委員長 | 植木こうじ君 |
副委員長 | 栗山よしじ君 |
副委員長 | 里吉 ゆみ君 |
理事 | 川松真一朗君 |
理事 | 野上 純子君 |
理事 | 小宮あんり君 |
宮瀬 英治君 | |
小松 久子君 | |
鈴木 錦治君 | |
きたしろ勝彦君 | |
今村 るか君 | |
鈴木貫太郎君 | |
古賀 俊昭君 | |
高木 けい君 |
欠席委員 なし
出席説明員生活文化局 | 局長 | 中嶋 正宏君 |
次長 | 桃原慎一郎君 | |
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 武市 玲子君 | |
広報広聴部長 | 樋渡 幸生君 | |
都民生活部長 | 山本 明君 | |
消費生活部長 | 三木 暁朗君 | |
私学部長 | 加藤 仁君 | |
文化振興部長 | 鳥田 浩平君 | |
都政情報担当部長 | 濱田 良廣君 | |
男女平等参画担当部長 | 吉村 幸子君 | |
文化総合調整担当部長 | 堀越弥栄子君 | |
文化施設改革担当部長 | 越 秀幸君 | |
オリンピック・パラリンピック準備局 | 局長 | 塩見 清仁君 |
次長理事兼務 | 岡崎 義隆君 | |
技監 | 小野 恭一君 | |
理事 | 小山 哲司君 | |
総務部長 | 鈴木 勝君 | |
調整担当部長 | 雲田 孝司君 | |
総合調整部長 | 児玉英一郎君 | |
連絡調整担当部長 | 岡安 雅人君 | |
連携推進担当部長 | 丸山 雅代君 | |
自治体調整担当部長 | 井上 卓君 | |
事業推進担当部長計画調整担当部長兼務 | 戸谷 泰之君 | |
運営担当部長 | 田中 彰君 | |
パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 | 萱場 明子君 | |
大会施設部長 | 根本 浩志君 | |
競技・渉外担当部長 | 小野 由紀君 | |
開設準備担当部長 | 鈴木 一幸君 | |
施設担当部長 | 花井 徹夫君 | |
施設整備担当部長 | 小野 幹雄君 | |
輸送担当部長選手村担当部長兼務 | 朝山 勉君 | |
スポーツ施設担当部長 | 田中 慎一君 | |
スポーツ計画担当部長 | 川瀬 航司君 | |
ラグビーワールドカップ準備担当部長 国際大会準備担当部長兼務 | 土屋 太郎君 | |
教育庁 | 教育長 | 中井 敬三君 |
次長 | 堤 雅史君 | |
教育監 | 伊東 哲君 | |
総務部長 | 早川 剛生君 | |
都立学校教育部長 | 初宿 和夫君 | |
地域教育支援部長 | 粉川 貴司君 | |
指導部長 | 出張 吉訓君 | |
人事部長 | 江藤 巧君 | |
福利厚生部長 | 太田 誠一君 | |
教育政策担当部長 オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 安部 典子君 | |
教育改革推進担当部長 | 増田 正弘君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 浅野 直樹君 | |
指導推進担当部長 | 宇田 剛君 | |
人事企画担当部長 | 鈴木 正一君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
オリンピック・パラリンピック準備局関係
契約議案の調査
・第百九十三号議案 東京都障害者総合スポーツセンター(二十八)改修及び増築工事請負契約
生活文化局関係
契約議案の調査
・第百九十二号議案 東京都現代美術館(二十八)改修工事請負契約
・第百九十七号議案 東京都現代美術館(二十八)改修空調設備工事請負契約
・第百九十八号議案 東京都現代美術館(二十八)改修電気設備工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百八十四号議案 東京都特定個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
・第百八十五号議案 特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
・第二百六号議案 東京都江戸東京博物館外五施設の指定管理者の指定について
教育庁関係
付託議案の審査
・第百八十六号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第二百七号議案 杉並区学校教育職員の教育管理職選考及び四級職(主幹教諭・指導教諭)選考に係る事務の受託について(質疑)
・第二百十四号議案 学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例(説明・質疑)
・第二百十五号議案 都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例(説明・質疑)
・第二百十六号議案 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例(説明・質疑)
報告事項(質疑)
・東京都特別支援教育推進計画(第二期)・第一次実施計画(案)の骨子について
○植木委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件につきましては取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○植木委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○植木委員長 次に、契約議案について申し上げます。
契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
平成二十八年十二月八日
東京都議会議長 川井しげお
文教委員長 植木こうじ殿
契約議案の調査について(依頼)
左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
記
1 調査議案
第百九十二号議案 東京都現代美術館(二十八)改修工事請負契約
第百九十三号議案 東京都障害者総合スポーツセンター(二十八)改修及び増築工事請負契約
第百九十七号議案 東京都現代美術館(二十八)改修空調設備工事請負契約
第百九十八号議案 東京都現代美術館(二十八)改修電気設備工事請負契約
2 提出期限 平成二十八年十二月十二日(月)
○植木委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局及び教育庁関係の付託議案の審査、オリンピック・パラリンピック準備局及び生活文化局関係の契約議案の調査並びに教育庁関係の報告事項に対する質疑を行います。
これよりオリンピック・パラリンピック準備局関係に入ります。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
小室スポーツ推進部長は、所用のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
契約議案の調査を行います。
第百九十三号議案を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○野上委員 百九十三号議案、東京都障害者総合スポーツセンター改修及び増築工事請負契約について質疑をいたします。
本館は改修で体育施設を増築するというもので、多目的室の増設、トレーニング室の拡張、テニスコートを二面から三面へ、洋弓場の拡張、五十メートルから七十メートルへ、仮施設への移転もありまして、連続して使用できる配慮がなされております。
まず、センターについて基本的なことから確認したいと思います。
東京都障害者スポーツセンターは、どのような都民が利用できるのでしょうか。
○川瀬スポーツ計画担当部長 都内に二カ所あります東京都障害者スポーツセンターを利用できる方は、東京都障害者スポーツセンター条例の規定によりまして、身体障害者手帳、愛の手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた方などとされております。
○野上委員 手帳を持っている人が使えるということです。
今ご答弁いただいた身体障害者手帳、あるいは知的障害者の愛の手帳、そして、精神障害者保健福祉手帳、こうした手帳を持っている都民は約六十六万人といわれております。
東京都の人口が一千三百万人ということで、単純に割り返してみますと、二十人に一人の方が何らかの手帳を持ってこの施設を利用できるということでございます。
一方で、中には自分一人ではなかなかこうした施設に来ることができなくて、介助者、付き添いが必要な方など、一人では来所や施設利用が困難な方もいらっしゃいます。
そのときに、介護のために来た方はこの施設を利用できるのでしょうか。
○川瀬スポーツ計画担当部長 東京都障害者スポーツセンター条例の規定によりまして、介護者の方も利用可能であります。
○野上委員 介護者も利用可能であれば、都内二カ所の障害者スポーツセンターで知的障害者、精神障害者、さらには身体障害者、肢体、視覚、聴覚障害者など、さまざまな障害をお持ちの方が利用できるわけでございます。
そこで、今回の改修及び増築工事は、さまざまな障害の種別に応じた設計上の工夫とか、あるいは配慮がなされているのかどうかお伺いいたします。
○田中スポーツ施設担当部長 東京都障害者総合スポーツセンターの改修に当たりましては、さまざまな障害の内容に対応できるよう、きめ細かな工夫や配慮を行いました。
まず、車椅子利用者への対応としましては、エレベーターやスロープによる段差の少ない施設計画を基本とし、駐車場から雨に濡れずに施設に入ることができるよう、駐車場を増築棟の一階部分にも設置しました。
また、トイレは、車椅子で使用できるトイレをふやしたほか、オストメイト用流しを追加で設置するなど、さまざまな利用者に対応できるものといたしました。
次に、視覚障害者への対応としては、誘導ブロックの設置、施設各所における点字での案内表示、音声誘導装置の設置などを行いました。
最後に、聴覚障害者への対応としては、デジタルサイネージを含む各種案内板の設置などを行いました。
○野上委員 災害のときなんかにデジタルサイネージとかがあると、聴覚障害の方がすぐに情報をキャッチできるし、また、自分で車を運転して施設へ来たときに、今までの多摩の方だと、車椅子を自分で出して乗り込むまでの間にもうびちゃびちゃに濡れてしまうというようなことがございましたけれども、今回は車で来ても、車椅子に乗り込むまでに濡れることなく誘導ができる、スムーズに移動できる、アクセシビリティーに配慮して動線を確保できるというところがすばらしい点ではないかと思っております。
それから、建築工事ですので、身体障害への対応が中心となることは理解できます。施設運営においては、知的障害者や精神障害者への対応も十分留意していただくことをお願いいたします。
さて、当該施設は長らく運営されてきたことから、利用者の方々もさまざまな要望や希望をお持ちであり、施設でもそうした声を把握しているものと思います。
改修に当たって、利用者の方々のニーズを計画に反映できたのかお伺いいたします。
○田中スポーツ施設担当部長 改修計画の策定に当たって、施設の利用状況や利用者の要望を把握するため、利用者、利用団体等に対し利用者ニーズ調査を実施しました。サンプル数は、利用者が二百三十八人、利用団体が十七団体であります。
要望として多かったのは、更衣室を広くしてほしい、駐車できる台数をふやしてほしいといったものでございます。こうした要望を反映し、家族更衣室の増設や駐車場の拡張などを行うこととしております。
○野上委員 多摩の障害者スポーツ施設で聞き取りをしたんですけれども、更衣室が狭い、一人では着がえが難しいので家族更衣室が欲しいとか、男女別の更衣室だけでは着がえさせるのに難しい。
例えば、男の子の障害者に母親が付き添って来る場合、これは男子用、女子用という更衣室を分けてある場合、どちらも入れないと。そうしたときに、家族用の更衣室があると、そこで男の子の着がえをお母さんが手伝うことができる。そういった意味で、家族更衣室がぜひ欲しいというような要望がございまして、その要望をかなえる内容になったことに対しては喜ばしいと思っております。
今回の工事は、多様な障害の種別に対応できるよう、利用者のニーズも反映して計画されたということがよくわかりました。
最後に、納税者である都民から見ても適切なものであるか確認したいと思います。本件の入札は、適正に競争が行われたものといえるのか、入札の経過についてお伺いいたします。
○田中スポーツ施設担当部長 本議案に係る入札は、一般競争入札により行われ、入札参加者は七者、うち一者は入札を辞退、最低制限価格を下回る額を提示した者が二者でありました。残る四者のうち、最も安い価格を提示した者と仮契約を締結しております。
なお、契約金額は二十億一千九百三十七万二千百二十円、落札率は九〇・九%であります。
○野上委員 今のご説明で、一般的な競争入札が行われたということがわかりました。九〇・九%というのも適正ではないかと思います。
本施設は、今回、大幅に機能が拡充されるということで、大変喜ばしいことだと思いますが、施設が拡充されることで、また新たな利用者の要望も生まれてくることと思います。
特に、多目的に使える場所についても、今後、使っている人々からいろいろな要求が上げられる可能性があると予測できます。
こうした新しい要望についても臨機応変に対応し、引き続き障害者及び都民のスポーツ活動の普及を支援、推進していただくことを要望し、終わります。
○里吉委員 それでは、私からも障害者総合スポーツセンターの改修について伺ってまいります。
東京都障害者総合スポーツセンターは築三十年を経過しており、老朽化していることから改修を行うものです。
さらに、今、質疑にもありましたように、利用者の要望にも応えて増築すると聞いております。
改修により、駐車場の台数や家族更衣室、テニスコートなど、具体的にどれくらいふえるのか、また、トイレの改修など、改善について改めて伺います。
○田中スポーツ施設担当部長 東京都障害者総合スポーツセンターの改修計画の策定に当たっては、利用者の要望を踏まえ、利便性や快適性の向上を図ることとしております。
具体的には、駐車場は三十三台から四十七台に、家族更衣室は男女別の更衣室の一角を区切って使用していたものを四室に、テニスコートは二面から三面に拡充いたします。
