委員長 | 星見てい子君 |
副委員長 | 内山 真吾君 |
副委員長 | 柴崎 幹男君 |
理事 | うすい浩一君 |
理事 | とや英津子君 |
理事 | 福島りえこ君 |
あかねがくぼかよ子君 | |
鳥居こうすけ君 | |
斉藤まりこ君 | |
谷村 孝彦君 | |
伊藤 ゆう君 |
欠席委員 二名
出席説明員教育庁 | 教育長 | 藤田 裕司君 |
次長 | 西海 哲洋君 | |
教育監 | 宇田 剛君 | |
総務部長 | 安部 典子君 | |
都立学校教育部長 | 江藤 巧君 | |
地域教育支援部長 | 太田 誠一君 | |
指導部長 | 増田 正弘君 | |
人事部長 | 浅野 直樹君 | |
福利厚生部長 | 小菅 政治君 | |
教育政策担当部長 オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 小原 昌君 | |
企画調整担当部長 | 谷 理恵子君 | |
教育改革推進担当部長 | 藤井 大輔君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 高木 敦子君 | |
指導推進担当部長 | 瀧沢 佳宏君 | |
人事企画担当部長 | 黒田 則明君 |
本日の会議に付した事件
委員長報告
・古賀俊昭委員の逝去について
意見書について
教育庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十四号議案 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
・第四十五号議案 学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・第四十六号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第四十七号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
報告事項(説明・質疑)
・東京都教育委員会における障害者活躍推進計画の作成について
○星見委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初めに、謹んでご報告申し上げます。
古賀俊昭委員におかれましては、去る三月九日、ご逝去されました。
故古賀俊昭委員は、長年にわたり文教委員会委員としてご活躍をされました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
故古賀俊昭委員のご冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと思います。
全員ご起立願います。
黙祷。
〔全員起立、黙祷〕
○星見委員長 黙祷を終わります。ご着席願います。
○星見委員長 次に、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、それにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○星見委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○星見委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
令和二年度予算は予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
令和二年三月十三日
東京都議会議長 石川 良一
文教委員長 星見てい子殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十三日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十九日(木)午後五時
(別紙1)
文教委員会
第一号議案 令和二年度東京都一般会計予算中
歳出
債務負担行為
文教委員会所管分
(別紙2省略)
○星見委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項の聴取を行います。
これより教育庁関係に入ります。
初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○安部総務部長 それでは、お手元の文教委員会資料(報告事項)の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。
東京都教育委員会における障害者活躍推進計画の策定についてご報告申し上げます。
一ページをお開きください。1、障害者活躍推進計画についてですが、東京都教育委員会は、障害者雇用促進法の改正に伴い、厚生労働省の定める作成指針や手引などに基づき、任命権者として障害者活躍推進計画を策定する必要がございます。
本計画のもと、障害のある職員が能力を有効に発揮できるよう、さまざまな取り組みを推進してまいります。
2、基本的な方向性についてでございますが、計画期間は、令和二年度から令和六年度までの五年間としております。
数値目標は、実雇用率を二・六%とし、定着率は、過去五年平均値、八九・七%を上回ることとしております。
主な取り組みは、計画推進体制の明確化、職場環境の整備、障害のある職員の採用、育成でございます。
3、今後のスケジュールのとおり、四月下旬の公表予定としております。
三ページをお開きください。障害者雇用の現状についてご説明申し上げます。
まず、障害者法定雇用率と都の雇用状況についてでございますが、障害者雇用促進法による都道府県等教育委員会の障害者法定雇用率は、現在、二・四%となっております。
令和元年の東京都教育委員会の障害者雇用率は一・九〇%となっております。
四ページをお開き願います。教育庁における雇用実態でございます。
東京都教育委員会の職員には、事務職員のほか、区市町村立学校及び都立学校の教職員も含まれており、合計七万三千六百六十六人が在籍しており、このうち六百七十六人の障害者を雇用しております。
法令に基づく算定をいたしますと、事務局職員は一六・四%、学校事務職員は一一・二一%、教員では一・〇七%、合計一・九〇%の障害者雇用率となります。
なお、本計画の目標とする実雇用率二・六%を達成するためには、今年度と同じ職員を基礎と仮定した場合、さらに約三百三十人の雇用が必要となります。
五ページをお開き願います。障害者雇用の取り組みについてご説明申し上げます。
まず、障害に配慮した教員採用選考の実施でございます。
教員採用選考において、障害のある受験者が他の受験者と比べて不利にならないよう、受験上の配慮を実施しております。しかし、掲載の表のとおり、全国の教員免許状取得者に占める障害者の数は〇・一六%と、極めて少ない状況がございます。
そこで、教員以外の職で、二つの障害者非常勤職を設置し、雇用を積極的に進めております。
下段の図をごらんください。
一つ目は、障害種別を問わず一般就労として雇用する教育庁サポートオフィスであり、二つ目は、企業等への一般就労に向けた経験の蓄積を図るために実施しているチャレンジ雇用でございます。
これらの二つの職は、教育庁本庁や事業所、各都立学校におけるデータ入力、アンケート入力などの事務作業から印刷物の製本に至るまで、多様な業務を担っております。
資料にありますとおり、現在、教育事務サポーターは四十九名、教育事務補助員は七十七名、合計百二十六名の障害者が在籍してございます。
ご報告は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○星見委員長 報告は終わりました。
本件に関する質疑は、次に行います予算の調査及び付託議案の審査とあわせて行いますので、ご了承願います。
これより予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、令和二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、教育庁所管分、第四十四号議案から第四十七号議案まで及び報告事項、東京都教育委員会における障害者活躍推進計画の作成についてを一括して議題といたします。
本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○安部総務部長 去る二月十四日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の文教委員会要求資料の表紙をめくっていただき、目次をお開き願います。
今回、要求のございました資料は十三件でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開きください。1、都立特別支援学校スクールバス予算の推移でございます。
予算額、配車している学校数、運行するコース数について、年度別に記載してございます。
二ページをお開き願います。2、都立特別支援学校におけるスクールバスの配車状況でございます。
配車台数について、障害種別ごと、学校別に記載してございます。
三ページをごらんください。3、令和元年度の全国で国の標準を下回る学級編制基準の弾力的運用の実施状況でございます。
このページから六ページにかけまして、令和元年度における実施状況について、都道府県と政令指定都市の自治体ごとにそれぞれ記載してございます。
七ページをごらんください。4、公立小中学校の三十五人学級に必要な教員数及び経費でございます。
全学年を三十五人学級にした場合に新たに必要となる教員数及び経費について、小学校、中学校それぞれ学年別に、また、合計を記載してございます。
八ページをお開き願います。5、教職員の標準法定数と、標準法に根拠を持つ教職員数の都の定数及び標準法以外の都の定数でございます。
令和二年三月一日時点の見込み数である教職員の標準法定数と、標準法に根拠を持つ都の令和二年度定数及び標準法以外の都の令和二年度定数について、校種別に記載してございます。
九ページをごらんください。6、都立学校整備費の推移でございます。
都立学校整備費の当初予算額と、新設、改修など工事内訳について、校種別、また、年度別に記載してございます。
一〇ページをお開き願います。7、公立小中学校児童生徒の就学援助受給者の推移でございます。
受給した児童生徒数及び受給率について、要保護、準要保護の別、また、年度別に記載してございます。
一一ページをごらんください。8、都内公立特別支援学校の医療的ケアが必要な幼児、児童、生徒の数及び配置看護師数でございます。
(1)では、幼児、児童、生徒の数について、都立、区立の別、また、年度別に記載してございます。
(2)については、配置看護師数につきまして、都立、区立の別、また、年度別に記載してございます。
一二ページをお開き願います。9、小二加配、中一ギャップ加配の活用状況、学級規模の縮小とTTの選択状況でございます。
令和元年度における活用状況について、学級規模縮小、TTなどの選択別、また、区市町村別に記載してございます。
一三ページをごらんください。10、都内公立小中学校及び高等学校の不登校児童生徒数と不登校出現率の推移でございます。
児童生徒数と出現率について、校種別、また、年度別に記載してございます。
一四ページをお開き願います。11、東京都公立学校教員採用選考名簿登載者数、期限つき任用教員名簿登載者数などでございます。
(1)では、教員採用選考名簿登載者数、期限つき任用教員名簿登載者数、その内訳として、四月一日の任用数、四月二日から三十日までの任用数、五月以降の任用数について、年度別に記載してございます。
(2)では、期限つき任用教員名簿登載者のうち、五月一日までに任用のあった者の教員採用選考の受験者数、翌年度の名簿登載者数、合格率について、年度別に記載してございます。
一五ページをごらんください。12、東京二〇二〇大会に関する事業と予算額の推移でございます。
オリンピック・パラリンピック教育を推進するための事業を五つに分けまして、予算額について、年度別に記載してございます。
一六ページをお開き願います。13、都内小中学校及び都立高校、特別支援学校における副校長、養護教諭、一般事務及び進路指導担当、特別支援教育コーディネーターそれぞれの標準法定数と標準法に根拠を持つ都の定数の推移でございます。
それぞれの標準法定数と標準法に根拠を持つ都の定数について、校種別、また、年度別に記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○星見委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○福島委員 私からは、まず、日本語を母語としない子供たちへの対応について伺います。
国では、昨年九月に初めて、外国籍の子供の就学状況について全国調査の結果を公表、義務教育相当の年齢の外国籍児十二万四千四十九人のうち、一五・八%に当たる一万九千六百五十四人が、公立、私立校や外国人学校などに在籍していない不就学の可能性があり、そのうち七千八百九十八人が東京都と、最も多い結果になっています。
就学前の幼稚園や保育園はもちろんですが、義務教育である学校に通えない子供は、将来の可能性が狭められてしまいます。また、他人の目が届かない家庭内のみで過ごすことで、虐待があった場合の逃げ場所もありません。
不就学の子供たちを一人でも減らすために、外国の方々が労せずに就学状況を入手できる手だてが必要だと考えます。
都教育委員会として、区市町村が行う情報提供の取り組みの支援をすべきと考えますが、見解を伺います。
○太田地域教育支援部長 これまで、都内に居住する外国人の子供が就学を希望する場合には、区市町村で相談に応じ、手続等の案内などを行っております。
都教育委員会は、現在、就学手続等に関する取り組み状況について、幾つかの区市にヒアリングを行っており、今後、ヒアリング結果や国の調査などを分析し、外国人の児童生徒を就学につなげる円滑な取り組み事例や課題等の洗い出しを行ってまいります。
○福島委員 ありがとうございます。
平成三十一年三月の調査では、公立学校に在籍する日本語指導が必要な生徒児童は、中学校三学年合わせて、外国籍で七百二十二名、そして、日本籍で二百五名ということです。
一方、在京外国人生徒の受け入れをしている高校は、ふえたといえども八校、そして、来年の四月の募集枠は、全部で百五十名にすぎません。
在京外国人生徒募集については、どういう基準で学校数、募集人員を定めているのか、今後増員すべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
○江藤都立学校教育部長 都立学校における在京外国人生徒対象募集枠については、都内公立中学校における日本語指導が必要な在京外国人生徒数の推移や居住する地域のバランスに加え、在京外国人生徒対象募集枠の募集校における入学者選抜の応募状況などを踏まえ、募集枠の設置校及び募集人員を決定しております。
令和二年度入学者選抜からは、新たに都立杉並総合高校に募集枠を設置し、十五名を募集いたしました。また、都立府中西高等学校では、募集人員を五名ふやし、二十名に拡大、したところでございまして、令和二年度の四月募集の人員は、昨年度と比較いたしますと、二十名の増、百五十名となりました。
今後も、適切な募集規模を検討し、在京外国人生徒の都立高校への就学機会を確保してまいります。
○福島委員 適正な募集枠を確保できるよう、引き続きの取り組みを要望いたします。
続いて、平成三十年度の日本語指導が必要な児童生徒の受け入れ状況に関する調査によれば、日本語指導が必要な高校生などの中退、進路状況は、全ての高校生の状況と比較すると、中途退学率が七・四倍の約一割、就職者における非正規就職率が九・三倍で約四割、進学も就職もしていない者の割合が二・七倍で約二割と、いずれも高い値になっています。また、進学率は、全ての高校生の六割程度となっています。
在京外国人生徒対象募集枠設置校に入学した日本語指導が必要な生徒が学校生活を円滑に送り、将来、持てる能力を発揮するためには、まずは日本語の習得に向けた支援に始まり、適切な支援を行っていく必要があると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
○江藤都立学校教育部長 都教育委員会はこれまで、都立高校に入学した日本語指導が必要な生徒の状況に応じて、授業中や放課後などに、地域やNPOなどの外部人材を活用した日本語学習への支援を実施してまいりました。
令和二年度からは、日本語指導が必要な生徒への支援におけるノウハウや知見などのあるNPOなどと連携し、日本語学習の支援に加えて、日本語学習の指導者の確保や、言語、文化の違いなどから生じる外国人生徒個々の課題解決に向けた取り組みを実施し、日本語指導が必要な生徒への支援を充実してまいります。
○福島委員 この領域は、NPOが先行している領域だと聞いています。指導者の確保や課題解決に向けた連携に来年度から着手することを高く評価いたします。
次に、在京外国人生徒対象募集枠設置校以外の都立高校において日本語指導が必要な生徒に対して、授業の内容を理解するための都教育委員会の取り組みについて伺います。
○増田指導部長 都教育委員会は、都立高校に入学した生徒のうち日本語指導が必要な生徒が早期に授業内容を理解することができるよう、授業中や放課後などに外部人材を活用した個別の支援等を実施し、学習上必要な日本語や授業内容の理解を促進しております。
また、都立高校の中には、日本語や日本文化に関する科目を学校設定教科、科目として設置し、生徒に履修を促すなどして、日本語の習熟の程度を高める指導を行っている学校もございます。
○福島委員 令和元年五月五日の毎日新聞によれば、東京都の公立学校、これは小中高と特別支援学校におきまして、学校から日本語教育が必要と判断されたにもかかわらず、指導を受けられていない無支援状態の児童生徒は二八・一%いるということです。
日本語教育を必要とする子供たちが適切な支援を受けられるように取り組みをお願いいたします。
一問、割愛いたします。
次に、予算特別委員会でも、東京学校支援機構の人材バンクとしての役割の重要性については取り上げさせていただきました。
この東京学校支援機構の人材バンクの仕組みに、日本語指導が可能な外部人材を組み入れ、教員ならずとも適切な人材確保ができるようにすべきと考えますが、見解を伺います。
○谷企画調整担当部長 東京学校支援機構では、個々の学校のニーズに応じた外部人材が令和二年度当初から活動できるよう、人材バンク事業の準備を進めております。
本年一月から人材の募集や登録を開始し、英語圏だけでなく、世界のさまざまな地域での勤務経験があり、日本語指導が可能な方々などからも登録の申し込みをいただいております。
また、登録人材に対しては、学校で活動するに当たっての留意事項等について事前研修を実施するなどの支援を行っており、二月中旬から各学校とのマッチングを開始いたしました。
今後、機構は、企業等の協力団体をさらに開拓し、連携を強化してまいります。
都教育委員会は、こうした取り組みを支援し、多様な人材の活躍による教育の質の向上に取り組んでまいります。
○福島委員 連携を強化するとのこと、ありがとうございます。
外国人労働者の受け入れの拡大に伴い、日本語指導が必要な児童生徒数も当然ふえてきます。将来、他国とのかけ橋にもなり得る子供たちのために、東京学校支援機構を活用した、誰ひとり置き去りにしない教育の実現に向けた支援体制の整備をお願いいたします。
次に、再任用教員について伺います。
教員の志望者減少もあり、働き方改革を進めるために、教員を再任用することもふえているというふうに伺っています。
一方で、再任用教員が異動を希望しても、平成三十一年四月に都立高校で実際に異動できた割合は五%にとどまっています。
意欲を持って働いていただくためにも、再任用教員について異動を積極的に行うなど、さらなる活用をすべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
○浅野人事部長 再任用教員は、これまでに培ってきたベテラン教員としての能力や経験を生かす観点から、校長の学校経営を支えたり、若手教員の育成に寄与することなどに活躍することが期待されております。
都教育委員会は、校長の人事構想及び教員本人の希望などを考慮しながら再任用教員の配置を行っております。その結果、退職時の学校に継続して配置することが多い状況でありますが、新たな学校で力を発揮する意欲のある再任用教員については、配置先の学校のニーズに応じた異動もふやしてきております。
都教育委員会は、引き続き、適材適所の配置による再任用教員の活用を進めてまいります。
○福島委員 再任用であるかどうかにかかわらず、教員のモチベーションを損なわない配置をどうかお願いいたします。
次に、TGGについて伺います。
国際語学教育機関、イー・エフ・エデュケーション・ファーストによりますと、二〇一九年調査結果ですが、英語を母語としない百カ国、地域のうち、日本の英語力は、前年の四十九位より四つ順位を落として五十三位となり、世界全体の英語能力が上昇傾向にある中で、四年連続で五段階中四番目となる低い能力レベルと認定されました。私は、日本人の英語力向上を真剣に考えるべき時期だと考えています。
多摩版での体験型英語学習施設の整備を検討するとのことですが、まず、青海のTGGの効果を検証すべきだと考えますが、今後の取り組みについて伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、児童生徒が英語を使用する楽しさや必要性を体感し、学習意欲を高めることができるよう、体験型英語学習施設、TOKYO GLOBAL GATEWAY、TGGを開設し、順調に利用が拡大しております。
TGGはこれまでも、利用した児童生徒、引率教員等に対し、満足度等にかかわるアンケート調査を実施しており、楽しかった、英語に興味が持てるようになったなど高い満足が得られております。
今後、TGGでの学習体験の効果につきまして、外部有識者の意見も取り入れながら多角的に検証し、多摩地域での整備内容の検討に反映させてまいります。
○福島委員 青海のTGGについては、我が会派の視察に行った議員からも、よい評判を聞いています。しかしながら、繰り返しになりますが、私は、日本人の英語力向上について、さすがに真剣に考えるべき時期だと思っています。
英語四技能、聞く、話す、読む、書くのうち、聞く、話すの機会が少ないことが課題といわれる中で、TGGを訪れた後に学校で行う通常の授業で発話がふえるなどの効果があったとは聞いていますが、その後の検証、例えば、一年後にもそのような状態が続いているかとか、そういうことはまだ行われていないというふうに伺っております。
令和元年十二月三日に文部科学省が発表した教育政策におけるEBPMの強化では、各都道府県、指定都市に英語教育改善プランの作成を要請しておりまして、新学習指導要領の全面実施を機に、外国語教育やプログラミング教育を初めとするEBPMに取り組み、そして、教育政策のEBPMを加速するという記載もございます。
主体的で対話的な深い学びなどと比べて、英語力は確実に図れるはずなので、ぜひTGGに行った生徒と行かない生徒で有意差があるかどうか、RCT、ランダム化比較試験で検証いただくことを要望いたします。
次に、都教育委員会では、令和元年度から、文部科学省によるワールド・ワイド・ラーニング・コンソーシアム構築支援事業の枠組みも活用し、高度で創造的な探求活動を社会、世界と連携して提供するダイバース・リンク・トウキョウ・エデュ事業を開始していらっしゃいます。
本事業は、知的探究イノベーター推進校である南多摩中等教育学校を拠点校、国際交流リーディング校である白鴎高等学校、附属中学校を共同実施校、そのほか東京グローバル10及び知的探究イノベーター推進校を事業連携校としていると伺っています。
このダイバース・リンク・トウキョウ・エデュの狙いや取り組みについて伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、子供たちが世界的な視野や深い思考力、他者と協働する力、創造性等を培い、ソサエティー五・〇の社会で活躍できるよう、東京ならではのネットワークを生かし、高度かつ探求的な学びを提供するダイバース・リンク・トウキョウ・エデュの取り組みを開始いたしました。
今年度は、オーストラリアのクイーンズランド工科大学、ニュージーランドのオークランド工科大学、東京大学先端科学技術研究センター、東京外国語大学と、本事業の協力に関する協定を締結いたしました。
本協定に基づき、生徒が原則として英語で高度で実践的な内容を学び、ディスカッションやプレゼンテーション等を行う特別講座や高校生国際会議を実施いたしました。
また、拠点校等において、外部人材の活用やフィールドワークによる実践的な課題研究を行いました。
