文教委員会速記録第十五号

平成二十八年十一月八日(火曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長植木こうじ君
副委員長栗山よしじ君
副委員長里吉 ゆみ君
理事川松真一朗君
理事野上 純子君
理事小宮あんり君
宮瀬 英治君
小松 久子君
鈴木 錦治君
きたしろ勝彦君
今村 るか君
鈴木貫太郎君
古賀 俊昭君
高木 けい君

欠席委員 なし

出席説明員
教育庁教育長中井 敬三君
次長堤  雅史君
教育監伊東  哲君
総務部長早川 剛生君
都立学校教育部長初宿 和夫君
地域教育支援部長粉川 貴司君
指導部長出張 吉訓君
人事部長江藤  巧君
福利厚生部長太田 誠一君
教育政策担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
安部 典子君
教育改革推進担当部長増田 正弘君
特別支援教育推進担当部長浅野 直樹君
指導推進担当部長宇田  剛君
人事企画担当部長鈴木 正一君

本日の会議に付した事件
教育庁関係
報告事項(説明)
・東京都教育施策大綱骨子について
事務事業について(質疑)

○植木委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の事務事業に対する質疑及び報告事項の聴取を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○安部教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 十月二十七日に開催いたしました平成二十八年度第一回東京都総合教育会議を経て、教育施策大綱の骨子をまとめましたのでご報告いたします。
 恐れ入りますが、お手元の文教委員会資料(報告事項)の一ページの東京都教育施策大綱骨子の概要をお開き願います。
 大綱の主な内容ですが、資料の左上にありますように、東京都の将来像と子供たちの目指すべき姿を三点に示し、左下のように、その実現に向けた教育施策における重要事項を八点にまとめ、それぞれの具体的な内容を示しております。詳細については、この後説明いたします。
 右上の参考のところをごらんください。東京都教育施策大綱は、東京都の教育施策の根本となる方針を定めるものであり、知事と教育委員会との協議を経て、知事が策定するものであります。
 大綱が対象とする期間は、決定後から平成三十二年度までです。
 今後の予定ですが、大綱骨子について、本日から十一月三十日まで、パブリックコメントを実施した後、総合教育会議を経て東京都教育施策大綱を取りまとめる予定です。
 続いて、二ページをお開き願います。大綱骨子本体となっております。
 第1章には、東京の将来像と子供たちの目指すべき姿として、現在の社会状況を踏まえ、1、誰もが自ら望む教育を受けられ、可能性を伸ばせる社会の実現、2、グローバル化の進展の中でたくましく生き抜く人間、3、共生社会の中で多様性を尊重し積極的に社会的役割を果たす自立した人間の三点を示しております。
 三ページをお開き願います。第2章には、今後の教育施策における重要事項として、八項目の重要事項とそれぞれの事項における今日的状況と課題等について示しております。
 五ページをお開き願います。第3章には、重要事項に係る今後の取組として、大綱で定める八項目の重要事項に係る今後の取り組みをお示ししております。
 各重要事項についてご説明いたします。
 重要事項Ⅰは、全ての子供が学び成長し続けられる教育の実現です。
 六人に一人が貧困世帯にある中、子供たちが家庭の状況に左右されることなく、希望の進路を目指すことができる環境づくりが必要です。そのため、誰もが安心して学び可能性を伸ばすことができるよう、給付型奨学金の創設を進めてまいります。
 また、東京都の子供たちの学力は、全体としては全国の上位三割程度の範囲に位置しております。しかしながら、個々の子供たちの習熟度を見ると大きな差があることから、習熟度別指導や放課後の補習等の推進、ICTを活用したきめ細かい指導等に取り組んでまいります。
 六ページをごらんください。重要事項Ⅱは、新しい価値を創造する力を育む教育の推進です。
 加速度的に変化する世の中にあって、未知の状況にも対応できる力を育成するため、文理の境を超えた総合的な価値創造力を鍛える教育を推進いたします。
 また、科学技術立国日本を支える人材を育成するための理数教育や、持続可能な社会づくりを目指して具体的に行動する態度や能力、さまざまな情報を活用できる能力を育成する教育を推進してまいります。
 七ページをお開き願います。重要事項Ⅲは、世界で活躍できる人材の育成です。
 あらゆる分野で国際化が進展している今、日本人としてのアイデンティティーを確立し、豊かな国際感覚を醸成するとともに、多様性を受け入れる力を育成する教育の充実が求められます。
 そのために、小中高において、生きた英語を学ぶ環境の充実、日本人としての自覚と誇りを涵養する取り組みの推進、国際交流の拡大などによる国際感覚の醸成、世界で活躍できる人材を育成する都立学校の設置などに取り組んでまいります。
 八ページをごらんください。重要事項Ⅳは、社会的自立に必要な力を育む教育の推進です。
 礼節を重んじ他者を思いやるなど、海外からも高く評価されている日本人のよき行動規範を子供たちに確実に伝えることや、金融経済、健康面など、子供たちが将来直面する課題に対し、正しい知識やこれらを活用する力を身につけることなどが重要となっております。
 そのために、偏見や差別をなくすための人権教育の推進、豊かな心を育てる道徳教育の推進、主権者教育、金融経済教育、税財政教育など自分らしい生き方を実現するキャリア教育の推進、学校や家庭、地域が一体となった防災教育の推進、体を鍛え健康に生活する力を培う健康教育の推進などに取り組んでまいります。
 九ページをお開きください。重要事項Ⅴは、悩みや課題を抱える子供に対するサポートの充実です。
 いじめや暴力行為、不登校などには、子供たちの心の問題や人間関係などさまざまな要因があり、学校だけでなく社会全体で受けとめ、子供たちの心のケアや立ち直りを支援する取り組みを進めることが必要です。
 そのために、いじめ等の防止に向けた学校での組織的な取り組みを推進するとともに、SNSなどの適正な使い方について、学校、家庭等が一体となって進める啓発の強化、不登校の子供や中途退学者への支援の強化にも取り組んでまいります。
 一〇ページをごらんください。重要事項Ⅵ、障害のある子供たちの多様なニーズに応える教育の実現です。
 障害の種類と程度に応じた教育内容の充実や、発達障害のある子供たちへのきめ細かな取り組みが必要となっています。そのために、小中学校への特別支援教室の導入、知的障害のある子供たちの増加傾向を踏まえた施設整備など、全ての子供たちが安心して学べる場の充実を図ります。
 また、特別支援学校における美術、文化活動の推進や職能開発科の増設など、子供たちの個性や可能性を伸ばす教育の充実にも取り組んでまいります。
 一一ページをお開き願います。重要事項Ⅶは、オリンピック・パラリンピック教育の推進です。
 東京二〇二〇大会は、子供たち一人一人の心と体に人生の糧となるかけがえのないレガシーを形成する絶好の機会です。そのため、全ての学校で取り組んでいるオリンピック・パラリンピック教育をさらに推進し、ボランティア活動などを通じた社会貢献意欲の醸成や自己肯定感の向上、障害者理解の促進などに取り組んでまいります。
 一二ページをごらんください。重要事項Ⅷは、子供たちの学びを支える教師力・学校力の強化です。
 学校の抱える課題が複雑化、多様化する中、学校の運営力や組織力の強化が必要となっています。そのため、教員の資質、能力の向上とともに、専門家との連携、分担による学校の教育力の向上、そうした取り組みを進めるための学校組織の充実・強化を図ってまいります。
 加えて、子供たちの安全・安心の確保と災害発生時における地域の拠点としての学校の施設設備の充実などにも取り組んでまいります。
 教育施策大綱の骨子の説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○植木委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○植木委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際、要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○早川総務部長 去る十月二十日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらん願います。
 今回要求のございました資料は十一件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、平成二十八年度における国の標準を下回る学級編制の実施状況についてでございます。
 このページから三ページにかけまして、各都道府県における国の基準を下回る学級編制の実施状況を記載してございます。
 四ページをお開き願います。2、学校教職員定数と児童・生徒数の推移(平成十九年度から平成二十八年度)でございます。
 教職員定数と児童生徒数を年度別、学校種別に記載してございます。
 五ページをごらんください。3、都立学校の教職員定数配当基準の主な推移(平成十九年度から平成二十八年度)でございます。
 このページから七ページにかけまして、都立高等学校全日制、定時制及び都立特別支援学校の定数配当基準の主な推移と平成二十八年度における教職員定数の配当基準を記載してございます。
 八ページをお開き願います。4、教育管理職選考、四級職(主幹教諭・指導教諭)選考及び主任教諭選考の合格予定者数、受験者数及び合格者数の推移(平成十九年度から平成二十八年度)でございます。
 選考区分ごとの合格予定者数等の実績を選考年度別に記載してございます。
 九ページをごらんください。5、東京都公立小・中学校児童・生徒の就学援助受給者の推移(平成十八年度から平成二十七年度)でございます。
 就学援助を受けた児童生徒数及び受給率の推移を年度別、要保護、準要保護別に記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。6、教育職員の病気休職者数(平成十七年度から平成二十六年度)でございます。
 教育職員の病気休職者数について、精神疾患による休職とその他の疾患による休職とを年度別に記載してございます。
 一一ページをごらんください。7、スクールソーシャルワーカーの配置状況でございます。
 平成二十六年度及び平成二十七年度におけるスクールソーシャルワーカーの配置状況を区市町村別に記載してございます。
 また、下段、左側の枠の中には、平成二十七年度の都立学校への配置状況もあわせて記載してございます。
 一二ページをお開き願います。8、都立高等学校における日本語教育が必要な生徒の受入状況及び教職員の配置状況でございます。
 海外帰国生徒、引き揚げ生徒など、日本語教育が必要な生徒の受け入れ状況と配置教員数を入学者選抜の年度別に記載してございます。
 また、(4)では、日本語指導が必要な外国人生徒数を年度別に記載してございます。
 一三ページをごらんください。9、都立学校図書室の司書の配置状況と司書業務が民間委託されている学校でございます。
 司書の配置状況等について、年度別に記載してございます。
 また、下段の表には、民間委託されている学校について、委託開始年度別に学校名と学校数を記載してございます。
 一四ページをお開き願います。10、東京都公立小中学校の学校図書室への司書の配置状況でございます。
 平成二十八年度の学校司書配置状況を小学校、中学校別に記載してございます。
 一五ページをごらんください。11、東京都公立小学校の特別支援教室の実施状況でございます。
 このページから次の一六ページにかけまして、東京都公立小学校における特別支援教室の実施状況について、導入前の平成二十七年度及び導入を開始した平成二十八年度の状況を区市町村別に記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

○植木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○栗山委員 オリンピック・パラリンピック教育についてお伺いいたします。
 本年度から都内全ての公立学校に実施されているオリンピック・パラリンピック教育は、国際社会に貢献し、東京そして日本の担い手となる人材を育成する上で重要であると考えております。
 リオ二〇一六競技大会が終了し、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて機運を醸成していくことが大切であり、学校におけるオリンピック・パラリンピック教育の、より一層充実した取り組みが期待されるところでございます。
 一方都内には、約二千三百校余りの都立高、区市町村立の学校や幼稚園があり、これだけの学校数があれば各学校における取り組みには温度差があるのではないかという心配もあります。
 そこで、そのような差がなくなり、全ての学校が同じように充実した取り組みを行えるような工夫が必要であると考えますが、都教育委員会の所見をお伺いいたします。

○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、オリンピック・パラリンピック教育推進校として、平成二十六年度に三百校、平成二十七年度に六百校を指定し、今年度は重点校として百校を指定しており、こうした学校では他校と比べて先進的な取り組みが組織的に行われております。
 一方で、今年度からオリンピック・パラリンピック教育を開始した学校が約千六百校あり、都教育委員会では、それらの学校が先進校の取り組みを参考に、創意工夫ある取り組みを推進できるよう、昨年度末に学習読本と映像教材を配布するとともに、先進校の実践をまとめた事例集を配布いたしました。
 また、今年度、当初の全校対象の説明会で、先進校による具体的な実践発表を行う場を設定するとともに、今年度開設したウエブサイトにも実践事例を掲載しております。
 今後、オリンピック・パラリンピック教育シンポジウムや重点校の報告会、東京都教育研究員の発表会等を通じ、より多くの具体的な実践事例の紹介や資料を提供することで、全ての学校の取り組みの充実を図ってまいります。

○栗山委員 各学校が同じような取り組みを行えるよう、都教育委員会がさまざまな支援を行っていることがわかりました。
 このような支援を通じて、全ての学校が取り組みの水準を上げ、東京都全体で盛り上げていくことが重要であると考えます。
 さて、オリンピック・パラリンピック教育においては、座学で知識を習得するだけではなく、体験や交流活動等を重視することで、学びを深めていくことが重要であると考えます。
 私の地元目黒区は、近くに大使館が多く存在することもあり、例えば世界ともだちプロジェクトで選択した国の大使館の職員等と交流している学校もふえていると聞いています。
 一方で、新たな連携先を模索したり、希望する体験や交流内容に合わせた団体を開拓したりするには学校だけでは限界があると思います。
 そこで、子供たちが有意義な学習や体験を行うために、都教育委員会としてどのような支援を考えているのか所見をお伺いいたします。

○宇田指導推進担当部長 オリンピック・パラリンピック教育を通して、子供たちが世界の多様性を知り、さまざまな価値観を尊重することの意義を理解するためには、各学校において外部団体とも連携した多様な学習の機会を持つ必要があります。
 このため、都教育委員会は、本年四月にコーディネート事業を立ち上げ、学校が外部団体からの協力を円滑に受けられるように取り組んでおります。
 また、七月には、大使館と連携した国際理解教育や障害者理解のための補助犬セミナーなど、具体的な体験活動等をまとめた教育支援プログラム集を全ての学校に配布し、各学校がそれぞれ必要とする内容に合わせてプログラムを選択し、外部団体と連携できるよう支援しております。
 今後、より多くの外部団体を開拓するとともに、多様なプログラムをさらに開発し、子供たちが一層有意義な学習や体験ができるようにしてまいります。

○栗山委員 各学校が創意工夫を凝らした教育活動を展開し、子供たちにさまざまな力を身につける上で、体験を重視した活動を多く取り入れることが大切であり、今説明のあったコーディネート事業で、今後も各学校のニーズに合わせたさまざまなブログラムを開発することで、学校の取り組みを支援してほしいと願っております。
 そうした体験活動の一つに、オリンピアンやパラリンピアン等のアスリートを学校に派遣し、児童生徒と直接交流ができる夢・未来プロジェクトがあります。このような交流は、児童生徒がオリンピック・パラリンピックのすばらしさを実感するとともに、夢に向かって努力することの大切さを学ぶよい機会であると考えます。
 目黒区でも、現在は現役を引退し、指導者として活躍しているソフトボールのアテネ及び北京オリンピックのメダリストと交流した小学校があり、子供たちからは、チームワークの大切さを学んだなどの声が上がったと聞いております。
 このように、現役のアスリートに加えて、世界に通用するアスリートを育てた指導者の話を聞くことも、児童生徒あるいは先生方にとって有意義であると思いますが、都教育委員会の所見をお伺いいたします。

○宇田指導推進担当部長 お話しのとおり、現役のアスリートだけでなく、指導者を招くことも重要であり、夢・未来プロジェクトでは、現役のオリンピアン、パラリンピアンやアスリートだけではなく、現在指導する立場にある人材も派遣しております。
 このように、選手と指導者という両方の立場からの経験を聞くことにより、子供たちが困難に挑戦することや努力することの大切さなどを学び、教員は子供たちへの具体的な指導方法を学んでおります。
 今後、本年十二月に実施する予定のシンポジウムを初め、教員対象の研修会の開催など、指導者を講師として招聘する機会をふやし、教員のオリンピック・パラリンピック教育に関する指導力の向上を図ってまいります。

○栗山委員 オリンピック・パラリンピックが東京で開催されるという貴重な機会を捉えて、ぜひ都内全ての公立学校が進めているオリンピック・パラリンピック教育が子供たち一人一人に人生の糧となるよう、かけがえのないレガシーを残し、二十年、三十年先の東京を支え、牽引する人材を育成する軸となるよう期待しております。
 続いて、SNS東京ルールの取り組みについてお伺いいたします。
 携帯電話やスマートフォン等の急速な普及に伴い、児童生徒が気軽に情報を収集したり、SNSを活用して一度に多くの人とコミュニケーションを図ったりすることができるようになり、人と人とのかかわりの範囲が広がってきました。
 その一方で、先日発表された警察庁のまとめによると、交流サイトを利用して犯罪の被害に遭った十八歳未満の子供の数が増加しているなど、看過できない状況であることも事実です。
 これらの情報社会では、一人一人がSNSを上手に使いこなす力を身につけることが必要であり、そのために、学校は情報モラルを育む指導を進めていくことが重要だと考えます。
 都教育委員会では、昨年十一月にSNS東京ルールを策定し、学校や家庭でのルールづくりを通し、SNSを利用するに当たっての情報モラルの向上に取り組んでいると聞いています。
 このような取り組みを進めていくことは大変意義のあることと考えます。ぜひ児童生徒にしっかり浸透させて、効果のあるものとしてほしいと思います。
 そこで、児童生徒への浸透に向け、どのように取り組みを進めているのかお伺いいたします。

○出張指導部長 都教育委員会では、平成二十七年十一月、児童生徒がいじめ等のトラブルや犯罪等に巻き込まれないようにするとともに、豊かな人間関係の構築と情報社会を生き抜く資質、能力の向上を図るため、SNS東京ルールを策定しました。
 このSNS東京ルールの取り組みを推進するため、児童生徒に身につけさせたい力を学習内容と関連づけたカリキュラムモデルを作成し、学校に配布をいたしました。
 また、学校や家庭での話し合いを促し、理解を深められるようにするため、都内公立学校の全ての児童生徒にSNS東京ノートを配布するとともに、指導方法や保護者への啓発のあり方などを示した指導資料を作成し、教員への支援を行いました。
 さらに、情報モラル推進校二十校を指定いたしまして、家庭と連携した授業実践や生徒会によるルールづくり、高校生が小学生に教えることで互いに学習を深める取り組み等を進めております。
 これらの取り組みを全都に広げるため、情報教育フォーラムを先週十一月四日に開催いたしました。

○栗山委員 SNS東京ルールの取り組みを着実に進めていることがわかりました。ぜひ都内全ての公立学校に通う児童生徒とその保護者に広めていっていただきたいと思います。
 さて、策定から一年となり、取り組みを進める中でその成果はもちろん、新たな課題も見えてきたと思います。
 そこで、これまでの成果と課題及び今後の取り組みについてお伺いいたします。

○出張指導部長 本年六月に東京都教育委員会が行った調査では、学校のルールを策定した小学校が約八〇%、中学校が約八八%、都立学校が約六五%でありました。
 また、保護者やPTAの連携のもと、家庭における話し合いの啓発を働きかけた小学校が約八〇%、中学校が約八六%、都立学校が約六七%でございました。
 課題といたしましては、家庭でルールを決めたにもかかわらず、守れなかったことがあると答えた児童生徒が約三〇%おりました。その主な理由といたしましては、楽しくてやめられなかったとの回答が五〇%を超えております。
 こうしたことから今後、都教育委員会では、学校や家庭で策定したルールを守ろうとする姿勢をさらに高めていくため、みずからを振り返りこれからの行動を考えるなど、主体的に情報モラルを学べる新たな教材の開発を行い、情報モラル教育の一層の充実を目指してまいります。

○栗山委員 学校における確かな指導と学校や家庭でのルールづくりが継続して行われることにより、子供たちの情報社会を生き抜く力を向上することを期待しております。
 続いて、防災ノートについてお伺いいたします。
 内閣府の発表では、世界で発生しているマグニチュード六以上の大地震の実に約二〇%が日本に集中しており、東京においても今後三十年間に約七〇%の確率で首都直下地震が発生する可能性があるといわれております。
 近い将来必ず起こる大地震などによる被害を最小限に抑えるためには、地域の防災力の向上を図ることや、各家庭において具体的な防災行動を促進する取り組みが重要であると我が党は一貫して主張してきました。
 都教育委員会はその主張に応え、学校と家庭が一体となった防災教育を推進するための教材、防災ノートを昨年九月に百三十六万部作成し、都内全ての公立、私立学校の全児童生徒へ配布しました。
 児童生徒が学校において、防災に対する正しい知識を身につけるとともに、家族と一緒に学ぶことのできる本教材に大いに期待しているところです。
 しかし、配布して終わりでは意味がありません。学校で防災ノートが適切に活用されることで初めて児童生徒一人一人の防災意識が高まるとともに、家庭における防災行動につながるものと考えます。
 そこで、防災ノートの活用方法についてどのように学校へ周知しているのかお伺いいたします。

○出張指導部長 学校における防災教育の充実を図るためには、児童生徒が防災ノートなどの教材を活用し、防災について主体的に調べ、より適切な行動を考える学習に取り組むことが重要でございます。
 こうしたことから、都教育委員会は、全ての学校で防災ノートの効果的な活用を図るため、教育課程の中で活用する具体的な場面や方法などについて掲載した手引書を昨年九月に全教員分作成、配布するとともに、都内全公立学校の教員を対象とした安全教育の講習会を開催し、啓発したところでございます。
 その結果、本年八月に各学校の安全教育を担当する教員約二千四百人を対象に実施したアンケート調査によりますと、約九五%の学校が学級での安全指導や避難訓練等を中心に防災ノートを活用していると回答を得ているところでございます。

○栗山委員 ただいま答弁いただいたように、全学校に配布された防災ノートについて、教員が適切な活用方法を理解し、教育活動を展開していることがわかりました。
 さて、我が党は、ことし三月の予算特別委員会の代表質問で、学校において防災ノートを、より一層活用すべきであると主張しました。防災ノートが形骸化し、形式的な指導に始終することがないようにすることが重要です。
 そこで、防災ノートの活用を、より一層促進するための取り組みについてお伺いいたします。

○出張指導部長 都教育委員会は、本年七月から九月までを防災ノート活用推進月間として設定いたしまして、小学生を対象とした親子防災体験や、中学生を対象とした防災標語コンクールを実施いたしました。
 親子防災体験では、この期間中に約八千組の親子が防災館などで防災体験を行い、児童と保護者が防災ノートを活用して、気づいたことや考えたことを話し合いました。
 また、防災標語コンクールでは、都内全公立中学校の七万人を超える生徒が、防災ノートで学んだことをもとに、家族や友人と一緒に防災行動の大切さを考え、防災はいつかではなく今備えるなどの標語として表現いたしました。
 今後とも、防災ノートのより一層の活用を図り、学校と家庭が一体となった防災教育を推進してまいります。

○栗山委員 都教育委員会が実施した防災ノート活用促進月間におけるさまざまな取り組みが、想像以上に大きな成果が出ていることがわかりました。今後も東京消防庁などとの連携を深め、さらに事業の充実を図っていただきたいと思います。
 次に、多様な教育課題への対応についてお伺いします。
 先ほど質問したオリンピック・パラリンピック教育や防災教育、情報教育もその一例ですが、そのほかにも現在、大変多くの教育課題が存在し、各学校ではそのための教育活動に取り組んでいると伺っております。
 そこで、小中学校に取り組みが求められている多様な教育課題に対する都教育委員会の認識と、それらの教育課題がどの程度あるのかということについてお伺いいたします。

○出張指導部長 グローバル化、情報化等、社会の急激な変化に伴い、防災教育や情報教育のみならず、食育、環境教育等の多様な教育課題への対応が各学校に求められる中、それらの教育課題に関する必要な資質、能力を児童生徒一人一人に育むことが大変重要でございます。
 都教育委員会では、各教育課題について、育てたい資質、能力と学習指導要領との関連を分析し、昨年度の段階で法教育、主権者教育、消費者教育等、三十の教育課題に分類、整理したところでございます。

○栗山委員 今、教育課題に対する認識と対応すべき多様な教育課題の数について答弁がありましたが、こうした教育課題は今後さらにふえ、その都度、具体的な取り組みが学校教育に求められていくようになると考えられます。
 現在、各学校ではこれら多様な教育課題に関して、各教科や総合的な学習の時間等、全教育活動を通じて行っていますが、実際に学校は限られた授業時数の中でどのように計画を立ててどのように実施しているのか、懸念をするところでございます。
 そこで、小中学校が多様な教育課題に対応した指導を限られた授業時数の中で計画的に行うことが必要だと考えますが、都教育委員会のこれまでの取り組みについてお伺いいたします。

