文教委員会速記録第二十一号

令和二年十一月十二日(木曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長河野ゆりえ君
副委員長田の上いくこ君
副委員長早坂 義弘君
理事とや英津子君
理事谷村 孝彦君
理事平  慶翔君
内山 真吾君
龍円あいり君
林あきひろ君
斉藤まりこ君
伊藤こういち君
大場やすのぶ君
両角みのる君

欠席委員 一名

出席説明員
生活文化局局長野間 達也君
次長土岐 勝広君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務根本 浩志君
広報広聴部長久故 雅幸君
都民生活部長馬神 祥子君
消費生活部長吉村 幸子君
私学部長濱田 良廣君
文化振興部長古屋 留美君
都政情報担当部長稲葉  薫君
都民活躍支援担当部長櫻井 幸枝君
男女平等参画担当部長赤羽 朋子君
魅力発信プロジェクト担当部長川崎  卓君
文化総合調整担当部長片岡 容子君
文化施設改革担当部長工藤 穣治君
教育庁教育長藤田 裕司君
次長松川 桂子君
教育監宇田  剛君
技監矢内真理子君
総務部長安部 典子君
都立学校教育部長谷 理恵子君
地域教育支援部長田中 宏治君
指導部長増田 正弘君
人事部長浅野 直樹君
福利厚生部長小菅 政治君
企画調整担当部長岩野 恵子君
教育改革推進担当部長藤井 大輔君
特別支援教育推進担当部長高木 敦子君

本日の会議に付した事件
教育庁関係
事務事業について(質疑)
生活文化局関係
事務事業について(質疑)

○河野委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁及び生活文化局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 過日に引き続き、本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 本日は、大きく六つのテーマについて質問をいたします。
 まず、義務教育段階において、学校に通っていない児童生徒の居場所について伺います。
 年間三十日以上欠席している長期欠席の児童はどのくらいいるのか、伺います。

○増田指導部長 文部科学省の調査によりますと、令和元年度に都内公立小中学校、義務教育学校、中等教育学校前期課程に在籍する児童生徒のうち、三十日以上欠席した長期欠席の児童生徒の人数は、小学生が八千九百七十五人、中学生が一万三千四百四十三人、合計二万二千四百十八人でございました。

○早坂委員 長期欠席者は、小学校、中学校を合わせて二万二千人とのご答弁でありました。
 長期欠席と聞くと、不登校のことと思われる方が多いかもしれませんが、文部科学省では、長期欠席者を四つのカテゴリーに分類しています。学校になじめない、いわゆる不登校は四つのうちの一つで、それ以外に、病気、経済的理由、そのほかという分類があります。
 まず、不登校とは、年間三十日以上欠席した児童生徒で、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因や背景により登校しない、あるいは、したくてもできない状況にある者を指します。年間三十日ということは、月に三日の欠席でも、それが十カ月続けば不登校という扱いになります。
 二つ目の病気は、言葉のとおりで説明しなくてもわかります。
 三つ目の経済的理由とは、家庭の所得が低く、児童生徒が昼間働きに出るため、学校に来られないという状態を指します。こうした状況は終戦後の名残で、今日では、生活保護制度が充実しているため、経済的理由による長期欠席者はいません。
 四つ目のそのほかが、実は、本日、取り上げたいテーマであります。病気、経済的理由、不登校のいずれにも該当しない理由により長期欠席している児童が該当いたします。アメリカンスクール、インターナショナルスクール、フリースクール、オルタナティブスクールと呼ばれるところに通っているお子さんがこの範疇に入ります。
 しかし、例えばアメリカンスクールに毎日通っている児童生徒であっても、文部科学省の定義では長期欠席者の扱いになるのはなぜでしょうか。

○増田指導部長 学校教育法第十七条において、保護者は、満六歳から十五歳までの子供を小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程または特別支援学校の小学部及び中学部に就学させる義務を負うことが規定されております。
 したがいまして、保護者がこの規定に示された学校に通わせず、それ以外の教育施設に毎日通わせている場合は長期欠席の扱いとなります。

○早坂委員 アメリカンスクールもフリースクールも学校教育法に定められた学校ではないため、仮にそこに毎日通っていても、義務教育をこなしたとはいえないということでありました。
 では、そうした児童生徒は、義務教育を受けていないことになるので、小学校、中学校を卒業したことにはならないのでしょうか。
 児童生徒を卒業させるかさせないかの判断は誰が行うのか、伺います。

○増田指導部長 学校教育法施行規則では、小中学校において児童生徒の卒業を認めるに当たっては、児童生徒の平素の成績を評価して決定されること、また、校長は、小中学校の全課程を修了したと認めた者には、それぞれ卒業証書を授与しなければならないことが定められております。

○早坂委員 では、児童生徒を義務教育に通わせないことに対する保護者へのペナルティーはあるのでしょうか。

○増田指導部長 学校教育法では、保護者が、居住地のある自治体の教育委員会から子供を小学校や中学校等の義務教育段階の学校に就学させるよう督促を受けてもなお、その義務を果たさない場合には、十万円以下の罰金に処すると規定されております。

○早坂委員 ご答弁を伺い、義務教育における本音と建前があるように思いました。一つは罰金、一つは卒業であります。
 教育関係者に伺うと、児童生徒を義務教育に通わせない保護者に対して罰金を科したことなど、一度も聞いたことがないということであります。また、仮に病気で全く登校していなくても、小学校や中学校で留年させるということは、現実には皆無だとのことであります。
 卒業させるかどうかの判断の基準は、何が児童生徒の人生にとってプラスであるかということにあります。小学校あるいは中学校で留年という事態は、その児童生徒の人生にとって相当なダメージがあると思われるので、そうした運用がなされているのだと思います。
 私が今回の質疑に当たっていろいろ調べたところ、いわゆる不登校でフリースクールに通い、したがって、本来、籍のある義務教育校に通っていない児童生徒に関しては、義務教育の学校側と児童生徒、そして保護者が定期的に連絡をとり合い、毎日、どんなことをして過ごしているのかを確認し、そうした上で学校長が卒業の判断をしているようであります。
 さて、先ほど、都内の義務教育段階における長期欠席者は二万二千人と伺いました。
 その中で、いわゆる不登校は何人で、不登校の児童生徒を受け入れているフリースクールは何校あって、そこに何人通っているのか、伺います。

○増田指導部長 文部科学省の調査によりますと、昨年度の不登校児童生徒の人数は、小学生が五千二百十七人、中学生が一万八百五十一人でございました。
 そのうち、フリースクール等で一度でも相談等を受けた児童生徒の人数は、小学生が二百六十四人、中学生が四百九十四人であり、不登校児童生徒全体に対する割合は、小学生が五・一%、中学生が四・六%でございました。
 また、都教育委員会が毎年度独自に実施している調査において、昨年度初めて設定した項目における調査結果によると、昨年十一月三十日現在、都内公立学校に在籍している不登校の小学生が通っている都内外のフリースクール等を含む民間施設、団体は百七カ所、同じく中学生が通っているフリースクール等を含む民間施設、団体は百三十二カ所でございました。

○早坂委員 不登校児童生徒のうち、フリースクールに一日でも通った人は、児童は五・一%、不登校生徒は四・六%というご答弁でありました。要するに、ほんのわずかだということであります。
 しかし、わずかな数でも、そこに救いを見出している児童生徒がいるならば、その存在価値はとても大きいものだと思います。
 私が事前にヒアリングした関係者の一致した意見では、教育委員会が把握していない施設がこれ以外にも相当数あるだろうというものでありました。実は、ここに問題が潜んでいます。
 フリースクールは、公が運営しているのではなく、つまり民間の経営によるものです。したがって、都庁での所管は、公立学校所管の教育庁ではありません。
 では、私学の所管である生活文化局かというと、フリースクールは、学校教育法一条に定められた学校ではなく、株式会社やNPOなどが運営しているところもあります。
 では、株式会社なら産業労働局の所管かというと、それはやはり教育だろうということで教育庁に戻ってくる。
 かように、所管の谷間にすぽっと落ちた、しかしながら、現実には、そこに一定数の児童生徒が通っている状況にあるのであります。
 ところで、福祉保健局が所管する保育所には、国基準の認可保育所、東京都基準の認証保育所、どちらにも当てはまらない無認可保育所の三つがあります。
 三番目の無認可保育所は、無認可だからご自由にというわけではなく、六人以上の施設に対して届け出を求め、保育環境の安全性や保育内容に関して、東京都が改善指導や立入調査などを行えるようになっています。
 そして、もしそれらに従わない場合、都知事には、事業停止もしくは施設封鎖を命じることができるという大変強い権限が付与されています。
 では、フリースクールはどうでしょうか。不登校児童生徒の居場所づくりという、やむにやまれぬ気持ちでスタートした施設が多く、それゆえ、もしかしたら施設側に義務教育校や行政への不信感というスタンスが根底にあるかもしれないと想像します。もしそうなら、フリースクールの実態把握や協力関係の構築には骨が折れるということになります。
 東京都は、フリースクールの実態把握や協力関係の構築にどのようなことをしているのでしょうか。

○増田指導部長 都教育委員会は、先ほど申し上げた、昨年度初めて設定した項目における調査の結果から、都内公立小中学校の不登校児童生徒が通っているフリースクール等を含む民間施設、団体の名称を把握しており、それらの民間施設、団体の活動内容についても、可能な範囲でホームページ等により確認しております。
 また、フリースクール等との連携の推進につきましては、平成二十八年度から三年間にわたり実施してきたフリースクール等との意見交換会や昨年度設置した検討委員会を発展させ、学校や教育委員会とフリースクール等との連携を一層強化するために、今年度新たに東京都学校・フリースクール等協議会を設置いたしました。
 本年八月に第一回の協議会を開催し、学校や区市町村教育委員会とフリースクール等が効果的に連携している実践事例について報告を受け、協議を行いました。
 さらに、第二回として、十月に、教員、区市町村教育委員会の担当者、フリースクール等の職員、不登校経験者、その保護者等を対象として、不登校児童生徒への支援のあり方について理解を深めるための講演やパネルディスカッションから構成されるフォーラムを開催したところでございます。

○早坂委員 今ご紹介のあった第二回の協議会は、不登校児童生徒の社会的自立に向けてというタイトルでの講演会形式で行われ、私も傍聴させていただきました。お話を聞いて大変興味深かったことがあります。
 まず、不登校の専門家と呼ばれる学校関係者は、魅力ある学校づくりを行い、誰もがいやすい学校を構築することで、不登校児童生徒に復学をしてもらうという目標を示しました。これに対し、東京都教育庁指導企画課長は、主催者挨拶で、児童生徒が生き生きとできる居場所があるならば、必ずしも義務教育校に復学しなくてよいという趣旨のことを述べたのであります。私は、この指導企画課長の発言にとても驚き、そして、全くそのとおりだと思いました。
 そこで、児童生徒が生き生きとできる居場所があるなら、必ずしも義務教育校に復学しなくてもよいと発言した背景について伺います。

○増田指導部長 不登校は、特定の子供に特有の問題があることによって起こるのではなく、どの子供にも起こり得ることであり、その行為を問題行動として判断してはならないと捉えております。
 文部科学省は、令和元年十月の通知により、不登校児童生徒への支援は個々の状況に応じて行う必要があり、登校という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒がみずからの進路を主体的に捉えて社会的に自立できるようにすることを目指して行われるべきとの方針を示しております。
 都教育委員会は、こうした文部科学省の方針を踏まえ、不登校児童生徒の学校復帰のみならず、社会的自立に向け、公的機関である教育支援センターや不登校特例校における支援の充実、民間施設であるフリースクール等との連携の強化など、多様な教育機会を確保するために区市町村教育委員会が行う取り組みを支援していくことが必要であると捉えております。

○早坂委員 学校が今よりもさらに魅力的なところになり、より多くの児童生徒にとって居心地のよい場所になることについて異論はありません。
 ただし、価値観や生活環境が多様化した中で、それでも学校になじめない児童生徒が、実際には一定数いるだろうと思います。
 そうした現実を踏まえ、義務教育校への復学を目的としない、つまり当該児童生徒に寄り添った対応に踏み出したことに本当に驚き、そして、すばらしいことだと思いました。
 さて、そうした方向に踏み出すならば、フリースクールの実態把握と協力関係の構築がより一層求められます。
 先ほど紹介した無認可保育所に対しては、東京都が保育環境の安全性や保育内容に関して改善指導や立入調査を行えるようになっていると紹介いたしました。であるならば、フリースクールにおいて、最低限、児童生徒の安全性、すなわち火災に巻き込まれないか、大地震の建物被害に遭わないか、食中毒を起こさないかといったことに関する目配りを、東京都教育委員会あるいは東京都が行っていくべきであります。このことは、フリースクールのみならず、アメリカンスクール、インターナショナルスクール、オルタナティブスクールにおいてもいえます。
 ちなみに、オルタナティブスクールのオルタナティブという言葉は、かわりのという意味であります。我が国のオルタナティブスクールは、強い教育哲学によって行われるモンテッソーリ教育やシュタイナー教育などの施設があります。
 乱暴に定義すれば、フリースクールが義務教育からはみ出した児童生徒の居場所だとするならば、対するアメリカンスクール、インターナショナルスクール、オルタナティブスクールは、義務教育から主体的に飛び出したという位置づけでよいと思います。
 話を戻します。これまで、不登校児童生徒の居場所としてフリースクールというものがあるという認識は持たれていましたが、真正面からフリースクールという存在に対して東京都は向き合ってこなかったように思います。今回の質疑をきっかけに、フリースクールの実態把握や協力関係の構築がさらに進み、ひいては、そこに通う児童生徒の人生にプラスになることを祈ります。
 二つ目のテーマです。学校のバリアフリーについて伺います。
 ことし、令和二年五月、バリアフリー法が改正され、バリアフリー基準適合義務の対象施設に公立の小中学校が追加されました。学校は、障害がある児童生徒も、ない児童生徒も、ともに一日の大半を過ごす場所であることはもちろん、災害時の避難場所や選挙の投票所としても使用される重要な施設であります。したがって、法改正は大変喜ばしいことであります。
 しかし、気をつけなければならない点があります。
 一つ目は、法改正による義務化の対象拡大が、新築もしくは大規模な整備の際に限られている点であります。東京都の条例では、小中学校は、既に法改正の以前から、大規模改修の際のバリアフリー化が義務化されていました。申し上げるまでもなく、今は少子化の時代。学校を新築するケースは限定的であり、したがって、施設の耐震化工事が終了した現時点では、今後行われるのは、老朽化に伴う大規模整備の場合のみであります。
 二つ目は、新築もしくは大規模な整備を行わない既存施設において、バリアフリー化は義務ではなく努力義務にとどまっている点で、これは東京都の条例も同じです。
 したがって、今回のバリアフリー法の改正がなされ、公立小中学校のバリアフリー化が一気に進むかというと、実際にはそうならない可能性が高いのであります。
 そこでまず、公立学校におけるエレベーターと多機能トイレの設置状況について、都立学校と区市町村立学校、それぞれについて伺います。

○田中地域教育支援部長 都立高校においては、エレベーターの設置率は八三・一%、誰でもトイレの設置率は九六・八%、都立特別支援学校においては、エレベーターの設置率は九八・二%、誰でもトイレの設置率は一〇〇%、区市町村立小中学校においては、エレベーターの設置率は二九・一%、誰でもトイレの設置率は七六・五%でございます。

○早坂委員 今ご答弁にあった数字を、学校のバリアフリー化に取り組んでいる私の仲間、障害者インターナショナル日本会議の佐藤聡事務局長にぶつけてみました。
 すると、エレベーターがあるといっても、校舎が二つ以上ある場合もあります、そうした場合でも、一つの校舎にエレベーターがあれば、それはエレベーターがあるという回答になります、同じことはトイレにもいえて、多機能トイレがあるのは、たった一カ所か、それとも全てのフロアか、しかし、この回答からは実態がわからないという指摘がありました。全くそのとおりだと思います。
 とはいいながら、全体的な傾向を見ると、区市町村立学校のバリアフリー化がおくれているように感じます。
 冒頭で申し上げたとおり、ことしのバリアフリー法の改正の対象は公立の小中学校であり、公立高校や私立の小中学校と高校は努力義務にとどまっています。
 今後、区市町村立学校のバリアフリー化をどのように進めていくのか、東京都教育委員会の立場から伺います。

○田中地域教育支援部長 区市町村においては、個別施設ごとの維持管理更新等を着実に推進するための個別施設計画を策定することとなっております。
 都教育委員会は、区市町村における今後のバリアフリー化整備の方針や具体的整備計画の策定意向について確認するとともに、現在、文部科学省により行われている学校施設のバリアフリー化に関する実態調査の結果も活用しながら、区市町村の取り組み状況を把握してまいります。

○早坂委員 社会のバリアフリー化の進展は目覚ましいものがあります。
 ちなみに、平成元年、一九八九年当時、都内には四百七十四の鉄道駅がありましたが、このうち車椅子で利用できる駅は、何とゼロでありました。しかし、平成三十年、二〇一八年、都内の駅七百五十七のうち、車椅子で利用できる駅は六百九十二、割合でいうと九一%まで増えました。
 また、昭和三十九年、一九六四年の東京オリンピックの柔道競技会場として新設された日本武道館において、開設当時からつい先日まで、車椅子席はゼロであったのに対し、二〇二〇年大会を控えて大改修を行い、ゼロだった車椅子席が最大九十席設けられるようにバリアフリー大改修が行われたのであります。
 そのほか、平成二十八年、二〇一六年からスタートした、車椅子でも乗れるユニバーサルデザインタクシーは、四年後のことしには一万台が整備される目標です。
 かように、社会のバリアフリー化の進展は目覚ましいものがありますが、障害者団体から最後までおくれていると指摘されているのが、学校のバリアフリー、そして小規模店舗のバリアフリーであります。
 文部科学省は、バリアフリー法の改正を受けて省内に検討会を設置し、令和七年までの五年間に緊急かつ集中的に整備を行うための整備目標を定めるとして、あわせて、財務省に対し予算獲得を働きかけています。加えて、本年度中に学校施設バリアフリー化推進指針を改定する予定であります。
 財政支援と整備目標、整備指針という大きな柱を打ち出して、学校のバリアフリー化を一気に進める意気込みです。国は動きました。
 では、東京都はどうするか。東京都は、いかにして区市町村立の小中学校のバリアフリー化を支援するかということに大いに知恵を絞っていただきたいと思います。
 あわせて、都立高校、そして、私立の小中学校と高校のバリアフリー化についても、今回のバリアフリー法改正や東京都の条例の趣旨を踏まえて、ぜひ検討していただきたいと思います。
 思うに、学校のバリアフリー化がこれまでなかなか進んでこなかったのは、障害がある人もない人も同じ場所で学ぶというインクルーシブ教育の考え方に乏しかったからだろうと思います。そのことに関しては、きょうの質疑では問題提起にとどめておきますが、私から、学校のバリアフリー化の目標を五つ定めておきたいと思います。
 第一、体育館と全ての校舎の全てのフロアに車椅子で使えるトイレがあるか。第二、エレベーターは全ての校舎にあるか。第三、出入り口を含めてバリアフリールートが複数あるか。第四、全ての校舎の全ての場所へ車椅子で行かれるか。第五、障害のある教職員が働けるという意味で、教職員のスペースもバリアフリー化されているか。
 以上、五点であります。ご関係者の熱烈な応援をお願いいたします。
 三つ目のテーマに移ります。震災時の都立学校の役割について伺います。
 首都直下地震の切迫性が指摘されています。大震災が発生した際に、都立学校には三つの役割が期待されています。
 役割の一つ目は、震災救援所の補助代替施設であります。震災救援所とは、震災時に避難してきた皆さんの生活の場所のことであります。
 我が杉並区においては、第一義的には区内六十五カ所の区市町村立小中学校に避難していただき、そこが避難者であふれた場合や倒壊して使えなくなった場合に、都立学校に避難していただくという仕組みをとっています。
 杉並区では、六十五カ所の震災救援所は、地域の町会役員の皆さんやPTA、そして学校管理者の三者で構成される震災救援所運営委員会を立ち上げ、熱心に訓練を重ねており、いざ発災という場合には、彼ら、彼女らが中心になって震災救援所を切り盛りしていくという仕組みであります。
 しかし、私の都議生活は十五年になりますが、ただの一度も、地域の皆さんと一緒になって行う都立学校の防災訓練には参加したことがありません。ましてやコロナの時代、密集、密着、密接を避けるために、バックアップ機能としての都立学校の出番が十分想定される中、震災時に期待されている震災救援所の補助代替施設の切り盛りを誰が行うのか。少なくとも地域の皆さんの協力のもとに行われるような準備は整っていません。
 役割の二つ目は、一時滞在施設であります。一時滞在施設とは、東京都の帰宅困難者条例により定められたもので、一斉帰宅による混乱を防ぐために、企業や個人に三日程度の帰宅抑制をお願いした際の受け入れ先のことであります。
 しかし、学校に生徒がいる場合に、そうしたことが可能なのか。そして、毛布や食料などは、そうした避難者の皆さんの分まで用意されているのか。また、一つ目の役割でも述べたことですが、そうした役割を切り盛りするのは一体誰かということが事前に定められていて、そのための訓練をしているようには私には見えません。
 加えて、杉並区内の都立七校のうち、一時滞在施設の役割を担うのは三校に限られます。その三校は、必ずしも駅から近いわけではなく、どの学校がその役割を担うのか、都民にはわかりづらいという実態があります。
 役割の三つ目は、災害時帰宅支援ステーションであります。災害時帰宅支援ステーションとは、歩いて帰宅する皆さんの休憩場所のことであります。
 この役割についても訓練を行っているようには見えず、配布する水や食料の用意ができているのか、そして、それを実際に行うのは誰かということに関しても、甚だ心配であります。
 そもそも、都立学校が帰宅支援ステーションとしての役割を担っていることをご存知の都民はまれで、したがって、偶然そこを通りかかった皆さんに直感的にわかっていただく掲示板が必要だと思いますが、そういった準備はなされているのでしょうか。
 以上、述べてきたように、地域の防災に深い関心を持つ者として、震災時における都立学校の役割、存在感は、残念ながら極めて脆弱であります。
 そこで、そういった視点から再点検を行うべきと考えます。ご見解を伺います。

○阿部総務部長 都立学校においては、避難所、一時滞在施設、災害時帰宅支援ステーションの三つの役割がございます。
 避難所につきましては、設置、管理の主体となっている区市町村が都立学校と協定を締結し、区市町村が指定を行うことになっており、運営に当たっては、協定に基づき、運営に協力などを行うことになっております。
 一方で、一時滞在施設や災害時帰宅支援ステーションは、帰宅困難者を支援するため、都の条例に基づき設けられております。運営は学校が行うことになっており、一時滞在施設としては水、食料など、災害時帰宅支援ステーションとしては水や医薬品セットなどの提供を行えるよう備蓄をしております。
 これらの役割を担う都立学校については、東京都の公式ホームページ上で確認できるとともに、開設の際には、その旨の掲示を行うことになっております。
 都立学校が災害時にこれらの機能を発揮していくためには、日ごろから区市町村や自治会などとの協力関係を築くとともに、開設訓練などを行うことが必要と考えております。
 今後、災害時における学校の役割の周知徹底を図るとともに、総務局とも連携を図りながら、各区市町村との関係を深め、役割を果たせるように取り組んでまいります。

○早坂委員 四つ目のテーマ、都立学校におけるAEDの活用について伺います。
 今日、AEDを設置していない学校は皆無であります。しかしながら、いざ心臓停止という場面に遭遇した際、本当にそのAEDが活用されるかということに関して考えてみたいと思います。
 我が国全体では、年間七万人の方々が心臓突然死で亡くなっています。心臓突然死は、心臓に持病がない人でも、例えば胸に強くボールが当たったりすることで、誰にも起こり得る事態であります。
 心臓は、一分とまるごとに、蘇生率は一〇%ずつ下がるといわれています。すなわち、どうした、どうしたと取り囲んでいるうちに十分が経過してしまうと、その人はもう生き返れないのであります。
 また、一命は取りとめたとしても、心肺停止の時間が長ければ長いほど、脳に深刻なダメージを与え、重篤な後遺症が残ります。このことは、つまり、すぐに心臓を再び動かすことができれば、後遺症なしで蘇生できる可能性が高いということを示しています。
 しかしながら、全国で、一般市民に目撃された心臓停止の場面においてAEDが使用されたのは、わずか四%にすぎないのであります。
 そこでまず、都立学校に設置されているAEDはどのような場所に設置し、また、設置場所を教職員などの学校関係者にどのように周知しているのか、伺います。

○谷都立学校教育部長 都立学校では、校内で心停止事故が発生した場合に備えて、AEDを全校に設置しております。
 設置場所としては、多くの人が使用する昇降口や、心停止の発生リスクの高い体育館などが各学校で選定されております。
 また、サインボードやピクトグラムなどを活用して、その設置場所を教職員、児童生徒や来訪者にわかりやすくするよう、各学校へ周知しております。

○早坂委員 先ほどの防災施設としての都立学校の役割に関する質疑で述べたとおり、杉並区立の小中学校は震災救援所としての役割を担っており、全ての学校で熱心に訓練が行われています。その訓練メニューの多くに救命講習も含まれています。
 ある週末に行われた中学校でのAEDの訓練では、先生役の消防署員が持ってきたAEDのデモ機で訓練が実施されました。その際、この中学校のどこにAEDが設置されているかと気になり、自分で調べてみました。すると、AEDは保健室に設置されており、しかも、週末だったので、保健室には鍵がかかっていたのであります。
 週末においても、野球やサッカーなどの部活動で学校は開いています。その際、心臓停止の場面に遭遇したら、鍵のかかった保健室に設置されたAEDは使えないし、仮に事務室の守衛さんに鍵をあけてもらうようなことになれば、それだけで一分、二分、三分と、時間が経過してしまいます。
 そこで、区の教育委員会にそうした話をしたところ、AEDの適切な設置場所について、かつて全校一斉に適切な設置基準を知らせたので、そうしたことはないはずだという答えが返ってきました。この、はずだという思い込みが危険で、現実にそうなっているということの確認までしないと、目的が達成されないことはよくあることです。
 この中学校では、すぐに保健室から校舎の出入り口、昇降口へと移設されました。
 私がここで申し上げたいのは、そのAEDを本当に使う気持ちがあるかどうかということであります。
 恐らくその中学校では、最初は区の設置基準にのっとり、校舎の出入り口、昇降口に設置されていたのだと思いますが、あるとき、高価な電子機器だからという善意で保健室に移設されたのだろうと思います。しかし、その際、実際に使う場面に対して想像力を欠いていたのだと思います。
 では、週末でない平日の昼間、つまり児童生徒が学校にいる間にAEDを使う場面に遭遇した場合はどうでしょうか。
 例えば、この東京都議会議事堂のどこにAEDが設置されているか、直ちに答えられる人は、さほど多くはないと思います。こうしたことは、学校の児童生徒にも同じことがいえるのであって、ふだんから目にしているはずのAEDも、改めてどこにあるかと聞かれると、あるいは、とっさに、すぐ持ってきてといわれた場合に、AEDの場所がわかる人はまれだと考えます。
 どこにあるか、誰でも直感的にわかる表示が必要だという意味で、非常口の表示と似ています。非常口を示す表示は、各家庭の表札のように、その前にたどり着いて、初めてここにありますということがわかるようでは役に立ちません。とっさに周囲を見回して、非常口はこちらという誘導標識をたどっていくと非常口にたどり着くと同様に、緊急を要するAEDにも誘導標識があると、そこにたどり着くことができるようになります。
 実は、この東京都議会では、既にそのようなAED誘導標識があちこちに掲出され、お手本のような存在であります。ぜひ東京都教育委員会も見習っていただき、各校にAEDの存在を示す誘導標識をあちこちに設置していただきたいと思います。
 さて、これまでAEDを示すピクトグラム、図記号は、メーカー各社がオリジナルなものを使ってきたことで、数多くのデザインが世の中に出回っています。その中には視認性の低いものもあることを鑑みて、昨年、JIS、日本産業規格が新しいAEDピクトグラムを発表しました。これを受けて、直ちに、東京都議会、東京都庁、そして警視庁のAED標識は新しいJISのピクトグラムに切りかえられ、間もなく東京消防庁も新しいものになる予定です。
 ぜひ東京都教育委員会も、都立各校のみならず、区市町村立学校にも、この視認性の高い新しいJISピクトグラムに表示を切りかえるよう働きかけていただきたいと思います。
 さて、都立学校の教職員がAEDを有効に活用できるような研修などを実施することが必要だと考えます。ご見解を伺います。

○谷都立学校教育部長 都教育委員会は、都立学校の教職員等を対象に、東京消防庁等と連携して上級救命講習会を開催しております。講習会の中では、心肺蘇生法などの実技講習を実施し、AEDの使用方法等を習得させております。
 また、AEDの使用方法等の講師の育成のため、上級救命講習修了者を対象に応急手当普及員講習会を開催しております。
 引き続き、修了認定を受けた教職員が校内での先導役となるこれらの講習会について、教職員の受講を促進してまいります。

○早坂委員 学校におけるAEDの活用においては、二〇一一年にさいたま市の小学校で、桐田明日香さんという六年生が、駅伝の練習中に突然の心臓停止で倒れ、亡くなった事故を忘れるわけにはいきません。
 学校の教職員は、わずか三カ月前にAEDの訓練をしていたにもかかわらず、結果として、AEDは使われることなく、明日香さんは息を引き取りました。
 その後の検証で、明日香さんは、倒れた直後に、けいれんや、ゆっくりとあえぐような呼吸が見られたために、教職員は心臓がとまっていないと見誤ったことがわかりました。そのようなあえぎ呼吸は、死戦期呼吸と呼ばれるもので、本来なら、直ちに胸骨圧迫やAED処置を行わなければならなかったのです。
 さいたま市教育委員会では、この事故を大変重く見て、亡くなった明日香さんのご遺族と一緒に、ASUKAモデルという体育活動時の事故対応テキストを発行しました。そして、今日でも念入りな訓練が行われています。
 このテキストで強調されていることは、反応の確認、呼吸の確認など心臓停止の判断をする際に、判断ができなかったり、迷ったら、胸骨圧迫とAEDの使用に進むということであります。心臓停止への対応は時間との勝負ですので、無駄な移動などせず、現場で迅速に救命処置を開始する必要があります。
 そのためには、もちろん教師は当然のこと、児童生徒に対する心肺蘇生講習を充実させることや、教師が携帯電話を携帯することなど、日々の危機管理体制の構築も求めています。
 冒頭で、AEDですぐに処置すれば、後遺症なく救命できる可能性が高いと申し上げました。それには、二つ条件があります。一つは、倒れた瞬間か、その直後に発見されるということ、もう一つは、そばにAEDがあるという環境にあることです。この二つの条件を満たすのが学校なのであります。
 本日のAEDに関する議論の中で、設置されています、訓練もしていますというご答弁をいただきました。そのご答弁は尊重いたしますが、果たして本当に使える状態にあるのか、改めて厳しくチェックをしていただきたいと思います。
 次は、五つ目、都立学校におけるICT化について伺います。
 まず、児童生徒に対する健康診断の主な項目と結果のお知らせ方法について伺います。

○谷都立学校教育部長 学校における健康診断は、生徒等の健康の保持増進を図り、学校教育の円滑な実施に資することなどを目的としております。
 健康診断の検査の項目は、学校保健安全法及び施行規則に基づき、身長及び体重、栄養状態、心臓の疾病及び異常の有無、尿などでございます。
 結果については、健康診断実施後、速やかに、生徒、保護者に対し、健康診断の結果を文書等で通知しております。

○早坂委員 最近の研究によると、肥満や成人病の予防には、青年期における生活習慣が重要だと指摘されています。したがって、診査項目をそうした視点で拡充することをご検討いただきたいと思います。
 さて、診査結果のお知らせ方法については、文書で、すなわち紙ベースであるとのご答弁でありました。これを電子化することを、私はぜひ検討していただきたいと思います。
 現在、都庁が行っているデジタルトランスフォーメーションあるいはICT化は、各種申請手続に関することが多いものであります。どんどん進めていってほしいと思いますが、健康診断の結果もデジタル化を検討してはいかがでしょうか。
 例えば、私のスマートフォンには、日本薬剤師会がつくった電子お薬手帳がダウンロードしてあります。薬局で薬を買う際にQRコードが渡されるので、それを読み取るだけで記録されるようになっています。そこには、例えば、けがや入院歴やアレルギーなどの検査結果なども簡単に追記できるようになっています。
 大人になった今、例えば、子供のころに私自身が風疹の予防接種を受けたかどうかなど、親に聞かないとわからないし、親であっても確かなことはわかりません。また、先ほどご答弁いただいた、子供のころの尿たんぱくや糖尿の記録は、その後、成人病になった場合に有益な記録となります。
 したがって、そうしたみずからの健康に関する記録は、かけがえのないものであるゆえに、紙ベースではなく、デジタルデータで欲しいと思います。このことは、学校歯科健診についても同じであります。
 そうした管理をするソフトは、都庁がそうした意向を示せば、すぐに企業や医療系団体がよいものをつくって公開するだろうと思います。ぜひご検討いただきたいと思います。
 次に、学校図書館の図書や新聞について、どういったものを新たに購入しているのか、そして、購入した図書の一般的な保存期間について伺います。

