文教委員会速記録第四号

平成三十一年三月十八日(月曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長とや英津子君
副委員長菅野 弘一君
副委員長田の上いくこ君
理事内山 真吾君
理事星見てい子君
理事谷村 孝彦君
龍円あいり君
福島りえこ君
高倉 良生君
鳥居こうすけ君
古賀 俊昭君
米倉 春奈君
のがみ純子君

欠席委員 一名

出席説明員
生活文化局局長浜 佳葉子君
次長武市 玲子君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務鳥田 浩平君
広報広聴部長濵田 良廣君
都民生活部長山本  明君
消費生活部長吉村 幸子君
私学部長金子 光博君
文化振興部長樋渡 幸生君
都政情報担当部長水野  剛君
都民活躍支援担当部長馬神 祥子君
男女平等参画担当部長稲葉  薫君
魅力発信プロジェクト担当部長堀越弥栄子君
文化総合調整担当部長久故 雅幸君
文化施設改革担当部長工藤 穣治君

本日の会議に付した事件
生活文化局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成三十一年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 生活文化局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十六号議案 東京都情報公開条例の一部を改正する条例
・第四十七号議案 東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
・第四十八号議案 東京都特定個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
・第四十九号議案 特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例

○とや委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成三十一年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、生活文化局所管分及び第四十六号議案から第四十九号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○鳥田総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る二月十五日の当委員会におきまして要求のありました資料についてご説明申し上げます。
 お手元に配布の平成三十一年文教委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、今回要求のありました資料は六件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、Tokyo Tokyo FESTIVALの主な事業でございます。
 Tokyo Tokyo FESTIVALの事業につきまして、平成三十年度の主な事業の概要を記載しております。
 三ページをお開き願います。2、私立専修学校修学支援実証研究事業の授業料支援実績額、協力校数及び受給者数の推移でございます。
 表題の内容につきまして、事業を開始した平成二十七年度から直近の平成二十九年度までの実績を記載しております。
 四ページをお開き願います。3、私立小中学校等の児童生徒数並びに私立小中学校等就学支援実証事業の国への交付申請者数、受給者数及び実績額でございます。
 表題の内容につきまして、平成二十九年度の実績と平成三十年度の状況を記載しております。
 五ページをお開き願います。4、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に関係する事業と予算額の推移でございます。
 表題の内容につきまして、平成二十六年度から平成三十一年度まで記載しております。
 六ページをお開き願います。5、青少年・治安対策本部から生活文化局に移管する事業の内容でございます。
 表題の内容につきまして、事業内容と予算額を記載しております。
 七ページをお開き願います。6、配偶者暴力防止等民間活動助成事業の実施状況、予算額の推移でございます。
 表題の内容につきまして、平成二十七年度から平成三十年度までの実績と平成三十一年度の予算額を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○とや委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鳥居委員 それでは、予算案の概要に記載されている案件の順に質疑をさせていただきます。
 まず一番初めは、都民のボランティア活動の推進に向けた取り組みについて質疑を行います。
 先日開催された東京マラソンでは、一万人を超えるボランティアの人たちが活躍。また、五百日後に迫りました東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えて、多くの都民がボランティア活動に関心を寄せております。
 このような関心の高まりをさまざまなボランティア活動につなげること、そして、地域の課題解決につなげる共助社会への実現につなげていくことが肝要です。
 都におけるボランティア活動の支援の中核的存在として、飯田橋にございます東京ボランティア・市民活動センターがあり、ボランティア、市民活動の推進などの事業を行っております。
 都民ボランティア行動者率を現在の二四・八%から、二〇二〇年には四〇%まで引き上げるというこの目標を達成するためには、都は、東京ボランティア・市民活動センターの機能を生かしながらボランティア活動推進に向けた取り組みを強化しなければならないと思います。
 そこで、ボランティア活動を支援するために、センターでは現在どのような事業が行われているのかを伺います。

○山本都民生活部長 都は、ボランティア活動を推進するため、東京都社会福祉協議会が設置するボランティアに関する知識や経験が豊富な東京ボランティア・市民活動センターを支援しております。
 当センターは、そのネットワークを生かしてボランティア活動に関する情報を提供するボラ市民ウェブというサイトで、都民やボランティア団体に向けて、ボランティア募集情報や活動に必要なさまざまな情報を提供しております。
 そのほか、専門性を生かして、都民やボランティア団体等からの個別相談への対応、ボランティア活動に参加する側と受け入れ側をつなぐコーディネーターの養成研修や、企業における社会貢献活動の支援など、さまざまな事業を実施しております。

○鳥居委員 さまざまな情報の発信のみではなくて、個別相談対応や企業による社会貢献活動支援を実施しているということを今お示しいただきました。
 また、コーディネーターによりボランティアの方々がスムーズにボランティア活動ができるよう、成果に向けた調整を行っていること及びそのコーディネーターの養成研修を実施することは、より直接的に成果につながる有益な取り組みと考えております。
 東京ボランティア・市民活動センター等をご利用される方における満足度は、とても満足しているが二七・三%、どちらかといえば満足しているが四〇・九%と、満足している方の合計は六八・二%であり、満足していないはゼロ%、どちらかといえば満足していないが九・一%です。満足していない方が少ないことからも、成果を上げるための努力を進められていると認識します。また、このようなアンケートで業務内容を精査している姿勢にも共感をいたします。
 一方で、東京ボランティア・市民活動センターの利用者、認知度の合計が五・九%と、ここ数年間認知度は低い状態であることも明らかとなっております。ボランティア活動を支援するためにも、まず、認知度向上を行い、ボランティア活動に関する情報提供の充実が肝要と考えます。
 そこで、施設の認知度向上をどのように図っていくのかを伺います。

○山本都民生活部長 ボランティア文化の定着に向けては、都民に対する東京ボランティア・市民活動センターの認知度向上を図り、その利用を促していくことが重要であります。
 同センターではこれまでも、情報サイト、ボラ市民ウェブを検索サイトで見つけやすくしたり、リーフレット、ボランティア活動情報誌の発行などを通じてPRを実施してまいりました。
 都も、生活文化局のホームページでボラ市民ウェブを紹介したり、都のイベントでPRを行うなど、さまざまな機会を捉えて周知に努めてまいりました。
 これらに加えまして、来年度は、JR飯田橋駅前という好立地を生かしまして、同センターに立ち寄りやすくする工夫など、さらなる認知度向上を図る取り組みを支援してまいります。

○鳥居委員 ボラ市民ウェブにたどり着くと、東京都で行われているボランティア情報、相談窓口、助成金などの情報を提供しており、ボランティアに興味のある方々に対しては、シンプルに有益な情報を提供できていると感じます。
 今後は、飯田橋駅徒歩二分という好立地を生かし、利用者の拡大を図ってほしいと考えます。
 さて、成果につながる取り組みとして最も重要なのは、相談者に対して直接きめの細かい対応を行い活動につなげていくことと認識いたします。
 そこで、センターではどのような相談対応を実施しているのかを伺います。

○山本都民生活部長 東京ボランティア・市民活動センターでは、昨年度は年間約一万四千件の相談に対応いたしました。相談方法としては、電話によるものが半数以上となっており、そのほか、来所やメール等による相談にも対応しております。
 相談者の全体のうち、個人からの相談は約二五%、企業、団体からの相談が約七五%となっており、個人からは仲間と一緒に新たな団体を立ち上げたいといった内容や、企業、団体からは企業とボランティア団体との協働の進め方や活動資金などについて幅広い相談が寄せられております。
 センター職員が専門性を生かして、きめ細かく対応を行っております。

○鳥居委員 ありがとうございました。
 年間約一万四千件の相談があるということで、一日平均としては約四十件弱と、それほど少ないとは思いませんし、企業、団体の相談が約七五%と高いことから、ご答弁にもありましたように、専門性を生かして、きめ細かく対応することにより、相談者のさまざまな課題を解決することを促進して成果につなげていただけるように、センターの活動に期待したいと考えます。
 同じく成果につなげるためには、活動する側のコーディネートをしっかりと行う必要があると考えます。
 そこで、ボランティア活動に参加する側と受け入れ側とをつなぐ上で重要な役割を担うコーディネーターの養成について伺います。

○山本都民生活部長 東京ボランティア・市民活動センターでは、コーディネーターとしての経験や役割別に必要な知識、スキルが得られるよう、初級から中級、組織マネジメント等を学ぶ上級といった階層別に研修を実施し、コーディネーション能力の向上を図っております。
 来年度も百五十名程度の受講を予定しておりまして、この中で、地域のボランティアセンターやNPO等の職員に加え、ボランティア活動による支援を受ける施設等の職員などにも広く参加を呼びかけております。

○鳥居委員 初級から上級にわたる階層別の研修を実施して、コーディネーション能力の向上に十分に意識した取り組みをされているということがわかりました。
 東京二〇二〇大会を契機に醸成が進んだ都民のおもてなし精神と、その活動が進むと考えております。それらが一過性で終わることなく、大会後も東京のボランティア文化として定着し、東京の活力向上に寄与していくことを大いに期待したいと思います。
 そのためにも、都は、東京ボランティア・市民活動センターの機能を生かしながら、都民のボランティア活動の推進に向けた取り組みを強化していく必要性があると考えますが、その所見を伺います。

○山本都民生活部長 ボランティア文化の定着に向けて、東京ボランティア・市民活動センターと連携しながら、その強みを生かした取り組みが重要であり、都は活動に関心の薄い層への働きかけなどの機運醸成に、同センターは専門性とネットワークを生かした具体的な活動に対する支援を行っております。
 来年度は、都は、ボラ市民ウェブの情報に加え、都が募集するボランティアなど、ボランティア情報を一元的に提供するポータルサイトの構築を進めることとしております。
 また、大学ボランティアセンターの設置促進に向けたシンポジウムを開催し、その中で、同センターの活動支援の取り組みについても紹介してまいります。
 今後とも、東京ボランティア・市民活動センターとの連携を強化し、都民のボランティア活動の推進に向けた取り組みを積極的に推進してまいります。

○鳥居委員 ボランティア情報を一元的に提供するポータルサイトの構築は、消費者目線で最も重要な取り組みの一つと認識いたします。
 また、大学ボランティアセンター設置の促進により、より若い方の参画もさらに促進していただきたいと考えます。
 これらの取り組みが一過性で終わることなく、大会後も東京のボランティア文化として定着していくよう、今後も東京ボランティア・市民活動センターが都におけるボランティア活動支援の中核的存在の役割を果たすことを期待して、次の質問に移ります。
 次に、結婚に向けた機運醸成等について伺います。
 都は、都内在住の十八歳以上五十歳未満の未婚の方を対象に、都民の結婚等に関する実態及び意識についてのインターネット調査を実施され、結婚することに利点があると思うか聞かれたところ、あると思うと答えた人が七割弱、独身生活には結婚生活にはない利点があると思うかと聞かれたところ、あると思うと答えた人は八割強いることが示されました。
 一方、一生を通じての結婚の意向を聞いたところ、いずれ結婚するつもりと答えた人は対象者全体の七割近く、一方、一生結婚するつもりはないと答えた人は約三割と、いずれ結婚するつもりと答えた人が多いことが示されました。
 なお、国立社会保障・人口問題研究所が出生動向基本調査を十八歳から三十四歳で集計していることから、十八歳から三十四歳では、いずれ結婚するつもりと答えた人は八割近い七六・八%を示していることがわかっております。いずれ結婚するつもりと答えた人に現在独身でいる理由を聞いたところ、適当な相手にめぐり会わないが最も多く、次いで、独身の自由さや気楽さを失いたくないからや、結婚する必要性をまだ感じていないからが続きます。
 いずれ結婚するつもりと答えた人に東京都に期待する結婚支援の取り組みについて聞いたところ、気軽に参加できる交流の機会の提供が四二・三%と最も高く、次いで、結婚しやすい環境の整備に資する取り組み、これはすなわちライフワークバランスの推進や若者の就職支援等ですが、これが三二%、区市町村、非営利団体等が行う婚活イベントパーティーに関する情報の提供が二一%と続きます。
 これらの結果を受けて、都は、本年二月二十三日から二十四日の二日間にわたり、いつか結婚したいけれども一歩踏み出すきっかけが見つからない方を支援する取り組みとして、ゲストや専門家をお迎えし、これからの自分の人生や結婚について話し合うセミナー形式のイベント、TOKYO FUTARI DAYSを表参道ヒルズで開催されました。
 私も開催二日目に田の上副委員長と参加し、専門家からの情報提供やご自身をアピールするための写真撮影及びカウンセリングなども行うきめ細かな取り組みであると感じました。
 まずは、開催されたセミナー形式イベント、TOKYO FUTARI DAYSの反響について伺います。

○馬神都民活躍支援担当部長 先月、結婚に関心のある方を対象に開催したセミナー、TOKYO FUTARI DAYSには、定員三百名のところ五百名近くの応募がありました。
 イベントでは、ゲストによるトークショーや実践的な講座を通じて、多くの方に結婚や婚活について学び、考える機会を提供いたしました。
 参加者のアンケートによれば、九割近い方から、結婚や婚活に役立つ知識を得たとの回答があり、さらに八割を超える方から、結婚や婚活に対して前向きになれたとの回答がございました。
 こうしたことから、本イベントは、情報提供を通じて一歩踏み出す後押しをするという目的にかなうものになったと考えております。

○鳥居委員 アンケートの内容をお伺いしまして、応募者数や反響は良好であったというふうに認識をいたしました。
 次に、婚活に関しては民間企業がさまざまなコンテンツを提供したり、イベントを開催したりしております。
 都は、多くの民間企業が活動する中で、婚活を成果に結びつけるためにどのようなことに留意しているのかを伺います。

○馬神都民活躍支援担当部長 都内には婚活関連の民間事業者が多いことも踏まえ、都は、個別のお見合いや結婚のあっせん等は行わず、専ら結婚を希望している方が一歩踏み出すためのきっかけづくりを行っています。
 例えば、結婚支援ポータルサイトで婚活サービスの種類やそれぞれの特徴を紹介するとともに、利用に際しての注意点など、民間サービスを都民が適切に選択できるよう情報発信を行っています。
 民間事業者とも連携しながら、適切な役割分担のもと、営利を目的としない立場からの情報提供に努めております。

○鳥居委員 この事業を進める上では、民間事業者との連携も必要でありますし、多様な民間サービスを都民が適切に選択できるよう、情報を発信することが肝要と考えます。そのような留意点をお示しいただいたと思います。
 次に、アンケートの結果から、一歩踏み出すきっかけが見つからない方が多いことがわかっており、成果に結びつけるには、そのような方を対象に働きかけるのが肝要と考えます。
 都は、今後どのような戦略で婚活を支援していくのかを伺います。

○馬神都民活躍支援担当部長 結婚支援を効果的に行うには、希望しながらも一歩を踏み出せない方に対して、参考となるさまざまな情報を提供することが重要です。
 来年度は、多くの方が気軽に参加でき、結婚関連の情報を幅広く提供するイベントを開催し、結婚に向けた機運の醸成につなげてまいります。
 このイベントでは、結婚を希望する方向けに、結婚や婚活に対する疑問や不安を解消し、一歩踏み出すきっかけとなるセミナーも実施いたします。
 また、結婚支援ポータルサイトのコンテンツも充実することで、一層の情報提供を行ってまいります。
 今後とも、個人の価値観や人生観に十分配慮しつつ、結婚支援に積極的に取り組んでまいります。

○鳥居委員 どうもありがとうございます。
 一歩踏み出すきっかけが見つからない方を支援するために取り組まれており、結婚や婚活に対する疑問や不安を解消し、一歩踏み出すきっかけとなるセミナーの実施等、これは有益と考えます。
 そこでしか得られない知識やノウハウを提供することに留意いただき、内容の充実も引き続き進めていただくことを期待しております。
 なお、五十歳まで一度も結婚したことがない、いわゆる生涯未婚率の方は年々上がり続けており、二〇一五年には国勢調査の結果で男性二三・三七%、女性一四・〇六%に達しております。
 この数字が一九九〇年の調査の男性五・六%、女性四・三%から急激に上昇傾向にありますが、これは、一九八六年の男女雇用機会均等法の施行以降、女性の社会進出が進む一方で、近年では非正規雇用の男性がふえたことが背景にあると考えられております。
 我々は、このような社会情勢に起因する結婚のミスマッチに対しても、しっかりと熟慮して取り組んでいかなければなりませんし、御局の取り組みによりこれらのミスマッチが改善されることも期待しながら、次の質問に移りたいと思います。
 次は、男女平等参画、女性活躍の推進について伺います。
 女性が輝くTOKYO懇話会は、平成二十八年度まで実施されていた国際シンポジウムの形を変えて、平成二十九年度から、女性初の東京都知事である小池知事が参加され、さまざまな業界で活躍されている女性と懇話し、情報を発信しております。
 第一回目は若手女性のキャリアデザインについて、そして本年は、女性参画が十分に進んでいない三つの業界、すなわち建設業、運輸業、情報通信業で活躍されているゲストと三回にわたり知事が語り合い、その業界で働く魅力と、生活と仕事の両立方法について発信されました。
 そこで、男女平等参画、女性活躍の推進という観点からも有意義な取り組みと考えておりますが、本年度の実施の成果について伺いたいと思います。

○稲葉男女平等参画担当部長 本年度の女性が輝くTOKYO懇話会では、インターネット中継やウエブサイトを通じて発信を行いましたほか、懇話会の内容や参加者へのインタビューなどを取りまとめた冊子を作成いたしました。この冊子は、ウエブサイトに掲載するとともに、業界団体や大学のキャリアセンターなどを通じて広く発信していきます。
 また、懇話会の様子は、業界誌や業界団体のウエブサイト等でも紹介していただき、ゲストの所属企業においても女性社員向けの懇談会が開催されるなど、民間における取り組みにも波及しております。

○鳥居委員 情報を発信し、さらに広く業界誌や業界団体のウエブサイト等で取り上げられたことをお示しいただきましたが、男女平等参画や女性活躍の推進の重要性を頭でわかっていても、なかなか実感していただくことは簡単なことではないと考えております。
 そのような中で、女性で活躍されている、小池都知事が参画される女性が輝くTOKYO懇話会は、男女平等参画、女性活躍の推進を大きく後押しできる取り組みとして活用できる特徴的なイベントであると考えます。
 このイベントを実りあるものにするためには、どのようなことに留意して取り組んでいくのかを伺います。

