文教委員会速記録第三号

平成三十年三月十六日(金曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長里吉 ゆみ君
副委員長川松真一朗君
副委員長米川大二郎君
理事大松あきら君
理事米倉 春奈君
理事木村 基成君
けいの信一君
成清梨沙子君
池川 友一君
高倉 良生君
白戸 太朗君
斉藤れいな君
入江のぶこ君
古賀 俊昭君

欠席委員 なし

出席説明員
教育庁教育長中井 敬三君
次長堤  雅史君
教育監出張 吉訓君
総務部長早川 剛生君
都立学校教育部長初宿 和夫君
地域教育支援部長安部 典子君
指導部長増渕 達夫君
人事部長江藤  巧君
福利厚生部長太田 誠一君
教育政策担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
古川 浩二君
教育改革推進担当部長増田 正弘君
特別支援教育推進担当部長浅野 直樹君
指導推進担当部長宇田  剛君
人事企画担当部長鈴木 正一君

本日の会議に付した事件
意見書について
教育庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成三十年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十四号議案 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・学校における働き方改革推進プランの策定について

○里吉委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○里吉委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成三十年度予算は、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成三十年三月十五日
東京都議会議長 尾崎 大介
文教委員長 里吉 ゆみ殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十五日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十二日(木)午後五時

(別紙1)
文教委員会
 第一号議案 平成三十年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為
文教委員会所管分

(別紙2省略)

○里吉委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成三十年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、教育庁所管分、第四十四号議案及び報告事項、学校における働き方改革推進プランの策定についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○早川総務部長 去る二月十九日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をお開き願います。今回要求のございました資料は十一件でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、都立特別支援学校スクールバス予算の推移(平成二十一年度から平成三十年度まで)でございます。
 スクールバスの予算額、配車している学校数、運行コース数について、年度別に記載してございます。なお、平成三十年度予算では、表記の金額のほか、医療的ケア児専用通学車両の運行に要する経費が措置されております。
 二ページをお開き願います。2、都立特別支援学校におけるスクールバスの配車状況(平成二十九年度)でございます。
 スクールバスの配車台数について、障害種別ごとの学校別に記載してございます。
 三ページをごらんください。3、公立小・中学校の三十五人学級に必要な教員数及び経費でございます。
 全学年を三十五人学級にした場合に、新たに必要となる教員数及び経費について、小学校、中学校それぞれ学年別に、また合計を記載してございます。
 その下、4、教職員の標準法定数と、標準法に根拠をもつ教職員数の都の定数、および標準法以外の都の定数(校種別)でございます。
 平成三十年三月七日時点の見込み数である教職員の標準法定数と、標準法に根拠を持つ都の平成三十年度定数及び標準法以外の都の平成三十年度定数について、校種別に記載してございます。
 四ページをお開き願います。5、都立学校整備費の推移(校種別、工事内訳別)(平成十年度から平成三十年度まで)でございます。
 都立学校整備費の当初予算額と新設、改修など工事内訳について、校種別、また年度別に記載してございます。
 五ページをごらんください。6、公立小・中学校児童・生徒の就学援助受給者の推移(平成十九年度から平成二十八年度まで)でございます。
 就学援助を受給した児童生徒数及び受給率について、要保護、準要保護別、また年度別に記載してございます。
 六ページをお開き願います。7、都内公立特別支援学校の医療的ケアが必要な幼児・児童・生徒の数及び配置看護師数(平成十八年度から平成二十七年度まで)でございます。
 (1)では、医療的ケアが必要な幼児、児童生徒数について、都立、区立別、また年度別に記載してございます。
 (2)では、配置看護師数について、都立、区立別、また年度別に記載してございます。
 七ページをごらんください。8、小二加配・中一ギャップ加配の活用状況、学級規模の縮小とTTの選択状況(平成二十九年度)でございます。
 平成二十九年度における小二加配、中一ギャップ加配を活用している学校数について、学級規模縮小、TT等の選択別、また区市町村別に記載してございます。
 八ページをお開き願います。9、都内公立小・中学校及び高等学校の不登校児童・生徒数と不登校出現率の推移(平成九年度から平成二十八年度まで)でございます。
 都内公立小中高等学校の不登校児童生徒数と、不登校出現率について、校種別、また年度別に記載してございます。
 九ページをごらんください。10、東京都立高等学校等給付型奨学金の活用状況(高等学校)でございます。
 (1)では、給付対象者の認定状況として、平成二十九年五月一日現在の生徒数、平成二十九年十一月十七日現在の認定者数と割合を記載してございます。
 (2)では、奨学金の主な対象事項について記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。11、東京都公立学校教員採用選考名簿登載者数、期限付任用教員名簿登載者数等(平成二十五年度から平成二十九年度まで)でございます。
 (1)では、教員採用選考名簿登載者数と期限つき任用教員名簿登載者数のうち、四月一日任用数、四月二日から三十日までの任用数、五月以降の任用数について、年度別に記載してございます。
 (2)では、期限つき任用教員名簿登載者のうち、五月一日までに任用のあった者の教員採用選考受験者数、翌年度の名簿登載者数及び合格率について、年度別に記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○米川委員 私は、本日、不登校の特例校と、大島海洋国際の実習船の建造について、二問お伺いいたします。
 まず初めに、三月一日に行われました代表質問で、我が会派の増子幹事長の不登校や中途退学に至っても、挫折することなく自立に向けて歩みを進めるための取り組みについてとの質問に対しまして、小池都知事は、不登校や中途退学に至りましても、子供たちが夢や希望を失うことなく、自信を持って生きていけるような、継続性のある包括的な支援が必要との答弁がありました。
 そこで、不登校特例校について何点か伺います。
 まず、不登校児童生徒を支援するものとして、教育支援センターとこの不登校特例校とがありますが、教育支援センターと不登校特例校との違いはどのようになっているのか、伺います。

○増渕指導部長 教育支援センターは、主に不登校児童生徒の在籍校への復帰を支援することを目的とし、学校教育法で定める学校とは別の機関として、区市町村教育委員会が設置しているものでございます。
 教育支援センターの特徴は、経験豊富な退職教員等が一人一人の児童生徒に応じ、基礎学力の補充や基本的生活習慣の改善等の支援を行う点にあります。
 一方、不登校特例校は、児童生徒の義務教育段階における学習を保障することを目的とし、不登校児童生徒の実態に配慮した特別の教育課程を編成して教育を実施する学校として、文部科学大臣からの指定を受け、区市町村教育委員会等が設置できるとされております。
 不登校特例校の特徴は、学級担任や教科担任などの専任教員が複数の教科を統合した独自の教科などにより、学習指導要領に定められた授業時数や指導内容の一部を弾力的に運用して指導を行う点にあります。

○米川委員 ありがとうございます。この二つの事例の違いがよくわかりました。
 次に、平成三十年四月より、分教室の形で不登校特例校が調布市に開設することになりましたが、調布市が設置する不登校特例校を分教室とした理由について伺います。

○増渕指導部長 分教室とは、一般的に本校から分離された他の施設を使用して設置する教室のことを指します。
 今回、調布市教育委員会が分教室の形で設置する理由は、学校の形に比べ、校舎や運動場などの施設設備等に係る負担が軽いことから、速やかな設置が可能になり、不登校児童生徒への支援を早期に実現できるためであります。
 なお、調布市教育委員会からは、将来的に学校の形への移行を見据え、段階的に学習環境の充実を図っていくと聞いております。

○米川委員 ありがとうございます。
 都教育委員会は、他の区市町村教育委員会に対して、不登校特例校の取り組みについて、今後どのように周知を図っていくのか、伺います。

○増渕指導部長 今後、都教育委員会は、区市町村教育委員会が不登校特例校について正しく理解することができるよう、不登校児童生徒に配慮した教育課程上の特徴、分教室の形の特例校を設置する意義、開設に至るまでの手続等を担当者を集めた連絡会で周知してまいります。
 また、特例校での具体的な取り組みや成果につきましても、調布市教育委員会と連携しながら積極的に情報提供を行ってまいります。

○米川委員 ありがとうございます。この不登校特例校ですが、八王子に一校と、そして、私の地元の葛飾区に東京シューレというのが私立で一校あります。そしてまた今回、調布市に分教室という形ですが、一校できたということで、まだまだ足りないと思いますので、いろいろと内容等を聞いたところですと、設置するのは負担がかなり大きいということですので、さまざまなやり方を、ぜひ教育庁の方で区市町村を支援していただきたいと思います。
 続きまして、大島海洋国際高校の実習船の建造について伺います。
 昨日の予算特別委員会で、私は、島しょにあります六校の都立高校について質問させていただきました。
 伊豆諸島の大島に設置され、都内の中学生が受検できるこの大島海洋国際高校は、生徒の応募倍率、毎年一倍を超えて、人気の高い学校といえるのではないでしょうか。
 そこで、この大島海洋国際高校の特色や生徒の高校生活についてお伺いいたします。

○初宿都立学校教育部長 大島海洋国際高校は、都立高校で唯一の大型実習船「大島丸」と、寄宿舎を持つ高校であることが大きな特色でございます。
 実習船による航海実習では、船の操船や船内生活、海洋実習を通じて生徒が互いに助け合い、荒天時の対応など航海中のさまざまな困難に力を合わせて乗り越えていく貴重な経験をすることができます。
 また、寄宿舎では、生徒による選挙で選ばれたプリーフェクトと呼ばれる生徒のリーダーを中心に、清掃や洗濯などの役割を生徒一人一人が果たしてまいります。
 また、平日三時間の学習を行う宅習などの規律ある集団生活を通じて、自立心や友情、学習習慣などを培います。

○米川委員 ありがとうございます。私も、もう二十年以上前なんですが、まだ大島南高校というときに、ちょうど同期がいましたので、一度伺ったことがあります。
 次に、平成三十年度予算案で、この高等学校実習船の代船建造に新規の予算が計上されております。老朽化した実習船「大島丸」の代船建造の詳細についてお伺いいたします。

○初宿都立学校教育部長 現在の「大島丸」でございますが、平成八年三月の竣工から二十二年が経過しており、船体が老朽化しておりますため、更新する必要があることから、現在、新たな実習船の設計を行っております。
 更新する実習船の設計に当たりましては、航海や実習等における生徒の安全の確保を最優先事項といたしまして、航海時の揺れの低減を図るよう努めますとともに、海洋観測などの実習に必要な機能を充実させております。

○米川委員 ありがとうございます。
 これまでも大島海洋国際高校は、離島の大島に設置されまして、先ほども説明がありましたが、船、海、寄宿舎という教育環境で、特色ある教育を実施してまいりました。
 今回、新しい「大島丸」を建造し活用していくに当たりまして、将来を見据えた特色ある教育を行うためにどのような検討をしているのか、伺います。

○初宿都立学校教育部長 平成二十八年十二月に策定いたしました二〇二〇年に向けた実行プランの中で、大島海洋国際高校において実習船を活用した新たな海洋教育を取り入れた教育課程や、効果的な航海学習を展開するとしております。
 現在、外部有識者等による大島海洋国際高等学校在り方検討委員会を設置いたしまして、海洋教育の充実や海洋観測を重視した航海学習などを含めた教育のあり方を検討しております。
 具体的には、海洋に関する地球規模での課題をテーマとした海底鉱物資源調査などの実習と、各教科の学びを相互に関連づけた教科横断的な学習の充実、ICT機器を活用した寄宿舎教育の実施に取り組むことなどについて検討をしております。

○米川委員 本日のNHKニュース・ウエブですと、三十の都立高校で第三次募集ということで、定員割れがあるというようなことがありました。この大島海洋国際高校も含めまして、その地域の特性や、そういったものを生かした特色ある教育をこれからも教育庁、ぜひ進めていただきまして、それぞれの地域、そして、いろんな学校がありますので、特色ある教育をすることで、児童生徒の勉強したい、そういう思いにしっかりと応えていくよう、よろしくお願いいたします。
 以上です。

○川松委員 私からは、部活動指導員について幾つかお伺いをいたします。
 これまで各学校の部活動の顧問の先生方について、全ての先生方が必ずしもポジティブな気持ちでないということは議論されてきたわけであります。見たこともやったこともない競技の顧問にたまたまなってしまった場合と、それを専門にやってきた場合とでは、それぞれの先生の気持ちに差があるのは当然だと思います。少しでも後ろ向きな先生がおられた場合、先生も大変な負担かもしれませんが、そこにいる生徒たちも少しかわいそうな面があるなというふうに感じてきたところでございました。
 そんな中で、気持ちが乗らない先生と、そして生徒を救うためにも、部活動指導員の制度というものには私は期待しているところでありますが、実際、部活動指導員にはどのような人材が想定されているのかをお聞かせください。

○宇田指導推進担当部長 部活動指導員は、顧問教諭と同等の責任のある職務を担うため、部活動指導員の役割を十分に理解し、その職務を遂行する熱意を持つとともに、当該の競技の専門性及び生徒指導力を有する必要がございます。
 そのため、都教育委員会は、都立高校に対し、部活動指導員の具体的な目安として、教員としての部活動指導の経験がある者、中学校、高等学校等での外部指導員の経験がある者、大学やスポーツクラブ等でのコーチ経験がある者、また、教員免許状を有する教員志望者などを示しております。

○川松委員 ありがとうございます。今、いろんなカテゴリーの中から人を募集されているということでありますけれども、実際には教員のように免許があるわけでもなく、あるいは資格があるわけでもありません。例えば外部指導員にしても、近所におられて、一生懸命やっていただく方はたくさんいるわけですが、それと、学校教育の現場の中で幅広い視野で全体を眺めて進行管理できる人材がどれくらい集まっていくのかというのは、課題認識として持たなければならないのかなと思います。
 やはり学校という教育現場の話ですから、教育的視点が重要ではないかと私は考えるわけです。部活動を通しての人間育成というのが指導者側に求められる大きな課題であると常々思っています。ただ競技にだけ没頭するというのは、学校における部活動としては、私は適切な考え方ではないというふうに信じております。例えば、そこにはしっかりと挨拶ができる、掃除ができる、用具を大切に扱うなどの競技者として、そして人としての基本的な部分にも力を入れることができる人材というのが、意外といるようでいないのが、今の現状かなというふうに捉えております。
 その中で、そういう意味からすると、今後、今般の部活動指導員の質を高めていくためには、どのような取り組みを行っていこうと考えておられるのか、教えていただきたいと思います。

○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、都立高校の校長や区市町村教育委員会の担当者を対象とした連絡会において、人格的にも技能的にもすぐれた人材を任用することや、部活動指導員に期待される具体的な職務内容について周知徹底してきております。
 今後、全ての部活動指導員を対象に定期的に研修会を実施し、職務上、守るべき法令に関する内容、部活動の位置づけや教育的意義、生徒の発達段階に応じた科学的な指導、安全の確保や事故発生時の対応、また、生徒の人格を傷つける言動や体罰の禁止等について学ぶ機会を設け、学校職員としての自覚を促すとともに、質の担保が図られるよう取り組んでまいります。

○川松委員 ありがとうございました。
 この二問、きょう聞かせていただきましたが、最後に一つ、今後の運用について要望したいことがあります。
 今、スポーツ界では、プロスポーツ選手、あるいは実業団選手のセカンドキャリアというのがテーマになります。特にさまざまな部活動で顧問の先生が見つからないという状況になりやすいのは、マイナースポーツの傾向が多いのかなと認識しております。そして、そのマイナースポーツほど、セカンドキャリアの課題を抱えているということをよく目にするわけであります。
 このたびの制度を、これから進めていく、スタートしていくというところに当たっては、東京都にある、存在する各スポーツ団体と、都教委で人材バンクのようなものをつくって、必要に応じて各学校と各競技団体が連携できる、そういう環境があれば、お互いの持続発展可能性を高めるものになるのではないかなというふうに考えております。そういうことも、すぐにとは難しいと思いますけれども、将来的に導入するような考え方で進めていただきたいということを要望して、そして、この部活動指導員の充実を願いまして、私の質問を終わります。

○大松委員 私からは、英語教育について質問いたします。
 子供たちに英語を身につけさせるためには、実際に英語を使う体験活動を通して、生きた英語を話し、聞き、学ぶこと、そして子供たちの学習意欲を向上させていく取り組みが重要です。
 こうした観点から、東京都教育委員会は、ことし九月、英語漬けの環境で英語を学べる東京都英語村、TOKYO GLOBAL GATEWAY、いわゆるTGGを開設することになっております。
 その内容につきましては、先日の予算特別委員会で、我が党の代表質問に対して答弁をいただきましたけれども、大変充実しているものばかりでございます。ぜひ多くの子供たちにTGGに来ていただいて、伸び伸びと英語を学べるように取り組みを進めていくべきと考えます。
 そこで、TGGに関する現時点における学校からの反響や、九月の開設に向けたスケジュールにつきまして、都教育委員会の所見を求めます。

○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、校長や教員を対象としたTGGに関する説明会をこれまで五十回以上実施しており、学校からは、教室とは異なる空間で実践的に英語を使う機会は魅力的である、また、プログラムの内容が充実しているなどの声が寄せられております。
 予約については、昨年九月から、学年単位等での受け付けを開始し、現在、四万人程度の初年度の利用予約があり、ことし四月からは、個人での予約の受け付けを開始いたします。
 また、施設については、五月を目途におおむね完成する予定でございまして、六月には、TGGへの理解をさらに深めていただくために、学校関係者向けに施設の内覧会を実施いたします。内覧会以降、九月の開設までの間、児童生徒が安全かつ快適に利用できますよう、運営事業者とともに、設備や運営の最終的な調整及び確認を重ねてまいります。

○大松委員 予約が四万人ということでありますので、大変多くの皆様方が期待をされているということでありますので、ぜひすばらしい運営がなされるように、よろしくお願いを申し上げます。
 そして、この語学教育では、早い年齢から学習していくことが大切と考えます。政府におきましても、既に学習指導要領を改訂いたしまして、平成三十二年度から小学校においても、英語を教科として教えていくことになっております。
 そこで大切なことは、小学校で英語教育を行う場合も、中学校や高校で教える英語を単に前倒しをして教えるということではなくて、小学生の発達段階に合わせた質の高い語学教育を行うことが求められるわけであります。
 そのためには、この教員には、単に語学ができるということだけではなくて、子供たちに語学を教える力という専門的なスキルが必要になるわけでありまして、スキルアップに取り組む機会、環境を整えていくことが重要であります。
 東京都教育委員会は、昨年度から、中学、高校の英語教員を派遣しております海外研修に、小学校の教員も参加をさせております。語学といっても、コミュニケーション能力ですから、言葉とともに、それぞれの国の文化や生活習慣を理解することは不可欠であります。
 まず、教える側の教員がそれらを肌身で感じながら学んでいくべきであり、そのための海外派遣研修は重要であります。小学校教員を対象とした海外派遣研修の狙い、内容、成果につきまして、都教育委員会の見解を求めます。

○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、学習指導要領の改訂に伴う小学校英語の教科化、早期化に対応し、指導者である小学校教員の英語力及び指導力の向上を目的として、平成二十八年度から小学校教員の海外派遣研修を実施しております。
 この研修で小学校教員は、海外の大学で、英語力に応じたグループでのレッスンを受講するほか、研修期間中、個別に相談に応じるネーティブスピーカーと英語での会話を数多く行うなど、英語力の向上に努めています。
 また、英語を母国語としない年少の子供を対象とした最新の英語教授法や実践例を学び、指導力を高めております。
 さらに、ホームステイを通したホストファミリーとの交流のほか、現地の小学校を訪問したり、他国からの留学生とともに、大学や地域のコミュニティでのイベントに参加したりすることにより、異文化理解も深めております。