○出張指導部長 都教育委員会は、小中学校が多様な教育課題に対応した指導を計画的に行えるよう、昨年度、各教育課題に関する教育課程上の位置づけを明らかにした資料や、具体的な指導計画例を示した多様な教育課題に対応したカリキュラムモデルを作成し、都内全公立小中学校等に配布いたしました。
 また、これらの資料の活用を推進するため、各学校において教育課程編成の中心となる教員を対象とした研修会を実施いたしました。
 今後とも、区市町村教育委員会の指導主事を対象とした連絡会等において、これらの資料等について繰り返し説明し、都内公立小中学校の教育課程の適切な編成、実施を支援してまいります。

○栗山委員 学校は、多様な教育課題に対応した学びについて、指導計画を立案する際に参考となる資料やカリキュラムを作成し、研修会等を通して小中学校の教育活動の充実を図っていることがわかりました。
 先ほども述べましたが、こうした教育課題は今後さらにふえていくであろうと思います。しかし、これからの社会を生きていく児童生徒にとっては、どれも重要なことであり、そのために必要な能力は確実に身につけさせていかなければならないと考えます。
 そのためには、小中学校が多様な教育課題に対応した指導を計画的かつ効率的に行うことが必要であり、各学校の校長先生のカリキュラムマネジメントが重要となると考えます。
 都教育委員会には、これからも各学校が多様な教育課題に対応した教育が進められるよう支援していただくことをお願いし、私の質問を終わります。

○野上委員 教育に関する事務事業について、数点にわたり確認も含めて取り上げさせていただきます。
 まず最初に、英語教育についてでございます。
 ことしの三月の予算特別委員会で、英語教育について質疑をさせていただきました。確認の意味も踏まえて、二〇二〇年に小学校に教科としての英語が導入されます。小学校教員の免許を持っていても、英語の免許を持っていない先生が大勢いらっしゃるわけで、本格的に英語教育が始まる前に、小学校教諭と英語教諭の免許を持つことが大事であると述べたわけであります。
 しかし、現場の先生方は非常に多忙で、何らかのインセンティブがなければ、英語の指導経験のない小学校の教員にとって、英語の指導力を身につける時間とか余裕とか、なかなか生まれないのではないかと思ったわけでございます。
 そのことに対して中井教育長からは、都教育委員会は、都立、公立小学校で実践的な英語を指導できる教員を育成するため、今年度、平成二十八年度に英語の教員免許状の取得を支援する取り組みを実施すると。具体的に何をするのということで、小学校教員が大学の通信教育で必要な単位を取り、中学校の英語の免許状を取得した場合には、大学での履修費用の全額を都教育委員会が補助すると。その補助対象者は百二十名ということで明確に答弁がございました。
 また、英語教育推進リーダー、これは原則として三カ月間、海外研修を行う。そして、日常的に実施できるオンラインによる英会話研修を行い、指導力と英語力を身につけさせてまいりますという力強い答弁もございました。
 約八カ月経過をしたわけでございますけれども、改めて英語教育推進リーダーの役割と英語教育推進地域の取り組みについてお伺いいたします。

○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、次期学習指導要領における小学校英語の教科化に伴い、平成三十年度からの先行実施に向けて、今年度、英語教育推進リーダーを二十五地区に三十八人配置するとともに、十地区を英語教育推進地域に指定して、小学校における英語教育の充実を図っております。
 英語教育推進リーダーは、配置された地区教育委員会の指導のもと、模範授業を行ったり、地区内の学校を訪問して指導助言を行ったりするとともに、英語の教科化に向けた指導計画の作成や教材開発を行うなど、地区の小学校における英語教育の牽引役を担っております。
 また、英語教育推進地域では、地区の教育委員会が英語の指導を効果的に行うためのガイドラインの作成や、児童の話すことを評価するためのパフォーマンステストの開発、ALTの効果的な活用など、指導を進める上で課題となることをテーマとして研究を進めており、今後、都教育委員会はその成果を全都に普及してまいります。

○野上委員 これからはガイドラインを作成するということと、パフォーマンステストの開発を行う、また、ALTの効果的な活用を行う研究開発をし、その成果を全都に普及をしていくということだと思います。
 もう一つ、JETプログラムによる外国人の英語指導者の配置と活用の状況についてもお伺いいたします。

○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、都立高校における英語教育の充実と国際理解教育の推進のため、JETプログラムにより招致された英語等指導助手、いわゆるJET青年を平成二十六年度に百人配置し、平成二十七年度からはその規模を二百人に拡大して、全ての都立高校と中等教育学校に配置しております。
 JET青年は、放課後も含めた終日を学校で勤務し、日本人教師とのチームティーチングで授業を行うほか、文化祭などの学校行事や英会話等の部活動にも参加するなど、生徒の英語による会話の機会をふやしております。
 学校からは、授業以外のさまざまな場面でJET青年と活動することにより、英語嫌いだった生徒も楽しく英語学習に取り組むようになったといった報告を受けております。
 今後とも、都教育委員会は、JET青年の配置と活用により、生徒の英語によるコミュニケーション能力の向上と異文化理解の推進を図ってまいります。

○野上委員 やはり自信を持って教育をしていくということが大事だと思っております。二〇二〇年にはオリンピック・パラリンピックが開催をされます。世界の人々をおもてなしするためにも、しっかりと今から準備を進めていっていただきたいことを要望します。
 また、中井教育長の予特の答弁につきましては、また予特でお伺いさせていただきます。
 SNSの東京ルールの取り組みについて、先ほどもちょっと質疑があったんですけれども、お伺いします。
 一昔前、調べ学習というと、図書館に行って本を探して調べてそれを書いて、やっていくということだったわけですけれども、現在の調べ学習は、ネットが多く使われている実態がございます。
 手軽さの余り、ネットで検索した情報を安易に信じたり、コピペ、そのままコピーして張りつけたりする、そういうことが多く用いられておりまして、子供にとっても大変便利なツールではございますけれども、一方でトラブルが多く発生をしております。
 ネットでの情報に信憑性があるのかどうか、この情報をうのみにしないで判断できる能力、こういったものも育成していく必要があるのではないかと思っております。
 社会の情報化が急速に進展し、誰もが情報の受け手だけでなく、送り手としての役割も担う時代でございますので、そうした意味で、この情報手段を上手に使う力、情報教育を身につけさせることが必要だと思っております。
 昨年十一月に、SNS東京ルールを策定してから間もなく一年となります。現在までの学校での取り組みについてお伺いいたします。先ほどの答弁とダブるところがあるんですけれども、よろしくお願いします。

○出張指導部長 本年六月に都教育委員会が行った調査では、学校のルールを策定した小学校が約八〇%、中学校が約八八%、都立学校が約六五%でございました。
 また、保護者やPTAとの連携のもと、家庭における話し合いの啓発を働きかけた小学校が約八〇%、中学校が約八六%、都立学校が約六七%であり、学校ではSNS東京ルールに基づいた学校や家庭におけるルールづくりが進められております。
 取り組み例といたしましては、保護者と一緒につくったルールを宣言書にまとめ、守ろうとする意識を高める取り組みや、子供が中心となり、アンケートを行いながらルールをつくる取り組み、一度つくったルールを自分たちの行動に照らし合わせて見直しを図る取り組みなどが実践されております。

○野上委員 学校のルールを作成したパーセントと家庭における話し合いの啓発を働きかけたパーセントが大体似通っております。そういった意味で、SNS東京ルールの策定、大変大事な成果ではないかと思っております。
 十一月四日でしたかしら、銀座ブロッサムで行われた情報教育フォーラムに私も参加をさせていただきました。大体こうしたフォーラムって、ぱらぱらのところが多かったんですけれども、今回の銀座ブロッサムはいっぱいで、満員で、会場いっぱいの人が集まっておりまして、大変盛況でございました。展示物も含め見学をさせていただきました。
 また、児童生徒のプレゼンがすばらしくて、原稿なしで発表しているんですね。生き生きと発表していて、よくこれだけの長い文章を覚えているなというふうに感動いたしました。
 そこで、今回、二回目ということでございますが、情報教育フォーラムの実施の意図と成果についてお伺いいたします。

○出張指導部長 情報教育フォーラムは、児童生徒が学習を通して感じ、考えたことをみずからの言葉で発信することで、参加した教員や保護者、事業者、都民等とともに情報モラルについて考えることを狙いとしております。
 情報モラル推進校の小学生からは、決めたルールを守ろうと思った、中学生や高校生からは、小学生に教える活動を通して、自分のかかわり方を見詰め直すことができたなどの意見がありました。さらに、保護者からは、親子でしっかりと話し合い、ルールづくりを進めていきたいとの声が寄せられました。
 こうしたことから、このフォーラムを通して、情報モラル教育を進めていくことの重要性を子供も大人も確認し、社会全体で子供を守っていくことを認識する機会となったと考えております。

○野上委員 この情報教育フォーラムの中でも、ネットのトラブルへの対応についての報告もありました。また、講師の先生からも、かわいいものをぱっと見たときに、文字入力では「かわいくない」、「かわいくない?」というのとニュアンスの違いで、共感したつもりがかわいくないと否定されたように受け取られてしまうこともあるということで、それがきっかけでいじめなどのトラブルに発展するというケースもあるということが報告をされておりました。
 そこで、トラブルなどが生じた際に、相談できる体制をネット環境上に構築することも必要と考えますけれども、都教育委員会の取り組みをお伺いいたします。

○出張指導部長 都教育委員会が取りまとめましたいじめ問題に関する研究報告書によりますと、いじめに遭っても保護者や学校の教員など誰にも相談しなかったと回答した児童生徒の割合は約四六%でございます。
 こうしたことから、児童生徒が困ったときに、直接教育相談センターに電話ができるアプリを年度内に開発いたします。
 加えて、困ったときの対処法を提示し、相談を後押しするアプリも開発いたしまして、トラブルに遭った児童生徒が相談しやすい環境の構築を進めてまいります。

○野上委員 これはとても大事なことだと思っております。前に、アルバイト先の学生が飲食店の冷蔵庫に自分が入っている写真をSNSに投稿し、大騒ぎになったことがあります。
 その学生は、結局は学校を退学させられて、損害賠償も請求され、遊び半分でやったことだったかもしれないんですけれども、その軽はずみなSNSでの投稿で人生を大きく狂わせてしまったということがありました。
 情報モラル教育のこれからの一層の推進を通して、子供たちの情報社会を生き抜く力が向上することを期待します。
 次に、特別支援教室についてお伺いいたします。
 区市町村において、本年度から小学校の特別支援教室が本格導入となりました。指導を行う教員も、昨年度の千六十一人から本年度は千百三十二人と、七十一人増加をしておりました。中には、新たに特別支援教室での指導に携わる教員も存在すると考えます。
 一方で、学校現場では、巡回指導を行う教員への期待が大きく、その専門性の担保が非常に重要であると考えます。
 巡回指導教員の専門性の向上に向けた都教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。

○浅野特別支援教育推進担当部長 特別支援教室での巡回指導を担当する教員の育成を目的といたしまして、実践報告や協議、演習等を内容とした研修を実施しております。
 今後とも、巡回指導教員の専門性の向上を図るための研修等に取り組んでまいります。
 また、経験の浅い教員への実際の指導場面における指導助言を想定し、専門性の高い教員と組み合わせて巡回指導体制を編成するなど、効果的なOJTが行える体制を構築している区市町村もございます。
 今後は、こうした効果的なOJTの具体的事例を積極的に紹介してまいります。

○野上委員 ただいま効果的なOJT、オン・ザ・ジョブ・トレーニングの具体的な事例を積極的に紹介していくという答弁がありましたけれども、事例の紹介方法としては、ホームページの活用なども効果的と考えますけれども、具体的な紹介手法をお伺いいたします。

○浅野特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、より効果的にOJTを行える巡回指導体制の編成の事例につきまして、今後、区市町村教育委員会に対し説明会を開催して周知するとともに、ホームページにも掲載するなどして広く紹介してまいります。

○野上委員 いろいろ冊子をつくったりすることも、私はいいのかなとも思うんですけれどもお金がかかりますよね。そういう意味で、ホームページにそうした事例をぱっと載せるということは、非常に、使いたい人がその場で見られますし、そんなにお金もかからないと思うんですね。ずっと永遠に残っていくということもありますので、ぜひホームページに紹介手法として掲載をしていただければと思っております。
 それからもう一つ、区市町村の期待が大きい中で、粉骨砕身して指導に当たっている教員がいる一方で、児童一人一人の障害の状態に応じた適切な指導を教員が行うためには、専門的立場から教員に対しての助言を行う臨床発達心理士等の活用が必要です。
 現在、特別支援教室設置校一校につき年十回、一回につき四時間を原則としている心理の専門家の巡回体制を、現場で、より弾力的に活用できるようにしていくべきと考えますけれども見解を伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 特別支援教室を利用する児童が抱える学習面、行動面での困難についての的確な把握と、それに基づいた指導、支援を適切に行うため、本年度は希望のあった特別支援教室設置校の全てに臨床発達心理士等の心理の専門家が巡回し、必要に応じて助言を行う体制を整えております。
 今後は、各区市町村教育委員会がその実情に応じて、心理の専門家を柔軟に活用できるよう、本年度の活用状況を検証の上、運用方法の改善を検討してまいります。

○野上委員 一人一人の状況が全く違う場合がありますので、非常に専門性の高い先生と新卒で少し研修を受けた先生と一緒になってOJTでやっていきながら、しかも、もう一つは、臨床発達心理士の方の非常にすぐれた、その子供を見取って指導するやり方等々をやっぱり教えていっていただくことが大事ではないかと思っておりますし、それに使う時間も幅を持たせて使っていければいいかなというふうに思っております。
 発達障害のある児童生徒にとってわかりやすい授業を行う上では、必要によりDAISY教科書等を活用することが有効だと思っております。子供によっては、縦に字がなかなか真っすぐに読めない子がいて、一行飛ばして読んだりする子供たちがいるわけです。そのときに、黄色か何かで読んでいるところに印をつけて、次の行に行ったらまた黄色で印をつけたりするようなDAISYを使うことによって、内容をよく正確に読み取れたりするんですね。
 そういうDAISYが必要な子供というのは非常に少ないとは思うんですけれども、障害特性に配慮したDAISY教材等の活用、このことを都教育委員会から区市町村教育委員会へ十分な情報提供に努めることが重要であることを意見表明して次の質問に移ります。
 次は、オリンピック・パラリンピック教育についてお伺いいたします。
 これも先ほどとちょっと似ているところもあるんですけれども、東京二〇二〇大会に向けて、オリンピック・パラリンピック教育を全ての学校で展開することは、東京都の子供たちのよいところをさらに伸ばし、弱みを克服できる絶好の機会であると考えております。
 このオリンピック・パラリンピック教育を実施するに当たって、都教育委員会は年間三十五時間程度を目安として実施するよう各学校に周知しており、先進的な学校では総合的な学習の時間に実施したり、さまざまな教科でオリンピック・パラリンピックと関連づけたりして行っていると聞いております。
 一方では、オリ・パラ教育をどの教科にどういうふうに結びつけたらいいか、なかなかわからないっていうふうに訴えている学校もあると聞いております。例えば防災教育も三十五時間ということで、これどこで教えるんだろうと心配したことがあったんですけれども、それも「三・一一を忘れない」という防災の本がありまして、それで道徳だったり、国語だったり、社会だったり、こういうところでこの防災教育を教えたらいいという読本を出していただいたんですけれども、オリンピック・パラリンピック教育についても、そうした具体的に関連づけて示すための読本というのが要るんじゃないかというふうに思っているんですね。
 都教育委員会のこの所見についてお伺いいたします。

○宇田指導推進担当部長 オリンピック・パラリンピック教育を通して重点的に育成すべき五つの資質は、これまでの教育活動においてもその育成の取り組みが展開されていることから、オリンピック・パラリンピック教育は、各学校で日常実施している各教科、道徳、特別活動等の内容と関連づけて進めることが重要であります。
 そのため、都教育委員会は今年度当初の全校対象の説明会で、オリンピック・パラリンピック教育の進め方について周知徹底するとともに、各教科等と関連させた具体的な事例をまとめた実践事例集を七月に全教員に配布いたしました。
 また、夏季休業中にこの事例集を活用した研修会を実施し、各教科等との関連を図った指導計画作成の演習を行いました。
 今後、都立学校及び小中学校の校長会において、各学校の教育課程にオリンピック・パラリンピック教育が確実に位置づけられるよう、指導助言をしてまいります。

○野上委員 私も先日、冊子を見せていただきましたけれども、非常に上手に短期間でよくこれだけまとめられたなというふうな内容になっておりますので、ぜひ各学校においてもしっかりと取り組んでいただきたいなというふうに思っております。
 また、都教育委員会は、オリンピック・パラリンピック教育を通して育成する重要な五つの資質を育てるために四つのプロジェクトを推進しており、私はその一つである夢・未来プロジェクトを葛飾区の中学校で参観をいたしました。
 今回のリオ・パラリンピックでも銅メダルを獲得した車椅子テニスの齋田悟司選手から、子供たちに向けての数多くの困難を乗り越えた体験等のお話や障害者スポーツの実技指導が行われました。大変有意義な取り組みであると認識をいたしました。
 私も初めてそこで知ったんですけれども、車椅子テニスと普通のテニス部の子供が一緒にテニスをしたんですけれども、本当にすばらしい動きで感動いたしました。
 このように、子供たちがオリンピアンやパラリンピアン等と直接交流し、オリンピック・パラリンピックのすばらしさや思いやり、努力の大切さを実感できる取り組みを一層推進していくべきと考えますが所見を伺います。

○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、子供たちがスポーツへの関心を高め、目標を持つことの大切さを理解する契機とするため、平成二十年度からオリンピアン、パラリンピアン等の学校への派遣事業を開始し、平成二十七年度からは夢・未来プロジェクトとして実施しております。
 オリンピアン、パラリンピアン等と交流した子供たちからは、挑戦することや諦めないことの大切さを学んだなどの感想が数多く聞かれ、学校や保護者等の評価も高い事業でありますことから、本年度は昨年度の二倍の二百二十校で実施し、中でも障害者アスリートは、昨年度と比べ約三倍の九十校へ派遣する予定であります。
 今後、これまで派遣実績がない学校にもオリンピアン、パラリンピアン等を派遣することにより、都内の多くの子供たちが世界最高の舞台を身近に感じるとともに、夢に向かって努力したり、困難を克服したりする意欲を培うための機会を提供してまいります。

○野上委員 特にパラリンピアンの方々が健常者であったときから、病気になったり、難病になったりして、思いもしなかった人生のどん底を味わって、絶望した後、もう一度自分を奮い立たせていく、そういう過程が子供たちに物すごい感動を呼んでおります。
 このパラリンピアンの手配とかオリンピアンの手配とか、人の手配等大変だと思いますけれども、ぜひ努力をして、多くの子供たちのためにアスリートとの交流の機会を持っていただきますようよろしくお願いを申し上げます。
 次に、フリースクール等々の民間団体との連携について質問をいたします。
 先日、十一月三日、文化の日だったと思うんですけど、葛飾区にあるフリースクール、東京シューレ葛飾中学校というのがあるんですけれども、そこで開催された研究発表会に参加をいたしました。
 その中のシンポジウムで、小学校からずっと不登校で、中学校をやっと葛飾にある東京シューレ中学校に通って、その後、また東京都の単位制高校とかに行って、その方が今は京都大学の理学部の物理学専攻に通っていて、宇宙工学を研究し大学院への進路も決まっているというような話をしておりました。
 自分の居場所が見つかれば、安心して学業にも励むことができるし、自分の道、自己実現も図っていけるということを力強く述べていらっしゃいました。
 国の方でも、フリースクールに関する協議も今行っており、審議はストップしております。これから学校教育法の一条校に載っていない学校に対しても、子供の居場所づくりや学力支援で新たな連携を進めていくような流れにはなってくると思いますけれども、平成二十七年の第一回定例会で、フリースクール等の民間団体との連携について取り組みを私はお聞きしたんですけれども、その後どうなっているのかについてお伺いいたします。

○出張指導部長 都教育委員会では、今年度、区市町村教育委員会やフリースクール等民間団体の関係者を集め、今後における学校とフリースクール等民間団体との連携をテーマといたしまして意見交換会を実施いたしました。
 また、フリースクール等民間団体が持つ居場所づくりなどの効果的な事例を、教育支援センターにおける指導内容に取り入れて検証を図るため、試行的に五区市で月二回程度ずつ委託事業を実施しております。
 今後、これらの取り組み事例を区市町村教育委員会で不登校対応に当たる担当指導主事連絡会で情報提供するなど、理解の促進に努めてまいります。

○野上委員 いろいろな動きがあるんですけれども、今後のフリースクール等民間団体との連携の方向性についてお伺いいたします。

○出張指導部長 不登校児童生徒の将来の社会的自立に向けた支援に当たっては、個々の状況に応じた多様な教育機会を確保することが必要でございます。
 今後、都教育委員会では、これまでの取り組みを踏まえるとともに、国における不登校対策関連の動向を注視するなど、さまざまな関係機関との連携のあり方について検討してまいります。

○野上委員 中途退学をした子供とか不登校の子供たちの立ち直りの場として、本当は公立の学校等に戻っていければ一番いいとは思うんですけれども、どうしてもいじめとか精神的なもので通えない子供たちの一つの教育の場ということで考えていただくということも大事なのかなというふうに思っております。
 次に、小中学校において、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの外部人材同士が連携をし、児童生徒や保護者に対して効果的に支援を行うことができるようにするための都教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。

○出張指導部長 都教育委員会は、小中学校において外部人材同士が連携して効果的に子供の健全育成上の問題を解決できるようにするため、すぐれた実践をまとめた資料の配布や区市町村教育委員会を対象としたパネルディスカッションの開催などにより、先進事例の共有化を図ってきております。
 このパネルディスカッションでは、経験豊かなスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等をパネリストとして招聘し、外部人材相互の情報共有やそれぞれの専門性を生かした役割分担のあり方などについて協議を行いました。
 今後、都教育委員会は、区市町村教育委員会の担当者会議に加え、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの連絡会を通して成果の上がった事例を周知し、学校が子供や家庭の抱える問題の解決に向け外部人材を有効に活用できるよう、一層の啓発を図ってまいります。

○野上委員 各学校において、教職員が同じ基準に基づいて、気づきにくいいじめについても確実に発見をし、解決を図ることが必要であると考えますけれども、都教育委員会の認識と取り組みについてお伺いいたします。

○出張指導部長 周囲から見えにくい軽微ないじめや、子供が訴えられない陰湿ないじめを見逃さずに発見し早期の解決に導くためには、教職員がいじめはどの学校、どの子供にも起こり得る問題と捉え、いじめ防止対策推進法の定義に基づいていじめを認知するとともに、その情報を学校全体で共有し対応することが不可欠でございます。
 こうしたことから、都教育委員会は、これまでの学校の取り組みから明らかになった課題を改善するため、今年度中にいじめ総合対策を改定し、新たに子供が受けた心身の苦痛に応じたいじめの類型やいじめを発見するためのアンケートの活用事例を示すなどして、学校の取り組みの強化を図る予定でございます。
 この新たないじめ総合対策を踏まえ、来年度以降、全ての学校において教職員による共通理解と組織的な対応を徹底させることができるよう、OJTや校内研修を一層充実させてまいります。

○野上委員 よろしくお願いいたします。
 次に、教員、職員のメンタルヘルス対策についてお伺いいたします。
 児童生徒に対する教育を考える上で、教員が精神的に健康であること、元気であることは大変重要であると考えております。
 これまでもずっと文教委員会や予算特別委員会等において、教育職員の精神疾患による休職者数の推移とか復職に向けた具体的な取り組みについて何度も質問をしてまいりました。
 しかしながら、現時点でも児童生徒の教育に携わるという重要な仕事を担っている教育職員が心を病み休職するということは残念な状況でございます。なかなか解消されておりません。
 本日は、改めて精神疾患による休職者の状況と復職の早期自覚、早期対処のための都教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。
 まず、精神疾患による休職者数の状況についてでございますが、都の公立学校の教育職員のうち、平成二十六年度に精神疾患のために休職した職員数は五百二十五人ということで、近年では毎年度五百名前後で推移しているといえます。
 こうした中で、予防あるいは復職などに向けた効果的な対策を講じるためには、休職者の総数だけではなく、校種や年齢別の状況、傾向を把握していくことも必要だと思っております。
 そこで、平成二十六年度の状況について、校種ごとの精神疾患による休職者数と在職者に対する精神疾患による休職者の割合をお伺いいたします。

