止ということではなく、客観的、科学的な情報を提供し、生徒たちの意見を聞く場を保障して、自主的に考えることができるように都教委が後押ししていくことが重要ではないかと思いますが、見解を伺います。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 各学校では、子供たちの健康、安全を第一に、保健所等とも連携しながら感染症対策の徹底とともに、児童生徒等の健やかな学びの保障との両立に取り組んでおります。
教員は、子供たちの状況について、日常的な会話や観察などを通してきめ細かく把握しておりまして、各学校では、子供たちの実態を踏まえ、三つの密を避けた方法で行事等を実施するなど、学びの充実に向けてさまざまな工夫を行っております。
今後とも、都教育委員会は、一人一人の子供の声を丁寧に受けとめ、感染症対策と学びの保障とが両立できるよう、学校の取り組みを支援してまいります。
○斉藤委員 一人一人の子供の声を丁寧に受けとめて、感染症対策を講じながら学びの充実を図れるよう、学校の取り組みを支援していくという重要な答弁だと思います。
長引くコロナの自粛の中で、どうやって学校生活を送るのか、今まさに子供の権利、子供の意見表明、こうした権利に焦点を当てた対応が求められているんじゃないかというふうに思います。
先日の一般質問で、子供の権利についてただした我が党の池川都議の質問に、教育長は、子供は、あらゆる場面で権利の主体として尊重される必要があり、子供の年齢及び発達の程度に応じてその意見を尊重するとともに、子供の最善の利益を実現することは、学校教育においても同様に重要だという、とても大切な認識を示されました。ぜひこのことを具体化する学校の取り組みを、このコロナ禍だからこそ後押ししていただきたいというふうに思います。
次に、都立学校における新型コロナの感染状況と情報公開について伺います。
資料の14で出していただきましたけれども、教職員、児童生徒等の感染が判明した都立高等学校の数は百七十八校、特別支援学校は三十四校という数になっています。都立学校は、高等学校、中学校等を合わせて全部で百九十五校、特別支援学校は全部で五十六校なので、九〇%以上の都立学校、また、六〇%の都立特別支援学校で感染があったという状況です。
新型コロナの感染は、どんなに気をつけていても、かかってしまうことはあります。家庭内感染を抑えるのは難しいという側面もあると思います。感染はどこにでも起こり得るという前提で対応していくことが必要だというふうに思います。
不安を取り除き、適切に対応していくためにも、情報の公表のあり方が問われてくると思います。
改めて伺いますけれども、都教育委員会が都立学校の感染について公表する基準はどのようなものでしょうか。
○谷都立学校教育部長 都立学校関係者の新型コロナウイルス感染症の感染状況の公表につきましては、教職員等に感染が判明した場合と、臨時休業等、学校運営に影響が生じた場合に行っております。
なお、児童生徒等の感染状況につきましては、学校運営に影響がない限り、当該児童生徒等の人権に配慮し、個別には公表しないこととしております。
○斉藤委員 学校を休校にする場合のみホームページに掲載するということですが、そのために、感染があっても休校にしない多くのケースで情報の公表がないために、学校内だけでなく、地域にも正確な情報、対応の状況が伝わらず、不安を招いているという声をこの間もたくさん聞いています。
多くの区市では、公立の小中学校で感染があった場合には、何らかの情報公開を行っています。私の地元の足立区では、五人以上のクラスターになった場合は学校名も公表ということですけれども、クラスターではない場合は、学校名を伏せた上で、感染の発生の経緯と対応状況について区のホームページで公表しています。そのため、感染があったといううわさがあっても、区のホームページでどのように対応されているのかを確認することができるため、地域の方々の安心にもつながっているというふうに聞いています。
都教育委員会としても、感染を公表しないことで疑心暗鬼を招くというようなことを避けて、感染があった場合には、その対応について、都度公表し、生徒や保護者、地域の安全・安心につなげていく必要があると思いますが、見解を伺います。
○谷都立学校教育部長 都立学校関係者で感染が判明した場合には、当該校の児童生徒及びその保護者が不安を抱くことのないよう、感染の事実や濃厚接触者の有無等の対応状況について、個人情報に配慮しつつ、必要な関係者に周知をしております。
児童生徒や保護者への周知の際には、感染者や濃厚接触者とその家族等に対する偏見や差別につながるような行為を行わないよう注意喚起をしております。
こうしたことから、児童生徒等の感染状況につきましては、臨時休業等、学校運営に影響がない限り、現時点において個別に公表する必要はないと考えております。
○斉藤委員 例えば墨田区では、クラスターではない場合でも学校名も公表して情報公開しています。墨田区の保健所長は、匿名にしても、うわさで広がる、名前がわかれば、区民が自分事として危機意識を持つことができるし、関係のない子が塾に来るなといわれるようなことも防ぐことができる、メリットの方が大きいと、一般紙の取材でコメントをしています。
今のご答弁で、現時点においては公表する必要がないというお答えでしたので、状況が変われば公表のあり方を見直すということもあるのかなというふうに受けとめましたが、特にどのような対策が行われているのか、学校関係者だけでなく、地域の方々も安心できるような情報公開のあり方について、今後も検討していただきたいというふうに思います。
次に、修学支援について伺います。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが、高校生がいる都内ひとり親家庭への調査を行い、コロナ禍での高校生等の修学の継続が困難な実態を明らかにしました。
その中で、高校生活における進学や就職など、進路にかかわる費用について支払えなかったことがある家庭が九%、今後支払えなくなる可能性がある家庭は八三%、さらに、経済的な理由で高校を中退する可能性があるという家庭が三二%に上っています。回答の半数以上が都立などの公立高校です。
高校生がコロナの影響で修学を諦めるようなことがあってはならないと思いますが、都教育委員会としての認識を伺います。
○谷都立学校教育部長 どのような家庭の経済状況にありましても、高校生の学ぶ環境を整え、一人一人の可能性を広げていくことは重要であると認識しております。
都教育委員会は、家計急変により授業料の納付が困難となった世帯に対する免除制度に加えて、今年度、新型コロナウイルスの影響により家計急変した世帯の支援を目的とし、奨学のための給付金と給付型奨学金についても制度改正し、新たに支援の対象といたしました。
また、今年度から、奨学のための給付金にオンライン通信費を増額しております。
今後とも、こうした取り組みにより保護者負担の軽減に努め、生徒の学びたい、学び続けたいという気持ちに応えてまいります。
○斉藤委員 どのような家庭の経済状況にあっても、高校生の学ぶ環境を整え、一人一人の可能性を広げていくことは重要という認識は大切だというふうに思います。
今現在の取り組みについてもご説明いただきましたが、それで十分なのかどうかつかんでいくためにも、実態を把握していくということが重要だと思います。
同団体は、高校生等の修学継続困難な実態を調査するよう、都に求めています。また、都内の高校に、家計の変化によって修学継続が困難な家庭がないかどうか定期的に把握することや、高校生活にかかわる費用が支払えなかったり、遅滞する家庭がないかどうか、学校がより一層、生徒の家計変化に目を配るよう求める通知を出すようにと求めています。
実行する必要があると思いますが、いかがですか。
○谷都立学校教育部長 都立学校では、日ごろから生徒の状況を把握しており、また、各種支援制度の申し出等により、生徒の家庭状況の把握にも努めております。
これまでも、年度当初の各種支援制度の通知はもとより、七月に奨学のための給付金の申請書類等を配布する際は、就学支援金申請時に把握した生活保護受給世帯及び非課税世帯に対して、制度周知及び申請書等の配布を重点的に行う旨、各学校に通知しております。
さらに今年度は、新型コロナウイルスの影響により収入が激減した世帯もあったことから、さまざまな機会を捉えて、家計急変が新たに対象に加わったことについて、生徒、保護者への周知の徹底を図りました。
また、平成二十八年度からは、各学校からの依頼に応じてユースソーシャルワーカーを派遣し、中途退学等の未然防止のための支援や福祉面からの支援に取り組んでおります。
○斉藤委員 現在の支援と取り組みについてお答えいたただきました。家計急変への対応などを今年度に行うなど、努力されていることも重要だというふうに思います。
ユースソーシャルワーカーによる支援の充実についても、私たちは繰り返し求めてきましたが、家庭環境の支援では、昨年度四月から三月では六百八十人だったところ、今年度は、学校が再開した六月からことしの一月までに七百十一人だったというふうに事前に伺いました。支援の取り組みを強化していただいているということは重要なことだというふうに思います。
しかし、今のコロナ禍で、より一層、目配りをするということが今求められています。アンケートの回答者は、ひとり親で、非課税世帯で、さらにコロナの影響で収入が減るなど、セーブ・ザ・チルドレンから三万円の給付を受けた世帯です。その二〇%が、支援について知らなかったということも示されています。その中に都立高校生がいないというふうにはいえないと思います。ぜひ一層の努力をしていただきたいというふうに思います。
支援について伺いますが、コロナにより困窮した経済状況に置かれている高校生を支えるためにも、都独自の制度である給付型奨学金を充実させていく必要があると思いますが、現在の給付の対象と、これまでの三年間の執行率について伺います。
○谷都立学校教育部長 給付型奨学金は、家庭の経済状況にかかわらず、生徒が希望する進路に挑戦できるよう、生徒が学校の選択的教育活動に参加するために必要な経費を、東京都が保護者にかわり支払う制度でございます。
具体的には、生徒が在籍する学校の教育課程に基づく教育活動のうち、勉強合宿や語学合宿、模擬試験受験料や各種検定試験受験料などを主な対象経費としております。
過去三年間の執行率は、平成二十九年度、二七・五%、平成三十年度、二九・六%、令和元年度、三三%でございます。
○斉藤委員 執行率が三〇%前後ということで、この執行率の低さというのがとても目立ちます。
実際に、都の給付型奨学金は使い勝手が悪く、余り支援にならないという声を、私たちは直接伺ってきています。具体的には、今ご答弁いただいたとおり、対象が試験の受験料や勉強合宿など、選択的教育活動というのに限られているということにも原因があります。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの調査では、高校生活に係る経済的な負担について、教材費や通学費、修学旅行費など、日々の修学に欠かせない費用が挙げられています。
通学費や修学旅行費なども対象として、使いやすいものにする必要があると考えますが、見解を伺います。
○谷都立学校教育部長 生活保護受給世帯に対しては、生業扶助により生徒の教材費や通学費が実費支給されております。
また、非課税世帯に対しては、教材費や通学費等の負担を軽減するため、奨学のための給付金が給付の対象となっております。
さらに、平成二十九年度から開始している給付型奨学金では、長期就業訓練に伴う実習先までの交通費や、すぐれた成績により学校の代表として全国大会に出場する活動などにおいて必要な旅費等を対象経費として給付しております。
修学旅行費については、奨学のための給付金の支給対象経費となることから、給付型奨学金の支給対象としてございません。
○斉藤委員 ほかの制度と支援が重ならないようにしているというご答弁ですけれども、所得制限によって、授業料以外には支援がない世帯が多くあります。
セーブ・ザ・チルドレンの給付を受けた非課税世帯の方も、それを通学費や教材費などに充てており、奨学のための給付金だけでは足りていないという現状です。対象を広げるよう改めて求めるものです。
次に、生理の貧困について伺います。
コロナ禍で家計状況が急変する中で、若い学生たちからは、生理用品を買うことが困難になっているという声が上がっています。
#みんなの生理という若者のグループがSNSで呼びかけて行ったアンケート調査では、買うのに苦労したことがある、また、買えなかったことがあると答えたのは、合わせて二六%、さらに、生理が原因で学校を欠席や早退、遅刻したことがあるという人が四九%に上っています。
都教育委員会として、生徒たちが生理用品に困ることがないように、都立学校のトイレなどで無償配布するなどの対応を考えるべきだと思いますが、いかがですか。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ご指摘の、いわゆる生理の貧困につきましては、さきの国会における議論等を通じて承知いたしております。
都立学校においては、生徒が生理用品を忘れてしまった場合を含め、さまざまな理由により生理用品が必要になった場合には、養護教諭等が提供いたしております。その際には、養護教諭等が必要に応じて生徒の状況を聞き取るなどいたしております。
○斉藤委員 養護教諭が、必要な生徒に提供しているということです。
私は、改めて学校の先生たちに生理用品の対応についてお話を伺いました。確かに保健室で対応しているのだけれども、もしかしたら、もらいに来ることをためらって来られない子がいるかもしれない、それで学校を休む子が、もしかしたらいるかもしれないと先生たちはおっしゃっていました。先生たちがわからないところで、支援につながっていない子がいるかもしれないということです。
それが、学校のトイレで、誰でも使っていいんだよと生理用品が配布されるものになれば、学校においての生理の貧困という問題から子供たちは開放されるということです。
女子児童生徒がこのことで登校をためらったり、困ることがなくなれば、それは全ての子供に学習の機会を保障する道にもつながり、すばらしいことではないかということで、先生たちはとても期待をしている、そういう状況でした。
