文教委員会速記録第三号

平成三十一年三月十五日(金曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長とや英津子君
副委員長菅野 弘一君
副委員長田の上いくこ君
理事内山 真吾君
理事星見てい子君
理事谷村 孝彦君
龍円あいり君
福島りえこ君
高倉 良生君
鳥居こうすけ君
古賀 俊昭君
米倉 春奈君
のがみ純子君

欠席委員 一名

出席説明員
教育庁教育長中井 敬三君
次長西海 哲洋君
教育監増渕 達夫君
総務部長早川 剛生君
都立学校教育部長江藤  巧君
地域教育支援部長太田 誠一君
指導部長宇田  剛君
人事部長安部 典子君
福利厚生部長浅野 直樹君
教育政策担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
古川 浩二君
企画調整担当部長谷 理恵子君
教育改革推進担当部長増田 正弘君
特別支援教育推進担当部長小原  昌君
指導推進担当部長藤井 大輔君
人事企画担当部長黒田 則明君
担当部長川名 洋次君

本日の会議に付した事件
教育庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成三十一年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第五十二号議案 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
・第五十三号議案 学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第五十四号議案 東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第五十五号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)の策定について
・「東京都教育ビジョン(第四次)(案)」の骨子について

○とや委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 平成三十一年度予算は、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成三十一年三月十四日
東京都議会議長 尾崎 大介
文教委員長 とや英津子殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十四日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十日(水)午後五時

(別紙1)
文教委員会
 第一号議案 平成三十一年度東京都一般会計予算中
        歳出
        債務負担行為 文教委員会所管分

(別紙2省略)

○とや委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成三十一年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、教育庁所管分、第五十二号議案から第五十五号議案まで、報告事項、都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)の策定について外一件を一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○早川総務部長 去る二月十五日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をお開き願います。今回要求のございました資料は十二件でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、都立特別支援学校スクールバス予算の推移(平成二十二年度から平成三十一年度まで)でございます。
 スクールバスの予算額、配車している学校数、運行するコース数について、年度別に記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、都立特別支援学校におけるスクールバスの配車状況(平成三十年度)でございます。
 スクールバスの配車台数について、障害種別ごとの学校別に記載してございます。
 三ページをごらんください。3、平成三十年度の全国で国の標準を下回る学級編制基準の弾力的運用の実施状況でございます。
 このページから六ページにかけまして、平成三十年度における国の標準を下回る学級編制の実施状況について、都道府県と政令指定都市の自治体ごとにそれぞれ記載してございます。
 七ページをごらんください。4、公立小・中学校の三十五人学級に必要な教員数及び経費でございます。
 全学年を三十五人学級にした場合に新たに必要となる教員数及び経費について、小学校、中学校それぞれ学年別に、また合計を記載してございます。
 八ページをお開き願います。5、教職員の標準法定数と、標準法に根拠を持つ教職員数の都の定数及び標準法以外の都の定数(校種別)でございます。
 平成三十一年三月七日時点の見込み数である教職員の標準法定数と、標準法に根拠を持つ都の平成三十一年度定数及び標準法以外の都の平成三十一年度定数について、校種別に記載してございます。
 九ページをごらんください。6、都立学校整備費の推移(校種別、工事内訳別)(平成十年度から平成三十一年度まで)でございます。
 都立学校整備費の当初予算額と新設、改修など工事内訳について、校種別、また年度別に記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。7、公立小・中学校児童・生徒の就学援助受給者の推移(平成二十年度から平成二十九年度まで)でございます。
 就学援助を受給した児童生徒数及び受給率について、要保護、準要保護の別、また年度別に記載してございます。
 一一ページをごらんください。8、都内公立特別支援学校の医療的ケアが必要な幼児・児童・生徒の数及び配置看護師数(平成十九年度から平成二十八年度まで)でございます。
 (1)では、医療的ケアが必要な幼児、児童生徒数について、都立、区立の別、また年度別に記載してございます。
 (2)では、配置看護師数について、都立、区立の別、また年度別に記載してございます。
 一二ページをお開き願います。9、小二加配・中一ギャップ加配の活用状況、学級規模の縮小とTTの選択状況(平成三十年度)でございます。
 平成三十年度における小二加配、中一ギャップ加配を活用している学校数について、学級規模縮小、TT等の選択別、また区市町村別に記載してございます。
 一三ページをごらんください。10、都内公立小・中学校及び高等学校の不登校児童・生徒数と不登校出現率の推移(平成十年度から平成二十九年度まで)でございます。
 不登校児童生徒数と不登校出現率について、校種別、また年度別に記載してございます。
 一四ページをお開き願います。11、東京都公立学校教員採用選考名簿登載者数、期限付任用教員名簿登載者数等(平成二十六年度から平成三十年度まで)でございます。
 (1)では、教員採用名簿登載者数、期限つき任用教員名簿登載者数、その内訳として、四月一日の任用数、四月二日から三十日までの任用数、五月以降の任用数について、年度別に記載してございます。
 (2)では、期限つき任用教員名簿登載者のうち、五月一日までに任用のあった者の教員採用選考の受験者数、翌年度の名簿登載者数、合格率について、年度別に記載してございます。
 一五ページをごらんください。12、東京大会に関する事業と予算額の推移(平成二十六年度から平成三十一年度まで)でございます。
 オリンピック・パラリンピック教育を推進するための事業を四つに分けまして、予算額について、年度別に記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○とや委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○内山委員 それでは、私の方から何点か質問させていただきたいと思います。
 まずは、少人数学級についてお伺いをしたいと思います。
 この間も、予算特別委員会の方でもさまざまな議論がありました。三十五人学級という特定のワードはさておいて、適切な学級規模というのは一体全体どれくらいなのかという視点で少しお話をさせていただきたいと思いますが、これまでの東京都の立場で申し上げると、学級編制のあり方には国の責任が大きいといった答弁に集約されるのかなと思っておりますが、じゃ、国の責任、国の考え方というところで考えてみますと、文科省と財務省、これは考え方が違うわけです。
 文科省は、平成二十五年度から教員の定数改善計画案の中で、三十五人学級にするべきだということの実現を目指してきておりますし、財務省は、それに対してはさまざまな理由でノーだということ、最終的には四十人に落ちついたということでございます。
 財務省でいえば、もちろん財政上の理屈でありまして、教育現場からの望ましい教育環境について述べられているものではないと思います。
 教育長会、校長会、また市長会、区長会、全ての要望の中に少人数学級の、この場合は三十五人学級と書かれているケースが多いですけど、実現を求める要望というのがあるということを考えると、特定の政党の要望ではなくて、まさに現場に即した要望、意見ではないかなと思っております。
 そういった中で、国がどうこうではなくて、東京都というのは極めて特殊な自治体でありますので、まさに自主自立ではありませんが、東京都として、この適正な学級規模をどのように考えているのか、まずは質問したいと思います。

○太田地域教育支援部長 都教育委員会は、学級の生活集団としての教育効果を考えた場合、児童生徒が互いに切磋琢磨し、社会的適応能力を育むために、一定規模が必要であると考えております。
 これを踏まえ、都の学級編制基準では、小学校第一学年を除き一学級当たり原則四十人としております。
 小一問題及び中一ギャップの予防、解決のため、小学校第一学年については一学級当たり三十五人とし、小学校第二学年及び中学校第一学年については画一的な少人数学級ではなく、教員を加配し、一学級当たり三十五人とすることができる学級規模の縮小とチームティーチングの導入、少人数指導を各学校の実情に応じて選択できる弾力的な制度としております。
 また、それ以外に、習熟度別指導が可能となる教員の加配や専門人材の配置などを行っております。

○内山委員 ありがとうございます。あくまで東京都教育委員会としての見解ということで、今ご答弁をいただけたかと思います。
 小学校一年生に関しては小一問題、小一プロブレムともいわれますけど、こういったものを対応、また中一ギャップの対応ということでございます。
 そういった中で、また小学校二年生にも拡充をしているということですが、不登校の問題が顕在化していくというのは小学校五年生ぐらいからです。そのあたりから数字としては伸び始めて、中学校でまたぼおんと上がっていくという傾向はどの自治体にもあります。
 そう考えますと、小学校一年生も確かに小一問題がありますし、中一ギャップも当然ありますけど、じゃあ小学校五年生、六年生、私も現場に何度も立ったことがありますけど、小学校一年生と比べてどうかといわれたときに、問題の質は違いますが、やはり多感な時期というか、極めて支援の必要な時期だと思っています。
 そう考えますと、やはりさまざまな生活集団と学習集団を恐らく分けて考えられているということだと思いますが、子供たちにとっては生活集団、学習集団、まだまだ小学校の段階では、それが相乗効果となって上がっていく、こういう時期でもございますので、ぜひそのあたりはご検討いただければなというように思っております。
 続きまして、これまで事務事業質疑であったり、また一般質問、決特の場であったり、そういったところで子供たちの野外活動についての有用性というものを質問させていただきました。
 結果、教育長からは、子供たちの学びに対して非常に重要なものだといった見解をご答弁いただいているわけですが、そういった中で、まさに学校教育の中で、児童生徒の健全育成のために、こういったキャンプや野外活動を行っていく中で、東京都教育委員会として、そういったサービスというか、プログラムを提供できる受け皿、施設、こういったものをどの程度有しているのか、ご答弁をお願いしたいと思います。

○太田地域教育支援部長 野外活動を体験できる施設としましては、高尾の森わくわくビレッジがございまして、屋外にはテントサイトや野外炊さん施設がございます。屋内には体育施設、武道場や音楽室などを有し、一学年全体で利用することが可能でございます。
 この施設では、都教育委員会主催の野外活動として、わくわくの森キャンプ、ひとり親家庭のためのワンデープログラムやイングリッシュキャンプなどを行っております。
 また、運営事業者による自主事業として、みんなでつくるカレーライスやキャンプファイアなどがございます。

○内山委員 ありがとうございます。高尾の森わくわくビレッジ、一つだけということでございました。
 昨年は、青海にTGG、まさに英語教育のプログラムを受けられる施設というものができました。そういった意味では、私は、学級経営、さまざまな面において子供たちの体験活動を充実させるための施設というものが必要ではないかなというふうに感じていました。
 実際に他の道府県、もしくは市などでは、そういった施設を持っているところもあります。逆に東京都はどうかというと、東京都にある小中学校は、そういった他県の施設、もしくは国の施設を利用しているというケースが圧倒的に多いということだと認識をしています。
 そういった中で、わくわくビレッジはわくわくビレッジで私はいいと思いますし、そういったところで施設として利用しているケースというのが多々見受けられますけど、プログラムとして受けていくとなると、料金表は本当に民間同等レベルというか、簡単にいってしまえば高い料金設定だと思います。
 そういった中では、しっかりと先生たちの負担軽減も含めてなんですけど、移動教室だとか、もしくは年度初めのオリエンテーションだとか、そういった中でのチームビルディングの手法だったり、そういったものが受けられる、まさに青少年健全育成の拠点として、こういった施設を野外の活動施設として、東京都として提供できるといいのかなと思っています。
 例えば多摩地域の廃校になったところであったり、そういったところを、少し手を入れて、別にTGGのようなきらびやかな施設じゃなくていいんです。廃校利用で、そこに指定管理で、何十億とつぎ込むのではなくて、本当にランニングコストで運営できるような、そういったことをやられているところもありますので、そこはぜひ検討していっていただきたいなというふうに思っています。
 続きまして、部活動指導員について伺いたいと思います。部活動指導員というよりは、部活動に関することです。
 これまでも、中学校における部活動の教育的有用性というところにつきましては、私も意見をさせていただいてまいりました。もちろん、教員の働き方改革という中での部活動という捉えられ方もありますが、一方で、日本においては地域スポーツというものが、そこまでこの部活動を担えるところの、学校ではなくて、欧米のように、学校が終わったら地域スポーツというものはなかなかまだ醸成されておりませんので、学校教育の中で、スポーツと体育と古賀先生も常々おっしゃっておりますが、そういった体育の要素も兼ね備えた、教育の要素を兼ね備えた部活動の意義というものが私はあると思っています。
 そういった中で、部活動指導員というのが、働き方改革の流れもくみながら今年度入ってきて、来年度拡充をするというように聞いておりますが、部活動をさらに充実することが重要という認識の中で、都教育委員会の見解を伺いたいと思います。

○藤井指導推進担当部長 部活動は、生徒がスポーツ、文化に親しむ観点や、責任感、連帯感の育成といった面において、極めて大きな意義がございます。
 一方で、競技経験のない部活動の指導や審判、また、休日の大会引率などが、顧問教員にとって大きな負担になっているとの声も寄せられております。
 そのため、都教育委員会は、今年度から始まった国の補助事業を活用し、区市町村教育委員会の申請に基づいて、中学校計百十二校、二百二十名の部活動指導員の配置を支援いたしました。
 学校からは、生徒のニーズに合った専門性の高い指導を受けることができて、技能や意欲が向上したという声や、教員が生徒との個人面談や授業準備の時間を十分確保できるようになった等の効果も報告されております。
 今後、区市町村教育委員会の担当者連絡会や中学校長会等において、部活動指導員の効果的な活用事例を周知して配置を促進するとともに、部活動指導員対象の研修会を通して、その資質、能力を向上させるなどして、中学校における部活動の質のより一層の充実を図ってまいります。

○内山委員 ありがとうございます。部活動指導員の拡充というところで、具体的にその活用事例等々も周知をしながら図っていく、より一層充実というご答弁がありました。
 これはこれでいいと思うんです。ただ、一方で、各市区町村の中学校には、名称はさまざまだと思いますけれども、これとは別に外部指導員という制度がもともとありました。
 例えば、一つの学校に百万円の予算をつけていた自治体があります。そうしたところで、例えばそれが部活動指導員のように、三分の一は自治体負担、残りの三分の二が国と東京都の負担、じゃ、これで三倍になるとすばらしいなと思ったんです。
 つまり百万円の予算が、市はそのまま百万円出して、三倍ですから三百万円の予算になれば、これは本当に部活動の充実というのが劇的に図れるなと思ったんですが、実際、ふたをあけてみると、百万円のうちの下手すると三十三万円が市の負担になって、残りの六十六万円が国と東京都の負担になって、結果的には変わらない、こういうような状況も散見されるように聞いております。
 外部指導員の方が、ある意味、国の補助制度もないということもあるんですけど、使い勝手がいい中で、大体二本立てにしている自治体がある中で、一番重要なのは現場が変わることだと思っています。
 すなわち、これまで負担していた自治体の肩がわりを東京都がしますよという制度ではなくて、実際に中学校の部活動にかけられるお金、人的資源、こういったものを拡充できてこその部活動指導員という制度だと私は思っておりますので、これは市区町村の意識もかなり大きなところがあると思いますが、そのあたりもぜひ部活動指導員だけではなくて、財政的支援も含めて部活動の拡充、これは子供たちのためにもなりますし、教育的にも有効ですし、かつ教員の負担軽減にもつながると思いますので、ぜひ総合的な見地から検討していっていただきたいなというように思っております。
 それでは、続きまして、我々都民ファーストの会東京都議団でも推進をしてきた性教育についてお伺いをしたいと思います。
 先日の予算特別委員会でも、私は、児童虐待について質問させていただきました。それは、児童相談所や一時保護所、または児童養護施設を出てからの十年間の支援、これはまさに川上と川下の議論があるとすれば、川下の議論なんです。
 じゃあ、その児童虐待の川上の議論、源流をたどってみれば、孤立化しない子育て支援だとか、そういったところに行き着くわけですが、さらに源流があるとすれば、これは私は性教育だと思っています。
 そういった中で、これまで子供たちが性に関する情報を正しく選択して適切に行動できるように、学校は子供たちの実情に即した性教育を行い、正しい知識を身につけることの重要性や、性教育が医師等の専門家の活用が必要な分野であることを主張してまいりました。
 そういった中で、こういった主張を受け、都教育委員会が今年度行った性教育に関する新たな取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○藤井指導推進担当部長 都教育委員会は、子供たちの実情を把握するため、昨年八月に都内全ての公立中学校等を対象に、性教育の実施状況について調査をいたしました。
 また、新たに、産婦人科医を外部講師として活用したモデル授業を中学校五校で実施し、学習指導要領に示されていない内容を含む授業や、保護者の理解を得る方法等について検証いたしました。

○内山委員 ありがとうございます。実は私も、実は都教委の方もいらっしゃっていたので、わかっていると思いますけど、私もこの授業、一校見させていただきました。
 年齢に即したというものが、例えば文章ではそうなっていても、実際行ったら過不足があってはいけないと思うんですね。そういった中で考えると、私は、本当にまさに専門家による適切な年齢に即した内容が盛り込まれたいい授業だったのではないかなというように感じました。
 そういった中では、我々の提案、質問に対して、来年度、外部専門家を導入していただけることについては高く評価をしたいと思います。
 今後、さらに希望する中学校に対して外部講師を派遣していくためには、講師の確保というものが急務であると考えておりますが、都教育委員会の見解についてお伺いいたします。

○藤井指導推進担当部長 平成三十年八月に都教育委員会が実施した都内全公立中学校等を対象とした性教育の実施状況調査結果によると、外部講師のうち、既に助産師を活用して授業を実施している学校が六十三校であり、最も多い状況でございました。
 こうしたことから、助産師を含む外部講師の活用に係る体制整備について、今後、学校における実施状況に鑑みながら検討してまいります。

○内山委員 ぜひ着実な推進についてお願いしたいと思います。
 このモデル校の授業の成果等につきましては、全公立学校の教員で共有していくことが重要であると考えますが、都教育委員会の今後の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○藤井指導推進担当部長 現在改定中の性教育の手引に、今年度実施したモデル授業の取り組みや成果を掲載し、全公立学校に配布するとともに、手引を活用した教員研修の方法等について、各区市町村教育委員会の室課長連絡会や保健体育科主任連絡協議会を通じて周知してまいります。
 また、来年度のモデル授業については、他校の教員にも公開するとともに、授業後に、参加した教員による情報交換を行うなどして、モデル授業の狙いや取り組みと成果について周知してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。
 また、性にかかわる重要な課題の一つであるLGBT等につきましても、丁寧に対応していく必要があると思いますが、こちらにつきましても見解を伺いたいと思います。

○藤井指導推進担当部長 各学校においては、学習指導要領を踏まえ、自他を尊重する心の育成や望ましい人間関係づくりなどについて、道徳や特別活動を初め、全ての教育活動を通して、計画的に推進をしております。
 また、現在改定中の性教育の手引に、人権教育プログラムに掲載されている文部科学省の通知である性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等についての内容についても掲載をしていく予定でございます。

○内山委員 ありがとうございます。これまでの性教育に対しての都の見解が、大きく時代の背景もありまして、これまでのがよかった悪かったということは私はあえて申し上げませんが、時代の背景というのがあります。子供たちを取り巻く情報の環境というのは、本当にこの五年、十年でも飛躍的に伸びております。
 そういった意味では、間違った性の情報というのも本当に氾濫をしていると思います。そういった中で、ぜひその年齢に合わせた適切な、過不足なく、こんなところが極めて難しいところだと思いますけど、この取り組み、期待しておりますので、ぜひ引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、放課後子供教室についてお伺いをしたいと思います。
 平成三十一年度から実施する--放課後子供教室自体はこれまでも行われてきたわけでございますけど、新たに、放課後子供教室に関する取り組みというのは、どのような支援があるのか、区市町村に対して行うのかお伺いしたいと思います。

○太田地域教育支援部長 都教育委員会は、放課後子供教室の教室運営に対する財政支援のほか、教室運営スタッフや職員を対象とした研修の実施、活動事例の情報収集、提供を行うことにより、区市町村の取り組みを支援しています。
 平成三十一年度からは、現在進めている放課後子供教室と学童クラブとの一体型の取り組みの促進を図るため、放課後子供教室を学童クラブの開設日数と同程度の二百五十日以上実施し、一体型の取り組みを推進する区市町村に対して、都独自の補助をしてまいります。
 さらに、NPO等の専門人材を活用した新たな活動プログラムを放課後子供教室で展開する取り組みなども実施してまいります。
 これらのことを通じまして、区市町村が実施する放課後活動の充実を支援してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。子供たちの、まさに小学生の放課後について、もちろん学童というのもありますし、児童館という選択肢もありますし、また各ご家庭で習い事等々というものもあろうかと思います。
 そういった中で、例えば家庭の学習に対する意識の格差、もしくは貧困、所得の格差、こういったもので子供たちの放課後のあり方というものが変わってしまうとなると、これは教育格差につながっていくというふうに思っています。非常に重要な時間だと思っています。
 そういった中で、放課後子供教室を充実していくというのは、私は本当にすばらしい取り組みだと思っておりますが、一方で、先ほどの部活動指導員の話ではありませんが、既に二百五十日以上実施しているところがそのままこの支援を受けて行うようなことがあっては、現場は何も変わらないわけです。
 ですから、二百五十日以上既に実施しているところは、さらにそれが充実するような取り組み、もしくは今、二百日前後で実施しているところが、さらにこの補助があるのであれば二百五十日に拡充していこう、そういうような政策的な誘導が行えると、こういった取り組みというのは本当に意味があると思いますので、期待しておりますので、ぜひそのあたり、ご留意をしてお願いしたいと思います。
 続きまして、教員確保に向けたPR活動の取り組みについてお伺いしたいと思います。
 先ほど少人数学級の質問をさせていただきましたが、そもそも教員の確保については現状でもなかなか苦慮されている。特に小学校教員の採用倍率を見てみても、決して高いとはいえないという中において、教員の質の確保というものは重要だと思います。
 そういった中では、今、残念ながら、教員がブラック状態にあるとか、そういったイメージがどうしてもついてしまって、もしくはモンスターペアレンツが大変なんじゃないかとか、そういった負のイメージがどうしても先行しがちなイメージではなかろうかなというように思っています。
 しかし、教員が必ずしもそうかといえば、決してそういうことじゃなくて、本当に子供たちを教える喜び、成長に立ち会える喜び、そういったものが大変大きいのが教育関係であるかと思います。
 そういった中で、教員確保に向けたPR活動について、都の教育委員会の取り組みをお伺いしたいと思います。

○安部人事部長 都教育委員会では、教員確保に向けたPR活動をさまざまに実施しております。
 具体的には、毎年度、教員確保のための採用案内パンフレットを作成しておりますが、平成三十二年度採用の選考に向けては、教員の働きやすい職場環境づくり、健康保持増進や育児との両立等に着目した紙面構成としております。
 加えて、現職教員からのメッセージ動画をスマートフォンから手軽に視聴できるよう、新たにQRコードを付し、教員志望者が関心を持てるような内容を充実しております。
 このほか、受験者の拡大に向けた説明会を東京会場のほか地方五会場において実施するとともに、個別相談会や都内公立学校の授業の参観、現職教員との懇談を行う学校見学会を七回八コースで実施するなど、教員志望者に教職のやりがいを感じてもらう一方で、不安や疑問の払拭に努めております。
 今後とも、東京の教育の魅力や教員志望者が知りたい情報を工夫を凝らしながら発信してまいりたいと思っております。

○内山委員 ありがとうございます。初め、PR動画と聞いたときに、動画を見て教員になりたいと思う人たちはいるのかなとちょっと不安になったんですけど、実際、取り組みを見させていただくと、実際の教員の例えば一日にちょっと密着をして、子供たちとの触れ合いだとか、また、見ていて自分のやりたい未来が想像できるような、そんな動画であったのが、私の不安が杞憂に終わったすばらしいものだったなというふうに思っております。
 ぜひそういった意味においては、今、教育者の負のイメージというか、大変なイメージばかりが喧伝されているところがあると思いますけど、そういったところをもちろん払拭していくというのも含めて、魅力を発信していくということも、ぜひ引き続き行っていただきたいなと思います。
 また、あわせまして、来年度からは小学校職員の教員免許取得支援についての事業が行われるということでありますが、こちらの概要についてお伺いしたいと思います。

○安部人事部長 小学校職員の教員免許状取得支援のこの事業につきましては、小学校教育への熱意を有する学校事務職員やスクールサポートスタッフなど、教員以外の公立小学校職員が教員免許状を取得して、都の公立小学校の教員になることを目指す場合に、その取り組みを支援することを目的としております。
 具体的には、支援を希望する職員が、三年間の登録期間中に大学の通信制課程などを活用して小学校教諭の普通免許状を取得し、都の教員採用選考に合格して教員となった場合に補助を行います。
 補助の内容は、登録期間中に免許取得のために通信制大学で学んだ際の受講料などであり、六十万円を上限としております。

○内山委員 小学校職員、すなわち教員ではない小学校の職員で、教育現場に触れて、よし教員になりたいと思った方に対しての支援ということというのがわかりました。
 そういった方々も恐らく何名かいらっしゃると思うので、そういった方々にこういった支援をしていくというのは重要だと思うんですが、あくまで私の現体験で恐縮なんですが、私、教育関係のNPO業界にいまして、そういった教育現場をNPOの側から、民間の側から支援というか、具体的なプログラムを社会的課題、学校の中の課題に合わせて行っている人たちがいます。
 そういった中で、大体、二十代は思いでばあっと突っ走るんですけど、三十近くなってくると、さあ、これからの人生、どうしようかとなるんです。
 話を聞いてみると、私自身もそうだったんですけど、二十代前半のときは、学校の先生なんかなりたくないと思っていたんです。でも、学校現場にずっとかかわってきて、二十代後半、三十になってくると、いや、学校の先生もいいなと思ったりするんです。この割合というのはすごく多くて、かつ本当に即戦力の人材です。
 ただ、そこから改めて学校に通って、免許を取ってというのがなかなかハードルが高いということもありました。ですので、今回の取り組みというのは、すばらしい取り組みだと思います。
 ただ、今現在、小学校の職員としてというところにターゲットが絞られているので、恐らくそんなに、例えば二十人、三十人応募が来るとは到底考えづらい現状もありますので、どういったところにこのターゲット、残念ながら教員、他県との奪い合いになってしまうところもあるかもしれませんが、そこはさておき、東京都でしっかりと優位な人材を確保できるためのターゲティングについてもご検討いただければというように思っております。
 最後にします。最後の一問、動物飼育についてお伺いをしたいと思います。
 昨年の第二回定例会の中で、一般質問で学校の動物飼育について質問をさせていただきました。
 前向きな答弁をいただきましたので、今回、事業化していただいたのかなというふうに推察をしておりますが、市区町村教育委員会の動物飼育の担当者、もちろん学校教諭も含めてですが、動物飼育の専門家ではないことが多いため、知識と経験が豊富で、専門性の高い獣医師等と連携をして、適切な学校動物飼育を推進していくべきだと考えています。
 以前、ご紹介させていただいたのは、どうしても備品として動物を扱ってしまうと、当然けがをしたときは破損になるわけです。そうすると、テーブルであれば直す方が安いのか、新しいものを買うのが安いのか、こういう話になるんです。これが、動物で同じことが起きてしまうと、これは学校教育の中で命を大事にするといった中で飼育しているので、本当にいいのかどうか、こういうところを指摘させていただきました。
 それについて、まずは正しい知識を学校現場も習得していくべきだということで、今回、新規の研修を行うというふうに伺っておりますが、取り組みについてお伺いしたいと思います。

○太田地域教育支援部長 都教育委員会は、子供たちに命を尊重する心などを育む教育に資するため、平成二十六年度に区市町村教育委員会が獣医師会と連携して、学校で獣医師を活用していくためのガイドラインを作成いたしました。
 このガイドラインでは、学校担当獣医師は、契約に基づき、学校飼育動物に関する衛生管理指導として、飼育動物の健康診断及び飼育管理指導を行うとともに、必要な治療を行うこととしております。
 このガイドラインの活用を促す研修会を平成三十一年度から区市町村教育委員会等を対象に実施してまいります。
 具体的には、研修会において、学校における動物飼育の基本的知識の習得や、学校担当獣医師との連携体制の構築を行っている実践事例の発表、連携事例を共有するためのグループ討議等を行うことでございます。

○のがみ委員 何点かにわたって質疑させていただきます。
 まず最初に、SDGs、ESG教育について質問させていただきます。
 二〇一五年九月の国連サミットで採択された二〇三〇年を年限とする国際目標でありますけれども、今、世界の大学をSDGsの推進拠点にする流れを強める動きがございます。
 SDGsの目標、ゴールが十七あるということで、国連と世界の大学を結ぶ国連アカデミック・インパクトという組織があるんですけれども、二〇一〇年に発足して、加盟大学が百四十カ国、そして大学は千三百校に上っております。
 このアカデミック・インパクトが昨年十月の国連のSDGsの十七の目標について、各分野で模範となる活動をしている世界の十七の大学を選びました。そして、その十七の大学をハブとして、中心拠点として、世界のさまざまな大学に広げていこうという動きがあります。
 例えば、目標二であります飢餓をゼロにするということでは、南アフリカのプレトリア大学が選ばれております。これは徹底した食料問題について研究をしている大学で、栄養に関する研究所をつくっております。食料安全保障をテーマにした国際会議を数年にわたって共同開催をしてきた。
 それから、目標五のジェンダー平等、これはスーダンのアッファード女子大学が任命されておりまして、ジェンダーを専門とする四つの修士課程を開設していると。
 そして、うれしいことに日本も目標九の産業と技術革新で選ばれておりまして、長岡技術科学大学が任命されているということでございます。
 この任命された十七の大学が、それぞれ中心となって大学の輪を広げて、SDGsを広げていくことが大事だと思っております。
 小学校のころからSDGsを意識した教育を受けているかどうか、世界的な規模で物事を捉えられるかどうか、そうした意味で、東京都の取り組みが一段と強化されたことに感慨深いものを感じております。
 まず最初に質問いたしますけれども、持続可能な社会づくりに向けた教育の推進について、都教育委員会のこれまでの取り組みとその成果についてお伺いいたします。

○宇田指導部長 都教育委員会は、児童生徒が自然環境や地球規模の諸課題をみずからの課題として捉え、解決していくための資質、能力を身につけることを目的に、平成二十九年度から二年間、持続可能な社会づくりに向けた教育推進校として、都内公立学校三十校を指定いたしました。
 推進校は、環境や国際理解等に関する課題について、複数の教科と関連づけた学習に取り組み、研究発表会でその成果を近隣の学校や保護者、地域等へ発信いたしました。
 学校からは、資源やエネルギーなどの問題を自分の身近な問題として捉え、積極的に調べようとする児童生徒や、地域資源を題材とした教材開発に継続して取り組む教員がふえてきたなどの報告を受けております。

○のがみ委員 私もさまざまな学校で授業を見せていただいて、日ごろの積み重ねが、やはり大きく花開くんだなというふうに感じております。
 持続可能な社会づくりに向けた教育のさらなる推進に向けた都教育委員会の今後の取り組みについてお伺いいたします。

○宇田指導部長 都教育委員会は、推進校の成果を広く周知するために、これまでの研究内容を掲載したリーフレットを年度内に作成して、区市町村教育委員会及び都立学校に配布してまいります。
 あわせて、都教育委員会が作成いたしましたインターネット上で教員一人一人に割り当てられているページであるマイ・キャリア・ノートにもこのリーフレットを掲載し、持続可能な社会づくりに向けた教育の内容と意義等についての理解を深めてまいります。
 また、平成三十一年度から二年間、新たに推進校十五校を指定し、持続可能な開発目標であるSDGsに関連した研究に取り組んでまいります。
 さらに、SDGsに関する国や世界的な動向、推進校の取り組み等をまとめた指導資料を年四回、作成、配布するなどして、持続可能な社会づくりに向けた教育の推進を図ってまいります。

○のがみ委員 この目標でもあります誰も置き去りにしないという地球社会を築くための世界市民教育の広がりが大事だと思っております。
 悲惨な出来事を繰り返さないためには、歴史の記憶を胸に共通の意識を養っていくこと。それから、地球は本来、人間がともに暮らす家であり、差異による排除を許してはならないことを学ぶ。そして、政治や経済を人道的な方向へと向け、持続可能な未来を開くための英知を磨くと。
 こうしたSDGsに関する意識啓発を行う上でも、さまざまなリーフレットとか資料とか、リーフレットの掲載、資料の作成、配布、そうしたことは大変有効だと思っております。持続可能な社会づくりに向けた教育の推進をより一層図っていただきたいと申し述べて、次の課題に移ります。
 次に、障害者教育についてお伺いいたします。
 平成三十年度の都内公立小学校の児童数は約五十八万人ですが、都立特別支援学校小学部の児童数は何人ですか。その障害種別及び合計人数でお伺いいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 平成三十年度の都立特別支援学校小学部の児童数は、合計で四千三百二十三人でございます。
 障害種別では、視覚障害が七十六人、聴覚障害が二百二十五人、肢体不自由及び病弱が千四十四人、そして知的障害が二千九百七十八人でございます。

○のがみ委員 四千三百二十三人を五十八万で割ると、〇・〇〇七四五、つまり小学生千人当たり七人程度の児童が特別支援学校で学んでいるということになります。
 小学校ではなく特別支援学校に入学した児童の入学先の決定は、どういうふうに行われているんでしょうか。

○小原特別支援教育推進担当部長 就学時健康診断までの間に得られました情報に基づきまして、区市町村教育委員会は、本人の障害の有無及びその状態を踏まえて、教育上必要な支援の内容を検討し、特別支援学校での就学が適していると見込まれる場合には、その旨を本人及び保護者に通知いたします。
 これに対する本人及び保護者の意向を受けまして、保護者の了解が得られた場合に特別支援学校に入学することといたしております。

○のがみ委員 区市町村教育委員会からは、特別支援学校への就学が適しているとの通知を受けても、保護者がやっぱり地域の小学校に入学させたいと思っている場合には、特別支援学校への入学を強制されることはないと、地域の小学校に入学できるという、確認ですけれども、それでよろしいでしょうか。

○小原特別支援教育推進担当部長 保護者の意向に反しまして就学先を決定することはございません。

○のがみ委員 特別支援学校への就学が適しているとの通知を受けた児童数と、実際に特別支援学校に入学した児童数をそれぞれお伺いいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 平成二十八年度に都教育委員会が実施いたしました調査によりますと、小学校就学年齢で特別支援学校への就学が適しているとの通知を受けた児童数は九百十五人、そのうち実際に特別支援学校に入学した児童数は七百八十一人でございました。

○のがみ委員 九百十五から七百八十一を引くと百三十四人なんですけれども、差し引き百三十四人の児童は地元の小学校で学んでいるということになります。
 この子供たちは小学校で教育上必要な支援を受けられているのでしょうか。子供たちの障害の種別とあわせてお伺いいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 百三十四人のうち百二十人は、小学校の特別支援学級に就学いたしまして、特別な教育課程のもとで学習を行っております。
 障害種別の内訳は、肢体不自由二名、知的障害百十八名でございます。
 また、十四人は通常の学級に就学いたしまして、通常の教育課程のもとで学習を行っております。
 障害種別の内訳は、聴覚障害一名、肢体不自由二名、知的障害十一名でございます。

○のがみ委員 通常学級において普通の教育課程のもとで学習するのは、知的障害がある児童にとっては大変、相当な努力を要することと思います。
 また、障害種別によっては、より専門性や個別性の高いケアが必要となる場合もあると思います。
 私の現場の体験でございますけれども、昔の教頭先生をやっていた時代に六年生の自閉症の女の子がおりまして、基本的に母親が、この子供を一緒に連れて登校し、ずっと子供とともにいたわけでございます。給食時間もずっと一緒だったわけでございますけれども、母親も体調不良なので、毎日来ることもできない場合がありまして、教室を突然飛び出すと、私の方に、Aちゃんがいなくなったから探しに行ってという連絡があり、探しに行くと、洋式トイレにたまっているお水があるんですね、それをぱちゃぱちゃぱちゃぱちゃかけて遊んでいることが多かったんです。大体そこへ行くと見つかるんですね。
 やっぱり六年間通しても平仮名や片仮名を習熟することも難しいし、なかなか会話が成立しない。名前を書くことも厳しい状況であったので、この子の場合には中学校からは特別支援学校に進学をいたしました。
 本人及び保護者が希望すれば、通常学級に就学した児童が特別支援学級に転級する、または特別支援学校に転学することも可能なのでしょうか。
 また、可能な場合はその実態についてもお伺いいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 保護者は、いつでも在籍する学校に、転級または転学を申し出ることが可能でございます。
 平成二十八年度の調査では、都内公立小学校の通常学級から八十六人が、特別支援学級から四十七人が、それぞれ特別支援学校に転学いたしました。
 その内訳は、視覚障害二名、聴覚障害一名、肢体不自由八十三名、知的障害四十七名でございます。

