委員長 | 里吉 ゆみ君 |
副委員長 | 川松真一朗君 |
理事 | 大松あきら君 |
理事 | 米倉 春奈君 |
理事 | 木村 基成君 |
けいの信一君 | |
成清梨沙子君 | |
池川 友一君 | |
高倉 良生君 | |
白戸 太朗君 | |
入江のぶこ君 | |
斉藤れいな君 | |
古賀 俊昭君 |
欠席委員 一名
出席説明員教育庁 | 教育長 | 中井 敬三君 |
次長 | 堤 雅史君 | |
教育監 | 出張 吉訓君 | |
総務部長 | 早川 剛生君 | |
都立学校教育部長 | 初宿 和夫君 | |
地域教育支援部長 | 安部 典子君 | |
指導部長 | 増渕 達夫君 | |
人事部長 | 江藤 巧君 | |
福利厚生部長 | 太田 誠一君 | |
教育政策担当部長 オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 古川 浩二君 | |
教育改革推進担当部長 | 増田 正弘君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 浅野 直樹君 | |
指導推進担当部長 | 宇田 剛君 | |
人事企画担当部長 | 鈴木 正一君 |
本日の会議に付した事件
教育庁関係
・事務事業について(質疑)
○里吉委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより教育庁関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○早川総務部長 去る九月十五日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらん願います。
今回要求のございました資料は十二件でございます。
それでは、一ページをお開き願います。1、都内公立小・中学校及び高等学校・特別支援学校の冷房設備設置状況でございます。
学校種別の冷房設備の設置状況について、普通教室、特別教室、体育館等ごとに保有室数、設置室数、設置率をそれぞれ記載してございます。
二ページをお開き願います。2、都内公立小・中学校及び高等学校・特別支援学校の洋式化トイレの設置状況でございます。
学校種別の洋式化トイレの設置状況について、大便器設置台数、洋式大便器設置台数、洋式化率をそれぞれ記載してございます。
三ページをごらんください。3、平成二十九年度における国の標準を下回る学級編制の実施状況についてでございます。
このページから六ページにかけまして、平成二十九年度における国の標準を下回る学級編制の実施状況について、都道府県ごとにそれぞれ記載してございます。
七ページをごらんください。4、学校教職員定数と児童・生徒数の推移(平成二十年度から平成二十九年度まで)でございます。
平成二十年度から平成二十九年度までにおける教職員定数と児童生徒数について、年度別、学校種別にそれぞれ記載してございます。
八ページをお開き願います。5、都立学校の教職員定数配当基準の主な推移(平成二十年度から平成二十九年度まで)でございます。
平成二十年度から平成二十九年度までにおける教職員定数配当基準の主な推移について、このページには都立高等学校全日制を、次の九ページには定時制を、一ページおめくりいただき一〇ページには特別支援学校をそれぞれ記載してございます。
一一ページをごらんください。6、教育管理職選考、四級職(主幹教諭・指導教諭)選考及び主任教諭選考の合格予定者数、受験者数及び合格者数の推移(平成二十年度から平成二十九年度まで)でございます。
平成二十年度から平成二十九年度までにおける教育管理職選考などの選考区分ごとの合格予定者数、受験者数、合格者数を選考年度別にそれぞれ記載してございます。
一二ページをお開き願います。7、教育職員の病気休職者数(平成十八年度から平成二十七年度まで)でございます。
平成十八年度から平成二十七年度までにおける教育職員の病気休職者数について、精神疾患による休職とその他の疾患による休職の区分で、年度別にそれぞれ記載してございます。
一三ページをごらんください。8、都立高等学校における日本語教育が必要な生徒の受入状況及び教職員の配置状況でございます。
(1)から(3)までは、海外帰国生徒、引き揚げ生徒、在京外国人生徒を対象とした入学者選抜の募集人員、受検者数、配置教員数について、入学者選抜の年度別にそれぞれ記載してございます。
また、(4)では、日本語指導が必要な外国人生徒数について、年度別に記載してございます。
一四ページをお開き願います。9、都立学校図書室の司書の配置状況と司書業務が民間委託されている学校でございます。
正規職員配置校数、委託校数等について、年度別にそれぞれ記載してございます。
また、下段の表には、民間委託されている学校について、委託開始年度別に学校名と学校数をそれぞれ記載してございます。
一五ページをごらんください。10、都内公立小・中学校及び高等学校の学校司書配置状況(文部科学省調査)並びに都内公立小・中学校における学校図書館図書標準の達成状況(区市町村別)でございます。
このページには、平成二十八年度における都内公立小中高等学校の学校数、学校司書の配置学校数、割合について、校種別に記載してございます。
次の一六ページには、都内公立小中学校において、学校図書館図書標準を達成している学校数が全学校に占める割合について、区市町村別、都立中学校は学校別にそれぞれ記載してございます。
一七ページをごらんください。11、都立図書館の録音図書・点訳図書等の蔵書数(平成二十四年度から平成二十八年度まで)でございます。
平成二十四年度から平成二十八年度までにおける都立中央図書館と都立多摩図書館とで所蔵する録音図書、点訳図書、拡大写本について、タイトル数と数量を年度別にそれぞれ記載してございます。
一八ページをお開き願います。12、文化財保護費の推移(平成十九年度から平成二十八年度まで)でございます。
平成十九年度から平成二十八年度までにおける文化財保護費の予算額及び決算額について、年度別にそれぞれ記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○里吉委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○入江委員 子供たちがさまざまな体験をすることで、その子供の得意な能力が開発され、将来を担う人材の育成につながるという観点から、二つの事項について質問いたします。
グローバルな人材を育成するために、小学校から生きた英会話に接する機会をつくり、子供たちに無理なく習得してもらうことが重要と考えます。
体験型英語学習施設、TOKYO GLOBAL GATEWAYが、来年、二〇一八年九月に江東区青海で開業します。都内小学校から高等学校の団体利用を予定しています。
都は、事業施設賃料の全てと開業前の施設改修費用の二分の一について補助金を交付します。
運営を行う事業者は、株式会社TOKYO GLOBAL GATEWAYが選定され、構成員は学研ホールディングス、市進ホールディングス、エデューレエルシーエー、英語教育協議会、博報堂となっています。
私は、民間企業勤務時代に大阪万博跡地に開業した、日本初の民間英語村、大阪イングリッシュビレッジについてかかわることがございました。
幼児から大人まで、アメリカの日常や歴史、文化をテーマにした二十三のシチュエーションルームで、英語ネーティブのインストラクターとともに、テーマに沿った内容を体験していました。
楽しみながらリアルに英語を使い、さらに教育効果を上げるためには、プログラムの充実が重要です。
今回の都教育庁が企画した英語村、TOKYO GLOBAL GATEWAYの進捗状況を伺います。
○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、児童生徒が英語を使用する楽しさや必要性を体感し、学習意欲を高めることができるよう、民間事業者とともにTOKYO GLOBAL GATEWAYの開設に向けて準備をしております。
具体的には、児童生徒が海外生活などを疑似体験できる施設の整備を進めるとともに、日常の生活場面に加え、文化、ビジネス、国際貢献など、多様なテーマに基づくプログラムを開発しております。
また、この事業を広く周知するため、学校や区市町村教育委員会などを対象とした説明会の開催や個別訪問のほか、ウエブサイトや広報紙、チラシ等で情報発信を行っております。
今後は、児童生徒や保護者等に対しても広報活動を拡大してまいります。
○入江委員 小学生から高校生までが、楽しみながら英語でのさまざまな体験ができるという、事業の趣旨を実現するためには、魅力的な内容にしていく必要があります。
都教育委員会では、どのように取り組んでいくのかを伺います。
○宇田指導推進担当部長 TOKYO GLOBAL GATEWAYでは、児童生徒六人から八人という少人数のグループそれぞれに、一人のネーティブスピーカーが入場から退場まで付き添い、発話を促すことなどにより英語が通じたという成功体験が得られるよう工夫してまいります。
また、学校のニーズに応じ、児童生徒の発達段階や学習の習熟度に合わせた内容及び難易度でプログラムを提供するほか、事前事後学習を支援するなど、学校教育と連携して効果を高める内容としてまいります。
さらに、JICA等の国際関係機関やグローバル企業、都教育委員会が覚書を締結している海外教育行政機関等とも連携し、児童生徒が世界に目を向けるきっかけとなる、多彩なプログラムを用意していきます。
今後とも、学校内での授業とは異なるTOKYO GLOBAL GATEWAYならではの魅力的な内容となるよう、事業者とともに着実に開設準備を行ってまいります。
○入江委員 さらなるカリキュラムのブラッシュアップと、各学校への周知を望みます。
さて、二〇二〇年度からの新学習要領では、小学校でのプログラミング教育の必修化が盛り込まれています。
論理的思考力や創造性、問題解決能力を身につけるために、プログラミング教育は重要です。
民間企業がさまざまなプログラミング教材を開発していますが、段階別にニーズに合った良質な教材を選別していくことが必要です。
また、教える側の人材の研修やタブレットPCなど、ICT機器の導入も必須です。
さまざまな課題はまだありますが、IoTやAIが急速に進歩し、社会構造がダイナミックに変化する現在においては、一日も早く小学生にプログラミング教育を実施し、ITリテラシー、つまり情報技術を自分の目的に合わせて正しく活用する方法を無理なく習得してもらいたいです。将来的には、AIに使われるのではなく、AIを使いこなす能力を身につけてほしいと思います。
都教育委員会では、プログラミング教育などの推進に向けた有識者会議を設置し議論を行ったと聞いていますが、その具体的な内容をお伺いします。
○増渕指導部長 都教育委員会は、平成二十九年四月に、高度IT利活用社会における今後の学校教育の在り方に関する有識者会議を設置し、これからの社会で活躍できる人材の育成に向けた学校教育のあり方について検討を行い、十月に提言として報告を受けたところでございます。
この提言の中では、AIと称される人工知能や、IoTと称されるインターネットにつながっている機器等を主体的に活用できる能力など、これからの社会で生きていくために必要な情報活用能力を小学校段階から系統的、体系的に育むことが重要であると示されております。
また、これらの提言を具体化するためには、民間企業等と緊密に連携を図ることが重要であるとの指摘もされています。
○入江委員 小学校と企業が連携した取り組みは既に進められていると聞いていますが、具体的な内容をお伺いします。
○増渕指導部長 都教育委員会は、平成二十九年度、情報教育推進校としてプログラミング教育に取り組む小学校七校を新たに指定し、企業や大学、NPO等と連携した授業研究を支援しております。
具体的には、推進校の実態やニーズに合わせて企業等に授業づくりや教材開発、研修会への助言等の協力を求めることにより、効果的なプログラミング教育の推進を図っています。
今後、推進校での実践内容を紹介する成果発表会を開催するとともに、報告書を配布することにより、取り組みの成果を都内全公立学校に周知してまいります。
○入江委員 この取り組みのさらなる充実と推進を望みます。
そして、小学生、子供たちの早い時期からの能力開発に、都教育委員会もますますご注視していただきたいと心より願います。
終わります。
○けいの委員 よろしくお願いします。
私からは、公立学校におけるトイレの整備、そして空調設備の整備状況について、大きく二点にわたって質問させていただきます。
今から二十年ほど前、暗い、汚い、臭い、怖い、壊れている、いわゆる学校トイレの五Kという報道が取り沙汰されました。
一般家庭のトイレはほとんどが洋式化され、駅や高速道路のサービスエリアなどのパブリックトイレが見違えるようにきれいになっております。
学校施設の整備は、校舎の耐震化が優先されてきた現状があり、社会全体で見ても、学校トイレの整備だけがおくれているのではないかとの危惧がございます。
ある小学校では、校舎の各階に五基あるトイレのうち、洋式が一基のみで、休み時間になると、洋式トイレにだけ行列ができ、時間内に用を足せないことがあるという声を私は聞きました。
全国の公立小中学校の教職員を対象にした調査では、児童生徒たちのために改善が必要と思われる学校設備はとの問いには、トイレと答えた割合が最も多く、六〇%に上りました。
こうした現場の声に対して、現在の都内公立小中学校及び高等学校、特別支援学校のトイレ洋式化の状況についてお尋ねいたします。
○初宿都立学校教育部長 トイレの大便器の総数に対する洋式大便器の割合を、トイレの洋式化率と称しておりますが、その割合は平成二十九年四月一日現在、小中学校で五七・二%、高等学校で四九・〇%、特別支援学校で八〇・二%でございます。
○けいの委員 都全体の普通学校での洋式化率はおよそ五〇%、特別支援校では八〇%という現状とのことですが、洋式化の進捗は区市町村によって差が生じていると聞いております。
このことについて、都としての見解と今後の取り組みについてお伺いします。
○安部地域教育支援部長 公立小中学校の施設等の整備につきましては、学校の設置者である区市町村が整備を行うものであり、トイレの洋式化についても同様でございます。
都としましては、今年度から都独自の補助を開始しており、区市町村がトイレ整備を計画的に進められるよう支援してまいります。
○けいの委員 ありがとうございます。都は、小中学校のトイレ洋式化のために、今年度予算で初めて十三億五千万円の予算をつけていただきました。
公立小中学校について、平成三十二年度までにトイレ洋式化率八〇%以上を目指すという目標を掲げておりますが、改めてこの目標に対しての見解を伺わせていただきます。
○安部地域教育支援部長 これまで、設置者である区市町村がトイレの洋式化を進めてきましたが、その取り組みを促進するため、今年度から都独自の補助を開始したところでございます。
目標につきましては、区市町村のトイレ整備の考え方を踏まえたものであり、平成三十二年度までにトイレの洋式化率八〇%以上を目指し、区市町村を支援してまいります。
○けいの委員 それでは、都立学校におけるトイレ洋式化への取り組みにつきましても教えていただけますでしょうか。
○初宿都立学校教育部長 都立学校では、学校施設全体の改築や大規模改修工事を実施する際、学校の要望で残す最小限の和式トイレ以外は全て洋式とすることといたしまして、計画的に整備を行っております。
また、学校施設全体の改築や大規模改修の際以外にも、老朽化したトイレ設備の改修を毎年度順次実施しておりますが、その際にも同様の考え方によりトイレの洋式化を行っております。
さらに今年度から、トイレの大便器のみを和式から洋式に交換する工事も計画的に実施し、トイレの洋式化を積極的に推進しております。
○けいの委員 ありがとうございました。老朽化による不衛生な状態や和式便器への苦手意識などを理由に、子供たちが利用を我慢したり健康被害が出ないよう着実に進めていただきたいと思います。
学校施設は、万が一の災害の際、避難所としても地域住民を受け入れることが想定されます。上下水道管の損傷時にも利用できるマンホールトイレや、さまざまな状況の方が利用できる多目的トイレも、防災の観点、災害時の観点から全校設置を目指すべきだと考えますが、見解を伺います。
○初宿都立学校教育部長 都立学校では、学校施設全体の改築や大規模改修工事を実施する際に、マンホールトイレや多目的トイレを整備しております。
また、公立小中学校については、区市町村が計画的にマンホールトイレや多目的トイレも含めたトイレ整備を進めることができるよう、今年度から補助を開始いたしました。
○けいの委員 ありがとうございます。洋式化を着実に進めていくと同時に、さらにオストメイト対応トイレなど、障害者等にも目を向けた整備に今後も期待していきたいと思います。
次の質問に入りますが、公立学校の空調設備の整備について幾つかお伺いします。
今もトイレの件で触れさせていただきましたが、学校施設は万が一の災害の際、避難所として地域住民を多く受け入れることになろうかと思います。
教室及び体育館では、長期間にわたって避難生活が続きます。ある新聞報道によると、阪神・淡路大震災では、約三十万人の方が避難生活を送り、避難所が完全閉鎖されたのは七カ月後、東日本大震災のときには、岩手、宮城、福島の三県で合計四十一万人が避難、避難所が閉鎖されるまで、岩手県では七カ月、宮城県では九カ月を要したそうです。
避難生活においては、日々刻々と必要とされる支援が変わっていきます。水や食料、トイレなどの生理的欲求に始まり、長期化するにつれ、心理的欲求が強くなります。プライバシーが十分に確保されず着がえにも不自由をする、他人と寝食をともにする生活にストレスを感じ、そうした被災者は他人のせきやいびき、子供の泣き声で眠れずに体調を崩す人も多く出たそうです。
阪神大震災では、換気が不十分で空気が乾燥したため、避難所でインフルエンザが大流行し、肺炎で亡くなる人が多数出ました。長期にわたる避難生活においては、空調管理も重要であると考えます。
近年、記録的な猛暑日がふえ、エアコンがこれだけ普及している現在の日常生活でさえ、熱中症患者が相次いでおります。いわんや避難生活ともなれば、幼児や高齢者などの避難弱者、体力弱者の衰弱は容易に想像できます。冬の寒さや乾燥もインフルエンザやノロウイルス感染など、二次的被害の懸念も出てまいります。
そこで、避難場所となり得るであろう都内公立小中学校及び高等学校、特別支援学校の冷房設備の設置状況の資料要求が高倉委員からもありましたが、私からは暖房も含めた空調設備の設置状況についてお尋ねいたします。
○初宿都立学校教育部長 平成二十九年四月一日現在、保有室数に対する空調設備設置室数の割合は、小中学校では普通教室九九・九%、特別教室七二・〇%、体育館等八・四%です。
高等学校では、普通教室一〇〇・〇%、特別教室六八・〇%、体育館等四・四%でございます。
最後に、特別支援学校では、普通教室一〇〇・〇%、特別教室九二・二%、体育館等五六・一%でございます。
○けいの委員 ありがとうございました。いずれも普通教室については、ほぼ一〇〇%であるということがわかりました。授業に集中し充実させるとともに、学校生活における生徒の体調管理にも極めて効果的であると思います。
一方で、小中学校の特別教室の空調設置については、区市町村によって進捗に差があると聞いておりますが、改善に向けて、都としてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
○安部地域教育支援部長 公立小中学校の施設等の整備につきましては、学校設置者である区市町村が整備を行うものであり、特別教室の空調設備の設置についても同様でございます。
都としましては、平成三十年度まで都独自の補助を行うことにより、区市町村が計画的に整備を進められるよう支援してまいります。
○けいの委員 ありがとうございました。あわせまして、都立学校についてはどのように特別教室の空調設置に取り組んでいかれるのか、お尋ねいたします。
○初宿都立学校教育部長 都教育委員会では、都立高等学校の物理実験室、化学実験室、生物実験室、調理室、被服室、美術室、工芸室といった特別教室の空調設備の設置について、全校を対象とする事業を平成二十八年度に開始したところでございまして、現在、順次工事に着手しております。
一方、特別支援学校でございますが、こちらにつきましても、幼児、児童生徒の障害の重度重複等の状況に適切に対応した教育環境を整えるため、特別教室の空調化を推進しており、平成三十年度までに整備を進めてまいります。
また、新築や改築等の工事を予定しております特別支援学校につきましては、工事の際に整備することとしております。
○けいの委員 ありがとうございます。特別教室を含む全ての教室について、空調設置を進めていく取り組みがよくわかりました。ありがとうございます。
しかし、最も多くの人数を受け入れられるであろう体育館への空調設置が小中学校で八・四%、高校では四・四%と設置がほとんど進んでおりませんが、体育館の空調設置について、都としてはどのようにお考えであられるか見解を伺います。
○初宿都立学校教育部長 近年、肢体不自由特別支援学校だけでなく、知的障害特別支援学校等の児童生徒も障害の重度重複化、多様化が進み、特に真夏日や猛暑日における健康状態の急変やパニックなどを防止する必要性が高まっております。
加えて、夏季において安全にスポーツに取り組める環境を整えることで、障害のある人のスポーツの普及拡大につながることも期待できます。
こうしたことを踏まえまして、都教育委員会では、特別支援学校の体育館への空調設備の設置を進めており、平成三十年度までに整備を進めてまいります。
また、新築や改築等の工事を予定しております特別支援学校につきましては、工事の際に整備することとしております。
一方、都立高等学校につきましては、体育館が地下にあり換気ができないなどの理由により、例外的に二校において空調設備を整備しております。
区市町村が設置しております公立小中学校の体育館における空調設備の設置につきましては、引き続き国の補助制度を活用して取り組みが図られるよう、区市町村に対し指導助言を行ってまいります。
○けいの委員 特別支援学校の体育館は、三十年度までに完備されるとのことで、大変にすばらしい取り組みだと思います。
反面で、小中学校については、国の補助制度を活用して取り組むよう指導助言していくというご答弁でございました。
学校は、設置者のいかんを問わず、人を育てる教育の城であります。その人を育てる城が、人を守る要塞へと成り行くためにも、今年度から始めた学校トイレ洋式化への都独自の財政支援のように、小中学校体育館への空調設備の設置にも、どうか都の支援をしていただけるよう強く要望し、私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○川松委員 まず、私からは、アクティブラーニングについてお伺いしたいと思います。
アクティブラーニングといえば、今や大学教育の中では当たり前に使用されている言葉であります。それと同時に、小中高という教育の場面でも、日に日にアクティブラーニングの必要性が広がっている、そういう印象を私は持っております。
そもそもアクティブという響きから、何か動きながら授業をすると捉えている方もまだまだいるのが現実でして、このアクティブラーニングというものを多くの人に知ってもらう環境を整えていくということは大変重要ではないかと思っています。
実際、アクティブラーニングというのは、児童生徒、あるいは学生がみずから主体的に、能動的に学んでいくというスタイルを示しており、これまでの、先生が教科書を読んで黒板にポイントをまとめてというような一方通行の授業のあり方ではなく、互いに双方向で学び合うという授業形態が必要であるという議論がこれまでなされてまいりました。
しかしながら、本来は能動的に学ぶというのは、学習者像とすれば当然のことであります。にもかかわらず、今ここに注目が集まるということは、改めてこの教育環境、社会環境を私たちは真摯に受けとめるべきではないでしょうか。
先ほどもお話ししましたように、先生からの一方的な知識伝授が今までは当たり前だった、でも、それにかわる新しい教育方法として、アクティブラーニングを導入しようということで、日本中で注目を集めていますけれども、実際には、現場においてはまだまだ戸惑いや混乱があるというふうな話も伺っております。
まさに、持続発展可能都市東京の根幹を支える都の教育において、教育委員会の指定した都立高校のアクティブラーニング推進校を取り決めたわけですけれども、現在、このアクティブラーニング推進校の取り組みはどうなっているのか、お伺いいたします。