福祉保健局では、災害時の備蓄用に、五年前に初めて七十万枚の生理用品を用意したというふうに聞いています。食品と違って明確な消費期限があるわけではないですけれども、五年を過ぎて、順次、入れかえをしているということです。
その中で、二十万枚は民生児童委員の方に寄附をしたということですが、残ってしまったために、二十五万枚を廃棄し、さらに残りの分についても捨てていくということのようでした。
こうした備蓄用に用意されていたものを有効活用していくことも考えられると思いますが、いかがでしょうか。
福祉保健局と連携をとって、学校での対応の充実につなげていくよう検討していただきたいと思いますが、見解を伺います。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先ほどお答え申し上げましたとおり、現在、都立学校におきましては、さまざまな理由により生理用品が必要になった生徒がいた場合には、養護教諭等が提供を行っておるところでございます。
関係する局の中で、何ができるのかを検討しながら、引き続き適切に対応してまいります。
○斉藤委員 災害備蓄用の活用も含めて、関係各局との検討を進めていただけるという前向きなご答弁をいただきました。ぜひ一歩前進する学校環境をつくっていただきたいというふうに思います。
次に、学校トイレの洋式化の補助について伺います。
東京都は、学校トイレの洋式化率を二〇二〇年度までに八〇%にすることを目標に、二〇一七年度から財政補助を行い、取り組んできました。
トイレの洋式化は切実な問題ですが、区市町村により洋式化率にはばらつきがあり、特に財政力の弱い多摩地域はなかなか大変だというお話も伺っています。二〇一六年四月一日現在のトイレの洋式化率は、二十三区が五七・四%、多摩地域が四八・八%で、全体では五四・二%でした。
学校トイレの洋式化の現在の進捗状況について、二十三区と多摩地域でそれぞれどうなっているか、教えてください。
○田中地域教育支援部長 都内区市町村立小中学校におけるトイレの洋式化率は、令和二年四月一日時点で、特別区では七五・〇%、島しょを除く市町村では六二・二%となっています。
○斉藤委員 二十三区では七五%、市町村は六二・二%ということです。
子供たちが毎日使うトイレがきれいで衛生的であるということは、子供たちの健康に直結する切実なものだと思いますが、都教育委員会の見解を伺います。
○田中地域教育支援部長 学校は、児童生徒が一日の多くの時間を過ごす場所であり、発災時には避難所となる場合もあることから、安全で衛生的なトイレ等の環境整備は重要であると認識をしています。
○斉藤委員 子供たちにとって安全で衛生的なトイレは本当に重要と、私も実感をしています。
実は、青梅市の我が党の市議が「学校のトイレ新聞」というのをつくっていまして、学校の和式で老朽化したトイレの状況を調べて、市に実態を届けたこと、また、改修され、洋式できれいになったトイレの様子、さらに、市議会で明らかになった改修の予定など、写真も入れたニュースにして、シリーズで配布をしています。
これが地域ではとても話題になっていて、保護者からは、うちの子が学校のトイレを嫌がるので、我慢せずに行きなさいといっていたんだけれども、写真を見て、余りの老朽ぶりに驚いて、どうして行かないのかということがよくわかったという声が、感想が寄せられたというふうにいっています。子供にとってトイレがいかに切実な問題かということです。
青梅市では、市民の要望に応え、学校トイレの改修を、二〇二五年度完了の予定にしていたのを二〇二三年度完了に計画を前倒ししたそうです。その前倒しに都の補助事業が大きな支援になっていますが、二〇二〇年度末で終了予定だったために、昨年、都教委に市議団として継続を求める要請をさせていただいたところです。
こうした経緯もあったことから、新年度予算案に公立学校におけるトイレ整備の推進の予算が入り、公立小中学校への支援が延長したということは、とても喜ばれています。
特に多摩地域では財政的な困難も大きいため、それぞれの自治体や学校の実情に合わせて、トイレの改修や洋式化に取り組めるように支援を継続してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
○田中地域教育支援部長 本年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で夏季休業期間を短縮したことなどにより、区市町村が予定していたトイレ改修工事を見送る事例が生じています。
都教育委員会は、こうした状況を踏まえ、区市町村の取り組みを支援するため、東京都公立学校施設トイレ整備支援事業の期間を令和四年度まで延長することといたしました。
○斉藤委員 コロナの状況も鑑みて、令和四年度、二〇二二年度まで支援の延長を決めていただいたということは本当によかったというふうに思います。
しかし、青梅市の例を見ても、計画を前倒しにしましたけれども、それでも二〇二二年度までには完了できないということがあります。補助の期限を区切って、早期に実現を促すということも重要ですけれども、同時に、市町村の財政状況等も踏まえて、さらに柔軟に対応していただくことや補助額の充実なども求めて、次の質問に移ります。
最後のテーマになりますが、教育大綱についてです。
都教育委員会は、昨年十二月に新しい教育大綱案を発表しました。我が党は、今定例議会の代表質問と、そして、予算特別委員会でも大綱案について質疑をしましたが、東京都の教育施策の基本方針を示す重要なものになるため、この間の質疑も踏まえて、さらにお伺いをしたいと思います。
都教育委員会は、大綱案についてパブリックコメントを行いましたが、その結果、どんな声が届いているのか、まず伺います。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都教育委員会は、東京都教育施策大綱(案)の要点を示しました骨子を令和二年十二月二十一日に公表し、令和三年一月二十日まで都民からの意見募集を行い、二十七名の方から六十四件の意見等が寄せられたところでございます。
その結果につきましては、本日、ご報告申し上げた文教委員会要求資料に記載のとおりでありますが、具体的には、子供たちは未来の東京の担い手であり、社会の宝というのならば、まず、子供たち自身の願いを聞くことが必要であるということですとか、今後の社会をどう変えていくか、子供たちが主体的に考えることができるよう、意欲や能力を持つ子供たちを育てていく必要があるといったものがございました。
○斉藤委員 ありがとうございます。資料要求でもいただきましたけれども、その中からご答弁をいただきました。
子供たちは社会の宝というならば、まず、子供たち自身の願いを聞くことが必要であるということや、今後の社会をどう変えていくか、子供たちが主体的に考えることができるよう、意欲や能力を持つ子供たちを育てていく必要があるという大事な意見をいただいているというふうに思います。
先日、知事と教育長と教育委員の皆さんが出席された総合教育会議を傍聴させていただきましたが、パブリックコメントでいただいた声も大綱案に反映しているという説明がありました。
ただ、パブコメに届いた声は少ないようですから、より多くの都民の声や子供たちの声が反映できるように、今後も議論を深められる機会を充実させていただきたいというふうに思います。
具体的に見ていきたいと思いますが、まず、この大綱案ですが、最初に、第1章に未来の東京の姿が描かれています。
なぜ子供たちの教育方針の最初に未来の東京の姿が必要なのか、伺います。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新しい大綱は、コロナ禍の現在だからこそ、困難を乗り越えるために、未来の東京の姿について展望していくことが必要であるとの考えに基づき策定いたしております。
目指すべき未来を想定し、そこから逆算して、現在からそこに至る道筋を定めることが必要であるというバックキャストの考え方に立って、教育施策大綱の第1章では、未来の東京とそこに生きる子供たちの姿を描いております。
○斉藤委員 ここで描かれている未来の東京というのは、グローバル化や、AIやビッグデータ等、先端技術の社会実装によるソサエティー五・〇時代などに限定されています。未来にかかわる要素ではあると思いますが、手段の一つとして、こうしたことを身につけることは有効な要素であっても、その技術だけで社会が成り立っているわけではありません。
サステーナブルリカバリーについて、新型コロナから未来に向けた復興を目指す視点として重要というふうにされていますが、コロナから未来に向けた復興というのは、今の大人の社会でもできていないことであって、それをいきなり今を生きる子供たちに押しつけるような、この大綱の出発点となっているというのは、とても違和感を感じます。
同じく第1章に未来の東京に生きる子供の姿が描かれて、子供たちは未来の東京の担い手と記載されていますが、それはどういうことなのでしょうか。子供たちの存在は東京都のためのものなのでしょうか。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大綱は、教育施策の根本方針を定めるものでございまして、現在の子供たちの将来の姿を想定し、必要な教育施策の方向性を示したものでございます。
今を生きる子供たちが個性や能力を伸ばし、人生を生き抜いていくことができるように育むとともに、将来、自分の夢や希望を実現し、東京、日本あるいは世界で活躍できるようにしていくことが、結果として未来の東京という社会を形づくっていく主役になるということでございまして、東京のためだけの存在ということではございません。
○斉藤委員 東京都のためだけの存在ではない、社会を形づくっていく主役というご答弁で安心しましたけれども、そもそも人間は自由な存在であって、ありのままの個人が認められるべきものであり、その存在や生き方が何かに規定されるようなものではありません。そういうことがわかる大綱案、教育の理念である必要があるというふうに思います。
予算特別委員会で、我が党のとや英津子都議が指摘しましたけれども、教育の基本方針を示す教育施策大綱は、現在の子供たちの姿から出発をして、求められる教育施策、とりわけ子供たちに豊かな教育を保障していくために、知事や行政がどのように教育の条件整備を柱立てていくのかということを示すというのが本来なのではないかというふうに思います。
代表質問でも取り上げましたが、大綱案の最初に、誰ひとり取り残さないということが掲げられていますが、現行の大綱にある子供の貧困への言及がなくなってしまいました。
中央教育審議会、中教審が「令和の日本型学校教育」の構築を目指して−−全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現−−という答申を一月二十六日にまとめています。
この中では、コロナ禍で今の子供たちがどういう状況にあるのか、また、一斉休校の中で学校の役割が再認識されたこと、特に居場所としての福祉的な役割も担ってきたという重要な認識も示しています。
都の大綱案では、コロナ禍での子供の姿や、学校の現状や役割について、何も言及がないのはなぜでしょうか。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新たな東京都教育施策大綱は、これまでの大綱の考え方や、さまざまな取り組みによる改革の流れを受け継ぎながら、新しい教育の方針を示すものでございます。
コロナ禍において、人間関係や家庭の状況など、子供たちをめぐる状況はさまざまであると認識いたしております。こうしたさまざまな状況の子供たちに寄り添い、引き続き、保護者や関係機関、外部の専門家との連携を密に図るなど、これまでの学校や教員の知見に加えて、社会全体で子供たちの心身をきめ細かくサポートしていく必要があると認識いたしております。
○斉藤委員 今、私が聞いたのは、都の大綱案で、コロナ禍での子供の姿や、学校の現状や役割について、何も言及がないのはなぜかという質問だったのですけれども、いかがでしょうか。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 失礼いたしました。
東京都教育施策大綱は、サステーナブルリカバリーの視点も取り入れて策定いたしておりまして、コロナ禍における子供や学校の状況も踏まえたものとなっております。
また、第3章、東京型教育モデルで実践する特に重要な事項の6におきましては、子供たちの学びを支える教師力、学校力の強化として、学校が新たな時代の学びへの対応とともに、子供の安全・安心を確保し、地域の拠点となる役割を持つことも示しているところでございます。
失礼いたしました。
○斉藤委員 サステーナブルリカバリーの視点も取り入れて策定していて、コロナ禍における子供や学校の状況を踏まえたものという答弁なんですけれども、サステーナブルリカバリーの視点も取り入れているということが、今現在、困難や困窮に直面している子供たちにどう関係があるのでしょうか。コロナ禍の子供たちの現状について、また、学校がどういう状況で、どんな役割が認識されているかについて、いずれにしても大綱案には記載がないわけです。
予算特別委員会で、知事は、子供たちの現状についてどのような認識をしているかという、とや都議の質問に対して、コロナ禍で大きな影響を受け、特別な支援が必要な子供たちがふえているというふうに答弁しました。
コロナ禍で、子供たちが置かれている家庭環境や経済状況などに向き合っていくことは一層求められている大事な視点ですけれども、都教育委員会は、子供たちを取り巻く経済状況、修学への困難が増している、こうしたさまざまな状況をどのように認識しているか、伺います。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新たな東京都教育施策大綱は、これまでの大綱の考え方や、さまざまな取り組みによる改革の流れを受け継ぎながら、新しい教育の方針を示すものでございます。
コロナ禍において、人間関係や家庭の状況など、子供たちをめぐる状況はさまざまであると認識しております。こうしたさまざまな状況の子供たちに寄り添い、引き続き、保護者や関係機関、外部の専門家との連携を密に図るなど、これまでの学校や教員の知見に加えまして、社会全体で子供たちの心身をきめ細かくサポートしていく必要があると認識いたしております。