○谷都立学校教育部長 都立学校では、学校図書の購入に当たって、教職員、生徒からの要望等を踏まえ、リストを作成し、学校の選書基準に基づき、校長が購入図書を決定しております。
 新聞については、主権者教育の充実に資するよう、複数の全国一般紙を購入しております。
 また、学校図書館において、日ごろから蔵書の点検を行っており、学校ごとに基準を設け、発行年が古く、資料としての利用価値を失った図書や、破損、汚損が著しく、修理に耐えない図書等の除籍処理を行っております。

○早坂委員 ICTを活用した教育の推進は、教育庁の大方針であります。学校図書においても、ぜひ電子図書の導入を大胆にご検討いただきたいと思います。
 以下、電子書籍のメリットを幾つか申し上げます。
 まず、コロナの時代、多くの生徒が手にとるものは消毒できることが望ましいと考えます。紙の書籍は消毒できませんが、電子図書のタブレットは簡単に消毒ができます。また、コロナで休校を余儀なくされた期間、生徒は、学校図書室にある本を読むことができませんでしたが、電子図書なら、そうした場合でもアクセスできただろうと思います。
 次に、図書を置くスペースです。電子図書であれば、書庫は不要になりますし、図書の紛失や汚れもなくなります。カビ臭いにおいともお別れになります。
 三つ目は、検索性です。電子図書ならば、必要な箇所を見つけるのには苦労は要らないし、何よりも、デジタルネーティブの世代、タブレットを渡せば自由自在に本を読みこなすでしょうし、図書館の利用時間が、いうなれば無制限になります。
 もちろん、今ある図書を一遍になくすことなどあり得ないし、紙の書籍を手にとって読むことは本当に幸せであります。しかし、時代の流れというものがあります。いち早く学校図書室の電子図書化への検討を始めていただきたいと思います。
 六つ目です。都立高校入試のコロナ対策について伺います。
 今日の東京都が抱える最大の課題は、コロナ対策であります。それは、都立高校の入学試験についても同じであります。
 そこで、コロナを見据え、都立高校入試において、今年度、新たに始めた取り組みについて伺います。

○谷都立学校教育部長 都教育委員会は、本年九月に都立高等学校入学者選抜実施要綱を策定、公表いたしました。
 新型コロナウイルス感染症拡大防止対策に係る新たな取り組みとして、郵送による出願やウエブサイトにおける合格発表などの実施を要綱で定めております。また、都立高等学校一校でウエブによる出願手続を試行実施いたします。
 今後も、受検者や保護者の要望を踏まえ、入学者選抜の改善に取り組んでまいります。

○早坂委員 以上です。ありがとうございました。

○龍円委員 こんにちは。都民ファーストの会の龍円あいりと申します。
 文教委員会の委員として三年目となりましたけれども、継続して、スペシャルニーズのある子とない子がともに同じ教室で肩を並べて学ぶインクルーシブ教育の推進について質疑を続けてまいりたいと存じます。
 東京都教育委員会の皆様には、私が何を考えているのかが伝わったりとか理解をしてくださるようになったことは、魂と心を込めて伝えてきたつもりなので、とてもうれしいなと感じています。東京都教育委員会が、ともに学び育つことで共生社会を担える人が育っていくインクルーシブな教育について、前向きに取り組んでくださろうとしていることについて感謝申し上げます。
 ちなみに、インクルーシブ教育を語るときは、二〇〇六年に採択された障害者権利条約を根拠として、インクルーシブ教育は障害者の権利として語られることが多いのですが、実は、その前の一九九七年に、子どもの権利条約の実施状況をチェックしている機関、国連子どもの権利委員会の一般議論の項目三百三十五において、学校におけるインクルージョンがスペシャルニーズのある子供の権利であるということが示されております。その一文がインクルージョンをわかりやすく説明しているので、ご紹介いたします。
 障害のある子供のインクルージョンは、限られた場合に与えられる特権ではなく権利である、インテグレーション、統合とインクルージョンには重大な違いがある、インテグレーションは、障害のある子自身を変えて、学校の中になじむようにしようとすること、インクルージョンは、学校全体の環境そのものを変えて、障害のある子たちのニーズに応えられるようにすることと記されています。
 私は、このインクルージョンの考え方が、すとんと腑に落ちました。
 通常学級におけるインクルーシブ教育というと、通常の学級のあり方は変えずに、スペシャルニーズのある子をどうやって通常の学級の中にまぜ込むのかということにフォーカスされがちです。しかし、そうではなくて、スペシャルニーズのある子とない子が一緒に学べる全く新しいタイプの、いわゆるインクルーシブ教室とでもいうようなものを、全く新しいものをつくるということだと思います。
 少し話がそれますが、私が都議会で提案させてもらったインクルーシブ公園というのがあります。スペシャルニーズのある子とない子が一緒に安全に楽しく遊べる遊具のある広場のことです。
 最初は、多くの方が、まだ見ぬその公園が一体どのような姿をしているのか、想像がつかない様子でした。バリアフリーやユニバーサルデザインとインクルーシブとでは、どう違うのかと聞かれることもありました。
 バリアフリーは障壁となるものがないということ、ユニバーサルデザインは、そこから一歩進んで、誰でも利用できるということ、そして、インクルーシブというのは、さらに踏み込んで、誰もが一緒に仲間となって利用できるという、積極的にまじり合うという姿勢が加わります。
 だから、同じ公園の中で、例えば、こっちは障害児用で、こっちは健常児用と分けたり、これは障害児用の公園だというふうにしてしまったら、もうそれはインクルーシブ公園ではないということになります。
 そして、でき上がった都立砧公園のみんなのひろばを見ていただくと、既存の公園とは全く違う、新しい公園となりました。全く新しい公園なんですけれども、一度見てしまうと、逆に、何で今までこういう公園がなかったんだろうとさえ感じるような不思議な納得感があると思います。
 インクルーシブな環境は、今までにない新しい形であり、そして、見てしまうと納得感があるものだと思います。
 私が理想としているインクルーシブ教室というのは、まだ見ていないので想像しにくいと思いますが、一度見てしまうと、そんなに不思議なこともなく、自然な姿として目に映ることと思います。
 ということで、今後は、インクルーシブ教室、インクルーシブ学校という新しい形の教育を目指すことをインクルーシブ教育と私自身は定義したいと考えております。
 というふうに、理想や目標は明確に描けているのですが、現実は、高い山の麓から頂を見上げているような状況にあることを最近痛感しております。
 都議会議員に当選した二〇一七年のころ、私の息子は四歳だったのですけれども、ダウン症があります。ただ、この四月には、地元区の小学校の通常学級で学ぶ一年生になりました。インクルーシブ教育の推進に人生をかけて取り組んでいる私自身にとっては、とても自然で無理のない唯一の選択肢でありました。
 しかし、就学に向けての過程は、周囲の先輩ママから事前に聞いていたにもかかわらず、ノイローゼになるほどつらい時間となりました。
 また、就学した後は、就学相談の過程で出された判定先に就学しなかった場合は一切支援をしないという、区教育委員会の独自ルールに悩まされている日々です。
 通常学級判定の同級生のお子さんには介助員が配置されている一方で、息子には介助員がいない状況で通学をしております。学校としては息子に介助員をつけたいけれども、ルール上つけられないということもありまして、お母さん、付き添ってくださいというふうにいわれています。
 私はシングルマザーであり、都民の皆様から選挙で選んでいただいて、都民の税金から収入をいただいております都議会議員です。都民の税金をいただいているのに、働かずに学校で付き添いを毎日するのは、常識的に考えても無理な話です。それでも、なれるまででいいのでと、付き添いを初めの一カ月いたしました。
 そして、学校の中で過ごしたことで、通常の学級で知的障害のある子が学ぶことの課題も見えてまいりました。きょうは、そんな学校現場で母親として付き添った経験から見えた課題も踏まえて質疑をしたいと思っております。
 息子のインクルーシブな教育は、毎日、七転び八起きしているような状況で、目の前が真っ暗になるように感じる日も多いような状況にあります。
 しかし、そんな中、東京都教育委員会の動きは大きな希望です。去年十二月に発表された未来の東京戦略ビジョンの目指す二〇四〇年代の東京の姿として、インクルーシブな教育が実現と記されてありました。文科省が示しているインクルーシブ教育システムではなくて、インクルーシブな教育としたことに、東京版のインクルーシブな教育をつくっていこうという決意を感じまして、これを見ただけで、うれし泣きをしました。
 また、ことし二月には、東京都総合教育会議が、共生社会の実現のために、これからの特別支援教育のあり方というテーマで開催され、NHKの「バリバラ」の出演でとても有名な日本相談支援専門員協会の玉木幸則顧問のお話に、教育委員会の皆様が耳を傾けてくださいました。
 脳性麻痺のある玉木さんは、就学前は親元を離れて入所施設で過ごし、小中学校は家庭から通常の学級に通い、高校は養護学校に通った経験があります。話は本当にわかりやすく、鮮明に印象に残りました。ここで一つ紹介したいと思います。
 養護学校のような閉鎖された環境の中で、社会生活って、実は送れていなくて、学校を卒業してから一から始めるというのでは手おくれなんです、生まれたときから、みんながやっている生活を送っていくことで、悪いことをしたら怒られるとか、仲よくすることとか、どうやったら私のいうことがわかってもらえるのかというのを積み重ねていくからできていくことであって、最初だけ、みんなから取り除いて育てていくけど、高等部を出たらさようならっていわれちゃったら、さようならっていわれた人は、どうしてええかわからないわけです、学校教育というのは、生活ではほんの一部の時間であって、それ以外のことを考えていくと、やはりともに生きるということが大事なんやと思っています、障害があってもなくても、一人一人の能力とか、スピードとか、やり方とか、普通の学校もまぜこぜで、学校内で柔軟に動けるような仕組みをつくっていくことでインクルーシブができていくんじゃないかなという言葉が強く印象に残りました。
 そして、ことし三月には、インクルーシブ教育システム調査・研究事業の報告書が発表されました。その事業の目的には、障害のある子供と障害のない子供がともに学ぶことを追求し、多様な人々がともに支え合うインクルーシブシティー東京を実現するための教育のあり方について検討する際の必要な基礎資料を得ることと記載されていたことも、大変うれしく思いました。また、この調査内容も、非常に興味深いものでありました。
 さて、その流れを受けて、ことしの第一定例会の私の一般質問への答弁として、東京都教育委員会では、今年度から学校におけるインクルージョンに関する実践的研究事業を始めるとのお話がございましたが、その実施状況についてお伺いします。

○高木特別支援教育推進担当部長 学校におけるインクルージョンに関する実践的研究事業の実施状況についてでございますが、令和二年六月に、都内全区市町村教育委員会を対象として、研究事業への参加を希望する自治体を公募いたしました。
 都教育委員会は、応募のあった区市町村教育委員会の事業計画書などを審査の上、豊島区と日野市を実施地区として決定、通知いたしました。
 今後、両区市におきまして、事業計画に基づく実践研究を順次開始していく予定でございます。

○龍円委員 ありがとうございます。
 私としましては、この実践的研究事業が実り多いものになることに期待をしておりますが、豊島区と日野市の具体的な事業計画の内容についてお伺いいたします。

○高木特別支援教育推進担当部長 豊島区の事業計画は、区内の特定の小学校を研究校として、通常の学級と特別支援学級との交流及び共同学習をさらに促進していくための方策について実践研究を行うこととしております。
 日野市の事業計画は、市内の小中学校と特別支援学校にタブレット端末を配置し、授業や朝の会などの日常の教育活動について、小中学校の通常学級と特別支援学級間及び小中学校と特別支援学校間での交流をオンラインで実施することで、距離的に離れた場所にありながら、身近な存在として意識し合える新たな交流の形を目指し、実践研究を行うこととしております。

○龍円委員 どちらも交流や共同学習の機会をふやしていくということが盛り込まれているとのことでした。
 さて、インクルーシブ教育としての交流や共同学習は、一体、どれくらい実施するべきなのでしょうか。実践研究では、その辺も研究対象になるかと思います。
 交流や共同学習をやっているから、我が校はインクルーシブ教育に取り組んでいるとうたっている学校を時々見かけるのですが、この交流や共同学習を通じてインクルーシブ教育のよさや効果が得られなければ、それはインクルーシブ教育ではないのではないかと思います。
 では、インクルーシブ教育のよさや効果というのは、一体、何なのでしょうか。インクルーシブ教育の最大のよさというのは、障害者権利条約のハンドブックに書かれているので、ご紹介します。公式な翻訳が見つけられなかったので、なるべく正確に私が訳させていただきました。
 重い障害がある子供も含めた全ての障害児が通常の教育にインクルードされると、より学校を卒業し、高等教育やトレーニングを受け、職につき、よい収入を得て、コミュニティのアクティブなメンバーになることが研究でわかっている、条約でこの教育的アプローチをしているのは、インクルーシブ教育が、知的障害児も含めて最良の教育環境であるということだけではなく、それが社会的なバリアをなくしステレオタイプを打ち砕いていくということが、エビデンスとして根拠がふえ続けているからである、このインクルーシブ教育というアプローチは、障害に対して怖がるのではなくて、逆に、障害を進んで抱きとめるかのように受容するような社会を築く助けになります、障害のある子とない子らが、サイドバイサイドと書いてありましたが、肩を並べて同じ学校で一緒に育ち、学ぶと、お互いにより深い理解とリスペクトが育つのですというふうに書かれております。
 健常といわれている子供たちにとっては、違いを受け入れる心だったり、自然と手助けをしたり、かかわることを学ぶということになるかもしれません。そして、スペシャルニーズのある子たちにとっては、一般社会の中でコミュニケーションするスキルを獲得するという意味になるかと思います。
 ハーバード教育大学院で、二〇一六年八月に発表された研究論文では、アメリカ・マサチューセッツ州の学習障害がある八年生を対象に調査を行った結果、通常の学級で過ごす時間が長くなれば長くなるほど英語の達成度の獲得点数が高くなるということが発表されています。
 また、ダウンシンドロームエデュケーションインターナショナルという、ダウン症児の教育については世界的な権威である機関が、イギリスにおいて、一九八七年から九九年という長期にわたって継続的に調査した結果があります。
 小学校に入学したときは同程度の知的障害レベルのダウン症児を選んで、通常の学級で学んだ子と特別支援学校で学んだ子たちを、十代後半から二十代になるまで追跡の調査をしたのです。
 その結果、学習面での達成度は大きな違いがなかったのですが、一つだけ、顕著に結果が違ったものがあります。それがトータルコミュニケーション能力です。
 入学した当時は同程度だったのですが、十一歳から十三歳になると、特別支援学校のお子さんは五十点で、通常学級のお子さんは七十五点と、差が開き始めたのです。それから、年齢とともにこの差がどんどん開いていって、学校を卒業した後の十八歳から二十になると、特別支援学校出身者は七十点なのに対して、通常学校の出身者は百五十点と、獲得点数が倍以上になっているということがわかりました。
 これらのことから、インクルーシブ教育のよさとか効果というのは、共生する心が育つこと、そして、スペシャルニーズのある子にとっては、健常といわれている人たちとのコミュニケーションをとる能力が育っていくことだと思います。
 では、これらの効果が形となってあらわれるのに必要な交流や共同学習は、どの程度必要なのかという話に戻ります。
 現在、交流や共同学習をしているとうたっている学校であっても、実際は、運動会とか学芸会という年間行事のみという学校も少なくありません。積極的にやっているとしている学校でも、聞いてみると、月一回程度という話も聞きます。これくらいの頻度の交流や共同学習によって、これまでにお話ししたようなよさや効果が形として見えるのかというと、疑問が残ります。
 普通に自分に置きかえて考えてみればと思います。運動会とか学芸会のようなお祭り事のときに、校庭とか体育館の隅に支援学級の子たちが一緒にいたとして、それが自分の心に残るでしょうか。イベントごとの楽しさに気がとられてしまって、はっきりいって、支援学級のお子さんのことなんて記憶に残らないのではないかと思います。
 また、月に一回、支援学級の子たちと掃除を一緒にしなさいといわれても、ふだんから接していなければ、お客様扱いして終わってしまうと思います。でも、もし、毎日、一緒に掃除をしなければならないとすれば、話は変わってくると思います。自然発生的に一緒に掃除ができる工夫が生まれてくると思います。
 共同学習にしても、年に数回したところで、お客様がきょうは教室に来ているよという認識だと思うんですが、もし、毎日、そこに机があって、毎日、その子が同じクラスに来るとしたら、クラスメートの何とかちゃんとして認識することになると思います。
 この点については、息子の学校での様子を見ていて、はっきり子供たちの認識が違うことを理解しました。子供たちの世界観はそんなに広くはないので、重要なのは、同じクラスかどうかということなんです。隣のクラスだとか支援学級というのは、もう別世界というくらい、同じクラスとは違うのだということが実感できました。
 だから、同じクラスにいる息子に同級生たちは興味津々なんですが、支援学級にいるお子さんたちに対して、息子に対するのと同じような興味があるようには見えません。
 というわけで、何がいいたいかというと、実践的研究では、インクルーシブ教育のよさや効果が出てくるよう、毎日、交流する、毎日、共同学習する機会をつくっていただきたいと要望させていただきます。
 また、研究の成果として、共生する心がどれぐらい育ったのか、コミュニケーション能力はどのような変化があったのかなどについても調べていただきたいと思います。
 また、研究校の通常学級の中に、知的障害のあるような児童や生徒が、たまたまであったとしてもいた場合は、そのお子さんも研究の対象として、効果やよさをはかっていただきますようお願いいたします。
 また、第一定例会の一般質問では、区市町村教育委員会等の関係機関と協議会を立ち上げて、区市町村への支援のあり方について検討し、公立小中学校における教育の充実を図っていくとの答弁もございました。
 協議会の立ち上げについて、現状をお伺いします。

○高木特別支援教育推進担当部長 実践的研究事業等検討協議会につきましては、研究事業を実施する豊島区及び日野市のほか、学識経験者、PTA代表、療育機関などを構成員として令和二年十月に立ち上げました。
 この検討協議会では、研究事業の取り組み内容の協議や、各区市町村教育委員会におけるインクルーシブな教育の取り組みなどの共有を行う予定でございます。
 なお、インクルーシブな教育を推進するに当たりましては、区市町村教育委員会の主体的な取り組みが重要であることから、区市町村教育委員会のオブザーバー参加を認めるなど、広く意見を聞くこととしております。

○龍円委員 立ち上げが十月になった背景には、新型コロナによる休校などの状況もあったのではないかと思いますが、先月、立ち上がったことを喜ばしく思います。
 豊島区と日野市以外の区市町村の教育委員会も、オブザーバー参加を認めるとのことでした。東京都を見回してみますと、文京区の柳町小学校のような、支援級と通常学級がほぼ毎日、共同学習しているところですとか、通常学級で学んでいる知的障害児が多い目黒区ですとか、フルインクルーシブ教育を推進することを宣言している国立市など、先進的な自治体もございます。できれば、こういう先進的な取り組みをしている自治体にも参加していただいて、意見を丁寧に聞いていただけたらありがたいと思います。
 さて、息子と一緒に、付き添いながら学校に通い始めたころ、学校長や副校長、担任の先生や介助にかかわるスタッフも含めて、皆さん、お顔に不安と戸惑いが見てとれました。息子とかかわるのにも、恐る恐る、腫れ物を扱うような遠慮がありました。
 ダウン症のある子供は、人の感情を読み取るのがすぐれているとされていまして、先生たちの不安が伝播したのか、息子は、大人と目も合わさないようにしていたのが印象的でした。
 息子にゆっくり簡単な言葉で話しかければ話が通じることをご存じないこともあり、理由を説明せずに、抱きかかえて、いうことを聞かせようとする場面も多く、自分で理解して行動したいと思っている息子としては大いに不満があるようで、それをうまくわかってもらえないことから、大声を出して逃げ出すような行動が続き、悪循環で、息子の行動の抑制がきかない状態になっていきました。
 東京都のインクルーシブ教育システム調査・研究事業を見ると、先生たちの不安も理解することができました。
 都内の通常学級で学んでいる知的障害児のうち、愛の手帳を取得していることがわかっている児童は、小学校だとわずか六十人、中学校だと四十二人で、合わせて百二人ということです。都内の小中学校の通常学級で学んでいる児童生徒は、全体だと七十八万六千百八十三人ですので、一万人におよそ一・二人ということになります。
 先生が一生にどれぐらいの児童生徒を担任されるのかはわかりませんが、先生の方からすれば、教員人生に一度あるかないかのレアな経験ということになると思います。もしかすると、校長先生だって、初めての経験かもしれません。そう考えたら、責任感の強い教員の方々は、ちゃんとできるだろうかと、不安とちゅうちょでいっぱいになることもよく理解できました。
 ただ、息子の担任の先生も、そして、ほかの通常学級に知的障害のあるお子さんを通わせている保護者さんに聞いてもそうなのですが、一度クラスに受け入れたからには、何とかしたいと頑張ってくださるのが教員の方々の特徴なのだと感じています。試行錯誤しながら、息子とのコミュニケーションをとる方法を見つけ出してくれています。
 そして、そのコミュニケーションがとれるようになったころから、息子は先生たちの顔を見るようになり、指示に従うようになりましたし、先生たちの顔にも笑顔がふえていったように思います。
 先生も、息子も、みんな人間なので、お互いに知らないと不安だけれども、知れば不安が和らいでいくというのが人の心理なのだなというふうに感じました。
 インクルーシブな教育を進めるためには、教員の方々がスペシャルニーズのある児童生徒と実際に触れ合うことで、知ることがとても重要なのだと考えるに至りました。
 そのためには、急がば回れじゃないですが、まずは、区市町村の小中学校の教員の皆様が、スペシャルニーズのある子と実際にかかわる機会をふやすことと、個々の子供の教育的ニーズに対応する力を高めていただくことから始めるべきだというふうに考えるようになりました。
 では、どうやったら、毎日、忙しい教員の皆様に特別支援教育への理解とスキルアップをしていただくことができるのか考えてみたのですが、特別支援学校と区市町村の小中学校の間の人事交流をふやしていくことが、東京都教育委員会の裁量のもとで、現実的に効果があるのではないかというふうに思います。
 そこで、都立特別支援学校と地域の小中学校の人事交流がどのぐらいあるのか、伺います。

○浅野人事部長 特別支援教育の充実を図るため、小中学校教員を特別支援学校へ、特別支援学校教員を小中学校へ、原則三年間を期限として異動させる特別支援教育異校種期限つき異動を平成二十四年度より実施しております。
 具体的には、特別支援教育に意欲と関心がある小中学校の教員を特別支援学校に異動させることで、将来、小中学校の特別支援教育を担う教員として育成しております。
 また、特別支援教育の専門性を有する特別支援学校教員を小中学校に異動させることで、小中学校の特別支援教育の専門性向上を担う教員として配置しております。
 制度開始から今年度までの八年間で、小中学校から特別支援学校には百六十六名、特別支援学校から小中学校には百二十一名、計二百八十七名の教員が異動いたしました。

○龍円委員 ありがとうございます。
 地域の学校から特別支援学校に期限つきで異動した職員が八年で百六十六人なので、年間約二十人くらいということになると思います。地域の小中学校の教員全体が約四万八千人ですので、非常に限られた数だということになると思います。
 支援学校から地域の学校へ異動したのが百二十一人なので、年間約十五人ということでした。ただ、特別支援学校全体の教員は五千八百人くらいですので、割合としては、特別支援学校の教員の、先生の方が、地域に出てみようというふうに思ってくださっている方が多いようです。
 これは要望となりますが、もし可能であれば、特別支援学校の教員の皆さんは、教員人生のうち、一回くらいは公立小中学校に三年間出向して、支援学級の副担任として支援学級担任にいろいろスキルを伝授しつつ、通常の学級も巡回しながら、特別な支援を必要としているお子さんについての支援方法をアドバイスするというぐあいに、その学校全体の特別支援教育をレベルアップするためにお力をかしていただくという人事方針に転換していただけないものでしょうか。
 そして、公立小中学校の教員の皆様についても、今は手挙げということですけれども、そうではなくて、一定数は、毎年、特別支援学校に出向するように決めてしまうというのもいいのではないかなと思いました。
 先ほどもお伝えしましたように、双方とも、自分の得意分野にいる方が安心と思うと思うので、現場の教員の皆さんから抵抗感もあると思うのですが、知れば不安はなくなるものなので、ぜひ東京都教育委員会が主導していただいて、公立の小中学校の先生方の特別支援教育のレベルアップを図っていただけたらと思いますので、ご検討いただけたら幸いです。
 また、息子の学校生活を劇的に救ってくれたのは、療育の専門家でもありました。福祉保健局が所管している保育所等訪問支援事業を利用して、学校内での障害児の支援に特化した技術を持っている専門家が、学校に月一回、来てくれています。
 その専門家が支援に入るたびに、その支援している様子を見た先生たちが接し方を理解するみたいで、がらりと対応が変わり、息子の行動が落ちついていくのを目の当たりにしました。
 また、それとは別に、息子が学校外で通っている療育施設は、学校支援にも非常に力を入れている施設ということもあって、療育に通えば通うほど、学校内での息子の行動の秩序がとれていくというのがありました。
 この二つの専門家というのが、都立特別支援学校にも外部の専門家として支援に入っている、うめだ・あけぼの学園と、たすくという二つの施設です。
 最初は、無秩序で誰も手に負えない状況にあった息子が、コミュニケーションに応じ、大声や奇声を発することもなくなり、行動面でも秩序を保つようになったのは、ひとえにこの二つの施設の専門家の支援によるところが大きいです。専門家の技術というのは、もはや私からしたら、神わざとか、奇跡を起こしているように見えました。
 ただ、残念なのですが、こういう専門家の数は限られていますので、全ての公立の小中学校に入ることはできません。特別支援学校の先生たちは、こういう専門家たちのスキルを間近で見て、身につけていることと思います。だからこそ、都立特別支援学校の先生たちのスキルを、地域の先生たちにどんどんと伝授できるような仕組みを考えていただきたいと思います。
 さて、新しい学習指導要領が小学校では今年度から始まっていますが、その解説の中に、通常の学級におけるスペシャルニーズのある児童生徒への指導や工夫について例示がされています。
 例えば小学校の国語ですと、文章を目で追いながら音読することが困難な場合には、自分がどこを読むのかがわかるように、教科書の文を指等で押さえながら読むように促すこと、行間をあけるために拡大コピーしたものを用意することといったような具体的な工夫方法が例示されています。
 これは、通常の学級内であっても、個々の児童生徒へ支援することが可能であることがわかり、大きな意義があると思います。
 これらの内容について、学校現場ではしっかり理解しているのか、都教育委員会の認識を伺います。

○増田指導部長 都教育委員会は、平成三十年度に新学習指導要領における小中学校の教育課程編成のための基準資料説明会を開催し、区市町村教育委員会の担当者及び各学校の教務主任等に、児童生徒の障害の状態等に応じた指導方法を工夫することについて理解を促しました。
 また、小中学校における児童生徒の読み書き等のつまずきを把握する方法や個々の状況に応じた学習教材を収録したDVDを平成二十八年度及び二十九年度に作成し、毎年度、区市町村教育委員会の特別支援教育担当者会において、その活用方法等について周知するなどしてまいりました。
 こうした取り組みにより、新学習指導要領やその解説の内容について一定の理解が図られていると捉えております。

○龍円委員 ありがとうございます。引き続き、通常学級においても、個々の児童や生徒に指導の工夫ができるよう、周知の方をお願いいたします。
 さて、ここまでは地域の小中学校におけるインクルーシブ教育の推進についてお話ししてまいりました。
 ただインクルーシブな教育を実現したいと、この三年間、あっちにぶつかって、こっちにぶつかって、いろんな人の話を聞いたり、考えたりしている中で、結論に至ったことがあります。それは、通常の学級の中でのインクルーシブ教育のみを議論して推進しようとしたら、前に進みにくいということです。なぜなら、それの当事者が余りにも少な過ぎるからです。
 ユネスコは、インクルーシブ教育とは、万人のための教育であるというふうに提唱しております。全ての児童生徒や先生がインクルーシブ教育のよさに触れていただくことでしか、変わっていかないという結論に至りました。ですから、分離されている環境にある都立特別支援学校であっても、インクルーシブ教育のよさを得られるようにしていくべきだと考えます。
 そこで重要になってくるのが、特別支援学校の副籍だと思います。私、個人的には、都立特別支援学校に通っていても、主籍は地域の小中学校に置いておいてもらって、特別支援学校の方を副籍にしてほしいくらいなんですが、そこには無理があると思うので、今回は提案いたしません。
 とにかく、全ての児童生徒が副籍を地域の小中学校に持って、そして、定期的に、かつ頻繁に交流や共同学習をするようになってほしいと思います。
 周りにいる特別支援学校にお子さんを通わせている保護者の方に、副籍交流はどれぐらいあるのか聞いてみましたところ、年一、二回くらいという回答が多く、残念なケースとしては、交流したいと学校にお願いしてみたものの、断られ、学校に子連れで行ったら、校門のところで校長先生と副校長先生が待ち構えていて追い返されたという話も聞きました。
 一方で、すばらしいケースとしましては、人工呼吸器を使用している医療的ケアのある児童なのですが、副籍の学校の通常学級に、週二日、朝から帰りまで通わせてもらっているというケースもありました。
 これらのヒアリングから、副籍交流の頻度の幅がかなりあるなという印象を受けました。
 副籍制度の推進、充実とともに、共同学習の機会を確保するための都教育委員会の具体的な取り組みについてお伺いします。

○増田指導部長 都教育委員会は、都立特別支援学校の小学部、中学部に在籍する児童生徒の地域とのつながりを維持、継続し、交流活動を促進するため、平成十九年度に、地域の小中学校にも籍を置く副籍制度を、希望する児童生徒に導入いたしました。さらに、平成二十七年度入学生からは、原則として、小学部、中学部に在籍する全ての児童生徒が副籍を有することといたしました。
 この制度を一層充実させるために、副籍制度の理念や、特別支援教育コーディネーター等の関係者に求められる役割などをまとめた副籍ガイドブックを作成いたしました。
 また、児童同士が直接顔を合わせて学級便りなどを紹介し合う取り組みや、中学校の部活動への定期的な参加など、円滑な交流の実践事例集を作成し、各学校や区市町村教育委員会に周知してまいりました。

○龍円委員 特別支援学校の小中学部の全ての児童生徒が副籍を持つに至ったこと、そして、副籍のある学校との交流の好事例などを紹介するなどの取り組みをしていることがわかりました。
 先ほども申し上げさせていただきましたが、インクルーシブ教育のよさや効果は、年一回や月一回の交流では、なかなか感じられにくい面があります。特別支援学校在籍の児童生徒についても、可能な限り地域の学校に通うことができるような後押しや支援も工夫をしていただけますよう要望いたします。
 さて、一定の一般質問でも触れましたが、都立高校におけるインクルーシブ教育も重要です。
 都は、平成三十年度から令和二年度までの三年間の計画で、秋留台高校において、発達障害等のある生徒を対象とした通級による指導を行うパイロット事業を実施しておられます。
 秋留台高校での取り組みの成果と、どの高校でも発達障害のある生徒が支援を受けられるようにすることとした経緯についてお伺いいたします。

○高木特別支援教育推進担当部長 都立秋留台高校におきましては、校内での通級による指導を行うことによって、教員の発達障害等に対する理解が深まり、通常の学級での指導においても適切な声かけをするなど、学校全体で一貫性のある指導ができました。
 また、どの都立高校に進学しても特別の指導を受けられる環境を整えてほしいという中学生の声があることも明らかになりました。
 そこで、令和三年度から、発達障害等により支援が必要な生徒がいる場合、どの都立高校に進学しても、在籍する学校で、きめ細かく一人一人の障害に応じた特別の指導を受けられる新たな仕組みを導入することといたしました。