○大松委員 小学校の教員の海外派遣研修は、今後ますますその重要性を増してくるものと考えます。引き続き、海外派遣研修、小学校の教員に対しまして継続するとともに、その内容を充実させていかなければならないと考えております。
 また、都教育委員会が昨年度と今年度、海外派遣している小学校の教員は、学級担任を持たない英語教育推進リーダーでありますけれども、来年度からは、学級担任を持つ小学校の教員も派遣していくと伺っております。
 担任を海外に派遣する場合、その期間中、代替教員の確保が必要になりますため、派遣期間や派遣時期につきましても工夫が必要になってまいります。
 小学校教員を対象とした海外派遣研修について、今後の取り組みの方向性につきまして、都教育委員会の見解を求めます。

○宇田指導推進担当部長 これまで小学校教員の海外派遣研修では、学級を担任していない英語教育推進リーダーを夏季休業日前の約四週間と夏季休業日中の約四週間、合わせて約八週間派遣してきましたが、この英語教育推進リーダー事業が今年度で終了することから、今後、学級担任を持つ教員が派遣されることが多くなります。
 そのため、学級担任が夏季休業日前の約四週間不在になることから生じる学級の児童の不安や、周囲の教員の負担に配慮し、平成三十年度から、小学校教員の派遣期間を夏季休業日中の約四週間に集中させていくことといたしました。
 また、派遣期間を短縮しても研修の質を担保することができるよう、派遣研修の前後に課題の提出や、派遣先大学から招聘した講師によるワークショップを実施するとともに、オンラインによる英会話研修を組み合わせて、年間を通して英語力と指導力の向上を図ってまいります。
 こうした取り組みを通して、今後も、小学校における英語教育の核となる教員を育成し、東京都における小学校の英語教育の推進を図ってまいります。

○大松委員 小学校の教員の研修のために、派遣先の海外の大学から講師を招いてワークショップを行うとの答弁もありました。
 また、先日の予算特別委員会では、公明党の代表質問に対し、都教育委員会と教育に関する覚書を締結しているオーストラリアのクイーンズランド州から、現職の教員を日本に派遣していただいて、東京都英語村、TGGで英語による授業を行っていただく企画があるとの答弁がありました。これは子供たちだけではなく、教員にとっても海外の授業を参観できる得がたい機会になると思います。
 クイーンズランド州にとりましては、現役の教員を日本に派遣するには、さまざまご負担がかかるものと思います。同州の教育関係者の皆様方に深く感謝を申し上げなければならないと考えております。
 今後とも、教員を海外研修に派遣させるとともに、海外の現場の教員にも日本に来ていただけるように取り組んでいくべきと考えます。また、そうした機会を生かして、国内外の現場の教員同士が切磋琢磨できる交流の場をふやしていくべきことを要望いたしまして、質問を終わります。

○米倉委員 まず初めに、学校給食について伺います。
 日本共産党都議団は、給食費無償化の観点からも、また、食育や子供の貧困対策からも、給食費への都の支援を行う条例提案を行いました。
 全国的にも給食無償化の動きが広がっている中で、文部科学省から、年度内にも給食費の無償化全国調査の結果も出されます。国の動向に注目したいと思いますが、給食費無償化を進めるためにも、この東京からその流れを進めることが重要です。
 全国で給食費無償化の流れが加速している中で、都としても、都内区市町村とともに、まずは負担軽減から進めていただきたいという立場から質問をいたします。
 九月に我が党が行いました条例提案は、都政新報にも取り上げられるなど、やはり今、給食の負担軽減ということが課題となっていると実感をしております。
 一月二十六日号の都政新報では、このように給食についての記事が載りました。都議会の多くの会派が来年度の予算要求や昨年の都議選の公約に給食費無償化を盛り込んでおり、きっかけ次第では状況が一変する可能性も秘めているということです。
 給食費無償化、全額を都が負担する場合は約四百億円かかると試算が紹介されていましたが、共産党都議団の提案では都の負担は七十億円で、今回の市町村総合交付金の増額幅が五十億円であることを考えると対応できない額ではないが、都教育庁は、財政負担に加え、法律上、保護者が負担することになっていると述べ、検討の俎上にのせていないということです。
 都政問題としても、給食費の無償化が注目されていると思います。都教育庁が検討の俎上にのせていないと記事には書かれておりますが、都政新報では、少子化対策や子供の貧困の観点から、改めて給食が日の目を見ることも予測され、都や区市町村への期待は一層高まっていきそうだと結ばれております。ぜひ私も、皆さんと力を合わせて実現をしたいと思っております。
 そこでまず、基本的なことについて幾つか確認をいたします。
 学校給食は教育の一部と考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○安部地域教育支援部長 学校給食法第二条では、義務教育諸学校における教育の目的を実現するため、子供たちの適切な栄養の摂取による健康の保持増進はもとより、食事についての正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力を培い、望ましい食習慣を養うことなどを目標として実施するものとされております。

○米倉委員 学校給食は教育の一環だと、今のご答弁でもそういうふうな、教育の目的を実現するという法律の趣旨からすれば、教育の一環だということになりますが、だとするならば、やはり本来は無償であるべきだと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○安部地域教育支援部長 都内公立小中学校の学校給食に要する経費につきましては、学校給食法第十一条の規定により、給食施設整備費や人件費は設置者である区市町村が負担し、食材費は保護者が負担することとされております。

○米倉委員 学校給食法で、無償化は施設整備や人件費などだけで、食材費は保護者負担としているというご説明でした。
 学校給食費は保護者の負担ということについて、学校給食法十一条についてですけれども、これは食材費、学校給食費は保護者が支払わなければならないといっているわけではありません。保護者の負担軽減をすることを制限する条項とはなっておりません。
 ですから、実態として全国で給食費の無償化の流れが広がり、都内でも三町村で無償化が実現しているという実態が今起きております。
 また、無償とまではいかなくとも、給食費の負担軽減も広がっております。葛飾区や品川区では第三子以降の給食費が無償です。狛江市は月四百円、調布市は月百円など、一律に給食費に補助を出しております。
 ことしの冬は特に野菜が高く、家計を直撃しておりますが、給食も同じです。食材費は保護者負担となりますと、何とか給食費を値上げしないで、その中でやりくりをしようということになりますから、キャベツを減らしてもやしで何とか、かさを増すですとか、果物も極端に減らしたり、そういう献立の工夫の仕方にやはり実態としてなってまいります。
 ですから、やはりここには保護者の負担だけでなく、子供たちに豊かな食生活を保障するためにも、公的な支援ということが必要になると思います。
 学校給食の負担軽減を都が行うことについて、これは法律上、可能かどうかも伺います。

○安部地域教育支援部長 法律におきましては、何ら規定されておりません。

○米倉委員 法律上、問題だという認識は示されなかったということです。これは当然のことだと思います。私たちも条例をつくる際に、文科省に対して問い合わせをいたしましたし、また、文科省自身が学校給食法を制定した昭和二十九年の段階で、学校給食法並びに同法施行令等の施行についてということで、文部事務次官通達を各都道府県委員会などに出しております。
 ここでも、この費用負担の問題については詳しく書いてありまして、この十一条のことについて、学校給食の実施に必要な経費は、原則として小学校等の設置者と給食を受ける児童の保護者とがそれぞれ分担することを定めた、これは経費の負担区分を明らかにしたもので、例えば、保護者の経済的負担の現状から見て、地方公共団体、学校法人、その他の者が、児童の給食費の一部を補助するような場合を禁止する意図ではないと明言をしております。要するにというふうに続くのですが、これらの規定は、小学校等の設置者と保護者の両者の密接な協力により、学校給食がいよいよ円滑に実施され健全な発達を見ることが期待されるという立法の趣旨において解釈されるべきだというふうに書いております。
 地方公共団体が補助をすることを禁止する意図ではないというふうに書いているんですが、ここには東京都も入ると思うんですね。ぜひ東京都としても判断をすれば、補助ができるというふうに思いますので、進めていただきたい、負担引き下げを検討していただきたいと思いますが、見解を伺います。

○安部地域教育支援部長 都内公立小中学校の学校給食は、学校給食法により、学校の設置者である区市町村が実施しており、学校給食費は給食の実施者である区市町村が保護者負担軽減の方策も含めて決定しているものと考えております。

○米倉委員 保育園、幼稚園から中学校まで給食を無償化にしている埼玉県滑川町の町長は、給食費の無償化は義務教育の無償化をうたう国が本来責任を持って実施すべき国策だと思う、国に先駆けて始めた施策だが他の自治体でもぜひ取り組んでほしい、それが結果として国を動かし、無償化費用の全額とまではいかなくとも三割、五割の補助をしますとなるのではないかとその意義を語っておられます。
 国の動向を注視するということにとどまらず、都教委としても給食費の負担軽減の検討を早急に進めることを求めたいと思います。
 次に、学校における働き方改革推進プランについて伺います。
 教員の多忙化解消対策は、教員の働き方にとどまらず、教育の質の充実のためにも極めて重要です。都教委の調査でも、週六十時間を超えて働いている教員、つまり過労死ラインとしている月八十時間を超え残業している教員の割合は、中学校で六八%、特別支援学校で四四%、小学校三七%、高校三二%となり、大変深刻な実態が明らかになっています。
 今回のプランは、早期にこの状況を打開する有効な計画となることが求められております。
 まず、中間のまとめから変わった点について伺います。
 これまでプランで掲げてきた当面の目標は、週当たりの在校時間が六十時間を超える教員をゼロにするというものでした。我が党は、これは過労死ラインを超えないだけのもので、やっぱりさらに減らす目標が必要だと求めてきました。
 今回のプランで、当面の目標に関して、中間のまとめから変更した点について伺います。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 週当たりの在校時間が六十時間を超えている教員をゼロにするという当面の目標につきましては、中間のまとめの段階から変更しておりません。
 今後、この目標の達成に向けた総合的な対策を講じることにより、週当たりの在校時間が六十時間を超えている教員のみならず、全ての都内公立学校教員における長時間労働の改善を図っていくということを記載いたしました。
 また、厚生労働省による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準等から、月当たりの時間外労働は四十五時間を超えないことが望ましいため、働き方改革の取り組みを進めていく中で、できるだけ多くの教員の在校時間がこの水準を下回るよう努めていくことも記載しております。

○米倉委員 これまでのプランの案というのは、過労死ラインについてのみの言及でしたけれども、今回のプランで、できるだけ多くの教員の一月当たりの時間外労働が四十五時間を超えない水準になるように努めると示したということです。本来は、これも目標として掲げるべきですが、言及したことは前進だと思います。
 教員の働き方改革は、残業前提ではなく、勤務時間内に必要な仕事ができるようにすることが前提となることが大切だと考えますが、都教委の見解を伺います。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 教員の長時間労働は、教員自身の心身の健康にかかわる問題であり、早急な改善が必要であります。
 昨年、都教育委員会が実施いたしました勤務実態調査の結果、週当たりの在校時間が六十時間を超えるいわゆる過労死ライン相当の教員が多数存在することが明らかとなりました。
 このため、本プランにおきましては、週当たりの在校時間が六十時間を超える教員をゼロにすることを当面の目標としたものでございます。

○米倉委員 今回のプランは、取り組みの方向性として五点を柱としていまして、その一つをライフワークバランス実現に向けた環境整備としております。一刻も早く過労死ラインに相当する働き方をしている教員をなくすことは重要ですが、教員の働き方は、原則どうあるべきなのかというベースがあっての当面の目標であるべきだと思います。
 確認のためにもう一度伺いますが、そもそも教員の働き方については、勤務時間内で必要な仕事ができることが基本だという認識をお持ちなんでしょうか。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先ほどもちょっとお話をさせていただいたとおり、学校現場においては、さまざまな教育の、子供たちと向き合う時間も含めて、校務ですとか、そういったものも含めた、学校の中で運営されているものでございます。
 その結果が、私ども実態調査をした結果として、今回どういう点に時間がかかっているかといったようなものを明らかにしてきたものでございます。
 そういう中で、今回、理事ご指摘のとおり、やはり過労死ラインを超えているような教員が多数存在するという事実がございますので、まずは、当面の目標として掲げました週当たりの在校時間が六十時間を超える教員をゼロにするという目標の達成に向けて取り組んでいくということでございます。

○米倉委員 例えば、子供が問題を起こしただとか、いろんな事情があって、実際の時間が大幅に延びるということが、それはあると思うんです、人間を相手にしている仕事なので。でも、原則として、どういう立場なのかということは、やはりこれは示すべきだと思います。
 国の方でも教員の働き方について議論がされておりますが、そちらの審議会がまとめた中間まとめでは、この勤務時間については、はっきりと示しております。適正な勤務時間の設定という項目が定められまして、定められた勤務時間内で業務を行うことが基本だというふうにまず初めに書いているんですね。やっぱりこういう基本的な原則を明らかにした上での、今の大変な実態をどう改善していくかという取り組みになるのが必要なんじゃないかというふうに思います。これは指摘しておきます。
 続きまして、仕事量そのものを減らすことも、今回の都教委の調査からも明らかになっております。今回のプランでは、どのように教員の働く時間を縮減していくのか、基本的な点を確認していきたいと思います。
 教員の働き方改革は、意識改革や効率化が中心ではなく、教員の仕事量を減らすこと、教職員をふやすことが必要と考えますが、認識を伺います。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 教員の長時間労働を改善するためには、教員の業務実態を把握し、役割分担のあり方や業務の進め方など、さまざまな観点からの見直しを進めることが必要でございます。
 また、限られた時間の中で最大限の効果を上げるという働き方に向け、管理職や教員の意識を変えていくことも重要でございます。
 このため、本プランでは、冒頭、理事の方からもお話ありましたけれども、五つの取り組みの方向性を掲げております。その中では、教員の意識改革や業務改善の推進、それから学校を支える人員体制の確保などを柱にいたしまして、総合的な対策を講じていくこととしております。

○米倉委員 さまざまな取り組みを進めることは否定しませんし、それは重要なことだと思っております。しかし、幾ら働き方の意識を変えるといいましても、教員でなければできない仕事が多過ぎるというのが実態なんですから、教職員自体をふやし、教員の仕事量を減らさない限り、長時間労働を改善することはできないというのが実態じゃないんですか。
 学習指導要領の改訂以降、標準授業時数--これは学習指導要領に定められる学習を行うために実際必要となる授業時数ということですが、この標準授業時数はどのように変わっていますか。小学校三年生について、平成十年改訂の学習指導要領と現行の平成二十年改訂のもの、そして平成二十九年改訂の新学習指導要領で時数がどうなっているか、伺います。

○増渕指導部長 小学校第三学年における年間の標準授業時数は、平成十年改訂では九百十時間、平成二十年改訂では九百四十五時間、平成二十九年改訂では九百八十時間となっております。

○米倉委員 小学校三年生では、改訂前の学習指導要領と比べて、現行の標準授業時数は三十五時間ふえているということです。今の学習指導要領が改訂されたのは平成二十年ですが、それ以前の平成十六年時点で文科省は、教員の働き方について実態調査をし、教員の働き方が、平均して平日の一日だけで三時間三十七分の超過勤務をしている、深刻な長時間労働だということで問題になっておりました。にもかかわらず、教員の定数をふやさないままに授業時間だけがふえ、ますます教員一人当たりのこま数がふえ、長時間労働を深刻にしております。
 実際、我が党の畑野君枝衆議院議員が国会でこのことを質問した際に、文科省も、平成二十年の学習指導要領改訂による授業時数の増加がこの深刻な長時間労働についての主な要因ではないかと認めております。
 ですから、教員の働き方を改善するためには、教職員をふやすことは必須なんです。これはさまざまな取り組みの一つというレベルではなく、都としても、取り組みの一番に掲げるべきだと思います。
 教員の働き方を深刻にしているのは、学習指導要領の改訂によって、授業時数がふえただけにとどまりません。授業を何時間行うかと、標準の授業時数自体は文科省が示していますが、それをベースにし実際の授業時数を決めるのは学校となっています。ですから、実際の授業時間数は、学習指導要領で定める時数よりも、大幅に多いという実態も生まれております。
 都教委は、毎年、都内の公立小中学校の年間の総授業時数を調査していますが、平成二十九年度の都内公立小学一年生では、標準授業時数八百五十時間で設定している学校がどの程度あるのか、また、調査項目で最も多い授業時数となっている標準の時数より、六十一時間多い九百十一時間以上の学校の割合はどのくらいなのか、伺います。

○増渕指導部長 都教育委員会が都内全公立小学校を対象に行った平成二十九年度の計画段階における授業時数についての調査では、第一学年において、標準授業時数で計画している学校の割合は一五・二%であり、九百十一時間以上で計画している学校の割合は六四・六%でございます。

○米倉委員 済みません、小学三年生についても一緒に伺いたいので、お願いいたします。

○増渕指導部長 小学校第三学年につきましては、標準授業時数で計画している学校の割合は一三・八%であり、千六時間以上で計画している学校の割合は五七・七%でございます。

○米倉委員 都内の小学一年生の授業時数は、約六五%の学校で標準時数よりも六十一時間以上多く、そして三年生では、約六〇%の学校で標準時数よりも六十一時間以上多く、実際の授業時数は多いということです。
 ただでさえ授業時数がふえているのに、さらに学校や地元の教育委員会の方針などで授業時数が上乗せされる実態があらわれています。ですから、ますます教員の負担が重くなっているんです。
 実際、都の教員勤務実態調査の結果を見ましても、過労死ラインを超えている教員と、過労死ラインを超えていない教員の一週間の業務内容を見てみますと、小学校では、授業と授業準備、成績処理、全て教員でなければできない仕事となっていますが、この三項目だけで十一時間半近く業務時間が長くなっているんです。
 また、中央教育審議会でも、学校における働き方改革に関する総合的な方策についての中間まとめで、標準授業時数を大きく上回った授業時数を計画している例が見られるが、指導体制の整備が伴わないまま実施すると、教師の負担増加に直結するおそれが高いと指摘をしています。
 国はこの指摘を受けて、都道府県教育委員会などに、そうした場合には指導体制の整備状況を踏まえて精査し、教師の時間外勤務の増加につながらないよう、各学校における教育課程の編成、実施に当たっては、教師の働き方改革に十分配慮することと通知をしています。
 都は、この通知を受けて、どのような取り組みを行っているんでしょうか。

○増渕指導部長 都教育委員会では、毎年、公立小中学校の年間総授業時数の調査を行い、その実態を把握しております。各学校では、校長の権限と責任のもと、感染症による学級閉鎖等を見据えて授業時数を適切に設定しております。
 また、区市町村教育委員会におきましては、管下の小中学校が編成した次年度の教育課程を受理する際に、必要に応じて授業時数等について指導助言を行っております。
 都教育委員会では、今回の文部科学省からの通知を受け、改めて授業時数の設定等において配慮すべき内容について、各区市町村教育委員会に周知を行いました。

