文教委員会速記録第十号

平成三十年十月二日(火曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長里吉 ゆみ君
副委員長大場やすのぶ君
副委員長米川大二郎君
理事大松あきら君
理事米倉 春奈君
理事木村 基成君
けいの信一君
成清梨沙子君
池川 友一君
斉藤れいな君
白戸 太朗君
高倉 良生君
古賀 俊昭君
入江のぶこ君

欠席委員 なし

出席説明員
オリンピック・パラリンピック準備局局長潮田  勉君
次長理事兼務延與  桂君
次長岩瀬 和春君
技監相場 淳司君
理事西村 泰信君
理事中澤 基行君
総務部長中村 倫治君
調整担当部長雲田 孝司君
大会企画調整担当部長中嶋 初史君
自治体調整担当部長小池 和孝君
計画推進部長根本 浩志君
競技・渉外担当部長川瀬 航司君
事業推進担当部長丸山 雅代君
パラリンピック部長萱場 明子君
障害者スポーツ担当部長越  秀幸君
大会施設部長鈴木 一幸君
開設準備担当部長鈴木 研二君
施設担当部長砂田  覚君
施設整備担当部長草野 智文君
施設調整担当部長湯川 雅史君
選手村担当部長斉藤  有君
スポーツ施設担当部長藤木 仁成君
輸送担当部長片寄 光彦君
スポーツ推進部長小室 明子君
ラグビーワールドカップ準備担当部長篠  祐次君
ラグビーワールドカップ会場運営担当部長
国際大会準備担当部長兼務
田中 愛子君
教育庁教育長中井 敬三君
次長西海 哲洋君
教育監増渕 達夫君
総務部長早川 剛生君
都立学校教育部長江藤  巧君
地域教育支援部長太田 誠一君
指導部長宇田  剛君
人事部長安部 典子君
福利厚生部長浅野 直樹君
教育政策担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
古川 浩二君
企画調整担当部長谷 理恵子君
教育改革推進担当部長増田 正弘君
特別支援教育推進担当部長小原  昌君
指導推進担当部長藤井 大輔君
人事企画担当部長黒田 則明君
担当部長川名 洋次君

本日の会議に付した事件
意見書について
オリンピック・パラリンピック準備局関係
契約議案の調査
・第百八十三号議案 東京体育館(三十)改修工事その二請負契約
・第百八十七号議案 東京体育館(三十)改修電気設備工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百九十六号議案 海の森水上競技場の指定管理者の指定について
・第百九十七号議案 夢の島公園アーチェリー場の指定管理者の指定について
・第百九十八号議案 カヌー・スラロームセンターの指定管理者の指定について
・第百九十九号議案 大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場の指定管理者の指定について
・第二百号議案 東京アクアティクスセンターの指定管理者の指定について
報告事項(質疑)
・有明アリーナ管理運営事業 事業者募集について
・東京マラソンの参加料について
教育庁関係
契約議案の調査
・第百七十九号議案 都立府中東高等学校(三十)校舎棟ほか改築工事請負契約
・第百九十一号議案 都立大島海洋国際高等学校実習船「大島丸」製造請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百七十一号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第十七号 東京都公立学校施設における冷房機器の整備促進に関する条例
請願の審査
(1)三〇第七号 都立江北高校夜間定時制の募集停止の決定を拙速に行わないことに関する請願

○里吉委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○里吉委員長 次に、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成三十年九月二十七日
東京都議会議長 尾崎 大介
文教委員長 里吉 ゆみ殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第百七十九号議案 都立府中東高等学校(三十)校舎棟ほか改築工事請負契約
 第百八十三号議案 東京体育館(三十)改修工事その二請負契約
 第百八十七号議案 東京体育館(三十)改修電気設備工事請負契約
 第百九十一号議案 都立大島海洋国際高等学校実習船「大島丸」製造請負契約
2 提出期限 平成三十年十月二日(火)

○里吉委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、オリンピック・パラリンピック準備局及び教育庁関係の契約議案の調査及び付託議案の審査、オリンピック・パラリンピック準備局関係の報告事項に対する質疑並びに教育庁関係の請願審査を行います。
 これよりオリンピック・パラリンピック準備局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 田中運営担当部長は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百八十三号議案及び第百八十七号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○藤木スポーツ施設担当部長 去る九月十八日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料をごらんください。
 資料は全部で三項目となっており、このうち契約議案に関して要求がございましたのは資料1でございます。
 一ページをお開き願います。資料1、東京体育館における休館を伴う改修工事(過去十年間)でございます。
 資料には、東京体育館における休館を伴う過去十年間の改修工事について、年度、費用、主な工事内容、休館期間を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、契約議案につきまして要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○米倉委員 東京体育館改修工事その二請負契約について、主にバリアフリー工事がどのような内容となっているのか、伺います。
 東京体育館は、東京五輪ではオリンピック・パラリンピックともに卓球が行われる予定となっています。
 今回の工事では、アクセシビリティ・ガイドラインに基づいたバリアフリー対応が行われることが中心となっています。
 そこで、私もこれまで障害者団体の皆さんからスポーツ施設を初め公共施設でのバリアフリーについてたくさんの要望を伺ってきましたので、今回の工事ではどう反映されていくのか、確認をしたいと思います。
 まず初めに、トイレについてです。
 トイレのバリアフリー化は、車椅子やオストメイト対応のトイレは拡充されつつありますが、肢体不自由の方や高齢者でおむつを利用している方の場合は、おむつをかえるための大型のベッド、ユニバーサルシートがなければ、なかなか外出ができない実態があります。
 肢体不自由特別支援学校のPTA連合会では、保護者にアンケート調査を行っていますが、そこでは、おむつを使う子供の保護者の八割が大型ベッドがなくて困ったと答えていらっしゃり、九五%の保護者がベッドの設置されているトイレがふえれば外出がふえると回答しています。
 外出先で大型ベッドがないために、仕方なくお子さんを、トイレの床にシートを敷いて、そこに寝かせておむつをかえることもあるですとか、小学五年生の娘さんを無理やりベビーベッドに上半身だけ乗せておむつをかえたんですと、保護者の方々からは本当に大変なお話を伺っています。
 アクセシビリティ・ガイドラインや福祉のまちづくりガイドラインでも、大型ベッドの設置が望ましい設備と示されていますが、東京体育館のトイレのバリアフリー化では、大型ベッド、ユニバーサルシートの設置は現状からどう変化するのか、伺います。

○藤木スポーツ施設担当部長 東京体育館におきまして、現状、車椅子対応トイレ内での着がえ、おむつ交換等、大人を含め多目的に利用できる大型ベッドは設置されておりませんけれども、改修後は、メーンアリーナ、サブアリーナ、プール棟、合計で十四カ所に設置いたします。

○米倉委員 現状のゼロから大幅にふえることは重要だと思います。
 車椅子利用者がふえる中、大型ベッドを利用する方からは、ベッドが設置されているトイレがそもそも非常に少ない中で、車椅子の利用者もふえていますから、トイレを待たなければならないということがそれなりにあると聞いています。
 ほかの施設にもかかわりますが、車椅子トイレにベッドを設置する際、一カ所つけたからいいということにはせず、スペースの許す限り複数のトイレに設置をしていただきたいと要望しておきます。
 同時に、この大型ベッドの設置を進めていく課題は、東京五輪の施設にとどまらず、都立スポーツ施設全てで求められていることだと思います。
 今後、既存の都立スポーツ施設のバリアフリー化を進める上では、大型ベッドの設置を積極的に進めていくことが重要と考えますが、いかがですか。

○藤木スポーツ施設担当部長 Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインでは、トイレには大型ベッドやオストメイト用設備等を機能分散して設置することとされてございます。
 一方、既存施設のバリアフリー改修に当たりましては、既存の構造躯体や限られたスペースを有効に活用しなければならず、こうした建築構造上の制約も踏まえながら、今後とも適切に対応してまいります。

○米倉委員 ぜひ積極的に大型ベッドを初めとしたバリアフリー化を進めていただきたいと要望しておきます。
 バリアフリー化にかかわりましては、利用者の方々の中には、事前にこの施設にはどこにエレベーターがあるのかですとか、トイレはどこにどういう機能があるのかということを調べて、それ次第で行けるかどうかが決まるという状況があります。
 ですから、バリアフリー工事にとどまらず、例えばトイレのバリアフリー情報について、ウエブ、インターネットでわかることや、また施設でもエントランスなどでどこにどういう機能があるかをわかるようにする取り組みが重要ですが、いかがですか。
 あわせて、外国語対応も必要だと思いますが、伺います。

○藤木スポーツ施設担当部長 トイレのバリアフリー情報につきましては、誰でも視覚的にわかりやすいピクトグラムで機能を案内することを基本としており、説明を要する場合には言語で補足することとしております。
 ウエブサイトや施設内におきましては、既にこうした考えを基本とした案内をしてございまして、改修後も同様とする予定でございます。
 また、外国語表記についてでございますけれども、ウエブサイトでは、バリアフリーに関し日本語表記のみであるため、改修に合わせて外国語表記を行うよう検討してまいります。
 施設内におきましては、既にピクトグラムとあわせ、必要に応じて補足的に英語での表記をしてございまして、改修後についてもピクトグラムを基本とし、説明が必要な部分については、日本語、英語、中国語、韓国語の四カ国語で表記してまいります。

○米倉委員 ウエブや施設で一括して情報を得られるということは重要です。また同時に、外国語対応もしていくということは重要だと思います。
 次に、車椅子利用の方の駐車スペースについてです。
 車椅子利用者のための駐車スペースは、多くの施設で確保はされているのですが、横幅はゆとりがある一方で、奥行きは普通の車のスペースと余り変わらないというものが多いのが実態です。
 しかし、車によっては、後ろからリフトやスロープを出して、車椅子をおろすタイプもありまして、その場合、最低二・五メートル分は後方にスペースが要ると伺いました。車を入れると八メートルは必要だということです。
 高齢者の車椅子利用者もふえている中、車椅子用の駐車スペースというものは埋まることもあるそうで、駐車スペースは拡充していくことが必要だと思います。
 車椅子などを利用する方のための駐車スペースは、横幅だけでなく、後ろの長さが広く確保されていることが必要ですが、そうしたスペースは、今度の工事で確保されているのか、また何台分確保されるのか、伺います。

○藤木スポーツ施設担当部長 現状、東京体育館の車椅子用駐車場のスペースは、一台当たり奥行き約五メートルでございますが、改修後は後部ドアからの開閉も考慮し、奥行き六メートルを確保いたします。
 また、現状、降車後の動線に配慮したエレベーターに近い場所を確保してございますけれども、車両動線としては最も奥に位置し、駐車しづらい場所でもございます。このことから、改修後は車両の切り返しにも使用できるスペースを設けまして、二台分の車椅子用駐車区画を表示いたします。
 この切り返しスペースに加えまして、普通車用のスペースも活用し、必要時には車椅子用に転用できるよう運用してまいります。

○米倉委員 既存のスペースをもとにした改修ですので、制限はあると思いますが、東京体育館の大きさの施設で、車椅子用スペースが現状の四台から二台に減っては足りないのではないかと心配です。
 必要時に普通車のスペースを車椅子用に転用することは必要な措置だと思いますが、やはりせめて現状の四台分は確保することが必要だと思いますし、また、今後の利用状況次第では、車椅子用の駐車スペースはふやすことも検討が必要だと思います。今後の利用状況の把握を要望しておきます。
 聞こえのバリアフリー対応についても伺います。
 我が党は、長年この取り組みを拡充するために、政策提言集を出すなどして、都に取り組みを求めてまいりました。
 東京体育館のバリアフリー対応についても、聞こえのバリアフリーに取り組む上では、磁気ループなどの設置は必要だと思いますが、どう取り組むのか、伺います。

○藤木スポーツ施設担当部長 聴覚障害者用の補聴器を補助する磁気ループを常設で設置するためには、ループ用配線を床下へ埋設する必要がございますけれども、東京体育館では、建築構造上の制約から床下への埋設が困難でございます。
 これまでアクセシビリティーワークショップの中では、福祉のまちづくり条例において、磁気ループ以外の集団補聴システムとして挙げられておりますFM方式等の導入について議論されておりまして、引き続き検討してまいります。

○米倉委員 聞こえのバリアフリー対応は、気軽に利用できることが重要だと思っています。特に高齢者の方などは、わざわざ機器などを用意してもらうのは申しわけないと遠慮してしまったりしやすいと思います。
 どうしたら必要な方が使いやすいかということも含めて検討をお願いしたいと思います。
 アクセシビリティーの向上により、オリンピック開催中はもちろん、オリンピック後にも多くの方たちが利用しやすい施設になることを期待して、質疑を終わります。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○里吉委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百九十六号議案から第二百号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○鈴木開設準備担当部長 去る九月十八日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料をごらんください。
 付託議案に関して要求がございましたのは資料2でございます。
 恐れ入りますが、二ページをお開き願います。資料2、新規恒久施設の指定管理者公募における応募事業者と評価でございます。
 資料には、指定管理者を公募した海の森水上競技場、カヌー・スラロームセンター、東京アクアティクスセンターの三施設について、応募事業者及び審査項目ごとの評価をそれぞれ表に記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、付託議案につきまして要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○白戸委員 私からは、海の森水上競技場に関して質問をさせていただきます。
 東京湾に浮かびます新しい島、中央防波堤につくられましたこの海の森水上競技場、ここを舞台に、二〇二〇年の夏に世界の強豪たちが競い合い、それを世界から来た大勢の観客が応援し、熱狂する。そんなことを今から想像するだけで、我々もわくわくするわけであります。
 ここは、そもそも廃棄物によります埋立地という、どちらかというとネガティブなイメージの場所だったんですが、都民が参加して森をつくる海の森プロジェクトなどが進みまして、都民の意識も少しずつ変わってきました。
 そして、二〇二〇年には、この場所がオリンピックの晴れ舞台となり、すばらしい水上競技場ができることで、またイメージが一新され、都民に親しまれる場所になるのではないかと大いに期待しております。
 さて、このたび、この海の森水上競技場に関して、指定管理者候補が選定されたわけなんですが、そもそも東京都として、この競技場の後利用をどのように想定されているのか、見解を伺います。

○鈴木開設準備担当部長 昨年四月に策定いたしました新規恒久施設の施設運営計画では、海の森水上競技場をアジアの水上競技の中心となる国際水準の水上競技場として、さまざまな競技大会やアスリートの強化合宿等で活用することとしております。
 さらに、都民に水上スポーツ体験や水上レジャーの機会を提供し、多くの都民がスポーツを楽しめる場とするとともに、隣接する海の森公園と連携し、新たな憩いの場を創出していくこととしてございます。
 指定管理者の募集に当たりましては、この計画を踏まえた管理運営を求めておりまして、事業者からは、スポーツの普及振興や利用者へのサービスの向上に資するさまざまな事業の提案がございました。
 今後、指定管理者や競技団体とも連携して、海の森水上競技場がさまざまな競技大会や都民の利用でにぎわう施設となりますよう取り組んでまいります。

○白戸委員 この海の森水上競技場なんですが、東京都には、いや、日本でも本当にまれな大規模な水上競技場施設ということになります。
 ボート、カヌーはもちろんなんですが、それだけではなく、ぜひ柔軟な発想で幅広く使用されるように検討していただきたいというふうに思います。
 また、大会後の後利用に関しましては、この当該施設だけではなく、その隣接部分、馬術のクロスカントリーが行われます海の森公園などと連携して、面的な広がりをもって、にぎわいを創出していくことが非常に重要だと考えております。
 周辺施設との連携について、候補者からは具体的にどのような提案があったのか、また、それを受けた都の取り組みについて伺います。

○鈴木開設準備担当部長 海の森水上競技場を、多くの都民を引きつけ、にぎわいのある施設とするためには、隣接する海の森公園と連携することが大変重要でございます。
 指定管理者候補者からは、全国の公園での多種多様なイベントを手がけてきた公園管理の実績を生かしまして、水上スポーツプログラムと公園での自然体験プログラムとを合わせたアウトドアフェスティバルや、カヌーとランニングを合わせたカヌーアスロンなど、水上競技場の水域と公園の陸域を組み合わせた大会、イベントなどについて、具体的な提案がございました。
 こうした提案も踏まえまして、今後、関係局とも連携を図りながら、海の森公園と一体となったにぎわいの創出に向けて取り組んでまいります。

○白戸委員 ありがとうございます。
 この東京湾の真ん中、つまり東京のど真ん中といっていいでしょうか、これだけの公園と水上競技場が生まれるということになります。
 昨今、特にこの人口集中が激しい都心部にこれだけの広さを持った公園ができるということは、ある意味奇跡的といいますか、本当にすばらしいことではないかなというふうに思っております。
 ぜひこの公園が、都民にとって貴重な財産であると思いますので、収支的な視点はもちろんなんですが、それだけではなくて、都民の憩いの場として、これからも長く利用していけるような取り組みを要望して、質問を終わります。ありがとうございます。

