委員長 | 小竹ひろ子君 |
副委員長 | 里吉 ゆみ君 |
副委員長 | 山崎 一輝君 |
理事 | 小林 健二君 |
理事 | 島崎 義司君 |
理事 | 鈴木 錦治君 |
宮瀬 英治君 | |
小松 久子君 | |
伊藤こういち君 | |
ほっち易隆君 | |
小山くにひこ君 | |
今村 るか君 | |
古賀 俊昭君 | |
村上 英子君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 比留間英人君 |
次長 | 松山 英幸君 | |
教育監 | 高野 敬三君 | |
総務部長 | 堤 雅史君 | |
都立学校教育部長 | 早川 剛生君 | |
地域教育支援部長 | 前田 哲君 | |
指導部長 | 金子 一彦君 | |
人事部長 | 加藤 裕之君 | |
福利厚生部長 | 高畑 崇久君 | |
教育政策担当部長 | 白川 敦君 | |
教育改革推進担当部長 | 出張 吉訓君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 松川 桂子君 | |
指導推進担当部長 | 鯨岡 廣隆君 | |
人事企画担当部長 | 粉川 貴司君 |
本日の会議に付した事件
教育庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十七号議案 東京都教育委員会組織条例の一部を改正する条例
・第四十八号議案 東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第四十九号議案 東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例
・第五十号議案 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第五十一号議案 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十四条の二の規定に基づく職務権限の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第五十二号議案 東京都学校経営支援センター設置条例の一部を改正する条例
・第五十三号議案 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
・第五十四号議案 都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
・第五十五号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
○小竹委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
これより教育庁関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第一号議案、平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、教育庁所管分及び第四十七号議案から第五十五号議案までを一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○堤総務部長 去る二月十七日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
お手元の文教委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をお開き願います。今回要求のございました資料は六件でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、都立特別支援学校スクールバス予算の推移(平成十八年度から平成二十七年度まで)でございます。
都立特別支援学校のスクールバスの予算額、学校数、コース数の推移を平成十八年度から平成二十七年度まで記載してございます。
二ページをお開き願います。2、公立小・中学校の三十五人学級に必要な教員数及び経費でございます。
公立小中学校の三十五人学級に必要となる教員数及び経費について記載してございます。
その下、3、教職員の標準法定数と、標準法に根拠をもつ教職員数の都の定数、および標準法以外の都の定数(校種別)でございます。
平成二十七年三月四日時点における教職員の標準法定数と標準法に根拠を持つ都の定数及び標準法以外の都の定数について校種別に記載してございます。
三ページをお開き願います。4、都立学校整備費の推移(校種別、工事内訳別)(平成七年度から平成二十七年度まで)でございます。
平成七年度から平成二十七年度までの都立学校整備費の当初予算額の推移を校種別、新設、改修など工事内訳別に記載してございます。
四ページをお開き願います。5、都内の就学援助受給者の推移(平成十六年度から平成二十五年度まで)でございます。
平成十六年度から平成二十五年度までに就学援助を受けた児童生徒数及び受給率の推移について、要保護、準要保護別に記載してございます。
五ページをお開き願います。6、中途退学者の理由別内訳(課程別)(平成二十三年度から平成二十五年度まで)でございます。
平成二十三年度から平成二十五年度までに都立高校を中途退学した生徒について、理由別に、このページには全日制課程を、六ページには定時制課程を記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○小竹委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○ほっち委員 私からは、まず初めに、理数教育についてお伺いさせていただきます。
これまで我が党は、将来の先端技術の開発を担うなど、世界で活躍できる若者を育成することは極めて重要と考え、その土台となる学校教育の充実を提言してまいりました。
これを受けまして、都教育委員会では、理数教育の推進を主要施策の一つに位置づけ、理数フロンティア校の設置やジュニア科学塾の開催等に取り組んできましたが、現在、スーパーコンピューターやロケットの開発など、科学技術をめぐる世界的な競争は激しさを増しています。
また、科学技術立国である我が国を支える人材を育てるためには、早い段階から子供たちに能力を伸ばすチャンスを与えていくということが重要というふうに考えております。
そこで、理数に高い関心を持つ子供たちの能力をさらに伸ばすための今後の施策についてお伺いいたします。
○金子指導部長 理数に関心の高い子供たちを小学校段階から伸ばすため、さまざまな取り組みを行ってまいります。
小中学校では、習熟度別授業により、理数の発展的な指導を展開するとともに、中学生が科学の専門的な内容を学ぶジュニア科学塾、高校生が大学の研究室で指導を受けるグローバルサイエンスキャンパスを充実してまいります。
また、子供たちがより高度な学習を目指す契機とするため、小学生がみずから研究した成果を発表する科学展、中高生が知識、技能を競い合う科学の祭典を開催いたします。
さらに、スーパーサイエンスハイスクールとともに、都立高校の科学技術系人材育成の拠点といたしまして、理数イノベーション校を指定し、国内トップレベルの大学や研究機関等と連携した最先端の実験、講義を実施するなどいたしまして、将来の我が国を支える人材を育成してまいります。
○ほっち委員 私の学生のときとは全く、夢のような世界だなというふうに、今生まれていればこんなにいい経験ができるんだなというふうに、改めて感心するところもありますし、ただいま答弁にありました取り組みを継続して行っていくことで、この東京から日本、そして世界を代表する科学者ですとか技術者が数多く誕生して、世界の第一線で活躍していただくことを期待しておるところでございます。
また一方で、理数好きの子供たちの裾野を一層拡大していく取り組みも必要というふうに考えております。小中学校の段階で、子供たちの理科の授業への興味、関心を高めることが理数好きの子供をふやすことになるというふうに考えますが、都教育委員会の今後の施策についてお伺いいたします。
○金子指導部長 小中学校段階で子供たちが理科への興味、関心を一層高めるためには、より多様で、知的好奇心を満たすような理科の実験を体験させることが効果的でございます。こうした授業を全ての小中学校で展開するため、外部人材を観察実験アシスタントとして配置できるよう、区市町村教育委員会を支援してまいります。
また、大学や企業等との連携により、通常の授業ではできない体験を通して、子供たちに理科のおもしろさや、科学技術が実生活に役立つことを実感させる理数授業特別プログラムをモデル地区の小中学校で新たに実施いたしまして、その成果を全都に普及してまいります。
こうした取り組みを通しまして、小中学校段階で理数好きの子供たちをふやしてまいります。
○ほっち委員 外部人材の活用や観察、実験の授業の充実というのは、我が党の政策提言にも掲げておりますし、子供たちが理科への興味を示すために有効な手だてだというふうに考えております。
それぞれの取り組みが確実に行われ、理数が好きな子供たちの裾野が一層拡大していくことを期待して、次の質問に移らせていただきます。
続きまして、先ほど、要求資料にもありましたけれども、都立特別支援学校のスクールバスについてお伺いさせていただきます。
都立特別支援学校のスクールバスは、児童生徒の通校手段として必要不可欠であります。保護者は、自宅から学校へ毎日安心して通学させたいという思いから、スクールバスの安全な運行を強く要望していますけれども、来年度のスクールバスに関する予算は、今年度に比べ五十九億円と大幅に増額しています。
これは、バス業界における安全を置き去りにした昨今の低価格競争を危惧した現政権のもとで、国土交通省が平成二十六年三月に、関東運輸局長の公示により、一般貸切旅客運送事業に係るバスの運賃、料金制度を改正したことへの対応というものが大きな要因であるということは承知しておりますけれども、本改正の趣旨は、単に運賃、料金を一定水準に引き上げるためだけのものではなくて、運行の安全性の向上ですとか、必要なサービスを確実に実施するために必要な経費を明確にしたものだというふうに思っております。
都立特別支援学校のスクールバスについては、これまで大きな事故というものは起きておりませんけれども、今年度、運行業者の契約解除によって運行に大きな影響が生じたりですとか、以前から安定した運行や安全性確保、そして乗務員の、児童生徒や保護者への対応などへの懸念、また要望が保護者の皆さんから我が党にも寄せられております。
そこでお聞きしたいんですが、東京都教育委員会では、今回のバス運賃、料金に係る制度改正を機に、スクールバスの質の向上に向けてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○松川特別支援教育推進担当部長 特別支援学校のスクールバスでは、より一層の安全、安定的な運行と、障害のある児童生徒に対する乗務員の適切な対応が必要でございます。
そのため、来年度の契約では、子供たちが安全に、かつ安心して乗車できる事業者と契約できるよう、肢体不自由特別支援学校のリフトつきバスの契約につきまして、入札価格に加え、安全運行や利用者サービスに対する取り組み等も審査の上、落札業者を決定する総合評価制度を新たに導入しております。総合評価の内容につきましては、保護者からの意見も踏まえ、学識経験者や学校関係者とともに検討を行っております。
また、リフトつきバスは、コースごとに定員や仕様が異なり、事業者が新たに車両を用意する際、改造が必要となりますことから、事業者の投資的な経費負担を考慮して、三年間の長期継続契約もあわせて導入しております。
○ほっち委員 ぜひ、今回の大幅な予算増と契約の改善によって、スクールバスの質の向上が図られ、今後、これまで以上に児童生徒の皆さんが安心して通学できるよう、しっかりと効果があらわれることを期待しております。
また、スクールバスの運行については、契約方法だけではなくて、日ごろからバス業者の経営状況や従業員の育成、管理、また、日常運行にかかわる諸点検の実施状況等を都教育委員会としてもしっかりと把握していただいて、適切に指導することが必要だというふうに考えております。
そうした事業者管理にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○松川特別支援教育推進担当部長 今回の契約の見直しにあわせまして、都教育委員会は、スクールバスを運行する全ての事業者に対し、児童生徒の障害に配慮した接し方など、各社が主体的に実施する乗務員研修の年間計画や、事故、災害発生時における連絡体制と避難訓練計画の策定、提出を新たに義務づけいたしました。
また、今年度、経営破綻により年度途中に契約を解除した事案が発生し、児童生徒や保護者等に不安を与えたことを踏まえまして、事業者の納税状況や契約状況を確認するほか、国土交通省からの指摘、指導の有無や内容を把握するなどにより、再発の防止に取り組んでまいります。
○ほっち委員 保護者の皆さんにとっては、やはり大事なお子さんでありますので、しっかりと取り組んでいただきたいなというふうに思っております。
次に、変わりまして、発達障害教育についてお伺いしたいと思っております。
我が党は、先般の本会議の代表質問において、発達障害の児童生徒の困難の改善または克服に向けた総合的な施策を講じていくべきというふうに訴えてまいりました。
これに対し教育長は、発達障害教育の推進計画を策定するとの方針を示していただき、この計画が発達障害にかかわるさまざまな課題に対して抜本的な打開策となることを期待しているところであります。
本計画に先立つ発達障害教育の施策として、都教育委員会は、平成二十八年度から、全ての小学校において発達障害の児童を対象に巡回指導を実施すると、特別支援教室を本格的に導入するということとしておりますけれども、これまでの情緒障害等通級指導学級は、全都平均で六校に一校程度の設置であり、多くの小学校が新たに特別支援教室を設置することとなります。
区市町村によっては、児童数の増加等により空き教室がないなど、教室環境の整備に苦慮するといった声も上がっておりますが、そこで、区市町村の特別支援教育の導入促進に向けた実効性ある支援が必要だというふうに考えますが、平成二十七年度の都教育委員会の取り組みをお伺いしたいと思います。
○松川特別支援教育推進担当部長 全ての小学校におきまして、巡回指導を速やかに開始するためには、区市町村が特別支援教室の導入に必要な環境の整備を行うことが不可欠でございます。
都教育委員会は、特別支援教室の円滑な導入に向け、導入前年度に教室環境の整備に要する簡易工事相当の経費を区市町村に対して補助いたします。
具体的には、モデル区市での実施例を踏まえまして、簡易間仕切り工事などに要する費用といたしまして、一校当たり七十万円を上限といたしました全額を補助してまいります。
○ほっち委員 特別支援教室の導入に向けた施設整備に係る支援については理解させていただきました。
また、この特別支援教室は、指導教員が対象児童の在籍校を巡回して指導に当たるため、教材等を各学校にあらかじめ準備しておく必要があります。実際、保護者の皆さんからは、これまでの情緒障害等の通級指導学級にあったような教材が各学校に準備されるのかどうなのかというふうな不安の声も聞いております。
もちろん、児童一人一人の指導に当たっては、個別に必要な教材は各年度に準備すべきでありますが、多くの児童に共通して必要な教材は特別支援教室の導入当初に準備をしておくものというふうに考えておりますが、都教育委員会の見解をお伺いしたいと思います。
○松川特別支援教育推進担当部長 発達障害の児童への指導に当たりましては、それぞれの障害の状態に応じた教材や、各学校で共通して使用する教材を準備する必要がございます。また、指導教員が各小学校を巡回指導する際に、教材等を持ち歩かなくてもよい環境を整える必要もございます。
都教育委員会は、特別支援教室の導入前年度に、教材等の物品購入に要する経費といたしまして、一校当たり三十万円を上限とした全額を区市町村に補助してまいります。
○ほっち委員 これらの支援が有効に活用されるよう、区市町村に対して確実に周知徹底を図っていただきたいなというふうに思っております。
またさらに、この特別支援教室の成果を決めるのは、区市町村が主体的に取り組める体制づくりだと。また都民の理解の深まりであり、このためにも巡回指導教員の配置や専門性の確保について、区市町村の意見を丁寧に聞き取っていただき、必要な事項を十分に検討、準備をして、区市町村や都民がその効果を実感できる確実な支援にしていただきたいというふうに思っておりますので、こちらの方を要望としてお話しさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○伊藤委員 私からは、まず初めに、防災対策について質問をいたします。
本年から二十年前の阪神・淡路大震災、そして、学校が倒壊して多くの子供たちが犠牲となった四川大地震などの大災害を教訓に、都議会公明党は、長年にわたり学校の耐震化を求めてまいりました。それは、子供たちが日中、多くの時間を過ごす場でもあり、また、大災害時には地域の住民の避難場所となる大事な施設であるからであります。