○のがみ委員 ここまでの質疑を通じて、東京都の障害者教育について、仕組みの上では既にインクルーシブな教育システムが確立し、本人及び保護者の意向に沿った就学の場が用意されていることがわかりました。
 また、就学してみて本人の教育的ニーズと合っていないときには、それに適した場を選び直すことができるわけです。
 日本の学校教育制度では、通常学級、あるいは特別支援学級、それから特別支援学校、それぞれ事前に教育課程を届け出て、通常学級においては学習指導要領にのっとった内容と進度での学習を進めることが求められます。
 しかし、一方で、特別支援学級、あるいは特別支援学校では、特別支援学校の学習指導要領を用いた個別指導計画に基づく学習を行うことが求められております。
 ですから、さまざまな障害を抱えて支援が必要な子供が通常学級にいた場合は、学習指導要領にのっとった内容でなかなか教育を進められにくいということがいわれるわけですね。
 このために、特別な支援を必要とする児童が通常学級で学ぶ場合、本人の理解度等に合わせた内容と進度で授業を進めることが求められますけれども、必ずしもそういうふうに予定されておりませんので、本人にとって充実した学びを選ぶのであれば、それに応える場は特別支援学級、あるいは特別支援学校であるというのが本来、日本の学校教育制度の仕組みであります。
 来年度のインクルーシブ教育システムに関する調査では、各国が採用している教育制度も考慮しながら、日本でのあり方を検討するということですけれども、日本の教育制度を丸ごとつくり直す必要があるような取り組みは、日本全国の視点で、国において検討されるべきものと考えております。
 今回の調査検討が、東京都の実情を踏まえ、障害を持った子供の立場に寄り添ったものになることを期待して、次の質問に行きます。
 次は、医療的ケア児の中で、ミキサー食のあり方について質問させていただきます。
 これは、人工呼吸器やたんの吸引、チューブで栄養補給する経管栄養など、医療的なケアを日常的に必要とする子供たちがふえております。こうした医療的ケア児は全国で約一万八千人だそうです。
 代表質問にも取り上げましたけれども、さまざまな理由により口から食事をすることができなくなり、胃に穴をあけて、胃瘻から栄養をとっている子供さんに、より自然な食事を希望している家庭が多いということで、私たち公明党都議団で、神奈川県の特別支援学校の視察を行いました。
 学校の給食をミキサーにかけて、シリンジという注射器を大きくしたようなものの中に入れて、ショット注入の現場を見てきました。都の特別支援学校は、ミキサー食を導入している学校はなく、保護者の方々から、家ではミキサー食をつくっているので、ぜひ東京都でも行ってほしいという声があって取り上げたわけでございます。
 都立特別支援学校において、胃瘻からの経管栄養を実施している幼児、児童生徒は何校に何人在籍しているんでしょうか。
 また、ミキサー食による給食の注入に関する要望はどの程度あるのかお伺いいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 平成三十年五月一日現在、胃瘻からの経管栄養を実施している通学籍の幼児、児童生徒は、都立特別支援学校二十四校において、二百六十五人在籍いたしております。
 ミキサー食による給食注入につきましては、具体的な希望者数は現時点では把握しておりませんが、肢体不自由児の保護者団体から、平成三十一年度予算要望をいただいております。

○のがみ委員 代表質問の答弁にもあったんですけれども、胃瘻からのミキサー食による給食の実施に向けて、来年度に取り組むモデル事業の概要と、具体的なスケジュールについてお伺いいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 来年度、区部及び多摩地区にモデル校を一校ずつ指定し、安全に実施するための検証を進める予定でございます。
 モデル事業の実施状況を踏まえまして、学識経験者、医療関係者、保護者代表、学校関係者等で構成する医療的ケア運営協議会におきまして、全ての都立肢体不自由特別支援学校での実施に向けた体制整備等について検討を行ってまいります。
 具体的なスケジュールといたしましては、平成三十二年度中にモデル事業の検証結果をまとめ、課題を整理した上で、平成三十三年度からの実施に向けて、規定や体制の整備に取り組んでまいります。

○のがみ委員 神奈川でもいろいろ聞いてきたんですけれども、実際にミキサー食を行うとなると、さまざまな課題があって、とても大変な状況があるということでございました。
 その課題について、現時点でどのようなことを想定しているのかお伺いいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 胃瘻からのミキサー食による給食の提供は、給食であり、かつ医療的ケアでございます。
 給食の観点からは、厨房の環境整備や栄養士の養成など、実施体制面の課題及びアレルギーの有無や家庭での実績の確認、エネルギー量及び栄養素の過不足への対応など、実施条件面の課題がございます。
 また、医療的ケアの観点からは、看護師の確保や教員との役割分担といった校内体制の確立に係る課題がございます。

○のがみ委員 導入する前は、とてもいろんなことがあって大変だったと思うんですけれども、神奈川の特別支援学校を視察したときに、先生たちも、それから栄養士さんも、本当ににこにこしながら子供たちに胃瘻からのミキサー食を行っていたんですね。
 いろんな課題があるんですけれども、胃瘻からのミキサー食による給食を教師や教員や学校介護職員が実施するためには、安全を確保するための十分な体制が必要だと思います。
 この体制づくり、どういうふうに整備するのでしょうか。

○小原特別支援教育推進担当部長 医療的ケアの実施者となりますためには、都教育委員会が実施いたします社会福祉士及び介護福祉士法に基づきます研修を受けて、都知事から認定を受けることが必要でございます。
 他の医療的ケアと同様に、看護師を中心とした実施体制のもとで、教員及び学校介護職員が参加し、個々の幼児、児童生徒ごとに作成した医療的ケア実施マニュアルに従い、安全かつ適切に実施してまいります。

○のがみ委員 新たな医療的ケアの実施に当たっては、栄養士など給食の関係者の理解が重要です。
 都教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 胃瘻からのミキサー食による給食の実施に当たりましては、栄養士との協働や給食調理業務委託業者との調整も必要となります。
 都教育委員会は、従来から、安全かつ適切な医療的ケアの実施に当たっては、学校教職員が一丸となって取り組むことはもとより、保護者や主治医等の理解をいただくよう努めてまいりました。
 これに加えまして、今回のモデル事業を実施する中で、栄養士など関係者との連携につきましても検討してまいります。

○のがみ委員 まず、保護者の理解、栄養士や給食調理委託業者の理解、アレルギーの心配、さまざまな配慮が必要だと思います。
 先日、小池知事が葛飾区にあります東京都立水元小合学園を視察し、そこでミキサー食を見てきたわよとおっしゃったんですけど、ちょっと違うもので、あれは初期食、中期食、後期食という実態を小池知事が見てこられたようなんです。ミキサー食とは全く違う方法で、材料から非常によく吟味をしているとのことでございました。あした、私、ここの学校の卒業式に行ってきますので、栄養士さんによく聞いてまいります。
 それぞれのよさもあるかと思いますので、それぞれのよさというのかしら、そういう中身をよく検討して、ぜひミキサー食、あるいは初期食を取り入れていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
 次に、医療的ケアを要する専用通学車両については、都議会公明党で取り上げ、予算化していただき、着々と準備を進めてくださっているところです。
 まず最初に、医ケア児専用通学車両の現在の運行実績について、実施学校数、コース数、乗車している児童生徒数についてお伺いいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 現在、都立肢体不自由特別支援学校十八校のうち、専用通学車両の乗車対象となる児童生徒が在籍いたします十七校全校において、専用通学車両は運行いたしております。
 運行コース数でございますが、四十コース、四十台、乗車している児童生徒数は六十九名でございます。

○のがみ委員 現在、専用通学車両に乗車している看護師は、学校看護師のほかに訪問看護師もいらっしゃると聞いているんですけれども、それぞれの数はどれぐらいなんでしょうか。
 その運行のうち、どれくらいの割合で看護師が乗車できているのか、また、その内訳についてもお聞きいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 実績が確定いたしております平成三十年十二月時点で、学校の看護師は三十五名、訪問看護師は五十九名乗車いたしておりまして、全運行回数中、看護師が乗車できている割合は約五割であり、その内訳は、学校の看護師が約五分の二、訪問看護師が約五分の三でございます。

○のがみ委員 それでは、看護師が乗車できていないコースはどのくらいあるんでしょうか。

○小原特別支援教育推進担当部長 現在、看護師が乗車できておりませんコースは、全四十コースのうち六コースでございます。

○のがみ委員 約七十名のお子さんが乗っているのは、初年度実績としてすばらしいと思います。
 あと何人くらい乗車する必要がある児童生徒がいて、車両は何台くらい用意する必要があるんでしょうか。

○小原特別支援教育推進担当部長 平成三十年五月時点での乗車希望数が百七十四名であったことを踏まえますと、あと約百名の児童生徒の乗車が想定されておるところでございます。
 専用通学車両の手配数は、児童生徒の心身の状況や使用する車椅子の大きさ、住所地によるコース組みなどの条件によりますことから、一概には申し上げにくいところではございますが、一台当たりの平均乗車児童生徒数を二名で試算いたしますと、将来的に車両はあと約五十台必要になると見込まれます。

○のがみ委員 将来的にはあと五十台必要ということです。
 今年度は、専用通学車両の導入の初年度でもあり、緊急的な対応として福祉タクシーによる個別送迎も実施する予定でございましたけれども、運行の状況についてお伺いいたします。
 来年度以降も、この福祉タクシーの運行を行うのかどうかも含めてお願いします。

○小原特別支援教育推進担当部長 車両を手配できませんでした児童生徒への緊急対応として、今年度に限り、保護者が登下校に付き添う個別送迎車両を確保することといたしまして、現在までに二名の児童生徒の利用実績がございました。うち一名につきましては、三月中に専用通学車両への乗車に移行いたしております。
 専用通学車両の確保も進んでおりますことから、個別送迎車両の運行につきましては、当初予定どおり、今年度で終了いたします。

○のがみ委員 現在、専用通学車両で看護師が乗車していない部分と、今後、乗車が必要な児童生徒への対応を考えると、学校の看護師はあと何名ぐらい確保が必要なんでしょうか。

○小原特別支援教育推進担当部長 車両一台当たり、四人の非常勤看護師のローテーションで毎日の運行が可能となりますことから、将来的に必要となる台数九十台を運行いたしますためには、約三百六十名の看護師が必要となるところでございます。
 現在、約四十名の看護師が乗車いたしておりますので、あと約三百二十名の確保が必要と見込まれます。

○のがみ委員 あと三百二十名、大変だと思います。予算特別委員会で、学校の非常勤看護師の単価を上げるとのことで、有効な確保策と期待しておりますけれども、医療機関や介護施設等でも看護師が不足している中で、実際に確保するということは非常に難しい面があると思います。
 非常勤看護師の募集について、実際にどのように周知して働きかけていくんでしょうか。

○小原特別支援教育推進担当部長 医療的ケア児が増加する中、特別支援学校におきましても、学内での医療的ケアの実施や専用通学車両の乗用車などの業務があり、看護師が活躍できる職場であることを広く知っていただく必要がございます。
 現在、実際に乗車している看護師にとって、勤務時間を自分のライフスタイルに合わせられることや、報酬額が上がることが魅力と捉えられておりますことから、その点をしっかりと訴求してまいります。
 具体的には、従来行ってまいりました職能団体への働きかけや、就職相談会への参加、乗車看護師に特化したチラシ等の配布に加えまして、人材派遣会社の活用など、幅広く募集について周知し、確保策を強化してまいります。

○のがみ委員 これ、実際にいろいろと新しくなる単価で人数を掛けて計算すると、莫大な予算がかかるんですよ。しかし、SDGsの誰ひとり取り残さないという理念のもとに、着実に広げていってほしいと思っております。
 次に、教員のメンタルヘルス対策について質問いたします。
 このメンタルヘルスにつきましては、長きにわたり、私も一つの自分のテーマとして質疑を重ねてきた経緯があります。
 都の公立学校の教員で、精神疾患による休職者数は、ここ数年、五百人台前半で推移していたという認識があるんですけど、ここ一、二年は増加傾向にあると聞きます。
 そこで、直近三カ年の精神疾患による休職者数の推移と、休職者数が増加した要因などを都教育委員会はどのように分析しているのか、まず最初にお伺いいたします。

○浅野福利厚生部長 精神疾患による休職者数は、平成二十七年度は五百二十七人、平成二十八年度は五百五十八人、平成二十九年度は六百六人となっております。
 休職に至る要因は、職場の人間関係など職場環境に起因するもの、介護など家庭環境に起因するもの、本人の心身の疾患に起因するもの、そして、これらが複合的に作用するものなど、その要因は休職者ごとにさまざまでございます。
 診断病名や休職期間を分析いたしますと、適応障害や抑鬱状態など、症状が比較的軽く、短期間で復職する休職者が近年はふえてきていることが特徴でございます。

○のがみ委員 これまで都教委は、比較的長期の休職者に向けて、リワークプラザ東京による職場復帰訓練を実施してこられました。
 近年増加傾向にある短期の休職者に対しての対応はどうしているのかについてお伺いいたします。

○浅野福利厚生部長 公立学校共済組合が運営する関東中央病院におきまして、適応障害や抑鬱状態など比較的軽度な疾患にも対応し、病気休暇中を含め、早期から職場復帰訓練をすることで、短期間で復職できるリワークプログラムの提供が昨年から始まりました。
 都教育委員会では、関東中央病院と連携して、利用促進に向けたリーフレットを作成し、都立学校や区市町村教育委員会に案内するとともに、全教員に個別配布している共済組合の広報誌でも周知を行っております。

○のがみ委員 メンタルヘルスの不調は、まず、みずから気づくことが重要であります。一次予防がまず何よりも重要であります。
 これまでも都教育委員会は、早期自覚、早期対処の方針を掲げ、臨床心理士の学校への派遣や都立学校でのストレスチェックの実施など、一次予防に重点的に取り組んでこられましたけれども、このうちストレスチェックの現在の課題と対応の方法についてお伺いいたします。

○浅野福利厚生部長 全都立学校で実施しているストレスチェックでは、現在、国が示した調査票を使用しております。
 この調査票は、全ての業種のあらゆる職場を対象としているため、学校における教員特有のストレスを適切に把握しづらいという課題がございます。
 そこで、来年度から、精神科医師や学識経験者の意見を伺いながら、教員のストレス状態をより的確に把握できるよう、教員向けに特化した新たなストレスチェック調査票の作成に着手いたします。

○のがみ委員 ストレスチェック制度というのは、まず一に個人へ結果を通知し、二番目に高ストレス者に対する医師による面接指導、三番目に集団分析結果による職場環境改善、この三つの柱から成っておりまして、メンタルヘルス不調の未然防止の段階であります一次予防を強化する目的で導入されております。このうち、前者の二つが一次予防として有効に機能するためには、まず本人の気づきに期待するところが大きいんです。
 一方で、集団分析結果による職場環境改善は、職場として積極的に関与することで、教員一人一人のメンタル不調の未然防止につながる重要な取り組みであると考えます。
 都教育委員会は、今後、この集団分析結果をどのように活用していくのかお伺いいたします。

○浅野福利厚生部長 現在、都立学校では、ストレスチェックによる集団分析の実施を契機といたしまして、休養室や更衣室を清潔で使いやすい状態に整備するなどの取り組みを行っております。
 来年度からは、校長がさらに効果的に取り組めるよう、ストレスチェックの集団分析結果に基づき、総合健康リスクが高い上位十校の都立学校に、一定の資格を有する職場環境改善アドバイザーを派遣いたします。
 具体的な活動といたしましては、専門家の視点から、職員室などの物理的環境の改善や教員間の業務分担の見直しなど、各都立学校の実情に応じた助言を行うとともに、その後の改善状況も確認するものでございます。

○のがみ委員 総合的に判断して、健康リスクが高い上位十校の都立学校に職場環境改善アドバイザーを派遣するということでございます。
 また、昨年、国では働き方改革関連法が成立いたしまして、労働安全衛生法の一部改正が行われました。いよいよこの四月から施行されます。医師による面接指導の基準が強化されて、それにより、これまで以上に労働者の健康管理が強化されるといった内容でございます。
 この法令改正も踏まえ、都教委は、今後、教員のメンタルヘルスも含めた教員の健康管理に、具体的にどう取り組んでいくのかお伺いいたします。

○浅野福利厚生部長 都教育委員会は、長時間労働から労働者の健康を守る措置などが盛り込まれた法令改正や国の通知等を踏まえ、長時間の時間外労働を行った教員に対する産業医の面接指導について、健康障害防止の観点から取り組みを強化してまいります。
 また、都立学校に対して、産業医及び産業保健機能が強化されたことを周知していくとともに、産業医による健康講話や職場巡視など、安全衛生委員会活性化のための工夫点についても都立学校に提供してまいります。
 さらに、都立学校での取り組みを区市町村教育委員会に積極的に情報提供し、全ての公立学校の教員の労働安全衛生の確保に取り組んでまいります。

○のがみ委員 産業医については、都教育委員会が地域の医師会と連携をとって、それぞれの学校ごとに産業医を選任していると聞いております。
 また、産業医は、医師が日本医師会認定の研修会を受講するなどしてなれる制度でありまして、都教育委員会は、東京都医師会と共催で、この認定研修会を年三回開催しているそうでございます。
 産業医が学校の職場環境を調査したり、個人情報をもとに、健康についても何でも相談できる雰囲気をつくり出したりすることが大事だと感じます。先生方も若干プライドが高い面もありまして、同僚よりも産業医のアドバイスは的確に伝わるケースが多いです。
 健康診断結果や在校時間データをもとにして、産業医が教職員と面談し、早期発見、早期治療へのアドバイスを行い、メンタルヘルスの改善を図ることが大事であると思っております。
 そして、この六百を超えた数が、五百、四百、三百と少なくなることを期待しております。
 次に、学校における働き方改革について質問いたします。
 学校における働き方改革について、先般、都教育委員会は、学校における働き方改革の成果と今後の展開を公表いたしましたけれども、改めて、学校現場の現状についてどう認識しているのか、最初にお伺いいたします。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 学校における働き方改革の目的は、教員の心身の健康保持やライフワークバランスを充実させ、誇りとやりがいを持って職務に従事できる環境を整備することで、教育の質の向上を図ることでございます。
 また、現職教員の負担軽減とともに、都の教員を志す人たちから見た学校職場の魅力を高めることにもつながり、教育の質の向上に大きく寄与すると認識しております。
 都教育委員会はこれまで、ICTの活用や専門スタッフの配置等を推進し、教員の在校時間の状況には一定の改善が見られてはおりますが、今後もさらなる取り組みが必要と考えております。

○のがみ委員 学校現場では、新たな課題が次々と出てきておりまして、教員は、限られた時間の中で、子供たちの教育にとって真に必要なことに優先的に時間を割くことが必要であります。
 そうした時間を生み出すためには、教員の意識を変える必要があると考えますが、いかがでしょうか。

○黒田人事企画担当部長 教員の働き方を見直すためには、まずは学校において、勤務時間管理の徹底を図ることが必要であります。
 都立学校においては、既にカードシステムを活用した在校時間の客観的な把握を行っておりまして、小中学校についても適切な在校時間の把握ができるよう、区市町村への支援や働きかけを行っております。
 在校時間の客観的な把握を契機といたしまして、教員一人一人の意識醸成を図り、学校閉庁日等の取り組みを活用しながら、業務改善や時間の使い方を意識した働き方の実践を促してまいります。

○のがみ委員 カードシステムを早目に導入している赤坂中学校を視察させていただきました。
 これで、データで、どの先生がどれぐらい長く残っているかというのが一目瞭然でわかるわけです。余りにも長く残っている先生には、早く帰らないとだめだぞと怒るのではなく、優しく声をかけて、健康はどう、仕事は大丈夫とか、そういうふうにストレスにならない言葉がけをしながら、早く帰ってもらうような促しをしているそうでございます。
 教師の仕事というのは際限がないんです。幾らでもやろうと思ったらたくさんあって、子供たちのために、これもつくろう、あれもつくろう、この資料もつくろうとか、すごいいっぱい、それが楽しくできるんですね。資料づくりは楽しいんです。
 だけれども、はたから見ると長時間ずっと残っているというのは大変だろうなというふうなこともありますので、ある程度の時間管理を自分でやりながら、楽しく学校生活、子供たちと一緒に生活をしていけるようにしていきたいと思っております。
 次に、新規事業で「学びの基盤」プロジェクトの取り組みについてお伺いいたします。
 未来を担う人材の育成の中で子供を伸ばす教育の推進の中に「学びの基盤」プロジェクトというのがあります。これ、〇・二億円組まれておりますけれども、この具体的な取り組みについてお伺いいたします。

○宇田指導部長 昨年八月の総合教育会議における読解力向上をテーマとした議論を踏まえまして、十一月に、AI時代を見据え、社会人としてよりよく生きていくことができる力の育成を目的として、「学びの基盤」プロジェクトを立ち上げ、読解力と、みずから学ぶ力の二つのワーキンググループを設置いたしました。
 このプロジェクトでは、生徒の学びのつまずきや理解の仕方に注目し、必要な支援や指導のあり方について研究するとともに、ワーキンググループにおいて、有識者の知見を得ながら、社会生活を送る上で必要な読解力を高める指導と、生徒が社会とのかかわりや学ぶ意義を理解する指導について研究いたします。
 今後、来年度から三年間にわたり研究協力校として指定した都立高校六校における実践的な研究を通して、指導方法や教材を開発し、広く他の都立高校にも普及するとともに、区市町村教育委員会にも研究成果を情報提供してまいります。

○のがみ委員 教育プログラムの開発、実践、実証を実施するということでございます。
 来年度から三年間にわたり六校の研究協力校における研究をする。そして、指導方法や教材を開発し、その開発したものをほかの都立高校にも普及させていくと。
 そして、高校だけではなく、区市町村教育委員会にも情報提供していくという研究です。昔はこうした研究とか開発とか研究員とか、いろいろやっていたんですけど、今ちょっとどうなっているかよくわからないんですけれども、そういう制度はまだ今あるのかどうかわからないんですけど、質問しません。ぜひ研究した成果を広く普及していただければと思います。
 次に、進学アシスト校について質問いたします。
 これは、予算は六百万円の新規事業でございます。
 都立高校では、来年度から、生徒の大学等への進路実現に向け、進学アシスト校を設置すると聞いておりますが、その取り組みについてお伺いいたします。

○宇田指導部長 生徒の進路希望が大学や専門学校、就職など多岐にわたる、いわゆる進路多様校におきましては、指導の重点が基礎学力の定着や基本的生活習慣の確立に置かれることがありまして、大学進学を目指す生徒の資質、能力を伸ばす指導をこれまで以上に充実させることが求められております。
 そのため、都教育委員会は、来年度から三年間、進路多様校の中から進学アシスト校を二校指定し、進学実績の向上を図る取り組みを進めてまいります。
 この指定校では、予備校や学習塾等での講師経験のある外部人材を活用し、放課後や休日等に大学進学を希望する生徒を対象にした講座を開設し、大学進学に向けた意欲の維持向上を図るとともに、学力を着実に伸長させてまいります。

○のがみ委員 とりあえず、ことしは進学アシスト校二校ということで、その二校がうまくいきましたら、さらに広げていっていただきたいと思っております。
 さまざまな都立高校がありますけれども、大学を目指して頑張っていこうという生徒が、ぜひ進学することができる取り組みに期待をしております。
 次に、ビジネスアイデアについて質問させていただきます。
 これは〇・一億の新規事業でございます。
 商業高校におけるビジネスアイデアの取り組みについてお伺いいたします。

○宇田指導部長 今年度、都立商業高校第一学年の生徒たちは、科目、ビジネス基礎において、都独自の教科、東京のビジネスを用いて、東京で日々展開されているさまざまなビジネスを学んでおります。
 来年度は、この内容をもとに、都独自の科目、ビジネスアイデアを学習いたします。このビジネスアイデアは、企業や地域と連携した市場調査や商品企画などを通して、マーケティングに関する知識と技術を習得するとともに、新たなビジネスモデルを提案する能力を育むことを目的としております。
 これまで都教育委員会は、ビジネスアイデアの指導が円滑に実施されますよう、先進校の年間指導計画をもとに、各校が協力して指導方法や教材を開発する場を設定するなど、授業内容の充実に向けた支援を行うとともに、平成三十年七月に設置いたしました商業教育コンソーシアム東京を活用して、学校と企業等との連携を促進してまいりました。
 来年度末には、各校の代表生徒による学習の成果発表会を開催し、各校のすぐれた取り組みを共有するなどして授業内容の充実を図ってまいります。

○のがみ委員 次に、スクールカウンセラーの活用事業について質問させていただきます。
 平成二十五年に実施されて六年目になります。これは都議会公明党の提案で導入されました。導入までに大変な時間がかかりましたけれども、東京都教育委員会の英断で決定して、今日まで至っている事業でございます。
 まず最初に、平成三十一年度のスクールカウンセラー活用事業の事業規模についてお伺いいたします。

○宇田指導部長 平成三十一年度予算において、全ての公立小学校等千二百七十八校、中学校等六百二十三校、高等学校等二百四十八課程にスクールカウンセラーを設置するために必要な経費約三十七億五千万円を計上しております。

○のがみ委員 三十七億五千万、毎年ですね。
 スクールカウンセラーの資格要件と、その状況についてお伺いいたします。

○宇田指導部長 スクールカウンセラーの資格要件は、臨床心理士、精神科医に加えて、心理学系の大学及び大学院における学部長、教授、准教授、講師、助教の職にある者、またはあった者としております。
 平成三十年四月一日現在で、都内公立学校に配置されているスクールカウンセラーは千四百十七人であり、その内訳は、臨床心理士が千四百十二人、大学教授等が五人であります。

○のがみ委員 都内公立学校における教育相談体制をさらに充実させていくためには、スクールカウンセラーの資質の向上を図る必要があると考えます。
 さらに、スクールカウンセラー同士で情報共有を図るべきであるという声も聞きますけれども、都教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。

○宇田指導部長 都教育委員会はこれまで、都内の全公立小中高等学校の校長を対象とした連絡会において、具体的な事例や資料等を用いながら、スクールカウンセラーの専門性を生かした効果的な活用のあり方等について周知してまいりました。
 また、スクールカウンセラーを対象とした協議会を開催し、スクールカウンセラーが学校の課題に応じて教員に的確な助言ができるよう、問題行動の原因の分析や解決方法の事例研究等を通して、対応力の向上に取り組んでまいりました。
 今後は、この協議会において、スクールカウンセラーと教職員との望ましい連携のあり方等に関して、経験の豊かな校長からの講話を新たに取り入れるとともに、スクールカウンセラーが互いに情報交換や協議を行う場を一層充実させるなどして、スクールカウンセラーの資質の向上をさらに図ってまいります。

○のがみ委員 ちょっとある事件がございまして、スクールカウンセラーが、相談をしていたお子さんが自殺をしてしまったという事件がありました。
 そして、そのスクールカウンセラーが、校長先生にいろいろ話をしたんだけれども、一切無視をされたという経緯がございました。やっぱりスクールカウンセラー同士、そして、教職員とスクールカウンセラー、さまざまな連携を持ちながら、子供のためにしっかりと仕事をしていくことが大事じゃないかと思っておりますので、今後とも、スクールカウンセラー、また部屋の中でじっとしているんじゃなくて、何かあったとき、必ずアウトリーチで現場に出かけていくとか、そういったこともしっかりとやっていただきたいと思っております。
 次に、Tokyoスクール・コミュニティ・プロジェクトについて質問いたします。
 教育庁は、来年度、Tokyoスクール・コミュニティ・プロジェクトを実施すると聞いております。スクールコミュニティとは、学校を地域交流の拠点に位置づけるという考え方でございます。
 身近な地域の中で、子供から高齢者まで、多世代にわたる交流の場を設ける上で重要な役割を果たすのが地域コーディネーターでございます。
 Tokyoスクール・コミュニティ・プロジェクトのメニューの一つに、統括コーディネーターの設置促進を掲げておりますが、その趣旨と内容についてお伺いいたします。

○太田地域教育支援部長 地域と学校の連携、協働を進めていく上で核となる存在が地域コーディネーターであり、地域で人々のつながりをつくることにより、学校支援ボランティアのネットワークづくり、企業やNPOが実施する教育プログラムを学校の教育活動や放課後活動に導入する等の役割が期待されています。
 しかし、このような人材を地域で確保することは容易なことではなく、地域コーディネーターを計画的に養成、確保する仕組みをつくることが重要でございます。
 都教育委員会は、地域コーディネーターへの助言とともに、コーディネーター間の連携を促進する役割を担う統括コーディネーターを区市町村単位で配置することを通じ、身近な地域での学校との連携、協働が促進されることを目指しております。

○のがみ委員 地域の中で多様な人々のつながりをつくるということはとても重要なことであります。
 その一つに、異年齢の子供たちが一緒に学び、遊ぶ機会をつくることが不可欠であります。
 このプロジェクトでは、放課後子供教室の充実を掲げておりますが、その狙いについてお伺いいたします。

○太田地域教育支援部長 放課後子供教室は、放課後等の学校の余裕教室等を活用し、地域の人々の協力により、子供たちにさまざまな体験活動などの機会を提供する取り組みでございます。
 このため、都教育委員会は、平成三十一年度から、放課後子供教室における異年齢や異世代間交流等の充実を図るため、新たな取り組みを展開してまいります。
 具体的には、放課後子供教室を学童クラブの開設日数と同程度の二百五十日以上実施し、学童クラブとの一体型を推進する区市町村に対して運営費の都独自補助をしてまいります。
 さらに、NPO等、専門人材を活用した活動プログラムを放課後子供教室で展開する取り組みなども実施してまいります。

○のがみ委員 今までも江戸川のすくすくスクールとか、葛飾のわくわくチャレンジとか、いろんな区でさまざまな事業をやっておりますけど、それをもう少し広く展開したものと考えていいんですよね。
 もう一つ、六九ページにあるんですけど、このプロジェクトでは、高齢者の社会参加を促進する取り組みといたしまして、コミュニティハウスを設置するというふうに書いてあるんですけれども、その趣旨についてお伺いいたします。

○太田地域教育支援部長 地域の交流拠点としての学校機能を向上させるため、学校の敷地内にコミュニティハウスをモデル的に設置するものでございます。
 コミュニティハウスでは、元気高齢者の社会参加や居場所づくりを進めるための生涯学習講座や地域交流の取り組みを実施するとともに、地域住民による学校支援活動や放課後活動の支援に取り組んでまいります。
 このことを通じて、高齢者を初め、地域住民、保護者、NPO、企業等の幅広い人々等の参画を得て、地域全体で子供たちの学びや成長を支える取り組みを学校を拠点に活性化させることを目指してまいります。

○のがみ委員 一カ所、まず最初につくるようですけれども、この地域交流拠点のコミュニティハウスが大成功することによって、またそれぞれの区でもこうした取り組みが進んでくるのではないかと思っております。
 次に、英語スピーキングテストについて質問いたします。
 東京都教育委員会は、二〇二二年入学の都立高校入試英語に、話す能力をはかるスピーキングテストを導入するとのことでございます。
 今までの都立高校入試では、英語の読解と記述とヒアリングの三技能の試験でございました。中学の英語の学習指導要領は、読む、聞く、話す、書くの四技能を学ぶように求めているんですけれども、今の都立高校の入試の英語では、話すという能力は、なかなかはかれないものでございます。
 東京都中学校英語スピーキングテストについて、試験の実施方法など、試験の仕組みについて、まず最初にお伺いいたします。

○藤井指導推進担当部長 都教育委員会は、民間の資格検定試験実施団体と協定を結び、都教育委員会の監修のもと、新たに開発するスピーキングテストを活用して、中学生の話すことの能力を把握してまいります。
 このテストは、中学校における学習の成果をはかるために、中学校学習指導要領に準拠した内容を出題いたします。
 また、生徒一人一人がヘッドホンとマイクを使い、タブレット等の端末からの音声による出題に対し、回答音声を録音する方式で実施いたします。
 今後、検定料に対する経済的支援策や、特別な配慮を要する受検者に対する特別措置など、試験の公平性を確保する仕組みを構築してまいります。

○のがみ委員 確かに使える英語が大事であって、外国人とのコミュニケーションも大変重要になってきます。将来的には英語を使って諸外国を相手にグローバルに仕事をする、ばりばりと仕事をする、日本の国を牽引するというイメージがございます。
 今の説明だと、ヘッドホンとマイクを使い、多分、タブレット端末に回答を録音するんですかね、録音してやるということでございます。
 今までもヒアリングテストで結構音声トラブルとかあったんですけれども、このスピーキングも、大変受検人数も多くて手間がかかると思います。負担が大きいと、やめた自治体もあると聞いておりますから、しっかりと事前の準備をして、サステーナブルでお願いいたします。長く続くようにお願いいたします。
 オリ・パラ教育について質問させていただきます。
 オリンピック・パラリンピック教育についてお伺いいたします。
 これまでオリンピック・パラリンピックは、開催都市と国に大きな社会変革をもたらし、とりわけ若者や子供たちを鼓舞し、勇気と感動を与えてきました。東京二〇二〇大会も、子供たちの変革にとって、またとないチャンスでございます。
 現在、東京都では、オリンピック・パラリンピック教育を都内全ての公立学校において展開しておりまして、その内容は多岐にわたるものとなっております。
 東京二〇二〇大会まで残り五百日を切りましたが、東京二〇二〇大会に向け、本教育を引き続き充実したものとして実施していくことが重要であると考えます。
 そこでまず、オリ・パラ教育のこれまでの成果についてお伺いいたします。

○藤井指導推進担当部長 都教育委員会は、平成二十八年度から、都内の全公立学校において、子供たちにボランティアマインド、障害者理解、スポーツ志向、日本人の自覚と誇り、豊かな国際感覚の五つの資質の育成を目的として、東京都オリンピック・パラリンピック教育を展開しております。
 本教育を実施する中で、子供たちから、ボランティア体験により人の役に立つことの大切さがわかった、留学生との交流を通じて世界の国々への興味、関心が高まったなどの声が聞かれております。
 また、教員からは、障害者の方と接することで、子供たちが相手の立場に立った態度や行動をするようになった、さまざまな体験活動により、子供たちが自分自身の生き方について深く考えようとするようになったといった声が寄せられるなど、子供たちが今後の人生の糧となる資質、能力を数多く身につけていると捉えております。

○のがみ委員 パラリンピック競技の体験活動を通じて、都内の学校と全国の学校との交流を深めるべきと考えます。
 特に被災地各地の子供たちが次代を担う人材として、東京の子供とともに、互いに成長し合えるような取り組みをすることが重要であると考えます。
 都教育委員会は、今年度、都内の学校と他県の学校が連携したパラスポーツ体験交流を実施していますが、その内容や実績はどのようなものか、また、今後の取り組みについてお伺いいたします。

○藤井指導推進担当部長 都は、全国のパラリンピック教育をリードする役割を期待されていることから、今年度、都教育委員会は、都内区立中学校と修学旅行で東京を訪れた被災地の中学校とのパラスポーツ体験を通した交流を実施いたしました。
 両校は、事前にお互いの都市についてまとめたビデオを交換し、当日はボッチャ競技体験や昼食交流で交流を深め、事後においては、お互いの学校の様子を伝え合うなどの交流を続けております。
 都内の生徒からは、ビデオで見ていた相手に実際に会えるのが楽しみだった、このきずなが長く続いてほしいといった思いが聞かれ、被災地の生徒からは、ボッチャを初めて体験し、障害の有無に関係なく楽しめることがわかったなどの感想が聞かれております。
 今後、都教育委員会は、被災地等の交流校をさらにふやし、パラスポーツをともに体験するなどの交流を通して、障害者理解の一層の促進を図るとともに、他者を尊重し、ともに認め合う心を育む機会の拡充を図ってまいります。

○のがみ委員 パラリンピック競技応援校の指定を行っておりますけれども、その内容や実績はどのようなものなのか、また、今後の取り組みについてお伺いいたします。

○藤井指導推進担当部長 都教育委員会は、子供たちが障害者スポーツ競技の観戦や体験、また、ボランティア活動等を通して障害者理解を深めることを目的として、平成二十九年度からパラリンピック競技応援校の指定を行い、平成三十年度は小中学校二十校を指定いたしました。
 これらの応援校からは、相手への思いやりや配慮があれば、お互い楽しく生活ができると多くの子供たちが気がついた、子供たちにとっても、教員にとっても、障害者スポーツが身近なものとして感じられ、パラリンピックへの興味や関心が高まったなどの報告を受けております。
 平成三十一年度は、応援校の指定の対象を高校と特別支援学校に広げ、新たに三十校を指定し、障害者理解を促進するとともに、障害者スポーツの振興を図ってまいります。

○のがみ委員 次に、がん教育についてお伺いいたします。
 かねてから私は学校におけるがん教育の重要性を指摘してまいりました。文部科学省は昨年度、公立学校におけるがん教育の実施状況を把握するための調査を行ったと聞いております。
 東京都の公立学校では、がん教育がどの程度の割合で、どのように実施されているのか、また、学校医、がん専門医、がん経験者等を外部講師として活用している事例はどれぐらいあるのかについてお伺いいたします。

○太田地域教育支援部長 平成二十九年度の文部科学省の調査では、都内公立学校でがん教育を実施した学校は千三百四十二校、約六〇%でございました。
 実施方法につきましては、小学校、中学校及び高等学校のいずれの学校段階でも九〇%以上が体育、保健体育の授業で行っておりました。
 また、がん教育を実施した際に、外部講師を活用したと回答した学校は二百十四校で約一六%でございました。

○のがみ委員 実態として六〇%の学校でがん教育を実施していた。そのほとんどは体育の先生の授業において教員が行っていたと。
 がんについて専門的知見を有している外部講師を活用したがん教育を実施している学校は、まだ一六%ということで、それほど多くないこともわかりました。
 今後、都は、外部講師を活用したがん教育をどのように計画的に進めていくのかお伺いいたします。

○江藤都立学校教育部長 都教育委員会は、平成三十年度に、外部講師として対応可能ながん専門医や、がん経験者等が所属するがん診療連携拠点病院や患者団体等の窓口リストを策定いたしました。
 外部講師を活用したがん教育を円滑に進めるため、このリストを用いて、希望する都立学校への外部講師派遣に係る調整を開始したところでございます。
 また、区市町村教育委員会におきましても、このリストをもとに外部講師の派遣依頼の準備を行っております。
 今後、都教育委員会は、都医師会等と連携し、外部講師のさらなる確保に引き続き取り組んでまいります。

○のがみ委員 外部講師には、事前に学習指導要領上の留意点、教育上配慮すべき事項など、共有する研修の実施が必要だと思っております。
 今後、都は、がん教育に携わる外部講師をどういうふうに育成していくのかについてお伺いいたします。