○池川委員 私からは、カヌー・スラロームセンターの指定管理者の選定についてお伺いをいたします。資料について、出していただいてありがとうございます。
 カヌースラロームの会場となるこの施設は、観客席の一部を除き、新規恒久施設として江戸川区の下水道局の管理地に建設される計画となっています。
 競技コースは、長さ約二百メートル、平均幅約十メートルの競技コース、長さ百八十メートルのウオーミングアップコースなどを擁する施設となっております。
 今回の指定管理者の選定に当たり、まず初めにどのようなことを重視して選定をしたのか、伺います。

○鈴木開設準備担当部長 カヌー・スラロームセンターの指定管理者の選定に当たりましては、募集要項において評価項目及び配点を定めております。このうち、施設の運営や利用料金など施設の提供、運営に関する業務や、スポーツ振興事業などのスポーツの普及振興、利用者のサービス向上等の事業に関する業務及び収支計画、これらを重視いたしまして、他の施設と同様に、これらの配点を高く設定しております。
 指定管理者候補者の提案内容におきましては、まず、施設運営については、多くの体育施設における管理運営実績や、海外事例の調査に基づく実現性の高い事業計画が示されていること、また、スポーツ振興事業につきましては、対象を明確に定めた上で充実したメニューを設けるなど、施設の有効活用が期待できる点が評価されたものでございます。

○池川委員 今の答弁ですと、施設提供、運営に関する業務請負、スポーツの普及振興、利用者へのサービス向上等の事業に関する業務、そして収支計画を重視して決めたということです。
 新規恒久施設の施設運営計画では、この施設については約一億八千六百万円の年間赤字となる施設であり、維持管理費をどのようにして捻出していくのかというのは、多くの都民の皆さんが注視をしているところだと思います。
 この新規恒久施設の施設運営計画において、来場者目標が設定をされていますが、その来場者目標が十万人となっております。この根拠については、都としてはどのように算出をして十万人という数を出されたのか、伺いたいと思います。

○鈴木開設準備担当部長 指定管理者候補者からの提案におきましても、来場者目標は年間十万人とされておりますけれども、指定管理者候補者からは、競技大会やアスリートの強化練習、ラフティングなどの区分ごとに入場目標を立てることで、年間来場者数十万人を達成していくとの提案を受けてございます。
 具体的には、年間七大会を開催することに加えまして、隣接する葛西臨海公園や葛西海浜公園等の利用者向けの、ウオーミングアップコースを利用した簡易なラフティング体験を実施することや、地元の競技団体と協力し、カヌー愛好者をふやすとともに地域のジュニアの育成を支援することなどの提案を受けております。
 お尋ねの新規恒久施設の施設運営計画におきます来場目標者数十万人と定めた根拠でございますが、年間来場者目標の設定に当たりましては、海外の類似施設の利用状況を調査するとともに、施設に関係する競技団体やラフティング等のアウトドア事業者などへの詳細なヒアリングを行いました。それをもとに、大会や強化練習、ラフティングや水上レクリエーションなど、具体的な利用見込みを積み上げたものでございます。

○池川委員 この施設は、これまでになかった施設で、大会開催は大まかに見積もれるとしたとしても、そのほかの利用者見込みの積み上げというのは、どれだけ需要があるのか、疑問が残るところがあります。
 事前に、海外では類似施設として、ロンドンのリーバレー・ホワイトウオーターセンターについて調査もして、その傾向についても参考にしたということをお伺いいたしました。
 それではお尋ねをいたしますが、その前後に行われた北京大会、リオ大会のカヌースラローム会場というのは、現在どのような状況になっているのか、お伺いします。

○鈴木開設準備担当部長 報道によりますと、北京大会では大会後、カヌースラロームコースの後利用が十分に行われていない状況と聞いております。
 また、リオ大会では、大会後、施設管理者が決まらなかったことから、一時利用がなされていない状況があったと聞いておりますが、現在では世界大会が開催されるなど、一定の利用がなされているようでございます。
 そのため、都では、昨年四月に大会後の施設運営の指針となる新規恒久施設の施設運営計画を策定し、大会二年前の早い段階で施設運営者を決定し、大会後の後利用にスムーズに移行できるよう、計画的に取り組んでおります。
 今後、指定管理者と綿密に連携し、競技団体とも協力しながら、大会後、多くの競技大会等を開催できるよう取り組みを進めてまいります。

○池川委員 率直にいって、これまでの大会の状況を見ても、なかなか厳しい状況があり、アテネも含めて、大会後の施設利用、維持管理については、なかなかうまくいっていない事情もあると。そうした問題が都民の中には懸念としても存在をしています。
 とりわけ経費がかかる問題についてですが、ポンプの運転が、経費がなかなかかかってしまうということも聞いております。
 ポンプの運転に経費が大きくかかると指摘をされていますが、この点については、都はどう受けとめ、どのように取り組んでいくのか、認識を伺います。

○鈴木開設準備担当部長 人工のカヌースラロームコースは、ポンプにより水流をつくり出すため、ポンプ稼働に伴う経費負担が大きくなることから、効率的な施設の整備や運用が求められます。
 都では、施設の整備に当たりまして、コンピューターを用いた水流シミュレーションを行いまして、高低差のない場所においても適切な流れを発生させることができるよう、複数のポンプを効果的に配置するなどして、ウオーミングアップコース、フィニッシュプールを一連として配置することにより、施設全体のコンパクト化を図りました。
 さらに、消費電力が少ないポンプを採用するなどして、こうした取り組みによりコストを縮減しております。
 指定管理者候補者からも、利用の目的、利用者の技能による明確なエリア分け、利用ニーズに沿った利用時間枠の設定をすることで、競技コースのポンプ稼働の効率的な運用を図る旨の提案を受けております。

○池川委員 ポンプ稼働にかかわる費用負担が多いということについては認識され、対応しているということです。
 同時に、それを改善するための方策を行ったとしても、実際に稼働してみる中で、どのような状況になるかわからないというのも一方で事実だと思います。
 実際に指定管理者から提出をされた事業計画書の中にも、カヌー・スラロームセンターは日本で初めてできる人工コースで、その収入変動は避けられないと考えています、指定管理の事業者を決める際に、関係団体にヒアリングを行い需要予測を立てましたが、現在の、競技者にとって、自然のコースは無料であって有料の意識はありません、また、海外の事例を参考に予測を立てましたが、水上スポーツに対する文化が異なり、この需要予測も完全とはいえませんというふうに、管理者に選ばれた業者自身が事業計画書の中で書いているということもあります。予測を立てることが率直にいって難しいというのは現状だというふうに思います。
 最後に、土地の問題について伺いたいと思います。
 現地は、下水道局から無償で使用許可となっている土地だと伺っておりますが、これについては今後どのように対応されていくのでしょうか。

○鈴木開設準備担当部長 カヌー・スラロームセンターの土地の使用許可に際しましては、大会までは無償での使用許可を受けております。
 大会後の土地の使用料につきましては、今後、下水道局と協議を行っていく考えでございます。

○池川委員 大会後にこの問題については協議を行うということであります。
 一般会計と企業会計の中のやりとりになるわけですが、使用料が発生するとなると、維持管理費にも影響が出てくると考えます。
 我が党は、各スポーツ競技人口の裾野を広げていくことは大変重要で、積極的に取り組んでいただきたいと考えております。ただ同時に、今回のカヌー・スラロームセンターは、国内には例がない施設であり、運営そのものがどうなるかということに課題がないとはいえないということも認識をしています。
 そのことを申し上げまして、質問を終わります。

○米倉委員 私からは、海の森水上競技場の指定管理の選定について伺います。
 我が党は、これまで新規恒久施設については、東京五輪の後にもスポーツ団体や都民から利用しやすい施設となること、維持管理コストの抑制を行うこと、また、そのための設計上の配慮を行うこと、施設ごとに後利用計画を明確にし、都民、関係者の理解を得て整備を進めるべきと求めてまいりました。
 海の森水上競技場についても、建設コストがかかり過ぎることや、そもそも競技施設としても課題があることを指摘してきました。
 今回の議案は、施設の管理を指定管理者候補者に任せるというものですので、どういう施設管理提案がされているのか、主に利用者の安全という点で伺います。
 まず、海の森水上競技場は、海辺施設の管理で、適切な管理運営が確保されていなければ、最悪の場合、利用者が水死する危険もあります。
 そこで伺いたいと思いますが、海辺施設の管理は、利用者の安全に直結するため、本当に重要だと思いますが、海の森水上競技場ではどのように安全を確保するのか、伺います。

○鈴木開設準備担当部長 海の森水上競技場を競技大会や水上スポーツ体験、水上レジャーなど多様なスポーツに親しめる場とするためには、施設利用者の安全性を確保することが重要でございます。
 施設整備におきましては、大会後、水域への転落防止柵を施すとともに、利用者が転覆した場合に、利用者が速やかに護岸に上がるためのはしごを複数設置することとしております。
 指定管理者候補者の提案では、長良川国際レガッタコースでの管理運営実績を踏まえまして、利用ルールや安全管理、注意事項を記した手引等を作成し、初めての利用者を対象に初回講習を実施することや、安全監視者、見守り者の配置、ライフジャケットの着用や航行ルールなどについての規則を定めることで、利用者の安全を確保していくこととしております。

○米倉委員 初めての利用者に講習をしたり、手引を配布するなどということです。
 指定管理者の候補者は、長良川レガッタコースの管理運営実績があるということですが、川の施設と海の施設では安全上の配慮は違うと思います。
 安全上の基準は、本来、管理運営者の実績頼みではなく、都が定めるものだと思います。東京五輪の後に、水域への転落防止柵を設置したり、利用者が転覆した場合に護岸に上がるためのはしごを設置するということですが、そもそも海の森水上競技場は、水路に施設をつくったために、護岸は海面に対して垂直に高さが最大四メートルほどもあります。満潮時でも二メートルあるといわれています。
 利用者の安全、とりわけ一般利用者のことにかかわって、水門などに近づけるようになっているのか、また、水門付近でのけがなどが起こり得るのかもあわせて心配があります。
 そこで、これも伺いたいと思いますが、水門はいつ利用するものなのか、また、個人利用の際にも使うものなのか、また、その安全対策はどのように行われるのか、伺います。

○鈴木開設準備担当部長 水門は、閉門することにより一定の水位を保つことで、競技に最適な環境をつくり出すための設備でございます。
 このため、厳密な水位管理が求められます、主に国際大会等での利用を想定しておりまして、個人利用の際の水門使用は想定しておりません。
 なお、安全管理対策につきましては、指定管理者と連携して適切に対応をしてまいりたいと思います。

○米倉委員 水門付近の安全対策は適切に対応していくということです。ブイを手前に設置して、水門付近に近寄れないようにするなどの対策が必要だと思いますので、要望しておきます。
 もう一つのお答えでした水門の利用については、国際大会などを想定していて、個人利用の際は水門は使わないというご答弁がありました。
 そうなりますと、潮位にもよりますが、水面と護岸の上までは最大四メートルあるということです。いざというときは、はしごがあるといいましても、これほどの高さですと、体力がなければ上れませんので、これで一般利用者の安全が確保されるのかという点については疑問が残ります。
 次に、安全の問題でもう一つ伺いたいと思いますが、気象状況による利用の可否の判断や、施設管理の専門性をどう担保されるのか、伺います。

○鈴木開設準備担当部長 指定管理者候補者からは、気象状況等により、競技コースの使用を中止する場合の基準を競技団体の協力を得ながら定めるとの提案を受けております。
 また、水門や排水ポンプについては、台風、大雨などにより、高潮警報の発生が予想される場合などには、状況に応じて二十四時間体制で管理し、速やかに水門開閉、排水ポンプの操作を実施できる体制をとるとの提案を受けております。
 こうした具体の提案は、指定管理者候補者の長良川国際レガッタコースの管理運営実績に基づくものでありまして、加えて指定管理業務において、水門管理に精通した事業者の活用を図るとしていることから、施設管理の専門性は十分に担保されているものと考えます。

○米倉委員 どういう気象状況のときに競技コース使用を中止するかというような基準は、これもやはり管理者ではなく、都が責任を持って設けて示すということが必要だと思います。
 水門や排水ポンプなどは、高潮警報が予想される場合などは、状況に応じて二十四時間体制で管理し、速やかに水門を開閉するなどの体制をとるということで、今お答えもありましたが、これについては、オリンピック・パラリンピック準備局も連携して対応すると説明を伺っています。
 やはりいざというときの水門や排水ポンプなどの対応は、都の判断も必要だから、そういう対応をとるということだと思います。だとするなら、そもそも海の森水上競技場自体、指定管理ではなく、都が運営することが必要だと思います。
 我が党は、海の森水上競技場のような水辺の都立施設は、指定管理者に運営を任せるのではなく、都が運営に責任を持つことが必要だと考えています。
 例えば指定管理者が管理する葛西臨海公園では、六年間で四人も死亡者を出していて、重大な事態となっていますが、水辺、とりわけ海辺の施設には相当、利用者の安全確保が求められていると思います。
 とりわけ海の森水上競技場は、都内にも類似施設がなく、東京都自体にもノウハウの蓄積がほとんどないのだと思いますが、民間についても、指定管理者の応募も一グループしかなかったというところに、管理運営の難しさや未知の部分が多いことを示していると思います。
 指定管理者候補者の中には、類似の競技施設管理の実績があると都は説明をされますが、海と川ではやはり状況は違いますし、海の森水上競技場は護岸が切り立ったコンクリート壁である一方で、川辺とは状況も違いますから、現状の指定管理者に運営を任せて利用者の安全が確保できると、きょうのご答弁では私たちは判断できません。よって、この指定管理の選定については反対をいたしたいと思います。
 これで質問を終わります。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○里吉委員長 次に、報告事項、有明アリーナ管理運営事業事業者募集について及び東京マラソンの参加料についてに対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○鈴木開設準備担当部長 去る九月十八日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料をごらんください。報告事項に関して要求がございましたのは資料3でございます。
 恐れ入りますが、三ページをお開き願います。資料3、有明アリーナ管理運営事業提案募集要項における運営権対価の参考価格等でございます。
 提案募集におきましては、応募者より、運営権対価については参考価格六十四億円以上となる金額の提案を、業績連動支払いについては運営権対価支払い後の税引き前当期純利益の二〇%以上の金額となる支払い方法の提案を求めており、この運営権対価の参考価格及び業績連動支払いの考え方について記載したものでございます。
 以上、簡単ではございますが、報告事項につきまして要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○入江委員 有明アリーナを東京の新たなスポーツと文化の拠点とするため、都は、有明アリーナの運営においては、初めてとなるコンセッションを導入し、民間事業者のノウハウや創意工夫を最大限に生かした運営を行うとしています。
 民間の力を活用するために、有明アリーナの運営事業に対する参入意欲や、やる気を引き出していくことが重要です。
 これまでに、民間事業者とのヒアリングを積み重ねて丁寧に意見を聞き、コンセッションのスキームを検討してきたと伺いました。
 さて、去る七月には募集要項を公表し、事業者選定の手続を開始したところです。その中で、運営権対価と業績連動支払いについて、民間事業者から提案を求めています。
 運営権対価は、参考価格として六十四億円を示していますが、運営権対価の位置づけはどのようなものなのでしょうか。施設の収益が下回った場合はどのような対応をするのでしょうか、減額するのでしょうか、伺います。

○鈴木開設準備担当部長 事業者の募集要項では、二十五年間の運営期間にわたり、都に対して毎年支払う固定額である運営権対価の総額と、運営権者の利益に連動してその一部を都に支払う業績連動支払いについて提案を求めています。
 そのうち運営権対価は、参考価格六十四億円以上となる金額の提案を求めており、仮に施設運営の収益が想定を下回った場合であっても、減額等は行わず、毎年の固定額を都に支払うものでございます。

○入江委員 ご答弁によると、収益が下回った場合でも、運営権対価の減額はなく、これは民間事業者にとっては非常にシビアなものです。
 有明アリーナの運営では、民間事業者の創意工夫による効率的な経営とサービス向上を期待するものですが、民間事業者の参入意欲を高め、やる気を引き出し、安定的な施設運営を行っていくためにも、二十五年間に及ぶ運営において一定のリスクを想定する必要があると考えます。
 これらのリスクを踏まえた参考価格の設定の考え方を伺います。

