文教委員会速記録第七号

平成二十五年五月二十九日(水曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長畔上三和子君
副委員長山崎 一輝君
副委員長山内れい子君
理事中村ひろし君
理事栗林のり子君
理事鈴木 勝博君
野上ゆきえ君
関口 太一君
小山くにひこ君
野上 純子君
きたしろ勝彦君
古賀 俊昭君
いのつめまさみ君
村上 英子君

欠席委員 なし

出席説明員
生活文化局局長小林  清君
総務部長遠藤 雅彦君
広報広聴部長横山 英樹君
都民生活部長飯塚美紀子君
消費生活部長藤井 秀之君
私学部長榎本 雅人君
文化振興部長関  雅広君
都政情報担当部長梅田 弘美君
男女平等参画担当部長菊地 俊夫君
文化施設改革担当部長北村 俊文君
スポーツ振興局局長細井  優君
次長理事兼務岸本 良一君
総務部長中山 正雄君
スポーツ事業部長板垣 一典君
スポーツ施設担当部長三浦  隆君
スポーツ祭東京推進部長川合  純君
大会運営担当部長松村  博君
招致推進部長松永 竜太君
連絡調整担当部長早崎 道晴君
広報戦略担当部長山中 康正君
施設計画担当部長福田  至君
教育庁教育長比留間英人君
次長庄司 貞夫君
教育監高野 敬三君
総務部長松山 英幸君
都立学校教育部長直原  裕君
地域教育支援部長谷島 明彦君
指導部長金子 一彦君
人事部長岡崎 義隆君
福利厚生部長前田  哲君
教育政策担当部長白川  敦君
教育改革推進担当部長出張 吉訓君
特別支援教育推進担当部長廣瀬 丈久君
人事企画担当部長加藤 裕之君

本日の会議に付した事件
理事の辞任及び互選
スポーツ振興局関係
陳情の審査
(1)二五第一〇号 二〇二〇年夏季オリンピック大会の東京都への招致を行わないことに関する陳情
生活文化局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十五年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 生活文化局所管分
陳情の審査
(1)二五第一四号 高校授業料無償化に所得制限を付けないこと等に関する陳情
教育庁関係
報告事項(説明)
・都内公立学校における体罰の実態把握について
請願陳情の審査
(1)二五第八号 東京スポーツ文化館の「業務要求水準書」から逸脱した事業の修正に関する請願
(2)二五第一四号 高校授業料無償化に所得制限を付けないこと等に関する陳情

○畔上委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初 めに、いのつめまさみ理事から、理事を辞任したい旨の申し出がありました。
 お諮りをいたします。
 本件は、申し出のとおり辞任を許可することにご異議はありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○畔上委員長 異議なしと認めます。よって、申し出のとおり、いのつめまさみ理事の辞任は許可されました。

○畔上委員長 次に、ただいまの辞任により理事一名が欠員となりましたので、これより理事の互選を行います。
 互選の方法はいかがいたしましょうか。

○関口委員 委員長の指名推選の方法によることとし、直ちに指名をしていただきたいと思います。

○畔上委員長 ただいまの動議にご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○畔上委員長 異議なしと認めます。よって、理事には鈴木勝博委員をご指名申し上げます。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○畔上委員長 異議なしと認めます。よって、理事には鈴木勝博委員が当選されました。

○畔上委員長 次に、議席について申し上げます。
 議席については、ただいまご着席のとおりといたしたいと思いますが、ご了承願います。

○畔上委員長 次に、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介をいたします。
 議事課担当書記の杉本悠さんです。
 議案法制課担当書記の高砂進さんです。
 よろしくお願いいたします。
   〔書記あいさつ〕

