文教委員会速記録第十号

平成二十七年九月十四日(月曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長小竹ひろ子君
副委員長里吉 ゆみ君
副委員長山崎 一輝君
理事小林 健二君
理事島崎 義司君
理事鈴木 錦治君
宮瀬 英治君
小松 久子君
伊藤こういち君
ほっち易隆君
小山くにひこ君
今村 るか君
古賀 俊昭君

欠席委員 なし

出席説明員
生活文化局局長多羅尾光睦君
次長桃原慎一郎君
総務部長武市 玲子君
広報広聴部長樋渡 幸生君
都民生活部長山中 康正君
消費生活部長山本  明君
私学部長加藤  仁君
文化振興部長鳥田 浩平君
都政情報担当部長濱田 良廣君
男女平等参画担当部長斎田ゆう子君
文化施設改革担当部長越  秀幸君
教育庁教育長中井 敬三君
次長松山 英幸君
教育監金子 一彦君
総務部長堤  雅史君
都立学校教育部長早川 剛生君
地域教育支援部長粉川 貴司君
指導部長伊東  哲君
人事部長加藤 裕之君
福利厚生部長太田 誠一君
教育政策担当部長安部 典子君
教育改革推進担当部長出張 吉訓君
特別支援教育推進担当部長松川 桂子君
指導推進担当部長鯨岡 廣隆君
人事企画担当部長鈴木 正一君
特命担当部長江藤  巧君

本日の会議に付した事件
生活文化局関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
陳情の審査
(1)二七第三〇号 ヘブンアーティスト事業に関する陳情
教育庁関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
・都立小平南高等学校(二十七)改修工事請負契約
・都立日野台高等学校(二十七)改修工事請負契約
報告事項(説明・質疑)
・都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例について
請願陳情の審査
(1)二七第五号の二 発達障害児とその家族に対する支援の充実に関する請願
(2)二七第二八号 発達障害の子どもたちがニーズに応じた多様な教育の場を奪われないことに関する陳情

○小竹委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 次に、先般の人事異動に伴い、オリンピック・パラリンピック準備局の幹部職員に交代がありましたので、局長から紹介があります。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 去る七月十六日付の人事異動により変更のありましたオリンピック・パラリンピック準備局の幹部職員をご紹介申し上げます。
 技監の西倉鉄也でございます。連絡調整担当部長で準備会議担当部長を兼務いたします浦崎秀行でございます。スポーツ施設担当部長の田中慎一でございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○小竹委員長 紹介は終わりました。

○小竹委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局及び教育庁関係の第三回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、教育庁関係の報告事項の聴取並びに生活文化局及び教育庁関係の請願陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行うこととし、報告事項については、説明聴取の後、質疑を終了まで行いますので、ご了承願います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、生活文化局長に多羅尾光睦さんが就任されました。また、幹部職員に交代がありましたので、局長から挨拶並びに幹部職員の紹介があります。

○多羅尾生活文化局長 去る七月十六日をもちまして生活文化局長を拝命いたしました多羅尾光睦でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 当局は、広報広聴、都民生活、消費生活対策、私立学校及び文化の振興等、都民の日常生活とかかわりの深い各種の施策を実施しており、これらの施策を適切かつ円滑に推進できますよう全力で取り組んでまいります。
 委員長初め、委員の皆様方のご指導、ご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。
 引き続きまして、七月十六日付人事異動で生活文化局幹部職員に交代がございましたので、ご紹介させていただきます。
 次長の桃原慎一郎でございます。総務部長の武市玲子でございます。広報広聴部長の樋渡幸生でございます。私学部長の加藤仁でございます。都政情報担当部長の濱田良廣でございます。文化施設改革担当部長の越秀幸でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○小竹委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。

○小竹委員長 次に、第三回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○多羅尾生活文化局長 平成二十七年第三回定例会に提出を予定しております生活文化局関係の議案についてご説明申し上げます。
 今回提出を予定しております議案は、条例案一件でございます。私から、概要をご説明申し上げます。
 恐縮ですが、お手元の資料第1号、平成二十七年第三回東京都議会定例会議案の概要をごらんください。
 表紙をおめくり願います。今定例会に提出を予定している条例案をお示ししてございます。
 1、特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例でございます。
 本条例は、住民基本台帳法の改正に伴いまして、規定を整備するものでございます。
 詳細につきましては、引き続き、総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○武市総務部長 局長からの概要説明に引き続きまして、私から、今定例会に提出を予定しております議案の詳細についてご説明申し上げます。
 恐縮ですが、お手元配布の資料第1号、平成二十七年第三回東京都議会定例会議案の概要の表紙と目次をおめくりいただき、一ページをお開き願います。
 1、特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例でございます。
 (1)、改正理由をごらんください。本条例は、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行による住民基本台帳法の改正に伴いまして、特定非営利活動法人の設立認証申請及び役員変更届け時における本人確認書面の取り扱いに関する規定を整備するものでございます。
 (2)、改正内容をごらんください。第二条第三項中「第三十条の七第五項」を「第三十条の十一第一項」に、「他の道府県知事(同法第三十条の十第一項の規定により指定情報処理機関に行わせることとした場合にあっては、当該指定情報処理機関)」を「地方公共団体情報システム機構」に、「本人確認情報」を「機構保存本人確認情報」に、「第三十条の八」を「第三十条の十五第一項」に、「当該情報」を「都道府県知事保存本人確認情報」に改めるものでございます。
 (3)、施行期日につきましては、公布の日としております。
 なお、特定非営利活動法人設立認証申請等における本人確認につきましては、(4)をご参照ください。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小竹委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小竹委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○小竹委員長 次に、陳情の審査を行います。
 陳情二七第三〇号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○鳥田文化振興部長 ヘブンアーティスト事業に関する陳情につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております陳情審査説明表を二枚おめくりいただき、一ページをごらんください。
 陳情二七第三〇号、世田谷区、戸田玲子さんからのヘブンアーティスト事業に関する陳情でございます。
 要旨でございますが、都において、ヘブンアーティスト事業について、次のことを実現していただきたい。
 1、公共の場で安全に自由に鑑賞でき、かつ都民の利益を損なうことなく、行われること。
 2、オリンピック・パラリンピックを控え、公共の場でのヘブンアーティスト及び関係者のモラル低下を是正する必要があり、物販禁止、管理規約上禁止だけでなく、都の肩書にふさわしくない言動、ホームページ、中傷、誹謗等の運営の仕方についても罰則の対象にすること。
 3、苦情については、利益をともにしない公正な判断ができる有識者を入れた第三者委員会(仮称)をつくること。
 4、アーティストだけでなく、その関係者、手伝う人が問題ある場合もあるので、登録制にして、その苦情に対し、同様の罰則をつくり課すこと。
 5、問題のあったアーティストについて、都のかかわる活動の中止、ホームページを都のホームページよりアクセスさせない、登録を抹消するなど、適切かつ迅速な対応をすること。
 6、関連局、施設管理者等と連携し、担当課が適正な罰則を課し、それを強化するとともに実施を遂行すること。
 7、都民側に立った判断をし、都民の物心ともの利益を損なわない、事業のやり方へ改善することというものでございます。
 現在の状況でございますが、1、6及び7については、ヘブンアーティスト事業は、専門的分野の第三者で構成する審査会に合格したアーティストに、指定した都立公園、文化施設等の公共施設や民間施設などを活動場所として開放し、都民や都を訪れる人々が気軽に芸術文化に触れる機会を提供することを目的としております。
 都は、活動場所の施設管理者と調整を行い、ヘブンアーティストが都の指定した場所で活動を行う際の遵守事項や禁止事項を明示するとともに、ライセンスを一年更新とするなど、ヘブンアーティストライセンス取扱要領を定め、これまでも適切に事業を実施しており、今後も従前どおり対応してまいります。
 2及び5については、要領では、ヘブンアーティストが施設ごとに定められた管理規定を遵守し管理者の指示に従うこと及び社会的に非難を受けるおそれのある演奏等を行ってはならない旨を規定しております。これらの規定に違反する場合は、活動停止やライセンスの取り消し等を行うことができるとしており、これまでも状況に応じて必要な措置を講じております。
 3及び4については、ヘブンアーティスト事業の実施に際してアーティストやその関係者への苦情が都に寄せられた場合は、要領に基づきアーティストを指導するなど、既に適切に対応しているところでございます。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小竹委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○里吉委員 陳情二七第三〇号、ヘブンアーティスト事業に関する陳情について意見を申し上げます。
 ヘブンアーティスト事業は、東京都が実施する審査会に合格したアーティストに公共施設や民間施設などを活動場所として開放し、アーティストの育成と、都民が気軽に芸術文化に触れる機会を提供していくことを目的に行われている事業です。
 陳情にあるように、この事業が、公共の場で安全に自由に鑑賞できるようにすること、また、事業を実施する際、東京都が都民の側に立った判断をして、常に改善の努力をすることは当然で、都にはそのような努力を常に行っていただくよう求めます。
 一方で、アーティストに対し、今以上に罰則を強化することは、この事業の発展のためにもふさわしくないと考えます。罰則の強化については賛成できません。
 以上、意見といたします。

