文教委員会速記録第九号

令和二年六月五日(金曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十二名
委員長星見てい子君
副委員長内山 真吾君
副委員長柴崎 幹男君
理事うすい浩一君
理事とや英津子君
理事福島りえこ君
あかねがくぼかよ子君
鳥居こうすけ君
斉藤まりこ君
谷村 孝彦君
大場やすのぶ君
伊藤 ゆう君

欠席委員 二名

出席説明員
教育庁教育長藤田 裕司君
次長小池  潔君
教育監宇田  剛君
総務部長安部 典子君
都立学校教育部長谷 理恵子君
地域教育支援部長田中 宏治君
指導部長増田 正弘君
人事部長浅野 直樹君
福利厚生部長小菅 政治君
教育政策担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
小原  昌君
企画調整担当部長岩野 恵子君
教育改革推進担当部長藤井 大輔君
特別支援教育推進担当部長高木 敦子君
指導推進担当部長瀧沢 佳宏君
人事企画担当部長黒田 則明君

本日の会議に付した事件
教育庁関係
契約議案の調査
・第百三十五号議案 都立矢口特別支援学校(二)校舎棟改築工事請負契約
・第百三十六号議案 都立小中高一貫教育校(仮称)(二)新築工事請負契約
付託議案の審査
・第百十三号議案 令和二年度東京都一般会計補正予算(第六号)中、歳出 教育庁所管分(質疑)
・第百二十一号議案 都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第百二十二号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例(質疑)
・第百五十九号議案 タブレット端末等の買入れについて(説明・質疑)
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した令和二年度東京都一般会計補正予算(第五号)の報告及び承認について中、教育庁所管分(質疑)

○星見委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和二年六月三日
東京都議会議長 石川 良一
文教委員長 星見てい子殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第百三十五号議案 都立矢口特別支援学校(二)校舎棟改築工事請負契約
 第百三十六号議案 都立小中高一貫教育校(仮称)(二)新築工事請負契約
2 提出期限 令和二年六月五日(金)

○星見委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の契約議案の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百三十五号議案及び第百三十六号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○内山委員 私からは、都立小中高一貫教育校の立川国際中等教育学校について、二点、端的にお伺いをしたいと思います。
 この都立立川国際中等教育学校には、中等教育学校の校舎の北側、道路を隔てて南側の二カ所に今グラウンドがありまして、放課後には各種部活、具体的には野球部、テニス部、サッカー部、陸上部等が使用していると伺っています。
 今回、小学校の校舎を南側のグラウンド部分に建設するということでありますが、小学校校舎の新築工事の期間において、部活動で使用ができなくなる場所があるとも聞いています。それについて、まずお伺いしたいと思います。

○谷都立学校教育部長 本年七月以降、敷地の南側に位置する曙グラウンドに、仮称でございますが、都立小中高一貫教育校小学部の校舎及び体育館等を新築する工事を始める予定でございます。このため、現在、野球部が練習等に使用している当該グラウンドの野球場については使用ができなくなります。
 また、本年秋以降、立川国際中等教育学校校舎の北側に位置するテニスコートに仮設の図書室等の設置工事を始める予定でございます。このため、現在、テニス部が練習等に使用しているテニスコートのうち、曙グラウンドのテニスコートは引き続き使用できますが、校舎北側のテニスコートについては使用ができなくなります。

○内山委員 ありがとうございます。
 新築工事によって使用できなくなる場所がある。工事期間中でできないということとあわせて、工事後、新しく小中高となったときに使用できなくなる場所があるということだと思いますが、各運動部が円滑に活用できるように、グラウンドがなくなっても、その代替措置等も含めて、都が支援を講じていくべきだと思いますが、対応状況についてお伺いしたいと思います。

○谷都立学校教育部長 曙グラウンドの野球場で活動しております軟式野球部や硬式野球部が現中等教育学校校舎北側の校庭で活動できるよう、既にゲージ等の備品を購入いたしまして、また、防球ネットの補修工事を行うなど、設備の充実を図ったところでございます。
 あわせて、地元立川市の球場や都立学校のグラウンド等を代替施設として使用できるよう調整を行っております。
 また、野球部が校庭で活動することに伴い、現在の練習場所に制約を受けるサッカー部やラクロス部、陸上部については、代替として、学校に隣接する立川市の運動広場等の使用を調整しております。
 さらに、校舎北側テニスコートが、新築工事の期間、一時的に使用できなくなるテニス部につきましては、都立学校等や民間テニスコートを代替施設として使用するための調整を行っております。
 これらの取り組みにより、工事期間中も円滑に部活動に取り組めるよう支援しております。

○内山委員 ありがとうございます。
 小中高一貫教育校の設置という意義については、本当に私も、どうなるのかということで楽しみにしている一方で、今までの教育活動、とりわけ、こういった部活動に負の影響が起きてしまってはいけないかなと思っています。ただでさえ、今、コロナ禍の状況で部活動が余り思うようにできない状況がある中で、今後、うまくいけばいよいよというところで、こういった制限がかかってしまうというのは、何としても避けなければならないかなと思っております。
 一方で、私自身、中学、高校は野球部だったわけですが、ゲージがあっても、同じところでほかの部活動と野球部が一緒に、特に硬式野球なんかは、一緒にやると本当に危ないわけです。僕らは鳥かごと呼んでいるような、本当にボールが外に出ないようなゲージであれば共存することはできると思うんですが、それ以外のことですと、本当に安全にかかわる問題だと思いますし、練習にも集中できないということがあると思います。
 そういった中で、立川市の市営球場だと思いますが、そちらだったり、あと、近隣の運動広場を使えるように調整していくということでありましたので、ぜひそのあたり、生徒たちが練習に、質、量ともに制限を受けることがないように、しっかりと調整をしていただくようお願い申し上げまして、私からは質問を終わらせていただきたいと思います。

○斉藤委員 私からは、都立矢口特別支援学校の校舎改築工事について、二点、質問させていただきます。
 大田区の矢口にある知的障害のある児童生徒の皆さんが通う特別支援学校ですが、在籍者の増加により普通教室が不足していることや、校舎が老朽化していることから改築工事をしているということです。
 二〇一五年度から仮校舎が建設され、小中学部の学部棟の解体と土壌改良等の工事が終わり、今回、新校舎の改築工事の契約案件ということですが、土壌改良の工事の際に地下に構造物が見つかり、その撤去作業が入ったために、本来は昨年度中までだった工事が延びて、改築工事の契約は現在に至っているということと伺いました。
 新校舎の改築工事の後は、仮校舎の解体とグラウンド整備等が行われ、工事完了となるのは二〇二三年度と、最短でも、あと三年はかかるというようなスケジュールになっています。
 今は、もともとグラウンドだったところに仮校舎を建てて、児童生徒たちはその仮校舎で学んでいると伺っています。
 関係者の方々に伺いましたが、校舎が新しくなることを待ち望んでいるということですが、不便なことも多く、工事が延びているということに対しては、不安と心配の声があるということでした。
 仮校舎は、今、グラウンドに建てられていて、児童生徒たちがここで学んでいる状況ですが、体育の授業を行うには、今、その場所はどのように確保しているのか、伺います。

○高木特別支援教育推進担当部長 都立矢口特別支援学校におきましては、仮設校舎の運用期間中も児童生徒の体力づくりができますよう、学校の内外の施設を活用し、体育の授業に取り組んでおります。
 具体的には、仮設校舎の周囲にゴムチップ舗装をしたランニングコースを整備するとともに、屋上に人工芝の運動場を設置しているほか、高等部棟の北側の敷地をサブグラウンドとして整備しております。
 また、学校外におきましては、近隣の都立城南特別支援学校の運動場や多摩川河川敷の運動場、大田区の施設などを借用するとともに、移動手段としてスクールバスを確保しております。

○斉藤委員 ありがとうございます。校内に活動できるところをつくりつつも、広いところで体を動かすためには、バスに乗って移動して体育の授業を行っているということです。
 城南特別支援学校や大田区の施設に行くには、バスで三十分ぐらいかかるというお話を当事者の方々からも聞いています。九時四十分ぐらいにバスで出発して、体育の授業を行い、帰ってくるのはお昼前ということで、時間がかかるために、週一回しか、広いグラウンドを使っての授業ができないということでした。
 保護者の中には、子供たちの運動不足を心配する声があるということです。知的障害のあるお子さんたちということで、運動することで元気に体を動かす時間が十分にとれないと、精神的にも影響が出てくると伺いました。こうした中で、なるべく早く工事が完了することを関係者の皆さんが望んでいると伺いました。
 現場では、安全な工事の実施に配慮しながら尽力していただいているところだと思いますが、これ以上のおくれがないように取り組んでいただきたいということを要望させていただきます。
 この仮校舎についてですが、複数以上の場所で雨漏りがあったということを聞いています。
 こうした場合には、直ちに現状の確認をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○高木特別支援教育推進担当部長 仮設校舎におきましては、施設設備のふぐあいが生じた場合には、速やかに状況を確認し、リース会社と調整の上、補修などの対応を行っております。
 今後もそのような事態が生じた場合には、まずは状況を把握した上で対応を検討してまいります。

○斉藤委員 雨漏り以外にもいろいろお声をいただいているんですけれども、一つは、壁に穴があいているところがあるということも伺いました。子供たちが落ちつかなかったり、気持ちが抑えられないときに壁を蹴ってしまうということがあるそうなんですが、弱いところでは穴があいてしまっていて、段ボールで応急処置をしているというところがあるそうです。
 また、LANケーブルがあるはずのところが空洞になっていて、配線がないというようなことも伺いました。
 工事が延びた中で、仮校舎の利用期間も延びているので、関係者の皆さんは、せめて仮校舎のふぐあいをすぐに直してほしいということを訴えております。
 先ほどのご答弁で、ふぐあいが生じた場合には、状況を確認した上で対応を検討していくということでしたので、ぜひ現地に行っていただいて、子供たちが快適に過ごせるように、必要な改修を行っていただくということを求めて、質疑を終わります。

○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
 私からは、都立小中高一貫教育校の新築工事の議案について質疑をさせていただきます。一部重なりますが、質疑をあえてさせていただきます。
 東京都は、都立で初めての小中高一貫教育校の整備に踏み出すことになります。
 この発端は、振り返れば、二〇一二年の猪瀬元知事の就任直後の記者会見であり、その後、二〇一三年八月に都立小中高一貫教育校基本構想中間まとめが発表され、理数を中心に、世界に伍して活躍できる人間を育成するため、児童生徒一人一人の潜在能力を最大限に引き出す新たな教育モデルを構築すると、設置の基本的考え方を定めました。理数への興味あるいは関心のある児童を入学させるため、小学校入学段階において適性検査による選抜をしていく必要性が記載をされています。
 ところが、二〇一五年十一月に示された検討結果では、理数系から英語力だと大きく方向転換がされて、教育理念は、高い語学力、豊かな国際感覚、日本人としての自覚と誇りに変わりました。
 さらに、設置場所も、都立芸術高校跡地を一年生から四年生まで、その後は都立武蔵高校としていたものを、都立高校改革推進計画・新実施計画で、都立立川中等教育学校の附属小学校とするということが示されています。
 そして、二〇一七年には新しく報告書が出されていて、そこには詳細に教育内容……(資料を示す)報告書、これですね。都立小中高一貫教育校教育内容等検討委員会の報告書が出されています。
 こうした複雑な経過を経ている都立小中高一貫教育校の整備計画となっているわけですが、幾つもの問題がありますので、その課題ごとに質問させていただきます。
 まず、今回は校舎の新築工事となっているわけですが、全体の工程について伺います。

○谷都立学校教育部長 今年度は、七月以降、小学部の校舎、体育館等の新築工事を始めるとともに、秋以降、現在の立川国際中等教育学校の校舎と小学部の校舎等をつなぐ渡り廊下や、仮設の図書室等を設置するための工事を始める予定でございます。
 また、来年度は、年度当初から現中等教育学校校舎の図書室部分に職員室を設置するなどの改修工事を始め、秋以降に小学校の仮設校舎を設置するための工事を始める予定でございます。
 さらに、小学部の校舎、体育館等の新築工事の終了後、グラウンドの整備工事や仮設の図書室等の解体工事等を進める予定でございます。

○とや委員 今年度は、小学部の校舎等の新築工事と渡り廊下、仮設の図書室の設置工事を開始するとのことです。
 来年度については、現在の校舎の改修工事と小学校の仮設工事を始めるとのことですが、校舎の改修工事は、中高等学校の校舎と小学校新校舎の接続部分に図書室があり、これの撤去と、また、職員室を整備する工事だと聞きました。
 これから新入生を募集するために新校舎を建てるということなんですけれども、なぜ仮設の校舎を建てるのか、その理由を伺います。

○谷都立学校教育部長 今回の新築工事におきましては、小学部の校舎等の建設とともに、現中等教育学校校舎と小学部の校舎等をつなぐ渡り廊下を設置する工事を予定しておるところです。
 この渡り廊下の部分には、現中等教育学校の校舎の図書室がある部分への接続を予定しておるので、新築工事の間、仮設の図書室等が必要となったというものでございます。
 また、令和四年夏の小学部の校舎等の新築工事の終了までの間、小学部第一学年の児童が使用する仮設校舎の設置が必要となったものでございます。

○とや委員 渡り廊下をつくるために既存の図書室の移動が必要だということ、そして、新築工事終了までの間、小学校一年生が使用する仮設校舎の設置が必要とのことです。
 既存の校舎と小学校の新校舎棟、仮設がどのような配置になっているか、話をわかりやすくするためにパネルを用意させていただきました。
 ごらんになっていただきたいのですが、ここが、今、既存の中等教育学校、そして、今度建てるのが、小学校の新築の建物の曙グラウンドといわれる場所です。そして、仮設校舎がここになるわけです。
 新校舎の整備完了は二二年六月と聞いています。仮設校舎を使うのはなぜかと。四月からの入学に合わせて、一学期のみ、この仮設校舎を使うということです。
 この新校舎整備予定の場所は、曙グラウンドという、野球部が使用するグラウンドがあります。仮設の建物を整備する場所は、テニス部が日ごろ活用している、夜も使える照明設備のあるテニスコートがここにあるわけです。
 先ほども質問がありましたが、現在の中高等学校の生徒たち、在校生たちの影響について伺います。
 また、影響を及ぼさないための対策はどうなっているのか、伺います。

○谷都立学校教育部長 七月以降、現中等教育学校校舎の敷地南側に位置する曙グラウンドに小学部の校舎等を新築する工事を始める予定でございます。このため、当該グラウンドの野球場については使用できなくなるものでございます。
 また、秋以降は、現中等教育学校校舎北側に位置するテニスコートに、仮設の図書室等の設置工事を始める予定でございまして、曙グラウンドのテニスコートは引き続き使用できるけれども、現中等教育学校校舎北側のテニスコートについては、新築工事の間、使用できなくなるものでございます。
 こうしたことを踏まえまして、曙グラウンドの野球場で活動している軟式野球部や硬式野球部が校庭で活動できるよう調整するとともに、立川市の球場等も使用できるよう調整を行っております。
 さらに、テニス部につきましては、民間テニスコート等を代替施設として使用するための調整を行っております。
 これらの取り組みによりまして、工事期間中も円滑に部活動に取り組めるよう支援していくものでございます。

○とや委員 曙グラウンドは使用できなくなる、それから、テニスコートも、北側は使用できなくなるけれども、曙グラウンド側のテニスコートはできるということであり、円滑に部活動に取り組めるよう支援するとご答弁されました。
 ところが、実際はどうでしょうか。先ほどもお話がありましたけれども、野球部の曙グラウンドやテニスコートが使えなくなることで、子供たちは学校にも意見をいっているんですよ。ところが、もう決まったことだからといわれたり、あるいは廃部にしたらいいという発言まで確認をされています。
 曙グラウンドの利用ができなくなり、学校のグラウンドの利用を検討すると今お話がありましたけれども、この間、調整してきたということですけれども、グラウンドは、野球の性質上、他の部活と敷地を使い分けて練習するのは非常に危険だし、現実的でないと声が寄せられています。
 他のグラウンドということで、先ほどもありましたが、学校の近隣にある広場を利用するそうですけれども、この場所を都教委として確認されたのでしょうか。
 ここは、立川競輪場の駐車場として、ふだん活用している場所です。競輪があるときは使えません。例えば、昨年の九月は、二週間以上、競輪が開催されており、とてもその期間は活用できません。
 そして、それ以前に、使用できる日があっても、この場所は地面が粗いコンクリートであると。そして、その上には小さい石や砂利。砂利も細かいものでなくて、地面は土でもないということです。フェンスは、たった二メートルしかありません。そういうところで野球をすることができるのか。
 (資料を示す)これ、写真ですけれども、こんなところなんですよ。ここでどうやってサッカーとか野球ができるんですか。こういうところを宛てがわれても、子供たちは運動はできないですよ。とても部活動など運動するような場所ではありません。足を痛めたり、いつ転倒してけがをするかわからない、そういうところです。
 そして、もう一つの場所、市営の野球場だそうですけれども、何と学校から三十分以上離れた場所です。他のチームも使うし、思うように部活動ができるのか、問題だらけなんです。
 テニスコートはどうか。ことしの夏から、オムニコート、先ほどこのパネルで示させていただいた仮設のところですけれども、三面が使えません。ここは照明設備が、ナイター設備があったので、冬も使えたのですけれども、代替案として曙グラウンド側のクレーコート二面を使用することになっているといわれていますが、補修工事をするからということでやっていただいたそうですけれども、表面をちょっと平らにした程度だというふうに聞いています。
 今使ってきた五面が二面に減ること。民間のコートを借りるとのことですけれども、学校からこのコートも二十分、立川駅まで二十分ぐらいの位置にあります。国立駅を利用している子供たちは、もっと遠いんですよ、学校から反対方向にあるから。本当に不便です。
 そして、曙グラウンドもクレーコートも、結局、小学校の新築で永久に使えなくなってしまうんですよ。
 これでどうして円滑に部活動を行えるといえるのでしょうか。お答えください。