○畔上委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、スポーツ振興局、生活文化局及び教育庁関係の請願陳情の審査並びに教育庁関係の報告事項の聴取を行います。
 なお、提出予定案件及び報告事項については、本日は説明を聴取し、資料要求をするにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承を願いたいと思います。
 これよりスポーツ振興局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 雜賀理事招致推進担当及び延與競技計画担当部長は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承を願います。
 それでは、陳情の審査を行います。
 陳情二五第一〇号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○松永招致推進部長 お手元に配布しております陳情審査説明表をお開きください。
 陳情二五第一〇号、二〇二〇年夏季オリンピック大会の東京都への招致を行わないことに関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情は、大田区にお住まいの秦野浩さん外一名の方から提出されたものでございます。
 陳情の要旨でございますが、都において、二〇二〇年夏季オリンピック大会の東京都への招致を行わないでいただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、スポーツには、人に夢や希望、感動を与え、人々を結びつける力がございます。東京都は、このスポーツの力が、次代を担う若者に夢や未来への希望、目標を与え、さらには日本社会の活力を高める契機となることから、二〇二〇年大会に立候補し、オールジャパンの体制で招致活動を行ってきております。
 オリンピック憲章は、スポーツにおけるいかなる形の暴力も否定しており、コーチや選手によるフェアプレーと非暴力の精神の尊重が定められております。
 このオリンピック憲章の精神にのっとり、二〇二〇年大会の東京開催を目指すことは、オリンピックムーブメントの推進に寄与し、スポーツの本来持つ力や価値を普及浸透させ、スポーツにおける暴力の排除にもつながるものでございます。
 平成二十五年四月二十五日、日本体育協会、日本オリンピック委員会、日本障害者スポーツ協会、全国高等学校体育連盟、日本中学校体育連盟の五団体は、スポーツ界における暴力行為根絶宣言を採択しました。この宣言には、暴力行為の根絶が、スポーツを愛し、その価値を享受する者が担うべき重要な責務であることを認識し、スポーツ界におけるあらゆる暴力行為の根絶に取り組むことが記されています。
 今後、スポーツ団体及び組織は、組織運営のあり方や暴力行為を根絶するためのガイドライン及び教育プログラム等の策定、相談窓口の設置などの体制を整備するとしております。
 以上が現在の状況でございます。
 東京都としましては、今後とも、スポーツ界を初め関係者と連携したオールジャパンの体制で招致活動に取り組んでまいります。
 簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○畔上委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○野上(純)委員 では、陳情二五第一〇号について発言をさせていただきます。
 今ちょうどサンクトペテルブルクで、スポーツアコード会議がこれから始まるということで、あす、イスタンブール、そして東京、マドリードと、約二十分間ずつのプレゼンが行われるということでございます。スポーツ振興局の方々も参加されて、一生懸命、オリンピック招致に向けて頑張っていらっしゃることと思っております。
 オリンピック・パラリンピックの目的というんですか、意義というものなんですけれども、一つには、人々に夢と希望、そして感動を与えるということと、もう一つは、東日本大震災から大変な被害を乗り越えて、日本が本当に明るく希望を持って再生をしたという、そういうシンボルとなるということから、ぜひとも私は招致を実現するべきと考えております。
 今回付託された陳情は、全日本柔道連盟が、柔道の女子選手に対する暴力行為が判明したにもかかわらず監督を続投させようとしたことは、オリンピック憲章に違反しているとして、日本国及び日本オリンピック委員会はオリンピックを招致する資格がない、したがって、都は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会を東京都に招致すべきではないということでございます。
 確かに、スポーツの世界に、古い体質ともいえる体罰とかしごきが残っておりまして、アスリートのプライバシーとか人権が守られないままに見過ごされるようなことがあっては、日本のスポーツ界にとっても、子どもたちを健全に育成していく社会にとっても、これはとても嘆かわしいことだと思っております。
 そこで、この問題に国やスポーツ界がどう取り組んでいるのかを確認していきたいと思っております。
 まず、アスリートが指導者から暴力行為やパワーハラスメントを受けた場合、それを告発するのは大変な勇気が要ることだと思います。アスリートのプライバシーが守られ、不利益とならないような配慮が必要だと思うんですけれども、今回の事件をきっかけにした対応の変化についてお伺いいたします。

○松永招致推進部長 JOC、日本オリンピック委員会は、全日本柔道連盟に対し、十三項目にわたる改善を勧告するとともに、選手、指導者を対象とした通報相談窓口を設置いたしました。
 また、国は、日本スポーツ振興センター法を改正し、スポーツ指導で暴力を受けた選手が相談できる第三者機関を設置することといたしました。
 さらに、文部科学省は、スポーツ指導者の資質能力向上のための有識者会議を設置し、指導から暴力を排除し、いかに選手の自主性を引き出すかといったテーマや、国内外におけるスポーツ指導者養成の実例などを議論しております。
 東京都も、本年三月に策定いたしました東京都スポーツ推進計画におきまして、スポーツ指導現場における暴力行為は決してあってはならないということを明確に示すとともに、科学的知見や技術を活用した指導法を提唱しております。
 さらに、東京都体育協会におきましても、倫理に関するガイドラインを三月に策定しまして、全加盟団体に周知しております。