○小竹委員長 ほかにご発言ありますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小竹委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小竹委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二七第三〇号は不採択と決定いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。

○小竹委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動により幹部職員に交代がありましたので、教育長から紹介があります。

○中井教育長 さきの人事異動で教育庁幹部職員に交代がございましたので、ご紹介させていただきます。
 地域教育支援部長の粉川貴司でございます。福利厚生部長の太田誠一でございます。人事企画担当部長の鈴木正一でございます。特命担当部長の江藤巧でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○小竹委員長 紹介は終わりました。

○小竹委員長 次に、第三回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○中井教育長 平成二十七年第三回東京都議会定例会に提出を予定しております教育庁所管の案件につきましてご説明申し上げます。
 初めに、条例案でございます。
 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例でございまして、江東区に東京都立城東特別支援学校を設置するものでございます。
 次に、契約案でございますが、都立小平南高等学校(二十七)改修工事請負契約外一件でございます。
 以上が教育庁関係の提出予定案件の概要でございます。
 詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○堤総務部長 私から、提出予定案件の詳細につきましてご説明申し上げます。
 初めに、お手元の資料、平成二十七年第三回東京都議会定例会議案(条例)に基づき、条例案をご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、七ページをお開き願います。東京都立学校設置条例の一部を改正する条例でございます。
 八ページの新旧対照表をお開き願います。特別支援教育の推進を図るため、東京都立城東特別支援学校を東京都江東区大島六丁目七番三号に設置するものでございます。
 施行日は、公布の日からとしております。
 次に、お手元の資料、平成二十七年第三回東京都議会定例会議案(契約)に基づき、契約案をご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。都立小平南高等学校(二十七)改修工事請負契約でございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は十六億四千六百九十三万五千二百円、契約の相手方は東京都豊島区池袋二丁目四十八番一号、佐田・中尾建設共同企業体でございます。工期は契約確定の日から平成二十九年二月七日まででございます。
 三ページから八ページにかけまして案内図、配置図、各階平面図を、九ページに契約議案の概要を記載してございます。
 続きまして、一〇ページをお開き願います。都立日野台高等学校(二十七)改修工事請負契約でございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は十五億九千六百二十四万円、契約の相手方は東京都港区浜松町一丁目二十五番十三号、松尾・長井建設共同企業体でございます。工期は契約確定の日から平成二十九年二月二十八日まででございます。
 一二ページから一六ページにかけまして案内図、配置図、各階平面図を、一七ページに契約議案の概要を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、ご説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申します。

○小竹委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○里吉委員 東京都立学校設置条例の一部改正する条例についてですが、東京都立城東特別支援学校について、児童生徒数、それから学級数の今後の推移、知的とろう学校の種別にそれぞれお願いいたします。

○小竹委員長 ほかにございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小竹委員長 ただいま里吉副委員長の資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小竹委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○小竹委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○堤総務部長 都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例について、お手元の資料、平成二十七年第三回東京都議会定例会議案(条例)に基づき、ご説明をさせていただきます。
 恐れ入りますが、二ページをお開き願います。被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行による地方公務員等共済組合法等の改正に伴いまして、付則第三条の規定を整備するものでございます。
 施行日につきましては、平成二十七年十月一日からとしております。
 三ページから六ページにかけまして新旧対照表を記載してございますので、ご参照いただければと存じます。
 以上、簡単ではございますが、ご説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○小竹委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 ご発言願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小竹委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小竹委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○小竹委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 請願二七第五号の二及び陳情二七第二八号については、いずれも内容に関連がありますので、一括して議題といたします。理事者の説明を求めます。