○斉藤委員 コロナ禍において、人間関係や家庭の経済状況など、子供たちをめぐるさまざまな状況があるということを認識しているというご答弁です。
そういうことを出発点として子供たちに向き合って、子供の貧困への対応や豊かな教育の保障をきちんと位置づけて、知事や都教育委員会が何を行うのかの指針が、本来、教育施策大綱には必要なのではないでしょうか。
しかし、この大綱案では、子供が何を目指すべきか、子供がどうあるべきか、子供に求めることの方が前面に打ち出されているという印象です。
一点、具体的に伺いますけれども、第3章で東京型教育モデルで実践する特に重要な事項として、ソサエティー五・〇時代を切り開くイノベーション人材の育成と世界に羽ばたくグローバル人材の育成と記載されています。
都教育委員会が学校で行っているのは人材育成なのでしょうか。また、こうした分野に子供たちの目標を特定するのはなぜなのでしょうか。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京型教育モデルを実践する特に重要な事項は、これからの社会の変化を俯瞰して捉え、子供たちがみずからの夢や希望を実現するために必要な資質、能力を身につけることができるよう、都として重点的に取り組むべき施策として定めております。
グローバル化等による多文化共生社会の進展や先端技術の社会実装によるソサエティー五・〇時代の到来など、これからの社会はますます激しい変化が予測されており、そのような社会において必要な基礎的、基本的な知識、技能を確実に習得できるようにすることが求められております。
同時に、新たな価値を創造する力や多様な人々と協働する力を育み、SDGs等を踏まえた持続可能な社会づくりに貢献する意欲を高め、豊かな国際感覚を身につけていくことも必要でございます。
子供たちが社会環境の変化に適切に対応し、自己実現を果たしながら人生を生き抜いていくことができるよう、必要な教育を提供してまいります。
○斉藤委員 東京都が学校で行っていることは、要するに人材育成ということなんですか。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ただいま答弁申し上げましたように、激しい変化が予測されている社会に向けて、その社会において必要な基礎的、基本的な知識、技能を確実に習得できるようにし、その上で子供たちが社会環境の変化に適切に対応し、自己実現を果たしながら人生を生き抜いていくことができるよう、必要な教育を提供しているものでございます。
○斉藤委員 人材育成かどうかということを否定されないということなんですけれども、グローバルな視点とかICTの活用能力というのは、身につけておくことは有効であっても、それが全ての子供たちのゴールになるということではないと思います。
大綱案にあるように、イノベーション人材やグローバル人材として産業界で働くということが、全ての子供に当てはまるというわけではないと思います。誰も取り残さないといいながら、特定分野に絞った人材育成が掲げられているということに大きな偏りを感じます。
学校は、産業界が求める人材育成のためにあるものではないと思います。どの子も、どんな生き方でも尊重され、幸せに生きていくことができるようにするために教育はあるのではないでしょうか。
教育の目的について、教育基本法では、第一条で、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならないとしています。
また、第三条では、国民一人一人が自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならないとしています。
つまり、教育の目的は、個人の人格を形成し、豊かな人生を送れるように導いていくことであり、どういう人間あるいはどういう人材を育成するのかということを規定するようなものではないはずですけれども、都教育委員会の見解を伺います。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大綱の第3章、東京型教育モデルで実践する特に重要な事項に掲げられている六つのテーマのうち、二つのテーマに、ソサエティー五・〇時代を切り開くイノベーション人材の育成あるいは世界に羽ばたくグローバル人材の育成と掲げられているところに関して、人材育成を狙うものではないんじゃないかというようなことで、先ほどから何度かおっしゃっているところではありますけれども、先ほど答弁申し上げましたとおり、こういったテーマも含めて、社会の変化を俯瞰して捉え、子供たちがみずからの夢や希望を実現するために必要な資質、能力を身につけることができるように、都として重点的に取り組むべき施策として掲げているものでございます。
この二つの分野以外にも、伸びていきたいという子供たちの伸びる力をしっかりと応援していく教育政策になっております。
教育の目的の部分でございますけれども、これは教育基本法第一条に示されておりますとおり、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われるものでございます。
同時に、同法第二条では、教育の目標として、子供たちが公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うことを掲げてございます。
都教育委員会は、今後とも、子供たちがみずからの人生を豊かなものとし、未来の社会の担い手として生き生きと活躍していくことができるよう、さまざまな施策を展開してまいります。
○斉藤委員 教育基本法第二条のお話も出てきましたけれども、第二条の、子供たちが公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うことという言及がありましたけれども、この社会の形成に参画することと、大人が決めた未来像に合わせて子供たちを人材育成し、その社会に貢献させていくということは、同じことではないというふうに思います。
未来の社会は、子供たちが学びを土台として自由につくっていけるものです。未来の社会を今の大人が想定して、そこに子供たちを適合させていく、こういう発想では、窮屈で、誰も取り残さない教育とはならないのではないでしょうか。
子供たちの学ぶ意欲、能力を伸ばすということは大切なことだと思います。ただ、そこのゴールを限定していくような未来の描き方、そこに合わせていく、そういう教育の行い方というのは、どうなのかというふうに思います。
政治家である知事が策定する教育施策大綱は、今の子供たちが直面している困難を取り除いて、全ての子供の学ぶ権利と豊かな教育を保障できるように、政治や行政がどのように教育の条件整備をしていくのか示すというのが本来のあり方だと思います。
その点で、この大綱案は、一部、曲がりなりにも学ぶ権利ということが入っております。これまでの大綱にはなかったことで、ここには注目をしております。
しかし、これまであった子供の貧困についての施策や言及がなくなり、きめ細かいサポートを実現するためにも重要な条件整備である少人数学級の言葉もありません。少人数学級を明確に書き込むべきだということはパブリックコメントにもありましたけれども、このことについては、きめ細かい指導という表現として加えるにとどまっていて、不十分です。
子供に目指すべきことを求めることばかり並んでいる大綱案は見直すべき点が多いということを指摘して、質問を終わります。
○栗下委員 私からは、都立高校の校則や指導について質問します。
教育課題はさまざまございますけれども、昨今、いわゆるブラック校則の問題がメディアでもとりわけ大きく取り上げられまして、昨日も、川崎市議会で、これは小学校の肌着の問題でありましたけれども、取り上げて大きな反響があったようです。
こういう報道は非常に波及力がありまして、私も多くの都民の方々から、都立高校というのはそんなにおくれているのか、まずいんじゃないか、そういうお声を、私の立場でも、そういうふうな声をいただくに至っているという状況があります。
実際に、もし、いわゆるブラック校則があるんだとすれば、それはもちろん改善をされていくべきですし、それに加えて、こういったことが実際起こっているんじゃないのか、見えないところでそういったものがあるんじゃないのかというイメージの部分についても、生徒さんを初めとする都立高校関係者の風評にかかわるとても重要なテーマだと思いますので、本日は、そういった時代や世間一般の感覚からは明らかに外れた校則や指導、こういったものをどのようになくしていくのか、それはもちろんのこと、また、どのように生徒さん、保護者を初めとする都民の方々に安心をしていただくか、そういう観点で質問をしていきたいと思います。
そこでまず、基本的なことからお聞きをいたしますが、都立高校の校則は、誰の責任のもとに、どのようにつくられるのか、お伺いをいたします。
○増田指導部長 校則は、必要かつ合理的な範囲で尊重すべき学習上及び生活上の規律であり、他者と調和して安全・安心な集団生活を送り、よりよい進路実現を図ることができるようにするために定められるものでございます。
学校は、校長の権限と責任において、子供の人権を尊重する視点を踏まえ、学校の教育目標や生徒の実態等に応じて校則を定めております。
○栗下委員 学校ごとに、その実情と必要性に合わせて、校長先生の権限と、そして責任において定めているんだということです。
じゃ、今度は、教育庁及び都教委が、それに対してどういう役割を担っているか。
同じ都立高校なんですから、共通の枠組みはあってしかるべきだというふうに思いますけれども、教育庁として、都立高校の校則はこうあるべきという基本的な方向性について、どう各学校に指示を行っているのか、お伺いをいたします。
○増田指導部長 都教育委員会は、生徒が規範意識を身につけ、他者と調和して安全・安心な集団生活を送り、よりよい進路実現を図ることができるようにするために、校則を必要に応じて定めること、その運用については人権を尊重する視点を踏まえること、社会の変化等を踏まえ、適宜見直しを図ることを都立高校等に対して伝えております。
○栗下委員 安心・安全な集団生活、そして、よりよい進路実現ができるように、校則をそれぞれの学校できちんと考えてくださいねというのが都教委のスタンスであるということでありました。
時代や社会の変化、そして、地域ごとの実情、こういったことがありますので、各学校が主体的にそれぞれ校則を定めていくということについて、これはわかるんです。
ただ、その中に、時代とか一般的な都民感覚からずれたものも時折出てきてしまう、これが今問題になってきているわけであります。
次は、校則が新たにどうつくられていくのか、都立高校の校則の見直し、つまり改廃はどのように行われるのかについてお伺いをいたします。
○増田指導部長 校則の見直しは、生徒の意見や保護者の意識、社会の状況等を踏まえ、適宜、校長の権限と責任において行うものでございます。
例えば、生徒会やホームルームにおいて生徒が話し合う機会を設けたり、PTAにアンケートをしたりするなどして意見を集約した上で教員が検討を行い、最終的には、校長の権限と責任のもと校則の見直しを行うなどの手続が考えられます。
○栗下委員 今、後段の部分でお示しをいただいたのは、理想的な形、パターンだというふうに思います。生徒たちが自主的に、自分たちでルールを決めていくということであれば、当然、彼らの意にそぐわないものは生まれ得ないというわけでありますが、一方で、実際のところ、教員側の発議によって決まっていく校則というのも当然あるように伺っています。どちらかというと、こちらの方が、生徒さん、保護者の方々の感覚との乖離を生み出す、そういったこともあるということだと思いますが、こういったものも、校長先生の権限と、そして責任のもとに追加をされたり、削除されたりといったことが行われるということがわかりました。
何がいいたいかというと、基本的に、権限は先生側の方にあるということで、実際問題として、生徒や保護者さんからすると、何かおかしいなと思うことがあっても、例えば内申点に響いたらどうしようとか、そういったことを心配されて、学校には直接いいづらいんだ、こういうのはよく聞くお話であります。
これについては、やっぱり第三者の方、外部の人が、これらの校則についてもしっかり把握をしていくということがまず必要になってくるわけでありますが、この部分を教育庁としてどうしているのか。
都立高校の校則の把握について、教育庁はどのように取り組んでいるのか、お伺いをいたします。
○増田指導部長 校長の権限と責任において定められている校則は、本来、学校の裁量の範囲で取り扱われる事項でございます。
これまで都教育委員会は、各学校における校則に基づく指導が適切に行われるよう、適宜、指導助言を行ってまいりました。
また、社会状況の変化等を踏まえ、各学校の校則の内容について確認することも必要と考えており、その把握に努めております。
○栗下委員 教育庁としても、把握する努力はされているんだというお答えをいただきました。
しかし、昨今、ツーブロックの問題あるいは地毛証明書の問題なども、世間では驚かれたんですよね。こういったものが残ってしまっている以上、教育庁による把握が十分に機能しているのかといったら、これについては評価が分かれるところなんだろうというふうに思います。
また、もう一つ、そぐわない校則をなくしていくためには、やっぱり世の中にきっちりと見ていただく、見られているという感覚そのものが、世間との乖離を防ぐための力、抑止力になっていくという考え方もありますが、これについては、少なくとも各学校のホームページで誰からでもその学校の校則が確認できるようにした方がよいのではないかと、私もこれは率直に感じます。
そこでお尋ねをいたしますが、都立高校のホームページに校則を掲載するということについてどのように考えるのか、お伺いをいたします。
○増田指導部長 学校の特色や取り組みをホームページに公開することは、生徒、保護者、地域の方々の学校に対する理解を深める上で有効であると考えております。
現在、全ての都立高校等において、都民等の要請に応じて校則の閲覧は可能となっておりますが、校則のホームページへの掲載については校長の判断によるものでございます。
