委員長 | とや英津子君 |
副委員長 | 菅野 弘一君 |
副委員長 | 田の上いくこ君 |
理事 | 内山 真吾君 |
理事 | 斉藤やすひろ君 |
理事 | 星見てい子君 |
斉藤れいな君 | |
龍円あいり君 | |
福島りえこ君 | |
鳥居こうすけ君 | |
古賀 俊昭君 | |
米倉 春奈君 | |
のがみ純子君 | |
谷村 孝彦君 |
欠席委員 なし
出席説明員生活文化局 | 局長 | 浜 佳葉子君 |
次長 | 武市 玲子君 | |
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 鳥田 浩平君 | |
広報広聴部長 | 濱田 良廣君 | |
都民生活部長 | 山本 明君 | |
消費生活部長 | 吉村 幸子君 | |
私学部長 | 金子 光博君 | |
文化振興部長 | 樋渡 幸生君 | |
都政情報担当部長 | 水野 剛君 | |
都民活躍支援担当部長 | 馬神 祥子君 | |
男女平等参画担当部長 | 稲葉 薫君 | |
魅力発信プロジェクト担当部長 | 堀越弥栄子君 | |
文化総合調整担当部長 | 久故 雅幸君 | |
文化施設改革担当部長 | 工藤 穣治君 | |
オリンピック・パラリンピック準備局 | 局長 | 潮田 勉君 |
次長理事兼務 | 延與 桂君 | |
次長 | 岩瀬 和春君 | |
技監 | 相場 淳司君 | |
理事 | 西村 泰信君 | |
理事 | 中澤 基行君 | |
総務部長 | 中村 倫治君 | |
調整担当部長 | 雲田 孝司君 | |
大会企画調整担当部長 | 中嶋 初史君 | |
自治体調整担当部長 | 小池 和孝君 | |
計画推進部長 | 根本 浩志君 | |
運営担当部長 | 田中 彰君 | |
競技・渉外担当部長 | 川瀬 航司君 | |
事業推進担当部長 | 丸山 雅代君 | |
パラリンピック部長 | 萱場 明子君 | |
障害者スポーツ担当部長 | 越 秀幸君 | |
大会施設部長 | 鈴木 一幸君 | |
開設準備担当部長 | 鈴木 研二君 | |
施設担当部長 | 砂田 覚君 | |
施設整備担当部長 | 草野 智文君 | |
施設調整担当部長 | 湯川 雅史君 | |
選手村担当部長 | 斉藤 有君 | |
スポーツ施設担当部長 | 藤木 仁成君 | |
輸送担当部長 | 片寄 光彦君 | |
スポーツ推進部長 | 小室 明子君 | |
ラグビーワールドカップ準備担当部長 | 篠 祐次君 | |
ラグビーワールドカップ会場運営担当部長 国際大会準備担当部長兼務 | 田中 愛子君 | |
教育庁 | 教育長 | 中井 敬三君 |
次長 | 西海 哲洋君 | |
教育監 | 増渕 達夫君 | |
総務部長 | 早川 剛生君 | |
都立学校教育部長 | 江藤 巧君 | |
地域教育支援部長 | 太田 誠一君 | |
指導部長 | 宇田 剛君 | |
人事部長 | 安部 典子君 | |
福利厚生部長 | 浅野 直樹君 | |
教育政策担当部長 オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 古川 浩二君 | |
企画調整担当部長 | 谷 理恵子君 | |
教育改革推進担当部長 | 増田 正弘君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 小原 昌君 | |
指導推進担当部長 | 藤井 大輔君 | |
人事企画担当部長 | 黒田 則明君 | |
担当部長 | 川名 洋次君 |
本日の会議に付した事件
オリンピック・パラリンピック準備局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定について
教育庁関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・平成三十年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
・学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
・都立久留米特別支援学校(仮称)(三十)改築及び改修工事その二請負契約
・都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(説明)
・都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)(案)の骨子について
請願の審査
(1)三〇第九号 都立高校における演劇鑑賞教室の実施等に関する請願
生活文化局関係
事務事業について(質疑)
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・平成三十年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 生活文化局所管分
請願陳情の審査
(1)三〇第九号 都立高校における演劇鑑賞教室の実施等に関する請願
(2)三〇第六〇号 通信制サポート校の学費に対する補助金交付の要請に関する陳情
○とや委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承を願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の事務事業に対する質疑、オリンピック・パラリンピック準備局、教育庁及び生活文化局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、教育庁関係の報告事項の聴取並びに教育庁及び生活文化局関係の請願陳情審査を行います。
なお、提出予定案件及び報告事項については、本日は説明を聴取し、資料要求することにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承を願います。
これよりオリンピック・パラリンピック準備局関係に入ります。
第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長
私から、平成三十年第四回東京都議会定例会に提出を予定してございます議案の概要につきましてご説明を申し上げます。
資料第1号、平成三十年第四回東京都議会定例会提出予定案件の概要の表紙をおめくりください。
本定例会で委員の皆様にご審議いただきますオリンピック・パラリンピック準備局関係の案件は、駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定についての事件案一件でございます。
詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○中村総務部長 引き続きまして、私から、当局の議案の詳細につきまして、ご説明申し上げます。
お手元の資料第1号、平成三十年第四回東京都議会定例会提出予定案件の概要の表紙をおめくりください。
今回提出を予定しております事件案は、駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定についての一件でございます。
本件は、駒沢オリンピック公園総合運動場に係る指定管理者の指定につきまして、議案を提出させていただくものでございます。
候補者は、2、候補者の名称にございますとおり、公益財団法人東京都スポーツ文化事業団グループでございます。
3、指定の期間といたしましては平成三十一年四月一日から平成三十五年三月三十一日までの四年間でございます。
4の(1)、選定方法は公募による選定でございます。
(2)、選定の経緯にございますとおり、外部委員を含みます選定委員会における審査を経まして、候補者を選定いたしました。
(3)、選定理由といたしましては、代表団体は大規模な体育施設について長年にわたる指定管理の実績を有しており、施設の特性を熟知した安定的で堅実な管理運営が期待できることなどでございます。
最後に、お手元配布の資料第2号につきましては、提出させていただきます議案となります。後ほどごらんいただければと存じます。
以上、簡単ではございますが、今定例会に提出を予定しておりますオリンピック・パラリンピック準備局関係の案件につきまして説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○とや委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○とや委員長 なければ、資料要求はなしと確認をさせていただきます。
以上でオリンピック・パラリンピック準備局関係を終わります。
○とや委員長 これより教育庁関係に入ります。
初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○中井教育長 平成三十年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております教育庁所管の案件につきましてご説明申し上げます。
初めに、平成三十年度教育庁所管補正予算案についてでございます。
区市町村立学校における屋内運動施設等の冷房化などについて、八十六億一千万余円の増額補正を行うほか、都立高校における屋内運動施設の空調設備について、債務負担行為を補正するものでございます。
次に、条例案についてでございます。
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例外二件でございます。
次に、契約案についてでございます。
都立久留米特別支援学校(仮称)(三十)改築及び改修工事その二請負契約でございまして、校舎棟などの改築及び改修工事を行うものでございます。
以上が教育庁関係の提出を予定しております案件の概要でございます。
詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○早川総務部長 それでは、私から、提出予定案件の詳細につきましてご説明を申し上げます。
初めに、平成三十年度教育庁所管補正予算案についてご説明申し上げます。
お手元の平成三十年度教育庁所管補正予算説明書をごらんいただければと思います。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、教育庁所管補正予算総括表でございます。
表の中段、網かけをしてございます歳出予算の補正予算額は八十六億一千万余円の増額でございます。
次に、表の下段、網かけをしてございますが、債務負担行為の補正予算額は九億七千万余円の増額でございます。
二ページをお開き願います。2、歳出予算の内訳でございます。
区市町村立学校におけるブロック塀等の安全対策及び屋内運動施設等の空調設備の整備に必要な経費につきまして、増額補正を行うものでございます。
三ページをごらんください。3、債務負担行為限度額でございます。
平成三十一年度から三十六年度まで設定しております都立学校校舎等新改築工事の債務負担行為限度額につきまして、来年度の夏までに都立高校の屋内運動施設において空調設備を稼働させるため、三十一年度に行う工事に係る経費の増額を行うものでございます。
次に、条例案についてご説明を申し上げます。
お手元の資料、平成三十年第四回東京都議会定例会議案(条例)の表紙をめくり、目次をお開き願います。今回提出を予定しております条例案は三件でございます。
それでは、一ページをお開き願います。学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例でございます。
少し飛びますが、七ページをお開き願います。このページに本条例案の概要を記載してございます。
今回の改正は、東京都人事委員会からの勧告を踏まえ、公民較差等に基づく学校職員の給与改定を行うものでございます。初任給を引き上げ初任層の給料表を改定するもの及び特別給である勤勉手当の支給月数を引き上げるものでございます。
施行日は、給料表の改定につきましては平成三十一年四月一日、勤勉手当の改定につきましては公布の日としております。
また、その他といたしまして、六月及び十二月に支給する期末手当の支給月数を均等に配分するものでございまして、施行日は平成三十一年四月一日としております。
次に、少し飛びますけれども、一五ページをお開き願います。都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例でございます。
一七ページに新旧対照表がございますので、お開き願います。職員の給与に関する条例の改正に伴い、休業補償等の額の算定基礎となります補償基礎額を改定するものでございます。
施行日は、平成三十一年四月一日としております。
一八ページをお開き願います。都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
少し飛びますが、二一ページをお開き願います。このページに本条例の概要を記載してございます。
地方公務員法等の改正を踏まえ、都立学校等に勤務する時間講師及び日勤講師の期末手当の支給等に係る規定を整備するものでございます。
施行日は、平成三十二年四月一日としております。
次に、契約案についてご説明申し上げます。
お手元の資料、平成三十年第四回東京都議会定例会議案(契約)の表紙をめくり、目次をお開き願います。今回提出を予定しております契約案は一件でございます。
一ページをお開き願います。都立久留米特別支援学校(仮称)(三十)改築及び改修工事その二請負契約でございます。
契約の方法は一般競争入札、契約金額は三十六億七千五百六十九万四千三十二円、契約の相手方は東京都西東京市谷戸町三丁目十七番六号、菊池建設株式会社でございます。工期は契約確定の日から平成三十三年一月二十八日まででございます。
三ページから七ページにかけまして案内図、配置図、各階平面図を、また、八ページに契約議案の概要を記載してございます。
以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○とや委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
○米倉委員 四点お願いいたします。
一つ目が、久留米特別支援学校の教室数と児童生徒数の推計。
二点目が、周辺の都立知的障害特別支援学校等の普通教室数と児童生徒数の推計。
三点目が、久留米特別支援学校及び周辺の都立特別支援学校の通学区域がわかるもの。
四点目が、補正予算にかかわり、都立学校と区市町村立学校のブロック塀対策の進捗状況と今後の計画を区市町村別にお願いします。
○とや委員長 ほかにはないですね。--はい。ただいま米倉委員から資料要求がございましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○とや委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出を願います。
○とや委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○増田教育改革推進担当部長 去る十一月二十二日、東京都教育委員会が公表いたしました都立高校改革推進計画新実施計画(第二次)(案)の骨子につきまして、お手元にございます文教委員会資料(報告事項)の資料1によりご報告申し上げます。
一ページをごらん願います。都立高校改革に向けたこれまでの取り組みについて記載しております。
都教育委員会では、平成九年九月に都立高校改革の長期計画である都立高校改革推進計画を策定し、一人一人の生徒の多様性に対応した弾力的な教育を実施してまいりました。
その後、平成二十三年九月に都立高校白書を作成し、都立高校の現状と課題を明らかにした上で、平成二十四年二月に十年間の長期計画となる新たな都立高校改革推進計画と当初四年間の具体的な計画である第一次実施計画を策定いたしました。
二ページをごらん願います。平成二十四年度以降、都教育委員会においては、第一次実施計画に基づく取り組みを着実に推進してきましたが、一方で、その間も高大接続改革の実現に向けた検討や新しい時代にふさわしい学習指導要領等の策定に向けた議論が本格化するなど、都立高校を取り巻く環境が大きく変化するとともに、東京都政においても、平成二十五年九月に東京が二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市に決定されるなどを初めとする大きな状況の変化がありました。
これらの状況を踏まえ、都教育委員会においては、教育内容の充実や教育環境の整備に向けて中長期視点に立ち、これまでの枠組みにとらわれない広範な取り組みを展開していくことを目的として、平成二十八年二月に都立高校改革推進計画の一部を改定するとともに、それとあわせて、平成二十八年度から平成三十年度までの三年間の実施計画についても、第一次実施計画に引き継ぐ第二次の実施計画としてではなく、新たな取り組みを数多く盛り込んだ新実施計画として策定しました。
現在も新実施計画に基づく取り組みを推進しているところですが、二ページから四ページにかけて、その主な取り組みを記載しております。
四ページをごらん願います。今後の都立高校改革に向けた基本的な考え方を記載しております。(1)で、都立高校を取り巻く現状と課題について、六ページにかけて記載しております。
都立高校が、今後、子供たちの多様なニーズに応えていくためには、情報技術の革新による社会のあり方の変革や高等学校学習指導要領の改訂と高大接続改革の進展、平成三十年度都立高校入学者選抜の実施状況といった社会の変化と、それに伴う都立高校を取り巻く環境の変化に適切に対応していく必要があります。
六ページをごらん願います。(2)の新たな実施計画の策定に向けてにおいて、都立高校を取り巻く状況を踏まえて、生徒を社会人として自立した人間へと育成するために、新実施計画に基づく取り組みを着実に推進するとともに、都民の期待、信頼に応え、魅力ある都立高校であり続けることを目的として、新実施計画(第二次)を策定することとしております。
七ページをごらん願います。都立高校改革推進計画の目的と目標を記載しております。
本計画は、教育基本法の理念を踏まえ、都立高校が生徒を真に社会人として自立した人間に育成することを目的とし、この目的を具現化するため、教育内容、学校設置・課程改善等、教育諸条件の観点から三つの目標を定めるとともに、各目標を達成するため、全ての生徒に個に応じた適切な学びを提供し、本人の希望、適性に応じた進学、就職につなげ、生徒、保護者の期待、信頼に応える学校づくりの徹底を基本的な考え方として、各施策を展開していくこととしております。
八ページをごらん願います。都立高校改革推進計画の性格を記載しております。
今回策定する新実施計画(第二次)は、現行の都立高校改革推進計画のもとでは最後の実施計画となるものであり、平成三十一年度から平成三十三年度までの三年間を実施期間として策定いたします。
また、平成三十三年度以降、都立高校改革推進計画に基づく取り組みの成果等を検証し、その後の取り組みに反映させることとしております。
九ページをごらん願います。計画の全体像を示す都立高校改革推進計画の体系図を掲載しております。
一番左側に計画の柱となる三つの目標を記載し、十六の具体的な目標と四十三の取り組みの方向を設定しております。
一〇ページをごらん願います。このページ以降、具体的な目標ごとに現状と課題及び取り組みの方向を掲載しております。本日は、取り組みの方向に記載の施策のうち、主なものを中心にご説明させていただきます。
一三ページをごらん願います。目標Ⅰの社会的自立に必要となる知、徳、体の育成についてでございます。
1の(3)の学びの基盤づくりのための取り組みの推進でございます。読解力を初めとした学びの基盤となる力を全ての生徒が身につけることができるよう、プロジェクトチームを設置し、現状把握やつまずきの原因分析等を行うとともに、学習プログラムの開発と実践研究を推進します。
一五ページをごらん願います。3の(5)の「理数科」の設置について、理数系分野の幅広い素養と情報活用能力等をあわせ持ち、それらを生かして新しい価値を生み出すことのできる人材を育成するため、二十三区内及び多摩地域への理数科の設置に向けた検討を行います。
また、4の高大連携の推進について、これまでの高大連携の実績を踏まえた上で、首都大学東京、東京農工大学、東京学芸大学等の大学との高大連携を進めてまいります。
二四ページをごらん願います。グローバル人材の育成についてでございます。
2の(3)の国際交流コンシェルジュの活用について、国際交流データベースの構築や学校からの国際交流に関する相談への対応等を通じて、全ての都立高校において国際交流を実現できる環境を整えてまいります。
二六ページをごらん願います。オリンピック・パラリンピック教育の推進についてでございます。
全ての都立高校で引き続きオリンピック・パラリンピック教育を推進し、ボランティアマインド、障害者理解、豊かな国際感覚等を育成するとともに、東京二〇二〇大会以降もそれらの取り組みがレガシーとして引き継がれていく仕組みを構築していきます。
二八ページをごらん願います。社会的・職業的自立意識の醸成についてでございます。
1の(1)の主権者意識等の醸成について、平成三十四年度から成年年齢が満十八歳に引き下げられることを見据え、主権者教育や消費者教育等を通じて、社会の形成者としての必要な資質、能力を育成していきます。
三四ページをごらん願います。目標Ⅱに参りまして、専門高校の改善についてでございます。
1の(1)のGAP認証の取得と教育活動への展開について、農業系高校において食品安全や環境保全、作業工程の効率化など、GAPの取り組みを通して農産物の生産だけではなく、農業経営について学習する機会を提供し、将来の東京の農業を支える人材を育成していきます。
そのほか、商業高校、産業高校等においても、それぞれの学科の特色を生かした取り組みを進めてまいります。
三六ページをごらん願います。中高一貫教育校の改善についてでございます。
都立中高一貫教育校十校が連携して、中学校段階の生徒による切磋琢磨の機会を創出するとともに、併設型中高一貫教育校において、六年間一貫した教育をより一層推進するため、高校段階での生徒募集を停止するとともに、中学段階からの高い入学ニーズを踏まえ、中学校段階での生徒募集の規模の拡大を含めて検討してまいります。
三八ページをごらん願います。定時制課程、通信制課程の改善についてでございます。
2の(1)のICTの活用による通信制課程の改善・充実について、通信制課程の高校においてICTを活用すること等により、時間や場所の制約を超えて、いつでもどこでも学習や相談ができる環境を整備するとともに、生徒の学習意欲の向上を図るなど、学習環境の改善充実を図ってまいります。
四〇ページ、四一ページをごらん願います。具体の学校名を含む都立高校等の配置計画、学科の改編等について記載しております。
なお、1の配置計画については、現在の新実施計画に基づく取り組みを継続するものでございます。
四四ページをごらん願います。目標Ⅲに参りまして、組織的な学校経営の強化についてでございます。
1の学校の魅力向上と効果的な発信について、全ての都立高校において、教育課程に基づき、組織的かつ計画的に教育活動の質の向上を図るカリキュラムマネジメントの確立に向けた取り組みを推進するとともに、各校において育成を目指す資質、能力等をグランドデザインとして示し、それを学校の特色として、生徒や保護者へ積極的に情報発信していきます。
以上、新実施計画(第二次)の案の骨子につきまして簡単にご説明させていただきました。
最後に、今後の予定でございますが、現在、パブリックコメントにより、広く都民から意見を募集しているところでございます。パブリックコメントにより寄せられたご意見等を踏まえまして、本年度中に都立高校改革推進計画新実施計画(第二次)を策定したいと考えているところでございます。
報告は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○とや委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
○米倉委員 都内公立中学校卒業予定者数の推移をお願いいたします。
○とや委員長 米倉委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○とや委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
○とや委員長 次に、請願の審査を行います。
請願三〇第九号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○宇田指導部長 請願三〇第九号、都立高校における演劇鑑賞教室の実施等に関する請願についてご説明申し上げます。
お手元の文教委員会付託請願審査説明表の一ページをお開き願います。
本請願は、新宿区の公益社団法人日本劇団協議会会長西川信廣さんから提出されたものでございます。
本請願の要旨は、都において、都立の高等学校が演劇鑑賞教室を開催できるよう支援することを実現していただきたいということでございます。
これに関する現在の状況でございますが、学校の教育課程は、教育基本法等の法令や学習指導要領、また、所管の教育委員会の基本方針等に基づくとともに、各学校の特色、生徒の実態、保護者や地域の願い等を踏まえ、校長の責任のもと、創意工夫をもって編成されるものであります。
都立高等学校における生徒の芸術に関する体験的な活動についても、こうした教育課程編成の基本的な考え方を踏まえ、学校ごとに多様な方法や内容で実施しており、平成二十九年度には、都立高等学校全体の七四%の学校において、生徒が演劇、音楽、映画等の芸術を鑑賞する学習を行っております。
また、都教育委員会は、生徒に日本人としての自覚と誇りを涵養することなどを目的として、全ての都立高等学校が平成二十八年度から三年間の中で、一回以上、歌舞伎、能、狂言などの演劇や、落語等の演芸、舞踊、邦楽といった日本の伝統芸能を鑑賞、体験する機会を設定できるようにするなどして、学校における演劇を含む芸術鑑賞体験の充実に向けた支援を行っているところでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。
○とや委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○星見委員 それでは、都立高校における演劇鑑賞教室の実施等に関する請願についての質問をさせていただきます。
請願者の公益社団法人日本劇団協議会は、文科省と文化庁が、小中学校などに一流の文化芸術団体による実演芸術の巡回公演やワークショップ等を実施している文化芸術による子供の育成事業を選定している芸術団体が参加しています。
都立高校での演劇鑑賞教室を開催できるよう支援をとの請願です。
ただいま都のご説明ですと、平成二十九年度は、都立高校全体の七四%が芸術鑑賞の学習を行っているとのことでしたけれども、どのようにして把握しているのでしょうか、お伺いいたします。
○宇田指導部長 各都立高等学校から毎年提出される教育課程届に含まれる年間行事計画により把握しております。
○星見委員 請願している日本劇団協議会からは、正会員による公演数の推移を見ると、高校では、一九九〇年代後半まで年間千三百公演だったのが、平成二十八年には半数以下の五百十八公演まで減少していると指摘があります。
都が調査した七四%の芸術鑑賞の学習で、演劇鑑賞教室の実施についての調査はできているんでしょうか、伺います。
○宇田指導部長 都教育委員会では、各都立高校が実施している芸術を鑑賞する学習における演劇、古典芸能、音楽の演奏といった個別の演目の実施状況については把握しておりません。
○星見委員 今、状況がつかめていないのであれば、都として演劇鑑賞教室の実施状況の把握を進めてください。
公演数が減少している理由について、請願者の日本劇団協議会の皆さんが学校とのやりとりをする中で感じているのは、第一に、九〇年代に比べ、芸術鑑賞にかけられる予算が厳しくなっているということだそうです。
学校では、芸術鑑賞による費用を保護者に負担してもらうわけですが、二〇〇〇年代より格差が拡大し、勤労者世帯の可処分所得が減少する中で、保護者から余り高いお金を集めづらくなっているという事情があるそうです。
また、学校に劇団を招いて公演料を支払うわけですが、少子化などにより一校当たりの生徒数が少なくなると生徒一人当たりの金額が高くなってしまい、ますます保護者に高い金額を払ってもらわなければならなくなります。
学校としては、子供たちに間近で生の演劇、生の芸術を見せてやりたいというのがありますが、保護者の負担を考えると、もう少しお金のかからないものにしておこうという判断も働いているということです。
もう一つ、二〇〇〇年代に入って完全週五日制が導入され、また学力向上のかけ声がかかる中で、授業時間の確保のために行事の数を減らそうという話になりやすく、そうすると、芸術鑑賞教室は中止しよう、今まで毎年やっていたものを三年に一回にしようという話になってしまうというところもお伺いしています。
いずれにしても、教育委員会が、子供が芸術鑑賞することの意義をしっかり位置づけて、芸術鑑賞に取り組む学校には、財政面も含め、しっかりとした支援をしていくことが重要だと思います。
都は、先ほど高等学校を対象にして、二〇一六年度から三年間の中で、日本の伝統芸術を鑑賞、体験する機会を設定できるようにするなど、学校における演劇を含む芸術鑑賞体験の充実に向けた支援を行っていると説明されました。
どのような演劇を対象にしているのか、伺います。
○宇田指導部長 都立高校が行っている日本の伝統芸能を鑑賞する学習における演劇は、歌舞伎、能、狂言といった古典演劇を対象としております。
○星見委員 この支援は現代演劇などは対象ではないということですね。
今、日本の伝統芸能鑑賞教室は、都が新しく始めた事業ですけれども、この三年間の支援事業の取り組みへの学校や生徒の受けとめをお聞きいたします。
○宇田指導部長 都教育委員会は、平成二十八年度から三年間にわたって、民間ホールに複数の学校を集めて日本の伝統芸能鑑賞教室を実施し、都立高校生が古典芸能の第一線で活躍する狂言師、雅楽師、三味線奏者による公演を鑑賞したり、実際に演技を体験したりする機会を設けてまいりました。
また、学校の体育館などを会場として、日本の伝統芸能鑑賞教室を独自で実施している学校もあり、都教育委員会は、落語家や雅楽師などの第一人者を派遣しております。
こうした機会を通して生徒からは、古典芸能のよさがわかり興味が高まった、和の美しさや奥深さを感じたなどの感想が寄せられ、本事業が伝統芸能を理解する契機になっていると考えております。
○星見委員 新しく一流の芸術家による伝統芸能を鑑賞、体験する機会をふやしていることは大切です。
同様に、高校でのプロの芸術劇団による演劇鑑賞教室も貴重な学習の場になっているのではないでしょうか。
演劇鑑賞教室での高校生の感想文、幾つか紹介したいと思います。
一つ目ですけれども、私自身、夢もなく、やりたいこともありません、今は介護福祉士の資格をとって人の役に立ちたいと思っているけれども、本当にやりたいことなのかわかりません、でも、演劇を見て、これからの自分と向き合っていきたいと思いました、引き込まれて、とても考えさせられました。
次の感想です。舞台に出てくる人たちが僕自身に見えました、自分の将来が想像できない、何がやりたいかわからない、いざ何かやろうとすると、失敗することが怖くて行動に移せない、僕もずっと悩んでいた経験がありました、自分が何をしたいのかたくさん悩み、したいことが見つかったときは、失敗を恐れずに、がむしゃらに挑戦し続けたい、そして将来、人の支えになり、心から人を応援できる人になりたい。
また、ほかの感想ですけれども、自分がつらいとか、孤独に感じているような、ふだん表に出すことがない奥深いところを一突きされたような気がして少し涙を流した、最近、共感、感動から離れていたが、今回、歯車の回転数が上がる感覚を覚えたなど、読みました感想文はどれも豊かな感性を育み、自分を見詰め直したという声でいっぱいでした。
日本の伝統芸能鑑賞と同じように、高校での演劇鑑賞教室も貴重な学習の場になっているという実感です。
そこでお聞きしますけれども、都立高校で行われています芸術鑑賞の取り組みは、学校教育の中ではどのように位置づけられて、何を狙いとしているのかを伺います。
○宇田指導部長 都立高校で行われている芸術鑑賞の取り組みは、高等学校学習指導要領に基づいて実施されております。
芸術の鑑賞や体験について、学習指導要領の特別活動では、文化や芸術に親しんだりするような活動を行うことと示されており、本物の文化や芸術に直接触れる体験を通して、情操を高め、豊かな教養を育成するとともに、生涯にわたり文化や芸術に親しみ、その継承や創造に寄与する態度や能力を育てることを狙いとしております。
○星見委員 ただいまのご答弁は、高等学校学習指導要領での位置づけのお話でした。
私は、本請願で紹介されていました一九九九年ユネスコ第三十回総会事務局長アピールというのを調べてみました。この同アピールでは、劇活動を、創造性こそは人類の特性であり、我々の希望そのものであるとして、児童生徒はどのいずれの段階でも、彼らの知的及び情感的なバランスに最も広い意味でプラスする教育の過程にアクセスできるようにならなければならない、そういう点からすると、劇活動は、創造性にとって大変効果のあるものとして、芸術教育の中でも推奨に値するものであると位置づけていました。
また、本請願では、現在、文化庁による文化芸術による子供の育成事業によって、小中学校では、一定程度、鑑賞の機会は保障されているとありましたので、これも調べてみました。
都の高校への支援事業は、日本の伝統芸能になっていますが、文科省、文化庁の文化芸術による子供の育成事業は、伝統芸能のほかにも、児童劇、演劇、オーケストラなど、文化庁が選定した文化芸術団体から選んで、本公演やワークショップを行えるようになっていました。
都立高校によっては、一年目は日本の芸術、二年目は海外の芸術、三年目は演劇として芸術鑑賞教室をやっているところもあると聞きました。この場合、日本の芸術にしか都の支援はありません。
都の支援事業を、演劇鑑賞を含め多様な芸術鑑賞も広く支援できる制度にするなど、都立高校への演劇鑑賞教室への支援の拡充を要望いたしまして、本請願を採択することを主張して、質問を終わります。
○とや委員長 ほかに発言がなければ、本件は生活文化局所管分もございますので、決定は生活文化局所管分の審査の際に行い、ただいまのところは継続審査といたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○とや委員長 異議なしと認めます。よって、請願三〇第九号は継続審査といたします。
請願の審査を終わります。
以上で教育庁関係を終わります。
○とや委員長 これより生活文化局関係に入ります。
初めに、事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○鳥田総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る十月十一日の当委員会におきまして要求のありました資料についてご説明申し上げます。
お手元に配布の平成三十年文教委員会要求資料をごらんください。
表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、今回要求のありました資料は十二件でございます。
それでは、一ページをお開き願います。1、消費生活相談員数及び都・区市町村ごとの相談受付時間等の状況でございます。
(1)には、平成三十年四月一日時点の都及び区市町村の消費生活相談員数について記載しております。
また、(2)では、都及び区市町村の相談受け付け日や時間について記載しております。
二ページをお開き願います。2、文化振興施策に係る予算及び決算の推移でございます。
平成二十六年度から平成二十九年度までの予算額及び決算額の推移並びに平成三十年度の予算額を記載しております。
なお、備考欄には、当該事業区分に係る主な事業をそれぞれ記載しております。
三ページをお開き願います。3、都立文化施設等に係る予算及び決算の推移でございます。
平成二十六年度から平成二十九年度までの予算額及び決算額の推移並びに平成三十年度の予算額を記載しております。
四ページをお開き願います。4、都立文化施設に係る指定管理料の推移でございます。
平成二十六年度から平成三十年度までの指定管理料の推移を記載してございます。
五ページをお開き願います。5、都立文化施設等の職種別職員数の推移でございます。
平成二十六年度から平成三十年度までのそれぞれ四月一日時点における常勤職員数について、雇用形態別及び職種別に区分して記載しております。
六ページをお開き願います。6、子供、学生を対象とした主な文化事業(平成二十九年度実績)でございます。
事業名、会場、対象、事業の概要について一覧に記載しております。
七ページをお開き願います。7、私立学校経常費補助(一般補助)の生徒一人当たり単価及び全国順位並びに全国平均単価の推移でございます。
平成二十五年度から平成二十九年度までの過去五年間の推移を学校の種類ごとに記載しております。