○松川特別支援教育推進担当部長 お手元にお配りしております文教委員会付託請願・陳情審査説明表の一ページをお開き願います。
 初めに、請願二七第五号の二、発達障害児とその家族に対する支援の充実に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、東村山市のらっこの会(東村山困っている子ども達を応援する親の会)の代表土崎幸恵さんから提出されたものでございます。
 本請願の趣旨は、都立高校に入学した発達障害の生徒に対し、障害の状態に応じた適切な支援等を行うことというものでございます。
 このことに関する現在の状況でございますが、都立高校におきましては、全校で教員を特別支援教育コーディネーターに指名するとともに、特別支援教育に関する校内委員会を設置し、特別な指導、支援が必要な生徒の対応に向けた体制を整えております。
 都教育委員会は、都立高校に対しまして、発達障害の理解や指導に関する指導資料を配布するとともに、都立特別支援学校のセンター的機能を活用して、発達障害の生徒の指導等に関する助言を行っております。
 また、平成二十年度から、発達障害に関する専門的な指導について助言、相談できる臨床発達心理士を派遣しており、平成二十七年度は、発達障害の生徒が比較的多く在籍している都立高校十校に派遣しております。
 発達障害の生徒への支援の充実と円滑な学級運営を図るために、今年度から、都立高校三校で医師等外部人材の役割や支援方法、内容等に関する研究事業を実施しており、研究成果を必要な施策につなげられるよう検討しております。
 続きまして、陳情二七第二八号、発達障害の子どもたちがニーズに応じた多様な教育の場を奪われないことに関する陳情についてご説明申し上げます。
 二ページをお開き願います。本陳情は、狛江市の東京の障がい児教育を充実発展させる会の代表加藤勇一さん外三千六百十一人から提出されたものでございます。
 本陳情の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 まず、1、社会性を学ぶために、情緒障害等通級指導学級に通級していた発達障害の子供たちが、ニーズに応じてこれまでどおりに個別指導と小集団指導を適切に組み合わせた教育が受けられるように、拠点校には東京都が独自につくっている通級指導学級と同様の教員配置及び施設、設備を整備することでございます。
 このことに関する現在の状況でございますが、特別支援教室は、一人でも多くの発達障害の児童が、これまでの通級指導学級での指導を、在籍校において受けられるようにするために、全ての小学校に配置し、教員が巡回指導を行うこととしたものでございます。
 東京都教育委員会は、特別支援教室における指導児童数に基づき、区市町村ごとに必要な教員を配置してまいります。
 巡回指導を行うに当たっての拠点校の教員配置や教室環境整備につきましては、各区市町村教育委員会がその実情を考慮して判断してまいります。
 次に、2、拠点校以外の特別支援教室については、他の目的と併用しない専用の教室を複数整備することでございます。
 このことに関する現在の状況でございますが、特別支援教室導入に当たっての教室環境整備につきましては、各区市町村教育委員会がその実情を考慮して判断してまいります。
 なお、都教育委員会は、特別支援教室の円滑な導入に向けて、教室環境の整備に要する経費について、補助を行っております。
 次に、3、東京都教育委員会として、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画から特別支援教室の導入ガイドラインに至る経過について、説明会を開き、保護者、関係者の意見を丁寧に聞いて、不安や疑問に答えることでございます。
 このことに関する現在の状況でございますが、東京都教育委員会では、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画に基づき実施しました特別支援教室モデル事業の成果を踏まえまして、特別支援教室の導入ガイドラインを策定し、小学校への特別支援教室の導入に至る経過につきまして、全ての区市町村教育委員会及び関係団体等に対して説明を行い、関係者の意見を聞いて丁寧に質問に答えております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○小竹委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○伊藤委員 私からは、まず、発達障害児とその家族に対する支援の充実に関する請願について質問をさせていただきます。
 本請願は、東村山市の土崎幸恵さんを代表とするらっこの会の皆様から提出され、我が党の谷村孝彦議員が紹介議員となっている請願でございます。
 この請願のうち、文教委員会に付託された四番目の項目、都立高校に入学した発達障害の生徒に対し、障害の状態に応じた適切な支援等を行うことに関して、何点か伺いたいと思います。
 まず、ただいまの都教委の説明にもありましたけれども、都立高校において、特別支援教育コーディネーターの指名及び特別支援教育に関する校内委員会の設置を行っているということでありましたけれども、この指名と設置の状況について、確認のため伺いたいと思います。

○松川特別支援教育推進担当部長 平成二十六年度の調査では、都立高校における特別支援教育コーディネーターの指名率及び校内委員会の設置率は、ともに一〇〇%でございます。

○伊藤委員 全ての都立高校に特別支援教育コーディネーターと校内委員会が設置されているということでございました。
 発達障害がある生徒は、小中学校の段階で発達障害の状態に応じた支援を受けて都立高校に入学する生徒と、都立高校入学後の段階になって初めて発達障害があることに気づく生徒もいると思います。
 都教委としては、特別支援教育コーディネーターや特別支援教育に関する校内委員会といった、今、答弁にあった仕組みの中で、この両方の生徒を受けとめていくという認識なのかを伺いたいのとともに、仕組みはできているものの、その体制を確実に機能させていくことが重要と考えますけれども、発達障害のある生徒が都立高校に入学した際、具体的にはどのようにこうした仕組みを機能させて、生徒を支援していくのか伺いたいと思います。

○松川特別支援教育推進担当部長 都立高校には、入学前に特別な指導、支援を受けてきた生徒と、これまで発達障害と気づかずに過ごしてきた生徒が入学してまいりますが、それぞれの生徒に応じた適切な指導、支援を行っていく必要がございます。
 このため、特に、早期に入学後の相談機会を設けることや、出身中学校から情報を引き継ぐなどの対応が重要でございます。
 特別支援教育に関する校内委員会におきましては、生徒の実態の把握、指導方法や配慮すべき事項等、発達障害の生徒への支援に向けた学校全体での方針を検討してまいります。

○伊藤委員 都教委としては、特別支援教育コーディネーターや特別支援教育に関する校内委員会の設置に加えて、必要に応じて都立特別支援学校のセンター的機能を活用し、助言を受ける体制も整っているという説明が先ほどありましたけれども、しかしながら、特別支援学校の教員がたびたび他校へ赴いていけるわけでもないと私は思います。
 この特別支援学校のセンター的機能は、高校のみならず、中学校、あるいは今後、特別支援教室が設置されていく、こうした中においてもセンター的機能を発揮するということだと思いますので、発達障害があるかどうか、現場で迷うときもあると思います。また、より専門的な、生徒への指導が必要になることも時にはあると思います。
 先ほどは、教員や生徒への専門的な相談、助言を行う臨床発達心理士の巡回や、医師等外部人材の役割等の研究を行っているという説明がありましたけれども、教員や生徒へのより専門的な助言や相談が必要となった場合、現在の派遣規模である十校への巡回に限らず、今後は必要とする学校への派遣を実施していくべきと考えますけれども、見解を伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 大変失礼いたしました。先ほどの答弁の中で一点漏れがございまして、追加をさせていただきます。先ほどの答弁をさせていただいた後に申し上げるべき内容が、次のとおりでございます。
 また、必要に応じて、都立特別支援学校のセンター的機能の活用による発達障害の生徒への指導に関する助言内容を校内委員会などで共有しながら校内委員会を整え、適切な対応をしてまいります。
 訂正しておわび申し上げます。申しわけございません。
 ただいまの質問についてでございますが、文部科学省が公表しております調査結果では、高等学校における発達障害と想定される生徒の在籍率は二・二%でございまして、都立高校におきましても同程度の生徒が在籍すると考えております。
 現在、都立高校におきまして実施しております臨床発達心理士の巡回相談事業は、発達障害の生徒や保護者、学級担任への相談や助言により、学級運営等の安定化に効果があるとの成果を得ておりますことから、本年度研究に着手いたしました医師等外部人材の役割等に関する研究の結果を踏まえ、今後必要とする学校への対応を検討してまいります。

○伊藤委員 本請願は、都立高校に入学した発達障害の生徒に対し、障害の状態に応じた適切な支援を行うことを求めております。
 今、質疑をしてきたとおり、都教委は、特別支援教育コーディネーターや特別支援教育に関する校内委員会の設置、そして、都立特別支援学校のセンター的機能を活用、また、専門家派遣の拡充など、確実に取り組みを進め、発達障害がある生徒が安心して都立高校に通えるよう、さらなる努力を重ねていただきたいと思います。
 次に、発達障害の子どもたちがニーズに応じた多様な教育の場を奪われないことに関する陳情に関して質問をさせていただきます。
 私は、先日、本陳情を出された関係者の方々から直接お話を聞かせていただきました。来年度から順次導入される特別支援教室の意義、役割については、ご理解をいただいているものの、特別支援教育のレベルが下がってしまうのではないか、通級の機能が失われてしまうのではないかなど、さまざまに不安を感じていらっしゃることが、お話を伺い、よくわかりました。
 その不安の声を踏まえて、まず伺いたいのは、今後設置されていく特別支援教室では、情緒障害等通級指導学級で実施されていた個別指導やソーシャルトレーニングを実施するための小集団指導は、これまでと同じように行われなくなってしまうのではないか、また、その指導時間の配分は少なくなってしまうのではないか、こうした不安に対して見解を伺いたいと思います。

