文教委員会速記録第十九号

令和二年十月二十九日(木曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長河野ゆりえ君
副委員長早坂 義弘君
副委員長田の上いくこ君
理事平  慶翔君
理事とや英津子君
理事谷村 孝彦君
内山 真吾君
林あきひろ君
龍円あいり君
斉藤まりこ君
伊藤こういち君
大場やすのぶ君
両角みのる君

欠席委員 一名

出席説明員
オリンピック・パラリンピック準備局局長中村 倫治君
次長理事兼務延與  桂君
次長小池  潔君
次長総務部長事務取扱佐藤 智秀君
技監荒井 俊之君
理事西村 泰信君
理事中澤 基行君
調整担当部長菅原 雅康君
自治体調整担当部長小池 和孝君
聖火リレー担当部長田中 愛子君
計画推進部長田中  彰君
運営担当部長末村 智子君
運営調整担当部長三浦 幹雄君
ボランティア担当部長小高 都子君
競技・渉外担当部長川瀬 航司君
パラリンピック部長越  秀幸君
障害者スポーツ担当部長加藤 みほ君
大会施設部長鈴木 一幸君
開設準備担当部長利用促進担当部長兼務柏原 弘幸君
施設担当部長湯川 雅史君
スポーツ施設担当部長原田 和生君
輸送担当部長村田 拓也君
輸送担当部長佐久間巧成君
スポーツ推進部長鈴木 研二君

本日の会議に付した事件
オリンピック・パラリンピック準備局関係
事務事業について(質疑)

○河野委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、オリンピック・パラリンピック準備局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これよりオリンピック・パラリンピック準備局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○佐藤次長 去る十月二十二日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます文教委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりいただき、資料1、TOKYOスポーツ施設サポーターズ事業の協力先及び利用実績をごらんください。
 令和二年九月三十日現在のTOKYOスポーツ施設サポーターズ事業に係る協力先、貸出施設名及び利用実績について記載をしてございます。
 続きまして、資料2、東京二〇二〇大会に係る共同実施事業等の執行状況内訳をごらんください。
 共同実施事業等の平成二十九年度から令和元年度までの決算額につきまして、昨年十二月に公表をいたしました大会経費バージョンフォーと同様に、会場関係では仮設等、エネルギー、テクノロジー、大会関係では輸送、セキュリティー、オペレーション等の区分ごとに記載をしてございます。
 続きまして、資料3、東京二〇二〇大会に係る共同実施事業の契約案件一覧をごらんください。
 組織委員会が共同実施事業で契約した令和元年度までの契約件名、契約者、調達方法、契約金額を一覧で記載してございます。
 続きまして、資料4、都立スポーツ施設における新型コロナウイルス感染症の影響による休館状況をごらんください。
 新型コロナウイルス感染症を理由とした各施設の休館状況を一覧で記載してございます。
 続きまして、資料5、都立スポーツ施設における利用状況をごらんください。
 都立スポーツ施設における二〇一九年と二〇二〇年の二月から九月の利用人数を一覧で記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○河野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○平委員 東京二〇二〇大会について質問をいたします。
 思えば、一年前の十月十五日、東京都に組織委員会の武藤事務局長が小池都知事を訪問され、マラソン、競歩競技の札幌移転の話が持ち込まれました。その翌日の十六日には、IOC理事会は、東京、組織委員会とともに、オリンピックマラソンレースとレースウオーキングイベントを札幌市に移転することを決定し、十七日には、バッハ会長が国内オリンピック委員会連合会、通称ANOCにおいて、アスリートの健康と幸福のために決定したと挨拶をいたしました。
 バッハ会長は、二週間前の十月三日には、東京の暑さ対策について、大会組織委員会の取り組みを評価し、暑さ対策には自信を深めたと発言しておられました。バッハ会長は、なぜANOCまでに急いでマラソン、競歩競技の札幌移転を決定しなければならなかったのか、私たち都民ファーストの会は、それはアスリートのことを考えてのことではないと考え、撤回を求めてきました。
 私たちは、アスリートファーストとは周到に準備された大会運営であるとして、二〇二〇年夏の東京の条件に照準を合わせて作戦やコンディションを整え、満員の国立競技場に戻ってくるというアスリートの思いを尊重するのであり、そのため、日の出直後のスタートを提案いたしました。
 残念ながら、IOCは、その一方的な主張を変えることなく、十一月一日には、IOC、組織委員会、国、そして東京都の四者会談で、マラソン、競歩の会場が札幌に変更された際に発生する新たな経費は東京都に負担させないこと等の四つの確認を行いつつも、東京都は、合意なき決定として、IOCによるマラソン、競歩の札幌移転を黙認しました。
 今述べた経緯を踏まえ、伺いますが、東京二〇二〇大会の簡素化の内容、必要な費用総額やその費用の分担などについて、都民の目には厳しいものがあること、都としては、アスリートファーストの大会を目指すことなどをIOCに伝え、くれぐれも昨年のマラソン移転のようにIOCが一方的に決定をすることがないようにすべきと考えます。都の見解を伺います。

○田中計画推進部長 本年四月、組織委員会とIOCとの共同ステートメントで示された今後の大会準備の枠組みでは、IOCと組織委員会を含む日本側が共同で、サービスレベルの水準を最適化、合理化する施策を検討するとともに、延期により生じるコストの削減を図るものとし、延期のもたらす影響について議論を行うこととしております。
 また、六月のIOC理事会で報告されました延期された大会の位置づけでは、オリンピック・パラリンピックの本質は競技とアスリートにあることを共通理念として掲げており、基本原則として、安全・安心な環境を提供すること、費用を最小化し、都民、国民から理解と共感を得られるものにすること、大会を簡素なものとすることの三つの原則が示されております。
 今後とも、これらの理念や原則のもと、組織委員会、国等と連携協力しながら、IOCともしっかり議論し、都民、国民の理解や共感を得られるよう、大会の成功に向けて取り組んでまいります。

○平委員 IOCともしっかり議論をし、都民、国民の理解や共感の得られる大会にしていくということでございました。
 本年、世界に新型コロナウイルス感染症が広がり、三月十一日、WHOはパンデミックを宣言し、三月二十四日には、バッハ会長と安倍総理大臣の電話会談に小池知事も同席して、一年延期が決定されました。
 そして、三月三十日、IOCは、臨時理事会で大会の延期日程を、オリンピックは二〇二一年七月二十三日の十七日間、パラリンピックは二〇二一年八月二十四日に開幕する十三日間となりました。
 延期を含む大会経費の総額について合意ができたとしても、その費用負担をどうするか、都民にとって大きな関心事であり、国による都税の収奪が続く中で、さらに、新型コロナウイルス感染症対策経費の東京都への交付金が少ないという状況を鑑み、東京都が過大な負担をすることがないようにすべきであると考えます。都の見解を伺います。

○菅原調整担当部長 大会経費については、サービスレベルの水準を最適化、合理化する施策を検討するとともに、延期により生じるコストの削減を図ることとしております。
 そのため、組織委員会とともに、IOCと大会の簡素化に向けた見直しを行い、先月のIOC調整委員会において、これまでの成果として、五十二項目について合意をいたしました。
 そして、今月のIOC理事会において、現時点における見直しによる削減効果の暫定的な概算値として、おおよそ三百億円の削減効果が公表されたところでございます。
 また、延期に伴う費用につきましては、既存契約等の見直しや今回の簡素化の成果も踏まえながら、組織委員会において算出しているところでございまして、その内容については、今後、都としても確認、精査を行ってまいります。
 今後、引き続き、国際競技連盟や各国オリンピック委員会などの関係者と簡素化に向けた努力を重ねるとともに、追加経費に係る負担も含め、IOCと組織委員会、国、東京都の日本側が共同で議論を行い、都民、国民の理解が得られるよう取り組んでまいります。

○平委員 私たちは、コロナ禍の中にあっても、スポーツの力は必要不可欠であると考えます。
 日本では、プロ野球、Jリーグ、大相撲など、無観客試合から始まって、試行錯誤を行いながら、徐々に観客を入れながら試合を行っています。
 アメリカの大リーグやプロバスケットも、ヨーロッパサッカーも、無観客でゲームを行ってきました。大坂なおみ選手が活躍した全米オープンテニスも無観客でしたが、大きな感動を呼びました。
 私たちは、来年のオリンピック・パラリンピックもアスリートファーストを基本に置いて、選手や大会関係者について、新型コロナウイルス感染症対策を初めとして、安全な大会を成功させるべきだと考えます。
 そこで、さまざまなスポーツイベントにおける多様な感染症対策の実証や知見なども踏まえ、新型コロナウイルス感染症対策を検討すべきであると考えます。見解を伺います。

○末村運営担当部長 新型コロナウイルス感染症による制限のもとで、国内のプロスポーツや国際競技大会が、安全・安心な運営のための対策と工夫を行った上で再開されております。
 こうした知見を踏まえながら、東京二〇二〇大会に向けた対策につきましては、本年九月に設置された会議におきまして、国、組織委員会等とともに幅広く検討を進めております。
 会議におきましては、競技会場や選手村における対策として、さまざまなスポーツイベントにおける知見を踏まえ、アスリートの行動ルールの徹底や、スタッフ等との接触を最小限にするゾーニングの設定、競技用具の共用取りやめなど、具体的な対策の方向性が確認されました。
 引き続き、今後開催されるさまざまなスポーツイベントの対策等を踏まえながら、国、組織委員会等と連携して、安全・安心な大会に向けた取り組みを進めてまいります。

○平委員 ありがとうございます。IOCや組織委員会は、来年の二〇二〇大会を簡素化する検討を行っていますが、フルスケールの大会からどれだけ簡素化できるかという、いわゆるトップダウン的な簡素化の検討をしているようにも見えます。
 私は、そうでなく、各国のプロスポーツが行っているように、アスリートファースト、すなわちアスリートが安全にプレーできる環境を整えることを考えるべきと思います。
 例えば、選手を隔離したり、さらに、選手に感染者が出たとしても大会を無事に行うことができるよう、選手村とその周辺の感染予防策を工夫する、または、外部との接触を断ち切り、厳しい規定を徹底できるよう策を講じることも必要と考えます。
 皆さん、想像していただきたいのですけれども、自分がアスリートの立場で、海外から日本に来ました。いろいろアスリートというのは、個人的なつき合いもあれば、また、スポンサーとの契約もあります。その中において、会食だとか会合でスポンサーから呼び出されたときに、そうしたら、それを断るというのはなかなか難しいんじゃないかなというふうに思うんですね。ですから、そういった接触を断ち切るための規定みたいなものも設けなければならないんじゃないかというふうに私は思います。
 大会期間中に、例えば選手が新型コロナウイルスに感染した場合、大会運営に影響が出ることも想定されます。安全・安心な大会に向けて対策を検討すべきであると思いますが、都の見解を伺います。

○末村運営担当部長 アスリートに感染者等が発生した場合には、アスリート自身の健康を守り、国民への感染拡大を防ぐという二つの面から、保健医療上の対応を強化することが重要でございます。
 大会に向けた対策につきましては調整会議で議論されており、大会運営における情報連携のハブとなる組織委員会のメーンオペレーションセンター内に組織委員会が設置する、仮称でございますが、感染症対策センターが医療機関や保健所等の行政機能と連携し、大会に係る感染症対策を一元的に推進する仕組みを検討してまいります。
 選手村など、アスリートの滞在が集中する地域の保健衛生機能を強化するため、アスリートの発症時の入院医療機関等の選定や、疫学調査などの行政上の対応を行う保健衛生の拠点機能の構築を検討してまいります。
 また、組織委員会が選手村内に設置する総合診療所に発熱外来や検査体制を併設するなど、迅速に医療、検査の機会を提供する仕組みを検討してまいります。
 引き続き、今後、国、組織委員会との連携のもと、必要な対策につきまして具体的に検討を進めてまいります。

○平委員 ありがとうございました。さまざまな仕組みや検討を行っているということでございました。
 私は、義理兄にプロのスポーツ選手がいるんですね。だから、こういった選手の方々というのを、ある意味、人ごととは感じられないんです。だからこそ、やはり選手の方が安全に大会に臨めるように、皆さんもご努力をしていただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。
 本日の産経新聞に、IOCのバッハ会長は、二〇二〇年大会について、来年七月に開会式が開かれるよう総力を傾けているとしつつも、満員の観衆が理想的だが、現実的に可能ではないようだというふうに述べたと報道されておりました。
 新型コロナウイルス感染症の状況がさらに深刻化すれば、最低限、無観客での開催も視野に、ゼロベースから大会のあり方を考える必要も出てくるのではないかというふうに思います。
 制限された観客を入れるというプランや、さまざまなプランを用意して、出場するアスリート、都民、国民が納得の得られる安心・安全なオリンピック・パラリンピックになるよう、事務局の皆さんには頑張っていただきたいというふうに思います。
 私の質問は以上でございます。ありがとうございました。

○早坂委員 今日、東京、そして我が国のみならず、世界中の全ての都市と国が抱える最大の課題は、新型コロナウイルス感染症対策にあります。
 申し上げるまでもなく、二〇二〇年大会は、コロナで開催が一年間延期されました。延期に伴うさまざまな計画の再調整に加えて、新たに選手と観客双方のコロナ対策を万全に行うことが求められる中、来年の大会開催に向けてご努力いただいております関係者の皆様に心から敬意を表したいと思います。
 それにあわせ、我が東京都議会は、さきの令和二年第三回定例会で、延期された二〇二〇年大会の開催と成功に関する決議がなされ、都議会として全力で取り組んでいくことが決議をされました。
 一方で、NHKが本年七月中旬に実施した世論調査によると、再延期すべきが三五%、中止すべきが三一%、合わせて六六%となり、一年後に予定どおり開催すべきという二六%を大きく上回っている状況にあります。
 依然としてコロナ感染が終息を見ない中で、世界中から選手、役員や観戦客が東京を訪れることに対する恐怖心と、追加負担をする余裕があるなら、その分の税金をコロナ対策に充ててほしいという願いの二つが相まって、このような世論調査の結果になったんだろうと思います。
 こうした世論の傾向が維持されたまま、二〇二〇プラスワン大会が開催されると、都民、国民から祝福されないオリンピック・パラリンピックとなってしまうおそれがあります。
 つまり、こうした不安や懸念あるいは誤解を払拭するとともに、オリンピック・パラリンピックをどうしても開催してほしいと心から願う人が再びふえることが、都民、国民から祝福されるオリンピック・パラリンピックとなるために必要な条件だと考えます。
 そうした観点から、幾つかの点に関して伺っていきたいと思います。
 まず、各種報道では、開催するか中止するかという判断をいつまでに行うとか、再延期するか否かといった報道がなされています。このことに関するご見解を伺います。

○田中計画推進部長 東京二〇二〇大会は、令和二年三月二十四日、知事も同席した安倍総理大臣とIOCのバッハ会長との電話会談におきまして、来年の夏までに開催することが決まり、三月三十日、都、IOC、組織委員会、国との会議で、来年七月二十三日を開会とする新たな開催日程で合意し、IOC理事会で承認されております。これにより、来年、大会を開催することは既に決定いたしております。
 引き続き、来年の大会開催に向けてのロードマップを踏まえまして、IOC、IPC、組織委員会、国などの関係機関と連携し、大会準備を進めてまいります。

○早坂委員 要するに、一年間延期されたオリンピック・パラリンピックは、予定どおり開催されるとのご答弁でありました。
 私の住んでおります杉並区の永福体育館には、二〇二〇年大会に合わせ、ビーチバレーボールコートが整備されました。ここでイタリアのチームが事前キャンプを張ることになっており、区を挙げて応援する機運で盛り上がっていました。
 イタリアの人口は六千万人なので、我が国の半分であるにもかかわらず、イタリアでのコロナでの死者は三万七千人を超え、我が国での死者数一千七百人と比較して、何と二十倍以上、人口比では四十倍以上となっています。
 こうした状況下でイタリアからのチームが永福体育館に来るとなった場合に、これまでの歓迎ムードが一転して、イタリアからの選手や応援団が地元から厳しい扱いを受けるようなことがかりそめにもないよう、万全の対策を講じておく必要があります。
 同じことは、事前キャンプ地のみならず、選手村や競技会場においてもいえます。
 折しも本日の朝刊に、ヨーロッパの幾つかの国が再びロックダウン、都市封鎖に入ったとの報道がありました。
 そこで、感染防止策に関して、現在どのようなことが検討されているのか、アスリートと観客、それぞれについて伺います。

○末村運営担当部長 大会時の新型コロナウイルス感染症対策につきましては、本年九月に国のイニシアチブのもとで設置された調整会議におきまして、国、組織委員会等とともに幅広く議論を行っております。
 これまで、アスリートの出入国時における検査の実施などの水際対策の徹底や、選手村や競技会場等における感染防止策、アスリートの滞在先や用務先を制限する行動ルールなどの対策を検討してまいりました。
 また、アスリートの発症時の入院調整や疫学調査を適切、円滑に行えるよう保健衛生機能を強化することや、感染疑いのあるアスリートに対し、迅速に医療、検査の機会を提供するため、受診、入院先医療機関を確保することなどの検討を行ってございます。
 観客への対策につきましても、今後実施される調整会議で検討される予定でございます。
 引き続き、国や組織委員会等の関係者と協力して、具体的な対策について検討を進め、年内を目途に中間の整理を行ってまいります。

○早坂委員 二〇二一年に延期された東京パラリンピックの閉会式は九月五日、そのわずか五カ月後の二〇二二年二月四日からは、冬の北京オリンピックが開幕します。
 したがって、二〇二〇プラスワン大会でのアスリートと観客双方への感染症の封じ込めが、その後に続くオリンピック・パラリンピックの開催にも大きく影響すると考えます。
 さて、大会が一年後に延期されたことで、さまざまな追加負担が発生すると思われます。それにはどういったものがあるか、伺います。

○菅原調整担当部長 今後生じる追加経費の例といたしまして、会場関係では、仮設オーバーレイに係る建築資材等のリース期間延長に伴う経費、競技会場等の使用期間の延長に伴う経費、エネルギーやテクノロジーに係る機器のリース期間やシステム保守期間の延長に伴う経費、また、そのほかには、警備資機材や医療機器など大会運営に係る備品等のリース期間延長に伴う経費などが考えられるところでございます。

○早坂委員 その追加負担はどれくらいになると見込まれ、また、誰が支払う、つまり、組織委員会か、IOCか、国か、東京都かということについても伺います。

○菅原調整担当部長 大会経費については、IOCと大会の簡素化に向けた見直しを行い、先月のIOC調整委員会において、これまでの成果として、五十二項目について合意をいたしました。
 そして、今月のIOC理事会において、現時点における見直しによる削減効果の暫定的な概算値として、おおよそ三百億円の削減効果が公表されたところでございます。
 また、延期に伴う追加経費については、既存契約等の見直しや今回の簡素化の成果も踏まえながら、組織委員会において算出をしているところでございまして、その内容については、今後、都としても確認、精査を行ってまいります。
 今後、引き続き、国際競技連盟や各国オリンピック委員会などの関係者と簡素化に向けた努力を重ねるとともに、追加経費に係る負担も含め、IOCと組織委員会、国、東京都の日本側が共同で議論を行ってまいります。

○早坂委員 本年四月ごろの報道では、追加負担は三千億円にまで膨らむとされていました。追加負担の削減はもちろん、誰が負担するかということについても、東京都にはしっかりと腰を据えた発言をしていただきたいと思います。
 話を少し変えます。
 コロナは、私たちの暮らしに甚大なマイナスの影響を与え続けています。そうした中で、例えばテレワークやオンライン会議といったものがごく普通に行われるようになり、これによって満員電車あるいは遠方からの通勤から解放されるなどの働き方改革が進んだという側面もあります。つまり、コロナ禍においても、そこに何かしらの光を見出すようなプラスのレガシーというものがあったわけです。
 では、オリンピック・パラリンピックではどうでしょうか。現在の議論では、選手、役員数や観客数を縮小すること、あるいは選手、役員が選手村と競技会場内にとどまり、一歩もまちに出ないようにすること、さらには、あらゆる経費の大幅削減といったことだけが報じられており、つまり、これまでのオリ・パラをただ小さくすることだけに意識があって、コロナをきっかけに、逆にオリ・パラのこの部分をよくしようというプラスのレガシーに関して少しでも検討されているようには、残念ながら私には見えません。そうしたことも、さきの世論調査の結果の遠因になっているだろうと思います。
 私は、平成二十七年、二〇一五年の予算特別委員会で、舛添知事に対して、ある提案をしました。
 それは、東京マラソンの選手がシューズにチップをつけて走ることで、ホームページ上で、自分の応援する選手のラップタイムやゴールする瞬間の映像を見ることができることを紹介して、これをオリンピックで拡充し、さまざまなアングルでカメラを数多く設置すれば、一方通行のテレビ映像を見守るだけでなく、世界中のあらゆる選手の活躍を能動的に追いかけることができるようになるだろうというものでありました。
 今風にいうならば、ハッシュタグと選手名を入力することで、どんなにマイナーな競技の予選、あるいは開会式のような大勢の選手が集まる場面であっても、自分が応援する選手に特化した映像を時間の制約なしにいつでも見ることができるようにすべきという提案でありました。
 例えば、こういったことが、このコロナのもと行われるオリンピックで実現されれば、プラスのレガシーとなるんだろうと思います。
 これまで、二〇二〇年大会の成功を願う私たちの関心は、例えば集客に苦労することが見込まれるパラリンピック種目の予選において、いかに観客を多く集めるかということにありました。それがコロナで全く逆転して、観客の数を制限し、密集、密接、密着をいかに防ぐかということに私たちの関心は移りました。
 であるならば、そうしたさまざまな制約の中で、どのようにしてオリンピック・パラリンピックを楽しんでいただくかという新たな目標を定めずして、ただダウンサイジングを求めるだけでは、何ともつまらない大会になってしまうおそれがあります。
 繰り返しになりますが、深刻なコロナ禍においても、そこに何かしらの光を見出すようなプラスのレガシーづくりこそが今必要なのではないでしょうか。このことに関するご見解を伺います。