○米倉委員 区市町村の教育委員会へは内容を伝えているということです。
 私も文科省に問い合わせましたが、授業時数が大幅に上回っている場合、先生の体制があるのか、またその授業は必要なのか精査してほしいということでした。
 標準授業時数の考え方も改めて確認をしましたが、これは学習指導要領で掲げる授業内容を達成するための時数であって、授業時数を計画する段階で下回ることは問題だよという意味で、上回るように計画してもらう最低基準だということです。ですから、もし台風やインフルエンザなど、不測の事態により、授業時数を下回ってしまっても、それによって学習指導要領違反とはしないということでした。
 先ほど学校では、感染症などでの学級閉鎖を見据えて、授業時数を多目に設定するなどしているというご答弁がありました。しかし、それ以上の大幅な授業時数というのは、都としても現場の大きな負担とならないように、議論を進めていただきたいと思います。
 そのためにも、この授業時数の実態ということについては、もう少し調査項目についても追加が必要だと思います。都教委の調査の仕方というのは、区市町村教育委員会に対して、標準時間で授業時数を計画している学校がどれだけあるのかという聞き方をしているために、標準時数で授業を計画している学校は何校ですか、それより二十時間多く設定している学校は幾つですかという、それぞれの項目に何校当てはまるかという聞き方をしているんですね。そういうふうになりますと、授業時数が最も多くなっている学校では、一体どれほど長くなっているのかという実態などはわかりません。
 調査項目についても、最大の授業時数というものが標準時数から六十一時間以上多いというふうになっていますが、先ほどのご答弁でも、今年度の小学校一年生の結果では、六五%の学校が標準時数より六十一時間以上多いよということで、それ以上のことがわからないんですね。実際には標準時数よりも八十時間、百時間、それ以上多い学校もあるかもしれないということになりますので、やはりここは、より実態がわかるように調査をして、それを区市町村に返していただいて、ここは過剰にならないようにということで努力をしていただきたいと要望しておきます。
 教員の働き方は、今取り上げてきたように、授業時数が大幅にふえていることが大きな要因となっています。教員の長時間労働を改善するためには、教員一人当たりの授業の持ちこま数をやはり減らすことが重要と考えますが、見解を伺います。

○江藤人事部長 授業時数は、標準法に基づく都の配置基準により配置された教員の中で、各学校長が学年や教科などの教育課程を考慮しながら決定しております。
 教員の授業時数につきましては、今後とも国の動向を注視してまいります。

○米倉委員 国の動向を注視するだけでは、やはり働き方は改善しないと思うんですね。
 そもそも都教委で去年十二月に公表された小学校教育の現状と今後の在り方検討委員会提言というものの中でも、教員の働き方改革について、学級担任の空きこまをふやしていく必要があると述べておられます。
 本当に重要だと思うんですけれども、やはり現状では無理があるということは認識されていると思うんですが、いかがですか。

○江藤人事部長 教員の働き方改革を進めていくに当たりましては、教職員定数の改善充実を進めるだけではなく、やはり外部人材の活用やICTの活用、学校マネジメントの強化などのあらゆる手だてをとりまして、総合的に講じていくことが必要であると考えております。

○米倉委員 空きこまをふやすことが大事だというふうに、あなた方が述べられていらっしゃるのは、実際、今、月曜から金曜までフルでこまが入っていて、授業の準備だって、とても大変ですし、これでは学校現場が回らないということを認識されているからだと思うんですね。
 今まで私、いろいろ議論してきましたけれども、ICT活用だとか、それで幾らかは負担が軽くなるかもしれませんが、教員の本来の業務自体がふえていて、そこを解決しない限り働き方を大きく変えることができないということはもう明らかなので、やはりここをしっかりと受けとめていただきたいと思います。
 プランの中身についても確認をしていきたいと思います。
 今回のプランで、都は、国に対して教職員定数の改善充実などを求めていくと述べていますが、どういう中身を求めていくのか、伺います。

○江藤人事部長 都教育委員会はこれまでも、小学校の英語専科教員加配や、指導方法工夫改善加配、教育格差解消のための教員の加配など、教職員定数の改善充実や業務改善の促進等に係る財政的支援などについて国に要望してまいりました。
 国に対して、今後も引き続き、こうした教職員定数の改善充実や財政的支援を求めてまいります。

○米倉委員 国に対しては、引き続き要望もしていただきたいと思います。
 次に、学校における業務の繁閑を踏まえた弾力的な勤務時間の仕組みなど、制度面に関する見直しについても要望、提言を行っていきますということも記載されていますが、具体的にどのようなことを想定しているのか、伺います。

○鈴木人事企画担当部長 国の中央教育審議会の学校における働き方改革特別部会においては、いわゆる給特法のあり方とあわせて、勤務時間などに関する制度のあり方を引き続き検討していくとしております。
 都教育委員会におきましても、こうした国の議論の動向を踏まえつつ、要望、提言の具体的内容を検討してまいります。

○米倉委員 いわゆる給特法と呼ばれます公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法は、本来の趣旨は、教員には時間外労働はさせないとすることにありまして、時間外勤務を命ずる場合も四項目に限り、その場合も緊急のやむを得ない場合があるときに限られると定められております。しかし、今、この給特法があるもとでも、教員は常に長時間労働にさらされる状況となっております。
 さらには、労基法三十七条が適用除外となるために、一般の労働者ならば支払われる二五%以上の割り増しの時間外勤務手当を支給する必要がないということも、教職員の定数増を求める財政的な根拠を持ち得ないという結果も招いてきました。
 学校関係者の方にお話を伺いますと、給特法とその趣旨はやはり重要で掲げてほしいと。その上で、やむを得ず残業する場合には手当をすべきではないかという意見も聞いております。
 教員は、労働者であると同時に、子供の教育に直接責任を負う教育の専門家です。制度についての議論は、学校関係者の意見をよく酌み取ったものとしていただきたいと要望しておきます。
 特別支援学校での体制強化にかかわり、主幹教諭を増員するということもプランで掲げていますが、これは定数を変えて教員をふやすということでいいんでしょうか。

○鈴木人事企画担当部長 都立特別支援学校において、平成三十年度、管理スパンの適正化及び進路指導の充実を図るため、併置校及び高等部が設置されている学校において、それぞれ主幹教諭を一名ふやすとし、副校長や主幹教諭などの負担軽減を図るとともに、学校の組織マネジメントを強化することといたしました。
 今回の主幹教諭の増員は、既存の定数の中で対応しております。

○米倉委員 既存の定数の中で対応するということは、教員自体をふやすわけではないということでした。そもそも今の教員数で長時間労働が問題になっているわけですから、現状の人数で仕事を分担するというやり方ではなく、やはり定数自体をふやしていただきたいと求めておきます。
 子供たちが学校にいる間は、ほとんど休憩がとれていないという実態も学校では起きておりますが、これについては、都はどう認識しているのか、伺います。

○鈴木人事企画担当部長 休憩時間を含む勤務時間の割り振りについては、各校長の権限で行っております。都教育委員会では、休憩時間の割り振りについて、必要に応じて一斉付与の例外や、分割して付与することを認めており、各校では、給食指導の時間とは別に休憩時間を設定するなど、実情に応じた工夫を行っております。
 引き続き、休憩時間の適正な設定と管理について指導するとともに、業務改善や意識醸成など、学校における働き方改革を推進し、休憩時間の適切な確保に努めてまいります。

○米倉委員 休憩時間も給食時間も子供たちの対応などに追われ、子供たちが学校にいる間は休憩時間はとれないという声が実際、とりわけ小学校の先生から多く上がっております。週に二十六こまの授業を抱えるということは、一日に約五こま、ほとんどフルこまの授業となります。その上、子供の対応をしていたら、休憩がとれないという事態が起こるのは当然だと思います。
 皆さん方も空きこまをふやしていくことが大事だということを示していらっしゃいますので、ぜひ持ちこまを減らし、空きこまが持てるように改革を進めていただきたいと求めておきます。
 研修回数の縮減にかかわっては、プランでも効率的、効果的な研修の実施を計画すると掲げています。研修については、都教委が行うものと、区市町村の教育委員会が行うものなど、それぞれの研修がたくさんあることが教員の負担となっています。
 研修回数の縮減にかかわっては、都教委が行うものと、区市町村段階の教育委員会が行うものなど、それぞれの研修がたくさんあり、区市町村教育委員会とも連携して、現場の教職員を入れて、何を減らすか精査することが必要と考えますが、いかがですか。

○増渕指導部長 教育委員会が行う研修には、初任者研修のような法で義務づけられた研修と、さまざまな教育課題等に対応するために実施される研修がございます。
 法で義務づけられた研修は、都教職員研修センターと区市町村教育委員会が役割を分担して実施しております。
 教育課題等に対応する研修は、それぞれの教育委員会の施策を踏まえて設定され、教員は、みずからの課題に応じて研修を選択し受講しております。
 各教育委員会は、研修の内容や方法等について、受講後の受講者アンケートや、校長等からの意見を集約し、必要な見直しを行っております。

○米倉委員 受講者アンケートなどのやり方は、日ごろはそういう集め方でいいと思うんです。しかし、今回は、教員の働き方を改善するために、研修の内容を精査、そして回数を縮減するという取り組みを行うわけですから、ここはぜひ校長先生などだけでなく、実際に研修を受け、現場で子供たちに授業を行う教員を入れて議論をしていただきたいですし、区市町村の教育委員会とのすみ分けなども課題としていただきたいと要望しておきます。
 あわせて、研修に出席した際の報告書についてですが、研修日ではなく、後日提出する形があるというふうに伺っております。研修の際に提出する形に変えることは、後日ではなく、その場で提出するという形に変えることは、具体的に教員の負担を軽くすることにつながります。
 報告書の提出の仕方を変更することも必要だと思いますが、いかがですか。

○増渕指導部長 都教職員研修センターで実施している研修には、研修の目的や内容、方法等に応じて、研修報告書の作成と管理職への提出を研修の一環として位置づけているものもございます。
 研修報告書の作成は、受講者が研修内容を振り返るとともに、研修で学んだことを今後の職務に生かしていく方法等について、管理職と相談し、考えていく貴重な機会となっております。
 都教職員研修センターでは、報告書のあり方を含め、研修の内容や方法等について不断に見直しを行っております。

○米倉委員 基本は研修の場で理解を深めてもらい、研修の最後の時間をレポートなどを書く時間に充てて、研修が終わって学校に戻れば、その研修を力にして学校現場に集中できるようにしてほしいということを伺っております。
 報告書を管理職へ提出して、今後の職務に生かすために、管理職と相談するということが研修の一環として重要だということならば、やはりそのための時間的な保障をするということが基本的なスタンスだと思いますので、そういった保障をしていただきたいと思います。
 教員業務の見直しと業務改善にかかわり、都が教育庁各部において、調査等の縮減に向けた具体的な数値目標を設定すると掲げたことは重要です。これは、いつまでにどのようなことを行うのか、伺います。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都教育委員会はこれまでも、都立学校に対する調査、依頼等の縮減に取り組んでまいりました。
 本プランの策定に当たり、学校現場からの意見を聴取したところ、学校に対する調査等への対応についての負担が大きいことが改めて明らかとなっております。
 今後、学校に対する調査等の精選、縮減に向け、学校の対応状況などの把握に着手する予定でございます。

○米倉委員 学校に調査依頼などがどれほど来ているのかと、全体像を把握するのは、それだけでも現場からするとかなりの労力になるかと思います。調査をどのように行うかは、これから検討をされるということですが、調査のやり方としては、現場の副校長先生任せにせず、人を配置していただくなど、負担がかからないあり方をとっていただきたいと要望しておきます。
 プランに掲げた目標の達成状況を検証し、必要な施策の見直しを行うなど、継続的に学校の働き方改革に取り組んでいきますということも書いてありますが、これは具体的にはどのようなスケジュールで目標の達成状況の検証や見直しを行っていくつもりなのか、また、そのためにも定期的な働き方調査が必要となると思いますが、いかがですか。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 プランに掲げました目標の達成状況等に関する検証の時期につきましては、都立学校や区市町村教育委員会における今後の取り組み状況等を踏まえ、適切に判断してまいります。
 また、検証に当たりましては、先ほど理事の方からもお話がありましたとおり、学校への負担に配慮しつつ、必要に応じて教員の勤務実態等について調査を実施してまいります。
 都教育委員会は、本プランにおける取り組みを着実に推進し、教員の長時間労働改善に向け、今後とも不断に学校における働き方改革に取り組んでまいります。

○米倉委員 働き方改革を推進する上で、達成状況を把握し、さらにどのような取り組みが必要なのか分析していくことは、改革を進める基本だと思います。
 プランの進捗状況は、一年に一回はやはり状況を報告し、教員の勤務実態についても、適切なタイミングに調査をすることを求めておきます。
 この働き方改革の目的は、教員一人一人の心身の健康保持を実現して、誇りとやりがいを持って職務に従事できる環境を整備することで、学校教育の質の維持向上を図ることです。
 足立区では、二〇一〇年に区立中学校に通う子供が自死したことを受けて、いじめに関する調査委員会が設置されました。
 この調査委員会委員長である横湯園子元中央大学教授は、補足意見として、このような意見を示しました。わずかであるが、当該生徒が侮辱的な呼び名で呼ばれている場に居合わせた教師、自死後にそれを思い出した教師もいたが、残念ながら、いじめであるという認識に至らなかった。いじめの早期発見ができるためには、いじめの知識だけでなく、いじめを発見できる感性が必要である。そのためには、教師が子供に接する時間の確保が必要である。授業時間数の多さ、事務仕事の多さ、暴力行為、その他の諸問題を抱えている生徒たちへの対応など、教師の多忙さは深刻であり、いじめの早期発見と対応は至極至難である。調査委員会は、教育委員会に事務仕事の軽減と、教師数の増員が不可欠であると断定した。同時に、区独自の一層の努力を求めたが、それらは生徒との信頼関係の構築に必要であるだけでなく、教師の徒労感を減少させ燃え尽き状態を防ぐことにもなる。教師の物理的、精神的な余裕があれば、いじめの早期発見や救出に必要な感性、つまり生徒の聞き取りや、その場の雰囲気を直感的に即座に判断して、それに合った対応を行い得るという、インスピレーションに近い感じる力も培われる可能性が高くなる。感じる力は、本件のような侮辱的な呼び名によるいじめや、日常の教室風景の一つになってしまったいじめ、暴力の発見には、有用かつ不可欠な能力であると述べています。
 子供たち一人一人の育ちを大事にし、授業などの質もさらに上げるとするならば、教員がゆとりを持ち、子供に向き合える時間と仕事量にすることが不可欠です。
 そのために、都教委としても、プランで掲げる目標を達成し、さらなる抜本的な取り組みである教員をふやすことにも努力をしていただくことを重ねて要望して、質問を終わります。

○入江委員 一般質問でも、私、述べさせていただきましたが、東京の未来を担う人材である子供、つまり児童生徒の能力の開発、才能の育成は大変重要です。そのために、教員の皆さんにはライフワークバランスを実現し、本来の仕事である教える、導くということに余裕を持って専念していただきたいと思います。
 学校における働き方改革の推進を着実に進めるべきという都民ファーストの会増子ひろき幹事長の代表質問に対して、専門スタッフの活用やICT化の推進など、総合的に対策を講じるとご回答いただきました。
 これに関連して詳しく伺います。
 先ほど川松副委員長からもご質問がありましたが、部活動指導員について、私からも伺います。
 中学校や高校の教員の皆さんは、部活動の顧問となることが多く、このことに負担を感じるケースもあります。つい先日のスポーツ庁の有識者会議では、一日の部活動時間は平日二時間、休日三時間程度まで。週二日以上の休養日を設ける。週末の試合が負担とならないよう、大会の統廃合ほか、参加できる大会数の上限を示すなどの指針案が出されました。学校側の高い目標設定などで過熱しがちな部活動に歯どめを設けることで、多忙な教員の働き方改革につながるとの見解です。そして、生徒数や、教員の校務分担といった実態を考慮して、外部指導員を積極的に活用することを提言しています。
 東京都は、初めて平成三十年度から部活動指導員を導入します。その予算、そして、人数の規模についてお伺いします。

○宇田指導推進担当部長 部活動指導員の予算として、都立高校については三億一千二百三十二万円、区市町村立中学校については、国の部活動指導員配置促進事業の活用により、経費の一部補助として三億八千六百九十万円を計上しております。
 また、導入人数につきましては、都立高校に百九十一名、区市町村立中学校に四百九十名を予定しております。

○入江委員 多くの人数を配置していただけるということです。ただ、外部人材といっても、部活動指導員は直接生徒と向き合い、指導や助言を行うことになります。
 最近のニュースですけれども、女子レスリングのオリンピック四連覇、金メダリストの伊調馨さんが日本レスリング協会の栄和人強化本部長をパワハラで告発し、大きな問題になっています。
 このように、スポーツ選手と指導者は、関係が密接なだけに、さまざまな問題が起こる場合もあります。大変重要な部活動指導員の人物の選定はどのように行われるのか、伺います。

○宇田指導推進担当部長 部活動指導員は、顧問教員と同等の責任のある職務を担います。
 そのため、教員経験者や豊富な経験のある外部指導員といった人材の中から、部活動指導員の役割を十分に理解し、その職務を遂行する熱意を持ち、当該の競技の専門性及び生徒指導力を有する者を、校長がみずから面接して選び、教育委員会に申請いたします。
 申請を受けた教育委員会は、面接や書類選考などを行い、採用を決定するという手順となっております。

○入江委員 ありがとうございます。
 この部活動指導員の導入により、期待できる具体的な教員の負担軽減について伺います。

○宇田指導推進担当部長 都教育委員会が今年度設置いたしました学校関係者等から成る部活動検討委員会において、競技経験のない部活動の指導や審判、また、休日の大会引率などが顧問教員にとって大きな負担になっているとの報告がございました。
 部活動指導員は、顧問教員にかわり、専門的な技術指導や審判、また、休日の大会引率等を行うことが職務として認められております。その導入によって、教員の在校時間の短縮や休日勤務の減少などを図ることができます。

○入江委員 ありがとうございます。教員がいなくても、この活動指導員が責任者となって、日々の活動の指導や休日の試合の引率を行えるということは大きな変化です。この新規事業が有効に活用され、教員の働き方改革につながることを大いに期待いたします。
 さらに続いて、外部人材の活用について伺います。
 東京都教育委員会は、来年度から新たに教員の補助的業務を行うスクールサポートスタッフを配置する区市町村に対し、人件費の支援事業を実施するとのことです。対象は、小学校、中学校合わせて四百校です。その具体的な内容を伺います。

○江藤人事部長 スクールサポートスタッフの配置に係る費用につきましては、区市町村教育委員会の財政負担が生じないよう、国と都で必要な経費を負担することとしております。
 具体的には、国の定める補助対象経費のうち、国が三分の一、都が三分の二を負担し、区市町村教育委員会を支援してまいります。
 なお、本事業の実施に当たり、来年度予算として五億八千万円を計上しております。

○入江委員 ありがとうございます。この区市町村の費用負担がないということは、大変受け入れやすい制度だと思います。
 そして、このスクールサポートスタッフが有効に機能するためには、それぞれの小学校、中学校の状況に応じた人材の配置や、業務の割り振りが必要だと考えます。どのように実施するのか、伺います。

○江藤人事部長 スクールサポートスタッフの配置や業務の割り振りに当たりましては、各学校の実情を踏まえた柔軟な対応が必要でございます。
 このため、スタッフの任用は、小中学校を所管する区市町村教育委員会が行い、それぞれの学校現場に必要な人材を配置することとしております。
 また、業務内容につきましても、都教育委員会は区市町村教育委員会に対しまして、学習プリント等の印刷、配布準備などの事例を示すにとどめており、校長の裁量のもと、各学校において教員の負担軽減を図るため、適切に業務の割り振りが行えるようにしております。

○入江委員 ありがとうございます。
 どのような業務をお願いしたいかというのは、例えば、教員全員の事務業務をサポートしてもらいたいケースとか、あるいはある教科の準備のみをサポートしてもらいたいケースなど、学校の事情によってさまざまだと思います。
 地元の港区教育委員会からは、この人選も業務内容も各学校の裁量に任されていることが大変有効ですという意見をいただいております。
 この非常勤職員となるスクールサポートスタッフの導入という今回の新規事業が、各学校でしっかりと機能して、教員の在校時間が週六十時間以下になるということを期待しております。これで私の質問を終わります。

