委員長 | 星見てい子君 |
副委員長 | 内山 真吾君 |
副委員長 | 柴崎 幹男君 |
理事 | うすい浩一君 |
理事 | とや英津子君 |
理事 | 福島りえこ君 |
林あきひろ君 | |
龍円あいり君 | |
あかねがくぼかよ子君 | |
斉藤まりこ君 | |
大場やすのぶ君 | |
鳥居こうすけ君 | |
谷村 孝彦君 |
欠席委員 一名
出席説明員生活文化局 | 局長 | 野間 達也君 |
次長 | 土岐 勝広君 | |
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 根本 浩志君 | |
広報広聴部長 | 久故 雅幸君 | |
消費生活部長 | 吉村 幸子君 | |
文化振興部長 | 古屋 留美君 | |
都政情報担当部長 | 稲葉 薫君 | |
文化施設改革担当部長 | 工藤 穣治君 | |
教育庁 | 教育長 | 藤田 裕司君 |
次長 | 松川 桂子君 | |
教育監 | 宇田 剛君 | |
技監 | 矢内真理子君 | |
総務部長 | 安部 典子君 | |
都立学校教育部長 | 谷 理恵子君 | |
地域教育支援部長 | 田中 宏治君 | |
指導部長 | 増田 正弘君 | |
人事部長 | 浅野 直樹君 | |
福利厚生部長 | 小菅 政治君 | |
教育政策担当部長 オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 小原 昌君 | |
企画調整担当部長 | 岩野 恵子君 | |
教育改革推進担当部長 | 藤井 大輔君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 高木 敦子君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
教育庁関係
付託議案の審査(質疑)
・第百六十三号議案 令和二年度東京都一般会計補正予算(第十号)中、歳出 教育庁所管分
・第百六十九号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
生活文化局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百六十八号議案 東京都特定個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
・第百八十二号議案 東京都江戸東京博物館外六施設の指定管理者の指定について
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
○星見委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○星見委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○星見委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁及び生活文化局関係の付託議案の審査並びに生活文化局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより教育庁関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第百六十三号議案、令和二年度東京都一般会計補正予算(第十号)中、歳出、教育庁所管分及び第百六十九号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○安部総務部長 去る九月十七日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。
今回要求のございました資料は二件でございます。
一ページをお開き願います。1、都立特別支援学校におけるタブレット等の配備状況でございます。
令和二年三月現在の教育用コンピューター一台当たりの児童生徒数及び令和二年四月一日現在の入出力支援装置の学校配備数について、それぞれ記載してございます。
次に、2、都立特別支援学校におけるオンライン環境の整備状況でございます。
令和二年三月現在の整備状況について、指標別に割合を記載してございます。
以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○星見委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○林委員 自民党の林あきひろでございます。質問通告に従いまして、質疑をさせていただきたいと思います。
私からは、一般会計補正予算の今回の都立学校におけるICT環境整備の、具体的には都立特別支援学校における環境整備の補正予算、このことについて質疑をさせていただきたいと存じます。
今、国が進めておりますGIGAスクール構想の目的についてはご案内のとおりでございますけれども、多様な子供たちを誰ひとり取り残すことなく、公正に、個別に、質の高い教育を実現させるものでありますが、特別支援学校に在籍する視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱、肢体虚弱等、それぞれ異なる個性を持つ児童生徒の能力、そして可能性を最大限に伸ばすために、このICT教育を積極的に取り入れていくということについては、私も、地元に特別支援学校もございますし、さまざまなお子さんと接してきておりますので、大賛成でございます。
こういった一人一人の障害の状態などに応じて、きめ細やかな教育、効率的な授業、学力の向上はもちろんなんですけれども、個々の表現力を最大限に引き出して、周囲とコミュニケーションを図るツールとしてだけではなくて、将来的には自立して社会参加するために必要な力を培っていくために資する、大きな可能性を持つものと考えるところなんです。
そこで、まず、都立の特別支援学校の端末の整備状況について伺いたいと思うんですけれども、一台当たりの児童生徒数というのは二・四人というふうに、たしか伺っていたと思うんですけれども、都内の公立学校全体と比較して、どのような状況であるのかを伺いたいと思います。
また、学校に配備されている入出力装置ですか、端末とあわせてどのように活用されているかについてもお伺いしたいと思います。
○岩野企画調整担当部長 令和二年三月現在の都内公立学校における端末一台当たりの児童生徒数は四・七人であるのに対し、都立特別支援学校におきましては二・四人となっております。
特別支援学校におきましては、児童生徒の障害の種類や程度に応じた指導が必要となることから、他校種に比べ、きめ細かく整備を進めてきたところでございます。
現在、都立特別支援学校五十七校には、端末約五千台を導入しているとともに、児童生徒の障害の種類や程度に応じて端末等の活用を補助する入出力支援装置を整備しております。例えば、児童生徒が入力した文字が点字に変換される点字ディスプレーや、視線の動きにより端末操作を可能にする視線入力装置などにより、障害による学習上の困難の軽減を図っております。
今般の国のGIGAスクール構想の前倒しに伴い、都教育委員会におきましてもTOKYOスマート・スクール・プロジェクトを加速しており、小学部、中学部におきましては、今年度末までに一人一台端末等の整備と入出力支援装置の整備を行う補正予算案を今定例会でご審議いただいているところでございます。
○林委員 ご答弁ありがとうございました。今のご説明は、先ほど配布されました資料のタブレット等の配備状況の中にも、入出力支援装置の学校配備数という細かな説明もいただいておりますので、改めて確認させていただいたところでございます。
先日の一般質問の中で、我が会派の田村利光議員の質疑にもございましたけれども、障害の種類、程度が異なる子供たち一人一人に応じた指導の充実というものは、非常に大切かと思います。知識と経験豊かな先生方の指導はもちろんなんですけれども、児童生徒が関心を持ちやすく、有効な教材、教具となり得る大きな可能性を持っているこのICT機器を活用していくということは、時代の要請でもあるというふうに考えております。そういった中での一人一台端末化への流れというものは、これからの特別支援教育を大きく変えていくこととなるのではないかと思っているところでございます。
既に順次実施されています国の新学習指導要領においても、ICT機器の充実、活用について規定されているところなんですけれども、そこで、次の質問なんですけれども、都立特別支援学校の小学部、中学部において一人一台端末が実現していくとなると、これまでの学びと比較して、どのように変わっていくのかについて伺いたいと思います。
○岩野企画調整担当部長 一人一台端末の整備を行うことにより、授業において端末を活用する機会がふえるとともに、教員が児童生徒の障害の種類や程度に応じて学習ソフトや動画などの教材や教具を適切に活用することで、指導の効果を高めることが可能となります。
これにより、児童生徒一人一人の理解を促したり、意欲を高めることができ、個別最適化された学びや主体的な学びを実現し、自立と社会参加につなげていきたいと考えております。
今後、都教育委員会は、ICTの活用を進め、特別支援学校における児童生徒のさまざまな実態に応じた支援の可能性を広げてまいります。
