文教委員会速記録第八号

平成二十五年六月五日(水曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長畔上三和子君
副委員長山崎 一輝君
副委員長山内れい子君
理事中村ひろし君
理事栗林のり子君
理事鈴木 勝博君
関口 太一君
小山くにひこ君
野上 純子君
きたしろ勝彦君
古賀 俊昭君
いのつめまさみ君
村上 英子君

欠席委員 一名

出席説明員
生活文化局局長小林  清君
総務部長遠藤 雅彦君
広報広聴部長横山 英樹君
都民生活部長飯塚美紀子君
消費生活部長藤井 秀之君
私学部長榎本 雅人君
文化振興部長関  雅広君
都政情報担当部長梅田 弘美君
男女平等参画担当部長菊地 俊夫君
文化施設改革担当部長北村 俊文君
スポーツ振興局局長細井  優君
次長理事兼務岸本 良一君
総務部長中山 正雄君
教育庁教育長比留間英人君
次長庄司 貞夫君
教育監高野 敬三君
総務部長松山 英幸君
都立学校教育部長直原  裕君
地域教育支援部長谷島 明彦君
指導部長金子 一彦君
人事部長岡崎 義隆君
福利厚生部長前田  哲君
教育政策担当部長白川  敦君
教育改革推進担当部長出張 吉訓君
特別支援教育推進担当部長廣瀬 丈久君
人事企画担当部長加藤 裕之君

本日の会議に付した事件
教育庁関係
報告事項(質疑)
・都内公立学校における体罰の実態把握について
生活文化局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百四十五号議案 平成二十五年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 生活文化局所管分
付託議案の審査(決定)
・第百四十五号議案 平成二十五年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 文教委員会所管分
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○畔上委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の報告事項に対する質疑、生活文化局関係の付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行いたいと思います。
 これより教育庁関係に入ります。
 報告事項、都内公立学校における体罰の実態把握についてに対する質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行いたいと思います。
 発言を願います。

○中村委員 報告事項の都内公立学校における体罰の実態把握について及び体罰調査委員会報告書について質問します。
 これまで体罰の件数は、年二、三十件で推移していたようですので、今回の調査で百八十二件という数が出てきたことには大変驚きました。きのうの本会議の都議会民主党の代表質問でも、体罰の根絶に向けての取り組みを求めましたが、ぜひとも子どもの安全を守るためにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 ただ、今回は体罰の根絶ということに注視をしているのかもしれませんが、体罰の調査をして、その後どういう対応をしたのか、生徒児童がどうなったのかという視点が報告書からは欠けているのではないかと思います。体罰を受けた子どもに対して配慮に欠けた対応になれば、ますます子どもは傷つきます。
 報告書では、熱心な活動が萎縮しないようにとありますが、すべての体罰を一くくりにしてそのようにとらえては、絶対に許されない行為をした場合への対応まで不十分になってしまいます。
 また、生徒が体罰を受容する傾向にあるとの記載もありますが、すべての事例がそういうわけではないと思います。心に傷を負ったままの子どもがいるとの話も聞きます。そういう認識では、その後の対応が不十分になってしまいかねません。
 体罰はあってはならないという前提ですが、体罰があったときに、被害者である子どもの視点から見てどのような対応をするのかについて以下質問します。
 まず、体罰を受けた子どもは、体だけではなく心に傷を負い、その傷がずっといえない場合もあります。こうした場合、どう対応するのでしょうか。今回の報告書では触れられていませんが、その対応は今後の子どもの育成にとって大変重要です。
 教育委員会、学校含め十分な対応をする必要がありますが、対応を伺います。

○金子指導部長 学校におきましては、体罰などの事故が発生した場合、担任や養護教諭がスクールカウンセラーなどと連携いたしまして、児童生徒の心のケアを行っております。
 また、東京都教育相談センターにおきましては、特に緊急性の高い場合や児童生徒の心身への被害が重大な場合、アドバイザリースタッフを派遣するなどいたしまして、区市町村教育委員会と連携して各学校を支援しております。
 今後とも、児童生徒の心身の状況に応じて適切に対応するよう努めてまいります。

○中村委員 体罰後の教員の行動について、子どもへの配慮がなされているのか伺います。
 体罰を受けた後、学校でその教員と子どもは顔を合わせてしまうわけですから、配慮が必要になります。傷が広がらないようにすべきですが、対応について伺います。

○金子指導部長 体罰事案が発生した際には、児童生徒の心情に十分配慮し、事実関係を正確に調査することや全校集会で児童生徒へ説明すること、理解や協力を得るための保護者会を開催すること、また、部活動の場合は顧問を外すことなど、いずれの学校におきましても、児童生徒や保護者の状況に応じて、慎重かつ丁寧な対応を行っているところでございます。

○中村委員 対応について今お伺いしましたけれども、残念ながらそうではないというような事例もないわけではないようですから、きちんとこういった対応ができるように、またこれは徹底していただきたいと思います。
 今回、体罰があった学校名を公表しました。体罰根絶のため、また、いじめのように子どもが加害者ではなく、教員だからということで発表したようです。しかし、発表すれば、当然その学校ではどの先生が体罰を行い、どの子が被害を受けたのかという話になり、子どもが再び傷つくというおそれもあるはずです。
 今回の発表によって、体罰を受けた子どもの人権はきちんと守られたのでしょうか。お伺いいたします。

○岡崎人事部長 体罰があった場合には、被害を受けた児童生徒や保護者に対して、各学校において直ちに状況を把握した上で事実関係を説明するとともに、被害児童生徒の置かれた状況に十分配慮して、他の保護者や児童生徒への説明を行う必要がございまして、多くの学校ではこうした対応を適切にとっております。
 また、都教育委員会が今回調査を発表するに当たりましては、体罰の程度が著しい事案等を除き、学校名の公表にとどめ、被害児童生徒の影響に配慮しております。

○中村委員 今回は、報道によってこういう体罰の問題があって調査をしたので発表したのだと思います。今後どういう対応になるかわかりませんけれども、いずれにしても、子どもの視点からしっかりと配慮していただきたいというふうに思っています。
 次に、体罰が発生した場合、その教員の処分がどのように決まるのか伺います。
 都教育委員会では、直接子どもの意見を聞かないのでしょうか。最近では、通常の裁判でも被害者参加ということが進みつつありますが、これは厳罰を処すためということではなくて、被害の状況が正しく決定の際に反映されているかということ、そうではないと今後の子どもの成長にも影響が出かねません。
 通常の公務員の処分の手続と同様ということかもしれませんが、横領や着服のようなものと違い、傷つける相手がいて、ましてや相手は特別の関係にある教員と生徒児童であり、かつ今後の成長に影響があるので、配慮が必要ではないかと思います。
 単に被害者感情で厳罰にしろということではなく、その後の子どもの立ち直りにも影響があると思いますが、被害者である子どもの意見や感情はどう考慮されるのか伺います。

○岡崎人事部長 小中学校において服務事故が起こった場合には、まず、区市町村教育委員会や校長が事故者、被害児童生徒、目撃者などから事情を聞きまして、事実を認定し、都教育委員会に事故の報告を行います。
 都教育委員会は、事故者が事実関係を否認するなど、事実を十分に解明できない場合に、服務監督権者である区市町村教育委員会と連携して、必要に応じて被害児童生徒からも聴取を行っております。
 処分の決定に当たりましては、児童生徒、保護者が体罰を許容している、あるいは逆に処罰感情が強いといったことを理由に、量定が軽くなったり重くなったりすることは適切ではなく、都教育委員会が事情聴取などから客観的に認定した事実により、処分の基準や過去の処分例等を参考に、地方公務員法に基づき、公正かつ厳正に処分を行っているところです。

○中村委員 事情聴取は、市区町村の教育委員会が行って、そこから都教育委員会に報告が上がって処分を決めるとのことです。このため、子どもや保護者が対応に不満があっても、市区町村に聞くと都が決めるといい、都に聞くと市区町村からの報告に基づいているとして、どちらも十分な対応をしているとはいえないようです。
 こうした対応では、相談があってもたらい回しのように思われてしまいます。縦割り的な対応を見直す必要があると考えますが、所見を伺います。

○岡崎人事部長 服務事故が発生した場合には、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に従い、服務監督権者である区市町村教育委員会が事案を調査し、都教育委員会に報告、内申を行い、これらを受けて、任命権者である都教育委員会がみずからの判断で懲戒処分を行っています。
 都教育委員会及び区市町村教育委員会は緊密に連携し、それぞれの権限に基づき説明責任を果たしております。
 なお、体罰等の不適切な行為に係る相談を受け付けるため、今般新たに公益通報弁護士窓口を設置いたしました。

