文教委員会速記録第二十号

令和二年十一月五日(木曜日)
第三委員会室
午後一時一分開議
出席委員 十三名
委員長河野ゆりえ君
副委員長早坂 義弘君
副委員長田の上いくこ君
理事平  慶翔君
理事とや英津子君
理事谷村 孝彦君
内山 真吾君
林あきひろ君
龍円あいり君
斉藤まりこ君
伊藤こういち君
大場やすのぶ君
両角みのる君

欠席委員 一名

出席説明員
教育庁教育長藤田 裕司君
次長松川 桂子君
教育監宇田  剛君
技監矢内真理子君
総務部長安部 典子君
都立学校教育部長谷 理恵子君
地域教育支援部長田中 宏治君
指導部長増田 正弘君
人事部長浅野 直樹君
福利厚生部長小菅 政治君
教育政策担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
小原  昌君
企画調整担当部長岩野 恵子君
教育改革推進担当部長藤井 大輔君
特別支援教育推進担当部長高木 敦子君
指導推進担当部長瀧沢 佳宏君
人事企画担当部長黒田 則明君

本日の会議に付した事件
教育庁関係
事務事業について(質疑)

○河野委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しています。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○安部総務部長 去る十月二十二日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらん願います。今回要求のございました資料は三十三件でございます。
 それでは、一ページをごらんください。1、学校の新型コロナウイルス感染症対策でございます。
 都立学校における新型コロナウイルス感染症対策に関する基本方針及び主な感染症対策について、それぞれ記載してございます。
 二ページをごらんください。2、衛生資機材の令和二年度末までの確保状況でございます。
 都の補正予算による、(1)は都立学校における確保状況、また、(2)は、このページから四ページにかけまして、各区市町村立学校における確保状況を区市町村ごとにそれぞれ記載しております。
 五ページをごらんください。3、教室における身体的距離の確保状況でございます。
 都立学校の感染症対策と学校運営に関するガイドライン及び文部科学省衛生管理マニュアルにおける身体的距離の確保に関する内容について、それぞれ記載してございます。
 六ページをごらんください。4、区市町村立小中学校等の普通教室数及び特別教室数でございます。
 令和二年五月一日現在の普通教室数及び特別教室数について、校種ごとにそれぞれ記載してございます。
 七ページをごらんください。5、東京都公立学校教員の選考状況でございます。
 各年度の受験者数、名簿登載者数及び倍率について、(1)は全体数を、(2)は主な校種ごとの内訳について、それぞれ記載してございます。
 八ページをごらんください。6、定年退職時所属校に五年以上在籍していた教員数及び翌年度の再任用の状況でございます。
 各年度の定年退職者数及びその内数として同所属五年以上の在職者数を、さらにその内数として翌年度同所属での再任用者数について、校種ごとにそれぞれ記載してございます。
 九ページをごらんください。7、都内公立学校のいじめと認知された件数でございます。
 各年度のいじめと認知された件数について、校種ごとにそれぞれ記載してございます。
 一〇ページをごらんください。8、都内公立学校で体罰、不適切な行為の報告があった教員等の人数及び認定状況でございます。
 体罰等の認定状況について、発生年度ごとに、その人数をそれぞれ記載しております。
 一一ページをごらんください。9、都内全公立学校の体育館のエアコン設置状況と今後の設置見込みでございます。
 令和二年九月一日現在のエアコンの設置状況と令和四年三月三十一日時点の設置率の見込みについて、校種ごとにそれぞれ記載してございます。
 一二ページをごらんください。10、都内全公立学校の洋式トイレの設置状況と今後の設置見込みについてでございます。
 (1)は、区市町村立小中学校における令和二年四月一日時点の設置状況を、(2)は、都立高等学校及び特別支援学校における令和二年四月一日時点の設置状況と令和三年三月三十一日時点の設置見込みについて、それぞれ記載してございます。
 一三ページをごらんください。11、都内区市町村立小中学校における校門防犯カメラの設置状況と今後の見込みでございます。
 令和二年四月一日現在の設置状況と、都補助の活用による令和三年度末時点の設置見込みについて、校種ごとにそれぞれ記載してございます。
 一四ページをごらんください。12、都内公立学校の給食の確保時間の状況でございます。
 令和元年度における給食の確保時間について、校種ごとにその状況をそれぞれ記載してございます。
 一五ページをごらんください。13、都内公立学校の給食費の保護者負担平均月額の推移でございます。
 各年度における保護者負担の平均月額について、校種ごとにそれぞれ記載してございます。
 一六ページをごらんください。14、都内公立学校の保護者が負担する教育費の推移でございます。
 このページから一八ページにかけまして、各年度における支出区分ごとの児童生徒一人当たりの保護者負担額について、校種ごとにそれぞれ記載してございます。
 一九ページをごらんください。15、児童生徒に対し、体罰、わいせつ行為等を行った教職員に対する懲戒処分件数及び今後の取り組み予定でございます。
 (1)は、体罰及びわいせつ行為等を行った教職員に対する懲戒処分件数を年度ごとに、(2)は、都教育委員会の今後の取り組み予定について、それぞれ記載してございます。
 二〇ページをごらんください。16、特別支援教室専門員に対する研修実施状況でございます。
 特別支援教室専門員に対して行う研修について、研修名、研修対象者及び各年度の受講者数をそれぞれ記載してございます。
 二一ページをごらんください。17、センター的機能としての都立特別支援学校と公立小中学校の連携実績でございます。
 センター的機能として公立小中学校と連携している都立特別支援学校の校数及び連携の回数について、年度ごとにそれぞれ記載してございます。
 二二ページをごらんください。18、令和二年度における国の標準を下回る学級編制基準の弾力的運用の実施状況についてでございます。
 このページから二五ページにかけまして、令和二年度における状況について、都道府県ごとにそれぞれ記載してございます。
 二六ページをごらんください。19、栄養教諭の配置状況でございます。
 (1)は、令和元年五月一日現在の栄養教諭の配置人数を都道府県別に、(2)及び(3)は、令和二年五月一日現在の配置人員を、区市町村別及び都立学校についてそれぞれ記載してございます。
 二七ページをごらんください。20、区市町村立小中学校及び都立高等学校、特別支援学校のトイレの洋式化率と誰でもトイレの設置状況でございます。
 このページには、区市町村立小中学校における四月一日現在の設置状況について、次の二八ページには、都立高等学校及び特別支援学校における四月一日現在の設置状況について、それぞれ年度別に記載してございます。
 二九ページをごらんください。21、都内公立小中学校及び高等学校、特別支援学校の冷房設備設置状況でございます。
 普通教室、特別教室及び体育館等の令和二年九月一日現在の保有室数、設置室数、設置率について、校種ごとにそれぞれ記載してございます。
 三〇ページをごらんください。22、都立学校の冷房設備設置の実績でございます。
 冷房設備を設置した高等学校と特別支援学校の学校数について、年度別、区分別にそれぞれ記載してございます。
 三一ページをごらんください。23、学校教職員定数と児童生徒数の推移でございます。
 教職員定数と児童生徒数について、年度別、学校種別にそれぞれ記載してございます。
 三二ページをごらんください。24、都立学校の教職員定数配当基準の主な推移でございます。
 教職員定数配当基準の主な推移について、このページには高等学校の全日制課程を、三三ページには定時制課程を、次の三四ページには特別支援学校をそれぞれ記載してございます。
 三五ページをごらんください。25、教育管理職選考、四級職選考及び主任教諭選考の合格予定者数、受験者数及び合格者数の推移でございます。
 教育管理職選考などの選考区分ごとの合格予定者数、受験者数、合格者数について、選考年度別にそれぞれ記載してございます。
 三六ページをごらんください。26、教育職員の病気休職者数でございます。
 教育職員の精神疾患による休職者数とその他の疾患による休職者数について、年度別にそれぞれ記載してございます。
 三七ページをごらんください。27、妊娠出産休暇及び育児休業を取得した教職員数と育児休業取得期間でございます。
 各年度における、(1)は妊娠出産休暇を取得した教職員数を、(2)は育児休業を取得した教職員数を取得期間ごとにそれぞれ記載してございます。
 三八ページをごらんください。28、スクールサポートスタッフと副校長補佐、部活動指導員の配置状況でございます。
 区市町村別に各配置人数をそれぞれ記載してございます。
 三九ページをごらんください。29、都立特別支援学校における医療的ケア児のための専用通学車両の運行台数、看護師の同乗状況、利用している児童生徒数でございます。
 令和二年九月の一週間における運行台数等につきまして、学校ごとにそれぞれ記載してございます。
 四〇ページをごらんください。30、都立特別支援学校の保有普通教室の状況でございます。
 各年度における五月一日現在保有する普通教室数とその内数として転用教室数について、また、普通教室の間仕切り教室数について、障害種別及び学校別にそれぞれ記載してございます。
 四一ページをお開き願います。31、都立特別支援学校の重度重複学級数の推移でございます。
 五月一日現在の学級数について、障害種別、学部別、年度別にそれぞれ記載してございます。
 四二ページをごらんください。32、東京都教育委員会における障害者雇用の実績と雇用率の推移でございます。
 六月一日時点での法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数、障害者の数、実雇用率、不足数を年別にそれぞれ記載してございます。
 四三ページをごらんください。33、島しょに住所を有し、寄宿舎に入舎している児童生徒数の推移でございます。
 五月一日時点の各寄宿舎に入舎している児童生徒数について、住所地別、年度別にそれぞれ記載してございます。
 以上、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○河野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○両角委員 それでは、私から事務事業質疑をさせていただきたいと思います。
 ことしは、春先から新型コロナウイルス感染症が流行して、世の中が一変してしまったということでございます。
 そうした中で、例えば教育現場においても大きな変化があったんだろう、このように感じるわけでございますが、国のGIGAスクール構想の前倒しや、あるいは都のTOKYOスマート・スクール・プロジェクトによって、一気に学校における通信環境や通信端末の整備が進んできたということも一つの変化でありますし、あるいは、コロナ禍の休業期間中には、学校においてもリモート授業が実施をされたとも聞いているところであります。学校現場でのこうした動きというのは、平時では想定ができないものであります。
 新型コロナウイルス感染症では、リモートワークへの転換を初めとして、社会のあらゆる分野で大きな変化が起きている。教育現場も例外ではない、このように考える次第でございます。
 そこで、教育現場でのコロナ禍の変化を踏まえて、コロナ後も生かしていくべきものもあるのではないか、このように感じるわけでございますが、教育現場におけるコロナ後の新たな取り組みの方向性について見解を伺います。

○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症対策といたしまして、都教育委員会は、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトを前倒しし、都内公立学校では、一人一台端末の配備等、オンライン学習環境の整備が一気に加速いたしております。これにより、授業の中で一人一人に合った学習の工夫や共同学習の充実を図る取り組みを始めたところでございます。
 また、高校では、わかりにくい箇所を動画の活用により集中的に個別学習して、授業中に自力で解決する学びの事例が報告されております。
 今後、都教育委員会は、整備が進むICTの活用などにより、教員の働き方を変えていくだけでなく、子供の学び方や教員の教え方を転換する新たな東京型教育モデルを構築し、子供たち一人一人に着目した質の高い教育を実現してまいります。

○両角委員 ありがとうございます。子供の学び、教員の教え方を含めた東京型教育モデルということで期待をしたいと思いますが、特に不登校の児童や生徒の皆さんがICT機器を活用してリモートで学習することで、それを出席扱いとするという方針が、文科省から過去にも二回ほど出されておりまして、そういったことも踏まえれば、不登校児童生徒にとっても、こういったことがどんどん広がっていくということはメリットでもあろうと思いますし、具体的には、そういうことも含めて、災い転じて福となすような、そんな取り組みをぜひお願いしたいと思います。
 次に、学校における働き方改革について伺いたいと思います。
 都では、平成三十年に学校における働き方改革推進プランを策定しているわけでございます。私も、策定をした平成三十年に、働き方改革について一般質問もさせていただいたわけでございますが、その中で、当面の目標として、先生方の在校時間が六十時間を超えるということの教員がいないようにしようと、そんな目標も掲げられているわけでございますが、策定以来、この取り組み、どのような取り組みがなされて、どんな成果があったのか、さらに、評価についてもお聞かせをいただきたいと思います。

○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 学校における働き方改革推進プラン策定以降の取り組みでございますが、カードシステム等を活用した在校時間の客観的な把握につきましては、都立学校では平成二十九年十月から全ての学校、区市町村立学校では、都の補助事業等を活用いたしまして、昨年度末時点で四十地区が実施いたしております。
 また、必ずしも教員が担わなくてもよい業務につきましては、スクールサポートスタッフや部活動指導員の配置を促進するとともに、副校長業務を支援する学校マネジメント強化モデル事業を実施いたしております。
 これらに加えまして、都立学校では、学校現場における働き方改革の効果的な取り組み事例集の作成、配布や、長期休業期間中などにおける原則五日以上の学校閉庁日の設定などによりまして、教員の意識改革も図ってまいりました。
 こうした取り組みにより、教員の時間外労働の状況は、昨年度実績をその前年度と比較いたしますと、いずれの校種におきましても、月当たり八十時間超の過労死ライン相当の教員の割合が減少するなど、一定の改善が見られたところでございます。
 また、外部人材を導入した学校におきましても、教員の在校等時間が削減されるなどの成果が見られました。

○両角委員 今、るるご説明をいただきまして、一定の効果があったというご説明をいただきました。確かに、資料を拝見しても、八十時間超の超勤をする教員というのは減っていると。
 しかしながら、この目標に対してどこまで達成ができたのかなということで、課題もあるのではないか、このように感じるわけでもございます。
 そこで、学校における働き方改革推進プランにおける現時点での課題と今後の取り組みについて伺います。

○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 教員の時間外労働の状況は一定の改善が見られておりますが、都の方針で定めました上限四十五時間を超える教員が依然として多い状況にございます。
 このため、ICT活用や外部人材の活用により業務改善を行い、引き続き、教員の時間外労働のさらなる縮減を図る必要がございます。
 具体的には、ICT活用による業務改善といたしまして、都立学校では、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトのうち、特に働き方改革の視点を踏まえまして、統合型校務支援システムや庶務事務システムの導入に向けた開発の準備を行っているところでございます。
 小中学校におきましても、出退勤管理システムや統合型校務支援システムなどの導入補助を行っております。
 外部人材の活用といたしましては、小中学校におけるスクールサポートスタッフの配置拡充、小中学校、都立学校における部活動指導員の規模拡充や、学校マネジメント強化モデル事業の規模拡大などに取り組んでいるところでございます。
 加えまして、昨年七月に設立いたしました東京学校支援機構の人材バンクを積極的に活用し、学校のニーズに合った質の高い外部人材の情報を安定的に学校に提供してまいります。

○両角委員 ありがとうございました。まだ上限四十五時間を超える先生方が依然と多いんだということを、一つ、具体的な課題として挙げていただいたわけでございます。
 それに対して、いろいろシステムを開発するであるとか、あるいは外部人材を積極的に活用する、それをさらに拡大していくということで課題の改善を図っていくんだということを理解したわけでございますが、そうした中で、東京都における働き方改革を進めるに当たって、昨年七月一日に設立をされました一般財団法人東京学校支援機構というのは、一つの大きなコアなんだろうと。鳴り物入りで設立をされたのかなというふうに感じております。
 私自身は、都の出捐金が一億九千万円、政策連携団体ということで、東京都、都政と密接に関連を持って活動していく団体でありますが、見方を変えると、これは外郭団体ということでもあって、きちっと目的に沿って機能を発揮してもらわないと、これは何か行政の肥大化かなというところも若干感じて、疑問には思っていたところなんですね。
 そういう意味で、ぜひ、今立ち上がってだんだん動いていく中で、やはりこれはあってよかったなというふうな効果を発揮していっていただきたい、このように思っているわけでございます。
 そこで、この団体は、教員の負担軽減をすることによって、究極は教育の質を向上させていくんだという目的がこの設立でうたわれているわけでございますが、東京学校支援機構は、そのコア事業としてTEPRO Supporter Bankというのがあります。
 人材バンクで、今、都政の都教委が外部人材を活用して教員の負担を軽減しようということを、バックアップするというような機能だと思いますが、TEPRO Supporter Bankの趣旨、目的、そして、現在の状況と今後の取り組みを伺いたいと思います。
 あわせて、TEPRO Supporter Bankについて、活用が想定されている外部人材の具体像を伺います。

○岩野企画調整担当部長 東京学校支援機構の人材バンク、TEPRO Supporter Bankは、外部人材を探すことが学校の負担になっている状況を踏まえ、人材情報を安定的に提供することで学校の負担を軽減し、児童生徒の学習指導等に教員が一層注力できるようになることを目指しています。
 機構では、TEPRO Supporter Bankを本年四月から稼働させており、九月末時点で約六千四百人の方にサポーターとして登録いただいているところでございます。
 現在、こうした方々に、放課後などに行う児童生徒の学習支援、資料作成や授業準備等教員の事務支援、日本語指導が必要な児童生徒への支援など、ご活躍いただいているところでございます。
 今後、学校のニーズをしっかりと受けとめ、学校が必要とする適切な人材が紹介されるよう、都教育委員会は機構に対し、企業等の協力団体をさらに開拓するなど、人材情報の一層の充実を求めてまいります。

○両角委員 ありがとうございます。人材情報を安定的に提供するということで、学校負担を軽減させるということが趣旨であると。実際に六千人余りの方にサポーター登録をしていただいているということも確認をさせていただきました。
 先ほど来の教員の働き方改革についてのご答弁をいただいている中で、都教委の方向性としては、もちろん、学校の閉鎖している日、あけない日を設定したり、事例を紹介したりして、教員が物理的に学校に来られないような日もきちっと設定するんだということと同時に、一つは、スクールサポートスタッフの活用、配置拡充とか、あるいは、副校長を支援する学校マネジメント強化モデル事業も拡大をしているということで、外部人材を活用して教員を支援する、そういう方向性で今進んでいるのかなというふうに理解をするわけでございます。
 学校の働き方を改革するためには、一つはICTの技術等で、積極的に導入をして事務的な負担を軽減するということもありましょうし、あるいは、マンパワーを補充して、本来的には先生そのものをふやすということが重要なのでしょうが、それもなかなかままならないということになれば、周辺業務を補助する、そういった外部人材をふやしていくということも一つの方向だということで理解をするところであります。
 ところで、私、平成三十年の第三回定例会で一般質問をしたのですけれども、学校には、今、マンパワーとして学校事務職員という方々がいらっしゃいます。小中高といるわけですけれども、特に小中、今、現状でいうと、小学校で千二百十九人の都職員の学校事務職員、中学校が五百八十八人、高校が八百八人、計二千六百十五人の東京都職員が学校現場で専門的に事務に当たっているということです。小中については、このほかに区や市の学校事務職員もいるところが多いという状況です。
 私が平成三十年三定で伺ったのは、学校現場の人材の有効活用という観点から、小中の学校事務職員の課題を指摘したわけですが、それに対して、当時の中井教育長からは、そういった課題解決に向けて、校務運営を支える事務職員としての役割を明確化し、能力活用及び育成に取り組むと、そんな答弁が当時あったわけでありますが、今、都教委が進めていく外部人材を入れて拡充していく、それは先生方の負担軽減としていいことだと思います。
 しかし、一方で、今あるマンパワーとのあり方をきちっと整理する必要があるのではないか、こんな問題意識も私は持っているわけでございます。
 そこで、学校現場に配置をされている二千六百人以上のマンパワーのあり方を踏まえた上で外部人材の活用を進めていくべきだと思いますが、見解を伺います。

○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 学校事務職員の能力活用につきまして、都教育委員会は、平成二十二年に、区市町村教育委員会に対しまして、小中学校の事務職員が校長、副校長を補佐し、円滑な学校運営に向けた業務遂行となるよう、分掌範囲の基準を示したところでございます。
 平成三十年には、学校における働き方改革及び学校事務職員の能力活用の観点から、事務職員の標準的職務を改めて示し、具体的な職務範囲の見直しを区市町村教育委員会に依頼いたしました。その結果、現在、見直し済みまたは検討中の区市町村は全体の六割強に達しております。
 都教育委員会は、教員の時間外労働のさらなる削減を図るため、スクールサポートスタッフの配置拡充や学校マネジメント強化モデル事業の規模拡大などに取り組んでおり、引き続き、学校事務職員の職務範囲の見直しを働きかけるとともに、学校のニーズに合った外部人材の積極的な活用に取り組んでまいります。

○両角委員 学校事務職員の職務範囲の見直しを働きかけるということでありますが、ざっくり二千六百人というと、例えば私の地元の八王子市の一般行政職員は二千人程度。大変すごく多くのマンパワーですよ。ですから、そういう方々がきちっと役割分担の上でお仕事をされ、そして、新しい、本当に必要な外部人材を入れるというすみ分けをしっかりしていただきたいなと、そのことを要望させていただきます。
 次に、都立高校における防災、感染症教育について伺います。
 まず、都立高校における防災教育の目的と位置づけをお聞きしたいと思います。

○増田指導部長 都教育委員会は、都立高校において、学校保健安全法等の法令や学習指導要領等に基づき、生徒が災害時のあらゆる場面で的確な判断と行動ができるよう、危険を予測し回避する能力と、自分や他の人の命を守り、社会の安全に貢献できる資質や能力を身につけることができるようにすることを目的として防災教育の推進を図っております。
 各都立高校は、安全教育の年間指導計画の中に、教科等における安全学習、ショートホームルーム等における日常的な安全指導、学校行事等における定期的な安全指導を位置づけ、防災に関する指導を行っております。

○両角委員 根本は、法令あるいは学習指導要領に基づいているんだなということを理解いたしました。さらに、教科、ホームルーム、学校行事の中にいろいろ取り入れてやられているんだなということもわかりました。
 そこで、実際に具体的には防災教育はどんなふうに行われているかということで、具体的な防災教育の中身を教えていただきたいと思います。

○増田指導部長 各学校では、教科等における安全学習として、例えば、地理の授業でさまざまな自然災害に対応したハザードマップ等から情報を読み取る学習、理科の授業で火山活動と地震の発生の仕組みを理解する学習、保健体育の授業で心肺蘇生法などの応急手当てを適切に行えるようにする学習などを行っております。
 また、ショートホームルーム等における日常的な安全指導として、例えば、翌日、台風が関東地方に接近すると予報されている場合に、通学に際して注意すべき行動について指導するなどしております。
 さらに、学校行事等における安全指導として、例えば、防災訓練を通して、地震、火災、津波、洪水などの災害発生時の避難方法や避難所の役割等について理解させるとともに、地域社会の安全に進んで貢献しようとする意識や態度を育むなどしております。

○両角委員 ありがとうございます。
 防災の教育も重要だと思うんですけれども、一方で、今般の新型コロナウイルスの流行を見ると、感染症のことも考えていかないといけないのかなと、そんな気もいたします。
 そこでまず、今般の新型コロナウイルス感染症の流行に対し、感染症予防のための対応はどのようなものを行ってきたのか、伺いたいと思います。

○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都教育委員会が策定いたしましたガイドラインでは、感染症対策と学校運営の両立を図るため、各学校において、新型コロナウイルス感染症対策の徹底について生徒に指導することとしております。
 具体的には、新型コロナウイルス感染症予防の正しい理解と、三つの密の徹底した回避、正しい手洗いの励行、せきエチケットの徹底などの指導に加えまして、感染者や濃厚接触者とその家族に対する偏見や差別の防止、医療や社会生活を維持する業務の従事者等、感染拡大防止のために最前線で尽力されている方々に感謝の念を持つことについても、発達段階に応じて指導を行っております。

○両角委員 今般の件に関して、いろいろ取り組みをしていただいたということなんですが、今後は、防災教育だけではなくて、新型コロナウイルスなどの感染症教育も、防災教育同様に実施していくべきではないかと思いますが、見解を伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 学校におきましては、感染予防のための適切な行動が自分や周りの人の命を守ることにつながることを児童生徒が理解できるよう指導することが重要でございます。
 都教育委員会は、保健の授業の年間指導計画を見直して、病気や感染症の予防について早期に取り扱うことや、新型コロナウイルス感染症の予防に関する指導例を示しました文部科学省の保健教育指導資料であります、新型コロナウイルス感染症の予防を活用することについて周知をしております。
 今後、児童生徒が新型コロナウイルス感染症について正しく理解し、適切な行動がとれるよう、各学校における指導の徹底を図ってまいります。

○両角委員 よろしくお願いをいたします。
 今、都の防災教育の中で……(資料を示す)この防災ノートを使われているわけでございまして、いろいろ大切なことがいっぱい書いてあるということであります。ただ、今の若者は、若い世代というのはなかなか、こういう紙のものよりも、アプリを使っていろいろなことをやるという方が主流かもしれません。
 今、東京都では、東京都防災アプリというアプリを無料で配布しているわけでございます。コロナでは、厚労省がCOCOA、接触確認アプリを用意しているわけですが、感染症であれ、防災であれ、若年層に関心を持ってもらってアプリを活用してもらうということは、防災教育あるいは感染症の教育という面でも有効なことなんだろうと、そんなふうに思うわけでございます。
 ただ、このアプリが、なかなかダウンロードが若者の層でも伸び悩んでいるというような話も伺います。
 そこで、学校教育の場というのを活用できないかと思っていまして、例えば入学時や進学時等の節目に、この防災アプリをダウンロードしてもらって、実際に活用するような取り組みを都立高校で進める。そうなると一挙に広がっていくんじゃないかと思うんですが、見解を伺います。

○増田指導部長 都教育委員会は、学校における防災教育が効果的に行われるようにするため、平成二十七年度から毎年度、災害発生時の基本的な行動について学ぶとともに、生徒が調べたことや考えたことなどを記入できる教材、防災ノートを作成し、全ての都立高校生に配布してまいりました。
 この防災ノートには、平成三十年度から、東京都防災アプリのコンテンツ等について紹介するページを設けており、生徒に対してこのアプリの利用を促しております。
 今後、全ての学校の安全教育担当教員等を対象として実施する講習会において、防災ノートを活用した学習の中で、生徒のスマートフォンなどに東京都防災アプリをダウンロードさせた上で、実際にこのアプリを使用する体験を行うことについて、一層の周知、啓発を図ってまいります。

○両角委員 ありがとうございます。全ての学校の安全教育担当教員等を対象とする講習会で、実際にこのアプリをダウンロードさせた上で使ってもらうという啓発をしていくということでありますから、これ、やっていったらどんどん広がりますよ。一気に高校生に広がるんですから。そんなふうに期待をしたいと思います。
 次に、都立高校における不登校対策、特に区市町村との連携の強化という視点で伺いたいと思います。
 不登校は、依然として大きな社会問題であります。しかし、その対応は、都教委だけでなく、区や市と連携をすることでより有効なものとなる、このように考えます。
 例えば葛飾区では、学習意欲の喚起を含めて高校生世代への支援に取り組んでいる、そういう取り組みを今、実施しているというふうに聞いておりますし、ほかの区市町村でも、こういった取り組みをしているところがあるというふうに聞いております。
 そこで、区市町村が実施している取り組みと連携をして、不登校の可能性のある生徒や退学者の支援につなげていくということが重要だと思いますが、都立高校における不登校対策に関する区市町村との連携について、都教委の見解を伺います。

○増田指導部長 ご指摘の葛飾区の取り組みにつきましては、当該区に在住する高校生を対象として、中途退学未然防止のための支援、高校中退者等の学び直しや就学支援などを行う取り組みと伺っており、都教育委員会は、該当地区の校長連絡会等で周知をいたしました。
 なお、都教育委員会においても、不登校や中途退学等により将来の進路に不安を抱える生徒に対して進路相談や学習支援等を行う事業である青少年リスタートプレイスや学びのセーフティネット事業等を展開し、きめ細かい支援を行っております。
 今後、区市町村の担当者と都立高校等の教員が参加する連絡会において、区市町村の事業や生徒の自立に向けた課題を共有するなど、さらなる連携の充実を図ってまいります。

○両角委員 次に、ヤングケアラーの状況確認と支援ということで伺いたいと思います。
 ヤングケアラーって余り聞かないんですけれども、最近ちらほらと、いろいろな福祉の関係であるとか、そういった業界で使われるようになってきている言葉であります。
 厚労省では、病気や障害などのある家族の介護をする十八歳未満の子供をいわゆるヤングケアラーというふうに定義をして、ヤングケアラーに関する調査研究を実施して、その報告書を公表しております。
 それによると、ヤングケアラーは、四割以上が一日平均五時間以上、介護や世話を行っていて、ヤングケアラーの三割以上が学校に余り行けていない、休みがちであると、そんな報告書の記載もあるわけでありますが、今後、厚労省は、全国の教育現場を対象として実態調査を行うというふうに聞いております。
 家族の介護等、生徒の家庭状況というのは、児童生徒との接点が多い教育現場が一番把握をしやすいのではないかというふうに感じるわけでございます。
 そこで、都立高校において把握した生徒の状況を、必要に応じて公的な支援につなげていくことが重要ではないかと思いますが、見解を伺います。

○増田指導部長 各都立高校等では、担任や養護教諭、スクールカウンセラー等が日々の面談等を通して、生徒の家庭での様子を含め、個々の生徒の状況把握に努めております。
 さらに、生徒の状況に応じて、学校と福祉分野の関係機関との連携を支援するユースソーシャルワーカーの派遣を要請し、必要に応じて公的支援につなげております。
 今後、都教育委員会は、国の動向を踏まえながら情報提供を行うなどの支援を通じ、各都立高校等において、ヤングケアラーの問題も含め、生徒が抱える問題、課題に一層丁寧に対応できるようにしてまいります。

○両角委員 いろんな問題が起きてきます。ヤングケアラーという概念も、新しい問題に対してそういう名称が出てきているということで、教育現場でやはりきちっと把握をしていただいて、一層丁寧にということがございましたが、これも生徒が抱える課題の一つであろうと思いますので、学校現場で問題意識を持って、こういった問題に取り組んでいただくということを要望いたしまして、質問を終わります。

○林委員 それでは、質疑の方を始めさせていただきたいと思います。
 最初に、都立学校の老朽化等への対応について伺わせていただきます。
 私、市議会議員として長く務めてまいりましたけれども、そのころから、子供たちの教育の場であり、生活の場である学校施設の改善については、保護者の方のみならず、地域の方、また団体の方から、さまざまなご要望、相談を受けてまいりました。
 都議会に移りましても、さまざまなご要望、ご相談等を受ける中で、都立学校のPTA団体の方からもお話を伺う機会がございました。その中で、都立学校施設の老朽化を訴える声を伺ってきたところでございますけれども、私自身も都立高校の出身ということもありまして、自分のことのように感じたところでございました。
 実際に、私の地元の調布市にあります、都立神代高校というのがあるんですけれども、昭和四十年代半ばに建てられた古い校舎の改築工事が今進められているところで、大分でき上がっているんですけれども、伺うと、主として築後五十年以上経過した都立学校の校舎が改修の対象になっているということでございます。
 このため、同じ調布市内でも、昭和五十年代に建てられました都立調布北高校、調布南高等学校、この二つの高校はいまだ、改築の対象になるのはもう少し先のことというふうに見込まれるということで、そうすると、当面は、老朽化した施設設備の改修等を行いながら、適切な教育環境の維持、改善に努めることが非常に重要であるというふうに考えているところでございます。
 そこで伺うわけでございますけれども、都立学校において、老朽化した施設設備の改修等についてはどのように進めていくのかについて、ご見解をお示しいただきたいと思います。