○田中計画推進部長 東京二〇二〇大会を契機に、成熟した都市として新たな進化を遂げるため、都は、二〇二〇年に向けた東京都の取組を取りまとめ、新規恒久施設の将来にわたる有効活用や、東京全体のバリアフリーの浸透、ボランティア文化の定着など、ハード、ソフトの両面のレガシーを見据え、さまざまな取り組みを推進してまいりました。
 また、これまでも大会に向けて進めてまいりました、円滑な大会輸送と経済活動の両立を目的としたTDMやテレワークなどスムーズビズの取り組みはもとより、オンラインも活用したボランティア研修、会場に行かなくてもリアルに大会を楽しむことができる情報通信技術など、密を避けることにつながる取り組みにつきましても、コロナ禍における安全・安心な大会の実現にも寄与するものと認識しております。
 さらに、現在検討しております大会運営上の安全対策などを含めまして、今後とも、組織委員会など関係者と連携し、大会後のレガシーも見据えながら着実に大会準備を進めてまいります。

○早坂委員 都民、国民から祝福されたオリンピック・パラリンピックとするためには、地域での盛り上がりが不可欠であり、各都道府県や区市町村をにぎやかに回る聖火リレーの果たす役割は大きいといえます。
 一方で、コロナ対策の観点からの検討も必要であります。
 そこで、聖火リレーに関して、当初案と比較してどのような変更が検討され、また、区市町村とどのような検討を行っているのか、あわせて、機運醸成に向け、どのように取り組んでいるのか、伺います。

○田中聖火リレー担当部長 全国で走行する聖火リレーにつきましては、先月末、組織委員会から来年の実施日程等が示され、日数やリレールート、ランナーなどは従前の計画どおりとされた一方で、リレー隊列車両の一部削減などの簡素化を行うことが公表されました。
 都はこれを踏まえ、区市町村等の関係者と、リレーの運営方法やセレモニーの内容等について、簡素化の観点も含めて検討を始めております。
 また、コロナ対策につきましては、国、組織委員会、都の三者での調整会議の議論を踏まえつつ、区市町村と連携して具体的な対策を検討してまいります。
 さらに、聖火リレーで大会の機運を盛り上げる取り組みも重要であることから、都民がより身近な地域で聖火リレーの実施を実感していただけるよう、聖火リレートーチを、来月二日から大会直前まで全区市町村において巡回展示することにしました。
 今後とも、組織委員会や区市町村等の関係機関と連携しながら、聖火リレーの実施に向けた準備を進めてまいります。

○早坂委員 コロナを乗り越えてオリンピック・パラリンピックを開催することは本当に大変なことだと、都民、国民の誰もが理解しています。
 平成十九年、二〇〇七年の都議会第四回定例会の一般質問で、私は、二〇一六年大会の招致に関して、こう述べました。
 東京はなぜオリンピックに立候補したのか、それは都民にとって利益があるからです、オリンピックはたった二週間の開催でしかありませんが、それは単なるスポーツの祭典ではなく、開催国の発展にとって、時代を画する極めて大きな意義を持っていますと。
 そして、私は、石原知事に幾つかの提案をいたしました。
 では、コロナ禍で行われる来年のオリンピック・パラリンピックが、都民にとってどのような利益をもたらすのでしょうか。
 トム・ソーヤーの冒険の作者で知られているマーク・トウェインは、歴史は繰り返さないが韻を踏むと述べました。つまり、全く同じことは起きませんが、韻を踏むように少しずつ形を変えながら、歴史は似たことを繰り返すという意味であります。
 コロナを除いても、今回の東京オリンピック・パラリンピック開催は大変な危機にさらされていました。例えば、平成二十三年、二〇一一年の東日本大震災です。一万八千人を超える死者、行方不明者が発生したことと、福島の原発事故もあり、東京招致は誰もが絶望的だと思っていました。
 しかし、平成二十五年、二〇一三年にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されたIOC、国際オリンピック委員会総会において、パラアスリートで被災者でもあった佐藤真海さんが、大学生時代に骨肉腫で足を失い、それからパラリンピックを目指すようになるまでの経験と、被災した子供たちがスポーツをすることで再び活力を取り戻していく姿を生き生きとスピーチし、東京にオリンピックを、パラリンピックをと感動的に訴えたことなどもあって、震災直後からは、とても考えられなかった東京招致が達成されたのであります。
 世界中がコロナ禍で苦しむ今、東京でオリンピック・パラリンピックを開催する意義は何でしょうか。それは都民にとってどのような利益をもたらすのでしょうか。ブエノスアイレスでの佐藤真海さんのような人々の心を奮い立たせるようなメッセージによって、来年の東京大会は力を取り戻すことになるだろうと思います。
 オリンピックの女子空手、組手に植草歩さんという選手がいます。彼女は、オリンピック・パラリンピックが一年間延期されたことに対して、この一年間で私はさらに強くなれるとマスコミの取材に答えています。
 これまで伺ってきたように、万全のコロナ対策、そして、追加経費負担という都民、国民の負担にしっかりと応えることに加え、コロナ禍においても何かしらの光を見出すようなプラスのレガシーを生み出す、そうした気概を持って、二〇二〇プラスワン大会が都民、国民から祝福されるオリンピック・パラリンピックとなるよう、まことに微力ながら、私も精いっぱい発言と提案を続けてまいりたいと思います。ありがとうございました。

○谷村委員 私からも、東京二〇二〇大会について質問いたします。
 オリンピック・パラリンピック大会は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受け、去る三月二十四日にオリンピック史上初の延期が決定しました。大会を目指して練習に励んでこられたアスリートの皆様、世界中から来られる観客をお迎えするために準備を進めてこられたボランティアの皆様、そして、観戦を待ち望んでおられた多くの方々のことを考えますと、とても残念でなりません。
 特に、東京大会の原点は復興オリンピック・パラリンピックであることからも、試合観戦や交流を楽しみにしていた被災地の子供たちの気持ちを思いますと、大変に残念なわけであります。
 新型コロナという未曽有の天災を前に、大会は一年間延期となりました。しかし、大会を心待ちにしている多くの方々の思いに応えるためにも、安全・安心な大会の実現に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、まず最初に確認しておきたいのですが、東京二〇二〇大会を来年開催することについて、今後、改めて何らかの決定手続のようなものが必要なのでしょうか。
 大会について、今後開催するかどうかを判断するような報道や、あるいは開催以外の選択肢があるかのような意見もあります。
 十月八日に最終日を迎えました都議会本会議で、私ども公明党を初め多くの会派の皆さんと共同提出で、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催と成功に関する決議案を出させていただきました。
 共産党等を除く全会派で決議されたわけですけれども、そのときの日本共産党東京都議団さんの反対討論演説では、二〇二一年へと一年延期された東京二〇二〇大会について、開催のみを大前提とした決議案には賛成することはできませんと、冒頭におっしゃっているわけであります。
 来年の開催以外の選択肢があるのかどうか、来年の開催は正式に決定されているということでよろしいのでしょうか。この点につきまして、明確にご答弁をお願いしたいと思います。

○田中計画推進部長 東京二〇二〇大会は、令和二年三月二十四日、知事も同席した安倍総理大臣とIOC、バッハ会長との電話会談におきまして、来年の夏までに開催することが決まり、三月三十日、都、IOC、組織委員会、国との会議で、来年七月二十三日を開会とする新たな開催日程で合意し、IOCの理事会で承認されております。これにより、来年、大会を開催することは既に決定しているものでございます。
 また、七月にオリンピックの競技スケジュール、八月にパラリンピックの競技スケジュールが決定され、今月には、開催都市契約について、二〇二〇年末を期限としていた事項を二〇二一年末に更新するなど、延期に伴う必要な手続を行ったところでございます。
 引き続き、来年の大会開催に向けてのロードマップを踏まえ、IOC、IPC、組織委員会、国などの関係機関と連携し、大会準備を進めてまいります。

○谷村委員 ありがとうございます。ご答弁のとおり、大会の開催は正式に決まっており、その上で延期の決定がなされ、三月三十日には、東京都、IOC、組織委員会、国との協議で、明年の七月二十三日に開会するという新たな開催日程が合意され、それがIOC臨時理事会で承認されております。
 一部マスコミの論調では、こうした事実を明らかに理解していない論調が散見されました。また、野党の国会議員の幹部でも、理解をしていないなという発言がありました。
 さきの第三回都議会定例会の最終日にも、この東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催と成功に関する決議案に対して、日本共産党さんが、とてもとんちんかんな討論をされております。オリ・パラの開催自体の可否を、誰が、何を基準に、いつまでに判断するのかを明確にすることこそ必要ですと。
 これはもう、開催するということは明確になっているわけですね。開催決定しているわけです。
 また、その上で、その開催の判断の基準は、感染症の専門家やアスリートの意見を踏まえたものであるべきですとまで発言をされております。
 東京大会の開催延期の経過と、その後に日程を決定した経緯というものを完全に見過ごされたものと思いますが、そもそも日本共産党さんは、オリンピック・パラリンピックの東京招致そのものにも反対されておりました。
 しかし、都庁を挙げて、あるいは都議会を挙げて、そして、都民、国民の皆様の多大なご理解とご協力をいただいて、IOC総会で東京招致が実現するや否や、まるで手のひらを返したように、IOC総会の決定を尊重するという態度に出られたわけであります。それまでは、党を挙げて招致に反対をされておりました。
 IOC総会の決定を尊重するという理由で、東京大会の開催に賛成という立場に大かじを切られたわけですけれども、そういう理由で開催反対から賛成に態度を切りかえておられながら、今度は、東京都、IOC、組織委員会や国で開催日程まで正式に決定しているのに、また、IOC臨時理事会で承認されているのに、それは認められないということのようであります。
 そもそも、オリンピックの名による浪費をやめ、都民の暮らしへの支援を最優先すべきである、だから、オリンピック・パラリンピックの東京招致は反対だと声高におっしゃっていたのですが、IOC総会で東京大会の実施が決定するや否や、IOC総会の決定を尊重すると発表されました。これはさすがに、当時の都知事を初め、多くの関係者の方々が驚いたわけでありますが、レフトウイングの人はもっと驚いた、あるいはあきれたようであります。
 ここでは、これ以上取り上げませんけれども、来年七月二十三日に開会するという、東京都、IOC、組織委員会、国との協議における決定、そして、IOC臨時理事会での承認は、今回は尊重しないということのようでありますので、都議会での決議案に対する反対討論で、共産党さんがオリンピック・パラリンピックの開催の判断基準として示された、感染症の専門家やアスリートの意見を踏まえる、それで開催をするかどうかの可否を判断するということですけれども、今後、誰がどうやって感染症の専門家やアスリートの意見を聞かれるのか、感染症の専門家と呼ばれる人は、一体、全体、世界各地に何人おられるのか、また、それをどうやって意見集約するのか。
 アスリートの意見を踏まえて判断ともおっしゃっておりますけれども、世界中のアスリートの意見を誰がどうやって聞くのか、そもそも意見を聞くアスリートとは、具体的にどういうレベルのアスリートを指すのか。せめてオリンピアンとかいっておけば、まだ限定されるわけですけれども、アスリートというのは世界中に限りなくいるわけであります。
 ある意味で、確認のしようもないハードル、あるいは条件をみずからに課されていましたので、これはもう日本共産党さんとしては、オリンピック・パラリンピックの東京開催は反対で押し切って突き進むしかないと思いますけれども、ひょっとしたら、また突然、賛成となるのかもしれませんが、そのときは、どういう理由で来年の東京大会に賛成をされるのか。
 大勢に全く影響はありませんけれども、共産党さんのオリンピック・パラリンピックの反対から賛成への転換の理由、そして、今度は賛成から反対へと転換、これらの理由づけが大変に興味深く、注目をしたいと思っております。
 ちなみにですが、三月三十一日の日本共産党東京都委員会のオフィシャルサイトでは、こういうふうに報道されております。
 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて史上初の延期が決まっていた東京五輪は、来年七月二十三日の開会となることが、三十日、決まりましたと。これは日本共産党東京都委員会が出している公式ウエブサイトです。
 大会組織委員会と東京都、国が国際オリンピック委員会(IOC)と合意しました、酷暑を避けるために春開催を求める声もありましたが、世界的に感染が拡大する中、夏開催なら終息までの期間を数カ月ほど長く確保できます、開催時期に当たっては、IOCの最大のスポンサーであるアメリカテレビ局の意向も無視できませんでしたと。結構、軟弱なことをおっしゃっているんですけれども。
 また、夏季はアメリカの主要プロスポーツが野球以外にないため、テレビ局にとって五輪の視聴率を上げる利点がありますという、私たちは、酷暑に開催することに対して決定的に反対をしたわけですけれども、日本共産党東京都委員会さんは、結構理解のある、夏大会を認められているわけですけれども、この根拠は、二〇二〇年三月三十一日付の「しんぶん赤旗」より記載されたと書いてあります。
 ですから、日本共産党東京都委員会さんあるいは「しんぶん赤旗」がいっていることと、日本共産党東京都議団がおっしゃっていることは明らかに違うという状況は、この場で確認をさせていただきたいと思いますが、今後、日本共産党東京都議団の方々が、オリンピックに対して、感染症の専門家と、そしてアスリートの意見を聞いて開催の可否を判断するということですので、大変注目をしておきたいと思います。
 さて、七月には延期後の大会の開催に向けたロードマップも定められていますので、都においては、組織委員会や国を初めとした関係機関と一体となって大会準備を進めていただきたいと思います。
 その認識の上に立って、大会について議論する際の基礎となる大会経費について質問いたします。
 昨年十二月に、大会経費V4、バージョンフォーが公表されました。総額を一兆三千五百億円として、その分担は、都が五千九百七十億円、組織委員会が六千三十億円、国が一千五百億円とされているところであります。
 この大会経費のうち、都や国の公費を使って組織委員会が実施する共同実施事業、全部で四千十億円ありますが、これについては、これまでも、東京都と国、組織委員会の三者による共同実施事業管理委員会によって、計画、予算、執行の段階で確認が行われるとともに、毎年度の支出は決算で示されてきたところであります。
 一方で、この共同実施事業の対象とならない組織委員会の予算については、これまで、どれだけ支出したのか、あるいはこの収入の状況はどうなっているのか、なかなか把握できなかったわけであります。
 これについて、ことしの第一回定例会における公明党の代表質問においては、組織委員会の収入と支出について、毎月報告を受け、収支を確認し、公表していくとの答弁があったところでありますが、現在どのようになっているのか、その取り組み状況についてお伺いをいたします。

○菅原調整担当部長 組織委員会の収支につきましては、大会本番を迎え、新たな経費が必要となることが見込まれる中、お話をいただきましたとおり、組織委員会から毎月報告を受け、都としてその内容を確認し、公表することとしておりました。
 大会は延期となりましたが、当初予定どおり、三月分からこれを開始しておりまして、四月と五月分については、組織委員会が既存契約の見直しを早急に行う必要があったことなどから中断しておりましたが、六月分から毎月実施をしております。
 具体的には、組織委員会から当月の収入と支出の状況について説明を受けた上で、前月からの変動要因などについて、都から質問を行って内容を確認し、当局と組織委員会のホームページで公表しております。
 延期による追加経費が見込まれる中、今後も組織委員会の収支を毎月確認することで、キャッシュ・フローの状況などを都として把握してまいります。

○谷村委員 組織委員会の収入と支出の状況も毎月把握できるようになったということでありますが、このことにより、気がついたら組織委員会の支出は収入を超えていました、そして、東京都が負担してくださいなどということにはならないものと考えます。
 しかしながら、大会の延期が大会経費全体に及ぼす影響は大いに懸念されるところでもあります。
 もとより都が公費で負担してきている共同実施事業についても、不要な支出は一切出さないよう、また、より一層、チェックの目を光らせる必要があると思います。
 共同実施事業に係る経費につきましては、さらに厳しく管理を徹底していただきたいと考えますが、見解をお伺いいたします。

○菅原調整担当部長 共同実施事業につきましては、組織委員会が契約し実施をするものの、公費を投入する事業でありますことから、これまでも共同実施事業管理委員会と、そのもとに設置している作業部会等において、必要性、効率性、納得性などの観点から確認を行ってきておりまして、今後も、一件一件の案件ごとにしっかりと確認を行ってまいります。
 それに加えて、今後は、これまでに確認した共同実施事業に係る組織委員会の支出が増加していくことが見込まれますことから、都から組織委員会への負担金の支出についても、より精緻な対応を図っていく必要があると考えております。
 具体的には、負担金の支払い方法につきまして、昨年度までは四半期ごとの概算払いとしておりましたが、今年度からは、先ほども答弁いたしました組織委員会のキャッシュ・フローの状況などを把握した上で、月ごとの概算払いで支払うこととしたところでございます。

○谷村委員 組織委員会のキャッシュ・フローを勘案しながら、本当に公費の充当が必要とされるときに必要な金額を払う方式にしているということですけれども、組織委員会が行う準備が滞らないように対応することは、いうまでもなく必要でありますけれども、組織委員会任せというようなことになってしまってはなりませんので、ぜひとも厳しく、見るべきところはそのようにしていただくよう、よろしくお願いをいたします。
 さて、大会の延期に伴い、都は、国や組織委員会などの日本側とともに、さまざまな交渉を行ってきたとのことであります。
 本年四月十六日に行われたIOCとのエグゼクティブプロジェクトレビューにおいては、サービスレベルの水準を最適化、合理化する施策を検討すること、延期によるコストの削減を図ることについて合意されました。
 その後の関係者との調整により、IOCの調整委員会や理事会において、五十二項目の見直しを行ったことや、三百億円の削減効果があったことが公表されたところであります。
 こうした簡素化に向けた調整は、組織委員会がIOCや国際競技団体などと議論を積み重ねた結果であるかとは思いますが、この間、東京都はどのように取り組んでこられたのか、お伺いをいたします。

○菅原調整担当部長 東京二〇二〇大会の経費につきましては、これまでに、新規恒久施設の整備内容の見直しや、電力設備の二重化、放送用回線の二重化、地中化の要件緩和など、経費の削減に取り組んできております。
 今回の簡素化は、これまでも経費削減を図ってきたことに加え、大会準備に必要な契約を既に相当程度進めていたことなど、制約がある中で、IOCや全ての大会関係者と一体となって、従来の基準や要件等の見直しを行うことも含めて取り組んできているものでございます。
 そうした中で、都は、組織委員会とともに、安全性を確保した上で各会場の仮設施設を残置することや、国際競技団体と施設の運営権者と協議を行いまして、仮設設備の設置を取りやめ、大会後も恒久的に使用する設備として設置することなどに取り組みまして、経費の削減につなげてまいりました。
 こうした取り組みを含め、先月のIOC調整委員会において、これまでの成果として、五十二の項目について合意し、今月のIOC理事会において、現時点における見直しによる削減効果の暫定的な概算値として、おおよそ三百億円の削減効果が公表されたところでございます。

