文教委員会速記録第十六号

平成二十九年十二月十二日(火曜日)
第三委員会室
午後一時一分開議
出席委員 十四名
委員長里吉 ゆみ君
副委員長川松真一朗君
副委員長米川大二郎君
理事大松あきら君
理事米倉 春奈君
理事木村 基成君
けいの信一君
成清梨沙子君
池川 友一君
高倉 良生君
白戸 太朗君
斉藤れいな君
入江のぶこ君
古賀 俊昭君

欠席委員 なし

出席説明員
生活文化局局長塩見 清仁君
次長桃原慎一郎君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務鳥田 浩平君
広報広聴部長濱田 良廣君
都民生活部長山本  明君
消費生活部長三木 暁朗君
私学部長金子 光博君
文化振興部長樋渡 幸生君
都政情報担当部長水野  剛君
男女平等参画担当部長吉村 幸子君
魅力発信プロジェクト担当部長堀越弥栄子君
文化総合調整担当部長久故 雅幸君
文化施設改革担当部長鈴木 誠司君
オリンピック・パラリンピック準備局局長潮田  勉君
次長理事兼務小山 哲司君
技監相場 淳司君
総務部長中村 倫治君
調整担当部長雲田 孝司君
総合調整部長根本 浩志君
連絡調整担当部長戸谷 泰之君
連携推進担当部長丸山 雅代君
事業調整担当部長高野 克己君
自治体調整担当部長小池 和孝君
事業推進担当部長計画調整担当部長兼務越  秀幸君
運営担当部長田中  彰君
パラリンピック部長萱場 明子君
障害者スポーツ担当部長新田見慎一君
大会施設部長鈴木 一幸君
開設準備担当部長鈴木 研二君
施設担当部長砂田  覚君
施設整備担当部長草野 智文君
施設調整担当部長湯川 雅史君
輸送担当部長片寄 光彦君
選手村担当部長朝山  勉君
スポーツ施設担当部長藤木 仁成君
スポーツ推進部長小室 明子君
スポーツ計画担当部長
ラグビーワールドカップ会場運営担当部長
国際大会準備担当部長兼務
川瀬 航司君
ラグビーワールドカップ準備担当部長篠  祐次君
教育庁教育長中井 敬三君
次長堤  雅史君
教育監出張 吉訓君
総務部長早川 剛生君
都立学校教育部長初宿 和夫君
地域教育支援部長安部 典子君
指導部長増渕 達夫君
人事部長江藤  巧君
福利厚生部長太田 誠一君
教育政策担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
古川 浩二君
教育改革推進担当部長増田 正弘君
特別支援教育推進担当部長浅野 直樹君
指導推進担当部長宇田  剛君
人事企画担当部長鈴木 正一君

本日の会議に付した事件
オリンピック・パラリンピック準備局関係
契約議案の調査
・第百八十九号議案 大井ホッケー競技場(仮称)(二十九)新築及び改修その他工事請負契約
・第百九十二号議案 大井ホッケー競技場(仮称)(二十九)新築及び改修その他電気設備工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百六十八号議案 有明アリーナの公共施設等運営権に係る実施方針に関する条例
・第百六十九号議案 東京都障害者スポーツセンター条例の一部を改正する条例
生活文化局関係
報告事項(質疑)
・東京都消費生活基本計画(素案)について
教育庁関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百三十二号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第二百三十三号議案 東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・「学校における働き方改革推進プラン(仮称)」中間のまとめについて

○里吉委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十九年十二月八日
東京都議会議長 尾崎 大介
文教委員長 里吉 ゆみ殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第百八十九号議案 大井ホッケー競技場(仮称)(二十九)新築及び改修その他工事請負契約
 第百九十二号議案 大井ホッケー競技場(仮称)(二十九)新築及び改修その他電気設備工事請負契約
2 提出期限 平成二十九年十二月十二日(火)

○里吉委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、オリンピック・パラリンピック準備局関係の契約議案の調査、オリンピック・パラリンピック準備局及び教育庁関係の付託議案の審査並びに生活文化局及び教育庁関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これよりオリンピック・パラリンピック準備局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 延與理事及び小野競技・渉外担当部長は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、契約議案の調査を行います。
 第百八十九号議案及び第百九十二号議案を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○池川委員 それでは、大井ホッケー競技場の新築及び改修工事請負契約について質問をさせていただきたいと思います。
 オリンピック会場とされた大井ホッケー競技場は、地元住民の反対の声で当初の野球場に設置する案を変更し、現在の場所への整備となりました。
 今回、契約議案として提出された中身は、第一球技場のスタンド棟の新設、第二球技場のスタンド棟の改修とエレベーター棟の新設などを行うことになっていますが、まず初めに、今回発注された工事の内容、関連工事も含めてその内容について伺いたいと思います。

○草野施設整備担当部長 今回ご審議いただいております大井ホッケー競技場に係る工事につきましては、関連工事も含め、大井ふ頭中央海浜公園内の第一球技場等の位置にメーンピッチを新設するとともに、第二球技場を改修しましてサブピッチを整備するものでございます。
 メーンピッチにつきましては、恒設のスタンド棟を新設し約二千六百席の観客席のほか、更衣室、事務室等を配置いたします。
 また、サブピッチにつきましては、既存第二球技場のスタンド棟の内外装や設備の改修に加えまして、エレベーターを一台設置するなどバリアフリー化を図ることとしております。あわせまして、競技フィールドの整備や外構整備工事、撤去工事などを行うものでございます。
 工事につきましては、業種ごとに発注することとしておりまして、今回の契約案二件は、新築及び改修その他工事に係ります建築工事及び電気設備工事であり、このほか関連工事でございます空調設備工事、給水衛生設備工事及び昇降機設備工事の三件につきましては、現在、今月中の契約に向けて手続中でございます。

○池川委員 大井ホッケー競技場については五件の関連工事のうち、今回二件が契約議案として議会案件として付託をされているということです。
 今回、工事の中身ですが、公園を利用しながら工事を行っていくということになっており、さまざまな影響が生じる可能性があります。
 交通問題、安全対策、公園利用者への配慮など、工事による影響をどのように認識しているのか、車両台数はどの程度を見込んでいるのか、安全性を確保し影響を最低限にするための対策を行う必要があると考えますが、本契約ではどのようになっているのか、また、それに東京都としてどう対応していくのかについて伺いたいと思います。

○草野施設整備担当部長 お尋ねの四つの質問についてお答えいたします。
 まず、今回の工事でございますが、公園施設を供用しながら、その一部において工事を行いますことから、周辺道路における工事用車両の影響のほか、公園利用者への配慮が求められるものでございます。
 次に、工事車両でございますけれども、環境アセスメントの評価書案では、ピーク日におきまして約四十台を見込んでおります。
 また、工事発注に当たりましては、公園供用部分と工事エリアの明確な区画分けとともに、交通法規の遵守徹底や交通誘導員の適切な配置などを施工条件として提示しているところでございます。
 契約締結後におきまして、これらを確実に履行させるべく、工事委任先の局と連携して受注者を指導してまいります。

○池川委員 公園利用者への影響を抑えることが大事であり、その影響をできる限り少なくしていくという趣旨のご答弁だったと思います。
 工事に関する説明会の開催による住民や公園利用者への丁寧な説明について、都として責任を持って対応していただきたいと思います。また、住民や公園利用者から寄せられた声は、丁寧かつスピード感を持って対応していただくことを求めておきます。
 次に、オリンピック期間を前後して施設を使用できない利用者に対する対応について伺いたいと思います。
 陸上競技場、野球場、テニスコートなどの施設利用者についても、オリンピック期間中を前後して影響が出ることとなります。組織委員会が直接的には責任を持つ工事となりますが、都としてもしっかり関与し対応すべきだと思いますが、そのお考えを伺いたいと思います。

○草野施設整備担当部長 陸上競技場、野球場、テニスコートに関しましては、今後、組織委員会によります大会準備工事が別途実施されまして、大会に使用される予定でございます。
 工事や大会運営に伴う公園施設の使用期間や範囲等の詳細につきましては、現在、組織委員会において検討されていますが、組織委員会や公園管理者である港湾局とも連携しまして、工事や施設利用休止のお知らせなど、利用者にとってわかりやすい情報提供に努めてまいります。

○池川委員 利用者にとってわかりやすい情報提供をぜひ進めていただきたいと思います。同時に、この利用休止期間の活動場所についても、利用者団体などから意見を聞き、都としてしっかり代替施設の確保などを対応していただきたいということを求めておきます。
 次に、品川区議会から(仮称)大井ホッケー競技場建設にかかる大井ふ頭中央海浜公園および周辺環境の整備を求める要望書が東京都に提出をされております。
 この中にはさまざまな要望事項がありますが、その一つに、競技場については、多目的トイレの複数設置や障害者用の観客席の設置など障害者、セクシャルマイノリティーに配慮した設計とすることという項目が入っております。
 地元区議会からの要望に対して、しっかりと応えていく必要があると思いますが、その点についてどう対応されるのか、また、今後とも地元区、競技団体、公園利用者の声をしっかりと聞いていく必要があると考えますが、どう対応されていくのか伺います。

○草野施設整備担当部長 大井ホッケー競技場の整備に当たりましては、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインの基準を踏まえるとともに、アクセシビリティーワークショップでの障害者団体の意見なども参考にし、誰もが利用しやすい施設となるよう計画したところでございます。
 具体的には、車椅子に対応した多機能トイレをガイドラインの基準を満たす車椅子利用者十五人に一カ所以上の割合で、メーンピッチに九カ所、サブピッチに二カ所設置するとともに、多機能トイレとは別に、男女共用トイレをメーンピッチに九カ所、サブピッチに二カ所設置することとしております。
 また、車椅子席、同伴者席、付加アメニティー席につきましても、さまざまな場所から観戦できるよう、分散配置などに配慮しつつ、ガイドラインの基準を満たします総席数の一%を確保しまして、メーンピッチに二十六席、サブピッチに五席、それぞれ設置することとしております。
 今後とも地元の意見等を聞きながら、誰もが利用しやすい施設となるよう取り組んでまいります。

○池川委員 地元の意見も聞きながら、誰もが利用しやすい施設となるよう取り組んでいただくということです。
 改めて地元区、競技団体、公園利用者の声を聞いて、しっかりと対応していただきたいということを求めて、質問を終わりたいと思います。

○里吉委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○里吉委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百六十八号議案及び第百六十九号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○入江委員 有明アリーナについてお伺いいたします。
 東京二〇二〇大会会場となる新規恒久六施設の中で、有明アリーナのみがPFI法に基づき、民間の力を最大限活用する管理運営方式、コンセッションとなります。東京都としては初の導入です。大会後も一万五千席を有するスポーツ、エンターテインメントの一大拠点として長く愛されるレガシーとするため、管理運営権者となる民間事業者の選定が非常に重要です。
 有明アリーナの整備費は、当初の四百四億円から四十七億円削減し、三百五十七億円となりました。施設運営計画では、来場者数は年間約百四十万人、年間収支は約三億六千万円のプラスとなると予測しています。
 大会終了後に本格的にコンセッションによる運営を行うことにより、民間の創意工夫を最大限に生かしたスキームを構築し、さらに多くの集客や収益アップを目指した確実な黒字運営を行うことが期待されます。
 特にメーンアリーナにおいては、開業初年度のスポーツ大会やコンサートのラインナップを充実し、すばらしいアリーナであるという評価をいち早く得て、世界に発信できるブランディングを行うことが大切です。
 スタープレーヤーやビッグアーティストに、いつかは有明アリーナに立ちたいと思ってもらうように、また都民のみならず日本中の皆さん、そして世界中の皆さんにも有明アリーナを訪れたいと思ってもらうような施設にするためには、管理運営権者の力量が問われます。
 プレゼンスを高めるためにネーミングライツの導入や企業広告の獲得、隣接した有明親水海浜公園との連携したイベントの開催など、さまざまなアイデアが求められます。
 また、サブアリーナは、都民のスポーツ実践の場としても活用し、トレーニングジムとスタジオは、都民の日常的な運動の場として利便性が高く、公平な運営がなされなければなりません。
 そして、将来的には、有明アリーナ周辺が、有明レガシーエリアとして常に多くの集客があり、流行を発信しにぎわいを創出する場所となることを大いに期待します。
 さて、これまでに有明アリーナの整備と後利用についてヒアリングを実施しているとのことですが、参加事業者の数と反応はどのようなものでしょうか。

○鈴木開設準備担当部長 ヒアリングには、有明アリーナの管理運営に意欲を持つ多くの事業者が参加しております。本年二月に行いました第一回目のヒアリングには、二十一グループ四十九社が参加し、また、有明アリーナの管理運営に関する基本的考え方の公表後に行った本年九月の第二回目のヒアリングには、十二グループ三十四社が参加して、管理運営の考え方について意見交換を行いました。
 ヒアリングの際には、事業者より追加投資の意向や運営期間のあり方等について意見が寄せられておりまして、これらを踏まえて実施方針を策定することとしております。
 引き続き、多くの事業者がコンセッションの公募に参加することで事業者間の競争性を確保していけるよう努めてまいります。

○入江委員 さて、日本バレーボール協会などのスポーツ界の反応や、コンサートプロモーターやイベントの会場設営業者などのエンターテインメント関係者の反応はいかがなものでしたでしょうか、お伺いします。

○鈴木開設準備担当部長 有明アリーナの管理運営につきましては、これまで日本バレーボール協会等の競技団体やコンサートプロモーター等にヒアリングを行い、施設の利用方法や収益性などについて意見をいただいてまいりました。
 その結果、大規模スポーツ大会やコンサート等のイベントにつきまして、十分な利用ニーズが見込めるとの見解をいただいております。
 また、有明アリーナを積極的に利用することを希望する競技団体等には、年間通算二カ月程度のスポーツ利用期間を設定することを丁寧にご説明し、理解を得るよう努めてまいりました。

○入江委員 もう来年二〇一八年十一月には、運営権者の候補者となる民間事業者が選定されますが、二〇二〇年の大会後、運営期間を二十五年間とした理由をお伺いいたします。

○鈴木開設準備担当部長 コンセッション方式では、民間事業者の追加投資による戦略的な運営を引き出すことにより、よりよいサービスの提供と収益性向上などを目指すことから、運営権者が投資を回収できる事業期間を設定することが必要となります。
 有明アリーナの管理運営に関する民間事業者とのヒアリングにおきましても、二十年から二十五年程度の運営期間が適当との意見が多く、さらに長期間を望む意見もございました。
 また、東京体育館等の類似施設では、建設から二十年から二十七年程度で大規模修繕を実施していることも考慮いたしまして、都が大規模修繕を行う時期を運営期間の区切りとすることといたしました。
 その結果、実施契約締結から施設竣工までの準備期間、大会前後の維持管理期間を経まして、大会後の運営期間は二〇四六年三月末までといたしました。

○入江委員 その二十五年の事業期間終了後、原則として、運営権の延長は行わないとしたのはなぜでしょうか。よい運営をした場合、運営期間を延長するなどのインセンティブを与えられないのでしょうか、お伺いします。

○鈴木開設準備担当部長 二十五年間の運営期間終了後には、躯体や設備等に係る大規模修繕を行う予定でございまして、その際には長期休館を想定しております。その後の運営につきましては、その時点での施設の状況やアリーナ施設に対するスポーツやイベント等の需要、都民のニーズ、社会経済状況等を総合的に勘案いたしまして、管理運営のあり方を検討する必要があると考えております。
 このため、現時点では運営権の延長は行わないこととしております。

○入江委員 民間事業者選定時においては、東京都へ支払う運営権対価の考え方が重要な評価要素になります。都のお考えをお伺いします。

○鈴木開設準備担当部長 運営権者が都に支払う運営権対価等につきましては、運営期間中金額が変わらない固定部分と、運営権者の利益に連動する変動部分から構成されます。
 変動部分につきましては、毎年の利益に応じて、それを分配するプロフィットシェアの仕組みを導入し、都と運営権者による最適な配分の仕組みを検討してまいります。
 運営権対価等につきましては、事業者選定の主要な評価要素の一つでありまして、今後、支払い方法等の諸条件を検討するとともに、選定において事業者間の競争性を確保することにより、都民利益の最大化を図れるよう取り組んでまいります。

○入江委員 では、次に、有明アリーナの利用者の利用料金について伺います。
 運営権者である民間事業者が定めるとなっておりますが、都が全く関与せず、民間事業者の裁量だけで決めてしまうものなのでしょうか、都の考えをお伺いします。

○鈴木開設準備担当部長 有明アリーナにおきましては、コンセッションの導入によりまして、民間の創意工夫を最大限に生かした戦略的な運営を行うこととしていることから、利用料金につきましては、施設に対する需要や利用状況などを勘案して、適正な額を運営権者が定めることとしております。
 なお、スポーツ利用につきましては、入場料収入の有無や、プロ、アマチュアの区分等を考慮して、アマチュアスポーツ利用にも配慮した利用料金及び料金体系とすることを実施方針に定めることとしております。
 運営権者の選定に当たりましては、こうした都の方針に従った適切な料金が提案されているか、有明アリーナの施設需要や競争性を勘案した料金となっているかなどを十分に検証、評価いたします。

○入江委員 二十五年という長い期間の運営管理に当たっては、民間事業者の資金調達リスクや地政学的リスクなど、さまざまなリスクが想定されます。
 例えば、事業者が都に支払う運営権対価の額を変更することがあるのでしょうか、都の考えをお伺いします。

○鈴木開設準備担当部長 有明アリーナの管理運営事業では、長期にわたる契約となりますことから、ご指摘のように、さまざまなリスクを想定して、そうしたリスクをできる限り低減するための方策を検討しております。
 まず、民間事業者の事業計画や体制、資金調達などにつきまして、十分な調査検証を行うことが必要と考えております。
 具体的には、事業者の選定時において、事業者撤退等のリスクを軽減するため、事業者の運営状況や収支計画の実現可能性などについて、専門家による評価を行うことを考えております。また、運営権者の財務状況を確認するモニタリングを継続的に行うとともに、必要に応じて是正を指示してまいります。
 さらに、物価変動リスク、資金調達リスク、天災等による不可抗力リスクなど、さまざまなリスクにつきまして、都と運営権者の責任分担をあらかじめ実施契約の中で定めるなど、適切なリスク管理に努めてまいります。
 なお、運営事業者選定時点では、予測し得なかった急激な社会情勢の変化等、施設運営に重大な影響を与える事由が生じた場合は、利用条件等に関する協議の機会を設け、対応を検討することを考えております。

○入江委員 運営権者である民間事業者が業務を確実に遂行し、都が求める要求水準が達成されているかを常にチェックすることが必要だと思います。それに関しまして、都の考えをお伺いいたします。

○鈴木開設準備担当部長 PFI法におきましては、運営権事業の適正を期するため、業務や経理状況に関して報告を求め、必要な指示をすることができるとしております。
 都は、運営権者が実施契約に定められた業務を確実に遂行し、都が定める要求水準を達成しているかを確認するため、業務内容の評価を継続的に行うモニタリング制度を導入することとしております。
 具体的には、適切に事業が実施されているかを確認するため、実施方針等に定める施設の利用状況や維持管理等の状況を確認し、さらに、事業の継続性や安定性を確認するため、運営権者の営業収益や資金繰り等の財務状況などを確認いたします。
 確認の結果、都が必要と認める場合には、運営権者に是正の指示を行いまして、一定期間内に是正策の提出、実施を求めるなど、施設の管理運営を適切にチェックしてまいります。

○入江委員 ありがとうございました。都が設置し保有する公共施設である有明アリーナが、民間事業者の運営管理によって東京の経済浮揚と都民生活の充実に最大限の効果が発揮されることを大変期待します。そして、その成功を確信できるように、今後の準備を確実に進めていくことを要望いたします。
 特に事業者の選定に当たっては、専門的な知識を持つ有識者を含めた選定委員会を設置して、決定プロセスを透明化し、都民への情報公開のもとに事業を進めていただきたいと思います。
 週末には私も現場を見てまいりました。まだ白囲いというか白い壁で囲われていましたけれども、二年先のその場所をイメージすると、大変わくわくする思いになりました。既に江東区の小学校の皆さんの絵など、コンテンツが多少掲示されておりますけれども、まだ白い壁の部分が多いので、ぜひとも機運醸成のためにオリンピック・パラリンピックに関するコンテンツ、小学生の絵などを掲示していただきたいとお願いして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○高倉委員 第百六十八号議案について質問をさせていただきます。
 オリンピック・パラリンピック東京大会まで一千日を切っている今この状況の中で、しっかりと施設の整備を初めとして準備を進めて、必ずや大成功させていかなければならないと、そのように考えているわけであります。
 そして、この大会経費につきましては、都民初め多くの方々から、やはりできる限り縮減をすべきといったようなご意見も引き続き強いわけでありまして、こうしたことにも全力で取り組んでいただくとともに、さまざまな経費を投入して二〇二〇年大会を開催していくわけでありますので、その大会の開催にとどまらず、そこに投入した経費が少しでも多く都民、ひいては、また国民にも役立つように、大会後、しっかりとそうした遺産を十分に活用していくというようなことの仕組み、またその体制をつくっていくことも極めて重要であるというふうに思っております。
 今回のこの有明アリーナでありますけれども、コンセッションによる施設の運営というのは、東京都では初めてであるということであります。
 こうした施設は、さまざまな運営方法があるんだと思いますけれども、この有明アリーナをコンセッション方式によって運営をするということにした理由について、まずお伺いしたいと思います。

○鈴木開設準備担当部長 コンセッション方式は、平成二十三年のPFI法の改正により新たに導入された制度でございまして、自治体等の公共主体が施設を所有したまま施設の運営権を民間事業者に設定する方式でございます。
 都では、平成二十六年度に設置しました新規恒久施設等の後利用に関するアドバイザリー会議や競技団体、民間事業者からの意見も踏まえまして、官民連携手法等による民間の活用など、管理運営手法を検討してまいりました。
 その中で、コンセッション方式の実現可能性が高いとの民間シンクタンクによる調査分析の結果なども踏まえまして、スポーツのみならず、エンターテインメント等での多様な活用が見込めるという有明アリーナの特性を最大限引き出せる管理運営手法として、コンセッションを導入することといたしまして、具体的な手続を進めているところでございます。

○高倉委員 従来の都の特にスポーツ施設の運営は、ほとんどが指定管理者による運営というようなことだと思います。そうした方式を、いわばメーンとしてこれまで採用してきたというようなことであると思います。
 今回のコンセッション方式になりますと、今度は、いわば委託料的なものを東京都が支払うというようなこととは違って、いわゆる運営権料を東京都がいただくというような形での運営ということになってくるんだと思います。
 例えば、こういうスポーツ施設の中で味の素スタジアム、これについては財産の貸し付けによる運営といったような方式をとっているわけであります。したがって、ちょっとイメージとしては、指定管理者の制度というのがある一方で、味スタのような財産の貸し付けによる運営がある。今回のコンセッション方式は、もしかするとその中間というんでしょうか、こういったところにも位置づけられるような方式であるというふうにも思います。
 そこで、指定管理者による運営でありますとか、今申し上げた味の素スタジアムでの財産の貸し付けによる運営と、こうしたものとの違いというものについて、お答えをいただきたいと思います。

○鈴木開設準備担当部長 まず、指定管理者制度は、公の施設の設置目的を効果的に達成するために、民間事業者を活用する制度でございまして、指定管理期間は、一般的に五年程度でございます。条例及び規則に基づき施設の管理運営を行うことから、民間事業者の柔軟な運営に関しましては一定の制限がございます。
 これに対しまして、コンセッションによる運営では、条例及び都が定める実施方針に基づく管理運営の方針に従いつつ、長期間にわたり民間事業者に運営権を設定することで、民間の創意工夫を最大限生かした柔軟な運営を安定して行うことが可能となります。また、利用状況等を勘案した適正な料金設定や戦略に基づいた追加投資等により、利用者ニーズを反映した質の高いサービス提供や施設の収益の向上が期待されます。
 一方、普通財産の貸し付けでは、指定管理者制度やコンセッションによる運営のように条例や規則、実施方針による定めを必要とせず、管理運営者の裁量による自由度の高い施設運営を行うこととなります。
 なお、味の素スタジアムの運営につきましては、普通財産貸付で監理団体である株式会社東京スタジアムが行っており、都は監理団体の事業として、適切に指導監督をしております。
 有明アリーナは、東京の新たなスポーツ、文化の発信拠点とするという施設運営の目的を担保しつつ、コンセッションにより民間の力を最大限活用し、施設のポテンシャルを引き出して、さまざまなスポーツや文化イベントを発信し続けるアリーナとしてまいりたいと考えております。

