文教委員会速記録第四号

平成二十五年三月十五日(金曜日)
第三委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長畔上三和子君
副委員長山崎 一輝君
副委員長山内れい子君
理事中村ひろし君
理事栗林のり子君
理事いのつめまさみ君
野上ゆきえ君
関口 太一君
小山くにひこ君
鈴木 勝博君
野上 純子君
きたしろ勝彦君
古賀 俊昭君
村上 英子君

欠席委員 なし

出席説明員
教育庁教育長比留間英人君
次長庄司 貞夫君
理事高野 敬三君
総務部長松山 英幸君
都立学校教育部長直原  裕君
地域教育支援部長谷島 明彦君
指導部長坂本 和良君
人事部長岡崎 義隆君
福利厚生部長前田  哲君
教育政策担当部長白川  敦君
特別支援教育推進担当部長廣瀬 丈久君
人事企画担当部長加藤 裕之君

本日の会議に付した事件
教育庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第五十五号議案 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
・第五十六号議案 学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・第五十七号議案 東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第五十八号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第五十九号議案 義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
・第六十号議案 学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第六十一号議案 東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第六十二号議案 都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
・第六十三号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・都立高等学校等の部活動指導等における体罰について
・「東京都教育ビジョン(第三次)(仮称)(案)」について

○畔上委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 平成二十五年度予算は、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略をいたします。

平成二十五年三月十四日
東京都議会議長 中村 明彦
文教委員長 畔上三和子殿
 予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十四日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十一日(木曜日)午後五時
(別紙1)
文教委員会
 第一号議案 平成二十五年度東京都一般会計予算中
歳出
債務負担行為
文教委員会所管分
(別紙2省略)

○畔上委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、教育庁所管分、第五十五号議案から第六十三号議案まで及び報告事項、都立高等学校等の部活動指導等における体罰について外一件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○小山委員 私からは、三件についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 まず一件目として、基礎学力の定着についてであります。
 第三次の東京都教育ビジョン案にもございますが、学力の向上には、子ども一人一人に学びの基礎となる基礎的、基本的な知識、技能を確実に習得させることが極めて重要であるといたしております。
 また、揺るぎなき基礎は多様性に転化するといわれているように、基礎、基本があってこそ、初めて子どもの持つ潜在的可能性を花開かせることができます。
 また、現状の具体的な例を挙げますと、例えば小学校低学年のうちにしっかりとした国語力、言語力の基礎を習得できていないがために、高学年の算数において文章題が解けなかったり、あるいは理科、社会の教科書の記述が理解できない子どもがふえている傾向にあります。そのため、東京都教育委員会は、基礎学力を定着させるための学校の取り組みを支援していく必要があると考えております。
 そこで、小中学校における学力の現状と、これまでの都教育委員会が行ってきた基礎学力を定着させるための取り組みについてお伺いをいたします。

○坂本指導部長 これまでの国や都の学力調査結果から、東京都の児童生徒の学力はおおむね良好でありますが、基礎的な知識、技能や考え方が身についていない児童生徒がいることや、習熟の進んでいる層からおくれがちな層まで、幅広く分布している教科が見られるなどの課題が明らかになっております。
 そのため、都教育委員会は、これまでも指導方法の工夫、改善を図るために、教員を加配したり、学習のつまずきを防ぐための指導資料を作成したりするとともに、習熟度別少人数指導に関する研究校を指定して、その成果を全都の公立小中学校に普及してまいりました。

○小山委員 今ご答弁の中にございましたが、学習のつまずきを防ぐために、指導資料の作成であるとか研究校の指定など、これまでの都教育委員会の取り組みについてはよくわかりました。
 しかし、基礎学力の定着を図るためには、何といっても小学校段階で基礎、基本を徹底することが最も大切なのではないでしょうか。小学校でつまずいてしまうと、後の中学校、高等学校で、そのつまずきによる影響が大きく出てくると思います。
 そこで、都教育委員会は、今後、小学校段階での基礎学力の定着に向けてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○坂本指導部長 学習におくれがちな児童生徒の状況を分析した結果、小学校四年生までの学習内容が定着していないと、その後の学年の学習だけでなく、他の教科の学習にまで支障を来すことが明らかになっています。
 そのため、都教育委員会は、小学校四年生までの国語、社会、算数、理科の学習のうち、必ず身につけさせたい事項をまとめた東京ベーシック・ドリルを平成二十五年度に作成し、都内公立小学校に配布して各学校における学力向上策を推進してまいります。

○小山委員 ただいまご答弁をいただきましたように、現状、小学校四年生までの学習内容が定着をしていないと、その後の学習に非常に大きな影響を及ぼすということでございますので、やはり四年生までの基礎、基本の学習をいかに徹底させるかということが大変重要になってくることだと思います。
 そこで、今回、都教育委員会が四年生までの間の国語、社会、理科、算数、こういった学習内容のうち、実に身につけさせたい基礎の部分だと思うのですが、基礎、基本をまとめた東京ベーシック・ドリルを作成して使っていくということだと思います。この東京ベーシック・ドリルについては大変評価できるものだと思いますし、この二十五年度予算の中で初めて計上された部分だというふうに思っております。
 そこで、この東京ベーシック・ドリルの具体的な内容と、活用の方法についてお伺いをしておきたいと思います。

○坂本指導部長 東京ベーシック・ドリルで扱う具体的な内容としましては、例えば、国語では漢字の読み書きや主語、述語の関係、社会では地図記号や都道府県の名称とその位置、算数では四則演算、そして理科では乾電池のつなぎ方といった事項とする予定でございます。
 各小学校では、授業時間以外にもこの教材を使用し、徹底した反復学習や習熟度を確認するテストなどを行うことで、すべての児童に基礎的、基本的な学習事項の定着を図ってまいります。

○小山委員 ただいまのお答えで、内容についてはよくわかりました。
 特に漢字の読み書き、この部分というのは、学習指導要領が二〇〇三年ですか、改訂をされてから、現場の中でも大分取り組みにくかった状況があると聞いております。どうしても時間数が、授業時数が足りないがために、この読み書き、多分、恐らく先生方も経験があろうかと思いますが、漢字の書き取り、何回も書き取りをする、そういった反復学習の中からしっかりとした基本の力を身につけていくといったことがどうしてもおろそかになっていたという現状があると思います。
 そういった点で、今回この東京ベーシック・ドリルは、そういった部分をしっかり補完をして、子どもたちの基礎、基本の学習内容をきちっと履修できるものとしてつくられるということでありますし、またこれを活用されるということでありますので、大いに期待をしたいというふうに思いますし、このベーシック・ドリルが各学校で有効に活用されることを期待しておきたいと思います。
 先ほど小学校における基礎、基本の徹底が最も重要であると述べてまいりましたが、中学校は中学校の基礎、基本、そして高等学校には高等学校なりの基礎、基本があると思います。
 そこで、都立高校生の基礎学力の定着や、学力の向上に向けた都教育委員会の取り組みを伺います。

○坂本指導部長 都立高校では、入学検査等のデータ分析に基づいた生徒の学力の実態把握、到達目標を定めた学力向上推進プランの作成、その到達度をはかるための学力調査の実施、調査結果に基づく当初プランの改善といったサイクルの中で授業改善を行い、生徒一人一人の学力向上に取り組んでおります。
 今後、都教育委員会は学校の設置目的に応じて、生徒が習得すべき学力の目標であります都立高校学力スタンダードを策定いたします。各学校はこれをもとに自校の生徒の実態に応じた学力スタンダードを設定し、指導内容、評価方法などを統一して、組織的、効果的な指導を行うことで基礎学力の定着や学力の向上を図ってまいります。