○谷村委員 東京都においても、都としての立場で簡素化の取り組みを進めてこられてきたことがよくわかりました。確認をさせていただきました。
 簡素化による見直しは継続して行うこととなってはいますが、途中経過だとは思いますが、今回、三百億円という金額が明らかになってきました。そうなると、今後は、全体で、一体、幾らの経費が追加でかかってくるのか、そして、それを誰が負担するのかということになっていくかと思います。
 今後、大会の延期に伴うコストの増加を抑えるとともに、見直しによる削減や延期に伴う増加を含めた大会経費全体について、その分担も含め、できるだけ早く明らかにし、都民、国民の皆様の理解を得る必要があると思いますが、どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○菅原調整担当部長 大会経費については、サービスレベルの水準を最適化、合理化する施策を検討するとともに、延期により生じるコストの削減を図ることとしておりまして、簡素化については、これまでの成果として、三百億円の削減効果が得られたところでございます。
 また、延期に伴う追加費用については、仮設オーバーレイに係る建築資材等のリース期間や競技会場等の使用期間など既存契約等の見直しや、簡素化による成果も踏まえながら、組織委員会において算出をしているところでございまして、その内容については、今後、都としても、確認、精査を行ってまいります。
 今後、引き続き、国際競技連盟や各国オリンピック委員会などの関係者と簡素化に向けた努力を重ねるとともに、追加経費に係る負担も含め、IOCと組織委員会、国、東京都の日本側が共同で議論を行い、大会経費バージョンファイブに向けて、都民、国民の皆様の理解が得られるよう取り組んでまいります。

○谷村委員 追加費用に関しては、内容を精査することは当然でありますけれども、どのような考え方で、誰が負担をするのかの整理が重要になってまいります。都の負担が少なくなることが望ましいことはいうまでもありません。
 しかし、大会に責任を持つ開催都市としては、単にみずからの負担の軽減を求めるのではなく、都民、国民の皆様全体が納得できる形を目指し、関係者との調整を進めていただきたいと思います。
 次に、大会の成功に不可欠な輸送について質問いたします。
 昨年末に対策全体を取りまとめた輸送運営計画V2を策定したところでありますけれども、大会が延期されたことを踏まえ、新型コロナウイルス感染症対策などの追加施策の検討を踏まえ、今後、必要な見直し等を行い、対応していくと聞いております。
 円滑な輸送を実現するためには、輸送事業者や関係団体の協力が必要であります。今後も、より丁寧に理解を求めるとともに、連携して取り組んでいただきたいと思います。
 一方で、大会輸送のために、都民生活に支障が出ることがあってはなりません。きょうは、都民生活の中でも特に重要な、廃棄物収集と大会時輸送との両立についてお伺いをいたします。
 大会時、選手村と各競技会場を結ぶ選手や関係者の輸送を円滑に行うため、さまざまな交通対策が行われることとなっております。
 その一方で、都民の皆様は通常の日常生活を行うことなどから、当たり前ですが、ごみを出し、収集車はそれらを運搬することになります。
 大会時の輸送対策については、基本的には延期前の対策を基本とするとのことですけれども、大会時の交通対策として実施する予定の首都高速道路の料金施策、いわゆるロードプライシングにおいて、ごみ収集車はどのような扱いとなっているのか、改めてお伺いをいたします。

○佐久間輸送担当部長 大会の成功には、円滑な大会輸送の実現が重要でございます。
 輸送対策としましては、交通需要マネジメント、いわゆるTDMに加え、大会関係者が多く通行する高速道路の流動を確保するため、状況に応じた入り口閉鎖や首都高速道路の料金施策を実施することとしております。
 このうち料金施策におきましては、都民生活や経済活動との両立を図るため、他の交通への転換が困難な物流車両や福祉関係車両などにつきまして、料金上乗せの対象外としております。
 お尋ねのごみ収集車につきましては、中型車を含む大型車両、いわゆる八ナンバーである特殊車両、ナンバープレートが緑地に白文字の事業用車両を主に使用しておりまして、これらの車両についても、日中時間帯もこれまでどおりの料金で通行できるほか、夜間時間帯の料金が半額となります。

○谷村委員 埋立地など、廃棄物を円滑に輸送するためにも、このごみ収集車に対する措置は適切なものであると考えます。
 また、競技会場周辺では、大会の安全確保のため、交通対策を行うと聞いておりますが、会場周辺のごみ対策におけるごみ収集車の取り扱いについてお伺いをいたします。

○村田輸送担当部長 大会時は、会場等の周辺におきまして、三つの交通対策を実施する予定でございます。
 まず、会場内のセキュリティーを確保するため、フェンスを設置し、観客や大会関係者以外の進入を禁止するエリアを設けることとしております。
 この進入禁止エリアの外周部では、一部道路における車両の通過禁止等の交通規制を行う通行規制エリア、さらに、その外周に、会場周辺を通過する車両に迂回を促す迂回エリアを設けることとしております。
 お尋ねのごみ収集車の通行につきましては、進入禁止エリア以外では、通行規制や迂回の案内があっても、ごみ収集のための通行は可能となっております。

○谷村委員 ごみの収集はライフラインの一つであります。会場周辺の方に大会に協力してもらうためにも適切な措置であると考えます。
 最後に、ごみの集積所の取り扱いについて確認させていただきます。
 会場周辺の道路やラストマイル上にも、当然ですが、ごみ集積所があります。その中には、競技スケジュールや道路特性などにより、観客の通行の妨げとなったり、あるいは集積所を利用する住民にとって使いにくくなる箇所もあるかもしれません。
 ごみの収集につきましては、地元の自治体や民間清掃事業者が行っているところでありますが、都としても、都民生活の確保と円滑な大会輸送の両立を図る観点から、適切な対応を講じるべきと考えます。見解をお伺いします。

○村田輸送担当部長 大会期間中においても、地元住民の生活に支障がないように、ごみの収集を着実に実施することは重要でございます。
 ごみ収集作業への対応といたしましては、区市や東京二十三区清掃一部事務組合などに対し、大会時における一般廃棄物のごみ収集作業の検討に必要となる大会車両の輸送ルートや運行スケジュール、会場周辺の交通対策など、細かい情報を丁寧に提供してまいりました。
 これに加え、民間清掃事業者の団体からの要望をいただき、混雑を避けた効率的な収集ルートや時間の変更等について関係機関との調整を行うなど、大会時の収集作業に支障のないように努めてまいりました。
 今後とも、関係者への早目の情報提供と綿密な意見交換に努め、会場周辺の住民の生活と円滑な輸送の両立が図れるよう取り組んでまいります。

○谷村委員 大会時の円滑な輸送と周辺住民の皆様の日常生活は、ともに重要であります。しかし、大会輸送が都民生活を犠牲にすることがないように、地元自治体や清掃一部事務組合、事業者などと連携し、引き続き、必要な対策に取り組んでいただきたいことを強くお願い申し上げたいと思います。
 最後に、ちょっと繰り返しになりますけれども、十月八日の日本共産党都議団の討論について、もう一度触れさせていただきます。
 ここで発言された内容ですが、来年のオリンピック・パラリンピックの開催自体の可否を、誰が何を基準に、いつまでに判断するのかを明確にすることこそ必要です、そして、その判断の基準や時期は、感染症の専門家やアスリートの意見を踏まえたものであるべきですという発言は、あるいはこういう論調は、多くの都民、国民の皆様をミスリードしてしまうことにつながりかねません。
 これは、オリンピック・パラリンピック準備局の皆様としても、しっかりと広報をしていただきたいということを最後にお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○とや委員 自席でやらせていただきます。共産党のとやです。よろしくお願いします。
 私からも、五輪の問題について伺わせていただきたいと思います。
 世界中に感染が広がる新型コロナウイルス、おさまる気配がございません。東京でも、連日三桁の感染者が出ていて、重症者もふえております。
 こうした中で、来年七月の開催まで一年を切っているという状況があります。世界の人たちの支持とともに、大会の簡素化、財源の確保、コロナ対策など、課題は非常に多いと思います。先行きが見えない中、局の皆さんも、対策に追われて大変ご苦労されていると察しております。
 先ほど来の決議の問題、私どもの立場について発言がございましたので、はっきりさせていただきたいと思います。
 私ども、オリンピックは、やはりスポーツの最高のパフォーマンスだというふうに考えており、平和の祭典であるオリンピックが、スポーツを通じて国際交流を深める、あるいは国の政治的立場を超えて相互理解を深めること、平和に大きく貢献してきたと考えています。
 その上で、二〇二一年へと一年延期された二〇二〇大会については、開催のみを大前提とした決議案には賛成できないという立場であります。そして、都議会としてやるべきことは、やはり、どのような結論になるにせよ、都民や国民の理解を得ながら進めることが必要だというふうな立場であります。
 加えて、もう一ついわせていただくと、二〇二〇大会を通じて、震災から力強く復興した被災地の姿を全世界に示せる機会だというふうに、与党の皆さん、私どもが反対した決議案には書かれておりました。
 しかし、実際には、原発事故によって、今も、ふるさとに帰りたくても帰れない被災地の方々がいらっしゃいます。仕事をなくして生活を壊され、今も困難を抱えている方々がたくさんいるわけです。多くの被災者にとって、復興はいまだ道半ばであります。配慮を欠いた表現だといわざるを得ない、このようにいわせていただきました。
 そして、この問題については、一般紙、東京新聞が取り上げてくださっておりまして、決してありきではなく、あらゆる事態を想定しながら進む姿勢であってほしいと、このようにいってくださっております。
 その上で、きょうは、大会の延期に伴う諸課題と急がれる招致疑惑について伺っていきたいと思います。
 まず、二〇二〇大会は延期になっていますが、依然として新型コロナ感染は終息しているとはいえない状況がございます。
 来年夏の開催の可否についての判断のタイムリミットはいつでしょうか。

○田中計画推進部長 東京二〇二〇大会は、令和二年三月、来年七月二十三日を開会とする新たな開催日程で関係者が合意し、IOC臨時理事会で承認されておりまして、来年の大会開催は既に決定してございます。
 引き続き、来年の大会開催に向けてのロードマップを踏まえ、IOC、IPC、組織委員会、国などの関係機関と連携し、大会準備を進めてまいります。

○とや委員 大会は決定だということで、タイムリミットについてはお答えいただけませんでした。
 しかし、コロナ感染が広がって国外に出ることもできない国、あるいは、日本も今後感染拡大がさらに広がる可能性もございます。
 ワクチンの開発も間に合わなければ、アスリートを初め、観客の皆さん、多くの関係者の人々が東京に集中するわけで、予想のつかない事態が生じるおそれがございます。
 先ほども申し上げましたが、あらゆる事態を想定し、判断すべきだと指摘しておきます。
 また、世界中から選考されてくる選手の皆さんは、各種の選考などを経て二〇二〇大会の選手としてエントリーをされてくるわけですから、混乱を招くことがないよう準備が必要と考えます。
 それぞれの競技団体が、アスリートが通常のトレーニングを再開できるのはいつなのか、ベストな状態に仕上がるのはどのくらいの期間が必要なのかを見きわめて、予選などで選考して大会に臨むことになるわけですが、そうやって逆算していけば、いつごろがタイムリミットなのか、明らかになってくると考えます。
 そこで伺っておきたいのですが、東京二〇二〇オリンピック競技大会に向けて、出場する代表選手の選考は、いつごろ、どのように行うのか。また、コロナ禍において、期日までに代表選手の選考ができるのかどうか、お答えください。

○川瀬競技・渉外担当部長 JOCによると、東京二〇二〇オリンピック競技大会の日本代表選考は、各競技団体がIOCが定めた期日の来年六月二十九日までに行うこととされており、最高のパフォーマンスが期待される選手を選ぶ観点から、大会前の春ごろに代表を選考する団体が多いとのことであります。
 また、代表選手の選考には、試合による方式だけでなく、ランキングに基づく方法などもあることから、最終的には、期日までに全ての代表選手が決まるとのことであります。

○とや委員 IOCによれば、六月二十九日までに全ての選手の選考を終えることを各国の組織委員会、競技団体に示しているということです。
 開催を前提にした場合、選手にとっては非常にデリケートな問題でもあります。通常の大会であれば、順当に予選などを通過しながら選手が選ばれていく。だけれども、コロナ禍のもとでそうした選考会ができない場合もあって、過去の成績とかを判断の材料にしなければならない場合もあるというふうに聞いております。そういった場合でも、納得のいく選考を行っていただくことをぜひ要望しておきたいと思います。
 来年の夏は、日本を初め世界がどのようになっているか、今の時点では予想はつきませんが、大会開催の可否については、誰もが納得のいく形での判断が求められております。
 その意味で、今回延期された、そのときの判断をめぐっては、当時、安倍首相が電話会談、先ほどもありましたけれども、専門家の助言をもらっていなかったこと、政治的に判断しなければならないと参議院の予算委員会で述べていますが、五輪の意思決定に、専門家やアスリートの意見を聞かずに決めていたのであれば問題だと思います。
 ことし三月下旬に、来年夏の開催の可否について、バッハ会長と安倍首相の電話会談で延期が決まっていますが、アスリートの皆さんはどのようにかかわっていたのか、お答えください。

○田中計画推進部長 IOCは、延期の決定に当たり、アスリートにかかわる問題について助言を行うIOCアスリート委員会と緊密に連絡をとり合ってきたことを公表してございます。
 また、大会の延期に伴う対応については、JOCやJPC等と連携しながら進めてきております。

○とや委員 JOCやJPC等と連携してきたということですけれども、直接議論をする機会、話を聞く機会はなかったというふうに考えています。
 来年夏の開催の可否については、有識者の科学的なエビデンスに基づいて判断すべきであり、また、スポーツ界も加わっての議論をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○末村運営担当部長 安全・安心な大会の実現に向けて検討を行っている調整会議におきましては、スポーツ界や専門の有識者が参画して、水際対策、感染防止対策など、幅広く議論を進めているところでございます。

○とや委員 安全・安心な大会を目指して調整会議で議論を行っているということですが、じゃ、調整会議とは一体何なのかと私は考えたのですけれども、この調整会議の目的とは一体何なのでしょうか。可否が決められる場所なのでしょうか。お答えください。

○末村運営担当部長 調整会議につきましては、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催における新型コロナウイルス感染症対策について総合的に検討、調整するため、関係府省庁連絡会議のもとに設置をされた会議でございます。

○とや委員 開催都市契約に調整委員会があるし、調整会議というのは、やはり大会の可否を決める場所じゃないわけですよね。ですから、私の聞いていることにはお答えいただけなかったというふうに思います。
 現時点において、新型コロナウイルス感染症の地球的規模でのパンデミックの終息の見通しは立っていません。私たちは決議の討論でも申し上げさせていただきましたが、何よりも命と安全を最優先に、開催できない事態も想定に入れた対応と、開催自体の可否を、誰が何を基準に、いつまでに判断するのかを明確にすることこそ必要ですよ。これは当たり前のことです。そして、その判断の基準や時期は、感染症の専門家あるいはアスリートの意見を踏まえたものであるべきだと考えています。
 教育委員もお務めになっている山口香さんが、ご自分が書かれた書籍の中で、コロナ終息の状況次第では来夏の開催も確実ではない、次の決断がなされるときには、スポーツ界も議論に加わるべきだというふうにおっしゃっています。コロナウイルスに関係する政策決定には、感染症や経済の専門家会議が存在するんだから、そして、それらの意見を総合的に勘案し、政府や自治体の長が意見を下すというふうになっているのに、五輪はどうかというふうに批判をしているわけですよ。
 ちゃんとスポーツ界、アスリートの皆さんの意見も聞き、専門家の意見を聞いて、可否の判断をしていただきたいと重ねて申し上げておきます。
 また、新型コロナ感染症対策について、東京都は、選手村内に発熱外来あるいは保健所の分室、組織委員会に感染症対策センターを設けるなどの対策をとるとしていらっしゃいます。
 一方、十分な医師の確保や看護師の確保について課題もあって、尾崎治夫、都の医師会長は、病院も診療所も、特に東京はかなり疲弊していると語っており、計画どおり配置できるかどうか懸念を示していらっしゃいます。
 多くの方々が開催に向けて準備をされてきたことは十分理解もしていますし、本当にご苦労されていると思います。だからこそ、命を最優先にした慎重な判断が求められるということを指摘させていただきます。
 次に、延期に伴う損失、それから追加経費、追加負担について伺います。
 大会収入で約九百億円を見込んでいた観戦チケット、無観客でもというようなお話もありますが、これまでにオリンピックで四百四十七万枚、パラリンピックでおよそ九十七万枚が販売がされています。また、学校観戦チケットについての取り扱いも課題です。
 報道では、組織委員会は、来年に延期された大会も、ことしと同じ競技会場と競技スケジュールになったために、販売済みのチケットはそのまま有効だというふうな報道もありました。
 一方、延期によって観戦ができなくなる人も考えられるとして、こうした人たちのチケットの払い戻しも行うというふうに報道されていましたが、このチケットの払い戻しはどのように行っていくのか、損失額はどの程度見込まれているのでしょうか。

○田中計画推進部長 組織委員会は、大会の延期を踏まえまして、本年三月三十日に、既にご購入いただいているチケットは、原則、そのままご利用いただけるよう準備を進めていくこと、大会の延期により来場が困難になった場合には、希望者に払い戻しを行うことを公表しておりまして、現在、具体的な対応について準備を行っていると聞いております。
 なお、払い戻しに伴う影響につきましては、払い戻し自体もまだ始まってございませんので、現段階でお答えすることは困難でございます。

○とや委員 これからだということでしょうけれども、報道は既に、オリンピックについて、来月十日ごろからおよそ二十日間、その後、十二月にパラリンピックでおよそ二十日間、払い戻し期間を設けるというふうにありました。
 組織委員会は、来年の大会で当初の計画どおりに観客を入れることができるかどうかは、新型コロナウイルスの感染状況などの見きわめも必要だというふうにしており、先ほども新聞報道の話もありました。
 払い戻しの期間あるいは感染状況でどの程度の観客数を見込むのか決まっていないということですが、九百億円の収入を見込んでいた、それが無観客あるいは観客数が減った場合、その損失の負担のあり方についても明らかになっていない。早期に公表することを求めておきます。
 また、払い戻し期間が短過ぎて間に合わなかったとか、そんなことがないように柔軟な対応を求めておきます。
 また、先ほど来出ていました費用の削減についてです。
 五十二項目、三百億円と発表されています。これらは、主にどのような部分についての削減でしょうか。
 また、今後は、いつまでにどのような項目について削減の検討をしていくのか、その見通しを伺います。

○菅原調整担当部長 簡素化による見直しの主な内容としまして、仮設オーバーレイの仕様やサービスレベルの見直し、大会関係者の人数の調整などがございます。
 今後、引き続き、国際競技連盟や各国オリンピック委員会などの関係者と簡素化に向けた努力を重ねてまいります。

○とや委員 ありがとうございます。削減額は今のところ三百億円ということですが、それ以上に追加経費は、コロナ対策など、延期に伴って三千億円に上るのではないかともいわれております。
 追加経費を誰が負担するかについては、誰とどういう場面で話し合っているのか、都民にはいつ公表するのでしょうか。お答えください。

○菅原調整担当部長 延期に伴う追加経費については、既存契約等の見直しや簡素化による成果を踏まえながら、組織委員会において算出をしているところであり、その内容については、今後、東京都としても、確認、精査を行ってまいります。
 今後、引き続き、国際競技連盟や各国オリンピック委員会などの関係者と簡素化に向けた努力を重ねるとともに、追加経費に係る負担も含め、IOCと組織委員会、国、東京都の日本側が共同で議論を行い、大会経費バージョンファイブに向けて取り組んでまいります。

○とや委員 ここについても、これからだ、関係者と簡素化に向けた努力はするというお答えをいただきました。
 延期に伴う費用を最小化すること、都民、国民から理解と共感を得られるものにするという、二〇二一年の開催に向けての方針を持っているわけですけれども、理解と共感を得られるためには、議論の経過も含めた詳細な情報公開が大前提と考えますが、いかがでしょうか。

○菅原調整担当部長 大会経費については、四月のエグゼクティブプロジェクトレビューにおいて、サービスレベルの水準を最適化、合理化する施策を検討するとともに、延期により生じるコストの削減を図ることとしております。
 そのため、組織委員会とともに、IOCと大会の簡素化に向けた見直しを行い、先月のIOC調整委員会において、これまでの成果として、五十二項目について合意をしたところでございます。

○とや委員 五十二項目が決まるまでは、今おっしゃったような経過で決めていったということですが、さらなる縮減も求められているわけで、今後とも、ぜひ国民の理解あるいは共感を得られるようにするため、情報公開をさらに進めていただきたいと思っております。
 次に、これまでのルールにおさまらない課題も出てきているのではないかと思います。
 延期に伴う費用や感染症対策、PCR検査などは、大枠の合意の費用負担の役割分担の枠におさまらない部分があると思いますが、都としてどのようにお考えになっているでしょうか。