○高倉委員 今、答弁にもありましたけれども、条例また実施方針によって、しっかりと東京都が関与していくということについては大変重要なことであると思いますので、この点については取り組みをしっかりとお願いしたいというふうに思っています。
 それから、このコンセッション方式でありますが、先ほど入江委員さんの質疑でもありましたが、平成二十三年度のPFI法の改正によって、以後さまざまな検討を重ねてきて、今回採用していくということになったということでありますが、先ほど申し上げましたように、都では初めての採用、活用ということになります。
 都以外のところでこのコンセッション方式による運営を行っている事例はあるのかどうかについて、お伺いしたいと思います。

○鈴木開設準備担当部長 内閣府のPFI推進室の公表資料によりますと、愛知県道路公社の道路事業がコンセッションで運営しておりまして、そのほかにも浜松市の下水道事業が平成三十年四月から、横浜市が新たに整備をしている展示場が平成三十二年四月から、それぞれコンセッションによる運営を開始する予定でございます。
 現在のところ、スポーツアリーナ施設へのコンセッションの導入事例はございませんで、有明アリーナが全国で初めてのケースとなります。
 なお、内閣府のPPP・PFI推進アクションプランでは、スポーツ施設や文化施設などの文教施設へのコンセッション導入を促進することとしておりまして、現在、複数のスポーツ施設においてコンセッションの導入可能性についての検討が進められていると聞いてございます。

○高倉委員 今、事例として三つほど挙げていただきましたけれども、答弁にもありましたように、スポーツアリーナ施設でのコンセッション方式の活用というのは、今回のこの有明アリーナが初めてであるというようなお話でありました。
 したがって、このスポーツ、あるいはアリーナ施設というところに、このコンセッション方式の導入を、今後さまざまな自治体においてしていくというようなことを踏まえた場合には、東京都が今回取り組む有明アリーナのコンセッション方式というものがまさに先例、事例として大変注目をされるというようなことであると思います。
 今後、この事業を、まさにスポーツ、あるいはアリーナ施設において全国でどういうふうに展開をされるのかということは、ちょっと私も想定ができませんけれども、今申し上げましたように、この東京都の有明アリーナが先例となるということについて、ご認識というんでしょうか、見解をまずお伺いしておきたいと思います。

○鈴木開設準備担当部長 スポーツアリーナ施設へのコンセッション導入は、先ほども申し上げましたとおり全国でも初めてとなるということでございまして、他自治体で事例のある道路や下水道などのインフラ施設とは異なりまして、施設運営に当たって市場ニーズへの的確な対応や他施設との競争性などが求められることになります。
 このため、有明アリーナでの導入に当たりましては、民間事業者へのヒアリングを積み重ねるとともに、PFI事業にノウハウを有するシンクタンクを活用しまして、専門的な知見を得ながら詳細な検討を進めてまいりました。
 具体的には、民間事業者とのヒアリングを積み重ねる中で、管理運営等の条件整理を行うとともに、PFI事業としての法制度や手続の確認や運営権対価等の考え方の整理、財産の取り扱いなどについて、専門的な観点からアドバイスを得てまいりました。
 有明アリーナは、スポーツアリーナ施設へのコンセッション導入の全国のモデルケースとなるものでございまして、これら専門家の知見も活用し、民間事業者とのヒアリングも踏まえながら、具体的な管理運営の条件を取りまとめるなど、円滑に事業を実施できるよう準備を進めてまいります。

○高倉委員 この有明アリーナが、本当に全国の、ある意味では先駆的な先例、事例になるということで、ぜひこのコンセッション方式が想定をしている、この仕組みのメリットが十分に東京都の有明アリーナで発揮をされるように、ぜひ取り組みをお願いしたいなと思っております。
 そして、このコンセッションでは、民間事業者による追加投資が可能であるというふうにお聞きをしているわけであります。この追加投資については、具体的にどういったものが考えられるのか、そして、それがどういう効果といったものを期待されるものなのか、この点について見解をお伺いしたいと思います。

○鈴木開設準備担当部長 コンセッションでは、長期にわたり施設の運営権を設定することにより、民間事業者が運営期間中に追加投資を回収しやすくするとともに、施設の運営権を担保として資金調達をすることが可能となります。
 このことにより、例えば最新の音響設備や舞台装置など、民間事業者の創意工夫やノウハウを発揮するための追加投資や改修工事が促進され、施設の魅力をさらに高めていくことが可能になると考えております。
 民間事業者とのヒアリングにおきましても、多くの事業者が大会後の運営開始前に追加投資を行うことを検討しており、コンセッションの導入によりまして、魅力ある施設としてさらなる利用者サービスの向上と収益の向上を図れるものと期待しております。

○高倉委員 この有明アリーナのコンセッションがスポーツ、またアリーナ施設としては全国でも初めての取り組みということであります。こうしたノウハウを持っている事業者というのは、この事業が、ある意味では初めてということを踏まえますと、どれだけの事業者がそうした適切なノウハウ等を持っているかどうか、このことについてはちょっとなかなか想定はしづらいわけでありますけれども、先ほどの質疑にもありました、事業者は限られるような感じもするわけでありますが、しかしながら、実はたくさんの事業者の方々からもいろいろと要請があるようであります。
 この事業者を選定するに当たっての公平性が確保されるのかについて、お伺いしたいと思います。

○鈴木開設準備担当部長 有明アリーナは都心に隣接する都内最大規模のアリーナ施設でありまして、大会のレガシーとして新たなスポーツ文化の拠点となる大きなポテンシャルを有しております。
 本年二月及び九月に実施をいたしました有明アリーナの管理運営に関する民間事業者とのヒアリングには、多数の事業者が応募し、多くの民間企業が有明アリーナの管理運営に関心を示しております。
 現在、ヒアリングにおける民間事業者の意見も踏まえまして、コンセッションによる施設運営の実施方針の策定を進めておりまして、事業者選定における参加資格を幅広く設定するなど、民間事業者の参加意欲を高め、事業者間の競争性を確保できるよう準備を進めております。

○高倉委員 都のスポーツ施設の多くで行われている指定管理者の制度、ここでは指定管理料を逆に都が支払って行っているわけであります。一方、コンセッション方式では、先ほども申し上げましたけれども、運営権者が運営権料を逆に都の方に支払うと、こういうようなことだと思います。
 したがって、この有明アリーナにおいて、コンセッション方式による収益性といったものがどうなるのかということは極めて重要なことであるというふうに思いますが、ただ、収益を上げるために、例えば利用料金までも高くしてしまうというようなことがあれば、これは公的な施設としての役割が果たせなくなるということでもあると思います。
 この公的施設としての利用料金といったものは、他の都のスポーツ施設同様に、いわば公的施設にふさわしい料金設定をしていくということが必要であると思いますけれども、この新しい方式による有明アリーナの収益性と、そしてその料金設定、この兼ね合いということについてどうお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。

○鈴木開設準備担当部長 有明アリーナにおきましては、競技団体やコンサートプロモーターへのヒアリング等をもとに、都が実現可能な収支を試算した結果、収入が約十二億四千五百万、支出が八億八千九百万円となりまして、収支は約三億五千六百万円の黒字を見込んでおります。
 利用料金につきましては、施設の利用状況等を勘案しまして、運営事業者が定めることとしておりますが、スポーツ利用につきましては、類似施設の利用料金等を踏まえまして、アマチュアスポーツ利用にも配慮した料金及び体系とするよう実施方針に定めることとしております。
 一方、収益性の高いコンサート等のイベント利用につきましては、都心に隣接する都内最大規模のアリーナというポテンシャルを生かしまして、有明アリーナに対する需要や類似施設との競争性なども勘案し、運営事業者が適切な利用料金を定めることとなります。
 コンセッションにより、民間事業者の創意工夫とノウハウを最大限生かした戦略的な運営を行うことにより、利用者サービスの向上と収益性の向上を目指してまいります。

○高倉委員 この運営権の対価ということについてですけれども、利益があった場合には、運営権者と都でもっていわば分配をするというお話が先ほどあったわけであります。
 一方、これはある意味では黒字を前提とした話でありまして、じゃあ赤字になったときは一体どうするんだということがあるんですね。黒字になったときには、ちゃんと利益の分配はいただきますが、赤字になったときは知りませんということなのかどうか、いわばさまざまな要件がこれから、想定もしていないような要件というか、そういう環境がもしかすると出てくるかもしれませんが、仮に赤字になってしまったとき、この場合に対応をどういうふうにしていくのかについて、お伺いしたいと思います。

○鈴木開設準備担当部長 運営権対価等は、運営期間中金額が変わらない固定部分と運営権者の利益に連動する変動部分とすることを考えておりますが、変動部分につきましては、運営により一定以上の収益が生じた場合、都と運営権者とで利益を分配するプロフィットシェアを導入いたします。分配の考え方につきましては、事業者選定に向けて、今後、最適な配分の仕組みを検討していくこととしているところでございます。
 また、お尋ねの施設の運営が赤字となった場合の対応でございますが、基本的には、運営権者の経営努力で改善を図るものでありまして、都が運営費を補填することは想定しておりません。
 こうしたリスクを回避するために、事業者の選定時に専門家を含めた選定委員会を設置し、事業計画の実現性や収支計画等について総合的に評価し、その中で運営権対価等の妥当性を判断していくこととしております。
 なお、運営事業者選定時点では予測し得なかった急激な社会情勢の変化等、施設運営に重大な影響を与える事由が生じた場合については、都と運営権者とで利用条件等に関する協議の機会を設け、対応を検討することを考えております。

○高倉委員 今、答弁をいただきましたけれども、運営の期間が非常に長いわけであります。その長い理由については先ほど質疑であったわけでありますけれども、長期にわたる運営期間の中でさまざまな課題、運営にかかわる問題が出てくるかもしれません。
 極端な例でいいますと、例えば災害なんかがありますと、これは多分、想定はしていないのかもしれませんけれども、運営にはとても大きな支障が生じる可能性だってあるわけですよね。そのことについてお聞きをするつもりはありませんけれども、しかし、この長い運営期間の中で運営権者が、いわばもう続けていくことができないような、仮にそういう事態も想定しておかなければならないというふうに思いますけれども、そういった運営上、大きな支障が出るようなことについて、都として適切な対応が可能なのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

○鈴木開設準備担当部長 PFI法に基づきまして、都は運営権者の運営について、都が定める業務要求水準を満たしているか、事業を継続的かつ安定的に実施できる財務状況となっているかを確認するため、モニタリングを継続的に実施いたします。
 その結果、都が必要と認める場合には運営権者に是正の指示を行い、一定期間内に是正策を提出し、実施することを求めていきます。仮に期間内に是正が認められない場合には、契約を解除することも可能となるよう、契約内容について弁護士等の専門的知見を得ながら詰めてまいります。
 具体的なモニタリングの実施方法につきましては、今後、運営権者の募集要項において明らかにしていく考えでございます。

○高倉委員 最後に、今の答弁を踏まえてご要望申し上げておきたいと思いますけれども、今、モニタリングのことについては、これから実施方針で検討していくというお話がありました。
 さまざまなやり方があるんだとは思いますけれども、単純に内部的なというんでしょうかね、そういう意味合いでのモニタリングということがあるかもしれませんが、できるだけそこには第三者の目が入るような形も十分に検討していただいて、そういう中でモニタリングがしっかり行われるようにしていただきたいと、このことを要望して、質問を終わりたいと思います。

○川松委員 有明アリーナについて幾つか質疑をさせていただきますが、これまで私も議会の場において、さまざまな角度から有明アリーナについて質問させていただきました。いよいよこの運営に関する条例についての質疑ということでありますが、きょうは、今までさまざまなところで議論されてこなかったような視点について、幾つか質問させていただきたいと思います。
 そもそも有明アリーナというのは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の招致が決まる、そういったあたりから建設が進んできた、私はオリンピックがあるからこそできる施設、そういうふうに捉えて今までさまざまなところで議論してきたわけです。これまでの間、オリンピック関係者、パラリンピック関係者、あるいはエンターテインメント業界の皆さん、そして、数多くのこのアリーナを取り巻く皆さん方が夢と希望を託した施設として、ここまで計画を進めてこられました。
 計画が浮上してから、スポーツの競技団体、あるいは都の職員の局の皆さん、そして私たち都議会のメンバーが、いろんなところで汗をかいて一つ一つ計画を重ねて今日に至ったと思っています。これまでの間を振り返りますと、特に床についての議論はさまざまな賛成、反対の意見の中で、局の皆さんが相当な苦労をされて、バレーボール協会とのやりとりを乗り越えて、この建設につながってまいりました。私も都議会の場で言及をしてきたわけであります。
 しかしながら、去年八月に知事に就任された小池都知事や、あるいは上山信一氏を中心とする都政改革本部五輪調査チームによって、この有明アリーナは政争の具とされ、一時期は建設計画自体が白紙になりそうな局面を乗り越えて、最終的にコンセッション方式という結論をもって実際の建設へと動き、きょうのこの条例を質疑するという日を迎えたのであります。
 この中で、まず初めに、有明アリーナの運営は特別目的会社、いわゆるSPCが行うとされているわけですけれども、なぜSPC、これだというふうに決めて設立をしなければならないのか、その理由を教えてください。

○鈴木開設準備担当部長 特別目的会社、いわゆるSPCは、実施契約で定められたPFI事業を実施するという目的に特化して設立される株式会社でございます。PFI事業では複数の企業がコンソーシアムを組成して事業者選定に応募しますが、各企業の経営状態の変化がPFI事業に影響を与えないよう、各構成企業が出資してPFI事業を実施するためのSPCを設立しまして、独立した経営を行うことが一般的でございます。
 有明アリーナにつきましても、長期にわたる運営を安定的に行い、継続してサービスを提供できるよう、SPCによる運営を前提としております。

○川松委員 ありがとうございます。この民間コンセッション方式というのが、突如として、さまざまなところで、シンクタンクだとかいろんなところで議論されてきましたけれども、東京都の方向性として出されたのは去年の末の段階で、小池知事から出されたものでありました。これは私からすると、あのとき三施設の見直しに合わせて、突然、あたかも何かをなしたかのように出された民間コンセッション方式導入に対して、ちょっと慎重にした方がいいんじゃないか、議論が不十分ではないか、従来の指定管理でよいのではないかということをさんざん申し上げてきました。
 今の答弁ですと、長期にわたる安定運営のためSPCを前提とする、そういった趣旨の東京都の考えを教えていただいたわけですけれども、そういう心配があるならば、民間に託すのではなくて、都が全ての責任を持って運営に携わればよいと私は思いますよ。
 ただ、一方で、二十五年間という規模の長い期間での契約というのはわかりますけれども、経済活動どうなるかわかりません。今の議論でもありましたが、天変地異もあるかもしれない、戦争もあるかもしれない、何があるかわからない中で、日々状況が変化するこの今日の中において、あすがどうなるか見えないのは当然であります。
 では、複数の事業者がグループ運営を行う場合と異なって、これは間違いないだろうという大きな事業者であれば、SPCを設立しなくても運営は可能ではないかと私は考えます。
 単独企業の応募でもなぜSPCを設立しなければならないのか、その理由を教えてください。

○鈴木開設準備担当部長 単独企業の場合におきましても、将来における有明アリーナのコンセッション事業以外の事業不振が原因で、有明アリーナにおいて提供するサービスの低下や事業が中断することを避けるため、独立性のあるSPCの設置を義務づけているものでございます。

○川松委員 独立性の確保というお考え、わかりました。もちろんこれは否定することではございません。
 次に、そのSPCに例えば都が出資するような第三セクターが参加することはルール上可能なんでしょうか。

○鈴木開設準備担当部長 都の監理団体は、都の行政運営を支援、補完する団体で、都の政策との連動性が高く、都の政策実現に向けた施策実施の現場を担う団体でございます。
 有明アリーナのコンセッション事業に応募するコンソーシアムに都の監理団体等が参加することは、コンセッション導入の目的と監理団体としての形態及び設立趣旨などに照らし合わせて、慎重に判断することが必要になると考えます。

○川松委員 ありがとうございます。都の政策に基づくのが第三セクターということでありますが、なぜこのことを聞いたかというと、私は、これはあらゆる可能性を排除しないでこの計画を進めていただきたいという思いからです。
 このたび、民間コンセッション方式が一年前に打ち上げられたときに、同時に小池知事から出されて名づけられたのは、有明レガシーエリアという哲学です。この哲学を踏まえると、あの有明地区には、さまざまな東京都の施設があります。それを運営している皆さん方と一緒に連携をすることで、私はレガシーエリアが充実するんじゃないかなという可能性も頭の中をよぎるわけです。
 本来は、この地域というのは、東京都の持つ臨海部の中でも比較的新しい埋立地である有明北地区であって、東京都の関係局や多くの皆さんが東京の繁栄の拠点をここからつくっていくんだということで夢を描かれて、そして計画を立ててきたエリアであります。決して有明レガシーエリアという言葉がなくても、この北地区を中心に東京は盛り上がっていくんだろうと、都市整備計画は進めてきたわけです。
 この考えの基本は、点から面ということで小池知事も触れてまいりました。有明アリーナ個体で考えるのではなくて、先ほどもいいましたけれども、東京都の大きな既施設があります。そして、これからも新しくオリンピックの競技場として出てくる施設もあります。そういった点と地区全体を見据えた上で、この地域は核になるわけです。有明アリーナを中心として、大きな繁栄をつくるために、私は三セクと、例えばノウハウを持っている民間企業とのコラボレーションというものも、ある面においては必要なんじゃないかなというふうに思っておりますので触れておきました。
 今現在では、どんな企業体が手を挙げ、そしてどんな提案をされてくるのか全くわかりませんが、最良の選択を皆さん方にはしていただきたいということを要望しておきます。
 先ほども話が出ていますが、これまでの都の施設ですと、指定管理制度というものが導入されてきましたけれども、ここで確認しておきます。
 大規模修繕における東京都とSPCの役割分担はどうなるのか、SPCは施設の維持管理にどこまでの責任を負うのか、例えば、お手洗いの蛇口などは誰が修理するのか、そういったことも含めて教えてください。

○鈴木開設準備担当部長 都は施設の所有者として、施設の建物及び設備の老朽化に対応し、劣化したものを初期の水準に回復させるための大規模修繕を行います。
 運営権者は日常の施設の維持管理を行い、都が行う建物設備等の大規模修繕以外の修繕業務を運営権者みずからの費用負担により行うこととなります。
 例えば、故障などによる個々の蛇口の修繕は、日常の維持管理の範囲内でございまして、運営権者の役割となりますが、給排水設備全体に及ぶ更新の場合は、都の役割になるものと考えております。
 今後、修繕等の具体的な役割分担につきましては、導入予定の設備機器などの内容を踏まえまして、募集要項等において考え方を示すこととしております。

○川松委員 このあたりもこれから手を挙げてくる企業体の皆さん方とは議論しておいていただきたいなと。大体、ここから先は東京都だろうとか、ここはうちだみたいな議論が、今すぐは起きないと思いますが、恐らく時間の経過とともに、十年後、十五年後とか、そういった議論が出てきたときに、しっかりとしたレギュレーションに基づいて、トラブルのないように準備を進めていっていただきたいと思います。
 さて、次に、これは私のこだわりのある点についてお聞きしますが、私は初当選以来、議会のさまざまな場面で主張してきたものの一つに、おむつ交換をするためのベビーベッドを男性トイレに一つでも多く設置していただきたいということをいってきました。
 これは自分自身の子育ての経験から、社会環境はまだまだ女性が子育てをするかのような前提でできており、男性がおむつ交換をする場合には、場所を見つけるだけでも大変だという意識のもとから、ここ数年間いい続けてきたわけですけれども、先ほども触れておりますように、有明アリーナは一人でも多くの方にここにお越しいただいて、そして、にぎわいをみんなで創出していきましょうという施設であります。
 そこで、男性も育児に参加できるような施設にするべきであると私は思いますが、有明アリーナでは、例えば、男性も乳幼児のおむつかえができる環境をしっかりと整備されているのか、それを教えていただきたいと思います。

○草野施設整備担当部長 都が新設いたします会場のトイレにつきましては、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインの基準を踏まえるとともに、アクセシビリティーワークショップでの意見なども参考に、ベビーチェア、ベビーベッドなどの機能を持ったトイレを子育て世帯が利用しやすいよう、施設内に分散して複数の箇所に設置することとしております。
 有明アリーナにおきましては、男性、女性の区別なく乳幼児のおむつがえができるよう、男女とも使用のできる共用の乳幼児対応トイレを一階に一カ所、二階に六カ所、三階に四カ所設置する設計としております。

○川松委員 ありがとうございます。男性でも女性でも快適におむつ交換ができるというのがわかりました。
 有明アリーナには、家族連れの皆さんにも、これからさまざまなスポーツのイベントにしろ、エンタメのイベントにしろ、来ていただきたいわけですね。お父さんかお母さんかどちらかが、ここは集中したいというときに、お子さんは時間を選ばないわけですから、ちゃんと手分けしてできる環境を整備していただいているということがわかりましたので、安心をいたしました。
 さて、次に、具体的な運営面について触れますが、二〇二〇年の大会後に行う工事終了後の運営権者の運営というのは、運営権者の運営が開始されるのは工事終了後となっているわけですけれども、都が行う工事費というのは、先日報告のありました有明アリーナに係る整備費三百五十七億円に全て含まれているのかということを、まずお聞きしたいと思います。

○草野施設整備担当部長 有明アリーナの整備に当たりましては、大会終了後に都が行う工事につきましても、先日のオリンピック・パラリンピック及びラグビーワールドカップ推進対策特別委員会でお示ししました整備費の範囲内で対応する予定でございまして、引き続き工事を進めていく中でコスト管理に努めてまいります。

○川松委員 ということは、今後、三百五十七という数字を有明アリーナの整備に関しては超えないということでありますが、視点を変えます。
 二〇二〇年の競技大会時に組織委員会は、セキュリティーフェンスを設置します。このフェンスの際やその外側は誰が整備するのか。例えば、フェンス外のアクセシビリティーの確保のために車椅子利用者が使用する車両の発着施設などを整備すると私は思いますけれども、これは誰が行うのか、そして、その費用は誰が負担するのか、今決まっていることを教えていただきたいと思います。

○鈴木開設準備担当部長 有明アリーナでは、大会後も使用する範囲は都が施工し、大会時に特別な対応が必要な箇所につきましては、組織委員会が仮設整備することとなっております。
 ご質問の大会時のセキュリティーフェンスについては、組織委員会が設置することとなり、整備費用については、本年五月の大枠合意に基づき、仮設インフラとして都が負担することとなります。
 また、観客のルートや車椅子利用者などのアクセシブルルートにつきましては、整備内容や整備主体などの詳細につきまして、個々の現場の状況に照らして、現在、都と組織委員会で調整をしているところでございます。