○栗下委員 校則をホームページに載せる、その有効性については一部お認めをいただいた上で、ホームページに仮に載っていなかったんだとしても、生徒側から、あるいは保護者から要請があれば、閲覧は必ずできるようになっているんだといったこともお示しをいただきました。
しかし、やっぱり、例えば新しく都立学校に入学をされたいという生徒さんからしても、できる限り多くの情報を得たいというふうに思うはずです。こちら側としても、やはりできる限り、情報は多く用意してあげるべきだと思いますし、特に世間でも、この校則の話が大丈夫なのかといわれている今ですから、各学校の校則についても、やはり入学を検討される学生さんたちは、非常に高い関心をお持ちなんだというふうに思います。
ホームページにおける校則の公開をすることによるデメリット、これは何かありますかね。やると、都民にとって何か悪いことがあるか、これを考えたときに、どこにも見当たらないわけですから、これについては全ての学校で公開をされてしかるべき、当然だというふうに思っております。
そこでお伺いをしますが、現在、全都立高校中、ホームページに校則が掲載をされている学校は幾つあるのか、また、そのほかの学校ではどのように校則を紹介しているのか、お伺いをいたします。
○増田指導部長 ホームページに校則の全文を掲載している都立高校等は二校でございます。
これに加え、ホームページ上で、一部の校則について、校則の必要性や具体的な指導内容について、QアンドAの形式や写真等でわかりやすく説明している学校などもございます。
また、ほとんどの都立高校では、進学を希望する中学生等や入学予定の生徒等を対象とした説明会において、高校生活を送るに当たって必要な内容とともに、校則に関する説明を行っております。
○栗下委員 都立高校、全、定、通を合わせると二百校以上ということですので、そして、校則が全文掲載されているのは二校とお答えいただきました。例外中の例外といってもいいというふうに思います。
一部校則を載せているところもあるんだというふうにお示しもいただきましたけれども、やっぱり殊この問題においては、全文が載ってあることに意味があるんだ、初めて意味が出てくるんだというわけですよね。
しつこいようですけれども、全文を載せることによって、都民の方々に何かデメリットがあるかといったら、私はないと思います。ですので、これは、ずっといわれ続けてきている改革の一丁目一番地、情報公開の一つとしてぜひ進めていただきたい。
他県教育委員会との兼ね合い、そういったものも、もしかしたらあるのかもしれないですけれども、この校則の問題について、都民の方々が今、多くの関心を寄せています。都が先頭を切って、ホームページにおける校則全文の掲載を進めるように働きかけていただきたい、これは強くお願いをしたいと思います。
さて、校則の問題も重要なんですが、さらに難しさがあるのは、これらの校則をもとに行われる指導のあり方です。
例えば、都議会でも先般取り上げられました髪の毛の黒染めなどの問題、正直なところ、髪の毛が黒でなくてはならない、こういった校則そのものについても、これは意見が分かれるところとは思いますけれども、さらに難しいのは、仮にこれらのルールを是としたとしても、それを強制する、いわばその運用の部分について、不適切なものというのが出てくるときがどうしてもあります。こういったものについてどのように認識をされているのか。
仮に生徒にとって必要な校則であったとしても、教員が生徒の化粧を落としたり、黒染めスプレーをかけたりする不適切な指導、これについての教育庁の認識やその対応についてお伺いをいたします。
○増田指導部長 校則に基づく生徒への指導については、各学校が生徒の実態等を踏まえて行うべきもので、指導に当たって、教員が生徒から理解や納得を得られるよう丁寧に指導することが重要でございます。
都教育委員会は、ご指摘にあったような事例について情報を得た場合には、内容を確認し、学校に対して指導を行ってまいります。
○栗下委員 不適切な指導がある、そういった情報があったときには、教育庁が調査と指導をしっかりやっていくんだというお答えをいただきました。そういったことがきちんとやられていなかったときには、それこそ、これは教育庁の責任が問われるわけであります。
先ほど申し上げたように、校則を第三者の目に触れるように、まずはやっぱりガラス張りの状態にしていくこと、これは、やられて当然のことだというふうに思います。それでも不適切な指導、つまり運用の部分に問題があったときには、教育庁がしっかりとこれをキャッチして是正をすることができるということが、もちろん難しさもありますけれども、さらに大切なことなんだというふうに思います。
そのためにどういった仕組みがあるかというのも極めて重要になってくるわけですが、生徒が校則に関して不適切な指導を受けた場合、どのようにそのことについて相談すればよいのか、お伺いをいたします。
○増田指導部長 生徒が校則に関して不適切な指導を受けた場合は、まずは、学級担任や生活指導の担当教員、または学校の管理職にその事実を相談していただきたいと考えております。
また、都教育委員会は、教育相談センターにおいて、不適切な指導を受けた生徒やその保護者から、心理面での相談を受け付けております。
なお、都立学校に関する意見や要望等につきましては、都教育委員会のホームページからも相談を受け付けております。
○栗下委員 具体的には二つの方法があるんだと。教育相談センターで実際に相談してもらうか、あるいは、都教委のホームページからも、そういったことについて知らせていただけるようになっているということですが、これをやっぱり、願わくば全ての保護者さんたちに認知をいただけるように努力をしていくということも一つなんだと思います。
理想としては、先ほどご答弁にあったとおり、校則指導の問題も学校内で改善をしてもらえる、これが理想なんですけれども、それ以外にも、やっぱり外に知らせる手だてがある、このこと自体が問題発生の抑止力になっていくということもあります。
一方で、こういった公益通報の手だてがあるということについて、その使い方についても、適切に使っていただけるように、その伝え方も工夫をしていかなくてはいけない、繊細な部分というのもあるんだということは理解をしております。
また、こういった仕組みのほかにも、我々議員も、住民の方々から、直接そういったことについて実情を教えていただくこともあります。そういったものを我々もよくよくそしゃくした上で、一つ一つの問題の是正に、東京都教育庁とも一丸となって力を合わせていかなくてはいけないんだということだと思います。
最後に、都民の方々に対して改めて安心をいただくという意味でもお聞きをいたしますが、例えば、生徒が校則に対して不適切な指導を受けた場合には、教育庁はどのように対応されるのか、具体的にお伺いをいたします。
○増田指導部長 生徒や保護者から学校の指導に関して情報をいただいた場合には、当該学校に対して事実を確認した上で、改善に向け、適切に対応しております。
○栗下委員 力強い宣言をいただいたというふうに私は受けとめています。こういったものに関して、完全とか、完璧とか、そういったことというのは絶対ないというふうに思いますが、今まで以上に、ぜひ完全を目指していただきたいとお願いをいたします。
教育も、もちろん人間がやることですので、全てがきれいに割り切れるものではありません。時代の変化というものも当然あります。しかし、そういったものについても、きちんと正すべきは正されるという環境をしっかりつくるということが最も大切だと。昨今、都立高校のイメージに大きな影響を与えている、いわゆるブラック校則問題を改善に向かわせるために大切なことなんじゃないかなというふうに思います。
実は、この校則の問題が都議会で取り上げられるようになったのは、ここ数年のことでありまして、それ以前は質疑も、私が調べた限りは、結構、長期間なかったんですね。しかし、そういった中で、新たに、世間から見ると前時代の遺物のようなものも実際に掘り起こされたわけであります。
今、そういったことで都立高校へのイメージの問題も出てきていますけれども、やっぱりそれが変えていくべきものを変える力になる、また、こういったものが新しくつくられない、そういったふうにポジティブにぜひとも受けとめていただいて、今後、そういったものの改善に力を入れていっていただきたいというふうに思います。
今後、校則を幅広く公開すること、これはすぐにでもやっていただきたい。また、個別案件への丁寧な対応について、今まで以上にご尽力いただけるようにお願いを申し上げて、私の質問を終わります。
○河野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後四時三十五分休憩
午後四時五十分開議
○河野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○内山委員 私からは、まず、都立の中高一貫教育校、中等教育学校についてお伺いをしたいと思います。
都内の公立の中等教育学校、一般的には中高一貫校といわれ方をすると思いますが、こちらは都立で十校ありまして、そのほかに、余り知られていないんですが、国立の教育学部の附属の中等教育学校というのがあります。
そういった中で、おのおの、特に国立の教育学部の附属の中等教育学校というのは、研究テーマだとかもさまざま設定をして、特色ある教育をされているというように聞いていますし、私も、実際、見に行ったことが何度もあります。
そういった中で、まずお伺いしたいのが、都立の中等教育学校と国立大学附属の中等教育学校が、現在、どのような相互の交流を行っているのか、お伺いしたいと思います。
○藤井教育改革推進担当部長 都立中高一貫教育校は、国立大学附属中高一貫教育校から教員を招いて教科の研究を開催し、模擬授業により効果的な指導法を学んだり、教員が国立中高一貫教育校主催の研究会に自主的に参加し、教科指導力の向上に努めたりしております。
また、都立中高一貫教育校の生徒が、探求学習の先進校である国立中高一貫教育校で開催された生徒研究発表会に参加し、さまざまな分野の研究に触れて、研究の取り組み方やまとめ方等を学び合うなどの試みも行われております。
○内山委員 ありがとうございます。今ご答弁いただいた内容というのは、各学校の判断ないしは各教員の判断の中で、国立大学附属の中等教育学校と都立の中等教育学校の中で交流というか、みずから学んでみようとか、ちょっとここで交流してみようというレベル感の話なんだと思います。
先ほど申し上げましたように、国立は国立で研究テーマを持って、私はかなりいい取り組みもされていると思いますし、そういう意味では、都立も都立で自信を持って、自分たちはこういう教育をしているんだということを示せる部分もあろうかと思うんですね。
こういうところがせっかく都内にあるので、ぜひその二つがしっかりと、学校ごとの単位とか教員の判断ではなくて、ぜひ都教育委員会が主体となって、都立の中等教育学校と国立の大学附属の中等教育学校の連携を構築していくべきだと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○藤井教育改革推進担当部長 都教育委員会は、平成三十一年に、東京学芸大学附属国際中等教育学校から講師を招いて、都教育委員会が指定する理数関係の指定校を対象とした講演会を実施し、都立中高一貫教育校等の管理職や教員に対して、理数教育の充実を図るための機会を創出しております。
また、東京学芸大学附属高等学校主催の研修案内を、毎年、都立高校の校長会で都立中高一貫教育校等にも周知し、みずからの教育実践を振り返る機会となるよう、教員の参加を促しております。
都教育委員会は、これまでの成果を整理し、他の国立大学附属高校についても、望ましい連携のあり方について検討を進め、教員の資質向上につなげてまいります。
○内山委員 今後の望ましい連携のあり方について検討していくという前向きな答弁をいただきました。
都立の中等教育学校が十校に対して、国立の学校というのはそんなにないですね。四校から五校ぐらいかと思います。せっかく都内にあるお互いの、いい資源なわけですから、そこはぜひお互いに切磋琢磨して、ともに高め合っていっていただければなというように思います。
続きまして、都内の中等教育学校、中高一貫校は、教育的な成果というものを、この間、かなり上げてきているやに私は感じています。すばらしい取り組みなんだと思います。
ただ、先ほど来から申し上げているように、都立の中等教育学校は十校しかないので、都内全体の中学生、高校生が、その恩恵というか効果を享受できるかというと、これはなかなか限定的になってしまうという性格があると思います。
ですので、多くのほとんどの方は、中等教育学校ではなくて、市区町村立の中学校とか、もしくは単独の高校に通っているわけですから、都立のせっかく出してきた中等教育学校の教育実践の成果を公立の中学校に還元していくということは、私はかなり重要だと思いますが、見解を伺いたいと思います。
○藤井教育改革推進担当部長 都立中高一貫教育校が主催する公開授業や研究発表会には、区市町村立学校の教員も参加し、教育内容や指導方法等について学ぶ機会を得ております。
今後、都教育委員会は、都立中高一貫教育校各校に対し、近隣の公立中学校等との連携や成果の還元のあり方について、学校運営連絡協議会等を活用して意見交換等を進めるよう働きかけを行うとともに、連携の事例などを新たに全校に周知していくことなどを通して、東京都全体の教育の質の向上を図ってまいります。
○内山委員 ありがとうございます。こちらも前向きな答弁をいただきました。せっかくの事例ですから、ぜひ都全体の中学生に資する取り組みにしていただきたいなというように思います。
続きまして、教員の研修についてお伺いをしたいと思います。
このテーマを選ばせていただいた背景は二つあります。
一つは、この間、ずっとさまざまなところで議論が起きている三十五人学級の件です。
私も予算特別委員会で議論、懸念を示させていただいたとおり、教員の確保というのがなかなか厳しくなっていくという中で、これまでは、ある程度、教員を選抜というか選考して、その中で確保した人材を育てていくという発想から、とりあえず、まずは数を確保しないと何とかならないという中で、そこから自分たちで育てていくという発想になっていかなくてはならないんだというように思います。それでも数を確保するのは大変だと思いますよ。