来年度は、協定を締結した大学等と、年間を通して特別講座を開催するほか、東京大学先端科学技術研究センターにおいて、生徒が教授等の指導のもと、高度な教育資源を活用して継続的に研究を行う高校生研究員プロジェクト等を実施いたします。
また、拠点校等においては、文系、理系を融合したカリキュラムの実施や他教科での英語の活用等、取り組みを推進してまいります。
○福島委員 グローバル10ですとか知的探究イノベーター推進校という既存事業に加えて、東京が持つ国内外のネットワーク、外部資源を生かすことで、子供たちの知的好奇心に応え、新しい時代を牽引するグローバルリーダーを育成する事業であるというふうに理解をいたしました。
私の経験上、アカデミックや民間の研究者の知り合いが多くいるんですけれども、ネイチャーやサイエンスレベルの雑誌に論文が採用されるためには、採用された経験する人に師事するしかないという話を聞いたことがあります。グローバルリーダーとして育つためには、グローバルリーダーに師事する経験はとても大切だと思います。成果が出ることを期待します。
さて、学校現場が疲弊している理由の一つに、家庭の教育力低下が挙げられています。人間は社会的生き物であり、子育てにおいても、他者のアドバイスを参考にしながら取り組めるのが本来の姿と考えますが、核家族化、地縁的なつながりの希薄化などにより孤立した家庭の場合、アドバイスや支援を受けられる機会が乏しく、その結果、学校に直接お困り事が持ち込まれることも少なくないというふうに聞いております。
子供の教育には、学校の教員のみならず、多様な価値観を持った企業、NPO、地域住民等が連携、そして協働し、社会全体でかかわることが大切です。
都教育委員会は、このような地域と学校が連携、協働した取り組みについてどのような支援を行っているのかを伺います。
○太田地域教育支援部長 都教育委員会は、地域全体で子供たちの学びや成長を支える仕組みである地域学校協働本部の設置促進を通じて、学校支援活動を初め、地域と学校が連携、協働する取り組みを行う区市町村を支援しております。
今年度からは、本活動の中核を担う地域コーディネーターへの助言や、コーディネーター間の連携を促進する統括コーディネーターを新たに区市町村単位で配置するとともに、統括コーディネーター会議を開催して、各地域の実践活動や成果等の共有を図る取り組みも開始いたしました。
今後とも、これらの取り組みを通じて、地域と学校が連携、協働し、子供の教育支援を行う区市町村の取り組みを支援してまいります。
○福島委員 約一年前にもTokyoスクール・コミュニティ・プロジェクトについて質疑させていただきましたが、今年度の取り組み内容をご紹介いただきました。この統括コーディネーターというものを設けることで、これまで行ってきたさまざまな地域と連携、協働する事業を統合的にできることを期待しております。
ご存じのように、私は、東京都におけるプログラミング教育、そしてSTEM教育の質の向上に向けて、継続して質疑で取り上げてまいりました。
現在、都において情報科の教員採用選考を受験するためには、情報の免許に加えて、例えば数学や理科などの情報以外の免許を持つことが必要となっていますが、情報以外の免許を取得することは、受験生に負担となっています。
そこで、情報を専門に学んだ優秀な若者が情報の免許だけで受験できるように、教員採用選考の受験資格を改善するべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
○浅野人事部長 AIやIoTなど新技術の社会実装が進んでいく中、高校生に情報に関する能力を身につけさせるため、情報の授業を担う教員には、高い資質、能力が求められております。
このため、情報の教員採用候補者選考において、情報の教員免許に加え、他の教科の免許も求めている現在の受験資格を見直し、情報を専門に学んだ学生が受験しやすくするため、令和二年度から、情報の免許のみで受験可能としてまいります。
○福島委員 ありがとうございます。他県でも、今年度より副免許を不要にした事例があるようです。ぜひ、都においても対応いただけるということですので、専門性の高い教職員の採用につなげていただきたいと思います。
次に、私は、先生方に余り知見のないプログラミング教育、STEM教育だからこそ、教育の専門家だけでなく、情報分野の専門家や、それらを使って価値を生み出しているIT企業、エドテック企業などの民間企業と、これまで以上に十分な意見交換が必要だと訴えてまいりました。
そこで、子供たちがICTを効果的に活用して学びを深めることができるようにするためには、教員自身のICT活用能力と子供に対する指導力を同時に高めていくことが必要と考えますが、都教育委員会の取り組みについて伺います。
○増田指導部長 これまで都教育委員会は、小学校プログラミング教育推進校において、教員が企業等のインストラクターからICT機器の活用方法やプログラミング教育の指導事例について学ぶことができるようにするとともに、推進校の実践を他の学校の教員にも周知するなど、小学校教員全体のICT活用能力と指導力の向上を図ってまいりました。
来年度は、プログラミング教育や情報モラル教育に加え、ICTを活用した実践的な指導方法について一体的に研究する情報教育研究校を、小中高等学校等から七校指定いたします。
今後、研究校における二年間の研究を通して開発された指導事例を動画に編集し、都内全ての公立学校に配信するなどして、教員自身のICT活用能力と子供に対する指導力を相乗的に高めてまいります。
○福島委員 ありがとうございます。プログラミング教育推進校、七十五校における二年間の研究成果も踏まえ、さらに、実践的な指導方法について、研究校を設けて研究、そして、教員のICT活用能力と子供に対する指導力を高めるという新しい取り組みについてご表明いただきました。
都には、教員のための研修センターがありますけれども、そこで提供されているプログラミング教育に関する動画は、現在一本、そして、研修用教材の開発に関しても、専門家の意見は聞いているものの、基本的には都教育委員会で作成していると聞いています。
専門家の皆様、エドテック企業の皆様からは、子供たちの将来のための教育に、専門性を持って、もっとかかわりたいというお声を多数いただいております。だからこそ、このような質疑も行っているわけですけれども、この実践的な指導方法について研究する本事業を進める過程で、ぜひこれらの外部有識者の声を広く求める機会を設けていただくことを要望いたします。
最後に、学校長のマネジメント能力について伺います。
ちょっと残念なことに、先駆的な取り組みで成果を上げているほかの学校の事例について、あの先生だからできたと例外扱いするような発言をしばしば耳にします。
学校経営における学校長の権限は大きく、これからの時代、外部と連携、他者に学びながら、新しい教育に貪欲に柔軟に取り組む姿勢が一層重要になります。
昨年の第一回定例会の文教委員会で、教育管理職に求められる資質について質疑を行った際に、教育管理職は、教育者としての高い見識だけでなく、教育改革の動向や児童生徒のニーズを踏まえた学校経営を推進するマネジメント能力も資質として求められるというご答弁をいただいています。
しかしながら、学習指導要領で社会に開かれた教育課程が重要であるといわれている中で、これだけで十分でしょうか。
若手教員の育成において、将来のリーダーとしての活躍が期待される教員を対象に、学校マネジメント能力を育成する学校リーダー育成プログラム事業があるというふうに伺っております。
この事業のうち、都教育委員会が実施する学校リーダー育成特別講座について、目的や本講座における学校マネジメント能力をどのように学んでいるかを伺います。
○浅野人事部長 学校リーダー育成特別講座は、将来、管理職としての活躍が期待される教員を対象に、リーダーとしての資質、能力を高め、学校マネジメント能力の育成を図る研修でございます。
本講座は、区市町村教育委員会や学校経営支援センター等が行う学校マネジメント講座修了者のうち、推薦された者を対象に、宿泊研修、企業訪問を含め、年間三回にわたり実施し、百四十人が受講しております。
具体的には、民間企業における組織運営、人材育成のコーチング、危機管理等について企業で経験を積んだ外部講師の講義を受け、学校現場における課題に対してグループで解決策を協議し、学びを深めております。
さらに、民間企業への訪問を通じて、企業で組織運営を行っている管理職から実例を直接聞くことにより、マネジメント力を高めております。
本講座を通じて、民間企業の知見等を学び、さまざまな教育課題に柔軟に取り組むことができる教育管理職を育成してまいります。
○福島委員 ありがとうございました。民間企業の組織運営などについて学ぶ機会や、民間企業の訪問もあるというお話でした。
働き方改革は道半ばであることから、なかなか学びの時間を得ることも先生たちには難しいんだと思うんですけれども、理想的には、時代の流れに合わせて自己改革できている企業で半年ぐらい勤務する、そんな経験ができたらいいんじゃないかとは思っています。
その意味でも、先生方が勉強する時間をつくるためにも、働き方改革に向けた取り組みは大変重要で、予算特別委員会の質疑では、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトによる効率化や外部人材の登用、そして、東京学校支援機構の設置などについて取り上げてまいりました。
ということで、時間ができた暁には、先生方が自己成長のための時間を確保できるように取り組んでいただければと思います。
以上で質疑を終えます。
○うすい委員 初めに、高大連携事業の推進についてお伺いいたします。
二〇一九年二月に作成されました都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)によりますと、都の教育委員会は、生徒の大学進学への目的を明確にするとともに、大学進学後の自己のあり方や生き方を意識させる契機とすることを目的として、京都大学や東京工業大学等との連携により、最先端の研究成果に触れる機会を提供し、その実績も踏まえた上で、各大学との高大連携を進めていくということであります。
そこで伺いますが、まずは、首都大学東京、来年度から都立大学に名称が変わりますので都立大学といわせていただきますが、総合大学であり、さまざまな分野の専門的な学びができる都立大学の特色を生かして高大連携を進めるとしておりますけれども、都立大学と都立高校の間で推進をする高大連携事業の取り組みの内容についてお伺いをいたします。
○増田指導部長 都教育委員会は、東京都立大学と連携し、希望する都立高校生を対象として、平成二十九年度から、大学教授が最先端の研究内容を講演する首都大学フォーラムを、平成三十年度から、生徒が大学の研究室で研究を実体験する理数研究ラボを実施してまいりました。
平成三十年九月には、これまでの取り組みを踏まえ、都立高校生の学問的な探求意欲を喚起し、志を高めるとともに、大学での研究活動に対応できる資質、能力を向上させることを目的として、東京都立大学と連携協定を締結いたしました。
来年度は、この連携協定に基づき、考古学、宇宙物理、無線通信の三つのテーマについて、東京都立大学が都立高校生向けに開講するゼミ等において、生徒が大学レベルの研究に継続して取り組むことができるようにしてまいります。
○うすい委員 都立大学と都立高校が連携協定に基づいて、考古学、宇宙物理、無線通信等のそうした専門的な学びの機会を提供して、その成果を大学での学びにさらにつなげていくという狙いかと思います。
それから、今、深刻な教員不足が叫ばれて久しいわけでございますけれども、大事な教員の育成のためにも、東京学芸大学と都立高校が連携をして、高大連携による教員養成プログラムを推進すると聞いておりますが、どのような内容で取り組むのか、お伺いいたします。
○増田指導部長 都教育委員会は、教職に興味のある高校生に教師としての基本的な素養や職業意識を育むため、平成三十一年三月に東京学芸大学との連携協定を締結し、都立小金井北高校において、教師の魅力を感じ、教職を志す生徒が取り組むプログラムを実施することといたしました。
来年度からは、東京学芸大学の教員による教職の魅力を伝えるセミナーや、教職大学院生によるワークショップを実施するとともに、地元の小中学校での学習活動や学校行事におけるボランティアスタッフとして児童生徒に積極的にかかわる機会を設定し、教師の道を志す生徒の意欲をさらに高めてまいります。
○うすい委員 都立大学、東京学芸大学、そのほかにも、東京農工大学、それから東京外国語大学、そして電気通信大学等が、それぞれの大学が持っている専門分野を生かしての高大連携としての、二〇二〇年度から、それぞれ大切な新たなスタートとなるのかなと思います。
また、そのほかにも、取り組みとして、総合学科高校における高大連携の推進、また、最先端の科学技術に関する講演会等を実施する「志」育成事業の推進等があると聞いておりますけれども、こうした高大連携事業が個々だけのもので終わるのではなくて、今後は、ICTなども活用しながら、ぜひ区部も含めて広がりを目指して取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。
都立高校の中でも、工業高校に絞ってお伺いをしたいと思います。
都立工業高校と大学や専門学校等の上級学校における連携の充実でございますけれども、専門学校の中でも、特に工業高校は、これまで、東京の社会インフラをつくり、そして、支える人材を数多く輩出してきた高校であると思います。
これからの東京は課題が山積みでございまして、しかも、高度化、複雑化する中において、やはり人材が重要であり、工業高校から就職するという選択肢だけではなくて、進学にも力を入れていくべきであると考えております。
そこでまず、現在の工業高校の進学と就職の状況について伺います。
○江藤都立学校教育部長 卒業生の進路状況については、公立学校統計調査報告書、公立学校卒業者の進路状況調査編により公表しております。
令和元年度同報告書における平成三十年度都立高校全日制工業学科の状況は、卒業生が二千八百三人で、そのうち、大学や短期大学などへの進学者が五百七十人で二〇・三%、専修学校などへの入学者が五百八十二人で二〇・八%、就職者が千五百四人で五三・七%でございます。
また、過去三カ年の状況については、卒業者に占める大学や短期大学などへの進学者が約二割、専修学校などへの入学者が約二割、就職者が五割強で同様の傾向となっております。
○うすい委員 今答弁をいただきまして、大学や短期大学等への進学者が約二割、そして、専修学校等への進学が約二割、そして、就職者が五割強とのことでありました。
今後は、工業高校生の進学ニーズに応えるとともに、産業界が真に求める技術者を輩出していくためにも、工業高校生の上級学校への進学にも力を入れていくべきであると考えます。
都教育委員会は、三月五日に、工業高校、専門学校、企業等の連携におけるIT人材の育成に向けた検討委員会報告書を公表したところであります。本報告書によれば、都立町田工業高校の三年間と日本工学院八王子専門学校の二年制の専門課程とが連携をし、五年間一貫の教育プログラムを開発していくこと、これらの取り組みを日本アイ・ビー・エム株式会社などのIT企業などの実務家が切れ目なく支援をしていくことなどが述べられております。
大変すばらしい意欲に満ちた取り組みであると思いますが、実施校を町田工業高校としたこと、連携先を日本工学院八王子専門学校とした、その理由について伺います。
○江藤都立学校教育部長 都立町田工業高校は、都立高校で唯一の総合情報科を設置する工業高校でございます。
総合情報科では、一年生で工業技術や情報技術の基礎を学び、二年生からは四つの系列に分かれて各専門性を学びます。この系列の一つである情報テクノロジー系列では、プログラミングやネットワーク、情報セキュリティーなどの専門性を育成します。
こうした素地を持つ学校であることから、実施校として選定いたしました。
日本工学院専門学校は、蒲田校と八王子校に百二十のコースを持ち、八王子校では、システム開発、ネットワークやセキュリティーなどの充実したIT教育を実践しております。
また、八王子校と同じキャンパス内には東京工科大学を併設するなど、IT関連の教育環境が充実していることから、連携を進めることといたしました。
○うすい委員 今ご説明をいただきましたが、町田工業高校にIT人材育成の素地があること、また、日本工学院八王子専門学校が、IT教育に力を入れていることや、町田工業高校からの進学実績があること、同じキャンパス内に東京工科大学が設置されているとのことでございました。
町田工業高校での学びの中で多くのことを経験し、さらに学びを深めてから社会に貢献したいと願う生徒たちが安心して上級学校に進学をし、ITの実務家としての専門性を身につけ、そして就職につなげていける、この連携の取り組みは、今後の工業高校の向かうべき姿の一つの大きな道筋であると考えております。
一方で、二年制の専門学校で学んだ後も、さらに学びを深めたいと考える学生に対しても方策を講じるべきと考えます。
町田工業高校から日本工学院専門学校までの一貫した五年間の教育を修了した学生が、さらに学びを深めたいと考えた場合にも対応できるように、今後の取り組みを進める上においては、大学への編入なども含めて取り組むべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
○江藤都立学校教育部長 令和二年三月五日に公表いたしました、工業高校、専門学校、企業等の連携におけるIT人材の育成に向けた検討委員会報告書において、専門学校の課程を修了した学生が、さらにその先の学びを追求したいと考える場合には、大学への編入などにより、より高度な知識と技術を身につけさせていくことも必要であるとしております。
今後、IT人材の育成に向け、都教育委員会が主体となり、高校や専門学校、連携する企業から成るコンソーシアムを立ち上げ、五年一貫したカリキュラムの策定などのさまざまな検討を進めてまいります。
日本工学院八王子専門学校と同じキャンパスに設置されております東京工科大学など、情報関連の学部を持つ大学との連携についても、あわせて検討を進めてまいります。
○うすい委員 今後の取り組みの中で検討していくとのことでございます。令和四年度からの本格的な開始を前に、入学してくる中学生に対してしっかりと案内していけるよう、ぜひ前向きな検討を進めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
今回の取り組みでは、都立町田工業高校が実施校とのことであります。ITを学びたいと願う生徒のニーズに応えて、社会問題ともいえるIT人材の不足を解消するために、多摩地区だけではなくて、区部の工業高校においても、こうした取り組みを計画的に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
○江藤都立学校教育部長 まずは、町田工業高校での取り組みを進めていくため、都教育委員会が主体となり、町田工業高校、日本工学院専門学校、日本アイ・ビー・エム株式会社から成るコンソーシアムを早期に立ち上げます。
このコンソーシアムの中で、五年後の目標となるスキルマップの作成や、五年間一貫したカリキュラムなどを策定してまいります。
この過程において、区部の工業高校などでも実施といった実施校の拡大の検討、新たな専門学校との連携、IT関連企業などの実務家による支援の広がりなど、多面的な検討を進めてまいります。
○うすい委員 答弁いただきまして、今後、町田工業高校だけではなく、実施する工業高校はもとより、連携する専門学校や企業についても拡大を検討するということでございました。ぜひよろしくお願いします。
先般の一般質問においても、我が会派の谷村孝彦議員から、都立高校の魅力に磨きをかけるためにも、ホワイトハッカーを初めとする新たな産業分野で活躍できるIT技術者を育成する新しい教育プログラムを開発すべきと質問をし、前向きな答弁をいただいたところでございます。
ソサエティー五・〇の実現が叫ばれる中、工業高校でものづくりの基礎を学びつつ、ITスキルを学んでいくことは、今後、絶対に必要不可欠なことであります。
さらに、今回の取り組みのように、工業高校を卒業した生徒に、希望すれば専門学校や大学などの上級学校にも進学をしていただき、先ほども申し上げましたが、高度化、複雑化した東京の課題の解決に対応できるITなどの専門力を大いに身につけてもらうことも大変に重要なことだと思います。
繰り返しになりますが、工業高校を卒業し、就職を目指す生徒をしっかりと育成していくことはもとより、さらに学びを深めたいと願う生徒の育成と、そうした生徒の進学のための上級学校との連携においても、さらなる取り組みを進めていただくことを要望し、次の質問に移ります。
次に、ICTの活用について伺います。
さきに成立しました二〇一九年度補正予算には、国ですけれども、学校現場のICT、情報通信技術化を推進するGIGAスクール構想実現のための経費が盛り込まれております。これは、児童生徒が一人一台のパソコンやタブレット端末を持ち、クラス全員が一度にアクセスできる通信環境の整備を支援するものであります。
OECDが世界の十五歳を対象に実施した国際学習到達度調査、PISAによりますと、日本の子供は、ネット上の膨大な情報の中から必要なものを探し出し、信頼できるものであるかどうかを見きわめる能力が十分育まれているとはいえないとされております。
ネット社会が進む中で、情報を活用する能力の育成において日本が立ちおくれている点は、見過ごすことはできないことだと思うわけでございます。
そこで、国のGIGAスクール構想の今後の予定と、国の補助を活用し、小中学校のICT環境整備を行う区市町村に対して、都が行う支援について見解を伺います。
○谷企画調整担当部長 国は、学校のICT環境整備に向けたGIGAスクール構想におきまして、校内通信ネットワーク整備を令和二年度までに、また、小中学校の一人一台端末整備を令和五年度までに行うとしております。
都教育委員会は、区市町村がGIGAスクール構想に基づいて小中学校の校内通信ネットワークを整備する場合、国の補助に加えまして、区市町村の一般財源負担分である二十分の一を補助いたします。
また、児童生徒の一人一台端末の整備につきましては国が補助を行うことから、都としては、区市町村が端末導入支援員を一校に一人配置するための費用のうち、国が措置する以外の四分の三を補助し、端末の円滑な導入や効果的な活用ができるようサポートいたします。
これらにより、区市町村の小中学校におけるICT環境整備に向けた取り組みを積極的に支援してまいります。
○うすい委員 ぜひとも積極的な支援をよろしくお願いいたします。
また、GIGAスクール構想の実現に向けては、全ての小中学校において、児童生徒がICTを活用して効果的に学習に取り組むことができるようにすることが必要であります。しかしながら、現在、こうした取り組みが十分に行われていない学校も見受けられております。
今後、そうした学校においても、整備されたICT機器を円滑に活用するための支援が必要と考えますが、教育委員会の見解を伺います。
○増田指導部長 都教育委員会はこれまで、小学校プログラミング教育におけるICT機器の活用事例等を指導資料に掲載し、都内全ての公立学校に配布するなどして、モデルとなる取り組みを周知してまいりました。
今後、小中学校において、ICT機器を活用し、子供たちが個々に調べた内容や考えた意見を即時に配信して、クラス全体での話し合いを充実させたり、プレゼンテーション資料の作成をグループで分担して行わせたりするなど、教員が工夫して行った指導事例に加え、一人一台体制の端末配備や端末導入支援員の配置により効果を上げた事例などを広く収集してまいります。
その上で、こうした事例を区市町村教育委員会の担当者連絡会で共有するなどして、各学校におけるICTの活用を一層促進してまいります。
○うすい委員 ぜひとも、今答弁がございましたとおり、活用事例の見える化に力を入れていただき、各区市町村の参考になるように支援をよろしくお願いしたいと思います。
また、都教育委員会は、都立高校においてもICTに力を入れていくとのことであります。
そこで、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトでは、来年度、都立学校において、ソサエティー五・〇に向けた学習方法研究校を指定すると聞いております。
研究校の目的とその取り組みについて見解を伺います。
○増田指導部長 ソサエティー五・〇時代で求められる課題に主体的に取り組み、共同して解決する力や、新しい価値を創造する力などを身につけるためには、学校の学びのスタイルを知識習得型から課題解決、価値創造型へと転換することが重要であります。
このため、都教育委員会は、ICTを活用して生徒一人一人の力を最大限伸ばす学習方法の開発を行うため、令和二年度から、都立学校十八校をソサエティー五・〇に向けた学習方法研究校に指定いたします。
これらの指定校では、学習支援ソフトのさまざまな機能を活用した個々の生徒の習熟状況に応じた学習、共同学習や探究学習等の学習方法についての研究等を行ってまいります。