○野上(純)委員 今回の件を契機にして、JOCを初めとして、暴力根絶に向けた取り組みが着実に動き出しているものと思われます。
 四月の二十五日には、JOCのほか、日本体育協会、日本障害者スポーツ協会、全国高等学校体育連盟、日本中学校体育連盟が、スポーツ界における暴力行為根絶宣言を採択いたしました。
 全日本柔道連盟も、学識経験者を交えた暴力の根絶プロジェクトにおいて、暴力行為に対する厳しい処分案を検討するということを聞いております。
 これは、将来、スポーツを志し、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを目指す若きアスリート、そして親御さんなどにとっても安心できる材料ではないかと思っております。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京招致は、スポーツ界の一部に、いまだ残っているかもしれないあしき習慣を一掃し、より合理的で科学的なスポーツ界をつくり上げるという点でも意義のあるものではないでしょうか。
 そこで、スポーツ界を変革していくという観点から、今回のオリンピック・パラリンピック招致の意義について、改めてお伺いいたします。

○松永招致推進部長 スポーツには、人に夢や希望、感動を与え、人々を結びつける力がございます。この力が、次代を担う若者に夢や未来への希望、目標を与え、さらには日本社会の活力を高める契機となることから、東京都は二〇二〇年大会に立候補したものでございます。
 また、オリンピック憲章は、スポーツにおけるいかなる形の暴力も否定しており、コーチや選手によるフェアプレーと非暴力の精神の尊重が定められております。
 日本のスポーツ界の一部に、いまだ暴力行為が残っていたことは非常に残念ではありますが、二〇二〇年大会の東京開催を目指すことはオリンピックムーブメントの推進に寄与し、スポーツの本来持つ力や価値を社会に広く浸透させ、スポーツにおける暴力の排除や科学的トレーニングの普及にもつながると認識しております。

○野上(純)委員 最後です。
 本来、スポーツとは自分との戦いであるはずです。他人から強制や暴力によって何かをやらされても、スポーツの持つ本質的な価値には到達し得ないものと思っております。
 私のことでございますが、私は中学校から自然観察ワンダーフォーゲル部に身を置いておりまして、練習としては毎日十キロのマラソン、そして、歩荷といわれる、人を背負って神社の石段を上ったりおりたりする訓練等を重ねてまいりました。
 そして、その中で、やっぱり冬山登山等は一歩間違えれば命も落とすし、また夏山でも、油断をすれば大変危険な状態であるということで、訓練というのは、暴力によって強制されるトレーニングではなく、自分と友達を守り合うためのトレーニングだと思ってやってまいりました。
 これは、一つのワンダーフォーゲルというスポーツの持っている特質だと思うんですけれども、そういう意味で非常に、トレーニングのすばらしさ、自分で自分を啓発していくことの大切さなどを感じて育ってまいりました。
 オリンピック・パラリンピックの開催によって、スポーツ界も日本社会も、不合理な暴力や体罰、人権侵害がない社会にしていくべきだと思います。
 よって、この陳情には、私は賛同することはできません。
 以上です。

○畔上委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決をいたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○畔上委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二五第一〇号は不採択と決定いたしました。
 陳情の審査を終わります。
 以上でスポーツ振興局関係を終わります。

○畔上委員長 これより生活文化局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、生活文化局長から紹介があります。

○小林生活文化局長 四月一日付の人事異動に伴いまして、当委員会との連絡員に交代がありましたので、ご紹介をさせていただきます。
 総務課長の堀越弥栄子でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○畔上委員長 紹介は終わりました。

