文教委員会速記録第十七号

令和元年十一月二十七日(水曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長星見てい子君
副委員長内山 真吾君
副委員長柴崎 幹男君
理事うすい浩一君
理事とや英津子君
理事福島りえこ君
龍円あいり君
あかねがくぼかよ子君
鳥居こうすけ君
斉藤まりこ君
栗林のり子君
のがみ純子君
西郷あゆ美君
古賀 俊昭君

欠席委員 なし

出席説明員
教育庁教育長藤田 裕司君
次長西海 哲洋君
教育監宇田  剛君
総務部長安部 典子君
都立学校教育部長江藤  巧君
地域教育支援部長太田 誠一君
指導部長増田 正弘君
人事部長浅野 直樹君
福利厚生部長小菅 政治君
教育政策担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
小原  昌君
企画調整担当部長谷 理恵子君
教育改革推進担当部長藤井 大輔君
特別支援教育推進担当部長高木 敦子君
指導推進担当部長瀧沢 佳宏君
人事企画担当部長黒田 則明君

本日の会議に付した事件
教育庁関係
事務事業について(質疑)

○星見委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○安部総務部長 去る十月十七日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらん願います。今回要求のございました資料は十九件でございます。
 それでは、一ページをお開きください。1、平成三十年度における国の標準を下回る学級編制基準の弾力的運用の実施状況でございます。
 このページから四ページにかけまして、平成三十年度における状況について都道府県ごとに記載してございます。
 五ページをごらんください。2、令和元年度における国の標準を下回る学級編制基準の弾力的運用の実施状況でございます。
 このページから八ページにかけまして、令和元年度における状況について都道府県ごとにそれぞれ記載してございます。
 九ページをごらんください。3、栄養教諭の配置状況でございます。
 (1)は、平成三十年五月一日現在の栄養教諭の配置人数を都道府県別に、(2)及び(3)は、令和元年五月一日現在の配置人数を区市町村別及び都立学校について、それぞれ記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。4、区市町村立小・中学校及び都立高等学校・特別支援学校のトイレの洋式化率とだれでもトイレの設置状況でございます。
 このページには区市町村立小学校、中学校における四月一日現在の状況について、次の一一ページには都立高等学校及び特別支援学校における四月一日現在の設置状況について、それぞれ年度別に記載してございます。
 一二ページをお開きください。5、都内公立小・中学校及び高等学校・特別支援学校の冷房設備設置状況でございます。
 小中学校、高等学校、特別支援学校に分けまして、普通教室、特別教室、体育館等ごとに令和元年九月一日現在の保有室数、設置室数、設置率をそれぞれ記載してございます。
 一三ページをごらんください。6、都立学校の冷房設備設置の実績でございます。
 冷房設備を設置した高等学校と特別支援学校の学校数について、年度別、区分別にそれぞれ記載してございます。
 一四ページをお開き願います。7、学校教職員定数と児童・生徒数の推移でございます。
 教職員定数と児童生徒数について、年度別、学校種別にそれぞれ記載してございます。
 一五ページをごらんください。8、都立学校の教職員定数配当基準の主な推移でございます。
 教職員定数配当基準の主な推移について、このページには高等学校の全日制課程を、一ページおめくりいただき、一六ページには定時制課程を、次の一七ページには特別支援学校をそれぞれ記載してございます。
 一八ページをお開き願います。9、教育管理職選考、四級職選考及び主任教諭選考の合格予定者数、受験者数及び合格者数の推移でございます。
 教育管理職選考などの選考区分ごとの合格予定者数、受験者数、合格者数について、選考年度別にそれぞれ記載してございます。
 一九ページをごらんください。10、教育職員の病気休職者数でございます。
 教育職員の病気休職者数について、精神疾患による休職とその他の疾患による休職の区分で年度別にそれぞれ記載してございます。
 二〇ページをお開き願います。11、妊娠出産休暇及び育児休業を取得した教職員数と育児休業取得期間でございます。
 (1)は、妊娠出産休暇を取得した教職員数を年度別に、その下の(2)につきましては、育児休業を取得した教職員数を、取得期間一年未満、一年以上二年未満、二年以上の区分に分けて年度別にそれぞれ記載してございます。
 二一ページをごらんください。12、スクール・サポート・スタッフと部活動指導員の配置状況でございます。
 区市町村別に配置人数をそれぞれ記載してございます。
 二二ページをお開き願います。13、都立特別支援学校の外部専門家及び外部人材の導入人数並びにそれに伴う教職員定数の削減数、各校の導入年度でございます。
 それぞれ対象職種、人数及び学校数などを、また、各校の導入年度を記載してございます。
 二三ページをごらんください。14、都立特別支援学校の保有普通教室の状況でございます。
 都立特別支援学校で五月一日現在保有する普通教室数と、その内数として転用教室数について、また、普通教室の間仕切り教室数について、年度別、障害種別、学校別にそれぞれ記載してございます。
 二四ページをお開き願います。15、都立特別支援学校の重度重複学級数の推移でございます。
 五月一日現在の学級数について、障害種別、学部別、年度別にそれぞれ記載してございます。
 二五ページをごらんください。16、募集定員のある都立知的障害特別支援学校高等部の応募状況でございます。
 応募者数、募集定員、倍率等につきまして、学校別、年度別にそれぞれ記載してございます。
 二六ページをお開き願います。17、東京都教育委員会における障害者雇用の実績と雇用率の推移でございます。
 六月一日時点での法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数、障害者の数、実雇用率、不足数を年別にそれぞれ記載してございます。
 二七ページをごらんください。18、島しょに住所を有し、寄宿舎に入舎している児童・生徒数の推移でございます。
 五月一日時点の各寄宿舎に入舎している児童生徒数について、住所地別、年度別にそれぞれ記載してございます。
 二八ページをお開き願います。19、台風十九号による被害のあった都内公立図書館でございます。
 令和元年十一月十一日までに報告のありました、台風十九号による被害のあった都内公立図書館につきまして、自治体名及び施設名をそれぞれ記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきす。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○星見委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○龍円委員 たびたび都議会の本会議や委員会でこれまでお話しさせていただいておりますが、ダウン症があり知的発達がゆっくりな私の息子は、今、六歳でありまして、年長さんです。来年の四月からは小学一年生になります。世間ではよく一年生の壁というふうに表現されたりもしますが、スペシャルニーズのある子にとっては何とも壮絶な壁だなというふうに感じております。
 私が都議会議員になってから一貫して訴えているインクルーシブ教育を求めて、通常学級を就学先として選ぶことは、壁というよりは崖のように感じています。地元の教育委員会の方ですとか、療育の関係者、保育所の先生などから、息子にかかわるほぼ全ての方から、通常学級は息子にとってつらい場所になる可能性が高くて、学校生活を楽しむことができると思うのかというふうに聞かれます。
 ほぼ全員そうおっしゃられるので、そのとおりなのかもしれないというふうに思っています。今の状況で息子が通常学級に通うというのは、もしかすると、つらく、苦しいものになる可能性が高いのかもしれません。私がもしインクルーシブ教育のよさを知らなかったら、きっとすんなりと特別支援学級か特別支援学校に就学を決めていたのではないかと思います。
 事実、息子の周りにいる同い年のスペシャルニーズのある方や、ちょっと年上の方たちも、ほぼ全員が特別支援学校や特別支援学級に就学しています。障害者差別解消法が成立しまして、親が通常学級の就学を望めば、通常学級で学ぶこともできることにはなっていますが、実際には、その選択をするのは、強い信念がなければなかなか難しく、厳しい選択肢だなというのを実感しています。
 今、私は、着地ができるかどうかわからないのに、子供を崖から突き落とすようなライオンの親になったような気持ちであります。最愛の子供のことを一番に考えての選択にもかかわらず、どうなるかわからないという大きな不安を抱えながら、毎日、胃がきりきり痛むような日々を過ごしております。
 私がインクルーシブ教育を推進してほしいと感じるきっかけとなったのは、これまでも一般質問や委員会でもお話ししてきましたとおり、息子を出産したアメリカのカリフォルニア州でインクルーシブ教育とインクルーシブな社会を体験したからなんです。
 教育庁の皆様には釈迦に説法になってしまうかもしれないんですが、そもそもインクルーシブ教育って一体何なんだろうかということをいま一度ここで確認させていただきたいと思います。ここでは一旦、文科省が定めているインクルーシブ教育システムのことは脇に置いておきまして、世界で一般的に使われているインクルーシブ教育についてお話をさせていただきます。
 インクルーシブ教育の反対側にあるのが分離教育です。スペシャルニーズがない、いわゆる健常といわれている子供たちが学ぶ通常の学級とは物理的には違う場所で、特別な支援を受けながら教育を受けるということです。今の日本では、ほとんどのスペシャルニーズのある児童生徒たちが特別支援学校や特別支援学級といった別の場所で学んでいますので、世界の言葉でいえば分離教育が日本の主流であるというふうにいえるかと思います。
 インクルーシブ教育と分離教育の間にあるのが統合教育とか、インテグレーションといわれた教育になります。スペシャルニーズのない子たちが学ぶ通常のクラスにスペシャルニーズのある子がまじって、物理的には一緒に学ぶというものなんです。
 ただ、教育内容は通常のクラスのものであって、クラスにまじっているスペシャルニーズ児が十分に学べるような個別の特別な支援は少ないという状況になっています。今の日本で通常学級というのを選びますと、多くの場合は、この統合教育に近い状況になるかと思います。親からしますと、崖から子供を突き落とすというスタイルになります。
 インクルーシブ教育というのは、通常のクラスの中にスペシャルなニーズのある子が一緒に机を並べて勉強するものの、さまざまな合理的な配慮だったりとか、個別のニーズに合わせた特別な支援を受けながら学ぶというもので、特別支援教育イン通常学級というような感じになります。
 世界では、このインクルーシブ教育が潮流となっています。そのきっかけとなったのが、一九九四年、スペインで開催された特別なニーズ教育に関する世界会議で、九十二カ国の政府及び二十五の国際組織の代表者が話し合って批准されたサラマンカ宣言がありまして、ここで、全ての子供は、何らかの困難さ、もしくは相違を持っていようと、可能な際はいつもともに学習すべきである、特殊学校、もしくは学校内に常設の特殊学級やセクションに子供を措置することは、まれなケースだけに勧められる例外であるべきであると示されたことが原点にあり、世界各国がその動きに追随しているということになっています。
 インクルーシブ教育というと、スペシャルニーズのある子のための教育というふうに聞こえますが、全ての子がともに学ぶという教育なので、全ての子のための教育で、全ての子にとっていいということがアメリカの研究でも明らかになっています。
 ハーバードの教育学大学院で、二〇一六年の八月にア・サマリー・オブ・ザ・エビデンス・オン・インクルーシブ・エデュケーションという論文が発表されました。それによりますと、インクルーシブ教育で育ったスペシャルニーズ児が、卒業した後の自立や一般就労でより成功しているそうなんです。
 それもそのはずでして、子供にとって学校は社会の縮図というような場所になりまして、社会性を身につける、育てる場所であります。スペシャルニーズのある子本人が自分自身のスペシャルニーズを理解して、周りの人にそれを説明して、必要な助けを得るスキルを得ることができたり、逆に、自分なりにどうすれば活動に一員として参加して、自分で力を発揮することができるのかということも学ぶことができます。
 また一方、スペシャルニーズのない児童生徒にとっては、この研究によりますと、二三%が学習面でいい効果があったそうで、そのほかの子についても悪い影響はないということがわかっています。スペシャルニーズのある子が社会性を身につけるのと同じように、ほかの子たちも違いを受け入れて、自然な形で手助けをしたりとか、一緒に活動することを学んでいきます。スペシャルニーズのある子とない子が双方で一緒に生きるということを学ぶことで、本当の意味でのダイバーシティー・アンド・インクルージョンを実現する大人が育っていくかと思います。
 日本では、二〇一八年に法定雇用率が引き上げられまして、そして、東京都でも現在、スペシャルニーズのある人も含め、就労に困難がある人が自分らしく働けるようにする条例の制定に向けて動いてもいます。学校を卒業した後の社会では、インクルージョンに向けて着々と動きは進んでいるんですけれども、それに合わせて教育現場でもインクルーシブ教育が求められてくる時代に入ってきたのではないかなというふうに感じています。
 スペシャルニーズのある方とない方が手を取り合って一緒に働くというのは、いうのは簡単なんですけれども、子供時代をともに過ごしていないと、なかなか簡単なことではないんです。周囲の人たちが、スペシャルニーズのある人に対してどう接したらいいのかわからないとか、どこまで助けていいのか、どこまで任せたらいいのかというのがわからなくて不安を感じたりとか、それがプレッシャーになってしまうようなこともあります。
 スペシャルニーズのある本人も、どのように助けを求めたらいいのかなとか、どのように活躍できるかうまく伝えられないなということもあったりして、いろいろな困難さがあると思います。
 そういうこともありまして、本当の意味でのダイバーシティー・アンド・インクルージョンを実現していくためには、子供時代からともに学び、育っていくことがとても大切だというふうに考えております。
 ちょっと前置きが長くなりましたが、そんな中、都教育委員会では今年度、インクルーシブ教育システム調査研究事業を行っていることに対して、とても大きな期待を寄せております。インクルーシブ教育調査研究事業では、海外を調査するとのことだったんですけれども、どこにいつごろ行きまして、どのように行ったのか、概要についてお伺いいたします。

○高木特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、視察団をヨーロッパとアメリカの二班に分け、令和元年九月に、各班、約一週間の視察を行いました。
 ヨーロッパはドイツのフランクフルト市、フランスのパリ市を、アメリカはロサンゼルス市を訪問し、小中学校を中心に行政機関や大学などを視察いたしました。
 訪問先では、障害のある児童生徒の教育の場として、通常の学級、児童生徒を取り出した教育を行う学級やユニット、特別支援学校などがございました。

○龍円委員 ドイツのフランクフルト、そして、フランスのパリ、アメリカのロサンゼルスを視察、調査したということでした。ロサンゼルスは、私が出産し、インクルーシブ教育のよさを体感したまちのすぐ近くということになります。
 そこで、アメリカでのインクルーシブ教育については、どのような視察をしてきたのか、具体的にご報告を伺いたいと思います。

○高木特別支援教育推進担当部長 アメリカでは、IDEA、個別障害者教育法の規定に基づき、障害がある児童生徒もできる限り通常の学級で学習することを目指し、重度の児童生徒もまずは通常の学級での受け入れが行われているということがございました。また、児童生徒の学習内容につきましては、受け入れの後に考えるべきこととされているということでございました。
 なお、IDEAの規定により、障害のある児童生徒が通常の学級以外の場で授業を受ける場合には、取り出す理由について、IEP、個別化された教育プログラムに記載しなければならないということでございました。

○龍円委員 今おっしゃってくださいましたIDEAはアメリカ連邦の法律で、その内容を勉強しました際にも目からうろこがぼろぼろこぼれて、とてもすばらしい法律だなというふうに思いました。今、アメリカの公立学校に通う児童生徒のうち一二%がこの法律が適用されていまして、それぞれ個別の教育的ニーズに合わせたIEPと呼ばれる個別化された教育プログラムが作成されていました。
 このIEPを作成する際には、通常学級の担任の先生、それから特別支援教育の担任の先生、それから支援員、療育の担当者、必要に応じて医療関係者と保護者が一年に一回集まりまして、細かな目標設定と、それを実現するためのプログラムが組まれておりました。これを一二%の児童生徒に対して行っているので、かなり相当な労力になります。
 それでもこの体制をとっている背景には、学校を卒業した後のことを考えているからだということでした。つまり、その子がインクルーシブな環境にありながら、個別の特別支援を受けて、最大限に学ぶことができれば、将来、その児童生徒が社会で活躍する人となる可能性が高いということなんです。教育がその後の人生にどのような影響を与えるかというところから構築されているのがとても印象に残りました。
 続いて、ドイツやフランスでの視察についても、具体的な報告を伺います。

○高木特別支援教育推進担当部長 フランクフルトでは、障害のある児童生徒は、他の児童生徒とのかかわりなどが良好な場合は、初等教育段階から通常の学級の中で授業を受けることができるということでございました。
 パリでは、一部の小中学校において、障害のある児童生徒に特別な指導を行うユニットがあり、児童生徒の障害の程度によって、通常の学級で学習する時間も設定されておりました。

○龍円委員 ありがとうございます。アメリカでの取り組みについては知っていたんですが、ヨーロッパでの調査もしっかりしてきたということで、詳しい報告が完成するのを楽しみにしております。
 次に、実際に東京でインクルーシブ教育を実践しようとなりますと、地域の小中学校を管轄している区市町村の協力が必須となってまいります。都内の区市町村に対してインクルーシブ教育に関するアンケートを実施したと伺っていますが、どのような内容だったのか伺います。

○高木特別支援教育推進担当部長 アンケートでは、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒数や、医療的ケアを要する児童生徒の状況、支援の実施状況、区市町村教育委員会がインクルーシブ教育システムを構築するために必要と考える項目などについて調査を実施いたしました。
 現在、回答などの精査、匿名化を行うとともに、年度末の最終報告書の公表に向け準備を進めているところでございます。

○龍円委員 年度末に最終報告書を公表する準備をしているということですが、現在報告できる範囲でお答えいただきたいと思いますが、区市町村立の小中学校の児童生徒のうち、通常の学級に在籍するスペシャルニーズ、障害のある児童生徒の割合について伺います。

○高木特別支援教育推進担当部長 令和元年五月一日現在、都内の区市町村立小中学校に在籍する児童生徒のうち、通常学級に在籍する学校教育法施行令二十二条の三に該当する障害のある児童生徒の割合は〇・二%でございました。

○龍円委員 区市町村立の小中学校の通常学級にいるスペシャルニーズのある児童生徒は〇・二%ということでした。これは、約五百人の児童生徒のうち一人がスペシャルニーズ児ということになりますので、一般の子たちからすると、同級生にスペシャルニーズのある子がいるというのは、全くいないわけではないけれども、珍しいなという状況だということになるかと思います。
 次に、スペシャルニーズのある児童生徒を百として見たときに、就学先としてどこが選ばれているのかについて伺いたいと思います。
 区市町村立の学校に在籍するスペシャルニーズ、障害のある児童生徒の在籍状況について、通常の学級、特別支援学級、特別支援学校の比率を、小学校と中学校それぞれについてお伺いします。

○高木特別支援教育推進担当部長 障害のある児童生徒の都内公立学校における学校種別の在籍状況は、小学校では、通常の学級が九・〇%、特別支援学級が五五・三%、特別支援学校が三五・七%でございました。中学校では、通常の学級が四・八%、特別支援学級が五八・五%、特別支援学校が三六・六%でございました。

○龍円委員 世界の意味合いということでいえば、分離教育とされている特別支援学級や特別支援学校に在籍する児童生徒の割合は、小学校では合わせると九一%、そして、中学校では九五・一%に上り、ほとんどのスペシャルニーズのある児童生徒は分離されている状況にあることがわかりました。
 通常の学級に在籍する子は、通常学級の中では五百人に一人というレアだったんですけれども、スペシャルニーズのある子たちの中では少ないながらもいることがわかりました。ただ、小学校だと九%だったのが、中学校になると四・八%にがくんと減る実態もここから見えてまいりました。
 次に、区市町村の教育委員会がインクルーシブ教育の実現のために必要と考える項目について聞いたということなんですが、特に必要だと回答された項目について、多い順に五つ程度挙げてください。

○高木特別支援教育推進担当部長 アンケートは、国が過去に行ったインクルーシブ教育システムに関する全国調査に準拠し、二十九項目を設定して、その中から、各区市町村がインクルーシブ教育システムの構築に必要であると考える上位五項目までを選択する回答方式で実施いたしました。
 その結果、区市町村がインクルーシブ教育システムを構築する上で必要と考えている項目として、約四八%の自治体が教員の専門性を挙げ、約四二%がスタッフ及び予算、約三七%が教員の意識及び管理職のリーダーシップ、約三一%が校内の体制整備、約二九%が施設設備を挙げておりました。

○龍円委員 ありがとうございます。この結果から、通常の学級でスペシャルニーズのある児童生徒を受け入れるために足りていないものというものが見えてきたと思います。およそ四八%と、ほぼ半数の自治体が教員の専門性を挙げていまして、約三七%が教員の意識及び管理職のリーダーシップとの回答でした。
 つまり、学校現場で働く教員や管理職の皆さんの意識と知識が何よりも重要なのだというのが見えてまいりました。また、私自身もこれまで、ここに課題があるのではないかなと考えていましたので、すごく納得しております。
 特別支援学校の教員については、特別支援学校教諭免許を取得することが重要なこととして進められておりまして、都教委の熱心な取り組みもあり、年々その取得率が向上してきていて、特別支援学校においては八〇%に達したということは高く評価できると思います。
 一方で、区市町村立の小中学校の教職員については、特別支援学級の先生であっても、特別支援学校教諭免許の取得は必要とはされていないということもありまして、文科省の学校基本調査によりますと、平成三十年度の東京都の区市町村の小学校の特別支援学級の教職員のうち、免許を取得しているのは、千四百六十三人のうち四百五十七人ということで、約三一%、中学校が八百四十八人中二百人ということで、約二三%でした。これを見てみますと、特別支援学校の取得率に比べると格段に低くなっているかと思います。
 通常の学級の担任も含めた場合、この取得率というのは、今はデータがないということなんですけれども、もっと低くなってくるのではないかなと思います。
 私自身がダウン症のある息子の親になってみて感じていることなんですけれども、スペシャルニーズとか障害というふうに一くくりにして話されることが多いんですけれども、スペシャルニーズのある子たちの特性というのは本当に多岐にわたっていて、一人一人のニーズに対応する力をつけるのは並大抵なことではないというふうに感じております。
 そこで、特別支援教諭の免許がなく、特に専門的な経験もないという状況で、スペシャルニーズのある児童生徒を受け入れる教員というのは大変なご苦労だったりとか不安があるのではないかなと思います。
 ダウン症のある子だけをとってみても、知的な発達のおくれがあるというのは広く知られていると思うんですけれども、例えば自閉症傾向のある知的発達のおくれがあるお子さんと同じ方法でアクセスしても、なかなか効果が出ないということもあったりしますし、知的な部分だけがフォーカスされることが多いんですが、視覚とか聴覚とか、それから知覚とか、関節の緩さとか、筋力の弱さなどといったさまざまな留意点もあります。ダウン症だけをとってみてもこんなにいろいろな特徴があるのに、これらを、あらゆるスペシャルニーズのある子について網羅して対応するというのは、簡単なことではないと思います。
 新任の先生が通常学級の担任をする前に特別支援学級を担当して、いろいろ学んでくださいという話も聞いたりはしますけれども、何か泳ぎ方を知らない人を荒波にまず放り込んで、そして、頑張りなさいといっているようなこともありまして、なかなか大変なんじゃないかなというふうに感じます。また、私のような保護者から見てみても、担任してくださる先生が専門的な知識がないというのは不安な要素として大きいものであります。
 したがいまして、インクルーシブ教育を進めるためには、特別支援学級及び通常学級の先生も含めて、特別支援学校教諭免許を取得することが重要な要件になるかと思います。そのためにも、区市町村立の学校や都立学校の教員らが働きながら免許を取得しやすくすることも重要だと思いますが、取り組みを伺います。

○浅野人事部長 教育職員免許法の規定により、教員として三年以上の勤務経験を有する者は、一定の単位を習得することで特別支援学校教諭免許状を取得できる制度がございます。
 都教育委員会は、現職教員向けに、この制度に基づく免許法認定講習を開設することにより、免許状取得の支援を行っております。この免許法認定講習では、毎年度、夏季休業期間中に三週間程度、都内の会場において、専門の大学教授等が特別支援教育の五つの障害領域についての基礎理論や領域ごとの専門的な知識、指導法等を講義しております。

○龍円委員 夏休みを利用して免許を取得することができる支援を行っているということでした。
 この認定講習の実際の受講者数はどのくらいなのでしょうか伺います。

○浅野人事部長 今年度の夏に実施した特別支援学校教諭免許状取得のための免許法認定講習の受講者数は、区市町村立学校の教員が五百二十五人、都立学校の教員が三百五十九人でございます。

○龍円委員 区市町村立学校が五百二十五人で、都立学校が三百五十九人ということで、この受講者数を見ますと、都立学校よりも、むしろ区市町村立学校の方の方が多いことがわかりました。区市町村の教員の方々も専門的な知識の必要性を感じていることがここから推測されます。
 ただ、この夏休み期間の講習は今以上に講座数をふやすことは難しいというふうに伺っておりまして、また、教員からすると、日程が合わなかったりすると翌年まで待たなければいけないことになったりなど、専門的な知識を有する教員をぐぐっとふやしていくためには、さらなる工夫も必要な気もしています。
 素人考えなのかもしれないんですけれども、一部については、eラーニングを取り入れることで、夏休みではない時期に先行して学んでおくことができて、夏休みの時期、実際に講座に通う時間を減らすことで、全体ではより多くの受講者を受け入れるようにするとかなど、区市町村の学校の教員の免許取得率について、さらなる向上にするための工夫を検討していただけますよう要望させていただきます。
 免許の取得率向上が難しいというのであれば、それにかわるような教員の専門性を上げていく取り組みを検討していただけたらと思います。これは、インクルーシブ教育推進にとってはとても大切な肝となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、先ほどのインクルーシブ教育の実現のために必要と考える項目に関するアンケートの二番目に多かったスタッフなんですけれども、四二%の自治体が必要だというふうに答えていました。これは、スペシャルニーズのある子に付き添う看護師、支援員、介助員の配置というようなことになるかと思います。
 現状では、区市町村の小中学校に配置する看護師や支援員や介助員などの配置に関してどのような支援がされているのか伺います。

○高木特別支援教育推進担当部長 各区市町村では、障害のある児童生徒の支援のために、看護師や学習支援員、生活介助員などのスタッフを必要に応じて配置しております。
 なお、看護師につきましては、国の補助制度がございます。学習支援員や生活介助員につきましては、区市町村独自の予算で配置しております。

○龍円委員 看護師については国の補助があるものの、学習支援員や生活介助員については区市町村が独自で配置しているということでした。
 区市町村が独自でこれらのスタッフを配置するとなると、どうしても財政面での体力の格差が出てきてしまいます。
 また、都立特別支援学校に行けば予算がかからないのに、地域の学校で受け入れようとするとお金がかかってしまうということになると、なかなか受け入れが進まない要因の一つにもなり得るかと思います。ぜひ東京都として、今後、区市町村が支援や介助員を配置する際の支援について検討していただけますよう要望させていただきます。
 次に、日本国内でのインクルーシブ教育に関する視察もしたと伺いましたが、どのような視察をしたのか伺います。

○高木特別支援教育推進担当部長 大阪府箕面市の小中学校と、入学枠を設定し軽度の知的障害がある生徒を受け入れている神奈川県茅ヶ崎市の高等学校を視察いたしました。

○龍円委員 文教委員会に所属している委員の有志でも、箕面市の方を視察させていただきました。箕面市は、ともに学び、ともに育つをテーマに三十年前からインクルーシブ教育を実践しておられるそうです。特別支援学級に籍がある児童生徒は全体の五・六%に当たるということなんですが、実際に学校にお邪魔してみると、特別支援学級には子供たちがいませんでした。
 特別支援学級では授業は行われておらず、特別支援学級に在籍している全ての子が通常学級に所属していて、一緒に学んでいる姿がありました。
 そして、通常の学級には担任の先生とスペシャルニーズのある子をケアするための特別支援担任の先生が二人体制で授業をしているのを拝見しました。特別支援学級の担任の先生はスペシャルニーズのある子の支援もするんですけれども、手があくと学級全体の指導、そして、お手伝いもしておられました。特別支援学級の先生が入らないという場合もあると思うんですが、その場合は介助員の方々が手助けをしている場面も見受けられました。
 それから、個別の学習ニーズに応じては、その子供を学級から一旦取り出して、マンツーマンでの指導をしているような場面も見受けられました。これは、アメリカで私が見聞きしてきたインクルーシブ教育にとても近い姿だなということを感じて、大変感動いたしました。
 また、箕面市では、全ての教室にユニバーサルデザインというものが活用されていました。これは、全ての児童生徒にとってもいいということで、ぜひ東京都でも、もっと積極的に区市町村の小中学校で取り入れていただけたらいいなというふうに思います。
 先ほどのアンケートの五番目、施設整備というのがありましたけれども、これが何を指しているのか、これだけではわからないんですが、ユニバーサルデザインも施設整備の、小さいものですが、一つなのかなと思いますので、積極的な導入に向けた啓発などをしていただけたらと思います。
 地域の学校に通う上で、学校内のことということではないんですけれども、結構大きなハードルとなるのが通学です。まだ、朝、学校に送っていくのはいいんですけれども、帰りは仕事の都合などで迎えに行けないため、学童ですとか、放課後等デイサービスへの移動が簡単ではないというふうに伺います。そこを箕面市では福祉タクシーを利用していました。
 東京にはジャパンタクシーも普及していますし、介助員とタクシーをうまく利用した通学支援があったらいろいろ解決するんじゃないかなというふうに感じたりもしています。箕面市の取り組みは非常にいいものだと思いますので、ぜひ都教委の方でも参考になさっていただけたらと思います。
 次の質問ですが、有識者からもヒアリングを行ったと聞きましたが、報告を伺います。

○高木特別支援教育推進担当部長 ヒアリングでは、インクルーシブ教育システムに関して、特別支援学校であること自体、障害者権利条約に違反している、また、障害者権利条約に批准したが、人々の意識が変わっていかないと何も変わらない、本当の意味でのインクルーシブとは受け皿が多様化していないと成り立たない、インクルーシブ教育システムで皆が統合して教育を受けるという理念のもとでも一番大事なのは、子供にとって最適な学びの場を選ぶことであるなどの幅広い意見がございました。

○龍円委員 幅広い意見を聞いてくださったということで、ありがたいと思います。これまではなかなかインクルーシブ教育について意見を持っていらっしゃる方々の声をきちんと聞く機会も多くはなかったと思いますので、こういうヒアリングは大切な取り組みだと思います。
 今年度末までにインクルーシブ教育調査研究事業の報告を取りまとめるということですが、それを受けて、その後はどうするのか伺います。

○高木特別支援教育推進担当部長 各国でも、歴史的背景や国と地方自治体の教育における権限、教育制度、移民の受け入れ体制など、国策上の優先されるべき課題などさまざまであり、インクルーシブ教育へのアプローチも異なっております。
 国内の有識者のヒアリングでも、障害のある子供と障害のない子供がともに学ぶことへの考え方はさまざまでございました。
 子供たちの教育を行うに当たっては、障害の有無を問わず、それぞれの子供が授業内容を理解し、学習活動に参加している実感、達成感を持ちながら、充実した時間を過ごしていくことが重要でございます。
 こうしたことを踏まえ、今後、国内外の調査や国の動きを見据え、日本の教育制度の中でどのようなことができるか検討してまいります。

○龍円委員 調査研究事業が終わった後もどのようなものができるのか検討するということで、希望を感じるお答えでした。
 スペシャルニーズのある児童生徒が通常の学級に学ぶことが、今は崖から飛びおりるほどの勇気を出して飛び込むような厳しい選択肢なんですけれども、それが一つの選択肢として広く浸透するようなインクルーシブ教育の推進を進めていただけますよう、心からお願いを申し上げます。
 次に、教育の相談体制について伺います。
 二〇一九年四月から、SNSを活用した相談窓口、中高生限定教育相談が開始されました。LINE等を活用した相談というのは中高生にとっては相談しやすい体制だと思いますので、とてもすばらしい取り組みだと感じております。
 まず、SNS教育相談において、SNS上のやりとりだけで解決が難しい悩みや相談が寄せられた場合はどのように対応しているのでしょうか、お伺いいたします。

○増田指導部長 都教育委員会が実施しているSNS教育相談における相談員は、臨床心理士等を充て、専門的知見に基づいて相談に応じるとともに、必要に応じて経験豊富なスーパーバイザーが相談員に対し返信内容等について助言する体制を構築しております。
 なお、寄せられた相談の中で重篤な内容やSNSのやりとりだけでは解決できない内容につきましては、丁寧な返信を繰り返した上で、都教育相談センターの電話相談などの相談窓口に直接相談するよう促すなど、子供たちの不安や悩みの解消に向けた具体的な支援につなげるようにしております。

○龍円委員 生徒の悩み、困り事は多岐にわたっていると思いますが、その中でも性自認及び性的指向に関する悩みは、中高生時代は自分が異常なのかなというふうに思ったりとか、誰にも相談できなくてとても苦しい思いを抱えている時期だということは、これまでの質疑の中でも触れてまいりました。
 総務局は現在、性自認及び性的指向に関する専門電話相談を実施していますが、先日発表された基本計画の素案によりますと、今後、総務局が、性自認及び性的指向に関するSNS相談窓口を設置する予定だということです。
 この新たな総務局のSNS相談窓口とSNS教育相談との連携によって、より適切に対応できるようにすべきだと考えますが、都教育委員会の見解をお伺いいたします。

○増田指導部長 SNS教育相談において、今後、性自認及び性的指向に関する不安や悩みを抱える生徒から相談を受けた際は、生徒の心情に寄り添ったやりとりを行った上で、特に専門的な知見からの助言が必要と考えられる相談を受けた場合には、総務局が設置する東京都性自認及び性的指向に関するSNS相談窓口を紹介するなどの連携を図っていく予定でございます。

○龍円委員 総務委員会の方でも、東京都が実施している各種相談窓口との連携が重要であるということが議論されたと聞いております。総務局のSNS相談では、実際の困り事を解決するというところについては難しい場合もあります。例えば同性パートナーからのDVについて、法的な措置については、総務のSNS相談ではなかなか解決することができないので、ウィメンズプラザの相談窓口と連携することが救いになるというようなケースもあると思います。
 このように、ほかの相談窓口と連携することで、困り事や悩みをしっかりと解決につなげていくことがとても重要だと思います。特に、周りに相談する人またはロールモデルとなるような人がいない中高生時代は、性自認及び性的指向に関して相談すること自体がとても大きなハードルとなっています。勇気を出して助けを求めた声を必ず助けていただけますよう、しっかりと連携していただけますようお願いいたします。
 また、相談したことによって、それがアウティングにならないように、SNS教育相談の担当者の皆様にも正しい知識を持っていただくことも大切だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 総務局が作成中の基本計画の素案を見ますと、人権教育に関する研修会等において、性自認及び性的指向に関する内容の充実を図るとともに、新たに作成する性自認及び性的指向に関する職員向けマニュアルを活用することによって、生徒に対してより一層きめ細やかな対応ができるようにしていきますというふうに記載されています。
 総務局が新たに作成する性自認及び性的指向に関する職員向けマニュアルを踏まえて、研修の充実に向けてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○増田指導部長 これまで都教育委員会は、学校において性自認や性的指向に係る児童生徒の悩みに対してきめ細やかな対応ができるよう、人権教育の実践的な手引である人権教育プログラムに性自認や性的指向にかかわる資料を掲載し、都内全公立学校の全教職員に配布するとともに、人権教育の研修会などで活用しております。
 研修会におきましては、医療や心理の専門家等による講演を実施するとともに、トイレ、更衣室の使用等、具体的な支援例を掲載した指導資料を配布するなどして、教職員の理解啓発を促してまいりました。
 今後、ご指摘のマニュアルなど、さまざまな資料を活用して研修の充実を図ることにより、教職員の対応力を向上させ、全ての子供たちが自分らしさを発揮し、生き生きと学校生活を送ることができるようにしてまいります。

○龍円委員 ありがとうございます。
 そして、総務局の話ばかりで恐縮なんですが、総務局の基本計画素案には、文部科学省の通知等をもとに、トイレ、更衣室の使用、健康診断の実施等についての配慮事例をまとめた資料を人権教育に関する研修において活用することにより、教職員の対応力の向上を図り、全ての児童生徒が自分らしさを発揮し、生き生きと学校生活を送ることができるよう支援していきますというふうに記載されておりまして、これは去年質問した要望等が生かされておりますので、大変ありがたいと思っております。
 総務局の基本素案には、毎年度十二月の服務事故防止月間において、全ての都内公立学校において全教職員を対象に実施している校内研修及び自己点検の内容に、性自認及び性的指向に関する正しい知識を取り入れることとしますというような記載があります。
 服務事故防止月間とはどのような活動なのか、また、服務事故防止月間で性自認及び性的指向に関してどのように取り組んでいくのかお伺いします。

○浅野人事部長 服務事故防止月間とは、全教職員の服務の厳正及び都内の全公立学校から服務事故の根絶を図る目的で、七、八月と十二月の年二回、都教育委員会が設定している取り組みでございます。
 期間中は、都内の全公立学校で、校長、副校長が教職員に対し服務事故防止のための研修を行い、教職員は自己点検を実施し、服務事故の未然防止に努めております。都教育委員会では、研修資料や自己点検用チェックリストを作成し、学校へ提供しております。
 今後は、都の基本計画に基づき、都庁全体でセクシャルハラスメント防止に取り組んでいる十二月の月間に合わせ、セクシャルハラスメント防止の観点で、性自認及び性的指向に関しても、研修資料やチェックリストを通じて教職員に正しい知識を持たせてまいります。

○龍円委員 ありがとうございます。
 その基本計画素案には、社会教育においては、啓発学習資料「みんなの幸せをもとめて」の作成、配布に加えて、性自認及び性的指向を含む複数の人権課題を取り上げた人権学習教材ビデオを新たに作成して、社会教育事業等における学習で活用していきますというような記載があります。
 こちらに出てくる人権学習教材ビデオとはどのようなものなのかお伺いいたします。

○太田地域教育支援部長 都教育委員会は、社会教育関係団体等において人権尊重の理念を正しく理解し、さまざまな人権課題にかかわる差別意識の解消を図るための学習に活用できる資料として教材ビデオを隔年で作成し、主に、区市町村教育委員会、公立中学校、国公私立高等学校などに配布しておりまして、本年度三月に発行する予定でございます。
 企画、制作に当たりましては、東京都人権施策推進指針等を踏まえて基本方針を作成し、これに基づき映像の制作を行っております。

○龍円委員 それでは、本年度作成する人権学習教育ビデオについてはどのような内容になるのかお伺いいたします。

○太田地域教育支援部長 本年度制作予定の教材ビデオについては、東京都人権施策推進指針で取り上げている十七の人権課題のうち、障害者、外国人、性自認及び性的指向などの複数の人権課題を取り上げ、制作する予定でございます。

○龍円委員 ありがとうございます。
 私の地元の渋谷区では、NPOが作成しました性自認及び性的指向に関するDVDを教材として採用しまして、全ての区内の学校に配布することが最近発表されたばかりです。このDVDは、多様な性があることを人を通して紹介しております。
 運用する際には、いきなりDVDを見ると、子供たちが理解するのに戸惑う可能性もあることから、まずは当事者を先生として教室に来てもらって、お話を聞く機会をつくってからDVDを観賞するような工夫をしていくように聞いています。ぜひ新しく作成する人権学習教材ビデオについても、当事者の生の声を聞く機会と合わせるなどの工夫も現場でしてもらえるようになるといいかなというふうに思っております。
 今後も全ての児童や生徒が自分らしく輝いて学校で学べるために、東京都教育委員会の皆様には引き続きご尽力いただけますようお願いしまして、質疑を終えさせていただきます。ありがとうございました。

○柴崎委員 初めに、部活動の指導員についてお伺いしたいと思います。
 部活動は、指導者により活気も出、また、生徒はそれぞれの部活動に対しまして、より興味を持つようになるわけであります。部活動の充実に向けて実習している部活動指導員は、平成三十年度からスタートしてちょうど二年目となるわけであります。
 特に運動部のこのたびの部活動指導員制度については、学校の先生が随行しなくても、中体連、あるいは高体連、こういった、主催する大会にも参加できるようになった。このことは従来と大きく変わった点でありまして、高く評価するところであります。したがって、この制度を活用することで、部活動はさらに活気が出てくると思います。
 そこで、平成三十年度の部活動指導員の配置状況について伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 部活動は、生徒がスポーツ、文化に親しむ観点や責任感、連帯感の育成といった面において極めて大きな意義があり、その充実を図っていくことが重要でございます。
 このため、都教育委員会は、部活動指導員の配置促進に取り組んでおり、平成三十年度、都立学校百二十七校に三百七十六名を配置し、中学校には国の補助事業を活用し、区市町村教育委員会の申請に基づいて、中学校、計百二十校、二百二十名の部活動指導員の配置を支援いたしました。

