委員長 | 星見てい子君 |
副委員長 | 内山 真吾君 |
副委員長 | 柴崎 幹男君 |
理事 | うすい浩一君 |
理事 | とや英津子君 |
理事 | 福島りえこ君 |
あかねがくぼかよ子君 | |
鳥居こうすけ君 | |
斉藤まりこ君 | |
谷村 孝彦君 | |
伊藤 ゆう君 |
欠席委員 二名
出席説明員生活文化局 | 局長 | 浜 佳葉子君 |
次長 | 武市 玲子君 | |
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 根本 浩志君 | |
広報広聴部長 | 久故 雅幸君 | |
都民生活部長 | 金子 光博君 | |
消費生活部長 | 吉村 幸子君 | |
私学部長 | 濱田 良廣君 | |
文化振興部長 | 古屋 留美君 | |
都政情報担当部長 | 稲葉 薫君 | |
都民活躍支援担当部長 | 馬神 祥子君 | |
男女平等参画担当部長 | 赤羽 朋子君 | |
魅力発信プロジェクト担当部長 | 川崎 卓君 | |
文化総合調整担当部長 | 片岡 容子君 | |
文化施設改革担当部長 | 工藤 穣治君 |
本日の会議に付した事件
生活文化局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 生活文化局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十三号議案 東京都庭園美術館条例
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第四号 東京都私立高等学校等入学料の助成に関する条例
○星見委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初めに、議席について申し上げます。
議席につきましては、お手元配布の議席案のとおりといたしますので、ご了承願います。
○星見委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
これより生活文化局関係に入ります。
予算の調査並びに付託議案の審査を行います。
初めに、第一号議案、令和二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、生活文化局所管分及び第四十三号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○根本総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る二月十四日の当委員会におきまして要求のありました資料についてご説明申し上げます。
お手元に配布の令和二年文教委員会要求資料をごらんください。
表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、今回要求のありました資料は八件でございます。
それでは、一ページをお開き願います。1、Tokyo Tokyo FESTIVALの主な事業でございます。
Tokyo Tokyo FESTIVAL事業につきまして、令和元年度の主な事業の概要を記載しております。
三ページをお開き願います。2、私立専修学校修学支援実証研究事業の授業料支援実績額、協力校数及び受給者数の推移でございます。
表題の内容につきまして、事業を開始した平成二十七年度から直近の平成三十年度までの実績を記載しております。
四ページをお開き願います。3、私立小中学校等の児童生徒数並びに私立小中学校等就学支援実証事業の国への交付申請者数、受給者数及び実績額でございます。
表題の内容につきまして、平成二十九年度及び平成三十年度の実績と令和元年度の状況を記載しております。
五ページをお開き願います。4、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に関係する事業と予算額の推移でございます。
表題の内容につきまして、平成二十六年度から令和二年度まで記載しております。
六ページをお開き願います。5、配偶者暴力防止等民間活動助成事業の実施状況、予算額の推移でございます。
表題の内容につきまして、平成二十八年度から令和元年度までの実績と令和二年度の予算額を記載しております。
七ページをお開き願います。6、結婚に向けた機運醸成等に係る検討経過でございます。
表題の内容につきまして、一覧で記載しております。
八ページをお開き願います。7、結婚に向けた機運醸成等に係る委託契約でございます。
表題の内容につきまして、一覧で記載しております。
九ページをお開き願います。8、庭園美術館の観覧者数、観覧料収入及び補助金の推移でございます。
表題の内容につきまして、平成二十六年度から平成三十年度までの実績を記載しております。
以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○星見委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○あかねがくぼ委員 私の方からは、主に三つのテーマの質問をさせていただきたいと思います。
まず初めに、TOKYOメンターカフェについて伺います。
直近のジェンダーギャップ指数におきまして、日本は、百五十三カ国中百二十一位でありまして、特に政治や経済の分野で女性の意思が反映されにくいという課題が依然として存在しております。
一方で、生産年齢人口が減少していく中において就業者数は増加をしており、うち九割は女性であるということも、そこから見ても、家庭の中はもとより、社会においても女性の能力が十分に発揮できるように、行政としても取り組んでいくということが重要であるといえると思います。
都はこれまでも、女性に対して、就業、就職の相談でありますとか、キャリアアップ、子育て支援など、それぞれの専門家への相談ができる政策を展開してきていますが、このたび新たに、女性が感じるさまざまな悩みや不安、例えば育児休業、復職、キャリア形成などに関しまして、相談窓口として、TOKYOメンターカフェという名称で実施をするということです。
このTOKYOメンターカフェは、どのような目的、狙いで実施する事業でしょうか。また、今までの既存の相談窓口との違いは何でしょうか。お伺いします。
○赤羽男女平等参画担当部長 女性がみずからの希望に応じた生き方を選択し、あらゆる場で活躍できるよう、都はこれまでも幅広く施策を展開してまいりました。
さらに女性活躍を進めるためには、ちょっとした悩みや不安を一人で抱え、みずからの能力を十分に発揮できずにいる女性に対する支援も必要でございます。
こうしたことから、気軽に相談でき、経験者からアドバイスをもらうことができる、バーチャルな希望につながる場として、TOKYOメンターカフェをネット上に開設いたします。
東京ウィメンズプラザの女性相談など既存の相談窓口は、専門的な知識を持った相談員が相談を受け、実質的な問題解決に向けた助言や調整などを行うものであるのに対しまして、TOKYOメンターカフェは、仕事や子育ての経験を持つ同じ立場の女性が都民メンターとなって、多様な悩みに寄り添い、共感したり、みずからの経験を生かした助言を行うものでございます。
TOKYOメンターカフェをより多くの女性にご利用いただきまして、悩みを抱えた女性が前向きに踏み出すきっかけとなるよう取り組んでまいります。
○あかねがくぼ委員 TOKYOメンターカフェというのは、ウエブだとかSNSなどのインターネットを使って気軽に相談ができるということがわかりました。類似のものとしては、民間でのヤフー知恵袋などが該当するのかなというふうに思いましたけれども、今回は行政が提供していくという窓口ですので、より信頼性が高く、かつ、匿名でもよいということで敷居も低い。都民にとっては、安心して相談をしていただける窓口になると考えます。
昨今は、リアルな人間関係というのが希薄化しているというところがありますので、こういったサイバーの空間で相談をしたい、または、個人情報というものが特定されることなく相談ができるということが、需要がありますので、こういった時流に合う取り組みであると評価をいたします。
また、TOKYOメンターカフェで相談ができる相手なんですが、さまざまなバックグラウンドを持つ都民メンターという方々だということですが、個性豊かな都民メンターを集めていただいて、彼らのプロフィールを公開していただくことによって、相談者がどんな人と話ができるのかなと、事前に知らせていただくことも有効だと思います。
当初は、専門的な相談には至らない、漠然とした不安や悩みだったとしても、都民メンターとの相談を通して、ご自身の課題が明らかになっていくということがあると思います。
より専門的な相談が必要になる場合があると思いますが、どのような対応を想定しておりますでしょうか。
○赤羽男女平等参画担当部長 TOKYOメンターカフェでは、メンターが対応するメニューに加えて、都や国、区市町村などの相談機関の情報を紹介するメニューを用意いたします。
具体的には、東京ウィメンズプラザの女性相談や女性しごと応援テラスなどの相談機関の情報、再就職やキャリアアップ、子育て支援に関する情報などをコンテンツ内で提供するなど、工夫してまいります。
○あかねがくぼ委員 より具体的な支援メニューについても情報を提供するということで、確認ができました。行政の情報は、複雑でわかりにくくなりやすいものであります。都民メンターとの相談を終えた方がスムーズに次のステップに進めるように、適切かつわかりやすいガイドをしていただくように要望いたします。
また、TOKYOメンターカフェの開設後も、利用者の声を聞いていただいて、試行錯誤しながら、よりよい相談窓口になるように取り組みをしていただきたいと思います。
続きまして、キャリアデザインのためのeラーニングコンテンツについて伺います。
変化の激しい時代、また人生百年時代におきましては、男女を問わず、生き方や働き方の選択肢というものが多様化をしてまいります。
特にキャリアにつきましては、一生、一つの職業を全うするといった、昭和時代では常識でありましたけれども、今後は通用しないような社会背景となってきております。
そんな中で、大学生や専門学校生など、これから社会人になられる若者に対して、自分自身のキャリアを長期的な視点で考えてみる機会を提供していくということは重要です。
今回、新たに検討されているキャリアデザインのためのeラーニングコンテンツとは、若者に、キャリアデザインを考える上で必要となる基本的な知識やノウハウを、eラーニングの形式でわかりやすく、親しみやすく提供するというものだと伺いました。
今までもキャリアデザインコンテンツはございましたが、こちらとの違いは何でしょうか。お伺いします。
○赤羽男女平等参画担当部長 平成二十七年度に作成いたしましたキャリアデザインコンテンツは、大学等の授業やキャリアセンターのセミナー、企業の研修等で活用されることを目的とした教材でございます。
一方、来年度、新たに作成するeラーニングコンテンツは、就職活動を迎える前の若者を主な対象といたしまして、スマートフォン等で、一人でも気軽に楽しみながらキャリアデザインについて考えるきっかけとなるものでございます。
○あかねがくぼ委員 今回、新たに始めるeラーニングコンテンツというのは、スマートフォンなどを使って気軽にできるというところが特徴のようです。この事業は、十代後半から二十代前半の若者世代を対象としているものですから、そういう意味では、利用者の目線で価値を提供しようという取り組みであると評価ができると思います。
今までのキャリアデザインコンテンツ、こちらは、学校関係者などを通じて生徒さんに伝えていくという、レクチャーするというものでありましたので、普及という意味では限定的になってしまっていたと思います。
今回のeラーニングコンテンツは、より多くの対象者の目にとまり、そして、関心を持ってもらう工夫というのが必要になると考えますが、見解を伺います。
○赤羽男女平等参画担当部長 就職活動前の多くの若者にeラーニングコンテンツを活用いただくためには、コンテンツの充実を図るとともに、広報展開を工夫することが重要と考えております。
このため、洗練されたデザインや、楽しみながら利用できる魅力的なコンテンツとなるよう、工夫いたします。
また、若者に広く知らせるとともに、興味を持ってもらえるよう、ターゲットに合わせた周知が可能なSNS等の特性を生かした広報などにより、効果的に発信いたします。
さらに、各局が実施する若者を対象といたしました啓発事業や、大学、専門学校などを通じた周知を図ってまいります。
○あかねがくぼ委員 今回のeラーニングコンテンツの広報については、ターゲッティングが可能なSNSを利用するなど、周知についても最大限の効果を図るように検討されている点は評価をしたいと思います。
普及をしていけばするほど、さまざまなフィードバックというものも得られると思いますので、それも参考にして、よりよいコンテンツとして磨きをかけていただくように、開始後も希望しておきます。
また、今までのキャリアデザインコンテンツというのも、目的は同じでありますので、政策的相乗効果が図られるように効果検証などを行っていただくように、こちらも要望しておきます。
最後に、配偶者暴力被害者等セーフティーネット強化支援事業についてお伺いをします。
DVの被害者支援におきまして、民間シェルターというものは不可欠な社会資源であります。しかしながら、財政的には厳しい状況に置かれているという実態があると認識をしています。
まず、この事業について、目的をお伺いします。
○赤羽男女平等参画担当部長 配偶者暴力被害者の支援に当たりましては、行政はもとより、相談から安全確保、自立に向けた支援などを担う民間団体の活動が重要でございますので、都ではこれまでも、こうした活動に対して支援を行ってまいりました。
これら、さまざまな側面から被害者を支えている民間団体は、お話のとおり、財政面、人的基盤とも厳しい状況にありますため、こうした団体の新たな取り組みを、都が積極的に支援していく必要がございます。
このため、来年度からは、新設される国の交付金を活用いたしまして、被害者を支援する民間シェルター等の先進的な取り組みを促進し、被害者に対する支援の充実を図ることを目的に、配偶者暴力被害者等セーフティーネット強化支援事業を新たに実施いたします。
○あかねがくぼ委員 本事業は、国の主導する事業ではあるということですが、都としても、DVの被害者支援において、民間シェルターの新たな取り組みを支援して、被害者支援の充実を図っていくということを目的にしているということを確認できました。
今回、民間シェルターのどのような取り組みが支援の対象になるのでしょうか。お伺いします。
○赤羽男女平等参画担当部長 この支援事業は、民間シェルター等が、被害者が避難する施設の安全性に配慮した改善、医師や弁護士等の専門職の配置など、新たに実施する取り組みを対象といたします。
これらの取り組みにより、多様な困難に直面する被害者の支援に当たる民間シェルター等のセーフティーネット機能の強化を図ってまいります。
○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。民間シェルターの取り組みのうちで、新規性のあるもの、あるいは先進的なものというのが、今回の事業での支援対象だということが確認できました。
国の事業ということで、都の裁量で工夫ができる余地というのは限定的になるかと思いますが、より多くの都内民間シェルターがこの支援の対象になるように、丁寧にサポートをしていただくように要望いたします。
民間シェルターの性格上、都としても、その実態がつかみにくいと聞いております。この事業を機に、民間シェルターの実態を把握していき、今後、都が主導で行っていく取り組みに生かしていただきますように要望しまして、私の質問を終わります。
○うすい委員 よろしくお願いします。
初めに、東京二〇二〇大会でのボランティアレガシーについてお伺いいたします。
ことしは東京二〇二〇大会が開催をされ、フィールドキャスト、またシティキャストを合わせて、十一万人以上の方がボランティアとして活躍をされます。これ以外にも、区市町村が独自で募集しているものや、生活文化局で行っている外国人おもてなし語学ボランティアなどもあり、物すごい数のボランティアに大会期間中に活動していただくことになります。
この機運の盛り上がりは相当なものと想像できますが、この機運を大会後にもしっかりと引き継ぐことで、本当の意味での東京二〇二〇大会の成功となるといえると考えております。
特に、シティキャストやフィールドキャストなど、大会に直接かかわる人たちは、そのまま今後の東京においてのレガシーとなり得るものと思いますし、昨年十一月のオリ局委員会においても、シティキャストの方たちについて、私自身、質問させていただきまして、シティキャストで活躍された方に、大会終了後、アンケートを行い、活動継続を希望する方については、さまざまなボランティア情報を提供していくと答弁をいただいたところでございます。
生活文化局では、来年度、ウエブシステム構築の予算が計上されておりますが、高く評価をしたいと思います。
恐らく、このシティキャストの引き継ぎ先としてのシステムだと思いますが、このシステムの概要についてお伺いをいたします。
○馬神都民活躍支援担当部長 来年度に構築するウエブシステムでは、東京ボランティア・市民活動センターを初めとする中間支援組織などと協力し、さまざまなボランティア情報を提供します。
具体的には、ボランティアをする人、ボランティアを募集する団体、その両者をつなぐコーディネーターなど、ボランティアにかかわる全ての人に有益なシステムとするため、ボランティアの募集情報や活動の体験談、ボランティアの募集から運営方法に係るノウハウ、募集団体の情報、さまざまな活動事例の紹介などを掲載いたします。
○うすい委員 今、答弁いただきました。このような考え方に基づいたシステムというのは、なかなか珍しいと思いますし、多分、ほかでも余り例がないかと思います。東京でオリンピック・パラリンピックが開催をされ、ボランティアの機運が高まるからこそ、このシステムの構築が求められていると思います。いわゆるレガシーにつながるものと考えます。
