委員長 | 小竹ひろ子君 |
副委員長 | 里吉 ゆみ君 |
副委員長 | 山崎 一輝君 |
理事 | 小林 健二君 |
理事 | 島崎 義司君 |
理事 | 鈴木 錦治君 |
宮瀬 英治君 | |
小松 久子君 | |
伊藤こういち君 | |
ほっち易隆君 | |
小山くにひこ君 | |
今村 るか君 | |
古賀 俊昭君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 中井 敬三君 |
次長 | 松山 英幸君 | |
教育監 | 金子 一彦君 | |
総務部長 | 堤 雅史君 | |
都立学校教育部長 | 早川 剛生君 | |
地域教育支援部長 | 前田 哲君 | |
指導部長 | 伊東 哲君 | |
人事部長 | 加藤 裕之君 | |
福利厚生部長 | 高畑 崇久君 | |
教育政策担当部長 | 安部 典子君 | |
教育改革推進担当部長 | 出張 吉訓君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 松川 桂子君 | |
指導推進担当部長 | 鯨岡 廣隆君 | |
人事企画担当部長 | 粉川 貴司君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
教育庁関係
付託議案の審査(質疑)
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した再雇用職員又は日勤講師としての採用選考において不合格とされたこと又は採用決定を取り消されたことが違法であること等を理由とする損害賠償請求事件の控訴提起に関する報告及び承認について
報告事項(説明・質疑)
・平成二十七年度に実施する都立高等学校入学者選抜における実施方針について
○小竹委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
傍聴人の数についてお諮りいたします。
本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上ございますので、さらに二十名追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小竹委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○小竹委員長 初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小竹委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○小竹委員長 本日は、教育庁関係の付託議案の審査及び報告事項の聴取を行います。
これより教育庁関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した再雇用職員又は日勤講師としての採用選考において不合格とされたこと又は採用決定を取り消されたことが違法であること等を理由とする損害賠償請求事件の控訴提起に関する報告及び承認についてを議題といたします。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○堤総務部長 去る六月三日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらん願います。
目次にございますように、今回要求のございました資料は一件でございます。
それでは一ページをお開き願います。1、卒業式等における国歌斉唱時の職務命令違反を理由に懲戒処分を受けた者のうち再雇用又は非常勤教員採用候補者選考において不合格又は合格取消しとなった教員数(平成十七年度から平成二十六年度まで)でございます。
卒業式等における国歌斉唱時の職務命令違反を理由として懲戒処分を受けた者のうち、再雇用等の選考において不合格または合格が取り消しとなった教員数について、選考年度別に記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○小竹委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○島崎委員 それでは、早速でございますけれども、東京地裁判決に対する控訴の件について何点か伺ってまいります。
今回の裁判は、都立高校の元教員が、入学式や卒業式において国歌斉唱時の校長の職務命令に従わず処分を受けた、そのことをもって、退職後、再雇用や日勤講師として勤務することを希望したにもかかわらず、選考において不合格となったこと、または一度合格となったものの、任用されるまでの間の職務命令違反によって戒告処分となり、合格が取り消されたことは、違憲、違法であるとして損害賠償を請求したもので、五月二十五日の東京地裁判決は、都側一部敗訴というものでありました。
争点となったのは、採用選考の合否判断に当たって、都側の裁量権の範囲の逸脱または濫用があったのかというものでありました。その後、都は、この判決を不服として六月一日に控訴しました。
そこで、都はどのような考え方に立って、控訴に至ったのかをまず伺いたいと思います。
○加藤人事部長 原告らが校長の職務命令に違反したことは、影響力の大きい非違行為であり、都教育委員会には、争点となっている裁量権の逸脱、濫用はなく、原告らが抱く採用の期待が法的保護を受ける権利であるとは解されないことから、都敗訴部分について、その取り消しの判決を求めて、六月一日に控訴を提起したものでございます。
○島崎委員 我が国の裁判制度は三審制をとっており、五月二十五日の東京地裁判決に対し、都が行った六月一日の控訴の判断は妥当なもので、当然の対応と評価をしております。
平成二十三年五月三十日、卒業式の国歌斉唱の際に起立しなかったことを理由に、定年後の再雇用を拒否されたのは不当だとして、都立高校元教員が東京都に損害賠償などを求めた訴訟の上告審判決では、最高裁第二小法廷は、起立を命じた校長の職務命令を合憲と判断し、元教員側の上告を棄却、元教員の請求を退けた二審判決が確定しております。
その後も同趣旨の裁判が何件かあったと記憶しておりますが、このような再雇用等の合否で争った事案は過去何件あったのか、また、その審判はどのような結果であったのか、あわせて、その理由はどのようなものだったのか伺います。
○加藤人事部長 再雇用等の合否を争点とする同様の事案は、過去に七件あり、五件の判決が確定しております。
確定した五件のうち、一審では三件が都勝訴、二件が都一部敗訴と判断が分かれておりますが、控訴審では全て都が勝訴しております。そして、最高裁はいずれも原告らの上告を退けております。
勝訴となった東京高裁、裁判所の理由は、職務命令は適法であり、合否の判定には、都教育委員会に広範な裁量権があるため、裁量権の逸脱、濫用があるとはいえないというものでございます。
○島崎委員 そもそも教員は、児童生徒を社会人として健全に育成する役割を担う重要な職務であり、常に模範となるべき行動を心がけなければなりません。
しかるに、その教員が組織に身を置きながら、その職務命令に従わず、社会人としての規範やルールを無視した行動を行うことは絶対にあってはならないことであって、ましてや、こうした教員が退職後に再び雇用されることがあってはならないと考えております。
そこで、退職教員の再雇用等の選考基準はどのようになっているのか伺います。
○加藤人事部長 再雇用等を採用する場合には、従前の勤務実績等に基づく選考による能力実証を経ることになっております。
具体的には、勤務実績等を記載した所属長による推薦書の書類審査及び面接結果等を総合的に勘案し、合否の判定を行います。
○島崎委員 平成二十一年十月十五日に、東京高等裁判所が都教育委員会の判断を適法とした再雇用拒否処分取り消し等請求控訴事件、いわゆる君が代起立斉唱拒否事件の判決では、都教育委員会の出した、一、学習指導要領に基づき、入学式、卒業式等を適正に実施すること、二、入学式、卒業式等の実施に当たっては、別に定める入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱に関する実施指針のとおり行うものとすること、三、国旗掲揚及び国歌斉唱の実施に当たり、教職員が本件通達に基づく校長の職務命令に従わない場合は、服務上の責任を問われることを、教職員に周知することとの通達について、卒業式や入学式等における非違行為として軽視することは相当でなく、むしろ、生徒のほかに父兄や来賓も参加、参列した厳粛な雰囲気の中で行われるべき卒業式における不起立として影響力の大きい重い非違行為というべきものであることとの判断が明確になされました。
そこで、勤務実績には、職務命令違反のような組織の一員としての規範やルールを侵すなどの重要な事項については、選考においてどのようにされていたのか、また、現在の退職後の雇用についての選考基準はどのようになっているのか伺います。
○加藤人事部長 過去も現在においても、退職後に新たに任用するにふさわしいかどうかの判断として、現職中の職務命令違反は非常に重要な判断要素の一つになっていることは同様でございます。
特に、今回の行為は、各校長が適法に発出した職務命令に公然と違反しており、職務命令違反及び信用失墜行為という重大な非違行為であることから、在職時の勤務実績等を総合的に判断するに当たり、良好であるとの要件に該当しないことは当然でございます。
また、今後も、退職後の任用を判断する際に重要な要素であることは、これまでと同様でございます。
○島崎委員 我が国の国歌、君が代は、明治初期に欧米各国には国歌があり、全ての儀式で演奏するということを知った当時の指導者のもと、最古の勅撰和歌集である古今和歌集にあった詠み人知らずの元歌と、薩摩琵琶歌、蓬莱山の中から、君が代はの部分を取り出して歌詞を合わせ、日本古来の雅楽の音階をつけてつくられた国の安寧を願う歌といわれております。
明治十三年の天長節に正式に披露されて以来、伸びやかで荘厳な響きを持つ君が代は、国際社会でも日本国の国歌として広く認められてまいりました。
しかし、戦後、ごく一部の人たちが、国旗・国歌は軍国主義のシンボルなどと、いいがかりのような日章旗や君が代への反対運動を展開し、学校でも子供まで巻き込んで、教育現場を混乱させることが、昭和から平成にかけて毎年、入学式、卒業式の時期に繰り返され、ついに、平成十一年二月、広島県立世羅高校では、卒業式の国旗掲揚、国歌斉唱をめぐり、学校長が自殺するという最悪の事態が発生いたしました。
