委員長 | 小竹ひろ子君 |
副委員長 | 小松 久子君 |
副委員長 | きたしろ勝彦君 |
理事 | 大松あきら君 |
理事 | 大場やすのぶ君 |
理事 | 川松真一朗君 |
神野 次郎君 | |
やながせ裕文君 | |
里吉 ゆみ君 | |
あさの克彦君 | |
新井ともはる君 | |
上野 和彦君 | |
松田やすまさ君 | |
古賀 俊昭君 |
欠席委員 なし
出席説明員生活文化局 | 局長 | 小林 清君 |
総務部長 | 桃原慎一郎君 | |
広報広聴部長 | 藤井 秀之君 | |
都民生活部長 | 山中 康正君 | |
消費生活部長 | 山本 明君 | |
私学部長 | 武市 玲子君 | |
文化振興部長 | 鳥田 浩平君 | |
都政情報担当部長 | 佐藤 直樹君 | |
男女平等参画担当部長 | 斎田ゆう子君 | |
文化施設改革担当部長 | 濱田 良廣君 | |
オリンピック・パラリンピック準備局 | 局長 | 中嶋 正宏君 |
次長理事兼務 | 岡崎 義隆君 | |
技監 | 邊見 隆士君 | |
技監 | 石山 明久君 | |
総務部長 | 鈴木 勝君 | |
総合調整部長 | 加藤 英典君 | |
準備会議担当部長 | 矢部 信栄君 | |
事業推進担当部長 | 福崎 宏志君 | |
計画調整担当部長 | 鈴木 一幸君 | |
大会準備部長 | 延與 桂君 | |
連絡調整担当部長 | 浦崎 秀行君 | |
連絡調整担当部長 | 小室 明子君 | |
大会計画担当部長 | 児玉英一郎君 | |
競技担当部長 | 根本 浩志君 | |
輸送担当部長 | 荒井 俊之君 | |
スポーツ推進部長 | 早崎 道晴君 | |
スポーツ施設担当部長 | 三浦 隆君 | |
教育庁 | 教育長 | 比留間英人君 |
次長 | 松山 英幸君 | |
教育監 | 高野 敬三君 | |
総務部長 | 堤 雅史君 | |
都立学校教育部長 | 早川 剛生君 | |
地域教育支援部長 | 前田 哲君 | |
指導部長 | 金子 一彦君 | |
人事部長 | 加藤 裕之君 | |
福利厚生部長 | 高畑 崇久君 | |
教育政策担当部長 | 白川 敦君 | |
教育改革推進担当部長 | 出張 吉訓君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 松川 桂子君 | |
全国高校総体推進担当部長 | 鯨岡 廣隆君 | |
人事企画担当部長 | 粉川 貴司君 |
本日の会議に付した事件
オリンピック・パラリンピック準備局関係
陳情の審査
(1)二六第三七号 カヌースラローム競技場として既存施設の江戸川競艇場を利用することに関する陳情
(2)二六第三八号
(3)二六第三九号
(4)二六第四〇号
(5)二六第四一号
新国立競技場建設の見直しに関する陳情
生活文化局関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都消費生活条例の一部を改正する条例
・東京都私立学校教育助成条例の一部を改正する条例
報告事項(説明)
・東京都幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営の基準に関する条例について
教育庁関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
・都立新島高等学校(二十六)改築工事請負契約
報告事項(説明)
・私債権の放棄について
・都立高校入試の採点誤りに関する答案の点検結果及び再発防止・改善策について
○小竹委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局及び教育庁関係の第三回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取及び報告事項の聴取並びにオリンピック・パラリンピック準備局関係の陳情の審査を行います。
なお、提出予定案件及び報告事項については、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
これよりオリンピック・パラリンピック準備局関係に入ります。
初めに、先般の組織改正及び人事異動により、本委員会に出席する幹部職員に交代がありましたので、局長から紹介があります。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 七月十六日付の組織改正及び人事異動により交代のありました幹部職員をご紹介申し上げます。
次長の岡崎義隆でございます。岡崎はスポーツ推進担当理事を兼ねてございます。技監の石山明久でございます。総合調整部長の加藤英典でございます。準備会議担当部長の矢部信栄でございます。事業推進担当部長の福崎宏志でございます。計画調整担当部長の鈴木一幸でございます。連絡調整担当部長の浦崎秀行でございます。同じく連絡調整担当部長の小室明子でございます。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
〔理事者挨拶〕
○小竹委員長 紹介は終わりました。
○小竹委員長 次に、陳情の審査を行います。
陳情二六第三七号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○延與大会準備部長 それでは、陳情についてご説明申し上げます。
お手元に配布しております陳情審査説明表をごらんください。
二枚おめくりいただき、右肩に整理番号1―1と打ってございます資料をお開きください。
陳情二六第三七号、カヌースラローム競技場として既存施設の江戸川競艇場を利用することに関する陳情についてご説明いたします。
本陳情は、江戸川区に所在のDEXTE―K(西なぎさ発:東京里海エイド主宰者)代表橋爪慶介さんから提出されたものでございます。
陳情の趣旨は、都において、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会のカヌースラローム競技場を整備するに当たり、江戸川競艇場の既存施設を利用し開催するよう、検討していただきたいというものです。
陳情の内容に関する現在の状況について申し上げます。
二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会のカヌースラローム会場は、立候補ファイルでは、選手村からのアクセスや、大会後に都民が水辺に親しめる施設としていくことを念頭に、葛西臨海公園に新設する計画としましたが、公園の歴史的背景や自然環境への配慮から、現在、隣接する下水道局の用地を活用するなどの施設配置について、レガシーとしての視点も踏まえながら検討を行っています。
一方、江戸川競艇場を利用して恒設のカヌースラローム会場を整備するためには、施設所有者である民間企業や、現にモーターボート競走事業を運営している一部事務組合との間において、権利関係や利害関係などの調整に多くの困難な課題と時間を伴うことが予想されます。
また、河川水面上に施設を設置する場合、地上での施工と比較して、人工地盤の設置など工期や費用が過大となるとともに、技術的にもより困難な工事となります。
これらのことから、江戸川競艇場におけるカヌースラローム会場の整備は困難でございます。
以上で陳情二六第三七号についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○小竹委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○里吉委員 陳情二六第三七号、カヌースラローム競技場として既存施設の江戸川競艇場を利用することに関する陳情について意見を申し上げます。
日本共産党は、カヌースラローム競技場については、当初計画されていた葛西臨海公園については、自然環境への配慮などが必要であることから、会場変更を求めてまいりました。
今回、隣接地を活用した施設配置について検討中と正式に報告もあり、一歩前進と考えております。
一方、陳情者の方の江戸川競艇場の整備ということについては、るるご説明いただきましたように困難であるということです。地元の方からも困難ではないかというお話を聞いてまいりました。
しかし、この方が心配している淡水の消毒の問題や、または海水とまじった場合など、多様な生物に悪影響があるのではないかという自然環境に配慮した問題、また恒久的な施設として施設の維持管理が本当に現実的なのかという疑問については、都としても、今後ぜひ検討していただきたいと思い、以上を要望して意見といたします。
○小竹委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小竹委員長 異議なしと認め、よって、陳情二六第三七号は不採択と決定いたしました。
○小竹委員長 次に、陳情二六第三八号から陳情二六第四一号までについては、趣旨が同一でありますので、一括して議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○延與大会準備部長 それでは、続きまして、四件の陳情についてご説明申し上げます。
