文教委員会速記録第十二号

平成二十九年十月三日(火曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長里吉 ゆみ君
副委員長川松真一朗君
副委員長米川大二郎君
理事大松あきら君
理事米倉 春奈君
理事木村 基成君
けいの信一君
成清梨沙子君
池川 友一君
高倉 良生君
白戸 太朗君
入江のぶこ君
斉藤れいな君
古賀 俊昭君

欠席委員 なし

出席説明員
生活文化局局長塩見 清仁君
次長桃原慎一郎君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務鳥田 浩平君
オリンピック・パラリンピック準備局局長潮田  勉君
総務部長中村 倫治君
教育庁教育長中井 敬三君
次長堤  雅史君
総務部長早川 剛生君

本日の会議に付した事件
意見書について
付託議案の審査(決定)
・第百五十七号議案 武蔵野の森総合スポーツプラザの指定管理者の指定について
・議員提出議案第十六号 東京都小中学校給食費の助成に関する条例
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○里吉委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 オリンピック・パラリンピック準備局の鈴木次長は、病気療養のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、意見書について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任をいただきました意見書中一件につきましては、お手元配布の案文のとおり調整いたしました。
 案文の朗読は省略いたします。

   私学振興に関する意見書(案)
 東京の私立学校は、それぞれ独自の建学の精神や教育理念に基づき、新しい時代に対応する個性的で特色ある教育を積極的に展開しており、東京都ひいては我が国における公教育の進展に寄与している。
 現在、都内の学校に在学する園児・児童・生徒のうち、私立学校に在学・在園する割合は、高等学校で約六割、幼稚園では約九割を占めており、私立学校が東京の公教育に果たす役割は極めて大きい。
 しかし、少子化の影響等により、私立学校の経営は厳しさを増しており、重大な局面を迎えている。
 公教育の将来を考えるとき、公立・私立あいまっての教育体制が維持されてこそ、健全な発展が可能となり、個性化、多様化という時代の要請にも応え得るものである。
 そのためには、私立学校振興助成法第一条に規定するとおり、教育条件の維持向上と保護者の経済的負担の軽減を図るとともに、私立高等学校等の経営の健全性を高めていくことが求められている。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、平成三十年度予算編成に当たり、私学教育の重要性を認識し、教育基本法第八条に規定される「私立学校教育の振興」を名実共に確立するため、現行の私学助成に係る国庫補助制度を堅持するとともに、次の事項を実現するよう強く要請する。
一 私立高等学校等の経常費助成等に対する補助を拡充すること。
二 私立高等学校等における耐震化、省エネルギー設備導入など、施設・設備に対する補助制度を拡充すること。
三 より一層の保護者負担の軽減を図るため、私立高等学校等就学支援金制度を拡充改善するとともに、都道府県の行う補助に対する国の支援を拡充すること。
四 都道府県の行う私立高等学校等奨学金事業に対する国の支援を拡充すること。
五 私立専修学校については、専門課程及び高等課程に対する新たな助成制度を設けること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成二十九年十月 日
東京都議会議長 尾崎 大介
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣 宛て

○里吉委員長 本件は、議長宛て提出の手続をとりたいと思いますので、ご了承願います。
 なお、その他の意見書につきましては、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。