政府は、この教育現場の混乱解消のためにも、国旗及び国歌に関する法律を提出、良識ある多くの国民は、この法制化を支持し、国会では、衆議院で賛成四百三、反対八十六、参議院で賛成百六十六、反対七十一という衆参国会議員の実に四分の三以上が支持して法制化されました。
これにより、学習指導要領だけでなく、成文法の面でも校長の指導を支え、世羅高校のような悲劇を二度と繰り返してはならないという願いも込められました。
そこで、入学式や卒業式において、国旗・国歌を児童生徒へ指導する意義について、都教育委員会の見解を伺います。
○伊東指導部長 入学式や卒業式は、学習指導要領に基づいて儀式的行事として行われるものであり、学校生活に有意義な変化や折り目をつけ、厳粛かつ清新な気分を味わい、新しい生活の展開への動機づけを行い、学校、社会、国家など集団への所属感を深める上でよい機会となるものでございます。
このような意義を踏まえ、学習指導要領には、入学式や卒業式においては、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとすると示されております。
国旗掲揚及び国歌斉唱の指導を学習指導要領に基づき適正に実施することは、児童生徒の模範となるべき教員の責務でございます。
○島崎委員 都教育委員会が国旗・国歌について、教育の場で適切に位置づけ、扱っていることを心強く思います。
今後、教育活動として行われる入学式、卒業式等の式典において、職務命令違反を繰り返す者に対しては、どのように対処するのか、確認の意味も込めて伺います。
○加藤人事部長 平成二十四年一月の最高裁判決では、卒業式等の国歌斉唱時に起立して斉唱等を命じる校長の職務命令は合憲とされ、違反者に対する懲戒処分は、懲戒権者の裁量権の範囲内に属するものとの判断が示されました。
今後とも、職務命令違反を繰り返す者や、式典の進行を積極的に妨害する者に対しては、個々の事案の状況に応じて、厳正に対処してまいります。
○島崎委員 公教育の場で、自国の国旗・国歌の意義を理解させ、これを尊重する態度を育てる指導をすることは当然のことであります。これは、いずれの国でも行われている教育であり、国際的な儀礼として定着しております。
ましてや、二十一世紀は、新たな国際秩序のあり方が模索され、科学技術や経済など、世界的な競争が一層激しくなる中で、日本人としてのアイデンティティーを確立しながら社会を生き抜いていかなければなりません。同時に、国際貢献、スポーツ、学術の分野でも、外国との交流はさらにふえるでしょう。
そのような国際社会で活躍するためには、礼儀作法の国際常識である外国の国旗と国歌に敬意を払う態度が大切なことはいうまでもありません。逆にいえば、自国の国旗や国歌にすら敬意も払わぬ日本人と接したときに、外国の人は、その人やその国を本当に信用できるでしょうか。
一部マスコミや政党、団体は、学校での国旗・国歌の指導を、いまだに強制だなどと声高に叫んでいる向きもあるようですが、当然のことながら、都教育委員会では、生徒が苦痛を伴うほど長時間の指導を求めているわけでもなく、ましてや、歌いたくない子供の口をこじあけてまで歌わせよなどというものではないと認識しております。その意味での強制などはあり得ないことなのであります。
しかし、教員には、国旗・国歌の意義を理解させ、尊重する態度を育てるとともに、諸外国の国旗と国歌も同様に尊重する態度を育てるよう配慮するとする学習指導要領に基づいて指導する義務があります。
すなわち、教員が学習指導要領を無視して、子供たちが国旗・国歌を学ぶ機会を奪う自由などというものは許されていないのであります。その意味では、校長や教員は拘束されているといえます。
したがって、学習指導要領を逸脱した教員が相応の処分を受けるのは当然のことだと考えます。
今回の五月二十五日の判決に対し、都が行った六月一日控訴によって、再度、都教育委員会の指導や職務命令違反教員の再雇用拒否の判断が正当なものであることを明確にし、それを機会に、今後も、全ての学校で国旗・国歌の意義を正しく理解した子供たちが、日本の歴史や文化、伝統にもっと誇りを持ち、同時に、外国の歴史と文化にも、より理解を示せるような心豊かな日本人に育ってほしいと願っております。
入学式、卒業式では、これからも生徒が自然な気持ちで、国旗、日章旗を仰ぎ、児童生徒が父母や教職員とともに国歌、君が代を高らかに歌う。そのような、どこの国でも見られるごく普通の平穏な光景がこれからも続くことを心から願って、私からの質問を終わります。
○里吉委員 それでは、私からも質問させていただきます。
この訴訟は、一〇・二三通達に基づく職務命令に従わなかった、つまり、卒業式などで君が代斉唱時に起立しなかったことにより懲戒処分を受けた原告二十二名が、この懲戒処分のみを理由に、定年退職後、再雇用職員及び日勤講師の採用を不合格とされたり、採用を取り消されたりしたことが不当だとして、再雇用職員等として採用されていれば得られたはずの賃金分と慰謝料一人当たり十円の合計二億七千万円余の賠償を都に求めるというものです。
東京地方裁判所は、五月二十五日、東京都に、原告一人当たり約二百十一万円から二百六十万円、総額五千三百七十万円の賠償を命じました。
賠償額が三千万円以上なので、控訴するには議会の承認が必要ですが、都は、期間内に議会を招集する余裕がないため、知事の専決処分により控訴し、今議会に報告、承認を求めています。
判決では、再雇用拒否の都教委の判断は、定年退職者の生活保障と知識、経験等の活用という再雇用制度等の趣旨に反し、また、国旗掲揚、国歌斉唱に関する一〇・二三通達が発出される以前の再雇用制度の運用実態とも大きく異なっていることから、法的保護の対象となる原告らの合理的な期待を大きく侵害しており、裁量権の逸脱、濫用に当たり、違法であるといたしました。
そこで、再雇用制度についてですが、再雇用について、どのような選考で採用しているのか、これは先ほど答弁がありました。再雇用の選考は、従前の勤務実績等に基づく選考による能力実証を経て実施というご答弁が先ほどありましたので、それに基づいて、次の質問をさせていただきます。
従前の勤務成績等に基づく選考ということですが、今回の裁判の原告よりも重い処分を受けている人が合格しているという話も聞いています。その内容はどのようなものか、また、原告の懲戒処分はどのようなものか伺います。
○加藤人事部長 内容につきましては、交通事故や争議行為などでございます。また、原告らの懲戒処分は戒告処分でございます。
○里吉委員 裁判の中で原告らは、過去に争議行為で二回の停職処分を受けた者や交通事故で懲戒処分を受けた者も採用候補者選考に合格し、再雇用職員等に採用されていることに対し、不起立等は積極的行為でも犯罪行為でもないのに、そのことを理由に本件不合格とされており、選考の公平さに疑問があるとしております。
このことに対する都教委の見解を伺います。
○加藤人事部長 再雇用制度等は、一旦退職した教員を新たに非常勤の教員として採用する制度でございます。
選考に当たって、都教育委員会は広範な裁量権を有しており、原告らが校長の職務命令に違反し、不起立という国旗・国歌の指導を妨げる行為を、生徒、保護者、その他の学校の関係者の面前で公然と行ったことは重大な非違行為であり、在職時における勤務成績が良好であるとの要件を大きく欠くものでございます。
その採否については、総合的な判断のもとに、原告らを不合格等としたことは、裁量権の範囲での公平な判断と考えております。
○里吉委員 確認したいんですけれども、裁判の中で原告が述べている、原告らより重い処分を受けた者が再雇用制度等で採用されたのは事実でしょうか、確認いたします。
○加藤人事部長 処分のみをもってということであれば事実でございます。
○里吉委員 事実ということが確認されました。
都教委は広範な裁量権があるといいますが、合否の判断は合理的で公平でなければならないことは当然です。停職処分を二回受けた者が採用され、一回の戒告処分のみの者が不採用とは通常理解されないのではないか、どこが総合的な判断なのか、お答えください。
○加藤人事部長 都教育委員会は、新たな採用となる本件選考において、原告らの勤務成績等が良好であるかどうかについて、諸要素を総合的に勘案して判断した結果、在職時の勤務成績が良好であるとの要件を欠くとして不合格としたものであって、そのことは他の処分との比較において判断されるものではないと考えております。
○里吉委員 この争点については、また後で議論したいと思いますが、再雇用制度は、現在定年退職が六十歳なのに、年金支給開始が基本的には六十五歳からになっていることを踏まえ、退職する教職員が希望する場合には、これらの教職員の退職後の雇用を確保し、その生活の安定を図るという制度の趣旨を踏まえて、基本的には、教職員の希望を尊重し、特段の支障がない限り、再雇用職員として積極的に採用する形で運用されてきたものです。現在、民間でも同じ趣旨の制度が法律で義務づけられております。
先ほどの答弁で、原告らは、不起立という国旗・国歌の指導を妨げる行為を公然と行ったことから、総合的な判断のもとに不合格と述べていますが、今回の判決では、学習指導要領の中に国旗・国歌についての記載はあるが、その扱いは他の内容に比べて特段区別した位置づけが与えられているとは認められないとしていますが、このことについて、都の見解を伺います。
○伊東指導部長 学習指導要領には、入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものと明確に示されております。
学校においては、さまざまな教育活動が行われております。特に、入学式や卒業式は、学校生活における重要な節目として、全校の児童生徒及び教職員が一堂に会して行う教育活動であり、厳粛かつ清新な雰囲気の中で、学校、社会、国家など集団への所属感を深める上で貴重な教育の機会であります。
こうしたことから、入学式や卒業式は重要な行事として位置づけられており、国旗掲揚及び国歌斉唱は、学習指導要領に基づき適正に実施しなければなりません。
○里吉委員 学習指導要領、私も読ませていただきましたけれども、ここの中に明示されているのはわかっています。そして、特別活動の中には、ホームルーム活動、生徒会活動、学校行事、さまざま書かれています。