さまざまな情報が、このシステムを介することで、一方通行だけではなく、相互にやりとりができるようになったり、多くの人が活用しやすいためになっていくものと思います。
もちろん、システムは、シティキャストとして活動し、大会後もボランティア活動を継続したいと考えている人にとっても効果的なものになると思いますが、シティキャストの名簿、氏名や住所、電話番号などの個人情報を含め、全て引き継ぐことになるのかどうか。これらの多くの個人情報を登録することが必要なシステムにすると、新しく活動したいという意向を持っている人でも、入るにはなかなかハードルが高いと思います。
この手の情報サイトは、できる限りハードルを下げながら、最低限の個人情報をとることで、登録した人にメリットを与えていくことがサイトを活用されることにつながると思いますが、このシステムについての都の見解を伺います。
○馬神都民活躍支援担当部長 システムは、どなたでも閲覧できるページと登録者のみ閲覧できるページに分かれる構成となります。
どなたでも閲覧できるトップページでは、どのようなコンテンツがこのシステムに掲載されているのかがわかる内容とし、興味や関心を引きつけます。
登録者のみ閲覧できるページでは、ボランティアの募集情報のほか、活動者の体験談、募集団体の情報などを掲載することにより、活動を喚起できるような内容とします。
また、登録する際の情報は、委員ご指摘のとおり、多くの未経験者が登録しやすいようにするため、また個人情報保護の観点から、メールアドレスなど必要最低限といたします。
○うすい委員 ありがとうございます。シティキャストなど、大会で活躍したボランティアの財産を引き継ぎながら、個人情報は、できる限り少なく必要最低限のみとすることで、新たな人たちも気軽に参加できるようになると考えます。そのような取り組みでボランティアを広げていっていただきたいと要望させていただきます。
ここまでウエブ上でのシステムの話をしてきましたが、それだけでは、なかなか活動につながらないのではないかと考えます。ボランティア活動を行う人のきっかけは、例えば口コミであったり、誰かに誘われたりという人が多いのが実情だと思います。
そのためには、ウエブシステムだけではなく、そのようなつながりをつくる取り組みも必要だと考えますが、どのような取り組みを行っていくのか、見解を伺います。
○馬神都民活躍支援担当部長 都が昨年度行った調査によると、ボランティア活動を行う人は口コミで情報収集することが多く、活動のきっかけは知人や家族からの紹介が多いことから、ウエブだけでなく、直接、顔が見える関係を築くことも重要でございます。
そのため、ウエブ上での情報提供に加え、ボランティア活動の紹介や仲間づくりを行う場などを提供する交流イベントも行う予定です。
ウエブとイベントとの相乗効果で、大会関連ボランティアの活動継続と活動者の裾野拡大を図ってまいります。
○うすい委員 ありがとうございます。なかなか日本では、海外に比べてボランティアという文化が、どちらかというと高くはないと思います。ボランティア活動を活発化して、そして助け合う社会をつくっていくことで、より住みやすい東京になっていくものと考えます。東京二〇二〇大会のこのチャンスを逃さずに、ぜひ、この機会は二度とないという思いで、しっかりと取り組んでいただくことを要望し、次の質問に移ります。
次に、新財団について伺います。
近年、外国人の増加によりまして、教育の環境などでも外国人の子供がふえています。共生社会の実現に向けて、外国人が地域コミュニティに参加をし、ともに学び、ともに働き、ともに生活していく、そうした環境づくりが急務であります。
令和二年十月に、コミュニティの活性化を支援する新たな財団を設立するとのことでありますが、新財団における業務内容と、なぜ財団を設立しないとその業務が進まないのか、見解を伺います。
○金子都民生活部長 新財団におきましては、さまざまな人が安心して暮らせる多文化共生社会づくりと、ボランティア文化の定着、町会、自治会の活性化による共助社会づくりを事業の柱としております。
これらの事業は、各分野に精通した、地域の特性にも明るい専門的な人材の継続的な確保、民間団体等との継続的、安定的な信頼関係の構築、柔軟な執行体制による機動的な事業展開が求められているため、新財団を設立し、着実に事業を推進してまいります。
○うすい委員 専門的な人材や民間等との連携、柔軟な執行体制など、財団ならではの取り組みが必要とのことでありますが、都としっかりと連携をした上で、コミュニティの活性化に向けて取り組んでいただきたいと思います。
新財団の業務のうち、多文化共生社会づくりについて伺います。
都内の外国人人口は、現在、五十七万人を超えまして、国籍も多様化している昨今であります。
私の地元の足立区でも同様でございまして、常東小学校という小学校が足立区の北千住地域にあるんですが、多国籍の子供たちが学んでいます。お子さんはすぐに学校になじむのですが、その保護者の方たちは、言葉が通じなくて、なかなかなじめないのが実情でございます。
恐らくこうした地域が多くなってきている中で、さまざまな課題が生じていることも耳にします。そうしたことを軽減させるためにも、地域の現場である区市町村の声をしっかりと聞いて、何に困っているのか、どういう支援が必要なのかということを、都は具体的に把握すべきと考えております。
そこで、このような地域の課題をどのように捉えているのか、具体的な例とともに、都の見解を伺います。
○金子都民生活部長 都は、地域における課題認識や情報の共有化などを図るため、東京都国際交流委員会や民間支援団体等との連携推進会議を開催するとともに、今年度からは、新たに区市町村との連絡会議を開催いたしまして、地域のニーズや課題を共有する場を設けております。
地域が抱える課題の一例といたしましては、文化、習慣の違いやコミュニケーション不足から生じるごみ出しなどのトラブル、それから、日本語が話せず、地域で孤立してしまう子供たちの保護者の存在、母国語で相談できる窓口が少ないなどがあると認識しております。
今後とも、連絡会議等を通じまして、区市町村から寄せられる地域の新たな課題を把握し、その解決に向け、取り組んでまいります。
○うすい委員 よく区市町村と連携をとっていただいて、問題解決をしていただきたいと思います。
このような課題は、在住外国人の増加や多国籍化を背景に、日々変化をしております。適切に対応していくことが求められております。
財団を新しくつくったからといって、そこに丸投げするようなことがあってはならないと考えております。
都は、新財団設立を機に、多文化共生社会づくりをどのように進めていくのか、見解を伺います。
○金子都民生活部長 在住外国人が急増し、多国籍化が進展する中にあって、多様性が尊重され、誰もが安心して暮らし、参加、活躍できる多文化共生社会づくりを進めていくためには、区市町村や、これまで在住外国人支援に取り組んできた団体等との連携が不可欠でございます。
そのため、都は、外国人の生活支援等を担う区市町村や地域の国際交流協会、民間支援団体とのネットワークをさらに強化いたしまして、現場に即した課題の把握や情報の共有化、連携施策の推進に取り組んでまいります。
また、東京都国際交流委員会が行ってきた多文化共生社会づくりの取り組みを引き継ぎ、発展させる新財団と一体となりまして、既存事業に加えまして、課題解決のための新たな取り組みを進めてまいります。
これらを通じて、都域全体を対象とした多文化共生社会づくりの推進に向け、広域自治体としての役割を果たしてまいります。
○うすい委員 ありがとうございます。前向きな答弁をいただきました。これからますます外国人がふえていく中、都は、外国人を地域社会の一員として受け入れ、コミュニティへの参加を後押しし、外国人が安心して暮らし、活躍しやすい多文化共生社会づくりを積極的に進めていただきたいと思います。
新財団を設立することで、そのための推進体制の強化を図るとともに、ぜひ、先ほど申し上げたとおり、都、区市町村、町会、自治会等が綿密に連携をしていただき、多文化共生施策を展開されることを要望しまして、次の質問に移ります。
次に、エシカル消費についてお伺いをしたいと思います。
二〇五〇年までに世界人口が九十六億人に達した場合、現在の生活様式を持続させるためには、地球が三つ必要になりかねない。これは、国連広報センターのウエブサイトに掲載をされている、SDGsの目標、十二番目の持続可能な消費と生活の解説をしている文章でございます。
昨年九月に開催されました、G20の首脳会議のサイドイベントだった消費者政策国際会合でもSDGsの推進が主要な話題となり、その中で特に強調されていたのが、倫理的消費、エシカル消費の啓発と普及であったとのことでございます。
都としても、持続可能な社会の実現に向け、人や社会、環境に配慮した消費行動であるエシカル消費の理念を、広く都民の皆様に普及する取り組みを進めてきていると思いますが、都では、今年度どのような事業を実施しているのか、伺います。
○吉村消費生活部長 都では、将来を担う若者を中心に、広く都民にエシカル消費の理念を普及啓発し、理解の促進を図っております。
今年度は、都内大学百一カ所において、キャンパス内の書店や売店などでエシカル消費の実践を呼びかけました。
具体的には、国産ヒノキの間伐材でつくったスマホスタンドや、ブックカバーに利用できるチラシを十万セット配布するとともに、ポスターの掲出やPR動画の放映を行うなど、大学生を対象として集中的に啓発活動を行いました。
ホームページについては、エシカル消費に造詣の深い学識経験者や民間団体の方のコラムや、区市町村で開催される関連イベントの情報を掲載するなど、内容の充実を図りました。
また、昨年度に引き続き、十代から三十代の若者を対象に、ユーチューブやインスタグラムでPR動画の広告配信を行いました。
○うすい委員 今、答弁をいただきました。
今年度の取り組みにおける答弁をいただきましたが、そうした今年度の取り組みを踏まえて、来年度はどのような事業を行っていくのか、その目的と内容について伺います。
○吉村消費生活部長 今年度は、大学生を対象に普及啓発を行ってきましたが、来年度は、実際の消費行動に結びつくよう、スーパーマーケット等において、若年ファミリー層を対象に新たな普及啓発を実施いたします。
具体的には、エシカル消費の理解を深めるワークショップを実施するほか、フェアトレード商品やエコマーク製品など、エシカル消費に関連する商品等の紹介を行っていきます。
このほか、エシカル消費に関心のない若者に対して普及啓発を図るため、若者が多く集まるイベントでの啓発ブースの出展や、SNSを活用した情報発信を行ってまいります。
○うすい委員 新年度に向けて、いろんなことを考えていただいております。
新年度の事業を伺ったところでございますけれども、SDGs、先ほど申し上げた十二番目の目標のつくる責任、使う責任に基づき、食品ロスや海洋プラスチックごみの削減などにつながる環境に配慮したエシカル消費を推進するために、全国の高校生が課題解決への取り組みを発表し合うエシカル甲子園が、初めて、昨年、徳島県で開催をされました。
全国からエントリーした七十校のうち、各地の予選を勝ち抜いた十二校が発表に立ちまして、例えば山口県の高校は、生ごみを減量する器具の開発を提案、また、愛媛県の高校では、古い布を織り直してリサイクルする、地元の伝統文化を生かして持続可能につながることや、また徳島県の高校は、カンボジアでヤシ砂糖農家の生産性向上を図る支援活動が紹介をされました。どれもユニークな、すばらしい提案だと思いますし、いろいろな考えを持っていると感じたわけでございます。
全世代から意見を聞くことも大事だと思いますけれども、先ほどもいっていただいた若者の声を聞いていくことが、やはりこれは大事だと思います。
そこで、若者へのエシカル消費の理念の普及には、受け手である若者の立場から考えた、伝わる情報発信をしていくべきと考えますが、これについての都の見解を伺います。
○吉村消費生活部長 若者にエシカル消費の理念を広く普及していくためには、若者の情報収集に関するニーズや実態などを把握した上で、効果的な情報発信を行っていく必要がございます。
そのため、来年度新たに、若者を対象としたヒアリング調査を実施する予定でございます。
具体的には、ふだん、どのような媒体を使って情報収集をしているか、どのような情報発信をすればエシカル消費に関心を持ってもらえるのか、都の情報発信についてどう思うかなどについてグループインタビューを行います。
この調査結果を踏まえ、エシカル消費を知らない若者にも情報が届くよう、さらなる情報発信の強化を図ってまいります。
○うすい委員 非常に頼もしい、前向きなお答えをいただきました。全ての取り組みに共通することと思いますけれども、エシカル消費にかかわる自分自身の取り組みがどう役に立っているのか、そうした、わかることが特に大切だと思います。
例えば、食品ロスによる廃棄物は年間六百四十三万トン発生しておりまして、日本人一人当たりに換算しますと、茶わん一杯分の食べ物が捨てられているという計算が出ているわけでございます。
そして、エシカル消費の広がりが進むためにも、消費者の行動が社会や環境にどのような影響を与えているのか、見える化をすることが重要だと考えます。
このことについての都の見解を伺います。
○吉村消費生活部長 エシカル消費を普及していくためには、消費者がその意義を理解し、日常の消費行動として取り組んでいくことが重要でございます。
これまで都では、買い物でのマイバッグの使用や、食べ残しを減らす食品ロスの削減など、具体的な行動例をホームページ等で紹介してまいりました。
今後は、年間一人当たりの食品ロス量の現状など、具体的な数値を交えてエシカル消費の効果をわかりやすく解説するなど、見える化を図ってまいります。
こうした情報をホームページやSNSなどを通じて幅広く発信することで、エシカル消費の実践につなげてまいります。
○うすい委員 ありがとうございました。前向きにお願いいたします。
昨年九月二十日に、ニューヨークやロンドン、ベルリン、東京ほか、世界各地で気候変動に関するデモが行われ、約四百万人の若者が参加したニュースを見ました。
その中で、ニューヨークの小学生が、あなた方、大人は老衰で死にます、でも、私たちは気候変動で苦しみながら死にますというプラカードを持っていたそうであります。
将来がこうしたことにならないように、希望を持って生きていけるように、ぜひエシカル消費が広がるように、都としても模範となる取り組みを要望して、質問を終わります。
○柴崎委員 私の方からは、まず、町会、自治会への支援についてお伺いしたいと思います。
地域の底力発展事業助成について伺いたいと思います。
町会、自治会は、地域におきましては、実にさまざまな事業を行っているわけであります。例えば、年末十二月には、テントを張ったりして拠点をつくりまして、夜遅くまで夜警に取り組んだり、あるいは、春と秋、交通安全週間ともなると、町会の皆さんが協力体制をとっております。また、いざ災害に備えた防災訓練、これも各地域で頻繁に行われているわけでございまして、こうした中で、まさに一年を通じて、地域の安全・安心に向けて大変頑張っているわけであります。
また、地域のコミュニケーションを図っていくために、夏祭りあるいは秋祭り、さまざまなイベントなども開催をしているわけであります。
町会、自治会の皆様方は、日ごろからこうしたイベントを通じまして、地域の住民のつき合いを非常に大事にしているわけであります。
このように、それぞれの地域で重要な役割を果たしている町会、自治会は、区市町村にとりましても、最も信頼できるパートナーという位置づけをされておりますが、残念ながら加入率が年々落ちてきている、もう四〇%を切っている、こんな状況でございまして、いわゆる町会の会員の加入者が減少しているのが実態であります。
したがいまして、担い手も高齢化をし、あるいは固定化をしておりまして、さまざまな事業をやりたいということでありますが、なかなかこうした担い手が集まらなくて、やむなく事業を進めることができない、こうした実態もあるようでございます。
このような現状を回復していくために、やはり行政の力が必要になるわけであります。
この地域の底力発展事業助成は、まさにそのための助成でもあり、特に特例措置である、補助率が十分の十という助成は、町会、自治会にとりましては大変有効な助成策であります。このような活動を続けていくためにも、大きな助けになっております。
したがって、オリンピック・パラリンピックが終わった後も続けてもらいたいという声も多いことから、昨年の決算特別委員会におきましては、我が党の舟坂議員からも要望させていただきました。これに対して、都は、これを受け、オリンピック・パラリンピック終了後も、この特例措置を続けるというふうにしております。
そして、この新たな特例措置の内容というのは、多文化共生ということで、外国人住民を町会、自治会で受け入れ、一緒に活動していくことを目指しているとのことであります。
しかしながら、地域では、ごみの出し方や騒音などのトラブルがいまだに存在をしております。これは、日本で生活する外国人の皆様が、日本の文化あるいは風習やルールなど、こうした理解がないことも原因の一つになっております。知らないので、教えてあげることが必要なのですが、住民の中には、外国人に対してどういうふうに接していいかわからないという人も多いようであります。
こうした状況の中ですが、どのような取り組みを行っているのか、まずお伺いしたいと思います。
○金子都民生活部長 東京都の在住外国人は五十七万人を超え、さらに増加していくことが予想されます。
昨年、東京都町会連合会にアンケートを行ったところ、外国人が居住していることを把握しているが、どのように声をかければいいかわからない、あるいは、ごみ出しや騒音などのトラブルがあり、大変困っているといったような回答がございました。
こうしたトラブルは、生活習慣や文化の違い、コミュニケーション不足などが原因と考えられます。
そのため、今回の特例措置は、町会、自治会の役員だけでなく、会員の皆様に外国人を地域の一員として受け入れる意識を高めていただく取り組みを促進するものでございます。