八ページをお開き願います。8、私立小中学校等の児童生徒数及び私立小中学校等就学支援実証事業の受給者数と実績額(平成二十九年度)でございます。
表題の内容について、学校の種類ごとに記載しております。
九ページをお開き願います。9、私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業費補助の所得区分別の実績の推移でございます。
平成二十五年度から平成二十九年度までの過去五年間の推移を所得区分別に記載しております。
一〇ページをお開き願います。10、私立幼稚園等一時預かり事業費補助及び私立幼稚園預かり保育推進補助の対象園数と補助実績の推移でございます。
それぞれの実績について、平成二十五年度から平成二十九年度までの過去五年間の推移を記載しております。
一一ページをお開き願います。11、幼稚園類似の幼児施設一覧でございます。
表題の内容につきまして、所在区市、施設名、創立年月日を記載しております。
一二ページをお開き願います。12、私立学校の耐震化の状況でございます。
平成三十年四月一日現在の都内私立学校の耐震化の状況について、学校の種類ごとに全棟数と耐震性のある棟数、その割合である耐震化率を記載しております。
以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○とや委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○斉藤(れ)委員 まず、私からは、私学の子育て応援幼稚園について伺います。
東京都では数々の待機児童対策を打ち出しておりまして、ことし四月には待機児童数が三千百七十二人の大幅な減少を見ましたけれども、なお全国で最も多い、現在五千四百十四人となっているところが明らかになっております。
また、保育サービスの利用者数は一万六千五十九人増加しておりまして、今後も保育ニーズは高まっていくことが予想されております。
その中で、昨年度の事務事業でも伺わせていただきましたが、TOKYO子育て応援幼稚園は、共働き家庭の教育需要への対応や育休終了後の就労支援、また三歳児の壁問題への対応等を目指して、一時預かり事業を行う私立幼稚園へ補助を行うものであり、昨年十月は四区十四市七十二園が実施されておりましたが、初年度ということで、まだまだ広がりが期待されておりました。
そこで、TOKYO子育て応援幼稚園について、今年度の利用園数の状況について伺います。
○金子私学部長 今年度は、九区十五市において九十園が実施する見込みでございます。
○斉藤(れ)委員 東京都内には約八百園の幼稚園がある中で、もう一広がりの普及が期待されるところですが、各幼稚園の施設や保育士の人員確保等への不安などもあり、まだ始まって間もないということで、生活文化局の皆様はこれまでも、個別の助言や働きかけ、未実施の区市町村との意見交換も密に行ってきてくださっているというふうに認識しておりますので、ぜひ今後ともしっかりと取り組んでいただきますようお願い申し上げます。
また、今年度から、待機児童を解消するために幼稚園で二歳児の受け入れを図っていくという国の方針もありまして、東京都では、先行自治体として町田市が幼稚園で二歳児を定期的に保育するという事業を始めました。
ですが、町田市の例は、ちょっと担当の課長に伺ったんですけれども、三園中の一園は幼稚園型の一時預かりの事業としての活用で、都の制度を活用した園については預かり保育時間が四時間以上であればオーケーとする、つまり保育認定を必要としない児童の受け入れを可能としているものだそうで、これはそもそも待機児童解消という観点ではなく、入園促進事業という観点からの施策に近い印象があります。
入園促進事業でも進むんだったら、本当にこれはありがたいなと思っているんですけれども、実際には町田市のような地理的な条件を持つ自治体以外では、施設整備や保育士の確保が難しいということもありまして、思うように進まないという事情もあると伺っております。
しかし、保育ニーズは確実にふえておりまして、この先の傾向を見据えて、幼稚園で二歳児を受け入れる体制を整え、選択肢をふやしていくことは、小池都知事の掲げるワイズスペンディングの観点からも非常に有益であると思える一方で、現実的には各園の幼稚園教育と保育の考え方に隔たりがあるなど、二歳児の受け入れは慎重に進めていかねばならないと考えております。
二歳児受け入れに当たり、今後どのように取り組んでいくか、都の見解を伺います。
○金子私学部長 TOKYO子育て応援幼稚園における二歳児の受け入れに当たりましては、二歳児の発達段階の特性を踏まえた取り組みが大切でございます。
そのため、保育士等の職員を新たに配置するとともに、専用のスペースを設けるなど、万全の体制で臨む必要がございます。
また、長時間の二歳児受け入れの経験のない園が多数ある状況の中で、園だけの取り組みでは事業実施が進まないケースもございます。
こうしたことから、区市町村や園が本事業に意欲的に取り組めるよう、都は、引き続き都独自の補助を行うとともに、区市町村と連携しながら、各園の個別の状況に応じた丁寧な助言やサポートを行ってまいります。
あわせまして、例えば、二歳児の受け入れを先行的に開始した園や区市町村から実施方法や課題解決の具体的な取り組み事例を収集いたしまして、発信するなどの工夫も行ってまいります。
こうした取り組みを総合的に展開することで、二歳児の受け入れを着実に進めてまいります。
○斉藤(れ)委員 ご答弁ありがとうございます。フルタイムで働く保護者の中には、保育園に入れず、幼稚園の預かり保育にお世話になったことで、園独特の教育を受けることができたことへの喜びの声などがうかがえる一方で、幼稚園と保育園はそもそも長期休業中などの開設日数が違っていたり、保護者の参加するべき行事等の--保護者会もそうですね、そういったものの頻度が全く違うということがありまして、かつて私の場合、我が子が待機児童になりまして、幼稚園の預かり保育で数年間お願いをした経験から申し上げますと、待機児童対策として、一様に保育園の代替策として幼稚園を推進することは、少々乱暴ではないかと思うところも正直ございます。
けれども、例えば認可園に入りづらいフリーランスの方や自営業の方、またフルタイムで働くほどの職場復帰は考えていないというような多様な働き方と子育てを両立されていきたいという保護者の方たちにとっては、幼稚園での二歳児受け入れや預かり保育の拡充はとてもありがたいと思っていただいていることも事実でございます。
保育園と同じ意味合いで待機児童受け入れという言葉だけ打ち出していくことには反対ですけれども、子育てと求める教育や保育の形、そして就労との両立がバランスよく図られていくためにも、二歳児の受け入れを考える幼稚園への適切な情報提供や事前のやりとりはぜひ丁寧に行っていただき、今後の都内幼稚園での預かり保育の充実を図っていただきたいと思っております。
また、来年度から開始される幼児教育無償化に当たっては、幼稚園に通うお子さんを持つ保護者に対しては月額二万五千七百円が保育料として無償となりまして、また、預かり保育の利用料は月額一万一千三百円が無償化の対象となるということを伺っておりますけれども、預かり保育については市区町村によって認定の基準が異なるという可能性もございまして、住んでいる市区町村によって無償化の格差が生じるという可能性も指摘をされております。
保護者の方の働き方や職業によって格差が生じることがないように、また、現在東京都が補助している負担軽減部分が国の無償化に合わせてなくなってしまうと、利用者にとっては逆に負担が残る、もしくはふえるということもあるという意見もいただいておりまして、ぜひ無償化に当たっては、都としてもそのようなことがないように、独自の負担軽減策を講じていただきたいということを要望しまして、次の質問に移らせていただきます。
次は、私学のICT設備支援補助について伺いたいと思います。
私学助成のうち、ICT教育環境整備費補助について伺います。
東京都は、平成二十七年度から私立小学校、中学校、高等学校におけるICT機器及び無線LAN等の利用環境整備の促進のために、経費の一部の補助を開始されております。
これについて、今年度から一校当たりの補助対象限度額を一千万円から一千五百万円に拡充されておりますけれども、この理由を伺います。
○金子私学部長 ICT教育環境整備費補助は、教育現場におけるICT環境の整備を進めることで、児童生徒の学習への意欲や関心を高め、学力を向上させるとともに、これからの時代に求められる情報活用能力を育成することを目的に、私立学校におけるICT環境の整備に必要な経費の一部を補助するものでございます。
私立学校では、各学校はそれぞれ特色を生かしたさまざまな教育を行っており、各学校におけるICT環境整備に係るニーズも多様化してきたことから、学校現場の実情等も踏まえまして、補助対象を拡大するとともに、補助限度額の引き上げを行ったものでございます。
○斉藤(れ)委員 ご説明ありがとうございました。この拡充については、学校関係者の方や保護者の方からも大変ありがたいというお喜びの声をいただいてはいるんですけれども、この対象が初期投資に係る費用への補助を対象とされていることもありまして、ICT機器などについては、導入から数年後には多額の更新の経費がかかるということも心配をされている点でございます。
この更新についても、今後対象としていただけるようにお願いをしたいところなんですけれども、その前に、この補助の成果がどのようなものだとお考かということをお伺いしたいと思います。
○金子私学部長 デジタル教材、音声や動画などの活用、インターネットを用いた情報収集などによりまして、わかりやすい授業や主体的、能動的な学習が可能となり、児童生徒の学習理解の促進につながっているなどの声を聞いているところでございます。
今後も学校現場の意見を聞きながら、私立学校におけるICT教育環境の整備に積極的に取り組んでまいります。
○斉藤(れ)委員 できましたら、各学校ごとにこの補助を受けることで、どのような教育環境の向上が図られて、それがどのように実際の教育の向上につながっているのか、都としても積極的にその効果を図っていただくような仕組みをつくっていただきたいと考えております。
都立学校では、例えば生徒自身のタブレット等を授業に活用する取り組みが始まっておりまして、また、公立小学校や中学校は、自治体によってかなり差がありますけれども、一人一台のタブレット配布を行っているところが区部の方では見られる一方で、市部の方では、一クラス分のタブレットを運営努力で全校生徒が授業で一日の間に順番に使えるように工夫をされているようなところもございます。
児童生徒にとって本当に必要な教育環境はどのようなものなのか、また、公私間の環境的な格差が生じているかどうかについても、今後の検証や実践にはぜひこの私学のICT教育環境整備費補助で得られた知見を生かしていっていただけるように要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
続いて、私立学校児童生徒からの相談受け付け体制について伺います。
実際に私立学校に通う複数の相談者、保護者の方と、あと生徒さんからいただいた質問から質疑をさせていただきます。
その方たちに共通していたことは、私立学校に通う中で、本人が、いじめや友人との人間関係、また教師との関係について悩みを抱えていた際に、相談することができる場所がないというものでした。
実際に、教師からのパワハラや深刻ないじめが起きていることを東京都の教育相談センターに相談をしたところ、私立は所管外であるというふうに門前払いをされたり、弁護士に相談をしてくださいと帰されたというようなことを訴えてこられる方もいらっしゃいました。
とある中高一貫校に通う生徒さんは、相談先がわからずに心理的に追い詰められて、腸炎となってしまいまして学校に通えなくなり、退学をされたということを伺っております。
いじめや教員との関係については、非常に丁寧かつ慎重に対応するべき課題であると、問題であるというふうに考えておりますけれども、実際に東京都教育相談センターが私立学校生徒の相談対応を受け入れられないのであれば、ほかにどこが相談に乗ってくださるのか、その窓口をしっかりと保護者や生徒さんたちに周知することが重要であると考えます。
私立学校の児童生徒がいじめなどの問題で悩みを抱えた際に相談できる体制と、児童生徒への周知の実施状況について伺います。
○金子私学部長 いじめは、子供の生命や心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を及ぼすことから、絶対に許されない行為であり、児童生徒がいじめについて相談しやすい環境を整備することが重要でございます。
そのため、各私立学校においては、スクールカウンセラーを配置するなど相談体制の充実を図っており、都はその経費の一部を補助し、各私立学校の取り組みを促しているところでございます。
さらに、都は、東京都いじめ相談ホットラインを開設いたしまして、生徒や保護者から二十四時間体制で無料相談を受け付けております。
このホットラインの周知を図るため、都は毎年、私立小中高等学校及び特別支援学校にポスター及びリーフレットを配布するとともに、学校を通じまして、児童生徒にホットラインの電話番号といじめに対する具体的な行動のとり方を記載した、いじめ防止カードを配布しております。
今後とも、各私立学校と連携いたしまして、いじめの防止対策に取り組んでまいります。
○斉藤(れ)委員 東京都いじめ相談ホットラインの相談対応は、私立学校生徒に対しても垣根なく行われているということと、各学校に周知のポスターやカードが配布されているということがご答弁でわかりました。ありがとうございます。
昨年、教育庁の方にも質疑をさせていただいたんですけれども、いじめ相談ホットラインは、あくまでも電話をかけて相談するという相談体制でありまして、いじめや人間関係に悩む児童生徒にとって、見知らぬ大人の方に電話をかけて相談するというのは非常にハードルが高いということもありまして、SNS、メッセージやメールなどで相談ができる、例えばということで、ストップイットというアプリがあるんですけれども、これは千葉県の柏市の方で導入されておりまして、こういった民間アプリを導入することも含めて考えていただきたいというようなことをお願いしたことがございます。
このアプリは、写真も添付をして、どのような状況かということを一目でわかっていただけるようなアプリになっておりまして、このようなものも活用ができればいいなと思いつつ、ことしの夏に都立高校生に対して、試験的にですけれども、教育庁の方でSNSでの教育相談が行われたということがありましたけれども、今後は、都立、また私立を問わずに、SNSでの教育相談が推進されますことを要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
配偶者暴力相談支援について伺います。
東京都の配偶者暴力相談等件数の推移を見てみますと、都の支援センターで受けている件数は、ここ十年来、やや横ばいから下降気味で、平成二十九年度は八千八百二十八件となっておりますが、区市町村で受けている相談の総数は、十年前から今は約二倍以上になっておりまして、現在三万四千百三十一件に上っております。
場合によっては、小さいお子さんを抱えながら、日中の限られた時間に相談に立ち寄る当事者の方がいることを考えると、なるべくお住まいの地域で身近に相談できる窓口があることが望ましいと考えております。
現在、多摩地域での配偶者暴力相談支援センターの整備状況について伺います。
○稲葉男女平等参画担当部長 都内の区市町村におきまして、配偶者暴力相談支援センターの整備数は現在十四カ所となってございますが、全て区部でございまして、多摩地域の市町村で整備しているところはない状況でございます。
○斉藤(れ)委員 平成二十八年度の都の調査によりますと、配偶者暴力相談支援センターの機能整備について今後検討するとしている市町村も、現在七市三町村あるということが明らかになっております。
今現在整備しているところはないという答弁だったんですけれども、今後の東京都からの力強い整備支援を期待するものであります。
センター機能整備について、人員や予算の課題、またノウハウがないことで不安を持つ区市町村もあるということです。
都から区市町村への支援をどのように行っていくか、伺います。
○稲葉男女平等参画担当部長 都内で配偶者暴力相談支援センターを設置していない区市町村から、設置に必要な支援としまして、専門性を有する相談員の育成を求める声が多く寄せられてございます。
こうしたニーズも踏まえまして、都は、区市町村における配偶者暴力相談支援センター機能の整備促進に向けて、相談員の養成や関係機関の調整を行う職員を対象とした研修を実施してまいりました。
また、区市町村を個別に訪問し、整備の意義を丁寧に説明いたしますとともに、課題や懸案事項に対する助言を行っているほか、配偶者暴力相談支援センター機能整備に関する情報を盛り込んだメールマガジンを発行するなどしてございます。
今後とも、被害者が身近な地域で相談できるよう、区市町村における相談体制の整備を支援してまいります。
○斉藤(れ)委員 今後は、センター設置を予定している区市町村の相談員を、都のセンターの方で研修受け入れをしていただくとともに、事前に相談対応を行うことによって、地域の中で若年女性等がどのような恩恵を受けられるか、また、そのような体制を設けることで、どれほど安心して若年夫婦や子育て世代がその区市町村に住んでいくことができるか、ぜひさらに丁寧にご説明を行っていただきたいと思います。
母子または若年女性は、配偶者やパートナーから暴力を受けた際に、化粧品やお財布や携帯なども全て奪われて、例えば、着のみ着のままで何とか抜け出してきて知り合いに助けを求めるというケースや、知人宅を転々としながら配偶者の暴力から逃れようとするケースもございます。
私もはるか昔に、友人の知人でそのような状況になった女性がおりましたけれども、相談する窓口をうまく見つけられないまま、恐らく最初、交番に駆け込みをされたということで、その後は身を潜める場所を探すのにも、就労を始めるのにも大変苦労されていたという方がおりました。
スマホなども奪われてしまい、持ち合わせも余りないという状態で、このような当事者がそもそも東京都の相談センターのことを知っているかどうかというのが少々怪しいというふうに考えております。
また、一時保護についても、知識や情報がないのが一般的でございます。内閣府調査によれば、暴力被害を受けた人の相談先として、センターや法務局に相談した人は、いずれも一%以下となっております。いかに相談先につなげるかが課題となっております。
配偶者暴力相談支援センターや一時保護についての情報提供や周知方法について伺います。
○稲葉男女平等参画担当部長 配偶者暴力は、今お話がありましたように、家庭という人目に触れにくい場所で起きていることから、被害者本人の気づきがおくれたり、相談につながりにくいなど、被害が潜在する傾向が見られます。
このため、都は、配偶者暴力にはどのようなものがあるか、どこに相談をできるか、相談すればどのような対応ができるかなどを記載しました啓発パンフレットを作成し、都や区市町村を初めとした行政機関のほか、警察や裁判所、弁護士会等の関係機関を通じて広く配布してございます。
啓発パンフレットでは、加害者から逃れるための一時保護についても解説しているほか、東京ウィメンズプラザのホームページにおいても、一時保護や保護命令などの具体的な支援情報とあわせまして、各関係機関の相談窓口に関する情報について掲載をしてございます。
また、医療機関向けに、被害者を早期に発見し、適切な支援につなげていくためのマニュアルを配布し、被害者への適切な情報提供や相談の勧奨を働きかけてございます。
○斉藤(れ)委員 パンフレットの作成やホームページ等で、さまざまに周知をされていることがわかりました。
細かい要望になってしまうんですけれども、例えば警察については、本署の方ばかりでなく、交番の方にもパンフレットを置いてくださることや、保育園や幼稚園などに通う保護者の方や保育士、教諭の方にも周知が行き渡るようにしていただくと、恐らく児童虐待の防止にもつながることがあると思いますので、ぜひ関係機関とも連携をして、今後は暴力被害を受けた方の相談がしっかりと対応窓口につながるように、より一層の取り組みをお願いいたします。
次に、文化プログラムの助成等について伺いたいと思います。
Tokyo Tokyo FESTIVALの助成は、二十九年度から予算が大きく増額をされました。
先日、この助成金を受けたイベントが、ちょうど私の地元多摩で行われましたので、私も足を運んでみました。ニュータウン二〇一八というイベントだったんですけれども、これはTokyo Tokyo FESTIVALの市民創造文化活動支援というカテゴリーで助成が行われているという認識であります。
このようなイベントを含め、さまざまな文化事業にTokyo Tokyo FESTIVAL助成を行っておられますが、この助成、市民創造文化活動支援では何を目的としているか、伺います。
○樋渡文化振興部長 二〇二〇年大会があるからこそのイベントが各地で行われておりますけれども、そのようなイベントに多くの都民に参加してもらうことで、二〇二〇年に向けた盛り上がりを創出していくことが重要だと思っております。
そのため、東京都では、都民の方々が主体的に実施している芸術文化活動のうち、それぞれの活動の飛躍や新しいチャレンジ、より多くの人々へのアピール、新しい市民文化の醸成等を目指す活動に対しまして、Tokyo Tokyo FESTIVAL助成、いわゆる市民創造文化活動支援により支援しておるところでございます。
また、これをきっかけとしまして、各地域の特性に合わせた文化イベントなどが定期的に開催されるなど、二〇二〇年以降も都民が芸術文化に触れる機会がふえたり、地域が活性化していったりすることを目指しておるところでございます。
○斉藤(れ)委員 ありがとうございます。
私が伺ったイベントも、もともと、ニュータウンを活性化させたいという思いで実施したと伺いました。イベントは、廃校となった学校を利用し、地域の文化祭という雰囲気で行われておりまして、地元の子供や高齢者の方も参加できるように、多くの催しがプログラムに盛り込まれておりました。
子供たちのために、例えば写生の体験や綱引きの体験、また射的や空き缶釣りなどゲームができるようなエリアもあれば、シニアの方々が参加できるカラオケ大会なども舞台の方で行われておりまして、そして、ふだん多摩には少ないような見た目がクリエーター風の若者や学生さんたちなど、地元の子供やシニアの方々との交流の場として、このようなイベントは非常に可能性を秘めているようにも思われました。
このようなイベントを何度も行っていくことで、そこに人々のつながりが生まれて、地域の人も元気になっていくんではないかなというふうに感じました。
けれども、ただ、少し残念なのは、やはり割合的に地元の子供たちやお父さんやお母さん、またシニアの方々の参加が少し少ないように感じたところでございます。
せっかくすばらしい目的で行っているのに、それが地域の方に、先ほど答弁でもおっしゃってくださいましたけれども、都民の方に届かないというのはとてももったいないというふうに感じております。
文化には地域を盛り上げる力があるということで、東京都も非常にさまざまな文化事業へ助成を行っておられるのだと思いますけれども、その事業がオリ・パラ大会に向けた一発の花火で終わってしまってはいけないとも感じております。
同じ花火でも、今後の地域に根づいていくような交流や、次へと残されていくような期待やヒントなどがあれば、この助成がたとえなくなったとしても、この文化事業によって東京都に残されるものは多くあったと都民にも理解していただけるのではないかと思います。
このイベントは、東京都が行っているものではなく、助成事業ということなので、運営そのものに携われないということは理解をしているんですけれども、では、そのイベントの運営者が、この事業の目的を達成されるような取り組みができないか、伺います。
○樋渡文化振興部長 この助成事業の審査におきましては、書類審査とヒアリングを行っております。
それから、審査においては、事業の実現可能性や狙いなども採択の基準としております。特に申請団体等へヒアリングを行う際には、事業の目的、趣旨がどのように達成されるかなどを確認するとともに、必要に応じてアドバイスなども行っているところでございます。
○斉藤(れ)委員 できればイベントの自由度はそのままにして、地域の参加度がまたさらに上がるような、ちょっとしたヒントやアドバイスをぜひ東京都からもお伝えいただければと思います。
二〇二〇大会を前に、日本文化の持つ価値や独特な世界観を海外に共有していくことや、また逆に、海外の文化を国内でさらに理解が進むように展開していく形での文化交流も非常に期待されている一つの大会レガシーであると考えております。
最近では、国内各地で海外文化を取り入れたまちおこしや地方創生事業なども行われておりますが、地域住民にとっても文化の発展や交流は、住民の啓発や教育へも直結するということから、特に二〇二〇大会での文化的国際交流は、ぜひ都から積極的に推進していただきたい点でございます。
文化プログラムは、二〇二〇大会を経て、世界に発信されていくことも重要であると考えておりますが、それに向けてどのような取り組みを行っているか、伺います。
○樋渡文化振興部長 東京のプレゼンスを高めるためには、東京がどのようなことを行っているかを知ってもらうことは大変重要だと思っております。
Tokyo Tokyo FESTIVAL助成では、海外発文化プロジェクト支援として、海外のアーティストが東京で新作を制作、発表する事業を支援しております。
また、Tokyo Tokyo FESTIVALの象徴的な事業の企画を募集する企画公募事業では、国内はもとより広く海外にも周知を図りまして、企画を募集したところでございます。
これらを初めTokyo Tokyo FESTIVALとして実施しているさまざまな事業を、国内はもちろん海外に向けましても発信しているところでございます。
○斉藤(れ)委員 海外のアーティストが東京で制作や発表を行っていただけるということは、大会の後にもその価値や意義が残っていく、もしくはその制作物に触れる都民や児童生徒たちにも大変大きな影響を与えることは確実だと考えております。
ぜひ積極的に支援と、またその事業の効果がより波及していくような、事業者や海外アーティストへの説明や、情報提供を進めていただきたいと思います。
また、象徴的な事業企画を海外にも募集されているというご説明をただいまいただきました。
この企画公募では、海外からどのくらい注目をされているのか、それをはかる指標としてどのくらいの企画が提案されたのか、伺います。
○樋渡文化振興部長 企画公募ですけれども、これは本年二月に募集を行いまして、全体で二千四百三十六件の応募がございました。そのうち海外からは、二十八の国、地域から百十四件の応募がございました。
○斉藤(れ)委員 海外からも含めてこれだけの件数が来ているということは、二〇二〇年に向けて東京の文化がそれだけ注目をされているあかしかと思います。
これらの企画提案は十三件の企画が選ばれ、現在、事業化に向けた作業中というふうに伺っております。
今後、これらの事業を中心に、この機会を十分に生かして、東京の文化プログラムを世界に向けて発信していってもらいたいということをお伝えしまして、次の質問に移ります。
最後に、エシカル消費について伺いたいと思います。
昨年度の事務事業質疑や予算特別委員会でも我が会派は、エシカル消費の理念普及や実際の消費行動へとつながる情報提供を行っていただきたいということを訴えてまいりました。
エシカル消費は、東京都ではそもそも言葉の認知度が低かったということから、まず第一歩として、理念普及を行っていただくことの意義は大変大きいと考えておりますが、かねてからお伝えしているとおり、実際に消費行動につながるような商品を選択するために、例えば現在、東京くらしWEBの方で、関連する認証ラベル、マークの紹介なども行っておられることなどは、本当にすばらしい取り組みだと思っております。
エシカル消費の理念を理解した上で、いざスーパーやデパートに行ってみると、一体何を買えばいいのか迷ってしまうという都民の方も多いはずですので、今後はエシカル商品と消費者の距離を縮めていくことも重要であると考えております。
そこで、都民が実際に身近な場でエシカル消費を体験することも重要だと考えますが、東京都の取り組みについて伺います。
○吉村消費生活部長 東京都では、消費者の持続可能な社会の形成に貢献する消費行動を促進するため、人や社会、環境に配慮した消費行動であるエシカル消費、倫理的消費の理念の普及を東京都消費生活基本計画の中に位置づけ、広く都民の理解を促進する取り組みを進めております。
先月中旬に、民間団体等と連携して新宿駅西口広場で開催した交流フェスタでは、エシカル消費のPR動画を大型モニターで放映するほか、食品ロスの削減や資源リサイクルに関するブースの出展や、来場者に家庭で余っている食品を持ち寄っていただき、民間団体が取りまとめて福祉施設などに寄附をするフードドライブの取り組みを行いました。
また、東京産の木材でさいころをつくる体験コーナーや、東京産野菜や被災地産品の販売コーナーなど、来場者にエシカル消費を体験していただきました。
今後とも、民間団体等と連携して、都民が実際にエシカル消費を体験できる取り組みなどを通じ、エシカル消費の普及に取り組んでまいります。
○斉藤(れ)委員 ご説明ありがとうございます。食品ロスの削減については、例えばフードドライブへ寄附ができるコーナーがあったり、体験型ブースや実際の購買につながる取り組みが数多く行われていたということで、しかもこの二日間で行われていたプログラムの方も見てみますと、非常に大変盛りだくさんな内容で、さすが東京都消費者月間に絡めて、消費者月間実行委員会によって行われたイベントであるというふうに感じました。
協賛の団体も多岐にわたっておりまして、エリアも六つに分かれて、暮らしとお金、環境、食、安全対策や消費者被害防止など、もしかするとこれはエシカル消費というよりも、かなり多種多様な消費に関するテーマを扱うイベントとして行われているという印象を受けました。
これとちょっと違うイベントなんですけれども、自分がことし五月に伺ったエシカルフェスタというものがございました。こちらの方では、同じく映画鑑賞やシンポジウム、トークショー、またエシカル商品の販売やカフェでの飲食提供が行われておりまして、会場は大学だったんですけれども、子供と一緒に回っているだけで、ふだん目にすることが少ないような商品に数多く出会うことができました。
その場で、商品の成り立ちや原材料について、写真やパネルで大きく説明をしてくれているような店舗もありまして、子供でもそれを見ていて、これはバナナの木からできている紙だ、それでつくった名刺入れだなどというように、理解をして手にとっていくことができました。
多種多様な消費に関するテーマの一つとしてのエシカル消費の扱いにとどまらず、エシカル消費そのものだけでも扱おうとすれば、二日間大規模に開催していただけるような内容がきっとあるはずです。
エシカル消費の推進を願う方々からは、例えばエシカル月間というものを設けて、都民がエシカル消費について考えていけるような機会を生み出していくことや、また、エシカル消費を体感できるフェスタの開催などに当たっては、東京都としての場所を提供するなどの検討もしてほしいというような要望もいただいております。このようなことも前向きに検討していただくことをぜひお願いいたします。
最後の質問です。
二〇二〇年に向けて、東京二〇二〇大会持続可能性に配慮した調達コードというものが策定をされておりますが、この中でも調達における持続可能性の原則として、どのように供給されているのかを重視する、どこからとり、何を使ってつくられているのかを重視するという原則が記されておりまして、これに関連して、畜産物の調達基準について海外から嘆願が出されている内容について、先日、オリ・パラ局に質疑を行ったところでございます。
オリ・パラ局からは、畜産物の飼養管理指針に照らして、アニマルウエルフェアについて適切な措置を講じていくことを求めていることや、関係局と連携して、オリ・パラ大会を契機としてアニマルウエルフェアが適切に推進されるよう取り組んでいくという答弁をいただいておりまして、このような調達基準の考え方は、畜産物に限らず、動物福祉製品の普及へつなげられていくように、今後、エシカル消費の考え方や東京都の公共入札の考え方とのリンクもされていくことが望ましいと考えております。
そこで、東京都が普及啓発に取り組んでいる、人や社会、環境に配慮した消費行動であるエシカル消費の理念には、アニマルウエルフェアは含まれるかどうか、伺います。
○吉村消費生活部長 消費者庁の倫理的消費調査研究会が取りまとめた報告書では、倫理的消費の意義は、各自がそれぞれの考えに基づいて消費という日常的な行動をすることで、社会的課題の解決に資することとしております。
消費者が関心を持つ社会的課題は、人によってさまざまであり、アニマルウエルフェアをエシカル消費と捉えるか否かは、一人一人の価値観によるものであると考えます。
都では、消費者それぞれが社会的課題を認識した上で、日々の暮らしの中で、できるところからエシカル消費を実践できるよう、普及啓発に取り組んでまいります。
○斉藤(れ)委員 今現在で、エシカル消費として都が指し示していく具体的な消費行動の中にアニマルウエルフェアが含まれるかどうかは、正直いって現時点でわからない、また、むしろしっかりと定義されない中で、個々人の消費についての意識向上や、社会的課題の解決に資する実践を高めていくというようなご答弁だったと理解しております。
東京都のお考えはごもっともなんですけれども、一般社団法人エシカル協会によれば、環境に配慮された消費の中に動物福祉製品が含まれております。
また、環境、人権、消費者、フェアトレード、動物の権利など、さまざまな分野を専門にする三十四の市民団体による消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワークでは、毎年、消費者目線で本当によい企業を調べ、その結果をレーティングしているということなんですけれども、その調査の七つの大項目の一つに、アニマルウエルフェアが入っております。
消費者の声を酌み上げて、各業界でもエシカルの輪を広げていく、その一助となるのが東京都のエシカル消費の関連事業であると考えておりますので、今後は、より一層具体的な項目についての検討や周知を図っていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○のがみ委員 私の方からは最初に、結婚支援についてお伺いいたします。
平成二十四年の予算特別委員会で、我が党の栗林議員が都議会で初めて婚活について取り上げました。答弁をしてくださる局もなく、その当時の石原知事が思い余って手を挙げて答弁をいたしました。
東京都という巨大な行政機関が結婚支援を行うということは、考えられないほどの進化だと思っております。隔世の感がございます。
東京都における生涯未婚率、男性二六・一%、全国三位、女性は一九・二%、全国一位。男性は約四人に一人、女性は約五人に一人が五十歳を過ぎても一度も結婚をしていないという状況であります。
あくまでも結婚というのは、個人が自分の人生観に基づいて決めるものなので、するしないというのは個人の自由でございますけれども、しかし、結婚を希望しながら、あともう一歩、そのあと一歩がなかなか踏み出せないでいる方々の後押しをするということはすごく大事なことだ、重要なことだと私どもは思っております。結婚に向けた機運醸成に取り組んでいくことが本当に大事だと思っております。
都はこれまでも、TOKYO縁結日二〇一七は平成二十九年の三月に実施したものです。そして、知事と語る東京フォーラムは平成三十年二月に実施されたものでございますけれども、両方とも参加をさせていただきました。
また、結婚に向けた機運醸成のための動画も発信をしております。
今年度の結婚支援の取り組みについて、まず最初にお伺いいたします。
○馬神都民活躍支援担当部長 都は、結婚を希望しながらも、一歩を踏み出せないでいる方への後押しをするため、結婚に向けた機運の醸成に取り組んでおります。
今年度は、庁内連携会議を立ち上げ、各局連携による取り組みを推進しており、生活文化局では、結婚に関するさまざまな情報を総合的に提供するポータルサイトを開設いたしました。
また、結婚に関心を持つ方にライフプランなどについて考える機会を提供するセミナーの開催なども予定しております。
○のがみ委員 結婚に関するさまざまな情報を総合的に提供するポータルサイトを開設したとのことですけれども、この概要についてお伺いいたします。
○馬神都民活躍支援担当部長 ポータルサイトには、都や区市町村、他県、非営利法人等が都内で開催する結婚関連イベントの情報を掲載し、気軽に参加できる出会いの機会を提供しております。
また、民間の婚活サービスの類型やそれぞれの特徴なども紹介しており、これから婚活を始めようとする方に参考としてもらいます。
さらに、結婚やライフプランについて考えるきっかけとなるよう、閲覧者がみずからライフプランを描くことができるコンテンツも掲載しております。
