文教委員会速記録第十六号

平成二十七年十一月十九日(木曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長植木こうじ君
副委員長里吉 ゆみ君
副委員長高木 けい君
理事栗山よしじ君
理事ほっち易隆君
理事野上 純子君
小松 久子君
山崎 一輝君
野上ゆきえ君
今村 るか君
鈴木貫太郎君
古賀 俊昭君
斉藤あつし君

欠席委員 一名

出席説明員
オリンピック・パラリンピック準備局局長中嶋 正宏君
次長理事兼務岡崎 義隆君
技監邊見 隆士君
技監石山 明久君
理事小山 哲司君
総務部長鈴木  勝君
調整担当部長雲田 孝司君
総合調整部長児玉英一郎君
連絡調整担当部長岡安 雅人君
準備会議担当部長丸山 雅代君
自治体調整担当部長井上  卓君
計画調整担当部長鈴木 一幸君
大会準備部長延與  桂君
運営担当部長田中  彰君
競技担当部長根本 浩志君
パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務萱場 明子君
施設輸送担当部長花井 徹夫君
施設調整担当部長小室 明子君
施設整備担当部長小野寺弘樹君
選手村担当部長安部 文洋君
スポーツ推進部長早崎 道晴君
国際大会準備担当部長土屋 太郎君
スポーツ施設担当部長田中 慎一君
教育庁教育長中井 敬三君
次長松山 英幸君
教育監金子 一彦君
総務部長堤  雅史君
都立学校教育部長早川 剛生君
地域教育支援部長粉川 貴司君
指導部長伊東  哲君
人事部長江藤  巧君
福利厚生部長太田 誠一君
教育政策担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
安部 典子君
教育改革推進担当部長出張 吉訓君
特別支援教育推進担当部長松川 桂子君
指導推進担当部長鯨岡 廣隆君
人事企画担当部長鈴木 正一君

本日の会議に付した事件
オリンピック・パラリンピック準備局関係
事務事業について(質疑)
教育庁関係
事務事業について(質疑)

○植木委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、オリンピック・パラリンピック準備局及び教育庁関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これよりオリンピック・パラリンピック準備局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、局長から幹部職員の紹介があります。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 十月十六日付の人事異動により変更のありましたオリンピック・パラリンピック準備局の幹部職員をご紹介申し上げます。
 総合調整部長の児玉英一郎でございます。連絡調整担当部長の岡安雅人でございます。準備会議担当部長の丸山雅代でございます。運営担当部長の田中彰でございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○植木委員長 紹介は終わりました。

○植木委員長 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○鈴木総務部長 去る十月十五日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます文教委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりください。資料第1号、平成二十六年度スポーツ大会等への都の補助金等の実績でございます。平成二十六年度に、都が補助金等を支出したスポーツ大会及びスポーツイベント名と実績等を記載してございます。
 一枚おめくりください。資料第2号、平成二十六年度スポーツ団体等への都の補助金等の実績でございます。平成二十六年度に、都が補助金等を支出したスポーツ団体名と実績、その事業内容を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○植木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山崎委員 私からは、ラグビーワールドカップの件につきまして何点か質問をさせていただきたいと思います。
 ラグビーワールドカップ・イングランド大会は、日本代表チームの勇気あふれるプレーが、世界中、そして日本中のラグビーファンの感動を呼び、また、日本でも大きな話題となったわけでございます。大会は、ファンのみならず、これまでラグビーになじみのなかった多くの方々の心にも訴え、先月、幕を閉じたわけであります。四年後、アジア初のラグビーワールドカップが平成三十一年九月二十日、東京スタジアムでの開会式、開幕戦を皮切りに、日本全国十二都市、十二会場で開催をされるわけであります。
 私は、都議会の調査団の一員としてイングランド大会を視察し、試合会場やファンゾーン、キャンプ地を訪問して、大会運営状況を調査してきました。また、ワールドラグビーを初め、大会関係者とお会いするとともに、試合会場などでラグビーファンと交流し、ラグビーワールドカップの雰囲気を実感してきました。今後、ラグビーワールドカップ日本大会の成功に向けて、イングランド大会に学びつつ、日本ならではのすばらしい大会にしていきたいと考えております。
 本日の質疑では、私がイングランド大会で得てきた経験をもとに、東京が開催都市として取り組むべき課題について議論を進めていきたいと思います。
 それでは、まず初めに、ラグビーワールドカップは、ラグビーワールドカップ組織委員会と開催都市が連携をして大会運営に当たることである、そういうことでありますが、改めて開催都市の役割について確認をしておきます。

○土屋国際大会準備担当部長 組織委員会は、試合の運営、選手の宿泊、輸送、各チームへのサービス、チケット販売など、大会そのものを運営いたします。
 一方、開催都市は、大会を円滑に運営するための支援、観客等へのもてなし、そして、開催機運の盛り上げを行う役割を担っております。
 第一の大会の運営支援といたしましては、試合開催会場の提供、会場への観客誘導、交通セキュリティー対策等がございます。
 第二の観客等へのもてなしとしましては、シティードレッシング、パブリックビューイングなどを含みますファンゾーンの提供、VIPホスピタリティー施設の確保などがございます。
 第三の開催機運盛り上げといたしましては、各種イベントの実施などがございます。

○山崎委員 大会運営を支え、大会開催の雰囲気を盛り上げる開催都市の役割は大変重要であります。準決勝をトゥイッケナムの競技場で見ましたけれども、南アフリカ対ニュージーランドの試合を見てまいりました。その際に、シャトルバスの乗り場や会場周辺でボランティアスタッフの案内を受け、スムーズに会場にたどり着くことができました。
 一方、試合が終わった後、大勢の人が混み合う中をかき分けるようにして、三十分以上そのバス乗り場まで歩いたわけでございます。その土地に精通していない人がいっぱいいる中で、できる限りスムーズに帰路につけるような観客への配慮が私は必要だったと思います。
 試合後、約八万人の人たちが一斉に出ていく形になります。その中で、雨も降っていたという関係もあったんですけれども、試合会場に入るのは時差がちょっとずつ皆さんあるんですけれども、やはり試合が終わると一斉に出てきてしまう。こういった対策というものは、これから日本の大会でも、非常にしっかりとしていかなきゃいけないところなんだなということを感じたわけでございます。
 ラグビーワールドカップを東京スタジアムで開催するに当たり、初めてスタジアムに来た観客でも、安全、スムーズに会場にアクセスできることが必要であると考えますが、どのような対策を考えているのか伺います。

○土屋国際大会準備担当部長 ラグビーワールドカップでは、国内外から東京スタジアムに初めて訪れる観客が大勢集まることが見込まれます。入退場時におけます観客の集中をできる限り緩和し、観客がスムーズに移動できるようにするためには、歩行者動線の確保、外国人にもわかりやすい案内表示、ボランティアなどのスタッフによる親切な声かけなどの対策が重要でございます。また、鉄道やバスなど、交通事業者にご協力いただきまして、速やかに観客を輸送する対策も必要でございます。
 東京スタジアムにおきますスポーツ祭東京二〇一三やサッカー日本代表戦など、大規模スポーツイベントの経験も生かしまして適切に対応してまいります。

○山崎委員 イングランド大会では、ラグビーファンがファンゾーンで飲食やエールの交換を楽しみ、その勢いで試合観戦に臨んでいました。試合会場は満員で、選手のプレーに、会場全体がどよめくように盛り上がっておりました。
 このような、選手、観戦者が一体となった雰囲気があるから、観客は何度も会場に足を運びたくなる。観客がふえればチケット収入もふえ、大会収支の助けにもなるわけであります。
 チケット販売は、組織委員会の責任であることは承知をしておりますが、開催都市としても単に大きな試合会場やファンゾーンを用意すればいいということではなく、観客にどうすれば楽しんでもらえるかを前提に準備を進めることが大切だと思います。
 また、VIPホスピタリティー施設が充実しているのも日本にない特徴でありました。このVIPホスピタリティー施設というものは、例えばスポンサーから招待をされたり、そして特別なチケットを購入して、スポーツ観戦とあわせて、その施設のところで商談や社交、こういったものをするのがファンゾーンというところであり、また、VIPホスピタリティーの施設である。こういうことがラグビーの、ワールドカップの中での文化になっているわけであります。
 二〇一九年大会に向けて、試合会場やファンゾーンを用意すればいいという、ただ用意すればいいということではなく、観客が臨場感を持って試合を楽しめるような工夫があるとか、ラグビーファンをおもてなしする施設を準備することが大切だと思いますが、所見を伺います。

○土屋国際大会準備担当部長 ただいまご指摘いただきましたように、ファンゾーンから試合観戦を一連のものとして捉え、試合観戦だけでなく、ラグビーワールドカップそのものを楽しんでいただけるような視点が大変重要でございます。
 イングランド大会におきましては、スタジアム外にVIPホスピタリティー施設が設置されておりまして、試合の前後で飲食するなど、多くの観客でにぎわっておりました。また、ファンゾーンは全体で十五カ所ございまして、トゥイッケナム・スタジアムなど、スタジアムの近隣やトラファルガー広場など、観光名所に設けられておりまして、多くの方々でにぎわい、大会を盛り上げておりました。
 今後、組織委員会や地元自治体と調整しながら、ラグビーワールドカップを迎えるのにふさわしい環境づくりや、日本らしいおもてなしのあり方につきまして、建設中の武蔵野の森総合スポーツ施設や周辺の土地活用も踏まえまして検討してまいります。

○山崎委員 今、私の質問の中で、ただ試合会場やファンゾーンを用意すればということではなく--ただ用意すればいいという問題じゃないということをぜひ認識いただきたいと思います。
 そして、例えば新国立競技場の計画がございました。当初の新国立競技場の中は非常に広い施設だったわけであります。それがいろいろな経緯で、今回の新国立競技場、また計画が変わって、また、建設の期間も変わってきたわけでございますけれども、やはり新国立競技場がいかに大事だったか、このホスピタリティー施設なんていうのは、当初の計画であれば、新国立の中でできたわけであります。
 ですから、それだけ日本でラグビーワールドカップというものは今までやっていない中で、いかに世界中の観客を集めるか。日本でやるのは新鮮ですから、世界中のラグビーファンは日本に注目をしているわけでございます。また次の年には、もちろんオリンピックもあるわけですから、しっかりとその点は前に進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 続きまして、二〇一九年大会を成功させる上で、選手に対して良好な練習環境を整えることも大切であります。都議会の調査団は、チームキャンプ地の一つであるバーミンガム大学を訪問して、大学の担当者から、キャンプ受け入れのメリットや南アフリカチームのキャンプ受け入れに当たっての取り組みについて話を聞いてきました。
 二〇一九年大会のキャンプ地について、組織委員会によれば、来年の春以降、選定プロセスの概要を発表するということでありますが、都内には既にチームキャンプ地の受け入れを希望する自治体があると聞いております。都は、キャンプ地となることを希望する自治体に対して、情報提供や相談に乗るなど、支援するとともに、二〇一九年大会に向けて、開催機運の盛り上げなどにも連携して取り組むことを要望しておきます。
 これまで粛々、議論を前に進めてきましたが、二〇一九年大会の成功に向けて何より大切なのは、国内外のラグビーファンにチケットを買っていただいて、会場をラグビーファンで満員にすることであります。イングランド大会における南アフリカ戦の勝利を初め、日本代表チームの大活躍は現地でも大きな話題となりました。日本でもラグビーに関心を持つ人がふえたわけであります。この勢いを二〇一九年大会につなげることがまた重要でもあります。大切でもあります。
 ラグビーワールドカップでは、優勝カップのウエブ・エリス・カップが世界各国を回るトロフィーツアーというものがあります。昨年、国立競技場で日本代表対香港代表の試合が行われた際に、このエリス・カップ・トロフィーツアーがやってまいりましたが、これはラグビーファンも余り知らなかった。ましてや、ラグビーファン以外の人はもっと知らない、そういったことになってしまいました。
 そういうことでは、私は、二〇一九年は成功に導けないと思っておりますから、そういったこともしっかりやっていただきたい。また、機運醸成では、これまでラグビーに余り関心のなかった方々もターゲットにして、ラグビーの魅力に触れる機会をつくることが重要であります。
 もう一つご紹介をさせていただきますと、私たち調査団は日本のジャージ、ユニフォームを着て観戦をしました。また、そのユニフォームを着て、ファンゾーンに行ってまいりました。その際に、やはり日本のチームの、南アフリカとのあの歴史的な勝利があった関係で、我々が日本のユニフォームを着ているだけで、各外国の皆さんが、おお、ジャパンとハイタッチをみんなが求めてくる。それだけ日本の躍進というか、日本のラグビーというか、そういったものも、このイングランド大会で大変に認められたわけでありますから、しっかりとこれから二〇一九年に向けて、我々も頑張っていきたいと思いますので、その点もよろしくお願いをしたいと思います。
 そこで、二〇一九年大会に向けて、開催機運をどのように盛り上げていくのか、今年度の具体的な取り組みについて伺います。

○土屋国際大会準備担当部長 二〇一九年大会の成功に向けまして、機運の醸成を図ることは大変重要でございます。
 都はこれまで、ライトアップや二〇一五年大会のパブリックビューイングなど、プロモーション活動を行ってまいりました。また、スポーツ博覧会や味スタ六耐など、東京都主催のスポーツイベントにおけますブース出展でのアトラクションで、ラグビーボールですとか、日本代表のジャージに触れてもらう機会をつくるなど、ラグビーの魅力やすばらしさを伝えてまいりました。
 今後、ラグビートップリーグチームとの連携やスーパーラグビーなど、さまざまなスポーツイベントを通じまして、ラグビーワールドカップのPRを行ってまいります。
 こうした取り組みを通じまして、一人でも多くの都民の皆様にラグビーの魅力に触れていただくよう努めてまいります。

○山崎委員 それでは最後に、我々都議会の調査団とともに、二〇一五年のイングランド大会を視察した局長に、本日の議論も踏まえて、開催都市としての今後の取り組みについての決意を伺います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 これまでご指摘をいただきました課題の一つ一つにつきまして、私もイングランド大会の視察に同行させていただきました一人として、身をもって実感しております。
 ラグビーワールドカップ二〇一五年大会が終わり、いよいよ二〇一九年大会に向けまして、日本、そして東京が注目を浴びることになります。
 今後、さまざまな機会を通じまして、ラグビーの魅力やすばらしさを伝える取り組みを進めますとともに、東京スタジアムの機能につきまして、武蔵野の森総合スポーツ施設や周辺の土地活用を含め、選手、観客にとってベストな環境となるよう検討を進めてまいります。
 また、事前キャンプにつきましては、受け入れ先の自治体と連携して取り組みを進めますとともに、開催機運の盛り上げなどにも協力して取り組んでまいります。
 また、ボランティア、多言語対応、セキュリティー対策など、可能なものにつきましては、二〇一九年大会と二〇二〇年大会を一体のものとしまして、戦略的に準備を進めてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、何よりも地元多摩地域の市民を初め、都民全体で、おもてなし、ホスピタリティーに富んだ大会をつくり上げていくことが重要と考えておりまして、アジア初開催となる二〇一九年大会が成功するよう、都議会のご審議をいただきながら、万全の準備を進めてまいります。

○山崎委員 今、局長から力強い決意をいただいたわけであります。やはり二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックと、そして二〇一九年のラグビーワールドカップをとにかく一体として、我々もそうですけれども、皆さんも同じように成功に向けて前に進めていかなきゃいけないと思っております。
 今後、二〇一九年大会の成功に向け、万全の準備を進めていかなければならない。そのためには、取り組むべきさまざまな課題について議論を尽くしていくことが必要であります。そして、ラグビーの組織委員会との連携、また、ラグビー協会との連携。話を聞きますと、ラグビー協会の人員というのが非常に少ない、そういう話を聞いております。だから、上だけ、上同士だけが話しているんじゃなくて、ラグビー協会をもっと東京都が、どうなんだ、ああなんだって、もっともっと強く、このことはどうなんだということを、やっぱり東京都が主体性を持ってやっていかないと、間違いなくこの四年後、大変な結果になってしまいますから、ぜひ危機感を持ってやっていただきたいことをお願いさせていただきたいと思います。
 また、このラグビーのワールドカップ二〇一九年について新たな場で審議をする、そういったときも出てくると思いますから、また今後ともよろしくお願いを申し上げて質問を終わります。

○野上(純)委員 最初に、障害者スポーツセンターについてお伺いいたします。
 さきの各会計決算特別委員会第二分科会におきまして、北区の東京都障害者総合スポーツセンターと、国立市の東京都多摩障害者スポーツセンターの大規模改修工事の改修計画について質問いたしました。その際、東京都障害者総合スポーツセンターは、既に基本設計に着手しており、平成二十八年度から三十年度にかけて工事をする計画であるとのことでございました。
 センターの利用者には、日常的に施設を利用している方も多く、そのような方にとって、来年度のいつから工事に入るのか、それがいつまでかかるのかということは非常に重要な話であります。
 そこで、東京都障害者総合スポーツセンターの詳細な工事スケジュールと、どの程度施設利用が制限されるのかお伺いいたします。

○田中スポーツ施設担当部長 東京都障害者総合スポーツセンター及び東京都多摩障害者スポーツセンターについては、ともに建設から約三十年が経過し、老朽化が進んでいることから大規模改修工事を行うこととし、このうち、東京都障害者総合スポーツセンターについては、平成二十六年度から基本設計を開始し、現在、より詳細な設計を行う実施設計に着手したところでございます。
 具体的な工事の期間につきましては、平成二十八年九月から平成三十年度半ばまでのおおむね二年間を予定しております。その間、グラウンドの利用ができなくなるとともに、順次、テニスコートやアーチェリー場などの屋外施設が利用できなくなります。また、本館につきましては、全体二年間の工事期間のうち一年間、おおむね平成二十九年度中は全面休館となる予定でございます。

○野上(純)委員 今回の大規模改修工事によりまして、施設の充実が図られる一方で、工事期間中は施設が使えなくなる時期もあるなど、利用者への影響も大きいものがあります。毎日のようにリハビリや障害者スポーツに接している人が利用できなくなると困るわけです。
 そこで、施設が利用できない期間の利用者への配慮についてお伺いいたします。

○田中スポーツ施設担当部長 障害者スポーツセンターは、単にスポーツ利用だけでなく、日常のリハビリテーションや利用者同士のコミュニケーションの場としても活用されており、休館期間中の利用者への配慮は、改修工事を進める上で課題であると認識しております。
 そのため、工事期間中の資材置き場や工事車両の動線等を工夫し、センター機能を全面的に維持することはできないものの、代替となる仮設施設を設置することといたしました。この仮設施設には、多目的スペースやトレーニングルーム、卓球室のほか、更衣室などを設け、工事期間中も利用者が継続的にスポーツ活動を行えるようにいたします。
 このほか、利用者に対して障害者の受け入れ可能なスポーツ施設を紹介するなど、今後も引き続き利用者のスポーツの場の確保に努めてまいります。

○野上(純)委員 休館期間中も、一部ではあるものの、例えば多目的スペース、トレーニングルーム、卓球等々のスポーツができる場所が確保されているということは、利用者にとっても--利用者のニーズに合った改修となるように工夫していくことを要望しておきます。
 次に、危機管理に関して質問いたします。
 この事務事業質疑をするに当たっては、二〇二〇年に開催されるオリンピック・パラリンピックを大成功に終えるために、日ごろからさまざまな準備に精力的に尽力をしていただいておりますオリ・パラ準備局の皆様方に感謝の念を抱きながら質疑をさせていただきます。
 事件、事故、自然災害に関しては、今の時代は予測不可能です。御嶽山の噴火、大型台風の襲来、大島や広島の土砂災害、局地的な集中豪雨、都市型水害、竜巻、数え上げれば切りがありません。ましてや、人的な悪意のある行為、行動に対しては防ぎようがありません。
 先週末に起きたパリでの同時多発テロは大変な衝撃でした。ふだんから多くの人々が集まるコンサートやイベント会場や施設は、テロリストにとっては狙いやすい場所です。多くの犠牲者の方々、ご遺族の方々に対して哀悼の意を表します。
 来年五月の伊勢志摩サミット、二〇一九年のラグビーワールドカップ、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックが開催されますが、テロの未然防止が大きな課題であります。テロ対策の未然防止は本当に難しいと私は感じております。
 また、今月初め、四日の夜から五日の朝にかけて、組織委員会のホームページに接続できない事象が起きております。警視庁からの連絡で攻撃が発覚。短時間に大量のアクセスが集中したことが原因だったとわかったようです。
 東京都長期ビジョンには、二〇一二年のロンドン大会を標的としたサイバー攻撃は、電力を初めとした重要インフラやオリンピック・パラリンピック専用ホームページに、億単位を数える回数に上ったと記述しております。
 都としては、今後、二〇二〇年の東京大会に向けて、テロ対策、サイバーセキュリティー対策を一層進めていかなければなりません。その方途についてお伺いいたします。

○田中運営担当部長 大会に訪れる全ての人の安全・安心を確保することは、開催都市東京の責務であり、状況の変化に対応しながら、さまざまなリスクを一元的に捉えて危機管理を検討することが必要でございます。
 このため、本年七月に、レガシー委員会の中に安全・安心部会を設置し、現在、治安対策、サイバーセキュリティーなどについて、さまざまなリスクの洗い出しを行っております。
 今後は、国、組織委員会との連携を強化しながら検討を進めるとともに、検討の進捗に合わせて体制も一層強化し、テロなどの事態を想定した実地訓練を重ね、対処要領を策定するなど、安全・安心の確保に向けて取り組んでまいります。

○野上(純)委員 コンピューター・セキュリティー・インシデント・レスポンス・チームという情報セキュリティーにおける事故に関する対応をする組織というのができております。昨日、私は、自衛隊のサイバー攻撃の部門を担当している方とお会いしましたけれども、自衛隊等の有しているすぐれた情報収集力等も、協力をして対応していくことも大切だと感じました。
 次に、選手村の地震対策、液状化対策についてお伺いいたします。
 選手村に関しては、以前の質疑で、二〇二〇年の東京大会では、民間の開発事業者が選手村を液状化対策、ユニバーサルデザインを取り入れた施設として準備するという方針を定めております。
 日本は地震大国です。いつ首都直下地震が来るかわかりません。大地震そのものを防ぐことは不可能ですけれども、適切に対応を講じることによって、地震による被害を軽減することは可能です。
 選手村の宿泊棟は、オリンピック大会時には約一万七千人、パラリンピック大会時には約八千人の選手等が滞在するとともに、大会後には、約六千戸の住宅を中心としたまちに生まれ変わる計画となっております。
 このように、大会時は大勢の選手等が滞在するとともに、大会後には多くの人々が生活するまちとなることから、選手村の宿泊棟の地震対策、液状化対策を進め、大会時に選手等の安全を確保することはもちろんのこと、大会後も、生活する人々の安全を確保することが重要であると考えます。
 そこで、選手村の宿泊棟の地震対策、液状化対策についてお伺いいたします。

○安部選手村担当部長 選手村の宿泊棟につきましては、都が行う市街地再開発事業におきまして、民間事業者が整備する住宅棟を大会期間中は一時使用する計画となっております。
 大会期間中、選手等に安心して快適に滞在していただくためには、理事ご指摘のとおり、地震時における建築物の安全性を確保することが不可欠でございます。現在、宿泊棟の整備に向けまして、地盤調査を実施しております。
 今後、この調査結果を踏まえながら、耐震基準等に適合する建築物の設計を行い、必要に応じて地盤改良やくいの打設など、液状化対策を適切に行うことによりまして、地震対策、液状化対策に万全を期してまいります。

○野上(純)委員 地震対策として、ハード面は耐震基準を上回る強度の競技会場の整備をするとともに、建物躯体以外の外壁、建具、天井などの非構造部材についても耐震安全性を確保すると聞いております。開発は民間資金によるもので、住宅部分に関しては、分譲や賃貸住宅とすることとして、つくって壊すのではなく、分譲や賃貸として活用することは大変有意義でございます。
 次に、エネルギー対策について質問させていただきます。
 二〇五〇年に、温室効果ガス排出量を八〇%以上削減するという長期目標が出ております。現在は、石炭火力だけで全体のエネルギー供給量の四七%から五一%を占めております。
 ことしの七月二十四日から八月九日、最高気温三十五度以上の猛暑日が、観測史上最多の八日連続を記録いたしました。どの家庭でも、エアコンをがんがんにかけている状況だったと思います。ことし最大の電力を消費した、一番暑かった日が八月七日です。ちょうど五年後のオリンピックの開催中です。それでも実際の電力の九二%しか使っていない、八%は残っているという状況でございました。しかし、再生可能エネルギーの整備もなかなか進まない現状がございます。
 東電では、火力と水力、揚水、地熱、太陽光、風力ともに足りているけれども、他所の電力はかなり不足しているということがいわれております。今は、老朽化した火力発電に頼っている現状でありまして、大会開催まで五年弱ではありますが、電力に関しては大丈夫なのでしょうか。

○花井施設輸送担当部長 電力需要の高い夏季に開催されるオリンピック・パラリンピック大会におきましては、電力の需要と供給を把握し、大会運営に生かしていくことが重要でございます。
 大会時の電力需要につきましては、過去大会に基づいて行った招致時の調査等で、会場に関する直接的な需要と、会場外の家庭やホテル等での間接的な需要の双方を合わせた推計を行ってございます。その結果によりますと、通常の電力供給量の範囲内で十分余裕を持って賄えますことから、大会時の電力需要に不安はないものと考えられます。
 引き続き、組織委員会や関係者と連携し、電力の需要の把握を行い、確実な大会運営に向けた準備を進めてまいります。

○野上(純)委員 二〇一一年の東日本大震災のときを思い出すと、東京駅のエスカレーターもしばらくストップしておりましたし、私たちも、家庭内で小まめに電気を消すとか、すごい努力をしておりました。だんだんとその意識も薄らいでいますけれども、私たちも無理のない賢い節電をしていきたいと思っております。
 次に、アンチドーピング対策について質問いたします。
 ロシアのドーピング事件は、私たち日本人にはなかなか理解できないものでした。ドーピング検査で陽性反応を示した結果を組織ぐるみで隠蔽したことが判明いたしました。現在、国際陸上競技連盟により、ロシア陸上選手に国際大会の出場禁止の暫定処分が科せられているそうでございます。
 日本は、スポーツにおけるドーピング防止に関するコペンハーゲン宣言に、最初に署名をした国の一つです。アジア地域を代表してWADA、世界アンチドーピング機構の常任理事国に就任しており、アンチドーピング活動に関しては、世界のリーダー役を果たしております。
 日本の国際アンチドーピング機関であるJADA、日本アンチドーピング機構は、ドーピング検査員の養成、実務研修の実施などを、国内はもとより、アジア各国に対して行っており、国内では、検査による取り締まりを強化してまいりました。
 アジアで初めてWADA、世界アンチドーピング機構の認定を受けました東京ラボラトリーでは、世界で約三十しかない認定の試験所の中でもトップクラスの検査能力を有しております。
 以上のように、日本は、国内だけでなく、アジア、世界のドーピング防止に大きな貢献を果たしております。しかし、知らないで服用してしまうこともあります。基本的なことで、プロテインなどもドーピングになります。サプリメント等、さまざまなものの中にも含まれておりますので、日常的に飲食にも注意をしていく必要があります。本人がそのつもりでなくても口にしてしまうこともありますので、風邪薬等にも気をつけていかないとならないわけでございます。
 今後のアンチドーピング対策についてお伺いいたします。

○田中運営担当部長 ドーピングは、スポーツのフェアプレー精神に反し、競技者の健康を損ね、薬物の習慣性から、社会的な害を及ぼすばかりか人々に夢や感動を与えるスポーツそのものの意義を失わせるものであり、決して許されるものではありません。
 スポーツ基本法では、国は、スポーツにおける国際規約に従って、ドーピングの防止活動を実施するため、ドーピングの検査、ドーピングの防止に関する教育及び啓発、ドーピングの防止活動の実施に係る体制の整備など、必要な施策を講じるものとされております。
 そのため都では、国に対し、二〇二〇年大会をドーピングのないクリーンな大会とするため、世界アンチドーピング規定に基づくドーピング対策につきまして、大会組織委員会と関係行政機関などが連携するための体制の構築を支援するなど、必要な措置を講じることを提案要求しており、今後も開催都市として、ドーピング防止の取り組みを関係機関に強く働きかけてまいります。

○野上(純)委員 教育によってドーピング自体を根絶することを目指し、アスリートに対する教育はもちろん、高校の学習指導要領にドーピングに関する記述が盛り込まれまして、平成二十五年度から実施しております。危険ドラッグともあわせて児童生徒への対応を進めていかなければならないと思います。
 薬物ということで、関連してたばこの害について申し述べます。
 世界保健機構、WHOは、世界中で年間六百万人がたばこで亡くなっていて、その一割が受動喫煙で亡くなっていると公表しております。
 受動喫煙の害は相当怖いものです。たばこの煙の中には、四千種類もの化学物質が含まれ、発がん物質も七十種類以上含まれております。ヒ素、カドミウム、ホルムアルデヒド、ベンゾピレン、ナフタリン--アレルギーを誘発する物質があるので、化学物質過敏症を発症させたり、ぜんそくを悪化させたりします。たばこの煙にさらされることが、死亡や疾病、障害を引き起こすと科学的証明によって明白にされております。たばこの煙にさらされることを防ぐための措置を求めて、日本も条約に署名し、たばこ規制枠組み条約、FCTCが成立をしております。
 たばこをめぐる規制に関しては何度も取り上げてきましたけれども、ちょっといわせてください。五輪の開催地で、二〇〇四年のアテネ、二〇〇六年のトリノ、二〇〇八年の北京、二〇一〇年のバンクーバー、二〇一二年のロンドン、全て罰則つきの禁煙五輪でした。
 世界保健機構、WHOによると、屋内の全面禁煙政策をとる国は四十八カ国、これは昨年十二月のデータです。そして、五輪開催国では、いよいよ二〇一六年のリオデジャネイロは二〇〇九年に全面禁煙を決めております。それから、二〇一八年の冬の平昌は--韓国では、ことしの一月に全ての飲食店が全面禁煙になりました。
 日本は、受動喫煙防止で分煙の流れになっていますが、飲食店で働く人々の健康被害があり、例えば女性従業員が、煙たくて仕事がつらいとか、おなかに赤ちゃんがいる状況で喫煙ルームに入ってサーブしたり片づけたりすることがきついとか、日本マクドナルドも、十五万人のアルバイトの若い人たちの健康に配慮して全面禁煙にしたとか、今回のオリンピック・パラリンピックにおいても、会場内は全て禁煙となっております。ただ、外に分煙スペースをつくると聞いておりますけれども、お金のかからないオリンピック・パラリンピックにするためにも、わざわざ高いお金を出して分煙スペースをつくらなくてもよいのではないかと要望しておきます。
 最後に、レガシーについて質問いたします。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会を大成功に終わらせる、そのために都が取り組むべきことは、これまでるる申し上げてきたように多岐にわたります。一方で、これだけ時間と労力をかけて大会のために準備をするわけですから、その新たな取り組みを大会後の東京に生かしていくレガシーの視点も忘れてはならないと思います。
 オリンピック・パラリンピックレガシーには、有形のもの、無形のものなど、さまざまな形態があります。その中でも都が整備していく新規恒久施設は、これから新しく形成していく、目に見える有形のレガシーの代表ともいえます。都民にとって大変わかりやすいものでありますので、それだけにその期待や関心は高く、大会後も十分な活用が見込めるものとしていかなければいけません。
 一方、過去の国内大会や国際大会を見ると、大会後に思ったよりも利用が進まず、負のレガシーとされるケースも散見されます。
 そこで、新規恒久施設の後利用に関する都の取り組みについて、最後に局長の所見を伺い、質問を終わります。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 二〇二〇年大会に向けて整備する新規恒久施設につきましては、大会の成功はもとより、大会後を見据えて、都民、国民のために末永く有効活用していくことが何よりも重要でございます。
 都はこれまで、レガシー委員会や外部有識者等で構成されますアドバイザリー会議を通じて検討を進めまして、本年六月、新規恒久施設の後利用の方向性を取りまとめました。これらの検討の成果は、並行して現在行われております施設整備にも適切に反映させてまいります。
 また、大会後の施設運営を確かなものとしていくため、民間の知恵とノウハウを取り入れた施設運営計画を策定していくこととしておりまして、本年十月、この計画策定を支援する民間事業者を選定したところでございます。
 施設の多くは、都立の公園や臨海部のにぎわいなどとも近接していることから、関係各局や民間事業者から構成される検討会を設置し、幅広い視点から後利用の検討を鋭意進めております。
 今後、競技団体や地元自治体等、さまざまな関係者の意見も聞きながら、新規恒久施設が、多くの都民の方に喜ばれ親しまれる確かなレガシーとなるよう、全力で施設運営計画の策定に取り組んでまいります。

○里吉委員 それでは、私から、まず二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの競技会場整備について伺いたいと思います。
 当初のこれらの計画では、BumB東京スポーツ文化館や体育館、フットサルコート、大井の野球場など、都民のスポーツ施設が取り壊されてオリンピックの競技場になる、こういう計画が幾つかございました。六月以降、会場計画の見直しが検討されて、都民のスポーツ施設が現存し、もしくは期間中一部使えないだけで、その後も使えるようになったことは大変重要なことだと思います。
 これまで、都民生活への影響に配慮して会場計画の見直しを行ったと思いますが、その具体的な変更内容についてまず伺います。

○根本競技担当部長 大井ホッケー競技場につきましては、地元からの要望もあり、野球場利用者への影響を極力抑制するよう公園内での施設配置を変更し、野球場につきましては、大会後は現状どおり利用できる見込みでございます。
 夢の島公園アーチェリー会場につきましては、公園の緑や利用者への影響に配慮して配置を変更し、立候補ファイル時点に比べ、樹木の伐採は大幅に抑制できる見込みでございます。
 また、公園内に予定していた夢の島ユース・プラザ・アリーナA、Bにつきましては、有明アリーナを含めた三つの施設の競合により負の遺産となることを回避するため、新設を中止し、既存の東京スポーツ文化館の利用者への影響にも配慮いたしました。
 有明テニスの森につきましては、競技団体や地元の要望もあり、大会後は、現状と同じ四十九面に復旧するとともに、イベント広場につきましても、従来どおり利用できる見込みでございます。
 葛西臨海公園スラローム会場につきましては、公園の緑等、自然環境に配慮し、隣接する都有地を活用して整備することといたしました。
 引き続き競技団体、地元自治体等の意見を聞きながら、後利用を含め、設計を進める中で、都民生活への影響に配慮した計画とするよう検討してまいります。

○里吉委員 私もかつて文教委員会で、夢の島ユース・プラザなどについて取り上げました。東京都の青年の家が幾つも廃止されて、今、区部で唯一残っている施設であり、存続を求めてきたわけですが、こういった都民の声なども聞いて見直しが進められてきたと思います。引き続き、都民のスポーツ利用について配慮していただきたいと思います。
 また、大井ホッケー競技場予定地については、その後の利用について、第一球技場など、ホッケーとサッカーと両方できるようにしてほしいという要望も強く、検討が既にされたと伺っておりますが、後利用の方向性について改めて確認いたします。

○小室施設調整担当部長 大井ホッケー競技場の大会後の利用の方向性につきましては、ホッケーの振興拠点としていくことはもとより、サッカーなど、各種競技の普及強化の拠点とすることを既にお示ししております。
 大井ふ頭中央海浜公園の現在の二つの球技場の利用状況にも配慮し、メーンピッチ、サブピッチを含め、ホッケーはもとより、サッカー、ラクロスなど、さまざまなスポーツの利用が可能となるよう今後検討してまいります。

○里吉委員 次に、工事中など、一定の期間使えなくなる都民のスポーツ施設について伺います。
 有明テニスの森テニスコートなどは、工事中は使えないと伺っておりますが、およそ何年ぐらい使えないのか。また、都として代替施設を用意するですとか、他の施設を紹介するなど、都としても極力利用者の立場に立って対応していただきたいと思いますが、都の見解を伺います。

○根本競技担当部長 有明テニスの森につきましては、平成二十九年度から工事に着手する予定でございますが、現在行っている基本設計の中で工事期間の詳細は検討してまいります。
 今後、都が施設を整備するに当たりまして、影響を受ける既存スポーツ施設等の利用者に対しましては、工事の施工計画に応じて、使用できない範囲や期間、他施設の情報など、できるだけ早く情報提供を行うよう努めてまいります。

○里吉委員 これから実施設計ということですが、広いテニスコートですから、半分コートを利用しながら、もう半分工事を行うなど、いろいろ多分検討されていると思いますが、極力影響が少なくなるようにしていただきたいと思います。
 また、カヌースラローム会場を新設する下水道用地なんですが、ここは現在、区民の方が利用する少年野球場が二面あって、この野球場は、会場整備によって二面とも廃止となってしまうのか、今、この野球場を使っている方々、関係者の中から不安の声が出ておりますが、この会場整備について二面とも廃止されるのかどうか、決まっていれば伺いたいと思います。

○根本競技担当部長 野球場二面は、現在、都が所有する未利用地の一時利用といたしまして区が土地を借り受け、設置しているものでございます。
 都が整備を行うカヌースラローム会場につきましては、基本設計に着手したところでございまして、施設の配置等を含め、国内、国際競技団体等と検討を行っているところでございます。
 オリンピック競技会場に求められる要件を踏まえますと、敷地に余剰を見出すことは難しい状況でございますが、引き続き施設の設置者である地元区と十分協議を行ってまいります。

○里吉委員 地元区と協議をするということですので、ぜひ丁寧な対応をお願いしたいと思います。
 続きまして、都民スポーツへの支援について伺いたいと思います。
 昨年度のスポーツ大会等への都の補助金等の実績を資料で出していただきました。ありがとうございます。
 これを拝見いたしますと、JA全農二〇一四世界卓球団体選手権東京大会への補助金が三千万円、セイコーゴールデングランプリ陸上二〇一四東京への補助金は一千万円などとなっております。
 東京都は、国際スポーツ大会の開催にも力を入れているわけですが、都内で行われるこうした国際スポーツ大会でも、後援や共催に名前を連ねて補助を行わない場合もありますし、一方、数千万円から億単位で補助金を出している場合もあります。
 そこで、まず伺いますが、このような世界大会などに補助金を出すのはどういった場合なのか、補助額はどのように決めるのか伺います。

○土屋国際大会準備担当部長 都は、スポーツ推進計画におきまして、国際的なスポーツ大会の積極的誘致という方針に基づきまして、特に都のスポーツ振興施策に大きく寄与すると考えられる大会につきましては、都が共催者として大会を支援してございます。
 具体的には、スポーツ大会の主催者などからの共催の申し出に応じまして、当該大会が国際的に認知された大会であること。また、都のスポーツ振興施策に大きく寄与し、かつスポーツ都市東京を国際的にアピールできる大会であること。そして、さらに観戦の招待やアスリートによる子供たちへの競技指導教室など、都民への還元事業がどこまで実施できるかなどを勘案の上、共催できるかどうかを判断してございます。
 大会運営経費に対する共催分担金につきましては、総経費の二分の一を上限といたしまして、ただいま申し上げましたような観点も含め、対象となる経費を精査の上、協議により額を決定してございます。