○うすい委員 ありがとうございました。TOKYOスマート・スクール・プロジェクトですが、今後は、ソサエティー五・〇に向けて、先ほども申し上げましたが、ICTを活用した、より高度な教育が求められている中で、学校内に散在する情報をデータ化し、そして相互に連携をさせ、可視化、共有、分析をすることで、生徒一人一人に応じた指導を実現していくことが目的の一つだと思います。
我が党の小林議員からも一貫して、また、今回の一般質問でも、都立学校における普通教室の無線LANの整備を要望し、前向きな答弁があったとおりでありますが、一〇〇%達成に向けて、通信環境を計画的に整備していただきたいと思います。
こうしたICTの環境が進んでいけば、学習に配慮や支援が必要な児童生徒たちの学びを支える有効な手段にもなりますし、例えば、紙の教科書での読み書きが困難な障害児にとっては、PCを活用したデジタル教科書が役に立つわけであります。
また、今回のコロナウイルスのような緊急事態にも学習支援が可能となります。
今後とも、ICTを積極活用することで、きめ細かい指導や学校運営改善につなげ、教育の諸課題の解決を強力に推進していただくことを要望しまして、次の質問に移ります。
最後に、先ほど説明がございました障害者雇用について伺います。
厚生労働省は、昨年の暮れに、昨年六月一日時点での民間企業で働く障害者が五十六万六百八人に達し、十六年連続で過去最多を更新したと発表しました。全従業員に占める障害者の割合についても、二・一%を超えて過去最高になりました。
一方で、国と自治体は二・五%、企業は二・二%となっている法定雇用率には届いていない状況であります。
しかし、働く障害者が着実に増加していることは、さまざまな課題に取り組んで解決している企業が多いあかしともいえると思います。
改正障害者雇用促進法がいよいよ四月から施行されるわけで、模範となるべき東京都、なかんずく都教育委員会の障害者雇用について何点か伺います。
初めに、今回、都教育委員会が障害者活躍推進計画を作成する趣旨及び本計画の具体的な目的について伺います。
○安部総務部長 障害者活躍推進計画につきましては、令和元年の障害者雇用促進法の改正により、国及び地方公共団体が民間の事業主に対して、率先垂範して障害者雇用を進めるために作成し、公表することを義務づけられたものでございます。
計画策定に当たり、法定雇用率の達成のみならず、障害者が活躍しやすい職場づくりや人事管理等を着実に推進することが求められております。
都教育委員会は、令和六年度までに雇用率を二・六%とすることを目指していくとともに、計画策定後の推進体制や相談体制についても充実を図ってまいります。
○うすい委員 現在の都教育委員会の法定雇用率は二・四%であるのに対し、都教育委員会における障害者雇用率は一・九%であり、残念ながら未達成の状況であります。
一方、内訳を見ますと、教育庁事務局職員は約一六%、学校事務職員は約一一%であるのに対し、教員は約一%の雇用率となっております。
教員については、制度的にはいたし方ないこともありますが、そもそも障害者が少ない中で、都内に約千九百校ある区市町村立学校を含め六万人以上在籍をしており、雇用率の算定に含まれていることが大きく影響していることもいえるかと思います。
そこで、こうした状況を踏まえ、障害者の法定雇用率達成に向けて、これまで都教育委員会が実施をしてきた取り組みについて見解を伺います。
○安部総務部長 都教育委員会はこれまで、教員採用に当たり、障害のある受験生に配慮した選考を実施してきております。
一方で、教員免許状取得者のうち、障害者が全国的に極めて少ない状況にあり、採用が進まない実態がございます。
このため、都教育委員会では、平成二十四年度以降、就労支援を目的とするチャレンジ雇用の実施に加え、昨年度には、独自の取り組みとして、教育庁サポートオフィスを開設することにより、教員以外の障害者非常勤職員を教育事務サポーターとして継続的に雇用する取り組みを積極的に進めております。
現在、障害種別を問わず、合わせて百二十六名を雇用しております。
○うすい委員 これまで、教員以外の障害者雇用において、先進的な取り組みを行ってきたことは評価をしたいと思います。
一方、今後、法定雇用率達成のためには、さらなる取り組みを進める必要があると考えます。
そこで、今回の障害者活躍推進計画作成に伴い、来年度に実施を予定している取り組みについて見解を伺います。
○安部総務部長 来年度、現在の教育庁サポートオフィスの規模の拡大を図り、第二のオフィスを開設し、教育事務サポーターの採用数をふやしてまいります。
このため、都教育委員会は、都内外の二百カ所以上の障害者の就労支援機関等と連携を図り、オフィス紹介映像の作成を行うとともに、映像を活用し、希望者向けの相談会、見学会の随時開催を行うなどして、採用PR活動を充実しております。
また、特別支援学校との連携も強化し、生徒のインターンシップの受け入れや、教員や保護者を含めた見学会の充実なども図ってまいります。
○うすい委員 一般就労に向けた支援を目的とするチャレンジ雇用は、最大三年間の任用期間でありますが、教育事務サポーターは、最大五年間の任用後に、再度の応募も可能であると聞いております。
一方で、任期一年間の更新制であることから、常勤職員と比較をすると、雇用が不安定であります。
さきの予算特別委員会での我が党との質疑内容も踏まえて、都教育委員会として、障害種別を問わず、さらなる雇用拡大に取り組むべきと考えます。見解を伺います。
○安部総務部長 現在、教育事務サポーターとしては、精神障害、知的障害、身体障害の方々が採用され、活躍しており、一人一人の障害特性に応じた業務を担っていただいております。
今後、昨年の人事委員会の意見等も踏まえ、都として、非常勤職員から常勤職員にステップアップすることを可能とする新たな雇用の枠組みの創設が検討されております。
総務局とも連携しながら、さらなる活躍の場の充実に向けた検討を進めてまいります。
○うすい委員 前向きな答弁をいただきました。
しかし、忘れてはならないのは、本来の目的は、法定雇用率の達成ではなくて、障害者が能力を最大限に発揮して、適性に応じて働ける環境の整備であると考えます。
職場において大切なのは人材であるとの視点は、障害の有無にかかわらず、全ての人が活躍する上で重要であります。障害者を雇用したことで、例えば、車椅子でも利用しやすい職場でのレイアウトが健常者にも好評を得たり、障害者をサポートするために業務を見直したことが残業の削減につながったという声もお聞きをします。
多様性を認め合い、そして生かしていくことが社会の持続的な発展には欠かせないというSDGsの精神で障害者雇用をさらに進めていただくことを要望し、質問を終わります。
○柴崎委員 私からは、都立高校の新学習指導要領についてお伺いしていきたいと思います。
先般の一般質問で私からも申し上げましたように、ことしの都立高校の入試、最終倍率が一・四〇倍ということで、昨年と同様でございまして、低い倍率に終わってしまったわけでございまして、私も都立高校のOBとして、ちょっと残念な気がしているところでございます。
こうした中におきまして、令和四年度から新しい学習指導要領が導入されるわけでございまして、ここで、各学校において、子供たち一人一人がみずからの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生のつくり手となれるよう、これからの社会で必要となる資質、能力を生徒に確実に身につけさせることが重要というふうに示されております。
そこで、都立高校が魅力がある教育活動を実践し、教育の質の向上を図っていくために、都教育委員会としてどのような支援を行っているのか、まず、その点について伺いたいと思います。
○増田指導部長 新しい学習指導要領では、教育活動を教科横断的な視点で組み立て、組織的、計画的に実施し、評価するカリキュラムマネジメントの重要性が示されております。
カリキュラムマネジメントを実現するためには、学校の目指すべき方向性を可視化して、全ての教職員が共有し、組織的に取り組んでいくことが重要でございます。
そのため、都教育委員会は、全ての都立高校に対して、教育目標や育成を目指す資質、能力など、学校の特色をわかりやすく示したグランドデザインを今年度末までに作成するよう求めております。
こうしたことから、各学校のグランドデザイン作成が適切に行われるよう、先駆的に作成や活用に取り組むカリキュラムマネジメント推進校を指定し、その成果を他の都立高校に周知するとともに、各学校の代表者による研修会を開催し、作成の意義や方法について、グループ協議を通して理解を深めてまいりました。
今後は、作成したグランドデザインに基づき、効果的にカリキュラムマネジメントを実践し、教育の質の向上を図ることができるよう、学校の取り組みを支援してまいります。
○柴崎委員 グランドデザインを作成して、これから進めていくということでございます。
新しい学習指導要領におきましては、学びの質を高めていくための視点といたしまして、主体的、そして対話的で深い学びが挙げられておりますが、この学びを実現するためには、都教育委員会としてどのような取り組みを行っているのか、お伺いしたいと思います。
○増田指導部長 都教育委員会は、主体的、対話的で深い学びの実現に向け、授業改善を推進するため、平成二十八年度から、年度ごとに十五校、三年間で合計四十五校をアクティブラーニング推進校として指定してまいりました。
推進校では、外部講師を招聘した研修を定期的に行うとともに、教員がこの研修で学んだことを生かし、講義中心の一斉授業だけではなく、討論や発表などの生徒の主体的な活動を重視した授業を行うなどして指導力を高めております。
また、推進校で実施したアクティブラーニングの視点に立った授業の映像をおさめたDVDや、取り組みや成果をまとめた報告書を作成し、全ての都立高校に対して配布するとともに、毎年度報告会を実施し、推進校のすぐれた実践事例を紹介しております。
○柴崎委員 ぜひ頑張っていただきたいと思っております。
そして、もう一点、お聞きしたいのは、科学技術立国を目指す日本におきましては、科学技術の土台となる理数教育の充実は欠かせないものだと思っております。
令和四年度から実施される高等学校の学習指導要領におきましては、新たな科目として理数探究が設置をされているわけであります。
理数探究の理念、特色を都立高校にどのように周知をし、そして定着を図ってきたか、教育委員会の取り組みを伺いたいと思います。
○増田指導部長 科目、理数探究は、多角的、複合的に事象を捉え、数学や理科などに関する課題を設定して探求し、課題を解決する力を養うとともに、新たな価値を創造する力を高めること等を目指す科目でございます。
都教育委員会は、教員を対象として、昨年度の九月に学習指導要領改訂に関する説明会を、本年度の七月と八月に教育課程編成についての説明会を開催し、理数探究の目標や内容、その取り扱いなどを周知してまいりました。
また、今年度から、教科研究のリーダーとなる教員の育成を目的とした教育研究員事業の中に高等学校理数部会を新たに設置して、理数探究の授業の進め方や学習評価の方法を研究し、その成果を全都立高校に周知いたしました。
○柴崎委員 この理数探究については、大いに期待をしているところでございます。
こうした中で、日本史につきましても、新学習指導要領によると、従来の日本史A、日本史Bの科目が、今度、歴史総合、そして日本史探究、この科目ができるというふうにお聞きしております。
日本史の場合には、特に、やはり現代史というのは非常に重要なところだと思っております。こうした中で、なかなか現代史に至るまで時間がかかってしまって、割と時間数が減ってしまったり、そんな声を聞くこともあるんですが、ぜひ、現代社会、経済において非常に密接な関係がある現代史の学習時間をさらに充実を図っていただくことを申し上げまして、次の質問にさせていただきます。
次の質問は、一般財団法人東京学校支援機構についてお伺いしたいと思います。
これについては、昨年の第一回定例会におきまして、我が自民党、吉原議員から代表質問をさせていただいたところでございます。教育長からの答弁を受けまして、きょうは質問をさせていただきたいと思います。
来年度から、外部人材を安定的に確保するための人材バンク、そして、教員の専門外の懸案事項の相談に応じる法律相談窓口、また学校施設の緊急修理など、学校を支援する業務を具体的に開始するとのことであります。
今後、この機構が学校をきめ細かくサポートし、教員の負担軽減とあわせて、東京の未来を担う子供たちを育む学校教育の質の向上に大いに貢献していくことを我々は期待しているところでございます。
そこで、機構が学校教育の質の向上に向けてどのような機能を発揮していくのかという観点から、そして、特に人材バンクについて伺っていきたいと思っております。
まず、機構の人材バンク、この狙いと対象とする人材について伺いたいと思います。
○谷企画調整担当部長 機構の人材バンクは、外部人材を探すことが学校の負担となっている現状を踏まえまして、その情報を安定的に提供することで、学校の負担を軽減し、児童生徒の学習指導等に教員が一層注力できるようになることを目指しております。
また、教員とは異なる専門性や経験を持つ方の学校現場での活躍を促すことで、教育の質の向上に寄与しようとするものでございます。
対象とする外部人材の具体例は、教員にかわり技術指導等を行う部活動指導員、プリントの印刷などを行うスクールサポートスタッフ、さらに、学校の教育課題に応じて講演を行うゲストティーチャーなどでございます。
学校のニーズをしっかりと受けとめ、必要で適切な人材が紹介されるよう、都教育委員会は機構を支援してまいります。
○柴崎委員 ぜひ学校の意見を十分に聞いていただいて、学校をきめ細かくサポートしていただきたいと思います。
ところで、部活動指導に関して、やはり、なかなか引き受けていただける方を見つけることができないという声をよく聞くわけでございます。
こうした中で、特に運動部に関しましては、対象となる競技の種類や技術水準がさまざまであることなどもあり、人材の確保に非常に苦労しているということは想像にかたくありません。
例えば、私の地元でも、中学校に格技室があるんですけれども、柔道部も剣道部もないという学校がやはり幾つかあるんですね。つまり、一度廃部となってしまうと、なかなか復活ができないというのも実態なんです。
こうした中におきまして、この機構の人材バンクでは、既に一月中旬から人材登録を開始しているとのことでありますが、部活動指導が可能な人材として、どのような方が申し込みをされているのか、伺いたいと思います。
○谷企画調整担当部長 機構では、人材バンクにお申し込みをいただいた際に、ご希望される活動内容を確認しております。
既に退職教員で部活動指導に経験がある方、競技の経験があり、技術をお持ちの方などから、部活動支援のご希望をいただいております。
また、個人に加え、人材バンクにご協力いただける体育大学等の団体の開拓も進めております。
こうした方々が部活動支援において活躍することが期待されており、都教育委員会は、機構に対して人材情報の一層の充実を求めてまいります。
○柴崎委員 今、答弁をいただいたわけでありますけれども、体育大学等の団体というような、団体のことも挙げておりますけれども、各区市町村、ここにもさまざまなスポーツ団体、例えば剣道であれば剣道連盟、サッカーであればそれの団体、そういったサッカー協会とか、そういう団体が必ずあるんですね。
したがって、人材バンクを個々の個人の方々だけでなくてというよりも、逆にそういった各競技団体、ここに登録をしていただくような働きかけをすべきじゃないか、そんなふうに思うわけでございます。
したがって、各学校と各競技団体が緊密な連携がとれるような支援をしていただくのがいいんじゃないかな、そんなことも一つの案としてありますので、ぜひその点もご検討いただきたい、そんなふうに思います。
そして、人材情報の充実を求めていくとの答弁がありましたけれども、学校が機構の人材バンクに求めていることはまさにこの点でありまして、学校が持つつてだけではなかなか探し切れない、さまざまな人材の情報をしっかりと提供していくことが重要だと考えます。
これまで学校では探せなかった新たな人材を開拓し、学校に紹介していくことができれば、教育の質の向上にも当然つながっていくわけであります。
例えば部活動指導でいえば、今いいましたように、教員の持つ技術や経験に頼った指導では限界があるわけです。したがって、広く外部人材を求めるために、各競技団体などさまざまな人材が属する団体と、これまで以上に緊密に連携していくことが必要だと思います。こうした取り組みを、機構にはぜひお願いしたいと思っております。
そして、教育の質の向上のために、人材バンクに登録されている団体、そして人数の数だけが問題なのではないんですね。人材バンクに登録されている団体、個人、その方々が持つ専門性ですとか経験、こういったことが重要だと考えております。
そこで、学校や子供たちのためになるよう、学校のニーズに合致したふさわしい外部人材を見きわめ、その方々に円滑に活動してもらうためにどのように取り組んでいくのかを伺いたいと思います。
○谷企画調整担当部長 機構では、学校の方針や特色への理解など、学校で活動するに当たっての心構え、一人一人を大切にすることなど、児童生徒への対応についての留意点、体罰や不適切な行為への注意喚起、これらのことなどを説明する事前研修を実施いたしまして、外部人材が学校で円滑に活動できるよう支援しております。
また、学校での活動経験がない方に対しましては、登録に当たり面談を実施いたしまして、本人の経歴や活動に当たっての希望などの把握した情報を生かしまして、学校と外部人材双方のニーズがマッチするよう努めております。
都教育委員会は、機構と連携して、多様な外部人材の活躍を促進し、教育の質の向上に取り組んでまいります。
○柴崎委員 機構の人材バンクによりまして、多様な外部人材が教育に参画することになって、東京の子供たちの教育環境の充実につながるよう、ぜひお願いしたいと思います。
なお、この機構には、法律相談窓口についても--私の方から意見を述べさせていただきたいと思いますが、学校が弁護士から専門的な助言を受けることができる相談窓口を、来年度、やはり新設するとのことであります。
学校現場では、日常的に生じるささいなことであっても、法律的な助言を得たい場合があるとも聞くところであります。この機構の相談窓口は、学校にとって大変心強いものとなりますので、学校の立場に立って丁寧に対応していただくようにお願いしたいと思います。
また、まずは都立高校からが対象とのことでございますけれども、区市町村立学校においても、やはりこういった相談をしたい、そんなこともよく聞くわけであります。
したがって、区市町村立学校の専門の相談窓口についても開設するなど、今後の支援体制についてもぜひ検討いただきたいな、そんなふうに思うところでございます。
学校教育には、社会からさまざまな期待が寄せられております。学校がこうした期待に応えていけるよう、教員の負担軽減、そして、教育の質の向上に向けた今後の機構の取り組みに期待いたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。
○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
私からは、まず、本議会に上程されております議案第四十五号、学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例案について、ここから伺っていきたいと思います。
昨年十二月、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律、いわゆる一年単位の変形労働制を導入可能とする法案が、国会で、多くの関係者からの反対を押し切って強行成立いたしました。
この法改正を受け、今定例会に上程されていますのが、在校時間の上限を定める条例案です。その内容は、端的にいえば、超過勤務時間の上限を、月四十五時間、年間三百六十時間とするものであります。
これまで教員には、一般労働者にあった残業時間の上限がなくて、いわば働かせ放題だといっても過言ではありません。こうした現実を踏まえれば、今回、上限が定められたことは、前進面として受けとめられると思います。
一方、この条例案は、変形労働制導入の前提となるものであります。上限を条例で定めることが、変形労働制という苛酷な労働形態へとつながることがあってはならないと、まず申し上げておきます。
労働基準法は、第三十二条で、労働時間について、使用者は労働者に、休憩時間を除き、一週間について四十時間を超えて労働させてはならないとしており、時間外勤務が例外的な措置であることを条文で規定しています。地方公務員である教職員も、原則として労基法が、三十七条は適用除外となっていますが、適用されます。
教員の時間外勤務は原則として命じられないとしている給特法も、当然のことながら、労基法、労働基準法の労働時間の原則にのっとっております。
憲法二十五条が国民に健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障していることからも明らかなように、八時間働けばまともに暮らせることが大原則だと申し上げたいと思います。
そこで伺いますが、労働基準法に照らして、超過勤務を月四十五時間、年三百六十時間に設定することが教育労働者にとってどうなのか、まず、都の認識を伺います。
○黒田人事企画担当部長 国が労働法制を踏まえ定めた指針におきましては、教育職員の健康及び福祉の確保を図ることにより学校教育の水準の維持向上に資するため、服務監督権者である教育委員会は、時間外在校等時間の上限を月四十五時間以内、年間三百六十時間以内に設定することとされております。
このため、都教育委員会といたしましても、国の指針を踏まえ、上限を月四十五時間、年間三百六十時間と定める必要があります。
○とや委員 そもそも、残業を前提に働かせること自体、私は問題があると思っています。ぜひ、八時間働けば、残業しなくても帰ることができる環境を都教委として整えていただきたいということを求めておきます。
国の法改正は、一日八時間労働の原則を、繁忙期と閑散期を設定した上で、繁忙期の所定労働時間を一日最大十時間に延ばして、閑散期の所定労働時間をその分短くするというもので、労働者にとっては大変苛酷なものです。だからこそ、残業時間の上限を決めて、その上限をクリアしなければ変形労働制を適用することはできないというハードルを設けているわけであります。
実際、国会で、私どもの、この論戦をしてきました我が党の吉良よし子参議院議員の質問に対し、文科大臣が、労働時間の縮減を前提として導入することを規定しておりますと答弁をしております。
そこで伺っておきたいんですが、この間、都教委が進めてきた働き方改革で勤務時間の短縮が図られ、月四十五時間、年三百六十時間以下の時間外勤務となる環境は整ったといえるのでしょうか。お答えください。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都教育委員会はこれまで、学校における働き方改革推進プランなどに基づきまして、多様な取り組みを推進してきたところでございます。
この結果、令和元年度と平成三十年度の同時期における過労死ライン相当にある教員の割合を比較いたしますと、小学校では一四・四%から八・一%に、中学校では二四・八%から一六・二%に、高等学校では一〇・七%から六・九%に、特別支援学校では四・五%から二・一%に減少いたしております。
一方、時間外労働が月四十五時間を超える教員の割合は、小学校では四四・三%、中学校では五四・七%、高等学校では三三・五%、特別支援学校では二四・七%となっております。
○とや委員 この答弁は、先日、前回の委員会でもしていただいたわけですが、現実には、多くの教員がガイドラインをオーバーしています。こうした状況で残業時間の上限が定められた場合、業務量の削減がされていないのに、早く帰れとか、この間もいいましたが、いわゆる時短ハラスメントが行われるようなことがあってはならないと思っております。
業務が終わっていないのに早く帰れ、あるいは、タイムカードを一旦押して、まだ学校に残るなど、都の学校現場の実態について、我が党の国会の質疑でも、萩生田大臣は何とお答えになっているかといいますと、まさしくそういう実態が私もないとはいえないと思います、実際には、タイムカードを押した後に、引き続き職場に残って働いている方がいらっしゃる実態も承知しておりますとご答弁をしております。これは、東京都の実態を尋ねた際にお答えになった答弁であります。
こうした質疑を踏まえて、国会では、特措法の改正に当たって、法律案に対する附帯決議も上がっています。決議では、勤務時間の記録が公務災害認定の重要な資料となると述べています。
超過勤務の上限時間を下回ることだけがひとり歩きをして、学校間の競争や学内での関係の悪化を招くようでは本末転倒であります。タイムカードをただ設置するだけでは済まない状況がございます。