○柴崎委員 次に、運動部の部活動におきまして、顧問の転勤等によりまして指導者がいなくなったということから、休廃部となった学校があると仄聞をしております。私の地元の中学校でも、そうした学校が幾つか見受けられるわけであります。例えば体育館とは別に武道場を持ちながら、剣道部、あるいは柔道部、こういった部活動がなされていない学校も数多くあるわけでございます。
 こうした中におきまして、部活動を復活させたり、あるいは継続的に維持発展させたりしていくためには、この部活動指導員の活用が有効であるというふうに考えます。
 都教育委員会の見解を伺いたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 中学校におきまして、生徒のニーズを踏まえた部活動を継続的に維持発展させていくためには、専門的な技術指導に加えて、教員にかわり大会引率や審判等を行うことができる部活動指導員の活用を推進する必要がございます。
 今後、区市町村教育委員会の担当者連絡会や、中学校保健体育主任連絡協議会等におきまして、部活動指導員の効果的な活用事例を周知するとともに、一般財団法人東京学校支援機構に新たに設置いたします人材バンクが提供する人材情報の活用などを推進してまいります。

○柴崎委員 ぜひ積極的にご対応をお願いしたいと思います。
 こうした中で、以前の指導員制度の中では、個別に、スポーツ指導のできる方に個々に学校が依頼していた、こんなケースもかなりあったようでございます。今後は、こうした新たな制度が発足したわけでありますから、それぞれ、体育、スポーツ団体がございます。こうしたところと強力に連携を図ることが重要だと思っております。
 したがって、部活動の指導員の選定に当たりましては、学校側と、そうした体育、スポーツ団体との連携を図る中で進めていただくように、教育庁としてもしっかりと尽力していただくことを要請しておきます。
 それでは、次の質問に入ります。
 次は、農業系高校におけるGAPの取り組みについて伺いたいと思います。
 まず初めに、農業系高校におきまして、GAP認証を取得し、農業の適切な生産工程管理を学ぶことは、将来、農業や食品関連産業を目指す生徒にとっても大変重要なことだと思っております。
 今後は、農業系高校でGAP認証を取得した生産物を東京二〇二〇大会に食材として提供することなどを通じ、農業系高校ならではのレガシーとしていくべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○江藤都立学校教育部長 都立農業系高校におきましては、食品安全、環境保全、労働安全などを確保するための適切な農業生産工程管理であるGAPの取得を推進しております。
 現在、島しょ部以外の五校でGAP認証を取得し、年度内に認証の取得を目指す島しょ部の三校も含め、全ての農業系高校でGAP認証を取得する予定でございます。
 今後、東京二〇二〇大会への食材提供を全ての農業系高校で実現することを目指しつつ、大会への食材提供を機に、農業のグローバル化や環境保全などの課題にも取り組むなど、農業系高校独自の大会レガシーとして継承していくよう、各校での取り組みを支援してまいります。

○柴崎委員 ぜひ推進をしていただきたいと思います。
 次に、農業においては、適正な農業工程管理を行って、安心・安全な農作物を提供していくことは非常に重要なことであります。
 そのため、将来の農業関連産業に従事することが期待される農業系高校の生徒に、GAP認証を取得した農家などで実践されている農業を体験させることや、授業以外の諸活動で農家との連携を深めるなど、都立の農業系高校が地元農家と連携する取り組みを強化すべきであると考えますが、見解を伺いたいと思います。

○江藤都立学校教育部長 農業系高校ではこれまで、各校の教員が日本GAP協会などが主催する研修を受講したり、認証取得の過程においてコンサルタントの指導を受けるなどの取り組みを推進してまいりました。また、GAP認証を取得している農家を教員が訪問し、認証を取得した農場の現場を視察したり、GAP認証を取得している農家に、生徒がインターンシップで実際に学ぶなどの取り組みを実施しております。
 今後は、こうした最新の農業を行う農家との連携を進めていくとともに、GAP認証を取得している学校の農場において、都市農業を実践する地域の農家とともに、GAPに関する講習会を実施するなど、地元農家とのさらなる連携を推進してまいります。

○柴崎委員 ぜひこうした形で地元の農家との連携を図っていただきたいと思います。
 また、私の地元におきましては、GAPの認証取得はしないものの、例えば、体験農園も全国的に非常に有名な農家が数多くあります。あるいは軒先販売で地域から高い評判を得ている、こんな農家も多数おります。
 こうしたGAPを取得していない農家とも連携を図ることも必要じゃないかと思っておりますし、今後の都市農業を守っていくためにも、都立農業系高校が地元としっかりと結びついている農家との連携を深めていくことを、都からも側面から尽力していただきたい。このことを申し上げまして、次の質問に進みます。
 続いて、高等学校における外国人生徒に対する教育環境の整備について伺いたいと思います。
 私の地元には、都立田柄高校がございます。この学校は、在京外国人枠設置校として二十人の募集枠があります。毎年さまざまな国の生徒が入学し、そして、外国籍の生徒は、生活習慣、文化や言語の違いから学校での授業や生活などについて戸惑いがあり、そうした生徒に対しまして先生方が熱心に指導に当たられているというふうに仄聞しております。
 このような中、学校では、外国籍の生徒を国語等の授業時間に取り出して、日本語習得のための指導をするなど、個々の生徒の状況に合った指導を行い、学力の定着を図っているとのことであります。これら生徒のためにも、ぜひ教育の拡充、充実を進めてもらいたいと思います。
 一方では、国におきまして、いわゆる入国管理法が改正されました。したがって、ことしの四月からは新たな在留資格である特定技能が創設され、受け入れが始まったわけであります。特定技能一号は家族の帯同は認めておりませんが、熟練した技能を要する業務に従事する特定技能二号は家族帯同が認められております。
 したがって、今後さらに、都立田柄高校のように在京外国人枠を設置している学校への応募者が増加することが予想されるわけであります。
 このようなことから、今後、在京外国人枠を拡大していく必要があるかと考えますが、都の見解を伺いたいと思います。

○江藤都立学校教育部長 在京外国人生徒対象募集枠についてでありますが、令和二年度入学者選抜から新たに、都立杉並総合高校に募集枠を設置し、十五名を募集いたします。また、都立府中西高校におきましては、募集人員を五名ふやし、来年度は二十名に拡大いたします。
 したがいまして、在京外国人生徒対象募集枠設置校における令和二年度の四月募集の人員は、今年度と比較しますと、二十名の増の百五十名となります。
 今後の在京外国人生徒対象募集枠の拡大につきましては、入学者選抜の応募状況等を踏まえ、検討してまいります。

○柴崎委員 いずれにいたしましても、こうした外国人に対しまして、日本の文化、あるいは日本の慣習、これらをしっかりとやはり指導していただきたい。そのことを申し上げておきたいと思います。
 続きまして、島しょ地区に在住する特別な支援が必要な生徒に関しましてお伺いしたいと思います。
 我が党は、島しょに在住する特別な支援を必要とする生徒が中学校卒業後に本土の寄宿舎に入舎し、都立特別支援学校で学ぶ場合、各島と本土の寄宿舎を行き来する際の保護者の経済的負担をより一層軽減するよう求めてまいりました。
 都教育委員会はこれに応え、今年度から、国の制度の対象となっていなかった付添人交通費などについて単独で支給することとなったわけであります。
 そこで、こうした支援がどの程度、保護者の経済的負担の軽減につながっているのかを伺いたいと思います。

○高木特別支援教育推進担当部長 生徒が島へ帰省する場合の付添人の交通費につきましては、本人が高校生で肢体が不自由でない場合などは、国の就学奨励事業の対象外として支給されておりませんでしたが、今年度から、都の単独事業として、実費相当額の全額を支給対象といたしました。
 また、帰省の際に、船便などの事情から、やむを得ず宿泊を要する場合につきましても、一定の額の範囲内で本人と付添人の宿泊費を支給し、保護者の負担軽減を図ることといたしました。
 今年度四月から六月末までの三カ月の利用実績は、新たに支給することとした付添人交通費につきましては、延べ十六往復分で約三十二万円、生徒本人と付添人の宿泊費につきましては延べ十三泊分で約五万円でございます。

○柴崎委員 島しょに在住する特別な支援を必要とするお子さんとその保護者の方の負担軽減が充実してきたことは、大変喜ばしいことだと思っております。
 一方、島しょへの帰省の際に利用できる交通手段を見ますと、大島は航空便があるにもかかわらず、本土との距離がほかの島より近いため、船便の利用しか認められておりません。航空機で行けば片道二十五分で行けるわけでありますが、船便の場合には、ジェット船だと百五分かかります。島しょの子供たちが入舎する寄宿舎がある八王子からは、竹芝よりも調布の方が近いというメリットもあります。
 また、やむを得ず宿泊した際の宿泊費の負担が軽減されたことは保護者にとりましてとてもありがたいことではありますが、支給額に上限がありまして、上限を超えた部分に持ち出しが生じてしまうとの声も届いているところであります。
 そこでお伺いしたいのは、保護者や児童生徒の帰省にかかわる時間的、経済的負担をより一層軽減する必要があると考えますが、都教育委員会の見解を伺いたいと思います。

○高木特別支援教育推進担当部長 就学奨励事業は国の制度であるため、国の法令等に基づき実施することが必要でございますが、島しょ地区に在住する児童生徒が特別支援学校で安心して学習できるようにしていくことも大切でございます。
 そのため、島しょの特別な支援を必要とする児童生徒の保護者の負担軽減につきましては、実態を踏まえつつ検討してまいります。

○柴崎委員 ぜひ保護者や児童生徒の負担軽減に向けまして、前向きな検討をいただきますことをお願いいたしまして、質問を終わります。

○のがみ委員 最初に、防災教育について質問させていただきます。
 マイタイムラインですね、これ。(資料を示す)これは、小学校低学年、高学年、中学生、そして高校生、一般と五種類出ております。このマイタイムラインについては、我が党が提案し、作成していただいた経緯がございます。
 今回の台風十九号に関しましては、このマイタイムラインが大変にタイムリーで好評だったという声もたくさん上がっておりますけれども、一方では、もう少し活用方法を検討すべきではないかという声もあります。
 マイタイムラインの活用について、都教育委員会は、学校に対してさまざまな周知をして、これを配布したと思いますけれども、周知の方法について、まず最初にお伺いいたします。

○増田指導部長 今年度、都教育委員会は、児童生徒が風水害発生時に適切な避難行動をとることができるようにするため、総務局と連携し、都内公立学校の全ての児童生徒に東京マイタイムラインのセットを配布し、あわせて、家族とともに作成することを促す指導を行うよう求めてまいりました。
 具体的には、六月に、校長連絡会や区市町村教育委員会の担当者連絡会等において、児童生徒が家庭でマイタイムラインを作成する意義や手順等について資料を示して説明をいたしました。
 また、本格的な台風シーズンを迎える夏季休業日の前に、避難する場所を決めよう、避難するタイミングを決めようなど、マイタイムライン作成のヒントを記載したチラシを学校に送付し、このチラシを活用した児童生徒への指導を通して、夏季休業日中に各家庭で作成されるよう、改めて啓発を図ったところでございます。

○のがみ委員 六月の早い段階から安全教育を担当している指導主事とか、あるいは安全教育担当の先生方に周知したということを聞いております。聞き取りの結果、家庭で子供と話し合って作成した例がどれぐらいあるのかちょっとまだ把握しておりませんけれども、葛飾区の小学校、中学校で、このマイタイムラインを活用した授業が行われました。
 大変工夫された、よい授業でございました。導入は学級の担任の先生が行うんですけれども、いよいよ大事なところは、総務局の担当の職員の方がぱっと入れかわって、本当にわかりやすく授業を行っていらっしゃいました。合同で授業を展開したということでございます。
 これは一つのモデル授業でございますけれども、この実現に向けての取り組みは大変すばらしかったと思います。都教育委員会は、こうした授業の実現に向けて、また、ほかの学校にも同じように周知をしながら、工夫をして、展開例をしていかなければいけないと思いますけれども、その展開例についてお伺いいたします。

○増田指導部長 都教育委員会は、各学校において、東京マイタイムラインの作成に向けた効果的な指導が行われるようにするため、風水害の被害を受けやすいとされる地域の小中学校と連携してモデル授業を実施いたしました。
 授業に先立ち、学校の管理職や教員と総務局の担当職員、都教育委員会の安全教育担当の職員が協議しながら、学習指導案や教材を作成いたしました。学級担任と総務局の職員のチームティーチングによる授業を受けた児童生徒からは、家族と話し合ってマイタイムラインを作成したい、台風が接近しているときの行動をシミュレーションしておくことの大切さに気づいたなどの感想が寄せられました。
 都教育委員会は、こうしたモデル授業の成果を事業展開例として資料にまとめ、都内全ての公立学校に送付して周知を図ったところでございます。

○のがみ委員 この授業の展開例を資料として全ての学校に配布したということでございます。
 台風十九号のとき、私は、消防団で任務についておりました。中学生の活躍がすばらしかったです。葛飾区の場合は、避難所開設が百十七カ所、全ての小学校、中学校、そして、区民センターをオープンにいたしました。都立学校においては、いろいろ連絡をしたんだと思うんですけれども、誰が鍵を持っているのかわからなくて、開設がおくれたところもありました。しかし、三校開設をいたしまして、町会、自治会と日ごろから連絡を密にとり合っている学校と、そうでない学校の差があったと思います。
 台風の十五号、十九号に対して、まさにこの風水害のタイムラインが大変意義深かったと思います。
 マイタイムラインをより効果的に活用するためには、今までずっと使ってきて防災ノートとあわせて活用を図るべきと考えます。学校における防災ノートの活用についてお伺いいたします。

○増田指導部長 都教育委員会は、毎年度児童生徒に配布している防災ノートに、今年度、東京マイタイムラインの作成方法等を掲載するとともに、風水害に備えて行うべき取り組みとして、地域ハザードマップの確認やマイタイムラインの作成をチェックリストの項目に加え、実施した日付と保護者のサインを記入する欄を設けました。
 今後、児童生徒が家族とともに風水害に対する防災意識を高め、災害発生時に自他の生命を確実に守ることができるよう、学校における取り組みを強化してまいります。

○のがみ委員 これからの時代は、いよいよ大型台風がいつ襲来するかわからない、そういう時代に入ってまいりました。マイタイムラインをしっかりと学習していただきたいと思います。
 日ごろからの訓練ということで、都立学校におきましては、一泊二日の宿泊防災訓練を実施しております。その実施状況についてお伺いいたします。

○増田指導部長 一泊二日の宿泊防災訓練は、地震等による発災時の心構えや対処方法を体験を通して学び、自助、共助の精神を育成することを狙いとして、全ての都立高校等で平成二十四年度から実施しており、平成三十年度は約四万一千人の生徒が参加いたしました。
 この訓練では、生徒が学校から帰宅できない状況を想定し、備蓄食料による食事や教室等での就寝などを行うともに、地域や関係機関と連携した消火訓練やAEDを活用した応急救護等に取り組んでおります。

○のがみ委員 同様に、多分実施するのは大変困難を来すと思うんですけれども、特別支援学校における宿泊防災訓練についてお伺いいたします。

○増田指導部長 平成三十年度は、全ての都立特別支援学校で宿泊防災訓練を実施しており、参加した児童生徒の人数は約一千七百人でございました。
 この訓練では、地域の方による講演を聞く防災学習、マットや毛布等の災害備蓄品を使って就寝する訓練などを行っております。また、かたい非常食だけでなく、やわらかい非常食など、児童生徒の実態に合わせた食事を準備する体験を行っている例もございます。

○のがみ委員 都立高校も、都立特別支援学校も、日ごろからの訓練をしっかりとしているということで、安心をいたしました。東京都防災アプリがありますけれども、今、自分がいる場所でどれぐらいの水が浸水するのか、浸水深をマップで出せるようになっておりまして、このアプリの活用が非常にすばらしいと感じました。ぜひともこういった点も子供たちと一緒に勉強していっていただければと思っております。
 次に、体育館の空調設備について質問いたします。
 我が党の主張により、都教育委員会は、今年度から三年以内に都立高校体育館の空調整備を行うこととしております。今年度は都立高校の二十校で整備予定ということですが、その進捗状況についてお伺いいたします。また、残りの学校についても今後の整備についてお伺いいたします。

○江藤都立学校教育部長 今年度、体育館への空調整備を予定していた都立学校二十校につきましては、夏までに整備を完了しております。また、未整備の都立学校のうち、来年度、リースによる整備を想定している高校につきましては、現在、導入機種や設置場所、電気設備になどにかかわる確認等を進めております。
 今後、令和二年度当初からの整備に着手できるよう、今年度末までに準備契約を行うなど、体育館への空調整備に向けた調整を進めてまいります。

○のがみ委員 今年度整備を行った二十校のうち、十校は工事により、残りの十校はリースにより整備を進めていくということでございます。
 リース方式の場合、工事と違って設計の期間もなく、迅速な整備を行えることがメリットだと思います。契約内容についてお伺いいたします。

○江藤都立学校教育部長 今年度、リースにより体育館への空調整備を行った都立高校につきましては、室内機や室外機などの空調機器の設置や、設置後の維持管理などをリース契約の業務内容として盛り込んでおります。
 また、リース契約の期間は令和元年七月から令和六年度末まででございます。

○のがみ委員 先ほどもちょっと話したんですけれども、先日の台風十九号の発生時には、私の地元の葛飾区では、都立高校が三校、避難所として開設をされました。このうち、南葛といわれる南葛飾高等学校の体育館はもう既に空調整備が行われておりまして、近隣の皆様も安心して避難することができたと聞いております。こうした事例は、我が党が力を入れて主張した都立学校体育館への空調整備の成果の一例であると認識しております。
 災害発生のリスクが懸念される中、今年度から三年以内に全ての都立高校の体育館に空調を設置するという目標に期待が高まっているところでございます。今年度の整備を完了したのが二十校ということなので、台風十九号の発生時に避難所として開設された都立高校のうち、体育館への空調整備を完了していた高校の数はまだ少なかったと思われます。
 避難所を開設した数と空調整備を完了していた数、それぞれの数についてお伺いいたします。

○江藤都立学校教育部長 台風十九号の発生時に、区市町村からの要請により避難所を開設した都立高校の数は十六校でございます。このうち、体育館への空調整備を完了していた都立学校の数は三校でございます。

○のがみ委員 台風十九号のような風水害に見舞われた場合、室外機等が浸水し、使用できなくなることも考えられるわけです。
 リースした室外機等が浸水した際の都教育委員会の対応についてお伺いいたします。

○江藤都立学校教育部長 風水害発生時など、天災によって空調機器を使用できなくなった場合におきましては、使用できなくなった機器の修繕や交換など、リース業者において対応することとなります。
 このため、都教育委員会では、空調機器の速やかな復旧に向けて、リース業者や都立高校とのスケジュール調整などに努めることになります。

○のがみ委員 電源装置が浸水した場合には、空調が使用できなくなるだけではなく、照明設備等も使用できなくなります。避難所としての機能も果たすことが難しくなります。
 そこで、都立高校の電源装置の設置場所についてお伺いいたします。

○江藤都立学校教育部長 都立高校におきましては、ハザードマップや敷地面積などを考慮し、充電設備を設置しております。
 現在、改築等を予定している都立高校のうち、河川に隣接するなどの立地状況にある高校につきましては、二階以上に受電設備の設置を計画しております。

○のがみ委員 都教育委員会は、体育館の空調整備に精力的に取り組んでくださっていることを高く評価しております。しかし、体育館の空調整備に関しましては、子供たちの、生徒たちの教育環境の改善はもちろんのことですけれども、避難所機能を果たす上でも大変重要な施設でございます。
 いざ風水害が発生した場合に、電源装置が浸水することにより、空調設備を使用できないということのないようにすべきだと考えております。今後、改築を行う学校においては、電源装置が浸水することのないように対応を求めます。
 次に、教師の多忙感、働き方改革について質問いたします。
 教師は大変多忙です。過労死ラインを超えているといわれていますけれども、その実態がつかめていません。なぜならば、出勤を管理するタイムカードが、小学校、中学校には導入されていないところが多いんです。
 しかし、その点、都立学校においては出勤のカードシステムの展開が早かったです。都立高校における出勤カードシステムの導入状況と、導入後の在校時間の変化について、最初にお伺いいたします。

○黒田人事企画担当部長 都立学校では、平成十四年度からカードシステムを順次導入し、平成三十年四月からは、これを用いて全校で在校時間の把握を行っております。
 教員の週当たりの平均在校時間につきまして、平成二十九年度に実施した東京都公立学校教員勤務実態調査の時間と、平成三十年度の同時期にカードシステムで把握した時間を比較いたしますと、高等学校では五十三時間六分から五十一時間二十二分に、特別支援学校では五十四時間二十二分から四十八時間四十七分に減少するなどの成果が見られています。
 なお、各学校では、カードシステムによる在校時間の客観的な把握を通じて、教員の健康障害防止の取り組みや校務分掌の見直しなど、長時間労働の改善に活用しております。

○のがみ委員 働き方改革において、在校時間を把握することが第一だと思っております。小学校、中学校に関しては、出勤カードシステムの導入が進んでいるところと、別の仕組みで把握しているところがあります。出勤カードシステムの設置は助成金が出ますが、都が二分の一出します。二分の一はそれぞれの区市町村ということなので、在校時間の変化の状況について、私個人は、入れた方がいいんじゃないか、導入する方がいいんじゃないかと思っております。
 学校の仕事は切りがありません。教材研究一つとってみても、際限なく時間が欲しい。忙しいから嫌になるということではなく、楽しみながら教材研究をやっている先生もたくさんいらっしゃいます。何か課題があったときには、学校の多職種の方々と支えていくことが大変大事ではないかと思っております。
 教員の負担軽減のためには、学校を多職種で支援するチーム学校の体制整備が必要と考えますが、所見を伺います。

○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今日の学校におきましては、不登校やいじめ、特別支援教育など、教育課題が複雑化、多様化いたしておりまして、校長のリーダーシップのもと、教職員と多様な人材とが連携、協働して課題に対応する組織的な学校運営が求められております。
 都教育委員会はこれまでも、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの活用を推進いたしますとともに、昨年度から、スクールサポートスタッフや部活動指導員の配置を進めるなど、指導、支援体制の充実や教員の負担軽減を図ってまいりました。
 今後とも、こうした多様な人材の活用の促進などによりまして、チームとしての学校の体制整備に努めてまいります。

○のがみ委員 課題をたった一人で抱えて悩んでいる、そういう状況ではなく、多様な人材の力をかりながら、チームとして取り組むことが負担感をなくすと思います。協働することが大切です。
 副校長の職務で大変なのが外部人材の確保です。今、若い先生方が多く、結婚、妊娠、出産が多いんです。育休、産休代替教員を探すのが大変ということで、よくロードレース大会などで管理職の先生方にお会いすると、人材確保の大変さがよく伝わってまいります。部活動指導員なども、探し出すのも負担だということです。
 今、準備を進めている東京学校支援機構の人材バンクの準備状況についてお伺いいたします。

○谷企画調整担当部長 東京学校支援機構の人材バンクは、部活動指導員など、学校が求める多様な外部人材の情報を的確に学校へ提供していくことを目的としております。機構では現在、来年度の事業開始に向けまして、区市町村教育委員会等を訪問し、支援を必要とする人材についてヒアリングを行っております。また、人材バンクにご協力いただける企業や大学等の関係機関とのネットワーク開拓などを進めております。
 さらに、今年度中に人材情報の収集、蓄積を開始いたしまして、その際には、広く都民の皆様に対して協力を依頼する広報を行ってまいります。
 これらによりまして、学校が必要とする外部人材が来年度当初から活動できるよう、着実に準備してまいります。

○のがみ委員 ぜひ来年度当初から活動できるように準備を進めていただければと思っております。
 管理職の確保についても喫緊の課題です。特に副校長が多くの業務を抱えていて、若手教員が副校長職になりたいと希望するようなイメージが大事だと思います。しかし、現実には、管理職を目指す教員が少なくなる傾向がございます。
 都教育委員会は、副校長の負担を軽減し、本来業務に専念できる環境を整備するために、学校マネジメント強化モデル事業を実施しております。副校長の業務を補佐する非常勤職員を配置したということでございますが、本事業による学校現場での効果についてお伺いいたします。

○浅野人事部長 学校マネジメント強化モデル事業では現在、小中学校百二十校、都立学校十四校に副校長業務の一部を担う非常勤職員を配置し、副校長の負担軽減について効果検証を実施しております。
 これまでの検証で、副校長の一週間の勤務時間が、非常勤職員の配置前後の比較で約九%、週休日のみについて見ると約二五%縮減したことが確認されるとともに、学校経営や人材育成など、本来業務に携わる時間がふえ、副校長自身のやりがいにつながっているなどの声も聞かれております。
 若手教員が希望を持って管理職を目指すことができるよう、引き続き副校長の負担軽減に向けた支援を積極的に進め、副校長の職の魅力の向上に努めてまいります。

○のがみ委員 副校長っていいな、自分も目指したいなと思えるような配置をお願いいたします。業務負担軽減の人的措置、財務支援がなされれば負担は軽減されることも多いです。
 もう一つ、東京都の小学校教諭の受験倍率が二・一倍と、全国的に採用選考が落ちておりますけれども、こうした働き方改革の取り組みをアピールしていくことが東京都の教員採用選考を目指すことにつながると思っております。
 都の教員採用試験選考を受験してもらうための取り組みについてお伺いいたします。

○浅野人事部長 近年、働き方改革についての教員志望者の関心は高く、都教育委員会では、学校の働き方改革に係るさまざまな取り組みをPRしてまいりました。例えば、採用選考案内に働き方改革のページを設けるとともに、働き方改革についての小冊子を作成いたしました。この小冊子は手にとりやすく、また、事例を通してイメージが湧くことを狙い、漫画で作成したものでありまして、わかりやすいと教員志望の学生等から好評でございます。
 今後、本年十二月に行う教員志望者を対象とした説明会において、働き方改革をテーマとしたパネルディスカッションを新たに実施し、現職教諭に実際の事例等も取り上げてもらうことで、わかりやすく伝えてまいります。あわせて、その模様をインターネットで配信する予定であり、当日参加できない方にも情報が届けられるよう工夫いたします。
 今後とも、教員志望者の増加に向け、都の働き方改革の取り組みを広く発信してまいります。

○のがみ委員 働き方改革の小冊子、漫画ですね、つくったり、働き方改革をテーマにしたパネルディスカッション。これからなんですけれども、インターネットでの配信。東京都の働き方改革のPRがとても大事だと思っております。今後とも優秀な教員を確保するために、より一層のPRを進めていただければと思っております。
 次に、いじめ対策について質問させていただきます。
 世間を震撼させた神戸市の教師のいじめの事件ですけれども、これを分析している平田さんという方が書いておりました。例えば、人気のある若手教員に嫉妬して嫉妬型のいじめ、それから、隣の教室の先生が毎日学級通信を出している、自分は出していないという無気力型のいじめ、それから、深く考えることもなく、自分の感情を爆発させる無思考型のいじめ、それから、最もたちが悪いのが、加害者が被害者への行為そのものを楽しんでいる愉快犯型のいじめ。
 平田先生いわく、職場でのいじめは特殊ではなく、決して珍しくないといっております。
 学校いじめ対策委員会の機能強化に向けた東京都教育委員会の取り組みについて、まず最初に質問いたします。

○増田指導部長 都教育委員会は、平成二十六年度に策定したいじめ総合対策に基づき、毎年度、都内の全公立学校を対象に調査を行い、いじめ防止のための取り組みの成果や課題等を分析し、改善の方策を示すなどしてまいりました。
 この取り組みにより、各学校に設置された学校いじめ対策委員会が中心となって、軽微ないじめも見逃さずに認知し、組織的な対応につなげることができるようになったなどの成果が見られております。
 一方で、学校ごとの取り組み状況に差があることが明らかとなったことから、各学校が自校の課題を明確にして改善を図ることができるよう、平成三十年度に都教育委員会は、調査の方法や内容を見直しました。
 具体的には、教職員が子供の気になる様子を委員会に報告することを徹底しているか、また、委員会が年間の取り組み計画を策定しているかなど、取り組みの進捗状況をレーダーチャートにより見える化できるように工夫をいたしました。
 各学校はこのレーダーチャートを活用するなどして、学校いじめ対策委員会の機能の強化を図っております。

○のがみ委員 二つですね。レーダーチャートによる見える化、それから、学校いじめ対策委員会の機能強化が大事だと思っております。
 我が党の強い要請に応えて、巨額の予算を投じてスクールカウンセラーを導入していただきました。このスクールカウンセラーの全員面接の効果についてお伺いいたします。

○増田指導部長 都教育委員会は、いじめ総合対策に基づき、平成二十六年度から毎年度、都内全ての公立小中高等学校において、スクールカウンセラーによる小学五年生、中学一年生、高校一年生の全員を対象とした面接を実施しております。
 この面接を通して、いじめの事実を把握し、早期に解決を図ることができた事例や、スクールカウンセラーとの会話をきっかけに、その後、相談を希望する子供の数がふえたなどの成果が報告されております。

○のがみ委員 大変多忙な時期に早急に全員面接を行うことによって、さまざまな課題が見えてきて、早期に解決に至ることがございます。
 もう一つ、シニアスクールカウンセラーの取り組みについて質問いたします。

○増田指導部長 都教育委員会は、子供の問題行動等が複雑化、多様化する中、都立高等学校等における教育相談体制の一層の充実を図るため、今年度から、豊富な経験を有する人材をシニアスクールカウンセラーとして都内三カ所の学校経営支援センターに一人ずつ配置し、スクールカウンセラーを支援するモデル事業を実施しております。
 シニアスクールカウンセラーの具体的な役割は、スクールカウンセラーが抱える困難な事案に関する相談に応じたり、新規に配置されたスクールカウンセラーに助言したりすることなどでございます。また、スクールカウンセラー連絡会における講師として、教員との効果的な連携による対応事例を示すなどして、スクールカウンセラーの資質の向上を図っております。

○のがみ委員 スクールカウンセラーが相談する相談員ということで、非常に大変すばらしい方々ではないかと思っております。
 いじめの早期発見のための電話相談やメール相談の実績についてお伺いいたします。

○増田指導部長 東京都教育相談センターが対応した平成三十年度の相談回数は、電話相談が一万七千九十四回、メール相談が三百二十一回でございました。電話相談の主な内訳は、いじめが一千七百二十二回、友人関係が一千五百七十三回、不登校が一千四百三十二回などとなっております。メール相談の主な内訳は、学校や教師への苦情が七十八回、不登校が二十五回、いじめが二十四回などとなっております。
 深刻なケースと考えられる相談内容につきましては、できる限り具体的な内容を聞き取り、来所相談を勧めたり、学校や区市町村教育委員会、児童相談所や警察等に情報を提供したりするなどの対応をしております。

○のがみ委員 電話相談、メール相談とプラスして、SNSを活用した教育相談は、昨年モデル事業を行って、ことしから行っておりますけれども、これまでの実績についてお伺いいたします。

○増田指導部長 子供たちが抱える不安や悩み等について、外部の相談窓口に一層気楽に相談できるようにするため、都教育委員会は、昨年の八月二十五日から九月七日までの二週間、都立高校生を対象にSNSを活用した教育相談を試行的に実施いたしました。
 その結果、この間に三百十五件の相談が寄せられました。これは、同時期の都教育相談センターにおける高校生からの電話相談の約三倍に当たり、SNSが若者にとって相談しやすいツールであることがわかりました。
 今年度は、こうした試行の成果を踏まえ、対象を都内に在学する全ての中高生に広げるとともに、四月一日から通年で相談を受け付けるなど、体制の拡充を図って実施しております。
 本年九月までの状況といたしましては、合計二千百二十件の相談が寄せられており、その中では中学生からの相談が最も多く、全体の五十%以上を占めております。また、春季、夏季の長期休業日明け前後などに相談件数が増加する傾向が見られております。
 主な相談内容といたしましては、いじめを除く友人関係が最も多く、次いで、学業不振、家族関係となっております。

○のがみ委員 ちょうど八月二十五日から九月七日の間の二週間で試行されているときに視察をさせていただきました。本当に多くの方々がじっくりと画面を眺めながら、いろいろ送られてくる子供たちの情報に対応していらっしゃいました。本当に子供の心情に厚くかかわり続けていくことが大事なんだなと感じました。
 次に、いじめから不登校になる場合もございます。文科省は十月二十五日付で、不登校の子供への支援として、学校以外での学習の場の必要性を明記した通知を教育長宛てに出しました。今までは、不登校は絶対学校に戻ってこいと、学校復帰を前提としてきた過去の支援のあり方を見直したわけです。初めて見直したわけです。フリースクールなどの民間教育施設の意義を明記しております。教育機会確保法の施行から約二年ぐらいかかって、やっとこれができたわけでございます。
 最初に、昨年度の小中高の不登校児童生徒数についてお伺いいたします。

○増田指導部長 文部科学省の調査では、平成三十年度都内公立小中学校で三十日以上欠席した児童生徒のうち、不登校を理由とするものにつきましては、小学校で四千三百十八人、中学校で九千八百七十人でございました。また、都教育委員会が把握している都立高等学校における不登校の生徒数は、全日制で一千六十六人、定時制で二千百八十八人でございました。

○のがみ委員 不登校に関しては、ここ五年ぐらいで年々増加しております。すごく努力をして頑張ってくださっているんですけれども、数はなかなか減っていかないと。
 各区市で教育支援センター機能強化モデル事業を行っておりますが、この内容についてお伺いいたします。

○増田指導部長 ご指摘の事業は、区市町村における不登校児童生徒に対する指導の充実を目的とし、平成二十九年度から三年間、十一の自治体を対象に実施しているものでございます。
 具体的には、教育支援センターにおける人材の配置、職員の指導力向上、施設設備や学習環境の充実等の複数のメニューの中から、対象の自治体が希望する事業に対して支援を行うものでございます。

○のがみ委員 登校支援員によるアウトリーチ型の支援とかがすごく大事ではないかなと思っております。
 令和元年十月二十五日に、先ほどいいました文部科学省から通知された不登校児童への支援のあり方についての内容についてお伺いいたします。

○増田指導部長 ご指摘の通知は、平成二十八年十二月から施行されている義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の趣旨や、文部科学省がこれまで示してきた不登校施策に関する基本的な指針等を改めて整理し、まとめた内容となっております。
 この通知では、全ての教職員が法や基本指針の理解を深め、個々の児童生徒の状況に応じた支援等を行うことができるよう努めることや、各自治体において、不登校児童生徒に対する教育機会の確保に関する施策の推進を図ることが求められております。

○のがみ委員 先ほどもいいましたけれども、学校に登校するという結果のみを目標にしてきた今までの流れから、児童生徒が将来的に進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指すということで、将来、職業を持って自立をしていくという形です。
 義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律、これ、長いので、教育機会確保法ということでいわせていただきますが、文部科学省からの不登校に関する通知の理解促進に向けて、都としての取り組みについてお伺いいたします。

○増田指導部長 都教育委員会は、ご指摘の法や、文部科学省からの通知の趣旨や内容につきまして、区市町村教育委員会の不登校担当者を集めた連絡会や、生活指導担当教員の研修会等において周知してまいりました。
 また、平成三十一年三月には、全ての教員が不登校の要因や背景を正しく理解し、児童生徒の豊かな学校生活の実現や社会的自立に向けた支援ができるようにすることを目的として、児童生徒を支援するためのガイドブックを作成し、全公立小中学校に配布いたしました。
 このガイドブックには、法の趣旨を踏まえ、不登校が長期化している児童生徒への支援の実現に向け、関係機関との連携のあり方等を掲載しております。また、魅力ある学校づくりの視点から、児童生徒が自己存在感や充実感を感じられるための取り組み等を示しており、この内容は文部科学省の通知の趣旨に即しております。

○のがみ委員 この児童生徒を支援するためのガイドブック、(資料を示す)これを読ませていただきました。大変すばらしい内容です。
 これは、栗林都議から後で詳しく質問をさせていただくので、私はちょっと触れませんけれども、教育機会確保法の趣旨を踏まえて、フリースクールとの連携に向けた都教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。

○増田指導部長 都教育委員会は、先ほど申し上げた教育支援センターの機能強化に向けたモデル事業に加え、区市町村教育委員会やフリースクール等民間団体の関係者による意見交換会を実施しております。
 この意見交換会では、学校とフリースクール等民間施設、団体との連携のあり方等について継続的に協議し、その内容を区市町村教育委員会の不登校担当者を集めた連絡会等で情報提供してまいりました。
 さらに、本年度は、意見交換会を連携検討委員会として発展させ、連携促進に向けた具体的な取り組みについて関係者と協議しております。

○のがみ委員 不登校関連の最後の質問なんですけれども、不登校特例校の設置促進に向けた都の取り組みについてお伺いいたします。

○増田指導部長 不登校特例校は、子供の実態に配慮した特別な教育課程を編成する学校であり、不登校の子供の学びの機会を確保する場として重要な役割を果たしております。
 これまで都教育委員会は、区市町村教育委員会に対し、施設設備等に係る負担が小さく、速やかに設置が可能な分教室型の東京版不登校特例校の設置を全国に先駆けて働きかけてまいりました。
 設置に当たりましては、都の教職員定数配当基準に基づき教員を配置し、初年度に必要な物品の購入費用の一部を補助するとともに、教育課程の編成や文部科学省への申請手続について助言するなどして支援を行っております。

○のがみ委員 八王子にあります高尾山学園は八王子市が運営して、八王子市教育委員会が全面的にかかわっている、大変、ちょっとお金をよく使っている、環境もよく、ぜいたくな教育内容といえると思います。
 葛飾区にも東京シューレという私立の中学校がございます。不登校の子供たちが行く学校でございますけれども、教育機会確保法の成立以降も、フリースクールに通っていれば、学校に出席として認められるということだったんですけれども、なかなかそれがうまくいかなかったことがございます。学校長が判断するわけでございますけれども、今後はこの法律に基づいて制度が運営できるようになるはずだと思います。東京シューレの奥地代表もそういうふうにおっしゃっておりましたので、フリースクールに通っていれば出席扱いとしてもよいということになったので、ぜひそうしていただければと思っております。
 次に、英語教育について質問させていただきます。
 いよいよ令和二年度から新学習指導要領が全面実施になります。小学校では教科としての英語が開始されます。英語の教科化に向けた小学校の指導体制については、私はこれまで何度もさまざまな角度から質問をしてまいりました。
 都も全面実施に向けて英語専科指導教員の配置などを行っておりますが、指導体制の整備状況と、専科指導教員として実際にどんな先生が配置されているのかお伺いいたします。

○浅野人事部長 都教育委員会では、小学校における英語の教科化に向け、授業時数増に対応した教員の働き方改革の推進と、英語指導の充実による教育の質の向上を図るため、計画的に英語専科指導教員の配置の拡大等を行っております。
 これまで、英語指導の先行実施校のうち、二十二学級以上の大規模校を対象として、平成三十年度は三十五校、令和元年度は七十校に英語専科指導教員を配置しており、それ以外の先行実施校には、学級規模にかかわらず、必要な時間講師を配置しております。
 令和二年度からの英語の教科化に向けては、今後、二十二学級以上の全ての小学校への英語専科指導教員の配置や、それ以外の学校に対する時間講師の配置を目指すなど、指導体制の一層の充実に取り組んでまいります。
 また、英語専科指導教員には、中学校または高校の英語免許状所持者や英語検定試験準一級以上に相当する資格を有する者など、英語の指導力を有する教員を充てております。