○稲葉男女平等参画担当部長 平成二十九年度及び平成三十年度は、若い世代の女性を主な対象として、キャリア形成や生活と仕事の両立などについて発信をしました。
 開催ごとにテーマを設けまして、開催形式やゲストの構成などを変えて実施してきました。
 今後は、女性のキャリア形成のほか、男性の家事、育児参画などのテーマも新たに取り上げ、イベントの内容や働きかけの対象に応じて効果的に発信できるよう取り組んでいきます。

○鳥居委員 さまざまな課題に対応したテーマがあると考えますので、内容の充実を熟慮して今後も進めていただけたらと考えております。
 次に、ライフワークバランス普及啓発について、都は、社会全体に向けた機運醸成事業を展開しており、その中に、女性活躍の推進に不可欠な男性の家事、育児参画を一層進めるために、パパズ・スタイルによる情報を発信しております。
 また、より成果につなげるよう、実際にパパやママに参加していただくシンポジウム、パパママサミットも開催しております。
 そこで、昨年十二月一日に東京ウィメンズプラザで実施されたパパママサミットの成果について伺います。

○稲葉男女平等参画担当部長 本年度のパパママサミットは、小さい子供のいる暮らしを二人でおもしろくする方法をテーマに、子育て経験のある男性著名人や学識経験者を招いて開催しました。
 当日は百二十一名の参加があり、アンケートでは、八割以上の参加者から参考になったとの回答があったほか、夫婦で話し合う時間を持って将来のことを決めていきたい、妻とともに家事をしていきたい、興味深く、学ぶべきことが多かったなどの声をいただきました。

○鳥居委員 積極的に育児に参加されているイクメンタレントの代表的な存在である、つるの剛士さんをゲストに迎えたようですし、アンケート内容も良好であると感じます。
 パパやママ本人が参加されるシンポジウムの実施は、最も成果につながる手段の一つとして、引き続き推進していただきたいと考えます。
 そこで、女性活躍の推進に不可欠な男性の家事、育児参画を一層進めるためには、男性の家事、育児参画にかかわる目標と実態の客観的評価を行い、今後に生かすことが肝要と考えます。今後の取り組みについて伺います。

○稲葉男女平等参画担当部長 都は、就学前の児童を持つ父親の家事、育児時間を二〇二四年度に一日三時間に、男性も家事、育児を行うことは当然であるというイメージを持つ都民の方の割合を二〇二〇年度に七〇%とすることを政策目標としています。
 これらの目標の達成に向けて、男性の家事、育児参画を進める上での課題を把握し施策に生かすため、来年度、男性の家事、育児参画の実態調査を実施する予定でございます。
 具体的には、都内の子育て世代やその親世代を対象として、男性の家事、育児の具体的な内容や取り組みの状況、参画が進まない要因、事業の評価などをインターネット調査により把握し、今後の事業展開に反映させていきます。

○鳥居委員 男性も家事、育児を行うことは当然であるというイメージを持つ都民の割合を二〇二〇年度に七〇%にすることを政策目標にしているなど、高い目標をお示しいただきました。
 また、PDCAサイクルに従い、インターネット調査から得られたデータをしっかりと分析して、効果的な施策を実施していただき、男女平等参画、女性活躍を推進していただくことをお願いして、次の質問に移ります。
 次に、成年年齢引き下げを踏まえた若年層への消費者教育について伺います。
 二〇二二年四月に民法改正が行われ、成人年齢が二十歳から十八歳に引き下げられ、それに伴い十八歳、十九歳の未成年者取り消し権が消滅いたします。
 高校生の消費者被害が拡大するおそれがあり、消費生活に関する知識習得、消費生活トラブルにかかわる理解を促進する必要性がございます。
 現在、国は、若年者への消費者教育推進に関するアクションプログラムを策定し、消費者教育を推進しております。学校等との連携した消費生活総合センターの取り組みとしては、教員への支援として、平成二十九年度から、成年年齢引き下げをテーマとした講座を実施し、また、教員向けの情報誌として、わたしは消費者などを発行しています。
 また、学校への支援として、出前講座という、学校で消費者問題にかかわる講座を実施していると聞いております。
 都では、学校向けの出前講座や教員講座を実施しているとのことですが、それぞれの講座の特徴と今年度の実績について伺います。

○吉村消費生活部長 東京都消費生活総合センターでは、消費者教育に取り組む学校現場への支援を行っております。
 学校向け出前講座は、消費生活相談員などの経験を積んだ専門家である東京都消費者啓発員、コンシューマー・エイドが求めに応じて学校に出向き、講師として授業を行っております。
 契約の基礎知識や金銭教育、ローン、クレジットの仕組みやトラブル防止など、消費生活に関するテーマについて、平成三十年度は、二月末現在で七十九校、百四十回の講座を実施いたしました。
 また、教員向けの講座は、消費者教育に関する教員の指導力向上に向け、夏休み期間中に実施しております。
 平成三十年度は、金融経済教育、法教育等の関連分野を含め、消費者教育の実践に必要な知識のほか、最近の消費者問題の事例や消費者教育教材の使い方など、十六テーマの講座を区部と市部の二つの会場で開催し、延べ千百五十五人が受講いたしました。

○鳥居委員 教員向けの講座に加えて、並行して、消費者生活相談員など、経験を積んだ専門家である東京都消費者啓発員をニーズに従って派遣する体制も整えていることをお示しいただきました。
 民法における十八歳、十九歳の未成年者取り消し権の消滅による消費者被害の未然防止を図るには、その対象者である高校生に対して、生徒個人への働きかけを中心に、気づきの促しをする取り組みが肝要と考えます。
 都は、新規事業として、若者参加型の短編動画の作成や放映を企画していますが、その概要について伺います。

○吉村消費生活部長 若者の被害防止に向けては、学校教育に加え、生徒が自発的に消費生活問題について考える取り組みもあわせて進めていくことが効果的でございます。
 そのため、都では、消費者トラブルに遭わない選択や行動ができるよう、生徒自身へ働きかけ、気づきを促す参加型の取り組みを来年度新たに実施いたします。
 具体的には、中学、高校生などの若者から消費生活をテーマとした短編動画のシナリオを募集し、選定したシナリオに基づき動画を作成いたします。若者は、シナリオや動画の作成過程において、専門家の助言を受けながら、みずから契約や消費者トラブルに関する知識を身につけ理解を深めることで消費生活問題を身近なこととして捉え、被害に遭わないよう意識することとなります。
 シナリオに基づき作成した動画は、若者に多く視聴されているユーチューブなどで公開し、動画を見た同世代の若者たちにも広く普及啓発を図ってまいります。

○鳥居委員 教員教育、専門家による出前講座に加えて、最も成果が上がる手段の一つと考えられる中学、高校生の参加型の取り組みを都の新規事業案として考案されていることは評価に値すると考えます。
 中学、高校生が、みずから消費者被害がどのように起こり得るのかを考えて気づく取り組みとして、ぜひ推進していただきたいと考えますし、同年代の若者にも広く普及啓発できるように、それらの情報を効果的に広めていただくようにお願いして、次の質問に移ります。
 次に、Tokyo Tokyo FESTIVALの推進について質疑を行います。
 まず初めに、Tokyo Tokyo FESTIVALとはどのような取り組みを意味するのかを伺います。

○樋渡文化振興部長 オリンピック憲章では、オリンピズムは、スポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求するものであるとされ、文化は、オリンピズムとして掲げる理念の重要な一部でございます。
 近年開催されましたオリンピックでは、多様な文化プログラムが展開され、ロンドン大会においては過去最大規模で実施されました。
 都におきましては、二〇二〇年大会に向けまして、都が実施するプログラムや民間に対する助成事業などに取り組んでおり、これらの文化プログラム全体をTokyo Tokyo FESTIVALとして展開しております。

○鳥居委員 どうもありがとうございます。
 Tokyo Tokyo FESTIVALのホームページには、東京はアートの力を信じている。それは私たちのこれからを描く力だ。それは違いを受けとめ、通じ合おうとする力だ。二〇二〇年。東京はその力を世界に示したいと思う。伝統と現代が、そして世界中の文化が交差する東京だからできること。Tokyo Tokyo FESTIVALは、アートでつながる、未来とつながる文化の祭典であるというふうに書かれております。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会は、スポーツの祭典であるとともに、文化の祭典として捉えて、二〇二〇年に向けて展開するさまざまな文化プログラムの全体の総称、これをTokyo Tokyo FESTIVALというふうに認識しております。
 一方、二〇二〇大会開催まであと四百九十四日、五百日を切っているわけであります。時間がない中で成果が求められている、そのような状況でございます。
 では、次に、東京芸術文化評議会が過去二十六回にわたり実施され、そして、五つのレガシーの創出が示されていると認識しますが、そのレガシーとは何かを伺います。

○樋渡文化振興部長 平成二十九年一月に開催されました第二十二回の東京芸術文化評議会におきまして、二〇二〇年までの東京文化プログラムの展開について検討いたしました。
 その中で、創出すべきレガシーとしまして、都民の芸術文化に触れる機会の増大、地域経済や観光の活性化、世界から芸術文化都市東京として評価、それから、人材や芸術文化団体の成長、芸術文化の力が社会課題の解決に貢献の五つが挙げられておるところでございます。

○鳥居委員 今お伝えいただきました五つのレガシー、すなわち、都民の触れる機会増大、観光経済の活性化、世界からの評価、人材、団体の成長、そして社会課題の解決、これがシンプルな言葉で明文化されているわけでございます。これをTokyo Tokyo FESTIVALのミッションと捉えてもよいのではないでしょうか。
 二〇一五年に発行された東京文化ビジョンには、五つの理念と八つの文化戦略が示されています。時間の都合上、全ては紹介できませんけれども、例えばその理念におきましては、東京独自の芸術文化が持つ多様性を発信するとか、東京のさらなる成長の柱として芸術文化を位置づけるとか、東京を舞台にあらゆる人々の交流と世界中の芸術家の創造活動を促進し、芸術文化の力を世界平和の実現につなげていくとかが書かれておりますし、東京文化ビジョンの文化戦略は八つ書かれておりまして、伝統と現代が共存、融合する東京独自の多様性を追求し、世界に発信していく等々がいろいろと書かれておられるわけでございます。
 私の感覚なんですが、ちょっと文字が多くて、抽象的な文言も多いと感じます。本当に達成しなければいけないものというものが不明瞭のようにちょっと感じましたが、今示していただきました五つのレガシーというものは非常に明文化されて、明確化な目標であるんじゃないかというふうにも感じました。
 私は、長年民間企業にて在籍しておりましたので、企業人の立場で判断しますと、これらの明確なミッション、すなわち果たすべき使命でございますが、これを五つのレガシーとして捉えて、責任者は目標を明確に部下に伝えて、一丸となって達成に向けて采配を振るうべきだと認識しております。
 抽象的で曖昧な目標は、部下を迷わすだけでございます。十分に熟慮していただきますようにお願いしたいと存じます。
 また、これらの五つのレガシーに対する進捗はまだ不明とのことでございます。工夫をしてアンケートをとれば、これらの進捗の客観的な数字を評価するということも可能だと考えます。
 Tokyo Tokyo FESTIVALの目標、もしくはそれをミッションと捉えるのであれば、果たすべき責務として客観的評価の中でその進捗を管理して、不足分を修正するべきではないでしょうか。
 ファクトベースアプローチ、事実に基づく取り組みで物事を進めることが事業の方向性を誤らずに成果に導く近道として、客観的なデータをもとにした展開を期待したいところです。
 さて、実務の内容について伺いたいと思います。
 レガシーを創出していくためには、Tokyo Tokyo FESTIVALのファン層拡大が重要となります。東京二〇二〇パラリンピック大会の成功を目途に、障害者スポーツを盛り上げていくために、他局ではファンサイトのチームビヨンドを立ち上げております。
 Tokyo Tokyo FESTIVALのサポートの状況につきまして、チームビヨンドはパラスポーツを応援するチーム名称でありますが、多くのメンバーが参加されております。
 Tokyo Tokyo FESTIVAL推進に貢献いただけるサポーターの状況について伺います。

○樋渡文化振興部長 Tokyo Tokyo FESTIVALとしての統一な会員組織はございませんけれども、鑑賞者の多様なニーズを踏まえて、都立文化施設や東京都交響楽団など個別の会員組織によりまして、ジャンルごとのターゲットに応じた取り組みを進めてきました。
 今後は、議員のご指摘のとおり、より多くの都民の方々にTokyo Tokyo FESTIVALの全体ファンになっていただくことも重要でございます。
 このため、Tokyo Tokyo FESTIVALのプロモーションを展開し、認知度の向上に努めるとともに、都民の芸術文化に触れる機会を増大してまいります。

○鳥居委員 チームビヨンドはパラスポーツを応援するチームの名称であり、インターネットにアドレスを登録するのみでパラスポーツに関する情報を自動的に得ることのほか、関連する情報を広く得ることのできるツールとして非常に有益と考えております。
 担当局の努力もあり、現時点では百二十五万人、現在もふえ続けていると伺っております。都の人口に直しますと十人に一人でありますし、全国では百人に一人が登録しているという、そのような計算になるわけでございます。
 このような情報提供のできるインターネット登録者をかつては民間企業でアイボール、すなわち目と呼び、情報提供により購買に結びつける直接的なパイプとして、アイボールの多いコンテンツの価値は非常に高く評価されております。
 さらに現在は、コンテンツマーケティングの重要性が注目されているように、インターネット上のさまざまなコンテンツなどを一つのサイトに集約し、訪問者に多くの情報を提供することで、顧客目線での情報提供及びビジネスにつなげております。東京動画のコンテンツを一つにまとめたのも記憶に新しいことでございます。
 目前に迫った東京二〇二〇大会を成功に導くには、Tokyo Tokyo FESTIVALにおいて、他局が行われているサポーターの拡充対応や御局が企画されているさまざまなコンテンツの質を高め、消費者目線で一つにまとめて、多くの方が多様な取り組みを知る情報を与えるコンテンツマーケティングの実施努力をするべきであるというふうに考えております。
 主催者側の主観で情報を発信しても、都民には伝わりません。都民の芸術文化に触れる機会の増大を意識した都民目線での情報を発信しているのでしょうか。必要なら、いち早く各コンテンツを一つにまとめるべきでしょうし、顧客となり得る都民に直接情報を伝えるツールを整備するべきと考えます。ぜひ検討していただきたいと思います。
 東京文化ビジョンに従い、これまでさまざまなイベントを実施しておりますが、それらの効果をはかるための具体的目標を定めていることが重要であることは、これまでも述べたとおりでございます。
 私は、五つのレガシーの創出がTokyo Tokyo FESTIVALを推進していくためのミッションであると考えております。大会開催まで五百日を切っておりますが、ミッション達成を、二〇二〇年にターゲットを定め、進捗管理を進めていただくべきであるとも考えます。
 そこで、五つのレガシーの達成に向けた戦略について伺います。

○樋渡文化振興部長 先ほどご答弁いたしました東京芸術文化評議会におきまして、二〇二〇年までの文化プログラムの展開を検討し、これに基づきまして、さまざまな実施主体により、Tokyo Tokyo FESTIVAL事業を展開しております。
 都が主体となり、二〇一五年から、文化プログラムを牽引するリーディングプロジェクトを実施するとともに、リオデジャネイロ大会後は東京の芸術文化振興を支える土台となるプログラムを推進しております。
 また、民間や文化団体が実施する事業への助成を行い、都民による文化イベントや海外アーティストの新作発表などを対象としまして、アマチュアからプロまで幅広い層によります文化活動を支援しております。
 さらに、集大成となります二〇二〇年を中心に、広く一般から企画を募った企画公募採択事業や東京都交響楽団によるサラダ音楽祭など、新たに展開する象徴的なプログラムを実施いたします。
 こうした文化プログラム全体の取り組みをTokyo Tokyo FESTIVALとしましてプロモーションを展開し、大会後のレガシー創出につなげてまいります。

○鳥居委員 五つのレガシーの達成に向けて、今お伝えいただきました戦略の遂行が肝要と考えます。
 例えばレガシーの一つ、都民の触れる機会増大においては、都民をどこまでの対象にしているのか、その範囲で戦略は変わってきます。それらの情報も部内で共有されているとは伺っておりますけれども、御局の担当者全員が五つのレガシーとその戦略について、細部にわたり共有し、共通の理解で効率的な対応をお願いしたいと思います。
 主催者側の主観ではなくて、都民目線での活動が肝要と考えます。全ては顧客(都民)のための活動ということを念頭に今後も進めていただきたいと思います。
 さて、レガシーの達成に向けて展開されている事業の中で、今回新たに取り組むオペラ夏の祭典二〇一九から二〇二〇について、どのような目的で実施するのでしょうか。オペラと聞くと敷居が高く感じる都民も多いと思います。都民が親しみやすく感じるための工夫についてもお伺いいたします。

○堀越魅力発信プロジェクト担当部長 オペラ夏の祭典二〇一九-二〇は、東京文化会館と新国立劇場とが初めて共同制作を行い、国内の劇場や海外有数の劇場と連携して実施する二年間のプロジェクトでございます。
 東京芸術文化評議会で検討した都が主導する文化プログラムの考え方のうち、国際的な芸術文化交流を積極的に展開や、国、他の自治体、芸術文化団体等との連携協力によるオールジャパンでの機運醸成に該当する事業であるとともに、オリンピック・パラリンピックならではの祝祭的な事業として実施いたします。
 また、気軽にオペラに触れていただけるよう、昨年十一月には、丸の内KITTEにてオペラの魅力を伝えるトークと本番の出演者らによるミニコンサートを無料で行い、約一万五千人の来場者がございました。
 今後も、このような取り組みを通じ、多くの方が一流のオペラを身近に感じ、行ってみたいと思っていただけるような工夫を行ってまいります。

