文教委員会速記録第十四号

平成二十九年十一月九日(木曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長里吉 ゆみ君
副委員長川松真一朗君
理事大松あきら君
理事米倉 春奈君
理事木村 基成君
けいの信一君
成清梨沙子君
池川 友一君
高倉 良生君
白戸 太朗君
入江のぶこ君
斉藤れいな君
古賀 俊昭君

欠席委員 一名

出席説明員
生活文化局局長塩見 清仁君
次長桃原慎一郎君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務鳥田 浩平君
広報広聴部長濱田 良廣君
都民生活部長山本  明君
消費生活部長三木 暁朗君
私学部長金子 光博君
文化振興部長樋渡 幸生君
都政情報担当部長水野  剛君
男女平等参画担当部長吉村 幸子君
魅力発信プロジェクト担当部長堀越弥栄子君
文化総合調整担当部長久故 雅幸君
文化施設改革担当部長鈴木 誠司君
オリンピック・パラリンピック準備局局長潮田  勉君
次長理事兼務小山 哲司君
技監相場 淳司君
理事延與  桂君
総務部長中村 倫治君
調整担当部長雲田 孝司君
総合調整部長根本 浩志君
連絡調整担当部長戸谷 泰之君
連携推進担当部長丸山 雅代君
自治体調整担当部長小池 和孝君
事業推進担当部長計画調整担当部長兼務越  秀幸君
運営担当部長田中  彰君
パラリンピック部長萱場 明子君
障害者スポーツ担当部長新田見慎一君
大会施設部長鈴木 一幸君
競技・渉外担当部長小野 由紀君
開設準備担当部長鈴木 研二君
施設担当部長砂田  覚君
施設整備担当部長草野 智文君
施設調整担当部長湯川 雅史君
輸送担当部長片寄 光彦君
選手村担当部長朝山  勉君
スポーツ施設担当部長藤木 仁成君
スポーツ推進部長小室 明子君
スポーツ計画担当部長
ラグビーワールドカップ会場運営担当部長
国際大会準備担当部長兼務
川瀬 航司君
ラグビーワールドカップ準備担当部長篠  祐次君

本日の会議に付した事件
生活文化局関係
事務事業について(質疑)
オリンピック・パラリンピック準備局関係
事務事業について(質疑)

○里吉委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局及びオリンピック・パラリンピック準備局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○鳥田総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る九月十五日の当委員会におきまして要求のありました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元配布の平成二十九年文教委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、今回要求のありました資料は八件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、消費生活相談員数及び都・区市町村ごとの相談受付時間等の状況でございます。
 (1)には、平成二十九年四月一日時点の都及び区市町村の消費生活相談員数について記載しております。
 また、(2)では、都及び各区市町村の相談受け付け曜日や時間について記載しております。
 二ページをお開き願います。2、平和の日関連事業の予算の推移でございます。
 平和の日の関連事業につきまして、事業別に平成二十五年度から平成二十九年度までの予算額の推移を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、東京空襲犠牲者名簿の登載人数の推移でございます。
 平成二十五年三月から平成二十九年三月までの名簿登載人数の推移を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、文化振興施策に係る予算及び決算の推移でございます。
 表の左側に記載の区分ごとに、平成二十五年度から平成二十八年度までの予算額及び決算額の推移並びに平成二十九年度の予算額を記載しております。
 なお、備考の欄には当該事業区分に係る主な事業をそれぞれ記載しております。
 五ページをお開き願います。5、都立文化施設等に係る予算及び決算の推移でございます。
 表の左側に記載の施設ごとに、平成二十五年度から平成二十八年度までの予算額及び決算額の推移並びに平成二十九年度の予算額を記載しております。
 六ページをお開き願います。6、都立文化施設等の職種別職員数の推移でございます。
 表の左側に記載の施設ごとに、平成二十五年度から平成二十九年度までのそれぞれ四月一日時点における常勤職員数について、雇用形態別及び職種別に記載しております。
 七ページをお開き願います。7、私立小中学校等の児童生徒数及び私立小中学校等就学支援実証事業の申請者数でございます。
 表の左側に記載の学種ごとに、児童生徒数及び私立小中学校等就学支援実証事業の申請者数を記載しております。
 八ページをお開き願います。8、広報に関する事業と予算の推移でございます。
 表の左側に記載の事業ごとに、平成二十五年度から平成二十九年度までの予算額を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いします。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○入江委員 私からは、二つの質問をさせていただきます。
 さて、都は、東京都が制作した動画をまとめて見られるとうたったポータルサイト、東京動画を本年八月二十五日に開設しました。私は、テレビ局に長年勤務しておりましたので、社会現象として地上波テレビ放送視聴からネット動画視聴へのシフトを強く意識しております。企業や団体の広報において、既存メディアのテレビや新聞だけでなく、動画を活用していくことは、もはや当たり前のことだと考えます。
 そこでまず、この東京動画を開設するに至った都の狙いについて改めてお伺いします。

○濱田広報広聴部長 スマートフォンやパソコンを使いまして、多くの方に利用されている動画の配信共有サービスは、効果的に情報を伝えることができるばかりではなく、利用者の都合に合わせまして、いつでも自由に視聴できるという利便性があることから、都政にかかわる情報を発信する上で重要な媒体の一つとなっております。
 都はこれを利用し、必要な情報を都民がワンストップで入手できる環境を整備するとともに、正確な都政情報をわかりやすく都民に伝え、都政の見える化を進めていくため、動画ポータルサイト、東京動画を開設いたしました。
 東京動画では、知事が出席する会議や行事などの模様のほか、都庁職員がみずから制作する都政のPR動画、さらには地上波で放送された都政広報テレビ番組など、さまざまな映像を提供しております。
 これまで制作してきたものも含め、千四百本以上の多彩な動画に手軽にアクセスできるようにすることで、都政への理解の促進につなげることを目指しております。

○入江委員 都庁が制作してきた動画を視聴できるようにしたとのことですが、ユーチューブには東京都のチャンネルが既にありまして、それらの動画が掲載されていたはずです。
 東京動画はこれまでの掲載方法と何が違うのか、お伺いします。

○濱田広報広聴部長 これまで都庁各局及び監理団体等で制作されてきた動画は、私ども広報広聴部が管理しております東京都チャンネルのほか、各局等が独自に設けたユーチューブ上の複数のチャンネルに分散して掲載しておりまして、目的とする動画、見たい動画を見つけにくい状況にございました。
 そのため、ポータルサイトの構築に当たりましては、都政に関する動画をワンストップで視聴できるよう動画を集約するとともに、これら大量の動画を行政分野別に分類、整理し、見たい動画を検索しやすくするなど、アクセス面での工夫をいたしました。
 さらに、新着のお知らせ、お勧めの動画といったコーナーや、見られている動画の週間ランキング、月間ランキングのページを設けるなど、都民が親しみ楽しめるものといたしました。

○入江委員 ユーチューブなど一般の動画配信共有サービスは、エンターテインメント性が高く、視聴回数の多い動画が優先的に表示されます。なので、大変膨大な数の中から目的とする東京都の動画を探し出すことは容易ではありません。ですので、都がポータルサイトを開設したことは、この状況の改善につながるものと思われます。
 次に、東京動画では職員みずから動画を制作するとのことですが、その意義と現在の取り組み状況についてお伺いします。

○濱田広報広聴部長 各局の事業や施策に精通した職員みずからが、カメラマンや顔の見られるプレゼンター等として動画制作に携わることによりまして、正確な情報をわかりやすく都民に届けることはもとより、都政の親近感の醸成、さらには限られた経費による効果的な広報が可能となります。
 そのため、ポータルサイトの開設に先立ち、延べ三百人の職員を対象に、撮影技術や編集、プレゼンテーション等について専門家による研修を行いました。
 現在、職員とタレントが競演し、都の施策を親しみやすく紹介する動画や、職員が撮影から編集まで手づくりで行った事業のPR動画を掲載しておりまして、こうした取り組みは、都みずからの発信力の向上にもつながっていくものと考えております。
 引き続き多くの局で動画制作にも取り組んでおりまして、順次公開していく予定でございます。

○入江委員 自主媒体を最大限活用するため、都庁職員の方がみずからコンテンツをつくり出していく試みは大変よいと思います。
 しかし、動画の配信共有サービスでの利用者が増大しているのは、何といっても、配信されるコンテンツのおもしろさもありますが、誰でも自分の動画を投稿し、制作者となって参加できる点にあります。東京動画を一人でも多くの方にごらんいただくには、都民が自分も参加していると感じることが重要だと思います。
 例えば、東京に関するテーマを決め、ニュース部門、スポーツ部門、アート部門、ドラマ部門、バラエティー部門などとジャンルを分けて短編作品を投稿していただきます。そして、一定の倫理基準をクリアした作品をアップしていきます。
 このように都民の日常の投稿が次々と掲載されるような都民参加型の企画が必要だと考えますが、見解を伺います。

○濱田広報広聴部長 東京動画は、動画により都政を正確かつわかりやすく発信するために開設したポータルサイトでございますが、こうした目的を実現するためには、職員の発信力を強化することはもとより、東京動画の拡散力、訴求力を高め、多くの都民に東京動画への関心を持っていただくことが必要でございます。
 そのためには、都民が主役となる動画を掲載していくことも効果的でございまして、これまでラジオ体操など、都民の日常的な活動の様子を掲載してまいりました。こうした都民が出演する動画に加えまして、今後は都民みずからが撮影した動画の投稿を募集、掲載するなどといった新たな取り組みを開始し、東京動画の魅力をさらに高めてまいります。
 例えば、都民にとって親しみのある、親しみを持てるテーマを一定期間ごとに設定し、年間を通じて投稿を受け付けるなど、具体的な実施方法について現在検討を進めているところでございます。
 こうした都民参加型の取り組みを通じまして、東京動画への関心を高め、より多くの都民にごらんいただけるよう努めてまいります。

○入江委員 都民参加型の企画を取り組んでいただけていると伺いました。この東京動画の改善、工夫を続け、より多くの都民が視聴し、そして都の事業や施策がしっかりと伝わっていくことを希望します。
 続いて、女性の活躍推進についてお伺いいたします。
 総務省の七月の調査によりますと、女性の就労はふえているというデータが公表されました。
 十五歳から六十四歳の人口に占める女性の労働力の割合、労働力率は六九・七%で着実に増加しています。グラフで見ると、以前は三十代から四十代の女性の就労が大きく落ち込むM字カーブが特徴でしたが、近年はアメリカやヨーロッパ各国などに似通って、このM字カーブの谷が緩やかになってきました。
 これは、妊娠、出産、育児という大きなライフイベントのために仕事を一時的に休んでも、職場に復帰できる女性がふえているということです。
 私も働きながら二人の子供を育てましたので、キャリアアップしながら子育てもしっかりやるということがどんなに大変なことか身をもって経験してまいりました。
 私の職場には、これまでのキャリアを一旦中断することに不安を覚え、妊娠の機会を先送りにする女性たちもいました。長く仕事を休んでしまったら、現在のキャリアを手放すことになる、さらに子供を抱えると仕事のペースを落とさなければならないと判断するからです。
 企業側に望まれる取り組みは、職場復帰したときに、以前と同じ部署、同じ役職に戻す保証、また産休、育児休業の期間延長やフレキシブルな育児時間取得制度の確立、eラーニングなど休職中の研修制度の充実、そして何よりも短期の評価ではなく、五年、十年という長いスパンで女性の人材の評価をしていただきたいということです。
 しかし、こうした女性活躍推進の取り組みは、大企業においては可能ですが、中小企業や小規模な事業所においては、人材不足や生産性低下の観点から取り組みを進めることが困難な場合が多くあります。
 都においては、ダイバーシティーの実現を目指す小池知事のもとで、女性の活躍推進を喫緊の課題と捉え、熱心に取り組んでいると聞きます。
 東京都女性活躍推進ポータルサイトを見ると、都の計画やさまざまな施策がフローチャートでアクセスしやすく、工夫して掲載されています。さらに広く雇用者と働き続けたい女性に周知、広報していく必要があると考えます。
 改めて、都の女性活躍推進に向けた取り組みなどに関する情報について、広く都民に発信するため、どのように広報や普及啓発を行っているかを伺います。

○吉村男女平等参画担当部長 都では、より多くの都民に女性の活躍推進の重要性や都の取り組みを伝えるため、さまざまな媒体も活用しながら、広報、普及啓発を行っております。
 本年七月に全面リニューアルした東京都女性活躍推進ポータルサイトは、都民が必要な情報にアクセスしやすいよう、生き生きと働きたい、悩みを相談したいなどの項目ごとにフロー図で構成しております。イラストは若手職員が作成し、親しみやすいよう工夫いたしました。就労支援や子育て支援など、庁内各局の施策に関する情報も提供しております。
 また、これまで女性活躍の推進に関心が薄かった方々に対して、女性活躍の重要性を広く発信していくため、今月、PR動画やポスターを新たに作成し、トレインチャンネル等の交通広告やインターネットなどを通じた普及啓発を実施いたします。
 さらに、十二月二十一日には、知事みずからが女性の活躍の重要性について発信する場としてのシンポジウム、女性が輝くTOKYO懇話会を新たに開催いたします。

○入江委員 幅広い方法で広報や普及啓発を行っていることがわかりました。中でも女性初の都知事である小池知事みずからが情報発信することは大変重要で、効果的であると考えます。
 そこで、今年度新たに開催する女性が輝くTOKYO懇話会について、詳しい実施内容を伺います。

○吉村男女平等参画担当部長 女性が輝くTOKYO懇話会は、知事と出演者が女性の活躍推進に向けて発信、提言を行い、具体的な取り組みにつなげるため、開催するものでございます。
 今年度は、私色に未来を描こう、働く前から考えるキャリアデザインと題しまして、結婚、出産などのライフイベントに影響を受けやすい女性のキャリアデザインをテーマに実施いたします。
 出演者には、女性活躍に見識の高いジャーナリストや、企業の役員、管理職として活躍する女性を迎え、みずからの職業生活や子育て経験も踏まえたメッセージを知事とともに伝えていただきます。就職前の女性を主な対象として若者に広く参加を呼びかけ、知事や出演者との質疑応答も実施いたします。
 また、懇話会の様子は、東京都公式動画サイト、東京動画などにおいてインターネット中継を行うとともに、後日、録画映像のダイジェスト版を掲載いたします。
 今回の懇話会の実施を通じて、若者が長期的な視点に立ってキャリアデザインを描くことの重要性を認識する機会を提供するとともに、社会に向けて広く発信してまいります。

○入江委員 私が冒頭で述べさせていただきましたように、これからキャリアを重ねていく女性が抱える不安や悩みに対し、的確なアドバイスや明るいメッセージを送るシンポジウムにしていただきたいと思います。
 ところで、この懇話会に引き続き、女性も男性も輝くTOKYO会議を開催すると聞きました。
 この会議は具体的にはどのようなものか、伺います。

○吉村男女平等参画担当部長 女性の活躍推進には、行政のみならず民間団体などあらゆる主体が幅広い分野で取り組む必要があることから、本年度、女性も男性も輝くTOKYO会議を新たに設置いたしました。
 東京都商工会議所連合会や東京都中小企業団体中央会、東京中小企業家同友会などの経済団体のほか、医療、教育、地域など幅広い分野の三十二団体で構成しております。
 会議には、各団体からの委員と都の実務担当者のほか、学識経験者にも加わっていただき、都の施策や各団体の取り組みに関する情報共有や意見交換を行い、実務的な取り組みや方向性等について協議してまいります。
 今回開催する会議におきましては、懇話会での提言を踏まえ、若者のキャリア形成支援を初めとする取り組みなどについて検討を行う予定でございます。

○入江委員 ありがとうございます。ポータルサイトの刷新や新たな懇話会、民間団体との連携などにより、着実に取り組みを進めていらっしゃることはわかりました。さまざまな具体的な施策が実社会で大いに活用されることを期待します。
 最後に、東京の女性活躍推進に向けた今後の展開を伺います。

○吉村男女平等参画担当部長 都はこれまでも、時代の状況に応じて女性活躍推進のための施策を実施してまいりました。人口減少局面を迎えようとしている今日におきまして、さらに東京が持続可能な成長を続け、誰もが自分らしく暮らせるダイバーシティーを実現していく上で、女性の活躍推進の重要性が一層高まっております。
 このため、本年三月に策定した東京都女性活躍推進計画では、あらゆる場で女性が活躍できる社会の実現に向け、女性のキャリア形成支援、地域における活動機会の拡大、子育てや介護への支援、働き方の見直し等を通じたライフワークバランスの推進など、幅広い施策を取りまとめております。
 この計画に基づき、女性も男性も輝くTOKYO会議等を通じまして、民間団体を初め、多様な主体と連携しながら、東京における女性活躍の機運醸成に全力で取り組んでまいります。

○入江委員 女性は、仕事、子育て、家事、介護など大変多くの役割を担っていますが、どのような場面でも笑顔で生き生きと活躍できるように社会を変化させなければいけないと思います。
 今後も東京が女性の活躍推進の最先端であるように、引き続き積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 私の質問を終わります。

○高倉委員 二〇二〇年の大会に向けた文化プログラムということについて、まずお伺いをしたいと思います。
 二〇二〇年の東京でのオリンピック・パラリンピック大会は、スポーツの大会として私も大いに期待をしているところでありますけれども、これとあわせて、大会に向けて文化プログラムを展開して、東京、あるいは日本の芸術文化を広く世界に発信していく大変貴重な機会ではないかなというふうに思います。
 ロンドンの大会などでは、かなり幅広く文化プログラムが展開をされたということを私もお聞きをしているわけであります。
 今回、二〇二〇年の東京大会に向けて展開をしていく文化プログラム、もう既に始まっているわけでありますけれども、これが、残りまだ三年あるわけでありますが、具体的に全体像としてどういう形で展開をされていくのか、例えば内容の面でも、あるいはどれだけの数をやるとか、なかなかちょっとつかみづらい面があります。
 もちろん東京都が進めていく部分もありますし、組織委員会が進めていく分もある、そして、国として行っていく分があるということで、全体像が、私は、済みませんが、ちょっとつかみづらい、そういった印象を持っているわけでありますが、昨年の秋から始まった東京文化プログラムについては、東京都が進める事業として百四十件以上がもう既に行われていると。このことは、我が党の栗林議員が先般の決算特別委員会での質疑で明らかにされたところであります。
 既に二〇二〇年の大会まで千日を切っているわけであります。そうした意味で、この文化プログラムへの取り組みをさらに加速、充実させていくべきであるというふうに私は思っております。
 そこで、都として、どういう観点でこれを進めていくのか、答弁を求めます。

○樋渡文化振興部長 二〇二〇年大会に向けましては、これまで積み重ねてきた取り組みを充実させていくとともに、広く都民や民間団体などを巻き込みながら、東京文化プログラムを展開していくことが重要でございます。
 そのため、まず第一に、東京の文化振興の基礎となります都立文化施設での展示や公演、東京都交響楽団によります演奏会、東京大茶会などの伝統文化事業、東京キャラバンやTURN、六本木アートナイトなどのさまざまな取り組みを着実かつ効果的に実施してまいります。
 第二に、多くの都民が見て楽しめる機会や、都民みずからが参加できる場をふやしていくため、昨年度から開始しました東京文化プログラム助成により、民間や芸術文化団体などの取り組みに対する支援も充実させてまいります。
 第三に、東京文化プログラムの象徴となる目玉事業創出に向けまして、広くアイデア、企画を募集する企画公募事業の実施や、東京都及びパリ市の文化施設等において多彩な文化イベントを行いますパリ東京文化タンデム二〇一八など、世界的に発信できる新たな取り組みを今後進めてまいります。
 これら大きく三つの観点から取り組みを重層的に展開し、来るべき二〇二〇年には一大フェスティバルとしまして最高潮に盛り上げていくとともに、二〇二〇年大会以降にも残る文化芸術のレガシーを東京に根づかせてまいります。

○高倉委員 今、三つの観点から取り組みを進めていくというお話がございました。その中の二つ目でありますけれども、民間、あるいは芸術文化団体等への支援、こういったお話がありました。文化プログラムの裾野を大きく広げていくという上では、極めて重要な点であるというふうに思います。
 私も、さまざまな文化芸術活動に取り組んでいらっしゃる団体や、あるいは個人の方々と意見交換をする機会があるんですけれども、そういう方々は、やはり二〇二〇年の東京大会に合わせて大々的に文化プログラムが展開をされるということについては大変注目をしているわけでありまして、例えば自分たちが取り組んでいる活動、こういったものが文化プログラムといわれるものの中に位置づけてくれるのかどうかとか、そういうお話もいただくわけであります。
 もちろん、財政的な支援も含めた具体的な支援ということになると、それはある程度限りがあるというふうには思いますけれども、東京で、あるいは日本で、こういう文化芸術活動に取り組んでいる方々の活動は極めて多彩なわけですね。これはもちろん皆さんはよくご存じだというふうに思います。
 私は、こういう民間の方々を具体的に支援していく、それを文化プログラムとしていくということであると思うんですけれども、仮に東京都から具体的な支援をするということでなくても、自分たちでとにかく一生懸命やりますというところがほとんどなわけですから、そういった方々を、例えば文化プログラムの中に位置づけをしていくと。そうすることによって、その裾野は大きく大きく広がっていくと。
 つまり、この文化プログラムに私は参加しているんだという参加意識というのをやっぱり広げていくという視点も大変重要であるというふうに思っております。
 ぜひそういったこともよくご検討していただきたいと思いますし、また三つ目の、先ほどの答弁でありました大規模な文化フェスティバルに向けた企画公募事業も本当に私は期待をしているわけであります。
 いずれにしても、東京や、あるいは日本の文化芸術を世界へ発信していく大変重要な、あるいは極めて貴重な機会でありますので、ぜひとも国民や、あるいは都民、もちろん世界にも発信していくわけですけれども、わかりやすい形でこのプログラムの形を広報も含めて示していただきたいというふうに思います。
 さて、次に、最近は特に外国人観光客が東京を訪れる機会が非常にふえているわけでありますけれども、文化芸術面での取り組みとして、外国人の観光客や、あるいは障害を持っている方々も含めて、誰もが幅広くアートに触れていく機会をつくっていくということが大変重要であるというふうに思います。
 江戸東京博物館では、来館者の二割ぐらいを外国人が占めているというふうに聞いておりまして、これはまだまだふえていく可能性も十分あるんではないかというふうに思います。東京を訪れる外国人の方々もふえているわけでありまして、より多くの人々に都立の文化施設を訪れてもらうようにする、これは大変に重要であるというふうに思います。
 そこで、都立文化施設における多言語の対応などについて、今後の予定も含めまして、都の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○鈴木文化施設改革担当部長 各都立文化施設では、多言語対応に幅広く取り組んでおります。これまでに全ての都立文化施設でホームページ及び館内の案内表示の日英、日本語と英語の二カ国語対応を行いました。
 さらに、江戸東京博物館の常設展解説は、タッチパネルを活用して十カ国語で対応しており、また庭園美術館でも、スマートフォン用鑑賞アプリの導入により、重要文化財である建物の解説を五カ国語で対応するなど、来館者のニーズを踏まえた取り組みを進めてきました。
 今後は、平成二十八年度に作成した外国人が訪れやすい文化施設にするための多言語対応のポイントをまとめた文化施設のための多言語対応ガイドなども踏まえまして、各都立文化施設のホームページにおける日英以外の言語の追加や、英語によるSNS発信を行うほか、展示解説の多言語対応をさらに充実させるなど、二〇二〇年に向け、各施設の特性に応じ、外国人旅行者に対する魅力を一層高めてまいりたいと考えております。

○高倉委員 今、多言語の対応についてお話をいただきました。外国人の方といっても極めてたくさんの方々がいらっしゃって、もちろん主要な外国語というのはあるんだと思いますけれども、最近はITの技術も進展をしておりますので、まさにその言葉どおりの多言語に対応していく、いわゆる五つ、六つぐらいの言葉ではなくて、そういったもっともっと、より多くの言葉に対応していくということも十分可能であると思いますので、またぜひ検討をお願いしたいと思います。
 この多言語の対応というのは、ある意味では一つの取り組みということでありますが、訪日外国人へのさらなる利便性の向上といったことも十分必要であると思いますけれども、今後の取り組みを含めまして、答弁をいただきたいと思います。

○鈴木文化施設改革担当部長 展示内容等の多言語対応に加えまして、外国人旅行者が都立文化施設をより快適に利用できるよう、二〇二〇年に向けて利便性の向上を図っていくことも重要でございます。
 そうした観点から、都立文化施設では、既に無料Wi-Fiサービスを開始しており、現在開館している全ての施設において、Wi-Fi環境を整備済みでございます。さらに、今年度から、都立文化施設のチケット売り場やショップ等において、クレジットカード及び電子マネー決済の導入を進めることを予定しており、外国人旅行者のニーズに適切に応えていきたいと考えております。

○高倉委員 今年度から、クレジットカードの対応とか、あるいは電子マネーの対応も始めるということで、これは新しい取り組みとしてぜひとも早期に行っていただければというふうに思います。
 都立文化施設を、たくさんの人々に気軽に訪れていただくためには、入場料金といったことに対しての配慮といったことも大変重要ではないかなと思います。文化施設というのは、印象としては、入場料金はそんなに安くないという感じがちょっとあると思うんですね。
 そういう中で、都として、美術館、博物館の共通入場券として、東京・ミュージアムぐるっとパスといったものがあるわけでありますが、このぐるっとパスの内容と、それから利用実績について教えていただきたいと思います。

○鈴木文化施設改革担当部長 東京・ミュージアムぐるっとパスは、東京都歴史文化財団が事務局を担う実行委員会が発行しており、一冊二千円で各美術館、博物館等に入場できるか、割引が受けられるものでございます。
 昨年度は、都内の七十九施設が参加し、販売実績は約三万五千冊、利用実績は延べ約二十三万九千人でございました。
 今年度はさらに周遊性を向上し魅力を高めるため、初めて横浜美術館、千葉市美術館、埼玉県立近代美術館といった都外の施設も参加したパスを発行しております。
 また、外国人旅行者に対しては、チラシやホームページで多言語表記による広報を行っているほか、東京メトロや都営交通に加え、外国人観光客の多い東京観光情報センターや浅草文化観光センターなどで販売し、利用促進を図っております。

○高倉委員 このぐるっとパスの対象の文化施設について、東京都内のものだけではなくて、近県のところまで対象にしたと。外国から訪れる方々は東京都内だけを訪れるということではないでしょうから、ぜひそういうこともさらに充実をしていただきたいというふうに思います。
 先ほども申し上げましたけれども、二〇二〇年の大会は、東京を訪れる内外の方々、たくさんいるわけですけれども、そういう方々に東京の文化施設、いわゆる東京はまさに文化都市なんですよというようなことをしっかりアピールしていく絶好のチャンスであるというふうに思います。
 今、入場料金の話をさせていただきましたけれども、いろんな工夫があるんだと思うんですね。私なんかは、例えば二〇二〇年は、もう思い切って入場料金は配慮して、たくさんの方々が訪れられるようにというようなことをすべきだなというふうに思うんですけれども、まあフリーパスのような話も以前あったかと思います。訪日外国人の旅行にフリーパスをセットするとか、いろんな工夫があると思うんですね。
 最近は、東京、あるいは日本を訪れる方々が、私たち日本人では思いも寄らなかったようなところに行っているんですね。それは外国人の間での口コミでもって、あそこがおもしろい、あそこがすごいということがあって、それで行っているわけでありまして、ぜひさまざまな工夫に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 それから、先ほど障害者の方々も含めてという話をしましたけれども、本当にいろんな方々がアートに触れる機会ができるように取り組みを進めていただきたいと思いますが、そのためには施設のバリアフリー化といったことが不可欠であると思います。
 この点についての都の取り組みについて答弁を求めたいと思います。

○鈴木文化施設改革担当部長 障害者を初め、誰もが気軽に芸術文化に触れることのできる環境を整備することは重要でございます。
 都立文化施設では、昨年度、リニューアルオープンした写真美術館においてエレベーターを増設したほか、かねてから要望が多かった庭園美術館の本館におきましても、今年度、エレベーター設置工事が完了し、今月十八日にリニューアルオープンする予定でございます。
 各施設では、こういったバリアフリー化の取り組みに関する情報をホームページ上で発信するほか、SNSやチラシ等により周知に努めてございます。
 今後は、ホームページの読み上げソフトの導入など、情報発信のバリアフリー化を進めるほか、障害者のための特別鑑賞会など、各施設で実施している鑑賞支援プログラムを特別支援学校に紹介するガイドを作成するなど、ソフト面での取り組みも強化してまいります。