具体的には、イベント時に、日本人と外国人が相互理解を深めるためのリーフレットを配布する取り組みや、地域において、日本人と外国人がお互いの文化を料理や芸術などを通じて理解し合い、同じ住民として一緒に生活していく意識を醸成する取り組みなどを後押ししてまいります。
○柴崎委員 今、答弁いただいたわけですが、さまざまな場面で外国人とのコミュニケーションをとっていくことが大事だということのようであります。もちろん、そのとおりだと思いますが、先ほど申し上げましたように、やはり、初めに日本のルール、生活習慣を教えて、外国人に理解していただくということが必要だと考えます。
自分は英語がわからないからという声もよく聞くのですが、住んでいる外国人も、全員が日本語がわからないというわけではなくて、やはり日本にいるのだから、簡単な日本語であれば通じるわけであります。もし言葉が通じなくても、身ぶり、手ぶりで十分に通じることもできるんですね。
このように、意識醸成だけでなくて、コミュニケーションをとるための取り組みも底力事業の特例措置に当てはまるのかどうか、この点についても確認したいと思います。
○金子都民生活部長 外国人とのコミュニケーションにおきましては、小学校三年生程度の子供が理解できる日本語を、短く、はっきり、最後までいう「やさしい日本語」を活用することが有効でございます。
そのため、町会、自治会が「やさしい日本語」を活用して外国人とのコミュニケーションを図る取り組みも特例措置の対象といたします。
例えば、町会、自治会の紹介や加入についての案内を「やさしい日本語」で作成し、在住外国人に配布したり、あるいは、お祭りのチラシを「やさしい日本語」で作成し、外国人の方に来ていただき、交流を図る取り組みなども対象といたします。
○柴崎委員 今、答弁をいただきました。私の地元練馬区の町会でも、国際交流イベントを行っているところもあります。ぜひこのような活動を都内に広げることで住民トラブルを防ぐとともに、外国人が活動に参加することで町会、自治会活動の新しい担い手になっていくことも大いに期待ができると思います。
このような取り組みは、息の長い、継続する取り組みが必要であります。ぜひこの特例措置による支援は続けていってもらいたい、そんなふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、地域の課題解決プロボノプロジェクトについてお伺いしたいと思います。
このプロボノプロジェクトでは、加入促進チラシの作成ですとか、あるいは業務の棚卸し等を行っているわけです。このプロジェクトを活用した町会、自治会からは、認知度が高まり、新規加入にもつながった、あるいは、町会、自治会の業務の整理がされることで町会の運営が楽になった、そんな効果があったということも仄聞をいたしております。
しかし、このプロボノに取り組んだ町会というのは、昨年度を確認しますと、十九ですね。そして、今年度が二十一ということで、まだまだ取り組んでいるというところが少ないわけであります。
したがって、町会、自治会内部にもいろいろな意見もあり、なかなか取り組みにつながっていない、そんなケースもあると思いますが、できる限り多くの町会、自治会に活用してもらうことが大事かと思います。
本年度はどのように取り組んでいるのか、この点について伺いたいと思います。
○金子都民生活部長 都はこれまで、プロボノプロジェクトを活用した町会、自治会の皆さんに、その取り組み内容や効果を発表していただく成果報告会の開催や、実際の取り組みをまとめた事例集を活用し、町会、自治会に周知を図ってまいりました。
しかし、申し込みにつながりにくいのは、プロボノプロジェクトの具体的な効果が実感されないことも要因の一つでございます。
そこで、来年度は、これまでに作成した加入促進チラシや町会運営のマニュアルなどの成果物を多くの町会、自治会が活用できるよう、都のホームページに掲載、共有し、その効果を実感していただきます。
また、区市町村の協力を得て、町会、自治会が集まる場に出向きまして、体験談や成果物の研究を行う勉強会を開催し、成果を直接説明する機会も設けるなど、事業効果をより身近に感じてもらえるような取り組みを行うことで、プロボノプロジェクトの活用を促進してまいります。
○柴崎委員 ホームページに掲載をするということもやるようでございますが、やはり、直接現地に行って説明をするというご答弁を今いただきましたけれども、こういったことをぜひお願いしたいなと思います。
やはり地道に頑張っている町会、自治会に対しまして、この取り組みは非常に重要だと思います。引き続き、きめ細かい支援をしていくようにお願いをしておきたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。
続いて、公衆浴場地域交流拠点事業についてお伺いをしたいと思います。
私からは、公衆浴場に対する補助制度についてお伺いしてまいります。
公衆浴場、いわゆる銭湯ですよね。銭湯は、地域におきましては入浴する場所でありますが、今やそれだけではなくて、健康づくり、あるいは交流の場としても重要な役割を担っているところであります。
私の地元である練馬区内の銭湯におきましては、毎月、季節湯を実施しております。先月は、乾燥させたミカンの皮が入った陳皮湯だったと思いますが、また、親子で利用する場合には、小学校入学前のお子さん二人まで無料にする、こんな取り組みも行っているところであります。
また、やはり近所の銭湯におきましては、最近、店先に手書きの看板を置いて、親しみのあるイラストを描いたりしております。その看板には、入浴料金ですとか回数券などの情報もわかりやすくしていくことで、銭湯に行ったことがない方はまだまだ大勢いるわけでありますが、こうした方々が利用しやすくするようにしたというふうに聞いております。
このように、銭湯の経営者の方々は、地域のためにさまざまな取り組みを行って頑張っているわけであります。
しかしながら、ご承知のとおり、銭湯の多くは、経営環境が大変厳しい状況にあるわけでございます。練馬区におきましても、ここ五年間で七軒廃業になっているのが実態でございます。
したがって、この銭湯文化をぜひとも後世に残していきたいと考える我が党の要望を受けまして、都ではこれまで、銭湯に対する補助制度を充実させてまいりました。平成二十九年度からは地域交流拠点事業補助を開始し、平成三十年度には、補助件数を拡大するために予算をふやしてきているわけであります。
そこで、この補助制度がどのような取り組みに活用されているのか、この点について、まずお伺いしたいと思います。
○吉村消費生活部長 地域交流拠点事業補助は、東京都公衆浴場業生活衛生同業組合が、地域において公衆浴場を健康増進や交流等の拠点として行う事業に対し、経費の一部を補助するものでございます。
この補助制度を活用した具体的な取り組みとしては、参加者が浴場をめぐるスタンプラリーの実施、親子で参加できるコンサートや寄席などのイベントの開催のほか、浴場の内部の様子を写真でわかりやすく紹介する看板パネルの製作も行われ、これまでに約百三十の浴場に設置されております。
また、外国人観光客向けに、浴場内でのマナーを記載した英語版の手渡しマニュアルを作成するなど、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を意識した取り組みも行われております。
公衆浴場組合からは、こうした取り組みにより新たな利用客の開拓につながったなど、一定の成果を上げていると聞いております。
○柴崎委員 今、ご答弁いただきまして、成果が上がっているということでございます。この補助制度が地域の交流に貢献をし、また、利用客の開拓にもつながるということがよくわかりました。
一方では、公衆浴場組合から、この補助制度を利用しやすくしてほしいという要望もあることを聞いております。
そこでお聞きしたいのですが、来年度、都として何か改善策を考えているのであれば、その点についてお伺いしたいと思います。
○吉村消費生活部長 この補助制度では、現在、補助対象となる経費の限度額が一件当たり四百五十万円、補助率は三分の二となっておりますが、公衆浴場組合からは、より充実した事業を実施したいという声があると聞いております。
このため、都は、地域交流を一層促進できるよう、来年度から、一件当たりの補助対象限度額を六百万円に引き上げることを予定しております。
○柴崎委員 来年度、この補助制度については、今ご答弁いただきましたけれども、改善されるということがわかりました。
銭湯は、地域住民の出会いや社交の場でもあり、地域の交流拠点としての役割はますます高まっていくものと考えております。
特にここ数年、ランニングブームになっている中で、幾つかの銭湯におきましては、いわゆるランニングステーション、銭湯ステーションというふうな形で取り組んでいるところもございます。
こうした中におきまして、銭湯による取り組みを支援していく、このためには、こうした今ご説明いただいた制度が一層活用されるように、公衆浴場組合と連携して周知に努めていただきたいな、こんなふうに思うところでございます。
銭湯の経営者は、物価統制令によりまして入浴料金を自由に決めることができない中で、さまざまな経営努力をされております。都といたしましては、やはり銭湯側のニーズを把握していただいて、浴場経営の安定化に向けてしっかりと支援をしていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○斉藤委員 私からは、男女平等参画の取り組みについて伺います。
東京都では女性の活躍を掲げ、戦略ビジョンでも、女性がみずからの希望に応じた生き方を選択し、自分らしく輝いている東京を描いています。
生活文化局でも、これまでに男女平等参画を促進するための取り組みを行ってきたところだと思いますが、昨年十二月に世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ指数において、日本はG7で最下位、百五十三カ国中百二十一位と、前年よりも後退して過去最低となりました。
こうした状況について、女性の活躍を掲げる都として、どのように受けとめているでしょうか。
○赤羽男女平等参画担当部長 近年、男女平等参画に関する社会の機運は高まりを見せておりますが、ジェンダーギャップ指数における日本の順位は、委員お話しのとおり、百五十三カ国中百二十一位でございます。
男女平等参画について、より一層、取り組む必要があると認識しております。
○斉藤委員 今、重要な認識のご答弁がありました。生活文化局がまとめている東京都男女平等参画推進総合計画の中で、知事は、東京は日本の女性活躍を進めるエンジンとなって、強力に取り組みを進めていく必要があると述べています。
こうした中で、男女平等参画を政策の大きな柱の一つとしている生活文化局の役割は、ますます大きなものになっていると思いますが、いかがですか。
○赤羽男女平等参画担当部長 生活文化局は、都における男女平等参画施策を総合的に推進する役割を担っております。
このため、条例及び関係法律に基づく東京都男女平等参画推進総合計画の策定、庁内連携を図るための東京都男女平等参画推進会議を設置、運営するなど、庁内各局とともに男女平等参画施策を着実に推進しております。
○斉藤委員 都における男女平等参画施策を総合的に推進する役割を担っていて、庁内各局とともに男女平等参画施策を推進していくということです。
とりわけ、男女平等、ジェンダー平等は、今、世界的にも求められているものです。女性が生きやすい社会をつくるということは、男性も、誰もが生きやすい社会につながっていきます。生活文化局においては、この役割にふさわしく、誰もが生きやすい社会の実現のために取り組みを強化していただきたいと思います。
この世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数は、ご存じのとおり、政治、経済、教育、健康の四つの分野のデータをもとにして各国の男女の格差を分析した指数ですが、日本では、特に政治と経済の指数が低いということは、皆さん、ご承知のとおりだと思います。
特に労働の分野では、女性に家事や育児という役割が押しつけられ、労働の現場から排除されてしまう現実や、賃金格差の問題など、さまざまな要因がありますが、今、働く入り口に立とうとしている多くの女子学生が、就職活動のときに企業側の人からセクハラを受ける就活セクハラの問題も深刻になっています。
私は、この間、就活セクハラの問題で声を上げた学生さんたちにお話を伺ってきました。セクハラの多くがOB訪問やインターンの場で起きているということですが、特に、選考ルートに組み込まれているOB訪問では、飲み会の誘いなども断ることができずに、そうした場で、彼氏はいるのとか、容姿のことをいわれたりするということが日常茶飯事だといいます。飲み会などを断ると、君はそれでいいのと、おどされるということです。
就活セクハラは、求職者と採用側という対等でない力関係のもとで行われるものであり、弱い立場の学生の多くが泣き寝入りをしている現状です。
私は、今定例会の一般質問で就活セクハラについて取り上げましたが、その中で、知事は、セクハラは、働く方の個人としての尊厳を傷つける社会的に許されない行為であります、労働者はもとより、就職活動中の学生等に対しましても、あってはならないものと強く認識をいたしておりますと、重要な認識を答弁されました。
生活文化局としても、就活セクハラの問題にも着目をして取り組みを検討していく必要があると思いますが、見解を伺います。
○赤羽男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザの女性相談に就職活動中のセクハラに関する相談が寄せられた場合は、専門の相談窓口であります東京労働局総合労働相談コーナーをご紹介しております。
就職活動中のセクハラは、厚生労働省が職場におけるハラスメントに位置づけておりますことから、所管局が国とも連携して対応しております。
○斉藤委員 東京ウィメンズプラザの女性相談に就職活動中のセクハラに関する相談が寄せられた場合はということですが、実際には、ウィメンズプラザの相談窓口には、就活セクハラの相談が来たという実績はほとんどないと伺っています。そもそも、相談窓口の対象として就活セクハラを掲げているわけではないので、実績がほとんどないということも当然だろうというふうに思います。
また、相談につなぐ先としても、厚労省所管の東京労働局ということなので、都としての取り組みは、現状では非常に弱い状況です。
学生の皆さんは、まずは相談できる窓口をたくさんつくってほしいと訴えています。
東京都では、来年度から産業労働局がSNS相談窓口をつくることにしていますが、対面での相談が必要な場合は、やはり東京労働局につなぐということです。
都として主体的に取り組み、相談窓口をふやしていくためにも、現在のウィメンズプラザの女性相談にも就活セクハラをしっかりと位置づけて、周知を行っていただきたいということを求めておきます。
就職活動を行う学生などの若者向けという点では、生活文化局では、来年度から新規事業として、キャリアデザインのためのeラーニングコンテンツの作成があります。この概要について、先ほど質疑がありました。中身は、キャリアデザインを考えるきっかけとなるよう、就職活動を迎える前の若者を主な対象者として、スマートフォン等で気軽に楽しみながら学べるコンテンツを作成する予定だということでした。
例えば、そのキャリアデザインのためのeラーニングコンテンツに、就活セクハラの事例や、来年度から産業労働局が開設準備を行う就活セクハラのSNS相談や、東京労働局の案内を掲載するなど、生活文化局としてできることを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○赤羽男女平等参画担当部長 庁内各局が実施いたします男女平等参画に関するさまざまな取り組みにつきましては、東京都女性活躍推進ポータルサイト等を活用し、幅広く発信するなど、適切に連携し、対応しております。
○斉藤委員 東京都女性活躍推進ポータルサイト等を活用して、適切に幅広く発信していくということですので、ぜひここに、就活セクハラの事例のほか、産業労働局が新しく立てる相談窓口の案内などを表示をしていただきたいというふうに思います。
就活セクハラに悩む学生の方々は、この問題を社会に可視化してほしいと訴えています。多くの学生や求職者が泣き寝入りをするしかない中で、問題があることが社会に認識されていない状況が続いてきました。問題を可視化していくためにも、実態を把握していく必要があります。ぜひ生活文化局として、就活セクハラの相談を対象として実態を調査していくということもあわせて求めます。
私自身の経験でもありますが、結婚した後、三十歳過ぎてから転職活動を行ったときには、面接でお子さんのご予定はというふうに聞かれました。しかし、同時に受けていた欧州系企業の面接では、私たちの会社では、女性を採用するときに、年齢や既婚か未婚かなどは関係ないんですよといわれて、正社員として採用をされました。このときに、どれだけ救われた思いになったか。日本の企業もこうなれば、どれだけ多くの日本の女性が救われるだろうかと本当に思いました。
性別を理由とする差別は男女雇用機会均等法で禁じられていますが、それがまかり通っている現状を変えていかなければなりません。
昨年六月には、国でセクハラ防止法が成立しましたが、長年、国民、そして国際的にも繰り返し求められている禁止条項がないということなど、実効性に乏しいものとなっています。
全ての女性、男性も、誰もが活躍できる生きやすい社会を東京からつくっていくためにも、この問題に生活文化局としても向き合っていただきたいというふうに思います。
最後に伺います。
私は、生活文化局の大きな役割として、社会問題の解決のために啓発や機運の醸成を行っていくということがあると思います。その基礎となるのが調査活動だというふうに思っています。
生活文化局では、今、男女平等参画にかかわる調査活動について、どのようなことを行っているのでしょうか。
○赤羽男女平等参画担当部長 男女平等参画施策を総合的に推進していくため、雇用、就業状況、保育サービスの整備状況など、東京の男女平等参画の状況及び施策の実施状況等につきまして情報収集、分析を行い、毎年度、年次報告として公表しております。