○鳥居委員 気軽にオペラに触れていただけるように、丸の内KITTEにてオペラの魅力を伝えるトークとミニコンサートを無料で行ったということは評価できると思います。
 オーケストラやオペラなどはヨーロッパの伝統文化であり、著名な作曲家や指揮者の少ない日本においては、それらの文化を広めていくのは困難であるというふうに想定いたします。
 現在の日本においては、サブカルチャーとしてアニメやゲームが浸透しておりますし、それらに関する音楽に注目が集まりやすい。例えばゲームソング、ドラゴンクエストや宮崎アニメの作曲家でおなじみの久石譲氏がタクトを振ると、武道館などのドーム型ホールでも全て満席になるというふうなことがいわれております。
 Tokyo TokyoはOld meets Newと称されるように、答えの一つはそこにあるのではないかとも思います。都民目線で都民に広く浸透させる対象文化についても、引き続き熟慮していただきたいと考えます。
 さらに多くの都民が気軽に芸術文化に触れる機会をふやすには、内容もさることながら、実施される場所も重要であります。東京は、施設自体、ニューヨークやロンドンと比べると数が少ないといわれています。
 具体的には、半径五キロメートル内で比較しますと、いわゆる音楽施設等ですが、ニューヨークの百に対してロンドンが五十、東京は三十といわれております。そういう環境下であるのであれば、先ほどのKITTEのように、まち中で行うなど人々が行きやすい場所で事業を行うことなどの工夫が必要だと考えます。都の見解を伺います。

○樋渡文化振興部長 東京は、都立文化施設だけではなく、国や他の自治体、民間の文化施設も多く、これまでも、こういった施設と連携して事業を展開してまいりました。
 また、屋内だけではなく、劇場のアトリウムの活用や民間企業の人通りのある場所をご提供いただくなど、都民の方が訪れやすい、目に触れやすい場所でも実施しております。
 今後も、都立公園や庭園、さらに民間施設などの活用を初め、さまざまな主体と連携しながら、都民の方に気軽に芸術文化を楽しんでいただけるような場所で事業実施に努めてまいります。

○鳥居委員 ありがとうございます。
 芸術文化を楽しんでいただける場所での事業実施に努めていただくということで、これは五つのレガシーを実現する上で必要不可欠な取り組みと認識しますので、ぜひ推進していただくことをお願いいたします。
 さて、森ビルが世界の都市ランキングを発表しましたが、東京は総合で三位、交流、文化、いわゆる文化ではロンドンやニューヨーク、パリに続く四位となっております。そして、ロンドンでは評価が高かったのが世界的な文化イベントの件数、歴史、伝統への接触機会。ニューヨークはアーティストの創作環境や劇場、コンサートホール数。それに対して東京は買い物の魅力や食事の魅力が評価されております。
 つまり、東京は、文化に触れ、創造、鑑賞する機会に劣っているというふうに考えられます。このファクト、事実を知って、皆さんはどう思われるでしょうか。東京でTokyo Tokyo FESTIVALを成功させるには困難と思われるのでしょうか。それとも、これを乗り切って、前向きに乗り越えていくように考えられたのでしょうか。
 問題が明らかで分析結果が得られている中では、問題解決に導いていくのは、御局の存在価値であり責務であると私は認識しております。
 本年度の予算概要も二千百九十三億円、うち私学の学務費が千九百五億円ですので、それを除けば二百八十八億円でございます。うち文化振興策には百六十五億円で、このTokyo Tokyo FESTIVALには五十五億円を投じているわけでございます。
 再来年以降も予算を減らすことなくふやせるように取り組んでいただきたいと考えておりますし、そのためには、責任を持って、その成果を客観的に判断していただけるような準備も必要かと考えます。
 皆さんも、多くの都民が芸術文化に触れる、そのような東京を望んでいると思いますし、そのような社会が実現すればすばらしいことと考えております。
 二〇二〇年まで五百日を切っている中でレガシーの創出に努めてもらうことをお願いして、次の質疑に移ります。
 最後の質疑となりますが、私立学校振興について伺います。
 ソサエティー五・〇の実現に向けて、ICT教育環境の整備は重要でございます。
 都は、平成二十七年度から、私立学校におけるICT教育環境を整備するための補助事業を開始しておりますが、本事業の目的と来年度予算案の状況について伺います。

○金子私学部長 私立学校ICT教育環境整備費補助は、児童生徒の学習への意欲や関心を高め、学力を向上させるとともに、これからの時代に求められる情報活用能力を育成することを目的に、私立学校におけるICT環境の整備に必要な経費の一部を補助するものでございます。
 来年度予算案におきましては、本年度と同様の事業規模を維持いたしまして、約五億三千万円を計上しております。
 今後も、私立学校におけるICT教育環境の整備に積極的に取り組んでまいります。

○鳥居委員 デジタル教科書、デジタル教材の活用も本格化してくると、本事業の重要性はさらに増してくると考えます。
 本事業は時限事業である中で、そのニーズの高さから継続しているとも聞きます。今後もその必要性に応じて継続することも視野に、しっかりと検討して対応していただきたいと考えます。
 次に、世界的な競争と共生が進む現代社会においては、グローバルに活躍できる人材の育成が求められております。私立学校におけるグローバル人材の育成に向けて、都はこれまでどのような支援策を行っていたのかを伺います。

○金子私学部長 都は、私立学校におけるグローバル人材の育成に向けた取り組みを支援するため、平成二十五年度に私立高等学校海外留学推進補助、平成二十七年度に私立学校外国語指導助手活用事業費補助、平成二十八年度に私立学校教員海外派遣研修事業費補助、それから平成二十九年度に私立高等学校外部検定試験料補助を開始するなど、さまざまな事業を進めてまいりました。
 来年度予算案におきましても、各事業について必要な予算を計上しております。

○鳥居委員 都がさまざまな事業を進めてきたことをお示しいただきました。
 これらの事業の効果を高めていくためには、学校の意見を聞きながらも事業を改善していくことが必要と考えます。
 都はこれまでどのような改善を図ってきたのかを伺います。

○金子私学部長 都は、事業の実効性を高めるために、学校現場の声を聞きながら、事業の改善を図ってまいりました。
 例えば私立高等学校海外留学推進補助につきましては、平成二十九年度に、留学の効果を高めるために、学校が行う語学指導等の事前研修を補助要件に加え、補助単価を増額いたしました。
 また、私立学校教員海外派遣研修事業費補助につきましては、私学団体の要望を踏まえまして、平成三十年度に、補助対象教科を英語科のみから五教科に拡大し、より多くの教員が海外で先駆的な教授法を学ぶことができるようにいたしました。
 今後も、私立学校におけるグローバル人材の育成に向けた取り組みへの支援に努めてまいります。

○鳥居委員 私立高等学校海外留学推進補助につきましては、昨年十一月の文教委員会でも私自身取り上げさせていただきましたが、事業改善の効果もあり、平成二十九年度末までの五年間で延べ千九百四十三名が本事業を活用して留学するなど、目標に対して大きな成果を上げているというふうに認識いたします。
 今後もこうした改善を図りながら、事業を継続することで成果に導くように創意工夫を行っていただきたいと考えます。
 一方で、事業の見直しという視点も必要であると考えます。事業効果をきちんと検証するチェック機能を働かせて、事業目的を達成した事業に対してはさらに改善、改良による継続を進める一方で、事業効果が上がらない事業については、限られた資源と人材を有効に活用する上でも廃止するなどの不断の見直しを行っていただくことを要望しまして、私の質疑を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

○菅野委員 それでは、私の方から、まず町会活動等への支援ということでお聞きしたいと思います。
 町会とか自治会というのは、まさに地域社会、共助社会のまちづくりにとっては中核を担っているという組織でありまして、そういった意味で、これまでも、そうした町会、自治会が担う地域の課題解決に向けてのさまざまな取り組みについて、東京都ではいろんな支援をしてきていただいていると思います。
 特に、地域の底力発展事業助成などは、すっかり、大分、各町会等にも認知をされて、私の周辺の幾つかの町会、連合会等でさまざまな防災、青少年健全育成活動とか、また地域の交流など、そういったさまざまな事業に活用されて、大変好評を得ています。
 しかしながら、そうした活動が地域の活性化、また、そういった課題解決につながっている一方で、今、町会、自治会の多くが抱えているのが、やはり町会への加入率の低下、それに伴って、担い手、また役員など、そうした人の不足というのが、非常に、確保が大きな課題になっています。
 そうした意味で、地域の課題解決プロボノプロジェクトというのは、非常に私は注目をしておりまして、当初、平成二十九年度から、スタートする段階から、その内容には注目をさせていただきました。
 二十九年度は立ち上げ当初ということもありまして、準備等にも若干時間を要したということがあって、完全に年度中に事業が全てうまくいったわけではないと思いますが、平成三十年はある意味順調にその辺の事業が進められたと思います。
 そうした中でまずお聞きしたいのは、プロボノプロジェクトはさまざまな専門知識、経験を持った企業の社員などがボランティアとして、町会、自治会の抱える個別課題について解決策を提案するということでありまして、先ほど申し上げたように期待しています。
 特に町会は、今新しい取り組み、例えばネット社会に対応するような取り組みとか、新しい人に町会活動をPRして、また入りやすい、呼びかけをしたいにも、なかなかその手段、またやり方がうまくいかないということで困っているなどもあります。
 そうしたところ、このプロボノプロジェクトというのが始まりまして、昨年はフルにその事業を行ったということですが、まずは、プロボノプロジェクトの今年度の取り組み実績、成果について伺いたいと思います。

○山本都民生活部長 地域の課題解決プロボノプロジェクトにおいて支援しました町会、自治会数は、昨年度八団体から大幅に今年度増加いたしまして十九団体となりました。
 支援内容といたしましては、町会活動を紹介するホームページの作成や町会業務の運営改善等に取り組んだものでございます。
 町会、自治会関係者など、昨年度を上回る百五十名の参加を得て、今月二日に報告会を開催し、活動事例が報告されました。例えば、役員の世代交代が課題となっている町会において、役員の業務を頼もうとしても、そもそも資料がなかったため、業務のリスト化や業務行程表がプロボノ支援により作成できたという事例などが紹介されまして、活動の担い手確保に資する取り組みが報告されております。
 また、報告会の後半で設けました交流コーナーでは、本プロジェクトで支援を受けた町会、自治会関係者と参加者の間で熱心な意見交換が行われました。

○菅野委員 ご答弁にあったように、この事業では、支援を受ける町会、自治会の数が初年度に比べて大変ふえてきているということがわかりました。また、すぐれた事例もあらわれてきているということが理解できました。
 ただし、これだけよい取り組みでありながら、なかなかまだ多くの町会、自治会に知られていないように感じます。私もここ最近、新年会等がありまして、随分各町会、地域を回ったりして、こういう制度があるよという話をしては回ったんですが、意外と知られていない。また、なかなか行政も、全ての担当者が、全てのというとおかしいんですが、何となくこういう話を聞いたことあるといっても知らない人もいたりして、なかなかその窓口になるところにもまだまだ十分徹底が行っていないのかなというふうに感じました。
 そういう中でプロボノの支援も来年度はいよいよ三年目となります。今後さらに多くの町会、自治会にこの取り組みが認知されるように取り組んでいく必要があると思います。
 特にこれから町会も総会時期になりますから、また来年度の事業等の計画などもこれから発表される中で、そうした時期に、タイミングにおいて、しっかりとこの制度が活用されることが望ましいのかなと思いますので、その辺で取り組みをどう進めていくのかお伺いしたいと思います。

○山本都民生活部長 来年度に向けまして、より多くの町会、自治会からの申し込みにつなげていくために、東京都町会連合会からの要望も踏まえまして、町会、自治会が定例総会を開く時期や周知期間の確保等を考慮しまして、募集時期を前倒しすることといたしました。
 これに伴い、プロボノ支援を受ける前に受講が必要な講座への参加について、今月から募集を開始するなど準備を開始しているところでございます。
 また、募集に先立ちまして、プロボノプロジェクトへの理解を促進するため、ことし一月と二月には、町会、自治会を対象にプロボノプロジェクトの内容の説明等を目的としましたセミナーも開催いたしました。
 こうした取り組みに加え、今後も、さまざまな機会を通じて、より多くの町会、自治会に対して本プロジェクトの周知を図るとともに、その成果についてホームページ等で広く周知を図ってまいります。

○菅野委員 そういう形でぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、この事業の認知が進みにくい理由として、プロボノという言葉はラテン語から来ているというふうに説明をいただきましたけれども、町会、自治会がプロボノの支援を受けることで、こういったメリットが自分たちにあるということがなかなか十分に理解できない、できていないようなことも感じています。ぜひその辺も今後周知をしていただければと思います。
 そして、やはり窓口になるのは市区町村のそういった担当所管がしっかり窓口になるかと思いますので、今後も、先ほどの町会連合会はもとより、区市町村の地域コミュニティの所管部署に対しても、この事業の意義をしっかりと伝えていただいて、取り組みがさらに広がるように取り組んでいただきたい、そのことをお願いさせていただいて、次の質問に移りたいと思います。
 次に、公衆浴場の活性化支援実証事業について伺いたいと思います。
 公衆浴場、お風呂屋さんですね、銭湯についての経営環境がいまだに厳しい状況にあります。家庭における自家風呂の普及という面はもちろんありますけれども、経営者の高齢化や後継者不足といった現実に直面をしています。
 都内の銭湯といわれる公衆浴場の数は、昨年一年間で二十軒程度が廃業し、ことしの二月末現在で五百四十軒にまで減ってしまいました。全盛期の約五分の一となりました。
 公衆浴場は、公衆衛生の面だけではなく、地域住民の健康づくりの場、そして交流の場といった地域社会における拠点施設としての役割に加えて、東京オリンピックやパラリンピックを控え、我が国を訪れる年間三千万人以上の外国人観光客にとって、伝統的な日本の生活文化に触れられる貴重な場としての役割も高まって注目をされてきています。少しでも浴場の数が減らないように歯どめをかける必要があると思います。
 こうした中で、浴場の業界団体である東京都公衆浴場業生活衛生同業組合や個々の浴場経営者の方々は、地域のために貢献する努力を続けるとともに、利用者の拡大に向けて積極的な取り組みを行っています。
 例えば先月、私の地元の港区では、公衆浴場組合の港支部が銭湯フォーラムというのを区と一緒に共催しました。この会は、浴場経営者や区民などがさまざまな視点で今後の公衆浴場について考えることなどを目的に開催されて、五十名近くの方が参加しました。会の冒頭では、港支部が制作した区内の浴場を紹介する動画が披露されましたが、制作費には東京都の補助金が活用されたと聞きました。
 このように、都はこれまでも、我が党の要望を受けて、公衆浴場に対する補助制度の充実を図るなど、浴場経営の安定化に一定の成果を上げてきています。
 また、今年度からは、浴場に専門家を派遣したり、浴場経営者や後継者向けのセミナーを開催するなど、東京都公衆浴場の活性化支援実証事業を開始したところであります。
 そこで、この事業のこれまでの成果について伺いたいと思います。また、実証事業の実施に当たり、公衆浴場組合とどのように連携しているのかについてもあわせてお伺いしたいと思います。

○吉村消費生活部長 東京都公衆浴場活性化支援実証事業、銭湯ラボでは、今年度十軒の浴場にコンサルタントなどを派遣したほか、浴場の経営者や後継者などを対象に、利用客が多い浴場の経営者や専門家を講師に迎え、全六回の連続セミナーを開催しました。
 また、浴場経営者と浴場の経営や運営への支援に関心がある事業者などとの交流会を三回開催いたしました。
 セミナーと交流会には合わせて百名を超える方が参加され、アンケート結果では、八割以上からよい評価をいただきました。
 また、具体的な成果としては、派遣された専門家から助言を受けた浴場が、浴場名の入った垂れ幕をつくり店先に掲出したことで通行者に認知され、利用につながった例などがございます。
 事業の実施に当たっては、公衆浴場組合から講師となる経営者や専門家を派遣する浴場の推薦、事業の周知などさまざまなご協力をいただきました。

○菅野委員 少しずつですが、成果が上がってきているということがわかりました。
 しかしながら、日々の営業もある中で、実際に事業に参加できる経営者は限られているのではないでしょうか。参加していない人も含めて、なるべく多くの経営者が浴場の継続に向けて新しいことに取り組んでみようと思ってもらえるようにしなければ、本当の意味で成果が上がったとはいえないと考えます。
 そこで、今後、浴場業界全体でどのように成果を共有し、実証事業を進めていくのかを伺いたいと思います。

○吉村消費生活部長 実証事業の成果については、年度内に取りまとめ、都や公衆浴場組合のホームページなどを通じて広く発信し、業界全体で共有いたします。
 また、今年度の実証事業に参加した浴場経営者が実践した好事例を紹介することなどにより、参加していない浴場も含め、より多くの浴場において新たな取り組みが行われるよう促進を図ってまいります。
 今後も、公衆浴場組合の協力を得ながら、浴場側のニーズの把握に努め、より効果的な実証事業を実施することで、浴場の事業継続につながるよう支援してまいります。

○菅野委員 浴場業界全体で成果の共有が図られるよう取り組んでいく予定であることがわかりました。
 今後も、地域社会において大切な役割を担っている公衆浴場の継続につなげるため、都の補助制度や実証事業が浴場経営者などのニーズに合った効果的なものになるよう、公衆浴場組合と一層連携を深めて取り組んでいっていただきたいと思います。このことを要望いたしまして、最後の質問になります。
 最後には、TOKYO子育て応援幼稚園について伺いたいと思います。
 東京都は、平成二十九年度から、預かり保育の充実に取り組む幼稚園を支援するTOKYO子育て応援幼稚園事業を開始しています。幼稚園からは、本事業に取り組みたいが、人材確保が難しい、長時間の預かり保育を行うことに不安があるといったことを理由に、なかなか踏み出せないという声も聞いています。
 しかしながら、本事業は、幼児期の教育に大きな役割を果たしている私立幼稚園において、働き方などにかかわらず、幼稚園で幼児教育を受けさせたいというニーズに応えられるよう開始された事業であります。
 共働き家庭などがふえている昨今、本事業を活用し、預かり保育の充実に取り組む幼稚園がふえていくことは重要であります。本事業の実施拡大に向けて今後どのように取り組んでいくのか、都の見解をお伺いしまして、質問を終わりたいと思います。

○金子私学部長 私立幼稚園が、待機児童解消にも資する預かり保育に取り組むことを積極的に支援することは重要でございます。
 そのため、都は、預かり時間や日数に応じて段階的に加算するなど、国の補助に上乗せして独自の補助を行うとともに、制度周知のためのリーフレットや機運醸成のためのシンボルマークを活用し、TOKYO子育て応援幼稚園の拡大に努めてまいりました。
 一方、園においては、実施内容の検討や体制整備等の課題への対応が困難な事例も少なくございません。今後は、区市町村との連携を強化するとともに、先行事例の紹介や各園の個別の状況に応じたきめ細かな助言、働きかけなどを通じまして、TOKYO子育て応援幼稚園の着実な実施拡大を図ってまいります。