○増渕指導部長 アクティブラーニング推進校では、外部講師を招聘した研修を定期的に行うとともに、教員が、この研修で学んだことを生かし、討論や発表などの言語活動を重視した授業を行い、相互に参観するなどして指導力を高めています。
例えば、生徒の多様な思考を促す発問をしたり、話し合い活動を設けたりすることで、自分とは異なる意見を持つ他者との対話を通じて、物の見方や考え方を広げるための授業を展開しております。
また、推進校では、こうした授業を積極的に公開し、アクティブラーニングの視点を踏まえた指導のあり方について、保護者等にも理解を促しております。
○川松委員 ありがとうございます。まさに保護者の皆さん方、いろんなところで私も指摘をしておりますが、自分たちが受けてきた教育、学校の現場とは違うことがアクティブラーニングでありますから、多くの学校の保護者の、家庭の皆さん方にもご理解いただいて、生徒を伸ばすために何が必要か、まさにこのポイントというのは、アクティブラーニングをより深く各生徒に落とし込んでいくという、このポイントだと思います。
これまでの教育のもとで、学んでこなかった先生たちがやるわけですから大変なことだと思いますけれども、都立高校において、一層効果的にアクティブラーニングを推進できるようにするために、都教育委員会はどうやって取り組んでいこうとするのか教えてください。
○増渕指導部長 都教育委員会は、全ての教員が校内研修等を通して、着実に授業改善を図ることができるよう、アクティブラーニング推進校の昨年度の取り組みを踏まえ、授業の映像をおさめたDVDや取り組みやすい実践事例を掲載した報告書を作成いたしました。
また、本年十二月に研修担当主任教諭などを対象として、全ての都立高校から収集したすぐれた実践事例をもとに、報告会を開催する予定でございます。
こうした取り組みにより、各都立高校がアクティブラーニングを推進していくことができるよう支援してまいります。
○川松委員 ありがとうございます。十二月に報告会を開催するということでございますから、まさにこの場面を十分に活用していただきたいと思います。
また、このアクティブラーニングをなぜ私が必要といっているか、これは大学の入試の改革にもつながる問題かと思います。
これまでの大学の入試というのは、いわゆる知識を中心に問うものでありましたけれども、それぞれの大学が思考力や判断力、あるいは表現力を問うていこう、そういうふうにスタイルを変えている中で、やはりそこに受験生の姿勢というのも変えていかないと、東京で学ぶ生徒たちの将来性、ビジョンに影響を及ぼしていけないという観点から、皆さん方には努力をしていただいて、アクティブラーニングをさらにさらに深めていただきたいと思います。
平成三十二年度の入試からが対象になると思いますけれども、そこに向けてまだ時間があります。しっかりと一日一日、一歩ずつ生徒たちのためにアクティブラーニングを皆さんと一緒に推進させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
さて、次はオリンピック・パラリンピック教育についてお伺いをいたしますが、いよいよ二〇二〇年の東京オリンピック競技大会まで、あと千日を切りました。パラリンピックに向けても、今月、千日前を迎えるわけです。
二〇一三年の九月に二〇二〇年東京オリンピック競技大会、パラリンピック競技大会の開催、東京でやるということが決まって以来、私たち都議会自民党は、グローバル人材を育てていく、そういう観点からも含め、オリ・パラ教育は重要であるということを訴えてまいりました。
実際に日本の過去の例を見てみますと、ほぼ二十年前、九八年の二月に行われた長野オリンピックの事例が一番わかりやすいというふうにいわれておりますが、長野では一校一国運動を展開され、大変な効果があったというふうに報告があります。それぞれの学校や子供たちの発想を大切にして、独自性、自主性を尊重した学習を全校で実施してきたのが長野であります。
その一校一国運動を振り返ってみますと、実は大会の二年前から始まっていました。それよりも早く東京はオリ・パラ教育を推進してきたわけであります。各学校がさまざまな努力、工夫を重ねて、どうやって二〇二〇年の大会を迎えていこうか、取り組まれているところであります。
このオリ・パラ教育について、都教育委員会は、昨年度から全ての公立学校でオリンピック・パラリンピック教育が展開されているというふうに私は認識をしておりますが、これまで各学校で行ってきた具体的な取り組みはいかがだったんでしょうか。
○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、オリンピック・パラリンピック教育で育成すべき資質としてボランティアマインド、障害者理解、スポーツ志向、日本人としての自覚と誇り、豊かな国際感覚の五つを示しておりまして、各学校の実態に応じて、これらの中から重点を定めて取り組むよう指導しております。
具体的には、地域清掃等のボランティア活動やパラスポーツ体験を通して、児童生徒は互いに認め合う心や社会に貢献しようとする態度を身につけております。
また、オリンピアン、パラリンピアン等、アスリートとの交流を通して、一流アスリートの卓越性や競技の魅力を体感し、スポーツへの関心や意欲を高めております。
さらに、海外の学校とのメール等による交流に加えて、学校紹介のビデオレターや、自国の伝統工芸品の交換などを通して、異文化を尊重し、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を身につけております。
○川松委員 ありがとうございます。まさに、ここ、力を入れて進めていただきたいんですが、長野の例を見ると、長野オリンピックが終わった後もオリ・パラ教育を続けていて、実際に現在においても大会時の交流国と相互に訪問をされている、そういった学校もあるわけです。
この長野の事例を考えると、私たち、この東京においては、二〇二〇年をどう乗り越えていくのか、ビヨンド二〇二〇の精神でオリ・パラ教育を捉えていく必要があるんだろうと思います。
オリンピック・パラリンピック教育は、二〇二〇年で終わることなく、それ以降も各学校で継続して行われるべきであるというのはいうまでもございませんが、今後、都教育委員会では二〇二〇年以降を見据えてどのような取り組みを行っていくのか教えてください。
○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、共生社会の実現に必要な資質であるボランティアマインド、障害者理解、豊かな国際感覚の育成が特に重要であると考えておりまして、各学校において、東京二〇二〇大会以降もその育成が続くよう支援してまいります。
具体的には、ボランティア活動が継続して実施されるよう、ボランティアの情報を集約し、各学校に発信する東京ユースボランティア・バンクにおける登録校や協力団体の数をふやすなどして充実を図ってまいります。
また、パラスポーツ体験等の取り組みが多くの学校で特色ある活動として根づいていくよう、パラスポーツ指導者講習会を継続して実施し、指導できる教員を養成してまいります。
さらに、学校が国際交流活動を大会後も持続することができるよう、大使館やJICAなど、国際関係機関等の外部団体と学校をつなぐコーディネート事業をより一層充実させてまいります。
○川松委員 今のお話がありましたとおり、まさにさまざまな方策で二〇二〇年を迎え、そして二〇二〇年を乗り越えていくという気持ちでオリ・パラ教育を充実させていただきたいと思います。
実際に、今、長野の例を私はお話ししましたけれども、歴史的に振り返ってみますと、一九六四年、昭和三十九年の大会時においても、オリンピック教育というのは取り組まれておりました。
これは、さまざまな世界の事例を見ると、世界で最も早く組織的にオリンピック教育を実施されたのがこの東京オリンピックであったといわれているわけでございます。
当時、オリンピック国民運動として取り扱われ、都内の各地域でオリンピック学習が行われていました。
いろんな区でイベントをやったりとか、いろんな勉強をやっておりましたけれども、中を見てみますと、日本人の品位を私は感じたところでありますが、この六四年の大会時、マナー教育というのにかなり力を入れておりました。マナー教育で、生徒たちがまた海外から来た人たちをおもてなしするというこの精神は、脈々と二〇二〇年大会にも私は受け継がれてきたんだろうと思っています。
引き続き、国際交流、あるいは異文化理解を通じて、都内の児童生徒が、もっと先の東京人に、あるいは日本に、後世に残していくエッセンスを自分たちで探し当てる、見つけるというようなオリ・パラ教育がこれから進んでいくんじゃないかなと大変期待をしているところであります。
二〇二〇年のオリンピックまでは、あと千日ということでございますが、前年、二〇一九年のラグビーワールドカップはもうあと二年です。
きょう、十一月二日でございますけれども、二年後の十一月二日がまさに大会の決勝戦の日ですから、もっともっと国際交流というのは東京において進歩をしていくと思いますので、引き続き、この事業、力を入れていただきますよう要望をしておきます。
さて、次に、教員の海外の派遣研修についてお伺いをいたします。
これまでいろんな場面の話を聞いていますと、英語の先生がみずから休暇をとって、みずからお金を出して、あるいは民間のそういうセンター等に相談をしながら海外に留学されているというような話を聞く中で、今は都教委の皆さん方の努力で海外派遣研修というのが始まっている、これはすばらしいことだなというふうに認識をしているところでございます。
海外の研修中に教員みずからがさまざまな人とコミュニケーションする機会を持ち、異文化や多様性への理解を深めるべきであるというのは、私も考えていますし、皆さんも考えておりますけれども、じゃあ、実際に、この海外派遣研修はどのように取り組んでこられたのか、その取り組みをお聞かせいただきたいと思います。
○宇田指導推進担当部長 派遣された教員は、現地の大学生や世界各国からの留学生と一緒に授業を受けたり、グループワークやプレゼンテーションに取り組んだりするとともに、現地の教育制度や文化等について学ぶ特別講座や体験活動にも参加しております。
また、ホームステイを行うことにより、ホストファミリーとの交流を深めるほか、地域のコミュニティでのボランティア活動に参加するなど、海外での日常生活を実体験しております。
このように、派遣された教員は、海外でしか体験できないさまざまな場面において、みずから積極的にコミュニケーションを図る経験を積むとともに、多様な文化への理解を深めております。
○川松委員 ありがとうございます。ホームステイを通じたり、いろんなことを学んだり、それぞれ行かれた場所によって、地域だとかそれぞれ差があると思いますけれども、その中で学んだことを東京の生徒に皆さん方がフィードバックしていただくというのはよいことだと思いますが、この研修は、英語を母語としない生徒たちに教えるに当たって、どうしたらいいかと取り組むわけです。
私は、いろんな先生方がいろんなエッセンスを持ち帰ってくることは、大変すばらしいと思いますが、みんなが違うことを感じながらやってくるわけですから、これを集約しながら一つの学校の中で新たな成果を出していくというのは非常に苦しい作業もあるかと思いますけれども、ぜひそこを英語の先生方をサポートしていただいて、乗り越えていただきたいなと思います。
じゃあ、実際に、派遣された教員が帰国した後、この海外派遣研修で身につけたことを授業改善に十分に生かしていくためには、この研修というものをしっかりと後からもう一度追いかけていく、フォローアップしていくという支援が必要だと思います。ただ行きました、じゃあそれを生かしてやってくださいねというだけでは、なかなか先生方も次のステップに上がれないと思います。
このフォローアップ支援について、都はどういうふうに考えているのかをお聞かせください。
○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、派遣教員が帰国後に授業改善に継続的に取り組むことができるよう、研修中に教員が作成した教材や指導案、派遣先の大学教授による助言等をオンライン上で共有できる仕組みを構築しております。
また、派遣先の大学教授等を東京に招聘し、授業視察をもとに、さらなる授業改善のあり方について、指導助言してもらう場を設定しています。
今後とも、教員が海外で収集した教材や海外生活に基づく実体験並びに帰国後の事後研修の成果を生かして、魅力的な授業を展開することにより、児童生徒が多様な文化に対する理解を深め、海外に目を向け、主体的に英語でコミュニケーションを図ろうとする態度を身につけることができるよう、海外派遣研修を一層充実させてまいります。
○川松委員 ありがとうございます。このフォローアップ、大変重要だと思っています。
英語の先生たちが海外に行く前と行った後で、じゃあ、授業数が変わるかといえば授業のこま数は変わりません。一日二十四時間は変わるかといえば変わりません。学習指導要領に載っている授業、クリアするためのことはやるわけです。
恐らくこういう研修に手を挙げて積極的に行きたいと思われた先生方というのは、いろんなことを感じて、そのことをそれぞれ教育の場面で、これも伝えてあげよう、こういう方法もあるといって、多分、相当努力をされると思います。
そのときに、この後、働き方についても話をしますが、大変な、先生方の精神的な負担は余りないと思いますけれども、思っている以上に肉体的な負担が出てくると思います。
そこに周りの学校現場の英語の教員以外、あるいは管理職の皆さん方がサポートすることによって、充実したこまを実現していただいて、その先生から学んだ生徒たちが、英語の勉強ってこういうことなんだな、非常に前進を感じながら英語を学んで、逆にいうと、また次に海外に行く、あるいはグローバル人材に育っていくような生徒を、この東京から出していただきたいという思いで、しっかりとフォローアップは、いわゆる研修のフォローアップも大事ですが、先生自身へのフォローアップもしていただきますよう要望しておきます。
最後に、学校における働き方改革の推進についてもお伺いしたいと思います。
さきの第三回定例会におきまして、我が党の菅野議員が提言しましたとおり、学校教育の中核である教員、先生方は、授業や授業準備等に集中し、健康で生き生きとやりがいを持って勤務し、その専門性を十分に発揮していくことが教育の質の向上につながっていくものと考えております。
これまで、きょうは三つのテーマを質問させていただきましたが、アクティブラーニング、オリ・パラ教育、海外派遣研修は、それぞれ今までになかった新たな教育課題に積極的に対応する意欲ある教員の取り組みを推し進めるものであります。
先生方の多忙化による長時間勤務を解消するに当たっては、先生方の業務の内容を十分に精査し、教育の質を高める取り組みが円滑に進むよう、見直しを進めていくという視点が何にも増して大切であると私は考えますけれども、都教育委員会の働き方についての見解をお聞かせください。
○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 学校の働き方改革を推進するに当たりましては、教員の本来の役割である学習指導等に専念できる環境を整えることにより、新たな教育課題に取り組めるようにするなど、学校教育の質の向上につなげていく視点が重要でございます。
都教育委員会では、現在、学校における働き方改革推進プランを検討中でございますが、教員が現在携わっている業務を改めて検証し、必ずしも教員が担う必要のない業務につきましては、事務職員等との役割分担を見直すなど、教員が子供たちの指導にこれまでにもまして専念できる環境づくりを鋭意進めてまいります。
○川松委員 ありがとうございます。このプラン、まさに内容を練りに練り上げて出していただきますよう要望しておきます。
日々、情報が湧き出てくる高度情報化社会というよりも、まさに情報過多社会において、現代の先生方というのは恐らく目の前の授業だけではなくて、さまざまな環境についても気をもみながら、とても忙しくされ、精神的な疲労を感じているんじゃないかなと思います。
きょうも触れてきました、そういう新しい取り組み、アクティブラーニングだとかオリ・パラ教育、海外派遣研修、全てにつながりますが、こういうことをやりたいという積極的に頑張りたいと思う先生は、多分やっていることに関しては、やっている最中はそんなに疲労を感じないでばんばん取り組んでいくと。
ただ、一年たってみて振り返ってみると、相当肉体的な疲労があったりする場面もありますから、先生方は誰もが児童生徒をお預かりし、そして育てていこうという責任感を持たれて、なおさらのことだと思いますけれども、海外では働き方改革の中で、ワークシェアリングの考え方で、例えば学校に担任の先生が二人いて、月曜日の先生と火曜日の担任の先生が違って、水曜日また戻るとかやっています。
それは実際、現実的に日本にそういう制度がなじむかというと、そう簡単に来年、再来年にそういう制度がなじむわけではございませんから、今ある制度の中で、先生方の環境をしっかりと守り、そして生徒たちの教育の質を高めるためには、やはり現場の管理職の皆さん方が俯瞰で物事を見るのと同時に、アリの目でも物事を見て、どこに改善が必要なのかということを、逐一上層部の皆さん方と相談しながら教育現場の改善をされる、これが重要であると思いますので、引き続き都教委の皆さん方には、生徒が何を求めているか、生徒がどう伸びるための環境のために先生の環境が大切なんだ、そのために学校の環境を変えていきましょうという思いで働き方改革に取り組まれますよう要望しまして、私の質問を終わります。
○米倉委員 資料、ありがとうございました。
初めに、特別支援学校の体育施設、主にプールの改善について伺います。
まず、障害児の教育にとってプール、水泳指導はどういった意義があるのか、都教委のお考えをお聞かせください。
○増渕指導部長 特別支援学校では、学習指導要領に基づき、体育や保健体育の授業において、児童生徒の健康の保持増進と体力の向上を図り、明るく豊かな生活を営む態度を育てることを目標として、陸上運動、球技、器械運動などとともに、水泳の指導を行っております。
水泳などの指導は、児童生徒の運動能力を高めるとともに、生活への積極的な態度を養い、望ましい人間関係の形成を促すなどの意義がございます。
○米倉委員 都は、ことし三月に、学校施設を整備するに当たって基本的な考え方となる特別支援学校施設整備標準を改正しました。
プールについての改正内容を見ますと、これまでの基準は、プールは校舎から利用しやすい位置に配置することが望ましい、また、良好な日照を確保するとともに、通風、外部からの視線防止にも配慮するという中身でしたが、新たな基準では、標準面積が二十五メートル掛ける十メートルと定められ、必要に応じ小プールや床の昇降装置、加温装置を設置することが望ましいとするなど、具体的な条件が九項目にわたり示されています。これらは私たちも求めてきた中身で評価をしています。
プールの現状について伺いますが、加温装置、二十五メートルプール、床の昇降装置がある学校数は幾つでしょうか。
○浅野特別支援教育推進担当部長 平成二十九年四月一日現在の都立特別支援学校のプールについて、加温装置が設置されている学校は五校、二十五メートルの長さのプールを設置している学校は二十六校、床昇降装置が設置されている学校は一校でございます。
○米倉委員 障害の内容によって、学校のプールの形状に差はあると思いますが、都立特別支援学校五十七校のうち、二十五メートルプールという条件ですら、満たしているのは半分以下の学校ということです。
今後の改修や整備で、新たな施設標準をもとにし、また後で触れますように、温水化を含めて、さらにプールを使いやすいものに改善していくことを求めるものです。
私もこの間、幾つか特別支援学校のプールや体育館を見せていただいておりますが、施設の老朽化が深刻な学校が幾つもあるなと感じております。
例えば、江東特別支援学校のプールは、建設されて四十年がたちました。校舎の最上階に設置されるプールは、天井がガラスで日当たりはいいのですが、夏の暑い日になりますと、室内温度は四十度にも上ります。
本来は天井の大きな窓をあけることで室内温度が下がるはずですが、施設の老朽化により柱がさびてしまい、窓があけられません。さらに、さびが天井から降ってくるというために、天井にシートをつけてさびを受けとめている状況です。
室温が四十度にもなると授業ができなくなってしまいます。しかし、プールは多くの生徒が楽しみにしている授業で、また、江東特別支援学校は知的障害の生徒が通う学校で、中には、きょうはプールの日だと思って通ってきている生徒、また、こだわりの強い生徒もいるために、いきなりきょうはプールの授業が中止だということになってしまうと、パニックになってしまうお子さんもいらっしゃるということです。
一人がそういう状況になりますと、ほかの生徒にも伝播し、下手をすると次の授業だけでなく、半日、授業がだめになってしまうということでした。ですから、先生たちもプールの室内温度が高いときには換気扇と大型扇風機を導入して、これらを回して何とか室温を下げ、授業時間をずらしてでも何とか生徒がプールに入れるようにするとのことでした。
ほかにもプールの水の給水を行う機械も非常に古く、故障のために機械室が水でいっぱいになったこともあったそうです。ことしの夏もプールに給水することがうまくできず、結局、水飲み場の水道にゴムホースをつないでプールに水をためたとのことでした。
江東特別支援学校のプールの施設の老朽化は深刻ですが、都は、こうした状況を認識しているんでしょうか。
○浅野特別支援教育推進担当部長 江東特別支援学校のプールについては、経年劣化が見られますが、水泳指導に支障が生じないよう修繕等を適切に実施しております。
○米倉委員 支障が生じないよう適切に実施しているということですが、先ほど申し上げましたように、室温の調整一つとってもうまくいかず、先生方が大変な苦労をしながら何とか授業をやっていらっしゃいます。支障がないとは、とてもいえないと思います。
しかも、江東特別支援学校のプールで問題になっていますのは老朽化だけではありません。江東特支は、二〇一六年度から小中学部が城東特支として独立をしまして、高等部単独校となりましたが、プールの水深は、最も深いところは百二十センチ、一番浅いところは七十センチしかありません。そのため、身長が高い生徒は、浅いところでは足しか水につからない状態になっていますし、クロールをすると手が底についてしまいます。また、水槽の大きさも十五メートル掛ける十メートルしかありません。
生徒の教育環境を保障するためにも、今後、高校生にふさわしいプールの改修が必要だと思いますが、いかがですか。
○浅野特別支援教育推進担当部長 江東特別支援学校のプールは、三階部分に設置されており、水深を深くするための大規模な改修工事は、建物の構造上、極めて困難でございます。
なお、江東特別支援学校は、開校時から高等部が設置されているため、プールも高等部の生徒が使用することを前提として整備しており、深いところでは百二十センチメートルの水深がございます。
○米倉委員 開校時から高等部が設置され、今のプールも高等部の生徒が使用することを前提にしているのだと今答弁をされました。
開校時は小学部、中学部もありましたから、プールの深さが浅い部分、そういうことでつくられたのかもしれません。しかし、昨年度からは高等部だけになりました。学校関係者からは、今のプールでは高校生としての授業は成り立たない、深さの改善と二十五メートルプールにしてほしいと要望が出されています。高校生で体力のある生徒たちは、本当は二十五メートルの長さを何度も往復し、泳いだりできるのだと聞いています。
江東特別支援学校のプールは、校舎の最上階にあり、校舎自体も建設から四十年たっていますから、プールの大きさを含めて大きく改善をするとなると、校舎と一体に改築、改修することになるのだろうと思います。
プールの教育的な意義については、教育庁も健康や体力の向上だけでなく、積極的な態度を養い、望ましい人間関係の形成を促すと認識していらっしゃいます。
ぜひ早期にそうした目的を達成する上で、適切なプールに改修することを強く要望しておきます。
江東特支のプールについては、大規模の改修待ちにせずに、今すぐ求められる改善や修繕もあります。江東特支のプールについては、当面、プール利用に支障が出ている給水設備のふぐあい、プール底のでこぼこや、天井のさび、日光や熱を遮断する改修が必要と考えますが、いかがですか。
○浅野特別支援教育推進担当部長 プールの給水設備については、既に修繕を完了し、天井のさびについては落下防止のための必要な対策を講じました。
また、プール室内の熱を逃がすための換気対策として、プール室側面の窓の改修を実施いたしました。
プール槽の底の改修については、今後の対応について既に検討を始めております。
