文教委員会速記録第十五号

平成二十七年十一月十二日(木曜日)
第三委員会室
午後一時一分開議
出席委員 十三名
委員長植木こうじ君
副委員長里吉 ゆみ君
副委員長高木 けい君
理事栗山よしじ君
理事ほっち易隆君
理事野上 純子君
小松 久子君
山崎 一輝君
野上ゆきえ君
今村 るか君
鈴木貫太郎君
古賀 俊昭君
斉藤あつし君

欠席委員 一名

出席説明員
生活文化局局長多羅尾光睦君
次長桃原慎一郎君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務武市 玲子君
広報広聴部長樋渡 幸生君
都民生活部長山中 康正君
消費生活部長山本  明君
私学部長加藤  仁君
文化振興部長鳥田 浩平君
都政情報担当部長濱田 良廣君
男女平等参画担当部長斎田ゆう子君
文化施設改革担当部長越  秀幸君

本日の会議に付した事件
生活文化局関係
事務事業について(質疑)

○植木委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、生活文化局長から幹部職員の紹介があります。

○多羅尾生活文化局長 さきの人事異動に伴い、兼務発令のございました幹部職員を紹介させていただきます。
 総務部長でオリンピック・パラリンピック調整担当部長を兼務いたします武市玲子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○植木委員長 紹介は終わりました。

○植木委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○武市総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る十月十五日の当委員会におきまして要求のありました資料についてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております平成二十七年文教委員会要求資料をごらんいただきたいと思います。
 表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、今回要求のありました資料は七件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、消費生活相談員数、及び都・区市町村ごとの相談受付時間等の状況でございます。
 (1)には、平成二十七年四月一日時点の都及び区市町村の消費生活相談員数について記載しております。
 また、(2)には、都及び各区市町村における相談受け付け時間等について記載しております。
 二ページをお開き願います。2、平和の日関連事業の予算の推移でございます。
 平和の日関連事業につきまして、事業別に、平成十八年度から平成二十七年度までの予算額の推移を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、東京空襲犠牲者名簿の登載人数の推移でございます。
 平成十八年三月から平成二十七年三月までの名簿登載人数の推移を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、文化振興施策に係る予算及び決算の推移でございます。
 表の左側に記載の区分ごとに、平成二十三年度から平成二十六年度までの予算額及び決算額の推移並びに平成二十七年度の予算額を記載しております。
 なお、備考欄には当該事業区分に係る主な事業をそれぞれ記載しております。
 五ページをお開き願います。5、都立文化施設等に係る予算及び決算の推移でございます。
 表の左側に記載の施設ごとに、平成二十三年度から平成二十六年度までの予算額及び決算額の推移並びに平成二十七年度の予算額を記載しております。
 六ページをお開き願います。6、都立文化施設等の職種別職員数の推移でございます。
 表の左側に記載の施設ごとに、平成二十三年度から平成二十七年度までのそれぞれ四月一日時点における常勤職員数について、雇用形態別及び職種別に区分して記載しております。
 七ページをお開き願います。7、アーツカウンシル東京、東京文化発信プロジェクト、及びヘブンアーティストの内容と予算及び決算の推移でございます。
 (1)、アーツカウンシル東京が実施している事業につきまして、表の左側に記載した主要事業の区分ごとに、平成二十四年度から平成二十六年度までの予算額及び決算額をそれぞれ上段及び下段に、平成二十七年度は予算額を上段に記載しております。
 八ページをお開き願います。
 (2)、文化発信プロジェクトとして実施した事業につきまして、表の左側に記載した主要事業の区分ごとに、平成二十三年度から平成二十六年度までの予算額及び決算額をそれぞれ上段及び下段に記載しております。
 九ページをお開き願います。
 (3)、ヘブンアーティスト事業につきまして、平成二十三年度から平成二十六年度までの予算額及び決算額をそれぞれ上段及び下段に、平成二十七年度は予算額を上段に記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○植木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山崎委員 私から、まず、東京ボランティア・市民活動センターの機能強化についてを質問させていただきたいと思います。
 二〇二〇年、平成三十二年、東京五輪パラリンピックの大会成功のためには、大会に関するボランティアの活躍が大変不可欠であります。
 また、この一大イベントである大会が終了した後も、大会を契機に、ボランティア活動に参加した多くの都民が引き続きボランティア活動を行っていることもまた重要であります。
 実際に、二〇一二年のロンドン大会においては、ロンドン市が運営する観光ボランティア、ロンドン・アンバサダーが今も観光客への案内役として活動しているわけであります。
 私も先日、ロンドンに視察に行ってまいりました。ラグビーと、またオリンピックの施設を見てきたわけでございますが、とにかくロンドンのまちが活気があって、何でこんなに観光客が多いんだろうと、非常に目の前で感じたわけであります。そういったことも含めて、さまざまな角度から質問させていただきたいと思います。
 また一方、日本に目を向けますと、平成二十三年三月の東日本大震災の際には、多くの人々が災害ボランティアとして被災地に入って活動したことは記憶に新しいわけであります。
 また、地域社会においては、古くから町会、自治会の方々がボランティア精神に基づくさまざまな活動を行うことで、共助社会の推進に貢献をしてきました。
 私は、こうしたボランティア活動への関心や経験を次の時代につなげていくことが今こそ求められているのではないかと考えるわけであります。
 また、日本社会は、現在、四人に一人が高齢者で、二〇六〇年には四人に一人が後期高齢者になるといわれており、高齢化が進んでいく中、自助、公助に加え共助を進めていく上でも、その中核となるボランティア活動はさらに重要な役割を担うこととなるわけであります。
 ボランティア活動に対する支援については、東京都社会福祉協議会、社協が東京ボランティア・市民活動センターを設置し、これは飯田橋にありますけれども、ボランティア、市民活動の推進などの事業を行っているわけです。
 都は、これまでも、東京ボランティア・市民活動センターを支援し、機能や連携を強化して、センターを通じてボランティア活動に関する事業を行ってきたと聞いています。
 そこでまず、ボランティア活動を支援するために、東京ボランティア・市民活動センターにおいて現在どのような事業が行われているのか伺います。

○山中都民生活部長 都は、広域的な立場からボランティア活動を推進するため、民間としての知識や経験が豊富な東京都社会福祉協議会の設置する東京ボランティア・市民活動センターと連携して事業を進めてまいりました。
 東京ボランティア・市民活動センターでは、ボランティア関係団体等への直接的な支援に加え、区市町村のボランティアセンターの支援に取り組んでおります。
 具体的には、ボランティアに関する情報を提供するボラ市民ウェブというサイトを運営し、都民やボランティア関係団体に対するボランティア募集情報や団体の活動情報などの提供を行っております。
 そのほか、ボランティア関係団体等の運営に関する個別の相談への対応、ボランティア活動に参加する側と受け入れ側とをつなぐ上で重要な役割を担うコーディネーターの養成や企業との協働による社会人ボランティアの促進など、さまざまな事業を行っております。

○山崎委員 現在、センターではさまざまな事業を行っていることが今の答弁でわかりました。
 しかし、国の調査によれば、ボランティア活動に関心のある人が六二・三%であるのに対して、実際に活動している都民は二四・六%となっており、必ずしも活動に結びついていないという結果が示されております。
 今後は、こうした人たちや、そもそも関心のない人、そして、活動を支えている団体も含めて、都民がボランティア活動に参加しやすくなるための支援をしっかり行わなければならないと考えます。
 そこで、国の調査結果も踏まえて、都は、ボランティア活動の支援に向けた課題をどのように捉えているのか伺います。

○山中都民生活部長 都では、共助社会づくり推進のための指針策定に向けて設置した検討会における意見や有識者からのヒアリングを通じまして、課題の把握に努めているところでございます。
 現時点では、多様なニーズに応じたボランティア活動をする上で必要となる情報の量や質が十分でないことや、参加する側と受け入れ側とをつなぐボランティアコーディネーターが不足していることなどが課題であると考えております。
 また、三十歳前後の若い世代など、多忙な方々が短時間でも気軽に参加できる活動場所が少ないなど、活動機会の提供も課題と考えております。

○山崎委員 情報の量や質が十分でないということや、また、参加する側と受け入れ側をつなぐボランティアコーディネーターが不足しているという課題が、今、答弁によって挙げられたわけであります。
 情報を提供しても、都民に見てもらえなければ意味がありません。ことしの九月に、東京都のホームページにおいて、庁内各局が別々に募集をしていたボランティアの情報を初めて一元的に提供するページを開設いたしました。
 都は、多くの課題の解決にボランティア活動の推進を強力に進めていくためには、常にこうした新しい取り組みを行っていく必要があります。
 都のホームページの左下の方、ボランティアというふうに私も拝見しましたけれども、そこのボランティアのところをクリックすれば、各局のさまざまなボランティア活動に飛んでいくような形になっております。
 今こそ都は、都民やボランティア関係団体などに対する支援をより一層充実させていくために、東京ボランティア・市民活動センターの役割を踏まえ、その機能をしっかりと強化しなければならないと考えます。
 そこで、都は、都民やボランティア関係団体などを支援するため、どのように東京ボランティア・市民活動センターの機能強化を図っていくのか伺います。

○山中都民生活部長 東京都長期ビジョンにおきまして、ボランティア参加者や活動団体への情報提供、企業、NPOなどとの協働、連携を進めるなど、都民の幅広い社会貢献活動を促進することとしております。
 そこで都は、まず今年度、東京ボランティア・市民活動センターの活動を支援し、新たに、企業等に対するメールマガジンを配信したり、ボランティア活動などを紹介する機関誌「ネットワーク」の配布部数、配布先を拡大するなど、情報提供の充実を図るとともに、職員を増員し、都民やボランティア関係団体などからの相談体制を充実するなどの機能強化を図っております。
 今後も、先ほど述べました課題を解決するため、東京ボランティア・市民活動センターのさらなる機能強化を図ってまいります。

○山崎委員 都は、今後も、社会や地域の課題解決のために、東京ボランティア・市民活動センターの機能充実など支援を強化し、一層連携を図ることで都民のボランティア活動を推進していく旗振り役にならなければならないと考えます。
 そこで、最後に、都民のボランティア活動の推進と東京におけるボランティア文化の定着に向けた局長の決意を伺います。

○多羅尾生活文化局長 二〇二〇年大会を契機に、一層醸成が進んだ都民のおもてなし精神とその活動が一過性で終わることなく、大会後も東京のボランティア文化として定着し、東京の活力向上に寄与していくことが重要であると認識しております。
 そのため、共助社会づくりを進めるための東京都指針を年度内に策定し、今後の都としての取り組みの方向性や施策の考え方を示してまいります。
 その中で、ボランティア活動を取り巻くさまざまな課題を解決するためには、今後も、東京ボランティア・市民活動センターの機能の強化をするための適切な支援を行うとともに、一層の連携を図ることが重要であることを示していく考えでございます。
 さらに、ボランティア機運醸成を図るため、ことし九月、オリンピック・パラリンピック準備局とともに設置した東京都ボランティア活動推進協議会における取り組みを進め、官民連携して社会全体にボランティア活動のムーブメントを起こしていくことも重要でございます。
 こうした取り組みにより、大会後のレガシーとして、東京にボランティア文化を定着させ、ともに支え合う東京を目指していきたいと考えております。

○山崎委員 今、局長から答弁をいただいた中に、ことしの九月、オリンピック・パラリンピック準備局とともに設置をした東京都ボランティア活動推進協議会、こういったものもあるわけでございますから、まずはしっかりとセンターを支援し、そして、機能や連携を強化することで、ボランティア活動の推進に向けた事業に取り組んでいただくことを強く要望していきたいと思います。
 次の質問に移らせていただきます。私も今まで、この文教委員会の中、また一般質問等で、消費者被害の観点からさまざまな質問をしてまいりました。
 今回は、架空請求による被害防止について何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 身に覚えのない料金の請求を受けたなどのいわゆる架空請求によるトラブルは、十年ほど前、携帯電話やパソコンの普及を背景に爆発的にふえたものの、取り組みが進んで、最近は鎮静化していたものと私は思っていました。
 ところが、有料サイトの未納料金を支払わなければ、訴訟を起こし、財産を差し押さえると記載した催告状をメールで送りつけて脅し、次々と請求を行っていた事業者の手口が新聞等で報じられております。
 このような事例はよく聞く話でありますが、最近のスマートフォンの普及もあり、架空請求による被害は再びふえてきているのではないかと思います。
 そこでまず、平成二十六年度における架空請求に関する相談状況について伺います。

○山本消費生活部長 一般に架空請求とは、実際には契約が成立していないにもかかわらず、料金を支払わなければならないなどと威迫し、困惑させて請求するものをいいます。
 このような架空請求等に関する平成二十六年度の相談は約二万一千件と六年ぶりに二万件を超え、対前年度で三割を超える大幅な増加となっており、この傾向は平成二十七年度に入っても続いております。
 寄せられた相談のうち、約四割がスマートフォンの利用中のトラブルに関するもので、前年度から七割近く急増しております。また、性別、年代を問わず、広く相談が寄せられていることが特徴でございます。

○山崎委員 架空請求は、性別、年代を問わず広く相談が寄せられて、あらゆる人が被害に遭っていることがうかがえるわけでありますが、これはスマートフォンの利用者が若者だけでなく高齢者まで、幅広い年代層に広がっていることが背景にあると思います。こうしたスマートフォンの普及を受けて、架空請求に関する手口も変わってきたのではないかと思います。
 そこで、最近の架空請求に関する特徴的な手口にはどのようなものがあるのか伺います。

○山本消費生活部長 最近は、スマートフォンの機能に着目したより巧妙な手口がふえております。例えば、芸能人等のサイトを閲覧している消費者を巧妙にアダルトサイトに誘い込み、年齢確認ボタンをクリックするだけで登録完了と表示し、契約が成立していないにもかかわらず高額な料金を請求するものなどがございます。
 さらに、スマートフォンの電話機能を悪用し、登録取り消しを案内するボタンをタッチさせることで自動的に電話がつながるものがございます。これにより消費者の電話番号を取得した上に、解約料を請求するというものでございます。
 これらの手口は、消費者を心理的に動揺させ、慌てて操作させようとするところに狙いがあり、最近では架空請求の被害に遭った消費者を狙って、消費者トラブルを解決する公的機関を装い、消費者に高額な料金を請求する事業者もあらわれております。

○山崎委員 アダルトサイトというと男性が被害に遭うというイメージがあるわけですが、今の答弁の中にもありましたように、女性でもアダルトサイトに意図せず誘導されてしまうようなことがあり、手口がより巧妙化し、男女を問わず被害に遭う可能性があるということであります。
 さらに、被害に遭い、困っていることにつけ込んだ手口までもが発生し、悪質きわまりなく、断じてこういったものは許すことのできないものであります。
 都は、このような現状を踏まえ、どのような取り組みを行っているのか伺います。

○山本消費生活部長 都は、これまでも、架空請求に関する注意喚起を行うとともに、警視庁等への事業者情報の提供を行ってまいりましたが、架空請求に関する相談の急増を受け、新たな取り組みとして、ことし八月を架空請求対策月間と位置づけ、集中的な普及啓発を展開いたしました。
 具体的には、ホームページ、東京くらしWEBの架空請求対策ページを一新し、実際の架空請求サイトを模したイメージ画像を作成して手口を具体的に紹介し、事業者の狙いを解説するとともに、その対処方法を説明しております。
 また、大手通信事業者等に呼びかけまして、各社ホームページに都の対策ページへのリンクを張っていただき、広く注意喚起を図ったところでございます。
 対策月間中の都の架空請求対策ページの閲覧数は約六万件で、前月の約三倍となり、効果的な情報提供を行うことができたというふうに考えております。
 架空請求は、契約が成立しておらず支払い義務がないことから、相手に連絡しない、支払いに応じないことが一番の対処方法でございます。
 今後とも、こうした対処方法や被害に遭った消費者を狙う手口等について注意喚起を図るとともに、引き続き警視庁への情報提供をより密に行うなど、架空請求対策に積極的に取り組んでまいります。

○山崎委員 今の答弁の中にありました、とにかく架空請求に関する注意喚起を行う、そしてまた、大手の通信事業者等にも呼びかけ、各社のホームページに都の対策ページをリンクしてもらって、広く注意喚起がとられている、そういう形になっております。
 東京都のホームページの生文の中に、大手の通信事業者、例えばNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、こういった大手のところもしっかり入っておりますし、やはりまずそういった注意喚起というものを皆さんに見てもらわなければ意味がないわけでございますから、強化月間でいろいろな閲覧数がふえているという話になっておりますけれども、ぜひ引き続き対策に取り組んでいただきたいと思うわけでございます。
 架空請求による消費者被害を未然に防止するためには、その手口や対処法を迅速に情報提供することが極めて有効であります。今の答弁にあったように、ホームページで事業者を狙い、紹介をしながら手口を具体的に伝えるのは、消費者にとって大変わかりやすいものでもあります。
 スマートフォンの利用が広がり、その機能も進化をして便利になっていく反面、悪質な事業者は次々と新たな手口で消費者を陥れようとする。また、操作にふなれな高齢者などが被害に遭うケースもふえてくるのではないかと思うわけであります。
 都は、今後とも、さまざまな機会を捉えて注意喚起を行い、架空請求による被害防止に向けて積極的に取り組んでいってもらいたいことを要望して、私の質問を終わります。