その中で、これを読む限り、国旗・国歌が特段区別した位置づけ、重い位置づけが与えられているというふうには認められない。私も読んでそう思います。
都教育委員会として重要な位置づけだということはわかりますけれども、学習指導要領の中の位置づけが特段重くなっているということはご説明できるでしょうか、もう一度伺います。
〔発言する者あり〕
○小竹委員長 お静かにお願いします。
○伊東指導部長 学校におきましては、さまざまな教育活動が行われておりますが、どの教育活動も子供たちにとってかけがえのない学びの場でございます。
特に、入学式や卒業式は、学校生活における重要な節目として、全校の児童生徒及び教職員が一堂に会して行う教育活動であり、厳粛かつ清新な雰囲気の中で、学校、社会、国家など集団への所属感を深める上で貴重な教育の機会でございます。
○里吉委員 判決では、次のようなことが書かれています。学習指導要領において定められた特別活動のうち、学校行事の一つである儀式的行事の内容や、国旗・国歌条項の全体における位置づけに加え、他の特別活動、ホームルーム活動、生徒会活動、各種学校行事についても、それぞれ目標や狙いが具体的に定められており、いずれの活動または行事についても、その重要性に関して、特段に軽重が設けられていないことからすれば、学習指導要領のうち、特別活動に限定してみても、入学式、卒業式の実施や、国旗・国歌条項が、他の特別行事の実施や配慮すべき事項の内容と対比して特段区別した位置づけが与えられているとまでは認められない。職務命令違反それ自体を当該教職員の従前の勤務成績を決定的に左右するような内容のもの、それのみをもって勤務成績の判断をするような位置づけは与えられていない。
つまり、学習指導要領には、国旗・国歌についての記載はあるが、特別区別した位置づけが与えられているわけでもないのに、その部分だけで職務命令違反があったことをもって、それ以外のいいか悪いか、総合的な判断、多種多様な考慮要素は一切無視してしまうというような位置づけが与えられていると評価するのは困難だということです。
また、判決では、君が代起立斉唱の職務命令は、思想及び良心の間接的な制約となっている。つまり思想、信条の自由を侵しているので、その職務命令違反をもって大きな不利益を科してはいけないという趣旨を述べています。
平成二十三年五月三十日の最高裁判決など、この間の最高裁判決では、一〇・二三通達に基づく国旗に向かって起立し、国歌を斉唱することなどを命じた職務命令が、思想及び良心の自由について間接的な制約となり得ること認めました。
この職務命令違反のみをもって再任用を拒否するというのは、裁量権の逸脱、濫用であるとした今回の判決は、最高裁判決にも沿っているものであり、妥当であると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
○加藤人事部長 原告らが校長の職務命令に違反したことは、影響力の大きい非違行為であり、都教育委員会に裁量権の逸脱、濫用はなく、原告らが抱く採用への期待が法的保護を受ける権利であるとは解されません。
今回の判決は、従来の類似事件の裁判所の判断とも異なることから、これを不服として控訴したものでございます。
○里吉委員 先ほど私が読み上げた最高裁判決の部分で、君が代起立斉唱の職務命令が思想、信条の制約になっていること、質問で先ほど申し上げましたけれども、このことについては、都は認めるという立場でよろしいんでしょうか、確認します。
○加藤人事部長 最高裁の判例では、起立斉唱は、国旗・国歌に対する敬意の表明の要素を含む行為であり、思想及び良心の自由を間接的に制約する面もあるが、本件職務命令は、教育上の行事にふさわしい秩序の確保や、式典の円滑な進行を図るものであり、制約を許容し得る程度の必要性、合理性が認められ、憲法十九条に反しないということでございますので、これは認識はしていますが--制約はありますが、こういったことで適法であると考えております。
○里吉委員 思想、信条の自由のあらわし方の問題ではいろいろ判決で出ておりますので、まだこれから議論されるところだと思いますけれども、私は、教員が自分の意思に反して起立させられること、またそれを子供に強制すること、そのことは思想、信条の自由に反する内容だと思います。
そして、影響力の大きい非違行為といいますけれども、原告らの不起立が、他の教職員や生徒らに不起立を促すものでも、卒業式の進行を阻害し、または混乱させるようなものでもなく、厳粛な雰囲気の中で行われるべき卒業式の狙いを大きく阻害するような影響を与えたとは認められないと判決でも述べられています。
二〇一二年一月十六日の最高裁判決では、不起立は個人の歴史観ないし世界観に起因するとしました。この認識は、君が代、日の丸が、戦前、侵略戦争のシンボルとして用いられてきたことから、それらに拒否感を持つ国民がいることを政府が認めてきたことにも合致いたします。また、不起立は、物質的に式次第の進行を妨げるものではないとしました。
日本共産党都議団は、今回の東京地裁の判決は妥当なものと考えます。質疑を通じて、再雇用拒否の理由が、再雇用制度の趣旨や他の希望者との比較が合理的で公平なのかどうかという点で、もっと重い処分を受けた人でも再雇用がされているなど、合理性のないことがわかりました。
また、判決が、学習指導要領における国旗・国歌の扱いが他の内容に比べて、特段重いとは認められていないとしていることについて、都教育委員会の見解をただしましたが、納得のいくお答えはありませんでした。
さらに、起立の職務命令が思想、信条を侵すものであり、職務命令違反を理由に大きな不利益を科してはいけない。これは、この間の最高裁判決で判断されていることであり、最低限このことは踏まえなければいけないと考えます。
したがって、今回の知事の専決処分は承認できません。東京都は直ちに控訴を取り下げ、原告に誠意を持って謝罪、賠償金を支払うことを求めます。
共産党は、第一回定例会の代表質問でも、都教育委員会の処分を振りかざした管理統制が学校現場を萎縮させていることを指摘しました。また、不起立を理由とした減給処分などを取り消した最高裁判決でも、補足意見で、いたずらに不起立と懲戒処分の繰り返しが行われていく事態が教育の現場のあり方として容認されるものではないと指摘し、自由で闊達な教育が実施されるよう努力することを求めています。
原告の方たちは、都教育委員会との話し合いを求めていますが、都教育委員会は、それも拒否しています。全く民主的な態度とはいえません。
都教育委員会は、一〇・二三通達を撤回し、校長の職務命令、累進加重処分、再発防止研修……
〔発言する者あり〕
○小竹委員長 お静かに願います。
○里吉委員 再雇用拒否などの日の丸、君が代を強制するための一連のやり方を抜本的に改めることを強く求めます。
下村文科大臣が、国立大学の卒業式、入学式での国旗掲揚、国歌斉唱を要請したことが報道されました。これは大学の自治、学問の自由に対する不当な介入に当たります。
また、舛添知事が定例記者会見の中で、国旗・国歌法があるから歌うのは当然というような発言をしましたが、国旗・国歌法が法律で定められているということは、国が公的な場で、国の象徴として公式に用いるということを意味するものであり、国民への強制は一切許されていません。
国旗・国歌に対する一人一人の態度については一切強制しないというのが民主主義の原則です。学校現場、教育現場で、この民主主義の原則が貫かれるべきです。
さらに、教育長は、一昨日の都議会本会議で、中学校や高校の部活動の大会での国旗・国歌の指導の充実に向け、東京都の中学校や高校の体育連盟などに働きかけを行っていくと答弁しました。
部活動の大会で国旗・国歌を指導するなどということは、学習指導要領にも全く根拠がありません。大会のプログラムなどは……
〔発言する者あり〕
○小竹委員長 お静かに願います。
○里吉委員 それぞれの団体が判断すればよいことであり、都教委が圧力をかけて押しつけるべきではない。不当な介入に当たるということで、これも行わないように強く要求し、質問を終わります。
〔傍聴席にて拍手する者あり〕
〔発言する者多し〕
○小竹委員長 お静かにお願いします。
〔発言する者多し〕
○小竹委員長 傍聴の皆さんも、ご協力お願いします。
〔発言する者多し〕
○小竹委員長 お静かにお願いします。ご協力お願いします。
〔「誰をお静かだよ、ちゃんと」と呼ぶ者あり〕
○小竹委員長 傍聴人の皆さんもお静かにお願いします。ご協力お願いします。
それでは、進めさせていただきます。
○小松委員 私からも質問させていただきます。一部重なる部分があるかもしれませんが、確認の意味でお伺いいたします。
五月二十五日、東京地裁でいい渡された判決理由の中には、原告らに対する不合格等は、この後、途中略しますが、再雇用制度、非常勤教員制度等の趣旨にも反しとあります。
この制度の趣旨に反するという部分についてお伺いしたいんですが、教職員の再雇用制度、あるいは非常勤教員制度とはどのようなものか、そしてその趣旨とはどのようなものか、お伺いいたします。
○加藤人事部長 再雇用制度は、昭和六十年度の定年制の施行に伴い、高齢化社会に対応し、退職する職員に生きがいと生活の安定を与えるとともに、長年、都に在職して培った豊富な知識や技能を退職後も都に役立てることを目的として、全都的に制度化されたものでございます。
非常勤教員制度は、平成二十年度に、都の人事制度全体として再雇用制度を原則廃止し、再任用制度を基本とすることとなった中で、学習、教科指導や初任者等対応業務など、学校教育の質の維持向上に退職教員等の豊富な知識と経験を生かしていくことを趣旨として新たに設けられた制度でございます。
○小松委員 ただいまのご答弁で、再雇用制度も非常勤職員制度も、長年培った豊富な知識や技能、あるいは経験を云々といわれました。だからこそ、この条件を満たす人材であるなら、希望すれば採用されるものと期待して当然と考えます。
地裁判決では、原告らが再雇用職員として採用されることを期待するのは合理性があるというべきというふうに述べています。
この再雇用等の希望者のうち、実際に就職できるのはどのぐらいなのか、何%か、数字でお答えください。
○加藤人事部長 今回の原告らの選考を行った平成十八年度から二十年度に退職した者について、平成十八年度に実施した再雇用選考の合格率は約九八%でございます。