先ほどごらんいただきました陳情審査説明表をもう一枚おめくりいただき、右肩に整理番号2―1と打ってございます資料をお開きください。
陳情二六第三八号から第四一号、新国立競技場建設の見直しに関する陳情について、四件同一の趣旨でいただいておりますので、一括してご説明いたします。
本陳情は、豊島区に所在の神宮外苑と国立競技場を未来に手わたす会共同代表多児貞子さん外三名から提出されたものでございます。
陳情の要旨は、都において、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックのメーンスタジアム計画に招致都市として積極的にかかわり、新国立競技場建設を見直し、オリンピックムーブメンツアジェンダ21の指針に沿って、現国立競技場を改修して使っていくことに方針を切りかえるよう、独立行政法人日本スポーツ振興センターに働きかけていただきたいというものです。
陳情の内容に関する現在の状況について申し上げます。
新国立競技場建設は、既存の国立霞ヶ丘競技場の所有者である独立行政法人日本スポーツ振興センター、JSCが二〇一九年ラグビーワールドカップに向け、八万人収容規模で改築を進めています。
これまでJSCは、国立競技場将来構想有識者会議を設置し、各界の専門的な意見を計画に反映しつつ、基本設計をまとめるなど、整備主体として建設を進めてきております。
都といたしましては、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、着実な施設整備を求めているところでございます。
なお、JSCは、新国立競技場に関する建築関係団体への説明会を受けての質問書に対する回答の中で、改修方式を断念した理由について公表しております。お手元の資料では、JSC公式ホームページから該当部分を抜粋し、記載しております。
以上が現在の状況でございます。
簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○小竹委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○川松委員 本件陳情について、私から意見を申し上げます。
東京都は、開催都市として、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会がすばらしい大会となるよう着実に準備するという重大な責務を負っています。
都としては、国に対し、大会成功に欠かすことのできない重要な施設である新国立競技場の着実な整備を強く求めているところであります。
実際に、国立競技場には一人一人、その場面場面で、いろんな思い出や記憶があると思います。
私自身も考えてみれば、世界陸上が行われてカール・ルイスが走って記録をつくって興奮した思い出だとか、Jリーグの開幕戦でヴェルディ川崎と横浜マリノスがやった試合だとか、一つ一つ出てくるんです。自分自身でいえば、小学生のころに初めて国立競技場のトラックを走った経験だとか、解体の直前に国立競技場でラグビーもやった。
そういう思い出があるんですが、その中の歴史を見てみると、国立競技場は、六四年のオリンピックの閉会式のときに七万九千三百八十三人の観客動員があった。開会式のときに七万四千五百三十四人の動員がありました。これがもちろん一番、二番の観客動員数で、単独競技としては一九八一年十二月のラグビーの早明戦が六万六千九百九十九人動員したんです。
これは今あり得ないわけですね。この数はもう今の国立競技場ではできないんです。それは消防法の改定があったり、さまざまなルールが変わっていく中で、もうこういうことができなくなった。
しかし、国際大会としてやっていく上で、時代が変わってきている中で、国立競技場ができてから何十年もたってきた中で、時代に即したものの中で、諸般の事情があって、専門家たちが話し合った結果、新国立競技場の計画が出てきたわけであると思います。有識者構想会議も設置されて、ここまで議論を経てきました。
ですから、現在、国立競技場の建てかえというのは、JSCにより生まれ変わる施設が、将来に向けたスポーツと文化の世界への発信拠点となるよう、国の政策として整備を進めていて、今年度実施設計の予定であるわけです。
したがって、今回の陳情による新国立競技場建設の見直しについては、国、そしてJSCが責任を持って対応すべきことであるため、本件について採択しかねるものと考えます。
以上です。
○里吉委員 それでは、陳情二六第三八から四一号、新国立競技場建設の見直しに関する陳情について質疑を行います。
陳情の内容は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックのメーンスタジアム計画に招致都市として東京が積極的にかかわり、新国立競技場建設を見直し、オリンピックムーブメンツアジェンダ21の指針に沿って、現国立競技場を改修して使える方針に切りかえるよう日本スポーツ振興センターに働きかけよというものです。
そこで、この陳情にありますアジェンダ21では、競技施設についてどのように述べられているのか伺います。
○荒井輸送担当部長 IOCが環境保護及び持続可能な開発保護に関するオリンピックムーブメントの責務を明示した手引書でありますオリンピックムーブメンツアジェンダ21に、競技施設に関する記述がございます。
ここでは、既存の競技施設をできる限り最大限活用し、これを良好な状態に保ち、安全性を高めながらこれを確立し、環境への影響を弱める努力をしなければならないとしております。
また、既存施設を修理しても使用できない場合に限り、新しくスポーツ施設を建造することができるとしております。
○里吉委員 既存の競技施設をできる限り最大限利用し、また既存施設を修理しても使用できない場合に限り、新しくスポーツ施設を建造することができるということでした。
私は、このアジェンダ21の方針は、今日の世界で環境を守り、地域の文化や人間の営みを大切にしながら、持続可能な社会を築き上げていく上で、とても重要な方針の一つだと思います。
オリンピック準備を進めるに当たって、このIOCが定めたオリンピックムーブメンツアジェンダ21を遵守することは当然と考えますが、都の見解を確認します。
○荒井輸送担当部長 オリンピックムーブメンツアジェンダ21は、IOCがオリンピックムーブメントにかかわる全ての人々に対し、環境保護及び持続可能な開発保護に関するオリンピックムーブメントの責務を明示した手引書であって、その中の記載内容に従うことを推奨しているものと考えております。
アジェンダ21に記載された内容をどのように具体化するかにつきましては、個々の競技施設の状況により異なるものであります。
○里吉委員 アジェンダ21は従うことを推奨しているもので、具体化については個々の競技施設状況によるというご答弁でしたけれども、その前におっしゃいましたように、オリンピックムーブメントの責務を明示したものですから、開催都市として、やはり最大限努力すべきだと思います。
IOCスポーツと環境世界会議で採択されたスポーツと持続可能な開発に関するリオ宣言は、オリンピックムーブメントの全てのメンバーやスポーツ参加者、スポーツ関連企業は、できる限り最善を尽くし、各自の文化、伝統及び信条に敬意を払い、現行のアジェンダ21の勧告に従うべきである、こういうふうに述べているんです。
しかも、新国立競技場については、多くの都民、国民から改修して使うべきだとの意見が寄せられているではありませんか。
例えば、日経新聞七月の世論調査では、計画どおり新しく建てかえるべきは二四%にとどまり、解体せず改修すべきだが四一%、計画の規模を縮小する三五%でした。建築の専門家からも、こうすれば改修で使えるし、環境も守れるという案が幾つも提案されている状況です。
改修で使ってこそ神宮の森の歴史も景観も守れる、一九六四年オリンピックレガシーも生きるという声が上がっていることに耳を傾けるべきではないでしょうか。
そこで、先ほどこの陳情に関して現在の状況のご説明をいただきましたが、JSCがこれまで有識者会議を設置して、各界の専門家に意見をいただいて計画に反映してきたという経緯や、また建築関係団体に対して改修を断念した理由をホームページに記載していると、こういう説明で、まるで東京都は関係ないんだ、国立だから国やJSCが行っているんだ、そういうものだという説明に聞こえました。
もちろん国立施設ですから、国の責任で、国費で整備するのは当然のことです。しかし、環境や景観、地域との調和、周辺住民の住環境を守るという点では、都も大きな責任を負っているのではないでしょうか。
そこで伺いますが、新国立競技場計画は、当時の高さ制限が二十メートルであったにもかかわらず、七十メートルの高さでデザインの公募をいたしました。基準に違反する建築をつくる前提で設計デザインを募集したわけです。普通、自分のうちや事務所などを建てるときに、ビルを建てるときに、基準に違反した状態のものをつくるように設計を依頼する人はいないと思うんです。建てられませんから。当然です。
どうしてこんな基準に違反したデザインを公募したのか、そのことについてどうお考えか、まず伺います。