○斉藤委員 東京の男女平等参画の現状及び施策の実施状況等について情報収集をして、年次報告として公表しているということです。この中では、男女平等参画にかかわる各分野の調査や統計が一つにまとめられていて、ワンストップ的に調べられるようになっているという点は、とても有効だというふうに感じました。
しかし、調査自体は、国や都の関係各局が行っているものが中心で、ご答弁にもありましたが、あくまでも情報収集をしてまとめているというものになっていると思います。私は、生活文化局の事業として独自の調査を充実させて、都政のさまざまな政策につなげていく、まさに東京都の牽引役を果たしていくような取り組みが必要なのではないかと思います。
私は、この間、かつてウィメンズプラザが、都の直営ではなくて東京女性財団が運営していたころの資料を幾つか見てみました。このときは、財団としての研究だけでなく、都民や団体の研究に対しても経費の一部を助成して、調査活動に力を入れていました。
(資料を示す)これは、二十年前、二〇〇〇年に発行された東京女性財団助成事業年次報告になります。この中に、都民や民間の研究家、市民活動家などの調査内容がまとめられています。これは、助成を受けて都民の皆さんが行っている研究が載っているというものです。
中身は、就職活動が女子大生に与える精神的ストレスとか、働く女性の性役割とメンタルヘルスに関する研究、また、間接差別をなくし、同一価値労働同一賃金を実現するなど、今現在の課題にも重なる重要な研究が行われていたということがわかります。
さらに、一九九七年発行の、この財団が発行したものですが、ジェンダーチェックという冊子もあります。(資料を示す)これになります。さまざま種類があるんですが、これは二十三年前のものになります。
このジェンダーチェック、中を開くと、項目からチェックしていくことでジェンダーの理解度をはかる、認識をはかることができる、そういう中身になっているんですが、大人編、それから中学・高校生編、そして小学生編もある。あと教師編もあります。小学生編には、子供も読めるように仮名が振ってあります。
とても豊かなジェンダー平等の取り組みが行われていましたが、これらの事業は、石原都政のときに切り捨てられたということでした。それから長年にわたって、ウィメンズプラザでのこうした取り組みが縮小されたままになっているのは、本当にもったいないというふうに思っています。
当時を知る専門家の方は、ウィメンズプラザでは、かつて豊かな男女平等参画の取り組みがあったけれども、今は貸し館業のようになってしまったという言葉も聞いています。当時は、ここでの研究が、東京都において政策提言として有効に活用されていただけでなく、男女雇用機会均等法の改正など、国レベルの政策でも大きな影響を及ぼしてきたということです。
ぜひ男女平等参画、ジェンダー平等の社会をこの東京から実現していくためにも、調査活動を充実させて、都の施策を牽引していく役割を担っていただくことを改めて求めて、質問を終わります。
○鳥居委員 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、多くの文化イベントなどが中止や延期に追い込まれるなど、社会的に大きな影響が出ております。まずは、新型コロナウイルス感染症の終息に向けて、全都庁を挙げて、また、社会全体が全力で取り組むべき時期と考えます。
しかし、こうした状況ではありますが、東京二〇二〇大会の成功、文化面からの盛り上げに向けて、Tokyo Tokyo FESTIVALの準備を着実に進めていくことは重要と考えます。来年度予算では、Tokyo Tokyo FESTIVALの推進として五十三億円余りが要求されました。改めて、その主な事業内容について確認させていただきます。
東京二〇二〇大会を契機に文化のレガシーを残すため、Tokyo Tokyo FESTIVALでは、多くの都民が参加できる親しみのあるプログラムが実施されてきました。
昨年度から始まったサラダ音楽祭は、誰もが音楽の楽しさを体感、表現できる音楽祭として、赤ちゃんから大人までが楽しめるオーケストラコンサートやオペラ、ワークショップなど、多彩なプログラムが展開されました。今年度は規模を拡大して実施するように、盛況な取り組みであったと聞いております。
そして、今年度からは、新たにオペラ夏の祭典の取り組みが始まりました。
そこで、改めて、初めての取り組みとなったオペラ夏の祭典について、今年度の成果や来年度に向けた狙いなどについて伺います。
○川崎魅力発信プロジェクト担当部長 オペラ夏の祭典でございますけれども、これは、東京文化会館と新国立劇場とが初めて共同制作を行い、国内の劇場や海外有数の劇場と連携して実施いたします二年間のプロジェクトでございまして、国際的にも注目度の高いオペラを、比較的手ごろな価格で鑑賞いただくことを目的に実施しております。
また、本番の公演だけではなく、まち中でのミニコンサートなどのプレイベントを通じまして、気軽にオペラの魅力に触れてもらい、参加者に広がりを持たせることも狙いの一つとしてございます。
今年度の演目でございますトゥーランドット、これは昨年七月に上演いたしましたけれども、このトゥーランドットでは、迫力のある舞台に、専門家から高い評価をいただいただけでなく、初めてオペラを鑑賞した来場者からも大変好評をいただきまして、オペラという総合芸術の魅力を多くの方々に知っていただく機会となったものと考えております。
来年度は、オリンピック・パラリンピック大会直前となります六月に、ワーグナーのニュルンベルクのマイスタージンガーを、前回の東京大会のレガシーでもございます東京都交響楽団の演奏で披露し、東京二〇二〇大会のさらなる盛り上げにつなげてまいります。
○鳥居委員 今年度の演目であるトゥーランドットでは、大がかりな舞台装置、大人数の演者、スタッフがかかわり、海外からもオーケストラを招くなど、多大な労力と時間がかかったことと感じます。専門家による舞台の評価とあわせて、その取り組みも一定の評価に値すると考えます。
サラダ音楽祭やオペラ夏の祭典については、芸術文化の敷居を下げる取り組みの一つであります。そのノウハウを今後にも生かしていただき、都民の皆様が芸術に親しむ機会の増加と芸術都市東京を進めていただきたいと考えます。
次に、大会期間中に国内外から東京を訪れる多くの観客や観光客を対象に、気軽に東京の芸術文化の魅力に触れてもらう機会を提供することは、経済効果も見込めることから大変重要です。
来年度予算では、新規要求として、大会期間中にメディアセンター、ライブサイトなどで華道や茶道などの伝統文化体験を予定していると聞いております。こうした新しい場所以外にも、既存の都立文化施設は地域のランドマークであり、観光客に知ってもらう、来てもらうことは、将来の東京のファンをふやすためにも重要です。
大会期間中に国内外からの観光客に東京の文化の魅力を知ってもらうために、どのような工夫を行っていくつもりなのかを伺います。
○古屋文化振興部長 都は、大会期間中に、メディアセンターやライブサイトでの華道、茶道のほか、書道や浮世絵の手刷り、折り紙など気軽に楽しめる伝統文化体験や、競技会場周辺等でのヘブンアーティストのパフォーマンスなどを実施する予定でございます。
また、都立文化施設を活用して大会を盛り上げるため、ライブサイトやパブリックビューイング会場に近接いたします東京芸術劇場や東京文化会館におきまして、アトリウムやホワイエなどを開放し、ミニコンサートや伝統芸能パフォーマンスなどを集中的に実施してまいります。
こうした取り組みによりまして、東京を訪れる観光客などに日本の伝統文化や新しい芸術文化など幅広い東京の文化的な魅力に触れる機会を提供することで東京のファンをふやしまして、大会後の再訪につなげてまいります。
○鳥居委員 東京二〇二〇大会の成功に向けては着実な準備が進められていると理解しますが、新型コロナウイルス感染症については、国内の各種スポーツ、文化イベントが次々と中止になるなど、影響の拡大を大いに心配しているところです。
特に、本年第一回定例会の一般質問にて質問させていただいたTokyo Tokyo FESTIVALのスペシャル13については、大会開幕の盛り上げに向けて集中して実施するプログラムとして、四月以降に、順次、本番を迎える段階だという認識を持っております。多彩で斬新な企画であるだけに準備なども大変であり、事前の稽古やワークショップを予定していたものや、海外からアーティストを招聘するものなどもあると聞いております。
まずは、都民の生命と健康が最優先です。その中で、少しでも安心・安全な開催方法が工夫できないか検討するなど、個別の企画ごとの事情を見きわめながら適切に判断いただくことをお願いいたします。
東京二〇二〇大会直前から大会期間中に開催するTokyo Tokyo FESTIVAL事業は、スペシャル13以外にも多くあります。状況が目まぐるしく変わる中での対応は、非常に困難で大変だと思いますが、大会の盛り上げ、文化レガシーの創出に向けて着実な準備を進めていただくよう、重ねてお願いいたします。
次に、男女平等参画の推進について伺います。
都は、女性も男性も生き生きと豊かに暮らせる東京の実現を目指して東京都男女平等参画推進総合計画を策定し、三年が経過しました。この間、この計画に基づいて、さまざまな施策が講じられていることは承知しております。
この計画で定めている二十五の数値目標の中でも、審議会等への女性委員任用率は、男女平等参画について都の状況を示す象徴的な目標の一つだと考えます。
そこで、審議会等への女性委員の任用率を数値目標とした意義について改めて伺うとともに、どのように取り組まれ、どのような現状となっているのかを伺います。
○赤羽男女平等参画担当部長 男女平等参画社会を実現するためには、あらゆる場における企画、方針、意思決定の段階に、男性、女性、双方が参画することが不可欠でございまして、都の政策形成の場である審議会等への女性参画の拡大が重要でございます。
このため、男女平等参画推進総合計画では、令和三年度末までの数値目標といたしまして、審議会等における女性委員の任用率三五%の早期達成を設定しております。
都は、各局の審議会担当部署の管理職等を対象とした研修などを実施しているほか、審議会担当部署は、委員を推薦する団体に対しまして、女性委員の積極的な推薦を働きかけております。
平成三十一年四月一日現在の女性委員任用率は三一・八%でございまして、計画を策定いたしました平成二十八年度の二七・六%よりも四・二ポイント上昇しており、令和三年四月には全庁で三八・二%と、目標を達成する見込みでございます。
○鳥居委員 審議会等の女性委員任用率について、令和三年度末までに任用率三五%の早期達成に対する目標がなされる見込みであることがわかりました。
昨年十二月に都が策定した未来の東京戦略ビジョンにおいては、女性の活躍推進戦略として、都の審議会等の委員について、二〇三〇年度に男女それぞれが四〇%以上という新たな目標も掲げられているとおり、女性活躍を一層推進していく上で本取り組みが重要であるとの認識のもと、目標達成に向けて、引き続き努力していただきたいと思います。
男女平等参画を進める上で、女性活躍と並んでもう一つ大きな問題は、配偶者暴力への対策と認識いたします。
警視庁の発表によると、全国の警察が昨年一年間で受理したDV被害の相談は八万二千件を超え、十六年連続で増加していると示されたことは重大です。女性活躍の推進とともに配偶者暴力対策も充実させ、両者を実現してこそ、真の男女平等参画社会といえるのではないかと考えます。
そこで、都は、配偶者暴力対策にどのように取り組んできたのかを改めて伺います。
○赤羽男女平等参画担当部長 都は、配偶者暴力の被害者支援に向けて、東京都配偶者暴力対策基本計画に基づき、被害の早期発見、多様な相談体制の整備、安全な保護体制の整備、生活再建のための自立支援など、幅広い施策に取り組んでおります。
配偶者暴力の被害者への支援は、一人一人の状況に応じた対応が必要でございますことから、配偶者暴力相談支援センターの機能を担う東京ウィメンズプラザと東京都女性相談センターを中心に、区市町村、警視庁などの行政機関はもとより、裁判所、医療機関、民間団体など、幅広い機関がそれぞれの役割を明確にしつつ、相互に補完し、協働して取り組んでおります。
また、被害者にとりまして身近な地域で充実した支援を受けられるよう、区市町村における配偶者暴力相談支援センター機能の整備に向けて働きかけを行っております。
○鳥居委員 配偶者暴力対策のためには、暴力の背景にある正しい認識と、暴力を許さないという社会の形成が必要であります。
また、被害者等の安全性確保と本人の意思を尊重した支援が重要と認識いたします。
また、お示しいただいたとおり、都の取り組みに加えて、身近な地域できめ細かい支援を迅速かつ円滑に進めるためには、区市町村や関係機関との連携が重要と考えます。特に、今ご答弁があったように、被害者が身近なところで相談できる体制を整備することが重要と考えます。
そこで、区市町村の配偶者暴力相談支援センター機能の整備について、どのような目標を設定し、取り組んでいるのかを伺います。
○赤羽男女平等参画担当部長 配偶者暴力による被害の回復には長期的なサポートが必要であるため、身近な地域におきまして、相談から生活再建、自立まで、一元的に支援を受けられることが重要でありますことから、基本計画において、区市町村における配偶者暴力相談支援センター機能が、令和三年度までに二十の区市町村で整備されることを目標としております。
このため、都は、区市町村に対し、相談員研修や、センター機能として必要な情報を出前講座等により提供するなど支援を図り、現在、十六区においてセンター機能が整備されております。
今後とも、目標達成に向けて区市町村の支援に努めてまいります。
○鳥居委員 先ほども述べたとおり、全国でDV相談が増加している状況にはありますが、その要因としては、今ご説明のあった区市町村における相談機能の整備が進む中にあって、DV相談に対する社会的な認知度が高まったことにより、これまで相談できずに泣き寝入りしていた被害者が相談をするようになってきたことも一因と思われます。
しかし、現在でも、被害者が行政に相談することのハードルは依然として高いと感じている人もいることを耳にします。
これまで都は、児童虐待、いじめ、自殺に対する窓口として、SNSを活用することにより、電話による相談をちゅうちょする方々に対してハードルを下げ、より広い範囲で対策ができる取り組みを進めております。
そして、最近では在住外国人の被害もふえていると聞いております。
配偶者暴力対策においても、まだ相談に踏み出せない人のための対策も必要と考えます。都の取り組みを伺います。
○赤羽男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザに寄せられている相談の状況を見ますと、二十歳台からの配偶者等暴力に関する相談は、他の年代と比較して少ない状況でございます。一方、国の調査では、二十歳台の被害経験は、他の年代と比較しても少なくないことから、若年層の被害が相談に結びついていないことが懸念されます。
これら若年層は、SNSをコミュニケーション手段として使うことが多いため、LINEを活用し、より相談しやすい環境を整え、被害の防止やさまざまな支援につなげることとしておりまして、来年度は、運用方針等を検討するため、試行として実施いたします。
また、都内在住外国人の増加が見込まれますことから、三者間多言語通訳サービスを活用した配偶者暴力相談を試行実施いたします。
これにより相談しやすい環境を整備してまいります。
○鳥居委員 配偶者暴力対策においても、電話相談に加え、LINE相談を実施することは重要です。また、新たに行う多言語通訳サービス相談の試行実施の取り組みも有意義な対応と考えます。
女性活躍推進と配偶者暴力対策の両方について、これまで以上に取り組みを進め、未来の東京戦略ビジョンに掲げたように、女性がみずからの希望に応じた生き方を選択し、自分らしく輝いている東京を実現していくことをお願いいたします。
私学振興について、我が会派では、特に幼児教育無償化、類似施設への支援及び私立高校授業料無償化、一層の多子世帯への支援を求め、都は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の確保や独自の補助を行うこと、年収が九百十万円を上回る世帯に対しても、扶養する二十三歳未満の子供が三人以上おられる場合は新たな支援を行うことなどの答弁がなされました。
このような中で、令和二年度予算案において、私立専修学校授業料等減免費用負担金として六十二億五千万円余りが計上されております。これは、国が進めている、いわゆる高等教育の無償化の都内私立専門学校に関する予算であり、その二分の一については国が負担するものの、都費としては三十一億二千万円余りという、非常に大きな額が充てられることになります。
この点について質疑をさせていただくに当たり、まず初めに、いわゆる高等教育の無償化の目的と制度の概要について、改めて伺います。
○濱田私学部長 いわゆる高等教育の無償化は、令和二年度から始まる国の制度でございまして、低所得者世帯の方に対し、社会で自立し活躍することができるよう、質の高い教育を実施する大学や専門学校等における修学の支援を行うことにより、我が国における急速な少子化の進展への対処に寄与すること等を目的としております。
また、制度の概要についてですが、実務経験のある教員等による授業科目の設置、授業計画書や財務諸表等の公表、設置者の経営要件等を満たす大学や専門学校等を対象とし、学業成績や家計の収入基準等の要件を満たす学生につきまして、授業料及び入学金の減免と給付型奨学金の支給を行うものでございます。
○鳥居委員 低所得世帯の学生が学業成績等の要件を満たせば、大学や専門学校等における授業料や入学金の減免等が受けられるようになるということで、大変意義のある制度であると思います。
一方で、この制度においては、先ほどご答弁があったとおりで、学生自身が要件を満たすことはもちろんのこと、学生が在籍する学校においても、経営状況等のいわゆる機関要件を満たす必要があります。