○里吉委員 東京都のスポーツ振興施策に大きく寄与すると考えられる国際大会は、共催して総経費の二分の一を上限に共催分担金を支出しているということでした。また、このいただいた資料の表にある国際大会以外を見ますと、東京都が主催する大会に費用を出しているということで伺っております。
 一方、アマチュアの団体なんですが、現在、国内の一般のアマチュア団体などのスポーツ大会に対する補助や、何らかの支援はあるのか伺います。

○早崎スポーツ推進部長 多くのアスリートが集い、競い合うスポーツ大会は、都民の日ごろのスポーツ活動の成果を発揮する機会となるとともに、試合や記録への挑戦を通じて、向上心の発揚や選手間の交流の場となるなど、スポーツ振興にとって重要な役割を果たすものであります。
 このため都は、都内で開催されるスポーツ大会の中で、公益性があり、都のスポーツ振興の推進に寄与するものに対し、後援名義の使用承認を行っています。また、都立体育施設の使用に際しては、全国的、全都的な大会等の優先申し込みを受け付けるとともに、全国的、全都的に組織されたスポーツ団体等が開催する大会で利用する際の施設利用料金を減額しております。

○里吉委員 後援、それから都立体育館の利用料の減免をしているということで、これも大事なことだと思います。
 私は、身体能力にすぐれた人ばかりでなく、いろんな人が参加しているアマチュアスポーツ団体の、参加する誰もがスポーツを楽しむための工夫や努力というのが、学ぶことも多いと思いますし、スポーツの裾野を広げるためにも重要だと考えています。例えば、フットアセットという七人制のサッカーを行っているある団体は、接触プレーを禁止し、審判を置かずにセルフジャッジで試合を行うそうです。自分がファウルしたと思ったら、ごめんと手を挙げて知らせます。反則覚悟のラフプレーがなくなるので、けがをする危険を減らすことにもなるということで、このルールを取り入れたのは、サッカーは接触プレーによるけがが多いというある愛好家の方の声がきっかけだったそうです。
 また、ある卓球団体は、大会をトーナメント制で行うのではなく、リーグ戦で行うことで、その人に合ったレベルで大会を楽しめる方法を生み出して、参加者がとてもふえているそうです。まずリーグ戦で順位を確定し、その後、他のリーグの同じ順位同士で対戦をする。このことで、トーナメントを勝ち抜いた人だけでなく、どのレベルの人も試合を何回も、しかも、自分に合ったレベルの対戦相手と楽しめるそうです。現在では、全国一万六千人が登録し、大会を行っているとのことでした。
 私は、都民スポーツを向上させるためには、こうした都民の自主的なスポーツ大会などを支援し、発展させていくことが重要だと思います。例えば、こうした大会や団体への補助、会場確保の支援、会場費の補助、指導者への謝礼、審判への謝礼などがあるだけでもとても助かると伺っております。
 都民スポーツ、また、後から述べますが、障害者スポーツを発展させるために、活動状況や補助金の使途など、一定の条件を設けて、条件を満たした大会、団体には助成を行うことを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。見解を伺います。

○早崎スポーツ推進部長 都では、スポーツ団体の活動を効果的に支援するため、財政的な支援の対象を、東京都体育協会や東京都障害者スポーツ協会など、東京都全域を対象とする統括的なスポーツ団体として当該団体の活動を支援するほか、当該団体を通じて、地域のスポーツ団体等への活動を支援しております。
 また、地域住民が主体的に運営し、子供から高齢者、障害者を含め、誰もが身近にスポーツに親しみ交流を図れる場として、地域スポーツの推進に欠くことのできない存在である地域スポーツクラブに対しては、スポーツ教室への指導者派遣や、都民のスポーツ参加を促すスポーツイベントの開催等への財政的な支援などを行っております。
 今後もこのような取り組みを通じまして、スポーツ団体の自主的な活動に対する支援を行ってまいります。

○里吉委員 都体協や地域スポーツクラブへの補助も大変重要だと考えます。その枠組みにとらわれない多くの大会やサークルがもう一つあるわけですね。都民スポーツ振興のために、これらの団体にも、改めて一定の条件を設けて支援していただくことを要望しておきます。
 障害者スポーツ大会について伺います。
 私は、聴覚障害者の団体の方からお話を伺いました。その団体は、東京都はもちろん、全国に組織があって、何年かごとに関東、もしくは全国レベルの大会を東京で開催しています。
 障害者スポーツが福祉保健局の所管だったときには、これらの大会に対して東京都の補助があったとのことですが、所管がオリンピック・パラリンピック準備局、当時はスポーツ振興局でしたけれども、こちらの局に移管されてから開催した関東大会には、福祉保健局のときと同様な補助を申請したけれども、もらえなかったとのことでした。スポーツ振興局から記念品の提供や、東京都障害者スポーツ協会より、一部の競技に対して補助金をいただくなどの支援はあったそうですが、それでも会場の規模縮小や節減による参加者へのサービス低下などを余儀なくされたと伺いました。その後、世界ろう者卓球選手権を開催したときには、国際大会だからということで三十万円の補助金をいただいたということでした。
 ここで伺いますが、障害者スポーツが福祉保健局の所管だった時代には行われていたスポーツ大会への補助が、オリンピック・パラリンピック準備局の所管になってからは行われなくなった、この理由について伺います。

○萱場パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 平成二十二年七月から障害者スポーツを担当する現在のオリンピック・パラリンピック準備局では、スポーツの振興に資することを目的として事業を展開してございます。そのため、健常者のスポーツの場合と同じく、都のスポーツ振興施策に大きく寄与すると考えられる大会について、都が共催者として大会を支援し共催分担金を支出するとともに、国際大会ではない都内で開催される障害者スポーツ大会に対しては、後援名義の使用承認、都立施設利用の優先受け付け、一部利用料の減額を行っているところでございます。
 さらに、当局に障害者スポーツが移管された後は、障害者福祉、あるいはリハビリテーション医療の域を超え、障害者スポーツ振興という観点から、競技団体を通じた支援など、さまざまな施策を充実させてまいりました。
 具体的には、全国障害者スポーツ大会に向けた競技団体が行う強化練習会への支援、障害のある人が、身近な地域でスポーツに親しむための地域開拓推進事業、障害者、スポーツ関係者へのセミナー開催など、幅広く重層的な観点から、多くの新規事業を展開してございます。
 今後も、障害者スポーツをより一層振興していくため、競技団体への支援など、取り組みを充実させてまいります。

○里吉委員 現在障害者スポーツの振興のために、さまざまな取り組みが拡充していることは私もよく理解しております。ただ、大会への補助という点ですと、国際大会については、条件が合えば共催分担金を支出しているんだけれども、一般のスポーツと同じで、それ以外は出していないわけです。ですから、障害者スポーツ大会も、世界大会のときには三十万円補助したということです。
 福祉保健局のときには、関東大会にも三十万円から四十万円程度の支援があったそうですから、規模から見たら大変少ないものかもしれませんが、あったということなんですね。そして、関東大会は国際大会ではないので、制度がないから、局がかわってからは補助がないということなんです。
 二〇一二年に行われた聴覚障害者の関東大会ですが、野球、卓球、バレーボール、サッカー、バスケット、実にさまざまな種目で行われ、会場も、大井ふ頭海浜公園の野球場や球技場、舎人公園のテニス場など、都内施設から区立の体育館など、たくさんの会場を借りて行われました。参加者も、審判、要員を含む役員が四百名、選手が九百名、応援団二百名と大変大きな大会でした。
 福祉保健局時代には、会場費初め、大会に係る経費の一部を補助してもらっていたとのことでしたが、二〇一二年大会は、障害者スポーツ協会の補助金をもらうために、部員一人一人の障害者手帳の内容を書き写し、練習のスケジュール帳を提出したり、とても手間をかけて、サッカー部五万円、野球部五万円を獲得し、また、企業やお店などの広告なども一生懸命集めたけれども、結局、大会記念の報告書の厚さは半分でした。また、写真を千円で買ってもらうなどして開催費を賄ったということでした。
 聴覚障害者の場合、まず、障害者の絶対数が多くありませんから、例えば聴覚障害者の野球チーム、サッカーチームなど、人数をそろえるのも大変です。対戦するチームを探すのもとても大変とのことです。区レベルではとても難しく、都レベルの広域的な支援が必要です。先ほど答弁されました優先受け付けや一部利用料減免も、オリ・パラ局所管以外のいろいろな施設でもやっていますから、必ずしも受けられるわけでもありません。もちろん健常者と一緒にプレーするのも楽しいかもしれませんが、同じハンデを持った者同士のスポーツでの交流もとても意義があり、皆さん楽しみにしているというお話でした。
 特に、この聴覚障害者団体スポーツ大会への助成は、これまで行われていたものが、スポーツ振興局に来たらだめになった、後退してしまったと。毎年、この団体からは補助を再開してほしいという要望が出されております。ぜひこういった制度を整えていただくことを改めて要望し、私の質問を終わります。

○斉藤委員 それでは、私の方から、オリンピック・パラリンピック準備局の広報事業に絡めて、二〇二〇年東京大会のパラリンピックの地上波放送について何点か伺います。
 パラリンピックの地上波のテレビ放送についてですが、昨年、私が、第三回定例会のときに文書質問で、二〇一二年のロンドン大会の日本での地上波の放送時間の短さに対して東京都の所見を伺ったんですね。
 そのとき、同時に、ロンドン大会の日本の放送局での地上波放送の放送時間について、文書質問で出したんですが、改めてちょっとここで紹介しますと、NHKにおいて、これ八月分だけなんですね。九月にも食い込んでおりますけれども、八月分だけなんですが、NHKのEテレの方での八月二十九日の二十七時三十分ですから、真夜中ですね。ロンドンとの時差で真夜中なんですが、二十七時三十分から三時間、開会式は生中継を行って、その翌日の三十日木曜日には、NHK総合で午後の十五時台に四十五分間の開会式録画ダイジェストを行いました。その日の、また夜のEテレで、二十時から録画のダイジェスト、これは三十日の競技分だと思います。また、翌日三十一日金曜日、NHK総合でやったのは、やはり夕方の十五時台、四十五分間に録画でダイジェスト。そしてまた、三十一日金曜日の夜の二十時からEテレで録画ダイジェスト、これも四十五分というぐあいです。
 これは、非常に時間の融通がきかないような方だと、多少興味があっても、決して見やすいというふうな時間帯ではないのかなと。もしくは気づきづらい時間帯の放送なんじゃないかなというふうに思うわけですね。
 このとき、東京都の方に放送時間の長短について所見を伺ったわけですけれども、回答としては、パラリンピック大会に関する地上波テレビ放送が、オリンピックに比べて少ないという状況について東京都も認識している。都としても、パラリンピック大会が積極的に報道されるよう、各メディアに働きかけていく必要があると考えているというような前向きな答弁をそのときにいただきました。
 また、改善の一つとして、東京都は、二〇二〇年大会の開催に向けて、東京都提供番組や「広報東京都」を活用してパラリンピックスポーツやパラリンピアンの紹介など、パラリンピックに関する情報発信を充実してきたというふうなことでありました。
 実際、私もロンドン大会のときに、おもしろそうな競技があったら見ようかななんていうふうに思ったんですが、これ、うっかり見逃したら、それを見返すチャンスが全然ないという状況でございました。
 そこで、昨年、東京都の前向きな姿勢がうかがえたんですが、改めて伺うんですけれども、パラリンピック大会の都民の関心を高めるために、東京都は、現在どのように都民の理解を促進するための取り組みを行っているのか、そこを伺います。

○萱場パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 平成二十六年度の都の調査では、都民の九割はパラリンピックという言葉を知っているという結果が出ております。しかし、過去一年間に障害者スポーツをテレビやラジオ、インターネット等で見たことがある都民は、ニュースで流れるダイジェスト番組等を含めても五〇%にとどまり、スタジアムや沿道で実際に観戦した都民に至っては、わずか二%にすぎません。
 二〇二〇年に向けて、今後五年間、都民がパラリンピックに関心を持ち、実際に触れ、理解を深めるような機運醸成の取り組みが必要であると考えております。
 そのため都は、パラリンピアンが限界に挑む姿を伝え、都民にパラリンピック競技を体感してもらうプログラムをNO LIMITS CHALLENGEと名づけ、現在、都内の各所で精力的に実施しております。
 また、九月には、チャレスポTOKYOを東京国際フォーラムで開催いたしました。これは、パラリンピック競技を含めたさまざまな障害者スポーツの体験や、オリンピアン、パラリンピアンを交えたトークショーなどにより、障害者スポーツの魅力を発信するイベントで、約一万人の方にご来場いただき、障害者スポーツを実際に体験してもらうことができました。あわせて、パラリンピックの競技、魅力を紹介するガイドブックを作成し、広く配布を行うなどの普及啓発も行っているところでございます。
 こうした取り組みを通じ、都民のパラリンピックへの関心を高めるとともに、理解の促進を図ってまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 今ちょっと聞いてみましたら、実際に沿道とかスタジアムで見たことがある人は二%ということであります。私が住んでいる多摩地域とか、また全国の道府県なんかにしてみれば、なかなか直接見る機会がないというふうなことになりかねませんので、この地上波放送というのは非常に大事かなというふうに思っています。もちろん近隣の県も含めて、全く競技場がないわけじゃありませんけれども、やっぱり直接見る機会はなかなか少ないのかなというふうには思っております。
 そこで、気になる地上波放送について、もうちょっとさらに伺うんですけれども、東京都は、パラリンピックの放送は少ないかな、オリンピックに比べて少ないかなというふうに考えていて、積極的な報道を各メディアに働きかけていく必要を感じているということを、過去、答弁としておっしゃっておりました。
 私としては、イメージとして、東京大会、今度は東京になるわけですけれども、何となくパラリンピックの地上波放送については、開催都市、開催国については、当然全競技やるはずというイメージを持っております。もちろん、全てのゲームを放送できるかどうかは、オリンピックも含めて放送時間が、全部詰め込んでも難しいというふうなことがあったりするらしいので、完全にということはもちろん難しいとは思っているんです。ただ、少なくともロンドン大会のときには、ロンドンのチャンネル4というところが、このパラリンピックを、非常に上手で格好いいプロパガンダになるように、事前からかなり映像なんかも工夫して、相当浸透できるように工夫をしたということで、ロンドンのチャンネル4というところは、大変評価をされているというふうに聞いていますから、恐らく東京においても、同じようにいろんな工夫が必要になってくるんじゃないかなというふうに思います。
 そういったことからも、私が一番課題と考えるのは、やはりパラリンピックの競技を多くの人に見ていただけるようにするためにはどうしたらいいかというところだと思います。わかりやすく、興味が持てるようにするというのは非常に大事だと思います。
 もちろんパラリンピックには、ご存じのように、ボッチャとかゴールボールとか、競技そのものが、オリンピックとか一般の競技には登場しないような、パラリンピック独特の障害者スポーツというものがありますし、それについては同時に、オリジナルのルールというものが当然ありますので、このあたりはまず解説が必要だろうというふうには思っております。
 もっとも、最近はやりのラグビーにしてみても、私も全部詳しくは知らなかったものですから、過去経験者でありました、うちの会派の中山ひろゆき議員あたりにちょっと聞かないとわからないというふうなことがありましたので、これは必ずしもパラリンピックだけの話じゃないと思います。
 しかしながら、パラリンピックでさらにハードルが高くなってくるなと思うのは、こういった初めての、パラリンピック独特の競技ということに加えて、さらに複雑になるのがクラス分けでございます。例えば、ボート競技なんかもちょっといろいろ調べてみると、ローイングという名前のボート競技があるんですが、これも障害の程度によってクラス分けされていて、LTAというのがあって、それは片側の下肢、体幹、腕が機能している場合。さらに、このLTAとまた別にTAというクラスがあって、体幹と腕の機能が残っている場合、機能がある場合です。あと、Aというのは、腕の機能のみでローイングというスポーツをするというふうな、この三クラスがあるそうです。これはまた、シングルクラスでは男女別になっています。その他の、シングルじゃないものについては男女混合ということで、これを聞いただけでもかなり複雑な感じがしますし、なかなかイメージがしづらいと思います。
 恐らくいろんな競技で、重量別等級というのはありますけれども、これに比べると、障害別のカテゴリーというものについて詳しくない視聴者にとってみれば、なかなかイメージしにくいんじゃないかなというふうに思います。こういったカテゴリーになっていますので、国民には、やはり競技の種類、ルールをよくわかっていないというのが多分現状なんだろうと思いますね。
 それに対して伺うんですけれども、東京都では、パラリンピックについてどのような広報を行っているか、改めて伺います。

○延與大会準備部長 パラリンピックに対する都民の興味や理解を深めるためには、パラリンピックの価値や競技の魅力に加えまして、競技の仕組みですとか、ルールなどが多くの人々に伝わることが重要であると考えております。
 東京都は、二〇二〇年大会の開催に向けまして、東京都提供番組や「広報東京都」などを活用して、パラリンピックスポーツやパラリンピアンの紹介など、情報発信を充実してまいりました。
 また、本年七月一日には、局のホームページを全面的にリニューアルいたしまして、二〇二〇年大会に関する情報や、パラリンピックの競技紹介のページを新設するなど、都民に対して、魅力的で視覚的にわかりやすい情報発信を行っております。あわせて、今の一つ前のご答弁でも申し上げましたけれども、パラリンピックの競技や魅力、ルールなどを紹介するガイドブックを作成し、広く配布を行うなどの普及啓発も行っているところでございます。
 今後も、パラリンピックに関する情報を、さまざまな広報媒体を通じて、メディアや都民に積極的に発信してまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 今いろいろ広報で、特にルールなんかについても、その広報の中ではかなり強調してもらっているわけなんですけれども、例えば、さっきのローイングなんかにしてみても、恐らく、ぱっと画像を見ただけでは、ライフベストなんか着用しているような場合であれば、その障害の違いというものについては、なかなか見た目ではわかりにくいんだろうなと思います。画面を、テレビをザッピングして偶然見たといったときに、どういうクラスなんだろうというふうに思ってしまうようなことになってくるんじゃないかなと思います。
 そもそも、さっきのローイングの中で、例えば体幹と腕が機能できる場合のTAというクラスと、それに加えて、片方の下肢が機能するものを加えるLTAというクラスなんかにしてみても、これは見ている人にとって、片方の下肢の機能のあるなしによってクラスを分けなくてはいけないというのが、どれほど理解しやすいのかというのが、大変難しいんじゃないかなと思います。
 つまり、これは、クラスが分かれているのには、多分、恐らく相当今までいろいろ研究した中で、これによってこの競技に差が出るなというふうに思ってクラス分けをされていると思うんですが、そのこと自体のイメージというのは、一般の視聴者にとってみれば非常にわかりづらいんじゃないかなと思います。
 逆に、見た目には、片足の方の機能が残っているかについては、恐らく実際には、下肢のあるなし、もし切断なんかになれば、片方の下肢の機能が残っているだけで、相当競技をする上でのバランスの違いというのが出てくると思います。上肢だけで競技をするのと、下肢の方も使って競技をするのでは相当バランスが違ってというふうなことはあるとは思うんですが、そういった流れの中でクラス分けがつくられていると思うんですが、その分け方自体が同じハンデというふうに、一般の視聴者が見て理解できるかというのもまた難しいところなんじゃないかなというふうに思います。
 例えば、ブラインドサッカーなんかを含めて、視覚障害の方の関係の競技というのは幾つかあります。以前にも一般の観客向けに開催されているので話題になったときもあるんですけども、こういった視覚障害の関係というのは、幸いにして、アイマスクをすることで選手の視力差、例えば全盲か、片目の弱視かなんていうのも全部統一できると。視野狭窄なんかも、恐らくこれによって公平に統一できるというふうなことがあるんで、比較的視覚障害は公平だなというのが非常にわかりやすいんですね。公平性を担保しやすいんですね。
 また一方、聴覚障害者のオリンピックでありますデフリンピックについては、光や表示などでかなり障害の差異がカバーできると。運営上カバーできるということで、結構古くから行われていまして、一九二四年が第一回大会。パラリンピックよりずっと歴史が古いんですが、恐らくそういう障害の公平性というものが担保できたからということもあるんじゃないかと思います。
 ちなみに、二〇一七年は、トルコのアンカラでこのデフリンピックが行われるんですけれども、パラリンピックの中に聴覚障害者の人が入ってないのが、これが実は最初からあるからということで、別なんだそうですね。
 このように、競技の公平性を担保できるようなルールの工夫というものがパラリンピックになされているわけなんですけれども、それでも次々と選手が出てくれば、その障害やカテゴリーの差異をどう考慮するかというのは、視聴者がそれを追って見ていくというのが非常に大変じゃないかなというふうに思います。
 そして、さらに、視聴者の気持ちを取り込めるかというのが難しいというのは、視聴者それぞれの障害者の見方というものもあるんじゃないかと思います。
 日本では過去、大分前になりますけれども、障害や病気に対して余り触れないように、余り見ないように、直接見ないようになんていう時代がございました。電車の中で偶然出くわしたときに、余りじろじろ見ないようにみたいなことをいう方も当時いらっしゃいましたが、そういう方も多かったのも、私の記憶も含めて事実だったかと思います。
 そういった、日本の過去の時代のメンタリティーというものについては、パラリンピックになって全く無関係に考えることは難しいんじゃないかなと。もちろん、最近そういうことはないわけなんですけれども、いろいろな世代が視聴するということを考えれば、そういった時代のことも思い返して、誰もそんなことを思いませんよというふうなことはなかなかいえないんじゃないかというふうに思います。
 スポーツやスポーツ観戦というのは、あくまでものめり込めるような娯楽であるということが望ましいところであります。そうすると、先ほどみたいに、余り触れないようにみたいな時代があったとすると、この感情というもの、いわゆるこの矛盾する感情というものを乗り越えていくような映像や解説、そういったセンスといったものに、この放送というものが挑戦していかなければいけないというふうに思っております。
 今後、東京都は、組織委員会に、開催に向けていろいろな課題や計画について、議論に参加をしていくと思います。こういった場合に、例えば、ことし六月には、NHKが二〇一八年から二四年までの間の四大会のパラリンピックの放送権を取得する合意をIPCと交わしたというふうに報道がされておりました。そうであれば、ちょっとNHKの話になってしまうかと思うんですけれども、先ほど申しましたように、全てのゲームを放送するということは難しいかもしれませんけれども、やはり全競技を極力丁寧に放送してもらいたいなというふうに思います。
 と同時に、二〇二〇年パラリンピック大会が、積極的に、また、わかりやすく放送されるために、そういう放送をされるようにならなければいけませんので、今後、東京都は、そのためにもどのような取り組みを行っていくのか、進めていくのか、ぜひそこを伺いたいと思います。

○延與大会準備部長 パラリンピック大会の成功には、NHKの中継放送を初め、各局のニュースなど、さまざまな形でパラリンピックに関する放送が、積極的に、かつわかりやすく行われることが非常に重要であると考えております。
 都といたしましては、各放送局に対して、積極的かつ視聴者にとってわかりやすい放送がなされるよう働きかけるとともに、多くの都民がパラリンピックに関心を持ち、競技をよく理解し、ぜひ見てみたいと思っていただけるように、視聴者側の普及啓発を行うことも大変重要であると考えております。
 都は、これまでの広報活動に加えまして、新たなホームページコンテンツの充実や、SNSのさらなる活用などによりまして、パラリンピックのルールや魅力などを幅広く情報発信し、都民の理解を促進させる取り組みを進めてまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 最後に意見ですが、今申しましたように、私、個人的には、三十年ぐらいボランティアとか福祉の関係とかやっていく中で、障害者スポーツに限らず、先ほどみたいな日本の、そういう障害者の方に対する一般的な見方を乗り越えて、こういった障害者の関係するスポーツや演劇について、余り他意なく、のめり込めるように見るというのは、どういうふうなところを、どういうふうな工夫で、それができるんだろうかということは、事あるごとにちょっと思うところでございました。
 ですが、実際に福祉や医療とかやっている人にとっても、それを全く一般の人に、何となく気持ちの抵抗なく見てもらうというのにいいアイデアがあったかといわれれば、余りそういういいアイデアのセオリーみたいなもの、もしくはやり方のセオリーみたいなものというのは、必ずしも見つけ出せなかったかなというふうに思っております。
 ですので、このオリンピック・パラリンピック準備局に、福祉の関係を長くやっていた側から見てできなかったものを、無理やりこの時期に全部やれというふうなことは、なかなか私もいい切れないので申しわけないんですけれども、ただ、やっぱりそういうところを目指してほしいと思うんですね。
 恐らくそういった思いで、ロンドンのチャンネル4とかも、とりあえず自分たちがやるものを工夫していこうというふうにしていったんだと思いますし、NHKにしてみたって、本当のパラリンピック放送をする前に、何度もそういった障害者スポーツを放送してみて、こういうふうにしたら視聴者からいい反応があったとか、視聴率が上がったとか、試してほしいなというふうに思っているんですね。
 ですから、そういうことについて、東京都自身が非常に高い意識を持って、放送、メディアの人たちに、ぜひインスパイアをしていただいて、こういうところを目指そうよというふうに投げかけていただいて、それが標準だと思えるぐらい、この地上波放送の方で、非常にいい番組づくりやニュースづくりができたら、恐らく直接会場に行けない人たちも、パラリンピックについてかなり納得していただける、楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
 これについては、まだ少し時間がございますので、頑張っていただきたいと同時に、非常に歴史に残るパラリンピック放送というものを目指してぜひ頑張っていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わります。

○野上(ゆ)委員 私からは、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けての輸送計画とセキュリティー対策について伺います。
 都の報告によりますと、この二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に当たって、一千万人を超える観客が東京に訪れると予測をしております。二〇一二年のロンドン大会では、八十七万人が訪れています。
 このように、移動や輸送のニーズは極めて高く、会場周辺の道路や公共交通機関においての大混雑というものが課題となっているところです。選手や役員、観客の円滑な輸送とセキュリティー対策を両立させるということが必要であると考えます。
 そこで、まず初めに、輸送計画について伺います。
 二〇二〇年東京大会に向けて、シャトルバスや鉄道を中心とした交通輸送計画、例えば各種車両の誘導計画や歩行者の誘導計画、交通規制の計画、駐車場の計画、場内の動線の計画などを、やはり早急に策定する必要があるというふうに考えます。
 そこで、二〇二〇年大会の輸送については、輸送連絡調整会議で検討していくとのことですが、今後どのようなスケジュールで検討を進めていくのか伺います。

○花井施設輸送担当部長 輸送連絡調整会議は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会におけます輸送につきまして、交通管理者や公共交通事業者など、関係機関と意見調整を図りますとともに、輸送方針の策定等を目的として設置されたものでございます。
 この会議におきまして、平成二十八年度を目途に、オリンピックレーンの設定及び観客の会場アクセス等に関する基本方針の検討を終えるよう関係機関との議論を行っていく予定でございます。この方針を踏まえまして、地元自治体や都民の理解を得ながら、関係機関と連携し、具体的な検討を進めてまいります。

○野上(ゆ)委員 今ありましたオリンピックレーンは、大会関係者専用の車線ですが、オリンピックレーンや、大会関係者専用の道路としてのオリンピックロード、あるいは工事抑制等による円滑な交通を確保する道路にオリンピッククリアウエーなど、オリンピックルート、ネットワークの設定などは、都民生活や、東京都内の経済活動に大きな影響を与えることが予想されます。どのように取り組んでいくのか伺います。

○花井施設輸送担当部長 大会時は、オリンピックレーンの設定や、大量の観客輸送などによりまして、都民生活や経済活動への影響が生じることが予想されます。
 ロンドンでは、市民の理解を得ながら、大会時の混雑を低減するために、混雑を避けて移動するよう市民に呼びかけを行うなどの施策を実施し、大会を無事成功させました。
 東京におきましても、同様の成果を得ることができますよう、交通需要管理のための施策の検討を始めたところでございます。
 引き続き、関係機関と連携し、都民の理解も得ながら、東京の実情に合った具体的な施策の実施に向けて取り組んでまいります。

○野上(ゆ)委員 今の答弁の中にもありましたけれども、ロンドン大会ではさまざまな取り組みが行われました。例えば、開催時の混雑を避けるために、観客への公共交通の利用方法に関する情報提供をあわせて行い、観客だけではない一般市民に対しても大会に備えるように、ゲット・アヘッド・オブ・ザ・ゲームスというキャンペーンを行ったり、あるいは、国内外から、チケット購入者が活用できたスペクテーター・ジャーニープランナーという観客への情報提供と、そこからの移動データの収集など、ハード面のみならず、ソフト面でも成果を残したといわれております。
 既存の大都市で行われた大会であるにもかかわらず、ロンドン大会では、大きな交通混雑を引き起こすことはなかったというふうに報告をされております。これは、精度のある需要予測と課題発生時のその場での臨機応変な計画の変更、あるいは一般の方に対する徹底的な移動抑制の結果であるとのことです。
 ロンドンのオリンピック・パラリンピック大会では、市長の掲げた方針に基づいて交通システムの整備、市民、企業の行動変革、開催地区の地域再生を実現すべく、準備が進められたと伺っております。
 今後、東京都も、ハード面の整備はもちろんのことですが、情報提供などのソフト面も含め、これまで進めてきた各事業の施策と一体として、施設等の整備状況をいま一度点検して、選手目線、障害を持っている方の視点、東京都民の視点なども含めまして、市民の参加を得て計画を進めていただきたいと思っております。
 次に、セキュリティー対策について伺います。
 過日、十一月十三日に、パリで起きた同時多発テロは、百二十九人が死亡する惨事となりました。また、一昨日、CNNの報道によりますと、米国内の二空港からパリに向かっていたエールフランス機が、爆破予告などがあったため、米国とカナダに緊急着陸したと報道されております。
 また、記憶に新しいというか、まだその痛みは消えておりませんけれども、二〇〇一年、米国でもニューヨーク航空機テロ、続いてフロリダ、ニューヨーク、ワシントンDCでの炭疽菌事件などが起きております。このようなテロの脅威は、東京都内においても、従来以上に現実味があるものとなっております。
 先ほど、他の委員からも質問がありましたけれども、来年、日本では伊勢志摩サミットが行われ、そして二〇一九年にはラグビーフットボール世界大会、そして二〇二〇年には東京でのオリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。
 東京都としても、大会開催期間はもちろんのこと、大会開催に向け、今後世界から注目される都市となりますから、さまざまなリスクへの対応が必要であると思います。そして、リスクを想定し、安全・安心な都市空間を、都民のためにも維持していかなくてならないというふうに考えております。
 そこで、東京都は、二〇二〇年東京大会開催に伴うセキュリティー対策を考えるための組織として、安全・安心部会を設置して検討を開始したと伺っております。今後どのように検討を進めていくのか、改めて伺います。

○田中運営担当部長 大会を訪れる全ての人の安全・安心を確保することは開催都市の責務であり、さまざまなリスクを一元的に捉えて危機管理することが必要です。このため、安全・安心部会を設置いたしまして、現在、治安対策、サイバーセキュリティー、災害対策、感染症対策の視点から、さまざまなリスクの洗い出しを行っております。
 今後、検討の進捗に合わせて体制を強化し、実地訓練や対処要領の策定などに取り組んでまいります。

○野上(ゆ)委員 例えば、一九六八年のメキシコ大会では、中国大陸で香港インフルエンザの流行が発生して、この大会の直後から、お隣の国であるアメリカで、またインフルエンザの本格的な流行が始まっております。このメキシコ大会がウイルスの蔓延を増強したとの分析もあるところです。
 また、メキシコ大会の前の東京でオリンピックが開催された一九六四年です。まだこの日本は衛生環境が悪く、赤痢やチフスといった経口感染症が日常的に発生している時代です。しかし、オリンピック開催を契機に、さまざまな整備が行われて衛生環境が改善され、その結果、東京だけではなく、日本全国から経口感染症が激減していったという経過もあるところです。
 オリンピックのように、世界中から観客が集まるイベントでは、会場やその周辺で、観客の持ち込む感染症が蔓延を起こすことがあります。また一方で、他国では、国策としてワクチン接種が指定されて、そして義務づけられていますが、日本では対策がおくれている感染症もあるのが事実です。大会開催時に渡航禁止国となるような事態、これも十分にあり得るということです。
 こうしたことから、この部会で検討されている事項の中には、都民に広く協力を求めて、そして、大会に向けて準備をしていく必要があると思います。普及や啓発、あるいは関係機関との連携が必要です。
 そこで、この検討の結果ですが、都民に公表をされていくのか伺います。

○田中運営担当部長 検討内容には、治安対策上、必ずしも全ての情報を公表することが適当ではないものも含まれますが、今後、自然災害、テロ、感染症などの事態を想定した対策を効果的に行っていくためには、都民の理解と協力を得ることが不可欠でございます。
 こうした観点から、必要な情報につきましては、都民に適切に示してまいります。

○野上(ゆ)委員 この安全・安心部会の検討項目では、この準備局のみならず他局と連携をして課題に取り組まなくてはいけないという項目が多くあると思いますが、オール都庁でこの検討結果を確実に実施するように、オリンピック・パラリンピック準備局はどのように進行管理を行うのか最後に伺いまして、私からの質問を終わります。

○田中運営担当部長 都は、開催都市の責任として、都内全域において、東京を訪れる全ての人の安全・安心を確保しなければなりません。このため、現在、安全・安心部会におきまして、各局が連携し、幅広く検討を行っているところでございます。
 オリンピック・パラリンピック準備局は、その事務局といたしまして、大会全体の開催の準備を所管する立場から、必要な情報を各局に提供するとともに、各局が責任を持って取り組むよう全体の進行管理を行っております。
 今後、国や組織委員会とも連携を図るとともに、二〇二〇年大会における安全・安心の確保に向け、適切に対応してまいります。

○高木委員 私から、障害者スポーツのことについてお伺いをしたいと思います。
 きょうの産経新聞にも、政府が東京五輪の基本方針案というのを固めて、近く閣議決定されるという記事が出ておりまして、そこにはパラリンピックを最重要課題だと位置づけようという、そんな記事でありました。
 私たちは、今までたくさんの委員の方々からもご指摘があったように、パラリンピックは大変大事だと思っていますし、それとともに、障害者スポーツの裾野というものもしっかりと広げていく、あるいは都民的な、あるいは国民的な認識を広げていくということが極めて大事であろうというふうに思っております。
 我が党は、昨年から都内の障害者スポーツ振興を担う東京都障害者スポーツ協会との意見交換を頻繁にやらせていただいておりまして、現場から見た障害者スポーツ振興の課題の掌握に努めるとともに、本年八月には障害者スポーツを推進するための政策研究会を立ち上げさせていただきまして、障害者にとって真に望ましいスポーツ振興のあり方、あるいは環境というものについての検討を重ねてきたわけであります。
 都は、平成二十四年策定の東京都障害者スポーツ振興計画に基づきまして、普及啓発や場の確保、競技力向上の三つの視点から障害者スポーツを振興しているわけでありますが、今年度は、これらの全ての視点において新規事業を立ち上げて、予算、組織ともに大幅な拡充を行って振興を加速いたしています。
 東京都障害者スポーツ協会は、都からの出捐金によって基金を造成して、メディアの活用や大会支援によって都民の観戦機会を拡充する取り組みを行うと聞いておりますが、党としても、こうしたことに大変大きな関心を寄せているわけであります。
 そこでまず、これらのメディアの活用事業の内容についてお伺いをさせていただきたいと思います。

○萱場パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 障害のある人も、ない人も、ともにスポーツを楽しむ社会の実現には、都民が障害者スポーツに触れる機会を拡大し、その魅力を知ってもらうことが重要でございます。
 しかし、先ほども触れましたが、都が平成二十六年度に実施した世論調査では、過去一年間にスタジアム等で障害者スポーツを実際に観戦したことのある都民は、わずか二%でございました。
 そこで都は、都民に向けた理解促進、普及啓発を機動的かつ柔軟に行うため、今、副委員長がいわれたように、東京都障害者スポーツ協会に対して出捐し、同協会の基金設置により、平成三十二年度までを実施期間とする事業展開を行うことといたしました。
 このうち、メディアを活用した事業としては、効果的に情報を発信することができるテレビを活用いたしまして、障害者スポーツに特化した番組を継続的に放映していくことにより、障害者スポーツの魅力や迫力を幅広い年齢層に届けてまいります。
 こうした番組を通じ、都民が障害者スポーツを身近に感じ、関心を高めていくよう、二〇二〇年大会に向け、集中的に理解促進、普及啓発を図ってまいります。

○高木委員 やはりこの時代、テレビを中心にしたメディアの与える影響というのは非常に大きいと思います。ですから、アスリートだけでなくて、障害者スポーツの指導者とか、活動を支える人たちにも光を当てるなどして、視聴者の心の琴線に触れるというんでしょうか、そういう番組の制作をぜひご期待申し上げておきたいと思います。
 さらに、この基金を活用して、障害者スポーツ大会への支援も予定をされているわけでありますが、どういった内容の支援を想定しているのかお伺いしたいと思います。

○萱場パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 障害者スポーツの大会では、ポスターやチラシなどによる広報が不足していたり、せっかく観戦に訪れても、競技説明がないために、試合を楽しんでもらうことができないということもございます。
 そこで、この基金を活用して、大会の周知や健常者にも観戦を促す取り組みを行うべく検討を進めておるところでございます。具体的には、都内で行われる関東大会や全国大会などを対象として、事前の広報や会場内での実況解説などを支援することで、観客数の増加と観客の障害者スポーツに対する理解促進を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、二〇二〇年に向けて、一人でも多くの都民に競技会場に出向いて観戦する楽しさを知っていただけるよう積極的な支援を行ってまいります。

○高木委員 私も勉強不足で知らなかったんですが、ブラインドサッカーとかゴールボールとか視覚障害者の競技というのは、観客が試合中に音を出すことが制限されているんですね。ですから、実況、解説がイヤホンで聞ける機器の貸し出しを行っている会場もあるということであります。これ、スポーツ観戦にとっては、ある意味新鮮なことなのかなと思っていまして、私は非常に驚きでありました。
 競技の見どころというものをよく知っていて、また、観客を楽しませる話術を持つ解説者の活用ということが、そういう意味では大事だと。障害者スポーツをメジャーにしていくためにも、そうした取り組みが効果的であるということだと思います。
 さまざまな競技でも、このような取り組みが行われるよう、ぜひこの基金を活用して、こうした今までにない取り組みというんでしょうか、ある意味、今まで私たちが知らなかった取り組みというものを、ぜひ積極的にご支援をしていただきたいというふうに思っております。
 次に、障害者スポーツセンターについてお伺いしたいと思います。
 都内には、区部と多摩地区にそれぞれ障害者専用のスポーツセンターがありますが、両施設とも、今後大規模改修工事が計画をされています。特に、私の地元でもあります北区の東京都障害者総合スポーツセンターについては、来年度から工事に入ると聞いておりまして、二〇二〇年大会に向けたパラリンピック選手の育成という観点からも、改修に期待する声は非常に大きいわけであります。これ、地元でも非常に大きくて。私の北区には、パラの選手がかなり数多く住まわれているという事実もありまして、このセンターの改修は大変期待をしています。
 そこで、東京都障害者総合スポーツセンターの改修工事の現在の進捗状況、そして改修内容についてお伺いをしたいと思います。