○川松委員 有明アリーナ、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会に係る費用というのは、今お話しになった点全て含まれて大会費用だと私は思います。二〇二〇年大会について、有明アリーナに関する費用がまだまだわからないなという面も私は感じているんです。それは周辺整備という点です。
 世界的にテロの脅威に備える中で、二〇二〇年、この夏は有明アリーナのPSAもしっかりと整備していかなければなりません。すると、PSAの外側は、有明アリーナの敷地ではないんです。でも、大会にかかわる費用が発生する可能性があるということです。
 何のことをいっているかというと、例えば道路の整備はどうするんですかと。これは道路だから建設局ですよとかという議論ではなくて、もしこれ仮に、あの地に有明アリーナができなければ、道路の整備もないわけです。オリンピックの大会のために有明アリーナができる。その大会の運営のために道路の整備も、アクセシビリティーの車椅子の利用だけではなくて、さまざまな、快適に皆さんが過ごすための整備というのが、もしかしたらあるかもしれない。いろんな区分があるかもしれませんけれども、広義の意味で、役所の皆さん方の論理ではなくて、広義の意味で、私は全てオリンピックの費用だと思っています。
 これからV2予算というのが出てきます。もちろんこれは、大会にかかわる費用として、はっきりと、はっきりと定義のできるもので、V2予算が出てきますが、大枠の中で、細かい部分も細かく削って、何か、いっときの削減成功みたいな政争の具にならないように、これからしていかなきゃいけないと思います。そこでアピールすると後でみんなが苦しむんです。有明アリーナの未来について傷を残すようなことはしていただきたくないと思うんですね。
 現在進行形の中で、大会費用の縮減努力というのは誰もが知っています。でも、その縮減努力というのが目の前のことではなくて、二十五年という契約の中で、有明アリーナの運営権者が決まり、二十年後、二十五年後に振り返ったときに、ああ、あの整備をしておいたからこんなに今繁栄につながっているよね--いろいろありますよ、中の設備だって、前の大会計画見直しのときに削った部分もあるんですから。
 本来は削らないで--何で削らないかといったら、これは東京の未来のための投資だから、私は削ってほしくないということを主張してきたんです。でも、さまざまな社会的環境の中で削った部分もある。
 ならばこそ、これ以上は、もうお金の面ではなくて、どう有明アリーナが二十年後、三十年後の東京の柱になっていくかという、一段階レベルを上げた議論を皆さん方と進めていきたいと思います。
 最後になりますが、大会中の運営で、いろんなことがあると思いますけれども、SPCは二〇二〇年競技大会とはどのようにかかわっていくのか、どのような対応をされるのか教えていただきたいと思います。

○鈴木開設準備担当部長 有明アリーナは、オリンピックのバレーボール競技、パラリンピックの車椅子バスケットボール競技の会場として利用されます。
 大会時の会場運営は基本的に大会組織委員会が行いまして、運営権者は施設の維持管理及び小規模な修繕と大会後のイベント等の誘致、予約管理を行うことを予定しております。
 大会中の施設の維持管理に当たりましては、運営権者は都の指示のもと組織委員会と連携し、大会の円滑な運営に協力することを実施方針に定めることとしております。

○川松委員 ありがとうございます。SPCは簡単にいえば、基本的な姿勢は今後の国際大会やエンタメ業界のコンサートへの貸し出しなどと同じ、組織委員会に貸し出すという考え方であると思います。
 アリーナは都の施設、運営はSPCということで、これ組織委員会とのやりとりはスムーズにいくと思いますが、このやりとりは、いろんな民間施設からお借りする大会の施設もあるわけで、組織委員会の皆さん方と東京都が協力し合って、例えば国技館だとか武道館、そういったところの調整もスピーディーかつ大胆に進めていくことを要望しておきます。
 一言触れるとするならば、この民間コンセッション方式は、ほかに例を見ないことですよと、いろんなところが注目してきますよと。でも、私は、ほかのところでその運営方法が参考になるような、まねできるような施設にはならないと思いますし、なってはいけないんだと思います。何度もいうように、有明アリーナというのは、首都東京で、この都心に近いこれだけの規模を持つアリーナで、立地条件からして全く違うんです。全く違うからこそ、私たちは安易に民間の運営にするのではなくて、都がやったとしてもさらに大きな利益を生み出す施設になるんじゃないかということを申し上げてきました。
 東京にマディソンスクエアガーデンをつくろうと。今までは世界の人がみんなマディソンスクエアガーデンを目指していたのが、いや、ここから先は有明アリーナだというような施設にしていくためには、私はほかの自治体だとかほかの道府県がまねできるような施設のような、ちょっとコンパクトにまとまったような運営ではなくて、とにかくダイナミックに東京の柱となる施設をつくっていただきたいと局の皆さん方に要望して、質問を終わりたいと思います。

○米倉委員 有明アリーナ管理運営事業、コンセッション方式実施方針概要案について伺います。
 まず、二〇二〇年東京五輪で建設する都の恒久施設はほかにもありますが、その中で有明アリーナだけコンセッション方式とした理由は何か、ほかの施設はなぜコンセッション方式としなかったのかを伺います。

○鈴木開設準備担当部長 有明アリーナは、東京の新たなスポーツ、文化の拠点となる施設でございまして、スポーツや文化に関する都民ニーズに応え、都民のスポーツ活動だけでなく、大規模な国際大会などの質の高いスポーツ観戦機会の提供や、民間のノウハウが不可欠なコンサート等エンターテインメントの場として、多様な活用を図ることとしております。
 こうした目的も踏まえまして、有明アリーナでは、民間の創意工夫を最大限に生かした施設運営を可能とするコンセッションによる運営を進めることとしております。
 一方、オリンピックアクアティクスセンター等の他の五施設は、さまざまな国際、国内のスポーツ大会の開催やアマチュアスポーツ団体の利用のほか、都民のスポーツ体験やレクリエーションでの利用など、都のスポーツ振興施策の拠点として活用することとし、指定管理者制度等による管理運営を検討しております。

○米倉委員 有明アリーナはコンセッションにして、ほかの施設は指定管理者にするということで、その理由については大変わかりにくい答弁でしたが、要するに、有明アリーナ以外は指定管理料を都が支払わないと採算がとれないから指定管理者制度、一方、有明アリーナは収益性が高く、黒字を出すことができるので、民間が自由に運営でき、より多くの利益を上げることができるコンセッション方式にしたということだと思います。
 昨年十二月のオリンピック・パラリンピック推進特別委員会では、コンセッション方式を活用しなくても都立施設のままで収支黒字三・五億円という答弁もありました。
 一方で、大規模修繕を入れると赤字になるとの新聞報道もありましたが、今回の実施方針では、大規模修繕は東京都が行うこととなっています。
 都民の貴重な税金を投入して建設した施設をコンセッション方式で民間に長期に運営権を売り、都民にはどんなメリットがあるんでしょうか。有明アリーナの建設については、五輪経費削減のため、一度は建設について見直しの対象となりました。その後、改めて有明アリーナの建設を決定したわけですから、経費削減が大きな課題となっているはずです。それは建設費だけの話ではないはずです。
 十二月の委員会で我が党のとくとめ委員の質問に、都は、今後、民間事業者の意向も把握しながら都民負担を軽減できる、そういう方式について検討していきたいというふうに考えていると答弁をされています。
 そこで伺いますが、建設費や大規模修繕費をどれだけ回収できるんでしょうか。

○鈴木開設準備担当部長 運営権者は、都に運営権対価を支払うこととなりますが、運営権対価の額は、来年の事業者公募の際に応募事業者から提案されまして、事業者選定における重要な評価項目の一つとなります。
 今後、運営権者の公募に多くの事業者に参加いただけるよう、民間事業者ヒアリングでの意見も参考にして募集の条件を検討するなど、参加意欲を高め、競争性を確保し、都民利益を最大化できるように努めてまいります。
 なお、有明アリーナは、東京の新たなスポーツ、文化の拠点とするとともに、周辺施設等との連携により地域全体を活性化し、にぎわいをもたらす施設とするものでございまして、その整備費や大規模改修費は、都民にとって価値あるレガシーを創出するための投資としての意味合いを持つと考えてございます。

○米倉委員 運営権対価の額は、事業者選定における重要な評価項目の一つとしながらも、整備費や大規模改修費については、これはレガシーを創出するための投資だと、つまり回収するつもりはないという答弁でした。
 都立施設として運営しても黒字となる施設をあえて民間事業者に二十五年もの長期契約で、自由度の高い運営が可能となるよう民間に運営権を売るコンセッション方式というのは、都民の利益より民間事業者の利益を優先しているといわざるを得ません。
 それでは、有明アリーナの運営権者となる民間事業者の収支がどうなるのか伺いたいと思います。
 実施方針概要案を読みますと、運営権者が支払う運営権対価について、運営期間中金額が原則変わらない固定部分と、運営権者の利益に連動する変動部分から成るとされています。九月のオリ特での答弁では、具体的な金額は公募において民間事業者の提案を求める、変動部分の金額は利益の一定割合など、さまざまな方法が考えられるが、詳細については事業者公募に向けて検討するとのことでした。
 運営権者の利益に連動する変動部分とは、想定以上にもうけた場合、都に入る対価がふえる、想定以上にもうけがなかった場合、都への支払いが減るということでしょうか。

○鈴木開設準備担当部長 変動部分につきましては、毎年の利益に応じて、それを都と運営権者とで分配するプロフィットシェアの導入を検討しております。分配の考え方につきましては、事業者選定に向けて、今後、最適な配分の仕組みを検討してまいります。
 収益が想定を下回った場合は、基本的には運営権者の経営努力で改善を図るものであり、運営権対価の固定部分を減額することは想定してございません。
 運営権対価等を安定的に確保できるよう、事業者の選定時に専門家を含めた選定委員会を設置し、事業計画の実現性や収支計画等について総合的に評価して、その中で運営権対価等の妥当性を判断していくこととしております。

○米倉委員 運営権対価の固定部分を減額することは想定していないというのは当たり前の話で、質問とご答弁がかみ合っていないのですが、では、確認をしたいのですが、運営権対価の固定部分の最低ラインは何を基準に決めるのでしょうか、伺います。

○鈴木開設準備担当部長 運営権対価の固定部分につきましては、今後、実施方針等に定める方針に基づきまして、民間事業者の方から提案があるものというふうに考えてございます。

○米倉委員 つまり、今のご答弁ですと、固定部分についても都としての基準はないということだと思います。運営権対価を安定的に確保できるように決めるということは、最初からこの固定部分を相当低く抑えて設定するということにつながるのではないですか。そもそも普通財産を民間に貸し付けた場合、自由な事業活動は可能ですが、独立採算が基本です。
 コンセッション方式もこの部分は一緒ですが、例えば味の素スタジアムの場合は、施設の賃借料が生じて、都の監理団体でなければ減免制度がないので、民間では経営が厳しいというお話でした。しかし、コンセッション方式の場合は、賃借料は必要なく、運営権の金額は賃借料のように相場はありませんから、話し合いで決めるしかないわけです。
 この考え方も今回の実施方針で示すことなく、今後検討だということで、そうなりますと、私たち都議会としてチェックする機能を果たすこともできません。
 次に、事業の目的について伺います。
 有明アリーナは都立施設ではなく、都の普通財産という扱いになっています。東京二〇二〇大会後の施設運営の考え方が事業の目的に示されていますが、国際大会などの質の高いスポーツ観戦機会を提供し、スポーツムーブメントを創出、コンサート等のイベントの開催による文化の発信と書いてあります。
 観戦機会の提供というのは、スポーツの一側面の提供にすぎませんし、スポーツムーブメントというのも曖昧な言葉です。これでは都民のスポーツの振興の立場がわかりません。スポーツムーブメントの創出とは、具体的にはどういうことなのかを伺います。

○鈴木開設準備担当部長 有明アリーナは、東京二〇二〇大会のレガシーとして、東京の新たなスポーツと文化の拠点となる施設でございます。スポーツにつきましては、大規模スポーツ大会を年間十大会開催することを目標とし、都民に見るスポーツの機会を提供し、スポーツに対する都民、国民の関心を高めてまいります。
 また、メーンアリーナでは、スポーツ利用期間を少なくとも年間二カ月程度設定し、各種競技大会などで利用していくことを想定しております。
 サブアリーナでは、アマチュアスポーツ大会の開催や練習利用などの活用が可能でございまして、ジム、スタジオは日常的なスポーツ活動の場として運営することを考えております。
 このように有明アリーナ全体として、文化の発信とともに都民のスポーツ振興を促進していくことを考えております。

○米倉委員 今ご答弁の最後に、有明アリーナ全体として、都民のスポーツ振興を促進というご答弁がありました。そうであるならば、事業の目的、施設運営の考え方に都民のスポーツ振興の促進等の記載をすべきだと思います。いかがですか。

○鈴木開設準備担当部長 実施方針の概要等にも記載しておりますけれども、有明アリーナにつきましては、スポーツと文化の拠点であるということで記載をしてございます。

○米倉委員 スポーツと文化の拠点となる施設だというお話なんですが、有明アリーナで都民がスポーツを楽しむことができるのかと。アマチュアの団体がバレーボールを初めとした大会開催や日常的な練習に使えるようになっているのかと。
 また、車椅子バスケを初めとした障害者スポーツ団体は拠点となる会場がないということで、競技用の車椅子などの保管場所がなくて困っていらっしゃいます。こうした障害者スポーツの振興にも役立つような施設になってほしいと思うんですね。
 都立施設として運営をしても三・五億円も黒字になるとされている施設を、都立施設とせず民間事業者に長期にわたって運営権を売るということで、民間事業者は自由に運営をしてもうけることはできますが、都民のスポーツの振興については、事業の目的にすら明記されていないと。今もはっきり明記するとご答弁ありませんでした。これは問題だと思います。しっかり目的に明記するべきだと申し上げておきます。
 次に、具体的な管理運営についての考え方を伺います。
 二十五年もの長期にわたって、一つの民間事業者に施設運営を委ねるわけですから、当然、都としてきちんと運営されているかチェックすることが必要です。都は、運営権者が実施契約に定められた業務を確実に遂行し、都が求める要求水準が達成されているかを確認するため、業務の実績評価を継続的に行うとしていますが、具体的にはどのような状況をチェックするのでしょうか。
 また、運営権者による運営開始から一定期間経過後に都と運営権者は管理運営に関する条件等に関する協議の機会を設けることを検討とありますけれども、具体的にはどういう内容で協議することを想定しているのか。検討ということは、行わない場合もあるということなのかを伺います。

○鈴木開設準備担当部長 二つの点についてご質問をいただきましたが、まず一点目の業務の実績評価についてでございますが、都は、運営権者が実施契約に定められた業務を確実に遂行し、都が定める要求水準を達成しているかを確認するため、業務内容の評価を継続的に行うモニタリング制度を導入することとしております。
 具体的には、適切に事業が実施されているかを確認するために、施設の利用状況や維持管理の状況等を確認し、さらに、事業の継続性や安定性を確認するために、運営権者の営業収益や資金繰り等の財務状況などを確認いたします。
 次に、二点目の管理運営の条件等に関する協議についてでございますが、運営開始から一定期間経過後に、都が必要と認める場合、利用条件等に関する協議の機会を設けることを考えております。
 協議事項の詳細等については、今後募集要項等において示す予定でございます。

○米倉委員 継続的なモニタリング制度とは、施設の利用状況や資金繰りなど、財務状況の確認だけだということです。利用条件等に関する協議の機会は考えていると、検討しているということで、そもそも設けるかどうかもわからないということでした。
 二十五年の間には社会状況も変わるでしょうし、これでは都民や議会の意見を運営に反映させることができません。少なくとも定期的に協議の場をつくることが必要だと思います。
 伺いたいんですけれども、この定期的な協議の場というものは、つくるということにすべきだと思いますが、伺います。

○鈴木開設準備担当部長 協議の場についてでございますけれども、先ほども申し上げましたが、運営開始から一定期間経過後に、都が必要と認める場合、利用条件等に関する協議の機会を設けることを考えております。
 協議事項の詳細等につきましては、今後募集要項等において示してまいりたいというふうに考えてございます。

○米倉委員 都民利用などが保障され、また都民や議会の意見を反映していくということを考えたときに、やはり定期的な協議の場というのは必要で、初めから定めておくべきだと申し上げておきます。
 次に、都や議会の関与、都民の利益に反する運営があった場合の是正の勧告などはどうなっているのか伺います。

○鈴木開設準備担当部長 有明アリーナは、コンセッションにより民間事業者のノウハウや創意工夫を生かした柔軟な運営によりまして、都民サービスや収益性の向上を図り、最少の経費で都民ニーズに的確に応え、都民利用の最大化を目指していくこととしており、運営権者には実施方針や要求水準等において都民利益に反する運営がないよう、公正な運営を求めてまいります。
 毎年度の運営の中で、運営権者の業務内容や財務状況等についてモニタリングを行い、その結果、著しく公正さを欠く利用があった場合など、都が必要と認める場合には、運営権者に是正の指示を行い、一定期間内に是正策の提出、実施を求めるなど、施設の管理運営を適切にチェックしてまいります。
 また、モニタリング結果については、その概要を公表し、施設運営の状況を明らかにしていくこととしております。

○米倉委員 都や議会の関与についてのご答弁はありませんでしたが、議会の関与という点では、今回と二〇一九年三月に予定されているという運営権設定にかかわる議会議決だけとなっています。
 また、是正の指示を行っても、一定期間内に是正されない場合は契約を解除する可能性もあるというご答弁でした。契約を結ぶときには、契約解除についても取り決めを行うのは当然です。しかし、実際に施設を運営している事業者に対して、契約を解除するということは相当の理由がなければできません。そういう意味でも、実効性のあるものになるか疑問です。
 次に、都民のスポーツ利用に関して伺います。
 都が示している管理運営に関する条件は、メーンアリーナのスポーツ利用を年間通算二カ月程度としていますが、この理由について伺います。また、木製床の設置、撤去費は数百万かかると聞きますが、この費用については、少なくともアマチュア団体からは取らないと確認できるのでしょうか。

○鈴木開設準備担当部長 有明アリーナのメーンアリーナは、大規模なスポーツ大会やコンサートを初めとしたイベント開催など多目的な活用を図るため、目的に応じた転換が容易なコンクリート床としておりまして、スポーツ利用時には必要に応じて仮設の木製床を設置することとなります。
 メーンアリーナでは、スポーツ大会等の開催に配慮し、民間事業者へのヒアリングや施設経営に与える影響等も踏まえまして、少なくとも年間通算二カ月程度のスポーツ利用期間を設けることとしております。
 スポーツ利用期間につきましては、仮設の木製床の設置、撤去に係る費用は、原則として運営権者の負担とすることを想定しておりますが、詳細につきましては、入場料収入の有無やプロ、アマチュアの区分等を勘案して検討してまいります。

○米倉委員 メーンアリーナのスポーツ利用の期間は、スポーツ大会等の開催や経営などを踏まえて設定したということですが、年間通算二カ月というのは、これはいつの時期に設定されるかも、また、毎年同じ時期にスポーツ期間が設定されるかもわからない。さらに、二カ月まとまったものなのか、細切れなのかも運営権者が設定するもので、何も条件がないということです。
 メーンアリーナは、例えば、都民のスポーツ団体がバレーや卓球などの都大会を行うのにちょうどいい規模ですが、そもそもコンクリート床にしてしまえば、木材床が設置されていない期間には、都民のこうした大会が行えないことは明らかです。都民のスポーツ利用は二の次だというのが実態だと思います。
 サブアリーナのスポーツ利用についても伺います。
 サブアリーナのスポーツ利用について、九月に示された基本的考え方で、都民のスポーツ利用に配慮するものとするとしか書かれていないことについて、九月の我が党のオリンピック特別委員会での質疑で、実施方針や要求水準においても定めていくとご答弁がありました。
 しかし、今回示された実施方針案でも、都民のスポーツ利用に配慮するものとするとしか書かれておりません。具体的にはどうするのか伺います。

○鈴木開設準備担当部長 本年九月二十一日の特別委員会では、サブアリーナにおける都民のスポーツ利用への配慮については、基本的考え方にも位置づけており、今後、実施方針や要求水準においても定めていく旨をお答えしており、実施方針概要案にスポーツ利用に配慮すると明記したところでございます。
 サブアリーナは木製床であり、都民利用にも適した大きさであることなどから、都民のスポーツ利用も想定しておりますが、メーンアリーナでの大規模スポーツ大会やイベント等の際に一体的に利用されるケースも想定されることから、施設全体の利用状況を踏まえながら、都民のスポーツ利用に最大限配慮するよう記載しているものでございます。
 運営権者となる事業者には、都民のスポーツ利用に十分配慮するよう求めてまいります。

○米倉委員 サブアリーナは、都民のスポーツ利用も想定しているといいますが、メーンアリーナで大きなスポーツ大会を行えば、サブアリーナは練習場所などとして大会と一緒に利用されますし、コンサートなどのイベントでもバックヤードとして使われるケースもあると説明を受けました。
 そうなれば、サブアリーナについてきちんと都民がスポーツ利用できるような条件を明確に設定するなどして保障しなければ、都民がちゃんと使えるかわからないということではないんですか。そもそも都民の、特にアマチュアのスポーツの利用の場合、施設の利用料金も高くするわけにはいきません。
 民間に施設管理を任せれば、収益を考えたら都民利用よりも民間のスポーツスクールやイベント等で施設を使ってもらう方が管理者の利益も上がるわけです。都民利用を配慮するというレベルではなく、優先的に保障していくことをきちんと明記して管理者を募集するのは、最低限都がやるべきことだと思います。
 有明アリーナは土地代を含めますと五百二十億円もの多額の都民の税金を投入して建設しています。こうした施設で都民の利用が保障されるかということが管理者の運営次第になるということは、どう考えてもおかしい話だと思います。
 サブアリーナの都民利用についても、実施方針案に都民利用を優先的に保障するよう条件を明確に定めるべきです。
 組織委員会は、ことし七月に発表しましたアクション&レガシープラン二〇一七でも、誰もが身近な地域でスポーツをする、見る、支えることのできる環境を整えることにより、スポーツ参画人口の拡大を掲げています。
 こうした趣旨からしましても、都民のスポーツ利用は確保されるよう、最低限の条件を定めるべきです。実施方針案に今からでも追記すべきだと申し上げておきます。
 利用料金についても伺います。
 利用料金については、条例でも実施方針でも曖昧な記載しかありませんが、国のガイドラインでは、実施方針で適切な利用料金の上限、幅などについて規定することとされています。
 今回の実施方針案で料金の上限などを決めないのはどういった理由があるんでしょうか。また、ガイドラインには利用料金を変更する場合の記載もありますが、都の実施方針案には記載がありません。料金変更についての取り決めはないのか伺います。

○鈴木開設準備担当部長 まず、一点目のご質問でございますが、コンセッションに関する内閣府のガイドラインは、国以外の者がPFI事業を実施する際の参考として示されているものでございますが、これまでコンセッションが導入された事業は、主に空港事業や道路事業などインフラ関係が中心でありました。
 一方、スポーツアリーナ施設へのコンセッションの導入につきましては、これまで国内に実績がなく、有明アリーナの利用料金の検討に際しましては、運営権者において市場ニーズへの柔軟な対応や競争性、収益性の確保などが強く求められます。
 次に、利用料金に関するご質問でございますが、有明アリーナの利用料金は、スポーツやコンサート等での施設の利用状況を勘案して、運営権者が適正な額を定めるものでございます。コンサート等のイベント利用につきましては、有明アリーナに対する需要や類似施設との競争性などを勘案し、運営事業者が柔軟に適切な料金を定めることとなります。
 また、スポーツ利用につきましては、類似施設の利用料金等も踏まえまして、アマチュアスポーツ利用にも配慮した料金及び体系とするよう実施方針に定めてまいります。

○米倉委員 スポーツ利用についての利用料金は、類似施設の利用料金も踏まえるということですが、ちょっとこれについて確認をしたいのですが、これは公共の施設を類似施設として考えているという理解でいいでしょうか。
 もう一点確認したいのですが、アマチュアスポーツ利用に配慮した料金とするよう実施方針に定めるということですが、利用料金の上限は定めないんでしょうか。

○鈴木開設準備担当部長 まず、第一点目のご質問でございますが、類似施設につきましては、公共の施設に加えまして、民間のジム、スタジオも広く都民に利用されておりまして、これらを含むものでございます。
 こうした類似施設の利用料金等を踏まえまして、都民の日常的な運動の場として広く都民が利用できる料金を運営権者が定めることとなります。
 二点目の上限についてのお尋ねでございますが、利用料金につきましては、運営権者におきまして、その収益性、それから他の施設との競争性などを勘案いたしまして決める必要がございます。
 今のところ、上限等を定める予定ではございません。