都においては、公立学校の校舎本体については耐震化がほぼ完了しており、その取り組みは大変に評価したいと思います。
しかしながら、東日本大震災では、体育館の天井材が落下するなどの事故も多数発生いたしました。震災から四年がたち、天井材、壁、ガラス、照明器具などの非構造部材の耐震化を早急に進めていく必要があります。
そこでまず、都立学校における非構造部材の耐震化について、これまでの取り組みを伺うとともに、近々に改訂が示される文部科学省の耐震化ガイドブックの内容に照らし、都は早急に非構造部材の耐震化に取り組むべきと考えますけれども、都の見解を伺います。
○早川都立学校教育部長 都立学校におきまして、天井高が高く、ふぐあいがありますと地震発生時に重大事故につながるおそれのある体育館の非構造部材を優先して耐震化を進めております。
具体的には、体育館の天井材やバスケットゴール、照明器具等の非構造部材につきまして、国の示す技術基準や耐震化ガイドブックなどに基づきまして、平成二十七年度までの完了を目指して、昨年度から耐震改修工事を進めております。
また、武道場の天井材など体育館以外の施設の非構造部材につきましても、昨年度に専門家による調査点検を実施し、本年度から耐震改修工事に着手しております。
お話のありましたガイドブックの改訂内容とも整合を図りながら、今後も計画的に耐震化を進めてまいります。
○伊藤委員 小中学校の非構造部材の耐震化については、第一義的には区市町村が責任を持って進めていくべきものでありますけれども、東京都教育委員会としては、区市町村立学校の非構造部材の耐震化に積極的に支援をしていくべきと考えますけれども、見解を伺います。
○前田地域教育支援部長 東京都教育委員会は、平成二十五年度より、国の補助事業に加え、都独自の非構造部材の耐震化に要する費用の補助事業を開始しました。
また、都立学校における非構造部材の調査点検や対策工事のノウハウを紹介するほか、専門家による講演会を実施するなど、区市町村の非構造部材の耐震化への取り組みを支援しております。
平成二十七年度においても、引き続き補助事業を実施するとともに、国が改訂を予定している耐震化ガイドブックの内容を踏まえた情報提供を行うなど、きめ細かく支援してまいります。
○伊藤委員 近々、国からガイドラインが示されるということでございますけれども、特に首都直下地震については、いつ発生するかわからない、きょうかもしれないし、あしたかもしれない、こういう中において、この非構造部材の耐震化は早急に進めなければいけないことだと思います。どうか、都教委として、前倒し前倒しで進めていただくように要望しておきたいと思います。
私はこれまで、災害時に都立高校生が、支援される側ではなくて、地域防災の担い手として活躍してくれることを願い、まずは防災ヘルメットの配備を都教委に求めてまいりました。これを受け都は、全都立高校に防災ヘルメットの配備を進めていただきました。高く評価したいと思います。
一昨年の十月、伊豆大島で発生した土砂災害による甚大な被害が生じた際にも、都立大島高校の生徒たちが防災ヘルメットを装着して、泥だらけになりながら、家屋に侵入してしまった土砂を取り除くという、活躍する姿を見ました。
また、先日は、私の地元品川区にある都立大崎高校の卒業式に出席した際、廊下に張り出された、在校生が地域の防災訓練に参加し、地域防災の担い手として活躍している姿を拝見いたしました。
この大崎高校の校長先生からは、防災活動支援隊の生徒が中心となり、学校を挙げて、地域に役立つ人材を輩出したいとの熱い思いを聞かせていただきました。
そこで、この防災活動支援隊の目的と活動内容について伺いたいと思います。
○金子指導部長 都教育委員会は、発災時に地域と協力して防災活動のリーダーとなる生徒を育成するため、平成二十六年度から、全ての都立高等学校において、生徒会役員や防災委員会の生徒などで構成いたします防災活動支援隊を編成いたしました。
防災活動支援隊の主な活動は、自校の防災に関する取り組みの企画立案や運営補助及び地域の防災訓練への参加などでございます。
具体的には、一泊二日の宿泊防災訓練におきまして、地域の町内会等と連携する訓練方法を企画立案しております。
また、AEDによる応急救護訓練や搬送訓練のリーダー役を務めております。
さらに、東京都の総合防災訓練や地域の防災訓練におきまして、小中学生に対する止血法の指導や幼児、高齢者の避難誘導など、地域と一体となった訓練に積極的に参加しております。
○伊藤委員 この防災活動支援隊の取り組みは本当にすばらしいと思います。いざ本当に大災害が起きて、避難所等で支援物資等を配る列に、仮に、高校生がそこに、もらう側に並んでいるのではなくて、それを配布する担い手として活躍してくれる姿を想像すると、この防災活動支援隊の取り組みは、先ほども述べたように、守られていた人が守る人になっていくすばらしい取り組みであると私は思います。
一方、各区市町村で、日ごろから生業とともに、地域住民の生命と財産を守るために、我が身を賭して活動してくださっている消防団の団員の充足率が達成できていないということが、今、二十三区で大変な課題となっております。各地域で十八歳以上の若者の消防団員の入団を求めているわけであります。
都立高校生は卒業すると、それぞれの進路に進んでいくわけでありますが、防災活動支援隊を初め、防災意識の高い高校生がそれぞれの地域で消防団員として活躍してくれたならば、地域の方々がどれほど心強く、安心できるかと私は思います。
将来、地域防災の担い手となる若い人材を育成し、消防団など、実際に各地域で活躍できる人材を育成するため、都立高校における防災教育を一層推進すべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○金子指導部長 都立高校では、地域の消防署や消防団及び区市町村や町内会などと連携いたしました防災訓練を実施しまして、地域と一体となった取り組みを進めております。
今後、都教育委員会は、消防団の活動や東京消防庁が育成している災害時支援ボランティアの活動について、消防職員から直接指導を受ける機会を設定し、こうした活動に参加する高校生を拡大してまいります。また、上級救命講習の資格取得を推進いたしまして、防災に関する知識や技術の向上を図ってまいります。
こうした取り組みを通して、卒業後もそれぞれの地域において活動できる地域防災の担い手となる人材を育成してまいります。
○伊藤委員 ぜひとも地域防災の担い手となる人材の輩出をお願いしたいと思います。
また、高校在学中におきましては、この支援隊等もありますが、当然のことでありますが、危険な地域には当然やれないわけでありますので、そうした安全面もしっかりと確保していただきたい、このようにあわせて要望したいと思います。
次に、特別支援教育について質問をいたします。
全ての小学校に設置される特別支援教室が平成二十八年度から本格導入されることに向けて、来年度は重要な年となるわけであります。
もう間もなく都からガイドラインが示されることになると思いますけれども、各区市町村や学校に、都からのトップダウンになるようなことがあってはいけないと思います。
そこで、特別支援教室の導入に当たっては、区市町村教育委員会が地域の実情に合うように、柔軟に計画を策定できることが重要と考えます。当該のガイドラインにつきましては、このようなことに応えた内容となっているのか伺いたいと思います。
また、この取り組みは、一部の教員だけではなく、全ての教員の理解と協力のもとで、チーム学校としてこの教室の取り組みを進めていくべきと考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。
○松川特別支援教育推進担当部長 ガイドラインには、特別支援教室導入の背景や目的、期待される効果、巡回指導体制の組み方、在籍学級担任と巡回指導教員との協働のあり方及び指導の開始と終了の判定方法などにつきまして記載いたします。
特別支援教室における指導及び区市町村教育委員会が実施する研修など、モデル区市での取り組み事例も紹介しつつ、各区市町村が実情に応じた特別支援教室の導入計画を策定する際に活用できる内容となっております。
さらに、都教育委員会は、このガイドラインの内容をわかりやすくまとめたリーフレットを小学校の全教職員に配布いたしまして、理解促進を図ってまいります。
○伊藤委員 都は、ガイドラインを全区市町村教育委員会と、そして全小学校、また全小学校教員に配布するということになると思いますけれども、区市町村が主体的かつ円滑に特別支援教室を導入していくためには、区市町村及び学校の連携と理解を深めた中で、都が丁寧に支援をしていくべきと考えますけれども、具体的にはどのように支援をしていくのか伺いたいと思います。
○松川特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、平成二十七年度当初に、区市町村教育委員会の職員を対象とした特別支援教室の導入に係る事務説明会を実施いたします。
また、平成二十七年度から二十八年度の二カ年で、全ての学校管理職に対し、特別支援教室の内容を含めた発達障害教育に関する研修を実施いたします。
さらに、全区市町村で特別支援教室の円滑な導入に向けて、導入に係る条件整備に要する経費について、導入前年度に補助いたします。
具体的には、物品購入相当の経費といたしまして、一校当たり三十万円、簡易工事相当の経費といたしまして、一校当たり七十万円をそれぞれ上限とした全額を補助いたしてまいります。
○伊藤委員 全ての小学校での特別支援教室が円滑に導入されるように、適切に区市町村を支援するように要望したいと思います。
また、この特別支援教室を導入するに至った背景は、発達障害等の障害がある児童がふえてきている、増加傾向にある、こうしたことが背景の一つであります。全ての小学校にこの教室が導入されて、この子たちが中学に上がったときに行き場がないというようなことがないように、速やかに、中学校への特別支援教室の設置についても検討を早急に進めていただきたいというふうに思います。
一方、発達障害の児童生徒の中には、週八時間を上限とする通級による指導では十分ではない児童生徒がおります。このような児童生徒には、自閉症・情緒障害特別支援学級、いわゆる固定級での指導が必要だと思います。
しかし、小中学校において、固定学級の自閉症・情緒障害特別支援学級での指導、支援を希望しても、そもそも多くの区市町村では固定学級を設置していないために、必要な指導、支援が受けられないとの声が複数届いております。
都教委としてこの現状をしっかりと捉え、自閉症・情緒障害特別支援学級の設置促進を支援すべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○松川特別支援教育推進担当部長 発達障害の児童生徒の中には、通級指導学級における一部取り出しの指導では十分でなく、自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍して教科指導と自立活動の指導を受ける必要のある児童生徒がおります。このような児童生徒を対象とした自閉症・情緒障害特別支援学級は、一部の区市町村にしか設置されていないのが現状でございます。
当該学級の設置は区市町村の裁量の範囲であり、都教育委員会へは事後の届け出制となっておりますが、各区市町村が地域の実情に応じて、当該学級の計画的な設置を進められるよう、設置意向のある区市町村との連携を一層深めてまいります。
○伊藤委員 この自閉症・情緒障害特別支援学級、固定級でありますが、区部においても、二区か、たしか三区しか設置されておりません。住んでいるその地域のところの区にこの固定級がない子供、また親御さんについては、引っ越してでもその固定級に通わせてあげたい、こう思っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃると私は思います。
どうかこの固定級について、第一義的には区市だと思いますけれども、都教委としてもしっかりと現状を捉えて推進をしていただきたい、このように思います。
次に、障害者スポーツの普及啓発について質問いたします。
東京オリンピック・パラリンピックに向けた機運を高めるためには、障害のない人に障害者スポーツを知ってもらう取り組みや、障害者スポーツを通じた、障害のある人との交流などの取り組みが不可欠であります。
都教委は、来年度に実施する都立特別支援学校におけるスポーツ教育推進事業を通じて、特別支援学校を地域の障害者スポーツ活動の拠点の一つとするとしており、その中では、学齢期における障害者スポーツの普及啓発に関する取り組みを進めることが期待されます。
そこで、都立特別支援学校におけるスポーツ教育推進事業において、小中学校へ障害者スポーツを広める取り組みを進めるべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
○金子指導部長 都立特別支援学校におけるスポーツ教育推進事業では、特別支援学校十校を推進校に指定し、障害のある子供のスポーツ体験の拡充や、競技力の高い選手の育成、障害者スポーツを通じた近隣の小中学校との交流などを進めてまいります。
このうち、近隣の小中学校との交流では、特別支援学校の子供と一緒に、ボッチャや卓球バレーなど、障害のある人も、ない人も、ともに楽しめる種目の体験を通じて、障害者スポーツのよさを小中学校の子供に伝えてまいります。
都教育委員会は、こうした誰もが楽しめる障害者スポーツの種目を紹介したDVDを新たに作成しまして、特別支援学校や区市町村教育委員会に配布し、授業や交流等における活用を促すことで、障害者スポーツの普及啓発を図ってまいります。
○伊藤委員 私は、二〇一一年に山口県で行われた国体の際、障害者スポーツのオープン競技を視察いたしました。そのときに、卓球バレーボールという競技を初めて見て、説明を聞き、少し体験させていただきました。
また、都が主催しているニュースポーツEXPOで、ぜひこの卓球バレーをやってみたらどうかと提案しまして、このEXPOの会場では、さまざまな障害がある方々とともに、その競技に私も参加しまして、障害がある人も、ない人も一緒に体を動かし、大変に楽しいひとときを過ごしました。同じ活動を経験することで障害者への理解を深めることができ、大変に有意義な、貴重な体験であったと私自身も思っています。
私は、こうした体験を通し、特別支援学校の近隣の地域の方々に、ぜひとも特別支援学校においでいただき、顔の見える関係をつくっていただきたいと思います。
そこで、特別支援学校における放課後子供教室を活用して、地域の方々と児童生徒とのスポーツを通じた交流の場を充実させていってはどうかと考えますが、都の見解を伺いたいと思います。
○前田地域教育支援部長 特別支援学校における放課後子供教室では、地域の住民が特別支援学校を訪れ、児童生徒とともにサッカー、風船バレーなどのスポーツを初め、さまざまな体験活動を行っております。こうした活動を通して、地域住民の特別支援学校に通う子供たちへの理解が一層深まっております。
今後は、放課後子供教室の代表者の会議などを活用して活動事例を紹介していくとともに、教室間の活発な情報交換を促すために、互いの活動を見学する機会を新たに設けるなど、交流の場を充実させてまいります。
○伊藤委員 次いで、不登校、中途退学者対策について質問をいたします。
都議会公明党は、今定例会の一般質問や予算特別委員会で、都立高校生の中途退学や不登校の問題について取り上げました。
高校の中途退学者対策としては、何よりもまず、生徒を退学させない取り組みが重要であります。このため都教委は、中途退学の防止を図るための具体的な目標や対応策を定めた計画を今後全ての都立高校で策定し、中途退学させない取り組みを強化する旨の答弁がありました。高く評価したいと思います。
こうした取り組みの一方で、退学を選択する、あるいは退学を余儀なくされた生徒に対しては、個々の状況に応じた対応が必要だと思います。生徒が退学する理由は、学校の方針と合わなかったり、先生や友人との人間関係が築けなかったり、素行が悪かったり、あるいは学業不振であったり、さまざまであるわけであります。
退学後の進路選択についても、別の学校で学業を続けたいと思っている生徒、就職を希望する生徒、そして、どうしたらいいのかわからないまま、そのまま時間が、日にちが過ぎていくといった子供たちも多くおります。中途退学するに至った背景や、その後の進路希望など、個々の生徒の状況を踏まえ、次の進路に向けて、きめ細かい支援を行っていく必要があると思います。
都教委は、こうした中途退学者や進路が決まらない在校生に対して、進路決定のための支援を行うモデル事業を行ってきたと聞いておりますが、モデル事業の成果を踏まえ、中途退学した者に対する支援を今後具体的にどのように進めていくのか、見解を伺いたいと思います。
○前田地域教育支援部長 平成二十七年度から、福祉や就労支援等に専門的な知識、経験を有する職員を新たに配置し、中途退学者等を支援するモデル事業を実施している都立高校と連携して、在学中から生徒個々の状況を把握し、きめ細かな支援を行ってまいります。
また、生徒が中途退学した場合であっても、新たに配置する職員がNPO等と連携し、家庭を訪問するなど、これまで支援の手が届かなかった中途退学者への就労や再就学に向けた支援を進めてまいります。