○江藤都立学校教育部長 都教育委員会は、がんについて知見を有しているものの教育の専門家でない外部講師が、学校において効果的にがん教育を実施できるよう、都医師会等と連携し、指導資料の作成や研修会の実施等を計画しております。
 研修会では、指導資料の使用方法、学校との事前の打ち合わせの重要性や、児童生徒への配慮事項等を確認するとともに、実際の授業をイメージできる動画を活用することを想定しております。
 これらにより、がん教育を通じて、児童生徒ががんについて正しく理解し、健康と命の大切さについて主体的に考えることができるよう、今後も取り組みを進めてまいります。

○のがみ委員 一度がん教育を受けた子供たちは一変して、たばこを吸っている父親に、お父さん、早くたばこやめてよ、長生きしてほしいからというふうに一言いうと、お父さんはたばこをやめたといういい例もあるそうでございます。
 最後に、新財団の平成三十一年の予算、約五億円の内容についてお伺いいたします。

○谷企画調整担当部長 平成三十一年度には、財団法人の設立と、事業の実施準備を行う見込みでございます。
 そのために、まず、基本財産に充当する出捐金として約一億九千万円を予算に計上しております。
 このほか、財務会計システムや平成三十二年度に利用開始を目指す人材バンクの登録制度構築などの費用等、事業実施準備のための経費約一億三千万円、財団の人件費や事務所経費として約一億八千万円を計上しております。

○のがみ委員 新財団は、多角的な学校支援をしていくということでございますけれども、平成三十一年の準備内容についてお伺いいたします。

○谷企画調整担当部長 新財団では、外部人材の安定的確保、教員サポート、学校の事務センターの三つの機能により学校を支援する予定でございます。
 外部人材の安定的確保の面からは、人材バンクの開設に向け、企業や大学、学校を支援するNPO法人などの関係団体に対しまして緊密な連携を働きかけ、ネットワークを構築していくとともに、効果的な広報の手法等を検討してまいります。
 また、教員サポートの面からは、専門外の懸案事項の相談窓口の設置に向け、学校から相談がしやすい仕組みづくりや、速やかに対応可能な体制づくりなどの検討を進めてまいります。
 さらに、学校の事務センターの面では、学校や学校経営支援センターの事務のうち、集約して実施することで効果的な執行が可能となる事務の精査を教育庁内の検討組織において行うなどによりまして、財団での実施について具体化してまいります。

○のがみ委員 この人材バンクは、学校に対してどのように人材を紹介するのかお伺いいたします。

○谷企画調整担当部長 人材バンクにおきましては、まずは学校が必要とする人材像を把握した上で、面談などにより適切な人材であるか見きわめてまいります。
 このようにして、学校が安心して活用できる人材の情報提供を進めてまいります。
 また、学校は、人材バンクからの情報を踏まえつつ、紹介された方と勤務の条件等を確認し、契約などの手続を行うことになります。
 なお、本件人材バンクは、学校の人材探しの労力が縮減できるよう、人材の情報を提供するものでございまして、現時点では、いわゆる人材派遣を行うことは想定しておりません。

○のがみ委員 学校にとりましては、使い勝手のよい人材紹介の仕組みとするべきだと考えておりますけれども、そのための工夫についてお伺いいたします。

○谷企画調整担当部長 人材バンクが紹介する人材には、学校での活動に当たり、児童生徒への接し方など、教育現場ならではの踏まえてほしい留意点がございます。
 そのため、新財団では、学校での活動前に事前研修を行うなど、外部人材が速やかに学校で活躍できるよう支援を行います。
 また、どのような形で学校の教育活動等に携わったのか、その結果を把握し、同様の要望が学校からあった際に、より質の高い支援となるよう改善を検討してまいります。
 これにより、紹介した方と学校の双方にとって有益な人材バンクとしてまいります。
 こうした工夫により学校の負担を軽減しつつ、人材の活躍を一層推進し、あわせて教育の質の向上を目指してまいります。

○のがみ委員 今、私の同僚とか、元校長をやっていたり、副校長をやっていた人の一番の悩みは、出産ラッシュで産休代替教員を探すことが大変難しい、苦労していると。
 現在、都教委は、このことに対して学校に人材情報を提供しているのか、そしてまた、新財団において人材を紹介することはあるのかについてお伺いいたします。

○安部人事部長 産休、育休代替教員は、年に一回、選考を実施し、採用候補者として名簿を持っております。
 また、この名簿の登載者が不足する事態に備えまして、都教育委員会のホームページで、教職経験者や教員を目指している人材に向け、常時、産休、育休代替教員の希望者を募集しております。
 都教育委員会は、これらの人材情報について、適宜、区市町村教育委員会や都立学校に提供しております。
 こうした産休、育休代替や新規採用などの教員は、学校を構成する基本的な人材でありますことから、その確保については、選考などのノウハウを有している東京都教育委員会において一体的に取り組むことが有効であると考えております。

○のがみ委員 最後です。
 ということは、新しい財団の中では、そういう産休代替教員、人材を紹介したりすることはやらないということになっているそうでございますので、財団が開始するのがあと二年後ですよね、そうしたら、もし一番ニーズの高いそういう希望のあるところは、ぜひ紹介とかも含めて考え直していただければ、現場の先生たちもとても助かるのではないかと思いますので、どうぞ検討の方、よろしくお願いいたします。
 以上で終わります。

○とや委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間の休憩をいたします。
   午後二時五十七分休憩

   午後三時十五分開議

○とや委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○菅野委員 それでは、私の方から、まずは今回の教育庁における新財団の設立に関連してお聞きしたいと思います。
 新財団につきましては、学校をきめ細かくサポートする全国初の多角的支援機関というようなことで、大いに期待をするものであります。そこで、新財団の機能などについて二、三質問させていただきたいと思います。
 近年、学校現場では、さまざまな団体や地域の方々、PTAの皆様など、教員以外の方々に学校を支援していただけるようになってきました。こういった方々と学校やその先生方が子供たちや学校の現状、教育課程の状況などを踏まえ、うまく連携できている学校は、さまざまな教育課題にも積極的に取り組みやすいようであります。
 一方で、支援のチームをうまくつくれないと教員に負担が集中しがちになってしまいます。また、場合によっては、連携していただいてチームをつくるために、学校が求めている支援内容を理解してもらうこと自体に多大な負担がかかってしまうということもあるかと思います。
 多様な外部人材を確保することが新財団の機能の一つになっていますが、財団の人材バンクが外部人材の確保に苦労している区市町村や学校をしっかりと支援して、学校が必要とする人材が活躍できるようにすることへの期待というのがやっぱり大きいかと思います。
 新財団については、先日の本会議における我が党の代表質問でも質問いたしましたが、その際、新財団が実施する人材バンクは、区市町村の希望や状況を踏まえた上で、必要な区市町村に対し、不足することなく、人材をきちんと確保できる見込みを立てて進めるべきであると指摘をさせていただきました。
 今後、人材バンク事業を具体化するに当たり、区市町村教育委員会や学校と緊密に連携し、必要とされる支援にしていくことが重要であるかと思います。どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○谷企画調整担当部長 予算案の公表を踏まえまして、現在、区市町村教育委員会の教育長会や各校種の校長会等に対しまして、教育の新財団について説明を行っております。
 さらに今後、区市町村教育委員会等を訪問いたしまして、必要とされる支援の具体的内容や方法について意見交換することも予定しております。
 また、各事業の実施に当たっても、教育長会や校長会等に周知し、その意見も踏まえて進めていく予定であります。
 これらを通じまして、学校現場が望む支援となるよう、新財団の事業内容を具体化してまいります。

○菅野委員 区市町村教育委員会や学校の意見を踏まえて進めていくということですけれども、教育委員会や学校によって状況はさまざまであります。広域行政を担う都として個々の状況を把握し、きめ細やかな対応をしてもらいたいと思います。
 ところで、新財団の人材バンクは、学校や子供たちのためにさまざまなふさわしい人材を数多く紹介していく必要があり、そのために新たな取り組みが求められていると考えます。
 現在も都教委は人材バンクを実施しているようですが、新財団における人材バンクは何が異なるのか伺いたいと思います。

○谷企画調整担当部長 現行の人材バンクは、放課後の学習支援などに従事する無償のボランティアを対象としております。
 新財団の人材バンクでは、無償ボランティアに加えまして、必要な労働局の許可などを取得した上で、有償の人材にも対象を拡大する見込みでございます。
 学校が雇用間契約を締結する人材も新たに対象とすることで、紹介が可能な人材を量と質の両面から充実してまいります。

○菅野委員 今回、新たに労働局の許可も取得した上で有償の人材にも対象を拡大するというようなことで人材の対象が広がり、量と質の両面から充実が図られるということを伺いました。新しい取り組みに大いに期待をしていきたいと思います。
 次に、学校の事務センター機能の学校施設の維持、修繕についても伺いたいと思います。
 学校施設は、子供たち一人一人が将来の夢の実現に向けて具体的に活動する場として重要な役割を担っています。子供たち一人一人の発達段階に応じて教育活動が展開される場所ですから、子供たちがゆとりと潤いを持って、安全かつ快適に過ごすことのできる場でなければなりません。また、地域の住民にとっては、避難所ともなる大切な場所です。
 これまで都教育委員会は、都立学校の施設維持管理業務については東京都住宅供給公社に委託をしていたところ、新たに設置する財団を活用しようとしていると伺いました。
 今後、学校の維持、修繕などについてどのように行っていくのか、都の見解を伺いたいと思います。

○江藤都立学校教育部長 都教育委員会は、都立学校の施設維持管理につきまして、品質を確保しながら、より一層効率的に進めていくために、新しく設置される財団を活用した施設維持管理業務を検討しております。
 新財団の活用に当たりましては、個々の学校の設備の用途に応じたきめ細やかな対応ができる体制を整えていきたいと考えております。詳細につきましては、今後、教育庁内の検討組織で検討する予定でございます。
 都教育委員会は、新財団と密接に連携して、今後とも、学校の修繕業務をしっかりと行ってまいります。

○菅野委員 学校施設の維持、修繕は効果的に、また迅速に修理するということがやっぱり重要でございます。決して遺漏なきように、しっかりと取り組んでいただきたいと思っております。
 この質問の最後に、新財団設立の効果について伺いたいと思います。
 新財団は、学校をきめ細かくさまざまな角度から支援する全国初の組織として設立すると伺いました。その意義は、教員が担うべき役割を踏まえた上で、教育の質の向上に寄与することにあります。
 では、新財団の設立により、教員や学校現場はどのように変わるのか伺いたいと思います。

○谷企画調整担当部長 教員は、授業や生活指導など、教員としての専門性が必要な業務のみならず、教員以外でも対応が可能な業務にも従事している実態がございます。
 新財団は、人材バンクにより学校が必要とする外部人材を紹介し、また、学校の課題解決に資するよう相談や助言を行い、これらにより教員の負担が軽減され、教員等は児童生徒の発達段階等を踏まえた学習指導や生活指導等に、より一層注力しやすくなると考えております。
 これに加え、多様な外部人材が活躍することで、教員とは異なる専門性や経験が活用され、教育の質の向上に寄与することになります。
 都教育委員会は、財団を活用した支援により、教員がその職責をより一層全うできるようにするとともに、学校が社会から期待される役割をしっかりと果たせるよう取り組んでまいります。

○菅野委員 まさに今、学校では、教員以外でも対応可能な業務に教員が従事しているという実態があって、そういったものの負担を少しでも軽減して、教員の方々が学習指導や生活指導、専門的な仕事にしっかりと注力しやすくする、それが大きな目的であります。
 学校は、東京の未来を担う子供たちを育てる大切な場であります。常に多くの期待が集まることを踏まえて、新財団が東京の学校教育の充実に貢献できるように、万全の準備をしていただきたいと思います。そのことをお願いして、きょうのところは次の質問に移りたいと思います。
 あわせて、今度は、学校マネジメント強化モデル事業について伺いたいと思います。
 今、国際化や情報化の急速な進展などによって、なかなか予見が困難な時代になっています。そういった中で学校では、これからの時代を生きる子供たちに必要な資質等を身につけさせるために、教育管理職による学校経営の役割がこれまで以上に大きくなってきていると思います。しかしながら、実際には、教育管理職の選考倍率は低迷しておりまして、校長、副校長のなり手不足が続いていると聞いています。
 都教育委員会は、教育管理職不足に対して、選考制度の改正による受験資格の拡大や副校長の処遇改善などの対応を行ってきていますが、さまざまな業務が集中する副校長の過大な勤務実態も教育管理職のなり手不足の一因であり、副校長への支援が必要であります。
 そこで、都教育委員会では、管理職確保に向けた取り組みとして、小中学校に学校マネジメント強化モデル事業を導入し、副校長の負担軽減を図っているところでありますが、改めまして、本事業による学校現場での効果を伺いたいと思います。

○安部人事部長 学校マネジメント強化モデル事業では、公立小中学校のうち、平成二十九年度は十二校、平成三十年度からは百二十校に副校長を直接補佐する非常勤職員を配置し、副校長の負担軽減について効果検証を行っております。
 非常勤職員を配置した学校では、副校長が担ってきた業務のうち、調査対応など必ずしも副校長本人が行う必要のない業務を非常勤職員が分担することにより、副校長は、教職員への指導助言など、本来の業務に集中することができ、勤務時間も縮減されるなどの効果が確認されております。
 このことは、副校長自身の仕事のやりがいを高めることにつながっているだけでなく、一般教員においても副校長職のイメージ向上に役立っていると聞いております。

○菅野委員 本事業の対象となっている小中学校では、副校長の在校時間が縮減されただけではなくて、副校長自身のモチベーション向上にもつながっていると伺いました。引き続き事業の効果検証を続け、副校長の負担軽減をぜひ進めていただきたいと思います。
 一方で、都教育委員会の勤務実態調査によれば、副校長に業務が集中している状況は、都立の高校や特別支援学校などにおいても同様であり、小中学校だけではなく、都立学校においても副校長の負担軽減に向けた取り組みが必要であるかと思います。
 そこで、都教育委員会は、来年度、本事業を都立学校十四校に展開していくとのことでありますが、導入に当たっては、小中学校とは異なる都立学校の特性も十分考慮しながら効果検証を行うべきであるかと思います。
 本事業をどのように都立学校に導入し、効果を検証していくのか、見解を伺いたいと思います。

○安部人事部長 教育管理職を確保していくためには、小中学校だけでなく、都立学校においても多忙な副校長の負担を軽減し、職の魅力を高めていくことが重要でございます。
 都立学校においては、小中学校の副校長とは業務実態が異なる部分もあり、高等学校、特別支援学校、中等教育学校など、それぞれの学校種において実証的な検証が必要でございます。
 都立学校十四校でのモデル実施に当たっては、例えば幅広い授業展開を行う単位制等の多様な教育課程や、職員数、生徒数の多さなど、小中学校にはない都立学校の特徴にも着目しながら、副校長の負担軽減に資する効果的な活用について検討を進めてまいります。

○菅野委員 都立学校においても、今後、ぜひこうした取り組みによって副校長の職の魅力を向上させ、優秀な教育管理職の確保につなげていっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、次に、オリンピック・パラリンピック教育のレガシーについてお聞きしたいと思います。
 東京二〇二〇大会本番まで五百日を切りました。オリンピック・パラリンピック教育についてもさらに加速させ、総仕上げを行うべき段階であります。
 私の地元港区は、在京大使館などが多くありまして、外国人と触れ合う機会も多くあることから、各学校においては、特にさまざまな国際交流を通して子供たちに豊かな国際感覚を育むことを進めています。また、オリンピック・パラリンピックの各種競技会場も比較的近くにあることから、子供も大人も地域全体が東京二〇二〇大会への関心を高めているところであります。
 しかしながら、在京大使館や競技会場などが近隣にない環境であっても、保護者や地域と連携したオリンピック・パラリンピック教育をしっかりと展開している学校もあるとお聞きしています。
 そこで、そのような学校では、これまでどのような取り組みが行われてきたのかを伺いたいと思います。

○藤井指導推進担当部長 学校が実施するオリンピック・パラリンピック教育において、保護者や地域住民の積極的な参加や協力を得ることは、活動の質を高め、広がりを持った創意工夫ある活動を展開していく上で有効でございます。
 こうした活動の例として、学校と保護者、地域住民が協力して、不用となった衣服を回収した後、専門業者に売却し、その利益をパラスポーツ競技団体に寄附するというプロジェクトに取り組んでいる学校がございます。
 また、地域の高齢者とボッチャを通して交流を図る学校も近年増加しております。高齢者からは、子供たちとのかかわりから今まで知らなかったボッチャという競技の魅力を理解することができたなどの声が寄せられております。
 こうした学校、家庭、地域が一体となったオリンピック・パラリンピック教育を通して、児童生徒に、ともに助け合い、支え合っていこうとする意識や態度が醸成されております。

○菅野委員 本当にさまざま、親御さんや地域の方々の工夫も含めてオリンピック・パラリンピックへのかかわり、また、その教育というものに対する取り組み方というのは、本当に多様なものがあるかと思います。そうしたもの一つ一つが子供たち、また地域やそういう人たちにしっかりとオリンピック・パラリンピック大会を契機に、新しいそういった気持ちを根づかせて、次のレガシーとして、そうしたスポーツだけではなくて、さまざまな取り組みを一緒になってやっていくことが地域のためになるんだということにつながっていくんだなというのがよく感じられるお話でした。
 オリンピック・パラリンピック教育は、二〇二〇大会、二〇二〇年でピークを迎えるかと思いますけれども、ぜひ大会終了後も各学校のレガシーとして、家庭や地域などと連携した取り組み、そうした取り組みが継続して行われるべきであると思います。
 そこで、都教育委員会は、各学校のレガシーとなる取り組みについて、今後どのように展開していくのか伺いたいと思います。

○藤井指導推進担当部長 都教育委員会は、東京二〇二〇大会以降のレガシーとして、ボランティアマインド、障害者理解、豊かな国際感覚の育成が特に重要と考えており、各学校では、これらの資質を育成する教育活動を学校二〇二〇レガシーと定め、平成三十一年度の教育課程に位置づけております。
 具体的には、児童会や生徒会を中心とした地域行事等への参加や運営の補助、障害者スポーツを通した近隣の特別支援学校との交流、国際協会等と連携した外国人や留学生等との交流など、地域等とのつながりを通してレガシーを構築していく取り組みを計画しております。
 今後、都教育委員会は、都内の全公立学校を対象としたオリンピック・パラリンピック教育連絡協議会において、学校、家庭、地域が一体となってレガシーの構築に取り組んでいるすぐれた実践例を周知するなどして、各学校におけるレガシーの構築を支援してまいります。

○菅野委員 ぜひそうしたさまざまな取り組み事例を、あと本当に五百日を切っておりますけれども、ぜひ大会まで、またその後にしっかりとしたレガシーを残すために多くの学校にも伝えて、同じような取り組みができればいいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、私からも、スピーキングテストについて伺いたいと思います。
 グローバル化が一層進展する中で、我が国においては、東京二〇二〇大会を契機に外国人との交流の機会が一層ふえると考えられます。こうした新たな時代において、早い段階から英語によるコミュニケーション能力を高めることが求められております。
 都では昨年九月に、TOKYO GLOBAL GATEWAYを開設し、英語での実践的な体験の場を提供するなど、これまで小学校から高等学校までの一貫した英語教育の取り組みを推進してきているわけです。
 二〇二〇年度からスタートする新たな大学入学者選抜方式、大学入学共通テストにおいても、英語は、読む、聞く、話す、書くという四技能で評価するということが挙げられています。今後は特に、そうした意味では話すことや聞くことの力を伸ばすことが重要となっています。
 こうした中で都教育委員会では、平成三十三年度に実施する都立高校入試から英語のスピーキングテストの結果を活用することを発表しています。
 そこで、都教育委員会がスピーキングテストを導入した背景について伺いたいと思います。

○藤井指導推進担当部長 中学校の英語の授業においては、聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの四技能をバランスよく指導することが重要でございます。
 一方で、都立高校入試の英語の問題において、話すことが評価されていないことにより、学年が進むにつれて話すことの指導に充てる時間が減少しているのではないかという指摘がございます。
 そのため、都教育委員会は、義務教育の最終段階において、学習指導要領で求められている英語の話すことの力が身についているかをはかるため、スピーキングテストを導入し、平成三十三年度から、原則としてその結果を都立高校入試に活用することとしております。

○菅野委員 都立高校入試でそうした話すことを評価することによって、中学校における英語の授業改善がさらに進んで、生徒の話す力が高まるのではないかと期待をしています。
 一方で、スピーキングテストは公立高校入試において全国的に極めてまれな取り組みであります。中学校教員の指導力への不安、また、生徒の塾通いがふえたりすることへの懸念が生じる可能性があります。
 そこで、英語スピーキングテストの導入に向けた準備や中学校などへの対応、支援について伺いたいと思います。

○藤井指導推進担当部長 都教育委員会は、平成三十三年度のスピーキングテストの都立高校入試での活用に向けて、来年度は都内公立中学校第三学年のうち約八千人を対象としたプレテストを、平成三十二年度には対象を都内公立中学校第三学年全生徒約八万人に拡大したプレテストをそれぞれ実施し、円滑な全面実施に向け準備を進めてまいります。
 また、中学校での授業における話すことの指導をさらに向上させるため、英語の指導法に関する研修を充実するとともに、平成二十九年度に都内全公立中学校に配布した、生徒の英語によるパフォーマンスを高めるためのDVD資料などの活用を一層促進してまいります。
 さらに、今後、英語の授業で活用できる話すことの練習のための動画や、生徒にとってモデルとなるスピーチを集めた映像等を独自に作成し、都内全公立中学校に配布することにより、英語科教員の授業改善を図り、生徒の話すことに関する力を伸長してまいります。

○菅野委員 スピーキングテストの導入は、そうした新たな話す力とか、実際に海外留学などを真剣に考えられているようなお子様にとっては、やっぱり向こうでしっかり授業についていけるというのは、本当に通常今までやっていたような日本の英語の力だけでは不十分であるかと思います。
 やっぱり英語で物が考えられるような、そうしたような訓練というか、そういうところまで将来的には望ましいのかなと思っておりますけれども、そういった意味では大変であろうかと思いますが、ぜひしっかりと各学校を支援していただいて、しっかりとした形でこれが進むように願っております。
 また、のがみ先生からもお話がありましたけど、かなり採点の負担がかかるんじゃないかなと。録音されるというふうに伺いましたけど、それを実際に採点する方の負担もかかるので、その辺、やっぱり持続性あるような形で続けていただくよう、しっかりと工夫をお願いいたしたいと思います。
 それでは、最後に、島しょ地区に在住する特別な支援が必要な生徒の保護者負担軽減について伺いたいと思います。
 これは秋の事務事業質疑でもちょっと私、触れさせていただきました。東京の島しょ地区は日本の最東端及び最南端を含む広大な海域に分布し、大島町から小笠原村までの約九町村で島民がそれぞれの生活を営んでいます。
 そうした中、教育環境に関しては、児童生徒が気軽に島々を行き来できる状況にはなく、多くは地元の学校で学んでいます。特別な支援を必要とする児童生徒についても、地元の学校に設けられた特別支援学級等で個々に応じた支援や指導を受けて学んでいますけれども、高校に進学する際には、知的障害がある場合など、本人の教育的ニーズなどに応える支援、指導を受けるために、本土の寄宿舎から通学して特別支援学校で学ぶ生徒がいらっしゃいます。
 児童生徒の帰省に際し、各島と本土の寄宿舎との間の送迎は保護者の負担となっており、その軽減を求めて、そのときは質問をさせていただいたわけですが、そのとき都教育委員会は、保護者のより一層の負担軽減について検討を進めていくと答弁をいただいております。
 そこで、その検討結果について伺いたいと思います。

○小原特別支援教育推進担当部長 島しょ地区の保護者の負担軽減を図るため、国の就学奨励事業では、島に帰省する生徒本人について年間三十九往復分、付添人については七十八往復分を限度に交通費を支給することとされております。
 ただし、本人が高校生で、肢体が不自由でない場合などは制度対象外として付添人の交通費は支給されておりません。この制度対象外の交通費につきまして、都教育委員会は、来年度から、都の単独事業として、実費相当額の全額を支給し保護者のより一層の負担軽減を図ることといたしました。

○米倉委員 私からは、まず初めに、性教育について伺います。
 現在、都教育委員会は、性教育の手引の改定作業をしていまして、今月末に新しい手引を発表するとしています。
 これまで我が党は、性教育について、現場の教員が子供たちの状況に合わせて創意工夫をしている取り組みを尊重すること、都教育委員会としては国際的な到達点に学び、現場の努力を支援することが重要だと求めてきました。性教育の手引改定に当たって、都教育委員会の基本的な考え方を改めて確認したいと思います。
 学校が性教育の授業に取り組むに当たって最も大切なのは、子供たちの状況や学習課題を一番把握している教員が、子供たちの課題に対応した教育ができる環境が保障されているということです。そして、年間を通して子供たちの成長、発達、さらされている情報に対応した取り組みが求められています。その中で、効果的に専門家などと協働していくことが重要です。
 ですから、現場の教員が目の前の子供たちの実態に応じた教育を行うことが重要で、そのためにも、都教育委員会は、現場教員の裁量、判断を尊重する立場に立つべきですが、いかがですか。

○藤井指導推進担当部長 学校における性教育は、校長の権限と責任のもと、指導計画に基づいて全教員の共通認識を図りつつ行う必要があると考えております。

○米倉委員 ちょっともう一度伺いたいんですけれども、現場の裁量、判断は尊重されるということなんですか。今の答弁、ちょっとよくわかりませんでした。(発言する者あり)ちゃんと答えてください。

○藤井指導推進担当部長 学校における性教育は、校長の権限と責任のもと、指導計画に基づいて全教員の共通認識を図りつつ行う必要があると考えております。
   〔「ちゃんと答えてる」と呼び、その他発言する者あり〕
   〔傍聴席にて発言する者あり〕

○米倉委員 いろいろ条件をつけられたわけですけれども、校長先生のリーダーシップですとか(「委員長、不規則発言してるよ、傍聴者」と呼ぶ者あり)、全教員の共通認識のもとということだったんですけれども(「委員長、答えなきゃ理事会だよ」「議事進行かけるよ」と呼び、その他発言する者あり)共通認識のもと取り組めるということです。
 子供たちの発達段階というものは、あらかじめ決められた段階があるわけではなく、社会的背景や環境の変化に対応して……(古賀委員「委員長」と呼ぶ)

○とや委員長 今、委員が発言をしております。

○米倉委員 必要なスキルを身につけられるようになることが大切です。(「ちゃんと対応しなきゃだめだってことだよ」「委員長が発言してるときに傍聴者が発言してるじゃないか」と呼ぶ者あり)

○とや委員長 あなたもしています。
   〔古賀委員「議事進行の動議」と呼び、その他発言する者多し〕

○米倉委員 ちょっと委員の皆さん、お静かにしていただけませんか。
   〔発言する者多し〕

○とや委員長 ちょっと待ってください。古賀委員。

○古賀委員 議事進行の動議は一人の提案で出せます。

○とや委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○とや委員長 では、速記を再開してください。
 古賀委員から動議が提出されましたが、皆さんにお諮りいたします。
 古賀委員の動議について、賛成の方、いかがでしょうか。
   〔「異議なし」「反対」と呼ぶ者あり〕

○とや委員長 古賀委員の動議に対して賛成の方、起立をお願いします。
   〔賛成者起立〕

○とや委員長 起立多数となりました。動議は成立しましたので、傍聴者の方はお静かに願います。
 以上です。
 議事を続けさせていただきます。(発言する者あり)静かにしてください。
 それでは、議事を再開させていただきます。

○米倉委員 子供たちの発達段階というものは、あらかじめ決められた段階があるわけではなく、社会的背景や環境の変化に対応して、必要なスキルを身につけられるということが大切です。
 ところが、この間の都教育委員会の対応は、大綱的基準である学習指導要領から逸脱してはならないとして、学校現場の性教育の取り組みを萎縮させてきたわけです。実際、教育委員会の大半の委員からも、現場を萎縮させないようにという発言が出ております。
 子供の実態を把握している教員の取り組みを保障し、むしろ支援する立場で努力するということが求められています。
 改めて確認をしますが、学習指導要領を超えた学習を学校は行えるということでよろしいですか。

○藤井指導推進担当部長 学校における性教育は、校長のリーダーシップのもと、全教員が共通認識し、全ての児童生徒に学習指導要領に示された内容を確実に指導するとともに、児童生徒の発達段階を踏まえ、学習指導要領に示されていない内容を含む指導を行う場合は、保護者の理解を得ながら、個別やグループ等での対応を行うことも必要であるというのが都教育委員会の基本的な考え方でございます。

○米倉委員 そもそも指導要領というのは、先ほど申し上げましたが、あくまで大綱的なものなのですから、全教員が共通認識がなければ取り組めないということ自体おかしいと思いますが、学校は学習指導要領を超える範囲について取り組めるということです。
 校長のリーダーシップなど強調されているんですけれども、そういうことを強調されること自体が現場の先生たちの萎縮につながりかねないというふうに思います。(発言する者あり)

○とや委員長 静かにしてください。

○米倉委員 性教育の中身の前提なんですけれども、性的指向、性自認、表現の性など、性にかかわる多様性や家族形態の多様性を前提とした学習内容にする必要があると思いますが、いかがですか。

○藤井指導推進担当部長 各学校においては、学習指導要領を踏まえ、自他を尊重する心の育成や望ましい人間関係づくりなどを、道徳や特別活動を初め全ての教育活動を通して計画的に推進しております。
 また、現在改定中の性教育の手引に、人権教育プログラムに掲載されている文部科学省の通知である性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等についての内容についても掲載する予定でございます。

○米倉委員 以前、性教育について質問させていただいたときにも指摘をさせていただいたんですが、改定前の性教育の手引には、異性への関心が高まる、異性への接近欲が強まったりするというふうな記載のみでして、小中高全ての段階で異性愛のみが前提となっています。やっぱり性の多様性が位置づいているとはいえません。
 もう一度伺いますが、こうした異性愛を前提とせず、多様性が前提となるべきですが、いかがですか。

○藤井指導推進担当部長 学校における性教育につきましては、一人一人の状況に応じて児童生徒の心情に寄り添い、丁寧に対応することが重要であると考えております。

○米倉委員 今のご答弁のとおりですと、異性愛のみに限るというような手引とならないということになると思いますので、そういうことでお願いをいたします。
 そもそもの性教育の前提として、男女平等ですとか男女共同参画社会を醸成していくものとなることも当然求められています。これまでの手引では、中学校段階では、例えば家庭や社会における期待される役割や、男として、または女として、自己の将来の生き方について考えられるようにするですとか、近年、男女の身体的、心理的違いを無視した平等化を求める傾向が一部に見受けられるが、男性あるいは女性としての特性に基づく指導が重要であるですとか、高校段階でも、男女ともに性の違いによる望ましい役割を理解するというような記載があります。
 男女共同参画社会基本法が、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は緊急の課題になっているとうたっているもとで、手引の中身は、やっぱりそれに沿っているというふうには読めません。法の趣旨に沿うものに改めるということを強く求めておきます。
 性に関する教育は、年間の学習計画に位置づけて計画的に児童生徒の課題を踏まえた取り組みとすることも重要ですが、いかがですか。

○藤井指導推進担当部長 学校における性教育は、これまでどおり校長のリーダーシップのもと、全体計画や年間指導計画に基づき全教職員が共通認識し、全ての児童生徒に学習指導要領に示された内容を発達段階に即して組織的、計画的に指導することでございます。
 なお、学習指導要領に示されていない内容を含む指導を行う場合は、保護者の理解、了解を得ながら、個別やグループでの対応を行うことも必要と考えております。

○米倉委員 性教育の努力で注目をされた秋田県に私も行って直接お話を伺いました。
 秋田県は、医師を学校に派遣し、性教育を行う外部講師がメディアでは注目をされました。ですが、実際に県に行ってお話を伺いますと、県として大事だというふうに実践して考えているのは、ステップアップ性に関する指導というものをつくることでして、これは各学年ごとに学習指導、保健指導、生徒指導、つまり、学校での教育活動のあらゆるものを関連させて、中学校、高校の三年間で何を子供たちが獲得できるようにするかという横断的な取り組みだと話をされました。
 実際の学校の取り組みを見せていただきました。例えば、ある高校の一年生では、六月に保健で感染症とその予防について取り組みます。七月には性感染症エイズとその予防について授業で学びます。そして同じ七月に、全学年対象に助産師を講師に性教育講座を受け、さらに保健だよりでも性感染症について取り上げるとなっています。六月、七月で体の理解、性感染症の理解などが定着するようにと、そして教科の学びと外部講師、さらに保健だよりも活用するという取り組みとなっています。
 ここで重要なのは、養護教諭や保健体育の先生任せにせず、学校全体の取り組みであるということです。だからこそ、外部講師を招く学びでも、その到達点で活用することが深まっているということです。
 この取り組みは、秋田県の十代の人工妊娠中絶率が高くなっていたことをきっかけに、県の教育委員会が旗を振って進めたことで全県的な取り組みとなりました。初めのころは教育委員会が年間の計画の提出を求め、同時に教育委員会は、参考になる事例を冊子にまとめて各校に配布し、取り組みを支援してきました。
 ここ数年は、各校での年間計画づくりが定着したということで、計画書の提出は求めていないということですが、基本的に教育委員会がやることは、各校の取り組みを紹介したりですとか、研修会を設けることで、現場がやっていることを尊重、支援するということに徹しています。
 都としても、学校全体で子供たちの課題に応じて学びが深まり、必要な力が身につくような取り組みとなるよう、学校支援を求めておきます。
 手引の改定に当たって、幾つか伺いたいと思います。
 今年度、都教育委員会は、外部講師を活用した性教育のモデル授業を五つの中学校で実施しました。モデル授業の目的、そしてまた、この授業を受けた生徒、保護者、教員の反応はどういうものなのか伺います。

○藤井指導推進担当部長 生徒が性に関する正しい知識を身につけ、適切な意思決定や行動選択ができるよう、科学的、専門的な知識を有する産婦人科医の具体的な活用方法等について検証することを目的としており、実施した学校の生徒からは、命のとうとさを実感することができた、教員からは、専門家からの指導はとても貴重だった等の感想が寄せられております。
 また、保護者からは、妊娠することの重み、命のとうとさが生徒によく伝わった授業であり、事前に授業の内容について資料に基づいた説明があったことはよい取り組みであったとの感想が寄せられております。

○米倉委員 今回の性教育の手引作成委員会の議事要旨を私も読みました。モデル授業の実施後の生徒と保護者に対するアンケートでは、授業内容について、今後役に立つと思いますかという質問に対して、九七%の生徒が肯定的な回答をしています。感想では、性と向き合いながら真剣に自分や相手のことを考えていきたいなどがあったと書いています。
 モデル授業を参観した方の感想でも、性交、妊娠、中絶、それから緊急避妊薬、人とのかかわりなど、およそ十代が課題としている内容について全て網羅されていたという感想も寄せられています。この到達を広く生かすということは大切だと思います。
 そこで、このモデル授業の内容を今後どう生かすのか伺います。

○藤井指導推進担当部長 来年度は、モデル授業の実施を中学校十校に拡大するとともに、授業内容や保護者の理解、了解を得る方法等についてさらに検証し、その成果を都内全公立学校に周知するなどして、各学校において性教育が適切に行われるよう支援してまいります。

○米倉委員 モデル授業を拡大するということ自体は大切です。ただ、それでも来年度十校というのは、都内の公立中学校が六百を超えるということを考えても、規模が小さ過ぎると思います。
 秋田県では、県の予算で三年に一回は各学校に講師を派遣して、さらに市町村や学校でも独自に取り組みを進めています。希望する学校には外部の専門的な講師を派遣できるよう抜本的な拡充も必要だと思いますので、求めておきます。
 外部講師の活用ですが、予算を拡充し、講師も産婦人科医に限らず助産師なども活用すべきですが、どうですか。

○藤井指導推進担当部長 平成三十年八月に都内全公立中学校等を対象に性教育の実施状況調査を行っております。その調査結果によりますと、助産師を活用している学校は六十三校でございました。
 今後、助産師の活用については、学校での実施状況に鑑み検討をしてまいります。

○米倉委員 助産師の活用を検討していくということです。兄弟姉妹がいない生徒が多くなる中で、赤ちゃんに触れたり抱いたりした経験がほとんどないということが少なくありません。助産師を活用した取り組みでは、実際に赤ちゃんとかかわる機会を設けるなど、単なる知識ではなく、実践的な学びにつながっていると聞いています。早急に取り組んでいただきたいと要望しておきます。
 同時に、教職員が、性教育、包括的な意味での性教育ですけれども、その主体者として学び、成長し、学校が多様性を大切に性を人権として捉えられる場にしていくことも重要です。その支援のためにも、都教育委員会として、学校で性教育を進めていく上での困難や解決したいこと、都教委に支援してほしいことなどのニーズをつかみ、支援していくことが必要と思いますが、いかがですか。

○藤井指導推進担当部長 来年度は、中学校十校に拡大するとともに公開授業とし、授業後に、参加した教員の情報交換会等を行うなどして、各学校の取り組みを支援してまいります。

○米倉委員 モデル授業を公開して学べるようにするということは重要です。ただ、そもそも現場の教員がどういうことに困っているか、どんな支援を求めているかと把握することは、やはり別で、必要だと思いますので、取り組みを求めておきます。
 同時に、教員自身が専門性を持つ講師と同じような視点を持って、何を大事にして授業を行ったらいいかということを学べる場があることが重要です。外部講師が行った講座の狙い、子供たちの背景を教員が学べる場をつくることが重要ですが、どうやって取り組んでいきますか。