○のがみ委員 先日、葛飾区立細田小学校の英語脳研究発表会を参観させていただいたんですけれども、朝の時間を使っての英語脳ミニ研修会、毎回アクティビティーやスモールトークを実施しておりまして、休日には先生方がアプリでネーティブの英語に触れている、努力を惜しまない、楽しく英語に取り組んでいるということが印象的でございました。
 英語の専科指導教員を配置することによって、小学校の英語教育の充実だけでなく、これは一つ、働き方改革にもつながると思います。二十二学級以上全ての小学校に英語専科指導教員を配置することにしましたと。しかし、二十二学級未満の多くの学校では学級担任が指導に当たるわけです。
 教員は転勤がありますので、常日ごろからやはり研修を積み重ねる必要があると思います。全ての小学校で英語の教科化に対応し、適切な指導を行うためには、より多くの先生の英語の指導力を高めていくことが必要です。
 都の教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。

○増田指導部長 都教育委員会は、多様な研修を実施し、小学校教員の英語の指導力向上を支援しております。具体的には、英語のネーティブスピーカー等を講師とした少人数で英会話を学ぶ研修や、小学校の中学年から高学年までの系統的な指導のあり方について学ぶ研修などを行っております。
 さらに、新学習指導要領の趣旨や指導計画の立て方、実際の授業の進め方などについて、映像から学ぶ都独自のDVD資料を作成、配布するなどして、小学校における外国語の円滑な実施に向けて支援を行っております。

○のがみ委員 このDVDは大変よくできていると思っております。わかりやすいです。現場ですぐに使えると思います。
 先日は中学生によるスピーチコンテストを参観いたしました。生徒が英語を用いて流暢に自分の考えを発表しており、感動いたしました。中学校英語の指導の充実については以前にも質問してきましたが、スピーチやインタビュー等、話すことを重視した指導が重要です。
 令和三年に中学校の学習指導要領が全面実施されます。改めて中学校英語教育の充実について、都教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。

○増田指導部長 新しい中学校学習指導要領では、聞く、読む、話す、書くの四技能のうち、話す技能につきましては、やりとりと発表の二領域が新たに設定されるなど、英語を用いて互いの考えや気持ちなどを伝え合う対話的な言語活動が一層充実されております。
 都教育委員会は、平成二十九年度から令和元年度までの三年間、英語の授業改善に向けて、講義とワークショップで構成された研修を実施し、これまで、都内公立中学校の全ての英語科教員が受講いたしました。また、平成三十年三月に、新学習指導要領のポイントや、生徒が英語を用いて先生とやりとりする場面等を収録した教師用DVD資料を作成、配布いたしました。
 今後、話すことを重視した指導の具体例を掲載した指導資料を作成し、都内公立中学校の全ての英語科教員に配布するなどして、学習活動の充実を図ってまいります。

○のがみ委員 中学校の場合は、指導の具体例を掲載した指導資料を令和二年三月末までに作成し、都内公立中学校の全ての英語科教員に配布するということでございます。
 次に、都立高校の英語教育についてお伺いいたします。
 学校現場にネーティブな指導者が欲しいという声があります。そうした意味では、JETプログラムで配置されている英語の指導者の意義は大変大きいと思っております。
 現在のJETプログラムによる外国人英語指導者の配置の目的及び配置状況についてお伺いいたします。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、都立高校等における英語教育の充実と国際理解教育の推進を図るため、JETプログラムにより招致された英語等指導助手、いわゆるJET青年を都立高校と中等教育学校に配置しております。
 平成二十六年度に百人のJET青年を配置し、平成二十七年度からは全ての都立高校等への配置及び英語教育に先進的に取り組む学校に対する複数配置により二百人に、さらに、平成三十年度からは二百四十人に規模を拡大して配置しております。

○のがみ委員 このJETプログラムによる外国人英語指導者の配置による成果についてお伺いいたします。

○瀧沢指導推進担当部長 JET青年を配置して、日本人英語教師とのチームティーチングを行うことにより、生徒が授業でネーティブスピーカーとコミュニケーションを図る場面が増加するとともに、他国の生活文化や多様な考え方に触れることができるようになっております。
 また、JET青年は、放課後等を含め、終日学校に勤務し、授業以外でも文化祭などの学校行事や英会話部等の部活動に参加したり、時事問題や社会問題、文化や歴史、自然科学等の内容に関する映像コンテンツを使って、生徒とともにディスカッションをしたりするなど、日常的に英語を使う場面が拡充されております。
 学校からは、英語が苦手だった生徒も楽しく英語学習に取り組むようになった、ネーティブスピーカーならではの語彙や表現方法を学んだことにより英語の表現力が高まったなどの報告が上がっております。

○のがみ委員 小学校、中学校のALTなんかはやっぱり時間で来ていますので、その時間が終わったら、じゃ、さよならみたいな感じで離れてしまうんですけれども、こうしたJET青年によるJETプログラムというのは、外国人がずっとその学校にいてくださるので、いろいろな話、深い話から、軽い話から、何でも、文化、教育全てにわたって会話ができて、非常によろしいのではないかと思っております。ぜひ続けていただければと思います。
 次に、医療的ケア児について質問させていただきます。
 都教育委員会は、これも我が党の要望を受け、医療的ケアが必要な児童生徒のうち、希望する子に対して、初期食の注入により給食を実施できるよう、今年度からモデル事業を開始しております。初期食の導入に当たっては、その子にアレルギーがあるかないかをしっかりと確認し、実施することが大事です。
 さまざまな課題を乗り越えて、今年度は、水元小合学園と八王子東特別支援学校の二校をモデル校に指定した上で、二学期中に初期食の注入を試行すると聞いております。
 そこで、今年度二学期からの初期食注入を行うことになったその実施状況についてお伺いいたします。

○高木特別支援教育推進担当部長 学校で初期食を注入することは地域の医療的ケアとなるため、看護師を実施者としております。
 初期食の注入に当たりましては、アレルギー反応の有無の確認が最も重要であることから、現在、アレルギー検査結果や、家庭での注入実績、食品の摂取状況などについて確認を行うなど、安全に配慮しながらモデル事業を進めております。
 令和元年十一月時点で、対象の児童生徒五名のうち二名が初期食の注入を試行しており、残る三名につきましても注入に向けた準備を進めております。
 今後、モデル事業の成果や課題を整理した上で、全ての肢体不自由特別支援学校で安全に初期食を注入できるよう、検討を進めてまいります。

○のがみ委員 私もあした、栗林都議と一緒に水元小合学園の様子を視察させていただくことになっております。本当に大変な中、ここまで時間がかかりましたけれども、努力をしていただいたことに心から感謝しております。安全面に気を使いながら実施していただければと思っております。
 また、人工呼吸器の管理や専用通学車両の運行、胃瘻からの初期食の注入等、都立特別支援学校が実施する医療ケアは増加しております。勤務する看護師の専門性が求められております。
 都立特別支援学校に勤務する看護師の専門性向上に向けた取り組みについてお伺いいたします。

○高木特別支援教育推進担当部長 医療的ケアの実施項目の拡大に伴い、都立特別支援学校で実施する医療的ケアは高度、複雑化しており、看護師に求められる知識、技術が年々高まっております。
 都教育委員会は、毎年度の夏季休業中に、看護師などを対象として医学的知識の習得などを目的として講習会を開催しております。昨年度と今年度は、人工呼吸器の管理に係るテーマで実施しており、今年度につきましては、緊急時対応に係る実技研修を初めて実施するなど、専門的な知識、技術を習得する機会を看護師に付与しております。
 さらに、各校長は、医療的ケア指導医に学校看護師への指導を委嘱し、看護師が学校で勤務しながら、医療的ケア実施に係る指導助言を受けられるようにしております。
 今後も、最新の医療情報に関する講習会や、医療機器の取り扱いに関する研修を実施するなど、引き続き看護師の専門性の向上に取り組んでまいります。

○のがみ委員 これまで本当に大変な中、医療的ケアを必要とする児童生徒のために尽力されてきたことに心から敬意を表します。
 最後の質問になります。実は昨年の夏、夏休みの期間中なんですけれども、都立高校生が時速三十キロのスピードで男性に接触をしました。その方は一年と五十日、一度も意識が戻ることもなく、先日亡くなられました。頭の陥没が非常に激しかったそうです。
 三十キロの自転車のスピードってどんなものなのかと。私も電動自転車に乗っておりまして、超安全なところで、三十キロってどれぐらいのスピードなんだろうと思って出してみたんですね。すごい、半端ないスピード感でございました。
 この事件においては、高校生自身が悪いことをしたという実感が余り持てていないと被害者家族は思っているんです。ご家族の方は、一家の大黒柱を急に奪われ、大変幸せに暮らしていた家庭を奪われてしまったと、強く強く許せない感情があるということでございます。
 その理由として、加害者が心底謝っていれば、こうしたいろいろな事態にはならなかったと感じるんですけれども、自転車の安全走行に関しましては、やっぱり都立高校として、日ごろからしっかりと指導していかなければいけないのではないかと思います。
 確かに日常的にスマホを片手に見ながら運転している子とか、それから、大きなヘッドホンをつけて、全く音が聞こえないような形で、音楽を聞きながら自転車に乗っていたり、二人乗り、ありますね。それから、並走といって横に並んで自転車に乗っていたり、夜なんかは無灯火だったり、それから、一時停止は全くの無視、赤信号でも周りを見て車がいなかったら、ぴゃあっと行っちゃうとか、そういういろいろな気をつけてほしいマナー違反があります。
 都立高校において、自転車事故防止に向けた安全教育について、都教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。

○増田指導部長 都教育委員会は、学校における安全教育の中で、必ず指導しなければならない基本的事項の一つに自転車の安全な利用を位置づけ、全ての都立高校において、生徒への指導を徹底するよう求めております。
 具体的には、毎年度作成している安全教育プログラムに自転車走行の五つの基本ルールである自転車安全利用五則に加え、ヘルメット着用の重要性や、音楽を聞いたり、携帯電話を使用したりしながら運転することの危険性を生徒に理解させる指導事例等を掲載し、都内公立学校の全ての教員に配布しております。
 また、希望する都立高校に対しては、警視庁や都民安全推進本部と連携して、交通事故を再現するスケアードストレート方式の交通安全教室や、疑似体験を通して交通ルールとマナーを学ぶ自転車運転シミュレーターを活用した交通安全教室等を実施できるよう支援しております。
 今後は、自転車の安全利用に取り組む推進校に在籍している生徒のアイデアを生かした啓発チラシを作成し、全ての都立高校生への配布と指導を通して、自転車走行時のヘルメット着用等を促す取り組みを一層強化してまいります。

○のがみ委員 ヘルメットの着用が大事なんですけれども、なかなか高校生はヘルメットをかぶっておりません。加害者の生徒は現在は徒歩で通学をしております。自転車に乗って通学してはおりません。しかし、実際には、新しい自転車を購入し、乗っているという事実があります。事故を起こした生徒はなかなか人の話が入っていかない傾向があるので、個別指導を校長先生みずからが行って、かんで含めるような指導を現在も行っているそうでございます。
 また、この学校は、スケアードストレートは来年度実施の予定で、これはスタントマンが実演して、いかに事故が怖いのかを知ることも大事だし、自転車運転シミュレーターを活用して、急に車が出たときは、とっさに判断しても、思うように行動できないことを知ることも大事だと思っております。
 高校生が加害者になると罰金も相当で、八千万円の事例もありますし、一方的に高校生に過失があると一億近い額になるだろうともいわれております。
 都立高校において、生徒や保護者に対して自転車保険の加入を啓発すべきと考えます。取り組み状況について伺います。

○増田指導部長 都教育委員会は、高校生が自転車走行中に歩行者等に障害を負わせる事故を起こさないようにすることに加えて、万が一そうした事故を起こしてしまった場合、適切に損害賠償に対応できるようにするため、先ほど申し上げた安全教育プログラムに、自転車運転時のルールやマナー、また、事故の責任と補償制度等について理解させる指導事例を掲載しております。
 さらに、今年度は、各学校の安全教育担当教員を対象とした講習会において、東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の改正に伴い、来年四月から、都として保険の加入促進に向けた措置を講ずることが義務づけられることについて説明するとともに、講習会における資料を全ての高校に改めて送付するなどして、学校への周知を図ってまいりました。
 今後、全ての都立高校に対し、生徒や保護者が自転車通学を申請する際に保険加入を確認できる証書の写しの提出を求めることを徹底させるなど、都立高校生や保護者に対する自転車保険加入に向けた指導や啓発を強化してまいります。

○のがみ委員 確かに手続とか費用負担は大変ですけれども、自転車通学を希望し申請するときに、必ず損害賠償に対応するために保険証書の写しを提出させることが大事ではないかと。
 この指導を徹底して、二度とこのような不幸な事故が起きないようにしていただきたいことを要望して、終わります。

○星見委員長 議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時十四分休憩

   午後三時三十五分開議

○星見委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
 まず、私からは、都立高校におけるインターネット環境、ICT環境について伺います。
 教育委員会では、国の方針も受けて、都立高校においてICTパイロット校や活用の先進校などを指定し、ICT教育を進めていらっしゃいます。
 現在行っている教育内容について、まず伺いたいと思います。

○増田指導部長 都教育委員会は、ICTパイロット校のほか、昨年度から、生徒所有のスマートフォン等を活用するBYOD研究校十校を指定し、各校の無線LAN環境を整えるとともに、ICT機器を活用した取り組みの有効性等を検証しております。
 研究校の生徒は、スマートフォン等を活用して、自学、自習用の学習動画等を学んだり、共同学習で情報を共有したりするなど、主体的、対話的な学びを充実させています。
 また、教員は、授業の振り返りアンケートや確認テストに生徒のスマートフォン等を活用することで、集計や採点を瞬時に行い、生徒の弱点を早期に発見して指導に生かしております。

○とや委員 さまざまな形でICT教育が進められているわけですが、これらの教育については、教員の負担とか、あるいは生徒たちが活用するに当たって、メリットやデメリットもあります。そういう意味では慎重に取り組むことが求められていると思います。
 一方、そうはいっても既にICT環境については整えていこうと。どこの学校でも、そうした要望もあるというふうに伺っていますし、どの子も公平に無線LAN環境、ICTが学べるような環境を保障されていくことが重要だと考えています。
 そこで伺いますが、現在の都立高校、特別支援学校における無線LANの導入状況について伺います。

○安部総務部長 文部科学省が行いました平成三十年三月時点の調査結果によりますと、都立高校全体の普通教室に対する無線LANの整備率は約一三%、都立特別支援学校の整備率は約九%となっております。
 また、平成三十年度、BYOD研究校十校のうち七校に対して、普通教室に無線LANを整備し、残りの三校についてはモバイルルーターを配備しております。

○とや委員 まだまだ整備率が低いということであります。私もこの間、現役の高校生にお会いしまして、やっぱり自分が情報通信科とかにいることから、早く環境を整えてほしいという声があるわけですけれども、都として、例えば都立高校の普通教室の無線LANの整備率が一三%だと。あるいは特別支援学校においては九%しかなっていない、この状況についてどのように認識していらっしゃいますか。お答えください。

○安部総務部長 都教育委員会は現在、ICT機器を活用した取り組みを推進するため、BYOD研究校等で実施方法やその有効性について検証を行ってきているところでございます。

○とや委員 私は今、ICT環境が低いことについて、都としてどう考えているのか、どう受けとめているのか、そこを聞いたんですけど、何をやっているかを聞いたんじゃないんです。

○安部総務部長 都教育委員会としましては、ICT機器を活用した取り組みを推進するためということで、現在、BYOD研究校等で実施方法やその有効性について検証を行っているという状況でございます。

○とや委員 これだけ求められているのに、一三%、九%というのは、じゃ、低いと考えているのか、十分だと考えているのか、お答えいただけますか。

○安部総務部長 現在、都教育委員会としましては、ICT機器の活用を推進していくという観点から、さまざまな取り組みを進めているところでございます。

○とや委員 何で今の導入率、整備率についてきちんと答えられないんでしょうね。ちょっと変だと思うんですけど、東京都教育委員会が子供たちに無線LAN環境を整えていくというために、実証実験をやったりとか、BYOD研究校を指定しているということは、私、いいことだと思うんですよね。
 だけど、今、まだまだ足りないんじゃないかなと思うんですよ。まだまだ足りないとは思っていらっしゃらないのかどうか、そこをもう一度お答えいただいてから次に行きたいんです。

○安部総務部長 現在、BYOD研究校において、無線LANを整備するなど通信環境を整えて、ICT機器を活用した取り組みの有効性の検証を行っているところでございます。引き続き、その検証に努めてまいりたいというふうに思っております。

○とや委員 ちゃんと答えたくないということなんですね。整備率はどこから見ても低いんですよね。だからこそ、研究を続け、検証を続けていくというお答えだったと思うんですけれども、先ほども申し上げたように、生徒や学校からも要望が上がっています。
 先ほど来出ている、一部の都立高校では、ICT化の一環として、都立学校スマートスクール構想におけるBYOD研究指定校について実証実験が行われています。この実験について具体的に教えていただけますか。

○増田指導部長 BYOD研究指定校の十校のうち七校にWi-Fiアクセスポイント設置型を設置して、その有効性について検証しております。
 また、三校については、モバイルルーター配備型を設置し、その有効性等について検証しているところでございます。

○とや委員 どの学校で学んでも同水準の教育環境を保障していくというのが、私、都立の学校の役割だと思っています。全ての都立高校及び特別支援学校にこうした環境を整備すべきだというふうに考えます。ここについてのお考えをお聞きしたいと思います。
 さらに、授業で活用する場合、このBYOD校の場合は、自分のスマートフォンを使う、携帯端末を使うということになっているわけですけれども、持っていない子もいらっしゃって、そういう子に対する対応も求められているし、基本的には、授業で使う教材というのは学校のものを使っていく、それが基本ではないかと思いますので、学校が用意するべきだと考えますが、ここについてのお考えを聞いておきたいと思います。

○安部総務部長 現在、BYOD研究校において、無線LANなどを整備して通信環境を整えた上で、ICTを活用した取り組みをさまざまな形で実施しておりまして、その有効性を検証しているというところでございます。
 引き続き、さまざまな課題を把握しながら検証に努めてまいりたいというふうに思っております。

○とや委員 一言申し上げておくんですけど、私、ICT環境を整えるということを否定しているものでもないし、むしろ、現役の高校生からもやっぱり求めがあるし、いろんな職業科、専門科などが配置されている状況のもとで、学校からも求められています。
 そういう意味では、まだまだ整備も至らないという状況ですので、これは特別支援学校にもいえて、ICTやタブレットを使うことで子供たちが非常にいい教育効果を発揮しているということもありますので、ぜひ全校に早急に配置をしていただきたいと求めておきたいと思います。
 次に、同じ都立高校の問題です。都立の大島海洋高校について伺いたいと思います。
 九月に台風の被害がございました。十五号が起きたとき、私も大島の方に行ったわけですけれども、島しょ部に甚大な被害があったわけです。家屋の損壊と同時に、被害が大きかったのが大島海洋高校でありました。
 窓ガラスについては、見に行きますと、二百枚近く割れており、天井は落ちかけていたり、教科書も濡れて、生徒たちが先生と一緒になって片づけていらっしゃいました。パソコンも、外から雨や泥が吹き込んで使い物にならないと。海洋高校でなくてはならない海図も使い物になっていませんでした。さらに、海洋上を、海で走行していることがイメージできるようなシミュレーターも被害に遭って、泥をかぶっているという状況がありました。
 都教委の方々もすぐに大島に行かれて、調査をしていらっしゃると思うんですけれども、改めて、この海洋高校のことしの台風十五号の被害状況について確認をさせてください。

○江藤都立学校教育部長 都立大島海洋国際高校におきましては、台風十五号により、校舎の窓ガラスの一部損壊や天井の損傷、屋上防水シート及び体育館屋根の剥離などの被害が生じました。
 また、パソコン等の備品類が雨水により使用不可となる被害も生じております。

○とや委員 子供たちが毎日学ぶ都立高校がああいった形で被害を受けたということに、島の方々も、また、私も行って、いろんなお話を聞きましたけれども、胸を痛めていらっしゃったわけです。
 先日、補正予算が発表されているわけですけれども、この学校の復旧のための予算は入っていないようだったんですが、今の海洋高校の状況、どのように対応していくのか、現在の修復状況、そして、いつまでに正常な授業が可能になるのか、お答えください。

○江藤都立学校教育部長 校舎の窓ガラスの一部損壊や天井の損傷につきましては、補修をほぼ終えている状況にあります。屋上防水シートや体育館屋根の剥離につきましては、本年十二月末の完了を目指して補修を進めております。
 また、校舎等の補修の完了後、パソコン等の備品類を再度調達できるよう、現在、リース業者等と調整をしているところでございます。
 学校と密に連携しながら、これらの取り組みを進め、学校施設等の教育環境を早期に整えた上で、教育活動を本格化させてまいります。

○とや委員 かなりの被害があったわけで、ただ、やっぱり大島は島ですから、地元の業者さんを基本として復旧作業に当たっているというお話も聞きましたが、まだまだ正常な授業ができる状況には至っていないし、遠いのかなと思いました。
 特に大島海洋高校のような特殊な機械を使う高校では、生徒が学習するためには、被害を受けた、先ほど申し上げたシミュレーターなどもまだ配備されていないし、海図も、聞くところによると、一カ月ごとに更新が必要だという状況で、こうした教材を使っての授業ができないということなのかなと思います。
 一方、教科書や専門書については既に用意をしていただいたということは、生徒にとってもよかったかなと思っています。生徒の学習環境を整えていくため、なるべく早く正常な状況に戻していただくことを重ねて要望しておきたいと思います。
 次に、特別支援学校や寄宿舎の問題について伺っていきたいと思います。
 私ども、この間、特別支援学校に通う子供たちの教育環境、あるいは、その子たちが通う寄宿舎の問題についてはたびたび取り上げさせていただいて、その改善を求めてきました。きょうは、その到達の上で幾つか質問させていただきたいと思っています。
 まず、生徒が通うため利用する駅の問題からなんですけれども、西八王子駅の問題です。この駅の周辺は多くの学校が集中しています。朝のラッシュ時は、通勤客とか、一緒に学生や生徒が駅を利用して、大変混雑をいたします。特にここの駅は八王子盲学校、あるいは八王子特別支援学校の生徒が利用する駅でもあります。
 ところが、ホームが狭くて非常に危険だと。特に私、問題だと思うのは、盲学校の生徒が利用するにもかかわらず、ホームドアが設置されていないという問題です。
 今のこうした状況について教育委員会の認識を伺います。

○高木特別支援教育推進担当部長 JR西八王子駅につきましては、都立高校や私立高校など複数の学校の生徒が利用しており、特別支援学校に通学する児童生徒の安全を確保するためには、ホームドアの整備が有効であると認識しております。

○とや委員 ホームドアの整備が有効だと。この間も多くの人たちが、ホームドアがないために転落して死亡するという事故が起きているわけで、JRの対応も問われているかなと思うわけですけれども、このJRの対応について、都教委としてご存じなのか、ご存じであれば状況を教えてください。

○高木特別支援教育推進担当部長 JRにおきましては、令和十四年度末ごろまでに東京圏在来線の主要路線全駅にホームドアを整備する計画であると認識しております。

○とや委員 今、令和とおっしゃって、令和元年で、あと十四年も待たなきゃならないと。これはひどいなと私、思っています。この駅についてJRは、二〇二三年までに中央線の車両を十二両編成として、これはグリーン車を二両つけるということらしいんですけれども、そのためのホームの延長工事を予定していると聞いています。
 だけれども、このホームの延長の工事をしたときに同時にホームドアはつけないと。つけなくて、違う計画で、ホームドアの計画に入るというふうに聞いています。
 今申し上げたように各地でホームドアのない駅における事故が発生しています。都教委として、JRにきちんと要請すべきだと考えますがいかがでしょうか。

○高木特別支援教育推進担当部長 都教育委員会におきましては、都市整備局と連携して、平成二十九年五月に、JRを初め都内鉄道事業者四社に対して、視覚障害特別支援学校の最寄り駅などにホームドアを整備するよう要望しております。
 JRにおきましては、西八王子駅についてもホームドアが整備される計画となっておりましたが、扉位置の異なる列車への対応などの課題があり、時間を要すると聞いております。
 なお、特別支援学校に通学する児童生徒の安全を確保するため、現在、西八王子駅におきましては、啓発用のポスターの掲示などの取り組みが行われております。

○とや委員 都教委は、独自で要請するのではなくて、二十九年の五月、要するにもう二年半前です、それから要請はしていません。盲学校の生徒がホームから転落するようなことがあってはならないと思います。事故があってからでは遅いと私は思っています。
 この間のいろんな鉄道事故を見ていて思うんですけれども、事故があって初めて対応するんですよね。本当に人が死なないとやらないのかといいたくなるような状況があります。これは、第一義的には鉄道事業者の責任ではありますが、ありますが、やはり都教委として、子供たちの安全を守る、通学上の安全確保を守るという責任があるわけですから、都市整備局と一緒になどといっている場合ではないと私は思います。教育委員会として独自にJRに要請していただきたいということを強く求めておきます。
 寄宿舎について伺っていきたいと思うんですけれども、きょうは改めて、生徒の学習権を保障するという立場から質問させていただきたいと思います。
 まず、寄宿舎ですね。各特別支援学校に設置されていた十三カ所あった寄宿舎が現在五カ所になっているわけですけれども、寄宿舎に入舎している生徒のうち、希望どおりに宿泊できている子は何割いるのか、全体の割合、それから、寄宿舎別の平均宿泊数についてもお答えください。

○高木特別支援教育推進担当部長 寄宿舎の利用につきましては、各学校が入舎を希望する児童生徒の個別具体的な状況を総合的に判断し、決定しております。このため、児童生徒の障害の状態や特性、発達段階などにより、保護者が希望したとおりに寄宿舎を利用できないこともありますが、その際には、保護者と十分に話し合い、相互理解を図っております。
 なお、令和元年五月一日現在、寄宿舎に入舎している児童生徒のうち、保護者が希望したとおりの日数について寄宿舎を利用できている児童生徒の割合は約六七・八%でございます。
 また、児童生徒一人当たりの一週間の平均寄宿舎利用日数でございますが、文京盲学校寄宿舎が二・三日、葛飾盲学校寄宿舎が一・八日、八王子盲学校寄宿舎が二・七日、久我山青光学園寄宿舎が一・四日、光明学園寄宿舎が四・三日でございます。

○とや委員 希望どおり利用できた子が六七・八%だということは、三分の一、つまり三人に一人の生徒が希望どおりの宿泊数がかなわないという状況にあります。保護者の方からも、希望どおりの宿泊ができなくて困っているという声を都教委として聞いているのではないかと思います。
 当事者のお母さんたちからは、寄宿舎に泊まれない日は、一時間目に間に合うように学校に行けないと、そういった例もあるわけです。本来ならば、子供たちが普通に一時間目から授業に参加できる、授業に出られる、出席できるというのは、普通の学校だったら、健常児の学校だったら当たり前かもしれないけれども、物理的な条件や、その家庭の状況があって、寄宿舎に泊まることがかなわないから、通わなきゃならない。そういう子が一時間目に間に合わないという状況が生じているわけであります。
 こうした中で、この間、都教委は、この問題を私たちは質問させていただいてきたんですけれども、各学校が入舎を希望する児童生徒の障害の状態や特性、発達段階、家庭環境など、個別具体的な状況を総合的に判断し、決定し、基準を満たせばというようなことをいって、実態に合わないような答弁をしてきております。私は、その冷たい答弁と対応が保護者の皆さんを大変傷つけているんじゃないかなと思わずにはいられません。
 息子さんが生まれて十四年前に仕事を断念したお母さんもいらっしゃいました。そのお母さんは、息子の介護や介助に専念してきたわけですけれども、寄宿舎の宿泊が軌道に乗ったことで就労もできるようになった。ところが、今年度は大幅に減泊させられて、家族も本人も途方に暮れているということであります。
 これは現場からも声が上がっているわけですけれども、その責任者である校長先生からは、人手不足で希望に応えることができないといわれています。こうした声を聞いていらっしゃいますか。

○高木特別支援教育推進担当部長 寄宿舎を設置する特別支援学校の校長からは、寄宿舎における指導環境の整備を求める声がありますが、ご指摘のような要望はございません。

○とや委員 寄宿舎における指導環境の整備を求める声があると。これはまさに指導環境なのだから、子供を指導するための環境が整っていないということであって、まさに人手が足りない、人手不足だということをいっているんです。人が足りなくて、指導環境の改善を求める声がなぜ起きてくるのか。
 寄宿舎の子供たちの障害の程度はさまざまです。一人一人に合わせた指導や対応が必要になってくるわけですが、特に重度の子供たち、重複障害を持つ子供たちに対しては手厚い指導が必要だと考えます。
 そして、それに見合った体制になっているかどうかが問われていると思います。
 そこで伺っていきたいと思うんですが、寄宿舎に入舎している生徒のうち、重度重複障害を持つ児童生徒の割合はどのくらいになりますか。

○高木特別支援教育推進担当部長 令和元年五月一日現在、寄宿舎に入舎している児童生徒のうち、重度重複学級に在籍している児童生徒の人数は三十九人で、全体の約二七・三%でございます。

○とや委員 三十九人で、全体の二七・三%だということですが、各宿舎の割合についてもお答えください。

○高木特別支援教育推進担当部長 令和元年五月一日現在、寄宿舎に入舎している児童生徒のうち、重度重複学級に在籍している児童生徒の割合は、文京盲学校寄宿舎が約三七・五%、葛飾盲学校寄宿舎が約三五・七%、八王子盲学校寄宿舎が約一四・三%、久我山青光学園寄宿舎が約三四・三%でございます。
 なお、光明学園寄宿舎に入舎している児童生徒につきましては、令和元年五月一日現在、重度重複学級に在籍している者はおりません。

○とや委員 今お答えいただいたように、全体で二七・三%の子供たちが重度重複だと。そのうち三カ所の宿舎では、三人に一人以上の子が重複障害を持っている子です。ところが、寄宿舎は重度重複の子に対する定数の基準がありません。
 そのために例えばどうなっているかというと、一番重度重複の子供が多い割合から算出すると、大体十一名の重複を持った子供たちがいる文京盲学校の寄宿舎では十六名の職員がおりますけれども、希望泊数を認めることができない、かなわなくて、それまで週四泊できていた子は全員、ことし宿泊数が減ったというふうに聞いています。
 さらに、もっといえば、重度の子がいても、体制がないために、どうしても軽度の子を優先してしまうという現場の声もあります。これでは本来の寄宿舎の役割を果たせていないことになるのではないでしょうか。
 国の寄宿舎指導員の配置基準、標準法については、重度重複児童生徒に対応した基準がありません。この間、国に対して都は要望してきたといいますが、要望するだけでなくて、都独自に重複障害に応じた配置基準をつくる必要があるのではないでしょうか。お答えください。

○浅野人事部長 寄宿舎指導員については、国のいわゆる標準法に基づき、寄宿舎の収容定員を基礎として都の配置基準を定めております。国においては、重度重複障害のある児童生徒に対応した基準はございませんが、都では、肢体不自由特別支援学校の寄宿舎について、独自に重度重複障害のある児童生徒に対応した基準を定めております。
 寄宿舎指導員の配置基準については、引き続き、国の動向等を踏まえ、適切に対応してまいります。

○とや委員 今ご答弁いただいたように、都独自の基準がある宿舎は二人に一人の配置基準があるわけですけれども、これは光明学園の寄宿舎のみとなっています。あとの四施設は、例えば盲と知的、あるいは肢体不自由などの重複障害があったとしても、重複障害のための加配ではなくて、単一障害であり、障害が軽度と同じ五人に一人の配置となってしまっています。多く配置されているように見えるかもしれませんが、宿泊の日数は限られています。
 例えば職員が十五人いたとしますが、そのうち泊まれるのは五人だけ、一回ですね。一人の重複障害の子には一人の職員が対応しなければならないという状況が常にあります。例えば十人の子のうち三人が重度だと、五人の職員が泊まっても、三人はマンツーマンで、あとの二人で残りの子たちを回さなければならなくて、例えば重度の子がもう一人入ったら、これはもうパンクしてしまうということになってしまうわけです。結局、職員の実態に合わせて生徒の宿泊日数を制限せざるを得ないという状況がずっと続いているわけです。
 そうなると、重度障害の生徒は宿泊できない、あるいは減泊させられるという状況が生まれてくる。そうなれば、保護者に負担がかかる。寄宿舎は諦めざるを得ない。もっといえば、学校も諦めざるを得ないということになるのではないかと思います。ここまで私、質問させていただいたんですけれども、これってやっぱり子供の学習権にもかかわる問題です。都独自の配置基準の創設を重ねて求めておきたいと思います。
 次に、具体的に寄宿舎について伺っていきたいと思います。
 この間、先ほど申し上げたように、十一カ所あった寄宿舎が五カ所になってしまいました。本来その子が行ける寄宿舎が、再編によって入舎できないという状況が生まれております。
 そこで伺いたいんですが、葛飾ろう学校の通学困難な生徒はどこの寄宿舎が対応するのでしょうか。

○高木特別支援教育推進担当部長 都立葛飾盲学校寄宿舎でございます。

○とや委員 聴覚障害の葛飾ろう学校に行っている学校の子供たちの対象の寄宿舎は、葛飾の盲学校、視覚障害を持つ子供たちの寄宿舎だというふうなお答えでした。
 それでは、対応する寄宿舎について、関係者にはどのように知らせているのか。また、その生徒や保護者に寄宿舎の案内を配布していらっしゃるのか、ホームページにもわかるようにお知らせをされているのでしょうか。お答えください。

○高木特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、保護者との就学、転学相談や面談の際に、児童生徒の障害の状態、生育歴、家庭環境、教育内容に関する意向などの確認を行っており、この中で、通学困難と認められる場合や、保護者が寄宿舎の入舎を希望する場合は、入舎基準の利用方法など、寄宿舎に関する説明を行っております。
 都立特別支援学校への就学、転学につきましては、全ての事例において、東京都特別支援教育推進室の相談を経ており、都教育委員会は、通学困難と認められる場合や、保護者が寄宿舎の入舎を希望する場合は、寄宿舎に関する情報を適切に提供しております。
 また、寄宿舎の利用につきましては、都教育委員会のホームページに掲載し、広く周知しております。入舎を決定する寄宿舎設置校におきましても、入退舎案内などの配布やホームページへの掲載により、保護者に対して詳細な情報を提供しております。

○とや委員 では、お聞きしますけれども、葛飾のろう学校の生徒、もともと立川ろうの寄宿舎が対応してきたわけですけれども、廃止になったことで、対応校は葛飾盲学校の寄宿舎だということになっているわけです。
 それでは、葛飾盲学校の寄宿舎には、統合されて以来、葛飾ろう学校の生徒は何人入舎していますか。

○高木特別支援教育推進担当部長 これまで、葛飾ろう学校に在籍する児童生徒が葛飾盲学校寄宿舎に入舎したことはございません。

○とや委員 一人もいないわけです。これは当事者からお聞きした話ですけれども、以前、葛飾のろう学校の子供を葛飾の盲学校の寄宿舎に入舎させたいという相談をしたところ、寄宿舎はないというふうにいわれたという話があります。私、ホームページも見たんですけれども、寄宿舎のことは掲載されていても、ろうの生徒が、聴覚障害を持つ生徒が視覚障害を持つ生徒が行く葛飾盲学校の寄宿舎にちゃんと入れますよという丁寧な説明はないんですよ。入舎の募集要項もきちんと配布されていません。
 つまり、葛飾ろう学校に子供を通わせているお母さんは、葛飾盲学校に自分の子供、奇宿舎に入れるかどうかわからない状況が続いてきたんです。これって、私、本当におかしいと思うんですね。
 かつて寄宿舎の再編計画が行われて、先ほども申し上げましたけれども、ろう学校の子はろう学校の寄宿舎に入れたんですよ。ところが、それが廃止されたために、葛飾の盲学校の寄宿舎がカバーすることになったんだけれども、そもそも視覚障害者の子供たちと、あるいは聴覚障害の子供がコミュニケーションをとるというのは非常に大変です。
 その子供たちがコミュニケーションをとるためには、それに対応できる指導員、職員が必要なんですよ。そういうことをきちんとしてこない。だから、結局、一人も入れるような状況がないんです。私、本当、これ、問題だと思うんですよ。東京都は、この再編計画、私、とんでもないことをしたと思っています。
 きちんと再編計画をもとに戻すのが基本ですけれども、現状、当面は、葛飾ろう学校の生徒さんの保護者、また、東京全体のろう学校の保護者の皆さん、あるいは入学を検討している保護者の皆さんに、葛飾盲学校の寄宿舎に入舎できるということを知らせるべきです。その上で、学校で相談するかどうか、保護者に判断をさせるべきです。お答えください。

○高木特別支援教育推進担当部長 寄宿舎の利用につきましては、都教育委員会のホームページにも掲載し、広く周知をしております。
 入舎を決定する寄宿舎設置校におきましても、入退舎案内などの配布やホームページへの掲載を行うなど、保護者に対して詳細な情報を提供しております。

○とや委員 じゃあ、ろう学校に--入学を検討している保護者の皆さんには、宿舎に入るか入らないかは別として、入学案内はお配りするということでよろしいでしょうか。お答えください。

○高木特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校への就学、転学につきましては、全ての事例において、東京都特別支援教育推進室の相談を経ており、都教育委員会では、通学困難と認められる場合や、保護者が寄宿舎の入舎を希望する場合は、寄宿舎に関する情報を適切に提供しております。

○とや委員 私が申し上げたのは、相談した上で配布するということではなくて、特別支援学校に入学する保護者の皆さんには、まず情報提供することです。その後、空き宿舎があるんだなとか、こういうところに入ってみたいなとか、検討するのはその家庭なんですよ。その上で、学校やセンターの方に相談するんじゃないでしょうか。
 情報提供もしないで、相談してからなんていうのはおかしいですよ。これ、ちゃんと答えてください。配布をするんですね、全員に。

○高木特別支援教育推進担当部長 先ほども申し上げましたが、寄宿舎の利用につきましては、都教育委員会のホームページにも掲載し、広く周知をしております。
 入舎を決定する寄宿舎設置校におきましても、入退舎案内などの配布やホームページへの掲載により、保護者に対して詳細な情報を提供しております。

○とや委員 やっぱり、子供を持つお母さんがここの寄宿舎に入れるんだろうかとか、十分な情報がなければ判断できないわけですね。そこをちゃんと受けとめていただいて、検討ができるような材料をまず都教委として提供していただきたいと申し上げておきます。
 次に、島しょの生徒にかかわって、八王子盲学校の寄宿舎の質問に移ります。
 八王子の盲の寄宿舎の在籍は何人ですか。

○高木特別支援教育推進担当部長 令和元年五月一日現在、八王子盲学校寄宿舎に入舎している児童生徒の人数は三十五人でございます。

○とや委員 八王子盲学校の寄宿舎には、島しょの子供たちが三人、八王子盲学校の在籍の子供たちが三十二人、合計三十五人だということです。指導員は十八人と聞きました。これ、十八人、現在でも不足していると思うんですね。そういったもとで、島しょからの子供がふえる可能性が大変大きいと思っています。
 いただいた資料では、島しょ中学校の特別支援学校の固定級に十三人の生徒が在籍をしています。今後、三年間で十三人の子供が寄宿舎に在籍することが、そういった可能性があります。そうなれば、今でも、先ほど来の質疑の中でも明らかになりましたが、三割の子供たちが希望どおりの宿泊ができない、そうしたところに、さらに宿泊日数を減らさなければならなくなるような事態が生み出されるのではないかと大変危惧をしています。
 こうした危惧を払拭するというか、希望者を全員受け入れていくためには、今の八王子の盲学校の寄宿舎では不足するのではないかと思いますが、いかがですか。

○高木特別支援教育推進担当部長 八王子盲学校寄宿舎の定員は七十名であるのに対して、令和元年五月一日現在、八王子盲学校寄宿舎に入舎している児童生徒の人数は三十五人でございます。現時点におきまして、八王子盲学校寄宿舎で対応可能でございます。

○とや委員 今、七十人とおっしゃいましたよね。七十人のうち八王子の盲学校の方にある、設置されている寄宿舎は今使われているんですか。開放されているんですか。ちょっとちゃんと答えてくださいよ--七十人入るなんていうんだから。