○伊藤委員 どうか中途退学する子供たちの不安を、また、親御さんの、保護者の不安を軽減して、次の進路が決まるまで本当に大変なことだと思いますけれども、退学したら、はい、それでさようならではなくて、次にどうするんだというところまでしっかりと目を向けて支援をしていただきたい、このように思います。
進路が決まらずに将来に不安を感じている者は、高校を中退した生徒だけではないわけであります。都内の公立の中学校を卒業したものの、高校等への進学や就職をしないで自宅で過ごしているという若者も同じであります。
中学三年生の時点で既に不登校になっていて、形だけというか、卒業証書はもらって卒業したということになっているけれども、中学三年生の卒業の時点で既に不登校で学校に行けていない、こういう生徒を私も周りで何人か知っております。
今般の一般質問で、都教委は来年度、不登校や中途退学の実態調査を行うとの答弁がありましたけれども、中学校三年生のときに不登校の状態にあって、中学校を卒業したものの、進学も就職もしない生徒といった子供たちは、どこからも光が当たらず、将来に大きな不安を抱いております。
こうした子供たちの状況についても、来年度実施する不登校等の実態調査において把握し、子供たちが望む進路に進めるよう支援していくべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
○白川教育政策担当部長 中学三年のときに不登校の状態にある者は、都内公立中学校全体で平成二十五年度、約二千八百人でございました。中学校卒業者の進路状況や適応指導教室に通室している不登校生徒の卒業後の進路状況から推定いたしますと、その多くはチャレンジスクール等の高校に進学しておりますが、中には進学や就職をせずに家庭で過ごしている生徒もいると思われます。
こうした生徒が例年どのくらいいるかも含め、来年度実施する実態調査では、不登校等の児童生徒等の状況について幅広く調査をしてまいります。
この調査を踏まえまして、区市町村を初め、福祉や労働等の関係部署と連携した具体的な支援策について、来年度設置する外部有識者を交えた検討会において検討してまいります。
○伊藤委員 中学校三年生のときに不登校の状態にある生徒は二千八百人という答弁をいただきました。これは大変な数だと思います。この二千八百人が丸ごとどこにも行っていないということではないと思いますけれども、今申し上げたとおり、中には家に閉じこもってしまっている、そのままひきこもりになっていく、そのまま長い年月が過ぎていく、こうした子供たちが、若者たちが、恐らくたくさんいると私は思います。
まずは、こうした生徒の状況を把握することが重要であります。その上で、対策を講じるに当たっては、都教委だけでは対応できないということもあると思いますので、関係者とともに対応を検討していただきたいと思います。
そして、どうか、行き場がない、将来が見通せない子供たちがいることに都はしっかりと目を向けて、その支援に一歩も二歩も乗り出していただきたいということを要望して、質問を終わります。
○里吉委員 それでは、まず、私からは、昨年の事務事業質疑でも伺いましたが、教員の健康管理の問題、多忙化の問題について伺います。
子供たちの豊かな学びを保障するために、教員の多忙化、長時間労働、そして精神疾患も含む病気休職者数の高どまりは早急に解決が求められる問題です。
教員の長時間労働は、OECDの調査でも、参加国三十四カ国中、日本が最長、参加国平均の一・四倍ということでした。
前回の質問では、健康診断やストレスチェック、校務改善推進プラン、また、精神疾患で休職中だった教員の職場復帰と、再び休職することのないよう、防止のための取り組みを行っているリワークプラザ東京などについて伺いました。都立高校の業務の縮減や精査、改善を図るための調査を行っているということも伺いました。
さまざまな努力をされているということを伺ってきたわけですが、都教育委員会として、都立学校で働く教員一人一人の勤務実態について調査すべきではないかという質問に対しては、勤務時間を管理、把握するのは学校長の責任で、適正に把握、管理されているというお答えでした。
しかし、実際には、学校長といえども、一人一人の教員がどれくらい働いているのかということはつかめていないと思います。校長が把握するというのであれば、例えば、タイムカードなどを使ってできるのではないかと思います。
そこで伺いますが、都立学校の教員の勤務実態をタイムカードなどで把握しない理由は何なのか伺いたいと思います。
○粉川人事企画担当部長 都教育委員会は、服務監督権者である校長に対し、所属職員の勤務時間の適正な割り振りと運用に万全を期すよう通知を発出し、校長、副校長はその通知に基づき、教員の勤務実態の適切な把握、管理に努めております。
なお、教員の職務は、自発性、創造性に期待する面が大きいため、タイムカードなどによる時間管理の手法だけでは、教員一人一人の勤務実態を全て正確に把握することは困難であり、各学校では、校長等が校内巡回や教員への声かけなどにより、所属教員の勤務実態の把握に努めております。
○里吉委員 これは前回も申し上げたことなんですけれども、労働安全衛生法、教員も対象になっているわけですが、ここでは教員についても労働時間の適正な把握を行うよう通達が出されています。
また、厚生労働省は、過重労働による健康障害防止のための総合対策を推進していますが、ここでは、時間外労働が月四十五時間を超えているおそれがある現場に対して指導しなければならない、このようにあります。
教員の勤務実態は、学校内勤務だけではないかもしれませんが、少なくとも一人一人の教員が一カ月どれだけ学校内で働いているのか、時間外労働がどれくらいなのか、これはつかんでみなければわからないのではないでしょうか。いかがでしょうか。
○粉川人事企画担当部長 先ほどもご答弁いたしましたが、教員の職務は、自発性、創造性に期待する面が大きいため、時間管理の手法だけでは、教員の勤務実態を全て正確に把握することは困難でございます。
なお、校長は、常に所属教員の勤務状況の把握に努め、疲労の蓄積が認められ、健康上の不安を有する教員に対しましては、産業医による面接指導の申し出を行うよう勧奨することとしております。
○里吉委員 校長というのは、その職場で教員の健康管理の責任者という役割も担っておりますから、その点では、今お話しされた健康上の不安を有している教員に対して、産業医による面接指導をしっかりと勧める、そういうことは取り組んでいただきたいと思います。
しかし、校長とそこで働く教員との関係もさまざまございます。また、教員一人一人がどれだけ働いているのか、それが顔に出る方もいるでしょうし、出ない方もいらっしゃるんじゃないかと思います。それだけでは正確な労働時間はつかめません。
先ほどお話ししましたOECDの調査、ここで出された教員の労働時間は、たしか中学校の教員の方だったと思いますが、週五十三・九時間といわれていました。単純に計算しますと、四週間掛けて時間外労働を割り出しますと、五十五・六時間というふうになるわけです。実際、都立高校の教員の皆さんの労働実態もこれに近い結果が出る可能性もあるのではないでしょうか。
改めて、まずは都立高校の教員の勤務実態は、学校で勤務している時間を把握して、健康管理に責任を持つ、この取り組みを早急に検討していただきたいということを要望しておきます。
次の質問に移ります。
次は、教育委員会制度の改革にかかわる条例改定についてです。東京都教育委員会組織条例の一部を改正する条例を初めとする国の地方教育行政法の改定による教育委員会制度改革に伴う条例改正案について伺います。
昨年の国会における教育委員会制度改革にかかわる地教行法の改定では、教育委員会の独立性が焦点になりました。国や首長による教育内容への政治介入を許すことなく、教育委員会の教育の自主性を守るべきだという大きな世論が巻き起こり、日本弁護士会を初め、さまざまな団体が意見書などを上げました。
その国会の中で文部科学省は、教育委員会制度発足の三つの根本方針は、法改正によっても変わらないと答弁しています。この三つの根本方針とは、一つ、中央集権でなく地方分権、二つ目、民意の反映、レイマンコントロールといわれています。三つ目、一般行政すなわち首長からの独立、この三つです。これに間違いがないか確認したいと思いますが、いかがでしょうか。
○白川教育政策担当部長 平成二十六年四月十六日の衆議院文部科学委員会において、文部科学省から、教育行政の地方分権、教育委員会の地方公共団体の長からの独立性、住民の意思の反映については、基本的には変わらないとの答弁がございました。
○里吉委員 地方分権、民意の反映、首長からの独立、この三つの根本方針は、基本的に変わらないというご答弁をいただきました。
木村教育委員長が会長を務めております全国都道府県教育委員長協議会、それから、比留間教育長が会長を務めております全国都道府県教育長協議会、この二つは、今回の教育委員会制度改革に当たり、国に対して、現行の教育委員会制度は、教育の政治的中立性と継続性、安定性の確保、多様な意見の教育行政への反映という観点から、極めて重要な役割、機能を果たしてきた。見直しに当たっては、この役割、機能が損なわれることがないようにしていただきたいと求めてきました。
都教委としても、教育委員会の役割としてこの観点が重要と考えているということでよろしいでしょうか。また、法改正後もこの教育委員会の役割、機能は変わらないと考えてよろしいでしょうか。あわせて伺います。
○白川教育政策担当部長 今般の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正後におきましても、教育の政治的中立性、継続性、安定性を確保するため、教育委員会は引き続き執行機関として存続しており、また、教育行政における教育委員会の職務権限に変更はございません。
○里吉委員 ちょっとわかりにくいお話になっていると思うんですが、今おっしゃった教育委員会の職務権限というのは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、地教行法の第二十三条で規定されている教育委員会が管理し、執行する事務の内容のことに変更はない。つまり、教育委員の集まりである教育委員会が教育行政の最高意思決定機関であるということに変わりはないということを確認しておきたいと思います。
ちなみに、地教行法の第二十四条では、地方自治体の長の職務権限が定められています。四月以降も教育行政に関する両者の職務権限に変更はない、例えば教育委員会の権限の一部が首長に移るなどということはないことも確認しておきたいと思います。
そして、都道府県教育委員長協議会のいう教育の政治的中立性と継続性、安定性の確保、多様な意見の教育行政への反映というのは、地方教育行政制度の趣旨である教育の自主性、自立性を維持し、子供の教育を受ける権利の充足を図るときに必要なものであって、それを保障する教育委員会制度の役割の重要性と権限は変わらないということで、これは大変重要なことだと思います。
そして、この地教行法の改正では、新たに自治体の教育の目標、施策の根本的な方針を示す大綱の策定を、東京でいえば都知事に義務づけました。都知事は、これから教育委員会が参加する総合調整会議を設けて、そこで大綱の策定や教育の条件整備などについて協議をすることになります。
大綱は本来、教育委員会と首長が対等な関係で共同し、住民参加のもとで策定するべきものです。この点で、文部科学省が昨年七月に出した地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律についてという通知、ここでも大綱の策定に地域住民の意向のより一層の反映を図ることを位置づけております。ぜひ都教委の皆さんにも、この方向で努力していただきたいと思います。
ここで確認しておきたいのは、首長と教育委員会の教育についての意見が一致しない場合、四月以降、知事が大綱を定めることになりますが、知事が教育委員会と調整のついていない事項を大綱に記載した場合は、教育委員会はそれを尊重しなければならないのかどうか伺います。
○白川教育政策担当部長 東京都におきましては、これまでも知事と教育委員会との間で緊密に連携協力しながら教育行政を進めておりまして、ご質問のような事態が生じることは想定しにくいと考えております。
万一、教育委員会と調整のつかない事項が大綱に記載されるというようなことがあったといたしましても、先ほどお話しの平成二十六年七月十七日に文部科学省から発出された通知によりますと、教育委員会は、当該事項を尊重する義務を負うものではないとされております。
○里吉委員 知事が教育委員会と調整がついていない事項を大綱に記載した場合は、尊重する義務はないということを確認しました。
教育に関する事務の執行機関は変わらず教育委員会が持っているので、教育委員会が独自に判断するということです。
最近でも、大阪市の橋下市長が求めた教職員への思想信条に係るアンケート、この調査を、大阪市教育委員会が拒否を決定するということがありましたが、こうした権限は四月以降も変更がない。もし、知事が理不尽な介入をしようとしたときに、必ず従う必要はないということを確認させていただきました。
首長が任命する新教育長も、合議制の教育委員会の一員ということでは何か強い権限を持っているわけではありません。教育委員会の多数決の決定に従って仕事をするよう、みずからを戒めるように求めておきたいと思います。
総合教育会議も首長と教育委員会の対等、平等な協議体であって、緊急な場合に首長と新教育長の二人で会議を開く場合も、先ほどの文科省の通知にもあるとおり、新教育長は教育委員会の意思に拘束されることも確認しておきたいと思います。
次に、教育委員会の活性化について伺ってまいります。
教育委員会が冒頭申し上げました三つの根本原則、地方分権、民意の尊重、首長からの独立という根本原則にのっとって教育行政に当たるためには、住民の教育への願いや要求を吸い上げて活動する住民自治の機関として組織を活性化させることが改めて重要です。
そうした点でいえば、都教委も改善すべき点があるのではないか。その一つが請願への対応です。
教育委員会に請願をしても、教育委員会の会議で審議されないというのは、都民にとって本当に納得できないという訴えを幾つも伺っております。都民の声を受けとめるためには、請願は事項を一つ一つ審査すべきではないでしょうか。
また、都民からの要望は、東京都のほかの部局などが当然行っているのと同じように、担当課の職員が直接話を聞くことを基本とするべきだと思いますが、見解を伺います。
○白川教育政策担当部長 都教育委員会に提出された請願につきましては、東京都教育委員会請願処理規則、同請願取扱要綱及び東京都教育委員会事案決定規程に基づきまして、教育委員会決定とされる特に重要な事項は教育委員会に報告し、決定しております。
また、既に教育委員会で決定された基本方針に基づく事項につきましては、同請願取扱要綱及び同事案決定規程に基づきまして、主管課におきまして当該事案について決定権限を有する者が適正に処理をするということになっております。
主管課におきまして処理した請願につきましては、都民の声とともに、件数及び主な内容を定期的に教育委員会に報告しております。
また、同請願取扱要綱に基づき、広聴を所管する総務部教育情報課を窓口といたしまして、請願者から請願の趣旨やご意見、ご要望を十分に聴取し、その内容を文書に取りまとめ、請願書とともに事業の主管課に送付しておりまして、請願者の意図は主管課に適切に伝えているところでございます。
○里吉委員 主管課にちゃんと伝わっているというんですけれども、都民の側からすれば、ほかの都庁の部局では、自分の話をしたいそこの担当の課長さんとお話ができる。しかし、教育庁に来ると、そこの担当の課長さんは多分一番話がよくわかっている方だと思うんですが、その方は出てこないで、とにかく話を承りますと、後で文書でお返事が来ますという形なんですね。
これはぜひ、教育長さんがその気になれば変更できることだと思いますので、変えていただきたいと思いますし、教育委員会で決まっている方針も改善の必要があれば、それは改善するべきではないでしょうか。
請願が、必要な改善を求める合理的な理由のあるものであっても、現在の処理方針では、教育委員とは関係ないところで、事務方で、これは現在こういう方針になっておりますと回答して、これでおしまいになっているんですね。これでは住民に開かれた民主的な制度とはいえないんじゃないでしょうか。
改めて教育委員会に今、光が当たっております。教育委員会のあり方、本当に住民に開かれた教育委員会となるよう改善を求めたいと思います。
また、文科省の通知では、教育委員会会議をより多くの住民が傍聴できるようにすることが望ましいとしています。現在、都教育委員会は、どんなに傍聴希望者が多いときでも抽せんで二十名しか傍聴はさせません。希望者が多いときには会議室を変更するなどの対応も含めて、より多くの人が傍聴できるような改善を図ることを求めますが、いかがでしょうか。
○白川教育政策担当部長 都教育委員会は、東京都教育委員会会議規則におきまして、会議の傍聴人の定員を二十人と規定しておりますが、会議の内容は、非公開と決定したものを除きまして、ホームページに会議録として掲載するなど、委員会活動を広く都民に公開することに積極的に取り組んでおります。