○鈴木開設準備担当部長 有明アリーナでは、国際スポーツ大会の開催やコンサート等のエンターテインメントの場として活用するという施設の目的を達成するために、民間のノウハウや創意工夫を生かした柔軟な運営を行い、都民サービスの向上と効率的、効果的な運営を行うこととしております。
 一方、二十五年間の運営期間におきまして安定した運営を行うためには、競合施設の出現やイベント需要の変化など、施設の不測の需要変動等のリスクも踏まえ、運営権対価を設定することが継続的なサービス提供の観点からも重要と考えます。
 昨年度策定いたしました新規恒久施設の施設運営計画は、類似施設の運営状況や民間のシンクタンク等の意見等を参考に収支を試算したものでありまして、コンセッションによる二十五年間にわたる長期の運営を前提としたものではございません。
 このため、運営権対価の参考価格の設定に当たりましては、施設運営計画の収支をベースとしつつ、運営権者が対応すべきこれらリスクについて考慮の上、収支を改めて積算し直し、参考価格六十四億円を示したものでございます。
 なお、応募者はみずからのノウハウにより運営上のリスクを想定した上で、創意工夫を生かして、有明アリーナ運営に係る具体的な事業収支計画を作成し、それに基づいた六十四億円を上回る運営権対価を提案することとなります。

○入江委員 この六十四億円ですけれども、リスクを考慮した運営権対価の参考価格ということです。先ほどは減額はないということなんですけれども、リスクが顕在化しなかった場合、この運営権対価はどうなるのでしょうか、増額するのでしょうか、お伺いします。

○鈴木開設準備担当部長 応募者からの提案により定めた運営権対価の毎年の固定額の変更は行いませんが、結果として、リスクが顕在化せず、運営による収益が増加した場合には、都と運営権者とで利益を分配する業績連動支払いにより、その利益の一部を都に還元することとしております。

○入江委員 二十五年間において、運営権対価は減額も増額もしないということでございます。
 民間事業者は、営業ノウハウを最大限に生かして、さまざまなリスクヘッジをして、その手腕によっては、想定以上の利益を上げることも可能となります。その場合に、都と民間事業者が利益を分配し合うプロフィットシェアで都に還元されるとのことですが、民間事業者の創意工夫を生かすためには、事業者に一定のインセンティブを与えることも重要です。
 改めて業績連動支払いの考え方について伺います。

○鈴木開設準備担当部長 コンセッションによる運営では、運営権者の創意工夫を生かした柔軟な運営を行うことにより、利用者ニーズに応じた追加投資や質の高いサービスを提供することが可能になります。
 このような運営を行うためには、運営権者がみずからの創意により、事業を実施するための資金や施設への投資に対応するための内部留保が必要であります。
 このことから、都と運営権者とで利益を分配し、運営権者が一定の資金を確保するため、運営権対価支払い後の税引き前当期純利益の二〇%を設定し、民間事業者からはそれ以上の金額となる提案を求めています。
 なお、業績連動支払いの水準につきましては、これまでの民間事業者ヒアリングの意見や、PFI事業に知見を有するシンクタンクのアドバイス等を踏まえ、一般的なサービス業の経常利益率なども参考に設定したものでございます。

○入江委員 この有明アリーナの運営にコンセッションを導入する最大の目的は、民間の柔軟な運営により利用者ニーズに即した良質なサービスを提供することにあります。
 事業者が提案してくる運営権対価の提案額が幾ら高くても、それを裏打ちする収支計画が不十分であり、結果として、サービス提供に支障を来すような事業者が選定されることがあってはなりません。
 事業者選定において、運営権対価の提案も含めどのように評価していくのか、伺います。

○鈴木開設準備担当部長 有明アリーナの管理運営において、適切な運営権対価を得ることは、都民の利益にもつながるものでありますが、一方、有明アリーナの管理運営では、収益性の高いコンサート等の開催だけでなく、スポーツ利用にも一定の配慮をすることや、利用者サービス向上のための追加投資をすることなども期待しております。
 事業者選定に際しましては、応募者から提案される事業計画を踏まえまして、施設で提供されるサービスの内容や質、追加投資の内容など、さまざまな要素を勘案した全体のバランスの中で、事業内容や収支計画、運営権対価等についても評価をし、外部専門家等による審査委員会にて総合的に審査してまいります。

○入江委員 民間事業者の創意工夫を生かし、都民の利益を高めていくことがコンセッションの肝であり、またそこが民間事業者の腕の見せどころであると考えます。
 国内初となるコンセッションによるアリーナの運営により、有明アリーナのポテンシャルを最大限に引き出し、東京の新たなスポーツと文化の拠点として、さまざまなコンテンツを発信し続ける魅力的なアリーナとしていくことを期待しております。
 都民、国民、さらに世界中の人々からぜひ行ってみたいと思われるアリーナとなってほしいと思います。
 さて、間もなく応募を予定している民間事業者との官民対話も新たに始まりますが、事業者から提案されるサービスの質と、運営権対価の金額、業績連動支払いの分配内容など、それらのバランスをしっかりと見きわめて、事業者選定を行っていただくことを強く要望いたします。
 以上で質問を終わります。

○高倉委員 東京マラソンの参加料について、質問をさせていただきたいと思います。
 私も東京マラソンにつきましては、二〇〇八年にフルマラソンに出場させていただきまして、おかげさまで完走することができたわけでありますが、時間は、いわゆる制限時間が非常に長いおかげで、その中でおさまったという状況でありました。
 ふだんは、車の中からでしか見ることのなかった東京のまちの風景でありますけれども、その道路の真ん中を自分の二本の足で走ってみる、そこに入ってくる風景というものは、大変新鮮なものとして受けとめた記憶があります。
 最近は走ることもできませんので、毎年のスタートの、開会式に参加をさせていただいているわけでありますが、この東京マラソンは回を重ねて、今や世界に誇れる一大スポーツイベントになったということについては、皆さん、また関係者の方々、さらにボランティアの皆さん、そして出場されたランナーの皆さんの熱意が結晶となってあらわれている、そういうことであると思いまして、深く感謝を申し上げたいというふうに思っております。
 今回の報告事項は、東京マラソン財団の方から、ランナーの参加料を一万五千円に見直したいという提案でございます。
 大会が今日まで推移をして、その中でさまざまな経費増の要因といったものも出てきているというふうに思いまして、そうした中で参加料を検討していくということは、私は必要なことであるというふうに思っております。
 この参加料と、それからコストの、いわゆるアンバランスについては、監査法人の方からも指摘が出ているわけであります。
 この参加料を検討するに当たっては、東京マラソンの経費、あるいは収入の現状、そして東京都から補助金も入っているわけでありまして、その現状がどうなっているのか、このことを十分確認をさせていただかなければいけないというふうに思っております。
 そこでまず、ボストン・マラソンでテロ事件が起きた直前の二〇一三年の大会からことしの大会に至るまで、経費は大幅にふえているというようなことでありますけれども、どう推移をして、どれぐらい増加をしたのか、そして、その増加分の内容はどういったものであるのか、また、一方で経費の節減といったことにも恐らく力を注いでいらっしゃるというふうに思いますので、そういった点について具体的にどう削減を図ってきたのか、この点についてまとめてご答弁をいただきたいと思います。

○小室スポーツ推進部長 東京マラソン財団の経常費用は、二〇一三大会では約二十八億二千万円、直近の二〇一八大会では約三十五億六千万円で、この五年間で七億四千万円増加しております。
 増加分のうち主なものは、警備安全対策費で二・七倍の約三億円、協賛金収入の増に伴う代理店手数料で約一億四千万円でございます。
 経費節減としましては、広報マーケティング費の節減に取り組んでおりまして、発注形態の見直し等により、五年前の二〇一三大会と比較して、約六千万円の経費削減効果を上げているところでございます。

○高倉委員 今、経費が、どういう内容が主たる要因となってふえてきているのか、そして一方で、しっかりと節減すべきところは節減を図っているということについて明確な答弁があったわけであります。
 一方、収入といったことも当然大事になってくるわけでありますけれども、この収入を見ますと、協賛金の比重が大変大きいわけでありまして、経常収益の約七割が協賛金であるという状況であります。
 協賛金の額は、今日まで順調に推移をしてきているというようなことが資料からも読み取れるわけでありますけれども、その一方で、協賛金に協力をしていただいている企業がこれを打ち切るというような状況もあるわけですね。
 当然ながら、それぞれの会社の経営状況もありますし、全体の経済の状況といったようなこともこういったことに反映をしてきているというふうに思うんですけれども、収入の主たる比重を占めている協賛金については、今後一体どうなっていくのかということはとても重要な点だというふうに思いますけれども、財団としてどう認識をされているのかについてご答弁いただきたいと思います。

○小室スポーツ推進部長 東京マラソン財団によりますと、現在は二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックが開催されることもありまして、協賛金収入は順調に推移しておりますが、二〇二〇年以降の協賛金の収益見込みは不透明としております。
 協賛金は、本来、景気の影響を受けやすい不安定な財源でございまして、二〇〇七年の開始以来、協賛を打ち切った企業もございます。
 今後、景気が落ち込んだ場合には、協賛から撤退する企業も出てくる可能性があると財団は認識しております。

○高倉委員 今答弁にもありましたように、特に二〇二〇大会以降については、不透明なところもあるというようなことで、協賛金はこれからも重要だというふうに思いますけれども、そこに全てを頼り切っていくわけにもいかないという状況も恐らくあるんだと思います。
 引き続き、スポンサーセールスといったようなことについても、しっかりとこの大会を維持していくために、積極的な取り組みをお願いしたいというふうに思います。
 今、経費の件と、それから収入の件の答弁をいただいたわけですが、もう一つ、東京都からの補助金を確認させていただきたいと思います。
 都の補助金については、警備安全対策の一部に充てていると、こういったようなことであるというふうに思いますが、まず、都の補助金についてどういう考え方で支出をしてきているのか、このことについてご答弁をいただきたいと思います。

○小室スポーツ推進部長 大会の開催に当たりましては、ランナーだけではなく、沿道の観衆やボランティアの安全を確保することが重要でございます。
 そのため、都は、警備安全対策のための補助を行っております。具体的には、スタートやフィニッシュ会場及びコース沿道などのセキュリティー経費、交通規制のための広報費用などに充てられております。

○高倉委員 この警備安全対策というのは、極めて重要なんだというふうに思います。特にスポーツイベントとして、ある一つの、一定の競技会場の中でやるようなイベントであれば、比較的警備安全というのは想定をしやすい、あるいは体制をとりやすいというようなことがありますけれども、まさに四十キロ以上もの距離をずっと、しかも多数のランナーが長い時間をかけて、先頭はもうとっくの昔にゴールしているのに、まだ後ろの人が途中を走っているような、時間的な意味でも長い幅のある大会の中で、警備安全を万全にしていくということは極めて難しいことでもありますし、大変重要なことでもあると思うんですね。
 どこまでやれば万全なのかということは、なかなか難しいんだと思うんですね。ここまでやったんだけれども、想定外の事態が発生して、やはり課題があったとか、あるいはもう少しやらなきゃならなかったんだけれども、ここまでやったけれども、しかし何も起こっていないというようなこと、いろんな状況の中でどこまでやったらいいのかというのが難しいのが、警備安全対策ということだと思いますけれども、これをしっかりやらないと、まさに世界に誇れる東京マラソンもまた違った評価の大会になってしまうおそれもあるわけでありまして、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 この警備安全対策について、今後さらにどういう取り組みをしていくべきなのか、このことについてお考えをお聞きしたいと思います。

○小室スポーツ推進部長 警備安全対策は、安全な大会運営に不可欠であり、大都市東京を舞台に、多くのランナーや観衆が集う東京マラソンでは、とりわけ重要でございます。
 東京二〇二〇大会を控え、東京マラソンにも国際的な注目が集まる中、大会運営におきまして、より高いセキュリティー水準が求められます。
 こうした状況において、財団としては、東京二〇二〇大会を見据え、国際的なテロに備えるなど、今後とも万全な対策を進めていく必要があると認識しております。
 今後とり得る対策としましては、例えば沿道における警備員の増加、ウエアラブル巡回警備員の増加、車両突入対策などテロ対策関連の資材設置などが想定されます。

○高倉委員 ぜひ新たな取り組みもしっかりと進めていただきたいというふうに思います。
 これまで経費の問題、それから、一方で収入の問題、そして、特に警備安全ということに重点を置いている東京都の補助金のこと、これを一つ一つ今明らかにさせていただいて、現状はよくわかりました。
 こうした中で、今回の参加料の改定は、五千円ふやしていく、ランナーの負担をふやしていくということでありますけれども、このことについての考え方についてご答弁いただきたいと思います。

○小室スポーツ推進部長 東京マラソンの事業費は、大会の周知、開催、運営に要する基幹的費用とその他の費用に大別され、今回の改定はこの基幹的費用のうち、警備安全対策費の増嵩が背景となっております。
 警備安全対策費は、二〇一三大会から二〇一八大会までの間に三億円増嵩しており、都補助金の増分一億円を除く二億円を参加定員の三万六千人で除した額が約五千六百円となることから、五千円の上乗せを改定額として提案いたしました。
 警備安全対策費は、大会運営の基幹的経費であり、ランナーの安全・安心に直接必要な経費であるため、ランナーご自身が負担するにふさわしいとの考えのもと、今回の改定提案に至ったものでございます。

○高倉委員 今、五千円の根拠について答弁をいただいたわけであります。
 ほかの、世界のいろんな大きなマラソンの大会、あるいは、国内の本当に有名な大会というものに比べても、一万円の参加料というのは、かなり低いというんでしょうかね、そんなに別に高いものではなかったということは、そちらからいただいた資料でも確認ができるわけであります。
 何度も繰り返しますけれども、特にやはり警備安全対策には、今後も場合によってはさらに費用がかかるかもしれない、しかしながら、それをしっかりやっていかないと、これだけ大きな規模の大会を、しかも首都の都心のど真ん中でやるような状況の中では、これを継続していくということが本当に大変な状況であるというふうに思いますので、ここはしっかり取り組んでいく必要があるというふうに思います。
 そもそもこの東京マラソンに参加するに当たっては、非常に倍率が高いので、参加することそのものが、その前に大きな関門があるわけでありますが、本当にある程度負担をしても、ぜひ都心を走ってみたいという思いは、ランナーの方々は大変強いわけでありまして、単に十年以上経過したからそろそろ引き上げようかということではなくて、収入や、あるいは経費や、あるいは都の補助金、こういったことを踏まえて、今まさにこれから大会を、さらに安全に走れる、そういうような大会にしていくために、ぜひ必要であるというようなご説明であったというふうに思いますけれども、私はこの改定額といったものは適正なものではないかなというふうに思っている次第でございます。
 そこで、参加料の引き上げということについて、はい、引き上げますということだけではなくて、今答弁いただいたようなことについて、参加したいという人はもとより、国内外にも十分な説明をしていく必要があると思っておりますけれども、こういった情報発信、さらに、当然ながらいろんな意見もあると思いますので、意見を聞いていくことも大切であるというふうに思いますけれども、このことについてのご見解をお伺いしたいと思います。

○小室スポーツ推進部長 財団では、本委員会の事前説明を行った九月十八日から約一カ月間、ホームページにおきまして説明資料を添付の上、東京マラソンの応募者を含め広く一般から意見募集を行っております。
 加えて、より多くの方々からご意見を伺うため、東京マラソンへの参加希望者が多いとされる財団の公式クラブ、ONE TOKYOの会員約五十三万人に対し、メールマガジンで意見募集についてもお知らせをしているところでございます。
 また、メディアからの取材に対しては、ホームページにて意見募集を行っている旨を情報提供し、多くの方々に説明資料を閲覧していただけるよう努めております。

○高倉委員 この大会においては、ボランティアの存在といったことが大変重要であるというふうに思います。
 当初、今もそうかもしれませんけれども、なかなか抽せんに当たらなかったという方々が、ボランティアでもいいから大会にかかわりたいという熱意のもとに、最初の大会から多くの方々が本当に熱心にボランティアとして参加をしてくださったわけであります。
 このボランティアの方々の存在は、先ほどずっと質疑をしてきましたけれども、いわば収支ということについては、必ずしも全部そのことがあらわれてきているわけではありませんし、ボランティアの方々に頼れるからいいんだということでもないんですね。やはりあくまでボランティアの方々の思いや熱意をしっかり受けとめて、大会を運営していかなきゃならないというふうに思っております。
 このボランティア、どういう状況であったのか、さらに、ボランティアをしたいという方々は、希望者はふえているのか、私は、もしふえているのであれば、やはりできるだけお応えをすべきだというふうに思っておりますけれども、これについてちょっと状況を教えていただきたいと思います。