○江藤人事部長 平成二十六年度の精神疾患による休職者五百二十五名の校種別の内訳は、小学校二百八十六名、中学校百二十七名、高等学校等五十一名、特別支援学校六十一名でございます。
 また、在職者に対する精神疾患による休職者の割合は、都内公立学校全体では約〇・九%でございまして、校種別では小学校が約一・〇%、中学校では約〇・九%、高等学校等では約〇・五%、特別支援学校では約一・一%でございます。

○野上委員 小学校、中学校、特別支援学校では約百人に一人の割合で精神疾患になっていると。高等学校では二百人に一人ぐらいの割合で精神疾患ということでございまして、校種ごとの状況では、特定の校種に集中して休職者が発生している状況ではないことがわかりました。ちょっと高等学校等は、割合は少ないということがわかると思います。
 次に、平成二十六年度における年齢層ごとの在職者に対する精神疾患による休職者の割合をお知らせください。

○江藤人事部長 平成二十六年度の年齢層ごとの在職者に対する精神疾患による休職者の割合は、二十代では約〇・五%、三十代は約一・一%、四十代は一・〇%、五十代は約〇・九%となっております。

○野上委員 年齢別の状況でも、若い人は少ないと思いますけれども、特定の年齢層に休職者が集中しているわけではないようです。
 精神疾患により休職に至った経緯は、職場の人間関係や仕事の内容などにも起因するもの、あるいは家庭の介護とか育児を初めとする生活上の問題などに起因するものなど、さまざまであると聞いております。
 また、実際に校種のさまざまな年齢層の教育職員が休職をしている状況からも、休職者の復職に向けた支援などは、一人一人の状況を踏まえた丁寧な対応を図っていくことが重要になってくると思います。
 そこで、続いて教育職員の復職に向けた具体的な取り組みについてお伺いいたします。
 都教育委員会は、平成二十二年度に復帰訓練機関として、リワークプラザ東京を開設しました。教員の職場復帰に積極的に取り組んでおります、このリワークプラザ東京における具体的な支援内容や教員の復職実績など、復職支援の実態についてお伺いいたします。

○太田福利厚生部長 リワークプラザでは、臨床心理士や校長OB等が支援対象の教員一人一人の状況に合わせた個別の訓練プログラムを作成するとともに、職場復帰訓練の段階に応じて学校を訪問し、適切な状況の把握に努め、きめ細やかな指導助言を行っております。
 訓練プログラムに従い、教員は軽微な作業や事務の補助などから、段階的に訓練内容を広げていき、最終的には再び授業が行うことができるまで回復し職場に復帰してきております。
 さらに、復職後においても学校へのフォロー訪問を行うとともに、状況に応じて必要な助言、支援を行い、円滑な職場復帰、再休職の防止に努めております。
 このような支援を通じ、平成二十七年度に訓練を申請、開始した者百三十五名のうち、百五名の教員が訓練を終了し復帰いたしました。

○野上委員 この職場復帰訓練を希望して受けた教員のうち、昨年度は八割近くの教員が復職している、そのことについては一定の評価ができます。
 ところで、都教育委員会は、この職場復帰訓練以外にも、早期自覚、早期対処の予防策が重要であるとの認識に立ち、さまざまなメンタルヘルス対策を講じてきておりますけれども、現状の取り組みについてお伺いいたします。

○太田福利厚生部長 都教育委員会は、メンタルヘルス対策の取り組みとして、精神科医や臨床心理士等による土日を含めた相談、臨床心理士の講師派遣、初任者や新任副校長に対するカウンセリングなどを実施しております。
 また、これまで都教育委員会が独自に実施してきたストレス検査にかわり、今年度からは都立学校の全教職員を対象に、高ストレス者のうち希望者が医師による面接指導を受けられるストレスチェックを実施しております。
 これらの取り組みによりまして、教職員の早期自覚を促し、メンタル不調の未然防止に努めております。
 都教育委員会では、今後とも早期自覚、早期対処を基本としたメンタルヘルス対策に積極的に取り組んでまいります。

○野上委員 教育職員が心を病み、休職するということがないように、また残念にも休職せざるを得なくなった教育職員については、一人一人の状況を十分に踏まえたきめ細かな支援を行うことで、ぜひ元気を取り戻し職場に復帰できるよう、都教育委員会は教育職員のメンタルヘルス対策に引き続き積極的に取り組んでいかれることを強くお願い申し上げます。
 アクティブラーニングについて質問させていただきます。
 私は、グローバル化の進展など変化の激しい時代を担う子供たちに必要な力を身につけさせるためには、学校において生徒が受け身の姿勢のまま教師が一方的に説明する授業ではなく、生徒が能動的に活動する、そういった学習活動が必要だと感じております。
 生徒自身が自分の目で見て、自分で調べて、自分の頭で考えて、自分が獲得した知識やスキルを使って討論したり、友達の考え方を自分の中に取り入れたりする、こういった主体的、共同的な学習こそがこれからの時代に求められる形だと思っております。
 国の動向を見ますと、昨年、中央教育審議会において、課題解決力を育成するため、主体的、共同的な学習、いわゆるアクティブラーニングの充実に向けた授業改善が挙げられております。
 私は、昨年十二月の文教委員会において、高等学校におけるアクティブラーニングの必要性と今後の取り組みについて質問をいたしました。指導部長から、今年度、アクティブラーニング推進校を新たに指定するなど、取り組みを推進する旨の回答をいただきました。
 そこで、都教育委員会が指定したアクティブラーニング推進校の取り組み状況についてお伺いいたします。

○出張指導部長 アクティブラーニング推進校では、指導方法に関する研究や教材の開発を行うため、外部の専門家を招いた校内研修や先進校の視察などを行っております。
 また、全ての推進校が日常の授業において、討論、発表、レポート作成などの言語活動を実践し、生徒の思考力、判断力、表現力等を育成しております。
 例えば、講義中心の一斉授業から生徒の多様な思考を促す発問をしたり、生徒同士の話し合い活動を設けたりすることで、生徒が自分とは異なる意見を持つ他者との対話を通じて、物の見方や考え方を広げるための授業を展開しております。

○野上委員 アクティブラーニング推進校が授業改善の取り組みを着実に進めていることがわかります。今後もしっかりと取り組みを進めてほしいと思います。
 ところで、推進校以外にもアクティブラーニングの手法を取り入れた実践を行っている学校があると聞いております。私は、地元の学校などでさまざまな授業を参観しておりますけれども、アクティブラーニングに対する教員の正しい認知はまだ十分とはいえず、アクティブラーニングに対しての否定的な教員や取り組みに不安を感じている教員もいると聞いております。
 このような中で、アクティブラーニングを確実に都立高校に浸透させるための取り組みが必要だと考えております。
 そこで、アクティブラーニング推進校以外の都立高校にアクティブラーニングをどのように広めていくのか、都教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。

○出張指導部長 都教育委員会は、アクティブラーニングの手法を全都立高校に普及するため、各都立の研修担当主任教諭などを対象としたアクティブラーニング推進校実践報告会を本年十二月に開催する予定でございます。
 また、推進校のすぐれた授業実践などの成果を報告書にまとめるとともに、アクティブラーニングの手法を用いた授業について紹介したDVDを新たに作成し、今年度中に全都立高校に配布することとしております。
 こうした取り組みにより、全ての教員が主体的、対話的で深い学びの視点を生かした授業が行えるよう、各学校を支援してまいります。

○野上委員 報告書とDVDの配布、どうぞよろしくお願いをいたします。
 最後に、教育管理職の確保と育成について伺います。
 学校経営の責任者である校長、そして校長を支える副校長を確保、育成することは、東京の教育を推進する上で非常に重要であります。
 一方、教育管理職選考の受験者数が低迷していることを伺っております。管理職の中心的ななり手であります四十代の教員が少ないこと、一教員として教壇に立っていたいとか、多忙な副校長の姿を見て管理職の仕事に魅力を感じない等、いろいろな理由があると伺っておりますが、学校現場からも、管理職をやりたい者が少ない、今後、学校に副校長が配置されないのではないかという声も聞いております。
 全ての学校現場に副校長が配置されなければならないと思いますけれども、教育管理職確保に向けたこれまでの取り組みと今後の対応についてお伺いいたします。

○江藤人事部長 都教育委員会は、これまで教育管理職確保に向けて、教育管理職選考に区市町村教育委員会及び校長による推薦制を導入するなど、選考制度の改正を行うとともに、副校長を補佐する校内組織である経営支援部の設置を促進するなど、副校長の業務負担軽減を図ってまいりました。
 今年度から、当面の対応として、退職校長、副校長を再任用管理職として積極的に活用していくとともに、選考合格の翌年度に副校長として配置します経験豊富な教員を対象とした教育管理職C選考の合格予定者数を拡大してまいります。
 また、本年六月に設置した都におけるチームとしての学校の在り方検討委員会の議論を踏まえ、副校長のさらなる業務負担軽減策を検討するなどにより、教育管理職確保に努めてまいります。

○野上委員 人材確保のために、都教育委員会が教育管理職の確保に課題意識を持って積極的に取り組んできていることは理解をしております。
 これまで大量退職に伴う教員の大量採用を行ってきておりまして、小学校を中心に、教員全体の中で若手教員が占める割合が大きいと伺っております。
 このような状況にあっては、若手教員がこれからの東京の教育を担っていく存在でありまして、若手教員が学校マネジメントに対する関心を高め、積極的に教育管理職になっていくことが必要と考えております。
 教育管理職の確保に向けて、若手教員の育成を進めていく方途について所見をお伺いいたします。

○江藤人事部長 都教育委員会は、これまで教員人材育成基本方針やOJTガイドライン等を作成し、若手教員であるうちから学校マネジメント能力の育成を図ってまいりました。
 また、有望な若手教員に対するキャリア形成や学校マネジメント能力の育成を目的に、平成二十六年度から初任教諭等を対象にした学校リーダー育成特別講座を実施しており、三カ年で三百名が受講し、講座終了後のアンケート結果からは、教育管理職を目指す意識が高まったことがうかがえました。
 今後とも、学校経営を担う教育管理職の魅力向上を図るとともに、学校リーダー育成特別講座のさらなる拡充を検討するなど、管理職を目指す若手人材の育成を積極的に進め、教育管理職の確保に努めてまいります。

○野上委員 都教育委員会が管理職確保に係る課題の解決を図っていこうとしていることに一定の評価をいたします。
 先月の末に、東京都におけるチームとしての学校の在り方検討委員会中間のまとめが発表されました。その中で、学校運営事務を担う学校事務職員についても触れられておりました。
 学校事務職員には、学校経営を支える役割を果たすことが求められておりますが、現在、さまざまな課題もあって、学校事務の共同実施等の方策を検討する必要性が述べられております。学校事務職員が校長、副校長の学校経営をこれまで以上に支える存在となるように、さらなる検討を深めていただきたいと考えます。
 学校がさまざまな課題に対応した教育活動を行っていくためには、校長や副校長である教育管理職の役割は大変重要でございます。都教育委員会は、あらゆる手段を講じて、引き続き管理職確保に努めていただきたい旨お願いして、質問を終わります。
 以上でございます。

○里吉委員 それでは、私からも質問を始めていきます。
 まず初めに、資料をご用意いただき、ありがとうございました。
 きょうは、まず初めに、日本語を母語としない生徒の都立高校入試制度について伺います。
 現在、東京都立高等学校入学者選抜検討委員会において、日本語を母語としない生徒を対象にした入試制度について検討する特別部会を設置して検討が進められております。
 入学者選抜検討委員会に特別部会を設置するに至った経緯、目的、どのようなメンバーで構成されているのか、まず伺います。

○初宿都立学校教育部長 平成二十八年度入学者選抜から、外国籍生徒に対する特別措置として、一般の学力検査において共通問題に平仮名のルビを振る措置に加え、辞書の持ち込みと辞書の持ち込みに伴う検査時間の延長を行いました。
 この特別措置のあり方等について検討するため、外部有識者や日本語学級の教員などで構成いたします特別部会を設置しました。

○里吉委員 都立高校の入試が三教科から五教科になるということで、外国籍生徒に対する対応がどのようになるのか、関係者から大変心配する声が寄せられていましたから、今回の辞書の持ち込みと時間延長という特別措置のあり方について、特別部会で検討することは重要だと思います。
 また、この特別部会では、例えば在京外国人入試の試験科目や応募資格、資格確認の方法、都立高校一次、二次検査での特別措置などは検討対象になっているのでしょうか。伺いたいと思います。

○初宿都立学校教育部長 現在、特別部会では、一般の学力検査において昨年度導入しました辞書の持ち込みなど、外国籍生徒に対する特別措置のあり方等について検討を行っております。
 あわせて、在京外国人生徒対象の入学者選抜の応募資格など、外国籍生徒の受検に関するさまざまな課題についても検討内容としております。

○里吉委員 さまざまな課題が検討内容に入っていることがわかりました。日本語の習得が十分でないのに、日本国籍を持っているために特別措置を受けることができないのは問題ではないかとか、在京外国人入試とか、一次、二次試験の特別措置対象者を来日、帰国、今三年以内ですけれども、七年以内にしてほしいなどなど、多岐にわたって改善を求める意見が繰り返し関係者から出されております。特別部会で丁寧に議論していただくよう要望いたします。
 また、全日制課程第一次募集で初めて五教科入試が行われて、日本語を母語としない特別措置対象の生徒の中には、辞書の持ち込みと時間延長で受検した方がいました。
 特別部会でこの影響についてアンケートを行うことになっているというふうに伺いましたが、このアンケートを行う理由とその内容、対象についても伺います。

○初宿都立学校教育部長 外国籍の受検者に対する特別措置の成果と課題を検討するに当たりましては、この措置を利用した受検者の入学後の学習や生活の状況等を確認する必要があり、外国籍生徒に対するアンケート調査を実施いたします。
 現在、アンケートの内容や対象者等についての検討を行っている状況でございます。

○里吉委員 民間団体の皆さんなどがこれまで実態調査を行ってきましたけれども、特別部会として外国籍の生徒に対するアンケートを行うということで、これは本当に大きな一歩だというふうに思います。より多くの生徒や教職員などから実態を聞く調査となるようにしていただきたいと思います。
 また、二〇一六年度の生徒募集では、竹台高校と南葛飾高校の二校で在京外国人生徒対象枠が設定されましたが、来年度も府中西高校に対象枠を設定することが先日発表されました。なぜ府中西高校に新設することとしたのかその経緯を伺います。

○初宿都立学校教育部長 都教育委員会では、都立高校における在京外国人生徒対象枠の応募倍率が、普通科の一般枠と比べ応募倍率が高い状況にあったことや、都内外国人人口の増加傾向が続くと想定されることから、これまで計画的に設置してまいりました。
 平成二十八年度入学者選抜におきましても、普通科一般枠以上の倍率となったことや、これまでの設置校が全て二十三区内であることなどから、平成二十九年度の生徒募集において、多摩地区の高校に新設することといたしました。
 学校の選定に当たりましては、市町村の外国人中学生の在籍状況、各都立高校における生徒の学力状況などを考慮した上で、交通の利便性を有する府中西高校に設置することとし、学校と事前に協議を行い、新設の理解を得た上で決定いたしました。

○里吉委員 今回やっと多摩地区に新設されたことについては、本当に待たれていたことですし、我が党も求めてきました。ほかの会派の議員の方も繰り返し求めてきたことですので、これは評価できることだと思います。
 そして、さらに在京外国人の方、人数は今後も増加が想定されますから、これまで設置してきた普通科にこだわらず、都立高校全体で設置校をふやしていくべきだと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○初宿都立学校教育部長 今後の都立高校におけます在京外国人対象枠の設置につきましては、受検を希望する在京外国人生徒の学力や、進路希望の多様性について配慮していく必要がございます。
 そのため、中学校に在籍いたします在京外国人生徒の状況やニーズを適切に把握した上で、今後の適正な規模と配置について引き続き検討してまいります。

○里吉委員 多様性に配慮して、ニーズなども適切に把握した上で検討するということですから、普通科以外、例えば工業科、商業科なども含めて検討していただきたいと思います。
 次に、教員配置について伺います。
 この在京外国人入試は、英語か日本語の作文と面接での入試になっているために、英語入試で合格した生徒の中には、ほとんど日本語のわからない生徒さんもいるそうです。極端なことをいえば、あいうえおがわからなくても入学できるということだそうです。また、中国から来たお子さんの中には、漢字はわかるけれどもしゃべれないなど、日本語の習得状況が本当にさまざまだそうです。
 小中学校の日本語教育を見ますと、日本語学級の教員配置は十人から二十人の子供に対して一人の配置になっております。二十一人から四十人だと、教員の数三人というふうになっております。
 しかし、在京外国人枠を設けている学校では、十五人とか二十人の定員にかかわらず、一人しか配置していないというのは少ないのではないかと思うんです。在京外国人枠を持つ高校も日本語教育の必要な生徒の数や実情に応じて教員数をふやすなど、教職員体制の拡充が必要だと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○江藤人事部長 在京外国人生徒枠のある都立学校につきましては、多様な外国人生徒に対する指導を行うために教員を一人加配しております。
 また、学校の実情に応じて、いわゆる取り出し授業を行うために時間講師を配置しているところもあり、適切に対応しております。

○里吉委員 時間講師も配置しているというご答弁でしたけれども、先ほど特別部会でアンケートを行うという話がございました。英語受検で受かったお子さんが、生徒がどういうふうに日本語指導を受けているのか、十分なのかどうかもぜひ聞いていただきたいと思うんです。
 これまでですと、英語で受検して入学した生徒の中には、日本語習得がなかなかできないまま残念ながら退学してしまった生徒さんもいるということも伺っております。ですから、そういう意味では十分な体制ではないのではないかというふうに私は感じております。
 それから、三部制の学校なんですが、ここも三教科受検で、日本語が余りできなくても、英語と数学が高得点をとれる生徒さんが入学してくるそうです。ことしは特に、五教科受検を避けてこの三部制の学校に、日本語ができないけれども英語と数学はとてもできるという生徒さんが集まってきているというふうに伺っております。
 ここは特に教員の加配もなく、今現場の工夫で何とか授業を行っているということですが、こうした現状もぜひつかんでいただいて、日本語を母語としない、日本語の勉強が必要な子供たちのための必要な教員の加配を求めまして、次の質問に移ります。
 次は、医療的ケアが必要な子供に対する教育を受ける権利を保障することを求めて質問を行ってまいります。
 私は、これまでの委員会でも、何回か医療的ケアが必要な子供たちが教育を受ける権利が保障されていない、これをしっかり保障してほしいということを求めて質問を行ってまいりました。
 東京都は、全国に先駆けて障害児の全員就学を実現してきたという歴史があります。医療の進歩により、重度障害、重度重複障害の子供の数もふえていますが、そうした子供たちにも就学を保障するのは都教育委員会の責任です。
 医療の進歩で、経管栄養や気管切開、人工呼吸器等が必要なお子さんでも、自宅で生活し、学校に通える子供たちがふえてきました。現在、医療的ケアを必要とする子供は、都立肢体不自由特別支援学校全体の約三分の一にも上っております。一言で医療的ケアといってもその内容はさまざまで、子供によってその対応も違います。
 そこで、まず特別支援学校に通う医療的ケアが必要な児童生徒への対応について、都には要綱があると聞いておりますがどのようなものか伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、学校において日常的に医療的ケアが必要な児童生徒に対し、安全かつ適切に医療的ケアを行うための実施体制の整備を目的として、都立肢体不自由特別支援学校における医療的ケア実施要綱を制定しております。
 この要綱では、学校における医療的ケアの実施者及び実施することができる範囲などを規定してございます。

○里吉委員 私も読ませていただきましたが、医療的ケアを必要とする子供が、健康で安全な学校生活を送るために、誰がどのような医療的ケアを行うことができるのかということが書かれております。看護師さんができること、教員や学校、介護職員ができること、またできないことなどが示されておりました。
 今回はその中の一つ、経管栄養について伺いたいと思います。
 学校での給食、食事ですが、この経管栄養できることになっているんですが、半固形物にしてほしいという要望が出ていますが、この要綱を見ますと、実施できる要綱の中には、胃瘻または腸瘻による経管栄養とあるだけで、これができるのかどうかというのがわからないんですね。実際には、半固形物による胃瘻などは行われていないと伺っております。
 例えば、市販されている半固形物などは利用できないのでしょうか、現状、見解を伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 学校で実施することができる医療的ケアの範囲は実施要綱で規定してございます。この実施要綱には経管栄養の項目がございますが、具体的な内容までは定めておりません。
 市販されている半固形物の利用につきましては、医療機関ではない学校において安全かつ適切な実施が可能かどうか、医学的知見に基づいた慎重な検討が必要でございます。

○里吉委員 医学的見地に基づき検討が必要ということでした。
 医療的ケアを必要とする児童生徒に対する学校での医療的ケアを実施するために、医療的ケア運営協議会というものが設置されております。年数回開催されていると伺いました。ここには、要綱もいただきましたけれども、医療関係者の方や保護者の方、学校職員の方、それから都教育委員会の方などが参加をされております。こういうところでぜひ実現に向けて、専門家のご意見も聞きながら検討していただきたいということを要望しておきます。
 次に、通学保障について伺います。
 医療的ケアの必要な子供の中にはスクールバスに乗ることができず、自家用車、その他の方法で通学しているお子さんが多くいらっしゃいます。
 現在、どれくらいの児童生徒がスクールバス以外の方法で通学しているのかまず伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 平成二十八年五月一日現在、肢体不自由特別支援学校に在籍する児童生徒のうち、スクールバス乗車中に医療的ケアが必要なため、スクールバスに乗車していない児童生徒は百九十三人でございます。

○里吉委員 五月一日現在ですが、百九十三人の子供たちがスクールバスの利用ができないことがわかりました。
 このスクールバス利用できない方はどうやって学校に行っているかというと、自家用車で行っている場合、おうちに車がなかったり運転して送迎できる方がいなかった場合は、福祉タクシーを利用するなどしないと学校に通うことはできないわけです。
 自分のうちに自動車がないとか、送迎するお母さんが免許を持っていない、こういうときに保護者の中からは、せめて保護者同伴でスクールバスに乗せてほしいという要望が毎年出されているのも当然だと思うんですね。
 スクールバスを小型化にした福祉タクシー、学校としてこれを、福祉タクシーをスクールバスとして活用するだとか、さまざまな方法を検討して、親御さんが連れていく手段がないから本当は学校に行けるのに学校に行けないということがなくなるように、これ繰り返し要望しているのできょうは要望にとどめておきますが、ぜひ検討していただくように要望しておきたいと思います。
 それから、肢体不自由特別支援学校で、医療的ケア実施のために、付き添いが送り迎えだけではなくて学校にずっと付き添っていなければいけない、こういうお子さんもいらっしゃいます。
 現在、学校に保護者の方が付き添っている、こういう人数と、特に教室で待機している保護者の方、どれぐらいなのか伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 平成二十八年九月十五日現在、肢体不自由特別支援学校の医療的ケア実施のために付き添いが必要な保護者は三十三人でございます。そのうち、教室内で待機している保護者は十六人でございます。