○林委員 ありがとうございました。お答えいただきましたように、これまでの機器の整備体制から一人一台端末となることで、児童生徒が端末を使用する機会が大幅にふえるということが大きく異なることだと思いますし、先ほど申し上げましたけれども、ICT機器を、児童生徒の障害の種類や程度に応じて入出力支援装置を活用しながら指導に生かしていくことは、新学習指導要領における改訂の基本的考え方の中でも周知されているところでございまして、強力な推進力になるんじゃないかなというふうに思っています。
そこで、三つ目なんですけれども、伺いますけれども、今後、ICTの活用による支援の可能性というものが大きく広がっていく中で、当然、こういったコロナ禍の中でも明らかになりましたけれども、学校だけではなくて、家庭学習における活用も期待できるのではないかなというふうに考えているところなんです。
その際、端末もそうですけれども、入出力支援装置も家庭で使えるようになればいいのかなというふうに思っているんですけれども、それについてのご見解をお伺いしたいと思います。
○岩野企画調整担当部長 児童生徒一人一台の端末体制を実現するとともに、入出力支援装置につきましては、学校での教育活動に必要な種類及び台数を整備することとしております。
一人一台端末整備後における入出力支援装置の家庭への持ち帰りにつきましては、機器の種類がさまざまであることや、児童生徒の状況を踏まえた対応が必要なことから、学校が保護者と相談の上、学校の教育活動に支障のない範囲において検討してまいります。
○林委員 ありがとうございました。ぜひとも家庭でも使えるようにご検討を進めていただきたいと思っているところでございます。
ICTは、あくまで授業の改善、質の向上を求めていくためのツールだと思っています。先生方が明確な指導目標を持って、達成のための手段として用いることが重要ということは変わりないというふうに思っています。
しかし、そのツールを生かすべく、適切なアプリ等を選択して端末を活用したり、周辺機器を組み合わせて活用することというのが今求められているんですけれども、あくまで学校の先生方は教育のプロではあると思うんですけれども、ICTのプロでない方は圧倒的多数だと思っています。
先ほども取り上げた田村利光議員の一般質問の答弁において、ICT支援員の派遣の巡回を現状からふやしていくというご答弁をいただいているところなんですけれども、ICT支援に使用されるそのスキルも非常に重要だというふうに思っています。
コンピューターの基礎知識からシステム、ハードウエア、そういうスキルも大事なんですけれども、学校教育に貢献していくという気持ちとか、教員との円滑なコミュニケーションとか、児童生徒との信頼関係も非常に大事だと思っていますので、今後、実践研究する中で、しっかりとした子供たちの卒業後の自立と社会参加に向けての充実した指導を目指して取り組んでいただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
○うすい委員 よろしくお願いします。
令和二年度一般会計補正予算の教育庁所管分の都立学校におけるICT環境整備について、私からも質問をさせていただきます。
昨年十二月に文部科学省がGIGAスクール構想を打ち出したわけでございますが、子供たち一人一人のコンピューター端末と高速大容量の通信ネットワークについては、特別なものではなくて、令和の時代における学校のスタンダードとして整備していくこととされております。
都内の公立小中学校においては、GIGAスクール構想に基づいて、今年度中に一人一台の端末整備を完了させていくということでございますけれども、そこで、今回の補正予算で計上されております都立特別支援学校の小学部、中学部の端末について、今後の整備予定を伺いたいと思います。
また、都立特別支援学校で一人一台の端末を活用した授業が展開されていきますと、現在の通信環境ではスムーズな端末操作ができるか不安であるという現場の教員の声を聞くわけでございますが、通信環境の整備についても、あわせて今後の予定を伺います。
○岩野企画調整担当部長 都教育委員会では、国のGIGAスクール構想の前倒しに伴い、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトを加速しており、都立特別支援学校の小学部、中学部におきましては、今年度末までに一人一台端末等の整備を行う補正予算案を本定例会でご審議いただいているところでございます。
端末の整備に当たりましては、学校で指導している教員を交え、使用する端末に求められる条件等につきまして議論を行ってまいりました。
議論の結果、端末には、誰でも扱いやすい操作性や持ち運びのしやすい携帯性、共通したOSによる高い汎用性、加えて、障害に対応したアプリケーションや入出力支援装置を活用できる高い拡張性などが必要であると認識しております。
今後、このような考え方に基づき、児童生徒一人一人に合った使い方ができる適切な端末及び入出力支援装置の導入を進めてまいります。
また、通信環境につきましては、現在、有線LANによりインターネット環境を整えております。今後、オンラインでの学習を円滑に進めていくため、今年度中に特別支援学校七校におきまして無線LAN工事を先行し、実施していきます。
引き続き、通信環境の充実を図ってまいります。
○うすい委員 小学校、中学校と、端末と通信環境整備の予定を伺いました。
さらに関連しまして、都立特別支援学校の高等部及び都立高校においても、端末と通信環境の整備予定についてお伺いをしたいと思います。
○岩野企画調整担当部長 特別支援学校高等部におきましては、学校の端末等を授業で活用することを前提に整備を進めております。また、高等学校におきましては、学校に配備している端末等に加え、生徒が所有する端末等も活用し、授業を行っております。
高等学校の通信環境につきましては、今年度、七十三校において無線LAN工事を実施する予定でございます。工事が完了するまでの間、今般の臨時休業時に伴う緊急対応として各学校に配備したモバイルルーターを活用し、通信環境の改善を図っているところでございます。
なお、小学校、中学校段階で一人一台端末や通信環境の整備が今年度中に完了することから、特別支援学校高等部及び高等学校の環境整備につきましては検討を進めるとともに、国に対し、必要な財政措置を要望しているところでございます。
引き続き、高校段階におけるICT環境の整備を進めてまいります。
○うすい委員 答弁いただきましたけれども、引き続き環境整備をよろしくお願いしたいと思います。
新型コロナウイルス感染症による臨時休業に伴い緊急配備した、先ほど出ましたモバイルルーターは、臨時休業が終了した現在、校内で有効に活用されているということでございます。
都内の都立高校の現場では、家庭でのWi-Fi環境が整っていなくて不都合がある家庭がどのぐらいあるのか、現状を知るためにアンケート調査を行った高校があると聞いておりますが、その高校では、パソコン、Wi-Fiなどの環境が整っていない家庭が十二名いたそうでございます。貸し出しのパソコンは、校内には四十台あるそうですが、貸し出しのWi-Fiのルーターは、都からは三台しか来なかったということもあったようでございます。
家庭での環境などをぜひよく調査していただいて、再び休校になった場合にも学びが継続できるように、家庭での通信環境がない生徒に対しましても、一人も取りこぼしのないように十分な対応をよろしくお願いしたいと思います。
次に、昨年四月から、学習者用デジタル教科書を、読み書きに困難を抱える子供たちが学校で必要に応じて使用できる法改正が行われまして、施行されております。
学習者用デジタル教科書の制度化に関する法令によりますと、視覚障害、発達障害、その他の文部科学大臣の定める事由により、紙の教科書を使用して学習することが困難な児童生徒の学習上の困難を低減させる必要がある場合に使用ができることとなっています。
そこでお伺いをしますけれども、障害に応じたデジタル教材など、そのメリットや効果について、ICTの活用事例を改めてお伺いしたいと思います。
○増田指導部長 都立特別支援学校では、デジタル教材などのICTを効果的に活用することにより、児童生徒の障害による学習上の困難を軽減し、学びを深められるようにしております。
例えば、肢体不自由の児童生徒に対しては、わずかな指先の動きでも文字入力を行えるマウスを使用することで、順番に従って文章を構成できる教材を活用できるようになるなど、筆記具以外でも文章表現の学習ができ、言語能力の向上につながっております。
また、知的障害のある児童生徒には、端末上に動物などの絵を描き、あらかじめプログラミングされた動きを指示すると、意図したとおりに動く教材を活用することにより、活動した結果が視覚的に理解でき、物事を順序立てて考える力が育まれております。
○うすい委員 今ご答弁いただいたとおり、ICTを活用したデジタル教材を使用することによって、より学習効果が向上するということはすばらしいことだと思います。ぜひとも教員の皆様が、さらにICTを活用して指導力が増すよう、教育委員会としてもご尽力いただきたいことを要望させていただきます。
次に、児童生徒にとって、情報モラル教育の充実や有害情報対策は、学校だけではなくて、地域全体で取り組んでいくべき課題と考えますけれども、WHO、世界保健機関は、オンラインゲームやテレビゲームのやり過ぎで日常生活ができなくなるゲーム障害を新たな病気に認定しました。