○米倉委員 先ほどのご答弁で、アマチュアスポーツ利用に配慮した料金にすると説明がありましたが、しかし、詳しく伺いますと、結局、利用料金の上限も定めずに、民間の運営権者に丸投げするわけです。利用料金が高くなり、一般の都民が利用しにくい状況が生まれないような制限も都は設けないということは、本当に問題だと思います。
 ジム、スタジオの料金についても確認をしたいと思います。
 実施方針案では、これについても類似施設の利用料金等を踏まえ、広く都民が利用できる料金とするとありますが、これは具体的にどういうことなのか、類似施設とは他の区立施設や都立施設の公共施設という理解でいいのか、伺います。

○鈴木開設準備担当部長 先ほども少し触れさせていただきましたが、公共施設に加えまして、民間のジム、スタジオも広く都民に利用されておりますので、類似施設とは、これらも全て含むものでございます。
 こうした類似施設の料金等を踏まえまして、都民の日常的な運動の場として、広く都民が利用できる料金を運営権者が定めることとなります。

○米倉委員 有明アリーナの近くにあります江東区立の有明スポーツセンターの利用料金を見てみましたが、例えば、体育館、トレーニング室は、一般利用ですと一日三、四時間の利用で四百円、トレーニング室を一カ月利用する場合は三千円で、民間ジムと比べても安い料金に設定されています。
 先ほどのご答弁では、民間のジムも多くの都民利用があるから、利用料金としては民間施設も踏まえた料金にするということでしたが、そうしますと、有明アリーナのジムの利用者は確保されるかもしれませんが、広く都民が利用できるということを保障するものになるかはわかりません。
 都税を投入してつくる施設ですから、都民が利用しやすい料金に設定するよう、これについても少なくとも料金の上限を定めるべきだと申し上げておきたいと思います。
 災害時などの対応についても伺います。
 実施方針案では、施設の運営中に想定されるさまざまなリスクについて、民間事業者と都の責任分担を今後定めるとしています。実施方針案で予想されるリスクの不可抗力リスクとしては、戦争、暴動、天災などが記載されています。
 これに関連して、例えば東日本大震災のときに、味の素スタジアムを避難者の受け入れ先としたように、有明アリーナも東京都の判断により、そうした利用を優先することは可能なのか伺います。

○鈴木開設準備担当部長 有明アリーナは、都が所有する施設として、大規模災害等が発生した場合には、帰宅困難者の一時滞在施設など、緊急使用することを想定しており、災害時の対応について、施設の管理運営に関する要求水準書や実施契約書等に定める予定でございます。

○米倉委員 有明アリーナは、災害時には緊急使用を想定しているということを確認しました。
 最後になりますが、募集及び選定方法の詳細等については、今後、募集要項等において示すとされていますが、有明アリーナの整備及び後利用の検討について助言を行った支援事業者である株式会社東京ドームは、運営権者として応募する資格があるのか伺います。

○鈴木開設準備担当部長 施設運営計画策定支援事業者であっても、運営権者の公募の参加資格要件を満たす場合は応募することができます。
 なお、支援事業者であったことをもって、有利な扱いを受けることはございません。

○米倉委員 支援事業者であっても有利な扱いを受けることはないというご答弁でしたが、有明アリーナの整備や後利用について助言を行ってきたわけですから、東京都とさまざまな意見交換もしているわけで、応募をすることができれば、それは他の事業者に比べ有利になることは明らかです。事業者の選定も本当に公平、公正な仕組みを担保できているのか疑問を感じます。
 さまざまな角度から有明アリーナ管理運営事業の実施方針案について伺ってきましたが、質疑を通して、コンセッション方式をとることで経費が削減できるということではないこと、民間事業者にとっては必要な設備投資や賃借料も不要、大規模改修費も負担することなく収益を上げることができる事業であることが明らかになりました。
 また、有明アリーナは、都の条例上の位置づけが体育施設でも文化施設でもない、そもそも都立施設でないために、都民の貴重な税金で建設される施設であるにもかかわらず、事業の目的に都民のスポーツ振興の促進ということさえ明記されないなど、問題も指摘をさせていただきました。
 都民スポーツに配慮するとされたサブアリーナも、優先的に都民がスポーツ施設として使えるのかもわからない、利用料金についてもわからない、国のガイドラインにもある利用料金の上限や幅すらも定めない、料金変更の条件も定めない、具体的なことは何も決まっていないことが明らかになりました。
 そして、都民や都議会のチェック機能も働かないし、都のチェックですら全く不十分だと。少なくともこの議会に明確に示せることはないということも明らかになりました。
 我が党は、有明アリーナの管理運営方法については、東京都体育施設条例に基づく都立施設として位置づけるべきだと繰り返し主張をしてまいりました。今回の質疑を通しても、都立施設でないために都民のスポーツ施設としての使用が大変危ういということがはっきりしましたので、この条例には賛成できません。このことを申し上げ、質問を終わります。
   〔鈴木大会施設部長発言を求む〕
   〔米倉委員「求めていません」と呼ぶ〕

○鈴木大会施設部長 先ほど事業者選定の公平性についてのお話がございました。
 これまで多くの民間事業者が参加したヒアリングを積み重ねまして、幅広い事業者から意見を聞きながら、コンセッションの事業スキームをつくり上げてきておりまして、この運営権者の選定において、特定の事業者が有利になることはないと考えております。
 また、このコンセッションの導入の目的でございますが、施設の収支、その云々ではございません。その施設のやはり性格、それが最も重要なところでございます。
 この有明アリーナにつきましては、東京の新たなスポーツ、文化の発信拠点とするという施設の目的を担保しつつ、このコンセッションにより民間の力を最大限活用いたしまして、この施設のポテンシャルを引き出して、さまざまなスポーツや文化イベント、こういったレガシーを残していく、そういったアリーナとしていくために、このコンセッションを導入していくこととしているものでございます。

○米倉委員 今、支援事業者であっても有利にならないというご答弁を受けましたけれども、客観的に東京都が何を求めているのかということがわかる状況で応募するわけですから、どう考えたって有利なわけです。やっぱりこれは本当に疑問を感じるといわざるを得ません。
 施設の性格につきましても、文化とスポーツの拠点だというお話がありましたが、じゃあ都民のスポーツの振興に本当に役に立つのかと。私は明記すべきだと求めましたが、それについてはご答弁がありませんでした。
 スポーツを見るということは否定をしませんが、スポーツ施設、実際にバレーをやるだとか、そういう施設を確保してほしいという都民の声がある中で、そういうことが確保されない、五百二十億円も税金をかけて、そういうことをきちんと明記もしないで民間に二十五年渡すということは、無責任だといわざるを得ません。このことを申し上げて、質問とさせていただきます。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長
先ほど来、るるご質問いただいておりましたが、冒頭申し上げているとおり、本施設につきましては、スポーツ施設、それから文化施設、両面あるわけでございます。いっときはご案内のとおり、文化施設、あるいはコンサート会場がないですとか、さまざまな問題が東京においては議論されてきたわけでございます。そうしたことも当施設においては、立地条件、あるいは大きさ等含めて利便性の高い施設ということで、これらについても都民のしっかりとしたニーズがあるというのが一点でございます。
 それから、さらに申しますと、お話のとおり貴重な税金をちゃんと必要最低限の支出でもって管理運営をしていかないといけないというところでございます。そういった中で、当施設については、民間のノウハウを活用することにより、そこの部分をより低減をして、都民の税金を無駄にしないよう運営をしていきたいという趣旨でやっていくものでございまして、その点をご理解いただきたいと思っております。

○米倉委員 もうそろそろ終わりにしたいと思うんですけれども、文化について私は否定はしていませんが、ただ、例えばサブアリーナは都民の利用ができると、条件があるということを都も認めているわけで、実際そうだと思います。
 そうしたところで、実際に都民が優先的に使えるような基準が設けられていないですとか、税金を無駄にしないということは非常に重要だと思いますが、では、この方針の部分について、固定の価格の部分についても、都は最低ラインも示していないということは、やっぱり問題だと思います。こういうところをきちんと受けとめていただきたいと最後に申し上げて、質問とさせていただきます。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上でオリンピック・パラリンピック準備局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十七分休憩

   午後三時十六分開議

○里吉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより生活文化局関係に入ります。
 報告事項、東京都消費生活基本計画(素案)についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○斉藤委員 私からは、東京都消費生活基本計画素案から、主にエシカル消費の理念普及や、仮想通貨対策、高齢者見守り支援、悪質事業者取り締まりについて質問させていただきます。
 まず、エシカル消費の理念普及についてです。
 エシカル消費の認知は、若者の間で知っているのは六・一%にとどまり、七九・七%が知らないと答えており、東京都の取り組みとしても、若者が集まるイベントなどにおけるエシカル消費の認知の向上を行っていくということです。
 SMBCコンシューマーファイナンス株式会社が二〇一六年六月に行った二十代のオフの過ごし方に関する調査によると、休日に外で過ごすのが多い派が三八・二%に対して、自宅で過ごすのが多い派が六一・八%、外出して仲間と満喫する、いわゆるリア充タイプは四人に一人であるという結果が出ております。
 また、オフに何をして過ごすことが多いかという質問には、七四・一%がインターネット閲覧で一位、四二・四%が動画共有サイト閲覧で二位、インターネットの交流も二九%と上位で、さらに休日によく使うスマホアプリは、一位の四四・六%がSNSアプリという回答でした。
 情報入手方法は、SNS上の広告なども多く、情報端末を所有している人の九四・二%がSNSに登録し、LINE登録者は八七・九%、ツイッターが六八・七%、フェイスブックが五二・二%ということです。
 この結果から見ても、若者たちにとっては、ふだんイベントに実際足を運ぶことに加えて、スマホやタブレットで情報収集をする習慣が多いことから、SNSでの情報発信を強化することはいかがでしょうか、都の見解を伺います。

○三木消費生活部長 都が実施した若者の消費者被害に関する調査によると、若者はスマートフォンなどによるウエブサイトの閲覧や、SNSによる情報収集の傾向が強いことから、コンテンツの充実はもとより、SNSを活用した情報発信の取り組みが効果的であると考えております。
 エシカル消費の普及啓発に当たっては、次代を担う若者世代への普及啓発に取り組むことが重要であることから、若者が集まるイベントでの普及啓発を行うことに加えて、暮らしにかかわる情報サイト、東京くらしWEB上に、エシカル消費に関する特設ページを作成するほか、若者に対して、ツイッター、フェイスブックを活用するとともに、LINEの有効活用についても検討してまいります。

○斉藤委員 LINEの有効活用についても検討いただけるという前向きな答弁ありがとうございます。
 LINEは東京都で一つのアカウントしか取得できないということですので、ぜひ生活文化局の広報広聴部が東京都のアカウント取得に向けて、全局に先駆けて動いていただきたいと思っております。
 渋谷区などでは、利用者の知りたい行政サービスをあらかじめ幾つか選択しておけば、それに関する内容が知らされてくるという情報の簡単な受け取りが日々行われていると伺っています。
 また、ほかの自治体では、エシカル消費の啓発のリーフレットの文書作成を民間団体に発注し、フェアトレードラベルやマークつき商品の情報提供も行っているといいます。
 理解の啓発に加え、具体的なエシカル消費推進につながる取り組みを、ぜひ実現をお願いしまして、次の質問に移ります。
 フィンテックの発展に伴う消費問題対応についてです。
 ことし六月に閣議決定をされた未来投資戦略二〇一七によると、現状では、中小企業のIT化もまだまだ道半ばで、現金決済普及率が高い我が国においても、今後十年間でキャッシュレス決済比率を倍増し四割以上とすることを目指すとされています。
 中国で爆発的に普及しているウイチャットペイの利用やLINEペイの登録も国内ではまだ限定的ではありますが、今後モバイル決済は国内でも大きく普及していくであろうと予想されています。
 またさらに、ことし四月には、資金決済に関する法律が改正され、仮想通貨に関する制度が整備されたことで、今後は仮想通貨の普及も予想されますが、値動きの大きい仮想通貨は、現状は決済システムというよりは、投資手段として選ばれる傾向にあるということです。
 ただ、先日も、仮想通貨の採掘やマイニング能力の売買ができる、マイニングプールサイト、ナイスハッシュでは、セキュリティー侵害により支払いシステムが乗っ取られ、ユーザーのビットコインが約七十六億円分盗まれたという事件が起きました。
 また、中国では、九月四日に仮想通貨の新規公開、ICO、いわゆるイニシャル・コイン・オファリングを金融詐欺に当たるとして全面禁止をしたことで、一時仮想通貨全体の時価総額が二兆円以上下落するという影響が出ています。同じく九月二十九日に韓国でもICOは禁止されるということが発表されました。
 一方、日本では、金融庁が十月十二日に仮想通貨取引所十一社を認可し、一気に中国マネーと韓国マネーが日本になだれ込むことが予想されると、海外投資家が日本に非常に関心を持つようになっております。
 二十七日にICOについて利用者及び事業者に対する注意喚起は発表されたものの、二十五日に金融庁から発表されたことしの金融レポートによると、金融業界の保護よりも、顧客の利益や利便性の向上を目的とした金融サービスのイノベーションが優先されるということが明確になりました。
 世界的に見て今、日本は仮想通貨先進国となっていることがわかりますが、一方で、注意喚起の中では、ICOの九九%は詐欺だという評価もあり、このように、今後フィンテックの進展により、新たな消費生活トラブルが発生するおそれがありますが、東京都の現状の取り組みと今後の対応はどのようになっておりますか。

○三木消費生活部長 本年四月の法改正により、国内で仮想通貨と法定通貨との交換サービスを行う事業者に対し国への登録義務が課されるなど、制度が整備されたことで、今後、仮想通貨の普及が予想されます。
 こうしたフィンテックの進展により、仮想通貨に便乗した詐欺まがいの投資話など、新たな消費生活トラブルが発生しており、都としても積極的に取り組んでいく必要があると認識しております。
 消費生活総合センターでは、消費生活情報誌東京くらしねっとにおいて、仮想通貨に関する情報や制度の内容について取り上げているほか、相談事例の紹介やトラブルに巻き込まれないための注意喚起情報なども提供しております。
 また、仮想通貨などの相談に適切に対応するため、東京都・区市町村相談担当職員研修において、資金決済法の基礎、改正点の概要等を講義テーマとして取り上げております。
 今後も、国等の関係機関と連携を図りながら、消費者への注意喚起や相談員の対応力の向上等を通じ、仮想通貨を含むフィンテックに関連する消費者トラブルに適切に対応してまいります。

○斉藤委員 頼もしい答弁をありがとうございました。
 五年後どころか一年後の法整備や規制状況も予見することが難しいフィンテックの発展を迎えましても、国と連携して消費者の注意喚起についての情報発信や対応力の向上をぜひとも力強く推進していただきますようお願いをいたします。
 そして、電子マネー利用等に関して心配なのは、情報弱者となり得る高齢者や社会経験の乏しい若者世代でございます。今現在の高齢者や若者向けの啓発の状況はどのようになっておりますでしょうか。

○三木消費生活部長 これまでも、高額な消費者被害に遭いやすい高齢者や社会経験の乏しい若者に対して、重点的に被害防止のための普及啓発の取り組みを行ってまいりました。
 新たな仮想通貨を含むフィンテックに関連した被害防止についても、同様に取り組む必要があります。
 高齢者については、悪質商法による消費者被害を未然に防止する目的で行っている高齢者被害防止キャンペーンにおいて、高齢者が被害に遭いやすい新たな手口として、仮想通貨の購入にかかわる事例を取り上げたリーフレットを配布し、注意喚起を行ってまいりました。
 また、若者向けには、IC型電子マネー等の利用に関する疑似体験を通じて、見えないお金の知識や特徴を学習できるウエブ版の消費者教育教材を作成し、あわせて教員向けの指導用資料のポイントをまとめた資料や、ワークシートも作成するなど、広く教材の活用を働きかけておるところでございます。

○斉藤委員 仮想通貨や電子マネー利用等に関して、さまざまな取り組みの現状について説明をいただきました。
 高齢者の消費相談について、少し分野を広げて質問させていただきます。
 都内の消費相談の多くに六十歳以上の高齢者や社会経験の少ない若者からのものがあり、手をかえ品をかえ行われる悪質商法やマルチ商法などについての発信や啓発は不可欠であるとともに、発信した情報がしっかりと受け取られているかどうかが消費者に注意喚起していく上で非常に重要なポイントでもあります。
 高齢者の情報収集能力には、家族や親族の見守りがない場合、非常に限られて最新の情報が入りにくいという特性もあり、また、都内の高齢者の二割以上がひとり暮らしであり、一割以上が六十五歳以上で、配偶者や親などの高齢者を介護する老老介護の世帯であるということからも、地域の中での高齢者の見守り体制の整備は喫緊の課題であるといえます。
 高齢者の消費者被害を防止する地域の見守り体制の整備に向けて、東京都は現在どのように取り組んでいらっしゃいますでしょうか。

○三木消費生活部長 高齢者の消費者被害の早期発見には、地域で日常的な働きかけを行う福祉行政分野を中心に構築されている見守りネットワークに消費者被害防止の視点を取り入れる必要があります。
 都では、見守りを担う介護事業者などを対象に、被害発見のノウハウを提供する出前講座の実施により、高齢者見守り人材等の育成などを通じ、区市町村の取り組みを支援しております。
 加えて、高齢者の見守り体制の充実を目指す区市町村に対して、見守り関係者と消費生活センターとの連絡、通報手段の明確化や、継続的な情報提供など、きめ細かな支援を行うモデル事業を実施しております。
 このほか、都は、区市町村がみずから見守りネットワークの現状と課題を把握できるよう、自己評価チェックシートを作成し、集計結果をフィードバックすることで、取り組みの促進を図っております。

○斉藤委員 出前講座についてなどの返答をいただきましたが、私の地元でも出前講座を受けていらっしゃる方たちからの話を聞いてまいりました。
 地域包括ケアセンターでは、職員の方が要介護者の見守りや買い物同行を進めていると伺っておりますが、そこまでに至らない、いわゆる認知症疑い等の高齢者に関する消費者被害の防止には、どのように取り組んでおられますでしょうか。

○三木消費生活部長 福祉の見守りネットワークの対象とならない高齢者やネットワークが構築されていない区市町村の高齢者に対しても、悪質事業者の手口などについて注意喚起を行っていくことが重要であると考えております。
 このため、都では、広域的な観点から、東京くらしねっとや東京くらしWEB、東京都提供広報番組や動画など、さまざまな媒体を通じて注意喚起を行っております。
 また、区市町村に対しては、高齢者被害防止キャンペーンのリーフレットを提供し、広く配布しております。
 加えて、宅配業務等で自宅に訪問する民間事業者や団体と連携し、新手の手口等を具体的に紹介する啓発リーフレットを、高齢者世帯等に声かけをしながら直接手渡しする取り組みを実施しているところでございます。

○斉藤委員 私の地元多摩市でも、宅配事業者の方々がUR都市機構や多摩市と連携して永山駅の近くにネコサポという地域の住民サービスの拠点を立ち上げました。新たなコミュニティ拠点としても大きな存在感を示しておりまして、先日は立ち上げから一周年を記念してイベントが開催され、多くの住民の方々が参加をされました。
 ぜひ、このような取り組みを進める区市町村への支援を進めていただきたいと私からの要望をお伝えしまして、次の質問に移らせていただきます。
 最後に、区市町村の相談窓口の機能強化と悪質事業者取り締まりについて伺います。
 現在、消費生活相談件数は十二万件台で推移しており、全国の相談件数に占める都内の相談件数の割合は、平成二十八年度で約一三・六%となっています。
 また、区市町村の消費生活相談窓口で受け付ける相談件数は、都内の四分の三を占めており、身近な相談窓口である区市町村の消費生活相談窓口の機能強化が求められております。
 都として、区市町村の消費生活相談窓口の機能強化を支援する現状の取り組みには、どのようなものがありますでしょうか。

○三木消費生活部長 都の消費生活総合センターでは、高度専門性を生かし、困難な相談事案に対応しております。
 そのノウハウを区市町村に提供するセンター・オブ・センターズとしての役割を果たし、円滑な相談事業と相談員の資質の向上のための支援を実施しております。
 具体的には、区市町村の相談窓口において解決困難な案件を適正に処理するため、弁護士などの専門家による助言の実施や、相談処理に必要な最新情報の発信等の情報提供を行うとともに、年間約四百件の照会、問い合わせに対応しております。
 さらに、相談対応方法を掲載したマニュアルの提供及び相談員の職務に関する知識や法制度の理解を深めるための実務能力の向上に資する研修を実施するなど、さまざまな形で区市町村の消費生活センター支援を実施しているところでございます。

○斉藤委員 消費生活問題に対する取り組みとして、都民が東京都に力を入れてほしいことについて、悪質事業者の取り締まりの強化が四九・一%と最も多くなっております。
 消費生活センターへの相談情報や悪質事業者通報サイトへの通報を端緒として、特定商取引に関する法律、消費者安全法及び東京都消費生活条例に基づき、不適正な取引を行う事業者に対して調査、指導、処分を実施していますが、東京都の行政処分等の実績は、ここ何年も全国的にトップクラスであります。
 平成二十八年度は、業務停止命令の件数は、全国二十五のうち十一が東京都、また、指導については、全国二百八十のうち九十八が東京都となっています。とても頼もしいことですが、一方、近年、悪質事業者も知恵をつけておりまして、短期間に会社の設立、廃業を繰り返し、行政処分等を逃れようとするケースも増加しております。迅速かつ厳格な取り締まりの強化を行っていく必要があると考えております。
 先行的に悪質な手口があらわれるといわれる東京都において、新たな体制構築の取り組みや、法改正による規制強化を今後の取り締まり強化につなげていく必要があると思いますが、見解を伺います。

○三木消費生活部長 悪質事業者を市場から排除していくためには、調査の端緒となる情報をより多く取得して、迅速に調査に着手し、的確な法適用を行い、着実に行政処分や行政指導につなげていくことが重要です。
 このため、都では、東京くらしWEB上に設置した都民からの情報窓口である悪質事業者通報サイトを拡充し、都民からより多くの被害情報を寄せていただけるようにするとともに、取得した情報を一元的に管理して、多角的に分析、整理する専門班を新たに設置し、事案処理の迅速化や法適用の精度向上を図ることとしております。
 今後は、これらの取り組みに加え、これまで都が国に働きかけてきて追加された業務禁止命令制度などを含む改正特定商取引法も最大限に活用し、悪質な事業者の取り締まりの強化に積極的に取り組んでまいります。

○斉藤委員 今月から施行される新たな特定商取引法では、処分事業者の役員等に対する業務禁止命令制度が創設されるなど、取り締まりがより一層強化されることが期待されております。
 また、情報管理班を設置して、さらに迅速な事案処理を進めることによりまして、消費問題の新たな被害者を生み出していくことに歯どめをかけていただけますよう、新たな班体制に変わった後の実績の変化などについても、ぜひ記録としてとどめていかれることを要望いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。

○高倉委員 それでは、東京都消費生活基本計画素案について質問をさせていただきたいと思います。
 私たちを取り巻く消費生活というのは、本当に目まぐるしく、今変貌を遂げてきているんではないかなと思います。
 従来、例えば身近なところでいうと、買い物をするといった場合にお店に行って買うみたいなことがずっとあったわけですけれども、このところ、例えばネット販売みたいなことが非常に便利になってきているわけで、パソコンで必要なものを即座に検索をして、そしてワンクリックでそれを購入する、それが自宅まで届けられる、こういう状況にもなっているわけであります。
 一方、さらにオークションみたいなこともあって、出どころが明らかでないようなものも含めて、そういったものも検索をして入手をすることも可能になるわけであります。
 一方、そうしたまず、自分中心に考える消費ということとは別として、例えば、東日本大震災といったような大規模な災害があったわけであります。
 当然ながら、多くの方々が被災地を何とか応援したいと。しかしながら、さまざまな理由で、直接被災地に行ったりすることは難しいわけでありますが、被災地の産品、被災地産品なんかを積極的に購入をする。こうしたことが被災地の支援にもつながっていくということで、身近なところで普通に手に入れられるような商品があったとしても、あえて被災地で生産しているものを買っていくと。こういうような消費行動も今非常に消費者の間では大変重要になってきているというふうに思います。
 今回の、この計画の改定でしょうか、これについては、昨今の、そうした消費生活のさまざまな変貌ということを踏まえて検討してきているというふうに思いますけれども、その前に、改定前の現在の計画、この現計画も具体的な目標を定めて、そして、それの達成に向けてしっかりと取り組んできたというふうに思います。
 この改定前の現在の計画が目指したものと、そして、その達成状況について、どうお考えになっているのかについて、お聞きをしたいと思います。