○高倉委員 東京、あるいは日本から世界に発信をしていく文化芸術の中で、特に東京は成熟した都市というふうに、私たちも発信していますし、多分世界からもそのように見ていただいているというふうに思いますけれども、そうした都市東京が文化とか芸術の面でどういったものを世界に発信していくのかというようなことを考えていったときに、その一つの大きな可能性を秘めているといったものが、障害のある方々が取り組んでいる芸術活動、そういうことが一つあるんではないかというふうに私はかねがね思ってまいりました。
 平成二十六年三月の予算特別委員会で、私はアール・ブリュットという、これは実は障害者のということではないんですけれども、主に取り組んでいる方々が、障害のある方々が多いわけでありまして、この芸術活動を取り上げさせていただきました。
 これ、もともとヨーロッパ発祥の芸術活動でありまして、生の芸術というふうにいわれているわけですが、今日本でもかなり盛んに行われているということがありまして、日本の中では滋賀県でかなり中心的に展開されてきたんですが、実は今、東京が新たなアール・ブリュット活動の拠点になっているんですね。
 こういったことを含めて、予算特別委員会のときにお話をさせていただいて、そして東京都からも何らかの支援をお願いしたいと、こういうことを訴えさせていただいたわけであります。
 その後、都の方として、さまざまな検討を重ねてこられたという中で、東京に障害者の方々が取り組んでいるアール・ブリュットの拠点のいわば文化施設というんでしょうか、拠点施設を設置していきたいというお話がかねてあったわけでありますが、今回、渋谷の、旧ワンダーサイト渋谷を活用して、アール・ブリュットの拠点をつくっていくことになったわけでありまして、このことについての進捗状況についてお伺いをしたいと思います。

○久故文化総合調整担当部長 アール・ブリュット振興の拠点は、多様な人々が集まる場所で行うことが望ましいことから、トーキョーワンダーサイト渋谷の施設を活用し、拠点として整備することといたしております。
 その進捗状況でございますが、ワンダーサイト渋谷は今年九月末に閉館し、平成三十年度から改修工事を行い、平成三十一年度には新しくアール・ブリュットの振興拠点としてオープンする予定でございます。
 なお、今年度は、改修工事が始まるまでの期間を活用いたしまして、東京都渋谷公園通りギャラリーとして、本日からアール・ブリュットを初めとしたさまざまな作品の展覧会を実施しているところでございます。

○高倉委員 本日から始まったということで、私は本当は行きたかったんですが、委員会がありますので、きょうは行けません。
 先ほど少し紹介をさせていただきましたように、アール・ブリュットというのはヨーロッパがそもそも発祥だったわけでありますが、最近といいますか、近年といいますか、日本の作家の作品展がパリを初めとしてヨーロッパで行われていたときに、実は大変な反響があって、非常に多くの方々が見に来られたということがあったんですね。
 例えば、浮世絵といったような日本のもともとの古い芸術がありますけれども、これも実はヨーロッパの方で、向こうの作家の方々に非常に強い印象を持って受けとめられた、そのことをもって、私たちが日本のそういった芸術について改めて目をまた見開かされている、これにちょっと近い状況があるんですね。
 もともと、先ほど申し上げましたように、ヨーロッパの発祥でありましたけれども、日本で取り組んでいる方々の、作家の活動、あるいはその作品といったものが、向こうに行って非常に注目を集めているといったことがあるわけでありまして、世界の方々が日本を、東京を訪れたときに、まさに東京で障害のある方々が取り組んでいる芸術に、日本はとてもそういった活動を大事にして発信をしていると。こういったことは実は国内以上に、世界から東京を訪れてくる方々にとっては、恐らく大きな印象を与えるんではないかなと、このように思っているわけであります。
 いずれにしても、社会にはさまざまな方々が暮らしているといったダイバーシティーを考えるきっかけともなるんではないかと思います。
 この渋谷公園通りギャラリーにおいても、来館者にそうしたきっかけを与えることができる場にしていくべきと思いますけれども、今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○久故文化総合調整担当部長 昨年十一月、東京芸術文化評議会アール・ブリュット検討部会におきまして、アール・ブリュットを振興する意義として、ダイバーシティーの理解促進、社会的包容力のある社会の実現に大きく貢献するものであるとの報告をいただいております。
 東京都は、これに基づきまして、多様な人が集まる渋谷という立地を生かし、多くの方々に訪れていただき、ダイバーシティー社会について考えるきっかけとなるよう、アール・ブリュットを初めとしたさまざまな作品の展示、ワークショップなどの交流事業を実施してまいります。
 また、地元渋谷区等とも連携した普及啓発活動を行うなど、アートを通じたダイバーシティーの理解促進に努めてまいります。

○高倉委員 私どもは、今ちょっとお話をさせていただいたアール・ブリュットのほかにも、パラアートといったような、これも障害のある方々が専ら取り組んでいる芸術活動でありますけれども、そういう名前でやっていらっしゃる方も国内にはいらっしゃって、さまざまな方がいろいろ取り組んでおります。
 いずれにしても、成熟した都市東京が世界に発信をしていく文化芸術の活動の中で、障害のある方々が取り組んでいる活動、これは、東京が発信していくべき非常に大きな財産であると私は思っておりまして、ぜひこの二〇二〇年に向けた文化プログラムといったような中にも十分に位置づけをしながら、大会後のレガシーの一つとなるように、今後ともぜひ都としての取り組みをお願いしたいと思います。
 以上で終わります。

○川松委員 私からは、ボランティア機運の醸成について、まず伺ってまいります。
 生活文化局におかれましては、二〇二〇年のオリンピック競技大会、パラリンピック競技大会開催のこの機会を捉えて、共助社会の実現を目指し、ボランティア文化の定着を図るためのさまざまな取り組みを進めているというふうに伺っております。
 大会の成功に向けましては、大会運営はもとより、東京を訪れる多くの人におもてなしの心を実感していただくために、多くの都民の皆様にボランティア活動に参加していただくことが重要であるということは、これまでもさまざまなところでいわれてまいりました。
 そんな中、ことしの三月に発表されました都民等のボランティア活動等に関する実態調査という、都民の皆様方五千人を対象として行った調査において、ボランティア活動に参加したきっかけとして、学校や家族、友人、自治会や子供会といった身近な人の話や地域の活動を挙げる回答が多かったんですけれども、二十代、三十代といった若い世代の参加率は低いという結果が出てまいりました。これは、身近な地域で若者が気軽にボランティアに参加できる環境づくりが重要であるということが、この調査からわかってきたんじゃないかなと思うんですね。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック競技大会の前年には、二〇一九年ラグビーワールドカップが開催されるこの東京です。ここに向けて、ボランティア活動を強力に推進すべきでありますけれども、もう残された時間は、一九年を見ると、あと二年を切っております。
 積極的な対応が求められる現在でございますが、ボランティア活動の機運醸成に向けた都の取り組み、特にボランティア活動の経験の少ない、先ほど挙げた若い世代に向けてはどのような取り組みを、今都は行っているのか、聞かせてください。

○山本都民生活部長 東京二〇二〇大会、また、その前年のラグビーワールドカップ開催の機を捉えまして、ボランティア活動の機運醸成に向けて、平成二十八年に取りまとめました共助社会づくりを進めるための東京都指針に基づき、現在さまざまな取り組みを進めているところでございます。
 その取り組みのうち、ボランティア活動に関心はあるが、時間がなく、活動したことがない主に若い世代を対象に、短時間で気軽にできるボランティア活動をちょいボラと称してPRする取り組みを平成二十八年度から開始しており、今年度は体験型のPRイベントを二十八年度の一回から四回にふやすとともに、文化、スポーツイベントと連携するなどの工夫を行い、開催しております。
 先週の十一月四日は、日比谷公園で開催されました東京ラグビーファンゾーン二〇一七との連携によるイベントを実施し、来場された多くの方に向け、ちょいボラの体験やPRを行うとともに、より本格的なボランティア活動につながるよう、ボランティア情報の提供等を行ったところでございます。
 また、専用サイトを開設するとともに、PR動画やSNSなどを活用して、ちょいボラをボランティア活動に関心が薄い層にも幅広く発信しております。
 さらに、ボランティア活動の先進的な取り組みを継続的に行っている企業、団体等を表彰して機運醸成を図る、東京都共助社会づくりを進めるための社会貢献大賞を平成二十八年度に創設し、今年度は一月に表彰式を行う予定でございます。

○川松委員 ありがとうございます。今答弁のございました先週のちょいボライベントは、なかなか盛況だったと聞いています。準備の段階ではイヴァンカさんが散歩に来て大変だったという報告もいただきました。
 ボランティア活動、この単語ですね、ボランティアという単語は、世間に広く浸透しています。人それぞれによってそのボランティアという響きから想像する実態というのは、それぞれ異なるんだろうと思います。
 ボランティアって何だか非常に壁の高いもので、何か組織を中心にかっちりとしてつくられたものをボランティアだと思っている方もおられるでしょうし、まさにちょいボラのように、簡単に身近にできることをやっていこうということでボランティアを捉えられている方もたくさんいらっしゃるわけでございますが、世界的にボランティアマインドというのを見ても、これはどんなことでもいいんだと私は思っています。
 地域の活動、先ほどのアンケートにありましたように、町会や自治会活動をボランティア活動として取り組んでいくんだという方もおられれば、例えば小学校の高学年の児童や中学生が地域だとか知っている小学校一年生とか二年生の宿題を見てあげたりとか、これも立派なボランティア活動だと私は捉えています。
 お金なのか、時間なのか、あるいは自分のノウハウなのか、それはわかりませんけれども、自分の持っているものを多くの人々や社会に提供する、この気持ちを小さいころから育てていくような取り組みが社会全体として必要なんだろうと思いますが、実際には、何かやりたいな、多分ちょいボラの動画を見た人たちも結構反響はあるわけですね。反響はあるけれども、参加者がふえないというのは、これ、いいなと思うんだけれども、何か照れくさかったりして、手を挙げられないという方もいらっしゃるんだろうと思います。そういう人たちを、まさにちょいボラのように、敷居を下げた状態で、多くの人たちを巻き込んでいくというイベントというか活動、大変すばらしいなと思っております。
 そういう今挙げたことからいいますと、ボランティア活動というのは非常に身近なものなんだということを、まず知っていただくことが大切、そして、ボランティア活動に、多くの人にさらに進んで親しんでもらうためには、今後もちょいボライベントを多くのところでやっていただきたいと、これは要望しておきます。とにかく幅広い都民の皆様方に働きかけて、ボランティアマインドを多くの人たちに広げていきたいと考えております。
 今、多くの都民の皆様にボランティア活動に参加してもらうためには、ちょいボラ等によりボランティアの機運を高めることが大切だと私は述べましたけれども、これに加えて、より本格的な、本格的なボランティア活動につなげていくためには、やっぱりそれなりの行政として支援が必要なんじゃないかなと思うんですね。そうした役割を担っているのが東京ボランティア・市民活動センターでありまして、都におけるボランティア活動支援の中核的存在として、その取り組みを充実させていくことは重要なのではないでしょうか。
 そこで、今挙げました東京ボランティア・市民活動センターの取り組み内容と、都の現在の支援状況についてお伺いしたいと思います。

○山本都民生活部長 東京ボランティア・市民活動センターは、ボランティア活動の推進のため、情報発信、相談対応、活動する側と受け入れる側とをつなぐコーディネーターの養成などの重要な役割を担っており、都は、運営費補助により必要な支援を行うことで、センターの機能の充実を図っております。
 このうち情報発信については、センターが運営するボラ市民ウェブにおいて、活動分野や活動時間、活動場所などのキーワードで、活動したい人のニーズに合ったボランティア募集情報を検索できるなど、都民が必要な情報をスムーズに得られるように工夫しております。
 また、社会貢献活動を行いたい企業、大学、NPO、ボランティア活動を希望する都民に対し、ワンストップの相談窓口を開設し、経験豊富な職員がボランティア活動に関するさまざまな相談に対応しております。
 さらに、コーディネーターの養成については、経験や役割ごとに必要な知識やスキルが得られるよう、初級から中級、組織マネジメント等を学ぶ上級といった階層別に研修を実施し、コーディネーション能力の向上を図っております。

○川松委員 ありがとうございます。オリンピックにしても、ラグビーワールドカップにしても、我々が経験する直前の大会を見てみますと、オリンピックであればリオデジャネイロ大会、あるいはラグビーワールドカップであればイングランド大会、これは塩見局長もよくご存じでございますけれども、やっぱり大会の成功を支えたのはボランティアだ、ボランティア活動があってこそ大会が成功したのだというのは、どちらの大会も報告として出てきております。
 その意味において、ここはやっぱり力を入れていただきたいんですが、二〇二〇年のオリンピック競技大会、パラリンピック競技大会におきましては、組織委員会が運営主体となって大会運営のサポートなどを行います大会ボランティアと、オリンピック・パラリンピック準備局が運営主体となって選手や大会関係者、国内外の観光客に対する観光、交通案内等を行う都市ボランティア、これはセクションが分かれておりますが、この大会を機に多くの都民の皆様がボランティア活動に参加するためには、ボランティア活動の機運の醸成や、東京ボランティア・市民活動センターの事業展開を支える生活文化局の取り組みは極めて重要であるということを指摘させていただきまして、今後の施策の充実を図っていただきたいと思います。
 また、ボランティア活動の拡大には、生活文化局や東京ボランティア・市民活動センターの取り組みだけではなくて、やはりこれは区市町村の皆様、あるいは庁内の他局の皆さん、そして、さまざまな民間の団体の皆様方との連携が必要だと思います。これは間違いなく必要だと思いますけれども、実際はどのように取り組まれているのか教えてください。

○山本都民生活部長 ボランティア活動の推進については、さまざまな関係団体との連携が重要でございます。
 このため、都は、毎年、区市町村の担当者との連絡会議を実施し、情報共有などを行っているほか、オリンピック・パラリンピック準備局との連携により、先ほど答弁したラグビーイベントにおけるちょいボラのPRなどスポーツイベントや、東京二〇二〇大会の関連のイベント等と連携した取り組みも引き続き行ってまいります。
 また、行政や経済団体、教育機関など多様な主体が集まり、東京二〇二〇大会を機にボランティア活動の機運醸成等を図るために設立されました東京都ボランティア活動推進協議会において、ボランティア活動の推進に向け、各団体が行う取り組み等について検討を行ったところでございます。
 今後とも、ボランティア文化の定着に向け、さまざまな関係団体と連携しながら、ボランティア活動の機運を高める取り組みを積極的に進めてまいります。

○川松委員 ありがとうございます。今までの答弁をいただいて、ボランティア機運の醸成に向けて、着実に生活文化局の皆様方が取り組まれていることはわかりました。
 このボランティアマインドの醸成というのは、僕はダイバーシティーの実現につながるんだと思っています。ただ、ボランティアを取り巻く環境や普及の展開というのは、今挙げましたように、必要なんです。これは一九年の大会があろうが、二〇年の大会があろうが、必要だったことでありますが、このタイミングで大規模イベントが行われます。まさに一つのきっかけとして、これは大きな転換点になるんじゃないかなと思いますが、やはり一九年、二〇年、そして二〇年を超えて、このボランティアマインドが広く浸透していくように、私たちも努力をさせていただきたいと思います。
 このボランティアマインド、小さいことでも大きいことでもそうですが、やはりまず一歩踏み出すということは、自分が何ができるか、何をしたいかということで、自分をしっかりと見つける一つのきっかけにもなるんじゃないかなと思います。周りに流されることなく、自分は何ができるかを考え、みずからの価値観を高めるためにも、私はこの機運というのが広がっていただきたいなと思います。
 一九年が一つのきっかけだと、今、いろんなところでいわれています。当然のように、ラグビーワールドカップの二〇一九年の大会はありますが、一九年はやっぱり日本にとっても東京にとっても大きな意味があるんだろうと思います。
 G20の議長国をやるのが二〇一九年です。そして、社会的環境で見れば、統一地方選挙も予定されています。参議院選挙もあると。選挙が続くのが一九年。あるいは消費税の増税も予定されている。社会環境はどうなるかわからない中で迎えるのが一九年。一番大きいのは、一九年は平成という元号が改元される予定の年です。
 ですから、このときにこのボランティア活動を通じて、多くの人々が自分は一体何なのかと私は見つけていただいて、その多くの人たちのつながりがもっと東京を美しくしていく、もっと東京を元気にしていく一つのきっかけになるんだろうと期待しているということを指摘しまして、次の質問に移ります。
 さて、昨年、小池東京都知事が知事に就任されて以降、朝鮮学校への補助金について、あるいは朝鮮大学校の認可について何かとメディアで取り上げられております。
 そこで改めて、現状の確認を本日させていただきたいと思います。
 朝鮮学校への運営費補助金と朝鮮大学校を設置している東京朝鮮学園に対する東京都の指導の現在の状況について伺います。

○金子私学部長 朝鮮学校への運営費補助金につきましては、平成二十二年度に交付を停止し、その後、二十三年十二月から二十五年十月にかけて、朝鮮学校の教育内容や学校運営につきまして、実態を確認するための調査を実施いたしました。
 その結果等を総合的に勘案して、都民の理解が得られないと判断し、現在、運営費補助金を交付しておりません。
 朝鮮大学校につきましては、本調査において、第二グラウンドが朝鮮総連関連企業の負債のために担保提供されているという、不適正な財産の管理運用を行っていることが明らかになりました。都の指導により一定の改善が図られている状況でございます。
 都としては、法令等に基づく適切な法人運営が行われるよう、引き続き改善指導を行ってまいります。

○川松委員 ありがとうございました。また、これは国のマターではございますけれども、朝鮮学校をめぐっては、高校授業料無償化の対象から朝鮮学校を除外したのは違法だとしまして、東京朝校の卒業生が国に損害賠償を求めて訴訟を起こしておりましたが、ことしの九月十三日に東京地裁から判決がいい渡されました。結果は、原告側の請求を棄却というものでございました。
 同様の訴訟は全国五カ所で行われておりまして、東京は三例目であります。先行の二訴訟を見てみますと、広島では原告側の訴えは認められないと出ましたけれども、大阪地裁では国の処分について違法性が認められるなど、判断が分かれている状況でございます。
 本日私も質問させていただきました都における動向とあわせて、引き続きさまざまな角度から考察を重ね方向性を示していくべきとお訴えし、私の質問を終わります。

○米倉委員 男女平等参画を進めることについて伺います。
 先週十一月二日に、世界経済フォーラムは、男女格差の度合いを示すジェンダーギャップ指数の報告書を発表しました。日本は世界百四十四カ国の中で、過去最低の百十四位となりました。日本の男女平等の到達は、先進国の中でも最もおくれています。
 こうした状況を都はどのように受けとめているのでしょうか。また、東京都内で男女平等参画を進めていく上で、どのような課題があると認識しているかも伺います。

○吉村男女平等参画担当部長 近年、男女平等参画に関する社会の機運は高まりを見せておりますが、世界経済フォーラムが十一月二日に発表した二〇一七年版ジェンダーギャップ指数によりますと、日本の順位は、今お話にありましたとおり、百四十四カ国中百十四位でございまして、男女平等参画について一層の推進に取り組む必要があると認識しております。
 本年三月に策定した東京都男女平等参画推進総合計画においては、東京における男女平等参画の現状認識を踏まえ、今後、重点的に取り組むべき四つの課題を掲げております。
 具体的には、働く場における女性に対する積極的改善措置の促進、働き方の見直しや男性の家庭生活への参画促進等を通じたライフワークバランスの実現、地域社会とのかかわりを通じた働く場にとどまらない活動機会の拡大、男女間のあらゆる暴力の根絶に向けた多様な主体による取り組みでございます。
 都は、これらの重点課題を中心に、男女平等参画施策を着実に推進してまいります。

○米倉委員 男女平等参画の一層の推進に取り組む必要があるという認識で取り組まれていかれることは大事だと思います。女性であれ、男性であれ、自分が望む生き方、自分の可能性を追求できるよう、社会的な障壁を取り除くことは誰もが願うことだと思います。
 そのための生活文化局のイニシアチブは非常に重要で、東京全体で男女平等を進める上では、各局の施策それぞれが男女平等を進めるものとしていくことが重要です。
 男女平等参画推進に向けた取り組みを全庁的に進める上で他局との連携は重要ですが、どのように取り組んでいるでしょうか。

○吉村男女平等参画担当部長 都においては、男女平等参画施策を総合的かつ効果的に推進するため、庁内関係局で構成する東京都男女平等参画推進会議を設置し、各局の施策に関する情報の共有や事業協力などについても協議を行っております。
 また、日ごろから関係各局の事業の実施におきましても互いに連携し、施策の実効性の向上を図っております。
 連携の具体的な事例としましては、産業労働局が実施する再就職を目指す女性を応援するイベント、レディーゴープロジェクトへのブース出展や、総務局が設置している女性の視点から見る防災人材の育成検討会議への参画等がございます。

○米倉委員 各局との連携や情報共有をされているということです。各局との連携は、東京都の施策全てで男女平等を推進する立場に立っているのか、考える視点を持っていただくことが大切だと思います。
 男女の格差は、ジェンダーギャップ指数にもあらわれているように、いまだに深刻な状況があります。今回、過去最低の百十四位となったことについては、女性の政治参画の割合が後退したことが大きく取り上げられていますが、それだけではありません。大学などの高等教育在学率も百一位と非常に格差があるのです。多くの先進国では、高等教育の在学率は女性が男性を上回っている国が多いのですが、日本では、短大を入れれば女性が男性を上回りますが、四年制大学や大学院を含めると女性が低くなるのです。
 実際私も、周りの女性を見ていて非常に実感があります。私自身は宮崎県出身ですが、お兄さんと妹のきょうだいでは、お兄さんは希望の医学部に進学させてもらえましたが、妹は、学力を考えれば遠くの国立大学に進学できるはずなのに、そもそも進学先は県内にしなさいと親から制限をされてしまい、県内の大学にしか行けませんでした。
 私自身は、都内の私立大学に進学できましたが、両親は周りの人から、何で女の子にわざわざそんなにお金をかけるのかと、どうせお嫁に行けば仕事もやめるんだからという話をされたそうです。高校時代、どこの大学を受験するかと話題になる時期になりますと、女の子の中には、進学先は九州から出てはいけないといわれる子が何人もいまして、実際に私も、東京に大学進学をしまして同級生で集まりますと、男性は十五人ぐらい集まるのに女性はたった二人しかいないという、この余りの差に驚きました。
 私は今二十九歳で、大学に進学したのはちょうど十年前ですから、比較的最近のことだと思いますが、こうした実態は今も起きております。私も、最近出会いました十九歳の女性は父親から、女の子は大学に行って就職しても、結婚すれば仕事をやめて主婦になる人も多いんだから初めから働いた方がいいんじゃないかといわれてしまって、本人は大学に行ってやりたいことがあったんですが、進学を断念して、高校卒業後、自宅から通える都内の会社で働いていらっしゃいます。いまだに高校生の段階で自分の可能性にチャレンジすることが、女性は男性に比べて許されていない実態があるんです。
 ジェンダーギャップ指数で百四十四カ国中五位だった、男女平等が進んでいるスウェーデンでは、男女平等政策を国の最重要政策に位置づけておりますが、担当大臣は、男女平等は自動的には達成できない、決してと語っております。そして、この男女平等政策を最重要政策に位置づけるということは、単なるスローガンではないんだと。全ての閣僚があらゆる分野の政策立案や予算要求の際に、その政策で男女平等に近づくのかを分析した書類を提出し、審査を受けるシステムになっているんだと説明をしていらっしゃいます。
 都としても、さらに各局連携を強め、各分野で格差をなくす努力をしていただきたいと要望をしておきます。
 深刻な格差があるもとで、女性の貧困の問題や、暴力にさらされている、育児や介護の負担がのしかかるなど、女性だからこその悩みや困難があります。
 都は、こうした実態にウィメンズプラザで相談活動を行ったり、学んだり、暮らしや生き方の役に立つ講習活動などを行っています。
 この相談件数や内容について伺います。また、相談内容について都は分析を行っているのか、そして、ここ数年で相談内容に、また件数に傾向はあるのかも伺います。

○吉村男女平等参画担当部長 平成二十八年度に東京ウィメンズプラザに寄せられた相談の件数は、二万三千七百三十件であり、前年度より六百八十九件、割合では三%増加いたしました。
 相談内容の構成比を見ますと、心に関する相談が全体の二九・六%と最も多く、次いで、配偶者暴力に関する相談が二〇・三%、家族に関する相談が一一・二%となっております。
 相談者の年代別構成比は、四十歳代が最も多く、全体の三四・一%であり、次いで、五十歳代が二二・五%、三十歳代が一八・八%となっております。
 前年度と比較しますと、内容別では、心に関する相談が最もふえており、相談者の年代別では、特に四十歳代と五十歳代の相談が増加しております。

○米倉委員 相談件数は前年度よりふえていて、内容は心、これは不安を抱えているですとか、夜眠れないなどということが入るそうですが、一番多いということです。
 そして、女性問題の中心の一つである配偶者暴力についても、それに続いて多いということです。
 毎年二万件近く寄せられている相談の内容ですが、五年、十年の範囲で見たときに、相談の内容や相談を寄せてこられる方にどういった変化があるかということは、今後、都として研究者も入ってもらいながら分析をしていくことも大切だと思います。
 神奈川県の女性センターでは、二〇一二年に、専門の研究者の力もかりて、過去五年間の相談データの分析を行っていますが、例えばこの分析の中で、DVについては全相談に占める割合がふえていることや、四十代のDV相談がこの五年間で一・五倍にふえたこと、その内容としては、精神的な暴力のうち言葉の暴力がふえていることなど詳しく分析を行っています。
 こうした分析は、都内の女性の困難を把握する手段にもなります。同時に、都としては、都独自の相談活動だけでなく、区市町村での相談窓口をふやしていくことや、その対応力を強化していく役割も大事だと思います。
 現在、女性を対象にした相談窓口を設置している区市町村は、都内に幾つあるのか、伺います。また、都は、相談窓口をふやしていくことや、相談機能を強化していくために、区市町村とはどのような連携をしているかも伺います。

○吉村男女平等参画担当部長 現在、都内では五十三の区市町村が男女平等参画に関する相談窓口を設置しております。
 都は、区市町村の相談事業を支援するため、相談員養成講座や男女平等推進担当職員研修等を実施しているほか、相談員が困難な事例への対応などについて臨床心理士等の専門家から指導助言を受けることのできるスーパーバイズを行っております。
 配偶者暴力対策に関する区市町村支援としましては、各支援機関が統一的に対応を図れるよう、マニュアルとして活用できる配偶者暴力被害者支援基本プログラムを作成し配布しております。
 また、被害者が身近な地域で充実した支援を受けることができる体制づくりのため、配偶者暴力相談支援センター機能が整備されていない区市町村に対して、個別の出張相談であるアウトリーチ活動等により働きかけを実施しております。
 さらに、男女平等参画センター館長等会議や、配偶者暴力対策ネットワーク会議等を開催し、相互に情報交換を行うことなどによりまして、区市町村との連携を図っております。

○米倉委員 五十三の区市町村で女性を対象とした相談窓口があり、都としてもさまざまに連携していることは重要です。一般の市民の方からしますと、身近な区市町村に相談窓口があると、相談できる窓口があるんだと見えやすいですし、また相談しやすさもあると思います。
 同時に、区市町村で相談を行うとなりますと、区市町村によって体制、また専門知識の蓄積には差があると思います。配偶者暴力の相談センターを設置している自治体は十三しかありませんから、機能がない区市町村には都が出向いて働きかけをしていることは重要です。
 また、女性の、困難な相談内容は、貧困や暴力などさまざまな要素が絡み、対応が難しいケースも寄せられています。複雑な相談に対応できるよう、都が支援をしていることは大切だと思います。
 男女平等参画を進める上では、今ある困難や相談に対応することと同時に、社会的な障壁を取り除くことや、社会の意識を変えていくことが必要です。都民を対象にした普及啓発活動は重要ですが、都はどのような取り組みを行っているのか、さらに拡充することが重要と考えますが、いかがですか。

○吉村男女平等参画担当部長 都は、都庁総合ホームページや東京都女性活躍推進ポータルサイト等を活用し、男女平等参画の推進に関する情報を広く発信しております。
 また、男女平等参画に関心の薄い都民にも啓発を図るため、今月、新たに女性の活躍推進に向けたPR映像とポスターを作成し、トレインチャンネル等の交通広告やインターネットなどで展開しております。
 今後とも、より多くの都民に男女平等参画の重要性や都の取り組みを伝えるため、さまざまな媒体や、十二月に開催する女性が輝くTOKYO懇話会などのイベントを通じまして、広報、普及活動を図ってまいります。