○田中スポーツ施設担当部長 東京都障害者総合スポーツセンター及び東京都多摩障害者スポーツセンターにつきましては、ともに建設から約三十年が経過し、老朽化が進んでいることから大規模改修工事を行うこととし、平成二十六年度改修計画を策定しました。
 このうち、東京都障害者総合スポーツセンターにつきましては、昨年度から基本設計を開始し、現在、より詳細な設計を行う実施設計に着手したところであり、平成二十八年度から三十年度にかけて工事する計画でございます。
 基本設計では、外壁の修繕や電気設備の省エネ化など、老朽化対策と維持管理の効率化や、家族で利用できる更衣室の整備などを行います。また、二階建ての増築棟を新設し、多目的スペースを新たに整備するほか、トレーニングルームを移設、拡充いたします。二階には、アーチェリー場を公式大会と同様の七十メートルに拡張した上で移設いたします。あわせて、駐車台数の増加に加え、テニスコートを二面から三面に増加させるほか、陸上トラックに照明を設置し、夜間利用を可能とするなど、施設の充実を図ってまいります。

○高木委員 今回の大規模改修工事によりまして、多岐にわたって施設が充実することはよくわかりましたので、ぜひ二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会に向けて、障害者スポーツセンターが担う役割というのは極めて大きいわけでありますから、多摩のセンターも含めて、引き続き施設の充実に取り組んでいただきたいと思います。
 地元では、既にセンターの方とお話を進めているんだと思いますが、東京青年会議所が樹木を寄附したいと。地元の人たちからもこのセンターは非常に愛されておりまして、桜の木を何十本か寄附したいとか、そういう声も上がっておりまして、地元の皆さんとともに愛される、そういうセンターをぜひつくっていただきたい。多摩も含めてでございますが、私、多摩も視察に行ったことがありますけれども、ぜひ、大事な施設なので、拡充をしていただきたいと思います。
 最後に、障害者スポーツの競技団体の強化を図っていくための取り組みについてお伺いいたします。
 都は先月、二〇二〇年のパラリンピック大会に向けた選手の発掘事業への参加者募集を開始いたしました。体験会当日に、競技指導や発掘すべき選手の見きわめを行って、その後、発掘した選手に対し育成強化を行うことができるのは、それぞれの競技団体をおいてほかにはないわけであります。
 しかしながら、二〇二〇年に東京パラリンピックで実施される二十二の競技があるんですが、そのうち、都レベルの団体があるのは何と九競技にとどまっておりまして、九競技以外にあっても組織が非常に脆弱なところが多いわけであります。
 こうした現状を踏まえて、障害者スポーツ振興を進めるに当たってのかなめとなる競技団体の強化について、これは極めて大事なことだと思いますが、局長にその取り組みについてのご見解、そして決意をお伺いしたいと思います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 障害者スポーツの振興に当たりまして、競技団体は主役ともいえる重要な役割を担っております。
 しかしながら、ただいまご指摘のとオリ・パラリンピック競技におきましては、東京都レベルの団体が設置されていない競技も多いため、選手発掘事業の実施に当たりましては、全国レベルの障害者競技団体や健常者の競技団体にも呼びかけまして、協力をいただいてきたところでございます。
 その過程で、障害者の選手も健常者の選手も一緒に育成強化していく認識を強くした健常者の競技団体もございます。
 また、東京都レベルの障害者競技団体に対しまして、強化練習など、活動活性化を図るための財政支援を開始しましたところ、団体としての活動意欲が高まり、執行体制の見直しを行う団体も出てきております。
 このように、これまでの取り組みに対しまして、確かな手応えを感じておりますので、今後とも、東京都としましては、選手発掘等の連携事業の実施や競技団体の財政支援を継続して実施することにより、各競技団体が障害者スポーツを支える強い基盤を築けるよう、しっかりと支援を行ってまいります。

○高木委員 障害者競技団体の基盤強化は、障害者スポーツ振興に当たっての必要条件でありますけれども、一朝一夕に達成できるほどたやすいことではない、これは事実だと思います。
 これも私の地元北区の例なんですが、車椅子フェンシングの選手育成に力を入れておりますけれども、都レベルの障害者競技団体は存在をしないということであって、全国組織である日本車いすフェンシング協会と健常者の団体である日本フェンシング協会の協力を得て、週一回、練習会を開催しているというお話を聞いております。
 一般的に、障害者の競技団体は、健常者のように組織が整っているとはいいがたいのが現状、もっというと、ほとんどないといっても過言ではない組織もあると思います。
 車椅子フェンシングの例のように、全国組織や健常者の団体と連携をしながら、障害者スポーツの振興を図っていくことも一つの方法だろうというふうに思います。そして、こうした競技団体同士の協力関係を二〇二〇年の東京パラリンピックを契機として、多くの競技に広げていくことができれば、これが世界に胸を張って誇れるレガシーにつながっていくんだろうと。一過性ではないということですね。
 ですから、組織がなければ将来につながっていきませんので、そういうある意味での、本当の意味でのレガシー、遺産、財産というものをつくり上げてほしいと思っています。健常者、障害者などといった概念にとらわれずに、新たな視点から障害者スポーツ振興を検討していくことを強く要望させていただきたいと思います。
 この間の私たちの政策研究会での議論や、あるいは東京都障害者スポーツ協会との意見交換の中でさまざまな課題が出ておりますので、これを一つ一つ、オリンピック・パラリンピック準備局の方でしっかりと取り組んでいただいて、ぜひ世界に誇れる我が国のパラリンピック競技、あるいは障害者スポーツというふうにいわれるように頑張っていただきたいと、こう思っております。
 終わります。

○植木委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十七分休憩

   午後三時十一分開議

○植木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○今村委員 それでは、私からも質疑をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、先ほども質疑がありましたけれども、ラグビーワールドカップについての質疑をさせていただきたいというふうに思います。
 先ほどから話題になっているとおり、この二〇一五年大会については大変な盛り上がりを見せたわけでありまして、私ども都議会民主党の会派の仲間も、都議会の仲間の皆さんと一緒に現地の視察に行ってきたところであります。
 さて、記念すべき、歴史的ともいわれていますけれども、南アフリカに勝利をした今回のワールドカップでありますけれども、その南アフリカのスーパーラグビーチームに、ブルーブルズというチームがございます。この七月三十一日に、町田市陸上競技場におきまして、日本初の、スーパーラグビーチームとラグビーの日本のトップリーグでありますキヤノンイーグルスとの試合が行われました。
 これによりまして、世界の強豪が町田に来て、そしてまた、地元のキヤノンイーグルスと試合をするということで、町田の市民の関心も大変高かったわけでありますが、これがあったおかげで、初戦の対戦相手が南アフリカになり、さらにはそれに勝利をするということでありましたので、町田においても、市民の皆さんの大変な関心と、そして盛り上がりがあったわけです。
 このように、やはりそれだけ機運向上に向けまして、事前の取り組みということは、大変重要だというふうに改めて感じたところであります。
 先ほど、キャンプ地誘致についてのスケジュールなどについても質疑等が出ておりましたので、ぜひしっかりと、都内においてラグビーワールドカップ二〇一九に向けてキャンプ地誘致を考えている自治体に対する情報提供やサポートをしっかり行っていただきたいというふうに思うわけであります。
 今後、大変盛り上がったこの大会の機運向上を、二〇一九年大会に向けてしっかりと続けていかなければなりませんので、まずはこうした取り組みを都がどのように行っていくのかお伺いいたします。

○土屋国際大会準備担当部長 二〇一五年大会での日本代表の活躍によりまして、日本におけるラグビー人気は、近年にないほど高まってございます。この盛り上がりを二〇一九年につなげるよう機運醸成を図ることが重要と考えてございます。
 都はこれまで、町田市と共催で、二〇一五年イングランド大会の日本代表対南アフリカ戦のパブリックビューイングを実施するなど、大会プロモーション活動を行ってまいりました。今後、ラグビートップリーグチームとの連携や、さまざまなスポーツイベント等を通じまして、ラグビーのすばらしさを広く伝えてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、アジア初開催となる二〇一九年大会成功に向け、機運醸成に取り組んでまいります。

○今村委員 ぜひ二〇一九年大会の成功に向けて、都はもちろん、そしてキャンプ地誘致を目指している自治体、さらには、ぜひ都内に四つあるトップリーグのチームを初めとして、大学ラグビーを初め、ラグビーにかかわる皆さんや、また、ラグビーファンの皆さんとともに盛り上げていただきたいというふうにお願いをしておきます。
 さて、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックについてもお伺いをしたいと思います。
 全国各地におきまして、このオリンピック・パラリンピックのキャンプ地の決定が始まっております。十一月の十三日には、都内では第一号として世田谷区とアメリカ・オリンピック委員会との間で、事前キャンプなどに関する覚書締結式が行われたことは大変喜ばしいことでありました。今後も都内自治体でのキャンプ地決定がなされるよう取り組むことが重要です。
 そこで、都はこれまで、事前キャンプ地等の誘致にどのように取り組んできたのかをお伺いいたします。

○田中運営担当部長 都はこれまで、都内市区町村に対し、事前キャンプに関する説明会を開催し、過去大会における事例などについて情報提供を行うとともに、海外に向け、都内スポーツ施設の紹介を行うなど、PR活動にも取り組んでおります。
 また、都では、各国オリンピック委員会などから要望があった場合には、市区町村と連携し、要望に合致した都内スポーツ施設を紹介しております。さらに、各国オリンピック委員会などから視察の希望が寄せられた場合には、視察受け入れに関する各種調整や説明資料の作成など、市区町村を積極的に支援しております。

○今村委員 一方で、この事前キャンプの招致を目指す都内の市区町村におきましては、誘致のためのスポーツ施設の改修、そしてまた、各国オリンピック委員会などの視察受け入れなどに当たりましても、並行して費用負担が生じております。
 こうした中で、都の支援は大変重要であります。市区町村に対し、都はどのような支援を行ってきているのかお伺いします。

○田中運営担当部長 都は、平成二十六年度より、都内市区町村が実施するスポーツ施設整備に対して補助を行っておりますが、今年度から事前キャンプの誘致を目的として、組織委員会が定める基準を満たす施設整備を行った場合についても補助対象に追加したところでございます。
 また、ハード面での支援に加えまして、市区町村が実施する各国オリンピック委員会などの視察受け入れに要する費用や、各国オリンピック委員会などへのPR事業など、事前キャンプの誘致活動に対する補助も行っております。

○今村委員 ソフト、そしてまたハードに対する、市区町村に対する支援をしっかりと行っていただいていることが理解できました。
 そこで、改めまして、この事前キャンプ誘致に向け、都内の市区町村へ一つでも多くの国、地域が決定できるように、都は今後どのように取り組んでいくのか、最後に局長からのご答弁をお願いしたいと思います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 二〇二〇年大会におきます事前キャンプは、各国選手団との国際交流の促進など、地域住民に貴重な経験をもたらすものでございます。
 そのため都は、都内の市区町村に対しまして、事前キャンプに関する情報提供や個別相談、各国オリンピック委員会などの視察の受け入れ、海外PR活動などを積極的に実施しております。
 今回、世田谷区とアメリカ・オリンピック委員会との間で事前キャンプ等に関する覚書を締結いたしましたが、本件につきましても、アメリカ・オリンピック委員会へのスポーツ施設に関する情報提供や視察受け入れなどに当たり、世田谷区の取り組みを支援しておりまして、その成果が結実したものと考えております。
 今後も各国の要望につきまして、市区町村へ情報提供しますとともに、リオ大会などを活用した国際PR等により、都内、特に多摩地域への誘致を積極的に支援してまいります。
 また同様に、前年に行われますラグビーワールドカップに伴う事前キャンプにつきましても、希望する市区町村に対しまして、しっかりとサポートしてまいります。

○栗山委員 東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 我が党は、オリンピック・パラリンピック競技大会を一過性のものとするのではなく、首都東京を進化、発展させていき、世界で一番の都市とする好機として捉えていく必要があると主張してきました。
 これまで都議会においてたびたび議論されてきたレガシーですが、改めてレガシーについて調べてみると、オリンピック憲章において、IOCは、オリンピック競技大会の将来性のある遺産を残すことを開催都市や開催国に対して奨励するとされており、二〇〇三年に初めてオリンピック憲章に加えられたものであり、まだ歴史が浅いのが現状です。
 したがって、まずは二〇〇〇年以降に開催された大会のレガシーを見聞きしてみるということが大事なのではないかと思います。
 レガシーについては、特に競技施設の後利用について、都は昨年ロンドンを訪問し、現地の施設運営者等と意見交換を行うなど、具体的な検討を進めています。
 一方、二〇〇〇年以降に開催された大会を見ると、ロンドンが大会後三年しか経過していないのに対し、シドニーは既に十五年を経過していることから、その後利用の現況を調べてみることは重要だと考えております。
 そこで、二〇〇〇年シドニー大会における競技施設のレガシーについて、都はどのように認識しているのかお伺いいたします。

○小室施設調整担当部長 シドニーでは、大会に向けて整備した新規の恒久施設のうち、約半数を占める八施設がオリンピック公園に集積しております。
 一般財団法人自治体国際化協会が公表しているレポートによりますと、シドニーでは、オリンピック公園の大会後の利用に関して、大会後の二〇〇二年に初の具体的な計画を策定しております。また、二〇一〇年に、今後二十年を計画期間とします長期的な視野に立った計画を策定しております。
 公園内の競技施設につきましても、この計画に位置づけられ、有効活用されております。例えば、バスケットボールなどの会場でありましたオールフォンズ・アリーナは、大会後、十分なイベント数を確保できず、一時期、厳しい施設運営となりました。しかし、その後、所有者及び運営事業者が交代しまして、現在では、施設をコンサートなどのエンターテインメントに用いることで収益の向上を図っております。
 また、水泳会場でありましたアクアティックセンターでは、大会後、ウオータープレーグラウンドなど、レジャー用設備を充実させることなどにより、競技者から家族連れまで幅広く利用されております。
 このように、シドニー大会で使用されました施設は、競技スポーツにレジャー、レクリエーション利用を組み合わせるなどして、大会後、十五年経過した今もなお多くの人々に活用されております。

○栗山委員 今、シドニー・オリンピック公園について答弁がありました。実際、先月私も、都議会海外調査団としてシドニーを視察し、歩いてみましたが、アクアティックセンターや、新たに設置されたスケートパーク等、多くの人が集い、にぎわいと活気を感じました。
 なぜ、このようなレガシーが十五年経過した今も息づいているのか、オーストラリア大使館の関係者等にお聞きした話だと、ネーミングライツや運営の委託など、オリンピック公園で行われており、民間との連携が重要ということでございました。
 そこで都は、競技施設の後利用の検討に際し、民間も含め、さまざまな関係者の知恵を生かしていくべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。

○小室施設調整担当部長 都は、昨年十二月、外部有識者等から構成されるアドバイザリー会議を設置するとともに、民間事業者や競技団体、地元自治体の意見も聞きながら、幅広い視点から後利用の検討を進め、本年六月に、新規恒久施設に係る後利用の方向性として取りまとめました。この後利用の方向性を施設の基本設計に反映させるなど、着実な施設整備を進めております。
 また、都は、民間の知恵とノウハウを取り入れた施設運営計画を策定することとしておりまして、本年十月、オリンピックアクアティクスセンター、海の森水上競技場、有明アリーナ、カヌースラローム会場の四施設につきまして、この計画策定を支援する民間事業者を選定し、計画策定作業に着手したところでございます。
 大井ホッケー競技場につきましても、今月中に民間事業者の募集を開始しまして、施設運営計画を策定してまいります。
 今後、地元自治体や競技団体などとも意見交換を行い、具体的かつ実現性のある計画を策定し、その成果を設計や後利用に生かすなど、新規恒久施設を、都民、国民の貴重な財産として有効活用してまいります。

○栗山委員 これまでの答弁で、都が後利用の検討を諸外国の事例を参考にしながら進めていることはよくわかりました。中には成功したケースだけではなく失敗したケースなど、さまざまあると思いますが、そのいずれも何が要因となったのかまで詳しく分析することは大変参考になることだと考えております。
 都は、今後も過去大会における競技施設のレガシーに学び、その成果を二〇二〇年大会に生かしていくべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○小室施設調整担当部長 都は、平成二十五年九月の開催都市決定後、国内スポーツ施設の現状や、過去大会のさまざまな競技施設の活用事例を調査してまいりました。
 特にロンドンにつきましては、昨年八月、十月に引き続き本年十月に、また北京につきましては、本年五月に競技施設を視察し、現地の施設運営者からヒアリングを行っております。
 また本年七月には、シドニー・オリンピック公園や、ロンドンの競技施設の運営者が都庁を訪れ、大会後の競技施設や都の取り組みの現状について意見交換を行いました。
 重ねて十月には、ロンドン・オリンピックに使われました施設を所有しておりますロンドン・オリンピック・レガシー開発公社の代表者の方と都庁で面会しまして、施設の運営管理のあり方や事業者募集などの情報収集に努めております。
 こうした開催諸都市との実務的なネットワークを活用しまして継続的に意見交換を行うなど、過去大会における事例を十分に踏まえまして、施設運営計画を策定してまいります。

○栗山委員 都が、シドニーも含め諸外国の競技施設について検討を進めていることは理解できました。しかし、レガシーは競技施設だけではありません。スポーツ、社会、環境都市、経済など多岐にわたります。
 我が党は、十月下旬、直接現地に赴き、医療福祉政策、スポーツ振興政策、交通政策、環境エネルギー政策などさまざまな視点から現地関係者と意見交換を行うなど、レガシーに関して幅広く調査を行いました。
 人口減少社会、首都直下地震の脅威、深刻化する地球温暖化やテロ問題など、東京はさまざまな課題に直面しており、その解決に向け努力をしていかなければなりません。
 二〇二〇年大会、そしてそのさらなる先、より長期的な都政のあり方を見据え、関係局などとともに、新たな視点での東京の課題解決に向けて取り組んでいくこと、そして百聞は一見にしかず、都職員もオリンピックから十五年たったシドニーに行き、現地を見てレガシーを研究していただくことを要望して、この質問は終わります。
 続きまして、練習会場について質問をさせていただきます。
 オリンピック・パラリンピックの開催には、競技会場はもちろんのこと、選手が試合に向け練習を行う練習会場という施設が必要となります。立候補ファイルにおいては、選手村から比較的近い自治体等が所有する体育施設が練習会場として多く選定されております。
 こうした区市町村の所有する体育施設は、日ごろ区民が利用していることもあり、利用者への影響を早目にアナウンスすることが必要だと考えております。
 そこで、練習会場の確定に向けた現在の進捗状況についてお伺いいたします。

○根本競技担当部長 練習会場とは、選手村開村から競技大会終了まで、全選手に対し組織委員会が提供する公式な練習施設でございます。IOCの定める基準では、練習会場は、選手が練習しやすいよう、選手村から三十分以内が理想とされております。
 競技会場につきましては、先週十二日から十三日まで、メキシコシティーで行われたIPC理事会において、パラリンピック二十二競技のうち、十九競技の会場について承認を得ました。これでオリンピック・パラリンピックの競技会場につきましては、おおむね確定をしたところでございます。
 この状況を踏まえまして、今後、練習会場について、組織委員会と連携しながら、施設を所有する自治体等と調整を行ってまいります。

○栗山委員 私の地元目黒区の中央体育館は、立候補ファイルにおいて、体操のトランポリンの練習会場になっているようです。練習会場の候補地になっていることは大変光栄なことであり、喜ばしいことであります。しかし、中央体育館は老朽化が進んでおり、多くのオリンピック選手が十分に練習をする環境が必ずしも整っているわけではございません。
 中央体育館だけではなく、練習会場になると思われる施設には、大規模な改修や建てかえの検討も必要だと思われる施設が多々あると思いますが、練習会場として正式に決定しなければ、その検討も進まないと思われます。
 そこで、練習会場は、いつまでに確定していくのかお伺いいたします。

○根本競技担当部長 練習会場は、IOCの定める基準では、平成二十九年の夏までに確定することとされております。
 オリンピック・パラリンピック競技会場計画がおおむね確定しましたことを受けまして、各練習会場に求められる最新の要件を確認するなど、国際競技連盟との調整を開始しているところでございます。
 各自治体等における改修工事など、個別の事情があることは承知しておりまして、組織委員会と連携し、できるだけ早期に確定できるよう努めてまいります。

○栗山委員 都内には、老朽化が進んでいるスポーツ施設も多くありますが、建築費が高騰している中で、限られた財源の範囲内で大規模改修や建てかえを実現できない自治体もあるのではないでしょうか。
 しかしながら、子供から高齢者まで多くの市民に親しまれ利用されている区市町村のスポーツ施設は、市民にとって貴重なスポーツの場であり、改修や建てかえが進まなければ、エレベーターがないなどバリアフリーに対応していない、あるいは新しいスポーツニーズにも対応できないなど、使い勝手が悪い状況で利用せざるを得ないこともあります。
 今後、オリンピック・パラリンピックの練習会場の施設など、積極的に整備を進めるべきであると思っております。
 都は、区市町村のスポーツ施設整備を支援するための補助制度を平成二十六年度に創設しているが、改めてこの制度の概要と予算額についてお伺いいたします。

○田中スポーツ施設担当部長 区市町村スポーツ施設整備費補助制度は、都民が身近な地域でスポーツを行う場を拡大することで、スポーツに取り組む都民をふやすことを目的として、平成二十六年度に創設しました。補助率は二分の一、国庫補助金等併用の場合は三分の一としております。また、補助額の上限は一億円としており、昨年度は旧学校施設からスポーツ施設への改修工事など、上限額の範囲内で補助しております。
 予算額につきましては、初年度である昨年度は二億円、今年度はその六倍となる十二億円を計上しております。
 今後も区市町村のニーズ等を踏まえ、都民のスポーツ環境の充実を図ってまいります。

○栗山委員 上限一億円で、昨年度の予算額は二億円ということは、大規模改修や建てかえなどの大型工事が二件あれば、予算は底をついてしまいます。
 今年度は、六倍となる十二億円の予算を確保し、区市町村のニーズに応えられるよう努力していることは評価いたします。しかし、大規模改修や建てかえの場合、総工費が数十億円となることもあり、そのうち補助金が一億円までしか出ないとなると、区市町村を財政的に後押しする制度としては物足りないのではないでしょうか。
 特に、練習会場となる施設については、二〇二〇年までに改修することが避けられず、区市町村にとってその財政負担は非常に重たいものとなります。せめて練習会場となる施設については、東京二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会を成功させるためにも、財政支援の拡大策として上限額を増額することを要望して私の質問を終わります。

○古賀委員 平成三十二年開催予定の東京五輪、障害者五輪の開催時期について質問いたします。
 皆さんもご存じのように、有名な昭和三十九年の東京五輪の開会式では、実況放送が行われ、世界中の青空を全部東京に持ってきてしまったような、すばらしい秋日和でございます--よく引用されるところです。
 私たちは、秋というのは大体、読書の秋とか、食欲の秋とか、スポーツの秋ということで、秋に開かれる運動会、スポーツ競技大会等が普通であるというふうに意識しているわけです。
 私、今、日野市の体育協会の責任者をやっておりますけれども、いろんな市民体育大会の競技会でよく質問を受けるのは、この平成三十二年の東京五輪に関しては、今いろいろ質疑もたくさんありましたけれども、市町村に、どのようなかかわり、練習会場、稽古会場等を持ってくることになるのか。市町村との関係がどうなっているかという質問。
 それから、もう一つは、なぜ秋にやらないのという意見が結構あるわけです。秋にあると思っている人もまだいるんですね。ところが、先ほど公明党の野上理事のお話がありましたように、ことしの最高気温は八月七日、予定どおりオリンピックが開かれるとすれば、オリンピック開催中、真っ最中が日本の最高気温になるということも十分考えられるわけです。
 東京大会の日程は、立候補ファイルにおいて、オリンピックは七月二十四日から八月九日、障害者五輪、パラリンピックは八月二十五日から九月六日までとなっています。この最高気温を記録するのではないかという酷暑の時期に開催するということは、競技者、それから、観客等への影響が大変大きいのではないかというふうに懸念されるわけでありますけれども、そもそも、なぜこの時期に開催することになったのか。よく私、質問を受けるんで、私なりにいろいろ日野の方には説明しますけれども、オリンピック・パラリンピック準備局としては、どう説明するのか伺います。

○田中運営担当部長 国際オリンピック委員会は、立候補受け付け手順書の中で、平成三十二年、二〇二〇年大会の会期につきましては、七月十五日から八月三十一日までの期間内で設定することを定めております。
 また、パラリンピックは、国際オリンピック委員会と国際パラリンピック委員会との合意により、オリンピック閉会後、オリンピック大会の祝祭の雰囲気を保つことや、必要な会場の仕様変更などが行えることなどを考慮し、標準的には二週間程度の移行期間を経て開催することとされております。
 こうした点を踏まえた上で、夏季休暇の期間中で、公共交通機関や道路が混雑しないこと、ボランティアや子供たちなど、多くの人々が参加しやすいことなどの理由から開催時期を決定しております。

○古賀委員 障害者競技大会が国際大会として行われたのは、昭和三十九年の四年前のローマ大会からなんですけれども、パラリンピックという言葉が使われたのは昭和三十九年の東京五輪からで、予定どおり平成三十二年に開催されるとすれば、日本は、世界で初めて五輪と障害者五輪を同じ都市で開催するという、初めての国になるわけです。ですから、できれば秋にやってほしいなという気持ちがあるのは私だけではないというふうに思います。
 昭和三十九年の東京五輪のとき、私、高校生だったんですけれども、いろいろな思い出は、記憶は、当時はまだカラーテレビというのはほとんどありませんので、白黒でよみがえってくるんですね。
 何といっても、まず赤坂見附上空三千メートルに、航空自衛隊の曲芸飛行隊が五輪を描いた。聞くところによれば、直径千八百メートル、貴賓席から最も見やすい位置にということで、何度も検討を重ねて、赤坂見附上空になったそうです。
 これも、快適で爽快な秋晴れのもとでこれが描かれたから絵になったし、その後「ALWAYS三丁目の夕日」でも、CGでこれが再現されて、ああそうだったなということが、我々、記憶によみがえるわけです。
 いろいろ調べてみますと、今、答弁で、大体そういうお答えだろうというふうに思うんですけれども、東京都がIOCに提出した立候補ファイル、平成二十五年一月七日、これは昨年「夕刊フジ」でもちょっと取り上げられていたんですけれども、猪瀬知事が英文で提出をした東京大会の開催時期にどう書いてあるかといいますと、理想的な日程だというふうにこの時期を表現しているんですね。
 七月二十四日金曜日の開会式に続いて、七月二十五日土曜日から八月九日日曜日までの十六日間で開催し、閉会式は、八月九日日曜日に予定する、この時期の天候は晴れる日が多く、かつ温暖であるため--温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である。うそも方便という言葉はありますけれども、理想的な気候の時期と本当に東京都は当時考えていたのか、私は疑問に感じるわけです。
 うそをついたやつが悪いのか、だまされたやつが悪いのか、これはいろいろ議論があるところですけれども、日本はもともと、うそをついちゃいけませんと教えるわけです。最近は、オレオレ詐欺などでだまされてはいけませんという教育が主になりつつありますけれども、やっぱり侍の国日本は、うそをつくことはよくないということが基本的な道徳、倫理観の中軸でなければならないと私は思います。
 この立候補ファイルで、これが効果があったかなかったかはいろいろ議論はあると思いますけれども、結果的には日本に決まった。しかし、外国からやってくる選手たちは、理想的な気候、実力を発揮できる最適な季節だということを信じて来る人もいるかもわかりません。日本人は余りうそをつかないというふうに、侍の国はうそをつかないと思っているかもわかりませんから。しかし、来てみると、これだけ酷暑、先ほどのお話のように、最高気温、とんでもなく高いわけですよね。
 ちなみに、前回の東京五輪、昭和三十九年のときの最高気温は二十一度なんですね。ことしの七月二十四日、オリンピックが始まる五年前のことですけれども、ことしはどうだったかといいますと、三十三・九度、ほぼ三十四度なんですよ。
 環境省は、健康のいろんな基準を定めている中で、また、湿度が高いと体感温度はもっと高くなりますから、こういうときに運動しない方がいいというのが日本の環境省の方針ですね。
 であれば、この時期になった理由は、いろいろ先ほど挙げられましたけれども、大会に訪れる多くの外国人は日本の暑さになれていないわけですから、選手や観客などが過ごしやすい環境を整備するために、私は、可能なら、昭和三十九年の東京大会が開催された十月か、春か秋ということになれば、スポーツの秋というわけですから。
 うそをついてしまったことはもう仕方がない。猪瀬さんですからもういない。しかし、その報いは受けたような気がします。十月へ変更、あるいは春へ変更できないのか、いかがでしょうか。

○田中運営担当部長 平成三十二年、二〇二〇年大会の会期は、国際オリンピック委員会の規定により定められております。また、世界の主要なスポーツイベントは、オリンピックの開催時期との重複を避ける形で日程が組まれておりまして、開催時期の変更は、国際的に及ぼす影響も大きく、極めて困難であると認識しております。
 なお、平成三十二年、二〇二〇年大会の招致活動におきましては、暑さなどを理由に、十月開催を提案していた都市もございます。しかしながら、国際オリンピック委員会の公表した報告書では、この都市に対する意見といたしまして、野球やサッカーなど、他の大規模スポーツイベント等との競合により、テレビの視聴率の低下や放送時間の減少を招くなど、十月開催が大会に与える影響についての懸念が示されております。結果といたしまして、この都市は、申請都市から立候補都市の段階へ進むことができなかったという経緯がございます。

○古賀委員 理屈ではそうなるというふうに思いますけれども、我々もよく事情変更の原則というのを、議会運営上、持ち出すんですね。いや、状況が変わったから、条件が変わったからというようなことで、最初から不可能だと考える必要は私はないような気がいたします。
 それで、無理だというお話なんですけれども、そのことはちょっと後でもう一度触れますが、難しいということであれば、以前、本会議でも多少ちょっと触れられたような気もいたしますが、我が国の夏の暑さになれていない外国人を含めた選手、観客、観光客がたくさんやってくるわけで、暑さ対策は当然実施しなければいけない。日本の環境省が運動をやらない方がいいよといっている気温になる可能性が十分あるわけですから、どのような対策をオリンピック・パラリンピック準備局としては考えているのか、その点いかがでしょうか。

○花井施設輸送担当部長 大会期間中、選手や観客が快適に過ごすことができる環境を整備いたしますことは重要であると考えております。
 都が整備いたします競技会場につきましては、暑さ対策といたしまして、建築物の外壁や屋根の断熱、効果的な空調方式の採用、また、屋外におきましては、通路への遮熱性舗装の活用などにつきまして、設計業務を進めていく中で検討しているところでございます。
 競技会場の暑さ対策とあわせまして、マラソン、競歩などの沿道の暑さ対策や、熱中症等に係る緊急体制の整備等につきましても、関係各局でつくります東京二〇二〇に向けた東京都「暑さ対策」推進会議などによりまして、庁内連携を強化しまして、総合的に対策を進めますとともに、国、都、組織委員会の関係部署で構成いたします関係府省庁等の連絡会議などを通じまして情報を共有し、それぞれの主体が連携して対策を進めております。
 また、競技時間を比較的涼しい時間帯に設定しますことなど、大会運営におきましても対策をとりますよう、組織委員会とともに検討してまいります。
 暑さ対策につきましては、引き続き、関係局や組織委員会と密に連携しながら、着実に取り組んでまいります。

○古賀委員 私、最後に意見を申し上げておきますけれども、実はオリンピック招致のIOC総会のときに、安倍総理も招致演説をやったんですね。その中で安倍総理は、新国立競技場についてこういっています。ほかのどんな競技場とも似ていない、真新しいスタジアムから確かな財政措置に至るまで、二〇二〇年東京大会は、その確実な実行が確証されたものとなりますと。
 つまり、安倍総理は、日本の総理大臣として招致演説の中で、例のザハ・ハディド案のことを念頭に、皆さんが見たこともないような真新しいスタジアムでやりますということをいったわけです。ですから、見直し案がたびたび議論になったときも、安倍総理は、これはもう国際公約だから、国際協約に違反することになるので、見直しはできないということを再三答弁をしているんですね。しかし、これも結局は撤回をして、改めてまたつくるということになった。つまり、やろうと思えば、総理大臣でも前言を撤回してやっているわけです。
 さらに、開催時期については、実は変更した例があるんですね。日本は辞退しましたけれども、昭和十五年のアジアで初めての東京五輪、これは皇紀二六〇〇年に当たっていたので、当時、日本は、嘉納治五郎を中心に--どこに出しても恥ずかしくない日本人ですよ。この人ならどこに出しても、外国に行っても恥ずかしくないという日本人を挙げろといわれたら、今、なかなか挙げられない。しかし、嘉納治五郎は、オリンピックの、IOCから、当時のクーベルタンから、IOCの委員になってくれということを、大使を介して頼まれてIOC委員になり、そして招致にそれこそ奔走するわけです。
 この昭和十五年の大会は、実はベルリン大会が昭和十一年に開かれ、その開会、開幕の前日に東京開催が決定するんですね。スポーツ大国であるフィンランドのヘルシンキに九票差で勝つんですよ。
 日本は、国際連盟を脱退する、ロンドン海軍軍縮条約は破棄をする、満州事変はある。国際的に孤立している状態でも、日本を世界は支持するんですよ。今、国際連合を脱退なんか考えたら、オリンピックをやるのにまずいからとみんないうでしょう。当時は、脱退して、そういういろいろな紛争も、当事国であったわけですけれども、世界中の人は日本を支持し、スポーツ大国に勝つんですね。
 この東京五輪は、風雲急を告げる国際情勢の中で、結局返上して実現しなかったんですけれども、最初は、昭和十五年八月二十四日から九月の八日まで開かれる予定だったんです。ところが、IOCが、日本はその時期、暑いじゃないかという指摘があって、それを受けて日程を変えたんですよ。九月二十一日から十月六日までに変更したんですね。
 ですから、安倍総理も、IOC総会の演説で述べたことを変えましたし、過去にオリンピックの日程は、今申し上げたような理由で変わったこともあるので、いろいろ暑さ対策とか、それは事務当局としてやるのは当たり前だし、当然ですけれども、誰もできないと思っているようなことに挑むことも、私はやりがいがある仕事ではないかというふうに思うんですね。
 爽快、快適な秋空か、春もいいと思いますけれども、桜の季節でもいいと思いますが、ぜひそれぞれの選手が、実力が十分に発揮できるような季節を、本来は念頭にやっていただく。開催準備をやると同時に、その点についても、議会で開催時期の問題についての指摘があったということをどこか念頭に置いて、これからの事務執行に当たっていただきたいと思います。
 以上です。

○植木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上でオリンピック・パラリンピック準備局関係を終わります。

○植木委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、教育長から幹部職員の紹介があります。

○中井教育長 さきの人事異動に伴い、兼務発令のございました幹部職員を紹介させていただきます。
 教育政策担当部長でオリンピック・パラリンピック調整担当部長を兼務いたします安部典子でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○植木委員長 紹介は終わりました。

○植木委員長 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○堤総務部長 去る十月十五日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらん願います。
 目次にございますとおり、今回要求のございました資料は十二件でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、都立学校図書室の司書の配置状況と司書業務が民間委託されている学校でございます。
 司書の配置状況等について、年度別に記載してございます。
 また、下段の表には、民間委託されている学校について、委託開始年度別に学校名と学校数を記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、平成二十七年度における国の標準を下回る学級編制の実施状況でございます。
 このページから四ページにかけまして、各都道府県における実施状況について記載してございます。
 五ページをごらんください。3、学校教職員定数と児童・生徒数の推移(平成十八年度から平成二十七年度)でございます。
 学校教職員定数と児童生徒数について、年度別、学校種別ごとに記載してございます。
 六ページをお開き願います。4、都立学校の教職員定数配当基準の主な推移(平成十八年度から平成二十七年度)でございます。
 このページから八ページにかけまして、都立高等学校全日制、定時制及び都立特別支援学校の定数配当基準の主な推移と、平成二十七年度の教職員定数の配当基準について記載してございます。
 九ページをごらんください。5、教育管理職選考、四級職(主幹教諭・指導教諭)選考及び主任教諭選考の合格予定者数、受験者数及び合格者数の推移(平成十八年度から平成二十七年度)でございます。
 選考区分ごとの合格予定者数等の実績につきまして、選考年度別に記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。6、都立高等学校及び都立特別支援学校教員の在校年数別人数と平均在校年数でございます。
 このページから一二ページにかけまして、都立高等学校等の教員の在校年数別の人数と平均在校年数について記載してございます。
 一三ページをごらんください。7、栄養職員と栄養教諭の定数及び配置状況、国基準との差(学校種別)でございます。
 平成二十七年四月一日現在における栄養職員、栄養教諭の定数及び配置状況と国基準等について、校種別に記載してございます。
 一四ページをお開き願います。8、教育職員の病気休職者数(平成十六年度から平成二十五年度)でございます。
 教育職員の病気休職者数について、精神系疾患とその他疾患を年度別に記載してございます。
 一五ページをごらんください。9、東京都公立小・中学校児童・生徒の就学援助受給者の推移(平成十七年度から平成二十六年度)でございます。
 平成十七年度から平成二十六年度までに就学援助を受けた児童生徒数及び受給率の推移について、要保護、準要保護別に記載してございます。
 一六ページをお開き願います。10、スクールソーシャルワーカーの配置状況でございます。
 平成二十五年度及び平成二十六年度におけるスクールソーシャルワーカーの配置状況について、区市町村別に記載してございます。
 一七ページをごらんください。11、都立高等学校における日本語教育が必要な生徒の受入状況及び教職員の配置状況でございます。
 海外帰国生徒、引き揚げ生徒など、日本語教育が必要な生徒の受け入れ状況と配置教員数について、入学者選抜の年度別に記載してございます。
 また、(4)では、日本語指導が必要な外国人生徒数について、年度別に記載してございます。
 一八ページをお開き願います。12、東京都公立学校教職員採用者数並びに期限付教員数及び期限付教員数のうち四月採用者数(平成十九年度から平成二十七年度)でございます。
 公立学校教職員の採用者数と期限つき教員数、期限つき教員数のうち四月採用者数について、年度別に記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○植木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○栗山委員 大きく六点についてお伺いいたします。
 まず、区市町村におけるいじめ防止のための取り組みの推進についてお伺いいたします。
 去る十月二十七日、文部科学省は平成二十六年度の全国におけるいじめの認知件数や対応状況などの調査結果を公表しました。
 これにあわせて都教育委員会は、都内公立学校における同結果を公表したところでございます。
 学校は、教職員一人一人の鋭敏な感覚と組織的な対応により、常に緊張感を持っていじめを把握し、早期に解決を図ることが何よりも大切です。
 そのためには、都教育委員会が学校の取り組みを不断に検証するとともに、取り組みの改善について、専門的かつ公平、中立な立場から指導助言できる体制を整備することが必要です。
 東京都は、平成二十五年に施行されたいじめ防止対策推進法の趣旨を踏まえて、平成二十六年七月に東京都いじめ防止対策推進条例を制定しました。
 この条例では、法律に設置することができると示されている教育委員会の附属機関として、東京都教育委員会いじめ問題対策委員会を設置するとしています。
 この対策委員会は、都内の公立学校においていじめ防止等の対策を実効的に行うことができるようにするための審議を行うとともに、都立学校において重大事態が発生した場合には調査を行う組織としての役割を担い、きょうまでに既に六回の会議を開催し、議論を進めているとお伺いしております。
 都内区市町村においても、各教育委員会のもとに附属機関を設置し、管下の学校のいじめ防止対策を推進するとともに、重大事態が発生した場合に、迅速に調査を行うことができるようにすることが求められていると考えます。
 報道によると、条例によりいじめの重大事態の調査等を行うための組織を教育委員会の附属機関として設置している区市町村は全国で四割程度であるとのことですが、都内区市町村における設置状況をお伺いいたします。