この機関要件を満たした学校は、制度上、確認校と呼ばれておりますが、都内の私立専門学校の学校数と、そのうち確認校になるための申請を行った学校数、さらに、機関要件を満たした確認校となった私立専門学校の数について伺います。
○濱田私学部長 都内の私立専門学校の数は三百五十五校でございます。そのうち確認校になるための申請を行った学校数は百八十八校でございます。機関要件を満たし、確認校となった学校は百八十六校でございます。
○鳥居委員 申請した学校のほとんどが確認校となっている一方で、申請そのものを行った学校数は、都内私立専門学校の約五三%にとどまっております。
今後、多くの学生がこの制度の恩恵を受けるためには、より多くの私立専門学校が申請を行い、確認校となることが重要と考えます。
そこで、今年度申請を実施しなかった学校にはどのような理由があるのかを伺います。
○濱田私学部長 確認校になるための申請を実施しなかった学校の中には、現時点で経営状況等の機関要件を満たせないと判断した学校や、事業初年度であり、令和二年度以降の制度利用を検討するなどとした学校がございます。
○鳥居委員 初年度ということもあり、学校側の準備も整わない状況であると思いますが、まだまだ確認校が少ない状況だと認識します。
ぜひ今後、さらに多くの私立専門学校がこの制度の対象となるよう、引き続き学校への制度周知等をしっかりと行っていただき、より多くの生徒が、家庭の経済状況にかかわらず質の高い高等教育を受けることができる環境を整えていただくことを要望して、私の質問を終わります。
○星見委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時三十六分休憩
午後二時五十二分開議
○星見委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○とや委員 共産党のとやです。よろしくお願いします。
まず、私からは庭園美術館条例について伺います。
今回、新設条例として提案をされています東京都庭園美術館条例について、また、この問題では、平和行政と新型コロナ対策について伺います。
庭園美術館は、宮家である朝香宮邸として、一九三三年、昭和八年に竣工し、戦後は首相公邸や迎賓館として使用され、一九八三年に東京都庭園美術館として一般公開が始まりました。一九九三年に都の指定有形文化財に指定され、二〇一五年には、アールデコ様式を正確にとどめ、昭和初期の東京における文化受容の様相をうかがうことができる貴重な歴史的建造物として、国の重要文化財に指定されています。建物そのものが芸術作品といえる施設です。
一九八三年に本館を庭園美術館として開館してから約三十七年たつわけですが、現在、どのように運営されているのか、伺います。
また、なぜ今、条例に基づく美術館とするのか、その意義についてお聞きします。
○工藤文化施設改革担当部長 現在、庭園美術館は、都の政策連携団体である東京都歴史文化財団が、旧朝香宮邸の土地、建物を借り受け、都の補助金により運営を行っております。
これまで暫定的に普通財産として利用してきましたが、大規模改修工事を経て、平成三十年に総合開館を迎えたことを踏まえ、公の施設としての恒久的な美術館と位置づけるため、設置条例を制定するものでございます。
○とや委員 公の施設として恒久的な美術館として条例で位置づけるということです。
現在の庭園美術館は普通財産で、形式的には行政上の目的がなく、売却も可能な財産という状態だったのが、条例化することにより、美術館という、目的が明確な行政財産になるわけですから、大変大事なことだと思います。条例化を機会に、都民の貴重な財産として、都民がこれまで以上に利用し、芸術文化を享受できるようにしていくことが大切です。
そこでまず、庭園美術館の庭園や展覧会などの来館者の過去五年間の実績、今年度の展覧会の開催状況について伺います。
○工藤文化施設改革担当部長 大規模改修工事により休館した時期がございますので、入場者数に変動がありますが、庭園のみの入場者数は、平成二十六年度は休園中のため実績がなく、二十七年度、約二万八千人、二十八年度は約四万三千人、二十九年度は約二万三千人、三十年度は約六万四千人でございます。
展覧会の入場者数ですが、平成二十六年度が約九万三千人、二十七年度は約二十万二千人、二十八年度は約二十六万四千人、二十九年度は約六万人、三十年度は約十七万四千人でございます。
また、今年度は、例年行っております建物公開展や、アールデコの時代を代表するルネ・ラリックの展覧会など四本の展覧会を開催しております。
○とや委員 多い年は、庭園に六万人以上、また、展覧会には二十万人以上の来館者があったということです。
今回の条例化により、庭園美術館は公の施設となり、都の直営か指定管理者による運営をしなければならなくなりますが、指定管理者の運営とする方向と伺っています。
指定管理者の運営となると利用料金制が導入されることとなりますが、利用料の考え方について伺います。
○工藤文化施設改革担当部長 指定管理者制度で利用料金制が導入された場合は、条例で定める額を上限として、指定管理者が実際の利用料金を定めることとなります。
なお、ルネ・ラリック展のような企画展の観覧料は、条例で定める利用料金とは別に、指定管理者と共催者との協議により定めるものでございます。
○とや委員 つまり、今回の条例案に示された額は料金の上限だと。そして、その額は、庭園の入場料については、一般が七百七十円、六十五歳以上の高齢者と高校生と都外中学生が三百八十円、都内中学生と小学生以下は無料です。建物公開展の場合は、一般が千二十円、高齢者と高校生等は五百十円となっています。
現在の入場料が、庭園は、一般は二百円、大学生などの学生さんは百六十円、中高校生と六十五歳以上は百円ですから、今回、条例で定める利用料金は、一般の場合、現在の入場料の四倍近い金額となります。条例上の上限の範囲内ということで、現在の四倍近くにはね上がるようなことになれば、都民は足を運びづらくなってしまいます。
来館者に配慮した観覧料をどのように担保するか、伺います。
○工藤文化施設改革担当部長 指定管理者が実際の利用料金を設定する場合は、条例の上限額の範囲内で都の承認を経るため、適切な料金水準を超えることはございません。
○とや委員 適切な水準を超えることはないということですが、急激な値上がりなどがないようにお願いをしておきたいと思います。
逆に、建物公開展の場合は、条例で設定する利用料金が一千二十円に対し、現在の一般料金は九百円で、比較的近い金額となっています。条例上の利用料金は、いわゆる原価主義をとっていて、運営に必要な原価から割り出した料金ですから、現在は、都の施設でありながら、原価に近い金額設定になっているわけです。
他の都立美術館、博物館は、条例上の利用料金、つまり運営に必要な原価から割り出した料金は、館により違いはありますが、大体一千百二十円程度と、庭園美術館より高いにもかかわらず、実際の観覧料は五百円から六百円と、大分低く抑えられております。他の館の設定も参考にしながら、より都民が利用しやすい料金にしていただきたいということを求めておきます。
庭園美術館の倉庫には、現在、東京空襲の戦災資料、五千点が保管されています。この問題についても伺いたいと思います。
ここには、戦争体験者の貴重な証言ビデオ、約三百人分も保管されています。
条例化により、庭園美術館は普通財産から行政財産になり、施設の目的が、旧朝香宮邸の保存と公開や、建物や庭園を生かした美術作品の展示、旧朝香宮邸とアールデコを中心とした美術の調査研究などとなってきます。
そのことが、これらの戦災資料の保管について影響があるのかどうか、伺います。
○工藤文化施設改革担当部長 ただいまお尋ねがございました資料につきましては、庭園美術館の業務運営に支障のない範囲で、引き続き現在の場所で保管できるよう、必要な手続を行ってまいります。
○とや委員 支障のない範囲で、引き続き現在の場所で保管するということです。
二〇一八年の事務事業質疑で、我が党の星見議員が、この戦災資料の保存と活用の問題を質問しました。
保管されている資料は、現在どのような状態なのか、誰が管理しているのか、改めて伺っておきたいと思います。
○古屋文化振興部長 都が所有する東京空襲関連資料は、実物資料、紙資料など、その資料の性質に合わせまして、学芸員の資格を有する都職員が一括して適切に管理しております。
これらの資料は、必要に応じて資料の安定化を図ることで、資料の取得時とほぼ同様の状態を保持しております。
○とや委員 学芸員が適切に管理をされているということですが、一八年の質疑のときにも、湿度など、資料の保管の環境がよいとはいえない、また、非常勤の学芸員がたった一人で管理をしていて、関係者や都民の声に応えて、その活用などを系統的に行うには課題があるんじゃないかと、私からも指摘をしておきたいと思います。
そして、これらの資料ですが、どのように現在活用されているのか、展示や貸出状況についてお聞きします。
○古屋文化振興部長 東京空襲関連資料は、毎年三月十日の平和の日に合わせまして開催する都主催の東京空襲資料展で展示してございまして、昨年度は、都内四カ所の会場で、延べ四百五十一点の資料を展示したところでございます。
また、資料は、区市町村が主催する平和関連の資料展への貸し出しも行ってございまして、昨年度は、十一区八市一町への貸し出しを行い、二十八会場におきまして、延べ五百八十点の資料が活用されたところでございます。
○とや委員 昨年度は、都主催と区市町村主催とを合わせると、三十二の会場で活用されたとのことです。資料展が最も多く行われるのは三月十日の東京都平和の日前後だと思いますが、今年度は、残念ながら新型コロナウイルスの感染防止で、都の平和の日記念式典を初め、中止や縮小となった資料展も少なくありません。
そうした中ですが、戦争の記憶を風化させてはならないと、東京空襲について、幾つかのテレビ番組が特集し、報道しました。十三日には、NHKで「せめて名前だけでも…」という特集が組まれました。
私も拝見しましたが、十万人が亡くなった東京大空襲の犠牲者の方は、混乱の中で遺体も見つからず、人間らしく埋葬することもできなかった、焼けてしまって遺品もない、生きたあかしは名前しかない人が大勢います。その名前を収集する活動に取り組み、一人一人の人間として、沖縄の平和の礎のように名前を記してほしいと願う遺族の方々のお話でした。
また、江東区の東京大空襲・戦災資料センターの活動も紹介されました。戦争体験を語られる方が年々少なくなる中、これまでのように戦災資料を物として展示しても、戦争の悲惨さはなかなか伝わらなくなっている。展示の方法を変えて、その遺品を着ていた、使っていた人の人生、どんなふうに生活し、そこでどんなふうに戦争の犠牲になったのかという物語として展示する取り組みをしているそうです。広島や長崎などの平和の資料館でも、同様の展示の工夫が始まっているとのことでした。
全体で三十分程度の番組でしたが、遺族の皆さんの無念と悲しみ、喪失感と同時に、生きているうちに何とかしたいという思いが私にも伝わってきました。
局の皆さんもごらんになったでしょうか。もし見ていなければ、ぜひごらんになっていただきたいなと、議会の皆さんにも申し上げておきたいと思います。
庭園美術館の倉庫に眠っている都民から寄贈された戦災資料、五千点、先ほどご答弁で、学芸員が適切に管理し、資料取得当時とほぼ同様の状態を保持しているとおっしゃいました。先ほども申し上げましたが、それは最低限必要で、大切なことなんですけれども、本来であれば、平和祈念館、資料館のような場所で、戦争の悲惨さ、平和の大切さを知る資料として、伝え方も工夫しながら展示されるべき資料です。倉庫に眠らせたままにしておくのではなく、活用してこその資料だと思います。
NHKの番組では、都の撮影した証言ビデオで証言したけれども、それは一度も日の目を見ていないという九十三歳の女性のお話も紹介されていました。ぜひ活用すべきだと思います。
ことしは戦後七十五年の節目の年でもあり、また、平和の祭典であるオリンピックが東京で行われる予定でもあります。通常の何倍も、都民や日本、世界にアピールする平和行事を行って、平和への思いを新たにし、都が先頭に立って平和を推進するチャンスの年ではないでしょうか。
こうした節目の年をチャンスと捉え、ぜひ平和祈念館構想を具体化すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○古屋文化振興部長 東京都平和祈念館、仮称でございますが、この建設につきましては、平成九年から十一年にかけまして、当時の都議会において、展示内容などをめぐり議論がなされ、展示内容に係る歴史認識や見解に相違がございました。そして、大方の合意が得られずに、付帯決議がなされたと理解しておりまして、その重みを十分認識しているところでございます。
したがいまして、その建設につきましては、改めて都議会での一定の審議と合意がなされなければ、対応は難しいと考えているところでございます。
○とや委員 私、NHKの番組を拝見しまして、平和祈念館構想にあった図面を見ました。大変立派な図面になっていたんですね。平和祈念館ができれば、遺族の方々も、戦争体験者の方々も、当時、期待してきた方々がどんなに喜ぶだろうかと私は思いました。
一度つまずいてしまった平和祈念館ですが、この機会に、都議会でも、ぜひもう一度、建設に向け議論することを皆さんにも呼びかけたいと思います。もう戦争体験者にとっては、本当にぎりぎりのときに来ていると思います。ぜひ一歩を踏み出していただきたいと、局の皆さんにもお願いをしておきたいと思います。
さらに、先週、東京都平和の日条例で三月十日に行うと決まっている平和の日の記念式典が、新型コロナウイルス感染防止のため、中止になりました。
平和の推進や、戦争体験者、遺族にとって重要な行事でもあり、改めて記念行事をやるべきだと思いますが、いかがですか。
○古屋文化振興部長 ことし、都では記念式典を中止いたしましたが、三月十日の東京都平和の日には、式典の開会時間でございました二時に合わせまして、知事、議長、外交団代表及び被災者の代表の四名の登壇予定者の皆様に平和の日に寄せたメッセージをいただきまして、それを都のホームページに掲載いたしますとともに、例年どおり、庁内放送で職員及び来庁者に呼びかけまして、一分間の黙祷を行ったところでございます。
また、三月五日から十日にかけましては、都庁第一本庁舎一階の中央アートワーク台座におきまして、例年も記念行事の一部として行っております東京空襲写真パネル展を実施いたしまして、来庁者の皆様に東京空襲の史実を伝え、平和意識の高揚を図ったところでございます。
○とや委員 今、可能な範囲でできることをやっていただいていると思いますが、やはり広い都民が、条例にあるように、平和の意義を確認し、平和意識を高めることのできるような行事を、新型コロナウイルス感染の心配がなくなった時点でも、改めて実施していただきたいということを要望しておきます。
ほかにも、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、都立文化施設の展覧会や公演などが延期や中止になっています。概要をお聞きしておきたいと思います。
○古屋文化振興部長 生活文化局では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止する観点から、二月二十八日に、開催を予定しておりました文化事業の休止等につきまして、第一報をプレス発表したところでございます。それ以降、三月三日に第二報、三月十三日に第三報を出しまして、第三報の時点では、三月末を目途に、展覧会や公演等の休止または中止を発表しているところでございます。
こうした展覧会や公演等につきましては、都や東京都歴史文化財団、東京都交響楽団が主催いたします事業のほか、共催事業、助成事業、貸し館事業がございまして、休止または中止等の判断は、それぞれの主催者が関係者と協議等をしながら進めているところでございます。
○とや委員 感染を防止し、命を守ることは最優先しなければなりません。
同時に、人間社会の営みをどこまで中止するか、関係者にはどんな影響があるか、慎重な検討と科学的な判断が求められます。
特に、中止や延期になる公演や展覧会の影響で、アーティストやスタッフへの影響がどうなっているのか、お聞きしたいと思います。
○古屋文化振興部長 感染拡大を防止するという事態の緊急性から、取り急ぎ、中止または休止等の判断を優先させたものでございまして、現在は、個別の事業ごとに、契約内容の確認や関係者の皆様との協議を始めた段階でございます。
今後、速やかに詳細の把握に努めていきたいと考えてございます。
○とや委員 現在は、契約内容の確認や協議を始めた段階ということです。感染症対策による中止は、契約でも想定していないということではないかと思います。契約上、都に責任が問われない場合であっても、アーティストやスタッフが損害をこうむることのないよう、最大限の配慮を要望しておきます。
さらに、根本的な問題として、東京芸術劇場の芸術監督の野田秀樹さんは、今月初旬、公演中止で本当によいのかという意見書を発表しました。政府の文化イベント自粛要請に対するものです。
感染症の専門家と協議して、考えられる対策を十分に施し、観客の理解を得ることを前提とした上で、予定される公演は実施されるべきと考えます、一たび劇場を閉鎖した場合、再開が困難になるおそれがあり、それは劇場の死を意味しかねません、現在、この困難な状況でも、懸命に上演を目指している演劇人に対して、身勝手な芸術家たちという風評が出回ることを危惧します、公演収入で生計を立てる多くの舞台関係者にも思いをいたしてください、劇場公演の中止は、考え得る限りの手を尽くした上での、最後の最後の苦渋の決断であるべきですなどとするものです。
また、きょうもクラシック業界が救済策を要望しています。先月二十六日のイベントの自粛要請以降、今月十三日までの二週間余りの間に、中止が決まったクラシック音楽のコンサートは全国で五百二十三公演に上り、損害は推定で二十四億円を超えるということです。
安倍政権の学校の全国一律休校は、科学的判断に基づくものではないことが今明らかになっています。報道でも、学校の一斉休校が解除になるのではないかということも報道されています。何でも一律ということではなく、その場所や地域ごとの、冷静で科学的な判断が必要だと考えます。