○三木消費生活部長 都は、平成二十五年に現在の消費生活基本計画を策定し、悪質事業者の取り締まりや消費者教育の推進、消費生活情報の戦略的な収集、発信、現場の最前線である消費生活総合センターの機能の充実などの取り組みを進めてまいりました。
 その結果、消費者被害の端緒情報について、都民から直接通報を受け付ける、悪質事業者通報サイトの開設や、ライフステージに応じた消費者教育の推進、情報発信の強化のため、ホームページをスマートフォンからも閲覧しやすく表示するレスポンシブデザインの導入、消費生活相談窓口の受け付け時間の延長など、消費生活行政の充実が図られてきたものと認識しております。

○高倉委員 今回の基本計画の改定は、単に改定の時期が来たから改定するんだということでは恐らくないんだろうというふうに思っております。
 計画というのは、敏感にさまざまな状況を判断して、そしてそれに敏感にお応えをするというような意味で、しっかりと改定をしていく。いわゆる時期が来たから改定するというようなことでは当然ないんだろうというふうに思います。
 今現在の計画のさまざまなこれまでの取り組みと、その達成状況等について答弁をいただきましたけれども、この現在の計画も踏まえ、そして、今さまざまな変化が起きている、そうした消費生活をめぐる環境を踏まえて、今回改定に臨んでいるというふうに思いますけれども、この計画の改定の位置づけということについて、お伺いをしたいと思います。

○三木消費生活部長 都は、都民の消費生活の安定と向上を図ることを目的として、東京都消費生活条例に基づき、平成九年に東京都消費生活基本計画を策定いたしました。
 その後、少子高齢化の一層の進行、インターネットを利用した電子商取引の飛躍的拡大などの消費生活をめぐる状況の変化や国の動向を踏まえ、改定を行っております。一方、消費者教育推進法に基づき、平成二十五年八月に東京都消費者教育推進計画を策定し、ライフステージに応じた消費者教育を推進してまいりました。
 両計画は、今年度末に計画期間が満了するため、二つの計画を一体的に改定し、新たな消費生活基本計画として作成することといたしました。新たな計画は、東京都の消費生活に関連する施策、事業を、消費者の視点に立って、計画的、総合的に推進していくための今後五年間の基本指針となるものでございます。

○高倉委員 今答弁にありましたけれども、東京都として、平成九年に消費生活基本計画を最初に策定して、そして、その後、国の法律に基づいて、平成二十五年八月に消費者教育推進計画というものを策定して、いわば、消費生活にかかわるような、密接な内容のものが二つあったということであると思うんですね。これを今回一本化をするということで、これは非常にわかりやすくなるということであるというふうに思います。
 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、いろんな消費生活をめぐる環境の変化の中で、今回の計画、新たに策定をされる計画には、これまでにない取り組みといったことが盛り込まれてくると思いますけれども、この策定をされる計画の特徴につきまして、お伺いをしたいと思います。

○三木消費生活部長 先月公表した消費生活基本計画素案では、今ご指摘のようなことも含めまして、都民の消費生活の現状や消費生活を取り巻く環境の変化、こういったものを踏まえまして、計画を推進していくに当たって特に留意すべき事項を計画全体を貫く視点として設定をしております。
 具体的には、主体的な消費行動への変革の促進、情報通信技術の進化やグローバル社会への対応、さまざまな主体のつながりと連携による取り組みの強化、この三つの視点を掲げておるところでございます。
 また、計画の改定に当たっては、明確に消費者教育を計画に位置づけるとともに、今日的な課題であるエシカル消費などの持続可能な消費の普及を加え、消費者被害の未然防止と拡大防止や、不適正な取引行為等の排除と健全な市場の形成など、新たな五つの政策の柱に再構築をいたしたところでございます。

○高倉委員 今エシカル消費という言葉が答弁の中でございました。今回の素案の中でもそのことが盛り込まれているわけであります。
 新しいものの一つとして、これは盛り込んできたということでありますが、恐らくこれまでも、こういったことにつながる消費活動、消費行動というのは当然あったんだというふうに思いますけれども、今回このエシカル消費を含む持続可能な消費の普及について、政策の新しい柱として打ち出しているわけですけれども、この意義についてお伺いをしたいと思います。

○三木消費生活部長 都はこれまで、一人一人の消費者が消費生活に関する知識を身につけ、消費者みずからが被害や事故に遭わない行動が選択できるための消費者教育を実施してまいりました。
 こうした取り組みに加え、地球環境への配慮や社会的課題の解決への要請が高まる中、消費者が主体的に持続可能な社会の形成に貢献していくよう、消費行動の変革を促していく必要があると考えております。
 そのため、今回の計画改定に当たっては、エシカル消費など、持続可能な消費の普及を政策の柱の一つとして掲げたところでございます。

○高倉委員 エシカル消費はいろんないい方もあるのかもしれませんが、実際に買うということを通して、環境や、あるいは社会問題の解決に貢献をしていく、そうしたようなこと、あるいはそうでない商品を逆に買わない、こういうようなことでもあろうかと思います。
 先週、東京ビッグサイトにおきまして、エコプロ二〇一七という大規模なイベントがありました。環境とエネルギーの未来をテーマにした展示でありますけれども、私も実際に行って見てまいりました。
 特にSDGsといわれる持続可能な開発目標、このことについて、これは国連において二〇一五年に国連サミットで採択をされて、十七の目標を立てた。そういったものでありますけれども、これに関するエリアを中心に見て回って、出展者とも意見交換をさせていただいたわけであります。
 このSDGsでありますけれども、このことについては、今回の都議会定例会の代表質問においても、私どもで取り上げさせていただきましたけれども、国連において採択をして、そして十七の目標を提唱している、二〇三〇年でその達成を目指している、こういったことでありますけれども、そうした中で、今回、この展示会をちょっと見てまいりまして、さまざまなことが行われておりました。
 この持続可能な開発ということに向けた具体的な消費行動ということで、例えば、ある展示のところでは、海の恵みゾーンとか、あるいは森の恵みゾーンみたいなものをつくって、例えば海の恵みゾーンのところでは、MSC認証という認証がありますと、こういう紹介をしておりました。魚の資源量を減らさないように大切にしながら消費をしていく。
 それから、ASC認証という認証があって、これは環境に大きな負担をかけないで、地域社会や、あるいは働く人々の労働環境にも配慮した、そうした養殖を消費していく。
 また、森の恵みということについては、FSC認証というのがあって、これは木を伐採したとしてもしっかりと森がもとの状態に戻るように木を植えていく、こういった取り組みをしている中での商品ですよというような、こういう紹介がされておりました。
 また、このSDGsにつながるものとしてフェアトレード、これはいわゆる公平な貿易というような、直訳するとそういうことだと思いますけれども、例えば、今ここに私はチョコレートの箱を持ってきて、これはイベントにあったものなんですけれども、済みません、ちょっと見えなくて申しわけないんですけれども、ここにフェアトレードのマークが入っているわけであります。
 例えばこのチョコレートなんかを見たときに、原料といったものは、日本国内でないところでつくられている。しかしながら、そういう原料が、例えば児童労働、子供たちの労働の中で生み出されているとか、さまざまな課題がある中で、このフェアトレードをしっかり示している商品は、そういったことがない中でこの商品ができ上がっているということを示しながら、これを消費者にわかってもらう、こういうような取り組みをしているわけであります。
 エシカル消費といったものの一つの典型だとは思いますけれども、当日はさまざまなものが展示をされておりまして、例えばパッケージにしても、その原料が一体どういうものが、どういうところで生産をされて、どういう形でそのパッケージになっているのか、こういったことも詳しく載っかっていたわけでありまして、こうした取り組みは、特に二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックを開催していく東京においても、しっかり取り組んでいくという観点から大変重要であるというふうに思います。
 そこで、この二〇二〇年の大会に向けても、エシカル消費をしっかり取り組んでいくということは大変重要だと思いますけれども、今回の計画の中で、今後どういうふうな取り組みを展開していこうとされているのか、このことについてお伺いしたいと思います。

○三木消費生活部長 都では、消費者の持続可能な社会の形成に貢献する消費行動を促進するため、エシカル消費を広く都民に普及啓発し、理解の促進を図っていくこととしております。
 具体的には、東京くらしWEB上に、エシカル消費に関する特設ページを作成するほか、若者が集まるイベントでの普及啓発、リーフレットや教材等の作成、講座の開催など、さまざまな機会やツールを活用して行ってまいります。
 持続可能な社会への関心の高まりが期待される東京二〇二〇大会を好機と捉え、こうした取り組みを関係機関とも連携しながら、積極的に展開してまいります。

○高倉委員 先ほど質問の中で認証のマークのお話をしました。商品につけられているさまざまなマーク、私が聞いているところでは四百種類以上ぐらいあるというようなお話であります。実際、どういうものがどういうマークになって、どういうふうにつけられているのか、全部知ろうとすると大変複雑であるというふうに思います。
 このエシカル消費にしっかり取り組んでいく中で、例えばこうした認証のマークでありますとか、さまざまな表示の持つ意味とか、あるいは世界で共通している認証というのは一体どういうものであるのかとか、こういった細かなことをしっかりと消費者に対して周知していく、ぜひそういう取り組みをお願いしたいというふうに思っています。
 また、子供さんのことについていえば、これは意見交換をしたある事業者でありますけれども、例えば学校の生徒の方に、模擬的な売り場を設定して、そこで、いわゆるエシカル消費につながるような商品を置いて、それを説明しながら販売する、こうしたことを通して理解を深めてもらう、こういう取り組みを一生懸命やっているということもお聞きをしました。
 したがって、この取り組みをしっかりと推進していくに当たっては、こうした一生懸命やっていらっしゃる企業を初め民間の方々ともよく連携をして、その辺のノウハウとか知恵とかをしっかり生かしながら、ぜひ取り組みを進めていただきたいと思います。
 続きまして、外国人の消費者トラブルについて少しお聞きをしたいと思います。
 外国人の観光客が今急増をしておりますし、留学生も含めまして、東京に居住をしている外国人の方々も多いわけであります。
 この外国人をめぐるさまざまな消費者トラブルというのは、量的にも、また質的にも変化してきているのかもしれませんが、今どういった消費者トラブルといったものが、この東京で起こっているのか、この辺の現状について把握している点について、お答えをいただきたいと思います。

○三木消費生活部長 消費生活総合センターでは、日本語を話すことのできない外国人から相談を受けた場合、事前に電話予約の上で、来所により、通訳が同席する面談による相談を行っており、平成二十八年度の相談件数は九件となっております。加えて、本年四月からは、電話での三者間通話による外国語相談を実施しております。
 平成二十九年度に消費生活総合センターに寄せられた外国語による相談件数は、十一月末時点で、面談による相談と三者間通話による相談、合わせて五十四件となっております。
 このうち、日本語学校などの学費に関するもの、賃貸住宅の契約や退去に関するもの、通信販売や携帯電話の解約に関する相談などが多く寄せられているところでございます。

○高倉委員 今、相談件数についての答弁がありました。この件数が果たして多いのか少ないのか、直ちにこの件数を聞いただけではわからない状況がありますけれども、しかしながら、特に日本語を話せないような外国人の方がどうやって相談をするのかとか、あるいは、そもそも相談をするような場所とか窓口があるのかどうかといったような情報を的確に把握ができるような環境が十分にあるのかどうか、さまざまな課題が恐らくあるだろうというふうに思います。
 いずれにしても、今、数字をお答えいただきましたけれども、恐らくこの数字にあらわれてこないような外国人の方々をめぐる、消費に関係をするトラブル、あるいは相談の必要性というんでしょうか、こういったものがあるんだというふうに思います。
 今回の新たに策定をする計画の素案の中でも、外国人に関する取り組みといったものが盛り込まれておりますけれども、今後こうした課題について、どういった対応をしていくのかについて、お伺いしたいと思います。

○三木消費生活部長 今年度から開始した三者間通話による外国語相談に加え、今後、外国人に多い消費者トラブルに関して、みずから情報が得られるよう、英語、中国語、韓国語の三カ国語による質疑応答集を新たに作成し、ホームページ、東京くらしWEBに掲載するなど、外国語による情報提供の充実も図ってまいります。

○高倉委員 ぜひ積極的な取り組みを進めていただきたいというふうに思います。
 また、今さまざまな外国語に対応した取り組みをするというお話がありました。例えば質疑応答集、英語、中国語、韓国ということでありますけれども、確かに、こうした言葉を使う外国人が多いことには間違いはないんですけれども、今、あらゆる国から来ているわけでありまして、二〇二〇年にも、まさにあらゆる国から来たりもするわけでありまして、ぜひ最近のITの環境等も十分に活用して、従来の、もちろん英語、中国語、韓国語というようなところを否定するものでは決してありませんけれども、もっともっと広げていくような、そういった思い切った取り組みもぜひお願いをしたいなと思っております。
 最後に、今回の素案の中にも盛り込まれておりますが、障害者の方々からの相談機能の充実、こういったことについて、ぜひ情報バリアフリーの観点かも含めて、充実を図るべきというふうに思いますけれども、この対応について、見解をお伺いしたいと思います。

○三木消費生活部長 消費生活総合センターでは、視覚に障害がある消費者で契約書類を確認する必要があるなどの場合には、家族や支援者と一緒に来所してもらい、書類のチェックや今後の対応についての助言を行うなど、丁寧な対応に努めております。
 また、電話による相談が難しい聴覚に障害がある消費者からの相談を受けた場合、来所の上、筆談等による相談を行っております。
 今後は、障害者差別解消法の趣旨を踏まえ、聴覚障害者を対象に、電子メールによる相談を新たに開始するなど、障害のある相談者にきめ細かく対応してまいります。

○高倉委員 ぜひしっかりとした取り組みを行っていただきたいと思います。
 障害者の方々の中で、例えば視覚障害のある方、こうした方には、最近、音声コードといったような取り組みがあるわけであります。国の方の年金に関係する通知なんかにも、もう標準で音声コードが実はつけられていたりします。
 最近、皆さんもスマホを持っているわけですが、視覚障害の方々も十分に普通にスマホを使っているわけでありまして、アプリを使うと音声コードをすぐに、特別な機械、ハードの意味で機械を使わずとも、しっかり読めるわけなんですね。
 さまざまなこうした消費相談にかかわるような、いってみれば広報物、そういったものについて、ぜひとも情報保障の一環として、こうした音声コードをつけていただきたいというふうに思います。
 例えば一枚の紙でいいますと、音声コードをつけるわけですけれども、このすぐそばに切り欠きといって、紙をちょっとこう切っておくところをつくるんですね。視覚障害のある方は、そこを見ると、ここに音声コードがあるというふうにわかるわけでありまして、これを特別な対応としてつけるのではなくて、全ての広報物につけていく。こうした姿勢が、やはり私は重要ではないかというふうに思っております。
 ぜひ障害者の方々に対してのしっかりとした対応をお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

○川松委員 私から幾つか質問させていただきます。
 我々自由民主党が目指す、都民が安心して暮らせる東京の実現に向けて、消費者被害の防止というのは重要な課題であるということはいうまでもありません。
 東京都ではこれまでも、悪質事業者の取り締まり、戦略的な消費生活情報の収集、発信、あるいは東京都消費生活総合センターでの被害救済機能の強化など、さまざまな取り組みを推進されてきました。
 また、消費者の安全などについて、都の取り組みをただしてきたことにより、施策は着実に進んできたんだ、そのように感じているわけであります。
 しかし一方で、身近な商品、サービスによる事故は後を絶たない状況です。例えば、この議会の場でも議論したことがございますが、ブラインド等のひもに関して、一歳のお子さんが自宅のカーテンのひもが首に巻きついているところをお母さんが発見し、救急搬送されたという重篤な事例があったり、歯ブラシに関していえば、一歳のお子さんが歯ブラシを口にくわえたまま誤って転倒し、歯ブラシの先端部が喉に刺さり、同じく救急搬送されたという重症の事例もあったわけです。
 都は、こうした事故を防止するため、これからも安全な製品の開発や、社会全体の意識の啓発に向け一層、国、事業者、消費者などと一体となりさまざまな取り組みを進め、商品等の安全を確保していく必要があると思います。
 そこで、今回改定される東京都消費生活基本計画では、どのように商品等の安全対策に関する施策を展開するのか、見解をお聞かせください。

○三木消費生活部長 都はこれまでも、現行の東京都消費生活基本計画により、商品やサービスの安全を確保してまいりました。
 今回の改定計画においても、これまで以上に子供や高齢者を初め、広く都民の安全・安心な消費生活を確保するための取り組みを進めてまいります。
 具体的には、事故や商品の安全性などについて調査し、安全を確保する商品テストや、安全に配慮した商品等を選択できるための情報提供などの施策をより拡充し、展開してまいります。

○川松委員 ありがとうございます。改定後の計画において、子供や高齢者など、都民の安全を確保するための施策の展開が図られていくということは今の答弁からわかりました。
 とりわけ、やはり次代を担う乳幼児を含む子供たちの商品等に起因した事故が起きるということは非常に悲しいことでありまして、安全対策の重要性を改めて認識するものでございます。
 子供の商品等による事故防止のため、我々は、我が自民党は、かねてから安全に配慮した商品の普及、保護者への商品情報の提供を要望してまいりました。
 そして、都はこれまでも、東京都商品等安全対策協議会において、身近な商品等の使用や利用から生じる危害、危険について実験や調査分析を行って、商品の安全性について検討されてきたわけです。
 この東京都商品等安全対策協議会は、学識経験者や消費者団体に加え、事業者にも委員になっていただき、事業者団体までも交えて、検討テーマによって委員がかわるという極めて実効性のある検討体制をとっているわけですね。
 また、検討結果については、国、事業者団体、関係機関等に対する商品に関する提言や要望につなげ、商品の安全性が進むための重要な役割を果たしていると思います。
 そこで、この過去の提言、要望が具体的な商品の安全対策にどのような効果を上げてきたのか、これを聞かせていただきたいと思います。

○三木消費生活部長 都はこれまでも、東京都商品等安全対策協議会などによる調査分析を行い、改善提案、要望を行うなど、商品等の安全対策を進めてまいりました。
 具体的には、だっこひもについて、一般財団法人製品安全協会が定める製品に関する任意の安全基準が協議会の提言を受けて改正された後、海外の大手企業が新たな基準の認証を取得することで、具体的な商品改良につながった例がございました。
 また、最近の例では、コイン型リチウム電池について、業界団体が誤飲防止のパッケージに関するガイドラインを策定したことによりまして、そういった安全な製品が市場に普及してきておるというところでございます。
 今後も、商品の安全対策が一層進むよう、事業者を巻き込んだ効果的な安全対策や商品改善を進めてまいります。

○川松委員 ありがとうございます。これまでの協議会での改善提案や要望が子供の商品等の安全対策につながっているということがわかりました。
 都でも、JIS規格だったり、SG基準の改正に働きかけて実現をしてきたという実績がさまざまなところであるわけです。
 一方、商品等の安全対策については、国や事業者団体に向けた働きかけのほか、今のこの議論の中でいうと、私は子供たち、子供を持つ親に向けた啓発が不可欠であると思っています。
 今、一歳の子供の例を先ほど挙げさせていただきましたけれども、子供の商品などにかかわる事故の際、それぞれの親御さんたちが自分の責任と考えてしまって、相談に至らないというケースが多いと私は聞いています。事故の情報が埋もれてしまうということは、商品等の製造事業者の改善につながらないということも危惧されるのではないでしょうか。
 また、親の世代が移り変わって、継続的な情報提供が求められることや、若い親の世代が利用する広報媒体等を考慮して、効果的にこういう情報を発信していくことが重要でないかと思います。
 そこで、この計画期間中、子供にかかわる商品等の安全対策、とりわけ消費者に向けた普及啓発をどのように行っていこうと考えておられるのか、見解を伺います。

○三木消費生活部長 委員ご指摘のとおり、子供が事故に遭わないためには、親を初めとする消費者に向けた商品等の安全対策の普及啓発が重要であります。
 そこで、これまで収集したさまざまな事故事例やその対策、安全な商品の紹介などをコンパクトにまとめ、読みやすくした総合的な小冊子を新たに作成し、乳幼児などの親に広く啓発することとしております。
 さらに、インターネットによる啓発が効果的な世代には、商品の安全性に関する動画を制作し、ユーチューブなどで配信いたします。あわせて、都民が子供の安全に配慮した商品に触れる機会を提供し、安全な商品の選択を促進いたします。
 今後も、こうした施策を進め、将来を担う子供たちのために、実効性のある商品等の安全対策に取り組んでまいります。

○川松委員 ありがとうございます。だっこひもにしても、ブラインドのひもにしても、歯ブラシにしても、そういう悲しいケースが起きるということは、よくよく考えてみれば、そうだろうなと思うんですが、ふだんの生活の中では思いもしないことが多いわけですから、やはりこの普及啓発というのは、力を入れていただきたいと思います。
 そして、子供のこと、子供の将来、安全にかかわる安全対策ですから、消費者に向けて、適切かつ効果的な普及啓発が行われていることがわかりましたし、今後とも続けていただきたいと思います。
 子供の安全を守るためには、行政、製品をつくる側、製品を使う側など、それぞれが社会環境の中で適切に対応する意識の醸成が必要ではないかと思っています。
 これからも次代を担う子供たちが安全にこの東京で暮らせるように、改定後の東京都消費生活基本計画においても、商品の安全対策を万全に行っていただくよう強く要望いたしまして、質問を終わります。

○米倉委員 消費生活基本計画について伺います。
 この計画は、来年度から二〇二〇年までの五年間、消費生活の安全・安心を確保し、都民の健康で豊かな消費生活の実現を目指して、消費生活に関連する施策を総合的に推進するためのものとなっています。
 近年の消費者被害の現状を見ますと、食の安全、製品事故、不当契約や詐欺、偽装、個人の情報の漏えいなど、消費者の安全や安心を脅かす事件が後を絶ちません。消費生活総合センターや、区市町村の消費者生活相談窓口に寄せられる相談件数も、昨年度十二万件も寄せられる状況です。
 こうした中、都が行った都民の消費生活に関する意識調査では、東京都に力を入れてほしい取り組みで最も要望が多かったのは、悪質事業者の取り締まり強化で、回答者の約半数に上りました。
 都は、取り締まり強化として、これまでどのような取り組みを行ってきたのでしょうか。計画素案では、情報分析を行うチームの新設や、情報収集ツールの拡充による取り締まり強化などを掲げていますが、今後、具体的には、どのような取り組みを行っていくのか、伺います。

○三木消費生活部長 これまで都は、特別機動調査班による調査等を通じ、悪質事業者に対して、特定商取引法及び東京都消費生活条例に基づく処分、指導を積極的に実施してまいりました。
 事業者への取り締まりを強化するため、今後、悪質事業者通報サイトを拡充するとともに、調査の端緒となる情報を一元的に管理して、多角的に分析、整理する専門班を新たに設置し、事案処理の迅速化や法適用の精度向上を図ってまいります。