○谷都立学校教育部長 まず、現地を確認しているかということにつきましては、現地は確認させていただいております。
 それから、ご指摘のありました、廃部にせよというようなご発言については、私どもの方では確認しておりません。
 それから、いろいろ委員からご指摘のありました施設の状況につきましては、学校側の方で、工事期間中に必要な内容として、学校側あるいはクラブ間の調整なども含めて対応した上で、支障のない形で運営できるように、今現在も含めて努めているところでございます。都立学校の改修工事をする際には、そういった調整を経まして、その後の校舎の活用をお願いするような形で進めさせていただいております。
 また、遠いというお話がありましたが、この件に関しましても、学校から現地の場所までバスで送迎するという手当てを今回はさせていただくことを用意しております。
 というようなことでさせていただいております。

○とや委員 そこまでしなきゃならないくらいの場所にあったり……(「近くだよ、近く」と呼ぶ者あり)子供たちがあっちに行ったり、こっちに行ったりしなきゃならないわけですよ。(発言する者あり)わかりますか。

○星見委員長 静粛に願います。

○とや委員 部活動は、昨年まで必修だったんですよね。ところが、今年度は任意に変わっているんです。その理由もはっきりしません。こういったことがあって、子供たちも、保護者も、本当に不信感を感じています。
 そして、問題はこれだけではありません。昨年行われた説明会では、仮設棟の建設や空中廊下の建設工事に伴って、自転車置き場に面した道路の封鎖あるいは校舎西門の封鎖、小学校との連絡通路ができた場合には、合宿等で使っていたバスなども、高さ制限で使えなくなるということがわかっています。
 そもそも、何でこんなことが起きるのか。もともと狭い敷地に無理やり学校を建てようとするからなんですよ。だから、仮設をつくって、子供たちが今まで楽しんできた、一生懸命やってきた部活動が後退するような形になってしまうんですよ。
 そもそも、中等学校としてそれほど大きいとはいえない立川国際の敷地内に、もう一つ学校をつくること自体、無理があるわけです。
 私たちの調査では、立川国際は一万八千九十一・九五平米。同じような中等教育学校で都立三鷹があるのですけれども、そこは二万八千八百三平米。大泉の附属中学校は三万八千九十二平米。明らかに、この学校は敷地が狭いんです。そこにもう一つ建てるから、子供たちに影響が行っているんですよ。
 それから、先ほど仮設の話がありましたけれども、問題はそれだけじゃないんです。小学校の開設時期です。二〇二二年四月に開校する予定を、都教委は絶対に変更しようとしません。ところが、新校舎は四月に間に合わない。
 学校の方は、保護者や生徒に、オリンピックがあるから間に合わないんだといったそうですけれども、小学校一年生をまず四月に入学させて、一学期のみ仮設で対応して、新しい校舎ができたらそこに移る、そういった無理のある計画になっているんです。だから、生徒の教育環境が著しく後退するんですよ。
 仮設校舎を使用するのは一学期のみなわけです。その一学期のために税金を使って、子供たちの部活動まで制限するのかと。
 小学校の開設時期をずらせばいいんじゃないですか。それだけでも随分違いますよ。いかがでしょうか。

○谷都立学校教育部長 まず、今、回答させていただきました曙グラウンドでございますが、これは、もともと立川国際中等教育学校の敷地ではございませんでした。短期大学の土地を、隣接ということで譲り受けたというような性質のものでございます。したがいまして、もともとは、その敷地がない中で教育活動等が行われていたという状況でございます。
 また、小学校の開設時期をずらせないかというお話ですけれども、都立小中高一貫教育校の設置に対する都民の期待は大きく、開校年度を既に周知している中で、入学者選抜に向けて準備を進めているご家庭もございます。
 また、今回、新築する小学校の校舎は、異学年での交流活動等の拠点となる活動スペースといたしまして、図書室、パソコン室、自習室等を一体化させたラーニングコモンズや国際交流室、特色ある教科、科目の授業等に使用する講義室など、中等教育学校の生徒たちの教育活動の充実にも資する施設設備を整備する予定でございます。
 このように、令和四年度の開校に向けまして、仮設校舎の設置を含め、都立小中高一貫教育校の新築工事等を進めることには意義があると考えており、開校を延期することは考えておりません。

○とや委員 もともと短期大学の敷地だったということは、私も説明を受けて知っています。そういうところを子供たちのために開放して、これまで教育環境の整備に努めてきたんじゃないですか。もともと違うところだったからいいんだという話にならないでしょう。
 それから、期待が大きいといっていますけれども、一体、誰が期待しているのかわかりませんが、東京都は、二〇一三年に都立小中高一貫教育校に係る保護者意識調査を行っています。それはご存じだと思います。
 そこでは、小中高一貫教育校を進学先の一つとして考えるかとの問いに、そうと思うと答えた人は三二・七%、そうと思わないと答えた人は三四・八%、わからないと答えた方は三二・五%です。七割近い人たちが希望していない。しかも、調査対象は全都です。建設される一貫校の募集は都内の一部なわけですから、待っている、期待しているとの理由にするには余りにも希薄です。
 立川国際中高等学校の西側に国有地があります。これ、さっき図で示したのですけれども……(パネルを示す)ここ、国有地なんです。ご存じですよね。これだけ広い国有地があるから、ここを何とか使ってほしいという要望も寄せられていました。そこで、都教委は、この土地を使用できるかどうか、交渉してみるといっていましたよね。
 隣の国有地について活用ができるかどうかの交渉を行ったのかどうか、お答えください。

○谷都立学校教育部長 交渉するということでお答えしたとは確認をしておりません。
 なお、ご質問につきましては、都立学校の改築等におきまして、敷地が狭小で整備ができない場合を除きまして、敷地内に仮設校舎棟を整備することを原則としております。
 また、隣接する国有地を部活動で使用するためには、新たにグラウンドとして整備することが必要でございまして、国有地の賃借はもとより、グラウンドの整備や、原状回復に、その後、要する費用が生じます。
 一方、地元の立川市や他の都立高校との調整を重ねまして、部活動に関する代替施設の借用について、めどがついている状況にございます。
 これらのことから、仮設校舎の設置や部活動の利用に供するために国有地を借り受けるための調整は行っておりません。
   〔発言する者あり〕

○星見委員長 ご静粛に願います。

○とや委員 この土地の使用について交渉もしないというのは、余りにも子供の教育環境を考えていない……(発言する者あり)

○星見委員長 ご静粛に願います。

○とや委員 都教委としての責任を放棄しているといわざるを得ません。教育のために費用をかけるべきじゃないですかね。せっかくある土地なんだから。
 私どもは、東京都が小中高一貫教育校をつくること自体、問題が多いと思っています。それでも、百歩譲って小学校を整備するというのであれば、隣の国有地を活用して、子供たちへの影響を抑えることが必要だというふうに考えているわけです。ぜひ隣の国有地については、借りるための交渉をしていただきたいと聞こうかと思いましたが、同じような答弁ですから、聞きません。
 東京都は、小学校の建設に非常に前のめりで、現在学んでいる立川国際中高等学校の生徒たちのことを考えているとはとても思えません。無理をして開校するより、次年度に時期をずらして、仮設校舎の整備をしなければ、その分のお金もかからないし、国有地を活用すれば、子供たちにも影響が出ないわけです。わざわざ遠くのグラウンドまで行く必要もない。教育委員会が決めればできることです。ぜひ子供たちのために考え直していただきたいと申し上げておきます。
 そして、それよりも、まずやるべきは、やっぱり在校生の教育環境を整備することだと私は思います。生徒や保護者は、既存の施設の老朽化や不便さを訴えているのをご存じでしょうか。
 中等学校について、建築年、そして、改修や改築の予定はあるのか、校舎の傷みなどの状況をつかんでいるかどうか、お答えください。

○谷都立学校教育部長 計画に関しましては、何度かお答えしましたけれども、見直しは予定をしておりません。
 ご質問の建築年等でございますが、現中等教育学校校舎は平成三年三月に建築されたものでございます。
 都立学校の校舎等の大規模改修や改築等につきましては、建築年次や老朽化の状況など、各学校の実情等を総合的に判断した上で計画的に進めておりまして、現中等教育学校校舎については、現在、改築等の予定はございません。
 また、施設設備の老朽化の状況等につきましては、学校に対するヒアリングや現地調査等を通じまして把握し、適切に対応しているところでございます。
 なお、先ほどご答弁させていただきましたとおり、新築の校舎については、在校生のための施設でもある、このように考えております。

○とや委員 改築等の計画はない、それから、老朽化等の状況については、ヒアリングや現地調査をして把握しているということですけれども、細部には老朽化や劣化も見られるそうです。以前、雨漏りもあって、廊下が水浸しになったこともあると聞いています。
 国際社会にふさわしい人材の育成といいながら、数学や英語などの教科で少人数制の対応が求められていても、教室数が少なくて十分に対応できないという声も届いています。
 生徒が使用できるロッカーは玄関のところにあるそうですけれども、靴も、体育着も、教科書も、全てこのロッカーに収納しなければならない。ドアも壊れていると聞いています。
 こういう話を聞いて、私は本当に驚いているんですよ。生徒や教員が毎日使う校舎なわけだから、きちんと点検をして、要望に応えて改善をしていただきたいと思います。
 今後でもいいですから、点検をして、ぜひ保護者や生徒たちの声を聞いていただけないでしょうか。改善を求めますけれども、いかがですか。
   〔発言する者あり〕

○星見委員長 静粛に願います。

○谷都立学校教育部長 現在の校舎についての修復、修繕等につきましては、他の都立学校と同様に、定期的にヒアリング等を行いまして、適切に対応させていただいているところでございます。
 雨漏り等に関しましても、緊急修繕の対象ということで適切に対応しているところでございます。

○とや委員 緊急に対応しているということですけれども、対応されていない部分があるから、私、今、指摘したんですよ。そういうところは真摯に受けとめていただいて、改善するような検討や、見に行く指示をしていただく等の動きをつくっていただきたいんですよ。
 せめてそのくらい、お願いできませんか。お答えください。

○谷都立学校教育部長 繰り返しになりますが、都立学校のそれぞれの学校の必要な修繕等につきましては、ヒアリング等を経まして、計画的あるいは対応させていただく必要の高い順などに整理をさせていただいて、順次、実施をさせていただいております。
 学校側の要望については、常日ごろ、真摯に受けとめているところでございます。

○とや委員 一度、見に行っていただきたいですね、部長にも、教育長にもね。
 今まで質疑させていただいて、小中高一貫教育校を立川中等教育校に整備するに当たっては、多くの課題を抱えています。生徒の教育環境を壊すようなことはせず、これまでどおり学べる環境を保障するよう、強く求めておきたいと思います。
 問題はそれだけではなくて、根本的に小中高一貫教育校の教育そのものです。
 今回整備される小学校は、都が設置する小学校ですが、募集する学区域はどの範囲になるのか、お答えください。

○藤井教育改革推進担当部長 都教育委員会は、平成三十年度に都立小中高一貫教育校入学者の決定方法に関する検討委員会を設置して、通学区域について検討を行い、児童にとって負担過重とならないよう、小中高一貫教育校までの所要時間が四十分以内にある鉄道の駅やバス停を含む区市町村または地域を通学区域とする考え方を示しております。

○とや委員 駅が含まれている自治体は全て含むとなれば、かなり広い範囲になるんじゃないかなと思います。ですから、四十分とはいえ、あそこは立川市ですよね。国分寺とか、西国分寺、国立市とか、いろんな市にまたがって駅がありますから、広い範囲で子供たちが募集で通ってくることになると思います。
 しかし、先ほどお示しさせていただいたこの報告書を読ませていただきましたけれども、毎日の短時間学習とか土曜授業、外国語にかかわる授業時数は、学習指導要領では、小中で--小学校は二百十時間が八百三十六時間にもなります。中学生は四百二十時間が八百四十時間にもなっているわけです。特に小学生は、体力的にも無理があるんじゃないかと思います。
 本来、子供たちは、やっぱり地域で育っていく、地域の人たちに見守られていくというのが基本だと私は思っていますし、今、コロナで子供たちが分散登校とかしている中で、途中で変質者とかに襲われたという事故もあるわけだから、そういったことを考えれば、やっぱり地域の中で子供たちが育つということを基本に置くべきだと思います。
 この報告書の中では、他の公立校にはない英語や外国語教育を徹底するカリキュラムがあって、一人一人の子供たちが自分自身のために生きる力を身につけていくというよりも、国のためにグローバル競争に勝ち抜くための人材育成であり、エリート養成です。
 教育課程では、当初検討されていた四・四・四制を六・三・三制に戻しましたが、エリート教育を公教育が率先して行うということが、誰にでも平等に教育を提供するという教育の機会均等原則を覆すものであり、教育の格差を生むことにつながるんじゃないかと危惧しています。都の見解を伺います。

○藤井教育改革推進担当部長 都が小中高一貫教育を行うことは、みずから小学校や中学校の設置者となり、義務教育に携わることになります。このことにより、今後、区市町村が設置する小中学校において新たな課題が生じた際も、都立小中学校において速やかな対応を実践し、区市町村へ有効な取り組みを示していくことが可能となります。
 また、小学校入学から高校卒業まで、十二年間にわたって児童生徒の状況を把握できることから、小学校や中学校段階において実施するさまざまな取り組みが高校生段階でどのような教育効果としてあらわれるかなどの検証も可能となります。
 開校後は、区市町村教育委員会や都立高等学校に小中高一貫教育校における取り組みの成果を発信することなどを通して、都内全ての公立学校の児童生徒一人一人が最大限持てる力を伸ばしていけるよう取り組みを進めてまいります。

○とや委員 都がみずから設置者になることで、区市町村の課題を解決するための有効な取り組みを示せるというふうにおっしゃいました。私、この答弁を聞いて、本当に驚きました。
 今おっしゃった答弁は、二〇一五年の検討結果の文書に記載されている内容だということが、文書をめくっていたら出てきたわけですけれども、英語に学習指導要領の四倍も時間をかける詰め込み教育が、区市町村が設置する公立小中学校の教育にどう役に立つのでしょうか。
 この間、出されている都立小中高一貫教育校の報告書を見れば、エリート教育で、熾烈な国際社会で勝ち抜けるような人材育成をしようとしていることは一目瞭然です。区市町村に有効な取り組みを示すというのであれば、教育に格差を生むような選別教育はやめるべきです。教育の機会均等の原則をみずから覆し、グローバル企業が求める人材を育成するために、エリート、非エリートの早期選別を目的にして、教育制度を複線化するような小中高一貫教育校の推進は中止するべきだと申し上げます。
 そして、本来の公教育に立ち返って、生徒の教育条件の向上など、地に足をつけた教育を実践することを求めて、質問を終わります。

○星見委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○星見委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対して意見のある方は発言を願います。

○とや委員 意見を述べます。
 そもそも我が党は、都が小学校段階から教育を複線化し、財界の求める一部のエリート人材を育成する小中高一貫校の設置をすることには反対してきました。
 計画を見ても、例えば英語などは、小学校で学習指導要領の四倍もの授業を行うなど、ただでさえ多いといわれている学習指導要領の授業時数を大幅に超えて授業を行う詰め込みの教育内容が示されており、子供たちの人間としての成長を考えたときに疑問を持たざるを得ません。
 加えて、計画は、立川国際中等教育学校に小学校を併設するとしていますが、小学校の校舎建設は、決して広いとはいえない現在の立川国際中等教育学校が使用している敷地内とされ、野球のグラウンドがなくなるなど、学校の教育条件を大幅に後退させるものになっています。
 さらに、計画の進捗がおくれているにもかかわらず、当初発表した開校年度に何が何でも開校するとしたため、校舎の竣工が間に合わず、入学している小学校一年生は、半年間、プレハブの仮設校舎を使用するとしました。この仮設校舎も、現在の立川国際中等教育学校のテニスコート場に建設することとし、ますます在校生の教育環境を悪化させる結果となっています。
 授業に影響があるだけでなく、野球部やテニス部などの子供たちにとっては、部活動は青春そのものであり、短い在校期間の中で、その活動場所が奪われてしまうことは、教育上も、仕方ないで済まされることではありません。
 しかも、この立川国際中等教育学校には、隣接して未利用の広い国有地があり、百歩譲って小中高一貫教育校を設置するとしても、子供たちの教育条件を考えれば、小学校部分は、その国有地を取得または借り受けて建設するべき、さらに譲って、せめて仮設校舎くらいは、国有地を借りて建てるべきだというのが誰もが考えることであるのに、都教委は、国に打診するなどの努力すらしていません。
 子供たちの教育条件の悪化を保護者たちは憂慮し、都教委のこの建設計画に納得していません。保護者の理解すら得られていない状況なのです。
 このことから、この都立小中高一貫教育校の新築工事は進めるべきでなく、この契約議案に反対をさせていただきます。
 以上です。