傍聴人の定員をふやすことにつきましては、教育委員会室の施設的制約から現状では困難でございます。
○里吉委員 だから、施設的なものが難しいということですから、毎回ではないです。本当に希望者が多いと予想されるときには部屋を変えることも含めて、希望者が多いときにはふやして傍聴できるようにする、こういう対応が必要じゃないでしょうか。
毎回二十人以上の希望があるわけではありませんから、教育委員会の部屋が狭いという理由だけでそれを拒むというのは、開かれた教育委員会を目指そうという立場とも違うんじゃないかなというふうに思います。ぜひこれも検討していただきたい、実行していただきたいと思います。
それから、開かれた教育委員会の実現のためには、教育委員と学校関係者や保護者、地域住民との意見交換の場を設けることも効果があると考えますが、見解を伺います。
○白川教育政策担当部長 都教育委員会ではこれまでも、東京都教育の日などの機会を利用いたしまして、教育委員が授業や学校行事等を視察する際に、校長などの教職員や児童生徒、保護者のほか、地域住民と広く意見交換を行っているところでございます。
また、いじめといった重要な課題につきましては、大学の教員などの有識者から専門的な意見を聴取するとともに、課題の解決に向け、有識者との議論、討論を行っております。
今後とも、学校関係者のみならず、保護者や地域の住民等の意見を幅広く聞きながら、都の教育行政を推進してまいります。
○里吉委員 今、学校関係者のみならず地域住民等の意見もしっかり聞きながらというご答弁でしたから、今後とも、ぜひそういう立場で学校関係者、そして地域住民の意見を聞いていただきたいと思います。
あわせて、教育についていろいろ関心がある方が教育委員会に請願などをしているわけですから、その対応についても改善を求めておきたいと思います。
また、文部科学省の通知では、新教育長の留意事項に、新教育長の資質、能力を十全にチェックするために、例えば、候補者が所信表明を行った上で審議を行うなど、丁寧な手続を経ることも考えられるというふうにしています。
現在の教育委員は、知事から提案があり、質疑などもなく議決されていますが、新教育長の任命と同意に当たっては、所信表明と質疑の機会を設けることなども民意の反映の一つとして提案したいと思います。
今回の教育委員会制度改革の議論では、国や首長による教育内容への政治介入を許すことなく、教育委員会の教育の自主性を守るべきという大きな世論のもとに、教育委員会制度と、その権限は変更されることなく存続しました。
都教育委員会においては、その意味を深く受けとめて、教育の自由と自主性を守り、子供の教育を受ける権利、豊かに成長する権利を重視する立場から、東京の教育を推進していただくことを求め、この質問を終わります。
次に、特別支援学校での障害者スポーツの振興について伺ってまいります。
東京都長期ビジョンでは、都立特別支援学校における障害者スポーツの振興として、障害のある児童生徒のスポーツ教育推進校を地域におけるスポーツ活動の拠点の一つに位置づけ、卒業生を初めとした地域の障害のある人々が障害の種類や程度に応じて、生涯にわたりスポーツに親しむことができる環境を整備していくとしています。特別支援学校を地域の障害者スポーツ活動の拠点に位置づけるということは本当に重要だと思います。
そこで、来年度から実施する予定の都立特別支援学校におけるスポーツ推進事業では、どのような取り組みを進めようとしているのか、まず伺います。
○金子指導部長 都立特別支援学校におけるスポーツ教育推進事業では、来年度、特別支援学校十校を推進校に指定し、障害のある子供のスポーツ体験の拡充や競技力の高い選手の育成、障害者スポーツを通じた近隣小中学校との交流、地域の障害者スポーツ団体への施設開放の促進などに取り組んでまいります。
こうした取り組みにより、東京パラリンピックに向けて、特別支援学校を地域の活動拠点の一つとして、障害者スポーツの振興を図ってまいります。
○里吉委員 特別支援学校十校を推進校に指定して取り組みを進めていくということで、障害のある児童生徒のスポーツ教育推進校は、来年度は十校、長期ビジョンによれば、二〇二〇年までに三十校指定すると。そこを地域における障害者スポーツの一つの拠点としていくというお答えでした。
特別支援学校を地域の拠点に位置づけることについては、障害者の皆さん、それから障害者を支えて活動している皆さん、大変期待していらっしゃいます。オリンピック・パラリンピックを機に、自分たちのスポーツ要求に光が当たって位置づけてもらえたということで、大変喜んでいらっしゃいます。
というのは、現在、障害者スポーツセンターは、都立のセンターが北区と国立市に一つずつあるだけで、区市町村のスポーツ施設、少しずつ開かれてまいりましたけれども、必ずしも障害者のスポーツに対応できるわけではありません。
そこで、東京都が障害者スポーツに本腰を入れて拠点を整備してくれると長期ビジョンで発表されたということで、しかも、二〇二〇年までに三十カ所だということで、結構これで身近なところでスポーツができるかもしれない、こういう期待の声を幾つも聞いております。
それで、具体的に伺ってまいります。障害者スポーツ団体への施設開放を行っているということですけれども、現在、都立特別支援学校ではプール開放事業を行っていると思いますが、これは現在どういう実績か伺います。
○前田地域教育支援部長 特別支援学校では、障害者を対象にプール開放事業を実施しております。平成二十六年度は、二十七校において二百八回施設開放を行っております。
○里吉委員 二十七校、二百八回ということですから、平均一校当たり七、八回だと思います。これは、プール開放事業は具体的にはどのように実施しているんでしょうか、伺います。
○前田地域教育支援部長 夏季休業期間中において、都内在住、在勤等の障害者団体を対象に、利用希望を踏まえ、プール施設を開放しております。
○里吉委員 夏季休業期間中ということなんですね。現在行っているプール開放事業も大変大事な事業だと思いますが、地域の拠点に位置づけるというのであれば、さらなる拡充が必要だと思います。
プールというのは障害のある方に大変人気のスポーツです。重度の障害があっても、水の中なら浮力がつきますし、体の緊張がとれるので、ふだんよりずっと自由に体が動かせる。地上で車椅子に乗っていたときはとてもできないと思っていたことができたり、また、体を動かすので丈夫になって、体調を崩さなくなるなど、障害者の可能性を引き出し、健康にもいいと。
ところが、現在の特別支援学校のプールは夏しか入れないということなんですね。よく、保育園や小中学校のプールは、水温プラス気温が五十度以上なら入れるということでありますけれども、肢体不自由の子供などは、水温がもう少し高くないと体が緊張してしまって入れないと。
最近は知的と肢体の併置校などもありますが、こういうところでは、プールの時間も天候に合わせて簡単には移動できないということで、その日に入れなければ次の週に入らなければいけないというケースもあって、一夏に二回とか三回しか入れない場合も少なくない。これはお母さんたちからも伺いました。そのため、特別支援学校の子供たちのためにも、プールを温水化してほしいという要望が出てきております。私たちも要望してきました。プールの深さも、一番深いところで百二十センチしかない学校もあるわけですね。
地域の拠点にするということで、地域の障害者の方にとっても、子供たちにとっても、このプールを例えば温水化して、年間通じて利用できるようにしたり、深さも可動式の床にするなど、小学生から大人まで対応できるようにするなど、改修も必要だと考えますが、いかがでしょうか、見解を伺います。
○前田地域教育支援部長 特別支援学校のプールは、在籍する児童生徒の夏季におけるプール指導で使用することを目的として設置しております。プールを含めた体育施設の開放事業は、地域の障害者の利便性に配慮し、既存の施設を有効に活用しながら進めてまいります。
○里吉委員 学校の施設だから、学校教育上支障のない範囲で都民に開放するということであれば、これまでのプール開放事業と変わらないんじゃないでしょうか。
私の住む世田谷区では、近くに温水プールがない地域の区立中学校四カ所が温水プールとして整備されています。夏は中学生が授業で使っているので、私たちは使えないんですが、逆に、夏の授業で使う期間以外は丸々地域に開放されています。特にそこのプールでは、高齢者の方などが水泳や水中ウオーキングなどで活用しておりまして、とても人気の施設となっています。
特別支援学校のプールも全部とはいいませんから、幾つかでも温水化して、一年通じて入れる、地域にもっと開放できるようにすることをぜひ検討していただきたいと思います。
地域の拠点とするということであれば、働いている障害者の方もおりますから、夜間とか土日に気軽に利用できることも必要です。そのためには、施設の適切な管理が求められます。
先日、葛飾盲学校を視察させていただいたときに、体育館を地域の方に開放していて、活発に利用していただいていると伺いました。もともと地域開放を想定して建てられておりまして、道路から学校の出入り口のすぐ横に体育館の出入り口があって、地域の方のための靴箱なども備えてあって、学校のほかの施設から切り離して、そこだけ開放できるようになっておりました。
反対側にやはり地域開放を想定した小さなホールもあったんですが、そこは校舎の一部であるため、気軽には、貸し出したいと思っても、セキュリティーなどの管理が難しいというお話を伺いました。
障害者の方がスポーツを楽しむために、こういった管理、セキュリティーもしっかりとして施設整備していくことが大事だと思うんですね。それから、用具を整備して管理する場所を確保したり、大人用の更衣室やロッカー、誰でもトイレ、周辺施設の整備も求められると思います。この点についてはどのように検討されているんでしょうか、見解を伺います。
○前田地域教育支援部長 体育施設の開放に当たりましては、学校の判断を踏まえ、地域の障害者が利用しやすいように施設や備品の整備等を行っております。
○里吉委員 ぜひ地域の方が利用しやすいようにお願いしたいと思います。
それから、障害者の方がスポーツを楽しむために、運営指導、ボランティアの体制などが整っていることも必要だと思います。健常者のサークルであれば、場所を貸すだけでもそれなりに楽しめると思いますが、障害者の場合はそう簡単ではありません。
障害のある方がスポーツを楽しむときに、毎回家族が付き添わなければいけないとなれば、家族の方も疲れてしまいますし、なかなか気軽に行けません。プールも本当に幅広い重度の方なども含めて、スポーツをしたい全ての障害者が利用できるようにするためには、マンツーマンの指導や介助の体制も必要になってくると思うんですね。
また、中途障害など、その特別支援学校の卒業生でない方にとっては、なかなかそこは敷居が高いという話も伺いました。こうした方々も特別支援学校のスポーツ施設を利用できるようにするには、そこに行けば対応してくれる指導者の存在、こういうのも重要だと思うんです。
特別支援学校を拠点としていくために、こうした人の体制も整備する必要があると思いますが、見解を伺います。
○前田地域教育支援部長 特別支援学校では、障害者が個人で参加してもスポーツを楽しむことができるスポーツ教室などの公開講座を実施しております。
また、障害者のスポーツ活動を支援できる人材を育成するため、ボランティア養成講座も実施しております。
○里吉委員 公開講座、昨年の実績を見せていただきました。私の地元世田谷区にある光明特別支援学校では、スポーツ活動とハンドサッカーと二つの公開講座が行われていました。二つ合わせて五十人近い障害者の方が参加していました。
ほかの特別支援学校でも、ティーボール、フットベースボール、フットサル、文化とか芸術とかいろいろあるんですけれども、スポーツの分野でもさまざまな公開講座が行われていました。こうした取り組みもぜひ拡充していただきたいと思います。
ただ、長期ビジョンにこのことを書き込んだというのは、今やっていることを書いたわけではないと思うんですね。地域の障害者の皆さん大変期待しているんです。温水プール化など、特別支援学校の子供たちの教育の充実にもなるわけです。障害のある人が身近な地域でスポーツに親しめる環境の整備とうたっているわけですから、本当に喜ばれ、利用される拠点となるような検討を進めていただくよう改めて要望いたしまして、次の質問に移ります。
次は、特別支援学校のスクールバスの契約について伺います。
特別支援学校のスクールバスについては、競争的な入札による単年度契約での運行がされるようになってから、毎年のように事業者が入れかわり、そのたびに一から子供たちの障害や特性を理解してもらって、信頼関係をつくっていかなければならないので大変だ。また、一部のスクールバス会社の質が余りにも低い、同じコースで年間何人もの運転手が交代する会社があり運行が安定しない、人権意識の薄い乗務員がいる、バス停を飛ばす、バスコースを間違うなどの問題が起きているなどの訴えを私たちの会派も保護者の皆さんから繰り返し伺ってまいりました。
無計画に落札した事業者が契約したものの、バスを用意できず、学校が急遽別のバス会社に臨時的にお願いせざるを得ない事態になったこともありました。
保護者の方々からは、安全運行や障害者理解など、乗務員の質を高める研修を都教委の責任で実施してほしい、落札価格がどんどん低くなっているが、安かろう悪かろうではなく、質を確保できる契約方式にしてほしいなどの要望があり、我が党としても研修の改善や総合評価制度の導入、保護者と事業者との意見交換の場の設置など、改善を求めてきたところです。
そして、ついに今年度は、昨年の夏から年末にかけて、十校、二十九コースのスクールバスが契約解除になり、急遽福祉タクシーなどを手配したり、先生や介護職員の方が同乗したりという事態になりました。この経過と対応についての説明をお願いします。
○松川特別支援教育推進担当部長 昨年七月末、契約したバス会社、事業者のうちの一社が経営不振に陥り、一部のコースにおいてスクールバスの運行に支障を生じかねないことから、当該コースの契約を解除した上で、新たな事業者と速やかに契約を締結し、新学期からスクールバスの運行を確保いたしました。
さらに、十月と十二月にも当該事業者との契約を解除せざるを得ない事態が発生したため、新たな事業者によってスクールバスを運行するまでの間、福祉タクシーや代替バスを確保し、児童生徒への影響が最小限となるようにいたしました。
○里吉委員 経営不振によりバスのリースが引き上げられてしまい、運行できなくなったと伺っています。
子供たちやご家族の皆さんの負担はもちろん、学校の教職員の皆さんも早朝から勤務して福祉タクシーに添乗したり、また、都教委の皆さんも影響を最小限に食いとめるために大変ご苦労なさったと伺いました。やはり安定した質の高いスクールバスの運行を担保できるような契約方法の改善が必要だと私も強く感じました。
都教育委員会では、スクールバスの運行について来年度からはどのような契約方法にするのか、今年度に比べてどこを改善するのかを伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 来年度の肢体不自由特別支援学校のリフトつきバスの契約につきましては、入札価格に加え、安全運行や利用者サービスに対する取り組み等も審査の上、落札業者を決定する総合評価制度を導入しております。
また、リフトつきバスは、コースごとに定員や仕様が異なり、事業者が新たに車両を調達する際、車両の改造が必要となることから、事業者の投資的な経費負担を考慮して、三年間の長期継続契約もあわせて導入しております。
リフトつきバス以外のいわゆる観光型バスにつきましても、児童生徒の障害に配慮した接し方など、各社が主体的に実施する乗務員研修の年間計画や、事故、災害発生時における連絡体制と避難訓練計画の策定、提出を新たに義務づけいたしました。
○里吉委員 リフトつきバスの契約は総合評価制度を導入し、契約期間も三年間にする。普通の観光バス型のスクールバスも仕様書を細かくするなど、改善したということでした。安全、安定的な運行と乗務員の適正な対応に課題があったということで、価格だけでなく質が重視されることが大事だと思います。
新しい評価方式では、入札金額を点数化した評価点と業者の履行能力その他の条件を点数化した技術点の合計で落札業者を決定すると伺っています。質は具体的にどのように担保されるのか伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 総合評価では、車両の安全対策や運行管理体制及び障害のある児童生徒への適切な接し方に関する取り組みを、事業者が提出した提案書に基づきヒアリングを実施し、評価を行いました。
今後は、落札者が提出した提案書に記載した内容を確実に履行するよう、学校及び学校経営支援センターが確認を行ってまいります。
○里吉委員 事業者が提出した提案書に基づいてヒアリングを実施して評価するとのことです。
また、質の向上のための研修や都教委のマニュアルなどについてもお伺いしましたところ、毎年変更していると、実情に即した見直しを行っていると、今後もそのように実施していくということで伺いました。ぜひその方向で行っていただきたいと思います。