○米倉委員 機械の修繕や暑さ対策などはやっていらっしゃるということですが、すぐに全面的にプールの改修ができないというならば、さらなる対策が必要だと思います。
とりわけ暑さ対策は切実です。ご答弁でプール室の熱を逃すために側面の窓があけられるようにされたと話がありましたが、それでも天井の大きな窓があけられないために、大型扇風機などを回して気温が下がるのを待つと、授業に影響が実際出ております。
屋根の窓があけられるように改修をしたり、暑い日には太陽光や熱が入らないように、例えば遮光や遮熱効果のあるロールスクリーンを広げられるようにするなど、また、給水設備も含めて、学校の要望をよく聞いて早期に改善をしていただきたいと思います。
文京盲学校のプールについても伺います。
文京盲学校は、校舎の屋上の六階にプールが設置されています。ここのプールは、日によっては強いビル風が吹き、日陰もほとんどありません。さらに、近くに学校よりも高いマンションなどが建っており、ベランダからはプールの様子が全て見えてしまう状況になっています。
生徒たちの網膜保護のためにも屋根の増設、また、近隣の状況からしてもフェンスの改修などが必要と考えますが、いかがですか。
○浅野特別支援教育推進担当部長 文京盲学校のプールは屋上に設置されており、屋根の増設など、大規模な工事の実施については、建物の構造上、極めて困難でございます。
なお、現在の文京盲学校のプールサイドには、日陰をつくるためのひさしが二つ設置されておりますとともに、プールサイドは日光の反射を抑えるための塗装がされております。
また、プール使用時においては、生徒に遮光性のあるゴーグルを着用させるなど、網膜保護に配慮しております。
○米倉委員 盲学校でプールが屋内になっているのは葛飾盲学校しかないと聞いております。保護者の皆さんからは、盲学校のプールは基本的に室内にしてほしいと要望が上がっています。建物構造に配慮した屋根や、また、フェンスがつけられないかと、専門家の知恵もかりて検討していただきたいと強く求めておきます。
この間、都内幾つかの特別支援学校のプールを見せていただきまして、古いものが多いと感じておりますが、状況について伺いたいと思います。
今、減価償却資産の耐用年数である三十年を超える水泳プールを使用している特別支援学校は何校あるんでしょうか。
○浅野特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校において、平成二十九年四月一日現在、竣工後三十年を超えるプールを使用している学校は二十四校でございます。
○米倉委員 五十七校ある都立特別支援学校のうち、二十四校のプールが築三十年を超えているということは、今後、改修や改築をすることになるプールが相当あるということだと思います。
学校の先生たちにお話を伺いますと、特別支援学校に通う子供たちにとって、学校時代にスポーツが楽しかった、もうちょっとやってみたいと思える時間を持てると、学校を卒業した後にもスポーツをやることにつながるということでした。
スポーツの楽しさを知っていれば、卒業後も走る会などに参加することにもつながります。成人してからの健康の維持増進にもつながります。ですから、教育庁としても、プールを初め施設整備に当たっては、より児童生徒に使いやすいものになるよう努力を求めておきます。
同時に、特別支援学校の体育施設は、学校を卒業した障害者の皆さんのスポーツ拠点としても重要です。
教育庁は、特別支援学校を地域や障害者スポーツの拠点と位置づけ、また、学校開放事業として、障害者の団体、グループに対し、プール開放を行っています。
プール開放の実績と、どういうところに開放しているかを伺います。
○安部地域教育支援部長 平成二十九年度に夏季休業中のプール開放を実施した都立特別支援学校は二十一校でございまして、延べ回数で百十八回の開放を行っております。
対象は、都内在住、在勤、在学のいずれかに該当する障害者、もしくは障害児の方々を構成員とする団体、またはグループとなっております。
○米倉委員 学校の部活のOB、OGたちのサークルや、地域の障害者施設のレクリエーションなどで利用されることが多いと伺っております。
さらに、障害者の皆さんにとっては、自分がよく知っている特別支援学校なら行きやすい、区立のプールなどは設備が十分でなかったり、設備としては大丈夫でも、一般の人たちとは泳ぐペースが違っていたり、大きな声を出すと怒られたりして行きにくいなどの声も伺っています。
プールを温水化し通年で使えるようにしたり、学校教育に支障なく地域の方の受け入れができるよう設備を整えるなど、プールの改修や改築に当たっては、地域の障害者スポーツ利用も見越した設備としていくことも必要と思いますが、いかがですか。
○浅野特別支援教育推進担当部長 特別支援学校のプールは、夏季に水泳の授業を円滑に行うことを目的として設置しており、特別支援学校の新設及び改築の際に、各学校の設置学部や障害種別、立地条件等に応じて必要な施設設備を整備しております。
なお、一部の学校については、夏季休業中にプール開放を実施しております。
○米倉委員 初めの部分で、私から、ことし三月に特別支援学校施設整備標準を改正したことは評価していると申し上げましたが、実はその一年前に文科省が公表した特別支援学校施設整備指針は、さらにもう一歩進んだ方針が出されています。
幼児、児童生徒の安全性、地域住民の利用等を考慮し、水深を可変とすることも有効、さらに屋内プールについては、児童生徒の自立活動の利用など、日常的な利用を考慮し、温水プールとして計画することが望ましいと明記をしています。
確認させていただきたいのですが、文科省のこの施設整備指針に、地域の施設利用や温水プール化を位置づけていることを都教委はご存じだったんでしょうか。
○浅野特別支援教育推進担当部長 承知しております。
○米倉委員 今、都内の特別支援学校を障害者のスポーツ拠点にしようと、都立学校活用促進モデル事業を都内十校で取り組まれていらっしゃるわけです。残念ながら、プールは含まれておりません。
一方で、一人でも気軽に楽しめ全身運動になる水泳は、障害者の中で大変人気です。特別支援学校のプールが温水プールとして整備され地域に開放されれば、障害者スポーツの推進に大きな役割を果たすと思います。
生徒の自立活動でのプールの活用という点では、光明学園の肢体不自由の子供たちが世田谷区の総合福祉センターの中にある温水プールを活用しているお話も伺っております。
温水プールにすることで、年間を通して特別支援学校でプールが活用できることは、子供たちの成長にとっても大きな効果があるのではないでしょうか。
今後のプール改修、整備に当たっては、文科省の基準をご存じだというわけですから、やはり都の施設の標準というものもそこに引き上げて、年間を通してプールが活用できるように温水化を進めていただくことを強く要望しておきます。
また、床の昇降装置についても、文科省のこの指針では、やはり地域の利用を考えたときに、ある方が望ましいということを記載していますので、また、これは学校関係者の方からお話を伺いますと、非常にプール利用の際、支援がしやすくなるという話を伺っていますので、積極的に導入していただきたいと要望しておきます。
続いて、重度重複学級を初めとする教員配置の充実について伺います。
特別支援学校の学級編制は、一学級六人から八人ですが、重度重複学級の場合、一学級三人で編制されます。
特別支援学校に通う児童生徒の数は、資料にいただきましたとおり、二〇〇八度は九千五百八十人でしたが、二〇一七年度には一万二千五百二十八人までふえています。にもかかわらず、重い障害や複数の障害がある子供を対象とした重度重複学級の数は、毎年ほぼ五百七十三学級でふえていません。
こうした中で、PTA、保護者の皆さんからは、この十年でろう学校の重度重複学級は一クラスもふえていない、幼児、児童生徒が普通級に所属することで適した教育を受けられていない上、同じ学年の幼児、児童生徒にも十分な教育が提供されていない、重複学級をふやしてほしいですとか、児童生徒数の増加、障害の多様化により、本来は重度重複学級が望ましい児童生徒が普通学級に在籍せざるを得ず十分な指導を受けられない現状があるとして、児童生徒の実態に応じて重度重複学級をふやしてほしいと要望がされています。
都は、こうした要望にどう応えるんですか。
○浅野特別支援教育推進担当部長 重度重複学級については、学校からの事前相談を踏まえ、校長から申請のあった児童生徒について、社会性の発達や日常生活の自立の程度等を総合的に判断して、重度重複学級での教育が適切であると認定した児童生徒数に基づき、必要な学級数を編制しております。
その上で、学習課題によって学習グループをその都度編制し、児童生徒の個別の課題に応じた指導を行っております。
都教育委員会は、今後とも必要な重度重複学級を編制していくとともに、個に応じた指導を適切に実施してまいります。
○米倉委員 必要な学級を編制しているというご答弁です。しかし、現場や保護者の方々からは実態に合っていない、本当は重度重複学級に入れるような子供が入れていないと感じているから、こうして幾つもの要望が出ているんです。
もし都教委の皆さんが必要な学級数をきちんと編制しているということなら、どうして毎年こうした要望が出てくるんでしょうか、見解を伺います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 保護者の方々に対しては、引き続き丁寧な説明を行い、理解が得られるよう努めてまいります。
都教育委員会は、今後とも必要な重度重複学級を編制していくとともに、個に応じた指導を適切に実施してまいります。
○米倉委員 説明をしても、こうして幾つもの団体から、実態に見合っていない、重度重複学級をふやしてほしいという声が出ているわけです。説明でなくて、ぜひ実態を伺って、子供の現状に見合った学級を整備していただきたいんですね。
私も直接、保護者の皆さんからお話を伺いました。自閉症の中学部のお母さんからは、小学部のときには重度重複学級に入っていて、子供三人のクラスに担任が二人いたということでした。
けれども、中学部からは普通の学級になったと。六人の子供に担任は一人、副担任はほかのクラスとかけ持ちで週に何回かしかいないと。中学生に上がったら、学校で指を骨折したのに手当てもしてもらえず、そのまま帰宅したことが一年間に二回もあったそうです。
先生は、どちらの日も一人しかついていない日だったこともあるのか、気づいておらず、連絡帳にも何も書いていなかったそうです。そのお子さんは、痛いということも、また、どうしてけがをしてしまったのか事情も話せないお子さんで、学校でも異変を自分から先生に訴えることは難しいそうです。水道で指を冷やしていたので、痛かったのだろうとお母さんは話しておられました。
また、親としては、骨折していたら学校で放置されることはないだろうと思っていたので、まさか骨を折っているというふうには思わず、湿布をしただけで次の日は登校させたそうですが、さらに指が腫れてしまって、それでようやく病院に連れていったら骨が折れているということがわかったそうです。小学部のころには一度もこういうことはなかったということで、物すごくショックを受けたと話をされました。
この十数年、重度重複学級がふやされないもとで、本来、重度重複学級に入れるような重い障害を抱える子供が普通教室に入っているケースが多くあると保護者や学校関係者の皆さんから伺います。
そうなりますと、本当は重度重複学級に入るべき子供にとっても大変ですし、普通教室の子供にとっても、先生が重度の子供に手をとられてしまい、その他の子供は放っておかれてしまう状況があります。
逆に重度重複学級に入れたお子さんの保護者からは、うちの子は自傷他害があって、食事もトイレも全介助です、だけれども、重度重複学級の中で先生たちがすごく褒めてくれて成長している、いい教育を受けることができているというお話も伺っています。
保護者の皆さんからは、子供の成長、発達を支える手厚さ、安心や安全を大事にしてほしい、子供の実態を見てほしいと切実な要望が繰り返されているんです。
都として、現状を調査し、必要な教員数を確保し、学級数をふやすべきです。改善を強く求めておきます。
この間、教職員の配置基準が引き下げられていることや、学校規模が大きくなっていることなどによって、特別支援学校の児童生徒数がふえていることに比べて、教職員が見合った数ふやされていないことも、子供たちや学校現場へのしわ寄せとなっていると思います。
以前は一クラスに二人の担任がいたのに、今、基本的に一人で、場合に応じて学年つきの先生が入ってくれるだけになっているというお話もよく伺います。
ある学校では、重度重複学級の担任の先生が切迫流産になり、かえの先生が一カ月来ず、ほかの学級の担任の先生が、重度重複学級にいる二人の児童と自分の学級の六人の児童、合わせて八人を一人で抱えなければならないという事態が起きたそうです。
学級を持っていないフリーの先生が最も重い子供を見て、残りの七人を担任の先生一人が見ることになったそうです。先生も一生懸命やってくれているのはわかるけれども、余裕もなくなってしまって、子供にとっても大変な状況だったと保護者の方からお話を伺いました。
学校で教員に欠員が出た場合は、どのように教員を補充しているんでしょうか。
○江藤人事部長 教員が短期的に休暇を取得する場合の児童生徒への指導につきましては、時間割りの変更や他の学年、他の学級担当の教員による指導の実施など、各学校において指導体制を整えて対応しております。
病気や死亡などの事由により、長期にわたり欠員となる場合は、欠員となった時期や期間などに応じて、期限つき任用教員や非常勤講師の配置を行っております。
○米倉委員 教員の欠員が短期の場合は、学校でのやりくりで対応し、長期にわたる欠員の場合は、新たに教員や講師を配置するということです。
ただ、新たに教員などを配置すると判断をしましても、実際には学校に来てくれる教員を探すには時間がかかりますから、やはり子供たちの授業などに支障が出る事態が起き得る状況だと思います。
この十年、二〇〇八年から二〇一七年の間の特別支援学校の児童生徒数のふえ方と教職員数のふえ方を調べてみましたら、児童生徒数が九千五百八十人から一万二千五百二十八人、三一%ふえたのに対し、教職員数は五千三百六十七人から五千八百九十八人、一〇%しかふえておりません。
さらに、今の教職員定数配当基準では、児童生徒数がふえ、学校規模が大きくなるごとに、一学級当たりの教員数も減っていきますし、実際に各特別支援学校の児童生徒数と教職員数を調べてみたところ、大規模校になるほど児童生徒当たりの教員数が減っていることがわかりました。しかし、特別支援学校の現状からしまして、スケールメリットで省けることはそんなに多くありません。
最初のご答弁で、特別支援学校では、授業は学級とは異なるグループをつくって行うことも多いとのお話でしたが、教員は学級数に応じて配置されますから、重度重複学級をふやしてほしいというのは、要は先生の数をふやしてほしいという願いにほかならないと思います。生徒数の増加に見合った教職員数の増員を求めておきます。
教員が足りないことは、子供たちの生活指導、例えばトイレに行くことにも支障が出ています。まず、特別支援学校において、排せつなどの指導について、都教委はどういう考え方をしているのでしょうか。また、学校現場では誰がこうした指導を行っているのかも伺います。
○増渕指導部長 特別支援学校では、児童生徒が望ましい生活習慣を身につけることにより、充実した日常生活を送ることができるようにするため、児童生徒の実態に即して、排せつや衣服の着脱、食事など、日常生活の指導を段階的に行う必要があります。
これらの指導は、教員のほか必要に応じて教員の指示のもと介助の専門性を有する学校介護職員が行っております。
○米倉委員 日常生活の指導については、学習指導要領の解説の中に説明が記載されています。私も読みました。日常生活の指導は、児童生徒の日常生活が充実し、高まるように日常生活の諸活動を適切に指導するものだとしています。
その中では、日常生活の自然な流れに沿ってその活動を行うことや、毎日繰り返す中で発展的に取り扱うようにすること、また、できつつあることや意欲的な面を考慮し、適切な援助を行うとともに、目標を達成していくために、段階的な指導ができるものであると説明しています。児童生徒の自己肯定感を育てながら、段階的にできるように支援していくということだと思います。
そういう中で、例えばトイレの介助は、中学部以上では同性の教員が介助することになっていますが、実際には担任が一人しかいないために、担任が女性で生徒が男子である場合は、トイレのたびに学年つきの教員などが対応したり、そういう対応ができない場合には、違う学級の男性教員が自分の授業を置いてトイレの対応をし、その間、授業がとまってしまうような事態も起きていると聞いています。
トイレの介助も学習指導要領にも位置づけられた教育の一環です。保護者の皆さんからは、中学部以上では、同性介助のためにも、担任は複数にし男女の先生を配置してほしいと要望が出されていますが、都はどう応えるんでしょうか。
○江藤人事部長 教員の配置に当たりましては、校長の学校経営計画に基づく人事構想を踏まえ、教員の個々の適性や専門性を考慮して、適材適所の配置を行っております。
中学部、高等部では、男子生徒は男性教員、女子生徒は女性教員が介助することが求められております。
特別支援学校におきましては、女性教員の比率が高いことから、男性教員が男子生徒の介助を行うことができるよう、男女の構成比に配慮した人事配置に努めております。
○米倉委員 同性介助ができるよう人員配置に努めているということです。
ただ、学校では、例えば重度重複学級に入っていたある男子中学生は、教室に対応できる同性の教員がいなかったために、ほかの学級の男性教員が来てくれるまで待たなければならなくなり、そのためトイレに失敗してしまって、自己肯定感が下がってしまったというお話などを伺っています。
保護者の強い要望もあり、この生徒には男性の講師などをつけてくれるようにはなったそうですが、ついてくれる人が入れかわり立ちかわりで、初対面の方も多いということだそうです。知的障害で、しかも思春期の子にとっては、しんどいとおっしゃっています。
安心して学内で生活できる同性介助が保障される教員配置と、そのためにも特別支援学校の教員数自体をふやし、子供や教育にしわ寄せを生み出さないことを改めて求めて、質問を終わらせていただきます。
○成清委員 私からは、教職員の時間面、給与面の待遇について質問させていただきます。
いじめ、不登校といった課題の解決や、公教育の水準の底上げには、まず現場の担い手である教員の待遇改善が欠かせません。
都では、働き方改革を進めておりますが、労働時間と給与の問題は切っても切れません。教員の労働時間及び給与の特色として、教員には超過勤務が認められておらず、残業代が支給されておりません。
まず、その背景について改めてお伺いいたします。
○鈴木人事企画担当部長 教員の職務は、自発性、創造性に期待する面が大きいなど、勤務態様の特殊性があることから、教員への命令による超過勤務は、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法、いわゆる給特法などにより、校外学習その他生徒の実習に関する業務など、四項目に限定されております。
なお、教員については、給特法により給料月額の四%に相当する教職調整額が措置されております。
○成清委員 ありがとうございます。教員の職務には勤務態様の特殊性があるとのことです。
教員の業務は授業だけではないので、確かにこのような状況ですと、勤務時間の管理が困難であると考えられます。
この点、都立学校では、教員の労働実態を把握するために、十月から打刻によるタイムカード管理を開始し、区市町村にも情報提供するなど、適切な対応に向けた働きかけをしていると聞いております。
教員の勤務態様の特殊性を踏まえて、より正確に労働実態を把握するために、都立学校でどのようにタイムカード管理を行っているのか、お伺いします。
○鈴木人事企画担当部長 日々の教員の勤務実態を把握するために、まずは在校時間をしっかり把握する必要がございます。
都教育委員会では、都立学校において、本年十月から、これまで出勤時のみ打刻を行っていた出勤カードシステムを活用し、退校時の打刻も行うことにより、在校時間を客観的に記録できるようにしました。
こうした取り組みにより、在校時間の適切な把握に努めております。
○成清委員 従来より、教育の現場が疲弊しているということはよくいわれておりましたが、勤務時間には個人差もあり、定時ですぐに帰宅する教員がいる一方、深夜まで、また、在宅で仕事をする教員がいるという話も耳にします。
タイムカード管理は、今まで第三者に対して客観的なデータとして明らかでなかった教員の労働状況を把握するためのすばらしい策であると考えております。まず、在校時間を管理することは有用で、大きな一歩でございます。
しかしながら、修学旅行、出張、家庭訪問、部活など、学校外での活動時間、業務も多いため、それらについてもしっかりフォローしていただくよう申し伝えさせていただきます。
超過勤務について話を戻させていただきます。
現状、残業代が支給されないかわりに、教員には教職調整額が支給されているとのことですが、こちらの教職調整額の概要について、いま一度お伺いします。
○鈴木人事企画担当部長 教員の勤務態様の特殊性を踏まえ、教員については、先ほど申し上げました給特法などにより、勤務時間の内外を問わず、包括的に評価した処遇として、時間外勤務手当を支給しないこととする一方で、給料月額の四%に相当する教職調整額が支給されております。
○成清委員 ありがとうございます。勤務時間の長短にかかわらず、給料の四%の教職調整額が支給されているとのことですが、この四%の算定根拠について、ご教示ください。
○鈴木人事企画担当部長 教職調整額の支給額は、昭和四十一年度に当時の文部省が行った教員の勤務状況調査の結果を勘案して、給特法で給料月額の四%とされました。
なお、その際の調査では、教員の一週間平均の超過勤務時間は一時間四十八分でございました。
○成清委員 昭和四十一年の勤務状況調査の結果を踏まえて、超過勤務相当分として算定しているとのことでございます。
まず、約五十年前というデータが古過ぎるのではと感じるところでございます。また、その一週間平均の超過勤務時間、一時間四十八分に関しては明らかに少なく、今の実態と合っていないのではないかと思われるところです。勤務実績に応じた手当がなされるよう要望いたします。
また、項目は変わりますが、産業教育手当というものがございます。こちらの概要について、ご教示ください。
○鈴木人事企画担当部長 産業教育手当につきましては、昭和三十年代に産業教育に従事する教員の人材を確保する目的で、産業教育振興法などを根拠として設けられた手当でございます。
都では、農業、水産、または工業に関する課程を置く高等学校の教員などで、これらの授業及び実習を主として担当する者に対して、給料月額に教職調整額を加えた額の四%から八%の範囲内で支給しております。
○成清委員 実習を主として担当する者に対して支給されるということで、実習の準備に時間がかかるという趣旨ではないかと思いますが、そのような理由であれば、やはり一律に何%という支給ではなく、勤務時間に即した支給が必要であると考えられます。
授業準備に時間がかかるのは、農業、水産、工業課程だけとは限りません。国の施策も大きくかかわるため、東京都が独自に取り組んでいけるものではございませんが、しっかり国に対してリーダーシップをとっていただきたいと思います。
このたびのタイムカード導入を踏まえて、労働実績に応じた適切な報酬が支払われるよう、給与支給の制度設計までこのタイムカード管理の結果が生かされることを期待しております。
労働実績に応じた報酬が支払われるようになりますと、管理者側にコスト感覚が芽生えますので、不要な仕事の削減により仕事の効率化を図ったり、仕事が少数の人に偏り、多くの残業代が発生することを防ぐため、仕事の適切な配分を目指すようになると考えられます。
教員個人の労働時間を削減するためには、教員間での仕事量の配分調整、そして全体としての仕事量そのものの削減が必要となります。
教員間での仕事量の配分調整においては、仕事を配分する管理職の手腕が重要となります。
そこで、管理職のマネジメントスキルの向上について、都の取り組みを伺います。
また、全体としての仕事量の削減のためには、現状の仕事を洗い出し、教育現場の声を吸い上げた上で、教員業務の見直しを行い、教育庁においても覚悟を持って業務の削減を受け入れていく必要があると思いますが、学校現場での仕事量削減について、都の取り組みを伺い、質問を終了いたします。
○増渕指導部長 都教育委員会は、校長、副校長がリーダーシップを発揮して、組織的な学校経営を推進できるようにすることを目的とした管理職研修等を実施しております。