もう一つは、やはり昔からいわれている教員の働き方改革というところです。
なぜ働き方改革とこの研修が私の中でマッチしたかというと、先生方はやはり、特に初任者研修を受ける先生方は、学校にもなれていないし、その中で本当にいろいろな研修を受けなきゃならないんです。私は、これ自体は全然否定するものではなくて、やはり教員になって、そこからいろんなことを学びながら成長していって、子供たちにその成果を還元していくというのは必要なプロセスだと思います。
しかし、一方で、私自身もそうですし、もしかしたら皆さんもそうかもしれませんが、多分、いろいろな研修とか講演会を受けられたことがありますよね。その中で、この研修はよかったなと思う研修もあれば、何といっていいかわからないですけれども、そうではない研修というのもあります。はっきりいえば、時間の無駄だったなとか、何でこんなものを義務的に受けなきゃいけないんだというような研修とか講演も、残念ながらあるのが実態かと思います。
そういった中で、私は、必要な研修というのはしっかり受けてもらわなきゃいけないなと思う反面、現場の先生方から聞くと、何でこれをやっているのかわからないなというような研修というのもあるのも事実ですし、例えば、夏に自己採点をして、学期末に自己採点をしたときに、ある先生が、夏に三点とつけたものを学期末に二点とつけたんです。それはなぜかというと、このときは三点だと思ったけれども、いろいろなことをやっていって、自分はまだまだ二だということに気づいた。二点で管理職に出したら、夏より高くなかったらだめだよと突っ返されたらしいんです。
こんな研修をやっていたら、先生方も、何というのかな、自分たちが納得をして、忙しい中、この研修を受けて自分たちを磨いていくんだという気持ちにならないと思うんですね。これは別に、全部でそうやっているというわけじゃないですよ。一例を今、紹介させていただきましたが。
そういった中において、私は、必要な研修をしっかりとしていく上で、絶えず研修の内容だとかそういったものはブラッシュアップをしていかなきゃならないなというように思うんです。
それはまさに受講者の声を直接反映して−−中には、受講者の声を管理職がチェックをして、添削をして、感想として上げてくるという事例も市区町村ではあります。これはもうダイレクトに研修の内容を評価する声にはなり得ないと思いますので、そういう意味では、受講者の声をダイレクトに、フィルターを通さずに反映させるなど、研修の内容を改善するための取り組みについて、都教育委員会の取り組みを伺いたいと思います。
○増田指導部長 都教育委員会は、教諭としての使命感や幅広い知見、実践的指導力等を系統的に育成するため、都立学校及び区市町村立学校の教員に対して、採用時から三年間にわたる若手教員育成研修を実施しております。
区市町村立学校の教員に対しては、研修内容や修了認定を含めた若手教員育成研修の実施を、都教育委員会が区市町村教育委員会に委任しております。その上で、区市町村教育委員会が作成した年間研修計画及び実施報告を確認しております。
また、教員養成にかかわる大学の教授、区市町村教育委員会の教育長、都内公立学校の校長等により構成される教員育成協議会を設置し、教員研修で取り上げる内容や実施方法等について協議をしております。
今後、社会の変化や初任者の実態に応じ、研修内容等の改善を図るとともに、区市町村教育委員会の研修担当者を対象とした連絡会において、研修運営上の注意点や効果的な研修の事例を示すなどして、区市町村教育委員会による若手教員育成研修の実施を支援してまいります。
○内山委員 ありがとうございます。基本的には、特に小学校、中学校というのは各市区町村立でありますから、各市区町村が主体となって研修を行っていく。そこに対して、都はお願いをしている、委託をしているわけですから、そこに対してなかなか注文をつけづらいという実情自体は理解するところでありますが、とはいえ、適切な事例を示すとか、今まさにそういった中で、ご答弁いただいた運営上の留意点を示すとか、そういったことで情報共有をしながら、市区町村の教員の研修に対する支援を行っていっていただきたいなというように思います。
続きまして、インクルーシブ教育についてお伺いしたいと思います。
我が会派では、スペシャルニーズのある子供が、ない子供たちとともに、同じ教室で学び育つインクルーシブ教育の推進を訴えてまいりました。
都教育委員会は、大規模な調査研究事業を経て、今年度から学校におけるインクルージョンに関する実践的研究事業を開始していることを、我が会派の龍円あいり委員の一般質問でも確認をさせていただいたところであります。
この実践的研究事業と並行するように、学校におけるインクルージョンに関する実践的研究事業等検討協議会を立ち上げたと伺っております。この協議会では、これまでにどのような報告や意見があったのか、伺いたいと思います。
○高木特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、昨年十月に実践的研究事業等検討協議会を設置し、研究事業の取り組み内容に関する協議や、各区市町村教育委員会におけるインクルーシブな教育の取り組みなどについて共有を行っております。
昨年十一月と本年二月の二回開催いたしました本協議会では、第一回において、実践的研究事業の実施地区である豊島区と日野市の事業計画の内容について共有を行い、第二回においては、研究事業のこれまでの実施状況について報告を受けました。
具体的には、豊島区からは、通常の学級と特別支援学級の交流をさまざまな場面で実施したことにより、児童の意識に支え合うことが当たり前という変容が見られた、また、日野市からは、オンラインの活用により、児童生徒が主体的に交流の仕方等を考えるようになったなどの報告がございました。
さらに、協議会の議論の中では、交流及び共同学習を進めていくためには、通常の学級の児童生徒が特別支援学級の児童生徒の障害の特性などをより深く理解することが必要である、また、特別支援教育の専門性は、特別支援学級の担任だけではなく、全ての教員に求められているなどの意見がございました。
○内山委員 ありがとうございます。検討協議会では、豊島区や日野市の実践的研究の報告があり、少しずつ課題も明らかになってきたということがわかりました。
学校におけるインクルージョンは、その気があったとしても、なかなか学校単位や市区町村単体で進めることが簡単ではありません。今後も継続的に検討協議会を続けていくことで、課題を明らかにして、インクルージョンを進めるための具体的な施策につなげてほしいと思います。
都内で最もインクルーシブな教育を先進的に進めているのは、私が聞いている限りでは国立市です。都立特別支援学校に在籍をしている児童生徒でも、保護者の意向があれば、多くて週二回は、副籍がある地域の学校の通常学級に、朝から下校まで、そのクラスの一員として通うことができるということです。その地域の学校の入学式から参加をすることで、完全にその学校の児童生徒として迎え入れてもらっているそうです。
これを実現するために、国立市は、近隣の各特別支援学校に、国立市では副籍交流を積極的にしたいと考えていると説明した上で、特別支援学校に交流の協力をしてもらっているということでありました。
また、受け入れる地域の学級では、支援学校の先生に来てもらって、一時間の受け入れる児童生徒のことを知ってもらう授業を開催してもらっているそうです。そうすることで同級生たちの理解も深まっていって、スムーズに副籍での生活ができるというふうに聞いています。
国立市教育委員会によりますと、継続的で日常的な副籍交流があることで、当事者本人もそうなんですが、周囲の同級生たちにも、かなりいい変化があらわれているということで、市では今後も副籍交流を続けたいということでありました。
国立市では、支援学級と通常学級との共同学習にも力を入れております。保護者の希望があれば、可能な限り、通常の学級で勉強して過ごすようにしているそうです。来年度は共同学習支援員を新たに設けて、さらに共同学習がスムーズに行えるようにしていくとのことでありました。
さらに、保護者が望めば、どんな障害種別であっても、どのような重度な児童生徒であっても、通常学級で受け入れることにしているとのことでありました。その場合、スマイリーサポートという、学習と自立支援をする支援者がつけられています。
これらによって、スペシャルニーズのある児童生徒がどこの学びの場を選んだとしても、地域の学校の通常学級にいる児童生徒たちとの継続的、日常的にともに学び育つことが可能であり、地域の児童生徒として育っていくということが可能になってきます。
この国立市も、協議会にオブザーバーとして参加をしております。ただ、二回目はオンライン開催だったこともあり、発言する機会がなかったと伺っています。今後は、ぜひこういった先進的な取り組みをしている市区町村からも丁寧に声を聞くなどしていただくようお願いをしたいと思います。
次に、龍円委員の一般質問で、来年度新たに実施することが明らかになった、都内全市区町村を対象に実施するという交流及び共同学習の実態調査の具体的な内容についてお伺いしたいと思います。
○高木特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、通常の学級と特別支援学級との交流及び共同学習の現状を把握し、今後の検討の基礎資料とすることを目的として、都内全区市町村を対象に実態調査を実施する予定でございます。
具体的には、通常の学級と特別支援学級における交流及び共同学習の計画作成の状況、交流等の実施回数や具体的な実施内容などの詳細な調査を行う予定でございます。
○内山委員 都内全ての市区町村を対象に、共同学習と交流の実態を把握して、今後の検討につなげていくとのことでありました。
先ほど国立市の取り組みを紹介させていただきましたように、都立特別支援学校に在籍する児童生徒も副籍がある学校との日常的かつ継続的な交流をすることで、インクルーシブな教育のよさや効果が、その当事者や同級生にもあるということでしたので、実態調査をするということでしたら、都立特別支援学校に在籍する児童生徒の副籍がある地域の学校との交流や共同学習についても調査対象に加えていただきますよう要望させていただきたいと思います。
次に、発達障害のある児童生徒のインクルーシブな取り組みについてお伺いをいたします。
都教育委員会は、来年度から、公立小中学校の特別支援教室を利用する発達障害がある児童生徒が在籍する通常の学級で、支援教室で学んだことを生かして、より過ごしやすくするためのサポートをする人材を全ての学校に配置する支援を開始いたします。
この取り組みは、よりインクルーシブな環境を推進する大きな力となると感じておりますが、改めて、特別支援教室ではなく在籍学級への人材配置を支援する意義についてお伺いをしたいと思います。
○高木特別支援教育推進担当部長 特別支援教室におきましては、発達障害のある児童生徒が障害による学習上または生活上の困難さを改善、克服することを目的として、個々の教育的ニーズに応じた指導を行っております。
令和三年度、都教育委員会は、特別支援教室で学んだ成果を在籍学級で発揮できるよう、全ての公立小中学校を対象に、児童生徒に寄り添い、適時適切にサポートする人材を在籍学級に配置するための補助事業を開始することといたしました。
こうした人材によるきめ細かな支援により、発達障害のある児童生徒が、学校生活の大半の時間を過ごす在籍学級におきましても、特別支援教室で学んだことを実践しやすくなり、自信を持って、他の児童生徒とともに学習などに取り組めるようになることが期待されます。
○内山委員 ありがとうございます。発達障害のある児童生徒が、在籍する通常の学級で、自信を持って、他の児童生徒とともに学習に取り組めるようにするための人的資源を開始するとのことで、大変インクルーシブな、よい取り組みだと思います。
最後に、東京都教育施策大綱(案)についてお伺いします。
東京型教育モデルで実践をする重要な事項に教育のインクルージョンの推進が掲げられたことは、とてもすばらしいことでありますし、我が会派としては評価をしております。
しかし、実際にその該当箇所を読んでみますと、日本や東京都が進めてきた分離した環境で行う特別支援教育というこれまでの路線どおりであり、特に新しいインクルーシブな環境をつくっていこうという意図が感じられず、危惧をしております。
これまでは、文科省や特別支援教育の文脈では、一人一人の持てる力を最大限に伸ばすことや、学習活動に参加している実感や達成感を感じることができるように、多様な学びの場を用意するが重要だとしてきました。
裏を返すと、通常の学級では力を最大限に伸ばせないし、達成感も感じられないだろう、だから、やっぱり分離した特別支援教育を進めましょうということになってしまい、世界のインクルーシブな潮流とは真逆の、分離した特別支援教育が加速をしてきました。
東京都がこれまでインクルーシブな教育の調査研究や実践的研究を進めているのは、分離だけではなくて、インクルーシブな環境を推進するものだと理解をしていただけに、この文章を見て、若干、戸惑いを感じました。
また、大綱を見ると、ともに学ぶ経験が重要であり、ともに支え合い、認め合い、尊重し合う心の育成を図ると書いております。これでは、インクルーシブな社会を体現する子供たちを育成するには、一歩足りないというふうに感じております。
つまり、龍円委員の言葉をかりてお伝えをいたしますと、昔、日本は鎖国をしていた時代がありまして、ここにいる誰もがその時代は生きていないので、当時の想像になるわけですが、日本に住んでいると、ほとんど日本人であるという共通認識があった時代だと思われます。つまり、違いを知らないという状態にあったのではないかというふうに思います。それが鎖国が解かれて、海外にはいろんな人種や価値観や文化があることを日本人も知ることになりました。これがインクルーシブな社会に向けた、違いを知るという第一歩になったんだと思います。