また、トイレについても、車椅子で使用できるトイレをふやしたほか、オストメイト用流しやベビーチェアを追加で設置するなど、機能を拡充いたしました。
○里吉委員 ありがとうございます。プールの家族更衣室は、先ほどもお話がありましたけれども、今はプールの女子更衣室を入ったところに一つしかありませんが、これを二つにふやして、しかも廊下から直接入れる仕様にすると伺っています。
成長してきた男の子をお母さんが介助する場合、気兼ねせずに使えるようになるということで、大変重要な改善だと私も思います。
ほかにも、現在のトレーニング室を会議室にする、卓球室を拡張する、増築棟に現在より大きなトレーニング室と多目的スペースを設けるなどの拡張が図られるということで、利用者の皆さんも大変期待していらっしゃるというふうに思います。
同時に、利用者の方や指導員の方などからは、障害があるだけにほんの少しの違いで使いやすさに大きな差が出てしまう、細かい仕様が実はどうなっているのかも大変大事で、そこが気になるというお話も伺っております。
今後、ぜひ、細かい部分をつくってしまう前に情報提供もしていただいて、利用者の要望も聞く機会を設けていただくことを強く要望しておきます。
また、今回は工事期間が長くなることから、これも利用者の声に応えて、全て閉館とせずに、一部利用しながら工事を進めると伺っております。具体的にどのように行うのか伺います。
○田中スポーツ施設担当部長 東京都障害者総合スポーツセンターは、単にスポーツ利用だけでなく、日常のリハビリテーションや利用者同士のコミュニケーションの場としても活用されており、休館期間中の利用者への配慮も課題であります。
このため、グラウンドに代替となる仮設施設を設置し、多目的スペースやトレーニングルーム、卓球室などを設け、工事期間中も利用者が継続的に活用できるようにいたしました。
○里吉委員 障害者の方が使える施設がまだまだ少ない中で、仮設施設を設置していただくことは大変重要だと思います。
同時に、改修のときにも要望の大きかったプール。プールはもう少し大きくしてほしいというものでした。これはなかなか実現はできなかったわけですけれども、閉館中も他のプールが使えるようにしてほしいという要望もたくさんいただいていると伺いました。
今回、改修でプールは大きくできなかったわけですけれども、閉館中のプールの代替についてはどのようにするのか伺います。
○川瀬スポーツ計画担当部長 工事期間中に設置する仮設施設におきましては、スペースが限られることからプールの設置が困難であります。そのため、利用者の方には、早い段階から休止期間の館内への掲示や案内チラシの配布などにより、事前の周知を図っております。
加えて、必要に応じて家族更衣室が設置されているかなど、バリアフリー状況に応じた公立施設を紹介してまいります。
○里吉委員 プールを個人利用する場合は、今お話があったような他のところを紹介していただけるということで、何とかなるというふうに障害者の方もおっしゃっていました。
しかし、サークルをつくって団体利用している皆さんは、他の施設の団体貸しの場所に割り込むのがなかなか大変だという話も伺いました。
私の知り合いの視覚障害の方もサークルをつくって利用しているそうなんですが、障害者スポーツセンターなら送迎バスもあって、一人でも行けるそうなんですね。そういうことも含めて、他の施設ではなかなか難しいということで、この団体は残念ながら改修中は休みにするしかないというふうに考えていると伺いました。
プールは、障害のある方にも、健常者の方にもですけれども、大変人気のあるスポーツで、障害のある方にとっては気軽にスポーツできるところなんですね。ですから、やっぱりもっといろんなところにあることが必要だと思います。
オリンピック・パラリンピック準備局さんで、今年度から特別支援学校の体育館を利用した地域スポーツ事業を開始していただいていますけれども、これには今のところプール活用が想定されていません。
以前にも質問いたしましたが、特別支援学校のプールを温水化して地域に開放していく、障害者スポーツ振興の有力な手段の一つだと思います。ぜひ教育庁とも連携していただいて、前向きに進めていただきたいと思います。
今回の改修は大変前向きな部分、大きくするということで、案件には賛成いたしますけれども、あわせて、もう一歩進めるためにプールを新しくつくるということもご要望させていただいて、私の質問を終わります。
○植木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○植木委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
お諮りいたします。
本案は、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○植木委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
以上で契約議案の調査を終わります。
以上でオリンピック・パラリンピック準備局関係を終わります。
○植木委員長 これより生活文化局関係に入ります。
初めに、契約議案の調査を行います。
第百九十二号議案、第百九十七号議案及び第百九十八号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○植木委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○植木委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
お諮りいたします。
本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○植木委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
以上で契約議案の調査を終わります。
○植木委員長 次に、付託議案の審査を行います。
第百八十四号議案、第百八十五号議案及び第二百六号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○川松委員 私からは、都立文化施設の指定管理者の選定についてお伺いいたします。
私自身は、文化施設はいわゆる一般の施設管理とは異なりまして、収蔵品の収集、管理、展覧会、あるいは公演等の文化事業を着実に展開する拠点であって、その運営には高度な専門知識が必要であること、そして、専門人材の育成や確保にそれなりの期間を要するものであるんじゃないかなと考えております。そのため、できるだけ指定管理者の指定期間については長い方が、今挙げたようなことについてはよいんじゃないかというふうに思っておりました。
そのような中で、今回の都立文化施設の指定管理者の指定に当たりまして、指定期間四年という議案に対して、これが本当に正しい期間なのかどうかということがちょっとよく、頭の中でも悩んでいるところであります。
これまでの考え方や現状について改めて確認するため、きょうは質問させていただきます。
まず、現在、東京都歴史文化財団が都立文化施設の指定管理者として施設運営をしているわけですけれども、現在の指定期間とその考え方などについてお伺いをしたいと思います。
○越文化施設改革担当部長 現在の指定期間は、平成二十一年度から平成二十八年度までの八年間となっております。
東京都指定管理者選定等に関する指針では、指定期間は原則五年間とされておりましたが、文化施設で行う展覧会や音楽公演などの事業実施に当たりましては一定の準備期間が必要なこと、また、質の高い事業を実施するには、関係施設等とのネットワークの蓄積が大事であることなど、文化施設の特性を踏まえて、指定期間を八年間としたところでございます。
○川松委員 ということですから、文化施設の事業の実施に当たって、一定の準備期間が必要であるなど、文化施設の特性を踏まえて指定期間が設定され、現在運営されているということがわかりました。
次に、具体的な話を聞かせていただきたいと思いますが、例えば、平成二十四年に世界最多の観客動員数を記録しました東京都美術館における、フェルメールで大変話題を呼びましたけれども、マウリッツハイス美術館展などの展覧会や文化会館等のホールでの公演の準備には一定の期間がかかるわけですよね。事業実施に当たっては、およそどれくらいの準備期間を要するものなのか、また、あわせて関係機関との調整や事業の企画立案の中核を担う学芸員等の専門人材のノウハウはどのように生かされているのかお伺いします。
○越文化施設改革担当部長 美術館、博物館の展覧会を開催するには、学芸員の日ごろの調査研究を踏まえた企画の検討から作品の借り入れ先など、関係施設との交渉、調整、さらには具体の展示の検討や作品図録の作成などが必要であり、それには長い時間を要します。
ご指摘のマウリッツハイス美術館展のような大規模な展覧会企画の場合、開催準備に四年程度かかることが通例でございます。
また、ホールの場合も、例えば、東京文化会館において、オペラ等の舞台芸術を招聘し上演するには、海外の著名な劇場等との調整に三年から五年程度要することが多くなっております。
学芸員等の専門人材は、高度な専門知識をもとに、魅力ある展覧会や公演の企画立案を行うとともに、これまで培ってきた多くの関係機関との信頼関係やネットワークを生かし、事業を円滑に行っております。
実際に、学芸員の研究実績や都立施設での作品保管や展覧会開催の長年の良好な実績が多方面から評価をされており、国内外の貴重な美術作品の借り入れがかなうなど、充実した展覧会企画等の実現に貢献しております。
○川松委員 今の答弁で準備期間の必要性、専門人材の重要性というのはよくわかりました。
ところで、池袋にあります東京芸術劇場は、東京都歴史文化財団が指定管理者として運営しまして、平成二十一年からの野田秀樹芸術監督の起用や、平成二十四年のリニューアルオープン等を経まして非常に大きく生まれ変わり、稼働率も高くなったというふうに認識しております。
これ、どのように変化したのか、そしてまた、ホールの稼働率は現在どれくらいなのか伺います。
○越文化施設改革担当部長 東京芸術劇場は、平成十九年三月の都立文化施設のあり方検討会の報告や東京芸術文化評議会における議論を踏まえ、現在の指定管理期間が始まった平成二十一年度以降、大規模改修工事によるハード面での機能の更新に合わせて、運営方針についても貸し館中心の施設運営から創造発信型へと、ソフト面でも大幅に転換をいたしました。
具体的には、芸術監督や演劇、音楽、舞台技術等に関する専門人材を配置し、自主制作、国際共同制作、他地域との共同制作など、積極的に自主事業を企画、展開し、内外へその存在感を高めております。
さらに、豊島区などと協力して実施しているアートイベント、新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館や立教大学と連携した地域講座である池袋学の開講のほか、劇場前で大道芸を実施するなど、地域と連携した取り組みを進め、地域のにぎわいづくりに積極的に努めているところでございます。
また、ホールの稼働率については、年間の利用可能日数のうち何日間ホールが利用されたかの割合で見ますと、平成二十七年度の実績は、大ホールで九八・二%、中ホールで九八・一%、小ホールで平均九七・六%でございます。
○川松委員 東京芸術劇場は、さまざまな取り組みに時間をかけていろんな工夫をしてきたことで、稼働率も高く、人気の施設だということが今の答弁でわかりました。
さて、先日の事務事業質疑におきまして、都立文化施設と地域との連携についてお伺いした際に、答弁いただきました恵比寿映像祭というのは、東京都写真美術館が近隣の企業やギャラリー等と連携して取り組んでおりまして、今年度で九回目を迎えるということです。
また、我が地元、墨田区にある江戸東京博物館も、私もスタートから携わっておりますけれども、両国にぎわい祭りなどを通じて、地域との連携に時間をかけながらも積極的に取り組んできたわけであります。
ただ今の質疑によりまして、東京芸術劇場でも地域と連携した取り組みに非常に熱心に取り組み、文化を通じたまちづくりに貢献しているんだということもよくわかりました。
今、幾つかご質問いたしましたけれども、文化事業の企画の準備や地域との関係性の構築というのは非常に時間がかかるものでありまして、一朝一夕にできるものではないことが改めて確認できました。
実際に、質の高い事業を実施するため、東京都歴史文化財団は単なる箱物の施設管理ではなくて、事業内容やサービスなどソフト面を、時間をかけて充実させてきていると私は認識しております。
創意工夫に満ちた事業の着実な実施の背景には、長年の経験の積み重ねや専門分野の調査研究など、地道な取り組みの継続があり、そうした見えにくい努力こそが非常に重要なんだというふうに思っております。
そして、この江戸東京博物館のこれまでの取り組みは、竹内名誉館長というすばらしい館長、リーダーがきめ細かく職員を教育し導いたことで、専門職員の能力がさらに光ったものでありまして、写真美術館の恵比寿映像祭についても、福原名誉館長が恵比寿のまちづくりを念頭に置いて、丁寧に職員を指導してこられた成果です。
指定管理者の短期間での交代は、指定管理者の方針や体制も変わり得るということであり、これまでの取り組みもゼロからやり直しということになりかねません。
そこで今回、当初、都立文化施設が都の文化政策と密接に連動した重要な役割を果たすとともに、安定的、継続的で質の高いサービスを提供する必要があることから、指定期間を十年間として審査委員会による審査が行われ、東京都歴史文化財団が指定管理者として適当であるという審査結果であったというふうに聞いています。
当初、十年間の指定期間を目指したところ、なぜ今回、これが四年となったのか伺います。
○越文化施設改革担当部長 指定期間の設定に当たっては、文化施設の運営の継続性、専門人材の育成など、文化施設の特性及び二〇二〇年大会に向けた文化プログラムの着実な実施について配慮する必要がございます。
その一方で、知事を本部長とする都政改革本部において、東京都歴史文化財団を含む監理団体の指導監督をテーマの一つに据えて、今後、検証や必要な見直しを行うものとされております。
そのため、指定管理者については、これまでの実績等を踏まえて、引き続き東京都歴史文化財団を特命で選定し、指定期間については、二〇二〇年大会に向けた取り組みを着実に進めるとともに、今後、都の方針に速やかに対応していくことを考慮して、四年間でお諮りするものでございます。