この研修では、学校経営計画の策定や人材育成、組織編制のあり方などについて、民間企業の管理職による講義や受講者同士の意見交換、演習等を通して、マネジメントスキルの向上を図っております。
研修を受講した各学校の管理職は、学校経営計画の具現化を目指し、自己申告に伴う面接等を通して、職層や一人一人の資質、能力に応じて職務を命じたり、組織編制の工夫、改善を行ったりしております。
○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 教員の多忙化や長時間労働の実態は、教員自身の心身の健康に影響を及ぼすとともに、学校教育の質にかかわる重要な問題であると認識しております。
教員の業務の見直しを図るためには、学校現場はもとより、区市町村教育委員会とも連携し、教員の業務の実態や課題について把握することが重要でございます。
都教育委員会では、現在、学校現場等の意見も踏まえ、学校における働き方改革推進プランの策定を進めており、今後、このプランに基づき、教員の長時間労働の改善に向け、総合的に対策を講じてまいります。
○高倉委員 最初に、知的障害のある生徒の企業就労についてお伺いをしたいと思います。
杉並区に都立永福学園という学校がありまして、ここには就業技術科という科があるわけであります。
この就業技術科は、軽度の知的障害のある生徒さん、毎年、入学の定員百名というふうに聞いておりますけれども、そういう生徒さんの企業就労を目指しているという学科であります。
私もお隣の区でありますので、入学式や、あるいは卒業式にこの学校に行かせていただいておりまして、その都度、もちろん学校全体としてのいろんなお話を聞くわけでありますけれども、とりわけこの就業技術科のお話というのは、私も毎回感銘をもってお聞きをしているわけであります。
既にこの学科を含めて開校から十年ほどが経過をしておりますけれども、特にこの間の就業技術科における取り組みと成果についてお伺いをしたいと思います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、知的障害が軽度の生徒を対象に、生徒全員の企業就労を目指す職業教育を行う就業技術科を設置する東京都で初めての特別支援学校として、平成十九年四月に永福学園を開校いたしました。
永福学園では、企業現場を模した物流やカフェなどの実習室を整備し、企業のニーズを踏まえた実践的な職業教育や企業関係者への障害に対する理解促進に取り組んでおり、開校から現在までの卒業生の企業就労率は、平均九五・七%と高い水準で推移しております。
○高倉委員 今、平均して九五%を超えるような企業就労の実績が実現をしているというお話でありました。都としての最初に設置した学校ということで、大変すばらしい成果をこの十年間上げてきているというふうに思います。
最初にこの永福の就業技術科が設置をされた後、同様な学科の設置校が五校までふえているというふうにお聞きをしているわけでありますけれども、相次いでふやしていった、全体としての企業就労状況についてお伺いしたいと思います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 就業技術科を設置している五校のうち、現在までに卒業生を輩出した学校は、永福学園、青峰学園、南大沢学園、志村学園の四校でございます。
四校における開校から現在までの卒業生の企業就労率は平均九五・一%であり、いずれの学校も高い水準となっております。
○高倉委員 一校だけまだ卒業生が出ていないということだと思いますが、それを除いても今ご答弁があったように、大変すばらしい実績を上げられているということで、私もこの間の東京都教育委員会の取り組みについては高く評価を申し上げたいというふうに思っているわけであります。
永福学園に行きますと、私は開校の前にも現場を視察させていただいたりしたわけでありますけれども、企業現場を模した、物流の実習ができるような教室、あるいはカフェも本物そっくりの場をつくられて、そして、そこで実践的な職業教育を行っているということでありまして、特にこのカフェについては、行くたびに永福ブレンドでございますというようなことで、実は学校を訪問している方からも非常に好評を博しているというふうにお聞きをしているわけであります。
今申し上げたのは永福学園の例でありますけれども、先ほど答弁もありました、その他の就業技術科の設置校、学校において、どういった特色のある活動が行われているのかについてお伺いしたいと思います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 就業技術科では、みずから判断し、職務を遂行する能力を育成するため、全校で就労先の作業環境を模した実習室等を整備して、実践的な職業教育を推進しております。
具体的には、例えば志村学園の食品加工コースでは、校内にあるレストラン仕様に整備した実習室で、地域の方向けにランチの調理や接客といった実習を実施しております。
また、水元小合学園のロジスティクスコースでは、フォークリフトを配備し、校内で運転や操作などの実習を行い、フォークリフトに関する資格取得に向けた準備教育を実施しております。
○高倉委員 非常に実践的な職業教育が行われているということがよくわかるわけであります。
冒頭、永福学園、それから、その後開校した学校において、非常に高い企業就労率の実績を上げているというご答弁がありましたけれども、今、ご答弁にもありましたような実践的な教育活動、単にそれにとどまらずに、例えば学校の教育活動も含めて、あるいは就労先の開拓といったことにもつながると思いますけれども、企業の方々の大変な協力があるというふうに私もお伺いをしているわけでありまして、そういったことが今ご答弁にもありました高い企業就労率に結びついている要因でもあるんではないかなというふうに思います。
そこで、東京都教育委員会としまして、企業に対して障害のある生徒への理解を促していくこと、そして実習先、あるいは就職先の拡大を図っていくために、どういう取り組みを行っているのかについてお伺いしたいと思います。
○増渕指導部長 都教育委員会は、企業に対して障害者の理解促進を図るため、ハローワーク等との連携により、就業技術科の授業公開や学校が取り組んでいる職業教育の説明会に参加する企業を募っております。
また、障害のある生徒の職務遂行能力について企業の理解を促すため、障害者雇用セミナーで、就業技術科等の生徒がカフェサービスやビルクリーニング等を実演する機会を設けております。
さらに、障害者雇用の経験のある人材を企業に派遣して、生徒が担うことのできる仕事の内容や障害の特性に応じた必要な配慮等を具体的に提案しております。
○高倉委員 今、質疑をさせていただいてまいりました、学校の教育活動、それから就労につながっていくという意味での学校の外からの、企業からのさまざまな協力、こういったもろもろの方々の力強い支援、あるいは取り組みがあって、こうした結果にも結びついているんではないかなというふうに思います。
そこで、重要なことは、学校ですから、いわば卒業するまでしっかり責任を持っていくということではあるとは思うんですけれども、高い企業就労率を達成する形で卒業生を送り出しているわけでありますけれども、課題がもしあるとすれば、就労した後、その仕事にしっかりと定着をしているかどうか、できればここまでフォローしていく、あるいはサポートしていく、支援をしていくといったことが必要なんではないかなというふうに思います。
卒業生に対する就職先への定着といったことについての支援策についてお伺いしたいと思います。
○増渕指導部長 都立特別支援学校では、就職した卒業生全員に対して、卒業後三年間を見通した個別移行支援計画を作成し、企業や就労支援を行う関係機関と連携して、効果的に支援を行うことができるようにしております。
具体的には、学校が就職した卒業生の課題等を把握したときには、関係機関と情報を共有し、職場での良好な人間関係づくりへの支援や、企業の担当者への職務遂行に係る指導方法の助言などができるようにしております。
○高倉委員 今、個別移行計画等を作成して取り組んでいるというお話がありました。
もちろん、就職をした場合に、結果としてその仕事が自分に向いている、向いていないといったことはあるんだろうと思います。
そういう状況があって、なお頑張りなさいよということを押しつけていくというわけにはいかないというふうにも思いますけれども、軽度の知的の障害を持っている方々ということでもありますので、もし適切なサポートがあれば、例えば仕事をしっかり続けていくことができるといったような状況もあるんだろうというふうに思います。
そういう意味では、就職をした先の企業からも引き続き十分な情報もいただきながら、例えば就職した後、どういうような支援が行政の側からあればいいのかとか、こういったこともしっかりお聞きをしながら進めていただきたいというふうに思います。
いずれにしても、大変高い企業就労の実績を上げているわけでありまして、生徒や保護者の方々の期待はとても大きいわけであります。
ただ、学校ですから定員がありますので、入学試験も当然あるわけでありまして、せっかく行きたいという強い希望を持っていても、なかなか入れないといったような方も現実にはいるわけでありまして、そういったことも含めて、ぜひとも企業就労に結びついていくようなことについて、東京都教育委員会としても十分に応えていくべきであるというふうに思います。
この知的障害の特別支援学校における今後の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 現在、生徒全員の企業就労を目指す学科として、知的障害が軽度の生徒を対象とする就業技術科五校、知的障害が軽度から中度の生徒を対象とした職能開発科二校で教育活動を展開しております。
職能開発科については、知的障害のある生徒が、今後どのように推移していくかの推計結果をもとに、全都的な視点から地域ごとの配置バランス等を勘案し、今後、平成三十年度に開設する江東特別支援学校など六校で開設することとしております。
このことにより、全都において専門的な職業教育を行う就業技術科、基礎的な職業教育を行う職能開発科、職業準備教育を行う普通科の三科が重層的に職業教育を展開し、障害の程度や本人の希望を踏まえた就労支援を行うことで、生徒の職業的自立と社会参加を促進してまいります。
○高倉委員 今、職能開発科のお話がございました。これから三十年度の開校を初めとして六校までふやしていくという話がありました。
この取り組みも大変大事だと思いますし、私も注目をしてまいりたいと思いますので、これは本当に都教委としても胸を張ってもいい大きなすばらしい取り組みではないかなというふうに思っておりますので、ぜひとも内外にもアピールをしながらしっかりと取り組みをお願いしたいと思います。
続きまして、デジタル教材の活用についてお伺いをしたいと思います。
少し前になりますけれども、私はマルチメディアDAISYといったものを教育の現場に活用していくべきではないかといったことを提案したことがありました。
これは、簡単にいいますと、教材というのが、例えば教科書みたいな本が一つあるだけというような感じがあるわけですけれども、本を広げても文字を自分の目で追っていくことがなかなかできないとか、そういうお子さん方がいるわけですけれども、映像とか、あるいは読み進めていくための音声とか、さまざまなIT技術を生かした形での教科書として、さまざまなそういう支援をしていくことで、十分な大きな効果を上げられるというようなものであったわけであります。しかしながら、今この分野での開発というのは相当に進んでいるというわけであります。
私は、例えば障害のあるお子さん方にとって、適切にデジタル教材を活用していくことによって、いわばハンデがあってなかなか難しかったような部分も、大きく能力を引き出していくということにつながっていくんではないかというふうに思っておりまして、できるだけ適切に活用の推進を図っていけばいいんじゃないかなというふうに思っております。
こうした開発が進んでいるデジタル教材の活用についての教育委員会の認識についてお伺いをしたいと思います。
○増渕指導部長 デジタル教材は、見え方や聞こえ方の困難を補ったり、注意や集中を高めたりできるように作成されており、その活用により、障害のある児童生徒の意欲的な学習活動や学習内容の理解を促すことにつながるものと考えております。
○高倉委員 先ほど申し上げましたけれども、障害のある児童生徒に対する指導の充実については、あらゆる角度からの取り組みというのが必要であるというふうに思っております。
今、質疑をしておりますデジタル教材を使っての指導というのは、その一つであるということで、大きな効果も期待できるんではないかなというふうに思います。
さまざまなデジタル教材の活用に向けた東京都教育委員会の取り組みということについてお伺いをしておきたいと思います。
○増渕指導部長 都教育委員会は、平成二十八年度、小学校二校を研究校に指定して、例えば読むことに困難がある児童に対して、タブレットの画面上に読み上げている箇所が視覚的にわかりやすく表示されるデジタル教材を活用した事例などを指導資料としてまとめ、全ての公立小中高等学校及び特別支援学校に配布いたしました。
今年度は、中学校三校を研究校に指定しており、今後、これらの学校における事例についても、指導資料としてまとめてまいります。
○高倉委員 今の答弁で、小学校での研究結果をもとにして、全ての公立学校の方に指導資料を配布したということであって、今年度は中学校三校、今度は中学校でやると。恐らくこの結果も、指導資料も、また全公立学校に配布をされるんではないかなというふうに期待しているわけであります。
そうすると、さらに今度はその上の高校でやるのかなと思ったりもしてしまうわけでありますけれども、いずれにしても、こういう研究結果にとどまらずに、ぜひとも全面的な展開が早期に行われるようにしっかり取り組みを求めておきたいというふうに思います。
次に、いじめの問題についてお伺いをいたしたいと思います。
先日、文部科学省が平成二十八年度の児童生徒の問題行動、あるいは不登校等の実態調査というのを発表したわけであります。それによりますと、都内の公立学校のいじめの認知件数は、前の年度に比べて約三倍の一万八千百五十四件に上っているということが報道もされたわけであります。
三倍になったということで、単純にこの数字だけを見ると驚くわけでありますけれども、まず、この認知件数が増加をした背景についてお伺いしたいと思います。
○増渕指導部長 いじめは、どの学校でも、どの子供にも起こり得るという認識のもと、いかなるいじめも見逃さずに認知するよう、区市町村教育委員会の担当者連絡会、校長連絡会、教員対象の研修会等、あらゆる機会において、繰り返し周知徹底を図ってまいりました。
こうした取り組みにより、教員がいじめの定義を正しく理解し、確実に認知しようとする意識が高まったことなどから、いじめの認知件数は全校種で前年度と比べて増加いたしました。
○高倉委員 今回の認知の急増は、いじめの捉え方を広げたといったところに大きな要因があるということだと思います。
重大なということに対しての反対のいわゆる軽微なものも含んだ数字ということであると思いますけれども、やはりこうしたいじめについては、本当に軽微な段階からしっかり掌握をし、認知をしていくということが不可欠であるというふうに思います。
そこで、東京都教育委員会のいじめ防止に向けた取り組みということについてお伺いをしたいと思います。
○増渕指導部長 都教育委員会は、平成二十九年二月、いじめ防止等の対策のさらなる推進を図るため、学校の具体的な取り組みをまとめたいじめ総合対策第二次を策定いたしました。
この総合対策では、学校いじめ対策委員会の役割や年間の取り組み、校内研修の内容、教員が授業で活用できる学習プログラム、保護者や関係機関等との連携のあり方などを示しております。
また、都内全ての公立学校では、この総合対策に基づき、教員が保護者、地域、関係機関等との緊密な連携のもとに、学校組織全体でいじめ防止対策に取り組んでおります。
○高倉委員 ことし、第二次の総合対策を策定したと。そして、今、都としていじめの防止に向けた取り組みを進めているという話でありました。
先ほどの認知件数の急増ということを踏まえれば、都教委としても新たな取り組みといったことも必要になってくるんではないかというふうに思いますけれども、今答弁にありましたこの第二次の総合対策において新たに充実を図っている取り組みについてご答弁をいただきたいと思います。
○増渕指導部長 いじめ総合対策第二次では、いじめの防止対策等を推進するために、軽微ないじめも見逃さない確実な認知、学校いじめ対策委員会を核とした組織的対応、相談しやすい環境の整備などについて、取り組みの充実を図っております。
特に、軽微ないじめの認知につきましては、教員が児童生徒の様子の変化に気づくための確認項目に加え、教員一人一人が自己の取り組みを振り返って点検するためのチェックリストなどを新たに掲載し、活用の促進を図っております。
また、教員がいじめの定義を確実に理解できるよう、事例を用いて協議する演習を取り入れた研修プログラムなどを示し、内容を充実させました。
○高倉委員 軽微ないじめも見逃さないというようなことで、今その点についてのお話もあったわけでありますが、今回の調査で認知件数そのものが急増しているということを考えますと、いわゆる対策の量の面でもしっかりとした対応というものが求められているということであります。
したがって、学校としてもこういう軽微なものも含めた、まさにこれまでとは質的にも量的にもさらに充実をした対応が求められているというふうに思います。
今回の認知が急増したいじめに対する学校の対応についてお伺いしたいと思います。
○増渕指導部長 認知しましたいじめに対しては、学校いじめ対策委員会が核となり、いじめの状況を多面的に検証しながら、対応のあり方などについて協議を行い、校長が対応方針を決定しております。
教員は校長の方針を踏まえ、役割を分担したり、保護者や関係機関等と連携したりして、いじめの解消に向けて対応するとともに、その進捗状況等について対策委員会に報告しております。
いじめが解消されたかどうかについては、対策委員会が児童生徒の状況等を総合的に検討した上で、校長が判断しております。
また、いじめが解消されたと判断した場合においても、関係した児童生徒を注意深く観察するなどの対応を継続しております。
○高倉委員 特に、いじめのことについては、いろんな形で各地で本当に大変な事件があったようなことについて報道されたりして、そういうものを見るたびに胸が痛くなるという感じでありますが、特に子供さん、児童生徒が実際にそういういじめに直面をしているというようなときに、その声をどこに届けたらいいのか、誰に相談をしたらいいのか、信頼できる人は一体誰なのかとか、なかなかそういう声を上げることができない環境の中で、重大な事案になっていってしまうというようなこともあると思うんですね。
したがって、いじめを受けた児童生徒に対する対応といったことも極めて重要でありますけれども、これについての対応、体制はどうなっているのかについてお伺いしたいと思います。
○増渕指導部長 各学校では、子供の不安や悩みに対して全ての教員がいつでも相談に応じることができるよう体制を整えております。
特に小学五年生、中学一年生、高校一年生においては、スクールカウンセラーによる全員面接を実施しております。
また、いじめ発見のためのアンケートを年に三回以上実施するとともに、全ての児童生徒にいじめ防止カードを配布し、二十四時間受け付けの東京都いじめ相談ホットライン等の外部相談窓口を周知しております。
このことに加え、今年度、スマートフォンから瞬時に東京都いじめ相談ホットラインに電話がつながるアプリケーションを開発するなど、いじめについて相談しやすい環境整備を進めております。
○高倉委員 きょう、幾つか質疑をさせていただきましたけれども、都教委としてこの東京から--東京だけには限りませんけれども、いじめを根絶していく、こうした取り組みをしっかり行っていただきたいというふうに思います。
特にきょうの質疑の中でも軽微ないじめについての対応といったことがありました。軽微な段階から取り組んでいくということは重大かつ深刻な段階に発展させていかないためにも極めて重要であるとともに、子供さんにとっては、例えば軽微ないじめということになったときに、いじめている側が、実はこれはいじめではないと思っているケースもあるんだと思うんですね。
しかしながら、それは受けとめる方としてはいじめになっているというような意味で、軽微な段階から取り組んでいくということは、例えばそういう意識はないけれども、結果としていじめになってしまっている、まさにいじめている側の子供さんにも気づかせるということにもつながっていくというふうに思いますので、ぜひともしっかりと取り組みを行っていただきたいと思います。
最後に、がん教育についてお伺いをしたいと思います。
国民の二人に一人がかかるがんというものは、健康上でも重要な課題であるというふうに思います。
したがって、学校教育においても、がんについて正しく理解ができるようにすべきであるというふうに思っておりまして、私ども都議会公明党としても、こうしたがん教育について、これまでもしばしば取り上げてきたところであります。
そこでまず、都教委におけるがん教育の取り組み状況についてお伺いをしたいと思います。
○宇田指導推進担当部長 平成二十九年度から、がん教育を全校で実施するという文部科学省の方針を踏まえ、都教育委員会では、平成二十八年度に有識者及び学校関係者から成る健康教育推進委員会を設置いたしまして、各学校におけるがん教育を推進するためのリーフレットを作成することとし、その内容について検討いたしました。
平成二十九年五月に、各区市町村教育委員会に対して、各学校がこのリーフレットを活用した授業を通して、がん教育の充実を図るよう促した上で、翌六月に都内全公立学校にリーフレットを配布いたしました。
○高倉委員 今、リーフレットのお話がありましたけれども、これがそのリーフレットですね。これが小学生用、これが中学生用、これは高校生用ということで、がんということでいろんなことを盛り込まなきゃならないので、冊子のようなものになるのかなと思ったんですが、これを見るとそれぞれ二つ折りの四ページ立ての非常に簡潔にまとめられているものであるというふうに思います。
このリーフレットの作成の基本的な考え方や、あるいは内容の特徴についてご答弁いただきたいと思います。
○宇田指導推進担当部長 このリーフレットは、がん教育の目標である、児童生徒ががんについて正しく理解するとともに、健康と命の大切さについて主体的に考えることができるようにするという二点を達成するための教材として作成いたしました。
リーフレットの構成の特徴といたしましては、授業で活用しやすいように、がん教育で取り扱う具体的な内容を四ページに集約し、イラストやグラフを用いてわかりやすくまとめております。
内容の特徴といたしましては、がんに関する基本的な説明のほか、それぞれの発達段階に応じて、小学生用は病気を防ぐ生活習慣、中学生用はがんの予防と早期発見や治療法、高校生用はがんの種類とその特徴及びがん検診の受診率等を取り上げております。
また、どの校種でも、がん経験者の体験談を掲載し、その心情を理解したり、がん経験者の立場に立って、誰もが暮らしやすい社会について考えたりすることができるよう工夫しております。
○高倉委員 がん教育を推進するに当たっては、教員の方々が、がんについて正しく理解をしていく、その上で指導していくということが重要であると思いますが、この教員の指導力の向上に向けた取り組みについてお伺いしたいと思います。
○宇田指導推進担当部長 都教育委員会では、平成二十七年度から都内公立学校の教員を対象として、がん専門医を講師に招聘し、がんについて医学的に正しく理解できるようにすることを目的とした特別講演会を実施しております。
また、文部科学省及び関係機関が作成したがん教育に関する教材やDVDを用いた効果的な指導方法について周知を図り、積極的な活用を促しております。
さらに、先ほど答弁させていただきましたリーフレットに加え、教師用に具体的な授業の進め方を示した指導事例や家族にがん患者やがん経験者がいる児童生徒への配慮等を掲載した活用の手引も作成し、全校に配布いたしました。
○高倉委員 今、答弁の中にもちょっとありましたけれども、専門家の力を得ていくということも大事であると思います。
特に医師、あるいはがんの経験者、こういった方をがん教育の外部講師として力添えしてもらうということが大変重要であるというふうに思います。
がん教育における外部講師の活用、これは私はぜひ積極的に進めるべきだというふうに思っておりますけれども、この点についての取り組みについてお伺いしたいと思います。