○高木特別支援教育推進担当部長 学校の運営の中で、現在、八王子盲学校の寄宿舎については、利用可能な状況になっております。

○とや委員 利用可能だということです。そうなった場合、今後、十三人の島の子供たちが寄宿舎に入舎するということになれば、これは人が足りなくなります。人もきちんと配置をするんでしょうか。これ、きちんとお答えください。

○浅野人事部長 入舎生が増加した場合におきましても、現行の配置基準に基づき、指導員を適切に配置してまいります。

○とや委員 現在、八王子盲学校、それから八王子特支の寄宿舎は、現実として半分しか使われていなくて、八王子盲学校の方で、そこに三十五人の寄宿舎の子供たちが入舎しているという状況です。だから、実態として、かつてあった八王子の特支の寄宿舎は使われていないという状況があるんですよ。
 もっといえば、寄宿舎同士、独立していたわけです。それが、再編計画の中で一体になってしまって、一カ所の寄宿舎として数えられてしまう。だから、定員を七十人などという話になってしまうんです。本来ならば、三十人と四十人で、別々で、独立した寄宿舎があったわけです。そういった形をとっていただいて、きちんとそこに見合った職員を配置していただいて、子供たちを受け入れていただきたいと思っています。
 先ほど、お母さんたちの声、紹介させていただいたんですけれども、寄宿舎に子供が入って本当によかったというふうな方々もいらっしゃいました。自分も寄宿舎に入って社会性を育むことができた、いろんな人たちと出会うことができた、主体的に社会とかかわることができたと、そういった声があります。
 だからこそ、自分の子供も寄宿舎に入れたいと思って入れたんだと。だけど、自分の行っていたころは全員寄宿舎に入れたけど、今、全然違う状況が生まれているといっています。そういったお母さんたち、関係者の声、保護者の声をきちんと受けとめていただきたいなと思っています。
 学習をする権利も今、非常に危ぶまれています。島しょにいる固定級、通級、特別支援学級に通っていた生徒のうち、卒業生は何人いて、高校に進学した生徒は何人いるか、つかんでいらっしゃいますか、

○高木特別支援教育推進担当部長 島しょ地区の町村立学校に在籍している児童生徒の進学先は、都立学校に在籍する場合には、都教育委員会において把握しておりますが、その他の進学先につきましては、当該の町村教育委員会において管理すべき個人情報でございます。

○とや委員 私は、個別に誰がどこに進学したのかを聞いたわけではありません。卒業生は何人いて、進学したのは何人かということを聞いたわけです。都立でも私立でも、障害のある子供たちの進学先が保障できているかどうかを聞いたわけですよ。
 それなのに、そういう--機械的で冷たい答弁をしてしまうんですよね。東京都は、はっきりいって、都立に進学しなかった生徒については、私立に行ったのか、あるいは就職したのか、家にいるのか把握していないということがこれでわかりました。本当に冷たいと思いますね。
 ご承知のように、島しょ部には特別支援学校がありません。だから、中学校を卒業して、特別支援学校の高等部に行きたいと思ったら、どうしても本土の寄宿舎に入らざるを得ないんです。けれども、都立の特支の寄宿舎の二週間に一度の帰省という決まりが足かせになっていたり、進学ができない子もいると私は聞いています。結局、家にいざるを得ないと、そういった話も聞いているから、お話を聞いたんですよ。
 自営業の人とか、あるいはひとり親で仕事を休むことができない、ほかに介護する家族がいたり、障害児の兄弟がいたりすれば、二週間に一度の帰省のために親が迎えに行くことができないわけです。島の寄宿舎には二週間ルールというのがあるそうですけれども、そういったことが重なると、自宅にずっといるしかなくなっちゃうんですよ、子供は。
 そうやって三年間、高校に行かずに家にいた子がいるという話もあります。寄宿舎があっても、二週間に一度の帰島が足かせになって通うことができない現状を都としてどうお考えになっているかお聞きします。

○高木特別支援教育推進担当部長 寄宿舎に入舎する児童生徒が週末などに帰省することは、家族とのかかわりを持つ大切な機会であるとともに、精神面での安定を促し、児童生徒の心身の健全な発達のために必要であると考えております。
 また、学校において帰省日を設定するに当たりましては、一人一人の児童生徒の状況や家庭の事情を踏まえ、保護者と十分に話し合い、相互理解を図ることが重要でございます。
 都教育委員会は、学校に対し、児童生徒の個々の事情を十分に考慮しながら、帰省日を適切に設定するよう働きかけております。

○とや委員 寄宿舎から家に帰るということは、おっしゃるとおり家族とのかかわりを持つ大切な機会だと思っています。それにしても、島と本土の寄宿舎を行き来する、それがもう二週間ルールだと決められたら、これは大変ですよ。自分の有給休暇を全てこれで使ったという保護者の方もいらっしゃいました。障害児が生まれると、ここまでなのか、こんなにやらなきゃいけないのか、そういった方もいらっしゃいました。
 障害があっても、なくても、保護者も、子供たちも、きちんと体制を保障されて、学校に行く、あるいは就労ができる、そういった保障をしていくのが教育委員会の役目だと思います。ぜひこの問題については引き続き検討していただきたいと思います。
 こうした中で、どんな問題が起きているかということです。送り迎えをする保護者の負担は非常に重たいです。私が聞いた話では、やっと宿舎に送ってきた子供がインフルエンザにかかった際、お母さんが島に着いた途端、寄宿舎から連絡があって、また飛行機に乗って迎えに行って、三十九度の熱のあるお子さんを飛行機に乗せて帰ったという話も聞きました。周りへの感染の危険性もあって、何よりも子供と保護者の負担は通常の送迎とは比較できないほど困難だったという話も聞きました。
 島しょ生が感染症など急な病気にかかった場合の対応についてお聞きします。

○高木特別支援教育推進担当部長 児童生徒の急病時に、寄宿舎におきましては、急病の児童生徒が安全に過ごすとともに、他の児童生徒への影響を防ぐため、部屋を別にするなどの対応をとっております。
 また、病院、医療機関の利用につきましては、保護者が判断し対応すべきものであることから、保護者に対して速やかに連絡を行っておりますが、保護者がお迎えのために寄宿舎に到着するまでの間は、寄宿舎として責任を持って対応しております。

○とや委員 これって私、余りにも機械的な対応だと思うんですね。通常の学校の対応に準じているようですけれども、島しょ部の子供の場合を、同様の扱いすること自体、無理があると思っています。
 ぜひ医療連携をきちんとしていただいて、感染症などの場合、あるいは緊急を要する場合、入院を可とするとか、柔軟な対応をするべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○高木特別支援教育推進担当部長 寄宿舎におきましては、児童生徒の病状などが緊急を要すると判断した場合には、医療機関におきまして当該児童生徒を受診させることになります。
 なお、入院の可否につきましては、医療機関が判断すべきものと考えております。

○とや委員 入院は医師が判断ということですけれども、病状によって入院するという一般的な入院について、私、いっているんじゃないんですよ。島の子が発熱した場合に、一律に帰島を求めるのではなくて、医療と連携した対応だとか、休養できる場所の確保が必要だというふうに求めているわけです。ここについては、ぜひ実態に合った対応をお願いしたいと思っております。
 先ほども申し上げましたが、最後に寄宿舎について申し上げます。
 寄宿舎は、通学保障だけにとどまらない大きな教育的効果があります。ある保護者の方、先ほども申し上げたんですけれども、自分も寄宿舎で育ててもらったという方もいらっしゃいました。健常者といろいろ一緒にできるようになった、社会性も育むことができて本当にうれしかったとおっしゃっています。
 寄宿舎は、子供にとって主体性や社会性を育てることができる重要な施設です。今は通学困難の児童生徒しか受け入れなくなってしまいましたが、こうした寄宿舎の教育的意義をぜひ認めていただきたいと思います。少なくとも、今、通学に必要な子供たちにも十分に対応できていない、そういった状況を改善することを求めておきたいと思うわけです。
 島の子供の送迎で、今申し上げたように、有給休暇を全て使ったという保護者の方もいらっしゃいました。有給休暇が使える人はいいけれども、仕事をやめなければならない方もいらっしゃいました。親も子も共倒れするような環境を放置することは許されません。
 子供の学習権を保障する、保護者が安心して通わせることができるような教育環境を整えていただくことを強く求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○内山委員 私からは、まずはオリンピック・パラリンピック教育についてお伺いをしたいと思います。
 もうご案内のとおり、いよいよ来年の二〇二〇大会に向けて、八カ月を切ってまいりました。そういった中で、教育庁の皆さんとしても、このまさに半世紀ぶりの大会、まさに国際大会が、どうやって子供たちの学びや育ちのレガシーになるかというこの機会を捉えて、さまざまな取り組みをされていると思います。
 その観点から、まずは二つお伺いをしたいと思います。
 一点目は、中高生のボランティア体験についてです。
 先日、私、SNSで、ツイッターですけど、信じられない投稿を見たわけです。これは何かというと、中高生をボランティアに駆り出して、そして、何か学徒動員のような、そんなことをさせるのはけしからぬみたいな投稿を見ました。
 また、SNSですから、いろんな情報がありますよね。ソースは何かなと思ったら、何としっかりとしたメディアなわけですよ。このソースで出されているということは、これ、なかなか看過しがたいということで、質問させていただきたいと思います。
 まず、都教育委員会が実施する中高生のボランティア体験というのはどのような活動なのかお伺いしたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 中高生ボランティア体験は、これまで育んできたボランティアマインドを発揮し、大きな充実感、達成感を得る機会を提供することを目的として、オリンピック・パラリンピック準備局が所管する都市ボランティアであるシティキャストの取り組みと連携して実施をいたします。
 具体的には、教育活動の一環として、教員の引率のもと、都内公立中高校生等が、一日三時間から四時間程度、大型スクリーンを利用した競技中継や競技体験コーナーなどの催しが行われるライブサイト等において、会場内の案内や、暑さ対策グッズの配布、競技体験コーナーの運営補助などのボランティアを体験するものでございます。

○内山委員 ありがとうございます。まさにボランティアの募集ではなくて、ボランティア体験の募集であると思うんです。一日、三、四時間程度で、どちらかというとボランティア体験の子供たちも受け入れるために、もしかしたら人手も割かなければならないというようなことで、中学生、高校生に、まさに半世紀に一度の、日本で、東京で行われる大会の規模感というか、そういったものを、また、ボランティアマインドの中で体験してほしいというような趣旨で行われているのではないかと思うんです。
 そういった中で、個人的には、私はむしろボランティア体験じゃなくて、ちゃんとボランティアとしてやってもらって、中には大変な思いもしながら、だけど、希望するのであれば、本当に自分が役に立ったという本当のボランティア体験をしてほしいと思うぐらいなんですけど、やっぱりそこは教育庁さんも丁寧に丁寧に進められているんだろうなというのがこのボランティア体験という言葉で感じさせていただきました。
 一方で、この中高生のボランティア体験、動員だとか、ノルマだとか、こんなような言葉がSNSや記事で上がっていましたが、どのように募集をされているのかお伺いしたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 中高生ボランティア体験は、参加を希望する都内全公立中高等学校等の生徒を対象としており、生徒及び保護者への周知、案内をする際には、本人の意向を最大限尊重するよう学校に周知をしております。
 なお、できるだけ多くの学校に機会を提供するために、特別支援学校、中学校では五人、高等学校では十五人を上限としておりますが、それを超える希望があった場合には、学校や生徒等の希望に可能な限り応えるよう、参加に向けた調整を別途行うこととしております。

○内山委員 私も、各教育委員会に向けて、教育庁の皆さんが発していただいたこの依頼書というか、希望調査書の方を見させていただきました。本当に上限は書かれているんですよね。各校、今おっしゃったように、中学校だと五人程度、もしくは高校生は十五人、だけど、もっと希望があるんだったら、ちょっとほかの学校さんとも調整しながら、受け入れるだけ受け入れてあげてもいいよと、こんなようなニュアンスなんです。
 わざわざ太字で本人の意向を最大限尊重してくださいと書かれているんです。太字で、しかも下線まで引いて。ということは、これはもう明らかに、私、ネットで書かれた、もしくはあるメディアで出されていたような動員だとか、強制だとか、こういったものでは一切ないというように思いました。
 ですので、ああいった報道体制には本当に私は強く憤りも感じますし、むしろ、先ほど申し上げましたけど、子供たちが、もちろん一般のボランティアの方々もそうですけど、これだけの、なかなか日本、東京で体感できない国際大会に向けて、得がたい経験をしたいんだというところにああいった水を差すような報道って本当に私、信じられないなと思った。むしろ五人、十五人といわず、もっとたくさん受け入れてほしいなと思うぐらいですが、これは受け入れ体制のこともあるでしょうから、都内の中高生の皆さんが、もし希望されるような方々が多いようであれば、ぜひそのあたりの調整もしていただきながら、このすばらしい、まさに千載一遇の体験を一人でも多くの希望する子供たちに届けていただきたいなと思っております。
 さて、一方で、もう一つのオリ・パラ教育についてといえば、何といっても子供たちの競技観戦事業ではないかなと思っています。都内在住の幼稚園、保育園、そして小中高校生等、希望する学校に関しては、全ての子供たちのチケットを用意して、招待しますよと。これも私、本当にこれまでの大会にないチルドレンファーストのオリンピック・パラリンピックになるなと期待をしておりました。
 そういった中で、昨年、平成三十年十一月に意向調査を各自治体に行ったところ、一部、多摩地域では一つの自治体を除いて、二十三区も全校申し込みで、多摩に関しては一つの自治体は低学年はちょっとということがありましたけど、基本的には全校で行きたいという意向調査がありました。
 ところが、ことしに入って、最終の意向調査をかけたところ、低学年に関して辞退された自治体が出てきたというふうに聞いております。そういった中で、二十三区と多摩地域、もしくは島しょ部、市町村部の公立の低学年、一、二年生の観戦を希望しない地区の状況は、最終意向調査ではいかがでしたでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、五月に競技観戦に係る最終意向調査を行うとともに、八月に区市町村教育委員会及び都立学校に対し、観戦会場、日時等の暫定割り当て案を提示しまして、参加の意向を確認しております。
 区市町村教育委員会及び学校が参加の意向を回答するに当たりましては、暑さ対策等の引率に係る留意事項や、大会開催時に見込まれる交通機関の混雑状況等の情報提供を行い、児童生徒の安全を第一に考えて判断するよう依頼しております。
 区市町村立小学校における小学校一、二年生の観戦に係る意向状況につきましては、区部においては五つの区、市町村部においては二十八の市町村に観戦を希望しない学校がある状況でございます。

○内山委員 こちらも先ほどのボランティア体験と一緒で、動員であってはいけないんです。ただ、意向調査の中では、一年前ではほぼ全ての自治体が行きたいということで手を挙げたんです。ところが、ふたをあけてみたら、やっぱり、競技場が近い、比較的移動しやすい二十三区では辞退されたのは五つですよね。二十三区のうち五つ。すなわち十八の区はもう全学年で行きましょうと、こうなったんです。
 多摩地域はどうかといえば、三十の市町村の中で十九の自治体が手を下げて、低学年に関しては、とてもじゃないけど行けない。三分の一の十一の自治体しか--行きたいといったのに、全ての学年で、低学年の子たちが行くことができなかったということだと思います。
 ただでさえ、私も昭島ですから、二十三区の議員さん、もしくは、都議会議員だけじゃなくて、基礎自治体の議員さんと話をしていると、やっぱり多摩地域と温度差がありますよ。だって、触れられるところに会場がある二十三区と、二十三区も会場ありますけど、じゃあ中央線沿線の自治体から行こうとすれば、これはやっぱり多摩地域の人にしかわからないような、乗りかえの大変さがあるわけです。
 そう考えると、やっぱり一律で、チケットは用意しますけど、ここまで来てくださいね、バスも会場につけられません、そんなような状況で、多摩地域の特に低学年のお子さんたちが手を下げざるを得なかったというのは、これ、私、痛いほどわかるんです。これを、確かに意向だからということで、尊重したといえば聞こえはいいですけど、そのままにしていたというのは、少し私は違うんじゃないかなというように思っています。
 そういった中で、私は、競技観戦を希望しないというか、希望はしたんだけど、行けなかった小学校低学年の児童に対する観戦にかわる機会の提供というのをぜひ行うべきだと思いますが、都教育委員会としての見解、取り組みをお願いいたします。

○瀧沢指導推進担当部長 学校等の判断によりまして観戦を希望しない学校につきましては、児童生徒が、オリンピック・パラリンピック教育で学んだことをみずから実感できるよう、東京二〇二〇大会に、子供たちが地域などで参画できるイベント等の関連事業の情報などを機会を捉えて提供してまいります。

○内山委員 情報の提供は、別に観戦してもしなくても、ぜひ全ての市区町村でやっていただきたいぐらいのものですよ。ですので、各市区町村が、観戦できない子供たちにどういった手当てというか、ことをやっていくかというのは、ぜひ丁寧にヒアリングをしていただいて、行けない子供たちに対して新たに何かしらできるようなことがあるのではないかと私は思うので、ぜひそういった取り組みを要望したいというように思っております。
 では、続きまして、いじめの防止対策について伺おうと思ったのですが、のがみ委員の質問と答弁がありましたので、私からは、その答弁を受けてのご意見というところでとどめさせていただきたいなと思っています。
 いじめ対策、いじめって難しいんですよね。確固たる定義があるわけじゃない--いじめと感じればいじめとか、そういったところで、各自治体間の比較だとか、経年的な比較というものになかなかなじまないものでありますので、ある種どういう状況になっていったら、いじめ状態が改善されていっているだとか、そういうことがなかなか難しいなというふうに思っているんです。すなわち、効果測定というのも難しいなというふうに感じているんです。
 そういった中で、先ほど、のがみ委員への答弁の中で、レーダーチャートを使ってということで、学校は、自分たちの取り組みを自分たちで振り返って、そしてPDCAを回して、よくしていくというようなことがありました。あくまで、ただ、これ、各学校、自治体の自己採点なんですね。
 なので、問題が起きそうな学校ほど自己採点が甘くなるような傾向があるやに聞いておりますので、そういったときこそ、やはり、市教委、区教委、都教委、教育委員会の皆さんの出番だと思いますので、そこはぜひご指導いただきたいなというように思っています。
 また、スクールカウンセラー、もしくはSNSの相談体制で相談件数が上がったということでご評価をしていたと思いますが、相談が少ないよりは多い方がいいと思うんです。ただ、これもなかなか、効果測定としてとるというのはなかなか難しいなと思うんです。
 そう意味においては、この後、自殺の問題や不登校の問題ということで質疑をさせていただきたいと思っておりますが、殊、やはりいじめというものに関しては、客観的に子供たちの状態が見えるような取り組み、これはいろんな意見がまだまだあると思いますけど、学級満足度調査だとか、そういったさまざまな中で、子供たちの方の環境が整っていっているのかどうかという効果測定に関しては、ぜひ今後、引き続きご検討いただきたいなというように思っております。
 そして、今申し上げました自殺予防についてという取り組みでお伺いをしたいと思います。
 いじめ、そこから大変痛ましい自殺ということがメディアで取り上げられますと、例えば、九年ぐらい前ですかね、大津市のいじめの問題で生徒が自殺をしてしまった。ああいうようなことがセンセーショナルに報道されると、わあっと世論も喚起されて、恐らく議会も当時はわあっと活性化されたんでしょう。
 ただ、このいじめの問題、教育問題全般そうかもしませんが、やっぱり熱しやすく冷めやすいというのがありまして、そのときと比べて、わあっといろんな対策をやりましたけど、自殺の数が減っているのか、特に未成年の数が減っているのかというと、決してそういうことはないわけです。
 そういった中で、まさにこれは先ほどの、いじめの認知件数が減ったふえたで一喜一憂できないというものとはちょっと違って、自殺をされた方がいるというのは厳然たる事実ですから、この数値がなかなか横ばいで、減らないという状況の中において、都教育委員会の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○増田指導部長 都教育委員会は、平成二十九年度に、自殺対策の専門家等による協議を踏まえ、子供自身が不安や悩みを抱えたときに身近にいる信頼できる大人に相談することの大切さなどについて学ぶDVD教材を開発し、都内全公立学校に配布いたしました。
 また、毎年度、全ての校長を対象とした自殺予防教育連絡会を開催し、このDVD教材の効果的な活用方法を紹介するなどして、学校におけるSOSの出し方に関する教育の推進を図っております。
 さらに、全ての児童生徒に二十四時間受け付けの東京都いじめ相談ホットラインや、本年度から、都内国公私立中学生、高校生を対象に、通年で設置しているSNS教育相談等の窓口について定期的に周知するとともに、各学校に対し、気になる様子が見られる児童生徒に丁寧な声かけをするよう通知するなどして、自殺対策の強化を図っております。

○内山委員 ご答弁ありがとうございます。
 先ほど、いじめの、これは質問しませんでしたけど、意見をいわせていただいて、今、自殺の問題を質問させていただきました。この後、不登校の質問をさせていただくんですが、これは別々の問題ではなくて、私は、中で入り組んで相互に関係ある問題だと思うんです。学級の問題、もしくは個人の問題、さまざまな問題があると思いますけど、そういったものが、あるときはいじめというある種、症状として出ていく。もしくは、あるときは不登校という症状で出てくる。あるときは自殺という問題につながってしまう。こういうようなことがあると思うんです。
 そういった中で、私は、いじめも、不登校も、自殺も防ぐことができると思っています。例えば、次、申し上げる不登校に関して、これをゼロにすることができるかどうか、もしくはゼロにすることがいいかどうかという議論はひとまず置いておきますが、少なくとも今、先ほど、のがみ委員の質問の中で、不登校においては九千八百七十人まで平成三十年はふえたというご答弁がありましたが、これはパーセンテージでいうと、特に中学校においては、平成二十九年では三・七八%だった。ここまでも五年間かけてずっと右肩上がりなんです。それまでは、平成二十三年までは横ばいからやや減少傾向でしたけど、平成二十四年からはどんどんどんどん右肩上がりに上がっていって、平成二十九年が先ほど申し上げた三・七八%に上がっていって、じゃあ平成三十年度、どうかといえば、過去上昇し続けた、六年間で最高の上げ幅、〇・五五%上がりまして、四・三三%まで上がったということです。
 これまで私も、都議会において二年少々の間、不登校の問題、いろいろ質問させていただいたり、提案させていただいてまいりましたが、いずれにせよ、結果論でいえば、どんどんどんどん上がっていって、今回、二十九から三十に関しては過去最高の増加率ということになってしまったわけです。
 先ほど申し上げましたように、私、不登校は減らせると思っています。未然に防止することができる。その観点でちょっと質問させていただきたいと思いますが、この増加を続けている不登校、児童生徒という状況に対して、都教育委員会のまずは見解をお伺いいたします。

○増田指導部長 都内公立小中学校における不登校の児童生徒数が増加を続けている実情として、毎年、不登校の状態が解消される児童生徒がいる一方で、その人数を上回る不登校児童生徒が新たに加わっていることなどが挙げられます。
 こうした実情から、各学校においては、不登校が長期化している児童生徒に対して、個々の状況に応じた支援を行うことに加え、魅力ある学校づくりを通して、不登校を未然に防止するための取り組みを充実させることが重要であると捉えております。

○内山委員 ちょっと今の答弁で違和感があるのが、不登校が解消されている児童生徒がある一方で、その人数を上回る児童生徒が新たに不登校になっている。それはそのとおりなんですよ。そのとおりなんですけど、じゃあ解消されるってどういうことと考えたときに、二つなんですよね。一つは学校に復学できるか、もしくは卒業するかだと思うんです。
 じゃあ復学どれくらいできているのといったら、今、二割程度なんですよね。だから、解消できている児童生徒がいる一方でといいながら、それは全体の二割なんです。東京で十人不登校になったら、学校に戻ればいいかどうかはまた別の議論としたとしても、十人不登校になったら二人しか学校に戻れないというのが今の中学校の--小学校もそうですね、多少誤差はありますけど、現状なわけです。
 そういった中で、もちろん、とはいえ、確かにご答弁いただいたように、新たに出る不登校をどうやって減らしていくか、もしくは、そのためには、ただただ不登校だめだというのではなくて、魅力ある学校づくりをつくっていかなくてはならない。まさに私もそのとおりだと思います。
 では、お伺いしたいと思うんですが、具体的に、この魅力ある学校とはどういったものなのでしょうか。

○増田指導部長 魅力ある学校とは、全ての児童生徒にとって、安心でき、自己存在感や充実感を感じられる学校、また児童生徒が主体となり日々の授業や行事などで全員が活躍し、互いが認め合える学校と捉えております。

○内山委員 では、今まさにご答弁いただいた不登校施策に関連する魅力ある学校づくりに向けた都教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。

○増田指導部長 都教育委員会は、全ての教員が不登校の要因や背景を正しく理解し、児童生徒の豊かな学校生活の実現や社会的自立に向けた支援ができるようにすることを目的として、児童生徒を支援するためのガイドブックを作成し、平成三十一年三月に、都内全ての公立小中学校に配布いたしました。
 このガイドブックには、不登校が生じない魅力ある学校づくりを実現できるようにするため、児童生徒の居場所づくりやきずなづくりの視点から、教員が配慮すべきことや、集団に対するアセスメントの手法などについて示しております。
 このガイドブックの学校における具体的な活用方法について、職層や経験に応じた教員研修等で紹介するなどして学校の取り組みを支援しております。

○内山委員 ありがとうございます。このガイドブックということで、(資料を示す)私も読ませていただきましたが、今ご答弁いただいた魅力ある学校づくり、果たしてどこなのかなと見てみると、恐らく第二章の不登校が生じない魅力ある学校づくり、ここの章だと思うんです。
 全体で五章立て、そのほかいろいろある中で、そこにページが割かれているのが一二ページで、よくよく見てみると、これ、魅力ある学校づくりの内容かと思いきや、どちらかというと、一番最初、そもそも不登校の定義というところから始まっちゃっているんですけれども、ここで一ページなくなっているんですね。そこから先が、何月にこんなことが起こりそうだなとか、そういうことが書いてあるんです。
 すなわち、魅力ある学校づくりというよりは、これもやっぱりアセスメントであったり、早期発見、早期支援の、全部じゃないですよ、全部じゃないですけど、全体的なこの視点というのはやっぱり早期発見、早期対応というところに軸足を置いてあって、私は、本当に魅力ある学校づくりとはどういうものなのかというものがここに書かれているかというと、なかなか見てとれない。ゼロとはいいません。ただ、総合しても、多分一ページぐらいにしかならないんじゃないかなというように思っています。
 ですので、先ほどまさにご答弁いただいたように、魅力ある学校づくり、もちろんそこには居場所づくりとか、きずなづくりということも書かれていました。まさにそういったことは本当に大事で、不登校の出現率を下げるだけではなくて、そもそも、やはり、学級活動、学校活動の魅力を上げていく取り組みですし、それは当然、居場所づくり、きずなづくりができれば、いじめの未然防止にもつながっていくし、いじめが起きても、そこからの改善に、乗り越えていくことにもつながっていくし、当然、自殺予防にもつながっていくと思うので、ここに関しては、この魅力ある学校づくり、ぜひそういった視点で、早期発見、早期支援という視点から一歩、それはいいんですよ、そこから先に関してはすごい書かれているので、これはすごくよくできたものだと思いますが、ぜひここの一歩先に、この魅力ある学校づくりというものに、それでもまた一冊できるぐらい、ぜひ研究をしていただきたいなと、私の意見として要望させていただきたいと思います。
 それと同時に、先ほど、いじめでも、学校が自分たちの取り組みを点検、評価、改善するということがありましたが、これは当然、不登校対策についても同じことがいえると思うんですが、都教育委員会としては、学校や市区町村教育委員会をどのように支援されているのかお伺いしたいと思います。

○増田指導部長 都教育委員会は、児童生徒にとって、自分の通う学校が魅力あるものになっているかを評価、検証できるようにするため、先ほど申し上げましたガイドブックに、みんなで活動するのが楽しいか、授業がわかりやすいかなど、児童生徒を対象にした意識調査の項目例を掲載し、各学校での活用を促しております。
 また、都教育委員会が都内全ての公立学校を対象に毎年度実施している不登校に関する取り組み状況調査の中に、子供にとって自分が大事にされていると実感できる活動を行っているか、子供同士のきずなが深まる活動を行っているか、子供の意識調査の結果を踏まえ教育活動を改善しているかといった項目を設定しております。
 この調査の結果から明らかになった成果と課題につきましては、区市町村教育委員会の担当者連絡会等で説明するとともに、学校の取り組みの改善策について担当者同士が協議する場を設定するなどして、区市町村教育委員会における不登校対策の充実に向けた支援を行っております。

○内山委員 ありがとうございます。
 こちらも先ほどのレーダーチャートでやられているということだと思うんですが、こちらもあくまでベースは自己採点ですので、実際の結果と、不登校は年間で三十日以上、病気以外の理由で欠席ということで、これは明確な定義がされているわけですから、取り組みで、何か異様に高いんだけど、不登校が結構出ているということが往々にしてあり得ると思いますので、そういったところもぜひご助言やご指導をいただければなというように思っております。
 東京都における不登校の現状ということで、昨今ではもう三%を超えて、どんどんどんどん上がって、平成三十年度では四・三三%まで上がって、今、三十一年度、ここまでの間のものも仄聞すると、まださらに上がるんじゃないかというようなこともいわれている中で、東京都の三鷹市では、中学校の不登校の出現率が、東京都は今、四%を超えているのに対して、何と〇・三%から〇・四%を、この三、四年間ずっと継続しているということでした。
 私、七、八年前に一回視察をさせていただいたときに、そのときは一%切るか切らないかというときに伺ったら、それも十分すごいですけど、小中一貫教育とコミュニティスクールがいいんだという話をされていました。
 それから七、八年たって、今や小中一貫教育だとかコミュニティスクールというのは、そんなに広がっているかといわれると、よくわからないですけど、ただ、そんなに珍しい取り組みではなくなってきたんです。にもかかわらず、中学校の不登校の出現率で特筆する結果を出しているのは三鷹市だけということで、じゃあ何でということで、また聞きに行きたいということで、先日聞きに行ってまいりました。
 そうしたところ、三鷹市は、小中一貫とコミュニティスクールをセットでやることで、とても親和性が高くて、もちろん不登校の出現率だけじゃないですけど、さまざまな教育的な施策に結果を出しているんだというようなことを教えていただきました。
 こうした好事例と思えるような取り組み、好事例と思われるというのは、明らかに結果を出している取り組みに対して、また、コミュニティスクールの成果として、これまでコミュニティスクールって不登校との因果関係って余り論じられてこなかったんじゃないかなと思うんですが、そういったところもぜひ研究していただいて、他の市区町村にこういった事例を広めていくことが重要じゃないかなと思いますが、都教育委員会の見解を伺いたいと思います。

○太田地域教育支援部長 学校が抱える複雑化、困難化した課題を解決し、子供たちの生きる力を育むために地域住民等の参画を得た学校運営が求められており、地域とともにある学校を実現していく上で、コミュニティスクールは一つの効果的な仕組みであると認識しております。
 一方、区市町村教育委員会は、さまざまな形で地域住民等の参画を得た学校運営に取り組んでおり、コミュニティスクールの導入に向けては、既にある学校と地域との連携、協働体制を取り組んでいくことが有効と考えます。
 このため、都教育委員会は、学校関係者に対し、コミュニティスクール導入の先行事例や、既にある学校と地域との連携、協働体制の取り組みから、コミュニティスクールに移行した事例を紹介する研修会を開催するなど普及啓発を進めてまいります。

○内山委員 ありがとうございます。
 コミュニティスクールと小中一貫と不登校って、これ、担当が教育庁の中でも分かれてくる問題だと思うんです。しかし、そういったところにやはり横串を刺して、ぜひ複合的に進めていって、これにまた、いじめだとか自殺というと、また変わってくると思うんですけど、これと一体的に進めていっていただきたいなというように思っております。
 次、行きたいと思います。SNS東京ルールについてお伺いをしたいと思います。
 いうまでもなく、子供たちを取り巻く環境というのは、このたった数年で大きく激変しています。私、若い若いといわれても、もうすぐ四十になるんで、四十が若いか若くないかは置いておいて、私が小学生のときは外と連絡をとる手段は何かといわれたら、家に黒電話が一個あって、それしかなかったんです。
 だから、私が誰かと電話をしていなければ、真吾はうちにいるわけです。誰とも話していない、家族の人たち。しかし、今どうなっているといえば、ゲーム機器からも外とつながることができる。もちろん一人一台持っているケースも大変ふえている。もちろんパソコンもインターネットもあるわけです。
 そういった中で、子供たちを取り巻く環境は本当に劇的に変わってきています。黒電話からコードレスの電話になって、そこからPHSがあったり、携帯電話が普及していったり、スマートフォンになったりという中において、つい数年前までは電話とメールだったような気もしますが、今やLINEだとか、そういったSNSが普及していっている。まさに、今後また五年後どうなっているか、十年後どうなっているか、我々も全く想像がつかない状況なんです。そういった中で、実はその最先端に子供たちはいて、私でもついていけないようなところでも生活をしているわけです。
 そういった中で、東京都教育委員会は今年度、このSNS東京ルールを改定したというふうにお伺いしておりますが、その経緯と現在の状況についてお伺いしたいと思います。

○増田指導部長 都教育委員会は、平成二十七年度にSNS東京ルールを策定するとともに、このルールを踏まえた学校ルールや家庭ルールづくりを促してまいりました。また、SNSの使い方について児童生徒が具体的に考えることができるようにするための補助教材、SNS東京ノートを作成して、学校での活用の促進を図ってまいりました。
 こうした取り組みなどを通して、都内公立学校において、インターネット使用時に嫌な思いやトラブルを経験する子供の割合が、平成二十六年度には二二・二%でございましたが、平成三十年度には六・九%に減少するなどの成果が見られました。
 一方、この数年間でネット利用が長時間化していることや、自画撮り被害が増加していることなどの課題が明らかとなりました。
 これらの課題に対応するため、都教育委員会は本年四月に、スマホやゲームの一日の合計利用時間を決めようや、個人情報を教えたり自画撮り画像を送ったりしないなど、SNS東京ルールを改定いたしました。また、学識経験者やSNS事業者の知見を得て、SNS東京ノートについても改訂を進めております。

○内山委員 このSNS東京ルールで、先ほどの嫌な思いをするという子供たちが劇的に減ったということは本当に大きな成果だと思います。そういった中で、ぜひ、これからどんどんどんどん変わっていくと思いますが、こういったことについて引き続き随時見直しをしながら進めていっていただきたいと思うんですが、一方で、さらにこのSNS東京ルールを実効性のあるものにするためには、子供たちが自分たちで主体的に取り組むというのが重要だと思います。
 ただ単純に、十時になったらやめようねとか、嫌な思いをするからやめようねみたいな、一方的にルールを押しつけるというか提示するのではなくて、子供たちが、自分たちが今どういうことにSNSや携帯電話を使っていて、課題を感じているかということを自分たちで話し合って勉強して、自分たちでルールを決めていくというのが、私は、極めてそのプロセスが重要と思うんですが、現在どのような取り組みが進められているのかお伺いしたいと思います。

○増田指導部長 各学校におきましては、SNS東京ノートに掲載している事例を活用して、児童生徒がインターネットやSNSの適切な使い方について話し合いを通して主体的に考えるなどの実践が行われております。具体的には、小学校では、特別活動や道徳科の授業で、ネットゲームを長時間利用しないことや相手を傷つける言葉を発信しないことに関して、学級ルールを考えるなどの取り組みを行っております。
 また、中学校や高等学校では、生徒会が中心となって全校生徒にアンケートをとり、相手の許可なく写真を公開することや、夜遅くまでやりとりをすることなど、SNS利用時の問題を明らかにし、学校ルールを見直すなどの取り組みを行っております。

○内山委員 ありがとうございます。
 先ほども申し上げたと思いますが、ルールをつくるプロセスというのがやはりかなり私は重要だと思っておりますし、これこそが、ネットリテラシーという言葉もありますけど、やはりある種の生きた道徳教材にもなり得るとも思っています。ですので、このプロセス、子供たちがしっかりとつくっていく、勉強しながらつくっていく。そして、そういう取り組みをしている学校もあるではなくて、全校でしっかりとそういったルール策定というものをしていっていただけるように要望したいと思います。
 続きまして、小学生、中学生の放課後についてお伺いをしたいと思います。
 小学校にしても、中学校にしても、高校にしても、学校だけで何かできるかというと、やはり放課後の使い方というのは、子供たちの学びや育ちというものを考えたときに、私は、極めて重要な、有効な時間、資産ではないかなというように思っています。
 そういった中で、一つ、小学校でいえば、学童保育というものと、昨今では放課後子供教室というものがあります。この放課後子供教室においては、地域人材等にご参画をいただいて、全ての子供たちがさまざまな体験をしていくというのは、子供たちの成長をはかる上で大変意義があると思っています。今年度新たな取り組みを行われているということですが、どのような効果を期待していらっしゃるのか、見解をお伺いしたいと思います。

○太田地域教育支援部長 都教育委員会は、令和元年度から、放課後子供教室を学童クラブの開設日数と同程度の二百五十日以上実施し、一体型の取り組みを行う区市町村に対して、活動プログラムの充実を図る都独自の補助を実施しております。
 さらに、NPO等の専門人材を活用し、即興劇、ワークショップ、創作、スポーツ体験など、学校だけでは経験できない新たな活動プログラムを各自治体の教室で展開する取り組みも開始しました。
 これらの取り組みを通じて、放課後活動の充実と活性化を支援し、子供たちが異年齢や異世代の人々とかかわりながら多様な体験活動を経験し、地域社会の中で心豊かに健やかに育まれる環境づくりを推進してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。
 その他のTokyoスクール・コミュニティ・プロジェクトの中では、地域交流拠点、コミュニティハウスというのをつくって、その中で地域の方々に入ってきていただいたり、そこを活用していく中で新たなコミュニティを創出していくというような、こういう取り組みもされているかと思いますが、私、やはり子供たちの学びや育ちを地域で支えていくというのは新たなコミュニティの創出になっていくと思うんです。
 少子高齢化ということですから、子供たちを支える大人の手が足りなくなっていく。でも、地域には、高齢化ですから、まだまだ元気なアクティブシニアの方々がたくさんいらっしゃる。そういった方々をつなげていくことで、例えば、貧困の格差などによって放課後ずっと家にいる、もしくは、一方で、習い物で忙しくて、週何回も習い物をしている、そういうようなことで子供たちの体験力の格差というのが放課後で起きてしまっていると私は思っているんです。
 ですので、ここでぜひ放課後というこの時間を活用して、また、地域の方々にもぜひ学校に入ってきていただいて、この放課後子供教室という枠組みだけではないと思いますけど、ぜひ活用していただいて、地域を再構築していくというものにも引き続き頑張っていただきたいなというように思っております。
 一方で、都立高校においては、平成二十八年度から校内寺子屋事業というものを行っていると思いますが、これで四年間となります。この四年間の取り組みと、その成果についてお伺いしたいと思います。

○増田指導部長 都教育委員会は、義務教育段階の基礎学力の定着が十分でない生徒に対して学習支援を行う校内寺子屋事業を、平成二十八年度から都立高校十校において試行的に開始し、平成三十年度から三十校に拡充して実施しております。
 指定校では、大学生や地域人材を活用して放課後や長期休業日に義務教育段階の学び直しの学習を行うとともに、外部模試を実施して学力の定着状況を確認しております。
 これらの取り組みにより、校内寺子屋に参加している生徒の六割以上が学習意欲が向上したとアンケートに回答しており、約半数の生徒において外部模試の成績が上昇するなどの学力の伸びが見られております。
 また、校内寺子屋に参加した生徒が学業不振により中途退学したケースは少なくなっております。