さらに、昨年十二月に結果が公表された、OECDが実施した生徒の学習到達度調査二〇一八では、日本の学校の授業でのICTの利用時間が最下位であると。一方、学校外では、ネット上でのチャットやゲームを利用する頻度はOECD平均よりも高く、その増加が著しいことが明らかになるなど、ICTをめぐる我が国の子供たちの現状と課題が浮かび上がるものでございました。
今後配備される一人一台の端末を子供たちが安全に利用できるようにするために、知らず知らずのうちに有害情報に接してしまうことのないように、そうした対策を講じるべきであることはもとより、効果的に活用することができる情報モラル教育の充実が重要と考えるわけでございます。
これまでのその取り組みについて伺います。
○増田指導部長 都教育委員会は、子供たちが家庭等でインターネットを活用する中で、有害情報に接したり、いじめにつながる書き込みをしたりしないようにするため、平成二十七年度にSNS東京ルールを策定し、各学校における指導の充実を図ってまいりました。
その後、スマートフォンやSNSの普及等、社会情勢の急速な変化に伴って増加してきた個人情報の送信に起因するトラブルなどにも対応できるよう、昨年度、このSNS東京ルールを改定いたしました。
各学校では、新たなルールを踏まえ、子供たちが危険を回避しながらインターネットを適切に利用できるよう、計画的に情報モラルに関する教育を実施しております。
例えば、都立特別支援学校の中には、モデルの子供が写っている写真教材を提示しながら、自分の写真をインターネット上に公開することの危険性について指導したり、他の人が推測しにくい安全なパスワードの具体例について考えさせたりしている学校がございます。
なお、子供たちが学校の端末を利用するに当たっては、都教育委員会が都立学校に整備しているインターネット回線にフィルタリングを設定しており、子供たちが有害情報にアクセスすることを防止する対策を講じております。
○うすい委員 今、答弁をいただきまして、ICTの活用には、よい側面だけではなくて、留意すべき点もございます。しかし、子供たちをICTから遠ざけるのではなくて、ICTを適切に使いこなしていくことができるよう、情報モラル教育の充実や有害情報対策などに取り組んでいくことが一層重要になると考えております。
そうした面もぜひご検討いただいて、GIGAスクール構想が児童生徒にとってさらに実のあるものになりますように取り組みをお願いしまして、質問を終わります。
○斉藤委員 私からは、補正予算案と、そして、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例について質疑をさせていただきます。
まず、補正予算案について伺います。
資料のご提出をありがとうございました。
国のGIGAスクール構想に基づく特別支援学校の小中学部への一人一台の端末と、障害に応じた入出力支援装置の整備で、合わせて一・二億円という予算案です。
特別支援学校でのICT環境の整備は、特に障害のある子供たちにとって、コミュニケーションのツールとしても有効であり、日常生活の質の向上、就労にもつながるものとして、我が党としても早期の整備を求めてきたところです。
障害があっても、誰もが生き生きと尊厳を持って、ともに生きられる社会をつくる上でも、ICT環境の整備は、特に特別支援学校の児童生徒の保護者からも強く求められてきたものです。その立場から、幾つか質問をいたします。
まず、障害に応じた入出力支援装置についてですが、一人一人の生徒に支給されるものではなく、校内で共有するものと伺っています。
今回の補正予算の中で、各校にどのような整備状況になるのか、伺います。
○岩野企画調整担当部長 音声読み上げソフト、ボタンスイッチ、視線入力装置、固定器具等の入出力支援装置は学習上の困難を軽減するものであり、これまでも、各学校に対し配備してまいりました。
今回の補正予算案におきましては、一人一台端末にあわせ、入出力支援装置につきましても充実を図るものでございます。
各校における整備につきましては、現在の配備状況を踏まえ、今後検討してまいります。
○斉藤委員 入出力支援装置の種類と配備数について、資料請求でもいただきました。現在の配備数に加えて、各学校で希望するものを調査した上で予算化しているというふうに伺っています。大切な取り組みをしていただいているというふうに思っていますが、入出力装置については、いずれにしても、タブレットのように一人一台ということではなく、学校で共有して使うものだということです。
しかし、入出力支援装置は、障害種別によるだけでなく、同じ障害種でも、その子の特性や感覚に合った仕様やサイズなどの調整も必要になってきます。
こうした入出力支援装置の個々に合わせた対応について、どのように取り組んでいくのか、伺います。
○増田指導部長 各学校では、児童生徒の障害の程度や状況を踏まえ、指導目的や内容に合わせて、機器等を使用するか否か、使用する場合にはどのような機種が適切であるかなどを検討し、個々に応じた対応を進めていくことになります。
○斉藤委員 障害種だけでなく、障害の程度や状況を踏まえて使用する機種などを検討、対応していくということです。
学校に整備されている中での対応になっていくということですが、私は、本来ならば、通常の公立小中学校に通う児童生徒と同様に、特別支援学校に通う児童生徒にも、一人一人にICT環境が保障されることが必要ではないかと思っています。障害のあるお子さんたちにとって、ICT環境は、その子の可能性を大きく広げるツールになります。その環境を実現するためには、必要な児童生徒全員に入出力支援装置が与えられるということが本来は必要ではないかと思います。
このことは、国のGIGAスクール構想に基づくということだけでなく、障害者差別解消条例を成立させ、障害者への合理的配慮を掲げている東京都としても、今こそ求められている立場ではないかと思います。現状では、まだ一人一台の入出力支援装置というところまでは届いていませんが、ぜひこのことを一つの目標として目指していただきたいというふうに思います。
特別支援学校でのICTの活用については、児童生徒たちの障害の特性に合わせた個別的で丁寧なサポートが欠かせません。そのためにもICT支援員の配置が重要ですが、現状では、特別支援学校では二週間に一回の巡回が始まったばかりというところです。
今後は、常時の配置ができるように増員することが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○岩野企画調整担当部長 ICT支援員につきましては、本年七月から、学習支援クラウドサービスの利用を促進するため、全ての特別支援学校におきまして、学校を巡回し、教員に対し、ICT機器の操作方法などに関する研修等を実施しているところでございます。
各学校におけるICT活用を支援するため、今年度中にICT支援員の巡回の回数をふやしていくこととしております。
○斉藤委員 今、都教育委員会としても、急ピッチで努力をしているところだというふうに思いますが、今後も巡回の回数をふやしていくということですので、期待をしたいと思います。
一方で、ICT支援員といっても、単にICTに精通しているということだけでは成り立たないのが特別支援学校での取り組みだと思います。これまで、特別支援学校でのICTの活用について、児童生徒の障害の特性も把握した上で対応してきたのが特別支援学校の現場の先生たちです。
私は、今回、障害のある方へのICT支援について詳しい、NPO法人地域ケアさぽーと研究所の理事で元特別支援学校の教諭でありました下川和洋さんにお話を伺いました。これまで、特別支援学校での端末や補助装置について、障害の特性に合わせた活用について精通してきたのは現場の先生たちだ、中には作業療法士や言語聴覚士などの資格も持った先生もいて、ICTの活用に生かしてきているということです。一方で、そういう詳しい先生がいれば、その学校での取り組みが充実するのだけれども、そういう先生がいなければ、ICT機器の活用が図られない実態もあるということでした。
今後は、現場での取り組みの蓄積のある教員と、そしてICT支援員の連携を深めて、横に広げていける取り組みをぜひ行っていただき、どこの特別支援学校でも充実したICT機器の活用ができるようにしていただきたいというふうに思います。
同時に、ICTの活用さえ進めばよいということではなく、教育の一環として、現場で必要とするやり方を尊重する取り組みを大事にしていただくことを求めます。
今回の補正予算の対象は小学部、中学部になっていますが、高等部では、どのようにICT機器を活用した授業を行っているのか、伺います。
○岩野企画調整担当部長 特別支援学校の高等部におきましては、学校に整備している端末や入出力支援装置等を使い、日常の授業の中で、画像拡大や文字の読み上げなど、障害による学習上の困難を軽減するため、ICTを活用しているところでございます。
○斉藤委員 画像拡大や文字の読み上げなど、障害による学習上の困難を軽減するICTの活用を行っているということで、大切な取り組みだと思います。
今後は、高等部でもICTの活用を広げていく必要がありますが、しかし、今回のような小中学部へのタブレットの支給や、都立高校でのパイロット校で行われているようなスマホなどの自前の端末の持ち込みを認めるBYODを広げても、活用がそれだけでは進まない現状があります。無線LANの整備の問題です。
質疑がこの間にもありましたが、また伺いますが、特別支援学校でのWi-Fiの整備環境の現状と今後の整備計画について、改めてお伺いいたします。
○岩野企画調整担当部長 現在、全ての特別支援学校に有線LANを整備し、インターネット環境を整備しております。