○伊東指導部長 平成二十七年十月一日現在、都内六十二区市町村のうち、条例によりいじめの重大事態の調査等を行うための組織を教育委員会の附属機関として設置している区市町村が三十地区、設置に向けて準備中が十七地区、設置するかどうかを検討中が五地区、設置しないが十地区でございます。
 条例に基づく附属機関を設置しないとしている区市町村につきましては、いずれの地区におきましても教育委員会規則を策定するなどして、重大事態の調査等を行うための組織は設置されております。

○栗山委員 いじめ防止対策推進法や東京都いじめ防止対策推進条例制定の趣旨は、教育委員会、学校、教職員等のそれぞれの責務を明確にするとともに、重層的な責任体制を確立することにあります。
 法や条例の趣旨を具現化するためには、全ての区市町村において、いじめ問題に関する専門性を有する第三者などにより構成される組織を設置し、いじめ防止等の対策を推進していくことが必要です。
 都教育委員会は、全ての区市町村教育委員会に対して、いじめ防止等の対策の確実な推進のために条例を制定し、附属機関を設置するよう啓発すべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。

○伊東指導部長 都教育委員会は、これまで、区市町村教育委員会の担当者会議で、法や条例の趣旨や内容等を示した資料を配布するなどいたしまして、いじめ防止対策推進法の規定に基づき、教育委員会のもとに組織を設置することの必要性について周知を図ってまいりました。
 今後とも、全ての区市町村教育委員会に対して、都教育委員会いじめ問題対策委員会における審議内容を示し、条例により設置された附属機関の公平性、中立性など、その有効性について理解を促すとともに、いまだに設置していない区市町村教育委員会には個別に助言するなどいたしまして、附属機関の設置に向けた啓発を図ってまいります。

○栗山委員 条例設置することにより、議会など、より幅広く意見を聞くことができ、対策委員会も透明化され、よりよい方向で活発な議論がなされると思います。
 ぜひ都教育委員会と区市町村教育委員会が一体となって、子供たちをいじめから守り抜く取り組みを推進していくことを強くお願いいたしまして、次の質問に移ります。
 次に、特別支援教室についてお伺いいたします。
 都教育委員会は、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画において、全ての公立小中学校に特別支援教室を設置することによって、在籍校における支援体制を整備し、発達障害の児童生徒に対する指導内容、方法の充実を図るとし、平成二十四年度から三年間、四つの区市で小学校におけるモデル事業を行いました。
 私の地元である目黒区では、このモデル事業を実施し、利用児童数の増加や拠点校として在籍校の連携が深まるなどの成果を得て、特別支援教室を先行導入していますが、モデル事業を行っていない区市町村などでは導入に向けての準備状況が異なると考えます。
 そこで、小学校の特別支援教室について、平成二十八年度から本格導入し、三十年度までに全ての公立小学校に設置するとしていますが、その見通しについてお伺いいたします。

○松川特別支援教育推進担当部長 本年六月に都教育委員会が行った調査では、平成二十八年度には、六十二区市町村のうち三十九の区市町村が小学校への特別支援教室の設置を開始することとしております。
 また、全ての区市町村が平成三十年度までに特別支援教室を設置する計画としております。

○栗山委員 モデル事業の成果が上がる一方で、導入に際しての課題も明確になったと考えます。
 区市町村ごとに状況は異なり、小中学校の設置者である区市町村みずからが課題を解決していかなければなりませんが、区市町村が主体的かつ円滑に特別支援教室を導入していくためには、都としてもしっかりと支援していくべきと考えますが、具体的にはどのように支援していくのかお伺いいたします。

○松川特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、本年度及び来年度の二カ年で全ての学校管理職に対し、特別支援教室の内容を含めた発達障害教育に関する研修を実施し、まず管理職の理解を深めてまいります。
 また、特別支援教室の導入ガイドライン等の内容について、今後も引き続き区市町村の担当者に丁寧に説明し、確実に支援してまいります。
 さらに、全区市町村での円滑な導入に向け、教室の条件整備に要する物品購入や簡易工事相当の経費について、各校の導入前年度に補助しております。

○栗山委員 都教育委員会の支援策については理解できました。
 特別支援教室の整備に当たっては、各小学校がその実情により教育環境を整えることとなっていますが、学校によってはその整備に苦慮している状況があるとお伺いしております。
 区市町村の支援について、都教育委員会の見解をお伺いいたします。

○松川特別支援教育推進担当部長 全ての小学校において巡回指導を速やかに開始するためには、区市町村がその実情に応じて既存施設の有効活用なども考慮し、特別支援教室の導入に必要な環境の整備を行うことが不可欠でございます。
 都教育委員会は、全区市町村での特別支援教室の円滑な導入に向けて、特別支援教室の導入ガイドラインにより、教室整備の基本的考え方を示すとともに、条件整備に要する経費について、物品購入相当の経費として一校当たり三十万円を、簡易工事相当の経費として一校当たり七十万円を、それぞれ上限とした全額を各小学校に特別支援教室設置の前年度に補助しております。

○栗山委員 都教育委員会が特別支援教室設置校に対し、その条件整備に要する経費を補助していることを確認させていただきました。
 さて、小学校については、平成二十八年度の本格導入に向けた道筋がついたところでございますが、特別支援教育推進計画第三次実施計画の中では、中学校にも特別支援教室を導入していくこととなっております。
 中学校の特別支援教室について、この後どのように進めていくのかお伺いいたします。

○松川特別支援教育推進担当部長 中学校への特別支援教室の導入に当たりましては、生徒の発達段階や教科指導への対応に配慮した支援策や支援体制について十分に検討して進めていく必要がございます。
 このため、今後、中学校のモデル事業の実施に向けて、区市町村と緊密に連携し、早急に取り組んでまいります。

○栗山委員 都内千三百校近い公立小学校に対しての補助は財政規模が莫大となりますが、小学校の現場では、簡易工事程度の教室では十分な環境ではないというお話もお伺いしております。ぜひとも環境整備等さらなる支援を要望いたします。
 また、都独自の取り組みといえる特別支援教室について、今後、小学校に引き続き中学校でもその導入に向けたモデル事業を行っていくとのことですが、中学生へのより適切な指導、支援の実現に向け、区市町村と十分に連携、協力しながら、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 以上でこれについては質問を終わります。
 続きまして、都立高校のPTAや保護者へのがん検診受診への働きかけについてお伺いします。
 がん検診の受診率向上に向けては、福祉保健局が全力を尽くして行う事業の一つだと考えますが、ぜひとも教育庁にも協力体制を整備してほしいと思いますので、質問をさせていただきます。
 私は、本年四月に五十四歳の姉をがんで亡くし、第二回定例会の一般質問でがん検診の受診率向上について質問をさせていただきました。
 東京都が実施した各種調査を見ても、がん検診の受診率は、男性に比べて女性の方が低い傾向にあり、仕事をしている女性に比べ専業主婦等の仕事をしていない女性の受診率が低くなっております。
 職場などで受診勧奨をされずに、子供がいる専業主婦等が情報交換するのは、自分の子供が通っている学校ではないでしょうか。
 残念ながら、一般質問での福祉保健局の答弁は、PTAや保護者に対し積極的な働きかけをするような答弁ではございませんでした。
 公立小中学校は設置者が区市町村ですので、区市町村の協力が必要ですが、都立高校の場合、東京都が設置者であり、都立高校のPTAや保護者に対し、がん検診の重要性を認知していただけるような講習会や、リーフレットを配布するなど、福祉保健局との協力体制を整えておいていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○早川都立学校教育部長 都教育委員会は、これまでも、都の各局が実施する事業のうち、高校生を真に社会人として自立した人間に成長させる上で有益なものにつきましては、校長連絡会等において、各局職員が各都立学校に直接説明する場を提供するなど、事業の目的に応じて協力体制を整えてきたところでございます。
 がん検診の受診率向上の取り組みにつきましては、都立高校の生徒の保護者の健康管理に資するものであり、また、保護者が健康を維持することで、生徒が安心して学校生活を送れることにもつながるため、事業を所管する福祉保健局から具体的な依頼がありますれば、PTAとの連携も含め、都教育委員会として適切に対応してまいります。

○栗山委員 今回、がん検診について質問をさせていただきましたが、さまざまな課題で各局が連携して行うべき施策は多々あると思います。各局が縄張り意識を持たず、情報交換等を行い、都民福祉の向上に向けて努力していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、都立普通科高校のキャリア教育についてお伺いいたします。
 近年、雇用の状況は、リーマンショック後の状況を脱し、改善に向かっています。
 しかしながら、学校を卒業後、すぐに職につかない者や就職してもすぐに離職してしまう者、ニートやフリーターの存在など、若年層の雇用問題が依然として深刻な状況にあります。
 若年層の雇用や収入が不安定となることは、社会においても若者自身にとってもマイナスの側面が大きく、非常に憂慮すべき状態といえます。
 また、OECDの調査結果によれば、我が国の子供たちが他国に比べ、将来つきたい仕事や自分の将来のために学習を行う意識が低いことが明らかとなっています。
 生徒がみずからの将来に対する夢や憧れを持ったり、仕事を思い描いたりしながら、学校で学びの意義を意識するとともに、社会的、職業的な自立を図るために、多様な人々と仕事をしていくための能力や職業に関する技術を身につけることが必要です。
 このように考えると、我が国の若者は、学校を卒業するまでの間に、自己の将来を考える指導を十分に受けていないのではないかと考えます。
 そこで、都立高校におけるキャリア教育の現状についてお伺いいたします。

○伊東指導部長 高等学校におけるキャリア教育は、生徒が社会や職業についての理解を深め、将来のキャリアをみずから考え、選択できる力を身につけることを目的としております。
 このため各都立高校では、生徒が自己の特性に合った今後の進路決定を視野に入れ、適切な学びを選択できるよう、ガイダンスを充実させるとともに、オープンキャンパスに参加したり、インターンシップ、ジョブシャドーイングを体験したりする機会を設定しております。
 また、都教育委員会は、これまで、教科指導や進路指導などの専門性の高い教員らによる高等学校教育開発委員会におきまして、各学校のキャリア教育を一層充実するためのカリキュラムを開発し、研究発表会の開催やリーフレットの配布を通して、各学校に周知しております。

○栗山委員 高校生が変化の激しい社会を生きていく上で必要な能力を身につけ、生徒それぞれが直面するさまざまな課題に対応できるよう取り組んでいることはわかりました。
 さて、労働者は働くことで労働者自身の生活を支え、自己実現を図ることができます。また、労働者として税金を納めるという義務を果たすことも社会にとって大切なことです。
 そのために、高等教育においては、勤労を重んじ納税の義務を果たす国民を育成する観点からの教育が必要です。
 職業にかかわる学科を設置している専門高校につきましては、卒業後すぐに実社会で働く生徒も多く、学校の教育の中で日本の高い商品開発力や技術力を取り上げる等、職業教育を充実させており、専門科目の授業で学んだ知識や技術が就職後の仕事にも生かされているところです。
 一方、普通科高校で学ぶ生徒は、卒業後に大学等の上級学校に進学する生徒の割合が多いのが実態ですが、こうした生徒もいずれは就職することを考えると、普通科高校においても、専門学校で行われているように、働くことの意義やすばらしさ、勤労を重んじる態度を教えていくことが必要です。
 そこで、普通科高校における職業意識を高める指導についてお伺いいたします。

○伊東指導部長 普通科高校におきましても、生徒が将来希望する職業につく際に身につけているべき知識と、現在学校で学んでいる教科学習との関係について適切に指導いたしますとともに、生徒が社会とのかかわりを意識し、将来の具体的な目標が持てるよう、職業意識を高める指導を行っております。
 また、総合的な学習の時間やホームルーム活動などにおきまして、企業や大学、NPO法人等と連携した、社会的・職業的自立支援教育プログラム事業を活用いたしまして、生徒が社会人、職業人として必要な能力等を身につけるための指導を行っております。
 今後とも、都教育委員会は、小学校、中学校におけるキャリア教育を踏まえ、普通科高校の生徒が望ましい職業観、勤労観を身につけ、将来、自己の適性に、より合致した職業選択ができるようにするため、普通科高校のキャリア教育の充実に向けた指導を行ってまいります。

○栗山委員 普通科高校においても、職業意識を高める取り組みが進められているということはわかりました。
 少子高齢化が世界にも類を見ないスピードで進行している我が国にとって、若者一人一人が働くことの意義を理解することは重要です。
 また現在、日本では現場で働く技能を持った職人や技術者が非常に不足しております。ぜひともキャリア教育において、日本のわざや技術を守っていくためにも、そして手に職を持つことが将来的な職業の安定にもつながると思いますので、職人や技術者への道を進むことも選択肢として、普通科の高校生にも知っていただきたいと思います。
 今後も将来を担う子供たちに望ましい勤労観、職業観を育んでいくことによって、日本の社会を支える人材を育成するためのさまざまな指導を行っていくことを要望して、この質問については終わります。
 続きまして、島しょの高校の充実についてお伺いいたします。
 寮を持つ大島海洋国際高校を除いて、島しょ部には六つの都立高校がありますが、いずれも在籍生徒数が定員を下回っている状況です。
 今後の各島の人口推計を見ても、定員を充足する可能性が低い中、もしこれらの定員が下回っている島の都立高校に島外の中学生がより進学をしやすくなれば、進学する生徒にとっては充実した少人数教育や落ちついた環境で部活動に取り組めるといったメリットがある一方、島で育ち、島の高校に入学した生徒にとっても、島外出身の生徒と触れ合うことにより、切磋琢磨する機会がふえて、それが学校の活性化にもつながり、大きな効果があると考えます。
 昨年の事務事業質疑でも質問しましたが、我が会派は島の都立高校での島外中学生の受け入れを進めるため、高校が所在する島でのホームステイ方式などによる受け入れ方法が一つの具体的な方策として有効であると提案し、島しょ町村との協議、検討を求めてきたところです。
 そこで、その後の取り組み状況についてお伺いいたします。

○早川都立学校教育部長 島しょの各町村との協議を進める中で、本年三月に都立神津高校での受け入れにつきまして、神津島村から取り組みたいとの意向が表明されたことから、同村と協議、検討を行ってまいりました。
 具体的には、ホストファミリーの確保に向けた取り組みのほか、本年八月には、神津島村及び神津高校での生活を体験するショートステイ事業を村の教育委員会及び都教育委員会の共催により実施し、島外から五名の中学生とその保護者の参加がございました。
 また、都立高校の入学者選抜制度におきまして、島外の生徒が神津高校へ出願できる要件を、島への一家転住または島に居住する親族がいる場合に加えまして、ホストファミリーを身元引受人とする場合も可能といたしました。
 神津島村と継続的に協議を重ねた結果、ホストファミリーを一世帯確保し、島外生徒を受け入れる環境が整ったため、平成二十八年度は、神津高校におきましてホームステイ方式により一名の受け入れを開始することといたしました。
 こうした取り組みの拡大に向けまして、神津島村と今後も引き続き協議するとともに、高校のある他の町村への働きかけを行ってまいります。

○栗山委員 今後、神津島で受け入れ生徒数がふえ、また、ほかの島でも実現できれば、学校はもちろんのこと、島しょ全体の活性化にもつながると考えます。
 都教育委員会には、この取り組みをさらに進めるため、引き続き各町村との積極的な協議を求めたいと思います。
 続きまして、子供の貧困対策についてお伺いいたします。
 国では、内閣府に子どもの貧困対策会議が設置され、平成二十六年八月には子供の貧困対策に関する大綱が制定されるなど、子供の貧困対策が推進されています。
 子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、対策を講じることは極めて重要であると考えます。
 都教育委員会として、子供の貧困に対してどのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。

○伊東指導部長 貧困の連鎖を断ち切るためには、教育の分野におきましても機会の平等を保障し、個々の子供の状況に応じたきめ細かい支援を行うことが必要でございます。
 現在、都教育委員会は、基礎、基本の徹底による学力の習得、向上のための指導の充実や地域と連携した放課後等の学習支援、また、学校と家庭、福祉との連携を進めるスクールソーシャルワーカーの配置拡大等の取り組みを行っております。
 今後とも、全ての児童生徒が家庭の経済状況等にかかわらず、その能力を伸ばし、社会的に自立できるよう支援してまいります。

○栗山委員 貧困の連鎖を防止するためには、特に貧困の子供たちに対する学習支援が重要です。
 これまで学校においては、全ての子供たちに対する学力向上のための取り組み等を行ってきたと思いますが、さまざまな事情で学習が困難な児童生徒たちに対する学習機会の確保や提供など、学習活動への支援が必要だと思います。
 都教育委員会として、こうした子供たちへの学習支援活動に対してどのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。

○粉川地域教育支援部長 区市町村教育委員会が、地域人材を活用した放課後や土曜日の学習支援活動などを実施する際、都教育委員会は、学校と地域を結ぶコーディネーターに対する研修を実施したり、企業、NPOと連携した教育支援プログラムなどを情報提供するなどの取り組みを行っております。
 今後とも、区市町村教育委員会が、家庭での学習が困難であったり、学習習慣が十分身についていない児童生徒への学習支援などを実施する場合には、こうした取り組みが充実するよう、必要な支援をしてまいります。

○栗山委員 国では、内閣総理大臣を会長に、官房長官、そして子供の貧困対策を担当する大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣を委員とした子どもの貧困対策会議を構成し、貧困対策に向け一体となって取り組みを進めております。
 東京都としても、関係局が連携し、子どもの貧困対策のための組織等を設置して、取り組みを一層推進することを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○野上(純)委員 子どもの貧困対策の推進に関する法律が二〇一三年六月に成立をし、二〇一四年一月に施行されております。
 この法律の中身は、子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることがないよう、貧困の状況にある子供が健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、子供の貧困対策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、及び子供の貧困対策の基本となる事項を定めることにより、子供の貧困対策を総合的に推進することを目的とするというふうに書いてございます。
 少子高齢化が進む中で、子供の潜在能力が発揮されず、社会に貢献する機会が与えられなければ、日本の活力はますます失われていくものと思います。
 子供の悲惨な状況については、さまざまな新聞等で具体的な事例をもって取り上げられてきております。
 私の育った時代などは、まだ世の中全体が貧しい時代で、戦後の混乱期からやっと抜け出したというような時代でございました。
 しかし今は、自分と他人とは違うんじゃないかとか、自分は誰からも必要とされていないのではないか、何で生まれてきたのかとか、経済的な貧困が子供の心をむしばみ、心の貧困を生み出す場合が考えられます。子供の自尊感情を損なうことは絶対にあってはならないというふうに思っております。
 経済的な理由で学校に通うのが難しい児童生徒に対して、区市町村が給食費や学用品を支給する制度がございます。これは就学援助ということでございまして、対象は生活保護を受ける要保護世帯と、保護世帯に近い状況の、区市町村が認定した準要保護がありますけれども、平成二十六年度、都内公立小中学校の就学援助を受給している人数についてお伺いいたします。

○粉川地域教育支援部長 就学援助の対象は、お話のありましたとおり、生活保護を受給している世帯及び生活保護受給世帯に準ずる程度に困窮している世帯でございます。
 都内公立小中学校における平成二十六年度の就学援助受給者世帯の児童生徒数は十七万九百三十五人であり、全児童生徒数の二一・五%でございました。

○野上(純)委員 子供の貧困率が、国が約一六・三%、六人に一人といわれている中で、都内の就学援助の受給公立小中学生は二一・五%。二一・五%というと、大体五人に一人以上というイメージだと思います。
 例えば貧困による債務逃れの夜逃げとか、DV等で住民票を残したまま居場所がわからない児童も学校基本調査では千人弱ということが上げられております。
 いじめだけでなく、学業についていけない、例えば親が病気だったり、特に精神を病んでいたり、虐待をしていたり、さまざまな理由があって、子供の不登校も考えていかなければならない時代になっております。
 ただ単に学業が不振とか、いじめで子供が不登校であるだけではなく、その背景にはさまざまな複合した理由があると思っております。
 都内公立学校における平成二十六年度の不登校の児童生徒の人数と、また、平成二十六年度の不登校出現率と、平成二十五年度と比べた増減についてお伺いいたします。

○伊東指導部長 文部科学省が毎年度実施しております児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査、いわゆる問題行動調査によりますと、東京都公立学校における平成二十六年度の不登校の児童生徒数は、小学校が二千五百六十五人、中学校が七千五百十四人、高等学校の全日制課程が八百七十人、同じく定時制課程が二千六百六十二人でございます。
 また、平成二十六年度の全児童生徒数に対する不登校児童生徒数の割合を示す出現率と平成二十五年度と比べた増減は、小学校が〇・四六%で〇・〇三ポイントの増加、中学校が三・一七%で〇・一四ポイントの増加、高等学校の全日制課程が〇・六九%で〇・一四ポイントの減少、同じく定時制課程が一九・七四%で一・三四ポイントの減少となっております。

○野上(純)委員 公立の小学校、中学校が出現率でふえていく中で、高等学校の全日制課程と定時制課程が出現率でともに減少しているということは大変すばらしいと思っております。
 もう一つ今問題になっております、東京都公立学校児童生徒の平成二十六年度における暴力行為の発生件数と、平成二十五年からの件数の増減についてお伺いいたします。

○伊東指導部長 問題行動等調査によりますと、都内公立学校における平成二十六年度の暴力行為の発生件数と平成二十五年度からの件数の増減につきましては、小学校が三百二十七件で二百二十五件の減少、中学校が千六百十九件で百九十一件の減少、高等学校が三十三件で一件の増加となっております。

○野上(純)委員 うれしいことに暴力の件数が大きく減少しております。この背景には、血のにじむような現場での取り組みがあったと思っております。
 平成二十六年度における暴力防止に向けた小学校の取り組み事例と、都教育委員会の対策についてお伺いいたします。

○伊東指導部長 小学校では、暴力行為を未然に防止するため、全ての教員があらゆる場面で児童に対して暴力は許されないことを徹底する指導を行うとともに、道徳の時間や特別活動などを通して、友達と仲よく助け合うことの大切さなどを計画的に指導しております。
 また、教員がスクールカウンセラーの協力を得て、児童の気持ちを受けとめながら、児童みずからが感情をコントロールできるように支援するなど、組織的な取り組みを行っております。
 今後、都教育委員会は、小学校におきまして暴力行為の未然防止に向けた取り組みをより一層徹底できるよう、成果の上がった学校の事例を区市町村教育委員会等に周知してまいります。

○野上(純)委員 教員がスクールカウンセラーの協力を得て、児童の気持ちを受けとめながら、児童みずからが感情をコントロールできるよう支援するというご答弁がありました。組織的な取り組みというのはすばらしいと思っております。
 スクールカウンセラーの役割の大きさと、自分の怒りをどうやってコントロールするかという訓練も大事だと思っております。アンガー、怒りというんですけれども、このアンガーをコントロールするという研修会を私も受けてまいりましたけれども、こうした研修を小さいときから子供たちが身につけておくことが、かあっとなったときに、そばに包丁とかがあるとすぐ刺してしまうという、そういうことも防いでいけるという、怒りを上手にコントロールする、そういう訓練をしておくことが大事ではないかなというふうに思っております。
 先日、十一月七日、八日ですかね、生活困窮者自立支援法に伴う研修会が福岡大学でありまして、参加をしてまいりました。これは、病気とか失業、障害など、突然の出来事から行き詰まってしまう家庭などに対して、問題を整理し、的確に支援につなげ、自立するまで見守り続ける、その役割を担い、地域の支えの中心となるコミュニティソーシャルワーカーの方にお会いしてまいりました。
 NHKテレビで放送されていた番組の主人公の方にお会いしてまいりました。本当にその人の熱心な指導によって、一家が全部立ち上がってくるというようなことをお聞きいたしました。
 また、ごみ屋敷を徹底して片づけたり、あとはひきこもりの子供を出せるように自立させたり、それはそれはもう涙なくしては聞けないような、非常にいいお話でありました。
 今まで順調であった人生が行き詰まることは特に多い時代です。予期せぬ病気、失業、家庭が機能しなくなってしまいます。例えば親が離婚をしたとか、アルコール依存症になったとか、鬱病などの精神疾患、あるいは虐待、ネグレクト、複雑な要因が絡み合って、子供たちが不登校になったり、高校生では中途退学をする事例がふえてまいります。
 そうした学校の中だけでは解決できない課題に対して、小中学校においてスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーが連携をして児童生徒や保護者への支援を行うことができるようにするための都教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。

○伊東指導部長 スクールソーシャルワーカーを配置しております区市町村からは、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの心理面と福祉面に関するそれぞれの専門性を生かして、子供の不安を軽減するとともに、家庭環境の改善に向けた支援を行ったことにより、不登校が解消された事例等が報告されております。
 今後、都教育委員会は、こうしたすぐれた事例をまとめた資料の配布や、区市町村教育委員会等を対象としたパネルディスカッションの開催を通して、学校がスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の外部人材相互の連携を促進することができるよう、一層の啓発を図ってまいります。

○野上(純)委員 学校の中でさまざまな課題解決を図っていくのがスクールカウンセラー、それと福祉的な視点からサポートするスクールソーシャルワーカーが連携をして、多面的な教育現場の支援を進めていくことが大事だと思っております。
 また、先ほど答弁がございました、すぐれた事例をまとめた資料を配布して、区市町村教育委員会等を対象にしたパネルディスカッションを開催し、学校がスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の外部人材同士の連携を促進していっていただきたいと思っております。
 次に、児童生徒の安全のためにスマホ等を持たせているとの声もよく保護者の方からお聞きいたします。
 インターネットで接続されているためにトラブルが非常に多い。私も各会計決算特別委員会でも違う角度で質疑をいたしましたが、児童生徒のインターネットでのトラブルについて、現状と対応をお伺いいたします。

○伊東指導部長 都教育委員会が平成二十六年一月に実施いたしました調査によりますと、インターネットの利用により、架空請求や誹謗中傷などの被害を受けたと回答した児童生徒は全体の一二・八%でございました。
 各学校では、このような被害に遭ったときには、一人で抱え込むことなく、直ちに保護者や教師など身近な大人に相談するよう指導しております。
 また、都教育委員会では、インターネットでのトラブルの事例やその対応方法などを紹介したリーフレットを都内の全公立小学校三年生及び中学校一年生に配布しておりまして、インターネットの正しい利用について啓発をしております。
 さらに、具体的な事例をもとに作成した教材と指導のポイントなどを掲載した教師用指導資料を都内の全公立学校に配布し、校内研修等での活用により、教員の指導力向上を図っております。

○野上(純)委員 教師用指導資料を全公立学校に配布して、教員の指導力を向上しているということでございました。
 学校裏サイトの名前でちょっと有名になっておりましたが、正式には学校非公式サイトといわれて、いまだに多くの不適切な書き込みがあると聞いております。
 学校非公式サイト等の監視状況についてお伺いいたします。

○伊東指導部長 都教育委員会は、平成二十一年度からインターネット上での不適切な個人情報の書き込みや誹謗中傷などを監視し、平成二十六年度は約一万件の不適切な書き込みを検出いたしました。
 この結果を当該の学校や区市町村教育委員会に情報提供を行うことにより、被害の未然防止や早期解決を図っております。

○野上(純)委員 先日、久里浜医療センターの樋口進先生の講演を聞く機会がございました。その中で、ネット依存症を大変懸念されておりました。
 調査した結果が発表されていましたけれども、二〇一二年に十万人の高校生に調査をしたら、ネット依存症が強く疑われる若者が、掛け算をして人数を出すと五十二万人に達すると推計されたという結果が出ておりました。
 今、ガラケーからスマホにかわって、スマホを使ったLINEやゲームに依存をしているということと、非常に子供たちが低年齢化しているということも先生のお話の中でおっしゃっていらっしゃいました。
 ネット依存症は、否認の病といわれていて、周囲の心配をよそに、本人は自分の問題を認めない、あるいは隠そうとする。したがって、みずから進んでネット依存症という病気を直そうとはしないわけです。
 素直に病院を受診しないことが課題であって、ネット使用をめぐって本人と家族がバトルを繰り返す、暴力に発展するケースもある。あるいは、ひきこもりになるなど、親御さんが大変苦労しているというお話をお聞きいたしました。
 これからますますそうした課題に対しての問題が多くなってくると思いますので、都教育委員会といたしましても、ネット依存に対してはアンテナを張って注意をしていっていただければと思っております。
 最後になります。いよいよどの区市町村でも、来年から試行で始めるところもありますけれども、特別支援教室が始まります。
 現場ではたくさんの不安の声をおっしゃっております。特に管理職の先生方から、確かにこの制度はいい制度なので成功させたいけれども、巡回指導の教員はどんな人が来るのかとか、すばらしい方が巡回してくれるのかというような声を聞いております。
 小学校の特別支援教室において、巡回指導を行う教員の人材育成をどのように図っていくのか、まず最初にお伺いいたします。

○松川特別支援教育推進担当部長 特別支援教室が効果的に運営されるためには、巡回指導を担当する教員の専門性の向上が不可欠でございます。
 そのため、都教育委員会は、経験豊かな教員が実際の指導場面で他の教員に対して、その知識や技術を伝授するOJTの事例を区市町村に示すとともに、特別支援教育を担当する教員向けの研修等を実施しております。
 あわせて、臨床発達心理士等の専門家の派遣や都立特別支援学校のセンター的機能の活用により、専門的な見地から指導を担当する教員などへの支援や助言等を行うことによる人材の育成も図ってまいります。

○野上(純)委員 今、OJT、オン・ザ・ジョブ・トレーニングで人材を育成するという、大事な観点であると思っております。
 これまでの情緒障害等の通級指導学級の先生方からは、今まで使用していた施設とか設備は、特別支援教室に移行してもそのまま活用していいのかというようなことも伺っておりますけれども、このことに関してはいかがでしょうか。

○松川特別支援教育推進担当部長 特別支援教室では、児童の障害の状態に応じてさまざまに工夫し、柔軟に指導を行うことが必要であることから、その施設や設備は各校の実情に応じて区市町村が適切に判断し、整備するものであると考えております。
 このため、従来の情緒障害等通級指導学級の施設、設備につきましても、区市町村の判断によってそのまま特別支援教室として活用することも可能でございます。

○野上(純)委員 あくまでも区市町村の判断によって、そのまま使っていいですよということがわかりました。
 それから、先ほど同じような質疑があったんですけれども、平成二十四年度から三カ年取り組んだ特別支援教室のモデル事業の成果、もう一つは課題、これは何かについてお伺いいたします。

○松川特別支援教育推進担当部長 小学校における特別支援教室のモデル事業で得られた成果は、主に次の三点でございます。
 一点目は、児童の障害の状態について、巡回指導教員と在籍学級担任とが共通理解を持ち、連携して指導することによって、障害の状態に応じた特別な指導が充実し、児童の学力や在籍学級における集団適応能力を伸長することができたということ。
 二点目は、巡回指導教員が在籍学級担任に対して助言等を行うことにより、学級担任の対応力が向上し、学級運営が円滑になったということ。
 三点目は、巡回指導により特別な指導が身近で実施されることとなり、教員や他の児童、保護者の発達障害教育への理解が進み、より多くの児童への必要な指導、支援につながったということでございます。
 一方、課題といたしましては、巡回指導体制の確立や教員の専門性の向上などがございます。
 このため、都教育委員会は、特別支援教室の導入ガイドラインにおいて、巡回指導体制の編成を例示するとともに、日程や時間割の調整などを行う特別支援教室専門員を配置してまいります。また、巡回指導教員等への指導上の配慮に関する助言を行う臨床発達心理士等の巡回の実施など、特別支援教室の円滑な運営のための支援を行ってまいります。

○野上(純)委員 特別支援教室専門員を配置していくということなんですけれども、特別支援教室において調整役を担うという特別支援教室専門員はどのような人材を配置していくのかお伺いいたします。

○松川特別支援教育推進担当部長 特別支援教室専門員は、特別支援教室の円滑な運営のために、学校における時間割や、学級担任、巡回指導教員等の日程調整、教材の作成及び児童の学習の補助並びに指導の記録作成などを行うことから、小学校の教育や学校運営の状況を理解している人材が必要でございます。
 このため、教員免許状を有していることや、臨床発達心理士等の発達障害の支援に関する専門的な資格を持ち、学校での児童生徒の支援の経験があることなどを募集資格とし、現在、区市町村と連携して募集に係る事務を進めております。

○野上(純)委員 最後です。特別支援教室が成功するかどうかというのは、こうした特別支援教室専門員とか、また、臨床発達心理士の巡回指導とか、さまざまな人材がお互いの能力を発揮して、特別支援教室を守り立てていくことが大事だと思っております。
 私たちもしっかりと応援をしてまいりますので、ぜひ大成功に終わるように頑張っていただきたいと思います。
 以上で終わります。

○植木委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後四時五十九分休憩

   午後五時十五分開議

○植木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○里吉委員 では、私からは、まず、学校現場でのLGBTへの理解促進を求めて質問いたします。
 近年、LGBT、いわゆる性的マイノリティーへの権利を保障し、理解を促進する運動が広がっています。日本では、各種調査から人口の五%程度、電通総研の二〇一五年の調査では人口の七・六%がLGBTであるとされています。
 私自身も、世田谷区議会議員時代に、同期で当選した議員が性同一性障害をカミングアウトして立候補したという経歴の持ち主だったため、いろいろ身近に見聞きをしてまいりました。また、この数年、世田谷区内では、NPO法人がLGBTのための成人式を行っておりまして、私も来賓として参加させていただき、当事者の方のスピーチを毎回聞かせていただいています。
 そこで感じるのは、LGBT、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーなどのいわゆる性的マイノリティーの方々が、いかに自分らしさ、自分が自分でいいという気持ちが持てずに苦しんできたのかということです。特に小学校、中学校、高校という学校生活の中で、本当の自分を出すことができない、誰にもいえないとしたら、想像しただけで胸が苦しくなります。
 私の息子は女の子という手記を読みました。体は男の子、心は女の子の小学校一年生のお子さんを持つお母さんの手記です。小さいときから周りの男の子と違って車や電車には全く興味を持たず、女の子のキャラクターで遊んでいたそうです。保育園でも年長さんになると、大好きなスカートをはいていると、おかまなのとか、男の子がピンクを着たらだめだよなどというお友達も出てきたそうです。子供も、自分の心の性に対する違和感を少しずつ言葉にするようになり、女の子に生まれ変わりたいというようになってきたそうです。
 小学校は、保育園以上に男女に分かれた活動を避けられない場面もたくさんあります。この彼女は、ランドセルはパステルラベンダー色、スカートははいて行きませんが、髪の毛はセミロングにカチューシャ、かわいいリボン柄の靴下をはいて登校しているそうですが、お友達の反応もいろいろあるし、ご両親もインターネットで信頼できる先生を探したりと、いろいろ努力されているそうです。
 実際は、ここまで自分らしい格好をできる子供ばかりではないと思いますが、こうした子供たちが一定数、どの学校にも、どのクラスにもいることを、学校の教職員の方々には認識していただきたいと思うのです。今紹介した彼女も、学校に一人でもLGBTについてしっかり理解している先生がいてくれれば、それだけで心強いと思います。
 そこで、学校現場での取り組みについて伺いたいと思います。
 文部科学省はことし、性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等についてとの通知を出しておりますが、この通知が出された目的とその内容について伺います。
 また、都教育委員会として、この通知に基づいて具体的に行っていることがあればお答えください。

○伊東指導部長 平成二十七年四月三十日に文部科学省が発出いたしました性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等についてという通知は、学校の教職員が性同一性障害に係る児童生徒に適切に対応ができるようにすることを目的といたしまして、支援体制や医療機関との連携など、具体的な配慮事項等をまとめたものでございます。
 都教育委員会は、この通知文を区市町村教育委員会及び都立学校に送付いたしますとともに、区市町村教育委員会の指導室課長会、都立学校の校長連絡会、副校長連絡会で周知いたしました。また、都内全公立学校の生活指導担当者連絡会、スクールカウンセラー連絡会、養護教諭の研究会でも同様に周知いたしました。

○里吉委員 いろいろな場面でこれを今、周知徹底していただいているというお答えでした。この通知には、悩みや不安を受けとめる必要性は、性同一性障害に係る児童生徒だけでなく、いわゆる性的マイノリティーとされる児童生徒全般に共通するものと書かれております。
 相談体制の充実についても、学級、ホームルームにおいては、いかなる理由でも、いじめや差別を許さない適切な生徒指導、人権教育等を推進することが、悩みや不安を抱える児童生徒に対する支援の土台となることとしています。
 こうしたことからも、何よりも学校の現場の教職員がLGBTについて正しく認識しているかどうかが決定的に重要です。
 都教育委員会では、学校の教員に対して、LGBTへの理解促進のため具体的にはどのような取り組みを行っているのか伺います。

○伊東指導部長 性同一性障害等の理解を促進するため、五月に校長、六月に副校長、十月に主幹教諭等を対象として実施した人権教育の研修会におきまして、文部科学省が発出した通知文の内容を周知いたしました。また、校長や主幹教諭を対象に実施いたしました研修会では、医療や心理等の専門家を講師として招聘し、性同一性障害等に関する理解を深めるための講演などを行っております。

○里吉委員 研修は参加者も大変多かったし、とても勉強になった、よくわかったと、評判もよかったということを伺いました。裏を返せば、まだまだLGBTについて学べる場が少ないのではないかと思います。
 ある教員対象の調査では、同性愛は治療の対象か、などの質問に、自信を持って回答できる先生が大変少ない。最低限の必要な知識すら持っていないのが現状だと書かれていました。
 世界保健機構、WHOでは、一九九二年に疾病分類の見直しを行い、同性愛は治療の対象とはならないと宣言し、厚生労働省も一九九四年に公式基準として採用しました。同性愛者は異常ではない、治療の対象ではないと、国際社会と日本が公式に認識したのはわずか二十年前ですから、今でも同性愛者は特殊な少数派という偏見は根強いと思います。
 だからこそ、LGBTの児童生徒に対応する際に、最低限備えておくべき基本的な知識を全ての教員に持ってもらうためのさらなる研修の拡充が必要です。どのように進めていくのか、都の見解を伺います。