○小室スポーツ推進部長 直近の東京マラソン二〇一八では、大会当日、延べ約一万一千人のボランティアが活動いたしました。
 東京マラソンのボランティア希望者は、オフィシャルボランティアクラブ、VOLUNTAINERに登録することになっております。その登録者数は、二〇一七年三月末時点では約一万四千人でございましたが、二〇一八年三月末時点では約二万三千人に増加しております。
 これらの登録ボランティアは、東京マラソンのほか、東京マラソンのオフィシャルイベントや、昨年六月、ラグビーテストマッチに合わせ開催した東京ラグビーファンゾーン二〇一七など、他のスポーツイベントでも活躍しております。
 VOLUNTAINERは、小学生以上であれば、経験がなくても誰でも登録できる制度となっておりまして、財団としましては、世代を超えて多くの方々に登録していただきまして、さまざまな活動にご参加いただきたいと考えております。

○高倉委員 登録ボランティアの数が二万三千人になっているというお話でありました。本当にすばらしいことであるというふうに思いますし、この間、毎年毎年、しかも都心で、しかもほかでは経験ができないような大規模なイベントにおいて行われたボランティア活動ということについては、いわゆる主催する方々にとっても、非常に重要な、貴重なノウハウをそこから得ているというふうに思いますし、また実際にボランティアとしてかかわっている方々も、そこでは貴重な経験を積んでいるというふうに思うんですね。
 ほかのイベントでも活躍をされているというお話が今ありましたけれども、本当にこうした貴重な、いわば財産ですので、そういったものが十分にさらに発揮できるように、工夫をしていただきたいと思います。
 最後に、東京二〇二〇大会がいよいよあと二年後ですが、来年の大会、そしてまさに二〇二〇年のときの東京マラソンの大会、あと二回あるわけでありますけれども、二〇二〇のオリンピック・パラリンピック大会の成功に向けて、東京マラソン財団としてもさらに何らかの貢献ができることがあるんではないかというふうに思いますけれども、今後の取り組みをお伺いしまして、質問を終わりたいと思います。

○小室スポーツ推進部長 財団は、東京二〇二〇組織委員会と東京二〇二〇大会の成功に向けた協定を締結しており、大会におけるマラソン競技における運営ノウハウの提供、大会のレガシー創出と継承等について協力するとしております。
 具体的には、東京二〇二〇大会のボランティア検討委員会に参加し、募集要項への助言やボランティア経験者の声の共有等を行ったほか、VOLUNTAINERの登録者に対し、東京二〇二〇大会のボランティア募集に関する情報提供を行い、応募促進に取り組んでおります。
 また、東京二〇二〇応援プログラムとして、東京二〇二〇大会を初めとしたスポーツイベント等において活躍できるリーダーを育成するボランティア研修を実施しております。
 財団がこれまで培ってきた実績や資源等を東京二〇二〇大会の成功のためにフル活用し、その結果がさまざまな形でレガシーとして後世に継承されるよう、都は支援してまいります。

○米倉委員 有明アリーナ管理運営事業の事業者募集の報告について伺います。
 資料をつくってくださってありがとうございました。
 都は、七月に有明アリーナの管理運営事業に、民間事業者に対し募集要項や管理運営の要求水準書、基本協定書や契約書の案を公表しました。
 これまで我が党は、有明アリーナの管理運営については、都立施設として、都民のスポーツ利用についても事業の目的、施設運営の考え方に、都民のスポーツ振興の促進について明記をして位置づけることを求めてきました。コンセッションと指定管理者などのそれぞれの運営で、どの程度コストに差が出るのか、PFI法やガイドラインの趣旨に沿った試算も必要だと指摘してまいりました。
 今回公表された募集要項では、運営権対価については、民間事業者は参考価格六十四億円以上となる提案をすることと、業績に連動する支払いについては、運営権対価支払い後の税引き前当期純利益の二〇%以上の金額となるよう求めています。
 運営権対価の参考価格については、都のこの資料の一番目の項目では、新規恒久施設の施設運営計画の収支試算をベースとし、施設の不測の需要変動等によるリスクを考慮して、運営権対価の参考価格六十四億円を設定と説明をしています。
 都が公表している新規恒久施設の施設運営計画では、有明アリーナは年間三・六億円の黒字と試算をしています。
 今回提示されている参考価格の六十四億円は、二十五年間で割りますと、年間約二・六億円で、一年間にして約一億円の開きがあります。どういう試算によるのか、伺います。

○鈴木開設準備担当部長 運営権者が長期にわたり安定した運営を行うためには、さまざまなリスクも踏まえた運営権対価を設定することが継続的なサービス提供の観点からも重要と考えます。
 昨年度策定いたしました新規恒久施設の施設運営計画は、類似施設の運営状況や民間のシンクタンク等の意見等を参考に収支を試算したものであり、コンセッションによる二十五年間にわたる長期の運営を前提としたものではございません。
 このため、運営権対価の参考価格の設定に当たりましては、施設運営計画の収支をベースとしつつ、運営権者が対応すべきこれらリスクについて考慮の上、収支を改めて積算し直し、参考価格六十四億円を示したものでございます。
 なお、想定したリスクが顕在化せず収益が増加した場合には、都と運営権者とで利益を分配する業績連動支払いにより、その利益の一部を都に還元することとしております。

○米倉委員 リスクを踏まえた運営権対価を設定することが重要だということです。
 年間の収支を当初の試算から一億円の差をつけて対価を設定するというのは、相当のリスクを試算しているのだろうと思います。
 そこで伺いたいのですが、施設の不測の需要変動等によるリスクというのは、具体的にどういうことを想定したものなのか、またこのリスクをどう金額的な試算としているのか、伺います。

○鈴木開設準備担当部長 運営権対価の参考価格は、競合施設の出現やイベント需要の変化による施設の不測の需要変動等を想定し、これらのリスクについて積算を行った上で定めたものでございます。
 実際の事業者選定における企画提案に当たりましては、応募者がそのノウハウを生かし、独自にリスクを想定し、運営権対価を提案することとなります。
 都としては、リスクを含め参考価格の積算の具体的な内容を示すことは、応募者の提案の幅を狭めてしまうおそれがあり、また、契約における予定価格の積算に相当するものでもあるため、お示しすることは差し控えたいと存じます。

○米倉委員 競合施設が出現するかもしれないし、出現しないかもしれない、イベントの需要がふえるかもしれないし、減るかもしれない、そうしたリスクを積算したということです。
 今、都が説明をされたリスクの中身というのはかなり漠然としていますし、そのリスクの与える影響の評価も妥当といえる内容かどうかもわかりません。民間事業者による管理運営期間が二十五年という長期間になり過ぎるから先が見通せず、こうした漠然としたリスク評価になるのではありませんか。
 都は、コンセッション方式で、民間事業者に長期間にわたり運営権を設定することで、創意工夫を生かした柔軟な運営により、施設の収益性の向上などが可能になると説明をしてきました。
 しかし、結局、運営権対価の参考価格は、十年後、二十年後のリスクを想定し、当初の都が施設を運営する場合の試算と比べ、年間一億円、対価収入が低くなっているわけです。
 これは、場合によっては、コンセッション方式の導入の方が都の収入が減るということも起きるということではないんですか。同時に、余りに長期にわたり管理運営を民間に任せることの無理が出ているということも指摘しておきたいと思います。
 六月に、都は議会に対して、都みずから有明アリーナを管理するよりも、PFIの一つであるコンセッション方式で運営する方が効率的かつ効果的に実施できると評価をしたので、有明アリーナの管理運営はコンセッション方式とすることにしたという報告をしました。
 その中身も、質疑もいたしましたが、国のガイドラインが基本だと示している定量的な評価もなく、東京都の希望を述べているだけのような評価を出しました。
 都税でつくられる有明アリーナの管理運営について、都はいろいろ理由を述べながらも、議会にエビデンスも示すことができず、漠然とした都の希望だけを述べ、コンセッション導入に突き進んでいるということは大変問題だと思います。
 もう一つ、都民のスポーツ利用についても伺います。
 都民のスポーツ利用については、これまで利用料金について、PFI法やガイドラインの趣旨からしても、都としての料金の上限は示すべきだと私ども求めてまいりましたが、募集要項や要求水準書でも示されていません。
 そして、サブアリーナの利用については、都もこれまで、ここは木製床で、都民利用に適した大きさであり、都民のスポーツ利用も想定している、運営権者となる事業者には、都民のスポーツ利用に十分配慮するよう求めていくと答弁してきました。
 ところが、今回公表された要求水準書には、営業日数の五割以上をスポーツ利用とするという記載が入りました。スポーツ利用はたった半分でいいということで驚きました。
 このサブアリーナのスポーツ利用日ですが、国際大会など大きな大会に連動して行われるケースも含んでの五割なのかどうか、お答えください。
 あわせて、この要求水準書についてですけれども、日数的にもっと都民スポーツを確保するべきと考えますが、いかがですか。

○鈴木開設準備担当部長 ただいまのご質問にご答弁を申し上げる前に、ただいまご意見がありましたことにつきまして若干申し上げますが、有明アリーナは、民間のノウハウや創意工夫を生かしたコンセッションを行うということで、このような方式をとっていこうとしているところでございます。
 何より、国際スポーツ、あるいはコンサート等、そうしたものの場として活用するという施設の目的を達成するために、民間のノウハウを生かそうということで行っているということでございまして、これに伴って、民間事業者の方のリスクをいろいろ勘案したり、コンセッション方式の中では、さまざまな検討をしているというところでございます。
 このリスクが、結果として顕在化しないというようなことにつきましては、先ほども申し上げましたが、今後都と運営権者で利益を分配するというような仕組みも考えてございます。そのように進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 ただいまのご質問についてでございますが、有明アリーナは、スポーツ大会の開催やコンサート等のイベント開催などにより、東京の新たなスポーツと文化の拠点とすることを目指しており、施設の管理運営を規定した要求水準書において、スポーツ利用として、国際大会等の大規模スポーツ大会の開催とともに、都民利用への配慮を定めております。
 サブアリーナにつきましては、これらスポーツ利用として、営業日数の五割以上とすることとしており、加えて、都民のスポーツ利用については、利用料金の設定に際して配慮することを定めております。
 こうした運営により、都民のスポーツ利用の機会を確保するとともに、国際大会など質の高いスポーツ大会の観戦機会を提供することにより、都民のスポーツムーブメントを創出してまいります。

○米倉委員 これ、民間が自分で施設をつくって、こういう運営計画を出したということだったら問題ないと思うんです。東京都が税金を多額に使ってつくる施設で、二十五年にもわたってリスクを想定して対価を設定するということが、やはりもう無理があるんじゃないですかということを申し上げているんですね。
 こんなに税金を使って、事実もお示しにならないで、コンセッションの方がよりよい運営ができるという説明ばかりされても、本当に納得がいかないというのが正直な実感です。
 今のご答弁についてもう一度確認をしたいんですけれども、サブアリーナの利用について、営業日数の五割以上をスポーツ利用とするということなんですが、これは例えば国際大会などを行う場合には、連動してサブアリーナも練習会場などとして使う場合があると聞いています。こういうことも含めて五割以上というカウントなのかどうか、お答えください。

○鈴木開設準備担当部長 営業日数の五割以上と申し上げております、このスポーツ利用につきましては、国際大会等の大規模スポーツ大会に伴う使用も含まれております。

○米倉委員 もともと有明アリーナというものは、メーンアリーナがイベント開催なども考慮してコンクリート床となっております。そのためにスポーツができる時期は木製床を張るだとか、そういうことが必要で、スポーツをやる時期というものがそもそも限られています。
 そういう中で、せめてサブアリーナで都民のスポーツ利用日の最低基準を示して保証するのが都の役割だと思います。ところが、サブアリーナも半分はスポーツ利用でなくてもいいと。その残りの半分も、国際大会などの利用でもよしとなるとすれば、都民が使えるのはどれだけの日数が残るのかということが疑問として残ります。
 都は、有明アリーナは東京の新たなスポーツと文化の発信拠点だと説明してきましたが、結局、スポーツ観戦やエンターテインメントが優先となっています。五百二十億円もの税金を投入しているにもかかわらず、民間事業者から支払われる運営権対価について妥当かどうかもわからない。そして、都民利用は料金の面でも、利用の枠についても、どれだけ確保されているのかわからないということが明らかになっております。
 こういう状況では、有明アリーナのコンセッションでの運営は都民的な理解を得られないと申し上げまして、質問を終わります。

○白戸委員 私からは、東京マラソンの参加料について質問をさせていただきます。
 日本の都市マラソンの先駆けともいわれますこの東京マラソン、二〇〇七年に開始されて以来、東京はもちろん、日本のマラソン界がこれによって変わったというふうにいわれております。
 その一つは、競技偏重の陸上の競技会において、楽しむ、それからイベント性、そういったことを、キーワードをはっきりと主張した大規模マラソンであったということがいえます。
 それまでのマラソン大会はどちらかというとやはり競技性、競技大会という傾向が強く、楽しく走るということを奨励する大会は、国内ではほとんど見られることがありませんでした。
 しかし、東京マラソンがその定義をはっきりと示し、国内にマラソン人口というか、ランニング人口がふえまして、同類の、楽しさを売りにする大会も一気にふえてきました。
 これは、東京のみならず、日本におけるランニングの新しい楽しみ方を提案した画期的な出来事で、スポーツの実施率向上、そして、国民の健康増進などを考えますと、東京マラソンがもたらした非常に大きな効果であったのではないかというふうに思います。
 もう一つの功績は、マラソン大会におけるエントリーフィーの改革です。
 二〇〇七年以前、国内大会におけるマラソンのエントリーフィーは、おおよそ三千円から五千円というのが主流で、その中で、何と一万円というのは、非常にある意味インパクトの強いものでした。
 このときの反応を僕もよく覚えているんですが、非常に、市民ランナーから高いとか、一般庶民は走るなというのかというような非難が出たのも事実でございます。
 一方、当時各地で行われているマラソン大会は経費増大で収支が合わず、地方財政に頼っているという状況が多く見られました。つまり、自治体の予算で大会運営を行っているという状態で、かなり疲弊している大会も少なくなかったということです。
 だからこそ、新規大会等を開催しようとしますと、自治体の予算に大きく影響するということから、慎重にならざるを得ないという、そんなマラソン大会の状況でもありました。
 ところが、この東京の一万円というのが出現したおかげで、各大会にマラソンはもう少し高くてもいいんだという、そんな概念が生まれまして、これ以降生まれる新規大会は、軒並み一万円に近い値段設定をしてきたという大会がふえてきました。
 マラソン開催にはお金がかかる、そして、その費用負担を相応に参加者に負ってもらうべきだという、それまでにない考え方を生み出すことに寄与したのがこの東京マラソンであったということがいえると思います。そのマラソンのエントリーフィーが開始以来、十二年間値上げされていないと。しかし、運営費用は変わっていないならともかく、確実に増額しているのに、この受益者である参加者の負担額が変わっていないというのは、これ、普通に考えて市場の論理からしてかなり違和感があるものでもあります。
 確かに、大会全体の収支では、スポンサー収入が増額しているので成立しています。その増額している、収支が成立している中で、これ以上お金を取るのがおかしいというような意見があるのも理解はできますが、本来の受益者負担の視点で考えると、値上げはやむを得ないかというふうに考えます。
 近年、世界的なテロ増加等で警備を強化せざるを得ないというのが現状です。だからこそ、東京マラソンも警備費が二〇一三年大会から二〇一八年のたった五年で二・七倍の四・八億ということになっているわけです。今後、この傾向はますます強くなっていくと予想されます。
 また、東京は二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックを控え、テロの可能性が高まっていくのも当然で、その対策を進めていくことは、この必要は誰しも感じているところであります。
 参加者だけではなく、沿道の観客を含めた安全対策を強化していくことは、主催者の責任であるとも思います。
 また、東京マラソンの現在の収益構造を見ますと、収益の七一%がスポンサー収入ということで、参加料収入が全体の一割強、参加料とコストのアンバランスについては、監査法人からも指摘を受けていると聞いています。
 世界的にこの同格にある都市マラソンの現状を見ても、参加料一万五千円はまだ安い部類に入り、もうちょっと値上げをしてもいいんじゃないかというような都民の意見も実際に出ているようです。
 さて、将来にわたって安定した東京マラソンを運営していくことが大変重要だと思いますが、今回の改定に関する都の見解を伺います。

○小室スポーツ推進部長 東京マラソンを国内外から多くのランナーが集う世界最高水準の大会として、安定的に運営することは重要でございます。
 二〇一三年四月のボストン・マラソン大会のテロ事件以降、警備安全対策費は増嵩し、今後とも、警備員人件費単価の上昇、警備員数の増加などの増加要因が見込まれます。
 一方、収入の七割を占める協賛金収入は、現在は好調に推移しておりますが、本来不安定な財源であり、二〇二〇年以降の見込みは不透明でございます。
 このような状況を踏まえ、このたび、東京マラソン財団から参加料改定の提案があったもので、都としては、今回の改定により、万一、協賛金収益が落ち込んでも、当面、東京マラソンを継続実施できる安定的な財源を確保できると考えております。