○中村委員 被害を受けた方からは、本当に複雑な思いもあるわけでしょうから、組織上の問題で、市区町村とか都とかということではなくて、きちんと対応ができるようにしていただければというふうに思っています。
 また、体罰を受けた子どもには、体罰をした教員の処分が全く聞かされないそうです。個人情報のためいえないとのことですが、一般的に公開することと、直接の被害者に伝えることとはまた違うと思いますが、見解を伺います。

○岡崎人事部長 懲戒処分は、刑事罰とは異なり、問題となる行為を行った職員に対して、任命権者として行う処分でございまして、法令に従い厳正に行っております。
 懲戒処分を発令した場合は、教職員にさらなる自覚を促し、服務事故の防止について徹底を図るため、公表基準に基づき、報道機関に情報提供するとともに、都教育委員会のホームページなどで広く公表しております。
 なお、こうした処分とは別に、体罰により被害児童生徒や保護者の中に対応への不満等がある場合には、学校において引き続き丁寧に対応してまいります。

○中村委員 懲戒処分を発令した場合は公表ということなんですが、それ未満の場合というのがなかなか知らされないということもあったり、そこに不満が残るということもあるようです。
 このことは、課題として今後検討していただきたいというふうに思っていますし、また、処分とは別に、丁寧な対応というのは当然やっていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 さて、処分については都教育委員会が行うのですが、外部の意見も必要との意見もあります。とりわけ個人情報の壁によって、その決定に外からかかわれないなら、せめて第三者機関をつくって、外から見えなくても、そうした機関がきちんと機能していれば納得できる場合もあります。
 第三者機関が必要ではないかと思いますが、見解を伺います。

○岡崎人事部長 処分の決定に当たりましては、区市町村教育委員会の報告や内申をもとに、客観的に認定した事実によりまして、処分の基準や過去の処分例を参考に、事務局が作成した原案を懲戒分限審査委員会で審議した上で、独立した合議制の執行機関である教育委員会が決定しているところです。
 したがいまして、この現行の仕組みは適切なものと考えてございます。

○中村委員 さて、処分の基準とはいかなるものでしょうか。起訴されたかどうかとは関係があるのでしょうか。子どもの傷を考えると、刑事告発までしたくないという思いも保護者にはあるようです。それが処分の差になるのでしょうか。どのようになっているのか伺いたいと思います。

○岡崎人事部長 処分に当たりましては、教育委員会に諮り決定した教職員の主な非行に対する標準的な処分量定、これを基準に過去の処分例と比較するなど、個々の事案について十分検討し、処分の重さを決定しております。
 起訴されたか否かにつきましては、処分の重さとは関係がございませんで、仮にその事案が刑事処分において不起訴となったとしても、教員として著しく信用を失墜させるような非行行為がある場合には、厳正に対処しております。

○中村委員 今の中で、処分は、標準的な処分量定に基づいてしているとのことでした。報告書の方では、今後処分量定の見直しということはありましたが、具体的にはどうなるのか伺います。

○岡崎人事部長 今回の調査によりまして、百八十二人の体罰や五百四十二人の不適切、行き過ぎた指導が明らかとなりました。これらを詳細に分析し、体罰と指導の範囲をさらに明確にするため、現在、部活動指導等の在り方検討委員会におきまして、ガイドラインの検討を行っております。
 今後、このガイドラインの検討に合わせまして、教職員にさらなる自覚を促し、服務規律の徹底を図るため、処分量定の見直しについて検討してまいります。

○中村委員 さまざま質問をさせていただきましたが、ご答弁ありがとうございます。
 これまで二、三十件だったというのが急にふえたということで、実際にふえたというよりも、新しく発覚してきたということだと思っていますので、本当に根深い問題だと思っています。
 体罰の根絶は何より大切ですので、万が一にもあってはなりませんが、起きてしまった後の対応はきちんとされなければなりません。単に問題のある教員の行為をなくすということだけではなくて、子どもが安全に学べる環境をつくることが大切です。そして、起きた場合には、その子どもの傷が一日も早くいえるようにすることが大切です。
 さらに一層の取り組みを要望しまして、質問を終わります。

○山崎委員 私も都内の公立学校における体罰の実態把握に関連して、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 我々都議会自民党は、都立高校改革を初め道徳教育の充実など、これまでさまざまな教育改革に取り組んできました。特に戦後教育の大きな課題の一つであった学校運営については、全国に先駆けて、教員の人事考課制度や主幹制度を導入し、校長のリーダーシップを発揮できる体制の整備に努めてまいりました。その結果、学校運営はほぼ正常化してきています。
 しかし、先般行われた都内すべての公立学校における体罰等の実態調査においては、百四十六校百八十二人の教師などによる体罰があったということに加えて、さらに三百三十五校五百四十二人が体罰ではないけれども不適切な指導を行ってきたことが安らかになりました。
 恐らく昨年度が特別多かったというものではなく、これまで潜在化していたものが、今回の調査によって浮き彫りになってきたのだと思います。
 法律で禁止されている体罰が調査によって多数明るみに出たということは、教育改革もいまだ道半ばといわざるを得ません。
 我々は都議選でもこの政策のパンフレットに掲げておりますが、都議会自民党が目指す若者に夢や希望を持てる教育都市東京を実現していくためには、まず、教育委員会はもとより、教師、子ども、保護者、地域の大人が一体となって、学校からいじめや体罰をなくしていくことに全力を傾け、子どもたちが希望に満ちた学校に通うことができるような環境を整えていくことが重要であろうと考えます。
 今回の調査の結果からは、子どもが決まりを守らなかったり、いうことを聞かなかったりしたときに、ついかっとなってたたいてしまったという例がたくさんあるということがわかりました。
 子どもたちに決まりを守らせるために、教師が世の中の決まりである法律を犯すようでは、果たして子どもが決まりや規則を守ることの大切さを学ぶことができるのでしょうか。暴力で矯正することをよしとすることしか学ばないのではないでしょうか。
 特に今回気になったのは、暴言による不適切な指導の多さです。まさか学校の先生が子どもをののしったり、そして、おどかしたり、罵声を浴びせたりするとは思っていませんでした。体罰は禁止であると法律に示されていますが、暴言をしてはならないとは書かれておりません。
 そこで、本来は、正しい言葉遣いや人としての思いやりの心を教えるべきはずの教師による暴言は許されるものではないと考えますが、まず所見をお伺いします。

○金子指導部長 このたびの調査で、体罰以外にも児童生徒を精神的に苦しめている暴言があることが判明いたしました。暴言は、児童生徒の心を深く傷つける行為であり、いかなる理由があろうとも認められるものではございません。
 暴言を用いることなく、心を揺り動かす言葉かけや働きかけによりまして、子ども自身が心から納得して反省できるようにすることこそが教育でございます。
 今後とも、こうした教師の重要な職責につきまして、改めて学校に周知徹底を図ってまいります。

○山崎委員 教師の暴言は、体罰よりも、かえってその子どもの心に刻まれ、一生残る、まさに心への暴力です。体罰とともに根絶に向けた取り組みを推進すべきです。
 今回、私の地元の江東区におきましても、小学校一校、中学校四校で体罰があったという報告がありました。既に新聞報道でも体罰のあった学校について、学校名が公表されております。
 改めて今回、学校名を公表するに至った経緯とその意義について伺います。

○岡崎人事部長 体罰は、単に児童生徒の身体に痛みや傷害を与えるにとどまらず、教職員との信頼関係を崩壊させ、さらには児童生徒が暴力を容認する態度を助長させることなどから絶対に許されません。
 体罰を根絶するためには、まず体罰の実態を明らかにすることが不可欠です。その上で、地域や保護者を含め、学校全体で体罰に関する認識を共有し、再発防止に向けた取り組みなどについて議論を行い、一体となって体罰根絶に向けて取り組む必要がございます。
 そのため、体罰の実例とともに学校名を公表することといたしました。