○荒井輸送担当部長 新国立競技場のデザインコンペは、日本スポーツ振興センターが公募条件を設定し実施したものでございます。
一方、ご質問の高さにかかわる制限につきましては、昨年六月、所管の都市整備局によって、適正な手続により都市計画変更されたものでございます。
今後、都としては、建築確認申請の段階で都市計画等との適合について審査を実施するものと認識しております。
○里吉委員 都市整備局による適正な手続が行われたというご答弁でした。
しかし、デザイン公募を公表したのは二〇一二年七月二十日、都市計画手続で高さ制限を七十五メートルに変更したのは二○一三年六月、約一年後です。
普通、莫大なお金をかけて高さ制限に違反する設計を、しかも公募するなどということは怖くてとてもできないはずです。どうしてこれができたのかというと、都市計画について権限を持つ東京都が認めたからです。
私、きょう持ってまいりましたけれども、ここにそのときの議事録があります。国立競技場の建設は、都が関係ないどころか、国立競技場の改築を進めている--国立競技場の将来競技場のデザインの公募が議題となった、この国立競技場将来構想有識者会議第二回目、このときにこのことが話し合われています。
ここには東京都知事、当時は石原知事、現在は舛添知事が加わっています。そして、新競技場のデザイン公募が議題となった二〇一二年七月十三日の第二回有識者会議では、知事代理で秋山副知事が出席しております。
このときに何といっているか。黒塗りの部分があって全文は読めないんですが、権限上、都市計画の見直しが可能でございますと述べています。東京都が七十メートルでいいですよ、高さ制限を変更しますよといったから、七十メートルでの公募になったのではないでしょうか。
そもそもアジェンダ21では、新規建設は地域にある制限条項に従わなければならないといっています。それは事実ですよね。確認します。
○荒井輸送担当部長 アジェンダ21におきましては、新規施設の建築におきまして、地域にある制限条項に従わなければならないと書いてございます。
○里吉委員 アジェンダ21を遵守する立場からも、都市計画に責任を持つ立場からも、東京都は重い責任を持っているわけで、その責任を果たしていただきたいんです。
ここでいっている高さ制限というのは、二十メートルの高さ制限をきちんと手続を踏んで変えてから、七十メートルになって、それから公募をするということをアジェンダ21は別に妨げているわけではありません。
しかし、こうやってトップダウンで決めてしまう、こういうやり方が本当に許されるのか。本当に大問題だと思うんです。
東京都は責任がないどころか、こうして新国立競技場の改築にかかわる地権者として、明治公園もそうですし、都道もそうですし、都営住宅も持っていますけれども、その地権者として責任を持たなければいけないということを自覚していただきたいと思います。
そして、この地域、神宮外苑地区地区計画の決定における同意ということで、その同意の条件として、今後とも十分な協議を行うことや、新国立競技場の周辺都道の円滑な交通、良好な環境、安全を確保すること、計画地が風致地区であることを踏まえ、景観や周辺の環境に最大限配慮した計画にすることなどを条件に挙げているんです。都民の意見を踏まえて、都としての責任を果たすべきだと考えます。
そういう点でいえば、今、霞ヶ丘のアパート、都営住宅ですけれども、ここで住民の方々が、最初から説明もないままA4の紙一枚で立ち退きを知らされて、いまだに行くところもない、出ていきたくないといって不安な日々を送っている、こうした問題もそうですけれども、今、この問題について真剣に検討していくときに来ているのではないかと考えます。
次に、環境アセスメントについても伺っていきたいと思います。
新国立競技場、オリンピックスタジアムというふうに環境アセスメントでは述べられておりますが、これは、初期段階のアセスメントを行って出された予測評価はどのようなものだったのか、特に日陰や緑、景観などについて伺います。
○荒井輸送担当部長 初期段階環境アセスメントは、立候補ファイルの作成段階で実施しており、日本スポーツ振興センターによるデザイン募集の結果が出る以前に想定した条件に基づくものであります。
ちなみに、当初の想定に基づく予測評価においては、代償措置等を講じないと中程度の影響があると評価されております。お尋ねの緑、日影、景観につきましては、緑被率の減少や日陰の影響がマイナスの影響として報告されております。景観については特段の影響は報告されておりません。
なお、現在行っている実施段階環境アセスメントにおいて、基本設計など最新の情報に基づき、改めて予測評価を行うこととしております。
○里吉委員 私も初期段階アセスメントの予測評価結果を見させていただきました。評価点を見るとマイナスが多いですね。マイナスのついている項目を挙げますと、大気、土壌、水循環、生物生態系、緑、騒音、日陰、自然との触れ合い活動の場、歩行者空間の快適性、九項目になっています。
特に近隣住民の皆さんなどからも心配の声が多く寄せられている環境問題では、緑被面積は現況二九・三%が二〇・三%に九ポイントの減少、日陰は会場エリア北側の日陰の規制地域まで及ぶなどというふうに記載されています。
これは初期段階のアセスメントで、先ほどご説明いただきましたが、招致活動中に作成し、立候補ファイルに掲載しているものですから、まだ大枠の計画しかない中で出されたものです。それでも、この時点で既にこれだけのマイナスの影響が国立競技場のところでは出ていたということです。
さらに、先ほど影響がないといっておりました問題、景観ですね、これは、今大変大きな新国立競技場をつくるというふうに計画が変わりましたから、さらに環境アセスメントを行えば、今より大分、景観などもマイナスがふえるのではないかというふうに思います。
それで、環境アセスメントは今、次の段階に入っておりまして、招致が決定したことを受けて、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック環境アセスメントを行うということになっています。この環境アセスメントを行う目的、その内容や進捗状況について伺います。
○荒井輸送担当部長 現在、都が実施しておりますオリンピック・パラリンピック環境アセスメントの実施段階アセスメントは、大会開催に伴う環境影響の回避、最小化、代償を行うとともに、大会を契機とした東京の持続可能性の向上に資することを目的としております。
本年三月、環境影響評価項目や調査方法を記載した調査計画書を策定し、都民意見の募集、オリンピック・パラリンピック環境アセスメント評価委員会の審査を経て、五月末に環境局長から審査意見書を受領したところでございます。
今後は、環境や社会経済への影響の予測評価とマイナスの影響を極力回避、抑制するためのミティゲーション、代替措置等を記載した評価書案の作成を進めてまいります。
○里吉委員 これから本格的に進めるということです。
それで、私も見させていただいたんですけれども、これから始まるという計画なんですけれども、どのような意見が出されているのか。環境局長から審査意見書が出た。評価書案の作成に入るという段階で、専門家の審査意見書というのが出ていまして、これが国立競技場についてどのように書いてあるか。
例えば日陰の問題。日影については、オリンピックスタジアムの周辺に日陰が生じることによる影響に特に配慮すべき施設等が存在することから、現地調査においては、既に設定している調査地点に加えて、工事の施行計画が明らかになった段階で、新たな調査地点の追加について検討し、予測評価すること。
景観についても同じようなことが書かれています。
それから、緑についても、オリンピックスタジアム計画地周辺の明治神宮外苑については、歴史的な経緯を有する場所であるとともに、風致地区であることに鑑み、緑の保全、保護に最大限の配慮をすること。なお、現地調査等については緑の状況を把握するほか、樹木等が有する歴史的な経緯や地域社会とのつながりなどについても、慎重かつ丁寧な調査を行うことと。
私、全部読んだんですけれども、会場名が名指しで書かれているのはオリンピックスタジアム計画だけでした。これは、施設建設による環境への影響がそれだけ大きいということのあらわれだと思うんですね。
それで、伺いたいんですが、この出された審査意見書の意見は今後どのように生かされるのか伺います。
○荒井輸送担当部長 今後、調査計画書及び審査意見書を踏まえて、基本設計など最新の情報に基づきまして、改めて予測評価を行ってまいります。
○里吉委員 今後、これから予測評価を実施するということなんですが、このアセスメントは、実は法や条例に基づく環境アセスメントが義務づけられていない事業を対象にするという点で、自主的なアセスメントだというふうに報告されています。
また、このアセスメントの説明を読みますと、二〇二〇年東京大会の実施に当たり、IOCの要求を満たすため、これをやるんだというふうに書かれているんですね。
つまり、今、東京都は、法や条例に義務づけられていない環境アセスメントをあえて行っていると。これはつまり、IOCの要求、IOCはアジェンダ21で環境に配慮したオリンピックを推奨していますから、これを遵守するという立場で、この環境アセスメントは行っていくべきだと思うんですね。