また、平成十九年度、二十年度に実施した非常勤教員の選考の合格率は、それぞれ約九六%、約九七%でございます。
○小松委員 ただいまの答弁で、九八%、九六、九七という数字があらわしているのは、採用選考の申し込みをすればほぼ全員が就職できる状況だということです。期待して当然のことです。判決理由にも、当該期待は一定の法的保護に値すると認めるのが相当でありと述べています。
しかし、今回の原告たちは、その期待が裏切られた。すなわち、判決で指摘された期待権が侵害されたというべき結果になりました。
そこでお伺いします。
再雇用に当たって、採用選考をする場合、合否を判定する基準は何か。また、非常勤雇用についてはいかがか、お伺いします。
○加藤人事部長 再雇用職員採用選考については、実施通知では、提出された書類の審査結果及び面接結果等を総合的に勘案し、東京都教育委員会で採用を決定することとしておりました。
また、非常勤教員については、実施要綱では、勤務成績及び面接等の結果を総合的に勘案して選考することとしております。
○小松委員 今回の訴訟の起因となっているのが、先ほど来お話もありました二〇〇三年十月二十三日に発出された、いわゆる一〇・二三通達です。すなわち、入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施についてとして、その詳細を規定したものであり、これに基づいた職務命令に従わなかったことが懲戒処分を招いています。
では、それほどに重要な通達であるなら、教職員を採用する際に、この規定を守る意思があるかどうか見定め、将来、非違行為を起こす可能性をできるだけ排除しようとするのではないかというふうに思います。
また、もしそう考えて選考しておられるなら、最近、採用された教職員は、この通達内容を守っていると思われます。
そこでお伺いいたします。
教職員の採用選考において、現在一〇・二三通達の内容について、どのように反映させているのか。一〇・二三通達が発出された以降に採用された教職員の中から、職務命令に違反する行為は生じていないのか、お伺いします。
〔「これ答えてから注意しろよ、携帯電話鳴っているんだぞ」と呼ぶ者あり〕
○加藤人事部長 個別の通達を採用選考に反映させているかどうかはお答えしかねますが、一般に、個別に発出された職務命令に従うことは当然であると考えます。
また、通達発出以降に採用となった教員で、国歌斉唱等に係る職務命令違反を行った者はございません。
〔発言する者あり〕
○小竹委員長 傍聴人の方々にお願いいたします。携帯電話等については、マナーモードにしていただくようにお願いします。
○小松委員 原告が学校行事などの折に非違行為を行ったことは処罰に値するとされていますが、では、それ以外の勤務状況はどうだったのか、お伺いしたいと思います。
原告二十二人の通常の勤務実績に対し、現場の評価はどのようなものだったのでしょうか。
○加藤人事部長 選考結果のもととなる勤務実績等の評価に関してはお答えできません。
○小松委員 今回の原告たちがとった違反行為は、国歌斉唱時に不起立、着席、式場への不入場または式場からの退室だと聞いています。これらが処分に相当するということですが、いずれも人に危害を加えたり、損害を与えたり、権利を侵害したりするようなことではありませんでした。それでも違反とされ、処分の対象となることに大きな違和感を覚えます。
では、教職員の懲戒処分に相当する行為には、どのようなものがあるのか、今回の原告たちが受けた処分はどのようなものだったのか、改めてお伺いします。
○加藤人事部長 懲戒処分に相当する教職員の行為としては、体罰、職務命令違反や職務専念義務違反、欠勤、個人情報の不適切な取り扱い等がございます。
原告らは、入学式、卒業式等の国歌斉唱時に、起立斉唱を命じる校長の職務命令に違反したことから、戒告の懲戒処分を受けました。
○小松委員 戒告とのことです。地方公務員法に定められた懲戒処分には、重い方から順に、免職、降任、停職、減給、そして最後に戒告とあり、戒告は最も軽い処分となっています。職員の非違行為の責任を確認し、その将来を戒める処分とされています。
では、通常、職員が懲戒処分を受けた場合、そのことをもって制裁は終了したとみなすのが一般的と考えます。懲戒処分を受けた上、さらにその後にまで制裁が及ぶのは行き過ぎた量定と考えます。見解を伺います。
○加藤人事部長 再雇用制度等は、一旦退職した教員を新たに非常勤の教職員として採用する制度であり、選考に当たって、都教育委員会は広範な裁量権を有しております。
公立学校教員の立場にあったにもかかわらず、学習指導要領に基づき卒業式等を適正に実施するために、所属校の校長が発した重要な職務命令に従わなかった者が懲戒処分を受け、さらに勤務成績が良好でないことで、退職後の再雇用選考において不合格または合格後に採用を取り消すことは制裁には当たりません。
また、このことは過去の判例においても認められているところでございます。
○小松委員 処分を受けた後の勤務成績が良好でなかったために、都教委の裁量権を行使して不合格としたということのようですが、果たしてそうでしょうか。
地裁は、合否等の判断に当たっての都教委の裁量権は広範なものではあっても、一定の制限を受けといい、さらに本件不合格等にかかわる都教委の判断は、客観的合理性及び社会的相当性を欠くものであり、裁量権の範囲の逸脱またはその濫用に当たると明言しており、都教委の認識とは大きな隔たりがあります。
都教委は、原告たちの行為は、影響力の多い非違行為であるとして、控訴提起の理由に挙げておられます。
しかし、誰に対する、どのような影響なのか、具体的にお示しください。
○加藤人事部長 原告らは公教育を担う教育公務員の立場にあったにもかかわらず、教育課程の一つである特別活動として、厳粛かつ清新な雰囲気の中で行われるべき卒業式等の場において、公教育の根幹である学習指導要領に基づき教育課程を適正に実施するために発せられた校長の職務命令に違反し、不起立という国旗・国歌の指導を妨げる行為を、生徒、保護者、その他の学校の関係者の面前で公然と行ったものでございます。
学校現場において、児童生徒の模範となるべき教員が、生徒らの面前で公然と職務命令遵守義務違反等の法令違反を行うことの影響ははかり知れないものと考えております。
○小松委員 このたびの職務命令違反は、児童生徒に対する体罰やいじめ、性的行為などの悪質な行為に比べると、子供の尊厳を傷つけるなどの実害はなく、犯罪にも該当しません。
むしろ、一人の人間としても、教師としても、みずからの思想、信条や良心に基づいて行われた行為であり、憲法に保障された基本的人権にかかわる行為であると考えます。
教育をつかさどる行政機関が、そのような行為に対して過剰な処分を科すことにどのような意味があるのか、理解に苦しみます。
都教委の判断に対し、客観的合理性及び社会的相当性を欠き、裁量権の範囲の逸脱またはその濫用に当たると指摘した東京地裁判決は、市民感覚に照らしても極めて妥当な司法判断であると考えます。
生活者ネットワークは、そもそも学校行事等における君が代斉唱時の起立斉唱等を義務づけた、いわゆる一〇・二三通達そのものに対して、思想、信条の自由を基本的人権として認めた憲法に抵触するものと考え、反対してきました。まして、この通達に厳格に従うことについて、教育的意味を全く見出すことができません。
先ほどの答弁で、公教育に対する信頼を大きく損ねるものであり、及ぼす影響ははかり知れないといわれましたが、ほかのどこよりも自由が尊重されなければならない教育の場において、まるで思想犯を弾圧した戦前に逆戻りを促すかのように、自由と権利を抑圧する振る舞いを続ける都教委こそ、公教育に対する信頼を大きく損ねていると申し上げなければなりません。
都教委は、この地裁判決で命じられた判断を十分に尊重し、原告の元教職員たちに対する損害賠償額を支払うべきであり、控訴すべきではありませんでした。
したがって、都議会生活者ネットワークは、今回の専決処分に反対といたします。
○小竹委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小竹委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○小竹委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○早川都立学校教育部長 平成二十七年度に実施する都立高等学校入学者選抜における実施方針についてご報告をいたします。
お手元の資料の一ページ、左側をごらんください。
都教育委員会では、平成二十六年四月に都立高校入試の採点誤りが発覚したことを受け、本年春に実施いたしました入学者選抜に当たりましては、採点誤りに関する再発防止改善策をさまざま講じてまいりました。その主な取り組みについて、成果と課題を整理いたしました。
まず、学力検査翌日から合格発表日の前日までの日数を、従来の三日間から四日間とするとともに、一日目と二日目は生徒を登校させないこととしたことにつきましては、採点、点検業務に集中できたという成果の一方で、課題もございました。
恐縮でございますが、二ページをごらんください。上から二つ目のグラフをごらんください。
記述式問題では、左側の従来どおりの解答用紙による採点、点検、右側のマークシート方式導入に伴い、パソコンを使った採点、点検、どちらも採点、点検が当初予定の二日間で終わらず、三日目以降に終了している学校が一定の割合でございました。
この結果、特に従来どおりの解答用紙による採点、点検の場合には、全教科の合計得点を確定させるのに三日目、四日目までかかった学校が約四割あり、合否判定や発表準備の作業にしわ寄せが及びました。
次に、モデル校二十校で実施いたしましたマークシート方式導入の成果と課題でございます。
三ページの左側をごらんください。答案用紙を読み取る機械でありますOMRによる読み取りに要した時間は、各教科五十分程度と短時間であり、読み取ったデータのうち、マークシートを塗り潰すことで解答する記号選択式問題につきましては、読み取りと同時に採点が終了いたしました。
また、正しくマークされている解答を、機械が誤って読み取るという異常はございませんでした。
その一方で、消しゴムのくずや塗り潰しの薄さ、受検番号のマークミス等を要因とする読み取りエラーが、数は少ないものの発生いたしました。