勤務時間をどのように客観的に把握されるのでしょうか。お答えください。
○黒田人事企画担当部長 労働安全衛生法等を踏まえ、国の指針では、教職員の在校等時間について、ICTの活用やタイムカードなどにより客観的に計測することとしており、都教育委員会としても、出勤カードシステム等により在校等時間を客観的に把握しております。
なお、上限時間の遵守を形式的に行うことを目的化し、真に必要な教育活動をおろそかにしたり、実際の時間より短い虚偽の時間を記録し、または記録させるようなことはあってはならないことであり、厳に避けるよう、都教育委員会として、引き続き周知いたします。
○とや委員 あってはならないことだというご答弁をいただきました。とても重要だと私は思います。
大臣は、このとき、さらに、だからこそ、こんなことを続けていたら、やっぱり教員の皆さんが、もう本当にもたなくなってしまうと思うとも答弁をしております。
変形労働制の地ならしで、今後一年間、管理職同士で、どれだけ勤務時間を減らせるのか競争になる。その際、虚偽の申告やハラスメントがあるのではないかという危惧が寄せられております。管理が強まって現場が追い詰められるようなことがあってはならないと思っております。これはとても大事なことだと思います。
教育長、決意をお聞きいたします。いかがでしょうか。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都教育委員会では、各都立学校に対しまして、委員が指摘されたような形式的な規定の遵守といったことが行われないよう指導しているところは、先ほどの答弁にもあったとおりでございます。
引き続き、こういった取り組みをしっかりと続けて、実のある働き方改革を推進してまいります。
○とや委員 教育長に決意をお聞きしたかったんですけれども、お答えになりませんでした。ぜひ現場の教員の皆さん、関係者の皆さんに聞いて、本当の働き方改革をしていただきたいと思います。強く要望しておきます。
次に、特別支援教室について伺います。
発達障害や学習障害を持つ子供が困難を克服して、自信を持って学校生活が送れるように、通級指導学級や特別支援教室が設置されております。
東京都では、この間、小中学校への特別支援教室を進めてきているわけですが、改めて、特別支援教室の設置目的、そして対象となる児童生徒の条件について伺います。
○高木特別支援教育推進担当部長 特別支援教室の目的は、対象となる児童生徒の在籍学級における障害による学習上または生活上の困難さを改善、克服し、可能な限り多くの時間、在籍学級で他の児童生徒とともに有意義な学校生活を送ることができるようになることでございます。
また、特別支援教室の対象は、自閉症、情緒障害、学習障害、注意欠陥多動性障害があり、通常の学級における他の児童生徒と同じように授業を受け、理解することが可能であり、一部、特別な指導を必要とする程度の児童生徒でございます。
○とや委員 対象児童が障害の状態に応じて、可能な限り多くの時間、在籍学級で他の児童とともに有意義な学校生活を送ることができるようになること、児童一人一人が抱える困難さをより効果的に改善し、児童の学習能力や集団適応能力の伸長を図るということです。その目的達成のために適切な指導をしていただきたい。
また、特別支援教室が対象とする障害の種類、程度でいえば、自閉症や学習障害、情緒障害、注意欠陥多動性障害があり、一人一人が抱える困難さは、子供によってさまざまだと思います。発達障害や情緒障害を持った子供が、在籍学級での困難を抱えて、今、不登校になってしまう例が多々あります。
こうした相談が、今、私たちにも寄せられているわけですが、この問題で、私どもの宮本衆議院議員が、不登校の子供の通級の問題について国会で質問させていただきました。在籍級にいながら通級に通っていた子が途中から在籍学級に通えなくなった場合、通級はやめなければならないのかというものです。
これに対して、大臣は、通級による指導を受けている児童生徒が不登校になった場合であっても、通級による指導により、障害による学習上の困難等の克服が期待できる場合には、引き続き通級による指導を継続すべきだとご答弁をしています。
都は同じ立場でしょうか。お答えください。
○高木特別支援教育推進担当部長 対象となる児童生徒の在籍学級における障害による学習上または生活上の困難さが把握でき、その困難さを改善、克服するための指導目標が立てられるのであれば、特別支援教室の対象となるものと考えます。
○とや委員 障害による困難さを把握することが重要だということだと思います。
仮に不登校であったとしても、学級担任と指導員及び特別支援教育コーディネーターの連携によって、子供の発達障害の診断が明確になった場合は、個別指導計画を作成し、特別支援教室の対象とすることができるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○増田指導部長 特別支援教室等での指導は、対象児童生徒が在籍学級において抱える困難さを改善するために実施しております。
そのため、特別支援教室等での指導を受ける児童生徒に対して個別指導計画を作成する際には、特別支援教育コーディネーターからの情報を含め、対象児童生徒の障害の状態等々、在籍学級での状況を的確に把握することが必要でございます。
○とや委員 つまり、不登校を理由に、一律に特別支援教室の対象ではなくなるということではないということです。一人一人に寄り添った支援をしていただきたいと思います。
私がご相談を受けたご家庭のお子さんは、知覚推理の数値が低く、識字障害があります。そのため、この児童は、平仮名や片仮名の学習支援を受けています。明らかに学習障害を克服するために支援を受けているにもかかわらず、来年度からは、通級指導、特別支援教室の指導を受けることができない可能性があります。
こうしたお子さんは、せっかくなれているのに、特別支援教室の対象から外れれば、行き場をなくしてしまう場合があります。私は、発達障害を持つお子さんが不登校になっても、学校との関係を断ち切ることには問題があると思います。特別支援教室は校内にあって、在籍級に通うことが困難でも、学校には来られる、ここがとても重要だと思います。
さらに、その子が持つ障害を克服するには専門的な指導が必要で、その指導を受けることによって効果を発揮することは、多くの通級指導学級の経験があるわけであります。
そこで伺っておきたいんですが、個別の指導を受けることで自信をつけて、医師の診断も、このまま特別教室に通うことが妥当との診断があって、ほとんど支援教室に通ってきていても在籍級に登校できない場合、対象から外れるのでしょうか。お答えください。
○高木特別支援教育推進担当部長 特別支援教室は、対象とする児童生徒の在籍学級における障害による学習上または生活上の困難さが把握でき、その困難さを改善、克服するための目標を立てて、計画的に指導を行う教室でございます。
教室の対象とするか否かは、当該児童生徒の在籍学級での適応性や困難さの把握、自立活動を参考とした指導による改善、克服の見込みなどを勘案し、個別に判断されるべきものと考えます。
○とや委員 やっぱり個別の判断が必要だということです。
先ほども申し上げましたが、やっぱり一人一人の子供たちによって、障害の程度や種類は全く違います。ですから、今、ガイドラインはあるんですけれども、一律に判断をすることはやめていただきたいなと思っています。
発達障害があり、特別支援教室に通う児童生徒が増加しています。冒頭でも述べましたが、在籍級になじめず不登校になる子も多いと思います。都や区市町村は、国のガイドラインに沿って対応を判断していますが、一人の子供がどんな環境でどのような教育や支援を受けるのかということは、成長にかかわる極めてデリケートで責任の重たい、慎重な判断が必要となります。
一律に線引きするのではなく、ぜひその子に合った対応をしていただきたい。直接的には区市町村の判断となりますが、ぜひそのことを都教委としても伝えていただきたいと重ねて申し上げて、次の質問に移ります。
学校給食です。
学校給食は、成長期の子供の発達のため、栄養バランスのとれた豊かな食事を提供することにより、健康増進や食に関する指導を効果的に進めるための重要な教材として、給食の時間はもとより、各教科や総合的な学習の時間、特別活動などにおいて活用することができる大変意義のある教育活動です。
私どもは、この間、繰り返し、教育としての学校給食の意義について都にただし、学校給食費の無償化、一部補助を求めてきました。都議会には、昨年も学校給食の無償化を求める陳情が出され、斉藤都議が質疑を行わせていただいたところです。
本日は、学校給食費の問題、さらには栄養士の役割、また、牛乳パックの問題について伺います。
まず、学校給食の実情についてです。
給食が実施されないまま、春休みを迎えます。コロナウイルスの関係で大変混乱しています。新年度はすぐ間近なわけですが、休校になったことで給食費の返還の事務に追われる学校もあり、大変混乱があります。
そうした時期に、今、都内の複数の自治体が来年度からの学校給食費の値上げを検討しています。
都教委として、値上げの理由についてご存じでしょうか。また、これらの理由や値上げの実態について、調査の予定はありますか。
○太田地域教育支援部長 学校給食費は、区市町村が地域の実情や特性を考慮して決定しております。学校給食費の値上げの理由については存じておりません。
公立小中学校の給食費の月額については、毎年度調査を行っており、来年度についても実施する予定でございます。
○とや委員 値上げの理由は知らないと。給食費の額については調査をするということでした。
私は、幾つかの自治体で事情について伺ってきましたが、共通しているのは、やはり食材費の高騰で、栄養教諭らの努力で頑張ってきたけれども、もう限界であるということでした。このままでは、特に大事な栄養素であるカルシウムだとか鉄分が不足するし、値上げをしないと栄養基準を満たすことができないということでした。
代表質問でもお聞きしましたが、食材の値上げは、栄養教諭の努力や工夫で一定程度カバーできていても、限界があるわけです。
都が発行している東京の物価という冊子があるのを存じでしょうか。この冊子は、総務省統計局にある、公表内容と、さらに詳細なデータを収録したものです。
総合指数での前年同月比は、二十六カ月連続のプラスです。その月によって物価の上下はあるものの、総じて、ここ数年間を通じて物価の上昇があることがわかります。
都教委は、原材料費が高騰しているという認識はございますか。
○太田地域教育支援部長 食品の価格は、気象の変化や雨量など、さまざまな要因により変動していると認識しております。
○とや委員 そんなことは当たり前なんですよ。気候だとか気象の変化だとか。原材料費が高騰しているという認識があるかどうかを答えてほしいと申し上げたんですね。全然答えられないんですよね。
東京の物価の冊子では、生野菜八%、ホウレンソウは四三・五%も上昇しています。
消費者物価の上昇は、学校給食の栄養基準を満たす上でも大変な障壁です。そのしわ寄せは学校現場に来ています。特に、献立をつくる、工夫をする栄養職員や栄養教諭です。そしてさらに、最終的には子供たちが影響を受けていることは間違いないわけです。私は、こんな簡単なことも都教委は答えられないというのは、本当に情けないと思います。
もう一つ、伺います。
学校栄養職員の創意工夫と努力があっても、原材料の高騰によって必要な栄養素が摂取できない瀬戸際です。
値上げをせざるを得ない状況があることについて、都の見解を伺います。
○太田地域教育支援部長 各区市町村においては、区市町村が食品の価格動向等を考慮して決定した食材費の範囲内で、学校栄養職員等の創意工夫と努力により、学校給食における必要な栄養量を確保しているものと考えております。
○とや委員 私たちは、栄養士の皆さんなどにもお話を伺いました。都が発表している学校給食の実態では栄養基準を満たしているが、果物の摂取量は、食品構成から見ると不足している、国産が使えない、食育といいながら、全く逆行したことをやらなければならないとおっしゃっていました。質がどんどん下がっているわけです。
驚くことに、足りていないのに、足りていると報告がされているんじゃないかということもありました。
そして、その金額の範囲内でできれば優秀な栄養士だと評価される、実態を正直にいえばマイナス評価になるともいっていました。おかしいと思いませんか。
都は、こうした状況を放置してよいかと--実際、放置しているんですけれども、いつまでたっても事実から目をそらして、同じ答弁ばかり繰り返すことがどれだけ学校現場を失望させているのか、ぜひ知っていただきたいと思います。
私は一昨年、星見都議、それから米倉都議とともに、韓国のソウル市の学校給食の調査に行きました。ソウル市は、学校給食を東京都に視察に来たことがあります。そこで学んで給食を始めたそうです。
ところが、今では東京都を追い越し、子供たちに豊かで安全な給食を提供したいと、オーガニック食材を活用して、何と高校生まで無償化するという道に踏み出す決意をしました。
学校給食は、貧困家庭の栄養を補うという考え方から、子供の教育として捉えるという考えに立っています。学校給食は、子供たちが栄養価の高い食事をとることで得られる効能はもちろんですが、食に関する知識、健全な食生活を実践するための食育にもなります。
自分が口にする食べ物がどうやってつくられているのか、誰がつくるのかなどを日々考えることで、何かを育ててみようとする探求心が生まれるかもしれません。四季のめぐりに思いをはせられる感受性が養われるかもしれないじゃありませんか。子供たちの食べ物に対する意識にはかり知れない影響を与えるのが学校給食です。
ソウル市は、高校生までの無償化をすることで、年間七百億円という予算を捻出することになりますが、やってやれないことはないんだと思います。大事なことは、どこにお金を使うかだと思います。ぜひ足を踏み出していただきたい。
学校給食を実施するに当たって、かなめは、やっぱり栄養士の方々です。子供を取り巻く状況が変化し、複雑化、困難化しているとき、専門的な知識と経験、熱意で、子供たちに提供する給食を求められる水準を維持するため、不断の努力をしています。
それが、今、限界に来て、保護者に負担を求めざるを得なくなっている現状をしっかりと都として受けとめ、保護者負担の軽減をする、あるいは無償化へと一歩を踏み出していただきたいということを求めておきます。
次に、学校給食のかなめであります栄養士の仕事について伺います。
第四回定例会で、栄養教諭制度の見直しが行われ、主任栄養教諭を設ける条例が可決されました。栄養教諭のモチベーションや給与面などの向上につながることを期待するものであります。
そこでまず、改めて、栄養教諭の業務の内容、職務の重要性について伺います。
○太田地域教育支援部長 栄養教諭の職務内容は、学校給食の管理、児童生徒への食に関する指導、配置地区内の食育リーダー等に対して、食に関する指導に係る教材、指導法の提供等の支援を行うことなどがございます。
栄養教諭は、配置校はもとより、配置地区の食育を推進するという重要な役割を担っております。
○とや委員 大変重要な職務についているわけです。
そこで伺っておきたいんですが、都の栄養教諭の人数は、現在六十三人と、全国でも大変少なく、昨年の受験者数は、合格予定者四十人に対して五人です。
受験者数がふえない理由をどのように考えているのか、栄養教諭試験では追加募集が行われているのか、二点、お答えください。
○太田地域教育支援部長 栄養教諭への切りかえを希望しない理由として、食に関する指導の指導技術に自信がない、栄養教諭になると他局異動ができなくなることなどが考えられます。
栄養教諭切りかえ特別選考については、平成二十二年度から平成三十年度までに実施した選考において追加募集を行っております。
○とや委員 平成十七年に食育基本法が制定され、文科省は、栄養教諭の職を設けることを各自治体に提案しているんですが、東京都は、食育リーダー、推進リーダーがいることを理由に提案を採用しなかったという経過を聞いています。そして、栄養教諭を採用し始めたのは三年後であります。
そこで、もう一つ、お聞きしておきたいんですが、栄養教諭制度が発足して以来、栄養教諭を定年以前にやめた人は何人いるでしょうか。できれば採用年度別にお答えいただきたいんですけれども。
○太田地域教育支援部長 都において栄養教諭の配置を開始した平成二十年度以降、自己都合により退職した栄養教諭は九名でございます。
○とや委員 六十三人しかいない栄養教諭のうち、この間、九名もやめてしまっているわけであります。一割以上の栄養教諭が、定年まで働けず、やめてしまっております。
都教委は、栄養教諭がふえない理由を、食に関する指導技術に自信がない、他局への異動があるからなどを挙げましたが、本当にご答弁のとおりの認識なのでしょうか。そうだとしたら、栄養教諭がふえなくても仕方ないといわざるを得ません。
栄養教諭の試験を受けるためには、六年間の経験が必要で、栄養職員を一旦退職してから教員試験を受けます。ですから、教員になると新規採用ということになるわけです。でも、仕事は、食育リーダーとして地域のリーダーを引き受け、他校のこともやり、同時に、自校の、自分の学校の食育も受け持ちながら、週に一回以上、教育委員会にも通う。それなのに新規採用研修を受けている。ベテランの仕事もやらなければならないわけです。それでも、給与はどうかといいますと、若い教員と同レベルになっています。
さらに、栄養教諭はほとんどが女性です。以前いただいた資料を見ますと、子育て世代や親の介護世代が中心となっています。
私は、先日、母親の介護で栄養教諭の試験は諦めた方からお話を伺いました。介護をしていれば、通勤時間のかかる職場への移動は無理なのに、栄養教諭になれば他自治体への移動があるからといわれ、諦めざるを得なかったということです。せめて通える範囲の移動だったらとおっしゃっておりました。
都教委からは覚悟が足りないといわれたり、うまくいかないのは自分が悪いのではないかと思う人、こういう人が病気休暇も多いと聞きました。これで、どうして魅力的な仕事といえるのかというふうに思うわけです。ベテランでも、やめる方がいらっしゃるそうです。
実際、じゃあ、栄養教諭の配置はどうなっているかということですが、以前お聞きしたときに、東京都は栄養職員が多いからということですが、学校数が多い東京では当たり前だと思うんですが、学校基本調査において栄養教諭の学校数に対する割合をお答えください。
○太田地域教育支援部長 仮に都内公立小中学校等に対する栄養教諭の割合を試算すると、約三・三%でございます。
○とや委員 三・三%です。全国最下位です。
教職員数で見れば、学校基本調査によれば、全国的には、小中学校で栄養職員の仕事をしているのは九千百二十九人、そのうち栄養教諭は五千九百七十四人、六五%が栄養教諭です。基本的には、栄養職員の資格があれば栄養教諭として新規採用しているんです。
一方、東京では、七百五十六人中六十二人。圧倒的に少ない人数に、区市町村全体の食育推進のリーダーという過重な仕事を負わせています。だから悪循環になるんです。
栄養職員は、資格を持っていれば、基本的に全員栄養教諭として採用し、勤務校内での給食や食育に力を発揮してもらうという方針に切りかえるべきです。
現状では、地域のリーダーとして他の学校のこともやり、さらに、学校内でも、教諭なのだからと、一律に重い負担を負わせているという例も伺いました。
実際に具体的なお話をしますと、栄養士なのに教員の仕事をやらなければならなかった、プール当番から水泳指導、運動会の企画運営もやらされる、できなければ、なぜできないのかとパワハラもある、異動先では、校長先生から、自分の学校さえやればいい、他の学校をやらなければならない教諭は要らないともいわれたという話もあります。養護教諭に準ずる仕事のはずなのに、分掌もやらなければならない、これが実態であります。
栄養教諭の業務とは一体何なのか、現場にきちんと周知徹底、通知を出すべきではないでしょうか。ホームページにも載せていないのも問題だと思いますが、いかがでしょうか。
○太田地域教育支援部長 都教育委員会はこれまでに、栄養教諭の業務内容等を紹介するチラシを作成し、学校栄養職員等に周知してまいりました。
また、例年四月に発出している栄養教諭を活用した食育の推進についてにより、区市町村教育委員会及び配置校に対して栄養教諭への理解を促しております。
○とや委員 理解を促しているということですが、ご答弁どおりにきちんとやっている、それが学校現場の隅々に行き渡っていれば、こんなことにはなりません。通り一遍にやればいいというものではないと思います。
栄養教諭は、学校給食の管理、給食の指導、教科書等の指導、個別の相談にも乗り、栄養管理や献立の作成、衛生管理など、学校給食の管理についても一体に取り組み、高い相乗効果をもたらす可能性があり、その力を存分に発揮してもらうことが重要だと思います。
栄養教諭が本来の仕事に専念できるよう、また、魅力あるものとして仕事に向き合うことができる環境を保障するのは東京都の責任であります。そのためには、栄養教諭の業務の内容を学校内外の関係者に徹底をする、通勤範囲内で無理のない距離にするなど改善が必要です。
さらに、今回、主任栄養教諭の職を設けたことでモチベーションが上がれば、栄養教諭として働いてみようという方もふえるのではないでしょうか。
都教委として本気で取り組むことを強く求めておきたいと思います。
次に、牛乳パックです。
牛乳パックが、来年度から、各小中学校で牛乳供給事業者による回収が行われないことになりました。
まず、その経緯について伺います。
○太田地域教育支援部長 学校給食用牛乳の空き紙パックの取り扱いにつきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律により、事業活動に伴って生じた廃棄物は、みずからの責任において適正に処理しなければならないとされておりまして、空き紙パックの回収処理について、学校が行うことになっております。
○とや委員 教育長名で関係区市町村教育長に通知された学校給食用牛乳の空き紙パックの取り扱いについてでは、これまで、公立小中学校の学校給食の牛乳は牛乳供給業者によって供給されていた、瓶を使用してきた業者が回収してきた、ところが、大手の事業者が学校給食用の牛乳の供給事業から撤退を表明したため、大幅な不足が見込まれることになったと述べられております。
また、来年度以降は、空き紙パックの処理は牛乳供給事業者は行わないとの通告を受け、都教委は、牛乳の学乳協議会と協議をした上で合意をしております。
多くの区市町村からは、子供たちや教員の負担を考え、承服できないという声が上がっていたと聞きました。しかし、都は聞き入れなかったと聞いています。こうした経緯を考えると、東京都の責任は大変重たいと思います。
関係者からの声を紹介しますと、東京都は話も聞いてくれなかった、何をいってもだめだったという声です。特に小学校一年生など、まだ力がなくて洗浄するには負担のかかる児童や、アレルギーや洗い場の数、教員の負担など、問題点も指摘されています。
こうしたことに対して、都教委としてどう考えているのか、お答えください。
○太田地域教育支援部長 牛乳パックの処理につきましては、各区市町村教育委員会宛てに発出した学校給食用牛乳の空き紙パックのリサイクル推進についてにより、可能な限りリサイクルを進めていただきたいよう、お願いいたしました。
昨年六月に他県の小学校三校のリサイクルの現状を視察するとともに、区市町村に取り組み事例を紹介するなど、実施に向けた情報提供を行ってまいりました。
また、牛乳アレルギーにつきましては、各区市町村教育委員会宛てに発出した牛乳パックのリサイクルに伴う牛乳アレルギー対応についてにより、牛乳アレルギーの児童生徒への対応策を示したところでございます。
牛乳パックのリサイクルにつきましては、区市町村が適切に対応していくものと考えております。
○とや委員 区市町村が適切に対応していくものと考えているということですが、東京都は、公益社団法人東京都リサイクル事業協会とも合意しています。学校給食用牛乳パックリサイクル受け入れ相談先についてという文書があるんですが、牛乳パック受け入れ条件として、荷姿は、開いて洗って乾燥した状態のものに限ること、相談先の順番は、まず区市町村の地域組合、それから広域組合である東京都資源回収事業協同組合、さらに関東原料商工組合の順に相談することまで協議し、合意しています。
区市町村の判断で行うから、後は知らないという態度では済まされないと思います。
実際、学校の負担を考えて、対応はさまざまになっているわけですが、業者に回収を依頼する場合の経費はどこが負担するのでしょうか。都として負担するのでしょうか。そこをお聞かせいただけますか。
○太田地域教育支援部長 先ほど申し上げましたとおり、学校給食用牛乳の空き紙パックの取り扱いにつきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律により、事業活動に伴って生じた廃棄物は、みずからの責任において適正に処理しなければならないとなってございます。