今後とも、個人の価値観や人生観に十分配慮しつつ、さまざまな情報を効果的に提供することにより、結婚を希望する方の支援にしっかりと取り組んでまいります。
○のがみ委員 ちょうど十一月二十二日、いい夫婦の日に、このポータルサイトが立ち上がりまして、早速拝見をさせていただきました。大変よくつくられていると思います。さまざまなコンテンツがありまして、これはぜひ、いろいろな方に活用していただき、もう既に結婚されている方もよくそれを参考にしながら、自分の息子さんとか、隣近所の方とかにもぜひ情報提供していただければ、これはすばらしいなというふうに思っております。
こうした有益な情報を総合的に発信するポータルサイトも活用しながら、各種事業を展開し、社会全体で結婚への機運醸成を図っていただきたいと思っております。
次に、架空請求について質問させていただきます。
私の家にも、私宛てと主人宛ての二通の架空請求のはがきが来ました。身に覚えのない私の方はどきっとしただけなんですけれども、主人の方は心配だったのか、そのはがきに書いてある電話番号に電話をしてしまったんです。事務の人が出てきて、弁護士に相談するのにお金がかかりますよと。解決するように手助けをしましょうということで、しばらく電話で話していたそうなんですね。そのうちにうちの主人もやっと気がついて、これ何かおかしいということに気がついて、電話を切ったそうでございます。
調べてみますと、昨年以降、全国でこういった法務省の名称を不正使用した架空請求による被害が後を絶たないようでございます。はがきの差し出し人は法務省管轄支局。そこに、今回のような訴訟最終告知通達センターや国民訴訟通達センター、民事訴訟管理センター、国民訴訟お客様管理センターといった名前が続くそうでございます。
これらの団体は法務省とは一切関係がないとのことでありまして、法務省への問い合わせは、ことし六月からの五カ月間で数千件に上るとのことでございます。
まず最初に、架空請求はがきの相談状況についてお伺いいたします。
○吉村消費生活部長 都内の消費生活センターで受け付けたはがきによる架空請求の相談件数は、昨年度は千三百三十六件でしたが、今年度は九月末日時点で一万三百九十四件と八倍近くになっております。
また、都では、ホームページなどで架空請求に係る都民からの通報窓口を設けておりますが、この通報件数についても、昨年度の百十九件に対し、今年度は九月末日時点で三百六十六件と三倍以上になっております。
相談者を年齢別に見ると、六十歳以上の方が全体の七割以上を占める状況にございます。
○のがみ委員 以上、答弁があったように、相談件数が上昇しているということで、迅速に対応していかなければならないのではないかと思っております。
次に、架空請求はがきの注意喚起の取り組みについてお伺いいたします。
○吉村消費生活部長 都では、通報のあった架空請求に関する情報について、東京都消費生活条例に違反しているか調査を行い、違反を認定した場合は速やかにホームページで事業者名や内容を都民に公表するほか、SNS等を通じて最新の手口を紹介するなどの注意喚起を行っております。
また、特に高齢者の被害が多いことから、高齢者本人だけでなく、高齢者を見守る家族や支援者に向けて、架空請求への対応策や相談窓口などを紹介するリーフレットを作成し、地域包括支援センターといった高齢者関連施設、医療機関などに広く配布して注意を呼びかけております。
さらに、架空請求事業者の情報をより幅広く収集するため、九月にホームページを改修し、都民からの通報に際して、架空請求はがきの画像を添付できるよう見直しを行いました。
今後も、迅速かつ効果的に情報提供を行い、消費者が架空請求に惑わされることのないよう、被害防止に積極的に取り組んでまいります。
○のがみ委員 今ご答弁がありましたけれども、生活文化局のホームページをたどっていきますと、法務省管轄支局と称する事業者のはがきにご注意くださいと。法務省管轄支局が含まれる名称で、消費者宅にはがきを送りつけ、金銭を要求する事業者に関する相談が、都内の消費生活センターに数多く寄せられていますと。法務省には管轄支局という組織は存在しません。これは架空請求です。相談事例のように金銭を支払ってしまった被害者も発生をしております。ご注意ください。架空請求事業者に連絡しないでください。架空請求事業者は、訴訟や財産の差し押さえなどという言葉で消費者を不安にさせて、電話をかけさせようとします。身に覚えのない訴訟案件に関するはがきを受け取った場合は、そのはがきに記載されている電話番号には絶対に電話しないでください。消費者が電話をかけると、最終的には金銭をだまし取られることになります。架空請求は一切相手をせず、無視しましょうというような文が載っておりました。架空請求はがきやメールが送られてきたときには、最寄りの消費生活センターにご相談くださいとの記載もございました。
また、今はアカウントを乗っ取ったと称して、仮想通貨で金銭を支払うよう脅迫するメールが横行しているようでございます。実際には、アカウントを乗っ取って受信者のウエブカメラから相手がビデオ録画しているような事実は全くないわけでございます。受信者個人の氏名や住所などの情報を把握しているわけではないと思われます。
しかし、相手は何らかの方法で受信者のメールアドレスを入手し、差出人欄に受信者のアドレスを表示させたメールを送っているのだと思います。決して金銭を支払わないでくださいとも書いてありました。
受信者が使用しているパスワードがメール本文に記載されており、相手は何らかの方法で受信者のパスワードを入手しているということなので、こうした今の危険な内容を把握して、私たちも被害に遭わないようにすることが大事だと思っております。
次に、サラダ音楽祭について質問させていただきます。
Tokyo Tokyo FESTIVALでございますけれども、東京オリンピックの文化事業として、一九六五年に東京都が設立したのが東京都交響楽団であります。東京オリンピックの最大のレガシーは、この東京都交響楽団ではないかと私は思っております。
今回のサラダ音楽祭は、東京二〇二〇大会に向けて機運醸成のための音楽祭ということでございました。九月十七日の祝日でしたけれども、東京芸術劇場で開催されたサラダ音楽祭に、同僚議員とともに参加させていただきました。サラダというのは、シング・アンド・リッスン・アンド・ダンス、歌う、聞く、踊るという頭文字をとって、サラダと銘打っての音楽祭でございました。
この夜の部は、東京都交響楽団の演奏する東京オリンピックの開会式で演奏されたオリンピックマーチで幕開けをいたしまして、何とこの指揮をとったのは小池都知事でございました。オープニングも大いに盛り上がりました。
カルミナ・ブラーナは、本来ならば声楽とオーケストラのための作品としてしか私は今まで経験がなかったのですけれども、今回、内容は今まで味わったことがないほど新鮮で、東京都交響楽団とソプラノ、テノール、バリトンのソロ、混声合唱、児童合唱も加わりまして、また、パフォーマンスとしてコラボしたコンドルズという芸術集団があるんですけれども、非常におもしろくて、クラシックの音楽でこんなに笑ってもいいのかと思うぐらい演奏中に笑いの渦が巻き起こって、とても斬新でございました。
この音楽祭は、今年度から東京都交響楽団が中心となって、新たな音楽祭を始めたということでございますけれども、この音楽祭のコンセプトについて、まず最初にお伺いいたします。
○樋渡文化振興部長 多くの都民に音楽の楽しさを感じてもらうため、ただいま委員のお話にもございましたけれども、東京都交響楽団が中心となりまして、新たな取り組みとしてサラダ音楽祭を始めたところでございます。
今年度は、九月十七日に東京芸術劇場を含めました池袋のエリアで実施いたしました。
この音楽祭は、誰もが歌い、聞き、踊り、参加して楽しめるということをコンセプトに、赤ちゃんから大人まで誰もが音楽の楽しさを体感、表現、発信できるよう、フレッシュで多彩なメニューをそろえた、まさにサラダのようなイベントになっております。
○のがみ委員 この日は、朝から本当に多くのプログラムが行われていましたけれども、ことし実施したサラダ音楽祭の全体の内容とその成果についてお伺いいたします。
○樋渡文化振興部長 今年度のサラダ音楽祭でございますけれども、メーンプログラムでありますオーケストラコンサートを中心に、楽器体験や、歌、ダンスなど来場者が参加、体験できるワークショップや、気軽に音楽に触れられる会場周辺での無料ミニコンサートを実施いたしました。
オーケストラコンサートでは、昼の部として、オーケーオーケストラと題しました赤ちゃんが泣いても声を出してもオーケーというオープンなコンサート、それから夜の部としましては、声楽と合唱やオーケストラとダンスパフォーマンスのコラボレーションが楽しめますメーンコンサート、プルミエ・ガラの二部構成で実施したところでございます。
通常のクラシックコンサートでは赤ちゃんは入場できないものが多いことから、オーケーオーケストラの来場者のアンケートでも、子供を預けなくてもよいし、一緒にすてきな時間を過ごせました、それから、周りも子供連れなので少し声が出ても気にせずに楽しめましたなど、好意的な意見をいただいたところで、非常に好評でございました。
それから、オーケストラコンサートの来場者数ですが、約三千六百人、ワークショップ、会場周辺でのミニコンサートも合わせたサラダ音楽祭全体で約八千人が来場いたしました。
多くの方々に音楽の楽しさを届けることができたと思っております。
○のがみ委員 クラシックの演奏の世界では、東京都交響楽団は不動の地位を確立していると思っております。都響がこれまで、常識にとらわれたものではなく、一歩踏み出し、都民に開かれた楽団として、ふだんクラシックなどの音楽を聞く機会が少ない方や、小さなお子様や赤ちゃんを連れた方々にも気軽に本格的な音楽に触れる機会を提供することは、東京の芸術文化振興の観点からも大変有意義なことだと思っております。
ぜひ来年度以降も、幅広い世代が楽しめるこのような音楽祭を開催し、東京二〇二〇大会の新たなレガシーとして残していってほしいと思いました。大変おもしろい企画であり、来年度も企画していただければと要望いたします。
Tokyo Tokyo FESTIVALプロモーションイベントといたしましては、十一月九日には、東京の芸術文化を世界へということで、羽田空港国際線旅客ターミナルでも開催されておりました。市川海老蔵さんが歌舞伎の勧進帳を披露されたと伺っております。
このように多くの演目で文化発信をされておられますけれども、今はいろいろなイベントが点だと思っております。この点と点を結び線にし、線と線を結び面としていくという意味で、文化という観点でいろんなものが見えてくるのではないかと思っております。
二〇一七年の六月二十三日に国で施行された文化芸術基本法から約一年五カ月たちました。次代を担う子供たちが一流の芸術家たちに触れて、喜びや感動を得られる機会を持つことが大変大事だと思っております。
特に、障害を持った子供たちに音楽を教えているバイオリニストの五嶋みどりさんという方がいらっしゃるんですけれども、特別支援学校で行っている楽器指導支援は、音楽や芸術に触れる機会が少ない子供たちに、その楽しさや喜びを知ってほしいとの思いから、二〇〇六年に始められたそうでございます。
現在、参加している学校は、関東、関西合わせて六校に上っております。合同コンサートは、東京と大阪で毎年開催をしております。子供たちや卒業生との試みは、みんなが一丸になるひとときで、懸命に演奏する姿を見ていると胸がいっぱいになります。
文化芸術基本法は、子供たちが文化芸術に親しめる環境づくりを促すもので、その理念に賛同いたします。
五嶋みどりさんは、生活のほとんどはアメリカで過ごしていらっしゃるそうですけれども、一九八〇年にアメリカ政府が文化芸術の予算を削ったわけですね。そのときにすごい激しい憤りを感じたといわれておりました。
心を豊かにする文化芸術が日本国内でさらに広がるように期待をしております。
今回、発表会場として東京芸術劇場のロビーを貸してくださり感謝にたえませんと、多くの方から感謝の言葉をいただいております。ありがとうございました。
最後のことでございますけれども、日本にもさまざまな文化がございます。
例えば、古典演劇、歌舞伎とか能とか狂言、それから民俗芸能、落語などの演劇、尺八とか琴とか三味線などの邦楽、それから日本舞踊、洋楽のバレエ、それから茶道、華道、それからさっきもありましたけど演劇、ミュージカルとか、音楽でいえばオーケストラ、映画の世界は邦画もありますし洋画もあります。また着物の着つけなども一つの文化だと思っております。着物を着るという文化もあります。
それぞれの文化は引き継がれていかなければ廃れてしまいます。別の局でもちょっといったんですけれども、先日は、着物文化を発信しようという、着物で銀座というイベントがありまして、私自身も着物で参加をいたしました。
この活動は、東京都美容生活衛生同業組合と東京認定美容師会が主体となって開催されておりまして、ことしで六回になります。
着物文化も着つけができないと衰退をしてしまいます。例えば、平安時代から連綿と継承されております宮廷装束、十二ひとえなどは一つの文化であると思います。広い視野でさまざまな日本古来の文化を継承していく取り組みを進めていただきたいと思います。
こうした活動が、先ほどもいいましたけど、点から線、そして面、二次元の世界から三次元へとつながるものと思っております。
生活文化局という文化という言葉がついている局ですので、幅広い文化発信を要望して終わります。以上でございます。
○菅野委員 それでは、私からは、文化プログラムに関して、まず伺いたいと思います。
東京二〇二〇大会まであと二年弱、六百四日となりました。いうまでもなく大会の成功には、開会までに単にスポーツの祭典だけではなく、文化の祭典としてもしっかりと都民の機運が醸成されることが必要です。
二〇二〇年に向けては、世界のトップアスリートが集うオリンピック競技、障害を乗り越えた人間の可能性を示してくれるパラリンピック競技を中心に、子供から高齢者までが参加できる市民参加型や地域密着型のスポーツイベントなど、スポーツの普及を図るとともに、同時に、文化プログラムの展開によって、ロンドン二〇一二大会のフェスティバルと同様に、単に国内外のすぐれた芸術作品やアーティストの紹介をするだけではなくて、地域の課題に向き合うアートプロジェクトや、地域に密着した文化事業、参加型のアートイベントなど、さまざまな取り組みを行っていくと聞いています。
先月、私も浜離宮恩賜庭園で開催された東京大茶会に参加してきました。当日は天気もよくて、外国人も含めて多くの人が訪れており、会場の雰囲気、大変盛り上がっていたと思います。
都はこれまでも、この東京大茶会を初め、六本木アートナイトなど多くの文化プログラムを実施してきており、最近では目にする機会も多くなりました。
そこでまず、現状の取り組みがどうなっているのか、伺っておきたいと思います。
○堀越魅力発信プロジェクト担当部長 都では、従来から行っている都立文化施設における展覧会、公演に加え、二〇二〇年に向けて推進してきた東京キャラバン、TURNなど、多様な事業をTokyo Tokyo FESTIVALとして着実に実施しています。
その上で、東京都交響楽団によるサラダ音楽祭や、都民が日ごろの文化活動を発表する都民パフォーマーズコーナーなどの新たな取り組みも始めています。
また、Tokyo Tokyo FESTIVALの中核事業の一つである企画公募事業では、斬新で独創的な企画や多くの人々が参加できる企画のアイデアを本年二月に広く募集をしたところ、国内外から二千四百三十六件の応募があり、八月に十三件を選定いたしました。現在、事業の具体化に向け準備を進めているところでございます。
○菅野委員 従来からの既存事業だけではなく、新たな取り組みも積極的に展開しているということをお聞きしました。
このような取り組みを推進し、二〇二〇年には最高潮になるように、ぜひ盛り上げていただきたいと思います。
そして、そのためには、より多くの方々にこうした事業を知ってもらって、参加してもらうことが何よりも重要だと思いますが、現時点においてはまだまだ十分に認知されているというところまでは行っていないと感じます。
そこで、文化プログラムの認知度をさらに向上させるために、どのような取り組みを行っていくのかを伺いたいと思います。
○堀越魅力発信プロジェクト担当部長 都は、都が実施する文化プログラムをTokyo Tokyo FESTIVALと銘打ち展開するとともに、プロモーションも積極的に行い、認知度の向上を図っています。
今月九日には、プロモーションイベント第一弾を羽田空港内で実施し、これまで展開してきた文化事業の紹介に加え、これから実施が予定されている象徴的な文化事業の一つでありますオペラ夏の祭典についても紹介を行いました。
また、イベントのゲストには、歌舞伎俳優の市川海老蔵氏を迎え、歌舞伎の舞を披露いただくなど、イベントに花を添えていただきました。
会場では事前申し込みの来場者に加え、居合わせた空港利用者も足をとめて観覧するなど盛況となったほか、イベントの模様は新聞、テレビ、ウエブ系ニュースなど多くのメディアで紹介され、大きなPR効果を得たところでございます。
今後もオリンピック・パラリンピック開催に向けた節目のタイミングなどを中心に、プロモーションイベントを実施する予定でございます。
加えまして、これまで文化に触れてこなかった都民や、訪日外国人に対しても、さまざまな媒体を活用した効果的な広報を展開してまいります。
○菅野委員 この九日のプロモーションイベントですが、私も実は行きたかったんですけれども、ちょっと委員会が午後あったので間に合わないかなと思ったら、うちの会派のほかの委員は何とか間に合ったということで、行ってきたということで、大変いい企画だったということと、今お話があったように、多くの方がそれをごらんになったり、そういった機会を確認して、非常にそういうことが知られたんじゃないかなと、非常にPR効果があったんじゃないかというような感想を聞いております。
こうした取り組みの効果によって、より広く文化プログラムが浸透し、多くの方々に今後参加してもらうということが重要です。
さらに、この文化プログラムは、それだけで終わることなく、レガシーとして二〇二〇年以降にしっかりと継承していくことが最も重要と考えます。
大会後のレガシーには、人材の育成や地域の活性化など、さまざまなことがあると思いますが、私は、都民の芸術文化に触れる機会がふえ、都民の中に芸術文化が息づいていくことこそが大切だと思います。
そこで、文化プログラムを通じたレガシーとして、都民の芸術文化に触れる機会をふやしていくため、どのように取り組んでいくのか、伺いたいと思います。
○堀越魅力発信プロジェクト担当部長 二〇二〇年に向けましては、新たな取り組みを初め、多くの注目を集める大規模なプログラムをより効果的に展開し、東京二〇二〇大会のさらなる盛り上げにつなげていく必要があると考えています。
あわせて、大規模な事業だけでなく、都民自身が主役になれる都民パフォーマーズコーナーやTokyo Tokyo FESTIVAL助成のうち、都民が企画運営を行う芸術文化活動などに支援する市民創造文化活動支援など、誰もが文化プログラムに参加できる機会を積極的に提供してまいります。
これらの取り組みを進めることにより、東京二〇二〇大会を契機に、都民の文化に対する関心を高め、芸術文化活動を根づかせて、二〇二〇年以降のレガシーとしていきます。
○菅野委員 東京の芸術文化活動が二〇二〇年大会を契機に、より盛んになり、そのレガシーがしっかりと後世に継承され、芸術文化の魅力であふれる都市東京を実現するよう、今後もしっかりと取り組んでいってもらうことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
次に、ボランティア機運醸成について伺います。
現在、東京二〇二〇大会関連ボランティアの募集が九月からスタートしており、十二月二十一日の締め切りに向けて応募が続いている状況ですが、予定の十一万人が確保できるよう期待をしています。
都はこれまでも、東京にボランティア文化を定着させるため、共助社会づくりを進めるための東京都指針を制定し、さまざまな施策を進めてきています。
さらには、大会関連ボランティアへの応募を機に、ボランティアへの関心が少しずつ高まってきているようですが、この機を捉え、将来にわたりボランティアを文化として定着させていくためにも、これからも都民に対して、日ごろからボランティア活動に参加してもらえるような機運の一層の盛り上げが必要です。
そのために、ボランティア活動には気軽に参加できることをわかりやすく伝えるなど、日ごろから都民がボランティア活動に親しみやすい環境づくりが必要です。
また、ボランティア文化の定着に向けては、生活文化局とオリンピック・パラリンピック準備局が連携し、日ごろからボランティア活動に参加している都民に対して、大会関連ボランティアへの関心をより高める取り組みも有効だと思います。
そこで、ボランティア機運醸成に向けた、現在の都の取り組みを伺います。
○山本都民生活部長 都は、東京二〇二〇大会を機に、ボランティア文化の定着を図るため、共助社会づくりを進めるための東京都指針を策定し、機運醸成に取り組んでおります。
都が行った実態調査によれば、約半数の都民がボランティア活動への関心を持つ一方で、活動に参加しなかった理由として、時間的余裕がないことを挙げている回答が多くなっております。
また、活動に参加したきっかけとしては、学校、家族、知人、職場等を挙げている回答が多くなってございます。
このため、都は、ボランティア活動に関心を持ってもらうとともに、時間がない方でも短時間で気軽にできるボランティア活動をちょいボラとしてPRする取り組みを実施しております。
この中では、文化、スポーツイベントと連携したPR活動を展開するとともに、専用サイトや動画等を活用して、ちょいボラをボランティア活動に関心が薄い層にも発信しております。
また、企業、大学におけるボランティア活動に関する取り組みを推進していくために、活動内容や取り組みを進めていく上での工夫等を紹介する事例集を作成し、広く普及に努めてございます。
○菅野委員 そのちょいボラの取り組みは、時間がない人にも本当に気軽に、まずはボランティアに参加してみましょうというような意味で、大変よかったのかなと思います。
そして、やはりボランティア文化の定着を図る上では、そういうのをきっかけに、また、口づてにでも、また多くの人に関心を持ってもらうということが重要だと思います。
そこで、今回、大会関連ボランティア募集への関心を高めるために、これまで生活文化局の協力が何かなされていたとすれば、それを伺いたいと思います。
○山本都民生活部長 大会ボランティアの募集への協力とともに、ボランティア文化の定着を図るという趣旨から、大会関連ボランティアにも関心を持っていただくことは重要だと考えております。機運醸成の機会を通じて、大会関連ボランティアに関する情報提供を行っているところでございます。
ちょいボラのPRでは、ちょいボラを周知するチラシの中で、大会関連ボランティアの概要についてもあわせて掲載し、文化、スポーツイベントと連携したPR活動の際に広く配布をしております。
また、大会に向けて、東京全体でおもてなしを実現するために育成を開始した外国人おもてなし語学ボランティアについては、登録者約三万八千人に対して、大会関連ボランティアの募集情報をメール等で配信するとともに、登録者向けのセミナーにおいても大会関連ボランティアの募集についてアナウンスとチラシの配布を行ってございます。
さらに、先月十六日には、ボランティアをテーマとした知事と語る東京フォーラムを開催し、大会関連ボランティアの魅力等について情報発信を行い、オリンピック・パラリンピック準備局が会場で都市ボランティアの応募受け付けを行ったところでございます。
今後とも、オリンピック・パラリンピック準備局と連携を図りながら、大会関連ボランティアへの関心を高める取り組みを推進してまいります。
○菅野委員 ボランティア活動は、こうしたオリンピック・パラリンピックでのおもてなしから、被災地の支援や町会、自治会などでの地域の支え合いなど、多岐につながってくると思います。
大会関連ボランティアの活動などを契機として、東京ボランティア文化の定着が一層進むことを願い、次の質問に移ります。
次に、地域の課題解決プロボノプロジェクトについて伺います。
都はこれまでも、地域の底力発展事業助成を初め、地域活動の担い手である町会、自治会が取り組む事業等への支援に取り組まれています。
しかし、一方で、多くの町会、自治会は、加入率の低下や役員の高齢化などにより、活動の活性化や担い手の確保が課題となっています。
そこで、都は、町会、自治会が抱える運営上のさまざまな課題解決に向けて、平成二十九年度からボランティアであるプロボノによる町会、自治会支援をスタートしています。
私は以前から、町会活動のPRのための、例えばウエブサイトの構築支援など、企業の社員などが自身の経験やスキルを使って、ボランティアとして町会、自治会の支援を行うプロボノには期待をしていたところであります。
そこで改めて、プロボノプロジェクトの目的とその内容を伺いたいと思います。
○山本都民生活部長 企業の社員等が仕事で培った経験やスキルを活用して行うボランティア活動であるプロボノは、一般的にはNPO等の運営支援として活用されてまいりましたが、都は、活動の担い手等の人材不足により、地域の課題解決に踏み出せない町会、自治会を支援するため、平成二十九年度よりプロボノを活用した地域の課題解決プロボノプロジェクトを実施しております。
本事業では、数名のボランティアから成るプロボノチームが約四カ月にわたり、休日等に町会、自治会に出向く等により、意見交換などを行って、このプロボノチームが課題の解決策を提案、実施するものでございます。
○菅野委員 約四カ月にわたるプロボノチームの活動があったということですが、これまでのその取り組みの成果、そして今後の事業展開について伺いたいと思います。
○山本都民生活部長 昨年度は、八つの町会、自治会に対してプロボノによる支援を行ったところでございます。
具体的には、町会の活動情報や町会への加入方法等を掲載したホームページの作成やSNSを活用して地域イベント等を紹介する取り組みを行ったところでございます。このほか、住民ニーズを把握するための住民アンケート調査の設計、実施等を行ったところでございます。
支援を受けた町会、自治会からは、SNSが使えるようになって若い世代の加入に期待が持てるようになった、また、ボランティアと話す中で新たな気づきを得ることができたなど、好評をいただいているところでございます。
今年度は、ボランティアが主体となって課題解決策の実施等を行う昨年度の方式に加えまして、町会、自治会からのニーズも踏まえて、課題解決に主体的に取り組む町会、自治会をボランティアがそのスキルを活用して継続的にアドバイス等を行う側面支援による方式を新たに設定し、あわせて支援団体数も増加させたところでございます。
今後とも、プロボノプロジェクトにより、支援を通じて、町会、自治会活動の課題解決につながる積極的な取り組みをサポートしてまいります。
○菅野委員 実際利用された町会、自治会等からも、かなりいい評価を得ているということもお話がございました。
そういった中で、プロボノ自体はまだ始まったばかりということもありますけれども、まだまだこれも認知度が十分ではないのかなと思います。
そして、今後、ぜひこのプロボノの取り組みを一層広げていただいて、町会、自治会の活性化や課題解決にさらに貢献されることを期待して、質問を終わりたいと思います。
○とや委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間の休憩をいたします。
午後三時四分休憩
午後三時二十分開議
○とや委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○米倉委員 若年女性への支援を伺います。
今、家庭や学校に居場所や社会的なつながりを失い、家出をして居場所を求めて、繁華街にいざるを得ない少女や、貧困に苦しむなどさまざまな事情や困難を抱えた十代の少女たちや高校生が多くいらっしゃいます。
そうした少女たちがJK産業という女子高生の性を売り物にしたJKお散歩、JKリフレなど、児童買春や犯罪の温床になるような産業が非常に多く、そこに多くの少女が取り込まれ、性被害に遭うなどの深刻な状況が生まれています。また、SNSでのやりとりをきっかけに性被害に遭う子供もふえ、昨年度は全国で過去最多の千八百十三件に上りました。中には殺人や誘拐に巻き込まれるケースも生まれています。
こうした問題に巻き込まれるのは、最近では、貧困状態にある方や家庭や学校での関係性や健康、精神状態に不安や困難を抱えている方にとどまらず、家庭や学校に問題がなく、両親との仲も学校での成績もよい、将来の夢もあるような普通の女子高生にまで広がりつつあるという指摘もあります。こうした状況は、全国的に見ても東京都が突出して広がっているといわれています。
若年女性がこうした被害に遭わないような支援と同時に、被害に遭った方への公的支援を大幅に拡充させていくことが必要です。
若年女性をめぐる問題について、現在、都はどのように認識し、どう取り組んでいるのか、伺います。
○稲葉男女平等参画担当部長 被害者の多くが若年層を含む女性である性犯罪や性暴力は、人権に深くかかわる社会的な問題でございます。男女平等参画社会の実現に向けた大きな妨げになると認識してございます。
都では今年度、福祉保健局を事務局としまして、さまざまな困難を抱えた若年被害女性に対する支援を適切に実施するためのモデル事業を開始したところでございます。
生活文化局におきましては、配偶者暴力被害者支援の所管局としまして、このモデル事業の連携会議に参加し、関係機関との情報共有や連携を図ってございます。
○米倉委員 今お答えにありましたように、人権に深くかかわる社会的な問題だと思います。都としても、福祉保健局でことしから今後の支援を構築するためのモデル事業を始めています。民間の支援団体へ補助をして、その団体がアウトリーチ活動として、夜間の見回りや、まちの中で少女たちに声をかけ、例えば夜、泊まるところがないという方には一時的な居場所を提供したり、そこから公的支援につないだり、ケースによっては自前の施設で生活を立て直すための支援もしていくという取り組みとなっています。このモデル事業の連携会議に生活文化局も加わっているということです。
私もモデル事業を行っている支援団体のアウトリーチ支援を見に行きました。若い女性たちが来たくなるような、寄りやすいというようなすてきなテーブルや椅子などを出して、繁華街近くにそうした場所をつくり、そこで温かい食事やスマートフォンの充電ができたり、着がえや日用品ももらえるという取り組みをされていました。
少女たちに声をかけるだけでなく、家出をしている高校生などがネットで自分で情報を見て、そこに来られるというケースもあると聞いています。
これまで支援の手が届く前に、JKビジネスの勧誘者などが、ここに居場所があるよですとか、食べ物があるよ、勉強も見てあげるよといいながら、居場所のない少女を取り込んでいく状況がありました。そういう中で、アウトリーチ支援を含めた民間の支援活動と東京都が連携を始めたということは重要だと思います。
生活文化局としても、この連携会議の中で少女たちの実態を把握するとともに、局としても位置づけた取り組みをしていただきたいと思っています。
今起きている問題は、若い女性の人権にかかわる重大な問題だと思います。生活文化局は、男女平等参画社会の実現に向けてどういう課題があり、取り組みが必要になっているかということを全庁的にもですし、都民的にも理解を広げていく役割が求められています。こうした若年女性たちがどういう状況に置かれているのか、どんな公的支援が求められているのかということを調査研究し、提言していくことを強く求めておきます。
同時に、東京ウィメンズプラザが行っている普及啓発等を通じ、社会的な理解を広げていく取り組みも重要だと思いますが、いかがですか。
○稲葉男女平等参画担当部長 生活文化局におきましては、政府が昨年四月をAV出演強要・「JKビジネス」等被害防止月間と位置づけたことを機に、東京ウィメンズプラザ及び東京都のホームページから内閣府の若年層被害防止啓発サイトへのリンクバナーを掲出し、周知を図ってございます。
また、昨年度、若年層における交際相手からの暴力、いわゆるデートDVを防止するため、啓発用のカードを作成し、都内の全高校生約三十四万人に配布しましたほか、東京ウィメンズプラザで開催をする講座等で広く配布をしました。
今後とも、こうした取り組みを通じまして、若年被害女性等を含め、支援を必要とする人に適切に情報が届くよう相談機関を周知するなど、啓発活動に取り組んでまいります。
○米倉委員 社会的にもJKビジネスで働く若い女性に対しての誤解もありますし、若い女性を性産業に取り込んでいく巧妙な仕掛けもあります。
こうしたことを、都民的に理解を広げることは、今モデル事業で行っているような先進的な民間の取り組みを応援することや、公的支援の拡充をしていく後押しともなります。
若い世代に対してデートDVなどの啓発も重要です。同時に、この問題についても理解を広げるということ、そして支援の場があるということを広く知らせていただくことを要望しておきます。
次に、私立学校への支援について伺います。
私立学校は、建学の精神に基づき、個性豊かな教育や研究活動を行い、学校教育を発展させる上でも大きな力となっています。私立学校への支援は、児童生徒一人当たりへの公的支援の金額で比べますと、公立学校に通う子供と比べ三分の一に満たないといわれております。さらなる支援の拡充が求められています。
私立学校への支援としては、関係者の皆さんからは、例えば経常経費に対する補助の拡充により、学校の教育条件の維持向上を図ることや、保護者の教育費負担の公私格差を是正すること、ICT機器導入に対する補助についても、引き続き支援をしていくという要望が出ています。
教育環境の向上に向け、こうした要望の実現を求めると同時に、経常費補助については、教職員割単価を上げていく補助を拡充してほしいという要望が寄せられているように、教員の待遇や働き方を向上していくことも私学支援として重要な柱の一つになると考えています。
教員の働き方は、教育の質の確保や向上のためにも重要と考えますが、都はどう認識しているのか、伺います。
○金子私学部長 教員の多忙化や長時間労働は、教育の質にかかわる重要な問題であると認識しております。
○米倉委員 都は、教員の多忙化や長時間労働などの働き方は、教育の質にかかわる重要な問題だと認識しているということです。
それでは、私学の教員多忙化や働き方の改善へ、都はどう取り組んでいるのか、伺います。
○金子私学部長 私立学校は、それぞれの建学の精神に基づき、よりよい教育活動を各学校の責任において目指しております。教員の働き方の改善につきましても、それぞれの学校が、その状況に応じて適切に取り組むべきものであると認識しております。
都は、本年二月、学校における働き方改革に関する総合的な方策についての中央教育審議会の中間取りまとめや、文部科学省が策定した学校における働き方改革に関する緊急対策などにつきまして、都内全ての私立学校長宛てに周知しております。
○米倉委員 文科省が各県の教育長と私学担当課に通知した学校における働き方改革に関する緊急対策の取り組みの徹底についての通知などを各私立学校に送っているということです。
この通知には、各県の私学担当課に対して、この通知の周知とともに資料も参考にして、学校における働き方改革に関する適切な対応について指導助言に努めていただくようにお願いとしています。私学の働き方の改善は、学校が状況に応じて適切に行うべきということは前提ですが、都としても状況を把握し、改善のためのイニシアチブをとることが必要だと思います。
教育現場での働き方では、長時間労働だけではなく、長年、非正規雇用の増加が問題にされていますが、都内の実態について公的な統計がありません。
都として非正規雇用の教職員実態を調査する必要があると考えますが、都は状況を把握しているのか、また、調査も求めますが、いかがですか。
○金子私学部長 私立学校は、それぞれの建学の精神に基づき、よりよい教育活動を各学校の責任において目指しております。
各学校がその教育活動を実現するための雇用のあり方について、それぞれが判断すべきものであると認識しております。
○米倉委員 私学関係者や教員として働く方々からは、そもそも新規採用者では、正規よりも非正規の常勤講師や非常勤講師としての採用が多いと聞いています。しかも、その後に正規になれず、担任も受け持っていた先生でさえ有期雇用の方もいらっしゃり、場合によっては、そのまま雇いどめされるという状況もあります。
そうなりますと、教育を支える教員の多くが不安定な非正規雇用で賃金が低く、一年先や数年先に雇用されているかわからないという不安にさらされることになりますし、教育の質を考えたときにも、教員が児童生徒に向き合い、教育内容を研究していくということも難しくなる実態が広がるんではないかと危惧されます。
都として実態を把握する必要があると思います。
さらに、労働契約法の改正により、同じ企業で通算五年以上働くと、本人が求めれば無期雇用に転換できることになり、ことしの四月から運用が開始されました。法の趣旨のとおり、五年以上働く教員を正規化すれば問題はありません。