○松川特別支援教育推進担当部長 特別支援教室で実施される指導は、これまで情緒障害等通級指導学級で実施されてきた内容と同様であり、児童の障害の状態に応じて個別指導やソーシャルスキルを身につけるための小集団指導についても実施してまいります。
 指導時間数につきましても、それぞれの指導に必要な時間数を設定していくことは、これまでの通級指導学級と変わるものではございません。

○伊藤委員 発達障害がある児童の状況に応じて、これまでの通級学級と同じ教育支援内容が望めるという確認をさせていただきました。
 次に、私は以前、特別支援教室の導入に向けた、狛江市で行われたモデル事業を視察させていただきました。そこでは、特別支援教育についてのベテランの教員が実に適切な指導を行っていた様子と、そこで目を輝かせながら生き生きと指導を受けている児童の姿がとても印象的でございました。加えて、児童一人一人に合った教材をそろえ、楽しくも落ちついた教室環境が整備されておりました。
 発達障害がある児童にとって、こうした安心できる、時にはクールダウンができる環境、スペースをしっかりと整備していくことは重要なことだと痛感をいたしました。
 そこで、発達障害がある児童が落ちついて学べる環境を区市町村が着実に整備していく必要があると思いますけれども、都はどのように支援をしていくのか伺いたいと思います。

○松川特別支援教育推進担当部長 特別支援教育におきまして、児童が落ちついて学ぶためには、区市町村が特別支援教室の導入に必要な環境の整備を行うことが不可欠でございます。
 都は、全区市町村の特別支援教室の円滑な導入に向けて、その条件整備に要する経費を導入の前年度に補助いたします。具体的には、物品購入相当の経費として一校当たり三十万円を、簡易工事相当の経費といたしまして一校当たり七十万円を、それぞれ上限とした全額補助をいたします。

○伊藤委員 都は、物品購入と簡易工事相当の経費として、区市町村に一校当たり上限百万円を補助するとのことでございましたけれども、特別支援教室で指導、支援を受ける児童数や学校規模も違うことから、教室設置後も区市町村の実情をよく見た上で、さらなる財政的支援もご検討いただきたいと要望しておきたいと思います。
 また、財政的支援だけでなく、よりよい教室の設置事例を紹介するなど、特別支援教室の環境整備を支援していただきたいと思います。
 加えて、先ほどの狛江市の教員のように、特別支援教育のエキスパートは急には育ちません。都は、特別支援教育に精通する教員の人材育成についても、区市町村をしっかり支援していただきたいと要望しておきます。
 次に、都が示したガイドラインによれば、二十八年度から三十年度までに全ての学校に特別支援教室が導入されるとしておりますが、来年度といってもあと半年の間に、特別支援教室の導入を始める予定の区市町村及び学校数はどの程度になるのか進捗状況を伺いたいと思います。

○松川特別支援教育推進担当部長 本年六月に行った調査によりますと、六十二区市町村の約六割に当たります三十九区市町村が、平成二十八年度に特別支援教室の導入を開始し、都内公立小学校千二百九十二校のうち五百八十五校が特別支援教室を設置する計画となっております。
 平成二十八年度に特別支援教室の導入を開始する区市町村には、全校一斉に導入する区市町村と、二十九年度以降にわたり段階的に導入する区市町村がございます。
 また、平成二十九年度以降に導入開始を予定しております区市町村は、現在、導入に向けた体制を整えている段階でございます。

○伊藤委員 ただいまの答弁で、あと半年でございますが、同じ二十八年度に導入する区市町村でも進め方に違いがあること、例えば二十八年度単年度に一斉に、十二校ある市であれば、十二校一斉にスタートできるところもあれば、一学期の間に四校、二学期目にまた四校、三学期でさらに四校、こんな区市もあるようでございます。また、二十九年度、三十年度に導入する予定の区市町村があるということがわかりました。つまり、区市町村によって導入に向けた方法が違うとのことでございます。
 さきにお話を聞いた本陳情の関係者の方々は、ご自分のお子さんが、あるいは関係するお子さんが通う区市町村では、いつどのように教室が設置されるのか、その教育支援内容がどのようになるのか、こうしたことがわからないことが不安になっているというお声でございました。
 特別支援教室の導入時期等は、区市町村がそれぞれ異なるので、現状と進め方についての保護者等への説明は公立小学校の設置者である区市町村が行うべきと考えます。
 都として、区市町村に対して、速やかに丁寧に説明会を開くなどの働きかけを行うべきと考えますけれども、所見を伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、特別支援教室の導入に向け、その意義や導入方法につきまして、区市町村の教育長会や教育委員会の実務担当者への説明会等におきまして説明を行ってまいりました。
 特別支援教室は、区市町村がそれぞれの実情に応じて導入するものでありますことから、導入に際して保護者への説明を丁寧に行うよう、これまで以上に区市町村に働きかけてまいります。

○伊藤委員 都は、都内の全ての公立小学校に着実に特別支援教室が設置され、発達障害がある児童が、ニーズに応じた多様な、適切な教育支援が受けられるよう、全力で取り組んでいただきたいと思います。
 そしてまた、前半で質問させていただきました、都立高校に入った発達障害がある生徒についての支援等も含めまして、このたびの特別支援教室、全小学校でという取り組みでございます。以前の委員会でも申し上げましたけれども、ぜひこれを引き継いでいく公立の中学校での特別支援教育のあり方も全力で進めていただきたい。
 そしてまた、都立高校に入った後の発達障害がある生徒についても、しっかりと支援をしていただきたい。
 また、都立高校を卒業していく、こうした生徒の進路。進学をするお子さんもいらっしゃるでしょうし、就職をするお子さんもいらっしゃると思います。
 第三次の特別支援教育推進計画の中には、こういうグラフがありました。幼少のころの早期の発見、そして、小学校に入る、中学に行く、高校に行く、そしてまた、その先の進路に進んでいく、これを一貫した支援も行っていくんだという図でございましたけれども、都教委として、ぜひそれを実効性のあるものにしていただきたいと要望しまして、質問を終わります。

○里吉委員 私からも質問していきたいと思います。
 まず、発達障害の子どもたちがニーズに応じた多様な教育の場を奪われないことに関する陳情についてです。
 改めて特別支援教室、来年度から、準備の整った自治体から導入していくことになっていますけれども、来年度に特別支援教室を開始する予定の区市町村の数と学校数について、まずお答えください。

○松川特別支援教育推進担当部長 本年六月に行いました調査によりますと、六十二区市町村の約六割に当たります三十九区市町村が、平成二十八年度に特別支援教室の導入を開始することとしておりまして、都内公立小学校千二百九十二校のうち五百八十五校が特別支援教室を設置する計画となっております。