○藤井指導推進担当部長 来年度は、モデル授業を公開し、授業後に、参加した教員による情報交換会を行うなどして、外部講師によるモデル授業の狙い等について周知してまいります。
 また、現在改定中の性教育の手引に掲載予定の指導事例を活用した教員研修の方法等について、各区市町村教育委員会の指導室課長会や保健体育科主任連絡協議会を通じて周知してまいります。

○米倉委員 モデル授業を参観するのは参考になると思います。ただ、一回の授業で触れられる内容というのは、やっぱり限りがありまして、子供と向き合う教員が最新の科学的な到達点ですとか、性教育の内容ですとか、また科学的な体の仕組み、それを取り巻く社会的な制度だとか、学べる場をつくっていくことはやっぱり重要で、そういう学びがあるからこそのできる教育があると思います。こういう支援を都教育委員会に求めたいと思います。
 次に、デートDVの防止教育についてです。
 DVは主に、結婚、同居している配偶者やパートナーの間で振るわれる暴力、暴言で、被害者は性暴力を含めた暴力被害だけでなく、人や自分への信頼感、希望や夢、安全な環境を失ってしまう、精神疾患になる場合もある深刻な影響をもたらします。男性が被害者になったり、同性カップル間で起きることもありますが、被害者の多くは女性というのが実態です。
 DVは夫婦の間だけでなく、若者の間でも恋愛関係の中でも起きています。デートDVとは、デートをしているときに起きる暴力ではなく、デートをするような関係で起きるDVのことを指していまして、その中身はDVであって、被害の程度が軽いということでは全くありません。
 国や東京都など各自治体での調査から、デートDVは多くの若者の間で起きているということがわかっています。二〇一三年の東京都デートDVの被害経験の調査がありますが、そこでは三七%、三人に一人が被害経験があり、二九%は加害経験があると答えています。これは大人だけの問題ではなく、子供の中で起きている問題です。
 山形県の調査では、デートDVの被害経験者に初めて暴力を受けたのはいつかと聞いています。調査の結果は、中学生が九%、高校生が三二%、大学生が二八%という状況だとわかりました。学校に通う年齢の子供たちの間でデートDVを経験するという数が相当数に上っているということになります。
 こういう実態があるからこそ、若いときからデートDVがあるということを学ぶ、そして、そうしたことをしない、またされないというような繊細な人権意識を持つ人を育てるということが大切です。
 同時に、子供たちの周りには、例えば相手を束縛することが愛しているというような恋愛の描き方をしている漫画やアニメもたくさんあふれています。理由をつければ、言葉や力で相手を押さえつけてもいいというような暴力を容認する意識やジェンダーバイアスも容認となります。
 デートDVが関係性や価値観の問題だからこそ、男女の対等なパートナーシップや暴力を伴わない人間関係があることを学べる、自分の人間関係を振り返る機会があるということが大切になっています。
 そこで伺いたいんですが、生命、人格、人権の尊重という精神からして、デートDV予防の取り組みは学校現場でも重要で、都教育委員会はどういう認識なのか伺いたい。同時に、子供たちの状況についてもどう把握しているのか伺います。

○宇田指導部長 生徒一人一人が互いの違いを認めつつ、自分を大切にするとともに、他の人の大切さも認める人権尊重の理念を理解することは極めて重要でございます。
 こうした考えに基づき、学校では、生徒同士の望ましい人間関係のあり方について、実態を踏まえて、教育活動全体を通して指導しております。

○米倉委員 生徒の実態を踏まえて指導しているということです。やはり他県、複数の自治体で、中学校、高校生の年齢でどのぐらい被害に遭っているかというのは調査されていて、高いんですね。やっぱりこういう結果からしても、個別に対応する事例が出てきてから対応するということにとどまらない問題だと思います。
 実態を踏まえた指導というならば、やはり都教育委員会として実態を把握する必要があると思うんですが、いかがですか。

○宇田指導部長 デートDVに限らず、学校での生徒の生活指導上の報告を受けております。学校では、その実態を踏まえて、教育活動全体を通して望ましい指導をしております。

○米倉委員 これは少ない話ではなくて、いろんな調査から相当数に上る話だと思います。ぜひ実態をつかんでいただきたいと思います。
 デートDVの支援団体にお話を伺いましたが、実際に起きている被害は深刻です。身体的暴力だけでなく、性交を拒否すると、俺のこと好きじゃないのか、浮気するぞと脅されて性交を強要されたとか、意見をいったら生意気だとか大声でどなられるというような状態が起きています。
 私も中学校を卒業したばかりのころに、友達が年上の男性とつき合っていて、実は彼から殴られたりしていたという話を打ち明けられてびっくりしました。私もデートDVといわれるような関係性があると知らずに、殴られるという話を聞くまで、友達カップルの話を聞いても、その関係性に違和感を持てませんでした。大学に進学してからも、クラスメートの恋愛関係の中で同じような話を複数聞きましたが、私を含めて当事者も、どう考えて対応したらいいかわからないというのが率直な状況でした。
 デートDVやDVという関係性があること、そうでないお互いを大事にする関係があるということを若いうちに知ることが加害者や被害者を生み出さないことにつながります。十代のカップル間でも相当数起きているという問題ですから、予防教育を広げることや安心して相談できる窓口があることを周知することが必要だと思います。
 それで、これまでのデートDV予防のための取り組みがどういうものだったか伺います。

○宇田指導部長 都立高校では、東京都独自の教科、人間と社会において、よりよい人間関係を築くことや支え合う社会を題材に、グループワークやケーススタディー等を通して、生徒は自他の尊重や思いやり、人間愛等について考えを深め、人間関係を形成する力を身につけています。
 また、家庭科の科目、家庭基礎や家庭総合の学習において、男女の平等と相互の協力などについて学んでおります。
 さらに、警察等と連携したセーフティー教室及び男女平等参画等にかかわる関係機関やNPO等による講話において、デートDVの定義や、被害者、加害者とならないための事例等を学ぶことを通して、デートDVの未然防止に取り組んでいる学校もございます。

○米倉委員 さまざま取り組んでいらっしゃるということなんですが、私も実際に教科書を見ましたが、教科書に小さいコラムとして掲載されている程度なんですね。学校によっては、実際に講師を呼んで授業を行う高校もあるということですが、数校だと聞いています。取り組みを大幅にふやして、子供たちが自分の人間関係に照らして考えられるような機会を確保することを求めておきます。
 そうした取り組みを拡充するためには、男女共同参画やデートDVの予防啓発などに取り組んできて知見もある生活文化局と連携をして、学校での予防教育を広げることも求められていますが、どう取り組んできているのか、また、今後はどうするのか伺います。

○宇田指導部長 都立高校におきましては、生活文化局が作成しましたデートDVに関する啓発用カードを生徒に配布し、デートDVの定義や内容、相談窓口等について理解、啓発を図っております。
 今後とも、校長連絡会や校長、副校長を対象とした人権教育研究協議会、また生活指導主任連絡会等において周知し、このカードの活用促進を図ってまいります。

○米倉委員 教員に対する周知に取り組むということです。都立高校では生徒に、生活文化局が作成したカードを配布したということです。私も実物を生活文化局からもらいましたが、こういう、財布に入るようなサイズのカードです。
 このカードに書いてあることは、相談窓口があるよということですとか、デートDVというものがありますよというような情報なんですが、やっぱり情報は非常に限られています。ですから、カード活用にとどまらない周知が必要だと思います。
 教員に対する周知ですが、デートDVの理解が深まるような資料も活用して、内容が理解されるような取り組みにしていただきたいと思いますが、いかがですか。

○宇田指導部長 都立学校におきましては、生活文化局が作成したデートDVを生徒に配布するとともに、人間と社会、また家庭科などにおいて、男女平等、相互の協力などについて学んでおります。

○米倉委員 埼玉県では、教職員向けにはデートDV防止啓発ハンドブックというものを作成して、県内全ての高等学校に配布するとともに、学校教育関係者を対象に、ハンドブックの活用法を含めた内容の研修会を毎年実施しているということです。やっぱりこれでは情報が少ないんですね。内容が理解されるという取り組みを求めたいと思います。
 埼玉県では、デートDVは特別なことではなく誰にでも起こり得る問題だとして、児童生徒への取り組みも行っています。二〇一三年からは、県教育委員会と男女共同参画推進センターが連携し、県立高校でデートDV防止講座を行っています。教育委員会が学校に対して希望を募り、希望した高校には、男女共同参画推進センターから専門家を派遣するそうなんです。
 そのほかにも、中学、高校生には、全生徒に、学べるように、わかりやすく絵も対応したパンフレットも配布しています。都としても、こうしたさらなる取り組みを求めておきます。
 学校での取り組みを進めるためには、都教育委員会が学校と問題意識を共有し、取り組むための支援をしていくことが重要です。学校とはどう連携、また支援するのか伺います。

○宇田指導部長 都教育委員会は今後とも、都立高校が警察やNPO等の関係機関や生活文化局と連携し、家庭科や人間と社会、セーフティー教室などの教育活動全体を通して自分と相手を大切にし、人と人とのよりよい関係を築くことができる態度を育むよう指導してまいります。

○米倉委員 私の地元豊島区では、全ての中学校でデートDVについての授業に取り組んでいます。教員だけでなく、デートDVの被害者支援や加害者更生の支援をしているNPOの講師と、区の男女共同参画センターの相談員が一緒に授業に出席をして、大体授業の一こまか二こまを使って取り組んでいらっしゃいます。
 授業を見せていただいたんですけれども、途中で出る生徒の質問も答えながら、恋愛や結婚は素敵なものだよという前提で、相手を大切にする人間関係はどういうものかと話をしていることですとか、また講義の最後に、男女共同参画センターの方が直接、相談窓口というものがあって、秘密は守られるから、困ったときには相談をしてくださいねと伝えていることも大切だなというふうに思いました。
 全ての中学校の取り組みになったのはなぜかということで、私も関係者に話を伺いましたが、やっぱり教育委員会の努力でした。教育委員会は校長会に対して、これは人権問題として位置づけたいという働きかけをして、校長先生などの理解を広げて、全校実施に至っています。
 授業の内容は、男女共同センターと区の教育委員会、NPOが一年かけて、中学生にふさわしい教材はどういうものかということで、何度もそういう検討を重ねてつくられたと聞きます。教育委員会のイニシアチブと各関係者との連携した取り組みがとても大切だったということです。都としてもこうした努力を進めていただきたいと要望しておきます。
 LGBT、性的マイノリティーの児童生徒の学校生活での支援についても伺います。
 LGBTは人口の五%から八%といわれていますから、クラスに一人、二人は存在すると考えられています。しかし、多数の生徒と性的指向や性自認が違うということによって、多くの困難に直面しています。
 宝塚大学看護学部の日高教授の調査では、十代のLGBTの方のいじめに遭った割合というものは、全体では五八%、男性から女性に性別移行するトランスジェンダーの場合は、何と八六%の方がいじめられたことがあると答えていらっしゃいます。十代の方です。
 不登校経験については、LGBT全体で三二%、特にトランスジェンダーでは六割近いということです。
 刃物で自分の体を傷つける自傷行為は、十代のLGBTでは、レズビアン、女性のバイセクシュアル、トランスジェンダーでは二人に一人だということです。
 自殺念慮は、トータルで六五%のLGBTの方が抱いていると。自殺未遂については一六%で、六人に一人と異常に高い割合だと思います。大変深刻な実態です。
 こういう状況について、都教育委員会はどういう認識ですか。

○宇田指導部長 東京都人権施策推進指針には、性同一性障害者であるために、学齢期にいじめに遭い不登校になったという例や、性同一性障害であることを家族や友人にいえずに悩み、自殺まで考える方がいるといった例などが示されております。
 こうしたことを踏まえ、性自認や性的指向に悩む児童生徒について、一人一人の状況に応じて児童生徒の心情等に常に寄り添い、丁寧な対応を行うことが重要であると考えております。

○米倉委員 実態を踏まえて、児童生徒に寄り添った対応が必要だということです。ただ、今のご答弁ですと、深刻な実態についてという、私、認識を伺ったんですが、性同一性障害についてしかお答えいただいていないんですね。私、紹介しましたが、深刻なのは、ゲイやレズビアン、バイセクシュアルも同じなんです。やっぱりそこを認識した取り組みとしていただきたいと思います。
 学校での対応の仕方についてですが、トランスジェンダー、性同一性障害の子供への対応については、医師の診断がなくとも本人の気持ちを尊重した対応がされるということが大切ですが、どういう対応をされていますか。

○宇田指導部長 学校は、文部科学省の性自認や性的指向にかかわる通知を踏まえ、医療機関を受診して性同一性障害の診断がなされない場合であっても、児童生徒本人やその保護者の意向を踏まえ、支援を行っております。

○米倉委員 医師の診断にかかわらず本人の気持ちを尊重する対応をしているということを確認しました。
 先ほど紹介しましたが、LGBTのいじめ被害や不登校、自殺念慮や自殺未遂などの割合は非常に高くて、学校でも孤立したり、ほかの子供と違う自分が、自分でも自分をそのままでいいと思えない、学ぶことも、それが一定の、当たり前の多様性の一つだということも学べずにいるという状況があります。
 ですから、先生がクラスで性の多様性は当たり前だというスタンスで肯定的な情報を折に触れて子供たちに話をして、子供たちの認識にしていくということがLGBTの子供の居場所をつくると思います。また、自分のことをわかってくれる教員が学校にいるんだと子供がわかることも大切です。
 そういう観点からは、例えばLGBTに関する副教材を都としてつくることですとか、児童生徒向けの図書を保健室や図書館に配架すること、図書室にLGBTコーナーがあったり、啓発のポスターが掲示されているだとか、当事者である児童生徒への応援メッセージとなるような取り組みというのは、実際、全国でやられています。
 こういう取り組みはどう進めていらっしゃるんですか。

○宇田指導部長 どのような図書を図書室に備えるのか、またどのようなポスター等を掲示するのかについては、校長の責任のもと、各学校でその内容や必要性等を踏まえて判断するべきものであります。
 また、性自認や性的指向に悩む児童生徒の中には、自身のそうした状態を周囲に知られたくないという者もいることから、児童生徒一人一人の実態を正確に把握し、丁寧に取り組んでいく必要があると考えております。

○米倉委員 学校がどういう本を購入するかなどは学校の判断で、当事者にとって丁寧な取り組みにしなきゃいけないというのは当然だと思うんです。
 今のご答弁を聞いていますと、一人一人の実態を正確に把握して取り組んでいくというお話で、実際にはカミングアウトしない、できない方がたくさんいらっしゃる中で、そういうふうにいわれると現実的なのかというふうに思います。
 やっぱり小学校に入学したときから性の多様性は当たり前だということを子供たちが理解できるような学校づくり、そのための学校への支援というのが大切だと思うんですけれども、いかがですか。

○宇田指導部長 性自認や性的指向に悩む児童生徒の中には、そうした状態を周囲に知られたくないという子供たちもおります。そうした一人一人の状態を正確に把握し、各学校では校長の責任のもと、どのような学校内の環境整備を行うのか判断するべきものだと考えております。

○米倉委員 ぜひ学校を支援していただきたいと思います。
 東京都の人権条例ができまして、そこで、いかなる差別も許さないという姿勢が明確にされて、啓発と教育を位置づけました。性自認、性的指向を理由とする不当な差別はしてはならないとここでは明確にされています。
 この人権条例を受けて、どう学校現場での取り組みを進めていくんでしょうか。

○宇田指導部長 性自認や性的指向に悩む児童生徒を適切に支援するためには、教員が性自認等について正しい知識を持ち、一人一人に応じた丁寧な対応を行うことが必要であります。
 今後とも、条例の趣旨を踏まえ、研修会等を通して、全ての教員が性自認等に悩む児童生徒の相談等にきめ細やかな対応ができるよう支援してまいります。

○米倉委員 教員の理解を広げるということは重要です。同時に、教員だけでなく、子供たちが理解できるような取り組みが求められています。早期に教員の研修などを計画的に、どの程度の割合の先生に理解を得られるようにしていくだとか、そういうことも必要だと思っています。
 それだけでなく、やっぱり授業でどういうふうに取り上げることができれば当事者に配慮した、みんなが理解できるようなプログラムにできるかというような検討も必要な段階だと思っています。
 以前も紹介しましたけれども、奈良県では十三の高校で取り組み、授業五十分の一こま、どういうふうにLGBTの理解をその五十分で得られるかという授業プログラム案をつくりまして、実際に十三の高校で取り組んで、子供たちの認識がどういうふうに変わったかという調査を行っています。
 たった五十分の授業一回で、偏見や抵抗感を持っていた高校生の四割以上が認識が変わったということがアンケート結果でわかりました。一度だけの取り組みにせず、時間をとって取り組めば、大きく学校内の認識は変わるんだということだと思います。ですから、やっぱり教員だけでなく、子供たちの中でどう認識をつくっていくかということを検討していただきたいと思います。
 最後に、制服についても伺います。
 都立高校の制服なんですけれども、学校にどういう服を着て通うか、特に公立高校の場合、多様性が尊重されるものである必要があると思います。そして各学校で、どう多様性を尊重した対応をするかということについて、その学校の生徒や保護者、教員で議論を深めていくということが大切だと思います。
 同時に、教育委員会としても、例えば今、全国でも既に制服の選択肢を広げるという取り組みがある中で、やっぱりそういう取り組みを広げるというイニシアチブを発揮していただきたいと思っています。
 ことしの四月からは、例えば世田谷区でも、制服のカタログに女子用、男子用という記載は載せずに制服を選べるようになりましたし、中野区でも、スカートをはきたくないという小学校六年生の女の子の声を受けて、区内の公立中学校で好きな服を選べる仕組みを順次導入するというふうな流れも起きています。
 まず、都立高校での状況を伺いたいと思うんですけれども、都立高校全校のうち、制服や標準服が指定されている学校は幾つあるのか。また、そのうち、スカート、スラックスなど選択できるという対応をしている学校は幾つありますか。

○江藤都立学校教育部長 平成二十八年度に実施いたしました調査によりますと、都立高等学校等百九十六校中、制服を指定している学校が百六十四校、標準服を設けている学校が十六校でございます。そのうち、スカートとスラックスの選択可能な学校は九十三校でございます。

○米倉委員 制服や標準服を指定している学校は、百九十六校の都立高校のうち百八十校に上る。つまり九二%の学校で指定があるということです。
 そして、女子生徒については、スカート、スラックスを選択できる学校が約半数あるということがわかりましたが、こういう選択ができるというのは女性のみということです。
 こうしたスカート、スラックスを選択できるなどの対応をしている学校はどういう考え方で取り組んでいらっしゃいますか。

○江藤都立学校教育部長 スカートとスラックスが選択できるなどの措置を講じている学校は、主に防寒や活動のしやすさへの配慮から、生徒が主体的に選択できるよう対応しております。

○米倉委員 女子はスカートのみでは防寒、活動のしやすさの点があるということで選択肢が広がったということです。
 これはもっと広がる必要があると思うんですけれども、都教育委員会としてはどうお考えですか。

○江藤都立学校教育部長 制服や標準服の指定及び品目の選定は、学校経営の一環として各学校長の判断により実施されております。
 また、制服や標準服につきましては、生徒、保護者の経済的負担への配慮や販売会社との調整等が必要でございます。
 そのため、制服や標準服の見直しにつきましては、各都立学校において、こうした実情や社会的状況等を十分考慮して行うよう指導しているところでございます。

○米倉委員 制服で男女に分けられることや、どちらかの制服を着ざるを得ないということに苦痛を感じて都立高校に進学できなかったという声は実際に上がっています。また、制服を女子用、男子用という選び方ではなく、複数の選択肢から本人の希望で選べるような配慮というものは必要だと思います。
 早期に学校との連携や支援をして取り組むことが必要だと思いますが、いかがですか。

○江藤都立学校教育部長 各都立学校では、制服の着用につきましては、文部科学省通知、性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細やかな対応の実施等についてを踏まえ、生徒本人が自認する性別に十分配慮した対応を行っております。

○米倉委員 生徒本人の気持ちに十分配慮した対応ということなんですが、自分の気持ちに合う落ちつく服を着るために性別違和をカミングアウトしなくてはならないということになると思うんですね。それは本人に十分に配慮しているとはいえないと思うんですが、いかがですか。

○江藤都立学校教育部長 生徒本人が自認する性別、その自分の自認する性別に合った制服に関して十分聞き取りをして、また、そこで十分本人の気持ちを理解する、そういう対応を学校がとっていくべきだと考えております。

○米倉委員 十分に聞き取りをしてということは、つまりカミングアウト前提なんです。やっぱりそこが当事者に配慮した対応というふうにならないと思うんですね。(発言する者あり)

○とや委員長 谷村理事、静かにしてください。

○米倉委員 やっぱりここは検討していただきたいと思います。
 北九州の市の教育委員会では、動きやすさ、寒さ対策だけでなく、やっぱりこういう性的マイノリティーの方への対応も考えて、そういう課題に対応するために公立中学校の生徒保護者アンケートを行って、女性のスラックス導入だけでなく、今までの学校の制服はそのままにして、市として共通した標準服の導入、検討を行っています。どちらの服を着たいかということは本人の希望に任せるそうです。
 例えば女子生徒の場合で、スカートをはきたくない、ズボンがいいというときに、セーラー服だったらなかなかそれは厳しいわけですよね。やっぱりこういう北九州市のような対応というのは、学ぶところがあるというふうに思います。制服の選択肢によって、子供が学校から排除されるというような状況にならないよう取り組みを求めておきます。
 最後になんですけれども、島しょ出身のお子さんへの対応についてです。
 私も以前から、島出身の特別支援学校に通うお子さんについて、島出身の方々は、八王子盲学校の寄宿舎に基本的には日ごろは生活をして、二週に一度は地元に戻らなければならないというふうになっています。
 高校生になると、基本的に親御さんが送り迎えをする場合にも、その交通費などへの支援はありませんでした。それが大きな負担となって特別支援学校に通えないというような状況があるということで、支援を求めました。
 以前のご質問の中で、この課題について、経済的な負担について対応を検討するというふうにお答えされましたけれども、具体的にどう取り組んでいくのか伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 島しょ地区の保護者の負担軽減を図るための取り組みでございますけれども、本人が高校生で肢体が不自由でない場合など、国の制度の対象外として付添人の交通費が支給されていないものにつきまして、都の単独事業として、来年度より、実費相当額の全額を支給するということを実施することにいたしました。

○米倉委員 本当に切実な問題でしたので、前進するということは重要だと思います。そもそも二週に一度戻るということ自体が負担になっているケースが実際にあります。小さいお子さんの場合は、週に一度戻られるケースもありますし、それがお子さんと家族にとってもいいという場合もありますけれども、高校生になった段階で一律に二週に一度戻ることが適切なのか、家庭との負担との関係でどうなのかという部分についても、引き続き関係者の方のお声を聞いて、検討していただきたいと最後に要望して、質問を終わります。

○とや委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後四時三十九分休憩

   午後四時五十五分開議

○とや委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○福島委員 まず、新実施計画について伺います。
 計画の中では理数科の設置が挙げられており、次世代を生きる人材に必須の素養として、情報活用能力と、そして価値創造力を挙げています。
 検討に当たっては、各分野の最新の動向を踏まえるとともに、実際にこれらの資質、能力を有する先人の知見、経験等を生かすべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○増田教育改革推進担当部長 先日十四日に策定した新実施計画(第二次)におきましては、特別区内と多摩地域への理数科の設置に向けた検討を行うこととしており、具体的には平成三十四年度に都立高校では初となる理数科を立川高校に設置予定としております。
 このため、都教育委員会においては、来年度、検討委員会を設置し、教育理念とともに、育成を目指す資質、能力や生徒像など、都立高校における理数科のあり方に関する基本的な方向性について検討することとしております。
 検討委員会における検討に当たりましては、理数科や他の類似の学科等を設置する他の自治体における先行事例等を参考とするともに、大学や企業関係者等の外部有識者の知見も生かすことが必要と考えております。
 今後は、新しい価値、イノベーションを生み出し、新たな時代を牽引する人材の育成を目指し、具体の検討を進めてまいります。

○福島委員 価値を創造する、ひいてはイノベーションを起こす人材の育成というのは、民間企業共通の課題でもあり、そう容易ではないことは歴史が証明をしています。
 ただ、難しいからといって取り組まないのではなくて、やっぱりこういう課題にはきちんと取り組んでいく、そして海外のSTEAM教育など、先行事例をしっかりと調査し、入試や指導内容などの開発に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、予算案の中身について伺います。
 財団ですけれども、この予算案の中では、教員の働き方改革を目的に財団の設置を検討することが挙げられておりまして、我が会派の代表質問では、財団が教員等の天下り先の確保ではないかとの懸念を抱かれないように十分配慮した上で、財団の支援機能を生かした働き方改革を推進すべきというふうに求めまして、退職教員のほか、財団業務に適した人材を活用していく、さらに、経営を担う理事長については、設立に際し、外部の人材を登用するという答弁を得ています。
 また、先日も、内山都議より、状態把握のためのタイムカードの重要性を訴えて、これも都が導入を支援するというご答弁をいただいています。
 私自身、今回の質疑に先立ち、そういうシーズンなので、都立高校の卒業式とか区内小学校の新校舎落成記念祝賀会などの機会を捉えて、財団設立のこういう趣旨を教員の皆様にお伝えして、どういう機能があったらいいかということを聞いてまいりました。
 すると、何と全員が、一部の保護者対応に時間がとられてしまい、かつ精神的に消耗すること、このために専門家、例えば弁護士の意見を聞きたいけれども、現時点の仕組みでは対応してもらうまでに二、三週間かかってしまうと。なので、必要なときに力をかりることができないこと、その結果、精神を病んで休職する教員も少なくないというご意見を伺いました。
 財団の設置目的は、教員の働き方改革を進めることであり、一つ、外部人材を探す時間を削減するための人材バンク、二つ、国際姉妹都市提携など非定型業務を行う、そして三つ目として、校舎の修繕や発注業務などを財団に外出しすることで教員が教育に集中できる、そのためのものだという説明を受けております。
 これらの財団に外出しする機能はどのように決めたのでしょうか。例えば保護者対応の支援というのは、財団の仕事に盛り込まれるべきではないでしょうか、見解を伺います。

○谷企画調整担当部長 新財団で実施する機能は、学校に求められる支援内容に関しまして、支援の強化や効率化などが可能かという点から検討いたしました。
 また、新財団におきましては、懸案事項の相談窓口を新たに設置いたしまして、保護者対応等に当たる教員を支援していく予定でございます。

○福島委員 保護者対応等に当たる教員を支援する機能を設けるということをしっかり取り組んでいただきたいとお願いいたします。
 ところで、我々議員が、この財団のあり方を質疑を通じて検証するという職責を果たすに当たっては、この財団の具体化の進捗に合わせて情報をいただいていく必要があると思っています。
 例えば、複数の機関で重複した事業を行うような無駄が生じないように、財団が担う機能と既に存在している既存事業、例えば経営支援センターの中の一部事業や、国際交流コンシェルジュなどといったものを整理して、かつ統合に向けた計画を随時伝えていただく必要があると思いますが、見解を伺います。

○谷企画調整担当部長 都教育委員会や学校で既に実施している事業に関し、新財団で実施する場合につきましては、そのスケジュールや内容等を来年度以降、具体的に検討してまいります。
 その際には、都教育委員会や学校からの移行が円滑に行われ、かつ重複等のない効率的な執行となるよう、関係部局とも協議の上、調整していく予定でございます。
 なお、予算要求の手続におきまして、都庁全体のスケジュールに従い、今後とも、必要な情報を公表してまいります。

○福島委員 進捗に応じて必要な情報を公表いただけるとのこと、ぜひよろしくお願いいたします。
 ところで、財団には天下りといわれないための指針として、例えば財団に移管される現時点で行われている事業において、どの程度、教員がかかわっているかというのは、一つ指針になると考えます。
 例えば、外部人材を探す時間を削減するための人材バンク的な機能というのは、現在、委託先に教員OBがいるはいるというふうに伺っています。
 また、国際姉妹都市提携などの非定型業務については、これも教員がかかわっているというふうに聞いておりますが、一方、校舎の修繕や発注業務には教員はかかわっていない、これを担っていないというふうに伺っています。
 今後、教員、または教員OBが担うべき、またはその必要がない業務を明確に切り分けた上で、財団の人員構成を初めとするあり方を具体化していくべきだと考えますが、見解を伺います。

○谷企画調整担当部長 新財団の外部人材の確保機能や教員サポート機能は、現在、学校現場の教員がそれぞれの学校の教育活動等の中で担ったり、携わっている業務等のうちで、現場の教員でなくても代替できる業務等を担うというものでございます。
 その際、現場の教員に代替して業務を担うことから、学校の教育活動にそごなく適合し、学校側の新たな負担となることなく、円滑に進められることが重要でございます。
 学校側からも、学校の実情を踏まえたきめ細かく安定した支援、学校や教育活動に関する専門的な知見や知識、経験に裏づけられた継続的な支援が求められております。
 こうした期待に応えるため、財団においては、教員の活用状況など現状の執行体制も踏まえつつ、その業務に適した人材を活用していく必要があり、退職教員もその一つでございます。
 さらに、財団業務に適した人材の配置に向け、人材紹介のコーディネーター経験のある民間や地域の方など、退職教員以外の人材も適切に採用していきたいと考えております。

○福島委員 現状の執行体制を踏まえることで、業務に適した人材を活用していくという方針を確認させていただきました。
 それでは、次に、来年度予算に新たに盛り込まれたTokyoスクール・コミュニティ・プロジェクトの一つ、学校との連携による高齢者の社会参加促進事業について伺います。
 私は、一般質問で、東京都の共助社会実現にかかわる東京都の取り組みに関する予算が総額で二百億円にも上り、これらの事業の評価と改善のためにつながりをはかる指標であるソーシャルキャピタルが役立つと考えていることを述べさせていただきました。
 そして、この学校との連携による高齢者の社会参加促進事業には、ソーシャルキャピタル、地域力の調査研究に関する予算が計上されています。
 この調査研究において、ソーシャルキャピタルの観点を取り入れるとのことでありますが、どのように調査を実施するのかについて伺います。

○太田地域教育支援部長 調査研究では、学校敷地内に地域交流拠点を設置することで、ソーシャルキャピタルの蓄積及び子供の教育に及ぼす効果等について、測定、検証することを目指しています。
 ソーシャルキャピタルを把握する方法として、過去に行われた調査研究を踏まえ、信頼、つき合い、交流及び社会参加といった指標を用いることを検討しております。
 また、地域の人々のつながりの強さが、子供の学力、学習意欲の向上、教員の意識の変容に及ぼす影響等を定量的、質的に調査分析していく予定でございます。

○福島委員 今回、教育庁がこのようにソーシャルキャピタルの調査を行うことを高く評価したいと思います。
 東京都生涯学習審議会が先月発行した報告書、地域と学校の協働を推進する方策についてや、日本総合研究所が平成二十年三月に発行した報告書、日本のソーシャルキャピタルと政策で示されているように、ソーシャルキャピタルの蓄積は子供の学力や学習意欲の向上につながるというふうにいわれています。
 定性的には相関があると思われているこのような関係を定量的に把握することで、当該事業のブラッシュアップにつなげていただくとともに、このTokyoスクール・コミュニティ・プロジェクトの例えば放課後子供教室の取り組みの推進事業とか、また、統括コーディネーターなどの配置促進事業といったものも、ソーシャルキャピタルに与える影響の評価にもぜひ取り組んでいただきたいと考えます。
 というのも、共助社会に向けた取り組みというものを進めていくに当たって、単独の事業評価というのは東京都はやってきていると思うんですけれども、例えば事業間の比較などを行っていくときには、やっぱりこういった共通の指標がとても大切だと思うからです。
 ということで、その地域とのかかわりという意味では、これまでに先立って、学校が地域の交流拠点として機能する事業として、地域連携リーディング校という取り組みがあります。
 指定されている三校のうちの一つ、都立園芸高校というのは世田谷区内にあるために、周年行事や卒入学式にこれまでも参加してきましたが、例えばその学校運営にOBがかかわったり、育てた植物とかを地域の方に週に一回売るようなお店があったりとかして、地域にも愛されていて、あとは特別なバラ園みたいなものがあって、年に二回公開されていたりとかして、地域にも愛されている学校ですし、また生徒たちも非常に地に足がついている印象を受けます。
 都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)の取り組み事業である地域連携リーディング校の前提となったモデル事業の成果と本事業の今後の取り組みの方向性について伺います。

○江藤都立学校教育部長 地域連携リーディング校は、都立高校三校において、平成二十九年度から二年間、地域連携推進モデル事業を実施し、学校と地域の連携、協働のあり方を模索してまいりました。
 モデル事業では、地域社会の教育力や資源等を活用して、生徒が体験と実践を伴った探求的な学びに取り組むことができたり、生徒の学びに積極的に向かう姿勢が高まるなどの教育効果が出ております。
 また、地域からの高校生への活動依頼がふえるなど、学校の魅力化につながっております。
 今後、多様な社会資源が集積する東京ならではの環境を活用し、学校は、地域と協働することにより、主体的、対話的で深い学びを実現し、地域を支える人材を育成していくとともに、学校の活性化、魅力化を進めてまいります。

○福島委員 ご答弁の中にありました地域社会の教育力や資源を生かした生徒の成長とは、まさにソーシャルキャピタルが学力や学習意欲の向上につながっている事例だといえます。
 そして、この育った生徒は、すなわち地域を支える人材、ソーシャルキャピタルを高められる人材にほかなりません。この事業を今後もしっかりと進めていくとともに、ソーシャルキャピタルという、そういった共通指標による評価などにも取り組んでいただきたいと考えます。
 次に、スマートスクール構想について伺います。
 予算案に取り上げられていますスマートスクール構想ですけれども、一般質問でも取り上げさせていただきましたが、エビデンスに基づいて教育の質を高める必要があると考えておりまして、これについて、都立高校スマートスクール構想の来年度の取り組みについて、まずは伺います。

○宇田指導部長 都教育委員会は、学校におけるICT環境を整備し、成績、進路希望などの生徒に関するさまざまなデータを活用して、教育の質の向上や校務削減を図る都立高校スマートスクール構想の取り組みを進めております。
 来年度は、生徒が所有するスマートフォン等を学習に活用するBYOD研究指定校において、無線LANによるICT機器の活用の有効性を学習指導の改善や業務の効率化などの観点から引き続き検証してまいります。
 また、新たに有識者や学校関係者等から成る委員会を設置し、さまざまなデータの相関関係を調べるなど、統計的な手法を用いて、さまざまなデータの効果的な活用方法についての検討を行ってまいります。

○福島委員 そもそも教員の皆様は、生徒の表情や姿、格好、さまざまな情報から生徒の状態を推察してベストの指導を行う努力をこれまでもしていらっしゃいました。
 ICTを活用することで、より多くの情報に基づき、よりよい指導をするための取り組みとして評価したいと考えています。
 ここで、参考事例として、三重県と産業技術総合研究所が連携して、虐待が疑われる児童の一時保護が必要かどうかの判断に人工知能、AIを活用する実証実験の新聞報道をご紹介したいと思います。
 三重県は、児童虐待の連絡があった際に、けがの部位などから、児童相談所が保護の必要性を的確に判断できるようにするチェックシートというものを平成二十五年から導入していました。
 これによって、これまで五千件のこのようなチェックシート、蓄積されたものをAIの学習データとすることで、新たにやってきた虐待疑いの児童に対して、チェックシートと同じ項目を今度は端末に入力することで、虐待の再発率などをAIがはじき出す、このような取り組みをしようとしています。
 すなわち、これまで経験のある人であれば判断できたということを、このようなAIに勉強させて、そして、判断するときのサポートをしてもらう。そのようなことで、例えば経験が浅い方でも、その診断を見ながら、より適切な指導ができるということだと思うんですけれども、これはやっぱり教員の皆様にも大変有効な施策ではないかと考えますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 また、教育分野には、多くの取り組みと同時に、例えば東京都教育委員会の権限に属する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価などを初め、非常に多くの評価にさらされているということも聞いております。
 例えば、三月十一日の教育新聞によれば、ある小学校では、年間二百九十六件もの評価の依頼があったという話も載っていました。
 今回のように、データを電子化することで、こういった調査の負荷も下げられるように取り組んでいただければというふうに考えます。
 次は、小中学校におけるプログラミング教育について取り上げたいと思います。これも予算案に盛り込まれておりました。
 私は、民間企業の研究所に二十二年間務め、価値を生む商品やサービスがハードからソフトに移行するという時代を身をもって経験してまいりました。加えて、プログラミング教室のボランティアを二年間務めた経験もあります。
 私は、議員として取り組みたいことは大きく三つあるんですけれども、一つは働き方改革、そして、さっきからソーシャルキャピタルと何度もいっているんですけれども、地域コミュニティの活性化、そして三つ目が次世代教育、特に理数教育とかプログラミングとかSTEAM教育といったものです。
 都は、平成三十年から三十一年の二年間をかけて、小学校七十五校をモデル校にして、プログラミング教育のためのノウハウや教材開発をしていますが、正直なところ、若干物足りないと感じていました。
 プログラミング的思考とか、アンプラグドな取り組み、枠組みといった存在も影響しているとは思うんですけれども、もっと子供はできるんじゃないかなというふうに思ったりとか、これは生徒のための教育というよりは、ITの素質がない先生でも扱える教育というふうに矮小化しているのではないかとか、加えて何よりも世界のスピード感と乖離しているというのが私の印象でした。とはいえ、私の考えるレベルのプログラミング教育が小学校で可能なのかについては、確証はありませんでした。
 しかしながら、先日、都内のある公立学校を視察。デバイスの選定といい、授業内容といい、そして生徒たちの取り組み姿勢といい、私の理想とするプログラミング教育が実現できていることをこの目で確かめることができました。まさに膝を打つ思いでした。
 そして、ここでは高学年の生徒はコーディングを行って、余りを使ってループやグループ分けができるということを本当に自然に学んでいました。
 また、これとは別に、他県でもIT業界をリードする民間人が、安価だけれども汎用性のある教材を開発して、既に小学校のプログラミングを五年間、クラブ活動として実施し、この実績を踏まえた教材を使って、来年度から県内の全校で四年生の二こまの授業を行うといったこともあります。
 この二こまという授業数は、子供の理解や興味が継続すること。そして、先生にも過負荷にならず、全員楽しめる最小限の授業数として設計されているということです。
 加えて、興味を持った子供たちが継続的に取り組めるように、図書室などで自由に教材に触れられるようにしたり、教材費で購入して自宅に持ち帰ったりできる、そのような取り組みも提案されていました。
 私が最も驚いたのは、都がこれらの先行事例を踏まえず、民間と連携しているとはいえ、一から独自に教材を開発していることです。
 七十五校の研究校の成果を判断する基準や判断する人は誰なのか、私は、例えば未踏プロジェクトのメンバーなど、その領域で価値を生み出した経験があり、IT、人材育成で成果を上げている人の意見を聞くべきだと考えますが、見解を伺います。