○里吉委員 四月はもうちょっと付き添いをしているお母さんたち多いと思うんですが、いろいろ看護師さんに対応してもらって、二学期からは付き添わなくてもいいという方もいらっしゃるということで、九月十五日現在だと付き添いが必要なお子さん、三十三人ということだというふうに思います。
 しかし、九月になっても付き添っているこの三十三人の保護者、多くはお母様だと思うんですけれども、ここはずっと付き添いが必要な方が多いと思うんですね。子供たちが授業を受けている間中ずっと待機しているということです。
 医療的ケアが必要なお子さんですから、家に帰っても、お母さんはほぼ子供につきっきりだと思います。本当に休む間もなく対応しなければいけないということで、これでは親の方が参ってしまうわけです。
 それで、どうしようかと学校に相談すると、学校から示される解決策が、訪問学級もありますよというふうに勧められるそうです。でも、子供たちは学校で、今、楽しくお友達と一緒に毎日過ごしているわけです。家の中で先生と一対一の訪問学級とはまるで違います。
 先生やお友達もたくさんいて、さまざまな刺激を受けることのできる学校は、訪問学級に比べたら子供の発達も全然違います。訪問学級になったら、お友達との関係も切れてしまいます。
 訪問学級は、子供本人の体力などの理由で、学校に通うことのできない子供に就学の機会を保障するために必要な制度であり重要だと思いますが、子供本人に気力も体力もあって本来学校に通えるはずが、通学手段がなかったり親の都合で付き添いができずに訪問学級になっているとしたら、これは問題だと私は考えます。
 保護者の付き添いが必要な医療的ケア、これがなかなか減らないということが、これまで私もずっと質問してきたわけですが、具体的にはどのような場合なのか改めて伺いたいと思います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 保護者の付き添いが必要な医療的ケアとは、学校が実施することが困難な高度な医療的ケアであり、主として人工呼吸器の管理が必要な場合でございます。

○里吉委員 主には人工呼吸器をつけているお子さんについて、保護者の付き添いが必要ということでした。しかし、今述べましたように、全ての保護者の方が送迎や付き添いができるわけではありません。
 私が以前お話を伺ったお母さんは、子供が小学生なんですけれども、呼吸器をつけています。今、小学校一年生です。毎日お母さんが付き添って学校まで行って、トイレ以外は全て隣にいる状態で授業を受けている、こういう状態なんですね。この子も、もしお母さんが倒れてしまったら、訪問学級がいいですよというふうに勧められているんです。
 そこでちょっとお伺いしたいんですけれども、スクールバスに乗れないとか、それ以外の対応もとれなくて訪問学級になっているというお子さん、保護者が付き添えないために訪問学級になっているお子さん、現在どれくらいいるのか伺いたいと思います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 平成二十八年五月一日現在、在宅で訪問教育を受けている児童生徒は百五十七人でございます。
 なお、健康面や体力面での負担や感染症への危険性などの医療面や医療機器の運搬や通学方法の準備などの通学に係る負担などの要因が複合的に組み合わさっているので、通学できない理由を特定することは困難でございます。

○里吉委員 今、分けるの困難というふうに答弁ありましたけれども、具体的には、先生に相談して、訪問がありますよといわれた方とか、それから看護師さんを自分で雇ったらいかがですかといわれたお母さんもいらっしゃるんですね。ということは、お金があれば看護師さんを雇ってお子さんは通学できるわけですから、本人の原因ではないということだと思うんですね。
 今お話しした方なんですけれども、小学校入学して、毎日週五日、お母さんが付き添って通っていました。ところが、お母さんが過労で体調を崩してしまって、今は週三回の登校に控えているそうです。
 お子さんは、学校が楽しくて友達もいるので、あしたは〇〇君はお休みだよというと泣いてしまうそうなんですね。お母さんは毎回、ごめんねお母さんが疲れてしまって、謝っている。本人は元気なので本当は連れていってあげたいけれども、自分が倒れてしまっては元も子もないということで、仕方なく今、週三回、それでも頑張って通学しているということでした。
 この方も都教育委員会の方に相談したら、ご自分で看護師さんにお願いして付き添いをしてもらっている方もいらっしゃいますよというふうにいわれたそうですが、経済的にはそれが難しいので諦めているといっておりました。
 また、来年入学する予定のお子さんも、下に兄弟がいて学校への付き添いは難しいので、今から訪問にせざるを得ないと諦めているというお話も聞きました。
 子供の体調ではなく、通学の手段がなかったり付き添いができないために、訪問学級になっている子供の数、カウントできないというご答弁でしたが、これはちゃんと調べればわかると思いますので、今後明らかにしていただきたいと思います。
 また、学校現場も、都教育委員会も、本当に努力をしていただいていることは私も理解をしております。それでも、やはり今の医療の進歩に学校の対応が追いついていないのではないかということも感じます。
 東京都は、医療的ケアの必要な子供について、さらに学校で教育が受けられるよう、要綱の見直しや看護師の配置をふやすなど、さまざまな角度から検討していただきたいと思いますが都教育委員会の見解を伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、これまでも社会福祉士及び介護福祉士法の一部を改正する法律の施行に合わせて、特定の研修を受講した教職員が学校で医療的ケアを実施できるようにするなど要綱を改正してまいりました。
 また、学校で実施可能な医療的ケアを適切に実施するために必要な看護師については、常勤看護師の配置に加えて、学校からの申請に基づいて非常勤看護師の配置に必要な予算を確保しております。
 さらに、学校で実施できる医療的ケアの範囲につきましては、児童生徒の生命の安全と健康の維持を第一に考え、医学的知見に基づいた慎重な検討が必要であると認識しております。

○里吉委員 現在、厚生労働省では、医療的ケア時の支援について新たな検討、具体化が進められていると伺っております。
 また、私の地元世田谷区には国立成育医療センターがありまして、医療的ケアの必要なお子さんが比較的多い地域ではないかと思います。
 世田谷区では、医療的ケアを要する障害児者に関する実態調査を昨年度行いました。そこでも、就学前から十七歳までの課題として、福祉と医療と教育の課題ということで、医療的ケアがあると、通学できなかったり、保護者が付き添わないと通学できない場合が多い、学校で一緒にいることが負担になっている、こういうことが挙げられておりました。
 児童生徒の生命の安全と健康の維持を第一に考えるのは、当然のことですし大切なことです。
 一方、医療も進歩しており、要綱をつくったときには想定されていなかったものもあるのではないかと思います。医療的ケアを必要とする子供たちの教育を受ける権利を保障するために、要綱の改定や看護師配置の拡充など、さまざまな工夫を行っていただいて、積極的に取り組んでいただくように要望し次の質問に移ります。
 続きまして、ことしから本格的に始まりました特別支援教室について伺ってまいります。
 資料もいただきましたけれども、改めてこれまで通級といわれていたところ、情緒障害の通級学級が特別支援教室に変わって、今改めて全体どれくらいの公立小学校で特別支援教室が実施されているのか。昨年と比べて通っている児童数、そして教員数の人数はどうなっているのかまず伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 平成二十八年度に区市町村教育委員会が特別支援教室を設置した学校数は千二百八十六校中六百二校でございます。
 また、小学校において在籍学級を離れて、一部特別な指導、支援を受けている発達障害の児童数は、平成二十七年度は七千百九十人であり、平成二十八年度は九千四百六十九人でございます。
 特別な指導、支援を行う教員数は、平成二十七年度は千六十一人であり、平成二十八年度は一千百三十二人でございます。

○里吉委員 今、数を示していただきましたけれども、いただきました資料にも、一五、一六ページにございますが、児童数は一六ページの一番下のところにあります。これ引き算すると、二千二百七十九人児童数はふえております。教員は七十一人増です。教員一人当たりの児童数がふえているのがわかると思います。
 私の住む世田谷区で見ますと、教員数は五十九人で変わりませんが、児童数は四百一人から五百四人と百人以上もふえております。
 これは、これまで十人で一学級プラス一人という教員配置だったものが、自治体ごとに十人に一人となったので、世田谷区では子供の数が五百九十人になるまで、教員数は五年間の経過措置の間ではこのままだということだと思います。
 拠点校への登校の負担がなくなったこともあって、特別支援教室に通う児童がふえたこと、本来行くべき子供が通えるようになったことは評価できますが、一方で教員の配置基準が引き下げられたことの影響が私は既に出ているのではないかと思うんです。
 いろいろお話聞きますと、今までと同じだけの時間数が確保できていない、今まで通級を四時間受けていたけれども現在は二時間になっている、こういう実態も寄せられております。
 都教委が保護者向けにつくったリーフレットには、これまでどおり必要な時間数の指導を受けることができますというふうに書かれておりましたが、実際にはできていないのではないかと思います。
 それから、教室の整備はどうか。実際に始まった特別支援教室は、専用の教室の場合や既存施設の転用の場合、巡回があるときだけどこかの部屋を借りて、特別支援教室として使っている場合などがあると思いますが、この教室整備について都教育委員会の基本的な考え方を伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、特別支援教室の導入ガイドラインにおいて、教室整備の基本的考え方につきまして、専用のスペースを設ける場合や既存施設を有効活用する場合、巡回指導の日にのみ使用する兼用とする場合など、さまざまな工夫があることを示しております。
 小学校における特別支援教室の施設や設備は、各校の実情に応じて区市町村教育委員会が適切に判断し整備するものでございます。

○里吉委員 そうなんです。通級指導学級の設置校は、通級専用の教室そしてプレールームなど、専用施設が必ずありましたが、今ご答弁にもありましたように、特別支援教室については、都教育委員会のガイドラインで既存施設の有効活用や兼用などでも可能というふうにしているわけですね。
 結局、専用の部屋を用意できない場合は、さまざまな教材を置く場所もないし、私がお話聞いた先生は、教員が全部の必要な教材を持って移動している、こういう先生もいらっしゃいました。集団指導を行うためのプレールームがなければ、その場所の確保もしなければならないわけです。
 都教育委員会は、この部屋を用意するために、既存施設を転用する、いろいろ準備をするためのお金も出して工事をされたと思いますが、この補助金を使って工事を行った学校、どれくらいあるのか、どのような工事が行われたのか伺いたいと思います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 特別支援教室の環境整備に当たり、東京都公立小学校特別支援教室設置条件整備費補助事業による補助を行った学校数は、教室設置校六百二校のうち二百六十三校でございます。
 また、環境整備の主な内容は、部屋の分割や個別スペースを設けるための間仕切りの設置、照明の増設や位置の変更などでございます。

○里吉委員 六百二校のうち二百六十三校が補助金なども使って整備をしたというご答弁だったんですが、それでは、専用の部屋をつくった学校はどれくらいあるのかとか、既存施設を転用した特別支援教室はどれくらいあるのか、また巡回指導があるときにだけ、どこかの教室を借りている特別支援教室はどれくらいあるのかというふうに伺いましたら、それはわからないというお答えでした。
 これはぜひ、そういうことも今、途中だと思いますが、例えば導入一年目の年度末などにきちんとどういう体制になっているのか、都教育委員会の責任でつかんでいただきたいというふうに思います。
 四割を超える学校で間仕切りの設置など、何らかの改修工事を行ったことがわかりましたが、学校現場の話を聞きますと、個別の部屋がなくてパネルで仕切っただけで、声が丸聞こえで集中できない、兼用の部屋で余分なものが多くあって刺激になってしまうなど、せっかくの個別指導の場、集中して勉強できる環境になっていない、ぜひ改善が必要だという要望が多く寄せられておりました。
 それから、集団指導については、広い部屋がなくて体を動かすスペースがない、窓ガラス、蛍光灯に安全対策がないのでボールが使えないなど、そういった課題も寄せられておりました。
 こういったことについても、まだ導入一年目ですから、これから改善することができないのか、それぞれの区市町村の教育委員会とも一緒になって、改善のために取り組んでいただきたいと思います。
 小集団指導について伺います。
 情緒障害等通級指導学級では、特別指導と小集団指導を適切に組み合わせて、大きな成果を上げていました。
 ところが、現在行っている特別支援教室への移行の中で、小集団の指導を行わないとか、行えないというところが出ているようなんですね。これまでの情緒障害等特別支援学級で行ってきた小集団指導が学校によっては行われていない、その理由について伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 小集団の指導は、例えば特別支援教室の中で行うほか、学校の実情に応じてさまざまに既存施設を有効に活用して行っております。
 また、小集団の指導は、児童の障害の状態等に応じて実施するものであり、小集団という指導方法によらない場合もございます。

○里吉委員 小集団という指導方法によらない場合もあるということなんですが、必要な場合は小集団指導をやれるというふうにこれまでお答えになっていたと思うんですね。
 実際には、小集団指導が例えば場所がなくてできないとか、メンバーがうまくそろえられなくてできないとか、私いろいろ聞いているんです。都教育委員会としては、本人の実情ではなくてそれ以外の理由で、小集団は必要だと思っているが実際にはできていないという現状はつかんでいないんでしょうか、お伺いします。

○浅野特別支援教育推進担当部長 特別支援教室における指導では、児童の障害の状態等に応じて指導計画を個別に作成することが基本であり、指導の目標を達成する上で効果的である場合に、小集団による指導を実施するものでございます。
 また、自立活動の指導を小集団で行う場合でも、必ずしも専用の施設や広いスペースが必要なものではなく、学校の実情に応じた工夫は可能と考えております。

○里吉委員 いろいろな工夫で小集団指導が必要な場合はできているというお答えだったんですけれども、小集団は必要だと思っているが、実際にはできていない現状は、特につかんでいないということでよろしいんでしょうか、お伺いします。

○浅野特別支援教育推進担当部長 自立活動の指導を小集団で行う場合でも、必ずしも専用の施設や広いスペースが必要なものではなく、学校の実情に応じた工夫は可能と考えております。その判断は、区市町村教育委員会が適切に判断するものでございます。

○里吉委員 同じ答弁なので、ちょっと違う話をしたいと思うんですが、多分、教育委員会の人もご存じだと思うんですが、東京都市長会からの重点要望、来年度に向けての要望、五項目にわたって、主には教員をふやしてほしいということ、それから、小集団指導するための場所を用意するための財政措置が欲しい、このような要望が出ているわけですね。
 ということは、区市町村として、これは市長会ですから、多摩の方の方々、教育委員会では、小集団したいけれども、なかなか場所ができなくて、それを何とかしたいと。東京都に対して、国に対しても財政的支援を求める要望になっておりますけれども、そういうことをいっている。これはごらんになっていますか、それだけ確認します。

○浅野特別支援教育推進担当部長 はい、見ております。

○里吉委員 見ているというお答えでしたので、これからぜひ検討していただけると思いますが、五項目にわたって書いてありますので、全部は読みませんけれども、例えば発達障害等の児童生徒の指導と支援には、集中して学習できる環境と小集団指導にも対応できる施設設備の整備が必要である、整備に係る予算の拡充を国に強く働きかけるとともに、都においても十分な財政措置を講じられたい、こういうことも書いてあるわけです。
 いろいろな項目、多岐にわたっていますけれども、おしなべてもっと先生をふやしてほしい、基準をもとに戻してほしい、そして、きちんと施設を用意するための財政的支援してほしいということが出されているっていうことからしても、やっぱりこれ、まだ不十分だということではないかということで、ぜひこれは検討していただきたいということを申し上げておきます。
 それで、これは二〇一四年の事務事業質疑で当時の金子指導部長も、発達障害の児童生徒は、怒りやいらいらなどの感情や行動の自己制御が難しいから、対人関係のトラブルを生じやすい傾向があると。だから、通級では人とのかかわりの中で感情や行動を自己抑制する力を養うことを目的に、勝敗のわかりやすいゲーム活動やロールプレーを取り入れた学習などいろいろ行っているんだと。今後、導入を予定している特別支援教室でも、児童生徒一人一人の障害の状態を踏まえて、小集団による指導を必要に応じて行っていくといっているわけですね。
 今のご答弁だと、必要がある生徒児童にはやっているけれども、それが必要なくなったかのようなご答弁に聞こえたんですけれども、決して現場ではそうは思っていないということだと思いますので、ぜひ対応していただきたいと思うんです。
 現状をつかんで、小集団指導を行うために、教員配置や拠点校への通級を認めることや、何らかの対策をとっていただきたいと思うんですが、最後にいかがでしょうか。

○浅野特別支援教育推進担当部長 特別支援教室については、今年度から始まったものでありまして、区市町村教育委員会や学校の実情をよく聞きながら、適切に検討していきたいと思っております。

○里吉委員 ぜひ現状つかんでいただいて、対応していただきたいと思います。
 そして、教員の指導力向上についても、先ほども質疑がありましたので、これは質問いたしませんけれども、拠点校に五人、十人、先生がまとまっていたときには、経験のない先生もベテランの先生も一緒に授業をつくっていく中で専門性を磨くことができました。
 今、特別支援教室は、先生がばらばらに通うので、新人の先生にはきついのではないかという不安が出されていて、先ほどOJTという話がありましたけれども、経験豊かな先生と新人の方が一緒になって学校を巡回する、そういうこともやっている区市町村もあるということだったと思うんですね。
 そういう区市町村がある一方で、それができていないところもあります。ですから、これから子供もどんどんふえていきますし、特別支援教室で専門性を発揮していただく先生を育てるために、この現状についてもぜひつかんで、対応を今から考えていただきたいということを申し上げて、最後の質問に移りたいと思います。
 最後は、少人数学級、三十五人学級について伺います。
 東京都では現在、小学校一、二年生と中学校一年生が三十五人学級となっていますが、小学校三年生以上に拡大してほしい、全学年で実施してほしいというのが保護者や校長会、副校長会から都民の強い願いとして出されてまいりました。
 文部科学省の中央教育審議会初等中等教育分科会は、二〇一〇年、暴力行為やいじめの増加、不登校の深刻化、特別支援学級の割合、日本語教育が必要な外国人児童生徒の増加などなどの事例を示しながら、生徒指導等の課題が複雑化、多様化し、学級の秩序が確保できなくなるなどの事態も生じるなど、四十人という学級規模では学級経営が困難になっているという見解を示しております。
 そこで伺いますが、都教育委員会は、このような現状認識をどのように受けとめているのでしょうか、伺います。

○粉川地域教育支援部長 都教育委員会は、小一問題、中一ギャップの予防、解決のため、小学校第一学年、第二学年及び中学校第一学年において、三十五人学級編制を可能としております。
 また、学校が直面する複雑化、多様化している教育課題に対し、児童生徒一人一人の確かな学力の定着と伸長を図るため、習熟度別指導、少人数指導が可能となる教員加配や課題のある児童生徒等にきめ細かく対応できるよう、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど教職員以外の専門的人材の配置など、適切な学校経営を行えるよう対応しております。
 なお、義務教育における今後の学級編制のあり方は、教育の機会均等や全国的な教育水準維持の観点から、国の責任が大きいと考えております。

○里吉委員 私は、現状認識をお伺いしたんですけれども、対応についてお答えいただいたと思います。
 学校が直面する複雑化、多様化する教育課題に対して、少人数指導のための教育配置やスクールカウンセラーの配置などの対応を行っているということですが、私が伺いたかったのは、その複雑化、多様化している教育課題とは具体的にどんなことだと捉えているのかという認識や、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを都教育委員会として配置した理由についてです。ぜひお答えいただきたいと思います。

○粉川地域教育支援部長 学校が直面する複雑化、多様化する教育課題とは、経済社会のグローバル化や高度情報化社会の進展、少子高齢化などの時代の変化の中で、みずから考え行動する力や社会の発展に貢献する力を培うことであり、具体的には個々の子供に応じたきめ細かい教育の充実、これは基礎、基本の定着と学ぶ意欲の向上などでございまして、ほかには社会的自立を促す教育の推進、これは社会的、職業的自立を図る教育の推進や、不登校、中途退学対策など、さらには子供たちの健全な心を育む取り組み、これはいじめ、暴力行為、自殺等防止対策の強化などでございます。

○里吉委員 大きな観点から細かい具体的な話までしていただいたんですけれども、今、私が最初に紹介したような学校の中での暴力行為やいじめの問題、それから不登校がふえている問題、日本語教育が必要な外国人の児童生徒がふえている問題、それから子供の貧困の問題など、こういった問題も都教委が考える複雑化する、対応しなければいけない現状ということでよろしいでしょうか。

○粉川地域教育支援部長 大変失礼しました。まず、先ほどのご質問で、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーについてのご質問、漏れましたので、改めてご答弁させていただきます。
 スクールカウンセラーの配置は、いじめや不登校など、児童生徒の抱えるさまざまな課題に対応する教育相談体制の充実を図るためであり、スクールソーシャルワーカーの配置は、関係機関との連携を構築し、福祉分野から児童生徒の問題解決を図るためでございます。
 また、先ほどの学校が直面する複雑化、多様化する教育課題への対応についての認識でございますけれども、都教育委員会は、小一問題、中一ギャップの予防解決のため、画一的な学級規模の縮小ではなく、学級規模の縮小や少人数指導、チームティーチングの活用など、各学校の実情に応じて最適な方策を検討できる弾力的な制度として実施をしております。
 また、先ほどお話のありました文部科学省の中央教育審議会の提言についてでございますが、ご指摘の箇所のほか、提言では国に対し学級編制の改善を行うに際しては、国が全国的な教育水準の維持向上を図るため、その財源を国の責任で担保することが極めて重要であるとしております。
 また、国が学級編制の標準を引き下げて、少人数学級を実施する場合には、新たに必要となる教室等の施設整備について、全国で教育条件に格差が出ないよう、国として所要の財源を確保する必要があるとも提言しております。
 このように、お話の提言においても、義務教育についての国の責任が大きいとしているため、引き続き国の動向を注視してまいります。

○里吉委員 国の責任が大きいのは当然であります。しかし、資料で一ページ、二ページ目、三ページ目、出していただいたように、全国四十七都道府県のうち、四十はもうそれを超えて、東京も超えているわけですから、それを入れると全てが国の基準を既に超えて独自にやっているわけですよね、東京都も含めてね。
 ですから、国に対してきちんと学級編制の基準をもっと小さくするように求めることは当然ですが、だからといって、東京都が何もしなくてもいいということにはならないと思うんですね。
 それで、中教審で何をいっていたかということで少し具体的にお話ししますと、私も調べてみたんですけれども、現在の学級編制の基準である四十人学級が実施されたのは一九九一年です。二十五年経過しました。
 この二十五年間のうちに、子供たちを取り巻く環境は大きく変化しました。貧困世帯の子供、発達障害、外国人の子供など丁寧に対応する必要のある子供の数が大きく増加をしています。
 そして、例えば東京の小中学校で就学援助を受けている子供はこの十七年間で約一・五倍ふえています。通級指導に通う児童生徒も二十五年間で二十倍にもなりました。不登校の割合も二十五年前の約二倍になって、小学校でも〇・四六%、中学校で三・一七%と全国平均より高く、しかも学年が上がることに増加する傾向にあるということが報告されております。
 日本語指導が必要な外国人の子供も、これも先ほどの資料にありましたけれども、毎年のようにふえているわけです。そういう中でどうするのかということが求められていると思うんですね。
 私は、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど、教職員以外の専門的人材を配置して対応することも非常に大事だと思います。いじめへの対応や子供の貧困への対応など、そういった専門家の力をかりることは大事ですけれども、それとあわせて、やはり学校の先生そのものがふえなければ、クラスの人数が減らなければ、本当に今の現状、大変なんじゃないかというふうに思うんです。
 ある小学校の先生にお話を聞きましたら、その学校の学区の関係で、一学年の人数、七十五人程度になることが多いそうなんですが、学年七十五人ですから、一、二年生は三十五人学級で、一クラス二十五人、それが三学年になると三十八人ですから一・五倍になるわけです。一気にクラスの人数が十三人ふえます。すると、パニックを起こしやすい子や教室を飛び出してしまう子供への対応や、保護者に細かく連絡が必要な子供への対応など、そういうきめ細かに対応しなくちゃいけない子供がクラスに一人とか二人だったのが三人、四人になってしまう。
 勉強が苦手な子供のフォローも、一人、二人だったら授業中にカバーすることもできたけれども、三人、四人とふえてくると授業中だけでは難しい、放課後に居残りさせて、今勉強させているということもありました。
 また、単に子供が一・五倍になるというだけではなくて、二十五人のとき、クラスは落ちついていたそうですが、やっぱり三十八人になると落ちつかなくなったりするそうです。
 貧困家庭の子供の話を聞いて、必要な手当をしてあげたり、不登校の子供も一人から二人にふえれば、対策会議や家庭との相談や電話、訪問など、子供への働きかけなど、全てが二倍になるということで、本当に大変だというふうにお話ししておりました。
 そして、私も経験ありますけれども、先生が余りにも忙しそうだと、親も相談したくても先生に話せない。そして、子供たちも先生に話したいことがあっても遠慮してしまうということもあるんじゃないかと思うんですね。
 単純に伺いますけれども、一クラス二十五人と三十八人、より丁寧な対応を必要とする子供だけでなく、ほかの子供たちにとってもどちらがよいか明白だと思いますがいかがでしょうか。