○米倉委員 広く都民に対して新たに普及啓発を行っていくことは重要だと思います。
 これは、具体的にはどういうことをやられるのかも伺いたいんですが、お願いいたします。

○吉村男女平等参画担当部長 失礼いたしました。動画の関係でよろしいでしょうか。--はい。こちらのPR動画等を活用いたしました広報展開でございますが、今月のちょうど昨日からインターネットで配信を始めましたほかに、十三日、来週からになりますが、トレインチャンネルでの放映ですとか、新宿西口地下広場大型デジタルサイネージでの放映なども行う予定でございます。

○米倉委員 新たに動画や、また電車を利用される方を対象にしてもPR活動をされるということで重要だと思います。
 今までの都の広報を見ていまして、相談窓口や、またイベントがあるという告知は見るのですが、都民への普及啓発や、また当事者である女性に役立つ情報がほとんど見当たりませんでした。ホームページを見ましても、DVに関するものと、これから子供が生まれる夫婦に向けて、出産後の家事、育児に男性が積極的に参画するためのものしか見ることができませんでした。
 関東の県や政令指定都市の状況を調べてみますと、それぞれ、さまざま情報を広げる広報をやっていらっしゃいます。
 例えば、栃木県では年に二回、男女共同参画に関する旬のテーマを特集する冊子を一万五百部つくりまして、公民館や公立図書館、金融機関に配布をしています。かなり充実した冊子になっているんですね。テーマですとか女性の声を載せていらっしゃいます。
 同じような取り組みを川崎市でも年三回冊子をつくり、公共施設に配布をしています。特集内容は、例えば、企業で働く女性たちの今というテーマで、川崎市内の企業の取り組みや、働く女性たちの声を紹介したり、また違う号では、外国籍であることがもたらす女性と子供の困難をテーマに取り上げています。こういう努力が男女平等参画社会をつくっていく土台になると思います。
 ウィメンズプラザでは、講演会を行ったり、男女平等参画に関する図書資料室もありますから、蓄積はあると思います。
 こうした条件を生かして、女性にかかわるさまざまな問題を都民に知らせていく取り組みを行っていただきたいと要望をしておきます。
 啓発活動と同時に求められているのは、深刻でありながら埋もれている男女格差や女性の困難を掘り起こすこと、調査研究により新たな知見を発信し、啓発を強化していくことが必要です。
 近年ようやく光が当たってきたのは、新卒でも非正規で働く女性がふえる中、非正規シングルの女性が増加し、困難な状況に置かれている方も多い問題です。労働政策研究・研修機構の調査では、三十五歳から四十四歳の非正規シングルの女性は、二〇〇二年に十六万人でしたが、二〇一四年には五十二万人と三倍にふえています。平均賃金は、フルタイムで働いても月十八万九千円で、年齢が上がっても、ほぼこの賃金は上がりません。しかも女性の場合、一旦非正規で働き始めるとなかなか非正規から抜け出せないという問題は深刻です。
 新卒で非正規であっても、その後、正規職につく割合は男性の方が高く、女性は正規になりづらいという調査結果もあります。さらに、シングルの女性は結婚や出産をしていない偏見にさらされたり、子供がいないことなどから親の介護の負担を当然視されやすいなど、社会的、心理的圧迫を受けやすい状況に置かれています。
 男女平等参画に向け、効果的に都の取り組みを進める上では、こういった問題や困難を調査研究し、都の取り組みに反映していくことが不可欠です。
 そのために、大学と連携するなどし、都として調査を行うことは重要と考えますが、いかがですか。

○吉村男女平等参画担当部長 都は、男女平等参画施策を総合的に推進していくため、雇用、就業状況や意識調査などの情報収集、分析を行い、毎年度、年次報告を作成しております。また、時期を捉えて世論調査を実施しております。
 東京都男女平等参画推進総合計画の策定に当たっては、こうした分析をもとに、東京における男女平等参画の現状と課題を明らかにし、具体的な施策を取りまとめました。
 大学との連携につきましては、東京都男女平等参画審議会や、女性も男性も輝くTOKYO会議に大学教授等にご参加いただき、都の施策に対する助言をいただくほか、例えば、平成二十八年に作成した東京都女性活躍推進白書の執筆など、さまざまな場面で都への協力をいただいております。

○米倉委員 年次報告で、雇用や就業状況など、国や都で行っているさまざまな情報を集めていることは重要です。
 しかし、本当に男女平等を目指していくときに、問題を掘り起こすことや、新たな知見を普及するということは必要ですし、これは生活文化局でなければ担えない役割だと思います。
 ウィメンズプラザは、開設時は東京都直営ではなく、東京女性財団が運営していましたが、当時の事業年次報告書などを見ますと、財団としての研究活動のほかにも、都民や団体の研究に対しても経費の一部を助成して、調査研究に力を入れてきました。
 財団設立五周年の記念誌というものが発行されていまして、ぜひごらんになっていただけたらと思うんですけれども、ここにはたくさんのメッセージが寄せられております。
 当時、都立大学教授だった浅倉むつ子現早稲田大学教授からは、研究事業こそ東京女性財団の最も中心に位置づけられる事業だとして、そして、財団は性の商品化、ひとり親家族など具体的で緊急性を要する興味深いテーマ研究を幾つも実施してきたことを紹介しながら、これらの研究が東京都において政策提言として有効に活用されてきたこと、それにとどまらず、国レベルの政策でも相当大きな影響を及ぼしてきたことを指摘しています。
 浅倉教授も加わった世界のアファーマティブアクションの調査は、労働省のポジティブアクションに関するガイドラインに反映され、さらに九七年、男女雇用機会均等法改正の際、法律の中にポジティブアクションを導入する際の最も貴重な資料となったと述べられています。
 関東六県を調べてみても、四県で男女平等参画社会の取り組みとして調査研究を位置づけています。県の特徴的課題を解決するため、政策立案に結びつく根拠データの整備のために位置づけ、研究者とも連携した調査を行っています。
 東京は一つの地方として、東京ならではの女性、さらには男性をめぐる問題状況がありますし、また大都市特有の外国人女性が多いなど、複合的な差別の対象となる女性の問題があります。都としての独自調査研究は今後ますます重要性が高まります。都としての取り組みを求めておきます。
 最後に、先ほど紹介をしましたシングルの若年女性の困難について伺います。
 近年、この問題は支援対象として位置づけられるようになってきまして、埼玉県や横浜市では、若年シングル女性を対象とした労働法やお金の問題、生きづらさに応える講座、またストレス解消法を知るリラクゼーションクラスを開催したりするなど、またお話カフェなどグループ相談会なども開催していらっしゃいます。
 シングルの若年女性の困難について、都としても講習会などでも位置づけ、支援をしていくことは重要と考えますが、いかがですか。

○吉村男女平等参画担当部長 生活文化局では、東京ウィメンズプラザにおきまして、職場の人間関係や親子の問題など、さまざまな悩みに関する相談を単身の若年女性を含む幅広い都民から受け付けております。
 また、若年層を含む働く女性を対象として、社会人の先輩から実践的な助言を受けたり、同じ悩みを抱える人と語り合うことができるワークショップや交流会を開催するほか、心理の専門家等を講師に招き、ストレスへの対処法等をテーマとする講演会を開催しております。
 さらに、若年層が社会に出る前から長期的な視点で生活設計を行うことを支援するため、学生向けの教材、キャリアデザインコンテンツについて、大学の協力も得ながら、その普及を図っております。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、単身の若年女性の支援を図ってまいります。

○米倉委員 都としても、今後位置づけて取り組まれていくということは大事だと思います。ただ、私も、ことしウィメンズプラザにて取り組みを伺いましたが、イベントのチラシを見ましても、ここに単身女性対象の企画があるんですとチラシを見せていただいても、結婚している方ですとか、そういうふうに見えるというか、それが主な対象になっているチラシにやっぱりなっているんですね。
 やはり既婚者と単身の方というのは、悩みやバックグラウンドが大きく異なります。若年シングル女性について独自調査を行った横浜市の男女共同参画推進協会からお話を伺いましたが、調査を通じて明らかになったのは、シングル女性の中には、職場を幾つも変わっている上に、職場でも同じ境遇の人がいないために、孤立感を抱えている方が多いということでした。
 同じ境遇の方同士でつながりをつくれる場をつくっていくことは非常に重要だと思いますので、ぜひ当事者にとってわかりやすい、そうした広報、取り組みをさらに進めていただきたいと要望して、質問を終わらせていただきます。

○斉藤委員 二〇一九ラグビーワールドカップ、二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会開催を控え、東京都では今後、さらに外国人観光客がふえていくことが予想されています。
 平成二十八年に東京都を訪れた外国人は、前年比一〇・二%増の千三百十万人で、この傾向は東京都の観光PRの成功や諸外国における経済成長、また平成二十六年以降の中国及び東南アジア諸国のビザ発給要件の大幅緩和措置の影響などもあり、今後も続いていくことが想定されています。
 一方、昨年十一月に、留学、語学教育事業を展開する私立教育機関、イー・エフ・エデュケーション・ファーストの日本法人が、国別英語能力指数レポートを公表し、日本は三十五位で、年々その順位を下げ、英語力が低下傾向にあると指摘を受けています。
 二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会のレガシーをソフト面で達成するとすれば、英語力を身につけていく取り組みを推進することが非常に有効であると考えられ、また来年度夏からは、より実践的な大会都市ボランティアの募集が始まりますが、その前に広い枠組みでの対外国人ボランティアの素地づくりとして、早期のおもてなし語学ボランティア育成の必要性があると考えます。
 そこで、都が現在取り組んでいる外国人おもてなし語学ボランティアの目的と今後の育成計画について伺います。

○山本都民生活部長 東京二〇二〇大会の開催に向け、今後ますます増加が見込まれる外国人観光客が安心して滞在できるよう、東京全体でおもてなしを実現するとともに、ボランティア活動の機運醸成、裾野拡大を図ることを目的に、外国人おもてなし語学ボランティアを育成する講座を実施しております。
 受講修了者はボランティアとして登録され、まち中や駅などで困っている外国人観光客等を見かけた際に積極的に声をかけ、手助けをする自発的な活動を行っていただいております。
 育成する人数を、講座を始めました平成二十六年度は三万五千人としていましたが、受講ニーズが一層見込まれることから、平成二十八年度に目標数を引き上げ、平成三十一年度までに五万人を育成することといたしました。平成二十九年十月三十日現在で約二万二千人の方に既に受講いただいているところでございます。

○斉藤委員 都民の方々からは、オリンピック・パラリンピックでは、競技大会を見るだけでなく、何らかの形で大会にかかわりたいという声をよく聞いております。外国人おもてなし語学ボランティアも、ご答弁いただきましたように非常にニーズが高いということがわかります。
 講座開始当初は、抽せん倍率が二十倍以上となることもあったと伺っております。今年度はこれまでの平均で四倍強、多摩地域だけで見ると二倍強となっていると聞いておりまして、落ちついてきているものの依然人気は高いということは、喜ばしいことでもありますが、せっかく希望されているのに受講できない方がいるということになると、非常にもったいないなというふうにも感じております。
 そこで、今後も多くの都民がこの講座を受講できる環境づくりが必要だと思いますが、多摩地域を含む都内全体での外国人おもてなし語学ボランティア育成講座の取り組み状況について伺います。

○山本都民生活部長 現在、都主催講座は、都内複数の会場で毎月約十コースを開催し、これまで約六千八百人が受講しております。このうち、八王子や立川など多摩地域の会場で約二千八百人の方が受講しております。
 都主催講座のほかにも、区市町村と連携した講座を開催しており、これまで約八千三百人が受講しておりまして、このうち、多摩地域の会場では約三千八百人が受講してございます。今年度は、ほぼ全ての区市町村において実施する見込みになっております。
 さらに、企業、大学、高校等とも連携して講座を実施しており、東京全体でのおもてなしの実現に向け、取り組みを進めております。
 受講者の年代は、六十代を筆頭に五十代、四十代の順に多く、全体の約七割が女性という構成になっておりますが、受講者の利便性をなお一層高めるために、平日だけでなく、土日や夜間の講座を設けているほか、平成二十九年一月から一部の講座で託児サービスを開始しております。
 今後とも、より多くの幅広い世代の方に受講いただけるよう積極的に取り組んでまいります。

○斉藤委員 都主催の講座に加えて、区市町村と連携した講座の開催も行われているということで、会場もほぼ全ての区市町村で実施されているということで安心をいたしました。
 受講者の筆頭は六十代の方々だということで、なるべくお住まいのエリアから近い場所で講座を受けられることが望ましいと考えられますので、引き続き講師派遣など区市町村への支援を行っていただきたいと考えております。
 外国人おもてなし語学ボランティアに登録された方々は、非常に高いモチベーションを持って講座を受講された方が多いと思います。
 一方、本ボランティアは、自主的な活動を目的とされており、実際の活動機会には恵まれない方も多くいらっしゃるということです。
 オリンピック・パラリンピックに向け、また大会後のレガシーとして、ボランティア文化を定着させるためには、ボランティア登録者のモチベーションを維持向上することが重要です。
 そこで、ボランティア登録者へのフォローアップをどのように行っておられるか、伺います。

○山本都民生活部長 ボランティア登録者の中には、講座受講時に知り合った同士でグループをつくるなどして積極的に活動を行っている方がいる一方、外国人観光客等に接する機会が少なく、講座で学んだ知見を生かす機会に恵まれない方もいらっしゃいます。
 そこで、専用の外国人おもてなし語学ボランティアwebを通じて、都や民間団体が行うさまざまなボランティア活動の募集情報の提供などや、外国人との実際のコミュニケーションに役立つコラムの発信など、さまざまな工夫を凝らしたフォローアップを行っております。
 また、昨年度は、ボランティア登録者同士の交流や、有識者による講演などで構成するフォローアップセミナーを多摩地域と区部で計四回開催し、約千四百名の方に参加いただきました。
 今年度は、十一月二十六日の日曜日に、東京で暮らす外国人と日本人が互いの文化を理解し、触れ合う国際交流イベント、東京多文化フェスの開催に合わせて、フォローアップセミナーを開催する予定でございます。
 東京二〇二〇大会に向け、ボランティア意識の醸成をなお一層図るため、今後ともボランティア登録者のモチベーションの維持向上とスキルアップが図れるよう事業の充実を図ってまいります。

○斉藤委員 民間のボランティア募集情報の提供やフォローアップイベントの開催、また文化を理解し、触れ合う東京多文化フェスの開催に合わせたセミナーの開催など、語学研修のみならず、文化的な理解の啓発につながる取り組みも含めて進めていることがわかりました。
 例えば、ちょっとしたジェスチャー一つでも、日本人の意図する内容と全く違う内容を持つ場合があったりするようなことは、ぜひ言葉の研修とともに周知を進めていただきたいと考えております。
 例えば、こっちに来てくださいと手招きをするしぐさは、外国人にとっては、国によっては追い払うような意味があったり、またピースサインは、国によって、ギリシャなどでは侮辱の意味があったりということがございます。よかれと思っての行動が誤解を生んだりすることがないためにも、特におもてなし講座のより一層の充実に期待をしたいと考えております。
 日本人は、文化的にアイコンタクトやボディーランゲージというものにそもそも外国人のように積極性を持たない奥ゆかしさや謙虚さがありますが、そこを無理に曲げずに、日本人らしいたたずまいで、けれども、温かいおもてなしの心を持って外国人を迎え入れるボランティア機運の醸成をぜひお願いしたいと考えております。
 外国人おもてなし語学ボランティアのように、やる気と意識の高い都民にとっては、日ごろの生活の中でボランティア活動ができるという機会の情報を得たいという要望や、おもてなしのスキルをなお一層高めたいという意欲は強くあると思われます。
 今後も大会開催まで継続的にフォローして、ボランティア文化の定着につなげて行っていただきたいと要望しまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、TOKYO子育て応援幼稚園について伺います。
 平成二十九年四月一日現在、都内における保育サービス利用児童数は、過去最大の一万六千三人増で二十七万七千七百八人となっています。待機児童数も、就学前児童人口や保育所等利用申込率の増加、待機児童の取り扱いの変更等により八千五百八十六人となり、都内でいまだに認可保育所に子供を預けることのできない家庭は多く、働きに出るために子供の預け入れを探している保護者にとって、私立幼稚園の長時間の預かり保育は非常に有効なセーフティネットであり、また、働いていても子供を幼稚園に通わせて、特色ある教育を受けさせたいと考える保護者にとっても、最良の受け皿になると考えております。
 そこで、非常に期待される施策が、今年度新たに始められましたTOKYO子育て応援幼稚園です。都が今年度より開始したTOKYO子育て応援幼稚園の目的及び内容について伺います。

○金子私学部長 TOKYO子育て応援幼稚園は、待機児童解消に向けて全庁的に進める多様な子育て環境を整備するための施策の一つであり、共働き家庭などのニーズに応える私立幼稚園を支援する取り組みでございます。
 具体的には、預かり保育を拡充し、働き方などにかかわらず、保護者が幼稚園を選択できるよう、教育時間も含めて九時間以上、年間で二百日以上の預かり保育を行う幼稚園に対し、区市町村を通じて補助を行います。
 さらに、二歳児までが対象の小規模保育施設を卒園後、再び子供の預け先探しに苦労する、いわゆる三歳児の壁解消にも寄与できるよう、こうした幼稚園が小規模保育施設と連携して、三歳以降の子供の受け入れに取り組む場合には、補助額の加算を行います。

○斉藤委員 実は、私の子供も生まれた当初五年待ちといわれて、認可保育園には入れませんでした。認可外で二歳までお世話になり、三歳の壁を迎えたときに私立幼稚園の預かり保育を選択して、今現在もお世話になっております。
 私立幼稚園独自の教育を受けさせていただき、さまざまなご家庭のお子さんと交わることができるというメリットもありますが、一方、長期休暇の際に預かり保育も休みになることがあったり、園側の日程の都合や施設改修工事の都合によって幾日も預かりが実施されないこともあり、実際には働いている母親たちから苦情や陳情が園や市区町村に出されることもありました。
 それなので、一日の保育が教育時間と合わせて九時間以上、年間を通じて二百日以上の実施を行う園に対して支援を行っていただけるということは本当にありがたく、両親がともにフルタイムで働くご家庭でも私立幼稚園に通わせようと考えることが不自然でないということになりますし、またより多くの私立幼稚園が、よりその園に入りたいと考える保護者の裾野を広げることにもつながると思います。
 また、小規模保育施設を卒園した児童と保護者たちが直面する、いわゆる三歳の壁にも適切に対応できるよう、小規模保育施設と連携して三歳以降の卒園児を受け入れるための優先利用枠を設定したり、小規模保育施設に通う子供たちのために園庭を開放したりという取り組みを行う私立幼稚園には、さらなる補助加算をされるということです。
 この支援が、より小規模保育施設と連携を行っていく私立幼稚園を増加させていくことにつながることを願ってやみません。
 そこでまず、現状について確認をさせてください。当事業の区市町村における実施状況及び実施園数について伺います。

○金子私学部長 十月末時点で四区十四市が当事業を実施しております。TOKYO子育て応援幼稚園は都内で七十二園あり、そのうち小規模保育施設との連携は八園でございます。

○斉藤委員 現在、都内全域では二十三区二十六市二町に七百九十二園の幼稚園がある中で、現在実施園が四区十四市で七十二園というと、まだまだ始まったばかりということもありますが、さらに実施区市町村と園が広がってほしいというようにも感じます。
 また、特にその中でも小規模保育施設との連携園がまだ八園と少ないですが、実際にはゼロ歳から二歳までの保育を行う施設と、三歳から五歳を扱ってきた私立幼稚園とでは人員配置等の問題もあり、そう簡単に、今いる園児さんたちの活動を阻害しない配慮をした上で長時間保育を受け入れていくということは、現場の判断ではなかなか難しいところもあるのだろうということも推測できます。
 そこで、今後の課題について質問をさせていただきます。こうした状況を踏まえて、都は、今後どのように取り組みを進めていくのか、伺います。

○金子私学部長 TOKYO子育て応援幼稚園につきましては、区市町村や幼稚園において実施内容の検討や体制の整備などに時間を要するため、初年度ということもあり、七十二園の実施となっております。
 そこで、都は、この事業を一層推進するため、区市町村との意見交換や個別の状況に応じた助言、働きかけを行うなど、区市町村との連携をさらに強化してまいります。
 また、幼稚園団体とも協力し、各園に対して制度の理解促進や事業への協力依頼を行うとともに、今般作成したPRのためのシンボルマークなども効果的に活用し、実施に向けた機運醸成を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、三十年度に向けて、TOKYO子育て応援幼稚園を着実にふやしてまいります。

○斉藤委員 そもそも、現在、実施市区町村がまだ少ないのは、初年度からの準備が難しいということがあったということで、これについてはぜひ来年度以降の実施区市町村の増加を期待して待ちたいと思っております。
 また、区市町村が実施を決めた後に、実際に子育て応援幼稚園に申し込む幼稚園がどれほど出てきてくれるのか、これについては、ただいまご答弁いただきましたように、ぜひ子育て応援幼稚園事業への協力を力強く幼稚園に対して求めていただきたいと考えております。
 先ほど申し上げましたように、働いていても幼稚園の特色ある教育を受けさせたいと考える親もふえていますし、幼稚園に子供を通わせる親の共働き率も二〇一六年平均で約六一%ですが、さらに年々上昇の一途をたどると予測されています。
 幼稚園の預かり保育の充実は、親御さんたちにとっても、フルタイム勤務のみならず、さまざまな働き方を選択し、子供を幼稚園に預けるという選択肢をふやすことにもつながりますし、幼稚園にとってもまた、多様なご家庭に門戸を広げることによって、新たな児童受け入れや児童それぞれの社会性の向上にもつながることとなります。
 TOKYO子育て応援幼稚園を着実にふやしていくという力強いご答弁をいただきまして、東京都で小さなお子さんと親御さんが受ける教育や選ぶライフスタイルに、さらなる選択の幅を持てるようになることが期待されます。
 ぜひ、引き続き取り組みの推進を要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、東京都の配偶者暴力相談支援センターについて伺います。
 都の配偶者暴力相談支援センター、警視庁、区市町村で受け付けた相談の総件数は増加傾向にあり、平成二十八年度は五万一千三百五十七件と過去最多を記録しています。中でも、区市町村で設けている相談所等への相談件数は、平成二十八年度は三万五千百八十二件と多数を占め、平成十五年度比で約三・二倍と顕著に増加をしております。
 こうした状況のもと、都と区市町村を初めとする関係機関は緊密に連携協力して、被害者が暴力から逃れ、将来に向けて安全で安心できる生活が送れるよう、さまざまな支援を行っていく必要があります。
 配偶者暴力相談支援センターは、配偶者暴力防止法に基づいて設置されるもので、都道府県においては必置、区市町村には設置は努力義務とされています。相談、一時保護、就労や住宅確保など、自立生活に必要な情報の提供等の支援を実施する被害者支援の拠点施設として非常に重要なものであると考えます。
 そこでまず、東京都配偶者暴力相談支援センターの役割と現状の取り組みについて伺います。

○吉村男女平等参画担当部長 都においては、生活文化局が所管する東京ウィメンズプラザと福祉保健局が所管する東京都女性相談センターが、配偶者暴力相談支援センターの役割を担っております。
 東京ウィメンズプラザは、総合相談窓口として、電話相談のほか、弁護士、精神科医による専門相談等を行うとともに、相談員研修や情報提供等の区市町村支援、配偶者暴力被害者の自立に向けた支援など、さまざまな取り組みを行っております。
 また、東京都女性相談センターは、相談機能のほか、主に一時保護の機能を担っており、ともに連携して被害者支援に当たっております。

○斉藤委員 東京都の設置した配偶者暴力相談支援センターには、東京ウィメンズプラザと東京都女性相談センターがあり、東京における配偶者暴力対策の中核的役割を果たしているということがわかりました。
 しかしながら、相談から被害者の生活再建までを視野に入れ、身近な地域できめ細かい支援を迅速、円滑に進めるためには、区市町村の役割が重要であると考えております。
 そこで、区市町村の配偶者暴力相談支援センター機能整備の現状はどのようになっていますか。また、東京都がこれに積極的に支援を行っていくべきですが、支援の現在の状況について伺います。

○吉村男女平等参画担当部長 都はこれまでも、区市町村に対し、配偶者暴力相談支援センター機能の整備について働きかけを行ってまいりました。その結果、センター機能を整備した区市町村は、昨年度三区増加し、さらに今年度も新宿区で新たに整備されまして、現在十三区となっております。
 都は、区市町村におけるセンター機能の整備促進に向け、相談のかなめとなる相談員の養成などの各種研修や、配偶者暴力に関するさまざまな情報を盛り込んだメールマガジンの発行などにより支援をしております。また、センター機能が整備されていない区市町村に対しては、個別の出張相談であるアウトリーチ活動を行っております。
 本年三月に改定した東京都配偶者暴力対策基本計画におきましては、平成三十三年度までに二十の区市町村でセンター機能が整備されることを目標として掲げておりまして、今後とも積極的に支援してまいります。

○斉藤委員 実際に深刻な状況にある被害者にとっては、あえて地域の配偶者暴力相談支援センターには赴かず、都の配偶者暴力相談支援センターに行くこともあるかと思いますし、もしくは小さな子を連れてそこまで出向くことができずに、近隣の区市町村に相談に行く場合もあると考えております。
 被害者にとって、どちらを選択してもしっかりとしたサポートが受けられるよう、都と区市町村の配偶者暴力相談支援センターは、配偶者暴力対策の鍵となりますので、引き続き連携を強めていってもらいたいと要望しておきます。
 都の調査によると、配偶者暴力被害者の七八・四%に子供がいます。うち四一・四%は小学生の子供を持つ被害者で、三二・八%はゼロ歳から二歳児の乳児を持つ被害者です。加害者から子供への直接的暴力は三九・七%あり、虐待の事例とされる、見ているところでの暴力一五・五%を合わせると五割を超えます。
 私の知る、とある配偶者暴力被害者は、もともと母親が同じように配偶者から扱われるのを見て成長してきたため、自身が受けている行為が暴力であるという認識が及ばず、相談をすることもないまま、自身と子供が非常に危険な状況にまで追い込まれてしまったということがありました。
 子供たちの自己肯定感の低下などにもつながるため、配偶者暴力被害者の子供たちへの支援や配慮が急務であると考えております。
 都の配偶者暴力対策基本計画においては、施策目標として、子供のケア体制の充実を掲げ、その具体的施策として、配偶者暴力から子供を守る連携プログラムの活用が記載されておりますが、この配偶者暴力から子供を守る連携プログラムの内容について伺います。

○吉村男女平等参画担当部長 配偶者暴力がある家庭で育つ子供は、日常的に暴力のある環境で生活することで深刻な心理的影響を受けているため、配偶者暴力の相談におきましては、相談者本人への対応とともに、子供についても適切な対応をとっていく必要がございます。
 このため、都は、配偶者暴力相談支援センター、児童相談所や区市町村の関係機関が共通の認識を持って子供のケアを行うことができるよう、配偶者暴力から子供を守る連携プログラムを作成、配布してきました。
 プログラムは、配偶者暴力が子供に与える影響や相談対応に当たって注意すべき事項とともに、子供の成長段階別に、配偶者暴力の相談機関が子供の関係機関とどのように連携して支援を行ったかなどについて、具体的な対応事例を多く掲載しております。
 今年度はプログラムの改定を行っており、都及び区市町村の現場で配偶者暴力対策や児童福祉を担当している職員の声を反映させながら作業を進めております。
 今後とも、時宜に応じてプログラムの内容を充実させるとともに、幼稚園や保育所、学校等を含む関係機関に幅広く普及を図り、配偶者暴力に対する理解を深めてまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。幼稚園や保育所においても、在籍する子供の様子から配偶者暴力が発見されるということがあるそうです。
 東京都の行った実態調査によれば、過去に保護者から配偶者暴力について相談を受けた、あるいは発見をしたことがあるところが三割を超えています。けれども、被害者に対応するためのマニュアルがあると答えたところは三割を切っています。
 関係各位の適切な対応が子供たちの安全やその後の回復につながっていくという認識のもと、ぜひ配偶者暴力から子供を守る連携プログラムの充実と、さらなる普及を推進していただくことをお願いいたします。
 児童虐待の防止等に関する法律では、家庭内で配偶者暴力を目撃することにより、著しい心理的外傷を与えることも児童虐待であると定義をされています。こうした被害に遭ってしまった子供の心の安定を取り戻す取り組みも非常に重要であると考えております。
 そこで、東京ウィメンズプラザが実施している子供に対する講座、子供広場の内容と実施状況について伺います。