○伊東指導部長 性的少数者の児童生徒にきめ細かに対応していくためには、直接指導する教員が正しい理解と認識を持つことが必要でございます。
 都教育委員会は、これまでも、人権教育プログラムに性同一性障害に関する資料を掲載いたしますとともに、性同一性障害等に関する理解を深めるための研修などを行ってまいりました。今後とも、文部科学省の通知を周知徹底いたしますとともに、教職員への研修を引き続き充実してまいります。

○里吉委員 ぜひ進めていただきたいと思います。「いのちリスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」というところが二〇一四年五月にLGBTの学校生活に関する実態調査結果報告書を発表いたしました。実はこれは、平成二十五年度東京都地域自殺対策緊急強化補助事業の一環として実施されたものなんですが、この報告書によりますと、自分がLGBTであるかもしれないと気がついた年齢が、性別に違和感のある男子の場合が、小学校入学前で二五%、約半数が小学校卒業までに性的違和感を自覚したと回答しております。六八%がいじめや暴力を受けた経験がある。その結果、自殺も考えたことがある、三二%、リストカットなどわざと自分を傷つけた、二二%との結果も出されています。
 LGBTへの誤解や偏見が根強い中で、自分の自然な性的指向や性自認を否定的に捉え、強い疎外感や社会不信、自己否定の気持ちに駆られる人も少なくないことがうかがえます。
 世の中には異性愛者がいるように、同性愛者もいることなど、LGBTのことを学校でも教えるべきだと考えますが、現在の取り組み状況について伺います。

○伊東指導部長 全ての公立学校では、人権教育を通して、一人一人がかけがえのない存在であり、互いに尊重し合って生活する必要があることを児童生徒に指導しております。こうした考え方に基づき、個別の人権課題につきましては、学習指導要領を踏まえ、児童生徒の発達段階や学校の実態等に応じて適切に取り組んでおります。

○里吉委員 現在の学校教育の中では特に位置づけられているわけではないということですが、実際に、どの学校にも、どのクラスにも、当事者がいておかしくないわけですから、そのことについて、先生だけでなく児童生徒にも啓発が必要です。例えば、図書館にチラシを置くなどして児童生徒への啓発を行うことはできないでしょうか、伺います。

○伊東指導部長 学校でどのようなチラシ等を配布するかにつきましては、その内容や必要性などを踏まえて校長が個別に判断するものでございます。

○里吉委員 個別に判断するということですので、そういう対応もぜひ学校ごとでやっていただきたいと私は思いますけれども、世田谷区内でLGBTの成人式を行っている団体は、LGBTの子供もありのままで大人になれる社会を目指そう、こういうことをいって活動しております。最初に紹介した手記でも、保育園で園児が、男の子はピンクを着たらだめだよといっていましたが、例えば、ランドセルは男の子が黒で女の子は赤といって、体の性に合わせた色を選ばされることも、実は、性同一性障害の子供にとってはとても苦痛なことです。男だから、女だからに縛られることなく、自分らしく生きることができる社会がLGBTの人にとっても、また誰にとっても生きやすい社会のはずです。
 これからも、性の多様性について、またLGBTについて、さまざまな機会を捉えて理解が進むよう取り組んでいただくことを求めて、次の質問に移ります。
 次は、教員採用で、期限つき任用教員について伺いたいと思います。
 東京都の教員採用は、採用選考結果により、名簿登載者と期限つき任用名簿登載者に分けられ、名簿登載者は四月一日の正規採用となります。期限つき任用教員は、東京都公立学校教員採用候補者選考実施要綱によれば、年度途中の教員の病気休職及び退職、学級増等、教員の欠員が生じた場合に、学校に勤務しますとあります。つまり、年度途中のやむを得ない事情により教員の欠員が生じた場合に採用されるという位置づけです。
 仕事の内容は正規職員と全く同じであり、授業を行うだけでなく、学級担任も担当します。任期は最長で一年です。この任期つき教員制度は二〇〇七年度から導入されましたが、導入当初から、四月からの、当然正規採用で配置されるべき先生が期限つきになっている、学級数の見込みの誤差により名簿登載者が不足したというレベルではない、余りにも期限つきの先生が多過ぎる、採用計画はどうなっているのかとの声が聞こえてきています。
 そこで伺いますが、二〇一四年度の採用選考を受けて期限つき任用教員名簿に登載され、二〇一四年度内に採用された教員は何人でしょうか。そのうち四月一日に採用された方、四月一日も含め四月中に採用されたのは何人か、それぞれお答えください。

○江藤人事部長 期限つき任用教員採用候補者名簿に登載された千五百四十七名のうち、採用された者は七百六十七人でございます。採用された者のうち、四月一日に採用されたのが四百五十七人で、それを含め四月中に採用されたのは七百四十四人となっております。

○里吉委員 期限つき任用教員名簿に登載され採用された七百六十七名のうち、七百四十四人、実に九七%が四月中に採用されているわけです。引き算すれば、五月以降の採用はたった二十三人です。中でも四月一日の採用が四百五十七人と六割にも上っています。これらは、本来であれば当然正規採用すべき教員なのではないでしょうか。年度途中の欠員補充ではなく、四月採用に期限つき任用というのはふさわしくないと思いますが、見解を伺います。

○江藤人事部長 学校の規模は、四月一日に在籍する児童生徒数により編制される学級数をもって決定いたしますが、採用者の合否判定は前年の十月ごろに確定する必要がございます。このため、退職者数に加え、児童生徒数の変動に伴う学級増減や長期病欠の発生などをこの時点で見込む必要があり、正確に算出することが非常に困難でございます。
 さらに、平成二十六年度は、年金支給開始年齢の引き上げに伴う再任用制度の見直しの初年度に当たり、再任用職員数の見込みが困難であったことに加え、学級増や辞退者の増加などの要因も加わり、結果として、年度当初の欠員数が大きくなったものでございます。

○里吉委員 たまたまいろいろな事情が重なって欠員がたくさん出てしまったかのようなお答えでしたけれども、これは何も二〇一四年度だけのことではありません。毎年、四月採用者だけで六百人、七百人、八百人と期限つき任用を充てているのが実態です。きちんと計画を立てて、少なくとも四月採用の教員は正規採用するのが当然だと考えます。
 さらに、先ほどお答えいただきました期限つき任用名簿に登載され採用された人数、四月中の採用でいえば七百四十四人ですが、この数字と、きょういただいた資料の二〇一四年度、平成二十六年度四月採用者数九百七十一人には、二百二十七人のずれがあります。この資料は、期限つき教員数には、教員採用試験で期限つき名簿に登載され採用された教員以外の教員も含まれているためだと思いますが、それはどのような教員なのか伺います。

○江藤人事部長 年度途中で欠員が発生した場合には、期限つき任用教員採用候補者名簿に登載されている者から任用することになっておりますが、必要な校種、教科に対応する登載者が不足する場合がございます。このような特別の場合に、都教育委員会が認める者を新たに名簿に追加し任用できる特別認定制度があり、それにより任用する教員も含まれております。

○里吉委員 教員免許は当然持っているけれども採用試験は受けていない、いわば現場の校長先生や副校長先生などがさまざまなつてを頼って探してお願いした先生ということだと思います。
 もちろん担任もしますし、仕事内容は正規の先生と同じです。こうした重い責任を担ってくれる先生を探すのはとても大変で、四月だというのに担任不在の状態で、見つかるまで副校長先生などが支援に入って何とかしのぐ場合もあると伺っております。
 期限つき任用名簿からの採用だけでは足りず、さらに四月中に特任教員を二百人以上もお願いしなければならないというのは、やはり余りにも採用計画がずさんではないかと考えますが、都の見解を伺います。

○江藤人事部長 繰り返しになりますが、採用者の合否判定は前年の十月ごろに確定する必要があるため、正確に算出することは非常に困難でございます。
 平成二十六年度は、年金支給開始年齢の引き上げに伴う再任用制度の見直しの初年度に当たり、再任用職員数の見込みが困難であったことに加え、学級増や辞退者の増加などの要因も加わり、結果として、年度当初の欠員数が大きくなったものでございます。

○里吉委員 同じ答弁を繰り返されましたけれども、きょういただいた資料の一八ページのところを見ていただくとわかるんですが、採用者数二千三百五十五人に対して、四月に採用された期限つき教員は九百七十一人ですから、計算しますと四月末までの採用で二九・二%、三人に一人が名簿からの任用と特任を合わせた期限つき教員という状況です。これはやはり多過ぎると思います。
 四月から特任教員を採用しなければならないのも、また二〇一四年だけではありません。毎年のことだと伺っています。こんな不安定な状態が常態化していては、子供たちに十分な教育を保障できないと考えます。四月にはきちんと正規採用の先生がそろっていて、新しい年度をスタートできるようにするのが、学校に対する都教育委員会の当然の責任ではないでしょうか。きちんと正規採用の教員を配置するよう強く求めておきます。
 それでは、期限つき教員が学校に勤務してからのことについて伺いたいと思いますが、特任教員の方はともかく、期限つき名簿から採用された期限つき任用教員は、先生になりたくて採用試験を受けた志ある若者です。こうした方々が正規採用と全く同じ仕事をし、同じ責任を負いながら、期限つきで雇用される今の制度は、大変つらく理不尽なものだと私は思います。
 例えば、期限つき任用の先生が受けることのできる支援、サポートはどうなっているのかお答えください。

○江藤人事部長 期限つき任用教員は、年間十回の教職員研修センター等が実施する研修と、校内における年間百二十時間以上の授業に関する研修を受講します。また、校長は、期限つき任用教員の指導助言に当たる指導教員を一名、命じることとなっております。
 なお、正規採用された初任者は、このほかに、二泊三日程度の宿泊研修、年間六回の課題別研修、校内における年間六十時間以上の授業以外の研修を受講しております。

○里吉委員 年十回の研修などは一緒ですけれども、正規採用の初任者が受ける宿泊研修は受けられない。ほかにも、授業に関すること以外の研修は受けられない。また、再任用のベテラン教員が社会人経験がない新採教員をサポートする学級経営研修制度も、期限つき教員は対象外ということなんですね。子供たちには同じ教育者として向き合い、責任を持たなければならないけれども、受けられる支援が違うということです。
 また、都教育委員会は、期限つき任用教員になれば、次の年の面接だけで正規採用になれるアドバンテージがあると伺っていますが、その仕組みとタイムスケジュールについて伺います。

○江藤人事部長 昨年度の教員採用選考が不合格となりましたが、期限つき任用教員採用候補者名簿に登載され、ことしの五月一日時点で期限つき任用教員として任用されていた者は、今年度の教員採用選考において、八月に実施した個人面接のみで受験しております。その面接結果と任用されている学校での勤務実績に基づき合否を判定し、十月十六日に合格発表を行いました。
 合格した場合は、翌年度の四月一日から正規教員として任用されることになり、その配属先は、原則として期限つき任用教員として働いていた学校と同一となります。
 なお、不合格となった場合には、原則として翌年度は一般選考で受験することとなります。

○里吉委員 四月に採用されて、八月に面接、十月に合格、不合格の発表ということです。勤務校での勤務実績というのは校長先生の判断だと聞いていますが、これは八月が面接ですから、その前の勤務、つまり着任して二、三カ月の、本来ならこれから教師集団の中で若い先生を育てようというときに既に評価され、ふるい落とされる。しかも、合否がわかるのは十月で、もし不合格でも、次の年の三月までは学級担任を続けなければなりません。つまり、あなたは東京都の教員には適当ではありませんと宣言しておきながら、仕事だけは担任としてちゃんと三月までやってねというわけです。随分虫のいい話ではないでしょうか。本人にしてみれば、モチベーションを保つのが大変です。
 そこで伺いますが、期限つき任用名簿登載者のうち、次の年に正規教員に合格したのは何人ですか、過去三年の実績を伺います。

○江藤人事部長 期限つき任用教員採用候補者名簿登載者のうち、任用された者の選考合格実績といたしましては、平成二十五年度選考は、受験者九百十八名のうち六百九十三名が合格し、合格率は七五・五%、平成二十六年度選考は、受験者九百八十名のうち七百二十五名が合格し、合格率は七四・〇%、平成二十七年度選考は、受験者千一名のうち七百三十五名が合格し、合格率は七三・四%となっております。

○里吉委員 七五%程度とのことでした。二五%の方が不合格です。二五%、四人に一人の方が不合格になっているということについて、保護者や同僚の先生たちは大変深刻に受けとめています。保護者や同僚の先生から見て、とても熱心に頑張っている先生なのに、なぜ不合格なのかわからないと感じる場合が大半だと聞いています。
 そもそも若い先生に、すぐにだめというレッテルを張るのではなくて育てるべきだ、こういう声が幾人もの方から寄せられておりますが、このご意見は私も本当にそのとおりだと思います。
 今、学校は、一校に三人、四人と新規採用の先生がいることも珍しくありませんし、若い先生が産休、育休に入り、代替の先生が来ることも大変多くなっています。私がお話を伺った、あるお子さんの学年では、四クラス中、三クラスが新採と年度途中からの産休育休代替の先生だったそうです。
 そういう中で、期限つきの先生が一年でいなくなって、また新しい先生が来て一年からやり直しというのは、学校運営も周りの先生方も、また一から教えて関係もつくらなければならない、そういうことで大変ですし、子供たちも落ちつかないというお話も聞きました。一年任期で不安定なことが、当事者の期限つき教員だけでなく、学校の組織全体や子供たちにもよくない影響をもたらしていると思います。
 そもそも、現在の採用選考で期限つき任用名簿登載者に当たる人たちは、二〇〇六年度までは補欠者として位置づけられ、採用された時点で正規採用されておりました。しかし、なぜ一年の期限つき任用制度に変更したのか、その理由について伺います。

○江藤人事部長 期限つき任用教員制度と補欠制度は、年度途中の欠員の補充や病気休職教員の補充等に充てる目的において同様でございますが、期限つき任用教員は、任用された年度の三月三十一日までの期限を定めた任用であり、任用された場合に正規教員となる補欠制度とは異なります。
 補欠制度は、正規雇用への期待が高い反面、一年待っても採用に至らない場合があることから、補欠者から不安の声が寄せられていました。さらに、大量退職による大量採用を行うことに伴い、教員の質の確保という点においても課題があったことから、都教育委員会は、平成十九年度から期限つき任用制度を導入しております。

○里吉委員 補欠制度でも期限つき任用制度でも、名簿登載者は原則四月一日採用、補欠者や期限つき名簿登載者は採用に至らない場合もある、このことは同じです。変更の合理的理由にはならないと思います。
 さらに、今、質の担保ということをおっしゃいましたが、期限つき任用教員制度によりなぜ質の担保が図れるのか伺います。

○江藤人事部長 補欠制度は、年度途中に発生する欠員数や発生するタイミングの把握が困難であり、任用時期が未確定なことに加え、結果として採用に至らない補欠者が出るため、この制度を敬遠し、他の道府県や民間企業へ優秀な人材が流出する要因の一つとなっておりました。
 また、団塊の世代の大量退職に伴う欠員を全て新規採用で補っていく結果となるため、年齢構成の不均衡が一層加速されることになりました。年齢構成の平準化を図る意味からも、四月一日に採用する正規名簿登載者を確実かつ的確に設定した上で補欠制度を廃止して、採用選考において一定の能力水準を持っていることを実証している者については期限つき任用教員として確保し、校長の指導を受けながら、実際に学校現場を経験できる制度といたしました。
 期限つき任用教員が、翌年度教員採用を目指す場合は面接のみで受験できるようにするとともに、面接結果に加え、期限つき任用期間中における学校での実績を合否判定に適切に反映させることで、教員としての適性を見きわめることができ、質の確保が可能となります。

○里吉委員 補欠制度は未採用となる者が出るため、民間企業等へ優秀な人材が流出というご答弁がありましたが、それは期限つき任用制度でも同じです。数字を調べましたが、四月一日に必ず採用される名簿登載者から一割程度流出しているのも補欠制度時代と同じですし、期限つき名簿登載者も二〇一四年度は千五百四十七人ですが、東京都の教員になったのは、先ほどのご答弁でもあったように七百六十七人と約半数にすぎません。さらに、若干、産休、育休の代替に回っている方もいると思いますが、あとは流出して、結局足りなくなって特任教員を採用しているのがずっと続いているではありませんか。
 より適正な採用者数とおっしゃいましたが、実際には必要数の三分の二強という、適正どころか大幅に少ない人数しか正規採用していないんです。適正どころではないと思いますよ。結局、大量採用しなければならないときに、必要数を全て新規採用で賄うと年齢構成が不均衡になると。だから、一年でやめさせる教員をできるだけつくりたいということではないかと。それを質の確保などと、まるで採用されない本人が悪いようないい方で、志のある若者の神経をすり減らせ、使い捨てるようなやり方は適切ではないと考えます。
 結局、期限つき任用制度、この教員の皆さんは調整弁のように扱われているのではありませんか。かつての補欠者と同じように、一度教壇に立ったら正規採用としてきちんと先生として働いてもらう、こうすべきだと思いますが、いかがでしょうか。見解を伺います。

○江藤人事部長 期限つき任用教員制度は、一年間の期限つき任用の経験の中、学校現場で校長の指導を受けながら教職への理解と自信を深め、翌年度に再度チャレンジできる制度であり、教員の質の確保の観点からも大いに有効であると考えております。
 一方、補欠制度は、正規雇用への期待が高い反面、一年待っても採用に至らない場合があることから、補欠者から不満の声が寄せられるなど、さまざまな課題を抱えておりました。
 こうしたことから、都教育委員会は、年度途中の学校現場の欠員等に的確に対応していくため、期限つき任用教員制度が望ましいと考え、導入したものでございます。今後とも教員の任用を適切に行ってまいります。

○里吉委員 そもそも現在の教員の採用制度は、正規採用されても初年度は条件つき採用で、一年後に正式採用になる、教員に向いていないと判断されれば正規採用されない制度になっています。この制度の問題点もいろいろ指摘されていますが、少なくとも現在はそういう制度になっているので、その点からも、期限つき任用で二重に条件を課し、若い先生を苦しめることは適当でないと考えます。
 期限つき教員の先生としての仕事は、正規採用の先生と全く同じなんです。子供たちの前に学級担任として立ち、校務も、仕事をして、子供たちの教育に正規の先生と同じ責任を持って仕事しているわけです。クラスの担任を受け持って、子供たちと学校運営に責任を持って、先の見通しを持って伸び伸びと充実した教育活動を行うためには、やはりきちんと正規で身分が保障された先生が配置されることが重要です。期限つき任用はやめ、教員採用は正規採用で行うことを強く求めて、次の質問に移ります。
 次に、光明特別支援学校の肢体不自由部門と、久留米特別支援学校の病弱部門の併置の問題について伺っていきたいと思います。
 まず、二〇一七年度開校予定の光明学園特別支援学校(仮称)、この校舎等の整備スケジュール、そして整備が完成するのはいつの予定か伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 平成二十九年度の仮称光明学園特別支援学校の開設に向けて、今年度から来年度にかけて、現在の光明特別支援学校の校舎の一部及び寄宿舎を改修してまいります。
 平成二十九年度からは、第一期工事として旧梅ケ丘病院跡地に新校舎を建築し、その後、第二期、第三期工事として、平成三十一年度から現在の光明特別支援学校の校舎を改築し、平成三十五年度に整備が完成する予定でございます。

○里吉委員 二十九年度から工事ということで、開校してから、どんなに早くとも六年間はずっと学校のどこかが工事を行っている中で障害のある子供たちが学校生活を行うということなんですね。しかも、最近の開校例を見ておりますと、計画どおり工事が進んでいないケースも多々ありますので、さらに延びる可能性もあるわけです。これは、子供の学習環境として問題だと思います。
 しかも、障害のあるお子さんが通う特別支援学校ですから、どうしてこのように無理やり開校させるのか私には理解できません。保護者の方などからも不満の声が出されていますが、当然です。
 久留米特別支援学校の移転統合は、新しい校舎を整備してから行うのが自然だと思いますし、児童生徒への負担も少ないと思いますが、なぜ移転してからの校舎の改修、改築となっているのか伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 久留米特別支援学校の在籍者数は、本年五月一日現在、十三名と非常に少なくなっており、学力向上や社会性の育成等のための適正な学習集団の確保が難しい状況にございます。一方、肢体不自由特別支援学校である光明特別支援学校におきましても、進学などを目指す児童生徒に対して適正な学習集団による教科指導の充実が求められております。
 こうした状況は、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画策定当時と変わっていないことから、同計画に基づき、平成二十九年度に光明学園特別支援学校を開設することといたしました。光明学園特別支援学校の開設に当たりましては、既存校舎の改修等により、病弱教育部門の受け入れのための環境を整えてまいります。

○里吉委員 校舎が完成していなくても病弱教育部門が移転してくる理由として挙げられた、病弱教育部門の児童生徒が少なくなって学力向上や社会性の育成などのための適正な学習集団の確保が難しいですとか、肢体不自由の部門で進学を目指す児童生徒の適正な学習集団の確保が必要だ、だから、引っ越してくるんだという説明をされましたけれども、これはどこの判断なのでしょうか。少なくとも学校現場や保護者からはそのような要望は出ていないと思いますが、伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 肢体不自由教育部門と病弱教育部門を併置する光明学園特別支援学校の開設は、平成二十二年十一月に策定した東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画に基づくものであり、本計画は東京都教育委員会において決定したものでございます。
 本計画は、学校長からの意見も聞きながら、現場の実情を踏まえて検討を進めるとともに、計画の骨子案について説明会やパブリックコメントを実施し、保護者も含め、広く都民の意見を伺って策定したものでございます。

○里吉委員 第三次計画で決めたというお答えでした。この東京都特別支援教育推進計画第三次計画に対しては、パブリックコメントとアンケートで、この年、三百七十六人の方から六百十一件の意見が出されております。抜本的見直しを求めるものも多かったではないですか。
 九月半ばにパブリックコメントが行われ、十一月には決定しているわけで、その間、一カ月ちょっとしかありません。寄せられた意見を取り入れたかどうかも、計画の公表のときまで都民は知ることができませんでした。実際にできた計画は、寄せられた意見を踏まえたものといえるのか大変疑問です。結局、都教育委員会が決めたわけです。
 障害種別の違う学校を併置することについても、PTAからは、当時から、併置になってメリットは感じないばかりか不安と不満でいっぱいだという声が寄せられていました。学校現場からも、保護者からも、併置を求める声が出ていたわけではありません。都教育委員会が第三次計画に盛り込んだことに見直しを求める声もたくさんあったのに、その意見は聞きおくだけで決定したということではないでしょうか。
 病弱教育部門でも肢体不自由教育部門でも、児童生徒が少ないための解決が必要な課題があるという説明をさっきされましたけれども、具体的にはどのような問題なのか改めて伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 病弱教育部門である久留米特別支援学校では、小学校、中学校、高等学校に準ずる教育課程に基づく指導が行われておりますが、その在籍者は、本年五月一日現在で小学部から高等部までを合わせても十三名で、在籍者が皆無の学年もあるなど、極めて少なくなっております。
 また、肢体不自由教育部門におきましても、準ずる教育課程の対象となる児童生徒の人数が同様に少ない状況にございます。このため、児童生徒が集団の中で切磋琢磨しながら学力の向上や社会性を育むことが難しいといった課題がございます。

○里吉委員 現在の人数では、集団の中で切磋琢磨しながら学力の向上や社会性を育むことが難しいというお答えでした。久留米に通っている病弱教育部門の子供たちにとって、自然豊かな現在の久留米特別支援学校の場所で学ぶことをやめて、もっと大きい集団で学ぶことがそれほど重要なこと、解決しなければならない課題でしょうか。島しょや地方に行けば、少人数でもすばらしい教育をしている学校はたくさんあります。全く理由になっていません。
 しかも、保護者の方に伺いますと、我が子が病弱であっても、久留米特別支援学校の存在は知らなかったし、なかなか教えてもらえなかった。手続など転校のハードルも高かった。でも、地域の小中学校に在籍していたときにはペースについていけず休みがちだったのが、久留米に転校して見違えるように楽しい学校生活を送れるようになった。久留米の存在を知らせれば、そういう生徒児童、たくさんニーズはある。こういう声が寄せられているんです。十三名が少ないというのであれば、こういうニーズに応える努力こそするべきではないでしょうか。
 もう一度いいますが、これから最低でも六年間ずっと、新校舎の建設、現在の校舎を二期に分けて、計三期にわたって三分の一ずつ改築する。子供たちが学ぶ環境としてこれは本当に良好とはいえない。三分の一の学校を改築している間、残りの三分の二に現在の子たちがぎゅっと詰まって、それをずっと繰り返しながら六年間以上学ぶわけですよね。そんなことをしなくても、病弱教育部門の子供たちには現在通っている久留米の校舎があるわけですから、本当にそんなに急いで来る必要があるのか、ここが本当に疑問なんですね。
 改めて伺いますけれども、二〇一七年度の開校には、まだ新しい校舎は一つもできていませんから、現在の光明特別支援学校内で病弱教育部門の児童生徒も学ぶことになると思いますが、それでよろしいでしょうか。確認します。

○松川特別支援教育推進担当部長 今年度から病弱教育部門の児童生徒を受け入れるための教室等の改修工事を行っており、平成二十九年度の開校時には、現在の光明特別支援学校内で病弱教育部門の児童生徒も学ぶこととしております。

○里吉委員 開校前に改修工事を行うというお答えですから、現在の肢体不自由教育部門の子供たちが学んでいる、今ある光明特別支援学校の、学校の中を改修して、病弱教育部門の子供たちも一緒に学ぶと。単純に考えれば、その分、詰め込まれるといえるのではないかと思います。
 旧梅ケ丘病院跡地の一部に新規建設するわけですから、新規校舎が完成したら、まず肢体不自由の子供たちを半分移して、現在の光明特別支援学校の校舎の一期目の工事を行う。一期目が完成したら、そこにもう半分の子供たちを移して、二期目の工事を行う。全体が完成した後に、初めて病弱教育部門の子供が移転してくるというやり方もあるのではないでしょうか。
 肢体不自由の子供たちにとっては、学校で授業を受けている横で工事を行うことになりますが、スペースの余裕もできますし、現在の計画よりは子供たちへの影響は格段少なくなると思います。今、久留米の学校は、本当に病弱の子供たちが楽しく学んでいる環境ですから、ここで工事が完成するまで学ばせてあげるべきだと思います。
 ここで、病弱で久留米に通っている高校生が、ある集会で行ったスピーチの一部を紹介します。
 皆さんは病気になって今の学校へ入学されたと思います。病気になってつらいことしかなかったという方も少なくありません。私もその一人で、何で自分は病気になったんだろう、いっそ、自分なんかいなくなってしまえばいい、そんなふうに思うときもありました。
 ですが、たどり着いた答えが、今の自分の居場所です。病気にならなければ、もっと普通の人生を歩めたかもしれない。だけど、今の自分にとって病気はありがたく思います。
 なぜなら、病気じゃなかったら久留米にはいなかったからです。病気でよかったなんていったら、何いってんだって思われるかもしれません。でも、自分の病気のおかげで久留米で楽しく過ごしているし、今の私がいる。病気じゃなかったら、こういった体験はありません。
 病気になったそのこと自体は幸せでないのかもしれない。だけど、そこからどうはい上がるかで、自分の生き方を変えることができる。かかわり方が変わる。人とのかかわり方が変わる。普通の人生じゃ味わえない経験が、病気には含まれているのだと私は思います。
 こういって、今、久留米で本当に元気に、病弱の子ですけれども、毎日学習をしているわけです。こういう子供たちから学校を奪わないでほしいと思いますし、こういう環境があるわけですから、改築が全部終わるまで、ぜひ、今、久留米で学んでいる病弱の子供たちは、その場所で学ばせてあげていただきたいということを強く要望しておきます。
 この問題の最後に、寄宿舎の問題について伺っていきたいと思います。
 この改築工事にあわせて、併置にあわせて、来年四月から光明特別支援学校の寄宿舎が工事に入るため、その間、寄宿生は久我山青光学園の寄宿舎で生活することになると伺っています。対象となるのは何人の見込みか伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 現在、光明特別支援学校の寄宿舎生は七名であり、うち五名は高等部三年生で、今年度末に卒業する見込みでございます。先日、光明特別支援学校において平成二十八年度寄宿舎入舎募集を行いましたところ、現在入舎している二名から申し込みがあったと聞いております。このため、来年度、久我山青光学園の寄宿舎を利用する可能性のある児童生徒は二名程度になると見込んでおります。

○里吉委員 卒業生以外の現在の舎生二名が申し込んでいるということで、久我山青光学園の寄宿舎利用は二名程度との答弁でした。
 寄宿舎の入舎基準が厳しくなって、申し込みもだんだん減っているのではないかと大変気になっていますが、城北特別支援学校の寄宿舎が廃止され、肢体不自由児の寄宿舎は、今、光明特別支援学校だけとなりました。そのときに、通学困難者については、転校または学区外の入学を認め、必要な場合は必ず寄宿舎で受け入れるよう、我が党の畔上委員が質疑を行いました。そのとき都は、同一の障害部門の寄宿舎を設置する他の特別支援学校への転学についても一つの選択肢として検討すると答弁し、実際に転校して光明の寄宿舎に入ったお子さんもいらっしゃったと伺っています。久我山青光学園の寄宿舎に一年通うことにはなりますが、必要な児童生徒が寄宿舎へきちんと入舎できるように情報発信を行い、本人や家族の希望に沿った対応を行うよう求めます。
 次に、光明の寄宿生が学校と寄宿舎の移動--ちょっと離れているわけですね、登下校するとき、これはどのように行うのか。また、久我山青光学園の寄宿舎では形態食の食事がないと聞いておりますけれども、対象の児童生徒がいた場合はどう対応するのか、あわせて伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 寄宿舎からの通学につきましては、スクールバスや福祉タクシーなどの通学手段を確保する予定であり、現在、来年度の通学方法について光明特別支援学校と協議しております。児童生徒の負担に配慮した上で、障害の特性や交通事情なども考慮して、適切な交通手段を確保してまいります。
 寄宿舎における食事の提供につきましては、形態食の提供が必要な児童生徒が入舎する場合も想定し、現在、調理業務委託の契約内容の見直しや必要となる物品の手配など、今後の対応策について検討を進めております。

○里吉委員 今まで学校のすぐ近くの寄宿舎だったわけですから、移動するだけでも体の負担が大きいと思います。児童生徒の状況に配慮した対応をしていただきたいと思います。
 最後に、私は今でも病弱教育部門は久留米に残すべきだと考えています。知的障害者部門と久留米で併置という選択肢もあると思います。工事が続く中で学校生活六年間も送らせるということは、病弱の子にとっても肢体不自由の子にとっても、学校現場としてこういう環境をわざわざつくる、こういうことは本当に私は許せません。
 改めて、久留米特別支援学校の病弱部門の移転は取りやめ、今の久留米の場所で存続させること、少なくとも改築など全ての工事が終わってからの移転とすること、移転や工事に伴い、肢体不自由の子も病弱の子も学校や寄宿舎への受け入れを縮小することのないよう強く要望して、質問を終わります。

○今村委員 それでは、私からは、まず公立学校の特別教室の冷房化について、都立高校、それから市区町村立の小中学校、それぞれ別にお聞きをしてまいりたいと思います。
 都立高校では、音楽室やパソコン室、そして視聴覚室、図書室について既に全校で冷房設備が整備済みであります。今後、新たに物理、化学、生物の実験室や家庭科の調理室、被服室、美術室、工芸室を冷房化すると聞いております。まず、現在の整備状況はどのようになっているか伺います。

○早川都立学校教育部長 都立高校百九十校のうち、新たに冷房化の対象とする特別教室の全てにつきまして、周辺の交通騒音等の状況を踏まえ既に冷房設備の整備が済んでいる学校は六十一校、一部について整備済みの学校は三十一校であり、また、未整備の学校は九十八校でございます。

○今村委員 全体の三分の二以上の学校で整備が必要なことがわかりました。子供たちの教育環境の差をできるだけ早くなくしていく必要があると考えますけれども、今後、特別教室の冷房化にどのように取り組んでいくのか伺います。

○早川都立学校教育部長 特別教室への冷房設備の計画的な整備に向けまして、本年度、電気、ガスの動力源やガス配管の状況等について各学校を個別に調査する予定でございます。

○今村委員 教育環境がよりよく整備されることは望ましいことであります。調査をもとに、導入時のコストだけではなく、ランニングコストや震災時の対応なども考慮し、ご答弁にありました計画的な整備を期待しております。
 同じく特別教室の冷房化について、市区町村立の小中学校についても伺います。
 整備がおくれていた多摩地区を中心とした小中学校の普通教室冷房化は二〇一三年度に完了し、二〇一四年度から特別教室の冷房化を支援する公立学校施設冷房化支援特別事業が実施されています。
 そこでまず、市区町村立小中学校における同事業の補助対象となっている特別教室の冷房化の状況について伺います。また、特別区と多摩地区の市区町村における設置率についても、あわせてお伺いします。

○粉川地域教育支援部長 都教育委員会は、公立小中学校の特別教室の冷房化を支援するため、平成二十六年度から、防音性などが求められる音楽室、視聴覚室、図書室、パソコン教室を対象に、都独自の補助事業を実施しております。
 平成二十七年度は、特別教室のうち、普通教室で代替のきかない教室として新たに理科室、美術室等にも補助対象を拡大しております。都内の区市町村立小中学校において補助対象となっている特別教室の冷房設置率は、平成二十七年四月一日現在、特別区で約八七%、市町村で約五六%、都内全体では約七五%となっております。

○今村委員 普通教室の冷房化のときと同じように、市区町村立の設置率が低いことが問題でしたけれども、特別教室においても設置率に大きな差があることがわかりました。
 小中学校の良好な教育環境を整備するため、都内の小中学校の特別教室の冷房化については、冷房化支援特別事業の実施予定とされております二〇一八年度までに、対象となる全ての特別教室の冷房化が望ましいと考えますけれども、今後の取り組みについて伺います。

○粉川地域教育支援部長 区市町村立小中学校の施設、設備の整備は、学校の設置者である区市町村の権限と責任において行うことが原則でございます。
 都教育委員会は、良好な教育環境の整備のため、都独自の冷房化における補助事業を通して支援を行っており、今後とも区市町村が計画的に整備を進められるよう支援してまいります。

○今村委員 多摩地区、島しょ地区の設置率の低さと、それから財政力を考えると、冷房化支援特別事業の実施予定までに設置が終えられるか心配な面もあります。丁寧でしっかりとした支援をお願いし、次の質疑に移りたいと思います。
 地域の学校は、災害時には地域住民の避難所としても使用される重要な施設であります。都立学校では、建物の構造体の耐震化は既に完了しておりますが、体育館や武道場などにおける非構造部材の耐震化、天井などの落下防止対策の進捗状況はどのようになっているのか伺います。

○早川都立学校教育部長 都立学校におきましては、平成二十六年度、つり天井等の落下防止対策が必要な体育館など八十七棟のうち十棟につきまして対策を実施いたしました。また、つり天井を有しない体育館などで照明器具やバスケットゴールなどの落下防止対策が必要な四百七十三棟のうち、二百五十九棟につきましても対策を実施したところでございます。

○今村委員 命にもかかわる問題ですので、できるだけ早期に対策を完了させる必要があると考えます。
 そこで、今後、天井などの落下防止対策にどのように取り組んでいくのか伺います。

○早川都立学校教育部長 対象の都立学校と調整を図り、夏季休業期間以外の時期にも対策工事を行うなど、取り組みの加速に向けた対策を講じております。つり天井等の落下防止対策を初めとする非構造部材の耐震化に、引き続き鋭意取り組んでまいります。

○今村委員 積極的なご答弁でしたので、今後の取り組みに期待をして、市区町村立小中学校についても伺ってまいりたいと思います。
 区市町村立小中学校における非構造部材の耐震化の状況については、二〇一五年四月一日現在で対策が実施されていない棟が多く残っている状況は、我が党においても決算特別委員会において確認をしております。
 改めて、これまでの取り組みの状況を確認させていただき、あわせて今後の取り組みを強化すべきと考えますので、その取り組みについて伺います。

○粉川地域教育支援部長 都教育委員会は、平成二十五年度より、国の補助制度に加え、都独自の非構造部材の耐震化に要する費用の補助制度を開始いたしました。区市町村におきましては、国土交通省のつり天井に関する技術指針が平成二十五年八月まで告示されなかったことなどから、改修方法の検討に時間を要し、平成二十六年度までは耐震対策が十分に進んでおりませんでした。
 そのため、都教育委員会は、震災被害等から得られたつり天井の危険性やその改修方法に関する講習会を実施し、さらに、区市町村に対して個別にヒアリングを行うことなどで対策を前倒しするよう働きかけてきており、平成二十七年度に対策が完了する棟数は大幅に増加する見込みでございます。引き続き、区市町村に対し早期の対策実施を強く働きかけ、非構造部材の耐震対策を加速させてまいります。

○今村委員 大切な問題であります。市区町村立小中学校は、都立高校と比べても、小中合わせ約二千校と多く、対策により時間がかかってしまいます。都の働きかけ強化を期待いたしております。
 さて、先ほども述べましたが、公立学校は災害時には地域住民の避難所としても使用される重要な施設であります。こうした学校施設の体育館は避難所となるため、地域住民の多くが利用することとなります。地域住民には子供や高齢者、障害のある方など、さまざまな人が利用するため、良好な環境を保つことができるよう体育館にも今後は冷房設備を整備することが必要不可欠になると考えます。
 そこでまず、都立学校における体育館の冷房化の状況について確認をさせていただきます。

○早川都立学校教育部長 都立高校では、百九十校のうち、体育館が地下にあり換気ができないなどの理由により、例外的に二校の体育館において冷房設備が整備されております。
 特別支援学校では、五十七校のうち、肢体不自由特別支援学校及び肢体不自由教育部門を置く併置校につきましては、十七校全校で体育館の冷房設備を整備済みでございます。その他の障害種別の特別支援学校につきましては、知的障害特別支援学校三校で既に整備済みであり、また、未整備の学校につきましても、平成二十六年度から体育館の冷房化に順次取り組んでおります。

○今村委員 現状は、特別支援学校への取り組みの最中でありまして、一般の都立校への取り組みは今後の課題のようであります。ぜひ今後の課題として進めていただきたいと要望をしておきます。
 一方で、都内には市区町村立の小学校が約千三百校、中学校が約六百校あると聞いています。この市区町村立小中学校の体育館の冷房化の状況はどのようになっているのか、お伺いします。

○粉川地域教育支援部長 体育館を冷房化する場合は、普通教室や特別教室と異なり、断熱、電源設備増設を含む大規模な工事となるため、一般的には改築や大規模改修時に一体的に行われております。
 区市町村立小中学校の体育館の冷房設置校数は、平成二十六年五月一日現在、小学校では十一区三市一村の五十六校、中学校では十二区二市の三十三校となっております。