しかし、例えば公益社団法人私学経営研究会では、法改正を受けた後に有期雇用の教職員を無期転換するかどうかについて、私立高校に対して調査を行っていますが、ここでは、これまでは非常勤講師について六八%の学校が更新回数や通算の契約期間に上限を設けていなかったと答えていますが、法改正を受けた後、これまでの雇用者契約に上限などを設けてこなかった講師などについてどう対応するのかという問いには、約半数が検討中と答える一方で、無期雇用に転換するのは二一%、契約期間が五年を超えないようにするという回答は二五%に上りました。要するに、法改正直後から、四分の一の私立高校が労働者が五年以上働けないように契約に上限を設けて、無期雇用転換権を行使できないようにするという方針を出していたということだと思います。
そうした中で、ことしの四月を迎える前に、無期雇用転換権の申し込みの寸前で雇いどめをするという事態が実際に起きています。東京私教連が把握するだけでも、期限切りを実施した私立中学、高校は十校に上るとされています。こういう状況は、教員の働き方としても問題ですが、非正規教員の入れかわりが、ますます教育の質を崩す状況にもつながることだと思います。
労働契約法で定める無期雇用転換権の申し込み寸前での雇いどめをするなどの事態が多数起きているということからしまして、改めて都として、労働契約法の趣旨に反することがないよう各校に求めることを要望しますが、いかがですか。
○金子私学部長 私立学校は、それぞれの建学の精神に基づき、よりよい教育活動を学校の責任において目指しております。
各学校がその教育活動を実現するための雇用のあり方について、それぞれが判断すべきものであるというふうに認識しております。
○米倉委員 各学校で適切に雇用について対応すべきといいますけれども、実際に悪質といわれても仕方ないような雇いどめが幾つも起きております。
ある大変有名な私立高校では、五年以上働いていた非常勤講師を期限切りしました。その後、撤回はしましたが、大幅に授業の持ち時間を減らしました。そうなれば、非常勤講師の収入は大幅に減りますから、働き続けることが難しくなります。みずからやめろといわんばかりの待遇を行う学校が複数生まれています。こういう事態があることを考えれば、改めて労働契約法の趣旨を徹底することが必要です。
同時に、私立学校での教職員の雇用を安定させることには、都としても積極的なイニシアチブをとっていただきたいと思っています。その一つとして、正規の教員割合を引き上げるほどに助成がふえるというような仕組みをとることも可能だと思います。
例えば愛知県では、毎年、私立学校の教員の雇用状況について、正規雇用、非正規雇用が何人なのかということを調査しています。そして、今年度からは、経常費補助の算定に専任教員加配をつくりまして、正規の先生一人当たり約二十八万円補助するという制度を導入しました。
愛知県に問い合わせましたら、非常勤の先生が余りに多いのではないかという学校もあり、それはいかがなものかという意見も出ていた、そうした中でこうした制度に踏み出したということを伺いました。こういう、県としての取り組みに踏み出すことができたのも、やはり教員の雇用状況を把握しているからだと思います。
私立学校の教職員の働き方を向上していくためには、学校の取り組みだけに任せず、都としての支援が必要です。そのために、まずは実態を把握していただきたいですし、同時に、他県のこうした取り組みも参考にして、都としての施策を検討していただきたいと要望しておきます。
私立学校の財産目録などを初めとした財務情報についても伺いたいと思います。
私立学校法では、学校に在学する者やその他の利害関係人に開示する義務がありますが、実際には開示をしない学校があり、問題となっています。
法に基づく公開をするよう指導することを求めますが、いかがですか。
○金子私学部長 学校法人の財務情報等の公開についてでございますが、私立学校法第四十七条第二項において、学校法人は財産目録、貸借対照表、収支計算書、それから事業報告書及び監査報告書を各事務所に備えて置き、当該学校法人の設置する私立学校に在学する者その他の利害関係人から請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧に供しなければならないとされております。
各学校法人においては、私立学校法に基づき適切に対応すべきものと認識しております。
なお、仮に法令違反の疑いが生じた場合には、都としては、当該学校法人の対応状況を確認の上、法令に沿った適切な対応を行うよう指導してまいります。
○米倉委員 法令違反の疑いがある場合は、都として指導するということです。前提の話だと思います。
学校の財務情報は、学校が健全な運営をしているのか、学費の値上げや雇用のあり方が適切かどうかを関係者がチェックする上でも重要なものとなりますから、都として積極的な公開を促していただきたいと思っています。
積極的に既に情報公開をしている、また、これからしようとしている学校に対して助成金を増額するなど、都として情報公開を促進する取り組みを考えていくことが必要と思いますが、いかがですか。
○金子私学部長 財務情報等の公開につきましては、法令等を遵守して、各学校法人において適切に対応すべきものと認識しております。
○米倉委員 法令遵守は最低ラインだと思うんですが、公共的な役割を果たす学校は、積極的な情報公開を後押ししていくということが求められていると思います。
愛知県では、法令上、関係者に閲覧させる義務のある財産目録や貸借対照表などをホームページに掲載したり、小科目まで公開する場合、補助を加算するなどの取り組みも行っています。こうした積極的な取り組みに対して後押しをしていくという仕組みは重要だと思いますし、都としてもこうした私学への支援を、いい方向でのさらなる後押しということを検討し、さらなる情報公開の推進を検討していただきたいと思います。
最後に、幼稚園類似施設についてです。
国では、幼児教育、保育の無償化に向けた検討が行われていますが、国の認可外の幼児教育施設を対象から外さないよう、都内の施設関係者や保護者の皆さんからは切実な声が上がっています。もともと幼稚園類似施設は、園庭の広さが足りないなどの理由で国の幼稚園の基準を満たしてはいませんが、都としても十五の類似施設を知事が認定し、私立幼稚園の保護者と同様に、類似施設に通う子供の保護者の負担軽減を行っています。
まず、都は、この幼稚園類似施設について果たしてきた役割をどう認識しているのか、伺います。
○金子私学部長 幼稚園類似の幼児施設につきましては、昭和四十八年当時、認可幼稚園が不足していたことに対する緊急避難的措置として、一定の条件を満たした施設を幼稚園類似の幼児施設として認定したのが始まりでございまして、幼児の受け入れについて一定の役割を果たしてきたものと認識しております。
○米倉委員 幼児の受け入れとして一定の役割を果たしてきたということです。
私も関係者や保護者の皆さんからお話を伺ってきました。五十年以上幼児教育をやってこられた施設など、長年にわたって地域で信頼されて続けてこられたという施設が多いというふうに感じています。
また、保護者の方からお話を聞きますと、わざわざ別の市から通っていらっしゃるというお子さんも多くいらっしゃって、この施設の教育を受けたいという信頼があるというふうに思いました。
幼児教育を施設だけでなく、保護者も参加してつくっているというところもすばらしいなというふうに感じましたし、障害や難病のある子や、手のかかるお子さんのお母さん方からは、ほかの幼稚園からは断られてしまって行くところがないということで困っていたところで、幼稚園類似施設が快く受け入れてくれたんですというお話ですとか、大規模な幼稚園では子供がなじめなくて、アットホームな類似施設に移ってきたんですというお話を聞かせていただきました。都内で重要な幼児教育の担い手になってきたと思います。
しかし、このまま幼稚園類似施設が無償化の対象外となれば、無償化にならないからと入園者が大きく減り、園を維持できない状況になりかねません。
幼児教育の無償化の議論は、全ての子供が平等に幼児教育を受ける際、無償とするという考えが大切だと思いますし、幼稚園類似施設については、五十年にわたり都民や保護者から支持されてきた、質についても信頼があると思いますし、何より都も認定しているわけですから、無償化の対象から排除すべきではないと思います。
この間、関係者の皆さんは、無償化の対象にするよう国に求めることとあわせて、東京都からも働きかけをするよう求めてきましたが、国の幼児教育無償化の対象に幼稚園類似施設が入るかどうか、都は国の動向をどう把握しているのか、また、類似施設も無償化の対象に入るよう求めることが必要と考えますが、いかがですか。
○金子私学部長 幼児教育の無償化につきましては、全国一律に実施されるものでございまして、現在、国が具体的な制度設計の検討を進めているところでございます。
都といたしましては、国の動向を注視してまいります。
○米倉委員 幼稚園類似施設があるのは都市部に集中しているといいますから、関係自治体が求めなければ、対象に入れるという検討にもなりにくいと思います。ですから、東京都など関係自治体の要望が重要です。
幼稚園類似施設が三つある西東京市は、国に対してことし、幼稚園類似施設などについても幼児期の教育、保育を担っていることから、ひとしく無償化の範囲とするよう要望しています。
市からも話を聞きましたが、全ての子供を平等に無償対象としてほしいですし、待機児童の解消にも十分に貢献してもらっていると考えていると、ここは国の責任で無償にしてほしいというお話を伺いました。
東京都から国に対しても、全ての子供が幼児教育を無償で受けられるよう要望することを重ねて求めておきたいと思いますし、また、無償化の議論自体、国の無償化の上限額が都の幼稚園の平均的な保育料より安いということも課題ですし、消費税値上げとセットの議論にもなっています。増税はすべきではありませんし、そもそも教育の無償化は、それと切り離して議論するべき話だと思います。こうしたことを都としても国にいうべきだと申し上げまして、私の質問を終わります。
○鳥居委員 私からは、まずは男女平等参画の推進について伺います。
世界経済フォーラムが平成二十九年十一月に発表した各国における男女格差の度合いを示すジェンダーギャップ指数の報告書では、日本は世界百四十四カ国中で過去最低の百十四位であり、前年の百十一位をも下回りました。前回に比べ、経済、教育、保健分野の順位は上昇したものの、政治分野の順位が下がったためとしておりますけれども、依然として低いことが示されたわけでございます。
日本の男女平等の達成レベルは、世界的にも、そして先進国中でも低水準であるという事実からも、喫緊の改善が必要であることは明らかでございます。
このような中で、東京都は昨年三月に女性活躍推進計画を策定し、あらゆる場で女性が活躍できる社会の実現に向け、女性のキャリア形成支援、地域における活動機会の拡大、子育てや介護への支援、働き方の見直し等を通じたライフワークバランスの推進など、幅広い施策を実施しました。それらの施策がいかに実行されているのかは、男女平等参画を推進させる上で重要と考えます。
そこで、男女平等参画推進は全庁的に進めることが重要と考えます。都庁内での取り組みについて伺います。
○稲葉男女平等参画担当部長 都は、男女平等参画施策を総合的かつ効果的に推進するため、庁内関係局で構成をします東京都男女平等参画推進会議を設置し、各局の施策に関する情報の共有や事業協力などに関する協議を実施してございます。
また、庁内各局の審議会等における女性委員の任用促進や、男女平等参画の視点に立った広報資料の作成について周知を図るなど、都における取り組みの総合的な推進及び調整を行ってございます。
○鳥居委員 女性委員の任用促進などをお示しいただいたとおり、都庁内でできることから率先して進めていただくことをお願いしたいと思います。
都は、平成二十九年十二月に女性も男性も輝くTOKYO会議を設置しています。本会議では、多くの民間出身者とともに、男女平等参画や女性活躍推進に高い見識を持つ専門家にも加わっていただき、都の施策や各団体の取り組みに関する情報共有や意見交換を行い、実務的な取り組みや方向性について協議しておられます。若者のキャリア形成支援、男性の家事、育児参画を初めとする取り組みなどについて検討を進めていると伺っております。都においても学識者と連携し、その意見を積極的に活用していくことが肝要と考えます。
今後、どのように連携を進め、そして、その意見を施策の充実に生かしていくのかを伺います。
○稲葉男女平等参画担当部長 今年度開催をしました女性も男性も輝くTOKYO会議におきましては、男性の家事、育児参画の促進について、学識経験者より専門的な見地からご意見をいただき、今年度、新たに実施する普及啓発事業の内容に反映させてございます。
また、知事が女性の活躍推進について発信を行います女性が輝くTOKYO懇話会のモデレーターや、東京都女性活躍推進大賞の審査員としても機運醸成や普及啓発にご協力をいただいてございます。
今後とも、学識経験者の意見を踏まえ、施策の充実を図ってまいります。
○鳥居委員 開催されました女性も男性も輝くTOKYO会議においては、三十二名の民間出身者、具体的には東京商工会議所常務理事、東京都医師会理事、東京都看護協会常務理事、JA東京女性協議会会長や多くの学校関係者の会長、理事の方々が参加、また三名の専門家などにもお集まりいただいていると聞いております。
会議においては説得性の高い意見が多くなされたと思いますし、多くの気づきの場であったというふうに想像いたします。
引き続き、貴重な意見や見識を集めて、広く都民に発信していただき、女性活躍推進を行っていただきたいと思います。
そのような中、都は、都の女性活躍推進に向けた取り組みなどに関する情報について、広く都民に発信するため広報や普及啓発を行っており、平成二十九年度から女性が輝くTOKYO懇話会を実施し、知事と出演者が女性の活躍推進に向けて発信しております。
今後も活躍する身近で親しみやすい多くの女性にスポットを当てて、情報を発信していただくことが重要でございます。広く普及啓発を行うに当たり、情報の発信にも工夫が必要と考えます。
ICT技術も活用し、最適な情報発信を心がけていただきたいと思いますが、現在の状況と今後の取り組みについて伺います。
○稲葉男女平等参画担当部長 都は、東京ウィメンズプラザにおけますシンポジウムや各種セミナーの開催、先進的に取り組む団体や個人を表彰する女性活躍推進大賞、それから東京における女性の活躍推進に関するポータルサイトの運営などにより、広く普及啓発を図っております。
また、女性が活躍するためにはみんなの協力が必要ですとのメッセージを込めたポスターの掲出に加えまして、PR動画を作成し、ウエブサイト、SNS、デジタルサイネージなどを通じた普及啓発を図っております。
さらに、女性が輝くTOKYO懇話会については、東京都公式動画サイト、東京動画においてインターネット中継を行っているほか、開催後にはダイジェスト動画や開催レポートを作成し、ウエブサイト等を通じて広く発信しています。
今後とも、さまざまな媒体を活用して効果的な情報発信を行ってまいります。
○鳥居委員 引き続き貴重な意見や見識を広く都民に発信していただきますように、広報や普及啓発などの情報発信を強化されることをお願いしたいと思います。
次に、施策を進めていく上での計画の基盤となる情報の収集をどのように行っているのかを伺います。
○稲葉男女平等参画担当部長 都は、五年ごとに策定、改定を行っております男女平等参画の促進に関する行動計画の策定に当たりまして、都民を対象に、男女平等に関する世論調査及び配偶者等暴力被害の実態等に関する調査を実施し、その結果を計画に反映してございます。
また、毎年度、女性の活躍の状況や都民の意識に関するさまざまな調査結果を取りまとめました東京の男女平等参画データを作成いたしまして、男女平等参画施策の推進に活用してございます。
○鳥居委員 計画の基盤となる情報収集の重要性はいうまでもございませんが、さきにお示しいただいたとおり、多くの民間出身者とともに、男女平等参画や女性活躍推進に高い見識を持つ専門家を集めた会議の実施や、今年度行う女性の活躍の状況や都民の意識に関する調査結果、これを介して情報を収集されておられると伺いました。
引き続き、有益な情報を得る努力を続けていただくとともに、その情報をもとに質の高い実行プランの策定及び実行促進を推進していただくことをお願いいたします。
東京が持続可能な成長を続け、誰もが自分らしく暮らせるダイバーシティーを実現していく上で、一層の女性の活躍推進は重要となってくることは明らかです。男女平等参画、女性活躍を推進していく上で、情報を集め、問題を掘り起こし、新たな知識を普及させることを担っている生活文化局担当部署の役割は大きいと思います。引き続き、局の活躍を期待して、次の質問に移ります。
次は、私立学校教育助成について伺います。
知事は、さきの第三回都議会定例会の所信表明において、東京の未来への投資となる子供たちの教育の重要性について述べられ、私も共感をいたしました。特に二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、高校段階におけるグローバル人材の育成が大きな課題でございます。
東京においては、私立高校が公教育の担い手として大きな役割を果たしており、より多くの東京の私立高校生が海外留学を経験し、世界を舞台に活躍する国際感覚豊かな人材に成長できるよう支援することが重要であります。
都は、私立高校生の留学に伴う保護者の経済的負担を軽減するとともに、各学校が留学に取り組みやすい環境を整えることを目的として、私立高校海外留学推進補助制度を平成二十五年度から実施しております。
この事業は、豊かな国際感覚の醸成や語学力の習得等に効果が高いとされている三カ月以上の留学を対象としており、留学期間に合わせて補助単価を設定、三カ月の場合は五十五万円、六カ月の場合は八十万円、一年の場合は百五十五万円を助成しております。
まことによい取り組みだと思いますが、実際に生徒を留学させるのは学校でございます。学校が活用しやすい制度となるよう、学校の意見を聞きながら工夫していくことが必要でございます。
そこで、私立高校海外留学推進補助が活用される制度となるよう、どのような工夫を行ってきたのかを伺います。
○金子私学部長 本事業につきましては、学校現場の意見を聞きながら、使いやすく、実効性が高い制度となるよう工夫しております。
具体的には、平成二十七年度に学校当たりの補助限度額を引き上げたほか、平成二十九年度には、学校において留学の効果を高めるための語学指導等の事前研修を補助要件に加えまして、補助単価を増額いたしました。
○鳥居委員 学校現場の意見を取り入れて、学校がこの制度を使いやすいように見直しを行ってきたことをお示しいただきました。
そこで、私立高校海外留学推進補助を活用して留学した生徒数の状況について伺います。
○金子私学部長 平成二十五年度の実績は百七十七人でございましたが、平成二十九年度は五百五十八人となっております。
また、平成二十九年度末までの五年間の累計は、延べ一千九百四十三人となっております。
○鳥居委員 二〇二〇年に向けた実行プランでは、政策目標として、私立高校の海外留学支援が掲げられており、二〇二〇年度末の目標値が二千人となっております。
先ほどのご答弁では、二〇一七年度末で既に千九百四十三名が留学しているとのことでございますので、目標の達成も近くなっている状況であるということにつきましては、評価したいと考えます。しかし、目標を達成したからといって、そこで取り組みが終わるわけではございません。
今後も、私立高等学校海外留学推進補助にしっかりと取り組んでいただく必要があると考えますが、見解を伺います。
○金子私学部長 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、東京が国際都市としてさらに飛躍するために、グローバル人材の育成はますます重要になっております。
そのため、学校現場の意見を聞きながら、引き続き、より多くの私立高校生の留学を支援し、グローバル人材の育成に努めてまいります。
○鳥居委員 引き続き、多くのグローバル人材が育成されるように、貴局の活躍を期待して、次の質問に移りたいと思います。
次は、東京動画について伺います。
都では、都政に関するさまざまな動画を集めることで都民が都政情報を入手しやすい環境を整備するため、平成二十九年八月に都庁各局等が制作した動画を集めたポータルサイト、東京動画を開設しております。
私も前職では、八つの事業の研究業務を統括して、各ブランドの差別化を図る中で、消費者が迷わないように消費者目線で情報を集約したポータルサイトを作成した経験がございます。
都の行った東京動画の取り組みは、都民目線、そして東京都のブランド力向上に役立つ内容と考えます。現在では、スマートフォンの普及やインターネット技術が発展しております。静止画ではなくて、動画配信のサービスは利用者が理解しやすく、利用者数も増加していることから、都政情報を動画で発信していくことは、時代に即した取り組みであると評価いたします。
そして、より多くの都民に気軽に東京動画を見てもらう必要があると考えますが、どのような工夫を行っているのか、伺います。
○濱田広報広聴部長 東京動画の利用状況を分析いたしますと、スマートフォンやタブレット端末からの利用が約七割近くを占めていることから、スマートフォン等でも利用しやすい画面構成としております。また、東京動画を楽しんでもらえますよう、都民の関心を引くような動画を目立つようにスライドで表示したり、再生回数の多い動画のランキングを掲載するなどの工夫を行っております。
さらに、本年七月からは、東京動画専用のツイッターアカウントを開設して、新着動画やお勧め動画の情報を随時発信しております。
このほか、東京動画の認知度の向上と利用の拡大を図るため、多くの都民等が出演している、みんなでラジオ体操プロジェクトの動画や、都内自治体が制作した動画など、都民が身近に感じることのできる動画も掲載しております。
○鳥居委員 大量の動画の分類や整理及び見たい動画の検索を効率的に行うことや、視聴数ランキングを掲載するなどの工夫により、アクセス数を高めていることを理解いたしました。
多くの都民等が出演している、みんなでラジオ体操プロジェクトの動画などは有効な取り組みと考えます。
今後も引き続き、東京都の取り組みに対する都民のご理解を得る上でも、各局との連携を促進させ、そして東京都のブランド向上を意識した取り組みを進めていただきたい、このように思います。
さて、私の会社員としての経験からも、ウエブサーバーの維持や動画コンテンツの制作は、基本的にその専門性の高さから外注が主体となり、多額の経費が必要となります。より多くの都民に情報を発信し、都政への理解促進を図っていくためには、ある程度の経費が必要であることは理解しております。
こうした中でも効率的な予算執行に努めていくべきであると考えますが、それらに対する都の対応を伺います。
○濱田広報広聴部長 動画コンテンツの管理には、ご指摘のとおり膨大な容量のサーバーを持つ必要がありまして、多額の経費を要することから、東京動画では都独自のサーバーを持たず、ユーチューブに動画を保存しております。
このため、東京動画に係る経費は、動画コンテンツの制作のほか、ホームページのサイトの維持管理等の経費が中心となっております。
また、動画コンテンツについては、専門事業者に委託して制作するものだけではなく、各局の職員が制作した都政のPR動画等も掲載しており、少ない経費で都政の発信力を高める工夫を行っております。
今後も効率的な予算執行に努めてまいります。
○鳥居委員 膨大な容量のサーバーを持たない取り組み、ホームページサイトの維持管理等の経費以外は動画コンテンツの制作が中心であることをお示しいただきました。そして、動画コンテンツの作成に当たっては、各局の職員が都政PR動画を制作していることは、評価に値すると思います。
動画制作は、今や広く一般人が行えるほど手軽になってはきております。しかし、質を高めるためには、専門的な技術や機材が必要で、私も会社員時代には懇意の動画制作会社様と連携して技術の導入を図っておりました。
生活文化局は都政全般にわたる広報を所管する部署として、各局の動画制作を支援していくべきと考えます。
どのような取り組みを行っているのかを伺います。
○濱田広報広聴部長 生活文化局では、ビデオカメラや編集用の機材を各局に貸し出しているほか、動画制作技術の向上を図り職員の発信力を高めるため、撮影や編集技術の研修を実施しております。
さらに、すぐれた動画を知事が表彰する庁内コンクールを開催し、職員による動画制作を奨励することで、全庁の広報活動のより一層の充実と、都の情報発信力の向上を目指しております。
○鳥居委員 生活文化局が中心となって、各局に対し機材貸し出しから技術研修を行っていることをお示しいただきました。各局に対する動画作成支援は、広報活動の取り組みを担う生活文化局担当部署がその役割を果たす努力のあらわれと認識いたします。
技術は常に更新されていきますので、都民に飽きさせない、また、時代おくれにならないような取り組みを引き続き行っていただくことを期待して、次の質問に移ります。
公衆浴場の活性化支援について伺います。
都内の公衆浴場は、浴場数及び利用者数も減少していることが報告されています。一方で、公衆浴場は地域住民の保健衛生の向上の役割を担っていることに加え、地域の人々のリラクゼーションや交流の場、高齢者、障害者の支援や健康づくりの場及び伝統文化としての活用が認識されております。
都は補助金として、健康増進型公衆浴場改築支援事業など、計八種類を支援していると伺っております。また、公衆浴場耐震化促進事業においては、耐震化の促進を進め、安全面も配慮した上で発展形を模索していると考えております。
そこで、公衆浴場が今後も存続していくためには、後継者や浴場にかかわりたい人などに対して、浴場の継続につながるような取り組みを行うべきと考えますが、見解を伺います。
○吉村消費生活部長 公衆浴場は、都民の入浴機会の提供だけでなく、高齢者の見守りや地域交流の場といった大切な役割を担っております。
都はこれまでも、施設整備や利用促進などへの補助を通じて、多くの浴場を支援してまいりました。一方で、公衆浴場は、自家風呂の普及による利用者の減少や経営者の高齢化、後継者不足などにより減少の一途をたどっております。
公衆浴場が継続するためには、これまでの補助事業に加え、後継者など新たな担い手を育成する取り組みが必要であり、都は今年度から、東京都公衆浴場活性化支援実証事業、銭湯ラボを新たに開始いたしました。
浴場の経営者や浴場経営にかかわりたいと考える人向けには、浴場の経営やノウハウを学ぶ連続セミナーを開催しております。セミナーは全六回で、三十七名の方が受講されております。
年度内にはセミナー受講者と浴場経営者との交流会の開催なども予定しており、これらの事業を通じて、より多くの公衆浴場が継続するよう取り組んでまいります。
○鳥居委員 浴場の経営やノウハウを学ぶ連続セミナーでは、後継者や、今後、都内の公衆浴場経営にかかわりたい方を対象に、実践的カリキュラムを行っていると理解しております。
団体要望でも経営者不足に言及されておりましたが、冒頭で述べたとおり、公衆浴場の役割を熟慮し、セミナーの実施は有効と考えますので、引き続きご対応をお願いしたいと存じます。
さて、公衆浴場は日本の伝統文化、銭湯として外国人にも人気があります。そこで、観光客など外国人に向けた公衆浴場のPRが必要と考えますが、既にPR動画を作成されておられます。
その有益性を図る上でも、重要な指標となるアクセス状況について伺います。
○吉村消費生活部長 公衆浴場は、観光客などの外国人にとって、日本の歴史、文化を体験できる場という大切な役割も担っております。外国人に公衆浴場を利用していただくためには、浴場の魅力を積極的にアピールしていく必要がございます。
そこで、昨年度、都は、東京都公衆浴場業生活衛生同業組合が外国人向けに銭湯をPRする二種類の動画を作成するに当たり支援を行いました。動画では、外国人ユーチューバーが都内の公衆浴場で入浴し、富士山のペンキ絵や天然温泉などの銭湯の魅力に加え、入浴時のマナーを紹介しております。
この動画は公衆浴場組合のホームページなどからアクセスすることができ、再生は、現在合わせて六十四万回を超えております。浴場経営者からは、実際にこの動画を見て浴場を訪れる外国人もいると聞いております。
今後とも、外国人利用者の拡大に向け、公衆浴場組合が展開する取り組みを積極的に支援してまいります。
○鳥居委員 昨年度、観光客と外国人向けに制作した二種類の銭湯PR動画の再生回数が、現在合わせて六十四万回を超えているということから、一定の関心を得られていると認識いたします。動画を見て浴場に来られる外国人がいらっしゃるということですので、地域住民の保健衛生面の向上に加え、日本の歴史、文化を体験できる場として、外国人へのPR展開を進めていただくことを期待して、次の質問に移ります。
次に、芸術文化振興施策の推進について伺います。
東京は、新宿、渋谷、銀座など、まちごとに特徴があり、多様な人々が集うダイバーシティーとしての広がりを持っております。まちの特徴を生かした文化イベントを実施することは、地域との連携による大きな集客効果、経済効果も期待されるところでございます。
さらに、東京都には、文化資源が近接、集積した地域もあり、観光部門とも連携をすることで効率的に経済効果を高めることも期待できると考えます。
そこで、これまで都では、文化施設が集積する地域を中心にさまざまな事業を展開されておりますが、具体的にどのような取り組みをしてきたのかを伺います。
○樋渡文化振興部長 文化資源が集積する上野や池袋、六本木などにおきまして、自治体や民間団体などと連携し、地域の特性を生かした大規模なイベントなどを実施してきております。
例えば上野では、文化施設やまちづくり団体等で構成します上野文化の杜新構想実行委員会と連携しまして、年間を通してさまざまなアートイベントを実施しております。また、池袋では東京芸術祭を、それから六本木では六本木アートナイトを開催し、それぞれの地域が持つ文化資源を生かしながら、多彩な文化プログラムを展開しております。
こうした地域の特性を生かした事業を推進することにより、芸術文化拠点の魅力向上に取り組んでまいりました。
○鳥居委員 こうした、まちの特徴を生かして伸ばす取り組みは効果も大きく、集積した文化資源を面として展開することも効果的と考えます。
引き続き、さまざまな取り組みを通して、まちの特徴をさらに伸ばしていただき、都民や観光客を引きつける芸術文化の振興策を進めていただくようにお願いいたします。
一方で、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会は、スポーツの祭典であるというだけではなく、文化の発信及び文化振興の貴重な機会です。さまざまな文化プログラムが実施されていますが、これらの文化プログラムは区部だけではなく、多摩や島しょを含めた東京全体、さらには被災地を含む全国各地とも連携して実施してほしいと思います。
そこで、どのような文化プログラムに取り組んでおられるのかを伺います。
○樋渡文化振興部長 文化プログラムでは、これまでも区部だけではなく、他の地域でも各種事業を実施してまいりました。多摩・島しょ地域では、舞台芸術に親しむ機会の少ない島しょ地区の住民に舞台芸術の鑑賞の機会を提供します島しょ芸術文化振興事業や、東京都交響楽団が観客参加体験型のオーケストラ公演やアンサンブル公演を多摩・島しょ地域で開催するプレミアムコンサートなどを展開しており、二〇二〇年に向け、引き続き取り組んでまいります。
また、東京二〇二〇年大会に向けました文化プログラムの先駆けとしまして開始した東京キャラバンでは、震災により甚大な被害を受けました宮城や福島で実施したほか、京都、熊本、高知などにおいても実施するなど、全国の自治体とも連携して展開しているところでございます。
○鳥居委員 オリンピック・パラリンピック文化プログラムは、区部だけではなく、島しょや多摩を対象に、島しょ芸術文化振興事業や参加体験もできる東京都交響楽団の公開プレミアムコンサートなどを実施いただいていることをお示しいただきました。
引き続き、島しょや多摩地域での伝統文化や演劇、音楽事業などの充実に取り組んでいただきたいと思います。
また、東京キャラバンも伝統文化や演劇、音楽などさまざまな分野の芸術文化が一堂に会し、交わりながらパフォーマンスを繰り広げ、日本各地を回る文化プログラムであり、被災地においても開催し、現地の皆さんとの文化交流を深めておられます。このような東京二〇二〇大会がスポーツや文化の振興だけではなく、被災地の復興支援につながる意義深い取り組みと考えております。
引き続き、二〇二〇大会に向けてさらなる機運醸成と新たな文化創造に取り組んでいただくことをお願いいたしまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。
○斉藤(や)委員 私の方からは、初めに、広聴事業に関しまして、都民の声についてお伺いしたいと思います。
広聴事業は、都民の声や関心を直接把握されまして都政に反映するという、都政と都民をつなぐ重要な役割を担っております。都民の声課は、直接都民からお話を伺えるという観点からすれば、都民に最も近い都庁の部局ともいえると考えます。そして、都民の声を伺いまして、都政にその声を反映させることが重要であるわけであります。
そこでまず、この都民の声の事業の概要と実績についてお伺いしたいと思います。
○濱田広報広聴部長 都民のさまざまな声が直接寄せられます窓口には、生活文化局に設置する都民の声総合窓口と各局の都民の声窓口があり、手紙やファクスのほか、インターネット、電話や来所によって、都への提言、要望等を受け付けております。
生活文化局の都民の声総合窓口に寄せられた声は、関係各局に速やかに伝達し、対応が必要なものにつきましては、各局において適切に対応しております。
平成二十九年度に総合窓口に寄せられた件数は約四万八千件でございまして、各局の窓口に寄せられた約七万七千件を合わせますと、合計で十二万五千件でございました。
なお、都民の声総合窓口に寄せられた声は、内容や傾向をまとめて月例報告を公表するとともに、各局の対応事例も盛り込んだ年次報告を毎年度公表しております。
○斉藤(や)委員 都民の声、大変多く寄せられていることで、その年次報告、私も二十九年度年次報告、これ全部読ませていただきました。政策のもとになるような大変貴重なものもございまして、その対応ぶりを非常にわかりやすく解説されているというふうに実感しました。
最近の動向、数についてのご報告、七万、十二万というお話あったんですが、その全体の推移を過去五年間見ますと、決して今が最高の数字じゃないということなんですが、それは統計のとり方とか、さまざまな数字の中身については、集計の仕方を見直したとかいろいろあるようでございますので、過去最大になっているという表現ではないんですが、確実に都民の声が都庁に届いていて、それに対して対応をどうしているかということが年次報告によって見られるわけでございます。
このさまざまな寄せられた意見が、都の施策やサービス向上に反映されたかどうか、それを都民にフィードバックしていくことも、また必要だというふうに思います。都民の声事業につきましては、どういった声が寄せられ、どのように都政にそれが生かされたかということを、公表することが大事であるというふうに考えるわけです。
都民の声に係る情報公開の推進に取り組んでいる、その中身についてお伺いしたいと思います。
○濱田広報広聴部長 平成二十八年十月から、都庁総合ホームページ及び各局ホームページに、それぞれ情報公開ポータルサイトを開設いたしまして、都民の声に係る情報公開を推進しております。
都庁総合ホームページの情報公開ポータルサイトでは、従来から作成しております都民の声総合窓口の月例報告及び年次報告の対応事例の公表件数を大幅にふやしております。各局の情報ポータルサイトにおいて、毎月の受け付け件数及び主な対応事例の公表も開始しております。
具体的には、都民の声の対応事例公表件数は、平成二十七年度と平成二十九年度を比べますと、総合窓口受け付け分は六十五件から二百四十八件、各局窓口受け付け分は十件から七百九十六件、合計で七十五件から千四十四件へと大幅に増加いたしております。
○斉藤(や)委員 大変に、その寄せられた声の数ということもあるんですが、公表件数が非常にふえているということが大事だと思います。対応事例の公表件数が大幅にふえたということがわかりました。
都民の声が施策に反映されることを広く都民に知ってもらうことが重要であり、そのためには、対応した事例をよりわかりやすく公表していく必要があると考えますが、その工夫等について所見を伺いたいと思います。
○濱田広報広聴部長 理事ご指摘のとおり、寄せられました声や対応事例を都民にわかりやすく伝えることは大切でございます。
今年度公表した年次報告では、例えば、昨年、JIS、日本工業規格に登録され、全国共通となりましたヘルプマークの認知拡大を求めるご意見に関しては、福祉保健局での認知拡大の取り組みを掲載するとともに、ヘルプマークの写真と解説も掲載いたしました。また、ヒアリへの対策を求めるご意見に関しては、港湾局や環境局での取り組みを掲載したところでございます。