○吉村男女平等参画担当部長 子供広場は、配偶者暴力のある家庭の子供と母親を対象に、心の傷の回復を側面から支援するため、遊びなども取り入れて、親子間や友達とのコミュニケーションのとり方などを継続的に学習する講座でございます。平成二十八年度は計十三回開催し、延べ九十八人が参加されました。
 この講座は、精神保健福祉士など配偶者暴力被害者の支援について専門知識や経験を持つ方を講師に迎え、母親向けと子供向けのプログラムを同時並行で実施いたします。
 子供向けのプログラムでは、人形や絵本などを使いながら、自分の気持ちの表現、暴力のない関係づくりなどについて学びます。
 また、母親向けのプログラムでは、子供とのかかわり方、自分の力をどう取り戻すかなどについて、同じ立場の参加者とともに考えるグループワークなどを行っております。

○斉藤委員 母親と子供向けにトラウマ克服や精神的な不安などの問題解決に向けて、非常に意味ある講座であると考えられます。
 ぜひ今後も取り組みを進めて、また広げていっていただきたいと思います。
 国の調査によると、女性の約四人に一人が配偶者から被害を受けたことがあり、その約四五%がどこにも相談をせず、その理由として、配偶者暴力についてDVとは認識をしていなかったと答えた女性が一二・八%でありました。
 また、交際相手からの暴力について、デートDVとは認識していなかった女性の割合は二六・五%です。
 また、東京都の世論調査では、被害者にも暴力を振るわれる原因があるはずだという考えを四割強が肯定しておりまして、周囲の認識不足が顕著で、啓発が必要であると考えております。
 そこで、暴力を許さない社会形成のための今後の普及啓発の取り組みについて、都の見解を伺います。

○吉村男女平等参画担当部長 都はこれまでも、配偶者暴力防止のパンフレットやPRカード等の作成、配布、都民向け講演会の開催、都の広報媒体を活用した啓発などを行ってまいりました。
 今年度は、若年層における交際相手からの暴力、いわゆるデートDVを未然に防止するため、九都県市が共同し、都の若手職員が考案した共通キャッチフレーズを用いて啓発活動を実施しております。
 都では、このキャッチフレーズを掲載した啓発用のカードを都内の全高校生約三十四万人に配布するほか、東京ウィメンズプラザで開催する講座や講演会等で広く配布し、都民に周知を図っております。
 今後とも、暴力を許さない社会の形成に向けて、関係機関とも一層連携しながら、幅広い啓発に取り組んでまいります。

○斉藤委員 私もこれまでに、DVや暴力という言葉と、実際に自身が受けている行為がつながらずにどこにも相談ができなかったという体験談を、一人や二人でなく数多く聞いてきております。
 言葉のイメージとは裏腹に、実際は非常に身近に起こり得る問題であるという意識を当事者の皆さんだけではなく、一人一人が認識と理解を深めていくことが重要であると考えております。
 これまでも暴力を許さない社会の形成に向けてさまざまな工夫を凝らした啓発を行ってこられたことがわかりますが、今後とも、都と区市町村など各関係機関がさらに連携を深め、配偶者暴力対策を推し進めていってもらいたいと思います。
 以上で私からの質問は終わります。

○古賀委員 東京都生活文化局の事業である文化振興施策と、平成三十二年東京五輪に向けた文化プログラムの展開について質問いたします。
 昭和三十九年の前回の東京五輪では、選手村に生け花を飾り、外国人選手をもてなしたと記憶しております。まさに五輪、オリンピック・パラリンピック競技大会が文化の祭典でもある象徴的な取り組みであったことを証明するものであります。
 中でも、華道や茶道は我が国独自の生活様式や精神性の中で、長い年月をかけて育まれてきました。四季折々の花をめで、組み合わせと配置の工夫でその美しさを際立たせる華道や、掛け軸や季節の花などをしつらえた茶室において客をもてなす茶道は、我々日本人が古くから受け継いできた伝統文化であります。
 ともすれば、華やかさや目新しさばかりが人々の関心を引きがちな現代社会においての、作法として体系づけられた礼法をなすものであり、わびさびといわれる日本人ならではの美意識である大和心を体現する世界に誇るべき日本文化の魅力や価値の一つであります。
 東京都はこれまで、華道や茶道の継承や普及に向けてどのような取り組みを行ってきたのか、ご説明を願います。

○樋渡文化振興部長 華道や茶道は、日本人が古くから大切にしてきましたもてなしの心や様式美を表現する日本の代表的な伝統文化であり、このような伝統文化は次世代へ継承するとともに、世界の人々にその魅力を伝えることが重要であると認識しております。
 こうした魅力を国内外のより多くの方に知っていただくため、都は、平成二十年度から毎年、華道、茶道団体と協力して、誰もが気軽に茶道を楽しむことができる東京大茶会を開催しているところでございます。
 大茶会では、本格的な茶席とともに、外国人も楽しめる英語通訳つきの茶席などを実施しており、これまでに延べ十九万人以上の方に来場いただいております。
 また、大茶会の会場では華道の体験事業も実施しておりまして、参加者がみずからの感性を生かしながら花を生け、作品を持ち帰ることもできるため、外国人観光客からの人気も非常に高くなっております。

○古賀委員 先ほども文化プログラムのお話、質問があったんですけれども、私は今、華道と茶道に絞ってお話をさせていただきます。
 華道や茶道を次代に受け継ぐべき伝統文化と捉えて体験事業を実施するなど、ふだん華道、茶道になじみのない方や外国人観光客が気軽に親しめる機会を提供していることは、適切な取り組みとして評価できると思います。
 こうした華道や茶道のすばらしさを、これまでにも増して世界の人々に広く伝え体験をしてもらうためには、開幕まで三年、千日を切った、平成三十二年五輪東京競技大会が絶好の機会であります。
 平成三十二年大会において、華道や茶道の魅力をより多くの人々に伝えるため、どのような取り組みを考えているのか、お考えをお聞かせください。

○樋渡文化振興部長 二〇二〇年大会の期間中には、海外から数万人規模の選手団や関係者が来日することが見込まれます。また、過去の大会では、競技大会の開始前から多くの報道関係者が現地取材に入っており、二〇二〇年大会でも外国人の目線を通した伝統文化の発信が重要でございます。
 そのため、来日した選手団や報道関係者などが華道や茶道といった伝統文化に記憶に残る形で触れることができるよう、今後、組織委員会や華道、茶道団体と、その実現に向けて連携調整を進めてまいります。
 さらに、日本を訪れる多くの観光客に向けても、華道や茶道など伝統文化が体験できる機会の提供について検討してまいります。

○古賀委員 ことしのノーベル文学賞に選ばれた日本生まれの英国人作家カズオ・イシグロ氏は、このように述べています。彼は、日本語はもう全く忘れてしまって、話すこともできないそうでありますけれども、自分は日本人の両親に育てられ、世界観や芸術的感性の大方は日本人だと自分のことを思っているというふうに答えているわけです。文化の根幹をなす自然や風土の中で育まれてきた感性というものがノーベル賞の受賞につながり、なおかつ世界の人たちに評価、感動を与えるものになったということであります。
 つまり、自然との一体感、和の精神をもとに、芸術、武芸、さまざまな職業の完成度を高める、追求する道の文化は、対立、紛争の混迷にある現代の社会の問題解決の一つの役割を、ヒントを与えるものではないかというふうに思います。
 昨今は、すぐに経済的効果とか銭勘定、損得勘定で--トランプもそうだと思いますけれども、ホリエモンとか、すぐ経済的効果とか、そういう基準でしか物の価値を判断しない人が結構多いわけでありますので、日本を訪れる外国の人たち、また東京オリンピックを機会に、日本のこういったすぐれた伝統文化というものを一層世界に発信することを心からお願いをして、質問を終わります。

○池川委員 私から、まず、私立学校における非正規職員の教員の中でも、非正規でありながら常勤で働く講師の問題についてお伺いしたいと思います。
 私立学校の教育条件の維持及び向上を考えたときに、私立学校における教員の身分がどうなっているかについて、しっかりと着目する必要があります。
 ユネスコの教員の地位に関する勧告では、教職における雇用の安定と身分保障は、教員の利益にとって不可欠であることはいうまでもなく、教育の利益のためにも不可欠なものであり、たとえ学校制度、または学校内の組織に変更がある場合でも、あくまでも保護されるべきであるとしています。
 教育の継続性、連続性という視点からも、教員の身分保障というのが大変重要であることを示すものです。それは逆にいえば、身分が不安定であるということは教育の利益にかかわる問題だということになります。
 今、私立学校では有期雇用の常勤講師の増加が問題となっています。東京私立学校教職員組合連合の調査結果によると、調査した学校のうち六一・一%に常勤講師制度があり、上昇傾向にあります。また、常勤講師が勤務している学校のうち四年以上勤務している学校は三七%となっています。
 常勤講師であっても、担任や部活顧問、学校の校務分掌などにおいては専任教諭、すなわち期限なしの正規教員と同じ仕事をしているという現状があります。全くの同一労働というところもあれば、中には無期雇用の専任教諭と有期雇用の常勤講師に差をつけるため、労働時間をわずか週当たり十分短縮して差をつけていますが、実態としては変わらない状況で働いている学校があるとも聞いています。
 教育活動と深くかかわり、担任や部活顧問など学校生活と深いかかわりを持っている先生の身分が不安定であることは、教育活動に与える影響ははかり知れません。常勤講師となっている人の中には、そのうち専任教諭にするという口頭約束で採用されるケースもありますが、その後に雇いどめとなっている事例も伺っております。
 そこでまず、私立学校における常勤講師の実態について、都の認識を伺いたいと思います。

○金子私学部長 私立学校は、それぞれの建学の精神に基づき、よりよい教育活動を各学校の責任において目指しております。
 各学校がその教育活動を実現するための雇用のあり方について、それぞれが判断すべきものであると認識しております。
 教員数など学校教育行政に必要な基本事項は調査しておりますが、雇用形態までは調査しておりません。

○池川委員 学校基本統計を見ると、私立学校の教員数、本務者、すなわちその学校の専任の教員の内訳に、校長、副校長、教諭などとともに講師という項目があります。昨年度、講師の人数は男性三百四十七人、女性二百四十人で、合計五百八十七人となっています。公立学校には、この講師というところに当てはまる人は一人もいらっしゃいません。
 この講師というものは一体どういうものなのか、ご説明いただきたいと思います。

○金子私学部長 国の学校基本調査では、学校教育法で定める職名別の教員数について調査しております。
 学校教育法では、教諭は児童の教育をつかさどる、講師は教諭または助教諭に準ずる職務に従事すると規定されており、本調査においては、各学校はそれぞれの教員の実情に応じて、教諭、講師の欄に人数を計上しております。
 また、本調査において、有期、無期の雇用形態がわかる調査にはなっておりません。

○池川委員 つまり、今のご説明を聞くと、学校基本統計の上では、講師となっていた場合であっても担任や部活動に携わっている可能性は排除されていないと。
 逆に、学校によっては、教諭の人数に入れて報告している人の中にも無期雇用で専任として働いているということではなく、有期雇用の常勤講師が含まれているという可能性もあるというふうに受けとめてよろしいか、その考え方について確認をさせてください。

○金子私学部長 本調査においては、有期、無期の雇用形態がわかる調査にはなっておりません。

○池川委員 そうなると、やっぱりしっかりと実態がどうなっているか調査をするということがまず第一歩だというふうに思います。学校ごとに採用方法が違うからこそ、この実態がどうなっているかを把握することが、最初にも指摘をさせていただきましたが、教職における雇用の安定と身分保障は、教員の利益にとっても不可欠であることはいうまでもなく、教育の利益のためにも不可欠なものであるからであります。
 改めて、この実態調査を行うことを求めておきます。
 次に、労働契約法の改正が行われ、二〇一八年四月以降に、契約期間が五年を超えた場合、どういうふうな対応になるかについて、この対応の中身を伺っていきたいと思います。
 労働契約法第十八条は、有期労働契約の通算期間が五年を超えている場合などに、期限の定めのない無期雇用転換をしなければならないという内容となっております。
 全国私立学校教職員組合連合会が二〇一五年に行った調査では、回答した学校のうち二六・九%が五年未満に雇いどめする方向で学園が対応しているとしています。既に来年度に向けて幾つかの学校では、非常勤講師については雇いどめが通告されたなどの事例も伺っております。
 一方、有期の常勤講師を無期雇用に転換している学園も、若干ですが、この法律に基づいて増加しているという声も伺っております。すなわち、この制度の周知と徹底、法改正の趣旨が認識されていることが重要だと思います。
 労働契約法は、来年、二〇一八年四月以降に、契約期間が連続して五年を超え、本人から申し出があった場合には無期転換にすることが定められていますが、私立学校における対応がどうなっているのか、伺いたいと思います。

○金子私学部長 私学における雇用につきましては、法令等を遵守して、各学校において適切に対応すべきものと認識しております。

○池川委員 労使関係でいえばそうなんですが、法律が変わり、その趣旨をしっかりと周知徹底するということは東京都にとって極めて重要な役割だと思います。それは法令違反がなければいいということではなく、この法律改正の趣旨である期限の定めのない無期雇用転換を進めることを徹底する無期雇用転換を回避するために、例えば四年で雇いどめをするなどの法律の趣旨に反することがないよう徹底するということが必要だと考えます。
 文部科学省は、改正労働契約法による無期転換ルールの取り組みの促進について、私立学校にも周知するよう各都道府県の所管に依頼をしています。
 私学部としても、無期転換を促進するよう各私立学校に積極的に働きかける必要があると思いますが、その点について見解を伺いたいと思います。

○金子私学部長 都は本年九月、厚生労働省がまとめた労働契約法に定める無期転換ルールのポイントでありますとか、導入手順、それから民間企業における対応事例などの情報につきまして、都内全ての私立学校長宛てに周知しているところでございます。

○池川委員 今、厚労省から来た文書について学校長におろしたという話でしたが、都として、この問題について問題意識を持って徹底していただきたい、このことに取り組んでいただきたいと思います。
 この間、私も実態について伺ってまいりましたが、拡大している無期雇用ルールに至る前に、三年でどんどん入れかえていく学校がふえているといいます。有期雇用の先生たちにとって一番つらいのは、いうまでもなく、次年度の雇用がはっきりしないことです。
 そうした先生に次年度の生徒募集業務をやらせている学校もあり、中学校の募集訪問に行ったり、私学の展示会で広報の担当をさせられたりしていると伺いました。ある学校では、その勧誘していた先生を信頼して入学したのに、その先生は雇いどめとなっており、生徒からなぜですかと疑問の声が上がったという話も伺いました。
 無期転換を避けるために雇いどめをすることは、労働契約法の趣旨に反するということをもっとしっかりはっきり周知すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○金子私学部長 都は、本年九月に厚生労働省がまとめた労働契約法に定める無期転換ルールのポイントや導入手順、それから民間企業における対応事例、こういったものについての情報について、都内全ての私立学校長宛てに周知しているところでございます。

○池川委員 文部科学省は、昨年十二月、無期転換を避けるために雇いどめをすることは労働契約法の趣旨に反するという事務連絡を国立大学に対して出しました。国立大学の雇いどめの動きがあることを受けたもので、文部科学省も雇いどめをすべきではないとの積極的見解を示し動いています。
 何回も申し上げていますが、学校の専任教員に有期雇用の先生がふえていることは、単なる労使関係の問題にとどまらず、子供たちの教育の質にも影響することになります。
 東京都としても、公教育を守る立場から、積極的に動いていただきたいということを改めて強く要望しておきます。
 そもそも私立学校の経常費は、当然のことながら、教員が雇用期間の定めのない正規雇用であることを前提として組み立てられており、それにふさわしい助成額が支給されることとなっています。にもかかわらず、有期雇用の常勤講師を雇って済ませることは、私立学校の教育条件の維持向上を図り、経営の健全性を高め、私立学校の健全な発展に資するという私学振興助成法の趣旨にも反するものと考えます。
 福岡県は、補助の算定に当たり、専任教員数は雇用契約期間が一年以上二年未満の者については、その数に〇・八を乗じた数にするとしています。また、愛知では、本務教員に占める常勤講師の割合を一定以下にすることを目標にし、達成できれば助成金を満額配分する方法をとっています。
 東京都としても、助成金に差をつけるなど、正規雇用教員の割合をふやすための誘導措置を検討していただきたいと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

○金子私学部長 私学における雇用につきましては、法令等を遵守して各学校において適正に対応すべきものであると認識しております。

○池川委員 公教育である私立学校に対する助成金制度の趣旨にそぐわない雇用によって、教育環境の維持向上が疎外されていることは明らかだと思います。
 都として、各学校に有期雇用の専任教員の実態を調査し、無期転換、正規化を推進するための適切な対応をとっていただくことを求めて、次の質問に行きたいと思います。
 次に、私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する実証事業について質問したいと思います。
 文部科学省が、私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関し、年収四百万円未満の世帯の児童生徒について授業料負担の軽減を行いつつ、義務教育において私立学校を選択している理由や家庭の経済状況などについて実態把握のための調査を行うとして、年額十万円を支給する事業が行われております。手続として、申請を出すことで学校が代理受理し、授業料が減額されることとなります。
 きょうお示しいただいた資料の中にも、本年十月二十五日現在、申請者数は小学校が七百七十三名、中学生が三千百六十三名で、合計三千九百三十六名となっています。小学校で率にすると三・〇六%、中学校では四・二五%の世帯から申請があったということがわかりました。小中学校を合わせると、全体として三・九五%の申し込みがあったということになります。
 この事業の中では、私立学校に通う家庭の状況について、文部科学省が実施する調査を行うこととされています。対象者全員が受けることができるようにフォローすることが大切だと考えます。
 初めての事業であり、より丁寧さが求められると考えています。今回の事業は、低所得世帯が対象であり、困難を抱えているケースが多いことは容易に想像ができます。
 対象者全員が受け取ることができるよう、どう周知してきたのか、また今後追加で申請があった場合の対応について伺いたいと思います。

○金子私学部長 今年度からの新たな事業であることから、対象者全員に漏れなく情報が行き渡るよう各学校を通じて周知を図っております。
 また、本年度の申請は既に締め切っておりますけれども、今後追加で申請があった場合につきましては、申請がおくれた事情などを確認し、国とも協議の上、適切に対応してまいります。

○池川委員 ぜひ、今後、仮におくれて申請があった場合には、丁寧に対応していただきたいと思います。
 今年度初めての事業であり、五年間の実証事業とされています。ことしの追加申請とともに、来年度の実施に当たってもさまざまな対応、申請漏れがないよう強く求めておきます。
 また、この意識調査では、世帯の所得状況とともに、義務教育段階で私立学校を選択した理由について当てはまるものを調査する内容も含まれております。
 これらの調査結果についても、今後の私学行政、ひいては保護者負担の軽減に資する方向で活用していただくことを求めて、次の質問に移りたいと思います。
 次に、消費者行政について伺います。
 消費者被害は、いつ、誰にでも起こる問題であり、しっかりとした知識を持つとともに、消費者教育を通じて育てていかなければなりません。今回の質問では、特に若者の消費者被害の実態を中心に質問させていただきたいと思います。
 私がこの間、直接お伺いをしてきた被害例では、例えば高校生がダイエット健康食品をインターネットで購入したところ、最初に示されている価格九百八十円だけかと思って購入したら、実は定期購入とセットで多額の出費が必要となったというケースがありました。中途の解約はできず、結局、四カ月間の定期購入で約一万九千円支払うことになったといいます。
 また、これもインターネットで家具を買おうとした方が、購入しようとしたサイトは、いわゆるにせサイトで、銀行にお金を振り込みましたが、結局、お金は返ってこず、その後、口座が閉鎖をされ、表示されている連絡先とは連絡が途絶えてしまったという話も伺いました。
 若い世代の特徴として、LINEやツイッターなどSNSからのやりとりからのトラブル、ショートメッセージサービス、SMSを通じての架空請求などが広がっています。その多くが、まさか自分がという思いで実際には消費者被害に遭っているケースが後を絶ちません。
 そこでまず、若者から消費者被害についてどのような相談があるか、その内容と特徴について伺いたいと思います。

○三木消費生活部長 平成二十八年度に都内の消費生活センターで受け付けた二十九歳以下の若者の相談件数は一万三千八百八十九件で、全相談件数の一一・五%を占めております。
 若者の被害の特徴としては、SNSなどを利用して、社会経験の少ない若者や東京に来たばかりの若者らに近づき、高額な商品の購入や契約を持ちかける手口が多く発生しております。
 例えば、まち中で無料のチケットをもらい店舗に出向いたところ、高額なエステ契約をしてしまったというキャッチセールスや、SNSで知り合った人に誘われたビジネスセミナーで高額な教材の購入契約を締結させられた上、他の友人を誘うよう迫られるマルチ商法等の相談が多く寄せられているところでございます。

○池川委員 ことし三月に東京都が取りまとめた若者の消費者被害に関する調査報告書では、架空請求、マルチ商法、キャッチセールス、アポイントメントセールスの四つの悪質商法のいずれかの被害に遭った経験では、被害に遭ったのは三・八%、被害には至らなかったが請求された、もしくは勧誘されたことがあるというのは全体の四〇・六%となっており、合計すると約半数弱となっています。
 先ほど答弁があった中でも、具体的な相談内容としてキャッチセールスやマルチ商法が報告をされているということでした。前回の調査と比較をして、全ての商法を知らないと答えた若者の割合は五・四%から九・三%へと増加していることも一つの特徴として挙げられます。
 架空請求被害者のうち、被害に遭った後、何もしなかったと回答した人は全体の三分の一、何もしなかった理由として、どうしたらよいかわからなかったと回答したのは、何もしなかった人のうち実に八三%にも上ります。他のマルチ商法、キャッチセールスでも、同じように何もしなかった割合が高くなっていますが、アポイントメントセールスだけは、何かしら相談や行動に踏み出しているという特徴も読み取ることができます。
 具体的に、被害防止対策に取り組むことが必要だと思います。若者の消費者被害防止については、現在どのように取り組みが行われているのか、伺いたいと思います。

○三木消費生活部長 東京都消費生活総合センターでは、日常的に消費生活相談を受け付けるだけでなく、消費者被害の防止に向けた啓発や注意喚起にも取り組んでおります。悪質、巧妙化する若者の消費者被害を未然に防止するため、成人式や進学、就職の準備など、若者の生活に変化が見られる一月から三月に、関東甲信越ブロック及び国民生活センターと共同で、悪質商法被害防止キャンペーンを実施しております。
 具体的には、期間中、大学や若者が多く集まる施設などでのポスターの掲示やリーフレットの配布、交通広告の実施や、若手芸人や学生が悪質商法をテーマに作成したコントをインターネットで公開する取り組みなどを行っております。このほか、若者の消費者トラブルを対象とした特別相談を都内自治体と共同で実施しております。
 さらに、新年度を迎える四月には、大学の新入生向けガイダンスの機会を活用し、SNSをきっかけとした大学生に被害の多い悪質商法の手口などについて、出前講座を実施しておるところでございます。

○池川委員 努力していただいている内容についてはわかりました。
 しかし、先ほども触れたように、実際、被害に遭いそうになったという割合については上昇しています。そして、消費生活センターへの相談意向の調査では、相談する、多分相談すると答えた割合は五三・八%で、四年前の前回調査が六一・六%だったのに対しても七・八%減少しています。
 消費生活センターに相談しない理由として、自分で解決できると思うからが半数以上となっており、多くはインターネットからの情報を初め、みずからが得た知識で対応できると考えていることがこの調査からは読み取れます。
 しかし、インターネット上には、消費生活センターなどが出している極めて精度の高い信頼できる情報から、そうではない誤った情報まで多岐にわたる情報があふれ返っているのが現状です。メディアなどに取り上げられたものであれば、その被害実態について知る機会がありますが、そうでない場合の方が実際は多いわけです。
 インターネットで検索したときに、検索結果の上位に、精度が高く信頼できる消費生活センターの情報が来るように、この点についてはぜひ工夫もしていただきたいと思います。
 また、この情報を選択するためにも、基礎的な消費者教育が私は必要だと思います。
 学校に対する消費者教育の取り組みについて、どのように行っているのか、伺いたいと思います。

○三木消費生活部長 みずから考え行動する自立した消費者の育成には、子供のころからのきめ細やかな消費者教育が必要でございます。
 そのため、消費生活総合センターでは消費者教育に取り組む学校現場を支援するため、消費者教育に関係する教材作成のほか、消費者教育を担う人材の育成などにも取り組んでおります。
 具体的には、ウエブ上での疑似体験を通じ、トラブルへの対処法などを学べる消費者教育教材を小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の各年代に応じて作成するとともに、教員がこの教材を使ってすぐに授業を行えるよう、指導のポイントをまとめた資料やワークシートも作成をしているところでございます。
 また、夏休み期間中に学校教員を対象として、最近の消費者問題の事例や授業を行う上で役立つ内容を取り入れた消費者問題教員講座を実施し、平成二十八年度は延べ千二百五十七人が参加をしているところでございます。
 さらに、教員向け情報提供誌わたしは消費者を年四回発行し、都内の各学校へ配布するとともに、ホームページにも掲載し、消費生活に関する最新の情報や消費者教育実践例などを提供しているところでございます。

○池川委員 私も幾つか教材について見させていただきました。例えば、特別支援学校高等部の学生向け、ウエブ版消費者教育読本では、博士と一緒に消費者の時間へゴーと題して、便利な携帯電話の落とし穴、アポイントメントセールスアンドマルチ商法、知ってる電子マネーという電子教材が作成をされております。発達段階に合わせた教材や、障害の特性に合わせた取り組みが重要になると思います。
 先ほど紹介した若者の消費者被害に関する調査報告書でも、前回から四つの悪質商法の認知について、学校で習ったと回答した割合が最も上昇しています。
 学校現場においても、教材の充実についてはぜひ行っていただき、消費者教育が充実するよう求めておきたいと思います。
 この問題の最後に、リボルビング払い、いわゆるリボ払いについて伺いたいと思います。
 国民生活センターへのリボ払いに関するトラブル相談は、二〇〇六年が百九十六件だったのに対して、二〇一六年度は八百四十三件へと急増しています。
 クレジットカード決済は、翌月の一括払いが一般的であるのに対して、リボ払いは一定額を毎月支払う内容となっており、そのたびに手数料が発生する方式になっています。本人は通常のクレジットカード払いだと思い込んでいたのに、実際にはリボ払いとなっていたために、手数料だけで数万円から十数万円を支払うケースの相談が寄せられているといいます。
 キャンペーンやポイントがお得などの文句によって契約したクレジットカードが、リボ払い専用だったというケースや、一回限りのリボ払いだと思っていたら、その後の契約は全てリボ払いになっていたとする知らぬ間リボなどの相談件数もふえていると報告があります。
 この背景には、サラ金被害者が社会問題となり、貸金業法改正で収入の三分の一を超える借金ができなくなった総量規制の導入が挙げられます。この規制を受けない銀行カードローンが現在、第二のサラ金化していることは、国会質問でも何度も取り上げられ、政府も世論に押されて対策をとり始めています。
 リボ払いも、この貸金業法の規制対象とはなっていません。インターネット上では、リボ払いの返済に困った人が銀行カードローンでお金を借りて、一気に返済すれば金利が低くなるという情報まで飛び交っています。これらは多重債務の温床となる原因となりかねません。
 こうした中で、経済産業省も、日本クレジット協会に対してわかりやすい情報提供について要望しました。
 東京都において、リボ払いに関する相談の状況、また、その対応策がどうなっているか、伺いたいと思います。

○三木消費生活部長 クレジットカードの支払い方法がリボ払いになっていたことに気づかず、手数料を支払うことになってしまったなど、支払い方法等の確認不足によるトラブルの相談が都内の消費生活センターに寄せられております。
 リボルビング払いは、仕組みを正しく理解した上で利用しないと、思わぬトラブルにつながるおそれがあります。
 そのため、都では、リボルビング払いのトラブルについて、ホームページ東京くらしWEB及びSNSにより注意喚起を行ったところです。
 このほか、クレジットカードの基礎知識や支払い方法に関する注意点を学べる若者向けの消費者教育教材も作成しているところでございます。