したがいまして、この法令によれば、区市町村がみずからの責任で処理し、負担するということになると考えます。
○とや委員 東京都が区市町村の合意も得ずに業者と合意をしてしまっているのに、責任は区市町村に押しつけると。これは余りにもひどいんじゃないかと思いますよ。
四十人の子供たちがいることを考えてほしい、東京都は、施設がどうなっているか見に来てほしいという声も届いています。
こうしたことを考えて、東京都も負担のあり方については検討すべきだと申し上げておきます。
そして、この作業が加わることで、給食時間が短くなるなどの影響が出るともいわれております。
この問題についてどうお考えになるか、お答えください。
○太田地域教育支援部長 都教育委員会は、区市町村教育委員会に対しまして、他県の小学校における牛乳紙パックのリサイクル取り組み事例など、情報提供を行ってまいりました。
牛乳パックのリサイクルをどのように行うかについては、各区市町村の判断によるものと考えております。
各区市町村においては、学校給食に支障が出ないよう、適切に対応されるものと考えております。
○とや委員 今回の牛乳パックの回収は、学校現場に新しいことを持ち込むことになると思うんですね。ですから、栄養士や学校の先生、あるいは子供たちにとっても負担になって、非常に抵抗感は大きいわけです。
特に給食時間は、今でも短いと、教職員や保護者など関係者から批判が出ているわけだから、牛乳パック洗浄の作業が加わったこともあるわけです。
この辺について、ぜひ給食時間の延長についてご検討をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〔発言する者あり〕
○太田地域教育支援部長 失礼しました。
給食時間は、各学校が実情に応じて決定しております。
各区市町村においては、学校給食に支障が出ることのないよう、適切に対応されるものと考えております。
○とや委員 学校現場がどういうふうに混乱しているのか、わかりますか。笑っている場合じゃないんですよ。
放課後学習だとか学力テストのための補習などには、幾らでも時間を割くわけです。それなのに、給食時間の延長には無関心だというのが都教委の姿勢です。
各自治体に通知して、給食時間に影響するような作業を押しつけたのは東京都です。だから現場が混乱しているんです。
給食時間については、自治体の実情に合わせて柔軟に検討するというなどの通知があれば、全く対応も変わってくるんですよ。そうしたところに配慮をすべきです。
報道では、牛乳パックを処理する主体が納入業者から区市町村へと移る中で、これまでリサイクルされていたものが廃棄に回される事例があるとも報じられています。
二〇一二年度は、牛乳パックの四一・六%を納入業者が引き取っていたものが、一八年度には三四・九%に低下し、リサイクル率は、八〇・九%から七一・三%へと下がったということです。
SDGsへの貢献などといいながら、各区市町村において適切に対応されるものと考えているなどと、いつまでも都が無責任な態度をとり続けることは許されません。実態をきちんと把握して、必要な支援をすることを求めておきたいと思います。
次に、外国籍の子供と外国にルーツを持つ子供の教育について伺います。
不就学の子供については、先ほど質疑がございました。東京都は、都内に居住する外国人の子供が就学を希望する場合には、区市町村で相談に応じ、手続等の案内を行っていると。さらに、ヒアリングを今行っていて、課題の洗い出しも行っているということですが、一方で、生活文化局では、外国籍の子供たちの調査を都としてちゃんと行うと、予算化もしています。
子供の教育に責任を持つ教育委員会として、責任を持って、今後、追跡調査をするべきだと考えるわけですが、都は、今後、追跡調査はされますか。お答えください。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都教育委員会は学校教育を担っておるところでございまして、学校教育の対象となっております国内の児童生徒に関しましては、その就学状況について、細かく権限と責任を持って調査をしているところでございます。
お尋ねいただいております外国籍の子供につきましては、いかんせん、我々の権限の及ぶところではないものでございます。とはいえ、実際に国内にいる外国籍の子供たちの教育について、公教育として受け入れて、しっかりと教育をしていくという構えは持っておるところでございます。
この関係で、生活文化局とも連携をとりながら、外国籍の子供の実態というものを生活文化局と情報共有し、しかるべく地域において公教育が展開できるよう、都教育委員会としても事業を進めているところでございます。
○とや委員 ぜひ連携しながらやっていただきたいなと思います。
今おっしゃったように、外国人の子供には、日本の義務教育への就学義務はありません。しかし、国際人権規約も踏まえて、日本人の生徒と同様に、無償で、この間、受け入れをしてきております。
一方、ある自治体では、相談したところ、日本語ができるようになってから来るようにといわれ、就学を拒否された方、また、一旦入学したけれども、不登校になってしまって除籍になっている子もいます。
こうした状況は改善する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
○太田地域教育支援部長 国際人権規約等により、外国人の子供が公立小中学校に入学を希望する場合には、区市町村教育委員会は、その入学を認めることとされております。
都教育委員会は、毎年度実施している区市町村教育委員会の担当者向けの説明会資料において、こうした人権規約等について示すとともに、外国人の子供の就学許可についても周知しております。
○とや委員 国際人権規約はとても大事だと思います。
また、就学の機会が確保されても、日本で暮らし、学ぶために必要な言語を身につけられなければ、なかなか暮らしていきづらいというふうに思います。
都議会においては、二〇〇七年に、外国人の子どもの教育条件の改善に関する請願を全会一致で趣旨採択しております。その項目の中には、総合窓口の設置がございます。
不就学の子供や複雑な状況を抱えているのが、外国籍や外国にルーツを持つ子供を持つ世帯です。
就学相談や日本語の習得、日本語学級など多岐にわたりますが、こうした人たちが相談できる総合窓口は東京都におありでしょうか。
○増田指導部長 都教育相談センターでは、毎週金曜日に、英語、中国語、韓国・朝鮮語の三カ国語で、子供の教育にかかわる相談や、都立高校への入学、進級に関する情報提供等を電話及び面接により実施しております。
○とや委員 相談窓口といえるのは都の教育相談センターだということですが、都民の方が伺った際、外国人児童生徒相談の業務について聞いたんですが、主に都立高校進学についての相談を受けているということでありました。外国人教育専門部署とは大きく異なるものだといわなければなりません。
総合窓口の設置を求めますが、いかがでしょうか。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先ほどから何度か答弁いたしておりますとおり、外国にルーツを持つ子供の教育に関しましては、都教育委員会が所管しております公教育の法体系とちょっと違ったところの中で、条約などに基づき受け入れているところでございます。
外国にルーツを持つ子供のさまざまなニーズに関しましては、先ほども言及があったような他局とか、それぞれの所管の窓口がそれぞれの機能をしっかりと果たしながら、横で連携をとって、これまで適切に対応してきたところでございます。
引き続き、組織間の連携を密にし、きめ細かい対応に努めるとともに、日本語教育の推進に関する法律に関する国の動向なども注視してまいります。
○とや委員 日本語教育の推進に関する法律に関する国の動きも注視するとの答弁です。ぜひ国の動きも見ながら総合窓口を設置していただきたいと求めておきます。
都内には、十分、日本語教育を受けていない児童生徒が多くいるのではないかと私も懸念しています。
日本語指導が必要な児童生徒は都内にどのくらいいるのか、都の調査状況をお答えください。
○増田指導部長 昨年五月一日時点で、都内公立小中学校に在籍する日本語指導が必要な外国籍の児童生徒は二千八百十五人で、日本語指導が必要な日本国籍の児童生徒は八百六十九人でございます。
○とや委員 かなりいらっしゃるわけですけれども、この状況、日本語指導が必要な児童生徒への指導状況について、以前は都教委のホームページにもアップされていましたが、今はないわけですが、早急に公表すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○増田指導部長 都内公立学校に在籍する日本語指導が必要な児童生徒の状況については、都教育委員会がリーフレットとして資料にまとめ、区市町村教育委員会や都立学校に配布し、周知しております。
この資料のホームページへの掲載に向けて、既に着手しているところでございます。
○とや委員 急に着手してくださるというご答弁があったわけですが、では、公表はいつでしょうか。--公表はいつか。
○増田指導部長 掲載予定の資料を、ホームページ掲載のためPDF化し、現在、庁内手続を行っているところでございます。
○とや委員 年度内にはアップしてくださるというふうに受けとめます。
そして、都内の公立小中学校の日本語学級の数は、令和元年五月一日現在で、小学校二十二校、中学校十八校、義務教育学校一校に設置されています。
通っている児童生徒数は、小学校六百四十一人、中学校四百三十四人、義務教育学校十一人となっております。
先ほどご答弁があった日本語の指導が必要な児童の生徒数の数と大きな乖離がございます。これはとても大きな問題だと思います。
私は、日本語教育が必要な児童のために、全ての自治体に日本語学級を設ける必要があると考えます。
今後、日本語学級の設置に係る周知をどのように行っていくのか、伺います。
○太田地域教育支援部長 都教育委員会は、毎年度実施している区市町村教育委員会の担当者向けの説明会において配布する資料に設置要綱を掲載し、設置に関する手続について詳細に説明するとともに、来年度は、現在の社会情勢の変化を説明しつつ、設置に係る周知を図ってまいります。
○とや委員 今までよりも、ぜひ日本語学級を設置する自治体を支援できるように詳細な説明をしていただきたいと思います。
ある区では、日本語学級を設置しようとして都に相談したところ、何があったかわかりませんが、できなかったとも聞いています。
社会情勢の変化とおっしゃいました。今後は、外国籍や外国にルーツを持つ児童生徒は確実に増加します。都として、東京で教育を受けてよかったといってもらえるよう各区市町村を支援していただくよう、重ねて要望しておきます。
都立高校への入学の支援も重要です。
在京入試については、先ほど、質疑の中でご答弁がありました。二〇一九年度募集において、竹台高校で五人、南葛飾高校で五人、計十人が、さらに二〇二〇年度は、杉並総合で十五名、府中西で五名、合計二十名の在京枠の拡大をしていただきました。まだまだ足りないんですけれども、ただ、これは、当事者やご家族にとってはうれしいことで、希望する高校への入学の可能性が広がったと思います。
ただ、一方、課題は残されています。
十二月に志望校の調査が発表されますが、その内容は、中学校在籍生徒のみとなっています。在京入試はダイレクトに受験する子も多く、取り下げ、再提出を認めるべきだと思います。
外国にいながら入試を申し込むという子もいるんですね。私もそういう相談を受けて、大変ご苦労されたという経験があります。
ぜひ期間についても検討していただきたい、取り下げや再提出を認めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○江藤都立学校教育部長 都立高校入学者選抜では、受検生の進路選択の機会を確保する観点から、在京外国人については、第一次募集、分割後期、第二次募集などに加え、在京外国人を対象とした入学選抜を実施しております。
在京外国人を対象とした入学選抜において、願書の取り下げ、再提出を望む声があることは承知しておりますが、それぞれの入試日程が接近しており、導入することは困難でございます。
○とや委員 一次募集の応募状況を見て、やっぱりこっちの学校にしてみようというチャンスがあるのは、一般入試の子供たちになってしまうんですよね。
在京外国人の子供たちの入試については、推薦と同じような日程の扱いになっていて、大変、日程がタイトになっているために、一度申し込むと、取り下げや再提出ができないという状況があります。
さらに、募集枠もなかなか、やっぱり足りないということで、落ちてしまうという子供もいると思います。
ぜひとも、この期間については、抜本的な検討が必要だと思うんですけれども、検討課題として認識していただきたいと申し上げておきます。
もう一つ、伺いたいと思います。在京外国人の皆さんの学力検査の問題です。
二〇一六年から、試験については、辞書と十分間の時間延長、また、問題にルビを振っていただけること、国籍を問わずに受け入れることができる条件緩和が、二〇一九年から、在日期間が三年だったものを六年に延長していただきました。これは本当によかったし、歓迎したいと思います。
一方、日本に来て間もない生徒が受検する場合、言語の壁はとても厚くて、まだまだ困難があります。辞書を引くのに時間もかかり、ベンガル、ミャンマーなど、そもそも辞書がない言語もあります。
辞書そのものも持ち込めず、こうした国の生徒に対しては--辞書を持ち込まないと、時間延長も適用されないと思いますが、ぜひこの点についても改善をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○江藤都立学校教育部長 都教育委員会は、第一次募集などの学力検査において、平成二十八年度の入学者選抜から、外国籍生徒に対して、検査問題のルビ振りに加え、辞書の持ち込みに伴い時間延長をするという特別措置を行ってまいりました。時間延長は、辞書を引く時間を考慮して行っているものでございます。
なお、持ち込むことのできる辞書に関しましては、受検者が希望する外国語について認めております。
○とや委員 ぜひ考える時間というのも、やっぱり必要だと思うんですね。検討していただきたいなと申し上げておきます。
最後に、報告事項にありました障害者の活躍推進計画について伺います。
法定雇用率は、現在二・四%、二〇二一年度から二・五%に引き上げられ、また、知事部局は、二〇二一年度から二・六%だと。教育委員会も、遅くない時期に同等の割合を求められることになるわけですが、資料を拝見しましたが、法定雇用率を上回ったのは二十九年度のみで、それ以外の年は、都の教育委員会の障害者雇用は目標値に届いたことがないと思います。
原因をどのように分析し、解決しようとしているのか、お答えください。
○安部総務部長 令和元年六月現在の東京都教育委員会の障害者雇用率は一・九〇%と、法定雇用率を下回っております。
その背景には、法定雇用率の対象となっている職員の九割が教員となっており、教員免許状取得者に占める障害者の割合が全国的に極めて少ない状況が大きく影響しております。
そこで、教育委員会としましては、教員以外の障害者非常勤職員の採用を積極的に進めているところです。
○とや委員 全国的にも、教員免許状取得者に占める障害者の数が少ないということですが、東京都は、厚労省の障害者雇用が進んでいない教育委員会に対しての障害者計画の適正実施を求める勧告を、平成二十五年までに五回勧告されています。二十五年は、達成していない六都県の一つでした。
そして、その後も達成されておらず、平成二十九年に一度達成したのみというふうになっています。さまざまな努力があるとは思いますが、結果的にこういう形になっています。
改正された障害者の雇用の促進等に関する法律では、障害者の雇用促進について、これまで身体、知的を対象にしていましたが、精神、発達障害も対象にすることを義務化しています。
今回、法定雇用率が引き上げられた場合、達成には、あと三百三十人の雇用が必要だということですが、現在、都教育委員会における障害者雇用について、障害の種類別に雇用数と割合をお答えください。
○安部総務部長 法令に基づく障害者雇用率の算定に当たりまして、短時間労働の換算があることから、算定後の雇用数は九百十・五人となっております。
そのうち身体障害者は七百六十七人であり、割合は八四・三%、知的障害は四十一人であり、割合は四・五%、精神障害は百二・五人であり、割合は一一・二%となっております。
○とや委員 雇用数は九百十・五人という中で、三百三十人の雇用を確保しなきゃならないと。大変高いハードルがあるわけですけれども、知的と精神障害をお持ちの方々の割合が低くなっていますので、ぜひバランスのとれた採用を促進していただきたいと思っています。
そこで、障害者の方の雇用と採用条件についてお尋ねします。
○安部総務部長 常勤職員の雇用条件については、障害の有無にかかわらず、同一となっております。
また、採用条件については、教員採用選考の場合、受験資格において、年齢や職歴、必要となる教員免許状の取得状況などに加え、地方公務員法などに定める欠格条項を設けております。
そのほか、都教育委員会が設置する教員以外の障害者非常勤職員の雇用条件につきましては、週当たりの勤務日数や勤務時間を、障害の程度に応じて複数設定しているところでございます。
○とや委員 他県では、法定雇用率を上回る雇用を確保している自治体も多くあります。やはり障害の特性に応じた雇用を創出していただきたいと思います。
障害者雇用の水増し問題が発生した平成三十年の総務省の通達を見ました。そこでは、障害者が、みずからの希望や障害の特性等に応じて、無理なくかつ安定的に働くことができるよう、各地方公共団体の実情に応じ、国家公務員の人事管理のあり方についての検討を踏まえつつ、障害者が生き生きと働きやすい人事管理のあり方の検討や、その障害の内容及び程度に応じて能力を発揮できる具体的な職域、職種、業務を把握し、その用意を行う必要があることと通知されております。ぜひこの立場で力を尽くしていただきたいと思います。
そして、どうしたらふやせるのかという問題ですが、受験資格の中に自力通勤に関する要件がありませんが、通勤に介助者を活用する場合の費用について伺っておきたいと思います。
○安部総務部長 通勤手当は、条例等に基づき支給しているところでございますが、通勤に介助者を同行した場合にかかる費用は、被介助者の負担となっているところでございます。
この取り扱いにつきましては、都、統一した取り扱いとなっております。
○とや委員 費用を自己負担とするということは、介助者がいなければ通えない人は、なかなか受験する気持ちにもなれないんじゃないかと思います。
東京都は、東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例を平成三十年に定めています。この条例の第七条には、障害を理由として、障害者でない者と不当な差別的取り扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならないとあります。また、同条二項には、合理的配慮についても述べられています。
障害者の働く権利の侵害や障壁を取り除くのが都の役割だと考えます。介助者の通勤費用については、都負担とすることを求めておきます。
また、チャレンジ雇用、先ほどもお話がありました。来年度から、別のオフィスも構えて、さらに雇用をふやす計画だということも伺っておりますが、一般雇用への道ということですが、都の正規職員への道も開いていただきたいと思いますが、いかがですか。
○安部総務部長 昨年の人事委員会の意見も踏まえ、常勤職も視野に入れた新たな雇用の枠組みについて、総務局とも連携しながら検討を進めてまいります。
○とや委員 ぜひ検討していただいて、障害があってもなくても、一定の経験を積んで、正規職員への道をやっぱりつくっていただきたいなと思っています。
先ほど紹介しました障害者差別解消条例の前文では、今なお、障害及び障害者への誤解や偏見その他理解の不足により、障害者は、日常生活や社会生活のさまざまな場面において、障害を理由とする不当な差別的扱いを受け、自立や社会参加が妨げられている、多様性こそが都市としての発展の原動力であるとの認識のもと、東京都は、障害及び障害者への都民の理解を深めるとともに、障害を理由とする不当な差別的扱いをなくし、建設的な対話と合理的配慮の提供を通じて、社会的障壁の除去の取り組みを進めていかなければならないというふうにあります。
ぜひこの立場で障害者雇用の促進を図っていただくよう求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○星見委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時三十九分休憩
午後三時五十五分開議
○星見委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○内山委員 それでは、私から、何点かご質問させていただきたいと思います。
時期が時期ですので、できるだけ端的に質問させていただきますので、趣旨をお酌み取りいただき、明快な答弁をいただければと思います。
まず、新型コロナウイルス感染症拡大防止に関する特別支援学校の休校中の対応についてお伺いをしたいと思います。
特別支援学校につきましては、臨時休業中であっても、保護者の都合によって自宅等で過ごすことが困難なお子さんに関しましては、福祉等と連携をした支援体制が整うまでの間、また、子供たちの精神的な安定という観点から必要な場合は、学校で過ごすことができるように配慮するとなっております。
ところが、実際に、こちらの学校では受け入れができているのに、こちらの学校では春休み明けまで完全休業というような、こういった対応にばらつきがあるということが、在校生の保護者から届いております。
そこでお伺いをしたいと思いますが、特別支援学校の対応状況について、学校によって対応に差があるという声もありますが、実際はどのような状況なのか、お伺いをしたいと思います。
○高木特別支援教育推進担当部長 特別支援学校におきましては、臨時休業中であっても、保護者の都合により自宅などで過ごすことが困難な幼児、児童、生徒につきましては、福祉などと連携した支援体制が整うまでの間、また、子供たちの精神的な安定という観点から必要な場合は、学校で過ごすことができることを保護者に周知しております。
今回、国の一斉臨時休業の要請が急であったため、放課後等デイサービスなどの受け入れ状況が定かでない中、子供たちの安全を最大限に優先したため、臨時休業の開始当初は自宅待機などの判断をせざるを得なかった学校もあるなど、対応に差が生じることもございました。
現在、都教育委員会の方針に沿った学校の対応を保護者に確実に伝え、家庭や子供の状況に応じた丁寧な対応を行っております。
今後の取り組みに当たりましても、子供や保護者の安全・安心が図られますよう、学校現場の声を丁寧に聞き取って柔軟に対応してまいります。
○内山委員 ありがとうございます。最初は対応にばらつきがあったものの、現在、全ての学校で対応を行っているということがわかりました。ありがとうございました。
では、現在、特別支援学校では、何校で何人の子供たちを受け入れているのか、お伺いしたいと思います。
○高木特別支援教育推進担当部長 特別支援学校での受け入れに当たりましては、子供や保護者の状況に応じて柔軟に対応していることから、学校に来る幼児、児童、生徒数は日々変動しております。
特別支援学校では、令和二年三月十三日時点で、五十三校で一千百八十三人の子供たちを受け入れております。
○内山委員 ありがとうございます。
休校当初は自宅で待機することが可能だったお子さんでも、規則的生活を続けられないことであったりとか、また、運動不足などによって影響が出てくるということも考えられます。また、在宅ワークも、実際にやってみると、子供がいると難しいとの声も聞かれています。
最初は自宅待機で大丈夫だと思っていても、長期化に伴って、やっぱり学校で預かる時間が必要だというふうに、ご家庭によっても、日々、ニーズが変わっていくことが考えられます。
そこで、特別支援学校で預かりニーズの把握はどのようにされているのでしょうか。また、変化していきますから、定期的にそのニーズ、必要性を聞いていくというような配慮はされているのか、お伺いをしたいと思います。
○高木特別支援教育推進担当部長 特別支援学校では、担任などから保護者に対し、電話等による聞き取りを行い、子供たちの健康状態や家庭での様子を把握しております。
なお、保護者からの受け入れの希望は、それぞれの特別支援学校で随時受け付けております。
○内山委員 ありがとうございます。保護者からの受け入れ希望というのは随時受け付けているということで、ひとまず安心いたしました。