○小山委員 ただいま、都立高校における基礎学力の定着や学力向上を伺ったわけでありますけれども、その段階その段階におけるこういった確認が大変重要であると思います。
 高校生の間に、ある程度この都立高校学力スタンダードということを策定されて、実施されるということでありますけれども、高校段階でしっかりとしたその力を身につけた上で大学へ進学される、あるいは社会に出ていく、こういったことが日本の、そもそも、やはり首都東京としてあるわけですから、国力にも即つながってくることになろうかと思います。
 やはり人材の育成というのは大変重要でありますし、国力に直結するところでもありますので、ぜひ東京都の都立高校として、学力スタンダードの策定をきちっと行われた上で、実際の教育現場にこれが反映されるように実施をしていただきたいというふうに思っております。
 私は府中市議会議員のときに、当時府中市の教育長でありました新海教育長との質疑のやりとりの中で、とても共感できる内容、答弁がございました。いかなる子どもも、その内なる美しい伸びる芽を持つというのが私どもの、そのときの教育長の教育理念ということでありましたけれども、子どもの内なる伸びる可能性を信ずるところにまさしく教育は成立するんだと思います。
 また、小さきは小さきままに、折れたるは折れたるままに、コスモスの花咲くと述べられたのは、現在百六歳で、障害のある子どもたちの学園を立ち上げられた、しいのみ学園の昇地三郎先生のおっしゃられた言葉でありますけれども、まさしく教育はそういったところにあるんではなかろうかと思っております。
 そして、教育の帰結するところは教師論であるともそのとき述べられました。教育は尽きるところ、先生次第ということでありまして、教師が全力投球をして、まことのこぶしで子どもの胸をたたき続けることが大事で、それにこたえて子どもが努力するといった、子どもと教師がともに伸びていく営みこそが教育のあり方だと思います。
 子どもは教師の深い願いの方向に育っていきますし、教師が純粋なものへの感動と向上心を忘れずに教師としての力量を磨いていくことを終生の課題として、教育力と人間力を磨いていくことが大切だともそのとき述べられておりました。
 教育制度はもちろん大事でありますけれども、やはり教育するのは人であり、すなわち先生であります。また、教師の指導技術には限界がありますが、教育愛には限りがないということもそのとき述べられました。私も全くそのとおりだと思いました。
 そこで二件目として、教員の資質、能力の向上についてお伺いをしたいと思います。
 今回の東京都教育ビジョン(第三次)では、ベテラン教員の大量退職に伴う若手教員の増加により、学校全体の指導力の低下が懸念されて、そして複雑化、多様化する学校を取り巻く課題に対し、学校が組織的に課題解決に当たることができるように、若手教員を確実に育成することが必要と書かれております。
 学校関係者からお話を伺いますと、社会状況や子どもを取り巻く環境の変化から、学校教育における課題は一層複雑多様化しており、学力の向上や規範意識の醸成、地域や保護者との連携協力など、今までの経験や対応方法だけではなかなか解決できない問題もふえていると感じております。
 そこで、こういった問題を解決していくためには、個々の教員の資質、能力の向上が必要不可欠であると考えておりますが、都教育委員会では、どのような課題があるというふうに考えていらっしゃるのか、所見を伺いたいと思います。

○加藤人事企画担当部長 学校では、授業中に突然立ち上がるなど、じっとしていない児童や、教員が話しているときに周りの児童と話し続けている児童も見られ、教員には、指導技術や教材開発にすぐれているだけではなく、児童生徒理解や統率力を身につけるなどが求められております。
 さらに、学校に対する保護者や地域住民の意見や要望が複雑化しており、教員に求められる力は多種多様化しております。若手教員はもとより、中堅やベテラン教員についても、学力向上、規範意識の醸成など、児童生徒に対する教育指導の力や、保護者、地域、外部機関との連携、協働する力、学校全体としての組織に取り組む力を高めていくことが課題となっております。
 これらの課題に対応するため、学校現場で組織的、計画的な人材育成を行う仕組みづくりが必要であると考えております。

○小山委員 ただいまご答弁いただきましたように、二十年、三十年前の教育状況、教育環境とは大いに異なっているというふうに考えます。今の教員の先生方に求められている能力というのは、二十年、三十年前に比べても大変高いものが、また幅広いものが求められているというふうにも思います。
 そこで、授業の中のことをお答えいただきましたけれども、指導技術や教材開発だけではなくて、統率力も必要であると。私どもも授業参観に行くと、どうしても、先ほどご答弁のような子どもたちがいるという現実があります。そういった子どもたちを、どうやってうまく授業として成り立たせていくのか、そういった意味での統率力を身につけていく、この学級運営をできるように、先生方の力を身につけていくというのは大変重要なんだろうと思います。
 そこで、これからそういった能力を身につけていくような取り組みをされていくと思いますので、ぜひこの点については、都教育委員会として大いに支援をしていただきたいというふうにも思います。
 そこで、学校に対するもう一点として挙げられるのが、児童生徒、保護者、地域住民の意見が、要望が多様化していて、その期待にこたえられる資質、能力を教員が身につけていかなくてはならないという、そういった現状もあります。
 このようなさまざまな課題への対応力の育成に組織を挙げて取り組んでいくというふうにいわれておりましたけれども、こうした課題解決力と、子どもたちの興味や学ぶ意欲を引き出す授業力の双方が、先ほども申し上げましたように、今の教員には求められていると思います。
 そこで、都教育委員会では、教員の資質、能力の向上にかかわる課題の解決に向けて、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○加藤人事企画担当部長 都教育委員会では、教員の指導力とともに、今日的な教育課題の解決能力を培うため、一つには学習指導力、二つ目は生活指導力、進路指導力、三つ目は外部との連携、折衝力、四つ目は学校運営力、組織貢献力の四つの力を身につけさせるよう取り組んでおります。
 具体的には、採用直後から計画的に資質、能力の向上を図るため、三年間の東京都若手教員育成研修を初め、十年経験者研修、職層研修を通し、計画的に育成を図っております。
 また、各学校において、組織的に経験や職層に応じて育成するOJTを推進し、日常的な学校の課題に対応していく力をはぐくんでおります。
 その上で、魅力ある授業を行うため、東京教師道場では、二年間にわたる授業研究を通して、教科等の専門性を一層高めるとともに、他の教員の指導的役割を担うことができる資質、能力を高めております。
 今後、新たに導入する指導教諭のすぐれた実践事例に学んだ教員を中心に、OJTの質を高め、学校全体でよりよい授業のあり方を研究する仕組みを広めるなど、教員の指導力の向上に努めてまいります。

○小山委員 ただいまご答弁を伺っていて、やはり今日の先生においては大変多くの能力、資質を求められているということが改めてわかりました。
 そこで、東京都としてこの東京教師道場というものを設けて、その先生の能力、資質の向上を行っていくということでありますけれども、先ほども申し上げましたように、授業の教科の専門性ももちろんですけれども、やはり学級運営を行える統率力、あるいは学級運営をスムーズに行えるような、そういった運営する力、こういったものもこの教師道場でぜひはぐくんでいただくようにお願いをしたいというふうに思います。
 そして、この能力、資質が高められた先生方が実際の現場で十二分に指導が発揮できるように、教育委員会のさまざまな支援をお願いしておきたいというふうに思います。
 続いて、三件目として、そういった学校現場についてでありますけれども、現在、何度か私も一般質問やこの委員会の中でも質問させていただきましたが、学校現場の多忙解消についてでございます。
 学校現場に常日ごろ赴きますと、やはりいろんな声、いろんなことを見聞きいたします。特に校長先生や副校長先生などからお話をお伺いいたしますと、よく聞かれるのが、文部科学省や東京都教育委員会、さらには市区町村教育委員会などから、さまざまな、同じような種類の調査報告等が送られてきておりまして、事務量として大変膨大であり、大変な負担が生じているということもお聞きをいたしております。
 そこで、これら調査報告等の縮減の取り組みを東京都も図られておると思いますが、その取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○岡崎人事部長 都教育委員会は、教職員がより組織的に校務を行い、効率的な学校運営を実現することによって、さらなる教育の充実を図ることを目的として、昨年、小中学校の校務改善推進プランを策定いたしました。
 調査報告などの業務につきましては、このプランの策定の過程で二カ年にわたり実施した学校現場の聞き取り調査におきましても、調査内容に重複があることや、回答期限が短く、突発的に依頼される調査が多いことなどにより負担感が大きいとの声が寄せられました。
 そこで、都教育委員会は、調査・通知・配布物の縮減・改善指針を策定いたしまして、学校側が見通しを持って業務を進められるよう、あらかじめ年間スケジュールを示す、あるいは調査の必要性や内容の重複等を事前にチェックする、さらには、学校側に調査の目的をきちんと説明するなど、調査をする側への配慮を求めてきたところです。
 この指針を昨年十一月に実施した校務改善推進月間の活動の中で、教育庁内及び区市町村教育委員会に対しまして改めて徹底したところでございます。

○小山委員 ただいまご答弁の中にありましたように、やはり調査内容に重複があったり、あるいは突発的に依頼をされて、回答期限が短いということで、これは先生方にとっても負担感がかなり生じているということでありますから、この辺についてはぜひ東京都教育委員会が中心となって市区町村の教育委員会、あるいは文部科学省とも調整をする中で、本当に真に必要な調査や報告というのはあると思いますので、そういったことの部分と事務量の膨大というのを、十分両方を見渡しながら対応していただきたいというふうに思います。
 今ご答弁にありました校務改善については、十一月の文教委員会の事務事業質疑で、学校における業務の効率化ということで質問をさせていただきました。
 そこで最後に、その後の校務改善の進捗状況について、どのようになっているのかお伺いをしたいと思います。

○岡崎人事部長 都教育委員会は、校長、副校長、事務職員、区市町村教育委員会の代表者で構成する校務改善推進会議を設置いたしまして、各学校におけるさまざまな取り組みの進捗状況を把握するとともに、効果的な改善策の検証を行っております。
 具体的な先進例といたしましては、例えば、分掌組織の改編、会議の精選、年間予定や生活時程の見直しなどによりまして、最終退勤時間を一日平均約八十分短縮した事例、あるいは、校内LANを導入して会議資料などを共有化して、印刷や配布の業務を縮減した事例、あるいは集金システムを構築して業務の効率化と会計事故のリスク減少を同時に図ったといった事例が報告されております。
 こうした先駆的な取り組みを校務改善推進事業発表会や、校務改善ニュース、これらで紹介したり、ホームページやツイッターで発信することによりまして、校務改善の取り組みを全校に普及させているところでございます。
 また、学校において校務の総合調整組織となります経営支援部の設置を促しているところでございますが、平成二十五年度には設置校が三百二十五校と、前年度に比べまして九十三校増加する予定でございます。都教育委員会としては、今後もこの設置の拡大を支援してまいります。