○山崎委員 今回の学校名の公表については、区市町村教育委員会や学校との間で少し認識のずれがあったと聞いております。都教育委員会、区市町村教育委員会、学校と教員が一体となって体罰根絶に取り組む体制を構築されるようお願いをいたします。
 今回の調査では、教師の体罰にとどまらず、外部指導員やOB、上級生からの暴力があったと報告されております。教師はもとより卒業生や在校生を含め、暴力による指導を一掃しなければなりません。そのためにも、望ましいスポーツ指導のあり方や、保護者や地域の理解や協力、多角的かつ十分な検討が必要であります。
 あわせて、道徳教育の一層の充実も必要です。子どもたちにルールを教えるべき教員や指導者がルールを守らないということは大きな問題です。このことは、改めて別の場面でお伺いをいたしますので、よろしくお願いいたします。
 今後、部活動指導等の在り方検討委員会において、総合的な対策を本年八月を目途に策定していくとのことです。しかし、可能な対策は一刻も早く進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○金子指導部長 五月二十三日に公表されました体罰調査の結果を重く受けとめまして、五月二十八日付で、暴力的指導の根絶に向けた取組の推進についてと題します教育長名による通知を、都立学校長及び区市町村教育委員会あてに発出いたしました。
 今後、本通知に基づき、暴力的指導をしない、させない、許さないとする三ない運動を、小中学校千九百二十三校、都立学校二百五十四校、すべての都内公立学校で展開してまいります。
 また、七月の服務事故防止月間を体罰防止月間と位置づけまして、暴力的指導が児童生徒に及ぼす影響を踏まえ、望ましい指導のあり方を追求するため、事例研究やチェックリストを活用した校内研修会を開催してまいります。

○山崎委員 都教育委員会が体罰調査の最終結果を公表すると同時に、そうした三ない運動の取り組みを都内全域で開始したことはとてもよいことだと思います。子どもたちが通いがいのある学校づくりをどの学校でも進めていってほしいと願っております。
 先週通知したばかりということですので、実際にはこれから各学校の取り組みが展開されると思いますが、今後、学校がどのように具体的な取り組みを行っていくのか伺います。

○金子指導部長 本通知におきましては、暴力的指導をしない、させない、許さない、それぞれの具体的な取り組み例を示してございます。
 例えば、スクールカウンセラーなど専門家と連携を図った怒りの感情を抑えるための校内研修を実施すること、教職員や生徒間の暴力は許されないことについて、全校集会における校長からの講話を実施すること、部活動では、顧問教諭と副顧問との役割分担を明確にいたしまして、閉鎖的な指導体制を改善していくことなどの取り組みを例示しております。
 各学校では、校長のリーダーシップのもと、こうした具体的な取り組みを通して、すべての教育活動から暴力的指導を根絶してまいります。

○山崎委員 都議会自民党は、教育立国日本の未来づくりのため、知、徳、体の基本に立ち返り、規範意識を高めることや学力、体力を向上させていくことを目標に掲げております。
 こうした目標を実現していくためには、学校はもとより、保護者や地域との連携は欠かすことができません。
 私の地元の江東区におきましても、こうとう学びスタンダードというものを定めました。これは、江東区の子どもたちが必ず身につけるべき学び方や学力、体力の内容を示した独自の取り組みであります。
 ここにパンフレット、リーフレットがあります。その取り組みを保護者や地域に知ってもらうためのこれがパンフレットです。体罰防止も同じであります。根絶に向けては、都教育委員会と区市町村教育委員会が一体となって取り組みを進めるとともに、各地域の保護者や地域の方々の理解や協力を得なければ実現するものではありません。
 そこで、体罰を根絶していくために、各学校では保護者や地域とどのように連携を図るべきと考えるか、都の教育委員会の見解を伺います。

○金子指導部長 体罰を根絶していくためには、体罰を容認する意識や風土を変えていく必要がございます。そのためには、学校は、部活動を含めすべての教育活動を今まで以上に家庭や地域に開き、保護者や地域の方々と体罰根絶についての認識を共有化するための話し合いの場を設けることが不可欠でございます。
 このため、各学校では、授業や部活動を一層積極的に公開すること、保護者会や学校運営連絡協議会におきまして、暴力的指導の根絶に向けた学校の取り組みを周知すること、学校評価アンケートを活用して、保護者や地域の方々の意識を確認したり、意見を聞いたりすることなど、家庭や地域と連携を図った取り組みを推進していく必要があると認識しております。

○山崎委員 体罰はいかなる理由があろうと行ってはいけないと思います。このことは、部活動指導においても同様であります。二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックを招致しようとしているスポーツ都市東京にあっては、暴力によってスポーツ指導を行ってはならないと思います。
 こうしたことは、公立学校にとどまらず、私立学校においても取り組んでほしいと思います。ぜひ私立学校にも情報提供していただき、公立学校も私立学校も地域のスポーツクラブも含めて、スポーツを楽しむ子どもたちの意欲を高める指導を追い求めていただきたいと切にお願いして、質問を終わります。

○野上(純)委員 体罰について質疑をさせていただきます。
 昔、荒れていた学校の事例なんですけれども--学校教育法というものは、昭和二十二年三月三十一日につくられたもので、第十一条は、校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童生徒及び学生に懲戒を加えることができる、ただし、体罰を加えることはできないということで、懲戒と体罰の違いにつきましては、本当にさんざんいろいろなところで議論し尽くされていたような状況であります。
 こういうときに、ちょっと荒れていたときの学校の事例では、本当に、生徒と、それから先生の人間関係がなかなかつかめないということで、子どもたちがいろんなものをぼこぼこに壊したり、先生たちにわざと怒りの感情を爆発させるようなことをいってみたりして、でも、先生たちは体罰はいけないということで、かたく両手をぐっと握り締めて、震える手をぐっと我慢して握り締めて、ずっと耐えていたというようなこともお話を聞きます。
 要するに、体罰によって子どもたちを指導するということは、逆にいえばなかなか効果が上がらない。そうじゃなくて、先ほど答弁がありましたけれども、本当に、心の中に打ち響くような言葉を投げかけながら、子どもの心を少しずつ変えていくことしかできないのかなというふうに思っております。
 体罰につきましては、文部科学省の通知におきまして、児童生徒の体に対する侵害、要するに殴ったり、けったり、つねったりというようなことだと思います。児童生徒に肉体的苦痛を与えるようなものということと定義されております。
 肉体的苦痛というので、長時間立たされたり、あるいは昔の映画でいえばバケツを持って廊下に立っていたりとか、そういうような肉体的苦痛を長時間にわたって与えるようなものじゃないかなと思っております。
 今回の体罰の実態調査に当たって、どのような行為が体罰に該当するのか、具体的な基準がなければ、学校ごとに体罰の判断が異なることとなって、体罰の実態を正確に把握することが困難と考えます。
 例えば、私が隣の古賀先生にちょっとこうぽっとやったのでも、人間関係ができていなければ、もうたたかれた、すごい暴力を振るわれたととらえるだろうし、人間関係ができていれば、ね、先生といってぽんとしたのも、普通の軽いあいさつみたいにとらえるわけで、それぞれの状況によって非常に難しい状況があると思うんですね。
 そういう意味で、児童生徒が体罰を受けたと回答した内容が確実に都の教育委員会まで伝わっていくことが必要ではないかと思っております。
 そこで、今回の体罰の実態調査における体罰の把握、あるいは認定の方法について、まず最初にお伺いいたします。

○岡崎人事部長 今回の調査は、体罰の実態を的確に把握するため、都内全公立学校の教職員に加えまして、児童生徒にまで調査対象を拡大いたしました。教職員や児童生徒から回答があった場合には、校長が関係者から事実関係を確認し、体罰の疑い例までも含めて幅広く都教育委員会に報告する仕組みとしたものです。
 報告のあったすべての事案につきまして、都教育委員会が定めた体罰の分類基準、これに基づきまして、各事案の状況を学校に十分に確認した上で、都教育委員会、区市町村教育委員会が共通の考え方で、体罰であるか、不適切、行き過ぎた指導であるか、指導の範囲内であるか、非該当であるかの仕分けを行いました。

○野上(純)委員 そのお話を聞いただけでも、すごい調査だったんだなというふうに思います。一個一個の事例を確認し、現場に行き、現場の声を聞いて、そして分類をして上げるという大変な調査内容で、お疲れだったと思います。お疲れさまです。指導部の皆様、また一緒になって教育庁の皆様、本当にお疲れさまだと思います。
 体罰の実態調査の最終報告では、体罰のあった学校について学校名が公表されております。百八十二人の百四十六校ということです。不適切、あるいは行き過ぎた指導のあった学校については公表されておりません。この数は、先ほども出ましたけれども、三百三十五校で、合計すると、二つ合わせると五百四十二人ということです。
 したがって、報告したにもかかわらず学校名が公表されていない事案は、これは不適切な指導に当たると考えられるわけですが、体罰と不適切な指導の区分は、一般の方にはなかなかわかりにくいものだと思っております。
 そこで、体罰と不適切な指導は、具体的にどこが違うかについてお伺いいたします。