その次に、私たちの子供時代を振り返ってみますと、今ほど海外からの人は日本に住んでいませんでしたし、昨今のような、コンビニに行ったら外国人の方がレジ打ちをしているという環境にはなかったように思います。英語で道を聞かれたらどうしようとか、どきどきする日本人が漫画等で描かれていたようにも記憶をしています。つまり、英語などの道案内などが足りていなかったということでありました。とはいえ、海外の方がいることに抵抗を感じる人はいない状態でした。この状況が違いを認め合ったということになるかと思います。
現在はというと、道の標識のみならず、ありとあらゆるものが多言語化されており、あらゆる場面において、日本語を話す日本人以外の多様な人々が暮らしていることが前提に構築された社会となってきています。
まちじゅうには海外の方がごく普通にたくさん生活をしていて、そのことに対して、誰も何も感じないような時代になってきました。今の日本は、そういう意味でいうと、ともに生きるためのインフラが整備をされておりますし、人の心の中にも、ともに生きることが当たり前のように手段として身についているインクルーシブな社会になってきていると思います。
つまり、違いを認め合うことは、インクルーシブな社会を構築する上で大切なステップでありますが、その先に、ともに生きるインフラ整備と、ともに生きる手段を知っている人がいるということがとても重要なんです。
それをインクルーシブな教育に置きかえてみますと、違いを認め合うということを目標にしているようでは物足りないというふうに感じてしまいます。
大綱には、ともに学ぶ経験が重要だと書かれていますが、時々経験したのでは、その先にはたどり着けません。日常的かつ継続的にともに学ぶことでしか、違いのある人たちとともに生きるスキルは身につかないと思います。
東京都教育委員会がこれまで実践をしてきたインクルーシブな取り組みを非常に高く評価をしておりますが、今回の大綱とのギャップに違和感を感じているのも事実であります。
この大綱での教育のインクルージョンに書かれている意図について、都教育委員会の見解を伺います。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ご指摘の箇所についてでございますが、学校生活のさまざまな場面を通じて、障害の有無も含めた多様な個性を持つ子供たちがともに過ごすことが当たり前となり、ともに学ぶことを重ねる経験が子供たちにとって重要であり、そういった経験が、子供同士お互いを理解し合い、共感と思いやりの心を育てるということを意図している部分でございます。
また、子供たちの学校生活を支える教員や学校側には、教育のインクルージョンを推進するため、病気や障害等の状況にかかわらず、全ての子供たちを受け入れていく姿勢や、さまざまな専門性が必要になることにも言及しております。
○内山委員 ありがとうございます。お互いに理解し合い、共感と思いやりの心を育てることを意図しているとのご説明が今ありました。理解し合い、共感と思いやりを育てることは重要ですが、それだけでは、ともに生きる社会を実現することができません。
どうか東京型教育モデルと掲げるからには、スペシャルニーズのある人もない人も、当たり前のようにともに生きることができるインクルーシブな社会を体現する、つまり、理解や共感のさらに先の、ともに生きるスキルを身につけてインクルーシブな社会を体現する次の世代を育てていくことを教育のインクルージョンに明記していただくよう要望させていただきたいと思います。
引き続き、都教育委員会が推進をしているインクルーシブな教育について期待をしておりますので、どうぞ大綱の最終案には、それらについて明確に示していただきますよう、心からお願い申し上げまして、私の質問を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
○栗林委員 それでは、先ほど伊藤理事が全般的に質疑をさせていただいておりますので、私の方から、一点だけ伺わせていただきます。性教育についてです。
私は、平成二十七年の第二回定例会の一般質問で、妊娠、出産に関する医学的な知識を学校で教える必要性について質問させていただきました。その際、高校の保健体育向けの副読本等を活用するなど取り組みを求めたり、また、専門家による講師派遣などを求め、何度か取り上げさせていただきました。
自分の体について正しい情報と知識が大変重要であり、正しい身の守り方も大変重要でございます。今、SNSなどで見知らぬ人と簡単につながり、性犯罪に巻き込まれる例も増加傾向にあります。児童生徒を守るためにも、しっかりとした教育の機会はより重要になってきております。
そこで、学校における性教育の今年度の取り組みと成果について伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、平成三十年度に改定した性教育の手引に掲載しております性教育の目的や意義、指導方法等について教員に周知し、指導力向上を図るため、教員対象の研修会を実施するとともに、今年度、新たに研修動画を作成いたしました。
また、平成三十年度から実施してきた産婦人科医を活用した性教育の授業について、今年度は、コロナ禍により講師の来校が難しかったことから、講話を収録した映像資料による授業を中学校十九校で実施いたしました。授業を受けた生徒からは、今後役に立つ内容だと思った、教員からは、専門家による説明は効果的であったなどの感想が寄せられました。
今後とも、児童生徒が性に関する正しい知識を身につけ、適切な行動を選択できるよう、各学校における人間尊重の精神に基づいた性教育の適切な実施を支援してまいります。
○栗林委員 ただいまの研修動画を作成されたり、また、専門家の講話を収録した映像などを大いに役立てていただきたいと思います。そして、気軽に学び合う場もどんどん展開ができるように、その辺の提供もお願いしたいと思います。
性教育と関係するところから、一定の年齢に達した女性が直面する生理という問題でございます。
今、初潮も大変低年齢化しているといわれていまして、小学校低学年で対象になる児童もいるというふうにいわれております。
三月八日は国際女性の日でございまして、毎年三月一日から三月八日までを女性の健康週間に位置づけておりまして、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が、女性の生涯にわたる健康を支援することを目指して、二〇〇五年から、この一日から八日までを女性の健康週間というふうに位置づけております。
私ども公明党も、毎年、この週間を記念して、ことしは三月二日に、#みんなの生理の谷口共同代表を講師に招きまして、生理をめぐる課題を伺ったところでございます。オンラインではございましたが、国会議員、女性都議会議員三名と、あと、若い女性も参加をしていただきまして、オンラインでそういう機会を持たせていただきました。
谷口共同代表からお話を伺って、本当に、これはもう早急に体制を整えなくてはいけないということを実感いたしまして、このオンラインの講演会が三月二日でございましたので、翌々日、三月四日には、参議院の予算委員会で公明党の佐々木さやか参議院議員がこれを取り上げさせていただきました。
世界各国で、女性の月経に関する生理の貧困という問題について動きがあります。生理の貧困は、生理用品を買うお金がない、また、利用できない環境にあることを指しています。発展途上国のみならず、格差が広がって、先進国でも問題になっています。例えばイギリスでは、二〇二〇年から、全国の小学校、中学校、高校で生理用品が無償で提供されており、フランス、ニュージーランド、また、韓国などでも同様の動きがありますということで、ぜひ日本でも取り入れるべきだということで、谷口共同代表が行ったオンラインアンケートでも、日本でも、五人に一人の若者が金銭的理由で生理用品を買うのに苦労したという結果が出ております。個別の事案としても、貧困の中で購入ができない、また、ネグレクトなどによって親から生理用品を買ってもらえない、こういう子供たちがいると聞いていますということで、これに丸川珠代男女共同参画担当大臣が答弁してくださっています。最後に、こうあります。文部科学省や厚生労働省と連携しながら、何ができるか検討していきたい、こういう答弁が三月四日にございました。
それを受けて、今度は都議会で、我が党のまつば多美子都議会議員が、三月九日の予算特別委員会で小池知事の方にこの質問をさせていただき、知事の方からも、都としても、関係する局の中で、何ができるか今後検討していきたいという答弁をいただいたところでございます。
同じ三月九日、何と豊島区では、公明党の区議会議員が区長に緊急要望しておりまして、豊島区では、防災備蓄の生理用品を至急配布できるようにやっていくということで、今だんだん準備に入っていると聞いております。
私たちも、三月十二日、先日、藤田教育長に、早急にこの要望を実現いただけるように、都議会公明党として要望させていただきました。都立高校のトイレにトイレットペーパーと同様に生理用品を備えつけるなど、無償提供についてぜひ検討していただきたいということが一点、二点目は、区市町村の教育委員会と課題認識の共有化をしていただきたい、この二点を藤田教育長にお願いしたところでございます。
先ほどちょっと取り上げていらっしゃいましたけれども、私たちもアクションプランで行動に移らせていただいております。今、困っている人に何とか手を差し伸べる対策はないか、その辺、スピード感を持って、ぜひ対応していただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございます。
○両角委員 私から何点か質問させていただきます。
本日、東京都内の新型コロナウイルス感染者の速報値が三百人ということだそうです。一週間前の数字を上回っているということで、緊急事態宣言の延長期限も、もう間もなく終わるわけでありますけれども、なかなか、下げどまっているという状況であります。
一日も早い終息をもちろん願うわけですけれども、この新型コロナウイルス感染症の拡大というのは、社会のあらゆる分野に大きな影響を与えております。私たちの生活も大きな影響を受けている。
そういった中で、例えば、新型コロナ感染症の拡大をきっかけとして、なかなか今まで進まなかったリモートワークが劇的に進んだというような面もありますけれども、しかし、一方で、例えば大学生、私のところに来ている大学生、昨年、一年生になった大学生というのは、話を聞いてみると、入試のときにその大学に行った、八王子の大学なんですけれども。その後、入学式はなかった、授業も一回もない、一年間、一回もその大学に行っていない、だから、クラスメートにどういう子がいるのか、直接会ったことはない、授業は全部ズームだと。
そんな状況で、大学生も大変大きな影響が出ているということでありますが、教育現場につきましては、昨年、一回目の緊急事態宣言を受けて、一斉休校措置というのがとられました。その結果、教育現場にはかなり大きな影響があったというふうに考えます。
そこでまず、コロナ禍における−−コロナが日本国内で感染例が確認をされてから、もう一年以上がたつわけでありますけれども、そうした中で、学校の現場では、特に学習面、学校行事面、部活動面でどのような影響があったんだろうということをまず確認したいと思いますが、今回は都立高校について伺わせていただきたいと思います。
そこでまず、学校行事について確認をしたいと思うんですね。学校行事というと、修学旅行があったり、校外学習があったりということだと思うんですが、昨年の緊急事態宣言以降の都立高校における学校行事について、取り組み方針とその実情を伺いたいと思います。
○増田指導部長 都教育委員会は、昨年五月の緊急事態宣言解除に伴う学校の再開に当たりまして、新型コロナウイルス感染症対策と学校運営に関するガイドラインを策定し、各学校における感染症対策を講じた上での教育活動の実施方針を示したところでございます。
各学校では、このガイドラインに基づき、十二月までに実施を予定していた文化祭や体育祭などの全校規模で行う行事、また、修学旅行や遠足などの行事は、令和三年一月以降に延期または中止することといたしました。
こうした方針を踏まえながら、都立高校の中には、例えば、体育祭を工夫して学年単位で行ったり、文化祭をオンラインを活用して行ったりする学校もございました。
修学旅行等の行事を令和三年一月以降に延期して実施する予定だった学校は、感染状況等を見きわめつつ、感染症対策を徹底し、生徒の安全を十分に確保するなど、実施に向けた準備を進めておりましたが、一月に再度発令された緊急事態宣言を受け、中止することといたしました。
○両角委員 今ご答弁いただきましたけれども、学校行事というのは、集団でみんなで力を合わせて何かをしたり、あるいは、学校内では行えないことを別の場所に行って学ぶという貴重な経験だと思いますけれども、今のお話ですと、工夫をして体育祭等もやっていたりするけれども、特に修学旅行については、いただいた資料を拝見しますと、二百二十の都立高校のうち二百十校が中止をしているということでありますから、先ほどの大学生の例でもありませんが、都立高校においても、貴重なこういう機会がコロナによって失われているという実態を確認ができたということでございます。
それでは、学習面はどうなのかなというふうに感じるわけでございまして、そこで、次に、昨年の緊急事態宣言以降の都立高校における学習についての取り組みの方針と実情を伺いたいと思います。
○増田指導部長 昨年四月の臨時休業中に、各学校は、教科書に基づいて作成した教材やオンラインを活用した教材を準備し、生徒に家庭学習を行うように指示いたしました。
六月の学校再開に当たっては、校内における感染症対策を講じた上で、時差通学と分散登校により、対面での学習とオンラインによる学習を交互に実施するなどしてまいりました。
また、都教育委員会が策定したガイドラインに基づき、授業日数を確保できるよう、長期休業日を縮減することとし、年間指導計画を見直したところでございます。
七月以降は、分散登校を解除し、本格的な教育活動を段階的に再開いたしましたが、本年一月の緊急事態宣言の再発令後は再び分散登校を行うとともに、飛沫感染の高い活動は控えることとしております。
一年間にわたるこうした取り組みにより、各学校とも、学習指導要領に示された内容のほぼ全ての指導は終了しております。