○粉川地域教育支援部長 先ほどご答弁した複雑化、多様化している課題に対応していくためには、画一的な学級規模の縮小だけではなく、校長のリーダーシップのもと、学校のマネジメントを強化し、組織として教育活動に取り組む体制をつくり上げることが必要であり、その上で学校や教員が専門スタッフや専門機関と連携、分担する体制を整備し、学校の機能を強化していくことが重要でございます。
 例えば、いじめ問題は学校の規模によらず起こり得るものであり、大切なのは特定の教員が一人で抱え込むことがないよう、管理職やスクールカウンセラーを初め、全教職員が複層的な視点から子供たちの変化をいち早く把握し、組織的に対応することなどにより、学校全体で取り組んでいくことでございます。

○里吉委員 今、資料の一ページ、二ページ、全国の国の基準を下回る学級編制の実施状況について、これ、毎年出していただいているんですけれども、見ていただくとわかるように、四十七都道府県のうち、四十は東京都以上の取り組みを進めているんじゃないかというふうに思うんですね。
 中には岩手県とか宮城県とか上の方から見るとそういうところなんですが、個別の実情に応じた弾力的な学級編制、市町村教育委員会からの要望とか、全部を一遍にやらなくても、市教育委員会の考え方によってやりたいというところには、県が多分対応して少人数学級をやっているんじゃないかと思うんです。
 都内でも、二十三区の中には自治体の単費で少人数学級を実施しているところがございます。それから、区議会などで少人数学級の推進を求める、これは国に対しても含めてですけれども、そういう意見書が採択されているところもありました。
 三十五人以下学級を求める要望は、東京でも現場では強いものがあるわけです。全国の多くの県で少人数学級が実施されているところでは、いじめが早期発見できたとか、不登校が減ったなどの効果も報告されております。
 ですから、一学級の子供たちの人数を減らしていくことで、先生たちと生徒が日常的に触れ合う時間がふえる、子供たちの小さな変化に気づいたり個に応じた対応をしていくことができる、教職員以外の専門家の力をかりるときも、その力を発揮してもらう体制をつくることができるのではないかと思います。
 それで一つ、中学校一年生の少人数学級について伺いたいんですが、都教委は中学校一年生の少人数学級を行っていますが、実際にこれ、少人数学級となっている中学校、どれぐらいなのか伺います。

○粉川地域教育支援部長 平成二十八年度、中一ギャップの予防、解決のための教員加配の対象となった学校二百六十校のうち、学級規模の縮小を選択している学校は百四十五校でございます。

○里吉委員 六割弱の学校が三十五人学級を選択して、四割弱がチームティーチングの少人数ということでした。
 中一ギャップに効果がある少人数学級が広がっていないのはどうしてか理由を伺いましたけれども、特に調査していないということでした。
 私は、これはぜひ調査してほしいと思うんですが、校長先生初めとする現場の先生にお話を聞きましたら、少人数指導を選んでいる学校でも、必ずしも積極的に少人数指導がよいと思っているわけではないようなんですね。
 少人数学級は歓迎しているけれども、一年生だけ三十五人学級で、二年生に進級したとき四十人学級に戻ってクラスが減るというのは、思春期の生徒が在籍し、また教科担任制という条件の中学校では、学校運営が大変難しくやりづらいなどの理由で、少人数指導を選んでいる場合も少なくないと聞きました。
 ですから、三年間を見通した学校運営のためには、二年生以上への拡大が必要、生徒が著しく変化する二年生への対応をしてほしい、受験がある三年生への対応をしてほしい、こういう声が多く寄せられておりました。
 都教委は、こういった学校現場の意見は聞いたことはないのか最後に伺います。

○粉川地域教育支援部長 学級規模の縮小を選択した学校とチームティーチング等を選択した学校のいずれにおきましても、小一問題、中一ギャップの予防、解決のための教員加配は、学習指導や生活指導を初めとするさまざまな側面に対し、よい影響をもたらしたことがわかっております。
 そのため、学級規模の縮小とチームティーチング等の活用を各学校の実情に応じて選択できる柔軟な制度として実施しております。小学校第二学年、中学校第一学年における加配の活用は、各学校、各区市町村により判断された結果であり、あえて都として調査するつもりはございません。

○里吉委員 少人数学級をやりたくてもできないという声、私、複数聞いております。ぜひ学校現場や保護者の声を聞いて、この問題解決のために、少人数学級実現のために取り組んでいただきたいことを申し上げまして、私の質問を終わります。

○植木委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十九分休憩

   午後三時四十五分開議

○植木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○今村委員 それでは、私からも質疑をさせていただきたいと思います。
 まず、主に登下校時における児童の安全対策について伺います。
 通学路で児童が巻き込まれる交通事故が後を絶ちません。先月二十八日には、神奈川県横浜市で登校中の小学生九人が事故に巻き込まれ、男児一人のとうとい命が奪われました。また、この二日にも、千葉県の八街市で登校中の小学生の列にトラックが突っ込み、四人の児童が病院に搬送されるという痛ましい事故も発生しています。
 通学路の安全対策には、国が二〇一二年度に登校中の児童などの列に自動車が突入する事故を初め、登下校中の児童が死傷する事故が連続して発生したことから、全国の公立小学校及び公立特別支援学校小学部の通学路を対象に、学校、教育委員会、警察署及び道路管理者などが連携して行う緊急合同点検を実施し、危険箇所の抽出及び対策案を作成するとともに、必要な対策を講じるよう通知しています。
 この通知を受け、各学校においては関係者で連携して、小学校の通学路の緊急合同点検が実施されています。その緊急合同点検の状況とその後の対策について伺います。

○粉川地域教育支援部長 都教育委員会は、これまでも登下校中の児童の安全を確保するため、教職員や保護者等が通学路の安全点検を定期的に実施するよう、市区町村教育委員会に対し指導してまいりました。
 平成二十四年度に実施しました通学路における緊急合同点検におきまして、市区町村教育委員会、または学校が対策を実施するとした箇所は千六十七カ所あり、平成二十七年度末時点で千五十四カ所の対策を完了しております。
 十三カ所の未完了箇所につきましては、通学路の変更に伴う地域合意を得るため、関係者との協議、調整に時間を要しているものなどがあり、順次必要な対策を講ずるものとしております。
 都内公立小学校では、この緊急合同点検以降、毎年、通学路の安全点検を実施し、児童の安全確保に取り組んでおります。

○今村委員 二〇一二年度に実施した通学路の緊急合同点検の状況と緊急合同点検以降、毎年、警察署や道路管理者などの関係機関と連携し、通学路の安全確保に取り組んでいる状況がわかりました。
 しかし、こうした取り組みを実施するも、ことし二月には、町田市で登校中の小学一年生がダンプカーに巻き込まれ亡くなる痛ましい事故が発生してしまいました。
 通学路における交通事故をなくすためには、学校や市区町村教育委員会の取り組みはもとより、都においても通学路の安全確保に向けた積極的な取り組みを講じる必要があると思いますが、都教育委員会における取り組みについて伺います。

○粉川地域教育支援部長 都教育委員会では、登下校中の児童の見守り活動に要する経費の一部を補助する地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業により、市区町村が実施する安全対策に対する取り組みを支援しております。
 また、地域の見守り活動を補完するため、青少年・治安対策本部と連携し、小学校の通学路への防犯カメラ設置に要する経費の一部を支援しております。
 さらに、昨年度、都が新たに定めた通学路等における児童等の安全確保に関する指針に基づき、小学校の通学路の設定または変更の際に、所轄の警察署長へ意見聴取を行い、通学路の安全確保に万全を期すことなど、市区町村教育委員会を指導しております。
 これらの取り組みを市区町村教育委員会と連携しながら進め、学校の通学路の安全対策を推進しております。

○今村委員 都教育委員会における通学路の安全確保に向けた取り組み状況については理解をいたしましたし、評価をしていきたいと思います。
 都教育委員会は、登下校時における通学路での児童が巻き込まれる交通事故をなくすため、市区町村教育委員会などが推進する通学路の安全確保に向けた取り組みに対し、引き続き積極的な支援を行っていただきたいと思います。
 あわせて、学校内の児童生徒の安全確保を図るため、二〇〇六年度に校門の防犯カメラ設置に対する支援が行われ、現在、設置機器の更新に対する支援も行われております。
 通学路だけではなく学校内も含め、児童生徒の安全確保が図られるよう、市区町村教育委員会と連携した取り組みがさらに進むよう期待をしております。
 次に移ります。私は、これまで民俗芸能や伝統文化について質問を行ってまいりました。二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会を控え、訪日観光客もふえておりますが、東京には有形無形の文化財が数多く存在することが東京の魅力であり、多くの方に見て、知っていただく必要があります。
 一方、各地域で民俗芸能伝承者の皆様は、次世代の担い手を育成することなどに熱心に取り組んでおられご苦労されております。
 都においては、民俗芸能を初めとし文化財の保全、継承のため地域で熱心に取り組んでいらっしゃる方々の支援を行うことが必要だと考えます。
 そこで、都として文化財の保存、継承のための助成にどのくらいの費用をかけているのか、過去三年間の予算措置を伺います。

○粉川地域教育支援部長 文化財の保存助成の予算としまして、平成二十六年度は約五億九千万円、平成二十七年度は約七億六千万円、平成二十八年度は約九億三千万円を措置しております。

○今村委員 都の文化財の保存助成予算が増額になっていることは大変喜ばしいことであります。
 しかしながら、国の指定にかかわる文化財の助成は、国の助成措置に加えて都が助成を行っているものでありますので、国の予算動向も大事だと考えます。
 そこで、都は国にどのような要望をしているのかお伺いいたします。

○粉川地域教育支援部長 文化財の保存活用は全国的に重要であることから、全国都道府県教育長協議会及び全国都道府県教育委員協議会から、国に対し国宝、重要文化財、無形文化財、民俗文化財等の適切な保存、継承を図るため、保存、修理、整備や防災事業等について、助成措置、税制優遇措置及び交付税措置のさらなる拡充等を要望しております。
 また、都としましては、市区町村の要望を踏まえ、出土文化財を保存、活用できる埋蔵文化財調査センターの建設に要する経費などを要望しております。

○今村委員 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会に向け、今後も都として保全、助成に努め、国に対しても積極的に働きかけていただくことを期待しています。
 次に、伝統文化の継承、発展には、次世代の育成が欠かせません。
 そこで、都立高等学校全日制課程における日本の伝統文化に関する教科、科目を設置している学校数と主な内容について伺います。

○出張指導部長 平成二十八年度都立高等学校全日制課程百七十三校のうち、日本の伝統文化に関する学校設定教科、科目を設置している学校数は三十一校でございます。
 学科ごとの内訳は、普通科十六校、専門学科五校、総合学科十校でございます。
 日本の伝統文化に関する授業の主な内容は、茶道や華道、日本舞踊、伝統工芸、三味線、箏曲、和太鼓でございます。
 国際社会に生きる日本人としての自覚と誇りを養うとともに、多様な文化を尊重できる態度や資質を育んでおります。

○今村委員 各都立高校が日本の伝統文化について特色ある授業が行えますように、都教育委員会においては、必要な備品の購入のための予算や市民講師の方々などについても、今後も積極的に支援をされることを要望しておきたいと思いますし、わずかながらこうした科目、教科を設置している学校がふえているというふうにも聞いておりますので、さらにふえることを期待しておきたいというふうに思います。
 次に、公立学校の施設整備について伺います。
 学校施設の耐震化、冷房化は、児童生徒にとって安全で良好な学習環境を確保する上で重要であり、これまでもたびたび都としての取り組み、市区町村への支援を進めるよう申し上げてきました。
 耐震化については、構造体は完了しておりますが、非構造部材の耐震対策、特に体育館などのつり天井などの落下防止対策については、文部科学省が完了を目指すとしていた二〇一五年度末時点で完了していない状況にあります。
 また、冷房化については、普通教室の冷房化が完了し、二〇一五年度からは、対象とする特別教室を拡大し、取り組んでいるところと聞いています。
 さらに、昨年の事務事業質疑では、学校は避難所にもなることから、体育館の冷房化についてもあわせて確認をいたしました。
 そこで、まず都立高校の非構造部材の耐震化、特別教室及び体育館の冷房化の状況についてお伺いいたします。

○初宿都立学校教育部長 都立高校など都立学校の非構造部材の耐震化につきましては、平成二十七年度末現在、都立高校百九十校、都立特別支援学校五十七校の計二百四十七校中百八十校において完了しております。
 現在、夏季休業期間以外の時期にも工事を行うなど、取り組みの加速に向けた対策を実施しております。
 次に、冷房化についてでございますが、平成二十七年度末現在、都立高校百九十校中六十一校において普通教室で代替のきかない化学実験室などの特別教室への冷房設備の整備が完了しており、体育館に関しましては地下にあり換気ができないなどの理由により、例外的に二校において冷房設備を整備しております。
 特別支援学校では、五十七校中二十校において体育館に冷房設備を整備しております。

○今村委員 それでは、同様に市区町村立小中学校の整備状況についても伺います。

○粉川地域教育支援部長 市区町村立小中学校の非構造部材の耐震対策についてでございますが、都教育委員会は、平成二十五年度から国の補助制度に加え、都独自の補助を行っており、平成二十八年度も継続して実施しております。
 平成二十八年四月一日現在、つり天井や照明などの落下物対策が必要な全ての体育館など二千百四十七棟のうち千六百十棟が対策済みであり、対策実施率は約七五%となっております。
 次に、冷房化についてでございますが、都立高校に準じた特別教室を対象に、都独自の補助を実施しております。都の補助対象となる特別教室の冷房設置率は、平成二十八年四月一日現在で約七六%となっております。
 なお、体育館の冷房設置校数は、平成二十七年五月一日現在で九十二校となっております。

○今村委員 耐震化、冷房化の整備状況をお伺いいたしましたけれども、児童生徒の安全はもちろんのこと、多くの学校が災害時における避難所に指定されていることから、避難所としての役割、機能を踏まえた学校施設の整備が重要となります。
 避難所の機能という点では、食の確保を図る上で、電気、ガス、水道、また炊き出し用のスペースなども必要となります。例えば学校内に給食の調理施設があれば、避難者に温かい飲食を提供することも可能となり、災害時にも大いに活用が図れるのではないかと考えます。
 そこで、学校内に給食の調理施設がある都立学校及び市区町村立小中学校の数についてお伺いいたします。

○初宿都立学校教育部長 平成二十七年五月一日現在、都立学校につきましては、定時制高校五十五校中三十四校、中高一貫教育校十校中七校、特別支援学校五十七校中五十六校において学校内に給食の調理施設を設置しております。
 次に、市区町村立小中学校につきましては、小学校千二百九十二校中千百四校、中学校六百十七校中三百八十五校において設置しております。

○今村委員 学校内にある給食の調理施設などは、避難所生活が長期化した際にも、避難所機能として大変有効に活用できるため、都としても市区町村と連携し、煮炊きができる機能を検討するよう要望しておきたいというふうに思います。
 さて、ここまで耐震化、冷房化の取り組み状況についても伺ってきたところでありますが、これらは児童生徒の安全で良好な学習環境を確保することを目的に取り組まれています。
 一方で、多くの学校施設が避難所に指定されており、耐震化は避難所機能を確保するために当然に必要であり、また冷房化についても設置がされていれば、避難所として学校において大いに活用が図れるものと考えます。
 現在取り組んでいる耐震化、冷房化について、今後もより一層取り組みを前に進めるべきと考えます。
 そこで、都立学校の耐震化、冷房化について今後の取り組みをお伺いいたします。

○初宿都立学校教育部長 まず、都立学校の耐震化についてでございますが、体育館などの学校施設におきましては、地震発生時、天井や照明等の落下物から児童生徒を守るとともに、避難所機能を確保するため、今年度中に全体育館の非構造部材の耐震化を完了する予定であり、あわせて体育館以外の学校施設についても引き続き計画的に取り組んでまいります。
 次に、冷房化についてでございますが、夏季における教育環境の一層の改善を図るため、都立高校においては、平成二十七年度に行いました調査の結果を踏まえ、今年度から順次設計に着手しております。
 今後とも、特別教室の冷房化を進めるとともに、特別支援学校における体育館の冷房化につきましても順次取り組んでまいります。

○今村委員 それでは、同様に市区町村立小中学校の今後の取り組みについてもお伺いしたいと思います。

○粉川地域教育支援部長 地震発生時に児童生徒の安全を確保するとともに、避難所機能を確保するため、非構造部材の耐震化について、引き続き市区町村への支援を継続し、早期の対策実施を強く働きかけ、平成三十年度の対策完了を目指してまいります。
 また、特別教室の冷房化につきましては、今後も市区町村が計画的に整備を進められるよう支援を行ってまいります。
 なお、体育館の冷房化につきましては、引き続き国の補助制度を活用して取り組みが図られるよう指導助言を行ってまいります。

○今村委員 ありがとうございました。ぜひ計画どおり進むように期待をしています。
 次に、東京の宝ともいえます島しょ地域に関して質問をしてまいりたいと思います。
 島しょ地域の都立高校では、今年度の一年生から地元の教育委員会と連携して、島外に在住している生徒の受け入れの開始をし、今年度は神津島にあります都立高校に一名の生徒が入学をしていると聞いています。
 そこで、来年度の新入生に対する取り組み状況やこの取り組みについての今後の方針について、都教育委員会の考え方をお伺いします。

○初宿都立学校教育部長 平成二十九年度入学生における島しょの高校での島外在住中学生の受け入れは、神津高校と八丈高校で実施いたします。
 本年八月に実施しました中学生島しょ体験ショートステイでは、神津島村が八組の募集に対して三十六組の応募、八丈町が三組の募集に対して二十組の応募と、いずれも高倍率の中、参加者を決定し、地元高校の紹介や自然との触れ合いイベントなどを実施いたしました。
 こうした状況を踏まえ、去る十月十三日に公表いたしました島外在住中学生が島しょ高校への応募資格を得るためのホームステイ生徒選考において、神津島村は三名、八丈町は二名をそれぞれ募集することとしております。
 今後も、島外の生徒の受け入れ拡大に向け、島しょ町村の教育委員会や高校との協議を積極的に進めてまいります。

○今村委員 中学生島しょ体験ショートステイが高倍率になっているという答弁でありましたけれども、大変うれしく思います。積極的に進めるとの答弁もありましたので、今後の発展に大いに期待をしています。
 次に、島しょの魅力を身をもって実感できる、都立高校の小笠原諸島への修学旅行についてお伺いしたいと思います。
 都立高校の小笠原諸島への修学旅行の、まず二〇一五年、一六年度の実績と小笠原諸島へ旅行したことでどのような教育効果があったのかお伺いします。

○出張指導部長 都立高校の小笠原諸島への修学旅行については、平成二十七年度が全日制課程二校で実施いたしまして、合わせて四百二十六名が参加しております。平成二十八年度は、六月に定時制課程一校が実施いたしまして、十七名が参加いたしました。
 今後、全日制課程二校が実施いたしまして、合わせて三校、四百八十六名が参加する予定でございます。
 実施した学校からは、生徒が世界自然遺産である小笠原諸島の豊かな自然に触れることで、自然環境を保全することの重要性を学ぶとともに、島民との交流等を通じて、コミュニケーション能力が高まるなどの効果があったとの報告を受けております。

○今村委員 都立高校の小笠原諸島への修学旅行を推進するため、都教育委員会は通常の国内修学旅行の上限額を柔軟に解釈し、実施を可能としておりましたけれども、現在もこの方針に変更がないのか確認をいたします。
 また、高額な保護者の費用負担の軽減についてどのように考えているのか、あわせてお伺いします。

○初宿都立学校教育部長 小笠原諸島への修学旅行の経費は、燃料の費用が船賃に上乗せされますと、保護者負担の適正化の観点から上限としております七万六千円を超えてしまう場合があったことから、平成二十六年度より、燃料の費用を経費上限額に含めないこととして、各校が小笠原諸島を修学旅行先に選択できるよう条件を整備しております。
 また、平成二十六年度の入学生から、奨学のための給付金により、生活保護世帯の生徒に対する修学旅行の経費や区市町村民税非課税世帯の生徒に対する授業料、修学旅行経費等以外の教育に必要な経費につきまして、保護者負担の軽減を図っております。

○今村委員 大変よい教育効果があったとの答弁もありました。ぜひ費用の問題や、また長時間にわたります教員の負担軽減などについても取り組まれて、先ほどの答弁では実施校がふえているということでありましたけれども、小笠原への修学旅行が増加するように要望しておきたいというふうに思います。
 次に、大島海洋国際高校について伺いたいと思います。
 大島海洋国際高校は、海を通して世界を知るという教育理念を掲げ、実習船、寄宿舎などの環境を生かした特色ある教育を展開しています。島外の内地からも生徒が多く入学しており、生徒、保護者からの期待も高い高校であると思います。
 中でも実習船の「大島丸」による海洋学習は、その特色ある教育の代表格でもあります。しかし、これまでも指摘してきたとおり、過去二年間、船員の確保が困難な状況から実施時期が延期になったほか、国際航海が国内航海へと変更になりました。
 そこで、昨年度から今年度に延期となった第二学年を対象とする航海学習の延期の経過とその後の取り組み、実施状況についてまずお伺いします。

○初宿都立学校教育部長 昨年度の平成二十七年十月から十二月までにかけて予定しておりました国際航海学習につきましては、航海に不可欠な船員が同年八月に体調不良となり入院したことから新たな船員確保に努めてまいりましたが、航海学習開始の期日までに採用することができず今年度に延期いたしました。
 その後、船員を臨時採用し運航体制を整えることができました。
 実習の時期や実習内容などにつきましては、生徒、保護者の意見を伺いながら、運航計画を再策定し、本年四月から六月までにかけて国内航海として実施いたしました。
 実施した国内航海では、国際航海で経験する昼夜を通した約三日間に及ぶ連続航海を行うなど、国際航海学習の要素を取り入れるよう努めました。
 さらに、世界自然遺産である小笠原諸島の父島に寄港、滞在して、ウミガメの保護施設を見学するなどの体験的な学習を行い、環境教育の視点に立った学習の充実を図ってまいりました。

○今村委員 延期された航海学習が国内航海に変更になりつつも、学習内容にさまざまな工夫を重ねるなどして、無事に実施したことがわかりました。事情があるとはいえ、生徒、保護者と約束した実習内容が実施できなかったことは本当に残念であります。
 今年度の第二学年の航海学習については、現在実施中とのことであります。延期はなかったものの、国際航海学習ではなく国内航海で実施したと聞いております。なぜ国内航海となったのか伺います。

○初宿都立学校教育部長 今年度の第二学年の航海学習につきましては、臨時船員の雇用期間終了に合わせて、本年八月一日付で常勤船員を任期つきで採用するなど、国際航海が実施できるよう運行体制を整備しました。
 しかし、昨年度の第二学年の航海学習を今年度に変更した結果、実習船の年間航海日数が過密となるなど、国際航海の実施が困難となりました。このため、保護者の了解を得て国内航海に変更いたしました。

○今村委員 保護者のご了解も得ているということでありましたけれども、生徒、保護者にとっては苦渋の決断だったというふうに思います。安全に運航するためには、仕方なく受け入れざるを得ないということであります。
 海を通して世界を知るという教育理念に期待して入学した生徒、保護者の心情を思うと、本当に残念な状況であります。都教育委員会と学校が連携し、事態の打開に取り組み、来年度は、これ、三回目になりますけれども、教育理念に掲げた航海学習が実現できるよう、全力を尽くしていただきたいというふうに思います。
 昨年度の文教委員会では、現在の「大島丸」の更新も見据えた海洋国際教育の充実について質問をし、外部有識者の意見も聞きながら、実習船のあり方や具体的な教育内容を検討していくとの答弁がありました。
 そこで、現在の取り組みや検討状況をお伺いします。

○初宿都立学校教育部長 都教育委員会では、平成二十六年十月に設置しました外部有識者などから成ります都立大島海洋国際高校における海洋国際教育検討委員会で検討を行い、昨年十月に結果を報告書にまとめました。
 現在、この報告書で提言されております大学と連携した鯨調査や民間企業と連携した海底資源調査など、実習船を活用した新たな海洋教育案などについて検討を進めております。