○畔上委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○小林生活文化局長 平成二十五年第二回定例会に提出いたします生活文化局関係の議案についてご説明申し上げます。
 今回提出いたします議案は、予算案一件でございます。私から議案の概要をご説明申し上げます。
 恐縮ですが、お手元の資料第1号、平成二十五年度生活文化局所管補正予算説明書の一ページをお開き願います。補正予算総括表でございます。
 表の右から二つ目、補正予算額の欄をごらんください。歳入予算の総額は七億一千百万余円で、消費者行政活性化基金及び安心こども基金からの繰入金でございます。
 表の中ほど、歳出予算の総額は七億八千七百万余円で、その内訳は、生活文化費のうち消費生活対策費が五億八千五百万円、学務費の私立学校振興費のうち助成費が二億二百万余円でございます。
 詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○遠藤総務部長 局長からの概要説明に引き続きまして、私から今定例会に提出いたします議案の詳細についてご説明を申し上げます。
 恐縮でございますが、お手元の資料第1号、平成二十五年度生活文化局所管補正予算説明書の二ページをお開き願います。歳入でございます。
 上から三項目め、基金繰入金でございます。消費者行政活性化基金や安心こども基金など、後ほど歳出でご説明いたします各事業の実施に必要な財源をそれぞれの基金から充当するもので、七億一千百万余円を計上しております。
 続きまして、三ページをお開き願います。歳出でございます。
 まず、生活文化費の消費生活対策費でございます。消費者行政活性化事業につきまして、国の地方消費者行政活性化交付金を活用して、都及び区市町村の事業を実施するもので、五億八千五百万円を計上しております。
 次に、学務費の助成費でございます。本年二月、国の要領改正を受け、私立幼稚園等の施設における遊具、運動用具等の整備を行う私立幼稚園等環境整備費補助を実施するもので、二億二百万余円を計上しております。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○畔上委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○畔上委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○畔上委員長 次に、陳情の審査を行います。
 陳情二五第一四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○榎本私学部長 高校授業料無償化に所得制限を付けないこと等に関する陳情についてご説明申し上げます。
 お手元に配布してあります陳情審査説明表の一ページをごらんください。
 陳情二五第一四号、千代田区のゆきとどいた教育をすすめる都民の会、丸木政臣さん外九十六人から提出された高校授業料無償化に所得制限を付けないこと等に関する陳情でございます。
 陳情の要旨でございますが、私立高校の就学支援金制度に所得制限をつけず拡充することについて、国に対して意見書を提出していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、高校生等に対して教育費負担を軽減する目的で国が創設しました就学支援金制度については、国において見直しの議論が始まったところでございます。東京都といたしましては、その状況を注視してまいります。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○畔上委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。--発言がなければ、本件は教育庁所管分もございますので、決定は教育庁所管分の審査の際に行い、ただいまのところは継続審査といたしたいと思いますが、これにご異議はありませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○畔上委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二五第一四号は継続審査といたします。
 陳情の審査を終わります。
 以上で生活文化局関係を終わります。

○畔上委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、教育長から紹介があります。

○比留間教育長 さきの人事異動で教育庁幹部職員に交代がございましたので、ご紹介をさせていただきます。
 教育監の高野敬三でございます。指導部長の金子一彦でございます。教育改革推進担当部長の出張吉訓でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○畔上委員長 紹介は終わりました。