○小山委員 これまで、平成二十五年度の予算の中身であるとか、あるいは第三次教育ビジョンの中身について、それぞれお聞きをしてまいりました。ぜひともこの平成二十五年度予算、そして第三次教育ビジョンが東京都の教育を一層前進させていただいて、子どもたちの教育に大いに資することを期待させていただきたいと思います。
 そういった意味で、東京都教育委員会と教育庁の皆さんのさらなるこういった教育への取り組みを求めまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○山崎委員 私の方からは、体罰の問題と国際バカロレアについて何点か質問をさせていただきたいと思います。
 予算委員会も大詰めを超えて、またもう少し時間がかかると思いますが、理事者の皆様、大変かと思いますが、ぜひ常任委員会の場も大切な場だと思いますので、よろしくお願いをさせていただきたいと思います。
 それでは、まず初めに体罰の問題について何点かお伺いをさせていただきます。
 体罰問題についての我が党の代表質問に対し、都教育委員会では、都内の全公立学校を対象に体罰の実態調査に着手をするとともに、その調査の過程において、部活動指導中の重大な体罰が判明したことを受け、部活動指導の在り方検討委員会を設置し、暴力容認の背景や、望ましい指導のあり方を早急に検討するとしております。
 教員には、教育上必要があると認めるときは児童生徒に懲戒を加えるなど、毅然とした対応が求められると考えますが、体に対する侵害や肉体的苦痛を与える懲戒のような体罰を行うことは絶対にあってはならないものであります。一時の感情に任せて手を上げたり、暴力に頼った指導を行ったりすることでは、指導面において規範意識の育成につながらないだけでなく、部活動をやっている生徒の意欲を失わせることにつながりかねません。
 そこで、今回判明した重大な体罰事案を徹底的に調査することにより、体罰が行われる原因や背景を明らかにし、体罰の根絶に向けた対策を打ち出すことが重要と考えますが、今回設置をした体罰調査委員会では、どのような方法により体罰の実態を判明していくのかお伺いします。

○岡崎人事部長 都教育委員会がこのたび設置した体罰調査委員会では、体罰事案の事実関係を徹底的に調査し、例えば、体罰禁止を認識しながら事故者が体罰を行った理由や、生徒や保護者、他の教職員が体罰があったことを知りながら訴えなかった理由などを解明してまいります。
 調査に当たりましては、臨床心理士や学校運営連絡協議会の委員を加えた調査チームを学校に派遣しまして、生徒や保護者から直接聞き取りを行うほか、調査の専門性、客観性を担保するため、外部委員として大学教授及びジャーナリストを委員に委嘱して議論を深めているところでございます。
 現在、さまざまな体罰事案を詳細に分析しているところでございますが、都立学校における体罰発生の原因や背景を明らかにする報告書を早急に取りまとめ、部活動指導の在り方検討委員会における議論につなげてまいります。

○山崎委員 全国的にいろいろな場所で体罰の問題、非常にクローズアップされております。東京都が一番しっかりと力を入れているんだ、本気で子どもたちを守っているんだ、また、教員、部活動の指導者に対してもしっかりと指導しているんだというところを見せていただきたいと思いますので、よろしくお願いをさせていただきたいと思います。
 そこで、都教育委員会では体罰根絶に向けた対策を講じる一方で、今後どのような部活動指導を展開していくべきかということを学校に対してしっかりと示していくことが重要であると考えますが、所見を伺います。

○坂本指導部長 本来、教育の場においては、授業であれ、部活動指導であれ、暴力により生徒を導くことは絶対にあってはならないことであります。
 都教育委員会は、体罰問題の解決及び望ましい部活動指導のあり方を検討していくために、スポーツ指導者や法律専門家、学識経験者等で構成する部活動指導の在り方検討委員会を二月二十八日に設置し、三月十八日に第一回の委員会を開催する予定でございます。
 本委員会におきましては、現在実施している実態調査の結果や体罰調査委員会の報告を踏まえまして、暴力のメカニズムや背景を追及しますとともに、体罰のない指導や生徒の意欲を高める指導のあり方、今後の指導者育成の具体的方策等を検討してまいります。
 今後、本委員会で検討した結果を六月までに取りまとめるとともに、その検討結果に基づき、体罰の根絶に向けた総合的な対策を講じてまいります。

○山崎委員 ぜひ六月、取りまとめをしていく中で、しっかりとした取りまとめをしていただいて、都民に、皆さんにもわかりやすい、そういったところでこういう形をとっておりますという総合的な対策を講じていく、そのことをしっかりと都民の皆様にもお知らせをしていただきたいと思います。
 今後、部活動指導の在り方検討委員会においては、さまざまな検討がなされると思います。検討に当たっては、ぜひ国内のすぐれた指導者から意見聴取をしたり、諸外国の対策を参考としたり、スポーツ都市東京の実現や、オリンピックを開催するに当たり、ふさわしい指導のあり方を追求し、部活動指導の進むべき方向をより具体的に学校に示していただきたいことをお願いしたいと思います。
 東京の子どもたちがしっかり教育を受けるためにも、都教育委員会には、このことを本気で、この問題解決に取り組んでほしいということをお願いさせていただきたいと思います。
 次に、国際バカロレアの認定取得に向けた取り組みについて伺いたいと思います。
 ことしの一月に公表された「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラム二〇一三には、海外大学への進学資格が取得可能となる教育プログラムである国際バカロレアについて、昨年の三月の文教委員会で、我が党の村上議員の質問に対し、今年度、国際バカロレアの認定取得に向けた課題を整理し、国際バカロレアの理念を踏まえた学校のあり方について検討を進めていくとの答弁があり、先日の我が党の代表質問の中でも、国際バカロレアの認定を目指す取り組みを行うとの答弁をいただきました。
 国際バカロレアの授業は、原則として英語、フランス語、スペイン語のいずれかの言語で行われることに加え、ディスカッションを多く取り入れることを大きな特色としております。生徒には、授業に備えて事前に課題図書の精読が求められることに加え、多くのレポートの提出を課せられるなど、相当ハードな教育プログラムであり、国際バカロレアの教育を受ける生徒には、語学力だけでなく、高い学習意欲と学力が求められます。
 このように国際バカロレアの教育は、日本の高校で一般的に行われている教育とは大きく異なる特色を持っていますが、都教育委員会では、このような国際バカロレアの教育プログラムを通じて、生徒にどのような能力を身につけさせようとしているのか伺います。

○直原都立学校教育部長 我が国を牽引するリーダーとして世界を舞台に活躍していくためには、高い使命感や、日本人としての自覚と誇りを持つことに加え、海外の厳しい環境の中で、言葉や文化の壁を乗り越えて諸外国の人々と対等に渡り合い、信頼をかち得ていく能力が不可欠でございます。
 そのため、生徒には、相手の意図や考えを的確に理解し、英語でみずからの意見を憶することなく論理的に主張できる力、困難な課題に果敢にチャレンジし、さまざまな文化的背景や多様な価値感を持つ人々と議論を重ね、解決策を見出していく力などを身につけさせる必要がございます。将来的に導入を目指す国際バカロレアの教育プログラムを通じて、これらの能力を育成してまいります。

○山崎委員 高い意欲と資質を兼ね備えた都立高校生が卒業後に海外大学に進学をし、異文化の中で、諸外国の人々との交流を通じて、さまざまな物の見方、考え方に触れ、学び、積むことは、彼らの将来にとっても、そして日本の未来にとっても大きな財産になるに違いありません。
 認定を取得する場合、数学や理科、歴史などの科目について、英語などで授業を実施することを求められるなど、国際バカロレア機構が示す基準を一つ一つクリアしていく必要がありますが、認定に向けては、まず認定を目指す学校を選定し、具体的な検討を進めていく必要があると考えます。数ある都立高校のうち、具体的にどの学校で国際バカロレアの認定を目指していくのか伺います。

○直原都立学校教育部長 国際バカロレアの認定を取得するためには、認定校として求められるカリキュラムを確実に実施できる素地が必要であり、外国語教育に力を入れていること、国際理解教育が盛んなことなどが要件となります。
 そのため、外国語教育や国際理解教育に特色があり、在京外国人生徒や海外帰国生徒を受け入れていることに加え、海外大学に多くの卒業生を送り出している実績のある都立国際高等学校において、国際バカロレアコースの設置に向け、認定の取得を目指してまいります。