○内山委員 ありがとうございます。
 拡充してからまだ二年、終えておりませんので、途中経過というところでご答弁いただきましたが、私も資料等を読ませていただいて、本当にこれによって救われている生徒というのは、私、本当に多いんじゃないかなと思っています。二年、二年ということで、一旦今年度ということかもしれませんが、ぜひ次年度以降も引き続き、むしろパワーアップして取り組みができるようにご要望させていただきたいなというように思っています。
 続きまして、部活動の充実についてということで、質問させていただきたいと思います。
 中学校における部活動の充実に向けた都教育委員会の取り組みについて、まずはお伺いしたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、平成二十九年度から、学校関係者等で構成する部活動検討委員会を設置いたしまして、適切な部活動運営等について検討し、平成三十年度に、運動部活動の在り方に関する方針及び文化部活動の在り方に関する方針を策定し、区市町村教育委員会に周知をいたしました。
 また、教員の勤務負担軽減を図りながら部活動の充実を推進するため、平成三十年度には国の補助事業を活用し、区市町村教育委員会の申請に基づいて、中学校、計百二十校、二百二十名の部活動指導員の配置を支援いたしました。

○内山委員 ちょっと確認なんですけど、この要求資料の中では三百八十六人となっていて、これは令和元年七月現在ということで書かれておりまして、先ほど柴崎副委員長の答弁と私の答弁の中で二百二十ということでしたが、これは三十年度の人数ということですか。ちょっとそこを教えてください。

○瀧沢指導推進担当部長 先ほどの答弁と数字が違うのは、三十年度と、それから今年度の現時点での数字の差でございます。

○内山委員 ありがとうございます。
 ということは、ことしまた拡充をしていくというような動きを以前ご答弁いただいていましたが、現段階でも既に百六十名程度ふえているということかなと思いました。
 この部活動指導員、先ほどの質疑もありましたが、部活動指導員でなければ、すなわちこれまでの外部指導員だったら引率ができない、もしくは審判等々の顧問等ができないというのはちょっと誤解がありまして、これ、自治体だとか中体連、高体連が認めれば、別に外部指導員であったって引率もできるし、審判もできるし、顧問にもなれるんです。ですから、部活動指導員という取り組みは真新しそうですけど、実は真新しいところはどこかといえば、国がお金を出したくれた、そのことによって、三分の一東京都も出して、自治体負担が三分の一で済んだということだと思うんです。
 真新しいことはそこなんですが、まだまだ実は課題というのは私はあるなと思っていまして、(資料を示す)この評価報告書の中でもまさに指摘をされておりますが、これまでの外部指導員が部活動指導員に移行できないというのは結構大きなネックになってきています。
 どういうことかというと、国が示す一時間当たりの単価が千六百円なんです。市区町村が適当としている単価に差が出てしまっていると、これはなかなか移動できないというようなことがあります。また、制度的な面でも、なかなか外部指導員が部活動指導員に転用できないと。
 こうなると、例えば、これまで外部指導員という制度で自治体でやってきて、やっていない自治体はほとんどなかったですよ。そこに対して外部指導員というのが来たんだけど、自治体は三分の一、こっちを出さなきゃいけないから、その分こっちの予算を削りますとなると、これまで外部指導員でやってきた人が続けられなくなる。部活動指導員になったはいいけど、このなり手が結構縛りがきついので、なかなかうまくいかないというケースが実は見えてきたりしています。
 ですので、部活動指導員を今後財団をつくって、さらに拡充していこうと、これはこれで私、いい取り組みだと思うんですが、一方で、現場の声を聞いてみると、やはり外部指導員は外部指導員でなくせないし、外部指導員は外部指導員で続けていかなきゃならないと。そうすると、部活動指導員を拡充していくだけだと、部活動の取り組みを応援していこうというものには、なかなかなりづらいケースもあるのかなというように思っています。
 そういった意味では、部活動指導員は部活動指導員、外部指導員は外部指導員で、ぜひ教育庁の皆さんにも、東京都にも、外部指導員の方にも、以前は緊急雇用の予算だったかと思いますけど、半額補助というのがありましたので、ぜひそういったところも補助対象にしてもらえないかなというように考えております。
 そもそもで申し上げますと、これからどんどんどんどん生徒数が減少していって、学校によってはもう部活動が成り立たない。先ほどもありましたけど、この部活が、例えば、野球があって、サッカーがあるけど、バスケがないとか、そんなようなところで部活動が成り立たないというところも出てきている状況でございます。
 学校の規模にかかわらず、中学生の運動、スポーツに対する、もしくは、これは文化部も同じだと思いますが、期待に応えるために、部活の設置を例えば単独校だけではなくて、複数の広域的に、A中学校とB中学校とC中学校で陸上部を設置して、その中で一緒に練習しようじゃないかというような広域的な取り組みをすることができたら、これは指導員の数が少なくて済むというのはあれですけど、少なくてほかに充てることができますし、種目によっては、個人種目だったら、別に練習は一緒にやっていても、大会には自分の学校の名前で出ることができるわけですから、そういった柔軟な取り組み等、これは一例ですけど、こういったそもそも部活動をさらに盛り上げていく、そういう取り組みが必要かなと思いますが、都教育委員会の見解を伺いたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会の運動部活動の在り方に関する方針では、学校において、特定の競技の運動部を設けることができない場合は、生徒の活動の機会が損なわれることがないよう、複数校による部活動等の取り組みを推進することなどについて示しております。
 今後、合同部活動等の効果的な取り組み事例につきまして、区市町村教育委員会の部活動担当者連絡会や部活動指導員研修会等で周知いたしまして、運動部活動のより一層の充実を支援してまいります。

○内山委員 確かにことしの七月に出されましたこのガイドラインには明記されておりますので、ぜひそういった柔軟な形で、私、部活動が、運動部も文化部もそうですけど、中学生、高校生に与える教育的な意義というのは大変大きいものがあると思っています。ぜひそういった意味では、特に中学校は各市区町村が設置の責任者ですけど、そういったところにとらわれずに、都教育委員会としても、ぜひ支援のあり方というものを検討していっていただきたいなというように思っております。
 続きまして、小中学校における外国人児童生徒の対応についてお伺いしたいと思います。
 都内の公立小中学校等に在籍をしている外国人児童生徒への対応、つまり、日本語を母国語としない児童生徒への対応について、これまでの都教育委員会の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都内公立小中学校等に在籍しております外国人児童生徒への対応について、都教育委員会はこれまで、日本語学級設置校や、日本語指導が必要な児童生徒が多数在籍する学校に教員を加配するなど、区市町村教育委員会の取り組みを支援してまいりました。
 あわせて、教員向けの日本語指導ハンドブックの作成や教員研修の実施などにより、指導の充実を図りますとともに、保護者も含めた効果的な支援を行うため、本年度から、多言語翻訳システムを導入する区市町村に対する補助事業を実施いたしております。
 また、東京都教育相談センターにおきましては、日本語による相談に加え、通訳を介した外国語による相談も受け付けるなど、教育相談体制の整備にも努めております。

○内山委員 ありがとうございます。
 今るるご答弁をいただきましたが、例えば日本語学級の設置というところで見てみますと、トータルで小学校が六百四十一人、中学校では三百二十三人と、あと、夜間で百十一人ということで、それだけの日本語学級が設置されている。すなわちトータルで千人ちょっとの対象に設置されているんですが、一方で、日本語指導の必要な小学生、中学生の分母はどれくらいかというと、三千八百人です。すなわち三千八百人の日本語指導が必要な子供たちがいるにもかかわらず、千百人分の日本語学級しか今、設置されていないという状況にあります。
 そのほか、もろもろソフトの部分に関しては、ガイドブックをつくったり、相談体制をしいたりということをされているというご答弁がありましたが、なかなかそれだけではとても十分だとはいいがたいのではないかなと思っています。
 そういった中で、東京都がやっていることだけではなくて、各市区町村の教育委員会でも、そのほかの取り組みを独自でやられているということをお伺いしておりますが、どのような取り組みがそのほかあるのか、わかる範囲でお伺いしたいと思います。

○増田指導部長 区市町村教育委員会は、例えば日本語指導員や日本語通訳などの外部人材を派遣した児童生徒の日本語習得状況に応じた指導や、日本語指導に対する教員の理解を深めるための研修などを行っております。

○内山委員 今のお話をお伺いしても、やっている自治体とやっていない自治体があるということで考えれば、先ほどの分母で三千八百分の千百ですから、なかなか--そのほかにももちろん教員の加配等もやられているというふうには伺っておりますが、学校に五人以上いると教員の加配ができると。
 ただ、五人いても、五十人いても、加配は一人というような状況でありますので、特に小学生の子供さん、もしかして中学生も早目に日本語指導をして手をかけてあげれば、後はほっておいても、日本語を母国語とする子供たちの、すなわち日本人の子供たちと一緒になっていけば、どんどんどんどん勝手に覚えていくわけですね。
 そうすれば、ある種インクルーシブな学級にもなっていくので、ダイバーシティーの学級にもなっていくので、それはそれでいいと思うので、ぜひそのあたり、特に早い段階で日本語指導の手当てができるように、今も相当頑張っていらっしゃると思いますし、また、こういった問題が起き始めたのは十年、二十年ではなくて、ここ本当に四、五年の話だと思いますので、ぜひ早急なご対応をいただきたいというように思っております。
 一方で、今、小学校、中学校の質問をさせていただきましたが、高校について、都立高校に通う日本語指導が必要な生徒に対して、授業の内容を理解するための都教育委員会の取り組みについてお伺いします。

○増田指導部長 都教育委員会は、平成二十二年度から、授業中や放課後等において、生徒の母語を介して授業内容の理解を促す個別指導を行うために外部人材の派遣を実施しております。
 また、生徒の状況に応じ、国語等の授業において、少人数での指導を別室で行っている学校もございます。

○内山委員 ありがとうございます。
 なぜ日本国籍ではない、もしくは日本国籍でも日本語を母国語としない子供たちの支援を取り上げさせていただいたかというと、一時的に滞在して、二、三年たって母国に帰る。これでも本当はしっかりとした教育を受けさせなきゃいけないんですけど、そうではなくて、結構多くの子供たちは、実は日本にそのまま残っていく、日本で育っていく子供たちが圧倒的に多いんですね。
 そういった中で、言葉さえわかれば、勉強にもちろんついていくことができるし、ともすると、ある分野ではそこをリードする人材になっていくかもしれない。そういう中においては、日本語ということだけがバリアになってしまっていて、そこをある種しっかりとサポートするかしないかで、どうとでも転んでいってしまうということがあります。
 また一方で、今、都立高校の中で外国人枠のところに入ることができれば、それなりの手厚い支援を受けることができるということでしたが、実は平成三十一年度に関しては倍率が一・七倍程度ということで、〇・七の子供たちは落ちてしまっているということなんです。
 そういった意味では、来年、杉並総合高校でまた枠をふやしていくということでございましたが、実は伸び率というのは、要するに入国してくる数というのはまだまだふえていますので、ふやす数と入国してくる数で、もし入国してくる数の方が多ければ、もっともっと倍率が高くなってしまうということもあると思いますし、これはやはり、私は、できる限り一に近づけていくことが現場を支援することにもつながっていくと思いますので、ぜひこのあたりも、まさにこの数年で起きてきた問題だと思いますので、取り組みの方をご検討いただきたいというように思っております。
 続きまして、体力の向上についてです。
 まず、都内の公立小中学校における児童生徒の体力の現状についてお伺いしたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会が平成二十三年度から実施しております児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査の結果によりますと、都内小中学生の体力は年々向上傾向にございます。
 校種別に全国平均値と比較いたしますと、小学生の体力は男女ともに全国平均値を上回っておりますが、中学生の体力は、上昇傾向にあるものの、男女ともに全国平均値を下回っております。
 小学生の体力が良好な状況にあります理由といたしまして、体育の授業以外にも十分に運動時間が確保されていることなどが挙げられる一方、中学校におきましては、体育の授業や部活動以外での運動時間が十分に確保できていないことや、学年が上がるにつれて運動する生徒としない生徒の二極化傾向が顕著になっていることなどが課題と考えられます。

○内山委員 ありがとうございます。
 この体力の推移を見てみても、小学校も中学校も右肩上がりなんですよね。これは、取り組みをされているということの一つの成果だと思います。
 一方で、平成二十五年には--男女で平成二十四年と二十五年で分かれていますけど、小学校の五年生の男子が全国の平均を上回った。そこからはずっと上回っているという状況が見てとれるんですけど、小五と中二でとっているわけなんですけど、その子たちが中学校二年になって体力テストをやってみると、また全国平均より下がってしまっているという現状があります。
 これは、先ほど運動する子としない子の二極化というのがありましたが、東京都の中学生の運動時間が全国最下位ということでありまして、小学校ではよくなっていくんだけど、中学校へ入ったら落ちてしまうという状況が、この状況から見てとれるのではないかなと思っています。
 先ほど質疑をさせていただいた部活動の影響というのも、地方のところと東京都では差があるから二極化になって、それで運動時間の違い、もしくは体力の違いにつながっていくのかなということも考えられます。
 そういった中で、アクティブプランto二〇二〇における子供の体力向上に向けた取り組みについてお伺いしたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 平成二十七年度に策定いたしました体力向上方策、アクティブプランto二〇二〇では、平成二十八年度から三年間、体力向上のための健康教育のあり方を実践する小学校二十校をアクティブライフ研究実践校として、また、より実効性のある体力向上の指導法を実践する中学校六十二校をスーパーアクティブスクールとして指定し、研究に取り組みました。
 平成三十年度には、これらの指定校において研究発表会等を実施し、児童の生活習慣の改善を意識した取り組みや、運動が苦手な生徒でも楽しく参加できる運動プログラムなど、健康増進や体力向上に向けたすぐれた取り組みを全都に発信いたしました。
 本年度からは、こうした取り組みを都内全公立小中学校で展開することといたしまして、小中学生の体力の底上げを図っております。

○内山委員 ありがとうございます。
 着実に成果も出ているところもありますので、運動が得意な子と不得意な子と、運動が好きな子と嫌いな子っていると思うんですけど、得意な子は好きになりやすくて、苦手な子は嫌いになりやすいんですけど、必ずそうかというと、そうでもないんです。
 なので、これからの長い人生の中で運動していくということは、将来的に必ず運動習慣をつけていくということは極めて重要なことですし、何もアスリートだけがスポーツだけではありませんので、そういったスポーツ文化というのを改めて見直すところにおいても、ぜひ取り組みを進めていっていただきたいなというように思っております。
 時間も大分押し迫ってきましたので、最後にしたいと思います。東京教師養成塾についてお伺いをしたいと思います。
 まずは、東京教師養成塾の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○増田指導部長 都教育委員会は、採用と同時に教壇に立ってすぐ活躍できる人材を育成するため、大学四年生等を対象として、平成十六年度から、東京教師養成塾を実施しております。
 養成塾生は指定された小学校や特別支援学校で年間四十日以上の教育実習を行うとともに、教師の使命や服務に関する講座等を受講し、豊かな人間性や実践的指導力を身につけております。
 平成三十年度までに養成塾を修了した一千七百九十四人が都内公立小学校、都立特別支援学校の教員として採用されております。

○内山委員 ありがとうございます。
 この東京教師養成塾についての意見を申し上げる前に、質問させていただきたいと思います。
 そもそも、大体十月、十一月に二次試験が終わって、合否が出て、もう来年から教員でお願いしますねというふうになります。厳密にいうとちょっと違うんですけど、簡単にいうとそうなります。
 その後に、通常、企業であれば、さまざまな研修があったり、インターンがあったり、さまざまなものがあるんですが、東京都においての教員の採用前の研修、講座の取り組みについて、まずお伺いしたいと思います。

○増田指導部長 都教育委員会は、教員としての職務を円滑にスタートできるよう、教員採用選考の合格者のうち、希望者を対象として、理科、体育、外国語、道徳などの学習指導や学級経営、特別支援教育について学ぶことができる採用前実践的指導力養成講座を平成二十五年度から実施しております。
 受講者からは、効果的な指導をたくさん学ぶことができた、四月からすぐに実践していきたい等の感想が寄せられております。

○内山委員 のがみ委員の前でこんなことを申し上げるのも大変僣越ではございますが、希望者を対象としてということなんです。すなわち、希望しなければ、十月、十一月に二次選考に合格してから、四月まで比較的余裕があるのに、ここで一切研修もなければ、講座も、今、希望者はということでしたが、実際東京都で今採用になっているのは小学校で千六百人ぐらいです。
 じゃあ定員何名かというと、四百八十人なんです。すなわち、千人以上は研修していないんですよ。先ほど体育だとか理科という話がありましたけど、体育は毎回定員二十五名です、千六百名に対して。理科は定員六十名です。もう一回いいますけど、千六百名に対して。
 この全部の回数が大体これぐらいの人数で落ちついていくというのを伺っていたので、適切なのかなとも思うんですが、果たして、大学なり、もしくは社会人で教員採用試験を受けられて合格されて教員につくまで、一切研修がなくていいのかなというのは素朴な疑問なんです。
 先ほど、東京教師養成塾の取り組みというのをお伺いしました。(資料を示す)中を見てみますと、一般的に見たら、採用前に全員が受けてもいいんじゃないかなと思うような内容なんです。しかも、平成三十一年度の内容がこれなんですけど、実はもう次の年度からこれをもうちょっと絞らなきゃいけない。なぜなら、大学が授業との関係だとか、いろんなオーダーでもうちょっと軽くしてくれないか、そういうオーダーでしぼめられちゃうんです。
 できれば、私は、もちろん初任研とかあるのはわかりますよ。教員になって一年目に初任研があります。これ、結構大変というか、もともと小学校の業務で、一年目で大変な中で、さらにそこに乗っかってくるわけですから、これは大変なんです。だから、初任研とか、二年、三年のこの研修はもう物理的にふやせないと思うんですよ。
 そうしたときに、教員の今、倍率も二倍を超えたり超えなかったりという中で、なり手がいなくて、教員の質の確保をどうしていくんだという議論も一方である中で、せっかく合格した教員の卵というか、新卒者というか、新しい人たちに対して、育てるということがなかなかちょっと抜けているんじゃないかなと思っています。もちろん法的なもので義務にできないという事情は十分わかりながらも、十月、十一月から三月までのこの三カ月、四カ月がもっとうまく使えないかなと思っているんです。
 これはぜひこの後、研究していただきたいんですが、取り急ぎできることを見つけました。何かというと、この東京教師養成塾なんですけど、平成二十九年は応募者数が百三十人に対して、これ、合否があるらしいんです。合格百十一名。平成三十年度は百四十六名に対して百四名、三十一年度は百三十二名に対して七十一人しか合格になっていないんです。
 できればこのぐらいの内容は、全部の教員になる人たちに受けてもらいたいんだから、入塾を希望した人たちは全員入れてあげてもいいんじゃないかなと思うんです。いい方をちょっと考えなきゃいけないかもしれないですけど、今、倍率としてはそんなに高くないので、そこそこ勉強すれば、教員採用試験に通るのが現状です。二倍ないですから。
 そうすると、ここで、百三十二名募集してきて七十一名ですから、六十一名落とされているわけです。この六十一名のうち、恐らく大半は受かっていますよ、教員採用試験。もしくは期限つきでも。であるのであれば、せっかく申し込んできてくれたんだったら、もうちょっとこの門を広くして、アッパーというか、最高は百二十人だか百三十人と聞いていますので、そこはいいとしても、そこまでは極力入れるような教師養成塾にしていただければいいのではないかなというように思っています。
 採用試験を受けても到底受からない状態の方が来られれば、それはもうちょっと勉強してからねという、受け入れ側の大変さもありますから、そこはあると思いますけど、ぜひこの採用の門戸に関しては広げていただきたいというのと、あと、この四月までの貴重な時間をぜひ教員の育成にさらに充実させていただきたいというのを要望させていただきまして、私からの質問を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

○古賀委員 教育庁所管の事務事業について質疑を行います。
 本年の一月、教育庁における新財団の設立について報道があり、本年の七月に、新財団が発足いたしました。
 七月一日に発足をした新財団は、一般財団法人東京学校支援機構という名称でありますけれども、この機構の設立目的、それから、趣旨、組織設立までの経緯等について、まずお聞きをいたします。

○谷企画調整担当部長 学習指導要領の改訂や社会的な要請による教育課題の増加等によりまして、学校教育には特段の対応が求められている状況にございます。また、過労死ラインの教員が多数存在し、教員採用選考の受験倍率も低下している状況であり、教育の質の低下も懸念されます。
 教員の負担軽減と教育の質の向上の両立を図るためには、都教育委員会として、多様な取り組みを複合的に行っていくことが重要でございます。
 こうしたことから、複合的な施策の一つとして、学校をきめ細かくサポートする多角的支援機関である一般財団法人東京学校支援機構を本年七月に設立したものでございます。
 同機構は、外部人材の安定的確保、教員サポート、学校の事務センターの三つの機能により、都教育委員会と協働しつつ、学校を支援してまいります。

○古賀委員 教育庁所管の新しい組織でもありますので、当時は、天下り先が一つ誕生したのではないかとか、いろんな、そういう見方もあったんですけれども、今の趣旨をお聞きすれば、それなりの背景、理由があるということはわかります。
 ところで、当法人を代表する理事長はどなたでしょうか。

○谷企画調整担当部長 東京学校支援機構の理事長は、坂東眞理子氏でございます。

○古賀委員 その坂東氏の最近の代表的著作に、平成十八年十月に発行された女性の品格があります。別に、親の品格という著作もあるようであります。
 この書名は、間違いなく、平成十七年十一月に出されてベストセラーとなった、藤原正彦氏の国家の品格に倣い、露骨に柳の下のドジョウを狙ったことは容易に想像できるわけであります。
 また、坂東眞理子氏は、以前に、菅原真理子の筆名で雑誌記事や著作を出していました。その中に、主婦の友社の女性は挑戦するなる本があります。この本の中で、氏は、女性は子供をたくさん産むことが褒めたたえられた時代は終わった、人口爆発の恐怖が人類の行く手に重苦しく立ちはだかると、人類全体の将来に懸念を示して、夫婦で二人までという子供権なるものを提言しています。また、自分の産んだ子しか愛せないというのは、母性愛として尊重されるに値しないとも述べているわけです。
 女性の品格の中には、礼状を小まめに書くとか、乱暴な言葉は使わないなどのごく平板、平凡な常識が並べられています。
 坂東氏は、女性の社会進出の代表的開拓者として、誰もがひとしく認める女性であります。現在、昭和女子大学総長、理事長を務め、国の高級官僚当時は数多くの女性政策を牽引し、ジェンダーフリー、フェミニズム運動の成果ともいえる、生得的男女の性差を否定する、平成十一年成立の男女共同参画社会基本法を制定し、その中心的役割を担いました。
 官僚として出世競争を制した代表格である坂東氏が著した本となれば、女性が注目をして、女性の品格という本が三百万部以上を売り上げたのは、もくろみどおりだったのでありましょう。
 去る六月の「しんぶん赤旗」日曜版には、坂東氏の新しい著書、七〇歳のたしなみの紹介記事がありました。品格の用語のパクリ指摘に懲りたのか、今度は、たしなみなる類似用語で書名を記しています。
 そこで、坂東氏の著作には、こういったジェンダーフリー思想の影響を受けているとの批判もあるわけでありますけれども、こうした人物を理事長にしたことが果たしてふさわしいのかどうか、教育委員会の判断を伺います。

○谷企画調整担当部長 坂東氏は、昭和女子大学の学長及び理事長といたしまして、こども園、小学校、中学校、高校、大学などの教育を行う学校法人の経営に長く携わるとともに、国の中央教育審議会委員として活躍したご経験もあるなど、経営、学校教育の双方に実績のある方でございます。
 こうしたことから、都教育委員会は、一般財団法人東京学校支援機構の設立時理事にふさわしい人物として選任したものでございます。
 また、東京学校支援機構の設立時理事による理事会におきまして、坂東氏は理事長に選任されたという経緯でございます。
 また、ご指摘の書籍でございますが、女性は挑戦するという昭和五十三年に刊行された書籍につきましては、四十年前の記述ではございますけれども、中に、女性の幸福は母親になることによってのみもたらされるなどという固定観念から自由にならなければいけない、また、子供を持ちながら職業を持つ女性が母性放棄と非難されたり、子供を持たない人や一人しかいない人が罪悪感や自己嫌悪を感じたりしなくて済むようにしなければならないと思う、とても難しいことではあるが、どちらの人生を選んでも損をしないように、本人が自由に選択できるようにしなければならないのではなかろうかということで章を結んでおられます。
 また、坂東氏は、国会で政府参考人として、ジェンダーフリーという言葉を画一的に、男性と女性の違いを一切排除しようという意味で使っている方がいるが、男女共同参画社会はこのような意味でのジェンダーフリーを目指しているのではない、また、目指すべき男女共同参画社会について、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる社会であると答弁されていると認識しております。

○古賀委員 せっかくできた新たな機構でもありますので、今後、その役割をきちんと果たしていかれることを期待していますけれども、質疑はこれで終わりにいたしますけれども、この女性の品格について、ローマ人の物語の著者、塩野七生氏は、文藝春秋平成十九年八月号でこのように指摘をしています。
 いいかげんに、女ならば女のことを心配するという習性から脱してはどうであろうか、フェミニストを職業にしている同性を私は信用しないと評して紹介をしています。このことを最後に皆さんに、教育委員会に伝えて、この件の質問は終わります。
 次に、体育の授業における武道教育について伺います。
 私は、前に文教委員会でこの武道教育について取り上げたことがありますけれども、平成二十四年度からの武道教育の義務化からかなり年数が経過をいたしましたので、改めてお聞きをいたしますけれども、体育の授業における武道の教育的意義と効果について、東京都教育委員会の所見を改めて伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 体育の授業におきまして、我が国固有の文化である武道を学習することは、自国の文化に誇りを持つ上で有効であり、これからの国際社会で生きていく生徒にとって有意義でございます。
 特に武道においては、礼に始まり礼に終わるといわれるように礼法を重んじ、その形式に従うことは、自分を律するとともに、相手を尊重する態度を形にあらわすことであり、その自己制御は、生徒の人間形成を図る上で極めて有効であると考えております。

○古賀委員 平成二十四年度から全ての中学校で武道を指導することになって、今日に至っているわけです。
 当時から、指導員の問題、確保できるかどうか、あるいは、ある特定の武道に偏るのではないかとか、いろんな懸念もあったわけでありますけれども、現時点で、平成三十年度における都内公立中学校における武道の実施種目の状況はどうなっているか、また、今後の取り組みについてもお尋ねをいたします。

○瀧沢指導推進担当部長 日本武道館の依頼により実施いたしました中学校武道必修化に関するアンケート調査結果によりますと、平成三十年度の都内公立中学校等六百六十九校における武道の実施種目は、複数実施校を含め、柔道五百二十七校、剣道百二十九校、相撲十六校、空手道十校、なぎなた二校、合気道二校、弓道一校という結果でございました。
 今後、保健体育科教員を対象としました武道講習会や、学校体育実技指導者講習会及び中学校保健体育科主任連絡協議会等において、武道の意義及び効果について周知するなどして、各学校において、武道の授業がより一層充実するよう支援してまいります。

○古賀委員 やはり従来からそう変わっていないと思いますけれども、柔道が圧倒的に採用校が多いということで、剣道がそれに続くわけです。
 今度、東京オリンピックで初めて正式競技に採用された空手道が十校ということでもありますので、金メダルも獲得が期待される空手道については、また今後、学びたいという青少年も多く出てくるのではないかというふうに思うわけでありますので、これに応えられる十分な体制というものも考えていただきたいというふうに思います。
 先ほどのお答えにありましたように、武道を通して何を学ぶか。やはりこれは礼法が私は一番だというふうに思います。礼法とか集中力というものを身につける、このことが武道教育の一つの目的ではないかというふうに思うわけです。
 付随して、生涯武道として取り組むことによって、健康の維持増進とかそういったことに効果があるということもありますので、この武道教育の重要性については、引き続き教育委員会の取り組みに期待をさせていただきたいというふうに思うわけです。
 礼法を学べば、例えば、座り方、正座をするときに、左足から座るか右足から座るか。流派等によって、また、武道によって違うのかもわかりませんけれども、私たちは左足から正座のときは座るんですね。立つときは右足から立つ。こういったことを教えれば、動作によどみがない。茶道でも、その他正座を伴うお稽古事といわれている文化的なさまざまな諸芸を学ぶに当たっても非常に参考になるわけです。
 なぜ左足から座るかといえば、これはやはり侍の、昔、刀を差していたときの一つの習慣で、もし攻撃を受けた場合でも一動作で刀が抜けるということで、そういった意味があるということも、ぜひ武道を学べば理解ができるわけです。
 回れ右も同様ですね。なぜ回れ左といわないかといえば、もし後ろから襲われたときに、一動作で相手に対して反撃できるということで、回り右という。そういうことを、武道を通して、ふだん何気なく使っている基本的な私たちの言葉、所作、動作も極めて合理的だということが理解できるわけです。
 いろいろ課題はまだあると思いますけれども、武道の教育をさらに充実してもらいたいというふうに思うわけです。
 まち道場などでは、それから、しかるべき武道場等に行けば、公的な機関でもそうですけれども、大体神棚があるんですよね。中学校の武道場で、格技場は武道場に変えてもらいましたけれども、まさか神棚というわけにもいかないとは思うんですけれども、神様の前で相手とお互いに礼を尽くして、それぞれ学んだわざを競い合うということですので、そういった意味というものも場合によっては先生方から教えてもらいたい。
 令和の御代になって、太古から二千七百年続く日本の悠久の歴史の中で、万世一系、一度も途絶えることなく、王朝が変わることもなく続いている日本の歴史のすごさというのが誰しもわかったわけで、令和という元号も万葉集からとられたということで、そういったいにしえに思いをはせる機会にも武道教育はなるわけです。
 武道場にお祭りされている神様は、どこの武道場に行っても、剣道をやっておられる先生もいらっしゃいますけれども、鹿島、香取のご祭神なんですよね。古事記を読めばちゃんと出てまいりますけれども、香取神宮は千葉県にありますね。それから、鹿島神宮は茨城にあります。
 日本神話をたどっていけば、国譲りの大国主命の時代まで行って、この二神の神様が、なぜ武道の神様かということがわかるわけで、それをお祭りする神社として諏訪大社とか出雲大社というのができて、当時、交わされた神話時代の約束が今も守られてお祭りされているということも、武道教育を通して、あるときには子供たちに語れば、日本の悠久の歴史に思いをはせることができるということでありますので、そういったことも一つ期待をしておきたいというふうに思います。
 次に、先ほど来お話がありますオリンピック・パラリンピック教育についてお尋ねをいたします。
 東京オリンピック・パラリンピックでは、さまざまな国の国旗・国歌に接する場面があるというふうに思います。いよいよ七月二十四日、来年の開会式まで二百四十日ということになったわけでありますけれども、世界の国旗・国歌に敬意を払う態度を生徒に育むことは、非常に大切なことだろうというふうに思います。
 その前提として、我が国の国歌君が代についても、生徒たちにきちんと理解をしてもらう。そして、その上で、東京オリンピック・パラリンピックの開会を迎えることが、私はより望ましいというふうに思うわけです。
 先般、九月二十日にラグビーワールドカップの開幕試合を東京スタジアムへ私は見に行きました。大変な盛り上がりでしたけれども、日本対ロシアの開幕戦の前にいろいろな行事がありましたが、君が代、日本の国歌の独唱を、歌手の平原綾香さんが堂々と歌い上げました。すばらしい国歌の独唱であったというふうに思います。
 こういった開幕式での国歌の取り扱い、独唱については、その後の試合で、各試合会場でそれぞれのチームの国歌を、日本の試合でなくても、会場に配られた歌詞カードなどで、会場の観客席の皆さんが大きな声で一緒に歌うというようなことも随所で見られたわけであります。
 そして、その声援に応えて、日本式のおじぎで、試合が終われば選手の皆さんが観衆に応えるというような場面もありました。日本の文化というのは、そういう形で今回のワールドカップでも多くの国々の皆さんに認められてきたのではないかというふうに思います。
 つまり、国旗や国歌を通しての国際交流というものが十分国際友好、国際親善に大変大きな役割を果たすということだろうというふうに思うわけです。
 そう考えますと、オリンピック・パラリンピック教育の中で、日本の国旗日の丸、国歌君が代は、今、取り上げられて、教育されているんでしょうか。

○増田指導部長 学校教育における国旗・国歌に関する指導は、学習指導要領や学習指導要領解説に基づき、社会や音楽、特別活動などにおいて行っております。
 例えば、小学校の六年生の社会科では、我が国の国旗と国歌は、それぞれの歴史を背景に、長年の慣行により、日章旗が国旗であり、君が代が国歌であることが広く国民の認識として定着していることを踏まえて、法律によって定められていること。また、国歌君が代は、日本国憲法のもとにおいては、日本国民の総意に基づき天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする我が国の末永い繁栄と平和を祈念した歌であることなどについて理解できるように指導しております。

○古賀委員 今まで、学習指導要領、あるいは教育基本法等に基づいて、従来から、音楽、特別活動、社会科の授業で取り上げて、授業の中で子供たちに教えられているというのは承知しています。
 ここでオリンピック・パラリンピック教育というわけでありますから、先ほど申し上げたように、ラグビーワールドカップでも大変友好的なムードの中で、試合が終われば、相手ともお互いに健闘をたたえ合うノーサイドの精神で、ラグビーのすばらしさというのはより多くの人に感銘を与えたというふうに思うわけでありますけれども、そこで果たした、そういう外国の国歌についても敬意を払う、また一緒に、最初にそれを斉唱して選手を激励する。
 そういったこと考えると、オリンピックまでもう二百四十日と迫って、もう余り時間はないんですけれども、もう一度教育委員会として、こういった国旗・国歌の、せめて日本の国旗・国歌については、その成り立ち、そして、意味、そういったことがきちんと子供たち自身が理解できるような教材を使った教育があっていいのではないかというふうに思うわけですけれども、オリンピック・パラリンピック教育としてはやっていないんでしょうか。教材はどうなっているんでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、オリンピック・パラリンピック教育を推進するために、補助教材として、オリンピック・パラリンピック学習読本等を都内の全ての児童生徒に配布するとともに、全ての学校にオリンピック・パラリンピック教育映像教材を配布してまいりました。
 学校では、児童生徒の実態を踏まえまして、学習読本等を活用して、ルールを守り相手を尊重して全力を尽くすフェアプレーや、あるいは外国の方と交流する際に必要となる儀礼や挨拶のマナーなど、スポーツ志向や豊かな国際感覚等の育成を目指した教育を実施しているところでございます。

○古賀委員 子供たちにわかりやすく--外国の選手と交流するときに、子供たちが日本の国歌の意味がちゃんと説明できるかどうか。日本の国歌は、君が代は、古今和歌集にある歌から、国歌ということでこれが採用されているわけですよね。もう千年以上前の国文学における美意識の一番もととなった国風文化を確立した古今和歌集にもとがある。もう千年以上の歴史があるというようなことを子供たちが教わっているのかどうか。
 そういったことについて、今からでも遅くないので、改めて教育委員会として、都教委として、教育庁はオリンピック・パラリンピック教育の中で、子供たちが国歌の意味、外国の人にきちんと解説できるかどうか。日の丸はこういう意味があるんです。どんな歴史があるのかとか、それを教えることは、今、絶好の機会じゃないかというふうに私は思うんですけれども。従来からやってきているので、ボランティアとかいろいろ、そういうことも大事だということはよくわかりますけれども、この機会に、ぜひもう一度その辺の検討をされたらどうかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 先ほど答弁させていただきました補助教材、オリンピック・パラリンピック学習読本の中には、世界のマナーとして国旗・国歌等に触れている学習の扉というものがございます。こちらの学習読本も活用しながら、全ての学校において、オリンピック・パラリンピック教育を推進しているところでございます。

○古賀委員 かつて、山田耕筰という有名な作曲家、音楽家がいらっしゃいますけれども、東京都出身ですよね。ドイツに留学しているときに、世界各国の国歌のどの歌が一番すばらしいかということで、競い合って評価をお互いし合ったことがあるんです。そういう大会みたいなのがあって、そこで一位になったのが国歌君が代なんですよね。国際的にも、これは有名な話で、多分ご存じの方も多いと思いますけれども、一番短いけれども、最も古い、内容も、国民とか天皇の、今でいえば象徴としての天皇を含む国民、そして、日本国家の繁栄と平和を願うという、それが千年も万年も続くようにという意味が込められた歌詞というのは、みんなすばらしいというそうですよ。
 外国の国歌というのは非常にすさまじい。フランス国歌を見られた方がいらっしゃると思うんですけれども、フランスの国歌は、何か、血を乗り越えて、相手を踏みつけてみたいな歌詞になっていますし、中華人民共和国の国歌は、立て、奴隷となるな、血と肉を持て、築かんとか、アメリカ合衆国の国歌は、弾丸降る戦いの庭にとか、いかに日本の国歌というのは平和的な歌詞かということが、こういう外国の国歌と比べただけでもよくわかるわけです。
 この機会が非常に絶好の機会だということは、私が今申し上げたとおりなんですけれども、平成十一年に、当時、広島の公立高校の先生が、卒業式、入学式の国旗・国歌の取り扱いをめぐって悩まれたんですね、自殺されました。そういったことがあって平成十一年に国旗・国歌法が成立して、今日、法的根拠が一つ与えられているというわけでありますけれども、国旗・国歌法に反対した国会議員で、今でもかなり、私たちが名前を聞けば、ああ、あの人もかと思う人が現職でいらっしゃるんですね。枝野幸男さん、それから、前原誠司さん、原口一博さん。こういった人たちも、国旗日の丸は認めない、国歌君が代は嫌だという人たちなんですよね。
 だから、やはり子供たちに、こういったオリンピック・パラリンピックの機会を捉えて、国旗・国歌の教育をふだんからやってくださっていますけれども、さらに力を入れてやっていただくことを私はお願いしたいし、それが国民教育、都民教育、それから、これから国際社会で活躍する子供たちを育てるという意味でも、非常に大事なことではないかというふうに思います。
 国歌についての論争が長くある中で、都教委は、処分に伴って裁判までいろいろかかわってきているわけでありますけれども、平成十五年十月二十三日の入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施についてという通達によって、職務命令を校長がきちんと出すことにより、それに従わなければ一定の懲戒の対象になるというようなことも徹底されて、国旗の正面掲示も実現いたしました。
 大きくは正常化してきているわけでありますけれども、せっかく五十六年ぶりに、昭和三十九年の東京オリンピック以来、二度目のオリンピック・パラリンピック、しかも、パラリンピックと同時に開催する初めての都市として、東京は、この大会の成功に今取り組んでいるわけであります。ですから、オリンピック・パラリンピックの教育の中に、そういった意味合いというものをより比重を考えて、これからも、教材等は幾らでも用意しようと思えばありますし、既に他の県や他の自治体でも、音楽の先生たちがそういう教材を使って、ぜひ子供たちにもこのすばらしい国旗・国歌、日本の象徴するこれらを正しく理解してもらいたいということで活動もしておられるところもありますので、必要があれば、そういった教材もいつでもご紹介いたしますし、さらに取り組んでいただくということが、オリンピックの成功をより価値あるものにしていくのではないかというふうに思います。
 東京都教育委員会の取り組みに私は別に論談しているわけではなくて、さらに加えて、この大会を意義あるものにするためにも、そういった視点を持ってほしいということをお願い申し上げて、私の質問を終わります。

○星見委員長 この際、都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時二十二分休憩

   午後六時五十五分開議

○星見委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○うすい委員 どうぞよろしくお願いします。残り予定時間ですと三時間四十分、できるだけ簡明に質疑をしていきますので、よろしくお願いしたいと思います。
 私の方から、まず、先日の台風十九号によります豪雨災害でございますけれども、氾濫などによる浸水範囲は去年の西日本豪雨を超えたほか、土砂災害も一つの台風によるものとしては最も多くなるなど、記録的な豪雨災害となったわけでございます。
 私の地元の足立区では、午後三時過ぎに全員の避難勧告が出されまして、区内の小中学校は本当に大勢の避難する方々でいっぱいになりました。先ほど、我が党の、のがみ委員からもありましたけれども、急遽、区の要望もございまして、区内の都立高校を避難所として開設していただいたところでございます。この場をおかりしまして、関係所管の皆様に深く御礼を申し上げるところでございます。ありがとうございました。
 災害時の都立学校の避難所開設については、区市町村と学校との事前協定に基づいて、区市町村から要請があった場合に避難所を開設すると伺っております。今回の台風十九号の到来の際には、避難所開設に向けた、区と、それから都立学校との事前のすり合わせが残念ながら十分ではなくて、直前の開設になるなど、混乱が生じた実態がございました。
 今後、要請に基づく開設がスムーズに行われるように、区と、そして学校との事前の十分なすり合わせがぜひとも必要であると考えます。都教育委員会の見解を伺います。