○岡崎人事部長 今回定めました体罰分類基準では、体罰とは、児童生徒の身体を侵害する有形力の行使であって、具体的には苦痛を伴うような強さでたたく、殴る、ける、髪をつかんで引っ張るなどの行為をいうとしました。
 また、不適切、行き過ぎた指導については、体罰には至らない軽微な肉体的苦痛を与える程度の有形力の行使としまして、軽くたたいた場合や足で押す、しっぺ、こづくなどの行為をいうとしました。
 今回の調査では、不適切、行き過ぎた指導については学校名を公表しておりませんが、体罰と同様にあってはならないものでございまして、当該行為を行った者に対しても、処分や措置、指導を行うことなどを適切に対処してまいります。

○野上(純)委員 平成二十五年五月二十七日に、文部科学省が出しております運動部活動の在り方に関する調査研究報告書というのがございます。この中で、運動部活動の在り方に関する調査研究協力者会議というところで、運動部活動での指導のガイドラインを取りまとめております。
 このガイドラインでは、運動部活動の指導における厳しい指導と体罰等の許されない指導との区別について、具体的な事例が示されております。読ませていただきました。
 今回の調査で作成された体罰分類基準では、運動部活動での指導に限らず、体罰と指導の範囲をわかりやすく示しておりまして、これは画期的であると思っております。今回の調査結果では、体罰を行った百八十二人のうち三十二人が体罰と思っていなかったと回答しております。
 学校現場から体罰をなくしていくためには、早急にこれらの教師に周知徹底し、体罰と指導の違いを具体的かつわかりやすく示していくことが効果的であると考えます。
 そこで、運動部活動での指導のガイドラインや体罰分類基準を教員に周知する方法について伺います。
 文科省も、ぜひ自分のところを参考にして、それぞれの都道府県でしっかりとつくっていただきたいということを書いておりますので、よろしくお願いいたします。

○岡崎人事部長 今回都がつくりました体罰分類基準は、今回の調査で報告のあった約千件の事案につきまして、何が体罰であるかどうかの分類をするために整理したものです。
 お話の国が示した運動部活動での指導のガイドラインや私どもが今回の調査で得た体罰事例などを活用して、どのような行為が体罰に当たるのかにつきまして、すべての教員に対して意識喚起を行うため、来月七月を体罰防止月間と位置づけまして、都内全公立学校において体罰防止研修を実施いたします。
 今後、部活動指導等の在り方検討委員会におきまして、内容をさらに精査し、体罰と指導の範囲を明確にしたガイドラインを示してまいります。

○野上(純)委員 今回の調査で百八十二人の体罰が判明しました。体罰だけではなく、児童生徒に対する暴言などの不適切な指導も報告されております。
 言葉の暴力は、児童生徒の心に大きな傷を与え、体罰以上に深刻な影響をもたらすこともございます。この中にもパワーハラスメントと判断される言葉や態度による脅し、威圧、威嚇的な発言や行為、嫌がらせ等、また、セクシュアルハラスメントと判断される発言や行為、あるいは身体や容姿にかかわること、人格を侮辱したり、否定したりするような発言、それから特定の生徒に対して独善的、執拗かつ過度に肉体的、精神的負荷を与えるようなことも許されない指導として考えられるということで書いてあります。
 これらの言葉の暴力等の行為を放置しておくと、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントにも発展することも考えられます。
 そこで、言葉による暴力の今後の防止策についてお伺いいたします。

○金子指導部長 暴言は、児童生徒の心を深く傷つける行為であり、いかなる理由があろうとも認められるものではございません。暴言を用いることなく、心を揺り動かす言葉かけや働きかけによりまして、子ども自身が心から納得して反省できるようにすることこそが教育でございます。
 今後とも、こうした教師の重要な職責につきまして、改めて学校に周知徹底を図ってまいります。

○野上(純)委員 スポーツに関しまして、特に運動部活動の在り方に関する調査研究報告書の中に、トップアスリートとして活躍する者の中で、指導において体罰を受けた経験がないと述べる者がいらっしゃるということで、すぐれた指導者、適切な指導を行える指導者は、体罰を行うことなく、技能や記録の向上で成績を上げており、スポーツの指導において体罰は不必要であるということを述べてあります。これからもっと科学的な見地にのっとったスポーツ指導等も大事ではないかと思っております。
 都教育委員会では、体罰の根絶に向けて、部活動指導等の在り方検討委員会において、八月を目途に総合的な対策を検討するということでございますけれども、検討に当たっては、児童生徒の健全育成のため、教員が暴力や暴言に頼らず、毅然とした指導ができるようにするということが大事だと思っております。
 それともう一つ、過度に教員が萎縮することがないように、これはしっかりと対策を講じていただきたいということと、もう一つちょっとつけ加えまして、体罰調査委員会報告書の最後に書いてあるんですけれども、外部指導員の方たちにつきましては--教師に対しては、体罰をテーマとしていろいろな研修を定期的に実施しているけれども、外部指導員に対する研修に関しては、管理職からも顧問からもそういう研修を行っていないということが書いてあります。外部指導員の指導範囲、顧問等の連絡のあり方、事故を未然に防ぐための研修など、ぜひ学校と外部指導員との関係についてしっかりと、責任と権限があいまいになっていることも含めまして、そういう方たちにも体罰の指導を今後行っていただきたいと思っております。
 このこともお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

○鈴木委員 私からも都内公立学校における体罰の実態把握についての調査報告、このことについて、基本的なことを何点か質問させていただきます。
 今回は、大阪の市立高等学校においての体罰によりまして、キャプテンであった生徒がみずから命を絶つという大変痛ましい事件が発生したことに端を発しまして、大変体罰という問題が社会問題化して、今まさに文部省を含めて国や各自治体で体罰の根絶をするための取り組みが進められております。
 その一環として、東京都も、今回は大変きめ細かな体罰の実態把握をされたわけでございますけれども、今回、指導部の方に海外でこういう体罰について、どのようなケースがあるかということを調べていただきましたけれども、やっぱり海外でも全く同じような事件によって社会全体が大きく揺り動かされて、その中で体罰を考えていくという契機になったという事件が実はたくさんあるというお話を聞きました。
 イギリスのお話で、イーストボーンの悲劇というのがあったりとか、スウェーデンの中で、今のスウェーデンがどのように子どもの体罰を考える社会になったかというような話も伺いまして、まさに東京、この国日本というものが体罰をどう考えていくかという大きな契機に、彼の死をむだにせずに考えていく必要があるのではないかなというふうに思っているところでございます。
 そういう意味で、二度と大阪のような悲劇は起きないように、しっかりと子どもを体罰から守っていく、そのことをぜひ東京の皆さん方にはお願いをしていく必要があると思っております。
 そこで、このたびの体罰調査の結果をまずどのように受けとめられたか、そのことについてお伺いをいたします。

○岡崎人事部長 今回の調査により、都内公立学校におきまして百八十二人もの体罰が明らかとなりまして、深刻な事態であると受けとめております。
 体罰は、単に児童生徒の身体に痛みや障害を与えるにとどまらず、教員との信頼関係を崩壊させ、さらには、児童生徒が暴力を容認する態度を助長させることなどから、絶対に許されません。
 学校や区市町村教育委員会と一体となりまして、体罰の根絶に取り組んでまいります。

○鈴木委員 今、ご答弁いただきましたように、都の教育委員会としては、体罰をしっかりと根絶するという強い意思を持って、これから取り組んでいくということでございますので、ぜひそのことについては、強い意思を持って、私も期待していきたいというふうに思っております。
 そういう中にあって、今回の調査結果というのは、小学生から高校生まで幅広く子どもたちの授業、あるいは部活の中でのいじめの実態調査となっておりますから、そういう意味では、体罰のあり方そのものが随分といろんな多様性を帯びているんだろうなというふうに思っております。
 その根絶に当たっては、しっかりとした対策をまさにこれからとっていく必要があると思いますが、今後何を目的にしながら、どのような対策をそれぞれ講じていこうとしているか、具体的な内容についてお伺いをしたいと思います。

○金子指導部長 このたびの体罰調査では、教員が体罰を行った理由として、一時的な感情によるものや体罰を指導の一環とする誤った考え方があることなどが明らかになりました。
 このため、今後、部活動指導等の在り方検討委員会におきまして、体罰の根絶を目的といたしまして、効果的な体罰防止プログラムの開発や、全顧問教諭を対象とした研修の実施などを柱といたしました総合的な対策を策定してまいります。