今後も保護者や学校現場の先生方の意見を聞いて、一層の改善に努めていただきたいと思いますが、伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、これまでもスクールバスの運行に関する保護者からのさまざまな意見につきまして、要望、懇談の場などで直接聞いております。
また、学校、保護者、バス事業者による意見交換の場を学期ごとに開催し、その結果につきまして、各校から報告を受けております。
これらの意見や報告を踏まえまして、スクールバスの安全、安定的な運行に役立てております。
○里吉委員 研修にしても、意見交換の場にしても、保護者の皆さんが、忙しい学校に任せるのではなく、都教委としても責任を持って研修を実施してほしい、せめて学校、保護者、バス事業者による意見交換の場を設けてほしいということで要望し、少しずつ改善できたということだと思います。
そして、何年も前から、事業者の質を担保するために、評価制度などを導入してほしいということも要望し、我が党の畔上議員も議会で求めましたが、必要性はないと冷たいご答弁だったこともあったわけです。あのときもっと保護者の皆さんの意見を重視して検討していただけたら、今回の契約解除のような混乱を招かずに済んだかもしれません。
そうした意味では、今後とも保護者や現場の意見をしっかり聞いて、例えば評価の観点なども改善の余地があるかもしれませんので、一層の改善に努めていただくよう重ねて要望しておきたいと思います。
最後に、資料もいただきましたとおり、来年度のスクールバス予算が大幅に増加していますが、この要因について伺います。
〔発言する者あり〕
○松川特別支援教育推進担当部長 平成二十六年三月の国土交通省関東運輸局長の公示によりまして、一般貸切旅客運送事業に係るバスの運賃、料金制度が改正され、下限額が一定の水準に引き上げられたこと及び運行……
〔発言する者あり〕
○小竹委員長 お静かに願います。
○松川特別支援教育推進担当部長 台数の増加によるものでございます。
○里吉委員 台数の増加はわずかですから、国土交通省関東運輸局の公示で、バスの運賃、料金制度が改正されたことへの対応が主な要因だと思います。
それを反映することは大事なことで、それを反映させる予算でもこんなに上がるのかと、今までいかに安かったのかとびっくりすることですけれども、実際にバス会社で働いている方に伺いますと、やはりこれまで、運転手でも、添乗員でも、正社員から非正規の雇用に置きかわってきた、大型二種免許を持って人の命を預かる仕事をしているのに、時給も安く不安定なのはきつい、もっと仕事に誇りを持てるような働き方ができることこそ必要ではないかという話を伺いました。
今回の改善で安全性や質を評価し、また、その評価にふさわしい報酬を乗務員さんが得られる制度となったと思います。そのことが、今後も子供たちが安心して学校に通えるスクールバスの運行になるというふうに思います。
このことをさらに進めていただきたいということを要望して、最後の質問に移ります。
最後は、新教科、人間と社会の試行について伺います。
都は、これまで行ってきた教科、奉仕を発展させて、道徳教育とキャリア教育の一体化を図り、人間としてのあり方、生き方に関する新教科、人間と社会を来年度、全都立高等学校で試行実施するとしています。
そこでまず、新教科、人間と社会を教科として設置するのはなぜか伺います。
○金子指導部長 これからの社会を担っていく高校生には、社会の一員であることを自覚し、礼儀や規範を大切にすることや、困難を乗り越えて役割と責任を果たすことなど、よりよい社会を築くことが求められております。
そのためには、都立高校生一人一人が、人としての生き方の指針となる価値観を高め、社会とのかかわりの中で、自分の生き方を主体的に選択し行動する力を身につけることが重要でございます。
このような力を身につけるためには、目標や指導内容を明確にして、体系的、計画的に指導する必要があることから、教科として設置することといたしました。
○里吉委員 道徳教育とキャリア教育の一体化の新教科とのことですが、そもそも道徳教育が教科として教える対象となるのかという点も考える必要があります。道徳教育は大切です。人間の尊厳、人間の生命、互いの人格と権利を尊重することなど、子供たちには身につけてほしいと思います。
しかし、それは教科書で善悪を教えれば身につくというものではありません。道徳性というのは、学校教育でいえば、全教科を通じて、生活指導活動なども含め、学校生活全体を通じて学んでいくものではないでしょうか。
文部科学省が小中学校の道徳を特別の教科である道徳にしようとしていますが、この動きに対しても、日本弁護士連合会を初めさまざまな団体から、教科として、子供の心や価値観が評価の対象となることは、国家が肯定する特定の価値観を子供たちに強制する危険性がある、こういう反対の声が出されております。
教科となれば教科書を使うわけですが、新教科、人間と社会においても同一のテキストを教科書として用いるということであれば、それは教科書に書いてある価値観を生徒に受け入れることを強制するおそれがあると考えます。
現在、試行版のテキストサンプルが示されていますが、このテキストの位置づけはどのようなものか伺います。
○金子指導部長 新教科、人間と社会(仮称)は、都教育委員会が独自に開発した教科でございます。
新教科、人間と社会(仮称)におきましては、文部科学省検定済み教科書が発行されていないことから、都教育委員会が新教科の主たる教材として作成、発行するテキストが教科書となります。
○里吉委員 ほかの教科の場合は、検定教科書というものがいろいろ種類があって、その中から選ぶという形になっていますが、この教科には当然、都教育委員会が作成、発行するテキストしかないわけですね。
授業では必ずこのテキストを使用しなければならないのでしょうか、伺います。
○金子指導部長 このテキストは、都教育委員会が独自に開発した新教科、人間と社会(仮称)の主たる教材であるので、学校教育法に基づき、授業では必ず使用することとなります。
○里吉委員 つまり、都教育委員会が作成、発行するテキストを使用して授業を行わなければならないということです。
都教育委員会の方からこの教科の説明も伺いました。社会に出たら答えが一つということはないので、多様な価値観があるので、自分なりに考えを持ってもらうことが大事だ、そういう自分なりの考えを持ってもらうための授業をしていきたい、こういうお話を伺いました。
しかし、一つの教科書しか使わないということになれば、道徳という側面を持つこの新教科は、生徒の内面、精神の自由、全人格に関する領域で、都教育委員会の考える正しいことやあるべき姿が示されることになって、多様な価値観、みんなで考える、こういうことにならないおそれがあるのではないでしょうか。
また、教科なので、成績をつけるわけですけれども、この成績のつけ方についても伺います。
○金子指導部長 新教科、人間と社会(仮称)の評価に当たりましては、五、四、三、二、一といった数値による評定によらず、文章記述による評価とすることを考えております。
○里吉委員 文章記述による評価だということですが、これも、つける先生方も大変だと思います。これが成績には加味されないということも伺いましたが、子供の内心について何を評価するのか、子供の心や価値観を評価していいのかと、これも国の道徳の教科化をめぐって、おかしいのではないかという声が出ているわけですね。
高校生に道徳性を身につけてもらうことは大切なことです。しかし、一人一人の高校生は、多様な価値観を持っています。特定の教科書で教えるようなやり方は、本来の道徳教育にはふさわしくないのではないでしょうか、都の見解を伺います。
○金子指導部長 新教科、人間と社会(仮称)で扱う内容は、人間としてのあり方、生き方について考えさせるものでございます。教科として位置づけることによりまして、教科書が作成されるなど、より目標や指導内容が明確となり、体系的、計画的に指導ができるようになると考えております。
○里吉委員 高校生に人間としてのあり方、生き方について考えさせること、そのことは本当に大事なことだと思います。道徳教育も、キャリア教育も必要です。これは先ほど申し上げましたように、あらゆる場を通じて行うものでありますし、考えて議論することが大切だというのであれば、特定の教科書を使うことになる、また評価することになる教科化はやめるべきです。
憲法や子どもの権利条約に沿い、基本的人権の尊重や民主主義の精神に立脚した市民道徳教育の推進、働く者の権利も含めた労働教育など、それぞれの学校現場で生徒の実態に合わせて行えるようにするべきだということを強く申し上げまして、私の質問を終わります。
○今村委員 それでは、私からも質疑をさせていただきたいと思います。
二〇一二年度から今年度にかけて、通常学級に在籍する発達障害児や情緒障害児に対して、在籍校できめ細やかな指導を実施する特別支援教室モデル事業が間もなく終了いたします。
そこで、都教育委員会は、全ての小学校に二〇一六年度から特別支援教室を順次導入していくということですけれども、二〇一六年度の本格導入に向けた準備期間となる二〇一五年度に、都教育委員会は市区町村に対してどのような取り組みをしていくのか、まずお伺いいたします。
○松川特別支援教育推進担当部長 本年三月までに、特別支援教室の導入に係るガイドラインを区市町村教育委員会に配布いたします。平成二十七年度当初には、区市町村教育委員会職員を対象とした特別支援教室の導入に係る事務説明会を実施するなどによりまして、区市町村が地域の実情に応じた特別支援教室の導入計画を円滑に策定できるよう取り組んでまいります。
○今村委員 今年度末、間もなくガイドラインが提出されるということでありますけれども、そうしたガイドラインを踏まえまして、市区町村教育委員会は今後どのようにこの特別支援教室の導入を進めていくのか、また、都教育委員会は具体的にどのような財政支援を行っていくのかお伺いいたします。
○松川特別支援教育推進担当部長 各区市町村教育委員会は、ガイドラインをもとに、各地区の実情に応じて、巡回指導の拠点校と巡回校の組み合わせや、教員の配置案の作成など、巡回指導体制の編成及び教室環境の確保、整備などを行っていくことになります。
都教育委員会は、特別支援教室の導入前年度に、当該教室の条件整備に要する経費を補助いたします。
具体的には、物品購入相当の経費といたしまして一校当たり三十万円を、簡易工事相当の経費といたしまして一校当たり七十万円を、それぞれ上限とした全額を補助してまいります。
○今村委員 ぜひ、こうした指導に大変期待している保護者の皆さんがたくさんいらっしゃいますので、直接は市区町村の教育委員会が学校等の準備を進めていくわけでありますけれども、しっかりと支援をして、できるだけ早く多くの学校に設置されるよう望むものであります。
次の質問に移ります。
昨年の事務事業質疑で、都立学校における日本の伝統文化事業に関して質疑を行い、今後も支援をしていくとのご答弁がありました。
そこで、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会の成功に向け、児童生徒が日本の伝統文化を初めとした日本のすばらしさについて、外国人観光客を初め、世界に伝えることができるようになることが必要と考えます。
そこで、小学校、中学校、高校、特別支援学校での今後の都教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。
○金子指導部長 都教育委員会は、外部人材の活用や外国人との交流の機会を確保することにより、日本のよさを発信する能力や態度を育成する学校として、小中高校、特別支援学校合わせて二百校を指定いたします。
指定校では、郷土芸能などの伝統的な文化や最先端の技術、アニメーションなどの現代の日本文化の理解を深めるために、授業や部活動の指導者として各分野の専門家を招聘いたします。
また、児童生徒が都立高校に配置されている外国人指導者に対して、地域の伝統芸能など、学んだことを紹介する活動などを通しまして、日本のよさを発信する能力や態度を育成してまいります。
○今村委員 ぜひ今後もしっかりと充実をさせていただきたいというふうにお願いいたします。
さて、島しょ地域の都立高校についてお伺いしたいと思います。
昨年の事務事業におきまして、都立大島海洋国際高校の特色の一つであります海洋実習に使用している実習船「大島丸」の状況についてお伺いいたしました。
その際、海洋実習で生徒を指導する船員に欠員が生じていることから、任期つき船員の採用選考を実施したところ、船員の応募者数が募集数に至らなかった状況や、今後、海洋実習を行う上で不可欠となる船員の確保に全力で取り組んでいく旨の答弁がございました。
現在も、第二学年の生徒を対象とする外国への航海実習については延期となっているとお聞きしております。その後の船員の採用の取り組み状況と、延期しているこの海洋実習について、今後の見通しがどのようになっているのかお伺いいたします。
○早川都立学校教育部長 昨年十一月に採用いたしました任期つき船員の人数が募集人員を下回ったことや、今年度末での退職予定者がいることから、これまでの間、さまざまな広報活動を行い、採用に向けて鋭意取り組んでまいりました。
その結果、本年四月一日採用の船員三名を内定し、船員の定数である十七名を確保できる見込みとなりました。
また、採用の取り組みと並行いたしまして、生徒や保護者の意向も踏まえつつ、都教育委員会と学校とが緊密に連携し、延期している航海実習の方法を検討してまいりました。
その結果、実習船の航海経験が浅い船員がいることや、三年生の進路選択の時期等を考慮いたしまして、航海先を国内に変更するとともに、航海日程を短縮して、遠洋航海実習を四月から五月に実施する見通しが立ちました。
また、この遠洋航海実習のほか、日程の工夫によりまして、定員に限りのありました観測航海実習につきましても、希望する三年生が全員参加できるようにし、実習の学習効果を高める見通しでございます。
○今村委員 船員の採用は全国的にも厳しい状況にあるというふうに聞いておりますけれども、定員を満たす船員が確保でき、遠洋航海の実習が実施できる見通しが立ったことは大変うれしく思いますし、生徒や保護者の期待に応えるものとして評価をしたいというふうに思います。
ただ、生徒や保護者の意向や意見も踏まえながら、航海実習の見通しを立てたということでありますけれども、当初予定されていた外国への航海実習が実施できないということになりました。また、全体の日数も短縮されるということでありまして、海を通して世界を知るという学校の特色に期待して入学した生徒や、寮のある学校に内地から我が子を送り出した保護者の中には、残念に思っている人もいるのではないかというふうに思います。
外国への航海実習が延期になった現在の第二学年の生徒が来年卒業するときには、大島海洋国際高校に入学して、この学校で三年間学んでよかったと心から思えるように、ぜひ第三学年進級後も、可能な限り教育内容の工夫、充実を図っていただくことを要望しておきます。
また、この四月以降、今度は新二年生と新一年生の航海実習も予定されております。これらの航海実習について、安全を十分に確保しながら着実に実施することもあわせて求めておきたいと思います。
次に、内地の中学生の島しょの高校での受け入れについてお伺いいたします。
この点につきましても、昨年、事務事業質疑において取り上げました。寮を持つ大島海洋国際高校を除いた島しょ部にある六つの都立高校は、定員割れが続いている状況があり、一方、小笠原高校などに進学したくても、親戚がいないために断念する中学生がいることを紹介させていただきました。
現在、島の都立高校に進学する場合には、両親と一緒に島に移り住むか、島に住む親族がいなければならず、島の高校に進学したくても断念せざるを得ない状況があります。
昨年の本委員会の場で、町村や島民の皆さんとも十分に協議をしながら善処してほしいと要望したところですが、現在のこの検討状況はどのようになっているのかお伺いいたします。
○早川都立学校教育部長 島の高校で本土の生徒を受け入れることは、学校の活性化や生徒間で切磋琢磨するために有効な方策でございます。
本土の生徒を受け入れるに当たりましては、各高校が所在する島でのホームステイ方式が現実的な方法と考え、昨年の秋から各町村職員や学校職員とともに、他県の離島等における実態調査を行い、課題の整理を進めております。
具体的な課題といたしましては、島で教育を受けることの魅力づくり、安定的に生徒を受け入れることのできる家庭の確保、入学者選抜制度など多岐にわたっており、現在、島しょ部の町村の教育長会や校長会などの場を通じて、関係者の間で課題を共有しながら議論を重ねているところでございます。
○今村委員 ただいまのご答弁にもあったように、私も、内地の中学生を島の高校で受け入れることは、生徒同士お互いに切磋琢磨し、いい意味での生徒間の競争意識も芽生え、学校が活性化すると考えています。
島の高校は地域との強い結びつきがありまして、それぞれの地域の特色を生かしながら教育活動を支えていただいています。内地の生徒の受け入れは、学習指導面や部活動の面など、教育内容をさらに充実するきっかけとなり、それが学校のさらなる魅力づくりにつながる。その結果として、より多くの中学生がまた島の高校に入学したいと思うようになるのではないかと考えています。