次に、二系統による採点、点検方式の成果と課題でございます。
四ページをごらんください。合格発表後に、学校同士の相互点検、都教育委員会による抽出点検、部分点のある記述式問題についての学校による再点検を行いましたところ、採点誤りに伴う追加合格はございませんでした。
また、平成二十五年度に実施した選抜における採点誤りで大半を占めていた、合格点を誤って算出したなど、受検者の得点が大幅に変動する可能性のある単純ミスは六十件と大きく減少させることができましたものの、その一方で、誤って部分点を与えたなど、得点の変動幅が小さい採点誤りが千四件と、少なからずございました。
これは、誤りの多くが誤字、脱字等に関するものであり、部分点のある記述式問題の採点について、都教育委員会が今回初めて規定した基準どおりの採点が徹底できなかったことが大きな要因であったと考えております。
五ページをごらんください。以上の成果と課題を踏まえまして、来年春に実施します都立高校の入学者選抜におきましては、左側記載の三点につきまして実施していくことといたしました。
一点目は、共通問題を使用する全ての学校におきまして、原則、マークシート方式を導入いたします。ただし、島しょの学校への導入につきましては、機器等のメンテナンス等の観点から慎重に検討してまいります。
また、マークシート方式の導入効果を高めるため、今回、例えば、全問が記述式問題でありました数学について、十という数値を解答する場合には、十の位を一、一の位をゼロとマークする解答形式とするなど、数値のみで解答する問題等について、マークシート方式に変更いたします。
さらに、受検者のマークミス等を防止するため、マークシートに記入する際の注意事項を記載したリーフレットや解答用紙のサンプルを配布するとともに、中学校における事前の丁寧な指導、確認の徹底を求めてまいります。
二点目は、採点、点検方式についてさらなる改善をいたします。具体的には、部分点のある記述式問題の採点につきましては、誤字、脱字の見落とし等を防止するため、二系統による採点、点検に、誤字、脱字に特化して確認を行う系統を追加いたします。
また、部分点のある記述式問題の採点基準につきましては、都教育委員会は、採点に当たって着目すべきポイントを示すにとどめ、誤字、脱字の取り扱いなど、基準の詳細につきましては、各学校が受検者の実態に応じて適切に定める形に変更いたします。
三点目といたしまして、限られた時間で確実な採点、点検や合否判定を行うため、解答形式を改善いたします。
記号選択式問題であっても、思考力を見ることができる出題となるよう、これまでより一層工夫して、マークシート方式で解答する問題をふやし、結果として、記述式問題につきましては、解答を記述させることに意義のある問題に厳選いたします。
五ページの右側をごらんください。入学者選抜の円滑な実施に向け、都立高校を対象とした研修会等を実施し、どの学校でも確実にマークシート方式の採点、点検ができるよう万全の体制を構築いたします。
また、受検者が安心して都立高校入試に臨み、マークシート方式においても力を十分発揮できるよう、受検者や保護者及び中学校に対し、さまざまな手段を講じて周知を図ってまいります。
さらに、改善した採点、点検方法の実施効果を検証するため、都教育委員会による再点検を行うとともに、都立高校の校長、中学校長及び受検者等を対象としたアンケート調査等により、成果と課題を把握し、一層の改善を図ってまいります。
引き続き、都教育委員会と学校が一丸となり、さらなる改善に向けて全力で取り組むことにより、都立高校入学者選抜の適正な実施に万全を期してまいります。
報告は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○小竹委員長 報告は終わりました。
これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○伊藤委員 私からは、ただいま報告がありました平成二十七年度に実施する都立高等学校入学者選抜における実施方針について、何点か質問をさせていただきたいと思います。
平成二十三年度から平成二十五年度の三カ年の間に実施された都立高校の入試では、多くの学校で三千件を超える採点ミスが判明いたしました。
この報道には、多くの都民、特に生徒、また保護者に衝撃が走ったという出来事であったといっても過言ではないと思います。
それらの採点ミスには、記号式、選択式問題では、正しかった答えを誤った答えとして採点をするなど、単純なヒューマンエラーと考えられるものが多くあり、また、記述式問題でも、部分点の与え方について誤りが生じていたとのことでありました。
高校入試は、中学生がみずからの進路を決定する上で、人生初ともいえる大きなハードルであります。そして、受検者は、それを何とか乗り越えようと一生懸命に勉強し、また努力をしているわけであります。
その高校入試は、公正、公平に行われなければならないものでありまして、中学生が試験当日に発揮した力は正当に評価されなければならないということはいうまでもありません。
都教委は、記号選択式問題におけるヒューマンエラーの防止、そして、記述式問題における採点時間の確保の観点から、記号選択式問題の解答形式をマークシート方式とし、平成二十六年度の入試では、つまり、ことしの二月の入試では、モデル実施校を二十校指定して、マークシート方式を試験的に導入いたしました。
そこで、まず伺いますけれども、ことし二月に行われた二十六年度入試のマークシート方式モデル実施校における成果と課題について伺いたいと思います。
○早川都立学校教育部長 機械によるマークシートの読み取りにかかった時間は、どの教科も五十分程度と短時間でございました。
また、今回、機械による読み取りが正確に行われるかどうかを検証するため、機械による採点と教員が直接答案用紙を使って行う採点とを同時に行いましたが、両者を総合した結果、正しくマークされている解答を機械が誤って読み取るという異常はございませんでした。
このことから、マークシートの導入により、記号選択式問題の採点時間が大幅に短縮され、記述式問題の採点、点検に十分な時間をかける環境をつくることができること、機械による読み取りは十分信頼できることが明らかとなりました。
一方、受検番号を正しくマークしていない、塗り方が薄いために機械がマークなしと判断してしまうなどの読み取りエラーが一部であり、マークシートの用紙を直接確認して対応するケースが生じたことから、受検者がマークシート方式の解答に十分になれた状態で受検できるようにすることが課題として残りました。
○伊藤委員 マークシート方式を導入することによって、記号選択式問題のヒューマンエラーの防止、また、採点時間の短縮だけではなくて、記述式問題の採点時間の確保ができ、より正確な採点が行われるという答弁でありました。
都教委は、マークシート方式モデル実施校の成果等を踏まえて、今後、都立校入学選抜試験をどのように実施していくのか、改めて、確認の意味も含めて伺いたいと思います。
○早川都立学校教育部長 来年春の入学者選抜から、全日制課程の第一次募集、分割前期募集においては、原則、全ての学校で、国語、数学、英語、社会、理科の五教科の学力検査を実施するなど、学力検査に基づく選抜について改善を行うことを、昨年の五月、公表しております。
今回、モデル実施校において、正確かつ効率的な採点が可能となることが実証されたことから、学力検査に基づく選抜の改善にあわせて、共通問題を使用する全ての学校において、マークシート方式を導入することといたしました。
ただし、島しょの学校を対象とするかについては、機器等のメンテナンスや不測の事態への対応等の観点から慎重に検討してまいります。
また、マークシート方式を導入しても、今回、課題が明らかとなった記述式問題につきましては、引き続き人力による採点、点検が必要となります。
このため、各学校が受検者の実態に応じて採点基準を定めるとともに、今回導入した二系統による採点、点検に、誤字、脱字等の表記に特化して確認を行う系統を加え、三系統による採点、点検を行い、万全を期すことといたします。
○伊藤委員 今年度の入学者選抜から、原則、全ての学校でマークシート方式を導入するということでありましたけれども、現在、中学三年生の生徒が受検本番を迎えるまで、あと八カ月しかない状況であります。
先ほどあったように、モデル実施校では、受検者のマークミスによるエラーが生じたということから、受検者がマークシート方式に十分になれた状態で受検に臨めるかどうかが、私は、最大の課題であるというふうに思います。
さらに、マークシート方式の導入効果を高める観点から、記号選択式の問題だけでなくて、十のような数値も、一とゼロをマークする解答形式にするなど、解答形式についても変更するとの報告もございました。
そこで、受検者にとっては初めてのことであり、どのようにマークすればよいのか、しっかりとイメージを持っておくことが重要であるというふうに思います。
マークシート方式の全面実施に当たり、受検者が安心して都立高校入試に臨み、マークシート方式においても力を十分発揮できるよう、受検者や保護者及び中学校に対し、さまざまな手段を講じて周知を図るとともに、マークミスのないよう、中学校においてマークの仕方を、中学生が、特に三年生が繰り返し繰り返し練習する機会を持つことができるように、都教委として取り組んでいくべきと思いますけれども、所見を伺いたいと思います。
○早川都立学校教育部長 中学生や保護者が安心して来年春の入学者選抜に臨めるよう、マークシート方式の導入や、出題形式、解答形式の変更などについて説明したリーフレットを九月に作成し、都内公立中学校の全ての中学三年生に配布いたします。
また、中学生が実際に問題を解き、答えをマークする練習ができるよう、マークする際の留意点だけではなく、数学の計算問題など、具体的な問題と解答欄を記載したリーフレット、あわせて解答用紙のサンプルを十二月までに作成、配布するとともに、中学校における事前指導の徹底を求めてまいります。
さらに、作成したリーフレット等については、都教育委員会ホームページに掲載するとともに、学校説明会等に参加した生徒にも配布できるよう、都立高校にも用意いたします。
○伊藤委員 中学生、特に三年生の中には、マークシートというものを全く経験したことがない生徒が多数いると思います。