○古賀委員 私は、三点の質問をいたします。
 まず最初に、北朝鮮による拉致問題の啓発授業についてです。
 東京都内の公立学校、小学校、中学校、高等学校等に、子供たちにも拉致問題に対する理解を求めるということで、政府が制作した「めぐみ」という動画があります。これは平成二十年三月に政府の拉致問題対策本部が作成したもので、時間は二十五分、日本語、英語、中国語、韓国語でそれぞれ選択をして内容を聞くことができます。
 このビデオの活用状況について現状をお聞きして、今後の取り組みについてお聞きをしたいんですけれども、まず、実施率が、どの程度都内の学校でこのビデオを使用し、子供たちに--これは人権問題として取り扱われているわけでありますけれども、利用されているのか、その点、現状をまずお聞かせください。

○増渕指導部長 北朝鮮による日本人拉致問題啓発アニメ「めぐみ」は、昭和五十二年、当時中学一年生だった横田めぐみさんが、学校からの帰宅途中に北朝鮮当局により拉致された事件を題材に、残された家族の苦悩や懸命な救出活動の模様を描いたDVD教材であります。
 平成二十三年度に都教育委員会が行いました調査では、アニメ「めぐみ」を用いて授業を行った学校は四百五十校であり、その割合は都内全公立学校の二〇・一%に当たります。
 なお、拉致問題につきましては、社会科、公民科や道徳などにおいて、都内全ての公立学校で指導されていることを確認しております。

○古賀委員 冬のオリンピックが韓国で開かれて、女性の応援団とか芸術団が応援にやってくるということで、そのことが非常に話題になりました。
 そういう中で、南北の首脳会談が今後予定をされる、あるいは米朝首脳会談が初めて実現するのではないかということから、拉致被害者の関係者、そういう人たちの、拉致問題が置き去りにされずに、解決に向かうことを期待する声も今出てきているわけです。
 ただ、北朝鮮のこういう動きには、今まで小泉訪朝からも十六年、それから、何よりも横田めぐみさん自身が拉致をされて四十一年間、我が国は放置をしているわけでありまして、いまだに救出に至っていないということから、我々東京都民、あるいは政府を応援する立場から、何ができるかということをそれぞれ皆模索をしてきたわけです。
 署名活動を行う場合もあるし、それから集会を開く、政府に対する申し入れを行う、さまざまな取り組みを行ってきましたけれども、やはり国全体が一つとなって、政府を動かしていく、安倍内閣は、この拉致問題は、最優先、最重要課題ということをいっているわけでありますから、できもしないことを能書きだけいっているわけじゃないと思いますので、確実に解決に向けてこれを動かしていくためには、子供たちも含めて、教育の現場でこのDVD、動画を使った啓発活動というのは、これから、より重要になってくるというふうに思います。
 非核化のこともいろいろ今いわれているわけでありますけれども、拉致問題というのがもう一つ大切な国家の主権にかかわる問題として存在しているということを忘れないためにも、教育の場での取り上げというのは非常に重要であるというふうに思うわけです。
 被害者五人が帰国をいたしましたけれども、残り十二名と、それから特定失踪者と呼ばれております拉致の疑いが否定できない被害者の人たちについては、今のところ救出のめどは全く立っていないわけでありますので、我々が一層力を尽くすには、東京都はポスターをつくったり、チラシをつくったり、それから、さまざまな啓発活動に力を入れてくださっているのはよく承知しておりますけれども、教育庁としても、ひとつ、この点の問題意識を十分に持っていただいていると思いますけれども、さらに取り組みをお願いしたいというふうに思っております。
 来年度、平成三十年度、この動画の「めぐみ」を有効に活用することがさらに必要であるというふうに考えるわけでありますけれども、東京都教育委員会の取り組みを、予定をお聞かせください。

○増渕指導部長 これまで都教育委員会は、都内全公立学校の校長や教員を対象とした人権教育の研修会で拉致問題を取り上げ、アニメ「めぐみ」を実際に放映し、このアニメを活用して児童生徒を指導することの意義について周知してまいりました。
 また、この研修会に、拉致被害者の家族である横田夫妻を講師として招聘し、家族としての苦悩や、救出に向けた取り組み等について講演をいただくなど、校長や教員の意識啓発を図ってまいりました。
 さらに、人権教育の実践的な手引である人権教育プログラムに、アニメ「めぐみ」を活用した指導事例や資料等を掲載し、都内公立学校の全教員に配布してまいりました。
 今後、都教育委員会は、区市町村教育委員会とも連携し、学校におけるアニメ「めぐみ」の活用を一層促進してまいります。

○古賀委員 この動画は全く問題がないわけじゃないんですね。私も何度も見ておりますけれども、二十五分ですけれども、最後に字幕が流れまして、ごらんになった方もいらっしゃると思いますけれども、拉致問題は日本人の生命や安全を脅かす重大な人権問題ですということが流れます。
 先ほど申し上げましたように、政府は長年、この拉致問題について、主権侵害という言葉は一切使ってこなかったんですね。あくまで人権問題、さらには少し踏み込んでも、主権にかかわる重大な問題ということで、主権侵害という言葉は巧みに避けてきたわけです。この「めぐみ」の中にも、先ほど申し上げましたように、人権問題ということで、字幕が流れます。
 ですから、私は、教育現場では、これは明らかに不法入国した工作員等が日本人を拉致、誘拐しているわけですから、純度一〇〇%の主権侵害なんですよね。その主権侵害であるということをぜひ教育現場でも、そういう視点を忘れずに伝えていくこともご検討願いたいというふうに思うわけです。
 それから、この「めぐみ」の中には、十七名いるわけですが、政府認定の被害者のほかにも拉致の可能性が排除できない人がいると見て、調査、捜査を続けている云々と、こういうふうにあります。この点は、特定失踪者に言及しているということで、十七名だけではないということが触れられておりますので、この点は評価できるわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、人権問題であると同時に、国家の主権--主権というのは国家にかかわる用語ですけれども、主権侵害であるという視点をひとつ教育現場で持っていただくことが非常に肝要だろうというふうに私は思います。
 これは、今の政府は別に及び腰で逃げ腰だと私は思いませんけれども、先般の二月二十二日の竹島の日という、島根県が領土問題解決のための日を制定していますけれども、大臣はもちろん出席しませんけれども、政務官が出ている。ここでも、領土侵犯は明らかに主権侵害なんですけれども、主権侵害とはいわないんですね。主権にかかわる問題という言葉で逃げているわけです。
 ですから、こういう、政府はおとなしくて何度でもだまされているわけで、私たちも歯がゆい思いはいたしますけれども、今の政府を力づけるためにも、この拉致問題は日本の国の主権にかかわる主権侵害の問題でもあるということを、ぜひ子供たちにも理解をさせる努力というものを求めておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 私、ちょっと立ったついでに、五十分時間をいただいていますので、本来は、国はこういう啓発事業や、昨年の十二月でしたか、拉致解決のために横田早紀江さんたちを国会の特別委員会、衆参で委員会に呼んで、参考人として意見を聞いているんですね。四十年以上たって、まだ被害者家族の意見を聞きたいというのも、ちょっと随分悠長な話だと思います。救ってもらいたいのはわかっているんです。それ以外に何を聞きたいのかよくわかりません。
 ですから、本来は、国家としての毅然とした姿勢を示せば、解決の可能性は、私、いつも申し上げておりますように、中東のちっちゃな国、人口四百四十万、東京の多摩地域ぐらいの国、レバノンというのがありますけれども、レバノンも日本にいい働き口があるといって、レバノンの女性四人が、ちょうど横田めぐみさんと同じ時期、翌年の昭和五十三年に拉致されたんですね。
 しかし、レバノンは、別に教育現場でも取り上げなかったでしょう、集会をやったわけでもない、署名活動をやったわけでもない、国に特別委員会をつくったわけでもないですけれども、一年四カ月で取り返したんですね、二名は自力で脱出しましたけれども。国としてのしかるべき国家主権の発動をにおわせたわけです。
 四百四十万の国でも一年四カ月で解決する能力があるわけで、日本は四百四十万より人口は多いわけですので、しかも、レバノンよりは国力はあると誰でも思っているわけでありますけれども、こういった国もちゃんとあるということをまず理解しておくことが必要ですし、国会議員も、よくブルーリボンバッジというものを胸に、議員バッジの横につけている人がいますけれども、あれはブローチじゃないんですね、飾りじゃないんです。やはり断固救い出すという、主権国家としての意思表示をしているものだと私は思うんですね。ですから、何かあれをつけていると、拉致問題に取り組んでいるアリバイ証明のように使われている懸念も私は持つわけでありまして、ぜひこの問題を動かしていくためにも、東京都として取り組み可能な教育現場でのさまざまな工夫というものを強く求めておきたいというふうに思います。
 それから次に、別の問題に入ります。次の問題、東京都の都内小中高校生の体力の件についてです。
 先般、体力の検定結果が示されまして、東京都教育委員会は、アクティブプランto二〇二〇、総合的な子供の基礎体力向上方策、第三次推進計画に基づき、都内公立学校の児童生徒を対象とした東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査、いわゆる東京都統一体力テストを実施していると。その分析結果がまとまったのでということで、資料を頂戴しました。
 子供の運動時間も徐々にふえてきていると、微増しているということで、四年間では三割程度ふえているという結果が出ておりますけれども、現在の東京の子供たちの体力の現状は、東京都教育委員会は今どう把握しておられるのか、その認識を伺います。

○宇田指導推進担当部長 都教育委員会が平成二十三年度から実施しております東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査の結果によりますと、都内小中高校生の体力は年々向上傾向にあります。
 校種別に全国平均値と比較してみますと、小学生の体力は男女ともに全国平均値を上回っておりますが、中学生及び高校生の体力は上昇傾向にあるものの、男女ともに全国平均値を下回っております。

○古賀委員 小学校はそこそこ全国平均値を示しているけれども、中学生、高校生は全国平均値を下回っているということですから、課題はまだ残されているということだと思います。
 学校現場では、先生たちも先ほど忙しくて部活動も指導するのも大変だというお話も出ていますけれども、やはり先生方の役割というのは非常に大きいわけで、運動する、スポーツで汗を流す、そういう習慣を身につけさせるということでは、教育委員会の取り組みは非常に重要になってまいりますので、今後、子供たちの体力向上のために、まだ道半ばだと思うんですけれども、平成三十年度、どのような取り組みを予定しているのか、意気込みを聞かせてください。

○宇田指導推進担当部長 平成二十三年度から実施しております調査の結果から、小学校において体力向上が図られた理由として、体育の授業以外にも十分に運動時間が確保されていることが挙げられます。
 一方、中学校においては、体育の授業や部活動以外での運動時間が十分確保できていないこと、また高校においては、日常の運動習慣の定着が不十分であることが全国平均を下回っている主な原因であると考えられます。
 都教育委員会は、平成二十八年度から小学校二十校と中学校六十二校を体力向上推進校として指定し、小学校では、早寝、早起き、朝ご飯の実践による体力、健康の増進について研究したり、中学校においては、朝の授業前の時間や昼休みを利用した体力向上トレーニングを開発したりしております。
 平成三十年度は、これらのすぐれた実践例を研究発表会を通して全都に発信していくとともに、高校においては、平成三十年度から二年間、外部講師を活用した体力向上に向けたセミナーや健康に関する講演会等の取り組みを推薦する研究校を三十六校指定し、体力の底上げを図ってまいります。
 こうした取り組みを通して、平成三十二年度までに、東京都の小学生の体力を全国の上位に、中高校生の体力を全国平均値程度まで上昇させてまいります。

○古賀委員 平成三十二年、オリンピックも開かれます。パラリンピックも同時開催されるわけでありますので、その平成三十二年に目標を置いて、小学生の体力は上位に持っていく、それから、今、下位に低迷している中学生、高校生については、これを全国平均まで引き上げていくという目標で、現実的であり、妥当だと思いますけれども、オリンピックの機運醸成がいろんな形で行われている今は、客観状況は非常にいいと思いますので、ぜひこの機を捉えて、その目標達成を期待したいというふうに思います。
 中学生、中二の女子は、今、全国三十九位、男子が四十一位ということですので、東京の子供たちの、特に中学生、高校生については、課題が一つ大きく残されているということをぜひ踏まえての取り組みをお願いしたいと思います。
 文武両道という言葉がありますけれども、頭がいいというか、勉強ができる子は、体力もそこそこに備わっているという、そういう結果もありますので、運動に取り組むことによって、学習に何か影響があるということは絶対ないわけです。
 ですから、今後、平成三十二年、東京の子供たちの体力向上は、学習結果にも結びついていく、いわゆる学習能力の向上にも連動しているということを踏まえて、取り組みをお願いしておきたいというふうに思います。
 この件はこれで終わります。
 三点目、最後なんですけれども、性教育の件について取り上げてまいりたいと思います。
 私は文教委員を長く務めていまして、文教委員会で、今までさまざまな課題を取り上げてまいりましたけれども、平成十七年に実は裁判を起こされまして、私を訴えた人は大体共産党の方なんですよね。何を問題視されたかというと、私と同僚議員で、平成十五年の四月に、当時、性教協という、“人間と性”教育研究協議会という、過激性教育を熱心に推進する団体がありまして、その季刊誌を見ていましたら、都内でさまざまな実績を誇示している、これだけの性教育をやっているという記事が出ていました。
 それを見て、これはちょっとやはり現場を見なきゃいけないなということで、その中で一番成果が上がっているという学校、私の地元の日野市にあります七生養護学校に視察に行ったわけです。今は特別支援学校という名前に変わっておりますけれども、都教委の担当者にも来てもらって、教育現場で何が行われているか、どのような教材が使われているか視察をいたしました。
 その視察が教育に対する不当介入ということで訴えられて、東京地裁、東京高裁、最高裁まで十年間、裁判をやりました。会議録を見ていただくとおわかりいただけますけれども、訴訟費用のほとんど全ては訴えた原告側が負担するということになりましたから、わかりやすくいえば、九九%勝っているんですけれども、変な裁判官もいるんで、ちょっとだけ訴えた側に花を持たせるような判決が出たんですね。
 しかし、結果は、使われている教材、余りこういう場で口にするのもちょっと口幅ったいんですけれども、性器のついた人形で性交という教育を実際やっていたわけで、それから、人間の男女の性器の名称を、歌をつくって、それを子供に歌わせたりしていたわけですよね。
 これは学習指導要領や性教育の手引もつくっていますので、それを逸脱しているということで、問題の教材は、東京都教育委員会に所管がえで、教育現場では使えなくなりました。
 それを取り戻したい、また学校現場で使いたいという性教協の主張に賛同する教員も多かったと思いますけれども、それは裁判所は一切認めませんでしたし、保護者の方からも、さまざまな意見が私たちのところに寄せられましたけれども、おおむね評価していただける内容でありました。
 ですから、不当な支配ということを裁判所は一部認めるような判決を出したんで、勝った、勝ったといって原告の人たちは盛んに赤旗に書いたりしていましたけれども、勝ったといいながら控訴しているんですよね。勝った裁判を控訴するというのは普通はあり得ないんですけれども、ですから、肝心な点は私たちの主張がほぼ一〇〇%認められたんですけれども、そういうことがありました。
 それで、今日まで、学校現場での過激な性教育教材を使った学校教育は、正常化に向かって今でも進んでいるというふうに思っていたわけでありますけれども、ここに来て、そうじゃないということを、どうもここで、教育委員会に聞かざるを得ないという状況が生まれました。
 これは足立区なんです。足立区立鹿浜菜の花中学校の人権教育、性に関する学習という授業が行われています。この授業は、校長名で各小中学校人権教育担当者、それから各小中学校養護教諭、各中学校保健体育教科教諭、各関係諸機関宛てに、こういう授業をやりますから参観してもらって結構ですということで、人権教育の一環として性に関する学習に力を入れて取り組んでいるので、保護者、地域、生徒たちの理解が必要であるという思いで実践をしている、都合がよろしければご参観いただき、ご意見をいただければと思いますということで、校長名で、先ほど申し上げました関係者に呼びかけが行われて、ことしの二月六日、三月五日、三月七日、三月八日に授業が行われました。
 校長は、もうこれは公になっている、全てに呼びかけていますので、名前をいっても差し支えないと思いますけれども、勝田という校長先生ですね。私がここで教育委員会の見解を求めたいと思いますのは、三月五日月曜日に行われた自分の性行動を考える、三年生を対象とした授業です。
 これは授業を参観した父兄の方から私のところへ、こういう授業が行われている、子供が家に帰っていろいろな話をする、私は以前、七生養護学校の件で、性教育のことを正常化に取り組んでいたということをどこかでお聞きになったんでしょう、私のところへ資料の提供がありました。
 この件についてお尋ねいたします。
 当日配られたものは、パワーポイントも使ったようでありますけれども、授業名は人権教育、性の学習、授業を行った教員も公表されて、各機関に配られておりますので、名前を挙げても差し支えないと思いますけれども、より具体的にするために名前を申し上げます。樋上主幹教諭、それから松浦養護教諭という二人の女性の方だと思いますが、このお二人の方が担当しています。
 具体的には、単元名は自分の性行動を考える、先ほど申し上げましたとおりです。妊娠と中絶が一つの主題になっています。中学三年生です。単元設定の理由というところにはいろんなことが書かれていますけれども、若年層の性行動を伴う妊娠、人工妊娠中絶、性感染症の拡大などが社会問題となっている、全体の人工妊娠中絶の件数は減っているものの、十代の割合が高く、特に中学校を卒業すると急激にふえている現状である、いろいろあって、若者の性行動をあおるような情報が氾濫する一方で、性に関する学習不足から、性交に伴う妊娠や性感染症に関する知識も自覚もないというのが大きな要因というところに、この単元設定の理由を挙げているわけです。
 そして、この中に、本校の地域は、これは足立区ですね、ヤンママといわれる十代の妊娠、出産の率が他区に比べて非常に高く、まさに貧困と隣り合わせである、高校へ行ってもやめてしまう生徒が多い、妊娠、中絶についてのアンケートを見ると云々とあって、足立区の特殊性もこういうふうに述べているわけです。
 資料もいろいろありますけれども、まずこれだけ申し上げれば、都教委は大体この内容を把握しておられると思いますので、私は、不適切な性教育の指導がこの足立区立鹿浜菜の花中学校で行われているのではないかというふうに思うわけでありますけれども、まず、授業内容について把握しておられるものをご説明願いたいと思います。

○宇田指導推進担当部長 当該の中学校では、総合的な学習の時間において、性の学習を人権教育として位置づけ、第一学年から第三学年までの三年間にわたり、合計七時間の指導計画を作成し、授業を行っておりました。
 具体的には、第一学年で、生命誕生や、女性らしさ、男性らしさについて二時間、第二学年で、多様な性のあり方について二時間、第三学年で、自分の性行動を考えることや、恋愛とデートDVについて三時間といった内容及び時間配当により授業を行っておりました。

○古賀委員 指導計画がつくられて、授業を実施していたと。第三学年では自分の性行動を考えることや、恋愛とかデートDVについての授業などが組まれていたということでありますので、この授業をどう判断するかということが問題になってくるわけです。
 判断の基準となるものは、東京都教育委員会の性教育の手引、中学校編というのがあります。これに照らしてどうなのか。
 それから、中学校の学習指導要領、文部科学省が、例えば特別の教科道徳、ここで家族愛、家庭生活の充実というところで、関連する文言が並んでいますし、生命や自然、崇高なものとのかかわりに関することを生命のとうとさ、こういったものを取り上げるというようなこともあります。
 それから、文科省は、学校における性教育の考え方、進め方というものを出しています。文科省の資料では、学校における性教育について、発達段階に応じて次のような内容を取り上げることによって、自己の性に対する認識を確かにさせることも、異性に対する理解を深めさせることが大切であると。こういう基準になるものがあるわけですね。これに照らして、一体、じゃあ、今いわれた授業内容はどうなのかということになるわけです。
 結婚の意義とか、それから家庭を築くことの意義、そして生命が誕生するということに関する一つの大きな伝統的な価値観も日本にはあるわけでありますので、そういうものを踏まえて、一つのこのような基準というのはつくられてきた、歴史の試練に耐えてきた一つの価値観だというふうに思うんですね。
 じゃあ、今行われている、先ほどご説明があった教育内容については、私は問題点があると思いますけれども、都教委は問題点があると考えるのか、ないと考えるのか、問題点があるとすれば何なのか、その点をお聞かせください。