○野上(純)委員 最初に、文化振興について質問させていただきます。特に、障害者の芸術活動に対する支援について質問をいたします。
 三・一一の東日本大震災のときにも、登録作家、これは障害のあるアーティストさんたちから何かできることはないかという声が上がりました。つながりのあった被災地域の作業所や施設が津波で流されてしまったということで、大幅に仕事もなくなり、また仕事をする場もなくなり、いろいろな道具や材料とかも流されて何もなくなってしまった。
 そして、そういう登録作家さんが自分たちの絵をもとにしてさまざまなグッズをつくって、売り上げの一部を被災地の障害のある人々の仕事の復興に役立ててもらおうというプロジェクトが立ち上がっておりました。
 登録作家の方々の感覚というのは非常に優しいもので、つい自分の身の回りに、バッグとかにつけたりとか、身の回りの文具とかに使いたいなという、心を癒やすような効果があるもので、私もたくさん買って応援をいたしました。
 そういう意味で、東京を文化の面でも世界一の都市とするためには、障害者の方々の芸術活動の支援に力を入れることが重要だと考えております。
 我が党は、これまでも、アーツカウンシル東京を積極的に活用し、地域の中で障害者を初めあらゆる人々が文化芸術活動を展開できるよう、都が支援すべきであると主張してまいりました。
 この主張を受けまして、さまざまな人が文化芸術を享受できる社会基盤の構築を目指して、新たな制度として、芸術文化による社会支援助成を創設したと聞いております。せっかくこのような助成制度ができたのでありますので、有効的に利用される必要がございます。
 そこで、この新たな助成制度の内容と今後の取り組み状況についてお伺いいたします。

○鳥田文化振興部長 芸術文化による社会支援助成は、NPOなどのさまざまな団体を対象に、障害者を初め高齢者、子供、外国人などと芸術文化活動をつなぐ活動に対し、助成対象経費の三分の二以内で百万円を上限に助成することにしております。
 今年度は、募集に当たって説明会を行い、多くの障害者を支援する団体にこの制度を活用してもらえるよう働きかけました。
 第一期募集では十二件の申請があり、うち十件に対して合計で約六百五十万円の助成を決定いたしました。
 具体的な助成事業の例としましては、視覚障害者向け音声ガイドの製作者育成講座や、ろう者劇団による国際手話を使った手話狂言により、国や障害の有無を問わず楽しめる形で海外へ発信するプログラムなどでございます。
 なお、現在、第二期の募集を行っているところでございます。

○野上(純)委員 申請について、第一期の申請が十二件で、現在も第二期の募集を行っているということでございますので、団体の方からはこの制度はすばらしい制度である反面、もっと早く知っていれば、これに合った事業を組み立てることができたという意見も伺っております。
 現在、第二期の募集を行っているということでございますので、そこで私が聞いたもののほか、どのような意見があったのか、またそれを受けて、この制度を今後どう運用していくのかについてお伺いいたします。

○鳥田文化振興部長 助成団体からは、福祉とアートをつなぐ活動も対象になる助成プログラムはなかったため今回の制度は画期的であるや、対象団体を芸術文化団体のみならず、福祉や教育など他分野のNPO等にも広げたことで、多岐にわたる活動が支援されるといった声をいただいており、一定の評価を得ているものと認識しております。
 一方、ご指摘があったように、募集期間が短かったとのご意見もいただいているところであります。
 今後は、さまざまな団体の意見などを聞き、募集期間の見直しや説明会の開催について、より周知を図るなど、制度の円滑な運用に努めてまいります。

○野上(純)委員 ぜひ、次もあることでございますので、募集期間をもう少し長目にしたり、制度の円滑な運用に努めていっていただきたいと思います。
 障害者の文化芸術活動のさらなる振興のためには、今後、この助成制度をさらに多くの団体が利用できるように幅広い周知をお願いいたします。
 あらゆる人々への文化芸術活動の支援という観点から考えると、将来を担う子供たちが文化芸術に親しみ、豊かな感性と創造性を養っていくことは非常に大切なことであると思います。
 今も多分やっていると思うんですけれども、年に一回、小学校六年生を対象にして、無料で日生劇場で劇団四季の舞台を見られることがございます。子供たちは大変に感動して、本物のミュージカルに触れたということで感動し、そして、今ちょうど学芸会シーズンで行われているものの中にも、子供たちが自分の目で見た作品をかなり多く演じております。ですから、そうした意味で、子供たちが本物の芸術に触れるということが大事だと思っております。
 それと、三月三十一日に、墨田区の曳舟文化センターでこども歌舞伎というのをやっておりまして、私たちも見学に参りました。非常に感銘を受けました。子供が真剣にこうしたこども歌舞伎に取り組んで、長いせりふを全部覚えているということに対しても、それから本物のお師匠様に教えていただいて、子供の育成に大いに寄与するものであったと思っております。
 このように、子供たちが文化芸術を体験できる機会を提供していくことは大変重要なことでございます。
 そこで、都が、将来を担う子供たちに向けて行っている体験事業の取り組みとその成果についてお伺いいたします。

○鳥田文化振興部長 都は、芸術文化を通じた子供たちの育成が重要であると認識しており、本格的な取り組みとして、平成十六年度から子供たちが芸術家と直接触れ合い、演劇や音楽などを体験する子供向け舞台芸術参加・体験プログラムを開始し、これまでに十五万人以上の方が参加しております。
 また、平成二十年度からは、能や長唄などのお稽古を受け、発表会を行うキッズ伝統芸能体験を実施しています。
 子供たちからは、楽しかったという声だけではなく、自分の世界が広がったなど成長を感じる声が上がるとともに、講師にも、子供たちに教えるノウハウが蓄積され、子供によりわかりやすく伝えられるようになったといわれています。
 さらに、平成二十五年度からは、東京文化会館において、子供が歌やダンスを通じて音楽に親しめる体験事業のリーダーの育成を新たに開始するなど、人材養成にも取り組んでおります。
 今後とも、体験事業の担い手たる人材の育成も進めながら、次代を担う子供たちがさまざまな芸術文化に触れられるよう、事業を充実させてまいります。

○野上(純)委員 継続は力なりということが、多くの子供たちが文化芸術のすばらしさに触れて、創造する喜びを感じて成長していけるよう、今後も、この体験事業を続けていっていただきたいと思っております。
 次に、女性の活躍とワークライフバランスの推進について質問させていただきます。
 私は、ことしの第一回定例会の一般質問の中で、女性の活躍推進に向けた人的ネットワーク形成が重要であると指摘をして、それを受けて局長から、新たに働く女性を対象として連続講座や交流会を東京ウィメンズプラザで実施する旨の答弁をいただきました。
 先週、笑顔で働き続けたいママへの応援プログラムの実施が発表されました。参加者の募集が開始されたところであります。いよいよ働く女性への支援事業が始まることは、日々悩みながら仕事や育児に邁進している女性にとっては朗報であると思います。
 まず最初に、本事業の目的と概要についてお伺いいたします。

○斎田男女平等参画担当部長 昭和六十年に男女雇用機会均等法が制定されてから三十年もの間、第一子出産後の離職率が六割を超える状況が続いております。
 その背景には、就業を継続する上での悩みや不安について、とりわけ小規模の企業などでは、社内で相談できる女性の先輩や上司がいまだ少ないことがあるといわれております。
 本事業は、働き続けることを希望する女性が専門家の助言を受けながら、働く母親同士で悩みを分かち合い、つながることで、みずからの課題解決能力を向上していくことを目的としております。
 具体的には、女性のライフデザインの専門家であるジャーナリストの白河桃子さんなどを講師に迎え、上司、同僚など周囲の協力を得ながら、仕事と子育てを両立していく工夫や、夫の育児参加を促していく方法など、実践的なワークショップを四回にわたり開催いたします。
 このワークショップには、組織で働く先輩女性も参加し、参加者への助言を行うこととしております。その上で、SNSの活用などを通じて、参加者同士の持続的な交流を促し、人的ネットワークの形成を図ってまいります。

○野上(純)委員 ぜひとも一過性の支援にならないように、またできるだけ多くの方が受講できるように、例えば子連れで参加する方もいると思いますので、子供の保育をする場所を確保するとかしていただければと思っております。
 一方、ごく一部のエリート女性のための養成所にならないかとの懸念もあります。行政が働く女性を支援していこうとするからには、幹部候補生の、俗にいうバリキャリだけを対象とするのではなく、中小企業に勤務し、周囲に女性の先輩がほとんどいない中努力している女性や、働き続けることに不安を持っているごく普通の働く母親たちを中心に備えてもらいたいと考えております。
 参加者の募集に当たっては、働く母親に幅広く呼びかけていくことが必要であると思うんですけれども、そのことについての所見を伺います。

○斎田男女平等参画担当部長 本事業は、さまざまな立場で働く母親への支援を目的としていることから、募集に当たりましては、中小企業で働く母親、非正規の母親、さらにはこれから母親になる女性にも意欲的に応募してもらいたいと考えております。
 そのため、事業者団体の協力をいただき、幅広く参加者の募集を行うほか、ツイッター、メールマガジンなども活用いたします。
 あわせて、働く母親三万人が登録、閲覧するフェイスブックからも発信し、年齢、職層、企業規模を問わず、多様な層に対する広報を展開してまいります。
 また、理事ご指摘のように、保育につきましても、通常の講座より多く、三割程度の保育要員を考えてございますので、幅広く募集を募ってまいりたいと考えてございます。

○野上(純)委員 新たな事業実施が、働き続けることを希望する母親の後押しになることを期待いたします。
 今回は、全部で四回の連続講座ということでありますけれども、今後、東京ウィメンズプラザで毎月のように働く母親の集まりがあり、そこへ行けば悩みや不安が軽減できると、女性たちが足を運ぶような施設になってもらいたいと思っております。
 一方、人的ネットワークの形成が働く母親だけを対象とするのであれば、いまだ十分とはいえません。最近の若い父親は、育児の重要性や楽しさを知り、積極的に子育てにかかわろうとする方も多いと思います。
 ところが、いざ行動に移そうとすると、ノウハウがなかったり、周囲が母親ばかりで孤独感を覚えることがあると聞いております。
 そこで、子育てに関心のある父親に対しても、父親同士の交流を通じて、人的ネットワークを形成する事業を実施すべきと考えますけれども、見解を伺います。

○斎田男女平等参画担当部長 昨年度、新たに男性のための育児参画事業を開始いたしました。しかしながら、参加者が継続的に家事、育児への参画意欲を持ち続けるためには、参加者同士のネットワークづくりが重要と考えまして、今年度は内容を大幅に見直して事業を実施する予定です。
 具体的には、参加する男性が人的ネットワークを形成できるよう、男性が子育てを楽しむ社会をつくることを目的とするNPO法人と連携の上、三回の連続講座やその後の自主グループ活動などを通じて、参加者同士の人的ネットワーク形成を支援するとともに、男性の家事、育児への参画を促進してまいります。

○野上(純)委員 男性は、いわゆるママ友のようになかなか一回で打ち解けることが難しいと思います。こうした新たな取り組みに期待をいたします。
 東京ウィメンズプラザが、男性も女性も笑顔で働き、子育てを楽しめるよう支援を強化し、名実ともに女性活躍とワークライフバランスの推進拠点となることを望み、次の質問に移ります。
 次は、配偶者暴力対策について質問させていただきます。
 私の住んでいる葛飾区の報告書を読んでいますと、一年間に結婚した組数、そして一年間に離婚した組数、それを割り返すと、三組に一組以上が離婚しております。
 そして、今、DVというのは三組に一組の割で起こっているということもいわれております。これはもう、かなり喫緊の課題だと思っております。
 DV、あるいは親から子供への虐待、そして学校内でのいじめ、それから最近多い動物虐待等、人々の心の根底を変えていかなければいけないというか、そういうことも思っております。
 配偶者暴力は特に家庭内で生じるので、当事者にとって単なる夫婦げんかや配偶者間のもめごと、争いではないかとのこともいわれますし、夫婦げんかは犬も食わないとかいろいろありますけれども、そうした認識がこの問題への適切な対応や支援をおくらせてしまう原因にもなりかねません。
 そのため、都民にとって、より身近な地域で気軽に相談でき、適切なアドバイスや支援を受けることができる相談機関の整備が進むことが重要であると考えております。
 都内でも、配偶者からの暴力の防止や被害者の保護等の支援を行う配偶者暴力相談支援センターの整備が進みつつありますが、こうした支援センターで受け付けた相談を含め、都全体の相談件数の状況について、まず最初にお伺いいたします。

○斎田男女平等参画担当部長 平成二十六年度において、東京ウィメンズプラザ、女性相談センター、区市町村及び警視庁が受け付けた配偶者暴力に関する相談は合計で約四万三千件となり、平成十五年度の統計開始以来最高となりました。
 特に区市町村における相談件数の伸びが顕著で、平成二十六年度は合計で約三万一千件と全体の約七割を占めております。
 その背景には、社会における配偶者暴力に関する認識が高まったことに加えて、配偶者暴力相談支援センターの機能整備等、区市町村における相談体制の充実があると認識しております。

○野上(純)委員 都域全体での相談件数は年々増加し、その背景には区市町村における相談体制の充実があるとの認識だったと思います。
 身体的暴力が繰り返され、心身に明らかなダメージが与えられるような確定的な状況ではなくても、当事者が不安や悩みを抱える段階から、身近な地域で気軽に相談できる体制が整備されることは、都民にとって大きな安心材料になります。
 都は、配偶者暴力相談のセンター・オブ・センターズとして、地域における専門相談窓口である支援センターの機能整備に向けて、区市町村をしっかりと支援していくべきと考えますが、所見を伺います。

○斎田男女平等参画担当部長 全ての区市町村で配偶者暴力の相談について対応しているところではありますが、配偶者暴力相談支援センター機能を整備することによりまして、区市町村において直接相談の事実に関する証明書を発行できるようになり、より迅速に関係機関と連携した被害者支援を行うことができるようになります。
 このため、都としましても、区市町村に対して積極的にセンター機能整備を働きかけてきたところでございます。
 本年十一月現在、区市町村においてセンター機能が整備されているのは九区であり、さらなる整備が必要でございます。
 そのため都は、区市町村におけるセンター機能の整備促進に向け、相談のかなめとなる区市町村相談員の養成など、各種研修の実施に加えて、配偶者暴力に関するさまざまな情報を盛り込んだメールマガジンの発行や区市町村に対する個別の出張相談であるアウトリーチ活動を行っております。
 このうちアウトリーチは、今年度、二十区市町村に実施する予定でございまして、現在のところ十八区市町に対して実施しております。
 今後とも、当事者にとってより身近な区市町村の相談体制整備に向けて取り組みを強化してまいります。

○野上(純)委員 区市町村における相談体制の充実に向け、都がさまざまな支援をしていることがわかりましたけれども、現在、相談支援センター機能が整備されているのはまだ九区であるということでございます。
 引き続き区市町村におけるセンター機能整備に向けて、都がセンター・オブ・センターズとしてしっかりと支援強化に取り組んでいっていただきたいと思っております。
 次に、当事者ではなく、配偶者暴力のある家庭で育った子供に対する支援について伺います。
 子供の目の前での配偶者暴力は心理的虐待に当たるとされております。都が相談者に対して行った調査によると、配偶者暴力のある家庭で育った子供には、加害者への憎悪、恐れ、緊張、性格、情緒のゆがみが生じているとの回答がございました。
 配偶者暴力は、直接の被害者はもちろんのことですが、それを目撃してしまった子供の心にも大きな傷跡を残すものであります。
 子供の心の傷を回復するための支援が必要であると考えますが、所見を伺います。

○斎田男女平等参画担当部長 配偶者暴力の直接の被害者である母親には、子供を加害者の暴力から遠ざけるために子供の行動を抑制したり、つい強く叱ってしまったりといった行動パターンが見られるほか、子供にも、先ほど理事がご指摘になったような変化があらわれることがあります。
 そのため、直接の被害者である母親に対する支援に加え、その子供に対する支援を行うことが重要でございまして、東京ウィメンズプラザでは、親子の心の安定と信頼関係の回復を図るため、子供と母親に対する心理教育プログラムを実施してございます。
 このプログラムは、人形、絵本、紙芝居などを用いて、グループでの遊びを通じたコミュニケーションを図ることにより、暴力のない関係づくりを学ぶため、毎年、未就学児対象と小学校低学年対象の二つのコースに分けて実施しております。