また、各局に対しても、窓口に寄せられた内容に対しての都の取り組みの状況をわかりやすく掲載するよう依頼してございます。
今後とも、各局と連携し、都民から寄せられるさまざまな声に適切に対応するとともに、都民の声と対応状況の公表内容について引き続き充実させ、都政に対する都民の理解と関心を高めてまいります。
○斉藤(や)委員 私、この都民の声課に対する質問は六年ぶりでございまして、一回目は平成二十四年十月の決算委員会の分科会で質問させていただきました。そのときに比べますと、大変にこの報告書もビジュアル、非常に見やすくなっておりますし、また、例えば都民の方が、外国人が来るパスポートセンターのところなんかに、例えばもっと多言語表示をした方がいいというお問い合わせがあったことに対して、こうなりましたと写真で、なった結果が報告されている。
本当、議員としても、都民の声に負けないぐらい施策として実現しなくちゃいけないんですが、本当にそういう面でいえば、都民の声をダイレクトに受けられるこの部局は非常に重要だと思います。
中身を拝見しますと、決していいことだけでない。当然、苦情や、そうした厳しいご意見もあるようであります。
また、一方で、知事、議会と並んで、都政の顔ともいえる部局であるわけですので、私たち議会が想像する以上に、担当の方のご心労も多いかと思いますが、担当体制の充実と、担当者のメンタルサポートなどもお願いしたい、これは前回もお願いしておりますが、ぜひともそうした担当者に対する視点も、メンタルサポートなどお願いしたいということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
多少内容がかぶってしまうところは省きますが、東京動画について、私も質問したいと思っておりました。
この東京動画、いわゆる広報活動として非常に重要であるということで、インターネットによる動画配信ということになります。効果的に情報を伝えることができるだけでなく、利用者の都合に合わせて、いつでも自由に視聴できるという利便性がある、モバイルのスマートフォンなどで見ることができたりする。そうした見やすさということが非常に重要ですが、都政に係る情報を発信する上で重要な媒体の一つだと、私はこの東京動画を評価しております。
これまで都庁各局は、また監理団体もですが、そういう制作もしてきたと思うんですね。そういった動画をユーチューブを活用して、コストの面で非常に安くするということの工夫もあるわけですが、ユーチューブの東京都チャンネルのほか、各局でそれぞれ独自に設けたチャンネルに分散されて今まで掲載されていたと。見たいものを、本当になかなか探すのが大変だ、目的とする動画を見たいという気持ちに応えるのがなかなかできていないという指摘もあり、こうした新しい載せ方ができたというふうに理解をしているわけであります。
こうした状況を踏まえまして、生活文化局では、都の動画を集約した動画ポータルサイトとして東京動画を開設したということですが、ちょっと私は細かく伺いますが、平成二十九年の八月に、この東京動画が開設されました。一年三カ月たったわけですが、実績としてどういう視聴状況か、お伺いしたいと思います。
○濱田広報広聴部長 理事ご指摘のとおり東京動画は、各局のチャンネルを、分散していたものを集約化したものでございます。都政に関する動画を都民がワンストップで入手できる環境を整備するとともに、正確な都政情報をわかりやすく都民に伝え、都政の見える化を推進するため、動画ポータルサイト、東京動画を開設いたしました。
都政の重要課題を伝える動画や東京の魅力を発信する動画のほか、都の職員が制作した都政のPR動画、さらには地上波で放送された都政広報番組など、さまざまな動画を掲載しております。
現在、約三千本の動画を掲載しておりまして、開設当初の約三倍となっております。東京動画へのアクセス数は、開設から先月末までの累計で二百三十万回以上というふうになっております。
○斉藤(や)委員 アクセス数が累計で二百三十万回、ちょっと事務事業質疑が時期がちょっとずれたんですけれども、ついこの間、二百二十万回だったんですが、わずか数週間の間に十万回ふえているということが、勢いがあるということを感じましたが、現在の動画掲載本数は開設当初の三倍の三千本ということであります。
せっかくいい番組、もっと多くの人に見てもらいたいなと思うわけですが、これはちょっとかぶるかもしれませんが、動画をより多くの人に見てもらうための取り組み、具体的に伺いたいと思います。
○濱田広報広聴部長 新たな視聴者の獲得を目指しまして、今年度は人気のあるユーチューバーを起用して東京動画に視聴者を誘導する企画や、ふだんは見ることのできない都の施設、あるいは業務の様子を紹介する動画を制作しております。
最近では、水道管の漏水調査の様子や、災害時を想定した都立病院の救急医療体制の訓練の様子などを取り上げております。
さらに、都民が東京動画に親しみを感じられるよう、地域のお祭りなどを紹介する動画を制作するほか、テレビでは放送されない都内の高校生のスポーツ大会の生中継や文化部の活動を紹介するなど、若い世代の視聴者の獲得にも努めております。
○斉藤(や)委員 このユーチューバーの起用というのは大変有効だと思います。
最近、子供たちがなりたい職業のトップクラスに、ユーチューバーになりたいというのが出てくるわけですが、私もユーチューバーの方の動画を拝見すると、例えば、葛西臨海水族園に行って、実際にふだん入れない水族園の中に、バックヤードの方に入っていったり、なかなか見られない様子とか、これはユーチューバーではないですが、先ほどいった水道管の漏水検査というのは非常に静寂な夜中に、本当にはたから見ると怪しい人に見えるかもしれませんが、小さな音を漏らさず聞きながら調べている様子が、陰の仕事の姿、インフラを守る方々のお姿をまたそこで見ることができたわけです。
また、おもしろかったのは、高校生のスポーツ大会ですね。柔道の試合なども結構解説をしっかりしているわけですよね。いろんな学校の出場選手がいるわけですけれども、本当に準々決勝とか準決勝とかを勝ち上がっていく、選手の名前は詳しくは出ないんですけれども、赤い帯をした人、黒い帯をした人、その人の取り組みが解説つきで見ることができる、すばらしい--これはスポーツをやっている、部活動をしている方々も後からこれを見たらすごく喜ぶような内容が動画で見ることができておりました。
東京二〇二〇大会を控えまして、海外から東京への注目が高まってきております。当然、訪日観光客数も最高を記録するなど、来日外国人も大変ふえているわけですが、そういった観点からいきますと、この東京動画も多言語化を進めていくべきと考えるんですが、対応を伺いたいと思います。
○濱田広報広聴部長 東京動画には、日本語がわからない方にも見ていただけるように英語で検索できるページを用意し、東京の魅力発信や健康、医療、災害対策の動画など、五百本以上のコンテンツを掲載しております。
これらのコンテンツの動画再生回数ランキングでは、東京駅を発着する新幹線の車内を迅速、正確に清掃する風景を外国人の視点から捉えた七分間の奇跡、セブンミニッツミラクルが人気となっております。また、最近では、地震が発生したときにとるべき行動を紹介した「地震 その時十のポイント」がよく見られております。
今後、海外や在住外国人の方からのアクセスが期待されるコンテンツにつきましては、多言語化をしていくよう各局に働きかけてまいります。
○斉藤(や)委員 非常にデータとしても興味深いものがございます。新幹線の素早い清掃のシーンなど、人気のようでございます。
ここまで東京動画について質問をしてまいりましたけれども、地上波番組と異なりまして、とても手づくり感がある、実際に職員の方がつくっているものも、たくさんあるということであります。
実は先日、アフリカのケニアなんですけれども、ケニアの大使館は目黒にございまして、その駐日大使から、自分の国の子供たちに東京のすばらしいインフラを紹介したいんだというお話がございました。まさにこの東京動画をご紹介したところです。
今後も、東京二〇二〇オリ・パラ大会の先を見据えながら、首都東京の魅力発信のツールとして、多くの方々に視聴いただきたいと思います。開設から一年三カ月でアクセス数が二百三十万、この数字をどんどんふやしていくように私もPRをしていきたいと思います。
東京動画は以上でございます。
次に、エシカル消費についてお話をさせていただきたいと思います。
二〇一五年、何度も繰り返されますが、国連の持続可能な開発サミットにおきまして、持続可能な開発目標、SDGsを中核とした二〇三〇アジェンダが、我が国も賛同し採択をされました。
SDGsでは、貧困や格差の是正、気候変動や教育、ジェンダーなど十七分野でのゴールを定めているわけですが、二〇三〇年までに解決すべき課題が包摂的にそこに掲げられています。
誰ひとり取り残さないという理念は、我が党が長年掲げてきた生命、生活、生存を最大に尊重する人間主義、一人を大切にする政治の理念とも合致しております。
この十七目標のうち、目標十二では、持続可能な生産消費形態を確保するというものを掲げられておりまして、二〇三〇年までに人々があらゆる場所において、持続可能な開発目標及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにすることなどが掲げられているわけであります。
昨年の十二月、平成二十九年の第四回定例会で、我が党は代表質問におきまして、持続可能な社会の実現に向け、都民のエシカル消費について理解が進むよう都が役割を発揮すべきだと提案をいたしました。これに対して都からは、東京都消費生活基本計画にエシカル消費などの持続可能な消費の普及を政策の柱に新たに位置づけるという答弁がございました。
そこでまず、今回の計画改定に当たりまして、SDGsという理念に包摂されるエシカル消費を盛り込んだ意義について伺いたいと思います。
○吉村消費生活部長 都はこれまで、一人一人の消費者が消費生活に関する知識を身につけ、消費者みずからが被害や事故に遭わない行動を選択できるよう、ライフステージに応じた体系的な消費者教育を実施してまいりました。
近年、地球環境への配慮や社会的課題の解決への要請が高まる中、消費生活行政においても消費者が主体的に持続可能な社会の形成にさらに貢献していくよう、消費行動の変革を促していく必要がございます。
そのため、今回の東京都消費生活基本計画の改定に当たっては、エシカル消費など、持続可能な社会の形成に貢献する消費行動の普及を新たに政策の柱の一つとして掲げました。
こうした取り組みは、SDGsの目標十二、持続可能な生産消費形態を確保するとも軌を一にするものであると考えております。
○斉藤(や)委員 大変に評価をしたいと思いますが、知事も、みずから掲げられるその都政の政策がSDGsの施策と軌を一にしている、その具体的な姿がこの目標十二、つくる責任、使う責任とも訳されますが、軌を一にしていると私も認識を共有しております。
都は、消費生活行政におきましても、消費者の持続可能な社会の形成に貢献する消費行動を促進するために、人や社会、環境に配慮した消費行動である倫理的--つまりエシカルですね--エシカル消費の理念を広く都民に普及啓発をいたしまして、理解の促進を図ることとしたことがわかりました。
持続可能な社会の形成に貢献する消費行動であるエシカル消費を計画に盛り込んだことは大変意義があると高く評価します。ことし三月に発表されました東京都消費生活基本計画に基づき、都が率先して取り組んでいることを、これからの行動も大いに期待しております。
そこで、都は今年度、具体的な取り組みとして、どういう取り組みを展開しているかを伺いたいと思います。
○吉村消費生活部長 都では、計画に基づき、今年度から消費者の持続可能な社会の形成に貢献する消費行動を促進するため、将来を担う若者を中心に、広く都民にエシカル消費を普及啓発し、理解の促進を図っております。
具体的には、「ちょっと考えて、ぐっといい未来エシカル消費」をキャッチフレーズとしたPR動画を新たに作成し、先月公開いたしました。動画では、幅広い年齢層から人気があり、国連のサポーターなどの社会貢献活動をされているEXILEのUSAさんに、買い物におけるエコバッグの使用や被災地支援につながる商品の購入など、具体的なエシカル消費の行動例を紹介していただいております。この動画は、東京動画を初め街頭ビジョンや電車内のモニターなどで広く配信しております。
また、先月末には、ホームページ、東京くらしWEB上に、新たにエシカル消費を紹介するページを掲載いたしました。PR動画を初め、誰もが身近に感じて実践できる行動例や、関連するラベルやマークなどの情報を掲載しております。
このほかにも、都民向けのシンポジウムの開催やリーフレットの配布など、さまざまな機会やツールを活用し、消費者ができるところから無理のない範囲でエシカル消費を選択できるよう、普及啓発に取り組んでまいります。
○斉藤(や)委員 このEXILEのUSAさんですけれども、私も動画を拝見しました。とても格好いいわけですが、EXILEは目黒に拠点があるわけです。EXILEのメッセージを本当に楽しく拝見しました。
二〇〇六年から、このUSAさんは、ダンスこそ世界の共通言語ということで、世界各地を飛び回ってきたということも、その動画でわかりました。一方でUSAさんは、WFP、世界食糧支援機関のサポーターとして、SDGsの目標二、飢餓をゼロにするという活動を通じて、エシカル消費の意義をみずからの言葉で語っていた点が印象的でした。若い方にも関心を持っていただけるといいなと思いました。
また、我が党は、このエシカル消費を身近に感じてもらうには、エシカル消費の見える化ともいうべきマーク、国際フェアトレードマークやエコマークなど、さまざまな認証マークの意味をわかりやすくするべきだと提案をしてまいりました。
その提案が実りまして、基本計画を普及させるための都民の暮らし輝く東京という小冊子の中にエシカル消費、このようにマークを掲載しまして、身近なところでこれを目にしたときに、まさしくそういったことに賛同することがエシカルな消費であるというつながりができるようなツールもできたわけであります。
決して海外の遠いところの話ではなくて、福祉施設の自主製品や被災地支援にもつながる商品の購入など、みんな日ごろやっていることが、実はエシカルな消費であるというふうにつながっていく、意識がつながっていくことが大事だなと思います。
我が党は、たどっていきますと二十年近く前から推進してきた食品ロス、これはもう本当に多くの方が取り組まれる運動になってまいりましたが、食品ロスの削減も、また、リサイクル製品をフリーマーケットで購入する消費者行動もエシカル消費、日常生活の中でできることから始めること、小さくても一歩を踏み出すことが大事だという、こつこつとしたPRを地域でもしてまいりたいと思ってエシカルの話は終わりたいと思います。
続きまして、私立学校におけるグローバル人材の育成に向けた取り組みについて伺いたいと思います。
私はこれまで、一般質問でもお話をいたしましたけれども、中国と日本の学校長や教員、生徒間の交流を支援してまいりました。つい最近ですが、十月二十九日から十一月三日までの間、中華人民共和国の政府の招聘によりまして、十の都立高校、そして、九つの都内の私立中学、高等学校長の校長先生が訪中をいたしました。北京市内の中学校長、向こうでは高級中学校というんですけれども、その校長らと交流をして帰ってきたということでございます。
大変に有意義であって、大変な歓迎を受けた。ちょうど総理が訪中された後でもありましたので、その総理の姿勢に対しても高い評価が寄せられたようでございますが、こうしたレポートを拝見いたしました。
また、この参加した学校の中で、既に都立高校六校、私学五校の十一校が北京市内の学校との姉妹友好学校というか、締結に向けて具体的な準備をしているというふうにも聞いております。こうした海外の学校との交流は、グローバル人材の育成を行っている各学校にとって非常に有意義な取り組みであると思います。
さて、こうした国際交流の取り組みの一つにJETプログラムがございます。JETプログラムとは、外国の青年を招聘しまして、地域レベルの国際交流の進展や語学教育の充実を図ることを目的とした世界最大規模の人的交流プログラムでありまして、世界各国からこれまで約六万人を超える青年が、このJETで来日をしております。日本全国の学校で外国語を教えたり、地域における国際交流活動に携わることによりまして、地域の住民とさまざまな形で交流を深めておられます。我が党は一貫して、このJETプログラムの活用を推進し、支援をしてまいりました。
都は、平成二十七年度から、このJETプログラムのうち、外国語指導助手、ALTを活用する私立中学校、高等学校等に対しまして、その雇用経費の一部を補助する事業を開始しております。当然のことですけれども、生徒たちの国際感覚を醸成するためには、本人が海外へ留学することが非常に有意義な選択肢の一つでありますけれども、都は、生徒たちが海外に留学する際の費用への補助も、先ほどお話もありましたが、行っておりますが、しかしながら、留学となると、やはりお金も時間も非常にかかるため、こうした補助事業があってもなかなか利用できない生徒も多いと聞いております。そうした中で、海外へ留学しなくても国際感覚の醸成が図れる外国語指導助手、ALTの活用は非常に有効な取り組みであると考えております。
そこで、この私立学校外国語指導助手活用事業費補助、ちょっと長いですけれども、これについて伺いたいと思います。
まず、私立学校外国語指導助手活用事業費補助の概要について伺いたいと思います。
○金子私学部長 本事業は、JETプログラムによる外国語指導助手を受け入れる私立中学校、高等学校に対し、給料、通勤手当、渡航費用などの雇用経費を補助するものでございます。
また、公益財団法人東京都私学財団におきまして、来日後の住居あっせんや指導力向上研修などを行っているところでございます。
○斉藤(や)委員 東京の私立中学校百八十八校ですか、高等学校が二百三十七校で活用されていて、約二十五万人が学んでいるというふうに伺いました。この制度が多くの学校で活用されることによりまして、海外留学ができない場合でも、語学力の向上や国際感覚の醸成に資するものであると評価したいと思います。
このプログラムが始まってから、多くのALTが来日されまして、多くの生徒たちの指導に当たってこられたと思いますが、そこで、私立学校外国語指導助手活用事業費補助の実績について、簡単に伺いたいと思います。
○金子私学部長 平成二十九年度までに、三年間で延べ四百六十四人の外国語指導助手を受け入れております。
○斉藤(や)委員 この四百六十四名が多いと考えるか、もっともっとと考えるか、さまざまございますけれども、まずはとにかく多くの学校で、生徒がALT、外国語指導助手と交流をしていることは、日々の学校生活の中で外国語に触れる機会がふえるだけでなくて、異文化への理解が深まるなど、国際感覚の醸成に寄与するものであると、非常に効果が高い取り組みであると思います。
今後もこの制度が有効に活用されることを希望したいと思います。
都は本事業のほかにも、先ほど他の委員からも、鳥居委員からもお話ございましたが、海外留学に参加する高校生への支援事業である私立高等学校海外留学推進補助や、生徒の英語力向上のために外部検定試験を行う高校に試験料相当額を補助する私立高等学校外部検定試験料補助、こういった補助も実施しているところです。私立学校からは大変喜ばれている補助事業でございます。
一方で、自分の学校の教員を海外に派遣した場合の経費の一部を補助する制度もつくっておられます。私立学校教員海外派遣研修事業費補助という補助制度なんですが、英語科のみならず、国社数理というほかの学科を加えまして、五教科に拡充するなど工夫をして、グローバル人材の育成に資する私立学校の取り組みに対する支援を行っているところは、私も認識しているところでございます。
なかなか活用が難しいという現場の声がございます。私学の場合は、派遣中の教員の補充が難しいということですね。この補充教員の確保を支援してほしいという声を伺っております。ぜひとも、今後ともこうした取り組みを継続、発展させていただきたいと要望をして、きょうはこのテーマを終わりたいと思います。
最後のテーマでございます。簡単に文化について一点だけ、アール・ブリュットについてお伺いをしたいわけであります。
ことしは、日仏外交樹立百六十周年、維新百五十年とありますが、その十年前に日仏外交が樹立されております。百六十周年に当たる本年、芸術の都パリと東京都が、Tokyo Tokyo FESTIVALの一環としまして、パリ東京文化タンデム二〇一八、これは秋と冬のプログラムということで、今、開催をされているところだと思います。これは、ことしの九月八日から来年の三月十日までの期間で開催されるプログラムであります。
第一回定例会での文教委員会の質疑、いろいろ見てみますと、同僚議員の高倉委員から、その意義やアール・ブリュット展について質疑があったところであります。私からもこの点、ちょっと触れておきたいと思うんです。
アール・ブリュットについてです。パリでは、アール・ブリュット・ジャポネ・ドゥー、パリの市内のパリ市立アル・サン・ピエール美術館でジャポネ・ドゥー、二回目の展示会が開催中だと聞いております。
二回目の展覧会ということになっておりますが、アール・ブリュット発祥の地のヨーロッパで、日本のアール・ブリュットが高い評価を受けているというふうに伺っています。
そこでまず、このアール・ブリュットについて、東京都の認識について伺いたいと思います。
○久故文化総合調整担当部長 アール・ブリュットは、美術の専門教育を受けていない人が自身の内側からあふれ出る衝動を独自の発想と方法で表現したものであり、年齢や障害の有無、国籍や文化の違いなどにかかわらず、幅広い作家が担い手となりまして、アール・ブリュットを形成していると考えてございます。
○斉藤(や)委員 障害の有無に関係なくとのことですね。日本のアール・ブリュットは、障害のある方が作者として多く参加されておりますので、障害のある方の作品という印象も受けるんですが、障害の有無には関係なく、広く外国人とかさまざまな方々が、正規の教育を受けていないんだけれども、気のままに、そういった作品をつくることがアール・ブリュットの真髄であるということでございます。
それでは、東京では現在、どんな取り組みをしているか、取り組み状況を伺いたいと思います。
○久故文化総合調整担当部長 都は、渋谷の施設をアール・ブリュットを初めとしたさまざまな作品の展示、ワークショップなどの交流事業の実施の拠点としてまいりますが、現在、平成三十一年度、来年度のグランドオープンに向け改修中でございます。
改修期間中の今年度は、四谷、八王子、池袋の三つの会場での展覧会の開催のほか、さまざまな機会を捉えた普及啓発活動を実施しているところでございます。
○斉藤(や)委員 質問自体は以上で終わりたいと思うんですが、今ご紹介があった、都内におけるアール・ブリュットの拠点、渋谷の公園通りギャラリーということで、今ちょっと改修中ということです。本年四月から改修工事に入っていて休館をしていると。再オープンは来年度中ということで、新しい拠点が今から楽しみでございます。龍円さんの渋谷でございますね。
アール・ブリュット・ジャポネ・ドゥーは、日本のアール・ブリュットを代表する作家であり、二〇一三年のヴェネツィア・ビエンナーレでも称賛された澤田真一氏の新作、新しい作品も展示されていると伺っております。
このアール・ブリュット・ジャポネ・ドゥー、アル・サン・ピエール美術館で最初に開催された二〇一〇年のことでありますが、本当に日本のアール・ブリュットのレベルが大変高い評価を受けている。日本では障害のある方のアート展、障害者アート展という形でも、違った意味でさまざま作品展が開催されていて、私は、それもしっかり応援をしてまいりたいと思いますけれども、そうしたものとまた違う流れで今、あえてこのアール・ブリュットについて確認をしたわけです。
障害の有無とは関係ないということを確認をさせていただいたのは理由がございます。せっかく高い評価を得た日本のアール・ブリュット展を楽しみに海外から、ヨーロッパからお客様が来たときに、アール・ブリュットと掲げてあって、実際は違ったりすると、理解がないんだというふうに逆に思われてしまう、それはとても残念なことになりますので、できれば日本におけるアール・ブリュットの理解を、しっかりと認識を普及しつつ、その展示の質というものも高めていく努力も、いよいよ次のステージが始まっていると思うんですが、必要じゃないかなと思ったものですから、最後に一点だけ文化について触れさせていただきました。
私の質問は以上でございます。
○星見委員 それでは私からは、東京都の平和祈念館の保管資料について質問いたします。
東京大空襲など、東京で戦争の記憶、そして記録、これをとどめて次世代に戦争の惨禍を受け継ぐために建設を目指していました東京都平和祈念館は、一九九九年、東京都が二〇〇〇年度予算に計上しましたが、一九九九年三月の都議会で付帯決議がついたまま、建設が凍結されています。
都は、平和祈念館の建設計画の中で都民からの戦災資料の提出を求め、五千点以上の資料を収集し、独自の証言ビデオも所有しています。庭園美術館に保管されていますが、戦後既に七十三年がたっており、収集資料の劣化が心配されます。
そこで、私は都議会の近くにあります総務省委託の平和祈念展示資料館を訪問し、戦争資料や遺品がどのように管理される必要があるのかを調査してきました。平和祈念展示資料館は、平成二十二年に旧独立行政法人平和祈念特別基金から資料を受け継ぎ、資料整理をしながら展示会等を開催しています。こうした取り組みの中での資料の整理や保管のあり方、苦労などを伺ってきました。
この調査で大切であると思われる点について幾つか、まず質問したいと思います。
初めに、現在保管されている庭園美術館の保管庫は、湿度や温度などを調整できる資料保管庫なのかどうかを伺います。
○樋渡文化振興部長 保管庫についてですけれども、湿度や温度の調整につきましては、美術館、博物館と同程度の装置は設置していないものの、温湿度に影響されやすい資料につきましては、すぐれた断熱性と調湿効果を持つ桐箱と、それから博物館などでも使用されている専用の保存用器の二重保管としているほか、除湿機とサーキュレーターを定期的に稼働させることで収蔵環境の安定を図っております。
あわせまして、定期的に専門業者による清掃を行うことによりまして、室内のほこりやちりを除去して資料の劣化要因を軽減させております。私どもはこうやって空襲資料の保全に取り組んでおるところでございます。
○星見委員 ここ数年、夏の猛暑や湿度がかなり高い異常気象といわれている状態が続いています。
収集した資料を適切に管理するためには、温度管理など設備が重要だというふうに聞いているんですけれども、この辺の改善、必要ではないでしょうか、この点はいかがお考えでしょうか。
○樋渡文化振興部長 先ほどもご答弁させていただきましたけれども、東京都では収蔵環境の安定化のためにさまざまな対策を投じておりまして、これからも空襲関連資料の保全に取り組んでまいりたいと思います。
○星見委員 温度管理と湿度の問題は、今、ちょうど夏でいうと三十五度から暑いときは三十七度になると。空調はあっても温度管理ができていないと、冬の温度と、それから夏の温度が大きく違う中で、資料にとってはいい環境ではないということになると思うんです。
それから、作業する学芸員にとっても、これは結構大変な事態かなと思うんです。なかなか、現在ある保管庫自身が、先ほどご答弁ありましたように、美術館や博物館と同じような装置は設置していないという状態ですから、何らかの改善をぜひ進めていただきたいと思います。
次に、所蔵資料の良好な保存を進めながら活用を図るためには、学芸員の専門性が重要であると思います。
現在、非常勤配置なんですけれども、総合的に施策を進めるために常勤配置など、適切な体制をとるべきではないかと思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○樋渡文化振興部長 空襲関連資料を良好な状態に保存、整理し、活用を図っていくためには、専門知識を有しました職員の配置が不可欠でございます。
このため、都では、学芸員の資格を有しました専任の非常勤職員を雇用しまして、一括して空襲関連資料の整理に従事していただき、更新等により職員の交代などがあった場合におきましても、確実に事務引き継ぎなどを行うよう、適切に対処してまいりました。
今後も、専門知識を有する学芸員を配置することによりまして、空襲関連資料の保存、活用に努めてまいります。
○星見委員 先ほど紹介しました平和祈念展示資料館では、常勤で数人の学芸員を置いて資料整理に当たっているという話をお聞きしました。それでも実際には足りない状況で、学芸員が調査や資料整理、企画など、新しい取り組みを次々と進めているとお聞きしました。
安定的に資料を保管、研究できる体制を強化するという意味でも、しっかりと常勤職にして、高い専門性を発揮できる労働環境が必要なのではないかと思います。
現在、非常勤職員の学芸員さんなんですけれども、今後、単年度職員に変わる可能性等も制度上は残っており、学芸員自身がしっかりと資料に精通して、またこの間、既に祈念館としてつくるところから集めた資料自身も長期保管されているという実態がありますので、しっかりできるという体制、ぜひ確保していただきたいと思います。
それから、続いてなんですけれども、次に、保存資料の活用について伺います。
資料の整理では、まず資料カードをつくり、これに基づくデータベースをつくることがまず一番最初に行われなければならない資料だというふうに伺ってまいりました。
都が寄贈を受けた平和祈念館建設用の資料収集では、どこまでデータベース化が作業として行われているのか、伺います。
○樋渡文化振興部長 都では、東京空襲関連資料につきまして、資料名や概要、寄贈者などにつきましてデータベース化を行っているところでございます。
○星見委員 このデータベース化というのが一つ一つの資料を照合し、今お話がありましたように、どこで、誰が、どのような経過で、この資料をお持ちになってきたかということを、それを一つ一つつくり込んでいくというのが、まずその資料をしっかりと受け継ぐための土台であるというふうに聞いてまいりました。
そういう意味では、きょう、お答えの中で、データベース化ができているということが確認できたことは、とてもよいことだと思います。
この内容をさらに整理すると、さまざまな活用が図られる可能性があるのではないでしょうか。
広島市の広島平和記念資料館は、資料を平和データベースとしてネット公開を行っています。
これは誰でもアクセスすると見ることができまして、私もいろいろな資料をネット上からデータベースへアクセスして見てみました。資料名、受け入れ年月日や寄贈者、地域など、そして、何といっても資料にまつわる当時のエピソードが丁寧に紹介されている、本当にネットで画像を見るというだけではなくて、生きた資料としてよくわかるデータベースになっているなと感心をいたしました。
東京都の平和祈念館が建設されるめどが残念ながらまだ立っていません。こういう中で、収集資料を研究、整理し、多岐にわたる活用方法を検討すべきではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
○樋渡文化振興部長 都は、平和祈念館の建設が凍結された後、収集した資料を活用し、毎年三月十日の東京都平和の日に合わせ、都内で空襲資料展を開催するとともに、区市町村主催の資料展へ貸し出しも行っているところでございます。
今後もより多くの方に資料を見てもらえますよう、開催場所の確保や広報の充実などに努めてまいりたいと思います。
○星見委員 都がこれまで、昨年もそれぞれの市区町村と協力しながら、平和の日以外にも地域でさまざまな平和展に資料を貸し出していることは評価できると思うんです。
ただ、資料自身がだんだん古くなってくる中で、貸し出すことができないという資料もたくさんあるかと思うんですね。ぜひそういうものは、現在データベース化しているものを外からアクセスできるような形などで活用できる工夫もしていただきたいと思います。
そしてもう一つ、都が所有している資料の中に、戦争で被災した三百三十名の証言ビデオがあります。第二次世界大戦での戦争体験を証言している資料としては、国内では他にないといわれる貴重なものだといわれております。証言の中には、リンゴの唄で知られる歌手の並木路子さんなど、著名な方も証言されていると聞いております。
現在、東京空襲資料展での公開を同意した九名分のみが活用されていますが、さらに活用を広げるべきだと思います。既に故人になっている方については遺族の同意をとることや、消息不明や遺族不明の場合は公示送達を利用するなどして、証言ビデオの公開を進めるべきだと思いますが、こうした活用を広げる点についてはいかがでしょうか。
○樋渡文化振興部長 都で所有している証言ビデオは、平和祈念館で展示することを前提として作成したものでございます。平和祈念館の建設が凍結された後も一定の基準を設けまして活用する必要があることから、改めて証言者の同意を得た上で、都が主催する空襲資料展などで上映するためのダイジェスト版を作成し、東京空襲資料展で上映するなど、活用しております。
現在公開していない証言ビデオの活用につきましてですけれども、証言ビデオ作成などの経緯を踏まえながら、適切に対処してまいりたいと思います。
○星見委員 この三百三十名の証言ビデオのうち九名分が現在活用されているということで、そのほかの皆さんからの同意をとったことがあるのかどうか、一度調べてみましたが、同意をとったことがあるかどうかが不明だという状態だというふうにお聞きしています。
この機にぜひ--亡くなっている方もいらっしゃいます、それから、行方不明の方、その他もあると思います。私が先ほど申しました平和祈念展示資料館もたくさんのビデオを持っておりまして、同じような状態になっていたのを一つ一つ確認をとりながら、最後、どうしてもたどり着くことができなかった皆さんの分については、そもそも、やはりビデオとして提供していただいた初心に立ち返って使わせてもらうということで、公示送達という作業をして、そういうビデオについても使えるものは使っているというお話を伺いました。
ぜひその辺も工夫をして、検討いただければなと思います。二度と戦争を繰り返してはならない、つらい思いを振り切って証言していただいた映像だと思うんです。
戦後七十三年となり、戦争を知らない世代が多数になる中で、平和の願いを次代に受け継ぐという意味では貴重なものだと思います。さまざまな自治体が、戦後七十年目で空襲などの戦争体験証言集やDVDの作成が行われているのが今回調べてわかりました。
東京都でも都民平和アピールで述べている立場から、都民や次代を担う若者たちが利用できるよう証言ビデオのDVDを作成するとか、アーカイブで貸し出し等々を広げるなど、ぜひ検討していただきたいと思いますが、その点ではいかがでしょうか。
○樋渡文化振興部長 繰り返しになりますけれども、東京都で所有している証言ビデオは、平和祈念館で展示することを前提として作成したものでございます。
また、現在公開しています証言者九名のダイジェスト版につきましても、都が主催する東京空襲資料展におきまして公開することを前提とし、作成したものでありますことから、DVDを作成してアーカイブや貸し出しすることは、今のところは予定していないところでございます。
○星見委員 ぜひ、新しい一歩を踏み出す意味でも、やれることはないのか、検討していただきたいと思います。
次にお聞きしたいのが、東京都は東京大空襲の三月十日を東京都平和の日と定め、毎年平和の日記念式典を開催しています。この中で必ず紹介されるのが、東京都民平和アピールです。この中には、平和は、何物にもまさって全ての基礎をなす条件です、日本国憲法が基本理念とする恒久平和は、私たち全ての願いであり、人類共通の目標です、私たちは、軍縮と核兵器の廃絶を機会あるごとに強く訴え、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓います、日々の生活において、平和を脅かす問題に毅然として立ち向かい、忍耐強く取り組むことを決意します、この文が入っておりまして、世界に向かって高く発信できる内容だと思います。
東京二〇二〇大会は、オリンピズムの基本原則である人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すことを位置づけています。この東京都民の平和の思いを体現化した東京都民平和アピールを紹介しながら、東京大空襲の戦災資料と証言をぜひ公開してはいかがでしょうか。
現在活用している九人の証言ビデオについては、英語や中国語、ハングル語など翻訳をつけたものを作成して海外の方々にも理解できるようにする、こうした新しい取り組みをしてはいかがかと思いますが、ご見解を伺います。
○樋渡文化振興部長 都では、東京都平和の日記念行事報告書を毎年作成しまして、東京都平和の日記念式典や東京空襲資料展などの実施状況とともに、東京都民平和アピールを全文掲載しております。
この報告書を区市町村の平和事業担当部署や教育委員会、国会図書館及び都立図書館などに配布するとともに、東京都ホームページにも掲載することにより、東京都民平和アピールの周知を図っております。
また、証言ビデオの翻訳につきましては、ニュアンスの表現の正確さなどの問題があることから、慎重に検討すべき今後の課題と認識しております。