○のがみ委員 私の方からは二点質問させていただきます。
 まず第一点目は、エシカル消費の普及啓発についてでございます。
 これはSDGsの観点でいえば、目標十二に相当するものかと思っております。持続可能な生産、消費形態を確保するということで、目標十二では、簡単な言葉でいうと、つくる責任、使う責任ということで表現されているのではないかと思います。
 持続可能な資源利用のところの項目には、エシカル消費、ポリ塩化ビフェニル廃棄物対策、食品ロスと書いてありますけれども、これは今まで、例えば三億円だったものが全体で四億円に上がっているし、エシカル消費に関しては六百万円から四千万円に、約七倍近く予算をとってございます。
 食品ロス、私たちも随分一生懸命取り上げてまいりましたけれども、これは日本で約三八%近く、本来食べられるのに廃棄している食品がそれぐらいあるということで問題になっております。
 これを穀物に換算して計算すると、世界が援助している食料の二倍に当たると。すごくもったいないことで、無駄に捨てられている食品を減らせば、これが逆にSDGsの目標二の飢餓の撲滅、食料増産にも貢献するものと思っております。
 あるいは地産地消により、地元でとれる生産物をより多く消費することで、運搬で使うエネルギーを節約することによって、SDGsの目標の十三、地球温暖化対策にもつながるものと思われます。
 それから、国際的な産地直送ともいえるフェアトレードを開催することによりまして、また途上国の生産者に、より正確な対価を提供することもできると。
 そういった意味で、この目標を達成するためには、賢い消費者を育成することが大切であると思っております。
 そうした意味で、エシカル消費の普及啓発について、東京都では今年度どういう事業を実施しているのかについて、まず最初にお伺いいたします。

○吉村消費生活部長 都では、東京都消費生活基本計画に基づき、今年度から、消費者の持続可能な社会の形成に貢献する消費行動を促進するため、さまざまな手法を用いてエシカル消費の普及啓発に取り組んでおります。
 具体的には、PR動画を新たに作成し、エシカル消費の理念をわかりやすく紹介しております。
 また、ホームページ、東京くらしWEB上に、新たにエシカル消費を紹介するページを作成し、このPR動画を初め、誰もが実践できる行動例や、エシカル消費に関連するラベルやマークの情報、都や区市町村のイベント情報などを掲載しております。
 昨年十一月には、消費者教育の専門家や事業者、消費者、行政による都民向けのシンポジウムを開催し、約百六十人にお集まりいただきました。
 このほか、リーフレットを都内の国公立及び私立学校や消費生活センター、イベント等で広く配布しております。

○のがみ委員 私も見させていただきましたけれども、PR動画を作成したということでございますが、特に若者への発信、一番大事なのは若者だと思うんですね。若者への発信にどのように取り組んだのかについてお伺いいたします。

○吉村消費生活部長 今回作成したPR動画には、若者を初め幅広い年齢層から人気があり、国連のサポーターなどの社会貢献活動をされているEXILEのUSAさんにご出演いただき、ご自身が実践している取り組みを含めて、エシカル消費について紹介していただいております。
 この動画は、ホームページや東京動画に加え、若者が多く集まる渋谷の街頭ビジョンや新宿駅西口広場のデジタルサイネージ、都営地下鉄の車内モニターなど、さまざまな媒体を活用し広報展開を図っております。
 このほか、消費生活問題に関心のない若者にも情報が届くよう、十代から三十代の若者を対象に、ユーチューブやインスタグラムの動画広告を発信いたしました。
 こうした取り組みにより、動画の視聴回数は三十万回を超えております。

○のがみ委員 今年度の取り組みを踏まえて、特に若者に向けて、来年度どのような事業を行っていくのかについて質問させていただきます。

○吉村消費生活部長 都では、今年度から、将来を担う若者を中心に、広く都民にエシカル消費を普及啓発することに取り組んでおりますが、来年度は、大学生に対象を絞った新たな普及啓発も行う予定でございます。
 具体的には、大学キャンパス内の書店や売店で、商品購入時にエシカル消費の実践を呼びかけるグッズやチラシを配布いたします。また、大学キャンパス内へのポスターの掲出や今年度作成したPR動画を放映するなど、都内の多くの大学で集中的に展開を図ってまいります。
 また、ホームページについては、エシカル消費の普及に取り組む民間団体の方のコラムを掲載するなど内容の充実を図るほか、インターネットを活用した動画広告も引き続き実施いたします。
 今後とも、より多くの消費者が、できるところからエシカル消費を選択できるよう、普及啓発に取り組んでまいります。

○のがみ委員 私はここ数日、この質疑をするので、私の身近なところなんですけれども、どれぐらいエシカル消費というのが広がっているのかなと思って聞いてみたんですね。きのう消防団の研修会がありまして、知っている人いますかと聞いたら、誰も知らなかったという状況でございました。
 また、土曜日も、多くの人が集まるところで聞いてみたんですけれども、何みたいな感じで、集まっている人もすごい若い人ではないので、若干高齢に近い人たちなので、そうなのかなとも思ったんですけれども、ぜひ来年一年間通じて、東京中、日本国中にエシカル消費が広まって、実践をしてくれる若い人、高齢者も含めて広がっていくことを期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 もう一つ質疑をさせていただきます。次は、文化についてでございます。
 これは予算といたしましては、芸術文化の創造、発信ということで、昨年五十四億円だったのが五十八億円、いろんなものが含まれておりますけれども、若干ふえてきていると思います。
 特に都民芸術フェスティバルというのがありまして、これは皆様も行っていらっしゃるかもしれないんですけれども、オーケストラとか室内楽、オペラ、バレエ、現代演劇、現代舞踏、邦楽、日本舞踊、能楽、民俗芸能、寄席芸能の十一分野の公演に対し助成を行っているものなんですね。
 実はこれ、東京都が昭和四十三年から実施しておりまして、もう五十年近くたっているものでございます。これは一時期、大変厳しい状況があって潰れそうだったんですけど、これは何とか継続をして今に至っているということで、こうしたものも含めて、東京都は来年の二〇二〇大会に向けて、Tokyo Tokyo FESTIVALと銘打って、さまざまな文化活動を行っていくということでございます。
 都民が身近に芸術文化に触れることのできる機会を提供する大変すばらしい事業だと思っておりますので、ぜひ東京二〇二〇大会の文化面からの盛り上げに寄与していただくとともに、大会以降も継続して実施していただきたいと思っております。
 一方で、Tokyo Tokyo FESTIVAL事業の中には、子供たちに本物の文化芸術を体験する機会を提供する事業もあります。これらの事業は将来を担う子供たちの育成の観点からも大変重要でございます。
 そこで、改めて、都が子供たちに向けて実施しております体験事業の取り組みと成果についてお伺いいたします。

○樋渡文化振興部長 都は、平成十六年度から、子供たちが短時間で気軽に芸術家と直接触れ合い、演劇、音楽などを体験できる事業としまして、子供向け舞台芸術参加・体験プログラムを実施しております。
 また、平成二十年度からは、子供たちが本格的に能や長唄などの稽古を受け発表会を行うキッズ伝統芸能体験を実施しているほか、平成二十七年度には、学校教育と連携し、若手の実演家等を講師とします子供のための伝統文化・芸能体験事業も開始しました。
 さらに、伝統芸能以外の分野でも、アーティストが子供たちに十日間程度のワークショップを行い、ダンスや演劇などの舞台作品をつくり上げるパフォーマンスキッズ・トーキョーなども実施しております。
 これらの事業を合わせますと、平成二十九年度でございますが、約一万二千人の子供たちに本物の芸術文化を実際に体験する機会を提供いたしました。参加した子供たちからは、お稽古が楽しかった、これをきっかけに習い事を始めたという声に加えまして、国立劇場などの本格的な舞台での発表を通じて自信がつき、いろいろなことに積極的に取り組むようになったという声も上がっており、芸術文化の裾野を広げるとともに、子供たちの成長にもつながっていると認識しているところでございます。

○のがみ委員 私も、数年前になるんですけれども、能と歌舞伎を子供たちがやっているのを見学させていただきました。これは、能と歌舞伎の初心者、あるいは外国人に向けた企画で、実演を交えながらその見方などを英語と日本語の二カ国語で紹介するものでございました。
 第一部の能では、笑いや泣きなどを一定の動きで表現する能特有の所作や抑揚のついたせりふ、謡を、一人の人が英語で解説をしたりしておりました。また、高砂というものを披露してくださっておりました。
 第二部では歌舞伎です。これも、情景や登場人物の喜怒哀楽を演出する下座音楽というのに光を当てまして、今、東京都もこれにすごく力を入れてくださっておりまして、三味線とか太鼓とか笛といった和楽器を用いて四季を描写した音楽などが演奏されました。本当に場内が大きな拍手に包まれたことを覚えております。
 さらに、最後の歌舞伎の立ち回りの披露に向けて、女形というんですかね、藤娘を踊って観客を魅了されておりました。
 古典芸能になかなか触れる機会のなかった方もたくさん来ていらっしゃいまして、大変日本の伝統文化がすばらしいという感想を述べてくださっておりました。
 こうした多くの子供たちが文化芸術のすばらしさに触れて、創造する喜びを感じて成長していけるように、今後も息長くこのような体験事業を続けていってもらいたいと思っております。
 さらに、Tokyo Tokyo FESTIVAL事業の中には、今年度新たに開始したサラダ音楽祭もございます。これは昨年質疑をさせていただきましたが、九月十七日に、私も実際にその公演に伺ってとても楽しかったんですね。こんなに笑っていいのかというぐらいすごい楽しいサラダ音楽祭でございました。
 昨年の事務事業質疑でその成果をお聞きしたんですけれども、当日は約八千人の方が来場されて、アンケートなども大変好評だったということでございました。
 しかし、一方で、当日昼に実施したゼロ歳児から入場できるオーケーオーケストラは大変人気で、当日券が買えなかったお客さんもいたということを聞いております。
 そこで、来年度はサラダ音楽祭の公演数をふやすなどして、拡充して実施してはいかがということを要望させていただくんですけれども、東京都の考えはいかがでしょうか。

○樋渡文化振興部長 都は、多くの都民の皆様に音楽の楽しさを感じてもらうために、今年度から、東京都交響楽団とともに東京芸術劇場をメーン会場にサラダ音楽祭を始めました。
 来年度でございますけれども、さらに多くの方々に参加していただけるよう、一日だったメーンプログラムを三日に拡充する予定としております。
 具体的には、今年度、特に好評でありました、先生からもお話がございましたけれども、オーケーオーケストラは公演回数をふやし、より多くのご家族に本格的な演奏を楽しめる機会を提供したいと思います。
 また、長い行列ができるほど人気でありましたワークショップの回数をふやしまして、楽器体験や歌、ダンスに加えまして、来場者が参加、体験できる新たなコンテンツも用意しております。
 加えまして、より多くの都民の皆様に音楽祭を知ってもらうため、多摩地域を含む複数の箇所でミニコンサートを実施する予定でございます。

○のがみ委員 最後です。
 Tokyo Tokyo FESTIVALの中には、都民芸術フェスティバルのように古くから都民に親しまれている事業だけでなく、子供向けの体験事業やサラダ音楽祭のような新たな事業までございます。
 都が、二〇二〇大会に向けて、より多くの都民が文化芸術を楽しめるように取り組んでいることは評価できます。これらを二〇二〇年以降も継続し、東京に文化が根づきレガシーとなるよう、ぜひ今後も取り組んでいってもらいたいことを要望して終わります。

○星見委員 それでは、私は、一番最初に、東京大空襲の日、犠牲者名簿について伺わせていただきます。
 三月十日、東京を襲ったB29、約三百機が約三十三万発の焼夷弾で、たった二時間で下町を焼き尽くすという大空襲が行われまして、十万人以上の死者を出しました。
 ことし三月十日、七十四年目に当たりまして、都の慰霊堂での犠牲者を追悼する法要と、それから東京都平和の日の式典が行われ、東京大空襲犠牲者名簿、ここに、八万一千百四十七名になったということが報告されました。
 まず、この東京大空襲犠牲者名簿が作成され、東京大空襲の犠牲者の名簿を都がつくり続けている経緯について伺います。

○樋渡文化振興部長 都は、平成十一年三月第一回定例会におけます平和祈念館の建設に係る付帯決議の中で、東京空襲犠牲者名簿の収集、作成を平成十一年度の早期に開始することとされたことなどを受けまして、平成十一年六月に東京空襲犠牲者の氏名収集を開始いたしました。
 その結果、平成十三年三月に、六万八千七十二名分を東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑に納めております。さらにその後も毎年新規の申し出を受け付けております。

○星見委員 東京都が犠牲者の氏名収集を始めて二十年間になります。新たな名簿登録は、かつて年間二百人程度いましたが、今年度は八十九名と減り続けています。
 名簿は公開されていませんが、遺族の申し出で該当部分を閲覧できるようにしています。近年、そうはいっても遺族も高齢で亡くなり、そもそも家族が全滅している場合もあります。
 遺族以外でも知人など、当時の犠牲者につながる情報を持っている方々の申し出があれば、該当部分の閲覧を認めて、犠牲者名簿へのさらなる犠牲者の登載を進めるべきと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。

○樋渡文化振興部長 都では、遺族だけではなく、知人や隣人などであっても、氏名や死亡時の年齢などの手がかりがあれば、名簿の該当部分の閲覧を認めるとともに、名簿への登載を申し出ることができることとしており、これによりまして、家族全員が亡くなっている場合や遺族が既に亡くなっている場合でも、名簿に登載できるようにしております。

○星見委員 今ご答弁ありましたように、遺族以外でも犠牲者の情報を持っている知人など、閲覧して、犠牲者の氏名を登載することができることがはっきりいたしました。ぜひ広く都民に知らせて、犠牲者名簿の登載を進められるように力を尽くしてください。
 現在八万一千百四十七名分、先ほど申しましたけれども、三月十日だけでも十万人以上の死者です。そのほか、今、都の慰霊堂に安置されている人骨が約十万五千体あるというふうに聞いています。まだまだ多くの犠牲者が不明なまま、本当にどういう実態であったのかということが残されていると思います。
 こうした犠牲者の実態を都民に知らせるために、名簿の公開を求める声があります。都は毎年、東京大空襲犠牲者の遺族会から、東京都が作成して保管している東京都犠牲者名簿の公開を求められていますが、都はどのように対応しているのか伺います。

○樋渡文化振興部長 東京空襲犠牲者遺族会に対しましては、名簿は犠牲になられた方々を追悼するために作成しており、公開を前提に収集しているものではなく、非公開としておりますが、親族等の申し出に対しましては、該当部分の閲覧ができるように対応していますという旨の説明をしております。

○星見委員 私、ちょうどここに、ことしの小池百合子知事への要望というので、東京空襲犠牲者遺族会の皆さんが昨年の十月に出された要望書をいただきました。この中で、名簿登載にかかわる部分についてはこのように書かれています。都においては、空襲死亡者名簿の作成などを進めていますが、まだ多くの課題が残されていますとした上で、犠牲者氏名記録の推進と記録した犠牲者名簿の公開をお願いしますと要望しています。
 この中には、都内の幾つかの市で犠牲者氏名を公開しています。氏名が町別に公開されることにより、隣近所や知り合いの様子がわかり、さらに氏名記録が促進されると思います。
 そして、氏名の公開は多くの死者の氏名を把握し、追悼の思いを、遺族だけではなく、広く都民、次世代に受け継いでいくことになりますと、こうした役割も明記して、今公開を求めているわけです。
 こういう中で、東京大空襲の犠牲者遺族の会は、ちょうどことしの二月中旬に遺族会が集めてきた名簿から二百五十人分の名簿を公開いたしました。なぜ遺族会が公開に踏み切ったのかを都は知っていますでしょうか。

○樋渡文化振興部長 東京空襲犠牲者遺族会の会報の送付は受けましたけれども、個人の名前等、掲載した理由については承知いたしておりません。

○星見委員 私もお話を伺ったりしているんですけれども、きょうちょうど、東京空襲犠牲者の叫び、せめて名前だけでもという題名がついた第四十六号、二月十五日付の会報の中身を今手元に持っておりますけれども、この大きな題の一つに、私たちは諦めない、ひるまない、東京大空襲の犠牲者氏名の公開を求めようと大きな見出しが書かれております。
 この中にはさまざまなことが書かれていますが、この名簿の公開のところについては、東京空襲遺族会は設立以来、空襲死者の追悼を進め、実相の追及、継承に取り組んできました、このことは、体験者、遺族がつながり合い、思いを深め合い、生きていく励ましと、願いをかなえる共同の取り組みでもありました、空襲死者氏名の公開については、会が預かっている氏名の活用に踏み出しました、呼びかけに応じた方々ありがとうございましたと、この公開自身が、次は都や都民に広げていくよう、工夫を凝らして進めてまいりますということで、東京都に対しての公開を求める大きな一歩として、遺族会自身が、まずみずから公開することで広げていこうという、こうした決意と、また、東京都に迫っている中身だというふうに私は受けとめております。
 この公開は実際にこれからも進んでいくんだと思いますけれども、都内の幾つかの自治体や大阪府、神戸市など、犠牲者の記録を続けながら、名簿の公開を行っているところがあります。こうした自治体の取り組みや考え方を東京都は調査したことがあるでしょうか、伺います。

○樋渡文化振興部長 名簿の公開を行っている自治体の取り組みや考え方を調査したことはございません。

○星見委員 繰り返し遺族会から公開が求められている中で、ぜひ、ほかの自治体がどういう考え方や取り組みをしているのかというのを、都自身が調査をしていただきたいと思います。
 自治体の責任で碑に名前を刻み込んでいるのが沖縄や大阪、それから、自治体の協力で碑を独自につくって記名するのに協力してくれているのが神戸市や千葉市や佐世保市など、全国に結構あります。そのほかには、死亡者名簿を含めた空襲の実相を調査した冊子を出すことによって、しっかりと記録を残しながら後世に平和を語っている、こういう取り組みをしているところも次々とあるわけです。
 ぜひこの点については、都自身がまず、ほかの自治体がどういう努力をしているのか、そして、今、遺族の方々が高齢になってくる中で、一刻も早くこうした思いに応えようという立場に立っていただきたいというふうに思います。
 もう一つお聞かせいただきたいんですけれども、このままでいきますと、名簿は非公開のまま、新たな犠牲者の登載がなくなった場合、誰の目にも見られないまま、祈念碑の中で眠り続けることになるのでしょうか、この点についても伺います。