○白戸委員 ぜひ大会が安定的に継続できるような費用設定をお願いしたいと思います。
 私自身もスポーツイベント運営に携わったという経験から感じることなんですが、全体収入の七一%がスポンサー、つまり協賛収入というのはかなり大きな比率だと思います。
 それだけ関係者の皆様が努力をされて、毎年増額されているということは本当に評価に値するとは思います。このご時世で毎年この協賛金をふやしていくということはいかに難しいか、私自身、前職でよく感じているところではございます。
 しかし、スポンサーというのは、大会の問題ではなくて、自社の業績やマーケティングの方向性の変換で離れてしまうことも多々あります。
 これだけいい大会だからというのとは別のところで決まってしまうのも、これは事実です。つまり、運営側の努力だけではどうしようもないというところに委ねているのが事実であります。
 このあたりのことは、先ほどの質疑やご答弁にもありました。これらを踏まえますと、協賛収入に頼っているという現状は、ある意味非常にリスクが高い状況だということもいえると思います。
 大会の安定した運営という観点から、収益源の多角化を図るべきだと考えますが、都の見解を伺います。

○小室スポーツ推進部長 二〇一八大会年度における経常収益では、約七割が協賛金収益、約一割が参加料収益、残りがその他収益となっており、協賛金収益に大きく依存した構造となっております。そのため、協賛金収益への依存を少しでも減らす努力が必要でございます。
 収益源の多角化の観点からは、協賛金、参加料以外のその他収益の充実が考えられます。具体的には、東京マラソンEXPOの出展料や、公式クラブ、ONE TOKYOの受取会費、放映権などの権利金収益やボランティア事業の受託料の拡大などでございます。
 こうした収益源の多角化に加え、経費削減などの内部努力も行い、総合的に安定した経営基盤づくりに取り組むよう、財団に働きかけてまいります。

○白戸委員 この参加料収入、協賛以外の収益をつくるというのは非常に難しい、簡単ではないことは重々に承知しておりますが、この東京マラソンというブランドがあるからこそできることもあるかと思います。ぜひとも今後ともそのような観点を持って進めていただきたいと思います。
 さて、今回の改定、五千円をランナーに負担してもらうという考え方に関しては、先ほどの質疑で出ましたので理解したつもりです。非常に必要なことではあると思いますが、この意味がわからなければ、やはり不満も出てきてしまいます。
 ぜひとも参加者はもちろん、都民の皆様にもこの値上げの意味をご理解いただけるように、しっかりと説明していくということが必要だと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、今回、参加料の値上げを提案しております東京マラソン財団についてお伺いします。
 東京マラソン財団とは、何のために、何を目的とする財団なのか、改めて伺います。

○小室スポーツ推進部長 一般財団法人東京マラソン財団は、東京マラソンを安定的に運営し、国内外から多くのランナーが集う世界最高水準の大会へと発展させるとともに、ランニングスポーツの普及振興を通じて、都民の健康増進と豊かな都民生活の形成に寄与することを目的に、二〇一〇年に設立されました。
 この目的を達成するため、東京マラソンの企画、運営に関する事業に加え、チャリティー事業や会員数約五十三万人の公式クラブ、ONE TOKYOなど、東京マラソンの魅力を向上するための事業、財団のオフィシャルランニングイベントやランナーサポート施設の運営など、ランニングスポーツの普及振興に関する事業等を実施しております。

○白戸委員 私もその五十三万分の一でございます。
 ともあれ、ぜひ、マラソンはもちろんですが、スポーツ全体に、さらに競技スポーツだけではなくて、生涯スポーツになり得るような振興に努めていただきたいと要望しておきます。
 さて、余り知られていない財団の活動をしっかりとアピールすることが、今回の値上げはもちろん、東京マラソン全体の理解の向上にもつながるものと考えます。
 財団のアピールについて都の見解を伺います。

○小室スポーツ推進部長 財団では、ホームページによる一般向け情報発信のほか、ランナー向けの東京マラソン財団アプリやONE TOKYO会員向けのアプリ及びメールマガジンの発信、その他SNS等を通じて広報活動を広く実施しております。
 加えて、寄附者に対してはチャリティー事業に関するホームページによる情報発信、ボランティアに対してはメールマガジン等による情報提供など、東京マラソンに関する各種事業を通じて、財団の活動を発信しております。
 今後も財団と連携し、さまざまな機会を通じて財団の活動を幅広く発信し、東京マラソンへの理解向上に努めてまいります。

○白戸委員 この東京マラソンの開催は、都民、国民の健康増進や、まちとしての高まりはもちろん、国内外に向けて東京をアピールしていく、発信していくということもあると思います。
 そのように考えますと、マラソン競技としての運営はもちろんですが、文化発信の仕掛けづくりも必要かと考えます。
 これまで、EXPOや沿道などで伝統芸能を披露し、選手や観客からも多くの拍手と多くのカメラが追っていたと記憶しています。つまり、東京マラソンは、マラソン競技だけではなく、文化発信も非常に重要だと考えております。
 この意図を考えますと、踊り、みこしなど日本独特の文化発信は重要と考えますが、都の見解を伺います。

○小室スポーツ推進部長 東京マラソンの開催を通じて、国内外に東京の魅力をアピールすることは重要でございます。
 財団では例年、大会開催直前の数週間を東京マラソンウイークと題し、商業施設や観光名所、銭湯や公園など、さまざまな施設と連携して東京の魅力を発信しております。
 また、ランナーのエントリー手続に合わせて開催される東京マラソンEXPOでは、百以上の企業、団体が出展し、ランニンググッズを初め、ヘルスケア、飲食、観光などさまざまな関連サービスを紹介しております。
 都では、二〇〇七年の東京マラソンの創設時からスポーツと文化が融合したマラソン祭りを開催し、伝統芸能やダンスなど、さまざまなパフォーマンスでランナーを応援し、東京マラソンを活気ある大会に盛り上げております。
 マラソン祭りは、地元団体や都民等が日ごろの練習の成果を発表する格好の場ともなっており、マラソンの盛り上げだけでなく、芸術文化の保存や育成にも寄与しております。
 引き続き、東京マラソンを単なる大規模マラソンにとどめることなく、東京の魅力を世界に発信できるイベントとして発展させてまいります。

○白戸委員 次回の大会で東京マラソンは創設以来十三回目ということになるんですが、この間にもチャリティー事業を創設し、さまざまな社会貢献事業にも取り組んできました。
 中でも、財団みずからが行うスポーツレガシー事業は、ジュニアアスリートの育成、そして、被災地の復興支援やパラスポーツの振興など、幅広い事業に役立っております。
 実は僕自身も二〇一五年のレガシー事業の立ち上げの際は、アスリートとしまして、スポーツレガシー事業、ファンドレイザーということで、今は国会議員として活躍しています朝日健太郎さんと一緒に活動させていただいておりました。非常に懐かしい思い出なんですが。
 さて、このように社会事業にも取り組んできた東京マラソンです。今回の参加料の値上げを機に、より一層社会に貢献する取り組みを充実させていくことが大切ではないかと考えますが、都の見解を伺います。

○小室スポーツ推進部長 東京マラソンは、二〇〇七年の開始以来、多くの方々に支えられて発展しており、大会を通じて社会貢献に取り組むことは重要でございます。
 これまで財団では、ご指摘のスポーツレガシー事業を含め、チャリティーやボランティア事業など、さまざまな取り組みを実施してまいりました。
 二〇一一大会に導入したチャリティー事業につきましては、多くの方々の賛同を得て、年々その規模を拡大し、二〇一八大会では、寄附金総額は四億円を超え、障害者スポーツの振興や病気の子供たちへの支援など、幅広く活用されております。
 二〇一八大会では、環境などに配慮した取り組みとして、東京マラソンEXPO会場やスタート地点におきまして、使用済みの衣類のリユース活動を行うなど、新たな活動も開始いたしました。
 今後も東京マラソンが都民の健康増進や豊かな都民生活の形成に寄与するとともに、持続可能な社会へも貢献するよう、都としましても、財団と一層連携を密にし取り組んでまいります。

○白戸委員 ありがとうございます。先ほども述べましたが、やはり東京マラソンは、新しい提案をし、そして、日本のマラソン大会シーンやスポーツイベントを牽引してきました。
 競技内容はもちろんですが、演出やマーケティングの分野においても、過去の常識にとらわれず新しい試みを導入し、いわばオンリーワンの存在であることが大切で、その結果として、安定したスポンサー収入を獲得できているのも現状だと思います。
 また、社会活動に関しましても、今回のチャリティーランナーの普及拡大が成功したように、ほかの大会にはない手法を考案し導入して、日本はもちろん、世界をリードするような大会であり続けていただくよう要望し、私の質疑を終わります。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上でオリンピック・パラリンピック準備局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十一分休憩

   午後三時六分開議

○里吉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、教育長から紹介があります。

○中井教育長 さきの人事異動で教育庁幹部職員に異動がございましたので、ご紹介をさせていただきます。
 担当部長の川名洋次でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○里吉委員長 紹介は終わりました。

○里吉委員長 次に、契約議案の調査を行います。
 第百七十九号議案及び第百九十一号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○早川総務部長 去る九月十八日の当委員会において要求のございました資料のうち、契約議案関係につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料の表紙をめくり、目次をお開き願います。
 契約議案に関して要求のございました資料は一件でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、第二次主要施設十か年維持更新計画の都立学校施設に関わる進捗状況でございます。
 第二次主要施設十か年維持更新計画の対象となっている都立学校について、平成三十年九月一日現在の進捗状況を高等学校と特別支援学校とに区分してそれぞれ記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○斉藤委員 私からは、第百七十九号議案、都立府中東高等学校校舎棟ほか改築工事について伺います。
 昨今の猛暑やさまざまな自然災害へのこれまで以上の備えが必要であると、本会議でも議論に上がる中、都民ファーストの会の代表質問に対して、都立高校においては、普通教室のみならず、特別教室や、また震災時に地域の避難所として活用されるという、体育館の方にも空調設備の整備を進めていくという教育長からの答弁がありました。
 都内都立高等学校の冷房設備設置状況は、普通教室が一〇〇%であるのに対し、特別教室は六八%、体育館は四・四%と、まだまだ十分ではないということがわかっています。
 そこで、特別教室も含め都立府中東高等学校の空調設備の整備予定について伺います。

○江藤都立学校教育部長 都教育委員会は、全都立高等学校の体育館への空調設備の整備を速やかに進めていくこととしており、あわせて空調設備の設置対象となる特別教室への整備の推進にも努めております。
 都立府中東高等学校の体育館への空調整備は、現時点の設計に反映されておりませんが、今後の改築工事に合わせて必要な対応を行い、竣工時には特別教室とあわせて、体育館にも空調設備が整備される予定でございます。

○斉藤委員 空調設備は、特に夏場の小さなお子さんや高齢者の方の熱中症予防になくてはならないものだと考えております。
 また、先日の都民ファーストの会の清水都議の一般質問でも、体育館のみならず教室を避難所として使うことについての必要性が訴えられておりました。ぜひ特別教室と体育館への空調設備の整備をお願いしたいと思います。
 次の質問です。九月二十五日の新聞記事によれば、今後、避難所とされる公共施設や学校施設については、有事の際のブラックアウトにも対応が必要と考えて、東京都は太陽光パネルの設置を行っていくということが明らかになりました。
 都立府中東高等学校の太陽光パネル設置について、現在の計画状況を伺います。

○江藤都立学校教育部長 都立府中東高等学校におきましては、今回の改築に合わせ、六十五キロワットの太陽光発電設備を設置する予定でございます。
 太陽光発電設備は、通常時は学校で使用する電力の削減に活用しますが、非常災害に伴う停電が発生した場合は、その自立運転機能により、経営企画室、職員室及び体育館の一部のコンセントへ電力を供給し、当該コンセントが使用可能となるよう計画をしております。

○斉藤委員 お伺いしたところ、六十五キロワットの太陽光発電設備を設置されるということで、それは非常時のみならず、通常時にも電力削減にも寄与するということで、これにより学校施設運営の省エネが進むことが期待されます。
 また、非常時には動力をガソリンとするポータブル発電機なども活用して、避難所としての最低限の管理機能の維持に努めるということなんですが、太陽光パネルは、蓄電池を併用すれば、昼間はピークカットして充電を行って、夜間の間、避難所に電力供給を行うということも考えられます。
 この蓄電池については、現時点で計画の中には入っておらず、今後の検討課題の一つとなるとは思いますが、例えば電気自動車を大型の非常用電源として活用する事例を検討するということもできます。
 最低限の電力供給では、電気の点灯やスマホの充電などはできるというものの、せっかくの先ほど質問した体育館での空調設備を動かすというところまではできないということであれば、避難所機能としてややもったいないというのが現実かなというふうに思っております。
 都立高校においても、自立運転のみならず創蓄連携の太陽光発電設備設置に向けて、取り組みを検討していただくことを要望いたします。
 最後に、地域住民の方々との意見交換についてお伺いをいたします。
 都民ファーストの会、地元府中市の藤井都議も、これまで説明会にも何度か足を運んでいるということでございます。
 都立府中東高等学校の周辺は閑静な住宅街で、長く地域に暮らしている住民の方々から工事に関してさまざまなご意見や要望が上がっていると伺っております。
 これまでに住民の方とどのように意見交換の場を設け、どのように対応してこられましたでしょうか。

○江藤都立学校教育部長 これまで改築工事の計画についての説明会や、既存校舎の解体工事についての説明会を開催し、近隣の方々からのご意見やご要望を伺うとともに、必要に応じまして個別に訪問し説明を行うなど、丁寧な対応に努めてまいりました。
 ご意見やご要望の内容はさまざまでございますが、例えば落葉樹の大量の落ち葉のため、清掃が大変であるとのご意見をいただいたことから、今回の工事完了後の植栽計画におきましては、落ち葉が少ない樹種を選定する配慮を行う予定でございます。
 また、改築後のグラウンドの砂じん対策につきましてご要望があったため、飛散しにくい土への入れかえを行い、周囲に防散ネットを設置して砂じん対策を行うほか、散水設備を更新し、より効率よくグラウンドへの散水ができる計画としております。

○斉藤委員 幾つか地元の方から上がってきているご意見であったり、ご要望に対して真摯に対応されていることがよくわかりました。
 この後も、実際に工事が始まってからもさまざまなご意見が出てくることがあるかと思いますが、ぜひこれまでのように丁寧かつ真摯に対応していただければと思います。
 以上で質問を終わります。

○高倉委員 財政委員長から調査依頼が来ております第百七十九号議案、都立府中東高等学校校舎棟ほか改築工事請負契約について質問をいたしたいと思います。
 ことしの夏は、災害ともいえる大変な暑さ、猛暑だったわけであります。学校への空調設備の設置というのは進んではいるわけでありますが、おくれているのが体育館の空調設備であるわけであります。
 体育館というのは、災害時には避難施設としても活用がされる。真夏、また真冬を考えたときには、空調設備というのは極めて重要であるというふうに思っております。
 当委員会でも、我が党のけいの議員がこうした体育館の空調設備のことについては取り上げてきたわけでありますけれども、さきの定例会の代表質問において、我が党の質問に対して都知事から、都立高等学校の体育館について、空調設備を整備していくと、こういった非常に前向きな答弁があったわけであります。
 今回の都立府中東高校の案件でありますけれども、実際には既にもう契約手続が進んでいるというようなものではありますが、体育館の空調設備については、もし対応がないまま進んでいくというのであれば、今回、財政委員長から調査依頼が来ているわけでありますが、問題なしとして私は報告するわけにはいかないというふうなことであります。
 先ほど斉藤委員の質疑の中で、体育館への空調設備を設置するという答弁があったわけでありますけれども、既に工事契約の段階まで進んでいる都立府中東高等学校では、具体的にどういう形で体育館の空調設備を整備していくのか、このことについて答弁を求めたいと思います。

○江藤都立学校教育部長 都立府中東高等学校の改築工事につきましては、平成二十七年から進めてまいりました設計の内容を踏まえ、本年四月に工事の仮契約を締結し、今回、契約議案として提出しております。
 都立高等学校の体育館の空調につきましては、これまで体育館が地下にあり、換気ができないなど、特別な理由がある二校にのみ整備してまいりました。
 今回の工事契約につきましても、体育館の整備は予定されていないため、今後、必要な追加工事を行い、竣工時には体育館に空調設備が設置されるよう対応してまいります。

○高倉委員 それから、本会議の代表質問において、私ども都議会公明党の質問に対して、都知事から、体育館のほかにも、給食調理室でありますとか、あるいは特別教室への空調設備についてもしっかりと取り組んでいくという、そうした趣旨の答弁があったわけであります。
 都立府中東高校は、全日制の高等学校でありますので、給食はないわけであります。しかしながら、生徒が授業で使用する普通教室、あるいは特別教室の空調設備は、今回の工事ではどうなっているのかについてご答弁を求めたいと思います。