○鈴木委員 今、お話しいただきましたように、さまざまな施策が多分必要になってくると思います。小学生に対する体罰をどうするか。まさに高校の部活動における今回のような事件性の帯びた体罰というのもあるわけですから、全く政策は異なってしかるべきだというふうに私自身も思っておりますので、そういう意味では、今回の調査の中身を、しっかりと調査したものを精査いただいて、それにしっかり対応できる具体策をお願いしたいというふうに思っています。
 基本的に私はもう教育はまさに人であって、教員に対する研修、これをしっかりとやっていただいて、教諭の一人一人の皆さんに、体罰についての考えというものを教育していただくということも非常に重要だというふうに思っておりますので、今まで研修も含めて行ってきたとは思いますけれども、今後とも、体罰については、研修を中心に、制度を充実させていただきたいというふうに思っております。
 そういう中にありまして、今度は処分の問題について少しお話を聞かせていただきたいと思いますが、今回も小学生で三十一人、中学校の生徒で百十人、高校生では四十人、体罰があったという報告がされております。
 こういう先生方に対する処分というのは、どのような規定を用いて、どのような処分になっているかをお聞かせください。

○岡崎人事部長 体罰を行った教員に対して懲戒処分を行う場合には、教職員の主な非行に対する標準的な処分量定、これに基づきまして、事案の内容に応じて、戒告、減給、停職及び免職の中から処分量定を選択いたします。
 具体的には、当該体罰が悪質もしくは危険な暴力行為に当たる場合や障害の程度が重い場合、隠ぺいや常習性がある場合などにつきましては、停職または免職を行うこととしておりまして、また、暴力行為で、傷害があり事後処理が不適切である場合につきましては、戒告または減給を行うこととし、厳正に対処しております。
 今後、教職員にさらなる自覚を促し、服務規律の徹底を図るため、処分量定の見直しについて検討してまいります。

○鈴木委員 今、処分規定の内容についてもお話をいただいて、今回のケース、処分をされたということでお話を伺いましたが、私も処分規定を初めて見させていただきましたけれども、この処分の量定という中で、体罰は免職から戒告まであって、その中で今お話しいただいたような、ケース・バイ・ケースで四つの処分をされているということでございますが、その下に児童生徒に対する性的行為のものも処分量定がありますけれども、一般的な普通の常識から考えて、私自身は、体罰による暴力、これはまさに生徒に対する性的行為等に対する処罰よりも厳しくてもいいんじゃないかなと。これは私の個人的な見解ですけれども、小学生に暴力を振るい、その暴力によって障害の重度を負わせるというのは、私自身は、まさに先生としての適格性を非常に欠いているというふうに思っております。
 そういう意味では、今回も戒告ですべて終わっているというふうにお伺いをしておりますけれども、三十一人の小学生に体罰を行った先生が戒告で済んでいるというこの実態を本当にどう考えるか、これは、もう一度皆さん方には処分量定を含めてしっかりと検討いただきたいというふうに思います。その点に関してはぜひ指導部の皆さん方にはお願い申し上げたいというふうに思っております。
 今お話しさせていただいたように、先生方の処分を厳しくしても、体罰という問題は、私はなくならないというふうにも思っております。教育現場の先生の処分を厳しくするだけでは、子どもの暴力に対する感覚というのは--一番重要なことは、子どもたちの親の家庭でのしつけも含めて、特に小学生の場合は考えていく必要があるんだろうなと思っております。子どもが親に暴力を日常振るわれていれば、それが当たり前だと思いますからね。
 そういう意味では、絶対にやはり子どもに手を上げない、これはもう基本的な理念だというふうに私自身は思っておりますけれども、そういう子どもをどういうふうにしつけをしていくのかということも含めて、まさにこれから具体的な施策をとるときにお考えをいただきたいというふうに思っております。
 一方では、地域もスポーツクラブ、運動クラブを最近たくさん行っていますよね。軟式野球部だ何だと。そういう地域のクラブ活動においても、当然、子どもに対する体罰というものもあるというふうに思いますので、家庭と地域と、そして学校の先生方、まさに子どもを取り巻く環境の中で、体罰をしっかりと議論していただくということがこれからは非常に必要だというふうに思っております。
 先ほど申し上げました例で、スウェーデンの例というのは非常に参考になるというふうにも指導部の方にお話をいただきました。スウェーデンは、一つの事件をきっかけにして、社会全体で体罰という問題に取り組んだと。学校だけではないんだと。親も社会もみんなでこの体罰の問題にしっかり取り組んだ結果によって、体罰がすべて根絶されたというふうに聞いておりますので、まさに東京から日本国じゅうのこの問題に関する提言をしていただいて、皆さんのご尽力で体罰をなくす、根絶する取り組みをぜひお願いしたいと思っております。そのことを要望しまして、私の質問を終わります。

○山内委員 私からも質問させていただきます。
 今回、東京都教育委員会は、部活動の顧問教諭から体罰を受けて、生徒が自殺するという大阪市の高等学校で発生した痛ましい事件を契機として、都内の全公立学校における体罰の実態調査を実施しました。
 そこで、部活動等における体罰についてお伺いいたします。今回の調査から、体罰が依然起きてしまう根本的な原因について、都はどのようにお考えになるのでしょうか。

○岡崎人事部長 このたび行いました体罰調査で、体罰を行った者からその理由を聞き取ったところ、感情的になってしまった者や言葉で繰り返しいっても伝えられなかったという者が約六割おりました。
 これらの者は、体罰をしてはいけないと認識しながらも、感情のコントロールができず体罰に及んでしまったことがうかがえます。こうした者に対しましては、言葉で伝える力や高まった感情の抑え方、効果的なしかり方などを学ばせ、怒りや興奮をコントロールする指導技術を習得させる必要があると考えます。
 その一方で、残りの四割の者は、この程度は体罰と思っていなかったなど、体罰に対する認識が低く、体罰を指導の手段と考え、正当化していることがうかがえました。こうした者に対しましては、指導の意義やねらい、指導者の役割を再認識させ、指導に関する独善的な考え方を払拭させるなど、指導観そのものを改めさせる必要があると考えております。

○山内委員 五月二十三日に行われた都教育委員会において報告が行われ、議論されたと聞いております。今回、新しい教育委員も二名加わったこともあり、どのような議論があったのかお伺いいたします。

○岡崎人事部長 各教育委員からは、体罰の分類基準について、指導の範囲内として認められる行為が明確になり、現場の教員に安心感を持たせることにつながるとのご意見や、体罰防止のための研修につきまして、感情のコントロールもスポーツ指導の一つであると指導者に理解させることや、従来の研修手法を改善することが必要であるとのご意見、さらには、体罰の原因や背景につきまして、区市町村教育委員会においても究明が行われるよう指導していくことや、体罰を行った教員の置かれている環境や学校以外での個人的な状況についても留意して分析する必要があるといったご意見がございました。

○山内委員 体罰分類基準というのがあるというふうに伺っておりますが、今後どのようにその体罰分類基準を使われていくのか、お伺いいたします。

○岡崎人事部長 体罰分類基準は、今回の調査で報告のあった約千件の事案について、何が体罰であるかの分類をするために整理したものでございます。
 今後、都活動指導等の在り方検討会におきまして、内容をさらに精査し、体罰と指導の範囲を明確にしたガイドラインを示し、各学校において教員の指導に活用してまいります。

○山内委員 今後は、身体の発達段階等を網羅したスポーツ医科学や指導理論などの観点からもそういった検証が必要と考えますが、今回部活動指導等の在り方検討会が設置されましたが、この構成メンバーと取り組みについてお伺いいたします。

○金子指導部長 部活動指導等の在り方検討委員会は、教育庁教育監を委員長といたしまして、スポーツ指導者、国際審判員、スポーツ法学専門家、弁護士、精神科医師、心理学者の学識経験者六人と、行政、学校やPTAの関係者十一人、合計十八人によって構成してございます。
 本検討委員会におきましては、八月を目途に、効果的な体罰防止プログラムの開発や全顧問教諭を対象とした研修の実施などを柱といたしました総合的な対策を策定してまいります。

○山内委員 外部指導員の契約、協定、指導料等活用の実態が把握されていないと聞きました。子どもを指導する立場にある人材であるわけですから、そこを把握し、学校の責任として協力を得る必要があると考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○金子指導部長 このたびの体罰調査委員会の調査によれば、一部の学校で外部指導員に対する依頼や委嘱行為が不統一、あるいはあいまいな状態にあることが明らかとなりました。
 このため、今後実態を把握した上で、学校と外部指導員の雇用関係や責任と権限などを明確にして、適切に部活動運営が行われるよう指導してまいります。