○池川委員 リボ払いにおけるトラブルについては、今後もさらなる拡大が懸念をされます。
 消費生活センターとしても情報発信を行うとともに、契約前にしっかりとリボ払いかどうかの確認を行う必要性などをぜひ広く周知していただきたいと思います。
 また、消費者被害を防止し、消費者の権利を守るためには、情報提供や注意喚起だけでなく、例えばリボ払い専用カードを規制するなど、業界への規制強化も必要だと考えます。
 消費者センターに集まってくるさまざまな相談、情報を生かして、そうした問題提起もぜひ消費者団体の方々とも協力して行っていただきたいということは求めておきます。
 消費者被害は、対策を打つとまた新しいやり方が発生するということになります。東京都消費生活総合センターや多摩消費生活センターの機能をさらに強化することは、その点でも極めて重要だと思います。常に新しい相談に対応できるよう、質の高い相談、救済ができるようにしていただきたいと思います。
 東京都として、区市町村とも連携し、消費生活相談員の増員、待遇改善、研修の強化を初め、広域自治体としての役割を発揮することを強く求めて、質問を終わります。

○白戸委員 私は、公衆浴場に関して質問をさせていただきます。
 都内の公衆浴場に関しましては、平成十八年、九百六十三件ありました。ところが、二十九年では六百件を下回るという減少の一途をたどっているのが現状でございます。ちなみに、この十年間の間に新規の開業は一件のみとなっております。
 延べ利用者数も、平成十八年には三千九百二十七万人ということだったんですが、二十七年に至っては二千四百八万人と、こちらも減少の一途をたどっているのが現状です。
 現在、東京都が公衆浴場に出している補助は、健康増進型公衆浴場改築支援事業、公衆浴場耐震化促進支援事業など、合計八種類あります。
 平成二十八年度の決算におきまして、この公衆浴場関係の補助に関しまして予算額が七億二千九百六十三万円ある中で、消化額は四億八千八百六十五万七千円、執行率でいいますと六七%となっているのが現状でございます。ちなみに、平成二十七年度は五七%という執行率でした。
 このように、公衆浴場に対して非常に多岐にわたる補助金を支出しているという現状ではございますが、現在の執行率を考慮し、公衆浴場経営の安定化や活性化という目的に対しましてどのような効果があったのかというのを、どういうふうに考えられているかというのを伺います。

○三木消費生活部長 都はこれまで、公衆浴場の施設整備や利用促進について支援を行ってまいりました。
 まず、ハード面では、都民の健康増進、都民相互の交流促進を図るための改築や、省エネルギーのためのクリーンエネルギー化推進などに対して補助をしております。
 これらの補助件数は、平成二十四年度から平成二十八年度までの五年間において、延べ数で約六百五十件に上り、公衆浴場の経営の安定化に寄与しております。
 また、ソフト面では、東京都公衆浴場業生活衛生同業組合に対し、利用者拡大の事業や、みずから銭湯の魅力を発信する銭湯サポーター同士の交流会、ホームページの運営費用などに対して補助をしております。
 こうした活動により、銭湯サポーターの登録数が今年度三千人を超えたり、浴場組合のホームページ閲覧数も順調に伸びるなど、公衆浴場への関心の高まりに寄与しております。
 以上のことから、都の補助事業が公衆浴場の経営安定化や活性化に一定の効果を上げているものと認識しております。

○白戸委員 ありがとうございます。今お聞きしたように、補助事業に関して一定の効果があったということはよくわかりました。ただ、この執行率の低さを見ますと、実際に事業の将来への不安から投資をためらっているというような経営者が多いというのも考えられます。
 また、経営の安定性に寄与するということは今のでよくわかったんですが、活性化の側面からの効果測定がややわかりにくいのかなというところで、この点に関しては今後の検討が必要なのかなというふうに思います。
 ともあれ、公衆浴場の文化的な側面、歴史など、もちろん我々もそうなんですが、皆が認めるところでもあり、その価値を高めていく必要もあると思われます。ただこのまま補助事業を続けていくだけでは、この状況が改善されないのではないかという懸念もあります。
 こういった厳しい状況の中で、都は、新たな視点で、今後、公衆浴場に対する活性化に取り組んでいくべきだと考えますが、その所見を伺います。

○三木消費生活部長 これまでの取り組みで一定の効果が上がってまいりましたが、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会を控え、日本の入浴文化や銭湯の魅力を広める絶好の機会でもあると考えております。
 都は、こうした現状や課題を踏まえ、公衆浴場の活性化を目的として、本年九月、有識者、浴場経営者、浴場利用者を委員とする東京都公衆浴場活性化検討会を設置いたしました。
 この検討会において、公衆浴場に関する多面的、かつ多くの提案をいただきたいと考えているところでございます。

○白戸委員 ありがとうございます。公衆浴場を活性化させるために、外部有識者などによる新たな検討会を立ち上げたこと、これはよくわかりました。
 検討においては、ただ残すということではなく、新たな価値を見出すということが必要かなというふうにも思います。だからこその活性化検討会だというふうに思います。
 そこで、東京都公衆浴場活性化検討会の立ち上げを図ることで前向きな解決を模索するということなんですが、具体的にどのような検討がなされているのか、お願いします。

○三木消費生活部長 東京都公衆浴場活性化検討会では、現在、人づくり、店づくり、場づくり、看板商品づくり、情報づくりという五つの視点により活性化策の検討が進められております。
 検討会の中では、銭湯をエステと同じ感覚で利用するよさを広めるといった若い女性をターゲットとすべきとするような意見や、一見さんでも入りたくなるような入り口付近について工夫をすべきなどの意見が出されております。
 こうした意見を集約し、来年二月を目途に、検討会としての活性化策をまとめる予定となっております。
 都は、提案いただいた活性化策をもとに、具体的な方策を検討し、利用者の拡大などによる都内の公衆浴場全体の活性化を目指してまいります。

○白戸委員 みんなの愛する公衆浴場が今後発展的な形で残っていけるような検討をよろしくお願いします。
 以上で質問を終わります。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時四十四分休憩

   午後四時二分開議

○里吉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これよりオリンピック・パラリンピック準備局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、局長から紹介があります。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長
十月十六日付の人事異動により、変更のありました当局の幹部職員をご紹介申し上げます。
 次長の小山哲司でございます。小山は大会準備調整担当理事、スポーツ推進担当理事を兼ねてございます。
 以上でございます。
 なお、事業調整担当部長の高野克己は、公務のため、本日の委員会を欠席させていただいております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○里吉委員長 紹介は終わりました。

○里吉委員長 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○中村総務部長 去る九月十五日の当委員会におきまして要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます文教委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりください。資料1、区市町村別スポーツ推進委員委嘱数及び都内障がい者スポーツ指導員登録者数でございます。
 上段の表に平成二十四年度から平成二十八年度までの区市町村別のスポーツ推進委員の委嘱数、下段の表に同じく平成二十四年度から平成二十八年度までの都内の障害者スポーツ指導員の登録者数を記載しております。
 一枚おめくりください。資料2、平成二十九年度都立学校活用促進モデル事業スポーツ体験教室の実施状況(九月三十日現在)でございます。
 都内の特別支援学校で開催した障害者スポーツの体験教室実施状況及び今後の予定を記載してございます。
 一枚おめくりください。資料3、平成二十九年度都立学校活用促進モデル事業登録団体数及び貸出状況でございます。
 本モデル事業に登録している団体数及び学校施設ごとの貸出状況を記載してございます。
 以上、簡単でございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○成清委員 二〇二〇大会経費のコントロールについて質問をさせていただきます。
 まず、現状ですが、二〇二〇大会で国が負担する費用については、会計検査院が無駄な支出がないか、省庁を横断的に調べるとのことでございます。現在の経費分担では、国が千五百億円の負担、東京都が六千億円の負担となっております。都の負担において行われる事業についても、会計検査院の調査のように独立した立場からの検証、監査が必要であると考えております。
 この点、都や国の負担で実施する事業を適切に遂行、管理する目的で、平成二十九年九月七日に第一回共同実施事業管理委員会が開催されております。これは、大会費用に国民の注目が集まっていることが背景といえます。その過程で問題点が見つかれば公表し、その後の予算編成などでの改善につなげていただきたいと思っております。
 大会が終了してから検査を行うのではなく、準備の進行途上で都度行うことで、監査、監督は最大限の効果を発揮するものと思われます。
 また、組織委員会予算は六千億円で収支均衡となっており、残り六千億円を超えた分については、政府及び自治体が負担をしなければなりません。
 つまり組織委員会の支出を適切な水準で節約することは、政府及び自治体の経費負担軽減につながります。
 そこで、都の負担金も含めて、組織委員会の支出全般について監督していく必要があると考えますが、都の見解及び取り組みを伺います。

○雲田調整担当部長 昨年、東京都、IOC、組織委員会、国の四者協議におきまして、大会経費のバージョンワン予算の作成、公表に向け、経費精査を行いました。
 この協議の枠組みにおきまして、今後、おおむね一年ごとに更新されますバージョンツー、バージョンスリー、バージョンフォーの各予算の作成に向けましても、引き続き経費を精査してまいりますとともに、その結果を大会経費や大会の準備状況として定期的に公表し、透明性を確保してまいります。
 また、先ほど委員お話のございました共同実施事業管理委員会におきましても、コスト縮減、執行統制の強化を図りまして、大会経費全体の圧縮、透明化につなげてまいります。
 組織委員会におきましても、監査法人や海外コンサルタントなど、専門的な識見や知見を有します第三者の意見を伺いながらコスト縮減に取り組んでいるところでございます。
 さらに、毎年度の決算報告に加えまして、東京都監査委員による財政援助団体等監査が先月実施されたところでございます。
 今後とも、大会経費の縮減と都負担の抑制に向けまして、組織委員会と共同して執行統制の強化に取り組んでまいります。

○成清委員 ただいまのご答弁を踏まえまして、続きまして組織委員会の事業執行についてお伺いいたします。
 組織委員会のボードメンバーには、監事として財務局長が入っておりまして、五輪組織委員会の事業報告及び財務諸表は監事監査が義務づけられており、監査が行われております。
 今後、大会の成功に向けて、組織委員会の業務執行の透明性をさらに高めていく必要があると思いますが、適正な事業執行を確保するために、組織委員会ではどのような取り組みが行われているのか、また、都は、組織委員会の業務運営をどのように把握しているのか、ご教示ください。

○戸谷連絡調整担当部長 組織委員会におきましては、法令に基づきまして、監事が理事の職務の執行や計算書類及び事業報告書を監査することによりまして、法人の運営に適正を期しております。
 加えまして、事務総長直属の監査室による内部監査を実施しておりまして、制度、組織、業務活動等の有効性及び効率性、コンプライアンスへの適合性を検証いたしまして、改善のための提言や是正のための勧告を行っているところでございます。
 また、東京都では毎年度、組織委員会から事業報告書、決算書、また事業計画書、予算書の提出を受けまして団体運営の状況を把握しており、今年度は、これに加えまして都による財政援助団体等の監査を実施しているところでございます。
 組織委員会の業務執行の決定権を有する理事会におきましては、副知事が副会長、オリンピック・パラリンピック準備局長が理事、財務局長が監事を務めるなど、業務運営を把握するとともに適切な関与を行ってきたところでございます。
 今後とも、大会準備を進めるに当たっては、引き続き組織委員会と密接な連携を図りまして、組織委員会の適正な事業執行を確保してまいります。

○成清委員 ロンドン五輪におきましても、大会経費は立候補ファイル時点の八千億円に対して、実際の経費は二・一兆円となっておりまして、大幅な増額となっております。立候補ファイルでは計上されないソフト面の費用などがありますため、増額はやむを得ないものでございます。
 ただし、費用の増額を受けまして、ロンドンでは開催決定の翌年から英国会計検査院が政府とは異なる立場で監査を実施し、準備の進捗から大会後の評価まで八回にわたり報告書を作成しております。
 英国会計検査院では、年度決算の監査とは別に、公的資金を受けた団体が実施するさまざまな事業に対して、経済性、効率性、有効性の観点から金銭に見合う価値が実現できているかを検査、改善、勧告を行っております。
 決算が適正であるか、粉飾がないかという監査は監事監査の方でやっていただいていると思いますが、それだけではなく、ロンドン五輪のように、支出が妥当であるか、無駄遣いがないか、入札手続に不備がないかという観点からの第三者の監査も有用であると考えます。
 また、内部監査を実施していただいているのであれば、都民の目から見て、組織委員会への理解が深まるような監査結果、情報については積極的に公開するなどの工夫も必要ではないでしょうか。
 都の積極的な組織委員会への働きかけを求め、情報公開に関する質問に移らせていただきます。
 まず、情報公開をする上では、情報を出す側の視点だけではなく、情報を受け取る都民の側に立ち、その開示方法で本当にわかりやすいのか、情報にアクセスしやすいのか、情報量は必要十分であるかといった視点も必要であると思います。
 五輪組織委員会のホームページを見ますと、入札結果を組織委員会のホームページにて公表しておりますが、東京都と異なり情報がやや少ないという印象を受けます。
 落札者や落札金額というものは出ておりますものの、ほかにどんな入札者がいたのか、また、総合評価方式の場合、点数が幾らだったのか、ホームページだけでは全く見えてきません。
 また、事業報告や財務諸表も公表されてはおりますものの、例えば平成二十八年度の財務諸表を見ますと、事業費全体の約百八十億円のうち、支払い手数料が約百二十三億円、委託費が約二十三億円となり、その二つで大半を占めているわけですが、財務諸表を見るだけでは、その支払い手数料や委託費といった内容は明らかではありません。
 どんなことに幾ら使っているのかというのが都民にはイメージが湧きにくい状況であると思われます。
 国民の関心の高い一大イベントであることから、公益財団法人としての法令で求められる必要最低限の開示だけではなく、プラスアルファで都民へのわかりやすい情報公開を心がける必要があると思います。
 そこで、過去より指摘されていることではございますが、都民への説明責任を果たすべく積極的な情報公開をするよう組織委員会へ働きかける必要があると感じます。
 都の見解と現状の取り組み状況をお伺いしまして、質問を終了いたします。

○戸谷連絡調整担当部長 都と組織委員会が一体となりまして、二〇二〇年大会の準備を万全に行い大会を成功に導くためには、都と同様に、組織委員会においても都民、国民に大会準備の状況を丁寧に説明し、理解を得ていくことが不可欠であると考えております。
 現在、組織委員会では、二〇二〇年大会への国民の理解を深めまして、開催機運を一層高めていくために、事業計画や予算などの情報をホームページで公開しているほか、SNSでの情報発信ですとか、きめ細やかに記者への説明、こういったものを行うことなどによりまして、大会運営に関する情報公開を行っているところでございます。
 都といたしましては、二〇二〇年大会に向けまして、開催準備を加速していく中で、組織委員会との連携を一層強化しまして、都民、国民や都議会を初めとするさまざまな関係者の方々に速やかに情報を提供するなど、ともに情報公開を進めてまいります。

○高倉委員 二〇二〇年の東京大会を円滑に進めていくためには、さまざまな取り組みが必要であるというふうに思います。
 そのうち、輸送の問題ということについて、大変重要ではないかと私は思っております。オリンピックと、それからパラリンピックの大会が行われるわけでありまして、パラリンピックについては、この輸送ということについては、より行き届いた配慮が必要ではないかというふうに思います。
 特に大会の関係者や、あるいは観客の方々も、パラリンピックにおいては車椅子を使うような方々がいらっしゃるわけでありまして、このことについて、車両の輸送についてお聞きをしていきたいと思いますが、まず、この指針としまして、アクセシビリティ・ガイドラインが策定をされているわけであります。
 このガイドラインの中で、移動に制約のある方々の輸送ということについて、どういう目的、考え方で対応していくというふうに記載をされているのかについて、お答えをいただきたいと思います。

○萱場パラリンピック部長 Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインでは、その策定の目的として、大会準備にかかわる全ての関係団体が、障害のある方などの移動やサービスにかかわるニーズを考慮し、アクセシブルな環境整備を行うことを掲げております。
 また、全ての人々が個人の身体的、機能的な状態にかかわりなく、同じ水準のサービスを受けられることを目指し、輸送を含めた大会運営にかかわる諸計画を策定していくとしております。
 都は、このガイドラインを踏まえ、組織委員会を初めとした関係団体と連携しながら、障害の有無にかかわらず、誰もが参加しやすい大会を目指してまいります。

○高倉委員 今のご答弁の中に、全ての人々が個人の身体的、機能的な状態にかかわりなく、同じ水準のサービスを受けられることを目指すと、こういったことがあったわけであります。
 非常にこれは重要でありまして、どういう状況にあっても、同じ水準のサービスを受けられる。これは車両の輸送においても同様のことであるというふうに思っております。
 したがって、特に車椅子を利用する方々が使う車両については、非常にしっかりとした準備と取り組みが必要ではないかというふうに思っております。
 先ほど申し上げたアクセシビリティ・ガイドラインでは、車椅子の使用者に配慮した車両ということについて、どういう規定があるのかについて答弁を求めたいと思います。

○萱場パラリンピック部長 ガイドラインでは、乗用車及びタクシーについて、車椅子使用者が車椅子に乗車したまま移動できるよう、側面、または後部からアクセスできることや、背の高い人が自分の車椅子に座ったまま乗り込んでも、安全かつ快適に移動できるよう、頭上に十分な空間があることなどが定められております。
 一方、バスについては、まず長距離バスについてでございますが、車椅子からおりることなく車内に乗り込めるような乗降設備が必要であることや、車内に二台分以上の車椅子スペースを確保することが望ましいとの規定が定められております。
 また、乗合バスについてでございますが、乗降口の高さが二十七センチメートル以下であることや、片面、または両面に車高調整装置があり、道路の縁石と同じ高さまで車高を下げられることなどが定められております。

○高倉委員 ただいま、タクシーや、あるいはバスについての車両の規定についてのご答弁をいただいたわけであります。
 直近のリオデジャネイロでの大会、これは過去最大規模で開催をされた大会であります。このリオ大会での対応といったことも東京大会の対応を考える上では大変に参考になるのではないかというふうに思います。
 リオ大会においては、選手などの大会関係者の輸送につきまして、東京都や組織委員会に対しまして概要が説明される機会があったというふうにも聞いております。
 リオのパラリンピック大会において、車椅子利用者を輸送するための車両の確保状況はどうであったのかについてお伺いをしたいと思います。

○片寄輸送担当部長 リオ・パラリンピック大会におきまして、選手などの大会関係者のうち、車椅子利用者などの輸送に当たりましては、リフトやスロープ、車椅子スペース等のある約三百台のバスと約百五十台の乗用車を確保し運用したことを、リオの組織委員会から、大会期間中に開催されましたオブザーバープログラムの中で情報提供がございました。
 なお、バスにつきましては、低床型でない乗り合いタイプのバスも一部運用されておりましたが、乗降場にスロープを設置し、円滑な乗降を確保していたことを現地で職員が確認しております。

○高倉委員 今、リオ大会での対応について答弁をいただいたわけであります。
 バスについて、実際バスそのものはそういう機能を有していない場合に、バス乗り場の方にスロープをつくったと。そして対応したというようなお話でありました。これは聞いているところによると、いわば臨時的な対応であって、大会が終わった後はこのスロープは撤去される、あるいはされたというふうに聞いているわけであります。
 したがって、東京大会においては、そういった臨時的なというようなことも想定はされるかもしれませんけれども、大会を実施して、その後、いろんな意味で、いろんなものがレガシーになっていくということを考えたときには、そういう臨時的なことというよりは、車両そのものをしっかりと、先ほどご答弁もいただいた基準に沿って対応していくということが大事であるというふうに思います。
 万全を期すべきであるというふうに思いますけれども、東京大会での車両の確保について、どういうふうに対応しているかについてご答弁をいただきたいと思います。

○片寄輸送担当部長 二〇二〇年大会、とりわけパラリンピックを成功に導くためには、車椅子利用者などを円滑、安全に輸送するため、バリアフリーに対応した車両を適切に確保することが重要であると考えております。
 このため、都では庁内各局が連携し、リフトつき観光バスやユニバーサルデザインタクシーなどの導入に関して補助制度を設け、普及に努めているところでございます。
 こうした取り組みにより、都としては大会後のレガシーも見据え、質と量の両側面から、必要な車両の確実な確保に向け、組織委員会やバス事業者などと連携し、環境整備を進めてまいります。

○高倉委員 今答弁で、各局と連携をし、そしてリフトつきの観光バスやユニバーサルタクシーの導入を進めていくと。それに対して、補助制度もあるということだというふうに思います。
 今の答弁を聞いておりますと、着実に推進をされるんだろうなというふうにも思いますけれども、現状は、やはりタクシーの方の、ユニバーサルタクシーの導入、これは補助制度を活用して必要な台数を確保していくということは、恐らく可能なんだろうというふうに思いますが、一方で、バスについては、例えばそのバスを改造していくについても、タクシーとは比較にならないぐらい一台当たりの費用が必要なわけでありまして、今用意をされている補助制度、この予算の額だけを見ても、恐らくそのままでは十分な対応が果たして可能なのかどうか、こういうような現状が、私はあるんではないかなというふうに思います。
 したがって、今後さらに関係局とも十分に連携をして、先ほどもリオ大会での対応状況も参考になるというお話がありました。東京大会においては、まさにこのパラリンピックにおいて、対応が必要な方々の、きょうは車両ということで質疑をさせていただきましたけれども、十分な対応になるように取り組みをぜひお願いしたいというふうに思います。
 次に、大会経費の縮減についてお伺いしたいと思います。
 東京で二回目のオリンピック・パラリンピックを開催するということについては、多くの国民が、これは賛成をしているというふうに思いますが、一方で、できるだけそこでかかる経費は縮減をすべきであるといったような思いを強く持っていることも事実であるというふうに思います。
 したがって、私はさらに、この開催経費についてはできる限り、ぎりぎりまで努力をして縮減をしていくという取り組みは大変重要であるというふうに思っております。
 これまでも、東京都はIOCや、あるいは組織委員会、また国との協議を進めて経費の縮減に取り組んできたということは私も承知をしているつもりでございます。
 そうした中で、先般、IOCのコーツ委員長が大会開催経費の十億ドル削減を目標にすべきというふうに発言をしたわけであります。十億ドルといいますと、約一千億円ということになるわけでありますが、これまでの縮減努力に加えて、さらにこの額の縮減を図っていくということは、容易ならざる状況であるというふうに私は思っております。
 そこで、この発言をどう受けとめているのかについてご答弁をいただきたいと思います。

○雲田調整担当部長 ただいま委員からお話ございましたように、都はこれまでも、IOC、組織委員会、国によります四者協議におきまして、昨年十二月のバージョンワン予算の公表に当たり、大会経費の縮減を進めるなどの取り組みを行ってまいりました。
 本年五月の大枠の合意におきましては、予備費を除くバージョンワン予算の一兆五千億円から一千億円以上の圧縮を図り、また、組織委員会の収入を一千億円ふやすなどの見直しを行ったところでございます。
 本年十月に行われましたIOCプロジェクトレビューにおきまして、コーツ委員長が冬季大会では五億ドル、夏季大会では十億ドルを節約したいと発言をしておりますが、都もコスト縮減に向けて取り組んできたところでございまして、目指す方向は同じであると考えております。
 一方で、競技種目数の増加など、コスト増に影響する要素もございますことから、大会経費の縮減は、容易な課題ではないと認識をしているところでございます。
 いずれにいたしましても、引き続き大会経費の精査に向けまして、IOCも交えながら関係者間で検討してまいります。

○高倉委員 このコーツ委員長の発言に基づいて、今後、大会開催経費の縮減を検討する際には、どういう形で検討をするんでしょうか。例えば、新しい組織を立ち上げて検討していくんでしょうか。そのことについてお伺いをしたいと思います。

○雲田調整担当部長 これまで、大会経費の精査につきましては、昨年、都、IOC、組織委員会、国の四者協議の場におきまして行い、その後、本年五月の大枠の合意に向けましては、都が主導し、組織委員会、国の三者で進めてまいりました。
 競技種目数の増加など、コスト増に影響する要素もございますが、引き続きIOCとも調整しながら、既に構築されております協議の枠組みでございます都、国、組織委員会の三者が中心となりまして、大会経費の精査に向け検討してまいります。

○高倉委員 コーツ委員長の十億ドルの削減、縮減は、運営経費からというようにも発言をされているようであります。
 この運営経費には、安全・安心の確保につながる、例えばセキュリティー経費等も含まれているわけでありまして、全て一律にそうした経費から削減をするわけにはいかない状況があるというふうに思いますけれども、こうした点についてどう考えているのかについて、答弁を求めたいと思います。

○雲田調整担当部長 大会開催まで千日を切り、大会業務がより具体化されます中、今、委員お話のございましたように、セキュリティーなど必要とされる業務の水準を維持する一方で、運営経費を削減することは相当ハードルが高いと認識しております。
 そのような中、経費の精査に当たりましては、会場に要する経費、運営に要する経費の区別なく必要な経費をしっかりと見きわめ、めり張りのきいた費用対効果を踏まえて行うことが重要と考えております。
 そうした観点から、引き続きIOC、組織委員会、国、関係自治体などと連携し、大会経費の精査に向けまして検討を進めてまいります。

○高倉委員 次に、メダルプロジェクトについてお伺いしたいと思います。
 必要なくなった携帯電話などを回収して、そこから得られる金属を利用して東京大会のメダルをつくろうというプロジェクトが今進行しております。
 私は以前都議会でも、東京はいわゆる都市鉱山であって、携帯電話等を回収して、そこに含まれる希少金属を再利用すべきであるといったことを取り上げてきたことがございます。
 今回のプロジェクトは、多くの人々が東京大会への積極的な参加を可能にする非常にいいアイデアのプロジェクトではないかなというふうに思います。
 そこでまず、現在の回収状況についてお答えをいただきたいと思います。

○戸谷連絡調整担当部長 都市鉱山からつくるみんなのメダルプロジェクトにつきましては、組織委員会を初め、東京都、環境省、それからNTTドコモ、日本環境衛生センター、この五者が連携しまして、本年四月から開始し取り組んでいるプロジェクトでございます。
 プロジェクトでの使用済み携帯電話等小型家電の回収方法につきましては、大きく分けて二通りとなっております。
 一つが、日本環境衛生センターを筆頭にいたしました自治体等による回収でございまして、もう一つが、NTTドコモによるドコモショップでの携帯電話等の回収でございます。
 回収状況につきましては、この自治体等による回収量は、これは六月末日まででございますけれども、約二百五十一トン、プロジェクト参加自治体は、これは九月一日現在なんですが、全国で小型家電リサイクルを実施している自治体の約九割に当たります千百三十六自治体となってございます。
 また一方、全国のドコモショップでの回収量につきましては、六月末日までで約七十四万台という実績でございます。

○高倉委員 今の回収状況の進捗の度合いが、目標ということに対してどの程度になっているのか、若干心配なところもあるわけでありますけれども、いずれにしても、さらなるPR、あるいは工夫を重ねて取り組みを加速していくべきであるというふうに思います。
 このメダルプロジェクトについて、東京都はどういう取り組みをしてきているのか、また今後の取り組みについても、あわせて見解を求めたいと思います。

○戸谷連絡調整担当部長 東京都では、プロジェクトの開始に先立ちまして、本年の二月から新宿区の協力を得まして、都庁舎にメダル協力ボックスを設置いたしまして、携帯電話等の小型家電の回収を行っているところでございます。
 都庁舎での回収数につきましては、昨日、十一月八日までの時点で七万個を超えるという状況でございます。
 回収開始からこれまでの間、東京都におきましては、都庁舎での回収開始セレモニーですとか、三万個突破記念セレモニーなどを実施しているほか、都主催のさまざまなイベントでPRを行うなど、本プロジェクトを通じて、都民の大会への参加意欲を、より一層高めるように取り組んでまいったところでございます。
 今後につきましては、小型家電を処分する機会の多い大掃除ですとか、引っ越しの時期などに照準を合わせまして集中的なPRを行うなど、一層のプロジェクトへの参加を促すことで大会機運の醸成を図るとともに、都民、国民のリサイクル意識を高めまして、大会後の持続可能な社会の実現というレガシーを構築できるように努めてまいります。