○両角委員 今ご答弁いただきましたけれども、段階によっていろんな工夫をされてきたということでありまして、そして、結果として、長期休業を縮減したりして、学習指導要領に示された内容については、ほぼ満たすことができたということで、学習面については、ある面、問題がそれほどないんだというような確認をここでさせていただきます。
引き続いて、もう一本の学校の柱といえば柱ですね、部活動です。
部活動については、生徒によっては部活動が大変生きがいであるという、そのために学校を選んで、こういう部活動をやりたいんだという子供も当然いるわけでございます。
そして、実は、私が朝、駅でちょっと活動をしているときに、ある方が私のところに来ました。都立高校の先生だとおっしゃっていました。実は、部活動について、大変やりたくて、学校を選んで、部活動のために来ている子もいるのに、何で都教委は部活動を一律にコロナで中止をしてしまうんだと、そんなお話だったんですね。
部活動については、その先生がおっしゃるには、例えばサッカーは屋外で行うものであって、感染のリスクは低いのではないか、一律に対応するのはおかしいのではないかというようなお話をされていました。
そこでちょっと確認をしたいんですが、今年度の都立高校における部活動の実施については、コロナ禍のために一律に中止をした時期もあったというふうに伺っておりますが、それぞれの部活動の特性に応じた対応が必要ではないかと思いますけれども、都教委の取り組みについて伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、昨年の学校再開時に策定したガイドラインの中で、部活動について、それぞれの特性に応じた感染症対策を講じる必要があることや、各競技団体が作成した活動再開に向けたガイドライン等を参考にするよう周知してまいりました。
また、ことし一月の緊急事態宣言再発令時において、感染症拡大防止のために部活動を中止した際には、放課後等に自宅にいる生徒に対して、各学校がオンラインや書面等により、個人練習の方法や内容等について指導する体制を整備するよう周知などをしてまいりました。
○両角委員 部活動については、ガイドラインで示したということであります。時期によって、昨年の一斉休校の後に段階的に学校の対応をしていって、その後、六月十五日からことし一月に発出をされた二回目の緊急事態宣言までは通常の部活動ができていた時期。気をつけてくださいねという中で、いろいろな安全策をとるということを前提に通常の部活動ができていた。
また、一月四日以降、緊急事態宣言が発出をされて、部活動は原則禁止となっているということで確認をしておりますが、そうした中で、オンライン等による個人練習の体制の周知等々もされているということで、都教委としては適切な対応を学校に対してなされているんだなとは思うんですが、実際に学校現場の対応がどうなっているかというのがちょっと不明なんですね。なので、私のところに通りがかってお話をされてきた方もいらっしゃるのかなと。
先ほど来、大学生のお話もしました。学生生活というのは、四年とか三年とか限られています。特に高校生活については、受験があったりして、部活動については、実際にできる期間というのは相当短いわけですね。二年生までとか、それで引退とか、そういうことになるわけですね。大会が終わって引退と。
そうした中で、丸々−−今後もこのコロナの状況がどうなるかわかりません。こうした中で、当然、安全を第一に考えていくべきだとは思いますが、一方で、限られた学生生活の中で、部活動を本当にやりたい子供の気持ちに沿って、できるだけ状況に応じて対応していくという姿勢も必要じゃないかなというふうに思うわけです。
そこで、現在も緊急事態宣言の発令が続いているということではありますが、今現在、部活動の実施がどのようになっているのか確認をさせていただきたいと思いますし、また、今後、都教委は、部活動の再開に向けてどのように取り組んでいくのかという見解を伺いたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 三月に緊急事態宣言が再延長された際には、感染拡大防止を引き続き徹底するため、部活動の中止を継続する一方で、大会等への参加を希望する部活動につきましては、健康観察や感染症対策を徹底しながら、大会の十四日前からの活動と大会への参加ができることといたしました。
今後とも、都内の感染状況を鑑みながら、各学校が感染症対策を講じるとともに、部活動の充実を図ることができるよう、都立高校等に対して、部活動の特性や生徒の体力、技能の状況に応じた段階的な活動方法等について周知するなど、各学校の取り組みを支援してまいります。
○両角委員 今お話をいただいたように、ご答弁をいただきましたが、部活動の特性に応じて段階的に対応していくという方針を学校に示し、支援をしていっていただけるということであります。まあ、そういうことなんですね。
そのとおりだと思うんですけれども、実際の学校現場の対応というのは、部活動の指導員であったり、顧問の先生であったり、あるいは学校長の方針というのがあるということだと思います。なので、実際、そういう方針を受けて、どこまでどういうふうに対応しているかということは、今、はっきりわからないわけでございます。
そうした中で、今、直接行って話を聞くというのも難しいと思いますが、幾つか抽出をして、ぜひ学校現場でどういうふうな対応をしているのかとかいう実態把握をしっかりしてほしいと思いますし、生徒の声も捉えてほしいんですね。
ツイッターに、地元の都立高校の吹奏楽部の子が、もう部活動ができない、かくなる上は大人に相談しようか、大人って誰よと思ったら、都議会議員かなと。そんなことで取り上げていることもあるんですが、そういう気持ちを生徒さんも持っているわけですから、ぜひ−−ガイドラインなり、方針は、まさにそのとおりだと思います。その実態を、現場が今どうなっているかということを把握していただきたいということを要望したいと思います。
次に、学力調査について伺います。
全国の学力調査はやっていますし、東京都では、東京都の独自の学力調査を実施している。私がいえばテストですけれども、学力調査、学習指導要領の定着度を確認するということが大義名分なんだろうなと、こんなふうに思います。
都の調査については、小学校五年生と中学校二年生が悉皆、全員受けるということですし、国の方の調査は、翌年、小学校六年生と中学校三年生と。その他に、区市町村で独自にやっているところもあるというふうに聞いておりますので、児童生徒は結構大変だなというのが率直なところなんですが、しかしながら、そういうデータをしっかり生かして、それを教育の改善、あるいは教育内容の定着度をさらに定着していくように生かしていくということは非常に重要なことだと思います。
この学力調査に係る予算でありますけれども、東京都の学力調査は、年間、大体二千七、八百万円ぐらいの予算を使って学力調査を実施しているわけであります。
そこでまず、国と都は、それぞれ、今現在、学力調査を実施しているわけでございますが、都の学力調査の成果と課題をどのように考えているか、伺いたいと思います。
○増田指導部長 都教育委員会は、児童生徒の基礎学力の定着を確かなものとするため、国の学力調査に先駆けて、都内公立学校の全ての小学校五年生を対象に、国語、社会、算数、理科について、中学校二年生を対象に、国語、社会、数学、理科、英語について独自の学力調査を行ってまいりました。
この調査を通して学力の定着状況を把握し、区市町村教育委員会と連携して各学校の授業改善を促進し、児童生徒に基礎的、基本的な知識、技能の定着や伸長を図ってまいりました。
一方、新学習指導要領で求められる学びの意欲や学び方など、主体的に学習に取り組む態度については十分に把握できていないことなどが課題と捉えております。
○両角委員 ご答弁ありがとうございます。各学校の授業改善を促進してきたということですし、一方で、学ぶ意欲等が十分把握されていないという課題があるというご答弁でございました。
そこで、今般、令和三年度の予算で額が随分上がって、四千七百万以上の予算要求、予算案で出てきている。
令和三年度からの東京都学力調査でありますが、令和三年度から、都の学力調査を大幅に見直すというふうに伺っておりますが、その見直しの経緯と今後の方向性について伺います。
○増田指導部長 都教育委員会は、有識者等による検討委員会において、学力向上施策について検討を重ねてまいりました。
委員会では、都の学力調査を、新学習指導要領で育成を目指す、学んだことを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力などの新たな視点から実施すべきとの方向性が示されました。
このことを踏まえ、令和三年度からは、都の学力調査を、教科の知識等を重点的に問う内容から、学習への興味、関心や学び方など、児童生徒の意識や実態をより的確に把握できる内容に変更して実施することといたしました。
○両角委員 児童生徒の意識や実態をより的確に把握する内容に変更したいということなんですが、具体的な新たな学力調査の実施方法についてお伺いしたいと思います。
○増田指導部長 令和三年度以降に実施する新たな独自の学力調査は、対象学年を小学校四年生から中学校三年生までに拡大し、アンケート形式の調査とし、ウエブシステムで実施いたします。
○両角委員 新たな調査は、対象の学年を拡大すると同時に、アンケートという形になるということで、都の調査については、要はテストではないということになるということで、私が小学生や中学生だったら、うれしいなということなわけでありますが、学力調査自体は、学習指導要領に示された学力の定着度を把握して、今後の学習指導に役立てることにこそ意義があるわけでございます。
そこで、調査結果を受けた後の学力定着に向けた都教委の役割というのはどういう役割なのかということを確認したいと思います。
○増田指導部長 都教育委員会は、義務教育の質的な向上に向けて、児童生徒の基礎的、基本的な知識、技能の定着を図るための基盤を整備するとともに、区市町村教育委員会に対し、児童生徒の学力向上への適切な支援を行う役割を担っていると認識しております。
そのため、都独自の新たな学力調査を確実に実施するとともに、都の調査だけではなく、国の学力調査もあわせて活用し、児童生徒の学力の定着状況や教員が取り組むべき課題を具体的に示して、区市町村教育委員会と連携し、小学校と中学校における授業改善を推進してまいります。
○両角委員 都教委の役割としては、基本的な知識、技能の定着を図るための基盤整備ということですから、都全体の中で、しっかりデータを整理したりということもあるんでしょうし、その上で区市町村教育委員会に対して支援を行うということで、実際の主体は、区市町村教育委員会が、そういったデータに基づいて、例えば自分の小中学校で足らざるところをさらに工夫をして引き上げるとか、そういうことを東京都がバックアップするというふうに理解をさせていただきます。
以前に、私は、この学力調査について質問をしたことがありました。そのときは、結果が出る、その結果を受けて、例えば、学力の定着度が著しく低いという学校が多数ある自治体が、じゃ、その改善のために何らかの措置をとろうと。区や市独自に放課後の授業を行うとか、そういったことに対して、東京都が人的な、例えばそこと連動したような形で職員を加配したりできないですかという話を質問でしたことがありますけれども、それは難しいですよという回答が当時ありました。
私は、この調査をして、学力調査の結果と連動した支援策というのを考えていくのが本来はいいんだろうなと。例えば、学力調査のために区市町村が使えるような、ある程度のお金、例えば、わからないですよ、二千万とか三千万を用意しておいて、それは一定である。特に学力の定着が低かったところが手を挙げて、どうしても何かをやりたいというときに、そこのお金を使える。そして、そこが上がってきたら、ほかのところが、学力がまた定着が難しいところが使うとか、そういう基金的なものがあればいいなというようなアイデアも持っているわけであります。
区市町村教育委員会に対し、学力調査の結果と連動した支援策を講じるべきだというふうに考えます。都教委の見解を伺います。
○増田指導部長 都教育委員会は、令和三年度から三年間、小中学校各十校を授業改善推進拠点校として指定した上で、区市町村教育委員会と連携し、各拠点校における都や国の学力調査結果等を活用した組織的な授業改善に向けた研究を支援してまいります。
また、その成果につきまして、報告書や研究発表会等を通して、都内全ての公立小中学校等に普及を図ってまいります。
○両角委員 新年度からは小中十校ということでありますが、授業改善推進拠点校というものを新たに指定するというご答弁がございました。これは、前進というか、まさに連動した取り組みの一つの例ということで評価をさせていただきたいと思います。
やはりその結果を踏まえて、そこの改善に、ある程度、その状況に応じて対応していくというようなことを、こういった取り組みも含めて力を入れていっていただきたい、そのように要望させていただきたいと思います。
次に、TOKYO GLOBAL GATEWAYの今後の展開と多摩地区での運営ということで伺わせていただきたいと思います。
まず、先日、私もちょっと拝見、視察をさせていただきました。遅まきながら、青海のTOKYO GLOBAL GATEWAYですね。コロナ禍でありましたけれども、生徒さんが来ていて、実際、外国人のスタッフというんですかね、クルーというんですか、対応して、実際の買い物の現場なんかをやったり、何人かでディスカッションというか、話をしていたりして、みんな非常に楽しそうでした。
施設自体も、いろいろな可能性がこれからもあるんじゃないかなというような、大変すばらしい施設だなというふうに感じたわけでございますが、まず、平成三十年九月にTOKYO GLOBAL GATEWAYの青海の施設は開設をしたわけでございますが、開設以来、どのような評価をされているのか、そして、課題はどのようなものがあると認識しているのか、伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 TOKYO GLOBAL GATEWAY、TGGについては、利用した児童生徒の九割以上が、とても楽しかった、または楽しかったと答えております。