今年度、特別支援学校では、七校で無線LAN設置工事を実施いたします。
引き続き、特別支援学校の通信環境の整備を進めてまいります。
○斉藤委員 ありがとうございます。こちらも、整備率について資料要求で出していただきましたが、特別支援学校の普通教室の無線LANの整備率、現在、一三・七%ということで、現状では非常におくれているという状況です。この点については、我が党のとや理事が昨年十一月に質疑をして、その時点では、特に特別支援学校での整備率が低いということも指摘をさせていただきました。
無線LANの整備がなければ、一人一台のタブレットの活用も実現しません。今年度は七校で無線LAN設置工事を実施するということ、また、引き続き整備を進めていくということですので、着実に行っていただきたいというふうに思います。
次に、万が一に休校になった場合の対応について伺います。
障害のない児童生徒たちは、万が一に休校になった際には、タブレット端末を持ち帰って、自宅で授業や学習ができるように整備されていくところですが、特別支援学校ではどのように対応するのか、伺います。
○岩野企画調整担当部長 今般の臨時休業におきましては、学校の端末等を希望する児童生徒に貸し出しを行いました。
学校では、ビデオ会議システムを活用した朝の会、オンデマンドによる学習動画の配信、学習支援クラウドサービスのメールやチャット等のコミュニケーション機能を活用した家庭との連絡など、学校の障害種別に応じた取り組みが行われました。
今後も、休業等に備え、児童生徒の学びをとめないよう、ICTを活用してまいります。
○斉藤委員 希望する児童生徒に学校の端末等を貸し出し、朝の会、学習動画、クラウドサービスを活用した家庭との連絡などを行ったということ、また、今後も同様に活用していくということですが、先ほどの質疑にもありましたけれども、ここでも問題なのが、自宅でのオンラインの活用のための環境が、現状では全員には保障されていないという点だと思います。
今回の三月から五月にかけての休校中でも、この取り組みに参加できなかったという児童生徒の保護者からの声があります。親が就労している場合などは子供をサポートしてあげられないということは、障害のないお子さんの場合でもあることですけれども、それ以前に、入出力支援装置などがなければ、登校を自粛しながら自宅で安全にオンラインの取り組みを行うということもできないという環境の制約があります。
入出力支援装置を家庭でも使えるようにすることや、今回の補正予算の対象外になっている高等部でも必要なタブレットの支援ができるように、都教育委員会として独自に財政支援を行う必要があると思いますが、見解を伺います。
○岩野企画調整担当部長 入出力支援装置につきましては、特別支援学校の教育活動に必要となる機器を整備することとしております。
一人一台端末整備後における家庭への持ち帰りにつきましては、保護者と相談の上、教育活動に支障のない範囲において検討してまいります。
現在、特別支援学校高等部におきましては、学校に整備されている端末を活用し、授業を行っております。
なお、高校段階における一人一台端末整備等に関しては、国に対し財政支援を要望しているところでございます。
○斉藤委員 入出力支援装置の家庭への持ち帰りについては、保護者と相談の上、教育活動に支障のない範囲において検討していくということで、柔軟に対応していくということです。新しい取り組みへのチャレンジになっていくと思いますので、今後も、児童生徒や保護者、現場の先生方の声をよく聞いて、取り組みを前に進めていただきたいというふうに思います。
また、高等部の端末整備に関しては、国に財政支援を求めているということです。重要なことだと思いますが、今回の補正予算も、全て国庫補助になっています。都教育委員会として、まだ手が届いていないところには独自に支援を行う積極的な立場に立つことを求めます。
さらに、就学奨励費については、特別支援学校の高等部ではタブレットと入出力支援装置の購入が補助の対象になっていますが、小中学生は対象になっていません。これを対象にしてほしいという声が繰り返し寄せられてきています。
小中学生のタブレットは、今回、補正予算で支援されるということになりますが、特別支援学校の小中学生が必要とする入出力支援装置についても、就学奨励費の対象としていただくことを求めます。
最後になりますが、先ほど紹介いたしました下川和洋先生は、障害を持つお子さんが自分の力を使ってICT機器を使うことで、目がきらきらと輝き、表情が豊かに変わるということをお話しされました。脳性麻痺で車椅子の生徒が、タブレットを使って大学に入学し、学園祭の実行委員長を担うまでに成長したという事例から、ICT機器の活用は、障害のある児童生徒にとって、豊かに生きる可能性を広げてくれるものだと強調されていました。
都教育委員会として、全ての子供たちに希望を広げる施策を実現していくよう求めまして、この補正予算についての質疑を終わりにします。
次に、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例にかかわりまして、新設される東久留米特別支援学校について伺います。
来年度から開校される東久留米特別支援学校ですが、現在の清瀬特別支援学校の高等部だけを東久留米特別支援学校に移すということで、高等部だけで四十八クラスとなり、現在の清瀬の高等部の二十クラスから拡大になります。清瀬特別支援学校については、高等部が抜けた部分が小中学部の拡大になるということです。
日本共産党都議団は、知的障害を持つ児童生徒が増加していた中で、早急に学校の増設などを行うことなど、拡充を求めてきました。今回の都立学校の設置に伴う条例改正には賛成の立場です。
しかし、一方で、通学についての不安の声が寄せられています。その中で幾つか課題も見えてきていますので、質問をさせていただきます。
まず、スクールバスについてですが、障害を持つ生徒にとっては、自分で登校できる生徒さんもいる一方で、スクールバスが欠かせない生徒さんもいらっしゃいます。特に清瀬の在校生にとっても、通う場所が今度は変わるということになりますので、丁寧に対応していただきたいと思いますが、まず、現状について伺います。
現在の清瀬特別支援学校では、高等部で何人の生徒がスクールバスを利用しているのでしょうか。
○高木特別支援教育推進担当部長 令和二年十月一日現在、都立清瀬特別支援学校高等部においてスクールバスを利用している生徒は三十六人でございます。
○斉藤委員 清瀬特別支援学校の高等部の現在の生徒数は百二十人ですから、三割の生徒がスクールバスを利用しているということになります。東久留米特別支援学校でも、一人での通学には困難を抱えている生徒はスクールバスに乗れるように丁寧に対応していただきたいと思いますが、しかし、これまでの説明会の中で、原則は一人通学ということで、希望しても全員がバスには乗れないという説明を聞いて、不安を感じている保護者の声があります。
場所が変わることで、これまで一人通学をしていた生徒でも、バスが必要になるケースも出てくると思います。
学校で丁寧に要望を聞くように対応して、通学に困難を抱える生徒はバスに乗れるようにしていくことが必要ですが、都教育委員会の見解を伺います。
○高木特別支援教育推進担当部長 都立東久留米特別支援学校には、知的障害教育部門の高等部を設置いたします。
知的障害特別支援学校の高等部におきましては、生徒の将来の自立に備え、スクールバスを利用しない一人通学を原則としております。
しかし、生徒の障害の状態などにより、一人通学が困難と学校が判断する場合には、都教育委員会が定める基準において、一人通学が可能となる時期までにスクールバスに乗車ができることとしております。
今後も、保護者の申し出に基づき、適切に対応してまいります。
○斉藤委員 学校が判断するということですが、保護者の申し出に基づいて適切に対応するということです。不安を抱える生徒や保護者の皆さんに応えられるよう、丁寧に対応していただきたいというふうに思います。
次に、保護者が生徒を車で送り迎えする場合について伺います。
これまで清瀬特別支援学校では、保護者が車で送り迎えする場合は、学校の敷地内での車の乗りおりができていたということですが、東久留米では、車での送り迎えのときにどうなるのか、心配する声があります。
新しい校舎でも、敷地内での車の乗りおりはできるのでしょうか。
○高木特別支援教育推進担当部長 都立東久留米特別支援学校におきましては、来客用として八台分の駐車スペースを整備しております。
生徒の障害の状態などにより、通学時に保護者が車で送迎する必要がある場合には、来客用駐車スペースの利用を可能とし、敷地内で乗りおりができるよう配慮してまいります。
○斉藤委員 保護者が車で送迎する必要がある場合には、敷地内で乗りおりができるように配慮するということです。保護者の皆さんには、丁寧な説明と対応をお願いしたいと思います。
また、同様の声が放課後等デイサービスの事業者さんからも出ています。生徒を車でお迎えするときに、乗車する場所、車の待機場所についてです。
放課後等デイサービスの事業者が生徒のお迎えをするときは、これまでの清瀬特別支援学校のように、これも校内のスペースが使えるのか、使えないのであればどのような対応になるのか、伺います。
○高木特別支援教育推進担当部長 都立東久留米特別支援学校におきましては、生徒の下校や放課後活動に伴う校内移動の時間帯及び動線が重なるため、生徒の安全確保の観点から、放課後等デイサービス事業者の校内への車両の乗り入れは難しいと考えております。