○米倉委員 新たに情報の分析、整理を行う専門チームを設けることは必要なことだと思います。同時に、悪質商法などについては、手口が次々に生まれている状況がありますから、新たに把握された情報を早期に都民に知らせることは、今日ますます重要な取り組みになっていると思います。
 情報収集の強化とともに、情報の周知に引き続き力を入れていただくことを求めておきます。
 民法の成年年齢の引き下げが議論されている中、若年層への消費者教育の充実は重要な課題となっています。
 これまで、二十歳未満の若者は、契約によって不利益をこうむらないように、民法で未成年者が法定代理人の同意を得ないでした法律行為は取り消すことができると決められ、法律で保護されてきました。そのため、若者から寄せられる消費生活相談の件数は、二十歳未満と二十代の方の間には大きな開きがありました。
 しかし、成年年齢が十八歳に引き下げられると、十八、十九歳には、この未成年者取り消し権が適用されなくなり、消費者被害はふえるということが考えられます。民法の改正待ちにならず、若年層、とりわけ十八歳未満の消費者教育の充実が求められています。
 消費者庁に設置されている消費者教育推進会議が二〇一六年四月に発表しました学校における消費者教育の充実に向けてでは、学校での消費者教育の充実のために、教員の指導力向上は不可欠だとする一方で、消費者教育の担い手を確保するためには、専門家を活用することも有効だとしています。
 消費生活センターでさまざまな問題に対応している消費生活相談員、法教育の出前講座を行う弁護士、司法書士、消費者問題に取り組む消費者団体、消費者にサービスを提供する事業者、事業団体などを外部人材として挙げています。
 そして、外部人材の活用は、日々の相談事例を年齢やケース別に分類し、問題点を的確に把握する消費生活相談員などが授業の導入部分において実践的な授業を行うことで、消費者問題は、高齢者、また、自分とは遠い世界の問題と捉えがちな児童生徒に身近で現実的な問題として体感してもらう効果があると指摘もしています。
 しかし、消費者団体からお話を伺いますと、学校での消費者教育について、東京都の担当は現場に入りにくいという声が上がっています。
 教育庁との連携はどういうふうになっているのか、また、年間、都内の学校での消費者教育の支援はどの程度行われているか伺います。

○三木消費生活部長 小学校、中学校、高等学校においては、学習指導要領に基づき、社会科、公民科、家庭科などの教科等を中心に、児童生徒の発達段階を踏まえた消費者教育を行うこととされております。
 消費生活総合センターでは、こうした学校における消費者教育が適切に行われるよう、教育庁や私学団体などと連携し、夏休み期間に学校教員を対象として、消費者教育の実践に役立つ内容を取り入れた消費者問題教員講座を実施しております。
 また、児童生徒を対象に、DVDやウエブ版の消費者教育教材を作成し、広く授業等での活用を働きかけております。
 このほかに、学校における消費者教育を支援するため、出前講座の講師派遣を行っており、二十八年度は五十五校、約百四十回実施したところでございます。

○米倉委員 消費生活総合センターなど、取り組みはされているということです。
 ただ、消費者団体からお話を伺いますと、学校現場では、カリキュラムがいっぱいだからなかなか授業には入れられないといわれてしまうそうで、学校で消費者問題についての学習会は、土曜日などに行うPTAの行事などにとどまっている場合が多いと伺います。
 一方、今、小学生でもスマホを持っている子供は多くなっていますし、情報の進化は目まぐるしくなっています。契約、法律に関しても、小学生から早く意識を持てるよう、小中高校生それぞれが身近に感じられる、わかりやすい教育をしていく必要があります。
 そうしたときに、先生が子供たちに教えることも大切ですが、それだけでなく、うまく消費者団体や弁護士などの専門家と連携ができれば、先生の負担も軽くすることが可能です。また、情報に強い団体や、教育に力を入れていて、いい教材をつくっている団体もありますから、それぞれの専門性を生かした教育も可能です。
 都内でも、消費者行政の担当と学校がうまく話ができる関係ができている自治体では、校長先生も消費者教育が必要だと認識をされて、消費者団体などと学校がうまく連携した消費者教育に取り組めていると伺います。
 今、学校にはさまざまなことが期待され、教員の多忙化が社会問題になり、また、子供たちにも余裕がない状況ですから、うまく整理をしつつ進めることが必要だと思います。
 また、学校や保護者の意向を尊重することも重要ですが、都としても、各自治体の消費者教育の実態をつかんで、学校での消費者教育の導入を進めるためのきめ細かい援助に力を入れていただきたいと要望しておきます。
 学校での消費者教育については、ICT教育と一体に行っていくことも重要になっていると思います。
 先ほど紹介しました学校における消費者教育の充実に向けてでは、小学生、中学生、高校生、大学生等、未成年者の相談について、割合は高くないものの、近年はインターネットを利用したアダルト情報サイトや、オンラインゲーム等のデジタルコンテンツなどについてのトラブルに関する相談件数が上位に上がっていることを指摘しています。
 そして今後、インターネット機器利用の低年齢化などにより、消費者問題がさらに児童生徒、学生へ広がるおそれもあるとしています。
 ICT教育と消費者教育は一体に行うことが大切と考えますが、いかがですか。

○三木消費生活部長 ICTを活用した消費者教育を想定し、都ではウエブ上で、例えばインターネット通販にかかわる契約等の疑似体験を通じ、トラブルへの対処法等を学べる消費者教育教材を小中高校、特別支援学校の各年代に応じ作成し、東京くらしWEB上で活用できることについて周知を図っております。
 また、教員が教材を使ってすぐに授業が行えるよう指導書等を作成し、授業での活用促進を図っておるところでございます。

○米倉委員 実際のネット利用をベースとした教材を作成されているということは重要だと思います。今後も、児童生徒たちのネット利用の状況に即した教材を提供していくことを求めておきます。
 若者を中心とした消費者問題は、副業、サラ金などの借金だけでなく、例えばタレントやモデルにならないかなどとスカウトをし、実際には高額な写真撮影代の請求を受けたり、それにとどまらず、アダルトビデオの出演を強要されるなどの深刻な被害も相次いでいます。
 ヒューマンライツ・ナウが二〇一六年三月に公表した調査報告書では、若い女性たちがAVに出演するという意識がないままプロダクションと契約を締結し、その途端に契約だから仕事を拒絶できない、仕事を断れば違約金、親にばらすなどとおどされ、AV出演を余儀なくされる事例が後を絶たないこと、そしてその結果、深刻なPTSDに苦しめられる人、いつまでもビデオが販売され、ネットに映像が公開され続けることを苦に自殺をする人、整形手術を繰り返す人など、被害状況は深刻だと明らかになりました。
 この調査報告をもとに大きな社会問題になり、政府は関係府省対策会議を設置し、ことし五月、いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・「JKビジネス」問題等に関する今後の対策を公表しました。
 政府は、この問題は重大な人権侵害であり、安全で安心な暮らしの基盤を揺るがす問題だとして、政府を挙げてその根絶に取り組むとし、各省庁での取り組みを決定しました。
 消費者行政の範囲でも、例えば、AV出演契約は、まちで歩いて声をかけられた場合などでは、消費者契約法が対象になるケースもあります。ですから、消費者庁としても、業界関係者に対して、不当な勧誘が行われた場合は契約の取り消しができることや、不当に高い違約金を定めるなどの不当な契約条項は無効であることなどの周知を行っています。
 こうした被害を発生させないためにも、国だけでなく都として、AV出演強要やJKビジネス被害防止のため、若年層を対象とした周知を強化することや相談窓口を周知することは重要と考えますが、都の認識と取り組みを伺います。

○三木消費生活部長 アダルトビデオ出演強要など、タレント、モデル契約等に関連した被害については、国は、関係府省対策会議を設置し、本年四月には、消費者庁が啓発チラシを作成して大学に配布するなど、注意喚起を行っております。
 都では、警視庁及び青少年・治安対策本部、教育庁が青少年に向けて、いわゆるJKビジネスの実態とその危険性について注意喚起を行っております。
 一方、都内の消費生活センターには、高額なレッスン費を払わされたなど、タレント、モデル契約をめぐる相談が多く寄せられていることから、随時、東京くらしWEBにおいて、相談事例や契約に際しての注意点などの情報提供を行っております。
 また、消費者庁からの通知に基づき、いわゆるアダルトビデオ出演強要やJKビジネス被害者からの相談が寄せられた場合には、案件に応じて警察や法律相談を行う専門機関を適切に紹介することなどを、消費生活総合センターや、区市町村に周知しております。
 今後とも、関係機関等と連携し、適切に対応してまいります。

○米倉委員 都としても、相談が寄せられた場合に適切に対応できるように周知などを行っているということです。
 JKビジネスが最も深刻に広がっているのは東京都だといわれていますが、AV出演強要も都内の女性が被害に遭うケースが、全国の被害の相当の割合を占めることが考えられます。
 この問題は、国任せにせず都としても、消費者行政だけでなく、男女共同参画、青少年対策としても位置づけ、関係局と連携した若年層への情報提供などを行っていただきたいと要望しておきます。
 アダルトビデオ出演強要にとどまらず、さまざまな若年層の消費者被害を防ぐ上で、ウエブによる効果的な普及啓発は重要と考えますが、都は、どのような取り組みをしていくのか、伺います。

○三木消費生活部長 都が実施した若者の消費者被害に関する調査によると、若者は、スマートフォン等によるウエブサイトの閲覧や、SNSによる情報収集の傾向が強いことから、東京くらしWEBにおいて消費者被害情報や危害危険情報などの注意喚起やアドバイス等の情報を提供しております。
 こうした情報が広く周知されるよう、ツイッターやフェイスブックなどのSNSを活用し、効果的な情報発信を行っているところでございます。

○米倉委員 若者に対する消費生活センターの相談窓口の周知は、都の調査でも約四割が知らないと答えています。
 消費者トラブルに遭った若者が、相談窓口を知らないために、適切な対応ができないばかりか、不適切な選択を重ねる悪循環に陥る例が多いとの指摘もある中、被害実態の周知だけにとどまらず、相談窓口があること自体、知らせていくことが大切になっていると思います。
 都が既にフェイスブックやツイッターなど、若者の多くが利用しているSNSを活用していることは重要ですが、さらに、その中身についても、若者を対象とした読みやすいコンテンツを充実し、若年層の中での情報発信を行っていただきたいと要望をしておきます。
 計画を推進するためには、消費者団体との連携も大切になっていると思います。
 都は、計画の着実な推進に向けて、消費者団体との協働、支援を掲げていますが、具体的にはどのような取り組みを行うのか、伺います。

○三木消費生活部長 消費生活総合センターでは、消費者の意識啓発、消費者団体相互の連携強化、消費者、事業者、行政の協働の推進を図るため、年間を通じて消費者団体と協働しております。
 具体的には、十月を中心とした東京都消費者月間事業において、各消費者団体がブースを出展し、団体の特色を生かした普及啓発や、イベント、シンポジウムを新宿西口広場や多摩地域等において行っております。
 また、消費者団体、事業者団体など多様な主体と連携し、消費生活講座なども定期的に実施しております。
 今後とも、これらの団体などと連携して、普及啓発などの事業を実施してまいります。

○米倉委員 都と消費者団体で講座やイベントを開催するなどの連携があるということです。連携は重要だと思いますが、同時に、消費者団体の高齢化が進む中、団体を育成していくことを都として支援していくことも重要になっていると思います。
 都内にも多くの消費者団体がありますが、各団体がどのような取り組みを行っているのか調査をすること、また、団体が行う学習会などの講師の謝礼や見学行動の際のバス代などへの都としての補助を行うなど支援をしていくことが必要と考えますが、いかがですか。

○三木消費生活部長 消費者団体の育成については、日ごろから各消費者団体と連携を図っているところであり、団体の自主的な活動等に対する支援として、各種情報の提供や消費生活総合センター及び多摩消費生活センターの教室など、活動の場を提供しております。
 また、消費者団体等が一般消費者に対する情報発信のための学習会を実施する場合に、講師謝礼にかかわる経費を都が負担するほか、東京都が消費者団体と協働で実施している東京都消費者月間事業の一環として、地産地消などを勉強するバスツアーへの経費の支援も実施しております。
 今後も、こうした取り組みを確実に行ってまいります。

○米倉委員 都内の各地の消費者関係の協議会は、今、各地で高齢化が進んでいて、このままでは、今後活動が先細りしてしまうという声を伺っています。
 都としても、区市町村と連携し、消費者問題にかかわるNPO、市民グループなどを把握し、協議会への参加を呼びかけてほしい、それが活動参加者の若返りや、また、活動の幅を広げることにもつながるということを伺いました。
 また、消費者団体への支援は、都内でも自治体によってかなり支援に差があります。団体で工場見学をする際に、市が無償でバスを提供してくれる自治体もあれば、全て自費で賄っている地域もあります。できれば都としても、こうした活動の際に都のバスを使えるようにしたり、交通費への支援もしてもらえれば、各地での活動がしやすくなりますし、学習会開催の際、都は、各団体の学習会一回分の講師料は支援することにしていますが、さらに拡充してもらえれば、団体としても、また、市民向けの企画も内容も広げることができるということでした。
 消費者問題は、やはり草の根での市民の取り組みや学びの場を保障していくことが重要になりますから、都としても、こうした団体の要望をもとに、さらなる支援充実をしていただきたいと要望して、質問を終わらせていただきます。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後四時二十九分休憩

   午後四時四十分開議

○里吉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第二百三十二号議案及び第二百三十三号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○里吉委員長 次に、報告事項、学校における働き方改革推進プラン(仮称)中間のまとめについてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○米川委員 それでは、学校における働き方改革推進プランについて質問を行いたいと思います。
 私は、二十年以上前に東京都に入ったときに、一番初めの勤務地が伊豆諸島の三宅島にあります都立三宅高校というところで、事務職員として勤務しまして、職員の方と仕事をした経験や、また、その後には、総務局の人事部で職員の服務に関する仕事もしてきたことから、教員の働き方については、とても関心がある事項の一つであります。
 今回のように、働き方について大々的に取り上げられ、教員の実態調査も行われたことから、真に学校の職場環境が変わる可能性を大いに期待しているところであります。
 しかし、教員については、これまでも、精神疾患による病気休職になる方が多いことも一つの理由として、長年、働き方が課題とされていると認識しております。
 文部科学省の平成二十七年度公立学校教職員の人事行政状況調査についてでは、全国で精神疾患による病気休職者数は、平成二十七年度五千九人と、平成十九年度以降は五千人前後で推移しております。
 また、この東京都におきましても、教員の精神疾患による病気休職者数は、平成二十七年度五百二十七名と、平成二十年度以降は、平成二十四年度を除いて毎年五百名を超えております。
 このことは、さまざまな原因もあると思いますが、この長時間労働もその一つの要因と考えられ、働き方に対する取り組みがまだ十分ではなかったのかなと考えております。
 そこで、これまで教員の働き方について、教育庁はどのような対策を行ってきたのか、伺います。

○鈴木人事企画担当部長 これまで、都教育委員会では、主幹教諭、主任教諭制度を導入するなど、組織的な業務遂行体制の構築を図ってまいりました。
 平成二十四年三月には、学校が組織的かつ効率的に仕事を進めることができるよう、小中学校の校務改善推進プランを策定し、先進事例の紹介や、すぐれた取り組みへの表彰などを行っております。
 また、平成二十八年三月に都教育委員会が改定した東京都職員ワーク・ライフ・バランス推進プランに基づき、休暇取得の促進や、時差勤務の拡大、イクボス宣言の実施など、育児、介護と仕事との両立を支援し、教職員のライフワークバランスの推進を図っております。

○米川委員 それでは、次に、教員の勤務や業務について何点かお伺いいたします。
 まず、教員の第一の業務には授業がありますが、小学校、中学校、高校、特別支援学校と、それぞれの週ごとの授業の持ち時間数の決め方はどのようになっているんでしょうか。また、授業の持ち時間数を軽減する措置があれば、代表的なものを教えていただけますか。

○江藤人事部長 都教育委員会では、小学校では週当たり二十六時間、中学校では二十四時間など、校種ごとにいわゆる国の標準法に基づき、標準的な授業の持ち時数を定め、講師時数算定上の基準としております。
 各学校における教員の具体的な授業の持ち時数につきましては、各学校長が教育課程上の状況を考慮しながら決定しており、おのおのの学校の状況によって異なっております。
 また、教員のうち、教務や生活指導、進路指導などを担当する主任などにつきましては、授業の持ち時数の軽減を行っております。

○米川委員 次に、教員の業務は、授業や授業準備以外にも多岐にわたっておりますが、その優先順位について、代表的なものでよいので、教育庁はどのように考えているのでしょうか。また、今回のプランの4、取組の方向性、(4)でも取り上げられている部活動の位置づけは、どのように考えられているのでしょうか。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 教員は、授業や授業準備など、本来的に教員が担うべき業務から、教員でなくとも対応可能な事務的な作業まで、広範な役割を担っております。
 教員業務のうち、部活動は、学習指導要領において、学校教育の一環として位置づけられております。また、平成二十九年四月の学校教育法施行規則改正では、単独で指導、引率が可能な部活動指導員が新たに制度化されました。
 こうしたことから、部活動については、教員以外でも対応可能な業務範囲が拡大しております。

○米川委員 教員の働き方が長年の課題であり、これまでも対策を実施してきたことや、教員の業務についての考えや仕組みを伺うことができました。
 次に、本プラン作成の基礎データとなりました東京都公立学校教員勤務実態調査について伺います。
 回答率を見ますと、校長、副校長以外の教員は、小学校九〇・二%、中学校九四・三%、高等学校八八・七%となっております。未回答の部分の回答次第では、数値が変わったり、対策も変わることもあるかと考えております。
 これだけ働き方について問題視されていることから、正確な情報を得るためにも、できるだけ多くの教員の協力が必要と考えております。
 今回の調査のやり方とこの回答状況について、どのように認識されているのか、伺います。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回実施いたしました勤務実態調査は、日々の業務内容を詳細に記録するなど、調査対象校の教員にとって一定の負担が生じるものであり、学校運営に支障が生じない範囲で協力を求めたことから、調査票の提出についても任意といたしました。
 結果的に全校種平均の調査回答率は九割を超えており、多くの教員に協力いただけたものと考えております。

○米川委員 ありがとうございました。今回のような調査では、できるだけ多くの方に回答していただくことが重要と考えております。ぜひ調査手法として、回答のしやすさなどを課題として、今後検討するようお願いいたします。
 続きまして、勤務実態の把握についてなんですが、例えば行政系職員であれば、超過勤務手当の申告や年休等の取得の記録から、何時間勤務したかについて把握はしやすいですが、これに対して教員の業務は、毎日の授業のように定例的なものから、運動会などの季節物の行事、夏、冬、春の児童生徒の長期休業中の勤務等、恒常的に同じ勤務が続くのではなく、季節によってでこぼこが生じることや、超過勤務手当の申告の手続もないため、行政系職員と比べると勤務実態の把握が難しいと考えております。
 また、勤務の状況は、小中高、特別支援学校ごと、また高校でも、普通科や職業科等でも異なると考えております。さらに、課題のある児童生徒がいる場合といない場合も、その対応にかかわる教員の負担は変わってくる、ふえてくると考えております。
 そこで、今回の調査は、六月十九日から七月十六日までの間の連続した七日間となっておりますが、今後、時期を変えたり、対象を絞った上での調査を行うことも必要と考えますが、教育庁の考えをお伺いいたします。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今後、同様の調査を行う場合は、学校現場の実態も踏まえつつ、過度な負担とならないよう工夫を図ってまいります。

○米川委員 教育庁としては、今回のような調査を行わないと、なかなか現場の教員の働き方の実態を把握できないと思いますので、今回のデータは、とても貴重なものと考えております。
 しかし、学校現場の管理職であれば、自己申告制度の面接や最終退庁者の記録、ふだんからのコミュニケーションを緊密にとることで、職員の勤務実態や健康状況をきめ細かく把握できるものと考えております。
 長年、教員の働き方は課題となっており、有効とされるさまざまな対策も、これまでとられてきたにもかかわらず、なかなか改善できないのは、新たな課題が付加されただけではなく、学校長を初めとした管理職を含む教員の働き方に対する風土や意識がまだまだ十分に変わらないことが、ここまで大きな問題になった一因ではないかと考えております。
 そのためにも、今回の調査をさらに分析し、小学校には小学校の、中学校や高校の専科科目にはそれぞれの、職場風土がありますが、ぜひよいところは残しつつ、変えるべきところは大胆に変える取り組みを行っていただきたいと考えております。
 釈迦に説法になるかもしれませんが、例えば、クラスが荒れたのであれば、授業準備などの業務を予定した時間の一部を削って、その教員が見回ってあげたり、授業を補佐したりする、また、採点が大変だということがあれば、記号問題などは他の教員が手伝うなどのちょっとしたことを積み重ねることであっても、負担軽減につながるのではないでしょうか。
 このようなことは、既に実施している現場もたくさんあるかもしれません。しかし、都内には二千校を超える学校があれば、その管理職が同じ水準であるとは限っておりません。
 取り組みができていない現場には、現場任せではなく、指導や支援を行う必要がありますが、教育庁の考えをお伺いいたします。

○江藤人事部長 都教育委員会では、平成二十四年三月に策定いたしました小中学校の校務改善推進プランの取り組みにつきまして、広く学校に周知するため、校長会、副校長会、区市町村教育委員会及び事務職員会の代表などで構成いたします校務改善推進会議を設置し、校務改善に取り組んでまいりました。
 また、毎年、校務改善推進事業発表会におきまして、先進的な取り組み事例の発表を実施しており、ことしは、校長、副校長を初めとした教職員や、区市町村教育委員会の職員など、約三百五十人が参加いたしました。
 このほか、表彰制度や校務改善ニュースの発行など、さまざまな取り組みにより、意識啓発を行っており、今後も、こうした取り組みを通しまして、学校現場が組織的かつ効率的に業務を進めることができるよう働きかけてまいります。

○米川委員 今お話のあった平成二十四年三月に策定しました小中学校の校務改善推進プランの中でも、多忙感の少ない学校の事例や校務改善を通して、目指すべき方向として学校長のリーダーシップによる職場環境の向上が重要となっております。
 これからさまざまな取り組みが実施されていくことになるでしょうが、どれだけ環境を整えても、教員自身の意識改革と、職場の人間関係を良好に保ち、そして、職員の働き方に配慮できる管理職がいて、初めてこの働き方改革は実現できるものと考えております。
 私も、東京都に約十一年間勤務しましたが、とても多忙な職場にも勤務した経験があります。しかし、それも上司がしっかりと働きやすい環境をつくっていただければ、そんなに多忙感を感じることなく、一生懸命働いた思いもあります。
 ぜひ、これからの取り組みの検討や実施と同時に、職員の意識改革と管理職員のリーダーシップ能力の向上に努めるよう要望し、質問を終わります。

○大松委員 学校における働き方改革推進プランについて質問いたします。
 昨年からことしにかけて、文部科学省と東京都教育委員会が実施いたしました教員勤務実態調査によりまして、都内公立小中学校で多くの教員が総在校時間週六十時間、いわゆる過労死ラインを超えている実態が明らかになっています。
 教員が長時間労働で心身の健康を損ない、本来の力を発揮できなくなれば、学校全体の教育力にも大きな影響を及ぼします。教員が心身の健康を保持し、誇りとやりがいを持って働けるように、学校における働き方改革を進めていかなければならないわけでございます。
 そして、このたびの学校における働き方改革推進プランの中間のまとめでは、取り組みの方向性として、教員を支える人員体制の確保が主要な柱として位置づけられております。
 さきの文教委員会で、私は、教員の長時間労働を改善するために、教材の印刷など、教員の事務作業を補助するスクールサポートスタッフの配置を求めました。同様の観点から、本日は、小学校の英語の教科化に向けた指導体制について質問をしたいと思います。
 小学校では、現在、五、六年生で英語の授業が行われております。これは児童に英語になじんでもらうという、英語活動と呼ばれる授業でありまして、正式な教科としての授業ではありません。
 しかし、二〇二〇年度からは、英語活動は二年早めて小学校三、四年生で行って、五年生、六年生では英語活動から一歩進んで教科としての英語の授業を行うことになっているわけでございます。
 このグローバル化が進む世界の中で、子供たちが思う存分活躍できるように、さまざまな力を育んでいかなければなりませんけれども、語学はその第一歩、例えば、海外旅行のときに用意するパスポートのようなものと考えるわけでございます。
 特に英語は世界で多くの人々が使う言語であり、英語でコミュニケーションができれば、子供たちが活躍できる舞台は大きく広がります。そのために、早い年齢から英語を学び、使える英語を身につけていくことは大変重要な教育課題の一つであります。
 その一方で、小学校では、英語科の免許を持っている教員が少ないというのが現状であります。現在の英語活動の授業においても、担任の先生方は、その準備に膨大な時間をかけ、手探り状態で取り組まれていると伺っております。
 ALTを活用することもできますけれども、ALTの方はネーティブな英語を話されても、子供に外国語を教えるという教員としてのスキルは持っていらっしゃいません。こうしたALTの方とも連携をしながら、教科として英語の授業を行うことは容易なことではないわけであります。
 そこで、英語の授業を担当する教員の指導力、英語力を向上させていくことが重要だと考えます。都教育委員会の小学校の英語教科化に向けた、これまでの取り組みについて答弁を求めます。