私たちも学生時代、経験がありますけれども、例えば、テストに名前を書かなかったら零点とかいわれたこともありましたけれども、今回も受検番号そのものをマークするのをミスしてしまった、こういう例もあった。
あるいは、一段書き間違えたところからマークをしてしまった。途中でつじつまが合わなくなって、一生懸命消したんだけれども消し方が甘かったとか、消しゴムのかすが残っていて、それが採点できなかった、こんなようなケースもあったようでありますので、私は、特に今の中学三年生、これは先ほども申したように、あと八カ月でありますので、できるだけ早い段階で、このマークシートの練習ができるようにしていただきたいと思います。
今、中学三年生の生徒さんたちは、いわゆる過去問、都立高校の過去の問題集、これに取り組みながら一生懸命勉強していると思いますけれども、これはマークシートでないわけですから、過去問は。それが一つです。
それから、今、答弁いただきましたけれども、リーフレット、また、解答用紙のサンプルを十二月末までに作成、配布するという答弁でありましたけれども、十二月ですと、受検までもう二カ月切っていますから、これは、できれば準備が整い次第、少しでも早く中学生の生徒たちに配ってあげられるようにしていただきたいと強く要望しておきたいと思います。
マークシート方式が全面実施されても、記述式問題が全てなくなるわけではないという報告でありました。
記述式問題の解答に当たっては、何より中学生自身が誤字、脱字、そしてまた英語のスペルミスなどに気をつけることが大切でありますけれども、マークの仕方とあわせて、中学校において、記述式問題についても十分に指導しておくことが必要であると思います。
このことについて、どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。
○早川都立学校教育部長 入学者選抜におきまして、受検者が持てる力を確実に発揮することができるよう、中学校において事前に十分指導することは重要でございます。
そのため、進路指導担当教員を対象とした説明会や、実施要項説明会等の機会を活用し、今後作成するリーフレットや解答用紙サンプルの活用の仕方を周知するとともに、誤字、脱字等に関する具体的な指導の徹底についても求めてまいります。
○伊藤委員 中学生に対する十分な指導を中学校が確実に行うことを通して、マークシート方式の全面実施に伴う不安を少しでも解消していただきたいと思います。
しかし、全ての高校でマークシートによる採点が誤りなく行われるようになるには、高校の教員一人一人が、マークシートを読み取る機械やパソコンを使った採点など、新たな方法について十分習熟していることが重要であります。
これまでは、中学三年生の子たちに、初めてのマークシートだから、しっかりと練習ができるような取り組みをという質問をしてまいりましたけれども、そこで、全ての高校において、マークシート方式による採点、点検が誤りなく行われるよう、教員への取り組みはどのようにしていくのか伺いたいと思います。
○早川都立学校教育部長 全ての都立高校で円滑に採点、点検業務が行われるよう、今年度からマークシート方式を全面実施することに伴う説明会を今月中に実施いたします。
また、モデル実施校から示された課題等を踏まえ、誰もがわかりやすく採点、点検できるシステムを構築し、夏季休業日を活用して、機器の使用等に関する研修会などを実施いたします。
また、十一月には、使用方法やトラブル発生時の対処方法などを周知する説明会や、全ての高校を対象としたテストランなどを実施し、万が一問題が生じた場合に、迅速に対応できるバックアップ体制についての準備も行ってまいります。
○伊藤委員 マークシート方式の導入は、採点の誤りの防止に大いに役立つものと考えます。冒頭にも申し上げましたけれども、中学生にとりましては、人生初の大きなハードルといっても過言ではないと思います。
こうした都立高校を受検する中学生にとって、大きな影響があることは間違いありません。
中学生がマークシートになれていないことで、入試当日に持てる力を発揮できないということでは意味がありません。
さらには、採点、点検を行う高校の教員一人一人が、機器の使用方法や採点、点検方法に習熟している状態にまでなっていなければ、新たなシステムは機能しないと思います。
都教育委員会には、中学生への丁寧な周知とマークミス等を防止するための練習の機会の確保、そして、採点、点検を行う高校に対する指導の両面において、きめ細かな対策を講じていただき、中学生が安心して都立高校を受検できる環境をつくっていただきたいと思います。
最後に、先ほどの報告にもありましたけれども、今回、追加合格者はなかったということは大きな前進であり、実際に採点に当たった学校の奮闘の成果と受けとめるわけであります。一方で、採点ミスが少なからず、千六十四件という報告がありましたけれども、あったことも事実であります。
受検者がより一層安心して都立高校入試に臨めるよう、都教委と都立高校とが、そしてまた、全ての中学校が一丸となって、不断の努力を、今後とも重ねていっていただきたいと要望いたしまして、質問を終わります。
○里吉委員 私からも、平成二十七年度に実施する都立高等学校入学者選抜における実施方針について伺ってまいります。
都立高校入試の採点誤りによって、過去三年間、三千件を超える採点誤り、追加合格となった受検者が二十二名にも上ったという、あってはならないことが起きて、二度とこのような事態を起こさないためのさまざまな検討が行われてきました。
都立高校入試調査・改善委員会なども設置して、きょうご報告いただきましたように、学力検査翌日から合格発表日までの日数を一日ふやし四日にしたこと、また、その二日間は生徒を登校させない、また、モデル校でマークシート方式の導入、二系統による採点、点検方式の導入などが実施されました。
この結果を受けて、今度の春、実施いたします都立高校の入学選抜における実施方針がまとめられたと思いますが、これをまとめるに当たって、実際、取り組んだ学校現場の声はどのように集約されたのか伺います。
○早川都立学校教育部長 来年春に実施いたします入学者選抜の実施方針を策定するに当たりましては、採点誤りに関する再発防止改善策の効果検証や課題把握が必要なことから、高等学校の校長を初め、中学校長、マークシート方式で受検し都立高校に入学した生徒を対象にアンケート調査を行いました。
また、実際に採点、点検を行った教員から直接意見を聞くことが重要であることから、マークシートモデル実施校だけでなく、従来どおりの紙の解答用紙による採点、点検を実施した学校の教務担当教諭を対象とした意見交換も実施いたしました。
○里吉委員 校長を初め、現場の教員の皆さんからも直接意見を聞いて、また、マークシートを体験された生徒の皆さんにもアンケートを行ってまとめられたということで、大切なことだと思います。
その上で、来年春行われる、これからの入学選抜に向けて幾つか伺っていきたいと思うんですが、今回、実施する前には記述式問題の採点を二系統で行うと混乱するのではないかという心配の声もありましたけれども、実際これを二系統で行ってみてどうだったのでしょうか、伺います。
○早川都立学校教育部長 二系統による採点、点検の後に、それぞれの系統の担当者同士が行う採点内容についての協議に、これまで以上に時間を要する場合はございましたが、採点基準とのずれの防止に成果があったという意見が多うございました。
○里吉委員 成果はあったと。しかし、これまで以上に時間がかかったというお答えでした。
今度は、今年度の入学者選抜で実施する採点、点検方法は、部分点である記述問題について、誤字、脱字などチェックすることも考えて、三系統にするということになっております。
これによって採点の量がふえるのではないか、人手が足りなくなるのではないかという心配もあるんですね。このことに対しては、どのように体制をとるのか伺います。
○早川都立学校教育部長 部分点のある記述式問題につきましては、校内で定めた採点基準に基づき、必要に応じて誤字、脱字等の表記の確認に特化した系統を加えることといたします。
マークシート方式の導入に伴い、これまで記号選択式問題の採点、点検を担当していた教員をこの確認作業に充てることができるため、人員が不足することはないと考えております。
○里吉委員 マークシートの導入で、記入採点問題の採点、点検を担当している教員がこれに当たると。人手不足にはならないということでしたが、先ほどもご答弁いただいたように、二系統でもこれまで以上に時間がかかったというわけですから、時間がかかることは否めないと思います。
それから、いただいたこの報告を読ませていただきましたら、都立高校の校長を対象にしたアンケート結果で、新たな採点、点検方式により、今までより時間がかかり、四日間でも時間的に厳しいという意見が多かったとありました。
このことに対しては、どのように対応していくのか伺います。
○早川都立学校教育部長 二日間の採点、点検日のうちに各教科の合計得点を確定することができなかった要因は、二系統による採点、点検を取り入れた結果、記述式問題の採点、点検に時間を要したことなどにございます。
今後、マークシート方式を導入することにより、記号選択式問題の採点、点検時間は大幅に短縮できますが、記述式問題については、引き続き人力による採点、点検が必要となります。
このため、限られた時間で確実な採点、点検や合否判定を行えるよう、記号選択式問題であっても思考力を見ることができる出題となるよう工夫して、マークシート方式で解答する問題をふやし、結果として、記述式については、解答を記述させることに意義のある問題に厳選いたします。
また、数値のみを解答する問題等についても、マークシートによる解答に変更するなど、解答形式の改善を講じてまいります。
○里吉委員 採点までの必要日数をふやすということはしないで、マークシート方式で解答する問題をふやすなど、解答形式を改善して時間内に採点、点検ができるようにするというお答えでした。
さらに今回、学校で採点、点検した上で、他校同士での相互点検も行いました。これについても、学年末の忙しい中、日程的にも厳しいのではないかという声がありましたけれども、実際はどうであったのか、また、今度の入試でも実施するのか伺います。