○野上(純)委員 親子ともども心理面でのケアを充実し、自立へと導くことが重要と考えます。こういった取り組みは、ぜひ今後も続けていっていただきたいと思います。
 一方、親子への支援を初め十分な被害者支援を行うためには、東京ウィメンズプラザに限らず、民間の支援団体によるさまざまな活動もまた大変重要であります。
 民間団体は、自立に向けた準備をするための施設であるステップハウスの運営、就労支援講座の開催など、きめ細かな活動を行っておりますが、総じて財政基盤の脆弱なところが多いと聞いております。
 このため、こうした団体への支援を充実させ、都の配偶者暴力対策の強化を図るべきであると考えますが、局長の見解をお伺いいたします。

○多羅尾生活文化局長 配偶者暴力被害者の自立に向けては、まずは暴力行為をストップさせる当面の救済から始まり、法律的、心理的、経済的な側面からのいわば生活全体をフォローする息の長い支援が必要でございます。
 このため、行政による取り組みだけではなく、民間団体が地域で行うきめ細かな活動が継続的に実施されていくことが重要でございます。
 これまで都は、被害者の不安軽減のための同行支援や--付き添うことでございますが、民間シェルターの安全対策等に取り組む民間団体に対して助成を行ってまいりました。
 今年度からは、このような助成に加え、被害者の自立に向けた多様なニーズに、より的確に応えていくため、それぞれの団体がみずからの強みを生かしつつ、複数の団体と連携して取り組む活動も新たに助成の対象としております。
 これにより、例えば被害者の日常生活の支援を行う団体が中心となって、就労支援に豊富なノウハウを有する団体やメンタルサポートを得意とする団体と連携することで、被害者の状況に応じた、より総合的な支援活動が促されると考えております。
 今後とも、民間団体が、個々の被害者の置かれている状況やニーズに沿った切れ目のない支援を行えるように、より効果的な助成事業の構築、展開に取り組んでまいります。

○野上(純)委員 最後です。今後とも、ぜひ都と民間団体が連携をして、配偶者暴力の撲滅はもちろんのこと、被害者への継続的な支援の充実に向けて取り組んでいただきたいことを要望して、質疑を終わります。
 以上です。

○里吉委員 資料をご用意いただきありがとうございました。
 私からは、まず本日は、専修学校に関連して大きく二つ質問いたします。
 専修学校は、学校教育法の中で、職業もしくは実際生活に必要な能力を育成し、または教養の向上を図ることを目的とする学校であるとされ、実践的な職業教育、専門的な技術教育を行う教育機関として、多岐にわたる分野でスペシャリストを育成しております。
 専修学校は、入学資格によって、専門課程、いわゆる専門学校と、高等課程、いわゆる高等専修学校、そして一般課程の三つに分類されます。そのうち、まず専修学校の高等課程、いわゆる高等専修学校について質問いたします。
 専修学校の高等課程とはどのようなものか、あわせて都内の私立高等専修学校と生徒数についてまず伺います。

○加藤私学部長 専修学校高等課程は、中学校を卒業した者、または同等以上の学力があると認められた者などに対し、職業や生活に必要な能力を育成し、または教養の向上を図る教育を行う課程でございます。
 平成二十六年度学校基本調査によりますと、都内に高等課程を持つ私立専修学校は四十四校あり、二千九百九十一人の生徒が在籍しております。

○里吉委員 高等課程を持つ私立専修学校は四十四校あるとのお答えでした。この中には、修学年限が一年とか一年半、二年、こういう学校も含まれております。
 一方で、一定の要件を満たす高等専修学校の修了者は、大学、短大への入学ができますし、修学年限が三年以上の高等専修学校の修了者は専門学校への進学が可能ということです。その点では、これらは高等学校と何ら変わりない学校と、こういうところがたくさんあるわけです。
 しかし、この学校は、法律上は高等学校ではありませんから、都からの補助も私立学校に対する補助とは仕組みが違います。
 先日、私は、武蔵野東高等専修学校という学校に視察に行ってまいりました。この学校は、健常児と自閉症児がともに学び合う混合教育を特徴とする学校で、多くの自閉症の子供、不登校経験のある子や高校を中退した子などが通っている学校です。卒業生の中には、大学に進学して、今度は教員となって学校に戻ってきた生徒もいるということです。
 校長先生からは、高等専修学校についても詳しくお話を伺ってきました。高等専修学校は、学校数も少ないため一般には認知度が低いと思いますが、中学校を卒業した子供たちで高い就職意識を持った者や、不登校、高校中退者など、さまざまな事情を抱えた子供たちの受け皿として重要な役割を果たしていることがよくわかりました。
 そこで、東京都は、この私立専修学校高等課程に対してどのような支援を行っているのか伺います。

○加藤私学部長 都は、教育条件の維持向上、生徒の経済的負担の軽減及び学校経営の安定性と健全性を図るため、私立専修学校高等課程の設置者に対しまして、私立専修学校教育振興費補助として学校運営費の一部を補助するとともに、校舎等の耐震化に係る助成などを行っております。
 また、私立高等学校と同様に、就学支援金、特別奨学金、奨学給付金の支給により保護者負担の軽減を図っております。

○里吉委員 私立高校の授業料補助に当たるものと経常費補助に当たるもの、そのどちらの補助も行っているということがわかりました。
 授業料軽減については、私立高校生と同等の補助が出ているということですが、そもそも東京の私立高校の学費は低所得者の家庭であってもまだ無償にはなっていません。
 この間何回も取り上げていますが、幾つかの自治体では既に無償となっています。大阪府では年収六百十万円未満まで保護者負担がかかりません。この部分については、私立高校の授業料補助を拡充することとあわせて改善することが必要だと考えます。
 きょうは、もう一方の経常費補助に当たる私立専修学校教育振興費補助についてなんですが、これは、私立高校に比べとても低いんだと。そのために学校経営が厳しいというお話を校長先生から伺ってまいりました。
 この私立専修学校教育振興費補助はどのように算定しているのか、また、生徒一人当たりの単価については私立高等学校と違いがあるのか、その中身についてもあわせてお伺いします。

○加藤私学部長 都では、この補助制度が現在の形となった昭和六十三年度の生徒一人当たりの経常的経費に、毎年度、人件費及び物件費の変動率を反映させ、その五〇%を補助単価とし、生徒数を乗じて算定しております。
 二十七年度予算における私立専修学校教育振興費補助の生徒一人当たり単価は十五万八千六百円、私立高等学校経常費補助の生徒一人当たり単価は三十八万四千百七十四円でございます。

○里吉委員 平成二十七年度で比較すると、今、お答えいただきましたけれども、私立高等学校は一人当たり三十八万四千百七十四円なのに対して、私立高等専修学校は一人当たり十五万八千六百円と、実に半分以下なんですね。
 私立高校にとって経常費補助は基幹的補助であり、学校運営にとって重要な補助といつもご答弁いただいていますが、ここの部分が私立高校の半分以下というのは、やっぱり低過ぎるのではないかと考えます。
 先ほどお話しした武蔵野東高等専修学校は、自閉症児などの対応もあるということで、教員は原則全員正規職員として身分保障もしているそうです。
 生徒一人一人と担任の教員が、毎日学校生活を振り返る日誌を交換するなどきめ細かな指導も行って、大学や専門学校への進学、障害があっても一般就労を目指す子がたくさんいました。
 自閉症児と健常児が二人で組をつくり、バディーとして一緒に生活する混合教育が注目もされ、NHKスペシャルでも取り上げられました。
 また、職業教育も今改めて見直されてきております。
 そこで、都としても、私立高等学校の生徒一人当たりの経常費助成額に比べて余りに低いこの補助額を引き上げるべきだと考えますが、都の見解を伺います。

○加藤私学部長 専修学校高等課程は、高等学校とは学校教育法上、認可要件など位置づけが異なっております。
 なお、専修学校高等課程には、高等学校のような経常費の国の助成制度がなく、都は国に対して助成制度の創設を要望しております。

○里吉委員 専修学校高等課程に対する助成制度の創設を国に要望しているということは重要だと思います。
 また、制度がなくても、この部分の補助を出しているということも大事なことだと思います。
 ただ、さらに一歩進んで、大阪府を見てみますと、保護者負担の軽減だけでなく、大阪府ではこの私立専修学校教育振興費補助も私立高校と全く同じ金額になっているということです。
 いろいろその都道府県によって考え方が違うということは、担当者の方からお伺いをいたしましたけれども、大阪府ではこのことによって、本当に学校の教育の中身で私立高校と高等専修学校を比較して選んでいただいていると。その結果、今、高等専修学校の生徒数もふえているということを伺いました。
 今も努力していただいているとは思いますが、ぜひもう少し思い切った増額を行っていただきたいと思います。
 また、先ほど耐震化に関する助成などは私立高校と同等とご答弁いただきましたが、私立高校が対象のAEDや防犯システム等の設置を進める補助事業では、専修学校が対象外になっていると。生徒の命や安全にかかわる部分では同等にしてほしいとの要望がございました。ぜひ専修学校を対象に加えるよう、この点についても要望しておきます。
 次に、専修学校の専門課程、いわゆる専門学校生に対する経済支援について伺いたいと思います。
 私立専門学校の授業料などの納付金は年間平均百万円を超えるなど、私立大学などとほとんど変わりません。
 しかし、公的な経済的支援としては、日本学生支援機構の奨学金が大きな役割を占めており、それ以外はほとんどないのが現状です。
 国公立大学については、大学における授業料等免除の実施に対する国の助成措置があります。
 私立大学についても、私立大学等経常費補助金の枠組みの中で、経済的に修学困難な学生を対象に、大学が実施する授業料減免事業に対して、所要経費の二分の一以内の金額が助成されています。
 このことに比べましても、専門学校生に対する経済的補助がないということをどうしていくかということが大きな問題となっていました。
 私は、ことし三月の文教委員会でもこの問題を取り上げましたが、意欲と能力のある専門学校生が経済的理由により修学を断念することのないよう、専門学校生に対する経済的支援策について、総合的な検討を進めるためということで、今年度から実証研究事業が始まりました。
 東京都もこれに予算をつけておりますので、きょうはその進捗状況について伺いたいと思います。
 まず、今年度から実施している都の私立専修学校支援実証研究事業補助の内容はどのようなものなのか、都の実証研究事業の内容について伺います。

○加藤私学部長 都は、今年度から、国の専門学校生への経済的支援のあり方に関する実証研究事業のうち、経済的支援に係る部分を受託しております。
 具体的には、私立専修学校専門課程に在籍する生徒を対象に、ファイナンシャルプランナーによる生活設計などに関するアドバイスや、経済的理由により修学困難な生徒に対して、学校が授業料の一部を減免した場合に、その二分の一以内の額の補助を行うなどでございます。

○里吉委員 経済的支援に係る部分を受託して行うということですが、実際にこの事業の対象となる専門学校、また生徒はどのような要件なのか伺います。

○加藤私学部長 まず、学校の要件といたしましては、経済的理由による授業料減免を実施していること、財務情報等を公表していること、さらに学校関係者評価の実施や結果の公表など、質保証、向上の取り組みを行っていることでございます。
 また、生徒の要件といたしましては、学校から経済的理由により授業料減免を受けた生活保護受給世帯や住民税所得割非課税世帯等の生徒でございます。

○里吉委員 都内にはたくさんの専門学校があると思うんですが、今お話しいただいた学校の要件である、経済的な理由を要件とした授業料減免制度を持っている専門学校は都内でどれぐらいあるのでしょうか。伺います。

○加藤私学部長 本年五月一日時点におきまして、都内の専門課程を持つ私立専修学校三百五十一校のうち、経済的な理由を要件とした授業料減免制度を有している学校は四十三校でございます。

○里吉委員 この制度の対象となる経済的な理由を要件とした授業料減免制度を持っている学校は、専門学校四十三校ということで、三百五十一校のうち実にまだ一二%しかないということなんですね。
 さらに、その学校で対象となる生徒が何人ぐらいいるかということについては、この学校そのものが、まだこの実証実験の対象になるかどうかということも決定していないわけですが、今年度入学した専門学校生が対象ということなので、四十三校で授業料減免制度を使っている学生が何人いるかということはわかるんじゃないかと思うんですね。
 実際に、この実証実験の対象になる生徒は少なくなるかもしれませんが、減免を受けている生徒の数をつかんでいたら伺いたいと思います。

○加藤私学部長 授業料の減免制度は各学校が独自で行っているものでございまして、都は、これら各学校の減免制度の対象となっている生徒数につきましては把握しておりません。

○里吉委員 対象となる生徒数は把握していないということです。当然、まだ補助金も出していないということだと思うんですね。
 今年度は初年度ということで、この制度で生徒に授業料減免の補助金を出すということはこれから行われるということなんですが、実証実験は三年ありますから、来年と再来年の二年間は情報を得て、国の減免制度が使えることを前提で入学してくる学生も出てくるのではないかと思うんです。
 生徒への補助金はどのような形で支払われるのかは、学校によってさまざまということでご説明いただいたんですけれども、この制度の仕組み、性格からいっても、最初から学校と国の補助金を除いた金額を生徒が支払えばいいという形にぜひしていただきたいと。一旦全額生徒が払って後から戻ってくるという形ではなくて、お金を用意するのが大変な家庭のお子さんたちですから、最初から子供たちが、学生が、払う金額が少なくなるような、そういう形にしていただくように、それぞれの学校にも指導していただきたいと要望しておきます。
 全国高等専修学校協会が行ったアンケート調査の報告書というものがありまして、これは平成二十五年度版なんですが、ここに、経済的な理由で進学できなかった事例が具体的に記載されていました。
 専門学校への入学試験に合格していたが、初年度納付金の納入ができなかったので、入学を諦めて就職せざるを得なかった、親がブラックリストに載っており資金の調達が不可能だった、進学希望の生徒が経済的な理由から断念したケースがいろいろと書かれていましたが、これは本当に氷山の一角だと思います。
 前回の質問のときにも紹介しましたが、国の検討会の報告では、家庭の年収が三百万円未満の学生数の割合は、大学生が八・七%なのに対し、専門学校生は一七・四%と二倍いるということなんです。
 家計が苦しいからこそ、資格などを得て働きたいという学生が多いのではないかという分析も述べられていましたが、本当にそうだと思うんですね。
 三年間の実証研究事業ということでスタートしたばかりの制度ですが、実際には何人がこの制度で補助金を受けられるのかわからないようですが、対象となる専門学校自体も全体の一割ちょっとということを考えますと、この制度で授業料減免を受けられるのは、経済的困難を抱えている専門学校生のごく一部になると思います。
 前回も対象となる専門学校が広がるよう、都としての対策を要望いたしましたが、引き続きお願いしたいと思います。
 また、今回の経済的支援は、学校が減免した授業料の二分の一以内の額を補助するというものですから、学生本人の授業料負担が残ります。
 資格を取る専門学校では、授業のこま数も多く、アルバイトと勉強の両立が大変ともいわれております。親の貧困を子供に連鎖させないためにも、意欲を持って学ぼうとしている学生への経済的支援はさらなる拡充が求められます。
 そこで、国の支援策に上乗せして、都としても補助を出すことを検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○加藤私学部長 この事業は、先ほども申し上げましたとおり、国の実証研究事業の一部を受託しているものでございます。
 そもそも専修学校専門課程は、大学、短期大学と並ぶ高等教育機関としての役割を果たしており、大学などと同様、国の責任において補助を行うべきであり、都としても補助制度の創設、実施を国に対して要望しております。

○里吉委員 教育基本法第四条三項には、国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的な理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならないとあります。
 国に対して助成制度の創設、実施を要望していることは重要ですが、改めて、都としてもふさわしい支援を行うことを求め、次の質問に移ります。
 最後に、東京都美術館について質問いたします。
 今回は、東京都美術館の公募展示室の利用について伺いたいと思います。
 東京都美術館は、戦前の一九二六年、大正十五年に東京府美術館として開館しました。日本で最初の公立美術館である東京府美術館は、基本的に美術展覧会の会場、ギャラリーとしての役割を果たしてきました。自前の収蔵品はなく、いわゆる館の自主企画も行われていなかったそうです。
 現在の東京都美術館を見てみますと、公募展示室やギャラリーを使っての展示が今も大変盛んに行われております。多くの美術団体が作品を発表する歴史ある美術館として大変重要な役割を果たしております。
 東京都は、ことし三月、東京文化ビジョンを発表し、東京がさらなる成長の柱として芸術文化を位置づけると強調いたしました。その点で、市民が美術作品を展示できる場として、東京都美術館の果たす役割はますます大きくなると思います。
 そこで、今回、公募展示室の利用について伺いますが、まず初めに、昨年度の公募展示室の利用に向けた使用申請提出団体数、それから実際に利用した団体数について伺います。