制度面を含め、解決すべき課題はまだまださまざまあるようでありますけれども、できるだけ早く実現できるよう、引き続き積極的な協議を求めたいというふうに思います。
また、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに向けまして、世界の国々が日本に、そして東京に注目をする中、この離島を抱えている東京の教育のすばらしさを、ぜひ、教育長を初め、しっかりとアピールできるように、充実に取り組んでいただきたいというふうに思います。
さて、次の質疑ですけれども、今月十一日で、未曽有の被害をもたらした東日本大震災の発生から丸四年が経過いたしました。
発災時の地震や津波で多数の死者、行方不明者や建物被害が出ました。岩手県の陸前高田市図書館では職員全員が犠牲となり、全ての蔵書が被災し、震災から一年間、図書館の倉庫跡に山積みされていた状態になったそうであります。
私は先日、都立中央図書館が開催しておりました陸前高田市立図書館郷土資料の修復展、大津波からよみがえった郷土の宝という展示を見に行ってまいりました。
現在、都立中央図書館では、岩手県陸前高田市立図書館が所蔵していた本や冊子で、被災し、海水や泥で汚れたり破損したりしたものをお預かりし、修復を行っております。展示では、修復した本や冊子の実物が展示され、また、修復過程がパネルや動画で紹介されておりました。
都立中央図書館で修復している資料はどのようなもので、また、なぜ東日本大震災により被災して、汚れたり破損したりした陸前高田市立図書館の蔵書の本や冊子を修復することになったのか、その経緯をお伺いいたします。
○前田地域教育支援部長 陸前高田市では、東日本大震災で被災した資料のうち、岩手県内の他の図書館等に所蔵がなく、また、再入手できなかった郷土史の研究資料や、市内の小中学校の児童生徒が作成した作文集など五十一点について修復することを検討しておりました。
平成二十五年八月に、陸前高田市から、本の修復を行う部署を持っている都立中央図書館へ、被災した資料の修復について依頼があり、都立図書館として、被災地支援の観点から積極的に受け入れることにしました。資料は翌九月にお預かりし、修復を行ったものでございます。
○今村委員 現在、この陸前高田市立図書館では、陸前高田市図書館ゆめプロジェクトという、日本中から寄贈いただく本を集めて、ただし、収納しておくスペースがないために、それらを協力していただいております古本リサイクル業者が現金にかえて、図書館の蔵書購入資金に充てる事業など、懸命に再建に向けた取り組みを進めているところであります。
一方で、被災地では、復興に向けた作業を進める中で、津波などにより所在が不明になっていたものが今なお発見されることがあるそうです。
今回、二〇一三年九月にお預かりした本や冊子五十一点の修復が完了し、返還するということでありますけれども、今後の協力予定についてはどのようになっているのかお伺いいたします。
○前田地域教育支援部長 陸前高田市立図書館が所蔵している資料のうち、被災した後にほかの場所に移して保管されていた郷土資料等が百十三点あることが平成二十六年五月、新たに判明しました。
このうち、岩手県内の他の図書館等に所蔵がない郷土資料八十三点について、平成二十六年八月に都立中央図書館でお預かりし、平成二十八年度末までに修復する予定でございます。
○今村委員 郷土の資料は、その地域に住む方々の息遣いが聞こえてくる資料であります。まさに郷土の宝という展示でされていましたけれども、これら郷土の宝を修復し、次の世代に残し、伝えられることは、陸前高田市で復興に当たられている方々にとって心の支えになるのではないかというふうに思います。
都立図書館資料の計画的な修復作業もあるというふうに伺っておりますけれども、ぜひ、この陸前高田市の貴重な郷土資料の長期保存、活用を目指し、資料の修復作業を進めていただきたいと思います。
なお、この陸前高田市の戸羽太市長は、都立町田高校の卒業生でもあります。都立町田高校や町田市内の成瀬高校でも独自に陸前高田市への支援が行われているところであります。すばらしいこうした教育活動が行われていることを紹介しながら、この中央図書館のすばらしい取り組みを、ぜひ教育や学校活動の中でも生かしていただきたいというふうに思います。
また、震災による被害に限らず、本や冊子は必ず劣化、破損するものです。本や冊子の修復を行うためには、資料の重要性を判断するための知識のほか、修復技術に関する知識や経験も必要であります。
都立中央図書館においては、修復専門の民間事業者に委託せずとも済む程度の修復は、館内で迅速に行っているというふうにお伺いいたしました。資料を閲覧できない期間を短縮することや、他の司書がレファレンスなど本来業務に専念できる体制をとることは、住民サービスの向上にもつながります。
特にこの修復作業では和紙が使われておりますけれども、昨年十一月には、我が国の三つの手すき和紙技術がユネスコの無形文化遺産に登録されたところでもあります。
東京都教育委員会には、資料の保全の知識や修復技術などの継承を確実に行っていただくことを最後に要望し、質疑を終わります。
○小竹委員長 この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十六分休憩
午後三時十五分開議
○小竹委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○宮瀬委員 私の方からは、伊藤委員からもございましたが、防災教育についてお伺いさせていただきます。
マグニチュード七の首都直下地震の発生率は三十年以内で七割の確率といわれております。一方、たとえ三十年が経過し、地震が発生しなければ、その後の地震リスクが消失するというわけにはいかず、さらにより巨大で、発生確率もリスクもさらに上がってまいります。とりわけ今を生きる子供たちにとりましては、その生涯の間にかなり高い確率で巨大地震を一度経験するといっても過言ではありません。
そこで、子供たちに対しまして、防災教育、防災訓練が重要となってまいりますが、首都直下地震を想定し、三・一一以降どのように防災教育を行ってきたかお伺いしようとさせていただきましたが、先ほどの伊藤委員のご質問と答弁を聞いていましたので、割愛させていただきます。
ご答弁の中で、一泊二日の宿泊防災訓練を実施とございましたが、私も消防団員として板橋区の都立高島高校における一泊二日の宿泊防災訓練に参加し、AED講習や止血方法などを伝えさせていただきました。こういった座学だけではない防災教育は大変重要だと体感しており、大変すばらしい取り組みだと評価しております。
一点だけ細かい要望をいわせていただきますと、その教育の中でクラッシュ症候群について、ぜひ教えていただきたいと思います。阪神・淡路大震災では、倒壊家屋の瓦れきや倒れた重量家具の下敷きになるなど、長時間体を挟まれた人が救出当初は比較的元気そうにもかかわらず、突然容体が悪化し亡くなってしまったという症状であります。その数は正確には不明ではありますが、相当数に上るといわれております。
首都直下地震の際には、瓦れきなどに二時間以上挟まれるケースが多発することが予想されます。死亡率も高く、また突然死を引き起こす傷病でありますので、事前にしっかりと知識があり、対処を行うことで突然死を防ぐことができます。ぜひ児童生徒に学んでいただくよう教材の一つに入れていただきたいと思っております。
さて、教育に続きまして、児童生徒の防災訓練もまた重要であります。
そこで、中学校や高等学校では、地域と連携した組織的な防災訓練をどのように進めているのかお伺いいたします。
○金子指導部長 各中学校、高等学校では、学校が立地する地域の特性や実態を踏まえまして、地域や関係機関と連携、協力した実践的な防災訓練を推進しております。
中学校における取り組み例といたしましては、防災マップを活用して、生徒が町内会の役員と一緒に避難場所やAEDの設置場所、給水所などを確認する訓練、学校へ避難してきた地域住民を中学生が安全な場所へ誘導する訓練などがございます。
また、高等学校における取り組み例といたしましては、地元の自治会や消防署と連携した、スタンドパイプからの放水訓練、水道局と連携した、高校生が近隣の小中学校に水を運ぶ給水訓練、地域の高齢者や小学生を避難誘導する訓練などがございます。
○宮瀬委員 ありがとうございます。こちらも行政、そして今までの諸先輩の都議の方々の指摘、何よりも学校現場の不断の努力によって、ここまでのものができてきたのだと感じております。まずは心から敬意を表します。
さて、ご答弁にありましたAEDの設置場所の確認でありますが、そういった児童生徒による防災教育の成果を、ぜひ地域や地元自治体、ひいては全地域に拡大させ、昨年の第四回定例会の一般質問でご提案させていただいた東京都版AED統一マップづくりの作成の一助として還元させていただく取り組みはいかがでしょうか。
大災害のみならず、平常時において、平成二十五年度におきましては、心臓機能が停止した都内傷病者の搬送人数は、約一万二千名に上っております。心停止の発生場所は必ずしも職場や家の近隣だけとも限らないことから、全域を網羅する東京都版AED統一マップの作成を要望する声も私の調査では六四%と高まっております。
神戸市では、まちかど救急ステーションと称し、会社やオフィスビルが保有する民間のAED情報を市に無料提供してもらい、二千カ所以上を網羅したAEDマップを作成しておりますが、その際、神戸市消防局のご担当者がおっしゃっていた課題の一つが、AEDの設置場所のメンテナンスが大変重要であるとのご意見をいただきました。
ご答弁にありましたように、児童生徒がAED設置場所の確認作業をしていただくことでAEDマップをつくっていただくとともに、同時に毎年、設置場所のメンテナンスも兼ねていただくことができれば、防災教育のみならず、地域の防災力向上にもつながってまいります。
さて、質問でありますが、先ほどの答弁にありましたような、地域と連携した防災教育のすぐれた取り組みを広く周知するための方策についてお伺いいたします。
○金子指導部長 都教育委員会は、各学校における防災教育を充実するため、毎年度、指導資料、安全教育プログラムに地域や関係機関と連携した防災訓練のすぐれた取り組み事例を掲載いたしまして、都内公立学校の全ての教員に配布してございます。
また、都教育委員会が指定する安全教育推進校では、公開授業や研究協議などを通しまして、他の学校の教員や保護者、地域住民に地域と連携した防災教育の取り組みを紹介しております。
○宮瀬委員 ありがとうございます。
地域との連携でありますが、先日、災害時における要支援者の対策シンポジウムに参加してまいりました。日本障害フォーラムの調査におきましては、東日本大震災における障害者の死亡率は、住民の約二倍に至るといったデータが公表されておりました。
また、そのシンポジウムの中でのその対策といたしましては、要支援者を初め共助の取り組みに必要なことは、日ごろの助け合い三層システムというものを考えられているそうであります。一つ目は、お互いを知っていること、二つ目は、安否確認ができること、三番目は、救助活動とされております。まずは知り合うことが第一歩目であり、大変重要であるとおっしゃっておりました。
しかし、要支援者のことを誰が知り、まず誰が安否確認していただくのかが課題となっており、その中で、日中、一番地元にいる中高生との接点を持っておきたいといった声が多数ございました。無論、体は大きいとはいえ、中高生はまだ子供でありますから、まずは自分の身をどう守るのか、そして、自身の安全確保をどう行うのかが重要であります。一方、発災後三日目以降など、落ちつき始めてきた段階で連携していくことも一案であります。いずれにせよ、防災教育、防災訓練、正しい地域との連携など、教員の役割は重要であります。
そこで、各学校における防災教育の充実に向けて、教員研修をどのように行っているのかお伺いいたします。
○金子指導部長 都教育委員会は、防災教育を推進する中核となる教員を養成するため、全ての公立学校の教員が参加する安全教育に関する研修会を毎年開催しております。
この研修会では、東日本大震災の被災者の体験発表や防災教育について先進的な取り組みを行っている学校の事例発表、防災教育の専門家を初めとする有識者の講演などを通しまして、実践的な指導力の育成を図っております。
今後ともこうした研修会を充実し、各学校の取り組みを支援してまいります。
○宮瀬委員 ありがとうございます。
ぜひ学校関係者のみならず、東京消防庁や区市町村など関係各機関と協力しながら、教員の防災教育の質の向上に一層努めていただくことを要望いたしまして、このテーマの質問を終わります。
次に、特別支援学校の災害時における電力確保の取り組みについてお伺いいたします。
災害時に都民の生活を守る避難所が施設機能等に照らし、必要なエネルギーを優先的に確保することは重要であります。本定例会におきましても、東京都再生可能エネルギー等導入促進基金条例についての議案が提出され、可決されました。
本条例は、環境省から基金原資十億円の交付を受け、主に区市町村の小中学校にソーラーパネルといった太陽光発電と蓄電池等を導入、推進し、主に災害時の避難所における電力を確保するための取り組みであります。国においても、学校が避難所となるケースを想定していることからわかるように、災害時の学校の電力の確保は喫緊の課題であります。
東京都におきましても、都立学校なども避難所に指定されておりますが、このたびの質疑では、とりわけ特別支援学校の電力の確保について質問をさせていただければと思っております。
そこでまず、特別支援学校の発災時の役割についてお伺いし、また、発災後の人命救助等のリミットである七十二時間の電力の確保など、どのように行っていくのかお伺いいたします。
○早川都立学校教育部長 大地震などが発生した直後の特別支援学校におきます第一の責務は、避難誘導などを迅速に行い、児童生徒の安全を確保することでございます。また、特別支援学校は区市町村からの要請を受け、障害者などを受け入れる福祉避難所としても活用されることとなります。
発災時に電力供給が遮断された場合は、全ての学校に配備されている非常用発電設備やポータブル発電機、また一部の学校に整備されている太陽光発電設備の自立運転機能によりまして、これら初動の対応に必要な電力を確保していくこととしております。
○宮瀬委員 ありがとうございます。特別支援学校の電力確保に向けた現在の取り組みの概要が理解できました。
私も実際に特別支援学校に行きまして、先生に直接お話をお伺いいたしましたが、特別支援学校における電力の確保は、普通の都立学校と比べ、より重要であるとのお話をお伺いいたしました。といいますのも、特別支援学校に通う児童生徒は、移動のための電動車椅子、電気を使った医療的ケアなど、通常よりも電力を使う機会が多くあります。とりわけ天候の厳しい時期での空調設備の稼働の有無は、自力で体温調節が難しい学童児童にとりましては、まさに生死にかかわる喫緊の問題であるとのことでありました。
電力確保とそのための機器材の組み合わせ方、また活用方法は大変重要度が高く、その対応に最大限、電力確保及びその組み合わせに気を使っているとのご意見をいただきました。
そこで、特別支援学校の太陽光発電設備の整備状況についてお伺いいたします。
○早川都立学校教育部長 都教育委員会は、財務局で定めました省エネ・再エネ東京仕様に基づき、特別支援学校に太陽光発電設備の整備を進めております。
現在、施設の特性や立地条件、教育活動への影響なども考慮いたしまして、五十六校中十三校に整備をしております。
○宮瀬委員 また、あわせてお伺いいたしますが、本定例会で議決されました基金におきましては、蓄電池の整備が太陽光発電設備とともに必須となっておりますが、特別支援学校に蓄電池は整備されているのかお伺いいたします。
○早川都立学校教育部長 先ほど申し上げました十三校でございますけれども、これらの太陽光発電設備により発電した余剰電力を蓄える蓄電池につきましては、整備してございません。
○宮瀬委員 蓄電池と太陽光発電設備についてお伺いさせていただきましたが、まず、太陽光発電設備について詳細をお伺いいたします。
五十六校のうち十三校に太陽光発電設備を整備されているとのご答弁がありましたが、全ての特別支援学校に太陽光発電設備を整備する今後の予定はないのかお伺いいたします。
○早川都立学校教育部長 今後新設する特別支援学校につきましては、省エネ・再エネ東京仕様に基づき、太陽光発電設備を整備することとしております。
既存の特別支援学校につきましては、建物の強度の調査などを実施した上で整備の可否を個別に判断しております。調査結果により、整備が難しいと判断される学校におきましては、校舎の大規模改修や改築にあわせまして、計画的に整備していくこととしております。
○宮瀬委員 ありがとうございます。
校舎が老朽化し、設計上、太陽光発電設備の設置ができない学校に対しましては、すぐには設置といった状況になかなかないことは理解できます。一方で、いつ首都直下地震が起きてもおかしくない状況でありますので、大規模改修や改築を待たず、耐震工事等も含めて検討していただき、太陽光発電設備の全校設置をお願いいたします。
次に、蓄電池が整備されていないということでありましたが、私も実際に特別支援学校の校長先生にお伺いいたしました。実際に、ソーラーパネルなど太陽光発電設備は、文字どおり天候に左右されてしまい、天気のよいときでなければ活用できないということを大変危惧されておりました。