○宇田指導部長 プログラミング教育推進校の成果の評価につきましては、他の教育活動と同様に、校長、教員、所管する教育委員会、研究協議会に参加した講師や他校の教員等が、学習指導要領や本事業の趣旨に基づいて行うものであります。
 また、実際に授業を受けた児童の自己評価や授業に参加した保護者からのアンケート調査等も参考にしております。
 さらに、本年二月に実施しましたプログラミング教育推進校実践報告会では、講師として招聘しましたプログラミング教育の専門家から、本事業の狙いを踏まえ、その取り組みに対する講評を得るとともに、プログラミング教育を導入する際の留意点等について、助言を受けました。
 今後とも、さまざまな評価を踏まえ、授業の改善を図ってまいります。

○福島委員 専門家から意見をもらっているというご答弁でしたが、この専門家は教材の選定にはかかわっておらず、選定にかかわっているのは教員というご答弁だったと思います。
 繰り返しになりますが、教員の皆様は、教育の専門家ではあっても、ICTにおいては素人である可能性が非常に高いと思っています。少なくともICTを使って価値を創造した経験がある人は、ほぼいないというふうに思います。
 それにもかかわらず、二十年後を生きる子供たちの教育を選定しているという仕組みに私は問題があるというふうに指摘したいと思います。
 より俯瞰して見れば、教育によって獲得するべき姿勢の一つに学ぶ姿勢があると考えています。知識が十分でない可能性がある、例えばプログラミング教育というものに対して学ぶ姿勢が欠如している教員が子供にそれを指導しているのか、非常に疑わしいと考えます。
 学ぶ姿勢が欠如しているという指摘をする理由の一つに、先ほど紹介した都内の先進事例の現場に、教育庁が足を運んでいないという事実を指摘したいと思います。半日あれば行ける距離にもかかわらず、行かなかった理由を何度も伺いましたが、間接的に得た情報で十分という説明を幾度となく受けました。
 この先進事例では、ICT環境を活用して、学級集団の状態や子供一人一人の意欲、満足感などを測定する指標、QUをリアルタイムで測定できるなどの活用事例もありまして、これを指導に反映した結果、一年後の学級の状態を確実に改善できたという成果も上げています。これが事実かどうか、子供の顔を見ればわかるのではないでしょうか。教育者の姿勢として非常に残念だと思いました。
 実は、この姿勢は今回のプログラミング教育の先行事例だけに限ったことではありません。都内の国立大学附属校で開催される全国から教員が集まるような研究事例発表会にも、教育庁からは人が来ないというふうに、残念ながら聞きました。
 ある意味、一貫している姿勢だとはいえるんですけれども、都教育委員会は、都内のプログラミング教育の質を高めるために、先行事例について、現地に足を運んで情報収集や効果検証を行い、他の学校に必要なものについては周知するべきだと考えますが、見解を伺います。

○宇田指導部長 これまで都教育委員会は、推進校以外でのプログラミング教育に関する特徴的な実践について、他校や他地区の参考となるような取り組みをしている学校や、区市町村教育委員会を訪問するなどして情報収集し、情報教育担当指導主事連絡会等を通じて、その取り組みを全都に周知しております。
 今後は、より先進的な取り組みをしている学校を訪問するなどして、すぐれた事例を収集し、周知することで、区市町村及び小学校におけるプログラミング教育の円滑な実施を支援してまいります。

○福島委員 今後は、より先進的な事例を学ぶために足を運んでいただけるということで、非常に前向きなご答弁をいただけて、私としては本当にうれしいです。
 何も、その事例をそのままやってほしいというわけではなくて、知った上で取り組むべきだということで、視野を広げるためにも、ぜひそういう事例が特に都内にある場合には、ぜひ活用していただきたいと思います。
 ところで、先進事例においては、校長の権限である裁量の時間を使ってこのプログラミング教育に充てている、時間を確保している状態です。
 そういう意味では、校長先生の皆様のリテラシーの中で、ICTに苦手意識があったりすると、こういう取り組みは、そもそもなかなか進みにくいのかなというふうに感じます。
 ということで、他県の事例においては、一時間半ほどで教師を含む大人がIoTプログラミングや実際の課題解決に取り組む体験を通じて、プログラミングを楽しめるような、そして学べるような体験会なども提案しているようなので、ぜひこういうのも活用しながら、こういうプログラミング教育に対する苦手意識みたいなのも払拭してもらって、これはぜひ自校の特色ある教育にしたいと思うような校長先生が育つように努力していただきたいというふうに考えます。
 ところで、既に導入したICT環境が、やはりITリテラシー不足が原因で、いま一つの状態で、こういうハードウエアというのは、一回導入されてしまうとなかなか更新ができないことから、我慢して使っているケースというのにも遭遇してしまいました。子供時代に一度プログラミングが嫌いになってしまうと、取り返すのは容易ではないという専門家の声も聞いています。
 今後、ICT環境整備をする区市町村、委員会に対して、これまでの知見をどのように伝えていくか、見解を伺います。

○太田地域教育支援部長 区市町村がICT教育の環境整備を進めていくに当たっては、整備に必要な専門知識を有する人材や学校を支える体制が不十分なことのほか、多額の経費を要すること、整備による教育的効果が十分実証できていないことなどが課題でございます。
 都教育委員会は、平成三十一年度から、先進的な取り組みを実施している区市町村などと連携し、ICT利活用モデル検証事業を実施してまいります。本事業は、区市町村におけるICT環境の導入や活用方法、導入に伴う効果などを多面的に検証するものです。
 検証により得られた成果を取りまとめ、区市町村が環境整備の推進に必要な情報提供などを行い、取り組みを支援してまいります。

○福島委員 現状を捉えた前向きな取り組みということで非常に安心しました。
 過去に学び、そして子供たちのこれからの学ぶべき教育を第一に、よりよい教育環境整備に取り組んでいただきたいと考えます。
 そして、本当にちょっと辛口が連続して申しわけないんですけれども、これからの生徒像をきちんと理解し、そして体現する教育管理職、例えば校長や副校長でなければ、これからの生徒を育てることはできないと思います。
 今回の質問に先立ち、さまざまやりとりをさせていただきましたが、非常に気になったのが、特徴ある教育をご紹介すると、あの先生だからできたことという説明を何度もお聞きしました。突出した他校の取り組みを疎ましく思うようであれば、出るくいを打つという風潮が見られる日本の文化の是正はできませんし、これからの教員の育成も任せることはできません。
 これからを生きる子供たちを教育する教員は、現状に安住しない、一般の人よりも先を見て行動する能力が不可欠だと考えます。
 まず、都教育委員会は、校長、副校長などの教育管理職につくために必須の条件、要件をどう考えているかを伺います。

○安部人事部長 都教育委員会は、教育管理職に求められる資質を東京都公立学校の校長、副校長及び教員としての資質の向上に関する指標に定め、教職員に周知をしております。
 この中で、校長等に求められる能力としては、教育者としての高い見識と広い視野を持って学校経営ができる力を掲げ、具体的には、学校経営力、外部折衝力、人材育成力などから成る学校マネジメント能力を示しております。
 これらの能力の向上を目指して、現在、教育管理職研修や教育管理職候補者研修を行い、育成を図っているところでございます。

○福島委員 学校経営力、そして外部折衝力、人材育成力と非常に高いものを求められているということがわかります。
 とはいえ、都立高校改革や教育ビジョンの見直しに合わせて教育方針が変わるのであれば、それに照らし合わせて見直した部分があるかと思いますが、それに関して伺います。

○安部人事部長 都教育委員会は、教育管理職に対し、従来は教育者としての高い見識を主として求めてまいりました。
 その後、社会情勢が変化する中で、校長等には教育改革の動向や生徒等のニーズを踏まえた学校経営を推進するマネジメント能力の必要性が高まり、校長等の資質として学校経営力も求めることとしてまいりました。
 今後とも、時代の変化を見据え、求められる資質、能力の見直しを進めながら、教育管理職の資質の向上を図ってまいります。

○福島委員 ご答弁いただきありがとうございます。
 私が求めたいのは、これまでの質疑を通じて、ちょっと問題だなとなりました、先進事例が身近にあっても学びに行かなかった、一般的に、世の中的には閉鎖的であるといわれがちな教員村社会を改めるための取り組みです。
 これからの生徒を育てるために、教育管理職には、外に情報を求める努力や、他者に学ぶ姿勢がより一層必要だと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○宇田指導部長 教育管理職がみずからの資質や能力を高めるためには、課題意識を持って、さまざまな研さんと修養に努めることが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、研修や自己啓発を通して教育者としての見識をさらに高めることを教育管理職の育成指標に位置づけ、主体的な研究活動の支援や教育情報の提供などを行っております。
 今後、管理職が高い見識や教育理念に基づいた学校経営を行うことがさらにできるよう、外部の知見を生かした研修をより一層充実させるとともに、自己啓発の促進を図ってまいります。

○福島委員 ご答弁ありがとうございました。
 そう簡単なことではないと思うんですけれども、やっぱり私、ちょっと伺っていて、すごく難しいなと思うのは、教育というのは、すごく完全な人がいて、不完全な生徒がいて、教えてあげるというよりは、やっぱり教育者みずからが自分の足りないことを自覚し、学び続ける姿勢というのが子供たちに一番きくんじゃないかというふうに私は思います。
 なので、もちろん高いものを求められて昇格試験はすごく大変そうなんですけれども、それに向かって努力していること、そしてやっぱり二十年後を支える子供たちのために新しいものをきちんと学んで成長していく姿、それが一番、子供たちには影響するのではないかと思います。
 話は全く変わりまして、一般質問でも取り上げました奨学金のデータベースについて話したいと思います。
 経済力の格差が教育の格差につながるという社会課題が指摘されていますが、その解消の手段の一つが、各種の奨学金の活用だと考えています。
 私は、先日の一般質問において、民間などが実施する各種の奨学金の活用を促進するために、各学校が独自に調査している現状を改めて、各学校が参照できる形でデータベースを作成する、そして、マッチングコーディネーターなどを配してその情報を伝えるべきだというふうに質問しました。
 その際、教育長から、都教育委員会のホームページに一覧をつくり、各都立学校のホームページから閲覧できるように整備するとともに、教員が適切な奨学金を紹介できるよう指導するという大変前向きなご答弁をいただきました。
 そこで、ぜひ早期にこれを整備していただくことを要望するとともに、都立高校への進学を初め、さまざまな教育に関する相談を行っている東京都教育相談センターに進路の相談ができるように、整備する奨学金一覧のホームページに相談センターの相談先を表記していただきたいと考えますが、見解を伺います。

○江藤都立学校教育部長 生徒が活用可能な民間等が実施する奨学金や、国や都の支援策の一覧を東京都教育委員会のホームページに新たに整備するに当たり、進路や友人関係、学校生活等に関するさまざまな相談対応を行っている教育相談センターの連絡先を記載し、進学に伴う支援策を助言することなどを含めて、進路相談に適切に対応できるよう準備してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。この教育相談センターというのは、教育全般にかかわる相談を受け付けています。一方、学校にかかわる相談の扱いは、実は都が運営する都立と、そうではない私立では大分異なっています。
 私自身も議員になって初めて、生活文化局が私立学校を担当していることを学びましたが、都民から見て、この構造はわかりづらいと思います。
 実際に私立学校の問題について、都立学校の相談窓口である学校問題解決サポートセンターに相談した結果、相談に乗ってもらえなかったような事例があるというふうに伺っています。
 私立学校に子供を通わせている保護者が、学校の対応策などについて相談する場合の相談窓口を明確にすべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○宇田指導部長 都教育委員会では、児童生徒に関する教育相談や、いじめ相談等については、公立、私立を問わず、東京都教育相談センターにおいて、臨床心理士や指導主事等が対応しております。
 また、私立学校における学校の対応に関する保護者等からの相談につきましては、私立学校を所管する生活文化局私学行政課において対応しております。
 今後、東京都教育相談センターでは、相談の内容によって、こうした役割分担に応じた適切な窓口を案内することを徹底してまいります。
 加えて、ホームページやリーフレットが利用者にとってわかりやすいものになるよう、引き続き改善に努めてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。運営に加えて、さらには、わかりやすいホームページやリーフレット、このようなものも用意していただけるということで、安心される保護者も非常に多いのではないかと思います。ありがとうございます。
 以上で質問を終わります。

○高倉委員 児童生徒にとりまして、もちろん日常の学業とはまた別に、いろんな芸術文化に触れる機会といったものが、私は極めて重要な意味を持っているのではないかなというふうに思います。特に生の芸術に触れるというようなことは、本当に大変なインパクトがある場合も多いわけであります。
 私の場合ですけれども、生の芸術ではないんですけれども、前回の東京オリンピックの後、実は東京オリンピックの映画がつくられたわけであります。大変芸術性が高い作品であるというふうに私は思っておりますが、当時、私は小学校の低学年でありまして、私の郷里は茨城県なんですけれども、かなり山の中の小学校であったんですが、そこには木造の古い劇場がありまして、そこで多分、全校生徒というよりは、何学年か一緒だったと思うんですけれども、その劇場に全部入って、その映画を見たんですね。
 子供ながら、みんなが大歓声を上げて、今でも覚えているのはマラソンのアベベ選手がずっと走って、独走して、ゴールテープを切って、その後、なおかつ体操していたというシーンをよく覚えているわけでありまして、あれは生の芸術ではありませんけれども、当時、映画を見るようなことすら、機会もとても少なかったわけでありまして、芸術作品という点からいって、今でも鮮明に覚えているということで、非常に児童生徒の方々が芸術に触れる機会といったものが、私は大人になって想像する以上に大きいものがあるのではないかなというふうに思っております。
 来年、二〇二〇東京大会が行われるわけですけれども、スポーツの祭典であると同時に、文化プログラムといったことがきっちりと行われることになっておりまして、この大変な、参考になるのがロンドン大会であって、大変広範な文化プログラムが展開されたというふうに聞いているわけであります。
 私たち都議会公明党は、この文化プログラムということにつきまして、なかなか思うように進んでいないのではないかと、こういうような観点で、これは昨年の第四回定例会の本会議であったと思いますけれども、文化プログラムのことを取り上げて、特に地域のさまざまな文化芸術団体、それから、そういったイベント、行事があるわけでありますけれども、そういったものをしっかり位置づけること、あわせて、学校の現場において、この文化プログラムといったものが位置づけられ、しっかり展開されるように、こういう提案をさせていただいたわけであります。
 そこで、まずお伺いしたいんですけれども、各学校において、オリンピック・パラリンピック教育といったものが行われているわけでありますが、その中で、芸術文化に関してどういう取り組みが行われてきたのか、このことについて答弁を求めたいと思います。

○藤井指導推進担当部長 東京二〇二〇大会を契機に、子供たちが日本や東京が持つ芸術文化のすばらしさを知り、また体験することは、将来にわたり豊かな人生を送る上で重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、平成二十八年度から全公立学校で展開しているオリンピック・パラリンピック教育のテーマの一つに文化を位置づけ、各学校では、地域の環境や特性に応じた多彩な取り組みが行われております。
 具体的には、地域に在住する専門家や留学生等を講師として招聘し、日本の伝統文化である茶道や和太鼓、都内で受け継がれる郷土舞踊等の体験活動のほか、外国の衣食住や生活についての学習や民族舞踊鑑賞などを行っております。

○高倉委員 先ほど私ども都議会公明党の提案を申し上げたわけでありますけれども、これを受けて、東京都教育委員会では、新年度の予算の中で新しい取り組みを行うということにしているというふうに思います。
 文化プログラム・学校連携事業といったものでありますけれども、この事業の具体的な内容についてご説明をいただきたいと思います。

○藤井指導推進担当部長 都教育委員会は、芸術文化団体等と連携して、平成三十一年度から新たに実施する文化プログラム・学校連携事業により、各学校の芸術文化の取り組みを支援するとともに、これらの取り組みが都の文化プログラムに位置づけられるよう、条件を整備してまいります。
 具体的には、平成三十一年度にオーケストラ等の大規模団体と連携する広域活動団体型の指定校を三十校、地域伝統芸能等の小規模団体と連携する地域連携型の指定校を百五十校指定し、子供たちの芸術文化に親しむ体験活動を一層充実させてまいります。

○高倉委員 今、答弁にありましたけれども、オーケストラ等の大規模団体と連携する広域活動団体型を三十校、それから、地域伝統芸能等の小規模団体と連携する地域連携型を百五十校指定すると。これは本当に大きな前進につながる取り組みではないかなというふうに思っておりまして、この事業を新年度の予算に盛り込んだということについては高く評価を申し上げたいというふうに思います。
 従来、学校におけるこうしたいろんな芸術に触れる機会といったものをいろいろと状況を聞いたりしてみますと、例えば市区町村立の学校においても、それなりに行われておりますし、都立学校においても行われているわけでありますけれども、しかし、実際行われている形を見ますと、例えば都がしっかりと財政的にも、財源的にも支援して行われているというようなことが必ずしもしっかり行われているわけではなくて、お金はどうしているんですかというと、保護者の負担でやっています、あるいは学校の独自の企画でやっています、こういうような例が非常に多かったわけでありますが、今回、こういう新しい事業を立ち上げて、しっかりと取り組んでいくということにしたことは非常に大きな前進であるというふうに考えております。
 先日、私は、都内のある演劇の団体の公演をちょっと拝見する機会がありました。東京演劇集団風という名前の劇団でありますけれども、都内にはたくさんの劇団、立派な劇団、本当に活発な活動をされておりますけれども、そこで最近始めたのがバリアフリー演劇というものなんですね。
 私も従来、映画を、聴覚の障害のある方とか、視覚の障害のある方も楽しめるようにということでバリアフリー映画なんかも後押し、応援をしてきたわけですけれども、バリアフリー演劇といったものを見たことがなかったものですから、楽しみにして見てまいりました。
 小さな演劇をする場だったんですけれども、例えば始まる前に、その演じる場は非常に小さいわけでありますけれども、まず舞台の四方がありますけど、そこから声を出してみるんですね。そうすると、手前と奥とは随分声の感じが違っているということがわかりました。見ていると、奥でしゃべろうが、手前でしゃべろうが余り感じないんですけれども、そういう違いがあった。そういうことも知ってほしいといって始まったんですね。
 私は、あえて目をつぶって、ちょっと長い公演だったんですが、ヘレン・ケラーという演劇でありましたけれども、実は登場人物のせりふのほかに情景を知らせるナレーションが入るんですね。
 それから、聴覚障害の方のためには、手話通訳の人が、いわゆるそこの演劇を演じている場の中に入って手話通訳しているという非常におもしろい状況でありました。その状況は私はよく見なかったんですけれども、非常に想像力も膨らんで、とてもいい取り組みではないかなというふうに思った次第であります。
 この劇団は、もう既に都立高校において、このバリアフリー演劇ではありませんけれども、普通の演劇を、しっかり学校で公演を行っているような団体でありますけれども、そういうものを拝見したときに、これから学校の児童や生徒の皆さんが見ていく、ともかくいろんなものを見ていただきたいというふうに思います。
 今申し上げたような教育的な意味での効果もとても大きいような、そういう芸術もあるわけでありまして、これだけ大きく事業を展開して、児童生徒の方々に、恐らく生の文化芸術を見ていただくというようなことを展開するわけですから、ぜひできるだけ視点を幅広くとって、子供たちに少しでもいいものを見ていただくように、この事業を展開すべきであるというふうに思いますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

○藤井指導推進担当部長 文化プログラム・学校連携事業の効果を高めるためには、各学校と芸術文化団体等との連携をより一層推進し、あらゆる子供たちに幅広い分野の鑑賞や体験等の機会を提供していくことが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、平成三十一年度、さまざまな芸術文化団体に対して、学校の教育活動への協力を依頼し、講師派遣や校外学習など、合計百以上のプログラムを学校に提供してまいります。
 具体的には、管弦楽鑑賞やワークショップ型体験のほか、視覚障害のある子供に向け、情景を説明するナレーションが流れる演劇を用意するなどして、障害の有無にかかわらず、全ての子供が芸術文化のすばらしさを実感できる内容としてまいります。

○高倉委員 オリンピック・パラリンピック大会に関連しては、レガシーということがよくいわれるわけであります。
 前回の東京オリンピック・パラリンピック大会のレガシーということでいうと、代表的なのが東京都交響楽団であったりするわけであります。
 私は、今回の、来年のオリ・パラ大会の後、本当にさまざまなレガシーがきっと残されるんであろうというふうに思っておりますが、子供たちが芸術文化に親しむという取り組みを明年の二〇二〇東京大会のレガシーとして残していくべきであるというふうに考えるわけでありますけれども、この点についての教育委員会のお考え、取り組みをお聞きしたいと思います。

○藤井指導推進担当部長 子供たちが芸術文化に親しむ取り組みをオリンピック・パラリンピック教育のレガシーとしていくためには、学校が地域や芸術文化団体等との連携を東京二〇二〇大会以降も確実に継続していくことが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、文化プログラム・学校連携事業の指定校における地域に根差す文化活動や、芸術文化団体等と連携を図った体験活動のうち、すぐれた実践例を都内全公立学校対象のオリンピック・パラリンピック教育連絡協議会において周知するなどして、各学校におけるレガシーの構築を支援してまいります。

○高倉委員 次に、先ほど内山委員さんの質疑でもありましたけれども、学校の動物飼育について、何点か私の方からお伺いしておきたいと思います。
 東京都教育委員会は、小学校の動物飼育推進校といったものを指定しているわけでありますけれども、まず、この事業の目的や指定の基準、あるいは現在までの指定の学校数についてお伺いしたいと思います。

○宇田指導部長 都教育委員会は、児童が生命のとうとさを理解し、動物愛護の精神を身につけることを目的として、平成二十六年度から小学校動物飼育推進校事業を実施しております。
 推進校は、飼育動物の種類や地域のバランスを踏まえ決定しており、昨年度までに十校の小学校を、平成三十年度からはさらに五校の小学校を指定しております。

○高倉委員 先ほどの内山理事さんの質疑でも獣医師さんの役割といったことが取り上げられておりました。
 本当に学校での動物の飼育においては、もちろん教員の方はもとよりですけれども、獣医師さんの存在というのは欠かせないわけであります。
 この飼育推進校事業において、獣医師はどういう委託契約に基づいて、どういう役割を担って活動しているのか、ご答弁をいただきたいと思います

○宇田指導部長 都教育委員会は、東京都獣医師会と獣医師の学校派遣に関する委託契約を締結しておりまして、獣医師は、その契約に基づき、各推進校で年間三十時間、児童や教員への指導を行っております。
 具体的には、餌の与え方や健康観察の仕方などの動物飼育にかかわる基本的な事項の指導や、児童が動物の心臓の音を聞くなどの体験活動に関する指導を行っております。
 また、教員を対象とした研修の講師を務め、学校全体で行う動物の健康管理や環境整備などについても指導しております。

○高倉委員 この推進校において、例えば動物の場合はいろんな活動が当然展開されるわけですけれども、子供たちにとって一番ショッキングなこととしては、飼育していた動物が亡くなるといったこと、そういうのをまさに目の当たりにするわけですけれども、飼育推進校において飼育動物が亡くなった場合の対応はどうされているのかお伺いしたいと思います。

○宇田指導部長 都教育委員会と東京都獣医師会が締結した委託契約の中には、飼育動物が死んだ際に、獣医師が遺体の検案や埋葬の処理などを行うと規定されております。

○高倉委員 今、推進校のことについてお伺いをしたわけでありますけれども、実際、先ほど答弁をいただいたとおり、推進校そのものは極めて数が少ないわけであります。
 推進校以外の小学校でも、動物の飼育というのはかなり行われているというふうに思いますけれども、推進校以外で、今申し上げたように飼育動物が亡くなってしまった場合、命の大切さを学んでいくといったような観点からも、その動物の遺体の検案、あるいは埋葬できる体制づくりといったことはしっかりと構築をしていく必要があるというふうに思うんですけれども、この点についての答弁を求めたいと思います。

○太田地域教育支援部長 児童生徒が動物との触れ合いを通して、動物愛護の精神の向上を図るとともに、動物由来感染症の防止など、安全で快適に学ぶことができる教育の場を提供することが求められております。
 このため、都教育委員会は、学校において命を尊重する心を育む教育が適切に実施されるよう、平成二十六年度に区市町村立学校の動物飼育において、獣医師を活用していくためのガイドラインを作成しました。
 このガイドラインでは、区市町村教育委員会と当該区市町村立学校が、都獣医師会との連携のもと、学校担当獣医師を置いて、飼育動物に関する衛生管理指導や必要な治療を行うほか、死亡した場合には遺体の検案を実施し、埋葬処理をすることなどが示されております。

○高倉委員 今、ガイドラインのお話があったわけでありますが、ガイドラインにはそういうふうになっているということであるというふうに思いますが、実際、学校の動物飼育においては、獣医師さんの存在が非常に重要であるということは申し上げたとおりであります。
 やはり、獣医さんがボランティアのような形で役割を担っているというような例も多いというふうに聞いているわけでありまして、私は、推進校以外の学校についても市区町村の教育委員会が適切な対応がとれるように、東京都教育委員会としてはより具体的な支援をすべきであるというふうに思いますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

○太田地域教育支援部長 区市町村立学校における動物飼育については、原則として設置者である区市町村がみずからの負担と責任において行うものでございます。
 先ほど申し上げましたガイドラインは、区市町村教育委員会が都獣医師会との委託契約により、獣医師を活用した適切な学校動物飼育がなされるように作成したものでございます。
 平成三十一年度から、都教育委員会は、区市町村教育委員会等を対象に、ガイドラインのより一層の活用を促すための研修会を実施し、区市町村立学校における獣医師を活用した飼育動物の適切な管理を推進してまいります。

○高倉委員 ぜひこのガイドラインに沿った取り組みをしっかりと進めていただきたいというふうに思いますけれども、本当に獣医師さんが一生懸命、子供さんたちのために頑張っていただいていると。このことも十分踏まえて、取り組みをまた行っていただきたいというふうに思います。
 また、推進校の数が多いか少ないか、私、率直にいって非常に少ないのかなという印象を持ったわけでありまして、恐らくモデル的な存在になっているはずなんですね。したがって、こういう推進校もふやしていくような取り組みもぜひお願いしたいと思います。
 最後に、いじめについて、現状と、そしてその取り組みだけお伺いさせていただいて質問を終わりたいというふうに思います。
 まず最初に、いじめの認知件数、その状況とか近年の傾向、こういったことについてご説明をいただきたいと思います。

○宇田指導部長 平成二十九年度のいじめの認知件数の合計は、三万一千四十九件であり、平成二十八年度から全ての校種で増加しております。
 これは、都教育委員会が全教員に対して、見逃しがちないじめの具体例を示すなどして、いじめの定義に基づく認知の徹底を図った結果、教員の意識が高まり、軽微ないじめも確実に認知されるようになったことによると考えております。

○高倉委員 この認知については、軽微なものも含めて認知するということで、そういう意味でも数はふえているということでありますが、しかしながら、三万件を超えるという数は、決して少ない数ではないというふうに思うわけであります。
 さまざまな取り組みをしてきていると思いますけれども、いじめの防止に向けた取り組みについてお伺いしたいと思います。

○宇田指導部長 都教育委員会は、いじめ防止等に関する総合対策を策定し、学校いじめ対策委員会を核とした組織的対応の強化や、子供たち自身がいじめについて考え、行動できるようにする取り組みを推進しております。
 また、子供が相談しやすい環境の構築を目的に、定期的なアンケートやスクールカウンセラーによる小学五年生、中学一年生、高校一年生を対象とした全員面接を実施するなどして教育相談体制の充実を図っております。
 さらに、今年度新たに、いじめ防止に向けた取り組みの進捗状況を見える化するシートを作成いたしました。今後、都内公立学校の生活指導担当者対象の連絡会等でその活用方法について説明し、各学校が自校のいじめ防止対策における課題を明らかにして、PDCAサイクルの中で改善を図ることができるよう促してまいります。

○高倉委員 いずれにしても、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 本来、子供さんたちにとっては、学校生活というのは有意義で楽しむべき場所なわけですね。そういう年代でもあるわけでありますけれども、しかしながら、重大ないじめに直面している子供たちにとってみれば、これは本当に地獄のような毎日といっても過言ではないわけでありまして、ぜひこの取り組みはさらに強化をしていっていただきたいというふうに思います。
 特に日常的に子供たちと接している教員というのが、いじめの防止にとっては、まずはとても大事であるというふうに思っておりますけれども、教員の資質向上に向けた研修等々にさらに取り組んでいくということも必要だというふうに思いますが、この点についての答弁をいただきまして、質問を終わりたいと思います。

○宇田指導部長 都教育委員会はこれまで、いじめ問題への対応力向上を目指す研修を教員の経験や職層に応じて実施するとともに、都内全ての公立学校において、いじめに関する校内研修を年三回以上実施することを徹底するなどして、いじめを確実に認知し、組織的に対応する体制の強化を図ってまいりました。
 今後は、都内公立学校のいじめ防止を担当する教員を対象とした連絡会等で、いじめられている子供が発するSOSを確実に受けとめる方法などを学ぶ演習を通して、教員の児童生徒理解をさらに深め、各学校におけるいじめ防止対策を一層充実させてまいります。

○星見委員 それでは、私からは、まず特別支援学校の問題について幾つか質問させていただきます。
 初めに、特別支援学校の図書館の活動についてです。
 今、特別支援学校、都立の支援学校では、この十五年間で児童生徒が約五千人増加し、教室はおよそ八百室以上足りないといわれています。特別支援学校には、公立小中学校のように学校設置基準がなく、足りない教室分を音楽室や図書館など、カーテンで区切って二教室にして使うというカーテン教室といわれる状況が多くの学校で問題になっています。
 このような中で、学校図書館が教室の代用になっているところは何校ありますでしょうか、まずお聞きいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校では、学校運営の都合上、図書室など特別教室を普通教室に転用する場合があるのと同様に、普通教室を図書室など特別教室に転用する場合もございます。
 また、そのように転用した教室をさらに別の教室に転用する場合もありまして、このようなことが繰り返されている学校におきましては、図書室からの転用状況を把握することは大変困難でございまして、図書室を教室等に転用している校数は把握しておりません。

○星見委員 今の児童数、生徒数の増加の中で、図書館自身が次々と変わっていくと。あるいは、あるのかないのかもわからないという事態の中で、把握しがたい、把握されていないということだと思います。
 以前に視察した高等部の教室でカーテン教室がありました。本棚が壁に残っておりまして、これは学校図書館を二つに分けて教室に使ったんだなというのがはっきりわかるという跡がありました。
 教育委員会として、特別支援学校で学校図書館の施設がどうなっているのか、どういう形で学校図書館が設置されているのかをぜひ把握していただきたいということを要望しておきます。
 カーテン教室にかわり、学校図書館の施設が使えない学校では、独自の努力で図書室や図書コーナーをつくらざるを得ません。このような場合、図書購入費以外に、必要に応じて整備費などをつけるべきと思いますが、この点はいかがでしょうか、伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、図書館に限らず、学校施設の整備、改修を要する場合に、これまでも学校の要望を踏まえ、適切に対応しているところでございます。

○星見委員 今のご答弁で、教室の整備で図書館の機能を失っている場合、その失った機能を回復するような場合に、図書室や図書コーナーなどの整備費用は、学校の要望を踏まえて都教委が対応することが確認できました。
 自律系予算である学校費だけでは十分に対応できない場合もあると思うんです。ぜひこの点では、学校現場の要望、今ご答弁ありましたように、よく聞いて進めていただければと思います。
 次になんですが、教育長に、第一回定例会の私の一般質問で、特別支援学校での学校図書館の活用について聞かせていただきました。その際に、特別支援学校の学校図書館を活用した教育活動を推進していくとご答弁されています。
 学校図書館を特別支援学校の中でどのように教育活動に生かしているのかを伺います。

○宇田指導部長 都立特別支援学校では、授業場面や、子供たちに本に親しませる工夫である読み聞かせ、調べ学習などを行う際に学校図書館を活用しております。
 また、点字図書や布の絵本など、障害等に応じた図書を購入するなどして利用しやすい環境の整備に努めております。
 さらに、生徒の作業学習の一環として、学校図書館を活用し、蔵書管理のためのバーコードを張りつける活動や、蔵書リストのコンピューター入力作業などを行っている学校もございます。

○星見委員 この特別支援学校、都立の中で、どのように学校図書館を活用されているのかというので、どこか見に行きたいと思っていろいろ探している中で、実は私、昨日、都立の墨東特別支援学校を視察いたしました。同学校は、肢体不自由のある小学生から高校生までが在籍する特別支援学校で、重度障害や医療的ケアの必要な子供たちも在籍し、一人一人の児童生徒に応じた教育が求められておりました。
 ここでも、やはりもともとの学校図書館はカーテン教室になっておりました。しかし、子供たちが使いやすい一階に新たに図書館を整備し、一階と二階の廊下で明るい半円の場所に小さな図書コーナーも設置されておりまして、子供たちがいつでも本に触れられる工夫が満載でした。
 この墨東特別支援学校での学校図書館の整備と活用が発展したのは、二〇一二年当時の校長先生が、子供たちが楽しく使える図書館をつくってほしいと元公立図書館に勤務していた司書教諭の先生を赴任させたことが発端だということです。
 現在は、副校長先生も司書教諭の資格を持ち、各学年にそれぞれ一名の司書教諭がいます。二〇一三年度からは、言語能力向上拠点校などの研究指定校を受けて、その予算を使って、必要なものや有償の図書館支援員も配置するという努力をしていました。
 また、すぐれているなと思ったのは、地元の江東区立図書館が協力をしておりまして、特別支援学級向け団体貸し出しセットを用意して、墨東特別支援学校のさまざまな要求にも江東区の図書館が応えてくれているというのも、行ってみて初めて本当に驚きました。
 研究指定校は既に三年間で終了しておりましたが、現在も学校費の予算を使って同様の展開を続けています。
 小さな図書館には、教員が授業で使える教材としてパネルシアター、壁に張ったものに一つ一つ、物語に即した建物であるとか登場人物を張りながらお話をしたり、あるいは子供たち自身がお話に合わせてそういうものを張りながら、お話の世界を実感するというようなパネルシアターがたくさん並んでいまして、これはどう使うんですかと聞きましたら、各先生たちが自分の教室でやりたいときには、この司書教諭と図書館支援員が相談して手づくりしたこの教材を授業の中に持ち込んで使っていますというお話でした。
 この図書館支援員は、授業にも参加し、支援に入った小学校低学年のクラスでは、一年間に六十三冊の本を活用しているというので、とても驚きました。
 (資料を示す)これは、その図書館支援員さんがつくって、まとめて授業をやっている、もちろん先生と一緒に、これを子供たちにまとめとして、一年間でこれだけ教材で使って、皆さんは目にしましたと。本当に子供の目線でよくわかるものがつくられて、ちょうどこれができたところでしたというのでいただいてまいりました。本当に私自身も勉強になりました。
 今の校長先生は、既にそのときの校長先生と違うんですけれども、図書活動で子供たちの笑顔がいっぱいになるのがうれしいというお話をされていました。
 都立の特別支援学校には、ほかにもすぐれた図書館活動をしているところがあるのではないでしょうか。都立特別支援学校の図書館活動を活用したさまざまな教育活動を推進していくために、ぜひこうした学校図書館活用を都立の各校に紹介していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○宇田指導部長 都教育委員会は、都立特別支援学校の教育課程編成の基本方針の一つに読書活動の充実を掲げておりまして、学校の教育課程における指導の重点の中に、読書活動の充実を位置づけるよう全ての学校に指導しております。
 これを踏まえまして、各学校では、児童生徒の障害の状態や地域の状況に応じて計画的に読書活動を実施しております。
 都教育委員会は、学校図書館の活用を含むこれらの読書活動の中から、効果的な事例を特別支援学校の教員を対象にした研究発表会で紹介するなどして、情報の共有化を図っております。

○星見委員 もう一つ、ほかのところで聞いたお話もあるんですが、司書教諭の先生、今、これは全校配置が文科省からもいわれておりまして、特別支援学校でも司書教諭は全校配置されています。
 司書教諭の方が努力をして、学校図書の充実や教育での取り組みを推進しているんですけれども、せっかく蓄積したものが転勤でゼロに戻るという、こうした嘆きの声も一方であります。
 司書教諭だけでは、系統的に学校図書館の整備ができないとのこうした声がある中で、都立特別支援学校での学校司書の配置の役割をどのように考えているのかを伺います。