○里吉委員 約六割の自治体で導入する、また、学校数では千二百九十二校のうち五百八十五校ということですから、約四五%の学校が特別支援教室を設置するということでした。
 東京都の通級制情緒障害学級は、五十年以上の歴史があります。一九九三年に国が通級による指導を制度化する以前から、特別支援学級の制度を使って、通級してくる児童生徒の数で学級編制を行うという東京都独自の通級指導学級の制度をつくってきました。
 通級児童生徒が十名で一学級を編制し、学級数プラス一名の担任を配置しています。この制度のもとで、情緒障害等通級指導学級では、個別指導と小集団指導を適切に組み合わせ、大きな成果を上げてきています。
 発達障害など特別な支援が必要な子供たちの増加に合わせて、各区市町村も通級指導学級を設置する学校数をふやし、子供たちが適切な指導を受けられるように対応してきました。
 導入されようとしている特別支援教室は、この東京都独自のすぐれた制度を引き継ぐものなのか、変質させてしまうものなのか、ここが大きな問題です。
 この問題では、昨年十一月にも陳情があり、そのときにも議論になった一番の大きな問題が、教員の配置がどうなるかということです。子供たちは、今は大体週一回通級して、先生と子供が一対一で勉強でつまずいているところなどを学ぶ個別指導を二時間、五人から六人程度の小さな集団で運動やゲームを通じて感覚統合やコミュニケーションの仕方などを学ぶ小集団指導を二時間、合わせて四時間程度の指導を受けていることが多いと聞いています。
 陳情者を初めとする保護者の皆さんは、特別支援教室導入後も、こうした指導を子供たちは受けられるのだろうか、そのために先生はきちんと配置されるのだろうかということを心配しています。
 通級学級では、児童十人で一学級を編制し、学級数プラス一名の先生が配置されていますが、特別支援教室の導入ガイドラインによれば、特別支援教室では、区市町村ごとに児童十人につき一人の教員を配置するとしています。
 そこで伺いますが、今年度、公立小学校において、情緒障害等通級指導学級に通っている小学生の数及び先生の配置数をお答えください。また、今年度の在籍児童数に基づいて、特別支援教室導入後の新たな教員配置基準で計算すると、先生の配置は何人になるのかお答えください。

○松川特別支援教育推進担当部長 本年五月時点で、都内公立小学校の情緒障害等通級指導学級において、指導、支援を受けている児童の数は七千百九十人でございます。また、情緒障害等通級指導学級における教員配置数は千六十一人となっております。
 仮に、現在想定している新たな教員配当基準により教員数を算出すると、七百四十八人と見込まれております。
 新たな教員配当基準を適用するに当たり、導入の初年度である平成二十八年度から平成三十二年度までの五年間は、平成二十七年度の教員配置数を維持するための経過措置を設けておりまして、毎年度、指導児童数が増加していることを考慮しますと、総体として、教員数が減少に転ずることはないと考えております。

○里吉委員 児童数が同じ七千百九十人だったとして、現在の千六十一人いる先生が七百四十八人になってしまう、三百十三人、約三割も減ってしまうということです。これは物すごい削減だといわざるを得ません。これで現在の通級学級と同じ指導を子供たちは受けることができるのでしょうか。特別な支援の必要な子供たちの教育を充実するといいながら、何でこんなに教員を減らすのかと私は怒りさえ覚える。
 先ほど、五年間は定数を減らさないといいました。でも、五年たてば子供に対する教員の数は激減するわけです。モデル校で三年間やってきましたけれども、モデル校は、今の配置数でやっているわけですから、それと同じことが、この後、特別支援教室でできるということは全く当たらないと思います。
 次に、施設、設備の確保、特に小集団指導のできる教育の確保についても伺います。
 陳情は、子供たちが、ニーズに応じてこれまでどおり、個別指導と小集団指導を適切に組み合わせた教育が受けられるようにしてほしいとあります。
 小集団指導については、前回の陳情審査のときにも、都教委から、一対一の個別指導を行うだけでなく、複数の児童による小集団を活用することにより、学習効果が上がる場合には小集団指導を行うなど多様な形態で指導を行うと、複数の児童を対象に小集団指導を行うことにより児童同士が友達を意識して学習が進むなど、一対一では得られない効果も期待できますと、この小集団指導の効果についても答えています。
 そこで伺いますが、都教委が来年度、特別支援教室を設置するとしている学校において、現在通級学級で行っているような小集団指導を行う方向になっているのかどうか、把握しているのかどうか、お答えください。

○松川特別支援教育推進担当部長 特別支援教室は、これまで情緒障害等通級指導学級で行っていた指導を、発達障害の児童が在籍する学校において受けることができるようにするものでございます。
 このため、情緒障害等通級指導学級で実施していたソーシャルスキルを身につけるために必要な小集団指導につきましても、児童の障害の状態に応じて実施してまいります。

○里吉委員 障害の状態に応じて実施というお答えでしたが、先ほど教員数が三割減るという話も明らかになりましたが、実際に特別支援教室導入後、個別指導とともに小集団指導が行われるかどうかということはわからないということがいえると思うんです。
 場所についてもですけれども、現在の通級指導学級設置校には、通級専用の教室やプレールームなどの専用施設があります。
 一方、特別支援教室については、ガイドラインで、各学校に設置する特別支援教室は、これまでの通級指導学級とは異なり、毎日使用する教室ではないため、既存施設の有効活用や巡回指導の日にのみ使用する兼用の教室でも可能であると書かれています。
 文科省の作成した通級による指導の手引も、ここに参照してガイドラインに書いてありますけれども、空き教室、図書室などで指導する場合もある、こんなことまで紹介しているわけですね、ガイドラインには。
 現在の通級学級の教室を見ますと、月曜から金曜までそれぞれ通う児童がいますから、その個別学習に使うさまざまな教材が整理されて置いてあります。毎日使うわけじゃないからといっても、この教室に通う子たちは変化に対応することが苦手な子供も多いわけですから、やはり専用の教室を、工夫して整備するべきではないでしょうか。
 また、ボール遊びやゲームなども含めた小集団指導を行うプレールームも大切です。小集団指導のための施設については、ガイドラインでは触れられていません。特別支援教室を導入する上で必要な施設、個別指導と小集団指導に対応するスペースについて、都の考えを伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 特別支援教室では、児童の障害の状態に応じてさまざまに工夫し、柔軟に指導を行うことが重要であることから、その施設や設備は各校の実情に応じて適切に区市町村が判断し、整備するものであると考えております。
 都は、全区市町村での特別支援教室の円滑な導入に向けて、導入に係る条件整備に要する経費につきまして、各小学校の特別支援教室導入の前年度に簡易工事相当の経費として一校当たり七十万円を上限とした全額を補助いたします。

○里吉委員 七十万円補助するということでしたけれども、これまでも、各区市町村が特別支援教室ではなくて、これまでの通級を設置する場合、教室をあけること、それから、そのためのプレールームを用意すること、そういうことを用意しながら順番に通級学級設置校をふやしてきたわけですよね。
 それを今度は、いきなり全部に広げますといって、一つ当たり七十万円、それは学校にパーテーションを置いたりですとか、そういうちょっとした工事は学校にとっては役立つと思いますが、それで今まで培ってきた東京都独自の通級の学習指導が到底できるとは思えないんですね。
 それで、私、本当にこのガイドラインを読んでいて、許せないといいますか、どうしてこういうことが書けるんだろうと思ったんですが、特別支援教室の導入ガイドラインでは、特別支援教室の導入の目的に、全公立小学校に特別支援教室を設置して、発達障害教育を担当する教員が各小学校に巡回して指導することにより--ここまではいいですよ、その後、通級指導学級で行ってきた特別な指導を在籍校で受けられるようになるとありますが、教員の数は五年たてば三割減らされてしまう、子供に対して教員の数がですね。そして、各学校にプレールームがあるわけでもなく、特別な教室が完備されている保障はない、こういうもとで、どうして通級学級で行っていた特別な指導を在籍校で受けられるようになるといえるんでしょうか、お答えください。