○龍円委員 発達障害のある生徒にとって、より安心して通える体制を整えていくとのことで、一つ前進なのかなと思います。
 知的障害のある場合は、入試があるため、入学することが簡単ではないと推測いたします。しかしながら、小中学校はインクルーシブな環境で育ったとしても、高校になったら、急に特別支援学校以外の選択肢がないというのはつらい状況です。高校になると、副籍を持てる地域の学校もなくなってしまいます。
 知的障害があったとしても、専門的な学科であれば、一緒に学ぶことができる可能性もあります。また、定員割れしている学校等で受け入れを始めてみることも考えてもらえたらと思います。
 先日の第三定例本会議の都民ファーストの会の代表質問でも触れましたが、スペシャルニーズのある子の母親の就労率は五%程度という民間の調査結果があり、仕事を継続することが、ただでさえとても難しい状況にあります。
 しかしながら、スペシャルニーズのある児童生徒は、医療とか福祉サービスの利用のための出費も多いですし、さらに、将来、子供が自立できるかどうか不明なため、両親が共働きで働き続けられることが非常に重要になります。東京都には、こういった現状を何とか改善していただきたいと考えております。
 そういった中で、医療的ケアのある児童生徒、特に人工呼吸器を使用する児童生徒の母親の就労継続は、困難というより、限りなく難しい状況にあるのかなというふうに思います。
 そんな中、都教委はこれまで、人工呼吸器を使用する医療的ケア児の保護者らの声に耳を傾け、今年度から、医療的ケアを学校が引き継いだ後は、保護者の付き添いなく学校に通うことにシフトしていけることは大変大きなことだったと、高く評価いたします。保護者さんたちが仕事に復帰することも考えられるようになったことは喜ばしいことです。
 ただ、実際に、今、学校の引き継ぎにかなり時間を要している状況にありまして、保護者さんとしては、一体、いつまで引き継ぎにかかるんだろうという、見通しが立たないことに歯がゆさがあると思います。仕事を探すといっても、すぐに見つかるわけではないですし、ある程度、仕事に復帰できるタイミングの見通しが持てて、事前から準備できる必要があります。
 そのため、保護者が円滑に仕事に復帰できるよう、付き添いがなくなる時期の目安を、早期に保護者に示してほしいと思います。
 人工呼吸器を使用する医療的ケア児の保護者付き添い期間について、保護者にどのように説明しているのか、伺います。

○高木特別支援教育推進担当部長 人工呼吸器を使用する児童生徒は、障害の状態等が一人一人異なることから、保護者付き添い期間を入学時に見通して一律に定めることは難しい状況でございます。
 そのため、保護者付き添いから学校看護師による管理への移行方法につきましては、保護者の意向も踏まえながら、人工呼吸器ガイドラインに基づき、学校が設置する医療的ケア安全委員会で対象の児童生徒ごとに協議し、実施計画に盛り込むこととしております。
 学校は、実施計画をもとに保護者と相互に確認しながら、健康状態の観察や学校看護師への引き継ぎを進め、付き添い期間終了時期の見通しを示すことが可能となった段階で、保護者に対して説明を行っております。

○龍円委員 付き添い終了の見通しを示すことが可能になった段階で、保護者に説明しているとのことでした。ぜひ学校現場で、保護者とこの件に関してしっかりとコミュニケーションをとっていただいて、保護者が家族の人生設計を描けるようにしていただきたいと思います。
 さて、その引き継ぎが終わるまで、かなり時間がかかりますが、中には、タイミングが合わず、仕事に復帰しないとならない保護者さんや、そもそも仕事をやめるわけにはいかないケースもあると思います。
 保護者さんにヒアリングをすると、保護者の代理人が保護者にかわって付き添うことを認められる学校と認められない学校があり、学校によって対応にばらつきがあるということなんです。
 人工呼吸器を使用する医療的ケア児は、都立特別支援学校に入学した後、医療的ケアに関する学校への引き継ぎが終了するまで、看護師が保護者代理人として付き添うことが可能なのかどうか、お伺いいたします。

○高木特別支援教育推進担当部長 人工呼吸器の管理は、保護者のほか、制度上、医師及び看護師のみが実施できることとされております。
 そのため、都立特別支援学校での人工呼吸器の管理におきましては、保護者が看護師資格を有する者を代理人に選任し、医療的ケアに関する引き継ぎを行うことで、保護者にかわって付き添いが可能となります。
 なお、保護者代理人となる看護師の取り扱いにつきましては、学校によって差があることから、医療関係者、保護者代表及び学校関係者などで構成する医療的ケア運営協議会において今後検討してまいります。

○龍円委員 看護師の資格がある人であれば、保護者にかわって付き添うことは可能であるということがわかりました。繰り返しになりますが、保護者さんの事情と、そして、お子さんの状況の双方を鑑みながら、きちんとコミュニケーションしながら対応していただきますようお願いいたします。
 ちなみに、息子に学校で付き添いをしてみて痛烈に感じたことがありまして、母親というのは母親でありまして、教育現場で教育者として振る舞うことは不可能だということでした。子供の成長という観点から見ても、保護者が学校内で付き添うのは阻害要因になることがあるというふうに感じました。
 つまり、私、母親としては、子供がほかのクラスメートに迷惑をかけちゃいけないとか、クラスメートに嫌われてほしくないなという親心で動いてしまうわけです。
 例えば、息子が立ち歩いてしまって、だめというふうに伝えなくてはいけないような場面があったとしても、私が制止して、子供がぎゃあと騒いでしまうと、周りに迷惑がかかっちゃうから、だったらもう注意しない方がいいやということで、とりあえず歩いて回りなさいみたいなふうな感じに、甘やかしてしまうような、判断を間違ってしまうような場面もありました。
 一方で、先生の目線もすごくつらいものがありまして、静かに息子を何とか席に戻そうとするわけなんですが、それははっきりいって難しいわけです。
 母親として振る舞えばいいのか、教育者のようなふりをするべきなのか、わからないまま、これまで母親と息子として築いてきたものが、がらがらと崩れていくような感覚がありました。
 学校で、母親としても、教育者としてもしっかりと息子と向き合えないまま、いらいらを募らせて帰宅するため、自宅では、息子に対して必要以上に叱ってしまうような日々が続きました。
 一カ月くらいたったときには、我慢の限界に達してしまいまして、どうして学校で困らせるのかと、息子に手を上げてしまいそうになるのを必死に我慢する自分がおりました。息子をたたけない分、物とか壁とかを蹴ったりするようなこともありまして、自分の人生を振り返ると、そんなことをしたのは中学校の反抗期以来なので、もう本当に自分もおかしくなってしまっているなというふうに感じました。
 こんな付き添いを続けていたら、親子関係が修復不可能なところまで亀裂が入ってしまうと思いましたので、校長先生に、このままだと虐待してしまう可能性があるから、付き添うくらいだったら不登校でお願いしますというふうにお伝えした結果、校長先生が、ほかの児童についている介助員をやりくりしてくださって、現在は、二時間目まで、親の付き添いなく、息子は学校で過ごしております。
 この経験を踏まえて、やはり教育現場は教育者のものだというふうに思うに至りました。
 二時間しか学校にいられないなんて子供がかわいそうだ、支援級に移るべきだと、いろんな方に現在はいわれているような日々です。確かに、私が思い描いているインクルーシブ教育とはかけ離れた状況にあります。もはや、学校という場所にさえインクルードされているかどうかわからない状況になりつつあるのかもしれません。
 現在、息子と私が置かれている状況はなかなか厳しいものがございまして、精神的にも肉体的にもつらくて、ちょっとしたことで落ち込む日々です。
 それでも、支援級に移るように何度も説得されている状況に、まだ頭を縦に振れない自分がおります。それは、たった二時間であっても、息子が学校にいる状況を目の当たりにして、そこから得られる経験のすばらしさに感動する場面が多々あるからです。
 学校に行く前は、同級生から、気持ち悪いとか、汚いとか、さわらないで的なことをいわれたりするのもあるのかなというふうに覚悟を決めて行ったのですが、その全く逆の状況にあります。クラスのみんなに愛されているマスコット的な存在で、みんなが積極的に息子にかかわろうとしてくれています。
 出席確認で、はいと返事をするたびに拍手をしてくれて、息子の様子をいつも気にかけてくれて、何かできると、まるで自分のことのように、先生、ニコ君がこんなことできたよというふうに報告してくれたり、かわるがわる息子のお手伝いをしてくれようとしています。休み時間は、周りの子供たちが寄ってきて、息子と一緒に遊ぶ方法を編み出して、楽しく遊んでおります。
 こういった姿を見るにつけ、通常学級の中で、お子さんたちが、みんな、かかわり合いながら、ともに育つということのすばらしさ、そして、希望というものを見つけたような気持ちになっています。
 スペシャルニーズのある子供がスペシャルニーズのない子たちとともに学び育つことのよさとか効果というものは、すぐにテストの点数がよくなるとか、わかりやすい目に見えるものではないので、わかりにくいかもしれないのですが、確実に、その子たちが卒業した後に、社会に出てから真価を発揮していくものだというふうに感じています。
 都教育委員会が共生社会の実現のための特別支援教育のあり方を考えた上で、インクルーシブな教育を進めようとしてくださっていることは、大変希望が持てるとともに、子供たちが大人になる時代を楽しみにしたいと思えるようになりました。
 そのために、私自身も、できることをこつこつと取り組んでいけたらと思っております。ありがとうございました。

○平委員 私の方からは、本会議、常任委員会を通して、会派、党派を問わずにたびたび取り上げられているAEDに関する質問を、まず行わせていただきます。
 日本救急医療財団のAEDの適正配置に関するガイドラインによると、学校における心停止は、児童生徒に限らず、教職員等、一定頻度発生している、学校管理下の児童生徒に限れば、年間で三十から四十件の心臓突然死が報告されており、全国の公立小中学校においては、少なくとも一台はAEDが設置されているとのことです。
 そこで確認です。東京都公立学校におけるAEDの設置状況についてご教示いただけますでしょうか。お願いします。

○田中地域教育支援部長 国が令和元年度に調査した学校安全の推進に関する計画に係る取組状況調査によりますと、平成三十一年三月末時点で、都内公立学校二千三百校のうち、二千二百七十三校、九八・八%の学校がAEDを設置または設置を予定しているとの回答でございました。
 なお、都立学校においては、都立中高一貫教育校を含む都立高校等百九十五校に三百九十二台、都立特別支援学校五十七校に百三十七台のAEDを設置しております。

○平委員 ありがとうございます。都内の学校においても、一校一台は設置されているということでございます。
 都教育庁指導部で発行されている防災ノート、(実物を示す)こちらですね。「防災ノート 災害と安全」の防災教育教材の中に、「身近な人を助けましょう『共助』」と書かれた項目に、心肺蘇生とAEDについての利用方法が記載されております。
 突然、心肺停止の状態にあった方に遭遇する機会というのは、学校内、学校以外、その場面でも想定されます。どんな場面でも想定されます。AEDに触れたことのある児童生徒がそういった場面に遭遇した際、そのときは、もう子供でなくなっていて社会人になっているかもしれませんが、手を差し伸べる可能性は高まるのではないかと私は思っています。
 そこで、AEDの使用方法の習得に向け、児童生徒の発達段階に応じた指導や授業を推進していただきたいと思っています。
 都教育委員会の現在の取り組みと、AEDの授業普及に向けた今後の取り組みを伺います。

○増田指導部長 小学生につきましては、都教育委員会が東京消防庁との連携により作成した教材、「防災ノート 災害と安全」を活用し、心肺蘇生におけるAEDの必要性等について学んでおり、消防署員等、外部の専門家を招いて技能講習等を行っている学校がございます。
 また、中学生、高校生は、保健の授業でAEDの使用方法について学んでおり、具体的な技能につきましては、学校が実施する防災訓練や救命講習等を通して多くの生徒が習得しております。
 こうした取り組みに加え、都教育委員会は、地域等で主体的に行動できる防災リーダーを育成するため、平成二十八年度から毎年度、都立高校生等約八十人を対象に防災士養成講座を開設しており、その中で、元消防署員等の指導によりAEDの使用方法を学ぶ実習を行っております。
 今後、都教育委員会が毎年度作成し、都内公立学校の全ての教員に配布している安全教育プログラムに、生徒全員がAEDの使用方法について実習を通して学んでいる学校の効果的な実践事例を掲載するなどして、各学校における指導が一層推進されるよう啓発を図ってまいります。

○平委員 ありがとうございます。各学校における指導が一層推進されるよう啓発を図っていくという前向きな答弁をいただきました。
 AEDを使うというのは、命の危機に瀕しているときです。AEDを取り扱うことは、命を救うこと、命の大切さ、とうとさを知ることにつながると考えています。人と人との助け合い、道徳の観点からも、AEDを使用する授業を普及していただくことを強く要望いたします。
 次に、スマート・スクール・プロジェクトについてお伺いをいたします。
 都では、スマートスクール構想の中で、三つの改革を実現するとして、一、学び方改革、生徒同士の主体的、対話的な学びの充実、二、教え方改革、ICTを活用した統合型授業を推進、三つ、働き方改革、採点や集計などをシステムを利用して効率化を図る。まさに重要な三つの視点であり、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトによって、知識習得型の学びから価値創造、課題解決型の学びへの転換を推進するものと感じます。
 令和二年度の新たな都立学校における取り組みとして、ソサエティー五・〇に向けた指導方法の確立の中で、5G、AR、VR等の先端技術の活用について実証実験を行っていくとあります。
 拡張現実、AR、仮想現実、VRの技術については、近年、世界的に注目をされ、創造性ある人材を育成するためにも、さまざまな教育現場で用いられ、医療、建設、災害体験や飲酒運転撲滅運動にも寄与していると聞いております。
 都立高校において、5GやAR、VRといった新技術の導入に当たっては、専門性のある戦略政策情報推進本部との連携が必要ではないかと思います。
 今後の連携についてお伺いいたします。

○岩野企画調整担当部長 都教育委員会では、子供たちがこれからのソサエティー五・〇の時代を主体的に生き抜く力を身につけるため、子供の学び方、教員の教え方を転換するTOKYOスマート・スクール・プロジェクトによる教育のICT化を強力に進めております。
 その中で、高速大容量、低遅延、多数同時接続という特性を持つ5Gや、AR、VRなど先端技術の活用につきましては、新たな指導方法の確立、展開に向け、今年度から実証研究を行ってまいります。
 研究に当たりましては、セキュリティーや校内のネットワーク環境など、これまでの学校等のICT環境では十分でないことも想定されるため、技術面における専門的な検討が必要になります。そのため、ICT全般について専門性を有する戦略政策情報推進本部へ、ネットワークの改善等、助言をもらうなど、連携しているところでございます。
 今後も、戦略政策情報推進本部との連携を図りながら、教育分野において、これからの時代の学びにふさわしいICT環境の整備を進めてまいります。

○平委員 ありがとうございます。しっかりと連携を図っていただいて、前へ前へ進めていただきたいと思います。
 コロナ禍において前倒しをされた国のGIGAスクール構想は、各自治体において開きはあるものの、既に実施されている学校もあります。
 端末導入が進むと、ネットワークに接続することになります。また、家庭での端末を利用して、学校指定のクラウド上にアクセスする機会も想定されます。個人情報の流出など、セキュリティー面の事故等も安易に懸念されることから、教育現場でのICT活用は進めながらも、リスクの管理や共有は欠かせないものと考えます。
 私の子供のパパ友の家庭で実際に起きたことを取り上げたいと思うんですが、ことし五月の学校の臨時休業中に備え、学校側からの指示のもとで、自宅のパソコンを用いて、学校指定の教育向けツールを学校側から付与されたアカウントで利用したそうです。そして、数日後には一人一台端末が配備をされ、学校側でアカウントなどがあらかじめ設定された状態で、お子さんが学校のタブレットを自宅へ持ち帰ってきました。
 ブラウザーを起動したところ、自宅のパソコンで使用していたときのアマゾンだとか、その他のネットショッピングの情報など、ブックマーク自体もそのタブレットに入っていたという状態だったそうです。
 このことを学校に問い合わせて、担当の先生に聞いたところ、先生の中ではもう回答ができないということで、そのシステムを扱っている会社の連絡先を伝えられ、そこに問い合わせをして、二点質問を行ったそうです。
 一つが、現状の端末を正常にする方法を聞き、これは、指示どおりに一度アカウントを削除してつくり直したということで、もう解決をしたということです。
 二つ目が、セキュリティーを扱う権限のある人間であれば、自分の使っているアマゾンだとかネットショッピング、こういったパスワードや、ほかのサイトを含めた情報を見られる状態にあったはずであって、問題ではないかというふうに伝えたところ、その担当者の方から、物理的におっしゃるとおりだ、しかし、そのようなことはしませんので大丈夫ですという回答だったそうなんですね。
 今の話をまとめますと、家庭用パソコンに学校指定の教育ツールを入れたため、登録されていた個人情報がクラウド上に残ったままとなり、悪意があればですが、クレジット情報などにアクセスできた可能性があったという話です。
 現時点で、家庭に配布されたものが、今後、悪用される可能性はほぼないと思いますが、しかし、家庭用パソコンなどで同じように利用されていた方々は、パスワードやカード情報などにアクセスできる状態に置かれていた、または置かれている可能性があります、あくまで運営している担当者に悪意があればの話ですがということで、私のパパ友が私に教えてくれました。
 今述べたのは一例にすぎませんが、学校のICT整備を進める中で実際に起きた事案であります。
 都立学校においてはICT支援員が導入されていますが、こうした事故等へつながる可能性のある事象を把握することもあると思います。
 改めて、ICT支援員の役割と、事故防止に向け、都教育委員会は支援員と連携し、リスクの管理や共有に対しどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○岩野企画調整担当部長 都立学校におけるICT支援員の導入は、統合型学習支援サービスやICT機器等の活用を効果的に進めることを目的としております。
 具体的な業務といたしましては、統合型学習支援サービスの導入に関する支援、研修業務、生徒が操作するICT機器の活用支援業務、授業におけるICT機器及び学習用ソフトウエア活用支援業務、ICT環境保守運営支援業務の四点となっております。
 また、授業における教員や生徒の不確かな操作によるヒヤリ・ハットの事例を把握した場合は、学校等に報告し、原因回避策などを提案することも行うこととなっております。
 都教育委員会では、学校でICT支援員が把握した実際の事例を踏まえ、ヒヤリ・ハットの事例などの注意喚起を促す必要がある内容につきまして、都立学校や区市町村教育委員会へ的確に周知するなどし、ICTを安全に活用し、効果的な学習の推進を図ってまいります。

○平委員 ありがとうございます。これまでも行ってきたということでありますが、これからも、さらに心してこういった扱いに気をつけていただいて、事故を未然に防いでいただきたいというふうに思います。
 続いて、都立工業高校におけるIT人材の育成についてお伺いをいたします。
 我が会派は、十六ある都立工業高校の魅力を上げるために改革が必要であり、外部の技術者を活用して、一層踏み込んだ取り組みを行うべきだと訴えてまいりました。
 本年の予算特別委員会で、小池知事から、全国初、五年間の教育プログラム、Tokyo P-TECHを開始する、実践的なIT人材に必要となる能力を育成する意欲的な実効性の高い取り組みを充実させていくために、教育委員会と力を合わせながら取り組んでいくとの答弁をいただいております。
 工業高校のIT分野に興味、関心が高い生徒には、その力を伸ばしていく教育環境が必要であります。
 Tokyo P-TECH事業について、一年早め、令和三年度から本格実施が公表され、現在、周知活動などを行われていると伺っております。
 本事業の背景や取り組みについて教えてください。

○藤井教育改革推進担当部長 国が掲げるソサエティー五・〇の実現に向け、IT人材の不足が社会的な課題となっている中、新型コロナウイルス感染症対策等においては、例えばオンライン教育、テレワーク等、情報通信技術の活用が日常の随所で見られるようになるなど、IT人材の需要は、今後ますます高まることが予想されております。
 このため、都立町田工業高等学校において、専門学校やIT関連企業等と連携してIT人材の育成を図るTokyo P-TECH事業について、当初の予定である令和四年度より一年早め、令和三年度から本格実施することといたしました。
 本事業では、IT関連企業等の実務家から支援などを受けながら、高等学校段階と専門学校段階の連携した五年間を見通して連携教育カリキュラムを作成いたします。
 また、こうした支援により、IT人材としての専門力はもとより、社会人としての基本的な能力なども育成する教育活動を実施してまいります。

○平委員 ありがとうございます。
 ただいま部長の答弁にもありましたが、ITを主導する都庁の宮坂副知事も、スマート東京を実現し、東京の稼ぐ力を強化するためには、デジタルに精通した人材の育成、確保が不可欠、しかし、ICT人材は、東京に限らず、日本全体で圧倒的に不足しているという課題があるというふうにも述べております。
 IT分野で高度な専門性を持つ人材を育成して、工業教育のモデルをつくっていただきたいと思います。
 そのためにも、Tokyo P-TECH事業を実効性のある取り組みとするため、成果検証なども行いながら、事業を着実に進めていくべきと考えます。見解を伺います。

○藤井教育改革推進担当部長 Tokyo P-TECH事業の運営に当たっては、時代に応じたITニーズに速やかに応えていくため、IT関連企業の意見も聴取しながら連携教育カリキュラム等を検討し、その成果を検証していく必要がございます。
 このため、本年十月に、事業の実施にかかわるIT関連企業や専門学校等で構成するコンソーシアムを設置し、育成すべき能力のスキルマップの作成や、スキルマップに基づく連携教育カリキュラムの編成、成果検証の方法などについて検討を進めております。
 今後も、東京の産業を支え、発展させてきた工業高校からIT人材を計画的に育成していくため、令和三年度からの本格実施に向けて準備を着実に進めてまいります。

○平委員 ありがとうございました。Tokyo P-TECH事業、ご期待を申し上げます。
 以上でございます。ありがとうございました。

○河野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。

○河野委員長 これより生活文化局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○根本総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る十月二十二日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明いたします。
 お手元に配布の令和二年文教委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、今回要求のございました資料は九件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、消費生活相談員数及び都、区市町村ごとの相談受け付け時間等の状況でございます。
 (1)には、令和二年四月一日時点の都及び区市町村の消費生活相談員数について記載しております。
 また、(2)では、都、区市町村の相談受け付け曜日や時間について記載しております。
 二ページをお開き願います。2、文化振興施策に係る予算及び決算の推移でございます。
 平成二十八年度から令和元年度までの予算額及び決算額の推移並びに令和二年度の予算額を記載しております。
 なお、備考欄には、当該事業区分に係る主な事業をそれぞれ記載しております。
 三ページをお開き願います。3、都立文化施設等に係る予算及び決算の推移でございます。
 平成二十八年度から令和元年度までの予算額及び決算額の推移並びに令和二年度の予算額を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、都立文化施設に係る指定管理料の推移でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの指定管理料の推移を記載しております。
 五ページをお開き願います。5、都立文化施設等の職種別職員数の推移でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までのそれぞれ四月一日時点における職員数について、職種別に区分して記載しております。
 六ページをお開き願います。6、私立学校経常費補助(一般補助)の生徒一人当たり単価及び全国順位並びに全国平均単価の推移でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの過去五年間の推移を学校の種類ごとに記載しております。
 七ページをお開き願います。7、私立幼稚園等一時預かり事業費補助及び私立幼稚園預かり保育推進補助の対象園数と補助実績の推移でございます。
 それぞれの実績について、平成二十七年度から令和元年度までの過去五年間の推移を記載しております。
 八ページをお開き願います。8、私立学校の耐震化の状況でございます。
 令和二年四月一日現在の都内私立学校の耐震化の状況について、学校の種類ごとに全棟数と耐震性のある棟数、その割合である耐震化率を記載しております。
 九ページをお開き願います。9、アートにエールを!東京プロジェクトの応募、支払い状況でございます。
 アートにエールを!東京プロジェクトの個人型、ステージ型について、応募数、個人登録数及び企画採択数、令和二年十月末時点の支払い数を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○河野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田の上委員 私からは、先月、十月に設立されました一般財団法人つながり創生財団について質問させていただきます。
 東京都全体では、令和二年一月一日現在、五十七万七千三百二十九人の外国人がいます。
 私の地元江戸川区では、同時期、三万八千百七十二人の外国人がいまして、新宿区に次いで多いというところでございます。そのときの江戸川区の人口が七十万七十九人でございますので、約五・五%というところです。だんだん外国人の数もふえてまいりました。
 私はこれまで、外国人の日本語教室などのボランティアを行ってきました。そして、区内に住む外国人の方の生活や教育の問題、さまざまな相談を伺ってまいりました。また、労働団体から、技能実習等に係る外国人の労働問題の現状を聞いてきました。
 これまで区市町村が中心であった相談窓口でありますが、このたび、広域的かつ総括的な位置で、東京都で財団という形で実施されることに期待をしているものであります。
 まず、この財団の設立に至る背景や経緯について伺います。

○櫻井都民活躍支援担当部長 一般財団法人東京都つながり創生財団の狙いである共助、共生社会づくりについては、都政改革本部における見える化改革の中で課題を整理し、効果的な推進体制などの検討を平成三十年度から開始いたしました。
 共助、共生社会を支えるコミュニティは、在住外国人の増加や都民の価値観の多様化を背景に変革期を迎えており、新たな視点を導入し、活性化を図っていく必要があります。
 そのため、これまで東京都国際交流委員会が行ってきた多文化共生社会づくりの取り組みを引き継ぎ、発展させるとともに、ボランティア文化が定着し、相互に助け合う共助社会づくりを推進するための財団を設立して柔軟な執行体制を確保し、コミュニティの活性化を支援していくことといたしました。

○田の上委員 在住外国人の増加や都民の価値観の多様化を背景に変革期を迎えているということで、この財団がコミュニティ活性化を支援していくというものでございます。時代の変容に応じているということであります。
 区市町村には外国人向けのガイドブックなどがありまして、ホームページなどでも複数の言語に対応しておりますが、言語の扱いは、大抵、英語、中国語、まあ北京語、韓国語でございます。
 しかしながら、少数言語といわれながらも、日本に住んでいる方の割合が多く、しかも、母国で外国語教育が進んでいないがために、英語ではなかなか通じないという方もおります。
 こういった言語も含めて、相談そのものがうまく進まないケースもあると考えますが、財団の多言語対応について伺います。

○櫻井都民活躍支援担当部長 つながり創生財団では、外国人等からの相談を受け付け、必要な情報を提供するとともに、相談内容に応じて適切な機関につなぐ東京都多言語相談ナビを本年十月に開始いたしました。
 ナビでは、英語、中国語、韓国語のほか、ベトナム語、ネパール語といった少数言語など、やさしい日本語を含む十四言語に対応しております。
 また、外国人等からの相談を受け付けた区市町村窓口が言語面で対応できない場合の支援を行っており、例えば、相談者と相談員、通訳による三者間の同時通話で対応しております。

○田の上委員 十四言語ということでございます。また、アプリ等ではなくて通訳を介しての支援ということで、人材活用も含めて、力を入れてくださっているように感じます。
 相談におきましては、多言語の課題があると同時に、どのように相談者がアプローチできるかということが課題になります。
 電話や対面で相談することも大事かと思いますけれども、さまざまな要因で電話がかけられない人もおり、SNSやメールなどの相談が有効であると考えますが、そのようなケースにも対応できるのか、伺います。

○櫻井都民活躍支援担当部長 つながり創生財団では、メールなどによる問い合わせを受け付けた区市町村の相談員が相談者とのやりとりで困っている場合にも、言語面から支援してまいります。

○田の上委員 外国語が不得意な方にとっては、電話で話すということは、必ずしも簡単ではないケースがあると考えます。私自身も、やはりそういったこともありました。
 また、母国から日本に携帯の端末を持ってきてはいますが、通話料を払っていないため、電話ができなくて、近くのフリーWi-Fiができるところに行って、友人等に連絡をとっているというような外国人の方もいるように聞いております。
 ぜひメール等の支援ということで、これからも積極的に進めていただきたいと要望いたします。
 私自身、日本語等のボランティアの経験から、就労ビザの課題などを多く聞いてまいりました。財団では、十一月から弁護士による無料法律相談を実施とのことですが、この無料相談は一回のみでございます。
 外国人の相談内容としましては、ビザのほか、難民や技能実習など、さまざまな問題を抱えており、このように多様な相談に、弁護士相談だけでは対応が難しいと思いますが、どのような対応を行うのか、伺います。

○櫻井都民活躍支援担当部長 外国人等からの相談は、生活上のものから就労関係に至るまで、相談分野は多岐にわたっております。
 区市町村などで対応が難しい専門的な相談については、東京都多言語相談ナビにつないでいただくこととしております。
 ナビにおいて相談内容を聞き取り、弁護士による法律相談の実施や、東京出入国在留管理局、外国人技能実習機構など各種専門相談窓口につなぐことで、さまざまな問題を抱える外国人の状況に応じた対応を行っております。

○田の上委員 外国人の方々からの相談というのは、本当に多様かと思っております。また、弁護士相談はパイロット事業としての取り組みということでございますが、やはり無料相談だけでは足りずに、継続的な相談になる場合もあるのではないかと思いますので、ぜひ今後とも工夫をしていっていただきたいと思います。
 また、本来、対面での相談が一番相談者に寄り添うことができるとは思いますが、コロナ禍の中では、対面を控えることも必要であると考えます。
 ウイズコロナの視点での財団の取り組みについてお伺いいたします。

○櫻井都民活躍支援担当部長 つながり創生財団では、外国人等からの相談に対して、電話による相談を基本とし、相談内容に応じて、窓口での対面相談も実施いたします。
 また、弁護士による無料法律相談は、相談者に寄り添った対応が求められることから、原則対面で実施することとしておりますが、相談者の希望に応じて、タブレット端末を活用したオンライン相談にも対応するなど、新しい日常における取り組みを行ってまいります。

○田の上委員 ウイズコロナの取り組みについて確認をいたしました。
 これまで地域で外国人相談の対応をしてきた区市町村などの相談窓口では、少数言語や専門的な相談への対応が困難でありました。今回、財団を設立し、そこを支援するということで、しっかり支援をしていただきたいとお願いをします。
 一方、私がこれまで接してきた労働相談などでは、場合によっては国の機関につなげなくてはいけないケースもございました。
 他の公共機関や団体等との連携について伺います。

○櫻井都民活躍支援担当部長 つながり創生財団では、相談者の相談内容に応じて、国が設置する外国人在留支援センター、FRESCや東京都労働相談情報センター、地域の国際交流協会、民間支援団体などにつないでまいります。

○田の上委員 私も、これまでの経験を通して、さまざまな苦労をしてまいりました。これまで区市町村や民間団体等が抱える困難を解決してくださる、また、外国人相談の課題をスムーズにしてくださる、導く役割であるというふうに認識しておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 次に、DVについて伺います。
 生活文化局では、男女平等参画、女性活躍の推進や配偶者等暴力対策施策を実施し、普及啓発や相談業務の主体として東京ウィメンズプラザの運営をしていると認識しております。
 これまで我が会派では、さまざまな相談事業においてのアクセスのしやすさというものを訴え、SNS相談の実施を要望してきております。そして、DVの相談についても、従来の来所か電話相談だけではなくて、SNSの相談の必要性をこれまでに何回も訴えてまいりました。
 ことし八月十八日から一カ月間という期間で、配偶者やパートナーからの暴力被害に関するLINE相談を試行実施していると思いますが、若年層でも相談しやすいコミュニケーション手段として実施しているものと認識しております。
 これから具体的な集計、まとめということも聞いております。このLINE相談でございますが、試行とはいえ、事業として実施し、効果を検証するためには、広く知ってもらい、また、相談につながることはもとより、継続のためにも友達登録をしてもらうことが重要と考えます。
 そのため、どのような広報を行い、どれくらいの方に登録をいただいたのか、伺います。

○赤羽男女平等参画担当部長 LINE相談の友達登録は、相談したい状況が生じたときに即時相談につながる効果的なものであるため、あらかじめ多くの方にご登録いただくことが重要でございます。
 試行に当たりましては、電話相談との比較による利用者層の傾向など、さまざまな効果を検証する必要がございます。
 そのため、今回、特に試行の対象としている十代から三十代までの女性向けにターゲティング手法を活用したLINE広告を実施し、登録促進を図ったところでございます。登録数は七千八百七人でございました。

○田の上委員 十代から三十代までの女性向けにターゲット手法を用いて実施したということでございます。若年層にリーチできているのかなというふうに考えます。
 これからの集計、まとめにおきまして、今までと異なる層にアプローチできたのかというところも結果として出てくるのかと思いますので、しっかりと分析をしていただき、その結果を次の施策につなげていただきたいと要望いたします。
 また、DV相談におきましては、多言語対応を四月から開始しています。
 私が相談を受けているケースでも、夫は日本人で、妻が外国人というケースも多々あります。日本語での意思疎通もままならない中、相談にたどり着けないという話も聞いているところです。
 この多言語対応の周知方法や相談内容など、試行の概要について伺います。