○江藤人事部長 小学校の英語教科化に向け、都教育委員会は、現在、都内四十三地区に英語教育推進リーダーを配置し、模範授業の公開や他校への巡回指導などを行うとともに、英語教育推進リーダーに対しましては、海外派遣研修やオンラインによる英会話研修を実施しております。また、現職の小学校教員が英語免許状を取得する費用を補助することにより、免許取得を促進しております。
 これらの取り組みにより、小学校教員の指導力、英語力の向上を図っております。

○大松委員 都教育委員会がさまざま先駆的な取り組みをされていることがわかりましたけれども、私は、さらにもう一歩踏み込んだ取り組みが必要だと考えます。
 外国語の学習は、話す、聞く、読む、書く、そして考える、表現する、そして伝える、非常に多角的で実践的なものであります。また、海外の多様な文化や社会についての理解も必要でありますし、教材も多様になります。ALTとの共同作業など、非常に高い技術力が求められますし、非常に専門性の高い教科であるわけでございます。
 したがいまして、この今の体制のまま英語の教科化が始まりますと、やはり教員の負担はふえて、授業の準備にかかる時間もふえていくものと思います。そのことで、健康を損なう教員がふえたり、求められる授業の質を確保できなくなるというような事態は避けていかなければなりません。
 そこで、英語の授業も、音楽や図工のように、特別のスキルを持った教員が専門的に指導をしていくべきと考えます。東京都教育委員会の見解を求めます。

○江藤人事部長 小学校における英語の教科化に当たりましては、英語教育の質を確保するとともに、教員の過度な負担とならない指導体制を整えることが重要でございます。
 このことから、今年度、都教育委員会は、指導体制のあり方などについて検証するため、英語専科教員配置モデル事業を六校で実施しております。
 今後、この成果を踏まえ、小学校における英語の専科指導に必要な教員の配置など、英語の教科化に対応した指導体制を検討してまいります。

○大松委員 私は本来、英語は中学校や高校と同様に、小学校においても専科で行うことが望ましいと考えております。
 先ほど専科としての授業がモデル事業として実施されているとの答弁がありました。この専科としての授業の本格実施を目指して、教員の研修、人員の配置に取り組んでいかれるように要望いたしまして、質問を終わります。

○川松委員 さて、今回の学校における働き方改革推進プラン(仮称)でありますが、この策定について、目的は教員一人一人の心身の健康保持の実現と、誇りとやりがいを持って職務に従事できる環境を整備することにより、学校教育の質の維持向上を図るとなっているわけでありますけれども、今、大松理事からもお話がありましたように、週当たりの総在校時間、六十時間を超える教員をゼロにしていこうというものであります。
 この調査を見てみますと、特に中学校の先生が割合として多いのですが、この傾向というのは、別にきのうきょうこうなったものではありません。働き方改革という言葉も言葉として今ブームのようになっている、最近の傾向かもしれませんが、ずっと前からいわれてきたことであります。よく考えてみれば、去年も五年前も、その前も同様に先生方の負担を減らしていこうという声は各方面から上がってきたのであります。
 では、なぜ解消されないまま今日に至ったのかということを考えると、答えは明確で、教育現場の仕事が年々、日々ふえているということになるかと私は思います。二十年前と十年前、あるいは今と単純比較しただけでも、社会環境の進展とともに、情報があふれるこういう社会になっていますから、大人たちが学校に求める内容も中身が濃くなっているわけです。
 ところが、少子化にあっては、基本的に生徒児童の考え方、そして、その生徒児童の家庭の考え方も変わっているわけであります。
 保護者を初め、学校を取り巻く大人たちは、他校の状況などもよく耳に入ってくるようになって、先生たちにいろんな要望をしております。同時に、校内の事務仕事というのも細分化されたり、一般的に増加している傾向であると聞いております。
 この働き方改革は、ワークライフバランスという言葉とセットで出てくるわけでありますが、このワークとライフをともに充実させることは、これはもう誰もが大切だと思っていることです。学ぶ児童生徒にしても、いつもいらいらしている先生ではなくて、余裕があって笑顔あふれる先生のもとで、中身の濃い学びをしていきたいというのは当然であります。
 すると、私は働き方改革というきょうのテーマの中で、先生たちにとって、ワークライフバランスを語る前に、考える前に、ワークの部分の中の、これ業務のバランスの整理ということが大事ではないかと考えるんですが、ワーク内においてのいろいろな整理、この見解について、教育庁はどうお考えになっているのか、教えていただきたいと思います。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 学校を取り巻く環境が複雑化、多様化し、学校の役割が拡大いたしますとともに、新学習指導要領の確実な実施など、学校教育のさらなる充実が求められております。
 こうした状況下において、教員が担っている業務を精査し、教員本来の役割である学習指導等に専念できる環境を整えることにより、授業や指導の質を高めることは極めて重要であります。
 このため、都教育委員会は、教員の勤務実態調査を実施し、出退勤時刻の状況や個々の業務内容、その従事時間を把握いたしました。
 今後、学校現場等の意見も踏まえ、業務内容をさらに精査し、役割分担の見直しや効率化を進めますとともに、学校教育の質の維持向上を図ってまいります。

○川松委員 ありがとうございます。民間企業であれば、生産性という考え方の中で、労働時間と企業の、例えば売り上げを比べながら、効率よく仕事の進行管理をしていきましょうという考えは当たり前でしょうし、これ、進行管理は可能だと思います。
 ところが、学校の先生に、この生産性というのは当てはめづらいわけです。長い時間をかけて、それぞれが児童生徒、それはいろんなことを学校の中で伝えていって、この児童生徒が大きく成長して、振り返ったときに、その先生の功績というのは評価されるものだと私は考えています。
 一方で、上からたくさんの事務作業が回ってきて長時間労働になっているという場合の在校時間が長くなっているケースと、先ほどいったように、先生によっては一人一人によいものを提供しようと個別対応をしていく中で、プラスアルファの作業がふえて、長時間滞在になっているケースというのがあるんじゃないかなと思うんですね。
 一概に時間だけの線引きというのが必ずしも先生たちのためにとって、児童生徒のためにとって適切なのか、私は、まだちょっとここは自分なりに納得した分析を得られていないわけであります。
 事務事業の質疑でも私自身触れましたが、肉体的な疲労と精神的な疲労というのは各先生方にあると思います。このワークの部分における業務バランスでは、精神的疲労をどう察知して対処していくのかということが、管理職の方たちからすると、鍵になってくるのではないかなと思うんですね。
 例えば、子供の未来のために私は教員になりたい、そういうふうに思った先生方は、そのためなら幾らでも頑張れるという方がいる反面、どうも不得意な事務作業、あるいは自身が主体的ではない事務作業に追われて、ちょっと参ったなと思われている方もいらっしゃるわけです。
 自分自身に置きかえれば、議員として、議会で集中審議をするときなど、何時までかかっても質問作成して徹夜で質問に行こうが、何の疲労もなくどんどん質問できますけれども、一方で、専門外の資料まとめなんてやっていると、一時間であってもすぐ疲れちゃうわけです。
 こういうことは多分個別のケースで先生方を見ていかないと、形だけの働き方改革になってしまうのではないかなと私は思います。
 そこで、この肉体的な疲労だけでなく、精神的な疲労も大きな負担と私は考えているわけですけれども、都教委の見解をお伺いしたいと思います。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 教員は、授業や授業準備のほか、部活動指導や事務的な作業など、広範な業務に従事しており、こうしたことが長時間労働の一因となっております。
 教員の業務のうち、例えば部活指導については、やりがいを感じている教員がいる一方で、経験のない競技等の顧問を担わなければならない場合は、時間だけでなく精神的な負担も大きいとの指摘もございます。
 また、多忙であるがゆえに、質の高い授業に向けた教材研究など、教員の本来業務に専念できない状況に対してストレスを感じていることも考えられます。
 今後、教員業務の精査をする中で、教員以外でも担い得る業務についての専門スタッフの配置や負担軽減に向けた業務改善など、総合的な対策について検討してまいります。

○川松委員 ありがとうございます。この働き方改革の中で、そういった精神的な面のケアということも哲学として入っているということがわかりました。
 今、運動部の部活動の話がありましたが、学校運動部活動指導者の実態に関する調査を見てみますと、競技経験のない方が顧問をやっているケース、中学校で半数以上、高校でも半数近くおられる。ここには、自分のやってきた競技についての運動部がなくて、泣く泣く他の競技を見ているという方も含まれるわけです。
 今後、前述のようなですね、部活の顧問を受け身でやってきて、受け身でやっているのに、さらに土日も引率だ何だって出てきて精神的に疲れているという方をサポートするためのさまざまな制度を充実させていくということでございますから、いろんな面で総合的な視点で、働き方改革を進めていただくよう強く要望しまして、私の質問を終わります。

○池川委員 それでは、私も、働き方改革推進プランについて質問させていただきたいと思います。
 中井教育長は、さきの十一月の事務事業質疑の質問に対して、教員の多忙化、長時間労働の解決には、教員をふやしていくことが根本的、理想的な解決の方法だという認識を持っていると答弁されました。しかし、都や国の財政状況を見れば難しいということもあわせて答弁されました。
 都政の中で、教育委員会が初めから財務当局の顔色をうかがい、増員要求を行わなければ、ほかに誰も増員要求はしてくれません。教員独自の増員を、予算を初め、あらゆる機会を捉えて都教委が行っていただきたいということをまず強く求めたいと思います。
 同時に、東京都の予算の使い方にとって、何に重きを置いてこれを配分していくのかという点では、予算を議決する都議会として、この教職員定数をふやしていくことに直接の責任があります。
 そうでなければ、この問題の根本的解決はないということを、まず初めに申し上げておきたいと思います。
 その上で、調査の内容とそれに対する対策について、プランの内容について、幾つかお伺いをしていきたいと思います。
 中央教育審議会の学校における働き方改革特別部会で議論されている、新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(中間まとめ)案では、学校における働き方改革を進めるには、教師一人一人や学校の取り組みも重要だが、文部科学省及び都道府県教育委員会、市町村教育委員会等の役割は非常に大きいとしています。
 すなわち、教育委員会の責任において働き方改革を行い、時間外労働をなくしていくための方策を現場の先生の意見を聞きながら進めていく必要があります。
 都教委は、ことし六月から七月にかけて、東京都公立学校教員勤務実態調査を行いました。調査を行い、実態を公表したことは、教員の多忙化解消にとって大きな前進ですが、問題はその働き方の内容です。
 この調査によって明らかになったのは、学校現場における深刻な働き方の実態です。週六十時間を超えて働いている教員の割合は、小学校三七・四%、中学校六八・二%、高等学校三一・九%、特別支援学校四三・五%となっており、いずれも文部科学省が行った全国調査よりも長くなっています。
 実態調査をどのように受けとめているのか、また、学校現場における長時間労働は何が原因だと考えているのか、まず見解を伺いたいと思います。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回、都教育委員会が実施いたしました調査により明らかとなった教員の長時間労働の実態は看過できないものと受けとめております。
 長時間労働の原因は多様でございますが、学校に求められる役割が拡大する中、さまざまな教育課題が教員に集中していることが一つの要因と考えております。

○池川委員 看過できないものと受けとめているということは非常に重要な答弁だと思います。
 というのであれば、抜本的な対策がやはり必要です。そのためにも、現状把握をしていくことが不可欠だと思います。東京都としては、タイムカードを入れてきちんと在校時間については管理していくということになっておりますが、区市町村の教育委員会が、まだそこに着手できていないということが、今、課題として挙げられると思います。
 この在校時間の把握を含めた勤務実態調査については、やはり継続的に行っていくことを通じて、実態として、教員の働き方がどうなっているのかということがつかまれるわけで、引き続き、この勤務実態調査を含めた調査については、継続して行う必要があると思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今後、勤務実態調査をする場合においては、さまざまな工夫が必要だと思います。
 今回プランとしてやっていきますので、状況を勘案しながら、そういった点についても検討していきたいと思います。

○池川委員 これは現場の先生方との意見交換や、区市町村教育委員会の意向等も含めて、ぜひ継続的に行うことを通じて、やはりどうなったのかという分析ができると思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
 具体的なプランの中身について伺っていきたいと思います。まず目標設定のあり方についてです。
 中間のまとめでは、都教委が示した目標は、週当たりの在校時間が六十時間を超える教員をゼロにする、つまり月の残業時間、時間外労働の時間が八十時間を超えない、過労死ラインを超えないようにするというものになっております。
 我が党は、代表質問で、過労死ラインまでの時間外労働を容認する働き方改革というのは、ライフワークバランスという視点から考えても、目標としてふさわしくないのではないかと質問をいたしました。
 これに対する教育長の答弁は、当面の目標として掲げたものであり、この目標のもとさまざまな取り組みを行うことにより、教員全体の在校時間の縮減を図るというものでありました。
 先ほど、長時間労働の実態は看過できないという答弁がありましたが、この週当たり在校時間が六十時間を超える教員をゼロにするという目標を達成できれば、逆にいえば看過できる状況になるのか。目標設定を週当たりの在校時間が六十時間を超える教員をゼロにする、平日は一日当たりの在校時間を十一時間以内としておりますが、その理由と根拠について伺いたいと思います。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回、実施いたしました勤務実態調査の結果、週当たりの総在校時間が六十時間を超える、いわゆる過労死ライン相当の教員が多数存在することが明らかになりました。
 このため、週当たりの在校時間が六十時間を超える教員をゼロにすることを当面の目標とすることといたしました。
 また、この目標の達成に向け、平日は一日当たりの在校時間を十一時間以内、また、土曜日、日曜日につきましては、連続して業務に従事することがないよう、どちらか一方は必ず休養することを取り組み方針といたしております。

○池川委員 今の答弁を聞くと、やはりなぜ週六十時間としたのかという根拠が大変弱いなというふうに考えます。
 これ、教員採用試験を受けてほしいということで、東京の先生になろうという冊子、これは都教委がつくっているものですが、この中に出てくる先生の働き方、東京の先生の一日、一週間という、具体的にどんな働き方をされているのかというのを、これ、都教委が作成をされていて、先生方から調査をして掲載されていますが、この実態を見ても、例えば、五時四十五分に起床して七時十分には学校に到着をし、それがずっと続いて、空きこまがない先生が紹介をされていたり、また、高校や特別支援学校、また、養護教諭の先生などでは、在校時間が十一時間をはるかに超えるような実態に実際今なっていることが、これが現実として映し出されています。
 しかし、東京の先生になろうという中で、こういう実態を示す中で、本当にやっていけるのかどうかというのは、率直にいって、多くのこれから教師を目指す方々も含めて、大変不安になるということになると思うんですね。
 そもそも厚生労働省が作成をした過重労働による健康障害を防ぐためにという中では、おおむね四十五時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症における関連性が徐々に高まる、すなわち脳疾患、心臓疾患のリスクが高まるということを、医学的根拠をもとに明らかにしています。
 すなわち、健康リスクを考えれば、どんなに長くても、月の残業時間四十五時間以下にすべきというのが医学的見地です。このことは、中教審特別部会の中間まとめでも参考にされています。少なくとも、この厚生労働省が定める月四十五時間の時間外労働ということは一刻も早く達成し、ここは少なくともゼロにしていくということが必要だと思います。
 先ほど六十時間、週在校時間の当面の目標という答弁でありましたが、この当面とは一体どのぐらいの期間であるのか、期間を定めて行う必要があると思いますが、見解を伺いたいと思います。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 長時間労働は、教員の心身の健康にかかわる問題であり、一刻も早い改善が求められるため、期限を定めておりません。

○池川委員 期限を定めない、確かに早急な改善が求められるというのは、今、大変大事な認識だとは思うんですが、これ、期限を定めることないまま過ぎていくことになれば、いつまでにやるのかという明確な目標が見えてきません。
 この当面の目標について期限を定めることができないということは、実効性をどうやって担保するのかということになるんじゃないでしょうか。
 週六十時間というのは、当面の目標ということですが、都教委の考え方として、さらに短くしていく、労働時間を減らしていく必要性があるのか否か、その認識について伺いたいと思います。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都教育委員会といたしまして、今回のプランを策定するに当たりまして、勤務実態調査を実施しております。
 その勤務実態調査の結果を踏まえまして、そういったところから、まずは当面の目標として、週当たりの在校時間が六十時間を超える教員をゼロにする、これが必要だということで掲げたものでございます。

○池川委員 もう一度伺いたいと思います。
 六十時間、当面目標として掲げたと。しかし、これがゴールなわけはないわけですから、今後、さらにそれを減らしていくという認識があるのか否か、その点について伺いたいと思います。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回、この実態調査の中で、六十時間超えの教員がかなりの多数にわたるという事実がございます。
 当然これを解消していくというところが当面の目標でございますし、それでいいということではないというふうに思っています。
 ただ、今回、こういう結果を受けた中では、当面の目標としては、これをまず達成するようにさまざまな総合的な対策を打っていくということでございます。

○池川委員 週六十時間を超える教員をゼロにするということはもう一刻の猶予も許されない課題だということはいうまでもありません。さらに減らす目標が必要だと思います。
 早急にやるべき当面の目標だけでなく、本来あるべき姿、労働基準法と照らしても、時間外労働はゼロにすべきであるということは、プランの中に本来明記をすべきことだと私は思います。それを明記せず、期間の定めのない当面の目標だけで、これを進めていくことになれば、その実効性がやっぱり担保できなくなってくるんじゃないかと思います。
 パブリックコメント、今やられて、終わりましたけれども、ここに寄せられた声も踏まえて、本来、どのような目標にすべきかということは、きちんと定めていただきたいということは求めておきたいと思います。
 また、中間のまとめでは、取り組みの方向性として、五つの柱が提起をされています。その一つ目が在校時間の適切な把握と意識改革の推進という項目になっております。
 適切な在校時間の把握については大変重要だと思いますが、意識改革を一つ目に持ってきているということは、教育委員会として本当に責任を果たしているのかということになります。意識改革を進めても、仕事の量を減らさなければ、これは改善にはつながりません。この認識を持つ必要があると思います。
 この点について、中教審の中間まとめ案でも、学校における働き方改革とは、単に帰宅時間を早めれば実現するものではない、すなわち、学校及び教師の業務の総量を減らさずして、在校時間の短縮を図ろうとしても、家に持ち帰る仕事がふえることにつながり、根本的な解決にはならないというふうに指摘をしています。
 学校の現場の先生からお話を伺っても、とにかくやることが多い。調査の類いが足し算のように積み重ねられ、引き算がない。全体の業務量を大胆に見直し、やめることをしなければ働き方改革を進めることはできない。定時退庁は強調されるが、業務量全体を減らさない限り、形ばかりの定時退庁をしても結局別の日にしわ寄せが来る。本来の退勤時間とされているところから、授業以外の仕事が本格化する。校務分掌に追われ打ち合わせに忙殺される。現場では工夫しているが、ちょっとの工夫で何とかなるなら既に改善しているなど、実態が本当に深刻だという話を私も複数の先生から、この間、伺ってきました。
 この働き方改革の中心的な課題は、意識改革ではなく、中教審がいうような業務の総量を減らすことだと考えますが、これは都教委も同じ認識でよろしいでしょうか。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今のご質問ですけれども、当然、おっしゃられたように業務の中身につきましては、今回、さまざまな形でお答えしていますように、教員以外でも担える業務について専門スタッフを活用したり、学校内での役割分担を見直したり、そういった形の総合的な対策の中で、教員の業務の軽減を図っていくというところでございます。
 一方で、学校の教員の中でも、さまざまな子供と向き合う時間を非常に大切にして、そういうものを丁寧にやられている方もいます。
 そういった中で、そういう教育の質というものをしっかりと確保した上で、あわせてこういう働き方の、勤務の業務削減というものをやるためには、当然、そこで働く教員の意識改革もあわせてやる必要があるというふうに考えております。

○池川委員 意識改革が、この一項目めに来ているということに私は問題があると思うんですよね。やっぱり、全体としては、業務量を減らしていくことを中心的にすべきで、この業務量の総量を減らすということに着目をしてきちんと進めていく、その意味では、これまでのあり方がどうだったのかという総点検が私は必要だというふうに思います。
 そのために重要なのがやっぱり現場で起こっている問題を的確に捉えること、具体的な課題について把握をすることだというふうに思います。
 さまざまな立場の先生から直接声を聞く場、さまざまな協議会、このプランが実効性があるものになるのかということも含めて、現場の先生から直接声を聞き今後計画に反映をし、それがきちんと回っているかをチェックするなど、こうした現場の先生の声を直接聞く場をきちんと設けていく必要があると思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本プランの中間のまとめの公表後、校長や区市町村教育委員会から意見聴取を行いますとともに、パブリックコメントを実施いたしております。この中では、学校関係者からの意見もいただいているところでございます。

○池川委員 これはプランをつくる過程もそうなんですけれども、これからプランを実行していく中で、きちんと現場の声を聞いて対応していただきたいということは求めておきたいと思います。
 それから、小学校の先生に話を伺って共通しているのが、先ほど来、議論にもなっていますが、授業の準備の時間がとれないということです。これは民間の調査でも明らかにされています。
 例えば、ベネッセ教育総合研究所が行った第六回学習指導基本調査では、小学校では九〇・五%の教員が教材準備の時間が十分にとれていないに、とてもそう思う、まあそう思うというふうに回答されています。
 また、愛知教育大を中心に行った教員の仕事と意識に関する調査でも、小学校で九四・五%が授業を準備する時間が足りないことを悩みとして回答されています。
 教材準備、授業準備の時間がとれないということが、各種アンケートを見ても圧倒的多数を占めていますが、この点について都教委の認識と見解を伺いたいと思います。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 教材準備や授業準備は教員の本来的な業務であり、質の高い授業のためにも重要なものであると考えております。
 そのため、今回のプランにおきまして、総合的な対策を実施することにより、学校教育の質の維持向上と教員の負担軽減を図ってまいります。

○池川委員 前回、文教委員会の事務事業質疑でも、一時間の授業には一時間の準備が必要ではないかという認識を質問したのに対して、ご指摘のあったとおり、持ち時間数に応じて同等の時間が必要であるという認識だという答弁がありました。
 どのように持ち時間と同等の授業準備時間を確保するのか、先生方からお話を伺って、私が重要だと感じたのは、授業を持たない時間、すなわち空きこまが必要だということです。
 しかし、文部科学省の教員勤務実態調査では、小学校教員の場合、一週間の授業時間数、二十六こま以上が四〇・九%と最も多くなっています。つまり授業の空きこまがほとんどないということです。
 ある小学校の先生は、行事に向けて、三週間ほど特別の時間割、三週間、空き時間、専科授業がゼロ。専科授業というのは、いわゆる担任の先生にとって教室を離れられる空きこまということになります。
 担任の、何とかなると思っていたけれども何とかならない気がしてきた、机の上はプリントの山で整理されることなくどんどん積み上がり、授業の準備時間などはほとんどなく、私の仕事とは何なのかということで、自問自答する日々だったということも伺いました。
 小学校において、長時間労働を抜本的に減らし、子供たちの学びを支える方策として、一つは、教職員定数の抜本的増員とともに、この専科教員の増配置をすることで、一人当たりの持ち時間数を減らすこと、これを進めることは大変働き方にとって改善が見込めるのではないかと思います。
 都教委の中間まとめ案でも検討例として、小学校における専科指導に必要な教員の配置など、新学習指導要領や新たな学習課題に対応した体制を段階的に整備ということが示されていますが、この専科教員をふやすことが働き方改革につながるというふうに認識をされて、これを出されたのか、その点について伺いたいと思います。

○江藤人事部長 教員の働き方改革を進めるに当たりましては、専科指導を進めることも方策の一つではありますが、それだけではなく、外部人材の活用やICTの活用、学校マネジメントの強化など、あらゆる手だてにつきまして、国や区市町村と連携し、総合的に検討していく必要があると考えております。