○星見委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 第百三十六号議案につきましては、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告し、また、第百三十五号議案につきましては、異議がない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○星見委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○星見委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百十三号議案、令和二年度東京都一般会計補正予算(第六号)中、歳出、教育庁所管分、第百二十一号議案、第百二十二号議案及び第百五十九号議案並びに地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した令和二年度東京都一般会計補正予算(第五号)の報告及び承認について中、教育庁所管分を一括議題といたします。
 追加提出されました第百五十九号議案について理事者の説明を求めます。

○藤田教育長 令和二年第二回東京都議会定例会に追加でご提出申し上げました教育庁関係の案件についてご説明を申し上げます。
 今回、追加で提出いたしました案件は、タブレット端末等の買入れについてでございます。
 新型コロナウイルス感染症対策といたしまして、区市町村立学校に貸与するためのタブレット端末等を買い入れるものでございます。
 詳細につきましては、総務部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

○安部総務部長 それでは、私から、詳細につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の資料、令和二年第二回東京都議会定例会議案(事件)の一ページをお開き願います。タブレット端末等の買い入れでございます。
 新型コロナウイルス感染症対策による学校の臨時休業等に伴いまして、ICTを活用した学習に必要なタブレット端末等を区市町村立学校に貸与し、子供たちの学びの機会を確保するため、タブレット端末等、四万二千台を買い入れるものでございます。
 価格は二十九億九千七百五十万円となっております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○星見委員長 説明は終わりました。
 なお、その他の議案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○安部総務部長 去る五月二十二日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をお開き願います。今回、要求のございました資料は、三件でございます。
 一ページをお開き願います。1、公立小学校、中学校での五月七日からの緊急事態宣言延長後の休業の対応についてでございます。
 都内公立小学校及び中学校における休業等の対応につきまして、区市町村ごとにそれぞれ記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、文部科学省が調査した新型コロナウイルス感染症対策のための学校の臨時休業に関連した公立学校における学習指導等の取組状況についての東京都の調査報告内容でございます。
 このページから四ページにかけまして、文部科学省が行った調査に係る東京都の報告内容を、都立学校と区市町村立学校について、それぞれ記載してございます。
 五ページをお開き願います。3、区市町村からの昼食提供支援事業計画書の提出状況でございます。
 五月二十九日現在の各区市町村からの事業計画書の提出状況を区市町村別に記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○星見委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○福島委員 ただいまご説明いただきました、第百五十九号議案、タブレット端末等の買い入れに関連しまして質疑を行わせていただきます。
 新型コロナウイルス感染症という国難のもと、日本の弱点が明らかになりました。
 デジタル化のおくれが原因で、PCR検査の集計に誤りがあったり、給付金の支給手続で、マイナンバーカードを利用した申請手続が中止に追い込まれたり、給付に時間がかかったりしています。
 そして、何よりも、学校でのICT利活用が進んでいなかったために、感染症対策として実施された休校措置のもと、子供たちが教育を受ける機会が損なわれてしまうという大問題が起きました。
 そもそも、日本の学校でICT利活用がおくれていることは、以前より問題視をされていました。二〇一八年に実施されたOECD生徒の学習到達度調査のICT活用調査では、学校の授業においてデジタル機器を利用しないと答えた日本の生徒の割合は約八〇%と、OECDの加盟国中で最も多く、そして、利用時間は、OECD加盟国中、最下位でした。
 この調査では、デジタル機器の学校外の利用についても調べていますが、日本の児童生徒は、利用はしていても、その用途は、他国と比較して、ネットでのチャットや、一人用ゲームまたは多人数のオンラインゲームが多く、かつ、それに費やす時間の増加が著しいという特徴が認められました。一方、コンピューターを使って宿題をする頻度は、OECD加盟国中、最下位でした。
 これらの結果からは、日本の子供たちは、デジタル機器に親しんでいるとはいっても、SNSやゲームなどのアプリケーションのユーザーとしてのかかわりにとどまっており、学習や課題解決、創造のためのツールとしては使いこなせてはいないことがわかります。
 前職の経験から、これから新しい価値を生み出す側の人間になるためには、コンピューターを道具として使うことはもちろん、IoTやビッグデータ、AIなどの第四次産業革命の肝となる技術に親しむことが不可欠であると考えていることは、これまでも述べてまいりました。
 私がいうまでもなく、第一線の研究者、教育者がその重要性を訴え、国もようやく認識したからこそ、今年度から実施される新学習指導要領に情報活用能力が記載され、昨年末にGIGAスクール構想が予算化されたものです。
 企業において、Eコマースなどへのデジタルシフトができているかどうかは、これまでも業績にじわじわ影響していたわけですけれども、コロナ禍においては、決定的な業績の差になろうとしております。
 学校のデジタルシフトも同じです。既にデジタルシフトのおくれは、日本の教育、子供たちの将来に影をもたらしていましたが、今回、教育の継続性に決定的な差となってあらわれました。
 学校のデジタル化は、休校措置がとられた中でも学び続けるための手段、学校再開後も、ソーシャルディスタンス確保のための分散登校で、以前と同様の登校時間の確保が困難になる中での学びを補完する手段、そして、第二波、第三波、または別の感染症が流行したときに、二度と学びをとめないための手段として、その重要性が国民、都民に強く認識されるものになりました。
 小池都知事は所信演説にて、都内公立学校におけるオンライン教育を、この機会に一気に促進すると述べられました。
 実は、遠隔教育については、東日本大震災発生後に一度検討されています。このときにきちんとやり遂げていれば、今回の休校措置で子供たちの学びがとまることはありませんでした。
 今こそ、二度と子供たちの教育機会が奪われることがないように、そして、ソサエティー五・〇時代を切り開く力をつけるために、オンライン教育の本格立ち上げ、学校でのICT利活用の推進を力強く進めるべきときです。
 我が会派は、新型コロナウイルス感染症対策に関する緊急要望の中で、再三、オンライン教育の拡充を訴えてまいりました。
 国も、GIGAスクール構想を前倒し実施するための予算を計上し、四月二十一日には、文部科学省からICTを最大限活用せよとの通知も出されています。
 これらを受けて、都がこれまでの補正予算や専決処分で、都立学校と都内小中学校の生徒児童一人一台の端末導入、家庭での通信環境整備、教員向けのオンライン授業の研修動画配信、TOKYO MXテレビを利用した小学生向け生活学習支援番組の放送、オンライン支援員の配置に取り組み、さらに、今回の補正予算で、学習用パソコン等が家庭にない児童生徒に貸し出すための端末の調達と、通信環境の確保のための経費を盛り込んだことを高く評価します。
 しかしながら、都内公立学校にお子さんを通わせている保護者様からは、約三カ月間続いた休校措置の後半になっても、自分の地域ではオンライン教育などの対応が一切されていない、期待していたような内容ではないという声が数多く届いていました。
 去る四月三十日、我が会派幹事長より教育長に対し、オンライン学習の推進に当たり、各区市町村において学校のICT化に向けた調査の着実な実施について緊急要望を行いました。
 調査内容と結果について伺います。

○岩野企画調整担当部長 都教育委員会は、今般の休業期間中における学校のオンライン学習の実施状況を把握するため、調査を行っております。
 この調査では、オンライン学習の形式を五つに分類し、取り組み状況を把握しております。
 具体的には、双方向のやりとりを集団で行うオンライン授業型、一対一で行うオンライン個別指導型、動画配信型、課題配信型、また、民間事業者の教材を利用する外部サービス活用型の取り組みについて聞いております。
 結果につきましては、オンライン学習の五分類のうち、いずれかの取り組みが行われている学校は、都立学校では二百四十校中二百四校、特別支援学校では五十七校中五十校でした。小中学校につきましては、五十八区市町村において、いずれかの取り組みが行われております。
 今後、各学校の具体的な取り組み事例も把握し、都立学校や区市町村教育委員会へ周知し、オンライン学習の取り組みを支援してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。都立学校におきましても、全校ではまだ実施されていなくて、あと、基礎自治体に関しても、取り組んでいるところが多いとはいっても、全校実施に至っていないところも、ちらほらあるというふうに聞いています。
 まだできていない、そういった学校があるということで、次回調査していただく際には、ぜひオンライン学習が進んでいない学校について、その理由を確認するための項目を設定し、住んでいる地域や進学した学校の取り組み不足により、子供たちが学習中断や遅延などの不利益をこれ以上こうむることがないように、課題を捉えた対策を打つことを要望いたします。
 私が現場やさまざまなシンポジウム等で収集した情報によると、オンライン学習が進まない理由は、基礎自治体の教育委員会や学校現場の先生方の、全ての家庭に環境が整わないうちはできないという意識や、中でも、指導的立場にある学校長等の姿勢の影響が大きいというふうに聞いています。
 ひどい場合は、学校を再開するまでに怒られない程度にオンライン教育に取り組み、学校再開後に授業時数を取り返せばいいという声もあるというふうに聞いています。
 一方、兵庫県の尼崎市に関しては、学校のパソコン整備状況が、全国平均五・四人に一台に対し、十人に一台とおくれていたにもかかわらず、休校が決定した直後から方針を明確に定め、具体的なプランを設計し、しっかりと発信をすることで、ICTを活用した休校中の学習家庭支援を実現しています。
 ICT環境が進んでいないことや、ネット接続が難しい家庭が五%存在する状況を理由に、ICT活用を諦めないというのが尼崎市の方針だったということです。
 先ほど述べたように、学校のデジタル化、オンライン環境整備は一過性のものではなく、アフターコロナの常識です。つまり、文部科学省の方もいっていますけれども、デジタルデフォルト、まずはやる、環境がない児童生徒にはケアをするという姿勢で取り組むべきです。
 ICTの利活用に関する教員の意識改革を進めるためには、取り組んでよかったという先生方の声を学校の先生方に伝えることが有効だと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○岩野企画調整担当部長 都教育委員会ではこれまでも、ICTパイロット校やBYOD研究校で、校務と学習の両面からICTの利活用について実践研究を行い、その成果を、授業公開や成果報告会を通し、都立学校等に周知してまいりました。
 今回の臨時休業中、学校では、授業動画や課題の配信などオンラインによる家庭学習の取り組みが工夫して行われてきております。
 さらに、学校再開後は、分散登校による学校での対面指導と家庭でのオンラインによる学習を適切に組み合わせて、児童生徒の学びを進めているところでございます。
 都教育委員会は、こうした休業中及び学校再開後の取り組みからICTの利活用の推進に資する事例を把握し、都立学校や区市町村教育委員会に周知して、教員の取り組みを支援してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。長らく続いてきた、紙と鉛筆、黒板を使って、そして、一対多で対面して行う授業の慣習を変えることは容易ではないと思いますが、子供たちがオンラインでも学べることがしっかりと伝わり、そして、やり方さえわかれば、やってみたいという先生もふえると思います。オンライン学習の可能性の周知をどうぞよろしくお願いいたします。
 加えて、提案があります。
 エドテック企業と積極的に取り組んでいる学校というのは、先生方にも新しいことを一緒に学ぶという姿勢があるというふうに聞いています。子供は大人の背中を見て育ちます。チャレンジする、みずから道を切り開く子供たちを育てたければ、まず、先生方がそういうふうにあるべきです。
 都内には、学校ICTやインクルーシブ教育、いじめ対策やコミュニティスクールなどの各分野で、先進的な取り組みで評判の先生方が何人もいらっしゃいます。
 ビジョンを持ってゼロから一を生み出す、そういうことをできるには、一人では不可能で、周囲を巻き込む力、そして、人への影響力があるということです。
 広島県や熊本市、さきに挙げた尼崎市など、ICTで先進的な取り組みをしている自治体を牽引しているのは、結局、人です。
 東京都の全ての先生方が、ICTの利活用ぐらいでは萎縮しない、よりチャレンジに貪欲になっていただくためには、例えば、このようなレジェンドともいえる先生方のためのポジションを都教育委員会の中につくり、より多くの先生方や学校に影響を与えていただくようにするなど、IoTを活用した教育の機会均等を、形式的ではなく実質的に保障する取り組みを求めます。
 今回の補正予算で、端末の通信環境がなかったご家庭にもオンライン学習の環境が整備されますが、低学年では保護者がかなりサポートする必要があったり、そもそも保護者のICTリテラシーにもばらつきがあるなどの課題があります。
 ICT機器操作方法の支援が必要な家庭については、個別に対応する人的サポートが必要だと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○岩野企画調整担当部長 都教育委員会は、学校の臨時休業に伴い、子供の学びが継続できるよう、家庭におけるオンライン学習の取り組みを進めてきたところです。
 具体的には、端末や通信環境を必要としている児童生徒に対し、端末の貸与などの支援を行っております。
 さらに、ICT機器の操作や学習ソフトの利用等について、児童生徒や保護者からの問い合わせに教員がきめ細かく対応できるよう、学校への支援員の配置を進めていくこととしております。
 都教育委員会は、教員のICTスキル向上を図り、全ての児童生徒の家庭における学びを支援してまいります。

○福島委員 端末と通信環境というハードだけではなくて、支援員という人のサポートが重要であることは、以前より、我が会派としては申し上げてまいりましたし、今年度予算には、当初より予算化されていた導入支援員に加え、オンライン学習のための支援員についても補正予算で計上したことを高く評価するとともに、ご答弁にあったように、きめ細かな対応をお願いいたします。
 一方、支援員を見つけるのが難しいという声もあります。五月十五日付の都政新報によれば、TEPROに百九十名登録があるのに対し、休校措置も相まって、引き合いはまだ一名ということで、私も、自分が住んでいる世田谷区に、こういったところがあるんだよということを紹介するなどしました。
 導入支援員、オンライン支援員の導入を支援するだけではなく、どこにアクセスすれば人材を獲得できるか、丁寧に告知するべきと考えますが、見解を伺います。

○岩野企画調整担当部長 学校を支援する人材の紹介につきましては、東京学校支援機構、TEPROを活用することとしておりまして、本年四月から、人材バンク、TEPRO Supporter Bankを稼働させております。現在、約四千四百人の方に登録いただいており、この中には、学校でのICT支援を希望する人材も含まれております。
 TEPROでは、学校の休業期間中、学校等にヒアリングを行い、ニーズを把握するとともに、改めてTEPRO Supporter Bankの内容や利用方法などを周知してきたところでございます。
 学校の再開に伴い、外部人材の必要性が高まることが想定されます。このため、学校や区市町村がTEPRO Supporter Bankを活用し、必要な人材を円滑に導入できるよう、都教育委員会はTEPROに対し、TEPROの相談窓口や利用の案内を丁寧に行うとともに、要望の聞き取りや人材のマッチングなどの支援を積極的に行うよう求めてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。ご答弁にあったとおり、ICT利活用だけではなくて、学校再開後は、感染防止や消毒など、新たな業務で学校の人手が不足することが予想されており、国も、二次補正予算案でスクールサポートスタッフの増員を予算化するとしたところです。ある意味、このコロナ禍に間に合ったともいえるTEPROの積極的な活用をお願いいたします。
 また、先生方の負担軽減という点で、ちょっと長期的な視点で要望があります。
 知識習得用の動画ですけれども、世界中の教育機関や企業が提供する時代になりました。企業によっては、視聴履歴を取得し、どこで視聴離脱したかというところをきちんと調べて、動画の改善を重ねるようなケースもあるというふうに聞いています。
 教科書が複数あったり、地域なりの教育があるとは聞いていますけれども、教科書検定のおかげで教科書の数も限られていますし、地域性を反映するといっても、学習指導要領があるので、その中での取り組みにはなってきます。
 今は、どういう動画をつくれば子供たちが集中するかということを手探りでやっているところだと思うんですけれども、その共通項、そして、わかってくるようなことがあれば、今後は、例えば動画の共通する部分に関しては、取りまとめて作成するなどして、先生方の負荷の削減と教育の質の向上に取り組んでいただきたいと考えます。
 次に、先ほど説明のあった追加議案、タブレット端末等の買入れについてについて、専決処分の補正予算では五十五億円の予算でしたけれども、三十億円弱の買い入れ額となっています。
 四万二千台の一台当たりの端末単価と、区市町村教育委員会への貸し出し後の活用について伺います。

○岩野企画調整担当部長 今回のタブレット端末の買い入れにつきましては、端末一台当たりの予算単価を十三万二千円とし、予算額を算定いたしました。この単価は、GIGAスクール構想で国が示す基本モデルの価格帯と重ならず、また、製造、流通が滞っていた緊急事態宣言下において、早急に調達が可能となる価格帯の単価をもとに算出したものでございます。
 契約の結果、予算見積もり時よりも低い価格帯の端末が調達され、端末一台当たりの価格が七万一千四百円となっております。
 区市町村教育委員会に対しましては、六月中旬以降、GIGAスクール構想による端末が調達されるまでの間、この端末を貸し出してまいります。
 なお、来年度につきましては、都立学校等での利用を想定しております。