○今村委員 冒頭にも申し上げましたように、大島海洋国際高校への都民の期待は大変大きいものがあります。教育内容を充実させて、国際社会でたくましく生きていく、将来を担う人材を育成していくことに大きく貢献していただくことを期待して、この質問を終わりたいと思います。特に、「大島丸」の更新については、早期に計画を策定されるように、あわせて要望をしておきたいと思います。
 さて、次の質問に移る前に、今、都立高校の教育について質問をしてまいりましたけれども、先ほど休憩時間中にリオのオリンピック・パラリンピック大会に都立高校の出身者が何人ぐらい出場されていたのかということを教育長にお伺いをしたら、少なくとも四名いらっしゃるということでありました。
 こうして都立高校で学んだ生徒たちが世界で活躍する姿というのは、今の都立高校の子供たちや、生徒や、そしてまた地域の自治体にとっても大変大きな励みになりますので、すばらしい教育を今後も続けていただきますように一言要望をして、次の質問に移りたいというふうに思います。
 次は、特別支援教室についてであります。
 小学校の特別支援教室については、本年度から本格的に導入を始めており、準備の整った市区町村から順次導入をされています。町田市においても、市内四十二校中八校が設置をしております。
 特別支援教室は、児童が在籍校で特別な指導を受けられるように制度を転換したものでありますけれども、その導入効果として、昨年度に比べて本格導入初年度である今年度の利用児童数がどの程度増加したのかお伺いします。

○浅野特別支援教育推進担当部長 小学校において、在籍学級を離れて一部特別な指導、支援を受ける発達障害の児童数は、平成二十七年度は七千百九十人であったのに対し、平成二十八年度は九千四百六十九人であり、二千二百七十九人の増加となっております。

○今村委員 特別支援教室の導入を機に、指導を受けられる児童が増加しているということがわかりました。
 今後、市区町村はこうしたニーズに応え、特別支援教室を順次導入していくこととなっております。
 そこで、今年度に特別支援教室を導入した学校数は何校で、今後導入するとしている学校数はどの程度なのか、また、今後の見通しについて伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 平成二十八年度には、区市町村教育委員会が六百二校の小学校に特別支援教室を設置いたしました。
 また、本年六月の調査では、平成二十九年度は三百八十五校が設置予定としており、残りの学校につきましても、平成三十年度に特別支援教室を設置する計画でございます。

○今村委員 計画どおり設置されるよう、市区町村と連携し取り組まれることを期待しております。
 子供の貧困率は上昇傾向にあり、大きな社会問題となっています。そこで、就学援助についてお伺いをいたします。
 市区町村では、生活保護を受給している世帯及び生活保護受給世帯に準ずる程度に困窮している世帯を対象として、就学援助を実施しております。
 今年度第一回定例会で、就学援助を受給した人数、割合について質問をしておりますけれども、改めてこの直近三年間の都内公立小中学校における就学援助の実施の状況についてお伺いします。

○粉川地域教育支援部長 都内公立小中学校における就学援助の対象となる世帯の児童生徒数につきましては、平成二十五年度は十七万六千六百七十八人で、全児童生徒数に占める割合は二二・三%、同様に平成二十六年度は十七万九百三十七人で二一・五%、平成二十七年度は十六万二千七百二十五人で二〇・四%でございます。

○今村委員 先ほどの文教委員会の要求資料においても、また今の答弁でも、この就学援助受給者の人数、割合が年々減少してきていることがわかります。
 就学援助のうち、生活保護世帯に準ずる程度に困窮している世帯である、いわゆる準要保護の対象を認定する基準は、市区町村それぞれ定められており、この基準により対象となる世帯が決定されます。
 そのため、就学援助受給者の人数、割合の減少はこの基準の影響を受けます。年度により、この認定基準の違いがあるのか、二〇一四年、二〇一五年度で違いが見られる市区町村の状況をお伺いいたします。

○粉川地域教育支援部長 就学援助は、学校教育法により市区町村にその実施が義務づけられており、市区町村がその権限と責任において適切に実施するものでございます。
 市区町村において、準要保護の対象世帯を認定する際に基準としているのは、例えば市町村民税の非課税、児童扶養手当の支給、生活保護の基準額に一定の係数を掛けたものなどであり、この基準の項目については、市区町村の判断により、必要に応じ変更が行われております。
 平成二十六年度と平成二十七年度の項目を比較したところ、二十四市区町村において項目の変更がございました。内訳としては、基準項目を増加した市区町村は十、基準項目を減じた市区町村は十、基準項目に増減はないが、項目を見直した市区町村は四でございます。
 変更の例としましては、生活保護の基準額に一定の係数を掛けたものという基準項目に、新たに生活保護法に基づく保護の停止または廃止の項目を加えた区、また複数ある基準項目の中から、個人の事業税の免除を学校長、福祉事務所長または民生委員の意見に基づき市長が特に認める者に変更した市などがございます。

○今村委員 二〇一三年から二〇一五年にかけて、生活保護の生活扶助など基準の引き下げが行われ、この影響が出ないように求められています。
 今ご答弁にあったように、基準項目を増加した市区町村が十あるということでありましたけれども、こうしたことはそれらに対応しているものと考えられます。
 これまでも申し上げてきましたが、都は各市区町村と連携をし、影響が出ないようにぜひ取り組まれることを期待しておきたいと思います。
 次に、都教育委員会の障害者雇用について、これまで幾度となく質疑をしてまいりましたけれども、都教育委員会における障害者の法定雇用率の達成に向けた本年四月以降の雇用状況についてお伺いをいたします。
 また、教員採用についてはどのような校種に配置をしているのか伺います。

○早川総務部長 都教育委員会は、障害者の非常勤雇用の制度を活用し、都教育委員会の事務局や都立学校等において、事務等の補助業務に従事する教育事務補助員といたしまして、本年四月以降、六十二名の障害者を新たに採用するとともに、来月も採用を予定しております。
 教員採用では、一般選考に加えて障害に配慮した選考を実施し、本年四月一日に四名採用いたしました。
 また、四名の配置につきましては、特別支援学校に三名、小学校に一名で、小学校に配置した教員は学級担任をし、特別活動部を担っております。

○今村委員 本年四月以降のチャレンジ雇用、教育事務補助員の募集人数、それから応募者数、合格者数及び採用者数についてお伺いします。

○早川総務部長 都教育委員会の教育事務補助員の雇用状況につきましては、四月一日付採用は、募集人員が七十名程度に対し、応募者数が二十七名、合格者数が十七名、採用者数が九名、五月一日付採用は、募集人数が五十名に対し、応募者数が十七名、合格者数が十名、採用者数が十名、六月一日付採用は、応募人数が七十名程度に対し、応募者数が三十名、合格者数が二十二名、採用者数が二十二名、八月一日付採用は、募集人数が五十名に対し、応募者数が十三名、合格者数が八名、採用者数が五名、十月一日付採用は、募集人数が三十名に対し、応募者数が二十三名、合格者数が十六名、採用者数が十六名でございます。
 また、十二月一日付採用予定についての応募状況でございますが、募集人数が三十名に対し、応募者数は二十四名でございます。

○今村委員 昨年同様、応募者が募集人数を下回ることが続いていることがわかりました。
 教育事務補助員の雇用を進める上での課題とその取り組みについてお伺いしたいと思います。

○早川総務部長 教育事務補助員の雇用を一層進めるに当たりまして、応募者数の拡大が課題でございます。このため、採用区分につきまして、本年度から従来の一般区分に加え、希望する一般企業等への就労に向け、業務スキルのさらなる向上等を目的とした経験者区分を新たに設け、離職後の再応募や最大で通算六年まで雇用が可能となるよう制度改正を行ったところでございます。
 また、教育事務補助員が職務への意欲と職場への貢献を実感できるよう、魅力ある職場づくりを進めることも重要でございまして、教育事務補助員がその持てる力を最大限に発揮して将来の自立と社会参加の実現が図れるよう、教育事務補助員を配属した各職場が適切な支援を行うため、本年度支援方針を定めるとともに、支援マニュアルを策定いたしました。
 今後とも、応募者数の拡大や障害者非常勤雇用制度の魅力の向上に努めてまいります。

○今村委員 今ご答弁がありましたように、支援方針を定めて、また支援マニュアルを策定されたということで、教育庁の大変前向きな取り組みが答弁をされて期待をしているところであります。
 また、小学校では、障害のある教員が学級担任をし特別活動部を担当しているなど答弁もありました。私も、これまで特別支援学校ではない学校でも、障害のある教員が活躍できることが少しずつ実現をされるよう求めてきたところでありまして、大変喜ばしく思っています。
 しかし、公表されている昨年六月一日付での雇用率は二・〇八%。この間、雇用率達成に向けた取り組みが重ねられていることは答弁でも理解ができましたが、いまだに法律で定められた雇用率を達成できていない状況であることは事実であります。
 一方、教育庁のチャレンジ雇用、教育事務補助員募集に対して応募人数が下回るなど、難しい問題に対しても努力されていることは理解をいたしております。
 二度目のパラリンピック開催都市として、東京の教育庁は、早期に法が定める雇用率を達成されるよう求めておきたいと思います。
 さらに、そこで満足せず、非常勤であるチャレンジ雇用から教育庁での雇用への発展や今後、法で算定に加えられる精神障害者雇用に向けた準備も積極的に取り組まれるよう要望し、私の質疑を終わります。

○宮瀬委員 私の方から質問をさせていただきます。
 学校防災を改めて考える報道がなされております。東日本大震災で学校管轄下の児童七十四名が死亡、行方不明となった宮城県石巻市大川小学校、その二十三名の児童の遺族十九家族が、石巻市と宮城県を相手に総額二十三億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が十月二十六日に行われました。仙台地裁は、学校側の過失を一部認め、十四億二千六百万円余りの損害賠償を命じたということでございます。
 私、この報道を見て、原告文と判決文、いろいろ探してみたんですが、まだといいますか、公表されるものではありませんので、断定的なことはいいませんが、今回、基礎自治体である石巻市だけではなくて、都道府県であります宮城県の責任も問われたということは、都にとっても大きな課題ではないかと私は認識しております。
 学校に通う子供たちの命をどう守るのかということが、まさに大人、私たち政治家も、また縦割りではない行政の取り組み、また地域の住民の皆さんとの関連性がまさに問われている事態だと思っております。
 私、余り机上の空論をいうのが好きではありませんので、昨年、実際に大川小学校の被災現場ですとか、石巻市内の別の中学校の校長先生の現場のお話を聞いて、今回の質疑にさせていただきたいと思っております。
 まず最初に、東京都内におきましても、津波や崖崩れ、いわゆる土砂災害などの災害が想定される地域に学校が存在していると思います。実際に甚大な被害が想定されている地域に存在している学校はまずどの程度あるのか、またその立地状況についてお伺いいたします。

○早川総務部長 平成二十六年五月に、文部科学省で実施した公立学校における津波対策状況調査によりますと、都内で津波により浸水が予想される公立学校は、幼稚園一園、小中学校四校、高等学校一校の合計六校でございまして、おおむね海岸から二百五十メートル以内、または島内の標高が低いところに立地しております。
 また、平成二十八年四月現在、崖崩れ等の土砂災害が予想される土砂災害警戒区域が敷地内に存する都立学校は八校でございます。主に多摩地域にある学校で、裏山の崩れや校庭ののり面の傾斜が危険である等の理由で区域に指定されております。

○宮瀬委員 せっかくでございますので、先ほど聞いた高校名--津波に関しましては、都立は神津高校、母島小、母島中、新島中学校、また品川区の幼稚園と小学校が津波の被害、また崖崩れが五日市高校、瑞穂農芸高校、青梅総合高校、野津田高校、山崎高校、片倉高校、翔陽高校、大島高校ということでございます。
 私、今回数字を聞いて、津波が六校、崖崩れが八校というのは少ないのではないかなと正直思いました。まあ、国の予測、国の調査ということなんですが、都内に約二千もの小中高学校が、公立のみでございますが、ある中で、本当に十四校だけであるのかなと。
 今回の質疑に当たりまして、大川小学校事故検証報告書というのを入手いたしまして、そこの冒頭に書いてある教訓として、石巻市の防災計画では、宮城県の第三次被害想定調査に示された宮城県沖を想定とし、この想定に基づいた津波浸水予想図を用いてハザードマップが策定されていたと。
 しかし、実際は大川小では津波の予想浸水域から外れていたと。それどころか、津波の際の避難所となっていたというところが、まさに教訓として挙げられておりまして、二千近くある都内の小中高、公立高校の危険地域にある学校というのは本当に十四校で、改めていいのかなという課題認識を持っております。
 実際、東京湾首都直下地震が起きたとき、湾岸地域にある小中学校、高校、たくさん存在しておりまして、この国の調査だけではなく、東京都も独自の危機管理といいますか、子供の命を預かる教育庁でございますので、ぜひここは要望でございますが、この危険地域とされる学校の数と地域を改めてちょっと見直していただきたいなと思っております。
 実際に、こういった状況の中で、どのような訓練をどれぐらい実施しているのかというのをお伺いしますとともに、東京都は全体像を正確に把握されているんでしょうか。
 内容に関しても、被災地への訪問、防災マップづくり、避難経路の確認実践、短時間訓練など、新たな工夫も必要だと思っておりますが、改めて避難訓練の全体像をお伺いいたします。

○出張指導部長 都教育委員会は、各都立高校に対し実践的な防災教育として、避難訓練等を教育課程に位置づけ、年間四回程度実施するよう指導するとともに、教育課程の編成について指導助言する際、防災訓練や避難訓練等の実施日と実施回数を把握しております。
 また、各都立高校の避難訓練の実施内容については、地域の関係機関や防災担当者等で構成される学校防災教育推進委員会において検討し、その結果を報告させていることで、個々の状況を把握しております。
 なお、防災マップづくりや短時間訓練などの取り組みの工夫については、校長の権限と責任のもと、地域や学校の実態を踏まえ、当該の区市町村や東京消防庁、消防団などの関係機関と連携して実施しておるところでございます。

○宮瀬委員 私、今回ご答弁調整させていただいて、この項目が一番びっくりしてしまったんですが、答弁の内容を精査しますと、東京都が把握しているのは訓練の実施日と回数ということで、内容に関しては、個々の状況を把握されているというご答弁でしたが、防災訓練の全体像を把握されていない、内容を把握されていないという認識で、私は答弁調整を受けていたんですが、改めて、防災訓練の内容の全体像を把握されているんでしょうか。

○出張指導部長 各都立高校の避難訓練は、地域や学校の実態に応じた内容で実施されることが重要でございます。そのため、各都立高校では、地域の災害を理解している防災担当の職員やまちの状況を熟知している自治会会長などで構成される学校防災教育推進委員会を設置いたしまして、それぞれの知見を踏まえ、よりよい防災訓練のあり方について検討しております。
 都教育委員会は、その結果を各都立高校から報告させることで、個々の状況を把握し、指導の際の参考としております。

○宮瀬委員 個々の状況をということで、同じご答弁だったのでありますが、今回の津波の検証報告書を見ると、個々には学校にある程度任せてしまって、実際は指示をしていても、それに適切な訓練内容が十分行われていなかったということが反省材料等上がっておりました。
 今、全体像をお聞きしたつもりだったんですが、小中学校の件は出てきませんでした。もちろん小中学校の防災訓練に関しましては、基本的には地元区市町村の管轄だという認識は私もちゃんと持っております。
 しかし、今回のこの文教委員会の資料の中の八ページに、大綱として、重要事項Ⅳ、方針4の中に防災意識の向上や地域の防災を担う人材育成の推進と。また、防災教育をやっぱりしっかりとやっていて、地域の子供たちを守っていこうということが大指針として挙げられているわけであります。
 そこから見ると、やはり東京都としましても、区市町村を管理監督するという意味合いではなくて、しっかりとサポートをするためにも、現状の数値をしっかりと確認しなくてはならないんではないかと思っております。
 実際に今回の検証報告書の中におきましても、宮城県の教育委員会の制定した宮城防災教育基本方針というところに基づいて、市の教育委員会が設置、取り組んでいたんですけども、津波対策に関する記述がごく一部にしかなかったというところが、県も今回賠償命令で責任を問われている理由の一端だと私は思っております。
 ぜひここも要望になってしまいますが、改めて防災訓練、防災教育の全体像をしっかりと、二百五十ぐらいの都立高校をまず把握していただいて、その次に小中学校もぜひ把握していただきたいと思っております。
 それで、では防災訓練はどこで管理しているのですかということを確認しましたら、東京消防庁というお話がありましたので、早速、東京消防庁に確認してまいりました。
 そこで、東京消防庁から紙をいただいたんですが、東京消防庁としては、学校単位では管理していませんと。しかも、公立、私立全部一緒ですと。内容は、通報、消火、避難、その他総合、この四カテゴリーだけでありまして、実際は小中高で出していただいたのもすぐに出てこなくて、一生懸命調べて出しますということで、常日ごろから学校の訓練というものが管理なかなかされていないと。
 つまり、何がいいたいかと申し上げますと、東京消防庁もなかなか管理がうまくできておらず、教育庁としても防災訓練の管理というものの全体像がなかなか後手に回っているのではないかということが私は課題だと思っております。
 そこで、防災訓練には二種類あるというご指導を受けまして、総合防災訓練と、あともう一つは防火管理者、つまり学校の施設の管理者としての自衛消防訓練という二つがあると聞いております。
 そちら両方数字もらっているんですが、東京消防庁に確認をいたしましたが、自衛消防訓練の実施状況は、学校に関して任意報告であるということで、全ての学校が本当に自衛消防訓練をやったかどうかということが把握できません。
 東京都は、自衛消防訓練や総合防災訓練教育の各学校の状況及び全体像を正確に把握しているのかお伺いいたします。

○出張指導部長 消防法施行令によると、各都立高校は、消防署への消防計画の提出を求められておりますが、消防訓練等の実施の報告義務はなく、都教育委員会といたしましても、消防法で規定されている自衛消防訓練の実施状況については把握しておりません。
 都教育委員会では、各都立高校に対し防火管理の徹底を期し、火災その他の災害による人的、物的被害を最小限にとどめることを目的といたしまして、学校防災組織を作成し、災害時の業務内容を明確にするよう指導しているところでございます。
 今後とも、この学校防災組織を有効に機能させ、自衛消防訓練等が適正に実施されるよう、都立高校と消防署との連携について引き続き支援してまいります。

○宮瀬委員 ありがとうございます。今のご答弁を聞いておりますと、各都立高校においては、やっていると。消防署との連携ですね。
 しかし、各学校での現場では、実際消防署と連携をし、私も消防団に入っておりますので、実際に連携しているのは、やっているんですけれども、やはり消防庁と全体での管理をどうやっていくのかと。
 消防庁は、実際に任意届け、任意での確認ですよということをいっておりますので、ぜひ自衛消防訓練、防火管理者としての学校の立場から、教育庁も先ほどのご答弁のとおり、把握していただきたいと思っております。
 次に、今回、災害の対応マニュアルの件についてお伺いしたいと思います。
 今回の大川小学校の教訓を、報告書を見ておりますと、やはりその学校の先生に判断を、急場で正確な判断をするということをどこまで求めるのかというところが大きな課題として書かれておりました。つまり、誰が悪いのかという犯人捜しではなくて、どういう仕組みが課題であったのかというところであります。
 東京都教育長が学校の校長先生の任命等をすると思いますが、実際に、新任の校長先生が新しい学校、例えば都内二十三区の校長先生が島しょ部の高校に行って急遽、急遽ではありません、校長先生になると。そのすぐ翌日に災害が起きるといったことも想定されるわけでありまして、学校長、学校の判断、学校にある程度任せるという、その孤立をさせてはいけないと思っております。
 そこで、災害対応マニュアルを整備していると思いますが、その際、その学校を取り巻く災害環境を十分に確認し、また災害種別に応じた適切な避難先、避難経路、避難方法をあらかじめ定める必要があると思いますけれども、現状と取り組みをお伺いいたします。

○早川総務部長 都教育委員会では、阪神・淡路大震災を教訓に、学校危機管理マニュアルを策定し、その後も社会情勢や教訓を踏まえ、適宜見直しを行うとともに、区市町村教育委員会にも同マニュアルを参考送付しております。
 全ての都立学校では、この学校危機管理マニュアルをもとに、学校ごとの災害対応マニュアルを策定しており、その中で学校が置かれている地域の実情に応じ、想定される災害種別に応じた対応を定めております。
 都教育委員会では、この学校ごとのマニュアルの記載内容を適宜把握し、記述が不十分と思われるものについてひな形を示すなど、内容の充実に努めております。

○宮瀬委員 ありがとうございます。今回の報告書の話ばかりで恐縮ではありますが、実際、今回の地震、津波の被害におきましても、マニュアルはやはりあったそうであります。各学校から提出された災害対応マニュアルの内容を確認し、やはり具体的な対策の状況を把握して、必要な指導助言を行う体制がとられていなかったということが市の教育委員会で一つ課題になっておりました。
 どのようにマニュアルをつくっていただき、それを改善またはチェックをしていく区市町村をサポートするのかが大きな課題だと思っておりますので、引き続きこちらはよろしくお願いしたいと思っております。
 次に、学校のいわゆる先生に対する危機管理の研修等も重要であります。東京都は、教職員に対する防災危機管理研修を実施しているのかお伺いするとともに、また、都内には都立高校二百八校ございますが、避難所に指定されているケースもとても多いと聞いております。
 ほかの地域では、学校の中におきまして、避難所としての学校ですね、避難所運営模擬体験の取り組み等もやっておりまして、実際に参考すべきところもあるのかなと思っておりますが見解をお伺いいたします。

○出張指導部長 都教育委員会は、全公立学校の教員を対象とした学校安全教室指導者講習会や、東京消防庁と連携した実践的な防災教育の研修を実施し、学校における安全教育への理解を深めているところでございます。
 避難所については、区市町村が運営主体として指定するとともに、避難所開設運営要領等を作成いたしまして、避難所開設の手順や自治体の職員、地域、教職員の役割などについて規定しており、これらを踏まえ、各地区に立地している都立高校においても、地域と連携した取り組みが進められているところでございます。

○宮瀬委員 ありがとうございます。行っているということでありましたが、これも大川小学校のときは、やはりこういった研修をやっていたと。これは、宮城県の指導として、津波防災対策の教育もやっていたということでありましたが、実際には十分に定着しなかったといった反省があったそうです。
 ですので、ぜひ定着させるためには、どういう形がいいのかということを目標設定を定めていただいて、ぜひ改善、引き続き推進をしていただきたいと思います。
 次に、やはり学校とはいえ、地域の中に学校は存在しておりますので、災害時には地域との、住民との連携が欠かすことができません。
 ふだんから顔が見える関係づくりが重要であることはいうまでもありませんが、実際に地域住民と連携をした訓練を都立学校はしているのか、また、どのような連携や訓練をしているのか、さらには東日本大震災のときの対応や反省点についてお伺いいたします。

○出張指導部長 都立高校では、地域と連携した防災教育の推進を図るため、学校近隣の消防署、自治会の代表者や消防団員等を委員とする防災教育推進委員会を設置しております。
 学校は、この防災教育推進委員会の協力を得て、一泊二日の宿泊防災訓練などで、消火活動や避難誘導などの訓練を実施しております。
 具体的な連携先といたしましては、消防署との連携が百六十五校、同様に地域の消防団が九十六校、区市町村の防災担当部署が七十七校、地域住民が百一校等であり、その訓練内容については、AED体験の訓練が百十四校、同様に搬送訓練が百四校、消火訓練が九十六校、津波を想定した訓練が二校等でございます。
 また、東日本大震災のときの対応においては、東京都では多くの帰宅困難者が発生したことから、各都立高校に災害時帰宅支援ステーションを設置いたしました。教員が率先して都民を受け入れるとともに、生徒も帰宅困難者に対する物資の配給の補助に従事いたしました。
 今後は、こうした成果や課題を踏まえ、地域と連携しながら防災活動に貢献していく人材を育成してまいります。