○宇田指導推進担当部長 都教育委員会では当該校の授業について、課題があると考えております。
 具体的な課題でありますが、まず性に関する指導を総合的な学習の時間における人権教育の学習としておりますが、その根拠が不明確であり、教育課程上の位置づけに課題があります。
 次に、小中高等学校のいずれの学習指導要領にも示されていない性交について扱ったり、避妊、人工妊娠中絶といった学習指導要領上、中学校ではなく、高等学校で指導する内容を取り上げたりしており、中学生の発達段階に合わない内容、指導がなされておりました。
 さらに、保健の指導においては、発達の段階を踏まえることや、学校全体で共通理解を図ることに加え、保護者の理解を得ることが重要とされておりますが、当該校においては必ずしも十分な理解を得ないまま授業が実施されました。

○古賀委員 今のご答弁では、具体的に問題点が挙げられたわけで、これは当然、発達段階を無視した授業であったということを都教委としては判断をしておられるということであります。
 私は、性教育はもちろん必要でありますし、当然これを否定するものじゃありませんけれども、結婚や家庭を築くことによって新しい生命を生み出すということは非常に神聖なことでもあるんですよね。ですから、昔は、文部省時代には純潔教育なんかという言葉も使われていたし、今は自己抑制教育ということをいいますけれども、ただ、動物的な結びつきによる人間における性行動というものを一〇〇%認めてしまうということは、私はあってはならないというふうに思うわけですね。
 ですから、責任を伴う行動を子供たちにも促さなきゃいけないわけでありますので、この足立区の学校の校長先生は、関係者の指摘も既にあったようなんですけれども、教育委員会の方にも問いかけをして確認をして、全部問題なしといわれているみたいなこともおっしゃっているような話も聞くんですよ。
 ですから、ぜひ、問題点があるということを今具体的に示されましたので、答弁がありましたので、では、平成三十年度、新しく年度が変わるわけでありますので、今後どのようにこれを是正していくのか、都教委の取り組みをお聞かせください。

○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、当該校を所管する教育委員会と連携し、今回の一連の授業の検証を徹底して行い、改めて課題を整理し明確にした上で、今後、当該校において性に関する指導が適切に行われるよう、管理職及び全教員に、教育課程上の課題、発達段階を踏まえた適正な授業のあり方、保護者の理解を得ることの重要性等について、指導を進めてまいります。
 また、各区市教育委員会の担当指導主事連絡会、中学校長会、都内全公立中学校の保健体育主任連絡会等において、本事例の経緯や問題点、改善の方策等について周知し、都内公立中学校全校において、性に関する指導が適切に実施されるよう指導してまいります。

○古賀委員 これで、これから正常化に向けて是正に取り組んでいくというお話がありましたので、それで是といたしますけれども、授業の内容を記したものをいろいろ見ますと、避妊するためにピルの入手方法とか、コンドームの使い方とか、中学生に教える内容として、父兄の見ていた方も、これが果たして今の中学三年生に、授業で取り上げて、そういう指導をすることがふさわしいのかどうかということで疑問を持った方も多かったようなんですね。
 ですから、日本をこれから支えていく大事な人材でもある子供たちに、ある特定のこういう、いろんな思想的な背景はあるんですけれども、きょうはそれは述べませんが、特定の一つの価値観に基づいて、多分この先生たち、校長も含めて、自分はいいことをやっているという意識で行われているというふうに私も思うんですけれども、取り返しのつかない、子供たちの将来に禍根を残すようなことにもなりかねないわけでありますので、先ほど是正をしていくということでのお話がありましたので、着実に新年度実施していただくことをお願いして、私の質問を終わります。

○里吉委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十四分休憩

   午後三時三十分開議

○里吉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○高倉委員 私は、本日午前中に、杉並にあります永福学園、特別支援学校でありますけれども、永福学園の肢体不自由教育高等部普通科の卒業式にきょうは出席をさせていただきました。
 卒業式は、いつも大変感動的な式典でありますけれども、きょうも、本当に大変な状況の中で、教職員初め地域の方々、また保護者の方々、いろんな方の思いが結晶となってあらわれた形での大変すばらしい卒業式であったというふうに思います。
 朝日先生という方が、今、校長先生をされているわけでありますが、その方とも式典の前に懇談をさせていただきました。いろいろお話がありましたけれども、その中で、今回、平成三十年度に東京都教育委員会が、これまで医療的なケアが必要であった肢体不自由の特別支援学校の子供さんたちが、従来スクールバスに乗れなかった方、この方々について乗れるように、しかも、それは全校一斉にやっていただくと。このことが一つ話題になりまして、校長先生も決意を新たにしておりました。
 そういう話が出たのは、私も、永福学園に通っている保護者の方からお子さんがやはりバスに乗れないという状況の中で、かなり遠いんですけれども、暑い日も寒い日も、お母さんがみずから自転車に乗っけて通っていたと。ちょっと自分のところでマイカーで連れていけないというようなことがあったようでありますが、そういう大変な状況の中で、自分の子供も含めて、乗れない児童生徒の皆さんが乗れるように、ぜひともお願いしたい、こういうご相談もずっと受けてきまして、私も微力ではありましたけれども、都教委の方にお願いを続けてきたわけでございます。
 私ども都議会公明党としては、平成三十年度の予算編成に当たりまして、小池東京都知事にこのことは実は強く要請をしたわけであります。当初、モデル校からスタートするというようなこともあったようでありますけれども、私どもは、ぜひ全校で一斉に行うべきであるということを強く要請したわけでありまして、それに対しての小池東京都知事の取り組み、そして、中井教育長を初めとして都教委の皆さんの大変な英断、このことについては、私は本当に高く評価を申し上げたいというふうに思っておりますし、実施に当たってはさまざまな課題もあろうかと思いますので、ぜひそこは着実に取り組んでいただいて、そうした児童生徒の方々や、あるいは保護者の方々、もちろん学校の教職員の方々も本当にそれを願っていたと思いますけれども、きちっとした形で平成三十年度に実現をするように、よろしくお願いをいたしたいというふうに思います。
 今、特別支援学校のお話をさせていただきましたけれども、最初に、特別支援学校の児童生徒の皆さんが取り組むアートについて、質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 特別支援学校の児童生徒の皆さんが、みずからがつくるアート作品をいわば一堂に集めて、特別支援学校アートプロジェクト展というのを、実は毎年毎年開催をしているわけであります。私も一回見に行ったことがありました。大変にすばらしい展示ではなかったかなと思っております。
 伊藤忠青山アートスクエアという場所で行われているわけでありまして、伊藤忠という企業も恐らく社会貢献活動の一環として、この展示会を後押ししているんであろうというふうに思っております。
 そこでまず、この特別支援学校のアートプロジェクト展を開催するに至った経緯、あるいは目的についてお伺いしたいと思います。

○増渕指導部長 都教育委員会は、平成二十三年度から東京藝術大学と連携し、大学の教員等による作品制作への助言などを通して都立特別支援学校の美術教育の充実を図り、児童生徒の表現力を伸長させるための取り組みを行ってまいりました。
 この取り組みを発展させるため、児童生徒が制作した作品について専門的視点から評価を受ける機会や、広く都民の皆様に鑑賞していただく場を拡充することについて検討してまいりました。
 その結果、平成二十七年度から、文化の祭典でもある東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催決定を契機に、芸術的才能を有する児童生徒の発掘とその作品展示を通した、子供たちが持つ可能性に対する都民の理解促進を目的とし、アートプロジェクト展を開催することといたしました。

○高倉委員 障害のある方々にかかわらず、アートの活動に取り組んでいる方は幅広くいらっしゃるわけであります。もちろんいろんな方々がいらっしゃいますので、その活動の目的というのは多岐にわたっていると思いますが、こうした障害のある方々が取り組むアート作品というのは、例えば、人に評価をされるためにやるということでもなくて、まさに自分の内面から出てくるような欲求に従って制作をしているような感じが非常にするわけなんですね。一つ一つ見ていきますと、作品としてもとても高い価値があるんではないかということをいつも感じるわけであります。
 この特別支援学校アートプロジェクト展ですが、先ほど申し上げた伊藤忠アートスクエアというところでやっているわけですけれども、その会場の中でずっと展示されているんですね。かなりたくさんのものが応募されて、その中から専門的な見地から五十点選んで、そして、展示をするわけですけれども、例えばライティングとか、あるいは作品の並べ方とか、あるいは額装というんでしょうか、こういったことをとっても、そういうすばらしい作品であるわけですけれども、さらに人に見せるための専門的な方々の助言等もいただいていくと、本当にさらにすばらしいものになるんだなというような感じが見てしたわけでありますけれども、このアートプロジェクト展を芸術性の高い展覧会とするために取り組んでいる運営上の工夫について、ご説明をいただきたいと思います。

○増渕指導部長 都教育委員会は、東京藝術大学の教授等で構成する審査会を設置して、応募のあった作品から、人を引きつける魅力のある作品を五十点選考し、展覧会を行っております。
 その際、一つ一つの作品の芸術性を最大限に引き出すことができるよう、東京藝術大学の監修により展示計画を作成し、美術展示専門の業者に委託して、作品に合わせた展示台の制作や照明の設定等を行うとともに、美術展を開催した実績がある会場を使用しております。

○高倉委員 平成二十七年度からスタートしたということで、まだ歴史は浅いということでありますけれども、先ほど申し上げたように大変すばらしい展示でありまして、これは本当に都民にかかわらず、広く見ていただけるようにしていくべきだというふうに思っております。
 さまざまな反響が、これまでやってきた三回の展示の中で、あったというふうに思いますけれども、この展示の成果についてご答弁いただきたいと思います。

○増渕指導部長 各校からのアートプロジェクト展への応募作品数は、平成二十七年度は四百三十九点、平成二十九年度は八百十三点と、約一・九倍に増加しております。
 出展した生徒の保護者からは、子供の制作に対する意欲が高まっているなどの感想が得られました。また、審査に当たった東京藝術大学の教授からは、芸術性の高い作品が年々ふえているとの感想をいただくなど、芸術的才能を有する児童生徒の発掘につながっております。
 さらに、来場者は平成二十七年度の約千四百人から、平成二十九年度は約二千六百人とふえており、来場者からは、アンケートを通じて、質が高く華やかさが感じられるなどの感想をいただいております。

○高倉委員 障害のある方々が取り組むアートの活動ということについて、これは私の個人的な思いではありますけれども、例えば二〇二〇年に東京でオリンピック・パラリンピックの大会が開催をされるわけであります。これとあわせて文化を発信していく文化プログラムも、今、同時並行して展開が行われているわけであります。一九六四年に最初のオリンピック・パラリンピック大会を東京で開催して、今回二度目の大会となり、なおかつパラリンピックについても二度目の開催になると。
 そういう中で、この東京というところから発信をしていく文化といったものが、一体どういうものであるべきというのはおかしいですけれども、どういうものがあるのだろうかということを考えたときに、もちろんいろんなものがあるわけですけれども、私は、障害のある方々が取り組むアートの活動を、東京から本当に世界に先駆して発信をしていく、そういうものの一つではないかなというふうにも思っているわけであります。
 ぜひ、そうした意味でも、特別支援学校の児童生徒の皆さんが取り組む、毎年やっている展示会でありますけれども、障害者のアートに対する都民の理解を促進するためにも、大変大きな役割を果たしているんではないかというふうに思います。
 より一層多くの都民に鑑賞してもらうことが必要であるというふうに思いますけれども、この点についての教育委員会のお考えをお伺いしたいと思います。

○増渕指導部長 多くの方々がアートプロジェクト展を知り、興味、関心を持って児童生徒の作品に触れることができるようにするためには、アートプロジェクト展に関する広報活動の充実を図ることが重要であります。
 そのため、今年度から、昨年度の展示作品の一部を都内複数の会場で展示するアートキャラバン展の開催や、展示作品をデザインにしたスクールバスの運行などの取り組みを行っております。
 今後、アートプロジェクト展が障害者アートの振興に資する事業の一つとして、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会後のレガシーとなるよう、これらの取り組みの拡充を図ってまいります。

○高倉委員 今答弁の中で、二〇二〇年の大会のレガシーとなるようにというお話がありました。私も全く同感でありまして、ぜひそういう形で発展をしていくように、教育委員会としても、さらなる支援をしていっていただきたいというふうに思います。
 この芸術についてでありますけれども、私は、生徒の皆さんが生の芸術に触れていくということは、とても意義が高いものであるということをかねがね思ってまいりました。例えば、それぞれの学校で、いろいろと活動の中で、そういう生の芸術を見るような行事を行っていて、私もこれまで参加をしたことがあるわけです。
 現在そういう都立高校で行っている芸術鑑賞教室の実施状況はどうなっているのかについてお伺いしたいと思います。

○増渕指導部長 都立高校では、生徒の豊かな感性や創造性を高めるため、すぐれた演技や演奏などを鑑賞する芸術鑑賞教室を学校行事に位置づけて実施しております。
 平成二十九年度におきましては約七割の都立高校が芸術鑑賞教室を実施しており、主な演目は、演劇、歌舞伎や狂言などの古典芸能、オーケストラの演奏などでございます。

○高倉委員 今、実情についてお話がありましたけれども、この中で、日本の伝統芸能を鑑賞するということについては、教育委員会の事業として行っているというふうにお聞きをしておりますけれども、伝統芸能を鑑賞することについての東京都教育委員会の取り組みについて答弁をいただきたいと思います。

○増渕指導部長 都教育委員会は、平成二十八年度から平成三十年度まで、全都立高校を対象に、生徒が在学中に一度は古典芸能の第一人者による本物の演技を鑑賞することができるよう、学校や劇場などで日本の伝統芸能鑑賞教室を実施しています。
 劇場を利用した事例としては、平成二十八年度は、野村万作氏による狂言、平成二十九年度は、東儀秀樹氏による雅楽の公演を実施いたしました。
 平成三十年度につきましては、三味線などの公演を予定しております。

○高倉委員 伝統芸能については、ぜひとも、なかなか触れる機会がちょっと少ないかもしれませんので、できれば継続して取り組んでいくべきであるというふうに思っております。
 先ほど答弁をいただきましたけれども、各学校でいろんな学校行事として取り組みが行われているという話でありました。例えば私が知っている劇団、これは風という名前の劇団でありますけれども、いろいろと、都立高校の生徒の皆さんが鑑賞するような行事に取り組んでいるわけなんですけれども、三十年ぐらいやっているというふうにもちょっとお聞きをしました。非常にすばらしい活動かなというふうに思っております。
 そういう団体が、恐らく都内にはたくさんあるんじゃないかなというふうに思うんですね。したがって、そうした団体が、何とか生徒の方々に、そういう生の芸術に触れてほしいという思いを持っているような団体の方々の情報を、例えば学校の方に皆さんの方から提供するとか、あるいは、本当に長い間頑張っている団体は、何らかの形で顕彰をして、さらに活動の励みになるようにするとか、いろんな方法も考えられると思いますので、ぜひいろんな取り組みを行っていただきたいというふうに思います。
 次に、がん教育についてお伺いをいたしたいと思います。
 日本人の死亡原因の一位ががんでありますし、今、日本人の亡くなっている方の三割はがんで亡くなっているというふうな状況であります。
 もちろん、いつまた自分ががんにかかるかわからないということもありますし、身の回りでがんになっている方がいたり、残念ながら、がんでお亡くなりになったり、そういうことをよく耳にしたりすることも多くなってきているような感じがいたします。
 いろいろとそういう意味で、がんということについては正しい知識を身につけて、例えば検診をしっかりやることによって、早期に発見をして予防していくことができるわけでありまして、正しい知識を身につけていくということが大変重要であるというふうに思います。
 私ども都議会公明党として、がん教育を進めるために、東京都がん教育推進協議会、こういった協議会を設置すべきだというような提唱をしまして、協議会が設置をされて、三回にわたって議論が展開をされたわけであります。
 その中では、東京都教育委員会、あるいは東京都の福祉保健局が、がん教育推進の主体となるべきといったような意見ですとか、学校医、あるいは医師会以外にも、がんの拠点病院とか大学病院などのがん専門医を積極的に活用すべきといったような、さまざまな意見があったというふうに伺っております。
 この協議会を開催してきて、いろんな意見があったわけでありますが、東京都教育委員会として、そうした議論を踏まえて、協議会としての提言をまとめていくということと聞いておりますけれども、この提言はいつごろまでにまとめていくのか、そして、その提言を今後のがん教育を推進していく上でどう生かしていくのか、どう反映させていくのか、このことについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○宇田指導推進担当部長 東京都がん教育推進協議会では、今年度三回実施した協議の内容を踏まえまして、四月までに提言をまとめる予定でございます。
 今後、都教育委員会は、その提言に基づき、外部講師を有効に活用するための体制整備を進め、各学校におけるがん教育のさらなる推進に生かしてまいります。

○高倉委員 今月十三日の予算特別委員会で私ども公明党の橘正剛政調会長が、がん教育について質疑を行いました。
 その際、中井教育長が答弁をされているわけでありますが、教育長は、これは答弁の要旨でありますけれども、国の第三期がん対策推進基本計画や次期学習指導要領など国の動向や協議会の議論を踏まえ、東京都教育委員会は、都内の全公立中学、高等学校が平成三十四年度までに外部講師を活用したがん教育を実施するよう指導するとともに、その実現に向けて医師会や関係部局と連携して体制整備に取り組んでいく、また、がん教育の実施状況を毎年度調査し進捗状況を把握するとともに、今後、学校関係者やがん専門医、がん経験者等から成る健康教育推進委員会を設置して、がん教育のさらなる推進のための方策を検討していくと、こうした趣旨の明確な答弁があったわけであります。
 特にこの中の、都内の全公立中学、高等学校が平成三十四年度までに外部講師を活用したがん教育を実施するよう指導していくと述べられたことについては、私は高く評価を申し上げたいというふうに思っております。この外部講師については、医師会所属の医師のほかに、がん拠点病院や大学病院などで勤務しているがん専門医といった方々が考えられるというふうに思います。
 先ほど読み上げた答弁でありますが、医師会や関係部局と連携して体制整備に取り組んでいくというふうにありました。これは、関係部局は福祉保健局であると思いますが、福祉保健局との連携ということも大変重要であるというふうに思います。
 そこで、学校への外部講師派遣について、どういう調整を行っていくのかについて答弁を求めたいと思います。

○安部地域教育支援部長 文部科学省発行の外部講師を用いたがん教育ガイドラインでは、がん教育を進めるに当たり、専門家である医師等を外部講師として活用することが効果的であると述べられております。
 また、現在、協議会においても医師会や福祉保健局などにご参加いただき、学校のニーズに応じた外部講師を派遣するため、外部講師を担うことができる医師等のリストづくりを行うことなどについて議論をしております。
 今後、都教育委員会は、協議会での検討も踏まえながら、外部講師派遣に向けた調整を行ってまいりたいと考えております。