○福島委員 ありがとうございます。GIGAスクール構想で推奨する四から五万円の端末よりも高額ではあるものの、当初想定していた機種よりは低額な端末を購入できたというご説明でした。
 高校はGIGAスクール構想の対象外であるために、端末については、BYODで当初は進めるというふうに聞いています。しかしながら、GIGAスクール構想で小中学校で学んだ生徒は、二〇二二年には高校に進学してくることから、令和二年の予算特別委員会において、それに合わせて高校の端末整備も進めるべきと訴えたところです。
 都立高校の先生や生徒の利用を想定するのであれば、小中学校で用いる端末よりスペックが高いのが妥当であるというふうに考えます。
 次、私は、従来より、学習クラウドサービスを利用し、学習履歴を集約、適切に管理するためにも、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトをクラウド・バイ・デフォルトの方針で開発するように求め、令和二年予算特別委員会で、その方向性で進めるとのご答弁をいただきました。
 都教育委員会が五月八日に日本マイクロソフト株式会社と協定を結び、オフィス三六五を五月に前倒しして導入すると公表しましたが、パートナーに技術力と信頼性の高いクラウドサービス提供会社を選んだことに対して、まずは安心をしています。
 そして、端末、通信環境の整備に加えて、児童生徒に学習サービスを提供し、その学習履歴を収集、指導に生かすためには、児童生徒一人当たりにアカウントを付与する必要があります。
 都教育委員会は、学習支援クラウドサービスのアカウントを都立学校の全教員、全生徒に割り振りましたが、十一月に新しいアカウントに切りかえるというふうに聞いています。
 その理由について伺います。

○岩野企画調整担当部長 都教育委員会は、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトの推進に当たり、教員と児童生徒間の課題の配信や提出、双方向での学習などが可能となるよう、学習支援クラウドサービスの全都立学校への導入を十一月に予定しておりました。
 学校の休業が長期となったことから、家庭でのオンラインによる学習を早期に実現するため、都教育委員会は、応急的に、個人名などを含まない簡易なアカウントを利用して、本クラウドサービスを五月に前倒し利用することといたしました。
 このため、十一月からは、本来予定しておりました本格的な新しいアカウントに切りかえるものでございます。

○福島委員 アカウントは、学習履歴の収集のためには必要不可欠ですが、休校措置が続く中、早期の立ち上げを優先し、仮アカウントでサービス運用を開始したということでした。教育の中断の解消を優先するというのは、やむを得ない判断だったというふうに考えます。
 そして、この学習履歴の収集ですけれども、従来、先生方がテストや対面の指導などを通じて取り組んできた生徒の学習状況の把握を数値として収集できるようになれば、ビッグデータとしての分析が可能となり、先生個人の経験の範囲を超えた、一人一人により適した教育、トレーニングをカスタマイズできるようになります。これは、長期ビジョンにも示された個別最適化された学び、東京型教育モデルに向けた重要な取り組みです。
 私は以前より、子供たちの将来に大きく影響する教育政策の質の向上のために、EBPM、エビデンスベースの政策立案を導入するべきだと訴えてまいりました。早稲田大学准教授の松岡亮二先生も、従来の日本の教育政策が場当たり的、思いつきで行われ、迷走してきたこと、そして、その改善のためには、まずはデータの収集であると述べられています。
 一人一台端末による学習が展開されることにより、児童生徒の学習履歴をデジタルデータとして蓄積することができます。
 今後、その学習履歴をどのように活用していくのかを伺います。

○岩野企画調整担当部長 都教育委員会が取り組むTOKYOスマート・スクール・プロジェクトでは、学習活動のさまざまな場面で、学習履歴を活用した指導を展開してまいります。
 学習履歴の活用目的は、一人一人の学習履歴を分析し、興味のある箇所やつまずきの箇所などを早期に発見したり、それらをビッグデータ化して学校全体の特徴を把握するなどし、教員の知見に定量的なエビデンスを加えて、子供たちの力を最大限に伸ばすことにあります。
 今後、都教育委員会は、さまざまな学習履歴からエビデンスとすべき有効な学習履歴を抽出し、その取得や蓄積、分析方法について研究し、エビデンスベースの教育を実現してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。学習履歴を集積することで、例えば、県外に越してもシームレスに学びを続けられるようになったり、データ分析ができることで、議論の俎上に上がりつつも、さすがに思いつきレベルでは、これ以上は検討を進めることができなかった飛び級制度の導入や、従来より課題として認識はされていたものの、AO入試の導入など部分的な改善にとどまっていた一斉受験の見直しなど、教育改革にもつながる重要な取り組みです。期待をしています。
 このTOKYOスマート・スクール・プロジェクトのシステム構築に当たって、何点か要望いたします。
 日々の個別最適化された教育の提供や長期的な教育改革のためには、学習履歴は、東京都教育委員会が入手、分析できないと意味がありません。データの帰属先や用途など、丁寧に議論することが必要であることはもちろんですが、学習サービスによっては、学習履歴は自社のサービス改善に使うために自社で保有し、学校や教育長は採点結果しか入手できないようなケースもあったと聞いています。
 都内公立学校が学習サービス提供会社と契約する際は、子供たちが受ける教育の質を、地域や業界をまたいで向上するという趣旨を理解いただいた上で、学習履歴の提供を前提とすることを求めます。
 さらに、学習履歴を東京都教育委員会が収集し、日々の教育や教育政策に生かすためには、クラウド学習サービスを提供する各社が自社のサービスを介して取得した学習履歴を、都のデータベースにデータ提供できるようにする必要がありますけれども、セキュリティーガイドラインやデータ形式次第では、若い人たちが熱い思いで牽引する数々の日本発のエドテック企業がアクセスしづらくなる可能性も懸念されています。
 学習履歴と一言でいっても、問題の正誤結果だけではなく、解答時間、自立学習か宿題か、学習サービスへのログインデータやページ遷移履歴など、広義に考えればさまざまありますし、それらがリアルタイムで提供されるべきかどうかということでも、開発コストに影響します。
 できることからするというスタンスにすると、事業者は参画しやすくなる一方で、統一的なデータ分析は困難になります。
 今回のご答弁で、学習履歴の使用目的は、教員の知見に定量的なエビデンスを与えて、子供たちの力を最大限に伸ばすことにあるということでしたけれども、データベースの仕様やデータ形式を決める際には、目的を明確にした上で、ぜひ多様な事業主体の意見を聞く場を設けることを要望いたします。
 また、従来、セキュリティー確保のために、成績管理システムは、オンプレミス型のデータベース上に構築してきたというふうに聞いておりますけれども、今後は学習履歴のデータベースとの連携が欠かせません。令和二年予算特別委員会でご答弁いただいたように、クラウド・バイ・デフォルトで進める、すなわち、クラウド学習サービスのデータの収集に課題が生じないよう、クラウド上に構築することを改めて求めます。
 また、学習履歴は、小、中、高、大学と引き継げるようにすることも重要です。国内では、グーグル、アップル、マイクロソフトなどの教育プラットホーム会社が乱立している状況ですけれども、互換性の確保は国の仕事でもありますが、念頭に入れたこのTOKYOスマート・スクール・プロジェクトのシステム構築を要望いたします。
 最後に、これは本当は質問にしたかったのですけれども、AI型ドリル教材について取り上げます。
 我が会派の代表質問では、対面指導とオンライン指導の効果的な組み合わせを求め、都立学校のICTパイロット校の検証結果として、家庭での時間は知識の習得に、学校での時間は思考力、判断力、表現力などの育成に向けた学習に有効であるとのご答弁をいただいています。
 この知識の習得に関しては、AI型ドリル教材を導入することで、その時間を半減できることが、都内中学校で実施された国のモデル事業で実証されています。
 従来、教室で行われていた一斉学習では、難しくてわからない生徒が三分の一、既に知っていることを聞かされている生徒が三分の一、理解に役立てられたのは三分の一にすぎなかったという説もあります。
 AI型ドリル教材の場合は、生徒の学習履歴からAIが理解度を判断し、間違いの原因と推定される単元に誘導、一人一人の理解を助ける最適な出題を行うことができます。これによって知識習得の時間を半減できるだけでなく、例えば広域通信制高校では、不登校などの理由で学習習熟度が小学校レベルでとまっていた生徒が、AI型ドリル教材を用いることでおくれを取り戻すことができたとの事例も出てきています。
 オンライン学習環境が整ったことで、AI型ドリル教材の導入は現実味を帯びた話になりました。今回の休校期間の学習のおくれを取り戻すに当たり、休日を削ったり、プリントを山ほど渡したりするのではなく、テクノロジーでカバーできる部分はカバーするべきです。
 国はEdTech導入実証事業として、令和元年度補正予算として十億円を積み、このAI型ドリル教材やオンライン型英語教材、校務等業務効率化ツールなどの、エドテックサービス事業者と連携してサービスを導入する学校を支援するとしています。
 ウィズコロナの学校経営は続きます。オンライン学習でできること、学校でしかできないことを厳選し、量や時間から質への教育改革に取り組むべきです。会派要望を通じても求めていますが、都立学校、そして、都内の公立学校でAI型ドリル教材などの最新の知見を生かせるよう、積極的に取り組んでいただくことを要望いたします。
 次に、専門学校について伺います。
 園芸高校では、六月から再開といっても、季節との整合性が難しいというような状況があります。工業高校でも、旋盤や研磨など、実技が必要なものは数多くあります。とはいえ、実習がメーンの専門高校も、ウィズコロナの運営について検討をする必要があります。
 実験や実習の多い専門高校において、ITの利活用やオンライン学習の機会をふやしていくべきであると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○増田指導部長 臨時休業期間中における家庭学習の課題として、工業高校では、実験や実習の進め方をおさめた動画や、農業高校では、農作物の収穫方法や家畜の飼育等に関する動画を作成して配信するなどしてまいりました。また、商業高校では、模擬株式会社のミーティングをオンラインで体験できるよう取り組むなどしてまいりました。
 オンライン学習を経験した生徒からは、繰り返し動画を再生することで、学習内容の理解度が高まったなどの成果が報告されております。
 今後、都教育委員会は、各校のすぐれた取り組み事例を収集して周知するとともに、著作権に配慮しながら、作成した動画等を他校に配信し共有することを検討するなど、専門高校のオンライン学習の充実を図ってまいります。

○福島委員 ありがとうございます。ご答弁いただいた内容は、教材の電子化が中心でありましたけれども、これから、農業であれば、ドローン撮影などによる画像を用いた種まきや収穫時期の最適化とか、工業であれば、RFタグを用いた在庫管理や、画像診断を用いた製造ラインの故障予測による生産性向上、商業においても、クラウド会計システムの活用など、全てにおいてICTの利活用が進みます。専門高校の教育についても、デジタル化に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 そして、休校措置により、学習や学校での友達とのかかわりなど、学校が提供していた教育の重要性が改めて全都民に共有されました。
 オンライン教育は、別室登校や不登校の生徒たちの学習機会の保障にもつながります。
 また、二・四%はいるといわれている識字障害、そして書字障害、こういった児童生徒も、色やコントラスト、文字サイズを変えたり、読み書きができたりする電子教科書であれば、学びが可能になります。
 在宅訪問教育における分身ロボットの活用については、昨年度から肢体不自由特別支援学校二校においてモデル事業を実施していますが、オンライン教育やICT機器の利活用により、より多くの児童生徒の学習機会の確保を一層積極的に進めていただくことを要望いたします。
 最後に、新学習指導要領で実現を目指している主体的で深い学びですが、私はこれを、社会問題を自分事として向き合う姿勢、世界の物事に対するオーナーシップの育成であると考えます。
 予算特別委員会の質疑でも取り上げましたが、昨年、日本財団が実施した十八歳意識調査では、日本の若者は突出して、自国の社会問題を解決する意欲が低いことが明らかになっています。国や大学がどんな社会課題に取り組んでいるかを知らないまま、大学名だけで進学をしているのです。
 自分はどんな問題にチャレンジするのかの問いに反応するかしないかは、学力とは関係がありません。課題設定、解決のサイクルを小さくてもいいから回し、少しずつ大きな課題に取り組む。その結果、先生がついていなくても勉強ができるようになる。そうなれば先生だって楽なはずです。
 答えがある問題は、テクノロジーが教えられます。AI型ドリル教材の活用などにより、知識習得は効率化し、生み出された時間は、探求活動、PBL、プロジェクト・ベースド・ラーニング、行事などの、先生や友人とのかかわりの中で学ぶ時間に充てていただきたいと思います。
 OECD生徒の学習到達度調査でも、ウエルビーイングが調査項目に入るようになりました。あるエドテック事業者が、学校のデジタル化にKPIを置くなら、学校が楽しい子供をふやしたい、小中高の十二年間、不幸せとかはよくない、学校のおかげで人生が変わった、幸せになる教育を実現したいというふうに話していました。
 デジタルだから冷たいではなく、デジタルだから、より温かい教育、一人一人に合った教育、そして、探求、協働の機会の増加が可能になります。
 感染予防対策としての休校措置というピンチをチャンスと捉え、学校のデジタル化、教育でのICT利活用を積極的に進め、一人一人に個別最適化された教育の実現、そして、ソサエティー五・〇時代を生き抜く力の育成に結びつける取り組みを求めて、質問を終わります。

○うすい委員 よろしくお願いします。私の方からは、初めに学校再開後の教育について伺いたいと思います。
 初めに、今回の新型コロナウイルスの影響で、学校において三カ月にわたる長期の休業が続いたわけであります。緊急事態宣言が解除されまして、ようやく六月一日から学校が再開をされました。
 読売新聞とNTTデータがともに、生徒や学生と推定される約五十万件の、休校となっていた三カ月間のツイッターでの投稿について、感情の変化を分析したわけでございますが、当初はうれしいだったものが、中ほどは不安に変わり、そして、現在は楽しみがふえているということであります。やはり、学校が再開することで懐かしい友達に会えるなど、感情が楽しみに変わってきたものだと思います。やはり、感情、そしてまた、心というものは、環境によって大きく変化をするものであります。
 学校再開後の今、やはり大切なのは、今まで一人で行ってきた家庭学習から集団でのものになるわけでありまして、子供たちの心のケアというものが非常に重要である、そう考えます。
 都の教育委員会の見解を伺います。

○増田指導部長 これまで、子供たちは長期にわたり自宅等で過ごしてきたため、学校再開後、生活環境が大きく変わることによる不安や、人とのかかわりから生じる悩みなどを抱えやすい状況にあります。こうしたことから、最優先で子供の心のケアを行うとともに、人と人との心のつながりを重視する取り組みを推進していくことが必要でございます。
 そのため、都教育委員会は、学校の再開に当たり、学校に子供へのアンケート様式を示し、学級担任等が全ての子供のストレスの状況を把握した上で、心配な様子が見られる子供やその保護者には、スクールカウンセラーとの面接を早期に行うように求めました。
 また、感染症にかかわる偏見や差別、いじめを防止するため、互いに支え合い、困難を乗り越えることの大切さなどを理解させるための実践例を示すとともに、感染の拡大防止に尽力する方々等への感謝の念を育む教材を開発し、学校での活用を促したところでございます。
 こうした取り組みを通して、子供たちが安心して学校に通うことができる環境の充実を図ってまいります。

○うすい委員 とても大事な視点でございますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 今回の補正予算で、新型コロナウイルス感染症対策として、各都立学校にサーモグラフィーを導入するための経費が計上されております。
 そこで、学校では、サーモグラフィーを活用して、場所とか、時間とか、どのように熱をはかるのか。また、熱があった場合はどう対応し、また、仮に熱があった生徒に対して、いじめや偏見などが絶対あってはならないと思うわけでございます。
 どのようにいじめや差別、偏見を生まない体制づくりを行っていくのか、見解を伺います。

○谷都立学校教育部長 各都立学校では、生徒が登校する際に通過する昇降口等で検温できるよう、サーモグラフィーを設置してまいります。
 サーモグラフィーによって発熱が疑われる場合は、生徒を落ちつかせ、別室で再度検温を行い、生徒の体調を確認いたします。その上で、当該生徒の保護者や主治医と相談し、帰宅または医療機関での受診等の指示を行うなど、適切に対応してまいります。
 また、生徒の発熱等が確認された場合に、いじめ等が行われることのないよう、都教育委員会は、予防に注意していても感染してしまうことがあることや、感染した人の回復を願って応援することなどについて、学校再開直後に生徒に伝える実践例をお示しし、学校における指導の徹底を図っております。
 こうした取り組みに加え、生徒がいつでも気軽に相談できるよう、学校外の相談窓口として、都教育相談センターでは、二十四時間受け付けの電話相談や中高生対象のSNS相談を実施しております。

○うすい委員 今、答弁いただきました。ぜひそうした徹底をよろしくお願いしたいと思います。
 いじめや偏見、そして差別を生まない、そのためにも、学校再開に当たりまして、児童生徒が新型コロナウイルス感染症について正しく理解をして、正しく恐れるよう、指導する必要があると考えるわけでありますが、都教育委員会の取り組みについて伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 学校の再開に当たっては、感染予防のための適切な行動が自分や周りの人の命を守ることにつながることを児童生徒が理解できるよう、指導することが重要であります。
 そのため、都教育委員会は、本年五月二十八日に策定した新型コロナウイルス感染症対策と学校運営に関するガイドラインにおいて、新型コロナウイルス感染症の理解を促す指導を発達段階に応じて行い、その上で、三つの密の徹底した回避、手洗いの励行や、せきエチケットの徹底に関する指導を行うよう示しております。
 また、保健の授業の年間指導計画を見直して、病気や感染症の予防について早期に取り扱うことや、新型コロナウイルス感染症の予防に関する指導例を示した文部科学省の保健教育指導資料である新型コロナウイルス感染症の予防を活用することについて周知をしており、児童生徒が新型コロナウイルス感染症について正しく理解し、適切な行動がとれるよう、各学校における指導の充実を図ってまいります。