○山崎委員 国際高校で認定を目指していくとのことでありました。国際高校は、国際化時代に対応し、豊かな国際感覚とすぐれた外国語能力を身につけた生徒を育成することを目指しており、平成元年に設置された高校であります。入学者選抜の倍率も例年三倍程度になっており、都民からも大きな期待が寄せられている学校の一つであります。まさに国際バカロレアの認定取得を目指すにはふさわしい学校だと思います。
 認定を取得するためには、国際バカロレア機構の審査を受け、合格する必要がありますが、認定に向けたハードルは高く、認定まで数年程度を要すると聞いております。とりわけ、先ほど申し上げた英語以外の科目について、英語で授業を実施するというのは大きな課題の一つになると思います。
 都立高校改革推進計画第一次実施計画では、グローバル人材の育成に向け、平成二十六年度から外国語による授業を開始し、将来に国際バカロレアの認定を目指すこととされておりますが、認定の取得に向け、今後どのような取り組みを進めていくのか伺います。

○直原都立学校教育部長 来年度、国際バカロレアの認定取得に向けた教育課程編成上の課題などについて検討するために、国際高校の校長や外部の学識経験者等を含めた検討委員会を設置いたします。
 そこでの検討結果をもとに、平成二十六年度から国際高校におきまして、数学など英語以外の科目について、日本語による授業に加え、英語でも授業を開始し、生徒が選択できるようにするなど、国際バカロレアの教育プログラムの実施に向けたノウハウを蓄積してまいります。
 また、来年度以降、国際バカロレア機構主催の研修会へ教員を派遣し育成を図るなど、将来的な認定の取得に向けた取り組みを進めてまいります。

○山崎委員 国際バカロレアの認定校は、これ、二〇一二年の六月現在だと思うんですが、世界で百四十二カ国、三千四百七十校程度、認定を受けています。日本では二十四校しかない。そういった部分で、まさに都立高校の中でこういった国際バカロレアを取得するということは非常に大切なことだと思いますし、また、一般の子どもたちが、都立高校へ行ってもそういったことが受けられるんだ、そういったところに世界に発信ができるんだ、また、世界のさまざまなことを学べるんだ、そういう思いを、そういう場所を提供することが非常に大切だと思いますので、ぜひ認定へ向けて、これからも皆様のご努力をお願いしたいと思います。
 子どもたちはとにかく日本の宝でありますから、これから国際社会へ、さまざまな場面で外国人と対等に渡り合い、日本の社会を牽引していくリーダーとして活躍する人材育成に向けても、これからも皆様のお力をかしていただきたい。私たちも一緒に応援をしていきたいと思いますので、このことを申し上げて質問を終わりたいと思います。

○野上(純)委員 平成二十五年度の予算と東京都の教育ビジョン三次の内容から、約七点にわたり質疑をさせていただきます。
 最初に、緑の学び舎事業について質問させていただきます。
 東京都は、平成十九年度から、緑化推進、ヒートアイランド対策、体力向上などを目的として校庭の芝生化事業を進めてまいりました。私たち公明党も全国の学校を、芝生にした先進的な事例を視察に行かせていただきまして、そこでの長所と課題点等をさまざまに調査してまいりました。
 例えば、手入れが非常に難しいとか、水はけの問題とか、枯れてしまうとか、いろいろなことがありました。大体成功した事例といたしましては、学校芝生応援団というのがありまして、その地域の方々がその芝生の管理をしていらっしゃいまして、きれいに芝をそろえて、そこでゴルフのパターとか、またちょっといろいろ練習をできるような、すごいすばらしいところもございました。そういうふうに地域の方も校庭を使い、芝生を管理し、子どもたちもそこで遊び、地域との関係がうまくいっているところはいつも芝生がきちっとなされているというようなことがございました。
 平成二十四年度から、公立小中学校の校庭芝生化事業を環境局から教育庁へ執行委任し、平成二十五年度からは教育庁へ本格的に移管すると聞いております。なぜ環境局から教育庁へ事業を移管することになったのか、その背景と理由についてお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 校庭の芝生化は、都市の緑化にとどまらず、子どもたちの体力を向上させ、自然への理解を深めるなど、教育上も有意義な事業でございます。また、校庭芝生化を一層推進するためには、校庭を実際に管理する学校や区市町村教育委員会との密接な連携を図る必要もございます。このため、公立学校を所管する教育庁の事業といたしました。
 各学校の実情を踏まえたきめ細かな支援を実施することにより、芝生を校舎や体育館と同じようにすべての学校に必須の施設と位置づけ、あって当たり前の芝生をキャッチフレーズに校庭芝生化事業をより一層推進してまいります。

○野上(純)委員 事業移管に先立って、既に予算の執行委任を受けて、教育庁において本年度、校庭芝生化を実施してきたということですけれども、実際に芝生化の推進の効果は上がっているんでしょうか。

○谷島地域教育支援部長 平成十七年度のモデル事業開始から昨年度までの七年間におきまして、環境局所管のもとで二百七十五校の公立小中学校が芝生化されました。今年度は新たに一年間で八十五校の校庭芝生化が行われる見込みでございまして、単年度実績で比較いたしますと、おおむね倍増でございます。
 都教育委員会は、去る二月七日に東京芝生大会を開催いたしました。そこでは、十八の区市町村教育委員会とともに、全校の芝生化を約束いたします校庭芝生化東京宣言を採択いたしました。今後も区市町村教育委員会との連携をさらに深め、芝生化推進の輪を広げてまいります。

○野上(純)委員 今までになく、校庭の芝生化が推進されるという成果があらわれていると思います。各学校において校庭の芝生を有効に活用し、教育の質の向上につなげていただきたいと思いますが、実際の活用方策についても、具体的な実例などが示されないと、なかなか学校現場では活用が進まないと思います。
 教育効果の高い活用方策の提案がなされることを期待しておりますけれども、このことについて見解をお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 校庭の芝生の活用策といたしまして、身近な自然である校庭に集まる生き物に親しみを持つよう、昨年十月に小学校二年生の生活の授業といたしまして、虫ききの会を実施いたしました。また、子どもたちの体力向上のため、昨年十二月に小学校五年生の体育の授業として、ビニール製の安全な用具を使いました、芝生の上で遊ぶ競い遊びを実施いたしました。
 参加しましたいずれの学校からも好評でございまして、今後、より多くの学校で実施できるよう、教育効果の高い活用策の普及に努めてまいります。

○野上(純)委員 校庭芝生化に当たっては、その維持管理に地域の方々が参加する場合に、芝生化の費用の全額が補助されてまいりましたが、地域の方々が参加できるかどうかということが学校にとっては非常に大きな課題だと思っております。
 私の地元の葛飾区では、東京芝生大会に参加をいたしまして、全校芝生化を目指す校庭芝生化東京宣言も採択をしております。地元の青少年委員の方が地域コーディネーターとして学校と家庭の橋渡し役を担って、地域の人たちが熱心に芝生の維持管理に参加しております。
 しかし、すべての都内の学校で地域参加がうまくできるかどうか、これは疑問に思っております。補助を受けるためには、これまでどおり維持管理への地域参加をやっぱり求めることになるんでしょうか。その理由についてお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 校庭芝生化の整備費につきましては、芝生の維持管理に地域の協力が得られる場合には、これまでどおり全額を補助することとしております。都教育委員会は昨年十一月に、校長、副校長を初めとする教員や地域の方を対象に、芝生の維持管理活動を通じまして地域連携に顕著な成果を上げている方を校庭芝生の親方として、また、芝生の管理技術の普及に尽力されている方を校庭芝生のたくみとしまして、合計二十七名を認証いたしました。
 こうした地域で芝生化に貢献する方々をふやしまして校庭の芝生化を推進することは、子どもたちが豊かな人間関係を築き、社会性を身につけるだけではなく、芝生を地域の財産として保護し、活用していくことでもございまして、今後も地域の方々の参加を求めてまいります。

○野上(純)委員 校庭の芝生化が子どもの教育に役立つというばかりではなく、学校と地域との連携を深めるきっかけになるということですから、やはりすべての学校で校庭の芝生化を進めることは大変大事な事業だと思っております。
 しかし、これから芝生化しようとする学校は、芝生化に適した校庭ばかりではないと思います。そこで、都教育委員会は、これから校庭芝生化に取り組もうとしている学校に向けて柔軟な施策を展開すべきと考えておりますが、見解をお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 日照等の問題によりまして、校庭での芝生の生育が困難な学校におきましても、子どもたちが芝生に触れ合える場を創設できるよう、補助の対象を屋上や中庭などにも拡大しております。
 また、芝生化にあわせまして、水たまりの解消や傾斜の是正等、芝生の維持に必要な校庭の改修も補助に含めております。