○星見委員 今後の検討課題ということですけれども、オリンピックに向かって、やっぱり都民の平和の思い、ぜひ、今持っている貴重な財産を使って、発信していただければなと思います。
先日、私は、東京空襲を記録する会の一員として、また東京都平和祈念館(仮称)建設委員会の委員としても役割を果たした橋本代志子さんが、二〇一六年四月一日に亡くなられていたのを知りました。東京大空襲・戦災資料センターの証言コーナーで証言を映像で公表してきた橋本さんは、大空襲の夜に、ごうごうと燃える炎の中で、一歳の息子さんを抱いて飛び込んだ川の冷たさ、父母も姉妹も一夜で亡くし、翌日、おびただしい死体の中で、悲しみも驚きも感じなくなったことなどを、繰り返し、最後の最後まで東京大空襲の体験を後世に語り継ぐことをご自分の使命と考えておられたそうです。
東京大空襲では、一夜で十万人を超える人が亡くなりました。都の庭園美術館には、こうした思いを持っている皆さんの資料が五千点、そして、先ほどいいましたように三百三十人分の証言があります。つらい体験の中から、二度と戦争を起こさないという平和の願いから、この平和祈念館建設のために寄せられた貴重な資料や映像であるということを東京都にはぜひ強く受けとめていただきまして、保存の改善や今後活用を進めることを強く要望します。
また、加えて私も、凍結されています平和祈念館の建設のために力を尽くすことを表明して、質問を終わります。
○福島委員 まず、消費生活問題に関して質問をいたします。
成年年齢が二〇二二年四月から、現行の二十から十八歳に引き下げられます。若い人ほど他人を信じやすく、また、断ることができないにもかかわらず、この消費生活問題への関心が相対的に低いといわれています。
悪質な事業者が社会経験の乏しい十八歳を狙ってくる可能性が高いといわれていますが、東京都消費生活基本計画によれば、二十九歳以下の関心のある消費生活問題は、インターネット、スマートフォンなど通信に関するトラブルであり、ほかの年代に比較して二十九歳以下に多いのは、マルチまがい商法といわれています。
これらの被害額の分布を伺います。
○吉村消費生活部長 平成二十九年度に都内の消費生活センターに寄せられた二十歳代の相談のうち、インターネット、スマートフォン等を利用して商品、サービスの契約を行う電子商取引の相談は三千五百六十一件でした。
主な相談内容は、お試し価格の商品を頼んだら定期購入の契約だったという通信販売トラブルや、モバイルデータサービスの契約をしたが、利用料金の口座引き落としができなかったため強制的に解約され、違約金を請求されたといった通信契約トラブルなどでございます。
契約額を見ると十万円未満が最も多く約七〇%、次いで十万円以上三十万円未満が約二〇%となっており、三十万円未満の契約で約九割を占めております。
マルチ商法に関する相談件数は七百二十一件であり、主な相談内容は、先輩から投資用ソフトが入った高額なUSBメモリーを購入するよう勧められ、さらに人を紹介するとマージンが入ると勧誘されたといったものでございます。
契約額を見ると、十万円以上三十万円未満が最も多く約三〇%、次いで、五十万円以上百万円未満が約二五%となっております。
○福島委員 ありがとうございます。いずれも高齢者の消費生活問題の被害の額に比較すれば低額とはいえ、若者が社会に出るタイミングでこのような負債を負うのを防ぐのは、社会の役割だと考えます。
東京都消費生活基本計画によれば、全世代について調査した結果、東京都に取り組んでほしい消費生活問題対策は、悪質事業者の取り締まりの強化というふうになっています。
若者の消費者被害が多い商法等に関する事業者の摘発状況を伺います。
○吉村消費生活部長 東京都において、若者が消費者被害に遭いやすい手口として、マルチ商法やアポイントメントセールスが挙げられます。いずれもSNSでのやりとりをきっかけに勧誘される例が多くなっております。
アポイントメントセールスでは、最近は特に歌手や俳優のオーディションをうたって呼び出した消費者に、オーディション後、突然高額なレッスン受講契約を勧誘するオーディション商法と呼ばれる手口が急増しております。
都では、こうした悪質な事業者に対する行政処分として、マルチ商法に関しては、平成二十七年度には健康食品等の販売事業者に対して、二十八年度には旅行やリゾートなどの会員権を販売する事業者に対して、それぞれ業務停止命令を出しております。
また、オーディション商法については、平成二十九年度に一件、今年度に二件の業務停止命令を出しております。
○福島委員 ありがとうございます。これも東京都消費生活基本計画によれば、平成二十八年度のマルチまがい商法の相談件数は、二十九歳以下で七百二十五件にも上っているのに対し、このオーディション商法に関連して摘発したある一業者に関する平成三十年度の相談件数は、全世代合算で十件にすぎません。ほかの類似業者への警告効果が見込まれるとはいえ、より広範な摘発に取り組んでいただけるようお願いいたします。
消費者教育を行う場として重要だと思うものに関しては、全世代、特に若い世代において、小中学校、高等学校、そして家庭の割合が高くなっています。
そこで、東京都消費生活対策審議会の第二回総会、諮問事項検討のための資料で紹介されている若者向けの消費者教育用コンテンツを見せていただきました。小学生向け、中学生向け、高校生向けとあるんですけれども、この中では、中学生向けの「カートくんの買い物なびげ~しょん」では、消費の際に考慮するべき環境的な配慮や社会的弱者への配慮について扱われていました。これは私が考える消費者教育のイメージに近い内容となっております。
というのも、平成二十年の国民生活白書、国民生活白書というのは平成二十年を最後に報告されていないので、やや古いんですけれども、この消費者市民社会への展望というものでは、消費をする力、すなわち消費者力の国際比較を行っています。
この中では、日本の消費者は価格に関する消費者力が四六%というふうに突出しているのに対し、比較対照のノルウェーでは経済金融に関する消費者力が二三%、環境倫理に関する消費者力が二四%と、消費するに当たっての価格以外の事項を考慮しているということがわかっています。
また、消費者力が高くなる要素というのも調べていて、年齢が低いとか個人年収が高いとか高学歴であるなどに加えて、事業者の環境問題への取り組みや、法令遵守の状況などの要素も考慮した消費行動をみずからが行うことで社会が変わると考えるとか、商品の購入の際に環境に配慮した商品であるかどうかを確認する、こういうことが消費力が高くなる要素というふうに挙げられています。
一方、消費者力に必ずしも影響を与えるものではない要素として、過去一年間に消費者被害や振り込め詐欺による被害を受けた、これは余り消費者力には関係ないと。あとは、残念ながら消費者教育を受けたことがある、これも消費者力には関係ないという結果が得られています。
つまり、このような調査結果を踏まえると、おのずから教育のあるべき姿が見えてきます。すなわち、消費者被害にフォーカスした対症療法的な教育ではなくて、消費の際に考えるべき事柄を幅広く学ぶことができれば、例えば先ほどのマルチ商法で勧められる内容が、これおかしいんじゃないかと考えたりとか、インターネット通信関係のトラブルに巻き込まれたときに、これはやっぱり事業者の方におかしなことがあるのではないかということをみずから気づくことができるというふうに考えられます。
よって、消費も社会参加の一部であり、複雑で多面的な社会において消費者として生きるために必要な洞察力を身につけるために、消費にかかわる環境、そして社会的影響に配慮する、先ほどから挙がっていますけれども、エシカル消費はもちろんのこと、金融の仕組みを含めた本質的な教育を行っていく必要があると考えますが、見解を伺います。
○吉村消費生活部長 これまで都は、被害に遭わない消費者や自立した消費者の育成という視点のみならず、環境教育、金融経済教育など、消費生活関連の分野についても事業者団体など関係団体と連携を図りながら、消費者教育に取り組んでまいりました。
今後は、さらに消費者がみずからの消費行動を通じて、持続可能な社会の形成に貢献していくことなど、消費行動の変革を促す視点も必要であることから、本年三月に改定した東京都消費生活基本計画では、新たな取り組みとして、エシカル消費の理念の普及を盛り込みました。
今後とも、本計画に基づき、効果的な消費者教育の推進に取り組んでまいります。
○福島委員 ありがとうございます。繰り返しになりますが、対症療法的な教育ではなくて、本質的な教育にしっかり取り組んでいただきたいと思います。
では、次に、高齢者の消費者被害防止のための見守りネットワークのつくり方と進捗に関して伺います。
○吉村消費生活部長 高齢者の消費者被害の早期発見には、地域における見守りが有効でございます。区市町村においては、介護事業者などが参加する高齢者福祉部門の見守りネットワークに消費者被害防止の視点を取り入れ、構築を進めるケースが多くなっておりますが、消費生活部門において構築するケースもあるなど、地域の実情に応じてさまざまな形態がとられております。
都では、こうした見守りネットワークの構築に取り組む区市町村への支援を行っております。
具体的には、介護事業者等を対象に、消費者被害発見のノウハウを提供する出前講座の実施により、地域で見守りを行う人材の育成を支援するほか、他の自治体における見守りの取り組みの好事例をもとに、それぞれの自治体の実情に応じたきめ細かな支援を行うモデル事業などを実施しております。
都がことしの夏に実施した調査では、二十三自治体において見守りネットワークが構築されております。
○福島委員 見守りネットワークの構築は非常に大切だと思いますが、高齢者福祉部門の見守りネットワークに追加するというご説明がありましたけれども、実は、既に何らかのネットワークに所属している人というのは、ふだんから情報も届き、相談相手もいて、被害に遭いにくいというふうにいわれています。
被害に遭う人はネットワークに所属しておらず、ふだんから地域での交流が乏しい場合が多く、地元世田谷区でも、特殊詐欺対策として有効な録音機の配布に関する情報は、町会、自治会経由で回覧されており、本来届けたい人に届けられていないという課題があるというふうに伺っております。
そこで、既存のコミュニティベースのネットワーク形成では、本来、見守りが必要な人を見守ることができないのではないかと考えますが、これについて見解を伺います。
○吉村消費生活部長 高齢者の見守りネットワークは、行政機関を初め介護事業者、NPO法人、町会、自治会、金融機関や郵便局、新聞販売店等の民間事業者など、地域の実情に応じ、さまざまな関係団体から構成されておりますが、見守りネットワークでカバーできない高齢者や、ネットワークが構築されていない区市町村の高齢者に対しても、悪質事業者の手口等について注意喚起を行っていくことが重要でございます。
このため、都では、宅配業務等で自宅に訪問する民間事業者や生活協同組合と連携し、新手の手口や身近な消費生活相談窓口につながる消費者ホットライン一八八などを紹介する啓発リーフレットを、高齢者世帯等に声かけをしながら直接手渡しする取り組みを実施しております。
また、広域的な観点から、消費生活総合情報誌、東京くらしねっとやホームページ、東京くらしWEB、東京都提供広報番組など、さまざまな媒体を通じた注意喚起を行っているほか、高齢者被害防止キャンペーンのリーフレットなどを区市町村を通じて広く配布し、高齢者や高齢者を見守る支援者などに向けて普及啓発を行い、高齢者の被害防止に取り組んでおります。
○福島委員 ありがとうございます。生協などと連携しながら、高齢者世帯などに声かけをしながら直接手渡しをする活動をされているということですが、これは実際、どの程度、毎年されているのか、教えてください。
○吉村消費生活部長 高齢者世帯等に声かけをしながら注意喚起のリーフレットを配布する悪質商法注意喚起プロジェクトは、平成二十七年度から直接高齢者の自宅に伺う機会のある事業者と連携して実施しております。
今年度は、宅配事業者や生活協同組合、弁当などの配食事業者、飲料宅配事業者、ライフライン事業者にご協力いただき、現在、都内全域で十六万部のリーフレットを配布しているところでございます。
昨年度の取り組みでは、高齢者から、いつも配達してくれる配達員から手渡されると、余計に気をつけようと思うといった声や、事業者から、地域の方と話す機会ができてよかった、地域の安全に貢献できるため、やりがいを感じるといった声が寄せられております。
○福島委員 ありがとうございます。民間の宅配業者など、その地域のネットワークほどではないんですけれども、民間にある関係を生かしまして、そういうきちんとパンフレットを渡す取り組みをしていただいているということで、評価したいと思います。丁寧に取り組んでいっていただきたいと思います。
消費者被害に関する質問としては最後に、消費生活部が消費者被害対策として非常にさまざまな施策を行っておられます。
例えば、ウエブ広報や消費者教育、DVD、冊子、リーフレット、ウエブ版消費者読本や消費者教育講座、出前講座、出前寄席などの有効性をどのような手法で評価しているかを伺います。
○吉村消費生活部長 都では、東京都消費生活基本計画に基づき、消費者被害対策を含む消費生活に関連する施策を推進しております。
計画における各施策、事業については、学識経験者や消費者団体、事業者団体等で構成される東京都消費生活対策審議会及び審議会の部会である東京都消費者教育推進協議会に毎年度事業実績を報告することとしております。
消費者被害防止の取り組みについては、不適正な取引行為を行う事業者に対する指導、処分等の件数や消費者教育の実績、注意喚起を初めとした消費生活関連情報の発信、消費者被害防止のためのキャンペーンの実績などの報告を行い、取り組みが効果的に実施されているか、評価をいただいております。
このほか、消費生活講座や出前講座などについては、開催の都度、参加者にアンケート調査を実施するとともに、消費者教育教材については、学校や区市町村への送付に合わせてアンケート調査を実施するなど、実際に教材を利用していただいている教員の声も聞いております。
こうした審議会での評価や意見、アンケート結果などを踏まえ、施策に反映をしております。
○福島委員 ありがとうございます。審議会とその審議会の部会での評価、そのときも実績を踏まえてということなんですけれども、私は、これは別に、各局にどこでもいっているんですけれども、やっぱりデータに基づいた政策立案、EBPMの観点からは、この専門家の声というのは、エビデンスのレベルとしては最も低いというふうにいわれています。四段階あって四番目なんです。
例えば、このようにたくさんやっている啓発活動のうち、どれが本当に被害防止に役立っているのか、例えば、講座を開催した地域と開催しなかった地域で差があるのか こういうお話をすると、必ず複数の要因があるから難しいというご説明を受けるんですけれども、実はこの複数の要因をきちんと切り分けられるのが統計処理です。交互作用があるかないかということをきちんと見ることができるので、できるだけこの施策の有効性を、データを用いて検証していくことを要望して、次の質問に移ります。
次は、地域コミュニティの形成、もしくは町会、自治会の支援についてご質問させていただきます。
少子高齢化、そして税の減収が見込まれる中、今まで同様の行政サービスを維持することは難しく、地域防災力、まちづくりの向上には、地域にかかわる人を今以上にふやす必要がある、このように考えています。
そこで、東京都は、地域の底力発展事業として、町会、自治会を支援する事業を行っていますが、その意義を確認させていただきます。
○山本都民生活部長 少子高齢化や首都直下地震など、東京が抱えるさまざまな課題解決には、自助、公助に加え、共助の取り組みが重要であります。都民が互いに支え合う共助社会を実現していく必要がございます。
そのためには、地域における共助の中核を担う町会、自治会の活性化が重要であります。
一方で、町会、自治会は、高齢化等による活動の担い手不足や、経済的な基盤の脆弱さなど、活動を行っていく上でさまざまな課題を抱えております。
こうしたことから、町会、自治会が地域の課題解決に向けた積極的な取り組みが行えるよう、地域の底力発展事業助成を初めとする町会、自治会活動に対する支援策を実施しているところでございます。
○福島委員 議員になる前から、実はこの領域に関しては、私、興味を持っておりまして、そして現在、議員として、地域で町会、自治会とつき合う中で、私が課題だと考えているのは、若い世代の自治会、町会加入率の低さ、そして、担い手不足の問題です。
これは私の主観だけではなくて、総務省の今後の都市部におけるコミュニティのあり方に関する研究会の平成二十六年の報告書によれば、平成二十四年の時点で既に指摘されています。
以降は、地域の底力発展事業が地域の担い手の増加に寄与しているのかという観点で質問を続けさせていただきます。
地域の底力発展事業とその前身となる事業は、平成十九年から十二年間も継続しています。継続しているということは、事業の成果が上がっていると判断しているものと思います。この事業の成果をどのように評価しているのかを伺います。
○山本都民生活部長 地域の底力発展事業助成は、平成二十九年度までに延べ三千五百以上の町会、自治会に活用されており、事業効果については、町会、自治会活動の実態を踏まえ、幅広い視点で事業効果を把握するため、町会、自治会から提示される実績報告において、人材育成、新規加入促進、地域のつながりの強化などの五つの項目について報告をいただいております。
多くの町会、自治会からは、活動を担う人材育成につながった、町会、自治会活動に対する地域住民の関心が高まったなどの報告をいただいております。また、人材不足により中止していた交流イベントを助成の活用により復活することができたという事例もございました。
このように地域の底力発展事業助成は、地域の課題解決に向けた町会、自治会の積極的な活動の継続的な実施を支える重要な役割を担っていると考えております。
○福島委員 ありがとうございます。この事業の効果の把握の五項目のうちの一つに、新規加入促進が含まれているというご答弁でした。効果として、この新規加入促進が選択される割合と、この割合に関する見解を伺います。
○山本都民生活部長 平成二十八年度、平成二十九年度に助成を行いました千五件の実績報告について集計を行ったところ、新規加入促進は二十八年度が二七%、二十九年度が二五%となっており、新規加入促進についても一定の効果を上げているものと認識しております。
○福島委員 お調べいただき、ありがとうございます。実は、この新規加入促進以外の項目の選択される割合は四五から八五%というふうに伺っております。すなわち、新規加入促進が二七%とか二五%ということは、選択される割合が低く、相対的に難しい問題であるということがわかります。
逆にいえば、事業の効果としてこれを選択してくれた町会、自治会は、数字は把握しており、かつ他団体の参考になるような取り組みをしている可能性が高いというふうに考えます。
私は、平成三十年第一回定例会議において、地域共生社会を当初計画どおり二〇二五年までに実現するためには、地域を支える人材の現状と理想の姿を可能な限り定量的に捉え、関係する施策のPDCAをエビデンスベースで進める必要があるというふうに要望いたしました。
この地域の底力発展事業と、その前身となる事業の実績報告の五項目について、少なくとも新規加入促進については数字で把握するべきと考えますが、見解を伺います。
○山本都民生活部長 実績報告の先ほどの項目は、数値により事業効果を的確に把握することが難しいものも多くございますが、新規加入促進については、今後可能な範囲で新規加入者数での報告をいただけるよう、町会、自治会に呼びかけていくことを検討してまいります。
なお、これまで、町会、自治会からの要望を受け、手続の簡素化を図ってきましたことから、報告の方法は、町会、自治会の負担増にならないよう配慮していく必要があると考えております。
○福島委員 可能な範囲ではありますが、新規加入者数の報告をいただけるように、町会、自治会に呼びかけることを検討いただけるという前向きなご答弁をありがとうございます。
加入者数がきちんと伸びた事例に関しては、ぜひ具体的な取り組みについても情報収集していただき、今後に生かしていただきたいと考えます。
例えば、地域の担い手がふえない要因として、少しこれも古いんですけれども、平成十九年度国民生活白書、つながりが築く豊かな国民生活では、地域のつながりを持たない傾向にある賃貸共同住宅の住民が増加しているというふうにあり、近年の品川区の調査などでは、マンション居住者の加入率が低いことが報告されています。
私も地元で多くの方から、集合住宅に入居していると地域にかかわろうと思っても情報がそもそも得られないとか、それどころか入ろうとしても前例がないから断られてしまったという声も聞いています。私もちょっと、無理やり加入したんですけれども、今までマンション居住者に回覧したことはないんですといわれて、回覧のルートからは外れているんですけれども、書類だけは得られる、そういう状態です。
そこで、都は特に集合住宅の加入率が低い現状を把握しているのでしょうか、加えて、具体的な対策を伺います。
○山本都民生活部長 集合住宅入居世帯の町会、自治会の加入が進みにくいことについては、東京都町会連合会より伺っており、大きな課題の一つであると認識しております。
一方、幾つかの区市町村においては、集合住宅が新築される際に、町会、自治会が区市町村の協力を得て開発事業者との話し合いを持ち、事業者の協力のもと、入居時に町会、自治会に加入を促す取り組みが行われております。
また、こうした方策については、都は、東京都町会連合会等を通じて広く共有化を図っているところでございます。
このほか、地域の底力発展事業助成において加入促進のためのリーフレットの作成も支援しており、平成二十九年度からはプロボノプロジェクトにより、町会、自治会会員以外の住民を含めたアンケート調査や、町会、自治会会員以外にも活動情報を発信していくためのホームページの作成やSNSの活用の支援を行っているところでございます。
○福島委員 ありがとうございます。この十二年間継続している地域の底力発展事業に関して、実績報告などでできるだけ定量的かつ具体的な成果を収集し、今後の施策に生かしていただく努力をしていただきたいと思います。
例えば、現役時代に多くの時間を仕事に費やした場合、リタイアしてすぐに地域コミュニティにかかわることが難しいということはしばしば指摘されています。
既に、ある外資系企業では、地域課題を解決する経験が本業に役立つと考えて、社員が自主的に受け入れ可能なNPOのデータベースをつくったり、また、ある地方銀行では、退職前後の男性が地域の課題解決に取り組むネットワークに参加するきっかけをつくるイベントを開くなど、さまざまな取り組みが行われています。
このような町会、自治会以外が主体となって地域の支え手をふやす取り組みが生まれてきている中で、これらの町会、自治会以外が行う新しい取り組みが新規加入者の増加や支え手の育成に与える効果を定量的に把握し、効果が高いという場合は、これらの取り組みを支援する事業を設計するべきと考えますが、見解を伺います。
○山本都民生活部長 町会、自治会以外の団体の取り組みの事例といたしましては、町会、自治会関係者が町会、自治会とは別の活動を行う地域のボランティアグループを立ち上げ、そこに参加するメンバーが町会、自治会に関心を持ち、新規加入したという事例がございました。
町会、自治会以外の団体の取り組みが町会、自治会の新規加入につながる効果については、定量的に把握することは困難でございますが、引き続き、今のような新規加入につながる事例の把握に努めてまいります。
○福島委員 ありがとうございます。ぜひこの町会、自治会以外の組織の取り組みに関しても検討対象に加えていただき、状況把握の上、必要であれば施策を考えるということを検討していただきたいと思います。
次に、オリンピック・パラリンピックに絡んで、活動されたボランティアが地域の活動にどうかかわるかということに関しては、これまでの質疑に出ましたので、割愛させていただきます。
次に、平成三十年第一回定例会議の一般質問で、働き方改革や二〇二〇大会のボランティア育成などで、地域の再構築に向けた条件が整いつつある中で、来年度から都民の生活を支える新たな支援の仕組みなどを検討する機会と捉え、現役世代が地域活動に参加できるよう取り組みを強化するべきというふうに質疑しまして、来年度から地域活動へ現役世代の参加を促す方策につきまして、都民の活動を支援する新たな体制とあわせて検討するというご答弁を得ています。
そこで、この地域活動へ現役世代の参加を促す方策、都民の活動を支援する新たな体制の進捗を伺います。
○山本都民生活部長 新たな体制の検討については、平成三十年一月に策定されました実行プランの強化版、三つのシティーの実現に向けた強化において、共助社会づくり、多文化共生社会づくりを推進するための新たな体制を平成三十年度、三十一年度にかけて検討するとされております。
このうち共助社会づくりについては、ボランティア活動に関する専門性や、さまざまな団体とのネットワークを有する東京ボランティア・市民活動センターとの連携を図りながら、ボランティア活動の推進を図っていくという方向性を整理し、今後さらに検討を進めていくこととしております。
○福島委員 その東京ボランティア・市民活動センターですが、認知率が低いです。
利用した人の満足度が高いのに非常に残念ですが、この原因分析と対策を伺います。
○山本都民生活部長 東京ボランティア・市民活動センターは、東京都社会福祉協議会が運営するボランティア活動等に関する中間支援組織として、専門的な知識やノウハウを活用して、ボランティア団体や企業の社会貢献活動等を支援してございます。
都といたしましては、東京ボランティア・市民活動センターや同センターが開設しておりますボランティア情報サイト、ボラ市民ウェブについてさまざまな機会を通じて周知を行っているところでございますが、同センターの一般都民に対する広報活動が十分でなく、都の調査によりますと、その認知度は六%となっております。
今後、同センターと協議しつつ、広報力や認知度を向上させていくための方策について検討してまいります。
○福島委員 先ほど菅野副委員長の方から質問のありました、現役世代、女性、若者など、これまでと異なる層へのアプローチとして取り組んでいるちょいボラですが、これも認知率が七%にとどまり、しかも、対象とする若い世代での認知率が低いことがわかっています。
原因分析と対策を伺います。
○山本都民生活部長 都のボランティア活動等に関する実態調査によりますと、ボランティア活動に参加しなかった理由として、時間的な余裕がないというのが多くなっております。
こうしたことから、短時間から気軽にできるボランティア活動をちょいボラとして、ボランティア活動への参加割合が低い若い年代を中心に、その普及を図っているところでございます。
具体的には、文化スポーツ等の大規模イベントと連携したPRを行うことで、多くの来場者に対しちょいボラの周知を図っております。また、ちょいボラのPR動画を作成し、東京動画やユーチューブ等で配信していることにより、平成二十九年度は、動画の再生回数が百八十万回以上となったところでございます。
こうした取り組みにより、一定程度周知を図ることはできたというふうに考えておりますが、都の実態調査を行った時期が取り組みを開始して一年足らずということもあって、認知度は七%にとどまっているところでございます。
今後は、引き続きちょいボラの普及を図りながら、大学生や若い世代の社会人に向けては、大学や企業を通じたボランティア活動の推進にも取り組んでまいります。
○福島委員 現状、これらの新しい施策は、そう簡単にはいかないと思うんですけれども、認知率はまだ十分ではないということを、数字で把握していることは好ましいことだと思います。
二〇二〇大会を本当に契機として取り組んでいただきたいと思っているんですが、この都市ボランティアに五千名の地域から推薦されるボランティアの人を入れるという仕組みが、残念ながら生活文化局から提案されたものではない、オリ・パラ準備局の方で考えた政策だというふうに聞いています。
こういうことをぜひ本当に、この機を失わず提案していただきたかったというふうに考えるんですね。新しいこと、そして新規加入が難しいことは存じ上げていますが、ここを専門とする部署として、前向きに取り組んでいただきたいと思います。
事業継続に当たり課題を把握し、事業の是非、そして是とした場合の取り組みのブラッシュアップを継続していただきたいと思います。
最後に、次は、二〇二〇大会向けの文化プログラムに関して、一問ご質問をさせていただこうと思っていたんですけれども、既にご質問の中で答弁を得られておりますので割愛させていただき、質問を終わらせていただきます。
○とや委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後五時五十分休憩
午後六時十分開議
○とや委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○谷村委員 それでは、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの東京大会に向けた文化プログラム、文化振興への取り組みについて質問いたします。
オリンピック憲章には、スポーツ競技大会のみならず、文化プログラムの開催がうたわれております。このことを端的に表現する近代オリンピックの創立者、または開催の提唱者ともいわれますけれども、ピエール・ド・クーベルタン男爵の有名な言葉があります。都として文化振興を担っておられる生活文化局としての認識、スポーツと文化の位置づけにつきまして、もしご存じであれば、この有名なクーベルタンの言葉を引きながら、その意味に対するご認識をお伺いしたいと思います。
○樋渡文化振興部長 オリンピズムの根本原則ということでございますけれども、オリンピズムは、肉体と意志と精神の全ての資質を高めまして、バランスよく結合させる哲学であると書いてあります。それから、オリンピズムは、スポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求するものであるとなっております。その生き方は努力する喜び、よい規範にあることの教育的価値云々と書いてございます。
以上でございます。
○谷村委員 より丁寧にお答えいただき、ありがとうございます。直訳をすると、クーベルタンは、オリンピックはスポーツと芸術文化との結婚であると。当時の国際社会情勢も踏まえて、スポーツと芸術文化との結合、あるいは結晶、あるいは相互作用こそがオリンピックであり、平和な未来をつくるのであるという、こういう言葉を残しているわけですが、それほどオリンピックにおける文化プログラム、文化振興は重要な位置づけを担っております。
生活文化局も、オリ・パラ準備局ができるまでは、オリンピック招致実現まで生活文化スポーツ局という名称で事務事業を進めてこられました。そして、東京都スポーツ推進計画で取り組みの基本理念として、スポーツの力を全ての人にとして、誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しみ、スポーツの力で人と都市が活性化するスポーツ都市東京を実現するとしております。これは二回目となるオリンピック・パラリンピックの開催都市としては大変にすばらしい目標、スポーツ推進計画であると私は思っております。
これを文化振興に置きかえれば、生活文化局としてどういう位置づけで、どういう目標とする姿で文化振興を都民の皆様に発信しているのか、お尋ねをします。
○樋渡文化振興部長 オリンピック・パラリンピックを契機に、有形無形の文化レガシーをということでございますけれども、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックは、東京の芸術文化振興を飛躍的に推し進めて、東京を世界でも類を見ない独自性を持つ文化都市とする、大きなチャンスでございます。
そのために、この二〇二〇年東京大会において、これまでにない多彩な魅力的な文化プログラムを進めるということで取り組んでいくという方針でございます。
○谷村委員 そういうご説明だとさっぱり伝わってこないわけですね。生活文化局として、文化振興というものを都民の皆様にどういうふうに位置づけて、どういうふうにして発信していくのか。
このスポーツ振興計画では、誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しむことができる都市をつくりますといっているわけです。その文化振興について、わかりやすく都民にはどういう発信をされているのかということをお尋ねしているわけです。
○とや委員長 どなたになりますか。
○浜生活文化局長 二〇二〇年大会に向けて文化プログラムを行っていくことによりまして、その後のレガシーとして、東京都としては、平成二十九年の東京芸術文化評議会の議論で、方向性として、都民の芸術文化に触れる機会の増大、地域経済や観光の活性化、世界から芸術文化都市東京として評価、人材や芸術文化団体等の成長、芸術文化の力が社会課題の解決に貢献の五つが挙げられておりまして、東京都としては、この考え方に沿って文化施策に取り組んでいくこととしております。
○谷村委員 今のご説明ですと、全然、文化振興が身近に感じられないわけですよね、都民の皆様の日常生活において。
このスポーツ推進計画では、誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しめる都市をつくりますと。これは簡単な話ではないと思います。どういう世代の方も含めて、誰もがスポーツできるような都市をつくっていくということを、このスポーツの分野では発信をしているわけです。それに見合う文化の、日常的な都民の皆様にとっての文化振興というのが、あるいは文化と触れ合うものが、どういうものを提示しようとしているのかというものが全く見えていない。
このスポーツ推進計画を出したのは、オリンピック・パラリンピックが招致を実現して、それで、こういう、スポーツというものを生かした都市づくりをしましょう、人づくりをしましょう、まちづくりをしましょうといっているわけですけれども、その文化振興をじゃあどうするかという、スポーツと芸術文化の結合、結晶、これがオリンピックであるといって東京都は進めている割には、文化振興というのは完全に欠落しているようにしか受けとめられないんです。
もう少し都民の皆様の日常生活に触れられる文化振興というのをどういうふうに発信していくかというものを打ち出していくべきではないかと思いますけれども、今、打ち出せているものはないという認識でよろしいですか。
○樋渡文化振興部長 芸術文化を多くの都民とともにつくり上げるために、全ての都民が気軽に作品を創造、発表できる舞台や、都民相互の意見交換が可能な環境を日常の身近な場所やインターネット上につくっていくということで、SNS等を活用して多くの人が参加可能なコミュニケーション集団を構築するとか、いろいろなことを考えてございます。
一点だけ、文化プログラムの先駆けとしまして始めた、今、東京キャラバンというのがございます。それから、TURNという事業がございます。それから、多摩地域でも文化資源を活用して、伝統文化の魅力等を発信する伝承のたまてばこというのもやってございます。
そういう取り組みについて今、多くの方に東京の文化を魅力的に発信しているところでございますけれども、ただ、しかしながら、認知度が十分だとはいいがたいというのも意見がございますので、この秋から、いろいろプロモーションを始めて、裾野の拡大を図っていく段階だと思っております。
以上でございます。
○谷村委員 一応それで受けとめさせていただきたいと思いますけれども、全然、都民に、オリンピック・パラリンピックが開催されるから、東京都の文化振興事業というものが非常に身近に取り組んでくれているんだな、あるいは目標設定してくれているんだな、こういう姿になるんだなということをいっているというものを、私はもう少し発信していただくべきではないかと思っております。
次の質問に移りますけれども、現在、二〇二〇年の東京大会に向けて、文化プログラムを進めている主体と、その主な概要、そして、それぞれの進捗状況と予算規模についてご説明をお願いします。
○樋渡文化振興部長 東京都では、私どもの文化プログラムの考え方を整理しまして、平成二十八年の秋から、東京都、それから公益財団法人東京都歴史文化財団、それから東京都交響楽団、それらの事業を東京文化プログラムとして展開してございます。
それから、予算でございますけれども、平成三十年度文化プログラムにかける予算でございますけれども、五十億七千八百万余円でございます。
それからまた、三十一年度につきましては今、要求中でございますけれども、Tokyo Tokyo FESTIVALの推進としまして、五十五億四百八十四万円余りを要求しているところでございます。
○谷村委員 そういう意味ではなくて、東京都一つが事業主体ですよね。東京都以外にも事業主体として文化プログラムを進めておりますけれども、その状況をどのように把握されているのかという質問です。