○黒田人事企画担当部長 文部科学省が定める学校図書館ガイドラインでは、学校司書は、学校図書館を運営していくために必要な専門的、技術的職務に従事するとともに、学校図書館を活用した授業やその他の教育活動を司書教諭や教員とともに進めるよう努めることが望ましいとされています。
 なお、現在、都立特別支援学校においては学校司書を配置しておらず、学校図書館に関する職務を司書教諭の資格を有する教諭に校務分掌として担当させています。

○星見委員 今ご答弁がありましたとおり、現在、特別支援学校には学校司書が一人も配置されていません。
 学校司書の配置をぜひ順次進める、それとともに、当面の間、各校の希望に応じて、学校司書にかわるような形でもいいですから、さまざまな人的支援を行うべきと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

○安部人事部長 都教育委員会は、全ての特別支援学校に司書教諭を配置しており、司書教諭は全教職員の協力体制のもとで学校図書館の活用に取り組んでおります。
 また、都教育委員会は、必要な予算を配付し、学校が外部の専門家から図書館運営について助言を得たり、民間団体ボランティアが図書の読み聞かせをしたりする場合など、児童生徒の読書活動の充実に向けた充実的な取り組みを支援しております。

○星見委員 先ほど私が取り上げました一定の一般質問で、教育長からは、今後の学校図書館の推進について、学校図書館ガイドラインを参考にしてという答弁もありました。実は都立墨東特別支援学校に、今年度の学校図書館運営計画の基本方針、立派なものがつくられておりました。
 ここに、まず一番に書かれていたのが、文部科学省学校図書館ガイドラインを参考にと、まさにそのとおりに書かれ、一つ一つ、それを具体化している内容になっていました。
 この内容を進められているのは、まさに司書教諭と有償で入っている司書の支援員さんですけれども、この司書の連携の下に進められているからだというふうに現地で実感してきたところです。
 この墨東特別支援学校の司書教諭の先生は、とても学校図書館活動に熱意を持って取り組んでいらっしゃるんですが、実は担任を持っていて、子供たちが下校した後、一日三十分程度しか図書活動の時間は確保できないと、非常に厳しい中で頑張っていらっしゃるんです。そういう中だからこそ、随時、図書館支援員が来て補佐、支援をしているということだということがわかりました。
 帰りがけ、これは会ったところからなんですが、副校長先生は、学校図書館の活動について聞きましたら、最初から一言、やはり人ですと。最後、別れるときも、やはり人ですと。最初から最後まで人をどうするかということが大事な観点なんだということを語られておりました。
 ぜひ特別支援学校でも、都内の公立小中学校や都立高校、今、学校司書の配置、文科省の五カ年計画を受けてそれぞれ、さまざまな形ですけれども、努力が進んでいます。特別支援学校にも学校司書の配置を進めることを重ねて要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次は、特別支援学校での医療的ケア児の通学保障についてです。
 今年度の取り組みについて、まず伺いたいと思います。
 昨年九月から肢体不自由特別支援学校において、医療的ケアを必要とする児童生徒の通学用として、専用通学車両が運行しています。
 今年度、利用希望者は、五月一日時点で百七十四名と報告を受けています。このうち昨年の十月十五日時点の運行は二十七台で四十九名の利用でした。
 現在、肢体不自由特別支援学校は十八校ありますけれども、何校で何コース、何名が利用できるところまで来ていますでしょうか、伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 先ほどの答弁の繰り返しになってしまいますが、十七校で四十コース、六十九名になります。

○星見委員 五月時点で希望されているのが百七十四名です。十月時点からは努力が始まっているんですけれども、まだまだ乗れていない児童生徒さんたちがいらっしゃるというのが現実です。
 私、この間、保護者の方にお話などを聞きながら進展状況を見てきたんです。声を実際に聞いたものなどを紹介しながら質問させていただきたいと思います。
 希望があるのに乗車できていない生徒の保護者さんと、現在、何とか乗車できるようになっている生徒の保護者さんの間がぎすぎすしているという、本当に残念な声も聞こえてきます。どうして自分の子供は乗車させてもらえないのかという率直な保護者の声です。
 これは、保護者の期待が大きいだけに、こういう声が出ているんだろうなというふうに思います。ぜひ今、まだこれからさらに拡大していく中で解決しなければならない課題はたくさんあると思うんですが、乗車を待っている保護者の皆さんや、あとはご本人、当事者の児童生徒の皆さんにも丁寧な対応と説明が重要かと思いますが、この点はいかがでしょうか。

○小原特別支援教育推進担当部長 専用通学車両に乗車いたします児童生徒は、心身の状況や学内での医療的ケアの状況などがそれぞれに異なっておりまして、児童生徒の安全を最優先とするため、同乗する看護師の確保など、さまざまな条件が整った児童生徒から順に乗車させているところでございます。
 保護者には、都教育委員会から、安全を最優先とする乗車の考え方についての説明文を既に配布いたしておりまして、学校においても丁寧に保護者の状況を聞き取り、事業について説明しているところでございます。
 引き続き、保護者への丁寧な対応と説明を行ってまいります。

○星見委員 今年度、保護者に配布されました説明も結構詳しく、一番最初、始まったばかりなので書かれているのを見させていただいております。
 今、引き続き保護者に丁寧な説明というお話もありました。ぜひよろしくお願いいたします。
 それと、もう一つ気になるお話が、運転中に、走行中に、生徒さんが乗っている形で接触事故が起きているというのを聞いています。
 専用通学車両の委託会社の運転手さんは、この専用通学車両の運転に当たっての事故対応など、どのような研修を受けているのかを伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 お話の接触事故につきましては、児童生徒の事故につながるものではございませんでしたが、早速、事業者から状況を聞き取り、運転手への注意喚起や再発防止策を講じておるところでございます。
 専用通学車両を運行する車両事業者には、一般のスクールバスと同様、安全な運行や事故時の対応につきまして、従来から研修を義務づけております。
 また、交通事故を含め、万一緊急事態が起こった場合の対応方法につきましては、都立肢体不自由特別支援学校における専用通学車両の運行に関するガイドラインに示しまして、乗車する看護師及び運転手並びにそのバックアップに当たっている学校側の関係者の役割を明確にし、対応の訓練を既に行わせておるところでございます。

○星見委員 あと、今、学校でこの専用通学車両を朝早く学校から送り出し、そして朝と、それから夕方、運行する責任を担っているのが、学校によってそれぞれ違いますが、多くは副校長先生であるというふうになっています。
 バス会社や訪問看護ステーションのやりとりから、専用通学車両の朝の施錠や物品の準備、これを管理職と保健室が中心になって進めているようです。
 学校の教員自身が全体をつかめていないのではないかという意見もあります。学校職員全体で方針や情報を共有し、学校のどこの組織に位置づけられているかを、保護者や、あるいは関係者に明確にしながら進めるべきと思いますが、この点はいかがでしょうか。

○小原特別支援教育推進担当部長 専用通学車両の運行につきましては、先ほどのガイドラインにおきまして、スクールバス等乗車対象者検討委員会などの組織を設けて、明確に校務分掌に位置づけるよう学校に指導いたしております。
 スクールバス等乗者対象者検討委員会は、管理職、常勤看護師、担任などで構成され、乗車対象者の乗車基準を満たすかどうかの検討、決定を行っております。
 専用通学車両の運行につきましても、校務分掌に従い、適切に取り組んでおります。

○星見委員 保護者の方から見ると、やっぱりこれから本格的な実施になっていって、車両の数もふえていくと、学校現場の中で、これが本当に安定的に継続的にやれるんだろうかという、こうした疑問も出ています。
 そのためにも、学校内全体での情報共有、それから、組織についても、その都度都度、ぜひ必要な補充をしながら改善していくことを求めておきます。
 次なんですけれども、今度は新年度の計画部分について伺ってまいりたいと思います。
 今回、予算で、さらに新年度予算にも組まれているわけですけれども、希望者全員が乗れる計画が必要になっていると思いますが、そういう意味で、どのような計画で予算が組まれているのかを伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 専用通学車両の乗車対象となる児童生徒に必要な車両数を運行するための予算を計上いたしております。

○星見委員 今のお答えだと、よく意味がわからないんですけれども、もう一度お聞かせいただきたいんですけれども、今回の資料請求の中にも、都内の公立特別支援学校の医療的ケアが必要な幼児、児童生徒の数が載ったものを出していただいているんです。
 その一部は、在宅の方もいたり、通学籍の方もいたり、あるいは乗車を希望されない方、公共交通を使っている方、さまざまな方がいらっしゃるんですけれども、今おっしゃいました専用通学車両の乗車対象となる児童というのはどういう児童を指していっていらっしゃるのか、もう一度お願いいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 専用通学車両の乗車対象につきましては、先ほど申し上げたスクールバス等乗者対象者検討委員会におきまして、検討、決定を行っております。
 この検討、決定を行って、乗車対象となる児童生徒に必要な車両数を運行するための予算を計上しているという意味でございます。

○星見委員 そうしますと、ご本人、当事者、あるいは保護者が希望するかどうかは別としても、現在、医療的ケアを受けていて、バスに乗れる条件があるというふうに判断されている人については、その数を全て網羅しているというふうに考えてよろしいんですね。そこだけもう一度確認させてください。

○小原特別支援教育推進担当部長 専用通学車両に乗車する児童生徒は、心身の状況や学内での医療的ケアの状況等がそれぞれに異なっておりまして、児童生徒の安全を最優先とするため、条件が整った児童生徒から乗車させているという実態がございます。
 こういった実態を踏まえまして、乗車対象となる児童生徒の乗車に必要な台数の予算を措置しているというところでございます。

○星見委員 今のご答弁で、客観的に乗車対象になるであろうという数については、踏まえた上での予算になっているというふうに確認できました。
 問題は、せっかくそれだけの予算があるけれども、本当に車両数等がしっかりと動くことができるかどうかという、今年度、非常に苦労している部分が問題になってくるんだなと思います。予算がしっかり組まれていることは非常に評価できますし、ぜひ頑張ってもらいたいと思っています。
 その上では、専用車両は、看護師の同乗がなければ保護者がいつまでも付き添い続ける現状は変えられませんし、保護者が付き添う条件がなくなれば、この車両にも当事者である児童生徒は乗れなくなるということになるわけです。
 そういう意味で、昨年十月にこの問題を取り上げまして、看護師の確保がかなめであるということを述べた上で、あの当時、時給千八百円、待遇の改善などを求めまして、新年度、この点がどう改善されているか伺いたいと思います。

○小原特別支援教育推進担当部長 こちらにつきましても、予算特別委員会で答弁のあったところではございますが、平成三十一年四月から、専用通学車両の乗車に特化した非常勤看護職を創設いたしまして、その報酬単価を登校便では三千百円、下校便では二千百円に引き上げることといたしました。

○星見委員 単価が大幅にアップしたことは、看護師さんを確保できる条件が広がったということで歓迎されることです。ただ、やっぱりその待遇自身が、朝、非常に早い時間帯に集中していたり、あるいは夕方だけに集中するという条件のもとで、なかなかこの条件に合う看護師さんが、時間的な物理的な問題として見つかるかということがもう一つ大きな壁になると思います。
 それぞれの医療的ケアを抱えて、医療的ケアを必要としている児童生徒が通っている特別支援学校では、当然、現場でも看護師さんが大事な役割を果たしています。核になる常勤看護師さんをぜひふやしながら、この通学に使っています専用通学車両の看護師さんも引き続き頑張ってふやしていただけることを要望しておきます。
 また、もう一つ、新年度の乗車問題で保護者から希望が出されている問題に、もう既に来年度の乗車希望を各学校取り始めていて、まとまり始めている、あるいはもうまとまっているところもあるようですけれども、保護者の同乗が一定期間必要になるというふうに説明を当然受けています。
 この説明を受けた中で、やっぱり、希望があるんだけれども、辞退せざるを得ないというふうにされたという方もあると聞いています。
 保護者の同乗については、生活の状態に可能な限り寄り添って推進していただくことが大切だと思いますが、この点はいかがでしょうか。

○小原特別支援教育推進担当部長 専用通学車両における保護者から看護師への引き継ぎ期間でございますが、これは児童生徒の安全な乗車を確保する上で不可欠なものでございます。
 その趣旨を説明した上で、保護者には、引き継ぎ期間の同乗について、ご理解とご協力をいただいております。
 引き継ぎ期間に要する日数は、児童生徒の心身の状況や他の疾病の有無、実施する医療的ケアの困難性、看護師確保の状況などにより異なるものでございまして、必要な期間を設けております。
 都教育委員会は、今後も、児童生徒の安全を最優先として、引き続き保護者に丁寧に説明し、専用通学車両の運行台数の拡大に努めてまいります。

○星見委員 本当に保護者にとっても、当事者にとっても、また学校現場にとっても、初めての試みを毎日毎日積み重ねているということだと思います。ぜひ当事者、生徒児童や保護者に寄り添って進めていただければと思います。
 もう一つ、今年度の乗車している児童生徒は通学籍になっています。一方で、在宅訪問学級の児童生徒も、希望があれば、この専用通学車両を利用して通学できるような保障がぜひ欲しいと思うんですけれども、この点についての考え方をお伺いいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 専用通学車両につきましては、事業当初から、本人の体調や健康状態の事情ではなく、学校への通学手段の確保が困難なために、やむを得ず訪問教育の対象となっていた児童生徒を対象としております。
 在宅訪問学級の児童生徒でありましても、医療的判断などにより通学車両への乗車が困難とされた場合以外は、既に乗車の対象としております。

○星見委員 この在宅訪問学級の生徒児童、今年度はまだ実際に乗った方はいらっしゃらないと思うんですけれども、在宅訪問学級の生徒児童は、一度、通学籍に移ってから希望するんでしょうか。それとも、在宅訪問学級にいるままで専用通学車両を利用して通学籍に移行することができるんでしょうか。これ、保護者からも質問がありまして、教えていただけるとありがたいです。お願いします。

○小原特別支援教育推進担当部長 現在、在宅訪問の籍にいる児童生徒を通学籍に移して、通学籍として専用通学車両に乗せることになります。

○星見委員 その場合は、どうしても保護者が、一定期間通学籍に通うことが前提になった後に申請をするということになるんでしょうか。それとも、在宅訪問学級から通学車両に乗れるということがわかった段階から通学籍に移って、そのまま通学籍に入っていくということになるんでしょうか。
 要するに、保護者の方が一番気になっているのは、現在、訪問籍にある中から、一度通学籍になるところまで実績をつくらないと、この車両を使えないのではないかと。この辺について知りたいという声があります。ぜひ訪問籍から通学籍に移るときの条件、それをクリアして通学籍に一度入ってからじゃなければ、専用通学車両を申請することができないのかどうか、そこだけちょっともう一度確認させていただければと思います。

○小原特別支援教育推進担当部長 先ほど答弁申し上げましたとおり、専用通学車両につきましては、事業当初から、学校への通学手段の確保が困難なために、やむを得ず訪問教育の対象となっていた児童生徒を対象といたしております。
 したがいまして、この本人の体調が問題ではなく、通学手段がないだけの方については専用通学車両によって通学手段ができることになりますので、対象となる場合に、通学籍に移っていただくのですけれども、それは、その専用通学車両で通学していただくということになります。

○星見委員 丁寧な説明ありがとうございました。通学手段を専用通学車両で確保することができれば、そのまま今の在宅訪問学級から通学籍の学級に移ることができるということがわかりました。ありがとうございました。
 そして、もう一つお聞きしておきたいことがあります。それは、医療的ケアの必要な児童生徒の中、専用通学車両の利用が検討課題とされているのが人工呼吸器を使用している場合です。今年度の方針では、人工呼吸器管理モデル事業の研究成果を踏まえてとなっています。ですから、今、対象にはなっていません。保護者は、他の医療的ケアの児童生徒同様に乗車したいという要望を強めています。
 こうした中で、先ほどいいました人工呼吸器管理モデル事業、今、途中ですけれども、進展状況を待っていらっしゃる保護者もいらっしゃいます。どういう状況になっているかということを報告すべきと思いますが、この点についてはどのようになっていますでしょうか。

○小原特別支援教育推進担当部長 先ほどの答弁で一点つけ加えさせていただくところがありまして、訪問籍に移って、それで来ていただくというのですけれども、その場合、引き継ぎ期間についての同乗というのは求めることになります。念のために申し添えます。
 今のお尋ねについてでございますけれども、都教育委員会は、都立特別支援学校において、人工呼吸器の管理を適切に実施するための校内体制や実施方法などを検討することを目的として、今年度から二年間のモデル事業を実施いたしております。
 モデル事業における検討状況は、平成三十一年二月に開催いたしました学識経験者、医療関係者、保護者代表、学校関係者等で構成いたします医療的ケア運営協議会におきまして、既に報告いたしております。

○星見委員 今、この二月に医療的ケア運営協議会で一定の現在の状況を報告されているということです。まだ議事録は整理されていないと思うんですけれども、保護者など関係者にもオープンでわかりやすい形で進めていただきたいと思います。
 また、人工呼吸器を使っていらっしゃる医療的ケア児、あるいは生徒の皆さん、本当に一年先、二年先、待っているというのではなく、一日も早く学校で、そして保護者の方も二十四時間寝られないでついている、何としてもこうした思いを受けとめていただきたくて、実証の今のモデル事業もあるんですけれども、あわせて一日も早く実現できるよう求めて、次の質問に移ります。
 私の最後の質問は、働き方改革の一つの策として出されています新財団の設立について伺います。
 新財団の設立については、都は、教育の負担軽減と教育の質の向上の両立を図るとして、三つの取り組み実施を掲げています。
 このうちの一つが新財団の設立で、全国初となる学校支援のための外部組織、監理団体を設立し、多角的な支援を実施するとしています。順次、質問をさせていただきたいと思います。
 まず第一に、学校の業務に対応する人材バンクをつくるということです。先ほども何人かの方が質問されておりました。
 現在、既に公益社団法人東京都職員互助会互助事業課で、都教育委員会が委託しているものがありまして、この中を見ると、都内の公立学校で教育活動をサポートしてくださる方を登録していらっしゃると。この人材バンクの現在の登録数と、この間の実績をお聞きいたします。

○安部人事部長 人材バンクへの登録者数は、平成三十年十二月三十一日現在で約八千百人となっております。
 また、直近三カ年の活動実績は、平成二十七年度が約三千九百人、二十八年度が約四千二百人、二十九年度が四千七百人となっております。

○星見委員 登録者数が八千百人で、うち四千七百人が公立学校の教育活動のサポートをさまざましているとのことです。既に結構大きな実績のある人材バンクであることがわかりました。
 今回、東京都が現在委託をしているこの公益社団法人であるわけですけれども、これを新たに新財団に人材バンクというのをつくって移すということになるのか、それとも、この関係はどのようにするというふうに考えていらっしゃるのか伺います。

○谷企画調整担当部長 関係性ということでございますが、新財団につくりまして、そちらも東京都から委託を受けるというような形になる見込みでございます。
 また、現行の人材バンクが無償のボランティアを対象としているところでございますが、新財団の人材バンクでは有償の人材に対象を拡大する見込みでございます。

○星見委員 これ、パンフレットをいただいたので、中身を見てみたんです。形としても学校と登録者と人材バンクを三角に結ぶという形で非常に似ているなというふうに思いました。
 登録の対象者も大学生、教員退職者、スポーツ指導員など、さまざまな方の協力を得て、学習活動、部活動など学校教育活動をサポートしていただき、学校支援の一助となることを目的としています。目的も非常に似ているんですね。
 確かに無償だということはあるんですけれども、実際にはここを使って学校現場に支援に入っている方の中には、学校現場は、そうはいっても、例えば部活指導員については、どういう立場の部活指導員になるかによっては、そこの市区町村によって随分ルールが違うので、有償の部分に入ってもらうということもあったりして、それぞれそこの市区町村教育委員会とのやり方で違うんだなというふうに思いました。
 主な活動の例としても、ここは学習指導も入るようになっていまして、放課後、土曜日の補習、講習指導、放課後の自室での質問対応、外国人児童生徒への日本語指導等々入っています。
 それから、部活指導についても、バスケットボール、サッカー、バドミントン、野球、テニス、スポーツ系と同時に、吹奏楽、合唱、演劇、邦楽、さまざまな文化も含めた部活指導のメニューにもなっています。だからこそ、登録している規模も、また動いている規模も大きいんだなというのをこれを見て実感いたしました。
 人材募集対象はこういうふうになっていて、かなり重なる部分があります。確かに無償と有償の違いはあると思うんですけれども、かなり人材バンクと同じ分野等々になっていまして、働き方改革の大きな力というふうにする場合には、どうやってここの部分と、それから新しくつくる部分についての違いや位置づけをしていくのかというのを考えられているのか、整理が必要かなというふうに思います。
 それから、もう一つ、実は先ほども私と同じ思いのお話が公明党の委員さんからありました。目黒区の小中学校の校長先生や副校長先生から、都や教育委員会に対応してほしいと一番いわれるのは、産休、育児休業の代替の教員です。私、去年、この問題で質問しました。
 働き方改革で学校を支援する人材というなら、やっぱりここが重要なんだというふうに思うんですけれども、新財団で対応する方向性というのはどうなるのか、もう一度、再度お聞かせください。

○谷企画調整担当部長 学校を構成いたします基本的な人材である教員の確保につきましては、そのノウハウを有する都教育委員会が取り組むことが有効でございます。

○星見委員 今年度、目黒区の副校長先生などからお話を伺っているんですけれども、産休、育児休業代替の教員探しで、都の名簿も使って、それから、あらゆるつてを使って、百人以上当たっても見つからないと、ご自分がつなぎに担任に入りながら探し続けると。本当に過労死しそうな状況で、これ、一校だけじゃないんですね。目黒、ほかでもありまして、情報があって、あちこちで起きました。今回、今のお話だと、新財団ではこうした教員の確保への支援はできるところではないということです。
 働き方改革のためにつくる新財団ということなんですけれども、真に役に立つ人の確保というのであれば、やっぱり学校現場の声は、まず真っ先に教員確保だということを都教委はぜひしっかり受けとめていただきたいと思います。この点、要望しておきます。
 それから、次の質問なんですけれども、学校の事務についてです。
 新財団に学校の事務センター機能をつくり、共通処理が可能な学校事務を集約、実施するとしています。
 この新財団は、区市町村の学校事務についても委託を受けることが可能だと考えられるのかどうか、まず伺います。

○谷企画調整担当部長 区市町村から財団に委託の申し出があった場合、財団は、受託事業者として対応が可能か、都教育委員会を通じ、関係部局とも協議し、その上での判断になると考えております。

○星見委員 今のお答えを聞くと、簡単にいうと、区市町村の学校事務についてどうなるかは今後の検討で、今はわかりませんよというお答えだったかなと思います。
 そうだとしますと、つまり当面は都立の学校事務が対象ということになると思うんです。今、都には既に全都の都立高校の事務を集約するとして学校経営支援センターを三カ所設立しています。これ以上、現在の学校現場、都立高校の現場で集約化する事務自身があるのでしょうか。この事務の学校経営支援センターがある中で既に集約されているわけですから、学校でどのように教員の仕事軽減につながるのか、ちょっとこの辺がよくわからなくて、お願いいたします。

○谷企画調整担当部長 集約可能なものにつきましては、教育庁内の検討組織で検討する予定でおります。
 また、検討の結果を踏まえまして事務を集約することで、学校事務の効率化、事務職による教員支援等につなげることを想定しております。

○星見委員 今のご答弁でも、はっきりいってよくわからないんです。本当に学校現場の事務が軽減されて教員支援になるのか、どういう教員支援になるのかが不明だというふうに思います。
 都立学校の事務の集約化で学校経営支援センターがつくられたとき、現場からは、便利になると思ったら、施設の修繕などは逆に時間がかかるようになったとの声も聞きました。これでは本末転倒になるわけです。
 今、二〇二〇年から行う事務の一部実施は、学校施設の維持管理のための修繕の委託と聞いています。現在、既に東京都住宅供給公社に都は委託していますが、なぜ新財団の委託に切りかえなければならないのかをお聞きいたします。

○江藤都立学校教育部長 都教育委員会は、都立学校の施設維持管理につきまして、品質を確保しながら、より一層効率的に進めていくために、新財団を活用した施設維持管理業務を検討しております。
 詳細につきましては、今後、教育庁内の検討組織で検討する予定でございます。

○星見委員 今のご答弁を聞いても、現在、東京都住宅供給公社が委託を受けて、何か問題が起きているなら別ですけれども、問題が起きているとも聞いていませんので、なぜ必要なのかがよくわからないところです。今後の検討ということです。
 それから、二〇二一年からは学校の事務センター機能の本格実施と都立高校の学校経営支援センターの廃止の可能性を含め、効率的な執行体制を検討するとありますが、三カ所の学校経営支援センターはどうなるのでしょうか。

○江藤都立学校教育部長 今後の組織のあり方につきましては、教育庁内の検討組織で検討する予定でございます。

○星見委員 これも今後の検討でよくわかりません。
 そうはいっても、教育委員会が配布した資料によると、学校経営支援センターの廃止の可能性を含めとなっています。
 そこで、学校経営支援センターがなくなった場合、委託できない教育現場にかかわる支援や人事は、学校現場や教育庁に振り分けられるのではないでしょうか。その場合は、各部署で仕事量がさらにふえる可能性があるのではないかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

○江藤都立学校教育部長 今後の組織、また業務分担等につきましては、今後、教育庁内の検討組織で検討する予定でございます。

○星見委員 私は、ここはぜひ答弁で、学校現場や教育庁の仕事量はこれで減りますというお答えが欲しかったですね。一体、何のためにつくるのかというと、そういうところの働き方改革をするためにつくるんですから、教員の仕事軽減に具体的にどう進むのかというのが今の答弁では見えてこないというのを指摘しておきたいと思います。
 それで、現在、都立高校の三カ所の学校経営支援センターは何人体制で事務を行っていますか。この事務職員は、もともと各学校から集めてセンターに配置しました。新財団設立の効果として、学校事務の負担を軽減し、学校事務の教員サポートや学校経営の参加を促進するということですから、この事務職員は教員の負担軽減のために学校現場に戻すべきではないでしょうか、いかがでしょうか。

○江藤都立学校教育部長 学校経営支援センターの事務職員は百三十五人でございます。
 学校の事務職員につきましては、業務に応じまして、今後とも、適切な人員配置に努めてまいります。

○星見委員 今、学校経営支援センターには百三十五人いるというのがありました。新財団設立が教員サポートで働き方改革を進めるのが目的なら、ぜひこのメンバーを学校現場に入れてほしいと思います。
 続いて、新財団ができると、さまざまな業務が民間委託される可能性が財団自身からないのかどうか伺います。

○谷企画調整担当部長 ほかの監理団体等におきまして、業務の一部について民間企業に委託することは行われてはおりますが、業務の具体的執行に関することになりますので、財団設立後に検討されることになります。

○星見委員 この民間委託の件でぜひ指摘しておきたいのが、学校事務や学校現場での問題では、児童生徒のさまざまなプライバシーが含まれています。
 現在は、学校経営支援センターや各部局が対応しておりまして、教育委員会内で個人情報保護条例や公開条例によって管理されています。新財団に委託された場合、児童生徒の個人情報保護の観点から、どのように検討されるのか伺います。

○谷企画調整担当部長 個人情報の保護につきましては、都教育委員会と同様の配慮が必要になると考えており、財団におきましても、その手法等について、都教育委員会と同様の取り組みを行っていく見込みでございます。

○星見委員 この点につきましては、ぜひ慎重に、どうなるかということを、一つ一つの事務によってさまざまな問題が出る可能性があります。
 教育産業の問題でしたけれども、一つはベネッセが二〇一三年、一四年に児童生徒、それから保護者の情報が大量に流出するという事件が起きたのは皆さんも記憶に新しいかと思います。
 アウトリーチがどんどん進んでいくと、この場合もグループ企業の派遣社員のエンジニアが逮捕されるという結果になりました。ぜひ、都庁の外に情報が出ていくということについては慎重に検討していただきたいと思います。
 最後に、こちらの方から来年度予算、五億円で今回入っています。本格実施になるとどのぐらいになるんだろうというふうに思います。
 実は今回、皆さんにお願いしてつくってもらったこの中には、教員をふやした場合、どのぐらいのお金がかかるかというのを書いてもらったのがあります。それを要求資料から見ると、三十億円あれば約三百五十人の教員をふやすことができるということが示されています。
 都教委として、ここにぜひ真剣に、最も教員の働き方改革で即効性があるのは教職員増員であるという部分をしっかり受けとめていただきたいということを最後に申し述べまして、私の質問を終わります。

○とや委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩をいたします。
   午後六時五十五分休憩

   午後七時二十五分開議

○とや委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○龍円委員 先日の一般質問に登壇しまして、私がインクルーシブな社会の実現を目指しており、そのためには、子供のころからスペシャルニーズのある子もない子も、そのほかの違いのある子たちも同じ場所で一緒に育つことで違いを自然と相互に理解し合い、どのようにかかわったり、協力したり、手助けしたり、逆に助けられたりすることで、心地よく一緒にいる方法を身につけ、心のバリアがなくなっていくと思います。
 都議会議員になる二年前まで、アメリカの南カリフォルニアに住んでいました。一時間ほどドライブすると、もう南米に入るくらいのところだったんですが、そこはとにかく違う人だらけという地域性でありました。
 さまざまな国や地域をバックグラウンドに持つ方々がごちゃまぜで生活しているような場所だったんですね。スペシャルニーズのある人についても、一緒の教室でも学んでいましたし、まち中でも至るところで遊んでいたり、働く姿を見かけました。
 私自身も、日本人で事実婚でしたので、戸籍上は未婚のままでダウン症のある子を育てている母親であり、留学生でもあったので、かなり周りとは違う存在だったんです。しかしながら、自分が違うということを意識することは一度もありませんでした。社会そのものが人は違うということを前提につくられているからだと思います。
 それが、帰国してみると、障害児を一人で育てる未婚の母というような感じで、母国であるはずの日本の方が生きづらいなというふうに感じました。
 インクルーシブな社会をつくっていくには、子供のころのインクルーシブな環境が非常に重要だと考えます。そのために、公立小中学校の通常の学級でのインクルーシブ教育推進が大切だと考えており、そのための支援が足りていないことも一般質問でお話しさせていただきました。
 来年度、私たちの要望を受けて、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムに関する調査研究事業が始まることを大変うれしく思っており、その内容について、公立学校におけるよりよい教育環境の整備に必要な支援策をソフト、ハードの両面から検討していくと答弁をいただき、大いに期待を寄せています。
 現在、保護者が望めばスペシャルニーズのある児童生徒が通常の学級に通うことができる状況にはなっています。しかし、現実には、地域の教育委員会の方々がずらっと目の前に並んで、子供のことを考えたらかわいそうだと。そして、同級生にとってもかわいそうというようなことをいわれまして、親としてはひどいことをしているのだよと説得されるような話をよく聞きます。
 それでもなお通常の学級に進学すると、今度はさまざまな理由で特別支援学校へ行くよう説得され続けるケースもあるというふうに聞いています。
 最近、保護者の方から聞いて特に印象に残ったのが、小学一年生のダウン症のある子供なんですけれども、公立の小学校に通っているんですが、体幹が弱いということで、トイレで大便をしたときに自分で拭けないんですね。出るか出ないかわからない大便をもししたときのために、おしりを拭くために、保護者が学校に全時間付き添うように学校から求められていました。
 この保護者は共働きなんですけれども、お子さんが学校で大便したときにおしりを拭くために仕事をやめるか特別支援学校に転校するかという二択で悩んでおられました。
 ただ、学校とのやりとりで完全に心が折れてしまって、特別支援学校へ転校することにしようかなというふうに今はおっしゃっておられます。
 転校は自由にできるというふうな話が先ほどありましたけれども、特別支援学校の方から公立の小中学校に転校するというのはほぼない状況なので、片道切符の転校ということになります。
 こういう話を皆さんにすると、ひどいねというようなリアクションになるかと思うんですけれども、スペシャルニーズ児の保護者たちと話しているときは、ああ、あるあるあるというような感じのリアクションになります。
 子供は自分で選んでスペシャルニーズを持っているわけではありません。私の息子はダウン症があり、二十一番目の染色体が通常二本のところ三本あります。本人がどんなに努力しても三本目の染色体を取り除くことはできません。
 本人のせいではなく、本人にはどうにもできないことですが、それゆえに、通常の学級で地域の友達と一緒に学び育つことがかわいそうだといわれ、あらゆる理由をつけて、ここにいると迷惑な子だとメッセージを学校という公共の場から受け取るのは、保護者にとっては最愛の子が社会から存在を否定されているようで精神的につらく、苦しいものです。
 まだ公立小中学校では、都からの支援が少なく区市町村が独自に頑張らなくてはならない現在の状況では、こういう現状は仕方ないと思っています。ぜひ調査研究事業で支援策を検討していただきますようお願いいたします。(「よし」「頑張れ」と呼ぶ者あり)済みません。
 なお、都が長年にわたり培ってきた特別支援学校を否定するものではなく、そのスキル等を公立小中学校に生かせるようしていただきたいと思います。
 希望する子については、地域から不当に排除されることなく、友達たちと学び、育つことができるよう支援を構築していただきますようお願いいたします。
 インクルーシブ教育を進めるに当たって、既にいい取り組みも始まっています。ただ、インクルーシブ教育を進めるに当たって重要なのが個別の教育支援計画です。
 平成二十九年の改正の小中学校学習指導要領には、特別支援学校、特別支援学級、通級による指導が行われている児童生徒のみならず、通常のクラス、学籍に在籍するスペシャルニーズ児についても、この計画の作成と活用に努めることが記載されました。
 去年の八月二十七日の文科省の通知には、個別の教育支援計画は、保護者や、医療、福祉、保健、労働などの関係機関と連携して作成するよう学校教育法施行規則を改正することが知らされました。通常の学級に在籍するスペシャルニーズ児についても、個別の教育支援計画が教育、福祉、医療、保護者らによって作成されることは、インクルーシブ教育推進においてかなめとなってくる重要な施策です。
 去年の秋の事務事業質疑でこのことについて質問して、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒に対しても、個別の教育支援計画を作成することが重要。今後、連絡会で効果的な事例を共有するなどして、個別の教育支援計画の効果的な活用を促進。平成二十九年度に教員対象の講習会などにおいて、保護者や関係機関と連携して計画を作成、活用している例を紹介するなどして、理解啓発をしたという趣旨の答弁をいただきました。
 去年十月の事務事業質疑における質問以降の個別の教育支援計画の作成と活用に向けた取り組みを伺います。

○宇田指導部長 都教育委員会は、区市町村教育委員会の特別支援教育担当者との連絡会を年九回開催しておりまして、今年度の十一月、十二月、二月の連絡会におきましては、個別の教育支援計画の作成と活用を促すために、情報交換に充てる時間をこれまでよりも長く設定いたしました。
 その情報交換の場で学校と家庭が連携して計画を作成するための工夫などを報告し合うことを通して、各区市町村において、個別の教育支援計画が確実に作成されるとともに、内容の充実が図られるように促してまいりました。
 参加者からは、情報交換した内容を小中学校の校長会に提供することができた、学校訪問の際に配慮が必要な子供を担任している教員へ適切に助言することができたなどの声が寄せられました。

○龍円委員 個別の教育支援計画の活用について、区市町村の担当者としっかり共有する場を設けたことがわかりました。よい取り組みだと思います。
 個別の教育支援計画の作成と活用の推進に向けて、平成三十一年度はどのように取り組んでいくのか伺います。

○宇田指導部長 まず、区市町村教育委員会の指導室課長や小中学校の校長代表者会において、支援計画作成の意義や留意点を改めて周知するとともに、計画作成までのモデルを示し、通常の学級における作成手順をわかりやすく説明することにより、小中学校における支援計画の作成と活用の推進を図ってまいります。
 次に、毎年度当初に開催する区市町村教育委員会の特別支援教育担当指導主事連絡協議会において、支援計画の作成に必要な情報の整理や、支援目標の設定を行う演習を新たに実施し、支援計画作成について指導主事が学校に対して適切に指導助言できるように支援していきます。
 さらに、小中学校の教員を対象とした講習会においても、通常の学級に在籍する特別な支援が必要な子供の事例をもとに、支援目標の設定や支援の手だてについて協議することにより、教員が支援計画作成の際の留意点について正しく理解し、適切に支援計画を作成できるよう支援してまいります。

○龍円委員 校長先生から現場の教職員の皆様にまで個別の教育支援計画を作成できるようなサポートをしていくことがわかりました。全ての支援を必要とする子に個別の教育支援計画が作成されるようになるよう、今後も支援を続けてくださいますようお願いいたします。
 公立小中学校のインクルーシブ教育推進においては、特別支援教育コーディネーターへの期待も大きいものです。
 特別支援教育コーディネーターは、教職員うち一名が指名されて学校での特別支援教育を推進します。コーディネーターは、校内での連携推進、そして、学校外の機関や人と連携することで、児童生徒への効果的な支援をつくり上げていくという、とても重要な仕事です。
 特別支援コーディネーターの現状と役割について教えてください。

○小原特別支援教育推進担当部長 公立の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校では、全ての学校において、教員の中から特別支援教育コーディネーターを一名以上指名いたしております。
 特別支援教育コーディネーターは、学校内の関係者や福祉、医療機関等との連絡調整及び保護者に対する学校の窓口として、学校内における特別支援教育に関するコーディネーター的な役割を担っております。