○赤羽男女平等参画担当部長 都内在住外国人などの配偶者暴力に関する相談に対応するため、本年四月から、週三日、英語、中国語など五言語による電話相談を試行実施しております。
 多言語対応を周知するため、東京ウィメンズプラザのホームページに加え、ツイッターやフェイスブックを活用いたしまして、幅広く情報発信いたしました。
 また、東京都国際交流委員会に依頼いたしまして、外国人のためのくらし情報サイトに掲載するとともに、区市町村や大使館への周知も行っております。
 相談内容の例といたしましては、離婚した場合における日本での在留資格に関することなどがございました。

○田の上委員 さまざまな取り組みをしてくださっているということでございます。日本語の意思疎通が難しい方への周知だとか情報提供というのは難しい面もあるかとは思いますが、多言語対応が開始されたということを広く知らせることは重要であります。
 今年度中は試行期間というところで、まだ具体的な数値などは出ていないのですけれども、ぜひこの周知についても分析を重ねていただきたいというふうに思います。
 例えば、社会福祉協議会を通して外国人関連のボランティアを利用するなど、情報が行き届くようにぜひご検討をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 先日、NPO法人BONDOプロジェクト代表の橘ジュンさんのステイホームできない少女たちという講演を聞いてまいりました。四月に緊急事態宣言が発令され、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のためにステイホームが推奨される中で、家庭環境の問題により居場所がない十代から二十代の女性が居場所を失い、性産業などに巻き込まれていく現状についてが主でありました。
 同法人では、六月十日から二十九日までLINEによる調査を行いまして、結果や記述などから、家が安全ではない、安心できる場所ではないという状況も見られました。これは、配偶者に限らず、親や兄弟に性暴力を振るわれているというような例があったり、コロナ禍で、家族からいらいらをぶつけられたり、暴言を浴びせられたという例もございました。家庭内環境におけるコロナ禍の影響について懸念されるものであります。
 緊急事態宣言時や、それ以降の期間におけるDV等の相談状況について改めて伺います。

○赤羽男女平等参画担当部長 都内の配偶者暴力相談支援センターにおける令和二年四月から九月までの相談件数は一万二千百九十件でございまして、前年同時期は一万七百六件でございました。
 相談内容の例といたしましては、テレワーク中の夫から、夕食の準備が遅いとどなられたですとか、在宅勤務や時短を理由に、家事ぐらいちゃんとやれなどと暴言を吐かれたなどの相談が寄せられております。

○田の上委員 都では、DVに限らないのですけれども、相談事業の強化ということで補正予算の措置をしていると認識しております。
 これは、先ほどの少女の例でございますが、家以外に安全に過ごせる場所が欲しいという要望がありました。シェルター等の存在や都が提供しているコロナ禍での対策というものも、まずは相談にたどり着けないと情報が得られないというふうに思いますので、その意味でも情報提供が重要になります。今後とも、積極的な情報提供をお願いする次第です。
 児童虐待の事例を見ますと、配偶者間の暴力も、その家庭ではあるということがあります。NPO法人女性ネットSaya-Sayaの記事によりますと、配偶者暴力の被害者は、圧倒的に女性です。夫の機嫌を取ることだけに一喜一憂し、子供の世話すらできなくなることもあります。実家や友人との関係を断たれ、外部に相談できないまま事態が悪化することも多いとのことで、さまざまな連鎖、悪循環が生じているように思われます。背景には、女性に抑圧的な社会構造や価値観があるということも指摘しております。
 先ほどの講座の例でございますが、女の子が家の中でこたつに入れないという話を聞きました。お父さんや弟はこたつに入るんだけれども、女の子であるお姉ちゃんの方はこたつに入れないという、その家庭内の環境、男女差というものがあるという話を聞き、私もちょっとびっくりしたんです。
 配偶者暴力等防止のためには、男女平等に関する普及啓発も重要と考えます。都の認識を伺います。また、どのように普及啓発を行っているのかも一緒に聞かせてください。

○赤羽男女平等参画担当部長 配偶者暴力等の防止のためには、全ての都民が性別にかかわりなく個人として尊重される男女平等参画についての理解が必要でありまして、その理解促進を図ることが重要でございます。
 都は、男女平等参画を推進するため、東京都男女平等参画推進総合計画に基づき施策を実施し、その状況等につきまして、毎年度、年次報告として公表しております。
 令和元年度には、都民に男女平等参画の現状とさまざまな施策を紹介するパンフレット、だれもが輝くとうきょうガイドブックを発行いたしました。
 また、特に配偶者暴力等の防止に関しましては、東京都配偶者暴力対策基本計画に基づき、配偶者暴力防止のパンフレットやPRカード等の配布、都民向け講演会を開催するなど取り組んでおります。

○田の上委員 男女平等参画につきましては、これがいわれてからかなりの年数がたっていると思いますが、引き続き取り組みをお願いしたいと思っております。
 また、暴力をなくすためには、DVとしての啓発のみならず、さまざまな視点からの取り組みも必要と考えますので、今後とも、あわせて力を入れていただきたいと要望いたします。
 以上です。

○林委員 自民党の林あきひろでございます。それでは、早速、質疑に入らせていただきたいと思います。
 今回、私は、生活文化局の事業概要におけます私学振興のための施策の中から、TOKYO子育て応援幼稚園について伺わせていただきます。
 幼稚園は、人間形成の基礎を培う普遍的かつ重要な役割を担っておりまして、これまでも多くの子供たちの成長に貢献してまいりました。また、共働き家庭が多くなる中、地域においては、子育て支援の役割も期待される声に応えて、預かり保育の実施を行う幼稚園がふえており、待機児童解消に大きな役割を果たしてきているところでもあります。
 幼稚園が地域の状況を踏まえた積極的な対応を行っていただくことの一つであります、この預かり保育事業を推進することは、保育園等とともに、子育て支援と就労との両立を求めますご家庭の強力な支援策となるということで大変ありがたいことだというふうに考えております。
 このような働く家庭の実態に応えた長時間の預かり保育や、小規模な保育施設等を卒園した児童の受け入れを行う幼稚園について、東京都では、全庁的な待機児童対策の一つとして、平成二十九年度からTOKYO子育て応援幼稚園事業を開始することを通じて、私立幼稚園における預かり保育の取り組みを支援してまいりました。
 そこでまず、最初に伺いますけれども、この事業の開始年度から、これまでの推移も含めて、実施園数の状況について伺うものであります。

○濱田私学部長 事業開始年度の平成二十九年度は七十三園の実施でしたが、平成三十年度は九十一園、令和元年度は百八園で実施をしております。
 本年度は百十四園が実施する見込みであり、毎年度、実施園数はふえてきております。

○林委員 ありがとうございました。平成二十九年度が七十三園、平成三十年度が九十一園、令和元年度が百八園、そして、本年度が百十四園が実施の見込みということで、毎年度、実施園数がふえてきているとのことです。
 この預かり保育が働く保護者のニーズというものにマッチした、まさに時代が求める事業として大変評価をできるものでありますけれども、待機児童の解消に向けては、いまだ道半ばということでもあり、また、幼稚園教育を希望するご家庭を後押しして、幼稚園の魅力をより高めていくということが、さらなるこういった意味でのご努力というものが必要になっているのではないかというふうに考えているところでございます。
 本事業については、二百園での実施を目標としているというふうに伺っております。
 このTOKYO子育て応援幼稚園の現在の状況について、都としてどのように評価をされているのかについて伺いたいと思います。

○濱田私学部長 目標園数には達していないものの、本事業が主として対象とする三歳以上の待機児童数は減少傾向にございまして、待機児童解消に向けた取り組みとして、一定の貢献を果たしてきていると考えております。
 しかし、まだ待機児童は解消に至っておらず、また、TOKYO子育て応援幼稚園は、幼稚園に子供を通わせたい共働き家庭のニーズに応える意義も持っておりまして、今後も引き続き、実施園数の拡大に向けて取り組んでまいります。

○林委員 ありがとうございました。今おっしゃったように、待機児童の解消に向けた取り組みとして貢献しているということでございます。そして、幼稚園にお子さんを通わせたいというか、通ってもらいたいというご家庭、そうした幼児教育を望む就労家庭へのニーズに応えていることから、本事業が果たす役割は大きいものというふうに改めて申し上げたいというふうに思っておるところでございます。
 では、都は、この実施園数の拡大とか利用の促進に向けて、具体的にこれからどのように取り組みを進めていくのかについてお教えいただきたいと思います。

○濱田私学部長 実施園数の拡大に向けて、今後も引き続き、事業の実施主体である区市町村との意見交換や、幼稚園の個別の状況に応じた区市町村への助言、働きかけを丁寧に行ってまいります。
 また、幼稚園団体とも連携し、各園に対して、制度の理解促進や事業への参加を働きかけてまいります。
 さらに、TOKYO子育て応援幼稚園をより一層浸透させるため、PRグッズを作成し、未就学児を持つ保護者が利用する施設やイベント等で配布するなど、子供の保育先の選択肢の一つとしての認知度を高めてまいります。

○林委員 ご答弁ありがとうございました。区市町村との意見交換、助言、働きかけを実施されるということ、そして、幼稚園団体との連携をいただきながら、園に対して制度の理解促進とか事業への参加を働きかけていくと。
 また、今おっしゃっていた未就学児の保護者へのPR活動、これは私は非常に大事だと思っております。私も、かなり前になりますけれども、子供を二人、幼稚園を卒業させておりますけれども、私もイクメンとして育児には参加してきたつもりです。母親同士の交流とか、父親が参観というか、参加したこともございますけれども、そういう場面というか、幼稚園に入る前のいろんなところで、公園デビューとか、いろいろなところがあると思うんですけれども、そういうところにも積極的に働きかけていただきながら、この事業といいますか、幼稚園の魅力というものもPRしていただければというふうに思っておるところでございます。
 このTOKYO子育て応援幼稚園の取り組みというものは、共働き家庭のニーズにマッチするだけではなくて、少子化社会における幼稚園の価値を高めることにもつながるものというふうに考えております。
 幼稚園における預かり保育というものは、昨年十月から開始されました国の幼児教育無償化において無償化の対象とされておりまして、小さなお子さんを育てているご家庭からの期待というものは非常に大きいものというふうに感じております。
 また、幼稚園側にとっても、幼稚園教育要領における教育活動として位置づけられる預かり保育については、多くのご家庭から、さらなる充実というものが求められておるわけでございます。私立の幼稚園がこれまで幼児教育に果たしてきた役割というものは非常に大きくて、東京都としても、幼児教育を都政の重要課題として位置づけておられて、さまざまな施策を講じてこられたことは十分に評価するところではございますけれども、さらなる支援というか、協力をお願いする、そういった要望があることは十分ご承知のとおりだというふうに考えております。
 このTOKYO子育て応援幼稚園を実施したくても、その基準というもの、年間二百日以上とかいろいろあったと思いますけれども、そういう基準を超えるに至らない中小の幼稚園からの要望というものもあったと思いますし、多くの幼稚園が実施している預かり保育の推進の補助拡充についての要望というものもあるかと思います。
 先ほどの資料の中にも記されておりましたけれども、決して数字が大きくふえているという状況にはないようでございますし、こういったことに対する要望にも応えていただきたいと思います。
 また、よくいわれている、保育士等に対しての処遇等の開きから、幼稚園教諭の確保に苦労しているということ、保育園の教諭にとられている。ちょっと言葉は悪いのですけれども、そちらの方に行ってしまうとか、こういった国の幼児教育無償化上限額と、都内の私立幼稚園の年間納付額平均との開きというものから、保護者負担という課題というものもあるかと思います。
 こういった幼稚園を取り巻く課題というものは、幼稚園側としても、保護者からしても、さまざまあるわけでございまして、この辺を一緒に、やはりぜひとも東京都としてもお考えいただきたいと思います。
 いずれにしても、この東京の未来を、そして、あすの日本を担う子供たちが生き生きと学んで成長していく豊かな教育環境を提供していくということが非常に大切だと思いますので、今後とも、東京都として、しっかりと幼稚園教育への支援を拡充していただきますよう強く要望いたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○河野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三十分休憩

   午後三時五十分開議

○河野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○谷村委員 それでは、私学振興、私学助成の拡充について質問いたします。
 私立学校は、それぞれ独自の建学の精神や教育理念に基づき、新しい時代に対応する個性的で特色ある教育を積極的に展開しておられます。東京、ひいては我が国における公教育の進展に大きく寄与をしておられます。
 申し上げるまでもなく、現在、都内の学校に在学する園児、児童生徒のうち、私立学校に在学、在園する割合は、高等学校で約六割、幼稚園では約九割を占めており、私立学校が東京の公教育に果たす役割は極めて大きいものがあります。
 今、既にインターネットが当たり前の時代に育ったミレニアル世代、また、生粋のデジタルネーティブといわれるZ世代、そして、現在の小中高生は、さらにその先の世代でもあります。ソサエティー五・〇時代を見据えた新たな社会に向けて、子供たちが情報活用能力を身につけるとともに、情報モラルを理解していくことがますます重要となっております。
 今般の新型コロナウイルス感染症の拡大により、学校におけるICTの活用が進んでおりますが、学校ごとの取り組みに大きな差が生じているのが実態でもあります。
 こうした状況において、公立、私立相まっての教育体制を維持し、各学校が新たな時代に対応した教育を実践していくためには、私立学校振興助成法第一条に規定するとおり、教育条件の維持向上と保護者の経済的負担の軽減を図るとともに、私立高等学校等の経営の健全性を高めていくことが求められております。
 そこでまず、私学のICT環境整備の支援につきまして質問します。
 都は、平成二十七年度から、私立学校ICT教育環境整備費補助により私立学校の支援を実施しております。
 そこで、都内の私立学校のICT教育環境の整備状況についてお伺いします。

○濱田私学部長 本年六月に、都内の私立小学校、中学校、高等学校、特別支援学校を対象に、ICT教育環境の整備状況に関するアンケート調査を行いました。
 その調査結果によりますと、パソコンやタブレット等の教育用端末は、児童生徒の約五人に一台の割合で整備されておりました。
 また、普通教室における無線LANの整備率は七一・六%、三十メガビットパーセカンド以上の速度のインターネット接続率は九五・六%、普通教室における大型掲示装置、これは電子黒板とかプロジェクターになりますが、この整備率は七七・二%でございました。

○谷村委員 今般の新型コロナウイルス感染症の影響で、緊急時のオンライン授業への対応が必要となるなど、重要性はより高まっております。
 こうした中で、私学の学校現場からはどのような要望が出ているのか、ご認識をお伺いします。

○濱田私学部長 学校現場からは、国が進める新しい教育に対応するため、ICT環境整備は喫緊の課題となっている、臨時休校などの緊急時における学習保障手段として、同時双方向のオンライン教育環境の整備が必要になっているとの声が寄せられており、各学校の取り組みに対する都の支援が求められております。

○谷村委員 今の東京都に寄せられたお声なども踏まえた上で、私立学校におけるICT教育環境整備につきまして、都として力強い支援をしていくべきと考えますが、野間局長の決意をお伺いいたします。

○野間生活文化局長 学校現場におけますICT教育環境の整備は、新たな社会、ソサエティー五・〇に向けた新しい教育に対応していくという観点だけではなく、今回のコロナ禍のような緊急時における学習手段の確保という観点からも重要であると認識してございます。私立学校の現場からも、都の支援を求める強い要望が出されていることも承知してございます。
 都内の私立学校は、それぞれの建学の精神に基づき、個性豊かな特色ある教育活動を展開し、これまでも優秀な人材を多数輩出してございまして、次代の社会を担う人材の育成に当たって、私立学校は重要な役割を担っております。
 今後とも、学校現場の意見も聞きながら、私立学校におけるICT教育環境の整備に向けて着実に取り組んでまいります。

○谷村委員 大変にありがとうございました。局長から、今、私立学校のICT教育環境整備に向けて着実に取り組んでいくというご答弁をいただきました。学校現場からも強いご要望が出ております。ぜひとも私立学校の取り組みをしっかりと支援していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、私立学校の空調設備の整備について質問します。
 四年前、都議会公明党として、都内公立学校の空調整備、とりわけ体育館の空調につきまして、都立学校はもちろんのこと、都内市区町村立の小中学校の体育館の空調整備につきましても、都の設置費負担を上げることにより推進をしてまいりました。
 同じ時期に私立高校の授業料実質無償化も進めさせていただきましたので、この私立学校への空調設備につきましては、少しおくれが生じた感がいたしております。
 今年度から世帯年収制限も都立高校と同じ約九百十万円となったことなどから、また、都内公立学校の体育館の空調設備の設置もかなり進んできた状況にありますので、次は、私学の空調設備の設置促進であります。
 ことしも猛暑が頻発をしております。また、新型コロナの影響で、夏休みを短縮して授業を行う学校も多数ありました。
 現在の私立学校の空調設備の整備状況について、都のご認識をお伺いします。

○濱田私学部長 本年六月に都内私立小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校に対して行ったアンケート調査によりますと、普通教室における空調整備率はほぼ一〇〇%でございました。
 一方、アンケートに回答した学校の中で、体育館に空調を設置していた学校の割合は約七割でございました。

○谷村委員 ありがとうございます。このアンケート調査の結果ですと、約三割の私立学校の体育館が、現状では空調設備、エアコンが未設置ということになります。
 私立学校が体育館に空調設備を新たに設置する場合、現状、都は支援を行っているのかどうなのか、お伺いをいたします。

○濱田私学部長 私立学校の校舎等の施設は、私立学校が存立する基礎となる資産でございまして、設置者である学校法人みずからが設置し管理すべきものとの考えから、基本的には施設設備の新設には補助を行っておらず、現時点で、体育館における空調設備の新設も、同様に補助は行っておりません。

○谷村委員 ご答弁いただきましたけれども、ご答弁のとおりであると、私も大変よくわかります。
 しかし、ウイズコロナの時代に入りまして、震災時だけでなく、大雨特別警報が都内にも出されるようになり、都内でも避難所開設が余儀なくされております。各地域では、三密を避けるためには、私立学校の体育館も、あるいは教室もですけれども、避難場所として求めざるを得ない状況にあります。
 児童生徒の皆さんの安全確保という観点に加え、災害時における地域の防災力を高めるという観点からも、私立学校の体育館の空調設備の設置に対して、都が十分な補助をしていただきたいことを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○とや委員 共産党のとやです。よろしくお願いします。
 まず、私からは、東京の文化芸術支援、そして、都立施設である東京都美術館などの施設の都民利用について伺いたいと思います。
 文化や芸術は、人間にとってぜいたくなものではなく、人として生きていくために必要不可欠なものです。新型コロナウイルス感染防止のために、二月以降、多くの文化芸術関係の公演やイベントが中止となりました。
 緊急事態宣言のもとでの小池知事の休業要請によって、劇場やライブハウス等の発表の場が閉ざされ、学校の臨時休校で、休校中だけでなく、六月以降に予定されていた学校公演も次々とキャンセルとなりました。
 アーティストやスタッフ、関係者にとって、公演ができないということは、作品の発表の場がなくなると同時に、即収入がなくなるという死活問題であります。
 東京都は、文化の灯を絶やさないために、緊急対策としてアートにエールを!東京プロジェクトを実施しました。
 四月から実施した個人型は、活動を自粛せざるを得ないアーティストやスタッフにウエブ作品を作成してもらって、その出演料として、一人につき十万円を支給するというものです。
 六月から実施のステージ型は、コロナで企画が中止となった団体が開催する公演への支援として、一件につき二百万円を支給するものでありました。
 そこで伺いますが、新型コロナ対策として実施したアートにエールを!東京プロジェクトのこれまでの支払いの実績を改めて伺います。

○古屋文化振興部長 アーティスト等を対象とする個人型につきましては、二万七千二百四十九名の応募に対しまして、二万八百八十五人の方が個人登録いたしまして、十月末現在で一万八千八百九十人に支払い済みでございます。
 劇場等での公演が対象のステージ型につきましては、千四百七十件の応募に対しまして三百件を企画採択いたしまして、十月末現在で八十四件に支払い済みでございます。

○とや委員 個人型の募集は二万人でしたから、少し多く登録できたものの、約七千人は抽せんで外れてしまったということです。
 ステージ型は、三百件の募集に対して千四百七十件と、五倍もの倍率となっています。
 個人型は、第一回目の募集では応募が殺到して、私も覚えているのですが、サーバーダウンするほどだったと、こういう事態にもなりました。
 もともと文化芸術に対する日本の公的予算は、ヨーロッパなどと比べて大幅に少ないわけですが、自力ではどうしようもないコロナ禍のもとで、ますます支援が重要になっています。
 アーティストや文化芸術関係者が集中する東京において、都がアートにエールをの事業を実施したことは大変重要で、特に、事業に係る経費の一部ということではなくて、出演料、ギャラとして支給したこと、それから、公演や事業内容に条件をつけることなく、団体が行いたい公演そのものに支援をしたことは、関係者に大変評価をされています。こうした立場で今後の支援にも臨んでいただきたいと思っています。
 五月二十五日に緊急事態宣言が解除され、イベントも、開催制限も段階的に緩和がされてきました。
 現在は、屋内イベントでも、観客が大声を上げるようなものでなければ、観客席の一〇〇%まで観客を収容可能とされています。しかし、だからといって、文化芸術活動を取り巻く環境は、決して回復したとはいえない状況です。
 一つの例として伺いますが、新型コロナによる都立文化施設の休館期間、それから、美術館、博物館の開館後の企画展の開催状況はどうなっているか。
 また、都美術館の公募展の実施状況、予定どおり実施した展覧会と中止した展覧会の数、そのうち六月一日以降中止となった展覧会の状況、数はどうなっているでしょうか。

○工藤文化施設改革担当部長 都立文化施設は、令和二年二月下旬から展覧会、公演を順次休止いたしまして、六月上旬から順次再開しております。
 美術館、博物館の特別展は、予定どおり開催したもののほか、企画内容の変更、開催の延期、中止などで対応しております。
 東京都美術館の公募展の実施状況ですが、二月下旬以降で開催した展覧会が三十四、中止となった展覧会が百六十四であり、そのうち六月一日以降に中止となったものは九十七でございます。

○とや委員 ご答弁のとおり、都立文化施設は六月上旬から再開しているわけですが、特別展などの主催事業でも、中止や延期、期間や内容の変更などの影響を受けています。
 私も七月二十三日から始まった浮世絵展へ行ったわけですけれども、密を避けるために、日時指定入場制をとって、予約が必要でありました。
 現代美術館で十四日から開催される石岡瑛子さんの、血が、汗が、涙がデザインできるかなども、感染予防、拡散防止のために、各時間に定員を設けた予約優先チケットが販売されているという状況であります。
 東京都美術館の公募展、つまり、館の主催ではなくて、美術や書の団体などが展示室を借りて行う展覧会も計算してみますと、二月下旬以降、八割以上が中止となっており、六月一日以降に開催予定で中止となったものも九十七あるとのことです。
 東京都美術館は、コロナとの関係では、六月の初めから開館することも可能だったわけですが、企画展も公募展も全て中止になって展示するものがなかったので、六月いっぱい休館したと聞いています。
 公募展で出展予定だった関係者の方にお話を伺いましたが、やはり開催時期が夏や秋以降だったとしても、緊急事態宣言のもとで準備ができない、また、緊急事態宣言がいつ解除されるか見通しが立たない状況で、中止を決断せざるを得なかったとおっしゃっていました。
 都美術館の例についてお答えいただきましたが、これは、民間も含め、どこの施設でも同じような状況で、関係者の皆さんは本当にご苦労されています。公演ができたとしても、観客はまだ戻ってこない、あるいはチケットが売れないそうです。
 冒頭にも申し上げましたが、学校公演を行っている劇団などは、軒並みキャンセルされて、今後もコロナの終息の見通しがつかなくて、授業も休校の分が詰め込まれている中で、学校での演劇鑑賞の企画を立てることが難しいといわれて、途方に暮れている状況があります。
 新型コロナによる休館や外出自粛で、文化芸術は大きな打撃を受け、現在でもその影響は大きいと思います。
 アーティストやスタッフ等、文化芸術関係者がコロナ禍で倒れてしまうことのないよう、都が引き続き支援することが大変重要だと考えますが、いかがでしょうか。

○古屋文化振興部長 東京の芸術文化の魅力を世界に発信する創造活動を支援するため、発信力のある活動を行う団体等に対する助成などを実施しておりまして、引き続き、助成事業などのさまざまな支援を行ってまいります。

○とや委員 今おっしゃった助成事業というのは、新型コロナの影響を考慮した支援なのか。あるいはまた、現在行っている事業を拡充強化するという意味で受け取ってよろしいのでしょうか。

○古屋文化振興部長 都は、従前から、アーティストやスタッフなどの方たちの公演活動や展示活動を支援するために、さまざまな種類の助成活動を展開してまいりました。
 今後も引き続き、そういった支援を続けてまいりたいと考えているところでございます。

○とや委員 引き続き必要な支援を行っていくということでした。先ほど、アートにエールをのステージ型の支援には、千五百件近くの応募があったとご答弁いただいたわけですが、中止になった公演はもっと無数にあったわけです。応募いただいたものも、三百件を選ばなければいけなかったわけですから、支援できたのはごく一部にすぎません。文化の灯を絶やしてはいけないと東京都自身がおっしゃっているわけです。ぜひ今後も支援を強化していただきたいと強く要望しておきます。
 支援として今求められていることの一つが感染予防対策です。
 私たちは、夏にも申し入れをして、そこでも触れさせていただきましたが、今、公演をするためには、当然、感染予防対策が欠かせませんが、それには、観客の消毒液や体温測定、また、これらの予防対策を案内する人の配置など、さまざまな経費がかかります。
 また、会場の構造等、換気を考慮して、観客を一〇〇%入れることが難しい場合があるとも伺っています。
 さらに、アーティストの方々が一番心配しているのは、もし自分が感染したら、自分が休むだけでは済まなくて、公演全体が中止になってしまうということだそうです。それを防ぐためには、定期的なPCR検査が必要だと思います。
 ある劇団関係者の方にお話を伺いました。その方は、役者ではなくてスタッフなんですが、既に三回、PCR検査を受けたといっていました。早目早目に検査をして、万が一、陽性だった場合は、その俳優さんには休んでもらい、代役を立てることができれば公演中止を防げる、PCR検査を拡充し、簡単に受けられるようにしてほしい、コロナと共存して社会経済活動を回していくためには、検査の拡充が欠かせないと強調しておられました。
 感染予防対策への支援が東京都として必要ではないでしょうか。

○工藤文化施設改革担当部長 都立文化施設では、施設側といたしまして、貸出施設内の備品について、原則、利用後には各施設が消毒を行うなど、対策をとっております。

○とや委員 今のご答弁、都立施設についてお答えいただいたわけですが、都立に限らなくて、どの施設を利用する場合にでも感染予防対策は欠かせないわけです。
 ニューヨークでは、誰でも受けたいときにPCR検査を受けられる体制を整備し、感染拡大を抑え込むことに成功しています。そうした検査体制の拡充は、生活文化局だけでできることではありませんが、全庁的な問題として、提起して取り組んでいただきたいと思います。
 プロだけでなく、都民のアマチュアの人たちも含めた文化芸術活動も大きな打撃を受けています。
 ある団体では、都美術館で予定していた展覧会が中止になって、会場費は返してもらったものの、その他の準備経費が赤字となって、また、中止によって出品料や会費の収入がなくなって、来年の開催の危機に陥っているとのことでした。
 こうした現状があることを認識していらっしゃるでしょうか。

○工藤文化施設改革担当部長 来年の開催に不安を抱える団体があることは承知しております。

○とや委員 承知をしていらっしゃるとのことであります。団体の皆さんは、ことし展覧会を中止せざるを得なかった団体に対しては、せめて来年、利用料を減免するなどの支援をしてほしい、来年、展覧会が開催できれば立て直すことができると求めていらっしゃいます。ぜひ支援策を考えていただきたいと思います。
 利用者の皆さんは、都立文化施設は大幅な減収になっているのではないかとも心配をしていらっしゃいます。休館による減収などによって、会場使用料が値上げになるのではないかという不安の声があります。どのような状況なのか。
 コロナ禍のもとで文化芸術を振興するためには、むしろ値下げや減免こそ必要ではないでしょうか、お答えください。

○工藤文化施設改革担当部長 会場使用料につきましては、指定管理者である東京都歴史文化財団の収益への影響など、状況を踏まえた検討が必要だと考えております。

○とや委員 かなりの減収になっているんじゃないかなと思います。収益への影響を明らかにして、財団が利用料を値上げせず、減免しながら館の運営を継続できるよう、都として、指定管理者である歴史文化財団を支援していただきたいと思います。
 コロナ禍だからこそ、都民には文化芸術が必要です。文化芸術には、人々の心に共感を広げて、癒やして勇気づける力があると思います。密を避けるために人々が集うことがままならない現状がある中で、感染防止をしながら、プロもアマチュアも文化芸術活動を継続して、享受できる環境を都が確保、保障していることが求められております。そのために、経済的な支援を初め、あらゆる支援を行うことを求めておきたいと思います。
 次にお聞きしたいのが、東京都美術館における都民利用についてです。
 東京都美術館では、さまざまな文化芸術作品の企画展、特別展が行われているほか、都民の利用も可能ですが、利用できる施設と利用方法、ルールの周知方法についてお答えください。

○工藤文化施設改革担当部長 都は、東京都美術館運営要綱で、公募展示室、ギャラリー、講堂、スタジオの使用の承認を定めております。
 利用方法、ルールにつきましては、館で施設利用者に利用案内を渡してお知らせをいたしております。

○とや委員 この施設は、都民は団体登録をして利用していらっしゃいます。ですから、都民が施設を利用する際、ぜひより快適に利用していただきたい。そして、それを保障するのは館の役割であって、所管である生文局、東京都の役割であると思います。
 一方、美術館ですから、セキュリティーも大事だと思っています。
 収蔵品や展示品の盗難の対応などのため、セキュリティー対策はどのようになっていらっしゃいますか。

○工藤文化施設改革担当部長 防犯カメラの設置、それから、入退室管理などの対策をしております。

○とや委員 今、防犯カメラのお話がありました。防犯カメラは、あくまでも収蔵品や展示品の盗難を防ぐためのものだと考えます。
 ところが、登録団体が利用する館内施設の一つであるスタジオがあるわけですが、ここにも防犯カメラが設置されています。
 利用者からは、他の施設では、廊下などの共用部分は、あとロビーとか、カメラは設置するが、登録団体が利用する部屋には、プライバシーへの配慮から設置しないのに、なぜここだけという声が上がっています。必要のないところにまで防犯カメラを設置して、都民を監視しているのではないかなどと不信感を招くことになります。
 何よりも、デッサンに使われる--あそこは学習もできる施設であって、さらには、登録している方々が利用する施設であります。都民からは、監視カメラがあることで、モデルへの配慮に欠けているとか、非常識だとの声もあります。ぜひ外していただきたいということを求めておきます。
 その上でお聞きしておきたいのですが、今、カメラが設置されているわけですが、私も見に行ったのですけれども、スタジオを都民が利用する場合、利用方法はさまざまだと思うんですが、デッサンをする場合、ヌードモデルのときの配慮はあるのでしょうか。

○工藤文化施設改革担当部長 使用申請書に配慮が必要となる理由が記載されている場合につきましては、カメラに直接映り込まない位置やパーティションの利用を利用者に対して案内いたしております。

○とや委員 パーティションは、モデルの後ろに配置することになるわけですけれども、後ろ姿をデッサンする方もいたり、周りをぐるっと囲んでデッサンするというのが普通ですよね。それができないわけです。本当に困っているということでした。
 また、そもそも、以前、利用するときにパーティションがあるようなことはいわれた覚えはあるけれども、部屋を探しても見つからなかったと。私も部屋を拝見してきましたけれども、教えてもらわなければわかりませんでした。
 また、カメラに映り込まない位置などといいますけれども、そんなところはないんじゃないかなというふうにいわなければなりません。
 丁寧な説明が必要だと思います。ぜひ美術館の方にお伝えいただきたいと思います。
 また、都民が施設を利用する場合、これは小さなことですけれども、お茶っ葉とか、お茶を飲んだりするわけですけれども、こういったことを、小さなごみとかは廃棄できないのかと。館で処理することは可能ではないかという声もあります。いかがでしょうか。

○工藤文化施設改革担当部長 館のごみ集積場のスペースに余裕がないことや、害虫等による作品への影響などから、お茶っ葉などにつきましても、従来より、ごみの廃棄は各団体で行っていただいております。

○とや委員 近所だったら、ビニールか何かに入れて持って帰れるかもしれないけれども、電車に乗ってくる人も多いと思います。施設のごみ収集のラインに乗せられないほどの量ではないと思います。柔軟に対応していただくように求めておきます。
 さらに、まだあります。イーゼルが備品として、あの部屋にはあるわけですが、現在の大きさ以外にもそろえてほしいとの声があります。
 都民の要求に柔軟に応えるため、小さいものであったり、あるいは、いろんな種類があるそうですから、幾つかの種類をそろえていく、そうした検討が必要ではないでしょうか。お答えください。