○山内委員 今回、東京都教育委員会の調査では、重大な事例として学校名等を公表いたしました。この重大なという言葉も非常に疑問があるところではありますが、検討が必要だと思います。
 体罰を行った理由の中には、期待に反する生徒の行動に直面した際の感情のコントロールができないとか、体で覚えさせることが最も効果的指導である、過去に自分が受けた体罰に対して、強い励ましと受け取っていた、また、生徒たちに発憤させるための愛のむちであるというようなことが理由として挙げられていました。
 では、なぜそこまで懸命な指導、感情をコントロールする余裕がなくなるほどの指導になってしまうのか、学力重視、スポーツにおける強豪校になるなど、結果を出すことが目的化されてはいないのか。また、成果を上げてきたベテランの教師や指導者には意見することができない、教師間で自由に話し合いをすることができないなど、学校全体で見て見ないふりをするような隠ぺい体質があったりするのではないでしょうか。
 オリンピックの柔道競技でも、指導者による暴力問題が表面化しました。優勝を目指すという名目で、スポーツの世界では暴力や暴言が容認されてきた風土もあると聞いております。
 今後、体罰防止プログラムや再発防止プログラム、顧問教諭を対象とした研修や外部指導員の管理等を行うとしていますが、取り締まるだけでは体罰を防ぐことはできません。
 子どもにすぐに結果を期待してはならない、暴力や暴言では向上しないということを指導者はしっかりと理解し、コミュニケーションによる指導の向上、科学的、医学的なスポーツ指導などの研修が必要です。
 子どもの最善の利益は何か、子ども自身の育ちを応援するという視点に立ち、東京都に子どもの権利条例の制定が改めて必要であると確信し、私の質問を終わります。

○小山委員 私からも都内公立学校における体罰の実態把握についてお伺いをさせていただきたいと思います。これまでも委員の皆様から質疑がありまして、重複する部分もあろうかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。
 今回の体罰の実態調査そのものについては高く評価をした上で、幾つかお伺いをしたいと思います。
 まず、改めてでありますが、今回の体罰の実態調査がどのような目的で行われ、その調査の状況を踏まえどのように対応してきたのか、見解をお伺いしたいと思います。

○岡崎人事部長 今回の体罰の実態調査は、大阪市立高等学校の体罰による生徒の自殺事件を受け、体罰の疑いがあるような事案も見逃さず迅速に対応することも含め、体罰の根絶に向けて、都内の全公立学校における実態を的確に把握するために実施したものです。
 今回の調査の過程で重大な体罰事案が判明したことを受けまして、体罰根絶に向けた緊急対策として、都立学校において発生した重大な体罰の事実関係を解明するため、体罰調査委員会を設置し、調査報告書を取りまとめるとともに、部活動指導における体罰のない指導のあり方等を推進するため、部活動指導等の在り方検討委員会を設置し、検討を行ってまいりました。
 また、教員研修用のパンフレットの作成や、体罰の根絶に向けた教員研修会の開催、公益通報弁護士窓口の開設などを行ったところです。

○小山委員 今ご答弁にありましたように、体罰の根絶というのは、多くの委員の皆様や今までの答弁からもありましたように、多くの共有する認識だというふうに思っております。体罰をなくしていく、そういった学校の教育現場をつくっていくんだということが大事であるということは、だれもがいうまでもないことであろうかと思います。
 そこで、今回の調査のその後の扱いでございますが、先ほど山崎副委員長の方からもありましたけれども、実際、この調査の事後の扱いが市区町村教育委員会との間で若干認識に差異があったのではないか、ずれがあったのではないかと思われるようなところを幾つか伺っております。
 そこで、特に今回の体罰の実態調査の結果をなぜ公表されたのか、そしてまた、学校名まで公表する必要があったのかどうか、さらに、今後も同じように公表するのか、見解をお伺いしたいと思います。

○岡崎人事部長 体罰を根絶するためには、まず体罰の実態を明らかにすることが不可欠であります。その上で、地域や保護者を含め、学校全体で体罰に関する認識を共有し、再発防止に向けた取り組みなどについて議論を行い、一体となって体罰根絶に向けて取り組む必要があります。
 こうした考え方で、今回、体罰の実態調査の結果にとどまらず、体罰の実例とともに学校名を公表することといたしました。
 今後も体罰の根絶に向けて調査を実施し、同様に公表してまいります。

○小山委員 ただいま公表された理由、さらには学校名の公表についても、どうして公表されたのかということをお伺いいたしました。
 学校も一体となって体罰の根絶に向けて取り組みをしていただくために、学校名の公表、また、地域も含めてそういったことに対応していただきたいために、こういった公表が行われたというふうに受けとめました。
 であるならば、なおのこと地元の市区町村教育委員会であるとか、学校であるとか、地域であるとか、そういったところの情報の共有、認識をしっかり共有した上でなければ、今回の体罰の根絶には実態としてつながっていかないのではないかなと私自身強く感じましたので、このことを改めてぜひ東京都教育委員会としても、そういった対応を考えていただきたいと思います。
 その上で、特に学校名の公表についても、同様に今後も行っていくということのお答えでございましたので、こういったことも含めて、事後の対策を検討していただきたいと思います。
 さらに、学校名の公表によりまして、当然、東京都教育委員会としてもお考えになっていたかと思いますが、実際公表された学校、さらにはその学校の近隣校も含めてなんですけれども、子どもへの影響が生じることを恐らく予測されていたんだと思いますが、東京都教育委員会ではどのように考え、またどのように対応していくのか、見解をお伺いしたいと思います。

○岡崎人事部長 体罰があった場合には、被害を受けた児童生徒や保護者に対して、各学校において直ちに状況を把握した上で事実関係を説明するとともに、被害児童生徒の置かれた状況を十分に配慮して、他の保護者や児童生徒への説明を行う必要があります。多くの学校では、こうした対応を適切にとっております。
 また、都教育委員会が今回の調査を発表するに当たりましては、体罰の程度が著しい事案等を除いて学校名の公表にとどめ、被害児童生徒の影響に配慮しております。
 今後とも、区市町村教育委員会と一体となって連携を密にしまして、学校の状況の把握に努め、適切に支援してまいりたいと考えております。

○小山委員 最後に、部長の方から市区町村の教育委員会と十分連携を密にしてしっかり対応されていくということでございますので、ぜひその点はお願いをしたいと思います。
 そして、先ほど私どもの会派の中村委員からもありましたように、やはり学校名の公表をされるということについては、当然具体的にもう部活動もわかっていますし、顧問である先生や生徒も、これは恐らく推測がつく話だと思います。
 そういったことを十分踏まえて、その後、どのようなことが起こり得るかということを十分想定された上で、対応をとっていただきたいと思います。
 当然、今、学校現場ではこういった対応をとっていただいているということのお答えでもありましたので、そういった部分を市区町村教育委員会、さらには東京都教育委員会としても従前に対応方をお図りいただきたいというふうに思います。
 そして、次の質問に移りますけれども、先ほど、これも野上委員からは、暴力について体罰の部分についてはお話がありましたけれども、私は暴言について伺いたいと思います。
 調査の中で暴言についても調査されておりまして、先ほどいわれたように、確かに受け手によって、指導者がいった言葉が果たしてそれが暴言なのか、あるいはそれが叱咤なのか、なかなか区別のつきにくい場合もあろうかと思います。
 特に部活動については、厳しい口調であるとか、叱咤激励が部活動指導の中では行われておりますけれども、これをどのように判別をしていくのか。特に分類基準の中には、児童生徒に向けた指導の範囲を超えた発言、行動により、恐怖感、侮辱感等の精神的負担を与えるおそれがあるものという規定がされておりますけれども、こういった部分との兼ね合いも含めて、部活動における暴言とそういった叱咤激励の区別について、東京都教育委員会としてはどのように考えているのか、見解をお伺いいたします。

○金子指導部長 指導者の叱咤激励とは、生徒を試合に送り出すときや最後まで気を抜かないよう励ますときなどに、奮起を促すために大きな声で指導したり、注意したりすることでございまして、生徒のやる気を起こさせるなどの教育的効果が認められます。
 一方、暴言とは、言葉や態度による脅し、嫌がらせ、身体や容姿にかかわる否定的な言葉を生徒に浴びせることでありまして、教育的効果は期待できず、生徒に精神的苦痛を与えるだけでございます。
 このため、部活動におきましては、生徒の意欲を高めるために、指導者が叱咤激励することはあっても、暴言を用いることはあってはならないと認識しております。