○越文化施設改革担当部長 平成二十六年度の東京都美術館公募展示室の利用に向けまして、使用申請を提出した団体数は二百五十九団体でございました。最終的に公募団体展を開催した団体数は、使用辞退などによりまして二百五十五団体でございます。

○里吉委員 申請した団体は、ほぼ展覧会を開催できていることがわかりました。
 ただ、辞退する団体は、自分たちが希望する日程と実際に借りることのできる日程が合わずに、調整がつかなかったためにやむを得ず辞退する場合が多いと伺っております。
 展示会の開催はできても、その開催日程をどこにするかが団体にとっては重要なわけですね。秋に開催したいとか、春に開催したいとか、団体ごとにあると思います。
 また、開催期間に土日を含むことができるかどうかは、平日だけでは鑑賞に来ることのできない人も多いので、大変切実な問題だと伺っています。
 この東京都美術館の公募団体展は、一定の審査が行われた上で利用されていると聞いておりますが、審査の上で開催日程も決めるということなんですね。使用割り当てを行うという仕組みになっているということですが、まずこの仕組みはどのようなものか伺います。

○越文化施設改革担当部長 東京都美術館における公募団体への展示室の割り当てにつきましては、公平公正を図るため、一定規模の公募展の実績があることや、芸術文化の裾野の拡大を図るものであることなどの審査基準に基づきまして、外部有識者による審査等を経て実施しているところでございます。
 具体的には、審査により上位から下位まで四つのグループに分けまして、グループごとに抽せん等で個々の団体の使用割り当て順位を決め、順番に団体に対し会期及び展示室の割り当てを行っております。
 最終的には、東京都美術館運営委員会の付議を経て使用割り当てを確定し、使用承認をいたしております。

○里吉委員 第一グループから第四グループまで四つに分けて、第一グループに選ばれた団体の中でまず抽せんを行って、希望する日程を申し込む。それが全部終わったら、次に第二グループの中で抽せんを行って、順番にあいているところに申し込むということだと思うんですね。
 そうしますと、第四グループになりますと、残りの開催日程が少なくなります。それから、一団体が長期に使用してしまうと多くの団体が使用できない、こういうことも考えられます。
 そこで伺いますが、審査の結果、展覧会を開催できない場合はあるのか、また一団体当たりの割り当て日数は何日間なのか、あわせて伺います。

○越文化施設改革担当部長 公募団体の割り当ての仕組み上、申し込みが多い場合などには割り当てされないケースが発生することも想定されます。
 一会期当たりの割り当て日数につきましては、昨年度の実績では六日間から十日間となっており、上限の二会期使用した団体と一会期使用の団体がございました。

○里吉委員 最大でも二会期までの使用ということでしたから、そんなに長く使うところはないということが確認できました。
 昨年は、ほとんどの団体が使用できたということですが、割り当ての仕組み上、展示できない団体も出てくるということです。そうすると、何で自分たちが第四グループになってしまったんだというふうな不満の声も出てくると思うんですね。
 審査の過程がわからないという団体もあると聞いていますが、美術館ではどのような対応を行っているのか伺います。

○越文化施設改革担当部長 審査基準につきましては、募集要項等においてあらかじめ公表いたしております。
 さらに、申込手続や審査等について、公募団体向けの利用割り当て説明会を開催し説明を行っているほか、各団体からのさまざまな質問などにも個別に随時対応いたしております。

○里吉委員 私も公募団体展募集要項を見せていただきました。審査基準は二つあって、一つは団体としての運営力、実績、もう一つが東京都美術館の基本的使命との合致と書いてありまして、この基本的使命というところでは、芸術文化の創造活動を促進、支援し、裾野拡大を図るもの、文化芸術の質の向上を図るものであること、新しい芸術表現や表現者の発掘、育成を図るものであること、鑑賞者と作品、アーティストとのコミュニケーションを図るものであることとありました。
 これらに照らして専門家が公平公正に審査をしているということなんですが、それに対していろいろなご意見や疑問が出されたときに、美術館と利用者とでいろいろなことについて話し合う利用者懇談会を開いてはどうかという提案をいただきました。
 ほかにも、審査方法だけでなく展示室の利用方法などについてもいろいろと意見をいいたいという声もありましたが、質問や要望に対しては現在どのように対応しているのか伺います。

○越文化施設改革担当部長 東京都美術館では、昨年度、全利用団体に対しましてアンケートを行っております。また、利用割り当て説明会において、各団体から寄せられました質問の一覧を配布し回答を行っているほか、各団体の展覧会の開催前には事前打ち合わせなどを行い、個別にご質問や要望をお伺いしております。
 その他、随時、個別にご相談に応じるなど、丁寧な対応に努めております。

○里吉委員 アンケートに答えていただいているということなんですが、その結果、改善が行われた点があれば伺いたいと思います。

○越文化施設改革担当部長 東京都美術館では、利用団体からの要望等により、公募団体展用のチラシラックを館内に設置したほか、今後、展覧会の会期に必ず土日を含めていくことなど、さまざまな改善を図っております。

○里吉委員 多くの団体からの要望で、会期に土日が含まれるようになったことは大きな改善だと思います。今後、さらに展示会を希望する団体がふえてくることも予想されますが、引き続き公正公平な審査で、さまざまな工夫もしていただき、多くの団体が気持ちよく東京都美術館を使っての展示が行えるようにしていただきたいと思います。
 都民が芸術に親しむ活動を発展させてきたのは、この東京都美術館があったからだと思います。引き続き、これから本当に都民が文化に親しむため、都民が作品を発表し、鑑賞し、交流する場として提供し、こうした活動を東京都美術館がしっかりと支えていただきたいと思います。
 そういう点で、引き続き活動の拡充を改めてお願いして、私の質問を終わります。

○今村委員 それでは、質疑をさせていただきたいと思います。
 現在、都では私立高等学校海外留学推進補助を実施しています。私立高校から海外へ留学する生徒に対して補助を行うことは、留学した生徒自身の経験を高めるだけではなく、その生徒が留学から戻ってきてからその経験を伝えることで、学校全体のグローバル教育を進めるという効果があり、大変有意義な施策と考えます。
 一方、同じような効果が外国人留学生を受け入れ、その留学生と生徒が交流することで得られることもあると思います。
 そこでまず、都内の私立高校にはどのくらいの外国人留学生が受け入れられているのか伺います。

○加藤私学部長 平成二十五年度高等学校等における国際交流等の状況調査によりますと、都内の私立高校において、期間が三カ月以上の外国人留学生については、五十校で九十九名受け入れております。
 このほか、三カ月未満の研修旅行生については、四十三校で四百七十六名、外国からの教育旅行につきましては、五十校で千四百四十九名を受け入れております。

○今村委員 かなり多くの留学生が都内の私立高校で学んでいることがわかりました。
 また、都立の国際高校、それから都立大島海洋国際高校なども海外ホームステイや海外への修学旅行など、都立高校でもそうしたことが行われていることもございます。
 これら留学生との交流は、さきに述べたように有意義な効果が得られることから促進すべきと考えますけれども、外国人留学生と私立学校の生徒の交流を深めるため、都としてどのような支援を行っているのか伺います。

○加藤私学部長 都は、平成二十年度から私立学校経常費補助の特別補助といたしまして、体験学習等特色ある教育の取り組み補助を実施し、生徒がさまざまな体験を通して、将来の職業を考えるきっかけとするとともに、生涯にわたる人格形成の基礎を培うことを目的に、体験学習など、特色ある教育を推進する私立高等学校に対しまして補助を行ってまいりました。
 この補助制度では、ボランティア活動やインターンシップ、地域の高齢者との交流など、多様な取り組みを支援しており、外国人留学生を受け入れ、国際交流体験活動を行う場合も補助の対象としております。

○今村委員 それでは、実際に学校現場ではどのような交流が行われているのか事例を伺うとともに、今後、都としてどのように取り組まれるのかも伺います。

○加藤私学部長 外国人留学生との交流事例でございますが、例えば留学生が生徒の自宅にホームステイしながら通学し一緒に授業を受けたり、茶道体験や和食の調理実習で生徒が留学生と一緒に日本文化を体験し、相互の文化の違いを学び、国際感覚を養うなど、日々の学校生活や日常生活を通じて幅広い交流が図られております。
 都は、今年度から、体験学習等特色ある教育の取り組み補助の対象を高等学校だけでなく小学校及び中学校にも広げ、外国人との交流にも活用できるようにしたところでございます。
 今後も、外国人留学生との交流などにより、グローバル教育の推進に取り組む私立学校を支援してまいります。

○今村委員 私立学校の中には、海外との姉妹校があるところも多いと思います。また、姉妹校との交流を通じて国際理解がさらに深まるよう、また、そうしたところがないところに対してもしっかりと支援をし、そして充実させて、グローバル教育を前進させていただきたいというふうに要望しておきます。
 次に移ります。特別支援学校におけるオリンピック・パラリンピック教育について伺います。
 五年後に東京で開催される二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会は、学校におけるグローバル教育を加速させ、子供たちの国際理解を深め、人材育成を図る絶好の機会であります。東京大会におけるオリンピック・パラリンピック教育を通じ、子供たちの心と体に深く残るレガシーを形成していくことは重要です。
 そこで、私立学校におけるオリンピック・パラリンピック教育に関し、都としてどのような取り組みを行っているのか伺います。

○加藤私学部長 次代を担う子供たちにとって、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会は、国際社会に目を向け、大きな成長を得られる貴重な機会となります。
 そのため、都では、今年度よりオリンピアン、パラリンピアンを私立学校に派遣し、スポーツのすばらしさなどを実感してもらう事業や、オリンピック・パラリンピック教育に資する教材の配布により、児童生徒にオリンピック・パラリンピックの理念や価値を理解してもらうよう取り組みを行っております。

○今村委員 児童生徒がオリンピック・パラリンピックの理念や価値を学ぶとともに、何らかの形で大会にかかわることは大切なことだと思います。
 次に、何らかの障害があるとされる特別支援学校の子供たちが、夢に向かって努力をしたり、また困難を克服したりする意欲を培う機会を持てるようにすることは大変有意義であることから、そうしたこれらの取り組みは、特別支援学校でも行われているのか伺います。

○加藤私学部長 オリンピアン、パラリンピアンの学校派遣事業につきましては、都内の私立小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校を対象としております。
 今年度は、希望する十校に十月から順次派遣を行っており、中には特別支援学級を置く学校も含まれております。
 また、教材につきましても、同様の学校を対象に、全ての児童生徒への配布を予定しており、来年四月から活用できるよう準備を進めているところでございます。

○今村委員 特別支援教育を行う学校も事業に参加していることがわかりました。
 今年度は、都内に四校あります特別支援学校からは手が挙がらなかったようでありますけれども、今後、本格的に実施されることになる一校一国運動などのオリンピック・パラリンピック教育推進事業においては、この特別支援学校の児童生徒がより参加をできるように、ぜひ教材なども含めてしっかりと工夫をして、教育の効果を高めていただきますようお願いを申し上げながら、こうした特別支援学校も含めた今後の取り組みについて伺います。

○加藤私学部長 オリンピック・パラリンピック教育を通じ、障害のある人もない人もともにスポーツを楽しむとともに、お互いを尊重し、進んで平和な社会や共生社会の実現に貢献できる人材を育成していくことは重要でございます。
 都は、引き続き特別支援学校も含め私立学校に対して、オリンピック・パラリンピック教育推進事業の周知を図るとともに、その参加について働きかけを行ってまいります。

○今村委員 ありがとうございました。
 それでは、次に移りたいと思います。東京の芸術文化の魅力がより一層国内外の方々に伝わり、文化施設を訪れる人がふえていくことは大変重要であります。そのためには、都立の美術館、博物館の果たす役割は非常に大切であります。
 また、都内においては、都立、そして民間立、公立などを含めまして二十三区内に施設が集中していることもあり、多摩地域の施設と連携をし、その魅力の向上に貢献していくことも大切であると考えます。
 そこで、都立の美術館、博物館が果たしている役割と、中でも多摩地域において、他の施設とどのような連携を行っているのかあわせて伺います。

○越文化施設改革担当部長 都立の美術館、博物館は、東京の芸術文化の創造発信拠点としての役割を果たしており、国立、私立、区市町村立の施設や、さまざまな団体等と協力、連携しながら、資料の収蔵や調査研究のほか、さまざまな展覧会事業等を展開しております。
 多摩地域の美術館、博物館との間でも、展覧会などに応じ収蔵資料や作品の貸借等を実施するなど、連携を図っているところでございます。
 とりわけ小金井公園内に設置されております江戸東京たてもの園は、多摩地域に所在する市町村が設置または運営する博物館やこれに準ずる施設等によって構成されております東京都三多摩公立博物館協議会に参加しておりまして、研究成果等の情報交換を初め、展覧会やイベント等の情報発信を協力して行うなど、積極的に連携を図っております。

○今村委員 引き続きぜひ連携に努め、また都民の文化レベルを引き上げていただきますように、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 さて、多摩地域の施設との連携といえるものの一つとして、東京都歴史文化財団が事務局となって行っております、一冊でさまざまな美術館、そして博物館などへの入場や割引券が利用できる東京・ミュージアムぐるっとパスが発行されています。
 多くの方々に多摩地域の施設に訪れていただくためには、この東京・ミュージアムぐるっとパスが、都民を初め訪日外国人の方々など、多数の人に利用されることも重要です。
 ぐるっとパスの利用促進のため、どのような取り組みを行っているのか伺います。

○越文化施設改革担当部長 東京・ミュージアムぐるっとパスは、現在、多摩地域の十四施設を含む都内の七十八の施設が参加しており、都民を初め多くの方々に利用されております。
 現在、さらに多くの方に利用していただくため、専用ポータルサイトでの情報発信や、地下鉄一日乗車券とのセット販売などを実施しているところでございます。
 また、外国の方に対しましては、多言語表記によるチラシやホームページでの広報を行っているほか、東京観光情報センター等で無料で入手できるハンディーガイドと題しました観光ガイドブックに広告を掲載するなどの方法によりまして、PRを行っております。
 今後とも、多摩地域を含め、都内の美術館や博物館に訪日外国人を初め数多くの方々が訪れていただけるよう、さまざまな媒体を活用し、積極的に広報活動を行ってまいります。

○今村委員 ぜひ歴史文化財団と協力をしていただきまして、利用しやすく、より魅力がある、そしてまた、ぜひ多摩地域も含めて、より多くのこうした施設が参加をし、利用される方にも喜んでいただけるような取り組みとなるように要望をしておきたいと思います。
 さて、今お話がありました歴史文化財団について質疑をさせていただきたいと思います。
 これまで一般質問や昨年の事務事業質疑でも、監理団体における障害者雇用促進法についてただしてまいりました。
 そこで、改めて、この東京都歴史文化財団における二〇一五年度及び二〇一四年度の障害者の法定雇用数と採用状況についてお伺いいたします。

○鳥田文化振興部長 東京都歴史文化財団における平成二十七年度及び平成二十六年度の障害者雇用の状況については、いずれも法定雇用者数五名に対し、雇用者数三名となっております。
 なお、東京都歴史文化財団は美術館や博物館等を運営しており、高い専門性を求めるポストが多いことから、配置管理を考慮すると、障害者雇用を進めるには難しい面があると聞いております。

○今村委員 それでは、東京都歴史文化財団において、これまで、障害者の法定雇用率の達成に向けて、どのような取り組みを行ってきたのかをお伺いします。

○鳥田文化振興部長 東京都歴史文化財団からは、これまで、職業リハビリテーションセンターを訪問して訓練生に直接働きかけたり、特別支援学校の説明会やハローワーク主催の障害者就職面接会に参加するなど、法定雇用率達成に向けて、さまざまな取り組みを行ってきたと報告を受けております。
 また、採用後においても定期的に面接するなど、きめ細かいケアに努めていると聞いております。

○今村委員 採用すること、それから、採用した後に対するケアなども大変大切でありますので、しっかりとやっていただきたいというふうに思うんですけれども、東京都歴史文化財団において、今後、障害者の雇用をどのように促進していくのかお伺いしたいと思います。

○鳥田文化振興部長 東京都歴史文化財団からは、今後は、インターンシップやトライアル雇用なども視野に入れ、特別支援学校や障害者向け企業等の説明会を活用しながら、引き続き法定雇用率の達成に向けて取り組んでいくとの報告を受けております。
 財団を所管する文化振興部としても、法定雇用率の達成に向け適切に指導してまいります。