○菅原調整担当部長 延期に伴う追加経費については、組織委員会において算出しているところであり、その内容については、今後、都としても、確認、精査を行ってまいります。
 なお、新型コロナウイルス感染症対策については、先月設置された調整会議において、国、組織委員会等とともに、具体的な対策について検討を進めているところでございます。

○とや委員 今のご答弁を聞いていますと、まだまだ組織委員会が精査、算出しているところであって、東京都は、それを受けて確認して精査をするという段階であって、具体的にどなたがどのような負担になるのか、役割分担の枠におさまらないのかどうなのか、そこら辺も、まだゼロベースだということだと思います。
 ここについても、私は思うんですけれども、出てきた結論だけを都民に公表するのではなくて、やはり議会にも都民にも明らかにしていただきたいなということを求めておきます。
 では、東京二〇二〇大会が中止になった場合の損失です。
 それに関連して、大会組織委員会やIOCは保険に入っていると。これは開催都市契約にもあるんですけれども、どのような保険に入っているのか、今回の新型コロナウイルス感染症を原因とする中止も対象になるのかどうか、お答えください。

○菅原調整担当部長 組織委員会では、開催都市契約等を踏まえ、複数の保険に加入しておりまして、その中には興行中止保険も含まれているとのことでございます。
 また、組織委員会に確認したところ、個別の保険契約の内容については、公にすることにより、当該法人の競争上または事業運営上の地位が損なわれるおそれがあることから、公表できないとのことでございます。
 なお、IOCが加入している保険については承知をしておりません。

○とや委員 公表できない理由は、事業上だとかさまざま、企業秘密だということだと思うわけですが、やはり保険というのは、不測の事態が生じたときに力を発揮するというものでありますし、懸念しているのが、ことし、例えば東京マラソンでは、新型コロナウイルスで中止になったのですが、保険が対応できなくて参加費が返金されなかったという事態を招きました。
 ですから、安心していただくためには、保険の内容などもきちんと公表していくことが必要だと私たちは考えております。これは求めておきます。
 また、費用の負担については、これまでお聞きしてきたもののほかに、大会開催に当たって、大会期間中に競技会場として使用される既存施設の改修だとか、選手村における高潮対策あるいは道路等の基盤整備、バリアフリー対策など、五輪経費以外にも東京都は五輪関連経費を持っています。
 都は八千億円を負担していますが、このうちオリ・パラ局分の経費については、延期や感染症対策に伴ってどのような影響が生じるのか、また、縮減の見通しはどのようになっているのか、お示しください。

○佐藤次長 当局の大会関連経費につきましては、まず今年度予算は、執行段階の創意工夫により見直すべきものは見直し、経費の精査に努めております。
 来年度予算につきましては、今年度の執行状況や今後の動向を見据えながら、今後の予算編成作業の過程の中で適切に対応をしてまいります。

○とや委員 今の段階では、縮減の見通しあるいは影響についてお話ししていただけないということですが、今後、予算編成に入っていって局要求の段階にもなった段階で、ぜひお示しいただきたいと思っています。
 次に、開催都市契約の延長、そして変更について伺います。
 開催都市契約の修正を記載した付属合意書がございます。大会経費に関する事項がありますが、延期に伴う追加経費の負担についてはどのように記述されているのか、誰がどのような経費を負担するのか、明確になっていますか。

○田中計画推進部長 今回修正いたしました開催都市契約では、追加経費の負担について、延期がもたらすそれぞれの影響について、共同で評価、議論を継続するとの理解のもと、各当事者は責任を負うものとしてございます。

○とや委員 非常にわかりにくい表現なんですけれども、各当事者とは、IOC、JOC、組織委員会、そして東京都だというふうに聞いておりますが、二〇二〇大会開催に当たっては、今回の修正以前に開催都市契約の本体が締結されているわけですが、この契約自体、非常に不平等なもので、例えば拠出金についての事項では、IOCは拠出金は出すけれども、法的拘束力のある義務もなし、提供するかどうかも自由に決めることができる。しかも、拠出金を出すに当たっては、IOCが満足する基準を満たさなければならないなど、拠出金にかかわる判断の全てといっていいくらいの事項がIOCに委ねられて、都などの関係者は口を挟むことができません。
 ですから、仮に追加負担が生じた場合、それぞれの責任においてということであっても、IOCが金額を決めれば、それに反対はできないのではないかという懸念が生じます。
 そこでお聞きしておきたいのですが、開催都市契約本体では、IOCは拠出金について、今、紹介しましたが、提供するかどうかを自由に決定することができるとされていますが、現在、それにかかわるIOCからの通告あるいは何らかの約束はありますか。あるとしたら、どのような内容でしょうか。

○田中計画推進部長 大会経費のV4では、収入のうち、IOC負担金を八百五十億円と計上しているところでございます。

○とや委員 今、お答えいただいたのは、V4の経費の中のIOCの負担金八百五十億円というお話でした。
 私が聞いたのは、これまでのIOCの拠出額ではなくて、大会延期に伴う追加負担額について、IOCから通告や約束、新たなものがあるかどうかをお聞きしたのですが、もう一度お答えいただけますか。

○田中計画推進部長 今回修正した開催都市契約におきましては、先ほどもご答弁いたしましたが、追加経費の負担について、延期がもたらすそれぞれの影響について、共同で評価、議論を継続するとの理解のもと、各当事者は責任を負うとしてございます。

○とや委員 今のところは、それ以上のものはないということだと理解をします。
 私、この開催都市契約を改めて読ませていただきまして、皆さんも感じていると思いますが、IOCに非常に有利で、不平等な契約だといわざるを得ません。
 今回のことを機会に、開催都市契約については、東京都が一方的に負担を負わせられるような不平等な部分は是正するよう協議をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

○田中計画推進部長 大会の延期に伴う今回の修正は、関係者で協議し、合意されてございまして、さらなる修正の予定はございません。

○とや委員 もう修正の予定はないと。これは大変な不平等契約ですよね。こんなのでいいんだろうかと、私は本当に思いました。
 オリ・パラ大会における開催都市契約は、拠出金だけの問題ではなくて、IOCが多くの裁量権を握っているものであります。
 追加負担を誰がどのように責任を持つのか、修正された開催都市契約でははかりかねるところもあります。その場合、本契約が優先されるのは明らかではないかなと、そこら辺の懸念も持っています。
 この間、私どもは、放映権の問題を初め、IOCとつながりのあるスポンサーに配慮した競技時間の設定など、問題を指摘しました。不平等な契約は修正して、オリンピック憲章のもとに対等、平等な契約とすることを重ねて求めておきます。
 最後に、五輪招致疑惑をめぐる贈賄疑惑について伺いたいと思います。ちょっと長くなりますが、この間の経緯について述べたいと思います。
 この疑惑は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会の東京招致に向け、アフリカのIOCメンバーの支持を取りつけるために、当時、招致委員会理事長でJOCの会長だった竹田氏が裏取引にかかわったというものであります。
 招致委員会は、五輪東京開催が決まった二〇一三年九月の前後、二回にわたって、ロビー活動のコンサルタント料として、ブラック・タイディングス社というシンガポールのコンサルタント会社の口座に計二百三十二万五千ドル、日本円にすると約二億三千万円を振り込みましたが、これが、当時、IOC委員で国際陸連前会長のラミン・ディアク氏とその息子のパパマッサタ・ディアク氏に流れて、五輪招致で東京に票を集めるための贈賄資金に使われた可能性があるとされております。
 フランスの検察当局がこの件を捜査していることが二〇一六年五月に公表されて、国内外で大問題となって、国会では竹田氏が参考人招致されています。
 JOCは、早川吉尚立教大学教授、弁護士を座長として、宍戸一樹弁護士、久保惠一公認会計士をメンバーとして、JOC常務理事の松丸喜一郎氏、それから、東京都総務局の当時の審理担当部長の和久井孝太郎氏をオブザーバーとする調査チームを立ち上げ、調査結果を八月三十一日に発表しています。
 その後、二〇一七年二月には、フランス当局の要請によって、東京地検が都内のホテルで、竹田氏に対し事情聴取を実施し、二〇一八年十二月十日には、フランス司法当局によって、パリで竹田氏の事情聴取が行われたことが明らかになりました。フランスは、司法当局による事情聴取は大変重たいものだと聞いています。
 竹田氏は、二〇一九年の一月十五日に記者会見を開いていますが、調査報告書は、ブラック・タイディングス社との契約締結に、日本法において違法性はないと結論づけたと、みずからの潔白を主張しましたが、会見はたった七分で終了しています。質問も一切受け付けなかったことから、大きな批判を浴び、かえって疑惑が深まったと報道がされています。
 竹田氏は、この年の三月に、続投すると見られていたJOC会長を退任することを表明し、六月に任期満了で退任しました。
 我が党は、この問題について、申し入れや代表質問で、東京都として事実関係を究明することを求めてきましたが、いまだになされておりません。
 そして、この問題をめぐって、先月、さらに新しい事実について報道がありました。招致委員会が二億三千万円を振り込んだブラック・タイディングス社の口座から、パパマッサタ・ディアク氏や同氏の会社の口座に三十七万ドル、約三千七百万円が送金され、このほかに、同氏が購入した高級時計などの支払いのために、ブラック・タイディングス社がパリの宝飾時計店に八万五千ユーロ、約一千万円を送金していた口座の情報が出てきたというものです。
 日本では、共同通信と朝日新聞が参加する国際調査報道ジャーナリスト連合が把握したアメリカ財務省の資金情報機関、金融犯罪取り締まりネットワークの内部資料などに基づく取材で判明したとされています。
 招致委員会がコンサルタント料を振り込んだ会社からディアク親子に送金があったことが明らかになったわけですから、疑惑が深まったといわざるを得ません。
 新しい事実が指摘された以上、東京都としても、この招致をめぐる疑惑の事実関係について調査をするべきではないでしょうか。

○田中計画推進部長 招致活動につきましては、都と招致委員会が役割分担の上、行っておりまして、いわゆるロビー活動などにつきましては招致委員会が担当しております。都から公費も支出してございません。
 なお、お尋ねの件につきましては、JOCが弁護士から成る調査チームを設置し、詳細な調査を行いましたが、法令等への違反を見出すことはできないとの結論が示されておりまして、この調査におきましては、都の職員もオブザーバーとして参加するなど、都としても協力を行ったところでございます。

○とや委員 都としても協力したと、オブザーバーでね。JOCの調査チームに都の職員がオブザーバーとして参加して、都としても調査に協力したというご答弁ですが、先ほど申し上げた総務局の法務担当部長です。
 では、この方はどこまで調査に参加したのでしょうか。何かを判断したり、また、情報を都に持ち帰って、組織的に対応したりすることがあったのでしょうか。
 そもそも招致委員会には、副理事長として副知事、開催都市が決定したときは秋山俊行副知事だというふうに聞きましたが、事務局次長や国際部長、副部長、総務、財務部長兼事務局長補佐、こういう人たちが、中枢的な役職に都の職員がついているんですね。
 本当に東京都に事実を解明する気があるのであれば、これらの職員から都として責任を持って事実関係を聞いて、明らかにするべきではないでしょうか。お答えください。

○田中計画推進部長 招致活動につきましては、都と招致委員会が役割分担の上、行ったものでございまして、いわゆるロビー活動などにつきましては招致委員会が担当しておりまして、都から公費も支出してございません。お答えしたとおりでございます。

○とや委員 これだけの職員が入っているのに、承知しないという話じゃないですよ。
 何か不正の疑いあるいは疑惑があったときに、第三者や有識者に調査や評価を依頼することはあるわけですが、同時に、都としても調査を行って、事実を責任を持って明らかにするべきです。
 例えば、最近、水道事業をめぐっての談合があったと聞いていますが、これについても、東京都として乗り出して、きちんと明らかにしている努力があると聞いています。
 私どもは、この招致疑惑について、第三回定例会の代表質問で取り上げました。そのときも、先ほどの、ロビー活動は招致委員会が担当している、東京都から公費は支出していないと。まるで東京都は関係がないような答弁です。
 公費を使っていないから、よいという問題ではありません。招致活動がクリーンに行われたかどうかという、招致活動の根本にかかわる問題だと思います。
 都は、開催都市であり、いわば主催者であります。開催都市としての責任をどう考えているのでしょうか。

○田中計画推進部長 繰り返しになりますが、JOCが弁護士から成る調査チームを設置し、調査を行うに当たりましては、都の職員もオブザーバーとして参加するなど、都としても協力を行っております。
 なお、JOCの調査チームにより、法令等への違反を見出すことはできないとの結論が示されております。

○とや委員 また同じ答弁を繰り返すわけですけれども、何回も使われているいいわけになっちゃうんですよ。
 法的に問題があるかどうかではなくて、五輪招致がクリーンに行われたかどうかの重大問題だと。そういう認識はないのかどうか、お答えください。

○田中計画推進部長 JOCの調査チームによる調査の結果、我が国の法律やフランス刑法、IOC倫理規程への違反を見出すことはできないとの結論が示されてございます。

○とや委員 我が国の法律、例えば贈賄罪などは、日本では公務員に賄賂を送ることを禁じるものなので、違法ではないのは当たり前です。
 しかし、IOC倫理規程への違反を見出すことができないというのは、本当にそうかと思います。IOCの倫理規程は、招致活動において、オリンピック関係者、ディアク氏のようなIOC委員ですね。こういう人たちに、いかなる贈与も行ってはならないといっています。
 調査報告書は、竹田会長や招致委員会の関係者が、ブラック・タイディングス社に支払ったコンサルタント料がその後どのように使われたか知る由もなかった、高級腕時計の代金がブラック・タイディングス社の口座から支払われたということも認識していなかった、だから、組織委員会が支払った金銭でディアク氏などに利益供与がされたかどうかを調べるまでもなく、利益供与をするつもりがなかったのだから、IOC倫理規程には違反していないと結論づけているわけです。全然その気がなかったとか、目的がはっきりしていないとかということです。
 調査チームが、利益供与をするつもりがなければ、雇ったコンサルタント会社が利益供与をしたとしても問題ないという論法は、私は、少なくとも道義的には通用しないと思いますし、倫理規程を読む限り、IOCがそれを許しているとも受け取れません。いかがでしょうか。

○田中計画推進部長 繰り返しになりますけれども、JOCの調査チームにより、法令等への違反を見出すことはできないとの結論が示されてございます。

○とや委員 オリンピック・パラリンピックを、この先、健全に発展させよう、東京二〇二〇大会を成功させようという気持ちがあるのであれば、東京招致がどのように行われたのか解明することこそが東京都の責任だと思います。
 東京都の消極的な態度を改めて、みずから責任を持って事実解明を行って、都民の前、世界の人々の前に明らかにすることを再度強く求めて、質問を終わります。ありがとうございました。

○河野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十九分休憩

   午後三時五分開議
○河野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○田の上委員 先ほど、共産党さんの方から同様の質問があったのですけれども、少し思いが違いますので、ちょっとその点も含めてお話をさせていただきたいと思います。
 ことし七月の都知事選挙では、共産党さんや立憲民主党さんが推薦した候補がオリンピック中止ということに言及され、日本維新の会が推薦した候補は二〇二四年への延期を主張し、いずれも二〇二一年のオリンピック・パラリンピックに対しては否定的なお考えでした。
 私たちは小池都知事とともに、コロナ禍の中にあっても、スポーツの力で人々に勇気を与え、希望を与えるスポーツの力は必要不可欠なものであり、アスリートファーストの基本に立って、東京二〇二〇大会を成功させるべきであると考えています。このことをまず強調しておきます。
 この観点から、我が党の平議員も、海外のプロスポーツが無観客で試合を始めていることも考え、世界及び日本のコロナウイルスの状況に柔軟に対応できるよう、ゼロベースからのボトムアップで、プランA、プランB、プランCなど、さまざまなプランを準備し、それに必要な費用総額と分担計画を立てていくべきではないかと考えて発言をされました。
 また、東京二〇二〇大会の招致過程についても、フランス司法当局を情報源として報道されている問題について、その情報の確認をしておくべきというふうに考えております。
 そこで、東京二〇二〇大会の招致過程における問題について伺います。
 ロシアのドーピング疑惑の贈収賄事件については、ことし九月十六日に、フランスの裁判所がラミン・ディアク前会長に対して、執行猶予二年を含む禁錮四年と、日本円で約六千二百万円相当の罰金の判決をいい渡し、ラミン・ディアク氏は、この判決を不服として争うとしています。
 フランス司法当局は、ラミン・ディアク前会長親子の賄賂疑惑について、東京オリンピックの招致をめぐる過程についても捜査を継続しています。
 もちろん、仮に東京二〇二〇オリンピック招致委員会がIOC委員に対して賄賂を渡したとしても、IOC委員は公務員ではありませんから、日本の刑法の贈収賄の罪に問われることはありません。
 また、IOCは日本の法律の会社ではなく、スイスの法律による法人ですから、日本の会社法の取締役等の贈収賄罪第九百六十七条の規定の適用もありません。
 犯罪ではない事案について強制的な捜査はできず、強制的な捜査権限がない調査には限界があります。このことをまず押さえておきたいと思います。
 しかし、日本の法律では犯罪ではないとしても、フランスの法律では犯罪となるようです。フランスの司法当局には、日本の検察当局から、捜査協力として招致委員会の銀行口座が渡されており、海外メディアがそれを閲覧しています。
 ことしの三月三十一日のロイターによれば、招致委員会からシンガポールの会社へ支払われた約二億円のほかにも、招致委員会からは、東京都スポーツ文化事業団も出資していた一般財団法人嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センターに約一億四千五百万円が、招致委員会理事で電通元専務の高橋治之氏に約八億九千万円が支払われていたとされています。
 また、ことしの十月十五日には、ロイターが閲覧した銀行口座によれば、電通は、二〇一三年に招致委員会の口座に約六億七千万円を寄附しているということも報じられています。
 資金の流れは、招致委員会の銀行口座を確認し、招致委員会から事業を委託された団体などに対して、どのようにその資金を使ったのかを調査することによって明らかにすることができるのではないかと考えます。
 加藤勝信官房長官は、ことし十月十五日午後の会見で、招致委員会の活動については答える立場にないとの認識を示した上で、当時の招致活動の主体となっていたJOC及び東京都において、しっかり説明責任が果たされるべきものと考えていると述べました。
 また、柴山昌彦前文部科学大臣も、国会答弁で、JOCと東京都が説明責任を果たすべきといっています。
 指摘された東京都としては、先ほど来ご答弁もございましたが、招致活動については、いわゆるロビー活動などは招致委員会の担当となっており、公費も支出していなかったということで、JOCがしっかりと説明すべきであるという見解であると承知はしております。
 私は、フランスの司法当局に提供された銀行口座を閲覧した海外メディアによって、招致委員会の資金の流れの一端を日本のオリンピック関係者が初めて知るということが続くのは、日本には自浄作用がないことを示すものではないかと危惧をいたします。
 そこで、これらの招致委員会に関する疑惑について、事実の確認をすることはできないものかと考えますが、都の見解を改めて伺います。

○田中計画推進部長 招致活動につきましては、都と招致委員会が役割分担の上、行っておりました。
 また、いわゆるロビー活動などにつきましては招致委員会が担当しており、都から公費も支出しておりません。
 なお、お話のフランス司法当局の件につきましては、JOCが弁護士などから成る調査チームを設置し、詳細な調査を行ったところでございます。
 その結果、我が国の法律やフランス刑法、IOC倫理規程の違反を見出すことはできないとの結論が示されております。

○田の上委員 招致活動については、いわゆるロビー活動などは招致委員会の担当となっており、公費も支出していないという従来のご答弁でございました。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック招致委員会の活動は、二〇一一年七月十六日の石原都知事のオリンピック招致表明に端を発し、同年九月十五日に、石原慎太郎会長、竹田恆和理事長、森喜朗評議会議長の体制でスタートし、電通と、スポンサー集めの専任代理店契約を締結して進められたものです。
 東京都議会も、同年十月十八日に招致決議をし、これを支援いたしました。
 このような経緯から、都としても、疑われることがない体制づくりと、都民に見える形を示していく必要があるというふうに考えます。都に、本当に説明責任はないのでしょうか。
 また、JOCが調査して、違反ではないというご答弁でございましたが、これまで私たちが知り得なかった資金の流れが、今、海外メディアを通して出てきています。このことを重く受けとめるべきと考えております。
 東京都議会では、二〇二〇年三月、私たち都民ファーストの会、公明党さんなど、皆さんのご協力を得まして、都議会議員の提案により、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に係る文書等の保管及び承継に関する条例を成立させました。
 疑惑の解明には招致委員会の文書が重要です。招致委員会の活動報告書は破棄されたとも聞いております。前段の条例は組織委員会に関するものでしたが、私は、招致委員会の文書についても、できる限り保存、管理し、公表できる文書は公開にするべきではないかというふうに考えております。
 そこで、招致委員会の文書がどのようになっているのかを伺います。