○早川都立学校教育部長 他校同士の相互点検につきましては、年度末の業務と時期が重なることにより、点検者の確保が難しいという面はございましたが、校内では見つからなかった誤りの発見に加えて、校内における採点、点検時の教員の緊張感や責任感の向上にも寄与したという成果が見られました。
年度内の実施により、採点誤りに伴う受検者への影響を最小限に抑えるための重要なセーフティーネットの一つであることから、継続して実施していく必要があると考えております。
○里吉委員 新たな誤りの発見もあったということで、重要なセーフティーネットの一つであるということも確認されたということでした。
ただ、本当に忙しい時期での対応となっていますので、改善策はまだその途上ですから、どのように行っていくのかは、今後検討していただきたいと思います。
これまで幾つか伺ってきましたが、都立学校入試は、全ての学校で来年春、初めて全学校でマークシート方式が導入される。また、記述式の問題では、三系統での採点、点検が行われます。ことし二月に行ったやり方とも違う方法になるわけですね。
子供たちの将来がかかった大切な高校入試ですから、二度と採点誤りを生まないように、また、そのためにも現場に過度な負担とならないように、常に現場の声も聞きながら改善していくことが必要だと思います。
そこで、今後も、学校現場、中学校の校長先生や、高校の校長先生や、採点を実際行っている先生方など、学校現場の皆さんと都教育委員会との意見交換の場を設ける必要があると思いますが、見解を伺います。
○早川都立学校教育部長 再発防止改善策の実効性を高めるためには、学校現場の意見等を聞き、さらなる改善につなげていくことが重要でございます。
そのため、今後も、学校現場と都教育委員会が課題等を共有しながら、採点誤りの再発防止に取り組めるよう、これまでと同様、さまざまな意見交換の場を設定してまいります。
○里吉委員 さまざまな意見交換の場を設定していくということでした。
この問題が発覚したときに、実は入試制度についていろいろ意見があったけれども、いいにくかったとか、届かなかったという声が現場から聞こえてまいりました。
この問題だけに限らず、いろんな問題で学校現場と都教育委員会が課題を共有して、さまざまな課題改善に取り組んでいただくように要望し、私の質問を終わります。
○小山委員 本報告の案件につきまして、これまでも本会議や委員会などでも質疑をし、提案をさせていただいてまいりました。
特に、採点に要する日程と採点に適する環境の確保、さらに、マークシート方式の採用を提案してまいりましたが、この平成二十六年度の入学者選抜におきまして、この採点誤りに関する再発防止改善策として、先ほど申し上げたような点を入れていただいて実施していただいたわけであります。
特に、第一として、学力検査翌日から合格発表日の前日までの日数を増加していただいたこと、さらに、採点、点検期間の一日目、二日目に生徒を登校させないで採点業務に集中できる環境をつくっていただいたこと、そして、何よりもマークシート方式を導入した上で、二系統による採点、点検方式を導入していただいたこと、こういったことは評価をしたいというふうに思います。
先ほど他の委員からも幾つか質疑がございましたので、なるべく重複を避けて質問をさせていただきたいと思います。
そこで、この平成二十六年度の再発防止改善策の結果、新たにこの成果と課題というものが報告されたわけでありますが、特に、今回の入学者選抜におきましては、先ほどご説明がありましたように、資料3の中で、今回の単純ミスは大きく減少したものの、やはり記述式問題の中で部分点を誤って与えたなどという、この数字が、主に千四件の中でいえば八百七十四件、約八七%が誤字やスペルの見落としなどによるものであったということであります。
これは、今回の、まさしく二十六年の改善策の中で、私は、今一番大きな課題というか、これから改善していかなければならない部分だというふうに思っております。
そこで、今回の入学者選抜の中で、このように多くの誤字やスペルミスの見落としという採点の誤りがありましたが、具体的にどのような採点の誤りであったのか、お伺いをしたいというふうに思います。
○早川都立学校教育部長 受検者の解答における誤字やスペルミスには、漢字のへんやつくりを書き間違えたものや、問題文中の言葉や英単語を引用して解答する際に、漢字やスペルを写し間違えたものなどがございます。
こうした誤りについて、採点の際に誤字であると判断して減点した解答がある一方、同様な誤りを見落としてしまったことで減点していない解答があったというものでございます。
○小山委員 今、お答えをいただきました中から、やはり今回の一番誤りの部分で、それを誤字と判断をして減点したというものがある一方で、これを減点とせずに点数をそのまま与えて見落としてしまったということだというふうに思います。
この数が非常に、実はこの報告の中でも大変多いわけでありますけれども、この部分をどのように改善するかということがやはり大事だというふうに思います。
そこで改めてお伺いをしたいというふうに思いますけれども、これだけ多くの誤字やスペルミスの見落としがあったことを受けまして、今回の改善策の中、また実施方針の中で、どのような対策を講じていくのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
○早川都立学校教育部長 今後、部分点のある記述式問題の採点に当たりましては、誤字、脱字の見落とし等を防止するため、今回実施した二系統による採点、点検に、誤字、脱字等の表記に特化して確認を行う系統を追加し、三系統による採点、点検を行うことといたします。
新たな系統に充てる人員につきましては、マークシート方式の全面実施に伴い、記号選択式問題の採点、点検が機械化できることにより、これまでの記号選択式問題の採点、点検に当たっていた、国語や数学など五教科以外の教員を重点的に充てることで、確保が可能になると考えております。
○小山委員 ただいまご答弁の中で、今後、二系統から三系統へと採点、点検を行うこととされるということであります。
実際、資料5でいただきました、このイメージというのが一番わかりやすいと思いますが、今までの系統に加えて、新たに誤字、脱字の表記に関して設定した、この系統3というものを設けられるということであります。
そこで、この三系統の実施をするわけでありますけれども、先ほど人員の話などは出てまいりました。
また、マークシートの方式とあわせて行うことによって、それらについても十分対応が可能であるということもお聞きしたわけでありますから、この三系統による採点、点検についての実施内容、具体的にこれについてお聞かせいただきたいと思います。
○早川都立学校教育部長 今回、部分点のある記述式問題について、都教育委員会が初めて全校統一的に詳細な基準を規定いたしましたが、一部の学校で基準どおりの採点が徹底できないという事態が生じております。
今後、都教育委員会は、採点に当たりまして着目すべきポイントを示すにとどめ、誤字、脱字の取り扱いなど、採点基準の詳細につきましては、各学校が受検者の実態に応じて適切に定める形に変更することといたします。
採点、点検については、国語において漢字を正しく書いたり、英語において自分の考えを表現したりする力を見る問題はもとより、その他の問題や数学など、他の教科についても、誤字、脱字を採点の対象とすると学校で判断した場合は、必ず三系統で行うことといたします。
○小山委員 今のお答えの中で、今回の記述式問題については、統一的な基準を規定されたと。しかしながら、一部の学校ではその基準どおりの採点が徹底できないということがあったというわけであります。
今後については、まさしくこの問題設定ということもあろうかと思いますが、この採点に当たって留意すべきというか、着目すべきポイントを、都としてしっかり示して、それに基づいて、当然採点を行い、さらに誤字、脱字の取り扱いなどについては、各学校でそれぞれ判断をされるということだというふうに今承りました。
特に、その採点、点検において、例を挙げていただきましたけれども、国語などでは漢字を正しく書く、英語の部分においてもスペルの問題もあるんだと思いますが、自分の考えなどを表現したり、そういったことについての問題については、必ず三系統で行われると。
しかしながら、その他の数学や他の教科、もちろんこの中にも記述式のものがあろうかと思いますけれども、この採点については、各学校判断で三系統を実施したり、しなかったということがあるということで承りました。
そこで、それを受けた上でなんですが、この誤字、脱字等の表記に特化して確認を行う三系統目の、三つ目の系統ですけれども、校内による統一基準による採点、点検は行われると思います。
しかし、これは同一の検査問題を、島しょ部は除くわけですけれども、全都的に行うわけでありますから、学校により採点の基準が異なるという部分が、これは当然発生してくるというふうに思います。
この点について、私は、入学者選抜の観点から、東京都としてどのように考えているのか、見解をお伺いしたいと思います。
○早川都立学校教育部長 都立高校の入学者選抜は、学校ごとに実施するものであることから、その学校の受検者の全ての答案が、その学校での統一的な基準により採点されることで、公平性、公正性は担保できると考えております。
○小山委員 今回の二十七年の実施方針では、当然、今お答えをいただいたように、統一的な基準で、それこそ学校ごとで、学校内ではしっかりそれが徹底して行われることによって、公平性、公正性が担保できるというようなお考えでいらっしゃるということはわかりました。
しかしながら、統一的な入学者選抜でもあります。そういったときに、各学校間で、その採点の結果、基準が異なるというのは、果たしてそれが今回のような入学者選抜においていかがなんであろうかと。この点だけは少し意見として申し上げておきたいというふうに思います。
そして何よりも、この二十七年度の入学者選抜においては、やはり採点誤りが二度と起こらないように、先ほども他の委員の方からも意見がございましたけれども、実際受検をされる中学校三年生を初めとする受検生はもちろんのことでありますけれども、中学校や高等学校、保護者の皆さんを初め、広く関係の皆さんに早期に周知徹底をしていただくのと同時に、やはり受検生が安心して、この入学者選抜を受けられるような万全の体制を図っていただくよう強く求めまして、質疑を終わらせていただきたいと思います。