○高倉委員 しっかりと取り組んでいただければというふうに思います。
 先日、これは品川区のある商店街の会長さんでありますが、電気屋さんをやっておりまして、都が今進めている白熱球をLEDに交換するというようなことにも協力をしていただいている電気屋さんだそうでありますが、廃棄物処理についての知識もあって、いわゆる電子機器のデータ消去についても十分な知識を持っている方が、何とか自分もこういうプロジェクトにかかわってみたいんだというお話がありました。
 まだ取り組みをしている、主体的にやっているところは限られているような気がしますけれども、できれば、より裾野を広げられるような形をさらに工夫していっていただければというふうに思っております。
 それから、このメダルに関連をしたお話でありますけれども、これは質問ということではなくて、私の要望も含めてお話をさせていただきたいと思います。
 このメダルプロジェクトは、いろんな方々が参加をして、そしてあのメダルには私が出した携帯電話が入っているというようなことで、参加の実感が非常に伴う大変すばらしいアイデアだと思っております。
 せんだって、メダルとはまた別なんですけれども、メダルを提げるリボン、こういう首に提げるリボンですね、このリボンを、例えば障害のある方々等々が力を合わせて、これをつくっていきたいというアイデアを持った方からいろいろお話をお聞きしたわけであります。
 それは単につくるというんではなくて、蚕、絹を吐く蚕を桑の葉っぱで育てて、そしてそれを繭にして、そこから糸をとって、それでもってこのリボンをつくっていくと。たくさんの人々が参加をする形で、メダルについているリボン、これについてもいろんなたくさんの方々が参加をしていると。こういうようなことを考えておりますというお話を聞いたわけであります。
 絹の糸については、世界遺産にもなりました群馬の富岡製糸場というのは大変有名でありますが、ここで使った技術はフランスの技術なんだそうであります。
 次回のオリンピック・パラリンピック大会がパリであるというようなことも、私も考えてしまったりしたわけでありますけれども、いろんな意味でアイデアが膨らんでくるようなお話ではないかなと思っております。
 皇居においても、皇后様が毎年、皇居の中で育てた桑の葉っぱを、蚕に餌を与えるという行事があるというふうにも聞いておりまして、今ちょっと一つ紹介したわけでありますけれども、別にこれをどうこうということではありませんが、さまざまな方々のアイデアをいろいろと酌み取りながら、一人でも多くの方々が、単に東京でのオリンピック・パラリンピック大会を見るということだけではなくて、何らかの形で参加をしていく、こういう形が進むようによろしくお願いを申し上げたいと思います。
 最後に、被災地の復興ということと、オリンピック・パラリンピック大会についての質問をしたいと思います。
 私ども都議会公明党は、かねてから東日本大震災の、もちろんその後さまざまな、また自然災害もありましたけれども、特に大変な災害でありました東日本大震災の被災地の復興なくしてオリンピック・パラリンピック大会の成功はないと、このように訴えてきたわけであります。
 東日本大震災については、世界中から復興の支援があったわけでありまして、この二〇二〇年の東京大会を通じて、具体的な復興の姿を世界に示していくということを今改めて、もう一度、私たちはしっかりと考えていかなければならないと思います。
 既に震災から六年以上が経過をしまして、記憶の風化ということがかねてから懸念をされているわけであります。
 特に、この東京においては、震災が発生して以降、知事が三度、交代しているんですよ。三回、交代をしています。ある知事は、就任してなかなか被災地に行かなかったものですから、私たちは繰り返し繰り返し議会で、早く行った方がいいんではないでしょうかといったような知事もいたんですね。
 そこで、改めてお伺いをしますけれども、こうした知事が相次いで交代をする中で、この間、復興のオリンピック・パラリンピックに取り組む都の姿勢ということについて変化があったのかどうか、このことについてお伺いをしたいと思います。

○小池自治体調整担当部長 都は、立候補のときから二〇二〇年大会を復興オリンピック・パラリンピックと位置づけまして、被災地の復興なくして大会の成功はないという基本的な認識のもと、スポーツの力で被災地に希望をもたらす復興支援に取り組んでまいりました。
 二〇二〇年大会は、世界中の注目が集まる舞台でありまして、被災地が復興をなし遂げた姿を世界に披露し、世界中の方々からの支援に対する感謝を伝えていくというのが都としての一貫した姿勢であると考えてございます。

○高倉委員 今答弁で、スポーツの力で被災地に希望をもたらす復興支援に取り組んできた、それは一貫して変わらないといった趣旨の答弁がありました。
 問題は、被災地の皆様が、どこまで復興オリンピック・パラリンピックということを実感として受けとめているかどうか、こういったところであるというふうに思います。
 そこでお伺いしますけれども、復興オリンピック・パラリンピックに向けまして、これまでどういった取り組みをされてきたのか、このことについてお答えをいただきたいと思います。

○小池自治体調整担当部長 都は、東日本大震災直後の平成二十三年度から、アスリート派遣事業、平成二十五年度から、未来(あした)への道千キロメートル縦断リレーを開始するなど、これまでスポーツを通じた被災地支援事業を継続して展開してまいりました。
 また、こうした事業などを通じて元気を取り戻しつつある東北三県の姿を世界に伝えるため、映像を制作し、国や庁内各局とも連携して、リオ大会のジャパンハウスを初め、各種イベントなど、さまざまな機会を捉えて、国内外に向け広く発信してまいりました。
 さらに、リオ大会の際には、福島県、宮城県、岩手県内の体育館などでライブサイトを実施するとともに、福島県には昨年十一月、宮城県と岩手県には本年二月、それぞれ全国に先駆けてフラッグツアーを実施してまいりました。
 加えて、平成二十八年に震災のございました熊本県につきましても、本年四月にフラッグツアーを実施するとともに、被災した現地の大学生を千キロメートル縦断リレーに招待いたしまして、被災地を元気づけるよう取り組んできたところでございます。

○高倉委員 今お話がありました千キロメートル縦断リレーでありますが、私も同僚議員とともに青森まで参りまして、最初の区間、一緒に走らせていただいたこともありまして、参加した方々は大変に楽しそうでありました。しっかり充実をさせていただければと思っております。
 東京大会まで千日を切ったわけであります。この二〇二〇年の東京大会が被災地の復興支援を加速させたというふうに被災地の皆様にも実感をしていただくとともに、世界から東京を訪れる方々にも、それを目の当たりにしていただける、まさにこれからがさらに勝負ではないかなというふうに思います。
 そこで、今後、復興オリンピック・パラリンピックに向けまして、どう取り組んでいくのかについて見解をお伺いしたいと思います。

○小池自治体調整担当部長 先ほどご答弁いたしましたとおり、これまで復興支援につながるさまざまな取り組みを行ってまいりましたが、これらの取り組みの成果を踏まえた上で、オリンピック・パラリンピック開催に向けて、幅広い事業に引き続き着実に取り組んでまいります。
 さらに、最も注目の集まる大会開催の直前や開催期間中などに実施する復興支援の取り組みにつきまして、組織委員会、国などと連携しながら、聖火リレーを通じて被災地の姿を発信するなど、具体的な内容の検討や関係者との調整を進めてまいります。
 さまざまな機会を捉えまして、被災地復興支援の取り組みを展開していくことで、二〇二〇年大会が被災地に希望をもたらし、将来にわたり意義のあるレガシーとなるよう努めてまいります。

○高倉委員 最後の質問でございます。
 私は、都議会公明党の被災地支援チームの一員として、特に福島を繰り返し訪れまして、現地の生の声を聞きながら、東京からの支援の拡充に取り組ませていただきました。
 この間、福島県の県知事さんにも何度もお会いをしました。
 その際に、もちろんさまざまなご要望をいただいたわけでありますが、その中でも特にオリンピック・パラリンピックとの関連については、ぜひとも福島でオリンピック・パラリンピックの野球、ソフト競技を行っていただけないか、こういうお話をずっといただいてまいりました。
 福島というところは、野球が大変に盛んな地域であるというふうにお伺いしておりまして、非常に立派な球場がありまして、私も県営あづま球場といったようなところにも行ってまいりましたが、プロ野球のオールスター戦なんかも開催することができるような球場が幾つかあるわけであります。
 この福島と、それから宮城県でも一部の競技を実施するということになっておりますけれども、復興オリンピック・パラリンピックを世界に発信をしていく上でも、これは非常にシンボリックな取り組みになるんではないかと思います。
 そのためにも、被災地の要望をしっかりと把握して、そして大会開催準備を進める必要があるというふうに考えますけれども、今後、どのように調整を進めていくのか、答弁を求めまして、質問を終わりたいと思います。

○小池自治体調整担当部長 委員お話にございましたように、福島県では福島あづま球場が野球・ソフトボールの競技会場に決まったところでございます。また、宮城県では宮城スタジアムがサッカーの競技会場となっております。
 これらの被災地でオリンピックが円滑に開催されることは、まさに大震災から立ち直った日本の姿を世界中に示す絶好の機会でありまして、そのことが世界中から寄せられた友情や励ましの返礼にもなると考えてございます。
 このため、競技会場が所在いたします福島県、宮城県とは、組織委員会、国などと連携いたしまして、仮設整備、輸送やセキュリティーなどの課題について、相互に情報を共有し、大会開催準備が円滑に行えますよう、鋭意調整を行っているところでございます。
 今後とも、組織委員会等と連携いたしながら、被災地の現状や要望を丁寧に把握いたしまして、円滑な大会運営に向けた準備を進め、二〇二〇年大会の原点である復興オリンピック・パラリンピックが実現されるよう万全を期してまいります。

○川松委員 私からは、ラグビーワールドカップ二〇一九日本大会に向けて、幾つか質問させていただきます。
 改めまして、ラグビーワールドカップ開催まであと二年を切りました。二年後の二〇一九年十一月二日は、その大会の決勝戦の日でもあります。この二年前に合わせて大会日程及びチケット概要が先般発表されたわけでございます。
 これまでも大会の組織委員会より、全国の十二会場というのは指定をされ、発表されておりましたが、実際、先週、正式に試合日程が発表されるその瞬間まで、関係自治体の皆様におかれては気が抜けず、推移を見守っておられたことと思います。
 そこで、この試合日程が確定したタイミングにおいて、二〇一九年大会の歴史というのをひもといて、それから質問させていただきたいと思いますが、歴史的な経緯で見ますと、二〇〇四年に、日本は二〇一一年大会の立候補をし、当時はニュージーランドと南アフリカ、三カ国と争って、決選投票でニュージーランドに敗れたという経緯があります。
 その後、次のときには二〇〇八年に、一五年大会と一九年大会を一緒に選考するという、当時のIRBの方針で、日本は両大会に手を挙げ、結果、二〇〇九年に、一五年大会はイングランド、一九年大会は日本という形で開催が決定しました。これが二〇〇九年の六月のことでした。
 この年の十月は、東京オリンピックの二〇一六年大会の誘致を求めて、IOCの総会が開かれ、ここでは東京は残念ながら落選をしたことになります。
 その後、平成二十三年に再度、東京はオリンピック・パラリンピックに挑戦するんだという立候補を表明し、この年から旧国立競技場というテーマが議論されるようになりました。
 実際、翌年の平成二十四年には日本スポーツ振興センターから新スタジアムについてのコンクールが行われて、いわゆるザハ案というのが選ばれ、ここでラグビーワールドカップをやり、そして二〇二〇年の東京オリンピックをやるんだということで、平成二十五年のIOC総会において、安倍総理もそのザハ案のCGを使い、二〇二〇年大会を勝ち取ってきたわけであります。
 以降、この一九年大会と二〇年大会というのは連動するように、新国立競技場を中心にさまざまな準備が進められてきたわけでございますけれども、皆様ご記憶のとおり、平成二十七年七月にザハ案はゼロベース、全て白紙に戻すというところから、ワールドカップの準備というのは、また、東京においてはゼロになったわけです。
 ザハ案が見直しになった時点で、東京は開催都市として、その性格を一瞬失いました。黄色信号がともっていたわけですね。ところが、当時の舛添都知事、あるいはラグビーワールドカップ二〇一九日本大会を成功させる議員連盟、この都議会とが一体となって組織委員会と折衝を重ね、東京スタジアムが、このラグビーワールドカップの開催会場として選ばれたわけであります。
 しかも、実際に開催都市が十二、選ばれましたけれども、その全体の都市が発表されることに先行して、二〇一九年九月二十日には東京で開会式と開幕戦をやるんだということを世界に大々的に発表し、どこの都市よりも早く東京は準備してきたのであります。
 ところが、ワールドラグビーが求める開会式であったり、あるいは重要なゲームの会場の収容人数等の関係から、東京スタジアムというのは新国立競技場、当初予定をしていたザハ案と比較しても、相手にならないレベルであるという指摘もありました。東京スタジアムは妥当ではないのではないかという世界からの声もある中で、東京都として正式に手を挙げ、しっかりと活動した上で、東京スタジアムは一九年大会の重要な位置づけとしてポジションを勝ち取ってきたわけです。
 だからこそ、東京は世界の皆さんを一九年大会においては万全の体制でお迎えする責任があるということを、まずもって指摘をさせていただきます。
 そこで、先ほど生活文化局の質疑でも私は触れましたけれども、一九年大会の直前大会となる一五年のイングランド大会では、大会成功にボランティアは必要不可欠だったという報告がなされました。ワールドカップやオリンピックに比べれば規模感は異なりますけれども、実際に東京都でも十一回行われた東京マラソン、過去全部振り返っても、やはりさまざまな形のボランティアの皆さんによって大会は支えられ、今日まで東京マラソンというのは歴史を歩んできたんだと思います。
 そこで、ラグビーワールドカップ二〇一九に向けたボランティアに関する取り組み状況と、その取り組みを翌年の二〇二〇年大会にどのようにつなげていこうと考えておられるのか、お伺いいたします。

○田中運営担当部長 ラグビーワールドカップ二〇一九大会時には、国内外から多くのラグビーファンが東京を訪れます。
 こうした方々に対しまして、会場周辺やファンゾーン、空港、駅などにおきまして、来場者を案内し、大会を盛り上げるボランティアが必要となります。
 そのため、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに向けました都市ボランティアの募集を平成二十九年度末から一部前倒しして行いまして、ラグビーワールドカップで活躍いただけるよう取り組んでまいります。
 今年度末からの募集に向けて、ラグビー組織委員会と連携いたしまして、都が実施するイベント等においてブースを設置し、ラグビーの魅力を発信するとともに、ポスターやウエブサイト等によりPRを展開してまいります。
 また、二〇一九年大会で活躍したボランティアには、二〇二〇年大会におきましても培った経験やスキルを発揮していただけるよう取り組んでまいります。
 さらに、二〇一九年大会でのボランティアの活動実績や運営状況を検証し、二〇二〇年大会における都市ボランティアの運営に反映させるなど、ラグビーワールドカップの経験を二〇二〇年大会につなげてまいります。

○川松委員 ありがとうございます。実際にボランティアの皆さん、東京スタジアム周辺には、一九年の今ごろには多くの方が来られる、それに対して誘導されるボランティアの皆さん、あるいはファンゾーンでお手伝いをしていただく皆さんというのは、間違いなく二〇二〇年の各会場、あるいはライブサイト等でもお力をいただくことになると思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 さて、実際にワールドラグビーが十二の会場を指定して決まった後で、求めていることの一つにグラウンドの状況というのがあります。短期間に複数のハードなゲームが展開される中で、芝はしっかりと皆さん守れるのか、手入れできるのか、前の試合はきれいなグリーンだったけれども、次になったらそこが剥がれてめくれたりしていないかというような指摘があったわけです。
 実際、一九年大会時の東京における東京スタジアムの芝のフィールドのあり方についてどのような状況なのか、お伺いいたします。

○篠ラグビーワールドカップ準備担当部長 ラグビーでは、スクラムなどにより、サッカー以上に芝への負荷がかかることから、大会期間を通じて良好な試合環境を維持するために、芝の耐久性を確保することが必要でございます。
 このため、都は、今年度、天然芝と、天然芝に人工芝を組み合わせたハイブリッド芝について、耐久性や施工管理方法などの分析、検証を行う実証実験に取り組んでおります。
 具体的には、本年春に東京スタジアムの投てき練習場内に天然芝と二種類のハイブリッド芝を実験用に敷設し、十月からトップリーグや大学のチームなどのご協力のもと、ラグビー競技による摩耗を想定した負荷実験を行い、芝の抵抗力などの数値試験や、選手による使用感のヒアリングなどを実施しております。
 これらの実験結果などについて、都、ラグビーワールドカップ二〇一九組織委員会、施設管理者、主要な施設利用者などから構成されるワーキンググループで、大会日程なども勘案の上、さまざまな視点から分析、検討を行い、二〇一九年大会で採用する芝について、組織委員会などと協議し方向性を定めてまいります。

○川松委員 ありがとうございます。ハイブリッド芝は、まだ日本ではなじみのないことでもありますし、大変な調整に向けての苦労があろうかと思います。
 しかも、ヨーロッパのいわゆるラグビー先進国の皆さんがいっているような状態に保てるか、ヨーロッパの気候風土と日本の気候風土は違うわけですから、芝の育ち方も含めて、大変力を入れなければいけない。しかも、これは東京だけではなくて、全国の会場、一緒になってやっていくわけですけれども、ただ、試合の日数が少ない会場ではなくて、東京スタジアムはある程度まとまって試合をします。ぜひ、ここは力を入れて整備していただくよう要望しておきます。
 また、芝もさることながら、全世界に放映するという観点も含めまして、競技用の照明などの明るさ、あるいはバリアフリー対応などのハード面の整備も、もちろん大切になっていきます。
 東京スタジアムは、二〇二〇年のオリンピック大会でも使用する会場の一つでありますが、実際、東京スタジアムは一九年の大会本番に向けまして、会場整備を現在どのように行っているのか、お伺いします。

○篠ラグビーワールドカップ準備担当部長 会場となる東京スタジアムにつきましては、現在、エレベーターの増設などのバリアフリー化や既存観客席の一部更新に加え、競技用照明のLED化、十七メートルゴールポストの設置など、ラグビーワールドカップの開催を見据えた改修工事の実施設計を行っており、来年度から工事に着手する予定でございます。
 また、昨年度末に策定した会場運営計画では、現在、下層スタンドに設置されているメディア席の上層スタンドへの移設や、コーチボックスのスタンド内への設置などを行うこととしており、これらは仮設工事により対応してまいります。
 今後も引き続き、東京スタジアムの個別の条件を十分に踏まえながら、施設の設置や整備内容などについて、組織委員会、都、施設管理者などで協議を進め、大会に向けた施設整備に着実に取り組んでまいります。

○川松委員 実際に組織委員会あるいはワールドカップリミテッドの方からの要望というもの多々あると思います。座席の配置の仕方を含めて--何でこんなことを今いうかというと、座席の配置が決まらないと、チケット枚数の目標を本当に埋めるためにどれくらい売らなきゃいけないんだということも出てきます。
 実際に、先週行われた横浜での日本代表の試合では、過去の日本代表の観客動員では最大の人数が入ったわけですけれども、まだまだそれでは足りないといわれています。そうすると、東京スタジアムは二〇一九年のとき必ず全試合満員にする、その思いで私たちは準備を進めてきましたので、組織委員会も、いろんな意見があると思いますが、東京スタジアム側もできるだけその要望に応えていただいて、整備していただくようお願いをしておきます。
 さて、これまでの日本におけるスポーツ大会では余り重要視されてこなかった考え方の一つに、スポーツの試合に合わせたおもてなしというか、これ、ホスピタリティーといわれておるものがございます。
 関係都市として、このホスピタリティーについて、ワールドラグビー側とどのような協力をしていくのか、所見を伺いたいと思います。

○篠ラグビーワールドカップ準備担当部長 大会の招待客に対するホスピタリティーにつきましては、施設を設置するためのスペースを開催都市が提供し、組織委員会が施設運営を行うこととされております。
 会場運営計画では、必要なホスピタリティースペースが確保されるよう、スタジアム内のレセプションルームや特別観覧室に加え、バックスタンド側の諸室や武蔵野の森総合スポーツプラザのメーンアリーナ棟などを提供することとしております。
 都といたしましては、施設管理者とともに、施設の設置運用に関して必要な協力を積極的に行い、長く心に残る上質のおもてなしを提供できるよう、組織委員会と十分な連携を図ってまいります。

○川松委員 この大会の成功に関して、ホスピタリティーは一つ鍵を握るともいわれています。
 日本にとっては、このホスピタリティーで多くの世界の人たちをおもてなしして、ああ、東京すばらしかったなということが、二〇二〇年の、またさらなる向上へのテーマづけにもなりますし、また、その一九年のホスピタリティーを経験している皆さんが二〇年の宣伝をしてくれる、そういう期待もしておりますので、ここは本当に模索状態だと思います。なかなか多くの人たちも理解されない中、関係者をどんどん巻き込んでいかなければならない、このホスピタリティー整備でございますが、東京都の皆さんにも、ここはきっちりと頑張っていただきたいと思います。
 さて、今、二〇一九年の大会の東京スタジアムの運営の話をお伺いしてまいりましたが、今度は、これ最後になりますけれども、公認チームキャンプ地についての東京都の支援をお聞きしたいと思います。
 実際に、今東京都は、三市が公認チームキャンプ地として手を挙げておるわけでございますけれども、じゃあ、この公認チームキャンプ地をどうやって東京都は支援をし、誘致に向けて三市を後押しされていくのか、お伺いいたします。

○篠ラグビーワールドカップ準備担当部長 ラグビーワールドカップ二〇一九大会期間中に、チームが滞在する公認チームキャンプ地につきましては、昨年八月から十二月まで、組織委員会が自治体から応募を受け付け、都内からは武蔵野市、府中市、町田市の三市が応募いたしました。今後、本年十二月以降、順次チームによる視察が実施され、平成三十年春以降に決定する予定でございます。
 都といたしましては、これまで三市に対し、公認チームキャンプ地の選定プロセスに関する情報などを適時適切に提供するとともに、都が行うイベントにおいて、各市がPRを行う場を提供するなど、必要な支援を行ってまいりました。
 加えて、公認チームキャンプ地の施設整備のための工事についても、本年度から区市町村スポーツ施設整備費補助の対象としております。
 今後とも、ソフト、ハードの両面から、三市の公認チームキャンプ地誘致の取り組みを支援してまいります。

○川松委員 ありがとうございます。さらなる支援をお願いしたいところでありますが、特にソフトの面でもっとダイナミックな規模感も持っていただきたいなということで、最後要望したいと思うんですけれども、今挙げていただいた三市というのは、既にトップリーグ所属のチームを抱えていたり、あるいはトップイースト所属のチームを抱えたりしている、都内のほかの地域に比べればラグビーの文化が多少根づいている、盛り上がろうとしている、そういう地域、三市だと思います。
 公認チームのキャンプ地の選定というのは、大きな三市の目標であり、東京都の目標でもありますけれども、これは関係者一同、一九年を超えて、じゃあ、この三市がどうあるべきかというところのテーマもしっかりとみんなで共有していただきたいと思うんですね。
 ビヨンド二〇一九、例えばどういうことか、例えばですよ。私の地元は両国というところです。国技館があります。お相撲さんがいつもいます。浴衣を着て自転車に乗ったりしています。我々からすると当たり前の日常風景ですけれども、それが観光、外から来る人たちや、あるいは新鮮だと感じる人にとっては、まちづくりの一つの柱、力士を中心にまちづくりをされているわけです。
 ですから、三市がこの後、公認チームキャンプ地として選定されることになれば、もっともっとラグビーの文化がここの地に根づいていきます。例えば、府中であれば二チーム、トップリーグのチームがあって、そのチームの選手たちを中心にまちがつくられていくような雰囲気もあるんじゃないかなと思うんですね。
 そこまでのソフト面の支援も考えていただくことによって、持続発展可能な都市東京の一助を、この三市が担うんじゃないかなと私は思います。
 それと同時に、キャンプをした国、実際にここで練習をした国とは、恐らく二〇二〇年とも三市は連携していくことになると思いますし、二〇年を超えても、教育庁がやっていますオリ・パラ教育とも連動しながら、さまざまな取り組みがなされていくと思います。こういうことも、三市は二〇一九年を超えて大きな夢が広がっているんだということを、私の考えを、指摘させていただきたいと思います。
 まとめますが、先日決定した大会日程を見ますと、東京スタジアムは日本代表による開幕ゲームに加えて、世界で最も強くて、世界で最もファンがいるニュージーランド代表、オールブラックスのゲーム、あるいは同様に世界中のファンが多いイングランド代表のゲームなどが組まれました。これは大変すばらしいことだと思っています。
 ここには、ただ多くの人が集まってくるというだけではなくて、特に二〇二〇年のオリンピック競技大会、パラリンピック競技大会を見据えたら、今後の東京や日本にとって鍵を握るようなVVIPの皆さんも集まる可能性がとっても高くなりました。
 ぜひ、これ既に二年を切っていますけれども、大会のキャッチであります、四年に一度ではない、一生に一度だというこの思いを、ここにおられる皆さんと共有して、一九年大会、しっかりと成功に導きたいと思いますので、よろしくお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

○米倉委員 特別支援学校を障害者スポーツの拠点にしていくことについて伺います。
 都が、障害のある方や障害者スポーツ競技団体などが、身近な地域でスポーツに取り組めるよう、特別支援学校の体育館やグラウンドなどの施設を、学校の利用がない平日の夜間や土日祝日に開放し活用を進める都立学校活用促進モデル事業を二〇一六年九月にスタートし約一年がたちました。初め、五校で始まった学校活用も、今年度は十校まで広がったことは大事なことだと思います。
 そこで、この間の利用実績について伺います。
 また、この利用団体はふえているのか。この事業は、障害者の団体が優先して利用できるものとなっていますが、一般のスポーツ団体も利用が可能なものとなっています。特に大事なのは、障害者団体の利用がふえていることだと思いますが、どのような団体が利用しているかも伺います。

○新田見障害者スポーツ担当部長 本事業の貸出実績といたしましては、平成二十八年度は、貸出可能日数が五校八施設の合計六百二十九日のうち、貸出日数は二百六十六日でございました。
 二十九年度は、四月から九月までの合計で、貸出可能日数が十校十五施設の合計千二百四十四日のうち、貸出日数は四百七十六日となっております。
 また、事業に登録している団体は、障害者スポーツ競技団体のほか、青少年スポーツ団体など健常者団体を含め、事業開始時の五十一団体に対し、二十九年九月末現在で百五十三団体となっております。登録団体のうち約半数が障害者スポーツの関係団体などでございます。
 障害者別では、車椅子使用の肢体不自由者の団体の登録が二十九団体と一番多く、ほかには知的障害十九団体、聴覚障害十三団体、視覚障害五団体など、さまざまな団体に登録をいただいております。

○米倉委員 利用施設も、また登録団体もふえ、障害者団体の利用も半数に上るということです。私も先日、学校活用事業で土曜日に利用されているブラインドテニスと車椅子バスケットの皆さんの利用状況を拝見しましたが、皆さん、利用できるスポーツ施設がふえてよかったとお話をされていました。
 特に区立施設などになりますと、例えば、これは豊島区ですが、構成員が十名以上もしくは半分以上が区内在住か在勤である団体というような団体でなければ施設が利用できないと制約がありますから、都内各地から集まりスポーツをする団体にとっては、使用できるスポーツ施設に限りがありました。
 都立学校ならそういった制約がなく、利用できる施設がふえてよかったというお話を伺っています。
 都は、活用事業を行っている学校では、障害者スポーツの体験教室を開催しています。さまざまな種目のスポーツ体験をできる場をつくられることは、障害者スポーツの参加の機会をふやすことや、障害者スポーツへの理解を広げる契機になると思います。
 障害者スポーツの体験教室のこれまでの実績や内容について伺います。

○新田見障害者スポーツ担当部長 体験教室の実績等についてでございますが、平成二十八年度は五校において、ボッチャやフライングディスクなど十六回の体験教室を開催し、障害のある人やボランティアなど四百九人が参加されました。
 二十九年度は、九月までに七校において、ダンスなど新たな種目を取り入れ十三回開催し、三百十一人が参加されました。

○米倉委員 私も各学校で行われている障害者スポーツ体験教室のチラシをいただきましたが、各地でたくさん取り組んでいらっしゃると思いました。
 私も障害者スポーツは先日、視覚障害者の皆さんのブラインドテニスの練習をする場を見せていただいたのが初めての機会だったんですけれども、実際に見たり、また体験するのは、理解を深める上で非常に重要だなと感じました。
 この取り組みもさらに拡充していただきたいと要望するものです。
 学校活用の事業を始めて一年がたちますが、さらに活用を促進していただきたいと思っています。
 この間、学校活用の事業を行う中で、運営上の課題として上がっていることはどういったものになるか、伺います。

○新田見障害者スポーツ担当部長 課題の一つ目としては、施設によっては貸出実績が少なく、十分に活用されていない状況があることでございます。事業全体としての貸出実績を向上させていくためにも、利用者へのさらなる情報提供や事業周知を行い、貸出実績の低い施設の利用促進を図っているところでございます。
 また、課題の二つ目としては、体験教室において指導員やボランティア等の障害者スポーツを支える人材の確保が難しいことでございます。
 今後、地域スポーツクラブや障害者スポーツ団体等との連携をさらに進め、体験教室の担い手をふやす取り組みを行ってまいります。