○田中計画推進部長 招致委員会の文書につきましては、団体としての清算手続の後、当時の専務理事が清算人として書類を保管することとなったと聞いております。

○田の上委員 当時の専務理事が清算人として書類を保管することになったというご答弁でございました。
 二〇一九年十一月十七日の毎日新聞によりますと、JOCは、ブラック・タイディングス社、以下BT社と呼ばせていただきますが、このBT社をめぐる疑惑が表面化した二〇一六年五月に調査チームを発足、調査チームは、清算人に打診し、BT社との契約書や稟議書、会計書類などを受領した、調査チーム座長の弁護士、先ほども出てきましたが、その弁護士さんは取材に、二〇一六年九月に調査報告書を公表した後、書類は清算人側に返却したと話しておりますが、これ以降、公に書類の所在は確認されていない旨が書かれております。
 都は、毎日新聞の情報公開請求に存在しないと通知、JOC広報・企画部は保管を否定し、組織委員会戦略広報課も、招致委員会とは別組織であり、継承されていないと答えたというふうに書かれております。
 そして、一方で、清算人側は、文書は持っていない、行方はわからないなどと述べたというふうになっております。
 そしてさらに、事務局長は、税金が入っているわけではないので、対外的にオープンにしないことになっているとも話したとのことです。
 NPOの清算人に保存義務はないのだそうです。税金が入っているわけではないからオープンにしなくともよいとのことですが、このように、所在がわからない、公開もされないという状況のままでよいのでしょうか。懸念をいたします。
 局は、清算人が書類を保管という認識でございますが、報道では、持っているか持っていないか、わからない。このまま、これを確認しなくてよいのでしょうか。局の見解を伺います。

○田中計画推進部長 先ほどご答弁させていただきましたが、招致委員会の文書につきましては、団体としての清算手続の後、当時の専務理事が清算人として書類を保管することとなったと聞いております。

○田の上委員 報道ベースではございますけれども、書類の所在がわからないというふうにも出ているわけでございます。そのままでいいのでしょうか。
 そしてまた、フランスの検察当局が通帳を閲覧している。通帳というのは破棄できないものでございます。そういったものを、東京都として確認しなくていいのでしょうか。私は確認をするべきであるというふうに思っております。
 ソルトレークのとき、長野オリンピックのときも同様に、招致委員会や組織委員会の書類が破棄されていて、真相を究明することができませんでした。そして、今回も、残念ながら疑惑を持たれています。いつもいつも、招致のときの問題が露呈しているというわけです。
 私は、大会を開催してほしいというふうに思っております。しかし、五輪のイメージが汚職、賄賂では、開催の意義が失われてしまいます。疑念を明らかにしていくことで、都民の応援もついてくるというふうに考えます。
 都は、開催都市としてのプライドを持って、自浄作用を働かせるべきではないか、事実確認をするべきではないかというふうに考えます。
 先ほど平理事も、危機管理を念頭にゼロベースから積み上げていくボトムアップの考え方を述べましたが、来年のオリンピック・パラリンピック大会は、コロナ禍を乗り越え、あるいはコロナ禍の最中であっても、スポーツのすばらしさを通じて人々に勇気と希望を与えるということに意味があります。
 そのためには、仮に無観客であっても、仮に入場料収入などがなくても、人々に感動を与える、まずそこだと思います。そのオリンピックの原点に返って、アスリートファーストの大会を実現すべく、その運営や予算の使い方に関する情報を都民に公開して可視化するよう尽力すべきと考えます。意見を申し上げます。
 次に、新型コロナウイルス感染症の影響として、幾つか質問をいたします。
 各国の事前合宿を受け入れたり、交流事業を行ったりするホストタウンでは、大会延期や感染拡大の影響で、望んだ形の交流ができなくなっているという報道を目にします。
 報道によると、宮城県白石市は、ホストタウンとして、世界的な選手の演技を直接見る経験と、次世代にも継続される交流の二つがレガシーになると考え取り組んできた、選手は来られない、こちらも行けないという中、市民の気持ちを醸成するには厳しい状況だが、今後も交流を続けていきたいなどと語っています。
 仮に受け入れが可能になったとしても、感染防止の観点から、交流が思うようにできないのではないかと考えます。都の見解を求めます。

○小池自治体調整担当部長 ホストタウンは、東京二〇二〇大会に参加する国や地域と、人的、経済的、文化的な相互交流を図る自治体でありまして、国がその登録を行う制度となっております。
 ホストタウンでは、その地域の住民が選手等と交流できる貴重な機会となるほか、大会後にも、スポーツ振興や国際交流など、さまざまなレガシーが期待されるところでございます。
 こうしたホストタウンでアスリートを受け入れるための対応につきましては、現在、新型コロナウイルス感染症対策調整会議において検討を行っております。
 これまでの議論では、国が受け入れマニュアル作成の手引を示し、各自治体は、それをもとに必要な感染防止策等を定めることとしておりまして、アスリートとの交流につきましても、適切な方法により実施できるよう、対応を検討しているところでございます。
 引き続き、アスリートや住民にとって安全で安心な大会を実現できるよう、ホストタウンの取り組みについて、国や組織委員会と議論を深めてまいります。

○田の上委員 ぜひ安全・安心な大会を実現させていただきたいと思います。それと同時に、危機管理を徹底させていただき、取り組みの検討をしていくべきと考えております。
 また、追加となる費用について、どこが負担するのかなども懸念をするところでございます。
 今後の懸念材料はたくさんあるかとは思いますが、やはりこれも、幾つかのパターンの中で、危機管理として計画をしていくべきではないかと意見を申し上げておきます。
 また、開催を望んでいる声は、シティキャスト、フィールドキャストなど、ボランティア登録をしている方々にも広がります。
 仮に観客の数に変更があり、実際のボランティアに参加できなくなる場合でも、育まれたボランティアマインドをレガシーとして醸成すべく、大会後も、さまざまな機会を今後用意していくべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○小高ボランティア担当部長 東京二〇二〇大会を契機に高まったボランティア参加機運を一過性のものとせず、大会後も着実に維持、継続を図ることは、レガシーとしてボランティア文化の定着や共助社会の推進に寄与する観点から重要でございます。
 都はこれまでも、組織委員会と連携のもと、大会後の活動継続も見据え、大会を支えるボランティアの研修や相互の交流を実施してまいりました。
 また、シティキャストには、定期的にお送りするメールマガジンなどを通じ、さまざまなボランティア情報の提供などにも取り組んでまいりました。
 本年三月には、生活文化局の検討会において、ボランティアの活動継続や裾野拡大に向けた仕組みづくりの方策などを取りまとめており、これを踏まえ、現在、さまざまなボランティア情報を収集、発信するウエブシステムの構築が進んでおります。
 大会後に向けては、ボランティア本人に関心のある分野や活動継続の意向を伺い、希望する方には、関係局と連携し、システムも活用しながら、地域で気軽に参加できる活動情報を幅広く提供するなど、ボランティア文化の定着に向けた取り組みを進めてまいります。

○田の上委員 ぜひボランティア文化の定着に向けて取り組みをお願いしたいと思っております。日本は、まだまだボランティア社会としての余力がありますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、障害者スポーツについて伺います。
 都は、二回目のパラリンピック大会開催都市として、特にレガシーに残るものをつくっていくべきというふうに考えます。ソフト面、ハード面のバリアフリーを初め、誰もが暮らしやすい東京をつくるのはもちろんのこと、どんなスポーツにも挑戦できる環境を整えていくべきです。
 さきの決算特別委員会においても、我が会派の桐山議員から、都立学校活用促進モデル事業について質疑を行い、これまでの成果を確認し、本格実施を要望したところであります。
 改めて、身近な地域における障害者スポーツの場となっている本事業に対する利用者からの声や今後の取り組みについて伺います。

○加藤障害者スポーツ担当部長 都は、平成二十八年九月から、モデル事業といたしまして、障害のある方や障害者スポーツ競技団体等が身近な地域でスポーツ活動ができるよう、都立特別支援学校の体育施設の活用促進を図っております。
 具体的には、特別支援学校の体育館やグラウンド等の体育施設を、学校教育活動に支障のない範囲で、スポーツ団体に対しまして、平日夜間や土曜日、日曜日、祝日に貸し出しを行っておりまして、申し込みにつきましては障害者団体等を優先しております。
 令和元年度におきましては、本事業の施設貸し出しを利用している団体は四百四十八団体でございまして、このうち障害者団体等は二百十二団体となっておりまして、障害者団体等のスポーツ活動の場として広くご利用をいただいております。
 また、障害の有無にかかわらず、個人で参加が可能な体験教室を実施しており、昨年度のアンケートによりますと、参加者のうち、初めて参加する方が約半数でありましたほか、これまでスポーツ実施の経験がない方が約二割でございまして、体験教室がスポーツを始めるきっかけづくりの場ともなっております。
 今後も、身近な地域において障害者スポーツの場が確保されますよう、利用団体や体験教室の参加者へのアンケート結果も含め、モデル事業の実施状況などを踏まえた上で、今後の方向性について検討してまいります。

○田の上委員 身近な地域における障害者のスポーツの場ということで、大変よい事業かと思っております。この都立学校活用促進モデル事業の本格実施に向けて、検討をぜひお願いしたいと思います。
 パラリンピアンを目指すアスリートにとっては、パラリンピック種目である二十二競技の練習場の確保が必要であり、練習の成果を試す競技機会の確保も必要となります。
 都はこれまで、区市町村を対象にスポーツ施設整備費補助を実施してきましたが、これまでの実績と今後の取り組みについてお示しください。
 また、区市町村のスポーツ施設が障害のある人に対応できるよう、都立障害者スポーツセンターの運営等で得られたその知見を生かすことも必要というふうに考えますが、見解を伺います。

○鈴木スポーツ推進部長 都は、スポーツ環境の充実、拡大を図るため、スポーツ施設整備費補助事業により、平成二十六年度から令和元年度まで、区市町村が保有するスポーツ施設におけるスポーツ環境の拡大やバリアフリー化等の工事に対して財政支援を実施いたしました。
 このうちバリアフリーにつきましては、平成二十六年度から昨年度までの実績としましては、三十四自治体から九十七件の申請があり、スポーツ施設の階段手すりや音声誘導装置、誰でもトイレの設置等に対する補助を行いました。
 今年度からはスポーツ環境整備費補助事業を創設いたしまして、障害者スポーツの推進としましては、バリアフリー工事に加えまして、障害者スポーツの実施に伴う専用コートの新設などの施設や設備の整備についても対象といたしました。
 こうした取り組みに加えまして、区市町村のスポーツ施設が障害がある方にとって利用しやすくなるよう、セミナーや研修会等の場を活用し、さまざまな相談に丁寧に対応するほか、都立障害者スポーツセンターの運営で得られたノウハウを提供するなど、区市町村との連携を強化し、障害者スポーツの振興に一層努めてまいります。

○田の上委員 今年度からは、対象のものもふえたということでございます。また、自治体の要望により、整備のみならず、運営などについても都が助言する体制づくりというものはとても重要かと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 さらに、今後の障害者スポーツの定着と、パラリンピック競技を初め、新たに競技スポーツに取り組みたい方への競技機会の確保などについて見解を伺います。

○加藤障害者スポーツ担当部長 都は、東京二〇二〇大会に向けまして、平成二十七年度から障害者スポーツ選手発掘事業を実施し、平成三十年度までの四年間で、延べ一千人を超える障害のある方に参加をいただきました。
 令和元年度からは、大会後を見据えて事業を再構築し、東京から継続的に国際大会等で活躍する選手を輩出することを目的に、障害者スポーツ次世代ホープ発掘事業を開始しておりまして、発掘プログラムとフォロープログラムの二種類のプログラムを実施しております。
 このうち競技スポーツとの出会いの機会を提供する発掘プログラムにおきましては、夏季パラリンピック競技に加え、冬季パラリンピック競技を対象といたしましたほか、今年度からは、新たに知的障害者のサッカー、バスケットボールも対象とすることとしております。
 また、フォロープログラムでは、トレーニング方法や栄養に関する正しい知識など、スポーツ理論に関する講習を実施しておりますほか、今年度からは、新たに競技団体の練習会を体験するなどの競技トライアルを実施することとしております。
 さらに、東京二〇二〇パラリンピック競技大会等の国際大会への出場が期待される東京ゆかりの選手を東京アスリート認定選手として認定し、民間トレーニングジムの使用料等のほか、大会や強化合宿の参加に伴う費用などを助成しております。
 あわせまして、トレーニング実技や、競技者として必要な知識の向上を図る座学講習などを実施しております。
 こうした取り組みによりまして、より多くの障害のある方を競技スポーツ実践へとつなげてまいりますとともに、障害者スポーツの定着を図ってまいります。

○田の上委員 ありがとうございます。いろんな取り組みをしていただいているということでございます。今後、大会後のレガシーとして、障害者スポーツの定着と、またさらに、パラリンピアンを育てていく必要というのがあるかと考えます。これから、またさらに都で工夫をしていく必要があるのか、課題としていただきたいと思っております。区市町村の支援事業だけではなくて、例えば、都が運営しています障害者総合スポーツセンターのような形で、また別途考えていく等、いろんな形での工夫があればいいかなというふうに思っておりますので、要望といたします。
 そして、障害者スポーツは、パラリンピックだけではございません。スペシャルオリンピックスやデフリンピックもあり、これらのスポーツに対する練習の場所や競技機会の確保も推進していくべきと考えます。
 特に、全日本ろうあ連盟は、二〇二五年のデフリンピックの日本招致を既に決議しております。
 都のスペシャルオリンピックス、デフリンピックなどの国際的な障害者スポーツ大会に対する取り組みについて見解を伺います。

○加藤障害者スポーツ担当部長 都は、パラリンピック競技の観戦機会を創出するため、競技団体による国際大会の開催を支援いたしますとともに、より多くの都民に観戦していただけますよう、観戦会の企画や大会の情報発信を積極的に行うなど、観戦の促進に取り組んでまいりました。
 また、昨年度、これまでまとまった資料がございませんでしたスペシャルオリンピックスやデフリンピックなどの国際的な障害者スポーツ大会につきまして、基礎資料を収集、整備するため、新たに調査を行いました。
 今年度でございますが、大会の実施主体となります競技団体等の運営体制や今後の大会招致の意向などを把握するための調査を実施しております。
 こうした調査結果も活用しながら、より一層の障害者スポーツの振興に取り組んでまいります。

○田の上委員 新たに調査をし、実施しているということでございます。団体によっては、国際大会を開催するのに、ノウハウを含めて支援が必要なところもあるかと思います。障害者スポーツをますますこれから盛り上げていくためにも、都のかかわり方を積極的に検討していただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。

○林委員 私の方からは、ラグビーのワールドカップの振り返りから伺いたいと思います。
 昨年開催されましたラグビーのワールドカップでございますけれども、日本の活躍もあり、大変な盛り上がりの中で幕をおろしたところでございます。
 大会から一年が経過しておりまして、当時の大会を振り返る中、釜石とか熊谷、静岡、こういったところで、さまざまな場所での一周年の記念イベントの様子を報道等でも取り上げているところでございます。
 こういったラグビー競技、文化の普及振興に大きく寄与したことはもちろんなんですけれども、今回の大会で国民的スポーツともいえるように、そういった形で定着しつつあるラグビー文化を継承していくために、東京都はどのような取り組みを行っているのか、まずお伺いをしたいと思います。

○鈴木スポーツ推進部長 昨年のラグビーワールドカップは、日本代表の活躍もございまして、大いに盛り上がりを見せたところでございますが、大会を契機に高まったラグビーへの興味、関心を一過性のものとせず、東京のラグビー文化として定着させていくことが重要でございます。
 このため、大会から一年となるこの機に、東京都ラグビーフットボール協会と連携いたしまして、ラグビーの普及発展を図るレガシーイベント、TOKYO RUGBY MONTHを実施しております。
 具体的には、まず、SNSを活用いたしまして、都内トップリーグ選手からの動画メッセージの発信や、大会を振り返る投稿の呼びかけなどを行いまして、都内のラグビーの機運を再び高める東京ラグビーメモリアルムーブメントを実施しております。
 また、十一月には、気軽にラグビーに触れられる体験会や、子供たちの技術力向上にもつながる都内ラグビースクールの交流試合などのラグビーイベントを、味の素スタジアムAGFフィールドと江戸川区陸上競技場の都内二カ所で実施いたします。
 こうした取り組みによりまして、大会の盛り上がりを継続させ、さらなるラグビーの普及と裾野拡大を図ってまいります。

○林委員 ありがとうございました。お子さんを巻き込んでの、そういうイベントというのは非常によろしいかと思いますし、こういったレガシーとして残すことは、東京のラグビー文化の定着というのはもちろんなんですけれども、非常に重要な意味を持つのかな、スポーツ全体の振興と発展にもつながるものではないかなというふうに考えておるところでございます。その辺については、しっかりと取り組んでいただきたいと思っております。
 さて、来年のオリンピック・パラリンピック大会が迫る中で、昨年のラグビーの大規模な国際大会の運営を通じて、さまざまな経験とか知見を得る貴重な機会となったことだというふうに考えておるところでございます。
 特に、八試合が開催されました東京スタジアム、これは私の地元の調布市でございますけれども、最寄り駅の飛田給駅とスタジアムの間、いわゆるラストマイルといわれる間の警備とか誘導等の運営というのは、来年の東京大会においても、こういった経験というものは非常に生かせるものと考えているところでございますけれども、都としての見解を伺いたいと思います。

○末村運営担当部長 ラグビーワールドカップ二〇一九では、開幕当初、飛田給駅前ロータリーやスタジアム通りの脇道等におきまして、飲酒しながら滞留する観客が盛り上がって騒ぐ様子や、ごみの投棄などが見られました。
 このため、警備員等の追加配置や巡回の強化等によりまして、観客が脇道へ侵入することを防ぐなど、観客の滞留を減らし、観客の安全な誘導に努めました。
 さらに、清掃につきましては、当初計画していた試合終了後だけではなく、試合中などにも追加してごみの回収を行うことで良好な環境の維持に努め、地元自治体や周辺住民の皆様にもご理解をいただきました。
 このように、想定していなかった課題を早期に把握し対応するなど、柔軟な運営を行うノウハウを蓄積することができました。
 東京二〇二〇大会の運営に当たりましては、こうした現場で発生したさまざまな事例から得られた知見を運営のマニュアルに取り入れるとともに、事案に対して、迅速に状況を把握し適切な意思決定ができるよう、訓練等を通じ、職員の対応力の向上を図るなど、東京二〇二〇大会の運営のブラッシュアップへとつなげてまいります。

○林委員 ご答弁ありがとうございました。地元の市民の声、特に自治会、商店会等の声というものは、非常にさまざまな声があるかと思いますけれども、こういった声には真摯に耳を傾けていただいて、特に、また地元の自治体ともしっかり連携をとって、万一、生じた、これから想定外の事態もあるかもしれませんけれども、そういったものにもスピーディーに対応をしていただきたいと思っております。
 昨年のラグビーワールドカップ、そして来年の東京二〇二〇大会は、都民のスポーツの関心を高める絶好の機会となることが期待されているところなんですけれども、これまでも東京都は、オリンピック・パラリンピックを契機に、都民のスポーツ参加促進への取り組みを行ってきたというふうに承知はしておりますけれども、具体的にどのような取り組みを行ってこられたのか、その辺についてお尋ねしたいと思います。

○鈴木スポーツ推進部長 都は、東京二〇二〇大会の開催に向けた都民のスポーツへの関心の高まりをスポーツ振興につなげるため、スポーツを実施する機会の創出、スポーツを実施する場の確保、活用等の取り組みについて充実強化を図ってまいりました。
 スポーツを実施する機会の創出につきましては、都内の名所などをめぐるウオーキングイベントや、さまざまなスポーツが体験できるスポーツ博覧会・東京など、多様なスポーツイベントを実施しております。
 また、障害の有無にかかわらず、誰もが楽しめる競技スポーツやレクリエーションスポーツの体験教室を実施しているほか、スポーツを始めるきっかけを提供する参加体験型イベント、チャレスポTOKYOを開催しております。
 スポーツを実施する場の確保、活用につきましては、大学や企業等と連携し施設を貸し出すTOKYOスポーツ施設サポーターズ事業や、学校教育活動に支障のない範囲で都立特別支援学校の体育施設の活用促進を図る都立学校活用促進モデル事業を実施するとともに、区市町村のスポーツ施設整備に対しても支援を行ってまいりました。
 今後とも、こうした取り組みを通じまして、都民のスポーツ活動を促進し、スポーツの振興を図ってまいります。