○安部総務部長 都立学校と区市町村の事前協議に基づく避難所の開設に当たりましては、休日や夜間など学校に教職員がいない場合も想定されます。そのため、各学校では、あらかじめ区市町村の防災部署の職員や地域住民と避難所の開設や運営について協議することとしております。
 今回の台風十九号到来の際は、一部の区市町村におきまして、開設要請に当たっての連絡系統などに混乱が生じておりました。
 今後は、各区市町村と学校との間での連絡ルールや開設場所の事前確認など、避難所の円滑な開設に向けた事前の協議が十分に行われるよう、区市町村と都の関係部局などと連携を図ってまいりたいと考えております。

○うすい委員 ありがとうございます。今、前向きな答弁をいただきましたので、今後、地球温暖化が進む中で、今回の台風十九号以上の勢力の大きい台風が到来する可能性は非常に高いと考えます。ぜひとも区市町村と都との連携をしっかりと綿密に行っていただいて、対応をよろしくお願いいたします。
 続きまして、昨今、神戸市で男性教諭が先輩や同僚の教諭四人からいじめや暴行を受けたとして、教員間のパワーハラスメントの問題が大きく取り上げられております。児童生徒のいじめを防止していく立場の教諭が、教諭同士でいじめを行うことは絶対にあってはならないと思っております。
 神戸市の今回のこの問題について、なかなかそれが表に出なかった、そうした閉鎖的なところも私は大変に問題があると思っております。
 そこでまず、お伺いをしたいんですが、このようなパワーハラスメントを受けた教職員においては、どのような相談先があるのか、また、それと同時に、都教委の相談受け付け件数と、そのうちパワーハラスメントを受けた結果、休職に至った職員の人数もあわせてお伺いをいたします。

○浅野人事部長 パワーハラスメントを受けた場合の相談先についてでございますが、都教育委員会では、まず、当該学校の管理職である校長や副校長へ相談するよう呼びかけております。
 また、学校の管理職以外にも、都立学校では学校経営支援センター、区市町村立学校では各区市町村教育委員会に設置された相談窓口等において、教職員からの相談を受け付けております。
 都教育委員会の相談受け付け件数についてでございますが、学校経営支援センターでは、平成三十年度に二十九件のパワーハラスメントに関する相談を受け付けましたが、相談者の中に、ハラスメントを理由として休職に至ったと考えられる事例はございません。

○うすい委員 今答弁をいただいたところですけれども、パワーハラスメントを受けて休職に至ったと考えられる事例はないという答弁でございました。本当にないんですかね。我が会派には、パワーハラスメントを理由に休職しているという相談が実際に寄せられております。表に出ていないけど、実際はあるわけなんですね。
 それでお伺いしますけれども、相談窓口では、パワハラ等の相談を受けた後、どのような手順で問題の解決に当たっているのかお伺いをいたします。

○浅野人事部長 都教育委員会が服務監督権を有する都立学校教職員から相談を受けた際には、まず、相談者から相談に至った事情を丁寧に聞き取り、相談者に意向を確認の上、加害者とされる相手方や、状況に応じて第三者からも事情を聞き、ハラスメントの事実の有無を確認しております。
 仮にハラスメントの事実があった場合には、相談者がこうむった不利益の回復を図るとともに、相手方への処分、指導などを厳正に対処することとしております。
 ハラスメントの事実が認められない場合でも、職場環境改善の観点から、必要に応じて、関係する教職員へ指導を行っております。

○うすい委員 今答弁いただきまして、教育委員会等に相談できるということはわかりました。
 しかし、第三者という視点の相談窓口があれば、より相談しやすい環境になるというふうに私は考えるんですが、都の見解を伺います。

○浅野人事部長 教職員は、教育委員会が設置する窓口とは別に、東京都人材支援事業団が設置している相談室も利用できます。加えて、都立学校教職員は、広く東京都職員向けに設置されている外部弁護士による電話相談窓口も利用できます。
 教職員が悩みを一人で抱え込まないよう、改めて相談窓口の周知に努めてまいります。

○うすい委員 そうした相談先が単にあるということだけじゃなくて、それをぜひ体系化していただいて、今答弁あったとおり周知に努めていただきたいと思います。
 パワハラを受けた被害者が相談できるところがあるにもかかわらず、相談できるところに相談をせずに休職に至っているという事例は、先ほど私が申し上げたとおり、表に出ていないけれども、実際にはあるわけでございまして、問題が起きて早期の相談につながれば、そのことで休職せずに済む可能性も高まるものと考えます。
 先生は本当に忙しいですから、そうしたときに、多忙な中でも、例えば深夜になったときにちょっとメールで相談してみようかなとか思ったときに、気軽に相談できる体制が私は必要だと思っております。
 今、都では、先ほども質疑がいろいろありましたけれども、児童とか生徒においては、また若者の相談では、SNSを活用した相談がございます。SNSですけれども、そうした都職員向けのSNSなどを活用した相談体制があれば、より利用しやすいのではないかと考えますが、見解を伺います。

○浅野人事部長 教職員のハラスメント問題を早期に解決するためには、相談しやすい環境をつくることが重要でございます。
 そうした観点から、都立学校教職員のハラスメント相談について、来所または電話による受け付けに加え、新たな取り組みとして、電子メールでの相談受け付けを検討してまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。前向きに検討をぜひよろしくお願いしたいと思います。
 また、いじめやパワハラに遭っている当事者の気持ちというのは、本当に当事者しかわからないわけです。恐らく精神状態というのは相当悪い状態にあると思います。相談する先がたとえあったとしても、相談すること自体が相当なエネルギーを要するものとも思います。
 だからこそ、最初の第一歩として、垣根を低くした相談体制と、被害に遭っている当事者の目線に立った相談体制の充実をぜひとも図っていただきますことを強く要望して、次の質問に移ります。
 次は、二〇一九年五月末に、若者に対する内閣府の意識調査がネットニュースで取り上げられておりました。意識調査の中で話題となったのは、留学に関する項目でございます。調査の概要は、対象者、十三歳から二十九歳の男女の中から、日本、そして、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの七カ国を対象にインターネット調査が行われたわけでございますけれども、そのテーマは、将来、海外留学をしたいですかという問いに対して、はいと答えた人は、例えば、韓国が六五・七%、そして、日本が三二・三%、さらに、留学をしたいと思わないという答えが日本は五三・二%ということで、五〇%を超えたのは日本だけでございます。留学に行きたくない、興味のない人が、調査対象国の中で日本人が断トツで多いという結果がございました。
 都教委の事務事業概要を見ましても、グローバルに活躍する人材を育成する教育という施策展開をうたっているわけでございますけれども、まさに海外に目を向けてのグローバル人材の育成は、日本の将来を決することにつながるといっても過言ではないと思うわけでございます。いわゆる内向き志向を打破して、将来、世界を舞台に活躍できる人材を育成するための高校生の海外留学支援は、その第一歩としてもとても重要であると考えます。
 そこで、こうした留学に対する支援についての取り組みと、そして実績、また、参加の諸条件についてお伺いをしたいと思います。

○瀧澤指導推進担当部長 都教育委員会は、将来、国際社会で活躍できる人材を育成するために、平成二十四年度に次世代リーダー育成道場を開設し、毎年二百人の都立高校生等の約一年間の留学を支援しております。
 参加する生徒は、校長の推薦を受け応募した生徒のうちから、小論文や面接等の選考を行い、決定しております。
 受講料は八十万円でございますが、経済的理由により納付困難である場合には、減額または免除を申請することができます。
 この道場では、生徒が自信を持って留学に臨むことができるよう、留学前に、英語や我が国の歴史、文化などを学ぶ事前研修を実施しております。
 米国、オーストラリア等の留学先では、ホームステイをしながら高校に通い語学力を磨くとともに、我が国の文化を紹介したり、ボランティア活動に取り組んだりすることで、リーダーとしての資質、能力の育成を図っております。
 平成三十年度までに約千人がこの道場を修了しており、その中には、将来、国連等の国際機関で外交に関する仕事につくことを目指している者もございます。

○うすい委員 先日、ある新聞記事を見まして、海外プロジェクト探検隊と称しまして、首都圏と愛知、京都の高校生六人が、ことしの七月二十二日から二十七日までの六日間、洋上風力発電所など再生可能エネルギー開発の最先端ともいえる欧州のオランダとイギリスを訪れて、持続可能性を追求するビジネスの最前線を取材したという内容の記事を読ませていただきました。
 六人の中には、都立高校の二年生の方も参加をされておりました。参加をしての感想は、毎日の暮らしの中で、サステーナビリティーを意識する大切さを学びました、これからは、車に頼るばかりではなく、自転車を活用するなど、身近なところから始めたいというふうに述べておりました。
 オランダなどの環境意識の高い国の現地の人たちとのやりとりは、本当に生きた実践教育につながるものと思います。例えばでございますけれども、SDGsなどをテーマに、海外に目を向けてボランティアマインドや豊かな国際感覚を身につけて、共生社会の実現を担う人材を育成するという視点での取り組みというのは大変に重要なことだと考えております。
 そこで、高校生の海外ボランティア体験の取り組みなどについて、見解を伺います。

○増田指導部長 都教育委員会は、社会貢献や国際協力の意識を身につけ、共生社会の実現を担う人材を育成することを目指して、本年八月、ボランティア推進校六校の代表生徒十七名をベトナムに派遣いたしました。
 参加した生徒は、日本領事館でのベトナムにおける輸入廃プラスチックによる環境問題等についての講話や、リハビリテーション施設におけるJICA隊員に対するジョブシャドー、障害者施設での介助体験やボッチャによる交流、児童養護施設での日本の遊具を介しての交流等の体験を通して、日本の国際協力の現状を理解するとともに、相手のことを考え行動することの大切さを学びました。
 こうした海外ボランティア体験の成果は、今月開催いたしました全都立高校等の代表生徒によるボランティアサミットで報告され、サミットに参加した生徒は、世界的な環境問題を身近な問題として捉えるとともに、国際協力や社会に貢献しようとする意欲を一層高めておりました。

○うすい委員 先ほど、前段で質問してご説明のあった次世代リーダー育成道場についてでございますけれども、内容はとてもすばらしいものだと思います。今のご答弁いただいた内容もすばらしい。
 しかし、前段については、八十万円の費用の問題とか、さっき減免とかがあるとおっしゃっていましたけれども、減免があるんですね、前に聞いたとき減免といっていませんでしたけど。事前の準備などを含めて、誰もが参加しやすいものではちょっとないかなと感じます。
 だから、もう少し垣根を低くするということが大事かなと思いますし、今のボランティアについても、例えば来年のオリンピック・パラリンピックの開催にちなんでのボランティアの機運醸成という視点もあるかと思います。決してこういうことを一過性で終わらせてはいけないというふうに考えます。
 先ほど、SDGsのテーマを例に申し上げましたけれども、海外留学の次へのステップに向けて機運醸成につなげていくためにも、例えば夏休みなどを活用して、希望する高校生が参加しやすい海外視察などをぜひ検討していただいて、現地の人々と国際交流を通じて、グローバルに活躍できるような人材育成の取り組みにぜひとも取り組んでいただくことを要望しまして、次の質問に移ります。
 続きまして、プログラミング教育について伺います。
 二〇二〇年から、小学校でプログラミング教育が開始されるわけでございますけれども、教育現場の中には、どのように学校教育が変わるのか気になっている先生方や、また、保護者の皆様の中にもそう思っている方もいるかもしれません。
 そこでまず、新しい学習指導要領に位置づけられた小学校プログラミング教育の背景と狙いについて、都教委の見解を伺います。

○増田指導部長 今日、コンピューターは社会の基盤として不可欠なものとなっており、子供たちには、あらゆる場面において、コンピューターを適切に活用して問題を解決していくことが求められております。
 小学校におけるプログラミング教育は、人が命令を与えることによって意図する動作をさせるというコンピューターの仕組みを体験的に学ぶことにより、コンピューターをより適切かつ効果的に活用できるようにするとともに、論理的思考力を育むことなどを目的として、令和二年度から全ての小学校で実施されることとなっております。

○うすい委員 令和二年度から全ての小学校で実施されるということでございますけれども、今まで、準備の期間といいますか、そうした段階を経て取り組んでこられたことと思います。
 都教育委員会は、小学校のプログラミング教育の実施に向けて、学校に対してどのように支援をしてきたのか、見解を伺います。

○増田指導部長 令和二年度から全面実施となるプログラミング教育が、都内全ての小学校で適切に行われるようにするため、都教育委員会は、平成三十年度から二年間、学校と企業等との連携による先導的な取り組みを行う学校として、都内全域から七十五校をプログラミング教育推進校に指定しました。
 各推進校では、教員が、企業等のインストラクターからプログラミング教育の実践事例について学んだり、指導計画を作成する際に助言を受けたりして、指導力向上に取り組むとともに、他の学校の教員にも授業を公開するなどしてまいりました。
 また、都教育委員会は、推進校の取り組みを指導資料集としてまとめ、都内全ての公立小学校に配布し、その成果を他の学校に普及してまいりました。

○うすい委員 平成三十年度から二年間、七十五校をプログラミング教育推進校に指定したということでありました。
 プログラミング教育推進校事業における取り組みによって、その成果についてはどのようなことがあったのか、見解を伺います。

○増田指導部長 推進校からは、取り組みの成果として、暗くなると点灯する照明のプログラムをつくる活動の中で、児童が周囲の明るさを感知するセンサーの条件設定について試行錯誤することを通して、児童に論理的思考力が育った、日常生活を支えるさまざまなものにコンピューターが活用されていることを児童が理解することができたなどの報告を受けております。
 また、プログラミング教育の狙いや教材の活用方法などについて、教員の理解が深まったことにより、児童の興味、関心を引き出す授業を行うことができるようになったなどの報告も寄せられております。

○うすい委員 民間の教育機関のアンケート調査によりますと、このプログラミング教育について、現場の教員の不安というのは、まず、予算が足りない六二%、IT環境が整備されていない五六%、授業時間数が足りない五四%と、いずれも半数以上がさまざまな課題や不安などをアンケートとして回答しております。情報が足りない、教員が足りないという回答も三割以上ありました。
 プログラミング教育の確実な実施に向けて、学校からは、どのような教材を使えばよいかなど、教材の準備が課題であるとの声なども私自身も聞いているところでございます。
 都教育委員会として、こうしたことにどう対応して取り組みを進めていくのか、見解を伺います。

○増田指導部長 都教育委員会は、指導資料集に、推進校が授業で活用した模型自動車、電光掲示板等、さまざまな教材を掲載するなどして、各学校が教材を選定する際の参考となるようにいたしました。
 今後とも、こうした取り組みを通して、各学校が教材を準備できるよう、適切に情報提供してまいります。

○うすい委員 プログラミング教育推進校の取り組みの成果が、推進校になっていない都内の他の小学校においても確実に生かされるようにしていかなければ、学校によっては格差が生まれてしまうことになってしまいます。全ての学校が、きちんとおくれることなく取り組みができるようにするべきと考えます。
 今後、教育委員会としての取り組みについて、見解を伺います。

○増田指導部長 今年度、プログラミング教育推進校事業の最終年次の取り組みとして、推進校において開発された指導事例や教材等を他の学校でも活用できるようにするため、各区市町村教育委員会が域内の小学校の教員等を集めて、推進校の成果報告会を開催することとしております。
 また、都教育委員会は、都内の全ての公立小学校から担当教員の参加を求め、プログラミング教育フォーラムを開催し、推進校における二年間にわたる研究の成果について周知、啓発を図ってまいります。
 これらの方策を通して、来年度以降、各小学校において、子供たちに論理的思考力やコンピューター等をよりよく活用する態度を育成するための教育が確実に実施されるよう、区市町村教育委員会と連携して学校の取り組みを支援してまいります。

○うすい委員 今後、ソサエティー五・〇の時代を迎えるわけでございますから、これはぜひとも必要な力だと思います。そういう意味では、今ご答弁いただいたとおり、区市町村との連携をしっかりとっていただいて、スムーズに学校が取り組めるよう、よろしくお願いをしたいと思います。
 十分早いですけど、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○斉藤委員 では、よろしくお願いいたします。
 私からは、エンカレッジスクールと高校生の年齢の子供の貧困対策、そして、学校へのエアコンの設置について質問をさせていただきます。
 まず、エンカレッジスクールについてです。
 都教育委員会はこれまで、学校の特色化や多様なタイプの都立高校の設置を進めてきました。その中でも、生徒たちを励まし、応援し、勇気づけるという言葉の意味のとおりを学校の理念とするエンカレッジスクールを設置し、都内でこれまで六校が指定されています。
 このエンカレッジスクールの意義やこれまでの成果について、改めて伺います。

○藤井教育改革推進担当部長 エンカレッジスクールは、小中学校で十分能力を発揮できなかった生徒のやる気を育て、頑張りを励ましながら、勉強や学校行事などを通して、社会生活を送る上で必要な学力を身につけ、豊かな人間性を育むことを目的としております。
 各校では、義務教育内容の学び直しや習熟度別、少人数でのわかる授業の展開、二人担任制の導入、生活指導の徹底などを通して、きめ細やかな個に応じた指導に取り組んでおります。
 その結果、落ちついた環境での学び直しときめ細かい指導により、中途退学率は、各校でエンカレッジスクール指定前より大幅に減少するなど、一定の成果を上げております。

○斉藤委員 小中学校で十分能力を発揮できなかった生徒を励まして、やる気を育てながら、少人数でのわかる授業の展開など、きめ細やかな指導に取り組んできたということです。生徒たちを励まし、勇気づけるということは、本来の教育に求められている重要な視点ではないかと思います。
 私はこの間、最初にエンカレッジスクールに指定された秋留台高校と、私の地元の足立区にあります足立東高校を見学させていただきました。現場で授業や生徒たちの様子を拝見させていただいて、校長先生方の話も聞かせていただきましたが、ご答弁のとおり、一、二年生の二人担任制や習熟度別の少人数での授業展開など、特色のある運営を行っているということがよくわかりました。生徒たちが先生と応答的に授業を進めて、生き生きと学ぶ姿を拝見することができました。
 教員を手厚く配置しているという点が大きな特徴だと思いますが、エンカレッジスクールの教員の配置は具体的にどのようになっているのか伺います。

○浅野人事部長 エンカレッジスクールでは、他の都立高校と同様に、国の基準を踏まえた都の教職員定数配当基準に基づき、学級数を基礎として教員数を算定しております。
 これに加えて、エンカレッジスクールの六校の全てに習熟度別、少人数指導のための教員を四人から六人加配し、普通科の四校については、中途退学対応のために三人の加配を行っております。
 さらに、副校長については、全てのエンカレッジスクールで複数配置を行い、養護教諭についても五校に複数配置しております。

○斉藤委員 習熟度別、少人数指導のための加配や中途退学対応のための加配を利用して教員を配置しているということ、また、副校長と養護教諭を複数配置にしているということです。
 見学をさせていただいた中でも、例えば、生徒たちがそれぞれの習熟度に合わせてプリント学習を進める授業では、一クラスに教員三名と学習支援員二名の五人体制でそれぞれの生徒に指導していく、きめ細やかな対応を行っている様子もわかり、教員の加配は非常に意義のあるものだというふうに感じました。
 エンカレッジスクールでは、クラス編制についても五学級規模の生徒を六クラスの展開にするなど、本来の学級編制より一クラス多くなるように編制をしています。
 そのための教員の配置はどのように行っているのか伺います。

○浅野人事部長 普通科のエンカレッジスクールにおける五学級六展開や六学級七展開の少人数指導は、中途退学対応のための加配を活用し、実施しております。

○斉藤委員 一クラス多いクラス編制の展開のためには、中途退学対応のための加配を活用しているということです。
 都立高校の一クラスの基準は四十名ですが、エンカレッジスクールでは一クラス三十二、三名で編制されており、さらに一、二年生には二人担任制をとっているということが本当に大きな特徴だというふうに思います。
 エンカレッジスクールでは、小中学校での学習のつまずきや、十分に能力を発揮できずに、さまざまな悩みを抱えた生徒たちが通っている中で、少人数学級や二人担任制で、先生たちも日々、生徒たちの相談に乗り、向き合う体制ができているということも現場で伺うことができました。
 しかし、一方で、やはり教員の手が足りていないという声も届いています。私は今回、学校見学させていただいてお話を伺わせていただきましたが、それ以外にも関係者の方々から声をいただいています。
 その中では、やはり、家庭においても困難や悩みを抱えた生徒たちが多く通っている中で、生徒たちに寄り添う対応が十分にはできないという声があります。毎日生徒たちの聞き取りや面談、指導や申し渡し、保護者への連絡などに追われて、授業の準備をする時間がとれないという声もあります。
 対応が難しい生徒たちでも手厚く見てもらえるということが評判を呼んで、発達障害を抱えた生徒たちもふえている中で、中には、先生たちの残業時間が月百時間以上というような声も伺ってきました。生徒に向き合い、生きる力を伸ばしていく学校だからこそ、教員が足りないという切実な声に対して応えていく必要があると思います。
 教員の配置をふやすということを検討していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○浅野人事部長 エンカレッジスクールの教員定数は、国の基準を踏まえた都の教職員定数配当基準に基づき適切に配置しております。
 なお、引き続き、国に対しては、教職員定数基準の充実を求めてまいります。

○斉藤委員 今の配置が適切なものなのか、十分なものなのかというのは、ぜひ現状を見ていただいて考えていただきたいというふうに思います。
 エンカレッジスクールは、これまでの取り組みの中で、学校からの中途退学率も減少させてきたというご答弁が最初にありました。また、入試の倍率も上がってきて、二倍を超える年もあるというお話も伺いました。
 それだけ求められている学校なんだというふうに思いますし、小中学校で困難を抱えても、この高校なら入りたいという希望を持って来られる生徒たちがふえているというふうに伺っています。だからこそ、先生たちのご苦労も多いのだと思います。
 エンカレッジスクールが設置されてから十五年ほどがたちますが、信頼を得てきている今だからこそ、その取り組みが維持発展できるように、今の現場の状況に目を向けて検討していただきたいというふうに思います。
 先ほど、国に対して基準の充実を引き続き求めていくというご答弁でしたが、重要なことだと思います。しかし、国に求めるというだけでなく、都としての対応として、教員の配置増について検討していただくよう強く要望いたします。
 エンカレッジスクールでは、養護教諭も複数配置にしているというのは重要な点だと思いますが、昨年度にエンカレッジ校に指定された中野工業高校では、養護教諭が複数配置になっていません。これはなぜなのか。複数配置にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○浅野人事部長 都立高校の養護教諭については、都の教職員定数配当基準により、原則として全日制及び定時制課程につき各一人を配置しており、また、生徒の状況等を総合的に勘案した上で、複数配置を行っております。
 養護教諭の複数配置については、今後も、各校の実情等を踏まえ、適切に対応してまいります。
 なお、今年度、都立中野工業高校には、養護教諭の業務を担う臨時職員を雇用するための経費を措置しております。

○斉藤委員 エンカレッジスクールの関係者の方からは、情緒不安や発達障害を抱える生徒たちも多くいる中で、保健室を利用する生徒たちがたくさんいて、一日に三十人ぐらいが保健室を訪れるということもあるというお話を伺いました。
 中野工業高校では、今年度は養護教諭の業務の一部を担う臨時職員の経費を措置しているということ、また、今後も実情を踏まえて適切に対応していくということですので、ぜひ養護教諭の複数配置について検討していただきたいというふうに思います。
 エンカレッジスクールでは、ユースソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの方々が、生徒の日々の悩み事や進路相談、自立支援などに大きな役割を果たしているということも特徴だと思います。
 学校によっては、先生たちと一緒に週一回のケース会議を開いて、対応が必要な生徒の情報共有を行って、生徒たちへの丁寧な対応に当たっているということでした。非常に重要な取り組みだと思いますが、ユースソーシャルワーカーについて、曜日によって派遣される人が違うという現状があります。
 子供たちが継続して相談したり、心を許せる関係を築くためにも、同じ人に担当してほしいという声とともに、相談日数をふやしてほしいという声がありますが、どのように対応していくのか伺います。

○太田地域教育支援部長 ユースソーシャルワーカーは、社会福祉士や精神保健福祉士等の資格を持つ福祉系の支援を担当する職員と、キャリアコンサルティング技能士等の資格を持つ就労系の支援を担当する職員から構成されております。
 学校に、福祉系と就労系、いずれのユースソーシャルワーカーを派遣するか、また、週に何回派遣するかなどについては、あらかじめ学校から聞き取りを行った上で決定しております。
 今後とも、学校や生徒のニーズに対応したユースソーシャルワーカーの派遣に努めてまいります。

○斉藤委員 学校から聞き取りを行った上で決定しているということですが、私たちも、保護者の方々や先生方からそうした声を直接いただいています。今後とも、学校や生徒のニーズに対応した派遣に努めるということなので、この声をしっかり受けとめて、今後の対応を検討していただきたいというふうに思います。
 また、スクールカウンセラーについても、やはり相談日数をふやしてほしいという声があります。生徒たちからの相談が多い中、スクールカウンセラーの方も、定時を過ぎても残って相談に応じているという状況や、生徒たちも、待たされたり、相談したいときにすぐ相談ができない状況があると伺っています。
 スクールカウンセラーの相談日数をふやしてほしいという要望について、都教育委員会としてどのように対応していくのか伺います。

○増田指導部長 都教育委員会は、平成七年度から、都内公立学校へのスクールカウンセラーの配置を開始し、その後、国の補助制度を活用しながら順次拡大を図り、平成二十五年度から、都内全ての小中高等学校に配置しています。
 また、平成二十八年度から、高等学校、全日制、定時制、通信制のそれぞれの課程別に配置するとともに、スクールカウンセラーを配置する全ての学校において年間勤務日数を、それまでの三十五日から三十八日に拡充しました。
 平成二十年度に国の補助率が二分の一から三分の一に引き下げられ、都の負担が増加している状況にあり、引き続き、国に対して財政支援を要望してまいります。

○斉藤委員 国に対して補助率の見直し等の財源支援を引き続き働きかけていくということ、ぜひお願いしたいと思います。
 同時に、エンカレッジスクールを設置した都の責任としても、スクールカウンセラーの増配置について前向きに検討していただきたいというふうに思います。
 エンカレッジスクールについては、非常に意義のある取り組みをしているということを私は実感しました。小中学校までの教育でつまずいたり、困難を抱えてきた子供たちでも、この学校に来て自信を持つことができたというお話をたくさん伺うことができました。
 子供たちが中学校まででもテストの点数で切り分けられるような今の学校現場の中で、どうせ自分なんてと自信を持つことができなかった生徒が、この学校で先生たちに勇気づけられながら学ぶ中で自信を持つことができて、生徒会長に立候補するまでになったという生徒の成長ぶりをうれしそうに語ってくださった校長先生のお話がとても印象的でした。
 自分にもできるんだという肯定的な力を持つこと、また、そういう体験を積み重ねて自信をつけていくことは、まさに人生において一番求められる生きる力につながるものだというふうに思います。
 子供たちのそうした力を伸ばしていくエンカレッジスクールの取り組みを発展させていけるように、都教育委員会として支援を強化していくことを重ねて求めまして、次のテーマに移ります。
 高校生の年齢の子供たちに対する支援についてです。
 今、日本においては、子供の貧困率は一三・九%、七人に一人が貧困にある深刻な状況が続いています。食事を三食ちゃんととることができない、あるいは病気になっても受診を我慢するという子供たちの実態が明らかになっています。
 教育を受ける機会についても、経済的な格差が子供たちに深刻な影響を及ぼしています。都は、首都大学東京と協力して子供の貧困調査を行い、二〇一七年三月に東京都子供の生活実態調査報告をまとめました。その中で、高校生の年齢の子供たちへの支援の必要性が明らかになっています。
 都教育委員会では、高校生の年齢の子供たちへの経済的支援の重要性についてどのように認識しているか伺います。

○江藤都立学校教育部長 高校における就学に係る支援につきましては、家庭の経済状況などにかかわらず、全ての子供たちが充実した教育を受け、自立できる環境を整えることが重要でございます。
 都教育委員会はこれまで、教育費の負担軽減を図ることにより、都立高校等における就学を支援してまいりました。

○斉藤委員 ご答弁のとおり、家庭の経済状況などにかかわらず、全ての子供たちが充実した教育を受けることができるように環境を整えることは重要な公的責任だと思います。
 高校生の年齢の子供たちへの経済的支援の強化についてどのように取り組んできたのか、改めて伺います。

○江藤都立学校教育部長 都立高校等につきましては、経済的理由で授業料等の納入が困難な生徒に対して、従前より授業料等の減免を実施してきたところでございますが、平成二十六年度から、国の高等学校等就学支援金制度による授業料の支援と、奨学のための給付金による教材費、学用品費等の通学に必要な経費を支援しております。
 また、平成二十九年度から、東京都立高等学校等における給付型奨学金を創設いたしまして、生徒の希望する教育活動に対して、現物給付による支援を実施しております。

○斉藤委員 我が党はこれまでも、高過ぎる学費の値下げや返済の必要のない給付型奨学金の創設など、繰り返し求めてきました。そういう中で二〇一七年度から、都として、給付型奨学金を創設したことは大きな前進だったというふうに思います。
 その東京都の給付型奨学金の使途の範囲と予算の執行率について伺います。
 また、昨年の決算質疑においては、我が党の、とや理事が使途の範囲の拡大を求め、都立学校教育部長の方から、生徒や教員からの要望を把握し、ニーズの高い新たな事業への活用を積極的に検討しているという答弁がありましたが、その後、どんな検討があったのか伺います。

○江藤都立学校教育部長 給付型奨学金は、生徒が在籍する学校の教育課程に基づく教育活動のうち、生徒の選択により生ずる経費や学習成果を明らかにするなど、希望する進路の実現に資するために必要な経費等を現物給付により支給を行っております。
 具体的には、模擬試験や英検等の各種検定試験の受験料や勉強合宿や語学研修にかかわる経費に対して支給をしております。
 平成三十年度の執行率は、都立学校等におきまして二九・六%でございます。
 また、平成三十年九月に開設したTOKYO GLOBAL GATEWAYの利用料、さらに、コミュニケーションアシスト講座等も事業対象といたしました。

○斉藤委員 昨年度の執行率は三割にも満たないということで、非常に低い状況です。
 使途の範囲については、具体的には模擬試験、英検など各種検定試験の受験料や勉強合宿や語学研修にかかわる経費だということですが、そもそもそうしたオプションだけの適用では利用者は少ないのは当然ではないでしょうか。
 私たちのところには、教科書代や修学旅行など、もっと日常的に必要だったり、必ず必要なものに使えるようにしてほしいという切実な声が届いています。
 給付型奨学金の使途として、修学旅行、給食費、教科書代を対象外としている理由はなぜなのか伺います。

○江藤都立学校教育部長 給付型奨学金は、生徒の選択により生ずる経費を対象としており、奨学のための給付金の支給対象経費となる修学旅行費や給食費、教科書代は、給付型奨学金の対象外としております。

○斉藤委員 国の奨学のための給付金の支給対象経費となる修学旅行や給食費、教科書代は対象外というご答弁でしたが、国の奨学のための給付金というのは、世帯収入が二百五十万円未満の家庭までしか対象になっておらず、それ以上の多くの世帯は対象外になっているものです。
 せっかく都の給付型奨学金の対象になっている世帯でも、日常的に、また、必ず必要な費用がそれに充てられないというのは、利用者にとってどうなのか、見直す必要があるのではないでしょうか。
 私はこの間、切実な声を伺ってきました。修学旅行のための積み立てが追いつかずに、やむなく行くことができない生徒や、あるいは、行くことはできたけれども、現地での交通費や食事代に当てるお小遣いを持っていくことができなかったという生徒がいるということです。
 お小遣いを持っていくことができなかった生徒が先生に相談をすると、友達から食事を分けてもらうようにといわれたということです。多感な時期の高校生が、せっかくの修学旅行で食事を友達から分けてもらわなきゃいけない、こういう状況に置かれるというのは、どれほどつらい状況だっただろうかと、教育に携わる皆さん方に一緒によく考えていただきたいというふうに思います。
 給食費、教科書の費用や、また、修学旅行や校外学習の際の行動費や食事代などを使途として認めるべきですが、いかがでしょうか。

○江藤都立学校教育部長 給付型奨学金は、生徒が在籍する学校の教育課程に基づく教育活動にかかわる経費に対して、現物給付により支給しております。
 修学旅行費や給食費、教科書代は、奨学のための給付金の支給対象経費となることから、給付型奨学金の支給対象とはしておりません。

○斉藤委員 高校生の実態を見て検討するという姿勢もないままでは、余りに冷たいのではないかというふうに思います。
 修学旅行費や給食費、教科書代は、奨学のための給付対象経費となるという繰り返しの答弁ですけれども、その対象になるのは世帯収入が二百五十万までと非常に限られているということ、先ほども指摘をいたしました。
 また、奨学のための給付金は、第一子の場合は満額が支給されるわけではありません。
 さらに、今ご答弁で、給食費ということを繰り返しおっしゃっているんですけれども、私ちょっと疑問になって、文科省に改めて確認をしたんですが、給食費は奨学のための給付金の金額の算定根拠には含まれていないということでした。
 それですと、少なくとも定時制の子供たちの給食費には充てられるのではないかというふうに思いますが、認識について伺います。

○江藤都立学校教育部長 定時制高校における給食費についてでございますが、定時制課程における給食費については、勤労学生等において給食費補助制度を設けております。

○斉藤委員 補助制度を設けているということですが、先ほどからのご答弁の中で、給食費は都の給付型奨学金の対象外だということを繰り返しいわれていますが、この根拠については改めてちゃんと確認をしていただきたいというふうに思います。できる支援をきちんとやっていただきたいというふうに思います。
 そもそも都の給付型奨学金の対象となるのも、世帯収入が三百五十万までの世帯で、都立高校生の二割強にしかすぎません。所得制限の引き上げも求められています。同時にこの使途の範囲についても、ニーズの高い教科書代や修学旅行の費用にも充てられるように、都として見直すことを強く求めます。
 高校生たちへの就学の支援と同時に、子供たちの生活実態をつかみ、子供たちが置かれている困難な状況に対して支援をつなげていくためにも重要な役割を担っているのが学校だというふうに思います。
 ある都立高校では、夕食、朝食、そして、昼食もとらなかったという生徒が、駅で倒れて病院に運ばれたというお話を私は伺いました。その学校では、食育の観点からも生徒たちに食生活アンケートを行ったということですが、その中で、朝食を食べていない生徒が多くいるということが明らかになっています。
 こうした生徒に対して支援が求められると思いますが、都教育委員会ではどのような検討をしているのか伺います。

○江藤都立学校教育部長 委員ご指摘の食生活アンケート調査によりますと、生徒が朝食を食べない理由は、約五割が時間がない、朝起きられない、約三割が食欲がないであり、経済的理由によるものは約一%でございました。
 この結果は、先ほど委員がご指摘になった東京都子供の生活実態調査報告書とほぼ同様でございます。
 こうした結果から、生徒の生活習慣の改善が食生活の改善につながるものと考えられることから、都教育委員会といたしましては、生徒が望ましい生活習慣を身につけることができるよう働きかけていくことが重要であると認識しております。

○斉藤委員 生徒が朝食を食べない理由は、約五割が時間がない、朝起きられない、そして、経済的理由によるものは約一%だということですけれども、私は、時間がないという中に、この家庭が置かれている困難な状況がその背景にあるのではないかというふうに思います。
 保護者の方に伺いましたが、親の中には、低賃金でダブルワークをせざるを得なくて、夜の八時に帰ってきて、すぐまた夜の十時に出かけて、深夜二時まで仕事をしてくるという家庭もあるということで、親が忙しくて朝ご飯をつくってあげられない状況や、また、本人が経済的理由から、いたし方なく遅くまでアルバイトをして忙しいという状況があるのではないかということでした。
 さらに、親自身が発達障害を抱えていて、子供に適切な養育が行えないというケースもあるということです。
 こうした子供たちへの支援、親への支援について、福祉保健局など局横断的な対応が必要になってくると思いますが、少なくとも、こうした子供たちの生活実態をつかむ上で大きな役割を果たすことができるのがこの教育委員会ではないでしょうか。
 高校生の生活実態を明らかにして支援につなげていくために、食生活アンケートのような調査は非常に有効なものだと思います。このようなアンケート調査等で、都として、高校生の実態、生活実態の把握を行うことが求められると思いますが、いかがでしょうか。

○江藤都立学校教育部長 委員ご指摘の食生活アンケートの調査結果や東京都子供の生活実態調査報告書によりますと、生徒が朝食を食べない主な理由は、時間がない、朝起きられないなどであることが明らかとなっております。
 こうした既に得られた知見をもとに、都教育委員会といたしましては、今後も、生徒に望ましい生活習慣を身につけさせる取り組みを進めてまいります。

○斉藤委員 これも私も繰り返しになりますけれども、時間がないという理由の中に、先ほど述べたような経済的に困難な背景があるということに目を向けていかなければならないというふうに思います。
 生徒に望ましい生活習慣を身につけさせる取り組みを進めていくということですが、自己責任だけで解決できない背景があることに向き合っていく必要があるというふうに思います。
 文科省では、学校を子供の貧困対策のプラットホームにと位置づけて、教育費負担の軽減だけでなく、学校から子供を福祉的支援につなげて、総合的に対策を推進することを掲げています。その役割にふさわしく、都教育委員会が取り組みを進めていくことを強く要望いたします。
 次に、学校施設へのエアコン設置について伺います。
 我が党はこれまでも、学校施設へのエアコンの設置について繰り返し求め、都立学校には都として設置、区市町村立学校には都独自補助が実現し、普通教室や特別教室への設置が進められてきました。
 昨年の夏に災害級の暑さとなり、愛知県の小学一年生の児童が亡くなるというような事態もあって、その取り組みが加速され、東京都では、これまで対象外だった体育館へのエアコン設置にも都独自補助が行われるようになりました。
 さらに、大災害が毎年のように続く中で、避難所としても学校のエアコン設置の重要性が増しています。
 来年度の予算見積もりについての依命通達では、年々激しさを増す豪雨や猛暑への対策が掲げられました。
 教育庁としては、子供たちの学校環境の整備に向けてどのように対応していくのか、基本的な認識を伺います。

○江藤都立学校教育部長 学校施設が、児童生徒の安全・安心な学習の場となるだけでなく、発災時には避難所として必要な機能が発揮できるよう、環境整備が必要と認識しております。

○斉藤委員 ご答弁のとおり、児童生徒の安全の確保、そして、教育環境の整備として重要なだけでなく、災害のときには避難所としてもその役割の重要性が高まっています。
 その認識に立って取り組みを強化していくことが必要ですが、まず、都立高校の体育館のエアコンの設置について伺います。
 十月の台風十九号では、都内でも多くの自治体で避難勧告が出されました。この中で避難所として開設された都立高校は幾つあったのか、先ほど質疑がありました。この中で都立高校では十六校が避難所として開設をされたということでした。その中で三校が整備済みという答弁もありましたので、残り十三校は未整備だということだと思います。
 私もこのときに、地元の小学校を中心にですけれども、避難所となった体育館を幾つか回りました。台風の当日に回ったんですけれども、やはりエアコンがないという中で、暑さを訴える声が多くあり、大型扇風機で対応しているところもありましたが、それだと風が直接当たったり、逆に当たらなかったりということで、苦労される避難者の方々の声を聞いてきました。
 今回の台風のように、災害は待ったなしで繰り返されています。災害対策という点でも、早く設置することがますます必要になっているというふうに思います。
 今年度、都立高校の学校体育館のエアコン設置が何校できたのか質問をする予定でありましたが、これも先ほど質疑で出ておりました。今年度は都立高校二十校で体育館への空調整備を完了したということです。
 このうち、念のためなんですが、ガス式と電気式の内訳を教えてください。