○浜生活文化局長 二〇二〇年大会に向けました文化プログラムの実施につきましては、東京都でTokyo Tokyo FESTIVALと銘打って実施をしているほかに、組織委員会、それから国も取り組みをしておりまして、今、東京都と国で連絡会議も持ちまして、情報交換をしながら進めているところでございます。
○谷村委員 国でいくと文化庁になると思いますけれども、その組織委員会が進めている文化プログラムというのもなかなか見えてきませんけれども、文化庁が進めている文化プログラムというのは、他の四十六道府県でさまざまな取り組みをしたりしなかったりという話がありますけれども、この連絡会議をことしの四月でしょうか、立ち上げられたかと思いますけれども、現在、東京都の取り組みとは別に、文化庁の取り組みはどういうふうに進んでいるのか、あるいは組織委員会として、この文化プログラムがどういうふうに進んでいるのかというご認識はどうなっているかというお尋ね……。
○武市次長 文化プログラム連絡会議でございますが、おっしゃったとおり四月に立ち上げまして、今月、会合を持ったところでございます。
その際に、文化庁の取り組みは、日本博二〇二〇というのがありますよというような、ただ、やはり予算要求中ですので、詳しいことはないんですけれども、こういった大きなことを考えていますよということ、それから、内閣官房の方からは、ビヨンド二〇二〇という形で、全国と連携しながらさまざまな取り組みをやっているというお話がございました。
それから、組織委員会の方では、大きく四つの組織委員会として行うプログラムを考えているというお話がございまして、東京都の方からは、Tokyo Tokyo FESTIVALの状況をお話しさせていただいたところでございます。
○谷村委員 ありがとうございます。後ほど、ちょっとその件につきまして、また確認させていただきたいと思いますけれども、この文化プログラムというのは、ご存じだと思いますが、東京大会に向けて実施される期間というのは、いつスタートして、いつまでかということについて、改めてお尋ねをしたいと思います。
○樋渡文化振興部長 前回のリオデジャネイロのパラリンピックが終わってから、この二〇二〇年までの間を文化プログラムということで、今動いているところでございます。
○谷村委員 そうすると、もう既に四年のうち二年以上が文化プログラムが実施されて、スタートして、経過をしているわけですね。
その文化プログラムの状況がどうなっているのかということで、後でも取り上げますけれども、共同通信ニュースによりますと、これは昨年末の段階ですけれども、二〇二〇年東京五輪パラリンピックに向けて、大会関連行事として開催する文化プログラムに意欲を持つ市区町村が全体の二七%にとどまっているということが共同通信のアンケートでわかったと。この文化プログラムというのは、国内のどこでも開催でき、政府は地域活性化や観光客誘致につなげる好機と期待するが、全国に周知が行き届いていない実態が明らかになっていると。
全国市区町村というのは千七百四十一あるわけですけれども、この文化プログラムに関する質問に答えたのは千五百二十八市区町村にとどまっていると。すなわち二百十三の自治体は、この文化プログラムについて問いかけても、答えすら返ってこなかったということをいっているわけですけれども、この文化プログラムに関する質問に答えた千五百二十八市区町村のうち、やりますよ、頑張りますよという意欲を示したのは二七・三%に当たる四百十七市区町村。内訳は、取り組んでいるが七・七%、予定しているが一・五%、検討中というのが一八・一%だったと。残りは検討していない、これが回答した中でいくと七二・七%にもなっているわけであります。
こうした実態に対して、これは昨年末の話ですけれども、またその後のお話もさせていただきたいと思いますけれども、全国の文化プログラムというのがこういう状況にあるということについて、東京都として、あるいは生活文化局として、どのような認識をお持ちなのか、お尋ねをいたします。
○浜生活文化局長 東京都では今、東京の中でどのように文化プログラムを実施していくか、Tokyo Tokyo FESTIVALと銘打ってさまざまな取り組みを進めていくことを考えております。
その事業としては、東京都がみずから取り組むだけではなくて、民間の団体であるとか、それから地域で取り組まれている文化事業であるとか、それらを全て包括的に都民の皆様にご紹介をして、楽しんでいただけるような仕組みを考えていきたいと思っております。
○谷村委員 これは共同通信、昨年末の段階のものですけれども、この八月に毎日新聞が、五輪パラ文化プログラム熱意不足の原因はどこにということで、ごらんになっていると思いますが、社説で取り上げております。
その要因の一つが、実施主体が政府、大会組織委員会、都の三者に分かれていることだ、プログラム名やロゴマークもそれぞれ異なり、大会エンブレムや五輪の名称の使用にも制約があるため、どうしても一体感に欠ける、文化プログラムは開催都市だけでなく、地域や障害者の文化芸術活動を支援する側面もある、この四月には連絡会議が設置されたが、ムーブメントとして盛り上げていくには、今以上に緊密な連絡による精力的な取り組みが求められていると。
なので、先ほどお尋ねをしましたけれども、まだ国がどういうふうに取り組んでいるかという進捗状況だとか、あるいは組織委員会がこうしていくだとか、二年過ぎているわけですので、そういう状況については、東京都としてもまだ承知されていない、あるいは四月に設置されたんだと思いますけれども、初会合は十一月だったというご答弁ですよね。だから、もう無為に半年だあっと過ぎていて、二年間どおんと過ぎているわけです、この文化プログラムについて。
一体全体、今これ、熱意の不足はどこに原因があるかだとは思いますけれども、オリ・パラを開催するに当たって、スポーツの振興とか、それは予算でいけば圧倒的にスポーツが多いわけですけれども、そのもう片方の結婚相手である文化振興というのは、もう決定的に今、欠落をしているのではないか、このまま文化プログラムといい続けていくには、もう破綻しているのではないかと危惧せざるを得ないぐらいな状況にあるという危惧を私は持たざるを得ないわけであります。
これは同じ毎日新聞の社説でいっているわけですけれども、成功例といわれるのが一二年のロンドン大会だ、四年間に音楽や演劇、美術など約十一万七千件が実施され--これは国中です、ロンドンだけじゃなくてイギリス全国で、総参加者数は約四千三百四十万人に上った、体に障害のあるアーティストたちによるプログラム、アンリミテッドも高く評価されたと。
東京大会では当初、二十万件という、ロンドンの十一万七千件に対して、負けないようにということでしょうけれども、二十万件のプログラムをやるという目標値もありましたけれども、今やそれは引っ込めておられるんでしょうか。
成功例といわれるロンドン大会の文化プログラムと比べて、現在の東京の文化プログラムというのは、比較してどういう進捗状況になっているのか、お答えいただければと思います。
○浜生活文化局長 委員おっしゃるように、ロンドン大会での文化プログラムは大変成功だったということで、実は、そのロンドン大会の文化プログラムを全体的に取りまとめを行ったルース・マッケンジーさんに東京都庁にもお越しいただいて、直接お話を聞いて、取り組みの話を参考にさせていただくべく、お話を伺いました。
東京都は、それとは少し、少しというか、大分やり方が違いますので、同じように比較をすることはできないと思いますが、今のところ、まだおっしゃるように、Tokyo Tokyo FESTIVALと銘打って取り組んでいるとはいえ、そのことについてもまだ十分に都民の皆様にも知れ渡っていない、認識がきちんとしていないというのは、残念ながら事実でございますので、これからさらに力を入れて取り組んでいかなければいけないと思っております。
○谷村委員 それで、繰り返しになって大変申しわけないんですけれども、昨年のこの時期に東京都生活文化局として文化に関する世論調査をされて、正式に発表されたのはことしの四月ですけれども、実施されたのは去年の十一月四日から十一月二十日、年を明けて平成三十年、ことしの一月十八日から一月二十九日、文化に関する世論調査、都民を対象に行われたわけです。
この文化プログラムの都民の認識というところの問いで、文化プログラムという言葉を知っているかと尋ねたところ、知っているが三二%、知らないと答えたのは六七%、七対三の割合で知らないという答えがあったわけです。
これ、速報値としては、ことしの二月、三月にはもう既に入っている話だと思うんですけれども、こういう状況をご認識されていて、どういう手を打たれてきたのか、今の現状を見ると非常に疑問を持たざるを得ないわけですけれども、そこら辺についてお答えいただけますでしょうか。
○樋渡文化振興部長 今、委員からご指摘ありましたように、世論調査では三二%が聞いたことがある、もしくは多少知っているということで、実態はそうでございます。
もう一つの資料としては、東京は世界的な文化都市かという問いに対しては、パリ、ロンドン、ニューヨークといったところと比べても、世界的な文化都市であると思う人がいるということになっています。
ただ、先ほどからご指摘いただいていますけれども、認知度が本当に十分とはいいがたいというのは、当然、この調査もございますし、それから私どもの耳に入っておりますので、ことしの秋から、これらの文化プログラムをTokyo Tokyo FESTIVALといういい方にして、ロゴをつくって本格的に展開しておりまして、あと二年とおっしゃられていますので、もう二年も含め、これから裾野の拡大を一層図っていきたいと思っているところでございます。
○谷村委員 私がお尋ねしたことをちょっとご理解いただけなかったのかもしれませんけれども、都民の皆様、あるいは国民の皆様は、東京が、あるいは日本の文化というものが世界に通用する、これは現代文化もそうですし、これまでの過去の歴史から積み上げられた認識もそうだと思って、高く評価されていると思いますし、自負もされていると思うんですけれども、文化プログラムということに対しての認識度をお尋ねしているわけです。
オリンピック・パラリンピックが行われるというのは、私ども公明党は、二〇一六年の招致の段階から、オリンピック・パラリンピックを進めていくためには、文化振興、文化芸術の振興というものがセットである、それがなくては招致もできないし、招致の実現もできないし、またそれがなければ、オリンピック・パラリンピックも成功とはいえないということで、招致の段階から、逆ないい方をすれば、オリンピック・パラリンピックを招致するということは、逆に文化振興も大きく成功するという、その表裏一体のものがあったので、オリンピック・パラリンピック招致に対して、私どもは全力を挙げて取り組んできているわけです。
招致が決まって、あるいはこの世論調査の段階では、文化プログラムというものはスタートして一年以上が過ぎている中で、知っているという人が三二%にとどまっているというのは、致命的な話だと思うんですけれども、正式に発表されたのは四月ですけれども、速報値は二月、三月にはご存じのはずで、それに対してどういう手を打ってこられたのかというのが、どうしてもこれはお伺いせざるを得ない根本的なところなんです。
三二%だけれども、世界文化都市だと思っているからと、そういう話ではないんですけれども、ちょっとご認識をもう一回確認させてください。
○浜生活文化局長 おっしゃるように、文化プログラムという言葉を知っているかというお尋ねに対して、知らないというお答えがかなり多かったということは、私どもとしても大変危機感を持って受けとめたところでございます。
私どもとしては、これまで文化プログラム推進といういい方をしていたものに、Tokyo Tokyo FESTIVALという名前をつけまして、この名前で統一的に東京都が関連する文化プログラムについては推進をしていこうというのを、そのときから進めようとしているところでございます。
ただ、実際には残念ながら、まだTokyo Tokyo FESTIVALという打ち出し方について、ちょっと検討に時間を要してしまったことから、ようやくことしの秋、先月に第一回のプロモーションイベントが実施できたということで、ちょっと、ここは時間がかかってしまったのは、大変お恥ずかしいところではあるんですけれども、実際に、先ほど部長が答弁いたしましたように、東京が文化都市であるということについては、都民の皆様にもご認識はいただいている、そういう意味では、東京の文化的な魅力についてはご認識はいただけているのはありがたいことだと思っております。
文化プログラムという言葉、あるいはTokyo Tokyo FESTIVALという言葉そのものは知られていないとしても、東京の文化的な魅力についてはご認識いただけているというのは、まだありがたいと思っております。
東京都としても、Tokyo Tokyo FESTIVALと銘打って進めていくからには、このタイトルについても十分に知れ渡っていくことによって、さらに文化プログラム、文化振興が加速がついていくと思いますので、これからさらに取り組みを加速させていきたいと思っております。
○谷村委員 ぜひともお願いをしたいと思いますけれども、Tokyo Tokyo FESTIVALが文化プログラムだということの認識が非常におくれていまして、こちらに座っていらっしゃる方は、Tokyo Tokyoという青色のバッジをつけられていますけれども、こっちに座っている人でつけている人はいないですね。これが実態なんだと思います。それぐらい、いや、知っているけれどもつけていないという方もいらっしゃるかもわかりませんのであれですけれども、文教委員会のメンバーですらつけていない、こういう状況で二年過ぎているということに対しては、大変な危機感を持つわけです。
もう一つ、同じ世論調査の中で、文化プログラムに国内外の多くの人々が参加するためには、どのような環境整備が必要だと思うかを聞きましたと。国内外ということですので、ちょっと大きな質問だと思うんですけれども、一番大きかったのが、マスメディアやインターネットを通じた広報を強化するが四四%、入場料等の価格を安くするが四二%、ホームページや施設案内の外国語表記を充実させる、そしてその次が、身近な施設等でイベントを開催する二二%が続くという見出しになっているんです。その次にもう一個、五番目に続いているのが、自治体や地域の芸術文化団体、コミュニティ等を通じた広報を強化するべきだというふうに皆さん思っていらっしゃるようなね。もっともっと身近なところで、文化プログラムというのを発信するべきじゃないかと。あるいは、もともと多様なメディアで発信するべきだというのが一番に来るわけです。
先ほどの東京は国際文化都市、文化先進都市だという自負を持っているというのはどういうことかというと、それぞれの方々が文化活動をされているわけですよね。多くの方がされているんだと思います。しているけれども、オリンピック・パラリンピック開催に当たって、何らその文化振興というものが届いてこない、続いてこない。じゃ、どうすればいいですかという問いに対して、身近な施設等でイベントを開催したらどうか、あるいは、自治体や地域の芸術文化団体、コミュニティ等を通じた広報を強化するべきじゃないかということになっていると。
これは見解は聞きませんが、もう一つ、文化プログラム鑑賞、演じる側じゃなくて、見る方も含めて参加したいと思うかを聞いた問いに対して、そう思うが五一%、そう思わないというのが三六%。ここまでがくっと来ているわけです。文化プログラムに対する認識度が低いし、このアンケートをやっているうちに文化プログラムというのがあるんだな、でも、じゃ、どうしますか、参加されますか、あるいは鑑賞しますか、主催者側に回りますかといっても、そう思うといってくれるのも五一%にしかなっていないということも、繰り返しとなるんで申し上げませんが、非常に危機的な状況だと思うんです。
片や、その次の問いですけれども、文化による経済、観光の活性化について問うわけです。地域で新たな文化イベントを企画したり、その地域で親しまれたお祭りや芸能を振興させることは、地域の経済や観光を活性化させることにつながると思うか、こういう問いに対し、そう思うと答えられた方が八五%。身近でイベントを企画してもらったり、あるいは今、都民の方が取り組んでおられる芸術や文化、お祭りや芸能というものを振興させていくということは、その地域の経済、観光、まちの活性化につながるというふうに思われる方が八五%もいらっしゃるわけです。
しかし、文化プログラムに対する認識は三割にとどまる。文化プログラムに参加してみますかというのは五一%にとどまっているということは、逆にいうと、文化先進都市東京の都民の皆様にとっては、もう非常に、何ていうんでしょうか、この今のオリンピック・パラリンピックに向けての文化プログラムの推進状況、あるいは取り組みというのについては、もう失望的な状況に置かれているのではないかと私は思います。
東京都の立候補ファイルでは、この文化プログラムについて、最先端の芸術からコミュニティアートまで、次世代を育成するプラットフォームとしての機能を持ちながら、文化の多様性を促進する事業を東京都はこれまで行ってきた。このプロジェクトをさらに発展させ、文化に対する意識を広め、全ての市民にオリンピズムのメッセージを伝えていくと、こういうふうに立候補ファイルではうたっているわけであります。
ここでいわれているコミュニティアートというのは、かなり幅広い文化形態の意味を持つ場合もあるようですけれども、平たくいえば、市民が、あるいは都民がアート活動を通じて楽しむことや、アートを手段とした子供、障害者教育、地域の魅力を発散して経済効果を得ること、そして地域間の交流などの目的を持っている活動と端的にいえるというのが、このコミュニティアートの位置づけだと思うんです。
この立候補ファイルでも強調した、コミュニティアートの推進というのが全く見えてこないというのが、ずっと私が申し上げている内容なんです。
このコミュニティアートの担い手というのは誰になるのか、あるいは誰にしようとされているのか、どういうふうにして進められようとしているのか、お尋ねをしたいと思います。
○樋渡文化振興部長 東京都では、コミュニティアートというお言葉ですけれども、都では、多摩・島しょ地域において、例えば文化による機運醸成が実現するように、多摩地域の保有する地域の文化資源を活用した事業をやったり、地域に東京都交響楽団がお邪魔して、いろんなコンサートをやったり、多摩にあります江戸東京たてもの園で大茶会を実施したり、それから、島しょ等においてそういう事業を実施してきたりしておるところでございます。
それから、おっしゃるとおり、コミュニティ文化をやるためには、大勢の人にさまざまな文化事業に参加していただけるように、取り組みをこれからも拡充する必要があるというふうに思っておるところでございます。
○谷村委員 コミュニティアートの担い手というのは誰になるのかというのは、都響なんですか、そういうお考えですか。あるいは、どっかの東京キャラバンみたいなのが多摩・島しょ地域に来て展開していくというのがコミュニティアートという位置づけなんでしょうか。
○樋渡文化振興部長 お答えします。担う主体でございますけれども、地域を担っているNPO、それからアートプロジェクトを実施する団体、それから地域の皆様方、そういうところを含めてその主体となるものだと思っております。
それから、始めた事業ですけれども、事例としまして、都民パフォーマーズコーナーということで、トパコという事業を始めました。これは地域の住民の皆様方が申し込んでいただいて、ふだんは使えないような場所で、ふだんいろんな自分たちがやっている、例えば踊りとか、そういうものを披露するような事業をやるようなことも、今やっておるところでございます。
○谷村委員 済みません、文化に関する世論調査の話を先ほどさせていただきましたけれども、認知度が三〇%という状況下で、これ今も変わっていないという、いや、伸びたというご認識ですか、これ。
一年前に行われた世論調査で、東京文化プログラムを知っていると答えた人が三二%で、知らないと答えた人が六七%、これはちょうど去年の今ごろ実施されたようなものだと思いますけれども、今一年たって、これ増加しているというご認識なんでしょうか、今のご答弁を聞いて、お尋ねをしているんですけれども。
○樋渡文化振興部長 認知度を含めまして、向上しているかということでございますけれども、事業の事例から申し上げますと、例えば東京大茶会への来場者数とか、六本木アートナイトの来場者数、こういうものは毎年ふえてございます。それから東京キャラバン、それからTURNに参加した方々もふえておりますので、そういうところからしますと、ある程度の認知は上がっているのかなと思っておるところでございます。
○谷村委員 済みません、先ほど福島委員の方から、地域の底力発展事業についての事業効果をどういうふうに評価されているかという質問があって、いい角度でお話しされているなと思ったんですけれども、それはどういう根拠でそうおっしゃっているんでしょうか。
例えば、私も東京大茶会に何回か行かせていただいております。これまでも、この二年間でもやられたんだと思いますけれども、そういうことが都民の皆さんにとっての、ここでいうコミュニティアートだとか、オリンピック・パラリンピックが開催されるから文化振興が飛躍したというふうに受けとめられているというご答弁であれば、何をもってそうおっしゃっているのか、ちょっと根拠を明らかにしていただきたいと思います。
○樋渡文化振興部長 今のは、参加者がふえたということで認知されているのかなということで申し上げたところですけれども、先生ご指摘のとおり、例えば東京大茶会ですと、実際はリオのオリンピック招致をきっかけに始めた事業でございます。それがそのまま二〇二〇年大会の招致まで含めまして、ずっとやっていますものですから、見方によれば、どれが文化プログラムか、確かにはっきりしないところは、一般の方も多いかと思いますけれども、そういうことも実は含めまして、先ほど申し上げましたように、今後、Tokyo Tokyo FESTIVALというロゴをいろんなところに出していって、認知度を上げたいなと思っておるところでございます。
○谷村委員 ちょっと大事なことなので、済みません、もう一回聞かせていただきますけれども、コミュニティアートというのは、その担い手はどういうものなのかというお尋ねをさせていただいたときに、さまざまな事例を挙げられましたけれども、私はちょっと違うんじゃないかなと思うんですけれども、どうすれば認識度も上がるかという問いに対しては、身近な施設等でイベントを開催してもらうという、この身近な施設というイメージが多分違うんじゃないかと思うんですね。
例えば、多摩で行われる東京大茶会なんかは、私ども車で三十分以上はかかりますし、行われているのは小金井公園ですよね、小金井公園というのは、私どもの近くから見れば、決して身近な施設ではないと思いますし、本当の身近な施設と感じられるのは、例えば市区町村の中心センターでいろんな文化活動をやっている、そういう場所にも東京都の文化プログラムの一環として、見える形として、何かおりてきただとか、発信されてきたとか、行ったらこういうものを受け取ってきたとか、そういうものがあって、オリ・パラが近くなって、文化にも力が入ってきたなというふうに感じるものだと思うんですけれども、大茶会で人数がふえたから、文化プログラムに対する認識が広がったという、そういう根拠でおられるから、二年間文化プログラムを推進されてきて、こういう状況にあるんじゃないかと思うんですけれども、ちょっと局長か次長か、よろしいですか。
○浜生活文化局長 この間の、今おっしゃっている世論調査からまだ一年弱でございますので、同じ質問でお尋ねをしても、まだ劇的に数字が上がっているということは、恐らくそんなに大きくは変わらないのではないかなと思っておりますが、そこはちょっと数字をとっておりませんので、確認はできません。
先ほど部長が申し上げましたのは、そうはいっても、文化プログラムという名前は知らないけれども、東京でいろんな文化事業がやられていることを知ってくださっている方は大勢いらして、参加もしていただいているので、文化プログラムという名前を聞いたことがないという衝撃的な数字と比較すれば、文化事業そのものは知っていただいて、参加していただいている方は、ある程度いらっしゃると思っているということを部長は答弁したものでございます。
ただ、おっしゃるように、Tokyo Tokyo FESTIVALというタイトルをつけてやることにしたということでも、まだそれがきちんと打ち出しはし切れておりませんので、そういう意味では、Tokyo Tokyo FESTIVALという名前の認知が大きくふえているということは、今の段階ではまだちょっといえないと思っておりますので、これから頑張っていかなくちゃいけないと思っております。
ただ、実際にその同じ世論調査の中で、例えばあなた自身が文化活動を行うことに興味、関心がありますかとか、やっている方は月どのくらいの頻度でやっていますかというお尋ねに関しては、一定程度の参加をしていただいている方があるので、ここをさらに、皆さんがより一層参加していただけるようにしていただく、トップレベルのものにも、できるだけ多くの方が触れていただきやすくするとかいうことももちろん大切ですし、そうではなくて、身近なところで日常的に親しんでいただけるようにするということも大切だと思っております。
それも含めて、Tokyo Tokyo FESTIVALという名前を知っていただくことはもちろん大切なんですけれども、名前を知っていただくことそのもの以外にも、実際に参加をしていただくことも頑張らなくてはいけないというふうに思っております。
○谷村委員 だから、あなた自身が文化活動をしていますかといったら、やっていますという人は多いんですよ。それは全然否定していないんです。だけれども、文化プログラム、Tokyo Tokyo FESTIVALでも結構ですけれども、オリンピック・パラリンピックの招致が決まって、あと二年を切りましたとか、そういう情報が入ってきても、文化振興に対して、あるいは文化プログラムというものを、東京都はオリ・パラが開催されるからそれに力を入れてやっているんですよ、それにご参加いただけませんかとか、あるいは、それを契機に、今あなたがやっていらっしゃる活動をさらに大きく展開されませんかというのが文化プログラムではないんでしょうか。
やっていることが文化プログラムじゃないかとか、Tokyo Tokyo FESTIVALだということを認識されていないけれども参加されているというのは、それはオリンピックがあろうとなかろうと行われている文化活動だと思うんですね。
わかりやすく申し上げますと、オリンピック開催経費というのは、オリンピックが行われるので、そのオリンピックの施設をつくっていくのがオリンピック開催経費、だけれども、オリンピック・パラリンピックが開催されないけれども、オリンピック・パラリンピックが開催されるんで、ちょっと早目に実施しましょうというオリンピック・パラリンピック開催関連経費と分かれますよね、これは共産党は理解できないんですけれども。
それを文化に置きかえれば、オリンピック・パラリンピックが行われるからどうこうじゃなくて、皆さん文化活動というのは、それぞれにやっていらっしゃるわけです。
だけれども、それがずっと長年やってきている、あるいは最近始められた方でも結構なんですけれども、そのオリンピック・パラリンピックが開催されるという、後ろからの追い風だったり、もうちょっと頑張っていこうというきっかけになったりということをするのが文化プログラムの意味ですよね。
オリンピック・パラリンピック関係なく文化振興すればいいんだというんであれば、それは通常に、日常的にやっていただければいい話で。スポーツと文化芸術とが両方が、両翼になって、オリンピック・パラリンピックというのは成功するわけで、先ほどのロンドンの成功例というのは、四千万の人たちが文化プログラムに参加して、オリンピックというものに手応えを感じて、みずから鑑賞する側になったり、日常的に行われている文化活動に、より励んだりという効果があったということだと思うんですね。
だから、それが文化プログラムだとか、Tokyo Tokyo FESTIVALだということを認識しないで終わっていけば、それはオリンピック・パラリンピックが開催されたということに対する認識というのは、文化振興という意味では、かなり効果が下がってしまうんじゃないかなと。
オリンピック・パラリンピックをやるんだからこそ文化振興に力を入れていく、それが東京都の姿だし、立候補ファイルにもそうやって掲げて招致をかち取っているわけですから、それを都民が感じるか--先ほど全国の市区町村で二七%しか文化プログラムに参加しようという気持ちがないという数値がありました。これは東京都の東京キャラバンというのもありますし、文化庁がやるというのもありますし、道府県で認証する文化プログラムというのもありますし、道府県独自のロゴマークをつくったりというのがあって、組織委員会は組織委員会で、先ほどご答弁いただきましたようにあると思うんです。
東京二十三区二十六市三町一村、多摩・島しょ地域を入れて、肝心な東京で文化振興というものについて、文化プログラム等について、このような状況であれば、他の道府県が関心を持って、このオリ・パラ開催に向けて文化プログラムをやっていこうというふうに思えるかどうかって、それは無理だと思うんです。
私が先ほど申し上げたのは、東京がこういう状況下であるから、全国の市区町村でも文化プログラムに対してここまで認識度が少ないのかなということを申し上げたかったわけですので、もう少し頑張っていただきたいと思います。
この世論調査というのは、生活文化局として、ずっと毎回毎回されていると思うんですけれども、この調査目的には、芸術文化に関する意識や意見、文化プログラムについての認知度、期待している文化施策等を把握し、今後の文化行政の参考とするためというふうに書いてあるわけですね。やはり参考にしていただいて、それをどう効果を出していくかという--先ほど確認させていただきましたけれども、結局四年間なわけですね。スタートして終わるまでが四年間で、その準備というのは期間としてあるわけで、試行錯誤もあったかもしれませんけれども、四年間が文化プログラムの実施時期で、もうステージは始まっているわけで、幕は上がっているわけです。二年過ぎてこういう状況下で、この世論調査の結果を踏まえて、今日までどういう取り組みをされてきたのかということについては、もう少し頑張っていただきたいなというふうに思っております。
改めて確認させていただきたいと思いますけれども、スポーツの祭典、平和の祭典も含めて、この文化の祭典を開くことによって、何を世界に発信していくのか、そのメッセージ、東京が発信するメッセージというのはどういうところに位置づけて、その文化プログラム、文化振興という取り組みをされているのか、ちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。
○とや委員長 どうですか。お答えになれますか。
○樋渡文化振興部長 世界に発信するということでございますけれども、伝統と現代が共存、融合する東京の独自性と多様性を追求し世界に発信する、東京の独自性の源泉といえます伝統文化を次世代に引き継ぐこともそうですし、保存、継承、発展させていく、それから、変貌し続ける現代社会における伝統の価値を見直して、そういうものに新たな光を当てる、こういうことも含めて世界に発信していくということでございます。
○谷村委員 国民的にはそういうお答えになるのかもしれませんけれども、世界百九十カ国のアスリートや国家元首や、あるいはマスメディアや、あるいは応援団とかが集まってくるわけですよね。二回目の東京で、そして、ちょうど日本としては平成の幕を閉じようというときに、二〇二〇年というときに、日本でオリンピック・パラリンピックを開催し、それはスポーツの祭典でもあり、平和の祭典でもあり、それから文化の祭典。
この文化の祭典をもって、国際社会に、あるいは世界に何をメッセージとして伝えていくのかというのが、それは立候補ファイルにそう書かれているのかもしれませんけれども、そういう次元じゃないんだと思うんですね。
例えば、どんな文化の中の芸術であろうとも、そこに込められたメッセージというものがあって初めてアートとして認められるわけです。文化の祭典というのは、それ一つが一つのアートかもしれないですけれども、それを二〇二〇年七月から九月にかけて開くことによって、東京は、あるいは日本は、世界の人々に、あるいは世界のアスリートでもいいですけれども、テレビでも見ていらっしゃる数十億人の皆様にどういうメッセージを発信していくのかというのを、東京都が持っているのかなというのが非常に危惧をするわけですけれども、やっぱりそういう感じですか。
立候補ファイルに書かれたような、伝統文化の継承をして、日本文化の新たなものを積み上げてやっていく、それは文化のための文化の話であって、それは。あるいは国内の話として文化の継承者をつくっていこうという話であって、東京オリンピック・パラリンピックという一つの文化の祭典でメッセージを、何を発信していくかというものを欠いた上で議論を進めていくから、何かちょっと議論が、今ここだけの議論ではなくて、オリンピック・パラリンピック準備局の皆さんと議論しても、そういう次元なのかなと思うんですけれども、せっかくのこれだけの大きなチャンスに、何を発信していくのかというのは、しっかりとメッセージとして持っていただくべきだと思います。
それがなければ、どんなに文化プログラムをやっても、都内の文化活動をしている人からしてみれば単なるお祭りで、何か、がやがやオリンピックが近いぞ、二年切ったぞ、あと六百日だぞとか、何かそういうだけで終わってしまっては、最大のチャンスを逃してしまうと思うんですね。これ以上お尋ねしませんけれども、そういうものを、やっぱり文化プログラムを担う側こそ持っていただくべきではないかと思います。
前回の一九六四年の東京大会では、文化が置き去りにされて、経済のレガシーだけが残されたという大変厳しい評価があります。だからこそ、今回の大会では文化のレガシーというものを残していくべきだという、そういう文化人の方が多くいらっしゃいますけれども、前回大会で何か文化のレガシーが残ったというもの、皆様の取り組みの中で確認されているものがあれば、ちょっと教えていただきたいんですけれども、なければないで結構です。
○樋渡文化振興部長 レガシーという形で申し上げれば、オリンピックの翌年に結成された東京都交響楽団ということでお答えさせていただきたいと思います。
○谷村委員 そのように私どもも代表質問で取り上げたことがあるんですけれども、都響は前回大会でつくられて、いまだにすばらしいご活躍をされているということでいけば。だけれども、オリンピック・パラリンピックを開催して、文化的レガシーが東京都交響楽団だけだったというのが、前回の大きな反省であると思うんですね。
ただ、少なくともメッセージ性はあります。戦後からの復興、敗戦をすることによって焼け野原になって、原爆も二つ落とされて、そこから立ち上がって復興した姿と、そして戦前とは打って変わって、これから民主主義という旗を掲げて国民主権、あるいは恒久平和というメッセージを発信するには、物すごく意味合いのあったものだと思っております、メッセージの件はもうこれ以上申し上げませんけれども。
では、今回の文化のレガシーというのはこれだというものをつかんで、文化プログラムというのは進められているんでしょうか。
○樋渡文化振興部長 二〇二〇年大会の文化プログラムによりますレガシーでございますけれども、平成二十九年の東京芸術文化評議会の議論では、方向性としまして、都民の芸術文化に触れる機会の増大、それから地域経済や観光の活性化、世界から芸術文化都市東京として評価される、それから人材や芸術文化団体などの成長、そしてもう一つ、芸術文化の力が社会課題の解決の貢献にということで五つが挙げられており、東京都としては、この考え方に沿って文化施策を取り組んでおるところでございます。
○谷村委員 今のご説明だと、結局レガシーとしては、もう流れて何も残らないんでしょうね。これからの超少子高齢社会を迎えるに当たって、高齢化を、その経験をした人たちの言葉でつなぎとめていくような何か話で、そこで議論されていることだけが、今おっしゃったことが文化のレガシーだとされるんであれば、私、この東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムというのは、相当厳しい評価を下さざるを得ないなと改めて思います。
文化のレガシーはこれだというものを都民の誰もが語れるような、そういうものを明確に掲げるか、かざすかしていただいて、その上で文化プログラムというのを展開し、その中で日本人として、あるいは東京都民として、世界にこういうメッセージを発信していくという、それが私は文化の力ではないかと思っております。
先月、国立新美術館の館長を務めておられます青木保さんという方がいらっしゃいますけれども、大阪大学教授で、東京大学先端科学技術センター教授などを歴任して、今、日本民族学会現文化人類学会会長を初め、ハーバード大学客員研究員、国立パリ社会科学高等研究院客員教授、コンスタンツ大学客員教授などを務めておられて、十年前に、二〇〇七年から二〇〇九年まで文化庁長官を務められた方が、文化力の強化と日本の未来というふうに題して講演をされております。