○野上(純)委員 芝生化に関しましては、私は大変意義のある事業だと思っておりますので、ぜひ積極的に住民参加を推進していきながら、この校庭芝生化事業をすべての区市町村で実施できるように推進していただければと思っております。
 二番目に、非構造部材の耐震化についてお伺いいたします。
 学校における非構造部材の耐震化なんですけれども、東日本大震災から二年が経過し、東京都においても、首都直下地震がいつ来るかもわからないということで、建物の耐震化については、公立学校は構造体の耐震化が九七%、非構造部材の耐震化率は三〇%という、まだまだちょっと低い状況なんですけれども、この非構造部材の耐震化も、すべての学校を対象に早急に推進すべきだと思っております。
 二年前の三・一一の日に九段会館で卒業式が行われておりまして、天井の落下によりお二人の方がお亡くなりになりました。九段会館の建物自身は耐震化はしっかりされていて、崩れることはなかったんですけれども、こうした非構造部材ということがこれからの大きな課題になってくると思っております。
 区市町村が非構造部材の耐震化に取り組むとしても、現在はその対象及び指標が国によって明らかにされておりませんで、どのような工事をどの程度すれば安心なのか、まだまだ区市町村はわからず、困っております。都は、国に対して非構造部材の耐震化に係る具体的な対象及び指標を示すよう要求しておりますが、その見込みについてお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 国は、天井高が高く、落下した場合に致命的な事故につながるおそれが大きい体育館の天井について、優先的に落下防止対策案を作成し、現在パブリックコメントを求めているところでございます。それを踏まえまして、本年五月ごろ、建築基準法施行令の一部改正などが行われる予定でございます。
 一方、校舎等につきましては、来年度中に対策を検討するとしており、現在の学校施設の非構造部材の耐震化ガイドブック等を見直し、内容の充実を図る予定と聞いております。

○野上(純)委員 いろいろ文科省にも問い合わせしたんですけれども、体育館の天井はなるべくとってくださいという、そういう指標で、でも、体育館の天井にいろいろな、バスケットボールの何ですかね、ゴールがあるような場合はちょっと難しいですねというような、そういった話でした。
 国による耐震化対策の対象や指標がまだ一度に示されていないのは、これから耐震化の対象について、天井、あるいは壁とかガラスとか、たくさんいろんなメニューがあるので、非構造部材についても、どこをどのように耐震化するというのが非常に難しいんだと思うんですね。
 ですけれども、特に体育館というのは災害時においては避難場所となりますので、やはり天井からの落下物というのが一番困るんではないかと思っております。天井については早急に耐震化を進めることはもとより、いつまでにそれを終えるのかということをお伺いしたいと思います。

○谷島地域教育支援部長 学校の体育館は、児童生徒の安全確保のみならず、避難所としての役割を担うことから、その天井の耐震化は極めて重要でございます。
 都教育委員会は、都立学校につきましては、平成二十七年度完了を目指しまして、体育館の天井の耐震化対策を計画的に実施してまいります。
 一方、公立小中学校につきましては、国は、平成二十七年度までの速やかな完了を目指して取り組むよう方針を示していますことから、都教育委員会は、設置者である区市町村教育委員会に対しまして、都と同様の時期に体育館の天井の耐震化対策を完了するよう働きかけてまいります。

○野上(純)委員 次に、校舎を初めとする、現時点では対象と指標が示されていない部分の耐震化についてお伺いいたします。
 平成二十五年度の都の補助制度は校舎等も対象と聞いておりますけれども、いまだ対象も指標も明らかではない中、耐震化を進める手順について所見をお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 校舎等の非構造部材の耐震化につきましては、国から対象や指標の示せる時期が来年度以降と聞いており、その取り組みの本格化は二十六年度以降になると思いますが、都教育委員会は、既に区市町村教育委員会に対し専門家による点検などを促しているところでございます。
 また、国のガイドブックの見直し状況などの情報を適宜適切に提供いたしまして、補助制度の活用とあわせて積極的な取り組みを支援してまいります。

○野上(純)委員 私は常日ごろ、最悪の事態を想定して、今できる最高の備えをしておくことが肝要であるといっております。校舎等の耐震化対策については、平成二十六年度から本格化するようでありますけれども、地震はいつ来るかもわかりません。平成二十七年度までといわないまでも、早急に対策が進むように都として積極的に取り組んでいただくことを希望して、次の質問に移ります。
 次は、スクールカウンセラーの活用事業についてでございます。
 私は過去九回、本会議や一般質問、決算特別委員会等を通してスクールカウンセラーの小学校への導入というのをいい続けてまいりました。
 一番最初に申し上げたのが平成十三年の定例会、一般質問でございましたけれども、そのときには小中学校の不登校の数が一万人を超えておりまして、まだまだ増加の一途をたどっていると。家に引きこもったまま、社会参加できない青年が全国で八十万人いると。その大半の原因が、不登校から外に出られない。それは大きな社会現象であると。ですから、中学校もそうなんですけれども、小学校にもぜひスクールカウンセラーを配置して、しっかりと対応を進めるべきだということをいい続けてまいりました。
 今回、すべての小中高都立学校にスクールカウンセラーの導入が決定をしたということで、スクールカウンセラーの役割と、平成二十五年度のスクールカウンセラー活用事業の事業規模について最初に伺います。

○坂本指導部長 スクールカウンセラーは、学校における教育相談機能の充実を図り、いじめや不登校など、児童生徒の問題行動等の未然防止や解消に資することを目的としまして、児童生徒へのカウンセリング、子育てや生活指導に関する保護者への助言、援助、教育相談等についての教員への指導援助を行っております。
 都教育委員会は、平成二十五年度予算におきまして、すべての公立小学校、中学校、高等学校、二千百十七校にスクールカウンセラーを配置するのに必要な経費を計上しております。

○野上(純)委員 平成二十五年度にスクールカウンセラーの配備拡大を行うこととした理由についてお伺いいたします。

○坂本指導部長 いじめや不登校など、児童生徒の問題行動の背景や要因は複雑でありまして、教員からの指導に加え、心理の立場からのアプローチが問題解決に有効である場合が多くあります。
 このため、すべての学校に児童生徒等の心のケアを行うスクールカウンセラーを配置し、児童生徒の健全育成を推進する環境を整えることが必要であり、スクールカウンセラーを全公立小中高等学校に配置することといたしました。

○野上(純)委員 それでは、スクールカウンセラーの応募要件と選考方法についてお伺いいたします。

○坂本指導部長 学校で起きる問題は多種多様であるため、特定の分野に特化した人材ではなく、あらゆる課題に対応できる人材をスクールカウンセラーとして配置することが必要であります。
 そのため、現在のスクールカウンセラーの応募要件は次の三つとなっております。
 第一は財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士、第二は精神科医、第三は児童生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識及び経験を有し、学校教育法第一条に規定する大学の学長、副学長、学部長、教授、准教授、講師、または助教の職にある者、またはあった者となっております。
 こうした人材をより安定的に確保し、これまでと同様な相談の質を維持するため、公募による選考を実施しております。

○野上(純)委員 質の確保ということを明示されております。
 スクールカウンセラーの勤務条件についてお伺いいたします。

○坂本指導部長 スクールカウンセラーは都の非常勤職員でございまして、一校当たり、週一回、一日七時間四十五分、年間三十五回勤務していただいております。
 報酬は一日当たり四万四千円で、これに加え、交通費を東京都の規定に準じ支給しております。

○野上(純)委員 勤務条件については、非常勤職員ということと、一年間の雇用形態ということだと思うんですけれども、よくわかりました。
 スクールカウンセラーが相談等で把握した情報を校内でどういうふうに活用していくのかについてお伺いいたします。

○坂本指導部長 都教育委員会は、スクールカウンセラーに対しまして、校内で個人として活動するのではなく、カウンセリング等の業務の中で得た情報のうち、学校が指導のために必要となる内容について必ず学校に報告するよう徹底しております。
 こうしたスクールカウンセラーからの情報を生活指導部会や学年会等を通じて教員が共有することで、組織的な対応につなげ、児童生徒の問題行動の解決を図っております。

○野上(純)委員 こうした予算規模の大きいスクールカウンセラーの導入が来年度から、四月一日から導入されるということで、一斉に各学校に配備されることになってまいります。一件でも二件でも、子どもたちの問題行動の解決が図れるように期待をしております。
 次の問題に移ります。
 次は、東京ベーシック・ドリルの作成について質問したいと思うんですけれども、問一と問二は小山さんと全く一緒だったので、飛ばさせていただきます。
 私は、基礎学力の定着というのは、四則計算とか漢字の読み書きとかもそうなんですけれども、繰り返しドリル学習が基本的には必要じゃないかと思っております。よく小学校六年生ぐらいで、ほかの計算はよくできても、例えば七、六、四十二を四十三とかと覚えているとしますよね。そうすると、その問題が来たときは全部間違えるわけです。ですから、何でこの子はここでいつも間違えるんだろうということをずっとさかのぼってやると、二年生で習う掛け算、九九の基本的なものが、うそをしっかりと覚えているので、その計算が来たときは全部間違えているということになるんですね。
 ですから、そういう四則計算とかもそうなんですけれども、どの学年でどれをしっかり自分たちが身につけていかなければいけないのかということを、やっぱり最低限のものがわかっているということが大事だと思っているんですね。
 そういう意味で、この東京ベーシック・ドリルというのは大変すばらしい提案だなと思っておりますし、また、私は小学校四年生というよりも、小学校三年生ぐらいまでも非常に大事で、小学校四年生の算数のつまずきが人生を大きく狂わせるなというふうに思っているんですね。ですから、それぐらいまでの大体学力をしっかり身につけさせることが大事だということで、東京ベーシック・ドリルは大賛成でございます。
 これ、ちょっとその続きになるんですけれども、東京ベーシック・ドリルはだれが作成するのかについてお聞きしたいと思います。