○松川特別支援教育推進担当部長 新たな教員配当基準により配置された教員と、在籍学級担任、特別支援教室設置校に新たに配置される特別支援教室専門員との連携、さらに、特別支援教室設置校に年十回巡回する臨床発達心理士などの活用によりまして、効率的かつ効果的な指導が可能となり、これまでの情緒障害等通級指導学級での指導内容や質を充実させ、特別支援教室において必要な指導ができると考えております。

○里吉委員 そうしたいというお気持ちはあるんだと思いますが、本当にそうできるかという問題なんですね。
 私、実際に幾つかの自治体にお話を聞いてみました。小集団指導をやる方向だというふうにお答えになったところでも、実際にお話を聞くと、現在小集団指導を行っている児童の保護者が引き続き拠点校での通級方式での指導を希望した場合は、その児童については行うですとか、拠点校への通級での小集団指導は今後は行わない、在籍校で、もしそういう対象の児童がそろった場合は行う場合もある、場所は体育館などが使える時間を工夫するなど、限られた状況の中での対応にならざるを得ない。今までのような小集団指導を行うことは、かなり困難になるのではないかと率直に感じました。
 実際に通級に通っていたお子さんや保護者の方からも、いろいろお話を伺いました。お手紙もいただきました。本当に皆さん感謝しています。通級があってよかった、個別指導と小集団指導、どちらもあってよかったとおっしゃっています。
 小集団では、卒業生を送る会などのイベントを準備する中で、相手の立場に立って考えるとか、段取りを考えるとか、時間の配分とか、学んだことを実地で生かす経験ができた、ぶつかり合いもあるが、先生が双方のいい分をしっかり聞いて納得いく解決に結びつける、こういう授業がよかったとおっしゃっていました。
 全国に先駆けて進めてきた東京都の特別支援教育は、この情緒障害等通級指導学級の教育でも、本当に先駆的にすばらしい蓄積があるのだと改めて実感しました。ぜひこのすばらしい教育を今後も残してほしい、さらに発展させてほしいと私も心から思います。
 そこで、先ほど出てきたことについて、新しい方の名前が出てきたので、一つ聞いておきますが、設置校一校当たり一名の非常勤職員を特別支援教室専門員として配置すると、この方にも働いていただくんだということが先ほどのご説明にありましたが、この特別支援教室専門員とはどのような方を想定しているのか伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 特別支援教室専門員は、校内における学級担任等や巡回指導教員との連絡調整や、指導の記録などを職務とすることから、小学校教育や学校運営への理解が求められます。
 このため、教員として勤務実績がある者や教員免許を有する者に加えまして、特別支援教育に理解があり、小学校の実情に精通している者を想定しております。

○里吉委員 教員の数を大幅に減らしながら、一方で、また非常勤職員を導入するということですよね。この問題は別の機会でまた改めて議論したいと思いますが、必要な場合は、教員をきちんと配置する、このことが求められていると思います。
 先ほどご説明のあった特別支援教室専門員という方は、教員免許を必要とはしていません。ですから、仕事の内容も、直接子供の指導をすることは仕事に入っていないわけですね。そういう方をふやすよりも、今の体制をしっかり守ることの方が本当に大事だと思います。
 それから、在籍校の特別支援教室になることで、在籍校の担任と巡回指導教員との連携が密になるとか、教職員や保護者が指導の内容を知る機会がふえると説明して、何か今までは在籍校の先生との連携や保護者との関係が薄かったような印象を受ける説明がされているように思うんですが、いろいろお話を聞くと違うんですね。
 実際に通級に通っていた児童の保護者の方からは、毎週の送迎のときに、担当の先生にそのとき困っていることなどを相談させてもらって、毎週個人面談をしてもらっているようだったとか、在籍校の先生に保護者からいいにくいことを伝えてもらったとか、通級終了後に在籍校の担任の先生に子供と一緒に会って、その日の学習の内容を聞いて、宿題のプリント類をいただくことでコミュニケーションもとっていますなどなど、通級の先生が保護者の方とも在籍校の担任の先生ともしっかり連携をとってやってきたということがよくわかりました。
 そもそも、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画には、重層的な支援体制整備の考え方として、第1層、特別支援教室、在籍校における支援体制の整備、これから始めるものですね。それ以外に、第2層、通級指導学級、情緒障害等通級指導学級、巡回指導の拠点となるとともに、従来どおりの教育機能、小集団機能も堅持する。そして、第3層、固定学級とちゃんと書いてあるんです。現状の通級も残しながら、全ての学校での特別支援教室を行うということだったはずなんですね。
 これが、ガイドラインになると急になくなってしまう、説明が変わってしまう。第三次計画で通級も残っていたが、完全にガイドラインではなくす方向になっている。この経過についてご説明いただきたいと思います。

○松川特別支援教育推進担当部長 東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画で掲げた特別支援教室は、全ての小学校に特別支援教室を設置し、教員が巡回指導を行うことにより、一人でも多くの児童が適切な指導、支援を受けられることを目指したものでございます。
 第三次実施計画に基づき実施したモデル事業では、児童、保護者の負担を軽減し、在籍学級担任と巡回指導教員との連携が密になり、指導内容が充実するなど、情緒障害等通級指導学級の抱える課題を解決する成果が得られました。これらの成果をまとめまして、特別支援教室導入のガイドラインを作成し、区市町村教育委員会に周知したものでございます。

○里吉委員 今のご説明ですけれども、ガイドラインをつくるためのモデル事業は、今の教員の数でやっているわけですよね。私も見てきましたけれども、その数がずっと続くのであれば、教員の数がずっと続くのであれば、私たちも望んでいるし、保護者の方も望んでいるし、在籍校で通級と同じような個別の授業が受けられる、どの子もそういう授業が必要な子が受けられる、そういうことが実施でき、なおかつ通級で小集団指導も受けられる、こういう、本来あるべき東京の先進的な今ある教育指導ができると思うんですね。
 ところが、そういうことがなくなってしまって、できますよといわれても、これは体制は全然整ってないといわざるを得ません。
 そして、最後に聞きますけれども、モデル事業をやってきた三年間は、その内容を都民に明らかにされませんでした。ですから、陳情が出されました。
 さらに、教員の配置数について、一番大事なことだと思うんですけれども、保護者向けのペーパーにも、これは都教委が用意したものです。それから、ホームページにも、どこにも説明がないわけです。
 第三次計画で示された内容と今回示されているガイドラインには、大きな違いがあります。進めているのは、東京都教育委員会ですし、人事については都の権限なわけですから、特別支援教室の設置主体が幾ら区市町村であったとしても、東京都が、きちんと都の責任で都民に説明すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○松川特別支援教育推進担当部長 小学校への特別支援教室の導入に当たりましては、各学校の児童の在籍状況や施設、設備の状況、区市町村による巡回指導体制の編成などが異なりますことから、設置者である区市町村がそれぞれの実情に応じて策定した計画により導入していくことが必要でございます。
 都教育委員会といたしましては、平成二十八年度からの導入が円滑に進むよう、引き続き区市町村に対して丁寧に説明してまいります。