○里吉委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第百五十七号議案及び議員提出議案第十六号を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
 この際、本案に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○池川委員 日本共産党を代表して、議員提出議案第十六号、東京都小中学校給食費助成条例案について、賛成の意見を述べます。
 憲法第二十六条は、全ての国民の教育を受ける権利を保障し、義務教育の無償を明記しています。しかし、実際には、無償の内容は、公立小中、特別支援学校の授業料の不徴収と教科書無償交付にとどまっています。
 現在、子供の七人に一人が貧困状態に置かれる中、家庭の状況により、子供の栄養に格差があることも明らかになっています。教育の一環である学校給食費の負担軽減により保護者を支援し、子供たちの健やかな成長を保障することは喫緊の課題です。
 二〇〇五年に制定された食育基本法でも、食育が知育、徳育、体育の基礎をなすものとされ、教育的意義はさらに大きくなっています。
 本条例案は、東京都として、義務教育無償化に向けた第一歩として、保護者の学校教育費の負担のうち小学校では四割を占める学校給食費の助成を行い、区市町村の財政規模にかかわらず、公立小中学校と特別支援学校小学部、中学部に通う子供の給食費を一律に負担軽減する内容です。
 東京都として給食費無償化への流れを前に進めようではありませんか。政府が公立小中学校の給食の無償化に関する全国調査を始めました。そうした中で都道府県初の助成条例を実現することは、無償化への一歩につながります。
 保育園、幼稚園から中学校までの給食を無償化している埼玉県滑川町の町長は、給食費の無償化は義務教育の無償化をうたう国が本来責任を持って実施すべき国策だと思う、国に先駆けて始めた施策だが他の自治体でもぜひ取り組んでほしい、それが結果として国を動かし、無償化費用の全額とまではいかなくても三割、五割の補助をしますとなるのではないかとその意義を語っています。
 さきの都議選でも、公約を多くの政党が掲げ、小中学校給食費の無償化を掲げました。本条例案は、多くの都民と会派の皆さんにご賛同いただける内容だと思います。
 今、都議会の役割が大きく問われています。地方自治法第百十二条第一項を根拠に、議員提出の予算を伴う条例案は審議すべきでないという議論がありましたが、そもそもこの条項は、議員による予算案の提出権を認めていないものであり、予算を伴う条例案を否定するものではありません。
 鳥取県日南町では、議会で町長が考えていないと答弁した住宅改修助成条例などの政策条例を議員提案で成立させました。この内容は、全国町村議長会から特別表彰を受けています。都議会もこうした進んだ例に学ぶべきではないでしょうか。
 議員が予算を伴う条例提案ができなければ、都民に対する願いを実現するための実効性ある提案の多くができなくなります。議員の議案提出権を大きく制約することは明らかです。
 今、都議会でも議会改革、議会の活性化が大きな課題となっています。議会の権能をみずから狭めるのではなく、都民の福祉や教育の向上を目指す立場からの前向きな議論を大いに進めることを呼びかけるものです。
 東京都小中学校給食費助成条例の提案は、子供たちの健やかな成長や子育て世代の支援を進めるものです。議員提案により、長年続いた日本の教育への最低水準の公的負担を引き上げることにもつながります。
 委員の皆様のぜひともご賛同を心から呼びかけまして、議員提出議案第十六号の意見表明とします。
 次に、第百五十七号議案、武蔵野の森総合スポーツプラザの指定管理者の指定について意見を申し上げます。
 この施設は、周辺市の要望とともに、多摩地域に少なくとも都立の総合体育館を建設してほしいという都民の願いが結実した施設であり、多摩地域の都民のスポーツ拠点として、障害者スポーツも含めた役割を発揮することが求められています。
 質疑の中で、利用料金については都民の理解が得られ、利用しやすい料金となるよう、都が承認するという答えがありましたが、改めて利用しやすい料金となるよう意見を述べておきます。
 今回、指定管理者候補として提案されている東京スタジアムグループの事業提案では、指定管理料の参考価格より約三千万円安くする計画が示されています。これについては、収益を上げるために、収益事業が優先されるか、必要以上のコストカットを行い、労働者へのしわ寄せが行ったり、管理の質が悪くなるのではないかという危惧があります。
 実際に東京スタジアムグループの構成団体である株式会社東京ドームは、都内の自治体の指定管理者においても、プールの管理においてカビやさびの発生という不十分な管理、自主事業を優先して、個人利用に影響が出ていたり、最低賃金以下で労働者を働かせていたなど、問題が指摘をされています。
 今回指定管理者の選考に当たっても、体育施設等の運営実績の有無については審査されていますが、この内容までは審査されておらず、管理実態については把握されていないことが質疑を通じて明らかになり、懸念を払拭することはできませんでした。
 日本共産党は、東京都民の財産である体育施設は直営で行うべきだと考えています。直営でないとしても、公益財団法人で、都の監理団体となっている事業者であれば、都民の立場を第一にした運営が可能であり、また、直営に近い透明性、公平性を確保でき、都民と都議会のチェックも可能であると考えています。
 一方、株式会社の場合は、利益を出すことが至上命題であり、透明性という点でもかなり制限されているのが実情です。
 実際、指定管理者の代表団体である株式会社東京スタジアムが監理団体で報告している事業実績は、わずかA4一ページにすぎません。指定管理となるのであれば、経営状況や事業実績等も都民や都議会に、より詳細に報告するべきです。
 以上のことから、百五十七号議案に反対の意見といたします。

○里吉委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、議員提出議案第十六号を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○里吉委員長 起立少数と認めます。よって、議員提出議案第十六号は否決されました。
 次に、第百五十七号議案を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○里吉委員長 起立多数と認めます。よって、第百五十七号議案は原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○里吉委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○里吉委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。

○里吉委員長 この際、所管三局を代表いたしまして、中井教育長から発言を求められておりますので、これを許します。

○中井教育長 所管三局を代表いたしまして、ご挨拶を申し上げます。
 ただいま本定例会で提案を申し上げておりました議案につきましてご決定を賜り、まことにありがとうございました。
 委員長初め委員の皆様方におかれましては、さまざまな視点からご審議をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。
 審議、調査の過程で賜りました貴重なご意見、ご要望等を踏まえ、これからの事務事業に万全を期してまいりたいと存じます。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 簡単ではございますが、御礼の言葉とさせていただきます。ありがとうございました。

○里吉委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時十分散会

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