東京都歴史文化財団は、都の文化施策を推進する上で欠かせない監理団体であるため、都としては、財団に対し適切に指導していくとともに、今後も連携しながら、東京や日本の文化の発信に向けてさまざまな取り組みを積極的に進めてまいります。
〔「よくわからないな、今の答弁は」と呼び、その他発言する者あり〕
○川松委員 今いろいろ意見が出ていますけれども、まとめると、都政改革本部ができて、この都政改革本部の動向を注視したら、十年が四年という結論になったということですよね、そういうことだと思います。
そういうことは議論をしながら、これまでの、例えば、サステーナブルという話があるんだったら、持続発展可能なものを過去から見て議論していく必要があるんだと私は思います。
二〇二〇年に向けた文化プログラムの展開に当たって、これまでの実績を評価し、東京都歴史文化財団に任せるということは理解できますけれども、二〇二〇年の先のレガシーも大切なんだと、二〇二〇年から飛躍していこうと、そのビヨンド二〇二〇の考えもある中で、四年で区切るというのはとっても残念だと思います。
これまで東京芸術文化評議会などにおける議論やさまざまな改革を経て、施設の活性化が図れ、安定的に運営されるなど、ようやくここまでたどり着いたんじゃないんでしょうか。皆さんが一番わかっているんですから、そこを大切にしていただきたいと思います。
都立文化施設を芸術文化の創造発信拠点として、その機能を最大限に生かすために、これまで東京都歴史文化財団が長年培ってきた人材、事業運営のノウハウ、関係施設等とのつながりを今後も大いに活用すべきです。
文化事業は、人こそが財産であります。今後の議論の中では、専門人材の育成、確保の観点をより重視していっていただきたいと要望しておきます。
また、今後の議論に際しては、文化施設のように都政との政策連動性の高い施設に対しては、民間事業者に競争させて、短期間で指定管理者を交代させる手法は適していないという点についても強調しておきます。
都議会自由民主党の入札・契約プロジェクトチームの第二回の報告書に、ここにありますけれども、全ての管理のことについては、高木先生初め皆さん方で出した答えがあります、ぜひ参考にしていただきたいと思います。もう見ていると思いますけれども。
最後に、最後に一つ触れておきます。ことしの十月に、森記念財団都市戦略研究所が発表した世界の都市総合力ランキングで東京は三位へと順位を上げました。
これ、さまざまな角度からスコアをつけているわけですけれども、きょう言及しておくのは、分野別ランキングの文化・交流とアクター別ランキングのアーティストという項目です。総合で三位、念願の三位に上がった東京ですけれども、文化・交流ではロンドン、ニューヨーク、パリ、シンガポールに次ぐ五位です。アーティストの面では、パリ、ニューヨーク、ウィーン、ベルリン、ロンドン、バルセロナに次ぐ七位となっています。
当然、都内には公立の施設、民間の施設が多数ある中で、きょう議論してきました都立文化施設は、そのどれもが世界と競っても劣ることのない、すばらしい施設であると認識しています。
それだけに、この施設が世界で一番の東京実現に向けて重要なのはソフト面の充実です。だからこそ、政策連動性の高い施設として、これまで東京都歴史文化財団に運営を委ねてきたんじゃないんでしょうか。
ぜひ、これから都政改革本部で議論を展開していく上においては、以上のようなきょうのやりとり全て踏まえていただいて、よく話し合って最善の結果へ向かっていただくことを強く要望して、質問を終わります。
○里吉委員 私からも第二百六号議案、都立文化施設の指定管理者の指定について伺います。
今回は、江戸東京博物館、写真美術館、現代美術館、東京都美術館、東京文化会館、東京芸術劇場の六施設の指定管理者として、特命で東京都歴史文化財団を指定する、指定期間は四年間との提案です。
私も、もともと指定期間十年としていたものが四年になったところ、疑問に思っている一人です。今回、指定期間を十年ということで事業計画書は出してもらっています。審査もそれをもとに妥当と評価されたけれども、都政改革本部の内部統制プロジェクトチームの中で、歴史文化財団を含む監理団体の指導監督について検討が行われるので、そのこととオリンピック・パラリンピックの文化プログラムを着実に進めることを考慮して、四年間の指定期間としたと伺っております。
私たち日本共産党は、これまでも文化施設や図書館などは、事業の専門性や継続性などの観点から、コスト削減が重視され、管理者が短期間で入れかわる可能性の高い指定管理者制度にはなじまないと繰り返し主張してまいりました。
今回は、これまでも都立文化施設の運営を担ってきた都の監理団体の公益財団法人東京都歴史文化財団を特命でしたということで、これには異存はありません。
ただ、生活文化局としても当初十年間の指定と考えていたものがなぜ四年という短期間になったのか、ここは私も大変気になるところです。
そこでまず、指定管理者制度が導入されて十年になります。これまでの江戸東京博物館など文化施設の指定の経過について伺いたいと思います。
○越文化施設改革担当部長 平成十八年度の指定管理者制度導入の際、都立文化施設については、制度導入当初であったことから、指定期間を平成十八年度から平成二十年度までの三年間とし、それまで都立文化施設の管理運営委託を行っていた東京都歴史文化財団を指定管理者として指定いたしました。
その後、平成二十一年度からは、展覧会や公演等の事業実施に当たり、一定の準備期間を要すること、質の高い事業を実施するには関係施設等とのネットワークの蓄積が大事であることなど、文化施設の特性を踏まえ、指定期間を八年間として、東京都歴史文化財団を指定管理者に指定いたしました。
○里吉委員 地方自治法の改定により、指定管理者制度が導入された当初は、期間を三年と設定したと。これは、二〇〇五年当時の議事録を読ませていただきましたら、企画展などの準備には二年間は必要なので、現行の管理受託者、歴史文化財団のことですね、ここと新たに参入を希望する民間事業者との公平性を確保する、つまり、次は公募にする前提で、準備期間として歴史文化財団を三年間、特命で指定したということでした。
そして、その次、指定期間を八年として公募を行って、改修予定のあった東京都美術館とか芸術劇場とかは特命でしたけれども、それ以外は公募を行いました。そして、結果として、歴史文化財団が高評価を得て指定されたという経過です。
当時の選定のときの審査委員の総評では、指定期間について、例えば、東京文化会館では、文化事業は効果があらわれるまで長期間かかるものであるが、三団体が応募していましたけれども、どの提案も長い目で見て育てていく企画が見られなかったと。このことから、数年置きに管理運営者が選定される指定管理者制度への懸念を感じた、こういうことが書かれています。
指定期間八年間での企画提案でも、長い目で育てる企画を提案することは難しいということだったと思います。そして、今回は、もともとは十年間としていたということです。
歴史文化財団からの提案書類、事業計画書、これは運営戦略として十年間の指定期間を生かした各館の潜在力及び六館の総合力発揮のための運営戦略と取り組みについてとありますが、改めて指定期間十年間での提案となった理由を伺います。
○越文化施設改革担当部長 都立文化施設が行う事業は、企画や準備に一定の期間を要するほか、収蔵品の収集及び調査研究等の専門性、学術性の高い業務についても継続的な取り組みが必要でございます。あわせて、専門人材の育成にも相当の期間を要します。
そこで、安定的、継続的で質の高いサービスを提供するため、指定期間を十年間とし、事業計画書の提出を東京都歴史文化財団へ求めたものでございます。
○里吉委員 収蔵品の収集、調査研究等の専門性、学術性の高い業務での継続的な取り組みと人材育成を重視したということですね。重要な観点だというふうに思います。
例えば、収蔵品の収集一つとっても、どのような作品を選定するかの考え方が一貫し、また、見る目を持つ学芸員が専門性を発揮できる状況になければ、これは成り立ちません。
また、東京文化会館や芸術劇場、東京都美術館のように、ホールや展示場を貸し出す施設も含め、長期的な視野に立って、どのように文化や文化を担う人たち、団体を育てていくのか、どのように施設の独自性や特徴を輝かせていくのか、これが大変重要です。
あそこに行けば、何かすばらしい文化的な出会いがあると都民が期待できる施設は、そう簡単にはつくれない、そういうことだと思うんですね。
現代美術館などは、この間若手育成に力を入れておりまして、所在地でも、先ほどご説明がありましたけれども、文化や芸術の好きな若者がたくさん集まってくる本当に魅力的な場所に成長しております。まだまだ成長する可能性を秘めた施設になっているというふうに感じております。
八年間継続するうちに、管理運営状況の評価も毎年行われておりまして、ホームページで見ることができます。S、A、Bの三段階で、S評価の施設数がだんだんふえているということも注目すべきことだと私は思います。
今回は、あえて反対はしませんけれども、事業計画も十年でつくっていることですし、やはり継続性を重視して、四年で途切らせることなく、その先も見越した長期的な視野を持った管理運営をお願いしたいと思います。
そして、最後に、専門人材の育成について伺いたいと思います。これも大変重要なことです。
八年前の公募で指定管理者の選定のときには、歴史文化財団も制度の趣旨から、コスト削減しなければ選ばれなかったかもしれないという危機感で、実は学芸員などの人員削減や給料カットを行って、大変だったと伺っております。
しかし、選定のときの審査委員の総評では、むしろ人材確保や事業の質を重視すべきだという意見が出されました。
東京文化会館では、指定管理者の選定は価格の競争だという思い込みがあるようだが、施設運営や事業の公共性を担保するためには、設置者の拠出、指定管理料は必要である、危険につながる舞台技術のスタッフの削減はあってはならないのはもちろんのこと、人材の十分な担保やすぐれた事業を提示し、必要な指定管理料を求める提案があってもよいと思われた、こういうふうに記述されているんですね。
今回の選定では、歴史文化財団は蓄積されたノウハウと豊富な専門人材を最大限活用した文化振興などが期待できることが選定理由の一つというふうに書かれております。ノウハウの蓄積と専門人材が評価されているわけです。
そこで、今回、指定管理者選定の対象となった六館の現在の学芸員等の正規職員の人数について伺います。また、現在の指定管理期間の初年度から増減はどうなっているのか、あわせて伺います。
○鳥田文化振興部長 今回の指定管理者選定の対象になった六館の平成二十八年度の正規職員については、東京都江戸東京博物館が二十八人、東京都写真美術館が十三人、東京都現代美術館が十三人、東京都美術館が十人、東京文化会館が十一人、東京芸術劇場が八人、合計八十三人であり、その他の有期雇用の職員を含めると、全体で二百二十五人となっています。
また、現在、指定管理期間の初年度である平成二十一年度と比較すると、東京都写真美術館が一人、東京都現代美術館が二人、東京都美術館が六人、東京文化会館が三人、東京芸術劇場が一人増員となっております。合計で十三人の増員でございます。
○里吉委員 全体で正規雇用の学芸員八十三人、八年間で十三人ふやしてきたということでした。
やはりこうした人材を大切にする努力が施設の魅力を高め、高い評価を得ることにつながっているのではないでしょうか。学芸員の皆さんに専門性を磨いてもらい、長期的視野に立って力を発揮していただくために、今後とも正規職員の拡大など、都としても支援を強めていただくことを要望し、私の質問を終わります。
○植木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○植木委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で生活文化局関係を終わります。
○植木委員長 これより教育庁関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第百八十六号議案、第二百七号議案及び第二百十四号議案から第二百十六号議案までを一括して議題といたします。
初めに、追加提出されました第二百十四号議案から第二百十六号議案までについて、理事者の説明を求めます。
○中井教育長 平成二十八年第四回東京都議会定例会に追加で提出いたしました教育庁関係の案件につきましてご説明申し上げます。
今回、追加で提出いたしました案件は、学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例外条例案二件でございます。
平成二十八年十二月二日に関係法令が改正されたことに伴い、それぞれ規定を整備するものでございます。
以上が教育庁関係の案件の概要でございます。
詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○早川総務部長 それでは、私から追加で提出した案件の詳細につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の資料、平成二十八年第四回東京都議会定例会議案(条例)の表紙をおめくりいただき、目次をお開き願います。
今回、追加で提出した条例案は三件でございます。
それでは、一ページをお開き願います。学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
三ページの新旧対照表をお開き願います。育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の改正に伴い、要介護者を介護する職員について、第十一条の二の二では超過勤務の免除、次の四ページの第十八条の二では介護時間に係る規定を設けるなど、規定を整備するものでございます。
施行日は、平成二十九年一月一日からとしております。
六ページをお開き願います。都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
七ページの新旧対照表をごらんください。育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の改正に伴い、日勤講師に付与する休暇として、第十条第一項第四号に介護時間を新設するものでございます。
施行日は、平成二十九年一月一日からとしております。