○うすい委員 ぜひ正しく認識をして、正しく恐れる、そういう教育をしっかりとお願いしたいと思います。
 次に、区市町村立学校におけるICT環境整備についてお伺いいたします。
 新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い、家庭でのオンライン学習が進められております。
 一方、国では、本年四月に補正予算が成立をしまして、GIGAスクール構想において、一人一台端末の早期実現に向けて、さらなる支援が行われるということであります。
 都では、五月七日の知事専決処分によって、区市町村に対して、児童生徒が使用する家庭学習用の端末、四万二千台を調達し、貸し出しを行うための予算を計上したわけであります。
 そこで、国のGIGAスクール構想により一人一台端末の実現を進める中で、都教育委員会が今回端末を調達し、区市町村に貸与する理由と、台数の根拠についてお伺いいたします。

○岩野企画調整担当部長 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、学校の臨時休業が長期化したことから、国は、GIGAスクール構想において、当初、令和五年度までとしていた小中学校への一人一台端末の整備について、本年度中に前倒しました。
 この整備には一定の期間を要することから、今般の臨時休業中においても子供たちの学びをとめないよう、都教育委員会は、緊急の対応として、オンラインによる家庭学習環境の整備を行うことといたしました。
 具体的には、児童生徒の各家庭にある端末の活用を促すとともに、学習用端末が不足する家庭に対しては学校所有の端末を貸し出すよう、区市町村教育委員会へ依頼を行っております。それでもなお貸出端末が不足する状況があるため、今回、都教育委員会が端末を調達し、区市町村に貸し出すことといたしました。
 端末の調達台数につきましては、家庭に端末がないと想定される児童生徒数から、各学校の所有端末のうち貸出可能台数を差し引いた数を必要台数として算出いたしました。

○うすい委員 ただいま答弁をいただきまして、国と都教育委員会の整備計画の関係性について、台数の根拠を理解させていただきました。
 今回の長期にわたる学校休業の間、オンライン学習をそれぞれ各家庭で取り組んできたわけですが、ある家庭では、足立区内の方から相談を受けたのですけれども、高校生のお子さんがいて、中学のお子さんがいて、そして小学校のお子さんがいる、ただし、コンピューターは一台しかないと。でも、勉強する時間というのは、大体、同じ時間帯に勉強するわけですね。家計的には、三人のパソコンを買うお金はないと。そういう要望もいただきました。ぜひともスピード感を持って、取り組みをよろしくお願いしたいと思います。
 次に、分散登校の期間中についてお伺いをしたいと思います。
 学校が再開をされまして、いわゆる分散登校ですから、学校に登校するグループと自宅で学習をするグループにそれぞれ分かれるわけです。
 児童生徒たちは、学校再開後の分散登校期間において、家庭でどのような学習に取り組んでいるのか、また、その際、オンラインを活用しているのか、伺います。

○増田指導部長 学校再開後、各学校は、臨時休業中に家庭学習で取り組んだプリント等の確認や、学習内容の定着状況を把握するためのテストの実施等により、子供たちの学習状況をきめ細かく捉えております。
 その上で、分散登校期間中、各学校では、登校しない日の家庭学習として、学校で学習する内容と関連づけた学習や、反復練習等の補充的な学習等を設定しており、その際、動画やドリル教材などの学習コンテンツを活用したオンラインでの学習を行っている学校もございます。

○うすい委員 各学校の教材の整備状況にもよると思いますので、自宅学習においても、しばらく分散登校が続くものと思いますので、ぜひ都教育委員会としても、各区市町村の教育委員会としっかり連携をとっていただいて、よい事例等があれば共有していただいて、充実した学習の時間になるように取り組みをよろしくお願いします。
 次に、今後、第二波、第三波が来て、都立高校及び区市町村立小中学校において新型コロナウイルス感染症等が発生をした場合、学年ごとやクラスごと、また学校ごとなど、形は違っても、学校が再び臨時休業となることも想定をされるわけであります。
 臨時休業によって授業がストップした場合であっても、今回の長期休業のような授業のおくれを発生させないための体制づくりが重要であります。
 そうした体制の構築について、見解を伺います。

○増田指導部長 都内公立学校では、今回の臨時休業中に、オンラインによる教材や学習動画の配信、同時双方向型の授業に工夫しながら取り組み始め、児童生徒の学びを進めてまいりました。
 また、都教育委員会は、新型コロナウイルス感染症の第二波に備えるため、学校における学習とオンライン等の活用による家庭での学習を計画的に組み合わせた授業計画例を作成し、周知を図ったところでございます。
 今後、再び臨時休業となった場合には、今回の臨時休業中で培ったオンライン学習などのノウハウを生かして、児童生徒一人一人の学習状況を丁寧に把握するとともに、習熟に応じた個別の指導を行うなど、授業のおくれを発生させない指導体制を、区市町村教育委員会とも連携しながら、都内公立学校において構築してまいります。

○うすい委員 これ、長期、また第二波、第三波が起きた場合、今回の三カ月間の長期休業もそうですけれども、特に受験生に当たる児童生徒のお子さんたちについては、非常に不安な気持ちだと思います。そういう意味では、しっかりとこれについての都教委としての取り組みを、ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。
 今回の学校の長期休業の中で、オンライン学習ですが、私の地元の足立区の小学校などでも、先生が一生懸命、授業のビデオ撮りをしまして、授業に取り組んでいるところを拝見しました。ただ、ちょっと一方通行になって、やっぱり質問などの対応がなかなか厳しい、そういう状況もあったのも事実でございます。
 今現在は、ビデオ会議システムの同時双方向のものもあると聞いております。そこで、オンライン学習において、ビデオ会議システムによる同時双方向型の学習であっても、児童生徒が教室のように質問することができていないということも聞いております。
 今後、オンライン学習で児童生徒が十分に質問できるようにするための改善策について、都教委の見解を伺います。

○岩野企画調整担当部長 臨時休業が長期化する中でも、各学校は、子供の学びを継続させるため、家庭におけるオンライン学習を推進するクラウドサービスや民間教材等の活用など、可能なものから工夫して取り組んできたところでございます。
 都立学校で今回導入いたしました学習支援クラウドサービスには、子供が質問したいときに挙手のボタンを押したり、また、チャット形式で教員に質問を送信したりすることができるなど、児童生徒の質問に教員が丁寧に答えることが可能な機能を有しております。
 都教育委員会は、こうしたツールの活用例を収集し、都立学校や区市町村教育委員会に周知し、児童生徒の学びを充実させてまいります。

○うすい委員 ぜひそうしたツールを、スピード感を持って取り組みを進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、今定例会で我が党の代表質問で、修学旅行のキャンセル料について質問をさせていただきました。国の補正予算によるキャンセル料の支援に加えて、都は、補助上限額や対象期間の拡大とともに、語学研修や芸術鑑賞教室についても対象とすることについて、前向きな答弁があったところでございます。
 私自身も、今般のコロナウイルス感染症は、修学旅行以外の学校行事にも影響を及ぼし、キャンセルをせざるを得ない状況があったと聞いております。
 そこで、今回の補正予算におきまして、部活動等についても支援をするべきと考えますが、都の見解を伺います。

○谷都立学校教育部長 修学旅行は教育課程上の特別活動と位置づけられており、生徒は、やむを得ない事情を除き、参加することになっております。
 今回の補正予算において、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、修学旅行が中止されたことに伴い、キャンセル料が生じており、一律に保護者負担になっていることから、支援の対象としたものでございます。
 加えて、学校教育の一環として実施する部活動の合宿や海外への語学研修、また、芸術鑑賞教室や校外学習等の教育課程上の特別活動についても、同様に支援の対象に含めたところでございます。
 これら学校行事の中止等により発生いたしましたキャンセル料を支援することにより、保護者負担の軽減を図ってまいります。

○うすい委員 最後になりますけれども、先ほど質問したGIGAスクール構想との関連で、臨時休業中に整備を進めたICTを活用した教育を、小中学生に対する不登校対策としても活用するべきと考えます。
 不登校の児童生徒が、スマホやパソコンの画面からなら学校行事等に参加しやすい児童生徒もいると思います。メンタルな部分のハードルが低くなることも考えられると思います。
 都教委の見解を伺います。

○増田指導部長 不登校の子供が自立に向けて成長できるようにするためには、人とのかかわりを実感しながら、ICTを効果的に活用して学習できる環境を確保することが重要でございます。
 これまで都教育委員会は、区市町村が設置する教育支援センターに通う子供が家庭でも使用できるタブレット端末や学習ソフトの購入経費を補助するなど、教科学習等を充実させる取り組みを行ってまいりました。
 今回の臨時休業中には、不登校の子供が他の子供と一緒に、担任が実施するオンラインでの朝の会に参加した事例等が区市町村教育委員会から報告されております。
 今後、こうした事例を学校に周知するとともに、GIGAスクール構想を踏まえた一人一台端末の整備や、教育支援センターにおけるICT環境の整備に対する補助を一層促進するなど、オンラインの活用による不登校の子供の学びの機会の充実を図ってまいります。

○うすい委員 ぜひ不登校の支援につなげていただきたいと思います。
 ピンチをチャンスにとの発想と、そして、一人の児童生徒のためにというSDGsの精神で、教育の分野においても、新しい日常の構築を目指して取り組んでいただきますことを要望しまして、質問を終わります。

○星見委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十二分休憩

   午後三時十分開議

○星見委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○柴崎委員 私からは、まず初めに、先ほどご説明いただきましたが、追加議案として、タブレット端末等の買い入れについて質疑をさせていただきたいと思います。
 五月七日に都知事が行った補正予算の専決処分で、家庭学習用パソコン等がない区市町村立学校の児童生徒への端末貸し出しのための経費ということでございまして、端末四万二千台、額にいたしましては約五十六億という補正予算が決定されたわけでございます。
 あえてこの場で申し上げておきますけれども、予算は、議会で十分な審議を経て、議決により決定するべきものでありまして、知事の専決処分は、あくまでも例外的なものでありまして、努めて慎重になされるべきであるということを申し上げておきますが、ここで--四月下旬には臨時会が設けられまして、五月末からということで第二回定例会が開会されたわけであります。こうしたわけで、なぜ五月七日に専決処分をしてまで本補正予算を編成しなければならなかったのか。
 計画的に対応していれば、これは急ぎであれば、また臨時会での審議もできたのではないかなと率直に思うわけでありますが、教育庁のお立場としての見解を伺いたいと思います。

○岩野企画調整担当部長 新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、国が三月二日から全国一斉休校を要請したことを受け、都内区市町村立学校では、春季休業期間前まで臨時休業となり、さらに、五月六日まで臨時休業が延長されました。
 臨時休業が長期化する中で、都教育委員会は、児童生徒の学びをとめないよう、ICTを活用した家庭での学習環境の整備を進めることといたしました。
 区市町村教育委員会に対しましては、児童生徒の各家庭が所有する端末の活用を促すとともに、家庭に対して学校所有端末等を貸し出すために必要となる経費への補助を、四月下旬の臨時会において補正予算として編成し、支援を行ってまいりました。
 その後、国の緊急事態宣言、都における緊急事態措置が延長され、学校の臨時休業もさらに延長することとなりました。
 こうした中、子供たちの学びへの支援を一層強化する緊急対応として、区市町村立学校が所有する端末を貸し出してもなお不足する台数を都教育委員会が調達し、区市町村へ貸し出すことといたしました。
 今定例会におきまして、専決に係る補正予算につきましてはご報告するとともに、端末の調達に関する契約につきましてはご審議いただいているところでございます。

○柴崎委員 今、答弁いただきました。これからまた審議をするわけでありますが、いずれにしても、今、教育庁としての考え方を確認させていただきました。
 この問題というのは、あくまでも議会と首長との問題ということで我々も認識しております。我が会派といたしましても、今回の専決処分につきましては、やはり問題意識を持っているということを、あえてこの委員会の中でも申し上げさせていただきまして、この質疑は終わらせていただきたいと思います。
 続きまして、今月の一日から、いよいよ小中学校、都内の区市町村立小学校、中学校とも、それぞれいろんな形があろうかと思いますけれども、再開をしたところでありまして、それぞれが比較的順調に推移をしているというふうにお伺いをしているところでございます。
 こうした中で、子供たちに豊かな心を育むために、授業再開後の取り組みについてお伺いをしていきたいと思っております。
 先般、我が会派の宇田川聡史議員が代表質問をいたしました。この代表質問では、感染抑止期間は、ソーシャルディスタンスは不可欠であるが、コロナを教訓として、次世代を担う子供たちへ公衆衛生に対する正しい知識と理解を醸成することを通じて、子供同士、家族間の心の距離を近づけるための教育機会とすべきだというふうに考え方を述べさせていただきました。それに対しまして、人と人の心のつながりを重視する取り組みを推進していくとの答弁をいただいたところであります。
 今年度から全面実施をされました新小学校学習指導要領におきましては、知、徳、体、このバランスをよく育てていくための手だてとして、主体的、対話的で深い学びが位置づけられている。
 このような学びが取り入れられながら、学校再開後の今、人と人の心のつながりを大切にするといった豊かな心を育む教育をどのように進めていくべきか、都教育委員会の見解を伺いたいと思います。

○増田指導部長 長期にわたる休業期間をさまざまな思いで過ごしてきた子供たちに対しては、これまで以上に子供同士や教師と子供の心のつながりを大切にしながら、教育活動を行っていくことが求められております。
 これまで各学校では、道徳教育などを通じて、子供たちが人と人とのつながりを大切にできるよう、思いやりの心や感謝の念、家族愛、生命を尊重する態度といった豊かな心を育んでまいりました。
 学校再開後、各学校では、これまでの実践を生かしつつ、感染症対策を十分に講じた上で、授業においてプリント教材やICT機器を活用して、互いの考えを交流、共有し、自己の考えを深めることができるようにするなど、互いのつながりを大切にしながら子供たちの豊かな心を育み、さまざまな工夫に取り組んでおります。
 今後、都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携し、各学校の取り組みを一層支援してまいります。

○柴崎委員 今答弁いただきましたように、今までよりも、またさらに増して市区町村教育委員会との連携をぜひ図っていただきたい、そんなふうに思うわけでございます。
 そして、子供たちの豊かな心を育むために、新小学校学習指導要領に沿った授業をしっかりと推進していただきますように、都教委といたしましてもお力をいただきますことをお願いいたしまして、私からの質疑を終わらせていただきます。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。私からも、今回の補正予算と専決処分について伺います。
 まず、衛生資材についてです。
 教育庁では、今回の補正予算で、サーモグラフィーとアクリル板を都立学校に整備するとともに、区市町村立学校での整備に対する補助を出すということで、約三十五億円の予算をつけています。
 児童生徒たちの体温を迅速にモニターすることや飛沫を防ぐということで、感染拡大防止に資するものだと思いますが、まず、アクリル板についてですが、実際には各学校にどのくらいの規模で配布されるのか、また、どのような場所で使うことが想定されるのか、伺います。

○谷都立学校教育部長 都立学校分といたしまして、アクリル板は、今回の補正予算案に一万一千枚分を計上してございます。
 使用する場所でございますが、飛沫防止のため、普通教室などの教壇と、児童生徒に相対して接する進路指導室や相談室等のテーブルに設置することを想定しております。

○斉藤委員 各学校の普通教室等の教壇と、進路指導室や相談室等のテーブルに設置することが想定されているということです。一定時間、対面する場面で利用するということだと思いますが、全ての普通教室に設置するということですので、特に、子供たちがぶつかって、けがなどをしないように、安全面での注意を促して活用していただくよう、配慮もしていただきたいというふうに思います。
 このアクリル板とサーモグラフィーについて、各都立学校への配布までのスケジュールの見通しについて教えてください。

○谷都立学校教育部長 各都立学校にサーモグラフィー及びアクリル板を、おおむね六月中に、順次、配布、設置する見込みでございます。

○斉藤委員 六月、今月から、順次、配布、設置をする見込みということです。今回の議決後に、直ちに契約ができるように準備も進めているということを伺いました。早ければ今月中にも現場にも届くということかなと思いますが、設置に当たっては、現場で人手の問題など大変なこともあるかと思います。都教育委員会として、学校現場にきめ細やかな対応をしていただくようにお願いをしたいと思います。
 そのほかの衛生資材でも不足しているという声があります。例えば、学校が段階的に再開している中で、子供たちの、生徒たちの手洗いの機会がふえて、ハンドソープなどの石けん類が足りなくなるということを学校現場の方から聞いています。消毒液についても、継続して補給が必要になってきます。さらに、熱が出た児童生徒に対応するための別室の確保などが必要だったり、現場の実情に合わせて、必要なものがさまざまあるかと思います。
 今後も、何が求められているか、現場の声をよく聞いて、都教育委員会としての支援を強化していただくことを要望いたします。
 次に、オンラインの整備にかかわる予算について伺います。
 五月七日に行われた専決処分では、これまでの都立学校等への予算に続いて、区市町村立学校におけるオンライン学習等の環境整備に向けた緊急支援に約八十四億円が盛り込まれました。
 また、今回の補正予算では、都立中学校と中等教育学校前期課程における一人一台端末整備と、都立学校へのモバイルルーターの配備のために、予算八千万円が盛り込まれています。
 知事は、所信表明でもオンライン教育の推進について強調し、教育庁でも重点的に予算を充てています。オンラインの整備が進めば、休校や分散登校が続く中で、活用できる範囲は広がるものと思いますが、しかし、オンラインさえあれば学びの保障になるのかどうかということは、冷静に見ていかなければならないと思います。
 子供たちの発達の段階を踏まえた検証も必要です。
 オンライン教育について、この間、寄せられた声から伺っていきたいと思います。
 まず、今回の補正予算には、都立中学校、中等教育学校前期課程の生徒に一人一台の端末を整備する予算が入っていますが、クラウドは、高校と同じものを全校で使えるようにするというふうにも聞いています。
 具体的なそのツールについて伺います。