○宇田指導推進担当部長 がん教育の充実に向けて、外部講師の活用は極めて有効でございますが、学校からは外部講師とどのように連絡をとればいいのかわからない、また、どのような機関と連携すればいいのかわからないといった声が上がっております。
そのため、都教育委員会は、平成二十九年度、学校における外部講師の活用を促進するため、医師やがん経験者、区市町村教育委員会担当者等から成る東京都がん教育推進協議会を新たに設置し、外部講師の効果的な活用方法や、学校と医師会、病院、患者団体等との連携のあり方について検討しております。
○高倉委員 最後に、今後の取り組みについてお伺いしたいと思っていますけれども、先日、私が住む中野区の第八中学校というところで、公開でがん教育の授業が行われたわけであります。
大変好評だったというふうにお聞きをしておりまして、例えば校長先生方も参加されていたらしいんですが、来年度はぜひ全ての中学校で行っていきたいというようなお話もあったそうであります。
また、区内の小学校においても、来年度は半分ぐらい、再来年度ぐらいには全校でやっていきたいというような意欲ある話をしていた関係者もいらっしゃったというふうに聞いております。国の方も、このがん教育については力を今入れているところであります。
都教委の今後の取り組みについてお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、現在、健康教育に関する研究指定校において、今年度配布したリーフレットや外部講師を効果的に活用したモデル授業を公開しておりまして、今後、指導事例とその結果を事例集にまとめ全ての公立学校に配布し、各学校におけるがん教育を推進してまいります。
また、文部科学省は、今年度中にがん教育の実施状況についての全国調査を予定しております。この調査結果から、都内各区市町村の実施状況を把握し、全ての学校でがん教育が実施されるよう指導助言を行ってまいります。
さらに、東京都がん教育推進協議会の協議結果を踏まえ、拠点病院がない区市町村においても外部講師を活用することができるよう、地域の実情に応じて支援してまいります。
○里吉委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十九分休憩
午後三時三十六分開議
○里吉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○古賀委員 教育委員会の事務事業のうち、武道教育の現状、課題、課題があるとすれば、その対応について質問いたします。
武道教育が中学校の保健体育の授業で必修化されました。平成二十四年度からのことであります。
なぜ必修化されたのか、さまざまな経緯があるわけでありますけれども、まずその概略、説明をお願いいたします。
○宇田指導推進担当部長 平成十八年に教育基本法が改正され、教育の目標に伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うことが位置づけられました。
このことを受け、平成二十年一月の中央教育審議会答申において、保健体育科における武道の指導を充実し、我が国固有の伝統や文化に、より一層触れることができるようにすることが重要であると示され、平成二十年三月、中学校学習指導要領の改訂により、武道が必修化されました。
○古賀委員 日本は武道教育を平成二十四年度から初めて始めたわけではなくて、実際にはそれ以前から行われていたわけです。しかし、これを禁止いたしました。誰が禁止したか、マッカーサーです。
昭和二十年に武道教育の禁止を命令して、その後、昭和二十一年、終戦の翌年には武道指導教育免許の無効を宣言し、武道界を統括していた大日本武徳会というものを解散させました。つまりGHQが武道教育を禁止したわけです。
武道否定の方針は、その後、長く続きまして、対日講和条約、サンフランシスコ講和条約が昭和二十七年に発効いたしましたけれども、その翌年まで我が国では武道という言葉すら使うことができず、教育が行われてこなかったわけであります。
そういった経過が長くあり、平成二十四年度から中学校で、今述べられたような背景があって、六十七年の歳月を経て我が国で武道教育が行われるようになったわけであります。
なぜマッカーサーが、GHQが武道教育を禁止したかということは、もう皆様方も察しがつかれるというふうに思いますけれども、我が国は大東亜戦争を戦って、白人、欧米列強が五百年にわたって植民地支配を行っていたアジアの植民地を解放する戦いを行ったわけでありまして、それによって人種平等を実現した。
なぜ日本がこれだけのことをやり遂げたかということを考えると、日本と戦ったアメリカのマッカーサーは、日本では武道教育が行われている、しかも侍の国では原爆二発を落とした程度ではまた再びアメリカの脅威になるかもわからないということから、その精神的な背景となっている日本の武道教育というものをやり玉に上げて、これを禁止したわけです。
当時、アジアは英領マレーとか仏領インドシナ、ベトナムですね、オランダ、ジャワ、スマトラ、ボルネオ、こういったところは全てヨーロッパ列強の植民地であったわけです。
フランスはファッションとか音楽とか、すぐれた文化の国だということを、フランスのパリに憧れて行く人もいるわけですけれども、それらがフランスで花開いたのは、植民地からの収奪があって、それによる富というものが背景にあったということを私たちは知らなければいけないというふうに思うわけです。
ですから、この武道というものが欧米の列強、白人キリスト教国家にとっては大変脅威に感じたということは想像にかたくないところでありまして、占領行政の一環として武道ができなくなってしまった。
その復活は、長く武道に取り組む人たちにとっては悲願であったわけでありまして、これが今申し上げましたように、七十年近くの歳月を経て、我が国でまた堂々と義務教育の現場で取り組むことができるようになった、つまり日本人であれば誰でも一度は、武道というものに親しむ機会が、これによって与えられたということになるわけです。そういう誇りを含めて回復したということであります。
この武道教育について、いろいろ、学校で事故が起きるのではないかとか、懐疑的な意見も多少あったわけでありますけれども、ちょうどことしは武道教育が採用されて、必修化され、履修することが義務づけられて五年に当たるわけです。
一つの節目を迎えているわけでありまして、中学校における東京都の武道教育の種目、それから実施状況、それから時間数は具体的にはどうなっているのか、お答えください。
○宇田指導推進担当部長 都教育委員会が平成二十六年度に実施した都内公立中学校における武道の指導に関する調査結果では、種目ごとの実施校数の割合は、柔道が八二・一%、剣道が一五・八%、相撲が一・八%、その他の武道が〇・三%でした。
また、保健体育科の年間授業時数百五時間のうち、武道の指導時数については学習指導要領において明示されておりませんが、年間八時間から十時間実施している学校が六二・九%と最も多く、次いで五時間から七時間が二五・九%でした。
○古賀委員 実際は、必修化されたとはいっても、武道に取り組む時間というのは非常に限られているわけです。ですから、どの種目を選んだとしても、長くその武道に親しんでいる人と同じように戦えるか、試合ができるか、あるいは語ることができるかということについては、必ずしも十分な時間ではないわけでありますけれども、そのさわりの部分については誰でも一度は触れるということになるわけでありますので、私たち、この武道教育の充実というものをさらに願わずにはいられないわけであります。
柔道が圧倒的に多いわけでありまして、その後、剣道が続き、相撲となっているわけであります。他の種目についても、今お話は出ませんでしたけれども、あと合気道、空手道、なぎなた、杖道、つえですね、さまざまな、少林寺拳法もありますし、そういった武道というものがありますので、できればそういった武道の実施状況については、各学校に対して調査を依頼し、調査できないことはないと思いますので、調べていただければ今後の取り組みの参考になるのではないかというふうに思います。
ちなみに、これは空手道の専門雑誌で、ちょっと古いんですけれども、平成二十七年、中学校の保健体育で現在、空手道を行っている学校は二百二校というふうに出ているんです。だから、東京都の数字も、もしこの中に入っていることも考えられるわけで、都教委として、他の武道についても、できるだけ具体的な、詳細な内容を資料として把握するように努めてもらいたいというふうに思います。
時間数が非常に少ないので、例えば座り方とか立ち方、それから、柔道であれば受け身のとり方とか、そういったことを身につけるだけでも、例えば私は柔道であれば柔道をやったことがある、柔道の少しさわりの部分でもやったということは、今後何らかの、またそのことに魅力を感じて新たに始める方がいるかもわからない。そういったことで、武道をやることによって、その人が身につける、別に格闘家として食べていくわけじゃありませんので、武道の持つ一つの大きな価値観というものに着目する機会になればというふうに思うわけです。
オリンピック競技には柔道だけ、今、武道の中では採用されておりますけれども、そういったことに今後関心を持って、中学校でやったことをさらに深めていきたいと思う人が出てくるかもわかりませんので、ほんの基礎的なことだけでもやることの意義は大変大きいというふうに思います。
そして、先ほど申し上げましたように、武道教育必修化から五年が今日経過しているわけでありますけれども、今までやってきた武道教育の中で、どのような課題が、一つ浮かび上がっているのか、それから、その課題には今後どう対処していくのか、さらに武道教育を通して、始めたことによって得られた成果というのは、どのように都教委として把握しているのか、お答えください。
○宇田指導推進担当部長 実施当初は、武道場や畳、防具等、安全を配慮した施設設備等の環境整備及び保健体育科教員の武道に関する指導力の向上等が課題でありました。
そのため、各区市町村は、地域や学校の実態に応じて年度ごとに予算措置を行い、施設整備、用具等の環境整備の充実に取り組んでまいりました。
また、都教育委員会は、保健体育科教員の指導力の向上に向け、平成二十三年に武道に関する指導事例集を作成し、全公立中学校と高等学校の保健体育科教員全員に配布するとともに、平成二十四年度から毎年度、本指導事例集を活用した武道の実技講習会を実施しております。
成果として、武道の授業を受けた生徒からは、習う前は少し怖いと思っていたが、だんだんと積極的にわざをかけられるようになった、相手を尊重しながら試合に臨むという礼儀作法がわかったといった感想があり、武道を通して体力的にも精神的にも成長した生徒の姿が報告されております。
○古賀委員 これから施設整備と、それから指導者の確保ということは課題としてあるというふうに思います。
また、成果としては、相手に対する礼儀作法というものがわかったということでありますので、それらの成果、効果というのは上がっているというふうに思います。
先ほど私が申し上げましたように、おじぎ一つとっても、今はばらばらなんですよね。卒業式に行きますと、卒業証書をもらうときに、頭を校長先生にぺこっと下げる人もいるし、深々と頭を下げる人もいるし、ほとんどやらない人もいる。おじぎというのは、武道では対等の者には大体十五度、それから先生方に対しては約三十度の角度でやることを一応基本にしているわけです。
ですから、礼儀作法のことが先ほどお話がありましたように、武道をやれば礼に始まり礼に終わるというわけですから試合前にまず礼をする。どのように戦うかということも武道の中ではいろいろ指導を受けるわけです。終わった後は、どう対応するか、つまり、礼に始まり礼に終わるというのは、武道をやった人ならば自然に身につく一つの生活態度になるわけでありまして、おじぎの仕方一つとっても、武道教育をちゃんとやれば、頭を下げたのか下げないのかわからないような状態での卒業式や公式行事等での生徒たちの態度はかなり改善されていくというふうに思います。
これは生徒が悪いのではなくて、それを教えていない側に責任がもちろんあるわけですから、武道の教育を通して礼法を学ぶということが一つ基本にある。何も強くなったり、それから相手を倒すということが主眼ではなくて、礼法を学ぶ方法の一つとして武道教育というものがあるということも、この武道教育の価値の一つの、一面として私たちは評価をしていいのではないかというふうに思うわけです。
これから教育上の効果というのはさらにいろいろ示されてくるというふうに思いますけれども、ぜひ礼法という作法の面での効果というのも、都教委においては、私は着目しておいてほしいというふうに思います。
そして、武道の中で、私、空手道のことをちょっと触れたいというふうに思うんですけれども、日本の空手道界は、長年にわたってオリンピックの正式種目に空手道ということで取り組んできました。それが今度、三年後の、あと千日後に迫っているわけでありますけれども、オリンピックで開催国の提案として、空手道が正式種目としてここで採用されるわけです。
柔道に続いて、我が国発祥の武道がここでオリンピックの正式種目になるということでありますので、かなり、空手道の新聞記事も今目立つようになりましたので、空手をやってみよう、空手道を始めてみようという子供たちも、出てくると思います。オリンピックを目指せと子供たちにいえるわけですから。
ただ、オリンピックの種目としては、平成三十二年のこのオリンピック、東京大会だけということになっておりますので、柔道と同じように、オリンピックの正式競技にこれから空手道がなるかというのは、空手道界、あるいは日本の武道界にとっても大変大きな一つの課題ということになるわけです。
幸い東京大会の後はフランス・パリに決まっていまして、フランスも非常に格闘技の盛んな国なんですよね。ですから、多分、平成三十二年の四年後のフランス大会の後も空手道は入る可能性が大変高いわけでありますけれども、今後、我々日本の地で発祥した空手道がオリンピックの正式競技になるよう、そういった背景もあるということで、ひとつ東京都教育委員会も、どこかにそのことを念頭に置いてほしいというふうに思います。
ちなみに、昭和三十九年の東京オリンピックのときに柔道が競技になりましたけれども、あのときも東京大会だけということが、最初は決まっていたんですけれども、軽量級、中量級、重量級、それぞれ金メダルをとったんですけれども、オリンピック競技の最後の種目として日本武道館で行われた柔道無差別級の決勝戦で、オランダのアントン・ヘーシンクと神永昭夫選手が戦って、あのときはけさ固めで神永が破れて銀メダルに終わったわけです。
ですから、ヨーロッパの日本以外の国の選手、いわゆる関係者も、日本以外でも金メダルがとれるということで、オリンピックの競技として今日まで正式種目として残っているわけです。
私は高校生で、あのとき白黒テレビで柔道無差別級の決勝戦を見ていましたけれども、けさ固めで一本をとった瞬間、オランダの関係者が一斉に競技会場になだれ込もうとしたら、右手でヘーシンクがそれをとめたんですね、破れた者に対する敗者への配慮があったんです。それでまた我々は、柔道界も含めて感動したわけです。やはりさすが柔道をやっている、外国選手でも柔道の精神がちゃんとわかっている、身につけているということで、柔道が今日なお、嘉納治五郎が世界の柔道にしたいといった思いは実現しているわけです。
ですから、空手道も今度の平成三十二年の東京オリンピックで終わるのではなくて、我が国の発祥の武道として、オリンピックの競技種目になるように、私も多少やっている者の一人として、そのことをぜひ実現していきたいというふうに思っています。
本来は、武道場の整備とかそういうときには、道場には必ず神棚があるんですよね、神様というのは武の神様がお祭りされているのが一般的です。鹿島神宮、香取神宮の武道の神様がお祭りされている。ですから、本来は学校等で武道場を整備する際には、そういったことまで配慮すべきですけれども、現状では私は難しいと思います。
しかし、外国の人たちは、日本に武道の研修に来た人は、例えば明治神宮の武道場、至誠館という道場がすぐ近くにありますけれども、外国から武道の研修に来た研修生たちは、大体帰るときに明治神宮の神棚を買って帰るそうです。道場に入るときは礼をする。何に対して礼をしているのかということがわかるわけですよ。
ですから、そういうことまで深みをある程度意識した中での指導を私はお願いしたいというふうに思うんですけれども、空手道をやっている学校というのは、実態はよく都教委はつかんでおられないようなんですけれども、他の--弓道もありますね、弓。弓道は、アップルの創始者の、何といいましたっけ……(「スティーブ・ジョブズ」と呼ぶ者あり)スティーブ・ジョブズ、あの人は、弓と禅という有名な大正時代に日本に来た哲学のドイツの学者さんがいますけれども、その人が書いた弓と禅という本が終生の愛読書だったんですよね。ですから、弓道も外国の人たちを魅了するものがやっぱりあるということです。
空手道に話を戻しますけれども、都教委でも、オリンピックの正式種目として、今度、三年後にやるわけですので、何か空手道に対して私は力を入れてもらいたいというふうに思うんですけれども、ひとつ見解を聞かせてください。
○宇田指導推進担当部長 学習指導要領では、中学校における武道は、柔道、剣道、または相撲のうちから一種目を履修することとしており、地域や学校の実態に応じて、その他の武道についても履修できることとなっております。
都教育委員会は、今後、空手道など、その他の武道を授業で実施している学校の状況を把握するとともに、それらの学校が学習指導要領の趣旨に基づき、適切に武道の授業を実施できるよう、区市町村教育委員会と連携しながら、指導資料を提供するなどして支援してまいります。
○古賀委員 もう終わりますけれども、先ほど私、ちょっと失念したんですけれども、アップルの設立者はスティーブ・ジョブズでしたね。この方が生涯の愛読書として、座右の書としたのが弓と禅という、ドイツの哲学者のオイゲン・ヘリゲルという人が書いた本です。ですから、外国の人の方が、ある面では日本の武道の価値というものがわかっていることもあるということです。
空手道は、今後、課題もいろいろあるということですけれども、私、全日本空手道連盟や東京都空手道連盟の指導者の方といろいろお話をすると、学校で希望をすれば指導者の派遣は可能だということを聞いておりますので、オリンピックで日本人選手の期待できる種目として、今後、報道等でも取り上げる機会が多くなると思いますので、子供たちや学校の校長先生、あるいは体育の担任が空手道を希望した場合には、都教委として積極的にそれが実現できるように取り組んでいただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。
○池川委員 それでは、私からも質問させていただきます。
小池知事は、第三回定例会の所信表明で、よりよい教育を実現するためには、何よりも学校現場の課題に向き合うことが不可欠だと述べられました。
また、我が党の代表質問に対しても、教員一人一人のライフワークバランスを実現して、学校教育の質の向上につながる重要な課題だと、この教員の多忙化等の問題について認識を述べられておられます。これは大変重要だと考えます。
これらの問題等についてまず伺っていきたいんですが、まず初めに、都立学校における在校時間の管理の問題について伺いたいと思います。
教員の勤務実態を的確に把握すること、勤務時間の管理を行うことは、学校現場の長時間労働をなくしていくためには不可欠です。
まず、都立学校において、在校時間の把握に至った経過について確認したいと思います。
○鈴木人事企画担当部長 従来から、厚生労働省が定める基準では、現認、またはタイムカードなど客観的な記録のいずれかの方法により、適正な労働時間の把握を行うこととされております。
都立学校では、管理職が現認するなどにより、勤務実態の把握に努めてまいりました。
平成二十八年二月に、包括外部監査において、都立学校教職員の退校時間を客観的に記録すべきという意見があり、本年十月から出勤カードシステムを活用した在校時間を客観的に記録できるようにしました。
○池川委員 管理職が現認することで勤務実態を把握していたというこれまでの方法は、広辞苑を引いてみますと、現認というのは、事態をその場にいて目撃することというふうになっておりまして、つまり管理職がいなければ現認はできないという方法でこれまで把握をされていたところから、今回、カードシステムを使っての活用となったことは一歩前進だというふうに思います。
中央教育審議会初等中等教育分科会学校における働き方改革特別部会の学校における働き方改革に係る緊急提言では、服務監督権者である教育委員会は、自己申告方式ではなく、ICTやタイムカードなど、勤務時間を客観的に把握し、集計するシステムが直ちに構築されるよう努めることを求めています。
その意味で、ことし十月から出勤カードシステムを活用して、都教委が在校時間を客観的に把握することを始めたことは、私自身も大変注目をしております。
都立学校で実施しているこの在校時間の把握について、その目的と結果の活用方法はどうされるのか、伺いたいと思います。
○鈴木人事企画担当部長 学校では、日々の在校時間の記録について、設置している端末から、日単位、月単位の状況を確認することができ、在校時間の客観的な把握が可能となりました。
東京都教育委員会では、各学校が把握したデータを収集、分析することで、学校現場の在校時間を把握し、今後の施策に活用してまいります。
○池川委員 設置した目的について、今お答えがなかったと思うんですが、客観的に把握して分析していくというのはわかったんですが、この設置した目的について、改めて伺いたいと思います。
○鈴木人事企画担当部長 メンタルケアのさらなる充実や、長時間労働是正を含めたライフワークバランスの実現を図る観点から、在校時間の把握を行うこととしたものでございます。
○池川委員 メンタルケアの充実、そして、長時間労働の是正等に資するということで、今回スタートしていただいたということです。先ほど中教審の緊急提言等も紹介をしましたが、客観的把握というのはやっぱり極めて重要です。
一方、実際にシステムで勤務実態を管理している区市町村のある自治体では、時間外の勤務実態、すなわち時間外労働の時間について、学校ごとに並べて示して、多いところは減らすようにという指導がなされたという話も聞きました。
しかし、一方で、どうやって削減をするかということがないままに勤務時間だけを減らすというのはなかなか難しいわけです。この長時間労働是正を含めたライフワークバランスの推進という目的を達成するためには、このシステムを有効的に活用した上で、実態を把握し改善していく必要があると思います。
そこで、都立学校で開始された在校時間の管理の仕組みですが、在校時間の把握について、客観的なデータとして正確に記録する方法を導入し、その記録を定期的に分析することが求められていると思いますが、区市町村立の公立学校における展開はどのように行っていくのかについて伺いたいと思います。
○鈴木人事企画担当部長 区市町村立学校に勤務する県費負担教職員につきましては、服務監督権を有する区市町村教育委員会が適切に把握すべきものと考えております。
都教育委員会は、区市町村教育委員会に対し、厚生労働省が労働時間の適正把握について定めたガイドラインに関する通知や都立学校における在校時間把握の取り組みの紹介など、適切な対応に向けた働きかけを実施しております。
○池川委員 区市町村の小中学校の長時間労働解消というのは、教員配置に責任を持つ都教委がどういうふうに取り組むか、非常に重要だと思います。
具体的に、今、紹介等を行って対応しているということだったんですが、システムにかかる経費等について、例えば補助を出す等は考えられないのか、その具体的な把握の方法について、東京都として支援する考えはないのか、伺いたいと思います。
○鈴木人事企画担当部長 先ほど申し上げましたとおり、区市町村立学校に勤務する県費負担教職員につきましては、服務監督権を有する区市町村教育委員会が適切に把握すべきものと考えております。
○池川委員 実際には、このシステムを入れるには一定の経費がかかるので、これは広域自治体であり、そして、教員配置に責任を持つ都教委がやっぱりしっかり支援していくことが必要だと思います。
その立場からも、今後、国の動向等もありますので、ぜひ注視をしていただきながら、都としても積極的に推進する立場から、区市町村教育委員会にシステムの補助等について検討していただきたいということは求めておきたいと思います。
次に、教員の多忙化解消について幾つか伺いたいと思います。
文部科学省が行った二〇一六年度、教員勤務実態調査では、小学校で三三・五%、中学校で五七・六%の教員が一週間六十時間以上働いている実態が明らかとなりました。すなわち月八十時間と定められている過労死ラインを超える働き方となっています。これは極めて深刻だと思います。