○谷都立学校教育部長 安全で快適な学習環境を維持し、事故の発生を未然に防止するには、日ごろから、施設設備の点検により速やかにふぐあいを発見し、必要な改修等を行うことが重要でございます。
 このため、都教育委員会は、毎年、学校に対するヒアリングや現地調査等を実施し、都立学校の施設設備の老朽化等の現状を把握することとしております。その上で、危険防止や法令への適合性、学校運営上の必要性など、さまざまな角度から検討を行い、計画的に必要な改修等を行っております。
 今後とも、児童生徒の安全で快適な学習環境を維持するため、施設設備の改修等を計画的に実施してまいります。

○林委員 ご答弁ありがとうございました。今おっしゃるように、必要な改修は行うことが重要というご認識で、毎年、学校に対するヒアリングとか現地調査等を実施して、施設設備の老朽化等の現状を把握していくというお話でございましたので、今後とも、生徒たちの学習環境を維持するための計画的な実施をお願いしていきたいと思います。
 次に、老朽化した施設設備の改修とともに、想定外に破損した施設設備を速やかに補修するということが重要ということは今申し上げたとおりでございますけれども、私の地元の都立狛江高校というのがあるんですが、ここは、昨年九月の、皆様もご記憶があるかと思いますけれども、台風十五号、非常に強風の台風でございましたけれども、グラウンドの防球ネットが傾くという想定外の被害を受けました。いかに強い風が吹いたのかが容易に想像できるところなんですけれども、あと、ほかにも、この夏にお話を伺いました都立の特別支援学校に関する要望ヒアリング等の際には、トイレのウォシュレットが故障している、速やかな修理をお願いしたいというお話も伺っておりました。
 そのほか、ガラス等が破損することもあるでしょうし、老朽化してくると、雨漏り、水ぬれ等、そういったさまざまな事案が発生することかと思います。
 こうした都立学校における施設設備が破損した場合等のふぐあいが生じたとき、速やかな対応が必要であると考えますけれども、ご見解をお伺いしたいと思います。

○谷都立学校教育部長 施設設備が破損した場合にも教育活動等への影響が最小限となるよう、早急な対応を行うことが重要でございます。
 このため、都教育委員会は、都立学校施設の機能維持や修繕等に関する維持管理業務を東京都政策連携団体に委託しております。具体的には、都立学校において、窓ガラスの破損や漏水、照明不良、雨漏りなど、施設設備が破損し緊急修繕等が必要となった場合、政策連携団体の登録工事店制度を活用し、迅速に対応しております。
 ご指摘のウォシュレットの故障につきましても、この手法により速やかに修理を行う予定でございます。
 また、防球ネットの傾きについては、昨年度、応急的な補修を行った上で、今年度、改修工事を実施する予定でございます。
 今後とも、都立学校における施設設備の破損や故障等のふぐあいにつきまして、迅速に対応するよう取り組んでまいります。

○林委員 ご答弁ありがとうございました。おっしゃるように、こういった未来を担う社会の宝でもございます子供たちの安全で快適な教育環境の維持、そして事故を未然に防ぐということは非常に重要なことでして、それはやはり、日常における施設設備の点検により予防ということ、そして、ふぐあいが発見されたら速やかに必要な改修を行うということが、結果的には延命化につながり、そして財政の支出を抑えるということにもつながることというふうに考えております。
 こういった維持管理業務については、これまで業務を受託しておりました東京都住宅供給公社から、昨年度設立されました政策連携団体でございます一般財団法人東京学校支援機構に引き継がれておりまして、小口、緊急修繕工事の迅速な対応、都立学校施設の維持管理をよりきめ細やかに行う、さらには施設の安全性確保、そしてバリアフリー化を推進するというような目的が記されておりますけれども、こういったところに委託されているということですので、ぜひとも都民の期待にしっかりと応えていただきたいと思うところでございます。
 次の質問に移ってまいりたいと思います。次は、理数教育の取り組みについて伺いたいと思います。
 東京都教育委員会では、教育振興基本計画であります東京都教育ビジョン(第四次)策定に係る社会的背景として、情報技術の急速な発展の中で、AIが普及する近未来を見据えて、今後必要とされる知識、技能の習得を通した人材の育成が重要というふうにしております。そして、施策展開の方向性の中で、将来の科学技術立国日本を支える人材として活躍できる素養を育成していくために、科学的に探求する力を伸ばす理数教育を推進すると、その必要性を訴えておられます。
 そのとおりだと思うんですけれども、AI、ロボット、ビッグデータなどの革新技術をあらゆる産業や社会に取り入れて経済と社会問題を解決することを目指していく、いわゆる、政府や経団連も提言しておりますけれども、日本の新しい未来社会の姿、ソサエティー五・〇時代においては、誰もが少なからず科学技術とかかわりを持たざるを得ない社会になっていくことでしょうし、これから我が国の科学技術革新を背負う人材を育成するためにも、この理数教育への取り組みというのは非常に大切なことというふうに考えておるところでございます。
 主要事務事業から拝見しますと、今回、想定外の新型コロナウイルスの感染症拡大防止ということで、今年度は思うように進めることができなかったことがうかがえるところですけれども、科学技術全般に対する関心、意欲を高めるべく、興味、関心のある生徒に対して、大学や研究機関と連携して行われます理数研究ラボというのがございましたけれども、これについて、今年度、コロナ禍の中での取り組みについて、どのようなことを行われてきたのか、お伺いをしたいと思います。

○増田指導部長 理数研究ラボは、理科や数学、科学技術に興味、関心のある都立高校生等が、東京大学等の大学や企業等、最先端の研究機関において、研究者の講義や指導を直接受けながら研究活動を行う事業でございます。
 都教育委員会は、コロナ禍であっても、オンラインにより研究室と生徒のICT端末を結び、生徒が大学レベルの研究に触れ、みずからの研究活動を進められるよう、年度当初から関係機関と調整を図ってまいりました。
 今年度は、十三校二十名の都立高校生等が、オンラインを活用して大学の研究施設の案内を受けたり、グループで協力して研究活動等を行ったりしており、今年度末には、研究成果もオンラインにより発表する予定でございます。

○林委員 ご答弁ありがとうございました。
 この理数研究ラボですか、興味、関心のある生徒に対してということで、それを掘り起こすというか、人材を掘り起こすという意味で、非常に意義あるものだと思っております。
 改めて申し上げるところですけれども、ソサエティー五・〇時代、情報化だけではなくて、さらに仮想空間とか、新たな時代なんですけれども、現在も既にそうかもしれませんけれども、こういったAI、IoTがさらに進化して、ネット社会が生活の全てといっていいほどにかかわってくるでしょうし、誰もが少なからず科学技術とかかわりを持たざるを得ない社会になっていくことから、繰り返しになりますけれども、これからの我が国において、こういった科学技術革新を背負う人材を育成することが非常に重要ですし、そのことからも、理数教育への取り組みは、ますます社会が必要とするものと考えるところですので、これからも積極的な取り組みを期待するところでございます。
 次の質問に移ってまいりたいと思います。TOKYOスマート・スクール・プロジェクトについて伺います。
 今申し上げました理数教育でも取り上げましたけれども、やはり今後必要とされる知識、技能習得を通した人材の育成を具体的に施策として展開する方向性として、高度に情報化した社会で活躍できる力を伸ばす教育として、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトを推進されています。
 情報化社会に続くソサエティー五・〇時代の到来を迎えている現在、この取り組みは、国のGIGAスクール構想を進める上でも重要でございまして、都立学校のICT環境整備の着実な実現が求められるところであります。
 東京都では、来年度の国の施策及び予算に対する東京都の提案要求の中で、GIGAスクール構想に対する取り組みの支援を最重点項目として文科省に要求していらっしゃるところです。
 そこで最初に伺いますけれども、一人一台学習者用端末と両輪となります都立学校における校内LAN整備は非常に大事ですけれども、この取り組み状況について伺わせていただきます。

○岩野企画調整担当部長 都立学校に校内無線LANを設置するに当たり、各学校で一人一台常時接続の授業を可能とする通信容量に対応するため、都立学校の通信基盤であるICTネットワークセンターの増強工事を行い、十月で終了したところでございます。十一月からは、都立学校八十校に無線LAN設置工事を行います。工事が完了する令和三年二月から、無線LANの利用を開始する予定でございます。
 都教育委員会は、引き続き都立学校の無線LANの整備を進めてまいります。

○林委員 ご答弁ありがとうございました。通信基盤でありますICTネットワークセンターの増強工事を行って、先月で終了したと。大きなところが押さえられたということでございまして、十一月からは都立学校八十校に無線LAN工事を行っていくということですから、これからが期待されるところでございます。
 そして、ICT環境整備と同時に大切となりますのが、やはり教員と児童生徒間の課題の配信とか提出、双方向での学習などが可能となります、ICTを活用した統合型学習支援サービスといわれるものだというふうに思うんですけれども、新型コロナウイルス感染症による都立学校の休業の長期化に伴って、スケジュールを前倒しして統合型学習支援サービスの提供事業者との協定を締結しておられまして、プロジェクトの早期実現を図ったということですけれども、都立学校の統合型学習支援サービスによるオンライン学習環境整備の状況についてお伺いをしたいと思います。

○岩野企画調整担当部長 オンラインによる学習を進めるに当たっては、校内無線LANの整備とともに、教員と児童生徒間で動画や課題等の配信や取り組んだ課題の回収等を行うクラウドによる統合型学習支援サービスが必要でございます。
 都教育委員会は、臨時休業中の緊急対策として、十一月に予定していた統合型学習支援サービスの導入を五月に前倒し、全都立学校におけるオンラインによる学習の環境整備を行いました。
 十一月からは、転入学や卒業時の在籍移動にも対応するなど、本格的な運用を開始したところでございます。
 今後は、統合型学習支援サービスの運用等に関する研修動画を作成するなどし、授業におけるICTの活用が促進されるよう、普及に努めてまいります。

○林委員 ありがとうございました。統合型学習支援サービスを前倒しして導入されたということで、世界的に有名なソフトウエアの会社のようでございますけれども、これから大きく動きながら、いろいろ改善を図っていくと思いますけれども、期待をしていきたいと思います。
 また、学務というか、公務といいますか、教員の皆様方の働き方改革といったことにもつながってくるのではないかというふうに期待しておるところでございます。
 次の質問なんですけれども、東京都教育委員会では、ICTを活用して生徒一人一人の資質、能力というものを最大限に伸ばす学習方法を開発する研究をするとして、モデル校を指定しておられます。
 ICTの環境整備が最大限の効果を出していくためには、一人一台の端末と、先ほど無線LANのお話もいただきましたけれども、高速大容量の通信ネットワークというハードがあって、統合型学習支援サービスというソフトという面があって、さらには、すぐれた指導体制、指導方法というものが確立してこそ、初めて本当の教育の力というものを発揮するものだというふうに考えております。
 Society五・〇に向けた学習方法研究校事業の取り組み状況についてお伺いをしたいと思います。

○岩野企画調整担当部長 Society五・〇に向けた学習方法研究校事業は、今年度から二年間、都立高校等十二校、特別支援学校六校、合計十八校を指定し、ICTを活用して、これからのソサエティー五・〇の時代に不可欠となる生徒一人一人の資質、能力を最大限伸ばす学習方法を開発研究する事業でございます。
 この事業は、学校に配備されたタブレットパソコンやBYODによる生徒の所有する端末を無線LANで常時接続し、統合型学習支援サービスを活用したさまざまな学習方法を実践し、すぐれた事例をモデルとして全都立学校に普及するものです。
 また、十八校のうち、高等学校一校、中等教育学校一校、特別支援学校六校の計八校には、学習者用のデジタル教科書を導入し、その効果的な活用方法についても実践研究を行います。
 現在、各校でプロジェクトチームを結成し、研究の進め方を定め、実践研究を始めたところでございます。
 都教育委員会は、各学校における取り組みの成果を都立学校全校に周知するとともに、今後、各都立学校が策定する学びの見取り図であるグランドデザインにICTの利活用を具体的に位置づけ、授業改善を進めてまいります。

○林委員 ご答弁ありがとうございました。生徒一人一人の資質、能力を最大限伸ばす学習方法を開発していくということの中で、プロジェクトチームを結成して研究の進め方を定めて、実践研究を始めたところということです。学びの見取り図であるグランドデザインにICT利活用を具体的に位置づけることを促して、ICTを活用した授業改善を進めていくということでございますので、これからに大いに期待をしていきたいというふうに考えております。
 我が国は今、大きなこういった変革期にあるといっても過言ではないというふうに思っております。これからの社会を支える、また、産業界からも求められております人材を、公立校として都立学校が果たす役割というものは非常に重要だというふうに考えています。
 ご案内のとおり、二〇〇〇年代にアメリカが提唱して、当時のオバマ大統領が大きな予算を投じたSTEM教育というのがございます。科学、技術、工学、数学の頭文字をとった統合教育のことですけれども、それにアートをつけたSTEAM教育といわれることもあるようですけれども、アメリカがいち早く取り上げたということ、そして、それが現在、GAFAといわれるまでに成長した巨大IT企業が誕生したということは、全く無関係ではないというふうに私は思っているところでございます。
 今、このSTEM教育もしくはSTEAM教育というものが非常にクローズアップされているところでございますけれども、STEM教育の本質というのは、みずから学んで理解していくこと、つまり、みずからやろうとする力、新たなことを考え出す力、そして判断する力、課題を解決する力など、これらの力を伸ばしていくことがベースだというふうにいわれております。
 東京都教育委員会の皆様方におかれましては、これまでも生徒たちのために懸命にご努力されてきたことは十分承知をしておりますけれども、こういった大きな変革期の中で、ICT環境が激変していく中で、都立学校の生徒の皆さん方が、繰り返しになりますけれども、ソサエティー五・〇時代のさらに先を見て、将来、社会に出て生きていく中で生じていくであろうさまざまな課題を乗り越えて、国際社会の中の我が国の未来を創造する資質と能力を磨く場となるようにしていただきたいということを都立高校のOBの一人として申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○伊藤委員 それでは、私からは、まず初めに、コロナ禍における学校の対応について伺ってまいりたいと思います。
 新型コロナウイルスの脅威は世界中に蔓延をし、日本においても、二月から三月の年度末を迎える時期に、子供たちや保護者、そして学校の先生方にも大変な不安と恐怖が広がったことと思います。
 こうした中、都は、国からの一斉臨時休業に係る通知を受け、都立学校及び区市町村立学校において混乱が生じないように、学校休業中の学習や生活リズムの維持などにどのように対応したのか、また、学校再開に向けて、都教育委員会ではどのように準備をして再開をしたのか、さらに、コロナ禍における修学旅行や体育祭などの学校行事への対応についてもあわせて伺いたいと思います。

○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年二月以降の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、都立学校につきましては、三月二日から五月二十五日まで臨時休業を実施いたしました。区市町村立学校におきましても、ほぼ同様な対応となっております。
 学校におきましては、家庭学習の充実に向けて課題を配布するとともに、オンラインによる動画の配信やクラウドサービスを利用した学習の取り組み等を行っております。また、健康状態の把握や心のケアなど、家庭との連携を図ってまいりました。
 学校再開に当たりましては、都教育委員会として、まず、新型コロナウイルス感染症対策と学校運営に関するガイドラインを策定いたしました。各学校におきましては、ガイドラインに基づき、児童生徒の体温測定等の保健管理や、校内での手洗い、換気等の対策を進めるとともに、サーモグラフィーやアクリル板を設置するなど、感染予防の徹底を図っております。
 学校再開後は、分散登校などにより段階的に登校規模を拡大していくとともに、学習につきましては、子供たちの体力等を考慮したカリキュラムの見直しや、学校における対面学習とオンライン等の積極的な活用による家庭学習など、工夫して取り組んでおります。
 修学旅行、文化祭、体育祭などの学校行事は、都内の感染状況を踏まえまして、十二月までは、原則延期または中止といたしておりましたが、一月以降につきましては、感染状況を注意深く見ながら、可能な範囲で実施できるようにいたしました。
 都教育委員会は、この間、五回にわたって補正予算を編成し、児童生徒の学びをとめないという観点から、都立学校におきましては、民間の学習支援クラウドサービスを利用する学習環境の整備等、区市町村立学校におきましては、家庭に端末や通信環境が不足している場合の支援等に取り組んでまいりました。
 今後とも、保健所等とも連携を図りながら、学校における感染症対策を徹底し、子供たちの学びの充実に取り組んでまいります。

○伊藤委員 今ご答弁いただいた中に、ICTを活用して家庭学習支援を行ったという答弁がさまざまに、随所に出てまいりましたけれども、私は、先日の決算特別委員会の分科会で、ことし三月末の端末の整備について確認をいたしましたけれども、都立学校においては生徒三・九人に一台、区市町村立の小中学校については四・八人に一台ということが明らかになりました。
 国は、GIGAスクール構想を、令和五年度までに小中学校において一人一台端末をしっかりと実現していくという目標であったわけでありますけれども、このたびの新型コロナウイルスの影響を踏まえて、これを前倒しするというふうにしておりますけれども、都内の公立小学校における一人一台端末の整備について、今の現在の現状と今後の予定について伺いたいと思います。

○岩野企画調整担当部長 児童生徒一人一台の端末と校内の通信環境を一体的に整備する国のGIGAスクール構想は、新型コロナウイルス感染症対策に伴い、当初、令和五年度までとしていた計画を大幅に前倒し、令和二年度末までに整備を完了することとされました。
 これに基づき、現在、区市町村教育委員会では、今年度末をめどとして、都内公立小中学校における一人一台の端末整備を進めているところでございます。
 令和二年十月末現在、都内八自治体における端末整備が完了しております。
 さらに、今年度末には、ほぼ全ての区市町村において一人一台の端末が整備される予定となっております。

○伊藤委員 今年度内には一人一台端末を小中学校で実現するという運びということで、これは保護者の方々からも大変に期待をされている事業でありますので、着実に、円滑に進むように、ぜひしていただきたいと思います。
 次に、ICTの機械が入ったとしても、それを使いこなせる先生方がいるかどうか、これが非常に重要であります。
 一人一台端末の整備後は、教員のICT活用のスキルの向上が重要になってくると思いますけれども、都の対応策について伺いたいと思います。

○岩野企画調整担当部長 児童生徒一人一台の端末を活用し、子供たちの学びを充実させていくため、教員のICT活用スキルの向上は必要不可欠です。
 このため、都教育委員会は、今年度、都内公立学校全校を対象に、オンライン学習の推進を図る講習会を実施しました。
 講習会は、各校から代表の教員が参加し、他校の好事例の取り組みやクラウドサービスの基本的機能等についての講義や演習が行われました。参加した教員には、講習会の内容を各学校に持ち帰り、みずからが研修講師となって、校内の他の教員に教えることを求めております。
 また、都立学校の管理職向けに新たに研修動画を配信し、校長のリーダーシップを促す取り組みも行っております。
 今後、この取り組みを都内公立小中学校にも進める予定です。
 さらに、一人一台端末の授業で必要となる教員のスキルに関するリーフレットも各学校へ配布してまいります。
 都教育委員会は、都内公立学校におけるオンライン学習のさらなる充実に向け、教員研修の充実など、引き続き必要な取り組みを行ってまいります。

○伊藤委員 これも先日の決算特別委員会分科会で触れましたけれども、都議会公明党は、都立学校においても、一人一台のモバイル端末の整備が必要であること、そしてまた、学校の高速通信環境、Wi-Fiの早急の整備を求めてきたところであります。
 これに応えて、都は、BYODによって取り組みを進めていくというお話でありましたけれども、このBYOD、横文字がつくので、すごい取り組みなんだなと期待をしておるわけでありますけれども、ブリング・ユア・オウン・デバイスということで、あなたのスマホを学校に持ってきてねという、そういう取り組みなわけですね。
 それがいいとか悪いとかいっているわけではありませんけれども、これには課題があるというふうに私は指摘をしました。家庭の事情でスマホを持てない生徒もいるということを、数パーセントかもしれませんが、そのことをやはりきちんと認識をしておくことの重要性。
 そして、二つ目に、そのWi-Fi環境。まだ全部の学校で配備されているわけではありませんので、Wi-Fiの環境がなければ、通信量は生徒側にかかってしまうということ。
 そして、三つ目の課題としては、画面が小さくて、全体像が見えない学習になってしまう危険性があるというふうに私は心配をしているところであります。
 そこで、都立高校等においても、GIGA構想と同じような一人一台端末の取り組みが必要であるというふうに思いますけれども、都教委の見解を伺いたいと思います。

○岩野企画調整担当部長 これまで都教育委員会は、学校に固定式パソコンやタブレットパソコンを一定数整備するとともに、生徒の所有するスマートフォン等を授業で活用するBYODを推進してきました。
 スマートフォンは、起動時間が短く、授業ですぐに利用でき、持ち運びもしやすいという特徴がある反面、画面が小さく資料が見づらい、また、レポート作成などは作業がしづらい等の課題が明らかになっております。
 また、BYODでは、生徒一人一人の端末のOSや機種が異なるため、教員はおのおのの機種に合わせた操作方法の説明をすることとなり、負担にもなっております。
 こうしたことから、都教育委員会は、高校段階においても、学習に必要な機能を備えた一人一台の端末を活用した学びが可能となるよう必要な財政措置を講じることを、国に対し要望しているところでございます。

○伊藤委員 高校段階においても一人一台端末を活用した活動ができるように、国に対して要望しているということでございましたけれども、これはしっかりと強く要望していただきたいと思うのと、教育庁にもぜひ、もし国が動かないのであれば、都独自でもいいから、都独自のGIGAスクール都立高校構想、こうしたものも考えていただきたい、このように要望しておきたいと思います。
 続きまして、日本語指導が必要な生徒への支援について質問したいと思います。
 都立高校、定時制も含みますけれども、日本語指導が必要な生徒が増加をしております。
 課題となっていることの一つに、日本に来日する時期によって日本語の語学力が全く違うということが挙げられます。
 例えば、小学校三年生のときに日本に来て、日本の学校に入って少しずつ日本語を学んでいった子が高校生ぐらいになる。ある程度、日本語をしゃべれるわけです。また一方では、中学三年生ぐらいの年齢の時期に日本に初めて来て、そして、日本語が全くわからないところからスタートする。どの段階からでも、やはり一貫性を持った指導ができるようにすることが必要であるというふうに思います。
 そこで、小中学校においては、日本語指導ハンドブック、これは先生用だそうです。そしてまた、子供用には「たのしいがっこう」ということで、日本語や、また生活習慣を学べる、こうした副読本が用意をされておりますけれども、高校にはこれがないということを、都議会公明党はこのことをずっと指摘してまいりました。
 小中高と、やっぱり一貫をしている教育ということが一つ。それともう一つは、先ほど申し上げたとおり、日本に来日する年齢によって全く違うわけでありますから、どこの段階で来ても、ちゃんと一貫した教育が受けられるようにすべきだというふうに思います。
 そこで、都教委は、都立学校に通う日本語指導が必要な生徒への支援の際に活用できる教員向けの日本語指導ハンドブックを開発しているというふうに伺っておりますけれども、進捗状況について伺いたいと思います。

○増田指導部長 都教育委員会は、都立学校における日本語指導の充実のために、教員が活用できるハンドブックを令和四年度末までに開発することといたしまして、今年度から、東京外語大学やNPO等の外部機関との連携により、在京外国人生徒対象募集枠設置校である都立杉並総合高校に在籍する生徒の日本語の習得状況に応じた効果的な指導事例を収集しております。
 今後は、定期的に、生徒の日本語や学習の定着状況について、日本語での面談や筆記試験等を通して得たデータに基づき確認し、効果的な日本語指導のモデルを構築してまいります。

○伊藤委員 日本語や日本の生活様式の理解が十分でない生徒たち、こうした生徒たちが、コロナの影響で学校が休業となって置き去りになっていないかどうか、私は大変に心配でありました。
 オンラインの授業等もあったでしょうし、ただでさえ日本語が余りよく理解できていない子たちがオンラインの授業とかを理解できたのかなとか、本当に置き去りにしてはいけない、このように思っております。
 新型コロナウイルス感染症に伴う臨時休業期間や分散登校期間における日本語指導が必要な生徒の学習状況の把握などに取り組んだと思いますけれども、その取り組みでわかった課題と、それに対する都教委の今後の取り組みについて伺いたいと思います。

○増田指導部長 日本語指導が必要な生徒が在籍する各都立高校では、臨時休業期間中に生徒が家庭学習に取り組めるよう、ルビつきの学習課題を郵送やメール等により配布したり、ホームページに掲載したりいたしました。
 教員は、電話やメール等を活用して、日本語指導が必要な生徒の学習状況等を確認したところ、日本語の理解が十分でないことにより、学習課題への取り組み等に苦労している生徒がいる事実を把握いたしました。
 こうした状況を踏まえ、都教育委員会は、日本語指導が必要な生徒の臨時休業期間中の学習のおくれを補おうとする学校に対して、日本語指導外部人材活用事業の活用を促すなど、学校における個別の学習指導等を充実させる取り組みを支援しております。

○伊藤委員 ぜひ、こういう生徒たちを取り残してはいけないということで支援をしたい、ボランティアをしたい、こういう人たちもたくさんおると思いますので、今答弁のあった外部人材の活用も、どうかしっかりと進めていただければと、このように思います。
 次に、不登校児童生徒への支援について伺いたいと思います。
 同じくコロナ禍にあって学校休業となる中、私は、不登校の子供たちがよりどころとしているフリースクールなど、こうしたところも休校となって居場所を失っていなかったか、心配をしていたところであります。
 フリースクールにつきましては、平成二十八年十二月、国が教育機会確保法を施行しまして、不登校の子を無理やり学校に連れ戻すのではなく、その子供の自立に向けて学ぶ機会をフリースクール等にも広げていくという法律であります。
 都議会公明党は、この動きがあってすぐに、先進的な取り組みをしている大分県に行きまして調査をしてまいりました。大分県は、フリースクールと学校の連携、そして、理解が深まるようにガイドラインをつくっておりました。
 (資料を示す)こういうガイドラインでありましたけれども、この調査を踏まえて、都議会公明党は都に対し、フリースクール等に通っている子供たちへの支援が十分に行われるようにするためには、まずは、不登校の子供が通っているフリースクール等の実態を把握すべきと求めてまいりましたけれども、都教委の取り組みとフリースクール等の数について伺いたいと思います。

○増田指導部長 都教育委員会は、毎年度十一月三十日時点での不登校児童生徒の実態を把握するために独自の調査を実施しており、昨年度は、都内公立小中学校に在籍している不登校の児童生徒が通っているフリースクール等を含む民間施設、団体の数とその名称を調査いたしました。
 また、調査を通じて名称を把握した民間施設、団体の活動内容につきましては、可能な範囲でホームページ等により確認をいたしました。
 なお、調査の結果によると、昨年十一月三十日現在、都内公立学校に在籍している不登校の小学生が通っている都内外の民間施設、団体は百七カ所、同じく中学生が通っている民間施設、団体は百三十二カ所でございました。

○伊藤委員 都教委は、我が党の要請を受けて、フリースクール等との連携を強化していくために必要な資料を作成し、学校、そして、不登校の子供やその保護者に示すこととしているということでありますけれども、資料作成の進捗状況と配布の予定について伺いたいと思います。

○増田指導部長 都教育委員会は、不登校の児童生徒に対する支援の充実に向け、学校や区市町村教育委員会とフリースクール等との連携を推進することを目的として、昨年度、教育委員会及び学校と民間施設・団体との連携検討委員会を設置し、今後の取り組み等について検討してまいりました。
 ご指摘の資料は、表題を未来を創るかけがえのない子供たちの自立に向けてとし、この検討委員会における協議を踏まえた不登校児童生徒への支援の具体例等を掲載することとしております。
 現在、内容につきましてはほぼ検討を終え、イラストやデザインの調整を行っている状況であり、来年二月に、都内全ての国公私立小中学校を通して、不登校児童生徒の保護者や教職員等に配布する予定となっております。
 また、来年二月十二日に開催予定の学校・フリースクール等協議会において、参加するフリースクール等にも配布をいたします。

○伊藤委員 先ほど大分県のガイドラインの話をしましたけれども、こういうガイドラインも都でつくってほしいんだということを申し上げましたけれども、都は、ガイドラインという形ではなく、資料というお言葉でありましたけれども、未来を創るかけがえのない子供たちの自立に向けてという資料を、今、鋭意つくっていただいているということでありますので、その完成を大変に期待したいというふうに思います。
 この資料をつくっていく際にも、検討委員会を開いていただいたということでありますけれども、この検討委員会の委員から寄せられた意見は、現在作成しているこの資料にどのように反映をされているのか、伺いたいと思います。

○増田指導部長 検討委員会の委員からは、教員や保護者の理解が深まるよう、フリースクール等に通っている児童生徒の学校における出席の取り扱い等に関する文部科学省の方針を掲載すべきである、保護者が不登校の子供の状況に応じて相談できるさまざまな窓口について情報を伝えるべきであるなどの意見が寄せられました。
 これらの意見を踏まえ、現在作成中の資料には、学校における支援のあり方やフリースクール等における活動例に加え、文部科学省の通知をわかりやすく紹介した資料及び教育、福祉等に関する相談機関等の連絡先についても掲載してまいります。

○伊藤委員 今、答弁にもありましたけれども、出席の取り扱いは非常に重要だと思います。今まで、フリースクールについてなかなか理解が深まっていない中において、フリースクールに行っている間は出席扱いはできないということであったわけですけれども、国の方針も変化がある中で、ただ、ここから大事なことは、やっぱり学校の先生、学校側と生徒側、そして保護者、また、社会全体がこうした多様な学びの場をお互いに認めていけるような社会をつくっていけるかどうかが、私はこの資料にかかっているというふうに思いますので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
 都教委は、フリースクール等との連携を一層推進するために、本年度、検討委員会を発展させて、東京都学校・フリースクール等協議会を設置したということでありますけれども、その具体的な取り組みについて伺いたいと思います。

○増田指導部長 ご指摘の協議会は、平成二十八年度から三年間にわたり実施してまいりましたフリースクール等との意見交換会や昨年度設置した検討委員会を発展させ、学校や教育委員会とフリースクール等との連携を一層強化するため、今年度新たに設置した組織でございます。
 本年八月に第一回の会議を開催し、学校や区市町村教育委員会とフリースクール等が効果的に連携している実践事例や成果について報告を受け、協議を行いました。
 また、十月には、教員、区市町村教育委員会の担当者、フリースクール等の職員、不登校経験者、その保護者等から約二百三十人の参加を得て、不登校児童生徒への支援のあり方について理解を深めるための講演会やパネルディスカッションから構成されるフォーラムを開催いたしました。
 さらに、来年二月には、これまでフリースクール等との連携が十分に行われていなかった自治体を含め、都内全ての区市町村教育委員会の担当者とフリースクール等の職員により、今後必要とされる取り組みについて協議を行う予定でございます。