○高倉委員 先ほどの、予算特別委員会での中井教育長の答弁の中で、がん教育の実施状況を毎年度調査し進捗状況を把握すると、こういうお話があったわけであります。
 実は今回、この質疑をするに当たって、私はがん教育の実施状況の資料要求をさせていただいたわけでありますが、資料は、皆さんの方から出していただくことができなかったと。
 これは、現在、文部科学省の方から、がん教育の実施状況についての実態調査をするようにという要請が来ていて、今、その調査を進めているさなかだということで、今回、資料が出てこなかったというわけであります。
 そこで、先ほどの、教育長の答弁の中で、毎年度調査をするというお話がありましたけれども、これは、現在、文科省の要請に応じて行っている実態調査と同じようなものを毎年毎年やっていくということなのかということと、もう一つ、今やっている文科省からの要請による実態調査の結果、これはいつごろ明らかになるのかについてご答弁をいただきたいと思います。

○安部地域教育支援部長 文部科学省によるがん教育の実施状況調査は、がん対策推進基本計画の期間が平成二十九年度から平成三十四年度までの六カ年であることを踏まえまして、この六年間について毎年実施されます。
 また、現在行われております平成二十九年度の調査結果の公表時期でございますが、文科省に問い合わせましたところ、可能であれば本年五月または六月ごろを目途に取りまとめの上、公表できればと考えていると伺っております。

○高倉委員 それから、先ほど読み上げました教育長の答弁の中に、学校関係者やがん専門医、またがん経験者等から成る健康教育推進委員会を設置するというお話がありました。
 これまでも健康教育推進委員会というのは、その都度設置をされてきておりまして、テーマを明らかにしながら、この委員会が運営をされてきているというふうに私は認識しております。
 今回設置をする委員会というのは、これまで設置をしてきた委員会とそういう意味では同じようなものなのか、また、この委員会に、さまざまな議論を行ってきた東京都がん教育推進協議会のメンバーに継続して委嘱をされる、そういう場合があるのかについてご答弁をいただきたいと思います。

○宇田指導推進担当部長 健康教育推進委員会は、喫緊の健康課題に対応した健康教育の工夫、改善を図るために、これまで必要に応じて設置している委員会でございまして、それぞれの健康課題に対して知見を有する方々を委員に委嘱してまいりました。
 平成三十年度の健康教育推進委員会は、外部講師を活用したがん教育の実施状況を把握するとともに、がん教育のさらなる推進のための方策を検討することを目的として設置するため、今年度の東京都がん教育推進協議会の委員の中から継続して委嘱する場合も考えられます。

○高倉委員 平成三十四年度までに全公立中学、高校で外部講師を活用したがん教育を実施するよう指導するという方針が示されておりますけれども、小学校についてはどういうふうに考えているんでしょうか。例えば、もし小学校でも行っていくといった場合には、専門医というよりは、がんの経験者、こういった方に対応していくといったようなことも考えられるというふうに思いますけれども、小学校についてのご見解をいただきたいと思います。

○宇田指導推進担当部長 次期中学校学習指導要領及び高等学校学習指導要領案において、がんについて取り扱うことが明記されましたことから、全公立中高等学校で外部講師を活用したがん教育を実施することといたしました。
 次期小学校学習指導要領では、がんについて取り扱うことは明記されておりませんが、文部科学省は、がん教育の進め方の基本方針の中で、小学校におけるがん教育では、発達段階を踏まえ、がんを通じて健康と命の大切さを主体的に考えることを主な狙いとしていることから、各学校の実情に応じて、がん患者やがん経験者を外部講師として招く授業も効果的であると考えております。

○高倉委員 がん教育についての最後の質問になりますけれども、三十四年度までに実施を推進していくということで、若干期間はありますけれども、そういっても、それほど期間もないというようにも受け取れるわけでありまして、この実現に向けては、ロードマップといったようなものが必要ではないかというふうに思いますけれども、この点についてご答弁を求めたいと思います。

○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、平成三十四年度までに全公立中高等学校において外部講師を活用したがん教育を実施するため、医師会や関係部局との連携、外部講師の確保等、体制整備に必要な事項について、平成三十年度からの五年間の年次計画を作成し取り組んでまいります。
 また、毎年度、都内公立学校における外部講師を活用したがん教育の実施状況を把握し、課題を整理するとともに、学校関係者や、がん専門医、がん経験者等から成る健康教育推進委員会において、各学校におけるがん教育のさらなる推進のための方策を検討してまいります。

○高倉委員 次に、都立高校におけるICTの活用について幾つか質問したいと思います。
 教育現場でこうした情報の機器がどんどん活用されてきているんだというふうに思います。それ以上に、社会全体の中でこういったものを活用するような動きがどんどん広まってきていると。
 したがって、今後は、例えばこの情報機器を的確に活用ができないと、それだけでもっていろんな格差が生じてしまうといったようことも想定されるわけでありまして、教育現場でもこうしたICT機器をしっかり活用できるようなことも必要ではないかなというふうに思います。
 もちろん私は、従来のとおり紙ベースの本、ああいうものを否定するわけではなく、ああいうことでもって私なんかは育ってきた一人ですから、それは非常に重要だと思いますけれども、やはりこれからはそういう活用をしっかりしていかなきゃなりません。
 まず、都立高校におけるICT環境の活用の現状についてご答弁いただきたいと思います。

○早川総務部長 都教育委員会は、平成二十年度から二カ年で全都立高校に校内LANを整備し、ネットワーク化を図りますとともに、各校の全ての普通教室についてタブレットパソコン、プロジェクター等の教育用ICT機器を一式ずつ配備いたしました。
 また、平成二十七年度から三カ年で、全都立高校に対して、生徒が学習用に活用するためのタブレットパソコンを各校一学級分、四十台配備いたしました。
 これら配備したICT機器は、画像や動画などを取り入れた教材を生徒に見せるなど、視覚的でわかりやすい授業を行うために活用されるとともに、調べ学習やグループ学習、生徒の学習進度に応じた自学自習等に積極的に活用されております。

○高倉委員 今答弁で、各学校に一式ずつというお話がありました。これは恐らく、一つの教室で授業を受けられる、そういう意味での一式ということだと思います。
 かつてといいますか、こういうICT教育を進めていくに当たって、やはりパソコンなりタブレットのようなものを、とにかく一人一台をきちっと配置して、持ってもらって、特別な授業のときだけ、ある教室に行ってやるんではなくて、常に持っているというようなことが必要ではないかなというふうに思ってきたわけでありますけれども、一人一台の整備ということについての教育委員会のご見解についてお伺いしておきたいと思います。

○早川総務部長 生徒一人一人がICT機器を一台ずつ持つことは、生徒個々の能力や特性に応じた学習を進めたり、ICT機器を家庭で活用して学習習慣の定着を図ったりする上でも有効でございます。
 このため、都教育委員会としても、生徒全員に対してICT機器を一台ずつ整備することは望ましいことと考えております。
 しかし一方で、生徒全員にICT機器を配備することは、ICT機器本体にかかる経費やインターネットの通信料など多額な経費がかかるといった課題もございます。

○高倉委員 もちろん経費がかかるということであると思います。現状は、ちょっとこれはいい過ぎかもわかりませんが、一人一台ずつ学校で用意する以前に、もう既に生徒の方々が自分でスマートフォンを持っているような時代なんですね。もういろんな意味で使いこなせるようになっていると。もしそれを授業で使おうと思えば、それすら使っていくことができるというような状況にどんどん進んできているんだというふうに思います。
 予算説明書をずっと見てみますと、都立高校スマートスクール構想という文言が入っておりましたけれども、このスマートスクール構想についてお伺いしたいと思います。

○増渕指導部長 これからの学校教育においては、ICTを効果的に活用して生徒の学力向上を図るとともに、教員の働き方改革を進めることが重要であります。
 そのため、都教育委員会は、ICT環境の整備により学校が生徒一人一人の学習の習得状況を分析するとともに、そのデータを教員全体で共有し、学習状況の改善や業務の効率化を図ることができるよう、都立学校スマートスクール構想に取り組むことといたしました。
 具体的には、来年度から二年間、都立高校十校を指定し、Wi-Fi環境を整え、生徒が所有するスマートフォンやタブレット等を活用し、生徒の学習活動やテストの自動採点等に生かすことで、学力向上や教員の働き方改革に資するための実証研究を行ってまいります。
 今後、都教育委員会は、指定校の成果と課題を踏まえ、都立学校スマートスクール構想の実現に向けた取り組みを着実に推進してまいります。

○高倉委員 今、学校を指定して取り組んでいくというお話でありました。私もその成果をちょっと注目しておきたいというふうに思います。
 一方で、こういう情報機器を使う危険性ということはずっといわれていることでありまして、あわせて、これもしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。
 最後に、私の地元の都立中野工業高校の改築についてお伺いをしたいと思います。
 この中野工業高校は、学校のど真ん中を川が流れている学校なんですよ。これは本当なんですね。妙正寺川という川があるんですけれども、これが流れておりまして、学校がその両側にあるんですよ。まさに学校の真ん中を都市河川が流れているという学校なんですね。
 今から十三年前だと思いますけれども、皆さんよく記憶もされていると思いますが、妙正寺川などで集中豪雨による大きな水害がありました。そのときに、この学校は実は水をかぶってしまったんですね。
 それよりも前に、私はこの学校の、いってみれば学園祭のようなところに行ったことがあるんですけれども、ある缶ジュースがありまして、見たことのない缶ジュースだったんです。どこで売っているのかよくわからなかったんですが、聞いてみたら、うちの学校でつくっていますという話でありまして、食品関係の非常に珍しい学科がある学校でありましたが、そのときの水害でそういった機械が実は水をかぶったんですね。しかしながら、教育委員会がいち早くこのことについては対応していただきました。本当に改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。
 こうした地域での今回の改築ということでありますので、水害への対策ということがやはり重要ではないかなと思いますけれども、このことについてどう取り組んでいらっしゃるのかについてご答弁いただきたいと思います。

○初宿都立学校教育部長 集中豪雨時に懸念されます妙正寺川の水害を軽減するため、都立中野工業高校の改築に当たりましては地下階を極力設けない計画といたしまして、今年度設計に着手しております。
 現在、新校舎の施設設備の具体的な配置などにつきまして設計を進めておりますが、例えば生徒、教職員用の備蓄品の保管場所を上層階とすることや、浸水に備え電気設備等を高所に配置するなど、具体的な水害対策を設計に反映できるよう、今後検討してまいります。

○高倉委員 万が一の水害の場合には、学校で勉強されている生徒、あるいは教職員の方々だけではなくて、近隣の方々にもその影響、被害が及ぶわけであります。
 そうした意味で、学校は場合によっては避難をするような場所として活用されることもあるというふうに思いますけれども、避難場所としての機能について検討されているのかどうかについてご答弁いただきたいと思います。

○初宿都立学校教育部長 都立中野工業高校は、災害時におきまして近隣住民の避難場所となることが想定されておりまして、その際は体育館を中心に使用することとなります。
 このため、今回の改築計画では、現在の体育館は、新体育館が完成した後、解体をすることといたしまして、工事期間中も引き続き体育館の利用が可能となるよう計画しております。
 また、避難所としての機能の向上を図るため、改築を機に校舎などに洋式トイレや多機能トイレを整備するとともに、トイレ用水の確保やマンホールトイレの設置についても検討してまいります。

○高倉委員 今回の改築に当たっては、中野工業高校に隣接をしている旧中野区立第六中学校、ここの跡地を東京都が学校用地として購入しているわけであります。
 そして、地元の中野区からの要請によりまして、工事に着手するまでの間ということでありますが、この学校敷地の一部を中野区に使用してもらいまして、保育施設を設置するというふうに聞いております。学校の敷地の中に保育施設をつくるというのは、私は余りあちらこちらで聞いたということではないんですけれども、こういう使い方をするということであります。この辺の経緯についてお伺いして、質問を終わりたいというふうに思います。

○初宿都立学校教育部長 都立中野工業高校の改築に当たりまして、敷地狭隘などの課題を解決し教育環境の改善を図るため、隣接する旧中野区立第六中学校跡地を取得いたしました。改築工事期間中は仮設校舎の建設用地とし、改築後はグラウンドとして活用する計画でございます。
 一方、中野区では、待機児童解消に向けた緊急対策として、公有地等を活用した保育施設の整備を進めており、当該用地がその建設候補地の一つとなりました。
 このため、当該用地約七千平方メートルの一部、約一千平方メートルにつきまして平成三十年度から二年間、保育施設の用地として使用したい旨、中野区から昨年八月に要望がございました。
 これを受けまして、都教育委員会で検討を行ってまいりました結果、学校運営に支障がないこと、また、改築工事は現在設計段階であり、着工は中野区の使用期間終了後となる見込みであることなどから、使用を許可することといたしました。
 現在、中野区では保育施設の整備を進めており、四月に開設予定であると伺っております。

○池川委員 初めに、都立学校の増設にかかわって質問します。
 かつて二百校以上あった都立高校全日制は、現在百七十三校まで激減しています。都立高校過剰時代が来るからと大幅に削減してきた結果です。夜間定時制も大幅に廃止、統合されました。ところが、実際には過剰時代ではなく、不足するかもしれない事態が目の前に立ちあらわれようとしています。
 これまで我が党は、繰り返しこの問題について質問を行ってきましたが、来年度予算にも計上されている次期実施計画において真剣に検討してほしいという立場から、幾つか伺いたいと思います。
 まず初めに、中学校卒業生が高校に進学することを保障するために、東京都教育委員会が果たすべき役割について伺います。

○初宿都立学校教育部長 学ぶ意欲と熱意のある都内公立中学校卒業予定者を確実に受け入れていくため、毎年度、一般財団法人東京私立中学高等学校協会との協議により就学計画を策定し、都立高校と私立高校で受け入れる人数を定めております。
 都教育委員会は、この就学計画に基づきまして都立高校の募集人員を定め、都内公立中学校卒業予定者を適切に受け入れることにより、就学機会の確保に努めております。

○池川委員 この間、都立高校改革推進計画新実施計画に基づいて就学対策の推進を進める施策として、適正な募集枠の設定を行うとして、生徒数の動向、地域のバランスや施設条件等を踏まえ募集枠を設定することが明記をされ、それに基づいて募集が行われてきました。
 具体的にどういうことになっているのか、例えば人数がふえるところについては、ある都立学校は一年間学級増を行い、次年度は一学級減にする、こういう対応を幾つかの都立学校で順次行っているということになっています。
 これによって現場ではどういうことが起こっているのか、先生から話を伺いました。例えば、一学年だけふえたことで、教育課程の見直しや体育祭などの行事についてもさまざま変更が必要になるといいます。具体的にいえば、一学年だけ学級増で対応した学校では、二年生、三年生は六学級なのに、一年生は七学級となり、体育祭を初めとしたこれまでの行事の取り組みは大きく形を変えるという、そうしたことが実際には起こっているということでした。
 都教委が適切な募集枠といって学級増減を行っていることが、各学校ではさまざまな課題を生み出している側面もあるということになります。しかも、都教委は、一学年六学級、三学年で十八学級を基本としているわけで、ここにしっかりと目を向けて、今後の対策についても検討すべきだと思います。
 資料で教えていただいたところですが、今年度、二十四学級が三十校、すなわち、これは一学年八クラスになります。二十五学級以上が十校となっているということです。二〇二〇年度までは、推計上、中学校卒業予定者数は減少することになっていますが、その後急上昇するのが今の人口推計になっています。
 昨年三月、この文教委員会で里吉議員が質問したのに対し、東京都教育委員会は、仮に試算を行いますと、平成二十八年度と平成四十年度の都内公立中学校卒業予定者数を比較した場合における増加分、五千三百五十九人について、現在の就学計画に基づき、都立高校で受け入れる人数と学級数を計算した場合には約二千九百人、約七十三学級となりますと答えています。
 教育人口推計によると、二〇二〇年度、すなわち平成でいえば三十二年度を境にして、公立中学校の卒業予定者は増加の一途をたどることになっており、その後は、二〇二〇年度と二〇三〇年度を比較すると一万一千七十二人の増加になります。一万人の増加にどう対応するのかということが問われているという問題で、この都立高校の増設が重要だということです。
 先ほどの答弁で、都教委としては就学機会を確保するんだということで答弁がありました。今後の生徒増への対応を見誤れば、就学機会を確保できない可能性があるということだと思います。
 そこで伺います。
 教育人口推計が現状どおり推移すれば、高校に進学したくてもそれがかなわない中学生がふえることは明らかだと思います。高校が不足するという認識はあるのか、あるとすれば都立高校の増設が必要だと思いますが、見解を伺います。

○初宿都立学校教育部長 都教育委員会はこれまで、都内公立中学校卒業予定者数の動向を踏まえまして、高校への進学を希望する意欲と熱意のある生徒の就学機会を確保するため、私立高校と適切な役割分担のもと、中長期的な視点に立った就学対策を検討してまいりました。
 平成二十八年二月に策定いたしました都立高校改革推進計画新実施計画において、公立中学校卒業予定者数の増加に伴う対応といたしまして、教育人口等推計に基づく都内公立中学校卒業予定者数の中長期的な動向を踏まえ、学校の新設も含めた対策を検討していきますとしております。
 引き続き、一般財団法人東京私立中学高等学校協会との協議を進め、就学機会の確保に努めてまいります。

○池川委員 仮に現在の高校就学計画の受け入れ分担が変わったとしても、公私合わせて約一万人の生徒増に対応する現状というのは変わらないわけです。
 来年度、都立高校改革計画の次期実施計画の策定を行うことになっており、増設するならば、以前にも答弁されているとおり、一般的に計画から開校まで七年から八年程度期間が必要だと都教委も認識を示しています。具体化しなければ、このまま、中学校三年生、十五の春を泣かせることになる可能性があります。次期実施計画の策定に当たり、東京私立中学高等協会との協議も踏まえて、都立高校の増設に踏み出すことを強く求めて、次の質問に移ります。
 次に、ゼロトレランスについて、これを教育現場で取り扱うことについて質問いたします。
 ゼロトレランス、直訳をすれば寛容ゼロ、不寛容ということになります。この言葉は、二〇〇六年第一次安倍政権のときに、児童生徒の規範意識の醸成に向けた生徒指導の充実についてという通知に示されました。
 その少し前に生徒指導メールマガジンで、文科省の坪田児童生徒課長が、ゼロトレランス方式とは、クリントン政権以来、米国の学校現場で導入されている教育理念及び教育実践を表現したもので、学校規律の違反に対するペナルティーの適用を基準化し、これを厳格に適用することで学校規律の維持を図ろうとする考えであり、軽微な違反行為を放置すれば、重大な違反行為に発展するという破れ窓理論による説明も見られますと紹介をしています。
 ゼロトレランスの行き着く先は不寛容であり、そこには、個別の事情を考慮せず行為のみを見て例外なき罰を与える、この適用になります。しかも、それを統一的にやっていくということになれば、行き過ぎれば、さまざまな課題があることは明らかだと思います。
 東京でも、ゼロトレランスという呼び名でなくても、ゼロトレランス的な指導方法が学校現場に持ち込まれているということを先生方から伺ってまいりました。ある先生は、どんな社会背景のある子供に対しても、学校の中でゼロトレランス的な基準が定められ、少しでもはみ出した場合には強い指導を貫徹する、実質、そのことがルール化されているんだと話しました。虐待を受けた経験がある児童生徒に強い指導を貫徹すれば、子供を追い詰めることにもなるのではないかというふうに先生はお話をされていました。
 東京都は、ダイバーシティー、すなわち多様性を推進することを一つの都市の戦略として位置づけているわけですが、ゼロトレランスはこの多様性とも相入れないと私は思います。
 そこで、この問題について、まず基本認識を伺いたいと思いますが、学校現場におけるゼロトレランス方式について、東京都教育委員会はどのように考えているのか、見解を伺いたいと思います。