○岩野企画調整担当部長 都立学校で利用する学習支援クラウドサービスは、マイクロソフトオフィス三六五でございます。
 このクラウドサービスは、ワープロソフト、表計算ソフト、プレゼンテーションソフト、ビデオ会議ソフト、デジタルノートソフトなどを備えた学習支援ソフトでございます。

○斉藤委員 マイクロソフトのビデオ会議システムのチームズを含めたクラウドサービスを使うということですが、個人が所有するIDで双方向の対話ができるということで、高校生の間でも、この利用が今進められているというふうに伺っています。
 ご存じのとおり、高校生には、今、クラッシーを初めとするクラウドサービスの利用が進められています。私はこの間、休校中の間、高校生や保護者の方々に、この一斉休校中に、何に一番困っているかということを伺ってきました。そうした中で、高校生とその親からは、口々にクラッシーが使えなくて困っているということが語られました。
 ご存じのとおり、クラウド上で課題の配布と提出などを行うクラッシーは、先月、エラーの続出でつながらない状況が続きました。指定された課題の確認の時間にアクセスしようとしても、全然つながらなくて、いらいらしてしまった、何とかしてほしいという声が多く寄せられました。
 また、四月には、不正アクセスによって、利用者のIDと暗号化されたパスワードが流出するという事件もあり、自分の個人情報が流出してしまうのではないか、信頼していいのかという声も届きました。
 全国では約百二十二万人の高校生が使っているといわれているクラッシーですが、都立学校では、現在、何人が利用しているのでしょうか。

○岩野企画調整担当部長 都立学校における現在の利用者数は、約九万四千人でございます。

○斉藤委員 都立学校の生徒全体では約十五万人ということですから、そのうちの六割以上もの学生が使っているということです。
 一時つながらなかったことについてClassiは、接続できないのは、データを格納しているサーバーの容量が想定を超えたためとして、弊社の想定の甘さが招いたことと、おわびを発出しました。
 しかし、ベネッセが営業を行うクラッシーは、利用者拡大のために、今の高校三年が大学入試に利用する調査書の一部として必須と、大々的に宣伝し、安倍首相が全国一律休校を要請した翌日の二月二十八日には、一部サービスを無償提供というファクスを未導入の高校に送付し、さらに、経済産業省がつくった学校休業対策のホームページ、学びを止めない未来の教室でも無償提供を宣伝し、利用者をふやしていました。
 私は、高校生から、利用者をふやしておいてパンクするなら、やらせないでほしいと、直接、お話を伺いました。
 一時サービスがつながらなかったことや不正アクセスの事件等について、都教育委員会では、現場の教員や高校生からどんな声を聞いているでしょうか。

○岩野企画調整担当部長 クラッシーなどの学習支援クラウドサービスは、休業中または休業明けの学習支援や生徒との連絡等において活用することを想定していたものであるため、安定的に利用できるようにしてほしいという学校や保護者からの要望がございました。

○斉藤委員 安定的に利用できるようにしてほしいという要望があったということです。
 クラッシーの利用料金は、通常、保護者負担で年間三千九百六十円ですけれども、使えないのにお金を取らないでほしいという保護者の声や、教員からは、全ての高校生のご利用をといいながら、全ての高校生が利用したら困るものを売っていたということだ、高校生のやる気を失い、負担増で教員の健康破壊を促進するようなシステムを売ることはあってはならないという声も届いています。都教育委員会には、しっかりと現場の声を聞いていただくことを求めます。
 このふぐあいや不正アクセス等の問題について、どう解決を図っているのか、また、ほかのサービスなら同じ問題は起こらないのか、都教育委員会の見解を伺います。

○岩野企画調整担当部長 Classi社に対しましては、不正アクセスやつながりにくい状況につきまして、現状報告や早急な改善を求めてまいりました。
 その結果、攻撃への対策をさらに高度化するなどのセキュリティー対策や、サーバー等の設備増強を図り、データ処理量を増加するなどの対応がされており、現在は問題なく利用できているところでございます。
 不正アクセスは、悪意ある第三者による攻撃が原因であり、つながりにくくなったことは、全国的な通信量の急激な増加が原因と聞いております。いずれも、他のサービスにおいても起こる可能性があると考えております。

○斉藤委員 ほかのサービスにおいても起こる可能性があると。
 さらに伺いますが、クラウドには生徒の個人情報が蓄積され、こうした不正アクセスや情報漏えいの危険に生徒たちはさらされている状態ですが、事件や事故が起きたときに、責任はどこが負うのか。
 今回の件についても、利用促進を行ってきた都教育委員会の責任は重大だと思いますが、見解を伺います。

○岩野企画調整担当部長 事件や事故が生じた際の責任は、その原因分析などを通じ、個別に判断されるべきものです。
 なお、学習支援クラウドサービスの利用に関しましては、安全かつ適切な利用環境のもとで運用することが必要でございます。
 そのため、都教育委員会は、学習支援クラウドサービスの利用に当たっては、利用を希望する学校に申請を求め、セキュリティー上の十分な対策が講じられているサービスであること、利用する学校において情報セキュリティーに関する体制が確保されていることなどを確認した上で許可することとしております。

○斉藤委員 先ほどからのご答弁から、クラッシーは、現在は問題なく利用できているということですが、さらに、今、平然とご答弁がありましたけれども、クラッシーにしても、ほかのサービスにしても、不正アクセスや通信障害が起こる可能性があるということを認めていらっしゃるわけです。
 これ、可能性どころか、結構、頻繁に起こっているというのが、このベネッセだけでも、その実態を示しているわけです。生徒の個人情報を、膨大な情報を蓄積しているわけですから、これはやはり、起こり得ることだから仕方ないということで済む話ではないと思います。
 都教育委員会が取り組むことなので、膨大な量ですし、センシティブな個人情報です。しかも、蓄積したデータは誰のもので、その扱い方をどうするのか、権利の保護についても、何も確立されていないわけです。そういう中で、不正はあり得る、それから、通信障害もあり得る、そんな状態で生徒たちの大切な個人情報を扱っているということ自体、大問題だといわなければならないと思います。
 こうしたことについて、都教育委員会として、見直しを含めて検討をしていただきたいと思います。システムの利用は慎重にしていくべきだということを申し上げたいと思います。
 このシステムと連動した大学入試のあり方も問われています。
 国は、二〇二一年度の入試で主体性評価を導入するとしていますが、クラッシーは、そのための学習記録を書き込むためのシステムでもあります。生徒たちが一年生のときから書きためている記録、いわば膨大な個人情報が流出などの危機にさらされるような、今のようなシステムと連動した主体性の評価を大学入試で行うということは問題だといわなければなりません。
 そもそも、主体性の評価を客観的に、公平に行えるのかということ、その評価を目的に、生徒たちの活動が画一的なものになっていくのではないかと、根本的な問題があります。
 今、高校生たちは、三カ月の休業を余儀なくされた中で、今度の大学入試がどうなるのか、大きな不安を抱えています。新しく導入される予定の主体性の評価だけでなく、入試の出題範囲がどうなるのか、心配する声が多く届けられています。
 都教育委員会として、大学入試のあり方について、今の高校生の声をよく聞いていく必要があると思いますが、いかがですか。

○増田指導部長 校長を通じて、都立高校生の中に大学入試に対して不安を持っている生徒がいるという話は既に聞いております。
 また、国においては、令和三年度大学入学者選抜について、現場の教員や高校生等の意向を十分踏まえて決定することが重要であるとし、現在、高校側にアンケート調査を依頼していると聞いております。
 都教育委員会といたしましては、引き続き、国の動向を注視してまいります。

○斉藤委員 校長先生たちを通じて、大学入試について不安を持っている生徒がいるということは聞いているということです。大学入試のことだからと国任せにするのではなく、高校生に一番の責任を負っている都教育委員会として、きちんと当事者の高校生たちの声を聞いていってほしいと思います。
 特に我が党は、生徒の主体性を点数化して大学入試の合否判定に使うことについて、国会でもその問題点を指摘してきました。主体性評価の実証事業の例では、部活動の部長をやれば十点、副部長なら五点、生徒の役職歴や活動実績を点数化していくものです。
 これに対して、生徒や教員から、家の手伝いは評価にならないのかとか、主体性が合否判定に結びつけられると、生徒たちの活動が打算的になる、こういう懸念の声が上がっていて、我が党は中止を求めています。
 主体性を評価するとして、生徒の活動データをクラッシーに蓄積し、入試と結びつけているのがJAPAN e-Portfolioです。一般社団法人教育情報管理機構が運営し、大手教育関連会社のベネッセが運営をサポートしています。この機構には、連携し蓄積した情報を活用して事業を行うとして、その中には、ベネッセを初め、リクルートなどの関係企業が名を連ねています。
 この機構が、文科省の指示、承諾があれば、個人情報の目的外利用や第三者提供も可能とする協定を同省と結んでいるということを、私たちは国会の質疑で明らかにしています。こういう危険に高校生たちをさらしていくようなことに行政が加担していくようなことは許されません。
 民間企業のもうけのために、高校生の個人情報がこのシステムに集められて、活用の歯どめもないというのが実態だということを我が党は指摘しました。それに対して萩生田文科大臣は、その指摘を踏まえ対応していくという答弁をしています。
 大学入試改革では、英語民間試験の活用や、国語、数学の記述式問題の導入が、教育現場や高校生からの大きな批判を受けて、既に延期、見送りになっています。この主体性評価についても、しっかりと都教育委員会として高校生たちの声を聞いて、国にそれを届けていく、そういう役割を果たしていただきたいというふうに思います。そのことを強くお願いしておきます。
 次に、オンラインについて、小中学校に関連して伺います。
 国は、今回のコロナ禍において、一人一台端末のGIGAスクール構想を前倒しで行い、東京都も、今年度中に整備をしていくための予算措置を行っています。
 まず、小中学校での一斉休校中のオンラインの活用状況と活用例について伺います。

○岩野企画調整担当部長 都教育委員会では、今般の休業期間中における学校のオンライン学習の実施状況を把握するための調査を行っております。
 具体的には、オンライン学習について、同時双方向のやりとりを集団で行うオンライン授業型、一対一で行うオンライン個別指導型、動画配信型、課題配信型、民間事業者等の教材を利用する外部サービス活用型の五つに分類し、取り組み状況を質問いたしました。
 調査結果では、五十八区市町村教育委員会で、オンライン学習のいずれかの取り組みが行われております。
 取り組み例といたしましては、同時双方向で教員と児童生徒がやりとりを行う朝の会や、学習支援ソフトを活用した課題配信等がございます。

○斉藤委員 島しょ地域を除いて、何らかの取り組みが行われているということです。
 事前に伺ったお話ですと、同時双方向のやりとりを集団で行うオンライン授業型という類型が今ありましたけれども、実際は、授業というよりも、朝のホームルームなどでの活用が主だったというふうに伺っています。
 実践できたのは少数の学校だったということですが、実際には友達や先生と会うことができない中で、こうしたコミュニケーションツールとして使うことで、子供同士や先生とのつながりを感じることができるというのは、一定、よい効果が得られるものだというふうに思います。
 そのほか、一番多い取り組みは、課題配信型、そして、動画配信型だとも伺いました。私も先生方がつくった動画授業を拝見しましたが、創意工夫を凝らした授業もあって、その取り組みに心が温まるようなものもありました。
 しかし、特に小学生がどこまで動画や課題でみずから学習できるかということは、疑問というか、難しいのではないかということを小学校の先生から伺いました。まだ勉強のために自律的なコントロールができない小学生が、計画的に時間を守ってみずから学習するということは、ほとんど無理だろうということでした。
 それは、私の息子は、今、小学校四年生なんですけれども、自分の息子を見ていても、実感を持って納得できるものです。オンラインの環境があっても、じっと座っていられないという子供たちの現状もあります。
 ゴールデンウイーク明け以降に、各家庭には時間割り表のような課題の計画表が届いて、こんなにできない、勉強することが嫌になっちゃうなど、悲痛な声がネット上で多く上がりました。
 我が党で行ったアンケート調査でも、プレッシャーを感じてしまう、親がついていないとできない、宿題が多過ぎという声が次々と寄せられました。
 しかし、それがオンラインならうまくいくのかというと、そうでもないという現実も見えてきます。動画の配信があって、それで授業が行われていても、集中して見続けることは難しい、あるいは、最初から見てくれないという保護者の声もたくさん伺いました。
 オンラインの環境さえあれば、それで学びの保障になるわけではないということ、また、教育の目的は人格の形成にあり、健やかな心身の発達のためには、特に小さな子供たちには、人とのかかわりが欠かせません。
 知事は所信表明で、人と人との接触で広がるウイルスを封じ込めるために、暮らしや働く場における新たな習慣として、新たな日常を定着させることが不可欠であるとして、オンラインによる教育を強調していますが、都教育委員会では、オンラインの環境さえあれば、小さな子供たちに対して、対面での授業のかわりになるという認識なのかどうか、伺います。

○増田指導部長 臨時休業中の児童生徒が学校に通うことができない状況において、オンラインの活用は、一人一人の健康状態や学習状況を把握したり、家庭学習の課題を提示したりするための手段として有効であります。
 学校再開後、学校における新たな日常の定着を図る中で、個人でも実施可能な内容については、オンライン等を積極的に活用して家庭での学習として行い、学校での学習は、教員と子供や子供同士のかかわり合いを通した活動に重点化するなど、家庭と学校、それぞれの学習をバランスよく組み合わせていくことが重要であると捉えております。

○斉藤委員 家庭学習の課題を提示したりするための手段として有効というご答弁ですけれども、課題を出す側はそうかもしれないですが、受け取る側で、それが本当に実際に勉強できるのかどうかというのは、きちんと検証していただきたいと思います。何もないより、いいという議論はもちろんあると思いますが、それで学びの保障になるということとは違うということを再度申し上げたいと思います。
 国連の子供の権利委員会は、新型コロナ感染症に関する声明を出して、オンライン学習について言及しています。オンライン学習が、既に存在する不平等を悪化させ、また、生徒、教員間の相互交流に置きかわることがないようにすることと提言しています。四月の臨時議会の討論で、とや都議も述べたとおりの内容ですが、この立場に立って、コロナ禍、そして、コロナ後の教育のあり方を考えていくことが重要だと思います。
 都教育委員会の見解を伺います。

○増田指導部長 これまでも、そしてこれからも、学校において、教員と子供、子供同士のかかわり合いは大切なものであると捉えております。

○斉藤委員 今のご答弁は大切にしていただきたいと思います。
 子供の権利委員会の声明には、さらにこう記されています。オンライン学習は、教室における学習にかわる創造的な手段ではあるが、テクノロジーもしくはインターネットへのアクセスが限られている、もしくは全くない子供、または親による十分な支援が得られない子供にとっては課題を突きつけるものである、このような子供たちが教員による指導及び支援を享受するようにするためのオルタナティブな解決策が利用可能とされるべきであるということです。
 インターネットへのアクセスが限られている、もしくは全くない子供に対しては、今、大々的に予算を充てて整備を図っているところです。しかし、親による十分な支援が得られない子供というのは、共働きで親が日中にいない多くの家庭が含まれます。紙で出される課題と同様に、小さな子供たちへは、親の支援がなければ、あるいは、あっても、このオンライン授業は難しいということ。
 これで学校での学びのかわりになるということで進んでしまうのであれば、格差が広がりかねない、そういうものだという警鐘を鳴らしているわけです。だからこそ、そのための、子供たちに安全な学校での学びの保障を可能にする取り組みも求められているということです。
 学びについての知事の所信表明がオンライン学習の推進に終始したのは残念ですということは、我が党が代表質問で述べたとおりです。先ほどは、学校において、教員と子供や子供同士のかかわり合いは大切なものであるというご答弁でした。重要な視点だと思います。今後の教育の中でもその機会を最大限に実現していくために、求められていることがたくさんあります。
 子供たちが学校に通い続けるようにするための条件整備、その一つが、少人数編制のための教員の加配です。多くの学校では、今週から分散登校が始まり、現場では、教員の皆さんが少人数編制の対応にご苦労されています。コロナとの共存が長期化することが想定される中で、学校においての教員の負担に配慮しながら、密集状況をつくらないためにも、教員をふやして対応していくことが求められています。
 我が党は代表質問において、国が補正予算案に盛り込んだ少人数編制のための教員加配三千百人分を積極的に活用することを求めました。教育長は、この制度を活用して、教科指導に必要な時間講師を追加で配置するなど、校内体制の整備を図ることとしたと答弁されました。重要なご答弁だと思います。
 本来であれば正規教員を加配していただきたいところですが、一教室二十人にして、午前と午後に分けて、同じ授業を二回するなど、授業時間数もふえるわけですから、時間講師の加配も本当に助かるというのが現場の声です。
 時間講師の加配は、具体的にどのような手続で行うのか、伺います。もともと学校が講師を探すのに大変な苦労をしていますが、すぐに見つからない場合もあると思いますが、どうするのでしょうか。

○浅野人事部長 時間講師については、学校が必要な時数を理由とともに申請し、承認を得た上で、任用候補者との間で採用に向けた手続を開始いたします。
 また、一週間当たりの勤務時間数の上限を二十六時間から三十一時間へと、一時的に引き上げることといたしました。これにより、新たな講師を探さなくても、現在、学校で任用されている時間講師の一層の活用を図ることも可能でございます。