○伊藤委員 大分に視察、調査に行ったときに伺いました、ある小学校の校長先生でありましたけれども、フリースクールというクエスチョンを持ったまま、そっとその校長先生が見に行ってくれたそうです。そのときに見た姿は、学校に来られなかった生徒児童がフリースクール中で本当に生き生きと学び、そして活動し、目が輝いている姿を見て、自分も考え方を固めてては、執着していてはいけないんだなということを改めて感じたというお話を伺いましたけれども、本当に双方の理解が大変重要になってくると思いますので、丁寧に、また、しっかりと進めていただきたい、このように思います。
 次に、発達障害教育の充実について伺いたいと思います。
 都議会公明党は、特別な支援が必要な児童生徒は、どの学校にも、どのクラスにもいる、そのことを指摘し、とりわけ発達障害のある子供には、自校で、自分の在籍している学校で支援を受けやすくする体制の整備を求めてまいりました。
 そして、都は、平成二十八年度より、順次、子供が他の学校に通って指導を受ける情緒障害等通級指導学級から、子供が在籍する学校で指導を受けられる特別支援教室に移行を図ってこられました。
 小学校については、平成三十年度に全校への導入が完了し、中学校については、令和三年度に全校へ導入が完了する予定と聞いておりますけれども、そこでまず、特別支援教室の成果と課題について伺いたいと思います。

○高木特別支援教育推進担当部長 特別支援教室の導入によりまして、在籍学級担任と巡回指導教員との連携が緊密にとれる環境が整い、学校全体で特別支援教育の推進が図られるようになりました。
 一方で、特別支援教室におきましては、一人一人の子供の障害から生じる学習上または生活上の困難さに応じて支援を行う必要があることから、教員の専門性が求められます。
 経験の浅い教員が担当する場合もあることや、在籍学級における配慮も重要であることなどから、巡回指導教員はもちろんのこと、在籍学級担任などにも指導力の向上が求められております。

○伊藤委員 特別支援教室を導入したことによって、学校全体の特別支援教育が充実してきたということでございました。
 一方で、特別支援教室で指導を受ける子供たちに日常的にかかわる巡回指導教員や学級担任の指導力の向上が求められていること、とりわけ特別支援教室の指導に当たる教員の専門性が求められていることもわかりました。
 そこで、特別支援教室を担当する教員の指導を向上させていくべきというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○高木特別支援教育推進担当部長 これまで特別支援教室におきましては、指導の経験が豊かな教員と経験の浅い教員の組み合わせによる巡回指導の実施等によりOJTを推進するなど、教員の指導力の向上を図ってまいりました。
 令和二年度からは、元校長など特別支援教室の指導に関して知識やノウハウのある特別支援教室巡回運営指導員を新たに設置し、各学校の授業を観察して、指導の充実につながる助言等を行う巡回指導を開始いたしました。
 また、現在、特別支援教室を担当する教員が作成した教材や指導事例などを、巡回指導教員も含め、全ての教員が共有できる特別支援教室指導事例等検索サイトの構築を進めております。
 今後も、区市町村教育委員会と連携し、特別支援教室を担当する教員の指導力の向上に努めてまいります。

○伊藤委員 検索サイトの構築を進めていくというお話でございました。
 私は以前、地元の品川特別支援学校を視察させていただいて、大変に感心をしたというか、驚いたことがありました。知的障害のお子さんたちに対して、それぞれの先生方が、A君にはA君にしか当てはまらない教材をつくり、そして、その指導方法をつくり上げ、B君にはB君にしか合わないものをつくっている。それが一人ずつにしっかりと蓄積をされているんですね。
 私は、そこで思ったのは、そうした蓄積をされている一人ずつに合った教材や指導方法をしっかりまとめて、先生同士が情報共有することができれば、このお子さんには、もしかしたら、これとこれを組み合わせるとすばらしい教材になるかもしれない、こんな発想も出てくるのではないかということを都教委の方に申し上げて、既にこの特別支援学校においては、こうした教材等の情報共有が行われているということでございました。
 このたびは、発達障害のある子供たちに対しての特別支援教室においても、こうした検索サイトが立ち上がっていくということでありますので、ぜひこれを期待したいということが一つ。それと、今申し上げた、このたびの検索サイトと特別支援学校のこうしたノウハウの情報を結びつけていくことによって、さらにこれは発展する、このように思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
 今年度からの新たな取り組みである巡回運営指導や検索サイトの構築に大いに期待をいたします。引き続き、現場の先生方のためになる支援策をぜひとも充実させていただきたいと思います。
 特別支援教育は、特別な支援を必要とする児童生徒が在籍する全ての学校で実施されるべきであるというふうに私は思います。小中学校においては、来年度で全校に特別支援教室が導入され、全ての学校で特別の指導が実施できるようになるわけであります。
 都立高校においても、令和三年度から、名前は通級ですけれども、教室と同じだということでありますが、通級による指導を開始すると聞いております。
 そこで、都立高校における通級による指導はどのように実施をしていくのか、伺いたいと思います。

○高木特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、パイロット校である都立秋留台高校での実践を踏まえ、令和三年度から、どの都立高校でも都内で通級による指導が実施できる新たな仕組みを導入いたします。
 実施に当たりましては、発達障害等の改善、克服を図るための講座などを従来から開催する民間事業者の専門的なノウハウを有効に活用してまいります。
 具体的には、在籍する高校の教員と民間事業者が派遣する専門人材とがチームティーチングの形式による指導体制を組み、小中学校と同様に、生徒一人一人の障害に応じた特別の指導を実施いたします。

○伊藤委員 発達障害のある子供に対して、小中高の各段階において切れ目のない支援が実施されるということは大変に重要なことであります。
 都議会公明党は、島しょにおける特別支援教育の充実を求めてまいりました。なぜならば、島において、障害のある子供さんでありますが、小中学校を卒業すると、特別支援教育を受けるために、親元を離れて、島を出て、寄宿舎に入って特別支援教育を受ける、そして、卒業後はまた島に戻ってくる子が多いというふうに聞いておりますけれども、その先が見えない、こんなような声もたくさん聞いてまいりました。
 そこで、来年度、八丈町、八丈島で特別支援学校の分教室を設置するということを都教委は公表いたしましたけれども、その概要について伺いたいと思います。

○高木特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、知的障害特別支援学校である都立青鳥特別支援学校高等部の分教室を都立八丈高校内に設置し、令和三年度から三年間のモデル事業を実施いたします。
 本モデル事業におきましては、都立八丈高校の生徒との交流及び共同学習や、島内の団体、企業等と連携した就職などの進路指導を行う予定でございます。
 これらの取り組みを通して、分教室における特色ある教育内容や適切な規模のあり方などを検討し、その効果を検証いたします。

○伊藤委員 八丈分教室においては、障害のある生徒一人一人の教育的ニーズに応えて、その能力を最大限に伸長するような教育活動を行われるということで、期待を大きく持っているところであります。
 大事なことは、卒業した後、しっかりと一人でというか、生きていける力を身につけて、また仕事にも結びついていく、こうしたことが大事でありますので、これは知的障害等のみに限らず、ほかの障害についても、しっかりと都教委として支援をしていただきたいと思います。
 都議会公明党は、昨年、小笠原の視察に行きまして、調査を行いました。とりわけ父島において、小さなお子さんがいらっしゃるご家庭のお母さんたちと意見交換を行いました。そのお母さんたちのご家庭には、発達障害などの障害がある子供さんがいらっしゃって、教育の心配と特別支援教育の充実を求める声がたくさん上がりました。小中高と、島しょにおいても一貫性のある特別支援教育が行われるべきであるな、このことを痛感したわけであります。
 小笠原は、こちらの方の、少子高齢社会の内地の方とちょっと違っておりまして、若い世代が非常に多い。そして、高齢者の方が逆に、医療の関係で、島では住み続けることがちょっと難しくなってくる。よって、小笠原は、特に若い世代の人たち、子供さんがまだ小さい、小学生、中学生のお子さんもいらっしゃる、こうした家庭がふえてきている中で、こうした発達障害の子がたくさん増加してきているよという、そんなお話がありました。
 八丈分教室のお話を今聞きましたけれども、知的障害のある生徒を対象とするということでありますけれども、発達障害等のある子供たちに対しては、八丈島のみならず、島しょ地区においてどのような支援を実施していくのか、伺いたいと思います。

○高木特別支援教育推進担当部長 島しょ地区の小中学校におきましても、他の市区町村と同様に、特別支援教室において発達障害等のある子供たちに対する特別の指導を行っております。
 また、島しょ地区の都立高校におきましても、他の都立高校と同様に、令和三年度から通級による指導の新たな仕組みを導入いたします。導入後は、民間事業者が派遣する専門人材が学校への訪問やオンラインを活用した支援を行うことにより、在籍する高校の教員とチームティーチングの形式で特別の指導を実施いたします。
 引き続き、島しょ地区の発達障害等のある子供たちに対しても、切れ目ない支援を実施してまいります。

○伊藤委員 ご意見を聞いた小笠原のお母さんたちにも、島しょ地区の発達障害のある子供たちに対しても切れ目のない支援を実施していくということで、都の教育委員会からしっかりと説明があったよ、答弁があったよということでお伝えをさせていただきたいと思います。
 次に、公立学校のトイレの整備について伺いたいと思います。
 これまで都議会公明党は、災害時には学校が避難所となって、学校のトイレは、高齢者等、また要配慮者も使用することから、こうした方々でも利用しやすいように洋式化を進めることが大変重要という観点で、学校トイレの洋式化の推進を主張してまいりました。
 都教育委員会では、都議会公明党の提案を受けて、今年度末までに洋式化率八〇%を目指すという目標を掲げ、取り組みを進めてきていると思います。
 そこで、今年度末まであと半年を切る中、目標とする洋式化率八〇%に到達できるのかどうか、見解を伺いたいと思います。

○谷都立学校教育部長 都立学校の令和三年三月三十一日時点での洋式化率は、高校については七六・七%、特別支援学校については九二・九%と見込んでおります。都立学校全体では八〇・二%と見込んでおり、洋式化率八〇%に到達できる見込みでございます。
 区市町村立小中学校のトイレの洋式化率は、令和二年四月一日時点では七〇・二%となっており、平成二十九年度から、毎年度、平均四・三ポイント上昇しております。
 今年度については、コロナ禍の影響による夏季休業期間の短縮により工事期間の確保が難しくなったため、多くの事業の延期が予定されていることから、例年より洋式化率の伸びは鈍化することが予想されます。
 こうしたことなどから、洋式化率が八〇%に到達することは困難な状況が見込まれます。

○伊藤委員 今、答弁では、都立学校全体では洋式化率八〇%に到達する見込みということでありますけれども、都立高校のみでは七六・七%、特別支援学校を入れると八〇%を超えるということであるわけで、都立高校だけでは八〇%は到達しないということであります。
 保護者からは、あるいはまた生徒からは、いつになったら洋式化されるのかといった声がよく上がります。引き続き、都立高校についても洋式化の取り組みをしっかりと、八〇%を確保していただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
 また、区市町村立の小中学校については、コロナ禍の影響もあって、今年度内には洋式化率八〇%の到達が困難な状況であるという答弁でありました。
 先般の第二回定例会において、都議会公明党からは、代表質問の中で、コロナ禍の影響によって、今年度の改修工事を来年度に延期せざるを得ない学校があることから、こうしたケースについて来年度も補助金を受けられるようにすべきということを求めたところに対して、教育長からは、着実な整備ができるよう対応していくという答弁がありました。
 この点について、改めて都の方向性を示すべきというふうに思いますけれども、都教委の見解を伺いたいと思います。

○田中地域教育支援部長 区市町村において、今年度、補助金の交付を受けて実施する予定であったものが、コロナ禍の影響により本年度の事業実施が困難となり、延期を予定している事業数は、令和二年六月時点で七十三事業あることを把握しております。
 現在、これらの事業の着実な整備ができるよう、支援に向けた検討を進めております。

○伊藤委員 ただいまの答弁は、令和三年度も、都は区市町村への補助を継続して、着実に八〇%の目標を達成するということで受けとめさせていただきますので、よろしくお願いします。
 都立学校及び区市町村立の小中学校のトイレの洋式化率についてでありますが、そもそも、なぜ一〇〇%を目指さないのか。
 令和二年度末までに八〇%以上というふうにいっているわけですけれども、なぜ八〇%ということなのか、理由について伺いたいと思います。

○谷都立学校教育部長 学校におきましては、一部の児童生徒等から、洋便器は他の児童生徒も使用するため、臀部が触れない和便器を残してほしいという要望がございます。
 また、平成二十八年度に文部科学省が行った公立小中学校施設のトイレの状況調査で、主に新築、改築を行う際のトイレ整備に対する方針について、都内の四十七の区市町村教育委員会が、整備後の洋式化率が八〇%以上と回答しております。
 こうした状況を勘案し、都として洋式化率を八〇%以上としたものでございます。

○伊藤委員 学校の設備改善に関連して、都立葛飾盲学校寄宿舎の浴室の床の改修について、ちょっとピンポイントで細かい話で申しわけないのですけれども、質問したいと思います。
 都立葛飾盲学校には、通学困難な児童生徒の就学を保障するために寄宿舎が設置をされております。葛飾盲学校の寄宿舎は、平成元年八月に建築をされて、建築後約三十年が経過していることから、一部の施設が老朽化している現状があります。
 具体的には、浴室の床について、石材でできているため、洗剤等で滑りやすい、カビが発生するなど、安全面、衛生面での課題が生じているということでございますが、ことしの九月三日、都議会公明党として、各種団体からさまざまな要望を受けさせていただきました。その中の一つに、東京都特別支援学校PTA連合会からの要望がありまして、この連合会の一丁目一番の一番最初に上がってくる要望に、今申し上げた寄宿舎の浴室の改修について要望がありました。
 ちょっとだけ読ませていただきます。葛飾盲学校の寄宿舎でありますが、浴室の床が、経年劣化に伴い、カビが取れず、不衛生な環境です、素材が石材のため、入浴時には洗剤等で足元が滑りやすく、視覚障害を伴う児童生徒にはとても危険です、床材を滑りにくく乾きやすい素材に改修し、清潔で安全な環境整備をお願いします。こういう切実な要望でありまして、とりわけ視覚障害がある生徒の寄宿舎ですから、生活の場であるわけであります。
 これはとても看過できる話ではないというふうに思って、きょう、取り上げさせていただいたわけでありますけれども、こうした状況を踏まえて、都教委として、この課題についてどのように対策を講じていくのか、見解を伺いたいと思います。

○高木特別支援教育推進担当部長 都立学校の施設設備の老朽化等の状況につきましては、学校へのヒアリングや現地調査などを通して把握しており、児童生徒等の安全確保などの観点から、必要な改修を計画的に行っております。
 葛飾盲学校の寄宿舎の浴室につきましては、昨年度、換気設備の修繕を行うなど対策を講じるとともに、日ごろから清掃による衛生的な環境の確保に努めてきたところでございます。
 今年度につきましても、既に寄宿舎への現地調査などを行ったところであり、現在、今後の対応策について検討を進めているところでございます。

○伊藤委員 何年もこの要望を行ってきたというふうに伺っております。やっとやっていただけるということでありますので、着実に改善をしていただきたいと思います。
 さまざま質問してまいりましたけれども、いずれにしても、複雑な社会構造と多様な価値観が子供たちを取り巻く世界に広がっております。それに加えて、今、新型コロナウイルスが蔓延する中、そしてまた、人口減少、少子高齢社会の中を次の時代を切り開いていく主体者である、人材である現在の児童生徒たちであります。
 先ほど来、申し上げましたけれども、一人も置き去りにすることなく、子供たちが東京で育ってよかった、東京で学べてよかったと思えるように、都は、責任を持って東京の教育行政を発展させていただきたいと期待を寄せまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○河野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時一分休憩

   午後三時二十分開議

○河野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。自席でやらせていただきます。
 私からは、八丈町の特別支援学校分教室について、そして、現在行ってきた特別支援教室について、さらに、特別支援学校の生徒の進路について、この三つの分野について質疑をさせていただきます。
 まず、八丈町の特別支援学校分教室について伺います。
 先ほども質疑がございました。青鳥特別支援学校を本校として、分教室が来年度からモデル事業としてスタートするわけです。
 島しょ地区の生徒たちが中学校を卒業した後の進路あるいは寄宿舎の問題について、この間、私どもは繰り返し改善を求めてまいりました。
 昨年十一月には、文教委員会、ここですね。質疑をさせていただいて、二週間に一度の帰省ルールがあるために、進学を諦めざるを得ない家庭の子供たちもいること、送迎が困難なために、三年間、家で過ごすしかなかった、そういう声も聞いてきました。
 保護者にも子供にも大きな負担になっている実態の改善、障害があってもなくても教育を受ける権利を保障することを求めてきたわけですが、今回、八丈町に分教室ができて、島の中での進学が可能になったことは、前進と受けとめさせていただきます。
 そこで、改めて確認をさせていただきますが、来年度から始まる青鳥特別支援学校の分教室が八丈町の都立八丈高等学校の敷地内に開設するわけですが、開設するに至った経緯についてお答えください。

○高木特別支援教育推進担当部長 八丈町におきましては、小中学校の知的障害特別支援学級に在籍する児童生徒の人数が増加しております。また、令和二年度末から継続して、知的障害のある生徒が複数、中学校を卒業することが見込まれております。
 こうした状況を踏まえ、八丈町においてモデル事業による対応を検討することといたしました。

○とや委員 知的障害のある生徒が複数、中学を卒業する見込みがあると。島の人たちからの要求もあったことと思います。そうした要求を受けての分教室だと思います。
 一方、分教室が設置されたことで、中学卒業後の進路はどうなるかということですが、分教室のみということではなく、例えば普通科以外の選択肢もあるというふうに考えます。
 ここはちょっと確認なんですが、島しょ地区にお住まいの子供たちは、中学卒業後、現在、どこの特別支援学校で受け入れていますでしょうか。

○高木特別支援教育推進担当部長 現在、島しょ地区に住所を有する児童生徒につきましては、都立八王子西特別支援学校に一人、都立南大沢学園に二人、都立光明学園に一人在籍しております。

○とや委員 八王子西特支と南大沢学園にもいて、光明学園にもいるということです。
 分教室の設置後も、南大沢学園などの就業技術科については、引き続き八丈町の子供たちは入学を希望することはできるでしょうか。お答えください。

○高木特別支援教育推進担当部長 都立知的障害特別支援学校高等部の就業技術科及び職能開発科につきましては、通学区域を東京都全域としているため、八丈町に住所を有する場合でも、応募は可能でございます。

○とや委員 普通科については学区域ということですが、職業校については、これまでのように進学できるということを確認させていただきました。生徒にとって、引き続き進路の選択というのは--その子たちの希望あるいは保護者の声もよく聞いていただいて、最大限尊重していただくことを要望しておきます。
 今後、八丈の生徒は、基本的には分教室に通学することになるわけですが、青鳥特別支援学校と同様の教育課程を初め、同水準の教育内容を保障すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○増田指導部長 都立青鳥特別支援学校に設置される八丈分教室におきましては、本校に準じた教育課程を編成することとしております。
 また、都立八丈高等学校内に設置される分教室であることから、高等学校の生徒との交流及び共同学習の実施や、島内の事業所等と連携した職業教育の充実など、島の特色を生かし、適切な教育を行ってまいります。

○とや委員 青鳥特別支援学校の教育課程に準じたということです。分教室は、青鳥特別支援学校の分教室ではあるけれども、特別支援学校の一部というか、特別支援学校であることには変わりないわけで、ですから、子供たちは、同じ条件で教育を受ける権利があるわけです。島の特色を生かしていただきながらも、本校と同水準の教育をぜひ保障していただきたいと思っています。
 もう一つ、お聞きします。子供の人数によっては、複式学級を想定しているのか。
 私としては、やっぱり子供たち一人一人がちゃんと年齢に応じた教育を受けていく、そういう意味では学年ごとの学級編制にすべきと考えますが、いかがでしょうか。

○高木特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校の学級編制基準では、複式編制について、連続する二つの学年の児童生徒の数において、一方の学年が一人で、かつその合計が知的障害特別支援学校では五人以下の場合、一学級に編制すると定めております。
 本分教室につきましても、個々の生徒の障害の程度や状態を踏まえ、この基準に基づき適切に対応いたします。

○とや委員 通常級と違って、特別支援学校の場合は、特に分教室の場合は、子供がそれほど多いわけではないわけで、場合によっては、その年によっては、もしかしたら一人、二人で、連続した二学年が五人以下になってしまう場合もあるかもしれません。そういった場合でも、通常の学級編制を機械的に当てはめるのではなく、生徒の状態に十分配慮した学級編制としていただくことを求めておきます。
 また、今後、重度の生徒が入学してくる可能性もあります。
 その場合、重度重複学級として扱うべきだと考えますが、重度重複の子供が入学した場合の対応はどうなるでしょうか。

○高木特別支援教育推進担当部長 重度重複学級の対象と認定された生徒の学級編制につきましては、同じ学部の児童生徒三人で一学級としております。
 本教室につきましても、個々の生徒の障害の程度や状態を踏まえ、適切に対応してまいります。

○とや委員 適切に対応するということですが、本校にいれば重重学級に入れたけれども、分教室になったら、本来、重重学級に入れる子が入れなかった、つくってもらえなかったということではこれは困るわけで、ぜひ重度重複の生徒については、きちんと学級をつくっていただいて対応していただきたいと思っています。
 それから、この分教室の説明を受けた際に資料をいただいたのですが、島内での就職を指導することが記載されていました。
 これも特色の一つなのでしょうが、生徒によっては、島外での就職あるいは進学、その他、本人の希望はそれぞれだと考えますが、進路指導については、生徒や保護者の意向を尊重して、島外での就職あるいは進学などの選択肢も提供していただきたい、このように思いますが、いかがですか。

○増田指導部長 都教育委員会は、生徒一人一人の希望に応じた進路実現に向け、就労先の開拓を行うとともに、進路指導部、進路指導担当教員間の情報交換の機会を設けております。
 八丈分教室におきましても、島外での就職や進学なども含め、個々の生徒の状況や意向を踏まえた丁寧な進路支援を行ってまいります。

○とや委員 生徒の肉声をぜひ尊重していただきたいし、十分な情報提供をお願いしたいと思っています。
 分教室の教育内容については、今いろいろお聞きしてきたのですけれども、この分教室については、さまざまな特色もあって、教育課程も本校に準じてやっていくということですが、じゃ、どこに設置するのかということでいうと、八丈高校の敷地内に教室が設置されることになります。
 それは、敷地内のどこに教室が置かれるのか、十分な普通教室は置くことができるのか、また、保健室などは別にすべきだと考えますが、いかがですか。

○高木特別支援教育推進担当部長 分教室におきましては、都立八丈高校の余裕教室を普通教室として活用いたします。
 なお、他の施設設備につきましては、でき得る限り共用する予定でございます。

○とや委員 分教室の子供たちが固有で使用できるのは普通教室のみだということで、体育館やグラウンドは仕方ないにしても、保健室や特別教室については共用となるということです。
 特に保健室については、これは現場からも声が上がっていますが、その子の障害の特徴によって、八丈高校の高校生と一緒になるというのは、ちょっと現実的じゃないのかなと思っています。
 子供たちが肩身の狭い思いをしたり、使いづらかったりするようなことがないよう十分協議をしていただきたいし、保健室についても、別で設けていただくということを求めておきます。
 さらに、それに付随して、養護教諭の配置もとても大事です。また、事務職員の配置についても、独自にきちんと配置をすべきですが、いかがでしょうか。

○高木特別支援教育推進担当部長 分教室を適切に運営するに当たり必要となる人員の確保につきましては、適切に対応してまいります。

○とや委員 適切に対応するということは、ちゃんと確保してくださるという理解でいいのでしょうか。
 養護教諭も事務職員も、通常級の生徒とは全く異なる対応が必要だというふうに思います。それは、私たちよりも皆さんの方がよくご存じだと思うんですね。
 障害の特性もあって、熟知している固有の養護教諭をきちんと配置すべきです。
 さらに、事務職員は、特別支援学校の場合は、就学奨励費だとかさまざまな事務作業が、通常級とは全く違うものがあります。ですから、一緒にということはできないと思いますので、複雑な事務となるわけです。ここにも固有の職員を配置していただきたいと思っています。
 そして、先ほどもお話がありましたが、今回の分教室は三年間のモデル事業ということですけれども、せっかく設置する分教室ですから、継続して本格実施するべきだと考えます。いかがですか。

○高木特別支援教育推進担当部長 分教室につきましては、令和三年度から実施する三年間のモデル事業において、分教室における特色ある教育内容や適切な規模のあり方などを検討し、その効果を検証することとしております。

○とや委員 三年間で効果を検証するということですが、やっぱり島の子たちは、保護者も含めて、非常に苦労をしながら寄宿舎に入り、二週間に一度帰省しなければいけないというルールもあったりとか、そういった背景があって今回設置されたわけで、ぜひ本格的な分教室として運営していただきたいと思っています。
 さらに、八丈町だけでなく、島しょ区域には特別支援学級などに在籍する児童がいます。
 それぞれの島の小中学校における学年ごとの在籍状況を教えてください。

○高木特別支援教育推進担当部長 八丈町以外の島しょ地区において、小中学校の知的障害特別支援学級に在籍する児童生徒の人数は、大島町が小学校五人、新島村が小学校二人、中学校二人、神津島村が小学校二人、中学校二人、三宅村が小学校一人、小笠原村が小学校一人、五つの町村の合計が小学校十一人、中学校四人でございます。
 なお、八丈町において、知的障害特別支援学級に在籍する児童生徒の人数は、小学校が十人、中学校が九人でございます。

○とや委員 比較的、八丈町が多いということで、今回は八丈町に設置されたのかなというふうに思いますが、特別支援学級に通っている子供たちがたった一人であっても、その家庭にとっては一〇〇%でありますから、大事にするという意味では、ぜひ分教室をどの島にも設置していただきたいと思っています。
 島しょ地区の子供たちの負担をやっぱり軽減していただきたいのですが、全島に特別支援学校の分教室を配置していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○高木特別支援教育推進担当部長 分教室につきましては、令和三年度から実施する三年間のモデル事業において、分教室における特色ある教育内容や適切な規模のあり方などを検討し、その効果を検証することとしております。

○とや委員 効果を検証したら、ぜひほかの島しょ地区でも設置することを検討していただきたいと思います。
 どの島にも生徒がいてニーズがあります。将来的には、それぞれの島に特別支援学校あるいは分教室を設けて、子供にも保護者にとっても負担が軽くなるよう検討することを求めます。
 同時に、これから設置するに当たって、赴任する教員を何とか探して赴任していただかなければなりません。それもなかなか大変な作業なのかなと思っています。一人一人の教員の皆さんの意思も尊重しながら、負担にならないような形で配置をしていただきたいと要望しておきます。
 さらに、今でも子供にも保護者にも負担となっている二週間の帰省ルールなどの改善を強く求めておきたいと思います。これで、この項は終わります。
 次に、特別支援教室について伺います。
 通級等指導学級は、小中学校の子供たちが、ほとんどの授業を通常の学級で受けながら、障害の状態などに応じて特別な指導を受けるために通う場所でした。従来の言語障害だとか難聴などに加えて、六十数万人と推計されるLD、ADHD、高機能自閉症などの子供を指導する場として位置づけられてきたわけですが、さまざまな事情から特別な支援が必要な子供を受けとめ、指導する上でも大変貴重な場だと考えます。
 東京都では、発達障害、情緒障害を持つ子供たちを対象に、それまでの情緒障害等通級指導学級が、二〇一六年には小学校で、二〇一八年から中学校で特別支援教室として設置されてきました。
 教員が各学校を巡回する方式に変わって、特別支援教室導入から五年が経過しようとしているわけですが、小学校で二〇一六年、中学校で二〇一八年から導入された特別支援教室の経過措置の内容についてご説明ください。

○高木特別支援教育推進担当部長 小学校の特別支援教室の教員数につきましては、指導児童十人に対し、教員一人を配置しております。
 ただし、経過措置として、指導児童十人に対し教員一人の基準で算出した特別支援教室の教員数が、制度導入前年度の情緒障害等通級指導学級の教員配置数を下回った場合に、通級指導学級時の教員配置数を維持することとしております。
 なお、この経過措置につきましては、令和二年度末までの措置であり、また、各年度当初の特別支援教室の指導児童数が通級指導学級時の指導児童数を下回らないことが条件となっております。
 中学校につきましても、同様の考え方で経過措置を設けております。

○とや委員 児童十人につき一人の基準で算出するということでしたが、通級指導のときは、学校ごとに十人に一人の教員を配置して、プラス加配があったと。だけれども、子供たちがふえる中で、通級時代の教員数は、五年間は確保しましょうというのが経過措置であったと思います。
 ことしは、経過措置の期間が満了する年であります。この経過措置期間終了後の対応について伺っておきたいと思います。

○高木特別支援教育推進担当部長 経過措置期間終了後は、小学校の特別支援教室におきましては、東京都公立小学校教職員定数配当方針の配当基準に基づき、区市町村ごとに、特別支援教室で指導を受ける児童十人に対し、教員一人を配置いたします。
 なお、中学校も同様でございます。

○とや委員 今、私が申し上げたように、今までは、通級のときは学校ごとで十対一プラス加配がありました。それが特別支援教室になって区市町村ごとに十対一になったけれども、今までの教員の数は、子供が減らない限りは維持しましょうということだったのですが、今回は本則に戻すと。区市町村ごとに、十人に対し教員を一人配置するということで、今までの多少加配があったような状況、それがなくなっていくということになると思います。
 現在の在籍児童生徒数と教員の数、経過措置期間が終了した場合の教員の数はどのようになるのか、教えてください。

○高木特別支援教育推進担当部長 小学校におきましては、令和二年五月一日現在の指導児童数は二万一千八百三十五人、教員数は二千二百四人でございます。
 なお、経過措置期間終了後の教員数につきましては、令和二年五月一日現在の指導児童数から配当基準に基づき試算すると、二千二百二人でございます。
 中学校におきましては、令和二年五月一日現在の指導生徒数は四千四百八十九人、教員数は五百三十一人でございます。
 なお、経過措置期間終了後の教員数につきましては、令和二年五月一日現在の指導生徒数から配当基準に基づき試算すると、四百八十人でございます。