○畔上委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○岡崎人事部長 都内公立学校における体罰の実態把握についてご報告いたします。
 お手元に、報告資料の概要、報告資料、それから別冊の体罰調査委員会の報告書の三点を配布させていただきました。本日は報告資料の概要によりご説明いたします。
 表紙をおめくりいただき、一ページをごらんください。
 初めに、資料左上の調査の内容、方法でございますが、都内の全公立学校の校長、教職員、児童生徒すべてを調査対象といたしまして、平成二十四年度の教育活動における体罰の有無を、疑い例も含めて調べました。
 調査方法は、教職員に対しては校長による個別聞き取り調査を、児童生徒には質問紙調査を行っております。
 本調査は、速報を四月十一日に第一次報告として公表いたしましたが、その後、さらに個々の事案を精査して内容の分析などを行い、今般、最終報告として取りまとめました。
 次に、その下の報告の内容でございますが、合計で九百八十三人に係る報告があり、そのうち百八十二人の事案について体罰と認定しております。
 この百八十二人を行為者別に見ますと、教職員が百五十三人と多くを占めておりますが、外部指導員や上級生、卒業生等による体罰もございました。
 また、その下、場面別に見ますと、部活動中に行われた体罰が、中学校、高等学校のいずれにおきましても約六割を占めております。
 その下、児童生徒に傷害を負わせた事案の人数は、全体で三十一人に上りました。
 資料右上をごらんください。体罰に対する認識につきまして、体罰を行った者から聞き取りました。
 感情的になってしまった者が六十五人、言葉で繰り返しいっても伝えられなかった者が四十九人で、合わせて全体の約六割となっています。これらの者は、体罰をしてはいけないと認識しながらも、感情のコントロールができず、体罰に及んでしまったと考えられます。
 その一方で、この程度は体罰と思っていなかったという者が三十二人、人間関係ができているので許されると思った者が十八人など、残りの四割の者は体罰に対する認識が低く、体罰を指導の手段の一つと考え、正当化していることがうかがえまして、こうした者に対しては、言葉で指導する力をつけさせるだけでなく、指導観そのものを改めさせる必要があると考えます。
 また、体罰を行った回数別の状況でございますが、一回のみであった者が百十五人で、体罰全体の約六割を占めております。
 今後の対策でございますが、以上の状況を踏まえ、都教育委員会は、体罰を容認する意識や風土を刷新することを目的として、部活動指導の在り方検討委員会において、八月までに総合的な対策を打ち出せるよう検討を行っています。
 具体的には、教員が毅然と指導できるよう体罰と指導の線引きを明確化、すべての顧問教諭を対象とした都独自の体罰のない部活動運営の基礎研修を実施、再発者に対する再発防止プログラムの開発など、五つの柱を立て、現在検討を重ねております。
 また、全校において直ちに体罰根絶に向けた取り組みを実施します。七月を体罰防止月間と位置づけ、都内全公立学校において、集中的に体罰防止研修に取り組んでまいります。
 今後の体罰実態調査につきましては、児童生徒に対する調査が体罰の顕在化に有効であることから、体罰根絶に向けて、来年度以降もこの調査を継続いたします。
 次に、二ページをお開きください。
 前回の文教委員会でご説明いたしました体罰調査委員会の調査結果が別添の報告書のとおりまとまりましたので、その概要をご説明いたします。
 左上の目的、構成でございますが、この委員会は、都立学校において発生した重大な体罰の発生原因や背景を解明し、解決すべき課題を明らかにすることを目的として、二月に設置いたしました。学校のコンプライアンスがご専門の日本女子大学教授の坂田仰委員と、教育問題に詳しいジャーナリストの勝方信一委員にご参画いただき、五回にわたり体罰問題について多角的に検討してまいりました。
 左下の調査結果に見る体罰の発生原因や背景に掲げました雪谷高校外三校、計四つの都立高校に、臨床心理士など外部有識者を含む体罰調査チームをそれぞれ派遣しまして、教職員、生徒、保護者など約二百人から聞き取り調査を行いました。
 その結果、表の中段の解決すべき課題が挙げられました。
 まず、体罰を行った顧問や外部指導員の認識、考え方でございますが、みずからの行為を体罰とは思っていないなど、体罰に対する認識の不足や、教員としての未熟さから、わかりやすい言葉で伝えるという指導力の不足、さらには体で覚えさせることが最も効果的であるとか、生徒との絶対的な支配、服従の関係を信頼関係と思い込むなど、誤った指導観を持つ者がいることがわかりました。
 次に、生徒や保護者の認識、考え方でございますが、保護者が子どもの成長や勝利を期待したり、生徒も自分が悪いと考え、体罰を容認、受容してしまう意識を持つこともわかりました。
 校内体制については、管理職の課題意識が欠けていたり、豊富な経験や実績のある顧問等に対しては意見がいいにくいといった状況があることや、学校と外部指導員の関係があいまいであることも明らかとなりました。
 こうした課題を受けて、体罰調査委員会では、右の課題解決に向けてに掲げましたとおり、指導者の意識改革や、生徒や保護者への啓発、体罰と指導の線引きの考え方の提示などの解決の方向を提示いたしました。これらにつきましては、一ページの今後の対策でご説明いたしました部活動指導の在り方検討委員会で、八月までに具体策を検討していきます。
 都教育委員会は、各学校や区市町村教育委員会と一体となりまして、引き続き体罰の根絶に全力で取り組んでまいります。
 ご説明は以上でございます。