○今村委員 都立学校と同様、まだほとんど整備されていないといってもよい状況のようであります。
 これまで、公立学校の特別教室の冷房化と非構造部材の耐震化、そして、今の体育館の冷房化について伺ってまいりました。まず、これらのことを早期に完了させていただき、子供たちの教育環境の観点からも、災害時の避難施設として利用される公立学校の機能強化としても、体育館の冷房化についても市区町村への支援のスキームなど、今のうちから、まずは検討していただくように要望をしておきます。
 次に移ります。
 私は、これまでも、都教育委員会における障害者の法定雇用率未達成について厳しくその取り組みについて指摘をしてまいりました。
 そこで改めて、法定雇用率達成に向けた本年四月以降の取り組みについて伺います。また、教員採用についてはどのような校種に配置をされているのかもあわせて伺います。

○堤総務部長 都教育委員会は、障害者非常勤制度を活用いたしまして、本年四月以降、都教育委員会の事務局や都立学校において事務等の補助業務に従事する教育事務補助員といたしまして、四十七名の障害者を新たに採用いたしました。十二月にも採用を予定しております。
 教員採用では、一般選考に加えまして、障害に配慮した選考を実施いたしまして、本年四月一日に四名を採用いたしました。四名の配置の内訳ですが、中学校に一名、高等学校に一名、特別支援学校に二名でございます。

○今村委員 教育現場におきまして障害のある教員がいることは、児童生徒に大きな効果があるとこれまでも述べてまいりました。より一層取り組まれるよう要望をしておきます。
 さて、昨年の事務事業質疑でも、募集人数に対して応募数自体が少なく、法定雇用率達成の大きな課題だったと認識しています。今ご答弁いただきました本年四月以降の教育事務補助員の募集人数、そして、応募者数、合格数及び採用数についてお伺いします。

○堤総務部長 本年四月以降の採用日別にお答えを申し上げます。
 四月一日付採用は、募集人数七十名、応募者数三十三名、合格者数二十二名、採用者数十六名でございます。
 六月一日採用は、募集人数七十二名、応募者数三十八名、合格者数二十六名、採用者数二十五名でございます。
 十月一日付採用は、募集人数七十名、応募者数十四名、合格者数七名、採用者数六名でございます。
 十二月一日付採用予定は、募集人数六十五名、応募者数三十名、合格者数二十四名でございます。

○今村委員 昨年同様、本年も厳しい状況であることがわかりました。また一方、応募者のうち、合格者の比率を聞いていますと、積極的に取り組まれている状況も理解ができました。
 そこで、より一層、教育事務補助員の雇用を進める上での課題と取り組みについて、都の考え方を伺います。

○堤総務部長 教育事務補助員の雇用を進める上では、さらなる応募者数の確保に向けて募集を工夫するとともに、教育事務補助員が職務への意欲と職場への貢献を実感できるよう、魅力ある職場づくりを進めることが重要と考えております。
 募集につきましては、広く障害者に周知できるよう、本年度、新たに東京労働局と連携をいたしまして、ハローワークや就労支援機関向けの説明会を開催いたしました。さらに本年度から、特別支援学校の卒業見込み者を主な対象といたしました四月一日付採用を開始するとともに、来年度の採用に向けまして、新たに進路指導担当教員向けの説明会を実施しております。
 今後とも、さらなる工夫を加えまして、応募者数の拡大に努めてまいります。
 また、魅力ある職場づくりにつきましては、教育事務補助員一人一人が高い意欲を持って継続的に職務に従事できるよう、障害に応じた適切な業務配分や支援を行うとともに、職場に貢献した具体的事例を他の職場に紹介いたしまして普及をしてまいります。
 引き続き、障害者非常勤制度の魅力を向上させまして、応募者数の増加に努めてまいります。

○今村委員 雇用率達成に向けましては、障害者非常勤制度を活用することは理解をいたします。しかし、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会を開催するわけでありますので、さきのロンドン・パラリンピック大会の基本理念でありましたソーシャルインクルージョンの実現に倣い、知的障害者の正規職員化を進めることや、二〇一八年度法改正で義務化をされる精神障害者への取り組みなども視野に、本庁とも協議を行っていただくよう、今から準備をしていただきますよう要望しておきます。
 次に、島しょの都立高校での島外中学生の受け入れについて伺います。
 このことにつきましては、さきの質疑でも取り上げられておりました。昨年の事務事業質疑でも、私も取り上げさせていただいたところであります。定員が満たない都内の島しょ地域の都立高校において、島外の中学生の受け入れ、さらには、小笠原などには寄宿舎等もあるわけでありますので、そこも定員が達していないという状況があります。今は島外の中学生が島で生活をし学びたいと思っても、なかなかその環境は厳しい状況にあります。来年度から、神津高校で新たに一名受け入れていただくということになりました。都の取り組みを評価し、ぜひ町村の理解を進めていただいて、より積極的にPRをしていただくようお願いをいたしまして、次の質問に移りたいというふうに思います。
 大島海洋国際高校の海洋実習についてであります。
 昨年の当委員会におきまして、都立大島海洋国際高校の航海実習に使用している実習船「大島丸」のことについてお伺いをいたしました。大島海洋国際高校は、海を通して世界を知るという観点のもと、船を活用した航海実習、寮生活、海洋教育という三つの環境を生かし、国際社会でたくましく生きていく人材の育成を学校経営の目標としています。
 また、都内で唯一、このような特色を持つ大島海洋国際高校ですが、その最大の特色である実習船「大島丸」を活用した航海実習が、予定した計画どおりに実施できない事態に陥っています。
 昨年度の二年生のうち、海洋系大学などの進学を目指す国際海洋類型クラスは、一クラス四十人を二十人ずつに分け、一カ月の間、サイパンを目的地として二回の国際航海実習を行う予定になっていましたが、船員の数が不足している状況などから、当初計画されていた航海実習は実施されませんでした。その結果、航海実習が延期になった昨年度の二年生は、三年生に進級したことしの四月から五月にかけまして、航海日数が十八日に短縮された上、航海の目的地もサイパンから小笠原諸島、沖縄に変更となり、実習が実施されました。
 生徒や保護者の皆さんからは、当初計画から変更はあったものの、十八日間という長期間にわたり船上で操船技術などを学ぶとともに、悪天候時の対応など航海中のさまざまな困難にも生徒たちが力を合わせ一つ一つ乗り越えたという経験は、教育的効果はもちろん、人生で一度しかない高校生活の中で、自分に自信を持てる貴重な機会となったという声もあったと聞いております。
 この航海実習を通じて、乗船した生徒たちは、自分が将来進むべき道を考えるきっかけになったり、生涯つき合える友情を育んだりと、その効果は多々あり、極めて大きなものがあると考えます。
 昨年の当委員会において、生徒、保護者の航海実習に対する期待に応えていくためにも、この航海実習の着実な実施に向け、都教育委員会と学校には全力で取り組んでほしいという旨、要望をいたしました。しかし、残念ながら昨年に引き続
き、ことしの二年生が対象で、ことし十月から実施を予定いたしておりました「大島丸」による海洋実習が、また延期となったと聞いております。
 まず初めに、その原因についてお伺いしたいと思います。

○早川都立学校教育部長 昨年度は、航海に不可欠な船員の体調不良と船員数の一時的な欠員から航海実習が延期となりましたが、昨年十一月一日付及び本年四月一日付で、それぞれ常勤の船員を採用して運航体制を確保いたしました。この運航体制のもと、本年四月から六月までの間、昨年度延期になりました航海実習の変更後の実習も含めて、計画どおりに航海実習を実施いたしました。
 しかし、本年八月以降、昨年度とは別の船員が、突発的な体調不良により航海実習の勤務に従事できない状況となりました。当該船員は他の船員では代替できない高度な専門業務を担っており、新たな船員確保に努めておりますが、現時点で見込みが立っていないため、本年十月以降の航海実習を延期せざるを得ない状況が続いております。

○今村委員 今年度の延期は、高度な専門性を持った船員の突発的な体調不良と、その補充の見込みが立っていないということが理由とのことであります。ことし延期になっている二年生の航海実習については、今後どのように対応していくのか伺います。

○早川都立学校教育部長 航海実習の勤務に従事できる船員が必要数に達していないことから、平成二十八年二月一日付での任期つきの常勤船員の採用に向けまして、現在、採用選考を行っているところでございます。
 延期した航海実習につきましては、実習時期、航海先、実習内容等について、アンケートや説明会などを通じて生徒や保護者の意見を丁寧に聞き取り、今後、変更計画を策定することとしております。

○今村委員 当初予定をしていた航海実習が変更になるということは、約束をしていた教育課程を変更することになります。航海実習の日数が短くなったり、渡航先も海外から昨年のように国内に変わるなどあれば、計画前の変更と比べて、それ相応の教育が受けられるよう、工夫があってしかるべきと考えます。
 昨年度、二年生のときに実施される予定だった航海実習が延期された現在の三年生に対しては、ことしの四月から五月にかけて計画変更し、航海実習を実施いたしましたが、変更後の航海実習の内容も含め、どのような教育上の配慮や工夫を行ったのか伺います。

○早川都立学校教育部長 現三年生に対しましては、沖縄と小笠原を回る航路に変更いたしましたが、昼夜を通して約三日間に及ぶ連続航海を経験させるなど、海洋系大学等の進路を目指している生徒に合わせた航海実習を行いました。航海の行程には、延期前の当初計画にはございませんでした世界遺産である小笠原諸島への寄港、滞在や、島内の水産センターにおけるウミガメの保護施設の見学など、環境教育も組み入れました。
 また、この航海実習とは別に、「大島丸」とは別の小型実習船で海図やレーダーなどを活用し、生徒自身が策定した航海計画に基づく操船実習を行うなど、実習内容の充実に努めたところでございます。

○今村委員 二年続けて航海実習が延期となりましたが、その理由は異なっていること、また、昨年度、実習計画を変更せざるを得なかった生徒に対しては、教育内容の工夫もされていることは、一定程度理解ができました。
 しかしながら、理由は理由として、二年続けて、入学前に生徒や保護者と約束した教育課程を実施できないということは極めて重大な事態だと思います。海を通して世界を知るという学校の経営目標に引かれてこの学校を選択した生徒さんたちの期待、また遠く大島の地での寮生活を送る学校に送り出している保護者の皆さんの期待を考えると、今の状況は大変残念であります。
 都教育委員会におきましては、これまでも常勤の任期つき船員を採用するなど、航海実習の実施に向けた努力をしているところでありますが、この事態の打開に向け、都教育委員会と学校が連携し、組織の総力を挙げ全力を尽くしていただき、もとの教育課程をしっかりと実施できるように求めて、質問を終わります。

○野上(ゆ)委員 私からは、専門高校について幾つか質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、専門高校における民間人校長についてです。学校の自主性、自律性の確立が求められる中、校長及びこれを補佐する副校長、教頭については、今後ますます有為な人材が求められているところです。具体的には、教育に関する見解や知見を有し、地域や学校の状況、課題を的確に把握しつつ、リーダーシップを発揮して、組織的、機動的な学校マネジメントを行うことができる、すぐれた人材を確保することが重要です。
 地域や学校の実情に応じ、学校の内外から幅広く優秀な人材を登用することができるよう、平成十二年の法律改正により、校長については、教員免許状を持っておらず、教育に関する職についたことがない者の登用ができるようになり、東京都もこれまで民間人校長を十名登用してきたと伺っております。
 特に、昨今のグローバル経済による産業構造や就業構造の変化、ニート、フリーターの増加に見られる青少年の就業意識などの著しい変化により、専門高校もまた、教育方法や教育内容、求められる職業教育、より高度な知識、技術習得について再検討する必要に迫られております。そのような専門高校における民間人校長の役割は、産業界との連携を図ったり、あるいは多様な教育機会を提供できるという点で、非常に有効であると考えております。
 そこで、現在、専門高校に民間人校長が配置をされておりますが、専門高校等に配置するようになった経緯について改めて伺います。

○江藤人事部長 都教育委員会では、平成十三年度から、学校経営を斬新な発想で推進することなどを目的に、普通科高校、総合学科高校、進学指導重点校、進学型商業高校に民間人校長を配置してまいりました。平成十九年三月、今後の都立高校における民間人校長の任用のあり方について検討し、結果を取りまとめました。この検討結果を踏まえ、民間人校長は、企業での職務経験や専門性を生かすことができ、実社会と連携した実践的な教育が求められる専門高校や総合学科高校へ重点的に配置することといたしました。
 この方針に基づき、平成二十一年度には橘高校、平成二十二年度に杉並総合高校、平成二十三年度に八王子桑志高校、平成二十四年度に大田桜台高校、計四校に民間人校長を配置いたしました。

○野上(ゆ)委員 今、部長答弁にもありましたけれども、平成十九年三月に、民間人校長任用のあり方検討委員会において報告書が出ております。これは平成十二年度から平成十八年度に導入された、普通科を含む四校の民間人校長について評価検証を行っているということです。
 その後、民間人校長が専門高校等に重点的に配置されてきましたが、その配置における成果や課題について伺います。

○江藤人事部長 民間人校長を配置した成果といたしましては、地域の企業経営者と連携したキャリア教育の推進、校長自身の海外勤務経験や専門的知識を活用した国際理解教育及び英語教育の推進など、民間人ならではの特色ある教育活動を充実できたことが挙げられます。
 一方、課題といたしましては、民間人校長の経営方針が教職員に浸透するのに時間を要したこと、入学選抜の応募倍率や進路実績の指標に十分反映されなかったことなどが挙げられます。
 こうした課題を踏まえ、都教育委員会は、民間人校長が経営能力を発揮し、教育の充実に貢献することができるよう指導助言等を行うとともに、学校経営に精通した副校長や主幹教諭を配置するなどの人的支援を行ってきたところでございます。

○野上(ゆ)委員 さきの十九年三月に出された報告書でも、都教育委員会では、民間企業等の出身者が校長としてスムーズに学校経営を行えるよう、受け入れ体制の整備が必要であるとの課題を指摘しております。それを踏まえて副校長等の人的支援を行ってきたということは評価できるものであります。
 一方、学力の形成や進学率の向上、あるいは学校PRの事業や学校の評価にも関連する入学志望者、応募者数の増加や、就職先の検証など、数値であらわすことができる学校実績、評価の向上には大きくつながらなかったといえます。民間人校長本人の個人的な人脈による実践の成果を点から面へ展開すること、あるいは特色ある教育活動や内容の向上のみならず、加えて、数値目標達成へとつなげていただきたいというふうに考えるところです。
 そこで、都教育委員会としてこれまで支援をしてきたことと思いますが、現在配置されている専門高校の民間人校長が、より効果的に力を発揮するために、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。

○早川都立学校教育部長 都教育委員会は、これまでも民間人校長が円滑な学校運営を行うことができるよう、学校経営支援センター職員の学校訪問等により学校の組織運営や地域連携、保護者対応等について指導助言を行っております。
 今年度からは、退職した元校長が学校経営支援センター職員とともに学校を訪問し、専門学校の経営課題について相談に応じられる体制を整えており、当該校における生徒を募集するための効果的な対策や、三年間を通した系統的なキャリア教育の充実に結びつけております。
 これらの取り組みにより、都教育委員会は、今後も民間人校長を支援し、専門高校の生徒の能力を伸長するとともに進路の実現を図ってまいります。

○野上(ゆ)委員 ぜひ今後成果が上がるように、都教育委員会としても支援をしていっていただきたいと思います。
 次に、専門高校の高大連携について伺いたいと思います。
 高校生が、みずから学ぶ意欲を高め、興味、関心を持つ学問分野への理解を一層深めるとともに、主体的な進路選択を行い、進学後、大学の学習と、あるいは就職先の技術と、生活に滑らかにきちんと接続できるようにするための取り組みとして、高校と大学の連携、いわゆる高大連携があります。
 専門性の高い大学の教授の研究やその道の大家、技術者など、特定分野研究での一流の物や人に触れ、それを通じて世界を体感し、感性を磨いていくこと、本物を経験することで生徒の向上心を確かな方向に向けることは重要であると考えます。生徒の学習意欲や探究心を喚起し、生徒みずから能力を引き出す効果があると考えられます。
 特に専門教育にかかわる高大連携は、普通学校でも行っておりますが、その後の専門教育の接続も含めて、各専門分野におけるスペシャリストの養成という点では、専門高校における期待は大きいものです。先ほども申し上げましたけれども、近年の産業構造の変化、あるいは就業構造の急速な変化に伴いまして、産業界からも高度な能力を持つ職業人の育成が要請されています。高等教育における各専門領域に関する教育への期待があるということです。
 そのような中で、技術や職業教育における高等学校と、高等教育機関である大学との接続、連携は、検討すべき今後の重要な課題となってきております。専門学校と大学の専門学部等の間では、それぞれの専門性に共通することが多い、あるいは基礎研究における習得する科目の共通点が多いということから、専門教育における高大連携というのは各専門分野の、より高度な人材育成の面から大いに期待できるものです。
 そこで、専門高校におけるこれまでの高大連携の取り組みについて伺います。

○伊東指導部長 専門高校の中には、高校生が大学教授などから実習の授業の中で先端技術について指導を受けたり、科目、課題研究の中で研究の進め方について助言を受けたりするなどいたしまして、生徒の興味、関心を高める取り組みを行っている学校がございます。
 また、科学技術を学び理工学系や薬学系の大学への進学を目指す科学技術科が設置されております工業高校では、大学進学を目的とした研究室訪問や大学教授による模擬講義も行われております。

○野上(ゆ)委員 この高大連携については、各県でも進められているところです。成果が大きく上がっているところを二つご紹介したいと思いますが、例えば、平成八年度から専門高校対象の特別枠入試を実施して、その後、入学生の追跡調査を行うなど、これまで学部全体で意欲的な取り組みを行ってきているのが新潟大学工学部です。課題に関して専門高校と定期的な検討会を実施している。また、高等学校における職業に関する各専門領域に関する教育の内容や、大学進学後に求められる基礎学力の定着に向けての指導等も実施しております。高校と大学がきちんと連携をしながら、七年間で高度な人材を養成しております。
 また、愛媛大学の農学部の事例もあります。今後の専門教育における新しい高大連携の例としては非常に興味深いものですが、地域の維持発展に貢献する後継者、担い手養成を目的としており、地域を支える意のある人材の育成に焦点を当てて、農林漁業自営、自治体、農林漁業団体、第三セクター等に従事する者、あるいは、これらの関連事業を新たに起業する者としております。大学入学までの時間を有効にできる、そして定期的に課題を課して提出させるなど、入学後の学習のための準備をあらかじめ用意するなど、きめ細やかな配慮がなされております。
 そのほか東京工業大学による衛星通信システムによる高大連携プログラムや、私立大学で主に行われている、さまざまな通信システムという連携もあります。
 そこで、東京都の専門高校における高大連携の成果と課題について伺います。

○伊東指導部長 専門高校の生徒にとりましては、専門分野を研究する大学教授などから直接指導を受けることにより、専門的な知識を学ぶとともに、大学の講義の雰囲気を実感することができます。また、大学において設備の整った環境で行われる研究を体験することにより、大学での学びについての興味、関心を喚起することができます。こうした取り組みにより、将来の進路について考える契機の一つになっております。
 また、課題といたしましては、これまで各専門高校が個別に行っているということがございましたので、今後はこうした専門高校の取り組みを一層、東京都全体として取りまとめて、他の学校に周知するようなことをしていくことが必要であるというふうに考えております。

○野上(ゆ)委員 先ほどもちょっと事例を挙げましたけれども、幾つか高大連携については成果を出しているところもあります。しかしながら、東京都の教育委員会でやっているプログラム、専門高校における高大連携については、まだまだ取り組みが第一段階というふうにお見受けします。
 やっぱり東京都は、何でも先進的に、教育を通して人材を育てているということを私たちも示したいですし、ぜひ取り組みを進めていただきたいと思います。高等学校における進路指導や、あるいは事前学習、大学における補習授業、高大双方におけるカリキュラムのあり方は、やはり高大連携にとっても非常に課題になっているところです。
 高大連携に向けての教員同士の交流の促進や、産業界、地域、教育界等の連携の推進、あるいは教育内容、カリキュラム等の開発と評価のあり方、これが非常に東京都、これからまだまだ考えなきゃいけないんではないかなというふうに、今の答弁を伺いまして感じましたところでございます。
 そして、これまでの高大連携の成果と課題については伺いましたけれども、どのような指標を用いて成果をはかってきたのか伺いたいと思います。

○伊東指導部長 これまで多くの専門高校では、高大連携による講義について、満足度に関する調査などを実施いたしまして成果の検証を行ってまいりました。
 今後、都教育委員会は、高大連携の取り組みに参加する生徒の数や連携する大学数、連携大学への進学者数などについて経年の変化などを調べ、取り組みの成果を検証していくよう助言してまいります。

○野上(ゆ)委員 やりっ放しの体験型とか、あるいは経験をするための時間として設定するというのは非常にもったいないと思いますね。そういうことを単発的に繰り返していくだけでは、やはり教員や学校の満足にしかならず、やっぱりプログラムをいかに体系的な学習の時間、学習につなげていくかということが必要であるというふうに考えます。
 継続的に学びの意欲を持続させて、そして効果的にカリキュラムに組み入れていくということが私は必要だと思っております。
 そして、今後どのようにこの専門高校の高大連携を進めていくのか伺いたいと思います。

○伊東指導部長 今後とも都教育委員会は、専門高校が大学との連携を積極的に行い、専門的な知識や技術を有する大学教授などを年間を通して活用するなどいたしまして、質の高い教育を推進し、生徒の学習意欲や学力を高めていくことができるよう支援してまいります。

○野上(ゆ)委員 ちょっと何度も繰り返し申し上げますけれども、高等学校と大学が連携して、継続して人材育成を積極的に進めていくためには、やはり公立高等学校の管理者である教育委員会が果たすべき役割は大きいというふうに考えています。連携の多様なあり方に配慮しつつ、高等学校と大学との連携における教育委員会の役割、例えば各高等学校の窓口的機能や、あるいは財政支援、各種研修の実施等についても、協議会などを通じて検討を進めていただきたいというふうに考えております。
 このようなこれまでの質疑を通して、あるいは各地での課題も出ておりますけれども、専門高校の高大連携、今後、東京都教育委員会はどのように課題を克服し成果を示していくのか、取り組みについて伺いまして、私からの質問を終わります。

○伊東指導部長 これまで多くの専門高校では、高大連携事業を活用いたしまして、生徒の学習意欲や学習への興味、関心を高めてまいりました。
 今後、都教育委員会は、繰り返しになりますけれども、高大連携事業に先進的に取り組んでいる学校のすぐれた事例を取りまとめ、他の専門高校などに周知してまいります。

○野上(ゆ)委員 現状の都の教育委員会の高大連携をさらに発展させて、やはり、確たる目標を掲げて、成果を実数で示すことができるように取り組んでいただきたいというふうに期待をしております。
 高校生がみずから学ぶ意欲を高め、興味、関心を持つ学問分野への理解を一層深めるとともに、主体的な進路選択が行えるよう、また、進学後、あるいは就職後、その大学の学習や就職先の技術と、生活がきちんとできるように、そしてまた、専門高校の生徒さんがすぐれた資質を備えた人材として育つよう要望いたしまして、終わります。
 ありがとうございました。

○小松委員 それでは、都立学校におけるスクールソーシャルワーカーの活用についてお伺いいたします。
 都教委は、児童生徒の問題行動への対応策の一つとして、子供の心の問題をケアするため、スクールカウンセラー、SCの導入を進め、現在全ての小中高校に配置されています。SCには臨床心理士など心の専門家が当たり、一人一人の心理面に働きかけることで一定の役割を果たしてきています。
 しかしながら、暴力行為やいじめ、不登校などの問題行動の背景に、発達障害や家庭での暴力、虐待、貧困などが存在するケースがふえており、子供を取り巻く家族や友人、地域社会などの問題が複雑に絡み合っている場合には、学校だけでは問題解決が困難なことが多く、福祉的機関などと連携して対応しなければなりません。
 現代のこのような状況を文科省が捉え、不登校やいじめの問題について福祉的視点からアプローチする社会福祉の専門家としてスクールソーシャルワーカー、SSWの活用事業を二〇〇八年に文科省が始めたのは、時代の要請だったんだと思います。
 文科省が音頭を取って全国に広め、認知度も上がってはきましたが、文科省の事業として配置されている人数は、全国でも千人ちょっとという少なさです。まだまだ普及度が低い状況ではありますが、子供を取り巻く問題が複雑化、多重化、そして深刻化する現代において、今後もっとニーズが高まっていく職種だと考えます。
 そこで、都立学校の場合ですが、二〇一五年度は都立学校においてSSWの活用を試行していますが、この試行の目的と方法についてお伺いします。

○伊東指導部長 本年度、都教育委員会は、学校だけでは解決が困難な福祉分野からの支援を必要とする問題に対応するため、都立学校十三校をモデル校と指定いたしまして、スクールソーシャルワーカーを試行的に派遣しております。モデル校では、各学校経営支援センターに配置されたスクールソーシャルワーカーによる週一回程度の巡回を通して、児童生徒やその家庭に対する支援体制の充実を図っております。

○小松委員 SSWの配置の仕方には、特定の学校に配置する方法や、教育センターなどに所属し学校の要請に応じて活動する方法、また、教育委員会や教育センターに所属して所轄の学校を巡回するなどの形態が考えられますが、都教委の場合は、各学校経営支援センターに配置して、当該の学校を巡回しているとのことでした。
 配置の仕方は恐らくモデル校の距離的なばらつきとも関係するのだと思いますが、今回の十三校をどのように決めたのか、モデル校はどのような手続で決定したのかお伺いいたします。

○伊東指導部長 モデル校の選定に当たりましては、福祉分野からの支援を必要とする児童生徒の在籍状況、学校の種類、地域のバランスなどを考慮いたしまして決定いたしました。

○小松委員 杉並区では、文科省がSSW活用事業を開始した二〇〇八年より二年早い二〇〇六年に独自施策として導入し、区の教育分野に欠かせない役割を果たしてきていると思いますが、それにはスーパーバイザーの存在も大きいと考えています。杉並区のSSWは導入当時四人で、現在は九人にふえていますが、当初よりSSW全員に対し高度に専門的な立場から助言を行うスーパーバイザーが配置されていたことで、SSWが専門職として適切に活動することができたといえます。
 SSWを活用する上で重要なのは、社会福祉の専門家としての質を担保することであって、数の確保よりも重視すべきなのは質ということです。現在勤務しているSSWの資格、そして経歴についてお伺いいたします。

○伊東指導部長 都立学校に派遣するスクールソーシャルワーカーにつきましては、厚生労働省が認定する社会福祉士または精神保健福祉士のいずれかの資格を有することを要件としております。
 実際に任用しているスクールソーシャルワーカーの経歴といたしましては、他の自治体等でのスクールソーシャルワーカー勤務経験者や、現に大学等で社会福祉に関する授業を担当している教員などでございます。

○小松委員 都教委が専門性の高い人材を確保したということで、その点について期待したいと思います。そして、その人たちが存分に動くことができるように、都教委は学校現場や関係機関などにおける環境整備に配慮をお願いしたいと思います。
 活動を始めてまだ半年というところですが、どのように活動したのか、現在までの取り組みの成果についてお伺いいたします。

○伊東指導部長 これまでの取り組みの成果といたしまして、スクールソーシャルワーカーが不登校の生徒の家庭を訪問し、子供への支援方法について保護者との話し合いを繰り返し行ったことにより、地域の福祉機関からの支援が実現し、生徒が登校できるようになった事例などがございます。
 また、モデル校からは、児童生徒や家庭に対して教員が組織的に対応することに加えて、スクールソーシャルワーカーが福祉分野の関係機関と連携を図るなどの支援を行うことにより、問題の解決につながったとの報告を受けております。

○小松委員 これまで、子供の抱えている悩みについて、カウンセリングの技法による問題解決を図ってきたスクールカウンセラーの存在があり、それに加えて、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持つスクールソーシャルワーカーが配置されることの意味は大きいと思います。
 スクールソーシャルワーカーは、社会福祉の専門知識を持って学校や家庭、児童相談所など地域の関係機関などと連絡、調整を行い、子供の権利擁護の観点から、子供の力が引き出せるように環境を整えていくという働きをすることになるわけですが、これはすぐに結果が出せないことも多いと覚悟すべきです。
 先日、文科省が公表した問題行動調査の結果を受けて、都教委は今後の対応策を示していますが、その中で、また不登校・中途退学対策検討委員会の中間のまとめにおいても、スクールソーシャルワーカーへの期待が明記されています。教育問題の解決に福祉的なアプローチで、福祉分野の力をかりて、息長く取り組んでいただきたいと考えるところです。
 それでは、続いて、組み体操についてお伺いをいたします。
 先ごろの九月、大阪府八尾市立の中学校の運動会で、生徒百五十七人が腹ばいになって、その背中に重なり、乗り上がっていく組み体操の演技を行っている最中に、この十段ピラミッドが崩れ、六人が重軽傷を負うという事故が起きました。大きく報道されましたが、この事故がきっかけとなり、安全性の面から組み体操が見直されるようになってきています。
 しかし、組み体操が非常に大きな危険を伴うパフォーマンスであるということは、以前から専門家が警告を鳴らしており、愛知県長久手市、大阪市などは、この事故が起きる前から教育委員会が組み体操の段数に限度を設ける規制を定めています。
 また、ちょうどきのうの東京新聞ですが、東京都北区で組み体操を運動会の種目から外した中学校のことが載っていました。この中学校では、今の校長が赴任した四年前には運動会で三年生の男女とも組み体操を行っていましたが、子供たちの練習に毎回立ち会った校長は、練習中に子供が落下するのを何度も目撃してきたそうで、二年前を最後に、組み体操をもうやめたといいます。
 日本スポーツ振興センターの医療費給付実績から見た組み体操の事故は、全国の小中高校で毎年八千五百件も起きています。昨年、二〇一四年度は八千五百九十二件、そのうち七百二十八件が東京都内の学校で起きたとされます。
 これほどにリスクの高い問題について、対策が必要と考えます。この社会問題にまで発展している運動会の組み体操等における安全配慮について、都教育委員会の見解を伺います。

○鯨岡指導推進担当部長 都教育委員会は、組み体操による事故が各地で発生しているという状況を踏まえ、十月八日、都立学校及び区市町村教育委員会に対し、改めて、運動会などの体育的行事においては、事故防止の観点から安全に計画し運営するよう、注意喚起の通知を行ったところです。
 学校におきましては、あらゆる教育活動で安全配慮と事故防止に努め、意図的、計画的に安全管理を行うとともに、児童生徒がみずから危険を予測し回避できるよう、安全指導を行う必要があります。
 このため、今後とも学校における体育の授業、部活動や学校行事などの体育的活動においても安全に十分配慮するよう指導助言し、事故の未然防止を徹底してまいります。

○小松委員 あらゆる教育活動で安全管理、安全指導を行っているということであります。体育の授業や部活動などでの事故の未然防止を徹底していくともおっしゃっていますが、例えば組み体操について具体的にどんな未然防止策がとられていたのか、疑問を持たずにいられません。
 八尾市の中学校の事故は、そのときの映像がインターネット上で公開されているので見ることができましたが、ピラミッドの崩壊は隊列の内側から起きています。外側で恐らくサポート要員として待機していた教員たちが何人もいましたが、何も手が出せるような状況ではありませんでした。中学生の男子が十段にも重なったときに、最下段の、一番下の段の子には二百キロもの負荷がかかるといいますが、そのことを認識していたのかどうか、また、子供が落下した場合に備えて受けとめる体制がとれていたのか、少なくとも私にはそのようには見えませんでした。
 先ほどの北区の中学校では、練習中に生徒が落下するのを校長は何度も目撃したといっていましたが、事故の起きた学校で子供の落下を想定したような訓練がされていたのか、大いに疑問です。
 そして、問題なのは、組み体操で子供が大けがをする事故がほかでも頻繁に起きていることです。八尾市が調査したところ、十年間に三十六校で事故が起き、百三十九人も骨折していました。組み体操が学校の運動会、体育祭で人気種目となり、より高く、より巨大にショーアップし、近ごろは幼稚園でも行われるなど低年齢化も進んできたことに対し、厳しい目で見直さなければならないと考えます。
 しかも、この組み体操は、学習指導要領に記載されていない、学習上必要とされていない活動と聞いて大変驚きました。学校における安全対策は、これまで、不審者を想定した防犯と大地震を想定した防災に限られてきたといえるかと思います。しかし、体育の授業や部活動、運動会でも子供が亡くなるような事故が起きている現実があります。特に柔道は、運動部の部活の中でも亡くなる率の高さが断トツです。
 都内で年間七百件も事故の起きている組み体操について、都教委として、事故の情報を収集、そして分析し、専門家を交えて未然防止に向けたマニュアルをつくることを要望いたします。問題を提起し、次の質問に移ります。
 主権者教育についてです。
 選挙権の年齢が十八歳まで引き下げられ、来年想定される参院選から十八歳の投票ができるようになりました。若者の政治参加を進める大きな一歩として、また子どもの権利条約に保障された意見表明権の延長線上に位置づく権利の行使という意味からも歓迎しています。この機会に、高校生がみずから主体的に政治に向き合っていこうとする意識を引き出し、育んでいきたいものです。
 都立高校ではどのような教育活動がされてきたのか、主権者教育についての高等学校のこれまでの取り組みと、都教育委員会の今後の取り組みについてお伺いいたします。

○伊東指導部長 これまで各都立高校では、公民科の授業で議会制度など国民主権の考え方などについて、基本的な知識や理解を深めるための指導を行ってまいりました。このたびの公職選挙法の改正を契機として、都や区市の選挙管理委員会事務局と連携して、模擬選挙等の体験学習を実施し始めた学校もございます。
 今後、都教育委員会は、生徒の政治や選挙への関心を高め、社会に参画する人材を育成できるよう、主権者教育のすぐれた実践事例を全都立高校に周知してまいります。

○小松委員 主権者教育の実践事例といえば、生徒会活動は自治と民主主義を実践的に学ぶよい機会だと思います。生徒会活動は主権者教育の一つであると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○伊東指導部長 生徒会活動は、望ましい人間関係を形成し、集団や社会の一員として、よりよい学校生活づくりに参画し、協力して諸問題を解決しようとする自主的、実践的な態度を育むことを目標としております。
 一方、主権者教育の目的は、国家、社会の問題を自分の問題として捉え、みずから考え、みずから判断し行動していく態度を培い、平和で民主的な国家、社会の形成者としての資質や能力を育むことでございます。
 生徒会活動は、選挙の具体的な方法や民主主義の基本的なあり方を学ぶことができ、主権者教育の一環として活用することができると考えております。

○小松委員 全校生徒で構成されている生徒会は、行事の運営など学校内での活動が中心ではありますが、校外に活動を広げる生徒たちもいます。例えば、被災地を訪ね、文化祭で現地の報告や支援募金を実施したり、ボランティアでは、地域の清掃活動や高齢者施設を訪問したりといった取り組みもあります。こうした活動は社会貢献になるだけではなく、生徒が企画運営をし、異なる世代の人とコミュニケーションをとるというような経験を積みながら、社会に視野を広げる機会にもなっています。
 現在、高校教育は、知識の伝達を重視していますが、知識の活用や多様な人たちと協働して学ぶことにより、こうした高校生の社会参画が主権者教育の観点からも有効との意見もあります。高校生の社会参画には、教科指導とは別に、学校と社会の橋渡し役となるNPOや企業によるサポートの拡大も望まれますから、学校側の体制の整備も不可欠です。こうした活動によって、彼らが自分の住む自治体で責任を持って選挙権を行使できるよう、また、民主主義の担い手としての自覚と自信が持てるよう、政治教育にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして、性同一性障害への理解を深める教員研修などについて、先ほども関連する質問があったところですが、以下、伺っていきたいと思います。
 文科省がことし四月三十日付で通知文を発出しました性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等についてと題するもので、この中では、悩みや不安を受けとめる必要性は、性同一性障害にかかわる児童生徒だけでなく、いわゆる性的マイノリティーとされる児童生徒全般に共通するものであることを明らかにしたところです。これらについては、自殺総合対策大綱、必要な情報提供を行うことを含め指導助言をお願いいたしますとしています。
 それまでは法律上の定義がある性同一性障害者に限られていたものから、それ以外の性的マイノリティー、いわゆるLGBT全般を対象として、国として学校に対応を求めたのは初めてのことであり、NHKニュースなどでも報じられました。
 これを受け、都教委でも早速対応がとられたことと思います。都教委が本年八月に実施した性同一性障害等に関する人権教育講演会の目的、対象者、そして参加人数及び講演内容を伺います。

○伊東指導部長 都教育委員会が実施した人権教育講演会は、東京都人権施策推進指針が見直されたことを踏まえ、性同一性障害等への理解と認識を深めることを目的として、都教育庁や区市町村の人権担当職員及び都内公立学校の教員などを対象に開催いたしまして、計三百八十七名が参加いたしました。この講演会では、学校や職場で直面している問題や配慮が必要な点について、講師の体験を踏まえた講義や参加者との質疑応答が行われました。

○小松委員 この講演会は、LGBT当事者が講師となって、性同一性障害やLGBTの子供の課題、性の多様性などについて講演がされたと聞いています。また、この講演会のほかにも、教職員の研修という位置づけでもLGBTへの理解を進める機会を設けています。教員を対象とした性同一性障害等に関する研修の内容、参加人数、効果を伺います。

○伊東指導部長 性同一性障害等に関する研修会では、文部科学省が発出した通知文を踏まえ、具体的な配慮事項や学校の組織的な指導体制の構築、医療機関との連携等について周知いたしますとともに、医療や心理等の専門家による講演を行い、計千二百六十四名の教員が参加いたしました。
 参加者のアンケートの結果等から、性同一性障害等の児童生徒が抱えている悩みや不安、学校生活を送る上での支援のあり方等について、参加者への理解を図ることができたと考えております。

○小松委員 文科省がこの通知を発出するきっかけともなった二〇一三年の調査では、小学生の中にも、自分の性に対して違和感を待つ子供が存在することがわかっています。多くのLGBT当事者が訴えているのは、就学前からそのように自覚する子供も、自分と同性に対して性的指向を持つ子供も実際にいるということです。
 研修で学んだ先生たちには、そのことの成果を学校現場で生かし、創意と工夫を凝らして、悩んでいる子供たちをサポートしていただきたいと思います。さらに、小学生のうちから性の多様性について学ぶ機会を、性教育の一環として設けることを、都教委は進めていただきたいと要望します。
 そして、最後の質問です。教職員の再度の懲戒処分についてお伺いをいたします。
 二〇一三年十二月十七日に都教委が行った処分について確認したいと思います。この年の九月六日、最高裁判決によって減給処分が取り消された原告の都立高校教員に対して、都教委が再度、戒告処分を発令した件についてです。
 この原告は、二〇〇五年と二〇〇六年の三月卒業式と四月入学式での行為によって減給処分を受けたことを不服として提訴し、最高裁判決でその処分が取り消されました。しかし、その原告だった教員に、都教委は、八年前にさかのぼって服務事故として戒告処分を出し直したということがありました。
 そこで質問です。教職員が提起した懲戒処分取り消し訴訟において、最高裁が非違行為の存在は認められるが、処分が重過ぎるとして取り消し判決がされ確定したときに、都が再度、より軽い懲戒処分をしている事例があります。このようなことを行うことに問題はないのかお伺いします。