○小山委員 今お答えをいただいたことが、実際、具体的な言葉としてどういったものが挙げられるのか、あるいはそのときそのときの環境ということもあろうかと思います。ですので、今回の調査というのは、恐らくしっかりそれが現場段階に共有されることによって、初めて意味をなしてくるものだというふうに思います。
 ですから、あえていろんな公表に踏み切られたところも、そういった点が大きな部分なのではないかなと私自身も考えておりますので、その点で申し上げれば、ぜひ具体的な事象についても現場の学校の先生方に、どういったことが暴言であり、どういったことが叱咤激励との区別につながっていくのかということについて、しっかり明示をいただきたいというふうに思います。
 これは、とりもなおさず、調査委員会の報告書の中の体罰調査を終えての中でも記載がありますけれども、部活動の指導者には、本事案のように不適切な指導を行う教員等がいる一方で、体罰によらない適切な指導等を通じて、スポーツの楽しさや部活動の達成感、仲間との連帯感をはぐくむために、まさに休みもなく取り組んでいる多くの教員がいるのも事実である、そのためにも、一部の体罰事案をもとに、安易に指導のあり方の幅を狭めることは避けなければならない、今日の社会的な風潮として、運動部が体罰の温床となっていると思われるのは非常に残念なことであり、熱心に指導している教員が萎縮することなく、引き続き、運動部活動を通じて生徒の心身の健全な育成に取り組むよう願ってやまないというふうに記載がございます。私も全くもってそのとおりだと思います。
 ですので、このことからも、今後、学校現場と教育活動が萎縮することのないようにしなければならないと考えておりますが、東京都教育委員会の見解をお伺いしたいと思います。

○金子指導部長 学校におきましては、時として教員の毅然とした厳しい指導が必要なことがございますが、その厳しい指導は、暴力や暴言とは別のものでございます。
 しかしながら、教員が行う指導が体罰か、指導の範囲内であるかが不明確であり、教職員、児童生徒、保護者の間で体罰についての考え方が異なる実態がございます。
 このため、今後必要な場合には、教師がためらうことなく、厳しい指導を行うことができるよう、部活動指導等の在り方検討委員会におきまして、体罰などと指導の範囲内との区別を明確にしたガイドラインを示してまいります。

○小山委員 ご答弁でいただきましたように、これからガイドラインをしっかり定めていくということでございますので、ぜひ先ほど申し上げましたように具体的な事象、あるいは環境ということも含めて、ぜひ明示をいただきたいと思います。
 そして、実際にやはり暴力であるとか暴言であるということをしっかりなくして、体罰による指導というものが根絶されるとともに、本当に真の意味で、子ども、生徒、児童と教員との間に信頼関係がしっかり構築されるような教育環境、教育現場を、ぜひとも東京都教育委員会が率先してリーダーシップを持って構築していただきたいというふうに思っております。
 最後に、これまでいろいろ質疑を申し上げてまいりましたけれども、とりもなおさず、それは教育者の指導力、教育は人であることは論をまたないところでありますので、最初の答弁の中でもいただきましたけれども、教員研修会の開催などもされておりますけれども、教員の指導力向上に向けて、ぜひとも東京都として力を尽くしていただきますことを心よりお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

○畔上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議はございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 異議なしと認めまして、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。

○畔上委員長 これより生活文化局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百四十五号議案、平成二十五年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、生活文化局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○山崎委員 私の方から私立幼稚園の環境整備補助について、何点かお伺いをまずさせていただきたいと思います。
 今回提案をされております私立幼稚園等の教育環境整備費補助事業は、もともと平成二十一年四月に、当時の自公の連立政権下で決定された経済危機対策を実施するため、安心こども基金を活用し事業化されたものであります。
 各幼稚園において質の高い環境で子どもたちを安心して育てることができる体制を整備する上で大変役に立った事業と聞いております。
 そこでまず、平成二十一年度において、国において事業が開始された経緯をお伺いいたします。

○榎本私学部長 平成二十一年四月の国の経済危機対策で、子どもを安心して育てることができるよう、子育て支援サービス等の体制整備を行うこととし、これに必要な財源として、同年五月に成立した国の補正予算において、安心こども基金の積み増しが行われました。
 一方、平成十九年度に改定され、平成二十一年度から全面実施されました幼稚園教育要領におきまして、生きる力育成のための運動の充実などが盛り込まれました。
 これらのことを踏まえまして、幼稚園の遊具等教育環境のさらなる充実を図るために、平成二十一年度及び平成二十二年度に事業が実施されたものでございます。

○山崎委員 我が党は、この事業の必要性について、都内私立幼稚園の教育現場から強い要望も伺っており、国が今回、基金の対象として再び復活させたことを受け、都が早急に取り組むこととしたことは、時宜を得た適切な対応であったと思います。
 ところで、国の基金事業の要領によれば、補助の対象は学校法人立の幼稚園となっております。東京には現在三百を超える個人立の幼稚園もありますが、都は前回この事業を実施した際には、国の補助では対象とならない個人立の幼稚園についても、我が党の要望にこたえ、都独自に補助対象といたしたわけであります。
 今回は、個人立の幼稚園について取り扱いはどうするのか、その点を含めて、補助制度の具体的な内容についても伺います。

○榎本私学部長 今回の補助制度は、私立幼稚園が幼児教育の質の向上を図るため、幼稚園で使用する遊具、運動用具等を購入する場合に、経費の一部を補助するものでありまして、補助対象となる経費は一園当たり二百万円が上限となっております。
 補助率は、認定こども園を構成する学校法人立幼稚園の場合は二分の一、それ以外の学校法人立幼稚園は三分の一でございます。
 また、国の安心こども基金の対象となる幼稚園は、先生ご指摘のとおり学校法人立幼稚園に限定されますが、対象とならない個人立等幼稚園に対しましても、都が独自に学校法人立幼稚園と同様に三分の一を補助いたします。

○山崎委員 ありがとうございます。東京の実情に合わせた都のきめ細かい取り組みを評価いたしたいと思います。
 さて、今回は補正予算で補助を実施することとなりますが、既にもう六月であります。新年度は四月から始まっておりまして、幼稚園の中には、少しでも早く子どもたちの教育環境の充実を図るため、補助を待たず、新年度早々に遊具などを整備した幼稚園もあるのではないかと思います。
 こうした幼稚園に不利益が生じることのないよう、今年度の整備分については、さかのぼって補助の対象とするべきと考えますが、見解を伺います。

○榎本私学部長 ただいまご指摘のとおり、新しい学期に入り、既に遊具等の整備を行った幼稚園もあると考えられます。
 教育環境の充実に積極的に取り組んでいるこうした幼稚園が結果的に不利になることがないよう、平成二十五年四月一日以降に行われた整備事業であれば、都として今回の補正予算の対象事業としたいと考えております。

○山崎委員 都内の私立幼稚園は、学校法人立、個人立等合わせておよそ八百五十園に達しておりますが、どの幼稚園も不断の経営努力を重ね、安心して子どもを生み、心豊かに育てられる希望に満ちた未来の実現に貢献をしているわけです。
 この補助は、遊具、運動用具、教具など、園児が幼稚園で日常的に使用するものが対象であることから、園児やその保護者が教育環境の充実を直接的に実感できるものであります。
 こうした幼稚園の教育設備の充実を後押しすることで、都内の私立幼稚園に通う約十六万人の園児が健やかに成長できる環境を整え、より一層の私立幼稚園の振興につなげていただきたいと思います。
 我が党は、今後とも幼稚園の支援を強化し、就学前の教育の充実に取り組むことにより、新しい教育都市東京の実現を目指していきたいと思います。
 次に、東京都の消費者行政活性化基金について何問か伺います。
 今回提出されております平成二十五年度補正予算案には、平成二十四年度末に積み増しをした東京都の消費者行政活性化基金を活用した事業を計上しております。
 そこで、この基金の活用について伺います。
 まず、この基金が創設された経緯と今回積み増しがされた趣旨について伺います。

○藤井消費生活部長 東京都消費者行政活性化基金は、国が交付する地方消費者行政活性化交付金により、消費生活相談窓口の機能強化等を図ることを目的として、平成二十一年三月に創設され、これまで四年間にわたり活用されてまいりました。
 平成二十四年度の補正予算により、主に区市町村における相談体制の維持充実など、基礎的な取り組みの下支え及び消費者教育啓発など、消費者問題解決力の高い地域社会づくりを目的として積み増しが行われ、平成二十五年度の事業に活用できることとなりました。

○山崎委員 ただいまの答弁にあったとおり、そもそも国の地方消費者行政活性化交付金は、平成二十年度に当時の自公連立政権のもと初めて交付されたものであります。
 今回、新政権のもとで大型の補正予算が成立し、約四年ぶりに総額約六十億円が追加交付されることとなり、地方における消費生活行政の推進に大いに活用されることが期待されております。
 この間、基金を活用してどのような事業を実施してきたのか伺います。