○米倉委員 利用の割合が低い施設や人材の確保に課題があるということです。
 人材確保については、障害者スポーツ普及の中心課題の一つですから、位置づけた取り組みが求められると思います。幅広い都民の皆さんに呼びかけることと同時に、障害者の関連施設、スポーツ施設利用者など、障害者スポーツに関心を持ちやすい方々を対象に、力も入れた告知などもしていただき、引き続き人材確保に取り組まれることを要望しておきます。
 学校活用は今後、全ての特別支援学校に広めていくことが大事だと考えますが、その上でどういう課題があるかも伺います。
 また、教育庁との連携は重要だと思いますが、オリンピック・パラリンピック準備局は教育庁とどのような連携調整を行っているのでしょうか。

○新田見障害者スポーツ担当部長 都立特別支援学校の活用拡大に向けては、本モデル事業において確認された課題への対応状況、効率的な運営方法の検討結果等を踏まえ、教育委員会と十分な調整を行って検討していくこととしております。
 そのため、モデル事業の実施に当たっては、教育委員会との協定により、施設及び備品の整備は教育委員会、事業の企画及び実施は当局の役割とし、密接に連携して事業を行っているところでございます。

○米倉委員 教育庁とは、今の施設利用状況で出てきている課題を踏まえた協議を行っているということです。
 学校を開校し、活用を行えば、肢体不自由の学校の体育館を視覚障害者の団体が利用することも起こります。そうしたことに対応した学校の体育館の改修なども求められると聞いています。そうなれば、例えば小さい段差を解消することなども求められます。
 現状では、教育庁が体育館の床を改修するなどを行っていますが、さまざまな障害の人が利用するための整備を進める上でも、また、今後は学校活用事業では活用対象となっていないプールも開放を進めていただきたいと思っています。
 そうしたことを考えますと、障害者スポーツの拠点をふやすためにも、オリンピック・パラリンピック準備局としても、活用する学校施設の改修や整備への支援の検討が必要ではないでしょうか。

○新田見障害者スポーツ担当部長 学校施設の改修や整備については教育委員会の所管であり、本モデル事業で活用している学校施設についても同様でございます。

○米倉委員 基本的に教育委員会がやるべきことだというご答弁ですが、やはり障害者スポーツを進める上では、特別支援学校のプールが活用されるということは重要です。
 そして、プールなどを、一年を通して使える温水プールにするとなりますと費用もかかります。オリンピック・パラリンピック準備局としても、政策的に位置づけて障害者スポーツの普及に力を入れているわけですから、地域のスポーツ拠点を整備する観点から検討していただきたいと要望しておきます。
 この学校活用事業ですが、活用する学校を広げていくことと同時に、プールも対象にしていくことが求められています。プールは障害の種類に関係なく、人気のスポーツとなっていますし、とりわけ肢体不自由、肢体の障害者の方にとっては、水なれ、水遊びのレクリエーションとして、また、身体機能向上のリハビリテーションとしての効果もあり、一年を通して利用可能にしてほしいという要望が関係者から多く上がっています。
 ですから、日本共産党は繰り返しプールについても活用することを求めてまいりました。
 今の学校活用事業では、プールは活用対象となっていませんが、この理由について伺います。

○新田見障害者スポーツ担当部長 プールを本モデル事業の対象とすることについては、利用者の安全確保と、それに伴う監視員などの人員の配置、施設面など、さまざまな課題があるため対象施設とはしておりません。

○米倉委員 私も基準を確認しましたが、人材の配置は、確かに体育館を貸すよりは厚くしなきゃいけないというふうに思います。ただ、さまざまな課題があるということですが、しかし、教育庁では既に夏休み期間については、毎年二十校程度、学校プールを開放しております。
 オリンピック・パラリンピック準備局としても、障害者の皆さんの要望に応え、今後実施をしていただきたいと重ねて要望しておきます。
 続いて、障害者スポーツをさらに広めるためには、障害者が利用できる施設をふやすことと同時に、障害者スポーツを支える人をふやしていくことが重要です。
 まず、施設について伺いますが、都は区市町村に対して、区市町村スポーツ施設でのバリアフリー工事や、スポーツの利用拡大につながる工事に係る整備費への補助を行っています。
 障害者のスポーツ利用の拡大にかかわって、この事業がどのように使われているのでしょうか。昨年度と今年度の実績と、工事内容について具体的に伺います。

○川瀬スポーツ計画担当部長ラグビーワールドカップ会場運営担当部長国際大会準備担当部長兼務
 区市町村に対するスポーツ施設整備費補助は、都民が身近な地域でスポーツを行う場を充実拡大し、誰もが利用しやすいバリアフリーを促進することを目的として、平成二十六年度に創設しました。
 具体的には、グラウンドの新設やテニスコートの人工芝化、夜間照明の設置、トイレ、更衣室等のバリアフリー化などに対して補助しております。
 平成二十八年度の補助実績についてでございますが、二十五自治体から四十三件の申請があり、五億五百五十九万八千円の補助を行いました。そのうち、バリアフリー工事につきましては、十自治体から十四件でございます。
 平成二十九年度の申請件数は、前年度から増加し、現在、五十件程度を予定しております。

○米倉委員 昨年度は四十三件の申請の約三分の一がバリアフリー工事のために利用され、さまざまなバリアフリーも進められているということです。今年度の実績については、昨年度と比べますと、現段階で申請件数は超えているということです。
 さらに、この制度が活用され、障害者が利用できる施設をふやしていくためには、この補助対象の拡充も求められています。
 例えば、障害者スポーツを行う上で、毎回用具を利用施設に持ち込むことが負担になっています。
 車椅子バスケットをやろうとすれば、ブラインドテニスなどのように、ラケットとボール、ネット、ポールを条件のある数人の方が運べれば取り組めるということにはなりません。日常に使用する車椅子とは別に、競技用の車椅子が必要です。
 そうなりますと、自分で車を運転して、自分の車椅子、競技用のものを用具とともに運べる大人など、条件がある方でなければスポーツを行えないことにつながります。
 実際、車椅子バスケットに取り組む方のところには、小学生などから参加してみたいと問い合わせが来るそうですが、荷物を毎回持ってこられない方だと、結局参加できないということでした。利用頻度の高い体育施設に荷物を置かせてもらえれば、そういう方たちも参加しやすくなるのだと話を伺いました。
 区市町村が個人、団体などの用具置き場を増設する場合にも、補助対象とすることは重要と考えますが、いかがですか。

○川瀬スポーツ計画担当部長ラグビーワールドカップ会場運営担当部長国際大会準備担当部長兼務
 本補助制度につきましては、競技スペースを拡大する工事、利用時間の延長等の利用機会拡大に資する工事や、誰もが利用しやすい環境を整備するバリアフリー工事等を対象としております。
 用具置き場や会議室等の附帯施設を単独で整備する場合は補助対象となりませんが、競技スペースの拡大と一体的に整備する場合は補助対象としております。

○米倉委員 附帯施設への補助は競技スペースの拡大と一体の場合のみということです。
 新規の体育館をつくる場合に、倉庫をつくることは当然必要です。しかし、この補助制度は、健常者だけでなく障害者のスポーツの機会もふやしていくということが趣旨となっています。
 今まで障害者スポーツの利用を考慮してつくっていなかった既存施設の改修としては、競技スペースだけでなく、用具を保管する場所の整備も利用機会の拡大に資するという制度の趣旨にかなっているのではないでしょうか。
 当事者の皆さんからも要望が出ていますから、今後検討していただきたいと思います。
 公立スポーツ施設で障害者が利用できる改修などを進める場合、新規建設でない場合、既存施設の改修となります。段差をなくすなど、小規模な改修ならすぐに行えますが、規模が大きくなれば、老朽化に伴う改修のタイミングまで待つことも多いと考えられます。老朽化を限界まで放置して、それから改修を行うのではなく、適度なタイミングで改修ができれば、施設を長期に使う上でも有効ですし、より使いやすくなれば利用者増加にもつながります。何より早期にバリアフリーなどを普及することにもつながります。
 そうしたことを考慮しますと、補助対象をバリアフリー部分の工事だけではなく、バリアフリーなど対象となる工事を一定進める場合、その他改修工事についても補助対象に含める要件とすれば、施設の障害者対応の改修もより進むことにつながります。
 補助対象についても、バリアフリーなどに資する工事が入っている場合、老朽化に対応する工事であっても補助対象とすることを求めますが、いかがですか。

○川瀬スポーツ計画担当部長ラグビーワールドカップ会場運営担当部長国際大会準備担当部長兼務
 本補助制度につきましては、競技スペースを拡大する工事、利用時間の延長等の利用機会拡大に資する工事や、誰もが利用しやすい環境を整備するバリアフリー化工事等を対象としております。
 老朽化に対応するための改修工事につきましては、施設管理者である区市町村の責務でありますことから、補助対象とはしておりません。

○米倉委員 施設の老朽化を更新するのも区市町村にとっては大きな負担となっています。改修がなかなか進まないことが、トイレを多機能使用に変えることや施設内のバリアフリーを進めることがなかなか進まないという状況につながっていますから、老朽化についても対象とすることは必要です。検討を求めておきます。
 この補助制度については、補助の上限額を引き上げることも求められていると思います。補助対象である体育館の新築など、スポーツの機会拡大に資する工事や、また大規模なバリアフリー工事では、上限が一億円の補助ではなかなかふやそうとはならないという声も上がっています。
 上限の引き上げが必要と考えますが、いかがでしょう。

○川瀬スポーツ計画担当部長ラグビーワールドカップ会場運営担当部長国際大会準備担当部長兼務
 本事業につきましては、これまで区市町村に対して、補助に関する意向調査を実施した上で、都としての支援の必要性を踏まえ、制度改正に取り組んでまいりました。
 今年度は、オリンピック・パラリンピック事前キャンプ誘致のための工事の補助上限額を一億円から二億円に引き上げました。
 また、区市町村から特にご要望の強かった二〇二〇年大会の練習会場及びラグビーワールドカップ二〇一九の公認チームキャンプ地の整備費については上限を三億円、ラグビーワールドカップ事前チームキャンプ地の整備につきましては上限額を二億円としまして、新たな補助メニューとして追加しております。
 今後とも、補助制度の適切な運用に努めてまいります。

○米倉委員 オリンピックのキャンプ誘致のための工事補助額は二億円に引き上げたということで、それは大事だと思いますが、しかし、それはオリンピックの対応で、都民のスポーツ利用機会ということはまた別枠となる話です。
 都は、補助制度をつくってまで都民のスポーツの機会をふやす取り組みをしているのですから、もともと体育館をつくろうと思っていた区市町村だけでなく、こういう補助があるなら体育館を新設しよう、施設を拡充しようと区市町村が思えるようなインセンティブになる内容に拡充をしていただきたいと要望しておきます。
 昨年度の決算を拝見しても、予算額二十億円に対して、実際、補助実績が五億六百万円、執行率二五%となっています。補助対象の拡充や上限額の引き上げは、実際、自治体から要望を伺っております。
 さらに活用されやすい仕組みに改善されることを求めておきます。
 区市町村への補助制度の情報提供についても伺います。
 昨年度、補助を受けたバリアフリー工事の内容については、一覧を私もいただきまして、拝見をしました。点字ブロックを設置したり、施設内の段差を解消するなど、わかりやすいバリアフリーだけでなく、車椅子競技が行えるように、体育館の床材を車椅子利用に対応したものに張りかえることなども行われていました。
 こうした補助対象となるバリアフリーの例などは、積極的に事例を区市町村に知らせ、障害者利用を進める上で、どういったことができるのかを知ってもらうことが重要だと思います。
 周知をさらに強め、より多くの公立体育施設を障害者が利用できる条件整備を進めることが重要と考えますが、いかがですか。

○川瀬スポーツ計画担当部長ラグビーワールドカップ会場運営担当部長国際大会準備担当部長兼務
 区市町村に配布しております補助の事務の手引や参考事例一覧の中では、バリアフリー事例等を含め具体例を紹介し、周知を図っております。
 こうした積極的な取り組みによって、申請件数は毎年増加傾向にあり、平成二十九年度の申請件数も前年度から増加する見込みであります。
 今後とも、区市町村の主管課長が集まる会合など、さまざまな機会を活用してさらなる周知を行い、区市町村が行うスポーツ施設のバリアフリー化等への取り組みを支援してまいります。

○米倉委員 さまざまな機会に周知をされているということです。今後も区市町村への情報提供にも力を入れて、補助事業が活用されるようにしていただきたいと思います。
 障害のある方が、都や区市町村の施設を利用しやすくなるためには、施設の改修とあわせて、施設管理者などが適切にサポートできることが大切です。
 全盲の女性からお話を伺いましたが、この方はスポーツが好きで、また、健康を保つためにも公立のプールやジムをよく利用されるのですが、サポート体制がなければ、自力で施設まで歩いていけても、施設が利用できないのだと話しておられます。
 ジムで歩く機械を使っても、スピードを変えたいと思っても機械から音が出ない、誰かに機械を操作してもらわなければ利用ができないのだ、だけれども、施設の管理者からもサポートをしてもらえないと。そうなりますと、弱視で機械の操作などが可能な友人や、ガイドヘルパーと一緒に行かないと施設を利用できなくなってしまうということです。しかし、毎回、スポーツ施設に日程を合わせて行くわけにもいきません。結局、地元にあるスポーツセンターには数回で行かなくなってしまったとお話を伺いました。
 この方は、障害者の運動したいという気持ちも認めてほしいな、一般の人が楽しむだけでなく、障害があってもなくても、お年寄りでも、行ったら気持ちよく運動できるようにしてほしいなと話しておられます。
 都は、障害者のスポーツ施設利用促進マニュアルを作成し、自治体や施設運営関係者への配布を行っていますが、何部つくり、どのように活用しているか、伺います。

○新田見障害者スポーツ担当部長 都は、平成二十七年度、障害のある人のスポーツ施設利用を促進するため、施設管理者が配慮すべき点をまとめたマニュアルを一万部作成し、区市町村や公立スポーツ施設、スポーツ関連企業などに配布したほか、ホームページでも公開しております。
 また、発行時には全区市町村スポーツ施設の管理者などを対象として、このマニュアルを活用した研修会を行い、その後も引き続き都主催のセミナーや講演会などでも配布して周知を行っております。

○米倉委員 都内の自治体と公立スポーツ施設、関連企業にマニュアルを届けるなど、広く活用されていることは重要です。
 あわせて、マニュアルなどを活用し、実際に多くの施設で障害のある方に適切なサポートを提供できるようになるように、きめ細かい支援を引き続きお願いしたいと思います。
 同時に、今後は公立施設にとどまらず、民間の施設に対しても障害者スポーツへの理解を広げることが求められていると思います。
 今後、民間のスポーツ施設へもマニュアルを配布していくことは重要と考えますが、いかがですか。

○新田見障害者スポーツ担当部長 都では、障害者スポーツの振興に向けて、公立スポーツ施設ばかりでなく、広く都内各所のスポーツ施設において、障害のある人もない人も気持ちよくスポーツを行える環境整備を進めております。
 そのため、このマニュアルを区市町村等だけでなく、既に日本体育施設協会に配布して、民間スポーツ施設への働きかけを行うとともに、冊子提供についても随時対応しております。
 今後も、民間スポーツ施設に対しても、さまざまな機会を捉えてマニュアルの活用を呼びかけてまいります。

○米倉委員 民間施設を視野に入れた取り組みをされていることは大事だと思います。
 同時に、やはり手元にマニュアルが届けられれば、現場で働く民間施設の管理者の皆さんの認識にもなると思います。
 また、今ご答弁にありました日本体育施設協会は、公立体育施設の建設や維持管理、運営が中心かと思いますので、さらに幅広く、また、都民が利用する民間のジムやプールなど民間施設への普及も、ぜひ増刷もして図っていただきたいと思います。
 施設管理者だけでなく、スポーツ施設を利用する健常者の障害者理解を広げることも大切です。知的障害者の方がプールを利用するときなどにいきなり声を上げたりすることについて、一般利用者の方が驚いたり、また、苦情を寄せられてプールが利用しにくいなどの実態もあります。
 今後、施設の一般利用者への普及啓発を進めていくことも重要です。ポスターやチラシなどでの啓発を進めることが必要と考えますが、いかがですか。

○新田見障害者スポーツ担当部長 このマニュアルには、障害のある人のスポーツ施設利用に際し、施設管理者が一般利用者と障害者の間で意見交換を行う場を設定し、双方の理解が進んだ好事例を掲載しております。
 都では、本マニュアルのこうした事例を参考に、各スポーツ施設において、一般利用者に対しても障害者の施設利用に際し配慮すべきポイントなどの周知、啓発に努めてもらうよう、施設管理者に働きかけを行ってまいりました。
 また、周知等を行うに当たっては、それぞれの施設で実情に応じた手法等を検討して実施していただくことが効果的であると考えております。
 今後も、本マニュアルの活用促進に取り組んでまいります。

○米倉委員 それぞれの施設の実情に応じた周知の努力は必要なことだと思います。
 先ほど視覚障害者の方のお話を紹介しましたが、スポーツが好きな方は、決まった一つのスポーツ施設を使うわけではなく、さまざまな施設を利用したいと思っていますし、新しい施設ができれば利用しに行かれます。さまざまな障害の方が、そういうふうにあちこちのスポーツ施設を利用しても、健常者の方も一緒に同じ施設が使えるように、理解を広めていくことが大事だと思います。
 ですから、ここのプールは知的障害者の利用が多いから、知的障害者への理解をしてもらう取り組みをすると、そういうことにとどまらない障害者理解を進めていただきたいと思います。
 そうしたことを考えたときに、ポスターやチラシも有効な手段の一つだと思います。ぜひ都として作成、配布を検討していただきたいと思います。
 今後も、さらに施設整備、施設利用者への障害者理解も広げ、都内全体で障害者スポーツに取り組める条件をふやしていただくことを要望して、私の質問を終わります。

○白戸委員 まず最初に、東京マラソンに関して質問をさせていただきます。
 皆さんご存じのように、東京マラソンは既に十一回を数えまして、三十万人以上の応募を集めるまでの大人気となっております。
 また、全国のマラソン大会が、運営方法や料金設定などを見本にする大会になっておりまして、日本における参加型スポーツ、参加型マラソンの、スポーツイベントの代表といっていいほど、みんながベンチマークするような大会に成長したのではないかというふうに思います。
 やはり何といっても東京の名所を走れる、東京の真ん中を走れるコースの特徴、そして運営の完成度の高さ、これらがやはりこの人気の要因ではないかなというふうに思っております。
 これは、やはりマラソン財団の皆様、そして東京都の皆様を初め、運営に尽力されている方々の努力の結果ではないかというふうに思っております。
 一方、これだけ大会が大きく逆に成功してしまいますと、期待値も含めて、今後の方向性ということでは非常にかじ取りが難しくなってくる、そのように思います。
 ここで、今後の開催に向けての東京マラソンの目的、方向性について伺います。

○小室スポーツ推進部長 東京マラソンは、三万六千人の大規模市民マラソンと、世界のトップランナーによるレースが融合した大会でございまして、そのコースについては、国際大会の条件を満たしつつ、東京のさまざまな観光名所をPRできるよう設定しております。
 二〇〇七年の創設以来、世界六大メジャーマラソンであるワールドマラソンメジャーズに加盟したほか、車椅子レースにおいてIPCの公認を取得するなど、国際大会としても発展を遂げております。
 第十一回目となる二〇一七大会では、海外からの応募者を含め、三十二万人を超える方々に一般ランナーの抽せんに申し込みをいただくなど、東京マラソンは高い人気と知名度を誇る大会として定着しております。
 今後とも、東京の魅力を世界に広く発信するマラソン大会として成長を続けられるよう取り組んでまいります。

○白戸委員 三十二万人って本当にすばらしいと思うんですが、逆にいうと定員の十倍以上も集まっているということで、応募者の八割、九割が落ちてしまうというわけですね。ですから、今、世間では狭き門となっている。日本で一番すばらしいマラソンだけれども、日本で一番参加しにくいマラソンというふうにいわれています。ちなみに、私もことしは落選いたしました。
 こういう状況を踏まえまして、さらに現在、東京都が挙げていますスポーツ都市東京を目指す中で、このような非常に狭き門となっている状況をどのようにお考えになるのか、選考方法、募集定員等々について改善の余地がないのか、お伺いいたします。
 ちなみに、東京は現在三万六千人ですが、その他の大都市のマラソン、ロンドンでは四万人、ベルリンもやっぱり四万人、ニューヨークは五万人、シカゴは四・五万人というふうになっております。このあたりも踏まえまして、所見をお願いします。

○小室スポーツ推進部長 ランナーの抽せんにつきましては、公平を期すため、毎年コンピューターによる無作為抽せんを基本としております。
 その上で、主催者である東京マラソン財団では、一般抽せん以外にもチャリティーランナー制度や、一般抽せんと合わせて二回の抽せん機会が得られる会員登録制度など、さまざまな参加形態を導入しております。
 東京マラソンは、二〇〇七年の創設当時は、参加定員を三万人としておりましたが、その後、さまざまな工夫を重ね、現行の三万六千人まで拡大してきております。
 現行の参加定員は、交通規制がもたらす社会的な影響や、コースの特性等を総合的に勘案し、限られた時間内に安全に大会を運営することができる数であると認識しております。

○白戸委員 ありがとうございます。定員に関しては非常に簡単ではないということも重々承知しております。少しでも多くの方が参加できるように、また引き続き努力をお願いしたいと思います。
 そして、マラソンは参加者も非常に多いのですが、ボランティアもたくさんいることが必要であります。そして、二〇一七年は一万一千人というボランティアの方々にお手伝いいただきました。
 現在、東京都ではスポーツに参加するだけではなく、見る、支えるということも重要視しております。そういった意味で、支えるに当たって、ボランティアはとても大切なことだと思っております。
 そこで、二〇一七年大会から東京マラソンのボランティア募集の方法を変更したと聞いておりますが、どのような目的で、どのように変更したのかお願いします。

○小室スポーツ推進部長 東京マラソン二〇一七では、多言語対応のボランティアを含む一万三千人のボランティアが活躍いたしました。
 三万六千人のランナーが集い、沿道に百三十九万人の観衆が集まる東京マラソンでは、ボランティア一人一人が安全・安心な大会運営を支える原動力となっております。
 これまで、ボランティアは大会ごとに先着順でエントリーを受け付けておりましたが、二〇一七大会からは登録制を導入しまして、東京マラソン財団オフィシャルボランティアクラブへ登録した方を対象にエントリーを受け付けることといたしました。
 登録制の導入により、継続的なボランティア活動の促進や全体的なスキルアップ、リーダーの人材確保及び育成を行うとともに、経験や障害の有無など参加者の状況に応じた環境を整えまして、ボランティア活動への参加促進を図っていくこととしております。

○白戸委員 ボランティア文化の醸成というのは、二〇一九年、二〇二〇年に向けて非常に大切だというふうに思っております。ぜひともこれからさまざまなトライをしていただきたいなというふうに思うわけです。
 また、二〇一七年からは、マラソンのコースも変更されております。かなり大幅に後半が変更されているんですが、その目的、そして変更後の評価を伺いたいと思います。
 また、コースに関して、今後の指針などがあれば教えていただきたいと思います。

○小室スポーツ推進部長 東京マラソンは、創設十年という節目を迎えたこともあり、二〇一七大会につきましては、この十年で変貌した東京の景観と、その魅力を世界に向けて発信していく新たなコースで実施することといたしました。
 新コースは、神田、日本橋、両国、門前仲町など、文化と歴史の薫り高いまち並みを通り、フィニッシュ地点は創建当時の姿に復元された東京駅舎を背景とした東京駅前、行幸通りといたしました。
 また、競技面におきましても、世界的なマラソンレースの高速化や車椅子レースの国際化など、状況が変化してきていることから、可能な限り平たんで、記録更新が期待できるコースといたしました。
 この結果、東京マラソン二〇一七では、三十二万人を超える過去最高の参加申し込みがあったほか、競技面においても、男女とも国内最高記録を更新するなど、良好な成果が得られました。
 一方、フィニッシュ地点から手荷物受け取りや更衣室までの距離が長いなど、ランナーサービスとして課題を残した面もございます。
 今後は、こうした課題の解消に努めつつ、新コースの定着に向けて、主催者である東京マラソン財団と連携し、取り組んでまいります。

○白戸委員 さて、この東京マラソンですが、非常に経済的なインパクトも大きい、経済効果もたくさん生み出しているというような状態でございます。
 これは非常に東京都としてもありがたいことなんですが、さらに、このスポーツは、子供から大人まで、障害の有無にかかわらず、言語や生活習慣の違いを乗り越えて、誰もがともに楽しみ、ともに競うことができる、世界文化、世界の共通言語だというふうに思っております。
 そういった意味におきまして、このマラソンが国際都市である東京にとって非常に大切なイベント、さらに、国際交流の基点の一つとして考えることができるのではないでしょうか。
 これらは、二〇二〇年にやってくるオリンピック・パラリンピック、二〇一九年にやってきますラグビーワールドカップも同様だと思います。
 それでは、このような国際イベント、東京マラソンを通じまして、どのように二〇二〇年に向けて機運醸成をしていくのか、このあたりの所見を伺いたいと思います。

○小室スポーツ推進部長 東京マラソンは、三万六千人のランナーが駆け抜け、一万三千人のボランティアが支え、百三十九万人の観衆が沿道に集まることなどから、東京の魅力を国内外に発信する大きな機会であると認識しております。
 こうした特徴を生かし、東京マラソンの主催者である東京マラソン財団は、ことしの四月、東京二〇二〇組織委員会と二〇二〇年大会の成功に向けた協定を締結いたしました。
 この協定では、組織委員会と東京マラソン財団がそれぞれのノウハウ、実績等を活用し、相互に連携協力体制を構築していくこととしており、国内PR活動なども連携して取り組んでおります。
 また、都もみずから主催するランナー応援イベント、マラソン祭りにおきまして、二〇二〇年大会を積極的にアピールするなど、東京マラソンを通じた機運醸成に努めてまいります。

○白戸委員 ありがとうございます。スポンサーの問題等々ありまして、非常に簡単ではないことはこちらも理解しております。しかし、オリンピック・パラリンピックという大きな目標達成のために、ぜひここは引き続き努力をいただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 日本スポーツ振興センター、JSCが、新国立競技場の設置本部の発表で、新国立競技場内に予定されている駐輪場は一カ所で九十五台ということが発表されています。
 昨今の自転車需要の増大を考えると、最大八万人入るというスタジアムに九十五台というのは、どうも少な過ぎるんではないか。もちろん、オリンピック・パラリンピックの期間中は、警備の関係上、施設内の自転車置き場を使うということは非常に難しいですが、ただ、この施設は終了後も使うということを考えると、ちょっと最初の設計段階でこれは少ないんじゃないかなと。
 もちろん、この施設自体は東京都の施設ではないので、この議論はここではできないのが残念ですが、ただ、国では自転車活用推進法が制定されまして、都内でも区を超えたシェアサイクルが進むなど、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに向けて、自転車走行環境の整備が急速に進んでおります。
 環境的な配慮、エネルギーの問題、健康への配慮などを考慮しますと、今後、自転車利用数の増大は確実だと思われます。
 そんな中で、今回、都が新たに建設するほかの施設に関して、どのような駐輪場の整備を進めていくのか、オリンピック・パラリンピック時はともかく、特にその後の一般使用を見込んだ駐輪場の整備が大切だと思われますが、いかがでしょうか。

○草野施設整備担当部長 整備を進めております新規恒久施設の自転車駐車場等につきましては、区市が定めます自転車駐車場に関する条例等を踏まえるとともに、自転車での来場状況や施設内外の駐輪状況等を調査し、さらに、敷地の状況や将来開催されるイベントなども考慮して、区市や交通管理者である警察と協議して整備計画を決定しております。
 各施設とも関係機関との連携を密にしながら、二〇二〇年大会開催に向けて、引き続き着実に工事を進めてまいります。

○白戸委員 では、大会後に一般での利用頻度が非常に高いと思われる施設、特に有明アリーナ、アクアティクスセンター、有明テニスの森、この三つに関して、少し具体的な計画を教えていただければと思います。