そこで、天気が悪くとも蓄電池で電力を常時ストックすることができれば大変助かるといったお声も頂戴しております。そのように、蓄電池がないことで万が一電力を喪失した場合、体温調節や医療的ケアを必要とする児童生徒への対応はどうするのかお伺いいたします。
○早川都立学校教育部長 特別支援学校におきましては、確実に電力が確保できます非常用発電設備やポータブル発電機により、体温調節や医療的ケアが必要な児童生徒が利用する保健室の空調設備などを稼働することとしております。
○宮瀬委員 非常用発電設備やポータブル発電機の活用とのご答弁でありました。一方で、このたびの環境省から原資が交付された基金におきましては、蓄電池がセット必須とされております。
そこで、再度の質問で恐縮ではありますが、国は、太陽光発電設備と蓄電池をセットで整備すべきとしておりますが、特別支援学校においては、蓄電池については整備されておりません。このことに関しましてどのように考えているのか、都の所見をお伺いいたします。
○早川都立学校教育部長 国が蓄電池を整備すべきとしている理由は、発災時などにおきまして電力供給が遮断された際に、避難所施設で必要とされる照明やテレビ、パソコンなど、最低限の機能を維持するためという考え方に立ったものでございます。
特別支援学校におきましては、体温調節や医療的ケアを必要とする児童生徒への対応などに必要な電力につきまして、非常用発電設備やポータブル発電機によりまして、確実に確保していくこととしております。
今後とも発災時に必要な電力を確保できるよう、適切に対応してまいります。
○宮瀬委員 国においては、照明、テレビ、パソコンなど、最低限の機能維持のために蓄電池が必要と考えられております。
一方、特別支援学校においての最低限の機能確保は、生命にかかわる空調設備や電力を使う医療的ケアのための電力が必要であります。どちらが電力を多く使うかは一目瞭然であり、照明、テレビ、パソコンのために蓄電池が必要であれば、当然、特別支援学校にも必要であるのではないかと思われます。
また、ここまでのポイントは、非常用発電設備とポータブル発電機だと思われますが、非常用発電設備は連続稼働で約十六時間程度しか持たず、七十二時間を耐えることはできません。また、ライフラインが復旧しておらず、助けが来るとも限りません。また、ポータブル発電機は、いわゆるお祭り等で使われている、屋台で使うような発電機のことでありますので、到底電力を賄うことはできないと思われます。
特別支援学校に関しましては、より電力確保が重要な課題となっております。ここはぜひ、普通の都立学校と同じ基準で電力確保に向けた施策を展開するのではなく、現在、十三校にとどまっているソーラーパネルの全五十六特別支援学校への設置や、蓄電池の追加配備等を優先的に進めるなど、特段きめ細かい丁寧な基準を持って対応していただきたいと思っております。
もちろん、教育庁として整備をしたくないといったことではないと思って信じております。そのための予算、そこが鍵になっていると思いますので、それに関しましては、ぜひ財務局と連携していただき、善処いただけますようお願いを申し上げまして、このテーマの質問を終わります。
最後のテーマでありますが、十八歳の選挙権についてお伺いいたします。
高校生に向けた選挙の大切さなどを周知するための取り組みでありますが、大変重要なものであることはいうまでもありません。民主主義の基本は選挙にあり、選挙は東京の未来、ひいては日本の将来を決定づけるものであります。
日本の歴史を何年とするかは大変議論の分かれるところでありますが、その長い歴史の中において、二十歳以上の全ての男女に選挙権が与えられたのは、ここわずか七十年でしかありません。一票は、先人たちが命をかけ戦い、かち得た血と汗と涙の結晶であります。
しかし、一方で、選挙の投票率を見ますと、昨年十二月の衆議院選挙におきましては、投票率五二・六六%、戦後最低の記録を更新し、また前回の都議会議員選挙は四三・五%で、過去の都議選で下から二番目の投票率でありました。
さらには、財団法人明るい選挙推進協会の全国データによりますと、平成二十五年の参議院選挙では、とりわけ二十代の投票率が三三%、七十歳以上が六八%であり、実に二倍の差がございました。まさに日本の歴史、そして先人たちの血と汗と涙に思いをはせるとき、まさに日本の未来を担っていく若者の投票率の低迷は、国家の危機であると考えております。
何事も初めが肝心であります。二十を迎え初めての選挙で投票所に行き、一票を投じるといったことがまず重要であります。そのためにも、若者を国や社会の問題を自分のこととして考え行動していく有権者として育てていくことは重要であります。
そのような状況の中で、現在、選挙年齢を十八歳に引き下げる公職選挙法改正案が今国会で審議されております。すなわち、法案が可決されましたら、高等学校には十八歳を迎えた一部の学生には選挙権が与えられている状況であります。
そこで、まずは、都はこれまでも、高等学校の公民科において選挙の意義について指導していると聞いておりますが、現在の高等学校では選挙に関してどのような内容を指導しているのかお伺いします。
○金子指導部長 各都立高校から提出されている年間指導計画では、全員が学ぶ教科である公民の中の科目、現代社会、政治経済で選挙制度についてそれぞれ二時間程度授業を行うこととなっております。
これらの科目では選挙制度に加え、議会制民主主義と権力分立などの政治のあり方について国民生活とのかかわりから認識を深めるとともに、政党政治や選挙などに着目して、望ましい政治のあり方及び主権者としての政治参加のあり方について生徒は学んでおります。
○宮瀬委員 ありがとうございました。
高校における指導の内容については理解いたしました。しかし、授業という限られた時間の中で、選挙の仕組みや政治への参加意識を高揚させるには限界があるのではないでしょうか。
実は、なぜ選挙に行かないのか、そういったテーマでアンケート調査をしましたところ、仕組みがよくわからないから、また、興味がないから、大変身につまされる思いでありますが、政治家がなかなか信用できないからといった声がありました。特に、わからないから、関心が持てないからといった方々に対しましては、私自身は、授業以外にもさまざまな機会を捉えて指導していくことが重要であると考えます。
選挙権が十八歳に引き下げられる公職選挙法改正案が今国会で成立いたしますと、先ほど申し上げましたとおり、高校三年生の中には、来年の夏の参議院選挙には実際に選挙権を得て投票行動を行う生徒が一部出てまいります。
さらに、一部報道によれば、総務省と文部科学省は、新たに有権者となる高校生向けに選挙に関する副読本を作成し、早ければことしの秋には配布する方針であるといった記事も見受けられ、都におきましても早急な対応が求められてまいります。
そこで、選挙権が十八歳に引き下げられることにおきまして、都教育委員会はどのような取り組みを行うのかお伺いいたします。
○金子指導部長 都立高校の中には、生徒が選挙に対する関心を高め、参政権を行使できるよう、現代社会や政治経済の授業に加え、都や区市の選挙管理委員会やNPO団体など、関係機関と連携した模擬投票や講演会などを実施している学校がございます。
公職選挙法の改正案が可決、成立し、施行された後には、校長連絡会や教育課程に関する説明会で法改正の趣旨を徹底するとともに、国の動向を踏まえた取り組みを実施するなど指導の充実を図ってまいります。
○宮瀬委員 ありがとうございます。
授業以外にもさまざまな取り組みを行っていることがわかりました。ぜひ全校に広げていただきたく要望いたします。
恐らく、高校の授業は、選挙に関するものを一堂に会して行う最後のチャンスであります。生徒同士が刺激を受け合いながら選挙の仕組みをしっかりと身につけてもらうことが大変重要であります。
また、提案ではありますが、こうした指導の際には、教室での学習や模擬投票だけではなく、実際に投票日当日の投票所の様子や期日前投票所を見学することも意識を高める上では有効ではないかと思っております。もちろん、これらの指導を実現するためには、さまざまな課題があると思いますが、高校三年間のうち、少なくとも参議院選挙は一回実施されるわけでありますので、教育委員会だけではなく東京都選挙管理委員会など、さまざまな関係機関と連携を図りながら、指導の充実を図っていただきたいと思っております。
一方、選挙にかかわる政治や時事問題に関する指導では、政治的な要素が強くなる可能性があり、その場合、教員の考え方が生徒の考えに影響を及ぼすことになりかねません。したがって、授業においては今後とも教育の基本である公正中立な指導が一層求められております。この点につきましても十分配慮した指導を行っていただきたいと思っております。
最後になりますが、若い人たちの、政治や選挙への関心の醸成、さらには政治的リテラシーの向上が必須であると考えております。すなわち、政治的情報が多く供給されている中、政治や選挙に関心を持ち、情報を読み取り、その中からみずからの考えを決定し、投票行動に結びつける、こういった力を、特に高校生時代に体得できるような教育を目指していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○小松委員 それでは、都立知的障害特別支援学校高等部就業技術科における就労支援について、まず質問いたします。
この都立知的障害特別支援学校高等部就業技術科は、知的障害児にとっての高校ともいうべき学校です。一昨年の文教委員会でも質問しましたが、今回はここでの就労支援についてお伺いいたします。
まず、就業技術科の卒業生の就労率、そして、就職先の企業でどのような業務についているのか、また、就業技術科で実施されている職業教育が卒業生の担当しているその業務に応じたものになっているのか、以上三点あわせて伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 現在、卒業生を出しております就業技術科設置校は、永福学園、青峰学園、南大沢学園の三校でございます。平成二十六年三月にこの三校を卒業した生徒二百三十四人のうち、平成二十六年五月時点での就職者は二百二十三人であり、就職率は九五・三%でございました。
就業技術科の卒業生は、就職先で主に事務、清掃、小売り販売、飲食、厨房での業務を担当しており、各学校では、これらの業務に対応した実習を実際の職場に即した実習室において行っております。
○小松委員 就職率が九五%を超えているということです。関係者の皆さんの努力の成果だと思います。
私も以前、永福学園でコーヒーショップのフロア業務や清掃などの実習授業を見せていただきました。就職後の業務に対応して、現実に即した指導がされているということです。
しかし、今、大学卒の若者は、就職して三年以内に三分の一はやめてしまうというような状況にありまして、就職後のフォローも重要と考えます。
就業技術科の卒業生は障害が軽度ですから、企業に就職し働くことによって、将来自立した生活ができるように目指すべきです。また、周囲の支援があれば、それは可能だと思います。自立した生活を目指すためには、最低賃金を確保していることが必須なわけですが、卒業生が受けている処遇はどのような状況であるのか、そして、就労後のアフターケアはどのようにされているのかお伺いいたします。
○松川特別支援教育推進担当部長 就業技術科生徒の就労先の企業の選択につきましては、本人が能力を発揮して働き続けられる職場でありますとともに、地域別最低賃金を超える賃金が支払われることと労働者災害補償保険、雇用保険の加入ができる企業であることを条件としております。
また、卒業生が働き続けられるようにするため、各校は地域の就労支援センター等の就労支援機関に対し、卒業後三年間で確実に支援を引き継ぎ、切れ目なく卒業生を支援できるようにしております。
○小松委員 就労支援機関や雇用主に確実に支援を引き継いでいただき、そして若者の意欲を引き出し、また促し、働き続けられるように適切に対応していただきたいと思います。
しかし、就業技術科に学ぶ生徒のほかにも、企業に就職して自立した生活を目指している生徒がいます。これらの生徒に対して充実した職業教育を実施していくべきですが、教育委員会の見解を伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、知的障害特別支援学校高等部普通科の一部を改編し、知的障害が軽度から重度の生徒を対象にした職能開発科を平成二十六年四月に開設した足立特別支援学校を初めといたしまして、十校程度、職能開発科を設置してまいります。
障害の程度に応じた職業教育の充実を図りますとともに、就業技術科、職能開発科、普通科が連携することにより、一人でも多くの生徒の就労希望を実現してまいります。
○小松委員 この四月に葛飾区に水元小合学園就業技術科が開校するということです。これによって二〇一三年、二〇一四年、一昨年、昨年の募集人員三百二十人だったものから、ことしは八十人ふえて四百人になったと伺っています。
しかし、応募者数も約七十人ふえたために、実倍率は一・四倍となっています。昨年が一・五五倍でしたので、それほど大きな変化とはなっていませんが、今後は、今お話がありました、足立特別支援学校職能開発科、そのような取り組みがさらに広がるとのことです。入学を希望する子が全員入れるように整備を進めていただきたい。そして、職業教育の一層の充実を図り、若者たちの自立を後押ししていただきたいとお願いいたします。
続きまして、中途退学者等への支援について、さきの一般質問において、教育委員会が実施するモデル事業について取り上げたところです。しかし、ここ数年の都立高校の中途退学者数は減少傾向にはあるものの、二〇一三年度は三千二百一人、依然として相当数の生徒が高校を離れているという現実があります。
問題は、高校を離れた途端に社会とのつながりが切れてしまい、自分の意思に反して就労も就学もできずに無業状態に陥ってしまうことであり、そのようなことにならないような支援が必要です。今実施されているような取り組みは積極的に推進していくべきと考えます。改めて、より具体的なその取り組みについてお尋ねいたします。
○前田地域教育支援部長 モデル事業は、平成二十五年度からの三年間、区部と市部の二地区において、それぞれ五校の都立高校を対象として実施しております。
このモデル事業は、若者自立支援に実績のあるNPOと連携し、中途退学の未然防止と中途退学者への支援、さらに、在学中における進路未決定者の進路支援と進路が未決定のまま卒業した者への支援を目的として実施しております。
○小松委員 中退の未然防止や中退した後に支援につくということは、本人や、場合によっては家族などにもかかわっていくことになるのかと思います。このような支援を進めていくには、外部の支援機関との連携をより一層強化していく必要があります。見解を伺います。
○前田地域教育支援部長 モデル事業では、NPOスタッフが教員と連携し、個別面談等により生徒の意向や適性を把握し、ハローワークや地域若者サポートステーション等の外部の支援機関につなげるなど、進路が決まらない生徒への支援を行っております。
また、中途退学者への切れ目のない支援を充実していくためにも、地域の若者支援機関との緊密な連携に努めてまいります。
○小松委員 高校を中退した若者が別の形で学業についたり職についたりするならそれでいいと思います。しかし、そのままドロップアウトしてしまうことは大きな問題です。若者が社会から隔絶され、排除されてしまうことは社会の損失であり、できる限り回避するべきです。そのための予防的な取り組みが必要なわけです。
今回、都との共同でモデル事業を行う団体は、ひきこもってしまうなど、生きにくさを抱える若者との間に信頼関係を築き、一人一人を尊重し寄り添いながら、その自立を支援する活動に長く取り組んできた実績を持つNPOと伺っています。そのような福祉的な視点を持って活動する団体と都立高校が連携するというのは画期的なことであって、期待したいと思います。
ただ、中には、根の深い問題を抱える子供もいると思われます。すぐに結果の出ないケースがあるかとも思います。そういう場合には、時間をかけて息長く見守っていく姿勢で取り組んでいただきたいとお願いいたします。
そして、続きまして、不登校の実態調査についてお伺いいたします。
不登校の子供は、学校や家庭において学業が中断されるだけでなく、自己肯定感が低下し、孤立しがちでありまして、厳しい状況に置かれています。
小中学校の不登校の子供はこれまで減少傾向にありましたが、二〇一三年度は増加に転じておりまして、この年、都内の公立小中学校で約九千五百人、都立高校では約四千人を数えます。
このような状況に対し、区市町村では、不登校の子供にとっての学校外の学ぶ場として、適応指導教室が設置、運営されています。私の杉並区では、不登校の子供のための適応指導教室は、小学生対象に一カ所、中学生対象に二カ所設置されまして、学校とは別の場所で、それぞれの子供の状況に合った学習などに取り組んでいます。
こうした不登校の児童生徒に関しては、文科省が毎年行っている問題行動調査の中で調べてはいますが、都が来年度、不登校児への対応として実態調査を行うとのことです。この調査を行うこととした経緯、そして目的について確認させていただきます。