史上最高のオリンピック・パラリンピックをやっていこうということであれば、環境面での配慮も、国内の現行法以上にアジェンダ21が求める水準で取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
○荒井輸送担当部長 実施段階環境アセスメントは、立候補ファイル提出に当たって、全会場の初期段階環境アセスメントを要求するIOCの方針に鑑みて、法、条例上の対象外施設も含めて任意で実施することとしたものであり、法令以上の取り組みを行っているものと考えております。
○里吉委員 やらなくていいものをアセスメントとしてやっているから、それだけでも法令以上だと。おっしゃるとおりですけれども、やるんだから、その結果も法令以上にきちんと対応してほしいということを私は申し上げているんです。
新国立競技場は間もなく実施設計に入ると伺っています。環境アセスメントによって、環境を保全するためには計画の変更、改善が必要となったのに、もう設計をしてしまったから変更できませんなどというふうになってしまっては、せっかく環境アセスメントをやった意味がなくなってしまうと思うんですね。
そこで、都として、せっかく環境アセスメントをやっているわけですから、東京都として結果も求めていくべきだと思うんです。これを変更することも含めて、ぜひそういうふうにしていただきたいと思うんですが、見解を伺います。
○荒井輸送担当部長 都としましては、今後行いますアセスメントにおきまして、環境や社会経済への影響の予測評価とマイナスの影響を極力回避、抑制するためのミティゲーション、代替措置等を記載した評価書の作成を進めていきたいと考えております。
○里吉委員 とかく日本のアセスメントはアワセスメントというふうにいわれますけれども、そういうことでは困るわけです。とにかく計画どおりやらせてもらいます、配慮はできる範囲でやればいいということであれば、何のために法令以上に環境アセスメントをやっているのかということになると思うんですね。少なくとも、せっかくやるわけですから、厳しい取り組み、環境や景観を守っていくということを強く求めたいと思います。
そもそも、何度もここで発言もありましたけれども、私もいいましたけれども、アジェンダ21は既存施設を修理しても使用できない場合に限り、新しくスポーツ施設を建設することができると、既存施設の最大限の活用を求めていて、そういう点では、陳情にあるように、改修も含めて抜本的に見直すべきです。
かつてJOC自身が発注した久米設計改修案というものがありますが、これは収容人数七万人、屋根つき、地下にサブトラックもあると、当時の予算で七百七十七億円、こんなものもありました。それ以外に著名な建築家の方による幾つもの改修案も出されています。
そして、陳情にもあるように、世界各国の競技場を見ると、七十年、八十年たった競技場を改修して活用しているものが少なくありません。
スペインのマドリードにあるサッカー専用スタジアム、エスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウは、一九四七年、その後改修や拡張を繰り返して、今回は大規模改修を行うという計画になっていると。
イタリアのローマにあるスタディオ・オリンピコは、一九五三年にできて、一九六〇年のローマ・オリンピックのメーンスタジアムになりました。一九九〇年のワールドカップで使用するために半透明の楕円形の屋根をつけるなどの改修が行われています。
ドイツのベルリンにあるベルリン・オリンピア・シュタディオンは、一九三六年、ベルリン・オリンピックのメーンスタジアム、一九七四年に改善、二〇〇四年にはワールドカップのために拡張。
こうやって各地で、建てかえるのではなくて、広げたり、直したりしながらきちんと使っている、そういうことが世界各国で行われている。そして、東京五輪の調整委員長でもあるジョン・コーツ氏は読売新聞のインタビューで、会場の見直しを奨励する、こういう発言もしているわけです。
そういう意味では、今、これが東京都の責任の及ばないところだ、国がやることだといって逃げてしまうのではなくて、主催する東京として新国立競技場を本当にどうするのかということを考えていただきたいと思います。
先ほど述べませんでしたけれども、ここに書いてある発言、(資料を示す)高さ制限が二十メートルのときに知事代理が七十メートルでの公募を了承した。そして、そのときには、都市計画について、きちんとしていかなければならないという気持ちを新たにした。地元に対しては計画的に、時系列も含めて説明する詳細な計画を既につくっている、こういうふうにいって、東京都があの場所で七十メートルの新国立競技場をつくるための一番大事なゴーサインを出してしまった。ここに大きな責任があるということを自覚していただきたいと思います。
都の権限というのは、知事の一存で、法律や条例や、さまざまな手続を飛び越えて何でもやっていいということではありません。都民や地元区、住民の意見を踏まえて、環境を守り、持続可能な、適正な都市の成長を管理するために、都が責任を持つべきだということを改めて申し上げたいと思います。
最後に、財政負担についても伺います。
陳情でもこの財政負担はどうなるのかということが述べられていますが、共産党都議団は、この新国立競技場計画に関する質問状を文部科学大臣宛てに提出しました。マスコミなどで東京都に対して応分の負担を求めるというふうに報道されていることについて質問しました。
文科省からの回答書には、改築費用の資金調達については、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催都市である東京都に対し、一部負担を求めているところですとあるんです。
一部負担とは具体的にどのような負担を求められているのでしょうか。伺います。
○荒井輸送担当部長 お話の件につきまして、国からは、いまだ具体的な話には至っておりません。
○里吉委員 私、きょう、コピーを持ってきたんですけれども、正式に、八月四日に質問状を出しました。八月二十六日付の回答書が八月二十七日に郵便で送られてきたんですね。そこに書いてあるんです。東京都に対して一部負担を求めていることですと。共産党都議団に対して。
このことについて、国と何かやりとりはしていないんでしょうか。伺います。
○荒井輸送担当部長 文部科学省とは、新国立競技場に関してさまざまな意見交換を行うことはありますが、費用負担については、先ほど述べましたとおり、いまだ具体的な話には至っておりません。
○里吉委員 国立競技場については、私たちも最初に述べたように、国立ですから国費でつくることが当然だと思いますから、こういった東京都に正式にいっていない情報を、もし日本共産党都議団には答えたということであれば、信頼関係が傷つくことになるんじゃないでしょうか。このことについては都としても何らかの対応をするべきだと思います。これは申し上げておきます。
そして、国立競技場については、改築であれ、改修であれ、都が財政負担するべきものではないと考えますけれども、いずれにせよ、どこが出すにせよ、国民や都民の税金が使われるわけで、後利用についても八万席もの巨大スタジアムを維持管理することができるのか、この点についても多くの疑問や不安の声が出されています。
オリンピックのメーンスタジアム、二〇二〇年東京オリンピックを史上最高のオリンピックにしようと、今、皆さん一生懸命努力されていると思うんですね。ですから、そうであるならば、将来に負担とならず、ふさわしいメーンスタジアムに、今からでも改修も含めて抜本的に見直すべき、今ならまだ間に合うと私は思います。
よって、本陳情につきましては、趣旨採択を主張し、私の質問を終わります。
○あさの委員 私からは、ちょっと二点ほど確認だけさせていただきたいと思います。
今までのお話であったとおり、何度もいいますけれども、新国立競技場は国立の競技場ですから、あくまで国、JSCが事業主体となって行っていくものであります。
その中で、東京都はオリンピックで借りるだけなんだと。もっといえば、この新国立競技場、予定されているのは二〇一九年ですか、ラグビーのワールドカップがこけら落としになるんじゃないかといわれておりますけれども、それをやって、その後オリンピックということで、あくまで競技場として国が建てかえをして、それをオリンピックのメーン会場として借り受けるというのが東京都の立場だというところはまあ理解はできるんですけれども、一般的に、この国立競技場の建てかえの話というのは、やはりオリンピックの招致、そしてその招致の成功によって具体的に動き出したというのが今まで見てきた感想だと思うんですね。
都民の人たちもどう見ているかといえば、それは当然国立競技場で、国立か云々かということをどこまで意識しているかという問題はありますけれども、少なくともオリンピックのために改築されるんだろうな、建てかえられるんだろうなというふうに見ている人が大多数だと私は思います。