一方で、特別支援学校への受け入れに伴って、スクールバスについてはどのような対応をされているのか、お伺いしたいと思います。
○高木特別支援教育推進担当部長 特別支援学校での受け入れに当たりましては、幼児、児童、生徒のために、医療的ケア児専用通学車両も含め、スクールバスを運行しております。
なお、スクールバス事業者には、乗務員に対し、手洗い、せきエチケットの励行、検温などの感染予防と健康管理の徹底を求めるとともに、万一、発熱等の風邪の症状が見られるときは自宅で休養するよう、指導することを徹底しております。
○内山委員 ありがとうございます。医療的ケア児も含めてスクールバスの運行もしているということでした。
なお、医療的ケア児に関しましては、放課後等デイサービスでの受け入れはなかなか困難性もあるということで、受け皿として機能していないという面もあろうかと思いますので、ニーズ把握など、丁寧に行っていただきますようにお願いしたいと思います。
子供たちが特別支援学校で過ごすに当たり、昼食を提供してほしいとの声も保護者からいただいております。
昼食についてどのような対応になっているのか、お伺いしたいと思います。
○高木特別支援教育推進担当部長 特別支援学校での受け入れに当たりましては、学校に来る幼児、児童、生徒は日々異なるため、子供たちの飲み込む力に応じた支援やアレルギーへの対応などが困難なことから、弁当持参をお願いしております。
ただし、弁当持参が難しい場合には、白米、ハンバーグなどのおかず、スープなどの汁物といった備蓄食を提供することが可能としております。
○内山委員 ありがとうございます。基本的にはお弁当持参で、それが難しい場合は備蓄食料を提供してということで、柔軟に対応していただけることが確認をできました。
こういった未曽有の事態で、ニーズを把握しながら対応を日々迫られる大変な状況にある中で適切に対応を進めてくださっており、感謝申し上げます。引き続き、子供たちの健全な心身を守るために適切な対応を柔軟にお願いしたいと思います。
続きまして、小中学校における不登校対策についてお伺いをしたいと思います。
私も、これまで幾度となく、小学校、中学校、とりわけ中学校の不登校対策については質疑に立たせていただいておりますので、今回は、端的にいろいろとお聞きしたいなと思っております。
こちらの文教委員会の要求資料の中の一三ページにもありますように、平成二十九年度から三十年度に向けては、小学校も中学校も、出現率ベースでいいますと、少なくとも平成十一年から見れば、過去最大の伸び幅といっていいんですかね、出現率の増加です。小学校で〇・一八%、中学校で〇・五五%ふえまして、何と中学校においては四・三三%まで増加したということでございます。
この不登校の対策というのは、いろいろとその段階段階によってグラデーションがあるんだと思いますが、前回の、恐らく事務事業やその他のときには、どうやってこの不登校の出現率を下げていくのかということで質疑をさせていただきましたが、今回は、その出現率を下げることにも一定程度寄与して、かつ、不登校に陥ってしまったお子さんたちの受け皿としても機能する、期待ができるフリースクールについてお伺いをしたいなというように思っております。
これまで以上に不登校の出現率がふえているということは、学校とフリースクールがしっかりと緊密に連携をとりながら、子供たちの社会的自立に向けて、社会的に孤立をさせないという支援というのが必要だと思いますが、このフリースクールについて、都教育委員会のこれまでの取り組みについてお伺いをしたいと思います。
○増田指導部長 都教育委員会は、平成二十八年度から三年間、区市町村教育委員会やフリースクール等の関係者による意見交換会を実施し、学校とフリースクール等との連携のあり方について継続的に協議してまいりました。
本年度は、意見交換会を連携検討委員会に発展させ、学校とフリースクール等との連携による不登校の子供の社会的自立に向けた具体的な支援策について検討を行ってまいりました。
こうした検討を踏まえ、連携検討委員会から、区市町村教育委員会、学校、フリースクール等との緊密な連携に向け、取り組みを一層推進するよう提言を受けたところでございます。
○内山委員 それでは、今ご答弁にありました連携検討委員会の提言を踏まえた都教育委員会の今後の取り組みについて、端的にお伺いしたいと思います。
○増田指導部長 来年度、都教育委員会は、連携検討委員会の提言を踏まえ、フリースクール等に通う場合の出席の取り扱いや、個々の子供の状況に応じた支援のあり方などを示した資料を作成し、学校や不登校の子供の保護者等に配布してまいります。
また、教育委員会、学校、フリースクール等の関係者が一堂に会し、不登校経験者やその保護者を含む登壇者によるパネルディスカッションを行うなど、児童生徒への支援のあり方を協議する場を設定いたします。
さらに、区市町村教育委員会が設置する教育支援センターの機能強化に向けて、運営委託や講座の充実など、フリースクール等が有する知見や技能を生かした区市町村の取り組みを支援してまいります。
○内山委員 ありがとうございます。初めてフリースクールの件についてお伺いしてから、絶えず前進はしているように見えるんですが、前進はしているんだけれども、本当に必要な不登校のお子さん、もしくはご家庭に、必要なところに向けての必要な前進が見えているかというと、私は何か、じりじりじりじり、進んではいるけれども、なかなか進まないなという、そういう率直な感想を持ちます。
別に都教育委員会だけの話ではなくて、文科省も、本当に何年も前から、フリースクールに対して公的支援を出すんだといってみたと思ったら、またちょっと違ったり、出してみたり引っ込めてみたり、こういうことが続いてきて、今回も概算要求の中では、フリースクールに対しての財政的支援というところまで書いたものの、実際は、フリースクール等の民間団体と連携した保護者学習会や研修等の実施。ここ、何か、東京都からしたら、前進しているんだか後退しているんだかよくわからない、こういうようなものが出てきているわけでございます。
ですので、国は本当に、おっ、前に行くかなと思ったら、ちょっと後退してみたり、いろいろ出たり下がったりしているように私は感じますので、ぜひここは都教育委員会として、具体的に、国に先駆けてさまざまな対応をしていただけるといいなと思っています。この本丸は経済的支援、財政的支援だと思っておりますので、ここはぜひ強く要望させていただきたいなと思っています。
続きまして、少人数、習熟度別指導についてお伺いをしたいと思います。
都教育委員会はというか、都内の学校においては、少人数、習熟度別指導というものをしていまして、小学校では算数、中学校では数学と英語ということで、それに応じて加配をされているということです。
考えてみると、じゃ、加配をするという、そもそもの予算だとか考え方は、国と東京都と自治体で、どこの考え方なのか、また、財政的な支出なのか。もしくは、今申し上げた教科、算数、数学、英語というものを選んでいるのはどこなのか。もしくは、では、いざ加配を受けた後に、学校内で、低学年なのか高学年なのか、どこにどういう形で行うのか、実はさまざまな形があろうかと思います。
これについて、現在の取り組み状況、また、そのあたりの役割分担というか、国と東京都と、また市区町村の中で、どういう形で今機能しているのか、まず、ここをお伺いしたいと思います。
○浅野人事部長 国は、いわゆる義務標準法に基づき、少人数指導や習熟度別指導、チームティーチングなどのきめ細かな指導を行うための教員の加配定数を措置しております。
都教育委員会では、国による教員定数の加配措置を活用して、小学校には原則として一校当たり一人、中学校では一校当たり一人または二人の教員を配置し、学習の習熟の進んでいる層からおくれがちな層までが幅広く分布している小学校の算数、中学校の数学及び英語について、少人数、習熟度別指導を行うこととしております。
加配教員が配置された小中学校では、効果的な指導方法等について都教育委員会がまとめたガイドラインを踏まえ、実施学年や指導方法、指導体制などを決定し、少人数、習熟度別指導を実施しております。
○内山委員 ありがとうございます。国が加配をして、東京都の方で教科を決めて、あとは具体的には、学年だとか、どういう形でやっていくかは、自治体というか学校単位で決めていく。今、こういうような役割分担だということで理解をしました。
この少人数、習熟度別、以前も質問させていただいたときには、八割が学習の効果に有意な結果が出ているということで、また、子供たち自身にとっても、親御さんたちにとっても、学習の進みぐあいに関しては、かなり肯定的な評価が出ているということをご答弁いただきました。
こういったことで、当然、少人数でありますし、加配が、人の手が多く入っているわけですから、結果が出るのは、ある程度、当然といっては当然なんですが、こういったことも、まずは学年においても--高学年の方が当然開きが出てくるんですが、最初のつまずきはどこで出てくるかというと、結構、低学年で出てきたりとか、もしくは、今、算数と数学、英語ということになっておりますけれども、国語というのも比較的そういったものが、小学校低学年段階で開きが徐々にあるということも伺っております。
そういった意味においては、算数を切り取って国語につけたりだとか、そういったことはなかなか難しいと思いますが、こういったことに関しては、加配も含めてぜひ検討していっていただきたいな、さらに充実をさせていっていただきたいなというふうに思っております。
最後に、少人数、習熟度別指導においては、ある種、学習集団が固定化するということで、児童生徒の学習意欲が低下する。すなわち、常に下のクラスにいる子たちの、例えば自己肯定感だとか、ただ、そういったものが競争力の刺激になればいいんですけれども、必ずしもそうはならないという中において、そういったことが懸念をされるわけでございますが、そのあたりについて都教育委員会の見解を伺いたいと思います。
○増田指導部長 小中学校における少人数、習熟度別指導の実施に当たりましては、学習状況のみならず、児童生徒や保護者の意向を踏まえ、学習集団を編制すること、また、学習集団が年間を通じて固定化しないよう配慮するよう、各学校に対して指導しております。
○内山委員 ありがとうございます。私も現場の教員の方からお話をお伺いすると、確かに、学習集団が固定化しないような配慮というものをしているということで伺いました。
一方で、例えば、この子は図形が強い、もしくは数式が強い、さまざまなことによって入れかえることによって固定化しないようにという配慮をされているそうなんですが、とはいえ、図形も弱い、数式も弱い、さまざまなことで、やっぱり一定程度のお子さんたちは固定化せざるを得ない状況。習熟度別ですから、当然、そういった側面も出てくるかと思います。
学校現場でもそのあたりは、子供たちにさまざまな声かけをして、ある種、スクールカーストじゃないですけれども、そういった子供たちの自己肯定感だとか学習意欲が低下しないような取り組みはされていると思いますが、しっかりとこういったところも、都教育委員会としても現場のサポートをしていただければということを要望いたしまして、私からの質問を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
○斉藤委員 では、私からも伺います。
まず、一斉休校について伺います。
先月二十七日の安倍首相による突然の全国一斉休校の要請から、三月二日にはほとんどの学校が一斉に休校になり、今、二週間がたちました。突然の休校によって、学校現場では、急な対応のために混乱が生じ、また、長引く休校措置のために、子供たちや保護者、その他の関係者にとって大きな負担が強いられています。
感染拡大の防止はもちろん大切なことですが、そもそも安倍首相の突如の一斉休校の要請には科学的根拠がなかったもとで、都教育委員会として、今の一斉休校が子供たちに過度な負担になっていないか、絶えず検証して、対応を柔軟に考えていくことが必要だと思っています。
初めに、都教育委員会による休校の方針の決定について伺いたいと思います。
先月末に安倍首相が全国一斉休校の要請を行ったこと、これを受けて、都教育委員会事務局は、この翌日の先月二十八日、金曜日に、都立高校や各自治体向けに休校の方針の通知をしました。これについて、本来なら、重要な案件は教育委員五人と教育長の合議で決めるとなっているところ、教育長の職権で休校方針が決められたということに対して、教育委員から苦言が呈されたということが報道されています。委員からは、急なことであっても、意思表示をするやりようがあったと思うと指摘されたということです。
そもそも、一斉休校についての都立学校への通知、また、区市町村教育委員会への対応の依頼に当たって、都教育委員会事務局はどんな検討を行い、一斉休校の判断を下したのか、伺います。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 国からの臨時休業の要請におきましては、今が感染の流行を早期に終息させるために重要な時期であるといたしまして、子供たちの健康、安全を第一に考え、多くの子供や教職員が日常的に長時間集まることによる感染リスクに備えるという観点が示されたのに加えまして、臨時休業期間中の保護者の負担などが生じないよう、政府として責任を持って対応する旨の方針が示されたところでございます。
こうした点を踏まえまして、都教育委員会といたしましては、学校における教育課程の取り扱い、卒業式や入学者選抜等の行事、障害のある児童生徒に関することなど、臨時休業による影響と対応につきまして、関係各部署で検討を行ったところでございます。
それらを総合的に勘案し、都立学校については、三月二日から春季休業までの間、臨時休業とすることを決断し、区市町村教育委員会へも対応を要請したものでございます。
なお、決定に当たりましては、時間が過ぎてから後知恵的に、ああだった、こうだったというわけではなく、その瞬間、国から示された危機的状況を都教育委員会としても共有し、二十八日は金曜日でございまして、三月二日からの休校ということになりますと、金曜日の昼過ぎには、都内約千三百ある小学校の子供たちが下校時間を迎えかねないという中で、加えて申し上げれば、二十七、二十八日は都議会の本会議もありまして、そういう中で緊急に処理しなければならない事案でございまして、教育委員会を招集いたしますいとまがなかったことから、法律などに基づき、教育長が臨時代理により処理し、速やかに教育委員会へ報告して、全会一致で承認を得たところでございます。
○斉藤委員 要するに、国の要請を絶対というような形で受けとめてやったということだと思います。
教育委員会を招集するいとまがなかったということですが、このことに対して、委員からは、いとまがなかったとは、やや心外だ、委員は意思表示をするやりようはあると思うと述べていたということは先ほども申し上げました。
さらに委員からは、特別支援学校は休校しない選択肢もあったのではないか、また、虐待を受けるなどして家庭に居場所がない子供もいる、学校に行くことができず、しわ寄せが来ている可能性があるという指摘もあったということです。これは重要な指摘だと思います。
本来ならば、こうした重要な問題を含む決定について、委員や現場の声をきちっと聞くためにも、要請から即日の方針決定とせず、独自に検討する時間をとるということもできたはずです。
この点は、今後の決定についても必要な視点だと思いますので、国の方針をそのまま横流しにするようなことではなく、都教育委員会として、どんなことが起こるのか、現場のことも考えて、責任を持って判断していただくということを求めたいと思います。
特別支援学校について伺います。
先ほども質疑がありました。私たちのところにも、休校が始まってから、特別支援学校での対応をめぐって、まちまちだという声が届いています。児童生徒を預かっているところがある一方で、行きたくても、断られたり、なるべく自宅待機を促されたりするケースがあるという訴えがあります。
仕方なく、我慢しながら自宅にいるという親御さんからは、障害を抱えたお子さんが、いつも通っていた学校に突然通えなくなったことで不安定になり、自宅で壁に穴をあけてしまったり、ふだんは優しいお子さんなのに、家族に暴力を振るったりするケースもあるということです。我慢をして自宅待機をすることが半ば強制されるような雰囲気の中で、お子さんやご家族の負担は増大しています。
改めて、生徒たちが健全に過ごせるようにしていただきたいというふうに思いますが、さきの質問でも、この点については、まず最初に、臨時休校が急な対応だったために、体制の受け入れに差が生じたということが答弁されました。
今現在では、全ての特別支援学校長に直接連絡をして、都教育委員会の方針を改めて伝えているということ、そして、引き続き、子供や保護者を含め、学校現場の声を丁寧に聞き取って柔軟に対応するという答弁がありました。これは大切なことだと思いますので、私の方からも重ねて、この点、徹底していただきたいと思います。
さらに、障害があるお子さんたちにとって、ただ居場所があるというだけでは不十分なわけですが、保護者の方からは、学校に預けたいと思っても、学校でどうやって過ごすかの説明がなくて不安を感じているという声も寄せられました。こうした情報提供や説明も、学校から丁寧にしていただけるようにお願いをしたいと思います。
それから、卒業式についての要望も多く届いています。
現在の都の方針では、特別支援学校については、介助が必要な児童生徒だけが保護者一人の参加が認められています。
しかし、特別支援学校に通うお子さんや保護者の皆さんは、日々いろんな困難を抱えながらも、子供たちの成長に心を寄せて、それをお祝いできる卒業式を楽しみにしてきました。楽しみにするということだけでなく、それを一つの目標にして頑張ってこられました。
都教育委員会では、卒業式についても、感染防止に極力配慮するように、また、時間の短縮や参加者の削減など、さまざま工夫を今しているところだと思いますが、せめて、どのお子さんも、世帯で一人の保護者の参加を認めてほしいという強い要望が上がっています。この点、いかがでしょうか。
○増田指導部長 感染の拡大を防止するため、今般の卒業式への参列者につきましては、都立高等学校においては、保護者及び来賓は参加せず、教職員、卒業生及び式に関係する在校生に限定しております。
しかしながら、都立特別支援学校におきましては、医療的ケアなどの介助が必要な児童生徒等の保護者について参加いただく予定としております。
現在、都内での感染拡大を防ぐ取り組みを続けているところであり、こうした方針を変更する予定は今のところございません。
○斉藤委員 方針を変更する予定は今のところないということですが、ぜひ親御さんたちの気持ちに寄り添っていただきたいというふうに思います。
特別支援学校の卒業式は今週から始まり、目前に迫っています。今、現場では、個別に都教育委員会に確認をとりながら、保護者が別室でオンラインで卒業式を見られるように準備をしているというところもあります。しかし、最後まで式に参加できるように皆さんが望みを持っているという声を、きょうもいただいています。
特別支援学校に通うお子さんたち、特に高校生は、幼稚部から通っていれば十五年間の月日を、先生方と手を携えて、子供たちの成長とともに歩んできました。他県では保護者の参加を認めるところもあります。
私もこれまで、地元の特別支援学校の卒業式には参加させていただいていますが、卒業生の人数は少なく、普通科であれば、十数人から六十人、七十人程度です。体育館で生徒と離れて座るなど、感染防止に配慮しながら参加する方法はあるのではないでしょうか。
一律ではなく、何らかの基準を示し、各校ごとのやり方での実施もあり得ると思います。いま一度、検討していただくということをお願いしたいと思いますが、いかがですか。もう一度、お願いします。
○増田指導部長 先ほどもご答弁させていただきましたとおり、感染拡大を防止するためには、最大限、参加者の削減など工夫をすることが必要だというふうに考えております。
都立特別支援学校におきましては、医療的ケアなどの介助が必要な児童生徒の保護者については参加いただく予定としております。
○斉藤委員 私も、感染拡大防止の対策を講じることは重要だというふうに思うんです。しかし、お母さんたち、保護者の方たちの思いを最大限酌んで工夫してやるということは、今、いろんなところで行われております。ぜひ都教委も、この点、硬直したままではなくて、一生に一度のことがもう今週に終わろうとしている中で、改めて検討していただきたいというふうに思います。
小中学校の一斉休校について伺います。
今、子供たちの日中の過ごし方について、保護者はとても苦労して、子供たちもストレスをためていく状況が続いています。子供の居場所や健全に運動ができる環境の確保について、切実な要望になっています。
我が党が行っているネットでのアンケート調査でも、健康な子供がこんなに長い期間どこも行けず、家にいなさいという指示では精神的におかしくなりますという声や、保護者の疲労感もすごいし、ふだんの生活のルーチンが崩されたことで体調を崩している子供も多いという声が届いています。
しかし、子供の居場所が公的に確保されている自治体は少ない状況です。
そこで伺いますが、今現在、都内の公立の小中学校で、学校施設を開放して子供の居場所を確保している自治体、また、食事を提供している自治体は幾つあるのか、教えてください。
○太田地域教育支援部長 本年三月九日に、文部科学省が新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業実施状況アンケートを実施しておりまして、その中で、子供の居場所の確保に関する状況等についても確認しております。
現在、文部科学省において集計作業が行われており、今後、集計結果を公表することを予定していると聞いております。
○斉藤委員 今、文科省の方で、現在、集計中ということです。
我が党は、国会でも、子供のための居場所づくりや運動の機会確保などを求めてきました。
先日土曜日には、ご存じのとおり、安倍首相が記者会見をして、休校中の子供たちについて、健康管理、ストレス解消のためにも、人が密集しないようにするなど、安全な環境のもと、屋外に出て運動の機会もつくってくださいと述べました。
文科省では、一斉臨時休業に関するQアンドAにおいて、児童生徒の健康保持の観点から、児童生徒の運動不足やストレス解消をするために行う運動の機会を確保することも大切と示しています。
その上で、学校の校庭や体育館、公共スポーツ施設を開放して、児童生徒が運動する機会を提供してもよいのかという問いに対して、先月十三日、金曜日には、児童生徒の健康保持の観点から、学校の校庭や体育館、公共スポーツ施設の開放を設置者や各学校等において検討していただき、児童生徒の運動する機会を確保していただきたいと考えますという積極的な回答に更新されています。
この文科省の方針と都の見解は一致しているということだと思いますが、この通知はとても大切な通知だと思いますので、今後も遅滞なく、こうした通知については都教育委員会からも積極的に行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○太田地域教育支援部長 まず、ご指摘の通知ですが、今月十三日に発出されたものだと思われます。回答の更新につきましては、今月十三日だと思います。
答弁でございますが、施設開放等の対応につきましては、文部科学省による通知やQアンドAを踏まえまして、設置者である区市町村教育委員会が、地域や学校の実情に応じて、感染の予防や感染拡大防止のための防護措置等を講じた上で判断していくものと考えております。
引き続き、迅速な区市町村教育委員会への周知に努めてまいります。
○斉藤委員 ぜひ遅滞なく行っていただきたいというふうに思います。ようやく政府も示したとおり、屋外での安全な環境で体を動かすことは、心身の健康を保つ上でも必要なことです。都教育委員会からも、子供の運動の機会を確保するように、区市町村を後押しするための周知や支援を積極的に行っていただきたいと思います。
こうした小中学校の子供たちの状況についても、都教育委員会としてきちんと把握をしていただきたいと思いますが、この間、区長会と都の意見交換が行われ、市町村からも要望が都に提出されています。
その中には学校関係の要望が多く出されていますが、都教育委員会では、関係各局とそうした情報共有はされているのでしょうか。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症対策に係ります知事と区市町村長との意見交換の内容につきましては、当然のことながら、教育庁を含む関係局の間で共有されているところでございます。
○斉藤委員 当然のことながら共有されているということで、子供たちのことを、ぜひ状況をつかんでいただきたいというふうに思います。
この区長会と都知事との意見交換での要望について、私も確認しましたが、子供の居場所づくりへの教職員の協力依頼や学習機会の確保、また、図書館や博物館、スポーツ施設等の子供が利用する施設の開館など、子供の過ごし方に配慮を求める要望が多くあります。