○龍円委員 特別支援教育コーディネーターは、一般的には余り知られていない役職かもしれませんが、スペシャルニーズ児の保護者らからは非常にありがたく喜ばれています。
 しかし、スペシャルニーズに関する多岐にわたる専門的知識や、地域にある福祉等の資源についても熟知する必要もあり、公立小中学校の教員ですと日々の業務の傍らではなかなか特別支援教育コーディネーターとしての仕事が十分にできていないという現状があると聞いております。
 多くの保護者から、特別支援教育コーディネーターを専門職にしてほしいという声をいただいています。今後、公立小中学校におけるインクルーシブ教育を推進するためにも、地域に数人でもいいので、専門のコーディネーターを配置していただけるような仕組みづくりを検討していただきますよう要望させていただきます。
 さて、一般質問でも質疑させていただきましたが、特別支援学校に通うことができずに訪問教育を受けている医療的ケアが必要な児童生徒が分身ロボットで教室に参加するモデル事業は高く評価しております。
 学校に通いたいけど、保護者が付き添いできないなどの理由で自宅で教育を受けているお子さんの存在を知り、心を痛め、分身ロボットのオリヒメを使って授業に出られないか、それがだめならスカイプでもいいから考えてもらえないでしょうかと教育庁の皆様とお話をさせていただいてきました。
 このたび、モデル事業が立ち上がると聞き、問題意識を持って改善策を導き出そうとしてくださっていること、心から感謝いたします。
 予算特別委員会では、公明党さんの質疑の中でも取り組みとしてすばらしいものであることが確認されました。さらに具体的な話になりますが、分身ロボットを活用したモデル事業は、どちらの学校でどのようなお子さんを対象にするのか伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 分身ロボットはスピーカーやカメラを搭載し、挙手等の動作が可能であり、児童生徒が教員の板書や説明を見聞きし、教員や他の児童生徒からの問いかけに応じて回答や発言をしながら進める教科指導等に適した機器でございます。
 このため、平成三十一年度は、小学校、中学校及び高等学校の教育課程に準じて教科指導を主とした準ずる教育課程を履修する児童生徒を対象といたしまして、その対象となる児童生徒が在籍いたします都立光明学園及び都立大泉特別支援学校において、分身ロボットを活用したモデル事業を実施いたします。

○龍円委員 ぜひ本格実施できるようモデル事業をしっかりと進めてください。
 一般質問では、医療的ケア児が地域の公立小中学校に通うためには、福祉や医療との連携が非常に重要であるため、福祉保健局が今年度から推進している医療的ケア児コーディネーターを活用することが重要だとして質問をして、福祉保健局からの答弁なんですが、医療的ケア児が地域で適切な支援を受けながら生活できるようにするためには、保健、医療、福祉、教育等の連携の強化が必要、医療的ケア児の支援を総合的に調整するコーディネーターの養成研修を実施、こうした取り組みを通じて、地域の関係機関の連携を強化し、医療的ケア児への支援の充実を図るとの答弁をいただきました。
 この研修は、府中の都立小児総合医療センターで医療的ケア児に関するかなり専門的な知識を学ぶ研修になっていて、今年度はおよそ五十人が研修を終えたと伺っています。
 医療的ケア児の公立小中学校での受け入れは非常におくれていますので、医療的ケア児コーディネーターを上手に活用して進めていただけますよう要望させていただきます。
 インクルーシブな教育、学校というと、日本語を母語としない児童生徒や性的マイノリティーのお子様、それから不登校のお子さんなど全ての児童生徒が安心してともに成長し、学ぶことができる環境を整えていくことも重要です。
 一般質問では、学校における性的マイノリティーだと思われる児童生徒への配慮についても伺いました。
 性的マイノリティーである人は、最新の民間の調査では人口の八・九%とされていますので、クラスの中に三人、または四人ぐらいいるということになります。
 LGBTのほかにもXジェンダー、アセクシュアル、パンセクシュアル、性分化疾患などは六十ほどもあるといわれておりまして、性自認や性的指向のあり方はグラデーションであり、多様なため、困り事や悩みも多岐にわたっております。なかなか教職員の皆様だけでかゆいところに手が届く配慮や支援を実践するのは難しいかと思います。
 四月の東京都人権条例の施行に合わせて性的マイノリティー児のための配慮を事例集にして配布するなどの取り組みが必要なのではないかと提案し、質問をしました。答弁としては、配慮事例をまとめた資料を研修会等で活用するなどして、教員の対応力の向上を図るということでした。ぜひ徹底していただきますようお願いいたします。
 しかしながら、困り事は繊細で微妙なことが多く、見えにくいことが多いため、外部の人材の知識を活用していくことも重要だと思います。
 性自認や性的指向に関して困り事や悩みがある児童生徒に、学校だけでは支援ができない場合、どのようにして対応しているのか伺います。

○宇田指導部長 性自認や性的指向について悩みや不安を持つ児童生徒が在籍する学校では、文部科学省の通知等を踏まえ、その児童生徒を支援するチームを校内に設置し、一人一人に寄り添いながら対応しております。
 そして、教員だけで支援が難しい場合には、医療の専門家などをチームに加え、助言を得ながらきめ細かく対応しております。

○龍円委員 学校内ではチームで対応して、わからないことがあった場合は医療の専門家などに相談をしながら対応しているということがわかりました。
 性的マイノリティーに関して先進的な取り組みを続けている地元の渋谷区では、性的マイノリティーの当事者が講師となって各小中学校を回り、その学校ごとの教職員を対象に研修を行うキャラバンを実施しています。
 講師はゲイの人とトランスジェンダーの人という感じで、性的指向と性自認についてそれぞれ当事者が講師となっているようです。
 このキャラバンの担当課長にお話を伺うと、当事者からじっくり話を聞くことで、教職員の意識がぐっと変わるということでした。医療の専門家だけではなく、当事者の声や専門的知識のある有識者なども参考にできるような支援も必要だと思います。
 また、東京を見回してみますと、よい取り組みをしている学校がほかにもあります。例えば江戸川区の小学校では、性的マイノリティーである若者が講師となり、全児童およそ五百三十人が参加した出前授業が開催されました。
 世田谷区の中学校では、トランスジェンダー等の生徒のために、制服はズボンでもスカートでもどちらでも選べるというだけではなくて、制服着用が義務ではなく、私服の着用も認め、それぞれが自由な服装で登校できるようにしています。
 こういうよい取り組みを広く共有していただき、全ての学校が性的マイノリティーの児童生徒にとって安心して、自分らしく自信を持って過ごせる場所となるよう配慮が広がっていくことを願います。
 東京都総務局の人権部では、性自認及び性的指向に関する専門電話相談を行っております。この電話相談者は専門的な知識がありまして、非常にいい相談ができているというふうに伺っています。困ったときに教職員の方々がこちらに電話をかけまして、リソースとして活用できるといいのではないかなというふうにまた思っています。
 さらに、学校の中にこの相談窓口のポスターを張っておくことで、お子さんが学校には相談できなくても、こちらに電話をかけることによって、支援に結びつけるような取り組みもしていただきたいので、要望させていただきます。
 次です。学校において支援を必要としている児童生徒はほかにもいます。千葉県野田市では、虐待によって死亡した事件がありました。児童は学校で助けを求めていたにもかかわらず、対応を著しく間違えたことによって事件を誘発してしまったことが指摘されています。
 児童虐待は対応が非常に難しく、児童相談所においても、本来は十年程度の経験がある児童福祉司が対応するのが望ましいとされています。
 児童生徒の最も身近にいる大人として、教職員の皆様は十年選手の児童福祉司のようにとはいわずとも、虐待されている、SOSを発信している児童生徒に対して、確実に適切に対応していく必要があります。
 児童虐待防止にかかわる都教育委員会の取り組みについて伺います。

○宇田指導部長 都教育委員会は、都内公立学校の全教員に毎年度配布している人権教育プログラムに児童虐待にかかわるチェックリストを掲載し、その早期発見に向けて各学校を指導しています。
 このチェックリストには、保護者とのかかわりの中で、長期にわたって欠席が続き、訪問しても子供に会わせようとしないや、家庭訪問や担任との面談を拒否するなどの項目が示されております。
 また、児童虐待問題に関する教員の対応力向上を図るために、関係機関との連携等について学ぶことができる児童虐待防止研修セットを都内の全公立学校に配布するとともに、都教育委員会のホームページに掲載しております。
 各学校では、この研修セットを校内研修会等で活用し、児童虐待防止や早期発見について組織的に対応できるようにしております。

○龍円委員 児童虐待防止研修セットがホームページに掲載されていますので、私でも確認することができました。PDF化されていてプリントアウトすればすぐに使用できるのもいいと思いました。
 一方で、人権教育プログラムは毎年配布しているということだったんですが、ホームページには公開されていないようで、私は見つけることができませんでした。紙のものは整理整頓が得意な方はいいんですけれども、人によってはどこに行ったかわからなくなってしまうこともあります。
 人権課題はとても重要ですので、こちらについてもホームページ掲載も検討いただけますようお願いいたします。
 次に、不登校についてです。
 こちらは、都教育委員会が作成しました児童・生徒を支援するためのガイドブック、不登校への適切な対応に向けてというものなんですけれども、去年、こちらの文教委員会においても内容について審議があったとのことですが、それが完成したということです。
 中身を拝見したんですけれども、大変丁寧な内容になっております。不登校になる原因はさまざまですが、それらを可能な限りわかりやすく説明し、かかわりや対応等を記載してあります。あとは、活用方法が有効的である必要があると思います。
 そこで、こちらの児童生徒を支援するためのガイドブックの具体的な活用方法について伺います。

○宇田指導部長 都教育委員会は、教員が不登校の要因や背景を正しく理解し、児童生徒の豊かな学校生活の実現や社会的自立に向けた支援ができるよう、児童生徒を支援するためのガイドブックを作成し、本年度中に全ての都内公立小中学校へ配布するとともに、ホームページ等に掲載いたします。
 今後、区市町村教育委員会の不登校担当指導主事連絡協議会等において、このガイドブックの具体的な活用の事例を周知し、指導主事が学校に対して適切に指導助言ができるよう支援してまいります。
 また、職層や経験に応じた教員研修会において、このガイドブックを活用し、児童生徒一人一人の状況を把握するための適切な手法や効果的な支援の内容、方法などを教員が身につけられるようにしてまいります。

○龍円委員 本年度中に都内の全小中学校に配布するということなので、今月中に都内全域に配布されるということです。ホームページに掲載もして、いつでもアクセスできるようにするということもいい取り組みだと思います。
 ぜひ有効活用していただけるように、今後の活用を工夫していただけますようお願いいたします。
 虐待や不登校などの支援が必要なお子さんに対して、外部の機関との連携などをして対応するためには、スクールソーシャルワーカーに期待されるものが非常に大きいと思います。
 先日、福岡市に視察に行きました。福岡市では四年前から市内の小中学校で児童生徒に朝食を提供する取り組みをしています。朝の会の前に子供たちが家庭科室のテーブルを囲んで穏やかに朝食を食べていて、教職員も交えて社交場のようになっていました。
 聞くところによると、視察した学校は、四年前までは、市内で最も荒れていたそうなんです。スクールソーシャルワーカーが子供の様子を観察したところ、いらいらしている背景には、おなかがすいているのに食べ物を提供されないということは、生きている存在を社会から否定されているというメッセージになっていることに気がついて、フードパントリー等から消費期限切れ間近のパンやフルーツ、ミルクなどの提供を受けて、朝食として提供し始めたそうです。
 それに合わせて学校内で食育にも取り組み始めたところ、子供たちが見る見ると落ちついていったそうなんです。学校の教職員では解決し得なかった課題をスクールソーシャルワーカーが改善したというすばらしい事例でした。
 このように、子供たちの課題に寄り添うスクールソーシャルワーカーがいたからこそできることがあるのだということを知りました。都でもスクールソーシャルワーカーが自主性を持って積極的に学校の課題や生徒の問題に取り組み、活躍してほしいと思います。
 都教育委員会におけるスクールソーシャルワーカーの活用に向けた取り組みと成果について伺います。

○宇田指導部長 スクールソーシャルワーカーは、社会福祉の専門的な知識や技術を活用し、学校、家庭や地域の関係機関との連携を図り、児童生徒の悩みや抱えている問題の解決に向けて活動しております。
 都教育委員会は、平成二十一年度から、区市町村教育委員会のスクールソーシャルワーカーの配置計画に沿って、その経費を補助しております。
 これまで、スクールソーシャルワーカーが不登校の児童生徒の家庭を繰り返し訪問したことにより登校できるようになった事例や、児童虐待の通告後、スクールソーシャルワーカーが子供家庭支援センターと連携して、家庭環境の改善を図ったことにより、虐待が解消された事例などが報告されております。

○龍円委員 都では現在、五十自治体で約百八十人いて、単純計算すると一つの自治体当たり三、四人ということになりまして、まだ人数としては足りていないのかなというような印象も受けます。
 今後、区市町村に対して、スクールソーシャルワーカーの活用を促進するような取り組みをよろしくお願いいたします。
 最初取り乱して大変申しわけございませんでした。インクルーシブな学校が今後できていくように皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。よろしくお願いします。ありがとうございました。

○谷村委員 初めに、とや委員長に申し上げます。
 昨日の予算特別委員会で共産党委員が共産党の質問時間以外は欠席をしました。その理由は、共産党のそうした理由は、動議が提出されたために、理事会を開かずに委員会で即採決に入ったからだと推察します。
 動議が提出されたにもかかわらず、予算特別委員会で理事会が開かれなかったということによって、その後のご自分たちの質問時間以外は欠席をされました。動議が行われた際には理事会を開けと共産党の全委員が総立ちで、昨日、予算特別委員会で委員長に猛抗議をしておりました。
 その中には、とや委員長、あなたの姿もありました。しかし、先ほど本委員会で古賀俊昭委員より動議が提出された際、とや委員長は、理事会を開こうともせず、提出された動議に対する賛否の意見を表明する機会も与えることなく動議の採決を行ったことは、昨日の予算特別委員会における共産党の主張、そしてあなた、とや委員長の主張と全く相反するものであることを厳しく指摘しておきます。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 現在は、仮称となっております北多摩地区特別支援学校、これは行く行くは東大和特別支援学校と位置づけられる特別支援学校について質問します。
 ことし二月の都教育委員会で、北多摩地区特別支援学校、まだ仮称となっておりますが、その設置候補地が東大和市向原の都営住宅跡地であることがようやく正式に明らかになりました。
 私は初当選直後から、この東大和市の知的障害の児童生徒さんは羽村特別支援学校に通わなくてはならないということもあり、実に遠いというご相談をお受けしておりました。
 また、羽村特別支援学校に通う児童生徒さんのうち、東大和市から通学している児童生徒さんの割合も大変高く、かねてから東大和市にこの特別支援学校の設置が必要であると訴えてまいりました。
 今回、北多摩地区の特別支援学校の候補地が東大和市であるということが正式に明らかにされたのは大変大きな前進だと捉えております。
 まず、この北多摩地区に新たな特別支援学校を設置する計画は、どのような経緯で策定されたのかお伺いをいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 知的障害教育部門として、東大和市から奥多摩町までを通学区域としている都立羽村特別支援学校では、近年、在籍者数が増加し、教室が不足しており、特別教室等の転用や間仕切りした普通教室で対応いたしております。
 そこで、都立羽村特別支援学校及び周辺校の教室不足に対応するため、平成二十九年二月に策定した東京都特別支援教育推進計画(第二期)・第一次実施計画におきまして、都立北多摩地区特別支援学校(仮称)の設置を計画いたしたものでございます。

○谷村委員 この平成二十九年、二年前の二月に策定した東京都特別支援教育推進計画(第二期)・第一次実施計画において、東大和市、北多摩地区と位置づけられたことから、平成二十九年四月から東大和市との具体的な設置に向けての協議が始められました。
 これを察知した日本共産党が東大和に特別支援学校をと、特に東大和市議会などで二番煎じで騒ぎ始めておられるのもちょうどこの時期であります。実際にこれを推進するには、都教育委員会と、そして都市整備局と一体となって大変なご苦労をして進めてくださいました。
 都の特別支援学校設置の意向に対して、東大和市は当初どのような反応だったのかお伺いいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 東大和市からは、平成二十四年度に事業決定手続の取りやめにより中断となった同市向原に所在する都有地での戸建て住宅プロジェクトの再開を人口減少の抑制を理由として求めるという意向が示されました。
 その上で、特別支援学校の必要性は認めつつも、向原の都有地に設置しなければならない理由が明確ではない等といったことから、当地での学校の設置には難色を示しておりました。

○谷村委員 今お話がありました平成二十四年度に中止になった東大和の向原都有地での戸建て住宅のプロジェクトでありますけれども、これはそもそもは石原都知事の、これは東村山になりますけれども、本町プロジェクトで、良質な戸建て住宅を三割安の価格で提供するという実証実験が東村山本町都営住宅跡地で行われたわけであります。あくまでも実証実験であります。
 これについて、成功したのか、失敗だったのかということにつきましては、都市整備委員会で取り上げさせていただいておりますけれども、事実上失敗をしたことは明らかであります。
 それを東大和市向原で同プロジェクトを重ねてするというときに、私どももそれは反対をさせていただきまして、この東大和市向原での同プロジェクトは明確に中止になったわけでありますが、現在の尾崎市長、あるいは小島昇公副市長が、このプロジェクトが中止になったことにずっとこだわり続け、半ば嫌がらせのようにこのことを取り上げてきたわけであります。
 東大和特別支援学校の設置候補地としている東大和市向原の都営住宅跡地は、当初は、市内にある総合病院の移転予定地としても、この市議会の質疑の中で位置づけられたりしております。これは向原都営住宅の跡地が南と北に大きく二つに分かれているからであります。
 そんな中で、ここに、北側になりますけれども、特別支援学校を設置するという、かなり力わざではあったわけですけれども、これを推進してくださいました。先ほど来ご答弁をされております小原部長を初め、特別支援学校の推進担当の皆様には、改めて感謝を申し上げる次第でございます。
 現状まだ設置候補地ということでございますけれども、学校設置を決定するに当たり、何が課題であるかということについてご説明をいただければと思います。

○小原特別支援教育推進担当部長 東大和市向原の都有地固有の課題といたしまして、当地には、用途を住居等とする地区計画が定められておりまして、市が地区計画の変更を行わなければ、学校を設置することができないという事情がございます。

○谷村委員 これは地区計画というのは、当初、東大和向原での戸建て住宅のプロジェクトのために東京都の申し出によって設定された地区計画だったわけであります。
 この同プロジェクトが中止になったことは、平成二十四年、中止になった直後に東大和市には説明を何度もしているわけですけれども、東大和市としては、この地区計画というものを盾にとって、いろいろ抵抗をされてきた面もあります。
 こうした協議を進めていく中で、東大和市からはどのような要望が上がってきたのかお伺いいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 東大和市からは、土地所有者である都が、住宅整備から特別支援学校整備に方針変更し、そのために市に対して地区計画の変更を求めるのであれば、市民が納得できる相応のメリットが必要であるという趣旨の話がございました。
 その上で、仮に特別支援学校の設置を認めた場合の要望事項として、学校施設の地元開放、二次避難所の指定、校庭の砂じん対策といった一般的な地元協力や配慮に加えまして、近隣の内水被害対策への協力として、学校敷地内に雨水貯留施設を整備することなど、地域への公共貢献を求められております。

○谷村委員 西武拝島線の東大和市駅におきましては、夏場、大雨があったり、台風などによって道路冠水や床下浸水などの水害が発生しております。
 この対策につきましては、本来、市の責任で行われるべきでありますけれども、この地域、水害を受ける地域から近接している東大和市向原都営住宅の跡地に特別支援学校を設置するなら、そうした施設をつくれという結構高いハードルを掲げて、調整に、教育庁として、教育委員会として取り組んでいただいたわけであります。
 こうしたハードルの高い協力要請に対して、どのように回答されたのかお伺いをいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、学校建設の基礎部分として生じる校舎地下空間を溢水時の緊急的な雨水貯留槽として、市の負担により整備し活用することが可能であり、その旨の協定を締結する用意があることを伝え、現在協議を進めております。

○谷村委員 都として最大限に協力できることを市に提案していただいて、そして、この地区計画の変更については市に権限があるとはいえ、地元市の諸課題についてここまで協力をしていただいているというのは、本来、異例なことであると、私自身、受けとめさせていただいております。
 本来、今、学校施設を建設、建築するに当たっては、地下に体育施設をつくったり、あるいはプールをつくったり、武道場をつくったり、さまざまな工夫、設計をできる時代なわけですけれども、毎年夏に起こる冠水、水害の危険にさらされているのだから、そういった対応を、東京都が施設をつくるのであれば、協力してもらいたいという、そういったことをしっかりと受けとめていただいたわけですけれども、であるならば、そうした学校が早く立ち上がって、その施設を都教委が受け入れてくださって、水害対策のためにその施設が早く機能するように、東大和市としても、この協力を進めていただくべきと思っておりますが、このような協議の中で、二月十四日の都の教育委員会において、東大和市向原の都有地が学校設置の候補地であることが公表されましたけれども、この経緯についてお伺いをいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 東大和市からは、特別支援学校の設置に関する合意に先立ち、当該計画について住民向けに説明してほしいと要望を受けております。
 このため、説明会を開催するための前提といたしまして、このたび、都立北多摩地区特別支援学校(仮称)の設置候補地を公表いたしました。

○谷村委員 住民説明会も行ってほしいという市からの要望のようですけれども、本来、学校を設置するのに住民説明会まで都の教育委員会でされたことはないようにも伺っております。
 そういったことも、特段のご配慮をいただいているわけですが、三月二十日に東大和市内で説明会が開催されると伺っておりますけれども、その後、学校の設置について、今後、市と正式な合意が図られた場合、その合意から事業化して開校するまで何年ぐらいかかるものなのか、改めてお伺いいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 学校整備に要する期間は、工事施工条件によって異なりますが、標準的な学校整備の場合、学校の設置が決まってから十年程度の期間を要するものでございます。

○谷村委員 この東大和市の尾崎市長、あるいは小島昇公副市長の大変な無理解によって、少なくとも、この二年ぐらいは、この特別支援学校の設置がおくれてしまったのではないかということをいい残させていただいておきます。
 去る三月四日の東大和市議会では、我が党の佐竹議員がその質疑の中で、東大和市として特別支援学校の建設を受け入れると表明したと受けとめてよいかという趣旨の質問に対して、尾崎市長は、そのとおりで結構と答弁をしております。
 お話がありましたとおり、学校の新設には大変時間がかかりますけれども、都の教育委員会におかれましては、速やかに協議を進めていただいて、一刻も早く、この特別支援学校の設置が実現できますように要望させていただいておきます。
 東大和市に特別支援学校を新設することで、その設置の場所になる東大和市にとって、どのような教育的な効果を実現させることができるのかお伺いをいたします。

○小原特別支援教育推進担当部長 都立北多摩地区特別支援学校(仮称)の設置によりまして、都立羽村特別支援学校を含め、多摩地域全域の教室不足解消に見通しが立つことになります。
 また、東大和市におきましては、特別支援学校と市内小中学校との学校間交流の充実によりまして、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が互いを思いやる心を育成するなど、共生社会の実現に大きな効果が期待できます。
 これらの教育効果を十分に発揮できますよう、引き続き、都教育委員会として、学校設置に向けて万全の対応に努めてまいります。

○谷村委員 特別支援学校に行くべきなのか、あるいは地元の学校に行くのか、大変多くの方がどこで線を引くかということについて、児童生徒さん本人もそうですし、保護者の方も大変苦労をされております。
 そういう中で、東大和市に知的障害のお子さんの特別支援学校が設置されるということは、普通級に対しても大変大きな教育的影響を及ぼしていただけるというご答弁をいただいたわけですが、一年でも早く、この新しい特別支援学校が東大和に設置できるよう強く要望をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、学校体育館の空調設置につきまして、私ども公明党が推進をさせていただきました。
 この市区町村立の小中学校の体育館への空調設置につきましては、平成三十年第四回定例会において、平成三十年度補正予算案が成立しました。現在の市区町村における、その取り組み状況、補正予算によって、エアコン設置に向けた、空調設置に向けた取り組み状況についてお伺いをいたします。

○太田地域教育支援部長 市区町村立小中学校の体育館への空調設備の設置について、平成三十年度補正予算として八十一億円を計上し、東京都から公益財団法人東京都環境公社に出捐をいたしました。
 平成三十年度につきましては、四十五棟における体育館空調設置事業が東京都環境公社において事業認定されております。
 今後、平成三十一年度事業について申請を受け付けますが、二百を超える事業の実施が予定されております。

○谷村委員 ありがとうございます。四十五棟、そして三十一年度には二百を超える事業で、この夏に何とか間に合わせたいという思いで、各市区町村いろいろなご苦労をされながら取り組んでいただいております。
 その前の第三回定例会で日本共産党は、小中学校の体育館等の冷房化条例なるものを出しましたが、条例制定すれば何でも解決するのであれば、どんどんいろんな条例を出せばいいわけで、決めればいいわけですけれども、そんな条例を審議していたのではとても次の夏には間に合わない。しかも冷房化だけという。阪神・淡路大震災のときも真冬で起こりました。そういう体育館に対する冷房化しか設置を位置づけていない条例案というのは全く無意味なものであったわけであります。
 そこで、私ども公明党は、この補正予算案で小池都知事に求め、今回八十一億円ついて、いわゆる本予算からのスタートではない取り組みが始まっているわけであります。
 市区町村立小中学校の体育館への空調設置のうち、リース方式による整備に対しては、本定例会において平成三十一年度予算案として提案をされております。リースに補助がつくというのも極めて異例なものであると思います。
 今後の市区町村の実施見込みについてお伺いをいたします。

○太田地域教育支援部長 市区町村立小中学校の体育館へのリースによる空調設備整備について、平成三十一年度予算案として九十九億円、六百五十七棟分を計上しております。
 平成三十一年度におけるリース事業については、予算案の議決をいただいた後に要項を決定し、申請を受け付けます。
 今後も、リースによる空調整備について、市区町村に対し丁寧に説明し、市区町村の取り組みを支援してまいります。

○谷村委員 ありがとうございます。リースに補助がついたということで一気に市区町村立の小中学校の体育館にも空調を設置しようという今大きな流れになっているものと思っております。
 都立高校につきましては、直接都教委の方で体育館の空調設置経費が平成三十一年度予算案に提案されているわけですけれども、都立高校の体育館の空調設置の今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○江藤都立学校教育部長 平成三十一年度は、都立高校二十校に体育館の空調設備を設置する予定でございます。
 現在、各施設の現状を踏まえた上で、機器の台数や設置位置などを各学校と調整しながら契約手続を進めております。
 また、他の都立高校につきましても、来年度から三年以内に空調設備を設置することを目標に、鋭意準備を進めてまいります。

○谷村委員 ぜひとも三カ年で全都立学校の体育館に設置されますようによろしくお願いを申し上げます。
 最後に、学校における働き方改革について質問をいたします。
 都教委は、平成三十年二月に、学校における働き方改革推進プランを策定し、都内公立学校を対象に、さまざまな取り組みを進めておられますが、まずはその理由を確認させていただきたいと思います。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 昨年度、都が実施した都内公立学校教員の勤務実態調査におきまして、週当たりの在校時間が六十時間を超える、いわゆる過労死ライン相当にある教員が多数存在するなど、教員の長時間労働の実態が明らかとなりました。
 教員の長時間労働の改善は、教員自身の心身の健康のためのみならず、教育の質にも直結する重要な課題であると認識しております。
 そのため、都教育委員会は、平成三十年二月、学校における働き方改革プランを策定し、そのプランに基づきまして、外部人材の配置やICT化の推進など、多様な取り組みを推進しているところでございます。

○谷村委員 今お話のありましたプランの根拠となっているのが平成二十九年度に都が実施した東京都公立学校教員勤務実態調査ということでありますけれども、この調査の概要についてお伺いをいたします。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 プランの策定に当たりまして、都内公立学校教員の勤務実態を明らかにするため、都内全域の公立学校のうち、小中学校、高校、特別支援学校の各校種から合計百五校を抽出いたしまして、国の勤務実態調査に準じた方法により調査を実施いたしました。
 具体的には、一定の期間の中で、月曜日から日曜日までの連続した七日間におきまして、教員みずからが記録した出勤時間と下校時間をもとに在校時間を集計するとともに、従事した業務の内容について、三十分単位で記録することにより、個々の業務ごとの従事時間を把握したものでございます。

○谷村委員 それでは、本年二月に都が発表しました学校における働き方改革の成果と今後の展開において、小中学校の在校時間のデータが掲載されておりますけれども、この在校時間のデータにつきましては、どのように把握されたのかお伺いをいたします。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今年度、区市町村において独自に勤務実態調査を実施いたしました二区二市から在校時間データの提供を受けまして、都教育委員会において平均値を算出いたしました。
 都内小中学校におきましては、現時点でシステム等により客観的に把握されたデータを活用することが困難であったことから、在校時間については、都の勤務実態調査と同様に、教員の自己申告に基づく形で集計したものでございます。

○谷村委員 お話がありました、いずれも教員の自己申告による数字が根拠になっているわけですけれども、一般社会では、こういうのは全く、本来通用しないと思います。何時から何時まで私は働きましたという報告をして、それで、これだけの大変な勤務時間になっているということでは、教員の皆さんの中では、その議論は通るのかもしれませんけれども、教員の、学校の働き方改革を進めていく議論を一般の人たちが聞いて、自己申告で出されたものを根拠にしているのかということは、本当に真剣に働き方改革をするというのであれば、そもそも学校においては、在校時間というものを客観的に把握していくべきではないか、こういうご意見をよくお伺いします。
 これについて、都教委の見解をお伺いいたします。

○黒田人事企画担当部長 従来から厚生労働省のガイドライン等により、使用者は労働時間の適切な把握を行う必要があるとされておりまして、学校においても同様であります。
 昨今、国において、過労死等を契機とした働き方改革の必要性から、労働基準法や労働安全衛生法が改正されており、その必要性はより明確化されています。
 そうした流れや学校における長時間労働の実態を踏まえて、国からは、教員の勤務時間の上限に関するガイドラインが示されたところであります。働き方改革を進めるためには、まずは学校現場において、勤務実態を客観的に把握することが必要であります。
 そのため、都教育委員会は、平成三十年度から、出退勤管理システムを導入する区市町村に対する財政支援を行っております。

○谷村委員 ちょっと教えていただきたいんですが、平成三十年度から出退勤管理システムを導入する市区町村があり、それを都から財政支援をしたということですけれども、全ての小中学校に出退勤管理システムを完了したという市区町村があるのか、あるのであれば数と、そんなに多くないのであれば、名前を教えていただければ。

○黒田人事企画担当部長 区市町村で平成三十年度末にはシステム等により客観的な在校時間の把握が可能となる地区が二十を超える見込みでございます。
 なお、平成三十一年度の予算規模としましては、二十地区を想定しております。このほか、都の補助を活用せずに整備する区市町村も出てくるものと考えております。
 地区名は、具体的なところは二十ありますので、例えば、都心区ですと千代田区、中央区、港区ですとか、そういったところがございます。
 以上でございます。

○谷村委員 済みません、ちょっとお尋ねの仕方が悪かったかもしれませんけれども、千代田区は全ての小中学校で出退勤管理システムが完了しているという受けとめ方でよろしいですか。
 お尋ねしたのは、市区町村ありますけど、市でいえば、市内の全ての小中学校で出退勤管理システムというのを完備しましたよという、完備を終えている市区町村という意味でお尋ねしたわけですけど、今のは千代田区は全部完了したということでよろしいんでしょうか。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今申し上げましたのは、今年度、十二月までの時点で十四地区、いわゆる十四市区町村については完了していると。
 それと、私どもの、今年度も補助制度を入れておりますので、その補助制度を活用して年度末までにさらに七地区については、システムを入れるという状況にございます。
 そして、来年度につきましても、これは予算の審議をいただいているところでございますけれども、今それぞれの地区から希望があるところが二十地区、今、別の形で集計しているところもありますので、実質的には一地区来年度末の予定では減るんですが、来年度末では四十地区になる予定ということでございます。

○谷村委員 済みません、ありがとうございます。
 出退勤管理システムを整えようとしているときですけれども、じゃ、現在は小中学校において、日常的な勤務実態の把握というのはどのように行われているのでしょうか。

○黒田人事企画担当部長 小中学校における教員の勤務実態の把握は、服務監督権者である各教育委員会等の責務でありまして、区市町村において勤務実態の適切な把握に努めているところでございます。
 具体的には、一部の区市町村、システムを導入しているところでは、在校時間の客観的な把握を行っていますけれども、そのほかの地区におきましては、管理職による確認などの方法によりまして把握しているという実態がございます。

○谷村委員 昨年の事務事業質疑の中で、ちょっと具体的な答弁をちらっとお伺いしたんですけれども、多くの地区で管理職による確認というのは、いろんなやり方があるのかもしれませんけれども、例えば具体的にどういう管理の仕方をされているんでしょうか。

○黒田人事企画担当部長 管理職が実際に現認をするとか、それから出勤簿のところに時刻を記入する、あるいは厚生労働省の基準によりますと、パソコンの開始時間、終了時間でもって確認するといった方法があるということでございます。

○谷村委員 ちょっと私の記憶が間違っていなければ、点呼をやったりとかしているというのでびっくりしたんですけれども、じゃ、出勤したというのは管理できると思うんですけど、帰りの時間、あるいはいつ帰ったとか、現時点で誰が帰っているとか、そういうことはどうやって掌握されているんでしょうか。

○黒田人事企画担当部長 管理職による現認ということでありますと、実際に見ると。そういったことでございますけれども、そうできない場合には、出勤簿のところに退勤時間を書くとか、そういったようなことで確認するといったこともあろうかというふうには思います。

○谷村委員 済みません、出勤簿に出勤時間と、それから帰宅時間というんですかね、そういうことをやっているということの理解でよろしいですか。ちょっと重要なことなので。

○黒田人事企画担当部長 そういった方法によっているところもあるというようなことは聞いてございます。

○谷村委員 ということは、余りきちんと掌握されていないという理解でよろしいですか--うなずいておられるので、そのように理解をさせていただきますが、そうした市区町村の実態を都としてどういう認識でいらっしゃるのか。いわゆる出勤しました、あるいは帰宅しましたというようなことが余りきちんとできていないわけですよね。
 それでも働き方改革をしなければいけない。じゃ、それを調べようといったら、自己申告だと。自己申告ということは、やっぱり現場では管理されていないということだと思うんですけれども、そういったことに対して、都としてのご認識をお伺いいたします。

○黒田人事企画担当部長 これまで学校現場では、教員の勤務の特殊性から、客観的な勤務時間の管理や勤務時間を意識した働き方が教員一人一人に浸透しているとはいえないような状況はありました。
 しかしながら、国の勤務時間の上限に関するガイドラインに基づき、長時間労働の改善に取り組むためには、まずは教員の在校時間を客観的に把握できるようにすることが必要であります。
 そのため、都教育委員会は、平成三十年度から、出退勤管理システムを導入する区市町村に対しまして、その経費の二分の一を補助するとともに、教育長会などの会議の機会を捉えまして、何度も呼びかけを行うなど、在校時間の適切な把握に向けた働きかけを行っております。

○谷村委員 この働き方改革と、それから出退勤の管理というのは、表裏一体というか、裏表の位置づけになるんだと思いますが、都内の公立小中学校全てに出退勤管理システムというのは、いつまでに導入を完了する予定というのが今あるのか、そういう予定は特に、六十ある市区町村に任せているのか、都教委のスタンスをお願いします。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、出退勤、服務に関することにつきましては、小中学校に関しては、区市町村の教育委員会が所管という形になります。
 ですので、私どもが今回プランをつくるときにも、先ほどほかの部長から答弁もさせていただきましたように、当然その時間管理というのはやっぱり一番最初の根底になってくるものでございます。
 ですので、補助制度も創設しましたし、そういった意味で、把握をするためのシステム、私どもの補助制度を使うかどうか別として、独自のシステムでも構いませんので、しっかりとした勤務時間、在校時間を把握していただくということにつきましては、繰り返し区市町村教育委員会の方にもお話をさせていただいているところでございます。

○谷村委員 先ほど、八十分ぐらいにわたって、のがみ委員からいろいろお話がありまして、教頭先生の出身なので教育のことはよくおわかりだと思うんですけど、教育現場のことを私はよく存じ上げているわけではないので、逆に不思議なんですけれども、働き方改革を進めなければいけないと、都教委としては市区町村にいうわけですよね。だけど、働き方改革をしなきゃいけないといっても、市区町村の現場では、その出退勤管理はされていないわけですよね。出退勤管理されていないのに働き方改革をしなければいけないのかということをみんなどのように受けとめておられるのか。
 これは本当にもう過労死ラインを超えているのがこうだこうだと数値が出てきて、データも確かなるものがあって、これは改善しなきゃいけないというのがあって初めて改革の必然性というか、必要性というものが沸き起こってくるんだと思いますけれども、出退勤管理もしていないような小中学校で働き方改革をしなきゃいけないという必然性も、都教委として本当はどれだけ真剣に受けとめておられるのか。
 ただ国からそういうガイドラインが出ているから、そういうふうに、いわれたとおりにはやろうというものなのか。この出退勤管理と働き方改革は表裏一体なわけですよね。その片方が欠落していて働き方改革をしようというのは、一般的な、私から見たら全くもって不思議でならないんですけれども、それをしないで働き方改革のスタートはないと思うんですけれども、とするならば、この出退勤管理、客観的にそれを裏づけるというものをいついつまでにやるというものがあって、それと同時並行で働き方改革をしましょうねというのならわかるんですけれども、それもいつまでやるかわからないようなことで、いつまでも自己申告を信じてやるというのはちょっとおかしな話だと思うんです。
 その出退勤管理をきちんと客観的に都内公立小中学校全部やりますよという目標時期みたいなものとかというのはないんでしょうか。