○江藤都立学校教育部長 空調を整備した都立学校二十校のうち十二校が都市ガス、八校で電気を動力とするものを整備しております。

○斉藤委員 体育館へのエアコンの設置については、二〇二二年までの三カ年で全て完了するという計画なので、あと残りの二年強の間に、残りの学校について完成させるということになります。
 子供たちの命や、いざというときの住民の命を守る重要な取り組みとして、体制の強化も行いながら、着実に進めていただきたいというふうに思います。
 また、災害時に停電が起こった場合に、エアコンが稼働するかどうかも住民の命にかかわる重要な視点です。
 台風十五号で被災した千葉県では、エアコンが稼働できずに熱中症の疑いで二名の方が亡くなっています。今年度に設置した二十校のうち、先ほど十二校で都市ガス、八校が電気を動力とするというご答弁もありましたが、エアコンのための蓄電池や非常用電源はないということも伺いました。
 都立高校は百九十施設中百六十四施設、特別支援学校は五十七施設中四十六施設が区市町村と避難所の協定を結んでいます。
 私の地元の足立区では、学校の体育館へのエアコンの設置はおくれていましたが、昨年度の全体的な動きの中で、ようやくこの設置が始まりました。その中で設置された三校は、全て室外機に七十二時間稼働するバッテリーを内蔵しているものを導入し、残りの約百校についても同様に設置をしていくという方針を打ち出しています。こうした事例を参考にしながら、都立学校にも、蓄電池や非常用電源の同時設置についても検討していくことを要望させていただきます。
 台風十五号で大きな被害のあった島しょへの支援も重要です。
 東京都町村会からは、島しょ地域の多くが活火山を有しており、都内の各自治体よりも各種災害の発生リスクが高く、特に大島は、近年、土砂災害も発生していることから、都立高校体育館空調設備について、最優先で整備するよう要望するという要望が出されています。
 島しょ地域における整備はどのように進めていくのか伺います。

○江藤都立学校教育部長 都立高校におきましては、今年度から三年以内に体育館へ空調を整備することを目標としております。
 島しょ地域の都立高校につきましても、立地条件や施設設備の状況などを踏まえ、令和三年度末までに整備する予定でございます。

○斉藤委員 ほかの学校と同じようにやっていくというご答弁ですが、災害の発生リスクの高い島しょ地域では、避難できる場所も限られ、都立高校の体育館は、住民の方々にとってその重要性が一層高い施設でもあります。優先的に整備してほしいという声を町村会として要望しているということに対して、応えていく取り組みが重要だと思います。島しょ地域での現状を踏まえて対策をとることを重ねて求めるものです。
 次に、都立高校の特別教室のエアコンについて伺います。
 都立高校の特別教室のエアコンの設置率、現在はどのくらいか、また、今年度の設置校数と来年度の設置予定校数について伺います。

○江藤都立学校教育部長 都立高校におきましては、令和元年九月一日現在、保有する特別教室のうち七三・六%に冷房設備を設置済みでございます。
 今年度は、都立高校十三校におきまして、特別教室への空調整備を図る工事を実施するとともに、さらに十三校におきまして、来年度の工事に向けた設計に着手しております。

○斉藤委員 今年度に十三校での工事実施と、来年度にも十三校ということです。来年度予定の十三校の中には、我が党が昨年申し入れを行った瑞穂農芸高校が入っているということも確認をさせていただきました。
 この高校では実習授業が多く、特別教室を利用する機会が多いほか、横田基地の騒音の問題から窓もあけられないという特殊で切実な状況があるということを、私たちは、高校生の声をもとに、早期のエアコンの設置を求めてきました。そこに設置が進むということになり、この点は本当によかったというふうに思いますが、切実な状況はほかの学校にもあります。
 昨年度に猛暑の中で、練馬区の大泉桜高校では、体育館での講演中に二十五人の生徒が熱中症の症状を訴えて、十人が緊急で病院に運ばれたという事態が発生しました。この高校では、美術や福祉の科目にも力を入れていて、それを学ぶことを目的に入学してくる学生も多くいるということです。特別教室を利用する機会が多い中で、美術などを学びたい学生が汗だくになって猛暑の中で授業を受けているということです。
 エアコンの設置は急務だと思いますが、都立高校の体育館へのエアコン設置については三年間で完了するというふうにしていますが、一方で、特別教室のエアコンの設置はいつ完了するという計画がありません。
 子供たちの教育環境を向上させる意味からも、期間を区切って設置を進めていくべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○江藤都立学校教育部長 都立高校におきましては、平成二十八年度から調理室等を新たに対象に加え、年間六校から八校の規模で特別教室への空調整備を進めておりまして、今年度は十三校で工事を実施するなど、特別教室における空調整備の取り組みを推進しております。
 今後、残りの都立高校につきましても、各校の現状を把握した上で、計画的に空調整備を進めてまいります。

○斉藤委員 計画的に空調設置を進めていくというご答弁ですけれども、計画的に進めるというためにも、目標、期限を定めて実施していくということが重要ではないかというふうに思います。
 残りの学校は九十校ということですから、このペースでいくとあと七年かかるということになります。
 エアコンの設置は、今や生徒の命を守り、教育環境を整える最低限の条件です。目標期限を定めて早急に対策することを重ねて強く求めます。
 区市町村の小中学校の体育館のエアコンについて伺います。
 小中学校の体育館のエアコンの設置補助において、今年度までに交付決定した自治体数と校数について、設置補助とリース別に伺います。また、現時点における今後の交付申請予定数についても伺います。

○太田地域教育支援部長 屋内体育施設空調設置支援事業において、今年度までに交付決定している件数は、施設整備が二十六自治体、二百八十三校、リース契約による整備が十五自治体、二百四十九校でございます。
 また、今後、今年度内に区市町村が交付申請を予定している件数は、リース契約による整備が四自治体、五十三校でございます。

○斉藤委員 昨年九月の時点で、小中学校の体育館等が二千百二十三棟、そのうちエアコンがついていたのが百九十五棟でした。
 その後、昨年度の十二月の補正予算で都独自補助を決めてから五百八十五校ということですので、相当に頑張っていただいているというふうに思います。
 同時に、今、新聞報道などで明らかになっているのが、やはり多摩地域の設置がおくれがちだという、多摩格差ともいえる状況になっていることです。例えば、多摩地域の交付団体であれば、都のエアコン補助と合わせて、国の緊急防災・減災事業債も活用できます。活用できれば、実質的な市の財政負担は一一・四%で済みますので、ぜひこうした活用を都教委からもアピールしていただきたいというふうに思います。
 東京都市長会からは、小中学校の学校空調について、主に普通教室にということになりますが、更新も補助対象にしてほしいという要望がありますが、都はどのように対応するのか伺います。

○太田地域教育支援部長 都は、都内公立小中学校の児童生徒の健康及び教育環境への支障を防ぐという観点から、空調設備が未整備である特別教室等の冷房化を推進するため、区市町村に対して支援を行っております。
 空調設備の更新については、引き続き国の補助制度を活用して取り組みが図られるよう、指導助言を行ってまいります。

○斉藤委員 老朽化しても更新できず、つけてもききが悪い、あるいは使えなくなっているものもあるというふうに聞いています。ぜひ支援を強化していただきたいと思います。
 区市町村それぞれの事情を酌み取って、多摩地域にも、おくれることなく設置していけるように支援をお願いすることを重ねて要望いたしまして、私からの質疑を終わります。

○福島委員 私は、まず、プログラミング教育について質疑を行います。
 何度か述べてまいりましたが、前職は総合電機メーカーの研究開発業務に携わっておりまして、二十二年間の間に、価値を生む領域が、ものづくり、ハードウエアからサービスやソリューションといったソフトウエア領域に移行する様子、本当に身をもって経験してきました。AIやIoTといったこれからの次世代の社会インフラともいえる仕組みと切り離して、これからは、ビジネスや産業に取り組むことはできないというふうに考えています。
 このような社会で、価値創造にはプログラミングを初めとするITスキルを身につけることがとても重要です。既にイギリスやフランス、フィンランド、スウェーデン、韓国などでは、義務教育にプログラミング教育、コンピューティングを入れてきています。そこで育った子供たちは、これらのスキルを身につけて世界に出てくるわけです。文部科学省が今回、新学習指導要領にこのプログラミング教育を入れ込んだのは非常によいタイミングだったというふうに考えています。
 冒頭、二つの質問は、このプログラミング教育の意義と、そして、これは小中高校でやっていくわけなんですけれども、特に中学校、高等学校においては専門の先生がいらっしゃるのに対して、小学校はいないという中で、小学校でのプログラミング教育をどういうふうにやっていくかというお話で、うすい理事の質疑と重なっていましたので、ここは割愛します。
 ご紹介いただいたように、地域ごとに推進校というのをつくって、そこで成果発表、二年間とか三年間取り組んだ結果を成果発表して、そこに同じ基礎自治体の先生方が学びに来ることで、このようなプログラミング教育、地域全体にできるような、こういう取り組みがなされておりました。
 これ、(資料を示す)先週行われました立川市の事例、拝見させていただいたんですけれども、小学校一年生から六年生までさまざまありまして、例えば一年生というのは、カードに従って動くプログラミングカーを使って、計画したルートを進ませるような、C分類と文部科学省でいわれているような授業がなされていたりとか、例えば四年生の場合は、メールやSNSの特徴について述べたり、ゲームとのかかわり方に関する動画を見て意見を述べるなど、モラル教育みたいなものもされていました。
 五年生は、定番の多角形をスクラッチというビジュアル言語を使って描くというのを、算数の授業の中でやるというものをされていまして、六年生では、ビジュアル言語を使って和音の並びかえを行う音楽の授業なんていうのもやっていました。
 ということで拝見させていただいたこの上砂川小学校では、担当されていた先生方が比較的若い先生方が多かったこともあって、非常に親和性が高く、ICT機器の使用もなれていらっしゃった。そして、子供たちも非常に意欲を持って取り組んでいることを拝見させていただきまして、見学に来ていた地域内の先生方も非常にたくさんメモをとっていて、なるほど、こういうふうに地域内でプログラミング教育ができていくようになるんだなというところを拝見させていただきました。
 一方、より先行的な取り組みをしているところというのは、こちらの学校ではビジュアル言語にとどまっていたんですけれども、やっぱりタイピング、コーディングをやっているような事例も都内にあったりもします。前回も指摘させていただきましたけれども、やっぱりどちらかといえば全校でできる、先生方ができる授業をやっているという印象があります。
 私が一番心配しているのが特に六年生の音楽の授業だったんですけれども、プログラミング教育推進校の成果の中でも結構多く見られる、一連の行動を分けて捉えて並びかえたりする、それが論理的思考だみたいな感じの発表だったわけです。特に、この中でもあるんですけれども、体育や家庭科、国語など、コンピューターを使わないアンプラグドといわれるケースで見られる作業なんですね。
 じゃあ音楽というものに関して、そういうICT機器を使ってやる必要があるかということなんですけれども、今回は、上砂川小学校ではICT機器は使っていて、ビジュアル言語を使って、音楽の和音の入れかえをして、終わりにふさわしいような音の並び方になるかというのを自分で検証して、イヤホンで聞いて、トライ・アンド・エラーを繰り返すということになっていたんですけれども、はっきりいって、このレベルのトライ・アンド・エラーであったら、別にICT機器を使わなくて、ピアニカで入れかえてやってもいいわけですし、先生が入れかえて聞かせてみせて、違いますね、どっちがいいですかと手挙げ式でやってもいいわけなんです。
 何がいいたいかというと、コンピューターサイエンスというのは、情報と計算の理論的基礎を、それらのコンピューター上への実装と応用に関する研究分野なんですね。つまり、コンピューターに実装すること、それで、よりこの問題解決につながる意味があることに取り組むべきであって、先ほど取り上げたような音楽の授業のように、コンピューターを使ってやってもやらなくても変わらないということであれば、多分ICT機器を使う価値ということを体感するというのはすごく難しいんじゃないかと思うわけです。
 ということで、質問なんですけれども、プログラミングに関する教材を開発していくに当たっては、コンピューターサイエンスを学んだ人材の意見を聞くことが不可欠だと考えていますが、都教育委員会の見解を伺います。

○増田指導部長 プログラミングの教材につきましては、各学校が、学習指導要領に基づき、文部科学省や都教育委員会が例示している指導資料等を参考に、児童の実態等に応じて適切に選択することが必要でございます。
 その際、コンピューターに関する専門家の知見を生かすことも有効であり、推進校の中には、企業のエンジニアや情報処理を専門とする大学教授などから助言を受けている学校もございます。
 また、都教育委員会は、各学校においてプログラミング教材の選択や指導計画の作成が適切に行われるようにするため、区市町村教育委員会の情報教育に関する担当者連絡会等を通して、情報処理に関する学会による教員研修の講師派遣制度等の周知を図っております。

○福島委員 ありがとうございます。
 そもそも都内にあるたくさんの小学校で新しい授業を全校で実施する、これだけでも簡単な作業ではなかったということはすごく理解をしているつもりなんですね。ただし、私は、前職との関係から専門家と意見交換をする機会が非常にあるんですけれども、やっぱりその人たちの意見が、コンピューターサイエンスを学んだ人たちの声をもうちょっと聞いてほしいということなんです。
 先ほど内山副委員長からの質疑で取り上げられました東京教師養成塾、こちらでも、実はプログラミングための教材が今開発されているということを聞いているんですけれども、指導部の先生の皆様が中心になってつくっているということなんですね。
 これから学校に入って教えていく学生に対して、プログラミングが何かということを教えるときのその教材、学芸大の先生のアドバイスはいただいているということですけれども、基本的には教師の皆様が中心になってつくっているという状態ですので、専門家の知見を生かしているというご答弁ではあったんですけれども、足りていないからこういう質疑を行っているわけです。
 来年度からは小学校全校で実施されて、教材開発についてはまだ端緒についたばかりなので、これからは、また、教材開発というのはブラッシュアップされていくとは思うんですけれども、子供たちにとって意義ある将来を切り開く力につなげるために、一層専門家の声を聞くということに丁寧に取り組んでいただきたいと考えています。
 次、そういう意味で平成三十一年の第一回定例会の文教委員会の質疑で、都内外の先行事例、特に都内に先行事例があるにもかかわらず、視察されていなかったということを私としては問題視しまして、教える立場にある教職員の皆様も学ぶ姿勢を持って、ぜひここに見に行っていただきたいということを要望した結果、視察に行っていただいたというふうに聞いております。
 小金井市立前原小学校、そして、福井県鯖江市の視察から得られた知見についてお伺いいたします。

○増田指導部長 小金井市立前原小学校では、民間企業と連携し、例えば、児童がみずからセンサーを調整し、微弱な電波の発信元を探す活動が行われていました。
 また、福井県鯖江市の小学校では、地元企業が開発したプログラミング教材を用いて、プログラムコードをキーボードに入力しながらゲームをつくる活動が行われていました。
 これらの視察を通して、小学校におけるプログラミング教育の充実に向け、地域の実態に即して民間企業等と連携して指導している効果的な事例を知ることができました。

○福島委員 ありがとうございます。
 いずれの事例においても、小学生がコーディングを行っておりまして、センサーを使うなどして、ICT機器を使ったからこそできる体験を実現できたということだと思います。
 まずは全校という取り組み、先ほどから申し上げているとおり、それに関しては評価するところでございます。でも、東京都には、IT企業が全国で一番集積していて、企業に勤めるIT人材も最も多い状態で、次世代育成に取り組む社会人による無料のプログラミング教室なども開かれております。
 先ほどの視察では、企業と連携した効果的な事例を知った、学んだということですけれども、この都の恵まれた環境を生かす、そのようなことを期待したいです。
 ということで、質問なんですけれども、学びたい子供がより学べるように、知見とスキルのある民間企業と連携した小学校におけるクラブ活動を用意するべきではないかと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○増田指導部長 学習指導要領では、小学校におけるクラブ活動の目標は、異年齢の児童同士で協力し、共通の興味、関心を追求する集団活動の計画を立てて運営することに自主的、実践的に取り組むことを通して個性の伸長を図りながら、資質、能力を育成することと示されております。
 こうした趣旨を踏まえつつ、都内小学校の中には、コンピュータークラブやパソコンクラブなどにおいて、教員が民間企業等のインストラクターから学んだことを生かし、児童が主体的にプログラミングによりゲームをつくったり、つくった作品をコンテストに応募したりしている学校もございます。また、子供たちの希望を生かし、来年度から、プログラミングクラブを設置する予定の学校もございます。

○福島委員 子供たちの希望でクラブ活動が設置されて、民間との連携が行われている事例があるということをご紹介いただきました。繰り返しになりますけれども、民間のIT企業でプログラミング教育に協力したいという企業は少なくありません。
 また、学校から、民間と連携したいという声も上がってきたときに、適切なマッチングができることが大切です。この春に発足する政策連携団体、東京学校支援機構、こちらに、このようなマッチング機能を設けることができれば、他道府県より圧倒的に恵まれている地域のIT企業、IT人材という資産を生かしていただける、このように考えます。
 プログラミング教育の質疑はここまでなんですけれども、私が考えるプログラミング教育の可能性について述べたいと思います。
 プログラミング教育は、今、教育庁の方で進められている主体的で対話的な学びにも非常に整合しています。また、仕事の仕方自体も、以前は書物で情報を収集して紙と鉛筆でそれを解く。解くところとか、情報を収集するところに時間がかかっていたと思うんですけれども、今はネットを介した情報収集、そして、コンピューターでシミュレーション、解放を得るところまでは非常に早くて、トライ・アンド・エラーがたくさんできる。皆様ももう既にそういう仕事ぶりをされていると思うんですよね。
 そういう意味では、こういうコンピューティング、プログラミングを、ICT機器とかを学校に取り入れていくというのは、将来の仕事の仕方に非常につながりのある教育を実現するという意味でも期待できると思います。
 また、学校に外部から外部人材が入ったり、また、外部から情報が入ったり、多様な価値観がもたらされるということは、多様な人材の育成に耐えられる次世代の学校に向けた教育改革の入り口にもなるんじゃないかと。一つの活動というよりは、学校が変わっていくきっかけになるように、私としては期待しているものであります。
 では、次に、プログラミング教育の基盤にもなっている都立学校スマートスクール構想の目的についてお伺いいたします。

○増田指導部長 都立学校スマートスクール構想は、都立学校のICT環境の整備を一層推進し、教職員が職員室等で出欠管理や成績評価等に利用する校務系システムと、児童生徒が教室、家庭等で授業や自己学習に利用する学習系システム等を連携することにより、エビデンスベースの教育を実現し、生徒一人一人の力を最大限に伸ばす教育の質の向上と、教員の業務の効率化を図ることを目的としております。

○福島委員 出欠管理や成績評価を担う校務系のシステムと、児童生徒が学ぶための学習システム、この二つがあって、両者を連携させることで教育の質を向上させるとともに、教員の皆様の業務効率化を行う、このようなご答弁でした。
 今回スマートスクール構想を質疑で取り上げたのは、これらの基盤をどのように整備していくかについて質疑を通じて確認したかったからです。
 ご答弁にあった校務系システムの主要な構成要素として、成績評価に使われる成績処理システムがあります。都立学校に通う児童生徒の成績などのデータを管理している現行の成績処理システムの概要、コストについて伺います。

○安部総務部長 都教育委員会は、平成二十二年度から、都立学校全校を対象にした都独自の成績処理システムを都の情報ネットワークであるTAIMS上で順次運用しており、教員はこのシステムを活用して、定期考査の管理、調査書及び指導要録の作成などを行っております。
 本システムに保存された成績などのデータは、セキュリティー対策が施されたデータセンター上で集中管理されるほか、教員の個人端末には情報漏えい防止用のソフトウエアを導入し、機密性の高いデータの流出リスクを最小化する仕組みを構築しております。
 なお、専用サーバーやソフトウエア等の構築に係る開発費用は約七千三百五十万、昨年度の運用経費は約六千五十二万でございます。

○福島委員 校務システムの一機能である成績処理システムに、これまでの年度もかけますと、数億円をかけたというご答弁でした。教職員を一万人と簡単に考えると、一人当たり数万円をかけて、このようなシステムを運営してきたということになります。
 一方、昨今のクラウドサービスは、メールやカレンダーなど汎用的な機能は、皆様もご存じのように、ある程度の容量までは無料で提供されますし、ほかの専門的な機能も含まれたビジネス用パッケージでも、月の料金が一人当たり数千円という価格設定になっています。
 すなわち、ここではクラウドサービスによるビジネスパッケージと成績評価のためのシステム、その範囲は若干異なるものの、両者の価格というのはほぼ拮抗しているような金額であるということを確認させていただきました。
 では、都立学校スマートスクール構想の実現に向けて、現行の成績処理システムの課題についてお伺いいたします。

○安部総務部長 現在運用されている都独自の成績処理システムは、都立学校に通う児童生徒の成績情報など、機密性の高いデータを安全に管理運用する必要がございますことから、TAIMSネットワーク上に独立したシステムとして構築してまいりました。
 そのため、TAIMSネットワーク外にある教育上の効果が期待できる学習クラウドサービスとの間はもとより、同じTAIMSネットワーク上に構築されている他の校務系システムとの間であっても、成績などのデータを連携させるには技術的な課題が伴う状況にあります。
 今後、都立学校スマートスクール構想の具体化を進めていくに当たっては、これらの課題の整理が必要と認識しております。

○福島委員 ありがとうございます。
 ご答弁を補足させていただきます。情報システムのあり方は、オンプレミス型とクラウド型に大別されます。オンプレミスとは、情報システムのハードウエアやサーバーなどを自社内で持っていて、そこで動くソフトウエアもみずから構築するシステムの運営方法です。都の行政システムであるTAIMSはこちらに該当します。
 一つ前のご答弁でも、このTAIMSネットワークではセキュリティー面を重視しているということに触れられていらっしゃいましたけれども、情報システムが物理的に外部ネットワークから切り離されていることもあり、セキュリティーの担保に加え、必要に応じて設計や運用をみずからカスタマイズできるという点で、特にクラウド型の概念が広まる前はこういったオンプレミス型というのが世の中では主流でした。
 裏を返せば、システム構築のための初期投資が高くて、あと保守管理に関しては、高度な人材が必要、そして都庁のように保守管理できる人材を内部で持っていない場合は、機能変更や機能追加のために外部に仕様書を書いて発注する、このようなことになって、時間もコストもかかるといった課題がございます。
 対する昨今のクラウド型というのは、インターネットを介して外部の事業者が持つサーバーや、外部事業者が開発したサービスを利用する、このようなものです。クラウド型のサービスが始まった当初は、クラウドサービスやデータセンターを運営する事業者の都合で運用方法が制限されてしまうのではないかという懸念や、社外にサーバーがあるために弱いと考えられていたセキュリティーの問題、これらがありましたけれども、昨今は、サービス提供事業者の競争でこういったセキュリティー問題などは解消されつつあります。
 何よりも、増大するデジタル情報を記録、保存するためのサービス提供業者のサーバー上に構築されるストレージに関しては、これも事業者間競争が起きていて、大容量が安価に提供されている、そういう状況になっています。だから、これを自前のサーバーを立ててやろうとすると、増設増設でコストがかかってくるわけなんですけれども、クラウド上のサービスに関しては、業者間の競争でこういったストレージが提供されるようになってきていると。
 ご答弁の中では、教育上の効果が期待できる学習サービスというのはTAIMSの外にあるということでしたけれども、これは、学習系の民間が開発するサービスの多くが、端末ごとにインストールやアップデートをする必要がないクラウド型で提供されているということを意味しています。
 一方、繰り返しになりますが、現在の校務系システムについては、TAIMSにひもづけられたオンプレミス型であり、この場合は、物理的に遮断されている場合にはセキュリティーは担保されるんですけれども、外部ネットワークにつなぐときには、毎回このセキュリティーの問題、対策をしなければいけないということがあります。
 このために、校務ネットワークとクラウドベースの学習系ネットワークを連動させて学習効果を上げたり、校務の省略化を行うというスマートスクール構想の目的の実現に困難が生じている、このようなご答弁でした。
 私が都議会議員になって初めての委員会、これは総務委員会だったんですけれども、ここで政策評価に統計的扱いを導入することを求め、EBPM、データに基づいた政策立案について、都議会でそれ以来、継続的に求めてまいりました。特に教育分野には諸外国の先進事例もあり、親和性が高いことは、これも平成三十年、最初に文教委員会の委員として就任したときから申し上げてきているところです。
 その意味では、今回のこのスマートスクール構想、全ての都立高校生にIDを振り、スタディーログを蓄積して、それらのデータや成績情報との関連を分析することにより、エビデンスに基づく指導の実現等を目指す、このような構想には大いに期待をしているところです。
 教育のEBPMで先行するニュージーランドでは、既に幼稚園から就職先までをトラッキングしています。どういう就職先についたか、どういう職業についたかまで見て、初めて学習の効果検証を行うというものです。指導内容や成績などのビッグデータから、政策や、さらにはこの学習指導要領の改正までつなげていこうと思うには、本来は高校だけではデータの範囲が狭くて、少なくともまずは基礎自治体の管轄である小中学校との情報も連携させる必要があります。
 現在は、小中学校を所管する区市町村と高校を所管する都では、この組織が分かれており、すぐに実現するのは困難ですけれども、将来的には小中学校のデータを高校に引き継ぐための仕組みの構築と法制度の整備が不可欠だと考えています。
 そして、これも既に述べていることなんですけれども、都の教育委員会は、都立学校の教員を対象にしてTAIMSネットワークで稼働する成績処理システムを構築、運用しているほか、既に行政系と共通のTAIMS端末というものを全ての教員に配備しているというふうに伺っております。
 ここまで述べてきたことを整理します。オンプレミス型、独立型でメリットだと考えられていた堅牢なセキュリティーや、用途に応じたカスタマイズは、自前でやり切る難しさからメリットでなくなる一方で、自前主義による高コストや、民間が切磋琢磨される中で生み出される多様な高品質な校務系サービスへのアクセスの制約や、大容量ストレージ活用の機会の創出、そして、利用人数や評価項目変更などへの対応の難しさ、クラウドで提供される学習系サービスから得られるデータや、基礎自治体または他自治体とのデータ連携の難しさといった意味で、今の時点では、クラウド型に対して、オンプレミス型というのはメリットを示すことが難しいというふうになってきています。
 ということで、国はもうわかっていまして、現在、クラウド・バイ・デフォルト、クラウドをベースに物事を検討しなさいという方針を示しています。既に他県では、学校のネットワークを県庁のシステムから分離し、クラウドベースの汎用ソリューションを採用したことで、学校現場での利便性が高まり、教員の評判もよいという事例もございます。
 今後、スマートスクール構想の目的達成のためには、TAIMSネットワークからの分離や、クラウドのサービスの積極的な導入など、現行システムの見直しに向けた検討を早急に進め、より一層効果的で質の高い学校のICT環境整備を促進、ひいてはデータに基づいた学習施策の立案、EBPMの実現につなげていただきたい、これを要望いたします。
 次に、基礎自治体におけるICT環境整備について質問いたします。
 これも平成三十一年第一回定例会、文教委員会で、区内のある中学校について、いま一つなICT環境を目にしてしまったことに触れました。具体的には、導入された機器がキーボードを外してタブレット端末として使えるその形状、そして、価格の妥当性で導入されてしまったんですけれども、再起動に数分はかかってしまうと。生徒みんなでやっているときに一人が再起動になっちゃうと数分待たなきゃいけないということで、授業がうまく進行できないということなんですね。
 調べてみたら、これは在庫管理用の機種だったという話が本当にございます。学習用の端末として満たすべき仕様がわからないまま機器を導入するために、このようなことが起こってしまいます。
 学校のICT環境整備については、国が五カ年の地方財政措置を講じており、加えて先日、二〇二四年までに小中学校で一人一台のPC、そして、大容量通信環境を整備する、これを国が打ち出したこともありまして、今後、区市町村において新学習指導要領における情報活用能力等の向上を図るため、積極的にICTの活用を進めることが想定されます。
 さきの質疑のご答弁でもありましたが、都教育委員会は本年度から、公立小中学校におけるICT利活用モデル検証事業を実施し、この検証で得られた成果を取りまとめて、区市町村に対して情報提供などの支援をしていくというふうにおっしゃっていますけれども、都の検証事業を待たずに、これから整備する自治体、このようなものがあるというふうに考えます。
 区市町村がICT環境を整備するに当たり、例えばクラウド化など先々の展開を見据えることができるよう、早急な対応をすべきと考えますが、見解を伺います。

○太田地域教育支援部長 ICT利活用モデル検証事業では、検証実施地区における一人一台環境に向けた導入手順や、導入後の児童生徒の変容、ICT支援員の確保や活用策等について、公立小中学校の現場に即した具体的な実践に係る検証結果を示してまいります。
 一方で、総務省、文部科学省を初めとした国や民間機関が、クラウド技術を活用したシステムの検証や、学習系と校務系システムの情報連携を学校現場で円滑に活用するためのあり方等について整理し、成果発表を行っております。
 今後、こうした先行事例について、都教育委員会のホームページや区市町村教育委員会への情報伝達の場などを活用して周知するなど、区市町村がICT環境整備の推進に必要な情報を容易に入手できるよう取り組んでまいります。

○福島委員 国や民間企業の検証では不十分な現場に導入するための課題というものを洗い出すために、このICT利活用モデル検証事業は行うものの、クラウド型システムや情報連携の先行事例について、基礎自治体に周知を図るとのご答弁でした。
 投資が無駄にならない、させない、都民からお預かりした税金を子供たちの学びの質の向上に確実につなげるためにも、検証事業と並行して対応していただけるという前向きなご答弁に感謝いたします。
 次は、これを支える人材について取り上げます。
 国は、ICT支援員の配置についても、地方財源措置の対象として推奨しています。都は残念ながら措置対象ではないものの、学校現場にICTに詳しい人材がふえることは、教員の負担を下げ、また、従来ICTになじみがない教員の相談相手としても大変有効であると考えます。
 都立高校のICT支援員の配置状況と、ICT支援員を配置したことによる成果について伺います。

○増田指導部長 都教育委員会は今年度、都立高校において、ICTパイロット校二校、BYOD研究校のうち無線LANを整備した七校にICT支援員を一名ずつ配置しております。
 ICT支援員は、ICT機器のトラブルやハードウエア、ソフトウエアの障害に速やかに対応し、ICT機器を活用した授業の実施をサポートしたり、ICT活用のための教員研修を実施し、専門的見地から、活用法の改善や新たな活用法の導入を提案したりしております。
 配置校からは、このような支援員の取り組みにより、一部の教員が担っていたICT機器の保守管理業務が円滑に遂行されるようになった、教員の操作スキルの向上やICT機器の活用促進が図られているなどの報告を受けております。

○福島委員 授業の実施や教員研修、そして、ICT機器の利活用に大変活躍されているというご答弁でした。
 リービッヒの最小律というものがあります。植物の成長速度や収量というのは、必要とされる栄養素のうち、与えられた量の最も少ないものに影響されるという考え方です。同じように、プログラミング教育も、一人一台のパソコンとか、大容量、同時接続可能なWi-Fi環境とか、コンピューターサイエンスの素養がある教師、コンピューターサイエンスに基づいた教材、そして、学びたいという生徒の気持ちのいずれが低くても、教育の効果が限定的になるというふうに考えられます。Wi-Fi環境や一人一台のPCといったICT環境の整備とともに、ICT支援員も必ず配置していただけるように要望いたします。
 そのための人材が足りないという声も届いておりますけれども、適切な待遇や育成を行うなどして、二〇二四年には、国の方針では最終的に全ての学校にICT環境が整備されるようなので、それと同時にICT支援員もいるように取り組んでいただければ幸いです。
 次に、文部科学省の新時代の学びを支える先端技術活用推進方策最終まとめでは、ICTの活用が個別最適化された学びに有効であるというふうにされています。
 こうした観点からは、障害のあるお子さんへのICT機器を活用した指導も有効であると考えますが、都の具体的な取り組みを伺います。

○増田指導部長 都教育委員会は、平成二十八年度に小学校二校を、平成二十九年度に中学校三校を研究校に指定して、児童生徒一人一人の学習上の困難さを軽減したり、改善したりするためのICT機器を活用した実践研究を行いました。
 例えば、タブレットの画面上に読み上げている箇所が視覚的にわかりやすく表示される教材や、書き写しに困難さがある場合に、タイピングによる入力で板書を記録できる教材などを活用した個別の学習を事例集としてまとめました。この事例集を全ての公立小中高等学校及び特別支援学校に配布するとともに、区市町村の特別支援教育担当者を集めた連絡会で周知し、指導の改善を図っております。

○福島委員 ありがとうございます。研究成果をまとめた冊子を拝見させていただきました。大変よい取り組みだと思います。
 一方、都は、どの程度の生徒児童がこれらのサポートを必要とし、どの程度対応できているかは現在把握していないと伺っております。教育機会の機会均等の面から、ICT機器のサポートさえあれば学べる子供というのは何よりも先んじてサポートされる対象であるべきではないでしょうか。
 障害の種類によってサポートの仕方も変わるでしょうし、適切なサポートを行うためには経験値も必要そうです。当事者の出現の頻度から、学校単位や基礎自治体単位では限界があることも予想されます。教育のEBPMというのがきちんと実現されれば、このあたりも解消するとは考えておりますが、来年度に設置される、これも政策連携団体、東京学校支援機構において、ICTを活用した学習支援の実施をサポートする機能というのがあれば、都内の情報が集約されて、基礎自治体ごとの格差がなくなったり、サポートの質が上がっていくというふうに考えます。ぜひ前向きにご検討いただきたいと思います。
 次に、高大連携の推進について伺います。
 これまで我が国の教育は、国が定める学習指導要領に基づいて、ある意味画一的な内容を全ての子供たちに対して施してまいりました。もちろんそれが東京を含めて日本の成長を支え、現在の日本の基盤となったことは事実です。
 しかしながら、冒頭でも述べたように、AIを初めとする情報通信技術が進化を遂げて、それに伴い社会が大きく変化する中で、子供たちがその進路に応じて求められる力も多様化、高度化しています。それに対応しながら、将来の東京、日本を支えていく人材へと成長していくためには、より早い段階で子供たち自身がみずからの適性を見きわめ、専門的な学びを進めることができる環境を整えることが重要だと考えています。
 最近の報道では、高専卒の人材の活躍を取り上げていたりもしました。同様に、都教育委員会が都内の国公立大学との連携を強化し、大学の教育力、研究力を生かした専門的な学びを充実させようとしている点について、個人的に非常に注目をしております。
 都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)においては、高大一貫した人材育成を推進するために、高大連携を進めることとされていますが、その進捗状況と今後の展開について伺います。

○藤井教育改革推進担当部長 都教育委員会では、高校段階から専門的な学びの機会を提供することを通じて、生徒が、より深い知識、技能を習得するとともに、みずからの適性を知る契機とすることを目的として、高大連携を推進しております。
 具体的には、平成三十一年二月に都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)を策定して以降、東京農工大学、東京学芸大学、東京外国語大学との間で連携協定を締結するとともに、電気通信大学との間でも連携協定の締結に向けて調整をしております。
 今後も、さまざまな分野に特色、強みを持つ大学が数多く所在する東京の地の利を生かし、各大学との連携を積極的に進め、進学やその後の社会、職業との接続を見据えた学びを推進してまいります。

○福島委員 ご答弁にあったとおり、東京には各種大学が集積しています。連携協定を締結した、またはこれからする大学は、いずれも特色を持つ大学で、該当する方面に進むことを志向する生徒にとってはすばらしい環境になると考えます。高校教育における目的を持った専門性の高い新しい学びのモデルを東京都から発信するべく取り組んでいただきたいと考えます。
 次に、専門高校について取り上げます。
 これまで、専門高校の魅力を伝える大切さについては質疑で取り上げてまいりましたが、個人的には、同様に普通高校に進むリスクも伝える必要があるというふうに考えています。これは高大接続でも述べたことに通じますが、現実的には能力も時間も限られている中で、適性のある分野を決めて集中して取り組むことは、戦うすべを持つという意味で非常に重要です。
 前職では総合電機メーカーの研究所にいたということは先ほどご紹介しましたけれども、理学部よりは工学部、工学部よりは高専というふうに専門を早く決めた人たちの事象に対する理解の深さとか、実験や検証するためのテクニック、幅の広さ、非常に感心することが多々ありました。
 普通科の高校では普通科目を万遍なく中心に履修することによって、裏を返せば、特技をつくりにくい可能性もあります。選択を先延ばしにするリスクがあるというふうに考えています。
 対して専門高校では、基礎学力を生徒に身につけさせた上で、専門教育により将来の進路に必要な能力を身につけさせることが可能だと考えています。
 ということで、早い段階から興味や関心に応じた得意分野を伸長させることができる専門高校の意義を中学生などに伝える必要があると思いますが、現在の取り組みについて伺います。

○江藤都立学校教育部長 現在、中学生やその保護者に魅力ある専門高校の教育活動を周知するため、専門高校の学びの内容や、在校生による学校紹介などを掲載した冊子を作成し、都内公立中学校に配布したり、都立高等学校等合同説明会におきまして、専門高校の魅力発信ブースを設置するなどの取り組みを実施しております。
 また、中学校の進路指導担当者向け説明会におきましても、専門高校の生徒の作品や教育活動を紹介するパネルを展示したり、中学校の教員向けに、専門高校の紹介や取得可能な資格などを記載したパンフレットを作成、配布するなど、中学校へ専門高校の魅力を周知しております。
 さらに、現在、専門高校の魅力を凝縮した動画を新たに作成しており、今後、DVDにより中学校に配布するとともに、東京動画に掲載するなどにより、広く専門高校の魅力を伝えることにも取り組んでまいります。

○福島委員 専門高校の魅力を伝えるために多種多様な取り組みをされていることを教えていただきました。
 この専門の中でもIT人材について掘り下げさせていただきます。
 二〇三〇年にはIT人材が約七十九万人不足するという経済産業省の推計もございます。
 現在、都の教育委員会では、工業高校、専門学校、企業との連携におけるIT人材の育成に向けた検討委員会を設置し、検討を進めているが、なぜ工業高校としたのかについて伺います。

○江藤都立学校教育部長 職業教育を主とする専門高校は、多くの実験や実習、生徒の興味、関心に応じた課題研究などの多様な学びにより専門的知識、技術を高め、生徒が、高校段階から得意分野を伸ばしながら、希望する進路を実現できる学校でございます。
 都立町田工業高校は、コンピューターネットワークやプログラミングなど、IT分野に関するさまざまな内容を学ぶことができる総合情報科を設置する都立で唯一の工業高校でございまして、IT分野への興味、関心を持つ生徒の能力を伸長させる教育を実践しております。
 今後、AIやIoTの進展により、ITと物との関係がますます進化していくことが想定されていることなども踏まえつつ、IT人材としての素養を育成する素地を持つ町田工業高校で実施することを前提とし、現在、検討を進めているところでございます。

○福島委員 ITを学ぶ素地のある町田工業高校でまずは検討を進めているというご答弁でした。
 では、現在、町田工業高校においてパイロット事業を実施しているとのことであるが、どのような成果があるかについてお伺いいたします。

○江藤都立学校教育部長 今年度のパイロット事業では、町田工業高校の生徒に対し、日本IBM社員が、勉強や進路、ITについてなどに関する年数回のメンタリングセッションや、プログラミングやネットワークに関する授業などを教員とともに計画し、実施しております。
 既に実施した三回のメンタリングセッションでの生徒のアンケート結果からは、ITについてもっと勉強しようと思った、苦手なことでも苦手意識をなくして頑張ろうと思ったなどの意欲の向上が見られる感想がございました。
 また、九月に実施したプログラミング演習での生徒のアンケート結果からは、難しいからおもしろいに変わったなどの学習に対する意識の変化が見られました。