○坂本指導部長 東京ベーシック・ドリルの作成に当たりましては、東京都の児童の実態に即していること、実際に使用する教員にとって使い勝手のよいものであることを目指しております。
 そのため、都内公立小学校に勤務する教科の専門性が高い教員の協力を得ながら、都教育委員会の指導主事等が中心となって作成してまいります。

○野上(純)委員 東京ベーシック・ドリルの配布の規模、これについてお伺いいたします。

○坂本指導部長 東京ベーシック・ドリルの配布につきましては、都内公立小学校全校の第一学年から第四学年までの各学年に一冊ずつ配布するとともに、ホームページ上に東京ベーシック・ドリルの内容を掲載いたしまして、だれにでも活用していただけるようにしてまいります。

○野上(純)委員 四百三十六万という予算規模が非常に少ない事業ではあるんですけれども、専門性の高い教員が協力をし合ってつくり上げていくということから、専門性の高い教員同士の切磋琢磨にもつながりますし、ホームページでだれでも自由にその内容を取り出せて、何度でも使えるということで、これは非常に大事な事業ではないかと思っておりますので、ぜひこれがうまく皆様方に活用していただけるように望みまして、次の質問に移ります。
 次は、言語能力の向上ということで、これは言語能力向上推進事業ということと、言葉の祭典、それから高校生の書評合戦ということで予算が割かれておりますけれども、特に私はディベートや討論の推進、これは大事なことではないかと思っております。
 論理的に考えたり説明したりする能力を育てていくためには、ディベートや討論を推進していくことが大事であると考えております。都教育委員会の見解と取り組みについてお伺いいたします。

○坂本指導部長 ディベートや討論は、物事を論理的にとらえたり、的確に説明したりする力を養う上で有効な指導方法の一つであり、ディベートについては、立場を決め、相手を説得するために意見を述べ合う活動として学習指導要領に示されております。
 既に都立高校では地理、歴史や公民、外国語などの授業においてディベートや討論が取り入れられております。また、都教育委員会では、平成二十四年度から日本語による討論や英語によるディベートなどを実施いたします都立高校言葉の祭典を開催しまして、生徒がみずからの考えや意見を発表し合い、競い合っております。
 今後、授業におけるすぐれた事例をホームページで紹介したり、言葉の祭典への参加を学校に促したりすることなどを通しまして、生徒の論理的に思考する力や説明する力の育成を図ってまいります。

○野上(純)委員 知事は書評合戦についてもかなり力を入れていらっしゃると思うんですけれども、ディベートや討論も一緒に推進していただければと思っております。
 次に六番目で、管理職の計画的な育成について質問をいたします。
 東京都教育ビジョン(第三次)の案の中の二九ページなんですけれども、教育の成否は子どもたちの教育に直接かかわる教員にかかっており、その質と数の充実は最も重要な課題の一つであるということと、あと同じ二九ページの下から十三行目には、ベテラン教員の大量退職に伴う若手教員の増加により、学校全体の指導力の低下が懸念される中、複雑化、多様化する学校を取り巻く課題に対し、学校が組織的に課題解決に当たることができるよう、初任時から組織人としての認識を持たせるなど、若手教員を確実に育成することが必要である。また、その下には、教育管理職については、教育管理職選考受験者数が低下する中で、受験者を確保し、管理職としての資質、能力を持った優秀な人材を選考し、育成していくことが課題というふうに書かれております。
 そこで、まず最初に、大量退職、大量採用というふうによくいわれておりますけれども、その現状の確認という点から、教員の過去三年間の退職者数及び採用者数についてお伺いいたします。

○岡崎人事部長 過去三カ年の教員の退職者数は、平成二十一年度二千八百六十人、二十二年度二千八百六十三人、二十三年度二千八百四十八人でございまして、採用者数は、平成二十一年度二千九百八十八人、二十二年度三千二十五人、二十三年度三千百十九人となっております。
 このように、都では毎年三千人規模の教員を採用しておりまして、十年間で東京の公立学校の教員約六万人の半数が入れかわるという年齢構成の転換期を迎えておりますことから、若手教員の育成が急務となっております。

○野上(純)委員 そういうふうにベテラン教員の大量退職の実態がわかったと思います。
 それに伴って新規採用教員を数多く採用しておりますけれども、全員が教員としての資質、能力を有しているとは限らないと思います。また、実際に学校に勤務してみて、自分には適性がない、教師に向いていないと判断を下す人もいるかもしれません。そのため、一年間の条件つき採用は、教員としての適性を見る上で、一つには重要な期間であると思っております。
 そこで、過去三年間で、新規採用教員が一年間の条件つき採用期間の中で、成績不良等で正式採用できなかった人数についてお伺いいたします。

○岡崎人事部長 正式採用とならなかった教員のうち、転職などによる年度途中の自主退職以外で正式採用しなかった者の人数と、それが新規採用教員全体に占める割合を申し上げますと、平成二十一年度は二十八人で〇・九七%、二十二年度は十九人で〇・六五%、二十三年度は十五人で〇・五%でございました。

○野上(純)委員 平成二十三年度は十五人という数でありますけど、この中には、例えばほかの会社の方に転職をしたとか、自己都合でやめたという人の数は入っていないということですね。
 採用後一年間の条件つき採用期間終了時には、教員採用選考合格者の中に正式採用ができなかった人が昨年度は十五人ということなんですけれども、正式採用された先生であっても、採用間もない教員の多くは教員として未熟な部分もあり、経験豊富な教員が大量に退職していく現在、採用直後から教員を計画的に育成していくことが求められると思います。
 特に新規採用教員が学級を担任する小学校では、速やかに担任としての資質、能力を高めていく必要があることから、定年退職をした再任用短時間勤務教員が新人育成教員として、新規採用教員とペアで学級担任を実施しております。実践的な指導、育成を行う学級経営研修について一層の拡大を図るべきであると私は考えておりますが、これまでの取り組みと今後の対応についてお伺いいたします。

○岡崎人事部長 学級経営研修は小学校に配置される新人の育成方法として極めて有効でございますが、この研修を円滑に実施していくためには、児童への高い指導力に加えまして、社会経験のない新人を一人前に育てる力のある退職者を育成教員として必要数確保することが重要でございます。
 都教育委員会はこれまで、都内の全公立小学校長を対象とした実践報告や、退職予定者への募集説明会やリーフレットの配布などを実施し、この研修を開始した平成二十二年度に約八十人であった育成教員を現在までに二百人に増員しております。
 今後は、区市町村教育委員会と連携して、すぐれた人材を指名して育成教員となるよう働きかけていきます。また、募集説明会に、直近の退職予定者だけでなく、退職を数年後に迎える教員も新たに招きまして、計画的に育成教員の増員を図ってまいります。

○野上(純)委員 私もこの報告書を読ませていただきましたけれども、担任が二人いるというのがいかに心強いかということと、それから、退職された三十八年ぐらいの経験の先生が新人教員に対してしっかりと指導していくというこの制度は非常に大事だなというふうに思っておりますので、今後さらに展開をしていただきたいと思っております。
 それから、教育管理職について質問させていただきます。
 教育管理職であります校長、副校長は東京の教育改革を進めるキーパーソンであります。しかし、その職責の大変さなどから教育管理職のなり手が少なくなっているという現場の声もよく聞きます。
 特に小学校では、副校長が不足している状態であるとも聞いております。学校経営の担い手である管理職が不足する状況は、東京の学校教育全体への信頼を揺るがしかねない深刻な問題であります。次代の学校経営を担い、質の高い教育を推進する人材を早急に確保、育成することが急務ではないかと思っております。
 そこで、二年後には管理職として昇任する小学校の教育管理職B選考の状況と、現在、管理職不足をどうしているのかについて、その取り組みについてお伺いいたします。

○岡崎人事部長 小学校の教育管理職B選考の受験者数は、平成二十二年度が百四十四人、二十三年度が百四十九人、二十四年度が百五十五人と微増傾向にはございますが、各年度の選考倍率は一・一倍程度と低迷しておりまして、小学校の管理職の確保に努めているところでございます。
 具体的には、これまで区市町村教育委員会と連携して受験者の掘り起こしを積極的に行うとともに、退職した管理職の再任用により対応しているところでございます。

○野上(純)委員 優秀な管理職の再任用で管理職不足を回避することは、人材活用の観点から是としたいところでございますが、管理職確保に特に厳しい小学校では、全校長に占める再任用者の割合はどの程度かについてお伺いいたします。

○岡崎人事部長 過去三カ年の小学校の再任用校長の数と、それが校長全体に占める率でございますが、平成二十二年度は七十七名で約五・九%、二十三年度は百十九名で約九・一%、二十四年度は百四十九名で約一一・五%となっておりまして、再任用校長の割合は年々増加しております。

○野上(純)委員 再任用校長を提案した者としてはちょっと心苦しいんですけれども、副校長が校長に昇任できなくなるのではないかという弊害も聞いております。
 そもそも管理職不足となっている状態について、その理由を都教育委員会はどう見ているのかお伺いいたします。