この項の最後に、ことしは、春休みに都立美術館、博物館のWelcome Youthが初めて行われる予定でしたが、中止が発表されました。若者が芸術文化に気軽に触れる機会をふやす取り組みとして、私たちの条例提案とも同じ方向の企画として大変期待をしていたものです。
ぜひゴールデンウイークや夏休みに改めて実施することを初め、通年で観覧料の軽減、無料化を検討していただきたいと思いますが、Welcome Youthの概要と今後の方針について伺います。
○工藤文化施設改革担当部長 Welcome Youthは、十八歳以下の方を対象といたしまして、春休み期間に、都立美術館、博物館で行われる展覧会の観覧料を無料とするほか、高校生向けの魅力的な企画を組み合わせることにより、若い世代が気軽に文化に親しんでいただくための取り組みを行う予定でございました。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止する観点から、三月十三日に事業の中止を発表したところであり、今後の対応については未定でございます。
○とや委員 未定とのことですが、十八歳以下の観覧料無料に加え、高校生向けギャラリートークやドリンクサービス、着物の着つけの無料体験など、楽しい企画が満載の大変魅力的な取り組みでした。オリンピックの文化企画との調整など、いろいろあるのかもしれませんが、ぜひ実現をしていただくことを求めて、次の質問に移ります。
結婚の機運醸成事業についてです。
東京都は、結婚を希望しながらも一歩を踏み出せないでいる方を後押しするため、結婚に向けた機運醸成事業に取り組んでいます。
この事業については、都の戦略ビジョンの戦略1で子供の笑顔のための戦略が掲げられており、結婚支援プロジェクトが位置づけられています。
予算特別委員会で我が会派の原議員からも指摘させていただきましたが、結婚に対する考え方はさまざまだと思います。
そこでお聞きしたいと思いますが、個々人の価値観や人生観が色濃く出る結婚、人生の選択でもあります。
こうした多様性について、都の認識を伺っておきたいと思います。
○馬神都民活躍支援担当部長 結婚は、個人が自分の価値観や人生観に基づき決めるものでございます。
また、家族の形はさまざまで、どのような関係を持つかは本人の選択だと考えております。
○とや委員 個人の価値観や人生観に基づき決める、家族の形態はさまざまで、どのような関係を持つかは本人の選択だということです。これは当たり前のことであり、この点を踏まえて、こうした事業も進めていただきたいなと。こういったことが重要だと思います。
都は、この事業の中で、結婚を希望する方にとって、自分らしい結婚や婚活のヒントとなるよう、自分らしさを大切にしているさまざまなご夫婦のエピソードを募集し、東京の多様な夫婦の形をあらわす百作品を選んで、TOKYOふたり一〇〇Storiesとして紹介する事業を行っていますが、結婚に踏み出せない理由について、どのように把握し、どのような原因があると考えているか、伺います。
○馬神都民活躍支援担当部長 都は、昨年度、都内の未婚者を対象に、結婚等に関する意識調査を行いました。
調査において、結婚の意向がある未婚者に現在独身でいる理由を聞いたところ、適当な相手にめぐり会わないからと回答した方が最も多く、次いで、独身の自由さや気楽さを失いたくないから、結婚する必要性をまだ感じないからが続いております。
○とや委員 適当な相手にめぐり会わないが一番多かったということですが、この調査は私も拝見させていただいたんですが、その中で、都に期待する取り組みについて設問があって、これに対して、気軽に参加できる交流の機会の提供が四二・三%でありました。次いで多いのが、結婚しやすい環境の整備に資する取り組みで、ライフワークバランスの推進、若者の就職支援、待機児童対策等で三二・〇%となっていました。
この問題でいうと、二〇一八年の産業労働局の調査では、都内の非正規雇用労働者が、近年減少傾向にあるとはいえ、二百七十四万人、二五・九%、四人に一人以上となっています。こうしたことも、結婚に踏み切れない背景にあるのではないかなと指摘をさせていただきます。
同時に、こうした取り組みが多様性を認める社会を実感できる事業として進めていくことも重要です。
夫婦のエピソード募集、TOKYOふたり一〇〇Storiesを実施していましたが、籍を入れていない事実婚や同性パートナーなどの、入籍した方以外の結婚のあり方については募集をされたのでしょうか。
○馬神都民活躍支援担当部長 昨年実施した夫婦のエピソード募集では、法律婚の夫婦を対象としました。
募集に際しましては、都がオリンピック・パラリンピックのチケットをプレゼントする対象となり得ることなどから、特定の個人に対する公的な支出や便益の供与が明らかであり、対象を明確にする必要があったため、現時点で結婚の定義として明確になっている法律婚を対象といたしました。
○とや委員 抽せんでプレゼントする対象が、なぜ法律婚の夫婦でなければならないのか、ちょっとわかりにくいんですが、チケットをプレゼントする対象が、法律婚とそうでない方で区切られるのは、先ほどご答弁がありました、結婚は個人が自分の価値観や人生観に基づき決めるものという答弁とも、また、東京都が定めた人権条例にも反するといわざるを得ません。
また、ことしはオリンピック・パラリンピックが行われる予定の年です。IOCは、臨時総会でオリンピック憲章におけるオリンピズムの根本原則第六項を改正し、性的指向による差別が禁止されています。
昨年の報道に、いろんな夫婦、集まれというキャッチコピーで、二人の出会いや結婚の決め手となったエピソード募集に際し、法律婚以外は対象外と伝えられて、これって、都が目指す多様性社会なのと、疑問を投げかけた報道がありました。この方は、誰かの参考になればと応募しようとしたのに、いろんな夫婦というのなら、事実婚でも、同性カップルでもいいはずだと話しています。ぜひこうしたことも考慮に入れていただきたいなと思います。
また、入籍した際は、どちらかの姓にしなければならない制度。夫婦別姓を望む人たちもいます。こうした人たちにとっても障害になっています。昨年、選択的夫婦別姓制度を求める請願を文教委員会で採択しましたが、都においても、夫婦別姓を求める結婚のあり方を初め、多様な夫婦の形を肯定できるような啓発につながる事業にする必要があると考えます。
ぜひこうした近年の情勢を考慮していただいて、一〇〇Storiesについても、対象を再検討していただくことを求めておきます。
同性パートナーシップを開始した茨城県があります。私も行ってまいりましたが、この制度の開始に当たって、反対する県民も含めた勉強会を開催し、議論の内容は公開されているんですが、こうした理解を深めていくことは、結婚の機運醸成事業に対しても必要であると考えます。
来年度、機運醸成事業を進める上で、広範な都民が参加できる会議体などを設けて、どういうことができるのか、必要なのかを議論し、事業を進めていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○馬神都民活躍支援担当部長 都は、結婚を希望しながらも一歩を踏み出せないでいる人を後押しするため、結婚に向けた機運の醸成に取り組んでいます。
家族の形はさまざまで、どのような関係を持つかは本人の選択であり、都として否定するものではございません。
事業の実施に当たっては、有識者からの意見を参考にしているほか、イベント等に参加した都民からアンケートなどで意見を聞いておりまして、例えば昨年度のセミナーでは、八割を超える方から、結婚や婚活に対して前向きになれたとの回答がございました。
○とや委員 事業に対して肯定的なアンケート結果も出ていますが、先ほど、なぜ法律婚だけなのかといった理由に、オリンピックのチケットだというお話がありましたよね。それだけだったら、またほかの方法だって考えられるんですから、やはり多様な夫婦のあり方を認められるような事業にしていただきたいなと思います。
先ほど申し上げたように、ことしはオリ・パラ大会が予定されています。基本コンセプトは多様性と調和です。都が結婚を応援することを、私どもは否定するものではありませんが、近年、多様な人生観、結婚観が広がり、深まる中で、多くの人たちを応援する形であることが求められると思います。
法律婚のみにとらわれることなく、多様な結婚のあり方について応援し、機運を醸成する取り組みとなるよう、広く都民に聞きながら行うよう求めておきたいと思います。
次に、浴場について伺いたいと思います。先ほどもお話がありました公衆浴場、いわゆる銭湯の質問です。
都民の公衆衛生、健康増進、地域のコミュニティの場でもある銭湯。銭湯を利用したことがない方もいらっしゃると思いますが、例えば、映画「テルマエ・ロマエ」「千と千尋の神隠し」は浴場が舞台でもあり、落語の「湯屋番」も銭湯が題材です。こうした作品から銭湯の姿が見えてきます。江戸時代に繁盛し、日本の伝統文化でもある銭湯を、もっともっと多くの人に知ってほしいと私は思っています。
近年では、ひとり暮らしの高齢者がふえて、見守りの役割も重視されているところであります。
こうしたもとで、東京都は、公衆浴場を存続させるため、さまざまな支援策を実施していただいていると思いますが、改めて、都として公衆浴場の公共的役割、そして、浴場振興の重要性についての認識を伺います。
○吉村消費生活部長 公衆浴場は、都民への入浴機会の提供とともに、健康づくりや地域住民の交流の場として重要な役割を果たしており、海外に向けた日本の伝統的な生活文化の発信などの役割も担っていると認識しております。
都は、公衆浴場が果たしているこうした役割の重要性を踏まえ、各種助成制度などを実施しております。
○とや委員 健康づくりや地域住民の交流の場としての役割も果たし、日本の伝統的な生活文化の発信、こうした役割も果たしているということでした。これは大変重要なご答弁だと思います。
東京に店を構える銭湯の軒数がピークに達したのは、昭和四十三年だそうです。庶民にとって、日々の銭湯通いは、ごく普通の日常だったと思います。私自身も地元の銭湯に通い、そのときも銭湯が身近な存在でした。
温泉療法専門医で東京都市大学教授の早坂信哉氏は、豊富な水資源と温泉が身近にあったこと、それが日本人をお風呂好きにした最大の要因だともいっています。
最近では、NHKのEテレで銭湯が紹介されました。
さまざまな魅力を持つ銭湯ですが、内風呂の普及とともに減ってしまっているのが実情だと思います。
公衆浴場の推移を拝見しますと、平成二十一年に八百四十軒あったものが、平成三十年には五百四十四軒、直近ではもっと減っていると聞きました。
浴場の支援に取り組んできた都として、どのように分析をされていますか。お答えください。
○吉村消費生活部長 都はこれまでも、さまざまな補助制度を通じて多くの公衆浴場を支援してきましたが、自家風呂の普及による利用者の減少や経営者の高齢化、後継者不足などにより、公衆浴場の数は減少しております。
○とや委員 大変残念なんですけれども、銭湯が、長くそのまちで愛され、存続していくための支援は欠かせないと思っています。
最近はコロナウイルスの問題もあって、先日、伺った銭湯では、お客さんがさっぱり来ないと、番台に座るおかみさんがおっしゃっていました。また、他の銭湯でも、お客さんが何割か減っているという声を聞きました。
さまざまな工夫を凝らしながら、存続のために頑張っている銭湯ですが、私の地元練馬区でも、昭和の初めは百軒近くあった銭湯が、今では二十二軒に減ってしまいました。経営者が病気で閉めてしまったり、火事でやめてしまった銭湯もあります。
都は、浴場支援のために施策を持っていますが、東京都の主な銭湯支援策について、改めて伺っておきたいと思います。
○吉村消費生活部長 都はこれまで、公衆浴場の施設整備や利用促進についての補助を実施し、公衆浴場の支援を行ってまいりました。
施設整備の面では、健康増進のための改築や耐震補強工事、クリーンエネルギー化などに対する補助を、利用促進の面では、東京都公衆浴場業生活衛生同業組合が行う情報発信や地域交流拠点事業などに対する補助を行っております。
また、昨年度から公衆浴場活性化支援実証事業も行っております。
○とや委員 来年度は、予算計上として約六億八千万円が計上されていて、耐震化の促進事業は一億二千万円、先ほどありました公衆浴場の地域交流拠点事業についても、補助限度額が六百万円に引き上げられたということです。こうした拡充は、浴場経営者からは大変喜ばれているということを伝えておきたいと思います。
次に、公衆浴場の実証事業をやっているというお話でした。来年度で約二千万円が計上されていますが、その事業の中身について伺います。
○吉村消費生活部長 実証事業は、公衆浴場の事業継続を支援するために実施しておりまして、今年度は、コンサルタントなどの専門家派遣、後継者などを対象とした連続セミナー、浴場で働くことに関心がある方などを対象とした体験型イベントを実施いたしました。
また、浴場経営者と浴場の経営や運営への支援に関心がある事業者との交流も開催いたしました。
○とや委員 事業継続を支援するための事業で、三年間の取り組みだということです。
私、最近、都内の浴場、二十軒の方からアンケートをいただきました。消費税の影響はどうか、後継者がいるかいないか、現在の入浴料金についてはどうか、売り上げがどうなったか、また、現在の都の銭湯のPRはどうかなどです。
一番深刻だと思ったのは、やはり後継者がいないということです。後継者のいない浴場は半数以上に上りました。このままでは、いずれ店じまいということになりかねません。この点で、実証事業は、家族経営を続けてきた銭湯が新しい人材を受け入れる機会になるのではないかと思います。
アンケートでは、売り上げが下がった、今までと変わらないと答えた方も半数以上、二十軒のうち十四軒でした。私がお聞きした浴場は、全て五十年以上の営業をされている方、長い方では九十年になる浴場でありました。銭湯の文化と歴史を途絶えさせてはならないと思いました。
そういう中で、今、若い人たちが銭湯めぐりをして、その魅力をSNSなどで発信しています。働く場所としても、ぜひ銭湯を位置づけてもらいたいなと思っています。
最近では、書籍も何種類も出版されて、私も読んでいるんですが、銭湯の魅力発信をしています。「銭湯図解」という書籍があるんですが、この本の作者は、もともと建築事務所で働いていた若者です。杉並区の銭湯で働きながら、銭湯をイラストで紹介しているものです。楽しくて引き込まれる本です。
先ほど申し上げましたが、NHKでも連続で番組を放送し、「趣味どきっ!」という番組です。銭湯の魅力が存分に紹介されています。
また、三月三日より開会予定だった特別展、ぬくもりと希望の空間-大銭湯展、これは江戸東京たてもの園で開催予定だったんですが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に伴う休園により、開会が延期されてしまいました。本当に残念でならないんですが、こうした取り組みをさらに拡充していただいて、都民に銭湯の魅力を伝える、よい機会としていただきたいと思っています。ぜひ早期に再開していただきたいと思います。
先ほど申し上げたアンケートでは、銭湯のPRをもっとやってほしいという方も半数以上に上っています。後継者に引き継ぎたいという方の必死さも伝わってきました。
先ほどご紹介いただいた実証事業ですが、ぜひ、三年といわず、本格的な事業として発展させていただきたいのですが、今後の取り組みについて伺います。
○吉村消費生活部長 実証事業は平成三十年度から三年間の実施予定でございまして、その後につきましては未定でございます。
○とや委員 未定ということですが、こうした事業は、事業の終わりの年度に検証作業も行うと思います。その結果も踏まえて、ぜひ浴場の皆さん、組合の皆さんの意見も伺いながら、発展させ、継続させていただきたいと求めておきます。
ことしはオリンピック・パラリンピックの年です。局は違うんですが、銭湯を活用した取り組みも予定をされているようです。二〇二〇大会に訪れる観光客にも、日本の伝統文化である銭湯を知ってもらい、観光資源としても活用しようという取り組みがされると聞いています。
浴場で経営者の方にお話を伺うと、外国人の方が今でも、ホテルからの案内があって銭湯に来るそうです。その際には、ホテルで入り方も教えてもらって、銭湯に訪れるということも聞きました。
やっぱり、これから外国人の方々が浴場に訪れる機会も多くなるんですが、東京都は、公衆浴場組合さんが海外からの観光客の皆さんを迎えるに当たり、また、地域の外国人の方も含めて、どのような取り組みを行うのか、お答えください。
○吉村消費生活部長 都は、公衆浴場組合が外国人観光客向けに行う取り組みに対して補助をしておりまして、今年度は、外国語版のホームページによる情報発信や、英語版のガイドブック作成などの取り組みに対する支援を行いました。
○とや委員 今年度は、外国語版のホームページによる情報発信とか、英語版のガイドブックの作成などの取り組みを支援したということです。ぜひこうした事業をもっと拡充して継続していただきたいと求めております。
先ほどもアンケート結果のところで申し上げましたが、後継者に歴史ある浴場を引き継いでいくことは大変重要だと考えます。私が最近、先日、お話を伺った方は九十歳の方でした。今でも、夜十二時、閉店まで番台にいます。浅草で営業していたが、焼け出されて、今の場所で、戦後すぐに再開をしたとおっしゃっていました。
次世代への事業継承を行うに当たり、税などの負担が大変重たいという話も聞いています。その負担軽減は必要と考えますが、現在の軽減策についてお答えいただきたい。
また、事業者からは、相続税の軽減についても要望があり、国に求めていただきたいというふうに考えますが、都の取り組みを伺います。
○吉村消費生活部長 国の令和元年度の税制改正では、個人事業者の事業承継を促すため、十年間、事業用資産の相続税、贈与税を一〇〇%納税猶予する制度が創設されました。
都においては、かねてより、国に対し、公衆浴場業者が事業用資産を相続し、引き続き事業を継承する場合には、農地に関する相続税納税猶予制度に準じた軽減措置を講じることを提案要求しております。