○福島委員 生徒、学生は、IT人材がこれからの社会で求められていることを報道等で知っているはずです。現役で働くIT企業の社員にメンタリングセッションを受けて、もっと勉強しようと思った、頑張ろうと思った、難しいからおもしろいに変わったというふうに、こういった経験を得た生徒が非常にモチベーションが上がっている様子をお聞かせいただきました。
 工業高校の生徒にパイロット事業として実施している内容をさらにブラッシュアップしていただき、本格実施に向けて努力していただくのと加えて、こうした成果を検証しまして、例えば普通科の高校に設置する理数科などで--理数科というのはIT教育のベースになるものなんですけれども、この理数科とIT教育、密接にするような理数科をつくるなどで、普通科の高校でもこういった方面に進みたいという子供たちが学べる環境をぜひ検討していただきたいと思います。
 では、そのベースとなる理数教育について伺います。
 昨年より引き続き理数教育についてですが、技術立国日本以外の道筋はまだ示されていない、このように考えています。加えて、プログラミングやITの基盤となるのはやはり理数教育です。
 都教育委員会は、理数アカデミー校、理数リーディング校、理数研究校を指定し、理数系人材の育成に取り組まれていますが、その成果について伺います。

○増田指導部長 都教育委員会は、平成二十八年度から理数アカデミー校一校、平成三十年度から理数リーディング校三校、毎年度指定校の見直しを行う理数研究校二十四校を指定し、理数に秀でた生徒の能力の伸長や、理数に興味を持つ生徒の裾野を拡大する取り組みを進めております。
 理数アカデミー校では探求学習のプログラム開発、理数リーディング校では令和四年から始まる理数探究の試行的取り組みなどを通して探求活動の充実を図っております。その結果、科学技術に対する関心、意欲が高まった、理数系学部の大学受験者数が増加した等の成果が報告されております。
 また、理数研究校では課外活動や科学系部活動を中心に観察や実験を通して科学的な興味、関心を高めるなどして研究活動の充実を図っております。その結果、各種科学系コンテストへの参加数が増加した、優秀な成績をおさめたなどの成果が報告されております。

○福島委員 ありがとうございます。
 今はアンケートベースで確認されていますけれども、これらの成果についても、スマートスクール構想や教育のEBPMが実現できれば、より精度よく評価できる、このように考えております。
 ここでちょっと申し上げたいのは、諸外国に比べて日本では女子が理系に進む割合が低いけれども、その理由の一つが家庭環境にあるというふうにいわれています。これを解消するためには、女子が理系分野に進み、活躍できることを家庭の外の社会で伝える必要があって、そういう意味では、これらの取り組みの成果はもしかしたら女子生徒により大きく出る可能性があるのではないかというふうに考えています。男女別に分けた分析もおもしろいと思うので、ぜひ取り組んでみてください。
 次、勉強の機会の格差を埋める取り組み二件について質問をしたいと思います。
 スタディーアシスト事業というのが、我が会派の提案により、高校受験を希望しながら、経済的事情などで塾に通うことができない生徒に向けて実施されておりまして、三十年度の事業成果については、平均点が上昇しましたとか、第一志望に全体として八割以上の受講生が合格しました、入試に向けた勉強ができたなど、九八%の受講生が満足できたというすばらしい結果が出ております。
 これを高等学校にも展開した進学アシスト事業、これも我が会派の質疑を受けて、今年度より試行されていますけれども、この事業の現状について伺います。

○増田指導部長 都教育委員会は、今年度から三年間、生徒の進路希望が、大学や専門学校、就職など多岐にわたる、いわゆる進路多様校の中から進学アシスト校二校を指定し、大学進学を希望する生徒の学力の向上を図る取り組みを試行的に進めております。
 これらの指定校では、予備校や学習塾等で講師経験のある外部人材を活用して、大学進学を希望する高校二年生及び三年生を対象とした講座を土曜日等に実施しております。講座を受講している生徒からは、学習習慣が定着した、模試の成績が伸びたなどの声が聞かれております。

○福島委員 従来、行政の役割が基礎学力の定着が主だったというふうに考えています。
 しかし、この学習習慣が定着したという声からわかるように、家庭環境や経済的格差が拡大する中で、これらの取り組みというのは新しい行政の役割として意義あるものと考えています。継続して成果検証、そして、価値があれば、ぜひ拡大していっていただきたいと思います。
 次に、奨学金の紹介サイトについてご質問いたします。
 これも教育の機会均等のために、経済格差の課題を解消する必要がある中で、本年第一回都議会定例会の一般質問で、教育における経済的支援に関する情報提供を必要としている子供に届くよう、こういった奨学金の情報に関して東京都が整備をする、そして、届きやすくするべきだというふうに質問をいたしました。
 都からは、高校等における経済支援制度を生徒らが円滑に活用できるよう、都教育委員会のホームページに掲示するとのご答弁をいただいておりますが、現在の取り組み状況についてお伺いいたします。

○江藤都立学校教育部長 今年度、教育庁、生活文化局、区市町村などや、その他さまざまな団体が実施しております生徒が活用可能な就学を支援する事業につきまして、都教育委員会ホームページに掲載いたしました。
 また、教育相談センターの連絡先も掲載するとともに、進学に伴うさまざまな支援策を助言できるようにいたしました。
 さらに、学校において、生徒、保護者などへの情報提供の際、本ホームページを活用するよう都立学校長へ周知を行ったところでございます。

○福島委員 ホームページの掲載というのは、ここにたどり着かないと見ることができないんですけれども、校長に周知をしていただけるというのは、アウトリーチ型の取り組みであって、非常に高く評価をいたします。
 ご答弁にはございませんでしたけれども、(資料を示す)この奨学金について説明する配布資料の中にも今回作成したホームページのQRコードを印刷していただけたということで、非常に丁寧な対応に改めて感謝を申し上げます。
 では、最後に、これも平成三十一年第一回都議会定例会、文教委員会の質疑でも取り上げましたが、教員の皆様の長時間労働の原因の一つが保護者対応だというふうに現場より伺っております。
 東京学校支援機構では、懸案事項の相談窓口を新たに設置し、保護者対応などに当たる教員を支援するとのご答弁を得ていますが、準備の進捗について伺います。

○谷企画調整担当部長 東京学校支援機構では、法律に関する相談など、教員の専門範囲を超える業務を支援することで、教員が授業等に専念できる環境づくりを推進してまいります。
 現在、機構では、来年度の相談窓口事業の開始に向け、課題発生当初から相談でき、速やかな回答を得られるといった学校が相談しやすい体制や、相談対応にふさわしい弁護士の検討などの準備を進めております。
 引き続き学校のニーズに応えることができるよう、着実に準備してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 現場の先生の皆様からは、保護者対応が起きたときに、今までの取り組みでも相談先はあったんですけれども、実際、相談に乗っていただけるまでの期間が長かった。すぐにでも乗ってほしいということで、こういったスピーディーに対応していただける仕組みをつくっていただけることは大変ありがたい、よい取り組みだと考えています。
 相談対応にふさわしい弁護士を検討する、恐らくここが大変だと思いますので、学校現場を理解する弁護士を育成していく必要もあるかもしれません。前向きな取り組みに感謝するとともに、引き続きの対応をお願い申し上げて、質問を終わります。

○星見委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後八時五十八分休憩

   午後九時十六分開議

○星見委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 この際、理事者から発言の申し出がありますので、これを許します。

○江藤都立学校教育部長 先ほどの斉藤委員の給付型奨学金に関する質問に対する答弁の中で、修学旅行費や給食費、教科書代は、国の奨学のための給付金の支給対象経費となることからという答弁をさせていただきました。
 これにつきましては、修学旅行費、教科書代は奨学のための給付金の支給対象経費となることからに訂正をさせていただきたいと思います。
 給食費につきましては、高校におきまして、全日制では給食を実施しておりません。定時制につきましては、先ほど申し上げましたとおり、勤労青年に対する補助制度を設けております。
 以上でございます。

○星見委員長 それでは、質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○栗林委員 それでは、私の方から、質疑させていただきたいと思います。
 先ほど、のがみ委員の方から、元公立小学校の副校長先生という、ついていらっしゃったことからも、現場の視点を大いに取り入れた多角的な、全てを網羅するご質問がございましたけれども、私は、その中から二つ、二テーマに絞らせていただいて質問させていただきます。
 初めに、医療的ケア、特に人工呼吸器を必要とする児童生徒への支援について伺います。
 我が党は一貫して、この人工呼吸器を必要とする児童生徒の支援体制の整備を求めてきたところでございます。医療的ケアが必要な児童生徒の中で、人工呼吸器が必要な児童生徒は、親の付き添いが求められてまいりました。そういったことから、親が体調不良だとか、都合がつかないときなどは、学校へ行くことができない。
 私の地元世田谷区には、成育医療センターとか、光明学園などもありますので、そういったところに通う保護者からもたくさんお声をいただいてまいりました。
 お子さんも、児童生徒の中からも、僕は、私は、ひとりで学校へ通いたい、勉強がしたいんだ、そういうお声、また、たくさんいただいてまいりました。そして、強力にその取り組みをお願いしてきたところでございます。
 都も、人工呼吸器に関する規定改正等を行い、来年度から保護者の付き添いを軽減していくということを本年三定の我が党の代表質問の中でご答弁をいただいたところでございます。
 そこで、来年度から保護者の付き添いを軽減していくためには、安全に人工呼吸器を管理するための手厚いケアの体制が必要であると思います。校内の管理体制について伺います。

○高木特別支援教育推進担当部長 人工呼吸器の管理を安全に学校で実施していくためには、医師や保護者との連携のもと、児童生徒の呼吸状態などの確認方法や緊急時における教職員の役割分担、医療機関との連携方法など、具体的な管理項目を明確にする必要がございます。
 また、人工呼吸器の管理は高度な医療の知識や技術を必要とするため、看護師を実施者として安全に管理できる体制を構築することが重要でございます。
 こうした観点から、管理体制を確立し、保護者の付き添いを軽減してまいります。

○栗林委員 どうぞ準備の方をよろしくお願い申し上げます。
 都は平成三十年度より、医療的ケアを必要とする児童生徒のための専用通学車両の運行を開始いたしました。
 来年度からは、人工呼吸器を使用する児童生徒の乗車についても、校内での保護者の付き添いの必要がなくなった児童生徒から乗車できるように検討していくと、その準備に当たっていると聞いております。
 そこで、人工呼吸器を使用する児童生徒の専用車両への乗車に向けての課題と今後の取り組みについて伺います。

○高木特別支援教育推進担当部長 人工呼吸器を使用する児童生徒が専用通学車両に乗車するに当たっては、電源の確保や看護師がケアを行う際の姿勢の確認など、車内での安全体制を検討する必要がございます。
 また、走行ルート内では協力医療機関の確保や機器の緊急アラームへの対応手順など、緊急時における具体的な対応方法を検討し、関係者が共有することも重要でございます。
 今後、これらの課題について、医療的ケア運営協議会などで医療、看護等の専門的知見を得て検討し、児童生徒の安全な乗車に向けた準備を進めてまいります。

○栗林委員 よろしくお願いいたします。長い間、長きにわたりまして、やはり保護者の方からの、これは長い、強い強いご要望でございました。その思いを受けとめていただき、いよいよ来年度からという、事業開始ということになってまいりましたので、どうか全ての子供たちに教育の機会をという、その目標に向かいまして準備を進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 先ほど龍円委員の方からもお話ございましたが、やはり将来的にはインクルーシブ教育で、医療的ケアの必要な児童生徒も通いたい学校に通える、選択できるような、そういう環境を整備していただくことを切に望むところでございます。
 続きまして、不登校対策に入りたいと思います。
 先ほど何度か皆様も触れられていらっしゃいましたけれども、私はちょっとポイントを絞って質疑をさせていただきたいと思います。
 都内公立小中学校の不登校児童生徒は年々増加傾向にあり、平成三十年度は一万四千人を超える状況となっています。
 今まで、都は、適応指導教室を開始していましたけれども、教育支援センターとして、平成二十九年二月には、教育支援センター充実方策検討委員会の報告書をまとめるなど、不登校児童生徒への再チャレンジへの支援を徹底的に検討して、全ての児童生徒が豊かな学校生活を送り、社会的に自立することを目的として、児童生徒を支援するためのガイドブックを作成しました。
 私は、適応指導教室という名称がずっと使われていたときに、やっぱりちょっと適応指導というのはどうなのかななんて思っていた、感じているところもございましたので、それを二十九年から、教育支援センターというふうに改めてスタートしたということは大変評価させていただいているところなんですけれども、このガイドブックでございます。
 これ、私、先ほどお話ございましたけれども、先生たちが使うガイドブックですけれども、本当に大変よくできていて、タイトルにもあるんですが、不登校への適切な対応に向けてという、タイトルにちゃんとそう書かれているんですね。ですから、学校復帰を目指してとかじゃなくて、適切な対応に向けてという、このタイトルのとおりに内容も全てそうなっております。
 魅力ある学校づくりということもうたわれてはあるんですけれども、やはりこれから、これだけ多様な、いろんな価値観とか思いもある児童生徒が--魅力ある学校って全部違うと思うんですね。みんなそれぞれにとっての魅力ある学校って違うと思います。
 私は、一番このガイドブックでも示されている、そのベースになっている、どの子供たちも、ひとりも置き去りにしないよという、一人一人の子供たちを大事にしていくよという、そういうメッセージが届くことのできる学校が魅力ある学校じゃないかなとこの冊子を読みながら、そう思いました。
 ですから、数字は問わない、中身が大事だということがここでは示されているのではないかと思います。
 そこで、各小中学校において、この児童生徒を支援するためのガイドブックを有効に活用できるようにするための都教育委員会の取り組みについて伺います。

○増田指導部長 都教育委員会は、平成三十一年三月に、ご指摘のガイドブックを全ての都内公立小中学校へ配布するとともに、ホームページ等に掲載いたしました。
 また、本年度、区市町村教育委員会の不登校担当指導主事連絡会等において、このガイドブックの具体的な活用の事例を周知し、指導主事が学校に対して適切に指導助言ができるよう支援しております。
 さらに、職層や経験に応じた教員研修会において、このガイドブックを活用し、児童生徒一人一人の状況を適切に把握するための手法や効果的な支援の内容、方法などを教員が身につけられるようにしております。

○栗林委員 現代社会の児童生徒を取り巻く環境の変化は著しく、客観的に児童生徒一人一人が置かれている環境というものを分析したり、対応する必要がございます。そうした判断にこのガイドブックは大変役立つと。役立つ内容になっていると思います。
 一ページ目に基本的な考え方というのがあるんですけれども、そこに明確に、不登校という、その行為を問題行動と判断してはなりませんと、まず、ここにちゃんと記入されております。そして、個々の不登校の児童生徒の状況に応じた必要な支援が行われるようにすることが重要ですと、基本的な姿勢がここで示されています。
 また、二ページ、三ページ目には、いろんな他機関との連携というところもありまして、そこで、小中学校における役割として、特別支援教育コーディネーター、不登校担当教員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーという役割も示されているんですが、この具体的な役割と配置状況を伺います。

○増田指導部長 特別支援教育コーディネーターは、校内における特別支援教育の推進役として、全ての小中学校において、校長が教員の中から指名しており、特別な支援を必要とする子供への支援のあり方について検討する校内委員会を運営するなどしております。
 不登校担当教員は、校内における不登校対策の推進役として、必要に応じ、校長が指名しており、関係機関との連絡調整等を踏まえて、不登校の子供への支援体制を構築するなどしております。
 スクールカウンセラーは、心理の専門家として、都教育委員会が都内全ての公立小中学校に年間三十八日配置しており、子供や保護者への相談に応じるとともに、教職員に必要な助言等を行っております。
 スクールソーシャルワーカーは、福祉の専門家として、区市町村教育委員会が学校の要請に応じて派遣しており、関係機関とのネットワーク等を活用して、子供の置かれた状況の改善に向けた支援を行っております。

○栗林委員 スクールカウンセラー、今後はやはり全校固定配置みたいな、そういったことも求められてくると思います。そうしたことから、資格条件の緩和などで、ぜひ拡充を図っていただきたいと思います。
 また、不登校担当教員は、大変重要な役割を担っていらっしゃると思います。この方がどう判断するか、どういう対策を講じるかというのが物すごく問われるのではないかと思います。
 ただし、不登校担当教員が担任とか受け持っていると多忙きわまりないのではないか、そういう心配もございます。
 そこで、不登校担当教員や特別支援コーディネーター等の教員が、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等、この外部人材とどのように連携して、不登校の子供に対する支援計画を作成しているのか伺います。

○増田指導部長 学校では、例えば、不登校担当教員を中核として、学級担任、養護教諭、特別支援教育コーディネーター等の教員と、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の専門家が連携して、不登校の子供への支援のあり方を検討しております。
 具体的には、学級担任が観察した子供の様子や不登校担当教員が聞き取った保護者からの情報等に加え、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの知見等を踏まえたアセスメントの結果を登校支援シートに反映させ、支援計画を作成するなどしております。

○栗林委員 このガイドブック、未然防止から早期の支援とか、長期化している児童生徒への支援とかということで、非常にわかりやすく、具体的にどういう行動を起こしていくかまで、さまざま書かれてはいるんですけれども、一〇ページには未然防止ということで、二二ページには適切なアセスメントによる早期支援、また、六八ページからは長期化している児童生徒への支援というふうに大変重要な、すぐその場で使わせていただける内容になっていると思います。
 七八ページにあるんですけど、最後の結びのような部分のところに、不登校対策とは決して学校に復帰させることでなく、希望を持ち、前に進めるよう支援することである、そう書かれています。そして、その支援が卒業後も続くよう、支援を引き継ぐためにあるのが登校支援シートと聞いています。
 登校なので、登校させることが目的ではないんだという深い意味がちゃんとここには述べられているんですね。その子にとって、登校は、学校だけではなく、フリースクールの場合もあったり、また、教員が訪問して自宅で学習する。その子にとっては全てが学校であり、そういう捉え方をこの支援シートでもしているのではないかと思います。登校させることが目的のシートではないということはやはりしっかり明確にすべきではないかと思います。
 本ガイドブックに掲載されている登校支援シートの目的と名称の意味について伺います。

○増田指導部長 ご指摘の登校支援シートは、不登校等の子供一人一人の状況を的確に把握するとともに、子供たちの置かれた状況を教職員が共有し、学校復帰のみならず、社会的自立に向けて、組織的に支援することを目的として、各学校で作成するものでございます。
 また、このシートを掲載しているガイドブックが教職員向けに作成されたものであり、児童生徒の豊かな学校生活を実現できるようにする内容が中心となっていることから、登校支援シートという名称としております。

○栗林委員 やはり教職員の皆様は、児童生徒から、行きたくなるような学校、最初に申し上げた魅力ある学校という行きたくなるような学校、それをつくるんだという大前提のもとでスタートしているということもあわせて確認をさせていただきます。
 このガイドブックを配布してまだ半年ですけれども、学校からはどのような声が届いているか伺います。

○増田指導部長 ガイドブックの活用による成果としては、学校からは、ガイドブックに掲載されている項目に即して不登校児童のアセスメントを実施したことにより、児童の状況に応じた支援を行うことができるようになった、ガイドブックに紹介されている生徒への意識調査を通して、教員が日々の教育活動の改善を図り、魅力ある学級づくりに向けて意識的に取り組むようになっているといった声が寄せられております。

○栗林委員 まだ配布をされてから半年ぐらいなので、フルな活用というのはこれからだと思いますけれども、配布されただけではなく、やはり現場で直面した課題がこのガイドブックのこの部分を通してこう改善したとか、ケーススタディーが大変重要だと思います。あと、ワークショップなど、また、チームで学ぶ機会などもこれからどんどん充実していただきたいと思います。
 このガイドブックの最後にも載っているんですけど、不登校を経験した人へのインタビュー調査というのがありまして、不登校であったことをどのように思っているかということが、三三%ぐらいの方が、行かないことに意味があったという、そして、肯定的な意見の中では、休んだおかけで今の自分がある、出会いがあった、無理して行くよりはよかった、人とは違う経験をした、成長して視野が広がったなどという、そういう声も聞かれています。
 学校を休んでいても、その中で自分にとっての成長や出会いがあれば、しっかりと社会的自立に向けて歩んでいることを示していると思われますというふうに最後、寄せられていますけれども、やはり、まずは魅力ある学校づくりに頑張っていただくと同時に、不登校となった、そういうお子さん一人一人の状況に合わせたきめ細かな寄り添う支援をしていく、これを、このガイドブックにはあらゆる知恵と工夫とさまざまな力が込められていると思いますので、どうか現場で活用していただいて、このガイドブックが最後はぼろぼろになって、もうすり切れて見えなくなるぐらい活用していただいて、生きたガイドブックとしていただくようにお願いをしたいと思います。
 私、いつも不登校と聞くと一人の少年の挑戦を思い出すんですね。皆様もご存じの方、多いと思いますが、二〇一三年に一冊の本が発刊されました。これは、ランドセル俳人の五・七・五という、小林凛君という小学生の書いた俳句の本なんですけど、(実物を示す)私もこれ、二〇一三年のときに、もうすぐに読ませていただいて本当に感動したんですが、ランドセルの俳人五・七・五。「いじめられ行きたし行けぬ春の雨」、これもつくっているんですね。十一歳、不登校の少年。生きる希望は俳句を詠むことというタイトルの本なんですけれども、「いじめ受け土手の蒲公英一人つむ」「いじめ受け春も暮れゆく涙かな」「いじめられ行きたし行けぬ春の雨」。こういうたくさんの句をつくっているんですけど、その中で最初に小林凛君自身がつくっている俳句への挑戦というところがあるんです。
 この日本には、いじめられている人がたくさんいる。僕もその中の一人だ。いじめは一年生から始まった。からかわれ、殴られ、蹴られ、時には、消えろ、くずとののしられた。それが小五まで続いた。僕は生まれるとき、小さく生まれた。普通の赤ちゃんの半分もなかったんだよ、一キロもなかったんだよとお母さんは思い出すようにいう。だから、いじめっ子の絶好の標的になった。危険ないじめを受けるたびに不登校になってしまった。そんなとき、毎日のように野山に出て、俳句をつくった。「冬蜘蛛が糸にからまる受難かな」、これは僕が八歳のときの句だ。「紅葉で神が染めたる天地かな」、この句は僕のお気に入りだ。僕は学校に行きたいけど、行けない状況の中で、家にいて、安らぎの時間を過ごす間にたくさんの俳句を詠んだ。僕を支えてくれたのは俳句だった。不登校は無駄ではなかったのだ。いじめから自分を遠ざけた時期にできた句は三百句を超えている。今、僕は、俳句があるから、いじめと闘えている。
 これが二〇一三年のときの彼の言葉なんですが、その本の最後にお母さんの言葉があります。
 凛が俳句の世界を我が家にもたらしてくれたおかげで、張り切って不登校と心からいえる。願わくは、いつか凛が教育現場で尊敬する師と出会ってくれる日が来てほしい。また、大人になった凛が懐かしく思い出されるような学びやを得てほしい。これが家族の切なる願いだ。この九カ月ほどは、午前中は私が用意した課題に取り組み、午後からは小学校課程の学習をさせるために、家から歩いて行ける個別指導の塾に通っている。その道すがら、寒風の中、小石を蹴って気合いを入れて一句。「冬ざれや小石を溝に蹴飛ばして」。
 この本を聖路加国際病院の亡くなられた日野原重明先生が推薦されていまして、二〇一一年の秋に百歳になられた日野原先生に凛くんが送った句が、「百歳は僕の十倍天高し」、こういう句を詠んでお送りしたそうでございます。
 今、この彼は十七歳、高校生になっていました。高校生になって初めて学校生活を楽しみ、日々頑張っているそうです。本も出版して頑張っていらっしゃるということを聞きまして、やはりこのガイドブック、一人一人の個性とか創造力とか、子供の可能性というのは無限なんだということをこの凛くんが何か教えてくれたような気もいたしました。
 どうかこのガイドブックを中心に、先生たちがチームで、なかなか課題、乗り越えられない難関なときにはみんなで支え合いながら、一人一人の子供たちを、児童生徒を、自立に向けてサポートいただけますよう心からお願い申し上げて、質問を終わります。

○鳥居委員 私からは、英語教育、グローバル人材の育成について質疑をさせていただきますが、先ほど、のがみ委員からも英語教育につきましてご質疑をされましたので、その部分は割愛しながら進めていきたいと思います。
 世界を舞台に活躍できるグローバル人材の育成は、社会、政治、経済など、あらゆる分野で急速にグローバル化が進む現代社会においては急務となっております。
 学校教育が果たす役割が今までになく大きくなりつつある中、東京都教育委員会では、東京グローバル人材育成計画’20ですね、こちらのガイドブックでございますが、こちらを策定されまして、二〇二〇年度までのファーストステージの取り組みにおいて、社会や世界の動きを見通し、みずからの人生をたくましく切り開く、日本の発展を支えるリーダー的人材の育成を掲げられました。
 また、生徒の英語力、教員の英語力、国際交流を目標に定め、授業の質の向上、学ぶ時間、機会をふやすこと、学ぶ意欲を高める、学び続けることを三つの視点として、具体的な実行計画が示されております。
 私からは、本計画の目標達成に向けて行われている二十の施策の中から幾つかピックアップして伺います。
 まずは小学校の英語の教科化への対応についてですが、小学校における新学習指導要領の変更に伴い、三、四年生から英語教育を受けられる体制に変わり、五、六年生における英語教育の内容の専門性が高まりました。このように、英語教育がこれまでになく、早期に実施される、また、その内容も高度化している傾向にあるということがうかがえます。
 そのような中、英語の専門性を有する教員を活用するため、小学校では、中学校や高校の英語免許状を持っている者や英語検定試験準一級以上の資格を持っている者などを英語専科教員に充てるとの答弁が先ほどなされました。
 どの学級も英語によるやりとりがふえ、授業内容には、変化に応じて、常に高い水準で均質化されることが望まれておりますので、教育庁の皆様におかれましても、継続して、それに対する助言指導を行っていただき、きめ細かく改善を行っていただきたいと思います。
 英語教育の早期化、高度化など、英語教育環境の変化に適応するためにも、二十の施策に示されているとおり、教員の英語力の底上げが重要になると思います。
 そこで、英語担当教員の英語力を向上させるための研修とその効果についての評価、さらに、改善策について伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、中学校、高等学校の英語科教員を対象とした英検準一級等取得支援講座や小学校教員を対象とした外国人講師などによる集中講座等を実施するなど、教員の英語力向上に向けた研修を実施しております。
 また、平成二十六年度から海外派遣研修を実施しており、海外の大学で最新の英語教授法を学ぶほか、英語力に応じたグループでの授業を受講し、現地の学校で授業を行ったり、ホストファミリーとの交流を深めたりするなど、実際に海外で英語を使いながら英語力を高めております。
 こうした研修を修了した教員に対し、研修への満足度や自己の課題解決に役立ったかなどについてアンケート調査を実施するとともに、英語力等による検定試験や所属長に対する聞き取り等によりまして成果検証を行い、その結果を次年度の改善に生かしております。

○鳥居委員 英語力を高める研修の実施及び研修時にはアンケートをとられて改善策に生かされていることを伺いました。
 急速にグローバル化が進む現代社会においては、変化に応じた改良、改善を常に進めていく必要性がございます。例えば、先ほども質疑がありましたが、ネーティブスピーカーの活用、いわゆるJETプログラムは、授業改善のみならず、教員との技術交流が図られ、教員能力の向上にもつながると思いますので、うまく活用いただくことを望みます。時流に従い、継続して教員能力を底上げする仕組みを構築するための熟慮をしていただきたいと思います。
 東京都英語村、TOKYO GLOBAL GATEWAY、TGGは、国内にいながら英語体験、実践ができる環境を提供でき、英語を使用する必要性や楽しさを体験することにより、学習意欲の向上に寄与できる国内でも特徴的な施設であります。
 私も開設前に現地を訪問し、国際機関やグローバル企業との連携、児童生徒八人に一人のイングリッシュスピーカーが対応するなど、英語に触れる密度の高い、有益な学びの場であると感じました。
 TGGが開設して一年余りたちますが、今年度の都内外の学校の利用状況はいかがでしょうか。また、プログラム内容及びさらなる改善に向けた取り組みについて伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 TOKYO GLOBAL GATEWAY、TGGでは、今年度、小学生から高校生を中心に八万人程度の学校利用が見込まれており、このうち都内の児童生徒が約八割を占めております。
 TGGでは、日常の生活場面に加え、文化、ビジネス、国際貢献、疑似留学など、多様なテーマに基づく英語での体験型プログラムを提供しております。
 プログラムの運用状況については、児童生徒及び引率教員等にアンケートを行い、体験したプログラムの満足度や、今後どのようなプログラムがあるとよいかなどについて調査を行っているほか、利用校に個別にヒアリングをすることなども行っております。
 こうした声や有識者の意見等も踏まえながら、運営事業者と定期的に協議を重ね、さらに満足度や教育効果の高いプログラムとなるよう、引き続き改善を図ってまいります。

○鳥居委員 昨年度の利用者数が五万人と伺っておりますので、順調に利用者を伸ばされていると考えます。
 都外からの児童生徒の中には、修学旅行時という貴重な時間にTGGを利用されるとも伺っておりまして、うれしく感じております。
 他にはない新規性から注目を集め、利用者が当面はふえていくと思いますが、一方で、継続して利用者数を維持向上させるには、本施設の目的である英語を使用する必要性や楽しさを体験することにより、学習意欲の向上に寄与できるように、民間企業と連携をして内容の充実を図っていただきたいと考えます。
 昨年度のアンケート結果からは、利用された児童生徒の九割以上の方々が満足度が高いと伺っておりますので、引き続き改善、改良を検討いただきつつ、より多くの学校及び児童生徒の英語力向上に寄与できるように取り組んでいただきたいと考えております。
 学校内に生きた国際交流の機会を創出する上で非常に有意義なのが留学生の受け入れです。国は、グローバル戦略の一環として、二〇二〇年に三十万人の留学生の受け入れを目標としました。
 海外からの留学生を受け入れ、活発に国際交流できる環境を持続的に創出するためには、留学される生徒に対して、魅力やメリットなどのインセンティブとなる機会を提供する必要があると思います。都教育委員会の取り組みを伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、都立学校の生徒に、学校にいながらにして生きた国際交流の機会を提供するとともに、海外の生徒に東京の多様な魅力を体験してもらえるよう、平成二十九年度から、留学生の受け入れ事業、東京体験スクールを開始いたしました。
 東京体験スクールでは、都教育委員会が教育に関する覚書を締結している国や地域の協力を得まして、オーストラリア、クイーンズランド州やカナダ、ブリティッシュコロンビア州、タイなど、さまざまな国や地域から二週間程度、合計約百名を受け入れております。
 留学生はホームステイをしながら都立学校に通い、授業や掃除、部活動等に参加するほか、日本の伝統文化体験や防災など、都が注力している政策分野に関する施設訪問等を行っております。
 これまで、留学生及び受け入れ校双方から好評を得ており、留学生からは、日本の教育方法と自国と異なる点が興味深かった、東京に対する興味、理解が深まった等の声が多く寄せられております。

○鳥居委員 平成二十九年度から東京体験スクールを開設されたということで、留学生の方々に東京の魅力を体験いただける充実したプログラムを提供していただきたいと考えております。
 また、日本の伝統文化体験、また、都が注力している政策分野に関する施設訪問などは、国際都市の東京らしい取り組みと感じます。
 留学生の受け入れは、生きた国際交流の機会を創出できる有意義な機会であり、活発に国際交流のできる環境を創出するために、都としても、より積極的な対応を行っていただくことをお願いいたします。
 教員の海外派遣研修は、語学力の向上、指導方法の習得、異文化理解の促進、コミュニケーション能力のさらなる向上が図られることから、着実な指導力向上に寄与していると伺っております。
 また、都立高校生等に海外留学を経験させる施策として、次世代リーダー育成道場を二〇一二年度に開設され、毎年二百名の都立高校生が一年間留学することを支援、グローバルリーダーの育成に寄与されております。世界を舞台に活躍できるグローバル人材の育成に向けて、海外留学の機会を与えることは非常に有意義と感じます。
 そこで、都教育委員会が取り組まれている東京グローバル10における、海外大学進学希望者に対して、どのような支援を行っているのかを伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、将来、国際社会で活躍するグローバルリーダーを育成することを目的として、平成二十七年度から都立学校十校を東京グローバル10として指定しております。
 グローバル10各校に対しましては、生徒を対象に、海外大学進学に関するリーフレットを作成、配布したり、海外大学の基本情報等や外部検定試験に関する講座を実施したりするなど、生徒の興味、関心を高め、理解を深める取り組みを行っております。
 また、保護者向け説明会を実施し、海外大学を卒業した後の進路や海外での生活、経費等について情報提供を行うほか、教員に対しては、出願に係る書類作成の手引を配布し、生徒へのきめ細かい対応ができるようにすることで海外大学への進学を支援しております。

○鳥居委員 日本における海外留学はまだまだ一般化していないように思います。留学費用や実践的英語力の不足など、留学をちゅうちょさせる不安材料になると思います。そのような中、東京グローバル10として十校指定し、生徒の興味、関心を高め、理解を深める取り組みは有意義と考えます。
 グローバル人材の育成を目途とするならば、都としても、生徒や保護者に対する留学への敷居をハード、ソフト面の両方から下げる努力を一層尽力していただきたいと思います。
 また、東京都からより多くの海外留学生が生まれることを期待しております。
 この冊子、東京グローバル人材育成計画’20を着実に遂行していただき、グローバル人材の育成をしっかりと行っていただくことを要望して、私の質疑を終わります。ありがとうございます。

○西郷委員 ことし五月の皇位継承に伴って、新たに即位した天皇陛下が即位を内外に宣言される即位礼正殿の儀が十月二十二日、皇居宮殿で行われました。ことしは新たな元号にかわる特別な年に当たります。
 即位礼正殿の儀に関しては、令和元年九月二十日付で、内閣官房長官から文部科学大臣宛てに即位礼正殿の儀当日における祝意奉表についてが発せられています。
 それを受けて、文部科学事務次官からは、各都道府県教育委員会等に対し、管下の学校や区市町村教育委員会等に対し、当日の祝意奉表について周知を図るように通知がなされているところです。
 この即位礼正殿の儀当日における祝意奉表に係る国からの通知を都教育委員会はどのように周知したのかを伺います。

○安部総務部長 都教育委員会は、十月二十二日の即位礼正殿の儀当日における祝意奉表について、文部科学省からの通知を受け、区市町村教育委員会及び都立学校宛てに、その趣旨を踏まえて対応するよう通知し、周知を図ったところでございます。

○西郷委員 学習指導要領では、天皇についての理解と敬愛の念を深めるようにすることと定められています。
 令和元年九月二十八日、二十九日に行われたNHKの皇室に関する意識調査では、今の皇室について、どの程度関心がありますかという質問に対し、大いに関心がある一八・一%、多少関心がある五三・五%、余り関心がない二一・一%、全く関心がない六%、わからない一・二%という結果でありました。
 しかしながら、国会でも議論されている皇位継承論について、きちんと理解がされているとはいえません。
 令和元年十一月十九日、産経新聞社とフジニュースネットワークの合同世論調査では、女性天皇と女系天皇の違いについて尋ねたところ、よく理解している九・七%、ある程度理解している三三・二%、余り理解していない三四・四%、全く理解していない二〇・六%、わからない二・一%でした。理解していないと答えた人が半数を超えており、皇室の伝統や制度について十分知られていない現状が浮き彫りとなりました。
 この現状を踏まえ、私は、天皇、皇室についての充実した教育が必要だと考えます。
 今回の天皇の即位にかかわる継承行事等の重要性や意義について、都内公立学校の児童生徒の理解を促す教育を行う必要があると考えますが、都教育委員会の取り組みを伺います。

○増田指導部長 都教育委員会は、平成三十一年四月二十二日付で文部科学省から発出された通知、天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に際しての学校における児童生徒への指導についてを受け、平成三十一年四月二十三日付で区市町村教育委員会及び都立学校宛てに通知をしました。
 文部科学省の通知には、天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律の趣旨を踏まえ、国民こぞって祝意を表する意義について、児童生徒に理解させるようにすることが適当であるなどと示されております。
 これを踏まえ、都内の公立学校においては、天皇の即位の日の前や即位礼正殿の儀の行われる日の前に、例えば朝会での校長の講話や学校便り、学年便りなどを通じて指導を行ったところでございます。

○西郷委員 ありがとうございます。
 それでは、次の質問に入ります。
 日本人の生活の中には、日常生活と別に特別な晴れの日があります。晴れの日には二種類あり、一つは、毎年同じ時期にめぐってくる年中行事。そして、もう一つは、人の一生の間に経験する誕生から成人、結婚、還暦といった人生の節目に当たる日。これを人生儀礼と呼びますが、年中行事には初午やお盆など、日本の民俗に根差したものや中国の影響のもとに日本化した五節句などがあり、それ以外にも祭礼に伴うものが幾つもあります。
 それぞれの行事には特別な日にまつわる食べ物やしつらい、しきたりがあり、旬の食材の働きやその季節にふさわしい状態で体に取り入れる工夫を見ることができます。
 そのため、年中行事については、都内の各地の学校では、給食において、年中行事を意識した献立を導入している例が多いようです。例えば、中央区の日本橋小学校では、別名、菊の節句とも呼ばれる九月九日、重陽の節句の日には、菊のかまぼこが入った澄まし汁が提供されています。食育の観点からもこのような取り組みは望ましいと思います。
 教育基本法において、第二条の教育の目標の中で、伝統と文化を尊重し、それを育んできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うことと規定されています。伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛することを具現化できるものの一つとして年中行事があると考えられます。
 日本の四季や年中行事と密接に関係した食文化など、身近な生活の中に生きる伝統文化について、都内公立学校の児童生徒の理解を促す教育を行う必要があると考えますが、都教育委員会の取り組みを伺います。

○増田指導部長 日本の伝統文化に関する教育につきましては、学習指導要領で、国語や社会、音楽や家庭科、体育など、関連する事項を扱う各教科や総合的な学習の時間などの学習活動を通して指導の充実が求められております。
 これを踏まえ、都教育委員会は、子供たちが日本のよさを理解し、日本人としての自覚や誇りを高めることができるよう、世界から高く評価されている我が国の伝統文化や先人のすぐれた業績等を紹介する資料を作成し、都内全公立学校に配布し、活用を促しております。
 この資料では、例えば、新鮮で多様な食材を使用し、自然の美しさや季節の移ろいを表現する和食のよさや、正月のお節料理や端午の節句のかしわ餅など、年中行事にかかわる行事食に込められた意味などを取り上げて紹介しております。

○西郷委員 四季の彩りの豊かな日本では、古くからさまざまな季節を感じる行事が行われてきました。その中でも代表的なものが五節句ですが、例えば五月五日、先ほどもご答弁いただきましたが、五月五日は子供の日ですが、かぶとやこいのぼりをつくった思い出があると思います。子供の日にかしわ餅を食べる意味がわからない子供が多いと聞きました。カシワの葉には葉守りの神が宿り、かしわ餅には子孫繁栄や家系が途絶えないという意味があります。
 また、正月が近づいてきましたが、お節料理を食べたことがない子供がふえているそうです。理由としては、親がつくらない、冷たくておいしくない、食べる理由がわからないなどが挙げられています。
 お節料理はお節句という言葉から来ていて、神様にお供えしたものを私たちがいただくと恩恵を受けられると考えられ、食材一つ一つにも願いと意味が込められています。例えば、黒豆は真面目に働き、健康に暮らせるように、エビは元気に長生きできますようにという意味が込められています。そして、重箱に詰める意味は、福を重ねる。正式には五段ですが、神様から授かる福を詰めるとして、五段目は空にしておくといわれています。
 何気なく食べるのではなく、その一つ一つに込められた願いを知ると、日本に根づく風習やすばらしさ、先祖への感謝の気持ちを感じることができると思います。そして、教養も身につきます。幅広い教養は人間関係を円滑にしていくことだけではなく、生きる力にもつながり、豊かな心を育て、知識を得ることや視野が広がります。また、楽しみ方もふえると思います。
 子供たちが日本のよさを理解し、日本としての自覚や誇りを高めることができるよう、我が国の伝統文化に対して、細かな部分までしっかりと指導の充実を求め、私の質問を終わります。

○星見委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○星見委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後十時六分散会

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