○今村委員 今ご答弁をいただきましたけれども、残念ながら雇用率などは変わっていないわけでありますけれども、できない理由なども、今後の取り組みについても、昨年と基本的には同じであります。
 なかなかこの実施をするのに難しいという状況がわかるところでありますけれども、来春の二〇一六年の四月には改正障害者雇用促進法が施行されて、障害に関する合理的配慮が義務化されます。
 また、さらに二〇一八年からは法定雇用率の算定基礎に精神障害者が加えられることにもなるわけでありますので、歴史文化財団自身の意識改革に期待をしつつ、この法定雇用率達成に向け、適切に指導というふうに二年連続してご答弁いただいておりますので、来年度には適切な指導の成果があらわれることをぜひ期待したいというふうに思います。
 最後になりますけれども、二〇一三年四月に障害者優先調達推進法が施行されて、東京都歴史文化財団はこの法律の対象ではありませんけれども、昨年も実績についてお伺いをいたしました。
 法律による義務ではなくても、公益法人または都の監理団体として、同法の趣旨を踏まえ、障害者就労施設などからの調達に努めることは当然と考えます。
 そこで、東京都歴史文化財団における二〇一三年度、二〇一四年度における障害者就労施設からの調達に係る契約件数と金額についてお伺いいたします。

○鳥田文化振興部長 東京都歴史文化財団からは、障害者優先調達推進法の対象ではないが、その趣旨も踏まえ、障害者就労施設等から調達に努めていると聞いております。
 平成二十五年度における障害者就労施設等からの調達に係る契約件数は、配送、印刷、物品の購入で計二十二件、契約金額は約五百三十八万円となっております。
 また、平成二十六年度における障害者就労施設等からの調達に係る契約件数は、配送、印刷、物品等の購入で計十九件、契約金額は約五百九十七万円となっております。

○今村委員 障害者雇用の関係は、法律で義務づけをされているわけでありますけれども、この優先調達の方は努力義務になっている財団であります。昨年と比べまして契約件数は少なくなっておりますけれども、金額がふえているということで、努力をなさっていただいているのかなというふうに理解をさせていただきました。
 ぜひこうした障害者優先調達法の趣旨を踏まえて、財団が担っている都立施設での物品販売などにも積極的に取り入れていただきまして、また多くの訪日外国人などにも、こうした障害者の施設でつくられているものなどを、ぜひ、大変文化的にも芸術的にもすぐれたものをつくっていらっしゃるところがありますので、そうしたものをPRしていただいて、ある意味でのこうした障害者のアートを推進していただくようにあわせてお願いし、質疑を終えたいと思います。

○野上(ゆ)委員 私からは、専修学校専門課程、私立専門学校について伺いたいと思います。
 いわゆる専門学校は、実践的な職業教育、専門的な技術教育を行っていることから、都内の生徒に対する職業教育機関として大きな役割を果たしております。
 また、現状の、日本の状況を鑑みますと、やはり新しい知識や情報、技術の重要性が増しておりますので、それに対応するべく、生涯学習、あるいは社会人教育の需要が高まる上で、この専門学校の役割は大きいというふうに考えております。
 先般、東京都の教育委員会が発表いたしました都立高校生の進路状況を見ましても、都立校の卒業生、全日制と定時制合わせて四万二千三百七人のうち、このうち大体二五%ぐらいが専門学校や予備校などのいわゆる専修学校の方に入っているというふうに伺っております。
 これまで都は、生徒が安心して学べる環境づくりのための耐震改築等に対する事業費補助を含めて、専門的な教育に必要な設備や図書の整備などに対する補助など、都の独自の判断により必要な支援を実施してきたというふうに伺っています。
 一方で、先ほど里吉委員の質疑にもありましたけれども、これから経済的支援を国に要請していくに当たっては、さまざまな形で公費が投入されている教育機関という形としてみなす場合は、やはり、学校自体にも説明の責任というのが大きくかかってくるというふうに感じております。
 専修学校についても、教育の質保証、向上を図るとともに、学習者の適切な選択に資する観点から、学校評価や情報公開等への対応が求められているというふうにいえます。
 専門学校の質保証、向上に向けた自己評価の実施について、都はどのように取り組み、現在どのような状況になっているのか伺います。

○加藤私学部長 専門学校の評価は、教育の質の向上や都民の学校選択の利便性に寄与するなどの重要なものであり、自己評価、学校関係者評価、第三者評価の三種類がございます。
 特に、自己評価は学校教育法により実施が義務づけられております。そのため都は、専門学校の現地調査や教職員対象の研修会、所轄庁である区市との連絡会議等あらゆる機会を捉えて、自己評価の実施を働きかけております。
 また、本年三月に国が作成した学校評価のポイントなどをまとめた手引について各学校へ周知いたしました。
 自己評価の実施率でございますが、年々向上しており、平成二十六年五月一日現在の実施率は約七三%でございます。

○野上(ゆ)委員 今の答弁からうかがいますと、七三%が自己評価をしているというふうにわかりました。
 この実施率の向上には、自己評価に加えて、学校関係者の評価の実施、公表が要件となっている。これは平成二十五年八月に文科省によりつくられたものですが、職業実践専門課程の認定制度が創設されたことも影響があるというふうに考えております。
 この認定制度は、部長の答弁にもありましたけれども、学校の自己評価に加えて、企業等が委員として参画する学校関係者評価を実施して公表する。または、企業等の学校関係者に対して、教育活動、その他の学校運営の状況に関する情報を提供していくという要件です。
 そこで、都内の専門学校の認定状況というのはどうなっているのでしょうか。また、この職業実践専門課程の認定の効果についてはどのようにお考えになっておりますでしょうか。伺います。

○加藤私学部長 平成二十六年度から制度が始まりました職業実践専門課程は、企業等との密接な連携を通じ、より実践的な職業教育の質の確保に組織的に取り組む専修学校の専門課程を文部科学大臣が認定する制度でございます。
 本年二月現在、都内の専門学校の約四分の一に当たる九十九校、三百五十五学科が認定されております。
 また、その効果でございますが、国が実施したアンケートによりますと、学校経営の方針、方法の改善、教職員の意識向上、入学希望者等からの問い合わせの増加などが挙げられております。

○野上(ゆ)委員 専修学校の専門課程における職業教育の推進の維持向上を図ることを目的とする一定の基準が示され、その職業実践専門課程に認定された専門学校がふえていくということは、専門学校全体の評価が高まることであるというふうに考えます。
 職業実践専門課程の認定校が、認定後も学校の質を維持向上させていくことが重要だと考えますが、都の見解を伺います。

○加藤私学部長 職業実践専門課程に認定されました学校についても、常に社会状況の変化などを踏まえ、認定後も質の保証、向上が図られることは重要でございます。
 そのため都は、国や所轄庁である区市と連携し、毎年、職業実践専門課程の認定要件の確認を行っております。
 また、現在、国において、職業実践専門課程等を通じた専修学校の質保証、向上の推進事業が実施され、さまざまな検討が進められております。
 このうち第三者評価システムの構築につきまして、国から受託している特定非営利活動法人私立専門学校等評価研究機構の検討に、都も委員として参画しております。

○野上(ゆ)委員 専修学校の分野の特性とか、あるいはその課程等を踏まえた専門的、客観的な第三者評価体制の整備というのは全国的に進んでいない状況ですから、ぜひとも東京都がかかわって、この評価項目についてはきちんとしたルールをつくっていただきたいと思っております。
 例えば、第三者評価の項目としては、学校がしかるべき開発の管理者のもとに仕上げたカリキュラム、シラバスになっているか、その第三者評価が存在しているか、あるいは試験の指標--大体、追試をたくさんやって、卒業生の、いわゆる水増しみたいなことをやっている専門学校もあるやに聞いておりますので、そういった実数をきちんと出していただいて、そして都民の皆様が、あるいは国民の皆様が専門学校を選ぶときの正確な情報となるように、東京都がきちんと関与していただきたいと思っております。
 また、先ほどありましたけれども、現時点では義務である自己評価さえ実施していない学校も、まだ今三割ほどあるというふうに伺っております。自己評価をして、そして関係者評価をして、そしてその上の第三者評価なので、この自己評価をしていただく学校を進めていかなくてはならないというふうに考えております。
 また、自己評価を行っている学校についても、社会状況や都民ニーズに対応するため、評価の質を高めることも求められております。
 こうした現状を踏まえて、今後、都は専門学校全体の質の向上に向けてどのように対応するのか伺います。

○加藤私学部長 専門学校の自己評価は、各学校の教職員がみずからの教育活動、その他の学校運営の状況について行うものであり、学校運営の改善にもつながるため、都は、引き続き自己評価を行っていない専門学校に対し実施を働きかけてまいります。
 また、自己評価をより実効性あるものにするために、職業実践専門課程の第三者評価の検討状況を踏まえ、専門学校等評価基準書の改訂に評価研究機構と連携して取り組んでまいります。
 都は、こうした取り組みを通じて、全ての専門学校が都民の期待に応え、質の高い職業教育を実践できるよう努めてまいります。

○野上(ゆ)委員 専門学校の学校経営の健全化、あるいは学校が社会に貢献する職業教育機関としてさらなる発展ができるように、また、この評価結果を踏まえて、改善策が導き出され、そして、その支援を東京都が積極的に行っていただけますよう要望いたしまして、私からの質問を終わります。

○植木委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十九分休憩

   午後三時十四分開議

○植木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○小松委員 それでは、まず、災害ボランティアコーディネーターについてお伺いいたします。
 災害が起きてボランティア活動をしようと市民が参集したとき、その人たちが被害者のニーズに応えて効果的な働き方ができ、その力が発揮できるためには、ボランティアをコーディネートする担当者が必要です。
 都は、二〇一一年三月に発生した東日本大震災を教訓に、災害ボランティア活動の経験者などを対象として、災害ボランティアコーディネーターの人材養成事業として養成講座を開催しています。
 この講座の内容について、そして概要はどのようなものか、また講師はどのような人が担当しているのかお伺いいたします。

○山中都民生活部長 都は、東京ボランティア・市民活動センターと連携いたしまして、平成二十四年度から災害ボランティア活動経験者等を対象といたしました、災害時における被災者のニーズとボランティア活動をつなぐ役割を担います災害ボランティアコーディネーターの養成講座を開催しております。
 昨年度までの三年間で延べ二十三回開催いたしまして、七百八十二名の災害ボランティアコーディネーターを養成しており、今年度は九回開催する予定でございます。
 養成講座は、災害ボランティアセンターの機能と役割、被災者ニーズとボランティア活動のマッチング方法、事例に学ぶ災害ボランティアセンターの広報など、災害ボランティアに関した具体的なテーマについて、事例演習等を取り入れた実践的な内容としております。
 講師につきましては、コーディネーターとしての経験が長い社会福祉協議会の職員、被災地支援に携わった災害ボランティア関係団体のスタッフ、被災した地域の関係者など、それぞれのテーマに関しまして経験や実績のある人が担当しております。

○小松委員 七百八十二人が受講したとのことです。災害時にこの方たちがそれぞれの役割を担っていただくことができるのは、都民にとって心強いものだと思います。
 それでは、この人たちが養成講座修了後、災害時にはどのように活動するのかお伺いいたします。

○山中都民生活部長 災害時、養成講座の修了者は、各市町村に設置されます災害ボランティアセンターに参集することとなっております。
 ボランティア希望者の受け入れ、災害者ニーズの収集及びそれに基づくボランティアの活動先の調整、ボランティアの安全、衛生面の管理などのセンターの運営や、現場の活動においてボランティアのリーダー的な役割を担うこととなります。

○小松委員 災害時には多くのボランティアが被災地に駆けつけ、さまざまな支援を行っています。このボランティアの人たちが被災地で安全に活動できるようなシステムが重要だと思います。
 また、せっかく駆けつけても、地域の要望に合わせた作業を割り振ることができるようなコーディネートをする人がいなければ動きようがないですし、かえって現場を混乱させることになりかねません。
 今後も、養成講座において、より実践に近い内容を取り入れ、多くのコーディネーターを養成し、災害に備えていただくことを願います。
 それでは、続きまして、私立学校のいじめ対策についてお伺いいたします。
 文部科学省は、全国の小中高校及び特別支援学校を対象に、毎年、問題行動等の実態調査を行っておりまして、児童生徒の暴力行為、いじめ、不登校、高等学校における長期欠席、高等学校における中途退学者等について把握しています。二〇一四年度の調査の結果が先ごろ公表されました。
 このうち私学について、都が先日、十月二十七日ですが、都内私立学校の児童生徒の問題行動等の実態を公表しています。
 この結果を受けて、私学におけるいじめに関してお伺いいたしますが、この二〇一四年度におけるいじめの認知件数など、主な傾向を伺います。

○加藤私学部長 平成二十六年度の都内私立学校におけるいじめの認知件数は、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の全学種の合計で三百三件であり、前年度に比べ約二割減少しております。
 また、暴力行為、不登校及び高等学校における中途退学者の状況につきましても、全体として減少傾向にあります。

○小松委員 いじめ、暴力、不登校、中途退学、いずれも減少傾向ということでして、この状況は都内の公立学校でも共通しています。
 いじめの認知件数は、全国的には小学校のいじめが過去最多の十二万件となり、中学、高校などを合わせると十八万件を超えるという、ふえている状況ではありますが、都内私立学校での認知件数は減少しているということです。
 都は昨年、いじめ防止対策推進条例及び基本方針を策定しまして、いじめ防止対策に取り組んでいると思います。
 この取り組みが効果を上げているのだとすれば結構だと思いますが、都内の私立学校に対して、都は具体的にどのような支援を行っているのかお伺いいたします。

○加藤私学部長 都は、平成二十六年七月に策定した東京都いじめ防止対策推進基本方針に基づき、学校として取り組むべき学校いじめ防止基本方針の策定や、いじめの防止等の対策組織の設置などについて説明会を実施するなどにより周知してまいりました。
 また、国がまとめたいじめ防止対策関連資料などを提供するとともに、各学校から個別に相談があった場合には、事例等の紹介を行っております。
 さらに、スクールカウンセラーの配置に係る経費の一部を補助するなど、各学校における児童生徒への相談体制の充実について支援しております。

○小松委員 都がさまざまな支援を行っているとのことですが、いじめ問題は何より教育現場である学校での組織的な取り組みが重要だと考えます。
 各私立学校における取り組み状況はどうなっているのかお伺いします。

○加藤私学部長 現在、都内の全ての私立学校が基本方針を策定し、対策組織を設置しております。
 また、各学校では、生徒等に対する個別面談の実施や教職員間でいじめ問題に係る共通理解を図るなど、各学校の実情に応じて、いじめ防止等に対して日常的に取り組んでおります。
 都は、引き続きいじめ防止等の対策に関する情報提供を行うなど、各学校が行う取り組みを支援してまいります。

○小松委員 いじめによってみずから死を選ぶ子供が相変わらず後を絶たない状況です。そのことからも許されない人権侵害といえますが、どんな学校でもいじめは起こり得るものです。むしろ起こって当たり前であるという認識のもとに、いじめ対策に取り組んでいくのが重要です。
 特に、私学は公立校に比べて問題が起きても顕在化しにくい現実があるといわれます。都が、いじめ防止のための対策として、私学も対象に入れて条例や方針を策定し取り組んでいることに期待しています。
 引き続きいじめ問題に関する意識啓発に努め、各学校におけるいじめ防止等の取り組みを支援していただきたいと思います。
 続きまして、東京ウィメンズプラザフォーラムについてお伺いをいたします。
 東京都の男女平等推進施策は、二〇〇〇年に制定された東京都男女平等参画基本条例に基づき策定された行動計画のもとに展開されています。
 現在、この動きは国の成長戦略とも連携し、女性の活躍推進を後押しするとして、広報のためのロゴマークをつくり、シンポジウムを開催するなど、施策が展開されています。
 この十一月には、東京都がことし七月に行った男女平等参画に関する世論調査の結果が公表されました。ここでは、二〇〇一年、二〇一〇年、そしてことし二〇一五年の意識の比較を見ることができますが、男女の地位の平等観について、男性の方が優遇されていると回答した割合が、二〇〇一年の七二・三%に比べて、二〇一〇年には五九・〇%に一旦は減りながら、ことし二〇一五年には六〇・四%へとふえています。
 依然として男性優位社会にあるばかりでなく、男女平等の歩みがこの五年間で若干後退したと都民が感じていることが、この数字の変化にあらわれています。
 そのことは、女性の方が優遇されているという回答が二〇〇一年、二・三%から二〇一〇年は三・八%にふえたものの、二〇一五年、三・五%に、わずかですが下がったという点からも見てとれます。
 男女平等社会への道のりは、まだ先が長いということだと思います。それだけに、東京ウィメンズプラザの機能を強化し、発信力をさらに高めていただくことに期待しています。
 東京における男女平等参画をさらに進めるためには、地域でさまざまな取り組みを展開する民間団体などとの協働が必要であり、また効果的でもあります。
 毎年秋に実施している東京ウィメンズプラザフォーラムは、まさにその狙いに合致した事業であると評価しています。
 そこで、改めてこの事業の目的について確認しておきます。