○宮瀬委員 ありがとうございます。今のご答弁の中で、防災訓練の内容は、都は全体像を把握していないと先ほどからいっております。一泊二日の宿泊防災訓練の内容は、皆さん存じ上げているという認識で私はちゃんとおります。
 その中で、今回、実は冒頭に聞いた崖崩れ、土砂災害が予想される地域の都立高校八校ありまして、水害が予想される都立高校は一校であるわけであります。
 今のご答弁ですと、津波を想定した訓練をやっている都立高校は二校ということでありましたので、土砂災害及び津波の被害を想定している、公式に危険だといわれている地域があるわけでありますから、ぜひ宿泊防災訓練の中におきましても、その訓練を取り入れていただきたいと思います。
 そして、今回、ご答弁の中に、地域との住民の方々との連携訓練は百一校ということでありますので、全日制の全都立高校は百七十八校が分母といたしますと、約五七%という数字であります。これを高く見るか低く見るかは判断の分かれるところでありますが、ぜひ地域との連携あってこそのやはり学校であり、救助活動につながると思います。
 実際に二百八校が避難所に指定されておりまして、一時滞在施設としても百三校、いっとき避難場所としても都立高校、されておりますので、ぜひ一〇〇%を目指して取り組んでいただきたいと思っております。
 次に、防災におきまして、共助の取り組みとして、住民の連携訓練の実際の数字を確認してまいりましたが、その前提といたしまして、住民の皆さんの顔が常日ごろから見えるという関係性が大事であります。
 実際に学校教育法第百三十七条におきましても、学校教育上支障のない限り、学校には、社会教育に関する施設を附置し、または学校の施設を社会教育のその他の公共のために利用させることができるとございます。
 そこで、改めて地域に開かれた都立学校であるべきだと思っておりまして、現在、どのように施設を開放しているのか状況をお伺いするとともに、施設開放の活用率についてお伺いいたします。

○粉川地域教育支援部長 都立学校を広く開放し、都民の学習、文化、スポーツ活動の振興に資するとともに、地域に開かれた学校づくりを促進するため、都立学校の教育機能と施設を開放することを目的に、昭和五十二年度から都立学校開放事業を実施しております。
 具体的には、グラウンド等の施設を開放する施設開放事業と、教員等の学校の人的資源等を活用し、地域住民に学習の機会を提供する都立学校公開講座を行っております。
 平成二十七年度には、二百十二校で施設開放事業を、二百二十六校で公開講座を実施いたしました。
 計画しました施設開放日数に対する活用率につきましては、申し込みの有無、天候、利用者の事情などを含め約五五%でございます。
 なお、開放計画に対して、利用実績が一定程度にとどまる島しょ地域を除きますと、約六八%でございます。

○宮瀬委員 活用率は五五%ということでございました。どうしてこういった質問するかといいますと、実は板橋に限ったことかどうかわかりませんが、サッカー少年が昔と比べて大分ふえておりまして、昔は私も野球少年だったのでありますが、Jリーグの登場とともにサッカーをやる子が大分ふえたと。
 しかし、インフラが、子供がサッカーできるグラウンドがないということで、小さなエリアで子供がけがをしながらサッカーの練習をしているわけであります。
 そこでよくいわれるのは、都立高校のグラウンドを貸してほしいという要望があるんですけれども、実際にその都立高校の先ほど出ました学校開放という事業を近隣の方が知らないといったことが一つの要因ではないかなと私は推測しております。
 いずれにせよ、都立高校側が使っていいよといわれている学校開放事業があって、その活用が五五%ということは、天候の問題もありますけれども、大変もったいないことなのではないかなと思っております。
 仕組みが知られていないという仮説はありますが、現状の取り組みについてお伺いいたします。

○粉川地域教育支援部長 都立学校開放事業の周知につきましては、都教育委員会ホームページ及び各都立学校ホームページにより、学校開放の計画を都民の皆様にお知らせをしております。
 また、学校によりましては、実施する都立学校開放事業について、地元自治体の広報紙への案内掲出を行っております。
 なお、学校公開講座につきましては、開催講座一覧パンフレットを地元図書館などで配布をしております。

○宮瀬委員 さまざま宣伝活動をしているということでありますが、やはり学校開放の年間スケジュールを決めるのが大体各学校毎年二月ごろと聞いておりまして、その一回だけではなくて、例えば年四回ですとか、年二回ですとか、申し込むチャンスときっかけをふやすことも活用率の数値を上げる一つなのではないかなと思っております。
 いずれにせよ、活用率が五五%ということは理解ができまして、周知の取り組みも必要であるという認識もあります。
 そこで、改めてでありますが、開かれた都立学校を目指しまして、活用率の数値を上げていくことを改めて望みますが、見解をお伺いいたします。

○粉川地域教育支援部長 都教育委員会では、これまでも学校と連携し、都教育委員会ホームページなどさまざまな媒体を活用し周知をしてまいりました。
 今後とも、各都立学校における学校開放の取り組みが地域や都民の皆様に伝わりますよう、学校と連携し案内、周知に努めてまいります。

○宮瀬委員 ありがとうございます。ここまで、ちょっと後半話がそれましたが、学校に通う子供たちの命を災害から守るという観点で質問してまいりました。
 ちょっとまとめさせていただきますと、私、ちょっと提言なんですけれども、一つ目が、学校における被害範囲想定の見直しをぜひ行っていただきたいなということでございます。本当に二千校ある中で、十四校だけで大丈夫なのかという問題意識でございます。
 二点目は、防災訓練ですね。ぜひ全体像の把握を、自衛消防訓練とあわせて消防庁と連携をして急いで把握していただきたいなと思っております。現状を把握して可視化することで、ひょっとしたらこの地域は、訓練もしくは計画がまだもっと改善の余地があるんではないかと、そういったことがつながっていくきっかけになると思っております。
 次に、マニュアルと研修はあると思うんですけれども、それを有効的に機能してもらうチェックの仕組みでございます。
 さらには、住民との連携訓練率の向上であります。
 あとは、ぜひ消防庁、また都庁の総務局、区市町村との縦割りの意識をいま一度超えていただきまして、都教育庁として独自の、子供たちを何が何でも守るんだという決意のもとに取り組みをしていただきたいと思っております。
 なかなか難しいことをいっているのはわかっておりまして、ただすぐできそうなといってはいけないんですが、例えば防災の日、飯田市で九月一日に小学校でやっている取り組みだそうですが、アルファ化米、実は東京都も備蓄をしておりますが、年間十七万食破棄していると聞いております。そういったアルファ化米を防災訓練の場でお配りしていると思っておりますが、それでも十七万食破棄していると。それを教育の、これは小中になってしまいますが、実際に給食の場で調理をしていただいて、給食として提供するといった取り組みですとか、これはなかなか余りいいアイデアではないといわれてしまうんですが、私としては、運動会で例えば競技の中に防災の観点を取り入れた障害物競走とか、防災教育という座学だけではなくて、さまざまなアイデアをもとに、ぜひ区市町村と連携をしていただいて、縦割りを排した東京都教育庁の独自の取り組みを進めていただきたいと思います。
 私は、実際に石巻市の中学校の先生と市役所の方とお話しして、実は今回の災害を受けて、全国で初、学校安全推進課というものを教育庁の中に設けたそうであります。ぜひ東京都の教育庁におきましても、先ほど学校の安全をどうやって守っていくのかと。防犯もあると思いますし、災害もあると思いますが、ぜひ本日配られました大綱の中にある指針を組織として形にしていただきたいなと思っております。
 では、次は最後のテーマに参ります。今回、さまざまな質疑が出ておりますが、質疑に当たりまして、包括外部監査報告書を読んでまいりました。これは、半分ぐらいが教育庁だと思うんですが、非常に分厚いもので、読み込んでまいりましたが、一貫して書かれておりますことが、数値目標が甘いんではないかという指摘、PDCAサイクルがほぼない事業があるという指摘でございました。
 今回の事務事業質疑に当たりまして、この緑の冊子の四ページ、五ページの二十六テーマございます。この事業の中で、実際に事業目標に対しまして、定量的な数値目標やKPI、いわゆる指標が挙げられている事業というのは幾つあるんでしょうか。

○安部教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都教育委員会においては、東京都教育ビジョン(第三次・一部改定)に位置づけた二十六の主要施策に基づき、年度ごとに取り組む事業の目的と内容を定めております。
 二十八年度においても、二十六の主要施策に基づき主要事務事業を定めており、その全てにおいて主要施策に関する数値目標を掲げているところでございます。

○宮瀬委員 全てに数値目標を掲げているということでございました。こちらの件は、また最後に確認をしたいと思いますが、PDCAサイクルが十分に機能していないということが平成二十七年度包括外部監査報告書ですとか、平成二十八年度東京都教育委員会の権限に属する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価報告書というものにおきまして、繰り返し述べられております。
 また、この報告書の巻末には、専門家の方が三名登場しておりまして、樋口教授ですとか、松尾准教授のお名前で、実際にはPDCAサイクルの取り組みが不十分であると。改善には向かっているが、不十分であるというふうな指摘を受けております。
 では、改めて事業の評価をどのように行ってきたのかお伺いいたします。

○安部教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 事業の評価につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十六条に基づく東京都教育委員会の権限に属する事務及び執行の状況の点検及び評価として、有識者の知見を活用しながら実施しております。
 具体的には、それぞれの事業の目的に照らして、実施状況を事業ごとに評価し、次年度以降の事業実施に評価結果を生かしているところでございます。
 PDCAサイクルのあり方につきましては、有識者からもできる限りアウトカム評価へ転換すべき等のご指摘をいただいており、改善を図っているところであります。
 平成二十八年度における二十七年度主要施策の点検評価では、改善が図られているとの評価をいただいているところでございます。

○宮瀬委員 その点検評価の中に改善が図られている一方で、取り組みがないものが見られ、まだまだ不十分であるという専門家の方の声が出ているわけであります。
 その平成二十七年度分の点検及び評価の冊子において、私もPDCAサイクルの部分を見てみましたが、例えば先ほどずっと議論しておりました防災教育の充実ということで、成果が、防災ノートを活用しましたといった、パンフレットを配布しましたという表現が各所に見られております。
 つまり、パンフレットを配って、もしくは防災ノートを配ってどれだけ防災教育の向上が見られたかというところが評価すべきでありまして、そのことは松尾教授もパンフレットを何部製作したのかというのは、施策の効果を直接反映したものではないと。我々が知りたいのは、そのパンフレットを配布した結果、何がどの程度変わったのかというところだというご指摘がございます。
 つまり、PDCAサイクルのドゥーの部分が成果として挙げられており、目標数値やKPIの設定がなされていない事業が多いと見受けられますが、それはどうしてなんでしょうか。

○安部教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都教育委員会では、当該年度に取り組む主要施策の事業目的や内容につきまして、原則として前年度に取りまとめ、翌年度に事業の目的に照らした評価を行うというサイクルで行っております。
 主要施策を取りまとめる際には、成果指標を設定しておりますが、事業によっては児童生徒の心の変容など、成果をはかる上で数値によって評価することがなじまないものもございます。
 委員ご指摘の平成二十七年度の主要施策につきましては、前年度の二十六年度末に既に決定していたものですが、その後、二十八年二月の包括外部監査で評価指標の設定のあり方についてご指摘を受けることとなりました。
 このため、二十七年度の点検評価に際しましては、包括外部監査の指摘内容を踏まえ、可能な限り数値目標による実施に努めたところでございます。
 今後とも、成果指標の設定につきましては、事業の性質に適した評価となるよう、さらに改善を図ってまいりたいと考えております。

○宮瀬委員 二十八年度主要施策については、取り組んでやってきたというところでありますが、これ、頂戴いたしました。
 しかし、ご指摘が大分、監査報告書があり、また例年連続で指摘があり、専門家の方の指摘もあって、一方でやはり防災ノートの件が成果指標の活用率ということで上がっていることと、もう少しわかりやすい例を申し上げますと、例えば子供のいじめ、主要施策11で、いじめ、暴力行為、自殺の防止対策の強化ということが挙げられております。
 本来であれば、ここの成果指標というのは、いじめの実際件数であり、自殺の件数であり、暴力件数をどれだけ下げていくのかというところが、成果の指標に本来だったらなるべきだと私は思っております。
 しかし、この今の成果指標の目標数値の中では、いじめ対策委員会の取り組み状況、例えばアンケートを実施する率が一〇〇%であるかどうかということが成果の目標になっていて、本来大切であるいじめや暴力行為がどれだけ減るかという成果指標になっていないと私は認識してしまいます。
 最後の質問といたしますが、このように、繰り返し繰り返し指摘をされているわけでありまして、改めて頑張っていただきたいと思っておりますが、所見をお伺いしまして、質問を終わります。

○安部教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 包括外部監査等でのご指摘を踏まえ、平成二十八年度の主要施策におきまして、数値目標を含めた成果指標の設定を行っているところでございます。
 今後とも、施策を展開する際には可能な限り数値による指標を示すことに努めますとともに、数値であらわしづらい教育の成果というものをどのようにはかっていくのかということにつきましても、あわせてさらに研究を深めてまいりたいというふうに考えております。

○小松委員 それでは、まずSNS東京ノートの活用について、先ほども質疑がありましたけれども、別の観点から伺ってまいります。
 学校を中心とした子供の世界のいじめが減っていません。文科省が先ごろ、二〇一五年度の児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査を発表しましたが、小中高及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は、前年より三万六千四百六十八件ふえ、二十二万四千五百四十件で過去最多となっています。
 しかし、この調査は学校が認知した件数でありまして、それがふえたということは、以前は水面下にあったような小さないじめも学校がすくい上げた結果だということができるかと思います。
 いじめ防止対策が強化され、充実してきたことの結果とも考えられ、必ずしも悪い現象ではない、むしろ評価してよいと思います。しかし、いじめの発生件数は減らしていく努力が必要です。いじめによって子供が毎日のようにみずから死を選んでいるような深刻な状況は放置しておけません。
 昨今、中高生のいじめのツールとして、パソコンやスマートフォンなどが扱われ、犯罪に至るようなケースも起きています。そのように、子供にとって悪質な情報を大量に流し犯罪に巻き込むマイナス部分もある一方で、インターネットは情報やコミュニケーションの媒体として、子供の世界においてももはや欠かせないものになっています。
 こうした状況にあって都教委は、いじめ等のトラブルや犯罪に巻き込まれないようにするとともに、学習への悪影響を防ぐためとして、昨年、SNS東京ルールを策定し、ことしはその教材として、SNS東京ノートを作成しました。都内の全公立小中学校、そして都立高校の子供たち全員に配布したとのことです。
 SNSは便利なメディアであり、情報をどう選択し、適正に使いこなしていくのかという情報モラルを身につけることが重要です。情報モラルの教育は、都教委がこれまでも取り組んできているところですが、SNSという新たなメディアとつき合っていくために、SNS東京ノートを活用していただきたいと思います。
 そこで、情報モラル教育のさらなる推進のために、都教育委員会はSNS東京ノートを配布したわけですが、これがどのように活用されているのかお伺いいたします。

○出張指導部長 SNS東京ノートは、学校や家庭での話し合いを進められるように、事例を中心としてワークシート形式で構成したものでございまして、学校の授業を初め、家庭でも活用できるよう編集しております。
 学校では、SNS東京ノートに記載された事例をもとに問題点を考え、グループで話し合い、自分のこれからのSNSの使い方についてまとめる活動などを行っております。

○小松委員 SNS東京ノートを全児童生徒に配り、これを使って学校の授業で情報モラルについて学ぶ。これは思い切った実践だと思います。重要な取り組みだとも思います。
 しかし、情報メディアは日々進化し、流行につれてネット上の言葉の意味も変化していきます。課題も一定ではありません。教材はすぐに古くなります。常に刷新していく必要があるかと思います。そして、そのための対応が求められるところです。
 SNS東京ノートの内容を充実していくために、今後どのような取り組みを進めていかれるのか伺います。

○出張指導部長 都教育委員会は、現在、大学の有識者と学校関係者、区市町村教育委員会関係者で構成されるSNS東京ノートの作成委員会を組織いたしまして、内容を充実させるための検討を行っております。
 この委員会での意見をもとに、児童生徒がインターネット等を適正に利用する力を身につけられるよう、SNS東京ノートのさらなる改善を図ってまいります。

○小松委員 LINEなどのウエブ媒体が今どきのいじめの温床になっていることは否定できませんが、子供の世界で今やコミュニケーションのツールとして欠かせないのもまた事実です。
 便利でもあり、このようなSNSに自分の居場所を見出し、救われている子供も決して少なくありません。顔が見えないので暴走がどこまでもエスカレートする、だから規制をとか、禁止すべきという論は現実的ではありません。本質的な解決にもならないと考えます。
 ネットいじめの原因は、ネットではなく現実の人間関係がまずベースにあるといじめ問題の専門家が指摘していますが、要は使い方の問題であって、情報モラルの学習に期待しています。
 SNS東京ノートは、現在は小学生低学年用、高学年用、そして中高生用と三種類が作成されていますが、中学生と高校生が一くくりなのはいかがかと思います。SNSに一番親しむ世代であり、成長が著しく、難しい年代でもあるだけに、年齢に即した教材が望ましいのではないでしょうか、検討すべきと考えます。
 続きまして、医療的ケアが必要な子供への支援についてです。
 ことし四月、障害者差別解消法が施行され、誰もが地域の学校でともに学べるインクルーシブ教育実現への期待が膨らんでいます。たんの吸引や経管栄養など、医療的ケアが必要な子供が学校で学ぶための支援も求められています。
 都立学校で医療的ケアが必要な生徒への支援の状況をまず伺いたいと思います。また、国は今年度、インクルーシブ教育システム推進事業を始めていますが、この事業の補助金の交付申請について、今の状況をお伺いします。

○浅野特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、都立特別支援学校に看護師を配置し、医療的ケアが必要な児童生徒に対して支援を行っております。
 この看護師配置に要する費用につきましては、国の補助金要綱に基づき、所定の手続により交付申請の手続を行っているところでございます。
 なお、現在、都立高等学校には医療的ケアが必要な生徒は在籍しておりません。また、国の補助金要綱によれば、高等学校は本事業の補助対象には該当しておりません。

○小松委員 ただいま特別支援学校についてご答弁いただきましたが、特別支援学校だけではなく、地域の公立小中学校でも医療的ケアが必要な子供たちが実際に学んでいます。
 都内の自治体での受け入れ状況はどうなっているのかお伺いします。

○浅野特別支援教育推進担当部長 文部科学省が平成二十八年四月二十八日付で公表した平成二十七年度特別支援教育に関する調査によりますと、平成二十七年五月一日現在、都内公立小中学校の医療的ケアが必要な児童生徒は、小学校に三十七人、中学校に三人在籍しております。

○小松委員 医療的ケアが必要な子供、先ほど都立高校には在籍していないということでした。しかし、都内には、小学校三十七人、中学校三人、四十人の子供たちが公立の小中学校でケアを受けながら学んでいるということです。
 地域の学校で受け入れるには、看護師を配置するなど体制を整備する必要があります。そのための財政支援を自治体が求めるのは当然のことと思います。
 文科省のインクルーシブ教育システム推進事業は、区市町村への補助もあります。今年度の交付要綱を見ますと、補助は国と都が三分の一ずつ出すことになっているようです。
 今年度、区市町村への補助事業に取り組まなかった、この理由をお伺いしたいと思います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 文部科学省は、平成二十五年度から公立特別支援学校を対象に実施していた医療的ケアを行う看護師配置補助につきまして、平成二十八年度は公立小中学校にも対象範囲を広げ、インクルーシブ教育システム推進事業として、都道府県の負担を求めた間接補助を創設いたしました。
 平成二十七年九月に、文部科学省により補助金概要の説明は実施されましたが、区市町村補助に対する所要経費を見積もるために必要な補助内容や補助要件などに関する補助要綱案が提示されたのが平成二十八年二月であり、二十八年度予算への計上を行うことができませんでした。

○小松委員 二月だったので、できなかったということです。国の補助事業について、都立特別支援学校への補助は申請するけれども、区市町村補助には取り組まないということがわかりました。
 今年度の当初予算への計上ができなかったということですけれども、補正予算でなど、実施する方策はあったんだと思います。補助の実施が始まれば、希望してもこれまでは受け入れられなかったけれども、ケアを受けながら地域の学校で学ぶことのできる子供がふえると思います。
 来年度のインクルーシブ地域システム推進事業は、国の概算要求によりますと、医療的ケアのための看護師を拡充することにしています。
 都は、区市町村補助も含めて、二〇一七年度、どのように取り組む予定かお伺いいたします。

○浅野特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、国の補助金制度整備に先駆けて、医療的ケアのための看護師を都立特別支援学校に配置してまいりました。
 都立特別支援学校では、今後も引き続き必要な看護師を配置していくよう努めてまいります。
 なお、文部科学省は、本事業について平成二十九年度以降、区市町村から直接申請を受ける直接補助の方式に切りかえる方向で検討を進めていると聞いてございます。
 当該事業についての区市町村立学校に係る経費は、設置者である区市町村が負担することが原則であると考えております。

○小松委員 障害者差別解消法の合理的配慮は、障害の有無にかかわらず、地域の学校でともに学ぶインクルーシブ教育に向けた一歩として大きな意味を持っています。国がなぜ間接補助を一年だけでやめて直接補助にするのかはわかりませんが、自治体からは介助員や看護師などの配置に対して補助を求める声も多く上がっています。
 国のインクルーシブ教育システム推進事業に都も手を挙げれば、国と都が三分の一ずつ負担し、自治体も三分の一の負担で済むことになります。より多くの子供が地域の学校に通学することができるよう、都の対応を強く求めます。
 それでは、障害のある生徒への合理的配慮の提供について、同じく障害があっても地域の学校で学ぶための合理的配慮に関する質問ですが、ことし実施された二〇一六年度都立高校入学者選抜では、全盲という重度の視覚障害のある生徒が受検をしたと聞いています。
 受検に際してどのような配慮が行われたのか伺います。

○初宿都立学校教育部長 都立高校の入学者選抜では、視覚障害のある生徒が受検するに当たり、問題用紙、解答用紙の拡大やルーペの持ち込みなどを認めております。
 ことし実施いたしました都立高校入学者選抜において、推薦に基づく選抜を受検した生徒は全盲であったことから、志願した高校の小論文の問題や集団討論のテーマを点字化するとともに、点字器やそろばんなどの使用、教室内の案内や誘導を行う介助者の付き添いを認めるなどの配慮を行いました。

○小松委員 視覚に障害がある生徒でも、望めば都立高校への入学の門戸は開かれているということがわかりました。誰でも選択の自由が保障されていることは、その子の学ぶ権利としても、ほかの子供たちにとって社会の多様性を知る意味でもよい機会になると思います。
 視覚に障害のある生徒が、それでは、高校に入学した後のサポートはどのようなものがあるのか、現状どのようになっているのかお伺いします。

○初宿都立学校教育部長 視覚障害のある生徒への対応といたしまして、施設面では、点字ブロックの設置のほか、教室前やトイレの前、階段などの手すりには点字表示盤の設置をしております。
 教材においては、点字変換や文章を読み上げるソフト、スキャナーなどの整備をし、教科書、定期考査、プリント類の点字による対応を行っております。
 授業におきましては、体育や情報では、教員と生徒との一対一の授業を行い、校外学習には引率の教員を一名増員して対応するなど、工夫を行っております。

○小松委員 今伺ったのは視覚障害の場合ですけれども、障害者差別解消法の施行により、聴覚障害、それから車椅子の場合も同様に、学校では合理的配慮が提供されるよう努めなければならないことになりました。
 地域の普通学級に障害がある生徒も当たり前に通うことができ、教育現場のインクルージョンが進展するよう、都教委はこれからも学習環境の整備や支援体制の充実に力を尽くしていただきたいと要望します。
 それでは、子供の高次脳機能障害について伺います。
 子供が脳の病気を患ったり、交通事故や転落などによりけがをしたりした後、言動が変わってしまい、性格が変わったように見えることがあります。発達障害と似たような症状が見られることもありますが、実際には高次脳機能障害による症状である場合があります。
 学校内で体育的活動により頭にけがを負ったことが原因で、高次脳機能障害が残ることも今後起こらないとはいえません。
 子供の高次脳機能障害について、担任教師や養護教諭を初めとし、学校関係者はこの障害について知っておくことが必要と考えます。啓発のためのリーフレットを東京都福祉保健局が作成しましたが、このリーフを有効に活用すべきと考えます。
 都教委は、小中学校に対し高次脳機能障害の啓発をどのように行っているのかお伺いします。