今回つけていくことこそ、この文化力だと思うんですけれども、文化力を土台とした文化交流は、日本とアジアの国々、そして世界の国々との大きなパイプになるに違いありません。魅力的な文化力があればというメッセージ性もしっかり持って、レガシーというものもこういうものだというものを持った、こういう魅力的な文化力があれば、そこには大勢の人が集まるし、人が集まることで新しい何かが起こる、そのことは日本にとって重要な財産になるのではないでしょうかという、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けての文化への期待を寄せられております。
日本の文化は、古くはアジアから、また近代以降はヨーロッパやアメリカから受容したものも多く、その面で、日本人は非常に精緻な作業をしてきたのではないかと思います。日本人が好きなものや、また日本人が意味があると思われる海外の文化の要素を受け入れつつ、日本の文化を豊かに形づくってきました。一方、文化の発信力という面では、まだまだ課題が大きいといわざるを得ません。
日本には、国宝や重要文化財が数多くありますし、世界中で愛好される漫画やアニメのような現代文化もあります。自分たちで積極的に企画を考え、世界の国々に幅広く紹介するといったこの文化の発信というのは、今後もっと力を入れなければならない課題だというふうに講演されているわけですけれども、それこそが私は東京オリンピック・パラリンピックの開催であり、そのものであると思うわけです。
文化力を高め、国際交流を積極的に行うことで、世界的な視野を持った人間を育成することができるはずです。また、これからの世界では、文化を前提にした経済力が欠かせません。文化力が高まれば高まるほど、その国は繁栄する、人類の歴史はそのことを証明しているんですという、文化庁長官を務められた方なので、非常に一つの確度を持った文化の文化力という表現を使われてのご表現だと思うんですけれども、それだけのチャンスがオリンピック・パラリンピックであると思われている方も大変多くいらっしゃるわけですし、期待も寄せられているわけですし、現状はその期待を大きく裏切っておられるんだと、繰り返し申し上げて申しわけないんですが、私はそういう状況であると思います。
この文化力を強化し、都市として、国として、今後も大きく繁栄し、大きく飛躍するチャンス、これを文化プログラムの取り組みでつかみ取っていただきたいという思いでありますが、局長、もう一度、これまでのことはこれまでのこととしますので、今後、残り二年を切っておりますけれども、文化プログラム、断じて成功させていくんだ、そのためには、メッセージ性もしっかり持っていただきたいですし、次なる後世に残すレガシーというものも明確に見定めて取り組んでいただきたいですし、組織委員会と国、文化庁との連携もしっかりしていただきたいですし、一番東京が文化プログラムというものを進めていくという、そういったことについてご見解を、最後いただければと思います。
○浜生活文化局長 先ほど来ご指摘がございますように、四年間のうち二年間過ぎたところで、Tokyo Tokyo FESTIVAL、もしくは東京都が進めている文化プログラムについて、残念ながら都民の方にまだ十分知っていただけていないという現状は、大変申しわけなく思っております。
残りの期間、Tokyo Tokyo FESTIVALという名前をつけまして、まず一つは、この名前をロゴとしていろんな方に見ていただくように露出を高めていくことで、まず、あれは何だろうというところから始まって、東京の文化プログラムについて関心を持っていただける、そして、よく知っていただけるように努めていく必要があると思っております。
そして、二〇二〇年大会を機に、東京がこれまで以上に文化面ですぐれた都市になったということを、多くの皆様に実感していただけるように、取り組まなければいけないと思っておりますので、引き続き精一杯尽力してまいりたいと思います。
○龍円委員 私は、私立特別支援学校と男女平等参画について伺いたいと思います。
東京都には、私立の特別支援学校が四校あります。私立の特別支援学校があることは世間ではほとんど認知されていません。私自身、五歳のダウン症児の親で、小学校の進学をどうするかというのは大きな課題なんですけれども、都議会議員になるまで、私立の特別支援学校が進学先の選択肢としてあることを知りませんでした。もしかすると、私立特別支援学校の存在に気がつかないまま進学をしていたかもしれません。
都立特別支援学校がこれだけある中で、ひっそりとある私立の特別支援学校がどのような教育をしているのか知りたく、先日、港区の愛育養護学校を視察してまいりました。校舎の中に入って、正直、唖然としました。施設は掃除が行き届いていてきれいではあったんですけれども、昭和から時代がとまっているような、あらゆるところが老朽化していました。
幼稚部と小学校が併設されていて、定員が四十名ということなんですけれども、そこにわずか十五名しか在籍しておらず、大きく定員割れをしていました。学校の中は閑散としていて、クラス単位としての活動はほとんどありませんでした。
都立特別支援学校が児童や生徒でぱんぱんに膨れ上がっていて、ぴかぴかのすごい設備が整った学校が新設されているというのに、愛育養護学校は行政からまるで見捨てられたかのようなたたずまいでありました。
じゃ、全然よくない学校なのかというと全くそんなことはなく、むしろその逆で、すばらしい学校でありました。
歴史は、都立特別支援学校よりも随分と長くて、一九三四年に創設されています。長い歴史の中で研究し、積み上げてこられた教育内容は、とても共感ができるものでありました。
教育目標というのがあるんですけれども、自信を持って楽しく生きる力を育てるということだったんですね。スペシャルニーズのある子にとって、自分の存在そのものを肯定的に捉えて、自信を持って前向きにいろいろなことを楽しんで取り組めるようになることというのは、簡単なようでいて、なかなか難しいことなんですよね。周りが意図的にそのように育ててあげないと、自分は周りの助けを受けないといろんなことができないんだなというふうに思ってしまったりとか、できるようにしないとということがかなり多くあると、楽しめなくなってしまったりという可能性が今の教育の中では多々あるからです。
私は息子の母親として、息子に何を学んでほしいかと考えたときに、必ずしも、できないことを少しでも、いわゆる健常児といわれている方たちに近づけるようにしていくことが最大の目標だとは考えていません。生きていくために必要な最低限のスキル等は身につけていく必要があると思います。しかし、無理してできないことをできるようにさせていくことで、本人が自信を失って楽しめなくなってしまっては全く意味がないんですね。突き詰めていくと、本人が安心して、本人らしく、心豊かに生きていけることが重要だと考えています。
この愛育養護学校では、そういう人間としての基礎を丁寧に育てていることがうかがわれました。
まず、好奇心を育てて、観察や考える力を育て、創造や表現することを楽しめる力を育て、そして人とのかかわりを良好に保って、自分らしく生き抜く力を育てていくということなんですね。まさに息子が学んでほしいなと思うことを教育しておりました。
この教育を実践するために、十五人のお子さんたちのために十四人の教職員が働いていました。ほぼマンツーマンという状況なんですね。そこまで教育をしているからこそ、施設にはお金がかけられなくて、ぼろぼろだったのかなというふうに推測いたします。
一緒に視察をした地元の議員は、余りにすばらしい取り組みに、ここは障害がないお子さんは通えないんですかというふうに質問をしていたくらいでした。
私立ならではの特色のあるすばらしい特別支援教育をしている学校が、大きく定員割れをして、風前のともしびのような経営を強いられていることを知り、いても立ってもいられない気持ちになりました。
そこで、都は、私立特別支援学校に対してどのような補助を行っているのか、伺います。
○金子私学部長 都は、私立特別支援学校の教育条件の維持向上、保護者の経済的負担の軽減及び学校経営の健全性を高めることを目的に、特別支援学校を設置する学校法人に対しまして、その運営費の一部を補助する私立特別支援学校等経常費補助を実施しております。
また、生徒等の安全を確保するための校舎の耐震化等に要する経費の一部を補助する私立学校安全対策促進事業費補助や、二酸化炭素の削減を図るための省エネ設備等の導入に要する経費の一部を補助する私立学校省エネ設備等導入事業費補助などを実施しているところでございます。
○龍円委員 今ありました、私立特別支援学校等経常費補助というのは、ほかの私立学校と違って、児童や生徒の数に応じて変わるということなんですね。愛育養護学校も、もし定員が埋まっていれば、きっと経営に余裕があるかと思うんですね。ただ、現状では定員の三割強しか埋まっていないので、引き続き厳しい状況にあるのかなと推測いたします。
先ほどもお伝えしましたが、私立特別支援学校は、学校の数自体が少ないこともあり、保護者の認知度がほとんどありません。愛育養護学校も存在さえもっと知られれば、多くのお子さんが通われることを希望するはずです。
そこで、私立特別支援学校を多くの方に知っていただけるよう広くPRしていくべきだと考えますが、取り組みを伺います。
○金子私学部長 特別な支援を必要とする子供の多様な教育機会を確保することは重要でございます。
そのため、都は、特別支援学校の一覧をホームページに掲載するとともに、各学校のホームページにも簡単にアクセスできるように設定し、広く周知を図っております。
また、特別支援学校からの要望を受け、平成二十九年度に各区市町村の教育委員会に対しまして、特別支援学校の情報をホームページへ掲載するよう依頼をいたしたところでございます。
今後も、さまざまな機会を捉えまして、私立特別支援学校の周知に努めてまいります。
○龍円委員 一般のスペシャルニーズのないお子さんにとって、学校や教育というのは本当に無数に選択肢があるかと思います。しかし、特別支援教育の対象となる子にとっては、ほとんど選択肢はありません。公立学校からは来ないでほしいといろんな理由をつけられて拒否され、あちこちの保育園や幼稚園からも入園を断られ、どうして自分の子だけこんなにも社会から拒絶されなきゃならないのかなと、親としては悲しい思いをすることもあります。
そして、日本の特別支援教育が好きであろうが嫌であろうが、受け入れてもらえるところに行くしかないという現実があります。親としては、そういう中で悔しい思いを感じています。
その中で、私立特別支援学校というのは貴重な選択肢の一つだと思います。学校が経営を続けていけるための支援をしていっていただけますとともに、より一層の周知、よろしくお願いいたします。
続いて、男女平等参画の取り組みの中におけるLGBTを初めとする性的マイノリティーの方々の位置づけについて伺います。
私の地元の渋谷区は、長谷部区長が区議時代に率先して同性パートナーシップを認める条例化を進め、全国で最初に実現をいたしました。今でこそ、同性パートナーシップというのは、行政が認めることは驚きませんが、最初の条例の制定には本当に多くの当事者と有識者たちによる並ならぬ活動と努力がありました。そんな方々とお話をさせていただいたりとか意見交換をしながら、どんな取り組みや支援が必要なのかを一緒に考えてまいりました。
去年の七月に都議会議員になってから、あらゆる部署の方々とお話をする中で、一番の課題だなというふうに感じたのが、東京都という行政の中に明確に性的マイノリティーに関する位置づけというのがなかったことだと思うんですね。存在がぼやっとしている方々に対して支援体制を組みにくいというのがあったように感じています。
それが、十月十五日に施行された東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の中で、明確に性自認や性的指向による不当な差別を禁止したことは、東京都の中における性的マイノリティーの方々の位置づけというのが明確に示された大きな一歩になったと感じています。
この条例を受けて、東京都性自認及び性的指向に対する専門相談が開設されました。また、当事者の声をしっかり聞いて、それを支援につなげていくという取り組みも始まったと聞いています。さらに、全庁横断的な議論ですとか、当事者や有識者の話を聞いて、今後、基本計画に反映されていくことにも大きな期待を寄せています。
ただ、本来、この性的マイノリティーの方々に関することは、男女平等参画の中に位置づけられるのが自然だと思います。渋谷区は、通称同性パートナーシップ条例というふうに呼ばれていますけれども、正しくは、渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例であります。
また、余り一般的には知られていないんですけれども、当事者の中でとても評価が高いのは文京区の性的指向または性自認に起因する差別的な取り扱いを行ってはいけないことを定めました文京区男女平等参画推進条例であります。このように、男女平等参画の中に性的マイノリティーを論じるということが重要だというふうに考えます。
そこで、東京都男女平等参画推進総合計画において、性的マイノリティーに関する支援はどのように位置づけられているのか、伺います。
○稲葉男女平等参画担当部長 東京都男女平等参画総合計画におきましては、性的少数者に対する支援について、基本的人権が尊重される社会を守り、性的少数者であることを理由に差別などが行われることがないよう啓発に取り組みますとともに、相談にも適切に対応していくことを位置づけております。
○龍円委員 計画の中に性的マイノリティーへの取り組みが触れられていることはわかりました。こちらに総合計画の概要版である、女性が輝く東京という冊子があります。この性的マイノリティーについては、こちらにわずか二百六文字で簡潔に書いてあります。これ、簡潔にまとまってはいるんですけれども、性のあり方というのは非常に多種多様でグラデーションがあり、今まで以上に理解され、受容されていく必要があると思います。ですので、この冊子を改定する際ですとか、次の総合計画の審議の中では、人権条例が制定されたことも受けまして、さらに性的マイノリティーの方々を考慮し、配慮したものとしていっていただきますようお願いいたします。
そして、都では、男女平等参画施策の中で、配偶者からの暴力の防止と被害者への支援を行っております。
そこで、同性パートナーから虐待を受けているという方々が、実はどこに相談しに行ったり、頼ったりすればいいのかわからずに困っているという声もいただいております。男女平等参画施策における性的マイノリティーに関する具体的な取り組み、特に同性パートナーからの暴力について、どのような支援をしているのか、伺います。
○稲葉男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザにおきましては、講座、研修、活動の場の提供など幅広い事業を実施しておりまして、性別等を問わずご利用いただいております。
また、都内在住、在勤、在学の方を対象に、配偶者暴力に関する相談を性別等を問わずに受け付けておりまして、同性のパートナーからの暴力に対する相談にも対応してございます。
さらに、相談対応の質の向上を図るため、都及び区市町村の相談員や関係機関職員を対象とします研修において、性的少数者への理解と適切な対応に関する講座も実施してございます。
○龍円委員 同性パートナーからの虐待であっても、東京ウィメンズプラザにおいて相談や支援を受けられること、研修などを通じて理解を深めてくださっていることがわかりました。
ウィメンズプラザというのは、その名前から、ゲイの方には特にちょっと敷居が高いかと思います。その辺も今後工夫していただけたらと思います。
多様な性のある方が認められ、差別されることなく、自分らしく生きられる社会を目指して、今後も取り組みを進めていただきたいと思います。
質疑を終えます。ありがとうございました。
○とや委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○とや委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
○とや委員長 次に、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○浜生活文化局長 平成三十年第四回定例会に提出を予定しております生活文化局関係の議案についてご説明を申し上げます。
今回提出を予定しております議案は、予算案一件でございます。私から、議案の概要をご説明申し上げます。
平成三十年度補正予算案についてでございます。
恐縮ですが、お手元にお配りしております平成三十年度生活文化局所管補正予算説明書の一ページをお開き願います。Ⅰ、補正予算総括表でございます。
表の右から二つ目、補正予算額の欄をごらんください。表の中ほど、歳出はプラス五億二千八百万余円でございます。
これは、学務費の助成費について増額更正するものでございます。
以上で私からの議案のご説明を終わらせていただきます。
詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○鳥田総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 局長からの概要説明に引き続きまして、私から、今定例会に提出を予定しております当局関係の議案の詳細につきましてご説明申し上げます。
恐縮ですが、お手元の平成三十年度生活文化局所管補正予算説明書の二ページをお開き願います。Ⅱ、内容でございます。
児童生徒等の安全・安心を確保するため、私立学校が行うブロック塀等の撤去、設置等に係る経費の一部を補助するもので、助成費の私立学校安全対策促進事業費補助につきまして、更正して増額するものでございます。
以上で説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○とや委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
○米倉委員 私立学校のブロック塀対策の進捗状況と今後の計画についてお願いします。
○とや委員長 ほかにありませんね。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○とや委員長 ただいま米倉委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○とや委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
○とや委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
初めに、請願三〇第九号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○樋渡文化振興部長 都立高校における演劇鑑賞教室の実施等に関します請願につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布しております請願・陳情審査説明表の一ページをごらんください。
請願三〇第九号、新宿区の公益社団法人日本劇団協議会会長西川信廣さんから提出された都立高校における演劇鑑賞教室の実施等に関する請願でございます。
要旨でございますが、区市町村による青少年対象の文化芸術活動の充実に向け、一層の支援をすることでございます。
現在の状況でございますが、都においては、実演家等を講師として学校に派遣し、伝統芸能、文化の実技体験及び実演鑑賞を実施する子供のための伝統文化・芸能体験事業、地域の文化施設や児童館などで実演家などと直接触れ合い、児童演劇を鑑賞、参加、体験する参加、体験、感動、触れ合い子供祭りなどのアウトリーチ活動を展開しております。
また、東京芸術劇場の公演における高校生割引など、都立文化施設や東京都交響楽団において青少年に対する各種割引制度や無料公開などのサービスを提供しております。
各区市町村では、青少年対象の文化芸術事業をそれぞれの方針や地域の実情に応じて実施していることから、都では、必要に応じて区市町村との連携を図ることとしています。
以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。
○とや委員長 説明は終わりました。
念のために申し上げます。
本件中、教育庁所管分に対する質疑は既に終了いたしております。
本件について発言を願います。
○星見委員 都立高校における演劇鑑賞教室の実施等に関する請願について質問させていただきます。
請願者の公益社団法人日本劇団協議会は、文部科学省と文化庁が小中学校などに実演芸術の巡回公演やワークショップ等を実施している文化芸術による子供の育成事業に選定されている芸術団体が参加しています。
請願内容は、ここの部分は各市区町村による青少年対象の文化芸術活動の充実に向け、一層の支援を求めるものです。
先ほど都からご説明がありました、子供のための伝統文化・芸能体験事業は、二〇一五年度から実施されています。対象は、都内の小中高、特別支援学校となっていますが、この中で青少年ということで、高等学校ではどのような取り組みになっているのかを伺います。
○樋渡文化振興部長 子供のための伝統文化・芸能体験事業は、次世代を担う子供たちが若手の実演家等の指導のもと、日本の伝統文化、芸能の価値に対する正しい理解を深める体験鑑賞プログラムであり、学校教育と連携した取り組みとして実施しております。
能楽や日本舞踊、三味線、琴、雅楽、落語、紙切り、茶道など幅広いジャンルを用意し、毎年度、都内の小中高、特別支援学校、インターナショナルスクールを対象に募集しているところでございます。
今年度は、三校の高等学校でそれぞれ落語、紙切り、三味線の体験事業を実施したところでございます。
○星見委員 事業としての中心は、小中学校を主に対象にした地域事業が主だと聞いています。今回質問しましたところ、高校対象でも事業が生かされているのがわかりました。
都の市区町村との連携事業は、内容としては日本の伝統文化、芸術に限られていますけれども、文科省、文化庁が行っています文化芸術による子供の育成事業は、伝統文化、伝統芸能のほかにも、児童劇や演劇、オーケストラなど、さまざまな芸術文化が、文科省が選定した文化芸術団体から選んで、本公演やワークショップが行えるようになっています。
二〇一五年度から始まりました子供たちのための伝統文化・芸術体験事業、これ自身もぜひ多様な文化芸術に活用できる制度としてさらに拡充するなどして、都自身が市区町村、あるいは地域の中での充実した青少年対策を進めるよう要望いたします。
それから、次に、学校外でも高等学校、大学生への文化芸術活動への支援が行われている例として、先ほど、東京芸術劇場の公演での高校生割引や都立文化施設、東京都交響楽団における割引や無料公開がご報告されました。
東京都が事業として、こうした内容に対してどのような財政支援をされているのか、その内容をお聞きいたします。
○樋渡文化振興部長 今お話ございましたけれども、都立文化施設や東京都交響楽団では、若者を初め多くの都民が芸術文化に触れる機会を拡大するため、各種割引制度や無料公開などのサービスを提供しております。
具体的には、都立美術館、博物館の常設展示観覧料につきまして、小中学生や高校生に対する免除、もしくは減額の制度を設けております。
それから、東京都交響楽団におきましても、二十五歳以下の方は都響の主催公演を半額で鑑賞できる割引制度を設定しております。さらに、都立文化施設におけます教育普及事業や、東京都交響楽団による観客参加型、体験型の無料オーケストラ公演等も行っております。
こうした取り組みを踏まえまして、都立文化施設につきましては指定管理料を、それから東京都交響楽団は運営費補助を支出しているところでございます。
○星見委員 今お答えがあっただけでも、高校生、大学生など青少年が利用できるものが多々あることはわかりました。
今回、私も高校生、大学生、若い人たちが直接自分たちで探して見ることができるんだろうかというんでやってみたんですけれども、都内にはこのほかにも、新国立劇場の学生当日五〇%オフなど、官民のさまざまな文化施設で青少年向けの支援の取り組みがありましたが、こうした情報を一堂に集めたものというのは見つかりませんでした。
せっかく東京都も含め、いろいろな取り組みがあるんですけれども、青少年、高校生、大学生、若い皆さんが本当にこういう文化芸術に触れる機会をわかりやすく提供できるという意味では、都としてもこうした情報を一堂に集めたものを、ぜひ用意していただけるといいということで、情報サイトを作成することを要望いたします。
それから、財政支援の問題についてです。
今回ご説明がありました東京芸術劇場の高校生千円割引チケット、これは利用者からとても好評だと聞いています。しかし、これは都の各種文化芸術施設の指定管理をやられている財団が利用料金制などを利用して、自主的に行っている事業になっています。
担当者の方にもお伺いしましたけれども、やはり決められた枠、それから使える額の中での割引料にしかならないと。それから、事業によってはこれを出すわけにはいかないという芸術劇場のコンサートなどもありますというお話でした。
これは例ですけれども、都のさまざまな各種文化芸術施設の指定管理などが、みずからの行える枠の中で青少年への支援をやっていることは貴重ですし、これはこれでぜひ伸ばしていきながらも、その中で都として、青少年の芸術環境の充実に大きく寄与できるというものについては、都の委託事業として独自の財政支援で拡大することも要望しておきます。
以上、市区町村への支援事業と青少年への直接の支援の拡充を求めて、本請願を採択することを主張して、質問を終わります。
○とや委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○とや委員長 異議なしと認めます。よって、請願三〇第九号は継続審査と決定いたしました。
○とや委員長 次に、陳情三〇第六〇号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○金子私学部長 通信制サポート校の学費に対する補助金交付の要請に関する陳情につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布しております請願・陳情審査説明表の二ページをごらんください。
陳情三〇第六〇号、新宿区のNPO法人高卒支援会代表杉浦孝宣さんから提出された通信制サポート校の学費に対する補助金交付の要請に関する陳情でございます。
要旨でございますが、都において、通信制サポート校の学費に対する補助金を交付していただきたいというものでございます。
現在の状況でございますが、東京都は、私立高等学校に通う生徒の保護者に対し、私立高等学校等特別奨学金及び国の高等学校等就学支援金により、授業料の負担軽減を図っております。
いわゆる通信制サポート校は、学校教育法に規定する通信制課程を置く高等学校としての認可を受けていない民間教育施設でございます。
以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。
○とや委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○斉藤(れ)委員 私からは、本陳情について意見表明を行わせていただきます。
都内通信制高校に通う生徒について、我が会派でも関係各所や当事者等に聞き取りを行ってまいりました。
平成二十三年度版の都立高校白書によると、通信制高校には働きながら学ぶ勤労青少年や、高い学力を持ちながら社会適応につまずき、学校に通うことができなくなった生徒、また特別な支援を必要とする生徒、生活指導面に課題を抱える生徒など、全日制、定時制高校以上に多様な生徒が在籍しておりまして、学習意欲に大きな差があるとの指摘がなされております。つまり、通信制高校を選択する生徒に対しては、より丁寧な学習指導に加え、精神面でのサポートが重要であると考えます。
しかしながら、通信制高校では、スクーリング等の登校日が少ない、生徒指導に当たる教職員数が少ない等の理由から、生徒と教職員、あるいは生徒同士のコミュニケーションに困難があると伺っております。
また、通信制高校に求められる役割が変化しつつあると考えております。ことし五月に開催された私学助成審議会では、都立高校の受検者が減り、通信制高校の受検者数が大幅にふえたことが指摘されておりました。
平成二十三年度に文科省が実施した高等学校定時制課程、通信制課程のあり方に関する調査研究によれば、通信制高校への入学動機は、高等学校の卒業資格が必要と思ったからが四五・八%、自分のペースで学習が進められると思ったからが一七・七%となっておりますが、近年は、スポーツや芸能活動など、夢に向かって活動する時間をふやしたい、将来のために早い段階から専門知識を身につけたいといった声も聞かれます。
このように生徒が置かれている現状は、近年大きく変化しており、現状の通信制高校だけでは十分に担うことができない学習環境の提供や、生徒指導の充実等の役割について、通信制サポート校がその一翼を担っている側面もあります。
しかしながら、通信制サポート校は、その運営主体が民間企業やNPOなど多様でありまして、都民の税金を原資とする公費を投入して一律に補助を行うべきであるとする本陳情には不採択の態度を示すものであります。
また、公費を投入するとなれば、今よりも法的な縛りが必要になるとも考えられまして、多様性という現在の強みが発揮されなくなる可能性も危惧されます。
今後、児童生徒の進路希望やニーズに関する実態調査を行い、本来、通信制高校が担うべき役割や必要な支援のあり方について教育庁とも連携して検討を行うことを要望いたしまして、意見表明を終わります。
○米倉委員 通信制サポート校の学費に対する補助金交付の要請に関する陳情について伺います。
高校といえば、少し前までは全日制か定時制であり、通信制で学ぶのはごく少数だというのが多くの方の認識だったと思います。ところが、学校基本調査を見ましても、今、全国的には、高校生全体の大体二十人に一人が通信制高校の生徒となっています。そして、中学校を卒業して通信制高校に進学するのは、およそ二万九千人ですが、途中で全日制高校や定時制高校から移ってくる生徒が多くいるために、卒業時には約五万四千人にふえている状況です。
そして、今、法令上の根拠はありませんが、サポート校がふえています。その中身はさまざまですが、もともとは通信制高校がレポートを作成したり、スクーリングに行き、授業を受けたりすることで単位を取得する自学自習が中心であるために、自力での卒業が困難で、レポートの作成などの学習のサポートをすることから始まりました。
また、不登校やひきこもりなどで学校になかなか通い続けられなかった子供のために、外に出ることからできるように支援していくサポート校もあります。例えば、まずは週に一回サポート校に来てみよう、それができるようになれば、もっと来られる日数をふやしていこう、朝なかなか来られない方には電話で声をかけるなどというふうに、子供の実態とペースに合わせ、手厚い支援をしていらっしゃいます。また、そこでの学習のサポートや人間関係をつくっていくために、スタッフも支援するなどの大切な支援をしていらっしゃいます。
全日制高校や公立の通信制高校では通い続けられないような子供にとって、こういう支援があるから通信制高校に通い続けることができるというような支援をしています。
都は、通信制高校の状況や生徒の実態をどう把握しているのか、また、サポート校についても把握しているのか、伺います。
○金子私学部長 都が認可している通信制課程を置く私立高等学校数は九校でございます。
また、在学する生徒数は、毎年実施している学校基本調査で把握しており、平成三十年五月一日現在の速報値で九千百三十一名でございます。
なお、都が認可している私立通信制高校には、いわゆるサポート校を設置している学校はございません。
○米倉委員 東京都が認可している私立通信制高校に通う生徒数は約九千人ということは把握をしていらっしゃって、都が認可している高校にサポート校はなく、サポート校の実態把握は、都内にあるものはされていないということです。
ちょっと改めて確認をしたいんですけれども、通信制高校に通う都民については、これは東京都認可の通信制高校だけでなく、他県が認可した通信制高校や都内に設置したサポート校に実際通っていらっしゃるという実態がありますが、それについては把握していらっしゃいますか。
○金子私学部長 私どもが把握しているものは、学校基本調査で把握している先ほどの数値でございます。
○米倉委員 東京の子供たちに教育を保障するという立場に立ったときに、やはり通信制高校の全体像とともに、サポート校についても実態把握が必要だと思います。
都内の公立中学校を卒業した方のうち、定時制高校、通信制高校に進学した生徒数は、それぞれ何人なのかも伺います。
○金子私学部長 平成三十年度公立学校統計調査報告書によりますと、平成三十年三月の都内公立中学校の卒業者七万七千三百二十六人のうち、都内都外の高等学校定時制課程への進学者は二千五百五十四人でございます。
また、高等学校通信制課程への進学者は二千三百四十人でございます。
○米倉委員 都内の公立の中学校から通信制高校へ進学する人数だけを見ても、定時制高校に並ぶほどの生徒数で、二千三百四十人に上るということです。公立中学校に通う生徒は、中学生全体の約七五%ですから、仮に私立中学校を卒業した方が同じ割合で通信制高校に通うとなりますと、三千人を超えると想定されます。
さらに、途中で全日制などから通信制に移ってこられる方が多数いらっしゃいますから、そうしたことを考慮しますと、卒業時には入学時の一・八倍に生徒数がふえるとしますと、一つの学年で五千人以上に上ります。そういう規模の都民の方たちが通う教育の場になっているということだと思います。
さらに、通信制高校に通う層というものは、この二十年で大きく変化しています。以前は、労働者や主婦などで学ぶ機会が持てなかった方が通う場となっていましたが、今では、国の調査では、通信制高校に通う生徒の八割が十代、私立通信制高校では九割に上るとされています。
定時制高校については、東京都として、主に教育庁の方ですけれども、さまざまな実態把握もされ、教育のあり方も検討されてきました。都議会でもたびたび議題となり、また都民の方の請願や陳情も繰り返しいただいて、議論してきたところです。
通信制高校や連携するサポート校についても光を当てて、都としてそこに通う子供たちに何が必要かを考えていく時期に来ているのではないかと思います。
都は、通信制高校のこうした変化をどう認識していますか。
○金子私学部長 高等学校の通信制課程は、勤労青年に教育の機会を提供するものとして定時制課程とともに制度化されましたが、勤労青年の数が減少する一方、不登校や進路変更を行った生徒に学び直す機会を提供するなど、近年、多様な学習ニーズに応える高校としての役割を果たしてきていると認識しております。
○米倉委員 お答えのとおり、不登校や中途退学などにより、学習に空白期間がある生徒や、外国につながりのある方など、さまざまなバックグラウンドを持つ生徒が通っていらっしゃり、また教育上の困難を抱える生徒への総合的な支援の場となっている状況があります。
そして、通信制高校とともにサポート校が日常的な生活や学習支援をして、大事な役割を果たしている状況が実際にありますし、陳情にも書かれているとおりに、そうした重要な役割を果たしているサポート校自体、公的支援なしで活動されているために、それなりの利用者負担を求めざるを得ない状況となっています。
今の学校制度では救えていない方たちの支援をし、社会復帰の力になっているサポート校については、何らかの公的支援は必要だと思います。
そのためにも、まず、都として通信制に通う生徒状況、サポート校の状況調査が必要だと考えますが、いかがですか。
○金子私学部長 都が認可している通信制高校の生徒の状況は、毎年実施している学校基本調査等で把握しております。
なお、サポート校は、学校教育法に規定する通信制課程を置く高等学校としての認可を受けていない民間教育施設でございます。そのため、他の道府県が認可した私立通信制高校と連携しているサポート校の状況につきましては、当該私立通信制高校を認可した道府県が責任を持って把握し、その状況に応じて必要な措置を講ずべきものであり、都として状況調査を行う考えはございません。
○米倉委員 他の道府県が認可した通信制高校とサポート校の状況は、それぞれの県が責任を持って把握をするべきといいますけれども、実際に通っているのは東京の若者ですから、その実態は他県と連携するなどもしながら、都も把握する必要があると思います。
サポート校が困難を抱える子供たちへの教育施設となっている状況からしても、実態をつかむと同時に、支援についても検討をしていただきたいと要望しまして、この陳情の趣旨採択を主張して、質問を終わります。
○とや委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○とや委員長 起立少数と認めます。よって、陳情三〇第六〇号は不採択と決定いたしました。
請願陳情の審査を終わります。
以上で生活文化局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後八時一分散会
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