放課後等デイサービス事業者が生徒を迎えに来る場合、車両の待機場所は各事業者が確保することとなりますが、放課後等デイサービス事業者に対しましては、連絡会等を開催し、生徒の引き渡し方法の調整や、学校周辺の道路状況の情報提供などを行う予定でございます。
○斉藤委員 連絡会等を開催し、生徒の引き渡し方法の調整や、学校周辺の道路状況の情報提供を行う予定だということで対応していくというご答弁でした。
特別支援学校と放課後等デイサービスの車の件については、少なくない学校で問題が顕在化しています。学校の周辺に放課後等デイサービスの車が何十台と並んでしまうような状況などがあり、最近では、我が党の池川友一都議が二〇一八年六月の委員会で質疑し、学校と放課後等デイサービスの送迎の課題について情報共有し、待機場所の確保や運行についての改善など、必要な対策をとることを求めてきました。
その中で、都教育委員会として課題を認識して、連絡会等を開催しながら調整を行っていくというご答弁でしたので、これは本当によかったなというふうに思います。
今、実際に、東久留米特別支援学校に転校予定の生徒とかかわりのある放課後等デイサービスの事業者さんの中には、近隣の駐車場との契約に奔走しているというところもあるようです。
放課後等デイサービスは、特別支援学校に通う生徒にとって欠かせないものです。そうした中で、待機場所や安全の確保を事業者任せにしないで、事業者さんとの定期的な話し合いの中で、お迎えの時間割りをつくって、校内で対応しているという学校も実際にあるということを聞いています。
生徒の安全に責任を持つ都教育委員会として、今後も丁寧な対応とともに、今後は、放課後等デイサービスの車の受け入れが可能な学校施設の整備を行っていくということを強く求めまして、私の質問を終わります。
○星見委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○星見委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
○星見委員長 これより生活文化局関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
第百六十八号議案及び第百八十二号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○根本総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る九月十七日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元に配布の令和二年文教委員会要求資料をごらんください。表紙をおめくり願います。
目次に記載のとおり、今回要求のございました資料は二件でございます。
一ページをお開き願います。1、都立文化施設の職員配置、入場料、年間入場者数でございます。
東京都江戸東京博物館外六施設の職員配置、入場料、年間入場者数について、施設別に記載しております。
二ページをお開き願います。2、都立文化施設の常設展等の入場料に対する主な減免規定でございます。
東京都江戸東京博物館外三施設における常設展等の入場料に対する条例施行規則上及び利用料金要綱上の主な減免規定を記載しております。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
○星見委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○鳥居委員 今回の議案で提出されている東京都江戸東京博物館外六施設の指定管理者の指定について伺います。
対象となる施設は都立の主要な文化施設であり、その役割は、各施設に対する条例の設置目的に示されているとおり、都民のための美術、音楽、演劇、歌劇、舞踊等の芸術文化の振興を図ることです。その中には、我が国初めての写真と映像に関する総合的な専門美術館も含まれます。
また、東京都江戸東京博物館は、江戸及び東京の歴史と文化にかかわる資料を収集、保管、展示などの活動を介し、都民の教養、学術及び文化の発展に貢献するとあります。
都は、芸術文化を東京のさらなる成長の柱と位置づけ、東京独自の多様な芸術文化の育成、創造に取り組んでこられたと認識します。都の文化政策の推進においては、これら既存の特徴的な文化施設を足がかりとして大いに活用し、さらに特徴を高めて新たな価値創造を図り、継続的な発展モデルをつくることが望まれると考えます。
今回の議案では、これら都立の主要な文化施設である東京都江戸東京博物館外六施設の指定管理者候補者を特命で選定していますが、その理由について伺います。
○工藤文化施設改革担当部長 都立文化施設の運営に当たっては、都の文化政策の方向性との連動や、高度の専門性や学術性が必要であり、安定的、継続的な専門人材の育成、ノウハウの蓄積、他機関とのネットワークが求められます。
このため、都の政策等との密接な関連性及び施設の管理運営における団体の適格性の観点から、東京都政策連携団体による管理運営が適切であるため、特命による選定としたところでございます。
○鳥居委員 都立文化施設の運営においては、都の政策等との関連の必要性及び文化施設の特性から、東京都政策連携団体の特命による選定が適切と判断しているとご答弁いただきました。
東京都は、都が作成した東京文化ビジョンや未来の東京戦略ビジョン等に従い、都の文化政策を推進している観点から、東京都と政策連携が行える団体が望ましいことは理解します。
一方、都が特命として指定した東京都政策連携団体にその能力が備わっているかが重要課題と考えます。
そこで、まずは、東京都政策連携団体の東京都歴史文化財団を候補者として選定した経緯と理由を伺います。
○工藤文化施設改革担当部長 指定管理候補者の選定に当たっては、文化施設の管理運営業務等に十分な識見や経験を有する外部委員を中心とした審査委員会において、東京都歴史文化財団が提出した事業計画書をもとに審査を行い、決定いたしました。
同財団の事業計画書では、都が策定した未来の東京戦略ビジョンに描かれた文化戦略の実現に向けて、例えば、芸術文化を通して社会包摂などに財団全体で取り組むなどの具体的な方向性が提案されており、審査委員会では、事業推進による大きな成果が期待できるとされました。
また、広報業務の専門家を登用することで、多様化する広報形態に対応でき、その効果が期待できると評価されております。
○鳥居委員 設置した審査委員会による審査を経て選定したとご答弁いただきました。その委員は、文化施設の管理運営業務等に十分な識見や経験を有する外部委員を中心とし、東京都歴史文化財団より提示された事業計画書より、事業推進による成果期待とともに、都の政策を実現できると判断したと理解します。
また、昨年、東京都が策定した未来の東京戦略ビジョン、すなわち二〇四〇年代に目指す東京の姿、ビジョンと、その実現のために二〇三〇年に向けて取り組むべき戦略に対し、具体的な方向性が提案されているとしております。
では、未来の東京戦略ビジョンの実現に向けた東京都歴史文化財団の取り組みについて、改めて伺います。
○工藤文化施設改革担当部長 未来の東京戦略ビジョンでは、東京二〇二〇大会の文化レガシーを継承、発展し、芸術文化やエンターテインメント文化などがまちの至るところにあふれる都市を実現するとしております。
財団の事業計画書では、同ビジョンにおける文化政策の実現に向けて、テクノロジーの活用、芸術文化への参加体験の拡充、社会課題の解決への貢献など、各施設が連携して取り組むとしております。
その取り組みに当たっては、AI、ICTなどの最先端技術の活用により江戸東京の文化資源を世界に発信すること、参加体験の間口を広げ、芸術文化を身近にし、より深く主体的にかかわる仕組みをつくること、高齢化や共生社会などの社会課題の解決に貢献するクリエイティブ・ウェル・プロジェクトに取り組むことを財団全体の重点目標としております。
○鳥居委員 東京都歴史文化財団は、一九八二年に前身の財団法人東京都文化振興会が設立され、東京都江戸東京博物館や東京都写真美術館などの開館に携わり、指定管理者制度が広まってきた二〇〇〇年代初頭から、これまで十五年間継続して指定管理者としての役割を担っております。
また、令和二年四月時点での人員は、常勤三百六十五名、非常勤と合わせて四百二十二名を抱えており、今や十二の文化施設を管理運営するとともに、多様な創造活動やその担い手等を支援、助成するアーツカウンシル東京を有する、国の文化財団に匹敵する国内最大級の文化の専門団体であるといわれております。
そのような状況ではありますが、指定管理者の選定の際に審査委員会が審査したとおり、東京都歴史文化財団が期待された役割を果たしているかが重要です。
そこで、東京都歴史文化財団が指定管理者となって事業を推進していく際に、東京都は取り組み状況をどのように確認していくかを伺います。
○工藤文化施設改革担当部長 都では、毎年度終了後、設備の保守、修繕など管理の履行状況、防災や事故対応など安全管理、個人情報管理などの法令遵守、展覧会の開催や貸出施設の運営などサービスの利用状況といった視点から、外部委員を含む評価委員会において指定管理者の文化施設ごとの管理運営状況を評価し、その結果を今後の施設管理運営に反映していくことで都民サービスの向上を図っております。