○とや委員 ぜひ実現していただきたい。そのためにご尽力をいただきたいと思います。
銭湯は地域の社交場であり、単なるお風呂以上の役割を担っているといわれています。文化的、歴史的価値のものもあります。
銭湯のリニューアルを手がける一級建築士の今井健太郎さんは、建築物としての銭湯の魅力も語っています。神社やお城のつくりに通じるディテールが盛り込まれていると。私自身も、銭湯の外観の宮づくりに引かれて行くこともあります。レトロな雰囲気を楽しむこともできます。
こうした建築物の保存と同時に、銭湯文化も継承するため、都の支援を強めていただくことを求めて、銭湯の質問を終わらせていただきます。
最後に、新たな財団の設立についてです。
東京都は、十月から新財団を設立し、多文化共生と共助社会づくりに取り組むとしています。
これまで多文化共生と地域活動については、生活文化局の都民生活部が担当されてきたわけですが、局要求段階で財団設立はなかったものだったのですが、財団については、いつから検討し、どこでどのように決定をされたのでしょうか。お答えください。
○金子都民生活部長 都政改革本部における見える化改革のユニットであります共助・共生社会づくりの中で、平成三十年度から検討を開始いたしました。
令和元年十二月二十七日開催の第二十六回都政改革本部会議におきまして、その検討結果を知事に説明し、決定されたところでございます。
○とや委員 都政改革本部で検討してきて、昨年の末に決定をされたということです。
都民生活部では、地域活動の推進として災害時の対応や支援、東京ボランティア・市民活動センターへの運営費補助などを、地域力の向上に向けた取り組みとして町会、自治会活動への支援や、地域における青少年の健全育成の推進、また、先ほど質疑をいたしました結婚支援事業などが行われています。
多文化共生社会づくりの推進では、推進指針に基づく事業が行われてきたわけですが、これらの事業のうちの多文化共生と地域活動がそっくり財団に移行した上で、新規事業も展開するというのかなと。それがどういう意味を持つのか。そのままそっくり生活文化局から財団に移ってしまったら、生活文化局は何をするのかという危惧があります。
来年度は十月からということですが、財団に係る来年度の予算額、そして、職員数は何人で、うち都からの派遣は何人か、お答えください。
○金子都民生活部長 新財団における令和二年度予算額は、約二億四千万円を計上しております。
職員は、現段階で八人を想定しておりまして、うち五人が都派遣の予定でございます。
○とや委員 二億四千万円の予算で、八人の職員でスタートということです。
都政改革本部会議では、この財団の設立に当たって報告がされているんですけれども、都が考える多文化共生社会づくり、共助社会づくりとは、具体的にどんなことをするのか、また、初年度はどのような業務を行うのか、お示しください。
○金子都民生活部長 在住外国人の急増、多国籍化の進展を踏まえまして、多様性が尊重され、誰もが安心して暮らし、参加、活躍する多文化共生社会、東京二〇二〇大会後もボランティア機運が継続する環境づくりや、町会、自治会を中心とした地域コミュニティの活性化による共助社会の実現を図ります。
初年度は、多文化共生社会づくりの施策のうち、多言語による相談機能の充実、「やさしい日本語」の普及啓発などを行ってまいります。
○とや委員 都政改革本部会議の議事録を拝見しますと、浜生活文化局長が、都の取り組みとしては、在住外国人への情報提供を行うとともに、東京都国際交流委員会を通して、区市町村や地域の国際交流協会、民間団体を支援しているとおっしゃっています。都や国際交流委員会の予算、施策メニュー等は、他府県と比べても限られている、区市町村などから要望に応えられていないというのが現状だと報告しています。
また、施策の中核を担うべき都の国際交流委員会は、体制が非常に脆弱だ、他県の組織と比べても、人員、予算の規模が小さく、都の指針に定められている役割を十分果たせていないという現状を述べていらっしゃいます。
見える化改革「共助・共生社会づくり」取組状況報告書では、これを読ませていただきましたが、東京都国際交流委員会の事業を引き継ぐとなっていますが、これまでの体制、そして、これまで積み上げてきた事業はどのように継承をされるのでしょうか。お答えください。
○金子都民生活部長 東京都国際交流委員会は、東京における多文化共生事業の中核を担っております。
新財団設立後は、国際交流委員会の事業を含め、順次、引き継いでまいります。
○とや委員 順次、引き継ぐと。多文化共生事業の中核を担ってきたということです。
もともと国際交流については、石原都知事の時代に、生活文化局に大きな組織を持っていたと関係者から伺っています。NPOやNGOとの協働による国際交流、国際化に向けての活動を幅広く展開していたものが縮小を余儀なくされて、現状のような小規模な国際交流委員会組織へと、約十分の一程度になってしまって、細々と都の国際交流事業、国際化事業を担ってきたとお聞きしています。
そんな状況がありながら、国際交流委員会が担ってきた役割は大変大きなものがあります。ぜひこの財産を大事にしていただきたいし、あわせて、職員の身分保障についても配慮をお願いしておきます。
報告書では、財団による事業実施のメリットとして三点挙げていますが、地域の特性にも明るい専門的な人材を継続的に確保できる、また、予算や人事面で柔軟な執行体制が可能になると書かれているわけですが、どういうことなのか、具体的にお答えください。
○金子都民生活部長 多文化共生社会づくりや共助社会づくりを着実に推進するためには、地域ごとの実情や分野に精通した職員が民間団体などと継続的に連携を図っていくことや、諸状況の変化に即応し、社会的ニーズを先取りした機動的な事業展開を図ることが重要であり、財団法人が事業実施することで、これらの取り組みが可能となります。
○とや委員 諸状況の変化に即応して、社会的ニーズを先取りした機動的な事業展開を図ることが重要だということです。財団が事業実施をすることで、これらの取り組みが可能になるということなんですが、先ほども申し上げたように、今、生活文化局でおやりになっている事業、そして、職員体制が縮小することのないよう、財団をつくることによって、もっと幅広い都民の人たち、国際交流や、町会や自治会の人たち、あるいはボランティアさんの支援などが発展していくような形で事業を実施していただきたいと思うわけです。
今後、この財団が、どのような方々を頭に据えて、どのような方針を持って進めていくか、今後、もっと議論を進めていかれるかと思うんですが、都の事業が財団に移ることのメリット、デメリットを慎重に検討していただき、決して都の事業が後退することのないよう、強く求めておきたいと思います。
これまで長年培ってきた国際交流委員会のノウハウや知見など、財産をしっかり引き継いでいただきたいとお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○内山委員 私からは、TOKYO子育て応援幼稚園についてお伺いをしたいと思います。
TOKYO子育て応援幼稚園というのは、一年間を通じて長時間の預かり保育を行う私立の幼稚園ということでございまして、中には二歳児の預かりというのも担っていただく、こういうようなことでございます。
この二歳児というくくりというのが、保育園でいう一歳児、二歳児のくくりとちょっと違うので、なかなかわかりづらいんですが、東京都が昨年七月に公表した待機児童のデータによると、三千六百人余りの待機児童のうち、その七割強を超えるのが一歳児と二歳児だったということです。
一歳児というのは、四月から三月までという中で考えると、その途中で誕生日が来ますので、二歳になっても、三月までは一歳児のくくりと。この辺は、ある程度、柔軟にやられているところも多いですが、そういう中では、一歳児といっても二歳の子も入っているということでございますので、そういった中で、一歳と二歳に係る待機児童というのはかなり、そもそも待機児童の本質からすれば、極めて重要なポイントではないかなと思っているんです。
そういった中で、もちろん、多大なコストを投じて保育所を新設したり、拡充したりというのも大事ではありますが、一方で、東京の私立の幼稚園がこれまで培ってきた幼児教育のノウハウを生かしながら、低年齢児の保育を行うことも効果的ではないかということも、これまで申し上げてきました。
そういった中で、私立の幼稚園が低年齢児の保育を行う場合、認定こども園に移行するケースと、年間を通じて長時間、長期間の預かり保育を行うというTOKYO子育て応援幼稚園として二歳児の受け入れに取り組んでいく、こういうケースがあるわけでございますが、そこでまず、私立の幼稚園から移行した認定こども園のうち、低年齢児の保育を行う園の数についてお伺いしたいと思います。
○濱田私学部長 私立幼稚園から認定こども園に移行した園は、現在六十五園でございまして、そのうちゼロ歳から二歳までの低年齢児の保育を行う園は、三十園でございます。
○内山委員 ありがとうございます。幼稚園と保育園、また認定こども園と、役割というのはそれぞれでありますので、ただただ待機児童があるから幼稚園から認定こども園に移行を促進すればいいと、こういう安直な話ではないというのは十分理解しておりますが、そこに関して、かなり今、幼稚園の定員というのが、保育園の待機児童だとか無償化だとか、さまざまな理由で減ってしまっているという中においては、経営上の判断の中で悩まれている園もあるかと思いますので、そういったところに関しては、ぜひ今後とも丁寧にご対応いただければというふうに思っています。
私立幼稚園から認定こども園に移行した園のうち、約半数が低年齢児の保育を行っているということでありました。
さて、一方で、昨年の予算特別委員会、また、第三回定例会でも一般質問で取り上げさせていただいたとおり、TOKYO子育て応援幼稚園では、昨年度から二歳児の受け入れに対する支援も開始をされたということでありました。
都においても、市区と連携をしながら、実施拡大に向けて努力をされてきたというふうに思っておりますが、TOKYO子育て応援幼稚園の今年度の実施状況について、昨年度から何園ふえたかも含めてお伺いをしたいと思います。
○濱田私学部長 今年度、TOKYO子育て応援幼稚園事業を実施しているのは、昨年度から十七園増加の百八園でありまして、そのうち二歳児の受け入れを行っているのは、四園増加の八園でございます。
○内山委員 ありがとうございます。TOKYO子育て応援幼稚園の数も、また、そのうち二歳児の受け入れを行っている園の数もふえているということがわかりました。ただ、全体で幼稚園が八百園ぐらいある中で、子育て応援幼稚園が百八園になって、そのうち二歳児の受け入れを行っているのが八園ということですから、八百の八ですから、全体の一%ということですよね。私は、まだまだ伸びしろがあると思います。
ただ、一方で、先ほど申し上げたように、幼稚園には幼稚園の思いがあるでしょうし、保育園には保育園の思いがあるということで、なかなか難しいところでもあると思いますが、ぜひこの伸びしろを生かしていっていただきたいなと期待をしたいと思います。
こういったことも、着実に市や区と話し合いながら、また、園とも話し合いながら、待機児童解消に向けても、私立の幼稚園における二歳児受け入れの重要性を理解して、しっかりと取り組んできた結果であるということは評価をしたいと思いますが、TOKYO子育て応援幼稚園における二歳児の受け入れ拡大に向けてどのように取り組んでいるのか、お伺いをしたいと思います。
○濱田私学部長 TOKYO子育て応援幼稚園における二歳児の受け入れに当たりましては、二歳児の発達段階の特性を踏まえた取り組みが重要でございます。
しかし、園にとっては、保育士資格を持つ新たな職員の配置が困難であることや、長時間の二歳児受け入れに不安がある等の理由から、実施をためらうケースもございます。
そのため、区市町村や園が本事業に意欲的に取り組めるよう、都は、国の補助とあわせ、独自の補助を行っております。
また、区市町村と連携し、先行的に開始した園における具体的な取り組み事例の紹介や、各園の個別の状況に応じた丁寧な助言を行っております。
○内山委員 ありがとうございます。
待機児童の状況を細かに見ていくと、もともとは、年度当初の段階で八千人を下回ることがないというのが過去十年以上続いてきた中で、小池知事にかわりまして、待機児童解消ということをかなり旗を振ってきた結果、現在、その半数以下にまで減ってきたという中において、いよいよ待機児童ゼロに向けて、自治体によっては、ゼロだということを年度当初で宣言されるところも出てくる中で、まさにゼロに向けて、今、現実味を帯びてきたところだと思います。
そういった中においては、待機児童の数がどんどん減ってくればくるほど、一歳児の割合というのがふえてきます。例えば私の昭島市だと、昨年の四月は十二名の待機児童でしたが、そのうち一歳児の割合は十一名ということで、ほぼほぼ一歳児の問題です。保育園、幼稚園を合わせて、昭島は三十ちょっとあるんですが、では、この十二名の待機児童を解消するとなると、もはや、どこかに保育園をつくっても待機児童を解消できないという状況になるんです。
ですから、そうなると、今ある既存のものを使って、そこに各園が、そのうちの半分でも一人拡充することができれば待機児童は解消ということになろうと思いますので、費用対効果という意味においても、また、この子育て応援幼稚園に関しては、やはり幼児教育の質の高いというか、幼児教育をしっかりと子供たちに受けていただくという中においても、極めて有効的な方法だと思いますので、ぜひ引き続き、二歳児の受け入れというところもしっかりと視野に入れながら取り組みを進めていただきたいというふうに思っています。
続きまして、幼児教育無償化に伴う幼稚園の事務負担の増加についてお伺いをしたいと思います。
国は、令和元年十月から、幼児教育の負担軽減を図る少子化対策、生涯にわたる人格形成の基礎を担う幼児教育の重要性の観点から、幼児教育の無償化を開始いたしました。これによって、幼稚園児の保護者の経済的負担については大きく軽減されることとなりましたが、一方で、幼稚園における事務負担は、無償化前と比較して大きくなったと、こういう声が私のところにも寄せられています。
実際、幼稚園が自治体に給付を申請する際には、園児や保護者が居住する市町村が定める様式を使用することになるんですが、この様式が自治体によって違うということなんです。
このため、例えば、この園は、一つか二つの市から、区からしか来ていないというようであればいいんですけれども、例えば区境、市境にある園なんかは、話を聞いてみますと、七つ、八つもの自治体から来ているということなんです。そうすると、一つ一つ自治体に合わせた様式をつくっていくというのが、これがなかなか事務泣かせだと、こういうようなご相談がありました。
そういった中で、せっかくのこういった幼児教育の無償化が、幼稚園側の事務負担の増加につながっている、こういう傾向があるということでした。
そういった中で、東京都としては、こうした状況下にある幼稚園の事務負担を少しでも軽減するために、広域自治体として、各市区町村に対して申請様式の統一を求める。
なかなか難しいと思うんですが、できるだけ幼稚園の事務方の負担を減らすことができるように対応を行っていくべきだと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○濱田私学部長 国の幼児教育無償化においては、統一された申請様式は定められておらず、区市町村が実情に応じて、申請方法や様式を定めております。
各区市町村におきましては、申請内容の審査方法や使用する情報システム等が異なり、様式に記載が必要な情報が異なることから、一つの様式に統一することは困難でございます。
一方で、一部の自治体では、施設名ですとか園児の名前など、必要事項の一部をあらかじめ記載した様式を提供したり、また、他の自治体の様式も使用可能とするなどといった、幼稚園の事務負担を軽減する配慮も行われている例もあると聞いております。
今後、機会を捉え、区市町村に対して、このような事例の紹介も含め、幼稚園の事務負担の軽減につながる配慮をお願いしてまいります。
○内山委員 ありがとうございます。基本的には、一義的には市区町村が、その情報だとか、責任において様式を決めて行っていくというのは十分理解をしているところでございます。
一方で、とはいえ、やはり幼稚園の現場の負担を軽減していくということも重要ですので、難しいところですけれども、ここに広域行政としての役割というか、力の見せどころというのがあるんだと思います。
再三申し上げますが、難しいことはよく理解しておりますが、ぜひそのあたりの調整等もしていただいて、現場の負担軽減を図っていただきますようお願い申し上げまして、私からの質問を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
○福島委員 都は、情報公開の総合的な推進により都政の透明化を一層進めるために、平成二十九年第二回都議会定例会において情報公開条例を改正し、ICTの積極的な活用を図ることとしました。
これにより、平成二十九年十月から、都が保有している公文書情報について、インターネットを通じて依頼があった場合、電子データで無料提供する公文書情報提供サービスが開始されました。
また、昨年七月からは、都民ニーズの高い工事設計書などの公文書情報をあらかじめデータベースに登録しておく公文書情報公開システムの運用が始まり、都民は、提供依頼や請求をすることなく、自宅や職場にいながら公文書情報を検索し、ダウンロードできるようになりました。
そこで、ICTの活用によって都民に利便性が高い仕組みとなった公文書情報提供サービスと公文書情報公開システム、それぞれのこれまでの運用実績について伺います。
○稲葉都政情報担当部長 平成二十九年十月末から開始した公文書情報提供サービスについては、平成二十九年度は、サービス開始からの約五カ月間で二百七十六件、平成三十年度は一千二十件、令和元年度は、十二月末までの九カ月間で約一千件の提供実績がございました。