八ページをお開き願います。東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例でございます。
九ページの新旧対照表をごらんください。先ほどご説明申し上げました学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の改正に伴い、特別区及び市町村の事務の範囲に係る規定を改めるものでございます。
施行日は、平成二十九年一月一日からとしております。
以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○植木委員長 説明は終わりました。
その他の議案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、これより本案に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○植木委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○植木委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○植木委員長 次に、報告事項、東京都特別支援教育推進計画(第二期)・第一次実施計画(案)の骨子についてに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○早川総務部長 去る十一月二十五日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をお開き願います。
今回要求のございました資料は三件でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、都立知的障害特別支援学校高等部卒業者の就労率・就労者数(形態別・職業別)(平成二十八年三月卒業者)でございます。
平成二十八年三月における都立知的障害特別支援学校高等部卒業者の就労率、就労者数について、学科別にそれぞれ記載してございます。
二ページをお開き願います。2、都立特別支援学校(高等部単独校)におけるスクールバスの配車状況(平成二十八年度)でございます。
都立特別支援学校高等部単独校のスクールバスの配車台数について、障害種別、学校別にそれぞれ記載してございます。
三ページをお開き願います。3、都立特別支援学校の重度重複学級数及び幼児・児童・生徒数の推移(平成十九年度から平成二十八年度まで)でございます。
都立特別支援学校の重度重複学級数及び幼児、児童生徒数の推移について、障害種別に平成十九年度から平成二十八年度までをそれぞれ記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○植木委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
○小宮委員 都教委は、平成十六年十一月に策定をしました東京都特別支援教育推進計画と三次にわたる実施計画に基づいて、特別支援教育の推進に取り組んできました。
この計画によって、知的障害特別支援学校の企業就労率、これは平成十九年には三五・二%だったものが平成二十七年には四六・四%に上昇、また、知的障害特別支援学校の普通教室数、数の増加もありました。七百三十六から千二百三十九と大幅に増加をしています。
こうした成果がありましたけれども、まだまだニーズに足りていないという現状があり、そして、新たに生じた状況の変化もあります。
そんな中で今回、現計画に引き続く十カ年を計画期間とする長期計画である東京都特別支援教育推進計画(第二期)と当面四年間の具体的取り組みを明らかにする第一次実施計画を策定しました。そして、その骨子が公表されたところです。
今回の骨子の特徴は、長期計画の最終年度である平成三十八年度時点における目指すべき将来像とその実現に向けた政策目標を掲げている点にあります。教育という効果検証が難しい分野において、具体的に数値目標を掲げた計画としている点は評価したいと思います。
そこで、今回の骨子で将来像と政策目標を掲げた考え方について伺います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 東京都特別支援教育推進計画(第二期)と三次にわたる実施計画の策定に当たっては、十年後の目指す姿を具体的に設定した上で、その実現のための個々の施策、事業を盛り込んでいく必要がございます。
そのため、今回の骨子では、目指すべき将来像を掲げるとともに、将来像の実現のための各施策、事業の達成度を客観的に図るための指標として、具体的な数値目標を政策目標として掲載いたしました。
これにより、各施策の事業の進捗管理を徹底するなど、事業の成果を検証し、改善を図るための仕組みをしっかりと機能させることといたしました。
○小宮委員 進捗の管理、成果の検証、またPDCAサイクルの構築、これはどれも重要であるとともに、やはり示された数値に根拠があるということ、そして、実施計画において、その実現に向けた実効性ある方策が盛り込まれているということが同時に重要であると思います。
本日は、こうした観点からも個々の政策目標について伺いたいと思います。
まず、知的障害特別支援学校の教室数の確保についてです。東京都教育委員会では、平成十六年から二十八年度の間に、知的障害特別支援学校十五校を開校するなど、普通教室の確保に取り組んできました。
しかしながら、今なお特別教室を転用したり、普通教室を間仕切りしたりして、普通教室を確保している学校が残されています。
これまでの計画でふやしてきたけれども、まだまだ足りない、また、障害のある児童生徒数の将来推計によれば、知的障害のある児童生徒を中心に、これからも在籍者数の増加が見込まれているところです。
今回の骨子においては、政策目標として、知的障害特別支援学校における普通教室数、数について、学級数分の普通教室を確保するというふうにしておりますけれども、その考え方について伺います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 共生社会の実現に向け、障害のある子供たちの自立を目指し、社会に参加、貢献できる人材を育成するために、指導、支援の基礎となる教育環境の充実を図ることは重要でございます。
本計画の策定に当たっては、知的障害特別支援学校の在籍者に関する最新の将来推計を行い、学校の新設、増改築、既存校舎の活用、仮設校舎の活用など、多様な方法を用い、必要な教室を確保し、教育環境を改善いたします。
今回計画した施設整備計画を着実に実施することにより、特別教室等から転用した普通教室や通常の学級において一つの教室を間仕切りしている教室についても解消いたします。
○小宮委員 普通教室の数を確保する、教育の環境整備が整うということとあわせて重要なのが、新たな計画で示されております知的障害特別支援学校の高等部就業技術科、職能開発科の拡充であると思います。
骨子では、平成二十八年度に就業技術科を五校、職能開発科を二校、計七校に設置しているものを、新たに六校に職能開発科を設置して、平成三十八年度には十三校にまでふやすということを目標に掲げています。
そこで、職能開発科を六校に増設することとしたその考え方について伺います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 現在、知的障害が軽度の生徒を対象とする就業技術科が五校に設置されているのに対し、知的障害が軽度から中度の生徒を対象とした職能開発科の設置は二校にとどまっており、一人でも多くの障害のある生徒が企業就労の希望を実現できるよう、障害の程度に応じた職業教育をより一層推進することが必要でございます。
そのためには、全都において、専門的な職業教育を行う就業技術科、基礎的な職業教育を行う職能開発科、職業準備教育を行う普通科の三科が重層的に職業教育を展開できる体制を構築していくことが必要となります。
こうしたことから、知的障害のある生徒が今後どのように推移していくかの推計結果をもとに、地域ごとの生徒数のバランスを考慮した上で、全都を既設の就業技術科五校を拠点とした五ブロックに分け、就業技術科、職能開発科及び普通科が各地域に適切に配置されるよう検討した結果、新たに六校に職能開発科を設置することといたしました。
○小宮委員 生徒数、その推移なども見ながら、バランスよく配置をしていくということです。
やはり障害があっても、その程度に合わせた職業教育を受けて社会に出て働く、そしてまた自立をする、その基礎を育むという大変重要な計画の内容であるというふうに思っています。この取り組みを通じまして、同じく政策目標に掲げられておりますけれども、就労率も高まるものと期待をするところです。
それから、数値目標等々にあるものではないんですけれども、変化・進展する社会に対応した特別支援教育の推進の中で示されております主権者教育について伺いたいと思います。
公職選挙法が改正をされて、十八歳から投票できるようになりました。過日、中野特別支援学校に通う生徒の親御さんからは、子供が有権者となるということへの期待とあわせて、やはり投票方法に関することであるとか、さまざまな課題、不安の声を聞いております。
障害の種類や程度に応じて、全ての特別支援学校の生徒が公選法の趣旨や選挙制度について理解を深め、そして社会の一員として果たすべき義務と権利や国民主権の原則についてなど、学ぶ必要があると思います。
そこで、都立特別支援学校における主権者教育の実施状況と保護者に対する情報提供に関する取り組みについて、今後の対応を含めて伺います。
○出張指導部長 今後の共生社会に向けて、障害のある人が自立した社会人として政治に参加するためには、学校段階において、障害の種類と程度に応じ、適切に主権者教育を実施することが重要でございます。
そのため、都立特別支援学校では、高校に準ずる教育を受けている全ての高等部生徒が現代社会を履修し、選挙制度等を学んでおります。
また、知的障害のある生徒は、係活動等で役割と責任について体験的に学習するとともに、生徒会選挙の際、選挙管理委員会の出前授業等により、投票用紙の書き方、投票の仕方を実践的に学び、主権者としての意識や態度を身につけております。
さらに、保護者会等において、選挙権年齢に達する高等部三年生の保護者に対しまして、選挙運動等で認められている行為や代理投票、郵便等投票の制度などについて説明しております。
今後とも、都教育委員会は、計画の策定を踏まえ、各都立特別支援学校に対しまして、障害のある生徒に一層政治的教養を高めるとともに、保護者に対する丁寧な情報提供が図られるよう指導助言してまいります。
○小宮委員 ありがとうございました。
それから、知的障害を持つ子もふえておりますけれども、発達障害の教育の推進というものも大変ニーズが高まっております。このことについて伺います。
通常の学級に在籍している特別な支援を必要とする発達障害の児童生徒、この教育的ニーズが高まっています。特別な支援を受ける児童などは増加傾向にあるわけです。
東京都教育委員会はこれに対して、公立の小学校においては特別支援教室を平成三十年度までに、そしてまた、中学校においては平成三十三年度までに全校に設置していくこととしています。
一方、東京都教育委員会は、今回の骨子において、我が党が求めてまいりました都立高校等における発達障害の生徒への取り組みとして、高校における通級による指導について検討を始めることを明らかにしました。
そこで、今回の骨子の特徴である政策目標で、平成三十八年度に都立高校等の発達障害の生徒への適切な支援体制を構築する地域を全都としている意味について伺います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 本計画では、高校における通級による指導について、都立秋留台高校をパイロット校として、平成三十年度からの運用開始を目指して検討を行うこととしております。
都立秋留台高校では、運用開始後当面の間、自校の生徒を対象とした指導等を行ってまいります。
その後、パイロット校での実践を踏まえ、他の都立高校での実施や他校通級のあり方等を検討してまいります。
検討に当たっては、実施校の地域バランス等を考慮し、都立高校等に在籍する特別な支援を必要とする全ての発達障害の生徒が、将来的にどの都立高校に在籍していても必要な支援が受けられるようにしてまいります。
○小宮委員 平成十六年から始まった特別支援教育推進計画によって、今いろいろ伺ってきた内容もそうですけれども、支援を必要とする子供たち一人一人に応じた、そういう環境が整ってきているということは、特別支援教育の充実であるといえるわけですけれども、一方で、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育推進というものに語られておりますけれども、やはり障害のある子供と障害のない子供ができるだけ同じ場でともに学ぶということからは離れるという側面もあると思います。
その点で、新計画に示されている副籍制度の充実による交流活動の推進というものがやはり重要であると思います。
東京都教育委員会では、平成十九年度から特別支援学校の小中学部の児童生徒の地域とのつながりを維持継続するために、小中学校に副次的な籍を置くとともに、児童生徒同士の交流活動を進めてきました。
このような交流活動によって、児童や生徒はお互いを理解するとともに、思いやりの心を育んで、そのことが共生社会の実現につながっていくという大変重要なことであると思います。
平成二十七年度現在、副籍制度を利用している特別支援学校小学部の児童の割合は五二・一%ありますけれども、中学部の生徒の割合は二九・二%にとどまっています。
共生社会の実現を目指すためには、副籍制度による交流活動が活性化をして、全ての子供にとって魅力的なものとなることが重要であると思います。
そこで、副籍制度による交流を活性化させるための東京都教育委員会の取り組みについて伺います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、副籍制度の活性化を図るため、平成二十六年度には交流活動の事例集を作成し、全ての特別支援学校、小中学校へ配布、周知いたしました。また、平成二十七年度には、特別支援学校に就学すると同時に、交流する小中学校を決める仕組みをつくりました。
課題としては、小中学校との交流が主に芸術鑑賞会や運動会の一部に参加するなどの交流であることから、特別支援学校の児童生徒が生き生きと発言し、活躍できる場面が限定され、十分には達成感を得られにくいということが挙げられます。