○鳥居委員 ご答弁いただいたとおり、都は、東京都指定管理者の管理運営状況を評価し、その結果を公表しております。評価の方法は、都の施設所管局による一次評価の結果を踏まえて、過半数が外部委員により構成される評価委員会で行う二次評価の結果に基づき、局が総合評価を決定するとあります。
本年九月十八日に公表された二百七施設を対象としたその結果は、四段階、S、A、B、C評価の中で、管理運営が優良であり、特筆すべき実績、成果と区分されるS評価に、東京文化会館、東京芸術劇場の二施設が評価されました。また、管理運営が良好であり、さまざまな点ですぐれた取り組みと区分されるA評価には、本年度は評価対象外の東京都庭園美術館を除くその他全施設が評価されております。
多様な価値観にかかわる芸術活動は、その評価の指標も多種多様で、客観的な評価になじまないと理解しますが、決められた指標をもって数値化し、客観的に示すことは重要です。
今回、対象施設が高評価であったことは、指定管理者の実績として、指定の妥当性を示す一つの結果と認識します。引き続き、各施設の独自性が尊重され、多種多様でユニークな活動につながるよう、評価軸の改善も進めながら対応いただきたいと考えます。
さて、芸術文化は、社会に支えられて推進された時代から、逆に市民社会を変革する原動力となり、多様なベネフィットをもたらす、アートを起点としたイノベーションの時代に移りつつあります。
東京文化ビジョンの理念にも示されているように、芸術文化を東京のさらなる成長の柱とするため、東京独自の多様な芸術文化の育成、創造を果たすことが重要と考えます。東京独自の多様な芸術文化の育成、創造には、芸術文化関係者のみならず、民間団体、企業などから多様な価値観を取り入れ、行政も交えた協働、すなわち、力を合わせて活動することが重要と考えます。
そこで、最後に、芸術文化関係者、民間団体、企業との協働に関する具体的な取り組みについて伺います。
○工藤文化施設改革担当部長 各文化施設では、民間団体や企業などと連携し、地域の特性を生かした取り組みを行っております。
例えば、東京都現代美術館では、民間事業者と共催し、若手アーティストの作品を書籍として安価に販売するアートブックフェアを開催しております。また、東京都庭園美術館では、近隣の大使館やホテル、商業施設といった幅広い業態と広報面での連携を図っております。
このように、さまざまな主体とのネットワークを構築し、多彩なプログラムを展開することにより、芸術文化の振興を推進しております。
○鳥居委員 民間団体や企業などと連携し、地域の特性を生かした各文化施設のお取り組みをお示しいただきました。
地域の活性化には、その地域の内発的なポテンシャルや資源を活用することが重要とされます。各施設がその役割を担うことを期待します。
指定管理者の選定に対しては、高度な専門性や学術性の必要性から特命で行うことが示されましたが、高い専門性という特徴ゆえに、外部の関与が妨げられ、民意が十分に反映されないということがあってはなりません。指定管理者が聖域扱いされないように、自助努力と監視に留意いただくことを求めます。
そして、多様な価値観がかかわる芸術文化だからこそ、多種多様な意見が反映され、新たな価値創造に導いていただくことを期待して、私の質疑を終わります。
○うすい委員 公明党のうすいでございます。よろしくお願いいたします。
東京都江戸東京博物館外六施設の次期指定管理者の指定について質問をさせていただきます。
初めに、現在、東京都歴史文化財団が都立文化施設の指定管理者として施設運営をしているわけでございますけれども、これまでの取り組みの実績と成果についてお伺いをしたいと思います。
○工藤文化施設改革担当部長 まずは実績でございますが、現在の指定期間において、展覧会観覧者数及びホール稼働率は、過去三年間、目標を着実に達成しており、全施設平均の顧客総合満足度は九五%以上と、高いレベルを維持しております。
それから、取り組みと成果の具体例を申し上げますと、昨年度、文化会館で開催したオペラ夏の祭典では、世界的な演出家や歌手を迎えて、新国立劇場とトゥーランドットを共同制作し、日本を代表する各地の劇場で公演することで、東京の芸術文化の魅力を広く発信いたしました。
それから、リニューアルしました現代美術館では、ミナペルホネン展において、エントランスロビーでファッションショーを実施するなど、新しい形の展覧会を開催し、好評を博したところでございます。
また、都美術館では、アートを介して人と人をつなぐコミュニケーション事業を展開し、その成果が高く評価され、地域創造大賞などの受賞につながっております。他県からも注目され、同様の取り組みが広がり始めております。
そのほかの文化施設でも、すぐれた公演や展覧会、ワークショップ等を開催し、都民を初め、多くの方々に質の高い文化事業を提供してまいりました。
○うすい委員 大分好評だということでございます。
歴史文化財団が取り組んできていただいた主な内容をご説明いただきましたけれども、それでは、現在のこのコロナ禍において、この文化施設の取り組みについてどのようなことをされてきたのか、お伺いをしたいと思います。
○工藤文化施設改革担当部長 休館中には、在宅で過ごす都民の方が少しでも芸術文化に触れ、親しめるように、休止になった展覧会をオンラインで鑑賞したり、文化施設をバーチャル体験できる特設ページを東京都歴史文化財団のサイト上に設置いたしました。
○うすい委員 コロナ禍の中でできることを検討していただいて、オンライン等の鑑賞を行ったということであります。非常に大事なことだと思います。
次の指定管理期間となるのが六年ということなのですが、その六年間における具体的な取り組み内容についてお伺いしたいと思います。
○工藤文化施設改革担当部長 次期指定管理期間では、都が策定した未来の東京戦略ビジョンにおける文化政策の実現に向けて、テクノロジーの活用や社会課題の解決への貢献に重点的に取り組むこととしております。
テクノロジーを活用した取り組みとしては、都が保有するコレクションのデジタルアーカイブを構築するなど、オンラインコンテンツを充実させ、東京の文化資源を積極的に世界へ発信するとともに、誰もが、いつでも、どこでも芸術文化を楽しめる環境整備を進めていきます。
また、社会課題の解決への貢献としては、ハード、ソフトのバリアフリー化を推進するとともに、高齢者や子供、障害者など対象者別のワークショップや、学校や施設へのアウトリーチなどを通じて、高齢化社会、共生社会などの課題に対応してまいります。
○うすい委員 さまざまな今後の取り組み内容を答弁いただきました。先ほど質問させていただいたとおり、第二、第三のコロナ禍が今後起きることもあり得るわけでございまして、やはりそうしたことも想定して、たとえ困難な中でも、むしろ、そうしたときだからこそ、文化芸術の力を使って都民に勇気や希望を与えられる、そうした文化施設であってほしいと思うわけでございます。
今回の次期指定管理期間というのが六年となっております。そこで、次期指定管理期間を六年間としたその理由についてお伺いをしたいと思います。
○工藤文化施設改革担当部長 文化施設では、大規模な展覧会や公演等の準備から実施までに数年を要すること、事業の特殊性、専門性が高く、人材の確保、育成にも時間がかかることから、円滑で安定的な運営のためには一定の指定管理期間が必要であると考えます。
その一方で、今後策定される都の長期戦略の要素を事業計画に反映させるため、最短で確実に中間年の見直しができる六年としたところでございます。
○うすい委員 この六年間という期間というものは、やはり落ちついてしっかりと取り組む上ではメリットがあるのかなと思いますし、やはり途中で見直しを図る場合もあり得るわけでございまして、そうした際、中間年でのいわゆる見直しは、どのような視点で見直しを図るのか、お伺いしたいと思います。
○工藤文化施設改革担当部長 まず、今後策定される都の長期戦略で掲げる文化施策を着実に実施するため、今回提案のあった事業計画に適切に反映してまいります。
あわせて、事業計画の進捗状況を確認し、社会状況の変化も考慮して、強化すべきところは強化するとともに、例えば、類似施設の動向や、さらなる創意工夫などといった視点で柔軟に見直しを図ってまいります。
○うすい委員 ありがとうございました。
先ほど答弁で、アートの力で社会課題の解決に貢献をすることに重点的に取り組むというふうにありました。やはり文化芸術を通して、ユニバーサルデザインの考え方である、障害があるなしにかかわらず、誰もが文化芸術に触れていただいて、創造力と感性を育み、人間らしい生き方の糧としていただきたいと思うわけでございます。
ソフト面、ハード面、特に障害者向けの取り組みが重要となると考えます。今後、全館を挙げて積極的に取り組んでいただきたいことを要望しまして、質問を終わります。
○とや委員 共産党のとやです。よろしくお願いします。
歴史文化財団への指定管理者の指定について伺います。
都立七カ所の文化施設について、歴史文化財団に指定管理者の指定がされました。今回も歴史文化財団に再指定されたということです。東京で暮らし、学んで働いている人たちが良質な文化や芸術に触れる機会を保障していく、そのために、七カ所の施設の良好な運営のためにご尽力を改めてお願いしたいなと思っています。
一方、美術館を初め、図書館、博物館など社会教育施設は、ほかの公の施設と比べると、全国的に指定管理者の導入率が低い状況があります。
ことし五月に公表された国の指定管理者導入施設の状況では、都道府県では七・六%、市区町村も含めた全体でも二〇%です。