○林委員 ありがとうございました。最後に、都民のスポーツ活動を促進して、スポーツの振興を図っていくというふうにご答弁いただきました。都民のスポーツへの参加促進というのは、やはり健康増進へ大きく寄与するものであって、ひいては医療費の抑制とか介護予防等にもつながっていくものというふうに、健康、福祉施策にとっても非常に重要な意味合いを持つものだというふうに考えております。
 大会後におかれましても、しっかりとその辺について取り組んでいただきたいと思っております。
 次に移ってまいりたいと思います。続いては、サイバー攻撃についてでございます。
 東京オリンピック・パラリンピック大会等の国際的なスポーツイベントについては、いわゆるサイバー犯罪の格好のターゲットとなってまいりました。
 特に東京オリンピックは、IoTが普及しつつある中での初めての大規模な大会というふうにいわれておりまして、想定外のサイバー攻撃が発生することも考えられるというふうに思っております。
 ご案内のとおり、つい先日の報道によりますと、イギリス、英国の外務省が、ロシアのハッカーらが、ことし開催予定だった東京オリンピック・パラリンピックの妨害を狙っていたと発表したことは、既にご承知かと存じます。
 対象は、東京オリンピック・パラリンピック大会の関係者や関係団体に対してということで、こうしたサイバー攻撃というものは、大会が新型コロナウイルスの影響で来年に延期されることが決まる前に仕掛けられたというふうにいわれております。
 二年前の平昌冬季五輪においてもサイバー攻撃が行われたということで、開会式で実行されて、放送局や大会関係者、スポンサー、スキーリゾートが対象だったというふうにいわれています。いずれもネットワークを利用できなくして大会の妨害を狙ったものだといわれております。
 動機は、愉快犯から、妨害工作なのか、テロなのか、いろんな動機があるのかもしれませんけれども、来年に迫った東京オリンピック・パラリンピック大会においても、同様の妨害が行われる可能性は非常に高いというふうに思われておりますけれども、開催都市として、どのようなサイバー攻撃に対する対策、いわゆるサイバーセキュリティー対策を講じておられるのかについてお尋ねをしたいと思います。

○三浦運営調整担当部長 都では、行政サービスの継続的な提供を確保していく観点から、サイバーセキュリティーを強化するため、平成二十八年四月、サイバー攻撃への対処を専門的に行う東京都CSIRTを設置いたしまして、全庁的な体制を構築したところでございます。
 東京二〇二〇大会に向けましては、庁内各局、国、組織委員会、区市町村やインフラ事業者で構成する東京二〇二〇大会に向けた東京都安全・安心推進会議のもと、サイバーセキュリティーを含む各種事態を想定した対処要領を策定いたしました。
 この対処要領におきまして、大会時にサイバー攻撃を検知した際には、東京都CSIRTが国のサイバーセキュリティ対処調整センターや組織委員会等の関係機関と迅速な情報共有を行い、開催都市として、大会運営に与える影響にも配慮した、いわゆるインシデント対応を適切に行うこととしております。
 今後とも、国や組織委員会等、関係機関と連携いたしまして、情報共有や訓練を継続的に実施するなど、来夏の大会開催に向けた取り組みを積み重ねてまいります。

○林委員 ご答弁ありがとうございました。その対処要領については、平成三十一年四月に策定されておられます東京二〇二〇大会の安全・安心の確保ための対処要領ということで、手元にございますし、専門家じゃないですから、本当にごく一部ですけれども、概要は理解したつもりでおります。
 そして、今ご説明にあったとおり、インシデント対応については、東京都CSIRT、コンピューター・セキュリティー・インシデント・レスポンス・チーム、ちょっと発音がよくないですけれども、が中心となって対応するということは承知しております。
 ここでお尋ねしたいんですけれども、仮に大会期間中にサイバー攻撃が行われた際、この対処要領に基づくインシデント対応というのは具体的にどのようなものなのか、その辺、もう少し詳細をお尋ねしたいと思うんですけれども、よろしくお願いいたします。

○三浦運営調整担当部長 対処要領におきましては、大会期間中のサイバー攻撃、いわゆるサイバーセキュリティーインシデントにかかわる対処は、大会運営に及ぼす影響を考慮しつつ、東京都CSIRTを中心に、都市オペレーションセンターと連携して、次の四つのステップで行うことを基本としております。
 まず、検知、連絡受け付けといたしまして、システムを所管する各局等でいわゆる不正アクセスなどを検知した場合は、東京都CSIRTが各局等の報告をもとに、国のサイバーセキュリティ対処調整センターや組織委員会などの関係機関と迅速な情報共有を開始いたします。
 次に、トリアージ、調査分析といたしまして、各局等が行う状況調査及び応急措置等への支援等を行いつつ、大会運営への影響範囲等を考慮した上で、インシデントレベルを判定いたしまして、対応の順位づけ等を行います。
 さらに、具体的なインシデント対応といたしまして、証拠保全を図りますとともに、インシデントの影響を最小限とするための封じ込めや、被害の拡散と再発を防止するための根絶などの取り組みを行いまして、システムの復旧等を進めることとなります。
 最後に、事後対応といたしまして、こうした対応状況につきまして、必要に応じて、国などの関係機関と情報共有等を行います。

○林委員 ありがとうございました。四つのステップで行うことを基本とされているというご答弁でございました。
 こういったいわゆるIT化の進展によって、攻撃される標的というか、その危険性は非常に増しているというふうに考えております。
 過去をさかのぼりますと、二〇〇八年の北京オリンピックでは、開催期間中に、一日当たり一千四百万回のサイバー攻撃があったといわれておりますし、二〇一二年のロンドン・オリンピックでは、開催期間中に、何と一億六千五百万回のサイバー攻撃があったという報道がございます。
 オリンピック・パラリンピック大会の公式サイトはもちろんなんですけれども、開催国の政府関係のウエブサイトは確実にターゲットになるといわれておりますし、事実、東京大会の組織委員会の方が、報道において、組織委員会が所有するデジタルプラットホームでは、絶えず、さまざまな規模のサイバー攻撃を観測していると述べておられるところでございます。
 当然、開催都市である東京都は攻撃の対象になるでしょうし、そのことを、当然、前提に準備を進められているとは思いますけれども、こういった想定外の事態にも備えた万全の対策を講じていただきますようお願いしたいと思います。
 以上で私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○伊藤委員 先日の各会計決算特別委員会第二分科会での質問に引き続いて質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 新型コロナウイルスの脅威による不安が世界中に蔓延をする中、スポーツ、文化芸術などの価値創造の営みは、私たちの心に潤いを与える不思議な力があります。
 都はこれまで、東京都スポーツ推進総合計画で定めたスポーツ実施率七〇%、障害者スポーツ実施率四〇%という目標を目指して、スポーツ振興に取り組んでこられました。
 スポーツは、健康増進や生きがいにもつながる重要なものであり、コロナによって取り組みを諦めたり、目標を失うようなことがあってはならないと考えます。
 コロナ禍にあって、ウイズコロナ、アフターコロナを見据え、都は、障害者スポーツも含めて、今後どのようにスポーツ振興に取り組んでいくのか、まず伺いたいと思います。

○鈴木スポーツ推進部長 都では、感染拡大を防止しつつ、安全・安心にスポーツに取り組めるよう、ジョギング等を行う場合に留意するポイントや、陸上、サッカーなどの競技別ガイドライン等について、ホームページで集約して発信をしております。
 また、都立スポーツ施設等におきましては、感染拡大防止のためのガイドラインを策定し、これに基づき、館内消毒の徹底、利用者の人数制限など適切な感染防止対策を講じた上で、本年六月より、競技団体による大会や練習の利用などから段階的に再開しております。
 このほか、各種主催イベントや事業等につきましても、チェックシートによる参加者の健康管理などの感染防止対策を講じるとともに、東京アスリート認定選手のパラアスリート向けの座学講習をオンライン形式にするなど工夫をした上で、順次実施しております。
 特に障害のある方は、基礎疾患を有している場合も多く、感染した際の重症化リスクが高いことから、例えば障害者スポーツセンターでは、指導スタッフが運動補助の際、利用者との距離を保つなど、よりきめ細かな対応を行っております。
 このような取り組みによりまして、新しい日常において、障害のある方もない方も安全・安心にスポーツを楽しめるよう、引き続きスポーツの推進に取り組んでまいります。

○伊藤委員 コロナ禍にあっても、スポーツにおける新しい日常をつくり上げていきながら、障害のある方もない方も安全・安心にスポーツを楽しめるよう、スポーツ振興に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、パラリンピックに向けた機運醸成について伺いたいと思います。
 都は、東京二〇二〇大会招致決定以降、パラリンピックの機運醸成や障害者スポーツの振興に精力的に取り組んできました。その成果として、パラリンピックや競技の認知度は年々高まってきたところでありました。
 しかし、私は、先日の決算特別委員会の分科会でも質問させていただきましたけれども、新型コロナウイルスの感染症の拡大によって、昨年度末から、都や区市町村でも、パラリンピックや障害者スポーツに関するさまざまなイベントが中止や延期を余儀なくされておりまして、パラリンピックの関心の高まりに水を差されないか、大変に心配をしております。
 そうした中、都は現在、ホームページやSNS等を活用した情報発信などを行っているという答弁がありました。
 昨日は、ちょうどパラリンピック開催三百日前であって、NHKの報道でも、来年のパラリンピックに向けた機運のさらなる醸成や、障害者スポーツへの理解が深められる取り組みが紹介をされておりました。
 私も先ほど、第一庁舎に展示をされておりました公式アートポスターやパラスポーツ漫画パネルを見学してまいりまして、棚に置いてあったこれを……(資料を示す)全部いただいてまいりました。
 一緒に行っていただいた方が、たまたま漫画家に非常に詳しい方で、伊藤さん、これ、大変なことだよといって、その方も一部ずつ持って帰りましたけれども、大変にすばらしい内容にこれからもなっていくんだろうというふうに思います。
 パラ開催の三百日前という、こうした節目の時期も捉えて、都民に向けて継続的に情報発信を行っていくことが大切だと、つくづく感じたところであります。
 世界で初めて二回目の夏季パラリンピックを開催する都市東京として、このコロナ禍においても、パラリンピックに向けた機運を一層高めていくべきというふうに考えますが、都の見解を伺いたいと思います。

○越パラリンピック部長 都はこれまで、パラリンピックの成功なくして東京二〇二〇大会の成功はないとの認識のもと、パラリンピックに向けた機運醸成と普及啓発に積極的に取り組んでまいりました。
 現在のコロナ禍におきましても、引き続き多くの方にパラスポーツやパラアスリートを応援していただけるよう、ホームページやSNS等の活用により、動画での情報発信などを中心に取り組みを行っております。
 本年八月のパラリンピック開催一年前の節目には、既に出場が内定している東京ゆかりのパラアスリートからの活動状況や大会に向けた思いなどのメッセージや、パラ応援大使の方々からの応援メッセージを広く発信したほか、都庁舎や都立競技施設等のライトアップなどを実施したところでございます。多くのメディアに取り上げられるなど、機運の醸成につなげることができました。
 また、昨日のパラリンピック三百日前のタイミングを捉えて、コーチやトレーナー、ガイドランナー、義肢装具士など、パラスポーツを支える方々からのメッセージの発信や、東京二〇二〇公式アートポスターの展示などの取り組みも開始し、十一月中旬からは、パラアスリートのすごさなどを伝える短編動画の発信を予定しております。
 今後とも、より多くの方にパラリンピックや競技の魅力を知っていただき、応援していただけるよう、社会状況も踏まえながら、時期を捉えた取り組みを積極的に行い、パラリンピックに向けた機運の醸成を図ってまいります。

○伊藤委員 パラリンピック三百日前のタイミングを捉えて、コーチやトレーナー、ガイドランナー、また義肢装具士など、パラスポーツを支える方々からのメッセージの発信ということで、パラアスリートの最も近くで支えてきた方々にもスポットを当てた新たな発想であり、すばらしい取り組みであるというふうに私は思います。
 先ほど申し上げた二〇一二年のロンドン・パラリンピックで、私はボッチャの選手たちと出会いました。そのときに、ボッチャの女性選手を一生懸命にそばで支えている男性がおりました。
 後で聞いたらば、その男性はその選手の弟でした。小さなときから、お姉ちゃんが障害があることが恥ずかしかった、だけれども、ボッチャに取り組む姉さんの姿を見て、自分は何という小さな人間なんだろう、こう思ってお姉さんを支えることを決意して、そして、一緒に練習に取り組んできて、ロンドンのパラリンピックに来たといっていました。
 私はその姿を見て、このパラリンピアンを、パラアスリートを支えている人、この人たちも本当にすばらしい方々である、ここにスポットを当てたということはすばらしいことだと思います。
 また、東京二〇二〇公式アートポスターの展示などの取り組みの開始、十一月からは、パラアスリートのすごさなどを伝える短編動画の発信を予定ということでありますけれども、今申し上げたロンドン・パラリンピックに行かせていただいたときは、パラ会場でのアスリートの活躍はもちろんなんですけれども、駅でも、まちでも、テレビをつけても、パラアスリートの画像が、どこへ行ってもそれがありました。その姿に、本当に格好いいと私は思いました。
 いずれにしても、都は、コロナ禍においても、さまざまな取り組みをされていることがわかりました。こうした都の取り組みは、区市町村にとっても大いに参考になると思うとともに、東京全体、そして全国へ波及して、来年のパラリンピックに向けて、一層の機運の盛り上げにつながっていくものと大変に期待をしております。
 次に、ボランティアについて伺います。
 先日の各会計決算特別委員会の分科会においても、私は、障害のある観客へのサポートについて、ボランティアにどのような研修を行ってきたのかを確認し、都からは、視覚に障害がある方や車椅子を使用される方への対応について、実演を交えて説明しているという答弁があったところであります。
 言葉や文字だけではなく、こうした実演を交えた研修は実践的に役立つ内容だと思いますけれども、この研修を受けたボランティアからはどのような声が届いているのか、伺いたいと思います。

○小高ボランティア担当部長 シティキャストの研修のうち、視覚障害者や車椅子使用者など配慮を必要とする観客のサポート方法について、実演を交えて学んでいただく研修については、受講した九割以上の方から、わかりやすかったとの評価をいただきました。
 また、さまざまな障害があり、それに対してさまざまなサポート方法があることがわかった、実演がためになり、すぐに実践できるなどのご意見もいただきました。
 その一方、もっと詳しくさまざまなサポート方法を知りたい、簡単な手話を教えてほしい、研修内容をインターネットの動画でも見られるようにしてほしい、学んだ内容を今後の研修で再確認できたらよいなどのご意見もいただきました。
 なお、大会延期後の本年八月に行いましたアンケートでも、回答者の約四割の方から、今後の研修において、配慮を要する方のサポート方法を詳しく知りたいとの回答もいただきました。

○伊藤委員 大会本番では、配慮を必要とするさまざまな観客に、現場でしっかりと対応できるようにするためには、サポートの仕方をより詳しく学んでいただけるようにすることも必要だと考えますけれども、ただいま答弁のあったボランティアの声を受けて、今後、都はどのように取り組んでいくのか、伺いたいと思います。

○小高ボランティア担当部長 大会では、障害のあるなしにかかわらず、全ての観客に不安なく大会を楽しんでいただけるよう、シティキャストにサポートを行っていただくことは重要でございます。
 そのため、配慮を要する方のさまざまなサポート方法について、共通研修を受講した方を含め、希望する方にさらに詳しく学んでいただけるオンライン研修を年内に開始いたします。
 研修では、挨拶や道案内などに関する簡単な手話、筆談をする際のポイント、視覚に障害がある方の代読、代筆の方法、内部障害など見えにくい障害への理解と対応などについて、専門の講師からわかりやすく説明いただく予定でございます。
 また、来年度から実施いたします役割別研修においても、配慮を要する方のサポート方法を改めて確認いただくなど、大会でシティキャストにさまざまな障害特性に適切に応じたサポートを行っていただけるよう取り組んでまいります。

○伊藤委員 実演を交えた研修は、オリ・パラに向けた研修にとどまらず、シティキャストの日常においても、障害者支援への意識と、また、具体的な支援技術が高まることとなると思います。こうした研修によって、シティキャストの皆さんが、東京大会後のレガシーとして、ダイバーシティーをさらに牽引してくれることを期待するものであります。
 都は、東京二〇二〇大会が延期されたことを踏まえ、本年八月に、シティキャストに登録された方々にアンケートを行いました。そして、先週公表されたアンケート結果によると、大会について心配されていることの中に、大会延期によって、来年、都合が合わず、参加できる日数が当初の予定より減るかもしれないと回答をされた方が三割おられたわけであります。また、自由意見の中にも、転勤のため、参加日数が少なくなる可能性があるとの心配の声がありました。
 こうした方々の声を踏まえて、都はどのように対応していくのか、伺いたいと思います。

○小高ボランティア担当部長 都では、本年八月、シティキャストの方々に、延期後の大会に向けた期待や心配な点についてお伺いするアンケートを実施し、このたび、結果と意見を踏まえた今後の対応を取りまとめ、公表いたしました。
 シティキャストの方々には、大会期間を通じ、合計五日以上の活動をお願いしておりますが、大会延期に伴い、就職や転勤などの環境変化により都合が合わず、当初予定した日数での参加が難しいかもしれないとの声を、お話のとおり、回答者の三二%の方々からいただきました。
 こうした意見を踏まえ、今後、シティキャストの方々に参加の意向や活動日の希望を伺うに当たっては、個々の事情を丁寧に伺いながら、可能な限り多くの方々に参加いただけるよう、活動日数や時間など、柔軟に対応してまいります。

○伊藤委員 先ほど申し上げたとおり、シティキャストは、東京二〇二〇大会後の人材としてのレガシーであります。ぜひ個々の事情に寄り添って、丁寧に対応していただきたいと要望しておきます。
 次に、ラストマイルの路上美化について伺います。
 シティキャストによる最高のおもてなしの一方で、私は本会議等で、羽田空港からオリンピック会場へ向かう道路にポイ捨てされたごみが散乱しておりまして、心あるボランティアの方々が毎月清掃してくださっていることを紹介し、この問題は、行政としても看過できないということを指摘してまいりました。
 東京大会では、美しい国日本、世界の憧れの都市東京に期待して来日される海外のお客様を、ハード、ソフトにわたるおもてなしの精神でお迎えしたいことは、誰しも思っていることであります。
 そこで、競技会場周辺の駅から競技会場入り口までのラストマイル、一般の観客が歩行するルート、入退場ルートと、そしてまた、車椅子などでも通行できるバリアフリーになっているアクセシブルルートの二種類があるわけですけれども、それぞれの環境整備は重要であるというふうに考えます。
 ラストマイルの路上清掃についてどのように取り組むのか、伺いたいと思います。

○末村運営担当部長 大会時に多数の観客が通行するラストマイルをクリーンな環境とすることで、観客に安全で快適な経験を提供することは重要でございます。
 そのため、ラストマイルにおいては、競技終了後の夜間や競技中の時間帯などに定期的にごみを回収するとともに、ごみの散乱が見受けられた場合には、必要に応じて臨時の回収を実施いたします。
 さらに、ラストマイルにごみが捨てられないよう、シティキャストなどによるごみのポイ捨て防止の呼びかけを行うことに加え、組織委員会と連携して、競技会場内で出たごみは会場内で廃棄してもらうよう取り組んでまいります。

○伊藤委員 私は、今後も、先ほどの羽田から会場までの国道、都道、そしてラストマイルの美化についてはずっといい続けていきますので、よろしくお願いいたします。
 また、ラストマイルについて、都議会公明党は、観客への暑さ対策の重要性を訴えてまいりました。このことも着実に進めていただきたいと要望しておきます。
 次に、復興五輪について伺います。
 都議会公明党は、繰り返し主張してまいりましたけれども、東京二〇二〇大会の原点は復興オリンピック・パラリンピックであります。
 私は、さきの決算委員会でも指摘をしましたけれども、新型コロナの影響で一年延期になった東京大会は、三・一一東日本大震災からちょうど十年の節目に開催されるオリンピック・パラリンピックとなるわけであります。世界中が支援の手を差し伸べてくれ、そして、被災地が力強く復興していく姿と世界への感謝の心を伝える大会であるべきだというふうに思います。
 特に、震災を乗り越えて、被災地の復興とともに成長した子供たち、この十年で、あのときに小さな幼児だった子が小学生になり、あのとき小学生だった子が高校生や成人になっている。その子供たちから世界に向けて感謝やお礼の気持ちを伝えられたら、そして、その子供たちが、次の世代へ向けて被災地と世界をつなぐかけ橋になってくれたらすばらしいというふうに思います。
 復興五輪と世界への感謝、そして、子供たちや若者のかかわりについて、都の取り組みについて伺いたいと思います。