○江藤都立学校教育部長 都教育委員会は、全ての都立高等学校におきまして、普通教室を初め、音楽室やパソコン室など一部の特別教室への空調設備の整備を完了しております。
 また、現在、物理実験室や化学実験室、美術室など、これまで対象としていなかった特別教室につきましても順次整備を進めております。
 こうした方針を踏まえ、都立府中東高等学校におきましても、普通教室や特別教室の空調設備を整備する方向で当初から検討を進めており、今回の改築工事により整備される予定でございます。

○高倉委員 冒頭の質問で取り上げました体育館のことについて、もう一点質問させていただきたいというふうに思いますけれども、都立府中東高等学校は今回、工事契約の案件ということでありますけれども、同様に都立高等学校の中には、現在、既に工事の準備が進んでいる学校もあると思いますし、また既に工事に着手をしている、そうした高校もあるというふうに思っております。
 そうした高校についても、都立府中東高校と同じように、体育館や、あるいは特別教室に空調設備が整備されるように対応を行っていくということが必要であると思いますけれども、この点についての見解をお伺いしたいと思います。

○江藤都立学校教育部長 改築や大規模改修工事に既に着手している学校につきましても、設計の変更や追加工事の実施により、可能な限り早期に空調設備が整備されるよう対応してまいります。

○高倉委員 特に体育館というところの空調設備の設置というのが、先ほど答弁にもありましたけれども、特別な立地条件であるところだけは対応しましたけれども、そうでないところは、されてきていなかったというわけでありますが、私はこうした改築でありますとか、大規模改修といったところは、特に体育館には空調設備をしっかりと整備していく、いわばチャンスであるというふうに思います。
 今答弁いただきましたけれども、まさに今、工事を準備しているようなところも含めて、今後はしっかりと体育館を含めて、空調設備の整備を進めていっていただきたいというふうに思います。
 さらに、都立高校の中には、まだ、例えばできて間もない、建物として、改築されてまだ間もないというようなところは、改築ですとか大規模改修といったのが、まだ少し将来のお話になるわけでありますが、私はそうした学校についても、そのときにやるというんではなくて、これはまさに速やかに、改築とか大規模改修の時期に来ていない学校であっても、体育館を初め必要な空調設備を整備していくということを含めた、今回の本会議での知事の答弁であるというふうに私ども受けとめておりますので、ぜひともそうした学校についても、今後積極的に、しかも速やかに整備を進めていただきたいということを要望申し上げて、質問を終わりたいと思います。

○池川委員 私からは、都立大島海洋国際高等学校実習船「大島丸」製造請負契約について質問をさせていただきます。
 都立大島海洋国際高校は、ことし三月に在り方検討委員会報告をまとめ、海に学び、未来を開くという新しい教育目標を掲げた新たな出発をすることになりました。
 関係者の方から、これまで海に出られず葛藤があった、十五歳の時点でその先の進路まで見据えて入学することはかなりのハードルがあったなどの声を伺ってまいりました。期待をしているからこその声であり、特に実習船をどうするかという問題について見通しを持って解決していく必要性が切実に求められていると思います。
 これまでも我が党は、「大島丸」について、老朽化を受けて新船増設を望む声があること、国際航海船の維持は、この学校の特色ある教育に不可欠のものであることなどを求めてきました。今回の「大島丸」購入は、そういった意味で歓迎するものです。
 そこでまず、新しい「大島丸」を購入するに至った経過はどのようなものか、また、仕様の特徴はどのようなものか、伺います。

○江藤都立学校教育部長 現在の「大島丸」は、平成八年三月の竣工から二十二年以上が経過しており、船体が老朽化しているため、新たな実習船を製造することといたしました。
 また、仕様の特徴といたしましては、航海や実習等における生徒の安全確保の観点から、航海時の揺れの低減等を図るような構造としたことや、海洋生物や海洋プラスチックなどの観測に必要な機器を設置することなどがございます。

○池川委員 老朽化したこと、そして安全性をさらに向上させていく仕様にしていくということです。
 在り方検討委員会の報告書、また議事録を読ませていただきましたが、これまで課題になっていたことが議論されていると感じました。
 「大島丸」は、船舶の安全性確保のための規則を定める国際間条約である海上における人命の安全のための国際条約の適用を受ける船舶として、国土交通大臣により船舶保安証書が公布され、国際航海船として許可されているといいます。
 共産党都議団は、国際航海における船舶の保安を確保するため、都教育委員会は、船舶保安統括者、船長及び船舶保安管理者に責任権限を与え、必要な支援をしなければならないということもこの間求めてまいりました。
 正規の船員で体制がとられていた時期は、何一つ心配することなく実習が行われてきた経過があります。船の安定運航や安全管理を行うためには、基本は正規の船員を確保することが重要だと思います。
 そこで伺いたいと思いますが、「大島丸」を使った実習を行うためには、実際課題があることも事実です。実習船を動かしていくための船員の体制についてはどのようになっているか、伺います。

○江藤都立学校教育部長 これまで船員の退職が見込まれる場合には、退職の時期に合わせて採用募集を行うなど、適切な船員の確保に努めてまいりました。
 また、船員の病気時などの不測の事態におきましては、派遣船員や臨時船員などを活用することで対応してまいりました。
 安全な航海実習を実施するため、今後も適切な船員の確保を実施してまいります。

○池川委員 基本は正規で確保する、そして不測の実態については、派遣や臨時などで対応していくということです。基本が正規で、しっかりと体制が確保できるように取り組んでいただきたい、後押しをしたいと思います。
 実習船を活用した教育を行うためには、教員の体制を確保することも重要であります。新しい「大島丸」を活用した実習を行うための教職員、とりわけ教員の体制についてはどうなっているのか、伺います。

○江藤都立学校教育部長 都立高校におきましては、教職員定数配当基準を踏まえ、学校の規模に応じて適切に教員を配置しております。
 大島海洋国際高校におきましても、これまで教員に欠員が生じることが見込まれる場合は、随時、教員の募集、採用を実施してまいりました。
 今後とも、航海実習を実施するために、必要な教員を確保してまいります。

○池川委員 体制の確保がなければ実習を含めた教育保障ができないということになりますので、ぜひ体制を確保していただきたいということを重ねて求めておきたいと思います。
 また、船の上ではさまざまな課題もある。例えば生徒が倒れてしまう、またさまざまな事故も起こる可能性をはらんでいます。
 船員や教員に対してどのような安全対策を行っていくのか、その対策のための講習等についてはどのように行っているのかについて伺いたいと思います。

○江藤都立学校教育部長 実習船「大島丸」安全管理マニュアルに基づき「大島丸」を運航しておりますが、本マニュアルは安全運航と環境保護の確保のため、国際航海に従事する一定の船舶及び管理会社に求められる国際的な認証に準じて策定しております。
 また、船員の訓練などを定めたSTCW条約に基づき実施される船舶の火災時における消火や緊急退避訓練などにつきまして、船員及び教員を専用の施設を有した訓練所に派遣しております。
 さらには、生徒の意識喪失などを想定した非常訓練や、過去のインシデント事例に基づいた検証航海を実施するなど、安全な航海に向けた取り組みを実施しております。
 こうした取り組みを通じ、引き続き適切な船舶の安全管理を実施してまいります。

○池川委員 高校生を伴って海に出るというのは、大きな危険と隣り合わせだということを踏まえて、さまざまな研修を既に実施していただいているということであります。
 この安全確保対策については、ぜひ引き続き取り組んでいただくとともに、さらにバージョンアップが求められるときには、それに対応してやっていただきたいということも求めておきたいと思います。
 新しい「大島丸」とともに、大島海洋国際高校の特色ある教育が豊かに発展し、子供たちの成長と発達を支え、海洋を担う人を育てていくために力を尽くしていただきたい、そのことを期待しております。
 最後に、この在り方検討委員会の問題について一つお伺いします。
 今回の在り方検討委員会は、原則公開で行われ、会議はもちろん、議事録についても全文公開がなされております。必要があれば非公開にできるという規定もありますが、原則公開というやり方は、情報公開と透明性を担保するものにつながります。
 そこで伺いたいと思いますが、この在り方検討委員会を原則公開で行った理由についてはどのようなものか、また、他の検討委員会等についても原則公開で行っていくという考えがあるのか、伺います。

○江藤都立学校教育部長 大島海洋国際高等学校の現状、課題や社会的要請を明確化し、同校の見直しに向けた議論を行うため、公開により検討委員会を実施いたしました。
 他の検討委員会等につきましては、個人情報を取り扱う場合、個人のプライバシーを保護することなどの観点から非公開とする場合など、個々に判断してまいります。

○池川委員 今回の検討委員会は、学校の代表、また保護者の代表を入れて原則公開としたことは大変意義があることだと思います。
 個人情報の取り扱い等には配慮が必要であることはいうまでもありませんが、その場合であっても、原則をどちらに置くのか、原則公開なのか非公開なのかということは大変重要な視点だというふうに思います。
 その立場から、原則公開で基本的にはこうした検討委員会等については開いていただきたいということを重ねて申し上げておきます。
 以上で質問を終わります。

○けいの委員 私も実習船「大島丸」の契約についてお伺いさせていただきます。
 大島海洋国際高校実習船「大島丸」、今も質疑ありましたけれども、実習船「大島丸」を新たに製造するその経緯、そして新たに製造するからには、これまで以上の安全性の確保や実習に必要な機能面を、より一層充実を図るべきだと考えますが、現在の計画をお伺いします。

○江藤都立学校教育部長 大島海洋国際高校の教育理念を実現するため、その特徴の一つである実習船「大島丸」による教育活動は必要不可欠でございます。
 現在の「大島丸」は、平成八年三月の竣工から二十二年以上が経過しており、船体が老朽化しているため、新たな実習船を製造することといたしました。
 新たな実習船では、航海や実習等における生徒の安全を確保する観点から、過去の生徒の船酔いの状況等を考慮し、航海時の揺れの低減等を図るような構造としております。
 また、漁業実習を中心に製造された現在の実習船とは異なり、海洋生物や海水の観測、海洋プラスチックなどの観測、メタンハイドレート等の海洋資源観測などに必要な機器や機能を有した実習船を製造してまいります。

○けいの委員 大島海洋国際高校は、海を通して世界を知るというコンセプトに、実習船「大島丸」による航海学習、寄宿舎、海を舞台に、国際社会で活躍できる人材を育成する学校です。
 世界につながる海洋や大島の大自然を題材にしながら、他の都立高校では味わうことのできない寄宿舎や実習船での集団生活などを通じ、仲間とともに大変厳しい環境の中で学ぶことができる、唯一無二のすばらしい高校であると思います。
 本年三月に公表された大島海洋国際高等学校在り方検討委員会報告書には、真に国際社会で活躍できる海洋人材を育成する学校に変革するとありますが、どのような学校の改革を行い、具体的にどのような海洋人材を育成していくのか、伺います。

○江藤都立学校教育部長 本年三月に公表いたしました大島海洋国際高等学校在り方検討委員会報告書では、育成すべき海洋人材像として、海技従事者などで活躍できる人材、水産資源分野で活躍できる人材、港湾産業や海洋レジャー産業等を支える人材、海洋に関する諸課題を国際的な視点で考え解決できる人材を挙げております。
 現在、本報告書の内容を踏まえ、大島海洋国際高校の改革に向け、具体的な教育内容などの検討を進めているところでございます。
 今後、来年二月の策定を予定しております都立高校改革推進計画次期実施計画(仮称)におきまして、新たな海洋教育の方向性を明らかにし、国際的に活躍できる海洋人材の育成に取り組んでまいります。

○けいの委員 大島海洋国際は都内で唯一海洋を学べる高校であり、その教育をさらに充実させていくことは大変重要だと思います。ぜひ実現に向け取り組みを推進していただきたいと思います。
 また、実習船「大島丸」による航海学習では、時には大きな荒波を乗り越えながら、逃げることのできない大海原で、船酔いに耐えながら、先生や船員の皆さんと寝食をともに過ごし、日ごろの教育活動において身につけたさまざまな知識や技術を実際の舞台で学ぶことができる貴重な教育の場であります。
 今のご答弁にもありましたが、改革後の学校では、船舶の運航にかかわる海技従事者などの人材、海洋生物などの海洋資源にかかわる人材、港湾管理や海洋レジャーなどにかかわる人材、海洋プラスチック問題などの海洋課題の解決に国際的な視点で取り組む人材を育成していくとのことでした。
 そこで、こうした人材を育成していくために、新しい実習船「大島丸」を改革後の学校でどのように活用していくのかについて伺います。

○江藤都立学校教育部長 現在の実習船「大島丸」では、一年時に基本的な船舶知識と海洋への意識向上などを目的として、東京湾周辺での数日程度の航海実習を、二年時には船舶の総合的な知識と海洋調査、研究技術の向上などを目的として、沖縄や小笠原近海などでの長期航海実習を実施しております。
 新しい実習船「大島丸」を活用していくに当たり、こうしたこれまでの航海実習の実践を踏まえつつ、育成すべき人材像に求められる、より実践的で効果的な実習内容を現在検討しているところでございます。
 具体的には、海技従事者などに関する過程におきましては、船舶の運航に必要な操舵技術、離岸、着岸作業、海図の扱いなどの船舶運航技術を中心とした実習、水産資源分野に関する課程におきましては、基本的な船舶運航技術や漁労実習による水産資源観測などの実習を検討しております。

○けいの委員 ありがとうございます。私は、国際的な視点というのが一番大事なのかなと思っております。
 繰り返しになりますけれども、船舶運航技術の習得や海洋調査などの実習を経験できる都内唯一の大島海洋国際高校です。海洋に親しみ、海洋に学ぶことで、大自然のすばらしさと同時に、自然の猛威を身をもって経験することができます。
 この夏は自然災害が頻発しましたが、大島では平成二十五年十月の台風二十六号による大規模な土石流により多くの方々が犠牲になられるという痛ましい災害が発生しました。
 こうした厳しい自然の猛威を風化させることなく、記録し、学校教育の中で自然環境や防災の必要性などを学習していくことは大変重要で、有意義なことであります。
 大島という自然にあふれた大島海洋国際高校における寄宿舎や学校での集団生活、実習船「大島丸」による大海原での航海実習などを通じ、海を愛し、大切にする心と実践力を育みながら、過去に起きた痛ましい自然災害の経験の記録なども真摯に学ぶことで、都にとっても大変貴重な海洋人材へと成長してもらいたいと思います。
 世界では海洋プラスチックごみ問題などが顕在化する中で、海洋を含む自然環境問題や防災といったことに強い関心と問題意識を持った人材を育成していくことが海洋に関する諸課題の解決にもつながります。
 国際社会で活躍できる海洋人材を育成することはもとより、東京を将来にわたって災害に強い都市にしていくためにも、大島海洋国際高校での教育に必要な実習船「大島丸」を含む設備の充実や、こうした教育を実践できる専門性を持った多様な人材の確保などを進め、実りある教育活動を実践していただくよう強く要望して、私からの質問を終わります。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○里吉委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 初めに、第百七十一号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○早川総務部長 去る九月十八日の当委員会において要求のございました資料のうち、付託議案関係につきましてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料の表紙を再びおめくりいただきまして、目次をお開き願います。
 付託議案に関して要求ございました資料は四件でございました。
 恐れ入りますが、二ページをお開き願います。2、都立臨海青海特別支援学校及び周辺の都立知的障害特別支援学校の通学区域でございます。
 都立臨海青海特別支援学校が開校する前の平成三十年度、開校を予定している平成三十一年度それぞれについて、同校とその周辺の都立知的障害特別支援学校の通学区域を地図上に記載してございます。
 恐れ入りますが、三ページをお開き願います。3、都立臨海青海特別支援学校の教室数と児童・生徒数の推計でございます。
 都立臨海青海特別支援学校の普通教室数、特別教室数、平成三十一年度から平成三十五年度までの児童生徒数の推計をそれぞれ記載してございます。
 続きまして、4、都立臨海青海特別支援学校周辺の都立知的障害特別支援学校等の普通教室数と児童・生徒数の推計でございます。
 都立臨海青海特別支援学校の周辺に所在する都立知的障害特別支援学校四校につきまして、普通教室数、平成三十年度の児童生徒数の実数、平成三十一年度から平成三十五年度までの児童生徒数の推計をそれぞれ記載してございます。
 恐れ入りますが、四ページをお開き願います。5、都立南花畑学園特別支援学校(仮称)の工事概要についてでございます。
 都立南花畑学園特別支援学校(仮称)の工事に係る全体スケジュール及び工事手順をそれぞれ記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○米倉委員 都立学校設置条例の一部を改正する条例について伺います。
 まず、資料の作成をありがとうございました。
 条例改正により、足立区にある南花畑特別支援学校の位置を変更することと、江東区に新たに臨海青海特別支援学校の位置を定めることがこの内容となっています。
 臨海青海特支について幾つか伺います。
 臨海青海特別支援学校は、知的障害の小学部、中学部の学校で、二〇一九年度に開校予定となっています。私も現地に行きましたが、「ゆりかもめ」のテレコムセンター駅の南口を出てすぐのところでして、住宅や商店などの生活環境はなく、駅直結の大きなビルや輸送コンテナ置き場、進出事業者を募集している敷地などに囲まれているところです。
 我が党はこれまで、この学校の場所は教育環境としてふさわしいのかと繰り返し疑問を呈してきました。特別支援学校は、教室不足が深刻な事態もあり、学校建設には賛成をしていますが、都教育委員会としては、学校環境の整備にはほかの学校以上に配慮していただきたいと要望します。
 学校の開設に向けて何点か伺います。
 資料でいただきましたように、臨海青海特別支援学校の通学区域が定められています。これまでの四つの特別支援学校の通学区域を五つに分ける形になっています。私、これを見て、六つの区にこの通学区域がまたがっていまして、大変広い上に、例えばこれまで江戸川区に住んでいらっしゃる方は、江戸川区内の鹿本学園に通っていたんですけれども、今度は全く生活圏とは違う、テレコムセンター駅のそばにある臨海青海特支に通うということになる通学区域でして、区域の設定自体、無理がありますし、不自然だと感じました。
 この通学区域の変更により、在校生の中には学校の通学区域が変わる生徒が生まれます。この取り扱いについて、保護者の方からお話を伺ったところ、臨海青海特支の通学区域に住んでいるけれども、既にほかの特別支援学校に通っている児童生徒については、これまで通っていた学校と臨海青海特支のどちらに通うか、保護者に対して希望を聞いて、その意向のとおりにするというふうになっていると聞きました。
 こうした対応は重要ですが、都教委のどういう判断によるものなのか、伺いたいと思います。
 また、これまでもそうした措置はとってこられたのかということ、そして、この今回の措置について、現在、在籍している児童生徒と新たに入学する児童生徒の扱いがどうなるのかも伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校におきましては、あらかじめ定めました通学区域に従い就学していただくこととしております。
 こうした中、今回の経過措置は、臨海青海特別支援学校の開校によりまして変更となる通学区域を、もともとの通学区域としておりました城東特別支援学校など、開校後間もない学校に通学する児童生徒が結果的に二回目の学籍異動となる場合が生じることを考慮いたしまして、在籍校への引き続きの通学を認めるものでございまして、臨海青海特別支援学校に限り設定したものでございます。
 本措置は、平成三十年度末時点におきまして、青山特別支援学校、品川特別支援学校、城東特別支援学校、または鹿本学園に在籍する児童生徒に適用するものでございまして、平成三十一年度以降の新規就学者への適用はございません。