○里吉委員 区市町村独自でいろいろ工夫できることはあると思うんですが、一番大もとの教員の配置、ここを大幅に減らすということを東京都が決定してしまえば、財政力のある自治体はもしかしたら単費で教員を雇うということもできないことはないかもしれませんけれども、そうしなければ、同じような体制はとれないということだと思うんですね。
 教員配置は、少なくとも一対一の指導が四時間できるとか、今までグループの学校があって、一つの学校が拠点校になっていた。そのグループの中でふさわしい小集団をつくったら、通級でそこに--それぞれの個別指導はいいですよ、それぞれの学校で受けられればね。でも、今までの拠点校には、ちゃんと施設があるわけですから、小集団指導は、そこで、今までより回数減ってしまうかもしれないですけれども、きちんと保障する、それだけの教員はきちんと保障するべきだと思いますよ。
 それは五年間、まだ教員の数を減らすまでに経過措置がありますから、その間にしっかりと議論して、そういう変更もぜひしていただきたいということを要望しておきます。
 そして最後に、都立高校に通う発達障害の生徒への支援についてですが、これは、小学校はもちろん中学校にもまだまだ数は少ないですが、通級学級の制度があり支援が行われてきたのに比べ、これから大いに充実が必要な分野だと思います。
 東京都は、現在、発達障害の生徒が比較的多い都立高校に臨床発達心理士を巡回させたり、幾つかの都立高校で専門のお医者さんと連携して指導方法の研究を行っているなど、充実に努めているところだと思いますが、小中学校と同様、どの都立高校にも、発達障害のため日常生活や友人関係などに困っていたり、ある特定の勉強だけがどうしてもおくれがちなどの生徒が在籍しています。高校生になれば、小さいころとは違う思春期だからこそ突き当たる壁もあり、必要な支援があります。
 現在は、発達障害の学生にさまざまな支援を行う大学もふえています。例えば、勉学には問題ないが、講義のカリキュラムを組むのが苦手な学生などに、卒業に必要な単位を取得できるように支援したり、就職に備え、コミュニケーションスキルを磨くためのグループ活動などを行っていると聞いています。
 一方で、不登校やひきこもりの子供たちの中には発達障害の子供が少なくないとも指摘されており、発達障害の生徒が自己肯定感を持ち、生き生きと学校生活を送れるような支援が一刻も早く求められていると思います。
 こうした観点から、請願二七第五号の二、発達障害児とその家族に対する支援の充実に関する請願は、採択を主張し、都教育委員会には、都民のニーズや意見を踏まえた支援の充実をお願いして、私の質問を終わります。

○今村委員 それでは、私からも質疑をさせていただきたいと思います。幾つか重なることがあるかと思いますけれども、改めて確認をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、発達障害児とその家族に対する支援の充実に関する請願についてでありますけれども、小中学校における発達障害がある児童生徒の割合は約六・五%といわれ、こうした児童生徒への合理的な配慮を求める声が高まっています。
 国においては、障害者差別解消法が来年四月からスタートをいたします。こうしたことからも、義務教育だけではなく、高校教育の場でも今後ますます合理的な配慮を求める声が高まると考えます。
 そこでまず、都教育委員会は、都立高校において、どの程度発達障害のある生徒が在籍していると認識しているのか伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 文部科学省が公表しております調査結果では、高等学校における発達障害と想定される生徒の在籍率は二・二%であり、都立高校でも同程度のおよそ三千人の生徒が在籍していると考えられます。

○今村委員 障害者差別解消法は二〇一三年六月に公布されて、国は、中教審の答申にもある基礎的環境整備を、二〇一六年四月の施行に向け、各都道府県、市町村とともに進めるというふうにしています。
 そこで、都立高校に在籍をしている発達障害のある生徒のための基礎的環境整備、また、さらには合理的配慮がどう対応されているのか、現状、実施している指導支援策について伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 都立高校に在籍する発達障害のある生徒への指導、支援につきましては、各校が生徒の障害の状態に応じて個別に対応しております。
 各高校への支援策といたしまして、発達障害の理解や指導に関する指導資料の配布や、都立特別支援学校のセンター的機能を活用した生徒指導等に関する助言を行っております。
 また、平成二十年度からは、発達障害の生徒が比較的多く在籍する都立高校へ、発達障害に関する専門的な指導について相談、助言できる臨床発達心理士を派遣しております。

○今村委員 先ほどの説明にもあったように、都教育委員会は、研究事業を通じ、来春に向け、さらなる施策を検討しているとのことでした。それは当然、入学選抜においても行わなければならないと考えます。
 そこで、都立高校の入学者選抜では、障害のある生徒の受検に際して、何らかの配慮を行っていると聞いています。どのように対応し実施しているのか伺い、さらには具体的な配慮の内容と、およそ毎年どのくらいの件数があるのかを伺います。

○早川都立学校教育部長 都立高校の入学者選抜におきましては、さまざまな障害などにより、通常の方法では受検が困難な方に対する配慮として、受検者からの申請と日常の学習活動における対応の実態に基づきまして、検査方法、検査時間及び検査会場について、必要な措置を実施しております。
 これまでに行いました具体的な措置の内容ですが、問題用紙、解答用紙の拡大、英語リスニング検査での座席の配慮、検査時間の延長や作文の検査におけるパソコンの使用などであり、措置の件数は毎年百件程度となっております。

○今村委員 都教育委員会が、入学から、そしてまた在籍中も、さまざまな努力をされていることは理解ができました。
 一方で、そうした支援、配慮を行っていても、発達障害の子供たちは周囲との人間関係がうまく構築できない、学習のつまずきが克服できないといった状況が進み、結果として、不登校や中途退学に至る事例も少なくないという指摘があります。
 不登校や中途退学の実態については、文科省が毎年調査を行っております。都は、今年度、例年のこうした調査に加えて、さらなる実態調査を行っていると聞いております。
 そこで、どのような調査を実施し、そして、調査結果をどのように生かしていこうとしているのかを伺います。

○安部教育政策担当部長 不登校や中途退学に至る児童生徒は、さまざまな背景を抱えております。その実態を詳細に把握し、効果的な施策につなげていくため、都教育委員会では、今年度、小中高等学校において不登校及び中途退学の実態調査を行っております。
 具体的には、欠席の状況や不登校の要因のほか、児童生徒が欠席した場合の学校の対応やスクールカウンセラーの活動状況、学校と福祉機関との連携状況などについて調査をしているところです。
 この調査結果を踏まえまして、不登校や中途退学した児童生徒の個々の状況に応じた支援方策を検討してまいります。

○今村委員 発達障害など、問題があるとされる子供のケアをしっかりと行うためには、改正障害者基本法の精神はもちろんでありますけれども、初めに申し上げたとおり、障害者差別解消法にある合理的な配慮を個々のニーズに沿って各学校が行えるよう、東京都教育委員会の指導の充実を強く求めながら、本請願にあります障害の状態に応じた適切な支援などを行うことが達成されるよう、本請願については趣旨採択すべきと述べ、このことについては、質疑を終わります。
 次に、発達障害の子どもたちがニーズに応じた多様な教育の場を奪われないことに関する陳情について伺います。
 特別支援教室の導入に当たっては、これまでも当委員会で私も質疑をしてまいりましたが、その中で、都教育委員会は、二〇一六年度に準備の整った市区町村が順次導入していくと答弁をしております。
 来春からこの特別支援教室を導入する市区町村は、教育委員会の把握している範囲でどの程度あるのかをまず伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 本年六月に行いました調査によりますと、六十二区市町村の約六割に当たります三十九区市町村が、平成二十八年度に特別支援教室の導入を開始する計画となっております。