○江藤人事部長 行政事件訴訟法第三十三条では、判決によって取り消された処分と同一の理由に基づき同一の処分をすることはできないとされております。
 しかし、例えば、減給処分が取り消され、改めて戒告処分を行うことは同一の処分ではないため、可能でございます。また、取り消された処分は、さかのぼってなくなるため、一事不再理の原則にも反しません。
 処分が重過ぎることを理由に当該処分が取り消されても、非違行為は認められていることから、校務における規律と秩序を維持するために改めて懲戒処分を行う必要があり懲戒処分を行うことは問題ございません。

○小松委員 再処分に違法性はない、問題はないということですが、非違行為とされる事件があってから八年もたった時点で懲戒処分など、民間では考えられないことです。まして、最高裁判決では補足意見として、都教委に対して処分乱発をいさめ、紛争解決に向けて教員らと話し合いをするように求められています。そのことを真摯に受けとめ、話し合いでの解決に向けた努力を願うばかりですと申し上げて、終わります。

○植木委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十五分間休憩いたします。
   午後七時二十四分休憩

   午後七時四十九分開議

○植木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○高木委員 道徳教育について質問いたします。
 いつの時代においても子供は国の最大の宝といわれておりまして、国づくりの根幹をなすのは人づくり、すなわち教育であることはいうまでもありません。未来の東京、そして、日本の社会を担う東京の子供たちを、心豊かでたくましい日本人へと育成していかなければならないと思います。中でも国民として必要な基礎的な資質を培う義務教育において、子供たちの道徳性や規範意識を育んでいくことは極めて重要であると思います。そのため、各小中学校においては、子供たちに日本の歴史と伝統に根差した価値観、共同体の中での秩序と道徳、規範意識のありようなどを確実に継承させていっていただきたいと思います。
 さて、本年三月、我が党の長年にわたる取り組みによりまして、国は道徳を教科として位置づけることを発表いたしました。小学校は平成三十年度から、中学校は平成三十一年度から、国の検定教科書を用いて指導する特別の教科道徳が実施されるわけであります。また、教科化とあわせて、指導する内容についても大きく改善が図られるわけであります。本年の第三回定例都議会の我が党の代表質問では、教育長より、東京の各小中学校における教科化の先行実施を推進し、道徳教育の充実を図っていくことについて答弁がありました。
 そこで、東京都の子供たちの現状を踏まえ、道徳教育の充実を通して、具体的にどのような力を子供たちに身につけさせていくのか、都教育委員会の見解を伺います。

○伊東指導部長 いじめ問題や規範意識の低下、ネット社会への対応など、子供たちの健全育成が急務とされている中、思いやりの心、公正公平な態度や公徳心などの道徳的価値について、子供たち一人一人の自覚を深め、実際に行動することができる力を育成することは極めて重要でございます。
 こうしたことから、都教育委員会は、道徳の教科化を契機といたしまして、子供たちが直面するさまざまな現実の困難な問題に主体的に対処できる力を育成する道徳教育の推進が図られるよう、区市町村教育委員会と連携いたしまして各小中学校を支援してまいります。

○高木委員 思いやりの心、あるいは公正公平な態度、公徳心、そうした道徳的価値というのを、この道徳教育を通じて身につけさせていくというのはよくわかりました。このたびの道徳の教科化では、まさに子供たちに実践的な力を確実に身につけさせるために、指導内容の改善が図られています。都教育委員会には、小中学校における先行実施を強力に推進していただきたいと思います。
 一方、現在、道徳の指導の仕方がわからないといった教員もいる学校の状況というのを考えますと、どこの学校でも教科化に対応してしっかりとした道徳の指導を行い、特別の教科道徳の趣旨を実現するというのは、そう簡単にできることではないというふうにも思います。
 そこで、教員がすぐれた授業を見て学ぶなど、指導力向上を図るための具体的な取り組みが必要だと思いますが、教育委員会の見解を伺います。

○伊東指導部長 教科化に伴い、子供たちによる考える道徳、議論する道徳の授業を実現していくためには、教員の指導力向上が不可欠でございます。
 そのため、都教育委員会は、各学校における道徳の教科化推進の核となる教員を育成いたしますとともに、指導方法と評価のあり方に関する指導資料を作成いたしまして、都内全ての公立小中学校に配布してまいります。また、都教育委員会が設置する道徳教育の拠点校では、模擬授業や他校の教員を交えた研究協議会を行うなど、各地域の教員の指導力向上を図る取り組みを推進してまいります。
 さらに、都が設置する道徳教育推進委員会の教員によるすぐれた授業実践を広く都内全域に公開いたしまして、多くの教員が参観して指導方法等を学ぶ機会を設定するなど、道徳教育の一層の推進を図ってまいります。

○高木委員 指導力向上を図るための具体的な取り組みについては、今ご説明のとおり、よくわかりました。
 ところで、人間が弱い心を乗り越えて自身の人格を高めていくというためには、手本になる生き方、あるいは理想とする人間像というものは不可欠だと思います。かつて、前々知事の石原知事はよく我欲という言葉を使っていましたけれども、まさにその我欲を捨ててというか、公のためにどう尽くしていくのかというのはとても大事なことであって、そういう意味では、理想とする人間像というのは私は本当に不可欠だと思うんですね。そのために、子供たちの道徳性を育成するに当たっては、日本人が古来大切にしてきた倫理観や、あるいは偉人とか著名人の行為や言葉などを通じて学ばせることというのは重要だと思います。
 例えば、かつて多くの小学校に二宮金次郎の像が設置をされていたのは、苦労しながら学び抜いて、生涯を世のため人のための幸せのためにささげた。その二宮金次郎を、一つの日本人の具体的な理想像として子供たちに示すということだったわけであります。
 私の地元には、有名な地元の話がありまして、ある学校の二宮金次郎像を戦争のときに供出しなければならなくなったのを、地元の人がそれを自分のうちの池に隠して、それで、戦後、それをもう一回学校に据えつけたという事例があるんですけれども、そのぐらい要するに尊敬をされていたし、やっぱり大事だってみんな思っていたと思うんですね。
 ですから、これは二宮金次郎は一つの事例だと思いますし、ほかにも我が国には、偉人、そして見本となるべき理想像としての人物というのはたくさんいたと思うんですが、こういう志を持って信念を貫いた人、あるいは公のために尽くした人の生き方、そしてその精神を学ぶ道徳教育を私はぜひ推進してもらいたい、こう思っています。
 そこで、日本人が継承してきた倫理観や、偉人や著名人の行為や言葉にあらわれた人間としての生き方を学ぶ道徳教育の推進について、都教育委員会の見解をお伺いいたします。

○伊東指導部長 子供たちが人間としてよりよく生きていくための道徳性を身につけていくためには、日本人が大切にしてきた価値や倫理観を学ぶとともに、先人などの生き方や精神に触れ、それを手本として自己を高めていくことが重要でございます。
 都教育委員会は、人が人として生きていく上で大切にすべき道徳的価値を子供たちに継承させていくため、先人の残した言葉や伝記を中心に内容を構成した東京都道徳教育教材集を都内公立小中学校の全ての児童生徒に配布してまいりました。
 今後、海外からも高く評価されている日本人の行動基準や先人などの行為や言葉について学ぶことができる教材を新たに作成いたしまして、子供たちが人間としての生き方を深く考え道徳性を高める教育を、区市町村教育委員会と連携いたしまして一層推進してまいります。

○高木委員 私は、そういう人物としてのモデルというのを、やっぱり子供たちに徹底的に教えるというよりも、本を読んでいただいて、自分の理想とする人物を見つけてもらうということが大事なんだろうなと思うんですね。ですから、私はこの人が好きだとか、私はこういう生き方に共鳴をするとか、これが心の琴線に触れたとかというのはみんな違うと思うんで、徹底的にいろんな人の事例というのをぜひご案内していただきたい。それがやっぱり道徳教育において、私は学校の役割だし教員の役割ではないかというふうに思っています。
 ですから、今後も東京の子供たちに、日本の歴史とか伝統とかに根差した価値観というんですかね、あるいは共同体の中での秩序、そして道徳、規範意識、そうしたもののありようを確実に継承させていく教育をぜひ推進していただきたいということを、まずお願いしておきたいと思います。今後の展開に大変期待をいたしておりますので、どうぞよろしくお願いします。
 続きまして、主権者教育についてお伺いをしたいと思います。
 先ほど都教委の方から、主権者教育の今後の取り組みについてということのやりとりがありましたが、私からは、公職選挙法の改正によって、国からも通知が届いて、副教材の情報もあると聞いておりますので、この主権者教育についてさらに踏み込んで質疑をさせていただきたいと思っています。
 ことし六月の公職選挙法の改正によりまして、選挙権年齢が十八歳に引き下げられ、来夏の参議院選挙から満十八歳の高校生は有権者として投票することができるようになったのはもう周知の事実であります。政治は多様な意見を反映させることが大事でありまして、これから長く日本の政治にかかわっていくことになる十八歳、十九歳の若者に選挙権が付与されたということは、今後の政治を考える上で、これは極めて、プラスの意味でもマイナスの意味でも非常に重要なことだと私は思っています。
 そこで、都立高校生への主権者教育の充実についての質問であります。
 まず、公職選挙法の改正を受けまして、国や都が主権者教育についてどのような取り組みをしているのかお伺いいたします。

○伊東指導部長 文部科学省は、本年十月に、高等学校等における政治的教養を育む教育の重要性と、指導上の留意事項や学校内外で行われる高校生による政治的活動等に関する通知を発出いたしました。また、年内には、総務省と連携して作成した副教材を全ての高校生に配布するとともに、公民科の教員等には主権者教育を推進するための指導資料を配布する予定でございます。
 今後、都教育委員会は、こうした国の動向を踏まえ、高校生の選挙運動や政治的活動に関する留意事項等についてまとめた独自の資料を作成いたしまして、全ての都立高校生に配布いたしますとともに、教員に対しましても説明会を行い、資料の適切な活用方法等につきまして周知してまいります。

○高木委員 概略の部分についてはよくわかりましたけれども、これは来年の夏から、参議院選挙が来年の夏行われる予定になっていますから、ここから、要はこの十八歳の選挙権問題が適用されるわけであります。選挙は民主政治の基盤をなすものであって、選挙が公正に行われなければ民主政治の健全な発達を期することはできない、これはもう当たり前のことだと思います。
 来年の高校三年生では、選挙権を持つ生徒と持たない生徒が混在するということになるわけで、選挙期間中に選挙運動することができるのは、投票日の翌日までに満十八歳の誕生日を迎える生徒ということになるわけであります。インターネットを使って、SNSなどで候補者の様子を広めることができるのも、選挙期間中に満十八歳を迎えている生徒だけでありますが、果たして本当にそういうことになるのかなというのが非常に危惧をされているわけであります。
 満十八歳を迎えていないにもかかわらず、このような行為に及ぶ生徒が出てしまうことがないように、これはしっかりと、政治的な活動や選挙運動について、公職選挙法という法律の趣旨ですとか、やっていいこと悪いことの理解はやっぱりさせなければいけないのだろうというふうに思っています。
 そこで、生徒が学校内外で行う政治活動や選挙運動について、学校はどのように指導していくのか、お伺いいたします。

○伊東指導部長 国の通知では、授業や生徒会活動等、校内における生徒の政治的活動や選挙運動は禁止し、放課後や休日等であっても、学校施設の管理や他の生徒の学習活動に支障がある場合などは、制限または禁止することが必要であるとされております。また、放課後や休日等に構外で行われる生徒の政治的活動や選挙運動につきましては、家庭の理解のもと、生徒が主体的に判断し行うことができるが、学業や生活に支障があると認められる場合などは、学校は、必要かつ合理的な範囲内で制限または禁止を含め、適切に指導を行うことが求められるとされております。
 都教育委員会といたしましては、これら国の通知の趣旨を踏まえ、改正された公職選挙法に基づき、生徒の政治的活動や選挙運動のあり方について、教員が生徒に正しく理解させることができるよう、学校に対する指導を徹底してまいります。

○高木委員 今のご答弁を聞いておりますと、極めて難しいですよね。これは大変なことになったなと、率直にそう思います。学業や生活に支障があると認められる場合とか、必要かつ合理的な範囲内でとか、これは非常に難しいんだろうなと思います。
 今、国の通知を踏まえて、学校として生徒にしっかりと政治的活動や選挙運動について指導していくというお話がありました。多分、学校現場もいろいろな疑問が出てくると思うんですね。こういう場合はどうなんだと。ですから、これは都教委としてもよく公職選挙法を熟知していただいて、もう一度、何ができて何ができないのか、それと、どこまで制限をかけていくのか、学校の外はどうなのだ、内側はどうなんだ。それから、SNSですよ問題は。だから、これは、どう規制をしていくのかというのは非常に難しいし、わからない世界でもありますので、ここはちょっと一考に値するというか、相当注意をしないと、不幸な出来事が起こらないとも限らないというふうに思います。
 もう一つ、主権者教育を進めるに当たってこれが一番問題だと私は思うんですが、教員が特定の主義主張に偏して生徒に指導を行わない、これが重要だと思います。教育基本法第十四条二項は、学校の政治的中立性の確保が定められておりまして、教員については、学校教育に対する都民の信頼を確保するためにも、公正、中立な立場が求められています。
 しかし、いろいろ聞いておりますと、東京の事例じゃなくても、教育の政治的中立はあり得ないということを発言したというふうにいわれている参議院議員の人がいたり、かつて教員だった人でね。ですから、これは私も非常に難しいというか、注意をしなければいけないんだろうと思います。
 そこで、教員が公正、中立な立場で授業を行ったり、あるいは学校における政治的中立性の確保という意味では、授業以外でも、あいた時間に先生にいろいろと質問してくる子だっていると思いますよ。ですから、そういうときに、教員はどういうふうに答えていくのか。子供たちの疑問に対してどう答えていくのか。そのことは、これは個別的な事例にきっとなるんだろうと思うけれども、しかし、そういうことは当然想定されるわけですから、それは想定の内として考えておいていただきたいと思うので、その点について教育委員会の見解を伺います。

○伊東指導部長 教員は、国や社会が直面するさまざまな問題について、生徒が有権者として主体的に考え判断することができるよう、特定の見方や考え方に偏らず、公正、中立な立場で指導を行わなくてはなりません。
 これまでも、都教育委員会は、各教科において、系統的、計画的な指導計画を立てるとともに、授業等で使用する教材等を事前に校長等が確認した上で指導するよう、学校に周知しております。
 今後とも、都教育委員会は、学校が政治的中立性を確保した上で、現実の具体的な政治的事象について適切に指導ができるよう、主権者教育についての留意点や指導例をまとめたガイドラインを作成いたしまして、全ての都立高校の管理職や公民科等の教員を対象とした説明会において、内容の周知を図ってまいります。

○高木委員 ただいまのご答弁の、学校における政治的中立性の確保についての見解はわかりましたが、公正、中立な立場で指導を行わなくてはならないということや、あるいは授業等で使用する教材等を事前に校長が確認した上で指導するようにというのは、私たちもよく知っているし、そうだと思うんですが、しかし、この副教材の問題についてはよく出てくる話ですよね。逸脱してしまって、某政党機関紙を使ったとか、いろんなことがありますよ。ですから、多分これも、この問題というのは、都教委がこういうふうにしっかりやりなさいといっても、なかなか--何年かに一遍はそういう事例がきっと出てくるんだろうと思うんですけれども、そういうことがないように、ぜひ頑張っていただきたいと思うんですよ。
 我が国の将来を担う子供たちに、早い段階から、自分が社会の一員であって、主権者であるという自覚を持たせることは重要なことであります。選挙権が今現在の二十以上であってもこのことは大事なことなんですけれども、十八歳になるというこのきっかけを捉えて、より一層その自覚を持たせるということが大事だということになると思います。
 衆議院選挙を初めとする各種選挙の年齢別投票率を見ると、一番低い年齢層は二十代といわれています。若者の政治的無関心や政治離れの原因はどこにあるかといえば、これはいろいろな分析があろうと思いますけれども、一つは、社会とのかかわりが乏しいということは当然あるんだろうと思いますけれども、やはり有権者としての自覚というものがどこまで醸成をされているのかということにあるんだろうと思います。
 ですから、私は、有権者としての自覚を高めるために、しっかりとした政治的な教養、これは政治のテクニックではなくて、どうしたら投票ができるのかとかそういうことじゃなくて、ディベートで自分の主張が正しいか正しくないかとかということではなくて、政治の基本的な教養というものを備えていただくということが最も大事なことだというふうに思っています。
 先ほど答弁にありました、総務省と文部科学省が作成した「私たちが拓く日本の未来 有権者として求められる力を身に付けるために」という、私はインターネット版で見ましたけれども、これを拝見しましたが、内容は、選挙の実際の流れや政治の仕組みなどについて書かれた解説編、そしてディベートや模擬選挙などのやり方などが書かれた実践編、投票と選挙運動等についてのQアンドAが書かれた参考編から構成をされているわけであります。
 私は、良質な思考や判断には、良質な知識や認識が必要であるというふうに思います。例えば、民主主義の本質について正しい知識や認識を持つためには、やはり議会制民主主義の発展に関する歴史というんですかね、先人の歩んできた歴史、どういう苦労とか、どういう苦悩があって、そしてどういう思考で、どういう考え方でこの制度がつくられてきたのか。そういう今まで受け継がれてきた、あるいは蓄積されてきた先人の努力や取り組みというものを踏まえながら、そのことを有権者の資質としてやはり生かしていく、そのことを知っていくということが、これは根本的に大事なことだというふうに私は思います。
 ですから、総務省や文科省がつくったこの教材について私は否定はしませんけれども、しかし、こういうテクニカルな話を子供たちにあえて教えるということよりも、そうではなくて、もっと根源的に、今の制度はどういう成り立ちで今の制度になっているのか、そして、選挙に行くということはどういうことなのかということをやっぱり根源的に教えてほしい。根源的には、そこにいざなってほしいというふうに私は思います。
 そこで、有権者となる高校生に政治的教養を育むことがこれから一層重要になると思いますけれども、教育委員会の見解を伺いたいと思います。

○伊東指導部長 高校生が平和で民主的な国家、社会の有為な形成者として必要な政治的教養を身につけるためには、基本的人権の確立の背景や経緯などについて体系的に理解するとともに、法による支配、国民主権、権力分立など民主主義の基本原理について深く学ぶことが必要でございます。
 そのため、都教育委員会は、生徒が民主主義などに関する古典や政治学の専門書等を閲覧し、民主政治形成の基礎となる先哲の思想や、民主政治の基本原理等について知見を深めることができるよう、各都立高校における図書教材等の充実を図るための支援を行ってまいります。また、地理歴史科、公民科の授業などの補助教材といたしまして、民主政治の形成過程や民主主義の基本原理などについて取りまとめたリーフレットを新たに作成いたしまして、全ての都立高校生に配布してまいります。
 今後、こうした取り組みを通して都立高校生に対する主権者教育の一層の充実に努めてまいります。

○高木委員 ぜひよろしくお願いします。
 今、初めて聞きましたが、リーフレットを新たに作成して、全ての都立高校生に配布する。これ、大変いい試みだと思いますので、これは私学部の方にも、生活文化局の方にもぜひご相談の上、同じような教材というか参考のものが使われるようにぜひしていただきたいなと思います。
 私は、このリーフレットというのはとてもいいことだと思っていて、イメージとしては、我々の先人がどういうふうに政治的に歩んできたかということを、一つの事例かもしれないけれども、漫画形式みたいなものでわかりやすいように、みんなが手にとって見たときに、ああ、なるほどなと。そこに、例えば、こういう本を読むと参考になるよというようなことが示唆をされていれば、図書館に行って一回手にとってみようかなとかという動機になればいいのだと思いますね。ですから、その導入の部分の、この新たなリーフレットには大変期待いたしておりますので、ぜひ頑張っていただきたい。よろしくお願いしたいと思います。
 教育委員会の考え方は非常によくわかりましたので、これから高校生が社会の一員として、国や社会の問題を自分の問題として捉えて、みずからの頭で考えていただいて、みずから判断して行動していく主権者を育成すること、それが平和で民主的な国家、社会の形成にとって重要だと思っています。
 十八歳への選挙権の引き下げをきっかけにいたしまして、若い世代が政治に関心を持って、情報を収集し、みずから考え、そして選挙に行って投票することを通して積極的に政治に参加する、責任を持ってね。おもしろおかしくではなくて、責任を持ってこの国を、将来をどうしていくのか。その一票をぜひ投じていただく。そういう若い人たちが一人でも多くふえていただきたいなというふうに私は思っています。
 図書館にいろんな本をぜひ置いていただいて、何か学校の先生が子供たちから質問を受けたときに、それは学校の先生が自分の考えでお答えするということも大事なことかもしれませんが、図書館に行くとこういういい本があって、これを読むと今のあなたの疑問というのはこういうふうに解決していくよというような、そういう、いざなってあげるということも大事なんだろうと思いますから、ぜひそういう教育をしていただきたいし、学校をつくっていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

○鈴木(貫)委員 私の方から若干の質問をさせていただきます。
 事業概要の九四、九五、それから、東京のオリンピック・パラリンピック教育を考える有識者会議の中間のまとめの中から若干の質疑をさせていただきたいと存じます。
 まず、中間のまとめの中で九ページ、国際理解、国際交流を促進するための仕組み、仕組みですね、ここに私は注目をし、この中の冒頭の、長野オリンピックで始まった一校一国運動の言葉に着目をさせていただきました。そしてまた、この有識者会議、これは、これからまとめて御庁の方に提言がなされると思いますけれども、この中でいうなればロードマップ的なものがここに載っているわけですよね。これまでの期間にこうしたい、ああしたい。でも、考えてみますと、来年はもうリオのオリンピック、そしてもう四年後ですよね。そうすると、あっという間に日数がたってしまうわけでありますから、そう長い時間をとることは不可能だと思っております。
 そういう観点から、まず、この一校一国運動の理解を深めるために--確かに一九六四年の東京オリンピックの大会にも、この芽出しの言葉は出たと私は思っています。その後、札幌冬季大会、そして、その後の一九九八年でございましたか、長野の冬季、そのときに、これが高く、いわゆる教育プログラムとして、この一校一国運動が取り上げられて、一定の評価をいただいたということは聞き及んでいます。参考になります。
 ただ、この中で私たちが知りたいのは、長野でのこの事例はどういうものだったのか。この一校一国運動というのは言葉だけが先行して、ひとり歩きをしている嫌いがありますから、具体的にその意味はどこにあったのか、長野はどうしたのかということがわからなければ、これは参考にはならないと私は思っておりまするがゆえに、具体的にお答えをいただきたいと思います。

○安部教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 長野で始まった一校一国運動は、その後のオリンピックでも引き継がれてきた教育プログラムの一つでございます。この運動は、異文化理解にとどまらず、共存というグローバルな視点に立って、児童生徒が国際化時代に生きる意欲を高め、意識を変革することを目的とするものでありました。
 取り組み内容は、一つの学校が原則として一つの国、地域を学び、相手国の人や学校と交流する、相手国の選手や役員などを歓迎し交流する、試合を応援するなどのさまざまな交流活動であり、大会の二年前から長野市内の小学校、中学校、特別支援学校の七十五校で取り組まれたものでございます。

○鈴木(貫)委員 今お答えをいただいた中で、おやっと思ったのがあるんですよね。長野県、これは長野のオリンピックですから、長野市内だけ、二年前から、数的には七十五校という数字が今挙げられました。
 考えてみますと、東京はそれどころじゃないですよね。何千校とあるわけですから、幼稚園から、私立を入れればもっとカウントできるわけでありますから、そういうことを考えてみますと、具体的に、これはどうやって--その前にまだ、平成二十七年度から六百校のオリンピック推進校がありますけれども、こういう莫大な学校をどうまとめて、きちっとレガシーとして残す運動を進めていくかというのは、教育庁にとって大変重要な課題だと私は思います。次代の青少年を育成するに当たって、これは緊張してやっていかなければいけない課題だと私は重ねて申し上げておきたいと思います。
 それで、重複しますけれども、長野に比べても莫大な数の学校があるわけですから、そしてまた、二〇二〇年を前にしてラグビーの大会もあります。そのほかスポーツの国際大会、文化プログラム等が多くあるわけでございますから、そういう環境の中で、今後、都教委としてどんな形で国際交流とか国際教育理解を深めていく、いってみれば、教育プログラムをどう組み立てていくかということが、やはりみんなが注目するところだと私は思いますよ。そのことを真摯に受けとめていただきながら、お答えをいただきたいと思います。

○安部教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京は、公立学校の数が幼稚園から高校、特別支援学校まで合わせまして約二千三百校にも上ることや、留学生が多い、多様な国籍の人々が住む、大使館が集中しているといったことが、長野と比べて大きな特徴でございます。また、これから大会まで約五年という期間があり、計画的、継続的に取り組むことも可能でございます。
 こうした状況を踏まえ、東京における国際理解、国際交流の仕組みにつきましては、まずは各学校で、児童生徒が特定の国だけではなく世界の多様な国々を学ぶ取り組みを検討しているところでございます。

○鈴木(貫)委員 今お答えの中で、長野と比べても大きな特徴という--大きな特徴というのは、これは最大の違いですよね、大きな特徴どころじゃないですよ。それと同時に、今お答えの中で、多様な国を学ぶ取り組みを検討しているところですという答えが出ました。非常に抽象的な言葉でありますけれども、これ以上、まだ流れの中ですからコンクリートはできないんでしょうけれども、私ならば、このオリンピック、この東京大会に、恐らく概算的に二百カ国、地域が参加をしてくれればなと思っています。二百カ国、地域というと、二千三百校とした中で、どうやってこれをやっていくのか。
 例えば、これをブロック別にグループ分けをしながら、それぞれ満遍に、ヨーロッパ、アメリカ、中南米、いろんな、アフリカだとか、オセアニアだとか、中東だとか、入れながら組み立てをしていくというのも一つの考えが欲しいなと、私はこれは願望でありますけれども、押しつけではありませんけれども、お願いでもありますけれども、お酌み取りをいただければと思っております。
 ある学校の校長先生とも懇談をした折、私の発想的にも、肌の色の、こういったことをあえて誤解を恐れずにお話ししますと、そういうことであれば、肌の色の違った国の方々、世界いろんなところがある、そういう大人の方と子供たちが接触をし、文化の交流等々きちっとできれば、これほどすばらしいレガシーはないだろう、楽しみにしたいと、こう申し出があったこともお伝えをしておきたいと私は思います。これは要望しておきますので、ぜひ取り入れていただけたらなと私からもお願いをさせていただきたいと思います。
 こういったことを踏まえながら、もう一点。この運動を進めていく立場から、先ほどお答えがあったとおり、そのほかに、各区それぞれ友好交流を深めているお国も中にはあるでしょう、ありますよね。そういうところもやはりきちっと押さえておかなければいけない。やみくもにどすんどすんと落とすわけにもいかないだろうし、そういうことを適宜適切に判断をしてさしあげながらこの運動を進めていけば、この運動に参加をしているお子たちを持っているご家庭、地域の中で、いい運動だなということがわかってくると私は思っています。
 校長の言葉をかりるまでもなく、私は大変すばらしい運動が展開されると思います。でも時間はありません。来年になれば、リオが終われば、もう直ちにという。このロードマップの提言なんかも、ちょっとのんびりし過ぎているなと私は思いますから、がちっと歯車をかみ合わせて進めていただければと思っております。
 そのことを申し上げながら、このさまざまな友好交流の活動を通じながら、さまざまな取り組みを具体的にもう少しお答えをいただきたいと私は思います。

○安部教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 区市町村や各学校がこれまで培ってきた海外との交流実績を踏まえて取り組みを行うことは、児童生徒が学習に入りやすく、交流なども容易になるなどのメリットがあると考えております。これに加えまして、世界の多様な国々について学ぶことで、児童生徒がさまざまな文化や考え方を学習、体験する機会をつくり、異文化を理解し、相手の立場や考え方を尊重しつつ、みずから主体的に考える力の育成につなげてまいりたいと考えております。

○鈴木(貫)委員 じゃ、最後になりますけれども、教育長に、最後お伺いをさせていただきたいと存じます。
 今、るる私は述べてまいりました。二〇二〇年には、東京に、東京にと、世界各国からさまざまな方々が集まってくることは目に見えても明らかでありましょう。コミュニケーションを図り、交流する機会も増大してくることは間違いありません。
 その中で、子供たちがより一層国際感覚を育み、そして、グローバルな人材として成長していく。英語にしても、私たちが中学校から大学まで英語を学びながら、十分な英語をしゃべることのできない今の日本の未熟な英語教育を乗り越えてもらいたいと思いますよ、これは。そういう環境を脱していくための自信をつける大きなチャンスだと私は思っております。
 そういう立場から、この教育プログラムをきちっとオリンピック教育の一環として、しっかりと根づけて、位置づけていただきたい。そのことを私はこいねがうばかりであります。そのことを踏まえながら、教育長のご見解を改めて伺いたいと存じます。

○中井教育長 オリンピック教育の始まりというのは、一九六四年の前回の東京大会、これが始まりであるというふうにいわれているわけでございますが、東京が築いたこのよき伝統をしっかりと継承し、さらに発展させる。そういったためにも、二〇二〇年の東京大会に向けたオリンピック・パラリンピック教育は大変重要な意義があると、そのように考えております。
 ただいま委員のご指摘がありましたとおり、二〇二〇年東京大会開催を機にグローバル化の流れは一層加速し、東京では外国人との交流の機会が飛躍的に増大することが予想されております。こうした機会を十分活用し、児童生徒が世界各国の人々と外国語を介して積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成し、豊かな国際感覚を醸成する教育、その中には、国際社会の多様性を理解し尊重するという態度、そして、日本人としての自覚と誇りを持って、自己の主張、自己の考えをしっかりと表明する、そういった力を子供たちにしっかりと身につけさせていく。そういった教育を充実させていきたいというふうに考えております。
 来年度からは、オリンピック・パラリンピック教育を全校で展開してまいりますが、この中で、委員からお話がございました国際理解教育を重点的な教育の一つとして位置づけ、将来、世界を舞台に活躍し、東京、そして日本を支える人材を全力を挙げて育成してまいります。

○鈴木(貫)委員 最後に一言。部長さんね、お答えの中でちょっと厳しい反論の言葉を投げかけましたけれども、思いがあるがゆえに、一緒にやろうという思いを受けとめていただきたい。また、教育長からも懇切丁寧な、やる気のある前向きなご答弁をいただきました。しっかりと東京から発信をし、次代を担うお子たち、それから、それをレガシーとしてきちっと残せるようなすばらしい運動に発展をさせていこうではないかということを申し上げて、これで質問を終わらせていただきます。

○斉藤委員 それでは、私の方からは、主に小中学校になりますが、教員の負担軽減のテーマ一つで質問したいと思います。
 若干ちょっと質問が前の委員さんたちとかぶる部分がありますが、流れもありますのでそのまま質問させていただきますので、ご了解いただきたいと思います(「そこはカットだろ」と呼ぶ者あり)なるべくカットいたしますが、よろしくお願いします。
 それでは、東京都教育委員会及び区市町村教育委員会が一体となった校務改善の取り組みとして、主要事業の概要の七四ページに、学校の負担軽減のための調査、通知、配布物の縮減・改善指針の実施がありますが、まずはその取り組みについて伺います。

○江藤人事部長 都教育委員会は、平成二十四年三月に小中学校の負担軽減のための調査、通知、配布物の縮減・改善指針を策定いたしました。この指針を踏まえ、都教育委員会は、みずから実施する調査の縮減等に取り組むとともに、区市町村教育委員会に対しまして、学校が見通しを持って業務を進めることができるよう、あらかじめ調査等の年間スケジュールを示す、調査の必要性や内容の重複等を事前にチェックする、学校に調査目的を説明するなど、学校への配慮を要請してきたところでございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 それで、さらに同じページになりますが、校務改善の取り組みの一つで、非常勤職員情報提供システムの運用というのがあります。これについて私は昨年、一般質問でも、これをもっと進めてほしいという意味で、利用状況などについて伺ったんですけれども、これは産休代替教員や時間講師などを探すシステムで、そのときは区市町村において八割の小中学校で導入されているという説明でございました。
 このシステムの開発と導入については--ぜひ、こういうチャレンジを非常に評価いたしますし、また活用されてほしいというふうに願っておりますが、市区町村単位で導入をするシステムなものですから、八割ということで、ある程度いいのかなというふうに私は思っていたんですが、まだ十の市区町村で導入されていないということなんですね。
 結果的に、これ、ことしに入りまして現場の学校の管理職の方に聞いたら、やはり全部の市区町村をカバーしていないというふうなことで、これを使って探しても、探し切っていないという部分で非常にストレスになるという話なんですね。もちろん、これが一〇〇%つながっていれば必ず探すことができるというふうなことではないわけなんですけれども、このように、やはり、なかなか見つからないという中で、このシステムが全部つながっていないということは、副校長などで、システムの不満にもなっているということなんです。
 そのため、早急にこの非常勤職員情報提供システムを導入する市区町村の拡大というのが望まれるわけですが、大所高所から見ているからこそ、こういったことがどういうふうな現場の部分でのストレスにつながってくるかということがわかる東京都の立場から、所見を伺います。

○江藤人事部長 平成二十四年三月から運用を開始しました非常勤職員情報提供システムは、学校が必要とする人材情報をインターネット上に公開し、条件に合った産休代替教員等がこれに応募するという、二十四時間稼働の双方向のシステムであり、その後の連絡も電子メールで行えることから、業務の効率化に効果を上げております。
 こうしたことから、同システムを導入する地区は順次増加いたしまして、現在、五十二の区市町村で活用されております。今後も、未利用の地区に対しシステムの利便性を周知するなど、活用の拡大を図ってまいります。

○斉藤委員 もちろん市区町村の判断ということでありますが、しかしながら、現場の管理職の方の負担が少しでも軽くなるようにという部分で、東京都はぜひこの利用拡大を積極的に進めて、促進をしていただきたいと思います。
 こういったような取り組みというのを継続することによって、現場の教職員、もしくは管理職の負担が減るわけなんですが、こういったところで疲労が重なってしまえば、負荷が重なってしまえば、精神疾患を中心とした病気になってしまうということが多々あるわけですね。これについては、先ほど来、若干話題にはなっておりますが、都教育委員会が以前に発表した、教員のメンタルヘルス対策についてによれば、平成二十年度の東京都の公立学校の教員の精神疾患による休職者が病気休職者全体に占める比率というのは、その全国平均よりも高くなっているということとなっております。
 そこで、現在、東京都の公立学校教員の病気休職者数と、そのうちの精神疾患を理由とする休職者数及び割合はどのようになっているか伺います。

○江藤人事部長 平成二十五年度における東京都の公立学校教員の病気休職者数は七百四十七名でございます。そのうち精神疾患を理由とする休職者数は五百二十八名で、病気休職者のうち精神疾患を理由とする休職者の割合は約七〇・七%でございます。

○斉藤委員 大半は精神疾患関係というふうなことでいっていいのではないかと思いますが、教員が精神疾患で休職した場合に、学校への復職を目指すというのがまずは大きな目標というふうになると思います。そこで伺うんですけれども、東京都教育委員会が行う復職への施策について教えてください。

○太田福利厚生部長 都教育委員会は、平成二十二年度に精神疾患で休職した教員の円滑な職場復帰と再休職の防止を目的として、リワークプラザ東京を開設いたしました。リワークプラザ東京では、精神科医である健康相談員や、臨床心理士と校長OB等による復職アドバイザーを配置し、学校で行う復職に向けた職場復帰訓練を支援しております。また、復職後も、復職アドバイザーによる学校へのフォロー訪問など、必要な支援を行っております。

○斉藤委員 そういう学校ならではの復職のサポートというのは、私、今回初めて伺ったんですが、教育者という技術者は短期間のいろんな過重労働などの事象で、変な話、一生を棒に振るような可能性がある、そういった疾患に罹患させないということは非常に重要だと思いますね。そして、通例、このような精神疾患については、治療よりも予防できる環境づくりが願わくは大切と。その対策をとることが重要だということはいうまでもないと思います。
 実際、東京都は、都立高校について、都立学校教職員健康管理のために、この資料でいうと五八ページにあるような定期健康診断に加えて、労働安全衛生法に基づく労働安全衛生の管理体制の整備というのを行っております。
 そこで、都教育委員会において、都立学校の教職員に対しては、どのような労働安全衛生の取り組みを行っているのか、そこを伺います。

○太田福利厚生部長 労働安全衛生法等の定めるところにより、都教育委員会は、都立学校教職員の定期健康診断を実施し、事業者である都立学校長は、安全衛生委員会の設置及び産業医の配置を行っております。
 安全衛生委員会は、危険及び健康障害の防止並びに健康の保持増進等を図るための調査、審議を行い、校長に必要な意見を述べる役割を担っております。また、産業医は、医学に関する専門的な観点から、教職員の健康管理、健康相談の実施及び健康障害の原因の調査、再発防止等を行っております。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 かなり何重にも、こういうふうにちょっとチェックができるように、もしくは管理ができるようにというふうなことであるわけですから、小中学校の方にも願わくはこの重層的な体制がとれることが理想的であります。
 参考の引用ですが、労働団体が、小学校九十二名、中学校三十三名--合計百二十七名に、入庁一年から四年目までの教職員の労働条件について、平成二十六年三月までに行った調査ですと、自己申告でありますが、勤務時間が毎日十一時間以上の、月の合計が六十時間以上の超過勤務を行った者が七七%という回答でした。またさらには、月八十時間以上の超過勤務者については五六%、同じく百時間以上というふうになると二七%というふうな回答だったそうです。
 これは新人の教職員に対しての調査ということなんですけれども、文部科学省は平成二十年度以降、教職員が十から四十九人いるような学校では衛生推進者を設置して、そして、医師の面接指導体制の整備というものを求めているんですね。この医師の面接指導体制の整備については、週四十時間を超える労働が、その超えた分が百時間以上、そして、疲労蓄積が認められ、教職員の申し出があった場合に、遅滞なく医師の面接指導をする必要があるというふうに書いてあるんですね。
 文部科学省のパンフレットではこういうことで面接指導の必要性をいっているんですが、これはあくまで文部科学省が求めているだけなので、義務的に体制整備をしろというふうなことではないんです。そもそも、申し出をするぐらい疲労していたら、医師に行く前に、とにかく休業をとらせた方がいいんじゃないかなというふうに私は個人的には思うんですが、それはさておいて、このような表現からも、超過勤務時間を過労発見の目安としているというのは、文部科学省もその必要性については認識しているということなんですね。過労を発見するのに勤務時間の把握は必要だということですね。
 であるならば、この超過勤務百時間といったような正確な時間数で勤務時間を記録していかないといけないというふうなことですね。文部科学省が幾ら医師面接につなげようと思っても、ここを把握できなければ、きっかけがつかめないということです。
 問題は、学校に遅くまで残っている教員をどういうふうに把握するかということになるんですが、小中学校によってはかなり差があるんですけれども、もしくは市区町村の教育委員会によつては方針が違うんですが、朝、出勤をすると、職員室にある出勤簿に押印するだけで、退勤時には何も記録するものがないというところがあるということなんですね。教員の場合には教職調整額というのが支給されているということで、時間外手当を支給するということができませんから、余り退勤管理をしなくてもよいという経過があったようです。
 しかし、都費負担の職員であります小中学校の教員が厳しい労務環境に置かれて、疲労によって、場合によっては取り返しのつかないような精神疾患に罹患するようであれば、やはり東京都教育委員会としては、市区町村教育委員会に対して改善を求めるようなことは当然あるべきじゃないかなというふうに私なんかは思います。
 民間企業において、身分が自分の組織にある技術者が出向や派遣といった形で送り出されたときに、郷に入っては郷に従えで、その会社のやり方にもちろん合わせてもらうというのが基本かとは思いますが、それでも、受け入れ側の労務環境が精神を患うほど厳しい状況であれば、当然、その現場の事情を尊重しつつも、改善を願うというのが自然なことなんじゃないかなというふうに思います。
 小中学校の勤務状況の把握について、東京都教育委員会の見解を伺います。