こうしたことから都教育委員会は、全ての小中学校で取り組んでいるオリンピック・パラリンピック教育を活用し、障害者スポーツの学習の機会に交流活動を実施して、特別支援学校の児童生徒が一緒に参加し活躍できる場面を設定するよう、特別支援学校に指導助言するなどして交流活動の活性化を促進してまいります。
○小宮委員 先日の事務事業でも取り上げましたけれども、五十年に一度あるかないかという、このオリンピック・パラリンピック開催の機会を通じまして、子供たちが共生社会の意味とか重要性を理解して、共生社会をつくる中心となっていくことを期待して、質問を終わります。
○鈴木(貫)委員 私の方から、一昨日の我が党の代表質問でも取り上げさせていただきました知的障害特別支援学校の就労支援の問題であります。
その中で、代表質問で企業就労後の定着支援のあり方、これを取り上げて指摘をさせていただきました。教育長からもご丁寧なご答弁をいただいておりますし、それを踏まえて、きょうは概論的にまた何項目かちょっと深掘りをして、理解を深めて、今後の政策に生かしていただければと、こう思っております。
また、パブコメもこれから行われていくようでありますので、全て総合的に考えていただければと、こう思っております。
都教委の方では、これまで、くどいようでありますけれども、特別支援教育推進計画を通じて、私もこの冊子も随分と読ませていただきましたけれども、障害のある生徒の自立と社会参加をこれからどう促進させていくのか、特別支援学校における特に職業教育の充実を図ってきたことは私たちも重々承知をしておりますし、たびたび指摘をさせていただいたことをよく捉えていただいたことに我々も感謝申し上げたいと、こう思います。
知的障害が軽度の生徒を対象とする就業技術科では、データによりますと、きょうの資料に載っておりますけれども、卒業生の九五%程度は企業に就労できているといったように、非常に高い就労率を実現し、生徒や保護者はもとより、私たち都民の期待にも応える実績を上げていることは、私たちも評価をさせていただきたいと思っております。関係者のご努力に心から感謝申し上げたいと思っております。
そういうことをこう思いながら、先ほど小宮委員さんからの質疑、また答弁の中でも、就業技術科五校、これを全て設置したと答弁が出ておりましたけれども、現在、都教育委員会で、特別支援教育推進計画で計画をなされた、今申し上げた五校、これを踏まえて、質問を第一回したいのは、この就業技術科を設置した成果ですね、そして、その成果を踏まえた今後の方向性といいましょうか、そのあるべき姿ということをどういうふうに描いているのかを具体的にちょっとお聞かせいただきたいということであります。
○浅野特別支援教育推進担当部長 就業技術科の設置に伴い、知的障害特別支援学校の企業就労率を平成十九年度の三五・二%から平成二十七年度には四六・四%まで上昇させました。
また、在籍生徒の実習受け入れ企業の拡大や就職先となる企業の開拓を全国に先駆けて、教育委員会が主体となって学校と連携しながら進めていく仕組みを構築し、障害のある生徒の就労に際し、学校、都教育委員会、企業の連携強化の基盤づくりに寄与いたしました。
今後は、就業技術科と職能開発科、普通科との連携協力を図り、企業情報を共有化するなど、効果的な就労支援を展開してまいります。
○鈴木(貫)委員 よくわかりました。それが先ほどのご答弁の中にも組み込まれていたということを理解させていただきたいと存じます。
それから私がいいたいのは、都立永福学園に初めて就業技術科が設置されたのがたしか平成十九年度だったと記憶をしております。ですから、ちょうど開校十周年を迎えたことに相なるわけでございますね。この間、就業技術科から多くの卒業生を輩出いたしておることもよく存じておりますし、立派に成長している姿も私たちも存じ上げております。
卒業後、特に物流関係のコースで学んだ経験を生かし、フォークリフトの資格を取得したり、食品関係のコースで学んだ経験を生かし、そして、カフェなどでの喫茶室での丁重なといいましょうか、丁寧な接客態度、これなんかもかなり評価をいただき、信頼を得ているというふうにも私たちも報告をいただいております。
卒業生が実際の社会に出てからも頑張っているんだなというその声が保護者のみならず企業の方々からも多く寄せられているということは、これはすばらしいことだと私、思います。
これからも就業技術科の成果に期待をするとともに、障害のある子供たちの活躍の場を広げていくよう、都議会公明党としても、都教育委員会とともに支援をしっかりと支えていきたいとこのように思っております。
そこでまた、今回、都教育委員会が平成十六年度から平成二十八年度まで実施をしてまいりました特別支援教育推進計画に引き続く、先ほども小宮先生の方からもご質疑がありましたけれども、新しい推進計画の骨子を私たちにお示しいただいております。
その計画骨子の中で、今後、知的障害のある生徒の企業就労、さらにそれを推進するために、特に新しいことは、職能開発科の設置校を増加させていく必要があるとこの中に活字として散りばめられていることは私も承知しております。
そこで伺いたいのは、これまで二校設置と先ほどご答弁でもありましたし、この中にも書いてあります。地域ごとにバランスを考えて配置をしていくというご答弁もいただいてもおります。
そこで、職能開発科を増設する目的、そして、その科目にどういう生徒さんを対象として受け入れていくのかという具体的にお答えをいただきたいと思います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 障害のある生徒が企業就労の希望を実現できるよう、障害の状態と程度に応じたきめ細かい職業教育や就労支援を行うことは重要でございます。
職能開発科は、知的障害が軽度から中度の生徒を対象に、基礎的な職業教育を実施し、職業生活に必要な職務を遂行する能力を開発、伸長することを目的とする学科でございます。
具体的には、任された職務を正確に遂行できる能力を育成するため、産業現場等における実習の充実を図るなどして、生徒全員の企業就労を目指します。
○鈴木(貫)委員 それぞれ二つの科目でどういう生徒を受け入れていくかのバランスよくわかってまいりました。
そこで、伺いたい前提条件として、就業技術科は障害の程度が軽度の生徒が対象であると今お答えをいただきました。そして、職能開発科は障害の程度が軽度から中度の生徒が対象であるということも承りました。
障害の程度としてはやや重たいお子さんを対象にしているわけでありますから、こうした子供たちの就労にもこれからも十分に配慮をし、また力を注いでいくことが極めて大切ではないのかなと、私はこう思っております。
例えば具体的にいいますと、伝票の整理とか、厨房での食器の洗浄だとか、決められた仕事というのは、彼たち、彼女たちは正確にやるわけですよね、きちっとやりますよね。だから雇用の現場から評価されているというふうになってくるわけでございます。
障害の程度がやや重い場合であったとしても、お一人お一人の子たちが持っている能力を最大限に引き出せるような教育に、これからも取り組んでいただきたいということを重ねてご要望申し上げさせていただきます。
現場の方々のご苦労も大変かとは存じますけれども、これが今求められているダイバーシティーかな、ともどもに共生する社会、これを構成する一つの要件でもあるのかなと、私はこう思っておりまするがゆえに、声を大にして皆さんにお訴えをしているわけであります。
そしてもう一つ、最後になりますけれども、先ほども数値目標のことでやりとりがありました。政策目標、就労率を五五%にバリアを高くしておりますけれども、それに関して若干お伺いをしておきたいと思います。
これは本編の一九ページにも数値目標がきちっと出ておりますから、それを踏まえておきますけれども、知的障害特別支援学校生徒の企業就労率については、政策目標として、平成二十七年度に四六・四%を三十八年度に五五%に、くどいようですが、バリアを高くする、こういう政策目標、ロードマップをつくりました。
したがって、平成二十七年度の東京都の知的障害特別支援学校における就労率四六・四%という数字は、全国平均が三二%程度だと承っておりますけれども、私はかなり高い数字だと、このように思っています。ご努力があったと思いますね。
ですから、この就業技術科の開講にあわせて着実に就業率を向上させて、四六・四%にまで向上させてきたわけでありますから、これは東京都の中でも歴史的な、これはすごい数字だと私は評価をしたいと思います。
そこで、今回の骨子でいわれている、数字をさらに五五%に、この計画でバリアをずっと高くしていった、このことについてでありますけれども、実現に向けてこれはかなり高い目標値だと私は率直にいって思いますけれども、これは完璧に皆さん方として完遂できる数字なのかどうか、これは政策目標として挙げた数字なのかどうか、具体的に率直にお答えをいただきたいと思います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 障害のある生徒が企業就労の希望を実現できるよう、就業技術科及び職能開発科においては、就業体験や現場実習を積極的に行うとともに、民間企業や関係機関と連携した就労支援により、就労率一〇〇%を目指します。
就業技術科及び職能開発科の設置による障害の程度に応じた重層的な職業教育実施体制を構築する中で、普通科におきましては、作業学習における指導や環境整備等の改善充実に努めるとともに、卒業生の就労先での職務を踏まえた指導内容や方法の充実を図り、現在三割強の企業就労率を維持することで、知的障害特別支援学校全体の企業就労率を五五%まで高めてまいります。
○鈴木(貫)委員 なぜこれをしつこく聞いたかといいますと、私ごとになるわけですけれども、私は荒川区でありますから、日暮里・舎人ライナーがあそこに、日暮里から見沼代まで運行しておりますけれども、西日暮里駅に、たしか私は、平成二十五年の三月にグローリーという売店をオープンさせたんですよ。
皆さん、この問題とは、ちょっと関係なくはないんですけれども、その卒業生だとかそういう方々が、この中に働く方がいるもんですから、場所をつくってさしあげました。福祉売店とは違う組織でありますけれども、非常に生き生きとして、日・舎ライナーの西日暮里で大体半数以上おりるもんですから、本当に元気にこの売店で寒い中も暑い中も一生懸命頑張っている姿を見て、私は本当によかったと思います。
毎週火曜日、水曜日、木曜日、今は若干の変更はありますけれども、手づくりパン十種類ほどパン工房で焼いて、荒川の象徴的なあら坊、あらみぃちゃんを入れながら、そういうのをずっと売り続けているわけです。あら坊、あらみぃ、いいテーマだと思いますけれども、本当、喜んでやってくれています。こういうふうにして、なるほど、彼たち、彼女たちも一生懸命やっているんだなという姿を通勤の方々も温かい眼で実は見てくださっている、私はとてもうれしく思ってかいま見ています。
こういうところにやはり大きな地域の底上げ、地域力がそこの中に上がってきているんだなということを私は感じ取っておりまするがゆえに、今回、このような問題でしつこく、また数字的な問題、それからまた、皆様のご努力等々について感謝の誠をささげながら、若干でありますけれども、論議をさせていただいたというバックグラウンドがあったということを私はいいたかったわけでございまして、どうかこれからも、一生懸命私どもも、この就労、高等部を卒業して途切れることなく一生懸命地域の中で--そしてまた世界各国からも二〇二〇、大勢の方がそういう姿もごらんになってくるでしょうし、ぜひ私たちも、負けないお子たちをつくって成長させていただく、その一分の役割でも示していきたいと、そういう思いで質疑をさせていただきました。
多くの方々のご努力を、これから期待を申し上げて、質疑を終わらせていただきたいと思います。
○里吉委員 では、私からも特別支援教育推進計画(第二期)・第一次実施計画(案)の骨子について質疑を行いたいと思います。
私は、これまで繰り返し特別支援学校の教室不足問題を初めとしたさまざまな特別支援教育の環境整備を求めてまいりました。
我が党は、予算委員会でも、現在の特別支援教育推進計画第三次実施計画が終了してもなお二百二十一教室、普通教室が不足していることを初めて明らかにいたしました。そして、早急に次期計画をつくり、教室不足を解決することを繰り返し求めてまいりました。
特別支援学校の教室の確保を求めることに関する請願が全会一致で採択されたことも受け、今回の計画案で教室不足解決に向けて動き出したことは大きな前進だと評価したいと思います。
まず、普通教室の確保について伺います。
知的障害特別支援学校における普通教室数の目標数ですが、これが数字ではなく、学級数分の普通教室を確保と言葉で表現されているのはなぜか改めて伺います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 本計画においては、将来の在籍者数の変動にも適切に対応できるよう、次期実施計画の策定時などに再度推計を行い、必要に応じて施設整備計画を見直すこととしております。
こうした見直しにも柔軟に対応できるよう、学級数分の普通教室を確保としております。
○里吉委員 教室数の目標を決めないことで、この十年間の中で子供の数の変動に合わせて必要な教室数を確保するためだということでした。
今度の計画では、特別教室から転用した普通教室も解消するとされています。ですから、今度は普通教室も特別教室もきちんと確保して対応していくことだということを理解いたしました。
それでは、今の計画で本当に普通教室は不足が生じないのか改めて伺いたいと思うんです。それは、これを読んでみますと、特別支援学校の児童生徒数、今年度に比べ二〇二八年度、二千八百三十二人ふえる推計になっています。知的障害だけで二千五百八十四人ふえる推計です。
一方で施設整備計画は、学校の新設が四校、増改修が二校だけです。これだけでは二千八百三十二人に対応する施設整備にはならないと考えます。
新増設と増改修で何人程度対応できるのか、残りはどう対応するのか伺います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 新設、増改修等により確保する教室数については、今後、建築に係る土地の法的規制や土地の形状に応じた校舎配置案等の基礎的な調査を実施した後確定するため、現時点では明らかにできません。