○工藤文化施設改革担当部長 配置されているイーゼルにつきましては、利用者が使用する高さを調節することが可能であり、汎用性の高いものとして用意をいたしております。

○とや委員 そういうのですけれども、例えば、私たちにそのお話をいただいた団体の方々は、ほかの施設でもデッサンをやっていらっしゃって、北区の区立施設では、イーゼルは数種類のものがあって、スライド式や小さいものもあるそうです。やっぱり身近な区民の声を聞いて、区立施設が対応しているということがすごくよくわかりました。ぜひ都立美術館でもお願いしたいと思っております。
 もう一つ、モデル台もあります。あれ、私も持ってみたのですけれども、すごく重たくて移動が大変でした。
 ぜひ対応を検討していただきたいと思いますが、いかがですか。

○工藤文化施設改革担当部長 モデル台につきましては、安定性の確保のため、一定の重量が必要でございまして、一般的な仕様の既製品を使用しているところでございます。

○とや委員 既製品だということですし、重量が必要なのは理解できるのですけれども、持ち上げて足の上に乗せるとなると、また大変だということも理解できますので、検討していただきたいと思います。
 ここまで幾つか要望をいわせていただいたのですけれども、なぜこのように多くの意見、要望が出るのかと。都民の声をきちんと聞いて、設備や備品などをそろえるべきだと私は思います。それを丁寧にしてこなかったんじゃないかと。ぜひ検証していただきたいと思います。
 今後、ぜひ利用者の要望を聞く機会を設けてほしいと思いますが、いかがでしょうか。

○工藤文化施設改革担当部長 東京都美術館では、貸出施設の利用団体とは、全ての団体と個別に綿密な打ち合わせを事前に行っており、要望について聞く機会を確保しております。
 打ち合わせ内容につきましても、記録して、利用者と共有しているというところでございます。

○とや委員 綿密に打ち合わせをして、記録もして、共有もしているとおっしゃいますけれども、この今の答弁は、例えば展示会の際の打ち合わせの記録なんですよ。搬入だとか、受け付けだとか、物販だとか、そういうルールについて説明を受けて共有するものであって、日ごろ感じている疑問だとか、意見だとか、要望を聞くものではないわけです。ですから、都民に向き合う姿勢をもうちょっと持ってほしいというふうに思います。
 今後--私は、東京都美術館はすばらしい施設だと思っています。だからこそ、都民に愛される施設として運営をしていただきたいと切に願っています。
 ぜひ都民が気持ちよく利用できるための配慮をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○工藤文化施設改革担当部長 東京都美術館では、日ごろから快適な利用環境を整えて業務を進めて努力しているところでございます。

○とや委員 いや、快適じゃないから、これだけ意見が出てくるんですよ。立派な美術館なんだけれども、一般の都民に対して、丁寧に話を聞く、要望を聞く姿勢がちょっと欠けているんじゃないかなと。私は、実際に行って、スタジオを見させていただいたり、視察をする中で率直に感じました。それはぜひ館に伝えていただきたいし、東京都としても責任を持って話をしてください。
 これまで求めてきた要望は、都民の方々から寄せられた、本当にそんなに大それた、大きな要求ではないんですよ。都にとって、それほど無理な要求とも思えません。文化芸術振興のため、都民の利用をさらに快適なものにするため、ぜひ努力をお願いしたいと申し上げまして、この項については終わります。
 次に、ウィメンズプラザの運営、それから、男女平等参画、ジェンダー平等について伺っていきたいと思います。
 ご承知のように、ジェンダーギャップ指数は百五十三カ国中百二十一位のジェンダー平等後進国が日本です。コロナ危機のもと、多くの女性労働者が職を奪われたり、DVや虐待の増加に苦しめられています。
 男女平等、ジェンダー平等社会をどのように実現するのか、誰もが尊厳を持って自分らしく生きられる社会をどのように進んでいくのか、問われております。
 東京から男女平等、ジェンダー平等が進めば、全国に影響を与えます。その意味で、都の役割、所管する生活文化局の役割はとても重要であり、その拠点となるウィメンズプラザの事業と役割も非常に重要だと思っています。ここら辺から伺っていきたいと思います。
 まず、ウィメンズプラザ主催事業と都民の自主活動があるわけですけれども、これらを合わせて会議室などの施設利用率が伸び悩んでいるように思うわけですが、この五年間、どのようになっているのか、確認させてください。

○赤羽男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザの施設利用率は、平成二十七年度六七%、平成二十八年度七〇%、平成二十九年度六八%、平成三十年度六八%、令和元年度六三%でございます。

○とや委員 この五年間、どの年も六〇%から七〇%の利用率で推移をしています。昨年度は六三%ということで、コロナの時期とも重なっているので、やむを得ない部分もあるかと思います。
 一方、この数字は、主催事業と都民の自主的な活動とが合算された数字になっているわけで、ぜひここは分けて利用率をカウントしていただきたいということを求めておきます。
 また、利用率が伸び悩む原因についての検証が必要だと思います。
 そこで、幾つか伺いたいのですが、まず、ウィメンズプラザの事業の大きな柱に民間活動への支援がありますが、どのようなものでしょうか。

○赤羽男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザは、豊かで平和な男女平等参画社会の実現に寄与するため、都内に活動拠点がある非営利の団体等に貸出施設を提供し、活動を支援しております。
 また、配偶者暴力被害者を支援する団体に対しましては、DV防止等民間活動助成事業や、被害者支援に必要な人材を養成するための研修等を実施しております。

○とや委員 私も、そういった事業を確認させていただきました。
 ことしは、補正予算でDV支援団体へのコロナの対策支援が盛り込まれていたわけですけれども、このときにも指摘をさせていただきましたが、今、支援団体の皆さんからは、特にコロナのもとで、非常事態に対応できる支援体制を中長期的な視点でつくっていかなければならないと切に願っている、そのためにノウハウやスキルは蓄積しているけれども、運営のための資金は常に不足していると述べていらっしゃいました。状況に応じた必要な機器も不足しているとおっしゃっています。ぜひ支援を強化していただきたいと思います。
 このDV支援に当たってきた民間団体の方々は、今、補正予算のときも申し上げたのですが、高齢化でこれまでの活動ができずに、閉鎖するしかないというところもあります。今後、若い人たちを育成して、多くのことを学んでもらいたいと私は思っています。男女平等、ジェンダー平等社会をつくっていく上で、牽引者になる人を一人でも多くつくっていくことを願っています。
 そして、これは都の役割でもあると考えています。こうしたところに力を入れて研修を行っていただきたい、あるいは、若い人たちの自主的な取り組みを支援し、施設も活用してもらうことが重要だと考えています。
 この点で非常に問題だと思ったのが、つい最近行われた決算質疑です。ウィメンズプラザの保育室の件です。
 子育て世代の方々のイベントなどで託児サービスを行ってほしいとの要望があるわけですが、都の事業の場合は、託児サービスがあって、保育士さんも用意している。だけれども、民間団体、子育て中の皆さんが学ぶ場合あるいはイベントなどを開催する場合は、託児室は、ホールや会議室等を利用する際に付随してお部屋は貸しているけれども、保育士等は利用者が手配する、利用者から保育士等の手配について相談があった場合には情報提供はするという、非常に冷たい答弁でありました。
 私、どこの自治体でもそうなのかと思って他県を調べましたら、神奈川県のかなテラスという、東京都でいえばウィメンズプラザに当たる男女共同参画センターがありまして、ここでは、自主事業であるか、あるいは県民団体等の主催の事業であるかにかかわらず、託児サービスは、保育士さんの用意もして無料だそうです。おやつの時間に当たるときは百五十円を利用者が払う、そういったシステムになっていました。その理由を施設の方に尋ねたら、利用者の利便性に配慮していると、当たり前のようにおっしゃっておりました。
 ここでお聞きしたいのですが、かなテラスのシステムについてはご存じでしょうか。そして、こうした他県の事例に学んで、都民のイベントや学習会でも託児サービスを、ぜひ保育士さんも用意して実施していただきたいということを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

○赤羽男女平等参画担当部長 神奈川県では、そのような取り組みを行っていることは承知しております。
 都の主催事業につきましては、都が保育士を手配しており、民間団体主催の場合は、利用者に手配していただいております。

○とや委員 ウィメンズプラザの事業には、民間活動の支援とか、女性活躍推進事業とか、記載されているわけですよ。男女平等社会、ジェンダー平等社会を実現しようとする都が、託児サービスも利用者の自助努力で行えというのは、その姿勢が問われると思います。
 こうした取り組みをしてこそ、先ほど利用率が出ていましたが、利用率もしっかりと上がってくるのではないかと思います。一日も早く、保育士の手配についても、都民主催の事業の際もウィメンズプラザできちんと用意して、支援していただくことを強く求めておきます。
 広く都民にウィメンズプラザを知ってもらって、活用してもらって、そして利用率を上げていく。そうした取り組みについて、もう一つ伺っておきたいと思います。
 男女平等を推進する上で、東京都は、男女平等参画推進総合計画で重点的に取り組む課題の一つに、男女間のあらゆる暴力の根絶に向けた多様な主体による取り組みを掲げています。
 そうした方針を受けて、ウィメンズプラザの事業として配偶者暴力相談支援センター事業を行っており、配偶者からの暴力被害相談、被害者の保護及び支援、暴力防止のための事業を行っていると記載されています。コロナ禍のもとで、ますます重要になってきている事業です。
 私、先日、ウィメンズプラザを視察させていただきました。そこで気になったことの一つが、この施設を広く都民に知らせることにちゅうちょがあるように思えたことです。ウィメンズプラザの建物を外から写真を撮ったりすることも制限されたり、非常に違和感を感じました。
 その理由が、DV相談を行っている場所が加害者に知られる可能性があるということでした。
 そこで伺いたいのですが、DV相談を行っていること自体は、ウィメンズプラザの事業の柱の一角をなすわけですが、ここはほかの事業も行っているわけで、私としては、もっと開かれた部分を押し出してほしいと思いました。
 こうした状況を踏まえて伺いたいのですが、まず、配偶者やパートナーからのDVでウィメンズプラザに相談をし、一時保護を求めた件数は何件でしょうか。また、そのうち直接窓口に来た件数は何件か。それぞれ五年分、伺います。

○赤羽男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザに寄せられた相談のうち、一時保護に関する相談は、過去五年間で約百件でございました。
 東京ウィメンズプラザの相談は、電話及び予約制の面接となっております。
 窓口に来訪される方は、問い合わせ等、さまざまなケースがございますので、件数等は把握しておりません。

○とや委員 五年間、約百件とのことで、多くは電話でご相談があって、区市町村の窓口の連絡先をお伝えするという対応をしているというふうに伺いました。
 そして、窓口への来訪で保護を求めた件数は把握していないということですが、そもそもホームページでも相談は受け付けるとありますし、パンフレットにもDV相談と保護まで書いてあるのに、なぜ今さら、配偶者やパートナーに知られることを理由に、ウィメンズプラザの存在や場所を広く都民が知らせることを制限するのか、私は本当に理解できないですね。
 では、もう一つ伺います。配偶者や交際相手などから相談者が追跡され、保護した事例は何件あるでしょうか。過去五年分、伺います。

○赤羽男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザは一時保護を行う施設ではありませんので、過去五年間において、そのような事例はございません。

○とや委員 そうです。一時保護施設ではないから、ないと。追跡され、保護した件数はゼロだということです。
 先ほども申し上げましたけれども、この施設は、DV相談はもちろん行いますけれども、事業はそれだけではありません。パンフレットを見ても、ホームページを見ても、講座や研修事業、相談事業では、一般相談、法律相談、男性の悩み相談、図書資料室の運営では、男女平等参画に関する情報の収集と提供--ここでは、私、この間、行って、本当にうれしかったのですが、私の地元練馬の女性運動の資料が本当に多くあって驚くと同時に、女性の地位向上のため、多くの女性たちが粘り強い運動をしてきたという歴史を見ることができました。
 さらに、男女平等参画の普及啓発、そのために講座を行ったり、女性団体や男女平等の推進に取り組む団体を初めとする都民団体への施設の貸し出し、活動場所の提供も大きな役割です。
 こうした事業を多くの人たちが知って活用されてこそ、ウィメンズプラザの存在意義があるのではないでしょうか。
 配偶者などに追跡されてくるかもしれないからと、施設が過剰な反応をするのではなくて、DVへの対応はしっかりやるのは当たり前です。同時に、広く都民にこの施設を知らせて活用をしてもらって、男女平等について発信し、男女平等を推進していくことこそが必要だと思います。
 多くの人々がウィメンズプラザに気軽に寄れるように、事業や存在を広く知らせるべきではないでしょうか。また、利用者がウィメンズプラザについて都民に広く宣伝することも推奨すべきではないでしょうか。

○赤羽男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザが事業を実施する際には、ホームページやツイッター、フェイスブック等によりまして広く周知し、利用促進を図っております。
 また、当館を利用する民間団体等は、みずからが実施する事業につきまして、自主的に周知を図っております。
 民間団体等が広報を実施する際には、東京ウィメンズプラザが配偶者暴力相談支援センター機能を担う施設であることをご理解いただきまして、写真撮影の制限など一定の配慮をお願いしております。

○とや委員 都民と一緒にウィメンズプラザを発展させて、男女平等社会をつくる拠点として充実させていただきたいと思っています。
 重ねて、都民が気軽に活用できる施設として運営していただくよう強く求めておきます。
 次に、DV被害におけるLINE相談について伺いたいと思います。先ほども出ていました。
 コロナのもとで、さまざまな通信媒体を活用した相談が求められています。その一つがLINE相談です。
 とりわけ若年女性、子供が被害に遭っており、看過できる状況ではありません。
 こうしたもとで、LINEを活用した配偶者暴力相談の試行が八月十八日から九月十七日まで実施されましたが、どのような背景のもと実施したのか、また、実績と成果、課題について伺います。

○赤羽男女平等参画担当部長 LINEを活用した配偶者等暴力相談の試行につきましては、配偶者やパートナーからの暴力被害に対して、若年層でも相談しやすいよう、コミュニケーション手段として浸透しているLINEを活用して実施したものでございます。
 試行結果につきましては、現在、分析中です。

○とや委員 早目に公表をお願いしたいと思います。
 私ども、社会的包摂サポートセンターで聞き取りを行いました。相談ツールは、育ってきた中でメーンだった通信手段となるとお聞きしました。電話は、四十代や五十代の相談ツールとして使われますが、SNS相談を行うことによって、若年者の相談を掘り起こすことになるということでありました。特に性被害の相談につながるともおっしゃっていました。
 そこで、もう一つ伺いますが、相談体制等、相談員はどのような人を配置されましたか。

○赤羽男女平等参画担当部長 相談員は、社会福祉士、精神保健福祉士等の資格を有する者などでございまして、毎日、五ポスト配置いたしました。

○とや委員 専門の資格をお持ちの方で対応したということです。
 若年女性の相談を考えますと、今いわれているのが、十八歳が大きな壁となるといわれています。児童相談所なのか、婦人相談なのか、十八歳から十九歳はどこにも当てはまらないという課題もありました。そうした年代からの相談も寄せられているのではないかと思います。
 LINE相談では、資格を持った方がしっかりとついて相談に当たっているようですが、若年層の相談、特に十代のアドバイザー的な方を配置するなどの措置も必要かと考えています。都として、今後も若年層の相談に力を入れていただくことを求めておきます。
 今もコロナがだんだん広がってきていて、相談もこれからもっと増加するのではないかと思います。
 ぜひこの事業、来年度以降も実施すべきと思いますが、いかがでしょうか。

○赤羽男女平等参画担当部長 分析結果を踏まえて検討いたします。

○とや委員 分析結果を踏まえて検討していただけるということです。ぜひ大事な相談ですので実施していただきたいと思います。
 同時に、相談が深刻化し、長期化する中で、今回実施した試行では、業務委託で行われたわけです。私は、意思決定が必要な場合を考えれば、業務委託ではなくて直営がふさわしいと考えています。
 コロナ禍で、親友だとか、学校の養護教諭だとか、先生だとか、キーパーソンとのつながりも絶たれた若年層、今、特に十代の望まない妊娠もふえているといわれています。そうした深刻な相談が寄せられる。こうした相談は、本人たちの責任では済ませることができない深刻な問題です。こうした問題に向き合って、一人で抱え込まずに相談できる場を引き続き設置していただくよう求めておきます。
 最後に、ジェンダー平等社会を実現する上で深刻な問題となっている一つが、世帯主規定、そして選択的夫婦別姓について伺っておきます。
 コロナ感染の広がりで深刻になったのが、国の特別定額給付金の受取人を世帯主としたことです。DVや虐待で世帯主から逃げている女性たちは、給付金を受け取ることができないという事態も生まれました。
 ジェンダー平等を実現する上で重要な課題と考えますが、都の認識を伺います。

○赤羽男女平等参画担当部長 都は、配偶者等からの暴力を理由に避難している方が国からの特別定額給付金を申請する際の必要な手続につきまして、ホームページやSNSで情報を提供いたしまして、必要な情報が適切に届くように取り組んだところでございます。
 国の給付金制度につきましては、国の責任において議論されるべきものと考え、都としては、国の動向を注視してまいります。

○とや委員 給付金制度について聞いたのではなくて、世帯主規定がDV被害に遭った女性を苦しめていて、給付金をもらえない事態を生んだと。これは一つの例として挙げて、世帯主規定についての認識をお聞きしたわけです。
 国の動きを注視するだけではなくて、都が積極的にこの問題に取り組んで、ジェンダー平等を実現する先頭に立って、国に意見を上げていただきたいと思っています。
 同時に、世帯主制度や選択的夫婦別姓などの課題について、女性団体とも協力して研究を進めて、議論を深めて、政策提言なども、必要ならば行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○赤羽男女平等参画担当部長 国の第四次男女共同参画基本計画では、施策の基本的方向に男女共同参画の視点に立った社会制度、慣行の見直しを掲げ、具体的な取り組みといたしまして、働きたい人が働きやすい中立的な税制、社会保障制度、慣行、家族に関する法制等の検討としております。
 都といたしましては、こうした国の動向を注視してまいります。

○とや委員 国の第四次計画だとか、国の動向を注視するとか、どうも人ごとのような答弁がとても残念でならないわけです。
 特に世帯主規定は、戦前の封建的な家制度を引き継いで、法的裏づけもなくて、廃止すべきものです。個人の尊厳とか両性の平等を掲げる憲法が息づく社会にする上で欠かせない課題であります。これは、国だろうが東京都だろうが一緒です。
 また、選択的夫婦別姓については、この委員会でも一度議論したことがありますが、意見書が採択されたわけですが、都議会としては上げることが今できていないという状況です。
 夫婦同姓を法律で義務づけている国は、世界で日本だけです。国連の差別撤廃委員会でも、法律で夫婦の同姓を義務づけることは女性差別であり、改正すべきと勧告をしています。
 そして、きょう、ニュースで見たのですけれども、第五次の男女共同参画計画の策定に向けて、政府の男女共同参画会議は答申をまとめています。
 それによりますと、婚姻後も仕事を続ける女性が大半となる中、結婚前の氏を引き続き使えないことが支障となっているという声が出ていると指摘をしています。もちろん国会の動向を注視しながらですが、踏み込んだ議論を期待するというふうに報道がありました。
 時代おくれの差別をなくすため、国の動きをぜひ加速させるよう、都民と女性団体などが議論する環境を整えていただきたい、都議会としても意見を国に上げていただきたいということを呼びかけまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○平委員 私からは、アートにエールについてお伺いをいたします。
 ドイツやイギリスなど、コロナ禍の中で、真っ先に文化芸術への支援を打ち出しました。ドイツのメルケル首相にしても、イギリスのジョンソン首相にしても、一国の首長がアートに対して自分の言葉で語り、アーティストたちに元気を与えた。そうした言葉だけでなくて、ドイツについては千二百億円規模、イギリスが二百十六億、また、アメリカやフランスでも、そういった支援を展開してきました。
 都においては、私ども会派または他会派から行ってきた要望に対して、芸術文化に携わる人々に寄り添う要望の中で、アートにエールを!東京プロジェクトと題し、芸術文化の支援を国に先駆けて実施したことを評価するとともに、感謝を申し上げます。
 アートにエールを!東京プロジェクトは、各方面から大きな反響がありました。
 そこでまず、緊急対策として実施したアートにエールを!東京プロジェクトについて、応募実績と現在の状況についてお伺いをいたします。

○古屋文化振興部長 動画作品を制作していただいたアーティスト等を支援する個人型につきましては、二回の募集を通じまして二万七千二百四十九名の方から応募があり、要件等の確認を経て、二万八百八十五人の方が個人登録されました。
 現在、専用サイトにおきまして、約七千七百組の動画を掲載しているところでございます。
 応募者の内訳は、音楽家が約四割、演出、脚本家などが約三割、俳優が約二割、技術スタッフが約二割となっておりまして、複数分野で活動されている方からも応募がございました。
 都内の劇場等での公演を支援するステージ型につきましては、千四百七十件の応募に対しまして、企画審査の上、現在、三百件を上演中でございます。
 今後、作品を専用サイトで配信する予定でございまして、主なジャンルは、音楽約五割、演劇、舞踊約四割、伝統芸能が約一割となってございます。

○平委員 ありがとうございます。現在の状況について確認をさせていただきました。
 アートにエールを!東京プロジェクトは、支援の対象をアーティストに限定せず、活躍の場を失ったスタッフや裏方といった芸術文化に携わる幅広い方も含めるものでした。また、動画作品のウエブ上での配信により、在宅でも都民が芸術文化に触れられる機会を提供するという、従来の助成制度にはない新たな仕組みで、その後の国や他の自治体による支援にも影響を与えるものであったと思います。
 これまで行政と接点やかかわりが余りなかった方々、都民に対して目を向けた。これは、本プロジェクトによって、都の芸術文化に対する思い、こういったものも伝わったと私は思います。
 アートにエールを!東京プロジェクトの成果を、都はどのように分析をしているのか、お伺いいたします。

○古屋文化振興部長 さまざまなジャンルの個人や団体に表現の場を提供いたしまして、ベテランから若手の方々まで、多くの方にご参加をいただいたところでございます。
 本プロジェクトへの参加を通じまして、テクノロジーを活用した新たな表現や、これまでにない異分野同士のコラボレーションが創出されたものと考えております。
 また、作品を動画で配信することによりまして、東京の文化の裾野の広さ、多様性を都民の方にも楽しんでいただいているところでございます。

○平委員 ありがとうございます。本年第二回の定例会において、私の一般質問の中で、エンターテインメント系の動画配信とリアルな演奏とのコラボレーションが東京のアートの魅力を増すことにつながり、さらに、東京の芸術文化の層の厚さと東京のアートの定着を図れる、疲弊しているアーティストや都民が勇気づけられるきっかけになるのではという思いから、アートにエールをに応募していただいたアーティストの方々の中から、都の施設でミュージシャン等にリアルなパフォーマンスをしていただくことを提案いたしました。
 その質問の答弁で、小池知事からは、アーティストやクリエーター等の方々の幅広い創作活動を支援し、東京の多彩な芸術文化を盛り上げていく、多くの方から評価された動画作品をつくったアーティストの方々には、今後、都が主催する都立施設等での事業にご出演していただくなども検討していくとのことでありました。いまだ実現はしておりません。
 そこで、知事からいただいた答弁にあったように、多くの方々から評価されたアーティストにご出演していただく機会、活躍の場を提供するべきと考えます。見解を伺います。

○古屋文化振興部長 文化の灯を絶やさないため、緊急に始めた本プロジェクトでございますけれども、イベントが再開する流れの中で、その成果に多くの都民の方に直接触れていただくこともまた重要であると認識しているところでございます。
 東京芸術祭におきましては、十一月六日から、イベントに親和性の高い演劇分野の動画を放映いたしましたほか、東京芸術劇場での音楽イベントにおきましても、関連作品の動画を放映しまして、大変好評を博したところでございます。
 来年度は、六本木アートナイト等の注目度の高い文化イベントにおきまして、新作を制作していただき、実際の会場で発表や上演していただくことを予定してございます。

○平委員 ありがとうございます。来年度には、そういったイベントも検討しているということであります。ありがとうございます。
 本プロジェクトは、活動歴が一年以上の方々を対象にしたということで、新人アーティストも多数応募したと聞いています。若いアーティストは、特に表現の機会が失われ、厳しい状況に置かれていたと思いますが、こうした方々に活躍の場を提供できたことはよかったと思います。
 この実績を生かして、次世代の東京の文化を担う原石である若者のさらなる飛躍につながるように、今後も発展させていくべきと考えます。見解を伺います。

○古屋文化振興部長 東京の芸術文化の魅力を深めていくためには、担い手となる層を厚くしていくことが重要でございまして、新たな感性を持つ若いアーティストが活躍できる環境が必要でございます。
 しかしながら、一般的に若手アーティストの方々は、活動の場も資金も限られているのが実情でございます。
 今後は、こうした若手のアーティストに才能を発揮していただけるような支援を検討してまいります。

○平委員 ありがとうございます。創作のための経費の捻出が難しく、活動に制約のあった彼らの多くにとって、今回十万円という、制作のための経費を定額で迅速に給付する支援は、創作への意欲につながり、活動の後押しになったと考えます。
 先ほど、とや委員もおっしゃっておりましたが、この東京の魅力の源泉である文化の灯を絶やさないという、その思いを局の皆さんにも持っていただきたいというふうに思います。
 本プロジェクトの原点を忘れないためにも、アートにエール、この名称は消すことのないよう、今後の支援策の検討をさらに進めていただくことを要望いたしまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○大場委員 東京都議会自由民主党の大場でございます。
 生活文化局の事務事業に関しまして、先日の委員会でご説明を受けたところですが、私からは二つの事項についてお尋ねさせていただきたいと思います。
 初めに、公文書情報公開システムについてご質問させていただきます。
 中国武漢に端を発しました新型コロナウイルス感染症との全世界的な闘いが長期化する中で、外出自粛の要請や営業活動への制限など、都民や事業者の社会経済活動は大きな影響を受けております。
 感染拡大防止対策に関する日々の取り組みを通じまして、都政の各行政分野におきましては、感染情報の把握や給付金の支給作業に時間を要するなど、初めてかつ大量のことで、やむを得ないことではありましたが、さまざまな課題が指摘されているところであります。
 また、他人との接触や、外出など物理的な移動が制限される中で、テレワークやオンライン教育などが急速に広がり、人々の意識や行動にも変化が生まれております。
 とりわけ、新たな日常のあり方を考えていくに当たりましては、社会全体のデジタル化に注目が集まっております。
 そうした中、情報公開課が所管しております公文書情報公開システムにつきましては、現在の厳しい社会経済環境のもとで、さまざまな観点から実践的かつ効果的な取り組みとして、都における職員表彰を受けたとのこと。また、それだけでなく、今年度の全国知事会が主催する先進政策バンクにおける行政改革部門の優秀政策の一つとして表彰を受けたと聞いております。
 そこでまずは、公文書情報公開システムとはどのようなものであるのか、具体的な説明をお願いいたします。

○稲葉都政情報担当部長 公文書情報公開システムは、公文書情報をあらかじめデータベースに登録することで、いつでもウエブサイトから検索し、無料でダウンロードできるもので、昨年七月から運用を開始いたしました。
 このシステムには、開示請求の決定件数の三割弱を占めている工事設計書など、都民ニーズの高い公文書情報が登録されてございます。
 これにより、都民等の方が開示請求や情報提供依頼などの手続をすることなく、自宅等からインターネットでデータベースにアクセスし、情報を取得することができるようになりました。

○大場委員 公文書情報公開システムの導入により、都における情報公開制度が、都民からの請求手続を待つという受動的なものではなく、能動的かつ積極的に情報を提供していく制度として充実しつつあることがわかりました。
 さて、この公文書情報公開システムでございますが、昨年七月に運用を開始してから、実際にどれぐらい活用されたのかという実績と、実際にどのような効果があったと評価されていらっしゃるのか、お伺いいたします。

○稲葉都政情報担当部長 公文書情報公開システムには、現在、都民ニーズの高い公文書情報を中心に八千百二十七件がデータ登録をされていますが、昨年七月からことしの三月までで、工事設計書など約六十八万件のダウンロード実績がございました。
 また、このシステムの導入などにより、昨年度の公文書の開示請求件数は、前年度に比べ千三百件程度減少しており、開示事務を担当する職員の負担軽減にもつながっています。
 今後も、庁内向けに公文書情報公開システムの説明会や研修会を開催し、各局と連携しながら登録データを充実させ、開示請求事務の効率化とともに、都民の利便性の向上を図ってまいります。

○大場委員 都が都民ニーズを的確に酌み取り、積極的に情報提供を進めていくことは、開示請求という従来の手続によらなくても、容易に必要な情報を得られることにつながるものとのことで、大変意義ある取り組みであることがわかりました。
 ご答弁いただきました公文書情報公開システムを初め、生活文化局におけますさまざまな施策に関しまして、日々、その改善に努めていらっしゃることと受けとめております。今後もICTの活用を推進し、行政サービスのより一層の質の向上に期待をしております。
 続きまして、都民の日常生活における健康の維持、そして、東京の適正な公衆衛生水準を確保する上で必要不可欠な都内の公衆浴場につきまして、何点か質問させていただきます。
 公衆浴場は、都民に入浴の機会を提供するという公衆衛生上の役割ばかりでなく、利用者同士が一日の疲れを癒やし、世間話を楽しむなど、地域住民の方々の交流の場としての役割も担っております。
 近年は、外国からの観光客の方々が日本の伝統的な生活文化を体験する場としても注目を浴びてまいりました。
 今般の新型コロナウイルス感染症発生により、日本を訪れる方が激減し、公衆浴場のそのようなすばらしい機能が発揮されておりませんことは、まことに残念であります。
 しかしながら、都内の公衆浴場の数は、十月末時点では五百二軒となっておりまして、最盛期であった昭和四十三年の約五分の一の規模にまで減少しております。
 私の地元の世田谷区でも、自家風呂保有者の増加に伴う利用者の減少等により、転廃業が続出しております。同じく二十七軒となっており、往時に比して著しく減少してきております。
 そこでまず、公衆浴場の利用者増や事業の継続に向けまして、都はどのような取り組みを行っているのか、具体的にお伺いいたします。

○吉村消費生活部長 公衆浴場の利用者の増加を図るため、都は、東京都公衆浴場業生活衛生同業組合が公衆浴場を健康増進や交流の拠点として行う事業などに対し、経費の一部を補助しております。
 具体的には、公衆浴場組合が行うホームページやSNSを活用した情報発信のほか、浴場内部の様子を写真でわかりやすく紹介する看板パネルの製作、参加者が浴場をめぐるスタンプラリーや、銭湯の応援団である銭湯サポーターの交流会といったイベントなどに対して補助しております。
 こうした組合による取り組みへの支援策に加え、平成三十年度からは、コンサルタント等の専門家の派遣や、後継者等を対象とした連続セミナーの開催など、公衆浴場活性化支援実証事業を実施しております。

○大場委員 減少が続く公衆浴場に対しましては、事業継続や利用者増を図るため、これまでの取り組みの継続拡大が効果的であることは、改めて申し上げるまでもありません。
 私自身は、公衆浴場の熱い応援団となっていただけるファンやサポーターの力に大きな期待を持っております。
 ただいまのご答弁でも、銭湯サポーターの交流会について触れていらっしゃいましたが、去る十月十日の銭湯の日には、六回目となる銭湯サポーターフォーラムが開催されたと聞いております。
 そこで、今回の銭湯サポーターフォーラムの概要と都の評価についてお伺いいたします。

○吉村消費生活部長 銭湯サポーターフォーラムは、公衆浴場組合が都の補助事業を活用して毎年度開催しているイベントでございます。
 先月十日のフォーラムでは、銭湯経営を支える女性たちがパネリストとなり、日ごろの苦労ややりがいについて語ったほか、若手経営者たちが、銭湯の将来性について、それぞれの持論を展開されました。
 さらに、銭湯の魅力を幅広く発信する銭湯大使には、外国人のファンを含む二名が新たに任命されました。
 今回は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、会場に足を運ばずに視聴できるオンライン形式で開催され、二百名程度の参加があったとの報告を受けております。
 昨年までの会場参加型での開催は見送らざるを得ない状況でございましたが、新たな利用者やサポーターの獲得に向けた大変意欲的な取り組みであったと受けとめております。