○とや委員 中学校については、通級指導学級が残っているので、多目に配置されていると思います。だから、本則に戻ると、がくんと減ってしまうという現象が起きるんじゃないかと思います。
 教員一人当たりの児童生徒がふえれば、どうなっていくのかということです。
 通常学級に在籍したままで特別支援教室に通うことで、これまで友達とコミュニケーションをとりづらかった子供が仲間を意識したり、その子の特性に応じた指導を行うことで大きな成果を上げてきたのが通級指導学級でした。特別支援教室に移行した後でも、教師たちの尽力で、その子の成長や発達が保障されてきました。
 診療ニーズの高まりだとか、子供の生育環境の変化など、要因はさまざまだと思いますが、対象児童の増加が、今、本当に顕著だといわれていますが、教員の数が明らかに減ることになれば、子供一人にかける時間や手厚い指導は後退せざるを得なくなります。
 そもそも、それ以前に、特別支援教室導入時から指導内容や教員の負担が重くなっているのではないかと私は危惧しています。それが今、一人一人の子供に合った支援となっているのか、教員がこれまで以上に過重負担となりながらも指導、支援に当たっているのではないか、非常に心配があるわけです。
 そこで伺っておきたいのですが、特別支援教室を導入した年からの在籍児童生徒数の推移をお答えください。

○高木特別支援教育推進担当部長 小学校の特別支援教室における各年度の指導児童数は、平成二十八年度九千四百六十九人、平成二十九年度一万二千九百八十七人、平成三十年度一万六千九百三十五人、令和元年度一万九千五百三十九人、令和二年度二万一千八百三十五人でございます。
 中学校の特別支援教室における各年度の指導生徒数は、令和元年度三千三百六十八人、令和二年度四千四百八十九人でございます。

○とや委員 在籍児童は、導入時から増加が非常に顕著になっています。小学校では、初年度の九千四百六十九人から、ことしは二倍以上の二万一千八百三十五人にふえています。在籍児の増加とともに、それに見合った巡回指導教員の増員がなければ、負担も重くなっているというふうに思います。
 情緒障害等通級指導学級と特別支援教室を比較した場合、教員一人当たりの児童生徒の数は増加をしているのかどうか、現状についてお答えください。

○高木特別支援教育推進担当部長 一部の学校に設置されていた情緒障害等通級指導学級につきましては設置校ごとに、全校に導入される特別支援教室につきましては区市町村ごとに、指導児童生徒数に応じて教員数を算出しております。
 小学校における教員一人当たりの指導児童数は、平成二十七年度の通級指導学級では六・七八人、令和二年度の特別支援教室では九・九一人でございます。
 また、中学校における教員一人当たりの指導生徒数は、平成三十年度の通級指導学級では五・七九人、令和二年度の特別支援教室では八・四五人でございます。
 なお、国は、平成二十九年度、いわゆる標準法を改正し、通級による指導を担当する教員の数は、指導を受ける子供十三人に一人を標準としております。

○とや委員 一人の教員が受け持つ児童生徒は着実にふえております。通級指導学級を実施していたときは学校ごとの教員の配置基準としていましたが、特別支援教室となってからは自治体ごとの基準となっています。
 私は、今、人数を出していただきましたが、実態を考えずに導入した基準じゃないかと思います。その結果、区市町村ごとに基準を決めたために、学校によってばらつきも出たりとか、非常に先生たちは苦労しています。そこをきちんと見ていただきたいなと思います。
 そこで伺っておきたいのですが、教員一人当たりの児童生徒数がふえることによる影響について、どのように認識しているでしょうか。

○高木特別支援教育推進担当部長 特別支援教室におきましては、配当基準に基づき、指導児童生徒数に応じて適切に教員配置を行っております。
 さらに、特別支援教室導入後は、在籍校の教職員や巡回指導教員に指導内容や方法について助言する臨床発達心理士等の巡回、特別支援教室の円滑な運営を図るために巡回指導教員を補助する特別支援教室専門員の配置、また、令和二年度に開始した、指導経験が豊かな特別支援教室巡回運営指導員による巡回指導などにより、効果的な実施体制を整備しております。

○とや委員 いろんな人たちをつけてくださったということです。専門員も特別支援教室導入時につけたということで、ことしも新たに支援が入ったと。
 私は、何でそういうことになったのかなと思うんですけれども、やっぱり正規の、きちんとした指導ができる専門性の豊かな教員をきちんと配置することなく、支援するという形でやらざるを得なくなってしまったということが背景にあるんじゃないかなと思っています。やっぱり学校ごとにきちんと実態を見て、子供の特質や数に見合った数の教員の配置というのが絶対的に必要だと思います。
 その意味では、区市町村ごとにしてしまったということが、非常に今の特別支援教室の運営を教師の力量に頼らざるを得なくなってしまっているのではないか。しかも、それが学校間でも差が出てきてしまっていると思うんですが、そういった状況があるということは承知していらっしゃるでしょうか。

○高木特別支援教育推進担当部長 特別支援教室の教員数につきましては、区市町村ごとに、指導児童生徒数十人に対し教員一人と算定し、配置しております。
 学校ごとの配置数につきましては、区市町村教育委員会がその実態に応じて決定をしております。

○とや委員 実態に応じて配置しているからいいんだということですが、通級指導学級から特別支援教室に移行する際、保護者からは、これまでどおりの支援が受けられるのだろうか、指導内容はどうなるかという不安の声も寄せられていたと思います。これは区市町村の教育委員会に寄せられていた声なので、都教委に届いているかどうかわかりませんけれども、このときは、かなりいろんな自治体で議論がありました。
 保護者向けリーフレットには、今度制度が変わるということで、これまでどおり、必要な時間数の指導を受けることができます、指導内容が変わるものでありませんと記述がされていました。
 今、この方針に変わりはありませんか。

○高木特別支援教育推進担当部長 特別支援教室における指導時間や指導内容につきましては、情緒障害等通級指導学級と同様、児童生徒の障害の状態などを的確に把握し、各校の校内委員会や区市町村教育委員会の判断により、適切に設定することとしております。

○とや委員 何回聞いても適切とおっしゃるんだけれども、一昨年も、私、特別支援教室の問題を取り上げさせていただいて、指摘をしました。そのときも、区市町村ごとに十名に一人の教員配置での巡回指導は、これまでの指導は困難になる、そういう声が寄せられているんだということを指摘しました。
 それを裏づけるということで、通級指導学級から特別支援教室に移行して、児童生徒の指導時間が変化をしています。
 今どうなっているか、お答えください。

○高木特別支援教育推進担当部長 区市町村教育委員会に対する調査によると、小学校は、週当たりの指導時間は、情緒障害等通級指導学級のときには四単位時間が最も多い回答であったのに対し、特別支援教室導入後は二単位時間へと減少しております。
 これは、児童が在籍校で指導を受けられるようになったことにより、児童生徒に真に必要な指導時数や指導内容が精選して行われるようになったことや、校内での連携が進み、通常の学級における配慮や支援が充実した結果だと認識しております。
 なお、中学校につきましても、二単位時間へと減少しております。

○とや委員 今までの指導時間が半分に減ったんだ、それは成果だと、以前もそのようにお答えいただきました。
 指導時間は、特別支援教室導入前の二〇一四年は、東京都公立学校情緒障害教育研究会の資料を拝見させていただいたのですが、多分、これは東京都の調査と同じ、今のご答弁と同じなんですが、二〇一四年は週四時間までの児童は八割いましたが、二〇一九年は二時間までの児童が八割になっています。
 これだけ減っているのは、ただただ通う時間が少なくなった、自校でできることになったからということで、本当に済ませられるのだろうかと私は思っています。
 現場の先生に話を伺いました。一つは、週四時間から六時間の指導を行うことで、通常の学級から固定級の対象になる子が、通常級での在籍で授業が受けられることがあるそうです。個別や集団指導を行って、例えば手先の訓練や運動をすることで成果が期待できるとおっしゃっていました。それには、それなりの時間が要るというふうにおっしゃいます。
 だけれども、支援する人数がふえれば、もう一時間欲しいんだけれども、その時間がとりにくいという話もありました。必要な子に必要な指導や支援ができるか、そこが非常に難しい、もっと支援したいのに、教育条件がさせてくれないといっていらっしゃいました。
 巡回指導も小集団指導も充実するためには、教員数の確保、施設や設備の充実は必要だという話も伺ってきました。
 私は、こうした現場の声に、きちんと都教委として耳を傾けるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○高木特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、各区市町村教育委員会へのヒアリングや、令和二年度から設置した特別支援教室巡回運営指導員による各学校への巡回訪問などにより、現場の声を把握しております。
 具体的には、在籍学級における児童生徒の様子などの情報を得る機会がふえ、特別支援教室の指導に生かすことができるようになった、在籍校に特別支援教室が導入されて指導が受けやすくなったといった声を聞いております。
 特別支援教室の導入により、巡回指導教員と在籍学級担任との緊密な連携が図られ、児童生徒の個別の課題に即応した指導が実施できるようになり、結果として指導を受ける児童生徒が増加したことは、特別支援教室の成果の一つであると捉えております。

○とや委員 そういいますけれども、やっぱり子供の成長や発達を最優先に考えて、実態把握、それからバランスのとれた教員配置を求めておきます。
 特別支援教室在籍の児童の増加とともに、教員が受け持つ子供の数もふえれば、一人一人の子供の特性に合わせた支援が困難になることは明らかです。
 ある先生は、子供の声を受けとめて、自己の育ちを支える実践をつくり出していくこと、困っていたときに相談できる力をつけさせることが大事とおっしゃっていました。こうした丁寧な指導が今後も維持できるのか、大変危惧をしております。
 先ほどお話がありました、国の動きが非常に心配であります。国は、特別支援教室の教員を十三対一を標準としておりますけれども、全国的には、今より低い水準で運営されてきた特別支援教室も多くて、全体的には前進だという声もあるんですけれども、東京は違います。東京は早くから情緒障害等通級指導学級を実施して、学校ごとに十対一プラス加配もつけて運営してきた、非常に高い水準、実績を持っています。
 東京の現在の教員配置を後退させることはあってはならないと考えますが、いかがでしょうか。また、十三対一とした場合の教員数について伺います。

○高木特別支援教育推進担当部長 特別支援教室導入開始後四年が経過していることから、ヒアリングや学校訪問を通じて実態を把握するとともに、特別支援教室に係る事業の検証を行っております。
 都教育委員会は、その結果などを踏まえ、適切な巡回指導体制を検討してまいります。
 なお、いわゆる標準法における十三対一を標準とした場合の教員数につきましては、令和二年五月一日現在の指導児童生徒数から試算すると、小学校は一千七百七人、中学校は三百七十七人でございます。

○とや委員 現在の特別支援教室の状態で、小学校が二千人ちょっといるのが、十三対一になると一千七百七人になってしまう。中学校では三百七十七人と、非常に教員数が減ります。そうすると、子供たちに対する指導は薄まることは明らかです。
 支援、指導が不十分なまま卒室しなければならない、あるいは、年度途中で入室する子もいるかもしれませんが、限られた教員配置で指導や支援をすれば、子供の出入りの回転をよくするしかない、そういった矛盾も起きてしまう、もしかしたら今も起きているかもしれない。こうした事態はぜひ解消していただきたいし、本来、教員の手厚い配置で子供たちに適切な支援をお願いしたいと要望して、この項を終わります。
 特別支援学校卒業後の進路についてです。
 この間、特別支援学校の保護者の皆さんからは、高等部を卒業した子供たちの進路について、一度就職したけれども、合わずにやめてしまったとか、家に引きこもっているとか、進学したいのにできなかったなど、切実な声が寄せられてきました。
 そこで、きょうは、特別支援学校を卒業した生徒の進路について質問します。
 特別支援学校を卒業した生徒たちの進路について、障害種別にお答えください。

○増田指導部長 平成三十年度公立学校統計調査の状況別卒業者の区分では、視覚障害と肢体不自由では、進学者、専修学校等入学者、社会福祉施設入所、通所者、就業者、在家庭者となっております。
 聴覚障害では、進学者、社会福祉施設入所、通所者、就業者、在家庭者でございます。
 知的障害では、進学者、専修学校等入学者、社会福祉施設入所、通所者、就業者、在家庭者、その他でございます。
 病弱では、専修学校等入学者、在家庭者となっております。

○とや委員 統計書を見ますと、障害の種別によって、進路が大きく異なっていました。特に進学率についていえば、知的障害の子供たちについては、極端に低くなっているのがわかりました。
 そこでお聞きしたいのですが、知的障害を持つ子たちの進学率の過去五年間について教えてください。また、進学率が低い理由を示してください。

○増田指導部長 知的障害のある生徒の過去五年間の大学及び短期大学等への進学率は、平成二十七年度から平成二十九年度につきましては、それぞれ〇・一%、平成三十年度は〇・二%、令和元年度は〇・一%となっております。
 各学校で、個々の生徒の進路希望や保護者の意向などに応じて、大学及び短期大学等のほか、専修学校や公共職業能力開発施設、社会福祉施設等の多様な進路先の中から、自身の適性に合った選択を行えるよう適切に指導している結果と捉えております。

○とや委員 なぜこんなに進学率が低いのか、受け皿の問題もあるのかもしれません。盲学校やろう学校の生徒の進学先として、専攻科の整備がこの間、進んできたけれども、養護学校については専攻科の設置がおくれているとか、全国では、鳥取大を除けば八校が私立だとかいう例も資料で拝見させていただきました。
 もっと学びたいという生徒の要求に今の制度が応えているかというと、そういう環境にはないというふうに思います。
 一方、就労はどうか。東京都は、高等部の生徒の就労にかなり力を入れている学校が多くて、目標も立てて就労の準備を三年間で行っている学校もありました。
 先ほどの青鳥特支は一般就労に力を入れて、就労率の目標三〇%を定めていました。王子特支も、希望者全員就労、一〇〇%にしていたり、そういった例がたくさんありました。
 就労率が上がることそのものは悪いことではなくて、目標を持っている生徒にとっては、モチベーションを維持し、就労の準備をしていると思います。
 そうした生徒の要求に応えていくという点でいえば、東京都の特別支援教育推進室には就労支援員が配置されていると聞いていますが、体制と役割、実績についてお答えください。

○増田指導部長 特別支援教育推進室には、会計年度任用職員として六名の東京都就労支援員を配置しております。
 職務内容は、民間企業を活用した企業開拓に関すること、理解啓発事業、キャリア教育、職業教育の充実、職場定着状況調査や就労状況調査などの調査研究、関係機関との連携、その他特別支援教育の推進に関することでございます。
 毎年、実習先や就労につながる新たな事業所を開拓し、学校への情報提供を行うなどの実績を上げております。

○とや委員 いろいろ効果を上げているということですが、そういう中でも、就労しても、うまくいかなくてやめてしまうという人もいるというふうに思いますが、そういった実態は把握されていますでしょうか。

○増田指導部長 特別支援学校では、各学校において、卒業後、おおむね三年間、進路先における卒業生の職場への適応状況などを把握し、必要な定着支援などを行っております。

○とや委員 支援をしているということですが、知的障害の特別支援学校の高等部を卒業しても、もっと学びたいという生徒の希望が多くあるというふうに聞いています。
 こういった希望はどのように受けとめ、援助をしているでしょうか。

○増田指導部長 特別支援学校では、進路指導主任を中心に、進路指導部などに所属する教員が、上級学校や福祉事業所などを含め、多様な進路先の中から生徒の適性に合った進路選択がなされるよう、個に応じた指導を行っております。

○とや委員 多様な進路先があるということですが、その中で、私がお話を聞いたのが自立訓練事業所です。一回就労したけれども、うまくいかなかった子たちなんかが来ているのですが、ここに通って、自己紹介もできなかったがシンポジウムのパネリストまでできるようになった人、困ったことがあったら、すぐ相談できるようになったと。練馬にあるんですけれども、その事業所はMore Timeねりまさんというのですが、仕事をしているときはつらかったけれども、ここに来て笑顔がふえたなど、たくさんの成果が報告されています。
 一般就労だけでなく、自立訓練など、生徒の学び、そして自立を組み合わせた事業所なども、選択肢として、都教委は認めていらっしゃるでしょうか。

○増田指導部長 特別支援学校における進路指導では、自立訓練事業所を含め、多様な進路先の中から生徒の適性に合った進路選択がなされるように、個に応じた指導が行われております。

○とや委員 個に応じた指導が行われているということです。
 私はぜひ、卒業後の進路にはさまざまな進路があるということを、保護者や生徒に情報提供していただきたいと思っています。
 これは、まだまだその情報提供が不十分であるという声があるから申し上げています。いかがでしょうか。

○増田指導部長 特別支援学校では、学校、企業や福祉事務所などの多様な進路先の中から自身の適性に合った選択ができるよう、保護者会の開催や進路便りの配布などにより、生徒や保護者に進路先の情報提供を行っております。

○とや委員 ぜひお願いしたいと思っています。一般就労だけでなく、さまざまな進路選択を十分に保障すべきと考えます。
 この認識を最後にお聞きしておきたいと思います。いかがでしょうか。

○増田指導部長 生徒の自立と社会参加を促すためには、学校、企業や福祉事業所などの多様な進路先の中から自身の適性に合った選択ができるよう、丁寧な進路指導を行う必要があると考えております。

○とや委員 丁寧な進路指導を行う必要があると考えているという認識を示していただきました。
 この質問をするに当たって、私は、地元の自立訓練事業所の方に伺わせていただきました。ここに通ってくる学生さんたちは、休み明けの調理実習のために買い物を終えたところで、みんなで買ったものを確認していたり、自立に向けて生活訓練をして、人格形成のための経験も積んでいく、そうした作業をしていました。これらをしていくためには大変時間がかかるというふうに思います。
 この事業所では、性教育や多様性を学び、自分らしく生きることを学んでいきます。また、生活の基礎を知り、調理などを通じて主体的につくることを学んでいく。さらに、意欲を持って働くことを学ぶために、将来の夢を語ったり、職場見学も行っています。人生を豊かにするために、文化や教養を身につける講座も開催をしています。希望者は、文科省の補助事業である生涯学習にも参加ができます。多種多様なプログラムを体験することもできるわけです。
 今、取り組みの一部を紹介したのですが、障害を持っている生徒たちの自主性や、あるいは人格形成を育むための時間は、高校の三年間で本当に足りるのだろうかと思いました。ぜひ一人一人の個性や気持ちに寄り添える特別支援教育を実施していただきたいと思います。
 この事業所の保護者の方で、理事の方がとったアンケートがありました。その中では、各教育機関の連携について、在籍学校別では、進路希望につながるような教育内容や環境等への配慮がされているかという中で、ほとんどされていない、全くされていないとお答えになった方が五割近くいらっしゃった。それから、教育期間の延長を希望している人は九割もいました。
 そういったことを考えても、もう少し学んでいたい、自己実現のために時間が欲しいという子供たち、保護者もたくさんいらっしゃいます。それらの希望にぜひ応えていただくことを要望しまして、質問を終わります。

○内山委員 私からは、教育庁の主要事務事業の概要というところの中、もしくは、このコロナ禍においての子供たちへの総合的な影響というものを勘案して質疑をさせていただければと思います。
 まず、この主要事務事業の概要という中で、新型コロナウイルス感染拡大によって事業が中止になったもの、もしくは規模縮小になった、何らかの影響が起きたものというのがかなり多く書かれていまして、数を数えてみると六十七ということでありました。
 このように多くの事業、本来必要だと思われているから、令和二年、予算を組まれて、そして、この事務事業を設置されたというふうに思いますが、それが何らかの形でできなかったということを考えると、子供たちの育ちや学びというところに、さまざまな影響が出てくるというように考えられると思います。
 まず、お聞きしたいのが、都教育委員会が各事業の中止や変更をどのように判断して決定をしたのでしょうか、お伺いしたいと思います。

○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今年度、各学校は、春休みから五月末までの間、新型コロナウイルス感染症の影響による臨時休業を行っておりました。六月以降、段階的に学校を再開するとともに、子供たちの安全を確保しながら教育活動を行っております。
 こうした状況を踏まえ、都教育委員会の事業につきましては、時期が臨時休業期間に重なったものや海外への渡航を伴うもの、展覧会やコンテスト、シンポジウムなど、三密の回避や安全な実施が困難なものにつきましては、原則中止といたしました。
 一方、高大連携事業、研究指定校事業など、実施時期をずらす、規模を縮小するなど、実施方法等を工夫することによって感染の危険を小さくすることができるものにつきましては、子供たちの安全や学校の状況を考慮しながら実施することといたしました。

○内山委員 また一方、学校においても、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けて、中止したような活動というのは、さまざまあろうかと思います。
 子供たちの学びの保障、これは、よくメディアでも出されていたのが、各学校が標準授業時数を確保するために、さまざまな行事を削ったりとかしながら頑張っているというのは見たことがありますが、私が今申し上げている学びの保障というのは、そういった標準授業時数という狭義のことではなくて、総合的な子供たちの学び、育ちという意味で申し上げています。
 この学びの保障のために、それらの中止や変更した教育活動については、何らかの補完をしていかなくてはならないというように思っていますが、そのあたりの見解をお伺いしたいと思います。

○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 学校再開に当たりまして、都教育委員会は、各学校の年間指導計画などの見直しに役立つよう、各教科等の指導内容の重点化や、学校行事の見直しの例などを示しました。各学校は、都教育委員会が示した例などを参考に、年間指導計画などの見直しを行ったところでございます。
 中止または変更になった教育活動につきましては、その活動で子供たちに育成する予定であった資質や能力を確実に身につけさせるため、感染症対策の徹底を図りながら、さまざまな工夫を講じるなど、学びの充実に取り組んでいるところでございます。
 また、都教育委員会は、都立学校の学校行事について、十二月まで原則延期または中止としておりましたが、一月以降は、感染状況を踏まえ、可能な範囲で実施できることとし、その旨を、九月に都立学校と区市町村教育委員会に周知いたしました。
 今後とも、学校における感染症予防と教育活動の両立が図られるよう、学校を支援してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。
 私が結構、危惧しているのは、例えば経済活動が停滞したもしくは影響があったとなると、ゴー・ツー・キャンペーンに象徴されるような、何らかの感染がおさまってきたもしくは感染が終わって終息した後に、それまでの負の影響を何とか取り戻そうという中で対策が出されるわけなのですが、子供たちの学びに関して申し上げると、感染拡大を防止しながら、注意をしながら、できる限りのことをやっていきますというような対応はよく耳にするのですが、じゃ、そこまでに子供たちが--先ほど申し上げたように、標準授業時数が足りないとか、そういう細かな意味ではなくて、狭い意味ではなくて、さまざまな学びの環境というものが制限されている中で、それをどうやって今後取り戻していくかというのは、私はかなり難しい部分があるんじゃないかなと思っています。
 そういった中で、次にお伺いしたいのは、コロナ禍における子供たちの、児童生徒の問題行動等についてお伺いしたいと思います。
 例年、児童生徒の問題行動、例えば対人暴力だとか対物暴力だとか、そういった幾つかの問題行動というものが調査をされているわけでございますが、新型コロナウイルス感染症の対策の影響によって、学校における子供たちを取り巻く環境というのは、非常に厳しい状況にあるというように思っています。
 そんな中で、現在の子供たちがどういう状況にあるのかという認識と、また、この子供たちを支えるための学校や都教育委員会の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○増田指導部長 感染症対策で、談話をしながら昼食を食べることができない、校外学習や宿泊行事が延期または中止になるなど、人とのかかわり方や体験的な活動等に制約がある中、多くの子供が、通常とは異なる不安や戸惑いを抱えております。
 子供たちが充実した学校生活を送ることができるようにするためには、子供の実態を捉えた上で適切に対応していくことが重要でございます。
 各学校では、運動会を学年ごとに分けて実施したり、修学旅行を宿泊先での部屋割りに配慮して計画したりするなど、三つの密を避けることを徹底した上で、学びの充実に向けてさまざまな工夫をしております。
 また、都教育委員会は、子供が記入するアンケート例を示し、学校の臨時休業明けに教員が全ての子供のストレスの状況を把握し、必要な支援を行うとともに、スクールカウンセラーとの面接を、まずは心配な様子が見られる子供から優先して行いつつ、年度内に小学校五年生、中学校一年生、高校一年生の全員と行うように求めたところでございます。
 その後も、学校が保護者や関係機関と連携して適切に子供を支えることができるよう、子供の変化に気づくためのチェックリスト等を示した保護者向けの資料を作成し、その活用を促しております。
 また、都教育相談センターが二十四時間受け付けている東京都いじめ相談ホットライン等の相談機関の連絡先を、子供や家庭に繰り返し案内しております。

○内山委員 通常、例えば問題行動等の調査だとか、この後、質問させていただきますけれども、不登校の調査だとか、いじめの調査、さまざまな学校現場の調査というのは、今、令和二年ですけれども、この令和二年度の状況が出てくるというのは、大体、令和三年の今ぐらいなんですよね。なので、一年後になってから、その状況というのがわかってくるわけです。
 しかし、コロナで子供たちはさまざまな影響を受けているわけで、それが一年後になってからわかるというのでは、対策としては、もう後手後手になってしまうという中においては、今答弁があったように、子供たちにアンケートをとって、その状況をしっかりと把握した上で対策を打っていくというのは極めて重要かと思います。
 私、ちょっと驚いたのは、兵庫県の教育委員会が子供たちにアンケートをとった中で、低年齢ほど影響が出たということでした。よくよく考えてみれば、当然かなという気もするんですね。例えば保育園の時代なんかでも、環境が変われば、子供たちはすぐ、ぐずってしまったりとか、いろんなことが起きてくるわけですから、低年齢、ここには、小学校一年生から三年生の子供たちは一割以上、一〇%以上の子たちが、毎日なかなか眠れないとか、心理的な影響が出たということが出ています。
 一割強というと、そんなに多くない数のようにも見えるかもしれないですけれども、例えば、この後申し上げる不登校の出現率だとか、教室の中で、さまざまな支援が必要な子供たちというのがもし一割いたとしたら、これは結構大変な問題だと思います。
 ですので、先ほどの答弁の中では、小学校五年生、中学校一年生、高校一年生ということでありましたが、ぜひ低年齢も含めた全学年に向けての心配り、調査というものも意識していただきたいと思います。
 続きまして、不登校についてお伺いをしていきたいと思います。
 私もこの間、毎回のように、この不登校については質問させていただいてまいりました。
 ようやく令和元年度の状況というものが出てきたわけですが、この数字というのが、中学校においては出現率が四・七六%、そして、復帰率が中学校においては一五%になった。
 これはどういうことかというと、出現率は、大体、平成二十四年あたりからずっと右肩上がりに上がってきていて、もともとは二・七六%ぐらいだった。これが右肩上がりに上がってきて、ついに二・七六から四・七六%ということで、四十人学級であれば、平均で約二名の子供が中学校では不登校になっているということなんです。
 ちょっと皆さんの、我々もそうかもしれない、中学校時代を思い出してみていただけるとわかると思うんですけれども、各クラスに平均で二名、不登校の生徒がいるというのは、私は、少なくとも二十五年ぐらい前かな、私の中学校生活を思い返してみると、ちょっと考えられないなと思うんです。それが今の現状です。平均なので、もちろん出現率が低い自治体もありますから、そう考えれば、平均で一クラスに三人、四人いてもおかしくない自治体もあるというのが現状です。
 一方で、学校の復帰率というのは、おおむね二〇%台でこれまで推移をしてきたわけですが、いよいよ、この令和元年は、がんと落ちまして一五%ということで、本来は--もちろん不登校に対する考え方というのは人それぞれです。不登校になってしまったから、すなわち、もうだめなんだとか、何とかしなきゃいけないということではないというのは前提に置きながら、一方で、どんどんどんどん右肩上がりに上がっている出現率と、右肩下がりに落ちてきている学校の復帰率、また、その子供たちをしっかりと捕捉を--捕捉というのは、どういう状況にあるのかというのをしっかりと分析できているかというと、残念ながら、各市区町村は分析もできていないということを考えると、この出現率というのは、やはり抑えていきながら、復帰率を上げていきながら、一方で、その中でも、受け皿になるフリースクールだとか、そういったところをふやしていかなきゃならないというのが基本的な考え方かなというように思っています。
 そういった中で、都内の公立の小中学校の不登校児童生徒、また、不登校出現率が増加を続けていることや、学校復帰率が低下をしていることについての都教育委員会の見解を伺いたいと思います。

○増田指導部長 都内公立小中学校における不登校の児童生徒数が増加を続けている実情として、毎年、不登校の状態が解消される児童生徒がいる一方で、その人数を上回る不登校児童生徒が新たに加わっていることが挙げられます。
 こうした実情から、不登校を未然に防ぐためには、学校が児童生徒にとって安心でき、自己存在感や充実感を感じられる場であるとともに、日々の授業や行事等で活躍でき、互いに認め合える場となるよう、新たな不登校を生まない魅力ある学校づくりを進めることが大切でございます。
 また、不登校の児童生徒に対しては、学校復帰や社会的自立に向け、保護者や関係機関等と連携して、一人一人に寄り添った継続的な支援を行うことや、区市町村が設置している教育支援センターの取り組みを充実させたり、フリースクール等との連携を推進したりして、学校以外の学びの機会を確保していくことが重要であると考えております。

○内山委員 ありがとうございます。
 この後、フリースクールについてお伺いをしようかと思ったのですが、伊藤委員より、かなり詳細な質疑がありましたので、私からは、質問は割愛をさせていただきたいと思いますが、フリースクールに関しては、もともとは、その存在自体も、なかなか行政としては認められないというところから、情報提供したり、連携をしたりというところまで来たというのは大きな進歩ではないかなと思っています。
 ここから先は、やはり経済的に困難のあるご家庭が、お子さんたちが、しっかりとフリースクールに通えるかどうかというところになってくると思います。こういったところは、引き続き、ぜひご検討いただきたいなというように思っています。
 それで、この不登校の状況、要因というものが分析をされていまして、大きく分けると、いじめを除く友人関係をめぐるトラブル、問題というのが、中学校ベースで二千六百で、学業の不振というのが二千ちょっとですね。そして、無気力、不安というのが、突出して五千二百。
 なぜ無気力と不安が一緒なのか、私はちょっとよくわからないんですけれども、これはぜひ文科省にも確認していただきたいと思うんですけれども、無気力と不安は全く違いますので、これはぜひ確認をしてもらいたいなと思います。
 そういった中で、教員がこれらの要因を理解して、その解決を図ることで不登校を減らすことができる。すなわち、不登校の対策というのは、不登校の対策ではなくて、例えば、学業の不振の対策を打つことができれば不登校が減っていくとか、もしくは、友人との人間関係というものを構築していくことができれば不登校が減っていくとか、もしくは、不安を抱える子供たちが多いのであれば、その不安をどうやって解消していくことができるのかということをすれば、不登校の対策になっていくという性格のものだと思います。
 そういった中で、都教育委員会の取り組みをお伺いしたいと思います。