また、二〇一七年、東京都人事委員会の職員の給与に関する報告と勧告では、教員の過大な負担を軽減していく観点からは、適切に勤務時間を把握し、校務改善等の対応を図っていくことが重要であるというふうに勧告も出されています。
初めに、教職員の多忙化、勤務時間が増加している現状について、都教委はどのように認識をされているのか、その基本的な認識について伺いたいと思います。
○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 教員の多忙化や長時間労働の実態は、教員自身の心身の健康に影響を及ぼすとともに、学校教育の質にもかかわる重要な問題であると認識しております。
○池川委員 教員自身の心身の健康に影響を及ぼすとともに、やっぱり家族にとっても、私は大変深刻な問題としてぜひ受けとめていただきたいし、その辺の認識もぜひしていただきたいと思います。
同時に、学校教育の質にかかわるということで、重要な問題であるという認識については大変重要だと思います。
ことし八月の二〇一七年度、第一回総合教育会議でも小学校教育のあり方についてと題して意見交換が行われました。
主幹教諭の先生からは、〇〇教育という特別なカリキュラムについて、教育目標などを受けて、学校の実態に応じてつくる、それらを各教科、各学年、十個のテーマについて行うことは作業が大変だということが語られました。
また、校長先生からは、今後の見通しとして、新しい学習指導要領では、授業の持ち時間数が二十八こまから二十九こまになり、かなりハードだということ、また、その授業と授業の間に研究や研修をするのは、どだい無理なことではないかという意見も述べられていました。
総合教育会議で教員の多忙化についても意見交換が行われましたが、この会議の内容等について、今後どうやって生かされていくのか、その基本的な考え方を伺いたいと思います。
○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 これまでの総合教育会議においては、現場の教員も交えて議論を重ね、さまざまな意見をいただいております。
現在、こうした議論も踏まえ、学校における働き方改革推進に向けたプランの策定を進めております。
○池川委員 多忙化解消に向けては、区市町村教育委員会との意見交換も行っているということですが、その内容についても伺いたいと思います。
○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都教育委員会と区市町村教育委員会との共通理解を図るため、小中学校における教員の業務実態や部活動指導上の課題等について意見交換を行っております。
○池川委員 これは区市町村教育委員会からさまざま意見を聴取し、意見交換した上で、実態把握をされるということなんですけれども、その意見交換も踏まえて、それはどうやって生かされていくのか、今後の方向性について伺いたいと思います。
○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 策定予定のプランの内容に反映していくわけでございますけれども、そこには国における検討状況ですとか、そういったものを注視しております。
それと、今ご答弁させていただきましたけれども、区市町村教育委員会や学校現場の意見につきましても踏まえまして、現在、プランの策定について検討しているところでございます。
○池川委員 ぜひ教育委員会のいわゆる現場ではない方だけではなく、きちんと現場の声が反映をされるような聞き取り等、進めていただきたいし、それを計画にぜひ落とし込んでいただきたいということは求めておきます。
連合総研が二〇一六年十二月にまとめた調査の中でも、負担感の強い業務として、保護者、地域の要望、苦情への対応が八〇・八%に次いで、二番目が国や教育委員会の調査対応で八〇・二%、わずか〇・六ポイントの差となっています。
また、中教審の学校における働き方改革に係る緊急提言においても、国及び地方公共団体等においては、調査のみならず学校に対する依頼、指示等について整理、把握し、その精選及び合理化、適正化を進めることとされています。
さらに、文科省が行った教職員のストレス要因チェックでは、教員等の中で、生徒指導に次いで二番目に多かったのが事務的な仕事というふうになっていますが、いわゆる事務関係、提出物関係が極めて多いということについての都教委の認識はどうなっているのか、その認識について伺います。
○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 教員の負担軽減策を検討するに当たりましては、教員が現在携わっている業務について検証していくことが重要、必要であると考えてございます。
○池川委員 これもさっきの時間をどうやって把握するかと同じで、客観的にどうなっているかというまず把握からスタートし、その業務の検証が必要だということなんですが、具体的に業務はどうやって検証されていくのか、どういう把握方法で、どうやって今後、客観的に教員が携わっている業務を検証していくのかについて、現時点で考えがあれば伺いたいと思います。
○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 これまで都教委といたしましては、区市町村教育委員会を初め、その他、校長会ですとか、そういうところを通じて意見交換を行ってきております。
その中から出てきた意見等を踏まえまして、今後の対応を検討していきたいというふうに考えております。
○池川委員 ぜひ携わっている業務について検証を行うこと、そして、現場の教員の実態については、わかったものとせず、改めて把握をし直すことを通じて、この状況については検証していただきたいということを求めておきます。
私自身、直接お話をお伺いした五年目で学年主任をされている小学校の先生からは、校務や提出書類が大変多いという話を伺いました。
具体的に少し紹介をしますと、英語の授業に合わせてALTの派遣会社との連絡をすること、また、それとあわせて日本語の英語講師との予定を組むこと、さらにそれを全学年に展開していくに当たって、行事とかプールとか、あと特定の時数が少なくならないように調整をして、全学年のスケジュール調整を行うと。
さらに、転入転出の事務仕事、教科書会社への発注、教育委員会への名簿の提出、転入があった場合には、持っていない教科書を把握し、その子供に合わせてきちんと対応していくこと。
また、学年の出席簿の管理、全校、全クラスの時間割り作成を行い、特別教室や校庭使用の調整、専科の割り当て、保護者会、個人面談、学校公開、家庭訪問の実施案と保護者向けの案内の作成、各教科の時数をカウントして、これも教育委員会に報告をする。
さらに、学年を超えた縦割りグループの編制も行う、さらには机、椅子の管理や廃棄の手続等も行っている、特別支援教育コーディネーターの仕事についても担っている、さらにはボランティアの担当もやっていると。
五年目の先生が授業以外にこれだけの業務を負っていて、これは大変深刻ですし、こういうものを客観的に把握をしない限り、なかなか業務負担の軽減にはつながらないと。私も聞いて大変びっくりしたところであります。
こうなればどうなるかといえば、授業、または授業準備がどんどん後回しになっていってしまう。やっぱりほかの先生との関係で、どうしても進めなきゃいけない仕事が先に来てしまうし、締め切りの提出期限があるものがどうしても先に来るというふうに現場からは伺いました。
この現場の教員の実態とかみ合った対策でなければ、実際の労働時間、時間外労働の削減には結びつかないと思います。策定予定と先ほど答弁がありましたプランの内容と対策の柱はどういうものになるのか、伺いたいと思います。
○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 プランの柱ということでございますけれども、今、国の方も動いている状況がございまして、そこのところを注視しているところでございます。
一方で、都教委といたしましても、先ほどから申し上げていて恐縮なんですけれども、区市町村教育委員会、それから学校現場の意見というものを集約しておりますので、そういったところから内容について、今、鋭意検討しているところでございます。
○池川委員 授業の持ち時間数を減らすことは、多忙化解消とともに、教育の質の向上にとっても不可欠だと思います。
中教審の先ほどから紹介をしている緊急提言の中でも、教員一人当たりの担当授業時数の軽減が明記をされています。
二十三区の小学校で三年生の担任を持っている先生からは、土曜も含めて現時点で二十六時間、授業を持っているという話を伺いました。
小学校の場合、同じクラスの子供たちに授業をするため、一週間に二十六通りのパターンの授業を考えなければならない。当たり前の話なんですが、そういう実態になっています。二十六種類の授業を組み立てるというのは大変な仕事です。
文科省の教員勤務実態調査でも、小学校教員の場合、一週間の授業時数が二十六こま以上が四〇・九%と最も多くなっています。一方、中学校の場合は、二十一こまから二十五こまが四九・九%、約半分と最多となっていますが、中学校の場合、逆に今度はたくさんのクラスを受け持つために、成績処理などは中学校の方がやっぱり大変という実態も伺っております。
文部科学省は、我が党の畑野君枝衆議院議員の質問に対して、一時間当たりの指導時数に対しましては、その準備等の校務に係るものが、それと同程度という計算になるという答弁をしました。
これは義務標準法が策定をされるときに考えられた考え方で、平たくいえば授業時間数と同じだけ授業の準備が必要だという認識に文部科学省は立っているということが国会で答弁がありましたが、都教委としても、実際には今確保されてはいないんですが、授業時間を準備するに当たって、それと同様の準備時間が必要だという認識でよろしいのか。
文部科学省の認識と同じように考えているのかどうか、その認識について伺いたいと思います。
○江藤人事部長 今ご指摘あったとおり、持ち時数に応じて、同等の時間が必要であるという認識で私どももよろしいかと思います。
○池川委員 実態がどうかということについて、改めて先ほど紹介した勤務実態調査について例にすると、小学校では主担当の授業、補助ではなく主に自分が担当する授業が一日当たり四時間六分に対して、授業の準備は約一時間十七分、これは小学校です。
中学校の場合は、主担当の授業が三時間五分に対して、授業準備は一時間二十六分というふうになっており、この一時間授業を行うのに同じ時間の準備数が必要だというふうにはやっぱりなっていないのが実態としてはあります。
教員の本務である授業と授業準備、学習指導、生徒指導、成績処理にかかる時間を第一義的に確保するという立場でこの働き方改革は進められなければならないというふうに考えます。
当面、小学校は二十時間、中学校は十八時間、授業時数にすべきだと思いますが、授業時数の考え方については、東京都教育委員会としてはどのように考えているのか、伺いたいと思います。
○江藤人事部長 教員の授業時数につきましては、いわゆる義務標準法に基づく都の配置基準により配置されました教員の中で、各学校長が学年や教科などの教育課程を考慮しながら決定をしております。
したがいまして、今後とも国の動向を注視してまいりたいと考えております。
○池川委員 先ほども紹介しましたが、特に若い先生、教員になって日が浅い先生の場合、蓄積がやっぱりなかなかなくて、教材準備等にも大変時間がかかる、そして教材研究をやっぱり進めなければ、なかなかいい授業というのはできないわけで、準備に時間がかかるというのは、この間、お話をお伺いした中でも異口同音に語られているところです。
先ほど都教委も文部科学省と同様の認識、授業時間数に対して同じ時間の授業準備時間が必要だという認識に立つとすれば、現状の時間数よりも減らしていくことが必要だという認識に立っている。
今後の展開として、授業時間数をやっぱり減らしていくべきだというふうに考えておられるのかどうか、その認識について伺いたいと思います。
○江藤人事部長 先ほども答弁申し上げましたけれども、教員の授業時数は、いわゆる義務標準法に基づく都の配置基準により配置された教員の中で、学校長が学年や教科などの教育課程を考慮しながら決定していくものでございます。
でありますから、私どもは、国のそういう標準法の動向を注視してまいりたいと答弁させていただいているところでございます。
○池川委員 授業時数の問題については、現実的な、長時間労働を正していくためには、重要な一つだということは明らかだと思います。授業準備を行う時間が確保されてこそ、よりきめ細かく学ぶことができる、そして豊かな学びができることにつながると考えます。
小学校一年生の担任をされた方からお話を伺った中では、空き時間がないため、保護者からの問い合わせ、具体的には例えば連絡帳に問い合わせがあって、その返事を書く時間が確保できない、つまりずっと授業をやっているために、そういう時間が確保できない、これは極めて困難だという話もありました。
小学校一年生であれば、保護者が初めてお子さんを小学校に上げた場合には大変不安に思って、さまざま聞きたいこともある中で、その対応もなかなか難しいということも、対応したいけれども、なかなかできないということで、ジレンマだという話も伺ってきたところです。
小学校において、専科について、これはさきの総合教育会議の中でも議論がありましたが、専科教員の加配を行うことが必要だと考えます。中教審の緊急提言でも、小学校における専科教員の充実という問題も掲げられました。
小学校における専科教員の充実に向けた都教委の考え方について伺いたいと思います。
○江藤人事部長 都教育委員会は、教育の質の向上の観点から、小学校における専科指導教員の加配など、教職員定数の充実に関しまして、国に対して要望をしております。
義務教育につきましては、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任が大きいと考えており、引き続き国の動向を注視してまいります。
○池川委員 これは教育の質の観点から、小学校における専科指導教員の加配など定数充実に関しては要望していくということで、その必要性については、都教委としても認識をされているというふうに受けとめました。
教員の勤務実態がどうなっているかということで、先ほど過労死ラインを超える働き方をしている割合を紹介したんですが、教員一日当たりの学内勤務時間は法定労働時間である七時間四十五分を大幅に超えており、文部科学省の勤務時間の集計では、小学校では十時間四十六分、中学校は十一時間七分というふうになっております。これは一人でほぼ一・四人分の仕事をしている計算となります。その意味では、単純計算でも一・四倍に教員をふやすことがなければ、時間外勤務を解消することができないということになると思います。
中井教育長は、昨年十二月の総合教育会議の中で、これらの対策として一番よいのは教員をふやせばいいという発言もなさっておられます。いろいろとありますが、絶対数をふやすことが必要だという認識に教育行政が立つことは極めて重要だと思います。
定数をふやすことが多忙化解消を行う際に不可欠だというふうに考えますが、ご見解を伺いたいと思います。
○江藤人事部長 先ほどからご答弁申し上げているとおり、教職員の定数は、いわゆる義務標準法に基づく都の配置基準により適切に配置しております。
都教育委員会は、教職員定数を一層充実することを国に対して要望しているところでございます。
○中井教育長 ただいま委員の方から、私の発言について言及がございましたので、誤解があってはいけないので申し上げておきたいと思いますが、現在の教員の多忙化について、教員の増員をしていくことが根本的な、理想的な解決の手法であるということについては、いろいろな場面で申し上げていることは事実でございますが、現実、国の財政状況、また、それぞれの自治体の財政状況、そういったものも大きな要素としてございますし、また、現状の多忙化というものについては、業務の見直し、そしてさまざまな創意工夫、あるいはICT等の活用、そういったさまざまな要素もあるわけでございまして、そういった中でどういったことが解決の現実的な手法であるかということについては、関係するいろいろな部署とも、あるいは国とも協議をしながら進めていく必要があるというのが私の見解であります。
○池川委員 ご丁寧にありがとうございます。根本は、やっぱり教員をふやすということは別に否定はしないわけで、やっぱりここに挑むべき課題があることははっきりしていると思います。
同時に、さまざまな課題を整理して課題解決に当たっていくというのは当然の仕事だと思いますので、今後実施されるプランの中では、さまざまな展開をして、実際には減らしていただくような努力をしていただきたいし、教員定数の一層の充実を要望するとともに、都教委としても独自の必要な人の配置、加配等については、定数措置を行うことは求めておきたいと思います。
文部科学省の勤務実態調査のうち、10、属性別勤務時間〔1〕(担任児童数・授業担当生徒数と総勤務時間、成績処理)という項目がありまして、それを見ると、小学校では担任児童数が多いほど平日の学内勤務時間全体及び成績処理に係る業務が長い傾向にあるとなっていることからしても、クラスの人数が小さいほど時間外勤務も短縮されているという傾向があることは、客観的なデータとして明らかになっております。
また、文部科学省のホームページに掲載されている山形県における少人数学級編制の効果の中でも、教室、心、担任業務にゆとりが出たことが学力や不登校の減少、欠席率の低下につながったという分析もあります。
少人数学級は、子供たちの学習面とともに教員の多忙化の解消にとっても大きく資すると考えますが、都教委の考え方はいかがでしょう。
○安部地域教育支援部長 学級編制のあり方につきましては、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任が大きいと考えております。
今後とも、国に対して学級編制標準の改定を行うなどの要望を行うとともに、国の動向を注視してまいります。
○池川委員 クラスの人数が少ないほど、子供たちの学びにとっても、教員の心や業務のゆとりにつながることは明らかだと思います。
現在、少人数学級は小学校一年生と二年生、都独自で中学校一年生で行われており全学年に拡大していくことは急務です。国の動向を注視するだけでなく、都独自に拡大をしていくことを強く要望したいと思います。
さまざまな時間外労働の削減に資する施策を展開しつつ、教職員定数の抜本的改善、授業持ち時間数の削減、全ての学年で少人数学級の実施を進めることを正面にした学校の働き方改革推進に向けたプランになるよう求めて、次の質問に移りたいと思います。
次に、学校事務の共同実施の問題について質問させていただきたいと思います。
初めに、学校事務職員の役割をどう認識されているのか、伺います。
○早川総務部長 学校事務職員には、所管する教育委員会の教育方針を踏まえた校長の学校経営方針に基づき、事務職としての立場から、校長、副校長を補佐し円滑な学校運営のために業務を遂行することで、学校運営に積極的に参画することが重要であると認識しております。
○池川委員 国会でも我が党の吉良佳子参議院議員の質問に対して、文部科学大臣も学校組織において唯一の総務、財務等に通じる専門職である事務職員の役割は極めて重要であるという認識を示しています。
また、事務職員の職務規定が、これまでの従事するから、つかさどるへと見直しが行われました。専門性を発揮することを初め、事務職員の役割は極めて大きくなっていると感じています。
私の地元町田市では、二〇一五年度に小中学校の備品予算がゼロとなり、消耗品の予算が大幅に削減されるという前代未聞の事態が起こりました。
実際に、学校ではさまざまな問題が発生し教育活動にも支障が出ましたが、その中でも学校事務職員の方々が管理職、教員と密に連携をして取り組まれました。中心にはプロフェッショナルとしての事務職員の姿が常にあったことを私は直接見てきました。
翌年は予算の一定の回復をしましたが、学校事務職員の方々の知恵と経験、スキルがなければ、学校現場はさらに重大な混乱を来していたことは間違いないと思います。学校事務職員の方々が各学校に配置されていることが大変意義のあることだということを、このことからも私は実感しております。
その意味でも、正規の学校事務職員の方が、少なくとも各学校に配置をされ、学校現場で役割を果たすことが必要だと思います。ところが、都教委が今進めている学校事務の共同実施は、正規の学校事務職員を学校現場から引き揚げてしまうものになっています。
ことし二月に発表された東京都におけるチームとしての学校の在り方検討委員会報告書の中で、学校事務の共同実施の推進等、学校事務職員の専門性の向上として項目を設けています。
また、平成二十九年度東京都公立小中学校事務共同実施支援事業実施要綱とその補助金交付要綱をつくり、今都教委はこの共同事業を推進する立場にあります。
学校事務の共同実施の目的と内容について、まず伺いたいと思います。
また、義務教育諸学校等の体制の充実及び運営の改善を図るための公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律、いわゆる義務標準法が本年四月に改正されたこととの関係性についてはどうなっているのか、伺います。
○早川総務部長 小中学校事務の共同実施は、事務職員等による副校長業務への支援強化、事務の集中処理による正確性向上と効率化、組織化による事務職員の人材育成、この三点を目的に各校で行っている事務職員の業務の一部を拠点となる学校で集中処理するものでございます。
具体的には、七校程度でグループ化をいたしまして、そのうち一校を拠点校として事務職員を集中配置いたします。加えて、拠点校と他の連携校には非常勤職員を各一名配置しております。
また、お尋ねの本年四月にいわゆる義務標準法が改正され、共同学校事務室が置かれている場合に、事務職員の特例加算を行うことができる旨、追加された件でございますけれども、都教育委員会といたしましては、運営の効率化等を勘案し、現に必要な人員を確保した上で適切に運用を行っており、加配の必要はないと認識しております。
○池川委員 つまり、学校現場の正規の学校事務職員は共同事務室に集められ、それが四人、残りの七校に対しては、かわりに支援員と呼ばれる非常勤職員が配置されるということだと思います。
既に共同実施が行われているある自治体の学校事務職員の方は、予算のない中でやりくりをしたり、校舎、施設のことで頭を悩ませたり、学校全体の予算を有効に使うためにはどうしたらいいか幅広く専門的にやってきてはいますが、そういう職員が学校にいなくなると、そうした機能が低下してしまうというふうに話をされておられました。
また、学校現場と離れた場所で事務を行うため教員の動きが見えづらくなり、中学校の先生が二泊三日の修学旅行を引率した場合に支給されるはずの教員特殊業務手当が支給されなかったり、育休代替教員の給与が何カ月か支給されなかったという事例もあったというふうに伺っております。学校に正規の事務職員がいれば、まず起こり得ない事例だと思います。
そこで、具体的に伺いますが、学校にはさまざまな事務仕事があるわけですが、共同事務室ではどんな事務を行い、各学校ではどんな業務を引き続き行うのか、都教育委員会としてどのように基本的な考え方を示しているのか認識を伺いたいと思います。
○早川総務部長 学校事務の共同実施を行っているグループ内におきまして、共同学校事務室と各学校の事務室とでどのように業務を切り分けるかにつきましては、所管する教育委員会が地域の実情等を踏まえて、それぞれ判断し決定をしております。
一つの例といたしましては、共同学校事務室では、常勤職員が経理、給与、調査事務等を業務分担して集中処理を行い、各学校の事務室では、非常勤職員が副校長の業務補助や窓口業務等に従事するという切り分けが想定されます。
○池川委員 都教委の想定では、共同事務室で経理、給与、調査事務等の業務を行い、他の仕事は学校で行うという答弁だったと思います。
この業務分担について、チーム学校の報告書にも具体例として、既に共同実施導入地区の例が紹介をされていますが、この例を見ても給与や旅費、福利厚生に関することなど、八項目は共同事務室で行うことになっています。
そして、各学校の事務としては、校内の予算編成や執行、教材や紙など物品の購入や管理、施設設備の維持、安全管理、給食費や副教材など私費会計、就学援助のことなど、三十一にもわたる仕事が挙げられています。しかも、各学校で行う事務は、まさに子供たちの教育に直結するものばかり、この中には明記をされています。
この問題の最初に、学校事務職員の役割について、先ほど答弁があった中では、行政職としての立場から、校長、副校長を補佐し円滑な学校運営のために業務を遂行することで、学校運営に積極的に参画することが重要であるとの認識があるという答弁がありました。