○岡崎人事部長 教育管理職選考の受験者数減少の要因といたしましては、まず現在、管理職選考の受験対象となる三十代後半から四十代前半の教員が少ない、年齢構成の谷に当たっていることが挙げられますが、これは主任教諭、主幹教諭の制度の定着とともに、今後回復すると予測しております。
 問題は、学校組織の中で主体的に学校経営を担おうという意識が若手教員に希薄なことでございまして、将来管理職になろうとする気概を持つ者が少なくなっていることでございます。このことが現在の管理職不足の本質的な問題と考えております。

○野上(純)委員 質の高い教育管理職の確保、育成は学校教育にとって欠かすことのできないことであります。これまで有為な人材に対して、若いころから管理職を志す動機づけについては、学校や区市町村の教育委員会に任せている状態であったように思います。
 そこで、来年度から、将来、学校のリーダーとなり得る有為な若手教員を区市町村教育委員会と都教育委員会が主体となって選抜し、学校マネジメント能力を育成していく学校リーダー育成プログラムを展開すると聞いております。この学校リーダー育成プログラムとは具体的にどんなことなのか、実施内容についてお伺いいたします。

○岡崎人事部長 学校リーダー育成プログラムは、区市町村教育委員会と都教育委員会が一体となって選抜した若手教員のキャリアアップを支援し、学校マネジメント能力を高めながら管理職に導いていく数カ年にわたる研修システムでございます。
 具体的には、まず初めに、将来管理職にさせたい有為な三十代の主任教諭を選抜いたしまして、キャリア形成の道筋を示したりマネジメント能力を育成する学校マネジメント講座を受講させます。これは区市町村教育委員会が主体となって実施するものです。
 次に、この講座を修了した者のうち、特にリーダーとしてすぐれた資質を有する者を区市町村教育委員会が選びまして、翌年度に都教育委員会が実施する学校リーダー育成特別講座を受講させます。
 その後、教育管理職候補者B選考の養成講座を受講させ、管理職選考の一次選考免除の資格を与えて受験をさせ、管理職として任用していくという一連の仕組みとなっております。

○野上(純)委員 まず学校マネジメント講座、そしてその次に学校リーダー育成特別講座というふうに、段階を追って副校長に昇任される流れをつくっていくということだと思います。
 私は葛飾区なんですけれども、地域で育てた地域の核となる教員を、その区とか市とか、その地区に残して管理職にすることが必要ではないかと思っております。このプログラムにそのような配慮はなされているのかお伺いいたします。

○岡崎人事部長 小中学校の管理職の育成、確保につきましては、都教育委員会だけでなく、すべての区市町村が問題意識を共有し、連携して努力すべき大きな課題でございます。
 一方、区市町村がみずから育てた優秀な教員をそれぞれの自治体の教育施策の振興に積極的に貢献させたいという要望にもこたえなければなりません。
 そこで、区市町村が学校リーダー育成プログラムを活用して育成した教員につきましては、毎年一ないし二名、自地区の中で管理職まで昇任させ、地区の核となる人材として活躍することができるよう人事上の配慮を行ってまいります。

○野上(純)委員 このプログラムは確かに育成するのにかなり時間がかかるんですけれども、計画的に必要な管理職を養成していける点と、あと地区の核となる教員を残すシステムがあるということで、大変に高く評価できると思っております。
 残ってもらいたい教員、残りたい教員、相思相愛になることが本当は一番望ましいわけでございますけれども、今後とも、さまざまな取り組みで東京のあすを担う教育管理職を確保し、育成していただきたいということを教育庁にお願いをして、次の質問に移ります。
 最後です。小中学校における特別支援教育の充実についてでございます。
 公立小中学校の特別支援学級では、児童生徒の増加に対応して教員がふえておりまして、また、ベテラン教員が大量退職していることもありまして、現在、特別支援学級担任において、障害のある子どもへの指導経験が少ない教員の比率が高くなっております。
 特別支援教育に関する教員の専門性の確保と育成は、障害のある子どもの保護者にとって重要な問題でありまして、どのような教員が子どもの担任になるかで子どもの将来の自立と社会参加に希望が持てるか否かにもつながってくる、極めて重要な問題であると思っております。
 このため、特別支援教育に関する教員の専門性の向上に向け、研修の充実等さまざまな取り組みを進めるとともに、特別支援学校がセンター的機能を発揮して地域の小中学校の特別支援学級担任の専門性を向上させ、ひいては、すべての教員の特別支援教育の専門性を向上させる取り組みが重要であると思います。
 私の地元の葛飾区では、平成二十三年と二十四年度の二年間に、都の指定を受けて、区立小中学校の特別支援学級と都立水元特別支援学校が連携をし、特別支援学校のセンター的機能を発揮し、教員の専門性を向上させるモデル事業として、特別支援学級と特別支援学校の連携による専門的向上プロジェクトという事業を推進してきました。
 そこで、都教育委員会が進めてきた特別支援学校のセンター的機能の発揮に関するモデル事業の目的と概要についてお伺いいたします。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 特別支援学校のセンター的機能の発揮に関するモデル事業は、小中学校特別支援学級担任の専門性向上を図ることを目的としております。
 従来から特別支援学校は、小中学校からの要請を受け、障害の特性に応じた指導に関する助言や研修会への講師派遣等を行ってまいりました。それに対しまして、平成二十三年度、二十四年度に実施した本モデル事業では、モデル校に指定した都立特別支援学校四校が各地区の教育委員会と連携して、当該教育委員会が選定した小中学校の特別支援学級を支援してきました。
 具体的には、当該特別支援学級担任の専門性を向上させるため、モデル校の教員が指導計画、授業評価等の改善を支援するとともに、定期的、継続的に実際の指導場面に立ち会い、児童生徒の行動や理解の状態を踏まえた助言を行ってきたところでございます。

○野上(純)委員 今の答弁で、これまでの特別支援学校のセンター的機能の発揮は、特別支援学校が受け身であったのに対して、この本モデル事業は特別支援学校と区市町村教育委員会とが連携し、特別支援学級担任の専門性を計画的に向上させていこうとする取り組みであることがわかったと思います。
 本モデル事業による成果と都教育委員会の今後の取り組みについてお伺いいたします。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 本モデル事業によりまして、特別支援学級担任の児童生徒の障害の実態を把握する力、実態に応じて教育内容や指導方法を改善する力、児童生徒が集中して学習に取り組める教室環境を整備する力などの向上が見られたと、各教育委員会からの評価を受けております。
 特別支援学級担任からも、子どもの行動の理由を的確に把握できるようになったなど、専門性の向上を実感したとの意見が上がってございます。
 今後、都教育委員会は、全区市町村教育委員会に対し、本モデル事業の報告書をもとに特別支援学校のセンター的機能の計画的活用を提案し、小中学校特別支援学級担任の専門性向上が確実に図られるよう、積極的に働きかけてまいります。

○野上(純)委員 このモデル事業のように、特別支援学校のセンター的機能の発揮によりまして、特別支援学校がこれまで蓄積してきた支援を必要としている子どもたちへの指導の専門性を小中学校の特別支援学級の先生方に引き継いで、その波及効果として、すべての小中学校の先生方が特別支援教育の専門性を高めて、平成二十八年度以降に予定している特別支援教室構想が円滑に導入できることを期待しております。
 そのためにも、今答弁にあったように、都教育委員会は積極的に区市町村教育委員会に働きかけることをお願いして、私の質問を終わります。

○山内委員 質問いたします。
 ことし二月、東京都教育委員会は、東京都教育ビジョン(第三次)(仮称)を取りまとめ、発表いたしました。
 まず、取り組みの方向であります「健康・安全に生活する力を培う」にあります、子どもたちの健康づくりの推進にある、アレルギー疾患に適切に対応する対策を確立するに関してお伺いいたしたいと思います。
 食物アレルギーの子どもが年々ふえていると聞きます。都内の公立小中高校及び特別支援学校にどのぐらいの食物アレルギー疾患の児童生徒がいるのかお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 アレルギー疾患のある児童生徒に関する調査によりますと、区市町村立学校のうち、小学校につきましては、平成二十二年度は四千四百一人、平成二十三年度が七千百八十七人、平成二十四年度が八千二百八十九人となっております。
 中学校につきましては、平成二十二年度が七百四十六人、平成二十三年度が千二百九十三人、平成二十四年度が千四百九十三人となっております。
 また、都立学校につきましては、直近の調査によりますと、高等学校九十四人、特別支援学校百五十六人でございます。

○山内委員 数字だけではありませんが、やっぱりふえているという実情があるように思います。
 これまでアレルギー疾患のある児童生徒に対して、都はどのような取り組みを行ってきたのかお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 アレルギー疾患のある児童生徒が安心して学校生活を送るためには、文部科学省監修の学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインに沿った適切な対応方法を教職員が身につけることが必要でございます。
 このため、都教育委員会は区市町村教育委員会に対しまして、ガイドラインの周知徹底を図るとともに、教職員に対しましては、アレルギー疾患対応研修を毎年実施してまいりました。