そういった中で、オリンピックのためにというか、オリンピックを契機に建てかえになるというものを、事業主体が国だから、もちろん責任はあくまで国、JSCにあって、そこがやるべきだと私も思いますけれども、とはいえ、その国立競技場の建て方、あるいはどんなふうになっていくのかというのは、やはり国との話し合いというか連携の中で進めていかなければならないんだと思うんですね。
ですから、国立競技場の改築に関して、国と意見交換や提言をある程度することはあるんだと思いますけれども、これが本当に全くできないかどうかについては、一回まず確認をしておきたいと思います。
○荒井輸送担当部長 東京都といたしましては、国及び日本スポーツ振興センターに対しまして、新国立競技場が二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて着実に整備されるように要望しております。
また、大会運営に必要な施設要件などについて意見交換を行うとともに、必要な整備への協力を求めております。
○あさの委員 もちろん意見交換をちゃんとしていきますよということであれば、当然国に対して、ああだこうだいうチャンスはあるんだと思うんですね。
ただ、先ほどのお話の中にもありましたが、正直難しいところは、お金を出さずに口だけ出す、これがなかなか難しいんだと私も思います。
正直、国はきっと、東京オリンピックをやるんだし、そのための規模もあわせてつくるんだから、正式に求めているかどうかは別として、ある程度お金を出してほしいなという思いはあるだろうなというのは外から見ていてもわかるんです。わかるんですが、それにほいほいと、いいですよ、いいですよといって出すほど東京都も甘くないだろうと私は思っております。
とはいえ、いろいろいいたいこともある、でも、お金は出したくないという中で、どう話を進めていくのかというのは非常に難しいところがあると思います。
私たち都議会民主党としては、当然、国からの要望に対して、ほいほいと、おいそれと、わかりました、じゃ、何でも出しますというふうにはしてほしくないということはずっと申し上げておりますし、そういったバランスの中で、意見具申、提言というのは伝えていかなければならない。
ただ、このオリンピックの招致、もとはといえば、石原元都知事がかなり強烈にやって進めてきたというところもありますが、石原元都知事の口癖でもありました、東京都の強みは何か、現場を持っていることなんだということですね。現場、つまり都民の生活や、あるいは環境や、そういったものを持っているということは強みであるということをずっといっておりました。
これは私、そのとおりだと思うんですね。国が全くそれを意識しないとはいいませんが、少なくとも国よりもそのことに対して造詣が深いのであれば、そこに対しての声というものをある程度届ける責任も発生するんだということをぜひ覚えておいていただきたいと思います。
先ほど会場の規模についてもちょっとお話がありましたが、オリンピックは国際的なイベントです。規模も通常とは全く違うと私も思います。なので、ある程度大きな規模のものを用意しなきゃいけない、これは事実だと思います。
ただ、一方で、毎年のように、そんなでっかい大会をやるかというと、そうそうでかい大会というのはなかなか開けないよなというのが事実だと思うんですね。
今回の国立競技場の収容人数、オリンピックで八万人規模というのを確保しなければいけないというのは、これはしようがないんですけれども、逆に、それに合わせてずっと恒久的な施設として置いておくことで、例えば維持管理費がかかる。維持管理費がかかるので、使用料とかにはね返ってくる。そうすると、結果的に、新しくなったものを使いづらくなる。スポーツ施設として使いづらくなってしまっては本末転倒だと僕は思うんですね。
もちろん、コンサートだ何だに使うというのは、別に使ってもらって構いません。当然、僕の持ち物じゃないんで、構いませんなんていえないんですけれども、ただ、コンサートとかで使って、そこで収益を出して運営費を賄うという考え方は全然賛成できるんですが、もちろん、あくまでスポーツのために整備されていて、スポーツ振興で進めていこうという中で、そこが、コンサートだ何だがいっぱい入ってきているんで、スポーツでは使えませんとなっちゃうと、これは何のためにつくったんですかという話にもなりかねないと思うんですね。
なので、いろんな考え方の中で、国立競技場の収容人数、今八万人という規模で大きくつくっているというのがありますけれども、結果として使いづらくならないように、例えばロンドンのように観客席の一部を仮設にして、オリンピック後に適正な規模に戻すということもやれると思うんですが、こういうのは検討しているかどうかについて、東京都がどう把握しているかについて伺いたいと思います。
○荒井輸送担当部長 新国立競技場におけます観客席の一部仮設化につきましては、日本スポーツ振興センターが主催する、国立競技場将来構想有識者会議の中で、八万席のうち二万席を仮設とした場合の検証結果が資料にて情報提供されております。
この中では、観客席を仮設にしてもコスト縮減にはつながらないとしております。
○あさの委員 今お話しのあったとおり、確かにこれはコスト削減につながらない。
なぜかというと、キールアーチと呼ぶ屋根がごんとあるので、支えたりなんだりとする構造上の問題なのか、要はそれを仮設にしようが何にしようが、余り全体的なところに影響しないよという話が出ているということを伺いました。
要は、これは一般の建築でもよく私も聞くんですけれども、意匠設計と構造設計の問題ですね。
意匠設計屋さんというのが結構ダイナミックにいろんなものをつくるんですけれども、構造設計屋さんが、いや、それ、実現無理だからという話になっていくという課題が結構一般の建築物でも出てくることがあって、それを現実に合わせて一生懸命やって、最終的につくり上げるんだけれども、そのところの管理をちゃんとしていないと、最終的な設計図が、実は後になって改修しようと思ったら、設計図と現実の建物が違うと。外見は一緒なんだけれども、中身が全然違うようになっていて、改修するのに物すごい手間がかかるということも多々あったらしいんですね。
改修自体がいつ来るかは問題としているにしても、この新国立競技場も、構造設計、現実の建物として建てることを考えたときに、ただただデザインだけを重視して、かたくなにそこに突き進むというのが本当にいいのかどうかということは、どこかで一回立ち戻って考えなきゃいけない。
しかし、大会に間に合わせるということが必要ですので、これはもう絶対条件ですから、それの時間的な制約の中でできることをどんどん判断していくというのは必要だと思います。
最後に一言だけ申し上げておきますが、これはちょっと局が違うということで今回質問しませんけれども、例えばヨーロッパの田園風景の中にある高圧電線用の鉄塔なんていうのは、日本の場合は山の中に建っていても、思いっきり灰色の金属の色で建っておりますけれども、ヨーロッパの一部の国では、例えば田園風景であれば緑色に塗って鉄塔を建てる。必要だからもちろん鉄塔は建てざるを得ないんです。そんなことはわかっている。だけど、景観にある程度配慮はしようということで、色をちょっと調和させてみるとか、そういうこともやるんですね。
だから、もちろん、今回計画でどういうふうに建てるか、規模の問題もある。だけど、その中でもできることというのは、これは知恵を絞ることだと思うんです。その知恵を絞る努力をしているかどうかが見えるかどうかということが一番大事だと私は思うんですね。
なぜなら、オリンピックは、あのとき私たちはオールジャパンでといったんです。このオールジャパンには、オリンピックに賛成だった人も反対だった人も、あるいは、今現在オリンピックを懐疑的な目で見ている人も含めて、オールジャパンという広い心を持つことが実は一番大事なんだと私は思います。オリンピックの精神というのは、まさにそうやって全員で成功させようという意識になることだと思うんです。
かたくなに全部の意見を聞けとはいいません。しかし、そういった出てくる意見の中で、知恵を絞ったら何とかなるんじゃないかというところを全力で考えてみるということは、先ほどからいろんなことが出てきていますけども、文書以上に、まさにオリンピックが求めている精神なのではないかと思いますので、ぜひともそういったところ--時間的な制限があるこの陳情に対しては、正直なところ、私もこれは今のタイミングで採択することは難しいと判断いたしますが、少なくともそういった知恵を絞ることをぜひお願いして、私の意見とさせていただきます。
○小松委員 本陳情の趣旨を採択すべきとの立場から意見を述べます。
神宮の森は一九二六年、この地区が東京都の風致地区第一号として指定されて以来、都民が守ってきた財産であり、ここに巨大過ぎる新国立競技場の建設が計画されていることについては、歴史的景観を大きく損なうこと、莫大な建設費が想定されることなどから、建築や都市計画、学者など多くの専門家が反対の声を上げています。
昨年六月の東京都都市計画神宮外苑地区地区計画決定において、それまでの風致地区制度に基づく高さ制限を十五メートルから五倍の七十五メートル、建蔽率を四〇%から七〇%へと変更する大幅な緩和が行われ、異様ともいえる規模の施設建設が進められようとしています。