○樋渡文化振興部長 都では、犠牲者を追悼することを目的に名簿を作成し、東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑に納めております。
 毎年三月十日と九月一日に碑の内部を公開しておりまして、今後もこうした追悼の取り組みを続けてまいります。

○星見委員 犠牲者の追悼というのが真にどういうことなのかということを考えなければならないんじゃないかと思います。名簿自身は、私も実は中を見たことがありませんが、パンフレットで紹介されているものを見ました。三十五冊が整然と祈念碑の中に並べられているという非常に厳かな形で、東京都がこれを管理されていることには敬意を表したいと思います。
 しかし、本当の追悼というのは、やはり犠牲者の皆さんの思い、そして遺族の皆さんの思い、二度と悲惨な戦争と、そして、将来にわたって平和をどうつくるかという思いを受け継ぐことだと思うんですね。これが本当に遺族の皆さんが公開を求めている思いだと思います。
 これに応えるためにも、東京大空襲の犠牲者を追悼するためにも、今、東京都民平和アピールが述べている戦争の惨禍と平和への思いを後世に受け継ぐという立場に立って、名簿の公開に踏み切るべきだと思いますが、改めて見解を伺います。

○樋渡文化振興部長 東京空襲犠牲者名簿への登載は、遺族や関係者からの申し出に基づいて行っております。名簿は犠牲になられた方々を追悼するために作成しておりまして、公開を前提に収集しているものではなく、非公開としているところでございます。

○星見委員 今ご答弁ありましたように、犠牲者名簿の登載は遺族や関係者からの申し出に基づいていると。そして、名簿は犠牲になった皆さんたちの追悼のためなんだとご答弁されました。繰り返しになりますけれども、だからこそ公開が必要なのではないでしょうか。
 私は遺族の方から直接お話を伺いまして、名簿は犠牲者と遺族だけのものではないんだということを強くいわれました。まことの追悼のためなら、戦争の惨禍と平和の思いを後世に語り継ぐ、都民の平和の財産として公開してほしい、これは切に訴えられました。
 東京大空襲から七十四年がたちまして、遺族は本当に高齢化しています。一日でも早く東京大空襲犠牲者名簿を公開するよう強く求めまして、次の質問に移ります。
 続きまして、幼稚園の幼児教育の無償化について伺います。
 国は、ことし十月から幼児教育の無償化を実施するとしていますが、認可幼稚園が対象で、それ以外の幼児教育施設は基本的に対象外です。
 都内の幼稚園類似施設の保護者などの関係者は、国に繰り返し無償化施設の対象拡大を求めています。昨年九月にも、三千七百三十筆を内閣府、文科省、厚生省に提出しています。
 こうした中で、東京都が新年度予算で、都が認定しています東京都類似施設の保護者への独自助成を決めたことは重要です。都が認定している幼稚園類似施設は、今、私が住んでいる目黒区にはありません。
 そこで伺いますけれども、都が昭和四十八年に認可幼稚園以外の幼稚園類似施設の認定に至った経過と現在の施設数を伺います。

○金子私学部長 幼稚園類似の幼児施設につきましては、昭和四十年代後半における幼稚園の不足に対応するため、都が独自に認定してきたものでございます。
 平成三十年五月一日現在で都が認定している幼稚園類似の幼児施設は、十五施設でございます。

○星見委員 当時の第二次ベビーブーム等々、こういう中で認可幼稚園が足りなくなってきたという実情があり、そうした幼稚園等の幼児教育の保護者等の変化の中で、都は独自にこうした施策をつくってきたんだということがわかりました。
 四十八年当時に開園していた幼児施設で規定に合ったものがその当時の対象になり、その後の認定はわずかしかありません。現在、四市六区で十五施設を追加したというふうになっています。
 都が、国の幼児教育の無償化制度の対象外である都の認定の幼稚園類似施設に通う保護者への独自助成を決めた理由を伺います。

○金子私学部長 都は、これまでの経緯なども踏まえ、都が認定している幼稚園類似の幼児施設に通う保護者の負担軽減を図るため、当面、独自の補助を行うこととしております。

○星見委員 これまで都が支援してきたということと、無償化によって、ここの保護者、子供たちへの影響が大きくなるという判断のもとでの拡大だというふうに思います。
 しかし、一方で、都が認定している類似施設以外にも、法人などが行っている幼児教育施設が都内には多数あります。こうした施設が東京都に設置の届け出を出すと、学校教育法で定められた幼稚園以外であるとして、福祉保健局で認可外保育施設のその他に分類され、都の監査のもと適正に運営はされています。生活文化局はこの状況を把握されていますでしょうか。

○金子私学部長 福祉保健局の所管事業につきましては、同局において適切になされていると認識しております。

○星見委員 今のご答弁で、届け出を福祉保健局に提出している幼児の教育施設があるということは認識されているというふうにわかりました。
 この部分に出している幼児の教育施設について、私、訪問をしてまいりました。ここは二十年ほど前に開設していますので、都の現在認定している幼稚園の類似ではありません。場所は都心近くの落ちついた住宅地でした。鉄筋の建物の一階に南向きの広い二部屋を中心とした施設があり、園庭には木でできたアスレチックの滑り台や砂場、手洗いなどが設置され、小規模な幼稚園という感じでした。約二十年の間、地域の幼児教育施設として親しまれ、また少人数の落ちついた幼児教育が評判となり、たくさんの子供たちを送り出しています。
 認可幼稚園では受け入れられなかった子供もたくさん受け入れてきたそうです。病弱や軽度の障害の子供たち、転勤で年度途中に引っ越してきたため認可幼稚園に入れなかった子供など、認可幼稚園だけでは対応できない幼児について受け入れているということもわかりました。
 虚弱や障害、そして転勤、さまざま子供たちの状況によって、認可幼稚園の入園を拒まれたり、退園を求めたりされている幼児が存在することは、都はどのように受けとめていますでしょうか。また、認可幼稚園に入れなかった幼児の教育を受け入れる幼児教育施設の役割をどのように考えているのか伺います。

○金子私学部長 子ども・子育て支援新制度におきまして、各区市町村が適切に対応することとなっております。

○星見委員 子ども・子育て新制度は、例えば私立幼稚園は、この枠内には入らない認可幼稚園があります。そこからさらに類似園があり、そして、それにも東京都の認定を受けていない、無認可という言葉ではないんでしょうけれども、幼児教育施設があるわけです。
 保育園と違って、認可幼稚園は保護者との直接契約のため、園の都合や方針で入園できないお子さんが出ることが当然あります。希望する全ての子供が安心して幼児教育を受けるためには、現在、認可幼稚園以外の幼児教育施設も必要とされているのが現状です。
 しかし、今回の無償化で、この対象にならない施設は大変な状況になっておりました。先ほどの幼児教育施設を訪問した日は卒園式の前日でした。かわいい木の椅子が半円形に並び、部屋中、子供たちの工作物と花でいっぱいでした。
 卒園式には、在園児は三歳児、四歳児、五歳児の合計十八人と保護者でいっぱいになるということでした。うち卒業生は六人です。例年ですと、新年度にまた五、六人の三歳児が入園して約二十人程度でスタートするはずでした。ところが、四月からは全部で四人しかいないと聞き驚きました。
 無償化の対象にならず園児が減るために、保育料の値上げを選ばざるを得ない中で、九人が他の認可幼稚園に転園し、入園申し込みは一名だけ。園長先生は、このままの人数が続けば、あと一年持ちこたえられるかどうか、でも、途中で廃園したら園児の行き場がなくなるので、園児がいる限り卒園できるよう、法人に残っている資金を全て使うつもりですと話されていました。
 幼児教育の無償化の実施に伴い、認可幼稚園と都が認定した類似幼稚園以外の施設の在園児は、途中廃園で転園を余儀なくされたり、小学校一年生の入学前に幼児教育を中断する場合さえあります。
 行政の都合で、国の制度の都合で、幼児をこのような環境に追い込むべきではないと思います。いかがでしょうか。

○金子私学部長 今回の国の幼児教育の無償化では、幼稚園、保育園、認定こども園及び地域型保育を利用する子供たちの利用料を無償化することとしております。
 また、保育所の場合は、待機児童問題により、やむを得ず認可外保育施設等を利用せざるを得ない子供たちにつきましても、利用料を無償化するとしております。
 一方、幼稚園につきましては、認可外の幼児施設につきましては、国の無償化の対象外となっているため、都が認定している幼稚園類似の幼児施設につきまして、これまでの経緯なども踏まえ、当面、都独自の補助を行うこととしております。

○星見委員 都が認定している類似園まで拡大したことは先ほども評価しているといいました。十五園だけです。その外に、さらにこうした幼児教育施設があるということをぜひ認識していただきたいというふうに思います。
 では、こういう施設がどういう施設かわからないという状態なのかというと、さっきいいましたように、福祉保健局の中には届け出を出しているということで把握することもできるわけです。
 都は国に対して、都が認定しています幼稚園類似施設とともに、都や区市町村に届け出を出している幼児教育施設の保護者を含めて対象拡大を意見、要望すべきと思いますが、いかがでしょうか。

○金子私学部長 幼児教育の無償化につきましては、全国一律に実施されるものでございまして、国の責任において適切に対応すべきものであると考えております。

○星見委員 ですから、国の責任が非常に問われている場合になっています。現在、関連法案についての審議も国会では行われておりまして、東京都が、類似園については、みずからの助成制度をつくったという立場でもありますから、このことも含め、さらに国自身が制度としてしっかりしたものにするよう、無償化についての意見、要望を出すことを繰り返し求めておきます。
 そしてまた、当面なんですけれども、現在、届け出を出している認可外の保育施設は、今回の無償化の対象になっている、保育施設についてはなっているわけです。先ほどご説明がありましたように、幼児教育の部分については対象にならないという事態になっているわけで、都が今、類似園については対象拡大をしていますから、同じ保護者がいる施設で、この保護者の負担増や、それから、途中で子供たちが幼児教育を断念せざるを得ないということにならないように、都が定める一定の基準を満たす施設の保護者についても、都独自の補助対象を拡大するべきだと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

○金子私学部長 認可外保育施設につきましては、福祉保健局において適切に対応するものと考えております。

○星見委員 今ご答弁ありましたけれども、福祉保健局では認可外の幼児教育施設は、保育に欠ける子供ではないので対象外といい、そして、生活文化局では届け出は福祉保健局なのでそちらではというふうになっています。ぜひ局を乗り越えて、都として調査を行い、対応を検討すべきと思います。
 幼児教育無償化は希望する全ての子供が対象になる制度であるべきです。ましてや、認可幼稚園にはなじまない虚弱や障害などでさまざまなニーズのある子供が幼児教育無償化対象外になり、さらに高い保育料を求められるということは許されません。
 東京都として、認可幼稚園以外の幼児教育施設の子供たちにも公平に幼児教育無償化の対象になるよう全力を挙げること、また当面は、都としての独自助成を重ねて要望して、私の質問を終わります。

○とや委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時二分休憩

   午後三時十七分開議

○とや委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○内山委員 私からは、一点だけ、私立幼稚園等自然体験支援事業費補助についてお伺いをしたいと思います。
 これまで、幼稚園または保育園、幼児期の教育というところで、俗にいうお勉強みたいなところはわかりやすく必要だということで取り組んでいる幼稚園、保育園、特徴はあったところもあると思うんですが、昨今は、やはり非認知能力の向上であったり、そういった中で、さまざまな体験活動をふやしていこうといった活動が--最近でもないですね、注目も集めてきて、しばらくたっているのかなと思います。
 そういった中で、今年度、都民提案事業としまして、私立幼稚園等における自然環境を活用した園外活動の実施を促進しようということで、教育の質の向上を図って、子供の生きる力を育むことを目的として、この私立幼稚園等自然体験支援事業費補助を実施されたということでございます。
 そこで、本事業の実施状況について、各園での具体的な取り組み状況も含めてお伺いをしたいと思います。

○金子私学部長 本事業につきましては、二百六十三の私立幼稚園等から補助金の申請がございました。
 具体的には、畑での農作物の収穫体験や、屋外における昆虫や植物等の自然観察など、子供たちが自然を身近に感じることで、新たな気づきや感動、達成感を得るなど、貴重な体験ができたなどの報告が寄せられております。

○内山委員 ありがとうございます。
 私、ほかの局の質問でも申し上げたんですが、事業費の補助は、たしか上限五万円で、各園に、その体験にかかるお金ということで補助されたというふうに認識をしておりますが、例えばお芋掘りというのがあるとしますよね、これって、ほとんどの幼稚園でやっているのかなという気がするんです。もし仮に、何らかの自然体験だとかを既にやっているところにこの五万円の補助を出したんだとすれば、子供たちにとっては何の変化もないということになってしまうという懸念があるので、ちょっとお伺いをしたいと思うんです。
 せっかく行われた事業なので、今の具体的な取り組み状況はわかりましたが、この事業を活用して、各園の取り組みにおいて、どのような改善が図られたのか、もしくは新しい取り組みがあったのか、そのあたりをもう少し詳しく答弁いただければと思います。

○金子私学部長 本事業を活用することで、例えば屋外における自然観察を行う際に、植物図鑑ですとか、昆虫図鑑などを購入しまして、それらを活用した事前、事後の学習を行うことで教育効果を高めることができたという園がございました。
 また、自然体験活動のインストラクターを活用いたしまして、見る、聞く、嗅ぐ、さわるなどの感覚を使って自然と触れ合うネイチャーゲームを実施することで、質の高い教育活動を行うことができたという園もございました。

○内山委員 ありがとうございます。
 活動自体は本当に私も応援をしたいということ、ただ、単年度ということで、また違った形で三十一年度は調査研究がされるということ、そちらはそちらで期待をしたいなと思っているんですが、これ、私、多くの事業についていえることかなと思うんですけど、何かしらの政策誘導を行って、そこに対して現場、ここでいえば子供たちが享受できるプログラムというか、そういったものが変わっていく。
 もしくは、都民の皆さんの何らかの負担が減るというような、こういった中での事業費であればいいんですけど、そうじゃなくて、例えば先ほど私が、あくまでちょっと極端に申し上げましたけど、既にある事業に対してお金をばらまくだけだというようになってしまうと、せっかくの事業費というものが、この制度というものが生きたものになっていかないと思います。
 ですので、ぜひそういった中においては、こういった新たな事業、もしくは既存の事業もそうですけど、行うときには、そういった二つの視点というのは、置かれていると思いますけど、ぜひ念頭に置いてやっていただければなと思っています。
 私からは以上です。ありがとうございました。

○高倉委員 東京にはさまざまな文化芸術といったものがあるというふうに思います。世界のいろんな首都に比べますと、必ずしも文化都市というふうにはいえない部分というのがまだあるかもしれませんが、しかしながら、東京においては、さまざまな方が文化芸術にかかわるさまざまな活動をされていることであるというふうに思います。
 そうした中で、私は、東京が来年にはまたオリンピック・パラリンピックを開催する、ある意味では成熟した都市であると。この成熟した都市である東京が発信していくべき文化芸術といったものは、どういうものがあるのだろうかと常々考えているわけであります。
 もちろん、いろんなものがあると思います。必ずしもこれだというようなものがあるというわけではないでしょうし、文化芸術ですから、もともとさまざまなものがあるわけですから、積極的に発信していくということが必要だと思っておりますが、その中でも、私はかねがね障害のある方々が取り組む芸術、こうしたものを発信していくといったことが、成熟都市東京といったことを考えたときには、一つの発信のあり方ではないかというふうに思っている次第でございます。
 障害のある方々がたくさん取り組んでいる芸術の一つとして、私、何度ももう既に取り上げてきておりますけれども、アール・ブリュットという分野があるわけであります。これは日本語に訳しますと、生の芸術というようなことであって、もともとは正規の美術教育を受けていない方々が取り組んでいる芸術ということで、発祥はヨーロッパなわけでありますけれども、実は今、日本でもかなりしっかり取り組まれているというわけであります。
 昨年から、パリにおいて、パリ東京文化タンデムというのがずっと展開をされてきているわけでありますけれども、パリで開かれている文化タンデムの中の一つの事業としては、パリ市立のアル・サン・ピエール美術館というところで、アール・ブリュットジャポネ展、これ、実はそこの美術館でやられる二回目の展覧会であります。
 一回目のときもかなりの反響があったということでありますけれども、今回の二回目も、期間の違いはありますけれども、勢いとしては前回を上回るような、そういう大きな反響であったというふうにもお聞きをしているわけであります。
 この芸術に取り組む、いわゆる日本の作家の可能性だとか、すばらしさということが、いわゆる発祥の地では高い評価を受けているということで、いま一度、日本の我々がそうした芸術にしっかりとまた改めて目を向けていく、こういうことが必要ではないかというふうに思っております。
 このアール・ブリュットにつきましては、私ども、さまざまな形で取り上げてまいりましたけれども、それに対して東京都は、渋谷公園通り沿いの勤労福祉会館と同じ建物に、このアール・ブリュットの振興拠点を整備するということで今取り組んでいるわけであります。
 せんだって私もこの場所を見てまいりましたけれども、人通りも多い場所でありまして、非常ににぎやかな場所であるという印象を持ったわけでありまして、ぜひこうした立地を生かして、芸術を知らない人にも少しでも興味を持っていただくようにしてほしいと思います。
 そこで、このアール・ブリュットを振興する意義と、渋谷における拠点整備の目的についてお伺いしたいと思います。

○久故文化総合調整担当部長 アール・ブリュット作品は、ダイバーシティーの理解促進や社会的包容力のある社会の実現につながる力を持っており、その魅力を多くの人に伝えていくことは重要でございます。
 そのため、都は、多くの人が訪れる渋谷において、アール・ブリュットを初めとしたさまざまな作品の展示、ワークショップなどの交流事業を実施する拠点の整備を進めており、来年度中には開館する予定でございます。