○白川教育政策担当部長 不登校の状況につきましては、毎年度、お話の児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査において調査をしております。この調査は、暴力行為、いじめ、不登校及び中途退学の状況につきまして、全国的に調査を実施しているものであります。
不登校につきましては、不登校の児童生徒数、指導の結果、登校できるようになった児童生徒数、不登校になったきっかけと考えられる状況などについて調査をしているものの、本調査は、概要を把握するための学校に対する調査でありまして、児童生徒の不登校の状態がどのくらいの期間続いているかなど、一人一人に着目した実態などの詳細は把握しておりません。このため、都独自に、より詳細な状況を把握し、今後の対応策を検討していく必要があると考えまして、調査を実施するものでございます。
○小松委員 先ごろ、文科省は、川崎市で起きた少年殺害事件の被害者の中学生が不登校状態だったことを重く見て、不登校の児童生徒の安全を確認する緊急全国調査を実施しています。この結果は直ちにプレス発表されましたが、不登校状態であることの裏には、解決困難な問題が潜んでいる可能性が示唆されています。
不登校の状況を詳細に把握することは、今必要な取り組みだと考えます。具体的にどのような調査をいつまでに実施するご予定かお伺いします。
○白川教育政策担当部長 不登校の児童生徒の欠席状況や不登校に至る背景などにつきまして、状況を詳しく調査するとともに、各学校における対策の取り組み状況につきましても調査をいたします。
調査に当たりましては、不登校の児童生徒へのヒアリング調査や、学校及び適応指導教室へのアンケート調査などによりまして実態を把握してまいります。来年度、外部の有識者を交えた検討会での意見も踏まえまして調査を実施してまいります。
○小松委員 不登校には否定的なイメージがつきまとうわけですが、一方で、不登校の子供に対する社会の見方が確実に変化してきているのも事実です。不登校は、もはや珍しいことではなく、非難されるべきことでもありません。学校に行けないのではなく、一つの選択肢として学校に行かないという子供もいます。
不登校の子の学びの場として、いわゆるフリースクールが存在感を増しています。国が今、専門家会議を設置してフリースクール等への支援策の検討を進めているのは、長らく放置されてきた不登校の子供の現実に、ようやく国が近づいてきたものと注目しています。
来年度の、この都の調査では、有識者による検討会が設置されるとのことでした。ぜひ子供の実態を熟知して、そして、その心理や病理に知見を持つ専門家を委員に選定していただきたい。そして、調査によって子供の現在を正しく捉え、課題をあぶり出し、今後の対応に生かしていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○小林委員 私の方から三つのテーマについてお伺いさせていただきます。
初めに、都立学校におけるICT環境の充実についてお伺いします。
二十七年度予算案の中では、学習の一層の充実を図るため、公立小中学校におけるLAN環境整備等にかかわる支援や、都立学校においてタブレット端末を計画的に配備するなどの予算が計上されております。目まぐるしい技術革新が進む中、それらの技術を活用して、教育環境の充実、学習支援のためにICT環境を整備していくことは重要なことであると思います。
改めて、都立高校及び特別支援学校においてタブレット端末を配備していく、その意義と期待する効果について見解をお伺いします。
○堤総務部長 タブレット端末は、多様な機能を持ちながら小型軽量で持ち運びがしやすく、操作が容易でございます。都立高校では、生徒用のタブレット端末を配備することによりまして、普通教室において手軽に調べ学習やグループ学習を行うことが可能となり、情報活用能力やプレゼンテーション力の向上を図ることができます。
また、特別支援学校では、弱視の児童生徒がズーム機能を使って文字や画像を拡大したり、鉛筆を握ることが困難な肢体不自由の児童生徒が画面タッチで文字を入力するなど、学習支援機器として活用できます。さらに、障害の種別や程度に対応したアプリを導入することによりまして、個に応じた学習を一層支援することが可能となります。
このようにタブレット端末を活用することによりまして、これまで以上に質の高い教育環境を実現し、学習効果を高めることが期待されます。
○小林委員 ありがとうございます。
それでは、今後、この各都立学校に対して、タブレット端末をどのように整備を進めていくのかお伺いします。
○堤総務部長 都立高校につきましては、必要なときに学級単位で一人一台のタブレット端末を同時に使用できるよう、一校当たり一学級の生徒数分四十台を配備いたします。
特別支援学校のうち、盲・ろう学校につきましては高校と同様の考え方で、肢体不自由、知的障害の学校につきましては国語や算数など学年単位で授業を行う際に全員が使用できるよう必要数を配備いたします。
全ての都立学校において、このような学習環境を実現するため、都立高校においては平成二十七年度から、特別支援学校においては平成二十六年度から、いずれも三カ年を目途に順次タブレット端末の導入を図ってまいります。
○小林委員 計画的にこのタブレット端末を導入していくこととともに、ソフト面の充実が大切になってくると思います。
先ほど、都立高校、特別支援学校への導入の意義と期待される効果をお伺いしましたが、より高い教育効果を上げていくには、タブレット端末の特性を生かし、生徒が興味を持ち、学ぶ意欲を高めるような持続的なソフトの面の充実が必要であると思います。
都教育委員会は、タブレット端末を導入し、それらをより効果的に活用していくために教材の開発促進や各学校への支援などについて、今後どのような取り組みを行っていくのかお伺いいたします。
○堤総務部長 都教育委員会は、都立学校教員が開発した四千を超える学習コンテンツについて、全ての都立学校が利用できるシステムを構築しております。今後、生徒がタブレット端末を使用するような学習場面を想定したコンテンツを拡充するなど、さらなる充実を図ってまいります。
都立高校につきましては、特に生徒一人一人の能力や特性に応じた個別学習や、生徒が相互に教え合い学び合う共同学習においてタブレット端末を効果的に活用できるよう、授業支援ソフトを提供するなどの支援策を検討してまいります。
特別支援学校につきましては、昨年六月から、さまざまな障害種別に応じたタブレット端末活用事例を都の教育委員会ホームページに掲載しておりまして、引き続き効果的な事例を収集し、活用を促進してまいります。
○小林委員 今ご答弁にありました学習コンテンツ活用システム、これは私も拝見させていただきました。二十年以上前に私も教員免許取得のために母校の都立高校で日本史の教育実習を行いました。私の教育実習のときは、まだパソコンは普及しておりませんでしたので、黒板への板書が中心でありましたけれども、教育実習の際の学習内容が江戸時代の享保の改革でありましたので、享保の改革の学習コンテンツを拝見しました。コンパクトにまとまり、画像も挿入するなど、非常にわかりやすく作成されているなとの印象を受けました。
タブレットの活用は生徒もさることながら、指導する教員も指導法など研究し続ける必要があるかと思います。私は、平成二十三年の第一回定例会の一般質問で、日本史教育の充実に当たって、都として多角的な資料、教材を集積して活用していけるように提供していくなど、現場の教員に対する取り組みが必要と質問をさせていただきました。
その際、東京各地の史跡や文化財の情報を収集し、新たにデジタルコンテンツを作成して、各学校の教員が補助教材として活用できるようにしていくとのご答弁がありましたが、日本史に限らずあらゆる科目に対して、今後もコンテンツの充実に努めるとともに、特別支援学校での活用に際して、障害の種別、程度に応じたアプリの充実をぜひともお願いしたいと思います。
次に、世界に発信する日本の伝統文化教育の充実についてお伺いいたします。
当初、三問お伺いする予定でございましたが、先ほどの今村委員の質問と趣旨がかぶる点がございますので、これは割愛させていただきたいと思います。
二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催の決定後、文化プログラムの策定に当たって、日本の伝統文化の世界への発信、また国民自身が自国の文化のすばらしさを再認識していく大事な好機として、その取り組みが重要になってまいります。
改めて確認でございますが、教育現場における日本の伝統文化教育について、都教育委員会のこれまでの取り組みについてお伺いいたします。
○金子指導部長 都教育委員会は、日本の伝統文化に関する教育がより一層系統的、計画的に進められるよう、都立学校における教材集である日本の伝統文化の作成、配布や、小中高等学校のカリキュラムの開発を行ってまいりました。
また、日本の伝統文化理解教育推進校やモデル地域を指定いたしまして、成果発表やシンポジウムなどを実施することにより、都内全公立学校に普及啓発を図ってまいりました。
さらに、先人の生き方に学ぶ都独自の道徳教材や日本史教科書「江戸から東京へ」の作成配布、伝統文化に関する部活動への外部人材の導入などを行い、各学校の取り組みを支援してまいりました。
○小林委員 今ご答弁にもございました外部人材の導入、これは大事な視点であると思います。やはり実際に日本の伝統や文化の現場で活躍されている方や専門的な知識、経験を持っている方の言葉や振る舞いを目の当たりにすることは、児童生徒の心にさらに大きく響くものがあると思いますので、さらなる充実をお願いしたいと思います。
さらに、学校における日本の伝統文化に関する教育の一層の充実を図るためには、他局と連携した支援が重要だと考えます。
例えば、文化振興は生活文化局が所管しておりますので、生活文化局が持っている事業を教育現場で活用するなどした取り組みを行っていくべきではないかと思います。都庁各局とも連携した伝統文化教育の充実について見解をお伺いいたします。
○金子指導部長 二〇二〇年を見据え、都教育委員会は、毎月学校に向けて発行している日本の伝統文化に関するメールマガジンに江戸東京博物館の特別展や産業労働局が主催する東京都伝統工芸品展に関する情報を掲載しております。
来年度は、生活文化局と連携いたしまして、都内の小中学校などに能楽や日本舞踊などのプロの実演家を派遣するプログラムを新たに実施いたしまして、伝統文化の体験の機会の充実を図ってまいります。
また、こうした他局との共同事業を校長会や教員研修などにおきましても周知するとともに、他局が持っている専門家の人材情報を提供するなどいたしまして、各学校の取り組みを支援してまいります。
○小林委員 都では東京文化ビジョンを策定しましたが、このビジョンを具現化していくためには、間違いなく、教育庁の伝統文化教育の充実が一翼を担っていくと思いますので、さらなる充実をお願いしたいと思います。
最後に、オリンピック・パラリンピック教育についてお伺いします。
教育庁では、今年度よりオリンピック・パラリンピック教育に取り組んでおりますが、オリンピックが自分たちの住んでいる都市で開催されるという千載一遇の機会を幾重にも価値あるものとし、次代を担う未来の宝の子供たちがオリンピック・パラリンピックを通じて、自身の糧としていくためにも大切な取り組みであると思います。
そこで、これまでのオリンピック・パラリンピック教育の取り組みと今後の取り組みについてお伺いいたします。
○鯨岡指導推進担当部長 今年度、オリンピック教育推進校三百校では、さまざまな活動に取り組むとともに、アスリートとの交流などを行ってまいりました。
具体的には、オリンピズムや大会の歴史、競技ルールなどの学習に加えまして、小学校では和楽器の演奏、中学校ではブラインドサッカーの運営ボランティア、高校では留学生との国際交流など、各学校がそれぞれ特色ある授業を行っております。
来年度は、この教育推進校を六百校に拡充いたします。さらに、全ての児童生徒が詳しく大会等を学べるよう、学習読本やDVD教材を作成するとともに、障害者スポーツの体験などに取り組んでまいります。
こうした取り組みを一層進めまして、今後、全ての学校でオリンピック・パラリンピック教育を展開してまいります。
○小林委員 オリンピックは世界最大のスポーツの祭典であると同時に、平和の祭典とも呼ばれております。オリンピック憲章では、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会を奨励することがうたわれております。このオリンピックの理念をより浸透させるため、IOCはローザンヌに国際オリンピック休戦財団を、またアテネに国際オリンピック休戦センターを設立し、国連や各国と協力しながら、世界平和の実現に向けて活動を行っております。
先月公表された、東京二〇二〇大会開催基本計画におけるファンクショナルエリアの教育における主要目標の一つとして、オリンピック休戦プロジェクトを通じて、国内外において、その意義と価値に対する理解を推進し、世界の平和の実現に寄与することと掲げられております。
先日行われましたオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会においても、この休戦プロジェクトの意義について質問をさせていただきましたが、オリンピック・パラリンピックと平和という視点を教育現場において伝えていくことは大変に重要であると考えます。
そこで、今後、オリンピック・パラリンピック教育を進めるに際して、平和な社会を実現するというオリンピックの理念を子供たちがしっかりと学習すべき環境を整えていく必要があると考えますが、見解をお伺いします。
○鯨岡指導推進担当部長 児童生徒が大会の基本理念を正しく学ぶことは大切でございます。とりわけ、スポーツを通した国際交流が青少年の健全育成や世界の平和に貢献していることを理解することには大きな意義がございます。
このため、教育推進校では、スポーツに親しむ活動はもとより、児童生徒の発達段階に応じて、大会の理念や意義などをどのように学習するのかということにつきまして、モデル校として教科や学校行事等で先進的な取り組みを行っております。
また、二〇二〇年の大会が子供たちの生涯にわたる財産となりますよう、有識者会議におきましても十分検討を進め、東京ならではの教育プログラムを作成してまいります。
○小林委員 今、ご答弁の中で有識者会議という言葉が出てまいりました。今後、この有識者会議でさまざま検討していくというお話がございましたけれども、会議での議論も踏まえて、今後、オリンピック・パラリンピック教育をどのように進めていくのか改めてお伺いします。
○白川教育政策担当部長 東京のオリンピック・パラリンピック教育の基本理念や施策について検討するため、昨年十月に学識経験者やアスリートなどから成る有識者会議を立ち上げたところでございます。この会議では、お話のオリンピックと平和とのかかわりも含め、幅広く検討を行っております。
今後、会議での議論も踏まえ、オリンピック・パラリンピック教育において、スポーツにより一層親しむとともに、オリンピズムの精神や大会が国際平和に果たしてきた役割について子供たちに伝え、多くの国々との交流により、国際社会の発展に貢献できる人材を育ててまいります。
○小林委員 大会都市決定後の一昨年秋に、ある教員の方より、東京大会の決定を踏まえ、二〇二〇年に向けてどのような国づくりを目指すべきかをぜひ授業で取り組んでいきたいと思うので話を聞かせてもらいたいとのご要望をいただいて、さまざま意見交換をいたしました。
その後、授業で取り組んだ成果をご報告いただきましたが、二〇二〇年に向けてどのような国づくりを目指すべきかという課題に対しては、経済的に豊かな国、どの外国とも仲よく協力できる国、外国から信頼される国、外国人がすばらしい来てよかったと思える国、地震にしっかり備えられている国、安心・安全な国、環境のことを考えた国、たくさんの人が喜ぶものがある国などの生徒の意見があったとのことでございます。
また、東京大会が決定したIOC総会における滝川クリステルさんとパラリンピアンの佐藤真海さんのスピーチを見せて、自分にできることを考えさせたそうであります。英語を覚えて外国人と話せるようにする、困った人がいたら助けてあげる、環境のことを考えてまちを汚さない、自分が幸せだと思える人生を送る、サービス精神を大切にする、どんな人とも仲よくするなどの意見があったそうでございます。
この先生は授業を通じて、今後はもう少しオリンピック・パラリンピックを身近に考えられるような手だてが必要だと感じたと感想を述べておられました。
有識者会議での議論もあるとのことですが、ぜひとも学んでよかった、さらに二〇二〇年が楽しみになってきたと思えるような教育内容の充実にぜひとも努めていただきますようお願いいたしまして、質問を終わります。
○小竹委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小竹委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時十八分散会
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