感染防止の対策をきちんと講じた上で、こうした要望に応えられるよう、ぜひ子供たちのためにも、都として検討していただきたいと思います。
また、休校になったことで給食が食べられなくなったことも、子供たちと子育て世帯に大きな影響を与えています。私のもとには、生活保護を受けている世帯のお母さんから声が寄せられました。
保育園と小学校に通う四人のお子さんのお母さんですが、ふだんは実費負担なく給食を食べることができているのに、今は四人分の食費の負担が家計に重くのしかかっていて、本当に大変だということです。
また、先生方のお話からは、ふだんの夏休みでも食事がとれなくなる子供がいるということを伺いました。
学校がない、給食がないということは、こうした子供たちにとって死活問題であり、学校がまさにライフラインになっているんだということを、今、強く私も実感をしています。
我が党の吉良よし子参議院議員が学校施設を利用した昼食提供を求めたことに対して、萩生田光一文科大臣は、学校に自習に来ている子、来ていない子にも昼食提供は可能と答弁をしました。都教育委員会としても、区市町村の取り組みを後押しし、支援できるように強く求めておきます。
今後、三月後半に向けては卒業式や修了式、また、四月には入学式、始業式を迎えます。節目に向けて、今後いろいろな判断が出てくると思いますが、私は、都教育委員会が、ただ単純に国のいうことに従うだけではなく、都として子供たちや現場の声に耳を傾けて、丁寧に判断していく軸を持つことが必要だと思っています。
都教育委員会は、都の新型コロナウイルス感染症対策本部に参加をして、そこには専門家もいます。感染防止の取り組みももちろん大切なことですが、一斉休校を続ける中での子供たちの心身への大きな負担も考えた上で、どういうことならできるのか、都教育委員会として、学校問題に特化して専門家の意見を聞く機会を持ち、子供たちが置かれている現状の改善に向けて取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○安部総務部長 国や都におきましては、新型コロナウイルス感染症の対応について、専門家会議の議論なども踏まえ、対応方針が示されております。
今般の臨時休業を受けて、各学校においては、そうした国や都からの情報をもとに、感染防止の措置を講じた上で、学校や地域の実態に応じて、さまざまな工夫を図りながら子供たちの心身の健康のケアに努めております。
具体的には、小中学校で、学校ごとに登校日を設定する取り組みや、学校施設を活用した子供たちの居場所の確保などの取り組みが行われているところがございますが、子供同士の座席の間隔をあけたり、窓をあけて換気を行うなどの配慮がされております。
今後とも、都教育委員会は、子供や保護者の状況を踏まえつつ、国や都の関係機関とも連携しながら、学校と区市町村との情報共有を図り、適切に対応してまいります。
○斉藤委員 現場で、特に小中学校においても、しっかり対策をやりながら尽力しているということに対しては、本当に敬意を表したいというふうに思います。ぜひ都教育委員会としても主体的に、子供や保護者の状況を踏まえ、適切に対応していくというご答弁でしたので、取り組んでいただきたいと思います。
具体的に今後についてですが、学校の三月の卒業式や修了式は、感染防止の対策をしっかりと講じて、工夫をしながら各学校が行えるようにしていただきたいと思います。また、四月の入学式、始業式までの学校再開に向けて、都教育委員会として、専門家の意見を踏まえて独自に判断も行いながら、適切な時期や方法について検討していただきたいと思いますが、どのようにしていくのか、今後について教えてください。
○安部総務部長 都教育委員会は、都立学校の修了式につきまして、予定された日程で、混雑時を避けて登校させるとともに、放送設備などを活用し、各教室で実施するよう通知しております。
また、春季休業後の対応につきましては、今後の状況の変化や国の動向を見きわめるとともに、都の関係部局とも連携しながら検討してまいります。
○斉藤委員 今後の対応について、国の動向を見きわめ、検討していくということです。先ほど来、私の方では、やはり東京都としても、国からの要請というものを絶対ということだけでなくて、きちんと現場の状況を見ながら対応していただくこと--現状の中で行っていただいているということもわかっておりますが、本当に、長引く休校の中で、かえって危険が増すんじゃないかということもいわれています。
感染が広がっている欧州でも学校閉鎖に踏み切る国がありますが、その中で、学校閉鎖を行わないというイギリスの判断も注目されています。ジョンソン首相は、科学に従って、正しいことを正しいタイミングでやると強調し、学校閉鎖については、利益より実害が多いと述べています。主席科学顧問のバランス氏は、学校閉鎖の間に子供が年配の祖父母に預けられれば、その方がより危険だと説明したと報じられています。どちらが正しいかということは本当に難しいことではあると思うんですが、考える上では、考慮すべきに値する重要な視点だというふうに思います。
国の判断を見ていくということであっても、子供たちにかえって負担や危険が及ばないように、都教育委員会としても判断の軸を持っていただきたいということを重ねて申し上げます。
都教育委員会が主体的に子供たちの状況や現場の声を酌み上げて取り組みを支援し、子供たちの学習権と生活を守る立場で科学的に判断していただくことを求めて、次の質疑に移ります。
次に、来年度予算で新規で入ったGIGAスクール構想について伺います。
これは、先ほども質疑がありました、国の構想によるGIGAスクール構想に係る予算ですが、都による区市町村支援の内訳について、先ほど質疑がありました。
先ほどのご答弁でも、トータルとして、予算案の中、約五億五千万円が計上されているわけですが、そのうち、校内通信ネットワークを整備する場合には、国の補助に加えて、都として二十分の一を補助すると。
それから、児童一人一台端末の整備について、端末導入支援員を配置するための費用、四分の三を補助するという内容でした。
事前のお話ですと、このうち端末支援員の費用は四億六千八百万円、一人当たり八百万円、その四分の三の補助で、都が六百万円程度を見込んでいるということも伺っています。
タブレットなどの端末を一人一台導入するということなら、支援員は必要なのかなと思いますが、この間の学校の先生の長時間労働が大問題になり、教員をふやすことが切実に求められている中でも、教員をふやして抜本的に解決していくための予算措置が一向にされない中で、とても大盤振る舞いの印象が際立っていると思います。
そもそもGIGAスクール構想の予算は、昨年の教育庁の要求にはなかったものだと思いますが、なぜ予算案に突然入ってきたのか、経緯について伺います。
○谷企画調整担当部長 昨年末、新たに国から、GIGAスクール構想として、校内通信ネットワーク整備及び児童生徒の一人一台端末に関する補助について示されたことによりまして、都としても区市町村への支援を行う必要が生じたためでございます。
○斉藤委員 国からいわれたということで、受け身の中身だということだと思いますが、ご存じのとおり、この構想は、経済産業省主導のもと、安心と成長の未来を拓く総合経済対策として、昨年十二月五日に閣議決定されたものです。
この中で、学校における高速大容量のネットワーク環境、校内LANの整備を推進するとともに、特に義務教育段階において、令和五年度までに、全学年の児童生徒一人一人がそれぞれ端末を持ち、十分に活用できる環境の実現を目指すこととすると説明されています。
しかし、そもそも文科省の中央教育審議会では、二〇一六年の段階では、PC端末などのデジタル教科書について、地域ごとにネット環境などが異なることだけでなく、子供たちへの健康の不安があることから、全面的な導入を拙速に進めることは適当ではないと報告していました。それが、経済界の求めから急展開してきました。
この中身について伺いますが、文科省が出しているGIGAスクール構想の実現の説明の中には、公正に個別最適化された学びを全国の学校現場で持続的に実現させると説明されています。
個別最適化ということはどういうことをいっているのか、ご説明をお願いします。
○増田指導部長 文部科学省が令和元年六月にまとめた新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)では、公正に個別最適化された学びについて、多様な子供の一人一人の個性や置かれている状況に最適な学びを可能にしていくことと示されております。
○斉藤委員 多様な子供の一人一人の個性や置かれている状況に最適な学びを可能にしていくことと示されているということですが、では、具体的に、この構想の教育現場への導入に当たって、都教育委員会としてはどのような話し合いが行われてきたのでしょうか。
○谷企画調整担当部長 校内通信ネットワークと一人一台端末について、国の補助を活用して整備を行いたいと希望する区市町村教育委員会が早期かつ円滑に対応できるよう、支援等について検討いたしまして、都教育委員会として、今回の補助を予算案に計上することとなったところでございます。
○斉藤委員 支援等について検討したということですが、導入することが前提で支援の検討が行われたということだと思います。私は、この構想の中身について丁寧に検討する必要があるというふうに思います。
この構想が二〇二五年までに全学年に全面的に導入するとされていることに対して、都教育委員会として、この教育の目的が何か、学校の現場が、教育の現場がどうなっていくのか、中身についての検討はされているのか、そして、区市町村の各教育委員会や現場の先生方にはどのように説明をされているのか、あわせてお伺いいたします。
○谷企画調整担当部長 GIGAスクール構想につきましては、国の施策でございますので、国が市町村に対して説明を実施しているところでございます。
都教育委員会としては、これらの国の通知につきまして区市町村にも通知を行うことにより、情報提供を行っております。
また、都独自の支援について検討し、これについて実施するために、区市町村教育委員会には説明を実施しているところでございまして、区市町村からは、導入の支援となることから、大変ありがたいとの声をいただいております。
なお、教員への説明については、必要に応じて区市町村教育委員会が行うものと認識しております。
○斉藤委員 あくまでも国の施策だということで、教員には区市町村が必要に応じて説明するということですが、私は、このことは、教育にかかわる方々、現場の多くの先生方のコンセンサスがとれた上で行っているのかということに非常に疑問を感じます。
支援について、ありがたいという声があったということですが、私も、タブレットなどの端末を使った学びを全て否定するものではありません。ネット環境の整備がおくれているところや、端末をふやしたいという自治体もあるかと思います。また、発達障害などを抱えて読み書きが難しい子でも、端末だと学びやすいということもあるということは承知しております。
しかし、一人一台の裏にどういうことがあるのか、これは冷静に検討しなければならないと思います。
皆さんご存じのことだと思いますが、この構想を提言したのは、経産省の「未来の教室」とEdTech研究会というところです。
この研究会では、アメリカのボストンコンサルティンググループ社が事務局を務めていましたが、この会社は、アメリカで公立学校の廃校と公設民営学校への置きかえを推進してきた企業です。
アメリカでは、PC端末で授業を行うことで、正規免許を持たない時給十五ドルのアルバイトが、一人で百三十人の生徒を監視するというような授業になっているということが報じられています。
こういうことで学校といえるのかどうか、本当にすごい事態だというふうに思いますが、アメリカの公教育の民営化に詳しい教育研究者の鈴木大裕さんは、日本全国で教員不足が叫ばれているときに、一人一台端末は、財政的にも優先順位がおかしい、政府が出すのは初期投資の予算だけであり、数年後にはランニングコストが自治体の財政を圧迫する、日本でも教員不足をPC端末で補う動きが出てこないか懸念すると指摘しています。
まさに経済対策として教育現場を市場と捉えて入り込んでくる、この一人一台の構想が、その先にどんなことにつながるのか、これは都教育委員会としてもしっかり検討していく、教育に携わる方々がきちんとこれを検討していくという必要があると思います。
こういう中だからこそ、来年度に予算をつけてまで導入を決定するというには、余りに拙速なんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○谷企画調整担当部長 GIGAスクール構想における校内通信ネットワーク整備については、国が補助を実施するのが令和二年度までとされております。また、一人一台端末整備については、令和五年度までに整備を行うこととされており、来年度から国の補助を活用したいという区市町村に対応する必要がございました。
このため、来年度予算案として、区市町村への補助を計上したものでございます。
なお、スマート・スクール・プロジェクトや都内のICT環境整備促進の方針と、この方向性については合致しているものと考えております。
○斉藤委員 校内ネットワーク整備の補助は来年度だけ、一人一台の導入も二〇二三年度までという短期間であるということに、導入を急がせる意図を感じざるを得ません。だからこそ、都教育委員会としても、このことがどういう結果を教育現場に招くのか、現場の声とともに検証する必要があると思います。
子供たちが端末でそれぞれ異なる課題に取り組むようになれば、それが行き過ぎれば、集団の中での学び、人格の形成を目指す本来の学校教育のあり方が根底から崩れてしまうと、教職員組合からも懸念の声が上がっています。
このGIGAスクール構想の導入に当たって、今後も都教育委員会として、これからも広く意見を聞きながら丁寧に検討していく必要があると思いますが、いかがですか。
○谷企画調整担当部長 引き続き、区市町村教育委員会とは、都の行う補助制度を説明する際などを活用して、必要に応じて意見交換を行うことになるものでございます。
○斉藤委員 ぜひ区市町村教育委員会とも丁寧な意見交換を行っていただきたいというふうに思います。現場の先生からも声を聞いて、集団の中の学びから人格の形成を目指す本来の公教育のあり方が変わり得る、こういうあり方について、しっかりとその先のことも考えた上での検討を進めていただきたいというふうに思います。
次に、性教育について伺います。
一昨年度来、都議会では性教育の取り組みについて議論が発展し、子供たちが科学的な知識を学ぶことができる性教育を求める世論が大きく高まりました。
その中で議論の契機となった私の地元の足立区立の中学校で行われている性教育についても、保護者の了解を得ながら、今も生徒たちが人権としての性やLGBTなどさまざまな性について学び、みずから適切な意思決定や行動選択を行うための豊かな性教育を展開しています。
また、都教育委員会では、二〇一八年度から、産婦人科医を外部講師として招いたモデル授業を始めています。
こうした性教育の取り組みが進んでいくことは、子供たちがお互いを尊重し、自分自身を大切にするための行動選択をする能力を培うためにも、とても重要な前進だと思います。
今回は、この取り組みを進めていくための条件整備にかかわって質問をしたいと思います。
まず、モデル授業について伺います。
産婦人科医を外部講師として招いたモデル授業の今年度の取り組み状況と内容について伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、今年度、産婦人科医を外部講師として招聘したモデル授業の実施を、昨年度の中学校五校から十校に拡大し、その取り組みを広くほかの学校に周知するなどして、児童生徒が正しい知識を身につけ、適切に意思決定や行動選択ができるよう、区市町村教育委員会等と連携して各学校を支援してまいりました。
モデル授業では、学習指導要領に示されていない内容を含む授業や、保護者の理解を得る方法等について検証してまいりました。
○斉藤委員 モデル授業を昨年度の五校から今年度は十校に拡大して、その取り組みを広くほかの学校に周知してきたということです。
昨年度末に改定された新しい性教育の手引には、授業後の生徒と保護者へのアンケートの結果が掲載されています。専門家による説明は効果的でしたか、また、授業の内容は今後役に立つと思いますかという質問に、ともに九割以上がそう思うと答えていて、非常に高評価をいただいているということがわかります。学習指導要領を超える内容でも、これだけ支持が得られているということがわかったというのは、とても画期的なことだと思います。
また、今年度からは、学校区内の教職員に対して授業を公開する形で行ってきたということも伺いました。今年度は、モデル授業を行った中学校の教職員からもアンケートをとっているということですが、どういう声が寄せられているのか、教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 教員からは、医師による専門的な講義は説得力があった、所属校でも生かしていきたいなどの感想が寄せられました。
○斉藤委員 自分の学校でも生かしていきたいという前向きな感想があったということで、やはり科学的知識に基づいた性教育の必要性が、教職員の間でも認識されているのではないかと思います。
私は、先日、この都のモデル授業を行っている産婦人科医の方のお話を伺う機会がありました。授業では、性行為の結果としての妊娠について、科学的に理解することだけでなく、自分の健康を守り、自分と他者を大切にする生き方そのものを学ぶ人権教育であるということを意識して教えているということでした。
女子生徒には、今、妊娠したら、赤ちゃんを産んで育てられますかと問いかけ、男子生徒には、もし彼女が妊娠したら、産んでもらって一緒に育てていけますかと問いかけて、自分の性行動について考える授業を行っているということです。
さらに、何かあったときにはクリニックに来るようにと、地域で生徒たちの相談を受ける役割を果たされているということもわかり、子供たちの支えになる大きな意義があると感じました。
こうした取り組みをさらに広げていくためには、公開授業に参加した教職員だけでなく、全ての学校の教職員に共有されていくことが必要だと思います。
モデル授業の内容や生徒、保護者、教職員からのアンケートなどの声について、どのように周知を行っているのか、伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、性教育の手引に掲載した実践事例と、モデル授業の内容や生徒、保護者及び教員の感想などを、区市町村教育委員会の担当者連絡会や保健体育科主任連絡協議会等を通じて周知しております。
○斉藤委員 モデル授業の内容や生徒、保護者、教員の感想、それと、新しい性教育の手引に掲載した実践事例についても、保健体育科主任連絡協議会等を通じて周知しているということです。
新しく改定された性教育の手引については、この後、また取り上げたいと思いますが、この間、かつての七生養護学校での心と体の学習に対する不当な介入が行われ、学校現場での性教育の取り組みが長期にわたって萎縮してきてしまった中では、都教育委員会がみずから性教育について周知していくということは、現場の取り組みを大きく励ますものになると思います。
ぜひ続けていただきたいというふうに思いますが、来年度は何校でこのモデル授業を行う予定か、教えてください。
○瀧沢指導推進担当部長 来年度は、婦人科医を活用した授業を実施する学校の募集枠を三十校に拡大いたします。
○斉藤委員 来年度は三十校ということで、今年度の三倍にふやしたということは重要だと思います。しかし、六百を超える都内の公立中学校の数からすると、まだまだ少ない状況です。今後も、校数をふやしていくことと取り組みを継続していくことを求めます。
現在のモデル授業では、外部講師は全て産婦人科医となっていて、とても重要な役割を果たしていただいているというふうに思いますが、一方で、取り組みを広げていくためには、産婦人科医の方だけでは担い手不足になるのではないかという指摘があります。
今後は、助産師等の活用なども検討をして取り組みを進めていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 産婦人科医に加えて、助産師や保健師等を含め、学校の実態に応じた外部講師の活用について、今後とも、区市町村教育委員会の担当者連絡会や保健体育科主任連絡協議会等において紹介してまいります。
○斉藤委員 助産師等を含めて、外部講師の活用について紹介をしていくということです。ぜひお願いをしたいと思います。
次に、昨年度末に改定された性教育の手引について伺います。
今回の改定は、前回の手引から、先ほど申し上げました都立七生養護学校の性教育の実践を不適切な性教育と位置づけ、積極的な性教育を抑制しようとした表現が削除されたということが、まず大きな特徴です。
その上で、子供たちが性に関する情報を正しく選択して、適切な意思決定や行動選択ができることを性教育の意義として再認識していること、また、基本方針に主体的、対話的で深い学びを挙げて集団学習の重要性を示したことは、大きな前進だというふうに思います。さらに、性的指向及び性自認の多様性に対しての配慮や支援の必要性も記している点も重要だと思います。
現代の児童生徒は、手引で示されているとおり、社会環境の変化や情報社会の進展によって、さまざまな問題に直面しています。ネット上には性に関する情報が氾濫し、SNS等を介して性犯罪に巻き込まれる可能性や、望まない妊娠や性感染症など、児童生徒たちが抱える今日的課題に向き合って解決していくための性教育の取り組みが求められています。その取り組みを推進していくためにも、その抑制となる要素、また、抑制となり得る要素については、改めて不断に見直しをしていくということが必要だと思います。
その視点から伺いたいと思いますが、新しい性教育の手引では、指導の充実に当たって、発達の段階を踏まえること、学校全体で共通理解を図ること、保護者の理解を得ることなどに配慮することが大切ですとしています。
まず、発達の段階というのは、手引の全体にわたって繰り返し記載されていますが、具体的にどういうことを示しているのか、伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 発達の段階とは、身体的発達、情緒的発達、知的発達や社会性の発達など、さまざまな側面における年齢を基礎とした共通して見られる特徴を指しております。
具体的には、小学生期は、心身の発育、発達が顕著であり、基本的な生活習慣の確立を図りながら、健康課題に対して自立的に取り組む時期であります。中学生期は、心身が劇的に変化するとともに、知的能力の発達も著しく、心身の健康の保持増進に主体的に取り組む基盤を培う時期であります。高校生期は、中学生よりさらに心身の全面にわたる発達が進み、生涯にわたって心身の健康を保持増進する態度や習慣が確立する時期でございます。
○斉藤委員 小学生期、中学生期、高校生期とお答えをいただきましたが、ちょっと中身は、クロスする部分もあって、非常に曖昧なものにも聞こえます。発達の段階について、学習指導要領に準じているということだと思いますが、この言葉によって、性教育の実践が行き過ぎや過激と判断されて攻撃されてきた経緯があります。しかし、この発達の段階というのは、どういう根拠に基づくものなのか、明確に示されているわけではありません。
この曖昧な規定を見直す必要があると思いますが、ご答弁の前段では、身体的発達、情緒的発達、知的発達や社会性の発達などにおける年齢を基礎とした共通して見られる特徴を指しているという説明がありました。私は、これは一つのポイントになる視点ではないかと思います。
国際セクシュアリティ教育ガイダンスでは、性教育の内容項目を四つの年齢段階に分けています。発達の段階という言葉で、身体的、情緒的、知的発達の差を児童生徒個々にまで当てはめて個別指導に導くという考えがまだ残っていますが、本来は、年齢を基礎として、身体的発達や直面する社会的要素は共通するものだというふうに思います。
この点について、我が党はこれまでも指摘をしていますが、年齢の点でいいますと、刑法では、性的合意ができる年齢というのが十三歳とされています。しかし、十三歳、中学二年生に対して、今、現状で性教育が十分に行われていない状況だと思いますが、この矛盾については、都教委はどのように認識されているでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 学校における性教育は、校長のリーダーシップのもと、全体計画や年間指導計画に基づいて、全ての教職員が全員共通認識をして、全ての児童生徒に、学習指導要領に示された内容を発達段階に即して組織的、計画的に指導しているものというふうに理解しております。
○斉藤委員 済みません、今のご答弁は、私、次の質問で予定していたものだと思います。