○高倉委員 先ほども申し上げましたけれども、この渋谷公園通りでは、渋谷の区役所も既に改修も終わっておりまして、ことしの秋にはパルコも新しくオープンするというふうにも聞いているわけでありまして、たくさんの人々が訪れるこうした場所に拠点があるということは大変効果的ではないかなというふうに思っているわけであります。
 この建物は道沿いにあるわけですけれども、ギャラリーそのものは、いってみれば建物の中にあるんですね。奥にあるわけであります。ぜひ展示をしているということを少しでも多くの人に伝える工夫をして、当然にぎわいのあるところですから、いろんな方が訪れる、ふらりとでも立ち寄っていただけるというような意味で、しっかりとアピールをしていくべきであるというふうに思います。
 今回の改修では、そうした点において、どう工夫されているのか、このことについて答弁を求めたいと思います。

○久故文化総合調整担当部長 ただいま委員のご指摘のとおり、展示室は建物内の少し奥まった、外からは展覧会を開催していることがわかりにくい位置にございます。
 そのため、これまでカフェとして活用していた渋谷公園通りに面したガラス張りのスペースを、ワークショップなどの関連イベントが実施可能な交流スペースに変更いたしまして、公園通りを通る多くの人にアピールすることで、展示室への来場につなげてまいります。

○高倉委員 このアール・ブリュットの拠点が東京にできるということは、とても大きな意義を持っているんですね。本当にこの施設を、しっかりとアピールをしていただきたいというふうに思っております。
 そういう中でしっかりアピールをする、そして、いろんな人に来てもらって見てもらう、そういうことに力を注いだ上で、やはり展示をする展示室の中に、さまざまな意味で魅力がなければならないというふうに思っているわけであります。
 アール・ブリュット作品というのは、本当に驚くようなものもたくさんありまして、一つ一つ紹介していると時間が過ぎていってしまいますので、紹介はきょうはしませんけれども、その魅力を最大限に伝えていくという必要があるというふうに思っています。
 そういう意味では、この建物のアピールとともに、展示スペースの改修において、そういう魅力をできるだけ発信するという意味での工夫が必要だと思いますけれども、この点についての答弁を求めたいと思います。

○久故文化総合調整担当部長 展示スペースでは、作品の魅力を効果的に引き出せるよう、より細やかな調光を可能にする照明設備の改善を行います。
 また、このスペースは、ダンスなど、より多彩な形式でのワークショップにも活用できるよう、壁を可動式とし、外の自然光を取り込めるよう工夫をしてございます。

○高倉委員 この質問の最後に、運営体制についてお伺いをしておきたいと思います。
 いよいよこれができるということで、私も楽しみにしているわけであります。施設のアピール、そして改修の工夫、さまざまなことで今、一生懸命取り組んでいらっしゃるというふうに思います。
 その上で、本当にこの芸術のすばらしさを発信していくためには、やはりこれを運営する特に人の体制、こういったことがとても重要であるというふうに思います。できる限りこの芸術についてしっかりとした認識を持っている方々にもかかわっていただくというようなことも大事ではないかというふうに思っております。
 この項の最後に、拠点の運営体制について答弁を求めたいと思います。

○久故文化総合調整担当部長 東京都現代美術館は、新進若手芸術家の発掘、育成に関するノウハウ、国際的な現代アートの展覧会や交流事業を実施するためのネットワークを有しております。
 現在、東京都現代美術館がアール・ブリュット等の振興を担っており、開館後の渋谷拠点も活用する予定でございます。
 充実した展覧会等の開催に向けまして、来年度、学芸員の増員など体制を強化してまいります。

○高倉委員 このアール・ブリュットについて、本当に幅広い作家の方が実は世界的には取り組んでいるわけですが、障害のある方が多く取り組んでいる芸術ということでもあります。
 私は、かつてこのことを取り上げたときに、東京都の方から、来年の二〇二〇東京大会の際に、世界中の作品を集めるような形で大々的な展覧会を東京で開くといったような趣旨の答弁をいただいたということがありました。ぜひ、そういう意味では、来年は世界中からの方々がいらっしゃいますし、特にパラリンピックも開催されるということでありますので、東京が、障害のある方々の芸術にしっかり理解を持って、そしてそれを積極的にアピールをしていると、そういう都市であるということを発信していくということは極めて意義深いものであるというふうに思っておりまして、来年の取り組みにも私は期待をいたしております。
 そして、オリンピックのスポーツの競技とあわせて、こうした文化にしっかり取り組んでいくわけですね。文化プログラムということを今やっているわけです。私個人の希望ですけれども、できれば、こういう文化芸術、それぞれの拠点でもって、いろんなことをされるというのが一般的でありますけれども、まち全体が美術館のようになっているというようなことがあってもいいのではないかなと思っています。
 以前、鳥取でパラアートという展覧会があったときに鳥取に行きましたときに、もちろんある拠点でやっていたわけですけれども、しかしながら、ずっと、まちの中にさまざまなものを飾ってというか、そういう取り組みをしておりました。まち全体が美術館であるというようなことも私はいいんじゃないかなと思っていますし、また、これは私の本当に個人的な思いでありますけれども、オリンピック・パラリンピックの競技会場、あるいはその会場周辺、こういったところにおいて、この東京から発信する文化といったものをしっかり、世界から来る方々、もちろん日本国内の方々もそうですけれども、紹介をしていく、こうしたことがあってもいいのではないかなというふうに思っております。
 次に、消費生活相談について質問させていただきたいと思います。
 この消費生活相談、私は本当に大事な事業であるというふうに思っております。特に高齢者の方々、あるいは、まだ年齢的には社会経験が十分でないような方々、場合によっては障害のある方々も含まれるかもわかりませんけれども、契約に関して、さまざまなトラブルに巻き込まれてしまうというようなことがあるわけでありまして、それに当たっては、専門的な知識を持って、しっかりと相談に当たっていく消費生活相談というのは東京において極めて重要であるというふうに思っております。
 最近はアポ電だとか、ああいうことも問題になっております。あちらの方は、どちらかというと刑法にかかわるようなお話でありまして、こちらの方は契約トラブルのこと。実は本当に多いんですね。特に高齢者の方々にはとても多いことであって、しっかりとした相談体制を敷いていく必要があると思いますが、まず、都の相談体制が今どうなっているのか、このことについてご答弁をいただきたいと思います。

○吉村消費生活部長 都では、東京都消費生活総合センターにおきまして、高度な専門知識と能力を持った消費生活相談員四十四名を配置し、消費生活相談の受け付けから、情報提供や助言、あっせんを行うなど、消費者被害の救済を図っております。
 また、相談内容の複雑化、高度化に対応するため、金融や通信など専門分野ごとに相談員を配置し、相談業務の質の向上を図るとともに、区市町村の相談業務の支援をしております。

○高倉委員 私のもとにもたくさんの相談が寄せられておりまして、東京都の消費生活総合センター、こちらの方を紹介して、そして連絡をした結果として、非常に有意義な、とても役に立った情報をいただいたとか、何とか解決にこぎつけたといったようなお話もいただいているところであります。
 都内の消費生活センターに寄せられた相談の状況、特に再三、私も申し上げておりますけれども、高齢者からの相談の状況というのは多いと思うんですけれども、この状況は今どうなっているか教えていただきたいと思います。

○吉村消費生活部長 平成二十九年度に都内の消費生活相談窓口に寄せられた相談件数は十一万八千件と、依然として高い水準で推移しております。このうち六十歳以上の高齢者の相談件数は三万七千件で、全相談に占める割合は約三二%となっております。
 具体的な相談としては、突然自宅を訪ねてきた事業者が、このままだと雨漏りすると不安をあおり、不要な屋根工事の契約をせかす事例などがございます。高額な契約の相談も多く、平均契約金額は百七十八万円と、五十九歳以下の相談者の百六万円と比較しますと高額になっております。

○高倉委員 相談の件数も非常に多い、そして、そこに占める高齢者の方々の相談も大変多いというような状況であります。
 この被害を防止していくためには、特に高齢者の方々への啓発の取り組みといったことも欠かすことができないというふうに思いますけれども、この取り組みについて答弁をいただきたいと思います。

○吉村消費生活部長 高齢者の消費者被害を防止するためには、高齢者自身への啓発だけでなく、高齢者を見守るといった観点から、家族や介護事業者などへの取り組みも重要でございます。
 消費生活総合センターでは、敬老の日を含む九月を高齢者被害防止キャンペーン月間とし、ポスター、リーフレット等を作成し、高齢者施設などに配布するとともに、都内のバスなどで交通広告を実施しております。
 また、宅配事業者等と連携し、高齢者世帯を中心に、悪質商法の手口や相談窓口を周知するリーフレットを手渡しで届ける取り組みを実施しております。
 このほか、高齢者と接する機会の多い介護事業者や民生、児童委員等を対象に、被害発見のポイントや対応策を学べる出前講座を年度内に三百回実施する予定でございます。

○高倉委員 今、答弁の最後に、高齢者と接する機会の多い介護事業者等の話がありました。センターとしては、さまざまなご相談もいただく、そこで適切なアドバイスをする、いろいろそういうふうにやっていると思うんですけれども、センター独自でやるのではなくて、高齢者にかかわるいろんな方々の力もある意味では結集をしてというんですか、尽力をいただいて取り組んでいくということはとっても大事な視点であるというふうに思うんですね。
 したがって、今、高齢者と接する機会の多い介護事業者、そういう方々に対して出前講座を行っていると。年三百回ということで、非常にたくさん行っているということだと思います。
 センターだけではなくて、そういう高齢者と関係する方々の力、協力を得ていくということは大変重要だというふうに思いますけれども、今、答弁がありました介護事業者等、関係者からの相談を受けて解決に至ったという具体的な事例をちょっとわかりやすく説明していただければと思います。

○吉村消費生活部長 ある事例では、都内でひとり暮らしをしている高齢者宅に、知人から紹介されたという事業者が突然訪問し、社債を購入させられて九百万円を支払いました。地域包括支援センターのケアマネジャーが高齢者宅を訪問した際、契約書を見つけ、消費生活総合センターにご相談をいただきました。
 センターでは、高齢者は認知症の疑いがあり、正しく理解した上で契約をしたとは考えにくいことから、契約書を入手し、ご本人に、元本が保証されていないことなど、契約内容について説明を行いました。その後、事業者と交渉を行い、解約して、既払い金の全額が返還されました。

○高倉委員 今、一つ事例を紹介していただきましたけれども、このケアマネジャーさんが高齢者宅を訪問したときに、その契約書を見つけたと。見つけなかったならば、そもそも解決というか、何の対応もなされなかったんだと思いますね。見つけたといっても、このケアマネジャーさんが、ある意味では、契約上、トラブルを抱えているかもしれないというような一定量の知識を持っていたがゆえに、こういうことも可能になったのではないかなというふうに思います。とてもすばらしい取り組みだというふうに思います。
 こういう取り組みをさらに進めていただくと同時に、高齢者の方々と接する機会の多い事業者等、どういうところがあるのか、もし広げられるところがあれば、さらに広げていただきたいというふうに思います。
 この項目の最後に、聴覚障害者の対応についてお聞きをしておきたいと思います。
 センターでは電話相談がかなり多いんだというふうに思います。しかしながら、聴覚障害の方は電話相談はできないわけであります。したがって、今、メール相談というのがもう既に行われているというふうに聞いております。
 最近はITの機械なんかもさまざま発展しておりますし、相談は少ないかもしれません。聴覚に障害を持っている方々の数はもともと少ないわけでありますから、ですから、需要が多いとか少ないということではなくて、少ないけれども、現実に必要としている人がいるんだというような観点で、さらに充実を図っていただきたいと思います。
 この聴覚障害者向けに行っているメール相談の内容、また、今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○吉村消費生活部長 消費生活総合センターでは、昨年七月から、聴覚に障害があるなど電話による相談がしづらい方を対象としたメール相談の受け付けを開始しました。
 相談者がホームページ、東京くらしWEBにアクセスし、相談内容をフォームに書き込んで送信すると、消費生活総合センターから、解決に向けた助言や情報提供のメールが相談者に返信されます。
 なお、緊急性の高い相談や、相談内容など詳細を聞き取る必要がある場合は、相談者に来所していただいております。
 この四月からは、聴覚障害の方が来所時にスムーズに相談できるよう、タブレット端末を常備し、遠隔手話通訳システムを活用して相談対応の充実を図ってまいります。

○高倉委員 この四月から来所者用のタブレット端末を配備するということで、ぜひまたしっかりと対応をお願いしたいと思います。
 最後に、東京都が、私ども都議会公明党の提案を受けて実施しております私立高校の授業料の実質無償化ということについてお伺いをしたいと思います。
 このことについては、私ども、強い要請を知事にさせていただきまして、都は、平成二十九年度から、私立高校の対応を拡充して無償化をスタートさせたわけでありますが、さらに私たちは、通信制高校も対象にすべきではないかということを重ねて要請してまいりまして、平成三十年度から、東京都認可の通信制高校に通う場合についても実質無償化の対象としたということであります。
 そこで、平成三十年度から新たに対象となった東京都の認可の通信制高校には、何人の生徒がいて、そのうちどれぐらいの生徒がこの特別奨学金を申請しているのか、この状況について答弁をいただきたいと思います。

○金子私学部長 平成三十年五月一日現在の都内通信制の私立高校の生徒数は、九千百三十一人でございます。
 平成三十年度特別奨学金の申請者数は、本年一月十一日現在で約一千三百人となっております。
 なお、申請者につきましては、現在、所得審査等を進めておりまして、その結果に基づきまして受給者を決定いたします。

○高倉委員 今、具体的な人数についての答弁をいただきました。
 この実質無償化については、東京都認可以外の通信制高校が対象から外されているわけであります。東京都認可以外の通信制高校への適用については、いろいろ課題があるというふうに私どもは聞いているわけであります。
 そうした中で、東京都内にあります、東京都認可ではない他県の認可の通信制高校にかかわる施設があるんだと思いますが、その数と、そうした施設に通う都民である生徒がどれほど在籍しているのか、この実情について把握をされているのかどうかについてご答弁をいただきたいと思います。

○金子私学部長 他の道府県が認可した私立通信制高校につきましては、都の指導監督権限が及びません。
 そのため、それらの高校の都内にある施設やサポート校などの数、また、そこに在籍している生徒の状況につきましては把握してございません。

○高倉委員 把握できるような状況ではないというようなことであったというふうに思います。それは私どもも十分に理解をしたいというふうに思います。
 それで、今、私たちは通信制高校に通う人たちについても、東京都が行う実質無償化の対象にすべきということをかねてから強く訴えてきたわけであります。今、都民であれば、私立高校の実質授業料無償化、例えば都外の私立高校に通う場合、これは対象になるんですよね。対象になるわけであります。一方で、通信制高校の場合は、都民であっても、都外の通信制高校に通う、これは対象ではないと。
 それから、先ほど来、答弁をいただきましたけれども、都内にある東京以外の県の認可の通信制高校の施設に通う都民の人たちも対象ではないということになっているわけでありまして、やはり、制度をいろいろ考えていったときに、同じ都民でありながら、一方で対象である、同じような学校に通うにもかかわらず対象でない都民がいるという、いってみればここのところの差といいますか、格差といいますか、こういうものがあるんだというふうに思います。私は、ぜひこのところは、今後さらに、しっかりまた検討もいただきたいというふうに思います。
 このことを最後に申し上げて、質問を終わりたいというふうに思います。

○米倉委員 私からは、まず初めに、男女平等、男女共同参画社会の実現について伺います。
 昨年は東京医科大で女子受験生などに対する入試差別が発覚し、大問題となりました。東京医科大の調査では、一般入試で本来合格していた女子五十五人が得点操作などで不合格だったということが判明しています。
 文科省は事態を受けて、全国の医学部を対象に緊急調査に踏み出しました。その結果、複数の大学で不適切である可能性の高い事案などがあったこと、女子の合格率が男子に比べ不自然に低い医学部が多いことも確認されました。女性だからという、性別で差別的扱いをすることは女性差別そのもので、憲法の定める平等原則に反する重大な行為です。
 医学部入試の女性差別は、女性医師が働き続けることが難しい現場の構造的問題とも結びついています。だから入試を正すということにとどまらず、医師の苛酷な労働環境を改善し、女性医師への支援を強化し、医療現場における男女共同参画の推進を進めることが重要です。
 経済、教育、保健、政治の分野をもとに男女格差の度合いを調査したジェンダーギャップ指数では、二〇一八年度版では、日本は百四十九カ国中百十位という結果です。男女平等では今の日本は後進国で、社会構造を変えることが求められています。それが、女性も男性も、ともに人間らしく生きられる社会の実現につながります。
 そこで伺いたいと思いますが、男女共同参画の意識を特に若年層で醸成していくことが重要だと思います。都はどういう認識で取り組んでおられるのか伺います。

○稲葉男女平等参画担当部長 男女平等参画推進総合計画では、男女がともに自立して個性や能力を発揮できる男女平等参画社会を実現するためには、子供のころから男女平等参画の理解を促していくことが重要としております。
 若年層に対する施策としては、学校教育における取り組みを掲げ、人権尊重を基盤とした男女平等参画の考え方を身につけた児童生徒を育成することとしております。

○米倉委員 子供のころからの男女平等参画社会の理解を促していくことが重要で、学校教育で取り組んでいるということです。
 ただ、取り組みが、学校での取り組みしか今ご紹介がなかったんですけれども、若年層については、そうなりますと、高校を卒業した後の取り組みがないということです。これでは余りに貧弱だといわざるを得ません。
 社会構造は男女の格差を生み出しているわけですから、社会の課題として、どう職場や地域で解消していくのかという視点を持てる人をどうふやすかという取り組みが重要だと思います。抜本的な拡充を求めておきます。
 社会実態からしますと、むしろ学校を卒業して社会に出た後に差別的な扱いを受ける機会などがふえるわけです。そうしたことを考えたときに、これから社会に羽ばたく世代、働く世代を対象にした社会的な課題として男女共同参画を学べる場があるということですとか、積極的な情報発信をすることが求められています。
 そうしたときに、若者が社会に出るに当たって、今の社会がどういう社会かということを学び、どう働き、生きていくのかを考えられるキャリア教育も重要だと思います。
 若年者がキャリア形成について学び、対応する力をつけられるような取り組みが求められていますが、どう認識されて取り組んでいるのか伺います。

○稲葉男女平等参画担当部長 これから社会に出ていく若者が、就職する前から長期的な視点で人生を考えていくことが重要でございます。
 このため、都は、大学の講義やセミナー等で活用できる若者向け教材、キャリアデザインコンテンツを作成し、都のウエブサイト上で公開をしています。