○藤井消費生活部長 平成二十一年度から平成二十四年度までの四年間に、都と区市町村で総額約十二億五千万円を執行いたしました。
 都におきましては、約三億五千万円を活用し、若者や高齢者の消費者被害防止のための普及啓発を近隣の県市と連携して行うなど、広域的な取り組みを展開するとともに、相談員の養成を初めとする区市町村相談窓口の充実の支援を実施いたしました。
 区市町村におきましては約九億円を活用し、相談員の増員や研修参加支援、弁護士等の専門家の活用、相談室の整備など、相談機能強化のための取り組みのほか、普及啓発のための講座や印刷物作成などが実施され、区市町村の消費生活行政全体のレベルアップが図られました。

○山崎委員 この四年間、基金を最大限に活用して、相談窓口の整備や普及啓発など、さまざまな取り組みが行われたことであります。特に区市町村による執行額が九億円ということで、基金が区市町村に重点的に配分され、役立てられてきたということがわかったわけです。
 消費生活相談においては、今や都内の相談全体の七割以上が区市町村の窓口に寄せられていると聞いております。都民に身近な区市町村の役割は、そういったことでますます大きくなってきており、区市町村の消費生活行政がさらに充実していくことが、消費生活の安全・安心を実現する上で最大の重要課題であります。
 今回、さらに約六億円が基金に積み増しされることとなりましたが、都と区市町村の配分の考え方と今後の活用方針について伺います。

○藤井消費生活部長 都はこれまで、基金の活用に当たりまして副委員長のお話にございましたとおり、都民に身近な相談窓口である区市町村へ重点的に配分することを基本方針としてまいりました。
 今回の補正予算案におきましても、区市町村の消費生活行政の一層の充実を支援するため、区市町村への事前の意向調査で基金充当の希望がありましたすべての事業を対象に、総額で三億一千九百万円を助成する予定でございます。
 残りの二億六千六百万円を都は執行することとし、消費者教育や区市町村支援などに活用することにより、本年三月末に改定いたしました東京都消費生活基本計画の実現に向け取り組んでまいります。

○山崎委員 安倍首相は、今国会の施政方針演説において、我が国の経済再生とともに、世界一安全・安心な国を目指し、さまざまな施策に取り組んでいくとの強い姿勢を示しております。
 我々都議会自民党も、この都議選への政策パンフレット、一昨日発表させていただきましたが、この中においても、高齢者、そして若者などをねらう悪質事業者の取り締まりを強化すること、そして、消費者被害への救済機能を強化することを明らかにしました。
 都においても、国の政策とも連動し、東京都消費生活基本計画の実現、ひいては消費生活における安全・安心の実現に向け、全力を挙げて取り組んでいくよう要望して、質問を終わります。

○野上(純)委員 私立幼稚園等環境整備費補助について、私の方からも質疑をさせていただきます。
 今回提案された私立幼稚園等教育環境整備費補助は、各幼稚園の教育内容等に合わせて、遊具を初めとして幼稚園で利用できるさまざまなものが購入できると聞いております。
 そこで、過去にそれぞれの幼稚園は、この補助金を使って具体的にどのようなものを購入してきたのか、どれぐらいの幼稚園がこの事業を活用したのかについてまずお伺いいたします。

○榎本私学部長 平成二十一年度と平成二十二年度に本補助金を活用し、実際に幼稚園が購入した具体的な例といたしましては、園庭に設置するジャングルジムや滑り台のような大型遊具のほか、絵本や積み木など、室内で使用する教材などがありました。
 また前回、本補助事業補助金を活用した幼稚園は、平成二十一年度に百五園、平成二十二年度に三百五十五園であり、合計すると延べ四百六十園となります。

○野上(純)委員 幼稚園で使用するさまざまなものに活用できる、これは非常に使い勝手のよい補助金ということができます。八百五十園のうち四百六十園が利用したということで、大変多くの幼稚園が活用した内容であることがわかりました。
 大型の遊具は、園庭の広さとかで購入できるできないとかいろいろあると思うんですけれども、意外といいなと思ったのが、子どもの絵本とか、知識を積み重ねていく積み木のような知的ブロックとか、そういったものは意外と高いもので、かかるお金の三分の一を補助していただけるということは、私立幼稚園にとりましては非常にありがたいことかなというふうに思います。
 絵本等も一冊一冊が非常に高くて、ブッカーで破れないように補強してやりましても、人気のある絵本等はすぐにぼろぼろになってしまうということもありますので、こういった意味でも、数をそろえたりするとなると幼稚園の負担も大きく、なかなか踏み切れないけれども、こういう制度を使って、子どもたちの教育に役立てられるということで、これは大事なことではないかと思っております。
 今回、幼稚園からの期待は高いものがあると考えます。先ほどもちょっと質疑にあったんですけれども、年度途中の補正予算での実施ということなので、これを円滑に実施していくためには、こういう補助制度があるんですよということを、事業内容をしっかりとそれぞれの私立幼稚園に周知していくことが大事になってくると思います。
 その周知方法について、くまなく漏れなく周知する方法について質問いたします。

○榎本私学部長 都内のすべての私立幼稚園に対しまして、補正予算の議決後直ちに運営費補助金等の交付手続の機会などを活用し、補助の内容や申請手続について記載したチラシを直接配布するなど、きめ細かなPRをいたします。
 また、都内の私立幼稚園で組織される団体の協力を得まして、各幼稚園に対して団体が発行する広報誌を通じて補助の活用を促すなど、さまざまな手段を用いて周知を図ってまいります。

○野上(純)委員 チラシをつくっていただくということと、漏れることなく周知徹底を図っていくということで、多くの幼稚園でこの補助制度が活用されるようにしていただければと思っております。
 幼稚園に通っている子どもたちにとりまして、心と体が健康に育つこと、それから友達をつくり、社会性も身につけていく、そのために、遊具とかは、その園にとってもなくてはならない大事な教材ではないかと思っております。
 幼児教育にとって大変重要なものでございますので、より多くの子どもたちがよりよい教育環境のもとで教育を受けられるように、今回のこの補助制度を幅広く活用してもらい、私立幼稚園における幼児教育の充実が図られるよう、都は積極的に取り組んでいただくことを要望いたしまして終わります。

○畔上委員長 それでは、ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議はありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○畔上委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。

○畔上委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第百四十五号議案、平成二十五年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、文教委員会所管分を議題といたします。
 本案については、既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 お諮りいたします。
 本案は、原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○畔上委員長 異議なしと認めます。よって、第百四十五号議案、平成二十五年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、文教委員会所管分は原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○畔上委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りをいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項については、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○畔上委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○畔上委員長 この際、所管三局を代表いたしまして、比留間教育長から発言を求められておりますので、これを許します。

○比留間教育長 所管三局を代表いたしまして、ごあいさつを申し上げます。
 ただいま本定例会でご提案申し上げておりました議案につきましてご決定を賜り、まことにありがとうございました。
 委員長初め委員の皆様方におかれましては、昨年十月以来、私ども三局の事務事業につきまして、さまざまな視点からご審議をいただきまして、厚く御礼申し上げます。
 ご審議、調査の過程で賜りました貴重なご意見、ご要望等につきましては、今後の事務事業の執行に当たりまして十分反映し、万全を期してまいる所存でございます。今後とも、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
 最後になりますが、委員長初め委員の皆様方のますますのご健勝を心からお祈り申し上げまして、簡単ではございますが、御礼のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

○畔上委員長 この際、私からも一言ごあいさつをさせていただきます。
 昨年の十月四日からきょうまで、教育庁、生活文化局、そしてスポーツ振興局のさまざまな議題につきまして、また都民からの請願陳情につきまして、活発にご議論をいただきました。
 山崎副委員長、山内副委員長初め理事の皆様、そして委員の皆様方のご協力に心から感謝を申し上げたいと思います。
 また、理事者の皆様におかれましても、大変なご協力をいただきましたこと、厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。
 貴重なこうした議論が今後の都民の立場に立った都政運営に生かされることを、心からお願いをしたいと思います。
 最後になりますけれども、事務局の田村さん、そして杉本さん、高砂さん、支えていただきまして円満な委員会運営をすることができました。心からお礼を申し上げまして、甚だ簡単ではございますが、委員長のあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

○山崎委員 委員長があいさつした後申しわけないんですが、理事会を開きたいなと提案をちょっとさせていただきます。そのときにまたお話をさせていただきたいんですが、皆さんに諮っていただきたいと思います。

○畔上委員長 ただいま山崎副委員長から、理事会を開きたい旨のご発言がございました。
 本件につきましては、委員会終了後に理事会を開会させていただいて、協議をするということでよろしいでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○畔上委員長 それでは、そのようにさせていただきます。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四十分散会

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