○大場委員 新型コロナウイルス感染症拡大により、いろいろと厳しい状況でありましたが、決して立ちどまることなく、サポーターフォーラムにおいては、オンラインの活用推進に取り組んだり、女性が主役の企画なども盛り込まれるなどの工夫があったとのことでありまして、真摯に取り組まれた浴場組合の皆様には、これまでにない熱意と大きな意気込み、そして変化を感じました。
 その一方で、このコロナ禍におきまして、外出や他人との接触を控えようとする都民の行動変化の前では、公衆浴場の利用者を取り戻す特効薬といたしましては、やや不足しているといわざるを得ません。
 今はまず、都内の公衆浴場が感染防止対策が徹底されていて、利用者が安全・安心して訪れることができる施設であると認識されることが必要と考えます。
 都は、国による四月の緊急事態宣言直後に、都内の全ての公衆浴場に対しまして、感染拡大防止のための衛生用品を緊急的に配備するための補助事業を実施したと伺っておりまして、その点は大いに評価するところであります。
 このほかにも、都は、利用者に安心して訪れてもらうための新たな取り組みを開始したとのことですが、その新たな取り組み、具体的内容についてお伺いいたします。

○吉村消費生活部長 都は今年度、公衆浴場での新型コロナウイルスの感染を徹底して防止するための専門家の派遣を実施しております。
 浴場組合から推薦された二十軒に消毒、清掃のプロを派遣し、各浴場の状況に応じて、全国浴場組合のガイドラインに沿った消毒、清掃の方法はもとより、利用者の誘導、換気の方法、什器備品の配置などについて助言を行います。
 各浴場は、助言に基づく対策を着実に実行し、都は、その成果を好事例としてまとめた上で、組合と連携して全浴場へ展開してまいります。

○大場委員 公衆浴場の厳しい経営環境に、都として既に手を打たれており、今後、それをさらに展開していくとのご答弁でありました。
 今後とも、公衆浴場が地域における公衆衛生の確保という役割を果たし続けますとともに、時代の変化に応じて新たに見出されました新たな魅力や価値が長きにわたって支持される、いわば持続可能な銭湯、サステーナブルな銭湯となるよう、都には、引き続き力強い支援をいただきますことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○伊藤委員 それでは、私からは、初めにボランティアについて質問してまいりたいと思います。
 二〇一三年、東京オリンピック・パラリンピックの招致が決定をいたしましてしばらくして、私のもとにも、多くの都民、また、幅広い世代の方々から、何かオリンピック・パラリンピックにかかわりたい、また、ボランティアをやりたい、こんなお声が殺到いたしました。
 オリ・パラに向けては、都市ボランティア、そしてまた大会ボランティア、これはオリ・パラ委員会の方で進めていただいているわけでありますけれども、そのほかにも、こうした方々のお声をしっかりと受けとめて、日常的に活動ができる、活躍ができるボランティア、こうしたものを育成したらどうか、こんなことをお話しさせていただく中で、東京都は、生活文化局を中心に外国人おもてなし語学ボランティアを発足していただきました。
 私たちの年代は、特に外国語というと、中学三年、高校三年、この六年間は少なくとも英語を習ったんだけれども、まともにしゃべれる人というのは、多分、私も含めておらないんじゃないか、このように思いますけれども、外国人の方を見ると臆してしまうという、こうしたことを、しっかりと心の準備もしていただきながら、文化を伝える、また、文化を学ぶということも同時にやっていただけるような外国人おもてなし語学ボランティアをスタートさせていただいたわけであります。
 この育成事業について、最終的に何人のボランティアが育成をされて、そのボランティアたちがどのような活躍を行っているのか、まず伺いたいと思います。

○馬神都民生活部長 都は、東京二〇二〇大会の開催に向け、外国人観光客等が安心して滞在できる環境を整え、東京全体でおもてなしを実現することを目的に、平成二十七年度から、外国人おもてなし語学ボランティアを育成する講座を開催してまいりました。
 都主催のほか、区市町村、企業、大学等と連携して都内各地で講座を開催し、令和元年度末までに、目標の五万人を上回る約五万四千人を育成しました。
 講座修了者は、日常生活の中で活動を行っており、例えば、ある高校生ボランティアは、遊びに来ていた浅草で外国人を見かけた、そこで、みずから声をかけて目的地の浅草寺まで案内し、記念撮影のお手伝いもするといったおもてなしを実践しています。
 また、品川駅で道案内をしていたある大学生ボランティアグループは、相手の求めに応じて、Suicaの買い方、また、付近の人気ラーメン店も案内する、そういったさまざまな場面で活躍し、多くの外国人の方から感謝の声をいただいております。
 さらに、この外国人おもてなし語学ボランティアの活動がきっかけとなり、シティキャストやフィールドキャストに申し込まれた方も多数おりまして、東京二〇二〇大会での活躍も期待されております。

○伊藤委員 おもてなし語学ボランティアの講習を修了すると、ここにメイ・アイ・ヘルプ・ユーと書いてある缶バッジをつけて、まち中を歩くということで、中には、つけて歩くと話しかけられちゃうので、怖いのでつけられませんという人もいましたけれども、たくさんの方を育成していただいたんだなということを、今の答弁を聞いて思いました。
 東京二〇二〇大会は、ボランティア活動への参加機運が高まる絶好のチャンスであります。この機会を逃さず、ボランティア活動を活発化させ、大会を成功裏に終わらせることで、大会後には、こうしたボランティアたちが地域社会を支える共助の担い手として活躍をし、より豊かな東京になっていくものと考えますし、また、このボランティアの方々こそ、二〇二〇大会の人材としてのレガシーだというふうに私は思います。
 そこで、新型コロナウイルス感染症の拡大によって東京二〇二〇大会が延期となりまして、まち中でのボランティア活動もままならない現在の状況において、おもてなし語学ボランティアたちのボランティア機運をさらに醸成し、意欲の低下を防ぐために、都はどのような取り組みを行っているのか、伺いたいと思います。

○馬神都民生活部長 都は、東京二〇二〇大会に向けた講座修了者へのフォローアップとして、専用のウエブサイトを開設し、英語の表現方法等に関するコラムの発信、異文化交流やおもてなしに関するセミナーを開催してまいりました。
 コロナ禍においては、ボランティアの方々のモチベーションの維持向上に向け、これまで記録してきたイベントや講座のアーカイブ動画を専用ウエブサイトで公開するとともに、例えばSNSの投稿で地域の飲食店を応援するといった新しい日常における支援活動を定期的なメール配信で紹介するなど、情報発信を継続して行っています。
 さらに、今後は、外国人とのコミュニケーションをテーマに、やさしい日本語の解説や、英語落語を楽しむセミナーをオンラインでも開催する予定でございます。
 こうした取り組みを通じてボランティアの機運醸成を図り、東京二〇二〇大会における東京全体のおもてなしを実現するとともに、大会レガシーとしてボランティア文化の定着につなげてまいります。

○伊藤委員 外国人おもてなし語学ボランティアの養成は、令和元年度で終了ということであります。
 ただ、二〇二〇大会は一年間延期をされて、現在は、フォローアップセミナーなど活動を支援していただいているということでありますけれども、私は、せっかくの取り組みと、そしてまた、二十七年からの積み上げてきた実績、成果は大きなものだと思います。
 また、生活文化局として、今までボランティアについては、支援だとかリーダーの養成とかはやってきたと思いますけれども、直接に生活文化局がボランティアを育成した事業というのは初めてだと思います。ぜひこの事業を私は発展させて、新たな事業を展開していただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、災害ボランティアについて伺います。
 スーパーボランティアと名づけられた尾畠春夫さんが、先日、緑綬褒章を受けられました。この尾畠春夫さんは、ご案内のとおり、二〇一八年の八月、山口県で行方不明になってしまった二歳の男の子を、山中で警察より早く見つけたという方でありまして、大分県から山口県まで駆けつけたという方であります。
 その後も、この尾畠さんは、災害が発生するたびに被災地に駆けつけて、泥だらけになりながら活動をされておりました。こうしたことに、心から私は敬意を表したい、このように思います。
 大規模な災害が発生した場合、多くのボランティアの活躍が不可欠であります。都は、災害時には、東京都災害ボランティアセンターを東京ボランティア・市民活動センターと協働して設置しており、例えば平成二十五年の十月、大島の土砂災害のときも、また、昨年の台風十五号、十九号のときも、被災地で災害ボランティアの活動支援を行ったということであります。
 そこで、改めて、災害ボランティアセンターの役割と平常時における備えについて伺いたいと思います。

○馬神都民生活部長 都が設置する東京都災害ボランティアセンターは、ボランティアが被災者のニーズに即した円滑な活動ができるよう、市民活動団体とも協働し、区市町村に設置される災害ボランティアセンター等を支援する役割がございます。
 具体的には、区市町村災害ボランティアセンターの設置、運営支援、災害ボランティアコーディネーターの派遣、資機材やボランティア等の区市町村間の需給調整などの各種支援を行うこととしております。
 平常時においては、都と東京ボランティア・市民活動センターが連携し、災害ボランティアコーディネーターを計画的に養成するとともに、東京都災害ボランティアセンターの設置、運営訓練の実施や、市民活動団体等との連絡会議を通じた幅広いネットワークの構築に努めております。

○伊藤委員 東京都災害ボランティアセンターの役割をしっかりと果たしていくためには、平時の備えこそが重要だと考えます。都は、着実にこの備えを進めていっていただきたいと思います。
 また、備えについていえば、現在、災害はコロナ禍との複合災害となるわけであります。こうした状況を踏まえて対策を講じていく必要があるわけであります。
 そこで、コロナ禍における災害ボランティア活動をスムーズに進めていくためにどのような準備を行っているのか、伺いたいと思います。

○馬神都民生活部長 東京都災害ボランティアセンターの運営を担う東京ボランティア・市民活動センターでは、本年、コロナ禍における区市町村災害ボランティアセンターの設置、運営に関する独自のガイドラインを作成いたしました。
 ここでは、ボランティアの受け入れは小グループでの事前受け付けとすることや、オリエンテーションはオンラインで実施すること、また、被災者宅に伺っての清掃作業や物資配布の場合、近距離での会話を行わないことなど、感染リスクを抑えながら対策に当たる方法を詳細に解説しています。
 本ガイドラインについては、区市町村等にも広く配布するとともに、都内のボランティアセンター等を集めて勉強会を開催するなど、コロナ禍において適切に対策に当たれるよう、情報の共有化を図っております。

○伊藤委員 ご答弁いただいたこのガイドラインは、都独自のガイドラインということであります。ぜひ実践的なガイドラインとして、しっかりと活用を図っていただきたいと思います。
 例えば、避難所を開設する、運営をする場合、災害によっても違いますけれども、町会や自治会の方々が中心になることが多くあるわけであります。区市町村を通じてということでありますけれども、こうした町会、自治会の方々にも、このガイドラインがどうか届くようにしていただきたい、このように要望しておきたいと思います。
 また、これは要望にとどめますけれども、本年の七月豪雨のとき、九州の被災地にボランティアに応援に入りたい、こうしたお声、それからボランティアに来てほしい、この両方のお声が私のもとにも入ってまいりました。
 しかし、コロナの感染拡大が心配な中、その自治体の首長さんが、これはいたし方がないことでありますが、苦渋の決断でお断りをしたということがありました。このとき、向こうに応援に入りたい、こうした都民の声として、派遣する方の自治体がPCR検査を支援して活動を手助けしてほしかった、こういうお声がありました。
 今後、コロナがいつまで続くかわかりませんけれども、こうしたことも念頭にちょっと置いて検討していただければというふうに思います。
 次に、子供の事故防止対策について伺いたいと思います。
 私は、二〇〇七年、都議会での初質問において、元児童センター指導員だった経験から、子供の事故防止対策を都に強く求めました。
 日本では、長年にわたって乳幼児の死因の上位を占めてきたのが不慮の事故であります。思ってもみなかった事故で、子供がかけがえのない命を失う、こうしたことが長年続いてまいりました。
 一方で、例えば小児がんとか、こうした病気の場合には、例えば大学病院であるとか、いろんな機関が研究をしながら、その病気の克服のために進んでいくわけでありますけれども、しかし、不慮の事故に対しては、その当時、私が質問した当時でありますけれども、どうだったかというと、親がちゃんと見ていなかったから悪いんだ、こんな見方まであったんです。だから、私はこのときに質問をさせていただきました。それは違うと思いました。
 社会全体で子供の目線から安全対策に全力で取り組むべきだということで、当時、石原知事でありましたけれども、(実物を示す)チャイルドビジョンというのを画用紙でつくって、箱眼鏡をつくって、大人が見えている視野の半分しか、六歳ぐらいまでの子供は視野が見えていないということを大人が知った上で対策をとらなきゃいけない。子供には見えていても大人には見えていないもの、あるいはまた、後でいいますけれども、大人には大したことないと思っていても、子供には結構大したことが見えたりするわけです。
 その例えとして、きっかけとして、このチャイルドビジョンを提案し、当時、石原都知事からは、この画用紙でつくったもの、五円か十円でできるんだから、大事なことだからすぐにやってあげなさいということで、東京都のマークを入れて、このチャイルドビジョンをつくっていただいたわけであります。
 直近の状況でいうと、令和元年の厚生労働省の統計では、年齢別の死亡要因を見てみると、不慮の事故による死亡件数が、死因の第三位でありますが、全国でゼロ歳児で六十五人の子が亡くなっています。一歳児から四歳児では、第二位で全国で八十一人の子供が亡くなっています。五歳から九歳では、この不慮の事故で七十五人の子供たちが亡くなっています。
 この不慮の事故には、誤飲による窒息や浴槽での溺水など、家庭内の生活用品に起因する事故も含まれておりまして、こうした子供の事故を減らしていくことは、消費者行政の重要な役割であると私は考えます。
 商品等の使用に伴う事故を未然に防止するためには、実際に起こった事故の情報を多様なルートを活用して収集するべき--例えば東京消防庁と、救急搬送された子供がどういう状況だったのか、こんなことを情報共有するなど、こうした情報収集をすべきと提案してまいりました。
 そこで、商品等の使用に伴う子供の事故防止に向けて、都はどのように情報収集を行っているのか、伺いたいと思います。

○吉村消費生活部長 子供の事故は、報告や相談につながりにくい傾向がございます。これは、保護者が、自分の不注意など自身の責任と考えてしまう場合が多いためであり、このことは、これまでに都が行ったさまざまな調査で明らかになっております。
 そのため、都は、子供の事故事例の収集に当たり、都内を初め全国の消費生活センターに寄せられた相談情報だけでなく、東京消防庁の救急搬送事例や医療機関の受診事例などを積極的に収集しております。
 また、事故までには至らず、けがをしそうになったなどのいわゆるヒヤリ・ハット体験は埋もれがちになることから、毎年テーマを定めて都民三千人を対象にアンケートを行うヒヤリ・ハット調査を継続して実施しております。

○伊藤委員 先ほども申し上げましたけれども、家庭の中など、保護者と子供が一緒に過ごしている場所で子供の事故が起きてしまうと、自分の目が行き届かなかったからと感じてしまう保護者もおります。
 また、一方で、外からの方は、あなたがちゃんと見ていなかったからと、こんなふうなことが起きてしまうわけであります。
 そうした保護者の心理を踏まえて、埋もれがちな情報を掘り起こすためにヒヤリ・ハット調査も実施しているということでありました。
 折しも、先月、都は、最新のヒヤリ・ハット調査結果に基づいて、事故を防止するポイントをまとめた事故防止ガイドを公表いたしました。
 今回は、年齢の異なる子供のいる家庭での乳幼児の事故防止ガイドとなっておりますけれども、お兄ちゃんやお姉ちゃんがいる乳幼児の家庭で危険に焦点を当てた背景、なぜそこに焦点を当てたのか、背景を伺いたいと思います。

○吉村消費生活部長 対象年齢を乳幼児に絞ったヒヤリ・ハット調査は、これまでも子育て世帯や保育所等からの問い合わせが多く、関心の高さがうかがわれたことから、事故の未然防止に有効であると判断いたしました。
 また、医療機関の受診事例の中に、乳幼児が兄や姉のおもちゃなどを誤って口に入れてしまうなどの事故事例が見られたことから、年齢の異なる子供のいる家庭では、いまだ顕在化していないリスクが潜んでいる可能性があると考えました。
 そのため、こうした家庭での乳幼児の危険を把握するヒヤリ・ハット調査を実施し、事故事例とともに、事故防止のための具体的なアドバイスも掲載した事故防止ガイドとしてまとめた上で注意喚起を行うことといたしました。

○伊藤委員 これが乳幼児の事故防止ガイドということで、(実物を示す)一部いただきましたけれども、大変によくできているというふうに思います。お兄ちゃんやお姉ちゃんが使うおもちゃなどでヒヤリとした事例だとか、ベビーカーなど、本来、乳幼児のために使う製品でヒヤリとした事例だとか、ドアや窓など、その他の製品でヒヤリとした事例、こうしたことが、三つ、中に分野別に分かれておりまして、イラストも非常にわかりやすく伝えているガイドであります。
 注意喚起の効果の高さを意識してテーマ設定を行ったということなので、ぜひ幼い子供がいる保護者の皆さんや子育て支援にかかわる皆さんが一人でも多く目にすることができるようにするべきだというふうに思いますけれども、今回の事故防止ガイドをどのように周知をしているのか、伺いたいと思います。

○吉村消費生活部長 都は、今回公表した事故防止ガイドを四万五千部作成し、都内の消費生活センターを初め、幼稚園、保育所、保健所、医療機関などへ配布し、各家庭への周知をお願いしております。今年度は初めて、子育てひろばにも配布しました。
 あわせて、ベビー用品やおもちゃの製造、販売事業者等にも配布して情報提供を行うとともに、活用を呼びかけております。
 このほか、都のホームページ、東京くらしWEBや、SNSを利用して発信し、広く都民に注意喚起を行っております。

○伊藤委員 先ほどいったように、このガイド、すばらしいガイドであります。
 ただ一点、私は--お兄ちゃんやお姉ちゃんが使う製品でヒヤリとした場面が、全部で八例、ここに載っているんです。そのうちの、八例分の五例は、誤って口に入れてしまったというものの事例なんですね。大事なことは、口に入れてしまったら、次にどうすればいいのかということが大事だと私は思います。それを防ぐことも大事ですけれども。
 私は、この初質問に立たせていただくときに、京都の京あんしんこども館というところを視察しました。ここに事故防止のための体験館があります。すぐそこに日赤病院があって、小児科の救急の先生がそこにいたので、そこでいろいろ取材をして聞いてまいりました。
 そして、その先生がおっしゃったのは、お兄ちゃんやお姉ちゃんのおもちゃが部屋に落ちていて、スーパーボール、わかりますよね。ゴムでできたスーパーボールが転がっていて、小っちゃい子にはおいしいものに見えるんです。それをちゅるんと口に入れて、そのことを見つけたお母さんが、だめでしょうと怒るんですね。そうすると、小っちゃい子は、びっくりするか、泣くときに、うっと息を吸います。そのときにスーパーボールがうっと入っちゃうんです。
 そして、お母さんが次にやることは、それを出そうと思って指を突っ込むんです。そして、どんどん奥に入っていって、救急で運ばれてきたときに--私、そのとき行ったのは二月でしたけれども、ことしに入ってから、同じ事故で二人亡くなりましたと、こういう話をそのドクターから聞いて、私は大変にショックでした。
 大事なことは、こうしたことが起きないように、生活文化局でこれをやっている(実物を示す)。起きてしまったら、じゃ、どうするのかということを--例えば、この事例の中に慌てて取り上げたと書いてあるんです。起きてしまったらどうするのかということを、ちゃんとそれを発信していくことが大事だと思います。
 起きないようにするのが生文、起きてしまってからは、もしかしたら福保の救急とかのことなのかもしれないけれども、事子供たちの命のことなので、縦割りは私はだめだと思います。
 大事なことは、多くの大人が机上ではなくて、起きないように、起きてしまったら、これも同時に考えながら、体験して対策をとることだ、このように思います。
 どうか今後は、このチャイルドビジョン等も使っていただいて、体験型の啓発をしっかりと行っていただきたい、このように求めておきたいと思います。
 次に、消費者教育について伺います。
 民法の改正によって、令和四年四月から成年年齢が十八歳に引き下げられます。これによって、十八歳になると、例えば携帯電話の契約をする、ローンを組む、クレジットカードをつくる、アパートを借りるなどの契約が保護者の同意がなくてもできるようになって、高校在学中に成年になった生徒が消費者トラブルに巻き込まれるなどの事態が懸念をされるところであります。
 こうしたことからも、学校教育における消費者教育の推進が大変重要であって、生徒一人一人が社会問題について当事者意識を持って考えるとともに、消費者として正しく判断して生活を営む実践力を身につける必要があると思います。
 そこで、学校における消費者教育の推進に当たって、生活文化局としてどのような取り組みを進めてきたのか、伺いたいと思います。

○吉村消費生活部長 都はこれまでも、成年年齢引き下げをテーマにした教員向け講座の実施や、生徒を対象とした出前講座において、契約の仕組みやクーリングオフなど、消費者保護に関する内容を充実してまいりました。
 また、若者に多いトラブル事例を取り上げ、勧誘の手口やトラブル回避の方法について学べる教材を作成するとともに、啓発ノートを作成し、都内の高校二年生全員に配布しました。
 さらに、今年度からは、消費生活部門と学校教育部門との連携を強化するため、庁内連絡会議を設置するとともに、東京都消費生活総合センターに消費者教育コーディネーターを配置いたしました。

○伊藤委員 ただいまのご答弁で、今年度からの新たな取り組みとして、東京都消費生活総合センターに消費者教育コーディネーターを配置したということでありましたけれども、この消費者教育コーディネーターはどういった役割を担うのか、伺いたいと思います。

○吉村消費生活部長 都では、消費生活部門と学校教育部門のより強固な連携を構築し、消費者教育を学校現場で充実させていくために、今年度から消費者教育コーディネーターを配置いたしました。
 コーディネーターは、教員や学校からの相談をワンストップで受け付け、消費生活総合センターの出前講座や教材等を活用した教育活動を提案し、その実施に向けて学校との調整を行うなどの役割を担います。

○伊藤委員 大変重要な役割を担う方になるというふうに思います。このコーディネーターには、どのような人材が配置されるのかが重要であります。相手が高校生ですので、多感な高校生です。例えば、申しわけないけれども、決まり決まった、ルールでこうなるんですよみたいな話を上段からいえば、もう初めから話を聞いていないみたいなことになっては困るわけで、しっかりと学校教育に精通している人、こういう人が私は必要じゃないか、このように思います。
 今回、消費者教育コーディネーターにはどのような人材が配置されたのか、伺いたいと思います。

○吉村消費生活部長 コーディネーター業務を効果的に行うには、学校での教員経験等があり、学校現場の実情に精通しているとともに、学校教育に関する専門知識や教育関係規程に関する知見が求められます。
 公募に当たっては、これらを応募資格として募集を行い、元高校の校長で学校教育に精通した人物を採用いたしました。

○伊藤委員 すばらしい取り組みだというふうに思います。
 ただ、今年度は、年度当初から、コロナウイルス感染拡大防止ということで、学校自体が休校になってしまったりしている中において、この取り組みについてはどのように取り組んできたのか、伺いたいと思います。

○吉村消費生活部長 今年度は、成年年齢引き下げへの対応が喫緊の課題であることから、高等学校を対象にコーディネーター制度を開始しました。
 まずは、コーディネーター制度について、庁内連絡会議や都立高校の校長連絡会、教員研修等での周知を図るとともに、各学校に直接、メールマガジンや教員向けの情報誌などを通じて活用を呼びかけております。
 今後、コーディネーター制度を活用した学校にヒアリングを行い、その結果を分析して庁内連絡会議等で情報共有を図り、次年度事業の充実に役立てていく予定でございます。

○伊藤委員 二〇二二年四月からの成年年齢引き下げを視野に、引き続き学校教育の場において消費者教育が一層充実するように、教育庁ともしっかりと連携をとっていただき、また、私立学校とも連携をとっていただき、若者が消費者トラブルに巻き込まれることがないように取り組みを進めていただきたい、このように思います。
 次に、二〇二〇大会に向けた文化プログラムであるTokyo Tokyo FESTIVALについて何点か伺いたいと思います。
 先日、各会計決算委員会で分科会でも質疑をさせてもらいましたけれども、二〇一六年リオ大会以降に実施してきた文化プログラムは、平成二十九年からTokyo Tokyo FESTIVALと銘打って幅広く展開をしてきたところでありますけれども、新型コロナウイルスの影響で、二〇二〇年大会は残念ながら延期となってしまいました。
 そこでまず、コロナ禍における文化プログラムの現状について伺いたいと思います。

○古屋文化振興部長 新型コロナウイルス感染症及び東京二〇二〇大会の延期の影響によりまして、文化プログラムはほとんどが延期、中止となりましたが、緊急事態宣言解除後からは、一部の事業につきまして、開催時期の変更や開催方法の工夫などを行いながら実施しているところでございます。
 例えばサラダ音楽祭は、ことし九月に規模を縮小して実施いたしましたが、赤ちゃんでも楽しめるOK!オーケストラ公演やワークショップを今回初めてウエブで配信いたしまして、多くの方にお楽しみいただきました。
 また、美術館、博物館各館での展覧会や公演につきましては、入場制限や設備の消毒、換気の徹底などの感染防止対策を行いながら再開いたしておりまして、来場者の安心・安全に最大限配慮しながら、可能な限り実施しているところでございます。

○伊藤委員 文化のともしびを絶やさないように、感染防止対策を徹底しながらしっかり取り組んでいる、また、できる限りのことはやっているという答弁でありました。
 改めて、来年の二〇二〇大会に向けて、文化プログラムを今後どのように準備し、どのような事業に取り組んでいくのか、伺いたいと思います。

○古屋文化振興部長 オリンピック・パラリンピックは、スポーツの祭典だけではなく、文化の祭典でもあることから、文化プログラムは東京二〇二〇大会にとって重要でございます。
 来年に向けては、感染症対策なども踏まえまして、事業の規模、内容の見直しを行っているところでございます。
 例えば、文化プログラムの中核的な事業でありますTokyo Tokyo FESTIVALスペシャル13では、演劇やダンスの稽古でオンラインを積極的に導入したり、イベント本番も、密にならないよう事前予約制に変更するなど、知恵を絞りながら全企画を再構築しているところでございます。
 このように、新しい日常に対応しながらも、プログラムの魅力を損なうことなく実施できるよう着実に準備を進めまして、大会の成功を支えてまいりたいと存じます。

○伊藤委員 ぜひ来年に向けて、しっかりと準備を進めていただきたいというふうに思います。
 最近、このコロナ禍において芸術家やアーティストが直面している厳しい状況については、先ほど来もさまざまな質疑がありましたけれども、私自身も各方面で耳にするところであります。
 耳にする中で、本当に厳しい状況に置かれている、こうした方々を何とか支援していきたい、このようにも思うのですけれども、一方で、来年の大会に向けては、東京の芸術文化を世界に発信していく絶好のチャンスであるというふうに私は思います。
 海外からのインバウンドがどの程度回復するか、不透明な状況の中でありますけれども、東京の芸術文化の魅力や底力を大いに発信していく大チャンスだと、このように思います。
 新型コロナウイルスの脅威が世界中に蔓延する中で、世界中が不安、そして閉塞感に包まれている中であります。文化芸術の魅力は、心の底から勇気と希望を与えてくれるものであります。
 私は、東日本大震災、もう来年で十年を迎えますけれども、あのときに大変な被害をこうむった、悲しみに包まれた陸前高田の方々が、医療従事者の方々を励ましたい、こういうことで、百人以上の方々が集まって、響け!希望のトランペットというやつを動画で公開して多くの方に勇気を与えた、こんな報道を見ました。
 今申し上げたように、文化芸術の力というのは本当にすごいものがあるんだ、このように思いますので、どうか来年、この東京からその文化芸術の力を発揮してほしい、このように思います。
 都は今後、国内外へのプロモーションとしてどのようなことに取り組んでいくのか、伺っておきたいと思います。

○川崎魅力発信プロジェクト担当部長 国内外に文化プログラムの情報を発信していくきっかけといたしまして、東京の芸術文化に携わる著名な芸術家や、あるいは舞台裏のスタッフのコロナ禍における苦悩や努力の姿をインタビュー記事に仕立てまして、先ごろ、ウエブサイトで発信を始めたところでございます。
 この中で、例えば、東京芸術祭総合ディレクターでもございます演出家の宮城聰さんは、シェークスピアの時代にはペストの大流行があり、俳優は、互いに向き合わずに、観客に向かってせりふをしゃべっていた、歌舞伎やギリシャ悲劇にもつながるこうした演じ方は、ウイズコロナ時代の演劇のヒントになるかもしれない、密を禁じられたからといって、何もできないわけではない、こういった趣旨の大変前向きなお話を紹介しております。
 今後も、オンラインで鑑賞できる文化プログラムを紹介するポータルサイトを展開するなどして、東京の芸術文化の魅力の発信を進めてまいります。

○伊藤委員 今の事例で引いていただいたシェークスピアの演劇など、また、日本の古来からの歌舞伎、こうしたことも、ウイルスの感染症との闘いの中でこうした文化芸術が生まれてきたということで、大変興味深い話であると私は思います。
 私は、みんなを笑顔にするのが芸術文化である、このように思っております。来年の東京二〇二〇大会に向けて、世界中が新型コロナによるこの閉塞感を打ち破るきっかけになるように、私は、東京の文化芸術の魅力の発信を通じて世界にポジティブなメッセージを東京が伝えていけるよう、ぜひお願いをしたいし、コロナ禍であっても、東京の文化芸術を見ようといって、世界が東京をお手本にするような、目標にするような、こんなプログラムをぜひ展開していただきたい、このことを求めまして質問を終わります。ありがとうございました。

○河野委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時五十三分休憩

   午後六時十五分開議

○河野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。
 資料の提出をありがとうございました。
 私からは、まず、コロナ禍での私立学校への支援について伺います。
 学校基本調査によれば、東京都では、高校生の六割近く、中学生の四人に一人が私立学校に通い、私立小学校に通う子供の割合は、全国で一番高い状況です。
 まず、基本的なところですけれども、こうした東京都の子供たちの教育環境にとって私立学校が果たしている役割は公的にも重要なものだと思いますが、改めて認識について伺います。

○濱田私学部長 私立学校は、それぞれの学校の建学の精神に基づき、個性的で特色ある教育を展開しておりまして、東京の公教育において重要な役割を担っていると考えております。

○斉藤委員 ご答弁のとおり、私立学校は、東京都の公教育において、とても重要な役割を担っています。建学の精神に基づき、それぞれが特色のある教育を行って、子供たちに豊かな教育環境の選択肢を提供すると同時に、今では、さまざまな事情から私立学校を選択している家庭もあり、多様な教育ニーズに応えているのが今の東京都の私立学校です。
 今、新型コロナの感染症拡大の中で、私立学校の運営や保護者の家計急変も大変な状況です。東京都の公教育に大きな貢献をしている私立学校を支えるためにも、私学行政の役割はますます大きなものになっています。
 私学の支援、振興策にかかわって、幾つかお聞きいたします。
 まず、新型コロナ感染症の拡大防止対策について、私立学校にどのような支援を行っているのか。特に衛生資材やアクリル板、サーモグラフィーなどの支援はどのようになっているのか、伺います。

○濱田私学部長 都は、私立学校が新型コロナウイルス対策として緊急に購入したマスクや消毒用アルコール等、保健衛生用品の経費に対し、私立小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、専修学校及び各種学校を対象に、一校当たり五十万円を上限に補助をしております。
 また、サーモグラフィーやアクリル板等の感染拡大防止対策用品の購入に対しては、私立小学校、中学校、高等学校、特別支援学校及び専修学校高等課程を対象に、その経費の二分の一を、一校当たり百五十万円を上限に補助をしております。

○斉藤委員 衛生資材については、公立の学校と同等の支援になっているということを確認いたしましたけれども、サーモグラフィーやアクリル板については二分の一の補助で、これを確保しようとすれば、都や区市町村からお金がおりる公立の学校とは違って、私立学校では学校の負担が生じるということになります。
 その衛生資材とアクリル板、サーモグラフィーの申請の実績は、現在どのくらいか、伺います。

○濱田私学部長 本事業は、各学校の購入時期に合わせまして、二回に分けて申請受け付けを行っておりまして、本年七月から九月に行われた第一回の受け付けでは、衛生資材、アクリル板やサーモグラフィー等の購入費補助に対し、延べ三百二十五校から申請がございました。
 なお、今後も二回目の申請受け付けを行う予定でございます。