○米倉委員 キャリアデザインコンテンツは、どのぐらい活用されているんでしょうか。

○稲葉男女平等参画担当部長 作成から約四年間で、都内だけでも約六十大学で活用されてございます。
 今後とも、都内の大学や専門学校等で広くご活用いただけるよう、引き続き周知を図ってまいります。

○米倉委員 六十大学で活用されているということです。インターネットにアップされているので、私もこのコンテンツを少し拝見しました。大学などで、半期の間、九十分間の講義を十五回行えるようにつくられた内容で、充実した内容だと思いました。
 こういう内容の活用が重要だと思うんですけれども、同時に、キャリア形成を支援するに当たって、実際に学生などが直面する困難にも対応したものにしていただきたいと思っています。特に最近その深刻さが明らかになっているのは、企業側の男性社員からの就活中の学生に対するセクハラで、これは位置づける必要があると思います。
 ビジネスインサイダージャパンの就活セクハラアンケートによりますと、就活中の学生約三百人の約五割の学生が就職活動中にセクハラ被害に遭い、そのうち七割が誰にも相談できずにいるということがわかりました。
 被害に遭ったときの状況について、複数回答可で問うた質問では、セクハラに遭ったことがあると回答した百四十六人のうち六十七人が、就活するに当たって、多くの学生が取り組んでいるOB訪問で被害に遭ったと答えています。その次に多かったのが面接中、四十六人、そしてインターンシップで三十九人というふうに続いています。
 パートナーの有無を聞かれたということにとどまらず、胸をさわる、キスをされるなどの身体的な接触を受けた、セックスを強要されたという人が多く、結局被害に遭ったほとんどの方がその企業の選考や内定を辞退したということです。
 ビジネスインサイダージャパンでは、実際にOB訪問で被害に遭った女性の経験も掲載しています。一例をご紹介しますと、ある女性は、マスコミなどを志望して大学一年生のときから就活を始めて、勉強会に参加したり、知り合いの紹介で業界関係者と複数人で会って話を聞いたりしてきたそうです。
 二年生になって初めて一対一でのOB訪問をすることになりました。当時、第一志望だった企業で働いている男性社員に大学の先輩の紹介で会えることになったということで会いました。待ち合わせに指定されたのは夜で、都内の日本料理店に連れていかれ、そして二軒目はバーに連れていかれたと。
 お酒が弱いのにウイスキーをロックで飲むように勧められて、かなり酔っ払い、会話も初めは仕事だったんですが、恋愛に移り、頬にキスをされ、家に誘われたと。本人が帰りたいと断ったんですけれども、この男性社員から、僕は別にどちらでもいいけど、君はそれでいいのと迫られ、結局男性の家に行きました。
 この男性の推薦で入社できることもあるとほかの人から聞いていて拒めなかったこと、キスをされたのも嫌だったけれど、当時はいっぱいいっぱいだったと語っていらっしゃいます。後日、この男性が、就活で出会った女子大学生複数人にも個別に会おうなどと迫っていたことがわかったそうです。選ぶ側と選ばれる側の力関係を利用した悪質なものだと思います。
 七割もの学生が誰にも相談をしていないということも重大です。アンケートでは、内定がもらえなくなるかもと怖くて誰にもいえなかった、社会的な立場が圧倒的に低い自分にとって、相談することで何が起こるか想像できず、報復も怖かったという、企業との力関係を考え声を上げられなかったという声が寄せられております。
 また、高校生のときから痴漢などの性犯罪に遭っていて、抵抗しても意味がないことを知っていたからですとか、そもそも相談窓口がない、わからないということが回答で寄せられています。
 声を上げられないという状況があらわれていると思いますけれども、安心して相談できる場がある、まずは、つくるというところからだと思いますが、つくるということと、そういう場があるということが知らされることが非常に求められていると思います。これは都として検討を求めたいと思います。
 同時に、この若者のキャリア形成を支援するに当たって、既に今ご紹介したように、例えば就活セクハラが若年者の中で問題になっています。こうした問題についても取り上げていくことが重要だと思いますが、いかがですか。

○稲葉男女平等参画担当部長 若年者のキャリア形成支援に関しましては、若年者がその時々に直面する問題を把握し、効果的な啓発に取り組んでおり、この中で、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントについても引き続き適切な情報提供に努めてまいります。

○米倉委員 キャリア形成の支援に当たって、若年者がその時々に直面する問題を把握して効果的な啓発を行っていくということですので、これ、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 就活中にこうした深刻なセクハラや犯罪となるような事態が起きていることは、この間のミー・ツー運動だとか、こういうものが広がる中で、やっと明らかになってきた問題だと思います。都として、学生が被害に遭うことがないよう、産業労働局などと連携した企業への働きかけとあわせて、生活文化局としても、若者のキャリア形成への支援を実際しているわけですから、その際、学生が被害に遭わないよう情報発信をしていただきたいと思いますし、窓口の対応だとかも検討していただきたいと強く求めておきます。
 多くの学生が就活セクハラ被害に遭うことも、職場でのセクハラ、男女の賃金の差がいまだに大きくあることも社会の構造の問題だと思います。キャリアデザインを考えるに当たって、男女共同参画の視点を身につけられる内容となることは重要だと思いますが、いかがですか。

○稲葉男女平等参画担当部長 キャリアデザインコンテンツでは、若者が就職前後の早い段階から、社会人になっても必要となる能力や知識を主体的に学び、身につけられる教材として作成をしたものでございます。
 性別にかかわらず、仕事と家庭や地域生活を両立する意義や重要性を理解することが内容となってございます。

○米倉委員 性別にかかわらず、仕事や家庭などの生活を両立することが重要だと理解する内容となっていることはいいんですけれども、やっぱり社会的な課題だというふうに認識する必要があると思っています。そこを抜きに仕事も家庭も両立することが重要だと説くことは、ともすると個人の自己責任の話になってしまうと思っています。
 国際機関では、形上は性別による直接の差別ではないけれども、実際に男女格差を生み出す行為は全て間接差別と規定をしていて、違法なものとして禁止をしています。
 しかし、生活文化局のつくった女性活躍推進白書でも示されていますが、女性の採用のされ方を見てみると、総合職と一般職などの雇用管理区分などの違いを利用した差別があるわけです。白書では、総合職で採用される全体についての割合は、女性が二二%に対し、男性が七八%で、一般職については、八二%が女性で、一八%が男性となっています。非正規雇用も女性の方が多いとなっています。
 これまでも、大企業が、一般職はそもそも初めから昇格できないなどの扱いをしていることが問題になってきたわけです。ですから、そういう社会だと知った上で、どういう進路選択をするのか考えることと、そして、そういう社会を男性も女性もどう変えていくのか考えられる学びが重要だと思います。キャリアデザインにそういう視点をもっと位置づける必要があると思いますので、強く求めておきたいと思います。
 次に、デートDV、DVの対策も伺います。
 DVは主に結婚、同居している配偶者やパートナー間で振るわれる暴力や暴言、力の支配ですけれども、親密な関係にある相手に、力を持ち、支配し続けるために繰り返し行う虐待行為のことです。デートDVは恋愛をするような関係で起きるDVのことですが、その被害の程度は軽いというものではありません。
 生活文化局の調査で、デートDV被害は、多くの若者、十八歳から二十九歳の間で起きていることが既に明らかになっています。二〇一三年の調査では、被害経験は全体の三七%、加害経験は二九%です。
 デートDVやDVの予防のためには若年者への取り組みが重要ですが、都はどうお考えになっているのか、また取り組み状況についても伺います。

○稲葉男女平等参画担当部長 若年層に向けては、交際相手からの暴力や、若年層が遭いやすい被害について幅広い啓発事業を推進することが重要でございます。
 都では、デートDVについて啓発カードを作成し、主に若年層に配布するとともに、東京ウィメンズプラザのホームページ等での情報提供、教員向けの研修を行うほか、ウィメンズプラザや女性相談センターで相談対応を行っております。

○米倉委員 啓発が重要で、そのためにさまざま取り組んでおられるということです。
 具体的にも伺いたいと思いますが、教育庁など教育機関との連携というものはどうなっていますか。

○稲葉男女平等参画担当部長 平成二十九年度には、教育庁等関係機関と連携し、デートDV啓発カードを、都内の全高校生約三十四万人に配布いたしました。このほか、区市町村の男女平等参画センターや警察署等に広く配布をしてございます。
 また、若年層からの相談を受ける立場にある中学、高校の教員の方を対象に、夏休み期間中に東京ウィメンズプラザにおいて、交際相手からの暴力についての対応方法に対する研修を実施しています。

○米倉委員 教員向けの研修は私も実際にお話を伺いまして、受けられた先生が、問題意識を持ててよかったという声を聞いています。
 私の地元の豊島区では、全ての中学校でデートDV防止の授業を実施しているんですけれども、DVの加害者向けプログラムを実施してきたNPO法人アウェアの代表の山口さんは、小学校も取り組みが必要だと話しておられます。
 DVは親密な関係の中でしか起きないので、外ではイクメンと見られていたり、社会的評価が高い人だったりすることも珍しくないということで、それはなぜかといいますと、DVは病気や遺伝、アルコールや薬物依存症、精神的疾患などが原因ではなく、育った環境から学んだ、力と支配の価値観、そして、男らしさ女らしさのジェンダーバイアス、ある種の行動パターンや振る舞いなどが背景にあり、誰にでも起こり得ることなんだというふうに話しておられます。
 育つ環境で身につけた価値観などが原因だからこそ、早い時期から取り組んでいくことが大切だということです。ですから、この学校との連携というのは引き続き続けていただきたいですし、資料なども詳しいものを配布するだとか、もっと拡充をしていただきたいと思っています。
 二年前に全ての高校生に対して啓発カードを配布しているということも大切だと思います。ただ、複数の自治体、東京都も含めてですけれども、いつから暴力を受けているかという調査を行っていて、その結果を見ますと、既に中学生のときには一定の割合で被害に遭っているということがわかっています。
 生活文化局の調査では、初めて暴力を受けたのは高校生になる前が五・四%、高校生で二〇%、高卒から大学生のうちが四三%という実態で、高校在学中の途中でカードが配られるというのは実態からすると遅いと思うんです。こういう実態に照らして、中学、高校、大学に入学する際にカードを配布するですとか、実態に応じた啓発の仕方、さらに工夫をしていただきたいと思います。
 デートDVについて、若年層に啓発をしていくということが重要ですが、この取り組み方については、ネットやSNSなど、若者に身近なツールを活用して、わかりやすく中身を知らせていくことが大切だと思いますが、いかがですか。

○稲葉男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザにおいては、ホームページを活用して、いわゆるデートDVとは交際相手からの暴力であることや、暴力には身体的、精神的、性的暴力など、さまざまな形があることなどを例を挙げて解説し、啓発をしています。

○米倉委員 中身を知らせていくということが大切だということで、具体的な解説をしていらっしゃるということです。私もホームページを見まして、率直なところ、都民への情報の発信と、理解を広げる中身というものが少ないというふうに感じています。
 ツイッターなどSNSの発信もやってはいらっしゃるんですが、企画のお知らせですとか、相談窓口の案内が中心になっていまして、例えばほかの自治体だと、定期発行しているパンフレット、学べるような中身を掲載しているんですけれど、それを配布するだけでなくて、ネットでアップするだとかして、ネットでもアクセスすれば学べるというような取り組みをされていて、やっぱりこういう取り組みを広げることが啓発というときに大切だと思っています。
 ここは抜本的に拡充をしていただきたいと要望して、質問を終わります。

○福島委員 それでは、私は、地域コミュニティについて、まずご質問させていただきます。
 私は平成三十年第一回定例会の一般質問において、地域共生社会を当初計画どおり二〇二五年までに実現するためには、地域を支える人材の現状と理想の姿を可能な限り定量的に捉えて、関係する施策のPDCAをエビデンスベースで進める必要があると要望いたしました。
 そして、平成三十年第四回定例会の文教委員会で、地域の底力発展事業を取り上げて、若い世代の自治会、町会入会率の低さ、そして、担い手不足の問題を解消する必要があること、そして、これまで、地域底力事業の実績報告で、他の項目に比較して新規加入促進が選択される割合が低いことを指摘し、改善に向けて新規加入者数を把握することを要望いたしました。
 そこで、新規加入者数の報告に協力してもらえるよう、町会、自治会に呼びかけることを検討するとの答弁を得ていますが、進捗を伺います。

○山本都民生活部長 地域の底力発展事業助成の実績報告において、来年度から、事業効果として、新規加入世帯数を記入する欄を提出様式に設けたところでございます。

○福島委員 ありがとうございます。
 事業の成果を数字で把握するための取り組みを高く評価したいと思います。課題を把握して対策を打つ、PDCAの第一歩だと考えます。今年度末の集計結果については、ぜひ教えていただきたいと思います。
 ところで、生活文化局が共生社会実現に向けて掲げている目標として、鳥居都議も取り上げましたけれども、二〇二〇年までに一年以内のボランティア参加率四〇%があります。この目標値と共助社会の関係について伺います。

○山本都民生活部長 二〇二〇年に向けた実行プランにおいて、共助社会を実現していくための目標値として、ボランティア行動者率四〇%を設定いたしました。
 このボランティア行動者率は、さまざまなボランティア活動に加え、町会、自治会活動やPTA活動、まちづくりなどの幅広い地域活動を対象に、一年間に活動した都民の割合を示すものとしており、都民全体の幅広い共助の取り組み状況を示す指標であると考えております。
 この考え方に基づき、都内全域で都民五千人を対象に、都民等のボランティア活動等に関する実態調査により、行動者率の把握を行っているところでございます。

○福島委員 都民等のボランティア活動等に関する実態調査によれば、これも鳥居都議が取り上げていたんですけれども、ボランティア行動者率、直近一年間にボランティア活動に参加した人は二四・八%ということですが、これは二〇一一年ごろから伸びていない数値となっております。
 この二〇二〇年までに一年以内のボランティア参加率四〇%を達成するためには、都民の人口千三百万人のうち、十歳以上が対象ということなんですけれども、ボランティア行動者率を二〇二〇年時点で、現在と比較して百五十万人以上の都民に新たにボランティア活動に参加してもらう必要があるということになります。
 ちなみに、二〇一九年ラグビーワールドカップや東京二〇二〇大会でボランティアに参加する人たちが、ボランティア参加率を上げるためにすごく期待されているんですけれども、それぞれ一万人、大会ボランティアが八万人、シティーボランティアが三万人、うち一万人は既にボランティアとして活動経験がある人で、合計しても、この百五十万人を目指すのに対して、一桁オーダーが違う取り組みというふうになっています。
 そこで、都民等のボランティア活動等に関する実態調査の結果を踏まえて、事業に反映した事柄があれば、ぜひご紹介ください。

○山本都民生活部長 実態調査の結果を反映したものとして、例えば若い世代の行動者率が低いことや、活動に参加しなかった理由として、時間的な余裕がないとの回答が多かったことから、短時間からでも参加できる身近なボランティア活動をちょいボラとして、若者向けの普及啓発活動を行っております。この中で作成しましたPR動画の昨年度の再生回数は百八十万回、今年度も一月末時点で二百八十万回となっております。
 また、参加方法などの情報が得られなかったとの回答に対しては、東京ボランティア・市民活動センターが運営するボラ市民ウェブにおいて、活動情報を、テーマや活動場所、分野などで検索しやすいよう改善を図るなどの取り組みを行っており、閲覧件数は昨年度が約二百三十四万回、今年度は二月末までで二百六十八万回と増加をしております。
 来年度につきましては、ボランティア活動に参加したきっかけを学校での授業や活動行事を通じてとする回答が多かったことから、大学ボランティアセンターの設置促進に向けたシンポジウムの開催を行うこととしております。
 今後とも、実態調査の結果を踏まえながら、共助社会づくりに向けた取り組みを積極的に推進してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 お答えいただいたように、生活文化局の皆様は、調査結果を踏まえて、若者向けのちょいボラや、東京ボランティア・市民活動センターが運営するボラ市民ウェブといった啓発活動、こちらはもう百八十万回とか二百八十万回とか、非常に見てくださっている方が多いということを今お答えいただきました。
 そして、先ほども菅野副委員長が取り上げました新規加入者をふやすための地域の課題解決プロボノプロジェクトの事業も実施しているということです。
 この地域の課題解決プロボノプロジェクトの今年度の報告会は私も行きたかったんですけれども、ちょっと他用と重なりまして、インターン生に行ってもらったところ、確かに新規加入者増が期待できるすばらしい内容だったというふうな報告を受けています。
 加えて、予算案によれば、平成三十一年度は、シニアのコミュニティ参加を目指して、東京都シニアコミュニティ交流大会に新たに取り組むというふうに伺っています。
 これ、先ほどの、これまでやってきた都民等のボランティア活動等に関する実態調査によりますと、興味は持っているものの、なかなか一歩を踏み出すことができないという方が比較的多いということで、その一歩を踏み出していただく方をつくりたいということで、さまざま動画などを見せたりとか、さまざまな事業を行っているということだと思うんです。
 しかしながら、私が問題にしたいのはその事業規模で、やっぱり地域活性化の中核となる地域の底力発展事業は、平成三十年度の実績は五百七十四団体ということで、先ほどの新規加入促進を選択する町会、自治会の割合というのは、これまでは約四分の一ということなので、そのうち百五十団体ぐらいが新規加入者をふやせる、そういう活動をしていると。
 プロボノプロジェクトは平成三十年に、ふえたといっても十九団体、東京ボランティア・市民活動センターの認知率は、これも先ほどから出ていますけれども六%。しかも、既にボランティアを実施している人である可能性が高くて、また、平成三十一年度に、先ほども申し上げました、新しく実施する東京都シニアコミュニティ交流大会の参加者も千名程度ということです。
 つまり、二〇二〇年までに一年以内のボランティア参加率四〇%に必要な百五十万人以上に新しくボランティア活動に参加してもらうということに対して、やっぱり生活文化局単独で扱う事業だけではオーダー的になかなか間に合わないというところがあると思います。そういう意味では、より平たくいえば、東京都の共助社会実現は生活文化局の取り組みだけでは、そもそも実現が難しい目標だというふうに考えています。
 一方、平成三十一年第一回定例会一般質問でもご説明させていただいたとおり、都は、生活文化局に限らず、共助を促す、また必要とする事業を多数実施しており、平成三十一年度の予算発表資料から施策を抽出すると、その総額は二百億円を超えるものになっています。
 そして、私は、これらを統合的に評価する指標としてソーシャルキャピタルというものを提案させていただきました。このソーシャルキャピタルというのは、地域に根差した信頼や社会規範、ネットワークといった社会関係資本を意味する言葉であり、簡単にいうと地域のつながりの強さを評価する指標です。これは、共助社会の実現に向けた指標として、私としてはふさわしいというふうに考えています。
 何がいいたいかというと、都が共助社会を本気で目指すのであれば、事業のPDCAをきちんと実施していく必要があり、そのためには、まず一つ目として、この総額二百億円に上る各局の事業を横断してPDCAを行うべきということです。
 その際の指標として、さっきからソーシャルキャピタルといっているんですけれども、先ほどのご答弁でいただきましたように、共助社会との関連でボランティア参加率というものがふさわしいというのであれば、それを使っていただいても構いません。
 二つ目としては、事業の規模や時間スケールに合った測定を行うべきだと考えています。
 この都民等のボランティア活動等に関する実態調査というのは、N数、サンプル数が五千、回収率六〇%で、一カ月をかけてアンケートベースで、平成二十八年度、二十九年度、三十年度に調査をしてきたというふうに聞いておりまして、予算の関係で、次回の評価は平成三十二年度になるというふうに聞いています。
 つまり、一年に一回、今後は二年に一回しか状態を把握できず、また、そのエリアの分解能に関しては、区部で三カ所、西部、東部、中央部、市部においても、島しょと三カ所の分解能しかないんですね。町会や自治会とか学校を中心とした地域のつながりといったものを評価するには、どうしてもこの空間の分解能が不足していると思います。
 つまり、総合的に取り組んで、あとは時間的、空間的な面で、より地域のつながりを評価するために適切な評価指標でPDCAをきちんと行っていく必要があるというふうに考えています。
 ちなみにソーシャルキャピタルについては、福祉保健局は既に複数の事業でこのソーシャルキャピタルを高めることが重要だというふうに表明しております。教育庁も平成三十一年度予算で、学校敷地内に地域交流拠点を設ける事業において、ソーシャルキャピタルの蓄積に与える影響を測定、検証するための調査を行うというふうにしています。事業の評価です。
 本日の最初の質問で取り上げた町会、自治会における実績報告において、新規加入促進に着目しているのも、会員同士の関係を深めるだけでなく、新しいつながりが生まれることがソーシャルキャピタル向上に向けて大切だからです。
 そして、これも一般質問で紹介したんですけれども、ある民間会社は、地域のイベント情報を通知するアプリを開発して、登録ユーザーがどれだけの情報や人とつながり、何回やりとりしたかというアクティビティーからソーシャルキャピタルを導出することに成功しています。実際に中央区や江東区では、区がかかわるさまざまな場面でこのアプリのインストールを促し、行政が実施した事業の評価を行うとともに、これまで難しかった若年層へのリーチと区民自治の強化を図っています。
 ここで強調したいのは、都民等のボランティア活動等に関する実態調査に比べて、チェックの間隔が短い。一年や二年じゃなくて四半期に一度報告が上がってくるということと、あとは分解能が高いということです。例えば月島、勝どきエリアとか、二子玉川、用賀エリアといった、ちゃんと地域のつながりを評価するためのメッシュの細かさを持っているということです。こういうことをきちんと行って、東京都が行っている事業の評価をやっていただきたいということですね。
 ということで質問なんですけれども、共助社会実現をミッションとする生活文化局は、都が取り組む関連事業について、ボランティア参加率にしろ、ソーシャルキャピタルにしろ、指標を設けてPDCAを行い、共助社会の実現にリーダーシップを持って取り組んでいただきたいと考えますが、見解を伺います。