教室確保につきましては、本計画に基づく新設と増改修等のほか、特別支援教育推進計画第三次実施計画に基づく施設整備を引き続き実施していくこととしており、さらに校舎の改築に合わせた必要な教室の確保や既存校舎の活用を行うことで、必要教室数を整備することとしております。
○里吉委員 今、大枠は決まっているけれども、改築計画がどれくらいになるのか、今の時点では示されませんでした。ただ、改築計画もあるので、それで飲み込めると、足りるということでしたけれども、最後確認します。
今示されていない改築計画が、最後これが骨子ではなくて実施計画が出てきたときにはそれも示されて、それで十年後までに現在の二千八百三十二人増という推計に見合う施設計画となっているということでよろしいのか、最後確認したいと思います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 繰り返しの答弁になりますが、新設、増改修等により確保する教室については、今後、建築に係る土地の法的規制や土地の形状に応じた校舎配置案等の基礎的な調査を実施した後確定するため、現時点では明らかにできません。
ただ、教室数を答弁できないからといって必要な数を確保できないわけではありません。ちゃんと確保しております。
○里吉委員 それでは、新しく出てきたものを確認したいと思いますが、次に、学校の施設整備全体についても伺いたいと思います。
今回の計画では、新たな施設整備標準を策定するとしております。新たな標準とは具体的にはどのような改善点が加わるのかお伺いします。
○浅野特別支援教育推進担当部長 計画案の骨子に記載のとおり、多様な学習内容に柔軟に対応可能な可変性の高い教室の整備や防災機能の強化、環境負荷を抑制するための施設設備の整備等、施設設備の充実に必要な内容を盛り込むこととしております。
○里吉委員 それ、私も読んだんですけれども、ちょっと確認したいんですけれども、可変性の高い教室というのは具体的にはどういうものなのか、どういうことを想定しているのか、ちょっと具体例を示していただきたいんですけれども、お答えください。
○浅野特別支援教育推進担当部長 例えば、多目的ルームのような比較的大きな教室を整備いたしまして、必要な場合にはそれを間仕切りすることで普通教室にもできると、そのようなものであります。
○里吉委員 大き目のプレールームをつくっておいて、それが小さくも使えるように、いろいろ使い勝手がいいようにするということでした。
施設整備の充実に必要な内容を盛り込むということで、ここに書かれていた可変性が高い柔軟な基準や標準というのが、一歩間違えれば質の低下につながりかねない心配の声を伺いましたので、今確認させていただきました。そうならないということだと思うんですが、ぜひそうならないようにしていただきたいと思います。
そして、現在の施設整備基準では、普通教室や特別教室については、障害種別、学校種別に教室の数や標準面積などが決められております。少なくとも普通教室を初めとする教室の面積、特別教室の種類やその室数は、現行水準を下回らないことが必要だと思いますが、どうなるのかお伺いします。
○浅野特別支援教育推進担当部長 施設設備の充実に必要な内容を盛り込むこととしておりますが、詳細については現在検討中でございます。
○里吉委員 検討中ということですが、言葉に施設整備の充実というふうにあるわけですから、これを素直に読めば現行基準は下回らないというふうに思いますが、大切なことですので確認させていただきました。詳細がまだ決まらないということなので、詳細が定まった段階で改めて確認したいと思います。
次に、併置校の設置基準について伺いたいと思います。
現在の設置基準というものは、併置校の考え方は特に示されていません。その当時はまだつくられていなかったからかもしれませんけれども、現実には併置校で図書室などの特別教室や体育館やプールが共有になって、授業時間が確保できない、そのために年二回しかプールに入れなかった、こういう状況が生じているということを聞いております。
今後も戸山など併置校が計画されておりますが、十分な教育環境が確保されるように、併置校をつくる場合に標準的な考え方を示すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○浅野特別支援教育推進担当部長 施設整備標準は、障害種別ごとに教育課程の円滑な実施に必要な環境を整備することを目的に、普通教室や特別教室等の標準の面積や数を定め、校舎改築等の際の基礎調査や設計に活用しております。
異なる障害種別を併置する学校を建設する際にも施設整備標準を踏まえ、障害種別ごとの小中高等部の児童生徒数に応じて必要な校舎の面積や設備を設計しております。
併置校には、知的障害と肢体不自由の併置、肢体不自由と病弱の併置、視覚障害と知的障害の併置など、さまざまな組み合わせがあり、さらに設置学部や児童生徒数が各校で大きく異なるのが実情であるため、併置校の標準を作成することは困難であると考えております。
○里吉委員 いろいろな組み合わせがあるので、併置校の標準を作成するのは困難だというお答えでした。
しかし、それぞれの障害種別、それから小学校、中学校、高等学部、それぞれの標準はあるわけですから、体育館やプールを初め、それぞれの特別教室も独自に確保できれば、何の問題もないと思います。
しかし、共有する事態が今あるわけですね。ですから、今後、もしそういうふうになったとき、併置校を設置する場合には少なくとも授業時間が確保できるようにとか、歯どめとなるような考え方を示すことが必要だと思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
それから、新設校が幾つか計画されていますけれども、新設校の開校年度はいつごろを考えているのでしょうか。戸山地区学園特別支援学校は開校予定が十年後となっていますが、なぜ十年もかかるのか。できるだけ早く開校できるようにすべきだと考えますが、見解を伺います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 本計画における新設校のうち、八王子地区第二特別支援学校(仮称)は平成三十二年度、南多摩地区特別支援学校(仮称)は平成三十六年度に開校を計画しております。
また、墨田地区第二特別支援学校(仮称)及び北多摩地区特別支援学校(仮称)につきましては、現在、設置場所を調整中でございます。
学校の新設に際しましては、基本計画、基本設計、実施設計、建築工事の手順を踏む必要があり、基本計画の着手から開校まで最短で八年の期間を要しております。
現行の第三次実施計画に基づき整備する戸山地区学園特別支援学校(仮称)につきましては、学校設置場所に旧東京都心身障害者福祉センターの建物等が残っており、その解体工事の内容を確定させてから基本計画に着手するため、平成三十八年度に開校を計画しております。
○里吉委員 解体工事の内容を確定させてからではないと基本計画に着手できないということがちょっとよくわからなかったんですけれども、そもそもこの戸山地区学園、平成二十二年の第三次計画で計画されたもので、既に六年がたっているわけです。
いろいろ事情があったことは私も承知しておりますけれども、六年たってさらに十年後というのは、やはり開校を待っている方からすれば遅過ぎると思いますので、他の施設も含めてですけれども、一刻も早く開校できるように努力していただきたいということを申し上げておきます。
次に、体育館や特別教室の冷房化について伺います。これも我が党も、そして各会派も繰り返し議会でも取り上げてきたもので、要望してまいりましたので、体育館や特別教室を冷房化するということは大変すばらしいことだと思うんですが、ちょっと確認なんですけれども、改築や改修の予定のある学校でも、二〇一八年度までに全て冷房化するという理解でいいのかどうか確認したいと思います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 計画案の骨子に記載のとおり、新築や改築等の工事を予定している特別支援学校につきましては、工事の際に特別教室や体育館の空調設備を整備してまいります。
また、改築工事の際に仮設校舎を設置する学校につきましては、これまでと同様に仮設校舎に空調設備を整備し、対応してまいります。
このような取り組みにより、長期の工事期間に入っているため実施困難な一校を除き、平成三十年度までに計画的に冷房化を進めていくこととしております。
○里吉委員 一校を除き全て平成三十年までに、あと二年ですね、クーラーが体育館と特別教室につくということで、これは本当に保護者の方や関係者の方たちからも強い要望があったし、子供たちの教育環境の改善という点でも本当に大きな前進だと思いますので、しっかりと進めていただきたいと思います。
そして、次に、スクールバスについても伺いたいんですが、これは資料をいただきました。用意いただいてありがとうございます。ここでは、高校の単独のスクールバスの配車がされるようになったということで、今年度の実績を資料の二ページに載せていただきました。これも大きな前進だというふうに思います。
そして、スクールバスの乗車時間も少しずつ短くなっていて、平均乗車時間が六十分になったということであります。しかし、平均六十分以内ですから、それよりも長い乗車時間のところもまだ残念ながら残されているということだと思うんですね。
そこでお伺いしますけれども、今、現時点で一番長い乗車時間は何分で、どこの学校なのか、その学校の乗車時間が短縮できない理由はどういうことなのか伺いたいと思います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 平成二十八年度において最も長い乗車時間は九十分で、肢体不自由教育部門と知的障害教育部門を併置する都立町田の丘学園でございます。
肢体不自由の児童生徒が車椅子で乗車するリフトつきバスは、車椅子の乗降時のリフト操作に一定の時間を要することなどから、平均乗車時間を超えるケースもございます。
○里吉委員 特に肢体不自由のお子さんは車椅子でリフトつきのバスに乗るということで、時間がかかるということで、これからそれを改善していくということだと思うんですが、肢体不自由のほかの障害を持っているお子さんが通っているところでも、スクールバスが六十分以上かかっているところがあると思うんですね。
そういうところも含めて、今後、乗車時間は六十分以内にするということをきちんと目標に据えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○浅野特別支援教育推進担当部長 肢体不自由以外の障害種別の特別支援学校においても、コース設定の工夫やバスの増車により、スクールバスの平均乗車時間は六十分以内を達成しております。
今後は、先日の代表質問で教育長が答弁したとおり、まず、優先度の高い肢体不自由特別支援学校において、全ての子供のスクールバス乗車時間を六十分以内とすることから取り組んでまいります。
○里吉委員 私の地元の世田谷区では、肢体不自由校の光明特別支援学校が最長七十三分、知的障害と視覚障害の併置校である久我山青光学園も最長七十五分、新しくスタートしました青鳥特別支援学校も最長七十五分と伺いました。
肢体不自由校から取り組んでいただくことはもちろん異論はございませんが、引き続きその他の障害種のスクールバスの乗車時間の短縮にも続けて取り組んでいただけるように、改めて要望したいと思います。
次に、教員の配置について幾つか伺っていきたいと思います。
まず、進路指導担当教諭についてです。特別支援学校の高等部において生徒の進路指導は、先ほど来質疑もございましたけれども、大変重要です。
そこで、進路指導担当の役割、そしてその仕事の内容についてまず伺います。
○江藤人事部長 進路指導担当教員は、障害のある生徒が将来の進路を主体的に選択することができるよう、保護者、生徒からの進路相談、新たな実習先の開拓、外部の就労支援機関との連携などを中心となって行い、進路指導の充実を図っております。
○里吉委員 進路相談だけではなく、新たな実習先の開拓だとか、いろいろご苦労されているということで、大変大事な仕事だと思いますが、進路指導の担当教諭は現在どれだけの特別支援学校に配置されているのか、全体で何人配置されているのか伺います。
○江藤人事部長 進路指導担当教員は、高等部を設置している特別支援学校のうち、四十三校に六十一人配置しております。
○里吉委員 四十三校に六十一人ということで、各校一人から二人配置されているということだと思うんですが、お伺いしましたら、国の標準法よりもまだ六人ですか、少ないですよね。
先ほど答弁していただきましたけれども、特別支援学校の場合は、本当に一人一人状況が全く異なる中で、進路先や実習先、就労先を探すのは大変なことだと思います。少なくとも早急に、まずは国の標準法以下という状況は来年度解消していただきたいということを強く要望しておきます。
次に、特別支援教育コーディネーターについてです。特別支援教育を充実するために、都教委は幾つかの特別支援学校に特別支援教育コーディネーターを加配して、区市町村の学校の支援など、いろいろ必要な活動を行っていると伺っております。
そこでお伺いしますが、センター校の役割を担っている特別支援学校は何校でしょうか、そのうち特別支援教育コーディネーターが加配されているのは何校でしょうか、お答えください。
○浅野特別支援教育推進担当部長 区立を含む知的障害特別支援学校小中学部設置校をセンター校にしております。校数は二十五校でございます。
特別支援教育コーディネーターは、知的障害特別支援学校の十二校に加配しております。
○里吉委員 小中学校二十五校をセンター校にしているけれども、コーディネーターの加配は十二校しかないということで、半分以下ですよね。
区市町村の小中学校でも特別支援教育を充実するということですから、早急に全てのセンター校に特別支援教育コーディネーターを加配すべきだと考えますが、都教委の見解を伺います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 区市町村立小中学校の特別支援教育の充実のためには、人的措置のみが解決策ではなく、例えば、都教育委員会による区市町村教育委員会の特別支援教育担当指導主事の協議会の開催や情報交換など、さまざまな支援策を本計画では充実することとしております。
また、特別支援教育コーディネーターを加配していないセンター校である特別支援学校には講師時数を配当して、特別支援教育コーディネーターの持ち時数軽減を図っております。