○米倉委員 こうした措置は初めてのことで、適用は在校生のみということです。
 私も今回、通学区域が変わるお子さんの保護者からお話を伺いました。ご答弁で説明もありましたが、小学部三年生以上のお子さんですと、小学部は江東特支に入学をして、その後、二〇一六年に江東特支は高等部単独校になり、小学部、中学部のお子さんたちは新たに開校した城東特支に通うことになりました。
 今回、さらに臨海青海特支に移ることを迫られる方もいらっしゃるということです。知的障害児が何度も学校を変わるのはしんどいという声も保護者から出ていますので、今回の措置は重要だと思います。
 ただ、例えば中学部の生徒など、あと少しで学校を卒業するのに、また学校が変わるのは大変だという実態が声として上がっていて、今回の措置では、そういうお子さんたちは今までの学校に残るという話が実際あると伺っています。
 今回はいいんですけれども、こういうケースというのはほかの学校を新設する場合も起きる話だと思います。こうした対応は、ぜひ柔軟にしていただきたいということで検討を求めておきます。
 同時に、開校時に臨海青海特支へ転校しない場合、次年度以降に臨海青海に転校するということは可能なのか、また、仮に転校した後に、どうしても学校になじめなかったという場合に、それまでに通っていた学校へ戻ることはできるかどうかも伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 次年度以降の学籍異動につきましては可能でございます。
 一方、臨海青海特別支援学校への学籍異動後に前籍校に再度学籍異動することは、経過措置設定の趣旨から認められないものでございます。

○米倉委員 保護者の方の中には、新設の学校でこのまま行って大丈夫なのかという不安ですとか、学校施設がどうなっているのか、内覧もできないで、様子がほとんどわからない中で、学校選択の決断を迫られるということに大変不安があるというお話を伺っています。
 来年四月に学籍を異動しなくても、次年度以降にも学籍異動は可能ということは必要な措置だと思います。
 この学籍にかかわってなんですが、例えば兄弟の複数の方が特別支援学校に通う場合に、通学区域は臨海特支ということになっていても、例えば上の子は今までどおりに江戸川区に住んでいらっしゃって、鹿本学園に通っていますよという場合に、新たに下の子が特支の小学部に入学するというケースも起こり得ると思います。
 そういう場合には、一律に下のお子さんが臨海青海特支に入学するということとせず、どちらの学校に通うかということは検討していただけるのか、伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 新規就学者につきましては、あらかじめ定めました通学区域に従い、臨海青海特別支援学校へ就学していただくことといたしております。
 ただし、就学先の決定に際しましては、保護者との就学相談の際に、児童生徒の障害の状態や家庭環境等を確認いたしまして、個別具体的な状況を総合的に判断した上で決定するなど、これまでも必要な配慮を行ってきたところでございます。
 ご質問の事例につきましても、こうした考えのもと、実際の就学先を検討することとなります。

○米倉委員 基本は通学区域の学校に通うことになるけれども、個別の状況は踏まえた上で配慮した判断をされるということです。必要な対応だと思います。
 学籍についての保護者への意向調査についても伺います。
 臨海青海特支の通学区域に住んでいらっしゃるけれども、既にほかの特別支援学校に通っている児童生徒に対する調査結果、これまで通っていた学校に通うのか、それとも臨海青海特支に通うのかという、この結果について伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 臨海青海特別支援学校への学籍異動に係る意向確認の結果につきましては、現在集計中でございますが、現時点ではおおむね四十名程度の児童生徒が学籍異動の意向を示しております。

○米倉委員 学籍をどうするかと、どちらの学校に行くかという、その対象になっている児童生徒は約百六十人と伺っています。そのうち約四十人が臨海青海特支に移籍する意向だということです。
 もともと最初の保護者説明では、通学区域の変更により、臨海青海特支の学区域に住む児童生徒は全て臨海青海特使に通うようにという説明があったそうですが、反対や批判の声がかなり出て、そうした中で保護者への意向調査が行われたというふうに聞いています。学校を何度も変わる負担、また、学校の立地の問題などが大きな要因になっているのだと思います。
 では、来年度の開校時の児童生徒数についても伺いたいのですが、新規就学者を含めて何名程度と想定しているのか、伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 新規就学者の数につきましては、就学相談を経て確定するものでございますので、現時点において具体的な人数を申し上げることはできません。意向確認の状況から、当初の推計より少ない規模になるものと見込んでおります。

○米倉委員 新規就学者についてはどのくらいの人数になるのかのお答えは今の段階ではできないということですが、いただいた資料を見ますと、全学年で百八十八人と推計をしています。
 ここからイメージ程度にはなりますが、単純に試算をしますと、ここは小学部、中学部を合わせて九学年で構成されていますから、百八十八人を九学年で考えると、一学年は約二十名程度になります。
 学年により生徒の多い年や少ない年はあると思いますが、仮に来年、小学部に入学する方が二十名と想定しますと、来年度、大まかには児童生徒数は六十人前後になるのではないかとイメージが持てます。
 そうなりますと、当初の想定の児童生徒数の三分の一程度になります。そうなると、例えばスクールバスでは、もともと都教育委員会は臨海青海特支のスクールバスは七台の予定と説明をしてきましたが、現時点で児童生徒数が大幅に少なくなる見込みのもと、こういう場合にはバスは減らすこともあるのかどうか、また、そういう場合にこのバスの台数などはいつ決まるのか、伺いたいと思います。

○小原特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校のスクールバスの台数につきましては、学校が保護者の意見を十分に聞き取り、児童生徒の住所、乗車人数、乗車時間などを総合的に勘案いたしまして、運行コースなどを調整した上で決定しております。
 運行コースなどの決定は、四月からの運行が可能となりますよう、例年、おおむね二月ごろまでに行っております。

○米倉委員 スクールバスがどういう運行や台数になるかは、学校が検討し、二月ごろに決まるということです。
 臨海青海特支は、通学区域が広いですし、バスの台数が減りますと、乗車時間が長くなることも心配です。バスのルートや乗車時間がどのくらいになるのか、またバスが大型ですと、バス一台に乗車する子供の数もふえます。バスは大きいのかどうかということも、保護者にとっては心配している点になっています。
 こうした情報は、いつごろまでに保護者に伝えられるのか、伺いたいと思います。

○小原特別支援教育推進担当部長 バスの車種でございますが、運行コースなどとともに、四月からの運行が可能となるよう、例年、おおむね二月ごろまでに決定いたしております。
 決定に当たりましては、児童生徒の住所、乗車人数等に応じたコース等の設定により、乗車時間が長時間にならないよう、これまでと同様に配慮してまいります。

○米倉委員 乗車時間が長時間にならない配慮は大切だと思います。
 同時に、保護者の方々から話を伺っていますと、スクールバスのバス停までの距離があり子供と十五分から二十分ほどかかって歩くですとか、雨の日には最寄りの民間のバス停からバスに乗ってスクールバスの乗り場まで行くという実態もあります。お子さんが小さいうちは自転車に乗せて送っていたという方もいらっしゃいますが、大きくなるとそういうわけにもいきません。保護者の中には、仕事が夜間ですが、朝、子供をバス停に送り出すのに、余りに時間がかかるということで、このままでは倒れてしまうという声も伺っています。
 先ほどのご答弁で、バスの台数はコースなど、さまざま検討する中で決めるということでしたが、バス停までの距離が長くなり過ぎないよう、さらに配慮をしていただくということを要望しておきます。
 スクールバスにかかわっては、運行だけでなく、添乗員を複数体制にすることも必要だと思います。現在は、バスの添乗員は、大型バスの場合は二人乗りますが、小型や中型のバスでは一人となっています。
 衝動的にお子さんが動いてしまうので、常にそばについている人が必要だというお子さんなども乗車をしています。
 バスの添乗員は、大型バスだけでなく、小型、中型であっても、子供たちへの適切な対応のために二人体制にすることが大事だと考えます。その検討を求めますが、いかがですか。

○小原特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、児童生徒の安全を確保するために、スクールバスに添乗員を乗車させ、乗降の確認や着席の補助、介助に従事させております。
 添乗員の数につきましては、バスに乗車する児童生徒の数に応じて適切に対応しております。

○米倉委員 私も学校関係者の方にお話を伺いましたが、肢体不自由のお子さんは車椅子などを利用していらっしゃるので車の中で余り動かないというその一方で、知的障害のお子さんですと動く場合もあります。
 それに、例えばダウン症などのお子さんがバスの中で大きな声で騒いだりしますと、自閉症のお子さんの中には、周りがうるさくなると自傷行為や他害行為をする子もいらっしゃいます。バスの座席に頭を打ちつけたりすることもあり得る、そういうときに添乗員が一人ではとても対応できないのではないかと伺いました。
 保護者の方々からは、子供の実態からすると、添乗員が一人でバスの中は大丈夫なのか心配だ、ぜひこれは複数体制にしてほしいという要望は切実ですので、ぜひ検討していただきたいと要望しておきます。
 最後に、転籍する子供への配慮についてです。
 新しい学校で教員も全てかわってしまうと、子供への負担は非常に大きくなると思います。
 これまで在籍していた、例えば城東特別支援学校など四つの学校がありますが、もとの学校にいらっしゃる教員を数名ずつ臨海特支に配置してほしいと思いますが、いかがですか。

○安部人事部長 臨海青海特別支援学校の教員の配置につきましては、当該学校の校長の人事構想を踏まえながら、教員の専門性や通勤要件などに配慮しながら、適切に対応してまいります。

○米倉委員 教員の配置というのは、学校長が人事構想をつくる中で決めることだと伺っています。
 保護者の方々からも、これは要望が出ていますので、ぜひ人事を考えるに当たって、こうした点を考慮していただくことを重ねて要望して、質問を終わります。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○里吉委員長 次に、議員提出議案第十七号を議題といたします。
 本案について提出者の説明を求めます。

○池川委員 今定例会に提案させていただいた東京都公立学校施設における冷房機器の整備促進に関する条例について、趣旨説明をさせていただきます。
 本条例は、都内の区市町村立小中学校の体育館等にエアコンの設置を促進する内容です。
 今夏は、気象庁が命にかかわる危険な暑さ、災害と認識と述べる状況となりました。七月、八月の熱中症指数を見ると、運動は原則中止と、厳重警戒となる日は六十二日間のうち五十日に上り、グラウンドだけでなく、体育館もプールも使えず、授業や部活もできない事態が起こりました。
 また、西日本豪雨災害では、避難所となった学校体育館の暑さ対策が大きなテーマにもなりました。
 私たちも、既にクーラーを体育館に導入している学校に行き、お話を伺ってまいりました。そこでは、猛暑で校庭、プールが使えなくても、体育館で体育や部活が行えること、学童や地域の利用もできること、また災害時の避難所の環境も改善すること、真冬の学校式典で寒さの余り倒れる子供が生まれなくなったことなどが指摘されました。
 都内公立小中学校では、東京都の財政支援により、普通教室の冷房化はほぼ一〇〇%となり、現在は特別教室の冷房化が進められています。
 一方、体育館の冷房化率は八・四%にすぎず、体育館の冷房化を求める声が広がっています。
 本条例案は、区市町村が行う小中学校の体育館のクーラー設置に対して東京都が補助金を交付し、区市町村の財政力によらず、冷房化を早期に進められるようにするものです。
 加えて、区市町村や学校関係者から指摘をされている、今年度末で終了予定の特別教室の冷房化補助の期間延長なども要望されており、それらに応える制度としています。
 条例の主な内容についてご説明いたします。
 対象は、区市町村立の小中学校、特別支援学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程です。
 補助の内容については、基本的にこれまで東京都が区市町村を支援してきた内容を参考にしています。
 対象となる事業は、体育館、特別教室、教育相談室、学校職員の部屋を初め、児童生徒、教職員等が使用する全ての部屋へのエアコン設置としています。
 新規だけでなく、国庫補助の対象となっている更新についても対象にすること、国庫補助の対象外となっている四百万円未満の工事やリースについても対象とし、設置が進むよう支援します。
 補助率については、国庫補助の対象となる事業については事業費の六分の一、実勢単価と国庫補助単価との差額の二分の一、工事費が四百万円未満のため、国庫補助の対象外となる事業については実工事費の二分の一、リースについても借り入れに要する経費の二分の一を補助といたします。
 必要経費については、仮に五年間で全ての小中学校体育館にエアコンを設置した場合、一年間で三十二億円、五年間で百六十億円と試算をしています。
 条例の施行日は公布の日とし、来年の夏に向け補正予算も組んで、すぐに取りかかれるようにしています。
 この定例会での本会議質問でも、各会派の皆様からエアコン設置についてはさまざまなご提案がありました。学校体育館にエアコンを設置すべきだというコンセンサスは既にあると考えております。
 よろしくご審議いただきますようお願い申し上げまして、趣旨説明といたします。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。--発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○里吉委員長 次に、請願の審査を行います。
 請願三〇第七号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○増田教育改革推進担当部長 お手元に配布しております文教委員会付託請願審査説明表の一ページをお開き願います。請願三〇第七号、都立江北高校夜間定時制の募集停止の決定を拙速に行わないことに関する請願でございます。
 本請願は、足立区の都立江北高校定時制の存続を求める会代表石井史衛さんから提出されたものでございます。
 本請願の趣旨は、都において、都立江北高校夜間定時制の募集停止の決定を拙速に行わないようにしていただきたいというものでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、都教育委員会は平成二十八年二月に策定した都立高校改革推進計画新実施計画において、生徒や保護者のニーズを踏まえ、チャレンジスクールを新設するなどし、その進捗や夜間定時制課程の入学者選抜応募倍率の推移などの状況を考慮しながら、一部の夜間定時制課程を閉課程していくことといたしました。
 新実施計画策定後、夜間定時制課程の入学者選抜の状況は、応募者数の減少傾向が続き、また、募集人員に対する在籍生徒数の割合も平成三十年度は五一・二%にまで大幅に低下しました。
 一方、チャレンジスクールや昼夜間定時制高校の入学者選抜の応募倍率は、引き続き全日制普通科高校と比較し高い状況となっております。
 以上のとおり、定時制課程を取り巻く状況は、新実施計画の策定時と比べ特段の変化はなく、特に平成三十年度は、夜間定時制課程の二次募集において応募者が大幅に減少しております。
 江北高校定時制課程への入学者数は、平成三十年度には十三人にまで減少し、また募集人員に対する在籍生徒数の割合は、他の夜間定時制課程と比較し低くなっております。
 このため、東京都教育委員会は、新実施計画の着実な実施により、江北高校の夜間定時制課程の閉課程を予定し、都立高校定時制課程の改善充実を進めております。
 募集停止までに同校に入学した生徒につきましては、正規の修業年限の間は引き続き同校に通学し、卒業することが可能です。
 また、閉課程後、夜間定時制課程への入学を希望する生徒は、足立高校、南葛飾高校、江戸川高校、葛西南高校、飛鳥高校、大山高校、豊島高校、葛飾商業高校普通科などの周辺の夜間定時制課程において受け入れられる見込みでございます。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○池川委員 都立江北高校夜間定時制の募集停止の決定を拙速に行わないことに関する請願について質問をいたします。
 都立高校改革推進計画新実施計画において、既に募集停止とされた都立雪谷高校、本請願で募集停止決定を拙速に行わないでほしいとされている都立江北高校、さらに都立小山台高校と立川高校の廃止計画が打ち出され、これまでも多くの反対の声が都議会及び東京都教育委員会には寄せられております。
 私は、昨年十一月二十八日の本文教委員会で、都立江北高校定時制「廃校計画」の決定の凍結・見直しを求めることに関する請願について質問いたしましたが、それ以降も多くの方々から募集停止にしないでほしいという声を伺っています。
 その根底には、なぜ夜間定時制高校を減らさなければならないのか、なぜこの四校なのかという入り口の部分がブラックボックスになっていることが大きな要因であるということを改めて申し上げておきます。
 夜間定時制高校は、ダイバーシティーを目指す東京にとっては、一人一人に心を寄せ、安心できる居場所となり、その成長と教育を受ける権利を保障する場所として重要性を増しています。
 そういう視点から見れば、東京都教育委員会の役割は大きいと考えます。
 夜間定時制高校が果たしている役割は何か、東京都教育委員会の認識を伺います。