○斎田男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザフォーラムは、東京ウィメンズプラザが表参道で事業を開始した翌年の平成八年度から毎年開催しているものでございます。
 このフォーラムは、都民、民間団体、区市町村等による参加型の事業として、互いの取り組みを紹介し交流することにより、都域全体で男女平等参画社会の実現に向けて歩みを進めるとともに、ウィメンズプラザを広く社会にPRすることを目的に実施しております。

○小松委員 平成八年、一九九六年度に開始したということは、二十年にわたって実施されてきた歴史ある事業ということになるかと思います。
 この間、さまざまなテーマが取り上げられてきたと思いますが、その時々の社会状況に応じた内容にすることで、このフォーラムが一層意義あるものになると考えます。
 今年度のフォーラムがつい先週の金曜日と土曜日の二日間開催されたばかりですが、その概要について、また今後の取り組みについてあわせてお伺いいたします。

○斎田男女平等参画担当部長 今回は、仕事と家庭、地域生活の調和がとれた生活の実現など、男女平等参画のための東京都行動計画に掲げた四つの重点課題に、女性の活躍推進を加えた合計五つのテーマを設定いたしまして、それぞれのテーマに即した企画を民間団体から広く募集いたしました。
 具体的には、女性のキャリア形成について考える企画など、民間三十六団体によるワークショップ等を行いました。
 また、都としては、女性の活躍推進のテーマに合わせ、経済団体との共催による職場における女性リーダーの育成のあり方を探るシンポジウムや男性の子育て、家事への参画を促す催事を開催し、二日間で二千名を超える方々にご来場いただきました。
 フォーラムは、過去二十年間にわたり途切れることなく実施してまいりましたウィメンズプラザの中核的事業でございます。
 今後とも、ウィメンズプラザが男女平等参画の推進拠点としての役割を果たすため、例えば仕事と介護の両立など、その時々の時代背景や社会のニーズに応じた事業内容となるよう工夫を凝らし、このフォーラムの意義をさらに高めてまいります。

○小松委員 三十六団体による企画ということですが、今回のプログラムを見ますと、女性を取り巻く問題のさまざまな側面に目が向けられていると感じました。
 ですが、それぞれの企画が一時間から三時間の間に限定されているため、幾つもの企画に興味があっても時間帯が合わなければかいま見ることもかなわない。部屋数が足りないという物理的制限があるとは思いますが、残念だと思いました。
 参加団体が活動をアピールできるような何らかの工夫ができないものかと思いました。例えば、パネル展示や机一つでもブースを設けるなど、ワークショップ以外にプレゼンテーションの機会が設けられないものかと思います。
 私自身は、これまで光が当てられてこなかった女性作曲家の音楽作品を発掘して、実際に演奏を聞かせるという企画に興味があって、二日目の土曜日に会場に足を運びました。このコンサート自体は、会場のホールの客席がほぼ埋まっている状態でしたが、ほかの場所は人の入りが寂しい状況でした。
 このウィメンズプラザは、表参道という一等地にありながら、青山通りからほんの少し奥まっているだけで人目につかず、通りすがりの人が立ち寄ることを期待できません。
 であれば、この日は年に一度のフォーラムなのですから、人を呼び込むようなサインを青山通りに立てるか、あるいは人が案内に立つなどすれば、もっと多くの人にこのイベントについて知ってもらえたのではないかと思います。
 この日、国連大学の敷地内ではファーマーズマーケットが開催されていたため、大変にぎわっていましたが、ウィメンズプラザに向かう通路にはサインも何もなく、入り口近くまで行ってようやくフォーラムの開催中であることがわかった次第です。
 率直にいって、これでは青山通りに幾ら人通りが多くても、そのすぐ奥のウィメンズプラザに多くの来場者は望めないと思いました。
 本年は二十周年に当たる年です。開催曜日の設定の見直しを含めた検討と内容のさらなる充実、さらに宣伝、広報にはNPOなどと連携し、大きなイベントとなるよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○ほっち委員 私からは、マイナンバー制度の導入に伴う個人情報保護について質問をさせていただきます。
 マイナンバー制度については、この十月から通知カードの各世帯への発送が始まり、いよいよ平成二十八年一月からマイナンバーの利用が開始をされます。
 その中で、都における独自利用に関する条例の制定や住民基本台帳ネットワーク条例の改正は、第三回都議会定例会の総務委員会で活発な議論が行われたというふうに聞いております。
 本日は文教委員会という場でありますので、マイナンバー制度における個人情報の保護措置の一つである特定個人情報保護評価について何点かお伺いをさせていただきます。
 特定個人情報保護評価については、昨年の事務事業質疑、ことしの第一回定例会においても、進捗状況などについて質問したところであります。
 文教委員会の委員も一部変更がありますので、初めて耳にする方もいると思うので、改めて特定個人情報保護評価とはどのような制度であるのかお伺いをいたします。

○濱田都政情報担当部長 特定個人情報保護評価は、個人番号を利用する上でのリスクとその対策について、行政機関みずからが評価し、その結果である評価書を国の特定個人情報保護委員会に提出するとともに、みずから公表する制度でございます。
 一定規模以上の情報システムについては、規程類の整備や外部媒体の取り扱いなどのリスクへの対策が確実に講じられているかを評価した上で、さらに第三者機関による点検を実施しております。
 都におきましては、第三者点検の機関として、東京都情報公開・個人情報保護審議会のもとに、特定個人情報保護評価部会を設置し、個人情報の保護及び情報システムに知見を有する専門家が客観的かつ厳正に審査しております。

○ほっち委員 一定規模以上の個人情報を利用する情報システムについては、第三者機関を設置し、専門家による客観的かつ厳正な審査が行われているということでありますが、具体的に第三者点検はどのような観点で行われているのかお伺いをいたします。

○濱田都政情報担当部長 都の第三者機関である特定個人情報保護評価部会では、国の特定個人情報保護委員会が策定したガイドラインを踏まえ、厳格なパスワード管理による情報システムへのアクセス制限など、個人情報の漏えい等のリスクをいかに低減させるかといった観点で点検を実施しております。
 評価部会からは、委託先への必要かつ適正な監督の実施に係る意見などが答申として出されておりまして、都は必要な措置を講じるとともに、その意見を評価書に反映した上で、国の特定個人情報保護委員会へ提出し、公表しております。

○ほっち委員 私は、第一回定例会で、マイナンバーを利用する情報システムについて、各局と連携して特定個人情報保護評価を計画的に実施するとの答弁をいただきました。
 特定個人情報保護評価について、この間どのように取り組み、また今後どのように取り組んでいくのか見解をお伺いいたします。

○濱田都政情報担当部長 都におきましては、本年一月から特定個人情報保護評価を開始し、現時点で主税局の税務総合支援システムや福祉保健局の医療費助成事務システムなど十一の事務について評価を完了し、ホームページ等により公表いたしました。
 今後も、平成二十八年一月から個人番号を利用する事務については、利用開始までに初回の評価を終わらせるとともに、その後も、状況の変化も踏まえた年一回の評価書の見直し、五年に一回の全面的な再評価をそれぞれ定期的に実施するなど、引き続き計画的に評価を進めてまいります。

○ほっち委員 マイナンバー制度の導入については、個人情報の漏えいや不正利用などに対する都民の懸念もあります。私も関心を持っており、これまでも繰り返し個人情報保護という視点の重要性を指摘してまいりましたけれども、そのためにも、引き続き特定個人情報保護評価を着実に実施し、都民の個人情報を適切に管理していただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○斉藤委員 それでは、私の方から一問伺います。
 ことしほど東京都にとってマークとかエンブレムという部分で話題になった年はないんじゃないかなと思います。ちょうど事業概要の三〇ページのところにシンボルマークの管理というのがあるんですけれども、それに関してテーマ一つで伺いたいと思います。
 この東京都のシンボルマークは平成元年、一九八九年に旧東京市の誕生百周年を記念してつくられました。一見イチョウの葉のように見えるんですが、実際にはそうではないということであります。
 このマークは、その後、東京都が直轄する清掃車とか、またガードレール、もちろん都議会棟、そして都庁舎の中心にどんと鎮座しているということで、大変いろんなところで見るようになりました。
 一方、このマークができる前からございます東京都の紋章、いわゆる亀の子のようなマークというやつですが、以前の東京市の紋章を継承しているということであります。
 これと先ほどの生活文化局が管理しておりますシンボルマークを比較すると、最近は今申しましたように都議会棟の中央にこのシンボルマークの方があったりして、紋章よりもこのシンボルマークの方がかなり都民に親しまれているんじゃないかななんて気もするほどであります。
 平成元年の第二回定例会の中で、当時の鈴木俊一知事が知事所信表明において、その前の、これ六月ですから、前の前の月の四月十二日に、指名コンペを行った東京都のシンボルマーク選考委員会の報告に基づいて東京都の新しいシンボルマークを決定したというふうに述べています。
 そして、そのマークは、東京を魅力的で人間性豊かな、信頼される都市とするためのものであり、今後はこの新しいシンボルマークを、CI運動推進の旗印として積極的に活用してまいりますというふうに当時述べております。
 恐らくこのシンボルマークも、そうはいっても、決定当時はどのように使うのかということについてかなり模索をしたんじゃないかなというふうに推測されるんです。
 それでは、これまで東京都の紋章の方と東京都のシンボルマークをどのように使い分けをしているのか伺います。

○樋渡広報広聴部長 シンボルマークにつきましては、東京都CI推進計画に基づき選定後、平成元年六月一日付で告示、制定いたしました。
 このマークは、東京都のアルファベットの頭文字Tを中央に秘め、三つの同じ円弧で構成され、これからの東京都の躍動、繁栄、潤い、安らぎを表現したものであり、さまざまな印刷物や物品に統一的に展開しているところでございます。
 一方、昭和十八年十一月二日付で告示、決定しました紋章につきましては、太陽を中心にして陽光を六方向に放射し、日本の中心である東京を表現したものであります。これまで東京の歴史や伝統を象徴するこの紋章を意匠などに取り入れることがふさわしい都の施設や文書などに使用されております。

○斉藤委員 生活文化局では、この資料の中からもわかりますように、都民からの使用申請に対して精査して、この東京都のシンボルマークの使用承認を行っているということであります。
 もう既にすっかりおなじみになったこの緑のシンボルマークを、自分でも使えるというふうに都民が思えば、それは大変わくわくする、うれしいものなんじゃないかなと。やはり格式が一つ、自分の活動が上がるようなぐらいの感じさえ持つ人もいるんじゃないかと思います。
 そういう意味では、東京都のシンボルマークについて、どのような基準でどのような申請者に承認をされているのか伺います。

○樋渡広報広聴部長 都は、東京都のイメージを統一し、効果的に伝達するため、シンボルマークの使用方法を解説した東京都基本デザインマニュアルを定め、色彩、ロゴタイプ、レイアウト等の使用に関するルールを守ることを原則として使用を承認しております。
 使用承認の対象につきましては、東京都シンボルマーク使用承認要領等に基づきまして、都が共催、後援、または協賛するなど、都政に関係のある事業に該当する場合に承認しているところでございます。

○斉藤委員 シンボルマークについては、生活文化局でかなりきちっとした管理をした上で使っていると。
 ただ、同時に、非常に親しまれているのも事実です。多分、恐らくことしは本当にエンブレムやマークといったものについて、またそれに費用なども随分かかっておりましたので、非常に注目をされまして、しかし、その議論の中で、もしくはいろんな報道の中で、いかにみんなに理解されるか、親しまれるか、自然と受け入れられるかというのがなかなか難しいと。マークがシンプルであっても難しいということが非常によくわかった年でもあると思います。
 先日、これも他局の企画でございますが、東京都のブランディング戦略のマークなんていうのもございますが、今後どのように官民それぞれに活用されていくのか、これも大変気になるところであります。
 そういった一方で、東京都のシンボルマークについては、先ほど経緯がありましたけれども、当時バブル期で、大変多くの企業でCI戦略というものがブームというか、流行した時期に生まれました。
 ですから、恐らく当時は、流れとしてこういうものをつくるというのは、非常に時流に乗ったものというふうなことはあったんでしょうけれども、一方で都の担当者は、こういった一時的なブームだったらどうしよう、そしてまたこのマークがそれなりの行政の重きを持ちつつも、なおかつ都民に親しみを持っていただけるのかという、少し二面性を持ったような立ち位置、上手に使っていただけるのか、また継続的に使っていただけるのかということについては、恐らく当時の担当者は不安が大きかったんじゃないかと思います。
 しかしながら、今ではこれがすっかりなじみになりまして、これがついたものは、東京都のもの、もしくは時として東京都そのものという非常に揺るぎない信頼を得たんじゃないかなというふうに思っています。
 ここまで来るのにはさまざまな経緯もありましたし、工夫もあったと思います。恐らく平成元年に、当時の鈴木知事がこのマークで狙った目的というものはある程度達成されているんじゃないかなというふうに私は思っております。シンボルというのは、こういうふうにありたいなというふうにも思います。
 同時に、都民の側から見れば、このイチョウマークが自分の企画する事業や団体、活動などの一環の中において、仮に申請をして使用できるというのは、東京都の持つ、そしてまたマークの持つ格式と信頼、そしてまた紛れもなく東京都に認められているものというふうな安定感、安心感を得られるというふうなことになります。
 もちろんこれは申請主義でありますので、申請をしなければこれを使うまでの審査に至らないわけなんですが、しかしながらこの東京には、多くの公益性の高い事業を行っている、活動を行っている団体がございます。そういったところが東京都の後援、もしくはさらには進んでマークの使用というふうなことを思いつくかどうかというのは必ずしもわかりません。そういうことを踏まえて、より公益性を高めていこう、信頼性を高めていこうということに気がつかない場合もあります。
 ですので、申請主義とはいえ、まさに東京都がふさわしいと思う公益性の高い民間事業であれば、東京都から見てもどんどん使ってほしいものなんじゃないかなというふうに私は思います。
 私としては、もちろん使用承認には制限があるといいながらも、東京都のシンボルマークを、もっと都民も含めて積極的に活用していくというふうに考えてみてはどうでしょうか、その辺を、局の所見を伺います。

○樋渡広報広聴部長 東京の魅力や価値を世界に伝えていくツールとして、今広く活用を募っています&TOKYOとは異なりまして、シンボルマークは都が実施する事業または都政に関係する事業に表示するマークでありまして、今後も適正な審査の上、対象となる事案につきましては、適切な表示を推進してまいります。

○栗山委員 都政広報についてお伺いいたします。
 広報広聴事業は、都政の情報を都民に迅速に伝えるとともに、都民の多様な声を集約し、都政に反映させ、都民と都政のコミュニケーションを図る上で重要な役割を担っております。
 昨今、新たな媒体が普及し、都民が情報を得る手段が多様化している中で、幅広い世代に対して都政の情報がしっかりと行き届くようにしていくことが特に重要であります。
 そこで、広報広聴事業の中から都政広報についてお伺いいたします。
 都民に届けるべき都政の重要課題について、都政広報を担う生活文化局として、各局と連携して効果的な広報を実施する必要がありますが、どのような取り組みをしているのかお伺いいたします。

○樋渡広報広聴部長 生活文化局は、全庁的な広報広聴方針を定め、各局と密に連携した情報交換により、広報の目的、対象及び内容に応じて、時期、媒体等を適切に選択し、効果的かつ効率的な広報広聴活動を実施しております。
 また、毎年、広く都民に対し広報すべき都政の重要課題を重点広報テーマに位置づけ、関係局と連携した計画的な広報に取り組んでおります。
 具体的な取り組みとしましては、平成二十七年度は、東京の都市力の向上、オリンピック・パラリンピック開催に向けてを重点広報テーマとしまして、女性の活躍推進や水素社会の実現に関する広報を展開しているところでございます。

○栗山委員 各局と連携しながら積極的な広報活動を展開するに当たっては、テーマもさることながら、媒体の選択も重要であります。
 都政情報を的確かつ確実に都民に届けるため、どのような媒体を選択し、情報発信力の高い広報展開を行っているのかお伺いいたします。

○樋渡広報広聴部長 生活文化局では、三百九十五万部発行の「広報東京都」、年間約一億四千六百万件のアクセスがあります都庁総合ホームページ、MXテレビを初めとします八つの都提供テレビ、ラジオ番組などの自主媒体を軸とし、主要日刊紙への新聞広告、ターミナル駅前の街頭広告、駅や車内の交通広告等の外部媒体を活用しております。
 「広報東京都」は、世代を問わず都政の重要施策についてわかりやすい解説や都民生活に必要なお知らせなどを定期的にかつ確実に都民の手元に配布しております。
 都庁総合ホームページは、インターネットが持つ情報の検索性を活用し、都政全般や都民生活等にかかわる情報を迅速かつわかりやすく公開しております。
 都提供のテレビ、ラジオ番組は最も身近で高い訴求力を持っており、ターゲットに応じて都政情報をわかりやすく発信することが可能であると考えております。
 こうした媒体の特徴を勘案しながら、広報の目的、対象、内容などに適した媒体を選択するとともに、さらに多様な媒体を組み合わせ、短期集中的に情報発信するクロスメディア展開を基本に、計画的かつ重層的な広報活動を実施しております。