○増田指導部長 都教育委員会は、教員が、社交性、集団行動、学力、情緒など、子供一人一人の状況から不登校の要因や背景を把握し、適切な支援を行うことができるよう、児童・生徒を支援するためのガイドブックを作成し、平成三十一年三月に都内全ての公立小中学校に配布いたしました。
 昨年度は、都教育委員会の指導主事等が区市町村教育委員会や学校主催の研修会を訪問し、このガイドブックの効果的な活用について指導助言を行うなどしてまいりました。
 また、今年度は、各学校が魅力ある学校づくりに向け、このガイドブックを有効に活用できるようにするための教員研修キットを開発し、区市町村教育委員会を通して学校に配布する予定でございます。

○内山委員 ありがとうございます。このガイドブックに関しては、私も見させていただきまして、第二回定例会の中では--まあ、よくできているガイドブックだなというように私も思いました。しかし、一方で、魅力ある学校づくりというところに関しては、全体のページ数からすると、少し少ないなというのが私の感想でした。
 今のご答弁をいただいた中でも、やはり魅力ある学校づくりをしていくというのが、これは単純なようで、私は、かなりここが肝になって難しい部分かなとも思いますので、ぜひそのあたりも含めて、各市区町村の支援というものもしていっていただければなというように思っています。
 その中で、まずは、学業の不振という不登校の要因というものがありました。その中で、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトと絡めて、この学業の不振というところを質問していきたいなと思います。
 この間も、るる、ほかの委員の皆さんから質疑があったように、小中学校で、来年度からは児童生徒一人一台端末というふうになっていきます。その中で、当然、端末が、ただ単純に教科書がデジタルになったというような、ある種、都議会のような使い方ではだめなわけですよね。(「そうだ。そのとおり」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 これからの5G、ソサエティー五・〇の中で、どうやってその端末をフルに活用して子供たちの教育環境を本当に抜本的に変えていくか。まさに首都東京ですから、他の道府県の取り組みを見るのも大事ですけれども、世界的に東京の教育をリードしていくというのは、やはり私は重要ではないかなと思っているんです。
 そういった中で、今回は、臨時休業とかというものに対応するために、オンラインでご家庭でできるために、GIGAスクール構想の中で前倒しをして、今年度中に一人一台ということになったわけですが、オンラインができることも大事なんですけれども、本質的なICT教育というのはそこではないわけです。
 ですので、AI教材だとか、もしくは反転授業だとか、そういったさまざまな取り組みというのが今後できると思うのですが、一人一台端末で目指す教育の方向性と今後の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○岩野企画調整担当部長 都教育委員会では、ソサエティー五・〇の時代に向け、子供たちの力を最大限に伸ばすため、教育のICT化を強力に推進するTOKYOスマート・スクール・プロジェクトに取り組んでおります。
 この中では、一人一台の端末と高速大容量の通信環境、クラウドを利用する統合型学習支援サービスを活用し、知識の定着を着実に行うとともに、探求的な学びの充実を目指しております。
 具体的には、教員は、学習課題やウエブテスト等を配信し、生徒が取り組んだ学習記録により、個々の学習の進度を容易に把握できるようになります。そして、子供たちは、自分のペースに合わせて知識の定着を図ることができます。
 探究的な学習では、課題に対して、ICTを活用し、調査内容の情報共有やそれに基づく意見交換、さらには、子供たちがクラウド上での調査結果を整理して発表するなど、子供同士の協働した学びを効果的に行うことができます。
 現在、ITCを活用した学びの普及に向けた取り組みを進めており、今年度、都内全公立学校に向けて、オンライン学習推進のための指導者講習会を実施するとともに、すぐれた事例を集め、学校向けに配信をしております。
 今後、ICTリテラシーの向上を図るリーフレットも配布し、教員の活用能力を引き上げ、ICTを活用した新しい学びの充実に取り組んでまいります。

○内山委員 ありがとうございます。ぜひ、今のご答弁の内容が、現実的に現場のICT環境、教育を後押ししていくことができるように私も期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、先ほどの不登校の要因の中にありました、いじめを除く友人関係をめぐる問題、もしくは無気力、不安、こういったところにどういった学びの環境が影響しているのかという中で、その一つにおいて、子供たちの体験活動の充実というものが図れるかと思います。
 自然環境もしかり、また、さまざまなロールプレーイング的な体験もしかり、こういった体験活動を提供する施設としては、東京都は、高尾の森わくわくビレッジが唯一ある状況であると思いますが、まずは、このコロナ禍において、この利用状況がどうなっているのか、また、その認識についてお伺いしたいと思います。

○田中地域教育支援部長 高尾の森わくわくビレッジの利用状況について、令和二年四月から九月までの上半期においては、対前年度比で、宿泊施設利用者は約八七%減、その他、文化、学習施設等の利用者は約八〇%減となっております。これは、主に新型コロナウイルス感染症による影響であります。
 こうしたことから、利用者の確保に向けては、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底することが重要だと認識をしております。
 現在、事業者において、施設の提供を行うに当たり、換気、消毒、活動施設ごとの定員の削減など、新型コロナウイルス感染防止対策を実施しております。
 五月二十八日から一部営業を再開、六月一日からは全館営業を再開し、ホームページ、広報紙等による事業告知も行っております。
 また、体験活動を提供する場合においては、定員やプログラム内容を変更するなどの利用者の安全・安心の確保の工夫により、利用者の確保に努めております。

○内山委員 ありがとうございます。
 都民の皆さんもしくは都内の子供たちの体験活動の全てを、このわくわくビレッジで担っているわけでは当然ないわけです。
 しかし、一方で、このわくわくビレッジの状況を見れば、今ご答弁いただいたように、宿泊利用は約八七%減、施設利用、日帰りとかも含めて八〇%減ということを考えると、壊滅的なわけで、これはしようがないんですよ。緊急事態宣言のときとか、閉めていた時期もあるので仕方ないのですが、これが現状ということです。一部ではあるけれども、大体、どこの施設を見ても似たような状況ですよ。
 さらに、今まさにご答弁があったように、今、利用再開をしているとはいえ、じゃ、これからフルスペックでできるかというと、そういうことではなくて、感染拡大がちょっと懸念されるようなところはオープンにできないですし、ほかのところも定員を削減しながら実施をしていくということで考えると、やはりこのコロナ禍において、社会教育分野における子供たちの体験活動の機会というのは、かなり減少というか、激減しているというふうに思っています。
 その点について、まず、東京都の見解を伺いたいと思います。

○田中地域教育支援部長 子供たちが異年齢や異世代の人々とかかわりながら多様な体験活動を経験していくことは、自立心や社会性を育む上で大きな効果が期待できるものでございます。
 社会教育分野における体験活動は、区市町村、NPO団体など、さまざまな主体が自主的に事業を展開しております。コロナ禍における体験活動の実施状況の全貌は把握をしておりませんが、中止、延期等を余儀なくされている活動も少なからずあると認識をしております。
 現在、こうした体験活動の取り組みを進めていくためには、新型コロナウイルス感染防止対策を講じ、子供の安全・安心の確保の工夫をした上で実施していくことが必要と考えます。
 都教育委員会では、生涯学習、社会教育関連情報に関するポータルサイトを設置し、都民に対する情報提供を実施するなどして、社会教育分野における体験活動を支援しているところでございます。

○内山委員 ありがとうございます。一点だけ、ちょっと気になる答弁があったのが、中止、延期を余儀なくされている活動も少なからずあるという認識だと。壊滅的に本当に少なくなっていますので、ここはぜひ認識を改めていただきたいなと思っています。
 ここに関して、やはり、これまでも、例えば文科省が体験の風を起こせとかというキャンペーンをしたりとか、子供たちのさまざまな体験活動が、今、特に都心部においては少なくなっているというような指摘を受けて行ってきている中で、今、さらに壊滅的な状況になっているということであります。
 ぜひそういったところもご認識をいただきながら--私自身は、ほかの道府県の施設を見たときに、東京都ほどの規模の自治体で、かつ、ある種、自然環境が他の道府県に比べて少ない都であるにもかかわらず、例えば、こういう自然体験の施設が都内に一個しかない、都外には一個もないというのは、これはかなり十分ではないというか、足りない部分があると思いますので、このコロナ禍においての子供たちの体験活動というもののご認識も含めながら、ぜひ今後検討していっていただきたいなというように思っております。
 続きまして、課題解決に向けた実践力を育成する教育についてお伺いをしたいと思います。
 いわずもがなでございますが、主体的、対話的で深い学び、アクティブラーニングというふうにいわれておりますが、こういった学びの方法が、小学校では今年度から、中学校では来年度から、高校では令和四年度から、年次ごとに全面実施となっていきます。
 こうした学びを通して、児童生徒は、他者と協働しながら課題を解決するために必要な思考力や判断力、表現力を育むということが求められていきます。
 こういった中で申し上げれば、このアクティブラーニング的な教育手法だとか、もしくは、そこで育まれる子供たちの能力を考えると、これもやはり、総合的な生きる力という意味においては、不登校の対策にも資するのではないかなというように私は思っております。
 その中で、各学校において、児童生徒の課題解決に向けた、まさに実践力を育成する教育が推進されるようになるため、昨年度、都教育委員会はどのような取り組みを行ってきたのか、お伺いをしたいと思います。

○増田指導部長 都教育委員会は、昨年度、都立学校の教員や区市町村教育委員会の担当者を対象に学習指導要領説明会を開催するなどして、各学校において主体的、対話的で深い学びを実現し、課題を解決するために必要な資質、能力を児童生徒に身につけさせるための教育が適切に実施されるよう、新学習指導要領の趣旨や内容について周知、啓発を図ってまいりました。
 また、都内公立学校から選抜された教員が各学校種や教科等別のグループに分かれて授業力の向上を目指す東京教師道場において、児童生徒が課題解決に必要な思考力、判断力、表現力等を身につけさせるための授業実践を行うことなどを通して、学校における授業改善を支援してまいりました。
 さらに、都立高校の中からアクティブラーニング推進校三十校を指定し、生徒が問題を見出して解決策を考えるなどを重視した指導のあり方について研究を行い、その成果を資料にまとめ、他の学校に周知いたしました。
 こうした取り組みに加えまして、持続可能な社会づくりに向けた教育推進校に指定した小中高等学校、特別支援学校十五校において、自然環境や地球規模等の諸課題について、児童生徒が主体的に解決する授業モデルを開発するなど、社会的な諸課題に対応した資質、能力を育成する教育の推進を図ってまいりました。

○内山委員 ありがとうございます。
 引き続き、この主体的、対話的で深い学びの実現に向けてご尽力をいただきたいと思いますが、一点だけ、私が気になったことをお話しさせていただきたいと思うんです。
 この主要事務事業の概要の一九ページに、まさに今、私が質問させていただいた該当ページがあるんですが、一九ページの課題の解決に向けた実践力を育成する教育の推進の中に書かれていることは、持続可能な社会づくりに向けた教育推進事業だとか、もったいない大作戦の実施だとか、環境教育の推進というものが書いてあるんです。いってしまえば、SDGsのことがそこに書いてあるわけなんです。
 私自身、バッジもつけていますので、SDGsを推進していくべきだという立場にあるのですが、ここの子供たちに求められる課題の解決に向けた実践力を育成する教育というのは、何もSDGsをやることではなくて、さまざまな、今るるご答弁いただいた、子供たちの実践力をどうやってつけていくかということなんだと思います。
 もちろん、その究極的な目標の先にはSDGsがあるんだということは理解しますが、せっかく今ご答弁いただいたさまざまな取り組みがある中で、ここで書かれている内容については、認識がちょっと違うのかなということは思いましたので、指摘をさせていただきたいと思います。
 続きまして、教員に対する休暇制度等の周知についてお伺いをしたいと思います。
 ご案内のとおり、三月から三カ月間、臨時休校となりまして、六月から段階的に学校が再開をされてきました。
 その中で、学校現場は、先ほど申し上げた、標準授業時数をできる限り取り返そう、取り戻そうということで、例えば土曜授業であったりだとか、もしくは、夏季休業を短縮したりとかしながら、何とか子供たちの学びを取り戻そうという形で行っているわけです。
 そういった中で、当然、その変則的な運用というのは、先生方の働き方にも影響が出てくるというわけです。そういった中で、とりわけ初任者においては、休暇取得や週休の変更等について十分な知識がないという話も聞いています。
 初任者を含む教職員が、まさにワークライフバランスも含めて、学校現場で生き生きと働けるようにするためには、自分たちにどういった権利があって、どういった振りかえ手段があってというようなことをしっかりと理解した上で働いていくことが重要なんじゃないかなと思いますが、どういった取り組みを行っているのか、見解を伺いたいと思います。
 あわせまして、大体、管理職がそれを伝えていくというようなことが一般的だと思いますが、そこだけに頼っていくと、副校長の業務なんかは本当に膨大でありますので、人に頼った制度設計になってしまうと思います。ですので、そうではなくて、しっかりと何らかのツールをつくったりとか、そういったことでこういったところを埋めていく、間接的に管理職の業務を軽減していくということが必要かと思います。あわせまして、見解を伺いたいと思います。

○黒田人事企画担当部長 休暇や勤務時間の制度は、勤労者の最も基本的な勤務条件の一つであり、教職員自身のライフワークバランスはもとより、日々の教育活動の質にも影響を与えるものであります。
 休暇等につきましては、都で定める条例及び規則等に基づき、服務監督権者である区市町村教育委員会、校長及び副校長等が管理することとなっており、各学校においては、副校長等の担当者が、取得手続等につきまして、初任者を含む教職員に指導しております。
 都教育委員会はこれまで、全ての初任者に配布する研修テキストに休暇制度の概要を明示するほか、教職員への周知に活用できる、休暇制度の概要を担当者向け手引書に掲載するなどの対応を行っております。
 今後は、休暇制度等の適切な運用及びライフワークバランスの一層の推進を図るため、休暇制度等に関するわかりやすいリーフレット、資料を作成し、初任者を含む教職員に広く配信するとともに、都教育委員会ホームページに掲載することについて検討してまいります。

○内山委員 わかりやすいリーフレットの作成、資料作成ということを前向きに検討していただけるということで期待をしたいと思います。
 初任者の中には、副校長からそういったことを全く聞けずに、どう休暇をとっていいかわからないとか、もしくは、初任者が看護休暇をとったらまずいんじゃないかと副校長にいわれて戸惑ったとか、そういう信じられない声も、私のもとには寄せられています。ぜひ、そういったことが現場レベルで起きていかないような支援をしていただければなというように思っています。
 最後に、教員から声を集める仕組みについてお伺いをしたいなと思います。
 どうしても、パワーハラスメントなど、管理職との関係に悩みを抱える教員が後を絶たない状況がございます。分母と考えれば、決して多いわけではないかもしれませんが、そういった悩みを抱える、もしくは、その管理職が--現場では、よく教員の皆さんは、社長、社長というんですよね。それぐらい、やはり、かなり大きな影響力を持っています。
 その力というのが、いい方に発揮できればいいのですけれども、そうではない方向に発揮されていることもしばしばありまして、私のもとにも、そういった相談が毎年のように寄せられているのが現状であります。
 本来であれば、管理職が先生方を評価する制度だけではなくて、先生方も管理職を評価できるような仕組みがあれば、これは健全なパワーバランスがある程度は保てるのではないかなと思うのですが、そのあたりは、まだ少しハードルが高そうな感じを受けました。
 現在、そもそも、パワーハラスメントなどの管理職との関係性について悩みを抱える現場の教員が、どうやってそういった声を上げることができるのか、今どのような仕組みになっているのか、お伺いしたいと思います。

○浅野人事部長 悩みを抱える教員に対して、都立学校では学校経営支援センター、区市町村立学校では各区市町村教育委員会に設置した相談窓口等において、教職員からの相談を受け付けております。
 また、教職員は、第三者による相談窓口として設置されている人材支援事業団相談室の利用が可能となっているほか、都立学校教職員は、外部弁護士による電話相談窓口も利用できます。
 加えて、ことしの七月からは都立学校教職員、十月からは区市町村立学校教職員を対象に、都教育委員会においてパワーハラスメントのメール相談受け付けを開始し、教職員がより相談しやすい環境を整え、対応してございます。
 教職員が悩みを一人で抱え込まないよう、今後とも相談窓口の周知に努めてまいります。

○内山委員 一見、コロナとも関係なさそうな質疑をさせていただきましたが、もちろん、コロナは関係なく、こういったことは起きてくるわけですが、コロナ禍によってさまざまなところで余裕がなくなってくると、こういった課題もより顕在化しやすいという指摘も聞いています。
 ですので、なかなか難しいのは、先日、ある教員に伺ったのは、パワハラを行っている校長先生から、パワハラの場合はここに相談してくださいねというメールが流れてくる、相談できるわけないだろうみたいな、そんな話を私も受けました。
 なかなか難しい部分もあろうかとは思いますが、できるだけ、ご答弁にもあったように、より相談しやすい環境の整備というものを、先生方のご意見も伺いながら構築をしていっていただければなというように思います。
 るる質問をさせていただきました。先ほど、少しお話もさせていただいたとおり、経済が滞れば、そこに対して何とか喚起策をということはよくいわれるのですが、子供たちの学びの環境、育ちの環境には、どうも現状で何とか頑張っているというところでおさまってしまっているような気がしています。
 子供たちが、給食の時間、横一列になって、一言もしゃべらずに食事をする、もしくは、本来、学校教育というのは密をつくっていくような場であるにもかかわらず、そこを離していかなきゃならない。この難しさ、もしくは、子供たちのその中で育っている環境の厳しさというところにも、ぜひ引き続き思いをはせていただいて、子供たちの学び、育ちの大きな一端を担っているのが教育庁の皆さんだと思いますので、ぜひ私も期待しておりますので、気概を持って取り組んでいただきますよう、最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わりとしたいと思います。ありがとうございました。

○大場委員 教育庁所管事業の事務事業質疑に当たりまして、私から、二つの事業につきましてご質問させていただきます。
 まずは、国のGIGAスクール構想に関しまして、都内全公立小中学校へのPC端末整備の取り組みについてお尋ねいたします。
 新型コロナウイルス感染症拡大に伴いまして、二月二十八日、安倍総理からの全国一斉休校の要請がございまして、都内の公立小中学校では、三月二日から春季休業まで一斉臨時休業としました。その後、都内の感染状況を踏まえ、春季休業後、五月六日まで臨時休業が延長されました。
 また、四月七日の国の緊急事態宣言、四月十日の都における緊急事態措置、五月四日の国の緊急事態宣言や五月五日の都の緊急事態措置の延長を踏まえ、小中学校の臨時休業もさらに延長されたことは、皆さん、ご承知のことかと思います。
 小中学校の臨時休業が長期化に至ったことによりまして、子供たちの学習の継続が心配される中、東京都教育委員会では、家庭においてPC端末や通信環境が不足する子供たちに対し、それぞれの家庭でオンライン学習に円滑に取り組めるよう支援を進めてきておりまして、六月五日の本委員会では、我が党の柴崎議員から、都が調達するPC端末に関しまして質疑を行ったところであります。
 都内の公立小中学校では、今年度、令和二年度末までに、生徒一人にそれぞれ一台端末が整備される予定と聞いておりますが、さきの第二回定例会において契約案件とされておりました、都が買い入れました四万二千台の端末の調達目的につきまして、改めてお伺いいたします。

○岩野企画調整担当部長 新型コロナウイルス感染症拡大により、令和二年三月上旬からの学校の臨時休業が長期化する中、都教育委員会は、児童生徒の学びをとめないよう、ICTを活用し、家庭での学習を行える環境の整備を進めてまいりました。
 具体的には、区市町村教育委員会に対し、児童生徒の各家庭が所有する端末の活用を依頼するとともに、端末のない家庭に対しては、学校所有の端末を貸し出すため、必要となる経費の支援を行ってきたところでございます。
 このような取り組みをしても、なお不足する端末四万二千台につきまして、緊急対策として都が調達し、GIGAスクール構想による一人一台の端末が整備されるまでの間、区市町村教育委員会へ貸し出すこととしたものでございます。

○大場委員 ただいまのご答弁で、都で買い入れた四万二千台の端末については、国のGIGAスクール端末が調達されるまでの間を目途といたしまして、都から各区市町村の教育委員会へ貸し出しを行っているとのことがわかりました。
 次に、都からの貸し出し用端末の各区市町村での活用状況について、具体的にお伺いいたします。

○岩野企画調整担当部長 都教育委員会は、令和二年六月中旬以降、借り入れを希望した二十九の区市町村教育委員会に対し、調達した端末四万二千台につきまして、順次、貸し出しを行いました。
 区市町村教育委員会におきましては、小学校六年生や中学校三年生など最終学年の児童生徒へ端末を貸し出すなど、家庭での学習等に活用している例が見られております。
 また、新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者等、登校できない児童生徒に端末を貸し出し、家庭で授業が視聴できるよう、授業動画を配信している事例もございます。
 さらに、GIGAスクール構想による一人一台の端末が整備されるまでの間、ICTを活用した取り組みを進めるため、情報教育推進校に端末を配備し、端末を活用した授業での実践を積み重ね、学校間でノウハウを共有している事例がございます。
 都教育委員会は、区市町村教育委員会に対し、いかなる状況においても学びが継続されるよう、授業等におけるICTの活用を促してまいります。

○大場委員 都が買い入れました端末につきまして、希望する区市町村への貸し出しが円滑に進んでいること、また、各区市町村の実情により学校や家庭に貸し出されており、その実例が積み上げられていることがわかりました。
 国のGIGAスクール端末が整備されるまでの間、都から貸与された端末が十二分に活用されて、小中学校におけるオンライン学習の実践例がふえ、子供たちの学習機会が確保されることを期待しております。
 さて、その端末ですが、四万二千台でございますので、学校現場の教員の方々からは、その端末を有効に活用してオンライン学習を適切に実施していくためには、ハード整備だけでなく、ソフト面からの整備として、ICT支援員によるサポートが不可欠であるとの声が聞こえてきております。
 そこで、各小中学校におけるICT支援員の確保に当たり、都の教育委員会による区市町村教育委員会に対する支援について具体的にお伺いいたします。

○岩野企画調整担当部長 都内公立小中学校における一人一台端末の整備に当たり、端末導入後、授業等でのICT機器の活用が効果的に進むよう、都教育委員会は、区市町村教育委員会に対し、端末導入時のICT支援員の人件費について補助することとしております。
 この補助制度は、端末導入後一年間、一校当たり一名の支援員の配置に係る人件費の四分の三を都が負担するものでございます。
 本制度を活用し、支援員の導入が進むことにより、教員のICTスキルの向上や、授業においてICT機器の効果的な活用を進めていくことが可能となります。
 都教育委員会は、区市町村教育委員会に対し、引き続き本補助制度の活用を促し、ICTの活用を推進してまいります。

○大場委員 ありがとうございました。都内の全公立小中学校において整備される一人一台の端末が有効に活用され、オンライン学習を効果的に推進していくために、各区市町村教育委員会に対し、お話のICT支援員人件費補助を積極的に活用していただいて、早期の配置が実現できるように努力していただきたいと強く要望させていただきます。
 次に、主要事務事業の概要の八七ページに書かれておりますスクール・サポート・スタッフ配置支援事業についてお尋ねします。
 教員の長時間労働が看過できない状況となる中、これまで都の教育委員会は、学校における働き方改革を進めるために、さまざまな取り組みを実施してきました。
 都立学校におけるカードシステムの活用や、区市町村の小中学校におけます出退勤管理システム等の導入費用の補助など、ICTを活用した在校時間の把握、また、部活動指導員等の外部人材の活用を進めることによる教員の業務負担の軽減の取り組みなどにより、その効果が徐々にあらわれてきておりまして、いわゆる過労死ライン相当の教員の割合が減少するなど、改善が見られている状況であると伺っております。
 しかしながら、国が定める上限である月四十五時間を超える時間外労働にまで至っている教員は依然として存在しておりまして、引き続きの取り組みが望まれております。
 特に外部人材の活用は、直接的に教員の業務を支援するものであり、その効果は大いに期待されます。
 そうした取り組みの一つでありますスクール・サポート・スタッフ配置支援事業は、必ずしも教員でなくてもできる業務について、それを教員のかわりに行う職員を配置するという事業でありまして、今年度予算額は二十七億円と、大変大きな事業でございます。
 そこでまず、スクール・サポート・スタッフ配置支援事業の内容について、改めて具体的にお伺いいたします。

○浅野人事部長 スクール・サポート・スタッフ配置支援事業は、教員の業務負担の軽減を図り、児童生徒への指導や教材研究等に注力できる体制を整備するため、授業準備等をサポートする人材の公立小中学校への配置を支援する事業として、平成三十年度に開始いたしました。
 本事業では、区市町村が地域人材等からスタッフを雇用して小中学校に配置した際に、その人件費を全額補助しております。

○大場委員 ありがとうございました。
 本年三月より、都内の公立の小中高等学校が臨時休業となりましたので、オンライン学習はございましたが、学校再開後の現在、各学校では、授業のおくれを取り戻すべく、教員は、感染防止に留意しながら教育活動を実施しなければなりません。
 こうした厳しい環境にありましても、教員がしっかりと子供たちに向き合い、子供たちへの教育、学びを保障する指導体制を確保していくことが重要でありまして、この事業を担うスクールサポートスタッフは、現場の教員にとって、児童生徒への指導などに注力できるための大変ありがたい存在ではないかと考えます。
 そこで、スクール・サポート・スタッフ配置支援事業の今年度の実施状況についてお伺いいたします。

○浅野人事部長 令和二年度については、当初、五十一区市町村から千四百六十四人分の申請がございました。
 その後、新型コロナ感染症の拡大に伴う臨時休業からの学校活動の再開を支援するため、六月及び八月に追加募集を行いました。その結果、五十三地区、千六百九十二人分の申請となりました。
 さらに、現在、三度目の追加募集も行っているところでございます。
 学校においては、スクールサポートスタッフは、プリント等の印刷や教材作成支援に加え、消毒等の感染症対策にも活用されており、配置校からは、教員の負担が軽減され、児童生徒の指導や教材研究等に集中できるなどの声が聞かれております。

○大場委員 スクールサポートスタッフは、現在のコロナ禍においては、特に小中学校の教員の働き方にとって大きな支援になっていると思います。
 独自に外部人材を活用した取り組みが行われている区市町村もあるようですが、こうした都の事業も活用しながら、教員の業務負担軽減の取り組みが進められるよう、他の外部人材の活用の取り組みとあわせ、引き続き支援に努めていただきたいと思います。
 学校の働き方改革については、外部人材の活用のみならず、さまざまな取り組みを複合的に実施していくことが必要です。今後とも、しっかりと取り組みを進めていただくことを要望させていただき、私の発言を終わらせていただきます。

○河野委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩とさせていただきます。
   午後五時十六分休憩

   午後五時四十分開議

○河野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○谷村委員 では、初めに、三人のお子さんがいらっしゃるという多摩地域の方から、以下のようなお声が寄せられました。冒頭にご紹介させていただきます。
 我が家には未就学の子供がいます、今のままでは怖くて、とても学校に行かせたくありません、しかし、義務教育だから行かざるを得ず、常に体罰やハラスメントのリスクにさらされた状態で就学することになりますというのが結論ですが、まだ続きます。
 現在、教育現場での体罰やハラスメントが問題になっていますが、東京都を含めて、もう少し子供を守る取り組みが必要だと思います、特に、わいせつ行為については社会的に議論をされ始めているものの、体罰についてはまだまだ議論の余地があります、一度の体罰では、場合によっては訓戒等で終わることもありますが、一度でも体罰が行われれば即免職という強い判断を東京都教育委員会には採用してもらいたいです、大人同士でも手が出れば、仮に軽くたたいたとしても暴行扱いになります、それが教育現場では訓戒程度で終わってしまいます、小さな体に受けた心と体の傷を考えると、訓戒で終わるのは、余りにも大人に配慮し過ぎた判断ではないでしょうか、また、体罰も一度なら許される範囲かなと大人が考えているように見えてしまいます、また、体罰や子供へのセクハラに対しては、これ以上厳格に対処できないというレベルの対応を東京都教育委員会としてしていただきたいです、もちろん、体罰やセクハラと認定されるには十分な調査が必要です、ただ、明らかに蹴った、たたいたというものであれば、仮に一度であっても、また、それが軽傷と判断されるものであっても、即免職という対応をお願いしたいと思います、かなり極端な対応と思われるかもしれませんが、この決断を東京都教育委員会が示すことで、体罰やセクハラは絶対に許されないという意思表示になります、できることからやるではなく、まず、即免職ありきで議論を引っ張ってほしいです。まだもう少し続きます。
 また、教育現場の体罰やセクハラ防止策として、トイレや更衣室以外の防犯カメラ設置と、毎月、児童生徒に対して調査アンケートを行い、体罰やセクハラは行われていないか、面と向かってはいいにくい声を吸い上げてほしいですという、以上のような内容です。
 私も全面的に賛成です。ですから、ほぼ全文を取り上げさせていただきました。
 本来であれば、これから小学生になる、あるいは一年生になるお子さんも、本人も、この保護者の方も、希望あふれる成長の結果としての入学であるべきですが、ほんのわずかな一部の教員による不祥事が、学校に対するあるいは教員に対する大きな不信感を抱かせていることは事実であると受けとめざるを得ません。
 学校教職員の児童生徒に対する体罰やわいせつ行為につきましては、もはや報道されても驚かない時代に、残念ながらなってしまいました。
 都教育委員会として確認されている児童生徒に対する体罰とわいせつ行為、セクシュアルハラスメントの発生状況について、直近でわかる数値をお答えいただきたいと思います。

○浅野人事部長 平成三十年度に教職員が児童生徒に対し行った体罰は二十三件、わいせつ行為及びセクシュアルハラスメントは十七件発生いたしました。

○谷村委員 今、挙げていただいた数値につきましては、これは表に出ただけのものであって、表に出ていない実態がまだまだあるのではないかと、この方は指摘をされております。
 学校における体罰やわいせつ行為等は、現在、増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのか、ご認識をお伺いします。

○浅野人事部長 体罰については、教職員の体罰根絶へ向けた意識の高まりなどを背景に年々減少傾向にあり、発生件数は、平成二十四年度に百八十二件でありましたが、三十年度には二十三件となりました。
 児童生徒に対するわいせつ行為等については、年度によるばらつきが大きく、特段の傾向はございません。

○谷村委員 体罰については、教職員の体罰根絶へ向けた意識の高まりがあって年々減少傾向にあるのでしたら、わいせつ行為等についても、ぜひともこの意識の高まりをつくっていただきたいと思います。体罰ができて、わいせつ行為ができないというのは矛盾をしております。
 学校における体罰やわいせつ行為等の防止対策は、どのようにしておられるのでしょうか。

○浅野人事部長 都教育委員会では、都内全公立学校の全教職員に対し、体罰やハラスメントの防止に向けた校内研修を年二回実施するよう通知しております。
 また、年二回の校内研修とは別に、各学校では、管理職が事例や各種資料を活用しながら、繰り返しの指導を実施しております。
 さらに、管理職が授業の様子を観察したり、校内を巡視したりする中で、教員の体罰やセクシュアルハラスメントにつながりそうな言動について把握した場合は、適切に指導しております。