○草野施設整備担当部長 ただいまお尋ねの三施設におけます自転車駐車場等の整備についてでございますけれども、まず、オリンピックアクアティクスセンターでは、本施設と近接します東京辰巳国際水泳場での現地調査を踏まえまして、六十台分を整備することとしております。
 次に、有明テニスの森についてでございますけれども、既存施設への自転車での来場状況ですとか、施設内外の駐輪状況の調査等を踏まえまして、四十台分を整備することとしております。
 また、有明アリーナでは類似の事例がなかったことから、江東区の自転車の放置防止及び自転車駐車場の整備に関する条例を踏まえまして、地元区や警察と協議し、百六十五台の自転車駐車場を整備することとしております。
 なお、有明コロシアムにおきましては、大規模なイベント等が開催される際には、これまでも主催者や指定管理者が公園内に必要に応じて臨時の自転車駐車場等を設けることで対応しているところでございます。
 今後、有明コロシアムを含めまして、都が整備する新規恒久施設について、大規模なイベント等の開催時に適切な対応がなされるよう、施設管理者等と連携して検討してまいります。

○白戸委員 ぜひオリンピック・パラリンピック時だけではなくて、その終了後の一般利用を含めまして、近隣に迷惑がかからないような整備をお願いしたいと思います。
 最後の質問に移ります。
 以前、九月ですか、東京新聞の記事で秩父宮記念スポーツ博物館の移転白紙という報道が出ました。
 この博物館は、皆さんご存じのとおり、一九六四年の東京オリンピック関連の品々が保存、展示されていて、当時を知る大変貴重な場所でもありました。本来なら二〇二〇年を迎えるこの時期にこそ、多くの方に見てもらうべきものだというふうに思っているんですが、貴重な資料の数々をこのままお蔵入りさせてしまってもいいのかというところなんです。
 しかし、これは今のところ報道では、展示を再開するどころか、廃止というような報道までされているのが現状でございます。
 もちろん、こちらも実はこのJSCの所有物でありまして、東京都のものではないので、東京都が今意見することはできないんですが、ただ、貴重な東京オリンピックの資料であることは間違いありません。
 この件、まず東京都としてどのように考えるのか、そして東京都は何かできることはないんでしょうか、所見を伺います。

○田中運営担当部長 日本スポーツ振興センター、JSCが所管する秩父宮記念スポーツ博物館・図書館では、一九六四年の大会のメダル、聖火リレー用のトーチなどの記念品、式典用品や大会運営の記録を保管しております。
 建てかえ工事に伴い解体される前の国立競技場では、資料等を常設で展示しておりましたが、競技場建てかえに伴いまして、現在は全国で巡回展事業等を実施しております。
 秩父宮スポーツ記念博物館・図書館の今後の運営につきましては検討中と聞いておりまして、都としては検討状況を注視しているところでございます。

○白戸委員 ありがとうございます。ぜひ大切な資料であるということなので、そして、これこそが一つのレガシーだと思います。都民、国民に見てもらえるように、積極的に東京都からも働きかけていただきたいなというふうに思います
 一方、二〇〇二年に国際オリンピック委員会がオリンピックの開催都市並びに開催国に遺産を残すことを推進するということをオリンピック憲章に書き加えております。東京でも、そのレガシーを後世に残し、伝えていくことをテーマに挙げております。これは、施設はもちろんですが、このような関連の品々も大切な資料だと思います。
 そこで、お尋ねします。
 これからやってくる二〇二〇年大会の関連の資料保存、展示などに関してどうなっているんでしょうか。前回の資料がこのような状態であるがゆえに、非常に気になるところではあります。ぜひ所見をお伺いします。

○田中運営担当部長 都、IOC、組織委員会、JOCが遵守すべき合意書であります開催都市契約等におきまして、大会のレガシーを将来に引き継ぐため、組織委員会は都、IOC、JOC等との合意の上、大会の資料等について、保存する組織を含めた計画を大会までに作成することを求められております。
 また、JOCはオリンピック大会の関連資料を展示する日本オリンピックミュージアムを平成三十一年九月に設立することとしております。
 都といたしましては、組織委員会、JOC等と連携いたしまして、大会後、将来に引き継ぐべき資料が確実に保存され、広く利活用されるよう適切に対応してまいります。

○白戸委員 ぜひこのレガシー、大切な資料の品々を活用できるように検討いただきたいなというふうに思っております。
 これは個人的なことなんですが、今回の二〇二〇年のものと、一九六四年の前回の東京大会のものと一緒に展示をすると非常に興味をそそる、歴史を振り返るためにおもしろいものになるんではないかなというふうには思っておりますが、これは私の所見であります。また、一つ覚えていただければと思います。
 これにて質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

○大松委員 私からは、東京体育館のバリアフリー化の改修工事について質問します。
 都議会公明党は、パラリンピックの成功なくしてオリンピックの成功なし、これをモットーに二〇二〇年大会の競技会場を初めとしたユニバーサルデザインのまちづくりを推進しております。
 東京都におかれましては、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会とともに、大会運営におけるハード、ソフト両面のバリアフリー化の指針でありますTokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインの作成に取り組んでこられまして、そして、この大会で使用する都立の競技施設が、障害のある方々の目線に立った設計になるよう、学識経験者や障害者団体等によるアクセシビリティーワークショップを設置して、関係者の意見聴取を進めております。
 バリアフリー化を進めていくに当たりましては、やはり車椅子使用者など、当事者の声をよく聞いていくということが最も大切でございまして、こうしたワークショップにおける取り組みをしっかり進めていただきたいと思っております。
 そこで、この東京体育館につきましては、二〇二〇年大会では、卓球のオリンピック・パラリンピックの競技会場になりますことから、アクセシビリティーワークショップが、これまでに現地調査とともに、既存施設の現状を踏まえ、バリアフリー化に向けた、より具体的な議論を行ってきたと聞いております。こうした議論も踏まえまして、東京都は先般、東京体育館の改修整備計画をまとめたとの報告もございました。
 私も先日、この東京体育館を視察してまいりまして、パラリンピックの競技会場として使用されますので、車椅子使用者の動線や多機能トイレの確保は当然のことといたしまして、選手が使う更衣室にも車椅子使用者が利用できるトイレやシャワーを備えていかなければなりません。先日、視察した際には、選手更衣室には車椅子使用者用のシャワーブースやトイレはまだ設置されておりませんでしたけれども、改修工事では更衣室のシャワーなどについて、配慮がなされるものと聞いております。
 この点につきまして、都の具体的な取り組みについて所見を求めます。

○藤木スポーツ施設担当部長 大会時のバリアフリーに関する指針として、本年三月に策定されましたTokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインでは、選手更衣室には車椅子使用者が利用できるトイレやシャワーを設けることが望ましいとされております。
 今回の改修では、駐車場から段差なくアクセスが可能なサブアリーナの更衣室に車椅子対応トイレを男女各一カ所、車椅子が展開可能なシャワーブースを男女各二カ所整備いたします。
 さらに、更衣室出入り口の間口の拡幅や更衣室からシャワーブースに至る段差解消も行ってまいります。
 これらによりまして、駐車場から更衣室、メーンアリーナ、サブアリーナまで円滑に移動できる選手動線を確保し、障害者アスリートが快適に競技に取り組める環境を整備してまいります。

○大松委員 先日、行った際も確認をいたしましたけれども、千駄ケ谷駅前から東京体育館に入退場する外部スロープの幅が狭いため、車椅子同士がすれ違うことが非常に困難であります。
 今回の改修工事では、車椅子席の増設を行うとのことでありますけれども、車椅子の使用者の方がお互いにぶつかり合うことのないように、安全に、スムーズに移動ができる動線を確保していかなければなりません。
 この点につきまして、都の取り組みについて見解を求めます。

○藤木スポーツ施設担当部長 東京体育館のメーンアリーナの車椅子席は、現状、二階に二十九席ございます。改修後は二階に五十五席とするとともに、車椅子席と同数の同伴者席を整備いたします。
 現状、車椅子使用者は二階の車椅子席に行くために、メーンアリーナ正面入り口に向かって左側にある既存スロープを利用いたしますが、スロープの幅員は一・五メートルであるため、車椅子使用者同士がすれ違うことは困難でございます。
 このため、今回の改修では、既存スロープに隣接した位置に二十四人乗りのエレベーターを一基増設するとともに、メーンアリーナ正面入り口に向かって右側に車椅子使用者同士がすれ違える幅員一・八メートル以上のスロープを増設いたします。
 また、スロープが二カ所となることで、入場時は既存のスロープを、退場時は新設のスロープを利用するといった車椅子使用者同士のすれ違いを発生させない運用が可能となります。
 大規模な大会やイベントでは、車椅子使用者を含む多くの障害者が訪れることが想定されますが、そうした状況におきましても、誰もが安心して安全に利用できるよう改修工事を進めてまいります。

○大松委員 この東京体育館のバリアフリー化につきましては、私ども都議会公明党にも車椅子を使用する方々からさまざまな要望を寄せていただいております。
 より利用しやすくなりますように、車椅子使用者の方々の声をよく聞きながら、よりきめの細かい配慮を行うように重ねて求めておきたいと思います。
 最後に、視覚、聴覚、知的、精神障害のある方々への配慮も必要であります。
 この点につきまして、都の取り組みについて答弁を求めまして、私の質問を終わります。

○藤木スポーツ施設担当部長 二〇二〇年大会の会場となる東京体育館の改修に当たりましては、アクセシビリティ・ガイドラインを踏まえ、より高いレベルのバリアフリー化を進めてまいります。
 具体的には、視覚障害者への対応として、点状ブロックにより段差等の注意喚起を行うとともに、段差の先端部を踏み面と色のコントラストをつけたものといたします。また、各所への点字表示や音声誘導装置等の設置を行ってまいります。
 聴覚障害者への対応としては、トイレなどへの光警報装置の設置や、デジタルサイネージを含む各種案内板の設置を行ってまいります。
 知的障害者や精神障害者への対応としては、周囲に気兼ねなく観覧できる区画された観覧席を設置するなど、障害の有無にかかわらず、全ての人々にとって利用しやすい施設となるよう改修工事を進めてまいります。

○古賀委員 平成三十二年東京五輪の自転車ロードレースと事前キャンプについて質問いたします。簡単に行います。
 昨日の新聞二紙に、自転車ロードレースのコースについて記事が発表されました。自転車ロードレースについて、大会組織委員会は、東京都心をめぐる現行案から、山梨県の山中湖を経由して富士山に至るコースに変更する方針を固めたという同趣旨の記事であります。
 この自転車ロードレースのコースについては、当初、立候補ファイルで案が示され、その後、競技団体の意見等を踏まえて、都内でのコース設定等が発表されてきたわけでありますけれども、現状、自転車ロードレースのコースの検討はどのようになっているのか、伺います。

○小野競技・渉外担当部長 自転車ロードレースのコースにつきましては、立候補ファイル時のものも基本としつつ、高低差など、競技性の観点を踏まえたよりよいコースとなるよう組織委員会を中心とし、都も連携しながら、国際、国内競技団体、交通管理者、道路管理者など関係者と調整を進めているところでございます。

○古賀委員 ことしの六月に、多摩地域の五市及び相模原市から連名で自転車ロードレースのコースの誘致に関する要望書が出されました。
 要望書は、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長森喜朗殿と、もちろん東京都知事小池百合子殿ということで、同内容のものがそれぞれの組織に出されたわけであります。
 ちょっとかいつまんで申し上げますと、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会における自転車競技ロードレースコースの誘致に関する要望書となっております。
 内容は、多摩地域は一九六四年に開催された東京オリンピックの自転車競技トラックレース及びロードレースの会場となった地域であり、特にロードレースの周回コースとして、各国のオリンピアンが駆け抜けた甲州街道や高尾街道は、地元ではオリンピック道路の名で親しまれ、今なおオリンピックレガシーが残っている地域です。スポーツ祭東京二〇一三においても、これは多摩国体のことですが、多摩地域がロードレースの会場となるなど、多摩地域は、豊かな自然を有し適度な起伏があることから、昨今、自転車の聖地として多くの愛好家が集う地域でもあります。東京二〇二〇大会における自転車競技ロードレースのコース決定に当たりましては、一九六四年のオリンピックレガシーである多摩地域の甲州街道沿道五市及び相模原市を経由したプランを検討いただきますよう、何とぞよろしくお願い申し上げますというものであります。
 ちなみに五市というのは、石森孝志八王子市長、大坪冬彦日野市長、清水庄平立川市長、永見理夫国立市長、高野律雄府中市長、加えて加山俊夫相模原市長ということになっているわけです。
 この要望書が都及び組織委員会に出されているわけでありますけれども、これについての都の見解はいかがでしょうか。

○小野競技・渉外担当部長 自転車ロードレースに関しまして、委員のお話のとおり、多摩地域の市から要望をいただいており、地元における大きな期待につきましては、都としても承知しておりまして、組織委員会とも認識を共有しているところでございます。
 コースにつきましては、立候補ファイル時のものも基本としつつ、競技性の観点も踏まえたよりよいコースとなるよう、組織委員会を中心に国際競技団体等と調整を進めているところでございます。
 このほか、現在、多摩地域ではバドミントン、近代五種、ラグビー、車椅子バスケットボールなどの競技会場といたしまして、東京スタジアム及び武蔵野の森総合スポーツプラザが決定しております。
 都内全域で一体感を持って大会を盛り上げていけるよう、組織委員会と連携し、準備を進めてまいります。

○古賀委員 この多摩地域の五市の要望、並びに相模原市も加わっているわけでありますけれども、富士スピードウェイ、これは静岡県ですけれども、ここをゴールとする東京、神奈川、山梨、静岡、一都三県にまたがるコースは、なかなか魅力に富んだものだというふうに私は思うんですね。
 こういった多摩地域の自治体の要望もあるわけでありますので、ぜひそれが実現するように都の取り組みをお願いしたいと思うんですが、最終的にはいつ決定するのか、いつ公表されるのか、いかがでしょうか。

○小野競技・渉外担当部長 コースの決定等に関するスケジュールでございますけれども、組織委員会からは、来年の二月に国際競技団体によるコースの承認を得られるよう、調整を進めていると聞いております。
 都といたしましては、引き続き組織委員会と連携し、早期にコースを決定、公表できるよう、国際、国内競技団体や交通管理者等との調整を進めてまいります。

○古賀委員 それぞれの自治体の住民にすれば、我がまちをオリンピアンが駆け抜ける、オリンピックの開催に直接かかわるという、その期待は大変大きいわけでありまして、今回、もしこの案が実現すれば、この案というのは私が先ほど読み上げた要望書ですけれども、山梨県が加わることによって、都外の開催自治体は九道県となるわけでありますので、オリンピックを全国で、復興支援成った日本を見てもらうという意味で、多くの国民がかかわるという点でも、非常に魅力ある大会にするためには実現してほしい内容でありますので、都のこの実現に向けての汗を大いに流していただくことを期待申し上げて、次の質問といたします。
 事前キャンプについてでありますけれども、昭和三十九年のアジアで初めての東京オリンピックはパラリンピックも開かれて、オリンピックとパラリンピックを同時に開催する二度目の初めての都市ということに東京はなるわけでありますけれども、その大会まで既に千日を切っております。
 いろいろ競技会場の整備のニュースも毎回報道されるわけでありますけれども、先ほどの質問とも関連しますけれども、多摩地域においても、大会の機運を盛り上げるためにさまざまな取り組みを、私がかかわっております体育協会でも取り組んでいるところです。
 その一つとして、事前キャンプの誘致が実現をすれば、多摩地域のオリンピック成功へ向けての機運の盛り上げにも大変効果が期待できるわけであります。
 多摩地域にこだわって恐縮なんですけれども、多摩地域への事前キャンプ誘致に向けて、東京都はどのようにオリ・パラ局は支援を行っているのか、お聞かせください。

○小池自治体調整担当部長 事前キャンプの実施につきましては、地域において大会への関心が高まるだけでなく、地域振興や国際交流の促進、スポーツの振興など、大会後にもさまざまなレガシーが期待される取り組みでございます。
 このため、都は、多摩地域を含めましてキャンプの誘致を希望する都内市区町村のスポーツ施設などを掲載したホームページを運用するなど、情報発信を行いますとともに、海外の各国オリンピック委員会などによる視察の受け入れに係る調整を行ってまいりました。
 また、市区町村施設のPR資料の作成など、ソフト事業に対する補助を行いますとともに、キャンプの誘致に係る施設整備など、ハード事業に対する補助事業を創設いたしまして、各自治体の受け入れ体制整備に対し財政支援を行っているところでございます。
 今後も都内で開催されるオリンピック関係の国際会議の場なども活用いたしましてPRに努めるなど、市区町村のニーズを踏まえながら、事前キャンプの誘致が実現するよう、引き続き支援を行ってまいります。

○古賀委員 私は、地元は日野市なんですけれども、いろいろ競技は多種にわたるわけでありますけれども、できれば今回、平成三十二年大会で、開催都市として新規に空手道が競技として採用されましたので、空手道の事前キャンプ等に日野市は力を入れていきたいということを市長も表明しているわけです。
 実は、日野市は皆さんご存じのように、平成二十五年のスポーツ祭東京二〇一三、東京多摩国体の空手道の競技が行われた、市民の森ふれあいホールを整備してやったわけですけれども、そういう一つの実績もあるわけです。
 空手道は今まで、平成二十年、二〇〇八年の北京、それから平成二十四年、二〇一二年のロンドン、平成二十八年、二〇一六年のリオデジャネイロ、三度、候補に上がりながら苦汁を味わってきたわけでありますけれども、今回、平成二十八年、去年の八月のIOC総会で、空手道が他の五競技とともに採用されるということになりました。
 柔道は一回で終わる予定が今の世界の柔道となって残ったわけでありますので、日本発祥の武道として空手道もぜひ今後とも残していきたいと。
 東京の後は、今度、フランスのパリですので、ヨーロッパも大変空手道が盛んなんですよね。ですから、多分、パリ大会でも空手道は残るのではないかという期待を持っているんですけれども、ぜひそういう思いを私たち地元で持っておりますので、都としての支援をお願い申し上げたいというふうに思います。
 最初に日本で空手道の世界大会を開いたのは昭和四十五年なんですね。このときはまだ全日本空手道連盟の会長は笹川良一さんで、日本武道館で大会をやり、やがてはオリンピック競技にしようという夢をお互いに語りながらこの大会をやって、以来四十六年にして東京五輪の正式競技ということになり、悲願を達成したわけです。
 現在、世界空手道連盟に、これ、WKFというんですけれども、参加しているのは百九十一カ国の国と地域が加盟をして、競技人口、空手道は六千万人を超えているわけです。世界大会もちゃんとやっておりますし、アジア・オリンピック、アジア大会の正式競技としても長く実績があるわけです。
 ぜひそういう思いで私たちは取り組んでおりますので、引き続き多摩地域全体の事前キャンプの実現と、こういった地元の多摩地域の要望があるということを踏まえて、東京都においても、オリ・パラ局、力を尽くしていただくことをお願いして、私の質問を終わります。

○池川委員 私からは、初めにストリートスポーツについて質問したいと思います。
 ストリートスポーツ、アクションスポーツ、エクストリームスポーツなど、さまざまな名称が使われていますが、小さい子供から若者を中心に広がっている、例えばスケートボード、BMX、スポーツクライミングなど、これはオリンピックになった競技です。
 それ以外にもパルクールとかダブルダッチ、ヒューマンビートボックス、ブレイクダンス、このほかにもさまざまなジャンルのスポーツが、こうしたストリートスポーツやアクションスポーツというふうに呼ばれています。
 こうしたスポーツの裾野を広げ、取り組みを競技者や競技団体とともに話し合い、具体化していくことを進めていただきたいということで、今回質問させていただきます。
 現在、東京都が策定中の東京都スポーツ推進総合計画(仮称)では、都民の行動変容を促す施策の考え方の中で、関心、準備期から実行期に向けたステップとして、実行促進策の展開、誰もが参加可能なイベントの開催や、身近な場所でスポーツができる場所の整備等により、スポーツ活動を始めるきっかけをつくりますというふうに示されています。
 二〇一五年十月、オリンピックの追加種目が決まった当時、競技担当部長は議会の中で、スケートボードはストリートスポーツの代表格として、抜群の若者へのアピール力により、オリンピックの価値を若い世代へ訴求できる可能性が期待できること、スポーツクライミングは若者へのアピール力とともに、都心のスポーツとしての人気も高く、他の競技には見られない垂直方向へ登る力を競い合うという特徴が大会に新鮮味を与えると期待されると説明をされています。
 オリンピックを一つのきっかけとして競技人口を広げたり、また、現在携わっている方々の支援を強めることが必要だと思います。
 ストリートスポーツは、スポーツという側面とともに、若者の文化、カルチャー、アート、ファッションとしての側面があります。ストリートスポーツは、大会出場上位者のうち、十代が大半ということも珍しくない競技です。ストリートカルチャーを発信することは、多様性の厚みを増すことにもつながります。
 また、このストリートスポーツに対するリスペクトがコミュニケーションを生み、新たに競技者を広げていく力になっているということも、この間、実際に競技をされている方からも伺ってまいりました。
 いろいろと述べてまいりましたが、東京都としてストリートスポーツに対する支援策が今どうなっているのか、伺いたいと思います。

○小室スポーツ推進部長 都は、平成二十八年度に東京アスリート認定制度を創設いたしまして、オリンピック競技などの国際大会を目指す選手を認定し、ホームページなどで紹介するとともに、海外遠征費を補助するなどの支援を行っております。
 平成二十九年度は、二〇二〇年大会で実施されますBMXフリースタイルやスポーツクライミングを含む三十一競技団体、二百十五名を認定しました。
 また、都民のスポーツ実施率向上に向けた都主催のスポーツイベントにおきましては、ボルダリング体験を初めとするさまざまなスポーツの普及啓発に努めております。

○池川委員 トップアスリートに対するさまざまな支援策とともに、体験を通じて競技人口をふやしたり、その普及啓発を図っているという答弁でした。
 ストリートスポーツを安全に行うことができる場所をふやすことは、競技人口をふやす上で大変重要です。この間、スケートボードの普及に取り組む方から話を伺いましたが、やはり場所の確保というのが一番の課題だということを伺いました。
 スケートボードの魅力についていろいろと話してくれましたが、私は競技の魅力とともに、同じスポーツを行うことで人間関係を構築することが大きな魅力になっているということも、このストリートスポーツの特徴だということを感じました。
 スケートボードという共通の趣味を持つ仲間とめぐり合うことで、学校とも違う、習い事とも違う心地よい関係を築き、時には支えたり励まし合ったりする中で、人生の経験の中で、その期間はとても重要だったということでした。その後、飲食店を開業することになったという話を伺い、そのときにも、その当時のスケートボードの仲間が支えてくれ、その存在がとても大きかったといいます。
 この方の話も伺って、身近に安心してスケートボードをやれる場所があったことがその起点だったというふうに思います。特に子供たちが安心してストリートスポーツを行うことができる場所について、強く求められています。
 しかし、一方でさまざまなストリートスポーツに対する誤解から来るものも含めて、苦情等が寄せられるケースも少なくありません。あるスケボーチームが、清掃活動を定期的に行って、そうした姿勢を市民の皆さんにしっかりと共有する中で、その市民の皆さんからも評価をされている、お互いにそうした取り組みを通じて、なるべくスポーツをやる環境を整えていくという話も伺って、スポーツを通じて人と人がつながっていくということを聞いたことは大変うれしいことでもありました。
 こうしたストリートスポーツを広げ、裾野を広げるための策として、場所の確保が大きな課題になっています。スポーツクライミングの場合は、施設の整備、またイベントの実施に対する支援が必要だということも伺っています。
 施設整備に対して、また、イベントに対して、東京都として、補助金を初めさまざまな支援策をとってスポーツの普及に努めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○川瀬スポーツ計画担当部長ラグビーワールドカップ会場運営担当部長国際大会準備担当部長兼務
 都は、二〇二〇年大会の成功に向けて、市区町村が主体的に実施するスポーツ振興や、地域活性化につながる事業に対して、ハード、ソフトの両面から補助による支援を行っております。
 ハード事業につきましては、競技スペースを拡大する工事、利用時間の延長等の利用機会拡大に資する工事や、誰もが利用しやすい環境を整備するバリアフリー工事を対象として、市区町村が行う施設整備に対して支援しております。
 ソフト事業につきましては、スポーツの普及啓発を図るために、市区町村が実施する競技体験イベントの開催等を支援しております。
 スポーツクライミングを含め、ストリートスポーツの裾野を広げるための施設整備やイベント実施についても、補助要件に該当する場合には支援を行ってまいります。

○池川委員 このストリートスポーツにかかわっている方は、大変若いのが特徴です。なので、いわゆる既存の団体や何か組織を構築して、そうした中でさまざまな要望等を行うということがなかなか難しい状況になっているということも、今、このスポーツを大きく広げていく上での課題になっているのかなということも伺ってきたところです。
 ある自治体では、スケートボードをやる場所の照明設備を新たに設置して、時間を延ばして利用すること等が今議論にもなっているという話も伺いましたので、ぜひストリートスポーツの裾野を広げるために、東京都自身の取り組みとともに、区市町村とも連携をして、裾野が広がるよう求めておきたいと思います。
 次に、多摩障害者スポーツセンターの改築に伴う対応について伺いたいと思います。
 多摩障害者スポーツセンターが二〇一八年三月から二〇一九年六月まで改修工事となります。この期間の代替施設として、プール、宿泊棟など、一部を除き東京スタジアム内の体育施設で運営を予定するということが先日も発表になりました。
 主な施設として、体育室、トレーニング室、卓球室、集会室などとなっています。東京スタジアムは、大規模イベントが行われることが多く、日常的に使っていない障害者の方々にとっては大変不安があるという声も伺っております。
 多摩障害者スポーツセンターの改修時に代替施設となっている東京スタジアムに行く際、飛田給駅からの誘導ブロック、送迎バスの運行、人による誘導など、サポート体制が必要だというふうに直接当事者の方からも伺いましたが、都としても、こうした当事者の皆さんの声も聞きながら、ぜひ具体化を図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○小室スポーツ推進部長 ただいまお話のございました代替施設へのアクセスにつきましては、利用者の利便性やアクセシビリティーの確保が重要でありますことから、利用者団体などとの意見交換を行っているところでございます。
 引き続き、障害のある方にとって、より利用しやすい施設となるよう、関係者と調整を進めてまいります。

○池川委員 ぜひ当事者の方との協議も通じて、現地でやっぱりお互い確認をしながらどういうのが必要かということが、こうした改善に大きくつながると思いますので、ぜひ進めていただきたいというふうに思います。
 とはいえ、代替施設の運営期間、これ、二〇一八年四月十日からとなっておりまして、余り期間がないというのも実態でありますので、早期に対応していただきたいということを重ねて求めておきます。
 先ほど、休館のお知らせでも述べたとおり、プールについては、まだ代替施設が決定をされていません。障害者の方々にとって、プールは大変ニーズが高く、安心して泳ぐことができる場所を求める声は強いものがあります。
 多摩障害者スポーツセンターのプール利用者からは、いつになったら代替施設の見通しがつくのかという声も伺っております。
 身体障害者の機能維持、回復のために、週一回から二回、もしくは毎日通っている方まで、多くの方が利用し、貴重な役割を果たしているのが、この多摩障害者スポーツセンターのプールとなっています。
 休館期間に安全に利用できるプールを確保すること、代替施設の確保という点では、武蔵野の森総合スポーツプラザ内のプール施設の利用というのが現実的な提案だと私は思っています。
 多摩障害者スポーツセンターの改修の際、プールの代替施設の確保が必要です。安心・安全の場所で継続してプールの利用ができるよう、都としても代替施設を確保すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○小室スポーツ推進部長 東京都多摩障害者スポーツセンターは、竣工後、三十年以上が経過し、経年による施設の老朽化が著しい状況でございます。
 そのため、老朽化対策、利便性や快適性の向上、競技力向上などの観点から、現施設を休館し、改修工事を行うこととしております。
 工事期間中は、プール、宿泊棟などの一部施設を除き、東京スタジアムの室内施設を代替施設として運営する予定でございます。
 プールの利用につきましては、近隣施設などの活用につきまして、指定管理者が調整を行っているところでございます。

○池川委員 これも期間が迫っております。改めて、武蔵野の森総合スポーツプラザを代替施設として確保するよう求めたいと思います。
 また、先ほど米倉委員の質問にもありましたが、特別支援学校のプールを開放することも、この施設の代替施設としての確保にとっては極めて重要だと思いますので、あわせて検討していただきたいということも求めて、質問を終わりたいと思います。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上でオリンピック・パラリンピック準備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時三十五分散会

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