○鈴木人事企画担当部長 区市町村立小中学校に勤務する県費負担教職員に対する服務の監督は、法令の定めにより、区市町村教育委員会が行うこととなっております。都教育委員会は、県費負担職員の勤務時間、その他勤務条件に関する条例や規則などの技術的な基準を定め、その勤務時間の適正な割り振りと運用に万全を期すよう区市町村教育委員会に通知し、各学校の校長、副校長がその通知に基づき教員の勤務実態の適切な把握、管理に努めているところでございます。

○斉藤委員 少し昔の文部省及び今の文部科学省については、教職員の業務がいろんな部分で新しいものがふえてくるという、過去、いろいろ流れがございます。その業務が追加されていくということに対して、当然、労働力が追加されていくべき、人員が必要になってくるというふうな、企業では一般的に労務管理は適正な人事配置という中で考えるべき部分が、やや少し無理をできるような感じで思っていたんじゃないか、少し認識が甘かったんじゃないかというふうな現場の職員の声もあるようであります。
 生徒数という視点ではなくて、業務量という視点から、小中学校における教員の配置数についてはどのように考えているのか、都の所見を伺います。

○江藤人事部長 都費事務職員の定数は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に基づいて、都の配置基準により定めております。都費事務職員数は一校一人としております。

○斉藤委員 今ちょっと実は一問飛ばしてしまったんです。済みません(「いいよ、大丈夫」と呼ぶ者あり)じゃ、ちょっと前のところから。じゃ、少し戻りまして。
 今、ある都立高校では、七百二十人の生徒がいる場合、学校の経営支援室などの事務職員というのは、用務の人は別にいるということで用務を抜いて、事務職員については、七百二十人の生徒で事務職員が四人だったんですね。これはちょっと私が聞いたところなんです。
 一方、市区町村立の小中学校で教員をサポートする事務職員というのは、生徒数大体五百人程度の中学校ですと、都費の職員が一人、市区町村の費用の職員が一人の、合計二人体制だというふうなことなんですね。小中学校の都費事務職員の算定根拠というのはどのようになっているか伺います。

○江藤人事部長 失礼いたしました。改めて答弁させていただきます。
 都費事務職員の定数は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に基づいて、都の配置基準により定めております。都費事務職員数は一校一人としております。

○斉藤委員 ちょっと改めまして。今、生徒数から来たもので伺ったんですが、これを過去、なかなか、業務がふえた分に対して労働力が必要という感覚が、余り文部科学省の方になかったんじゃないかなというふうな意見もあるぐらいです。
 そこで、小中学校における教員の配置数について、生徒数という視点でなくて、業務量という視点で伺います。

○江藤人事部長 教員の定数は、事務職員の定数と同様、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に基づいて、都の配置基準により定めております。
 さらに、個別の教育課題に対応するため、習熟度別指導を実施するための国の加配のほか、都独自の加配として、中一ギャップを予防、解決するための教員加配などをしております。また、教務や生活指導等を担当する教員の授業持ち時数の軽減も行っております。

○斉藤委員 失礼しました。
 今るる伺ったところによりますと、少し新しいシステムを入れても、なかなか区市町村の教育委員会の協力が得られない場合に、そのシステムが本当にうまく教職員の負担の軽減につながらないというケースがあるということ、そしてなおかつ、教育委員会によっては、先生方、教職員の労働時間を完全に把握できる体制にないということ、それがないと、過労であるという証明とか過労に対して注意を、記録の上で見て管理職がするとか事務方がするということがなかなかできないということ、そしてまた、人数の部分での必要な労働力の計算というのは比較的あるんだけれども、その学校単位で何人というのはあるのだけれども、業務量に対しての必要な労働力の評価というのはなかなか難しいということがあります。
 こういったことをやはりきちんと改善していかなければいけないなというふうなことを思いますし、先ほど来、時間の管理などを見れば、まだちょっとやれることがあるんじゃないかなということを思います。
 また同時に、先ほどの事務員の関係もありますが、教職員をサポートするスタッフをふやしていくというのも非常に大事なことです。先ほど小松議員からも話がありましたスクールソーシャルワーカーなどについても、まさにこの代表格だと思うんですけれども、現在、まだまだニーズが高くて、需要に対しては応えられないという不足傾向にあるということであります。
 有資格者ばかりでもないというふうには聞いておりますが、市区町村におけるスクールソーシャルワーカーの活用について、どのような資格を有するものか、市区町村でスクールソーシャルワーカーとしてどういう人が勤務をしているのか、そこを伺いたいと思います。

○伊東指導部長 区市町村に配置されているスクールソーシャルワーカーの資格要件でございますが、これはそれぞれの区市町村教育委員会が定めております。
 平成二十六年度に区市町村教育委員会に配置されたスクールソーシャルワーカーが有する主な資格につきましては、社会福祉士が最も多く、続いて教員免許所持者、それから精神保健福祉士、心理に関する資格所持者の順となっております。また、特段の資格は有していないが、社会福祉に関する専門性の高い地域住民等がスクールソーシャルワーカーとして勤務している区市町村もございます。

○斉藤委員 スクールソーシャルワーカーの中で社会福祉士が一番多いということなんですが、私も大学での受験資格があった関係で平成十年に社会福祉士を取りまして、まだそのころは今みたいなソーシャルワーカーって一般的なものではなく、社会福祉士という資格名も余り知られてはいませんでした。ただ、役所の方なんかにはソーシャルワーカーというポジションになる人がいましたし、病院の方では医療ソーシャルワーカーとかメディカルソーシャルワーカー、医療相談室という名前でソーシャルワーカーの配置というのが割と進んできたところだったんです。
 ただ、病院同様、学校なんかもいろんな福祉的な必要がある人を発見しやすいという環境にありましたから、学校の部分でスクールカウンセラーが導入されたときに、ソーシャルワーカー的なことができる人も加わるといいなというふうに当時思ったんですが、幸いに、やはりそう思っている人が同じようにたくさんいたのか、スクールソーシャルワーカーが導入されまして、その後、かなり、今回の委員会を見てもわかるとおり、何度も話題になってくるぐらい需要が高まったという点でいうと、社会福祉士としてちょっとうれしい限りではあります。
 ただ、残念ながら、スクールソーシャルワーカーについては、複数の学校では時間や曜日を決めて巡回しているというケースも多く、スクールソーシャルワーカーの業務従事者の多数を占めている社会福祉士の観点からすれば、スクールカウンセラー以上に、相談の現場にいるとき以外の時間、調査や他の社会資源との連携をとる時間というのがスクールソーシャルワーカーには必要だということは確かであります。
 つまり、相談で直接生徒や教員らと会うことを担当するスクールソーシャルワーカー以外に、その担当者をバックアップして実際に問題解決に走るという、ほかのスクールソーシャルワーカー的な人がいると、本当はこういった問題解決というのは非常にスピードアップしますし、非常にやりやすくなります。相談者が複数いるとどうしても、違う人にまた一から相談というふうな感じになってしまうので、余り相談者が変わらないということ自体はいいことなんですが、しかしながら、その人だけが時間いっぱいいっぱいまで面接などをしていると、当然のことながら問題解決の時間がとれませんので、本来ならば、一人を雇うというよりは、むしろチームを雇うような感じで契約をしていって、そのチームで問題解決に動いてもらうというのが、スムーズな、そしてまた時間も迅速にできるという対応なので、本来ならばそういうことが望ましいかと思います。
 スクールソーシャルワーカーに対して、より専門的な立場から、今、バックアップするもう一人の、問題解決するスタッフがというふうな話をしましたが、このスクールソーシャルワーカーに対して、より専門的立場から助言を行う人材というものについての配置状況、現状について伺います。

○伊東指導部長 平成二十六年度に、都教育委員会は、スクールソーシャルワーカーが配置されている四十二区市町村のうち十七区市町村に、児童生徒や家庭に対する支援の方法等についてスクールソーシャルワーカーに助言を行うスーパーバイザーを配置いたしました。これらの区市町村では、社会福祉分野での実務経験が豊富な人材や、専門的な研究を行っている大学教授等がスーパーバイザーとして配置されております。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 今回、実はこの質問をした中で、教員の、細かい方法による負担軽減というのはもちろんお願いしたい部分なんですが、ちょっと個人的なことがありまして、このことについて質問しようと思いました。
 というのは、二、三年前の話なんですが、全く議員としてでなくて、福祉の資格者として、たまたま中学生のちょっとトラブルのサポートに、私個人の名前じゃなくて参加をしたことがあって、精神保健福祉士とチームを組んで対応したんですが、そのときに、ちょっと原因はご家庭の方の事情があったので、僕ら福祉の専門家から見ると、福祉的にサポートしていくというのが、一番具体的なおかつ当然の流れかなというふうに思うような案件だったんです。
 ですので、学校が悪いとかそういうことは全然なかったんですが、ちょっとそのご家庭が学校とトラブルになっていたということは僕らから見ても明らかだったんですが、そのときに、その中学校の二人の教職員の方が、本当にその家に、家庭訪問に何度も行ったり、僕もちょっとその関係のケース会議でお会いしたんですが、本当にそのケース会議に最初から最後までおつき合いいただいているんですね。
 僕らから、医療や福祉の立場から見れば、いや、先生、そんなにもうむきに--むきにならなくてっておかしいですね、一生懸命やり過ぎて力入れ過ぎなくてもいいですよと。それは専門的な人がサポートする部分が大変大きいから、もっと逆に冷静に、専門家とか、警察の方もいらっしゃったんで、いろんな方の話を聞いて、その部分の情報を先生がわかっていればいいですよと思うぐらいのところだったんですが、先生方は本当に一生懸命やっているのがこちらにも伝わってくるぐらいで、頭が下がる思いだったんです。そんなに力を入れて、そんなに時間を使って、ほかの生徒さんのこともあるでしょうから、余り無理しないでくださいねと本当にいいたくなるような感じだったんですね。
 そんなことがあったものですから、なるべく先生方に、餅は餅屋じゃないですけれども、本当は専門家の、もちろんなかなかボランティアというわけにいかないですけれども、専門家の方の助けを使って、効率よく、そして、時間も体も無理しないような形で問題解決してほしいなというふうに本当に思ったんですね。そんなこともあって、ぜひ専門的な立場の人を使ってほしいし、また、都教委も助けてあげてほしいというのが本当に思うところだったんです。
 それで最後にちょっと伺うんですが、こういった教職員の負担軽減については、やはり教員が子供たちに向き合う時間を確保するためにも、さまざまな面からの取り組みというのをお願いしたいと思います。とりわけ、都教育委員会と区市町村の教育委員会が連携して取り組んでいくことが肝要と思います。
 そこで、教員の負担軽減を一層進めていくために、市区町村の教育委員会に対して、今後の連携、そして支援等の取り組みについて、東京都教育委員会の所見を伺います。

○江藤人事部長 都教育委員会は、平成二十四年三月に小中学校の校務改善推進プランを策定し、区市町村立の小中学校において、組織的かつ効率的な学校運営を行うための校務調整機能を持つ経営支援部の設置を支援しております。その一環として、校務改善推進事業発表会を毎年開催し、校務改善に関する先進的な取り組み事例を紹介しております。今年度は今月十二日に開催し、約三百五十人が参加いたしました。
 また、校務改善のすぐれた取り組みを表彰する校務改善表彰の実施や、校務改善ニュースの発行など、さまざまな手法で区市町村教育委員会及び小中学校に対する普及啓発及び意欲喚起を図るための取り組みを実施しております。
 都教育委員会は、今後も学校が組織的かつ効率的に仕事を進めることができるよう、区市町村教育委員会と連携して校務改善等を推進し、教員の負担軽減に努めてまいります。

○山崎委員 先ほど高木副委員長が道徳教育についてお伺いをいたしました。鈴木貫太郎先生も一校一国運動のことでオリンピック・パラリンピック教育についてお伺いをいたしましたが、私は、今後のオリンピック・パラリンピック教育について全面的に、ちょっと何点か質問に入らせていただきたいと思います。
 二〇二〇年の東京大会についてでありますが、来年のリオ大会が終わると、次はいよいよ東京へと世界の注目が集まるわけでございます。東京大会においては、開催都市としてオリンピック・パラリンピックのすばらしさを体感できるような多彩なプログラムを展開することにより、世界で一番の都市東京、そして、日本の将来を担う子供たちを育てる絶好の機会となるわけであります。
 先般、ことしの八月二十一日、東京のオリンピック・パラリンピック教育を考える有識者会議の中で中間のまとめが提言をされたわけでありますが、その中でもオリンピック・パラリンピック教育が目指す子供たちの将来像として、まず一つは、みずからの目標を持って自己を肯定し、みずからのベストを目指す意欲と態度を備えた人。一つ、スポーツに親しみ、知、徳、体の調和のとれた人。そして一つ、日本人としての自覚と誇りを持ち、みずから学び行動できる国際感覚を備えた人。そして最後、多様性を尊重し、共生社会の実現や国際社会の平和と発展に貢献できる人の四点の目標が示されたわけであります。
 まず、その背景と理由をお伺いいたします。

○安部教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 二〇二〇年の東京大会では、全員が自己ベスト、多様性と調和、未来への継承の三つを基本コンセプトとし、史上最もイノベーティブで、世界にポジティブな改革をもたらす大会にするといったビジョンが示されております。
 この大会を通じ、児童生徒にスポーツの魅力だけでなく、日本の伝統や文化のすばらしさ、異文化を尊重、理解する態度を育てるとともに、多様性を尊重し互いを認め合う心を育成することが重要であります。
 オリンピック・パラリンピック教育が目指す将来の人間像は、オリンピック・パラリンピックの精神や東京大会のビジョンなどを踏まえて設定したものでございまして、オリンピック・パラリンピック教育を通じ、児童生徒一人一人の心と体に人生の糧となるかけがえのないレガシーを形成してまいりたいと考えております。

○山崎委員 今の答弁の中にもあったように、オリンピック・パラリンピック教育を通じ、子供たちがベストを尽くし、日本人としての自覚と誇りを持ち、多様性を尊重する態度を身につけることは非常に大事なわけであります。そうした目標を実現するために、中間のまとめでは、オリンピック・パラリンピックの精神、そしてスポーツ、文化、環境の四つのテーマを設け、それらを学ぶ、見る、する、支えるの四つのアクションで推進し、さらに体験や活動を通じて学ぶことを重視するとしているわけであります。
 そこで、子供たちが学校で講義形式の授業として学ぶだけでなく、その授業で学ぶだけでなくて、どのように活動や体験をさせていくのか、見解を伺います。

○安部教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 オリンピック・パラリンピック教育を進めていくに当たりまして、現在、児童生徒がオリンピック・パラリンピックの意義を正しく学ぶための学習読本と映像教材を作成しております。来年度からオリンピック・パラリンピック教育を全校展開する中で、これらの学習教材を活用し、児童生徒はオリンピック・パラリンピック精神を初めとする四つのテーマについての学びを深めていくこととしております。
 さらに、そうした学びを基礎として、スポーツの国内大会やテストイベントを観戦したり、文化プログラムや大会関連のイベントに参加したりするなど、実際の体験を通じた学びを進めてまいります。

○山崎委員 同一都市として初めて二度目のパラリンピック大会開催となる二〇二〇年の東京大会は、パラリンピック大会の新しい価値と意義を見出す契機となると考えられるわけであります。
 二〇二〇年東京大会を期に、都市全体のバリアフリー化を一層促進することはもとより、障害者理解の促進を通じて多様性を尊重し、心のバリアフリーを子供たちに浸透させることも重要であるわけであります。
 我が党でも、東京で二度目となるパラリンピックが二〇二〇年東京大会の成功の鍵を握ると考えているわけです。そしてまた、我が党は、先般、障害者スポーツ振興政策研究会を設置をいたし、競技の魅力を広く都民に伝えるなど、障害者スポーツの振興に積極的に取り組んでいくこととしております。
 そこで、今後進めるオリンピック・パラリンピック教育の中でも、とりわけ障害者理解をさらに促進し、心のバリアフリーを実現していくことが極めて重要と考えますが、見解を伺います。

○安部教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回の二〇二〇年東京大会におけるビジョンの一つに、共生社会の実現への寄与がございます。このため、オリンピック・パラリンピック教育においても障害者理解教育を充実させ、児童生徒が他者の人格と個性を尊重し、人々の多様なあり方を相互に認め合う態度を身につけることが重要でございます。
 具体的には、例えば、パラリンピアン等を学校へ派遣し、障害者スポーツの魅力を伝えるなどの取り組みや、障害者スポーツを通じた特別支援学校と小中学校等との交流などを広く促進してまいります。こうした実践を通じまして、障害者スポーツやパラリンピックへの興味、関心を高めるとともに、障害のある人々への理解を深めることで、児童生徒に心のバリアフリーを浸透させてまいります。

○山崎委員 共生社会の実現の観点からいいますと、障害者のみならず、高齢者や外国人など、さまざまな方々とのかかわりの中で、子供たちが互いに尊重し、弱者をいたわるなど、豊かな心を育むことが大事であります。こうした思いやりや社会への貢献を実感できる取り組みがボランティア活動であり、四つのアクションでいえば、支えるがキーワードとなると考えております。
 また、ボランティアとして、将来、大会にかかわることは、子供たちにとってまさに貴重な経験となり、また一生の財産となるわけです。しかしながら、ボランティアマインドの醸成は一朝一夕にできるものではなく、学校、地域、家庭が連携をして育てていくものであり、殊に学校教育において計画的に育成することがまた期待されるわけであります。
 そこで、今からボランティアマインドを醸成し、大会時には一人でも多くの子供たちがボランティアの体験ができるようにすることも非常に大切だと考えますが、見解を伺います。

○安部教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 オリンピック・パラリンピック教育を通じてボランティアマインドを醸成するには、社会に貢献する態度や、相手を思いやる心の大切さを理解させる体験や活動が重要でございます。このため、児童生徒が参加することができる地域の清掃活動や、高齢者施設でのボランティアなどの身近な活動を継続的、計画的に進めていく必要があります。
 こうした日常的な活動によって養われたボランティアマインドを生かし、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会本番でもボランティアとしてさまざまな形で活躍できるよう、関係局、関係機関とも連携して取り組んでまいります。

○山崎委員 この有識者会議による中間のまとめ、この冊子がありますけれども、今、リオの大会までは準備期で、二〇一六年から三年前を第一フェーズ、第二フェーズ、第三フェーズとこれからどんどん変わっていくわけですよね。だから、先ほど鈴木先生もおっしゃっておりましたけれども、非常に、子供たちの教育という部分では時間がない部分にも差しかかってくるわけですから、一層気を締めて、このオリンピック・パラリンピック教育に対して一層力を入れていただきたいことを最後にお願いさせていただきます。
 次に、国際社会で活躍できる人材育成について何点かお伺いをいたします。
 社会環境が日々変化をする時代にあって、国際競争力を高め、世界で勝てる東京、日本を創成するためには、国際社会で活躍し、世界の発展に貢献することのできる若者の育成に一層積極的に取り組むことが必要であります。
 今後、世界で一番の都市東京を担う若者には、英語力の向上とともに、世界に目を向け、地球的視点で考え、積極的に挑戦する意欲を高めていってほしいと思うわけであります。
 そこで、オリンピック・パラリンピック開催を見据え、国際社会で活躍できる人材の育成について、都の教育委員会の見解を伺います。

○鯨岡指導推進担当部長 国際社会で活躍できる人材を育成するためには、まず我が国の歴史や文化を理解し、日本人としての自覚と誇りを身につけた上で、海外で通用する高い英語力や豊かな国際感覚を養うことが重要です。
 このため、都教育委員会は、歴史教材として東京都独自に作成した「江戸から東京へ」や、日本の伝統文化に関する教材の活用等を通じて、日本人としてのアイデンティティーを育成する指導の充実に取り組んでおります。また、次世代リーダー育成道場による高校生の海外留学や、国際貢献意欲を高めるためにJICAと連携した高校生の体験研修を行うなどして、世界を舞台に活躍できる人材の育成に努めております。

○山崎委員 今の答弁の中にも、次世代リーダー育成道場、この高校生の海外留学、またJICAと連携をした体験研修、非常にすばらしいことだと思います。より一層進めていただきたいと思うわけであります。
 そして、やはり英語の教育の充実というものも今問われているわけであります。日本人としての自覚や誇りを持ち、異なる文化を持つ人々と積極的にコミュニケーションをとっていくためには、語学力が不可欠であります。中学、高校で六年間学んでも多くの日本人が英語で意思の疎通ができない現状は、何とか改善をしていかなければならないと思っております。
 このため、学校における英語教育を一層充実することが重要であると考えますが、見解を伺います。取り組みについてもお伺いいたします。

○鯨岡指導推進担当部長 国際都市東京においては、児童生徒の聞く、話す、読む、書く英語力をバランスよく育てていくことが重要であり、特に聞く、話す力をさらに伸ばしていくことが重要です。
 このため、都教育委員会は、英語教員の海外派遣研修などを通じて教員の指導力向上に努めるとともに、全ての都立高校に外国人指導者を配置することなどにより、英語授業の改善、充実を図ってきております。
 今後、外国人との交流が増大する二〇二〇年に向けて、東京都独自に作成する英語教材Welcome to Tokyoを活用した学習や、少人数習熟度別指導のより一層の充実を図り、児童生徒の使える英語力の育成に努めてまいります。

○山崎委員 子供たちの使える英語力、ぜひ伸ばしていってほしいと思います。
 最後に、英語村についてお伺いをいたします。
 都教育委員会が英語教育の充実に力を入れてきたことは、今後とも、もちろん推進をしてほしいと思うわけであります。加えて、国際社会で活躍できる人材育成に向けては、英語力はもとより、みずからの考えを主張できる力、多様な文化や価値観を持つ人々と協調して課題を解決できる力を育成していくことも大切であります。
 こうした中、都教育委員会は、東京にいながら海外生活、異文化を体験できる英語村の開設を準備していると聞いています。大阪でも、OSAKA ENGLISH VILLAGEという施設がオープンするなど、全国で類似の施設ができつつあり、都教育委員会の英語村の開設には私も大いに期待をしているわけであります。
 そういう中、先ごろ、都教育委員会は、英語村に関する有識者会議の検討結果を取りまとめ、報告書の公表に至っております。今後は事業の具体化に向けた検討が進められることになると思いますが、例えば、希望する児童生徒を全て受け入れることが可能なのかどうなのかのシミュレーションや、入場料の設定など、さまざまな課題を解決していく必要があると思います。
 いずれにしても、都教育委員会が開設する英語村とはどのような施設であるのか、この基本理念をしっかり固めておく必要があると考えます。そこで、今後どのような英語村を目指していこうとしているのか、所見を伺います。

○鯨岡指導推進担当部長 児童生徒が英語で積極的にコミュニケーションしようとする意欲や態度を身につけていくためには、教室での授業に加え、外国人と直接接することや、諸外国の文化や考え方を知る機会をふやしていくことが効果的です。
 このため、東京都が設置する英語村では、多くの外国人を活用し共通言語として英語を使う環境をつくり、児童生徒が海外生活や文化になれ親しむ段階から実際に議論する高度な場面まで、多種多様な体験的、実践的プログラムを提供していきたいと考えております。
 このように、海外生活を疑似体験し、英語でのコミュニケーションになれる経験を通して、児童生徒が英語に親しみ、学習意欲をさらに向上させるきっかけをつくることが、東京版英語村のコンセプトであると考えております。
 今後、都教育委員会は、平成三十年度内の開設を目指し所要の準備を進めてまいります。

○山崎委員 三十年度目指して開設するといっておられましたけれども、こういったことはなるべく早目に手がけて、もちろん開設にスピード感を持ってやっていただきたいことをお願いさせていただきたいと思います。
 二〇二〇年には多くの外国人が東京に訪れることは確実であります。子供たちや保護者など多くの都民からも支持される英語村の開設に向け、都教育委員会はスピード感を持って着実に準備を進めることをさらにお願いして、質問を終わります。

○ほっち委員 まず初めに、私からは教員の養成についてお伺いをしたいと思います。
 昨今の社会や時代の変化により、学校に求められる内容が複雑化、多様化している中、教員志望の若者の数が減少し、教員採用選考の受験者確保にも苦労しているというふうに聞いております。また、都教育委員会では、これまでも教員の人材育成に取り組んできていると思いますが、このような複雑な社会情勢を背景に、さまざまな問題が起こる教育現場において、対応できる教員を養成していくことは、喫緊の課題というふうに考えております。
 そこで、若手教員の養成に係る現状の認識をお伺いしたいと思います。

○江藤人事部長 ここ数年、毎年約三千名弱の教員が退職し、それに見合う数の若手教員を大量採用している状況が継続しております。また、学校を取り巻く状況は多様化、複雑化しており、若手教員の有する経験や方法では対応し切れない場合もございます。
 そのため、若手教員一人一人が今後身につけるべき力として、学習指導力、生活指導力、進路指導力はもとより、外部との連携、折衝力、学校運営力、組織貢献力などを育成していくことが重要であると認識しております。

○ほっち委員 東京都では、五年後に東京五輪パラリンピックを控え、世界から東京が注目される中、学校教育への期待も一層高まり、教員の養成はますます重要度を増すものというふうに考えております。
 これまでも、東京都教育委員会としても、教員の養成について研修などを通してしっかりと行ってきていると思いますが、特に若手教員は保護者対応や地域とのかかわりを初めとする人間関係に悩み、解決が図れずに、問題が悪化してしまうということもあるように耳にしております。
 そこで、保護者や地域を初めとする人間関係への対応も含め、どのように若手教員の養成を行っていくのか、お伺いをいたします。

○江藤人事部長 都教育委員会は、教員を採用する前に実施しております実践的指導力養成講座におきまして、保護者との信頼関係の構築をテーマに取り上げて研修を行っております。また、初任者研修におきましても、接遇マナー研修を実施し、外部との連携、折衝力を育成しております。
 さらに、校内におきましても、日常的な職務を通してOJTを実施し、教員の人材育成を行っております。このOJTの中で、各教員の役割を明確にして、一人で問題を抱え込まずに組織的に対応することの重要性を共有したり、保護者や地域への対応を円滑に行う取り組み例を示すことなどにより、今後とも研修とOJTを効果的に活用し、教員の力を高めてまいります。

○ほっち委員 続きまして、管理職の担い手不足についてお伺いをいたします。
 管理職をやりたい者がいない、また、管理職に希望が持てないとの、学校の先生方、教員の皆さんの声もよく聞かれます。教員をまとめる管理職の担い手が不足しているということは、東京都の学校教育全体への信頼を揺るがしかねない深刻な問題であります。
 次代の学校経営を担うべき人材を確保し育成することは、急務ではないかというふうに考えます。そこで、管理職の担い手不足の理由についてお伺いをいたします。

○江藤人事部長 教育管理職選考の受験者数が低迷している理由といたしましては、管理職選考の有資格者である三十代後半から四十代の教員が少ないことに加えまして、学校経営を担う意識が若手教員に育っていないこと、副校長などの多忙な姿を見て、管理職の仕事に魅力を見出せないことなどが挙げられます。

○ほっち委員 学校が子供たちの笑顔にあふれ充実した教育活動を行っていくには、校長先生や副校長先生である学校管理職の役割、存在は不可欠であります。管理職の担い手不足の状況がこのまま続くことがあってはならないというふうに考えております。
 そこで、その対策として、特に若手教員の意識をどのようにして学校経営に向かわせるかが重要だと思いますが、管理職確保に向けた今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○江藤人事部長 都教育委員会は、有望な若手教員に対するキャリア形成や学校マネジメント能力の育成を目的に、平成二十六年度から主任教諭等を対象にした学校リーダー育成特別講座を実施しております。二カ年で百八十名が受講し、講座終了後のアンケート結果から、学校マネジメントに対する理解が深まり、管理職を目指す意識が高まったことがうかがえました。今後、受講者を増加させるなど、さらなる拡充を検討してまいります。
 また、学校経営のかなめである副校長の負担軽減に向け、これまで副校長を補佐する主幹教諭の配置数の拡大、授業持ち時数の軽減、アドバイザー役となる教育管理職OBの配置等を行ってきたほか、副校長を補佐する経営支援部の設置校を小中学校で五百四十二校まで拡大してまいりました。
 引き続き、学校経営をリードする管理職の魅力を高めるとともに、管理職を目指す人材の育成を意図的、計画的に進め、管理職確保に取り組んでまいります。

○ほっち委員 校長、副校長は、その責務を果たすために、学校のかなめとして、夢や希望のあふれる魅力ある学校を築くために夜遅くまで、また、地域の行事等に出席のために休日も出勤するなどして貢献をしております。
 しかしながら、管理職を目指す教員が少ない状況であることは、学校運営上、重大な問題であると考えます。リーダーシップのある管理職のもとでこそ、若手教員の指導力や対応力の育成が図られるものであるというふうに思っております。
 都教育委員会は、副校長の負担軽減や学校経営の効率化を図りつつ、学校リーダー育成特別講座によって管理職を目指す人材の育成に取り組んでいるということは評価したいと思いますが、今後も取り組みを推進して、学校教育の充実のためにも管理職の確保に努めていただきたいと要望いたしまして、質問を終わります。

○古賀委員 平成二十七年十月二十六日に東京地方裁判所の判決が出た、教員の懲戒免職処分の取り消し裁判について伺います。
 本件は、都立高校の教壇に立つ三十三歳の男性教員が、勤務する高校の二学年の女子生徒に不適切なメールを送ったなどとして、都教育委員会から懲戒免職処分を受け、教員がその処分の取り消しを求めた裁判であり、東京地方裁判所は、処分は重過ぎるとして取り消しの判決を下しました。
 報道によれば、この教員は、みずからが担任する学級の女子生徒に対して、抱かせてほしい、一緒に横になって寝よう、キスしたいなど、八百四十五通もの不適切な内容のメールを送ったとのことであります。また、その女子生徒に対してネックレスを買い与えたり、修学旅行の感想文の代筆を行ったりもしており、教員自身もこうした行為を認めているようであります。
 この教員の一連の行動が事実だとすれば、教育者としての適格性に重大な疑義があると断ぜざるを得ません。これが多くの都民の偽らざる声ではないでしょうか。
 本日は事実関係を確認し、都民の、殊に子供を学校に通わせている保護者の不安の声にどのように対応していくのか確認するために、本件について何点か質問を行います。
 初めに、この教員が都立高校に通学する女子生徒に対してどのような行為を行ったのか、その概要について改めて伺います。

○江藤人事部長 まず、女子生徒に対するメールの送信についてでありますが、当該教員は修学旅行の就寝時間に、会ったとき一緒に横になって寝よう、つき合ってほしい、俺と一緒になってほしい、結婚してほしい等の不適切な内容を含むメールを送信しました。また、抱かせてほしい、女子生徒の体にたくさん触れる、女子生徒を感じさせる等の不適切な内容を含むメールを送信し、女子生徒に性行為の方法を教示しました。
 さらに、女子生徒を抱きしめたらキスしたくなってキスした等の不適切な内容を含むメールを送信しました。またさらに、勤務時間中に約三週間にわたり合計百四十四通の私的なメールを送信しました。
 このほか、女子生徒に対してネックレスや化粧水、現金一万円を与える、数分間程度自宅に滞在させる行為を行いました。また、代筆した修学旅行の感想文の文案をメールで送信し、二人で会い、マフラー及び手袋を与えております。

○古賀委員 この件について、当然、処分が行われたわけです。懲戒免職とした東京都教育委員会の考え方について、基本的な考えを示してください。

○江藤人事部長 本件において、当該教員は、女子生徒に対して性行為の方法を教示するなど、性行為に導く予備的行為と認定できる行為を極めて執拗に行い、また、女子生徒の両親にも原因があるなどと責任転嫁をして、みずからの行為を正当化するかのような態度を示すなどしました。
 都教育委員会は、本件非違行為を総合的に判断し、本件非違行為の悪質性などに加え、当該教員に教員として基礎的に備えるべき倫理性を期待することは今後も困難であり、なお当該教員を教員としての地位にとどめ置くことを前提とした処分にとどめるのでは足りないといわざるを得ないと判断し、懲戒免職処分としたものでございます。

○古賀委員 至極当然な判断であったというふうに思うんですけれども、東京地方裁判所の懲戒免職処分を取り消すとの判決理由の要旨はどのようになっているか、お答えください。

○江藤人事部長 東京地方裁判所の判決では、都教育委員会が処分の対象とした当該教員の全ての行為において非違性を認定しております。例えば、メールの内容につきましては、性的な内容を含み、恋愛感情を繰り返し表現するものであり、教員が生徒に対して送信する内容として極めて不適切であることは疑う余地がない、教員としての資質及び適格性に疑義を生じさせるものであるとしております。
 しかし、不適切なメールの送信は約三週間という比較的短期間に限られており、他の生徒への影響について、一定の混乱、波乱をもたらした事実は否定できないものの、その程度、範囲は限定的であるといえ、教育現場に大きな波乱がもたらされたと見るのは相当でないとしております。
 また、本件非違行為を、都教育委員会が定める標準的な処分量定に照らし合わせると、最も重い場合でも停職にとどまっており、影響が限定的であるなど、特に重い処分である免職とすべき事情があるとはいえない。よって、本件免職処分は裁量権の範囲を逸脱し、違法であるとしております。

○古賀委員 私は、判決が不当であるかどうかということよりも、非常識な判断に近いというふうにこの東京地裁の判断についてはそう思うんですね。
 今のお答えのように、判決理由によりますと、本件懲戒免職処分は裁量権を逸脱した過重なものかという点が争点と思われます。この点については、都教委は今いかなる見解をお持ちでしょうか。

○江藤人事部長 今回の東京地方裁判所の判決では、不適切なメールを生徒に対して送信する行為の標準的な処分量定は停職にとどまる上、他の生徒への影響の程度、範囲は限定的であり、特に重い処分である免職とすべき事情があるとはいえないとしております。
 都教育委員会は、懲戒処分の基準として、教職員の主な非行に対する標準的な処分量定を定め、これを基本に、個別事情を考慮して処分を実施しておりますが、当該処分量定はあくまでも標準であり、個別の事案の内容等によっては、当該処分量定以外とすることもあり得ると明記しております。また、他の生徒への影響につきましても、混乱、波乱をもたらした事実は否定できないと考えております。
 都教育委員会は、当該教員が女子生徒に対して行った極めて不適切な内容のメールを勤務時間中を含め日常的に送信する、性行為の方法を教示する、また、現金やネックレス、マフラーなどを与えるなどの非違行為を総合的に判断し、当該教員を教員としての地位にとどめることを前提とした処分にとどめるものでは足りないといわざるを得ないことから、懲戒免職処分としたものであり、妥当なものであると考えております。

○古賀委員 それでは、今回の東京地裁の判決を受けて、東京都教育委員会としては今後、本件についてどう対応するのか、いかがでしょうか。

○江藤人事部長 東京都教育委員会が原告に対して平成二十六年七月十四日付でした懲戒免職処分を取り消すとの都敗訴部分について、その取り消しの判決を求めて、平成二十七年十月二十七日、控訴を提起いたしました。

○古賀委員 至極当然の対応をしたというふうに思います。東京地裁の判断には明らかなる瑕疵があると思います。
 こういう教員にも何か支持者というか支援団体のような人がついていて、さまざまな情報がネット上にも流れているわけです。
 私は、今までの都教委が説明してくださった内容等を聞きまして、果たしてこれだけであったのだろうかと思う人は、常識的にたくさんいるというふうに思うんですね。例えば児童福祉法に違反していないのかどうか。あるいは、児童買春ポルノ禁止法に抵触しているのではないか。あるいはまた、ストーカー規制法違反等の事実はなかったのかどうか。こういったことを考える人がいても不思議ではないというふうに思います。
 この当該教員は、しかも、都教委の事情聴取を受けたことや、あるいは研修をさせられた、強制されたということで、教師としての信用を傷つけられたということを挙げて、この裁判では損害賠償五百万円を求めているわけです。全く厚顔無恥な、的外れな要求だと誰でも思うはずですね。
 質疑でも明らかになりましたように、この教員の一連の不適切な行為については、裁判所もその事実は認めているわけです。また、メールについても、教員が生徒に送る内容としては不適切であることは疑う余地がないとも裁判所は認めています。その上で、教育現場で起きた混乱は限定的とし、教員の行為をもってしても標準的な処分量定に加重して、特に重い処分をすべき事情があるとはいえないと判断しているわけです。
 こういう行為を行う、つまり、性的なこういう事件を起こす人というのは再犯の確率が非常に高いわけですね。犯罪的な事実、刑法に触れる事実が特定されたわけではありませんけれども、こういう性癖のある人というのが再び教壇に立つことはいかがなものかという、極めて常識的な都民の考え方は、私は当然だというふうに思います。
 この東京地裁の今回の判決、控訴したわけですから、これから都教委としては裁判においてこの処分の妥当性を当然主張していくわけでありますけれども、今回の地裁の判断が妥当であるとうなずく親というのは恐らくいないというふうに私は思います。このような教員がいる学校に親御さんが大切な子供を預けることは、普通は誰しも忌避したいと、避けたいというふうに思うはずです。
 児童生徒を守り育てる教員には、高い倫理観と信頼が求められます。当然のことです。そうした期待を裏切るような教員に対して、東京都教育委員会が当然の処分を行うのは、至極当たり前のことであります。先ほど、今回の判決を受けて先月の十月二十七日に控訴したということでありますので、その答弁がありました。
 東京都教育委員会は、ぜひ引き続き、都民、そして保護者の目線に立って教員の服務規律の遵守、信頼性の向上に取り組むよう強く要望し、私の質問を終わります。

○植木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時四十七分散会

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