共同事務室が設置をされ、各学校に正規の学校事務職員がいなくなれば、事務職として、専門性を持って、限られた予算の中で先生の授業組み立てに合わせて最もふさわしい教材を購入することや、給食費未納の子を就学援助に結びつける、また、そういう事例があった際に、担任に対してフィードバックをしていく、こういう活動ができなくなるということになるんじゃないでしょうか。
また、事務の共同化が事務職員の削減につながっているということも重大だと思います。七校に対して正規の事務職員が四名となってしまいます。さきの答弁で、国の共同実施に当たり、正規の事務職員を加配しているが、都教委は効率的にやるからその必要はないという答弁もありました。加配をしないどころか、実際には削減をしているということになるんじゃないでしょうか。
国会で学校事務の共同実施について審査された際、文部科学大臣は、共同学校事務室は学校に事務職員が配置されていることを前提にした取り組みであり、事務職員の削減、非常勤化を図るものではないという答弁がありました。
しかし、東京で現在行われているこの共同実施は、実態として事務職員を削減し非常勤化している。さらには、各学校に事務職員ではなく非常勤の支援員を配置するという形になっています。
学校事務の共同実施が実態的に事務職員の削減と非正規化、さらには各学校に事務職員がいない状態をつくっていると思いますが、この大臣答弁の趣旨からして問題だとは考えないでしょうか。
○早川総務部長 衆議院及び参議院の文部科学委員会における附帯決議は尊重すべきものであると考えますけれども、一方で、文部科学省としては、東京都の共同事務方式が直ちに法に抵触するものではないという見解を示しておりまして、都教育委員会が共同実施を開始した当時と文部科学省の見解は変わっていないものと理解しております。
○池川委員 文科省は直ちにといっているんですよね。そこはやっぱり大事だと思います。私は先ほど紹介した大臣答弁と照らしても、実態的には事務職員の削減と非正規化、さらには学校の正規の事務職員がいない状態をつくることは極めて大きな問題だと考えます。
ある事務職員の方は、私たち事務職員は、学校にいてこその学校事務職員で、学校にいてこそ、その仕事、専門性を発揮した仕事ができる、私費徴収事務、就学援助事務を通じた子供の家庭の経済状況の把握と支援、授業の状況を把握することで可能な、より適切な教材の調達や活用、教職員の権利保障や健康保持等に欠かせない福利厚生事務など、いずれも現場で担当事務職員とつながっているから円滑に進むということが語られています。
学校事務職員の求められる役割を考えれば、それぞれの職員の方々がより高いスキルを身につけてこそ、この力がさらに発揮をされる。義務標準法でも定数としてカウントしている就学援助加算や大規模加算など、学校現場の複数配置を行ってこそ、学校現場のニーズにかみ合うものと考えます。
この学校事務職員の一人職場問題が課題だというふうに、このチーム学校の中にも書かれていますが、その解決する手段として、複数配置等などについては検討はされたのかどうか、伺いたいと思います。
○早川総務部長 都費負担の学校事務職員は、主に一人職場である学校事務室に配置されるため、事務処理のチェック体制や人材育成の面で課題があると認識しております。
その課題の解決に向けては、組織体制の強化が重要であることから、学校事務職員を共同学校事務室に集約し、課長代理を中心に組織化することを推進しております。
○池川委員 事務職員の複数配置については、文部科学省も優先課題の一つだという認識を示しています。そもそも都教委は、今までも国の制度で就学援助の受給者が多い学校に事務職員を加配できる、二名体制で配置できるにもかかわらず、まだ現実にはそれをやらずに来ています。それでいて一人職場は問題というふうになれば、これは本末転倒になってしまうと思います。
この問題について調べていく中で、都が示している学校事務の共同実施ではなく、さらに一歩踏み込み、事務について民間委託を検討すべきだという議論が行われている自治体があると聞きましたが、民間委託などは、これは絶対に認めるわけにはいきません。
正規を非正規化し、実態として事務職員を削減する学校事務の共同実施はやめ、まずは全ての学校に正規の事務職員を配置すること、そして、その上で複数配置へと前に進めていくことを強く求めて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○斉藤委員 よろしくお願いします。私からは、小学校における英語教科化の推進について、まず伺いたいと思います。
平成三十二年度からの小学校英語の教科化に伴う平成三十年度からの先行実施に向けて、東京都におきましては、世界で活躍できる人材の育成という大目標を掲げ、現在、英語教育推進リーダーを配置し、リーダーを配置した地区のうち十地区を英語教育推進地域に指定され、教員の指導力及び児童の英語力の向上を図っているところであると認識をしております。
東京都全体で教員の皆様の業務超過や長時間労働の問題、本日もたくさん委員の皆様から指摘もありましたところではありますが、非常に深刻化をしている中で、新たな教科の授業を担う人材の確保や育成には、大きな視野と計画性を持って取り組んでいただきたいと考えております。
そこでまず、英語教育推進リーダーの決定方法や配置状況及び役割について伺います。
○増渕指導部長 都教育委員会は、新学習指導要領における小学校英語の教科化が円滑に進むよう、小学校教員の中から区市町村教育委員会の推薦に基づき英語教育推進リーダーを決定し、現在、四十三地区に七十六人配置しております。
英語教育推進リーダーは、配置された地区の教育委員会の指導のもと、模範授業を行ったり、地区内の学校を訪問して指導助言を行ったりしています。
また、英語の教科化に向けた指導計画の作成や教材開発を行うなど、地区の小学校における英語教育の牽引役を担っております。
○斉藤委員 英語教育推進リーダーの人選は、区市町村教育委員会からの推薦に基づき決定されていることや、その後は配置された地区において模範授業や指導計画の作成を行う英語教育の牽引役となるというご答弁をいただきました。ありがとうございます。
伺いましたところによると、英語教育推進リーダーに推薦されたそれぞれの方たちは、地域の中で、これまで長年英語教育に携わってこられた方が多く、英語力のみならず指導力や統率力にも定評があるということでした。
ここからは先ほどの池川委員の質問にもかかわりがありますが、平成二十九年九月二十一日に行われました小学校教育の現状と今後の在り方検討委員会、こちらを私も傍聴させていただきました。
平成二十八年、全国連合小学校長会が実施した英語の指導についての調査結果によると、英語の指導は担任だけで指導を行うよりも、標準法を改正し専科教員を配置し指導に当たることが望ましいと考える校長が七二・九%と大半を占めていることがわかりました。
音楽や図工のクラスは専科教員の配置は、平成二十八年度にそれぞれ八七%を超えておりますが、専門的な指導を行うためには、英語もまた専科教員が担うべきであるという考えが現場の教員の方々の中でも、校長先生の中でも主流であるということが読み取れます。
そこで、現在行われております英語専科モデル事業の専科教員数と現状の配置校の状況を教えてください。
○江藤人事部長 都教育委員会では、専科指導教員の必要性や指導体制のあり方について検証するため、平成二十九年度に英語専科モデル事業として、四人の教員を兼務校を含めた六校に配置しております。
○斉藤委員 ありがとうございます。本年度からということで、初年度で現在まだ英語専科モデル事業としては四人の教員を六校に配置されているというご答弁でした。
都内小学校は、全部で約千二百八十校あり、専科教員は全て常勤の方でということは今後難しいとは思いますが、今後、拡充の必然性をぜひ考えていただきたいというふうに考えております。
まずは高学年から、もしくは大規模校からなど、必要性の高い部分からの配置にはなるとは思われますが、英語専科モデル事業の検証を経て、さらなる専科教員の配置が行われていきますことを望みまして、次に、教材について伺わせていただきます。
小学校三、四学年の外国語活動の導入に向けて、都教育委員会が作成した教員用指導資料にはどのようなものがありますか、伺います。
○増渕指導部長 都教育委員会は、小学校第三、第四学年における外国語活動が円滑に実施されるよう、教員の指導力の向上を目的として、教師用指導資料を作成いたしました。
内容としましては、授業構成や教材作成に当たっての基本的な考え方を示すとともに、歌やゲームなどを取り入れた授業の展開例を紹介しております。
これにあわせて、例示した授業で活用するピクチャーカードも配布しております。
○斉藤委員 ありがとうございます。この教材のテキストやピクチャーカードを私も見させていただきました。そのまま授業で使えそうな、すごくしっかりとつくられているものだと思いましたが、一方で、英語教育の入り口となる小学校三、四年の外国語活動授業においては、音の発音や聞き取り能力形成の重要性が非常に大きいと私は感じております。
自分自身が大学二年生のときに、アメリカの大学に語学留学をしたことがありますが、その際に日本国内で英語を六年以上、公教育で学んできた学生たちが軒並みライティングやリーディングのペーパーテストでは、世界各国の留学生たちと比べても上位に入りますが、いざ上位クラスに入れてもらい、授業が始まると教師の英語が聞き取れない、発言もできない、リスニングやスピーチの能力は極めて低く、再度、クラス設定を変えられることになった学生が多かったということがありました。
真にグローバルな人材を育成することを目指す東京都の英語教育教材につきましては、ぜひ指導者が正しい発音方法や音声を共有できるような音声教材も活用していただきたいと私からの要望をお伝えしまして、次の質問に移らせていただきます。
平成三十二年度の英語教科化に向けて、小学校で英語を教えられる人材を多く確保する必要があると考えますが、都教育委員会では、人材の確保のため、どのような取り組みを行っているのか、伺います。
○江藤人事部長 都教育委員会では、小学校で英語教育を推進する人材の確保のため、平成二十八年度の教員採用選考から、小学校全科、英語コースを新たに設け、初年度が九名、二年目が八名の合計十七名が合格しております。
また、現職の小学校教員の指導力と英語力の向上のため、平成二十八年度から、小学校教員が英語の中学校教諭免許状を取得した場合に、その費用を補助する英語免許状取得促進事業を実施しております。
さらに、英語教育推進リーダーに対し、海外派遣研修やオンラインによる英会話研修を実施しております。
これらの取り組みを実施することにより、英語教育を推進する教員の確保に努めております。
○斉藤委員 英語の教員の人材確保のためのさまざまな取り組みが行われていることがわかるご答弁をいただきました。
ただ、教員採用選考に新たに設けられた小学校全科の英語コースは、毎年三十名を募集されていて、これまで二年間で初年度が九名合格、二年目が八名合格の計十七名合格という決して十分とはいえない人数の確保にとどまっているという現実があります。
中学の英語免許を持つ人材確保のための英語免許状取得促進事業もすばらしいものですが、現状は合格者のみで約六十名に上限二十万円の補助ということですが、ぜひこちらも働きながら免許取得を目指しておられる教員の皆様が、より補助を受けられるように配慮していただきたいと思いますし、英語の専科教員については、ALT人材や英検準一級などの要件を幾つかのパターンを織りまぜながら、新たに設定していく議論も進めていく時期であるように思われます。
これからの東京都が厳しい国際都市間の競争を勝ち抜いていくために、これからの小さな児童たちに大きな可能性をお渡しいただけますよう、今後さらなる東京都の英語教育の充実をお図りいただけますようお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
産休、育休中の教員に対する研修の動画配信についてです。
昨年度の男女共同参画社会に関する世論調査において、女性の就業について、子供ができても続ける方がいいと考える人が初めて半数を超えました。
子供を産んでからも仕事を続けたいと考える女性もふえている一方で、実際には育休明けの教員はさまざまな難しさを抱えているといわれています。
その最たるものが数年ぶりに仕事に復帰するということです。妊娠出産休暇中に新たに構築されたシステムやICTへの対応、新しく改善された学習指導要領などへの対応が求められますが、この休暇期間になれない育児で小さな赤子と朝から晩まで接しながら、社会人としての活動をほぼ休まざるを得ない母親たちの中には、産後鬱を患ったり社会復帰に大きな不安を抱く方々も多いという現実があります。
休暇終了時に可能な限りソフトランディングで再び仕事を始めてもらうために、この研修動画配信事業は本当にすばらしいものであると私は評価をいたしております。
そこでまず、現状について伺います。
東京都の公立学校教員で、平成二十八年度中に妊娠出産休暇、いわゆる産休を取得した人数と、育児休暇、いわゆる育休を取得した人数及び育休取得者のうち年度内に退職した人数と割合について伺います。
○江藤人事部長 都内公立学校の教員のうち、平成二十八年度中に妊娠出産休暇を取得した者は千五百三十一名、育児休業を取得した者は前年度から継続して取得している者を含め、三千三百六十八名でございます。
また、育児休業を取得した者のうち、年度内に都を退職した者は六十八名であり、育児休業取得者に対する退職者の割合は約二・〇%でございます。
○斉藤委員 産休取得者、育休取得者は合わせると約三千四百名ということで、育休取得者のうち二%は年度内に退職されるという実態をお伝えいただきました。
この数字自体は特段高いわけではありませんが、年度を越えてから退職される方については、何名が産休や育休を経て退職となっているかは追うことが難しいということも伺いました。
私が地元で、さきの都議選において街頭で待機児童解消について訴えさせていただいた折に、声をかけてきてくれた女性の教員がいらっしゃいました。いまだ独身ということでしたが、教員の仕事を結婚、出産後も続けていけるかが不安だというお気持ちを伝えていただきました。
これから結婚や出産を迎える若い女性教員の方々や、教員を目指す全ての女性のためにも、しっかりとした休暇期間の研修プログラムがあるということは非常に有益であると私は考えております。
そこで、次に、産休、育休中の教員を対象とした研修動画の配信の目的と、研修動画の内容について伺います。
○増渕指導部長 都教育委員会は、妊娠出産休暇や育児休業等を取得している教員を対象に、自己啓発の機会を提供することを目的として、平成二十七年度から都教職員研修センターが作成した研修動画をインターネットを介して配信しております。
動画の内容は、いじめ問題の対応や、新しい学習指導要領を踏まえた授業づくりなど、喫緊の教育課題や新たな教育内容等への理解を促すものでございます。
○斉藤委員 ありがとうございます。私もこちらの動向を見させていただきました。また、産休、育休中の教員に自己啓発の機会を提供するためという趣旨ということではありますが、実際には病気等の理由で休職中の教員や、島しょ部の教員も見ることができるようになっているということです。
特別支援教育やオリンピック・パラリンピック教育、今おっしゃったいじめの未然防止や、食物アレルギー疾患への対応など、まさに喫緊の教育課題を選んで動画作成を行っておられる非常に有意義な事業であります。
では、次に、この動画が視聴されている回数と動画を編集する際に工夫されている点を教えてください。
○増渕指導部長 研修動画の配信を始めてから、妊娠出産休暇や育児休業等を取得している教員が視聴した回数は合計約二千回でございます。
動画はパソコン等の画面でも研修内容が伝わりやすくなるよう、講師のプレゼンテーション画面を中心に編集しております。
また、視聴する教員の利便性に配慮して、およそ九十分間の講義を二十分間程度の長さに区切って編集をしております。
○斉藤委員 動画の配信を始められた平成二十八年一月から数えて、視聴回数が合計約二千回というと、二十四動画で仮に平均して計算をしてみますと、一動画、約八十三回視聴されているということになります。
育休中の職員数が約三千四百名、また、病気等の休職中職員数が約七百名、島しょ部の職員数が約六百名で、合計四千七百名対象者がいらっしゃることを考えますと、もっともっと見やすく動画を改善して配信していく工夫も必要であるように私は感じてしまいます。
例えばですが、育休、産休中の母親は、自己啓発や自分の時間を持つタイミングは、子供が昼や夜に眠りについた後が最も多いといわれておりまして、母子応援サイト、ベビータウンのアンケートによりますと、とれる時間は一日およそ一時間から一時間半、また、勉強する方もいますが、多くの方はスマホやテレビの映像を見るということです。
ここで、私も自分の体験や保育園、幼稚園のお母さんたちから伺ったことで申し上げますと、動画を見る際に子供を起こしてしまう可能性がありますので、音声は出さないで見るという方も非常に多くいらっしゃいます。
そのため、小さなお子さんたちを持つお母さん方は、あらかじめテロップや字幕のついた海外の映像を見るという傾向も伺っておりますので、例えば動画の配信時に小分けをして配信する工夫はもう行っていらっしゃるということでしたが、ぜひ音声を出さずとも内容を追っていけるような工夫もあわせて図っていただけますようにお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
いじめ防止対策について伺います。
先ほど高倉委員からも質問がありましたので、少しかぶるところもございますが、私の視点、またちょっと独自な点もありますので、私からもお伝えをさせていただきます。
先日公表された平成二十八年度における児童生徒の問題行動、不登校等の実態についての調査結果によると、いじめ認知件数は、平成二十七年度から全ての校種で増加しており、総数は約三倍の一万八千百五十四件となっています。
これは、先ほども答弁をいただいた中にありましたけれども、これまで正しく認知されてこなかった軽微ないじめも含めて、学校内での認知が進んだ結果であり、いじめ自体の増加や重大化とは異なる事象として捉えていいというふうに私も考えているところであります。
東京都では、平成二十九年二月に策定されたいじめ総合対策第二次に基づいて、全ての教職員やスクールカウンセラーの理解促進、また、児童への指導の取り組みを推進されており、組織的にいじめに対応していく関係各位の熱意が何よりもこの取り組みの軸となっておりますことに、まず敬意を表したいと思います。
実は、私自身も小学校のとき、いじめを間近で経験してきた当事者でありまして、そのころ、少々、小学校のクラスの中、教室が荒れがちになっていた時期がございまして、教室の中または校庭で、精神的または身体的ないじめを自分も受けることがありましたが、そのころにはこのような推進対策はなかったように記憶をしております。
ただ、自分の記憶に残っておりますのは、日々小さくなっていく自分の自尊心を支えるのに精いっぱいで、忙しくしている自分の親や教室の担任の先生、または知らない大人には、いじめの相談などしようとも思えない、縮こまるような自分の意識の記憶や、そんな中、たった一人だけいじめに気がつき、やめなさいよと声を上げてくれた一学年上の女子生徒さんの記憶が残っております。
今現在、さまざまな場所でいじめの被害を受けている児童さんが、誰か一人の上げる声によって救われることを私は願ってやみません。
まず、私が伺いたいのは、東京都が行っておられますいじめ対策アプリ、この作成についてです。
東京都教育委員会が、いじめ防止に向け作成したアプリケーションはどのようなものでありましょうか。また、それらの活用を促進するための取り組みについて伺います。
○増渕指導部長 都教育委員会は、平成二十八年度に子供たちがいじめについて相談しやすい環境を整えるため、スマートフォンから瞬時に二十四時間受け付けの東京都いじめ相談ホットラインに電話相談ができるアプリケーションを開発いたしました。
また、子供たちが親しみやすい漫画を通して、すぐに大人に相談することを促すアプリケーションやウエブサイトも同時に開発いたしました。
このアプリケーション等の活用を促進するために、紹介動画を配信するとともに、チラシを都内全公立学校に配布し、携帯電話販売店にも配布の協力を依頼いたしました。
また、平成二十九年度は、情報モラル推進校において、これらのアプリケーションを活用した授業実践を行っており、今後、報告書にまとめ、成果を周知することによって、一層の活用を促してまいります。
○斉藤委員 東京都の開発したこのアプリを実は私もダウンロードして使用してみました。こころ空模様チェックというアプリでは、自分のストレス度チェックと、深刻な場合は、いじめ相談ホットラインに直接電話ができるような道筋も中につくられております。
ただ、例えば千葉県柏市で使われておりますストップイットというアプリには、第三者の報告機能を強化するために、いじめと思われる事象を認知した場合に、写真つきでメールで報告をすることが可能であり、実際に知らない人に電話相談というと、子供にとっては非常にハードルが高いものに感じる点でもありますので、これは改善の余地があるのではないかというふうに考えております。
被害を受けている児童さんだけでなく、周囲の第三者の報告を促すためにも、ぜひ今後のご検討をよろしくお願い申し上げます。
次に、平成二十九年二月に策定されたいじめ総合対策第二次に基づいて、現在、学校が行っておりますいじめ防止の取り組みについて伺います。
○増渕指導部長 学校は、教員が軽微ないじめも見逃さず、的確に認知できるよう、いじめの定義の確実な理解を図るための研修を実施するとともに、自己の取り組みを点検するためのチェックリストなどを活用し、教員一人一人の意識を高めております。
また、学校いじめ対策委員会を核として、いじめの具体的な対応のあり方について協議するなど、組織的な対応の徹底を図っております。
さらに、児童生徒の不安や悩みに対して、全ての教員がいつでも相談に応じる体制を整備するとともに、スクールカウンセラーによる小学五年生、中学一年生、高校一年生を対象にした全員面接を実施しております。
これらに加えて、児童生徒がいじめは絶対に許されない行為であることなどを理解できるようにするために、全ての学級でいじめに関する授業を年三回以上実施しております。
○斉藤委員 教職員一人一人の意識啓発や、学校いじめ対策委員会による組織的な対応に加えて、スクールカウンセラーの活用や、いじめに関する授業の実施など、幅広く取り組まれていることがわかりました。
平成二十八年度の実態調査によりますと、いじめ発見のきっかけは、アンケート調査などの学校の取り組みが大多数で、次いで学級担任の発見、学級担任以外の教職員の発見と続いています。
まだまだ発見にスクールカウンセラーの寄与が少ないように見受けられますが、一方、いじめられた生徒の相談状況としては、スクールカウンセラー等に相談する事例は全体の七・五%と、友人に相談する三・〇%の倍以上の数であることもわかります。
引き続き、多方面から被害生徒さんが相談しやすい体制や人材を整えていただけますようお願い申し上げます。
先ほど英語専科教員のくだりでも触れましたが、そして、きょう、さまざまな委員さんがこの発言をされておりますが、今、教職員の方々の業務超過と長時間労働が社会問題にもなっております。
いじめの問題に関しましても、教職員の方たちに今以上の負担がかかるような取り組みは、私自身もかえって逆効果なのではないかという懸念も実は抱いているところであります。
そこで、この取り組みを踏まえた現状の成果と課題について伺います。
○増渕指導部長 軽微ないじめも見逃さないという教員の意識が高まり、いじめの認知件数は増加の傾向にございます。
また、学校いじめ対策委員会を核とした組織的な対応が行われるようになり、いじめの解消率が高まっております。
一方で、課題としましては、悩みや不安を抱えながら教員に相談できない児童生徒もいることから、学校の教育相談体制の一層の充実を図るとともに、いじめの解決に向けて、児童生徒が主体的に行動できるようにするための実践力を育成していく必要があると考えております。
○斉藤委員 いじめの認知件数増加とともに、解消率の上昇という現状についてと、いじめ解決に向けて、児童生徒が主体的に行動できるようにするための実践力の育成が求められるというご答弁をいただきました。ありがとうございます。
まさに、自分が強く感じておりますのが、生徒たちによる主体的な取り組みの強化でございます。