また、昨年七月から稼働いたしました公文書情報公開システムについては、二月末までの約八カ月間で、各局から約六千五百件の公文書情報の登録があり、ダウンロード件数は五十三万件を超える実績となってございます。
○福島委員 情報公開におけるICTの活用が順調に進んでいることがわかりました。
では、特に公文書情報公開システムは多くの利用実績が上がっていますが、このシステムが始まったことにより、情報公開の状況にどのような変化があったかを伺います。
○稲葉都政情報担当部長 情報公開に係る開示決定等の件数は、平成三十年度が一万一千三百七十四件だったのに対し、令和元年度は、前年度よりも約一割程度減少する見込みで推移してございます。
その要因としては、公文書情報公開システムの活用により、公文書情報を手軽に入手できるようになったことがあり、都民の利便性が向上したと考えられます。
また、開示請求に対応する事務が軽減されたことで、行政の事務の効率化にもつながってございます。
こうしたことから、今後とも、各局と連携しながらシステムへの公文書情報の登録をふやし、都民の利便性のさらなる向上に努めてまいります。
○福島委員 ありがとうございます。情報公開におけるICTの利活用は、今後のさまざまな行政のデジタル化の推進にも貢献するものと思われます。ぜひ今後もICTを積極的に活用することで、行政の事務の効率化と都民の利便性の向上に取り組んでいただけるよう期待いたします。
次に、私学におけるICTや英語の支援事業についてお伺いいたします。
公立や都立学校では、ICTや英語教育のための環境整備や人材確保、これらが進んでいます。
私立学校についても授業料無償化が進むなど、家庭の経済力の格差が進学先に影響しないような取り組みが進んでいます。私立学校においても、ICTや英語教育のための環境整備が進むことは大切です。
平成三十年度決算特別委員会では、この執行率を課題として挙げさせていただきました。私立学校教員海外派遣研修事業費補助の執行率が一三%、私立高等学校外部検定試験料補助の執行率が三〇%、一方、ICT教育環境整備費補助は一〇〇%ということでした。
令和元年度の執行率について伺います。
○濱田私学部長 本年度の先月末時点における執行率の見込みでございますが、私立学校教員海外派遣研修事業費補助は約一四%、私立高等学校外部検定試験料補助は約五六%、私立学校ICT教育環境整備費補助は、ほぼ一〇〇%となっております。
○福島委員 私立学校ICT教育環境整備費補助事業については、継続して十分活用されていることを確認いたしました。
一方、私立学校教員海外派遣研修事業費補助、そして私立高等学校外部検定試験料補助については、利用率は増加傾向にあるものの、まだ一〇〇%には遠く及ばない状況になっています。
では、令和二年度予算において、この執行率を上げる取り組みについて伺います。
○濱田私学部長 私立学校教員海外派遣研修事業費補助につきましては、これまでもさまざまな制度改善を行っております。実際に利用した教員からは、これまで経験したことのない実践的な教授法を学ぶことができた、海外研修体験を授業で話したところ、生徒からも海外留学してみたいという声が上がったなどの声をいただいております。
来年度に向けては、そうした成果等をわかりやすく紹介するチラシを作成し、各学校への周知を図るなど、本事業の利用促進につなげてまいります。
私立高等学校外部検定試験料補助につきましては、これまでも周知に取り組み、着実に利用校をふやし、今年度は約半数の高校で利用しております。
さらにより多くの学校に利用してもらえるよう、英語四技能の重要性や、幅広い外部検定の選択肢があるという制度の特徴などを、学校関係者が参加する会議等の機会を通じて、しっかりと周知していきます。
こうした取り組みを通じまして、執行率の向上につなげてまいります。
○福島委員 ありがとうございます。いずれも大切な取り組みなので、しっかりこの周知徹底に取り組んでいただきたいと思います。
次に、底力発展事業助成等についてお伺いをいたします。
私が議員になった理由の一つは、これまでも述べてまいりましたけれども、コミュニティの再生です。ちなみに、三つあって、残りの二つは、女性活躍を含めた多様性推進、そしてもう一つは、次世代のための教育のアップデートです。
仕事と子育てを私自身が両立してきた際に、地域のお母さん方を初めとするコミュニティのおかげで、さまざまな大人に子育てにかかわっていただきまして、予想外に豊かな子育てをすることができました。
経験からや、あとは、いろいろ議論を通じてわかったことは、コミュニティの大切さは、弱者になって初めてわかるということです。つまり、自分で何もかもできていると思っているうちは、その重要性に気づきにくいという課題があります。
そのような中、これも継続して述べていることなんですけれども、地域依存性はあるものの、五〇%程度、先ほど柴崎副委員長からも四〇%程度というお話もありましたけれども、町会加入率の低さと高齢化問題、これを問題だと考えておりまして、若い世代を初めとする新規加入が大切だということを訴えてまいりました。
これは私だけの見解ではなくて、東京都の、例えば東京の自治のあり方研究会最終報告、これは平成二十七年三月になされたものです。また、平成三十年三月になされた中野区の区民の町会・自治会活動への参加の促進に関する検討会報告を初め、さまざまな検討で指摘されていることであり、町会、自治会としても自覚している課題でございます。
そこで、この底力発展事業助成において、質疑を通じて、新規加入に成果があったという町会、自治会については、実数を記入していただくフォーマットに改めていただきましたが、令和元年度の具体的な結果を伺います。
○金子都民生活部長 三月三日現在でございますが、実績報告書の提出があった四百十一事業のうち、新規加入促進に効果があったと報告された事業は百二十三件、新規加入世帯数は八百五十三世帯でございます。
○福島委員 約三割の報告書で新規加入の成果があったというふうに記載があったものの、平均すると、一町会、自治会当たり、七世帯の加入ということになります。加入者減少という課題に直面していることを考えると、毎年二・五億円を投資する事業としては、若干、心もとない数字といえると思います。
ちなみに、底力発展事業助成の取り組みを全て否定するものではなく、新規加入が全てだとも思っておりません。私も地元町会、自治会の活動にかかわるようになっていますけれども、既存の町会、自治会メンバーのつながりを強化したりとか、活動を継続する、そういった役割は確実にあるというふうに考えています。
しかしながら、先ほどの中野区の報告書にもありますけれども、町会、自治会にとって大切な役割だと認識されている地域課題、一つ目は、ひとり暮らしなどの支援の必要な高齢者がふえていること、二つ目は、子供の安全や犯罪防止など地域の安全対策や防犯、そして、三つ目、災害時の要支援者支援など地域の防災活動に関することという中で、町会、自治会が、このまま加入者の減少や役員の高齢化、そして役割の固定化が続けば、いや、既に十分な対応ができないものばかりです。もう少し新規加入者をふやす取り組みの優先順位を上げるべきではないかと思います。
都も十年前から、実績報告などから、加入促進につながったり、町会活動の認知につながったもの、そういった事業のうち、ほかの町会、自治会で参考になりそうなものについては……(資料を示す)こういった事例集を作成して、各町会、自治会に配布しているというふうには伺っております。
しかしながら、実際のところ、加入者減に歯どめがかかっていないわけで、その取り組みは十分とはいえません。
そこで提案があります。
新規加入者をふやすためには、町会、自治会の意義を住民に知ってもらったり、みずから企画、運営する住民参加型イベントを広く知ってもらうことが不可欠です。
一方、現時点で町会、自治会活動に参加していない住民からは、参加しようと思っても敷居が高く、また、一回かかわってしまうと、とても負担が重いのではないかという恐れもあるというふうに聞いています。
これらを解決し、自治会、町会活動に顔を出してもらうには、少ない時間でも参加できる、体験できるなどのスモールステップを用意して、広く知ってもらえるといいのですけれども、今の人員、仕組みのままでこれをやろうとしても、町会、自治会側にすれば、少しの作業を担ってもらうだけのために新規の参加者に仕組みを説明することが、費用対効果が合わなくて、なかなかできません。このために、勝手がわかっている融通のきく仲間で運営してしまうということになりがちです。
これを解決するための方策の一つが、ICTの利活用です。都内では、港区で先行しておりますけれども、ホームページを作成して、意義や活動情報について情報提供できれば、現在起こっているお祭りなどのイベント等での声がけに比べて、気になった人は最新の情報を確実に入手することができます。加えて、IDを登録してもらうことで、SNSなどで継続的に情報を受け取ることもできます。
そして、ICTの利活用というと、ここでとどまりがちなんですけれども、大切なのは、参加の意思を表示してもらった上で、それを取りまとめる作業です。参加の意思をSNSやメールで電子的にもらったとしても、集計を結局、人手でやっていたら、作業量が減りません。
そこで、私がオリ・パラ局での質疑を通じて予算化されましたのが、シティーボランティアを運営するシステムのレガシー化です。このシステムは、シティーボランティア三万人の募集から面談、研修、配置、出席確認などをさばけるものなんですけれども、そのシステムの機能や構築のノウハウなどを手引として取りまとめることで、町会、自治会が類似の小規模なシステムを実現する場合の参考になるようにするというものです。
このレガシーを地域の課題解決プロボノプロジェクトに引き継ぐとともに、将来的には底力発展事業助成の助成対象に含めることで、真のレガシーになると思います。検討を要望いたします。
次に、ボランティアレガシーネットワークシステムの構築について伺います。
先ほど、うすい理事も取り上げられましたけれども、先ほど私が説明してきた取り組みとちょっと紛らわしいんですけれども、来年度、二・三億円予算化されているこのネットワークというのは、シティキャストの中で、ボランティア関連情報を継続して送ってもらってもいいと了承を得た人たちのメールアドレスを引き継いで、都からのボランティア情報を継続して提供するというものです。これも二〇二〇年大会の大切なレガシーの一つといえます。
生活文化局は、ほかに外国人おもてなし語学ボランティアとか防災ボランティアなども予算計上されており、それらについて意向を確認した上でも、このボランティアレガシーネットワークにメールアドレスを追加するというふうに伺っています。裾野の拡大が大切です。
加えて、私は、ボランティア文化の定着、その先の地域コミュニティの再生は、生活文化局だけではなくて、都の全事業において取り組むべき事柄だと考えています。
そのイメージは、都の事業に参加すると、地域活動やボランティア活動に興味があれば必ずつながれるように、印刷物や掲示物、各種表示、ホームページ、SNS発信などのあらゆる都民とのタッチポイントにおいて、QRコードなどを介して住民がアクセスできるような環境を整備するというものです。そこにアクセスすると、ボランティアや地域活動の意義や魅力、そして、今後、継続して情報が欲しければ、みずから登録する仕組みを設けることで、意欲はあっても、なかなかきっかけが得られなかった人たちに働きかけることができます。
そして、私は、行政が企画するイベントに参加する人たちというのは、既に、その素養が高いというふうに考えています。
そこで、二〇二〇年ボランティア実施率四〇%、そして、その先を見据えまして、生活文化局のボランティアを初めとして、他局のあらゆる地域イベントについても、必ずボランティアの希望の有無を確認、リストを拡充していくべきと考えますが、見解を伺います。
○馬神都民活躍支援担当部長 ボランティア文化が定着し、共助社会づくりを進めるためには、大会関連ボランティアの活動継続とともに、ボランティア活動者の裾野拡大が必要でございます。
そのため、庁内各局で募集しているボランティア活動など、さまざまな場面において、ボランティアレガシーネットワークシステム等の周知を図り、ボランティア活動者の裾野拡大を図ってまいります。
○福島委員 局ごとに管轄があることは、さすがに私も都議会三年目にもなり、理解はしているつもりですけれども、少子高齢化社会を迎えるに当たって、それでも取り組んでいただきたい課題だからこその質問でした。ぜひよろしくお願いいたします。
最後に、多文化共生社会について、二問、伺います。
まず、地域日本語教育実態調査とはどのようなもので、どう生かしていくのかを伺います。
○金子都民生活部長 地域における外国人への日本語学習につきましては、主に外国人支援団体等が担っております。こうした外国人支援団体等に対し、支援の対象者や学習内容、方法、それから活動上の課題などにつきまして、調査票やヒアリング等により調査し、地域における日本語学習の現状や課題を把握してまいります。
その結果を踏まえまして、今後の日本語学習支援のあり方や、都域全体としての支援体制の整備につきまして、新財団とともに検討を進めてまいります。
○福島委員 国では、昨年九月に初めて、外国籍の子供の就学状況について全国調査の結果を公表、そして、義務教育相当年齢の外国籍児十二万四千四十九名のうち、一五・八%に当たる一万九千六百五十四人が国公私立校や外国人学校などに在籍していない不就学の可能性があり、そのうち七千八百九十八人が東京都だそうです。
教育庁の質疑でも、都教育委員会が幾つかの区市に対して、就学手続等に関する取り組み状況についてヒアリングを行っておりまして、今後、外国人の児童生徒を就学につなげる円滑な取り組み事例や課題などの洗い出しを行うとの答弁をいただいておりますけれども、生活文化局におかれましては、外国人支援団体などにヒアリングいただけるということで、ぜひこれらのヒアリングを適切な支援につなげていただきたく、お願い申し上げます。
最後に、新財団の設立について伺います。
役員に民間人材を登用、ガバナンスをきかすということですけれども、本年二月十四日に総務局が発表した政策連携団体改革の取り組み状況についてによれば、常勤役員が複数いる場合においては、政策連携団体の常勤役員における民間人材の割合は五〇%以下になってしまっているということです。
そこで、新財団の役員数については、まだ決まっていないということですけれども、財団の業務内容は、そもそも民間が主導してきた領域でもあることから、新財団の役員については、民間人材を積極的に登用すべきと考えますが、見解を伺います。
○金子都民生活部長 新財団における役員等につきましては、行政と異なる視点を有する人材も含め、事業内容等を考慮しまして、適切な人材を登用するよう検討しているところでございます。
○福島委員 ありがとうございます。外形的公正性に配慮した人事をお願いして、私の質疑を終わります。
○星見委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○星見委員長 異議なしと認め、予算案及び知事提出の付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○星見委員長 次に、議員提出議案第四号を議題といたします。
本案について提出者の説明を求めます。
○斉藤委員 では、私立高校の入学金助成条例案について説明をさせていただきます。
日本共産党都議団は、低所得世帯にとって重い負担になっている入学金を助成するための条例案を提出しました。
本条例案の概要ですが、都内に在住する私立高校等に入学する生徒を対象に、二十五万五千円を上限に入学金の全額を無償にするものです。
対象世帯は、世帯年収三百五十万円未満の世帯で、対象者は約五千百人です。
東京都の来年度の予算案には、私立高校の授業料無償化の拡大、具体的には、所得制限を年収七百六十万円から九百十万円に引き上げ、そして、多子世帯への都立、私立高校授業料の支援、年収にかかわらず、子供三人以上の世帯に五万九千四百円の支援が盛り込まれました。都民の運動とともに、我が党が繰り返し求めてきたことであり、教育を受ける権利の保障と子育て世代の学費負担軽減に向け、大きな前進です。
しかし、私立高校の入学金と施設費等については給付型の支援がなく、低所得世帯にとって大変重い負担になっています。来年度の都内私立高校の初年度納付金の平均額は、授業料四十七万円、入学金二十五万円、施設費等が二十二万円です。授業料四十七万円が無償でも、さらに四十七万円を自己負担しなければなりません。特に入学金は、期日までに納入することが入学許可の条件となり、切実な問題です。実際に、私たちのもとに相談が寄せられています。
そこで、私立高校の入学金を無償とする条例を提案するものです。
東京は、都立高校が少なく、高校生の六割は私立に通っており、私立を選択せざるを得ない状況があります。また、都の子供の生活実態調査報告書では、私立高校に通う低所得層の七四%が、家計が赤字だということが明らかになっています。
神奈川県、埼玉県、千葉県を初め、全国の少なくない県では入学金の助成制度があり、国の大学等の無償化制度にも入学金の減免が含まれています。東京都でも給付型の入学金への支援が必要です。
なお、外国人学校や都外認可の通信制高校で学ぶ生徒にも教育を受ける権利を保障するため、本条例案の対象にしています。
経済的な困難を取り除き、高校生の学ぶ権利を保障する東京都を実現するためにも、皆様からのご賛同を心から呼びかけて、説明を終わります。
○星見委員長 説明は終わりました。
これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○星見委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○星見委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で生活文化局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時二十八分散会
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