しかし、それによって、百年かけてつくり上げられてきた貴重な緑が失われることは回避すべきと考えます。
昨年十月に財務省主計局が示したオリンピック・パラリンピック開催に係る国の関与についてとされる資料がインターネット上に公開されていますが、この中に、平成二十三年十二月十三日に閣議了解された事項として、次のような記載があります。
冒頭、オリンピック・パラリンピック競技大会の開催は、国際親善、スポーツの振興等に大きな意義を有するものであり、また、東日本大震災からの復興を示すものとなるものであることから、平成三十二年、二〇二〇年第三十二回オリンピック競技大会、第十六回パラリンピック競技大会を東京都が招請することを了解するという記述に続いて、注目すべきは次の点です。
現在、国、地方とも財政改革が緊急な課題であることに鑑み、簡素を旨とし、別紙に掲げる方針により対処するものとすると書かれ、別紙の第一番目に、大会の開催に係る施設については、既存施設の活用を図ることと明記されています。国は決して新設を奨励していたわけではないということです。
さらにまた、別紙の二番目には、新設する施設の将来にわたる管理、運営については地元の責任と負担を主体として行われるものとすることと記載されており、すなわち、もし新設なら、その後の数十年にわたる長い将来の維持管理やメンテナンスにかかる費用は、地元すなわち東京都が負担せよということが閣議で了解されています。
施設が巨大であればあるほど維持管理費が莫大なものになることは、この都庁舎の例を見ても間違いありません。
東京都は、招致自治体としての主導権を発揮し、少子高齢社会に見合ったコンパクトな施設づくりやまちづくりを進めるべきと考えます。
よって、本陳情の願意に賛同するものです。
以上です。
○小竹委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、いずれも趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○小竹委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二六第三八号から陳情二六第四一号までは、いずれも不採択と決定いたしました。
陳情の審査を終わります。
以上でオリンピック・パラリンピック準備局関係を終わります。
○小竹委員長 これより生活文化局関係に入ります。
初めに、先般の人事異動により幹部職員に交代がありましたので、局長から紹介があります。
○小林生活文化局長 七月十六日付人事異動で生活文化局幹部職員に交代がございましたので、ご紹介させていただきます。
都民生活部長の山中康正でございます。文化振興部長の鳥田浩平でございます。
以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者挨拶〕
○小竹委員長 紹介は終わりました。
○小竹委員長 次に、第三回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○小林生活文化局長 平成二十六年第三回定例会に提出を予定しております生活文化局関係の議案についてご説明申し上げます。
今回提出を予定しております議案は、条例案二件でございます。私から、概要をご説明申し上げます。
お手元の資料第1号、平成二十六年第三回東京都議会定例会議案の概要をごらんください。
表紙をおめくり願います。今定例会に提出している条例案をお示ししております。
1、東京都消費生活条例の一部を改正する条例でございます。
本条例は、薬事法の改正に伴い、規定を整備するものでございます。
続きまして、2、東京都私立学校教育助成条例の一部を改正する条例でございます。
本条例は、私立学校振興助成法等の改正に伴い、助成の対象となる私立学校に幼保連携型認定こども園を加えるものでございます。
詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○桃原総務部長 局長からの概要説明に引き続きまして、私から、今定例会に提出を予定しております議案の詳細についてご説明申し上げます。
恐縮ですが、お手元配布の資料第1号、平成二十六年第三回東京都議会定例会議案の概要の表紙と目次をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。
1、東京都消費生活条例の一部を改正する条例でございます。
(1)、改正理由及び(2)、改正内容をごらんください。本条例は、薬事法の改正に伴いまして、第五十二条第一項中、薬事法を医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に改めるものでございます。
(3)、施行期日につきましては、平成二十六年十一月二十五日としております。
二ページをお開き願います。2、東京都私立学校教育助成条例の一部を改正する条例でございます。
(1)、改正理由でございますが、都は、私立学校を設置する学校法人等に対し、当該私立学校における教育に係る経常的経費について助成を行っております。
本条例は、子ども・子育て支援法及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部改正に伴う関連法の整備によりまして、私立学校振興助成法等が改正されることに伴いまして、本条例において助成の対象となる私立学校に幼保連携型認定こども園を加えるものでございます。
(2)、改正内容でございますが、第二条第二項中「学校法人が都の区域内に設置する」を削り、「特別支援学校」の下に「並びに就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第二条第七項に規定する幼保連携型認定こども園であって、学校法人が都の区域内に設置するもの」を加えるものでございます。
なお、学校法人以外の設置者に対する経過措置に関する附則の規定も整備するものでございます。
(3)、施行期日につきましては、法の施行の日としております。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○小竹委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。--なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○小竹委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○武市私学部長 東京都幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営の基準に関する条例についてご報告申し上げます。
幼保連携型認定こども園は、子ども・子育て支援新制度の来年度からの施行に伴い、学校としての教育及び児童福祉施設としての保育を行う単一の施設となります。
私立幼稚園が生活文化局、公立幼稚園が教育庁の所管であるため、本委員会にご報告申し上げるものであり、生活文化局から一括して報告させていただきます。
本条例は、保育を所管する福祉保健局と私立幼稚園を所管する生活文化局との共管であり、厚生委員会に付託されることになっております。
なお、本条例につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十九条に基づき教育委員会に意見照会し、異議なしとの回答を得ております。
お手元の資料第3号をごらんください。東京都幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営の基準に関する条例でございます。
就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部改正に伴いまして、新たな幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営の基準を都道府県が条例で定めることとされたことを受けまして、条例を制定するものでございます。
本条例は、一部改正法の施行の日から施行することとしております。
条例案の詳細な内容につきましては、別添の資料をご参照いただきたいと存じます。
以上、甚だ簡単ではございますが、東京都幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営の基準に関する条例についての報告を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○小竹委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
○里吉委員 それでは、資料要求をさせていただきます。
まず一点、東京都幼保連携型認定こども園について、今回の新設条例で定める基準及び規則で定める基準の一覧。
二点目、幼保連携型認定こども園について、国の基準、東京都の認可保育園、幼稚園の基準及び現行の幼保連携型認定こども園の基準、今回定める基準、これらを比較できる表を要求いたします。