○栗山委員 テレビ、ラジオ番組、広報紙、インターネット等、さまざまな媒体を複合的に組み合わせて、効果的な情報発信に取り組んでいることがよくわかりました。
 今後、さらに効果的な広報展開を進めるために、新たな媒体を積極的に活用すべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。

○樋渡広報広聴部長 IT化の進展を背景にした媒体の多様化により、動画等のデジタル素材を活用した訴求力のある情報発信が求められております。
 具体的には、JR渋谷駅前や新宿駅西口の街頭ビジョンなどのデジタルサイネージ、ユーチューブなどの動画サイト、ツイッターなどのSNSの活用により、タイムリーで利用者にわかりやすい広報を実施しているところでございます。
 今後とも、新たな媒体の動向を見据えつつ、広報内容や訴求対象に応じた媒体の選択による積極的な広報を展開してまいります。

○栗山委員 都民にわかりやすく伝えるためには、映像を活用した情報発信が重要であります。
 特に関係団体、企業の協力により、駅前の街頭ビジョンや動画サイト等を利用し、幅広い世代の都民に対し、音声と動画で訴求力の高い情報発信を行うことは効果的でございます。
 私が生活文化局に声がけをしたことをきっかけに、渋谷駅前のスクランブル交差点の街頭ビジョンでの広報が六月から運用開始され、五カ月で約六十本の映像が無料で放送されたとお伺いしております。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、従来からの広報紙やテレビ番組なども十分に活用しながら、新たな媒体もあわせて活用し、東京の魅力や都政の情報をこれまで以上に積極的に発信してもらいたいと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、私立幼稚園における預かり保育についてお伺いいたします。
 核家族化や地域のつながりの希薄化などにより、家庭の教育力の低下が指摘される中、質の高い幼児教育を提供する東京の私立幼稚園に対する期待はますます大きくなっています。
 中でも預かり保育については、女性の社会進出や働き方の多様化が進む中で、就労状況にかかわらず幼稚園に通わせたいという保護者の希望に応える有用な施策でございます。
 また、私の知り合いから、上のお子さんの学校行事に参加する場合に預かり保育を利用しているとの話も聞いておりまして、就労していない保護者の子育て支援策ともなっております。
 そこでまず、都内の私立幼稚園における預かり保育の実施状況についてお伺いいたします。

○加藤私学部長 都内の私立幼稚園では、教育課程に係る教育時間終了後に行う預かり保育のほか、教育時間前の早朝保育や夏休みなどの長期休暇中の預かり保育に取り組んでおります。
 平成二十六年度においては、都内私立幼稚園の八九・一%に当たる七百二十一園が実施しております。

○栗山委員 都内では、実に多くの幼稚園で預かり保育が実施されていることがわかりました。幼稚園は、小学校などと同様に夏休み等の長期休暇があるために、質の高い幼児教育を受けることを希望しても、就労の関係から幼稚園を選択することができない保護者もいると思います。
 また、就労していない保護者でも、まとまった期間子供を預けることができないため、育児疲れのような状況になる人もいると聞いております。
 先ほどの答弁で、夏休みなども預かり保育を実施している幼稚園があるとの話でしたが、より多くの幼稚園で長期休暇中も預かり保育が実施されるよう支援していくことが必要だと思います。
 長期休暇中も含め、年間を通じて預かり保育を実施する私立幼稚園を支援するため、都は平成二十六年度に補助制度の充実を行ったが、改めてその内容をお伺いいたします。

○加藤私学部長 理事のご指摘のとおり、都は平成二十六年度から補助制度の充実を図り、教育時間終了後三時間を超えた預かり保育、春、夏、冬の長期休暇中における預かり保育の全てを実施する私立幼稚園に対しては、補助単価を基本額の一・一倍に増額いたしました。
 加えて、例えば教育時間終了後三時間を超えた預かり保育であれば、開園日の九割以上実施するなど、それぞれの預かり保育を年間一定日数以上実施する場合に、補助単価を基本額の一・七倍に増額しております。

○栗山委員 夏休みや春休みなどの長期休暇中も預かり保育を実施する幼稚園に対して補助を増額することで、幼稚園が長期休暇中の預かり保育に取り組みやすくなったと思います。
 今回の補助制度の充実により、長期休暇中の預かり保育実施幼稚園数はどのように変わったのか、また、今後都は、預かり保育にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○加藤私学部長 長期休暇中の預かり保育の実施により補助金を受けた幼稚園数は、制度拡充前の平成二十五年度は、春休み三百四園、夏休み三百九十九園、冬休み三百三十二園でございました。
 二十六年度は、春休み三百十六園、夏休み四百二十三園、冬休み三百五十五園となり、それぞれ十二園、二十四園、二十三園増加しております。
 制度拡充後一年の実績ではありますが、長期休暇中の実施幼稚園が増加し、取り組みとして有効であるものと認識しております。
 今後も引き続き、積極的にさまざまな保護者ニーズに応える取り組みを行っている私立幼稚園を支援してまいります。

○栗山委員 預かり保育は、少子化により一人っ子家庭がふえる中、異年齢の子供と交流できる機会であり、近所づき合いが難しくなっている昨今において、子供を通じて保護者同士の交流にもつながっていくと思います。
 幼稚園と保育所では本来の役割は違うものでございますが、預かり保育の制度を充実させることは、保育所が受け入れ切れない子供を幼稚園で受け入れることができるようになるなど、待機児童対策に値するとともに、広く子育てを行う保護者の支援にもつながっていくものでございます。
 引き続き、預かり保育を初め、さまざまな保護者ニーズに応える取り組みを行っている私立幼稚園を支援していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○高木委員 私からは、まず、十八歳から選挙権を持つようになることについて、お伺いをさせていただきたいと思います。
 本年の六月十七日ですが、公職選挙法等の一部を改正する法律が参議院で可決、成立をいたしまして、選挙権を有する者の年齢が二十歳から十八歳に引き下げられることになったわけであります。
 これによりまして、来年夏の参議院選挙からこの同法が適用されることになるわけでありまして、これは、都内の私立高校にも選挙権を有する生徒が在籍することになるわけであります。
 したがって、今後は学校教育の中で選挙権を持つことへの自覚や責任というものを考えさせなければいけないと思いますし、そのことを学ばせることがまずこの法律改正によって、私は重要になったのだなというふうに思っております。
 そこで、最初に、私立学校の教育現場で選挙権の年齢が引き下げられるということについて、これをどのように受けとめているのか、そのことについてお伺いをさせていただきたいと思います。

○加藤私学部長 高等学校の教育現場においても、政治的教養の教育は大変重要との認識のもと、来年六月には生徒の一部が有権者となる高等学校において、具体的な主権者教育を実施する必要があると考えられております。
 ただし、高等学校三年生には、選挙権を有する十八歳以上と有しない十八歳未満の生徒が同時に在籍しているため、実際の政治的活動等について、生徒が法令に違反することがないよう、一律ではなく、生徒に応じたきめ細やかな指導を求められることになるとの声もございます。

○高木委員 今、大変微妙ないい回しだったと思うんですが、これは非常にセンシティブな話で難しいと思うんですね。これまでの学校教育においては、選挙権という権利を持つことへの教育というのはほとんど行われてこなかったと思います。
 今回の法改正は、そういう意味ではよいきっかけとなるんだろうと思っておりまして、これから社会に出て、一人の有権者としてしっかりと投票行動していくという意味では、非常に重要なキーポイントになるんだろうと思います。
 しかし、学校現場では、来年の夏からということでありますから、早急な対応が求められることもあって、戸惑いがあるということも聞いております。
 そこで、東京都では、この問題について、どのような取り組みを行って、私立学校を支援したり、あるいは助言をしたり、あるいは指導したりということをしていくのかについてお伺いしたいと思います。

○加藤私学部長 都は、本年八月、公職選挙法改正に伴う選挙権年齢の引き下げに係る国の通知を各学校に周知し、主権者教育等の充実について依頼しております。
 また、先月、国が四十六年ぶりに見直した、高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等に関する留意事項等についての通知も各学校へ周知しております。
 今後も、必要に応じて関係機関と連携し、選挙の仕組みや都議会に係る情報提供を行うなど、生徒が有権者となるに当たり、議会制民主主義の意義などをみずから学び、理解を深める環境づくりが進められるよう、各学校の取り組みを支援してまいります。

○高木委員 初めてのことといえば初めてのことですし、東京都にとっても手探り状態という部分もあるんだろうと思っています。
 選挙権を持つということは、ご答弁の中にもありましたけれども、これは選挙運動も基本的には解禁というかできるようになると。それで、たしか前回の参議院選挙のときからネット選挙も解禁になっておりますので、この問題というのは、特に若い人にとっては、ネット選挙との関係において、きちんと選挙運動の問題というのは整理をしておく必要があるんだろうと。
 それとともに、生活文化局は私学を所管しているわけでありまして、だからこそ、門外漢とはいいながらも、やはり公職選挙法に対する知識というものもきちんと皆さんも持っていただかなければいけないんだろうと。
 つまり、学校側から問い合わせ等がきっとあるんだろうと思いますから、そのときにこういう案件はどうなんですか、こういうことをやってもいいんですか、あるいはやらせてもいいんですかというようなことも私はきっとあるんだろうと思うんですね。
 ですから、この際一つのきっかけという意味で、いい機会なので、そういう若い人たちがこれから選挙権を持つ、そのときにどういう行動を起こしていくのか、そういうことも予想しながら、特にネット選挙の問題などは若い人にとっては身近なんだろうと思いますから、そのことについての見識をぜひ深めておいていただきたいなと思います。
 それと、これは今度、文教委員会の教育庁所管のところでも同じような質問をしたいと思っているんですけれども、私たちは、政治活動というものは、特に民主政治というものが個人の浄財によって支えられるということは理想なんだということで、寄附の問題というのは避けて通れないと思っているんです。
 それで、寄附については、個人の寄附は奨励をしてきたはずなんですね。ですから、この寄附制度についてのこともきっとそのうち出てくるんだろうと思います。
 それでは、選挙権を持った十八歳の子供が特定の候補者に対してお金を寄附したいと、こういうことをいってきたときに、学校の先生はどういうふうに答えるんですかね。
 そもそも十八歳で寄附をしていいのかどうかということについて、見解を持たれている方がいらっしゃったら、ぜひ聞いてみたいなと思いますが、公職選挙法上、寄附というのは年齢制限がないんですね。制限があるのは、唯一、日本人であるか外国人であるか、このことしかないんですよ。
 ですから、十八歳の子供が、あるいはもっと年齢が低くてもいいんですけれども、個人的に寄附をしたいということに対して、これは妨げる法律はないんですね。
 ですから、そのときに、私、寄附していいんでしょうかといったときに、学校の先生がどう答えるかなと、私は非常に興味深いし疑問もあるんですね。やりなさいよというわけにもきっといかないんでしょうし、やるなよということも、これはいかない。
 だから、皆さんできちんと判断をしてください、公職選挙法上はこういうルールになっていますよということを説明ができるかどうかということですね。
 ぜひそういうことを、これは特に公教育の部分については公務員ですから、公教育を担っている先生方にも、私は教育庁にも申し上げたいと思いますけれども、しかし、私学の方も同じでありますので、そういうことも含めて、ぜひこの選挙権問題については議論を深めていただきたいと思っています。
 私は、十八歳の子供たちに、有権者として、この際、自覚をしっかりと持っていただく。そして、投票権を有することの重みというものをわかるようにすることが大事だろうと思います。
 国政も、あるいは地方政治も同じですけれども、政治に関与するということがどれほど重みがあることなのか。つまり、国家の政策や、地域の、あるいは自治体の政策に関与していくということがどれほど重みのあることなのかということを、ぜひ私はわかっていただくような、そういう部分において子供たちの思想の形成や、あるいは考え方をつくっていく上でのいざないというものをぜひ促進していただきたいと思います。
 そのことを理解する上では、やはり民主主義という制度を今私たちやっているわけですから、民主主義思想というものが生まれて、自分たちが選挙権を持つまでに、今までの間、この数百年の間にどのような議論や歴史があって、どのような考え方が積み重ねられて今に至っているのかということをやはり理解しないと、投票行動に行くべく、一票を投じるということに対する確信というのは生まれないんだろうと思っているんです。
 ですから、今の選挙は、ありていにいえば、選挙がある、そうすると投票率何%と出ますけれども、最初から大体四〇%ぐらいの人は行かないじゃないですか。
 ですから、これが、やっぱり民主主義というものが、私は余りよろしい状況ではないというふうに思いますので、これはぜひいい機会ですから、これからの子供たちに民主主義の正当性ですとか、投票というものがどういう意味なのかということを教えるべく、そのサポートというか、私立学校に対するサポートをぜひ東京都もしていただきたいと思います。
 私は、そういう意味では、長い歴史というものを--民主主義が生まれてくる、そして、今まで積み重ねてきた歴史、先人たちの議論、そういうものを知るためには、やはり古典を読んでいくことだというふうに思いますから、古典を読ませるというか、読んでいただくために、そういうものを読みたいな、疑問に思ったときには手にとれるなという環境をぜひつくってあげていただきたい。
 だから、学校の図書館に、難しい本かもしれませんけれども、そういう本が置いてあって、先生が、子供たちからこういうことについて疑問なんだけれども、どうだろうかと聞かれたときには、そこにこういういい本があるよと、これを読んでみなさいというような環境だけはぜひ整えてあげていただきたいなと思います。
 ですから、選挙権の年齢が引き下げられたからということで、若い人の投票が一時期のブームだけに終わってしまってはいけないと思いますし、ぜひ各私立学校において、民主主義についての根本的な理解を深める環境づくりをしっかりと進めていただきたい、そのことを支援していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 次の質問に移ります。文化事業に対する取り組みについてお伺いをいたします。
 先般、世界都市ランキングというのが発表されまして、東京は昨年に引き続き第四位ということになりました。このうち文化交流の分野というのは五位というふうになっているわけであります。
 この世界都市ランキングというのがここ数年一つの指標になっていますけれども、これはある意味で、特に文化とかそういう部分については、一つの指標にすぎないというふうに思った方がいいというふうに私は思います。
 つまり、文化のところをどうはかっているのかという項目を見れば、我が国の文化に対する評価をしているわけではなくて、それをどう見せているのかということをただ単に、あえていうならばテクニカルに評価をしているだけですから、我が国の文化がどうかということではなくて、テクニカルな話をこの世界都市ランキングで評価しているんだというふうに捉えるのが正しいんだろうと思っていますので、ですから、きょうはそういう意味で極めて表層的な、極めてテクニカルな話の質問をさせていただきたいと思っています。
 東京には、日本古来からの多彩で奥の深い文化がある。これは、もう我が国には、東京だけでなくて、日本各地にそういうものがある。しかし、それが、先ほどから申し上げているようにテクニカルにいえば、国内外に十分伝わっていないということがこの世界都市ランキングの中での第五位だという評価なんだろうと思います。
 つまり、それは、見せ方とか発信力の問題だというふうに思うんですね。ですから、二〇二〇年、平成三十二年のオリンピック・パラリンピックに向けて、この見せ方とか発信力の強化というものが、都市ランキングの順位を上げていくという意味でいえば必要だろうというふうに思っています。
 東京の芸術文化を国際的に発信をするとした先般つくられた文化ビジョン、この策定を踏まえた上で、これを海外に向けた情報発信、これからどういうふうに取り組んでいくのかということについて、まずお伺いさせていただきたいと思います。

○鳥田文化振興部長 東京は、多彩な文化資源に満ちた都市であります。海外から注目を集める二〇二〇年までの間には、東京の芸術文化を世界に向けて発信することは、国際的な競争力を高める上で重要であります。
 都では、これまで、パンフレットの多言語表記などの取り組みは行ってきたものの、海外への東京の芸術文化情報の発信については重点的に取り組んでまいりませんでした。
 そのため都は、本年五月に文化ビジョンの英語版を作成いたしまして、在京大使館を初め海外三十都市の行政機関、七十八カ国百三十四の文化機関に配布するとともに、海外メディアに対する広報も展開してきました。
 また、SNSを使った英語による情報発信も開始し、ツイッターでは、開設から半年ですが、海外の芸術家など約十万人のフォロワーがおります。
 さらに、この秋には、世界の文化関係者の集まる国際会議において文化政策のプレゼンテーションを行い、東京が持つ固有の文化価値をPRしてまいります。