○山本都民生活部長 昨年度の都民等のボランティア実態調査によりますと、ボランティアに関心があると回答した方の割合は四七・八%でありまして、共助社会を実現していくためには、こうした高い関心を実際の行動につなげていくことが必要であると考えております。そのために、高い目標を掲げて現在取り組みを進めているところでございます。
 この目標達成に向けては、東京ボランティア・市民活動センターはもとより、町会、自治会や区市町村、地域で活動するNPO、大学などの教育機関、企業など多様な主体の積極的な取り組みを進めていくことが重要であります。
 このため、共助社会の実現に向けて、今後とも、こうしたさまざまな主体との連携強化を進めるとともに、引き続き都民全体の活動状況を実態調査によって把握して、その結果を施策に反映するなどして、効果的な取り組みを進めてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 加えて、都は、オリ・パラ局の開発した都市ボランティア改めシティーキャストのデータベースや運営システムをレガシーとして活用し、大会後の活用、継続を図る考えと聞いています。システムの使用は平成三十一年度に議論されると聞いています。
 そこで、共助社会実現をミッションとする生活文化局が、この取り組みに積極的に参加し、PDCAのための基盤にするべく努力すべきと考えますが、見解を伺います。

○山本都民生活部長 生活文化局は、東京二〇二〇大会を契機に高まるボランティア活動への参加機運を、地域活動の活性化やボランティア文化の定着につなげていけるよう、庁内関係局と連携して取り組んでまいります。

○福島委員 共助社会の実現に向けて、さまざまな主体、そしてオリ・パラ局を初め、庁内関係者と連携するという、いずれも前向きなご答弁かと思います。
 ここで改めて指摘しておきたいのは、共助社会をミッションとし、これの実現を担う生活文化局が、各局の取り組みを局の縦割りを超えて取りまとめられる組織体制になっているかということです。東京都が実施する、共助を促す、また必要とする事業、二百億円をかけて実施することはもう既に述べさせていただきました。
 都庁内の各局が共助に向けた取り組みを個別に実施している状況は、まさに船頭多くして船山に登るであり、その結果、地域では限られた人が、防災もやる、防犯もやる、町会も、民生委員も、保護司も、そしてPTA活動など、地域のための複数の役職を担っている状態、これが現状です。都が設定したボランティア参加率、二〇二〇年までに四〇%の数値目標を担う生活文化局が、この局の壁を乗り越えて、気概を持って共助社会実現に取り組んでいただきたいことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 今定例会の一般質問でも取り上げましたが、二〇二〇年までに女性管理職比率を三〇%という政府目標が、二〇一五年末の第四次男女共同参画基本計画で一五%に下方修正されたように、その実現は容易ではありません。
 昨年、会派の女性都議有志六名で開催した女性のための政治サロンでも、キャリアを築くための環境が不十分という声を多くいただきました。
 私自身、母校で、共働きというテーマで講演する機会をいただいたんですけれども、そこでお話を聞いて、やっぱりちょっと、二十五年もたっているのにと思ったことは、大学院の修士課程にいる女性の研究者が一人、登壇していたんですけれども、その学生自身が、共働きをしようと思えば、まずパートナーの理解、そして義理のご両親の理解、そして職場の理解、これが三つそろわないと私は共働きができませんというお話だったんですね。
 私は一九九五年に修士課程を修了して世の中に出ているんですけど、約二十五年前、自分が体験した状況とほぼ変わっていないということが非常に、もうちょっとどうにかできなかったのかなと思うところがありました。
 一方、生活文化局の男女共同参画課は、男女共同参画に向けてさまざまな取り組みを行っていらっしゃいます。
 そこで、女性のキャリア形成促進の支援のためにどのようなことをしているのかをまずは伺います。

○稲葉男女平等参画担当部長 女性がその意欲、能力に応じて多様で柔軟な働き方を選択し、能力を発揮することができる社会を実現するためには、女性が活躍できる環境の整備とともに、女性のキャリア形成を支援していくことが重要でございます。
 生活文化局では、知事が女性の活躍について発信する、女性が輝くTOKYO懇話会や各種セミナーの開催、東京都女性活躍推進大賞、若者向けにキャリア意識を形成する教材、キャリアデザインコンテンツの普及などの事業を通じて、社会における女性の活躍の機運醸成を図りますとともに、女性が長期的視点に立って、みずからのキャリアについて考えることができるさまざまな機会を提供してございます。

○福島委員 平成二十九年度の男女雇用平等参画状況調査によれば、都内企業の課長職相当に占める女性の割合は九・六%、内閣男女共同参画局による平成二十九年度の地方公共団体における男女共同参画社会の形成または女性に関する施策の推進状況によれば、都庁の課長相当職に占める女性の割合は二〇・一%、区市町村におけるそれは一七・五%というふうになっています。都庁が取り組みを先導している状況を高く評価したいと思います。
 そこで、民間企業の女性管理職比率一五%に向けて、現在の施策が役に立っているか、見解を伺います。

○稲葉男女平等参画担当部長 企業におきます女性の登用促進に向けましては、産業労働局による事業者等への支援や、財務局が基準を示しまして、各局で活用しております公共調達における加点評価など、都庁内関係各局が連携して取り組んでいるところでございます。
 先ほど答弁を申し上げました生活文化局の施策も、社会の機運醸成や経営者の意識改革、女性のキャリア意識の向上等に寄与しているものと認識してございます。

○福島委員 産業労働局によるワークライフバランス推進事業や、財務局による公共調達において女性活躍に積極的に取り組む事業者を優遇するなど、女性管理職比率向上を直接的に促す施策を評価するものの、都のつき合いのある企業ばかりではないので、その意味で、生活文化局の取り組む啓発事業は大切だと考えております。
 社会の機運醸成や経営者の意識改革、女性のキャリア意識の向上等に寄与していると認識しているというご答弁をいただきましたが、例えば女性が輝くTOKYO懇話会は具体的にどの年代に向けて作成し、届いているのか。
 実は、後ほどの質疑でも述べさせていただきますけれども、東京動画であれば既にウエブのアクセス解析が可能なはずです。すなわち、アクセス数や訪問者の属性などを調べることができます。事業の検証を速やかに行っていただきたいことを要望いたします。
 続いて、さらなる女性活躍推進のためには、働き方改革を進める産業労働局や、介護や育児、今後はダブルケアなどとの両立を支援する福祉保健局などと連携することが必要だと考えますが、見解を伺います。

○稲葉男女平等参画担当部長 女性の活躍を推進するためには、就業継続やキャリア形成を支援するため、今お話がありましたように、就業、保育など幅広い分野において取り組みを進めていく必要がございます。
 女性が働きやすい環境を整備するため、産業労働局では事業者による雇用環境整備の取り組みの支援などを行っており、福祉保健局は保育サービスの充実に向けた取り組みを推進してございます。
 今後とも、庁内各局が連携して女性活躍の推進に取り組んでまいります。

○福島委員 地域コミュニティ事業と同じく、女性役職者比率向上に関しても、やっぱり局を横断した取り組みが必要だということだと思います。
 二〇二〇年までに女性管理職比率一五%は国の目標ではありますが、大企業に勤務する従業者の割合が高い東京都で女性管理職比率一五%が達成できなければ、他の道府県ではさらに難しい、このように考えられます。この数値達成についても、生活文化局がリーダーシップを発揮して取り組んでいただきたいことを要望いたします。
 次に、広報についてご質問させていただきます。
 世間では、ホームページの効果検証や分析に、グーグルアナリティクスなどアクセス解析ツールを使うのが通常です。どこからそのサイトにやってきているのか、そして、どれぐらいそのサイトに滞在していて、どこで離脱してしまったのか、こういうことを調べることで、ホームページのみならず、東京動画、消費者被害向け動画など、ウエブを通じて提供する東京都のサービスの効果を定量的に検証できるとともに、改善策を打つこともできる、すなわちPDCAもできるという非常に便利なツールです。
 都のサイトにも導入、改善を目指すべきと考えますが、見解を伺います。

○濵田広報広聴部長 生活文化局の広報課では、都政全般や都民生活にかかわる情報を都民に提供する都庁総合ホームページのほか、動画ポータルサイト、東京動画などを運営しております。
 アクセス解析のサービスですとかツールにはさまざまなものが出回っていますが、東京動画につきましては、委員お話しのグーグルアナリティクスを利用したアクセス解析を行い、その結果をサイトの見直しなどに活用しております。
 さまざまなコンテンツ、約三万ページで構成しております都庁総合ホームページは、総務局情報通信企画部が所管する統合ウエブサーバーに設置しており、サーバーを通じて各ページへのアクセス件数を把握しております。より詳細なアクセス状況の把握につきましては、各ページの特性に応じて、どのような情報が必要なのか、その取得や仕方の分析手法、費用対効果などを総合的に検討しております。

○福島委員 ありがとうございます。
 一部、東京動画については、そのアクセス結果、分析結果を見せていただきました。シャンシャンの動画や、ユーチューバーを雇用しての動画が人気で、若い人の視聴率がふえたとか、そういうことを教えていただきました。ぜひ先ほど述べた男女共同参画課の女性が輝くTOKYO懇話会のアクセス分析も実施していただいて、よりよい内容にしていっていただきたいと思います。
 ホームページにしても、動画にしても、公開するからには、見ていただきたい人にしっかり見ていただけているか、これを分析するのは当然です。実はこのアクセス解析ツールを使った分析というのは二〇〇〇年代初頭から民間では取り組まれてきた内容です。
 そういうことで、都のホームページに導入されるということなんですけれども、各局のホームページについても、生活文化局が各局に早期の導入を働きかけていくべきと考えますが、見解を伺います。

○濵田広報広聴部長 各局のホームページはそれぞれの所管局で運営されておりまして、既に分析ツールを導入している局もあるというふうに聞いております。
 今後、各局ホームページや東京動画での取り組み、都庁総合ホームページの検討状況などを各局の広報担当課長が集まる会議などを通じて共有してまいります。

○福島委員 ホームページというのはホームページ単独であるわけではなくて、さまざまなSNS、フェイスブックから来ているのか、ツイッターから流入しているのか、そういう相乗効果なども見ていく、そういう世の中になっていますので、ぜひ好事例を展開していただいて、東京都の発信する情報が必要な方に届くようにしていただきたいと思います。
 このように、ずっと話してきているんですけど、地域コミュニティ振興も、男女共同参画も、そしてこのホームページを初めとする発信事業など、実は生活文化局というのは、都庁を横断して実施するべき大切な役割を非常に多く担っているということがわかります。その役割を今回の質疑を通じて再確認させていただきました。非常に重い役割かと思いますが、一生懸命取り組んでいただきたいですし、私としては、議員活動を通じて応援していきたいと考えています。
 このホームページで、都の各種事業がやや見つかりにくいという声がありますが、この対策を伺います。

○濵田広報広聴部長 都庁総合ホームページでは、利用者が必要な情報に容易にたどり着けるよう、多岐にわたる都の事業を、暮らし・健康・福祉、教育・文化・スポーツ、産業・仕事など、大きく五つのカテゴリーに分類したメニューや、また、都民の視点に立った分野別の一覧ページへのリンクバナーを設け、これらを全ページに表示しております。
 そのほか、スライドバナーやタイルバナーなど、画像を効果的に活用し、都の重要施策をタイムリーに発信しております。
 今後も、都民が使いやすいホームページとなるよう、さまざまな工夫を行ってまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 いろいろ工夫したことが本当に役に立ったかなということをきちんと分析できるという意味で、アクセス解析、しっかりと努めていただきたいと思います。
 民間の事例とかだと、どのサイトからやってきたかとか、サイトの訪問回数や閲覧履歴によって、表示する内容を最適化するとか、それが難しければ、ECサイト、お買い物するサイトなどによくあるんですけど、この商品をチェックした人はこの商品もチェックしていますみたいな情報を見たことがあると思うんですけれども、この情報をアクセスした人はこういう情報も参考にしていますみたいなことになると、またその情報にたどり着きやすくなるかもしません。これはジャストアイデアなんですけれども、民間の事例も取り入れながら、三万ページもあるホームページ、都民の皆様に必要な情報が届くように改善していっていただければと思います。
 最後に、がらっと変えて、予算案にありました、東京二〇二〇大会のときに訪日客に向けて配るといわれている風呂敷について取り上げたいと思います。
 私は先日の一般質問で、都が配布するノベルティーについて、脱プラスチックや配布量の適正化を進めて、事業で発生する廃棄物の扱いについて指針を設けるなど、環境先進都市にふさわしい取り組みを推進していただきたいということを求めまして、環境局の方からは、グリーン調達ガイドの改定を含め、都みずからの事業活動におけるプラスチックのさらなる削減を検討するとのご答弁をいただいています。
 また、十二日の予算特別委員会で、我が会派の質問に対して知事が、二〇二〇年大会中に設置されるパブリックビューイングのためのライブサイト内で提供する飲食物の容器について、これもプラスチック製のものの使用禁止を検討する、このような方針を明らかにされました。
 このように、都は、既に実施しているグリーン調達ガイドラインや、ストローやレジ袋の使用抑制に加えて、都が主催する事業で提供する、または使用するものにおいても脱プラスチックを進めようとしています。これを高く評価したいと思います。
 そこで、生活文化局の平成三十一年度予算にのっております、先ほどの二〇二〇年大会時に訪都する外国人旅行者に向けて配布する風呂敷の政策が予算化されていますけれども、マイクロプラスチックの発生原因といわれる化学繊維を使わないなど、環境に配慮したものにするべきと考えますが、見解を伺います。

○久故文化総合調整担当部長 アート&エコ風呂敷プロジェクトは、日本の伝統であり、芸術であり、環境の知恵でもある風呂敷を、二〇二〇大会時に、主に外国人観光客の方に日本のおもてなしの心を伝えるアイテムとして配布することを予定しております。
 環境に優しいアイテムである風呂敷の魅力を伝えるという本事業の趣旨を踏まえ、風呂敷の素材、包装等も含め、環境への配慮に努めてまいります。

○福島委員 風呂敷本体のみならず、よくこういう布製のものが入っていると、プラスチックのフィルムにまた包まれていたりとかするので、包装まで心がけていただけるという前向きなご答弁、大変ありがたいと思います。環境推進都市らしいメッセージ性のあるノベルティーにしていただければと思います。
 加えて、ノベルティーの配り方も私はちょっと提案したいと思っていまして、着席したときに全員の席に配られているというのではなくて、必要な方は持って帰ってくださいと。そして、大切に使ってくださいということをきちんと伝えていくということが、企業とかでいうとタッチポイントというんですけど、あらゆる機会を通じて東京都の姿勢を示していくためにはいいのではないかというふうに思っています。
 いろいろ知恵を凝らして、東京都の姿勢をオリンピック期間を通じて示していくことができるといいと思っています。期待をしています。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

○とや委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○とや委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十五分散会

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