○池川委員 これは中井教育長が会長を務められる全国都道府県教育長協議会の要望の中の働き方改革のための指導、運営体制の構築の着実な推進の中の一項目めに、専科教員、とりわけ小学校については専科指導が必要だ、その加配が必要だということを東京都は国に求めているわけですよね。
 すなわち、この専科教員の配置によって、しっかりと空きこまを生み出していくことによって、私は働き方改革は大きく進むのではないかと。そのためにも、小学校では、都教委が以前、十四から十六学級で専科教員を配置していたことを削減したわけで、これを復活させることも含めて検討すべきだと思います。
 音楽と図工の専科は一定数いますが、大規模校でなくても家庭科や理科など安全確保や十分な準備の必要な科目を専科にすれば、授業の質も向上し、子供たちの理解も進み、空き時間も生み出すことができ、こんなにいいことはないというふうに思います。英語など新しい教科に対応するだけでは、いわゆる働き方改革にはなりません。
 中教審の特別部会の中間まとめでも、小学校は、学級担任制であり学級担任を務める一人の教師が担当する授業時間も多い、給食の時間の指導も行い、児童の休み時間も児童と一緒に活動し、児童への安全への配慮等を行っていることが多いことから、休憩時間が確保できず連続勤務になっている、児童在校中は、校務や授業準備を行う時間の確保が難しい状況にあるというふうに指摘をしています。
 小学校の教員が授業を持たない時間を生み出すことができなければ、校務分掌や授業準備は全て時間外へと回っていくことになります。空き時間を生み出す対応をすべきだということは強く求めておきたいと思います。
 また、担任児童数を減らすことも重要です。少人数学級の推進という点では、全国の中で東京都というのは最もおくれた自治体の一つとなっています。独自の少人数学級の対応が子供たちの教育のためにはもちろん、長時間労働の改善というためにも重要であり、一人当たりの児童数についても減らしていくことが求められています。
 代表質問では、一学級当たり児童生徒数二十九・一人と全都道府県で一番多く、担任児童生徒数を見ても、全国では三番目に多いことを指摘し、教員一人当たりの児童数が少ない場合は時間外労働が短くなるという、文科省が行った勤務実態調査の結果を示して、認識を聞いたところ、担任児童が一定数を超えたところでは、学内勤務時間に大きな差はないという驚くべき答弁がありました。
 三十一人以上では、勤務時間が十一時間三十三分と変化はありませんが、二十六人から三十人では十一時間二十六分、二十一人から二十五人では十一時間二十四分、十六人から二十人では十一時間九分と確実に減少しています。
 全国では、二〇一五年の統計ですが、少人数学級の推進などによって、一クラス平均が二十一人未満の県は十六県と三分の一を占めています。二十人以下は決して特別なことではないと思います。
 愛知教育大が中心に行った教員の仕事と意識に関する調査では、教育改革の取り組みへの賛否という項目で、小学校教員では、実に九六・五%の先生が学級定員の少人数化に賛成だと回答しています。
 この点から考えても、担任の児童数に着目し、減らすことを検討していただくことが必要だと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

○安部地域教育支援部長 委員のご指摘の文部科学省が本年四月に公表しました勤務実態調査の集計においては、小学校では担任児童数が多いほど、平日の学内勤務時間全体及び成績処理に係る業務時間が長い傾向にあるとはされております。
 ただし、代表答弁でもお答えいたしましたように、担任児童数が一定数を超えたところでは、学内勤務時間については大きな差はないというふうに認識しております。
 学級編制につきましては、国の全体の教育水準にかかわるところでございますので、国の果たす役割が大きいと私どもは考えております。
 また、教員の働き方改革におきましては、教員の業務内容というのは成績処理という業務だけではございませんで、さまざまな要因がありますので、それを進めるに当たりましては、勤務実態を把握し、役割分担のあり方や業務の進め方など、多様な観点から見直しを図ってまいりたいと考えております。

○池川委員 実に九六・五%の先生が、この少人数化について進めていくべきだという、私はこの現場の先生たちの実態、声を受けとめていただきたいと思いますし、中井教育長が会長を務める、先ほど紹介した協議会でも、三十五人学級については、これは国の責任でやるということをいっていますが、やっぱりこれの教育的意義を認めた上で進めることを教育長会としてもいっているわけです。
 このことをしっかりと進めていただきたいということは強く求めておきます。
 次に、中学校の問題について伺っていきます。
 中学校は少人数学級を実施すること、そして生徒指導の教員の配置について、以前行っていた十五から十七学級の削減を見直し、配置することとともに、部活動について改善することが必要だと思います。
 中学校、高校において、部活動の見直しを行うことが負担軽減にとって不可欠だという認識があるのか否か、伺いたいと思います。

○宇田指導推進担当部長 部活動は、生徒がスポーツ、文化に親しむ観点や、連帯感の育成といった教育的側面において意義がございます。
 しかしながら、平成二十六年度の日本体育協会の調査によると、中学校及び高等学校において、保健体育科以外の教員で競技経験のない部活動の指導を行っているのが約四三%、そのうちの約四〇%が専門的指導力の不足を感じております。
 また、今年度から開催しております学校関係者等で構成する部活動検討委員会では、委員から、休日の大会引率で体が休まらない、ふなれな競技の審判が負担だといった声を聞くことがあると報告を受けております。
 こうしたことから、部活動指導において改善を図ることは、教員の負担軽減を図る上で重要であると考えております。

○池川委員 学習指導要領では、部活動は生徒の自主的、自発的な参加により行われるということが明記をされています。
 そして、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること、その際、地域や学校の実態に応じ、地域の人々の協力、社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携など、運営上の工夫を行うようにすることとされています。
 私も、中学校は野球、高校はバレーボールの部活に打ち込んできたので、この部活動の教育的意義については、体感的にではありますが認識をしているつもりです。
 都教委は、部活動について、二〇〇五年に部活動基本問題検討委員会報告書を取りまとめています。この中でも、授業の持ち方が過密になっている場合があり、部活動に立ち会う義務感から顧問教諭の多忙感が大きくなっていると書かれています。
 また、顧問教諭の悩みという調査項目の結論部分として、専門性の不足と業務の多忙さを示しており、解決すべき課題といえるとしています。
 それを受けて、東京都立学校の管理運営に関する規則で、部活動について、学校は、教育活動の一環として部活動を設置及び運営するものとする。校長は、所属職員に部活動の指導業務を校務として分掌させることができるとされております。
 校務分掌とされていますが、実際には勤務時間外となっているところに大きな課題があります。絶対に勤務時間内に終わらないものが職務であるとされていることについては、ここに課題があるわけです。
 こうしたグレーゾーンが、生徒のためということで、先生の善意に押しつけられながら、保護者などから熱心な指導を期待されることにもつながっています。また、事故やトラブルがあれば、責任を問われるなど、負担が増加しているのも実態です。
 外部指導員の活用などが検討されているわけですが、結局、顧問がいなければ部活動ができないということになれば、時間外労働を減らすことはできません。
 部活の顧問をされている先生からは、生徒への直接指導以外にもかなりの業務量があるという話を伺いました。スポーツ関係の部活動であれば、大会にエントリーするために、大会参加費をどこから捻出するのか、保護者負担となるケースの場合については、依頼文を作成するなど、対応が必要になります。
 また、誰を大会に出すか、選手にするのか、ここについてもかなり苦労をしているとお話がありました。特に人数が多い部活動についていえば、物理的な負担とともに、精神的な負担になるということです。
 中間のまとめ案では、週休日である土曜日、日曜日については、連続して業務に従事することがないよう、どちらか一方は必ず休養できるようにすることとしていますが、都教委が行った勤務実態調査でも、土曜日が二時間十五分、日曜日は二時間七分が部活動指導になっています。
 中間のまとめで、部活動については、学校における他の教育活動とのバランス等の観点から部活動のあり方を見直し、その適正化を図るとともに、顧問業務に従事する教員の負担軽減を図りますとしています。
 超過勤務を前提にした部活動のあり方については、見直す必要があると考えますが、いかがでしょうか。

○宇田指導推進担当部長 通常、中学校、高等学校においては、六時間目が終了する午後三時三十分過ぎから部活動を開始する学校が多く、もし教員の勤務時間に合わせて活動を終了すると、実質の活動は一時間程度となり、生徒にとって十分な活動時間を保障することができないことから、午後五時三十分など、最終下校時刻まで活動させております。
 こうしたことから、現在、都教育委員会では、教員の負担軽減を図るため、顧問教員にかわって専門的な技術指導ができる部活動指導員の導入や休養日の設定について検討しているところであります。

○池川委員 部活動指導員の導入や確実な休養日の設定について検討しているということです。時間外になることが確実な校務分掌という位置づけについて、しっかりと考え方を見直し、実際に負担軽減になる、勤務時間の削減になるやり方を行っていただきたいと思います。
 自治体によっては、地域の外部指導員と連携し、報酬もしっかり払って責任を持っていただくことによって、うまく回っているという好事例もあるという話を伺いました。こうした事業を進める場合に重要なのが、財源的裏づけと十分な研修だと思います。
 都教委として、その部分については十分な支援を行っていただきたいということを要望しておきます。
 独自に業務を減らすことができるという点では、例えば学力テスト、体力テストについても見直すことが必要ではないかと思います。学力テストは、そのための対策を行い、標準授業時間に含まれないため、全体として授業時間数がふえることになります。
 私は、国の学力テストも含め見直すべきだと考えていますが、少なくとも国でも学力テストをやっているわけですから、都独自に行うことは、教員の負担軽減や業務を減らすことにつながると思います。また、そのことは、子供たちを競争教育に追い立てていくという点からも、見直すことが必要だと思います。
 また、体力テストについていえば、例えば小学校一年生では、メートルという単位も習っていない、時計の読み方も秒まではわからない、数も覚えたばかりという状況で、実際には子供同士で計測をすることは困難です。現場の先生からは、例えば反復横跳びを行ったときに、往復で一回なのか、一歩で一回なのか、片道一回なのか、子供たちが数えると混乱しかないという話をされていました。
 PTAなどにお願いをして、計測のためのボランティアを配置している学校もありますが、そのための段取りを行うのは、実際には先生たちの負担となっています。PTAの人たちに一任するというわけにはやはりいきません。せめて低学年だけでもやめてほしいという声も伺っております。
 都として独自に行っている業務については、抜本的に見直すことをやらなければ、東京都として在校時間を減らすことはできないというふうに思います。
 都独自の学力テスト、また、体力テストについて、やめることや規模の縮小など、見直しが必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○増渕指導部長 都独自の学力調査や東京都統一体力テストは、それぞれ都全体の児童生徒の学力や体力運動能力の実態を把握し、指導の工夫、改善を図るための取り組みを推進することを目的として実施しております。
 今後とも、児童生徒の学力や体力の向上に向け、学力調査及び体力テストを継続して実施してまいります。

○池川委員 これは通常の授業に加えて、こうした取り組みがやられていることによって、実態としては、標準時間を上回って授業数を確保しなければならないということにつながっています。
 例えば広島県では、二〇〇二年度から十六年間、東京都と同じく小学校五年生、中学校二年生で実施をしてきた基礎基本定着状況調査、いわゆる学力テストを来年度は休止する方向だということを先日伺いました。テストのための予算要求は既に行っていないということであります。
 その理由について伺ってみますと、十六年間の実施で一定の成果が上がり、今後は、より基礎学力が身についていない子供たちへの方策を考える必要がある問題意識だというふうに伺いました。
 私は、こうした判断を教育委員会が行うことが求められていると思います。大胆な見直しを行わなければ、在校時間は減らすことができません。
 また、実際には区市町村教育委員会の現場で対応していることになりますが、授業時間数の確保が至上命題とされ、多くの自治体で授業時間数確保のために授業時間数を多く見積もるということが起こっています。
 土曜授業が行われている自治体でも、実際には地域への公開というよりも授業時間数の確保のために行われているという実情も伺っております。土曜授業のあった週は、翌週の月曜日、子供たちの集中力も下がり、教員も結果的には、本来、休日であるべき日に授業をすることとなっており、課題があるというふうに現場の先生から伺いました。
 現場では、標準時間を下回らないように、年間での余剰時間の確保ということが行われております。確かにインフルエンザや台風等、学校が行えなかった場合に、授業時間を確保するということが一定数必要ではありますが、それが過剰にとられているということも現場で起こっているそうです。
 私の住む町田市では、年間二十時間の余剰時間をとるように学校現場には通知があったそうですが、実際には多忙化の原因の一つとなっていることから、見直しの検討が行われているということも伺いました。
 また、通勤時間も教員を疲れさせる要因となっています。働き方といった場合、働くに当たり拘束される時間全体で捉える必要があると私は考えます。
 東京都公立学校教員の定期異動実施要綱では、通勤時間という項目があり、通勤時間はおおむね六十分から九十分までを標準とするが、百二十分までの通勤は可能な時間とするとしています。
 この考え方を前提にすると、例えば中学校教諭では、平日の労働時間、在校時間が十一時間三十二分に加えて往復四時間、十五時間三十二分の拘束時間となってしまいます。時期によっては、さらに延びることになります。
 教員の働き方改革を進めるに当たり、通勤時間という概念についても検討していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○江藤人事部長 教員の通勤時間につきましては、人事異動の実施に当たり、校長及び区市町村教育委員会の人事構想に基づき、教科や男女構成比、年齢構成などとともに考慮しております。
 さらに、保育や介護等の事情を有する教員につきましては、ライフワークバランスの趣旨なども踏まえ、通勤時間や通勤方法に配慮した配置を行っております。
 今後とも、こうした多様な観点から、適切に人事異動を行ってまいります。

○池川委員 学校の先生の話を聞くと、朝七時に学校に来るに当たって、ここに二時間かけると五時になるわけですよね。こういうことも踏まえて、やっぱりさまざまな事情を考慮するのであれば、通勤時間についても、この働き方改革の検討の中にきちんと位置づけておくことが必要だというふうに思いますので、その点については、ぜひそれを踏まえた検討をお願いしたいと思います。
 学校現場では、子供や家庭の状況の変化により、新しい教育課題に直面するとともに、プラットホーム化によって担うべき仕事がふえています。
 また、学校に対する外からの目による批判に対応するため、文書に残して記録するなど、そのための事務作業が膨れ上がり、その対応によって疲弊し、教師の主体性が失われているということも伺っています。
 さらに、年齢構造の中で、中間の年齢の人が少ないことによる世代間ギャップ、また、校長を頂点とする学校経営のあり方によって、教師みずからが方針決定に関与できない事態が実際には起こっています。
 これらは、多忙化を加速させるだけでなく、教師集団が協働し、相互にサポートするという空気を奪っていることにつながっていると考えます。
 こうした問題を解決するためには、その一つとして、保護者や地域社会への理解促進を求めていくことが不可欠だと思います。それがプランの中にきちんと位置づけられ、これがどのように今後展開していくのかについては大変注目をしているところです。
 学校における働き方改革は、教員とその家族の人生にとって、学校現場で学ぶ子供たちにとって、今、進めなければならない課題です。根本である教員をふやすこと、現場の先生方と協議をして、これまでの業務について抜本的に見直すこと、そのイニシアチブを発揮すべきは、文科省が要請しているように、中教審が要請しているように、教育委員会です。皆さんが行う一つ一つの施策が、教員の働き方にどうつながっているのか、子供たちの教育にとってどうかということを改めてパッケージとして見直す必要があると思います。
 この年度末に出されるプランが、パブリックコメントなどで寄せられた声も踏まえ、都民が見たときに、これで学校現場も変わりそうだと展望を持つことができるようなプランになることを求めまして、質問を終わりたいと思います。

○成清委員 学校における働き方改革推進プランに関連して、都の取り組みなど五点について質問させていただきます。
 既に今までの話にもありましたとおり、いわゆる過労死ラインを超えて勤務している教諭の割合を見ますと、特に中学校で問題が深刻となっております。また、東京都公立学校教員勤務実態調査の集計によれば、副校長については、いずれの校種においても平日の在校時間が十二時間を超過しております。学校における働き方改革とは、中学校における働き方改革と副校長の働き方改革ともいえると思っております。
 勤務実態調査の集計によれば、平日に中学校教諭が最も時間を要しているのが授業、次いで成績処理となっております。また、土日ともに中学校教諭が時間を要しているのが部活動、次いで成績処理となっております。
 中学校教諭の働き方改革を進める上では、成績処理や部活動といったことへの対応が不可欠であります。中学校教諭の働き方改革を進める上で、まず成績処理の対応について都の見解をお伺いします。

○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 中学校教員の成績処理に関する業務は、試験問題の作成や採点から、成績表や指導要録の記入まで内容が多岐にわたるとともに、適切できめ細やかな学習評価、作成が求められております。
 このため、今回実施した勤務実態調査においても、従事時間が長くなっており、成績処理への対応は、働き方改革を進める上で有効でございます。
 現在、成績処理の業務は、教員それぞれの方法で行うことも多いのですが、ICTを活用することによって、データの一元管理などが進み、事務処理の効率化を図ることが可能となります。
 このため、学校業務のICT化に向けた区市町村教育委員会への支援についても、今後、検討してまいります。

○成清委員 成績処理の課題について校務のICT化による支援を検討していくとお伺いしました。
 部活動については、来年度より部活動指導員の配置を計画していると伺っております。部活動指導員の導入により、教員の業務軽減に関しては、どのような効果を見込んでいるのか、都教育委員会の見解をお伺いします。

○宇田指導推進担当部長 部活動は、生徒がスポーツ、文化に親しむ観点や、連帯感の育成といった教育的側面において意義が高い一方で、その指導を負担に感じている教員もおります。
 平成二十六年度の日本体育協会の調査によると、中学校及び高等学校において、保健体育科以外の教員で競技経験のない部活動の指導を行っているのが約四三%となっております。また、教員からは、休日の大会引率で体が休まらない、ふなれな競技の審判が負担だといった声が聞かれております。
 本年四月に法的に位置づけられた部活動指導員は、顧問教員にかわって専門的な技術指導や休日の大会引率、審判等を行うことができます。
 そのため、部活動指導員の導入により、より高いレベルでの指導を期待できるとともに、教員の部活動の指導時間が軽減され、平日の在校時間の短縮や休日等の勤務の減少につながり、心身の健康を保持増進する環境を整えることができるなど、教員の業務軽減に対する効果もあると考えております。

○成清委員 部活の補助としては、現在も地域人材活用の観点から、都立高校においては、有償ボランティアが活用されておりまして、現在、約五百五十人の方が活躍されていると伺っております。
 都内には、都立学校二百五十三校、区市町村立中学校六百九校がありまして、合計で八百六十二校となっております。全ての学校に最低一人の部活動指導員を導入するとなりますと、現在の有償ボランティアより多くの人材が必要となります。
 部活動指導員については、単なる技術指導だけではなく引率もすることから、生徒の命を預かるという使命も発生します。学校現場からの期待も大きい制度ですので、質、量ともに部活動指導員の確保に当たっては、都として、しっかり計画を立てていただくことをお願いし、副校長についての質問に移らせていただきます。
 過労死ライン相当といわれる教諭の数値だったり、在校時間というのは、あくまで平均値に基づいた話でございます。
 数字をもう少し見ていきますと、中学校教員については、土日を含む週当たりの在校時間が四十時間前後の教諭がいる一方で、百時間近い在校時間の教諭もおり、こうした教諭は一日当たりの在校時間は実に十八時間程度となっております。
 副校長については、特に小中学校の副校長は、八割程度が在校時間が週六十時間を超え、また、中には百時間近い在校時間となっているケースもあり、一層深刻な状況でございます。
 こちらのプランによりますと、外部人材の活用のみならず、役割分担の見直しや教員の業務の軽減を図ると同時に、学校における業務改善についてもあわせて進めていくということに触れられております。
 こちらで触れられているとおり、働き方改革は、単に人をふやすだけではなく、ICT活用による生産性の向上や役割分担の見直し、業務改善も不可欠でございます。業務改善には、学校における業務を洗い出し、不要なものは切り捨てていくという検討も必要になります。
 副校長がどのような業務をしているのか見てみますと、一番が学校運営事務、次に対外用調査となっております。例えば副校長の業務軽減のためには、この対外用調査などが本当に必要なのかということを点検して見直していかなければなりません。
 そこで、教員、特に副校長の業務量削減のための都教委の取り組みについてお伺いします。

○江藤人事部長 学校を取り巻く課題が複雑化する中、副校長には、教職員の指導のほか、保護者対応や地域との調整など、さまざまな業務が集中しており、改善に向けた取り組みが必要となっております。
 これまで、都教育委員会は、副校長の負担軽減に向け、主幹教諭の配置数拡大や副校長を補佐する校内組織である経営支援部の設置促進、拡充などを行ってまいりました。さらに、今年度は十二校の小中学校におきまして、各種調査の回答や施設の安全管理業務など、副校長業務を補佐する非常勤職員の配置モデル事業を実施しております。
 これらの取り組みの効果を踏まえながら、引き続き副校長の負担軽減を図り、教育の質の維持向上に努めてまいります。

○成清委員 今年度からモデル事業を行っているとのことをお伺いしました。今後その効果や課題を評価し、働き方改革推進プランをさらに実効性あるものにしていただくよう要望し、次の質問へ移らせていただきます。
 働き方改革とセットで、よく在宅勤務というものが取り上げられます。教員が在宅で職務に従事できる仕組みを導入することは、介護や育児と仕事の両立支援にもなります。ワークライフバランスの改善にも有用であると考えます。
 まず、在宅勤務を認めるのか否か、都の指針を定める必要がございます。そして、在宅勤務や持ち帰り残業が発生すると、USBメモリやパソコンの紛失などにより、生徒の情報など個人情報が漏えいするリスクが高くなります。
 個人のパソコンのセキュリティー強化や、データはクラウドで保存し、USBを使用不可にするといった対策も必要であり、在宅勤務のためのインフラ投資を計画的に検討していただきたいと思っております。
 今回は働き方改革推進プランと関連しまして、研修についてお伺いします。
 現在、産休、育休中等の教員を対象として、動画の配信が行われておりますが、今後これを全ての教員に拡大するべきではないかと考えますが、都教育委員会の見解をお伺いします。

○増渕指導部長 都教育委員会は、教員の自己啓発の機会を提供するため、いじめへの対応等の喫緊の教育課題や、新しい学習指導要領を踏まえた事業づくりなどの新たな教育内容などの理解を促すための研修動画を配信しております。
 教員の自己啓発の一層の充実を図るため、今年度中にこれまで作成した動画を都内公立学校の全教員が視聴できるよう、配信の対象を拡大してまいります。

○成清委員 さらに多くの研修を、研修所ではなく自宅で受講できるようにすることで、移動時間が節約されますし、介護や育児をしている教員にとっては有用であると考えられますので、一層の検討をしていただくよう申し伝えさせていただきます。
 最後に、区市町村への支援についてお伺いします。
 都立学校においては、十月よりカードシステムにより、在校時間の記録を開始しております。先ほども話に出ましたが、区市町村においては、こちらの対応というのはばらばらになっております。小中学校においても、教職員の勤務時間を適切に把握するため、カードシステム等の導入について、区市町村を積極的に支援すべきではないかと考えますが、都教育委員会の見解をお伺いします。

○鈴木人事企画担当部長 区市町村立小中学校の教職員につきましては、各区市町村教育委員会が服務監督権限を有しており、各学校において管理職が勤務実態の適切な把握に努めております。
 都教育委員会は、都立学校において、本年十月からカードシステムを活用した在校時間の把握を開始し、その取り組みを区市町村教育委員会へ紹介するなど、適切な対応に向けた働きかけを行っております。
 今後とも、区市町村教育委員会と連携し、勤務時間の適切な把握に向けた取り組みを促進するなど、学校における働き方改革を推進してまいります。

○成清委員 小中学校の服務監督権は、区市町村にあるというのは前提ではございますが、在校時間、ひいては勤務実態の把握は働き方改革に必要な最初の一歩でございますので、都全体で教員の働き方改革が進むよう、区市町村としっかり連携をとっていただくことを要望し、質問を終了いたします。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時七分散会

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