○増田教育改革推進担当部長 定時制課程の高校につきましては、従来から昼間に学校に通うことができない勤労青少年の学びの場として設置してまいりました。
 しかし、今日では、小中学校時代に不登校を経験した生徒、学習習慣や生活習慣等に課題がある生徒や外国人の生徒など多様な生徒が在籍しております。
 また、定時制課程では、全日制課程に比べて少人数での教育を実施するとともに、入学者選抜における第二次募集以降では、全日制課程などへの進学希望がかなえられなかった生徒のセーフティーネットの機能を果たしております。

○池川委員 重要な役割を果たしているということを改めて確認をいたしました。
 現実の問題として、夜間定時制高校四校の廃止という問題に繰り返し声が上がっていることについて、真正面から受けとめていただきたいと思います。
 中学校のときに不登校だったという、ことし三月に江北高校定時制を卒業された方からお話を伺いました。定時制の学校に通っている人たちというのは、家庭の事情があったり、ほかの人との間でいろいろあって人間不信になったりで、自分と同じだなと思うような人たちがいっぱいいる、自分のことを社会不適合かなと思うこともあるけれどもほかの人も同じような境遇の人がたくさんいるんだと感じることができた、みんな優しくて共感できたというふうに高校時代を振り返ってお話をされていました。
 現在、江北高校の夜間定時制高校は、本当に豊かな教育実践を行っています。城東職業能力開発センターとの連携など、新しい取り組みも始まっているということを、伺った際に校長先生から直接聞きました。
 こうした城東職業能力開発センターとの連携など注目すべき取り組みがありますが、江北高校定時制課程の教育課程について、東京都教育委員会はどのような認識か、この江北高校定時制が果たしている役割をどのように考えているのか、伺います。

○増田教育改革推進担当部長 都立高校の定時制課程では、各学校で生徒の実態等に応じて教育課程を定めており、キャリア教育の充実のため、ハローワークや地域若者サポートステーション等と連携し、各種セミナーを開催したり、職業能力開発センターの協力のもと講習会を実施したりするなどの工夫をしております。
 江北高校定時制課程でも、平成二十八年度から都立城東職業能力開発センターと連携した職業教育を実施し、キャリア教育の充実のための取り組みを積極的に実施しております。

○池川委員 こうした取り組みをされていて、重要な役割を果たしているということだと思います。
 この職業能力開発センターとの連携事業は、センターにとっても学校にとっても、お互いがウイン・ウインになるんだということを校長先生からも伺っております。
 そのことを通じて、目的意識を持って、その後の進路選択もできるようになっているという話も伺いました。
 このほかにも、生徒一人一人と丁寧にかかわり合いを持っていることが江北高校定時制に通ってよかったという思いにつながっています。
 ある卒業生は、人間不信という感じだったけれども、先生たちが頑張っていると自分も頑張らなければと思って、毎日学校に行くことを通じて賞までもらえた、本当にうれしかったと話しています。また、親になったら、自分も江北高校定時制だったけれども、いい学校だったぞと送り出してやりたいと思うと話してくれました。
 さまざまな困難を抱えながら、また現実にも困難を抱えつつ、進学した江北高校定時制に行ってよかったと語っていることは本当に喜ぶべきことだと思います。こういう思いが詰まった学校をなくすということに、多くの皆さんがそれはやめてほしいという気持ちになっています。
 また、校長先生のお話の中では、割合として就学支援金を受け取る生徒が多いということも指摘をされていました。
 一つの夜間定時制高校をなくすということについて、東京弁護士会は、生徒らの学習権を侵害するおそれが高いこと、都教委のいう勤労青年の減少について、勤労青少年は正規雇用者のみを意味し、非正規雇用者を除外していると考えられ、非正規雇用者が増加している実態が踏まえられていないこと、夜間定時制の廃止が、夜間定時制高校へのニーズを持つ子供たちが事実上、教育機会を失う結果となりかねないことなどを指摘し、夜間定時制高校が対象として想定する生徒らにとっては、通学費の増大や通学時間の長時間化は経済的、体力的、精神的に通学そのものを困難にする可能性が高い、こうした状況においては、四校が廃止、閉課程となれば、通学に要する経済的、体力的、精神的負担の増大は避けられない、まして、子供の貧困がますます拡大し、学費等の自己負担が強いられる者が増加している現状においては、こうした負担増が教育機関へのアクセス権に及ぼす影響は重大であると述べています。この指摘、私は大変重要だと思います。
 こうした江北高校に通う子供たち、またこれから通おうとする子供たちにとって、この閉課程というのは通学に要する経済的、体力的、精神的負担が大きいと考えますが、都教委の認識はいかがでしょうか。

○増田教育改革推進担当部長 江北高校は、生徒がさまざまな地域から通学しており、足立区だけでなく、荒川区、葛飾区、北区、江戸川区などから通っている生徒もおります。
 そうした生徒にとって、江北高校定時制が閉課程となっても、通学の選択肢となり得る夜間定時制課程が複数存在しております。
 例えば江北高校から一・四キロメートルの距離に足立高校があるほか、南葛飾高校、飛鳥高校、江戸川高校など、周辺の夜間定時制課程で受け入れが十分可能でございます。

○池川委員 通学の選択肢が複数存在しているとおっしゃいましたが、今や、例えば普通科の夜間定時制は、島の二校を入れても二十三校しかありません。とても簡単に選べる、そういう状況にはありません。
 夜間定時制は、徒歩で通える、自転車で通える、電車やバスに乗るとしても、乗りかえなしで一本で行けることが本当に重要だ、このことはこれまで通っていた生徒の方々、卒業生、保護者の皆さんが口をそろえて、通いやすい場所にあったからこそ通えたとおっしゃっていることからも明らかだと思いますし、そのことを直視していただきたいというふうに私は思います。そして、このこと自体は、都教委も認識をしているんじゃないですか。
 請願者の方々は、せめてこの十月に募集停止を決めないでほしいという思いで請願を出されておられます。少なくとも、もう少し入学希望の状況を見きわめてから検討してほしいということだと思います。私もそのとおりだと思います。
 私、昨年、江北高校を訪れた際に、募集のパンフレットを手にしました。(パネルを示す)これがそのパンフレット、表表紙と裏表紙になりますが、ここには、この赤い枠で囲ったところですが、平成三十一年度、新入生の募集は停止する予定ですというふうに書かれています。
 この学校ならと学校見学や入学を考えていた子供たちや、保護者の皆さんが見たらどういう気持ちになるだろうと想像してみると、本当にやるせない気持ちになりました。
 来年度、募集停止予告を行っているもとで、ことしの春には十三人の生徒が入学したと聞きました。このことを東京都教育委員会としてはどのように捉えているんですか。

○増田教育改革推進担当部長 募集停止予告を行っても募集停止までに同校に入学した生徒につきましては、正規の修業年限の間は引き続き同校に通学し卒業することが可能であるため、募集人員三十人のところ十三人が入学しております。

○池川委員 どういうふうに捉えているのかと。現状は十三人入学した、本当にとうといことだというふうに私は思います。
 都教委の持つ夜間定時制募集停止の指標には、入学者が二年連続で十人以下というものがあり、雪谷高校は廃止の理由として、そのことが一つの理由とされました。
 しかし、江北高校の場合は、募集停止予告が行われたにもかかわらず、十三人の方々が入学をされる。しかも、一次募集については十人入学をされるという状況になっています。しかも昨年度の状況を見てみると、江北高校のみならず、都立高校全体の入学者が減少し、全日制で三次募集までしても定員が埋まらない学校もあったほどの状況でした。都立高校全体の倍率が下がる中で、十三人の方々が進学を決めたということを重く受けとめるべきだと思います。
 もう一つ、東京都立高等学校定時制課程通信制課程入学案内には、夜間定時制は、日中は働きながら高校に通いたい人が行く学校となっていることを前回の質問でも指摘をし、これは実態に合っていない、多様な人たちを選択肢から排除してしまうことになるんじゃないかということを指摘しました。
 これに対して担当部長は、典型的な事例を挙げているだけであって、働きながら定時制に通う勤労青少年でなければ夜間定時制に通ってはいけないというメッセージではないと考えておりますと答弁をされましたが、どう読んでも典型的な事例ではなく、明らかに誘導してそのページに行くようになっています。
 この点については、表現を改めるなど改善することを改めて求めておきたいと思いますが、改めて繰り返しますが、そうしたもとでも十三人もの生徒が入学をした。私は、募集停止などを行う段階ではないというふうに思います。
 さらに、都教委が江北高校定時制の廃止の理由として挙げている一つが、足立地区チャレンジスクールの開校になっています。これはまだ先なのに、なぜこのタイミングで廃止なのかという声が上がっているのは当然だと思います。
 改めて伺いますが、足立地区のチャレンジスクールの開校後の動向を見てから判断するという選択肢もあると思いますが、なぜそうしないんですか。

○増田教育改革推進担当部長 夜間定時制課程では、在籍生徒数が減少しており、江北高校定時制課程では、平成二十六年度に十学級であったところ、平成二十九年度は七学級、平成三十年度には五学級となっております。
 また、入学者選抜第一次募集の状況も、平成二十六年度に二十八人でございましたが、平成二十九年度は十一人、平成三十年度は十人と、応募者数の減少傾向が顕著であり、江北高校定時制課程を閉課程した場合も、夜間定時制課程を希望する生徒につきましては周辺の夜間定時制課程において十分受け入れることができる状況になっております。
 加えて、平成三十年度及び平成三十一年度に都民ニーズの高いチャレンジスクール等の夜間部の規模拡大を行うこととしていることから、江北高校定時制課程の募集停止を予告いたしました。

○池川委員 二次募集での受け入れに大きな意義を持つということは、最初の答弁でもセーフティーネットの役割が大きいということがいわれましたが、夜間定時制はそういう役割を持っています。
 今の答弁は、一次募集の人数だけでいわれたわけですが、そもそも学級減そのものは東京都教育委員会が実施をしてきた。今年度の募集は、全体の倍率が下がるもとで、さらに募集停止の予告が行われたにもかかわらず、一次募集に限っていえば、昨年度とほぼ同じ数が来ているので、先ほど応募者の減少が顕著だといわれましたが、昨年度と比較してもほとんど変わらないということは真正面から受けとめるべきだと思います。
 そして、この減少傾向を開始させた最大の動機は、新実施計画によって、この学校をなくすということを決めたことに起点があるんじゃないですか。周辺から、受け入れられるといいますが、通っている生徒さんの中には、行こうと思うきっかけがあり、その動機として近いというのは大変大きかったという声があるのは、これまでも紹介をしてきたとおりです。
 また、開校予定の足立地区チャレンジスクール以外のチャレンジスクールの三部の時間をふやすからいいんだというのは、例えば近くても、北区の桐ケ丘高校や江東区の大江戸高校になると思いますが、交通の便を考えても、足立区からはとても行きづらい場所にありますし、両校とも制服がある学校で、少し高校生の年齢を超えた方々にとっては大変ハードルが上がるということは指摘せざるを得ません。
 二十代になってから江北高校に通っていた方からは、自分のような状況の人がほかにもいる、そのときに江北高校があればよかったと思えるのではないか、家庭環境が複雑であったり、経済的に厳しい状況である人が救われる場所を一つでも多く残しておいてほしい、先生たちも本当に温かく接してくれた、だからこの江北高校定時制課程をなくさないでほしい、存続させてほしいというふうに語っておられます。
 いずれにしても、せめて足立地区チャレンジスクールの開校後の状況を見てほしい、この状況も見ずに判断し閉課程にする、募集停止にするというのは、余りにも拙速だといわざるを得ません。
 私は、昨年、ことしとこの議論を積み重ねてきましたが、本会議を初め、この新実施計画策定以来、さまざまな議論がずっと行われております。
 これ、教育長にお伺いをしたいんですけれども、なぜ繰り返し夜間定時制高校を守れという声が上がってくるのか、先ほど紹介してきた在校生、卒業生の思いにどのように応えられていくのか、伺いたいと思います。

○増田教育改革推進担当部長 夜間定時制課程の入学者選抜の応募状況につきましては、新実施計画策定後も応募者数は減少を続け、第一次募集から第四次募集までの応募者数は、平成二十八年度の千五百三人から平成三十年度には千十九人まで減少しております。
 平成二十三年度以降、夜間定時制課程の応募者数は減少傾向が続き、特に平成三十年度において大幅に減少しております。
 こうした状況の中、四校閉課程をしても、周辺地域に通える夜間定時制高校は残っており、セーフティーネットの役割は果たしていると考えております。

○中井教育長 夜間定時制高校に限らず、都立高校というのは、いうまでもなく都民の税金で設立され運営されているものでございます。
 そういう中では、当然、社会の状況に応じて、都立高校のあり方も変えていかざるを得ないというところがあるわけでございます。
 社会の状況に応じて、社会のニーズに応じて、都立高校をどのような学校にしていくのか、どこにどのような高校を配置していくのかということについては、常にその見直しを必要に応じて行っていくことが必要であるということだと思います。
 夜間定時制については、先ほどからご答弁をさせていただいているように、応募者が年々減っていっている、在校生も定員枠よりかなり低い状況が続いているという状況にあるわけでございまして、そういった状況を踏まえて、適正な規模のあり方、学校の配置のあり方ということを私どもとして考え、それを提起させていただいているということでございます。

○池川委員 こうした声が繰り返し上がることについてどう受けとめられているのかということについては、残念ながらご答弁がありませんでした。
 もう一度繰り返しますが、昨年、平成二十九年には一次募集で十一人、三十年度募集では十人だったわけです。先ほど減少は顕著というふうに答弁されましたが、実際には同じ推移をしているわけです。
 この問題を抜きにして、著しい減少が顕著だからなくすという論理は通じないというふうに思いますし、加えていうのであれば、チャレンジスクールを開校してから、その様子を見守って対応するということがなぜできないのかということに対しても十分な答弁はないと思います。
 私は、繰り返しこうした声が上がる背景には、各学校の夜間定時制高校の歴史と伝統を大切にしてほしいという願い、また、決定過程がブラックボックスで不透明であるということへの不信感、そして何より現実に夜間定時制高校が果たしている役割を深く認識しているからだと思います。
 こうした声に耳を傾け、たとえ一度出した計画であっても変更すべきだと考えます。募集停止を拙速に行うべきではありません。
 本請願の採択を主張して、質問を終わります。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○里吉委員長 起立少数と認めます。よって、請願三〇第七号は不採択と決定いたしました。
 請願の審査を終わります。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十九分散会

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