よろしくお願いします。
○小竹委員長 ほかにございませんか。--ただいま里吉委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小竹委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
以上で生活文化局関係を終わります。
○小竹委員長 これより教育庁関係に入ります。
初めに、先般の人事異動により幹部職員に交代がありましたので、教育長から紹介があります。
○比留間教育長 さきの人事異動で教育庁幹部職員に交代がございましたので、ご紹介させていただきます。
次長の松山英幸でございます。総務部長の堤雅史でございます。都立学校教育部長の早川剛生でございます。
以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者挨拶〕
○小竹委員長 紹介は終わりました。
○小竹委員長 次に、第三回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○比留間教育長 平成二十六年第三回東京都議会定例会に提出を予定しております議案の概要につきましてご説明申し上げます。
初めに、条例案でございます。
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例でございまして、葛飾区に東京都立水元小合学園を設置するものでございます。
次に、契約案でございますが、都立新島高等学校(二十六)改築工事請負契約でございまして、都立新島高等学校の校舎棟、その他の建設工事を行うものでございます。
以上が教育庁関係の案件でございます。
議案の詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○堤総務部長 私から、議案の詳細につきましてご説明申し上げます。
まず、お手元の資料、平成二十六年第三回東京都議会定例会議案(条例)に基づき、条例案をご説明いたします。
表紙をおめくりいただき、目次をお開き願います。今回提出を予定しております条例案は一件でございます。
一ページをお開き願います。東京都立学校設置条例の一部を改正する条例でございます。
三ページの新旧対照表をお開き願います。特別支援教育の推進を図るため、東京都立水元小合学園を東京都葛飾区水元一丁目二十四番一号に設置するものでございます。
施行日は、公布の日からとしております。
次に、恐れ入りますが、お手元の資料、平成二十六年第三回東京都議会定例会議案(契約)に基づき、契約案をご説明させていただきます。
表紙をおめくりいただき、目次をお開き願います。今回提出を予定しております契約案は一件でございます。
一ページをお開き願います。都立新島高等学校(二十六)改築工事請負契約でございます。
契約の方法は一般競争入札、契約金額は二十二億八千四百二十万円、契約の相手方は東京都新宿区西新宿六丁目八番一号、大成・前田建設共同企業体でございます。工期は契約確定の日から平成二十八年五月三十一日まででございます。
主要施設十カ年維持更新計画に基づき、老朽化した校舎等の改築工事等を施行する必要があるものでございまして、三ページから六ページにかけまして案内図、配置図、各階平面図を、七ページに契約議案の概要を記載してございます。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○小竹委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
○里吉委員 それでは、資料要求をさせていただきます。
まず一点目、既に四校ある特別支援学校の高等部就業技術科の学校ごとの入試倍率の推移。これは開校から直近までお願いします。
二点目、鹿本学園と新設予定の水元小合学園の肢体不自由部門の学級数と児童生徒数の予測、二〇二〇年度までお願いします。
三点目、水元小合学園に配置予定の教職員数、知的・肢体部門別に校長、副校長、教諭、養護教諭、事務、用務、看護師、介護職員など、種別、職層別にお願いいたします。
最後に、水元小合学園に設置予定の重度重複学級の数をお願いします。
以上です。
○小竹委員長 ほかにございませんか。--ただいま里吉委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小竹委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
○小竹委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○白川教育政策担当部長 それでは、私債権の放棄についてご報告申し上げます。
お手元に配布しております文教委員会資料(報告事項)の一ページをお開き願います。
東京都債権管理条例第十三条に基づき、教育庁が平成二十五年度に実施した私債権の放棄についてご報告させていただきます。
平成二十五年度に放棄した私債権は、都立図書館の複写料金六件で、金額は合計千六百八十円でございます。
当該債権は、東京都立中央図書館及び東京都立多摩図書館の郵送複写サービスに係る料金で、平成十九年度から平成二十三年度までに発生し、以降、債務の支払いが滞っている債権でございます。
各債務者に対しましては、支払いの催告など徴収に向けて鋭意努力を重ねてまいりましたが、いずれの債権につきましても債務者が所在不明の状況で、実質的に回収不能となっていること、また、既に消滅時効に係る時効期間が経過しておりますが、時効の援用の確認を得ることもできないことから、平成二十六年三月に、これらの債権の放棄を実施したところでございます。
なお、現在、複写料金の納付は資料の郵送後としているところでございますが、これを見直し、本年十二月から事前納付の仕組みに改善してまいります。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
○早川都立学校教育部長 都立高校入試の採点誤りに関します答案の点検結果及び再発防止・改善策についてご報告いたします。
報告事項の2、資料1、都立高校入試の採点誤りに関する答案の点検結果についてをごらんください。資料は二ページでございます。
1、点検結果でございます。これは、平成二十五年度、平成二十四年度及び平成二十三年度に実施しました学力検査の誤りの状況でございます。
一番右の総計欄をごらんいただきたいと存じますが、三カ年分を合わせまして、答案の点検を実施した学校百七十五校のうち、誤りのあった学校数は九割を超える百六十五校、誤りの件数が三千五十二件、追加合格のあった学校数が十八校、追加合格となった人数が二十二人でございました。
2、これまでの経過をごらんください。
都立荻窪高等学校で新入生の学力を把握するために入試の答案を調べていた際に、採点の誤りが判明したことを発端といたしまして、これまで、(1)の学校における緊急点検、(2)にあります第一次調査と点検を進めておりました。このことは、第二回都議会定例会の本委員会におきましてご報告申し上げたところでございます。
資料三ページの(3)、第二次調査をごらんください。
この間、学校において二度にわたる点検を行ったにもかかわらず、その後の都教育委員会による点検で多くの誤りと追加合格者が判明しましたことから、それまでの点検で対象としなかった合格者の答案につきまして、都教育委員会による点検を実施いたしました。
その結果、新たに平成二十五年度実施分につきまして、百六校で二百七十九件の誤りと四校で四人の追加合格者が、また平成二十四年度実施分につきましては、七十七校で二百十七件の誤りが判明いたしました。
次に、(4)、第三次調査をごらんください。
第一次調査及び第二次調査を進める中で、平成二十三年度実施分の答案が全日制と定時制を合わせて延べ七十四校で保有されていることが明らかとなりました。
当該年度の受検生は、現在高校三年生であり、追加合格となった場合は、転学等の救済措置を講じることができる可能性が残されていることから、学校に保有されていた答案につきましても都教育委員会による点検を実施いたしました。受検者が全員入学した学校を除きました五十六校のうち五十二校で三百四十五件の誤りが見つかりました。
これらの点検を総括した結果が、冒頭ご報告申し上げました資料二ページの1、点検結果に記載しております実施年度別の内訳及び総計でございます。
続きまして、資料四ページ、3、教科別の誤りの内容をごらんください。これは、平成二十五年度実施分から平成二十三年度実施分までの三カ年分につきまして、誤りの内容を教科別にまとめたものでございます。
(4)、平成二十五年度、平成二十四年度及び平成二十三年度実施分の誤りの総計の表をごらんください。
誤答を正答として採点したが九百二十一件、正答を誤答として採点したが六百九十八件、合計点の算出に誤りがあったが七百九十二件でございまして、いわゆる単純ミスが全体件数の約八割を占めている状況でございます。
同ページ一番下の4、平成二十二年度実施以前の答案の取り扱いについてをごらんください。