○斉藤委員 衛生資材とアクリル板、サーモグラフィーの申請を合わせて、三百二十五校からの申請があったということです。
 対象の学校数について事前に伺いましたけれども、衛生資材は、私立の小中高等学校、特別支援学校のほかに専修学校と各種学校が含まれており、対象は九百八十四校、アクリル板とサーモグラフィーの対象は、小中高等学校、特別支援学校のほかに専修学校の高等課程ということで五百二十九校だということでした。
 対象の学校数と比べると、まだ申請している学校が少ない印象ですけれども、二回目もあるということなので、支援を広げていただきたいと思いますが、同時に、申請しないようなところには、なぜ申請しないのか、今後、丁寧に聞き取っていただきたいというふうに思います。
 学校現場からは、コロナへの対応で余計な出費がかさんでいる状況で、手厚い支援を望む声が多く寄せられています。ご承知のとおり、私立学校への経常費補助は、現在、公立学校の経費の決算値の二分の一の補助とされています。公立の学校よりも公的支援が薄い中、経常費補助の拡充は毎年要望があり、ましてや今は、コロナ禍で通常以上の経費がかかっている状況です。コロナの感染拡大から子供たちを守る体制に格差があってはなりません。全ての私立学校で必要な衛生資材の確保が十分にできるように支援の拡充を求めるものです。
 次に、ICT環境の整備について伺います。
 私立学校でも、休校期間中は、児童生徒との連絡や学習保障の手段としてICTの活用が緊急課題となりました。
 しかし、学校によっては、機器が不足していたり、環境整備が不十分だったという理由からオンラインの取り組みができないところもあったという声が、私立初等学校協会や私立中学高等学校協会からも寄せられています。私立学校のICT環境の整備が喫緊の課題です。
 公立の小中学校では、国のGIGAスクール構想の前倒しで、一人一台の端末が国と都で整備されることになっていますが、私立の小中学校への対応について、国と都でそれぞれどのようになっているのか、伺います。

○濱田私学部長 国は、私立学校情報機器整備費補助によりまして、タブレット等の教育用端末を対象に補助を行っております。補助率は二分の一で、補助上限額は端末一台当たり四万五千円となっております。
 一方、都は、私立学校ICT教育環境整備費補助により、タブレット等の教育用端末に加え、無線LANや大型掲示装置等も対象に補助を行っております。補助率は二分の一で、補助上限額は一校当たり七百五十万円となっております。

○斉藤委員 この端末整備についての申請はどのくらい来ているのか、伺います。

○濱田私学部長 国の私立学校情報機器整備費補助は、三回に分けて申請受け付けが行われておりまして、本年四月と五月に行われた二回の受け付けで、十校から申請がございました。
 また、十月からの三回目の申請につきましては、昨日が受け付けの締め切り日であったことから、現在、その内容を集計中でございます。
 一方、都の私立学校ICT教育環境整備費補助は、本年六月から七月と九月の二回に分けて申請受け付けを行っており、百二十三校から申請がございました。

○斉藤委員 私立学校への端末の補助に対しては、国から二分の一の補助、都の独自補助についても二分の一の補助ということです。しかも、これは同時に使うことができないというふうに伺っています。要するに、一台の端末に対して、半分は学校の負担になるということです。
 申請については、都の補助に対して百二十三校、国の補助については、わずか十校ということです。私立の小中学校は、今、二百五十近くある中、まだ半数ほどの申請だということになります。
 都の補助は限度額があるため、全校生徒分の端末が調達できるのかどうか、丁寧に状況を見ていく必要があると思います。
 決算委員会で資料をいただきましたが、ことし六月の私学部で行ったアンケート調査で、私立学校における教育用端末の整備は、今、五人に一台という状況です。公立と同様に、一人一台の端末を整備するのはとても大変なことです。学校が負担し切れなければ、保護者の負担になる可能性もあります。
 私立学校に通っていても、どの子にもひとしくICT環境を保障するために、都の支援こそ求められています。皆さんも要望を直接受けていると思いますけれども、私立初等学校協会、私立中学高等学校協会でもICT整備に対する支援の拡充を求めています。
 全ての子供たちにICTを活用した教育の環境を保障するために、都として補助率の引き上げなど支援を強化するべきですが、いかがでしょうか。

○濱田私学部長 都として補助率の引き上げは考えておりません。

○斉藤委員 都として補助率の引き上げについては考えていないということです。
 私立学校の方々は、教育に必要な設備の導入にしても何にしても、必ず二分の一の負担があるということが重い状況になっていて、なかなか導入ができないという声が本当に今多くあります。
 今は、通常と違って、コロナ禍で学校も急速な対応が求められています。また、端末は、一回整備すれば終わりではなく、三年から五年の間に更新が必要にもなります。その負担の大きさを考えれば、公的な支援は欠かせません。
 いつもどおりの二分の一の補助でやっていくというだけではなくて、特別な体制をとって支援をしていくということを検討していくことを強く求めるものです。
 学校の取り組みに対する支援について伺います。
 都では、私立高等学校に在籍している生徒が、学校が責任を持つ海外留学プログラムに参加する際に、保護者が学校へ支払う参加費用の一部を助成する海外留学推進助成事業を行っています。
 海外留学での経験や語学の習得など、学生たちの力を培うためにも貴重な機会になっていますが、現在のコロナ禍で、海外留学には行けない状況が続いています。
 そうした中、私立学校の中には、国内で英語を学べる施設を利用した取り組みを行っているところもあるというふうに聞いています。海外留学で学ぶ機会が奪われている中で、国内での代替のこうした活動に対して、同事業の助成を柔軟に活用させてもらいたいという声があります。
 検討するべきだと思いますが、見解を伺います。

○濱田私学部長 私立高等学校海外留学推進補助は、世界で活躍するグローバル人材の育成を図るため、都内の私立高等学校が実施する高校生の留学を支援するものでございまして、基本的に留学以外の事業は対象としておりません。

○斉藤委員 基本的には対象としていないということですけれども、新型コロナの感染症の拡大は今なお勢いを増していて、終息の見通しは立っていません。
 学齢期に海外旅行に行くという貴重な機会が得られないかもしれない、こういう学生たちに対して、少しでもと学校が工夫して取り組むことに対して支援をしていただきたいと思います。特に本事業の予算は、使われずに残るということになると思いますので、今の学生のために、今後において柔軟な活用を検討していただくことを求めます。
 次に、保護者の負担軽減について伺います。
 この件についても、我が党は繰り返し支援の拡充を求めて、特に私立学校での授業料の減免については少しずつ前進を切り開いてきていますが、新型コロナの感染拡大による自粛の影響で、働く親の収入や雇用環境にも大きな影響が出てきています。そうした中で子供たちが就学を継続できるように、保護者の負担軽減を求める声はますます切実なものになっています。
 そこで伺いますが、コロナ禍における私立学校の保護者の家計急変などの状況について、都としてどのような声を聞いているでしょうか。

○濱田私学部長 学校からは、保護者等の急激な所得の減少により授業料や納付金の負担が困難な状況にあっても、教育の機会を継続的に享受できるようにしたいので、経常費補助の特別補助である授業料減免制度に対する補助を拡充してほしいなどの声がありました。

○斉藤委員 今の声は、本当に重要なところだと思います。教育の機会を継続的に享受できるように、経常経費補助の特別補助である授業料減免制度に対する補助を拡充してほしいなどの声があったということです。
 私立初等学校協会が行ったアンケート調査では、回答のあった四十校のうち、十四校で保護者の家計状況が急変し、授業料等の納付金が払えない家庭があったということです。三五%にも上っているという状況です。
 ご存じのとおり、特に私立の小中学校に対しては、全ての学校を対象にした授業料の減免制度がなく、都からの支援は喫緊の課題です。
 都はこれまで、経常費補助の中の特別補助として、家計急変の理由で学校が授業料の減免を行う場合に、昨年度までは五分の四の補助をしてきましたが、今年度分については十分の十の補助を出すようになりました。
 このことは重要ですけれども、この家計急変に伴う授業料の減免制度を整備している私立学校の割合は現在どのくらいか、伺います。

○濱田私学部長 私立学校が家計急変による授業料等減免制度を整備している場合は、私立学校経常費補助の特別補助の対象となります。
 令和元年度においては、都内の私立高等学校、中学校、小学校の約六割に、授業料等減免制度を整備しているということで補助を実施しております。

○斉藤委員 まだ全体で六割の学校しか制度の導入がされていないということです。この経常経費補助の特別補助としての授業料減免制度が使えるのは、制度を有する学校であり、減免制度がない学校では、新たに減免制度をつくり、入学案内や募集要項などで保護者に周知しているということが要件になっています。
 今はコロナ禍で、まさに家計が急激に影響を受けている中で、現在、減免制度がなくても、緊急に支援をしてほしいという声があります。
 検討するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○濱田私学部長 学校が令和二年度中に授業料等減免制度を整備し、生徒、保護者へ周知を行った場合は、私立学校経常費補助の特別補助の対象となる仕組みとなっております。

○斉藤委員 今のご答弁で、今年度中でも制度をつくり、保護者へのお知らせを行えば、十分の十の補助対象になるということがわかりました。ぜひ制度のない学校に周知していただいて、早急に制度をつくるための相談にも乗っていただいて、丁寧に対応していただきたいというふうに思います。
 さらに、新型コロナの影響の長期化が予想される中、十分の十の補助を今年度限りとせず、来年度以降も続けるということを求めます。
 経常費補助の特別補助としての授業料の減免制度ですけれども、私たちは、問題があることをこれまでに指摘してきました。
 私立学校経常経費補助は、全学校を対象とする一般補助と各校の取り組みを促進する特別補助から成っていますが、その経常費補助は、もともと公立学校でかかる経費の決算値の二分の一を補助するという、いわば上限が決められているものです。その中の特別補助が授業料の減免としてふえれば、配分の調整で一般補助が影響を受けてしまうという問題です。
 第二回定例議会の委員会でも、我が党のとや理事が質疑をいたしましたが、この経常費補助の特別補助としての授業料減免制度の仕組みについて、明確な答弁がありませんでした。
 再度確認しますけれども、経常費補助の特別補助としての授業料の減免制度を活用すると、一般補助が減るということになるのか、伺います。

○濱田私学部長 私立学校経常費補助は、全校を対象とする一般補助と各校の取り組みを促進する特別補助から成るもので、その配分については、直近の課題に対応できるよう、毎年度、東京都私立学校助成審議会に諮問し、答申を得て決定しております。

○斉藤委員 また今も、従来からの繰り返しのご答弁なんですけれども、一般補助が減るということは否定されませんでした。これでは、学校も安心してこの制度を活用するということができないのではないでしょうか。
 コロナ禍でより厳しくなっている家計状況や学校の経営状況に寄り添って、経常費補助の仕組みとは別に授業料減免への上乗せ補助をつくり、支援を拡充するべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○濱田私学部長 私立学校に通う保護者の家計急変等への対応は、引き続き経常費補助の仕組みの中で対応してまいります。

○斉藤委員 あくまでもこの経常費補助の仕組みの中で対応していくということですけれども、新型コロナの影響は、今後も長く続くということが予想されます。家庭の経済状況の回復も簡単ではないかもしれません。
 全国私立学校教職員組合連合が、ここでもアンケート調査を行っておりますけれども、コロナ禍での学費滞納の申請があったのが、回答した高校の中の一六%に及んでいるということです。これは全国規模での調査になりますが、ぜひ東京都での実態をつかんでいただきたいというふうに思います。
 私立学校に通う子供たちが就学を続けられないなんていうことがないように、今後も現場の声に耳を傾けて、支援の手を差し伸べていただくことを強く求めます。
 国が行っている私立小中学校等就学支援実証事業について伺います。
 国は、二〇一七年度から五年間の検証事業として、年収四百万円以下の世帯への十万円の支給を行っていますが、新型コロナによる経済悪化の影響の長期化が予想される中で、恒常的な事業として、支給額の増額や所得制限の緩和が求められています。
 国に要望していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○濱田私学部長 私立小中学校等に通う生徒への経済的支援に関する実証事業は、国の事業として実施しておりまして、国の責任において制度設計すべきものと認識をしております。

○斉藤委員 国の責任において制度設計すべきものということですけれども、この制度では、導入の翌年に、突然、国が補助要件を厳しく変更したために、東京都でも、本来の対象者だったはずの百四十一人が、突然、支援の対象から外されるということがありました。
 そのときは、東京都は国に対して、当初の基準に基づいて早急に交付決定を行うように緊急要望を行っています。国に対して緊急要望を行ったということに、私はすごくうれしくなったのですけれども、これはぜひ、一回で諦めないで頑張っていただきたいと思います。
 学校現場から、支給額の増額や所得制限の緩和、そして恒常的な事業にすることが求められています。都として国に求めていくことを重ねて求めるものです。
 長く続いた休校措置や家庭環境の変化などによってストレスを抱えている子供たち一人一人に向き合い、教育の質の向上を支える環境と感染症にも強い学校をつくるためにも、私立学校でも、公立学校と同様に少人数学級の実現が求められています。
 国が少人数の学級編制も含めて予算編成を検討している中で、私立学校を支える私学行政として、少人数学級の実現に向けての検討を行うべきですが、見解を伺います。

○濱田私学部長 学級編制のあり方につきましては、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任において行われるべきものと考えております。

○斉藤委員 国の責任において行われるべきものという、今の教育庁と同じようなご答弁なんですけれども、私立学校については、全国でも最も多い児童生徒が通っているのがこの東京都です。東京都として、みずからの責任があるということをきちんと認識を持っていただきたいというふうに思います。
 来年度予算に向けた私立初等学校協会からの要望でも、少人数学級について検討が求められているとしています。
 具体的には、まず、一人一人に行き届く教育を実現するために、教員をふやしていかなければなりません。そのためにも、経常経費補助の拡充がこれまで以上に求められています。経常経費補助の拡充に踏み出していただくことを強く求めて、次の質問に移ります。
 私立学校の体育館のエアコン設置について伺います。
 毎年、夏には猛暑が続く中で、私立学校の体育館のエアコンの設置は切実な要求になっています。特にことしは、感染予防で密を避けるために、去年までならもっと小さな部屋で行っていた授業や集会等を含め、体育館を使いたいという機会がふえているというふうに聞いています。
 都立学校では、二〇一九年度からの三カ年、つまり来年度で全ての都立学校の体育館のエアコン設置を完了させるという計画で動いているところですが、私立学校の体育館ではどのようになっているか、その状況ですけれども、先ほど質疑にありました。ことし六月に都内の私立学校にアンケート調査を行って、今、約七割の学校の体育館には空調が設置されているということです。
 残りの三割にはついていないということですけれども、このアンケート調査を行ったということは、とても重要なことだと思っておりますが、調査を行った理由と経緯について伺います。

○濱田私学部長 当該アンケートにつきましては、今後の私学振興施策の参考とするため、私立学校の施設状況等の調査の一環として実施したものでございます。

○斉藤委員 今後の私学振興策の参考とするために行ったということです。
 私たち日本共産党都議団は、私立学校の体育館にもエアコン設置のために支援を行うようにと繰り返し求め、去年と、そして、ことしの五月にも申し入れをしてきました。その中で六月にアンケート調査を行ったということは、今後に向けてとても重要な取り組みだと思います。支援を行うためにも、まず状況を把握することが第一歩です。
 私たちのところに、今回、私立学校の体育館へのエアコンの設置のために支援をしてほしいという切実なお手紙が届きました。学校の校長先生からです。一部をご紹介します。
 ことしの夏は、七月末までは過ごしやすかったものの、梅雨明け以降は猛暑が続きました、しかも、ことしはコロナの影響で、夏休みを短縮し、八月下旬から授業を再開したため、サウナのような状態で体育の授業を行わざるを得ませんでした、公立の学校では東京都の補助があると伺いました、まずは公立学校の施設整備を進めるのは当然だと思いますが、その次は、ぜひ私立学校にも手を差し伸べていただきたいと思います。こういう切実な声です。
 さらに、学校の体育館は、災害時の避難場所としても、地域住民への貢献が期待されています。お手紙にはこのように書かれています。
 コロナ禍だからこそ、体育館の空調設備は必要なものであると考えます、密を避けるために、新たな避難場所としての活用です、空調のない施設では地域の皆さんに提供しにくいのが事実です、私立学校も含めた補助制度の充実を図っていただきたく、ここにお願いする次第です。こういうお手紙が届きました。
 こうした声を受けて、今こそ私立学校の体育館へのエアコン設置の補助に踏み出すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○濱田私学部長 私立学校の校舎等の施設は、私立学校が存立する基礎となる資産でございまして、設置者である学校法人みずからが設置、管理すべきものとの考えから、基本的には施設設備の新設には補助を行っておりません。

○斉藤委員 補助を行っていないという現状のお答えでしたけれども、補助をする考えはないというご答弁ではありませんでした。今後にぜひ期待をしたいというふうに思います。
 老朽化したエアコンの更新についても伺いたいと思います。
 特定フロンガスを使用したエアコンの場合には、更新のときに配管の交換工事も必要となるなど、大規模な整備が必要になり、負担が大きくなるということです。
 更新の際の費用を補助の対象とするべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○濱田私学部長 都は、私立学校省エネ設備等導入事業費補助におきまして、省エネ型の照明器具や空調設備等に更新する私立学校に対し、その経費の一部を補助しております。

○斉藤委員 省エネ型の空調設備に更新する際に、経費の一部の補助を行っているケースがあるということです。
 また、都では、現状の範囲内で改築や改修を行う際にも補助の対象というふうにしています。こうした制度も活用を促進しながら、また、これらの制度の対象外となってしまう更新に対しては、新たな制度をつくっていただくことを含めて、柔軟に学校の要望に応えていただきたいというふうに思います。
 次に、消費者教育事業について伺います。
 都はこれまで、都民の安全な消費生活の維持向上や環境保全に関する消費者生活を支えるために消費者教育事業を推進してきました。その中でも、消費者団体やグループがみずから学習会の開催や情報発信などを行う活動に対して、都が協働して、活動の場の提供や講師の派遣などの支援を行っています。
 この協働学習会の昨年度の実績と、利用団体からどのような声があるか、その評価について伺います。

○吉村消費生活部長 昨年度、協働学習会は十二回開催され、合わせて三百五十九人の参加者がありました。
 消費者団体からは、この事業を利用することで費用負担の軽減につながったなど、感謝の声をいただいております。
 本事業は、消費生活問題について、広く消費者に対する普及啓発や情報提供を推進する上で重要と考えております。

○斉藤委員 利用している消費者団体から、負担軽減になって喜ばれているということです。私も消費者団体の方々からお話を伺って、消費者被害をなくしていくために、いかに楽しく学んでいけるか、工夫しながら取り組みをされているということでした。
 ご答弁のとおり、こうした団体と協働して活動の裾野を広げていくということは、都民の安全な消費生活を支えていく上でも大事な取り組みだというふうに思います。
 しかし、今年度は、新型コロナの感染拡大の中で、多くのイベントや集会などが自粛となり、通常どおりの活動ができない状況になりました。
 消費者教育事業における協働学習会の今年度の取り組み状況はどうなっているのか、伺います。

○吉村消費生活部長 現時点では開催実績はございませんが、年内に一回の開催が予定されております。

○斉藤委員 今年度はまだ開催がないということで、貴重な取り組みが足踏み状態になっているということに、活動団体の方々も非常に残念に思われているというふうに伺いました。
 新型コロナの影響で、消費活動においても新たな問題が起こっている中で、こうした団体の活動を保障していくということが重要です。
 新型コロナ感染症の拡大の終息が見通せない中、消費者教育事業においても、オンラインでの活動の保障をしていくということが重要だと考えますが、見解を伺います。

○吉村消費生活部長 オンラインは、今や多くの方が当たり前のように活用しております。
 都は、今年度、消費者団体との共催による消費者月間事業において、ウエブ配信によるメーンシンポジウムや交流フェスタなどを実施しております。
 また、来月には、生活協同組合等からパネリストを迎え、自然災害や新型コロナウイルスなどさまざまなリスクへの対応をテーマとした講座をオンラインで開催する予定でございます。

○斉藤委員 今、あらゆる分野で、学習会やシンポジウムなどもオンラインでの取り組みが広がっています。
 今や多くの方が当たり前のように活用しているという今のお答えでしたけれども、しかし、これまでの対応の中では、当たり前のようになっていないということがあったということを幾つか聞いています。
 一つは、協働事業を行っている消費者団体の方からですけれども、集まることが困難なコロナ禍において取り組みが進められるように、オンラインでの学習会を開催することを考えていたけれども、この協働事業の規約にオンライン開催の場合の規定がないために、講師謝礼の補助が受けられないのではないかという不安があるというお話を伺いました。
 オンラインでの開催でも講師料を補助する必要があると考えますが、見解を伺います。

○吉村消費生活部長 オンラインの開催についても補助対象とすることを明確化するため、既に規定を改正したところでございます。

○斉藤委員 オンラインによる学習会も補助対象とすることを規定で明確化したということなので、よかったなというふうに思います。
 私たちにとっては、これまでに経験のない感染症の広がりの中で、行政においても、これまでの想定になかったようなことに対応していかなければならないということが多いと思います。
 今後も、利用者の方々、ともに活動する方々の声に寄り添って柔軟な対応をしていただきたいと思いますが、既にオンラインで行った活動で、講師料の補助が認められなかったというものがあるというお話も聞いています。
 消費者団体やグループでは、区市町村のグループとも学習交流会や活動交流会を行っていますが、その際の講師料も都からの支援があります。しかし、今度のコロナ禍においてオンラインで行った学習交流会では、講師料の補助がもらえなかったということです。
 これまでに行われたものでも補助の対象として、柔軟に検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○吉村消費生活部長 規定の改正後に実施される事業が補助対象となります。

○斉藤委員 規定改正後に実施する事業を対象とするということですけれども、先ほどは、オンラインは、今や多くの方が当たり前のように活用しているというご答弁でした。それならば、団体の方々が活動を少しでも継続できるようにと取り組まれたオンラインの活動に、少しでも寄り添って支援を検討するべきではないかと思います。当たり前の活動だといっているのですから、当たり前に支援をするという対応をしていただきたいというふうに思います。
 もう一つありますけれども、高齢者向けの消費者被害防止のための講座をオンラインで行ってほしいと希望したけれども、相談員の方から、できないといわれてしまったということでした。
 オンラインで対応するということを今後は徹底していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○吉村消費生活部長 お話の事業につきましては、来年二月にオンライン形式で実施する予定でございます。

○斉藤委員 来年二月には、この講座をオンラインで行う予定だということなので、今後はオンラインではできないという対応にはならないように、しっかり対応していただきたいというふうに思います。
 消費生活センターにおいてのICT環境の整備について伺います。
 都では、区市町村が行う消費生活行政とも連携して、職員の研修や情報の共有を行っています。
 都と区市町村の取り組みが消費生活行政の両輪として重要ですけれども、今後、オンラインの取り組みを強化していく上で、各区市町村の消費者センターではWi-Fiの整備がおくれているという声があります。
 都の消費生活総合センターとあわせて、Wi-Fiの整備状況はどのようになっているのか、また、早期に整備が必要だと思いますが、現状と今後について伺います。

○吉村消費生活部長 東京都消費生活総合センターのWi-Fiにつきましては、早期導入に向け、準備を進めております。
 区市町村の状況については把握しておりません。

○斉藤委員 東京都消費生活総合センターのWi-Fiについては、早期導入に向けて準備のために動いていただくということになって、よかったというふうに思います。着実に進めていただきたいと思いますが、区市町村の消費生活センターでの整備状況については把握はしていないということでした。
 消費者教育の推進のために、都として各消費生活センターのICT整備の支援を率先して行ってほしいという声があります。
 消費生活センターのICT環境整備のために支援を行うということを検討していただきたいと思いますが、見解を伺います。

○吉村消費生活部長 区市町村の消費生活センターにおけるICT環境の整備につきましては、個々の実情に応じて判断するものと考えております。
 なお、都は国に対し、地方消費生活行政の推進のために必要な財源を継続的、安定的に確保することを要望しております。

○斉藤委員 国に対して、継続的、安定的な財政支援を求めているということです。今回のコロナの影響で新しい様式が求められている中で、必要な経費がふえているという状況です。都としても、コロナ禍においても消費者生活の向上に資する取り組みに積極的に支援をしていただくことを重ねて求めるものです。
 コロナ禍において消費者生活にどんな影響が出ているのかを把握して、都民に共有していくこと、啓発をしていくということが重要です。
 都では、相談事業等を通して傾向をつかんでいると思いますが、今の相談件数と相談内容の特徴はどのようなものがあるか、伺います。

○吉村消費生活部長 東京都消費生活総合センターには、ことし一月下旬から九月末までに、約二千七百件の新型コロナウイルスに関する相談が寄せられております。
 相談内容としては、マスクやトイレットペーパー等の品不足、旅行や結婚式のキャンセル、感染拡大に便乗した悪質商法に関する相談などがございます。

○斉藤委員 知事が三月にロックダウンといったときは、マスクだけでなく、トイレットペーパーの品不足も深刻になりました。正しい情報に基づく消費行動を促すことや、混乱に乗じた悪質な行為から消費者を守るということは、消費者行政における重要な役割です。最近では、給付金の支給を装って個人情報を引き出すような詐欺があるということも報道されています。
 こうしたコロナ禍でのトラブルから都民を守るためにも、消費者団体や区市町村との連携や、年齢層に応じた情報発信など工夫しながら、今後の啓発、教育内容に生かしていく必要があると思いますが、現在の取り組みと今後について伺います。

○吉村消費生活部長 都は、相談事例や消費者へのアドバイスを取りまとめ、ホームページ、東京くらしWEBに新型コロナウイルス関連相談FAQ(よくある質問)として掲載しております。
 また、SNSを通じて、随時、情報発信するとともに、知事のライブ配信や「広報東京都」などにより、新型コロナウイルスの感染拡大に便乗した悪質商法に関する注意喚起情報を幅広い年齢層に向けて発信しております。
 また、先ほども答弁申し上げましたとおり、都は、新型コロナウイルスなどのリスクへの対応に関する講座を生活協同組合等の協力を得て開催するほか、都に寄せられた相談情報等について、区市町村に随時、情報提供しております。
 引き続き、消費者への普及啓発に取り組んでまいります。

○斉藤委員 ウエブサイトやSNS等も活用して情報発信を行っているということ、また、都の広報紙にも消費者トラブルへの注意喚起を掲載しているということ、私も確認をいたしました。
 若い人たちから高齢者まで、多様な年齢層に届くツールを使って、また、最新の相談や事例などの紹介を行いながら、注意喚起と相談対応を充実していただきたいというふうに思います。
 相談体制の強化もあわせて求めまして、質疑を終わります。

○内山委員 都民ファーストの会の内山です。
 私からは、大きく二点、お伺いをしたいと思っています。
 まず一点目は、青少年の健全育成についてであります。
 子供たちの健全育成を担っていくというのは、私は三カ所あると思っていまして、その一つは学校教育、もう一つは家庭、もう一つは地域、この三つが子供たちのさまざまな学びや育ちを支えているというふうにいえると思いますし、ある意味、子供たちの学びや育ちのセーフティーネットでもあるのかなと思っています。
 家庭でなかなか、教育力だとか、もしくは自力のないご家庭というところでなってしまっても、何とか学校と地域でというふうにもなりますし、なかなか学校が大変なときにも、家庭と地域がしっかりとしていれば子供たちは健全に育っていく、こういうような三つの地域というか、パートがあるのかなと思っています。
 その中で、これまでも地域においては、さまざまな青少年の健全育成に対する取り組みをしてきていると思いますが、今年度は、コロナ禍によって、その多くの活動が中止となっています。
 そういった中で、当然、コロナによって家庭が厳しくなっているご家庭もあるでしょうし、また、学校も三カ月の臨時休校の中で、今、本当に学校は、子供たちも先生たちも余裕がない状況であります。あわせて、ここで地域の教育力がストップをしてしまうということは、これは本当に子供たちの学びや育ち、もしくはセーフティーネットという面においては、極めて危惧されるところかと思っています。
 そういった中で、こちらの事業概要というものを見させていただきましたが、多くの事業が中止または縮小というふうになっています。そういった中で、やはり先ほど申し上げたように、子供たちの成長に大きく影響するのではないかというふうに私は心配をしています。
 そこで、この状況に対する東京都の認識をまずは伺いたいと思います。

○馬神都民生活部長 これまで都は、家庭、学校だけでなく、地域においても、子供たちの規範意識やコミュニケーション力、多様性を認め合う心を育むことができるよう、青少年健全育成活動を推進してまいりました。
 今年度、多くの地域で、育成活動がコロナ禍の影響を受け中止となり、子供たちが地域の中で社会性を身につける機会が減ることによる影響が懸念され、新しい日常下においても、子供たちが地域でさまざまな人たちと触れ合う機会を確保し、健全育成を効果的に実施していくことが重要であると認識しております。
 今後、工夫した活動の事例や専門家のアドバイスをリーフレットにまとめ、周知を図ってまいります。

○内山委員 ありがとうございます。コロナ禍においても、子供たちの学びや体験というものをとめないというのは本当に重要なところでありまして、地域によっては、そこを何とか、今、工夫をして、さまざまな活動をされているところもあれば、まだ活動がとまってしまっているというところもありますので、ぜひそういった知見を共有していただきながら、コロナ禍においても地域の教育力というものをできるだけ維持していただきたいなというふうに思っています。
 その中で、幾つか質問させていただきたいのですが、事業概要の五九ページの〔2〕にあいさつ運動の展開というのがあります。都内の小学校において、挨拶をすることの大切さ等を学ぶ挨拶音楽劇を上演し、青少年や保護者、地域の大人に対して挨拶運動の機運醸成を行っているというように書かれております。
 こちらについて、事業内容と予算及び今年度の実施状況についてお伺いをしたいと思います。

○馬神都民生活部長 挨拶音楽劇は、挨拶の大切さに加え、思いやりやルールを守ることの大切さなどを学ぶことを目的として、都内小学校にプロの声楽家を派遣し、挨拶を題材とした児童参加型のオリジナル音楽劇を上演しております。
 学校と地域が協力して挨拶運動を推進するため、保護者や地域の大人たちにも参加を求め、児童と一緒に挨拶の大切さ等について考える契機としております。
 今年度予算は千三百七十四万四千円であり、十二校で実施予定でございましたが、コロナ禍の影響で中止といたしました。

○内山委員 ありがとうございます。
 私、挨拶運動に関して、否定することは全くないんです。各学校も挨拶運動をやっていますし、子供たちも、やっぱり挨拶ができるかできないかというのは、結構、健全育成の中では重要なウエートを占めるとまではいいませんけれども、重要なことなんだろうなというふうに認識はしています。
 しかし、今のご答弁にあったように、十二校で実施で一千三百万。これ、挨拶音楽劇について伺ったら、実質四十分の授業なんです。四十分の授業に、十二校で一千三百七十四万ですから、一校当たり百万円以上の予算が充てられているということでした。
 音響を入れたりとか、脚本を書いてもらったりと、いろいろ予算がかかるところはわかります。プロの声楽家に依頼をしているというのもわかります。
 しかし、果たして、この四十分の音楽劇で、挨拶をテーマにして、そこに一校当たり百万円以上の予算を割くのが適切かどうかというのは、私は大きな疑問を感じてしまいます。
 しかも、東京都には一千二百校を超える公立の小学校があります。そういう中で、その中の十二校ということですから、これも、私は本当に大きな疑問を感じてしまうんです。
 一方で、地域における青少年健全育成応援事業補助というのがありますね。
 まず、この事業内容と予算及び今年度の実施状況についてお伺いをしたいと思います。

○馬神都民生活部長 地域における青少年健全育成応援事業補助は、区市町村が、子供祭りや宿泊キャンプといった子供たちがさまざまな人々と交流し、多様な価値観に触れる機会の提供や、ジュニアリーダー研修など地域の担い手の育成を目的とした事業を実施する際に、その経費の一部を補助するものでございます。
 今年度予算は二千万円であり、十六区市町から申請がございました。