また、TGGでの体験が事後の英語学習の刺激になったかという質問に対し、約九割が、とても思う、思うと回答しています。
加えて、TGGの利用後、児童生徒に何らかの変容が見られたかという質問に対し、約九割の教員が変容が見られたと回答しているなど、高い評価を受けております。
一方で、多摩地域からは、移動に時間を要するため、利便性を高めてほしいとの声があり、より多くの児童生徒が身近で利用しやすい環境を整備することが求められております。
また、整備、運営は、都による財政支援のもと、民間事業者が事業主体として独立採算により行っており、低廉な利用料金と事業としての採算性との両立を図ることが必要であります。
○両角委員 ご答弁いただきましたが、参加した児童生徒も、大変楽しかったという回答があり、先生からも、これはいい影響があるというような評価ということで、楽しいということは非常に重要だろうなと。特にこの施設の目的が、英語の取っかかりをつくるというか、興味を持ってもらうという趣旨も大きいというふうに考えると、これは大きな部分で成功しているんだろうなと、そんなふうに感じます。
一方で、多摩地区の話が出ました。新たにここで多摩に設置をしていただけるということで、多摩地区の地元の議員としては大変ありがたいなというふうに感じるところでもございます。
そうした中で、我が会派の代表質問でも、多摩地域ならではの施設整備をというようなご要望もさせていただいたところでございますが、このTOKYO GLOBAL GATEWAY多摩の設置場所ですね。今、多摩の二十六市含めて、町村も含めて、自分のところに設置してくれるといいなと熱い視線を送っていると思うんですけれども、設置場所選定の基本的な考え方を伺いたいと思います。
今月中には事業施設の選定を終えると伺っておりますが、具体的にはどのような検討を行うのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 多摩地域での整備に向けた検討会においては、区市町村教育委員会や多摩地域の公立学校に対する多角的な意向調査やヒアリング、有識者等による検討委員会での議論等を踏まえ、令和三年二月に整備方針を策定し、公表いたしました。
当該方針に基づきまして、有識者や学校関係者を含みます施設選定委員会を設置し、多摩地域のより多くの児童生徒のアクセスのしやすさ、公共交通機関での来場の容易さ、施設の安全性、多様なプログラムの可能性等の観点から選定を行い、令和三年三月中に決定をする予定でございます。
○両角委員 既に多摩地域の公立学校に対する意向調査やヒアリング等もしている、有識者による検討委員会で議論をしている、その上で選定委員会を設置して、今まさに選定の最中なのかなと理解しますが、四つの視点、アクセスであったり、安全性であったりということで、そういった視点で選定中であるというふうに伺いましたので、しっかりこういった視点を満たすところで場所が決まっていけば、それは納得性が高いのかなと、そんなふうに理解をいたします。
青海の施設を見学させていただいたときに思ったのですが、施設自体もかなり、いろんな体験ができてすばらしいなということと、魅力は何といっても、外国人のネーティブのスタッフが大勢いて直接話ができるということであろうと思います。そういう点が非常にすばらしいわけでございます。
かなりお金もかかっているわけではございますが、青海のTOKYO GLOBAL GATEWAYについては、英語を話すきっかけをつくるという趣旨であると思います。多摩地区での展開に当たっても、こういった観点の施設になろうとは思うんですが、一方で、それだけ外国人のスタッフを擁しているという施設でございますから、きっかけづくりだけだと、ちょっともったいないような気もいたします。
将来的には、例えばそこで、英語に非常に興味を持ってくれた児童や生徒が、もう少し一週間とか、集中的に話したり、聞いたりというのをネーティブとしたいなということに対応ができるようなプログラム展開というのも期待をするわけでありますが、青海での運営実績を踏まえての多摩での新たな取り組みについて伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 多摩地域での体験型英語学習施設につきましては、多摩地域の学校等への意向調査において、TGGと同様のプログラムを期待する声が多く寄せられております。
このことから、TGGの特徴であります、学校の教室とは異なる空間の中で、外国人スタッフと体験的な活動を通し、英語を使う楽しさや必要性を体感できるプログラムを提供してまいります。
加えて、自然や地域資源等の活用など多摩地域の特色を生かした内容や、複数日にわたるコース、より発展的な内容を扱う活動など、多様なニーズに対応するプログラムの実現に向けた検討も行ってまいります。
これらを踏まえまして、来年度、具体的なプログラムの条件や、整備、運営事業者に求める要件等を定めた募集要項を公表し、企画提案方式により事業者を公募、選定してまいります。
○両角委員 基本的には青海の内容を踏襲するということでしょうか。多様なニーズにも応えられるように検討していきたいということですので、ぜひそういう検討も進めていただきたいということを要望させていただきたいと思います。
最後の項目として、都における小中高一貫教育の展開についてということで伺います。
(資料を示す)立派なパンフレットができてございます。これは、全国初、公立小中高一貫教育、東京都立小中高一貫教育校、令和四年四月、東京都立川市に開校とあるわけでございます。
全国初の公立の小中高一貫校がいよいよ来年開校されると。東京都が小学校の設置、運営をするということでございまして、これは全国的に大変な注目を受けるんじゃないかなと、こんなふうに考えるわけでございます。
それで、いろんなステップを踏んで、ここまでこぎつけてきたのではないかなと思うのですが、そもそもの源流はどこにあったのかということで確認をしたいのですけれども、都立の小中高一貫校について、そもそも、都立の小中高一貫校をやるんだという政策アイデアは、いつ、どこから、どのような経緯で出てきたものなのか、伺いたいと思います。
○藤井教育改革推進担当部長 都教育委員会は、平成二十四年二月に策定した都立高校改革推進計画において、今後十年間を計画期間とする長期計画を定め、具体的な目標の一つとしてグローバル人材の育成を掲げました。
推進計画策定後、具体的な施策立案を進める中、平成二十五年二月、第一回都議会定例会において、都として本事業の検討を開始することを示し、都教育委員会において具体的な検討を開始いたしました。
その後、都教育委員会は、平成二十七年十一月に、都立小中高一貫教育校の設置に関する検討結果をまとめ、平成二十八年二月、都立高校改革新実施計画において、小中高一貫教育校の設置年度や設置場所について公表いたしました。
○両角委員 この質問をするに当たって、所管の課長さんに、この政策アイデアというのはどこから出たのですかというふうに伺ったわけでございます。
今ご答弁いただいたように、いろいろステップを踏まれているということなんですが、基本的には、平成二十五年二月、だから、二〇一三年の都議会の第一定例会において、知事の所信表明においてこれをやっていくということを表明したということであります。
その上で、要は、有識者を含めた検討結果というのを公表して、今、令和四年の開校に向けた準備がまず直前まで来ているということで、何でこういうことを伺ったかというと、この後、質問をさせていただくわけでありますけれども、そもそも、東京都があえて都立の小学校を一貫教育として乗り出してやっていくという意義が、例えば時の知事が−−これは猪瀬さんですね、時の知事。猪瀬さんがぽんといって、何となくそれが根っこが残っていて、惰性で動いて今やっているというのであってはいけないな、そんなふうに思いました。
やはり、これは今必要だからやるんだというような強い意義に対して、私は納得させていただきたいという思いがあって、まず、この政策アイデアはどこに源流があるのかということを聞いたわけでございます。
はっきりとしたところは、要は、内部から職員レベルでたたいて出ていったのか、それとも、時のトップのトップダウンなのか−−トップダウンで悪いというわけではありません−−それは不明でありますけれども、しかしながら、今、東京都が都立の小中高一貫教育を進める意義というのを、しっかりと他に対して説明ができなくてはいけない、このように思います。
そこで、今、東京都がこのタイミングで小中高一貫校を開設し、小学校教育を行う意義を伺います。
○藤井教育改革推進担当部長 世界の人々と協働し、社会に貢献できる人材の育成や、小中高それぞれの校種間の接続に伴う課題の解決が求められており、そこで都教育委員会は、附属小学校を設置し、一貫教育の仕組みを生かした教育実践や、東京都の教育課題の改善を図る先導的、実践的な研究を行うことといたしました。
また、都が直接、小学校教育にかかわることで、義務教育の認識が一層深まり、区市町村立学校とのより強固な連携を構築することが可能となり、得られた知見や成果等を都内区市町村とともに共有して施策に生かすこと等を通して、東京都の教育全体の質の向上につなげることができると考えております。
○両角委員 この小中高一貫校については、三十五人学級二クラスで七十人ですよ。今、施設の整備が進められている最中で、来年の四月に向けて、多分、急ピッチでやられているんでしょう。これを見ると、絵ですけれども、立派な校舎ができると。施設だけでも何十億ですよね。対象は、都内の小学生がどれだけいるのかわからないですけれども、ごくごく一握りですよね。
先ほど内山委員から、中等教育学校について、成果の還元こそが重要だという話がありました。これだけ一部の小学生や保護者に、ある面、メリットを与えるものですよね。そこでの教育実践とか知見というものを、まさに今いった意義を、本当に還元したり、実現したりというところが弱いと、やっぱり何をやっているのかというふうにいわれちゃうと私は思います。
そういった意味で、今ご回答をいただいた、ご答弁をいただいたこの意義、先導的な研究を行って、知見や成果を区市町村とともに共有して新しい教育施策に生かすんだということ、そこをしっかりと強く意識して、この学校の準備に当たっていただきたい、こんなふうに思うわけでございます。
そこで、今お話しをしていただいた意義や、東京都の小中高一貫教育の理念や趣旨を実現するためには、何といっても教育はマンパワーでありますから、人ですよね、先生。人材の確保と体制が重要である、こんなふうに考えます。
来年の小中高一貫校開校に向けた人材の確保と学校運営体制、そして、準備状況について確認したいと思います。
○藤井教育改革推進担当部長 小中高一貫教育校の教育理念実現には、幅広い年齢層の児童生徒に対して発達段階に応じた指導を行うことに鑑み、校種の異なる教員と互いに理解を深め、高め合おうとする意欲や責任感、協調性に加え、教育研究に対して熱意のある教員が求められております。
今年度は、立川国際中等教育学校内に小中高一貫教育校開設準備室を設置し、校長、副校長及び教員二名を配置しており、さらに、来年度は教員二名を増員し、開校に向けた準備を進めてまいります。
今後とも、本校にふさわしい人材の確保のため、東京都の全ての教員に、小中高一貫教育の理念や求める人材像について広く周知するとともに、特色ある教育課程実現のための効果的な方策や、順次拡大していく人員及び組織体制のあり方について、引き続き検討を重ねていくなど、着実に準備を進めてまいります。
○両角委員 ありがとうございます。熱意という言葉がありました。まさに熱意のある先生に集まってもらわなきゃだめなんですよ。
それで、今もう準備体制で、初年度の準備を今、進められているということですから、そこでディスカッションをしたり、教育庁とやりとりをしたりして、まさに新しい学校をつくり上げていくという準備が進められているというふうに思いますけれども、広く東京都の全ての教員にというお話がございましたが、まさに広く、こういうのがあるんですよ、我こそはという人を今後募っていってほしいなと、そんなふうに思います。
そこで、この小中高一貫校については、もう一年後ということでありまして、教育界だけじゃなくて、いろんな面で注目を非常に集めるのではないか。全国初でもありますから、そのように思います。
そして、掲げる開校趣旨を実現するために、今後の都の小中高一貫教育の展開というのはどうあるべきかということが問われるということで、教育長の決意を伺いたいと思います。
○藤田教育長 都立小中高一貫教育校は、人材育成に加え、先導的研究校としての役割も担い、現代的な教育課題の解決や、先進的な教育実践の研究を行ってまいります。
また、小学校設置を契機に、区市町村教育委員会との連携をさらに強固にし、本校で得られた知見や成果を発信するなど、広く区市町村にも還元をしてまいります。
この取り組みは、全国でも例のない取り組みでありまして、我々にとっても大きな挑戦となります。
都教育委員会は、学校が使命を確実に果たせるよう、全ての力を結集して開校に向けた準備を着実に行うとともに、開校後も、子供たち一人一人の力を伸ばしていくさまざまなチャレンジを継続し、よりよい教育の実現に努めてまいります。
今後も、さまざまな施策を通して、多様な人々がともに生きる社会の実現に寄与することのできる子供たちを育て、広く都民の期待に応えてまいります。
○両角委員 局長から決意を伺わせていただきました。まさにチャレンジという言葉がありましたけれども、全国初の試みであり、全国が注目をする大変大きなチャレンジであると思います。
何年後かに各方面から、東京都のこの取り組みというのはすばらしかったなといってもらえるように、教育長を筆頭として、皆さんの肩にかかっておりますので、皆さんにはぜひ頑張っていただきたい。期待をして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○河野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河野委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時二十分散会
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