○斉藤委員 今回も、学校が自分の学校には何時間分の講師が必要だと申請して、講師も学校が探すということです。
 また、一人の講師の先生が教えられる時間数をふやすということで、これは講師の方に無理強いするようなことがあってはならないというふうに思いますが、既に着任し、学校の様子をよく知っている方が協力してくだされば、学校も心強いと思います。
 学校は講師の加配を待望しているところですが、区市町村におろした通知を拝見させていただきましたら、講師を配置してもらえるのは、校内調整を行っても、なお講師時間数が必要となる場合となっています。この意味について教えてください。

○浅野人事部長 時間講師は、三密を回避した段階的な教育活動の実施に当たり、現行の人員体制では対応できない場合に措置することを原則としております。
 ただし、時間割り編成上の都合など、校内調整が困難な場合においては措置することとしております。

○斉藤委員 今のご答弁で、例えば、正規の職員が一週間に受け持つことのできる授業時間数、すなわち、持ち時間の上限、二十六時間となっていますが、分散登校などで授業数がふえた場合に、二十六時間まで教えて、それでも不足する場合でないと加配は受けられないということではないということが確認できました。
 また、一つの学校が受けられる加配の時数に上限はないということです。
 持ち時間の上限を超えているかどうかは問わず、時間割り編成上の都合などで、今いる先生で対応できなければ講師を加配するということ、また、学校が必要な時数を加配し、特に一校当たりの上限などもないということで安心をしました。
 三カ月も休校した後に、やっと学校を再開し、子供たちはうれしい反面、学校で感染しないか、友達とうまくやっていけるかなど、不安でいっぱいで、心のケアが欠かせません。学習面でも、家庭学習の状況はさまざまですから、どの子も、きちんとわかるまで学校で教えていく必要もあります。場合によっては、福祉的な対応が必要な子供もいます。再開後の学校は、授業だけでなく、こうしたことを一人一人に丁寧に対応するなど、個別対応も含め、必要なことがたくさんある状況です。
 また、学校再開に当たり、分散登校はどのようにするのか、その段取りや、感染予防対策、年間カリキュラムの組み直しなどもしなければなりません。
 感染者が出たり、第二波、第三波が来る可能性もあり、先々の見通しが立ちにくい中で、その場その場の判断や調整が求められます。もともと長時間、過密労働なのが、さらに多忙になっているというのが今の学校の現状です。先生方が過大な負担を負うことのないよう、また、余裕を持って子供たちの教育に当たれるよう、学校が必要な講師時数をしっかり配置していただきたい、これは強く求めたいと思います。
 それから、今回でも時間講師は学校が探す必要があるということですが、これは、平常時でも、副校長先生が日常的に百本も二百本も電話をかけて、それでも見つからないということになっています。コロナ対応で大変な学校に負担を負わせるべきではないと思います。
 都や区市町村の教育委員会が探して配置できるようにすることも必要だと考えますが、いかがですか。

○浅野人事部長 都教育委員会では、年間を通じて時間講師採用候補者選考を実施しており、毎月一回、各区市町村教育委員会に採用候補者名簿を更新して送付しているほか、区市町村教育委員会からの要請に応じ、随時、その時点までの選考合格者を登載した名簿を送付し、学校現場における時間講師の確保を支援しております。
 また、都教育委員会では、例年、退職教員に対する広報誌を通じての募集案内や、教育課程を有する大学等への募集チラシの配布などの広報活動を行っております。
 さらに、今般、臨時休業終了後の学校における教育活動の再開に伴う需要増を見据え、全ての学校を通じて広く募集案内を配布したところでございます。

○斉藤委員 支援はいろいろしていただいているということですが、学校は本当に大変だというふうに伺っています。これは本当に長年の課題であるわけですが、今回の新型コロナ対応を機に、講師や産育休代替教員などは教育委員会が探し、学校には負担をかけないやり方に転換していくことを強く求めたいと思います。
 また、今回の国の補正では、正規教員換算で三千百人ということで、東京にどれぐらいの割り当てがあるのか、現段階ではわかりませんが、時間講師の加配は国の予算の範囲内としないことも重要です。学校が必要とする講師は、都が持ち出しをすることも含めて、全て配置していただくことを要望させていただきます。
 それから、国の補正予算で教員加配の対象になるのは義務教育の小中学校だけですが、高校段階にも講師の加配が必要だと考えます。いかがでしょうか。

○浅野人事部長 時間講師の追加配置については、都内公立小中学校のほか、都立高校等も対象としており、既に各学校等へ周知しております。

○斉藤委員 高校なども対象にしているというご答弁でした。しっかりと配置をしていただくことをお願いしたいと思います。
 新型コロナの影響を踏まえた対応ということでは、少人数加配などの教員も、分散登校などに合わせた活用が必要だと思います。
 都教育委員会も弾力的な活用が可能だとする通知を出していますが、正規教員の加配の弾力的な活用というのは、具体的にはどのような想定をしているのでしょうか。
 例えば、少人数指導や英語専科の加配教員が、分散登校に応じて、ほかの教科を教えることはできるということでよいのでしょうか。中学校でも、習熟度によらない少人数の授業を教えることができるということでしょうか。

○浅野人事部長 加配定数については、文部科学省より、加配の趣旨を踏まえた上で柔軟に運用することが可能であると示されております。
 この結果、加配定数を活用して、グループに分かれた学習を行うことができるとともに、小学校では指定教科以外の教科を指導することも可能となります。

○斉藤委員 もともとの加配の目的に限定しない形での活用が可能ということで、これも安心いたしました。
 学校では、子供たちをゆっくり受けとめながら、学びとともに人間関係の形成、遊びや休息をバランスよく保障する柔軟な教育が必要です。学校が目の前の子供の状況に合わせて、きめ細かく柔軟な教育ができるよう、学校現場が余裕を持てるような講師時数の加配をすること、少人数指導加配など正規教員の加配も、学校の実情に合わせた活用を応援することを重ねて求めます。
 我が党の代表質問でも強く求めましたが、コロナ後の新しい安全な学校、教育の質の向上にも資する学校をつくっていくためには、一学級の人数を四十人ではなく、もっと少なくする少人数学級こそ、東京都の進むべき道だと思います。そのための定数改善が必要です。
 今、分散登校の中で少人数編制が行われていますが、これは、多くの学校で六月下旬以降には終わってしまいます。今、大人の世界でソーシャルディスタンスの確保をと、新しい生活様式の重要な要素として、社会全体として取り組んでいるときに、子供たちの教室だけを例外にするということは、余りにもかわいそうなことだと思います。
 東京の一学級の子供の数は、世界的に見ても、全国の他県と比較しても多いということは、我が党は、この間、何回も指摘してきました。定数をふやせない、ふやしたとしても、教員のなり手が不足している、教室も足りないといわれるかもしれませんが、やらないから、教員の長時間労働も、子供の状況も厳しくなり、それを見て、教育学部の学生などに敬遠されるという悪循環にもなっているわけです。
 新型コロナ対策としても、四十人学級では、密にならず、風通しもよくして授業を行うということができません。学習や心のケアも、四十人に一人の先生と、もっと少ない人数に一人の先生では、どんなに先生が努力しても手厚さが違ってきます。
 オンライン教育も必要ですが、子供たちができるだけ登校し、三密を避けながら、人と人との生のかかわりの中で学べるような条件整備をしていくことが、今都政に求められている大きな役割でもあると思います。コロナ後の新しい学校は、少人数学級への道に踏み出していただくことを強く求めます。
 次に、エアコン設置について伺います。
 ことしの夏は、残念ながらですが、多くの学校で夏休みの短縮が行われ、暑い天候の中で、子供たちが多くの日数を学校で過ごすことになります。子供たちの健康を守り、密集をなるべく防ぐためにも、体育館や特別教室へのエアコン設置は待ったなしの状況です。
 まず、都立高校のエアコンの設置状況について、体育館と特別教室について、それぞれ伺います。

○谷都立学校教育部長 都立高校におきましては、令和元年九月一日現在、特別教室の七三・六%、体育館等の九・三%に冷房設備を設置済みでございます。

○斉藤委員 体育館については、二〇一九年度からの三カ年、つまり、来年度で全ての都立学校への設置を完了させるという計画です。昨年九月の段階で九・三%ということですので、ピッチを上げていかないといけないと思いますが、特別教室も、完了目標年度を設定して進めていく必要があるのではないかと思います。
 このことも、繰り返し我が党では求めておりますが、都立高校の体育館と特別教室について早急にエアコンを設置するために、今後の補正にも予算を組んでいくことなどを検討するべきと思いますが、いかがですか。

○谷都立学校教育部長 都立高校におきまして、体育館に関しては、先ほどお話がありましたとおり、計画年度を定めて計画的に進めさせていただいております。
 また、平成二十八年度から、調理室等の特別教室を新たに冷房化の対象に加え、当初は年間六から八校の規模で空調整備を進めてきたところでございますが、昨年度は十七校で工事を開始するなど、この間、取り組みを加速させております。
 今年度は、昨年度からの工事継続校を含みますが、二十一校での工事を予定しておりまして、残りの都立高校についても、教育活動の円滑な実施に与える影響等を考慮した上で、計画的に整備を進めようとしているところでございます。
 したがいまして、別途、補正予算を計上することは想定しておりません。

○斉藤委員 補正等で予算計上することは想定していないということですけれども、今、新しい状況になっているわけです。今、取り組みを精力的に進めてくれているというところだと思いますけれども、このコロナ禍で、生徒たちがやはり安全に学びを続けられる環境整備というのが求められています。子供たちが密集を避けて、学校にエアコンがあることで使える教室がふえるということは重要な環境整備になりますので、この点もきちんと考慮した計画をつくっていただきたいというふうに思います。
 次に、休校中に学校で給食を提供する場合の補助について要望させていただきます。
 都は四月に、予備費を活用して、休校中に子供の居場所として小中学校を活用し給食を提供する場合に、区市町村に昼食代の補助をすることを決めました。一食当たり百五十円の補助で、予算額は二億円です。
 きょう、資料で提出をいただきました、この五ページ目になります。(資料を示す)皆さんのお手元にもあるものです。これを見ますと、杉並、八王子、武蔵野、三鷹、日野、奥多摩、八丈の七自治体から事業計画書の提出があり、百三十四校での活用が希望されているということです。
 二億円の予算規模からしますと、かなり活用が少ないと感じます。活用を希望している自治体には、条件を狭めず補助を行っていただきたいと思います。
 同時に、休校中の昼食は、保護者も在宅などで仕事をしながら、朝、昼、晩、全部、一から手づくりとはいかないので、ふだんの給食費よりもお金がかかっているという実態もあります。就学援助の受給家庭は、学校があれば給食費が支給されて実質無償となっていますが、休校中はそれがないために、別に昼食代の補助を行った区市町村もあります。こうした区市町村の支援や保護者への負担軽減などにもさかのぼって補助するなどしていただきたいというふうに思います。
 今後の学校の対応について伺います。
 東京都では、ここ数日で感染者数がまた徐々にふえ続けて、感染拡大に対する不安も高まってきている中で、学校の安全をどう守っていくのか、国民がとても心配をして注目しているところです。
 衛生資材の確保や保健室の体制強化、三密を防ぐための対策はもちろんですが、万が一、感染者が出た場合の体制確保も重要です。
 五月三十一日に北九州市で五人の児童たちの感染がわかった小学校では、最初に家族からの感染で陽性とわかった児童から濃厚接触者を割り出し、全員にPCR検査を行っています。
 東京都でも、学校関係者で感染者が出た場合は、濃厚接触者をすぐにPCR検査ができる体制を関係機関と連携して確立していくことが必要だと思いますが、都の見解を伺います。

○谷都立学校教育部長 都立学校におきましては、ガイドラインに記載のとおり、校内での感染者が判明した場合には、接触者等の情報をまとめ、保健所や学校医に相談することとしております。
 その後、保健所により、校内での濃厚接触者の特定が行われ、保健所による指導助言に基づき、医療機関への受診やPCR検査などが行われることになります。
 また、令和二年五月二十九日版、国立感染症研究所感染症疫学センターによります新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領によれば、濃厚接触者は、感染した者と同様に取り扱うこととされ、全員を検査の対象にするとされております。こうした内容が、厚生労働省から衛生主管部局に既に通知されたと聞いております。
 引き続き、東京都教育委員会及び都立学校は、衛生主管部局や保健所等と連携し、適切な対策を進めてまいります。

○斉藤委員 学校内で感染者が出た場合については、保健所等の関係機関と相談して疫学的調査を行うということが、都教委が出されているガイドラインの中にも示されています。しかし、その中にはPCR検査についての言及がありませんでした。
 この間、東京都では、濃厚接触者であってもPCR検査が受けられず、二週間の自宅療養にされるということが続いていて、多くの都民が不安を持っていました。
 そうした中で、今のご答弁のとおり、国立感染症研究所が先日出した積極的疫学調査実施要領の中で、今後は濃厚接触者を全てPCRの検査の対象ということが改めて示されたということになっています。都教育委員会としても、これを踏まえて、しっかり関係機関と連携をとり、学校の安全確保に尽力していただくことを求めます。
 最後に、今後の学校運営についての基本的な認識について伺います。
 日本小児科学会は、五月二十六日に、新型コロナウイルス感染症に対する保育所・幼稚園・学校再開後の留意点についてという提言の中で、感染対策を徹底した上での学校再開であっても、誰もが感染する可能性があるとした上で、感染者や関係者が責められることのない社会をと呼びかけています。
 子供たちの活動を保障していくためにも、この立場で学校の取り組みを励まし、安全確保の支援など、現場に寄り添って行っていくことが重要だと思いますが、都教育委員会の見解を伺います。

○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 学校教育活動の再開に当たりましては、感染症対策と学校運営に関するガイドラインを策定いたしまして、都立学校では、さまざまな感染症予防策を講じます中で、感染者や濃厚接触者等に対する偏見や差別につながるような行為をしないなどの指導も行っております。
 これから一定期間、新たなウイルスとともに社会で生きていくためには、感染症予防策を講じながら、児童生徒等の健やかな学びの保障との両立を図り、学校の新しい日常を定着させていくことが必要でございます。
 各学校が児童生徒等の安全・安心の確保とともに、円滑な学校教育活動を実施できますよう、適切に対応してまいります。

○斉藤委員 学校現場では、感染への不安を抱えながら、なれない分散登校を運営するために、先生方は苦心をされています。感染者を出してはならないという強いプレッシャーを感じているということも伺っています。現場の先生方が萎縮してしまわないように、子供たちの活動を最大限保障できるようにするためにも、日本小児科学会が呼びかけていることは重要な視点だと思います。
 各学校が児童生徒等の安全・安心の確保とともに、円滑な学校教育活動を実施できるよう適切に対応していくというご答弁のとおり、現場の取り組みを尊重し、支えていただくことを求めて、質疑を終わります。

○内山委員 私からは、新型コロナウイルス感染症対策をしながら、学校がまさに今、再開をされていく中でのガイドライン等について質問させていただきたいと思います。
 微妙にかぶるところも、かすっているところもあるので、なかなかはしょれない部分もあるかと思いますが、そのあたりはご承知いただければと思います。
 まず、保健室、養護教員が行う児童生徒への新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いしたいと思います。
 何といっても、学校で何か体調不良の児童生徒が起きた際に、その対応に当たるのは保健室の先生、養護教員だと思います。
 そういった中で、こちら……(資料を示す)都教委の方で、ガイドライン都立学校バージョンと、プラスして、区市町村向けのポイント入りというものもあわせて作成をしてお配りしているということは高く評価をさせていただきたいと思います。
 その中で、先ほど申し上げたように、具体的に、保健室、養護教諭が対応する事項を整理して、さらにもう一歩踏み込んで情報提供をしていくべきだと考えますが、対策を伺いたいと思います。

○谷都立学校教育部長 養護教諭は、校内で感染症対策を含む保健指導の中心的役割を担っております。
 そのため、今回のガイドライン通知後、都立学校の養護教諭から、例えば日ごろから平熱が高い子供など、生徒別に異なる平熱に対して、発熱をどのように判断するかといった、保健指導の細部にわたる問い合わせがございました。現在、こうした問い合わせについて、関係する部署とも連携して検討し、迅速に回答をしております。
 これらの問い合わせ内容と回答を日々まとめまして、副委員長ご指摘のとおり、全都立学校が閲覧できるQアンドAを作成し、学校に速やかにフィードバックすることで、養護教諭を中心とした保健指導に生かしてまいります。
 また、区市町村教育委員会にもQアンドAの内容を情報提供することで、小中学校等においても適切な対応が図られるよう、支援してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。養護教諭だとか、もしくは学校サイドも、例えばインフルエンザだとか、ノロ対策だとか、そういったものは知見があると思うんですが、今回の新型コロナウイルス感染症に関しては、もちろん、まだまだ未知な部分がありますし、どういった対応をしたらいいのかというところがわからない部分というのは当然あると思いますし、それに対してのやっぱり精神的なプレッシャーというのは、かなり大きいものがあると思います。ぜひそういった具体的な指示または支援をしていただければというように思っています。
 さらに、具体的なところで申し上げると、例えば保健室にどういった物品をそろえていくかというのも、実は今、養護教諭任せ、学校任せになってしまっているという現状があります。
 こういったものも、例えば、今のQアンドAの中で例示をしていったりだとか、そういったことを都教委としてもしていくべきではないかなと考えますが、対策を伺いたいと思います。