先ほど、十三歳、中学生二年生の年齢が、刑法では性的合意ができる年齢とされているという状況、これに対して、学校の現場では、性教育というのが十分には現状では行われていないという、この矛盾についてはどういうふうに認識をされているかという質問です。
○瀧沢指導推進担当部長 現在の性情報氾濫などのもとでは、児童生徒が被害者や加害者になる可能性がございます。
そのため、刑法を含む関係法令等について、教職員や保護者との間で情報を共有することは重要であるというふうに考えております。
○斉藤委員 教職員の間で、この刑法のことについても情報共有していくということは大事だというご答弁でしたけれども、ここについても矛盾があるわけですね。こういう点からも、性教育の取り組みというのは喫緊の課題だというふうに思います。別の問題として、この刑法のことについては考えていかなきゃいけないという側面もありますが、やはり子供たちが置かれている現状に即した教育を、年齢ごとに、年齢を基礎として行っていくということは重要だというふうに思います。
次に、保護者の理解を得るということについて伺いますが、モデル授業の中では、その点についてはどのように実践されているのでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 学校における性教育は、校長のリーダーシップのもと、全体計画や年間指導計画に基づき、全ての教職員が共通認識をし、全ての児童生徒に、学習指導要領に示された内容を発達段階に即して組織的、計画的に指導しております。
学習指導要領に示されていない内容を含む指導を行うモデル授業の実施に当たっては、事前に学習指導案を対象の保護者全員に提示して説明し、保護者の理解、了解を得た生徒を対象に指導を行っております。
○斉藤委員 モデル授業の実施に当たって、事前に学習指導案を保護者全員に提示して説明し、保護者の理解、了解を得た生徒を対象に指導を行ったということです。新しい手引では、保護者に提示した通知例を示して、活用しやすいようにしている点というのはよかったというふうに思います。日本では十分な性教育が学校教育として浸透していない中で、保護者の理解を丁寧に得ていくということは必要だというふうに思います。
しかし、一方で、性教育以外の授業で、保護者にお伺いを立ててから行っているというような授業はありません。性の問題を特異なものとして捉えるようなこのやり方は、やはり早期に解消していけるように取り組みを進めていく必要があるというふうに思います。
まさに、先ほども申し上げましたが、モデル授業、都の取り組みにおいて、学習指導要領を超える指導であっても、九割以上が支持をしたということがありました。これが、今、子供たちの発達に即しても求められている性教育ではないかということ、こういう認識を、保護者とも協力して広げていくための取り組みをしていただけるということをお願いしたいというふうに思います。
この保護者の理解についてですが、モデル授業では保護者の理解を得られず、個別での指導になったというケースはあるのでしょうか。また、その場合に、事後のアンケート等において、個別指導になったことへの生徒自身の理解や感想は聞き取っているのでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 モデル授業におきましては、一部の生徒が個別やグループ等での授業に参加をいたしました。
このことにつきまして、個別やグループ等で授業に実際に参加した生徒からは、男女一緒に学ぶことには抵抗感があった、高校に入ってから学びたいなどの感想が寄せられております。
○斉藤委員 保護者との判断の上で個別での授業になった生徒に対しては、今後も、子供の権利に照らして、ほかの生徒と分かれて個別で授業をしたことが本当によかったのかどうか、事後に丁寧に聞き取って、今後の取り組みのあり方の検討につなげていただきたいというふうに思います。
また、手引では、学習指導要領を超える性教育の指導に当たっては、学校全体での共通理解を図ることが大切であるとしていますが、この間のご答弁にも繰り返し出ておりますが、都教育委員会がそのためのイニシアチブをとって取り組むということが重要だと思いますが、認識を伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 指導に当たっては、発達の段階を踏まえることや、保護者の理解を得ることに加えて、学校全体で共通理解を図ることが重要であり、今後とも、区市町村教育委員会の担当者連絡会や保健体育科主任連絡協議会等を通じて周知をしてまいります。
○斉藤委員 今後とも、保健体育科主任連絡協議会等を通じて周知していくということです。ぜひ、モデル授業の共有だけでなく、足立区の中学校で行われている先進的な取り組みの事例についても積極的に紹介をしていくなど、都教育委員会としての取り組みを強化していただきたいというふうに思います。
今回の性教育の手引の作成プロセスについて伺います。
性教育の手引の改定に当たっては、改定のプロセスを透明にし、公開するとともに、幅広い見識を集めるように求める陳情が、一昨年の秋に、提出されて議論が行われました。
我が党は池川友一都議が質疑をして、都民の声に即して作成するように求めましたが、実際には、改定版の作成過程の議事録は公開されず、要旨のみの公開にとどまり、パブリックコメントも行われませんでした。
なぜ広く議論が行われなかったのでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 性教育の手引の改定を行った作成委員会は、児童生徒の個人情報を取り扱う場合もあることや、委員の自由かつ率直な意見の交換を保障する観点から非公開とする一方で、どのような議論が交わされたのかを都民の方に理解していただけるよう、個人情報等に十分に配慮した上で議事録の要旨を公開いたしました。
作成委員会は、学識経験者、医師のほかに、公立学校長、保健体育科や養護教諭等の学校の代表者、小中高等学校及び特別支援学校の保護者の代表者等により構成されており、さまざまな立場の方々から多角的にご意見を聴取いたしました。
パブリックコメントにつきましては、性教育の手引は教師用の指導書であることから行っておりません。
○斉藤委員 性教育の手引は教師用の指導書であるから行っていないということなんですが、これによって影響が、これにかかわるのは都民、子供たち全体なんですね。だからこそ広い議論が必要だと。専門的な見地を集めてということですが、手引の作成委員会の委員は、手引の後ろの方にも記載がされていますが、ほとんどが学校関係者ということで、性教育の専門家というのはほとんどいないわけです。医師の数もごく少数です。
この間、国際的標準となっている国際セクシュアリティ教育ガイダンスでは、もっと幅広く、性と生殖の健康に関する活動をしている人々や多様性を代表する若者、研究者など、幅広く知見を集めて合意形成を行う必要があるとしています。
今後は、都民に開かれた手引の改定や策定決定が行われるように強く要望いたします。
新しい性教育の手引には、性同一性障害等に係る児童生徒に対するきめ細かな対応について示されたことも一歩前進だということを先ほども申し上げました。今、児童や生徒の多様性を認め、誰もが尊重される教育現場をつくることが喫緊の課題になっています。
しかし、手引の実践編では、その例示がありません。これはなぜでしょうか。
○瀧沢指導推進担当部長 性教育の手引には、文部科学省からの通知である性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細やかな対応の実施等についての内容を掲載し、教員の児童生徒への対応のあり方等について示しております。
手引の実践編では、学習指導要領に明記されています各教科等の項目の中から、性教育として位置づけられる内容を中心に指導事例を掲載いたしました。
○斉藤委員 要するに、学習指導要領に記載がないからだということだと思いますが、理念だけが示されていても、教育の現場でどのように扱うことができるのか、そういう例示がなければ、取り組みはなかなか進まないものだというふうに思います。
私は、足立区の中学校での性教育の授業に参観をさせていただきました。中学校二年生の生徒たちがLGBTやジェンダー平等について学ぶ授業でした。性自認や性的指向はさまざまで、お互いが尊重し合うことが大切なんだと学んだ後に、こういうときはどうするという問題が出されていました。
男の子同士で好きな子の話をしていたときに、ある男の子が、僕は実は何々君が好きだと、男の子が好きだということを告白したときに、あなたは何といいますか、こういう質問に、グループディスカッションして、おのおの回答を発表します。大人の私が聞いていても、一瞬、何と答えようと戸惑う内容でしたが、生徒たちはとても生き生きと回答していました。〇〇君が好きなんだね、応援するよとか、仲よくなれるといいねなど、異性間の恋愛と同じような言葉が出てきました。この授業で、私は子供たちの柔軟性をとても実感して、早期の人権教育の意義というのをとても実感することができました。
残念ながら、学習指導要領には、こうした今日的課題、今求められている教育に対応する内容がありません。都教育委員会としても、ぜひSOGIの観点からも、先進的な取り組みをしている事例を積極的に各学校で共有するようにしていただきたいというふうに思います。
この間、国際的な標準となっております国際セクシュアリティ教育ガイダンスというのがありますが、科学と事実に基づいた内容や人権的アプローチに基づいていること、また、ジェンダー平等を基盤にしていることなど、包括的な性教育を行うことを求めて、実際に多くの国で実践されています。
人権の尊重や、性自認及び性的指向などSOGIの観点、ジェンダー平等など、今日的課題を踏まえた性教育の重要性について、都教育委員会の認識を改めて伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 学校における性教育は、児童生徒の人格の完成を目指す教育の一環であり、人間尊重の精神に基づいて行うとともに、児童生徒が性に関する正しい知識を身につけ、適切な意思決定や行動選択ができるよう進めていく必要がございます。
また、性自認等の児童生徒が自分らしさを発揮し、生き生きと学校生活を送ることができるよう、教員が正しい理解と認識を深め、性教育に取り組んでいくことが重要であります。
○斉藤委員 人権の尊重に基づくことや、性自認等のSOGIの理解と認識を深めて、性教育に取り組んでいくことが重要というご答弁でした。とても大切な視点だと思います。
我が党はこれまでも、性教育について、現場の先生たちの取り組みを尊重すること、そして、国際的な到達点に学んで、現場の努力を支援することが重要だと求めてきました。
国際セクシュアリティ教育ガイダンスでは、まさに人権的アプローチや科学的教育、SOGIの観点やジェンダー平等などの視点を持つ包括的性教育が必要であるとしています。
世論に大きく後押しされて、都教育委員会での性教育の前進が始まったところだと思いますが、今後も、豊かな性教育を発展できるように現場の取り組みを尊重し、支援を強化していただくように求めて、質問を終わります。
○鳥居委員 本年第一回定例会の一般質問にて、理科離れが進む現代において、理数教育推進の重要性について質疑させていただきました。
科学の特徴は、観察、実験を中心として問題を見出し、予想や仮説を立て解決方法を考えて実証し、考察するという一連の思考プロセス、すなわち科学的な思考を育むことにあります。
AIが台頭してくるこれからの時代において、科学的思考力はますます必要な能力であるといわれており、ビッグデータを解析し、最適な答えを出すAIに対して、人間は、みずから課題を設定して解決策を探り、新たなアイデアを考える仕事がふえていくといわれております。将来、社会を牽引する科学技術人材の育成をすることは、科学技術立国の礎としての次世代を支える力になると考えます。
そこでまず、小中学校における理数教育の重要性や取り組みについて伺います。
○増田指導部長 児童生徒の科学的な思考力の育成に向け、小中学校においては、理数に関する児童生徒の興味、関心を高めることが重要でございます。
そのため、都教育委員会は、都内全ての公立小中学校から一名ずつ教員を集めて、理科指導に関する研修を実施し、学習の質を高める授業改善を支援しております。
また、各学校では、地域人材や学生等のボランティアを活用しての観察、実験を多く取り入れた探求的な学びを充実させております。
これらに加え、理数に秀でた児童生徒の資質、能力をさらに伸ばすため、都教育委員会は、より深く学びたい児童生徒を対象に、みずから決めたテーマについて深く研究した成果を展示、発表する小学生科学展や、理科、数学等の能力を競い合う中学生科学コンテストを開催しております。
○鳥居委員 早期で適度に高度化した教育の取り組みは重要と考えます。学習指導要領に従う小中学校の教育においても、科学的思考力の育成を視座にした取り組みは重要です。そういう中で、観察、実験を多く取り入れた探求的な学びの充実、また、中学生科学コンテストの開催は有意義と考えます。
理数の素養を持つ生徒の裾野拡大と、そして、その中から多くの優秀人材を育成することが肝要です。
東京都が設置者である高校では、裾野を広げる取り組みとして、大学や研究機関で最先端の研究を体験できる理数研究ラボや、学校対抗で知識、技術を競う科学の祭典を実施、また、理数に秀でた人材の育成に向けては、都立高校をスーパーサイエンスハイスクール、いわゆるSSHに五校、都教育委員会が指定する理数アカデミー校に一校、また、理数リーディング校に三校を指定して、最先端の理数教育が推進されております。
今後の計画として、理数分野の素養と情報活用能力等を高いレベルであわせ持ち、新たな価値を生み出すことのできる人材を育成するため、都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)に基づき、都立高校での理数科の設置の準備が行われております。
本年度の予算特別委員会でも、我が会派の福島都議から、理数分野におけるイノベーション人材の素養育成について質疑がなされ、理数科の設置について、特別区にも、可能な限り早期に設置する検討を進めているとの答弁がなされたところでございます。
これからの時代には、科学的思考によって新たな価値を生み出し、AIに対応できる人材育成が重要で、この力を育成するため、変化し続ける社会において、おくれることのないよう、早急かつ効率的に理数科の設置取り組みを進めるべきと考えますが、理数科の設置に向けた今後の取り組みについて、都の見解を伺います。
○藤井教育改革推進担当部長 都教育委員会では、理数科を設置し、これからの社会を牽引していく人材を育成するため、都立高校における理数科の基本的なあり方に関する検討委員会を開催し、今月五日に報告書を取りまとめました。
この報告書においては、都立高校に設置する理数科について、理数系分野を軸とする人文、社会科学分野も含めた幅広い素養を基盤として、社会的な課題解決を目指す系統的な学びを実現するとしております。
今後、都立高校初となる理数科を、令和四年度に立川高校に設置する計画としており、学校の伝統やこれまでの教育実践等も踏まえながら、教育目標や具体の教育課程等についてさらなる検討を進め、従来の文系、理系の枠組みにとらわれることなく、さまざまな分野で活躍する人材の育成を目指してまいります。
○鳥居委員 科学的思考力は、理系の専門職だけではなくて、広く求められる能力になってきており、文理融合の取り組みは適切な対応と考えます。現在の問題を解決に導く力や、科学技術を活用して今までにない新しいものを創造する力を育む教育の開始に期待いたします。
次に、高大接続について質疑いたします。
既に、うすい理事から質疑がなされておりますので、私からは一問させていただきます。
国が行っている高校と大学が一体となった教育改革、いわゆる高大接続改革において、大学入試センター試験の廃止により導入される新たな大学入試制度に注目が集まっておりますが、高校教育改革の重要性を忘れてはならないと考えます。
その意味で、平成三十一年二月に策定された都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)において、都立高校が大学との連携により新たな取り組みを始めようとしていることは非常に期待しております。
国が行う高大接続改革の目的は、変化の激しい時代において、新たな価値を創造していく力を育成するためにあるとされております。知の集積地である大学が多く所在する東京の地の利を生かして、理系に限らず、さまざまな分野に特色、強みを持つ各大学との連携をさらに進めていただきたいと考えます。
私からは、特に、理工系に特色を持つ東京農工大学との連携において高大連携教育プログラムを推進するとしておりますが、その具体的な取り組み内容について伺います。
○増田指導部長 都教育委員会は、東京農工大学の有する高度な教育研究力を生かして、都立多摩科学技術高校の生徒に、大学への進学を見据えた専門的な教育機会を提供するとともに、高校教育から大学院教育までの十二年間の一貫したプログラムを開発することを目的として、平成三十一年三月に連携協定を締結いたしました。
来年度は、この連携協定に基づき、大学教員による生徒の研究に対する指導や、大学の研究室における専門性の高い実験の継続的な実施など、十二年間のプログラムのうち、高校段階のプログラムの一部を開始するとともに、高校教育と大学教育の円滑な接続に向けた検討をさらに進めてまいります。
○鳥居委員 ありがとうございます。高大連携の取り組みは、令和三年度に本格実施が計画されていることから、実施までおよそ一年余りあります。これまでの大学との連携、取り組みの知見を生かして、高大一貫した教育プログラムをブラッシュアップし、将来を担う多くのイノベーション人材がこの制度の中から育成されることを期待しております。
次に、グローバル人材の育成について伺います。
世界を舞台に活躍できるグローバル人材の育成は、社会、政治、経済など、あらゆる分野で急速にグローバル化が進む現代社会においては急務となっております。
学校教育が果たす役割が今までになく大きくなりつつある中、都教育委員会では、東京グローバル人材育成計画20を策定され、二〇二〇年度までのファーストステージの取り組みにおいて、社会や世界の動きを見通し、みずから人生をたくましく切り開く人材、日本の発展を支えるリーダー的人材の育成を挙げられました。
生徒の英語力、教員の英語力、国際交流を目標に定め、授業の質の向上や、学ぶ時間、機会をふやすこと、学ぶ意欲を高め、学び続けることを三つの視点として具体的な実行計画が示されており、これまでにも幾つかの質疑をさせていただきました。
そのような中で、都内公立学校における国際交流を一層促進するため、各学校のニーズに応じてきめ細かな支援を行う国際コンシェルジュを運営するとともに、都立学校においては、姉妹校交流を初めとした海外学校間交流を拡大する取り組みを実施することとして、来年度の予算が申請されております。
そこで、都立学校における海外学校間交流推進事業の狙いと取り組みについて伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、国際感覚豊かな若者を育成していくことを目的として、平成二十八年度から、都立学校と海外の学校との姉妹校交流を初めとする学校間の交流の推進を開始いたしました。これまで、カナダのブリティッシュコロンビア州、オーストラリアのクイーンズランド州、台北、タイ、北京、パリなど、九つの国や地域における教育行政機関と教育に関する覚書を締結し、交流相手先の紹介や交流機会の創出などを行っております。
今年度は六十校を海外学校間交流推進校に指定しており、各学校では、ファッション、食文化、工業、第二外国語など、学校が力を入れている分野に関して、生徒や教員の相互訪問やオンラインを活用した交流などを行っております。
今後、さらに多くの都立学校が自校の特徴に応じた多様な交流活動を行っていけるよう支援してまいります。
○鳥居委員 どうもありがとうございます。姉妹校の選定においては、それぞれの都立高校の特徴を生かした選定が行われ、交流の機会を創出しているとも伺っております。今年度は六十校を海外学校間交流推進校に指定したとのことで、多様な学びが可能になると考えますので、引き続き、各都立学校の特色に準じた多様な国際交流活動を行っていただきたいと考えます。
都立高等学校海外留学支援事業が来年度の予算に盛り込まれました。都教育委員会が実施している次世代リーダー育成道場というプログラムを介して、世界を舞台に活躍する国際感覚豊かでたくましい若者を東京から輩出していくことを目的としております。将来、さまざまな分野や組織で活躍し、世界や日本の将来を担う次世代の人材になろうとする都立高校生等が、留学を通して大きく成長することを期待しております。
そこで、都立高等学校海外留学支援事業の取り組みと実績について伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、グローバル化が進展する社会において、世界を舞台に活躍できる人材を育成するために、平成二十四年度から次世代リーダー育成道場を開設しております。
参加する生徒は、校長の推薦を受け応募した都立高校生などのうちから、小論文や面接等の選考を行い、毎年二百人を決定しております。
参加生徒は、米国、オーストラリアなどの留学先において、ホームステイをしながら現地の高校に通い、語学力を磨くとともに、我が国の文化を紹介したり、ボランティア活動に取り組んだりすることで、リーダーとしての資質、能力の育成を図っております。
今年度までに約千二百人がこの道場を修了しており、その中には、将来、国連などの国際機関で仕事につくことを目指している者もおります。
○鳥居委員 参加生徒は、校長の推薦のもと、将来を担う次世代の人材になろうという高い志を持った生徒が集まっていると思います。次世代リーダー育成道場を介して語学力を磨き、さらには、自国の歴史や文化の理解を深める取り組みを介して自身のアイデンティティーを高め、使命感を持って留学に臨んでいただくよう、引き続きの推進をお願いいたします。
最後に、都立高等学校海外留学支援事業の効果検証について伺います。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、次世代リーダー育成道場の全てのプログラムを通して、生徒がどのように成長したかを検証するため、毎年度、参加した生徒を対象に、英語力、異文化に対する理解、主体性、積極性、チャレンジ精神、協調性、柔軟性などの八つの観点について効果測定を行っております。
英語力につきましては、留学の前後に英語能力試験を実施しており、平成二十九年十二月及び平成三十年七月に帰国をいたしました五期生の修了者を対象とした調査では、留学を通して、九〇%以上の生徒の英語力が向上していることがわかっております。
また、英語力以外の観点につきましては、参加した生徒及び在籍校を対象とした質問紙調査により検証を行っております。その結果、日本と諸外国との生活や文化の違いを理解し尊重するようになった、自分で考え判断し行動することが多くなった、広い視野で物事を捉えるようになったなどの質問項目につきまして、九〇%以上の生徒が肯定的に回答しております。
○鳥居委員 帰国後のアンケート調査では、おおむね九〇%以上の生徒が肯定的に回答していることを伺いました。
留学の懸念点である自身の持つ英語力については、選考を介して十分に力量のある人材が選ばれ、事前事後の研修も行うなど、充実した支援を行っていると伺っております。不安が先行してしまうと、留学先でも過度に日本人同士で過ごしがちになり、次世代リーダーの育成の目的から外れる可能性があることも配慮いただき、自信を持って送り出してあげられるよう、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
また、帰国後の受け入れ体制については、休学か在籍かを選択できる体制であると伺っております。受け入れ体制を充実させ、留学をちゅうちょする原因とならないよう、帰国後の状態については、不安を取り除き、負担がかからないように配慮いただきたいと考えます。
また、留学期間は十一カ月と、約一年間に及びます。留学期間が長過ぎてちゅうちょするという声も聞いております。次世代のリーダー育成目途が達成できることは重要ですが、留学期間の選択肢についても柔軟に検討していただき、多くの学生がチャレンジ精神を持って参加できるよう、チャンスを与える検討を行っていただくことを要望して、私の質問を終わります。
○星見委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○星見委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時三十七分散会
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