○谷村委員 寄せられたお声にもありましたが、体罰やわいせつ行為等を起こした教職員を免職にしないのは、甘いのではないかという声が強くあります。見解をお伺いします。

○浅野人事部長 教員が非違行為を行った場合、都教育委員会では、調査の結果、認定された事実について、行為の法令違反の有無や過去例に照らすなど、さまざまな角度から検討し、処分等の内容を決定いたします。
 検討の際には、体罰であれば、悪質性や危険性、常習性、被害者の傷害の程度などを、わいせつ行為等であれば、行為の態様、繰り返しの有無、被害者に不快感、恐怖感等を与えたかなどを勘案し、教職員の主な非行に対する標準的な処分量定に基づき、免職、停職、減給、戒告の処分を行います。
 例えば、教員が児童生徒に対し、同意の有無を問わず、悪質なわいせつ行為を行った場合は免職処分としております。

○谷村委員 体罰についても、あるいはハラスメントについても、免職、停職、減給、戒告の処分があるというのは、保護者から見れば、小さな体罰なら許される、小さなわいせつ行為ならば許されると受けとめられてしまいます。
 今ご答弁の中にもありましたが、常習性とか継続性という表現がありました。結局、体罰にしても、わいせつ行為等にしても、報道されるレベルになりますと、繰り返されているということが確認をされます。
 体罰による免職、停職、減給、戒告の処分の状況、わいせつ行為等による免職、停職、減給、戒告の処分の状況についてお答えいただきたいと思います。

○浅野人事部長 平成三十年度に処分した件数は、体罰を起こした教員に対し、停職五、減給五、戒告六の合計十六件であり、児童生徒を相手にわいせつ行為やセクシュアルハラスメントを起こした教員に対し、免職八、停職四、減給一の合計十三件でございます。
 体罰と比較し、わいせつ行為等の方が、より重篤な事態を招く悪質性の高い事故が多く発生したため、多くの免職処分に至りました。

○谷村委員 こうした処分を受けた教員が、他の道府県から採用であったり、一度教員をやめた人が、間違っても教員として採用されないようにすることが必要であると思います。
 このことに関し、先月三十日付で文部科学省から通知が行われたと聞いておりますが、その内容と都の今後の対応についてお伺いします。

○浅野人事部長 従来から文部科学省は、懲戒免職等に基づく教育職員免許状の失効等の情報を取りまとめた官報情報検索ツールを作成し、各都道府県教育委員会へ提供しておりました。これは、採用権者が免許状を持たない者を誤って採用することを防止する目的で行ってきたものでございます。
 今回の通知で、文部科学省は、免許状が取得できない欠格期間の三年間分に加え、過去五年間に免許状が失効等になった者まで対象を拡大しており、さらに、令和三年二月には、過去四十年間分まで情報を拡大する方向性を示しております。
 これは、採用時点における免許状の有無の確認に加えて、採用希望者が過去の懲戒免職処分履歴を秘匿して採用されることを防ぐために、同ツールを活用することなどを採用権者に求めるものでございます。
 都教育委員会では、この官報情報検索ツールを活用していくとともに、通知の趣旨を踏まえ、適切に対応してまいります。

○谷村委員 今ご答弁いただきました、官報情報検索ツールで四十年間分の懲戒免職処分履歴が残るということですが、四十年間分というと、もうこれは一生涯消せないということだと思います。この懲戒免職以外の処分履歴につきましても、都教育委員会として、あらゆる手だてを尽くして、しっかりと掌握をしていただきたいと思います。
 お寄せいただいたお声の中にもありましたが、児童生徒に、毎月、体罰やわいせつ行為等、教員からのいじめなどがないかを調査するというのは可能なのでしょうか。

○浅野人事部長 児童生徒に起きた体罰やわいせつ行為等に関する情報を学校が確実に把握するとともに、声を上げやすい体制を構築することが重要でございます。
 都教育委員会では、児童生徒の小さな変化に気づくことができるよう、児童生徒とのコミュニケーションを図る中で観察し、教職員間で情報共有を行う体制を整備することが早期の解決につながると考えております。
 各学校では、児童生徒に不安や悩み等がある場合に、学級担任のほか、スクールカウンセラーや養護教諭など、話しやすい教職員に相談を行うよう促しており、都教育委員会は、各学校が不適切な事案を把握した際、即時に報告を受けております。
 今後、各学校や区市町村教育委員会に対して、教員が児童生徒の小さな変化を見逃すことのない校内体制を整備するよう通知してまいります。
 また、児童生徒に対しては、学校以外の相談先にもためらわずに相談できるよう、ほかにも相談機関があることや、多様な相談方法があることを周知してまいります。
 加えて、身近にいる信頼できる大人にSOSを出せるよう、SOSの出し方に関する教育を推進してまいります。

○谷村委員 今ご答弁いただきました学校以外の相談機関や相談方法とは、具体的にどういうことでしょうか。

○浅野人事部長 学校以外に、例えば東京都教育相談センターにおいて、来所相談、電話相談、メールによる相談、SNS相談を行い、さまざまな悩みを抱える子供たちからの相談に応じております。
 また、区市町村教育委員会が設置している教育相談所や教育相談室においても、来所や電話、メールなどにより、子供や保護者からの相談に対応しております。
 教員との間で悩みを抱える児童生徒やその保護者がこのような相談先を活用することも、体罰やわいせつ行為等を確実に発見することにつながるものと考えております。

○谷村委員 私の知る限りでは、東京都の教員の皆様、また、教育行政にかかわっておられる皆様は、教育者として、また、人として大変に立派な方が多いわけですが、一部の程度の悪い教員のために、保護者の方から、また、社会から学校に対する信頼を失うことは大変に残念なことであります。こうした教職員を根絶するためにも、今後ともご対応をよろしくお願いいたします。
 次に、少人数学級について質問します。
 これまで都教育委員会は、小一問題や中一ギャップへの対応のため、小学校第一学年や第二学年、中学校第一学年での学級規模の縮小を行ってきました。また、指導工夫改善の教員加配を行い、少人数、習熟度別指導を推進しています。
 改めて、少人数、習熟度別指導の取り組みとその成果について、都教育委員会の見解をお伺いします。

○増田指導部長 都教育委員会は、少人数、習熟度別指導を推進するため、小学校での算数、中学校での数学、英語における指導方法や学習集団の構成の仕方などを定めたガイドラインを作成しております。
 各学校では、このガイドラインに沿って、児童生徒が基礎的、基本的な内容を確実に身につけていくための補充的な指導や、学習をより進めていくための発展的な指導など、個に応じた指導の充実を図っております。
 こうした取り組み等を通して、国の学力調査では、小中学校ともに、おおむね全国平均正答率を上回る状況となっております。
 また、都の学力調査において、八割以上の児童生徒が算数、数学の授業の内容がわかると回答しており、その理由として、少人数、習熟度別の授業が行われているからという回答が多く挙げられております。
 こうしたことから、少人数、習熟度別指導について、一定の成果があらわれていると捉えております。

○谷村委員 この少人数学級を進めるとなれば、今以上に教員の確保に力を入れる必要があります。
 この受験者確保に向け、どのように対応していかれるのでしょうか、お伺いをします。

○浅野人事部長 教員採用選考倍率の厳しい状況が続いている中、都では、児童生徒数の増加に伴う教員の大量採用が継続することが見込まれております。
 このような状況下において、仮に国が少人数学級を導入することとなれば、これまで以上に教員の確保に努めていく必要がございます。
 これまでも都教育委員会は、大学推薦における大学ごとの上限人数を撤廃し、優秀な学生が受験しやすい仕組みをつくるなど、受験者の確保に取り組んでまいりました。
 今後は、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトなどの先進的な取り組みの紹介等により都の魅力を伝えるとともに、新たにオンラインによる説明会を開催することで、より広くPRを行い、受験者の確保に努めてまいります。

○谷村委員 国は、今般の新型コロナウイルス感染症への学校における感染症対応に鑑み、教室内における身体的距離の確保について言及し、あわせて、ICTを活用した授業への対応として新JIS規格の教室用机の導入も視野に入れ、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備の方向性を示しました。
 しかしながら、国の議論は、現在の全国的な少子化による人口減を背景になされており、都のように減少傾向となっていない都市部では、一斉に少人数学級化することは困難であるという指摘もあります。
 公立小中学校等において、これまでの新型コロナウイルス感染症対策を踏まえ、子供たちの学びを保障していくためには、市区町村が見通しを持って、少人数での学級編制に応じた普通教室を確保していくことが重要になると思います。
 国の方向性が示されていない中で、市区町村が具体的なシミュレーションをしにくい状況にありますが、都教育委員会としての対応をお伺いします。

○田中地域教育支援部長 公立小中学校等において、市区町村教育委員会では、例年、児童生徒の人口動態を推計し、必要な教室の確保を行っております。学級編制の標準の引き下げへの対応についても、学校設置者である市区町村が、その実情に応じた対応を行えることが重要です。
 都教育委員会はこれまで、国に対して、早期に体制整備に係る規模やスケジュール等を示すことを求め、また、小規模改修や仮設による校舎の整備など、設置者の実情に応じた対応を柔軟に行えるよう、新たな補助制度の充実についても要望してまいりました。
 今後、都教育委員会は、市区町村教育委員会と緊密に連携しながら、推計に必要なデータを整理するなど、国の動きに速やかに対応できるよう備えてまいります。

○谷村委員 都のこれまでの少人数による指導のあり方や教員の確保、さらには施設整備への対応など、国も進めるとしている少人数学級の導入については、東京のような都市部特有のさまざまな課題が想定されます。
 実際の現場となる市区町村においては、計画的、段階的な早期の導入が必要と考えますが、都教育委員会の見解をお伺いします。

○田中地域教育支援部長 国の学級編制の引き下げを含めた少人数によるきめ細かな指導体制の検討、導入に当たっては、市区町村が実情に応じた対応を行えるよう配慮することが重要です。
 少人数学級については、現在、国の教育再生実行会議において議論されていることから、引き続き国の動向を注視するとともに、市区町村の実情を丁寧に把握し、国への必要な要請を行ってまいります。

○谷村委員 これまでの質疑を通じて、少人数学級の導入に関する課題を確認させていただきました。
 そもそも義務教育における学級編制は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律により児童生徒数の標準が定められており、国の責任により行われてきました。今後も、法改正や適切な財政措置は、国の責任において行われるべきと考えますが、都においても必要な検討を進めていただくことを求めておきます。
 次に、教員の異動について質問します。
 現在、小中学校においては、五十八歳以上の教員の異動は原則実施されず、また、定年退職した学校でそのまま再任用教員になる方が多いことから、通算して十年間を超えて同じ学校に引き続き勤務する方が多数見られます。
 まず、どうして十年間を超えて同じ学校に引き続き勤務する状況になるのか、ご説明をお願いいたします。

○浅野人事部長 異動要綱では、現任校において引き続き三年以上勤務する者を異動の対象とし、六年に達した者は異動するものとしております。また、運用上、定年三年前の五十八歳以上の者は異動対象としない取り扱いをしております。
 例えば、満五十五歳で異動した者は、異動可能となる三年後は五十八歳となり、異動することができません。そのため、引き続き定年である六十歳まで勤務し、定年後、再任用教員として五年勤務することで、通算して十年間、同じ学校に勤務することになります。

○谷村委員 これらの長期在職している教員の方の中には、学校改革の意欲を持って着任した校長先生が新たな学校経営方針を示しても、従来のやり方を変えようとしない教員がいると。ここの学校のことは、自分の方がよく知っているんだみたいな感じで、校長が何をいおうが、自分に対しては何もできないでしょうというような感じで、こういった人が一人でもいると、その組織は機能しなくなってしまうわけであります。
 不幸にも、こうした教員がどの学校にも一人はいるような状況であります。校長の新たな取り組みの具現化を妨げるような弊害が往々にしてあると聞いております。
 都議会公明党は、東京都中学校長会からも正式に、こうした教員がいることへの善処、対応することなどをご要望としていただいております。ことしは、私が直接お伺いをしました。
 こうした弊害をなくすために、小中学校の教員のうち、定年三年前の五十八歳以上の方でも、校長の判断で異動対象とすべきと考えますが、見解をお伺いします。

○浅野人事部長 都教育委員会は、各学校における望ましい教員構成を確保するとともに、教員に多様な経験を積ませ、資質、能力の向上と人材育成を図り、教育活動を活性化することを目的として教員の異動を行っております。
 異動要綱では、在職三年以上の者を異動対象としておりますが、五十八歳以上の者については、定年まで二年以下となり、異動先で力を発揮するのに十分な期間が確保できないことから、運用上、異動対象としない取り扱いとしております。
 一方で、定年退職者後も再任用教員として継続して勤務する教員がふえており、再任用期間も含めて、教員の資質、能力の育成や活用を図っていくことが必要となっております。
 このため、今後、五十八歳以上の者についても、原則として異動の対象とすることについて検討してまいります。
 その際、本人と校長への十分な周知期間をとるため、令和四年度異動を目途としてまいります。

○谷村委員 明快なご答弁をありがとうございます。ぜひ、来年度というわけにはいかないでしょうから、ご準備を整えていただいて、令和四年度、速やかに取り組んでいただきたいと思います。
 よかれと思って配慮されてきた人事上の配慮が逆手にとられて、先ほど申し上げたような状況が生じております。都教育委員会の皆様も、学校現場の状況をよくご認識いただいているということもあるのだと思います。
 そこで、次は、その後の五年間も改善しないと完結しない課題であります。
 小中学校の再任用教員の方も、本来は、任用期間は一年であると認識しております。
 勤務状況によっては一年ごとに異動させることができるようにし、そして、勤務状況によっては再度の任用をしないという選択肢も入れるべきと考えますが、見解をお伺いします。

○浅野人事部長 区市町村立小中学校の再任用教員については、原則として、定年退職時に所属していた区市町村に配置を行っております。実情としては、再任用教員の配置に当たって、一定期間の継続勤務が効果的であるとして、経験してきた学校にそのまま配置する例が多くございます。
 また、教員の継続的な任用に当たっては、雇用と年金の接続の観点から、年金支給年齢までは希望者を再任用するよう、総務省から要請を受けているところであり、都教育委員会では、当該要請を踏まえた再任用選考を行っております。
 再任用教員の資質、能力の育成や活用を図っていく観点から、区市町村教育委員会と連携し、再任用の異動について課題の整理を行ってまいります。

○谷村委員 市区町村教育委員会の意向確認も必要かと思いますし、再任用の教員の方の多くが、すばらしくお力を発揮されていることも事実であります。
 一部の再任用の方の問題かとは思いますが、本来、その資質や経験を評価されて再任用されているはずの方々が、通算で十年を超えるような人事異動がないために、そこに安住してしまい、その持てる能力が発揮されない、また、評価されない結果になっていることは大変に残念なことであります。
 これが人の常なのかもしれませんが、人事異動の大きな原則を変更することによって、定年前であっても、再任用になられても、持てる力を学校現場で思う存分に発揮されるような、そういう仕組みに早急に変えていただくことを強く求めまして、私の質問を終わらせていただきます。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。資料の提供をありがとうございました。
 私からは、まず、コロナ禍の学校の現状について伺います。
 春の一斉休校の後、短い夏休みを経て、冬休みまでの長い二学期または後期に入っている状況ですが、多くの学校で、行事などの楽しみがなく、学習のおくれを取り戻すために淡々と授業だけが続けられるという中で、子供たちの集中力も低下して疲弊しているのではないか、また、体力が落ちている子供たちが多いなど、切実な声が寄せられています。三カ月に及んだ休校が、今もなお子供たちの心身に大きな影響をもたらしている状況です。
 そうした中で、日本小児科学会が、休校措置による感染防止効果は乏しい一方で、子供の心身に及ぼすデメリットが大きいとする報告をまとめています。学校や保育施設で子供が感染源となった集団感染はほとんどなく、子供の感染例は、親から感染したケースが大半だと指摘し、今後、再流行などで再び休校などが検討される場合には、子供や保護者に及ぼしたデメリットも考慮し、慎重に判断すべきだとしています。
 本当に甚大な影響を子供たちと学校現場にもたらした一斉休校の措置でしたが、このことを踏まえて、今後の休校などの対応については、こうした医学的、科学的見地からの判断が重要になると思いますが、都教育委員会の見解を伺います。

○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 二月の国からの臨時休業の要請におきましては、子供たちの健康、安全を第一に考えながら、学校における教育課程の取り扱いなど、臨時休業による影響と対応等を検討し、総合的に勘案した上で臨時休業を判断いたしました。
 都教育委員会が五月に策定したガイドラインでは、保健所等とも連携しながら、学校において感染者等が発生した場合の対応や、地域の感染状況を踏まえた対応を規定しております。
 引き続き、関係機関とも連携しながら、各学校における感染症対策の徹底とともに、児童生徒等の健やかな学びの保障との両立に向け、適切に対応してまいります。

○斉藤委員 児童生徒等の健やかな学びの保障との両立に向け、適切に対応ということです。二月の国からの臨時休業の要請については、総合的に勘案した上で臨時休業を判断したというご答弁もありましたが、とてもそうとは思えないような、いわば突然の安倍前首相の号令に右倣えの状況だったのではないかと、実際はそういうふうに思っています。
 以前にも指摘しましたが、今後については、都教育委員会として、しっかりと科学的根拠に基づく判断をしていただきたいと重ねて求めるものです。
 また、感染防止も大切ですけれども、子供たちの取り組みを最大限保障していけるように、学校現場を支えていただくよう求めます。
 今でも大きな影響を受けている子供たちに寄り添った対応をしていくためには、今の子供たちの現状や学校現場での困難について、都教育委員会が把握して、必要な対策を行っていくことが重要です。
 そこで伺いますが、コロナ休校明け以降の都立高校と小中学校とも、不登校の数について把握しているのか、伺います。

○増田指導部長 都教育委員会は、今年度の不登校児童生徒数については現時点で把握しておりませんが、毎年度、当該年度の四月一日から十一月三十日までの不登校児童生徒数に関する独自の調査を実施しており、今年度につきましても、十二月末までに同様の調査を行う予定でございます。

○斉藤委員 毎年度の調査は十二月末に行われるということです。
 先日、昨年度の不登校の数が過去最多となったということも明らかになっていますが、今年度は、コロナ禍でどんな影響が出ているのか、学校に来られなくなった児童生徒たちの数だけでなく、どんな実態があるのか、把握していくということも重要です。
 学校では行事がなくなり、一月以降の行事の設定も難しい中、学習のおくれを取り戻すために、勉強だけが淡々と進められるという詰め込みの状況で、児童生徒にストレスがかかっているという声が届いています。先生からの声を、一つご紹介したいと思います。
 授業内容も、授業の進みぐあいも、詰め詰めで急ピッチとなり、四十人学級の中で一人一人の声や思いは大切にされず、行事もほとんどなくなってしまった中で、小学校低学年の子たちは、もう我慢することが困難になってきてしまっています、もともと課題があるといわれていた子たちを中心に、教室の中で座っていることが難しく、外に飛び出してみたり、床や廊下に寝転がってみたりという様子を見せていますという内容です。
 さらに、こういう現状の中でも、表面上は耐えることができてしまっている子供たちの内面や発達が心配だということもおっしゃっております。
 こうした現状について、都教育委員会は現場からの声を聞いているのか、伺います。

○増田指導部長 各学校では、感染症対策の中でストレスを抱えやすい児童生徒の状況について、教員が日常的な会話や観察等を通してきめ細かく把握しております。
 また、都教育委員会は、児童生徒が記入するアンケートの例を示し、学校において定期的に不安や悩みを聞き取るとともに、スクールカウンセラーとの面接を、まずは心配な様子が見られる児童生徒から優先して行いつつ、年度内に小学五年生、中学一年生、高校一年生の全員と行うよう求めております。
 なお、各学校では、運動会を学年ごとに分けて実施したり、修学旅行を宿泊先での部屋割りに配慮して計画したりするなど、三つの密を避けることを徹底した上で、学びの充実に向けてさまざまな工夫をしております。

○斉藤委員 運動会や修学旅行を工夫して行っているというお話もありますが、多くの学校では中止や延期、さらに、一月以降に行事を入れるということは難しいという声が多くあります。教員や区市町村が聞いているという今のお答えですけれども、都教育委員会としてきちんと把握して、共有していくということが重要です。
 現在の学校の児童生徒、教員の状況について、都教育委員会はどのように今後把握していくのか、全体の実態把握を行う必要があると考えますが、見解を伺います。

○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 各学校では、先ほどの指導部長の答弁にもありましたように、子供たちの状況をきめ細かく把握し、感染症対策の徹底を図りながら、さまざまな工夫を講じて教育活動を行っております。
 都教育委員会は、各学校の実態について、日ごろから学校経営支援センターや区市町村教育委員会を通じて把握するとともに、学校訪問による聞き取り等を行っております。
 引き続き、学校の感染症対策の徹底と学習保障の両立を図りながら、学校教育活動が実施できるよう、学校現場の状況を適切に把握しながら対応してまいります。

○斉藤委員 学校訪問をしたということです。学校再開の直後に、特別支援学校を含めた都立学校と区市町村立の小中学校を訪問したと伺いましたけれども、今後もそうした機会を設けて、直接現場の声を聞いて、必要な改善につなげていただきたいと思います。
 子供たちに寄り添ったケアが行き届く教育を行うためにも、教員や講師の増員が何よりも重要です。この間、重ねて質疑をしていますけれども、国は、全国で三千百人分の時間講師の配置について補正予算を計上しました。
 新型コロナ感染症対策に係る講師時数の最新の配置状況について伺います。

○浅野人事部長 都教育委員会は、学校が三密対策として児童生徒間の身体的距離を確保した教育活動等を実施する場合に、申請に基づき、必要な講師時数を措置しております。
 令和二年九月末時点の措置状況は、学校数では百二十七校、週当たり時数では二千九百五十八時間でございます。
 また、国への申請については、小中学校における土曜授業等を除いた指導に限定されており、九月末時点における措置時数を常勤の教員の人数に換算すると、十四名分が対象となります。

○斉藤委員 前回、七月十日時点での状況について伺いましたが、その時点では、八十二校で千百三十七時間ということでしたので、そのときから、四十五校、千八百二十一時間分の時間講師がプラスで充てられているということです。
 さらに、その時点では、国の補助対象は、小学校六年生と中学三年生と限定的なものだったことに対して、全ての学年を対象とするように国に働きかけるということを私からも求めさせていただきました。
 国でも、我が党から要望し、現状では、全ての学年の新型コロナ対策に係る時間講師に対して国庫補助がおりるようになりました。
 活用を広げていただきたいと思いますが、しかし、学校現場からは、やはり時間講師を見つけるのに大変な苦労があると、最近でも多くの声が寄せられています。
 講師確保について、東京都ではこれまで、育休、産休代替の講師を探すときと同様に、各学校の副校長先生が名簿から電話をして探していくというやり方になっていますが、相変わらず、何百件と電話をしても見つからない状況で、副校長の先生方からは、この業務が一番つらいという声が届いています。
 時間講師の手配について他県の状況を調査しましたが、神奈川県、千葉県、埼玉県でも、学校任せではなく、県教委が探しているということです。
 都教育委員会としても、他県と同様に、責任を持って時間講師の確保を今後行っていくべきだと思いますが、見解を伺います。

○浅野人事部長 都教育委員会としては、講師の採用決定に当たっては、学校が講師候補者と直接面談を行い、みずから候補者の資質や能力を確認することが、学校にとって必要な講師の確保につながると考えております。
 そうしたマッチングを支援するため、学校が必要とする人材情報をインターネット上に公開し、条件に合った時間講師がこれに応募する非常勤職員情報提供システムの運用を行っております。
 また、年間を通じて時間講師採用候補者選考を実施しており、毎月一回、各区市町村教育委員会に採用候補者名簿を更新して送付しているほか、区市町村教育委員会からの要請に応じ、随時、その時点までの選考合格者を登載した名簿を送付し、学校現場における時間講師の確保を支援しております。

○斉藤委員 この問題は繰り返し要望してきていますが、都は、一向に変える姿勢がありません。
 コロナ禍の負担増、また、教員の長時間労働、働き方の改善が大きな課題になっている中で、都教育委員会がこのままの姿勢でいるということは、余りに現場の声に対して冷たいものだといわなければなりません。他県の取り組みを真剣に学んで、改善していただくことを強く求めます。
 時間講師について伺ってきましたが、根本的には、正規の教員を抜本的にふやしていくということが重要です。
 コロナ禍で四十人学級というソーシャルディスタンスもとれない子供たちの現状に、少人数学級を求める声が全国的に広がっています。
 私たち日本共産党都議団は、この間、代表質問でも繰り返し求めてきましたが、世論の高まりから、国は、来年度予算の概算要求に、公立小中学校での少人数学級実現のための予算を盛り込みました。
 金額は示さない事項要求になっていますが、義務教育標準法に基づく学級編制の標準の引き下げを含めた、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備の検討が明記されているということは重要な前進だと思います。確実に進めていくことが求められております。
 新型コロナ感染拡大の中の分散登校で、教員や保護者も少人数学級のよさを実感し、校長会、副校長会も、そろって少人数学級の実現を求めています。
 この声に都教育委員会として応えていくことが必要ですが、見解を伺います。

○田中地域教育支援部長 義務教育における一学級の児童生徒数の標準は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に定められております。
 学級編制については、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任において行われるべきと考えております。
 少人数学級については、現在、国の教育再生実行会議において議論されていることから、引き続き国の動向を注視してまいります。

○斉藤委員 国の責任で行われるべきことという、いつもの答弁ですけれども、都としても、ぜひ前向きな検討を進めていくことを重ねて要望いたします。
 次に、特別支援学校の花畑学園について伺います。
 花畑学園は、私の地元の足立区にある特別支援学校ですが、これまで隣接していた肢体不自由の城北特別支援学校と知的障害の南花畑特別支援学校を統合し、今年度から花畑学園として開校しています。
 新型コロナの感染症が拡大する前までは、私も毎年、卒業式や入学式、学校公開にも伺って、親しみを感じてきた学校です。
 今回、学校の先生方にご協力いただいて、ようやく視察に伺わせていただくことができました。新しい学びやで、カーテンなどで仕切っていた教室も解消されたと伺いました。老朽化していた以前の校舎よりも明るい校舎で、児童生徒たちが楽しそうに授業に取り組んでいる様子も拝見しました。
 子供たちに豊かな学びの環境を保障していかなければなりませんが、そのためには、子供たちを支える体制も充実させていかなければなりません。
 そこでまず、基本的なことから伺います。
 花畑学園の統合前と現在の管理職、教諭、養護教諭、事務職員の人数の変化について、また、学校介護職員についても人数の変化があるのか、伺います。

○浅野人事部長 公立学校の教職員定数は、国のいわゆる標準法に基づく都の配置基準により定めております。
 統合前の城北特別支援学校については、令和元年度において、校長一人、副校長一人、養護教諭を除いた教諭六十六人、養護教諭二人、事務職員四人でございます。
 また、南花畑特別支援学校については、令和元年度において、校長一人、副校長一人、養護教諭を除いた教諭七十人、養護教諭二人、事務職員四人でございます。
 統合後の花畑学園については、令和二年度において、校長一人、副校長二人、養護教諭を除いた教諭百四十二人、養護教諭三人、事務職員五人でございます。
 また、非常勤職員である学校介護職員については、統合前も統合後も三十二人でございます。

○斉藤委員 統合前の合計と比べると、養護教諭の人数が一人、そして、事務職員が三人減っているという状況です。教諭については、新入生の増加に合わせて、基準に照らしてふえているということですが、学校介護職員は統合前と変わっていないということです。
 障害を持つお子さんたちの学びにとっては、何よりもそれを支える教員や大人の体制が重要です。統合すれば、支える大人の集団規模が小さくなってしまうため、私たちは特別支援学校の大規模化には反対してきました。花畑学園は、もとの二つの支援学校が隣接していたという地理的な条件がありましたが、統合によって支える大人の体制が弱くなってしまってはならないと思っています。
 花畑学園は、統合によって八十四学級、児童生徒が三百五十二人という大規模校になりました。
 今回、私は、花畑学園の児童生徒の保護者の方々にもお話を伺いましたが、養護教諭や看護師さんの不足を感じているということです。医療的ケアが必要なお子さんが看護師さんを呼んでも、来るまでに時間がかかって冷や冷やすることがある、そのために、保護者も一日中、一緒に学校にいることになってしまうということでした。
 そこで伺いますが、看護師の数について、常勤、非常勤とも、統合前と後でどのように変化しているのでしょうか。

○浅野人事部長 常勤看護師は、統合前後で変化はなく、二人となっております。
 一方、非常勤看護師は、統合前の十人から一人増加し、統合後は十一人となっております。

○斉藤委員 常勤看護師は変化がなく、非常勤看護師は一人ふえたということですが、やはり現場のニーズに見合った増員というのが必要なのではないかというふうに思います。
 看護師さんたちは、大変な仕事で、現場でもさまざまなご苦労をされていると思いますが、それだけに、ゆとりある体制をつくっていくことが必要です。そのためには、安心して仕事が続けられる環境が重要ですが、常勤の看護師が二人で、ほかの十一人は非常勤というのでは、安定性を保つことができません。
 ある医療的ケアが必要なお子さんの保護者の方は、就学前の小規模デイサービスの方が、看護師さんに安心して任せることができたというふうにいっています。学校でも、看護師さんと保護者、そして、子供たちが安心して過ごせるように、都教育委員会として、現場の声に傾けて、常勤の看護師の増員に向けて力を尽くしていただくことを求めます。
 次に、医療的ケア車両について伺います。
 肢体不自由のお子さんの通学にとって欠かせないのが医療的ケアバス、医ケア車両になります。医ケア車両は、ご存じのとおり、児童生徒一人から二人を乗せて自宅から学校を送迎するもので、原則、看護師が同乗します。
 医ケアバスが利用できるかどうかで、親の負担や通学保障に大きくかかわってきますが、現在、花畑学園で医療ケア車両を利用している児童生徒は何人いるのでしょうか。

○高木特別支援教育推進担当部長 令和二年十月現在、花畑学園におきましては、医療的ケア児専用通学車両に乗車している児童生徒は三人でございます。

○斉藤委員 全体の状況についても、九月の時点のもので資料要求で出していただきましたが、花畑学園では、十月に利用者が一人ふえて、現在では三人のお子さんが利用しているということです。
 この医ケアバスの利用を希望する児童生徒は、花畑学園で何人いたのか、伺います。

○高木特別支援教育推進担当部長 花畑学園におきましては、専用通学車両への乗車を希望する児童生徒は十二人でございます。そのうち三人は既に乗車済みであり、一人は安定的な登校が難しく、乗車が困難な状況でございます。
 今後、乗車対象となるのは八人であり、専用通学車両により安心・安全に通学できるよう、看護師確保に努めております。
 なお、肢体不自由特別支援学校全体の専用通学車両乗車希望者に対する乗車状況は、約七二%となっております。