○小松委員 それでは、私からも、今回の都立高校入試の採点ミス問題についてお伺いします。きょうの最後の質問です。よろしくお願いします。
まず、マークシート方式で、ことしの試験を行われたわけですが、導入されたわけですが、マークシート方式での問題と、それから従来どおりの解答用紙での問題は、同じ内容の設問で解答方法を変えただけなのか、それとも全く別の内容で問題を作成したのか、ちょっと細かいことですが、確認させてください。
○早川都立学校教育部長 マークシート方式モデル実施校と、従来どおりの解答用紙を使用した学校とで学力検査問題に違いはなく、記号選択式問題の解答方法が異なるだけでございます。
○小松委員 マークシート用に別の問題を作成したのではないということはわかりました。
このマークシート方式の導入校で、記述式の問題の採点、点検に時間がかかっています。きょういただいている資料でいいますと、二ページの右側、特に英語ですね。この原因は何か、どう捉えておられるのか、お伺いします。
○早川都立学校教育部長 マークシート方式導入校では、効率的な採点を行う観点から、部分点のある記述式問題について、各受検者の答案をあらかじめ機械で読み取り、全ての受検者の解答が問題ごとに印刷された一覧表を用いて採点、点検した後、採点結果をパソコンに入力いたしました。
英語につきましては、部分点のある記述式問題の採点基準が特に詳細であったことから、採点、点検後、受検者一人一人の結果を、基準ごとにパソコンで入力する作業に相当の時間を要したことが原因と分析しております。
○小松委員 英語に特有の課題があったということのようです。
それでは、モデル実施の結果、エラーの発生がごく少なく、採点ミスの減少の効果が認められたということで、このマークシート方式を全校に導入するということです。
この方式を多用することは、エラー発生を低減させることは確かですが、子供の記述力の低下を招くことにならないか、懸念されるところです。見解を伺います。
○早川都立学校教育部長 学力検査問題の全ての問題を記号選択式にすることは、中学校における学習の成果全体をはかるという観点から適切ではないと考えております。
一方で、限られた時間で確実な採点や合否判定等を行う必要があることから、記号選択式問題であっても、思考力を見ることができる出題となるよう工夫して、マークシート方式で解答する問題をふやし、結果として、記述式問題については、解答を記述させることに意義のある問題に厳選いたします。
これらにより、受検者の記述力を的確に把握することと、採点、点検業務を確実に行うこととを両立させてまいります。
○小松委員 採点日として設定した二日間だったわけですけれども、この二日間で採点が終わらなかった学校が約一割ありました。
また、合否判定日、発表準備日まで、その日までに合計得点が確定しなかったという学校も四割ありました。
それほどに時間を要したということですが、その原因は何か、また、発表日までに作業が完了しなかった学校は、一体なかったのか、そのことを確認します。
○早川都立学校教育部長 二日間で採点、点検が終わらなかった要因は、二系統による採点、点検を取り入れた結果、記述式問題の採点、点検に時間を要したことにございます。
また、合計得点の確定作業が合否判定日や、発表準備の日まで終了しなかった学校がありましたが、その要因は、過去に合計得点の算出誤りが多くあったため、担当者が二人一組になり、得点などを読み上げながら、合計得点の算出、点検及び照合を行い、合計得点の算出に慎重を期すこととしたためでございます。
合計得点の確定や合否判定などの業務の完了が、合格発表日当日となった学校はございませんでした。
○小松委員 発表日まで、直前までには何とかなったということです。
記述式問題の採点において、誤字、脱字の採点で今回多くのミスが生じています。その前の年は二百四十件であったのに対し、千件以上と四倍以上にふえています。
この原因について、ある新聞報道では、厳格な採点基準を定めたことに加え、その基準表が実際に配られたのが入試直前だったというふうに書かれていますが、この事実関係についてお伺いします。入試何日前に配られたんでしょうか。
○早川都立学校教育部長 誤字、脱字等の表記にかかわる採点誤りが増加した要因は、都教育委員会が採点基準を統一的かつ詳細に示したことで、一部の学校で基準どおりの採点が徹底できなかったことが大きいと考えております。
採点基準については、学力検査問題の内容と深くかかわるものでございまして、学力検査の実施以前に情報が漏えいすることを防止する観点から、学校は、各教科の学力検査終了後に確認をしております。
これは、学校が独自に部分点である記述式問題の採点を定めていた昨年度までと同様の取り扱いでございます。
○小松委員 検査の終了後に確認ということでした。
それでは、この誤字、脱字についての統一新基準、新しくつくった基準ですが、昨年策定した改善策の中にそもそも含まれていたのでしょうか。なぜ今回、基準を厳しくしたのでしょうか。
○早川都立学校教育部長 国語の作文や数学の証明など、部分点を与える記述式問題の採点基準につきましては、昨年度までは、各学校が採点、点検日の中で、一から作成しておりました。
採点誤りに関する改善策を検討する中で、その作成に要する時間が採点、点検時間を圧迫して採点誤りを起こす要因となっていることから、学校の負担を軽減する必要があるとの指摘がなされました。
そのため、あらかじめ都教育委員会が統一の基準を作成し、各学校に配布することとしたものでございまして、このことは、昨年九月に策定した再発防止・改善策に示されております。
○小松委員 昨年の改善策の中にはもう含まれていたということです。
しかし、この誤字、脱字について細かい規定を設けるということは、周知に時間がかかるわけです。
そういう、システム変更といってよいと思いますが、周知徹底のための十分な時間的余裕をとる必要があったのではないか、お伺いします。
○早川都立学校教育部長 採点、点検業務の詳細を定めた実施要項におきまして、採点者及び点検者は、正答例、部分点の基準及び受検者の答案を確認し、部分点の基準について認識の共有を図るための打ち合わせを、学力検査当日から学力検査翌日の正午までの間に行うことになっており、校内において採点基準を周知徹底するための時間は確保されていると考えております。
○小松委員 採点する現場で作業に手間取って、また人的ミスが多発したことは、現場の事情に合わないシステムだったということではないのかというふうに思うんです。
それで、採点の現場の意見を聞いたのかというふうにお伺いしたいんですが、また、従来と基準を変えることを受検生にも情報提供するべきだったと思いますが、この点いかがでしょうか。
○早川都立学校教育部長 部分点を与える記述式問題の採点基準は、学力検査問題の内容と深くかかわるものでございまして、情報の漏えいを防止する観点から、学校関係者等の外部の意見を学力検査の実施以前に聞くことは適切ではないと考えております。
また、採点誤りに関する再発防止改善策の一環といたしまして、昨年度実施の入学者選抜において、部分点を与える際の採点基準を都教育委員会が新たに定めることにつきましては、受検生にも十分周知してまいりました。
○小松委員 記述式問題における答案の中の誤字、脱字をどう成績に反映させるのか否か、そのための採点時のチェック方法をどうするのか、あるいは誤字、脱字には重きを置かず、採点ミスを減らすことを何よりも優先するのかなど、検討すべき事項が数多くあります。
都教委が一律でルールを定めることが果たして最良かどうかというふうに思います。見解を伺います。
○早川都立学校教育部長 各学校の負担を軽減する観点から、部分点を与える記述式問題の採点基準を、都教育委員会として統一的に定めることは必要と考えております。
ただし、来年春に実施する入学者選抜では、都教育委員会は、採点に当たって着目すべきポイントを示すにとどめ、誤字、脱字の取り扱いなど、基準の詳細につきましては、各学校が受検者の実態に応じて適切に定める形に変更いたします。
○小松委員 次回は、詳細は各学校が実態に応じて定めるということでした。合理的な判断だというふうに思います。
ところで、昨年の文教委員会で、答案用紙の保存期間について、私、質問いたしまして、一年しかない、そのことの問題も指摘いたしたところですが、この点について改善策はとられたのか、お伺いします。
○早川都立学校教育部長 学力検査の答案の保存期間につきましては、高校に在籍している間に、受検者から自己の答案を確認したい旨の申し出があれば、採点済みの答案の写しを交付できるようになるとともに、万が一、採点の誤りにより追加合格の措置をとらざるを得ない事態となった場合にも対応が可能となるよう、東京都教育委員会文書管理規則を改正いたしまして、一年と定めていた期間を、全日制課程は三年、定時制課程及び通信制課程は四年といたしました。
○小松委員 保存期間が一年しかなかったわけですが、これについて、規則改正によって改善策が図られたということを確認しました。
人的ミスについては、ゼロにはならないんだと思います。ゼロに近づける努力は必要ですが、決してゼロにならないというものだという、その前提でシステムを構築するべきだと思います。
今回、新聞などのメディアで、都立高校の入学選考の採点でまたミスが出た、千件以上もあったと大きく報道されたわけですが、昨年発覚した、本来合格していたのに不合格となっていた受検生が二十二人もいたという深刻さに比べれば、問題の質が違うと思います。
今回のミスは、数こそ多いものですが、昨年の教訓を生かして改革に着手されたことの結果であって、改革途上の試行錯誤の状態から生じたことだったと、質疑を通して思いました。
最も重要なのは、合否のボーダーライン上にいる受検生の採点について正確を期すことだと思います。また、採点のミス防止だけを追求して、子供の記述力、書く力を育てることがおろそかになってはなりません。
この点に十分留意して改革を進めていただきたいと申し上げて、質問を終わります。
○小竹委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小竹委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後二時五十六分散会
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