○小池自治体調整担当部長 東京二〇二〇大会の原点は、委員お話しのとおり、復興オリンピック・パラリンピックでございまして、都はこれまで、組織委員会や被災県等と連携してさまざまな取り組みを実施してまいりました。とりわけ、被災地の未来を担う子供たちに対する事業に積極的に取り組んできたところでございます。
 具体的には、被災地で開催された野球やタグラグビーの小学生同士の国際交流スポーツイベントを海外メディアの方々に取材していただく取り組みなどを通じまして、復興に向けて力強く歩む被災地の姿を伝えてまいりました。
 こうした取り組みに加えまして、被災地の中高生から、世界に対する支援の御礼や、大会に参加するアスリートへの応援メッセージなどを記したモニュメントを、東京藝術大学の協力のもと、大会本番に向けまして制作しております。
 また、被災地の若者が世界への感謝の気持ちや将来を担う意気込み、地域の魅力などを語りかける映像につきましても、新たに発信していく予定でございます。
 世界中の注目が集まる東京二〇二〇大会におきまして、未曽有の災害を乗り越えてきた子供、若者たちの姿や思いを発信することなどによりまして、世界とのきずなが深まるよう、今後とも、関係者と一層緊密に連携しながら取り組んでまいります。

○伊藤委員 きっとすばらしいモニュメントになることと思います。完成したら、どうか積極的にアピールしていただきたいと思います。
 次に、東京マラソンについて伺います。
 東京マラソンの開催は、まさに東京が一つになる日であります。その意味でも、東京マラソン二〇二一、来年の三月から十月に延期になったわけでありますが、従前どおり、多くの都民が参加できることは重要であります。
 しかし、一方で、やっぱり三月の大会を楽しみにしていたという方も多くおります。
 そこで、東京マラソン二〇二一大会の十月への延期の理由について伺いたいと思います。

○鈴木スポーツ推進部長 東京マラソンは、国内外のエリートランナーと一般ランナー、三万八千人が参加する世界有数のマラソンでございます。
 東京マラソン財団では、この本来の形での開催を目指しておりましたが、現時点では、政府のイベント開催制限あるいは出入国制限が継続しておりまして、海外ランナーを含めた通常規模での三月開催を決定することは困難でありました。
 一方、東京マラソンが加盟するアボット・ワールドマラソンメジャーズにおきましては、シリーズを構成する各大会の縮小や延期、中止が相次いだため、二〇二一年秋以降にシリーズ再構築を目指す動きもございました。
 こうしたことから、財団は、東京マラソン二〇二一を二〇二一年十月に開催することとしたものでありまして、共催者である都としましても、財団の意向を尊重したところでございます。
 東京マラソン二〇二一の秋開催は、大会への参加を心待ちにしている多くの方々の期待に応えるものとなります。また、世界のマラソンムーブメントの再始動に貢献する意義があるとともに、東京二〇二〇大会の盛り上がりを継承するものにもなると考えております。

○伊藤委員 東京マラソンを来年の秋に延期した理由については、よくわかりました。
 しかし、しつこいのですけれども、来年の三月に楽しみにしていたという人たちもたくさんいるわけであります。この三月に、何かできる取り組みはないのか、伺いたいと思います。

○鈴木スポーツ推進部長 例年二月末から三月の時期に行われてきた東京マラソン、毎年、たくさんの方に心待ちにしていただいております。
 このため、主催者であります東京マラソン財団では、二〇二一大会の開催を予定していた来年三月に、世界各国から参加が可能なバーチャルマラソンや、都内におけるランニングイベントなどの実施を計画しているところでございます。
 詳細につきましては、現在検討しておりまして、本年十二月に発表されることとなってございます。

○伊藤委員 バーチャルマラソンというワードが答弁にありました。バーチャルマラソンとは、余り聞きなれない方も多くいると思います。
 バーチャルマラソンについて、どのような取り組みなのか、現段階での具体的な構想があれば聞かせていただければと思います。

○鈴木スポーツ推進部長 バーチャルマラソンは、一般的には、スマートフォンなどのGPS機能を使ったアプリケーションを活用しまして、主催者が設定した距離を参加者が自由にコースを選定して走っていただき、その記録をアプリケーション上で共有するものでございます。国内では名古屋ウィメンズマラソン等で、また、海外では、ロンドンマラソンやニューヨークシティーマラソン等でも取り入れられています。
 主催者であります東京マラソン財団では、こうした仕組みを活用し、多くの方々により一層楽しんでいただける企画案を、来年三月に向けて、現在検討しているところと聞いております。
 都といたしましても、財団と連携しながら、来年三月のイベントを盛り上げてまいります。

○伊藤委員 ありがとうございます。バーチャルマラソンということで、スマホにアプリを入れて、自分のペースで、自分の走りたい場所で、自分の好きな時間に走ると。やり方によっては、四十二・一九五キロを数日に分けて走る方法もあるというふうに聞きました。ぜひ、これならできるというものにしていただいて、来年三月に多くの人が参加できるようにしていただきたいと思います。
 我が会派の、年齢的に私より先輩になるお方ですけれども、このことをお話ししたら、それなら私もできるといっていましたので、楽しみにしているようでございますので、よろしくお願いいたします。
 オリンピックまであと二百六十七日、パラリンピックまであと二百九十九日、中村局長を中心に、コロナに負けない、新しい時代の東京二〇二〇大会の大成功を目指して、一致団結して前進していただきたいことを申し上げ、質問を終わります。ありがとうございました。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。
 初めに、資料の提出をありがとうございました。
 最初に、都民スポーツに対する新型コロナウイルス感染症の影響について伺います。
 スポーツ分野においては、新型コロナウイルス感染予防のため、東京マラソンの一般ランナーの部門が中止となり、エリート部門のみの開催となるなど、早い二月の段階から大きな影響を受けてきました。
 四月の緊急事態宣言による休業要請前にも、スポーツジムでのクラスター発生や学校休業などもあり、都民の利用するスポーツ施設は、公立でも民間でも、早い段階から感染拡大防止の対応が求められてきました。
 そこで伺いますが、都立スポーツ施設における本年二月以降に新型コロナ感染防止のためにどんな対策や取り組みを行ったのか、伺います。

○鈴木スポーツ推進部長 都立スポーツ施設におきましては、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、本年二月下旬からトレーニングルームやプールを利用中止とし、その後、順次、全館休館しております。
 その後、施設管理者向けに感染拡大防止のためのガイドラインを策定し、これに基づき、各施設管理者においては、館内消毒の徹底、従業員の体調管理、利用人数の制限、運動時における注意喚起など、適切な感染拡大防止対策を講じた上で、令和二年六月から段階的に施設を利用再開しております。

○斉藤委員 資料4にも示していただきましたが、トレーニングルームやプールなどは二月下旬から、アリーナや屋外施設も三月下旬から休館し、開館後も、感染拡大防止対策を講じながらの利用となっているということです。
 私もスポーツ団体の方にお話を伺いましたが、体温測定や消毒、換気はもちろん、競技中はマスクを外し、待機中や会話をするときは必ずマスクをつける、場内ではソーシャルディスタンスをとる、また、ソーシャルディスタンスをとるために利用人数を減らすなどの対策をとりながら、練習や試合を行っているということでした。
 多くの制約がある中、工夫をしながらスポーツを楽しんでいるということを伺いました。
 緊急事態宣言による休業要請は四月八日からでしたが、都立スポーツ施設は、一カ月以上早く休業した部分もあり、休業期間が長期にわたることとなりました。
 休館期間中や利用が減る中で、都立スポーツ施設における利用料収入が減収になっていると思いますが、本年二月から九月までの間に、新型コロナを理由としてキャンセルされた利用料金の総額は幾らか、伺います。

○鈴木スポーツ推進部長 都立スポーツ施設の休館などに伴いまして利用を中止した利用者につきましては、利用料金の還付の対応を行っております。
 利用料金の受け取りにつきましては、予納金のみ納付されているケースや、利用料金の全額が既に納付されているケースなど、さまざまなケースがございます。
 現在、金額を整理しているところでございますが、新型コロナウイルスを理由としたキャンセルに伴い、施設利用料収入が減少していることは承知しているところでございます。

○斉藤委員 現在、金額を整理して、具体的な金額はこれからということですけれども、減少しているということは承知しているということです。
 この金額の確認ですけれども、今後、ぜひしっかり行っていただきたいなというふうに思います。
 休館期間中はもちろん、ある程度の規模の大会などは準備期間が必要なため、春ごろの先が見通せない状況の中では、夏以降の開催であってもキャンセルせざるを得なかったという話も聞いています。
 また、予約のキャンセルだけでなく、通常ならあるはずの当日利用もなかったというわけですから、前年度比でどれだけ減収になったのか、ぜひ具体的な金額を東京都として把握していただきたいと思います。
 都立スポーツ施設は、政策連携団体であるスポーツ文化事業団など指定管理者が、指定管理料と利用者からの料金収入で運営しているので、利用料が減収となると経営は大丈夫なのかと、利用者の方々も心配をしています。
 減収に対する補填など、都として指定管理者にはどのように対応するのか、見解を伺います。

○鈴木スポーツ推進部長 先ほどの答弁のとおり、施設利用料収入が減少していることは承知しているところでございます。
 管理運営に関する基本協定におきましては、年度途中において指定管理料に余剰ないし不足が生じた場合においても、都がやむを得ないと認める特段の事情がない限り、当該年度内における指定管理料の減額または増額は行わないものとしてございます。
 指定管理者の経営状況等を引き続き注視し、今後も適切な施設運営に努めてまいります。

○斉藤委員 都がやむを得ないと認める特段の事情がない限り、指定管理料の増額は行わないということですけれども、経営状況によっては、新型コロナは十分特段な事情と認められ得るというふうにも思われますが、都として、指定管理者任せにせずに、目配りをお願いしたいと思います。経営状況等、引き続き注視していくということですので、ぜひお願いしたいと思います。
 利用者からは、減収が今後、利用料の値上げにつながらないかとの心配の声があります。また、減収が、都立スポーツ施設で働く方々や委託事業者にしわ寄せされないかという懸念もあります。今からでも、休業期間中の対応がどうだったのかということも含め、東京都として把握して、利用料の値上げや働く方々の労働条件の切り下げにならないように対応していただくことを求めます。
 また、現状では、利用料はこれまでと同じ料金なわけですが、感染防止のために、本来の収容人数の半分でスポーツを実施しているため、中小規模のクラブ活動やサークル活動などで人数を減らして利用する場合、一人当たりの負担が重くて利用しづらくなるなどの声が届いています。
 都として、施設利用料の減免や減額を検討する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○鈴木スポーツ推進部長 都立スポーツ施設における利用料金の減額または免除につきましては、東京都体育施設条例第八条及び東京都体育施設条例施行規則第七条に定められております。
 新型コロナウイルス感染拡大防止のための利用制限等を理由とした利用料金の減額や免除は対象となってございません。

○斉藤委員 東京都体育施設条例施行規則には、減免できる場合として、施策上、特に必要があるものとして知事が別に定める事由に該当するときという規定があるはずです。これを活用すれば、都として減免を行うということも可能ではないでしょうか。
 また、スポーツ施設の利用料は、指定管理者と東京都が協議すれば、例えばですけれども、スポーツ応援キャンペーンなどとして料金を引き下げることが可能なのではないかと思います。
 都の施策として、利用者に補助するということもできると思います。
 減免でも、料金引き下げでも、補助でも、結果的には利用者にとっては同じですから、さまざまな工夫をして都民のスポーツを応援していただきたいというふうに思います。
 コロナの感染防止や在宅ワーク、オンライン授業などで家にこもりがちになり、そのことで運動不足になったり、ストレスがたまったり、かえって心身によくないという話もよく聞いております。感染防止をしながらスポーツを楽しむことは大変よいことだと思いますので、ぜひ考えていただくことを要望いたします。
 都内のスポーツ団体やサークル、クラブなどでは、今申し上げた利用料の負担増だけでなく、消毒を初めとする感染防止対策などに費用がかさむ一方、緊急事態宣言で活動休止せざるを得ない期間が生じたことや、子供や孫の面倒を見なければいけなくなった、また、生活が苦しくなったなどでメンバーが減ってしまうという厳しい状況もあるということです。
 また、大会時に参加費と会費を払う場合も多く、大会が中止になったことで、それらの収入がなく、運営が苦しくなったというお話も聞いています。
 国は、こうした中でもスポーツ活動を再開し、継続していくための支援として、スポーツ大会や教室の運営、リモート配信、消毒などの感染防止対策にかかわる費用を、三分の二または定額補助として上限百五十万までを補助し、歓迎されています。
 しかし、補助事業は十一月三十日で終わるため、今後の新型コロナの感染拡大の終息が見通せない中では、都として、十二月以降、支援をしてほしいという声もあります。
 都としての独自の支援をしていく必要があると思いますが、見解を伺います。

○鈴木スポーツ推進部長 国が行っておりますスポーツ活動継続サポート事業は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により活動自粛を余儀なくされたスポーツ関係団体や個人事業主が、感染対策をとりつつ活動の再開、継続を行う取り組みに対して必要な支援を行うものでございまして、ことし七月から始まり、十一月末をもって終了するものでございます。
 一方、都は、新しい日常においても都民がスポーツ活動を継続的に行えるよう、地域のスポーツ団体等が行う各種の事業を支援する中で、感染拡大防止に必要となる消毒液等の消耗品やオンライン教室に係る経費を、ことし五月から補助対象として実施をしているところでございます。

○斉藤委員 現状のご説明をいただきましたが、国の制度や都の今の支援では、オンライン教室や、何か新たな資材の購入や取り組みがなければ支援の対象にならなかったり、手続も煩雑で申請を諦めてしまったという団体の声もあります。
 そもそも会費収入などが一定期間なくなり、運営が厳しい中では、新たな資材や取り組みのための調達や購入がなくても支援をしてほしいという声が寄せられています。都として広く支援をする独自の対策を検討していただくことを求めます。
 また、新型コロナで中止や延期となったスポーツの活動の再開が、これから本格化していくという団体も多いということです。東京都では、東京二〇二〇大会の延期により、会場予定だった都立スポーツ施設を来年までずっと休館するのではなく、可能なところから都民向けの貸し出しを始めています。そうした場所の提供も始まったばかりです。ぜひ都民の皆さんがコロナのもとでもスポーツを楽しめるよう、都が先頭に立って、きめ細かい支援をしていただくよう、強く要望いたします。
 都内では、日常的にスポーツを楽しもうと、子供から大人、高齢者まで、多くの方が身近なアマチュアスポーツ団体や地域スポーツクラブで活動しています。そうした団体も、新型コロナによる自粛の影響を大きく受けています。
 そこで伺いますが、東京都で活動しているアマチュアスポーツ団体はどのくらいあるのか、また、区市町村と連携して活動している地域スポーツクラブはどのくらいあるのか、伺います。

○鈴木スポーツ推進部長 都が区市町村におけるスポーツの実態を調査し、取りまとめました東京都スポーツ総合調査によりますと、平成二十九年度の都内のスポーツクラブの数は二万三千六百八十六団体でございます。
 また、地域住民が主体的に運営し、都民の誰もが参加できる地域スポーツクラブにつきましては、令和二年九月三十日現在、都内に百四十四クラブが設立され、区市町村へ届け出がされております。

○斉藤委員 二〇一七年度の都内のスポーツクラブの数は二万三千六百八十六団体、また、地域スポーツクラブは百四十四あるということです。本当に裾野の広い、多くの方々が、都民のスポーツの機会の提供に貢献してくれているということです。都民のスポーツの機会が失われないようにするためにも、そうした団体、クラブの運営の継続を支えていただきたいというふうに思います。
 また、そうしたスポーツ団体、クラブの方々は、スポーツを行う場所の確保にも、コロナ禍での困難を抱えています。ふだん利用していた放課後の学校の校庭なども、まだ通常どおりに利用できていないということもあるということです。
 都は、東京二〇二〇大会等に向け、都立スポーツ施設が改修、休館していく中にあっても、都民のスポーツ環境を維持できるようにするために、TOKYOスポーツ施設サポーターズ制度をつくっていますが、施設の利用の制限がある中で、都民に喜ばれている制度です。
 しかし、スポーツ団体等がもう少し利用しやすくなるように、たとえ全ての施設ではなくても、定期的な利用や半年前からの予約が可能になる枠を設けるなど、改善ができないかという声がありますが、いかがでしょうか。

○鈴木スポーツ推進部長 本事業は、スポーツ施設を所有している大学や企業等が、その活動に支障のない範囲で施設を都民に貸し出していただいているものでございます。
 このため、スポーツ団体等には、スポーツ施設を学生や企業等が利用していない日時にご利用をいただいております。
 また、利用者が各施設における利用可能な日時を容易に把握できるよう、月初めに翌月以降の空き状況を集約し、都のホームページ、スポーツTOKYOインフォメーションに順次掲載をしております。

○斉藤委員 確かに、本来のユーザーの方々がいらっしゃる中で、なかなか難しいところだということはわかるんですけれども、しかし、それだけ場所の確保に苦労しているというところが多いということです。都として、少しでもあきのあるところは有効活用につながるように目配りをしていただきたいと思います。
 このTOKYOスポーツ施設サポーターズ制度ですが、東京二〇二〇大会後も含めた今後の取り組みについてどのように検討されているのか、伺います。

○鈴木スポーツ推進部長 TOKYOスポーツ施設サポーターズ事業は、大学や企業等の協力を得まして、東京二〇二〇大会に向け、都立体育施設が改修、休館していく中にあっても、都民のスポーツ環境を維持できるよう、実施している事業でございます。
 引き続き、関係者のご協力をいただきながら、都民の身近なスポーツの場の確保に努めてまいりたいと思います。

○斉藤委員 引き続き、関係者の協力をいただき、都民の身近なスポーツの場の確保に努めていくということです。都民のスポーツの機会の確保、拡充に資する取り組みだと思っていますので、ぜひ継続を検討していただきたいというふうに思います。
 次に、都立スポーツ施設の設備について伺います。
 東京体育館は、大会時には卓球の会場として使用されるため、そのための改修が行われてきたところです。
 会場を内覧された卓球の競技団体の方々から、東京体育館の照明について、スポットライトの傾きなどの仕様が、オリンピックの卓球の試合には適していても、ふだんの卓球の大会には適さないものになっているという、利用団体の方々からの指摘がありました。
 具体的にいうと、オリンピック仕様では、真ん中の卓球台に照明を集めるような傾きになっているということですが、オリンピック後のふだんの大会では、広くたくさんの卓球台を置くため、フロア一面を照らす照明でなければ競技ができないということです。
 今後、照明の改修などは行っていくのかどうか、伺います。

○原田スポーツ施設担当部長 東京体育館は、東京二〇二〇大会では、オリンピック、パラリンピックともに卓球の会場となっております。
 大会時に、試合はメーンアリーナの中央付近で行われるため、中央付近で基準の照度が確保されるよう、組織委員会により照明の位置、角度が調整されております。
 大会終了後は、当初より、照明の位置や角度をもとに戻す予定としております。

○斉藤委員 大会終了後は、照明の位置や角度をもとに戻していただけるということで安心しましたが、この間、都立スポーツ施設の設備について、スポーツ利用者の声が反映されているのだろうかと疑問に思うことが起きています。
 改めての確認なんですけれども、施設や設備の設計や導入に当たって、利用者の意見を取り入れて行うことが重要だと思いますが、これまでの施設や設備の設計等において、どのように当事者や利用者の声が反映されてきたのか、また、大会後の利用を見込んだ検討はされているのか、伺います。

○湯川施設担当部長 新規恒久施設におきましては、東京二〇二〇大会の開催のみならず、後利用も見据えまして、競技に精通し、利用が見込まれる主な国際、国内競技団体と、施設の仕様等につきまして協議をするとともに、障害のある方の意見も伺うなど、設計に反映させてきたところでございます。