○内山委員 こちらの事業は、二分の一補助ということで、補助上限が百万円。だから、総額二百万円までが補助対象になるというふうに事前にお伺いをしました。
 先ほどの事業と比べてみると、令和元年度の補助一覧を見てみると、例えば、一年間かけて子供たちのリーダー講習会だとか、親子の自然体験だとか、いろんなメニューがあります。単純には比べられないとはいえ、これは本当に、私、すごく重要なものかなと思っています。年間をかけてできるものだったり、物によっては数万円の小さなものでも、数万円で半額補助をしてやられているということで、これはすばらしいと思うんです。
 じゃ、この年間をかけて子供たちをリーダー研修会とか、恐らく十回ぐらいやられるんだと思うんですけれども、というものの補助額が百万円なのと、先ほどの挨拶音楽劇が、たった四十分で百万円を超えているという、このアンバランスさというのは、僕はなかなか、ちょっと理解ができないなというふうに思っています。
 コロナ禍においては、当然、これから財政も厳しくなってくると思います。そういった中で、しっかりと手当てをするところには手当てをして、不要不急のものは一旦立ちどまって考えなくてはならないという事業もあるのではないかなというように思っています。
 ですので、この挨拶音楽劇に関しては、一昨年までは、もう少し金額も安かったというのも聞いておりますので、もちろん、やるなということではなくて、その金額でしっかりとできるかできないかというものは、再度検討をしていただければなというように思っております。
 続きまして、TOKYO子育て応援幼稚園における二歳児の受け入れについてお伺いをしたいと思います。
 先ほども質疑がありましたが、私は、待機児童という観点から申し上げると、三歳から五歳というよりは、やっぱり一歳と二歳というところに待機児童解消の大きなポイントがあると思っています。そういった観点から、これまで何度か、以前にも質疑を予算委員会等でもさせていただいてまいりました。
 都が七月に公表したデータによると、都内の待機児童数は減少しており、そのうち二歳児の待機児童数においても、平成三十一年度、令和元年度の五百四十四名から、令和二年度は五百六名と減少してきているといえます。しかし、TOKYO子育て応援幼稚園が主としている三歳児から五歳児に比べると、その数は依然として多く、同事業における二歳児の受け入れ支援は、引き続き必要かなというように思っています。
 そこで、TOKYO子育て応援幼稚園における二歳児の受け入れ園数について、推移も含めて現状をお伺いしたいと思います。

○濱田私学部長 平成三十年度は、TOKYO子育て応援幼稚園の九十一園のうち四園、平成三十一年度は、百八園のうち八園、そして今年度は、百十四園のうち九園が実施する見込みでございます。

○内山委員 昨年度までの推移と、また、本年度の実施園数の見込みというところをご答弁いただきました。昨年度からは一園増の九園ということだと思います。
 全部で、幼稚園の数は東京都で八百ぐらいでしたかね。そこから子育て応援幼稚園、私が一番最初に質疑に立ったときは、たしか九十一園の四園だったと思うので、そこから比べれば、九十一が百十四にふえて、二歳児の受け入れをしているところが四園から九園にふえたということは、増加はしていると思います。しかし、なかなか厳しい数字かなというのも率直な感想でございます。
 そういった中で、東京都が努力をしているのは、私もこの間、ずっと質疑をさせていただいている中で認識をしているわけですが、二歳児の待機児童数の現状を鑑みると、やはり実施園数はもっとふえることが望ましいのではないかなというように感じています。
 そこで、TOKYO子育て応援幼稚園における二歳児の受け入れについて、実施園数がなかなかふえない要因というものの分析についてお伺いしたいと思います。

○濱田私学部長 調査やヒアリング等によりますと、各幼稚園によって状況は異なりますが、保育士資格を持つ新たな職員の配置が困難であることや、長時間の二歳児の受け入れに不安があること、二歳児用の保育スペースの確保が困難であること、体制を確保しても十分な利用人数の見通しが立たないことなどといった声が聞かれました。

○内山委員 そういった分析が、この間、ずっと知見としてされてきたということで、今ご答弁をいただきました。
 それでは、都は、これらの要因を踏まえた上で、このTOKYO子育て応援幼稚園の二歳児の受け入れの拡大について、今後どのように取り組みを進めていくのか、お伺いをしたいと思います。

○濱田私学部長 二歳児の受け入れ拡大に向けて、区市町村と連携してTOKYO子育て応援幼稚園の拡大を図るとともに、二歳児の受け入れに当たっての課題を踏まえ、各幼稚園に対して、先行事例や補助制度の紹介などさまざまな情報提供や、園の意向、状況に応じた丁寧な働きかけを行っていきます。
 また、幼稚園が二歳児の保育先の選択肢の一つとなるよう、未就学児を持つ保護者に対してTOKYO子育て応援幼稚園の一層のPRを行い、認知度を高めてまいります。

○内山委員 ありがとうございます。
 待機児童の内訳を見ていると、実は、少し変化が起きてきています。というのは、これまでは、二十三区と多摩地域で、待機児童というのは二十三区の方が多かったんです。しかし、最新のものでいくと、多摩地域の方が待機児童自体は多くなっているんです。
 これ、私としては、なかなか冷静に分析がし切れない部分はあるんですが、これまでは、やはり子供の数が純粋にふえているところが多い二十三区と、もう少子化の岐路に立ってきている多摩地域で考えると、子供の数が多ければ、幼稚園も足りない、保育園も足りないという状況だったと思うんですが、多摩地域の特に西部側、西側の我々が住んでいる昭島、西多摩、北多摩も、子供の数は、維持か微減、もしくは結構減ってきているというところになっているんです。そうすると、保育園をつくると、幼稚園がなかなか経営がうまくいかないというような、実際、保育園をつくって幼稚園が潰れるという自治体も出てきているわけです。
 ですので、その多摩地域に待機児童が、今、二十三区よりも多いという状況を考えると、この幼稚園の伸びしろというのは、かなり私は期待ができるのではないかなと思っています。
 幼児教育の一端を担っている幼稚園というのが、やはり待機児童の解消だけではなくて、そういった幼児教育の拡充という意味でも、しっかりとこのTOKYO子育て応援幼稚園という制度で、引き続き持続可能なものになっていくことを重ねてお願いを申し上げまして、私からの質疑を終わりたいと思います。

○早坂委員 私からは、若者の消費者被害の防止に関して伺います。
 本年七月に生活文化局が公表した令和元年度消費生活相談概要によると、都内全体の相談件数は約十三万九千件で、前年度から横ばいの状況です。
 一方で、二十九歳以下の若者からの相談件数は約一万五千件と、前年度からは一八%増加しており、若者を狙った悪質商法による被害は、いまだ後を絶たない状況にあります。
 そこで、若者の消費者被害の状況について、その特徴と具体的なトラブル事例について伺います。

○吉村消費生活部長 若者は、社会経験や知識等が少ないことから、悪質商法の被害に遭いやすく、日常的に利用しているSNSをきっかけに、思わぬ消費者トラブルに遭うケースもふえております。
 具体的な事例としては、知人から簡単にもうかると投資用USB教材の購入を勧められ、学生ローンで借金をして契約しました。実際は全くもうけることができず、解約を申し入れたところ、人を紹介すれば紹介料が入るといわれ、友人を誘って、みずからも加害者となってしまうケースがございます。
 また、SNSでエキストラの募集を知り、アルバイト感覚で事務所に行ったところ、タレントのオーディションを勧められ、合格後に高額なレッスンの契約をさせられたといったケースもございます。

○早坂委員 ご答弁を伺うと、基本的な手口は、若者の安易な気持ちや知識不足につけ込んで契約をさせてしまう、昔からのあくどいやり方であります。
 加えて、昨今は、スマートフォンやパソコンを使って、インターネットやSNSによって情報収集から勧誘、契約締結、決済に至る一連の行為が簡単に行うことができる環境になっていることから、手口が巧妙化し、解決が難しいトラブルが多くなっているのではないかと思います。
 こうした消費者トラブルを未然に防ぐため、東京都では、毎年、若者を対象にしたキャンペーンを実施しています。
 若者に消費者問題に興味、関心を持ってもらうために、どういった工夫をしているのか、伺います。

○吉村消費生活部長 都では、若者の消費者被害の未然防止や早期発見を図るため、成人式や進学、就職の準備など、若者の生活に変化が見られる一月から三月にかけて、関東甲信越の近隣県や政令市等と共同で、悪質商法被害防止キャンペーンを実施しております。
 昨年度は、若者に人気があるタレントを起用して、悪質商法への注意を呼びかける動画を作成しました。
 この動画は、トレインチャンネルや街頭ビジョン、自動車学校などで放映したほか、ツイッターやユーチューブ等を活用して動画広告を配信するなど、若者が多く使う媒体や場所を利用して啓発キャンペーンを行いました。

○早坂委員 今後、成年年齢が引き下げられることもあり、若者に対する注意喚起や普及啓発を一層効果的に進めていくことが必要と考えます。その際には、若者が日常的に利用する媒体を意識することが重要です。
 若者がふだんから利用しているSNSを活用した注意喚起や情報発信についての取り組み状況について伺います。

○吉村消費生活部長 都は、消費生活に関する情報の発信や注意喚起に当たり、日常的にツイッターやフェイスブックを活用しており、昨年度は、合計で約千百回の発信を行いました。
 また、今年度は、消費生活問題に関心のない若者にも情報を届けていくため、四こま漫画を活用したSNS広告を行う予定でございます。
 さらに、今後の展開の参考とするため、先月、十八歳と十九歳の若者に対してグループインタビューを実施いたしました。インタビューでは、全員がツイッターから情報を得ていることや、行政機関が発信する情報は、文字が多くかた苦しいとの意見があったほか、消費者トラブルを人ごととして捉えているため、関心がないことなどが聞き取れました。
 この調査結果を分析し、情報発信の強化につなげてまいります。

○早坂委員 どのような情報発信を行えば、より多くの若者に届くかを意識し、タイムリーかつ効果的な注意喚起を行っていただきたいと思います。今後も継続して、若者の消費者トラブルの未然防止に取り組んでいただくようお願いいたします。
 以上です。

○両角委員 私からは、二点について質問をさせていただきます。
 一点目は、東京都の情報公開制度でございます。
 情報公開の制度については、国に先駆けて、地方自治体から情報公開の制度が整っていったというものでございます。小池都政におきましても、情報公開は一丁目一番地なんだという発言が何度もされておりまして、今の都政の中でも大変重要な位置を占めているんだろう、そのように認識をしているところでございます。
 そこでまず、確認でございますが、情報公開の条例に基づくフローを、概略をお示しいただきたいと思います。

○稲葉都政情報担当部長 公文書の開示請求につきましては、開示請求書を都民情報ルームなどの窓口に提出して行う方法のほか、郵送、ファクシミリ、電子申請を利用して行うこともできます。
 請求の受け付け後は、開示請求の対象となった公文書を主管する主務課において、文書の探索と請求内容の確認を行い、原則として十四日以内に開示、非開示等を決定することとされております。

○両角委員 だから、各所管課が判断をするということで理解をいたします。
 原則公開ということなんですが、非開示の判断について伺いたいと思いますが、非開示の判断はどのようになされるのか、確認をしたいと思います。

○稲葉都政情報担当部長 公文書開示請求における開示、非開示の判断は、対象公文書に記録されている情報が東京都情報公開条例第七条各号に規定をされております非開示情報に該当するかどうかを主務課が判断して行っております。

○両角委員 非開示については、原則公開の中で、条例の七条の非開示とするものが九項目挙げられているということなんですが、主務課がこれも判断をしていくということでございます。
 そこで、条例では、例えば、個人情報の個人の権利利益を害するおそれがある場合であるとか、あるいは法人の事業運営上の地位その他社会的な地位が損なわれると認められる場合、おそれがあるとか認められる場合ということで、主管課の裁量がきく部分があるのかなということで、開示、非開示の判断は、できるだけ統一を都庁全体でしていくべきだというふうに感じるわけですが、この統一的判断の必要性の認識について伺います。

○稲葉都政情報担当部長 主務課におきまして開示、非開示の判断を適切に行うことができるよう、条例の趣旨や解釈を定めました関係規則や通達等をまとめた情報公開の手引を当課として作成しまして各局に配布するとともに、研修において事例を示して説明するなど、共通認識化を図って統一していくことが重要と考えております。

○両角委員 実際に研修をやられていたり、逐条解説的に、ガイドライン的に示されているということですが、これについては、重要な判断ですので、できるだけ共通認識をいろいろ積み重ねて持っていただきたいというふうに思います。
 次に、開示、非開示については、非開示をするという場合は情報公開の主管局と協議をする、そういうふうに義務づけがあるわけですが、今度は一方で、個人情報の保護という趣旨で、個人情報が含まれる場合は公開をしなくてもいいということになっているんですが、各局が情報公開の請求を受けてそれを公開する場合に、個人情報を保護しなくてはいけないのに、それを出してしまうということは、事前の協議の義務づけがないですから、局判断ということになります。
 そこで、情報公開請求における個人情報保護の考え方について伺います。

○稲葉都政情報担当部長 東京都情報公開条例におきましては、対象公文書に特定の個人を識別することができるような情報が記録されている場合には、第七条第二号の規定に基づきまして、原則として非開示とすることとし、個人情報の保護を図ってございます。

○両角委員 今ご説明いただいたように、条例の第七条二号の規定で原則非開示だ、個人情報の保護ということですが、それの判断は、各局がする、主管課がするということです。
 相当数の情報公開請求がありますから、それ全部を生活文化局の情報公開担当課が、全てチェックしているわけではないでしょう。ですから、一義的には各主管課が判断をしていく。
 その中では、個人情報を保護しなきゃいけないんだけれども、出してしまうということも考えられるケースなんですが、過去三年間、個人情報を本来非開示とすべきところを開示したというケースはあるのでしょうか。

○稲葉都政情報担当部長 主務課が非開示決定等を行う場合には、その局の情報公開主管課及び当局の情報公開課に事前に協議をすることになってございます。
 今お尋ねのありましたような事例は、把握してはございません。

○両角委員 そこは把握していないということで、ないということで、そこは安心をする部分なんですけれども、そこで、膨大な量の情報公開請求が来ると。一部、先ほどお話がありましたように、公文書情報公開システム、ある一定のカテゴリーの文書については、情報の開示を積極的に都側からしていくというようなシステムも動いているということで評価をしたいと思いますけれども、やはり情報公開において、この情報公開所管の生活文化局が非常に大きな役割を果たさなきゃいけないんだろうと思います。
 そこで、情報公開条例における生活文化局情報公開所管の役割を伺います。

○稲葉都政情報担当部長 生活文化局は、東京都情報公開条例を主管する局として、都における公文書開示制度を運用するとともに、ICTの活用等による積極的な情報公表、提供等により、開かれた都政の推進に取り組んでございます。
 また、条例の適正な運用を期すため、各局の情報公開担当者を対象に研修を実施するとともに、日常的な相談にも対応するなど、各局に対する調整、支援の役割を担ってございます。

○両角委員 今ご説明いただいたように、重要な役割を担っていて、情報公開そのものが都政の中で大きな役割を果たすということでございますので、しっかり機能していただくように期待をしたいと思うわけです。
 一つ、前々から気になって、前、所属をしていた総務委員会等でも質問をしたのですけれども、情報公開所管は生活文化局にある。その理由を知りたいなと。
 どのような経緯で、何で生活文化局が情報公開を担当しているのか、これを教えていただきたいと思います。

○稲葉都政情報担当部長 昭和六十年一月に広報広聴を所管する情報連絡室に情報公開部が設置をされ、同年四月に施行されました東京都公文書の開示等に関する条例の運用を開始いたしました。
 その後、組織改正が何回かございましたが、平成十三年四月に、現在の生活文化局広報広聴部が情報公開制度を所管することとなってございます。
 都といたしましては、情報公開を、行政機関に保有する情報を住民に提供する全ての制度及び施策を指すものとして広く捉え、公文書開示制度は、その中の一つの制度として位置づけてございます。
 このため、都民等の情報等に対するニーズに的確に応えることができる広報広聴を所管する部署において情報公開制度を所管してまいりました。

○両角委員 平成十三年四月から生文局にあるということでございます。かれこれ二十年ほど所管をしているということですが、もとを正すと、昭和五十七年四月に総務局に準備室を設置して、その後、局レベルの連絡室という形になって、いろいろあって、今、生文局に至るというふうに理解をいたします。
 ちょっとこれについては、後ほどまた確認というか、関連の質問をさせていただきますが、今、国も、あるいは東京都も、我が国全体としてデジタルトランスフォーメーションを推し進めるということが、この国にとって、今後の成長とか、それにも大切なことだということで重点的に取り組まれていくということで理解をしております。
 東京都におきましても、宮坂副知事を先頭に都庁全体のDX化を進めていくんだろう、このように思っています。
 そこで、情報公開におけるDX、デジタルトランスフォーメーションの現状がどうなのか、さらに、課題が何であって、今後の取り組みをどうしていくのかということについて伺いたいと思います。

○稲葉都政情報担当部長 情報公開におけますデジタルトランスフォーメーションについては、情報公開制度の開示請求手続において、平成十五年に電子申請による受け付けを開始し、起案文書の件名を検索して請求できるようになってございます。
 昨年は、登録されたデータをダウンロードできる公文書情報公開システムの運用を開始するなど、ICTを積極的に活用し、開示請求によらない情報公開にも取り組んでございます。
 ICTの進展は著しいところがございます。日々生じてくる新たな技術を情報公開制度に活用していくことも必要と考えてございます。
 今後とも、各局と連携をしながら、ICTを活用した取り組みを進めてまいります。

○両角委員 ご説明をいただいたのですけれども、平成十五年から電子申請による受け付けが既に始まっていて、あるいは、昨年の七月ですか、公文書情報公開システムの運用を開始する等々、ICTの技術を活用した取り組みというのは進んでいるんだというふうには理解をいたします。
 一方で、都政全体の中のデジタル化の中で、情報公開をどんなふうに位置づけて、どんな取り組みをしていくのかとか、あるいは、情報の共有とか情報の公開、それは受け手にとっても、あるいは、その情報を使う都庁組織全体にとっても、新しいデジタルの技術によって新しい価値を生み出すような、そんなような発想を持って取り組んでいただきたいなと。何が正解かわかりませんが、研究をしていただきたい、そのように感じております。
 次に、先ほど、生文局に何で情報公開所管があるんですかということを伺いました。答えは、私の理解とすると、何となく歴史的な経緯だと。経路依存で来ている、そういうふうに理解をいたしましたが、情報公開自体は、情報公開の裏に何があるかというと文書管理です。文書管理と情報公開はコインの裏表であると。
 きちっとした情報が、文書が存在をしない、不存在である、あるいは、文書がしっかり管理をされていない中では、情報公開をしても意味がないということになりますから、そういった意味で、私自身は、情報公開の所管と文書管理の所管というのは一つの組織にあるべきだというふうに前々から考えておりまして、総務委員会でもそういうお話をさせていただきました。
 そこで、じゃ、他の府県というのはどうなんだろうということで、文書管理所管と情報公開所管が統一をされている都道府県の割合、わかったら教えていただきたいと思います。

○稲葉都政情報担当部長 当局で調査をいたしましたところ、都道府県の七割程度で、文書管理と情報公開を同じ課が所管してございました。

○両角委員 全国都道府県の中で七割ぐらいの道府県が、文書管理所管と情報公開所管が一つの局だったり、部で担当しているということで理解をいたします。
 いろいろな経緯があったり、さまざまな理由で、組織、機構がそのようになっているんだろうと思いますが、所管が統一されている、要は、情報公開の所管と文書管理の所管が統一されている場合とされていない場合のメリット、デメリットというのはあるんだろうと思います。
 それについてどのような認識を持っているのか、伺いたいと思います。

○稲葉都政情報担当部長 各都道府県によりまして、自治体の規模の違いや、それぞれの部署の所管しております事務の範囲等により事情が異なると考えられますので、一概に同一課にあることのメリット、デメリットを申し上げることは困難かと思っております。
 都におきましては、繰り返しになって恐縮ですが、情報公開制度を、広く情報公表や情報提供施策を含む制度として広報広聴施策に位置づけて運用してございますが、その運用に当たりまして、公文書管理制度と所管が異なっていることをもってデメリットがあるというようなことは考えてございません。

○両角委員 一概にいえないというお話でしたが、昨年の九月に、東京都では、東京都公文書の管理に関する条例の一部改正条例、あるいは東京都公文書館条例--これは、西国分寺に公文書館が、非常に立派なのができました。そして、歴史的文書というような概念ができて、文書管理の条例を一部改正した。
 あわせて、同じ九月に、その玉突きで情報公開条例も一部改正をされたと。
 ですから、文書管理と情報公開はコインの裏表ですから、セットで改正されていくわけですね。それで、都政の中でどういう議論がなされたか。
 私は、当時、総務委員会におりまして、公文書管理の条例の一部改正条例と公文書館条例について質問をいたしました。本来であれば、情報公開の改正の条例とセットで議論をしたかったんですね。それが、情報公開条例については、この文教委員会で扱われました。一方で、公文書の管理条例、コインの裏か表かわかりませんが、一方のコインのワンサイドについては総務委員会で議論された。ばらばらに議論をされて、両方の問題点をしっかり統一して議論ができなかったということで、そういう点もデメリットだと思います。
 あるいは、今、システムがどうなのかわかりませんが、文書管理のシステムをさらにバージョンアップしていく、あるいは、そのときに情報管理のシステムをどうするかといったときに、一つの局で所管をしている方が、私はメリットがあるのではないかと。
 多分、広報広聴という文言の中で、広報を担当する生活文化局に、流れとしてこの事務が来たのではないかというふうに理解をするんですけれども、私は、広報広聴ではなくて、文書管理と情報公開というセットで物を考えるべきだと、このように考えております。
 そこで、文書管理所管と情報公開所管を統一するということについて見解を伺いたいと思います。
 さらに、情報公開のさらなる推進について、局長のご決意を伺いたいと思います。

○野間生活文化局長 一般的な話ですが、関連のある制度などを同一の組織で運用するのか、異なる組織で運用するかということにつきまして、事務事業の性質ですとか、所掌範囲のさまざまな要素を踏まえて判断されるものではないのかなと考える次第でございます。いずれの場合も、それぞれの制度を、緊密に連携して適切に運用することが重要だとも考えます。
 東京都においては、公文書の開示を請求する都民の権利を守るため、都が保有する公文書の管理が適正であることが前提であるとの共通認識のもと、公文書管理制度を所管する総務局と情報公開制度を所管する生活文化局それぞれが、相互に十分に連携しながら制度を運用しているところでございます。
 情報公開の推進につきましては、公文書開示制度の充実と都政情報の積極的な提供を二つの柱といたしまして、これまでも各局と連携し、公文書開示請求の電子化ですとか、公文書情報を都民が無料で取得できる公文書情報公開システムの構築、運用などに取り組んでまいったところでございます。
 今後とも、こうした庁内連携を一層進め、公正で透明な都政の推進と都民による都政への参加の促進により開かれた都政を実現することができますよう、情報公開のさらなる推進に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

○両角委員 ありがとうございました。開かれた都政に一層取り組んでいただけるということです。
 それで、機構の話ですから、生活文化局長にどうですかと伺っても、なかなかそれはできない、どうですというふうには、所管でしっかりやりますというしか、答弁のしようがないと思いますが、都政全体として、いろいろ機構を考えるに当たっては、これはもうちょっと一段上の立場からしっかり考えていっていただきたい、このように私自身は考えております。
 次に、東京都歌について伺いたいと思います。
 都歌についてということで、東京都でどこが所管なのかなと。一応、生文のようだということで、ご担当とされる方とお話をしていたのですが、何か余り担当感がなかったですね。だから、余り都歌というのは重きを置かれていないのかなという感じも若干しました。
 まず最初に伺いたいのは、都歌についての所管は生活文化局でよろしいですか。また、生文局ということであれば、担当所管はどちらになるでしょうか。教えてください。

○古屋文化振興部長 東京都歌は、その制定当時は、当時の民生局で所管しておりましたが、その後、数回にわたる組織変更等を経まして、現在は生活文化局で所管しておりまして、文化振興部が担当してございます。

○両角委員 今ご答弁いただきまして、生活文化局の文化振興部だ、古屋部長が所管であると。歌えますか。--でも、質問じゃないですよね。質問、あれしていないですから。
 多分、今、野間局長以下、十五人の部長がいらっしゃいます。ここ全体で五十人以上いらっしゃると思いますけれども、歌えないですよね、東京都の歌、東京都歌。そのように思うんですね。
 そこで、ちょっとまず伺いたいのですが、東京都歌はどういう経緯で制定をされたのか。
 また、この都歌というのは、どんな役割があるんだと。やっぱり所管があって、東京都歌という、多分、歴史がある歌を、あるわけですよね。その役割がこういう役割なんだというのがあると思うので、お聞かせをいただきたいと思います。

○古屋文化振興部長 まず、都歌の制定の経緯でございますが、昭和十八年七月に東京府と東京市が合併したことを受けまして、終戦後の昭和二十一年十月に作成を開始いたしました。
 昭和二十一年に都歌制定審査委員を任命するとともに、先に詞の方を募集することといたしました。全国紙におきまして周知した結果、応募された作詞は六千五百三十二件でございました。
 昭和二十二年に、審議会での検討を経まして、当選の詞の方を決定いたしまして、新聞発表と同時に、曲の方の募集を行ったところでございます。
 その後、当選曲を決定いたしまして、二十二年の四月に、日比谷公会堂におきまして、記念の演奏会において発表したところでございます。
 都歌の役割でございますが、多くの都民がさまざまな機会に歌うことで、都民としての一体感や東京への愛着を高める役割を持つものと認識しております。

○両角委員 昭和二十二年ですよね。だから、戦後で復興期で、だんだん希望が満ちてくる中で、東京都の歌をつくりましょうということで公募をかけた、六千以上の方々が応募をしてきて、そこで選ばれた歌が東京都歌として決まったと、そういうご説明をいただきました。
 そして、今、担当部長の古屋部長、この都歌の役割というのは、多くの都民がさまざまな機会に歌うことで、一体感や東京への愛着を高める役割を持っているんだと。
 では、多くの都民がさまざまな機会で歌っているのでしょうか。一体感や愛着を高めるような役割を果たしているのでしょうかという感じがするんですね。
 私、この質問をするに当たって、まず、会派内でちょっといろんな同僚議員に、都歌を知っているかというと、余り知らないですね。フェイスブックで、きのう、東京都歌というのがあるんですけれども、知っていますかといったら、誰も知らないですよね。近場ですけれども、そういう状況です。
 ですから、都歌は余り活用されていないようにも感じますし、都民の認知度も低いように感じるわけですが、活用の状況と都民の認知度について伺います。

○古屋文化振興部長 現在、都主催の行事、イベントとしまして、都の職員の入都式での入場時のBGMとして使用しているほか、都が歴史文化財団と共催して実施しております都民コンサートでの演奏、また、東京アスリート認定選手の認定式や、国体の東京都選手団の団結式や解団式での斉唱等の活用事例がございます。
 都民の認知度につきましては、委員ご指摘のとおり、活用の場面は限られておりまして、多くの都民が都歌を知っているとはいえない状況であると認識しております。

○両角委員 今ご答弁いただきました、活用の場面は限られていて、多くの都民が都歌を知っている状況とはいえないというご認識をお持ちだと。これでいいのかなという感じもしまして、多分、過去に、これでいいのかなと思った方がやっぱりいらっしゃったんですね。平成十七年、平成二年、都議会で質問がなされております。
 過去、都議会の場で、都歌について質問や議論がなされているわけですが、その後、そういう議論に対してどのような対応を行ってきたのか、伺います。

○古屋文化振興部長 平成十七年の第一回定例会におきまして、都民の愛唱歌、公式行事等でも愛唱されるような新しい都歌をつくってほしいという趣旨のご質問がございました。
 当時の石原知事は、答弁で、公募をして新しい東京の歌をつくることを、前向きに、積極的に検討するとし、また同時に、正式に決める都歌も結構だが、時代や世相にマッチしたものでなくてはそしりを受ける、よほどうまくつくらないとならないと、都歌を新たに制定することの難しさにも言及いたしました。
 その後の検討におきましては、現在の都歌は、都政発足を契機に、新たな東京の発展を願う都民の思いを表現したものとして、全国からの六千件以上の作品から選定した経緯があることから、新たな都歌の制定については、制定時期や都民の思いにマッチしたものとなるかなどを踏まえて対応していく必要があるとしているところでございます。

○両角委員 平成十七年に都議会の本会議で質問がございました。議事録を見ましたら、質問者が当時の石原知事に対して、新しい都歌をつくったらどうか、知事、作詞してくれませんかとか、何かそんなようなことをいったら、当時の石原知事は、前向きに、積極的に検討すると書いてあったので、これはかなりの答弁をしているなと。東京都のトップが、都議会の本会議場で質問を受けて、前向きに、積極的に検討していくということを答弁していましたので、その後、何かいろんな動きがあったのかなと思いましたが、まあ、動きはないですよね。特に検討されている気配はありませんでした。
 今、目をいろんなところに転じると、我が会派の同僚議員に、いろんな区や市で、区の歌とか市の歌というのはあるんですかと聞いたら、かなりありました。よく知っている、さらに、学校で教えているとか、そういうところもありました。あるいは、余り知られていないのもありました。
 幾つかちょっと例を挙げたいのですけれども、一つは、県でいうと長野県歌なんですね。長野県の歌は「信濃の国」という歌なんですけれども、これは、歌がつくられたのは百二十年前なんですね。相当古い。実際にそれを県歌としたのは昭和四十三年ということですが、いろんな公式なイベントでも非公式なイベントでも、これはかなり歌われる歌です。
 ちょっと私ごとでありますが、私の祖父が長野出身で、八王子で当時、長野県人会というのが--ことし百周年を迎えたのですが、その発起人の一人だったものですから、私も長野県人会に今もかかわっておりますが、集まりがあると、必ず最初に歌うのは「信濃の国」を歌うんですね。だから、私も歌えます。
 もう一つは横浜市歌。これももう百十年たっているんですね。作詞が森鴎外、作曲は南能衛さんという方なんですね。学校の小学校で、校歌とともに歌唱の指導をされているということで、横浜開港記念日というのが六月二日なんですけれども、そのときとか、小中学校の卒業式あるいは市の行事なんかではかかっています。
 私、かつて横浜市の職員だったものですから、お昼の時間になると、チャイムのかわりに横浜市歌が流れる、私も歌える。そういうことです。
 もう一個は、私の地元の八王子市歌。これも八十五年ぐらいの歴史のある歌で、北原白秋が作詞の山田耕筰作曲という歌なんですね。これも議会で何度か質問をされて、どういうことを質問されたかというと、多摩のますらをという歌詞があって、ますらをは男だろう、男女同権に反するんじゃないかなんていう質問もされていました。ほとんど歌われておりませんでしたが、その後、今は、成人の集いとか市の公式行事には歌詞を配ってみんなで歌うということで徐々に普及をしてきて、市のロビーにも、歌詞と、ぽんと押すと音が出る、歌が出るオルゴールがあります。オルゴールというか、再生機があります。
 そのように、それぞれ愛着を持って、横浜市歌も、横浜の友達に聞くと、大体、横浜市民は、地元で育った人間はみんな歌えるよと、このようにいっているわけでありますが、このように、他の自治体では県歌や市歌が住民に浸透していて、県や市の住民であるというアイデンティティーや、まちへの愛着に役立っているという状況があります。
 都歌は、そもそも認知度が低くて、愛着以前に知られていないという状況ではないかと思います。こうした状況をどのように今考えているのか、まず伺いたいと思います。
 また、過去には、都議会で新たな歌を制定すべきという提案があったようですけれども、私は、公募によってつくられて、もうかなりの歴史を持った経緯を考えると、現在のこの都歌を、都民の皆さんに親しみを持ってもらう努力をすべきではないかと思いますけれども、所見を伺います。

○古屋文化振興部長 都歌は、都民に認知されている状況には至ってございませんが、当時の都民の新たな時代に対する期待を感じさせる前向きな歌詞でありまして、その存在を、もっと多くの都民に知っていただく必要があると考えております。
 都歌の選定された経緯も含めまして、都民の皆様により知っていただいて、親しみを持っていただくようにしたいと考えてございます。

○両角委員 活用の機会をつくっていく必要があるんじゃないかなと思いますし、都立大学とか都立高校とか、そういうところで、卒業式とか何かで歌っていただければなというふうにも思いますし、ちょっと乗りが悪いということであれば、アレンジを考えていただきたいというふうにも思います。
 そんなふうに思いますが、都歌を認知してもらって親しんでもらうための具体的な今後の取り組みというのを伺いたいと思います。

○古屋文化振興部長 今後は、東京都平和の日記念式典など、多くの都民の方が参加する行事の会場で流しまして、都民の方たちが都歌を耳にする機会をふやすとともに、十月一日の都民の日に合わせて、「広報東京都」において都歌の歌詞を掲載しまして紹介するなど、さまざまな工夫を凝らしてまいります。
 加えまして、さまざまな場面での利用を想定した複数の都歌の音源を各局に提供し、都民の日記念行事を初めとした各局主催の行事やイベントなどでの活用を働きかけてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、より多くの都民の皆様に都歌を認知していただき、親しんでもらえるよう努めてまいります。

○両角委員 ありがとうございます。広報とか各局主催のイベントなどで積極的に使ってもらうということでありますが、何といっても、やっぱり学校ですね。学校とか、あるいは卒業式とか、東京都の公式行事でも--やっぱり都庁に入ったら、都の職員は歌えるようになっていないと、人に紹介できないですよね。ここにいらっしゃる局長さん以下、部長さんは全部、歌えるようになっていなきゃだめだなという感じもしますので、ぜひ今後の取り組みに期待をいたしまして、私の質問を終わります。

○河野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時三分散会

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