そこで伺っておきたいんですが、そもそも都立美術館などへ指定管理者を導入することになった理由、経過をお尋ねします。
○工藤文化施設改革担当部長 まず、平成十五年九月の地方自治法改正により、指定管理者制度が導入されました。
都の文化施設においても、民間のノウハウを積極的に活用して、より一層のサービス向上と効率的な運営を図る目的から、平成十八年度に指定管理者による管理を開始いたしました。
それから、指定期間についてですが、平成十八年度から平成二十年度の三年間、次に、東京都歴史文化財団グループとして平成二十一年度から平成二十八年度の八年間、平成二十九年度から令和二年度までの四年間となっております。
○とや委員 平成十五年九月の地方自治法改正だということです。私もそのときのことを覚えているんですけれども、直営にするか、あるいは民間への委託、指定管理者を導入していくか、自治体はその選択を迫られるという時期だったと思います。各施設が一つ一つ検討をして、一定の基準に基づいて選んでいったのではないかなと思っています。
そうやって指定管理者が導入されてきたわけですけれども、今回、歴史文化財団への指定が、初めの指定期間が三年間、次が八年間、今年度までは四年間で、来年度以降は六年間だということになります。
先ほどの質疑の中で、六年間にした理由は、文化施設は、大規模な展覧会や公演等の実施には年数がかかるということでした。そのためには一定の指定管理期間が必要というふうなご答弁もありました。私も本当にそう思いますし、人材の確保にも、育成にも非常に時間がかかる、これは事実だと思います。
そういった中で、この間の東京都の文化行政は、過去を振り返りますと、東京都文化振興会などから一元化された歴史文化財団がその中心を担ってきたのではないかと思っています。
歴文が十八年、二〇〇六年から指定管理者として各施設の運営をしてきたという経過があるわけですけれども、今回の指定に当たって、私も毎年の管理運営状況の評価を拝見させていただきました。文化や芸術に経営効率の視点が入っているというのが少し気になったのですけれども、それぞれ改善点も、年度によって、それぞれの施設で指摘をされておりました。そういう中で、努力の跡も見えたということがわかります。
今回の指定では、総合的な評価とあわせて、それぞれの施設にはそれぞれの選定理由があったわけですけれども、実は、私は先日、東京都美術館の浮世絵展の方に行かせていただきました。三大浮世絵が二期に分けて展示されて、本当に圧巻でした。コロナの感染防止対策もされていて、通常より多くの人員配置になっていて、本当にご苦労があるんじゃないかなということも感じました。
例えば、この東京都美術館、今回、指定管理になった館の中でも、先ほどいただいた資料の中でも、年間の入場者数は、断トツで二百二十四万人だというふうになっているわけですけれども、この東京都美術館について、改めて、審査会が示した選定理由をお答えください。
○工藤文化施設改革担当部長 さきのプレス発表資料に添付しております選定理由を読まさせていただきますが、東京都美術館の選定理由は、都民の美術振興を目的とする特別展や企画展、公募展に加え、教育普及活動にも積極的に取り組み、多様な層へ開かれた文化施設として、その役割を果たしている。
それから、アートコミュニケーション事業については、これまで積み重ねた実績をもとに、多様なパートナーと連携し、さらに大きな発展が期待できる。特にエイジフレンドリー&ダイバーシティー事業は、日本の美術館のモデルケースとなることが予想され、海外美術館との交流の可能性も見込まれる。
今後の発展的な取り組みについても、先端技術やITを取り入れた事例など具体的に示されており、事業のさらなる広がりにつながると思われる。
また、他の都立施設との連携を前提とするコレクション展の計画にも配慮されている。
上野地区との連携プロジェクトも魅力的であり、各種事業を通じて、上野地域の連携の核となる役割を果たしているとなっております。
○とや委員 ご説明ありがとうございます。海外の美術館との交流の可能性も見込まれるということもあったんですけれども、コロナで、なかなかそれが困難な状況になっているのかなと思いました。
同時に、他の都立施設との連携、それから、上野プロジェクトなどの魅力的な事業に足を踏み出していると。上野は、大変、文化施設が集積している区域ですから、これは子供向けの事業だと聞いたんですけれども、ぜひ大人にもやっていただきたいなと思っております。
こういった、先ほど紹介した浮世絵展みたいな大きな企画展を開催するには、大変な準備が必要だと推測します。あれだけのコレクションを一堂に集めて公開するには、それなりの時間もかかったんじゃないかなと思いますけれども、最初にも申し上げたのですが、全国でも、文化施設への指定管理者は、ほかの施設と比較しても導入率が低いわけです。
先ほども、なぜ六年間の指定なのかということについては、やっぱり大規模な展覧会や公演等の実施には数年を要するということでありました。企画展についても、専門性も要求されるし、学芸員などの人材の育成も、それなりに時間と環境を要すると思います。
私は、やっぱり美術館などの文化施設には、期限を切られた運営はなじまないのではないかということをここで指摘させていただきたいと思います。
社会教育施設という特性から、系統的、長期的な視点で企画する事業も多いです。期限を切られた指定管理では、次期指定管理の見通しも立ちにくいという困難があると思います。
そういう中でも、財団の皆さんはご努力をされてきたというふうに伺っているわけですが、指定管理者として各館を運営していく上で、財団にもいろんな苦労があると思います。工夫もあると思いますが、都として把握をきちんとしていらっしゃるのか、お答えください。
○工藤文化施設改革担当部長 東京都歴史文化財団の事務局を初めとした財団の各部署、各施設と日常的に業務上のやりとりを行っておりまして、緊密な情報交換を行っております。
○とや委員 特に、コロナのもとでいろんなご苦労があると思いますので、緊密な情報交換をぜひ行っていただきたいというふうに思います。
文化や芸術は、長期のスパンで企画するものも多くて、コストでははかりにくい部分もある分野であります。都民の文化要求にどう応えるのか、また、多くの都民がひとしく文化を享受するためにはどういう運営が求められるのか、あるいは、そうした課題をどうしたら克服できるのか、ぜひ都としても連携をとりながら支援していただくことを求めておきます。
二〇一六年の十二月に、指定管理者の問題について文教委員会で審議があって、付帯決議がありました。その中身を紹介します。
今後、都立文化施設の指定管理者の指定を行う際には、運営の継続性、専門性や人材の育成、確保の重要性など、施設の特性に十分留意すること、このようになっています。
議会でも課題が共有されてきたのだと思います。ぜひこの点に留意して、これからも運営をお願いしたいと思います。
次に、歴史文化財団のアーツカウンシルについて伺っておきたいと思います。
歴史文化財団は、現在、アーツカウンシルをもって、専門的な立場から東京の文化芸術振興を行っていると思いますが、この点について、歴史文化財団の役割、また、アーツカウンシルの意義について伺います。
○工藤文化施設改革担当部長 アーツカウンシル東京は、東京都の芸術文化政策のもと、芸術文化団体と協力した事業や民間の創意を生かす助成等を実施し、芸術文化活動の発展を支援する組織でございます。
これまで、六本木アートナイトといった大規模イベント開催にかかわるなど、芸術文化の創造、発信を推進し、東京の魅力を高める多様な事業を展開しております。
○とや委員 アーツカウンシルが専門的な立場から芸術文化団体や都民の芸術文化活動の支援をしていること、また、都民の文化活動にも貢献しているということです。
現在は、コロナのもとでこうした活動も制限されていると思いますけれども、それ以前に危惧するのは、今回、指定管理者の指定ということですが、仮に施設運営を歴史文化財団が行わない場合、アーツカウンシルという歴史文化財団の柱の取り組みのみでは、運営に支障が生じるんじゃないかというふうに思います。指定管理者制度は、常にそうした不安定さと隣り合わせだと申し上げておきたいと思います。
それに加えて、新型コロナで、文化芸術活動も、さらにそれそのものも制限されてきています。都民の文化や芸術に触れる機会自体も、この数カ月、後退してきているのではないかと思います。
特に若い人たちですね。良質な芸術作品に触れて成長の糧にできる大事な時間が空白になってしまったというふうにもいえます。高校生や大学生は、学校への通学が制限されていた時期でもあって、文化や芸術に触れる機会も少なくなってきています。
この間、質疑の中で、観覧料を中学生と同様に無料にしてもらいたいと要望してきましたが、この間の答弁では、趣旨や目的、効果等を踏まえた検討が必要だということです。
いただいた資料でも減免規定が書いてあるんですけれども、やっぱり教育活動については、高校生なんかも免除になるんですが、それ以外はそうなっていないということです。
ぜひコロナの終息を見越した上で、若者の観覧料の減額、免除を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○工藤文化施設改革担当部長 展覧会の観覧料を減額、免除することにつきましては、その趣旨、目的、効果等を踏まえた検討が必要でございます。