○畔上委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○畔上委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○畔上委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願二五第八号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○谷島地域教育支援部長 請願二五第八号、東京スポーツ文化館の「業務要求水準書」から逸脱した事業の修正に関する請願について説明いたします。
 本請願は、豊島区、新日本スポーツ連盟東京都連盟理事長萩原純一さん外二千四十七人から提出されたものでございます。
 本請願の趣旨は、都において、東京スポーツ文化館の利用に関し、次のことを行っていただきたいというものです。1、自主的な生涯スポーツ活動をする団体が施設を利用する場合には一般料金で利用できるよう、施設の管理運営事業者に働きかけること、2、業務要求水準書に照らして逸脱した運営をしないよう、事業者に働きかけること、3、都議会への請願、都立夢の島総合体育館屋内プールでの生涯水泳活動の継続に関する請願、平成十三年請願第二四九号の第一項、ユース・プラザ移行に当たっても、これまでのクラブ活動の継続ができるように配慮することが、平成十四年二月十九日の文教委員会で趣旨採択されたことを継続して尊重し、また事業者も尊重するよう働きかけることという内容でございます。
 これに関します現在の状況でございますが、まず1の自主的な生涯スポーツ活動をする団体が施設を利用する場合の一般料金の適用についてですが、東京スポーツ文化館の施設利用料金については、都が示した基本料金案や類似施設の状況等を勘案し、事業者が定めております。
 区部ユース・プラザの設立目的を実現するため、都は、営業目的等の利用については割り増し料金を設定するように契約書及び業務要求水準書に定めております。
 具体的には、営利活動の場合及び主催者が参加者に対して施設利用料金を超える金額を徴収する場合については、利用料金の五割増しとなります割り増し料金を適用しております。
 これらの料金体系は、東京スポーツ文化館が開館した平成十六年三月から変更されておらず、施設の利用約款や料金表などで利用者に明示されているところです。
 そのため、自主的な生涯スポーツ活動をする団体であっても、施設利用料金を超える金額を徴収するなど、条件に該当する利用の場合には定められた割り増し利用料金を適用しております。
 次に、2の業務要求水準書に照らして逸脱した運営をしないよう、事業者に働きかけることですが、都は、事業者からの月例報告や、年四回現地に赴いて実施しております現地モニタリングなどにより、定期的に施設の運営状況を把握しており、当施設が契約書及び業務要求水準書に基づき適切に運営されていることを確認しております。
 最後に、3の平成十三年請願第二四九号第一項が趣旨採択されたことを尊重することでございますが、都は、ユース・プラザをだれにでも開かれた親しみやすい施設とし、自主的に活動する団体、サークルや学校等の教育機関はもとより、個人、家族等あらゆるものが利用できる施設となるよう業務要求水準書の中で規定しております。
 実際に、さまざまな団体が施設を利用できるように運営をしております。これは、平成十三年請願第二四九号第一項の趣旨に沿うものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○畔上委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。--発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○畔上委員長 異議なしと認めます。よって、請願二五第八号は不採択と決定いたしました。

○畔上委員長 次に、陳情二五第一四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○直原都立学校教育部長 資料の四ページをお開き願います。陳情二五第一四号、高校授業料無償化に所得制限を付けないこと等に関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情は、ゆきとどいた教育をすすめる都民の会代表丸木政臣さん外九十六人から提出されたものでございます。
 本陳情の趣旨は、国に対して意見書を提出していただきたいというもので、教育庁の所管は、1の公立高校の授業料無償化に所得制限をつけないことでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の附則において、政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、この法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとすると規定されております。
 この見直し規定も踏まえ、現在、政府において、所得制限の導入も含め、真に公助が必要な方々への制度とするための検討が行われているところであり、都教育委員会は、その動向を注視しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○畔上委員長 説明は終わりました。
 念のために申し上げます。本件中、生活文化局所管分に対する質疑は既に終了しております。
 本件について発言を願います。--発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決をいたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○畔上委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二五第一四号は不採択と決定をいたしました。
 請願陳情の審査を終わります。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時三十七分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る