○斉藤委員 十二人の方々が希望していたということ、現在でも希望されている方々は八人いらっしゃるということです。最後に、全体での希望者では七二%が利用できているということも答弁がありましたけれども、花畑学園は駅から遠く、通学の負担が特に大きくなっています。そうした学校でこそ、医療ケアバスの利用が進むように力を尽くしていただきたいというふうに思います。
 看護師の確保ができずにバスを利用できない方々の中には、親が自力で学校に連れていくのが困難で、親の体調不良や雨などのときは登校を諦めてしまうということが多いと聞いています。全ての子供たちの通学を保障するためにも、医ケアバスに乗る看護師の確保は喫緊の課題です。
 先ほども述べましたが、特別支援学校で学ぶお子さんたちにとって、看護師さんたちの支えは本当に重要です。看護師さんたちが安定して働ける環境をつくり、増員できるように重ねて求めるものです。
 次に、重度重複のクラスについて伺います。
 特別支援学校の普通学級は、小中学部では一学級六人、高等部では八人ですが、重度重複学級は一学級三人と、より少人数で手厚い教育を受けることのできる学級です。
 義務教育標準法や関係法令によれば、二つ以上、障害をあわせ持っている重複障害の子供は重複学級に編制することになっています。東京では、単一の障害でも、重度の場合にはこの学級に在籍できるとして、重度重複学級と呼んでいます。
 まず、花畑学園の重度重複のクラスの数は、統合前と変化しているのか、伺います。

○高木特別支援教育推進担当部長 統合前の重度重複学級は、肢体不自由特別支援学校である城北特別支援学校は十七学級、知的障害特別支援学校である南花畑特別支援学校は十一学級、合わせて二十八学級でございました。
 統合後の花畑学園の重度重複学級は、肢体不自由教育部門は十七学級、知的障害教育部門は十二学級、合わせて二十九学級であり、一学級増加しております。

○斉藤委員 肢体不自由部門は変わらず、知的障害部門で一学級ふえているということです。
 私たちは、東京では、知的でも肢体でも、どの障害種でも、この重度重複学級に入るべき子供が入れておらず、手厚い教育を受けることができていないということを長年にわたり指摘して、重度重複学級をふやすことを求めてきました。
 肢体不自由部門の例で申し上げますが、肢体不自由部門は教育課程が三つに分かれます。基本的に肢体不自由のみで知的障害のない児童生徒を対象とした小中高等学校に準ずる教育課程と、そして、肢体不自由と知的障害をあわせ持つ重複障害の児童生徒のための教育課程、知的代替といういい方をしますが、これと、重複障害の児童生徒のうち、特に必要がある場合、自立活動を主とする教育課程です。
 現在の花畑学園の肢体不自由部門で、知的代替の教育課程と自立活動を主とする教育課程を受けている人数はそれぞれ何人か、伺います。

○増田指導部長 都立花畑学園肢体不自由教育部門で、知的代替の教育課程で学ぶ児童生徒は三十九人、自立活動を主とする教育課程で学ぶ児童生徒は七十四人でございます。

○斉藤委員 合わせて百十三人ということです。肢体不自由の児童生徒で知的代替の教育課程と自立活動を主とする教育課程を受けている場合は、重複障害があるわけですから、法律的には重度重複学級の対象になります。
 これも私たちは何回も指摘してきましたが、本来は、知的代替と自立活動主を合わせて百十三人が重度重複学級の対象ということになりますから、単純に三で割っても、三十八学級が必要ということになります。実際には、学年ごとに学級を編制しますから、もっと多くの学級数になります。
 これも何回も指摘していますが、他県では、国の基準に基づいて、このように重複学級を編制しています。ところが、東京では、花畑学園の肢体不自由部門で見ても、重度重複学級が最低でも三十八学級は必要なところ、実際には十七学級と、半分以下しかありません。
 重度重複学級に入れなかった子供たちは、一学級六人の普通学級に入れられているわけです。普通学級、つまり、本来であれば重複障害のない子供たちが入るはずの学級に、知的代替や自立活動を主とする教育課程の子供たちが入れられているということです。
 実態と合わない環境を子供たちに強いている状況について、都教育委員会はどのように認識しているでしょうか。

○高木特別支援教育推進担当部長 重度重複学級の対象となる障害の程度につきましては、児童生徒一人一人の意思疎通や日常生活の状況などを、法の規定に照らして、発達や行動、疾病などの側面から総合的に判断し、認定を行っております。
 それぞれの教育課程の対象となる児童生徒は、主に学習内容に対する理解の程度を考慮して決定しております。
 教育課程は学習内容の理解の程度についてであり、学級編制は児童生徒一人一人のそれぞれの状態によるものであるため、両者は単純に比較できるものではないと考えております。

○斉藤委員 法の規定に照らしてとおっしゃいました。法律的には、まず、大もとに学級編制の標準を定める義務標準法があります。義務標準法には、障害を二つ以上あわせ有する児童または生徒で学級を編制する場合にあっては、三人を標準とすると書いてあります。
 また、今の答弁での法の規定とは、学校教育法施行令第二十二条の三のことだということを事前に確認させていただきましたけれども、この二十二条の三は、特別支援学校の対象となる知的障害の程度はこう、肢体不自由の程度はこうと規定している、そういうものです。
 肢体不自由部門で知的代替や自立活動主の教育課程を学んでいるこの百十三人の子供たちは、学校教育法施行令第二十二条の三の規定の知的障害と肢体不自由の両方に該当する重複障害を持っているからこそ、この教育課程で学んでいるわけですから、本来であれば、重度重複学級に編制されるべきであるのは明白です。いかがでしょうか。

○高木特別支援教育推進担当部長 重度重複学級の対象となる重複障害の認定に当たっては、学校教育法施行令に定める障害の程度に二つ以上該当することが必要でございます。
 都教育委員会では、法の定める障害の程度に該当するか否かについて、毎年度、児童生徒の発達や行動、疾病の側面から総合的に判断し、重度重複学級の対象者を認定しております。

○斉藤委員 総合的に判断、認定というところが、少しゆがんでいるんじゃないかというふうに私たちは思うんです。このことを実態に照らして、他県の状況もちゃんと見て、そして、ちゃんと重度重複学級をふやしていただきたいというふうに重ねて求めます。
 それから、答弁の中で、何か学級編制と教育課程は別であるかのような説明もありました。
 しかし、例えば自立活動を主とする教育課程はどういう生徒を対象にしているかについて、学習指導要領では、重複障害のうち、障害の状態により特に必要がある場合には、自立活動を主として指導を行うことができるものと書いてあります。つまり、自立活動主の教育課程対象の児童生徒は重複障害であるということが前提なわけです。つまり、重複学級に編制されるということは当然の前提になります。知的代替も同じです。都教育委員会の今の理屈は成り立たないということを指摘させていただきます。
 こうしたもとで、花畑学園の保護者の皆さんはどう感じているか。重度重複学級の数は足りていない、小学部の人数がふえているのに、重度重複学級がふえないのはおかしいとおっしゃっていました。
 また、障害が重いのに普通学級に入っているので、教室の中で、ほかの子は筆箱を持ってきて鉛筆を使っての勉強をしていたが、うちの子供は筆箱を持ってこいということもいわれず、一人だけスタンプを押していた、もう一クラスあって、先生の数も多かったら、障害に合った適切な指導が受けられるだろうにと、とても切ない思いをしているという保護者のお話も伺いました。
 知的の重度重複学級も、身辺自立していないなど、手厚い教育が必要な子供たちばかり、担任が一人で三人の子供を見ているが、それでも足りないと感じる、また、肢体不自由部門でも、普通学級に入っているが、十二から十三人の大人数のグループで授業をすることが多く、待ち時間が長い、内容も、一人一人に合わせて子供を伸ばす授業になっていないと感じると語っていらっしゃいました。
 重度重複学級が適切に設置されていないと、学校全体の教員の数も少なくなるわけですから、重度重複学級に入れない子供だけでなく、その学校の子供全体が障害に合った適切な教育が受けられなくなってしまうということだと思います。
 こうした保護者の方々の思いを受けとめていただきたいと思います。子供たちが適切な教育を受けられるようにしていただくことを重ねて求めます。
 児童生徒の実態に合わせた行き届く教育を保障するために、教員を増員することを求めますが、いかがですか。

○浅野人事部長 教職員定数については、児童生徒数に応じて編制された学級数をもとに、いわゆる標準法に基づく都の配置基準により適切に配置しております。

○斉藤委員 標準法に基づく都の配置基準に基づきといいましたが、これまで申し上げたとおり、まず、標準法どおりに重度重複学級編制をしていない、それから、きょうは詳しく触れませんでしたけれども、肢体不自由部門の場合、学校介護職員を導入して、その分、教員の配置を減らしています。とても適切とはいえない状況になっています。
 重複障害の児童生徒は重度重複学級に編制し、重度重複学級をふやすこと、教員を増員することを重ねて求めておきます。
 次に、牛乳パックについて……。失礼しました。まだ花畑特別支援学校のことは続きます。
 保護者の方々から、放課後のことについての要望がありました。先日の東久留米特別支援学校についての質疑のときも、同様の状況を保護者の方から伺いましたが、学校終了後にお迎えに来る放課後等デイサービスのバスが、花畑学園の周りにも何十台と並ぶ状況があるということです。
 特に、学校を出てから放課後等デイサービスの車に児童生徒が乗るまでに、長いときでは三十分も校舎の外のロータリーで並んで待っている状況だということです。余りに長いので、外のロータリーに敷物を敷いて、子供たちに座って待ってもらっているという状況だと保護者の方々から伺いました。
 児童生徒たちの誘導も、放課後等デイサービスの業者さんに任されているということですが、もう少し学校が連携をとって、状況の改善をしてもらえないかという声があります。
 どのように対応していくのか、伺います。

○高木特別支援教育推進担当部長 花畑学園知的障害教育部門のスクールバス駐車場につきましては、本年八月に竣工し、九月よりスクールバスによる使用を開始いたしました。
 十月から、放課後等デイサービス事業者の車両も、児童生徒の安全を確保するため、スクールバス出発後に、バス駐車場に利用を可能としております。
 放課後等デイサービスを利用する児童生徒の乗車までの待合場所につきましては、これまでバス駐車場前を利用していましたが、今月十六日より、感染症対策にも配慮しながら、プレールームなど校舎内に変更することとしております。
 放課後等デイサービス事業者に対しては、この待機方法の変更について、通知文をもって周知し、今後も、連絡会などを通して情報提供を図ってまいります。

○斉藤委員 特にこれからは寒さが厳しくなっていきますので、今後は校舎内で待機してもらうということで安心をしました。
 また、業者さんと学校側との連絡会を通じて対応していくということです。東久留米特別支援学校でも同様の対応をしていただくということになっています。今後とも、児童生徒の安全のために、放課後等デイサービスとの連携した対応をお願いしたいと思います。
 それから、花畑学園の新校舎の設備について一点伺います。
 保護者の方々からのお話からわかりましたが、車椅子の児童生徒たちが使うトイレの手洗い場のシンクの下に足を入れられるスペースがなく、児童生徒たちの手が蛇口に届かない状況だと聞いています。そのため、手を洗うために、児童生徒を二、三人の大人で抱えたり、あるいは向きを変えて片手ずつ洗うなど、苦労しているということです。
 特に障害のあるお子さんたちが利用する施設の場合は、当事者や保護者の意見も聞いた上で設計することが重要だと思いますが、そうした当事者の声をどのように反映しているのか、伺います。

○高木特別支援教育推進担当部長 花畑学園の新設に際しましては、基本計画検討委員会におきまして、保護者や学校関係者から意見を聞きながら、施設設備も含め、学校の基本計画を検討いたしました。
 また、保護者説明会や工事説明会などにおきまして、保護者や近隣住民などへ、設計、工事の内容などについて説明するとともに、その都度、保護者などの意見や要望を聞きながら、設計、工事を進めてきたところでございます。
 ご指摘の件につきましては、既に学校からも報告を受けており、現在、対応策について検討を進めているところでございます。

○斉藤委員 基本計画検討委員会や保護者説明会で学校関係者や保護者から意見を聞きながらやっているということですけれども、今回、第三期の工事の中の四カ所のトイレで同様の仕様になっていたと聞いています。
 現在、対応策について検討を進めているということで、早急に改善していただきたいというふうに思いますが、なぜこのようになってしまったのか、検証していただいて、今後はこのようなことがないようにしていただくことを求めます。
 次に、牛乳パックの処理について伺います。
 学校給食の牛乳パックの回収とリサイクルについてですが、この問題は、ことしの三月の文教委員会で、我が党のとや議員も質問をいたしました。
 これまで、学校給食会を通じ牛乳の供給を受けている都立や区市町村立の小中学校などでは、牛乳を飲んだ後の牛乳パックは牛乳供給事業者が回収をしてきました。
 ところが、昨年、大手の事業者が給食用牛乳からの撤退を表明し、新たに確保した他県の牛乳供給事業者では空き紙パックの回収対応はできないとなったことをきっかけに、昨年九月五日に教育長名で、令和二年度からは、各小中学校等において空き紙パックの処理をしていただくようお願いしますという通知が出されました。学校でリサイクル作業をしてくださいというふうになったということです。
 これに対して、多くの区市町村から、子供たちや教員の負担を考え、承服できないという声が上がっていたというふうに聞いています。学校現場からも、子供たちが紙パックを洗って干してリサイクルすること自体は、環境教育としては大事かもしれないが、水道の蛇口が少ない、昼休みの時間も十分にとれないなど、現在の学校の状況や、アレルギーの子供への心配などから懸念の声が上がりました。
 しかし、最終的には、三月に、紙パックの回収は牛乳供給事業者では行わないと、東京都、そして事業者、学校給食会の三者で協定が結ばれました。
 また、都教育委員会としては、区市町村教委や学校に、リサイクルの事例の紹介や、洗って乾かしたパックの受け入れ業者の紹介、アレルギー対応の通知を行ったと聞いています。
 そして、今年度、新型コロナによる休校が明け、給食が再開したわけですが、それ以降、私たちのところには、牛乳パックの処理が大きな負担になっているという声がいろいろなところから届いています。
 実際の対応は、過去にアレルギーのある児童の重大事故があった調布市や、センター方式で給食を提供している区市町村などでは、区市町村で処理したり、給食センターで回収しているところもあるものの、多くの区市町村では、学校内で子供がリサイクル処理をすることになったと聞いています。
 そこで伺いますが、現在、牛乳パックを開いて洗って乾かすというリサイクルの処理を児童や生徒や教員が行っている学校は幾つあるのか、また、リサイクル処理を学校で行っているところでどんな実態があるのか、伺います。

○田中地域教育支援部長 都教育委員会は、区市町村に対して、牛乳パックを開いて洗って乾かすというリサイクルの取り組み事例や、牛乳パックのリサイクルの手引などについて情報提供を行ってきたところでありますが、リサイクルに取り組む学校数やリサイクルの取り組み方法などの個々の実態については把握をしておりません。
 なお、都立中学校及び都立中等教育学校の十校においては、牛乳をリユースできる瓶で提供している学校が四校、紙パックにより提供している学校は六校で、そのうち五校は、洗浄破砕機により処理の上、リサイクルし、一校は手開きによるリサイクルの予定でありましたが、感染症対策の観点から延期をしております。

○斉藤委員 学校数や実態については把握していないということです。また、都立の中高一貫校でどういう対応を行っているか、破砕機を導入しているということもお話にありました。
 私のところには、何人もの関係者から、本当に大変だ、何とかならないのかという声が届いています。
 例えば、ある学校では、そもそも水道の蛇口が、トイレを含めて二十人から三十人に一つしかなくて、感染予防の手洗いや歯磨きなどを考えると、全く足りていないということです。牛乳パックについても、開いて洗ってリサイクルするという方針になっているけれども、水道が足りない上に、ストローに唾液がついていて、とても生徒に洗わせることはできないという判断になったということです。
 それで、最初は洗わずに捨てていたけれども、それではだめだということになり、結局、担任と副担任の先生が開いて洗っているということです。子供たちと個別に接することのできる貴重な休み時間に、担任、副担任にそんなことをさせるのはどうなのだろうかというお話を伺っています。
 また、開いたパックの回収は月一回なので、教室に保管している学校もあるとか、手洗い場が牛乳臭くなり、管理が大変だというお話も伺いました。
 さらに、小学校一年生では、まだ力が弱く、自分であけられない児童が泣いてしまったり、休み時間が削られたり、大きな負担になっているという学校もあります。
 本当に大変な状況だと思いますが、学校でのリサイクル処理を求めた都教育委員会としてどのように認識しているか、伺います。

○田中地域教育支援部長 学校給食用牛乳の空き紙パックの処理は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律により、事業活動に伴って生じた廃棄物は、みずからの責任において適正に処理しなければならないとされております。
 したがって、この法令によれば、リサイクル処理を含め、牛乳パックの処理は、学校設置者である区市町村がみずからの責任で行うものであります。
 昨年十一月には、各区市町村のリサイクルのルールに基づき、可能な限り牛乳パックのリサイクルをしていただくようお願いするとともに、他県の取り組み事例や牛乳パックリサイクルの手引など、情報提供を行ってまいりました。
 区市町村教育委員会からの学校給食に関する技術的な相談については、今後とも適切に対応してまいります。

○斉藤委員 技術的相談等があれば、今後も適切に対応するということですが、コロナで子供たちも不安定になりがちで手厚いケアが必要、授業も手いっぱい、カリキュラムも例年どおりとはいかず、組み直しや細かい対応が必要、感染予防にも神経を使う、そうした中で、学校での状況について、区市町村や学校に寄り添って考えてほしいというふうに思います。
 今のご答弁の中でも、都教委から、可能な限りリサイクルをしていただくようお願いをしたということですが、実際に、区市町村立小中学校において今年度から牛乳供給事業者による紙パックの回収処理が行われなくなってしまったことについて、都教育委員会は区市町村に対してどのような通知を出したのか、また、牛乳パックのリサイクル作業は、子供や教員が行わなければならないものなのか、伺います。

○田中地域教育支援部長 都教育委員会は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の規定、他県での学校給食用牛乳パックの回収処理の状況、牛乳供給事業者の意向などを踏まえ、昨年九月、学校設置者である区市町村で学校給食用牛乳パックの処理をしていただくようお願いをする旨の文書を発出いたしました。
 牛乳パックの処理方法については、同年十一月、各区市町村のリサイクルのルールに基づき、可能な限りリサイクルされるようお願いする旨の文書を発出いたしました。

○斉藤委員 昨年十一月に、通知で、できるだけリサイクルするようにと都教委からお願いしたということです。
 それで、リサイクル作業は子供や教員が行わなければならないのかということについてのご答弁がなかったのですけれども、もう一度これをお願いします。

○田中地域教育支援部長 先ほどご答弁しましたけれども、法律のご紹介をして、この法律によれば、リサイクル処理を含め、牛乳パックの処理は、学校設置者である区市町村がみずからの責任で行うものであるということでお答えをしたところでございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。リサイクルを含め、そして、区市町村のルールに基づいてということですから、必ずしも学校で子供や先生がやるという必要はないということだというふうに理解しました。
 それで、必ずしも子供がやる必要がないのですが、実際に都教委が区市町村におろしているリサイクル事例を私も拝見させていただきました。他県の学校での例ですけれども、どの事例も、洗って乾かすのは学校で子供たちがやっています。最初は大変だったけれども、なれたら短時間でできますとか、一人一人が洗うのではなく、まとめ洗いが楽ですなどと書いてあります。リサイクルとしてトイレットペーパーで受け取っているという例もあり、それ自体は本当にすばらしい取り組みですし、環境教育としてもよいものだと思います。
 しかし、学校や子供たちの状況は、学校によってそれぞれで、よいことだからといって全部できるわけではないので、実際の学校の意見や負担などは十分に考慮しなければならないのではないでしょうか。
 都教委がこうした事例をおろすということで、区市町村では、とにかく子供がリサイクル作業をしなければならないという受けとめになっていないか、気を配っていただきたいと思います。
 そして、もう一度伺いますけれども、リサイクル処理を行っている学校でどのような実態があるのかということを、私、先ほど聞きましたけれども、数もそうですけれども、学校の実態について把握していないという答弁でした。
 本当に把握していないのでしょうか。

○田中地域教育支援部長 本件のリサイクルに取り組む学校数や取り組み方法などの個々の実態について、調査はしておりません。

○斉藤委員 調査はしていないということですけれども、声が届いていないということは、私はないんじゃないかと思うんですよね。
 私、先日、これをいただきました。(資料を示す)これは公立小学校副校長会の要望書です。これ、都教委の皆さんのところにも届いているというふうに思うんですけれども、この中にははっきりと、給食の牛乳パックのリサイクル業務の委託化を要望しますと書かれているんです。こういう声は都教委に届いていますよね。
 この中では、牛乳パックを児童が洗って開くことで、児童が給食を食べる時間がさらに減ることになり、余り早く給食を食べられない児童にとっては、給食を最後まで食べられないこともあり、給食の苦手意識がさらに出ています、それから、開くときの牛乳の飛び散りなどへの配慮で、教員の負担がさらに増していますと訴えていらっしゃいます。そして、児童が安心して給食を食べることができるよう、牛乳パックのリサイクルを業者などに委託するようお願いしますと求めていらっしゃいます。
 副校長会が会として、牛乳パックのリサイクル作業は負担だというふうにおっしゃっているんです。都教委として知らないというはずはないのではないでしょうか。
 そして、都教委として、リサイクルを推進するよう通知まで出しているのですから、あとは区市町村の責任で、都教委は知りませんという態度ではなく、学校現場が困らずにリサイクルできるような方策を、都教委としても一緒になって考えるべきではないでしょうか。
 少なくとも、業者に回収を依頼する場合の経費など、都として負担することなどを検討するべきですが、いかがですか。

○田中地域教育支援部長 学校給食用牛乳の空き紙パックの処理は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律により、事業活動に伴って生じた廃棄物は、みずからの責任において適正に処理しなければならないとされております。
 この法律によれば、学校設置者である区市町村がみずからの責任で処理し、負担することになると考えます。

○斉藤委員 あくまでも区市町村の責任だということでは、冷たい対応じゃないかと思います。
 今お示ししました副校長会からの要望にちゃんと向き合っていただきたいというふうに思うんですけれども、先ほどご答弁の中で、都立の中高一貫校の前期課程では、都立の中学校ではどういう対応になっているかというと、学校によっては、破砕処理機を入れている学校が五校、それから、今、実際まだリサイクルできていない学校と、それから、牛乳瓶を使っているという学校があるというふうに伺いました。つまり、都立の学校では、子供にリサイクル作業はさせていないわけですね。
 この質問をするに当たって、事前にやりとりをさせていただいたのですけれども、都教委の皆さんは、子供がリサイクルをするのは、なれれば短時間で負担なくできるようになるとか、実際に他県の学校を紹介、視察してきたというふうにおっしゃっています。それで、市区町村にはその事例を紹介しているというところですが、しかし、自分の都立の学校では、破砕処理機を入れて処理をしているということです。
 本当にこれ、何の問題もなくできるのなら、どうして破砕処理機を入れたのかが疑問だといわざるを得ません。やはり負担になるから入れたのではないでしょうか。
 牛乳パック処理に関する学校への現状の認識、そして、都教委としても支援が必要ではないかということ、もう一度ご答弁をお願いします。

○田中地域教育支援部長 都教育委員会としましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の規定、他県での牛乳パックの回収処理の状況、牛乳供給事業者の意向などを踏まえて、学校設置者である区市町村で牛乳パックの処理をしていただくようお願いする旨の文書を発出したところでございます。
 牛乳パックの処理方法については、各区市町村のリサイクルのルールに基づき、可能な限りリサイクルされるようにお願いしているところでございます。

○斉藤委員 現状のご説明はわかったのですけれども、今後、ちゃんと検討していただきたいなというふうに思うんです。
 ただでさえ、新型コロナウイルス感染症に伴うさまざまな対策、対応で、学校は本当に苦労しています。処理の責任を区市町村や学校に押しつけることで、先生や子供たちがしわ寄せを受けている現状を直視して、改善を行っていただくよう強く求めて、次の質問に移ります。
 性教育について伺います。
 私は、三月の予算議会の中でも、新しい性教育の手引をもとに質疑をさせていただきましたが、性教育の充実を求める声は、性被害、性暴力の根絶を求める運動の高まりや、また、コロナ禍での困難を背景に、ますます大きなものになっています。
 個人の尊厳を著しく傷つける性暴力は、重大な人権侵害の問題として、これをなくしていくための取り組みが教育現場にも求められています。
 内閣府が昨年、二〇一九年に全国ワンストップ支援センターに実施した調査では、面談を行った被害者のうち、十九歳以下が四〇・六%、二十代は三一・三%と、若年層の割合が高いということが明らかになりました。
 十九歳以下という学齢期の被害が四〇・六%と多くあることについて、都教育委員会の見解を伺います。また、あわせて現在の取り組みについて伺います。

○増田指導部長 性犯罪や性暴力は、被害に遭った児童生徒の心と体に長期にわたり重大な悪影響を及ぼすものであることから、学校において、児童生徒が性暴力等の被害者とならないようにするための指導の徹底を図ることが必要であると考えております。
 そのため、都教育委員会は、毎年度作成し、都内公立学校の全ての教員に配布している安全教育プログラムに、人通りの少ない道を通行しない、危険を感じたらすぐに助けを呼ぶなど、発達の段階に応じて、児童生徒が犯罪の被害に遭わないようにするための指導事例を掲載するなどして、学校における安全指導の充実を図ってまいりました。
 また、主として女子高校生にマッサージを行わせたり、会話やゲームの相手をさせたりする、いわゆるJKビジネスに生徒等がかかわることのないようにするための指導が、学校と警視庁との連携により適切に行われるよう、毎年度開催している警視庁と都教育委員会の連絡会を通して協力を依頼するなどしております。

○斉藤委員 性犯罪や性暴力は、児童生徒の心と体に長期にわたって重大な悪影響を及ぼすものであるということ、また、学校において、児童生徒が被害者とならないようにする指導の徹底を図るということが必要という認識は重要なものだというふうに思います。
 私たち日本共産党は、この間、痴漢被害のアンケートを行いました。一カ月で一千三百件を超える回答を得て、(資料を示す)これが打ち出したものなんですけれども、本当に多くの声が書き込まれております。
 痴漢や性被害を受けたことがあると回答したうちで、初めて被害を受けた年齢として、十二歳以下が、小学生だったという方が三五%を占めました。十八歳以下で見ると七四%にも上ります。立場の弱い学齢期の子供たちが狙われているということが明らかになっています。
 内容を少しご紹介します。小学校四、五年生で被害を受けたという女性です。図書館で隣に座ったスーツを着た中年男性にずっとお尻をさわられた、何をされているのかよくわからないまま固まってしまった、何十年も前なのに、今でもタイムスリップして叫びたくなるというもの。また、女子高校生は、電車で頻繁に痴漢に遭うという記述も多く、中には、それが原因で学校に通えなくなってしまったというケースもあります。
 ほかにも深刻なものがあります。まさに学齢期の子供たちを取り巻く実態に照らした学校現場での取り組みが重要です。
 先ほどのご答弁の中では、現在の取り組みについて、被害に遭わないための啓発やJKビジネスなどにつながらないようにするための指導に重点が置かれているという状況だと思いますが、性犯罪は、本来、被害者の注意が足りなかったから起こるものというものではありません。
 私は、改めてどんなことが性暴力なのかを教えることも含めて、性暴力の問題は人権問題と位置づけた性教育を発展させていくことが重要ではないかと思っています。
 政府が六月に性犯罪・性暴力対策の強化の方針を策定し、これを受けて文科省が各都道府県に通知を出しています。この中で文科省は、子供が性暴力の加害者や被害者、傍観者のいずれにもならないよう、教育、啓発内容の充実、相談を受ける体制の強化、わいせつ行為を行った教員等の厳正な処分、社会全体への啓発について、今後取り組みを強化していくとして、都道府県教育委員会に対して、この趣旨を踏まえた教育、啓発の強化について協力を求めています。
 大事な取り組みだと思いますが、都教育委員会の見解を伺います。また、これを受けて、都教育委員会ではどのような検討をしているのか、あわせて伺います。

○増田指導部長 児童生徒が性暴力の加害者、被害者、傍観者のいずれにもならないようにするためには、学校において、危険を予測し回避する能力、生命を尊重する態度、互いを思いやる心などを育む教育を充実させることが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、各学校における人権教育や道徳教育の充実を図ってまいりました。
 また、児童生徒が性被害等について相談できるよう、都内公立小中高等学校にスクールカウンセラーを配置するなどして、相談しやすい学校の環境づくりを支援するとともに、都教育相談センターにおいて、二十四時間受け付けの電話相談や中高生対象のSNS教育相談等を実施しております。
 今後とも、国における性犯罪や性暴力対策に関する検討状況を注視してまいります。

○斉藤委員 今ご答弁された認識は、非常に重要なものだというふうに思います。
 現在の取り組みについてご説明いただきましたけれども、大事なことは、今の子供たちを取り巻く背景や問題提起を受けて、今後、都教委がどのような対応を行っていくかということだと思います。
 政府の方針では、性犯罪、性暴力は被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為として、尊厳と性を結びつけて捉えている点は重要な点です。性と人権は不可分であり、性犯罪は人権侵害であるという認識に立つことが大事です。
 都教育委員会としてこれまで推進してきた人権教育に、性と人権にかかわる学習や啓発を加えていくことが必要だと考えますが、見解を伺います。

○増田指導部長 児童生徒が互いの人格を尊重し、望ましい人間関係を築いていけるようにするためには、学校において、教育活動全体を通して人権尊重の理念について正しく理解させるとともに、互いに尊重し合う態度を育てることが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、毎年度、人権教育の実践的な手引として、都内全ての公立学校の教員に配布している人権教育プログラムの中に、東京都男女平等参画基本条例に基づく男女両性の本質的平等の理念や、男女平等教育に関する指導事例を掲載するなどして、学校における人権教育の推進を図っております。

○斉藤委員 重要な認識を示していただきましたけれども、従来から人権教育プログラムに男女平等教育に関する指導事例を掲載しているということはわかっておりますけれども、今、あらゆる性暴力を許さない、こういう運動や世論の高まりから始まっているこの取り組みは、性被害や性暴力をなくしていこうという具体的なものです。人間と性の尊厳や、どういうことが性暴力なのかを学ぶということが、学齢期の子供たちにとって必要だというふうに思います。
 性教育を人権教育として位置づけて先進的な取り組みをしている中学校に、私は、三月の質疑の前に公開授業にも伺わせていただきましたが、その中で、先生方は、何よりも今の児童生徒を取り巻く環境や実態から出発した性教育が重要だと強調していました。
 今、児童生徒たちを取り巻く性被害やその背景に社会的な大きな光が当たっているときに、こうした子供たちの犠牲をなくしていくための取り組みが今こそ求められていると思います。
 今の児童生徒たちを取り巻く環境や実態から考えた性教育の重要性について、都教育委員会としてどのように認識しているか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 学校における性教育は、児童生徒の人格の完成を目指す教育の一環であり、人間尊重の精神に基づいて行うとともに、児童生徒が性に関する正しい知識を身につけ、適切な行動を選択できるよう進めていく必要がございます。
 こうした認識のもと、全ての児童生徒に学習指導要領に示された内容を確実に指導するとともに、社会状況の変化を踏まえた今日的な課題にも対応できるよう、各学校が保護者の理解を得ながら、児童生徒等の実態に応じて性教育に取り組んでいくことが重要でございます。