○高木委員 私たちは、日本の文化とか、あるいは歴史も伝統もそうでありますけれども、そういうものは十二分にあるということを自信を持っていいと思うんですね。
 冒頭に申し上げたように、きょうは表層的な質問をしますよといったのは、文化とか伝統というものを議論していくと、当然それはもっと高度なというか、もっと深い話になっていきますので、時間もありませんからしませんが。
 ですから、私たちはそういうものがあるという前提に立って、それをどうやってお見せするのか、あるいはどうやって皆さんに理解をしていただくのかということのテクニックをやっぱりもう少し学ぶべきだろうなというふうに思っています。
 ですから、海外に向けた発信力というのを上手に使っていく、どう工夫していくのかということが今問われているんだろうと思います。
 二〇一二年のオリンピック・ロンドン大会では、ロンドンが文化プログラムで、英国が世界に誇る劇作家でありますシェークスピアの三十七作品を三十七カ国の劇団がそれぞれ自国の言語によって英国全土で上演するというワールド・シェークスピア・フェスティバルというのを開催したと聞いております。
 極めてわかりやすいプログラムを組まれたなというふうに私は思いますが、これは非常に象徴的な文化プログラムの展開だったと思いますし、非常にわかりやすくイギリス人が思っているイギリスの文化というものを発信して、文化の力によってイギリスは都市ランキングも向上させた。だから、これがうまくはまったわけですね。
 私たちからすれば、イギリスでシェークスピア、当たり前じゃないかというのかもしれないけれども、こういうこともやっぱり大事なんだろうというふうに思いますね。
 ですから、文化プログラムは東京の芸術文化を発信する大きな機会なんだというふうに捉えて、さて、そこから私たちが自信を持っている日本の文化をどう発信していくのかということになると思います。
 そこで、今後、東京都はどのような文化プログラムを展開して、それをどう世界に向けて発信するのか、世界で一番の都市東京の実現に向けた局長の決意と、ぜひこうしたいという思いもあったらぜひ聞かせていただきたいと思います。

○多羅尾生活文化局長 文化プログラムの展開につきましては、芸術文化評議会において、その考え方や推進方法が議論されてまいりました。
 そこでは、文化プログラムの基本的な考え方として、伝統と現代の共存を初めとした独自性、多様性を持つ東京の文化を世界に発信するとともに、象徴的な事業を都が主導し実施するとされております。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けては、この提言も踏まえ、海外からも注目されるような、東京を代表しレガシーとしても残るプロジェクトを実施していきたいと考えております。
 また、これらのプロジェクトについては、あらゆる機会を捉えてPRするとともに、より一層の効果を得るために、政策企画局と連携した国際的な放送事業者による発信や産業労働局のブランディング戦略との連携を図っていきたいと考えております。
 また、先ほど副委員長のお話にもございましたように、ロンドン大会の文化プログラムにおきましては、英国人の心に深く宿るといえるシェークスピアにぴたりと焦点を当てまして、それを中心とした企画を前面に打ち出して、イギリスの文化というものを世界に発信して、お話のとおり成功をおさめたというようなことでございます。
 東京大会におきましても、東京からさまざまな文化を発信していかなければなりませんけれども、やはりその前提として、日本人の心といいますか、あるいは日本の伝統というものをしっかり背景に持った多様で奥の深い東京の芸術文化を世界中に伝え、文化や芸術の面でも世界一の都市東京を目指していきたいと、このように考えております。

○高木委員 逆説的な話ですけれども、我が国の文化、特に海外とかにお見せしたいというものは、多分、たくさんあり過ぎるんだと思うんですよ。だからこそ、焦点がなかなか定まらない。私は、恐らくイギリスも同じだったと思うんですが、議論の過程の中で、だけどやっぱりシェークスピアだというふうに多分なったんだろうと。
 それが我が国においてできるのかどうかというのはちょっとわかりませんが、ぜひそういう工夫もしていただいて、きょうの話は見せ方の話ですから、たくさんあるんですから、自信を持ってその見せ方の工夫をしていただきたいということでございますので、よろしくお願いします。
 以上でございます。

○古賀委員 東京都生活文化局平成二十七年事業概要の中の配偶者暴力対策に関する表記について質問いたします。
 この件に関しましては、平成二十四年の三月十九日の文教委員会で、私が、報告事項、東京都男女平等参画審議会答申についての質疑で一度取り上げております。
 その後、さまざまな状況の変化等もありますので、改めて都の見解を伺っておきたいと思います。
 私は、平成二十三年、四年前になりますけれども、東京都配偶者暴力対策基本計画を改定するに当たり、平成二十四年度から平成二十八年度までのもので、男女平等参画審議会の委員として審議に参加をいたしました。
 その際、基本計画の名称を変更し、配偶者の後に「など」「等」をつけるという提案が配偶者暴力対策部会からされたわけでありますけれども、私は、これはいわゆる男性同士、女性同士の同性婚合法化に向けての狙いがある動きであるということを懸念いたしましたので、これに反対し、くれぐれも慎重に審議会としては対応するように主張したわけであります。
 よくこの議論の中で性的少数者の問題が指摘されるわけであります。渋谷区がことしの四月に、同性同士のいわゆる結婚に相当する関係を証明するという証明書発行の条例を可決して、今月の五日から世田谷区も同じようなことを始めたわけでありますけれども、その際によくいわれますLGBTということがありますが、この件に関して、いわゆる日刊紙、有名な新聞等で、間違いというか混乱があるように思います。
 確かにLGBTというのは少数者であって、性的指向の問題であるということは、当然、誰でも理解できるわけでありますけれども、これと性同一性障害が同列に人権問題として論じられていることは間違いなんですね。
 心と性が一致しない、いわゆる性同一性障害は、障害であって性的指向ではないわけです。ですから、LGBTのLは女性の同性愛、Gは男性の同性愛、Bは両性愛者、Tが性別越境者というような訳もあるそうですけれども、男性で女装をする、女性の格好をする、テレビによくそういう人たちが出ていますけれども、それから、女性で男装するという人たちをTと指しているわけで、自己自身の障害ということになるわけで、心の性に合わせる手術などを行って、心と体の性の一致を目指すということになっているわけです。
 ですから、性同一性障害の人権問題としてよく論じられるということに関しては、私も決して一流と思わないんですけれども、一流紙といわれている有名な新聞でも、この点が社説等で混乱しているんですね。その点、一つ、皆様もよくその辺を踏まえてもらいたいというふうに思います。
 渋谷区の今回のいわゆる結婚に相当する証明書発行の条例の制定、世田谷も同性間のパートナーシップ宣誓書の受領など、これは異性と、男性同士、女性同士の婚姻を同価値に見ようとする、極めて憂慮すべき事態ではないかというふうに私は思います。
 結婚を望まない男女がふえている背景には、男女間と同性間を同列視し、本来の結婚の価値が若者の中で希薄化していることが一因ではないか。つまり、非婚化、晩婚化の原因だろうというふうに推測できるわけです。
 つまり、種を保存し継続させていくためには、動物の場合には雄と雌がいるし、植物の場合には雄しべと雌しべが、人間の場合には男性、女性という、あくまでこれが前提になるわけですね。
 これを同一視するということは、社会の根幹を揺るがすということになってくるわけです。そういう懸念を、当時から、四年前から、私は審議会等で指摘をしてまいりました。
 基本計画改定時にそういった議論を踏まえ、この計画の名称を変更することは見送ることになったのでありますけれども、今回の事業説明の資料を見ますと、生活文化局事業概要の四九ページ、五九ページで、配偶者等暴力対策と記載されています。
 私は、ちなみにさかのぼって数年見てみましたけれども、やっぱり「等」は入ってるんですよ。ですから、その「等」の記載が特段何か東京都で意図したものであるというふうには私は思いませんけれども、改めて配偶者の後に「など」「等」をつけている意図、根拠について説明してください。

○斎田男女平等参画担当部長 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律、いわゆる配偶者暴力防止法は、配偶者に加え、事実婚を含む男女、離婚した元配偶者、生活の本拠をともにする交際相手など、広くその対象を設定しております。
 さらに、昨今、若年層における交際相手からの暴力、いわゆるデートDVも深刻化していることから、総合的な暴力防止、被害者の自立支援に向けて対策を講じるため、配偶者等暴力対策と記載してございます。

○古賀委員 離婚をした人、それから同棲をしている人、そういう間において暴力があれば、都は、若い人も含めて相談体制も整備しているし、行政として適切な対応を行っているということですので、改めて「など」ということを入れる必要は私はないと考えていますけれども、そういった、いわゆるデートDVという言葉がありましたが、本来は殴られるところに行かなきゃいいと私は思うんですけれども、そういうことがあるという場合には、この「等」によって対応しようということだろうということで、この点もわからないではないんです。
 昨今の、先ほど申し上げました条例や要綱の制定が渋谷や世田谷で行われ、さらに先日、「しんぶん赤旗」を見ていましたら、東京中野でシンポジウム、LGBT広く理解をということで、中野区の区長と教育長、それから日本共産党の区議会議員の人も参加をして、この行事を行っているわけです。
 その参加者の中からは、中野区でも同性カップルの公的承認制度など、行政によるLGBT支援策を期待するというような発言もあるということで、先般の九月都議会の中でも、同性婚に向けての動きに賛同する一般質問も行われていたようでありまして、これからは燎原の火のごとく、渋谷に続け、世田谷に続け、もう中野は続いて始めているわけです。これからさまざまな動きが各自治体で広がってくるというふうに思います。
 渋谷のことについて申し上げれば、憲法ではどう書いてあるかといえば、二十四条で、結婚は両性の合意と書いてありますから、同性婚は明確に憲法に反するということになりますし、また同様に、憲法九十四条では、条例の制定は法律の範囲内ということになっていますので、渋谷の場合は二重の意味で憲法に反しているということになってくるんですけれども、法務省とか法務大臣は、結婚と同じじゃないから様子を見守りたい、それから、舛添知事も状況を見守りたいというようなのんきなことをいっています。
 ただ、私は、非常に--最高裁のさまざまな判例等でも、家族の解体であるとか、家族の価値をおとしめるような、後退させるような動きというものが、ここのところ相次いでいるんですね。
 近いところでは、例の遺産相続の嫡出子と、非嫡出子の相続分の二分の一が、本来は法律による法律婚主義をとっていた日本では合憲というふうに最高裁はいっていたんですけれども、これが平成二十五年には違憲というふうに変わったし、さらに今、夫婦別姓、また再婚の禁止期間について、今度は十二月の、来月の十六日に最高裁が判断を下すということになっていますけれども、いずれも法のもとの平等に反するというようなことから、最高裁の大法廷が解釈を変える可能性がここで出てきたわけです。ですから、同性婚の問題も危機感を持って私は見なければいけないというふうに思っています。
 マスコミも、皆さんもご存じだと思いますけれども、「新婚さんいらっしゃい!」という番組が長い間やっていますけれども、今から二年前ほどに男の夫婦が登場したらしいですね。私は見ていませんけれども、つまり、マスコミでも女装した男性が、芸能人が出ておりますけれども、「新婚さんいらっしゃい!」でも既にそういう動きが、登場して取り扱われているということです。
 そういう視点から、私は、ちょっとおまえは過敏じゃないかといわれるかもわかりませんけれども、この「等」の問題は、最初はデートDV等、若い人たちのことを視野に入れて考えたかもわからないけれども、渋柿の渋はあるとき突然甘さに変わるように、この「等」の解釈が突然、同性婚への法制化への道を開くことにもなりかねない。
 アメリカは現にこの六月、全米で同性婚を合法化したわけですね。キリスト教ではだめだという教えがあるにもかかわらず、オバマ大統領も賛成だということで、ホワイトハウスを虹色にライトアップして喜んでいました。
 だから、大体十年おくれぐらいで日本はアメリカに追従するような現象が起きてくるわけで、ぜひ我々も議会として、一体結婚とは何かという意義も踏まえて、少子化の問題とか、それから暴力の問題と、さまざまなことにこれは関連してくると思います。
 フェミニズム運動は、ジェンダーフリーとかいろんな形で、男女混合名簿とかいろんなことで我々の目の前に形を変えながら登場してきましたけれども、まだまだ日本は健全だというふうに私は思うのは、先般、八月にワールドカップのサッカーの澤穂希選手が結婚を発表しまして、相手の元Jリーガーの魅力は何かと聞かれたときに、男らしいといったんですね。
 フェミニズム運動に熱心な人たちは、男らしさ、女らしさは絶対だめだということで、さんざんそういうことを今まで主張してきたわけですね。こいのぼりを上げちゃいかぬとか、桃の節句におひな様を飾っちゃいかぬとか、そんなことをやってきたんですけれども、澤穂希選手のような世界の一流選手は、男性の魅力は男らしさだと思っているんですよ。堂々と記者会見で答えていました。まだまだこういうすばらしい女性がいるなと私は思ったんです。
 そこで、都の見解はわかりましたけれども、私は、もう一度審議会等でいろいろ議論があると思いますけれども、この場で確認しておきたいのは、東京都生活文化局として、同性間の暴力をその対策に含めるという意図はあるのかないのか。
 つまり、配偶者暴力というのは、異性間のことを指しているんですけれども、あるとき突然変異で、渋谷や世田谷や中野の動きのようなこともこれから起きてくるし、都議会でも既にそういう発言も出てきている中で、この「など」というのが突然解釈が変わる可能性が出てくるわけで、三年前にもそういうことを私は感じたわけですよ。
 ですから、同性間の暴力をその対策に含めるという意図はないのか。男同士も女同士もありますよというんじゃ私は困るんです。
 私は、この場で確認させていただきます。どうですか。

○斎田男女平等参画担当部長 配偶者暴力防止法では、男女間の暴力を対象とし、同性間は含まれていないことを国の担当者に確認しております。
 生活文化局といたしましては、この法律に基づき、配偶者暴力相談支援センターの運営など、さまざまな施策を講じるとともに、社会情勢に応じまして、交際相手からの暴力など、新たな課題にも対応しているところでございます。
 なお、性的少数者の方々からの相談等に対しましては、これは人権施策の一環といたしまして総務局が対応しているところでございます。

○古賀委員 今の答弁は、それで私も是としますし、従来の都の見解、また国の方の見解もそうであるということですので、ぜひこれが突然変異しないように、きょうの答弁を忘れずに施策の展開を図ってもらいたいというふうに思います。
 欧米を中心に、同性婚合法化の潮流が顕著になってきているわけですね。
 先般、東京都が発表したHIV感染者、エイズウイルス感染者は二十代過去最多ということで出ていまして、感染経路は同性間の性的接触というのが七三%なんですね。同性婚を認めようという人たちは、余りこのことはいわないんですね。先進国でエイズ患者がふえているのは日本だけですよ。
 こういうことについても、都が発表した情報ですから、ぜひこういう情報をもっと積極的に発信してもらいたいと思います。今の答弁で安心しました。
 私は先日、津田塾大学の日本疫学、中でも母子保健を研究している三砂ちづる教授の講演を聞く機会がありました。私は、最近、いい話とか立派な話というのは時間がもったいないから、あとは何をやるかが大事だから聞かないようにしているんですけれども、この三砂教授の話は、私は、いい話を聞いたと思って、非常によかったと思っているんです。津田塾大学の特に女子学生は、私は幸せだというふうに思います。
 この三砂教授は、「不機嫌な夫婦」とか、「女が女になること」、「オニババ化する女たち」などの著作があります。こういった著作で共通するのは、女性がみずからの身体の声に耳を傾けてもらいたいと。女性であること、子供を産むことの幸せや希望を感じられる社会にしなければいけないということを非常に強調しておられます。
 だから、仕事を一生懸命やっていれば家族は要らないというようなライフスタイルがこれから蔓延していけば、女性は鬼ばば化しますよということで警鐘を鳴らしておられるわけです。
 事業概要で私があれっと思ったんですけれども、ぜひこれからも、その「等」についての見解を維持すると同時に、家庭を築くことの価値、それから子育ての価値を改めて認識する。
 大人だけではなくて、子供を保護する。よく子供の権利とか子供中心主義というようなことで、子供の権利という権利主体として見る考え方があるんですけれども、私はあくまで子供は保護すべき対象だというふうに思います。十分な保護を与える。そういう視点で、私たちも、また行政も対応していくことが必要であろうというふうに思います。
 それから、平成二十八年度、来年度、東京都は再び配偶者暴力対策基本計画、それから男女平等参画のための東京都行動計画を改定するようになるわけです。期限が切れますから。
 私も引き続き男女平等参画審議会の委員になっていますので、今回のアメリカの同性婚、アメリカ最高裁の、全米で合法化したことの動きや、国内の先ほど申し上げたような自治体の動きなどを踏まえて、いろいろな動きがまた出てくるというふうに思います。
 女性が活躍することは私も大賛成であります。そして、家庭という社会の最も基礎となる最小の単位で、これが基礎になっているものが家庭ですから、その仕組みが軽視されることのないように、これから審議会の中でも、また委員会の中でも取り組んでいきたいと思います。
 以上で終わります。

○植木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十四分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る