○中井教育長 理事おっしゃるとおり、働き方改革を行っていく上で、出退勤管理、個々の教員の日々の出退勤の時刻を把握していくというのは、まさに働き方改革と表裏一体のものでございますし、この管理、把握ができなければ、働き方改革は意味をなさないというものであると我々もそういうふうに認識をしております。
 区市町村の実情については、先ほどそれぞれの部長からお話をさせていただいたような状況が現状でございまして、私どももこの現状については、大変遺憾なものであるというふうに考えております。
 補助制度等々のお話もさせていただきましたが、これを引き続き適用していくと同時に、今後さらに都教委として、各区市町村教委に対して働きかけを強めて、できるだけ早期にこの状態が全区市町村で達成できるよう全力で努めてまいりたいと思います。

○谷村委員 では、ぜひ、今、中井教育長からお答えいただきましたので、その小中学校の出退勤管理システムの完成を進めていただきたいと思いますけれども、よく教員の方々のメンテナンスのためにこういうこともしなきゃいけない、実態としてこういうことがあるというのも働き方があるから、そういう実態があるわけですよね。さまざまなものにつながっていくんだろうと思いますので、この小中学校の方につきましても、一日も早く出退勤管理がシステムとして完了するように進めていただければと思います。
 では、都立学校においては、日常的に勤務実態というのはどのように把握しておられるのか、改めて確認させていただきます。

○黒田人事企画担当部長 都立学校におきましては、平成二十九年十月から、従来は出勤のみの管理をしていましたカードシステムを活用しまして、下校時刻も記録することにより全ての学校で在校時間の客観的な把握を行っております。
 在校時間の適切な把握を通じて、教員のメンタルケアのさらなる充実や校務分掌の見直しなど、長時間労働の改善に活用してまいります。

○谷村委員 過労死ラインといわれる残業時間の計算のもとになるものなんですけれども、基本的な質問で大変お恥ずかしいんですが、都立高校の教員の方の基本的な勤務時間というのは何時から何時まで。これはいろいろあるのかもしれませんけれども、基本的には何時から何時までというふうになっているんでしょうか。

○黒田人事企画担当部長 勤務時間の割り振り、何時から何時までというのは、学校長によって学校ごとに定められておりまして、一日七時間四十五分ということで割り振られております。

○とや委員長 答弁漏れありますか。もう一回。

○黒田人事企画担当部長 失礼いたしました。一例で申し上げますと、八時半に始まった場合には、十七時十五分までということでございます。

○谷村委員 それで、今教えていただいた基本時間をもとに一点だけ教えていただきたいんですけれども、八時半から始まった場合、十七時十五分に一応基本的な勤務時間は終わるわけですけれども、それを超えて仕事を続ける場合、一人の教員として、この時間からは一応基本の勤務時間より超えるものになるとしたときに、誰かしらの決裁というか、誰かしらの確認というか、そういうシステムというのは、例えば一般企業であれば、ここから先、残業時間になりますけれども、残業しますかしませんか、残業の必要性を書いて決裁を受けて、ここから先は残業ですねと。そこから残業時間がカウントされる、こうなるわけですけれども、(発言する者あり)わかっていて聞いているので。
 これは、じゃ、その基本時間を超えるというときに、出勤時間によって全部違うんでしょうけれども、その時間を超えますよというときに管理職という人たちとの間に何かしらの確認とかというものがあるんでしょうか。

○黒田人事企画担当部長 一般の企業などでいいますと、超勤命令という形でありますけれども、学校の場合は、その命令は限られた、特別の災害ですとか、そういった限られた場合になります。
 それ以外の場合は、超勤命令ということではなく、教員の自主的な判断で勤務をするということになります。

○谷村委員 働き方改革を本気で進めるのであれば、基本的な勤務時間帯を超える場合、何らかの手続というか、ここから超勤になりますよというものを、本人も自覚し、あるいはそれをしている周りもそれを確認しということができるようにしていかないと、先ほど、のがみ委員の話もありましたけど、際限のないお仕事であることは、私もよくわかりますし、議員もそうだと思いますけど、やればやるほど切りはないですし、手を抜けば抜ける、いっぱい抜いて、サラリーマン都議というのもいっぱいいますけれども、それを働き方改革ということでやって、それが超勤の時間だったりということで目安でつけるのであれば、そこからは超勤の時間がスタートしますよということを毎日確認できるような、そういったことがないと働き方改革って全くもって絵に描いた餅になると思うんです。
 そういう基本的な勤務時間で働いています、ここから先は、自分の意思かもしれませんけど、必要性はあるかもしれませんけど、超勤になりますという、意識の変革というものがあってしかるべきじゃないかと思うんですけど、これって何とかできないんですか。

○黒田人事企画担当部長 これまではなかなかそういうことが難しかったと思いますけれども、都立学校においてですけれども、平成二十九年十月からカードシステムを導入いたしまして、それによりまして、出勤、退勤の時刻をみずから記録されるということで、自分の勤務時間の管理に関する意識が醸成していくものというふうに考えております。

○谷村委員 それで、今回も都の補正予算で減額補正をして、でも、その多くの関係で今回議論になっております有償所管がえ等の原資にもなったりしているんですけど、毎年この時期に補正予算がかけられて出てくる金額というのは、結構人件費が多いんですね。
 今の議論を横に置いての話ですけれども、いわゆる都の職員の方々の人件費というものがこれだけ余りましたという減額補正をされている割合というのは結構大きいんですが、一般企業でいうと、いろんな、リストラをする際に、働き方をするのに、変えていくのに、やっぱり人件費を抑えていくということも形としてあるわけですが、教育現場においても、それはそのまま残業代というのがあるわけではありませんので、そのまま当てはめるわけにはいかないとは思うんですが、この勤務時間というものを本当にきちんと抑えていくことによって、無用に支出されているものも、とまることもあるでしょうし、あるいは必要なくその学校に残っているというような人も、例えば一般会社では、残業の決裁をもらっているのかもらっていないのかわからないけど、残っていて残業代を申請したり、残業代を申請していないけれども、残っていて、そこでずっとお茶を飲んで、電気代を使って残っているというような、そういうこともあり得るわけでして、本当に必要な超勤の時間になっているのかなっていないのか。
 タイムカードみたいなもので管理されているだけで、その時間の、そこまで在校していましたということはそれでわかるかもしれませんけれども、本当にそれがどれだけの必然性があったかということについてチェックできるような、そういったものが今後、先ほどの補足として申し上げさせていただいておきたいと思います。
 都立学校において、このカードシステムで把握された年間を通じた在校時間という、その状況はどうなっているのでしょうか。

○黒田人事企画担当部長 カードシステムによります在校時間の把握を開始した平成二十九年十月から平成三十年九月までの一年間で見た場合、都立学校全体の平均では、副校長の時間外勤務時間が一月当たり約六十七時間、一般教諭が約三十六時間というふうになっております。
 また、同じ期間の平均で、いわゆる過労死ライン相当のものの割合は、副校長が約三二%、一般教諭が約七%というふうになっております。

○谷村委員 今教えていただいた一般教諭の時間外勤務、約三十六時間というのは、先ほどご説明で、月曜日から日曜日までの連続した七日間でこの前調査をされておりますけれども、この三十六時間というのは、多分日曜日から連続七日間というもののカウントになると思うんですけれども、一週間というもので例えば三十六時間というのはどんな残業の時間のイメージになるのか、ちょっと湧かないもので、済みません。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 プランの方で記した数字につきましては、実は、わかりやすくするために一週間単位の勤務時間でやっております。
 過労死ラインというのは六十時間、通常の勤務が三十七時間四十五分という形ですので、その時間を、約二十時間を四週間倍していくと八十時間になるので、過労死ラインの数字の相当の数字ということで、プランの数字はなっております。
 ですので、一週間の集計で超えた部分を足し上げて八十を超えると過労死ラインを超えていますよという出し方をしました。
 先ほどありました今回のシステムの数字につきましては、システムで全て記録できますので、そういう意味では、一カ月分の超えた時間というのを全て把握できます。
 そこの中から超えた時間を何時間か。最近、いわゆる一般の超勤時間が四十五時間とかという数字が出てくると思いますけど、それに対応するのが今回の三十六という数字になります。
 ですから、一週間と一カ月の平均というようなところで(谷村委員「三十六は一カ月の方ですか」と呼ぶ)一カ月のいわゆる勤務時間を超えた時間が三十六という数字になります。

○谷村委員 カードシステムで把握すると、そういう時間になるということをお伺いした前提で、都立学校においてカードシステムで年間を通じて把握した在校時間というのは、いわゆる勤務実態調査で比較をすると、かなり短くなっていると思うんですけれども、その原因というのをどのようにお考えなのかお尋ねいたします。

○黒田人事企画担当部長 平成二十九年度に実施した勤務実態調査による在校時間と、その後にカードシステムにより通年で集計した全校平均の在校時間を比べますと、在校時間及び過労死ライン相当の教員の割合は減少しております。
 原因の詳細な分析が必要でありますけれども、調査手法の違いによる差もあるではないかというふうに考えられます。
 また、都教育委員会では、平成三十年二月に策定したプランに基づきまして、平成三十年度から本格的に長時間労働の改善に向けた取り組みを開始いたしましたことから、教員の意識改革等による成果も出ているものと考えております。

○谷村委員 このカードシステムを用いて、調査手法の違いからこういう時間が出てくるということとか、その時間が客観的に管理をされているということも踏まえ、そして働き方改革、変えるという意味での教員の意識改革等による成果というご説明だと思うんですけれども、この働き方改革につきましては、労働組合の連合も先頭に立って推進をされておられるお立場だと思うんですけれども、その組合の方なんかがおっしゃるのは、働き方改革があるのはいいんだけど、残業代が減って生活も困るという本音もおっしゃっているわけですね。
 残業代がないことはわかっておりますけれども、一般企業として働いていらっしゃる方は働き方改革と一方でいうんですけど、その結果として収入が減るということはかなりシビアな、深刻な話でもあるわけでして、この働き方改革を進めていくということは、その業種業種によっていろんな課題もありますし、変えたことによっていろんなわかることもあるんだろうと思うんですけれども、できれば、この働き方改革というのが、教員お一人お一人にとって仕事を切り上げて、ライフタイムというのを充実させていけるようなものになれば非常に理想的なのかなと思うんですけれども、いつまでも学校にいれば際限なく仕事が続くわけですけど、そこでどう切り上げて、自分のライフワークを充実する、その姿が教員としての魅力も上がる、教員の魅力が上がれば、指導力も上がっていくという、一般的にも仕事のできる人というのは、そういう仕事ができる魅力的な人というのは、仕事を切り上げるのが早いわけですね。
 私なんかもだらだら残っている方ですけれども、本当に仕事ができる方はぱっと終わって、次の仕事をされるというような方も多いので、際限のない職種の方にこそ、誰かが切って、そこから先は切り上げて、こうしなさい、ああしなさいということができるような働き方改革に、このカードシステムというのが全部いけば、そういったことも思い描けられるのかもしれませんし、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 こうしたカードシステムによる成果というものが都立学校に出ているのであれば、客観的な在校時間の把握が行えるように、区市町村においてもできるように、都としてさらに促進をしていただければと思いますが、改めて確認をお願いします。

○黒田人事企画担当部長 都教育委員会は、平成三十年度から、出退勤管理システムを導入する区市町村に対しまして、その経費の二分の一を補助しております。
 来年度も、より多くの区市町村が在校時間の客観的な把握を行える環境を速やかに整えられますよう、引き続き財政支援をしてまいります。
 また、国のガイドラインが出されたことを契機といたしまして、改めて、また、事あるごとに機会を捉えて周知を徹底するなど、区市町村への働きかけを強めてまいります。

○谷村委員 先ほど申し上げたこととちょっと矛盾はするんですけれども、学校現場では、仕事ができる人に業務が集中しているというお声も寄せられたりします。
 学校行事だったり、イベントだったり、さまざまな取り組みが仕事のできる人に集中してしまうという、それが先ほどの過労死ライン八%という方にひょっとしたら集中しているがゆえに、この八%という数字が出ているかもしれないと思うんですけれども、各事務、授業というのが、その八%の人たちに集中しないようにバランスよく業務を配置できるような、教員一人として抱えられていることは、それはもう当然として、学校の運営のためにさまざま出てくる、そういうご負担というのをなるべくバランスよくしていただくことも大事だと思います。
 それをやるのは、副校長がやるとまた仕事がふえるだけだといわれれば、まず学校経営の中心者である、責任者である校長先生がそういったこともしっかりと見渡して、取り組んでいただければと思っております。
 都教委としても、今後さらに働き方改革の取り組みを加速していくこととされておりますけれども、その必要性について、最後お伺いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 働き方改革に今年度から本格的に取り組み始めまして、学校現場で、今、先生おっしゃったように、バランスですとかいろいろなところもあるかと思います。
 確かに、それぞれの業務というのは、負担感というのはかなり違っておりますし、そういったものをサポートするためにさまざまな予算等で措置したりしながら、学校現場を、都教育委員会としても支援していきたいと思っております。
 こういった状況の中で、本年一月に文部科学省の方から、中教審の答申等も踏まえまして、公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインといったものが出ております。
 そのガイドラインの中では、勤務時間の上限の目安時間として、労働基準法の基準と同様に一カ月のいわゆる時間外勤務の時間が四十五時間を超えない、それから、一年間のいわゆる時間外勤務の時間というものが三百六十時間を超えないといったふうにされているところでございます。
 この四十五という数字が、先ほどお話しさせていただきました過労死ラインの八十と相対するものですので、今現在でも八十を超えている方がまだいらっしゃる中で、基準的には一カ月四十五に持っていくというような、かなり厳しい数字が出てきております。
 それで、今年度から取り組みを進めていまして、さらに加速的に進めていったとしても、国のガイドラインというのはかなり厳しい数字になってくるのかなといったような状況でございます。
 そういったところの中で、さまざまな施策といたしまして、今年度、スクールサポートスタッフですとか部活動指導員の配置拡充に加えまして、新たに教員OBの活用ですとか、それから、新財団の設立等、こういった多様な取り組みを重層的に推進することによりまして、今回出ましたガイドラインの目標達成に向けて、取り組みをさらに進めていきたいと思います。

○田の上委員 最後になりましたので、他の委員さんと重複するところが多いんですが、十分はしょれるかわかりませんが、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、先ほど内山理事が少人数学級への取り組みについてということで、東京都が望ましいとしている基準はどんなものなのかという質問がありましたけれども、東京都が今やっていることというのは把握はしているんですけれども、やはり東京都がどの方向に向かっているのかというのはお示ししていただきながら、それに向かってどんな障壁があるのかというのを考えていくすべになるのかなというふうに考えております。
 少人数学級というと、何人が適正かという議論もありますけれども、三十五人学級につきましては、国も、文科省の方ですけれども、文科省の方では方向性を打ち出していて、また、自治体において柔軟に、裁量でやってくださいよという話になっているわけでございますが、そんな中で、小学校の三年生でも三十五人学級にしているような自治体もあると。
 そんな中で東京都はどこを目指しているのかなというふうにちょっと疑問にも思ったところでございます。
 やはり少人数学級というと、質の高い教育ができる、担任の先生から見れば、一人一人に目が届く範囲であるという利点があるのかなというふうに思っておりますし、学習指導だけでなく、生活指導も含めて細かな指導ができるのかなというふうに思っております。
 中学校についてなんですけれども、中学校では一年生が三十五人学級、二年生以上が四十人学級というふうになっております。
 二年生になって、これまで例えば三クラスだったものが二クラスになるというような学校があるというふうに聞いておりますが、都内でこのような中学校はどれぐらいあるのか、まず伺います。

○太田地域教育支援部長 平成二十九年度及び平成三十年度の学校基本調査によりますと、都内公立小中学校の平成二十九年五月一日現在における第一学年の学級数の合計は二千二百七十一学級、平成三十年五月一日現在における第二学年の学級数の合計は二千百四十七学級でありまして、都全体では百二十四学級の減となってございます。
 ただし、この数には、単純な生徒の増減により、学級の増減があったものも含まれております。

○田の上委員 学級編制が変われば、生徒にとって、これまでとは環境が異なるわけですが、また、学級減少により、ほとんどの場合はクラスの人数がふえるということになります。
 こういった大人数の学級に対して、加配などの人的措置というのはどのように行っているのでしょうか。

○安部人事部長 都教育委員会では、中学校の英語や数学の授業において、習熟度別指導や少人数指導などが可能となるよう、教員加配や時間講師の措置を行っております。
 平成三十年度は、都内公立中学校六百二十三校のうち、五百八十八校で習熟別指導を行っております。

○田の上委員 今のご答弁では、三十五人学級から四十人学級に変わったからというわけではなく、少人数の学習指導を行っているという答弁でございました。
 実は現場からは、人数が多くなったクラスで課題が多いという声が聞こえてまいります。言葉は悪いですけれども、荒れているクラスというのがよく見られるというふうに聞いているところでございます。
 少人数の指導というのは、もちろんいいことでありますし、やっていってほしいことではあるんですけれども、科目が限られている、それから、学習上の一助であるというふうに私は見ておりますので、これから生活指導上の問題がどのように出てくるのかというのを調べていただきたいと、そんなふうに考えております。
 実際そういった声も聞いておりますので、今回は要望にとどめますが、ぜひ検討していっていただきたい。こういうふうにクラスが変わることによってどういうふうに生徒の状況が変わっているのかということを、教育庁の方できちっと調べていただきたいというふうに思っております。要望いたします。
 次に、教員の働き方改革でございます。
 これも多数の委員の方から質問がありました。我が党でもこれまで、さまざまな場面で、事務事業質疑、代表質問等で主張してきましたさまざまな項目が拡大をされて、三十一年度の予算措置をされているということをまず評価いたします。
 先ほど来の谷村理事もおっしゃっておりますが、出退勤管理システム導入支援も私、事務事業質疑のときにさせていただきました。ICTの活用やタイムカードなどにより、勤務時間を客観的に把握するものであり、予算規模は三十年度は五地区というものでございましたが、三十一年度は二十地区へと拡大されています。
 私も、この客観的に把握するというシステムは重要だということはずっとお話をしているところでございます。私はよく現場の方からも、先生方からもお声をいただくんですけれども、今はかえってこういう客観的にわかる形で時間管理したいというふうに聞いております。
 何かがあったときに労務管理として、労災もそうなんですけれども、そういった申請も含めて客観的にきちんと管理したいというふうに聞いているところでございます。
 昨年四月一日現在では、十自治体でICTなどにより出退勤管理が客観的に行われているということでございました。
 先ほど何か新しい数字をおっしゃっておりましたけれども、来年度末には四十地区でというお話が出ておりました。しかしながら、来年度も予算内ではまだまだ不足しているということで、このICTの出退勤管理ができていない自治体が多いのかなというふうに思っております。
 同じ意見でございますけれども、客観的な指標がないと働き方改革に関連する事業が何となく進められているというふうに思ってしまいます。今後、国の教員の勤務時間の上限に関するガイドラインと同様に、東京都も取り組んでいくものと認識しております。
 残業時間四十五時間、非常に厳しいというふうにおっしゃっておりますが、この四十五時間という設定を客観的出退勤管理ができていない自治体において、どのように把握するのか伺います。

○黒田人事企画担当部長 厚生労働省が定める基準では、始業、終業時刻の確認の原則的な方法として、タイムカードやICカードによるというもののほかに、使用者が現認することやパソコンの使用時間の記録等によることなどが挙げられております。
 平成三十年度末までにシステム等による在校時間の客観的な把握が可能となる区市町村は、実態として二十地区を超える見込みでありまして、そのほかの地区におきましても、管理職による確認等により、勤務実態の把握に努めているところでございます。

○田の上委員 繰り返しになってしまうので、省略したいと思いますけれども、本来でしたら、この出退勤管理というのは全地区で、全自治体で行っていただきたい、全校で行っていただきたいというものでございます。
 いつも教育庁の方とお話をしているときに、この出退勤管理のICTのシステムというのはそんなに高いものなのかというようなお話もしていますけれども、区市町村で二分の一負担というのがネックになっているという声を聞くわけでございます。
 客観的に出退勤管理をしていない区市町村に今後どのように働きかけをしていくのか、また、さらなる支援というものが必要なのかなど検討する必要があると考えます。見解を伺います。

○黒田人事企画担当部長 勤務時間管理は、労働法制上、服務監督権者であります各教育委員会等に求められる責務でございます。
 都教育委員会は、区市町村教育委員会の取り組みを促進するために、都立学校における取り組みを周知するという、そのほか区市町村が出退勤管理システムを導入するための経費のうち、二分の一を補助しております。
 先般、国から示されました勤務時間の上限に関するガイドラインに基づきまして、各教育委員会としても、長時間労働の改善に取り組むことが求められているということでございます。
 区市町村教育委員会が在校時間を客観的に把握していくように、さらに働きかけていきたいと思っております。

○田の上委員 ぜひ積極的に働きかけをしていただきたいと思います。
 もう一つ、いつもこのICTの出退勤管理システムと並んで出されるのが統合型校務支援システムでございます。三十一年度は七地区の予算になっております。これは、終わらない仕事を自宅に持ち帰らない、また、休日出勤しないためにも必要なシステムと考えております。
 これも導入予算だけではなくて、継続的な運用の支援が必要だというような声も聞かれますけれども、自治体の要望はどのようになっているのか伺います。

○太田地域教育支援部長 統合型校務支援システムを導入し、教員の主たる業務である成績処理、通知表、指導要録、名簿管理などの校務をICT化することで、職員全体の業務負担の軽減が可能となります。
 区市町村にとって、システム導入に当たり多額の経費がかかることが課題であるため、都教育委員会は、今年度から、区市町村教育委員会が整備する統合型校務支援システムの導入経費に対し、その二分の一を補助しております。
 今後も、統合型校務支援システムの導入を目指す区市町村に対して支援を行ってまいります。

○田の上委員 どうしても区市町村負担の部分がネックとなるというような話は聞こえてくるんですけれども、ぜひともこのシステムも導入をもっと促進できるように、また工夫をしていっていただきたいと考えております。
 教員の休息についてなんですが、これも以前の事務事業質疑のときにもお話をしましたが、例えば小学校の先生だと、ずっと朝から下校時まで子供と一緒にいまして、どの時間も、のがみ先生もそうですが、体育もやられたりするわけでございますよね、給食も一緒に食べるということで、一体いつ休憩をとっているのかというような状況でありますけれども、お話を聞くと夕方にまとめて休息をとったりすると。
 普通、民間企業に勤めている方であれば、お昼には一時間ぐらいとるようなものが夕方になってしまったりと、人の体のサイクルとしては余りよろしくないような働き方をされているわけでございます。
 夏休みだって、とればいいというものではなく、やはり毎日毎日の、日々のバランスというものが必要なのかなというふうに思っております。今後、残業時間四十五時間を目指すに当たっては、さらなる工夫が必要と考えております。できるものは民間活用をしていくべきというふうに考えております。
 給食であったりとか放課後の時間などについては、より地域の人材を活用していくべきと考えますが、見解を伺います。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 教員の負担軽減のためには、スクールサポートスタッフや部活動指導員等の活用に加えまして、地域人材の協力を得ることも有効でございます。
 先般公表されました学校の働き方改革に係る中央教育審議会答申におきましても、教員以外でも担うことができる業務等につきましては、負担軽減の方策の一つとして、地域の学校の実情に応じたボランティア等の活用が記されております。
 今後とも、都教育委員会は、区市町村における地域学校協働活動を促進するなど、学校への地域人材の参画を後押ししてまいります。

○田の上委員 次に、新財団の話になります。
 新財団の質問も皆さんされているんですけれども、主に三つ機能があるということで、多様な人材の確保、教員サポート、学校の事務センターということでございます。
 私としましては、人材バンクのような、都がデータを管理するような仕組みというものを現場から求められておりました。というのは、部活動指導員など、どうしても自治体では探すことが困難という、そういった地域もあるというふうに聞いております。その問題の解決につながる人材確保の仕組みを構築していただいたということで、喜んでいるところでございます。
 ただ、私も東京都直轄でできるものだと当初思っていましたので、このような新財団という形になって、メリット、効果というものを、さらに教育庁が打ち出していかなければいけないのではないかというふうに考えております。
 東京都がやるものではなくて、財団がやるからこそできることというのをこれからもっと強調していくべきではないかなというふうに考えております。他の自治体では、例えば人材を見つけるに当たって、人材派遣会社、民間の会社に協力を求めてやっているようなところもあるやに聞いております。
 これから民間のノウハウも含めて活用して、広く人材を集める工夫などをしていただきたいと考えますが、見解を伺います。

○谷企画調整担当部長 新財団に設置する人材バンクでは、学校が必要とする多様な外部人材の情報を集約する必要がございます。
 そのため、財団スタッフの知見の活用に加えまして、企業や大学、学校を支援するNPO法人等の関係団体に対して、緊密な連携を働きかけましてネットワークを構築してまいります。
 さらに、学校が必要な人材を幅広く獲得できるよう、効果的な広報や、学校での活動を希望する人材にとって利便性の高い登録方法などにつきまして、民間における好事例も踏まえつつ、実施方法を検討してまいります。

○田の上委員 都はこれまで、スクールサポートスタッフであるとか部活動指導員であるとか、外部人材を登用し、働き方改革を進めるということを主としてきました。民間ではできない分野の働き方改革に着手したのが今回の教員免許を持った人材、すなわち教員のOB等を活用した授業の時数軽減でございます。
 我が党の代表質問でも、教員本来の業務に踏み込んだ取り組みの必要性を訴え、来年度から授業持ち時数の軽減拡大を進めることをご答弁いただいたところでございます。
 授業の質を低下させることなく、教員本来の業務にも踏み込んだ働き方改革に取り組んだことを評価いたします。改めてその内容を伺います。

○安部人事部長 今回の時数軽減は、経験豊富な教員OB等を活用し、働き方改革の一層の推進と教育の質の向上を図るものでございます。
 都教育委員会ではこれまでも、学校で負担の大きい中核的な業務を担っている教務主任などに対し、授業時数を軽減してまいりました。来年度からは、さらにその軽減対象を拡大いたします。
 具体的には、都立学校について、高校は教務主任を補佐する教員、特別支援学校では学部主任の授業時数を対象に加え、全校で実施する予定でございます。また、小学校では研究主任など、中学校では進路指導主任などを対象とした時数軽減のモデル事業を全体の約二割の小中学校で二年間実施いたします。

○田の上委員 忙しい校務等を担う中核的な先生方を中心に時数軽減ということで取り組んでいただき、また、来年度拡大ということでございます。
 働き方改革は、小中学校だけでなく、高校や特別支援学校まで含めた全ての学校の課題であります。この時数軽減の取り組みにつきましては、まず、学級担任制で校務を行う時間の確保が難しい小学校で、そして中学校でも二年間のモデル実施とのことでございます。
 この効果をしっかりと検証していただき、本格的な実施につなげていただきたいと考えます。この効果についてどのように検証していくのか伺います。

○安部人事部長 モデル校に対しては、調査項目を精選するなど、学校の負担も考慮しながら区市町村と連携し、年二回程度の勤務実態調査を実施いたします。
 調査の実施に当たっては、今回の軽減対象教員の在校時間などについて、学校の規模や外部人材の導入の有無などに分けて、効果を測定してまいります。

○田の上委員 働き方改革は、効率的、効果的な学校運営を図るものでございます。最終的には教育の質の向上につながるものと考えますので、一層のご努力をお願いしたいと思います。
 それから学校マネジメント強化モデル事業、これも昨年の事務事業質疑でも質問させていただきました。先ほど菅野副委員長からもご質問がありました。
 副校長さんの負担が多いというのはご案内のとおりでございまして、この事業の効果を期待するものでございます。また、かなりの実績というふうに聞いております。勤務時間におきましては、小学校が一五%削減、中学校は一二%削減、縮減というんですかね、というふうに聞いておりますので、これからも進めていっていただきたいというふうに思います。
 現場の先生はもちろんですが、どんな職場においても、まず管理職の働き方への意識が高まらないと働き方改革は進みません。学校閉庁日については事務事業質疑のときにも触れさせていただきましたが、完全に休みの日をつくるなどの工夫も必要かと思います。
 管理職がいつまでも残業している職場は、ほかの職員も残業せざるを得ないのが実情です。こういった管理職の意識改革も含めて行うべきと考えますが、見解を伺います。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 働き方改革を進めるに当たりまして、限られた時間の中で最大限の効果を上げるという働き方に向け、管理職や教員の意識を変えていくことが重要でございます。
 このため、教職員研修センター主催の研修におきましても、勤務時間管理の徹底やタイムマネジメントの内容を盛り込むなど、管理職を初めとする教職員の意識改革を図っております。
 また、都立高校で校長のリーダーシップのもと、今年度から、学校経営計画にライフワークバランスの推進策を明記しまして、定時退庁日や会議の効率化等に取り組んでおります。
 さらに、来年度からは、全都立学校におきまして、長期休業期間中等に学校閉庁日を設けるなど、意識改革に向けた取り組みを進めてまいります。

○田の上委員 定時退庁日の設定であるとか、閉庁日ですとか、いろいろ工夫していただいているということがわかりました。
 これからも、管理職を含めて、学校全体でライフワークバランスが進むように働き方改革を進めていっていただきたいというふうに思います。
 次に、外国ルーツの子供たちへの支援について質問したいと思います。
 日本が一九七九年に批准している国際人権規約における社会権規約では、国籍にかかわらず、領土内の全ての者に対する初等教育を無償の義務教育とすることを規定しています。日本では、外国籍の子供に対して、日本の公的教育を強制することは不適切という見解から、義務教育の対象は国民のみというふうにしています。
 しかしながら、初等教育を受けないまま育つ子供がいるということは、その子供にとって教育を受ける権利が奪われ、社会性を持たないまま生育してしまうという大変な問題がございます。
 この外国人の未就学児、学校に行かない子供が何人になるのかというのは、いろいろ調べても正確なデータがございません。
 二〇一九年一月六日の毎日新聞によりますと、全国百自治体を対象にした毎日新聞アンケート調査で、日本に住民登録し、小中学校の就学年齢にある外国籍の子供の少なくとも約二割に当たる約一万六千人が、学校に通っているかどうか確認できない就学不明になっておりました。非常に驚くべき数字です。
 児童虐待の問題も叫ばれる中、転学の意思や転居の表明があった場合、日本人なら直前まで通学することが求められますが、外国人にはそれもありません。
 東京都には福祉保健局にゆりかご・とうきょう事業もありますけれども、そのような形で教育機関が追っていくということもないので、不明になってしまいます。
 外国籍の保護者は国民ではないため、子供に就学させる義務を除外されますが、文部科学省では、教育についての全ての者の権利を認めるとする国際人権規約を踏まえ、外国籍であっても、本人が希望すれば就学できるとして、受け入れを自治体に委ねている状況であります。
 そんな中、三重県では、追跡の限界とした虐待死の事件も起こりました。こういった子供たちなんですが、親の就労状況は安定せず、収入も不安定になりがち、転勤も多く、そんな状況の中で、複雑な家庭環境に陥りやすい外国籍の子供でございます。もしくは日本国籍になっている子供もおります。こういった子供たちを守る必要があるというふうに考えております。
 国では、文部科学省の学校基本調査がありますが、外国人児童生徒に関する統計が極端に少なく、読み取れるものがありません。これは都だけではなく、国の方でも課題だというふうに思っております。
 今後ますます増加が見込まれる外国人児童生徒に関する認識を東京都でも高めていく必要があると考えます。
 まずは、この外国籍の就学不明児童について、都ではどのように実態把握をしているのでしょうか、伺います。

○太田地域教育支援部長 外国人児童生徒の保護者に対しては、就学義務を課していないものの、外国籍の子供が公立小中学校等へ就学を希望する場合には、日本人児童生徒と同様に受け入れられるよう、区市町村教育委員会と協力し、体制を整えております。
 また、国は、区市町村に対し、公立小中学校等への入学手続等を記載した就学案内を通知するとともに、外国籍の子供について適正な情報管理を行うよう依頼しております。
 これまで、就学状況の把握は区市町村が実施してきたところでございますが、平成三十一年度には、国が全国において外国籍の子供の就学状況を調査すると聞いております。

○田の上委員 区市町村であるとか、国の方の調査が始まるというお話でございましたが、それに合わせて、今後、都でも未就学の子供、就学不明児童について把握していく必要があるのではないかというふうに思っております。この就学不明児童につきましては、そもそも義務教育を受けられていないという可能性が高くなります。
 また、そのほか、一条校に通う子供、外国人学校に通う子供というふうに分けられます。この一条校に通う子供は、日本語による教育を受けるので、さまざまな壁にぶつかります。意識は教育委員会とも共有しているものとは思いますけれども、日常会話ができても、学習の日本語能力というのはかなりハードルが高くなってしまいます。
 今やどこの学校にもいる外国人児童に対し、日本語学級はどの程度設置されているのでしょうか。

○太田地域教育支援部長 都教育委員会は、公立小中学校に就学している日本語能力が不十分な外国人児童生徒に対し、区市町村が設置する日本語学級について、その認証をしております。
 都内公立小中学校の日本語学級は、平成三十年四月一日現在、小学校二十一校、中学校十七校、義務教育学校一校に設置されております。

○田の上委員 私も十数年前に区議会議員をしていたんですけれども、その当時から日本語学級の課題というのはあったんですけれども、その当時と比べてもちょっと少ない数字だなというふうな印象を持ちます。
 学校に設置される日本語学級というのは、一番身近な言語習得の場になります。できるだけ多くの学校に設置されるものを望むものであります。今後ふえてくるであろう外国人児童生徒を勘案して、なるべく近くに通えるような要望をしたいというふうに思います。
 また、地域には、日本語学校のほかにもたくさんNPOや民間団体の日本語習得の場があります。私も政治の世界に入る前に、日本語ボランティアというものを行っておりましたが、日本語は教えてみるとかなり難しくて、規則的かと思うとかなり不規則で、教えるだけでもかなり難しい言語でございます。ましてや日常会話でなく学習の言語となると大変なものかなというふうに思っております。改めて多くの時間を言語習得に費やす必要を感じるものでございます。
 しかしながら、来日したばかりの外国人の方にとっては、まず情報にアクセスする手段が不足しております。国の予算では、多言語翻訳システム等ICTを活用した支援の充実といった予算が計上されておりまして、保護者向けの就学ガイダンスや手続、児童生徒の初期の日本語指導における会話補助や家庭訪問の際のやりとりなどという場面が想定されております。
 今後、ICTなどを活用しながら、さらに情報提供を充実させるべきと考えますが、見解を伺います。

○太田地域教育支援部長 日本語指導が必要な児童生徒の増加とともに、使用言語の多様化に伴い、外国人児童生徒や、その保護者と円滑にコミュニケーションができる環境の確保は必要でございます。
 このため、都教育委員会は、平成三十一年度には、ICTを活用して教職員が学習指導や就学手続などで児童生徒や保護者との会話を円滑に行うことができる多言語翻訳システムの導入に対し、区市町村への補助をしてまいります。
 多言語翻訳システムの活用により、外国人児童生徒等への情報提供が適切に行われるよう、区市町村の取り組みを支援してまいります。

○田の上委員 都独自の支援ということかと思いますけれども、多言語翻訳システムを活用していただけるということで、ぜひ積極的にお願いしたいというふうに思います。
 次に、外国人生徒の進学についてです。
 昨年の質疑で我が党の福島委員が、改正出入国管理法による特定技能二号の労働者には配偶者などの帯同も認められ、ますます外国籍の子供がふえる可能性を指摘し、高校入学者選抜の改善と日本語指導についての質問をいたしました。
 外国籍の生徒は高校進学率が低く、定時制比率の方が高くなるんですけれども、高校中退率も同時に高くなっております。在京外国人の受け入れについては、入学者選抜における特別な措置をしているという答弁がございました。
 一方で、募集定員は限定されているとの声が聞かれます。今後、卒業生の人数などを勘案し、適宜増員すべきと考えますが、見解を伺います。

○江藤都立学校教育部長 今後の都内公立中学における日本語指導が必要な在京外国人生徒数の推移や、居住する地域のバランスに加え、在京外国人生徒対象枠の募集校における入学選抜の応募状況等を踏まえ、適切な募集規模を検討し、都立高校への就学機会を確保してまいります。

○田の上委員 適切な募集規模を検討するということなんですが、ぜひお願いしたいというふうに思っております。
 保護者が日本語を読めないことも多いため、学校から配布されるプリントが読めないなど、情報が極端に限られる場合がございます。
 先ほど多言語の翻訳システムの話もございましたけれども、埼玉県や神奈川県では、日本語を母語としない人たちのための高校進学ガイダンスというものが各地で開催されています。相談もできる、また、複数の外国語対応もするので、かなり役に立っているようでございます。
 東京都では、NPOの後援という形でガイダンスの実績もあると聞いておりますが、都内各地で行うなど、都が主体的に拡充をすべきと考えますが、見解を伺います。

○江藤都立学校教育部長 日本語を母語としない親子のための多言語高校進学ガイダンスにつきましては、現在、東京都教育委員会の後援のもと、NPO等が主体となって開催されております。
 都教育委員会は、NPO等の有用なノウハウを生かし、ガイダンスの内容等のより一層の充実を図るため、今後、NPO等との連携を強化するとともに、積極的に支援してまいります。

○田の上委員 日本語教育の必要性もしかりですけれども、このような形で、高校進学の機会をふやすためにも、ガイダンスの充実というものをお願いしたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○とや委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○とや委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時三十五分散会

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