資料九ページから一二ページまでの別紙2にございますとおり、平成二十二年度実施分から平成十九年度実施分の答案につきまして、各都立高校における保有状況を公表いたしました。これらの答案につきましては、当時の受検生からご希望があれば、平成二十七年三月三十一日までの間、答案の写しを交付することとしております。
恐縮でございます。次に、戻りまして、資料五ページから七ページにかけましてでございます。学校別、実施年度別の誤り件数の状況でございます。
なお、棒線となっている欄につきましては、廃棄により答案を保有していないことを示しております。
続きまして、資料の八ページをごらんいただければと思います。追加合格のありました学校名及び実施年度別の追加合格者数を記載しております。
先ほどご報告申し上げましたとおり、平成二十五年度実施分と平成二十四年度実施分を合わせて十八校、二十二人の追加合格者がございました。
追加合格となった全ての生徒及び保護者の皆様に対しましては、追加合格が判明した後すぐにご連絡をとり、順次、おわびとご説明に伺い、今後についてお話し合いを持っているところでございます。
既に通われていた私立高校から追加合格となった都立高校へ転学した生徒もおりますことから、生徒や保護者の方々が転学先の都立高校での生活に不安を感じることがないよう、学習指導面を初め最大限の配慮を行っております。
以上が採点誤りに関する答案点検結果でございます。
この点検結果を受け、追加合格者があった学校、採点誤りがあった学校の校長及び副校長に処分等を行うとともに、事務局においても、教育長以下、関係する職員に対して処分等を行いました。
また、教育委員につきましては、在任期間に応じて報酬の一部を自主返納することとしております。
続きまして、昨日、都教育委員会として策定いたしました採点誤りに関する再発防止・改善策についてご報告申し上げます。
資料一三ページをごらんください。この再発防止・改善策の策定に当たっての基本的な考え方といたしまして、二点掲げてございます。
一点目は、学校現場の視点も加味された都立高校入試調査・改善委員会の提言を踏まえ、実効性の高い方策を総合的に展開する。二点目は、再発防止・改善の取り組みが着実かつ円滑に進むよう、方策の具体的な実施に向けた進め方とスケジュールを明らかにするでございます。
続きまして、第1、再発防止・改善の方向と具体的方策をごらんください。
1、採点・点検に専念できる十分な時間と環境を確保するための方策といたしまして、三点掲げてございます。
方策1といたしまして、学力検査翌日から合格発表の前日までの日数を現行の三日間から四日間とし、あわせて、方策2といたしまして、学力検査翌日と翌々日の二日間について、生徒を登校させないことといたします。
第一次募集、分割前期募集の日程を例といたしますと、現行の二十五年度実施の入学者選抜日程から点検に充てる日数を一日ふやし、四日間といたします。
また、採点、点検を行う二日間につきましては、生徒を登校させないことで採点、点検に専念できる環境をつくってまいります。
また、方策3といたしまして、連続作業による集中力の減衰を避けるために、原則として作業五十分ごとに休憩を十分間設けるようにいたします。
なお、先ほどご説明いたしました方策1に伴う入試日程の変更につきましては、私立学校側とも既に合意しているところでございます。
次に、2、マークシート方式を導入するでございます。
具体的な方策でございますが、記号選択式問題と記述式問題を併用する現行の出題形式は維持してまいります。その上で、記号選択式問題の解答形式にマークシート方式を導入してまいります。
来年の平成二十七年二月実施の入試におきましては、学力検査を実施する都立高校の約一割に当たります二十校前後をモデル実施校として、試験的にマークシート方式を導入し、その効果及び課題について検証を行った上で、平成二十八年二月入試での全面実施に向けて、引き続き検討してまいります。
また、受検者に過度の負担がかかることのないよう、解答用紙は現行の様式から大きく変更することなく進めてまいります。
続きまして、資料一四ページ、3、採点・点検方法を抜本的に見直すをごらんください。
方策1といたしまして、読み上げ方式による採点、点検を二系統で行うことといたします。
具体的には、記号選択式問題及び作文などを除く記述式問題につきましては、答案を一部コピーし、読み上げ方式により二系統での採点、点検を行った後、二つの答案の照合を行い、その内容にそごがある場合には、再採点、再点検いたします。
次に、方策2でございます。作文等の記述式問題についても、同様に二系統で採点、点検を行います。
次に、方策3でございますが、採点、点検が終了した後、合格発表日までに合否ボーダーラインの上下の一定範囲にある受検者の答案を再点検いたします。
これは、採点誤りに伴い、本来合格となる受検者が不合格となることを未然に防止する必要があることから実施するものでございます。
次に、方策4でございます。先ほど方策2でも記載がございましたが、新たに採点、点検業務の詳細を定めた採点・点検実施要項を都教育委員会として作成いたします。
これに基づき、具体的な採点、点検体制や各担当者の役割分担を明記した実施要領を各都立学校で作成いたします。
次に4、採点誤りを起こしにくい仕組みをつくるをごらんください。
方策1といたしまして、完全正答を求める出題形式を変更いたします。
具体的には、図にございますように、現在は、A、D、B、Cという記述解答について、四つの記号が完全正答しているか否かについて採点、点検を行うとしておりますが、これを出題内容は変えずに一つの記号で解答できるようにすることで、採点、点検を簡素化いたします。
資料一五ページをごらんください。方策2といたしまして、点数の計算誤りを防止するため、解答用紙に各問題の点数を記入する欄を設けてまいります。
方策3といたしまして、正答表の様式を解答用紙の様式と同一の様式に改め、また部分点を与える際の基準を示してまいります。
方策4といたしまして、採点、点検の責任の所在を明確にするため、一定枚数で束にした答案用紙の表紙につけます解答用紙つづりという用紙の様式を改善いたします。
次に5、採点・点検に対する意識を高めるための方策でございます。
方策1といたしまして、新たに作成する実施要項に、採点、点検業務の意義の重要性につきまして明記いたします。
方策2といたしまして、初任者研修や職層研修等の研修内容に入学者選抜に関する内容を組み込んでまいります。
方策3といたしまして、採点、点検の際、各教科の採点責任者が校長に対して誤りの事例や業務の進捗状況を適宜報告する形を徹底し、学校組織を挙げて採点、点検に取り組む体制をつくってまいります。
方策4といたしまして、採点、点検に関する課題や改善策等について学校現場と都教育委員会が定期的に意見交換する場を設けてまいります。
次に、第2、セーフティネットの構築でございます。
方策1といたしまして、合格発表日以降、受検者からの申し出に基づき、採点済みの答案の写しを交付することといたします。
交付した結果、採点について疑義の申し出があれば、学校及び都教育委員会において再点検を行ってまいります。
方策2といたしまして、採点、点検の適正な実施を客観的に確認するため、合格発表以降、年度内に他校同士で点検を行う相互点検を実施してまいります。
方策3といたしまして、答案の保存期間を現行の一年間から三年間に延長いたします。
次に、第3、再発防止・改善策の効果検証でございます。
方策1といたしまして、再発防止、改善策の実効性を確認し、一層向上させるため、全受検者の二〇%の答案を抽出し、都教育委員会による再点検を行ってまいります。
方策2といたしまして、マークシート方式を導入したモデル実施校における実施効果などについて、都教育委員会による検証を行ってまいります。
最後に、安心して都立高校入試に臨んでいただくためにをごらんください。
受検者が安心して都立高校入試に臨むことができますよう、受検者、保護者及び中学校に対し、マークシートの一部導入や出題方法の改善内容などにつきまして、さまざまな手段を講じて周知を図ってまいります。
以上が都立高校入試の採点誤りに関する再発防止・改善策の概要でございます。
なお、参考資料といたしまして、再発防止・改善策の詳細の報告書をあわせて添付してございます。
以上で報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○小竹委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
○里吉委員 それでは、一点だけ資料要求させていただきます。
都立高校入試調査・改善委員会というのが行われていたと思うんですが、その第三回目の議事要旨を資料要求いたします。よろしくお願いします。
○小竹委員長 ほかにございませんか。--ただいま里吉委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小竹委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後二時二十八分散会
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