○谷都立学校教育部長 都立学校での感染症対策を徹底するため、マスク、アルコール消毒液、非接触型体温計などの物品を学校が購入できるよう、四月の補正予算に計上し、既に各学校に予算を配付したところでございます。
 現在、そのほかに学校で独自に用意している物品があるかなどについて調査を行っております。
 今後、これを踏まえまして、学校が備える物品についての参考となる情報を、QアンドAを活用して都立学校に周知するとともに、区市町村教育委員会にもその内容を示してまいりたいと考えております。

○内山委員 ありがとうございます。ぜひ迅速に行っていただけるよう、期待したいと思います。
 続きまして、学校再開後の教育活動等の実施の考え方についてお伺いをしたいと思います。
 これまでも各委員の方から、これからやはり子供たちの心の部分、そういったところをどうフォローしていくか、または、どう育んでいくかというところが指摘をされていたわけでございますが、まず、お伺いしたいのは、学校行事についての考え方をお伺いしたいと思います。
 各学校では、今、全校生徒による年内に実施する文化祭や体育祭等の活動は、延期または中止をする対応としていると聞いています。
 これらの学校行事については、例えば感染症対策を行うとともに、さまざまな工夫をすることによっては、実施が可能となることも考えられると思いますが、見解を伺いたいと思います。

○増田指導部長 都内公立小中学校及び都立学校では、感染予防の観点から、分散登校や教室における座席配置の工夫等により、三つの密を避けるなどして段階的な再開を行っております。
 運動会や文化祭などの学校行事は、準備等を含めて三つの密を避けることは難しいため、都教育委員会が都立学校向けに策定したガイドラインでは、児童生徒の安全管理上の観点から、年内に予定している全校規模で実施する活動について、延期または中止することとしております。
 また、区市町村教育委員会に対しましては、このガイドラインに、学校や地域の感染状況を踏まえて、三つの密とならない計画のもとでの実施や、延期もしくは中止の判断を行うよう付記した上で周知しております。

○内山委員 ありがとうございます。今回のコロナ禍において、先ほども何名かの委員の方からもあったかと思いますが、学校が担っている役割というのは、学問だけではなくて、さまざまな子供たちの学びや成長を担っているということだと思います。
 そういった中においては、体育祭があるから輝ける子、もしくは文化祭があるから輝ける子、学校行事は、移動教室があったり、さまざまありますけれども、そういったところが子供たちの総合的な力となって育まれていくんだろうなというように思っています。
 ですので、まずは、今後、コロナ禍が、第二波、第三波が来るような状況においては、学校行事というのは、どんなに工夫しても難しい部分もあろうかと思います。さまざまな状況を勘案した中で、今、ウィズコロナのところは難しいかもしれませんが、アフターコロナが半年後になるのか一年後になるのかわかりませんが、そうなったら、その部分が二〇二〇年度はなかなかうまく行えなかったというところをしっかりと認識した上で、アフターコロナの対応も考えていっていただきたいなというように思っています。
 その中で、先ほど柴崎副委員長からあったかと思うんですが、主体的、対話的で深い学びというものの指摘があったと思います。新型コロナウイルスの感染症予防を徹底した上で--コロナ禍の状況においても、たしか五月十五日に文科省から通知があった内容では、主体的、対話的で深い学びというものも重要なので、しっかりとやっていくようにということで書かれていたかと思いますが、私の経験というか認識であると、コロナ禍の状況において、ウィズコロナの状況の中でこういったことを実現していくというのは、なかなか困難性があるのではないかなというように思っています。
 そういった中で、コロナ禍の状況において、主体的、対話的で深い学びというものをどのように実現していくと考えているのか、見解を伺いたいと思います。

○増田指導部長 各学校では、グループ活動、ワークブックや書き込み式のプリントの活用、レポートの作成、ノートへの学びの振り返りの記録、作品の制作や表現など、学習活動の工夫を行い、各教科等における主体的、対話的で深い学びの実現を図っております。
 この中でグループ活動については、生徒が近距離で対面形式となることが多く、感染症対策を講じてもなお飛沫感染の可能性が高いことから、都教育委員会は、段階的に教育活動を再開する分散登校期間においては行わないこととしております。
 今後、ICT機器を活用して、互いに画面上で意見を交換したり、協力してクラウド上で資料を作成したりするなどの主体的、対話的で深い学びの実現に向け、学校の取り組みを支援してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。オンライン学習については、これまでもるる他の委員の皆さんからご指摘または質疑があったかと思いますが、ICT機器を活用して、いわゆるアクティブラーニングを実現していくというのはまだまだ、私は、幾つか越えなきゃならないハードルがあるのではないかなと思っています。
 例えば高校生を前提にして語るのであれば、まだそのハードルは少ないのかなと思いますが、これが中学生とか、もしくは小学生となっていったときに、果たしてICT機器を活用して主体的、対話的で深い学びを実践できるかというと、なかなかこれはハードルが高いなと思っています。
 そうすると、特に小学校、中学校においては、ここでなかなか難しいですねと答弁されたグループ活動の中で、学び合いとか学びの共同体の中で、こういった深い学びを実現していくということが求められてくるわけですが、残念ながら、それが、新しい生活様式というか、こういったガイドラインの中ではできないということになっています。
 ですので、先ほど学校行事の際にも触れましたが、ウィズコロナの中では、やっぱりどうしても--工夫してできることというのは確かにあります。オンラインで何とか工夫をしようとか、さまざまな工夫がありますが、一方で、全てがそれで補填できるというわけではないです。先ほど斉藤委員もおっしゃっていましたけど、全てがそれで補填できるというわけではないんです。
 ですから、そういったところを踏まえた上で、ウィズコロナで何とか代替案を探しながら、一方で、アフターコロナでは、そういったところが、欠落といってしまうと語弊があるかもしれませんが、なかなか手当てができなかったということを認識した上で、アフターコロナをぜひ迎えていただきたいなというように思っています。
 ここまでは子供に関する質疑でありましたが、ここからは、ウィズコロナ、アフターコロナの学校教育を担っていく先生方がどうあるのかということを少し質疑させていただきたいなというように思っています。
 まず、学習指導要領にのっとって、前提としては、各小学校、中学校、高校は標準授業時数というものの中で、要するに、年間、何時間授業をしなきゃいけませんよというのが決まっています。都立学校や区市町村教育委員会は、臨時休業後の日程において、授業時数の確保を、限りなく一〇〇%の確保を優先した計画を立てているところが多いやに聞いています。
 学校の教育活動を充実させるために、教員が授業や学校行事の準備に充てる時間を考慮するなどして、無理のない教育計画を立てることが重要であると思いますが、こちらの見解を伺いたいと思います。

○増田指導部長 各学校は、臨時休業等により実施できなかった教育活動を行うため、児童生徒の実態を踏まえ、長期休業期間の短縮や、土曜日の活用等による授業日の補充や、学校で行う学習と家庭学習の組み合わせによる効率的、効果的な学習の実施など、年間指導計画の変更を行っております。
 都教育委員会は、学校教育法施行規則に定める標準授業時数を下回ったことのみをもって同規則に反するものとはされないとする国の方針を踏まえ、指導計画を変更する際は、児童生徒の負担軽減や教職員の勤務の振りかえの確保等にも配慮するよう、都立学校や区市町村教育委員会に周知しております。
 また、年度当初に予定していた内容を本年度中に実施することが困難である場合には、次年度以降を見通して教育課程を編成するなど、柔軟な対応も考えられることもあわせて周知しております。

○内山委員 今ご答弁がありました、標準授業時数を下回ったことのみをもって同規則に反するものとはされないというのは、極めて重要なポイントだと思います。
 しかし、学校現場、もしくは先生方というのは真面目ですから、十二カ月の部分が二カ月半短縮をされて九カ月半になっても、例えば、先ほどご答弁があったように、土曜日の活用だとか、長期休暇、夏休みを短縮したりということによって一〇〇%確保できるじゃないかとなった場合は、それに向けて頑張ってしまうという姿勢があるかと思います。実際、私も幾つかの自治体に確認しましたが、基本的には一〇〇%を目指していくんだということでありました。
 そこでお伺いしたいのは、先ほど長期休業期間の短縮、夏休み等の短縮、もしくは土曜日の活用等によって授業日を補うということなんですが、教員は、夏休みなど授業のない長期休業期間に年次有給休暇を取得することが多いというふうに聞いています。教員には、毎年、何日の年次有給休暇が付与されていて、その取得状況はどうなっているのか。
 また、土曜日に教員が授業を行うとなると、休みが一日減るということになるので、振りかえの仕組みというのがあるかと思いますが、それはどのようになっているのか、まずお伺いしたいと思います。

○黒田人事企画担当部長 教員には、通常、年間二十日の年次有給休暇が付与されます。
 平成三十年度における学校職員の年次有給休暇の平均取得日数は十四・七日となっています。
 また、学校運営上、必要があって、教員が週休日である土曜日に授業を行う場合には、週休日の変更等を行い、勤務した土曜日のかわりに、平日に休みを設けます。教員の週休日の変更等については、当該週休日の前二カ月以内または後ろ四カ月以内において行うことができます。

○内山委員 教員は、大体、年間二十日間の有休があって、今、これはご答弁にありませんでしたが、これを、一年に限り、次の年に繰り越すことができるということになっています。
 私、何人かの学校の管理職の方とかにお伺いしたところ、二十日を消化するというのは難しいから、大体、繰り越しになるそうなんです。三年後に関しては、先に消化できるものから消化していくから、大体、先生方は、年度当初の有休は四十日からスタートする。すなわち、二十日になっていますけれども、四十日からスタートするのが大体実態だというふうにおっしゃっていました。
 そうすると、平均取得日、十四・七日というのは、二十分の十四・七ではなくて、四十分の十四・七と考えることができると思うんです。あとは、さらにいえば、二十日間、ちゃんととっている先生もいますから、そうすると、当然、平均ですから、十日程度しかとれていないという人もいるということだと思います。
 ここで問題になってくるのは、今ご答弁にあったように、こういった年次有給休暇とか、もしくは土曜日の授業のかわりの休暇というのは、長期休み、すなわち、夏休み等にとられることが結構多いというふうに書いてあるんです。
 ところが、都立学校のことしの夏休みは二週間しかない。例えば、私の昭島市は三週間しかない。ほかの自治体に聞いても、やっぱり短縮されているところが多いんです。
 そうすると、例えば、本来十二カ月を九・五カ月に圧縮と先ほどいいましたけれども、実際は、長期休暇のところをなくせば、十カ月のところを七・五カ月に圧縮して教育活動を行うというのがこの二〇二〇年度になるわけです。
 先ほどのように、ことし一年で取り返すのではなくて、二年、三年かけて取り返すのであれば別ですよ。ただし、多くの学校は、ことしで何とか取り返そうとしているわけですから、十カ月の教育課程のところを七・五カ月。これは、大体一・三倍、先生方には、もしくは子供たちには負荷がかかるということになると思います。
 その中で、やはり授業計画や人的な体制においても無理が生じることが想定できると思います。ただでさえ先生方は、働き方改革のまさに一丁目一番地に挙げられるような業種ですから、その中で、それがさらに一・三倍負荷がかかるということですから、これはなかなか難しいことが想定できますし、先生方にストレスがかかるということは、すなわち、子供たちにストレスがかかるということなんだと思います。
 子供たちは、ただでさえ、コロナ禍によって学校に行けないストレスや、もしくは、親御さんたちが仕事に影響があって、そこでストレスを抱えることもあるかもしれない。そういった中で、学校でまでそのストレスがかかるとなると、これは看過できない問題になってくると思います。
 そのような状況に陥らないような対応というのが求められてくると思いますが、人的な観点及び教育計画の観点から、それぞれの取り組みについてお伺いしたいと思います。

○浅野人事部長 人的支援の取り組みについてでございますが、学校が三つの密を回避するなど感染症対策を徹底した上で、指導計画に沿って円滑に教育活動を実施できるよう、全ての公立学校について、現行の人員体制に加え、教科指導に必要な時間講師を追加で配置することといたしました。
 その際、時間講師の一週間当たりの授業時間数の上限を二十六時間から三十一時間へと一時的に引き上げ、現行よりも多くの授業を担当できるようにいたしました。これにより、新たな講師を探さなくても、現在、学校で任用されている時間講師の一層の活用を図ることも可能でございます。
 また、再任用短時間勤務の教員や非常勤教員について、臨時休業中でありました四月及び五月の勤務日の一部を学校再開後に振りかえられる措置を講じました。
 さらに、教員が児童生徒の指導に専念できるよう、教材の作成補助や印刷などの業務に対応するため、都立学校では大学生等を非常勤職員として活用し、小中学校ではスクールサポートスタッフの追加配置を行うこととしております。

○増田指導部長 指導計画の観点からの取り組みとしては、人的な支援を踏まえ、学校で行う学習と家庭学習の組み合わせによる効率的、効果的な学習を一層充実させていくとともに、児童生徒の負担軽減や教職員の勤務の振りかえの確保等にも配慮するよう、都立学校や区市町村教育委員会に改めて周知してまいります。

○内山委員 ぜひ、今、指導部長がご答弁されたように、本当に児童生徒や、特に教職員の方々の負担軽減になるように、もしくは負担増にならないような計画について--文科省は、だって、最高学年は無理ですけれども、それ以外のところは、来年もしくは再来年、二年、三年に繰り越していいという話をしているわけですから、そのあたり柔軟に対応できるように、ぜひ計画を立てていただきたいです。
 先ほど人事部長からの答弁がありましたが、斉藤委員の質疑の中でも時間講師の追加ということがありました。しかし、先ほど斉藤委員からもありましたけれども、この時間講師をどうやって確保するんですかという話なんです。
 ある校長に聞いたら、今、学校の副校長が腱鞘炎になるぐらい電話をかけまくっても、一人見つかるか見つからないかというんですよ。一人見つかっても、もう既にやっているから、あと一時間か二時間だったら何とかと、こういうレベル感なんです。
 そうすると、採用候補者名簿を幾ら出したって、その中にどれだけの人が、宝くじに当たるような確率だったら、出していても意味ないじゃないですか。
 ですから、時間講師の追加配置は、マッチングできればいいですけれども、これはなかなか難しいのかなと思っています。
 さらに、週二十六時間を三十一時間に引き上げたというご答弁がありましたが、一日の授業時間が六時間だとして、平日五日間ですから、六掛ける五で三十ですよ。ということは、時間講師に上限三十一時間まで引き上げましたということは、日六の平日五日間持っていいですよと、こういう意味なのかというと、授業の準備とかいろいろありますから、物理的に無理ですよね。だから、二十六から週五時間ふやしても、これはなかなか実効的にならないです。
 一部、一日七時間授業をやっているような自治体も幾つかあるそうなので、そういうところには多少いいかなと思うんですけれども、通常のところには、このキャップを外しても、そんなに意味があるとは思えないというのが、これは、現場、私、幾つかの学校に問い合わせてみて、自治体に問い合わせてみて得られた回答でした。
 そうなってくると、現実的に--それはいいですよ、少人数学級が実現できればいいですけれども、なかなか現実的に難しいだろうということであれば、例えばスクールサポートスタッフを追加配置していくというのがかなり重要だと思います。
 先ほど答弁にあったように、追加配置になるのですが、大体、予算規模でいうと、小中学校で三百人程度ということです。すなわち、今、一校に一人いるかいないかぐらいでしょうから、それが一校に一人、二人にはならないだろうと、こういう予算なんです。
 ここは、私、ぜひ申し上げたいのは、少人数学級にしてくれとか、正規職員をふやしてくれとかいいませんよ、本当はいいたいけれども。本当はいいたいけれども、いいませんよ。ただ、このスクールサポートスタッフに関しては、一校に一人とかそういう話じゃなくて、各学年に一人ぐらい配置できるような予算配置をしてもらわないと、この一・三倍にふえる業務量を、先生方は--業務量じゃない、ごめんなさい。一・三倍にふえるのは授業ですよ。業務量はさらにふえる。消毒だとかいろんなことがふえるんです。そこを担保することはできないと思うんです。そのストレスは、先ほど申し上げたように子供たちに行くということで、このスクールサポートスタッフに関しては、ぜひ大きな加配というものを求めたいと思います。
 もう一点は、やはりここに来て、そもそも教員の給与体制とか働き方改革というところに無理が来ているということなんだと思います。
 これは以前、谷村委員もタイムカードの問題等でご指摘されていましたし、残業についても、教職調整額四%が付与されていることで、簡単にいえば、残業代が月四%しか出ないということなんです。これは昭和四十七年に決まった制度ですから、それが平成、令和と、脈々と続いているわけです。
 これから恐らく学校の先生方は、エッセンシャルワーカーとして、さらに大変な期間の子供たちの学びや育ちを担っていただくわけですが、例えばほかの医療従事者だとか、ほかの方と違って、別に頑張ったからといって残業代が出るわけじゃないんですよ。そうなってくると、やはり何としても現場の--先ほど、なかなか教員のなり手がいないということがありましたけれども、それはそうですよ。だって、頑張ったって、そこに対してないんですから。
 だから、そういうところで考えると、残業代を出せというのはなかなか難しいかもしれませんが、例えば土曜で新しく授業がふえていくのだったら、それでかわりに休みがとれる教員はいいですけれども、とれない教員に対しては、一部企業が行っているような、有休だとか、かわりの日数分を買い取るというんですか、手当を出すとか、そういったことも私は必要だというように思います。
 あえて質問はしませんが、力強く最後に意見を申し上げて、何とか感染症拡大防止と、経済と、そして教育というのは、これからかなりテーマになってくると思いますので、ぜひ教育庁の活躍に期待して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○星見委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○星見委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十九分散会

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