○原田スポーツ施設担当部長 東京体育館を初めとしました既存施設の改修に当たりましても、利用者や団体の意見を把握し、設計に反映させているところでございます。

○斉藤委員 ちょっと今、二回、答弁があって、どうしたのかと思ったのですが、今ご答弁がありましたけれども、東京二〇二〇大会のみならず、後利用を見据えてというご答弁でしたけれども、本当にアスリートやスポーツ利用者の方々の視点で考えられているのか、疑問なこともあります。
 武蔵野の森総合スポーツプラザでは、東京二〇二〇大会のバドミントンの会場になっていますが、日本バドミントン協会が大会を行ったときに、やはり照明に角度がついていて、バドミントンを行うにはまぶしくて、競技が思うようにできなかったということがあったと聞いています。
 本来、スポーツをする上では、どんな競技でも、照明は真っすぐに、フロアに光が平行におりて全面を照らすというものが競技に適しているというふうに聞いています。
 武蔵野の森のアリーナは、コンサートやイベントなども想定しているということを伺っていますが、やはりスポーツ施設としてのあり方を中心に利用者の方の声を事前に聞いて設備の導入を工夫するなど、よりきめ細かい対応をお願いしたいというふうに思います。
 次に、都立学校活用促進モデル事業の取り組みについて伺います。
 都は、障害者が身近な地域でスポーツに親しめるように、都立特別支援学校を活用したスポーツの機会を創出する取り組みを行っています。
 都立学校活用促進モデル事業の取り組みについて、初年度に五校から始まっていますが、その後はどのように推移しているのか。ことしは新型コロナの影響もありますが、実施校の数はどうなっているのか、伺います。

○加藤障害者スポーツ担当部長 都は、平成二十八年九月から、都立特別支援学校の体育施設を、学校教育活動に支障のない範囲で平日夜間や土曜日、日曜日、祝日に貸し出し、身近な地域での障害者スポーツの場としての活用の促進を図っております。
 実施校数でございますが、二十八年度に五校で開始をし、その後、毎年度五校ずつ拡大をいたしまして、令和二年度は二十五校を実施の対象としております。
 今年度でございますが、教育庁が実施しております都立学校施設開放事業が、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、本年三月から中止となったことと合わせまして、都立学校活用促進モデル事業につきましても中止といたしておりました。
 現在でございますが、教育庁の事業が九月から屋外施設のみ実施となったことと合わせまして、本事業につきましても、同月から、屋外施設を有する九校を対象に、感染防止対策を講じながら開始をしております。

○斉藤委員 昨年度も、私、質疑をさせていただきましたが、昨年度までは二十校だったところが、今年度は二十五校までふえたということです。
 私の地元の足立区では、肢体不自由の特別支援学校と知的障害の特別支援学校を統合する形で、花畑学園がことしの四月から開校しています。こちらも今年度からの貸し出しの実施校となったと伺いました。
 先日、花畑学園に視察に行かせていただきましたが、体育館が二つあり、プールも、二十五メートルの大きなプールのほか、水深の浅い小さなプール、また、温水で体を温めるスペースもあり、障害のある方たちにとっても利用がしやすいということがわかりました。
 しかし、残念ながら、新型コロナの影響でまだ使っていないということでしたが、先生方も、早くプールが使えるようになることを望んでいらっしゃいました。
 利用が進むといいなというふうに思っておりますが、昨年度の利用実績について、施設の貸し出しと体験教室をあわせて伺います。

○加藤障害者スポーツ担当部長 令和元年度の施設の貸出可能な日数は、二十校で三千四百二十二日でございまして、実際に貸し出しを行った日は二千二百四十四日でございました。
 また、体験教室につきましては、二十校において二十六種目、計百五回開催をいたしまして、参加者やボランティア等の合計数は、延べ二千八百六十二人でございました。

○斉藤委員 実施校をふやしていただいているという中で、貸し出しも体験教室も、利用実績は着実に伸びているということですけれども、今年度は新型コロナの影響で厳しい状況だと思います。
 感染防止の取り組みも重要ですが、障害のある方やお子さんにとっては、体を動かすことができる環境も、心身の健康の維持にとって欠かせません。都教育委員会とも連携をして状況把握に努めて、利用再開できる時期を検討していただきたいというふうに思います。
 この体験教室についてですけれども、利用者に毎回アンケートをとっているというふうに伺っています。どのような声があるのか、伺います。

○加藤障害者スポーツ担当部長 体験教室の参加者からは、学校を卒業するとスポーツの機会が減るので、このような機会はとてもうれしい、さまざまな年齢、障害の有無にかかわらず楽しむことができ、一体感がよかったなどの声をいただいております。

○斉藤委員 このような機会はとてもうれしい、一体感がよかったなど、声が届いているということで、とても喜ばれている取り組みなんだと実感できます。
 一方で、今の声にあるように、学校を卒業するとスポーツの機会が減るということが、障害のある方々にとって、まだまだ気軽にスポーツができない現状を物語っているというふうに思います。
 障害者の方々がスポーツができる都立の施設は、北区と多摩にある二つしかありません。こうした施設の拡充が求められていますが、また、より身近なところで、バリアフリーになっている都立特別支援学校が利用できるということは、障害者のスポーツの推進にとっても有益なものです。
 今、行っているこの都立学校活用促進モデル事業を本事業として拡充していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

○加藤障害者スポーツ担当部長 今後の方向性につきましては、利用団体や体験教室の参加者へのアンケート結果も含め、モデル事業の実施状況等を踏まえた上で検討することとしております。

○斉藤委員 私も、昨年度も同じ要望をしているんですけれども、大事なことなので今回も伺いました。ことしはオリンピックが行われたはずの年、また、来年には行われる予定ということで、これを契機に、やっぱり利用実績も伸びて、そして、利用者からも高い評価をいただいているという事業なので、ぜひ本事業として拡充していくことを重ねて求めるものです。
 次に、スポーツ振興推進について伺います。
 我が党では、誰もがスポーツに親しむことができる環境づくりのために、これまでもスポーツ推進についての質問を繰り返し行ってきましたが、今年度、そして来年度は、オリンピックの節目の年として、スポーツ推進を強化していく上でも大事な年だというふうに思っています。
 改めて伺いますが、国のスポーツ基本法では、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは全ての人々の権利であるとうたっており、誰もがスポーツを楽しみ、スポーツを支える活動に参画することのできる機会が確保されなければならないとしています。
 都としても、スポーツ推進に当たって、この理念を根幹に据えることが大事だと思いますが、見解を伺います。

○鈴木スポーツ推進部長 スポーツ基本法では、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営む人々の権利等を基本理念に掲げ、地方自治体は、この理念にのっとり、地域の特性に応じた施策を策定し、実施することとしています。
 このため、都は、スポーツ振興審議会の審議を経て、東京都スポーツ推進総合計画を平成三十年三月に策定いたしました。
 同計画では、誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しみ、スポーツの力で人と都市が活性化するスポーツ都市東京を実現することを基本理念としており、これは法の趣旨にも合致しているものでございます。

○斉藤委員 国のスポーツ基本法の理念にのっとり、東京都スポーツ推進総合計画を策定し、その基本理念は法の趣旨に一致するものというお答えでした。
 スポーツ基本法の、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは全ての人々の権利であるという理念は、スポーツ推進をしていく上で大事な視点だと思いますので、ぜひこのことを根幹に据えていただきたいというふうに思います。
 都は、そのスポーツ推進総合計画の中で、都民のスポーツ実施率七〇%を達成するということを目標に掲げています。
 今年度は、新型コロナの感染症拡大によってスポーツの実施率も影響があると思いますが、感染拡大前の直近の実施率の到達について伺います。

○鈴木スポーツ推進部長 直近の都民のスポーツ実施率は、平成三十一年二月に公表された都民のスポーツ活動に関する世論調査によりますと、五七・二%でございます。

○斉藤委員 昨年二月に公表されたスポーツ実施率は五七・二%ということです。
 未来の東京戦略ビジョンにスポーツ実施率の推移について示されていますが、二〇一二年には五三・九%、二〇一四年には六〇・五%、二〇一六年には五六・三%、そして二〇一八年度は、先ほどの五七・二%ということなので、直近では、やや横ばい状況。二〇一四年が六〇%を超えて一番高い実施率なので、必ずしもオリンピックイヤーに向けて上昇し続けてきたということではない状況かと思います。
 都は、区市町村がスポーツ施設の新設や改築を行う際の費用に対して補助をするスポーツ施設整備費補助事業を行ってきました。
 都民のスポーツの機会を広げるために重要な取り組みだったというふうに思いますが、この補助の結果、競技スペースや利用機会の拡大、またバリアフリー化など、スポーツ施設はどの程度充実したのか、伺います。

○鈴木スポーツ推進部長 都は、平成二十六年度から令和元年度まで、スポーツ施設整備費補助事業によりまして、区市町村が実施するスポーツ施設整備、合計二百四十八件に対して支援を行いました。

○斉藤委員 六年間で二百四十八件に対して支援を行ってきたということです。私もその要綱を確認しましたが、補助対象は施設の新設や改築が含まれていて、区市町村が行う整備に幅広く貢献するものだったのではないかと思います。
 ところが、区市町村が行う施設整備の取り組みを支援するこの制度は、昨年、二〇一九年度に終了しています。
 なぜ終了したのか、補助事業の継続は検討されなかったのか、伺います。

○鈴木スポーツ推進部長 都は、二〇二〇年までにスポーツ環境の充実、拡大を図るため、平成二十六年度から令和元年度までの六年間を事業期間として、ラグビーワールドカップ二〇一九や東京二〇二〇大会の受け入れ体制整備に係る工事も含めまして、スポーツ施設整備費補助事業により、区市町村に対して財政支援を行ってまいりました。この結果、多くの都民のスポーツ環境の充実、拡大に寄与することができました。
 今年度は、誰もが身近な場所で気軽にスポーツを楽しめる環境を整備し、スポーツを通じた共生社会の実現を目指すため、スポーツ環境の整備促進に向けて区市町村が行う取り組みを支援する補助制度を新たに創設いたしました。

○斉藤委員 六年間を事業期間としていたということ、また、多くの都民スポーツの環境の充実、拡大に寄与してきたという評価ですけれども、よい取り組みをしてきたということは私も共感をします。
 しかし、なぜそれを、スポーツ実施率七〇%という目標にまだ開きがある段階で、そのままとめてしまったのか、疑問です。
 補助事業の継続は検討されなかったのかということに対しては、明確なお答えがありませんでしたが、今年度からは新たな補助制度を創設しているということです。
 この今年度に新たに始まっているスポーツ環境整備費補助制度の概要について伺います。

○鈴木スポーツ推進部長 スポーツ環境整備費補助事業では、スポーツ環境の拡充として、庁舎、コミュニティ施設等の公共施設において、その一部をスポーツ活動の場として整備する工事や、スポーツ施設の暑さ対策など安全で快適なスポーツ環境を拡大する工事、さらに、障害者スポーツの実施を促進するための工事等を対象として支援するものでございます。

○斉藤委員 障害者スポーツの実施を促進するための工事等ということが対象に入ったということは、いいところもあると思うんですけれども、全体として、庁舎、コミュニティ施設等の公共施設において、その一部をスポーツ活動の場として整備する工事や、スポーツ施設の暑さ対策など快適な環境を拡大する工事というのが対象ということで、とても限定的な内容になっています。
 この点は、五月に、我が党のとや理事が都民からの陳情に合わせて質疑をしていますが、新しい補助制度では、新築や改築が補助の対象にはなっていません。
 東京二〇二〇大会を契機として都民スポーツの推進を図っていくことが求められていますが、まさにこれからというときに、都の取り組みが停滞したり、後退するようなことでは不十分だというふうに思います。
 先ほどもご答弁にありましたが、都は、スポーツ推進総合計画において、誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しみ、スポーツの力で人と都市が活性化するスポーツ都市東京を実現しますと基本理念を掲げています。
 新型コロナの感染症拡大により、スポーツの実施が中断されただけでなく、経済的にも苦しい状況に置かれた都民がスポーツに親しむ機会を広げていくためには一層の努力が必要ですが、都の認識と、今後のスポーツ実施率七〇%を目指してどのような取り組みと展望を持っているのか、伺います。

○鈴木スポーツ推進部長 感染拡大を防止しつつ、安全・安心にスポーツに取り組めるようにすることは大変重要でございます。
 都では、競技団体が競技の特性に応じて作成するガイドライン等をホームページに掲載して、都民へ広く周知するなど、新しい日常におけるスポーツの推進に取り組んでおります。
 また、都主催イベント等では、チェックシートによる参加者の健康管理などを行っているほか、都立スポーツ施設等においては、館内消毒の徹底など適切な感染防止対策を講じて、都民の皆様に安心してご利用いただけるよう運営を行っております。
 これらに加え、引き続き、地域スポーツや生涯スポーツの振興など多面的な取り組みにより、都民のスポーツ実施率七〇%の達成を目指してまいります。

○斉藤委員 コロナ禍でのスポーツ実施において、ご答弁のとおり、現場では大変な苦労と工夫をされながら頑張っているということ、こうした方々の努力に、私自身も、個人やスポーツ団体の方、また、施設の管理者の方々には改めて敬意の思いですけれども、だからこそ、財政的なことも含めた都の支援やスポーツの機会の拡大のための取り組みの強化が必要だというふうに思います。
 日本共産党都議団の調べでは、スポーツ基本法の制定やオリンピック・パラリンピックの東京での開催決定を契機として、全国で、現在、十七の県でスポーツの推進のための条例が制定されているということがわかっています。
 幾つかの県に取り組みについて伺いましたが、例えば埼玉県では、二〇〇七年にスポーツ振興のまちづくり条例が制定されてから、スポーツ実施率を二〇%以上向上させてきています。
 千葉県では、体育・スポーツ振興条例を制定して、毎年十月に県立のスポーツ施設を無料で開放し、県民のスポーツの機会を拡大しています。
 また、オリンピック・パラリンピックの大会、東京開催が決まったということを契機にして、スポーツ振興と推進の条例を制定したというところが多いというのも特徴です。
 こうした他県の取り組みに学びながら、オリンピック・パラリンピック大会の開催都市にふさわしく、今こそ東京都でもスポーツ推進条例を策定することが必要だと思いますが、いかがですか。

○鈴木スポーツ推進部長 都は、平成三十年三月に東京都スポーツ推進総合計画を策定し、都におけるスポーツ行政の根幹となる考え方としまして、スポーツの力で東京の未来をつくるを基本理念としております。
 本計画は、三十の政策指針を掲げ、障害者スポーツを含めた施策を一体的に推進していくものであり、都は引き続き、本計画に基づき都民のスポーツ振興を着実に進めてまいります。

○斉藤委員 スポーツ推進総合計画があるからということですけれども、現状でもスポーツ実施率の目標にはまだ遠い状況で、オリンピックの巨大な施設をたくさんつくった後で、都民のスポーツの機会の拡大が停滞になるということでは不十分だといわなければなりません。
 都民スポーツの推進を東京二〇二〇大会のレガシーにできるように、条例制定でスポーツ推進の機運や位置づけを高めて取り組んでいくということを強く重ねて求めます。
 最後に、プライドハウス東京について伺います。
 東京二〇二〇大会に合わせて、LGBTQなどのセクシュアルマイノリティーに関する情報発信や交流の取り組みなどを行うプライドハウス東京がオープンしました。
 オリンピック・パラリンピック大会を契機に、団体、専門家や企業、駐日各国大使館やアスリートなど幅広い方々が分野を超えて連携し、セクシュアルマイノリティーへの理解の促進や相談支援を行う重要な取り組みです。
 このプライドハウス東京は、当初は、東京二〇二〇大会が開催された翌年、二〇二一年以降での設立を目指していましたが、今回、前倒しで十月十一日にオープンされました。
 この経緯についてと、都としての取り組みについて伺います。

○田中計画推進部長 プライドハウス東京のホームページによりますと、二〇二一年以降での設立を目指しておられましたが、コロナ禍において、安心してつながりを持てる場所が必要と判断し、設立計画を変更したとのことでございます。
 この取り組みは、組織委員会の公認プログラムとして認証されておりまして、都としては、総務局において東京都のメッセージの送付、都の後援名義の使用承認、都民向けの啓発冊子の提供などを行っております。

○斉藤委員 前倒しになったその経緯について、プライドハウス東京で行ったコロナ禍におけるLGBTQユースの実態調査から、長期化するコロナ禍でこそ、性的指向や性自認に気兼ねすることなく、安心してつながりを持てる場所が必要だという視点は、とても重要だと思います。
 私も、この公開されている調査の結果を拝見しましたが、ふだんから自分の性自認などについて安心して話ができる人や場所を持っていないという方が多い中で、コロナ禍でさらにつながりにくくなっている現状や、ステイホーム中に無理解な家族や同居者の中で孤立してしまう状況、中には、家族から暴力を受けている、自傷行為がとめられないという深刻な実態があるということが示されています。
 そうした深刻な実態から、予定よりも早く施設をオープンしたという経過は、当事者に寄り添った大事な取り組みだというふうに実感していますし、こうした取り組みに都が支援していくということの重要性を今とても感じています。
 ご答弁では、都としてこのプログラムを後援し、小池都知事のメッセージが寄せられているということです。所管は総務局ということで、このメッセージの内容を伺いましたが、その一部をご紹介したいと思います。
 東京都は、人を大切にし、女性も、男性も、子供も、高齢者も、障害者も、そしてLGBTの方も、誰もが希望を持って生き生きと生活でき、活躍できる都市、ダイバーシティーの実現を目指しています、そのため、平成三十年十月、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例を制定いたしました、東京都は、本条例に基づき、多様な性の理解を推進してまいりますというものです。
 とても重要な認識が述べられているというふうに思います。まさに、この知事の言葉にふさわしい東京都の取り組みが求められていると思います。
 多様性と調和という大会理念を掲げるオリンピック・パラリンピック準備局として、LGBTQなどのセクシュアルマイノリティーへの理解や権利の保障の現状について、どのように認識しているでしょうか。

○田中計画推進部長 オリンピック憲章では、オリンピズムの根本原則で、性別や性的指向等を理由とする差別の禁止が定められております。
 これを受けて、東京二〇二〇大会開催基本計画では、多様性と調和を大会ビジョンの基本コンセプトとしているところでございます。

○斉藤委員 ご承知のとおり、オリンピック憲章では、セクシュアルマイノリティーへの差別は禁止されているということは非常に重要な点です。
 しかし、今の日本の社会の現状はどうかというと、LGBTQの方々にとって、決して生きやすい社会にはなっておらず、むしろ当事者を傷つけたり、差別する言動が公の場で行われているという状況が続いています。
 私の地元の足立区では、区議会議員が、教育で性の多様性を教えたり、法律で守るということになれば、セクシュアルマイノリティーがふえて、足立区は滅びるという趣旨の差別発言を区議会で行いました。
 差別をなくして、人権を尊重し、誰もが生きやすい社会をつくっていく、このことに一番の責任を負っている政治家が差別発言をして、人々を分断し、差別を助長するようなことはあってはならないことです。
 私は、当事者の方にお話を伺いましたが、社会の理解が少しずつでも進んでいるときに、こうした発言が議会という場で行われたということに本当にショックを受けたということでした。
 しかも、このことは、足立区だけでなく、国会議員の立場からも繰り返されているという現状に、セクシュアルマイノリティーへの理解の促進と、差別は許さない社会の実現が喫緊の課題だというふうに痛感しています。
 今こそ、オリンピックを通じて、また、その後のレガシーにもつながるように、差別のない社会の実現に向けて踏み出すことが求められています。
 LGBTQなどのセクシュアルマイノリティーへの差別の禁止を掲げているこのオリンピック憲章に基づいて、オリンピック・パラリンピック準備局として、性的マイノリティーへの人権意識の普及啓発の促進のために、プライドハウス東京などの取り組みへの支援や、大会時における当事者の方々への配慮、また、大会を契機とした理解の促進など、取り組みを強化していくべきだと考えますが、見解を伺います。

○田中計画推進部長 東京二〇二〇大会開催基本計画では、多様性と調和を大会のビジョンの基本コンセプトとしておりまして、大会の運営を担う組織委員会では、職員へのLGBT研修や、性的少数者などの権利の尊重を盛り込んだ持続可能性に配慮した調達コードの策定などを行っております。
 さらに、都では、職員に対し、大会に関連してLGBTを含む人権に関する研修等を実施いたしますとともに、大会を支えるシティキャストに対し、共通研修でLGBTを初めダイバーシティーへの理解を深めていただいているところでございまして、引き続き、組織委員会等と連携し、大会ビジョンのコンセプトも踏まえ、大会準備を着実に進めていくこととしております。

○斉藤委員 オリ・パラ局として、職員や大会を支えるシティキャストに対して研修を行っているということですけれども、現状にとどまることなく、今後は、セクシュアルマイノリティーへの理解の促進と、誰もが生きやすい社会の実現に向けて、関係各局とも連携を強化していただきたいと思います。
 プライドハウス東京への支援や連携など、大会を契機とした取り組みを強化していただくことを重ねて求めて、私の質疑を終わりにします。

○河野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上でオリンピック・パラリンピック準備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時十一分散会

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