○増渕指導部長 学校における生活指導は、児童生徒の健全育成を図るため、一人一人の自発的かつ主体的な成長、発達の過程を援助するものでございます。
 例えば、いじめや暴力等の行為に及んだ児童生徒に対しては、他人を傷つける行為は絶対に許されないことを確実に理解させることが必要でございます。その際は、児童生徒がみずからの言動を振り返り、望ましい人間関係づくりに向けて、主体的に考え行動できるよう、教員が児童生徒の状況や発達段階等に配慮した丁寧な指導を行うことが求められます。

○池川委員 今の答弁の中で、主体的に考え、そして、行動できるという答弁がありましたが、ゼロトレランスというのはその主体性を奪うということにつながっていくと思います。
 ゼロトレランスの母国であるアメリカ心理学会は、あらかじめ決められた罰、ほとんどの場合は重く、かつ懲罰的な性格を持つ罰を、結果の軽重、情状酌量の余地、または行為の文脈にかかわらず適用することを求める思想または政策というふうに定義づけています。
 答弁では、ゼロトレランスそのものについて言及はありませんでしたが、個別の事情を考慮せず、行為のみを見て、例外なき罰を適用するというゼロトレランス的な指導をしていることが都内の学校の中でも散見をされるわけで、都教委としては、こうしたゼロトレランスの立場を学校の中に持ち込むことはさせない立場でかかわることが必要だと思います。
 また、いじめについて、許されないことを理解させるんだという答弁がありました。しかし、許されないことを理解させるというだけでは解決しないと思います。いわゆる問題行動を起こす、問題行動がある、その背景には、人間関係の悩み、貧困、家庭内の困難、発達障害などが多いことがこの間、統計的にも明らかですし、現場の先生たちの実感でもあります。そこに不寛容が持ち込まれれば、課題をさらに重くすることにつながると思います。そのためにも専門的知見を生かし、何がいけなかったのか、この問題について子供との対話によって理解を深めることが教育だと私は思います。
 ゼロトレランス、不寛容ではなく、フルトレランス、無条件の寛容こそ必要です。子供たちが安心して試行錯誤を繰り返し、集団の中で成長していくことができるようにすることをこの点については求めておきます。
 次に、校則問題について質問します。
 大阪府立高校の女子生徒が髪を黒く染めることを強要され、その生徒から大阪府が提訴された問題など、今、校則に対する社会的な注目が集まっています。また、ブラック校則をなくそうプロジェクトが全国的な校則調査を行い、先日、記者会見も行いました。
 調査を行った荻上チキ氏は、時代とともに体罰は減ったが、人前で叱ったり、プライバシーに配慮しないまま成績を見せたりするのは人権侵害だ、下着の色をチェックさせるなど性暴力を訴える事例も想定以上に多かった、校則だけでなくセットになっている理不尽な指導も見直す必要があると発言をされています。
 また、昨年、朝日新聞が都立高校の地毛証明書について記事を書きました。そこでは、都立高校の六割で地毛証明書を一部の生徒に提出させていることを明らかにしました。また、その裏づけのために、幼児期の写真も提出させている例があるといいます。
 これに対して識者の皆さんが批判の声を上げています。例えば脳科学者の茂木健一郎さん。茂木さんは今回の地毛証明書の件について、より悪いのは都立高校か、それとも世間なのか、私にはわからない、あえていえば、どちらも悪いだろうと述べています。
 教育評論家の尾木直樹さんは、現場の苦労はわかる、でも、頭髪は体の一部、黒髪直毛を強制するなんて人権侵害だと述べられておられます。
 私自身も、十五年前ですが、都立高校を卒業しました。そのときには、地毛証明書はおろか、髪の毛を染めることが禁止されていることはありませんでした。しかし、現状について母校を調べてみると、TPOを踏まえた身だしなみ、頭髪、ネクタイ、リボン、装飾品、化粧、スカート丈を意識する指導が行われていると知って大変驚きました。さらに、制服まで導入されたということも聞いてびっくりしました。
 こうした問題はどうやって扱うのか。頭髪、服装、身だしなみなどについて校則で定めている場合がありますが、その実態について東京都教育委員会はどのように把握されているのか、認識されているのか、伺います。

○増渕指導部長 都立高校におきましては、生徒が社会的に自立できるよう、基本的な生活習慣の確立に向け、各学校が生徒の実態等に応じて校則を定め、生活指導の充実を図っております。
 例えば頭髪につきましては、染色やパーマ等の加工をしないこと、服装については指定の制服を着用することなどを校則に定めている学校もございます。
 頭髪や服装等に関する指導に当たっては、生徒一人一人の状況を踏まえ、学校と生徒、保護者との信頼関係に基づいて行われていると認識をしております。

○池川委員 今答弁の中で、具体的にそうしたことを校則に規定しているんだということがあること、また、それは生徒一人一人の状況を踏まえて、信頼関係に基づいて行われていると認識していると答弁がありました。
 先ほど地毛証明書について伺いましたが、この地毛証明書については具体的にどのような形で提出を求めているのか、その状況についてはどうなっているのか、伺います。

○増渕指導部長 都立高校では、頭髪指導において、生来の頭髪が茶色い生徒などに対して、誤った事実認識による指導を行わないようにするため、いわゆる地毛証明書など書面による届け出の提出を求めている場合がございます。

○池川委員 地毛証明書は、今の話だと、誤った事実認識を行わないよう、つまり認識が間違わないように提出を求めているケースがあるという答弁だったと思います。
 地毛証明書の手続もおかしいと私は思いますが、黒髪ストレートがスタンダードなのかということが、そもそも違和感があります。
 シンプルに伺いますが、先ほど学校に応じて学校の校則については定めるんだとありましたが、髪の毛の色はなぜ黒でなければだめなのか、そして、生徒から仮に黒髪ストレート以外はなぜだめなのかと問われれば、何と答えるんでしょうか。

○増渕指導部長 先ほども答弁いたしましたけれども、生来の頭髪が茶色い生徒に対して誤った事実認識による指導を行わないようにするための証明でございます。その際、生徒、保護者に対して届け出が任意であることを明確に伝え、個別に対応することは当然のことであると考えております。

○中井教育長 地毛証明についていろいろ一時報道がありましたが、黒髪じゃないといけないとか、あるいはストレートじゃないといけないとか、そういうことをいっているんじゃなくて、要は、茶色く染める、あるいはパーマをかける、こういうことはお金もかかりますし、いろいろ、生徒同士で競争状態になったりして、要は、学習をしたりスポーツをしたりということ以外のことで、いろいろ、せっかくの大事な時間とエネルギーを費やしてしまうというようなことがないように、そういうことでいっているわけで、別に黒髪じゃなきゃいけないんだとか、ストレートじゃないといけないんだとか、そういうことではないわけですね。
 そこを、報道においても少し誤解があるようなんですけれども、我々のいっているのは、そういう、華美になると、お金をかけることにばかり気持ちが行ってしまう、そういうことを防止するというためにやっているということであります。

○池川委員 都立学校の中には、髪の毛の色について特に規定のない学校もあります。その学校と、今、黒髪から仮に染色をしたのがだめだとする校則がある学校とは、じゃ、具体的に何が違うんですか。

○中井教育長 都立高校それぞれ、いろいろな学校があります。ですから、学校によっては、校長の判断で生徒の自主性に任せるということで、先ほど申し上げたようなことが生じないというふうに見通せると校長が判断するところもあるでしょうし、また一方で、学校によっては、子供たちがそっちの方--そっちの方というのは学習とかスポーツとかそういうこと以外のことに気が行ってしまって、本来の生徒としてのやるべきことがおろそかになってしまうんではないかというふうに懸念がされるというところもあるというところで、そういった学校では校則にそういったものを入れて一定の制約をかけるという判断を校長がするということはあり得るということであります。

○池川委員 今のを聞くと、明確な基準はないということだと思うんですよね。
 この問題について私は考えていきたいと思うんですけれども、生徒が自分たちで決めたものであれば、さまざまな課題は起こらないというふうに私も思います。先ほど中井教育長も、自主的に決めたルールが大事なんだということだったと思うんですよね。つまり自分たちが、生徒自身が選んだ方向であれば、この問題についてみんなで協議もするし、話し合いをして、いい学校にしていくんだ、そのこと自体は大変大事なことだと私も思います。
 文部科学省が生徒指導を進める上で基本書としている生徒指導提要に何と書いてあるか。その時々の行動を規制することが教育の主目的ということはありません、形だけの指導や叱責、罰則などによって問題行動が抑制されているという状態にとどまっているだけでは、十分な教育を行ったとはいえません、あくまでも児童生徒がみずからの欲求を大切にしつつ、社会との調和を図りながら、みずからの人格の完成をみずから求め、自己実現を図っていくような資質や能力を育んでいくことが教育に課せられた大きな課題なのです、生徒指導がそうした教育活動において中心的役割を果たすというふうに、これは生徒指導提要に書かれています。
 現場で起こっていることは、こういうことが本当に大事にされながら頭髪指導が行われているかということが課題だと思います。校則を自分たちのもの、自分のものとして捉えて、自主的に守っていくようにするんだ、さっき中井教育長の話もそういうことだったと思うんですけれども、それならばこの校則の決定過程等について、生徒がかかわることが必要ではないかと思いますが、都教委はどう考えているでしょうか。

○増渕指導部長 校則は、校長が教育目標を達成するため、必要かつ合理的な範囲内で遵守すべき学習上、生活指導上の規律として定めているものでございます。
 生徒が校則を自主的に守ることができるようにするためには、生徒の内面的な自覚を促し、校則を自分のものとして捉える態度を養うことができるよう指導していくことが必要でございます。
 都教育委員会は、都立高校において、生徒会やホームルーム活動等を通じて校則について話し合う機会を設けるなどして、生徒の社会規範を遵守する意識を育成することができるよう、学校に対して指導助言をしております。

○池川委員 今の答弁を聞くと、決めるのは校長ですと。生徒がその校則を自主的に守ることができるようにするという答弁だったと思います。そこに生徒の意見表明がどこにあるのか、それでは自分のものとして捉えることが本当にできるのかということになります。
 子どもの権利条約第十二条には、自己の意見を形成する能力のある児童が、その児童に影響を及ぼす全ての事項において、自由に自己の意見を表明する権利を確保する、この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとするとあります。
 みずからに影響を及ぼす事項について、当事者として意思決定をきちんとできる、これが大事だと思いますが、先ほどの答弁は、とにかく校長が決めて生徒が自主的に守るということだったと思います。
 具体的にある学校の例を紹介したいと思います。生徒心得の変更が行われ、頭髪について、今までから全く染めてはならないというふうに生徒心得が変えられようとしていたときの、生徒会を中心にした生徒たちと校長のやりとりの記録です。
 生徒心得の変更について、生徒の意見を聞くべきだがどうかという生徒からの質問に対して、校長からは、学校が決めるものと考えているので生徒の意見を聞くことはしなくていいというふうに答えたということです。さらに、周りの目が大事なのか、大事なのは見た目よりも中身じゃないかという生徒からの質問に、そうです、でも深く話をしたり、触れ合ったり、そうしないと本当の中身はわからない、だから、ぱっと見てちょっと話をして、いい生徒だと思ってほしいというふうに校長が答えたといいます。
 生徒たちからこうした声が出されたときに、なぜ髪を染めてはならないのかという過程の話ではなく、いい生徒だと思ってほしいということでいいのかということが、私は問われると思うんですよね。
 生徒の意見を聞くことはしなくていい、ぱっと見てちょっと話をしていい生徒だと思ってほしいという対応については、私は、決定過程に課題があると思いますが、こうした生徒指導が仮に行われていたとすれば、その点についてはどう考えるのか、見解を伺います。

○増渕指導部長 先ほどご指摘の生徒指導提要にも、校則は、校長が教育目標を達成するため、必要かつ合理的な範囲内で遵守すべき学習上、生活指導上の規律として定めるものであるというふうに示されております。
 ただし、先ほどもお答えしましたように、生徒会やホームルーム活動等を通して、校則について話し合う機会を設けることは重要であると考えております。

○池川委員 今の話し合うことではなく、その決定過程で生徒の意見を聞く必要がないのかということなんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○増渕指導部長 繰り返しの答弁になりますが、校則は、校長が決定すべきものであるというふうに考えております。

○池川委員 私、これ、世界的に見ても極めて異質だと思います。
 スウェーデンの例を紹介しますが、スウェーデンの全国生徒会組合代表が、若者の声が聞かれることによって、大人に指図されたことではなく、自分たちがやりたいことを自分たちの手によって実現して、それを社会に見せることに意義がある、高校生活は人生で特に大事な時期です、なぜなら、高校に進学するときに、人生で初めて自分の意思で決めて、進路選択をします、そして、少し成長して大人の人生に加わります、自分たちの手によってつくられた生徒会活動ができると、大人に近づくだけでなく市民になることができるのですというふうに述べておられます。
 今、東京都教育委員会も主権者教育を進めていますが、校長が決めたものを生徒が自主的に守るということでは、主権者教育というふうに呼べないと思います。意見表明権を保障し、主権者教育を進める視点からも、校則の決定の中で生徒がかかわることは重要だということを指摘しておきたいと思います。
 さらに、今、ブラック校則をなくそうプロジェクトの調査の中でも、年代別について、十代が変えてほしい、なくした方がいいと思う校則があるということについて、八七%の回答者があるというふうに答えています。これはつまり納得できていないということだと思うんですよね。
 荻上チキ氏らは、校則はこれまで学校が子供を管理するために活用されてきた、もちろん全ての校則が不要であるわけではないし、学校にも広い裁量は必要だ、だが、校則が不当な抑圧や排除のツールとして機能し、子供の人権を侵犯するようなケースがあるのであれば、それは是正されなくてはならない、社会に出たら理不尽なことがたくさんある、だから、子供のうちから理不尽なことになれなければ、温室育ちでだめになるという主張をよく聞く、この理屈には幾つも問題がある、学校は社会で適切に生きていくための能力を培う場所である、社会にはさまざまな理不尽があるが、そこに必要なのは、理不尽さになれ過剰適応し、疑問を抱かないようにすることではない、本来必要なのは、理不尽さに疑問を抱き、そこから距離をとり、改善を求めるような力である、そのため、社会に出たら理不尽なことがたくさんある、だから、子供のころから理不尽さにノーといえるようにし、同時に、大人が理不尽さをなくすように取り組んでいこうと主張すべきだというふうに荻上チキ氏は述べています。
 校則について、今、大きく見直すべきだという声が広がっているわけで、私は、当事者である生徒の声を大事にして、変えていくことを強く求めておきたいと思います。
 次に、いわゆる〇〇スタンダード教育について伺います。
 今、小中学校では、自治体名、学校名を使って、〇〇スタンダードという形で、東京の学校の中にもさまざま広がっています。
 先日、都内の小学校の先生から話を伺いました。例えば、約束や共通指導事項として、全校朝会に行くときは一言でもしゃべっていれば教室からやり直し、名札をつけないとだめ、廊下は右側を歩いて、やれないと説教部屋に呼び出すことが常態化しているといいます。小学生を説教部屋に呼び出すことが日常的に行われているという話に、大変私は驚きました。
 また、文房具等についても細かなだめな物リストがあり、文房具は無地で徹底しているために、学校の周年行事でつくった下敷きも使ってはならないなど、とにかく細かく禁止事項が列挙され、子供たちの理解が本当に行われているのかどうか疑問なまま、学校運営が行われているといいます。
 この〇〇スタンダードの内容についても、先ほど紹介した子どもの権利条約に定められている、子供たちの意見表明の権利を保障し、発達段階に応じて対応する必要があると思いますが、見解を伺います。

○増渕指導部長 児童生徒が学校生活を送るに当たり守るべきルールを、スタンダード等と称して児童生徒に指導している学校もございます。これらのルールにつきましても、児童生徒が自主的に守ることができるよう指導していくことが必要であります。
 都教育委員会は、生徒会や学級における話し合い活動を通じて、児童生徒がルールを主体的に守ろうとする意識や態度を育成できるよう、区市町村教育委員会とも連携して学校に対して指導助言をしております。

○池川委員 この件についても、子供たちの意見表明権を保障すべきだというふうに伺いましたが、あらかじめ決められたルールを自主的に守ることができるように指導するという答弁でした。
 学校現場では、今、〇〇スタンダードというのが大変はやっています。私たちは独自に都内区市町村で〇〇スタンダードのような統一基準をつくっているかどうか調査を行いましたが、自治体段階でも、十六区市で基準をつくっていることがわかりました。もちろんその実態はさまざまでありますが、〇〇スタンダードが導入をされ、実際には、現場で起こっているのは、先ほども紹介したようなスタンダードからはみ出した子たちへの説教等であります。
 先生が怖いからいうことを聞くというふうになってはいないか、怒られるのが嫌だからやめるということにはなっていないかということが問われるわけです。〇〇スタンダードの一つ一つを達成することが数値化され、目的化していることも課題だと思います。
 ゼロトレランス、校則、〇〇スタンダードについて今質問してきましたが、貫かれているのは、子供たちの意見表明を前提としていないということだと思います。このことに大きな問題が私はあると思います。これらの問題は、今、社会的注目も集まっています。これまでのあり方を見直し、子供たちの意見表明権を保障する方向で変えていくことを強く求めたいと思います。
 次に、不登校の問題について質問します。
 まず、東京都内の小中学生の不登校状況について、ここ五年でどのような変化があるか、また全国との比較ではどういう状況になっているのか、お伺いをいたします。

○増渕指導部長 文部科学省の調査では、都内公立小中学校で三十日以上欠席した児童生徒のうち、不登校を理由とするものについて、平成二十四年度と平成二十八年度を比べると、小学校では千九百十二人から二千九百四十四人、中学校では六千四百六十九人から八千四百四十二人となっており、小学校、中学校ともに年々増加しております。
 また、平成二十八年度における全児童生徒数に占める不登校児童生徒数の割合について、全国の小中学校と東京都の公立小中学校の平均を比べると、小学校では全国が〇・四七%、東京都が〇・五二%、中学校では全国が三・〇一%、東京都が三・六〇%となっており、いずれも東京都の方が高い状況でございます。

○池川委員 東京は今、全国よりも平均で高くなっているというふうにお答えがありました。
 都内でも比較をしてみると、特に足立区で不登校発現率が高くなっています。二〇一六年度では、東京都内が三・六〇%であるのに対し、足立区では五・七八%となっており、東京都の平均よりも二%以上高くなっています。足立区は、二〇〇〇年ごろまでは都内の中でも不登校の少ない地域でしたが二〇一三年度から急上昇していることが統計を見るとわかります。
 不登校要因の第一に掲げられている理由としては、本人の不安ということが一番の理由として挙げられています。子供たちの不安を学校が拡大していくことがなかったか、これだけ急上昇している原因について、私は検討する必要があると思います。
 都教委はこれまで具体的にどのような不登校対策を行ってきたのでしょうか、お伺いいたします。

○増渕指導部長 都教育委員会は、不登校対策等について検討するため、平成二十七年度に、学識経験者や心理、福祉、労働の専門家、区市町村教育委員会や校長会の代表者などで構成する不登校・中途退学対策検討委員会を設置し、この委員会から平成二十八年二月に支援の方向性などについて報告を受けました。
 この報告を踏まえ、平成二十八年度から二年間にわたり、不登校児童生徒の支援の充実に向けたモデル事業として、区市町村教育委員会にスクールソーシャルワーカーや訪問支援員などによる支援チームを設置したり、学校で不登校対策の中心的役割を担う教員を指名したりする取り組みを実施してまいりました。
 また、平成二十九年度から三年間の計画により、区市町村教育委員会が設置している教育支援センターの機能の強化に向けたモデル事業として、児童生徒の体験活動を充実させたり、指導員の資質の向上を図るための研修を行ったりする取り組みを実施しております。
 さらに、今年度から、新たな不登校を生まないための手引の作成に着手しております。