○斉藤委員 学校における性教育は、児童生徒の人格の完成を目指す教育の一環であり、人間尊重の精神に基づいて行うということ、児童生徒の実態に応じて性教育に取り組んでいくことが重要という認識は、これもとても大事なことだというふうに思います。このことを取り組みの根本に据えていただきたいというふうに思います。
 政府の方針では、子供を性暴力の当事者にしないための生命(いのち)の安全教育の推進ということを掲げていますが、具体的にどのように学校教育で取り組んでいくことが考えられるか、見解を伺います。

○増田指導部長 都教育委員会は、安全教育プログラムに児童生徒が性暴力を含む犯罪の被害に遭わないようにするための指導事例を掲載するなどして、学校における安全指導の徹底を図っております。
 また、道徳授業地区公開講座の開催や道徳の副教材の作成などを通して、小中学校における道徳教育の充実を図るとともに、全ての高等学校で指導する都独自の教科、人間と社会を通して、よりよい生き方を主体的に選択し、行動できる力を育む教育を推進しております。
 今後とも、こうした取り組みにより、学校における指導の充実を図ってまいります。

○斉藤委員 安全教育プログラムや道徳ということでお答えいただきましたけれども、私は、人権問題として位置づけた性教育の中でこそ、豊かに発展できるものではないかというふうに思っています。
 都教育委員会では、近年、性教育のモデル授業をふやしたり、学校独自の性教育の取り組みを尊重し、少しずつ前進をさせています。その中には、性に関する教育を人権教育として取り組んでいる先進的な事例もあります。
 性被害や性暴力も、まさに人権の問題として恒常的に位置づけて取り組んでいく必要があると考えますが、見解を伺います。

○増田指導部長 児童生徒が男女平等の理念を正しく理解するとともに、思いやりの心や社会生活の基本的ルールを身につけられるようにするためには、児童生徒の実態に応じ、学校の教育活動全体を通して計画的に人権教育を推進することが重要でございます。
 今後とも、都教育委員会は、児童生徒が互いの人格を尊重し、望ましい人間関係を築いていこうとする態度を育成することができるよう、学校における人権教育の充実を図ってまいります。

○斉藤委員 人権教育の推進、充実を図っていくということですが、ここにぜひ性暴力も含めた性教育を位置づけていただきたいというふうに思います。
 政府の方針は、取り組みに一歩を踏み出すものですが、しかし、二〇二〇年から二〇二二年までの三カ年を集中強化期間と期限を切っているというところが不十分な点です。二、三年で終わっていいものではなく、また、解決できるものではなく、まさに恒常的に、計画的に位置づけて取り組まなければならないことだと思います。そのスタートラインに、都教育委員会としても立つことを求めます。
 児童生徒のSNSの活用が進む中で、性暴力や性被害につながりやすい状況があることもこれまでに明らかになっています。
 都民安全推進本部所管の青少年問題協議会では、今、SNS利用を通しての性被害などの犯罪に巻き込まれる子供への対応について諮問され、議論がされています。
 都教育委員会としてはどのようにかかわっているのか、伺います。

○増田指導部長 ご指摘の東京都青少年問題協議会には、東京都教育委員会教育長が委員の一人として参加しております。
 本年六月に、知事がこの協議会に諮問した、SNSの不適切な利用に起因する青少年の性被害等が深刻化する中での健全育成については、現在、答申に向けて協議を行っているところでございます。

○斉藤委員 教育長がこの協議の総会には参加されているということなんですけれども、この専門部会では、非常に活発な議論がされています。議事録を拝見しましたけれども、若年層とSNSの実態について、学齢期の子供たちがどういう状況にあるかということが議論されています。積極的にかかわっていただきたいというふうに思います。
 これに関連しますけれども、政府は方針の中で、若年層が相談しやすくなるように、SNS相談について、来年度からの通年実施に向けて検討と準備を進めるとしています。
 都教育委員会として、現在の取り組みについて伺います。

○増田指導部長 性被害のみならず、子供が抱える個々の悩みや不安を解消するためには、多様な相談窓口を設置するとともに、それらを相互に連携させ、適切に支援していくことが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、昨年度から、若者の日常的なコミュニケーションツールであるSNSによる教育相談を通年で実施しております。
 この相談窓口に性被害等に関する相談が寄せられた場合には、警視庁少年センターや児童相談所の連絡先を案内することとしており、関係各局との連携を図っております。

○斉藤委員 SNSによる教育相談の体制を昨年度からつくっているということですけれども、性被害についての相談も行っていることや、どういうことが性被害、性暴力なのかということをあわせて情報提供しなければ、相談に結びつかないのではないかというふうに思います。丁寧な対応を検討していただきたいというふうに思います。
 また、被害者が性被害、性暴力に遭ったときにワンストップ支援センターにつながるための体制の強化についても政府が求めています。
 このワンストップ支援センターは、性被害に遭った方が医療的ケアなど総合的な支援を受けられる、こういうものになっていますが、岐阜県では、これに先駆けて、ワンストップ支援センターを紹介する中高校生向けのリーフレットをつくって学校で配布しています。
 東京都では、ワンストップ支援センターのことを掲載したパンフレットを学校等で配布するなど、こうした他県の例を参考にしながら行うべきだと思いますが、見解を伺います。

○増田指導部長 都では、性犯罪、性被害に遭った方々の相談に応じたり、必要な支援につなげたりするため、民間支援団体と連携して東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターを設置しております。
 今後、都教育委員会は、区市町村教育委員会の担当者連絡会や校長連絡会を通して、各学校に対して、このワンストップ支援センター等を紹介しているリーフレットが掲載されているウエブサイトを周知してまいります。

○斉藤委員 まずはウエブサイトで周知していくということを開始していくということで、よかったというふうに思います。
 しかし、今の都のリーフレットは、一般向けにつくられているものです。岐阜県の中高校生向けにつくられたものは、こちらに今持ってきておりますけれども……(資料を示す)中高生向けに振り仮名が振ってある、すごく読みやすくわかりやすい、平易に書かれたものになっています。
 例えば、いつ、どこで、誰が被害に遭うのというところでは、性の加害になる人というのは、知らない人だけではない、知っている人から受けるということもあるんだよということが示されていたり、あと、性暴力というのはそもそも何なのか、例えば水着で隠れる場所、プライベートパーツというのは、人にさわられたり、見せたりしてはいけないところなんだというところ、嫌なことをされたらそれが性暴力ですと。そういうことがわかりやすく書かれています。
 こうした先進事例を参考にして、ぜひ東京都でも踏み出していただきたいなというふうに思います。
 それから、教員から生徒に対する性加害の問題も顕在化し、文科省も、わいせつ行為を行った教員等の厳正な処分を求めています。
 都教育委員会として、啓発につなげるためにも、実態調査に踏み出していくべきだというふうに思いますが、見解を伺います。

○浅野人事部長 児童生徒に起きたわいせつ行為等に関する情報を学校が確実に把握するとともに、声を上げやすい体制を構築することが重要でございます。
 各学校では、児童生徒に不安や悩み等がある場合に、学級担任のほか、スクールカウンセラーや養護教諭など、話しやすい教職員に相談を行うよう促しております。
 また、学校だけでなく、東京都教育相談センターや区市町村教育委員会が設置する教育相談所などでも、悩みを抱える子供たちからの相談に応じております。

○斉藤委員 実態把握アンケートはまだ実施していないというところですけれども、こちらも、千葉県がセクシュアル・ハラスメント及び体罰に関する実態調査というものを行っています。特別支援学校を含む県立学校、高校、そして市立小中学校の在籍者、四十八万人以上を対象にする大規模な調査です。
 担当の方にお話を伺いましたけれども、学校におけるわいせつ行為やセクハラの根絶がなかなかできないという認識のもと、二〇〇四年から始めているということですが、セクハラ行為やわいせつ行為の防止や、家庭も含めた啓発にも役立っていると実感されているということでした。全数調査とまではいかなくても、都としても参考になる取り組みではないかというふうに思います。
 これまで、さまざまな取り組みを紹介させていただきましたが、都教育委員会としても、子供が多くの被害を受けている性犯罪、性暴力をなくしていくため、また、加害者にも傍観者にもならない子供たちの環境をつくっていくために、新たな取り組みの検討をしていただきたいと思います。
 とりわけ、人権教育と位置づけた性教育の中で取り組みをロードマップ化して発展させていくということを求めて、私の質問を終わりにいたします。ありがとうございます。

○田の上委員 まず、新型コロナウイルス感染症の影響について伺います。
 ウイズコロナということで、新しい日常が定着しつつあります。社会では、テレワークを定着させつつあるところであります。
 会社によっては、緊急事態宣言が終わった後、テレワークがもうなくなってしまったというか、少なくなってしまったというところもあったり、一方で、テレワークが日常化して、七、八割がテレワークになっていて、もうオフィスが要らないような状態になっているというような、そんなことも聞いているわけであります。
 一方で、教員は教壇に立つことから、テレワークから離れたポジションにあるというふうに思っております。社会では移動を少なくしている中、そういったことが可能ではない状況であります。例えば、始業時間が決まっていることから、時差通勤もままなりません。
 そして、現在、教員の配置においては、都内全域を異動範囲とし、九十分の範囲として、百二十分まで可能というふうにしているということでございます。
 せめて職住接近の配置ができないかと考えますが、都の見解を伺います。

○浅野人事部長 教員の人事異動に当たっては、教員に経験を積ませる人材育成の視点や、全都的な視野に立った異動を勘案する一方で、働き方改革の観点も考慮し、通勤時間がおおむね九十分以内におさまる配置に努めております。
 また、保育、育児、介護、健康上の理由など特別な事情がある者については、個別の事情に配慮した異動を行っております。

○田の上委員 都は、広範囲で異動を行っているので、なかなか難しいというお答えだと思います。西から東まで、かなり広い。その中でも九十分以内におさまるように努力をされているというご答弁でございました。また引き続きのご努力をお願いしたいと思います。
 また、特別な事情がある方に関しましては、事情に配慮した異動を行っているというご答弁をいただきました。ぜひこれもご配慮をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 そして、三密回避をしながらの学校の段階的再開に伴う児童生徒の学びの保障として、政府補正予算を使った加配がございます。小中学校の最終学年を少人数編制にするために、必要な教員について補助をするものでありました。先ほども同様のご質問がありました。
 東京都では、各校の申請をもとに時間講師の配置をしております。この間、最終学年以外も対象になったかと思います。
 先ほどのご答弁で、都での時間講師の配置状況というものがありましたが、国の事業の対象以外の高等学校や特別支援学校について、また、今後、国の事業が終了になった場合の都の対応について改めて伺います。

○浅野人事部長 都教育委員会は、学校が三密対策として児童生徒間の身体的距離を確保した教育活動等を実施する場合に、申請に基づき必要な講師時数を措置しております。
 時数措置に当たっては、小中学校に加えて、高校や特別支援学校を対象校種に含めるとともに、土曜授業等での活用も対象とするなど幅広く措置しており、令和二年九月末時点の措置状況は、学校数では百二十七校、週当たり時数では二千九百五十八時間でございます。
 措置時数については、随時、国庫申請を行っておりますが、国の事業が年度途中で終了となった場合においても、都教育委員会として必要な講師時数を措置してまいります。

○田の上委員 都で、さまざまなご配慮をしていただいているということで、措置時数についても、例えば国の事業が年度途中で終了になった場合についても、必要な時数を措置するというご答弁でございました。ありがとうございます。
 済みません。一問、飛ばしてしまっておりました。
 コロナ禍では、妊婦や基礎疾患のある教員、職員の課題がございます。厚生労働省の指針により、民間では、母性健康管理指導事項連絡カードの提出により、配慮しなくてはならないことになっています。
 教員の場合、代替者の確保が必須となりますが、どのような配慮をされているのか、伺います。

○黒田人事企画担当部長 新型コロナウイルス感染症が拡大する中、ことし五月、国は、事業主に対し、医師等の指導に基づき、妊娠中の労働者に出勤の制限等の必要な措置を講ずるよう、男女雇用機会均等法に基づく母性健康管理措置の指針を改正いたしました。
 都教育委員会では、国の指針改正を踏まえ、業務等における感染症に関する心理的ストレスが母体または胎児の健康保持に影響があると医師等の指導を受けた教職員から申し出があった場合には、自宅勤務や職務専念義務の免除等の措置を適切に講じるよう、都立学校長及び区市町村教育委員会に依頼いたしました。
 また、妊娠中や基礎疾患があるなど健康に配慮が必要な教職員に対して出勤の制限等の措置を講じる際に後補充が必要となる場合には、時間講師の配置等を実施しております。

○田の上委員 国の指針改正を踏まえて、準じた措置をとるということだと思います。また、妊娠中や基礎疾患がある方など後補充が必要になる場合には、時間講師の配置等を実施しているというご答弁でございました。ぜひともお願いをしたいというふうに思います。
 都では、新型コロナウイルス感染症対策と学校運営に関するガイドラインというものを区市町村にも示していると聞いております。
 現場では、冬場になり、教室の暖房の効果と換気の頻度、また、空気が乾いて健康上にも影響があることなどから、保湿をどのように確保するかなどが課題になっていると聞いています。さらには、暖房をつけながらの換気では光熱費の増額が予想され、困惑の声も聞こえてくるところでございます。
 換気等についての都の方針について伺います。

○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都教育委員会は、新型コロナウイルス感染症対策と学校運営に関するガイドラインにおきまして、授業中における換気の方法など、校内環境の適切な管理に係る方針を定めております。
 具体的には、教室のドアは常時開放することとし、授業中における窓あけなどの換気は、可能であれば常時二方向の窓を同時にあけて行うこととし、困難な場合には、三十分に一回以上、数分間程度、窓を全開することといたしております。
 また、空調や衣服による温度調節、除湿器による湿度調節などの対策も講じることとしております。
 夏場に続き、冬場におきましても、各学校において適切な換気を行いつつ、空調等による温度調節を行い、適切な校内環境の管理に取り組んでまいります。
 なお、都立学校におきましては、各学校への光熱水費等の予算配当に当たりまして、これらの取り組みが徹底されるよう配慮しております。

○田の上委員 現場ではいろいろ懸念しているということでございますので、区市町村にもこのガイドラインが徹底されるように、普及にご努力いただければというふうに思います。
 また、都立学校については、予算配当に当たって配慮をしていくというご答弁をいただきまして、ぜひお願いしたいと思います。
 次に、東京二〇二〇大会は一年延期となりました。新型コロナウイルス感染症の終息を望む声はもちろんのことでございますが、アスリートを中心に開催を望む声は多いと考えます。
 子供たちに夢と感動を与える競技観戦は、教育庁のすばらしい取り組みであると評価をいたしております。そしてまた、これはぜひ実現してほしいというふうにも思っております。
 しかしながら、昨年とは異なり、新型コロナウイルス感染症の影響により、生徒の引率についての懸念の声を聞いているところでございます。例えば、離れた地域にある学校などは、長時間、公共交通を利用し、大勢の子供を移動させて大丈夫なのかと、不安が大きくなっているようです。
 つい先日、東京二〇二〇大会チケットの希望者への払い戻しのご案内も始まったようでございますが、原則、そこにおいても、昨年の予約はそのまま利用できるということになっております。
 都では、昨年、各学校等に意向調査をし、競技観戦の割り当てをしているかと思いますが、これが絶対であるというふうには考えず、臨機応変に対応していかれればいいのではないかというふうに思っております。
 適当な時期に、再度、各学校に意向確認をするべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、東京二〇二〇大会の競技観戦を希望した学校に対して、昨年八月に暫定割り当て案を示し、各学校の意向を確認したところでございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響等により大会の開催が延期され、学校を取り巻く状況等も変化していることから、今後、改めて学校に観戦の意向を確認する予定でございます。

○田の上委員 また、今後の方向性次第では、観客数に変動がある場合も考えられます。
 状況に変化が生じた際にも、学校の意向を確認するべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 東京二〇二〇大会における競技観戦は、学校の教育活動の一環として行うものであり、観戦に当たりましては、子供たちの安全に十分に配慮することが重要でございます。
 今後、学校連携観戦チケットに変動があるなど、状況に変化が生じた場合には、学校の意向を十分に踏まえた上で実施をしてまいります。

○田の上委員 次に、OB活用について伺います。
 まずは、非常勤教員、日勤講師の制度についてです。
 会計年度任用制度の適用により、来年度からは公募による採用枠もあるとのことで、本年、論文による選考となったと聞いております。退職後の選択肢であった非常勤教員の制度でございますが、年齢制限などが撤廃され、応募資格が広がった一方で、狭き門となっているような印象でございます。
 都教育委員会ではこれまで、時間講師の制度や七十歳まで働こうキャンペーン、授業時数にもOB活用を積極的にしていくという方針でありましたが、正規職員、教員の不足が課題である中、今後のOB活用の方向性について伺います。

○黒田人事企画担当部長 非常勤教員につきましては、法改正により会計年度任用職員に移行しております。
 非常勤教員の採用に当たっては、原則として公募による選考を経るものとされ、年齢制限や任用回数制限も撤廃されるなど、従来の高齢期雇用制度の一環としての位置づけから大きく変化いたしました。
 こうした制度改正により応募者の増加が見込まれることから、非常勤教員の質の確保を図るため、論文と面接を課して選考を行う予定であります。
 都教育委員会といたしましては、非常勤教員も含め、再任用教員、産休、育休代替教員や時間講師などの学校現場が必要としている職について、引き続き、豊富な経験や知識を有する教員OB等の積極的な活用を推進してまいります。

○田の上委員 応募者が幅広くなったことから、こういった選考を行う予定というふうに伺いました。また、非常勤教員の質の確保というものも大切だと思っております。
 ただ、一方で、教員不足が懸念される中、教員免許を持ったOBの活用など、これまでどおり積極的に進めていただきたいと要望いたします。
 次に、再任用の異動についてです。先ほど谷村理事からもご質問がありましたけれども、私はちょっと都立高校の事例でお話をさせていただきます。
 これまでにも我が会派から質問させていただいておりますが、再任用の教員は、現職と同じように授業を持ち、生徒指導を行うなど、存分に働いているというふうに聞いております。
 私の知人である都立高校の先生も、学習指導に意欲があり、進学校に異動したいという思いがありますけれども、やはり定年前に配置されました学校から動くことができずにおります。通常六年を一区切りに異動するということや、受け入れ先のマッチングの問題ということでかなっていないわけであります。
 しかし、本来は、先ほどもありましたけれども、任期制ということで一年更新であります。毎年毎年、異動の希望を出しているそうでございます。ですので、六年を一区切りにするという、一律にしてしまうということには疑問を感じているところでございます。
 現職教員と同様に、やる気のある、また、力のある再任用教員の異動を積極的に行い、適材適所にしていくということも考えるべきだと思いますが、所見を伺います。

○浅野人事部長 再任用教員は、ベテラン教員としての能力や経験を生かす観点から、学校運営を支えたり、若手教員の育成に寄与することなどに活躍が期待されております。
 都教育委員会は、都立学校の再任用教員について、校長の人事構想と再任用教員本人の希望などを考慮しながら、学校経営の充実が図られるように教員の配置を行っております。
 その結果、退職時の学校に継続して配置される者が多い状況でありますが、新たな学校で力を発揮する意欲と能力のある再任用教員については、配置先の学校のニーズに応じた異動もふやしてきております。
 引き続き、適材適所の配置に努めてまいります。

○田の上委員 再任用の方というのは、もう最後は、自分のおうちの近くで働きたいであるとか、余り苦労はしたくない、無理はしたくないというような声も聞こえてくるところでございますが、やる気のある方に関しましては、ぜひ適材適所ということで配置をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、オンライン教育について伺います。
 臨時休校の際に必要に迫られて始まったオンライン教育でございますが、現場では、思うように指導ができないという話を聞いております。オンライン教育としては、やはり指導する側、そして受ける側、さまざまな課題があります。
 今後、GIGAスクール構想の前倒しにより都内公立学校のICT環境の整備が進むこともあり、指導する側の研修も含めて再構築をしていく必要があると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○岩野企画調整担当部長 都内公立小中学校におきましては、ICT環境整備が急速に進み、今年度末には、ほぼ全ての学校で児童生徒一人一台端末常時接続での授業が可能になります。
 各学校では、教員がICTを積極的に活用するとともに、教員の活用能力の向上を図り、授業にICTを効果的に取り込んでいくことが必要となってまいります。
 そこで、都教育委員会では、ICT活用における校長のリーダーシップの発揮を促すため、学校管理職を対象として、十月下旬から都立学校に、十一月下旬からは区市町村立学校に向けて研修動画を配信します。
 また、都内全公立学校を対象にオンライン学習推進のための指導者講習会を実施しており、研修参加者が自分の所属する学校で講師となって、他の教員に講習内容について研修を行う取り組みも行っているところでございます。
 さらに、今年度、一人一台端末の授業で必要となる教員のスキルに関するリーフレットを作成し、都内全公立学校に配布する予定でございます。
 都教育委員会では、引き続き教員研修を推進し、ICTを活用した授業改善に取り組んでまいります。

○田の上委員 ぜひ積極的に研修をお願いしたいと思います。臨時休校の際には、動画に挑戦はしたんだけれども、おじいさん、おばあさんのビデオレターのような感じになってしまったというような声も聞いているところでございます。ぜひ有効に使えるようにお願いをしたいと思います。
 GIGAスクールにおきましては、文科省の概算要求で支援員が四校に一名となっていますが、先ほどもこのような質問がありましたけれども、一校一名でなければ間に合わないという声も聞いているところです。これに対しまして、本年三月に、我が党の福島議員からの質問により、都の補助の活用によって一校一名体制が確立するというご答弁をいただいたところです。
 一方で、都のモバイルルーターの貸与等の支援事業が間もなく終了となります。今後のオンライン環境整備についての対応が懸念されるところです。
 臨時休校中は図書館も閉鎖されており、利用することもできませんでした。家庭のオンライン環境によって格差が生じる懸念がされております。
 今後の学校内設備の状況も含めて、環境整備についての見解を伺います。

○岩野企画調整担当部長 新型コロナウイルス感染症拡大により学校の臨時休業が長期化する中、都教育委員会は、児童生徒の学びをとめないよう、緊急対策として、家庭におけるオンライン学習を推進するための対策を講じてまいりました。
 具体的には、都内公立小中学校の児童生徒の家庭に端末や通信環境が不足する場合、学校が保有する端末の貸与や、通信費を含めたモバイルルーターの貸与等の支援を行ってきたところです。
 現在、区市町村立教育委員会では、国のGIGAスクール構想の前倒しにより、一人一台端末と校内の高速大容量の通信環境との一体的な整備を進めており、今年度末には、ほぼ全ての区市町村教育委員会におきまして整備が完了する予定となっております。
 今後、都教育委員会では、一人一台端末や校内の通信環境を活用し、家庭に端末や通信環境が十分でない児童生徒もオンラインでの学習に取り組めるよう対応してまいります。
 また、家庭での学習に係る通信費につきましては、必要な財政措置を講じることを国に対して要望しております。

○田の上委員 今後のオンライン環境整備につきましては、GIGAスクール構想による校内LANなどの整備ということでございました。家庭内でのオンライン学習の環境整備という方向性ではないというふうに受け取りました。
 しかしながら、学校でLANが整備されたところで、その整備を放課後に使えるのかどうかなどという課題が残ってしまいます。区市町村の問題だといわれれば、それまでなんですが、こういったこともしっかりと考えていかなければいけないと思います。
 そしてまた、国に要望しているということでありますが、この先、オンライン教育がますます進んでいきますと、各家庭の事情によって、やっぱり差が出てしまうということが懸念されるわけであります。都でも、今までのようなルーターの貸与のような工夫が必要と考えますので、今後の検討を要望しておきます。
 臨時休校中は、家庭にいる児童生徒へのオンライン教育をどうするかということが課題でございました。現在は平常授業になっております。
 しかしながら、オンライン活用は、さまざまな場面で有益です。他方、登校し、対面の教育、また集団での教育による効果もあり、どのようにツールとして活用していくのでしょうか。
 今後のオンライン教育の活用法について見解を伺います。

○岩野企画調整担当部長 ICTを活用したオンラインの取り組みは、時間と場所の制約を受けないため、学校の授業等の活用においても有効でございます。
 例えば、授業中に生徒が演習に取り組む際、わからない問題について、教員が配信している学習動画で復習するなど、児童生徒が主体的に学びに取り組むことが可能となります。
 また、外部講師を招聘する授業や他校との合同授業においては、ビデオ会議システムを活用することにより、時間的制約の多い外部講師が授業に参加しやすくなることや、地理的に離れた学校との授業なども容易となります。
 さらには、コロナ禍において三密を避けるために、これまで体育館等に集合して実施していた学習発表会や生徒総会などを、オンラインを活用し教室で開催することで、感染防止に力を発揮しております。
 都教育委員会では、授業等においてオンラインによる利点を生かした取り組みを各校へ促し、ICTを活用した授業改善に取り組んでまいります。

○田の上委員 ぜひともコロナ禍でなくても活用を続けていっていただきたいと思いますし、平常の中で、上手な活用方法を見出していっていただきたいというふうに思っております。
 次に、メディアリテラシーとSNSに関しまして質問をいたします。
 SNS等によるいじめ、嫌がらせが多々見られるというのは周知のとおりでございます。メディアの意味と特性を理解した上で、受け手としての情報を読み解き、送り手として情報を表現、発信するとともに、メディアのあり方を考え行動していく能力として、メディアリテラシーというものを考えております。
 SNSの課題については、さまざまな自治体で情報モラル教育の実践をしており、また学術研究もあります。私もいろいろ見ましたけれども、何が一番効果的なのかというのは答えが出ないところであります。
 ただ、ちょっと興味深く思ったのは、実際に実践をして、例えばチャットの疑似体験をして、嫌な言葉、例えば、ばかだとか、もう来るなとかいわれたときに、その子供がどういうふうに感じるかということを経験させて、そして、その後、また実際にSNSで送信する。その言葉をどのように選ぶかというような実践例とかは、非常に興味深く思っております。
 東京都では、一方で、SNS東京ルールを平成二十七年に策定、また、策定後の主な成果として、ホームページ上に公開されております。また、これもいただきましたけれども、(資料を示す)SNS東京ノートということで、年代に応じてつくっているということであります。
 このSNS東京ルールでございますが、昨年改定されましたが、二十七年に策定したものによる効果と、また、改定したことにより見込まれる効果についての見解を伺います。

○増田指導部長 SNS東京ルール策定後の主な成果といたしましては、都教育委員会が毎年度実施している抽出調査の結果で、都内公立学校の児童生徒のうち、インターネットやSNSの利用について家庭でのルールを定めている児童生徒の割合が、平成二十六年度は三七・五%でございましたが、平成三十年度には六二・三%に増加したことが挙げられます。
 また、インターネット利用時に嫌な思いをしたことがある児童生徒の割合が、平成二十六年度には二二・二%でございましたが、平成三十年度には六・九%に減少いたしました。
 その後、スマートフォンやSNSの普及により新たに生じた諸課題にも対応できるようにするため、昨年度、SNS東京ルールを改定し、利用時間を自律的に管理すること、情報を発信するアプリを適切に使用すること、自画撮り画像等による被害を防止することの三点を中心に、学校における効果的な取り組みを行うことができるようにいたしました。

○田の上委員 平成二十七年に策定したものによる効果が見られたけれども、その後のスマートフォンやSNSの普及により生じた諸課題にも対応できるように改定をしたというご答弁でございました。
 先日、第四期東京都いじめ問題対策連絡協議会を傍聴させていただきました。SNSについてはたくさんあり過ぎて、例えば、いじめでどういったところにSNSで問題があるのかというところで、対処できないというような声があったかと思います。
 何が正かということはなかなかわからないのですが、一つ思うのは、教育において、危険だから近づけないというのではなくて、だからこそ、その情報を知るということが必要であるというふうに考えております。
 我が子のことで恐縮ではございますが、私の子供は四歳なんですけれども、一歳のときからもうスマホをいじっておりまして、今では、電話したりするのはもちろんできるのですけれども、グーグルで検索してゲームアプリをダウンロードしたりとか、LINEで平仮名、簡単なものを打って送るぐらいのことは平気でできちゃいます。
 これは多分、特殊なことではないと思います。親が端末をいじっていると、興味を持ってさわるので、情報に接することになります。
 ただ、操作はできるのですけれども、情報の取捨選択はできません。ですので、私が一緒にいて変なものが出てきたときには、これは見ないようにしようねとか、そんなふうにやっているわけでありますが、大人が思うより、子供は低年齢で情報に接するのではないかというふうに考えております。
 四歳というのは極端かもしれませんけれども、さまざまなことを考えると、情報の方から押し寄せてくるので、それを拒否していくというのは難しいのではないかなというふうに考えているところでございます。
 SNSというツールにより、メディアやインターネットに初めて接する年齢が早くなり、また、接する時間がふえるという中で、情報モラル教育も早い段階で進めていかなくてはならないというふうに考えますが、都の見解を伺います。

○増田指導部長 インターネット利用が低年齢化、長時間化する中で、児童生徒がインターネットを通じたいじめやトラブルの被害者にも加害者にもならないようにするためには、小学校低学年のうちから情報モラルに関する指導を計画的に実施することが必要でございます。
 そのため、都教育委員会は、先ほど答弁いたしましたSNS東京ルールに関する取り組みを、小学校においても効果的に実施できるようにするため、毎年度、情報モラル教育の補助教材、SNS東京ノートを作成し、都内全ての公立小学校の児童に配布しております。
 例えば、このノートの小学校一、二年生用には、学級の友達からいわれてうれしくないと感じる言葉について考える内容や、友達の絵を勝手にまねして自分の絵として描くことがよいことか考える内容を掲載しております。
 また、一、二年生で行った指導を後の学年における効果的な指導に発展させられるよう、三、四年生用、五、六年生用の各ノートの内容を工夫し、小学校における系統的な情報モラル教育を実施できるようにしております。

○田の上委員 ご答弁いただきました。またこれから何年か後には、インターネットやSNSに接する年齢がさらに低年齢化するとか、いろんなことがあるかと思います。やはり早期に何でも手を打っていくというのが必要なのかなというふうに考えております。
 適宜見直しといいますか、更新というものを行っていっていただき、よいものをつくっていただきたいと要望いたします。
 以上です。

○河野委員長 この際、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、委員会を閉会するとともに、十一月十二日午後一時に委員会を開会し、質疑を引き続き行うことにいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時六分散会

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