○出張指導部長 都教育委員会は、福祉保健局のリーフレット作成に協力するとともに、教職員が高次脳機能障害についての理解を深められるようにするため、福祉保健局が実施する高次脳機能障害者相談支援研修会の開催を区市町村教育委員会を通じて小中学校に周知し、教職員の参加を促しております。

○小松委員 これがそのパンフレットですけれども、高次脳機能障害は外面からはわかりにくく、脳のどこの部位が損傷を受けたかによって症状がさまざまで、認知症や自閉症スペクトラムと間違われやすいこともありまして、正しく理解されにくい障害といえます。
 子供の場合は、なおさら一般的に知らされていないため、親も学校も気がつかないまま、急に怠け者になったとか、反抗的になった印象を与えるようになり、周囲が戸惑うことがあるといいます。
 子供にとって学校は毎日長時間過ごす場なので、教職員の中に高次脳機能障害についての理解者がいるかどうかで、学校生活の充足の度合いにかかわります。研修会への教職員の参加を都教委は促進しているとのことです。より一層啓発に努めていただきたいと思います。
 それでは、高校の宿泊防災訓練における関係機関による防災講話について伺います。
 二〇一二年度から都立高校生を対象に、一泊二日の宿泊防災訓練が関係機関との連携で行われています。
 地域の防災活動に貢献できる自助、共助の心を持った人間を育てることが狙いとされておりまして、その中で一部の学校では、関係機関による防災講話が実施されています。関係機関には防衛省も含まれています。
 また、一泊二日の宿泊防災訓練のほかに、自衛隊駐屯地での宿泊訓練を行っている学校もあり、二〇一三年には田無工業高校、二〇一四年には大島高校の生徒が二泊三日の行程に参加しています。関係機関の一つとして、自衛隊との連携が行われているということです。
 一泊二日の宿泊防災訓練は、全ての都立高校で実施されているわけですが、その一部の学校で行われている関係機関による防災講話について、その連携先、そして実施内容についてお伺いします。

○出張指導部長 防災講話を実施している学校では、発災時の状況や被災した場合の具体的な対応方法について、生徒の理解を一層深めるため、防災、減災に関して専門的な知識や技能を有する関係機関と連携しております。
 主な連携先は、区市町村の防災担当のほか、東京消防庁、防衛省、日本赤十字社などでございます。
 防災講話の内容は、実際に被災地に派遣された関係機関の職員による体験談や震災発災時の状況に関するビデオの視聴でございます。

○小松委員 その連携先や実施内容は、高校側の要望によるのでしょうか。または、連携機関から提案がされるのでしょうか、あるいはそれ以外でしょうか。どのように決められるのか伺います。

○出張指導部長 学校は、防災講話を実施する場合、通常、直接関係機関に依頼しておりますが、必要に応じて都教育委員会も関係機関に関する照会及び調整などの支援をしております。

○小松委員 それでは、防衛省との連携で行われた防災講話の内容はどのようなものか確認します。

○出張指導部長 防衛省と連携した防災講話では、震災発災時の被害状況や被災者の救助の状況など、実際の映像を用いた学習を行っております。
 また、被災地に派遣され、災害復旧の中心となって活動した隊員から、温かい食事の提供などを通した被災者への、交流の様子や復興に向けた隊員の強い思いなどの体験談を伺っております。
 こうした学習を通して、被災時に自分の身を守り、地域の防災活動に貢献できる自助、共助の心を持った人材の育成を図ってまいります。

○小松委員 二〇一三年に自衛隊朝霞駐屯地で行われた宿泊訓練については、都民から中止を求める趣旨の陳情、都立高校の防災訓練における自衛隊との連携及び駐屯地での宿泊訓練の中止に関する陳情が提出され、同年十一月二十七日の文教委員会で審査が行われました。
 その際、都議会生活者ネットワークとして、自衛隊は国際法的には軍隊とみなされ、災害被災地に赴いて救助、救援活動を担うことがあるものの、他の国の紛争地帯に派遣され、軍事的な活動に従事することもある組織であり、教育現場との連携には慎重でなければならないと考えますと述べ、陳情採択に賛成しました。
 しかし、その後、二〇一四年にも都立高校生の自衛隊駐屯地での二泊三日の宿泊訓練が実施されました。
 ところが、この二回の宿泊訓練は、いずれも防衛省の側としては、陸上自衛隊隊内生活体験という名目の位置づけであったことが市民の調査によりわかっています。
 陸上自衛隊隊内生活体験とは何か。陸上自衛隊のホームページには、自衛隊の駐屯地等で、隊員と同じような日課で起居宿泊する生活を通じて自衛隊の実際の姿を広く知り、理解を深めていただくための体験であると書かれています。
 具体的に何をするのかといえば、同じくホームページで、隊員と同じような日課で起居宿泊する生活を通じて自衛隊の実際の姿を広く知り、理解を深めていただくと紹介され、その内容は、防衛問題、自衛隊の現状説明、個人、集団行動に関する基本動作、基本教練、体育、隊内見学、戦車等への体験搭乗、隊員との懇談等となっています。
 一見したところ、防災訓練には見えないわけですが、細部は申し込まれた団体等の責任者と受け入れ部隊との相談により決定とされてありますので、防災の話を加えることは可能かもしれません。
 しかし、自衛隊が武器を扱う職業であり、生命が危険にさらされる可能性があること、海外紛争地に派遣される可能性があることから、自衛隊への体験入隊ではないかという保護者からの不安の声が多く上がっております。
 改めて、高校生の防災訓練は、自衛隊におけるプロの体験を学ぶよりは、むしろ地域の防災や日本赤十字社などのボランティアや地域住民との連携などを学ぶ方が高校生にはふさわしいのではないかと考えます。
 以上申し上げ質問を終わります。

○小宮委員 先日、新しい知事となって初めての総合教育会議が開催されました。本日、委員会の冒頭においても大綱骨子の説明がありましたが、近年、東京の教育というのは、四年から五年ごとの期間で策定された東京都教育ビジョンに基づいて進められてきました。
 第一次ビジョンは、私、まだ都議会にいないときですけれども、平成十六年四月に策定され、乳幼児期、学童期、思春期、青年期という成長の段階ごとに、家庭の役割であったり、義務教育の枠組みの見直しであったり、また公立学校と私立学校の連携、それから当時のフリーターなどの増加に対して、若者の就労意欲を喚起する教育を進めるなど、今見てもなかなか画期的な内容であるなと感じます。
 第二次ビジョンは、これもまた私、まだ都議会におりませんが、平成二十年の五月に策定されておりまして、その策定の経緯の冒頭には、グローバル化や少子高齢化といった社会の急速な変化が示され、社会全体で家庭教育、子育て、若者の自立を支援する仕組みづくりの必要性から、今までは別々に役割を果たしてきた家庭と学校と地域が連携を深めるべきとしています。
 また、グローバル化の時代における多様な価値観の享受や自国の歴史認識、激しい競争社会を生き抜く力の必要性、ICT活用や留学支援など、教育の指針は子供らの知、徳、体のバランスのとれた教育を基本としつつ、その時代時代、社会の変化が子供の成長に与える影響を考慮しながら策定をされてきました。
 これまで、教育庁初め議会の諸先輩が取り組んできたこの施策や成果というのは、先ほど来、数字ではなかなかはかり切れないものもあるというお話も出ておりますけれども、そうした過去の努力というものを尊重しながら、今後の教育ビジョンもあるというふうに思います。
 現在は、平成二十五年四月に策定された第三次教育ビジョン、これ、国の法改正により設置することとなった総合教育会議の大綱を受けて、ことしの四月に一部改定されておりますけれども、この第三次ビジョンと改定により新たに盛り込まれた内容について伺います。

○安部教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 教育ビジョン(第三次・一部改定)は、東京都教育施策大綱、東京二〇二〇大会の開催、学習指導要領の改訂に向けた国の教育改革の動向等を踏まえて策定したものでございます。
 改定に当たって、従来、知、徳、体、学校、家庭、地域社会の六つを施策の柱としておりましたが、これにオリンピック・パラリンピック教育を新たに加え、七つの柱で施策の整理等を行っております。
 これに伴い、今後取り組むオリンピック・パラリンピック教育の施策の内容をあわせて明らかにしております。
 このほか、世界で活躍できる人材を育成するための使える英語を習得させる実践的教育の推進、不登校、中途退学対策などもこれまで以上に推進する取り組みとして位置づけております。

○小宮委員 七つ目の柱として加わったオリ・パラ教育の導入は、大変特徴的なものであると思います。五十年に一度あるかないかというこの一大事業を通じて、子供たちがこれまでにない経験をし、夢や希望を持つことが具体的になったり、素直に感動するという機会がふえたり、他者を敬う精神を育む、そうしたきっかけになってほしいと私は思います。
 オリンピック憲章には、オリンピズムとは、肉体と意志と精神の全ての資質を高め、バランスよく結合させる生き方の哲学である、オリンピズムはスポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求するものであるとしています。
 東京都が目指す教育の基本となっている知、徳、体、バランスのとれた人間の育成、その考え方にオリ・パラ教育は大きく寄与する取り組みになるものと期待をするところです。
 東京都教育委員会が一月に発表した東京都オリンピック・パラリンピック教育実施方針では、重点的に育成すべき五つの資質として、ボランティア精神の醸成、障害者理解の促進、スポーツ志向、日本人としての自覚と誇り、豊かな国際感覚が挙げられています。
 将来を担う子供たちにとって、五つの資質はどれも大事ですが、特にきょうは、同じ社会に生きる全ての人々が互いに理解をし、ともに助け合い、支え合う共生社会を実現する上で重要なボランティア精神の醸成と障害者理解の促進について伺いたいと思います。
 この二つの資質の育成に取り組んでいる重点校では、どのような取り組みが行われているのか。また、この二つの資質、ボランティア精神の醸成と障害者理解の促進というのは共通する取り組みになり得ると考えますが、取り組み状況について伺います。

○宇田指導推進担当部長 都教育委員会が今年度百校指定したオリンピック・パラリンピック教育重点校のうち、ボランティアマインドの醸成と障害者理解の促進に取り組んでいる学校はそれぞれ三十五校あり、ほかと比べて多くなっております。
 ボランティアマインドの醸成に取り組んでいる学校では、ボランティア活動の意義を学んだ上で、総合防災訓練での炊き出しや地域清掃への参加、また地域のマラソン大会での会場準備などのボランティアに取り組んでおります。
 また、障害者理解の促進に取り組んでいる学校では、アイマスクや車椅子体験のほか、特別支援学校や特別支援学級の児童生徒とともに、ボッチャ等の障害者スポーツを通した交流などを行っています。
 こうした二つの資質の育成に取り組んでいる学校の中には、障害者施設や高齢者施設での介護補助や合唱、合奏の披露、また災害時における聴覚障害者への対応を想定した手話通訳の学習といった相互の関連を図った取り組みを行っている学校もございます。

○小宮委員 ボランティア精神の醸成を選んだ生徒が、災害対応の中で手話を学んだということが結果として障害者の理解の促進につながるということ。また、障害者理解を図ることで、結果としてボランティア精神の醸成に結びついていく、そうした相乗効果の高い、関連性の高い、この二つのテーマの今後の成果を期待するところです。
 今のご答弁に、障害者理解の促進の重点校の取り組みの中で、障害者スポーツ等を通じて、特別支援学校や特別支援学級の児童や生徒と小学生、中学生、高校生との交流が行われているという取り組みの紹介がありました。
 実際に交流することは、特支の子供がどんな障害を持っているのか、だからどんな手助けが必要となるのかなど、障害のある相手を理解する上でとても重要であると思います。
 このような交流体験を通じて、小学生、中学生、高校生はどのように感じ、その成果はどうであったか伺います。

○宇田指導推進担当部長 特別支援学校や特別支援学級の児童生徒との交流を体験した児童生徒からは、ボールの投げ方が自分たちよりもずっと上手だった、交流を通して友達になり、思いやりの大切さを学んだなどの感想がありました。
 また、教員からは、子供たちの障害者への理解を進める上で、実際に交流することは非常に効果的であるなどの報告を受けております。
 こうした交流体験を通して、子供たちが障害のあるなしにかかわらず、相手を尊重することの大切さを理解することができたと認識しております。

○小宮委員 また、特別支援学校に通う子らにとっても、オリ・パラ教育、この機会が彼らの可能性を伸ばし、将来につながる、社会とつながる、そうしたきっかけとなることが大切です。そのためにも、特別支援学校の児童生徒による社会貢献活動、これは積極的に行っていただきたいというふうに思います。
 本年度は、モデル事業を実施するとしていますが、まず現在、特別支援学校において実施した社会貢献活動の具体的な取り組みについて伺います。

○出張指導部長 障害のある児童生徒が学校外の場で社会貢献活動を行うことは、多くの人とかかわり、社会の一員として認められ、みずからの成長を実感することにつながることから、都教育委員会は今年度、都立特別支援学校の中から二十校をモデル校に指定いたしまして、高齢者施設等と連携した貢献活動の実施を支援しております。
 このうち江東特別支援学校と墨田特別支援学校の二校については、知的障害のある高等部生徒が近隣の特別養護老人ホームを訪問し、高齢者とペアになってゲームをしたり、一緒に歌を歌ったりするなどの取り組みを行いました。

○小宮委員 ほかの十八校について、今後どのような企画が検討されているか伺います。

○出張指導部長 他の十八校の特別支援学校では、高齢者施設を訪問する取り組みのほかに、学校に高齢者を招待するなどの取り組みを年内に実施してまいります。
 具体的には、生徒がつくったケーキやお茶を振る舞い、おもてなしをする取り組みや、学園祭等に招待して劇や和太鼓、ダンスパフォーマンスを披露する取り組み、ボッチャ等の障害者スポーツを一緒に行う取り組みなどでございます。
 都教育委員会は今後、モデル校での実践事例を報告書にまとめ、人の役に立つことの大切さや喜び、社会貢献活動の意義に関する生徒の学びなどについて、全ての都立特別支援学校に周知してまいります。

○小宮委員 共生社会は、お互いを知ることから始まります。特支の子供たちが地域に出向いて活動すること、また地域の方々が特支を訪問すること、こうした行き来が活発になって、当たり前のこととなれば、共生社会の一歩につながることと思います。
 それだけではなく、高齢者施設といった福祉施設を生徒が訪問することで、高齢者と接する経験をするということは、将来の福祉施設への就労の関心ですとか、きっかけにもつながる可能性があると思います。
 五十六年前、東京で初めて開催された五輪大会では、多くの社会インフラが整備され、その後、私たちは経済的な豊かさを享受しました。
 二回目となる今回のオリンピック・パラリンピック大会では、東京の将来を担う子供たちが精神的に豊かな成長が得られる、そうした機会となるよう、オリ・パラ教育の充実に期待をいたしまして質問を終わります。

○古賀委員 東京都が平成二十四年度から全都立高校で日本史を必修にし、独自の歴史科目「江戸から東京へ」を始めました。この「江戸から東京へ」及びこの日本史教育の中で取り扱われている関東大震災に関する件について質問をいたします。
 ことし九月三日に、NHKテレビのETVで「関東大震災と朝鮮人 悲劇はなぜ起きたのか」という番組が放送されました。冒頭、東京都慰霊堂で行われております関東大震災秋季慰霊大法要の模様が映し出されたのでありますけれども、最初の部分で秋篠宮同妃両殿下がご臨席されているお姿も映っておりました。しかし、すぐその後画面が変わり、公園の一角にある朝鮮人慰霊碑の前で踊りを踊るチマ・チョゴリ姿の女性が映されます。
 関東大震災と朝鮮人をテーマにした番組でありますけれども、なぜわざわざ、わざわざといいますか、これに秋篠宮同妃両殿下が出席されているような印象を与える、NHKの印象操作だと思いますけれども、これが行われたのか。このことについて、私は非常に不思議に思ったわけであります。
 しかしこの問題は、今後さらに都立高校の教育現場でも取り上げられ、関東大震災と朝鮮人のこの悲劇の問題が学校現場でも取り上げられる可能性が強いのではないかと思うわけです。
 ことしの八月二十日にソウルで関東大震災で亡くなった朝鮮人の慰霊の行事が行われております。実に九十三年たって初めて韓国は慰霊を行うわけであります。つまり、背景とすれば、韓国は日韓基本条約交渉や請求権協定等で全く問題にしなかった慰安婦の強制連行の問題が全て虚偽であるということが明らかになった今日、今度は新たにこの関東大震災における朝鮮人犠牲者の問題を取り上げて、謝罪や補償を求めてくる可能性があるのではないかと私は思うわけであります。
 都立公園の横網町公園は墨田区にありますけれども、その中には関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑があります。そこで毎年追悼集会が行われ、ことしも九月一日、行われたわけです。この二つの行事を何か一体のものとしてNHKは描いていました。
 この追悼集会の案内のチラシ、ここにありますけれども、この中には朝鮮人六千人以上も当時の天皇の軍隊、警察、自警団によって虐殺されたと書いてあります。
 また、追悼碑も建っております。これは、美濃部共産党都政時代に朝鮮人の犠牲者数を六千名と記して建てたものであります。社会党も一緒でしたね。ところが、この数字には全く客観的な信頼できる根拠があるものではなく、六千という数字を巧妙にNHKは避けていました。
 私は、都立高校生に誤った歴史を教えてはならないと思います。当然のことです。都立高校では、先ほど申し上げましたように、平成二十四年度から日本史が必修化され、都独自の日本史科目「江戸から東京へ」も教科書を使って始まりました。
 幸いにして、東京都にはこの「江戸から東京へ」という教科書があり、その内容は完成度の高いものだと思います。当初、旧版、古い版が出されたんですけれども、いろいろ私ども、内容について意見を申し上げ、かなりの点で改善されたものが、今、使用されております。
 そこで、質問をいたしますけれども、関東大震災のいわゆる朝鮮人殺傷について、東京都独自科目「江戸から東京へ」の教科書ではどのように扱っているのか。また、都立高校の教育現場では、「江戸から東京へ」の教科書を使ってどのようにこの件について教えているのか伺います。

○出張指導部長 東京都独自科目「江戸から東京へ」の教科書では、朝鮮人犠牲者追悼碑から、大震災の混乱の中で朝鮮人がとうとい生命を奪われたという文言を教科書に転記しております。
 また、都立高校では、「江戸から東京へ」の教科書記述に沿って、大正十二年九月一日午前十一時五十八分、南関東一帯を襲った関東大震災の発生状況や下町六区の焼失面積は八〇から一〇〇%とほぼ壊滅状態になったことなど、震災直後の東京の様子について指導をしております。

○古賀委員 「江戸から東京へ」の教科書の中には、朝鮮人の犠牲者数が六千余名という記載はないこと、それから学校では朝鮮人犠牲者数が六千余名であることを教えてはいないということでありました。
 この関東大震災発生時の朝鮮人殺傷については、震災の混乱の中で朝鮮人が襲ってくるなどの流言飛語が原因とされています。しかしながら、果たして流言飛語であったのかどうか。当時、大正八年に起きた三・一独立運動活動家の朝鮮人が、日本人官吏を殺害しようとして多数来日し、震災発生時に一部の朝鮮人が放火や襲撃を行いました。
 このことについては、司法省の報告書、震災後における刑事事犯及びこれに関連する事項調査書では、大正十二年十一月十五日現在で取りまとめた関東大震災発生時の朝鮮人の犯罪が報告されています。
 この報告書の中の第三章には、鮮人の犯罪ということで、そのことが具体的に記されているわけです。一例を挙げれば、九月一日夜、月島二号地ほかで凶器を携えた不逞鮮人五名が本所区菊川町方面より月島に入り込み、警戒中の民衆にピストルを発射し、うち四名が取り押さえられる等の記述があります。
 このように、関東大震災時の朝鮮人殺傷については、一般には流言飛語が原因といわれていますが、朝鮮人の犯罪が多数あったのもまた事実であります。
 私は文献をいろいろ調べましたけれども、当時の関東周辺、朝鮮人の人口はどのくらいであったか、何人ぐらいいたか、当時から日本は国勢調査をしていました。細かい数字がいろいろありますけれども、三年前の大正九年の国勢調査では、国籍民籍別人口のうちの朝鮮人の人口について、東京府は二千四百八十五人、埼玉県が七十八人、千葉県が四十人、神奈川県が七百八十二人、合計三千三百八十五人であります。
 NHKの先ほど申し上げた番組でも、震災発生前に東京には少なくとも五千人ほどの朝鮮人が暮らしていましたと述べていました。六千人殺害ということは、どう考えても無理な数字であります。それなのに、都立横網町公園にある朝鮮人犠牲者碑には六千余名の朝鮮人が犠牲になったと刻まれています。
 これが碑の写真ですけれども、六千余名、六千人以上というふうに書かれています。これは何に基づいて記述したのか、私には全くわかりません。さまざまな書物等が出ているのは事実でありますけれども、この数字に根拠を与える歴史的な事実というものは、私は発見することはいまだにできないわけであります。つまり、六千余名というのは事実に反することであります。
 しかし、都立高校において、もし、またこの碑を見る東京の子供たちが誤った認識を持つことがあってはならないわけです。この件に関しては、ノンフィクション作家の工藤美代子さんが著書「関東大震災『朝鮮人虐殺』の真実」でつまびらかにしておりますけれども、この中でも大地震の混乱に乗じて、朝鮮独立運動家たちが暴動を起こしたことは紛れもない事実であることが資料をもって証明をされています。
 きょうはちょっと、もっと詳しくいろいろ資料を申し上げたいんですけれども、碑を建てているのは東京都でもありませんので、ただその場所を提供しているのが東京都ですので、今後は建設局の方にこの件は意見を述べていかなければならないと思っております。
 そこで、現に都立公園の中に朝鮮人犠牲者追悼碑、六千余名が記述されているわけであります。東京都の公園施設の中にあるわけです。
 この件に関しては、教科書では取り上げておりませんけれども、この歴史の事実、あるいは歴史の真相ということに関しては、東京都教育委員会は全く関係のないという立場ではないというふうに私は思います。
 都教委として、この六千余名が犠牲になったと書いてあることについては、どのような見解、認識を持っておられるか伺います。

○出張指導部長 都教育委員会は、朝鮮人犠牲者数については、六千余名などの諸説以外にもさまざまな説があると認識しております。

○古賀委員 諸説あるということで、六千も含むということになりかねないので、今後、さらにこの件は取り上げていきたいと思いますけれども、実は、千葉県の佐倉市にある国立歴史民俗博物館、これは国の施設ですけれども、この歴史博物館でも六千六百人を上回る朝鮮人が虐殺されたと書かれていたわけでありますけれども、良識ある市民歴史家の皆さんが、事実と異なるのではないかということで、国立歴史民俗博物館側にいろいろ資料を提示して話をした結果、この数字は現在削除されています。それから、博物館の中でナレーションも、放送が映像とともに流されていましたけれども、その中にあった六千六百人を上回るという表現も現在なくなりました。
 私は、明治から大正の時代をたくましく全力で生き抜いてきた私たちの父祖、先人をいわれなき誹謗中傷によってその名誉をおとしめることは許されないというふうに思うわけです。
 そして、現在に生きる私たち、さらには将来、国や社会や家庭を支える子供たちに辱めを与えるようなことを私たちが放置してはなりません。
 先ほど申し上げましたように、今度は、恐らくこの件で謝罪と賠償の問題が提起されてくるのではないかと思うわけです。今、韓国は大統領をめぐっていろいろ大変な状態にありますけれども、対外的に何か関心を向けさせるにはこれはいい材料なんですね、そういうことも考えておかなければならないと思うわけです。
 公園設置者であります東京都建設局の公園緑地部がその碑の建設を許しているわけでありますので、ぜひ今度は一般質問か何かで取り上げていきたいと思います。
 ちなみに、この関東大震災九十三周年朝鮮人犠牲者追悼式典、六千余名に上る朝鮮人がとうとい命を奪われましたという碑の前で行われている行事に、小池百合子知事は追悼文を寄せているんですね。案内状に六千余名に上る云々という要請に応えて追悼文を寄せています。知事の認識も改めなければならないと思っています。
 終わります。

○植木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時九分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る