○池川委員 今答弁の中に、スクールソーシャルワーカーの配置の問題など重要な取り組みも紹介されました。しかし実際には、この間、取り組みをやってきましたが、上昇しているというのが現状であります。
 二〇一三年から上昇していることは、東京も全国も共通をしています。二〇一六年十一月に里吉議員が、なぜこの二〇一三年度から上昇しているのかと聞いた際、その当時の部長から、はっきりしたところまでは特定できていないというふうにお答えがありました。
 その後、時間は経過をしているわけですが、なぜここから上昇しているのか、現状では分析が進んでいるのか否か、その点について見解を伺いたいと思います。

○増渕指導部長 原因については明確にはなっておりません。

○池川委員 私、この問題に向き合うときにはやはり、なぜそうなっているのかという深い分析が必要だと思います。そして、その中には、子供たち本人の問題、家庭状況とともに、学校のあり方についても分析を深める必要があると思います。
 そして、先ほど答弁にありましたが、東京都教育委員会は、新たな不登校を生まないための手引について作成をしているという話がありましたが、具体的にどういうふうな検討をなさっているのか、検討状況はどうなっているのか、伺いたいと思います。

○増渕指導部長 専門家を招聘しまして、この手引の作成について検討をしております。

○池川委員 具体的にどういう中身を検討されているのか、その内容についても伺いたいと思います。

○増渕指導部長 この手引の内容でございますが、日ごろの児童生徒の様子の変化を的確に把握するための観点、不登校児童生徒の状況に応じて行う具体的な支援策、関係機関等と連携した組織的な支援を一層充実させるための取り組みなどの掲載を予定しております。

○池川委員 具体的には、新たな手引というのは、先生たちに配布することを多分対象にしているというのが先ほどの答弁だと思うんですが、先生たちに対しては、どのような目的で使うのか、その中身についてもう一度確認させてください。

○増渕指導部長 この手引を作成する目的でございますが、全ての教員が不登校の要因や背景を正しく理解した上で、児童生徒一人一人の状況に応じた適切な支援を行えるようにすることが作成の目的でございます。

○池川委員 新しい不登校を生まないための手引について、現在検討されているということでありますが、学校の先生自体に不登校について正しい理解をしてもらうことは大変重要だというふうに私も思います。
 不登校の第一の要因が、先ほども紹介しましたが、本人の不安となっていることから考えても、同時に、学校が子供たちにとって今どういう状況になっているのかについて考える必要があると思います。そこを直視し、分析し、先ほど二〇一三年からなぜ上昇しているのかということについて、現時点ではその内容についてはわからないということでしたが、そこについて深い分析が必要だと思います。
 私はきょう、教育委員会が決めたスタンダードの問題、また校則、そして、具体的に今お伺いしてきたテーマを考えても、子供たちが学校に本当に行きたいと思える状況になっているのかについて、深い検討が必要だというふうに思います。
 学校に行きたくなくなる子供がふえるのは、ある意味、競争や管理の中に押し込まれていれば当然だと思います。ここに向き合って、子供たち、保護者、そして関係者の皆さんとともに不登校の対応、そして、さまざまな学校をめぐる問題の改善に取り組むことを求めて、質問を終わります。

○斉藤委員 小池都知事の施政方針において、人に照準を当てた、人が輝くダイバーシティーの実現を目指すという施策が幾つも盛り込まれているということが明らかになりました。これまで光の当たらなかった部分にも光を当てていく新規事業が幾つも予定されていることは、大変喜ばしいことだと感じております。
 教育庁所管事業の中から、本日は、未来の人材を育てる新たな学習支援、障害のある方々の活躍に資する特別支援教室の設置、学校における相談体制の大きく三つの分野について伺わせていただこうと思います。
 まず、平成三十年度予算案の中に、新規のスタディーアシスト事業というものがあります。中学校において外部人材を活用し、進路実現を狙いとした学習支援をモデル事業にて実施というものです。
 私たち都民ファーストの会は、学校の放課後における学びの場を創出することにより、さまざまな家庭環境や経済的状況にある児童生徒の進路実現を可能にしていくべきであると、代表質問でも増子ひろき幹事長が表明しておりますので、このたび新規事業として取り組まれるスタディーアシスト事業というものが、どのような目的で、どういった取り組みをしていくものなのか、ぜひ伺わせていただきたいと思いました。
 二〇一七年に文部科学省が全国学力・学習状況調査で中学三年生の通塾についてのアンケートをとったところ、東京都の公立中学校三年生の七〇%が塾に通っていることがわかります。文部科学省の平成二十八年度子供の学習費調査によると、公立中学校における塾などに通う費用をあらわす補助学習費は、中学三年生は三十七万円と家計への負担が非常に大きいことがわかります。
 突然ですが、人生の三大費用と呼ばれているものをご存じでしょうか。住宅費、老後費用、そして教育費でございます。
 二〇〇九年文部科学白書によれば、大学卒業までにかかる教育費の平均額は、全て国公立でも一千万円、全て私立となると二千三百万円にもなります。また同白書中の教育費負担に関する国民の意識調査結果では、子育てのつらさの内容の一位が、子供の教育、将来の教育にお金がかかることということで、四五・八%となっております。
 今、日本で子供を育てるということは、家を買うということにも匹敵する費用負担があるというのが世間の常識になっております。公立中学校の三年生の七〇%が学校の授業以外に塾などに通っている状況で、公教育とは何か、公が担う教育は一体どこまでなのか、その議論は、もしかしたら、これまでに杉並区の和田中の夜スペシャルでも巻き起こったことかもしれませんが、現在でも各区市町村の中ではさまざまな議論と検討、そしてまたモデル事業の取り組みが進められております。
 十年に一度、学習指導要領が改訂され、戦後、義務教育機関で、ある程度完結をさせるべきと考えられていた知識、技能教育は、もはや形を変えつつあると考えております。
 変化を続ける社会の中で、十年後、二十年後に、今あるどの職業が残っているのか、大人たちにもはっきりとしたことがいえないような時代です。今では、就職や結婚を経た後も生涯学習は続いていくという前提で、変容する時代に柔軟に対応できる能力や、主体的に学びを続けていく力を育むことが求められております。いわば公教育の転換期にあるといえると思います。
 公教育を受ける児童生徒のうち七割が私費を投じて、公教育がカバーをしていない学習指導を必要としているとするならば、その児童生徒、または経済的余裕さえあれば同じような学習支援を受けたいと考えている全ての児童生徒のためにも、東京都の公立学校における学びの機会の創出は非常に大きな意義があると考えております。
 そこでまず、平成三十年度から開始するスタディーアシスト事業の目的を伺います。

○安部地域教育支援部長 これまで都教育委員会は、学習習慣の確立や基礎学力の定着を目的としまして、区市町村が行う地域住民や大学生などを活用した放課後の学習支援の取り組みを支援してきたところでございます。
 子供たちの放課後における学習ニーズは、文科省の調査結果によりますと、進学を控えた中学三年の時期を中心に高まると考えられております。
 こうしたことから、来年度から子供たちの望む進路の実現に向けた発展的な学習支援のモデルとして、進学対策のノウハウを持った学習塾などの外部人材を活用した、効果的な支援のあり方を検証することとしたものでございます。

○斉藤委員 東京都はこれまでも、放課後の学習支援として、地域未来塾などで区市町村の地域の特色も踏まえながら、さまざまな取り組みを進めてこられました。スタディーアシスト事業の目的には、これまでそういった学習支援事業に挙げられていなかった進路の実現、進学対策というものが入ったことが非常に大きな特色であると考えております。
 実は、似たような取り組みを区市町村で既に取り組んでおられる例がございます。先日、瑞穂町の公立学校で行われている塾との連携事業であるフューチャースクールを視察させていただきました。フューチャースクールの目的は学習習慣をつけることであり、進学対策は含まないということでしたが、塾の講師によるきめ細かく、さまざまに工夫された教科指導は、生徒たちにとっても、保護者たちにとっても、望ましいものであったようで、大変人気もあるということを伺ってきました。
 一方、運営するに当たっては、前もっての事業者の選定、また開催日程の決定、指導教員の選定など、非常に緻密、綿密な準備が必要となることも伺ってまいりました。塾によっては、年間の指導人員やスケジュールを早目に決定していることもあり、また生徒さんたちの中には、習い事や部活動で一週間の予定を年度初めに組む場合もあることから、実際に運営していくに当たってさまざまに調整をされる必要があることと考えております。
 そこで、スタディーアシスト事業を、これからどのように取り組みを進めていく予定であるか、伺います。

○安部地域教育支援部長 スタディーアシスト事業は、区市町村と連携した都の事業として実施しますことから、今後、希望する区市町村を募り、実施地区を決定してまいります。
 都教育委員会は、実施地区の決定後、実施場所、指導教科、指導形態や対象生徒の募集の仕方などの事業内容とともに、成果検証の方法などについても当該地区と協議、調整を行い、詳細を決定してまいります。

○斉藤委員 まずは決定された実施地区において、指導教科や事業内容とともに、成果検証の方法についても協議していくというご答弁をいただきました。非常に多岐にわたる調整を要する大変な責任があることと思いますが、ぜひ一人でも多くの児童生徒が進路の実現に向かって学びを深めていけるように、大きな一歩を踏み出した東京都教育庁の皆様には、力を尽くしていただきたいと考えております。
 次に、公立中学校における特別支援教室の設置について伺います。
 平成二十四年に文部科学省が公表した、通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査によると、公立小学校及び中学校に通う児童生徒の中で、学習面または行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合は六・五%となっております。
 四十人学級で一クラスに二人から三人の割合になりますが、そのうち四割弱の児童生徒が特別な支援を受けておらず、特別支援教育の専門的な知識を持つ教員の不足もあり、これまで支援策を話し合う校内委員会なども十分に機能していない可能性が専門家からも指摘をされてきました。
 同調査では、困難が大きいとされた六・五%のうち、現在通級による指導を受けていない児童生徒は九三・三%であり、さらにそのうち九七・四%は、過去、通級による指導を受けたことがないと回答しておりました。
 私の地元多摩市の小学校、中学校に通う親御さんからも、通級指導教室が設置されていない学校の学区のため、わざわざ小さな妹さんも一緒に、家から遠くの通級指導教室のある学校に毎日通わせてきたという、ご苦労されている声を聞いてきましたので、小学校に続き全ての中学校に通級指導教室を設置されるということは、本当に今、学習面、行動面で困難を感じておられる児童生徒さん及び家族の皆様にとって、大変ありがたいことであると感じております。
 一方、慢性的な専門教員の不足により、通級指導の開始の認定方法について、一部の父兄からは心配の声も上がっております。発達障害とは、自閉症や学習障害、注意欠如、また多動性障害、アスペルガー症候群など、その種類が幾つもあり、それぞれに医療的な診断基準が異なることもありまして、教員にはその認定をすることができません。
 できないはずなんですが、先に通級教室の設置が進んでいる小学校の方では、例えば教員から見て、いうことを聞かない子、自分の世界に入ってしまう子、集団になじまない子などが発達障害だというふうに決めつけられて、通級に通うことをしきりに勧められるという事例もありました。
 また、逆に見落とされがちなのが、グレーゾーンと呼ばれる児童生徒でございます。グレーゾーンとは、定型発達と発達障害の間の境界領域を指す俗称でございます。診断は出ていないけれども、本人は困難を抱えている、中には、いじめや不登校などの二次障害につながってしまう、そんな児童生徒も実際に多くいるからこそ、グレーゾーンという言葉が多用されている現実もありまして、特別支援教室の設置に当たっては、児童生徒の指導開始を教員のみで決めるのではなく、専門家の知識、所見も活用していくことが重要であると考えております。
 そこで、特別支援教室での指導を開始するに当たり、発達障害の専門知識を有する専門家等がどのように判定にかかわるのか、伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 特別支援教室を利用する生徒については、在籍校からの申請を受け、区市町村教育委員会が決定いたします。
 在籍校においては、臨床発達心理士等が行動観察を行い、生徒の障害の状態を的確に把握した上で、校内に設置している検討委員会において、特別支援教室への指導の必要性や当該生徒に適した支援の方法を検討いたします。
 区市町村教育委員会においては、判定委員会による判定を行う際に、教育関係者に加え、必要に応じて医療関係者や心理職などの専門家を委員とするとともに、保護者の同意を得た発達検査や診察の記録に基づき判定を実施いたします。

○斉藤委員 校内委員会には、学校内の養護教員や特別支援教育コーディネーター等、担任の教員以外の指導者に加え、臨床発達心理士などから専門的知見を得ていくということがガイドラインにも書かれておりました。
 心理士さんが実際に、なるべく書面のやりとりではなく、その児童生徒さんを直接観察していただく機会を設けて、所見を記していっていただきたいという要望をお伝えしまして、次の質問に移ります。
 今後、全公立中学校に特別支援教室が設置されることで、発達障害のある生徒が特別な指導を受けやすくなることは大変よいことだと考えております。また、発達障害のある生徒への指導は、巡回指導教員だけでなく、在籍学級担任等のほかの教職員もかかわることが重要です。
 特別支援教室の中だけで特別支援教育を行っていくのではなく、通常学級にもその教育内容を共有していくことが容易になるということが、全ての学校への教室配置の大きな意義でもあると考えております。
 そこで、特別支援教室での指導、支援の工夫をほかの教職員の取り組みに生かすために、どのように取り組んでいくのか、伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 特別支援教室で行っている指導、支援の工夫を在籍学級においても適切に実施するため、巡回指導教員は学級担任や教科担任等への助言や支援会議の参画等を行います。
 さらに、連携型個別指導計画等を活用し、指導目標や具体的な支援の手だてを関係者が共有することで、特別支援教室と在籍学級の指導の一貫性を図り、生徒の指導にかかわる全ての教職員の共通理解に取り組みます。

○斉藤委員 ぜひとも各校の全ての教室で特別支援教育の理解が進むよう、東京都としても積極的に巡回指導教員の活用を区市町村に働きかけていただきたいと思います。
 最後に、発達障害のある生徒が通常の学級において、ほかの生徒とともに有意義な学校生活を送るためには、周囲の理解が不可欠であると考えております。
 そこで、発達障害のある生徒が特別支援教室に通うことについて、ほかの生徒へどのように理解を促進していくのか、伺います。
 また、保護者に対しては、この取り組みをどのように周知していくのか、伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 特別支援教室での指導開始に当たっては、発達障害のある生徒が、障害による困難を改善するために特別支援教室で指導を受けること、在籍学級においても障害に配慮した必要な支援を受けることなどについて、対象生徒本人及び保護者の了解を得た上で、周囲の生徒に対して丁寧な説明を行い、障害や特別支援教室への理解を促します。
 保護者に対しては、学校が保護者会等の機会を利用して特別支援教室制度の説明を行うほか、都教育委員会が今年度末に作成する保護者向けの案内資料であります、中学校における特別支援教室の導入についてを活用し周知を行います。

○斉藤委員 ぜひとも発達障害のある生徒さん、またその保護者のみならず、理解を深めていっていただきたいということをお伝えして、次の質問に移らせていただきます。
 スクールカウンセラーの活用事業について質問させていただきます。
 平成二十八年度における児童生徒の問題行動等の実態について東京都の行った調査によると、暴力行為、いじめの認知件数、また不登校児童生徒数や長期欠席者数など、軒並み増加していることがわかります。
 増加の理由は、定義や要件の変化などもあり、一概に学校の中の状況が悪化しているとはいえないものの、現代社会において家庭環境や急速な社会の変化などから、児童生徒が受けている多大な心理的、精神的ストレスがふえているということは否定することが難しい状況にあると考えております。
 その状況において、特に都立高校に焦点を絞って、児童生徒の心理的な支えや助けとなっているスクールカウンセラーの活用事業について、二点ほど質問させていただきます。
 平成二十九年三月に発表された都立高校生意識調査によりますと、生活にかかわる悩みを相談できるについて、余りそう思わないとそう思わないを合わせた、否定的な回答が二七・八%いるということがわかりました。
 都立高校においては、スクールカウンセラーを平成二十五年から全公立小中高等学校に配置をされておりまして、さらに平成二十八年度から全日制と定時制にそれぞれ配置、昼夜間定時制に週二回配置、通信制にも新たに配置するとともに、全ての配置校において年間勤務日数を三十五日から三十八日に拡充をされております。東京都教育庁の不断の努力で児童生徒の相談体制の確保に励んでこられたことが、ここでわかると思います。
 けれども、相談体制が整備されると同時に、児童生徒の悩みや抱えているさまざまな問題への対応を担うスクールカウンセラーには、非常に大きい負担と重圧がかかっていることも、スクールカウンセラーの活用事業においては一つの課題であると考えております。
 児童生徒の心理面のサポートや相談は全てスクールカウンセラーにお任せをして教員は学習指導のみに専念する、単純に役割を分担することも難しいと思われておりまして、実際にはスクールカウンセラーの方が中心となり、教員の方と連携して生徒相談体制を構築していくことが求められていると考えております。
 そこで、都立高校の教育相談体制の充実に向け、学校がスクールカウンセラーを効果的に活用できるようにするための都教育委員会の取り組みについて伺います。

○増渕指導部長 都教育委員会は、全ての都立高校の校長を対象とした連絡会において、学校がスクールカウンセラーの専門性を生かし、教育相談体制の一層の充実を図ることができるようにするため、具体的な事例や資料等を活用し、個々の生徒の支援に向け、スクールカウンセラーの果たすべき役割について周知しています。
 また、生活指導担当の教員を対象とした連絡会において、教員が生徒の不安や悩みに適切に対応できるようにするため、専門家の講演等を通じて、スクールカウンセラーとの効果的な連携のあり方について情報共有を図っております。
 さらに、スクールカウンセラーを対象とした連絡会において、スクールカウンセラーが学校の課題に応じて教員に的確な助言ができるようにするため、グループ協議を通して問題行動等の原因や解決方法の事例を共有するなど、スクールカウンセラーの対応力の向上に取り組んでおります。

○斉藤委員 私が視察に伺わせていただきました一部の都立学校からは、スクールカウンセラーの勤務時間内いっぱいに相談を受け続けているという例もありまして、なかなか十分にフィードバックの時間もとれていないという声も上がっておりました。
 スクールカウンセラーの勤務日は週一日、週一回になっておりますが、生徒への心理面からのさらなる支援が必要な状況等に対して、都教育委員会は都立高校に対してどのような支援を行っているか、伺います。

○増渕指導部長 都教育委員会は、生徒等にかかわる緊急性のある問題などが発生した場合、学校の相談体制の強化を図ることを目的として、東京都教育相談センターから心理の専門家を派遣しております。
 また、不登校や友人関係などの悩みを抱える生徒に寄り添った支援が必要な場合、当該生徒の話し相手や遊び相手として、大学や大学院で心理学等を専攻している学生を継続的に派遣しております。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 進学についての悩みや人間関係の悩み、また家庭内でのことや将来のことなど、高校生の抱えている悩みは多岐にわたり、その対応はスクールカウンセラー一人が担うのではなく、教員や保護者、また内容によってはさまざまな関係機関とも連携して行っていっていただきたいと思っております。
 相談対応に加え、共有や連携がしっかり進められるよう、今後、生徒からの相談の必要性が高い学校については、スクールカウンセラーの勤務日数の拡大も視野に入れて検討していただきたいということを要望させていただきます。
 また、都立高校の中でも、特別支援学校には現在スクールカウンセラーは配置されておりませんが、軽度な障害や発達障害などのある児童生徒にとっては、相談を受け付けてくれる体制ができるというのは大変望ましいことであると考えております。
 既にさまざまな特別な支援を配慮されている特別支援学校ですが、スクールカウンセラーの配置の必要性の検討も今後はしていただきたいという要望をお伝えしまして、私の質問を終わります。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時十八分散会

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