○里吉委員 今、人的配置のみが解決策ではなくというお答えでしたけれども、都教育委員会は毎年局要求でこれを要求していますよね。毎年残念ながら切られてしまっている状況が続いていますけれども。
ですから、都教育委員会としては、やっぱり進路指導員も進路指導担当教員もそうですし、特別支援教育コーディネーターについても必要な教員だというふうに考えているんじゃないですか。
だから、これはきちんとどうして必要なのかということをやっぱり共有していって、こういう計画をつくるときですし、障害者教育がこれだけ注目されているときですから、必要な人の配置はきちんとしてもらうように頑張っていただきたいというふうに思います。
さらに、この増員は都教育委員会そのものも増員要求していることだと思うんですが、私は、それ以外に特別支援学校の教育環境の整備という点では、大きな問題は教室不足と並んで、教員が大幅に削減されてきたことだというふうに思います。
教室不足については今回の計画で大幅に改善されることになりますが、教員が減っている問題は本当に深刻だと思います。
例えば、肢体不自由の特別支援学校では、学校介護職員が導入されて、それと引きかえに教員が削減されてきました。肢体不自由の特別支援学校で介護の専門家として導入された学校介護職員の応募資格はどんなものなのか、全てお示しください。
○浅野特別支援教育推進担当部長 学校介護職員の応募資格は、次の八項目のいずれかに該当することでございます。
一、介護職としての勤務経験を有する方、二、介護福祉士資格を有する方または取得見込みの方、三、介護職員初任者研修、実務者研修、介護職員基礎研修、訪問介護員(ホームヘルパー)養成研修一級または二級課程等の介護関連研修を修了した方または修了見込みの方、四、社会福祉士、介護支援専門員等の福祉系資格を有する方(または取得見込みの方)のうち、介護の実務経験等(実習含む)を有する方、五、特別支援学校教諭免許を有する方または取得見込みの方、六、各種教員免許、保育士資格を有する方(または取得見込みの方)で、介護の実務経験等(実習、介護等体験も可)を有する方、七、特別支援学校、特別支援学級、児童福祉施設、学童、医療機関等での介助経験を有する方、八、一から七までのいずれかと同等の経験または能力を有すると都教育委員会が認めた方、以上でございます。
○里吉委員 学校介護職員の資格を挙げていただきました。導入のときに都教育委員会は、これからは教員と介護等の専門職がそれぞれの専門性を発揮していくと、こう繰り返し説明されていました。介護の専門家だから、これまで教員が担っていた介助をやってもらうだけではなく、介護の面から児童生徒一人一人の課題を把握し教員に助言する、こういうお話でした。
しかし、今ご説明にもあったように、例えば、保育士資格があって介護の実習経験がある方とか、児童福祉施設や学童での介助経験を有する方など、介護の専門家とまではとてもいえない方々も応募資格があるわけです。当初の話とは実際は大分違っているのではないでしょうか。それでも学校の現場では、子供たちの介助という点では助かっていると思います。
しかし、問題は、その分教員が減らされてしまったということです。現場では、教員数が減らされたため、担当する授業を分担できず、授業の準備が膨大になったり、校務の仕事分担ができなくなったり、担任の業務についても一人でやらなければいけないということで負担が増大するなど、肝心の授業づくりに十分時間がとれないのが実態となっています。
改めて、学校介護職員を配置したことにより、削減した教員はもとに戻す、教員をふやすべきだと考えますが、都教委の見解を伺います。
○江藤人事部長 学校介護職員を導入しております学校の指導体制は、教員がこれまで担ってきた児童生徒に対する介護業務を学校介護職員が担うことにより、教員は本来の役割である教育活動に専念できるようになり、それぞれの職の専門性が発揮されていることから、適正なものであると考えております。
○里吉委員 現場の実態とは全く違うと思うんですね。教員が減らされたことで、どれだけ大変になったかは先ほどお話ししましたけれども、学校介護職員も非常勤職員ですから、子供たちが学校にいるときに毎日いるわけじゃないんですね。きょうはAさんとBさんがいるけれども、次の日はAさんだけ、その次の日はBさんだけ、こういうこともあるわけです。さらに教員が少ないので、研修など出張に行くのも大変だと伺っています。
学校介護職員の応募資格の中には、特別支援学校の教員免許を持っている方というのもありましたけれども、あくまで介護のための職員であって教員ではないので、授業や教育活動はこの方はできません。教員がいない間は子供たちは待機しているしかないわけです。あるお母さんは、学校に行って授業を受けたいのにデイサービスのようだというふうにいっておりましたけれども、本当にこれでは困るわけですね。
さらに、この推進計画を見て私が危惧しているのは、重度重複学級に対する記述が見当たらないことです。
毎年、特別支援学校の保護者の皆さんからはさまざまな要望をいただきますが、必ず重度重複学級をふやしてほしいということが重点要望として挙げられております。現場の先生からも、本当は重度重複学級に入れるべき子供が入っていない、だから大変なんだという話を聞いております。
今回、資料の三ページに、この十年間で重度重複学級に通っている子供の数を示していただきました。ほぼ横ばい、若干減っているわけですね、改めて驚きました。重度重複の障害があっても必ずしも重度重複学級の対象になるわけではないというのが都教育委員会の説明です。
しかし、現場では、児童生徒数はふえているのに、重度重複学級がふえないために、普通学級でお客さんになってしまっている、普通学級にいる子供の障害の程度の幅が広くなって、障害に応じた細かい指導が受けられなくなっているという訴えもあるわけです。
このことについての都教育委員会の見解を伺います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 知的障害特別支援学校や肢体不自由特別支援学校の普通学級では、これまでも障害の程度や状況が異なる児童生徒が在籍していることから、学習課題によって学習グループをその都度編成しております。
また、肢体不自由特別支援学校では、学校介護職員を導入し、児童生徒の安全の確保と教員が授業づくりに専念できる体制を整備し、授業の質の向上を図っており、知的障害特別支援学校では、自閉症の教育課程を開発する過程で、障害特性に応じた個別の課題学習などの充実を図っております。
これらのことにより、今後も特別支援学校では、障害が重度である場合も含め、学習指導要領に基づき個別指導計画を作成し、障害の種類と程度に応じた指導を行ってまいります。
○里吉委員 子供の数がふえていて、重度重複のお子さんもふえているにもかかわらず、学級数がふえていない。これを不思議に思わないというのは、私、本当にそういう感覚が信じられないんです。
そもそも重度重複学級とはどういう学級か。以前もこの委員会でやりましたけれども、学校教育法施行令第二十二条の三に規定する障害を二つ以上あわせ有するとともに、障害の程度、状況や発達の状況などから総合的に判断し、自立活動を主とした特別の教育課程による個別指導、または小集団指導が適切な児童生徒で、普通学級とは別に編制する学級というふうにいわれております。
それで、どういう子が対象になるかというと、最後は学校判断、校長からの申請なんですね。学級ですから、重度重複学級を認めれば、教員が一人配置されます。部屋も一つ用意しなければいけません。
しかし、個別の指導が大事だ、個に応じたきめ細かな指導をするということであれば、ちゃんと重度重複学級を認めて教員をつけるべきだと思うんですね。校長が申請することになっていますが、学級をふやせば、先ほどもいいましたように、教室と教員配置が伴うわけで、校長先生はそのことも考えればどんどんふやすというふうには申請しにくい。今の学級数を大幅にふやすというような申請はしにくいのではないかというふうに推察いたします。
肢体不自由校では、学校介護職員の導入と引きかえに教員が削減され、さらに重度重複学級がなかなか認められないために、その分も教員がつかないという事態になっているのではないでしょうか。
さまざまな専門家が教育の現場に入ることを否定しているわけではありません。しかし、学校は教育を行う場であり、それはやはり教員しかできない仕事ですから、肝心の教員が削減されていては子供たちの教育は保障できません。計画的に重度重複学級をふやすことを計画に盛り込むよう強く要望いたします。
最後に、基本理念について伺います。ここには、一人一人の能力を最大限に伸長して、社会に参加、貢献できる人間を育成というふうにありますが、私はこの文章、下の文章もあわせて読んだときに、なかなかちょっと重度の障害児への教育理念が見えてこないなというふうに率直に感じました。
重度の障害児に対する教育の基本理念を改めてお伺いいたします。
○浅野特別支援教育推進担当部長 共生社会を実現するためには、障害のある子供たちの自立と社会参加を一層進めていくことが必要でございます。
現在、多くの障害者が障害がありながらも企業就労、スポーツ、芸術活動、地域活動等のさまざまな形で社会に参加し、活躍している状況を踏まえると、今後の特別支援教育では、一人一人の能力を最大限に伸長して、社会への参画を可能とすることが重要でございます。
本計画の基本理念はこうした考え方に基づくものでございますが、重度の障害者であっても、社会とのかかわりが重要であることに変わりはなく、障害の種類、程度を問わず、全ての障害者に共通する基本理念と考えております。
○里吉委員 重度の障害者であっても、社会のかかわりが重要であることは変わりなく、障害の種類、程度を問わず、全ての障害者に共通する基本理念だというお答えでした。そうであるならば、本当に重度重複学級など、重度のお子さんの個に応じた指導をする体制をきちんと考えていただきたいと思うんです。
私、ここで何回も取り上げていますけれども、東京都は、国に先駆けて、どんなに障害が重たいお子さんも全員就学させるんだということをやりました。
ここに東京都がつくった東京都の心身障害教育全員就学十年のあゆみ・資料集という冊子があります。ここを読みますと、当時、養護学校では入学選考が行われていて、義務教育であるにもかかわらず就学猶予、就学免除という制度があって、学校に入学できない、主には障害の重いお子さんがいたということ、都民の中で就学運動が高まって、東京都としても重度重複学級の整備の調査を始めた、そして、そういう都民の皆さんの運動にも押されて東京都として決断したということが書いてあります。
今回の計画なんですが、一番最初のところに歴史が書かれております。二ページのところに、ここにもそのことを下の方に書いてあるんですけれども、私は、東京都が国に先駆けて全員就学を実施したことに関して、多くの保護者と学校関係者の要望と運動もあって、そして東京都がそれに対して真摯に受けとめて取り組みを発展してきた、こういうことを明記してほしい、当時運動されてきた方からもそういうご意見がありました。これは要望です。ぜひ加えていただきたいというふうに思います。
そうやって、東京都と障害児をめぐるさまざまな方々が一緒になってつくってきたのが東京の障害児教育だと思うんですね。私は、ここで、基本理念のところで、貢献できる、活躍できるといった言葉が、重度の障害を持っている方に対し、ややもすると貢献できない人は役に立たないだめ人間だというふうにつながりかねないという危惧を持つわけです。
どんなに障害が重度であっても、一人一人の子供の発達に合った教育を保障する、当たり前のことですけれども、改めてこの立場での施策の拡充、重たい障害の子も含めて、全ての障害児のための教育、改めて光を当てていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○今村委員 それでは、私からも東京都特別支援教育推進計画(第二期)の第一次実施計画について伺いたいと思います。
本骨子は、障害者差別解消法の施行など、障害者を取り巻く環境の変化を踏まえ策定されるということであります。
障害者差別解消法では、障害児者に対する合理的配慮の提供が行政機関等の法的義務と定められるなど、障害を理由とする差別解消を推進し、共生社会の実現に資することを目的としております。
こうした中、本骨子では基本理念として、共生社会の実現に向け、障害のある幼児、児童生徒の自立を目指し、一人一人の能力を最大限に伸長して、社会に参加、貢献できる人間を育成することを掲げております。
障害のある子は、一般にいう程度が軽い子から重たい子までさまざまであります。こうした全ての子供たちが人として成長していける教育が重要と考えます。
本基本理念はどのような考え方に基づいて作成されたものなのかをまず伺います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 共生社会を実現するためには、障害のある子供たちの自立と社会参加を一層進めていくことが必要でございます。
そのためには、障害のある子供たちが在籍する全ての学びの場において、社会とかかわっていくために必要な力や態度等を一人一人の障害の程度等に即して育んでいく必要がございます。
また、共生社会の実現には、広く都民の障害への理解を促進することも必要でございます。
今回の骨子に掲げた計画の基本理念は、こうした考え方に基づくものでございます。
○今村委員 障害のある子供たち一人一人、全ての子供たちを意識して、この基本理念が掲げられているということを確認させていただきました。
次に、施策の方向性Ⅰ、特別支援学校における特別支援教育の充実について伺いたいと思います。
先ほど指摘したとおり、障害のある子供たちはさまざまでありますけれども、こうした中、障害のある子供たちの社会参加、社会貢献のあり方もさまざまであろうと考えます。
そこで、施策の方向性Ⅰに掲げた障害のある子供たちの社会参加、社会貢献とはどういったことを指しているのか伺います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 障害のある方々には、企業に就労して活躍されている方もいれば、スポーツや芸術の分野においてすぐれた才能を発揮し、世界的な注目を集めている方もいます。また、身近な地域での活動に参加している方もいます。
このように、多くの障害者が障害がありながらもさまざまな形で社会に参加し、それぞれの分野で活躍していることを指して社会参加、社会貢献としております。