例えば、アメリカでは不和を調定するものとして、学校の昼休みや下校時間にコンフリクトマネジャーという生徒さんたちのチームが学校内の見回りをするそうであります。見回りということなので、いじめのような事例にもし出会ったとしても、何かこう、執行力を伴うようなものではありませんが、何をしているのか話をしてもらうだけで、その当該生徒さんたちが、そもそも自分たちは今一体何をしていたんだろうということを考え直すきっかけになるということです。
また、いじめ傍観者プログラム、キバプログラムを実践しているスウェーデンでは、いじめ発生件数が減少してきているということで、こういった事業、今、東京ではまだ始まっていないですが、関西エリアの小中学校でも取り入れられているということであります。
また、加えまして、横浜市の方では、今年度、五年目となります横浜子供会議が開かれておりますが、それぞれの区ごとの会議で学校の代表として生徒さんたちが話し合い、思いや課題を、そして対策を共有し合う場所が設けられております。
ぜひ東京都でもそれぞれの学校ごと、または市区町村ごとの取り組みはもう既に行われているエリアもあるということを伺いましたけれども、東京都がそれを総括して、最終的にシンポジウムを行うなど、そのような取り組み、理解促進を促して行っていただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
次に、部活動中の熱中症事故に伴う体罰防止の取り組みについて伺います。
八月の残暑が厳しいさなか、杉並区の特別支援学校の部活動中に、高校一年生の生徒が熱中症で意識不明の状態に陥り、救急搬送されるという起きてはならない事故が起きてしまいました。
当該生徒の事例については、部活顧問は追走をしていたが、最終的に倒れてしまう直前の十分間は、その場を外してしまっていたこと、技術の向上につながらない体罰的指導方法がとられていたことや、水分補給の指導が徹底されていなかったことなど、幾つもの要因が重なって起きた最悪の事態であったというふうに認識をしております。
そこでまず、部活動中の体罰防止に向けた都教育委員会の取り組みについて伺います。
○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、体罰の根絶を目的として、平成二十四年度に部活動指導の在り方検討委員会を設置し、体罰根絶に向けた総合的な対策を策定いたしました。
本対策に基づき、平成二十四年度から毎年度、体罰調査を実施し原因の分析を行い、防止策等について区市町村教育委員会及び都立学校に指導助言しております。
また、毎年七月の体罰防止月間に都教育委員会が作成したDVD資料を活用した校内研修の実施を義務づけるとともに、顧問教諭を対象とした指導者講習会や若手教員育成研修等、さまざまな機会を捉えて、体罰の根絶に向けた取り組みの徹底を図っております。
○斉藤委員 体罰根絶に向けて、さまざまな調査や講習会、研修が行われているというご答弁をいただきました。
平成二十六年一月に策定された体罰根絶に向けた総合的な対策を見てみますと、非常にきめ細やかな体罰防止の取り組みが実践されていることがわかりますし、平成二十八年度に発生した都内公立学校における体罰の実態把握によりますと、体罰を行った者は前年度四五%減の三十四人で、体罰を受けた児童生徒数も前年から四十四人減った六十四人という報告がありました。対策の成果があらわれていることの裏づけとなるものと考えていいと思っております。
しかしながら、東京都は毎年七月が体罰防止月間でありまして、ことしも校内研修が行われた時期をちょうど過ぎた八月末にくだんの事故が起きたということは、実際のところ、教職員の体罰根絶への意識が浸透していたのかどうかが問われる、また、例えば個別の教員が、やや体罰根絶に対する意識が低い事実があった場合に、その教員以外に授業や部活動をともに支える組織体制がどのようになっていたのかが問われる部分であると考えております。
そこで、各学校が学校全体で部活動を適正に運営できるように体制を構築する必要があると考えておりますが、都教育委員会の取り組みについて伺います。
○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、部活動の基盤を整備するために、平成十九年に東京都立学校の管理運営に関する規則を改正し、部活動を学校の教育活動の一環として明確に位置づけました。
また、同時に部活動の意義や適正な運営方法、指導のあり方、顧問教諭の役割や部活動の指導面、管理面の機能について解説した部活動顧問ハンドブックを作成し、全公立学校に配布いたしました。
さらに、平成二十五年には、部活動において顧問教諭が閉鎖的、独善的な指導に陥ることのないよう、副顧問や外部指導員の役割分担を明確にするなど、校内体制や指導体制を確立するよう、各学校に対して通知いたしました。
今後、各学校が学校全体で部活動を適正に運営できるようにするために、部活動のあり方に関する総合的なガイドラインを策定してまいります。
○斉藤委員 部活動において、顧問教諭以外の副顧問や外部指導員の役割分担を明確にするなどの校内体制を確立するよう通知したというご答弁をいただきました。
部活動において、その部活の持つ雰囲気や空気感は、日々その活動を俯瞰で客観的に見る存在が入らなければ、外部の人間にはわからない部分も大いにあると考えております。副顧問や外部指導員、または、場合によっては管理職によっても、その運営が適正に見守られていかれますことを強く要望させていただきます。
また、先ほどいじめ対策の質問でも言及させていただきましたが、生徒たちの主体的な取り組みについての必要性は、ここでもうかがい知れることであると考えております。
そこで、生徒が具体的な目標を持って主体的に取り組み、達成感を味わうことができるような指導法を広め、定着させるための都教育委員会の取り組みについて伺います。
○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、スポーツについての基本的な理解や、著名な指導者によるすぐれた指導法等を学ぶ運動部活動指導者講習会を毎年実施しております。
また、生徒の能力等を踏まえた的確な指導や生徒の主体性を重視する指導を実践している顧問教諭にグッドコーチ賞を授与するとともに、そのすぐれた指導法を全都に普及しております。
さらに、本年八月に発生した事故を踏まえ、九月に都内全公立中学校、高等学校、特別支援学校を対象に、コーチングを専門とする学識経験者を講師に招聘し、改めて部活動の意義や目的を確認するとともに、生徒の視点に立ち、生徒の自主性を引き出す部活動指導のあり方等について学ぶ研修会を実施いたしました。
今後とも、生徒の自主性を尊重する指導や、生徒一人一人の能力、適性等を踏まえた指導など、すぐれた事例について学ぶ研修を鋭意実施してまいります。
○斉藤委員 生徒の自主性を高めていくさまざまな指導や指導法を学ぶ研修についてご答弁をいただきました。
点数や勝ち負けでその指導法の優劣が決められてしまいがちな部活動の顧問教員には、ぜひ生徒一人一人が対他人、対他校チームという目線だけではなく、対自分という視点を加えて持ち続けることで、みずからができなかったことをできるようになるために、とっていく工夫や努力を促す自主的かつ主体的な活動を後押ししていただきたいと考えております。ありがとうございました。
それでは、最後に、放課後子供教室について伺いたいと思います。
東京都は、地域社会の教育力向上を図る施策として、学校と地域社会が連携した教育活動を充実させることを狙いに、小学校において、放課後子供教室の整備促進を進めておられます。
そこでまず、放課後子供教室の役割と都の取り組みについて伺います。
○安部地域教育支援部長 放課後子供教室は、放課後や週末などに地域住民の参画を得て、子供たちの安全・安心な居場所を設け、多様な体験や交流活動などの機会を提供することにより、子供たちが地域社会の中で、心豊かに健やかに育まれる環境づくりを推進する事業でございます。
都内では、平成二十八年度に五十五区市町村、千百八十七カ所の放課後子供教室が、主に小学校内の余裕教室や校庭、体育館などで、地域人材の協力を得て運営されております。
放課後子供教室では、放課後活動が充実するよう、宿題指導などの学習支援のほか、実験、工作教室、英会話教室、野球やサッカーなどのスポーツ活動など、地域の実情に応じた多様な活動プログラムが行われております。
都教育委員会は、補助金を通じた財政支援のほか、教室運営スタッフなどの研修実施や活動事例の情報収集、提供を行うことなどにより、区市町村の取り組みを支援しております。
○斉藤委員 ありがとうございます。放課後子供教室が地域住民の参画を得ながら子供たちの居場所を設け、多様な体験等の活動を行っていくことを趣旨とした事業であることがわかりました。
また、実際に、平成二十八年度に都内全域の小学校区で実施が行われていることもご答弁をいただきました。
しかしながら、この千百八十七カ所の放課後子供教室の開催されている日数や時間、内容には、それぞれの教室の中でかなり大きな差異があります。
江戸川区や世田谷区、渋谷区や板橋区などは、長期休暇中も含めて、月曜から土曜日、ほぼ毎日開催をされておりまして、学童と一体型の運営で、希望する児童の全入化を行っており、基本的に児童数が多く、保育の待機児童も出ている自治体でありながら、学童の待機児童はゼロとなっています。
一方、例えば現状、週に一日二時間だけの開催で、学童との一体型整備が進められていない放課後子供教室を持つ自治体には、いまだ学童の待機児童の数は多く、またふえていくという見込みもあるということです。
本来の目的は、保育と子供たちの居場所の創出という異なる趣旨を持つ事業ではありますが、一体型の運営を進めることで、受益者である子供さんと親御さんが、そのどちらかを自由に選択することができ、学童に通うお子さんの中から、相当数が放課後子供教室を選択して、そちらでさまざまな活動や学びに没頭をするという例も実際にふえてきていることがわかります。
平成二十六年七月に策定された放課後子ども総合プランにおいては、共働き家庭などの小一の壁を打破するとともに、次代を担う人材を育成するため、全ての児童が放課後等を安全・安心に過ごし、多様な体験活動を行うことができるよう、文部科学省と厚生労働省が協力し一体型を中心とした放課後児童クラブと放課子供教室の計画的な整備を進めることがうたわれております。
そこで、東京都の取り組み内容と都内の状況について伺わせてください。
○安部地域教育支援部長 学童クラブと放課後子供教室との一体型とは、同一の小学校内などで学童クラブと放課後子供教室の両事業を実施するとともに、放課後子供教室の活動プログラムに、学童クラブの子供が参加できるという取り組みでございます。
国は、平成二十六年七月に策定しました放課後子ども総合プランにおいて、平成三十一年度末までに全小学校、これは全国にしますと約二万カ所ございますが、その二万カ所のうち、一万カ所以上を一体型で実施することを目標としております。
都内におきましては、平成二十七年度末現在、全小学校区が千二百九十二にございますが、そのうち六百四小学校区で放課後子供教室が一体型で実施されており、その割合は約四七%となっております。
○斉藤委員 国の目標が、平成三十一年度末までに五〇%以上を一体型で実施することを目標とされているということでした。
都内では、平成二十七年度末現在で、既に四七%以上が一体型で実施されているというご答弁をいただきました。
けれども、学童待機児数で見てみますと、平成二十八年、日本全国では一万七千二百三人と前年より二百六十二人ふえた一方、都道府県別で待機児童数が最も多かったのは東京都で、前年度二百二十七人増の三千四十一人でありました。
二位の埼玉県が九百八十五人という数から見ても、東京都の学童待機児童数がとりわけ多く、また、増加傾向にあるということが読み取れると思います。
東京都といたしましては、国の目標を上回るスピードをもって小一の壁の打破のためにも、学童クラブと放課後子供教室の一体型整備をさらに進めていただきたいということを私の方からは強く要望させていただきたいと思います。
ただ、実際には、区市町村の方針によってや、人材確保、また、場所の確保などのさまざまな状況によって、放課後子供教室の拡充が進まない地域もあるというふうに伺っております。
そこで、地域において学童クラブと放課後子供教室の一体型を推進するための都教育委員会の支援策について伺います。
○安部地域教育支援部長 都教育委員会は、平成二十七年度に教育庁及び学童クラブを所管する福祉保健局職員、区市町村の学童クラブ及び放課後子供教室の関係者をメンバーとしました東京都放課後子供総合プラン推進委員会を設置し、都内における放課後対策の総合的なあり方を検討してまいりました。
平成二十九年度から、学童クラブと放課後子供教室両事業の相互理解を図るため、両事業関係者を対象としました合同研修会や情報交換会を開始し、地域における一体型の取り組みを推進しております。
今後とも、福祉保健局や区市町村などの関係機関と連携しながら、地域における一体型の取り組みが一層促進されるよう、区市町村を支援してまいります。
○斉藤委員 確かに、急速に一体型が進んだ地域では、学童で普通に行われていた全児童へのおやつの提供がなくなり、一度自宅に帰って、おやつを食べてくることのできない学童出身の子たちは、おなかをすかせたまま十九時ごろまで過ごすことになってしまったという例があったり、放課後子供教室でぐあいが悪くなった児童も、全員がいる場所で布団もなく、雑魚寝しているしかなかったという例があったなど、保育と居場所を一体化した結果生じた弊害もあるというふうに伺っております。
引き続き、情報交換や研修を進めていただきつつ、実際の子供たちが最も活動しやすい、安心して過ごすことのできる放課後の居場所を創出するために、放課後子供教室がこれからの未来になくてはならない重要な取り組みであるということは確実だと考えております。
一体型の取り組みも一層推進されるよう、区市町村を支援していくという力強いご答弁をいただきましたので、私の方からも、例えば働くお母さんのお子さん、障害を持つお子さんの親御さん、ひとり親で頑張っておられるご家庭のお子さんなど、それぞれが職員の皆様の多大なご尽力により、親子ともに支えられて、助けられて、育まれているという実態がありますことをお伝えさせていただいて、日ごろからの区市町村の方々たちとの協議や連携には感謝を申し上げて、私からの質問を終わりとさせていただきます。どうもありがとうございました。
○大松委員 教員の働き方改革について質問します。
今、社会は情報化やグローバル化など、さまざまに急速に変化をしておりまして、その中にあって、子供たちが豊かな創造力を持って幸福に生き抜いていく力をどう育んでいくのか、教員の皆様方には、さまざまな変化を見据えた多様な分野にわたる指導力が求められるようになっております。
また、教員の皆様方は、それに加えまして、部活動、地域やPTAとのコミュニケーションなど、学習指導以外にも大変多くの役割を果たすことが期待をされておりますけれども、その一方で、先ほどからお話がありますように、長時間勤務がふえまして、健康を害したり、本来持っている力を発揮できなくなるという問題が深刻さを増して指摘をされているわけでございます。
文部科学省が平成二十八年度に実施をいたしました教員勤務実態調査によりますと、一週間当たりの学内総勤務時間が六十時間以上になる教諭は、小学校では約三割、中学校では約六割、そして副校長、教頭の場合は、小学校も中学校も、ともに約六割に上っております。
この調査結果を受けまして、中央教育審議会は八月二十九日、教職員の長時間勤務の実態が看過できない状況、今できることは直ちに行うといたしまして、学校における働き方改革に係る緊急提言を発表いたしました。国におきましても、長時間勤務の解消に向けた検討が進められております。
いい教育をするためには、子供と向き合って、日々奮闘をされております教員の皆様が、その持てる力を十二分に発揮して、伸び伸びと活躍をしていただくことが最も肝要でありまして、また、そのための環境を整えていくことが都教育委員会にも求められているわけでございます。
教員の長時間労働の解消につきまして、都教育委員会の見解を求めます。
○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 教員の心身の健康保持とライフワークバランスの実現のためには、常態化している教員の長時間労働を改善する必要がございます。
また、長時間労働を改善し、教員の自己研さんの機会を確保することにより、授業や指導の質を高め、教育の質の向上を図ることが重要でございます。
このため、都教育委員会では、今後、学校における働き方改革推進プランを策定し、教員の長時間労働の改善に向け、総合的に対策を講じてまいります。
○大松委員 そして、中教審の緊急提言を読みますと、教員の働き方改革の一環として、教員の事務作業、例えば学習プリントの印刷であるとか授業の準備などをサポートするスタッフの配置を促進するということが、この緊急提言の中に盛り込まれているわけでございます。
また、文部科学省も来年度予算の概算要求の中で、教員の事務作業を補助するスクールサポートスタッフ、このように称する、この人の配置に対する補助も盛り込んでいるわけでございます。
教員が生徒への指導や教材研究にしっかりと力を注いでいけるように、東京都教育委員会は、このスクールサポートスタッフを配置するべきと考えます。
こうした人材の配置につきまして、東京都として検討していく予定があるのか、都教育委員会の見解を求めます。
○古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 教員が授業や教材研究等に注力できる環境を整備し、子供たちと向き合う時間を確保するためには、教員の業務負担の軽減を図ることが重要でございます。
今後、国の動向も踏まえながら、教員の業務を支援する方策について、地域人材の活用なども含め、検討を進めてまいります。
○大松委員 次に、教員の海外派遣研修について質問します。
近年、OECDなどによる国際的な学力試験が話題になりまして、日本でも海外の教育についての関心が高まっております。経済力で競争する時代から、教育力の競争の時代に移りつつある象徴的な現象でありまして、今後、こうした傾向は強まっていくものと私は考えております。
そして、国の教育力といいましても、その多くは教員の力量にかかっているわけでございまして、そこで、子供たちを海外に送り出していくことは当然必要といたしまして、子供たちに影響を与える教員こそ、世界の中で教育力を磨く機会が与えられるべきと考えます。
非常に時代はさかのぼりますけれども、維新回天の逸材を育てて炎の教師と呼ばれております吉田松陰は、弟子たちに旅を奨励しましたけれども、何より自分自身が旅に明け暮れて、海外渡航にも挑んで、そのために国事犯として投獄もされたという史実もございまして、時代は違いますけれども、こうした情熱のあるすぐれた教育者を支援するということが大切でありまして、そうした観点から、都教育委員会の海外派遣研修は、東京の教員の指導力を向上させる大変重要な取り組みであると考えております。
教員の海外派遣研修の実施状況と成果について、都教育委員会の見解を求めます。
○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、平成二十六年度から、英語の指導力の向上と異文化理解の促進による授業改善を図ることを目的として、英語科教員等を海外の大学に約三カ月間派遣する研修を実施しております。
平成二十八年度からは、小学校教員の派遣を開始するとともに、今年度は都教育委員会と教育に関する覚書を締結しているオーストラリア・クイーンズランド州の大学を派遣先に加えるなどの充実を図りました。
派遣された教員は、最新の英語教授法を学んだり、現地の小中高等学校で授業を行ったりすることを通じて、英語の指導力を高めております。
また、現地の大学生及び留学生との交流やボランティア活動等を通して、さまざまな国の人々とのネットワークを構築し、異文化理解を深めております。
帰国後には、コミュニケーションを重視した指導やICTの効果的な活用など、習得した英語教授法に基づく授業実践に意欲的に取り組むとともに、近隣の学校で指導助言を行うなど、地域の英語教育のリーダーとして活躍しております。
○大松委員 都教育委員会が実施をしている教員の海外派遣研修は、単に外国語の指導力を向上させることだけにとどまらず、現地校の授業実践からも学んでいるということでありまして、東京の教育力の向上に大変貢献しているものと考えます。今後、この事業を着実に、さらに拡充をしていくべきであると求めておきます。
次に、海外派遣研修の報告会について質問します。
私は昨年、立川市内で開かれた海外派遣研修報告会を傍聴させていただきました。派遣された教員の成果報告が行われるとともに、海外の教育関係者も参加をしたシンポジウムが行われまして、海外派遣研修の成果を広げて、そして深めていく大変有意義な取り組みであったと思います。
この教員の海外派遣研修会、シンポジウムの狙いと内容について、都教育委員会の見解を求めます。
○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、海外研修の派遣者が学んだ英語の指導技術や異文化体験等の成果を全都の教員に広く普及することを目的として、海外派遣研修報告会及びシンポジウムを実施しております。
平成二十八年度は、約二百五十人の参加があり、これまでも行ってきた派遣者による実践報告のほか、派遣先の大学から招聘した教授による講演を実施するとともに、海外教育機関の指導者をシンポジストとして加えました。
こうしたことにより、参加者は英語教育の改善の方向性や国際交流の意義について、さらに理解を深めることができました。
今年度の報告会は、十一月十七日に予定しておりまして、新たに海外教育機関の指導者と日本人教員が今後の英語教育のあり方や教授法についてグループディスカッションを行うなどして、その内容を一層充実させてまいります。
○大松委員 この東京都の教育委員会の海外派遣研修、また、その報告会も非常に時代を先取りする意欲的な取り組みであると考えます。
国政におきましては、小渕内閣が二〇〇〇年四月に世界で初めて先進主要八カ国の教育大臣会合を開催いたしまして、生涯教育や教育とICTなど、世界共通の教育課題について議論が行われまして、教育の新時代を開く取り組みが行われました。
今後は、こうした大臣レベルの会合とともに、現場レベルで教育者同士が切磋琢磨する機会をふやすことが求められているわけでございまして、都教育委員会の海外派遣研修報告会は、その一つとして東京の教育力向上に資するとともに、教育先進都市として、世界に誇れる取り組みになるものと考えております。
今後も充実した内容になるよう、工夫を重ねていただくよう要望をさせていただきます。
次に、発達障害教育について質問します。
都教育委員会の調査によると、通常の学級に在籍する発達障害と考えられる児童生徒の在籍率は、小学校で六・一%、中学校で五・〇%といわれておりまして、ほとんどの学級に在籍していると推測されています。
しかしながら、発達障害がどのようなものなのか、一般的には余り知られておりません。
障害のある人もない人も、ともに尊重し合いながら活躍できる社会を実現するためには、まず周囲の人々が障害に対する正しい理解と認識を深めていくことが不可欠です。
このため、都教育委員会は、発達障害教育シンポジウムを開催しているわけでございます。
この発達障害教育シンポジウムの目的及び内容について、都教育委員会の答弁を求めます。
○浅野特別支援教育推進担当部長 発達障害教育シンポジウムは、発達障害教育に対する理解の促進と発達障害教育に係る施策の推進を図ることを目的に、広く都民を対象として、都教育委員からの行政説明、学識経験者による講演及び関係者によるパネルディスカッションという構成で、平成二十八年度から区部と多摩地区でそれぞれ一回ずつ開催しております。
平成二十八年度は、早期からの支援が、円滑な就学や社会適応につながりやすいことを広く都民に発信し、五百七十人の参加がありました。
今年度は、より一層の充実を図るため、発達障害者本人からの講演を加えるとともに、周知用ポスターの送付先を拡大し、社会的自立を見据えた連続した支援をテーマに、十一月二十五日と一月十三日に開催いたします。
○大松委員 このシンポジウムというのは、都民の皆様方への理解を広げるには大変効果のある取り組みだと思いますので、今後もさらに内容を拡充するように求めまして、質問を終わります。
○里吉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○里吉委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時四十七分散会
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