○今村委員 東京都下の約六割に当たる自治体が基礎的環境整備を行い、特別支援教室を導入し、さらには合理的配慮をもって発達障害のある児童への指導を行うことは大変重要で有意義であるというふうに考えます。
 しかし、新しい特別支援教室という制度に不安を感じる保護者がいることも、本陳情からも感じられます。
 そこで、特別支援教室によって期待される効果について、改めて都教育委員会の見解を伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 小学校における特別支援教室の導入効果につきましては、モデル事業から得られた成果といたしまして、次の三点がございます。
 一点目は、児童の障害の状態について、巡回指導教員と在籍学級担任とが共通理解を持ち、共同して指導することによって、児童の障害の状態に応じた特別な指導の充実が図られ、児童の学力や在籍学級における集団適応能力を伸長することができるというものでございます。
 二点目は、巡回指導教員が在籍学級担任に対して助言等を行うことによりまして、在籍学級担任の対応力が向上し、学級運営が円滑になるというものでございます。
 三点目は、巡回指導により特別な指導が身近で実施されることとなり、通級による指導では特別な指導の内容などを知る機会が少なかった教員や、他の児童、保護者の発達障害教育への理解が進み、より多くの児童への必要な指導、支援につながるというものでございます。

○今村委員 我々民主党は、こうした子供たちの教育の場においては、インクルーシブ教育の充実を、この間、求めてまいりました。
 その中でいわれております合理的配慮が必要な、こうした児童の数は、学校の規模によっても大きく違ってまいります。基礎的環境整備など、学校の規模に合わせ、さらに実際に行った上での検証なども踏まえまして、今後柔軟な対応がとれるように、例えば先ほども指摘がされておりましたけれども、特に発達障害を抱えている子供たちのクールダウンをするスペースなど、そうした場の対応などがとれるよう要望をしておきたいと思います。
 また、今後も、来年四月以降、実施状況なども伝えながら、特別支援教室導入に不安を持つ保護者への丁寧な説明が学校現場で行えるよう都の支援を求め、質疑を終えます。

○小松委員 それでは、これまでに出されました質問と重ならないように配慮しつつ、伺ってまいりたいと思います。
 二〇一六年度、来年度から始まる特別支援教育につきまして、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画には、重層的な支援体制を整備するとしまして、第1層、2層、3層と三層構造の考え方が示されています。
 この第2層では、通級指導学級が存置されるように読めるわけですが、新たな制度で、結局、第2層の扱いはどのようになるのか、確認のためですが、改めてお伺いします。

○松川特別支援教育推進担当部長 東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画で掲げた特別支援教室は、全ての小中学校に特別支援教室を設置し、専門性の高い教員が巡回指導を行うことにより、一人でも多くの児童生徒が、適切な指導、支援を受けられることを目指したものでございます。
 現在の情緒障害等通級指導学級は、一部の学校に設置されており、学級が設置されていない学校の児童は他校に通わなければならず、児童や保護者の通学に係る負担があることから、特別な指導を受けられない児童もおります。
 特別支援教室の導入により、在籍学級担任と巡回指導教員との連携が緊密になり、指導内容の充実が図られ、在籍学級における集団適応能力の伸長が図られるものと考えておりますが、在籍校において指導を受けられない特段の事情があるなど、指導上の必要により、在籍校以外で指導、支援を受ける方が効果的な場合は、他校の特別支援教室に通って指導を受けることについて、保護者等と協議し、学校及び区市町村教育委員会が判断して決めることになります。

○小松委員 区市町村教育委員会等に都教育委員会が配布されております特別支援教室の導入ガイドライン、先ほども少し出ましたが、これに基づいて作成されたパンフレットというものがあります。このパンフレットは、都教委のホームページに掲載されています。
 しかし、ガイドラインそのものは未掲載です。これを公開するべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 特別支援教室の導入ガイドラインは、区市町村が特別支援教室を導入するに当たって、その実情を踏まえた実効性のある導入計画を策定するための手引書であり、都として、広く都民に公表することは想定しておりません。
 このため、都民向けには、別途、特別支援教室の制度を説明したリーフレットを都教育委員会のホームページに掲載するとともに、ガイドラインをもとに、区市町村教育委員会がそれぞれの実情に応じた導入計画を保護者に説明できるよう、リーフレットのフォーマットを提供しております。

○小松委員 ただいまの話にもありましたように、この新制度の情報の伝わり方が、自治体ごとに実際差が出ています。この新制度では、対象となる児童数が大幅にふえることになりますから、全ての保護者に対して情報提供すべきだと思います。都教委として、その支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、特別支援教室の円滑な導入に向けて、保護者への周知、理解を得るためのリーフレットを作成し、全ての区市町村教育委員会に電子データで送付しております。
 また、各区市町村教育委員会がそれぞれの実情に応じて策定する導入計画について、保護者にきちんと説明できるよう、当該リーフレットの加工が可能なフォーマットの提供をし、支援しております。

○小松委員 それでは、以下、意見を述べます。
 都教委が独自に取り組んでこられた通級の特別支援学級は、その教育内容に対する保護者の満足度が高く、当局及び各自治体が真摯に取り組んでこられた努力の結果と受けとめています。
 であれば、これまでの通級児童や保護者にとっては、通級の特別支援学級であったからこそ得られてきた教育的効果が、新しい制度では低下することになるのではないかという懸念から、従来の制度も存置してほしいという要望に都教委は応えるべきと考えます。
 新制度への移行状況が各区市町村によって異なるのは理解できるところですが、情報提供はひとしくなされるべきではないでしょうか。説明会の開催の仕方、誰を対象に何回開催するかなどの設定も、自治体任せのためにまちまちでありまして、この点、保護者が不安になるのは当然と思います。
 都は、情報提供に関して各自治体を支援し、全ての保護者を対象に、あらゆる疑問に応えるため、ガイドラインの扱いをオープンにしていただきたいと思います。行政向けというなら、そのことを明記した上でホームページに掲載すればよいのではないでしょうか。
 先ほど来の質疑におきまして、特別支援教室導入に当たり、一校につきハード面の環境整備に対して七十万円、そして、教材に係る物品購入費として三十万円が補助されると伺いましたが、これでは全く足りない。そのために各区市町村が負担するケースが多く発生するのではないかと思います。上限を定めず、惜しまず、十分な補助をすべきと考えます。
 さらに、専門的な力量が求められる巡回指導教員や特別支援教室専門員の育成と、そして、研修の充実に向け、ご尽力いただきたいと改めて申し上げておきます。
 これまで、保護者の送迎がネックとなって、送迎が大変なために通わせることを諦めたり、仕事をやめざるを得なくなったりした保護者の話を多く聞いてまいりました。したがいまして、第三次実施計画で打ち出された全ての学校での特別支援教室の導入は、その点が改善され、これまで特別支援を受けられずにいた子供も受けられるようになり、在籍学級の担任教師にとっては、専門家である巡回指導教員と密に連携をとりやすくなるなどの効果を期待したいと思っています。
 また、都立学校生の発達障害児に対する支援についてですが、不可欠なものであり、都教委は今年度から実施している研究事業を今後の施策に確実に生かしていただくことを求めるものです。
 以上述べましたように、これらの請願陳情は、いずれも採択すべきと考えます。
 以上です。

○小竹委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 初めに、請願二七第五号の二を採決いたします。
 お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小竹委員長 異議なしと認めます。よって、請願二七第五号の二は趣旨採択と決定いたしました。
 次に、陳情二七第二八号を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○小竹委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二七第二八号は不採択と決定いたしました。
 請願陳情の審査を終わります。
 以上で教育庁関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分については、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
  午後二時二十九分散会

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