○今村委員 今、ご答弁にもありましたけれども、障害がありながらもさまざまな形で社会参加、社会貢献を実現するための政策目標として、今回、特別支援学校高等部卒業生の進学率や企業就労率、さらには特別支援学校の小学部、中学部に在籍する児童生徒が居住する地域の公立小中学校に副次的な籍を持ち、居住する地域とのつながりの維持継続を図るための副籍制度の利用率向上などを掲げたことは評価をしたいというふうに思います。
そして、施策の方向性Ⅱについても伺いたいと思いますけれども、ここには小学校、中学校、都立高等学校などにおいて、教育的ニーズに応じた指導、支援を受けられるよう合理的配慮の提供を図る旨、記載をされています。
都教育委員会は、具体的にはどのような役割を果たしていこうとしているのか伺います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 本計画では、都立高校等に対し都教育委員会は、入学者選抜、授業、定期考査等のさまざまな場面で、生徒や保護者等の申し出に応じた対応を行うよう徹底するとともに、合理的配慮の提供事例を障害者差別解消法ハンドブックに追加し、都立高校間で広く情報共有していくこととしております。
また、小中学校での合理的配慮の提供に向けては、区市町村教育委員会に対し、合理的配慮の提供事例を情報提供するとともに、就学相談担当者講習会等を活用し、合理的配慮の提供に関する保護者等との調整を図った事例などについて周知を図ることとしております。
こうした取り組みを通して、小学校、中学校、都立高校等の全ての学びの場において合理的配慮の提供が適切に行われるよう支援していくこととしております。
○今村委員 それでは、施策の方向性Ⅲについても伺っていきたいと思いますけれども、ここにおきましては、ことし、公職選挙法が改正され、十八歳選挙権が実現をいたしましたけれども、主権者としての意識を涵養する主権者教育、そしてまた、ICTの進歩が障害による学習上、生活上の困難を改善、克服する上で可能性を大きく広げたことを踏まえたICT機器を活用した教育を進めるというふうにしています。
これからの時代、大変重要な課題と考えますけれども、主権者教育やICT教育に係る都の具体的取り組みとその方向性について伺います。
○出張指導部長 現在、都立特別支援学校における主権者教育については、高校に準ずる教育を受ける生徒に対して、現代社会の授業で政治に参加する上で必要な資質や能力を身につけるための指導を実施しております。
また、知的障害のある生徒に対しましては、選挙管理委員会の協力を得た生徒会選挙の機会などにより、選挙の意義等を体験的に学ぶための指導を行っております。
ICT教育については、障害による学習上の困難を軽減できるよう、機器を効果的に活用するとともに、生徒が機器を使用する際のモラル等を指導しております。
今後、都教育委員会は、本計画に基づき主権者教育やICT機器を活用した教育のより一層の充実に努めてまいります。
○今村委員 しっかりと充実をしていただきたいというふうに思います。
一方で、スポーツ、芸術など、全ての障害のある児童生徒が関心を持つことは大変重要であります。さらに、特別支援教育の場だけではなく、児童生徒が卒業後も取り組み続けられるよう期待するものです。
そこで、スポーツ、芸術に係る都の取り組みと、またその方向性についても伺います。
○出張指導部長 都教育委員会は、これまでも児童生徒の実態に応じた障害者スポーツの導入を進め、特別支援学校における体育的活動の充実を図るため、スポーツ教育推進事業を実施してきております。
また、芸術に関する指導については、児童生徒の興味、関心や技術の向上を図るための授業改善を進めるなど、芸術系大学と連携した芸術教育推進事業を実施してきました。
今後とも、都教育委員会は、本計画に基づき障害者スポーツの拠点として都立特別支援学校の施設を整備するとともに、児童生徒のすぐれた芸術作品を都民等に紹介するアートプロジェクト展を実施、充実するなどして、障害のある児童生徒が将来にわたってスポーツや芸術に親しみ、夢や希望を持って豊かな生活が送れるよう取り組んでまいります。
○今村委員 ありがとうございます。
それでは、同じく施策の方向性Ⅳについても伺っていきたいと思いますけれども、ここにおいては、客観性や透明性の高い仕組みによる就学、入学決定とあります。
二〇一三年九月の学校教育法施行令の一部改正により、障害のある児童生徒が原則、特別支援学校に就学する仕組みが改められました。具体的には、この施行令改正により、保護者の意向を踏まえて就学先を決定するよう変更されています。
都として、就学、入学決定にどのように取り組みを進めていこうとしているのかお伺いします。
○浅野特別支援教育推進担当部長 これまでも都教育委員会は、区市町村教育委員会に対して、就学相談を実施する際には、保護者の心情に寄り添いながら、教育に対する意向、成長、発達の様子等について傾聴し、子供の可能性をより伸長する教育環境や教育内容等について、保護者に十分に説明し理解を求めるように示してきました。
本計画では、今後も区市町村教育委員会の就学相談担当者に対して、就学相談の考え方や基本的事項を周知するとともに、都教育委員会と区市町村教育委員会との連携協力による就学相談の充実に努めていくこととしております。
○今村委員 同じく施策の方向性Ⅳにおいて、特別支援教育を推進する体制の整備、充実もうたっております。子供たちが卒後、社会の一員として生きていく力を身につけていくようにすることは大変重要であります。
このことについて、卒後の地域社会で生活することを視野に入れて、在学中にどのように取り組んでいくのかお伺いします。
○浅野特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校では、障害のある子供たちの自立と社会参加を支えるために、在学中から都立特別支援学校と地域の小中学校等との間の連携により、居住している地域とのつながりを深めております。
また、地域の福祉、医療、保健、労働等の関係機関との連携を図り、児童生徒のライフステージに訪れるさまざまな課題を適時適切に支援できる関係の充実に努めております。
本計画では、これらの取り組みにより構築された協力関係を基盤として、障害者スポーツを活用した地域との交流活動や地域の人材を活用した学校行事の企画などに取り組むことで、地域の方々との連携をより深めていくこととしております。
○今村委員 ありがとうございました。今後、パブコメを通じて計画が策定をされるというふうに思いますので、基本的なことについて伺ってまいりました。
最後のご答弁にありましたけれども、ぜひ子供たち一人一人のライフステージに、まさに地域の中でさまざまな福祉や医療、保健、労働、そうした関係機関がかかわり合えるように、ぜひ教育の場で充実した活動が送れるように、すばらしい計画をつくっていただきたいというふうに思いますし、何度も教育庁にもお願いをしておりますけれども、どんどんと企業就労していく、そういった子供たちを応援していくことも大事であります。
そしてまた、医療的ケアや障害の重たい子供たちも地域でかかわりを持って生きていくということも大切な仕事だというふうに思います。
そういった意味で、今、一生懸命に教育庁においても障害者の就労に取り組んでいただいていることに感謝をし、さらに充実していただけますように要望して、質疑を終わります。
○小松委員 最後になります。このたび示された計画の骨子ですが、私もまず、基本理念について伺いたいと思います。
この基本理念には、共生社会の実現に向け、障害のある幼児、児童生徒の自立を目指し、一人一人の能力を最大限に伸長して、社会に参加、貢献できる人間を育成とあります。
この最後の部分の貢献という言葉に実はひっかかるんです。この文言は、第一期の基本理念にはなかった言葉です。しかし、今回、基本理念として社会に貢献できる人間を育成とすることの意味が何か伺いたいと思います。
○浅野特別支援教育推進担当部長 共生社会を実現するためには、障害のある子供たちの自立と社会参加を一層進めていくことが必要でございます。
こうした中、障害のある方々には、企業に就労し活躍されている方もいれば、スポーツや芸術の分野においてすぐれた才能を発揮し、世界的な注目を集めている方、障害のない人々とともに身近な地域の活動に参加している方もいます。
このように、障害がありながらもさまざまな形で社会に参加し、それぞれの分野で活躍するという意味で、社会に貢献できる人間を育成することを掲げております。
○小松委員 私がこの貢献という言葉にひっかかるのは、相模原の施設でことし、社会の役に立たない人間は要らないとして、忌まわしい、許しがたい事件が起きたわけですが、その元職員、そのような差別的な振る舞いに口実を与えることにならないだろうかと危惧するからです。
もちろん、そんなことを意図しているとは思いませんけれども、人間の価値は社会に貢献できるかどうかではないはずでありまして、インクルーシブな共生社会をつくろうとするなら、社会に参加というだけで十分と考えます。ぜひ再考をお願いしたいと思います。
続いて、知的障害特別支援学校の教室数の不足問題にも触れておきたいと思いますが、カーテンで部屋を仕切るなどして授業が行われ、先ほども指摘がありました問題となっている件です。
いただいた資料では、知的障害特別支援学校における普通教室の数、現在千二百三十九教室とありますけれども、これ、学級数は幾つになるでしょうか。
また、政策目標の中で学級数分の普通教室を確保としていることは、確認になりますが、必要な普通教室が確実に整備されるというふうに理解していいのか確認します。
○浅野特別支援教育推進担当部長 平成二十八年五月一日時点における都立知的障害特別支援学校の学級数は千五百八十六学級でございます。
障害のある子供たちの能力を高めるためには、指導、支援の基礎となる教育環境の充実が必要でございます。本計画では、知的障害特別支援学校の普通教室について、長期計画期間の最終年度である平成三十八年度において、学級数分の普通教室を整備し、必要な教室を確保していくこととしております。
○小松委員 先ほども間仕切り教室の解消というお答えがありましたし、必要な教室を確保すると伺いました。今後、折に触れて必要数の推計を見直し、確実に整備を進めていただきたいとお願いします。
同じく、副籍制度の利用率アップについて先ほども指摘があったところです。小学校五二・一%、中学校二九・二%と余り利用されていない状況であるわけですが、この副籍制度の今の利用を難しくさせている原因を何と考えておられるか、また、利用を高めていくための施策についてお伺いいたします。
○浅野特別支援教育推進担当部長 平成二十七年度には、都立特別支援学校の約四三%の児童生徒が副籍制度に基づく小中学校での交流を行っていますが、生き生きと活動できる場面が限られるため、達成感を得られにくいという点が課題として指摘されています。
小中学校では、障害者スポーツ等に関する学習に取り組んでいることから、都教育委員会は障害者スポーツを取り入れた交流活動を行うよう、各特別支援学校に助言してまいります。
○小松委員 障害者スポーツを取り入れた交流活動という話がありました。特別支援学校の子供が地域の学校に自然な形で入っていけるような工夫をお願いしたいと思います。
次に、普通学校での取り組みとして、学校生活支援シートについて触れたいと思います。
学校生活支援シート作成目標が一〇〇%となっています。それ自体はもちろん結構ですが、特に高校では現状、作成率が三七%という状況ですが、これをどのように一〇〇%まで目標を達成するんでしょうか。お伺いいたします。
○浅野特別支援教育推進担当部長 現在、国は、高等学校学習指導要領の改訂作業を進めており、通級による指導の制度化とともに、指導を受ける全ての生徒について、都の学校生活支援シートに当たる個別の教育支援計画を作成することが適当であるとの方向性を示しております。
この学習指導要領の改訂に基づき、都教育委員会は高等学校での学校生活支援シートの作成を推進してまいります。
○小松委員 次の都立高校の発達障害の生徒への通級指導については、先ほども質疑がありましたので省略します。
続いて、病院内教育のことについてお伺いしておきます。東京都では、病院で療養しながら教育を受けられるような仕組みとして病院内教育が行われていますが、これまでの成果と課題、そして今後の取り組みの方向性についてお伺いいたします。
○浅野特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、病院内教育について、病院内に設置されている分教室と教員が訪問して行う病院内訪問教育の二つの形態で実施し、入院期間中の児童生徒の学習のおくれなどの不安に対応してまいりました。
一方で、医学の進歩による入院期間の短縮等の変化に即して、児童生徒の入院中に継続的かつ質の高い学習を行い、円滑に前籍校に復帰できるよう、病院内教育を充実していくことが必要となっております。
現在の病院内教育は、専門性の異なる肢体不自由特別支援学校の教育の一部と位置づけられていることから、専門性のある教員の計画的な配置、育成が困難、小規模で十分な教科指導の指導体制構築が困難といった課題がございます。
このため本計画では、肢体不自由特別支援学校四校へ病弱部門を設置するとともに、病院内訪問教育機能の拠点化により、専門性を有する教員の育成、配置やICT機器を活用した分教室の中継による教科指導など、病院内教育の充実に取り組むこととしております。
○小松委員 以前、病院内学級を視察させていただいたことがありますが、各教科の教員が各学校に分散しているために、一人一人の教科指導のニーズに応えるという点で課題があるというようなお話を伺いました。今のご答弁を聞いて、そのような点の解決につながるのではと期待したいと思います。
また、タブレット機器などICT機器を活用というふうなお話がありました。これまでできなかったことがそれによっていろいろと可能になるのかもしれないと思います。
課題も恐らくあるでしょうが、病気と闘いながらでも学習の機会がきちんと保障されるよう取り組みを進めていただきたいとお願いして、終わります。
○植木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○植木委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時二十九分散会
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