○とや委員 また同じ答弁になっているんですけれども、若い人たちが文化や芸術に触れる機会というのは、それを吸収して成長する時期というのは、本当に一時期じゃないかなと思います。大人になってからも、もちろん文化や芸術に触れる機会はあると思うんですけれども、成長の糧にできるという意味では大事な時期なので、ぜひコロナの終息後、検討して、たくさん来れるようにしていただきたいと思っています。
昨年も、私たちはこの問題を取り上げました。第三回定例会の代表質問で、小池知事は、若い世代が芸術文化のすばらしさに触れ、自国の文化はもとより、多様な文化の価値を理解するとともに、豊かな感性や創造力を育むことは大切であるというふうに答弁されてもいます。ぜひ若い人たちが気軽に文化芸術に触れる機会をふやすため、減額、免除の検討を求めておきたいと思います。
そこまで全体的な減額、免除にいかなくても、生文局として--歴文さんが取り組んだ事業で、ことしの三月にWelcome Youthが企画されていたわけですが、残念ながら、コロナのもとで中止、延期になってしまいました。でも、この取り組みは本当に重要だと思っていて、本来なら、春休みに十八歳以下は六施設の十三の展覧会が無料になって、さまざまな工夫も凝らして、若者を歓迎しようと企画されてきたわけです。
コロナのもとで、実施予定のさまざまなイベントが中止、延期になっていますけれども、ぜひこのWelcome Youth、終息したところで実施をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○工藤文化施設改革担当部長 十八歳以下の方を期間限定で都立美術館、博物館に無料招待するWelcome Youthにつきましては、新型コロナウイルスの感染状況を見ながら判断してまいります。
○とや委員 ぜひ、判断も必要だと思いますけれども、実施をお願いしたいと思います。
ことしに入ってからは、コロナは各館に大きく影響しています。
コロナのもとで、それぞれの館の実施事業について、状況、また、貸出施設の稼働状況についても伺っておきたいと思います。
○工藤文化施設改革担当部長 各館の事業につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けておりますが、開催時期の変更や開催方法の工夫などにより、可能な限り実施しております。
また、貸出施設については、感染拡大防止の対策をとりながら、公演等が徐々に再開されつつあります。
○とや委員 影響が大きいけれども、少しずつ実施している、防止対策をとりながら公演が再開されつつあるということですが、再開されたとしても、感染防止対策で、通常より人手が必要になるということもあると思います。
そうした場合、コロナの影響による事業収入--十分な人手も必要だし、施設の中に入れる人数を一〇〇%にしていないと自主的な判断をしている団体もあろうかと思います。
そういったときに事業収入の状況がどうなっているのか、赤字の場合はどういうふうに対応するのか、お答えください。
○工藤文化施設改革担当部長 新型コロナウイルス感染症の財団収益の影響と対応につきましては、今後の状況を踏まえ、検討することとなります。
○とや委員 去年の入場者数を見ると、それなりの人数があるんですけれども、ことしはかなり影響があるんじゃないかなというふうに思います。ぜひ緊密に連携をとっていただいて、相談していただきたいと思います。
コロナのもとで、都立文化施設は、より一層、都民やプロの文化芸術活動の支援を要する必要があると思っています。
指定管理者の事業計画は、今後どのように取り組むことになっているのか、それについてもお答えください。
○工藤文化施設改革担当部長 事業計画書を策定した時点では、新型コロナウイルスの影響の見通しは不明でございました。
今後の新型コロナウイルス感染症拡大防止の対応を踏まえた運営につきましては、東京都と財団で適宜協議していくこととしております。
○とや委員 コロナ危機によって、美術館などにどのような影響があるのか。入場制限により採算が困難になったり、再開後もしばらくは各国の渡航制限が継続されていれば、来館者の回復にも時間がかかるという可能性があります。
そうなれば、個人のアーティストやフリーランス、個人の事業主など美術関係者への緊急の支援も必要になるんじゃないか、関連したね。都として支援するとともに、国の支援も求めていただきたいと思っています。
東京都の文化振興条例、この質問をつくるに当たって、改めて読ませていただきました。第一条には、民主的で文化的な国家を建設して世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする日本国憲法の精神にのっとり、文化の振興に関する東京都の施策の基本を明らかにすることによって、都民が東京の自然及び歴史的風土に培われた国際都市にふさわしい個性豊かな文化を創造することに寄与し、もって都民生活の向上に資することを目的とするとあります。
これを私、読ませていただいて、非常に深い内容だと思いました。都立の文化施設が、この条例にのっとって、今後も都民の皆さんの暮らしに貢献していただけるよう要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
○星見委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○星見委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○星見委員長 次に、報告事項、私債権の放棄についてに対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○鳥居委員 今回報告のあった私債権放棄について、幾つかの事実関係を確認させていただきます。
この債権は、平成十一年度に終了した東京都共同購入推進事業の貸付金とのことですが、初めに、東京都共同購入推進事業の事業内容について伺います。
○吉村消費生活部長 東京都共同購入推進事業は、消費者団体や小売商団体等が市場流通機構を通さずに生鮮食料品等を産地直結で共同購入及び供給する事業に対して、都が設置した東京都共同購入事業推進委員会を通じて仕入れ資金の貸し付けを行うものでございました。
平成十一年度当時の予算総額は二億円で、この事業を利用したのは十九団体でした。
消費者主導の共同購入事業のため、有機栽培された野菜、産地や原料にこだわった乳製品など、食の安全や環境に配慮した商品の購入実績がございました。
○鳥居委員 当時は、まだ市場流通ルートに乗りにくかった有機野菜などを消費者主導で調達することを行政が支援したということです。この事業は、都民の消費生活の安定向上を図る上で意義を持っていたと考えます。
では、当時の共同購入推進事業の貸し付けは、どのような手続を経て決定されていたのかを伺います。
○吉村消費生活部長 都が設置した共同購入事業推進委員会は、都職員のほか、消費者団体及び小売商団体の代表者、公認会計士等で構成され、委員会内に設置した審査会で個別の貸付審査を行っておりました。
貸し付けに当たっては、消費者団体等から事業内容や経営状況がわかる書類の提出を求めるとともに、商品の購入及び供給の時期、品目や数量、金額等、詳細な内容を確認するなど厳正に審査を行い、貸し付けを決定しておりました。
○鳥居委員 外部人材を含めた委員会を設置して、借り入れを希望する団体の経営状況などをきちんと確認する仕組みであったとのことです。
しかし、本件は、そうしたチェック機能を経てもなお、返済が滞る事態となりましたが、その要因とその後の都の対応について伺います。
○吉村消費生活部長 この貸し付けは、多摩地区の事業協同組合に対して行われ、貸付金の一部は返済されたものの、その後、商品の主たる供給先であった小売店の経営状況が悪化し、返済が困難になったものでございます。
そのため、都は、債務者である団体及び連帯保証人に対する催告及び交渉のほか、連帯保証人所有の不動産への抵当権の設定、返還請求訴訟など、回収に向けた手続を重ねてまいりました。
しかしながら、この間、債務者は解散し、代表清算人も死亡いたしました。連帯保証人も、破産申し立てにより免責許可決定を受けた後に死亡し、本年二月には、全ての相続人から時効の援用の申し出があったことから、保証債務も消滅し、実質的に回収不可能となりました。
以上の経過から、本年三月に債権放棄を実施したものでございます。
○鳥居委員 平成元年度から実施された共同購入推進事業は、平成十一年度には終了。現在は、民間企業が主体となって、小売段階での流通環境が整っております。
都では、全庁的に債権管理体制を整備、強化するため、徴収ノウハウの共有や連携、債権管理マニュアルの作成などが行われていると理解しますが、今回の事例からは、貸付時には想定し得なかったリスクが生じるという危機意識を強く持つことが必要だと考えます。
引き続き、東京都債権管理条例の遵守と、今後、都が取り組む全ての事業において、そうした意識とリスク管理の徹底を求めて、私の質疑を終わります。
○星見委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○星見委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で生活文化局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後二時四十八分散会
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