○山内委員 昨年十二月、調布市の小学校で、食物アレルギーを有する子どもが学校給食が原因で亡くなるという非常に残念な事故が起きました。生活者ネットワークは、食物アレルギー対策について幾つかの自治体での学校の対応、実態などを調査したところ、自治体で独自のガイドラインマニュアルを策定しているところや、今おっしゃった文科省の監修のガイドラインを参考にしているところなど、対応はさまざまでした。
 食物アレルギーに対する理解とともに、緊急時の対応、処置方法等の緊急管理が重要だと思います。起こってはいけない事故が発生した場合、いかに冷静に対応していくかを日常的に研修すべきだと思います。
 学校教職員を対象としたアレルギー疾患に対する研修を行っているとのことですが、どのくらいの教職員が参加しているのか、また、この事故を受けて特別な取り組みを行ったのかお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 都教育委員会では、アレルギー疾患対応研修を平成二十一年度以降毎年実施しておりまして、これまでに計十四回、延べ約四千人が受講いたしました。
 今年度につきましては、年度当初予定していた二回に加えまして、事故後、緊急対応として、本年一月と三月の二回、研修を追加実施したところでございます。

○山内委員 毎年二回の研修とのことですけれども、時期がまちまちであると聞いております。入学や進級の前後でまず行われ、全校を挙げて取り上げることを要望いたします。
 これまでの研修は任意の参加と聞いていますが、食物アレルギー疾患のある児童生徒の担任は参加しているのかお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 都教育委員会は、都内公立学校の管理職や養護教諭を中心に、広く教職員に対しましてアレルギー疾患対応研修の受講を促してまいりました。
 来年度はこれに加えまして、緊急時の対応能力を高めるため、アドレナリン自己注射薬を携帯する児童生徒の学級担任に対しまして、悉皆研修として実施してまいります。

○山内委員 区市町村からもアレルギー対策の充実が求められています。全庁的に連携して、事故が起きないような仕組みを構築すべきではないかと思いますが、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 福祉保健局が設置いたします東京都アレルギー性疾患対策検討委員会に今後学校関係者を参加させるなど、関係局とも連携し、学校現場に即しましたアレルギー疾患対策のあり方につきまして早急に検討をしてまいります。

○山内委員 二度とこうした事故が起きないよう、現状の見直しと同時に、事故の影響が過剰防衛として子どもへのしわ寄せにならないような視点も求められていると思います。予防でポイントになるのは除去食、代替食、配ぜん方法、誤食防止です。関係者の共通認識、理解のために文書化したものが必要であり、それも簡潔でわかりやすいことが重要です。
 横浜市は、食物アレルギー対応食の実際として予想される事故とその防止策を具体的に記載しています。また、食品別除去食対応事例についても、注意点をわかりやすく記載しています。
 例えば、教室での配ぜん時の事故防止では、予想される事故として、担任が教室でほかの児童生徒の対応に追われていて、除去食を渡される前に子どもが通常食を食べてしまう。特に低学年に多いとして、担任は対応予定献立表等を食事時間の前に確認、家庭との連携で子ども自身の日々のアレルギーを把握、他の子どもにも周知などと具体的な防止を記載しています。
 学校給食におけるアレルギー対策として必要なのはリスクマネジメントです。専門家は、きめ細かい相互理解こそ危機管理の対応の第一歩と指摘しています。関係者が適切に実態把握、共通認識を持ち、日常的な対応を行って、さらに緊急時の対処方法を決める。このリスクマネジメントは、給食のアレルギー対策に限らず、学校における子どもの安全をどう保障するか、そのすべてに問われる姿勢といえると思います。
 次に、安全教育の推進についてお伺いいたします。
 市区町村と連携し、安全教育に関する授業の実践研究を行い、安全教育の一層の充実を図るとあります。今議会において、東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例が提案されています。ここには、自転車の安全で適正な利用のための技能及び知識の普及が挙げられています。
 自転車は環境、健康、経済面でもすぐれた乗り物ですが、都立高校で通学手段として認めているところも多いと聞いていますが、生徒の安全、万が一の事故の保険、校内での駐輪場確保等、必要です。また、それに加えて、近隣からマナーなどに対し学校側としての対応が求められてもいます。自転車通学の推進には、自転車の正しい乗り方やマナー教育などに取り組む必要があると思います。
 自転車通学を許可している都立高校の数についてお伺いいたします。

○坂本指導部長 平成二十三年度に自転車通学を認めている都立高校は、全日制百七十九校のうち百六十八校、定時制、通信制五十八校のうち五十六校、合計二百三十七校のうち二百二十四校でございます。

○山内委員 学区域が撤廃され、都内どこからでも入学できる都立高校の現状を踏まえると、生徒にとって自転車は身近な通学手段です。
 また、自宅から学校までの電車通学でなくても、自宅から自宅の最寄りの駅まで自転車に乗る場合や、あるいは電車で学校の最寄りの駅まで来て、そこから学校まで自転車通学するなど、さまざまな利用が考えられます。
 これまで都教育委員会では自転車交通安全教育をどのように進めてきたか、今年度の都立高校の実績事例を含めてお伺いいたします。

○坂本指導部長 都教育委員会では、平成二十年度から教師用指導資料、安全教育プログラムを作成いたしまして、都内公立学校全教員に配布し、その活用を図ることで交通安全教育の充実に努めております。
 今年度の実践事例の中には、都の安全教育推進校である都立高校で学校周辺の道路の危険箇所を生徒が実地踏査し、自転車通学に重点を置いた交通安全マップづくりがございます。
 この事例の学校は、完成したマップをもとに地域の幼稚園や小中学校の教員、自治会住民へ自分たちが調べた結果を説明するとともに、地元の大型店にマップを掲示することで、生徒のみならず、地域住民の交通安全意識の向上にも寄与いたしました。

○山内委員 今回、いわゆる自転車条例が制定された際には、関係機関との連携がこれまで以上に進むと思われます。
 そこで、今後、自転車交通安全教育を推進する上で、警視庁や青少年・治安対策本部と連携した取り組みとして、どのようなことを計画しているのかお伺いいたします。

○坂本指導部長 都教育委員会は、警視庁と連携しまして、自転車走行時のルールとマナー、自転車事故による賠償責任、それに備えた保険加入の必要性などについて、各学校の実態に応じて指導できるよう、警視庁が新たに作成したリーフレット「自転車の正しい乗り方」を都立高校全生徒へ四月に配布いたします。
 また、青少年・治安対策本部と連携しまして、自転車の交通ルールとマナーについて、疑似体験を通して楽しく学ぶことができる自転車シミュレーターを活用した安全教室を、小中学校で五十五回、都立高校で十回実施する予定でございます。

○山内委員 先ほど自転車通学の数をお伺いいたしましたが、ほとんどの都立学校で自転車通学があるということがわかりました。ですから、自転車条例が制定されることにかかわらず、いろいろな安全教育が必要だと思います。
 また、高齢者や障害者、小さい子どもにとっては、ルール違反の若者の自転車は凶器にもなるため、学校でもルールとマナーの徹底はされなければなりません。先ほど安全教育推進校で実地踏査をした事例を挙げていただきましたが、それを評価するとともに、他の高校でもこうした地域、また実踏などの取り組みの工夫を期待したいと思います。
 あわせて、自転車走行空間の整備や学校の最寄り駅等の駐輪場の整備など、教育委員会としても地元自治体や関係部局に求めていく必要があると考えます。
 次に、大津市のいじめによる中学生の自殺事件、この件で第三者機関による報告書が作成されました。ようやく学校側もその責任を認めたとの報道がありましたが、解決に向けても長い時間がかかってしまいます。
 さらに、いじめは深く子どもたちの心を傷つけ、その後の長い人生にまで影響を与えるケースも多くあります。都は二〇一三年度から公立小中高全校にスクールカウンセラーを配置することとなりました。
 そこで、スクールカウンセラーを配置したことによる具体的な成果についてお伺いいたします。

○坂本指導部長 これまでスクールカウンセラーにつきましては、平成十五年度に全公立中学校に配置し、順次、小学校及び都立高等学校へも配置を拡大してまいりました。
 配置校からは、スクールカウンセラーからの助言等により、配慮が必要な児童生徒への対応が充実するとともに、教員の教育相談技術が向上した、また、保護者からの相談にきめ細かく対応することで学校に対する信頼感が高まったなどの報告があり、スクールカウンセラーの配置は学校内の教育相談体制等の充実に効果を上げております。

○山内委員 スクールソーシャルワーカーのことについてお伺いします。
 スクールソーシャルワーカー活用事業の現状と、今後の計画についてお伺いいたします。

○坂本指導部長 スクールソーシャルワーカー活用事業は、児童生徒の生活指導上の課題に対応するため、教育分野に加え、社会福祉分野における専門的な知識等を用いて、児童生徒が置かれたさまざまな環境へ働きかけたり、関係機関等とのネットワークを活用したりして、問題を抱える児童生徒に支援を行うものでございます。
 平成二十四年度は三十一区市町で取り組んでおりますが、平成二十五年度は三十五地区で実施するための経費を計上しております。

○山内委員 いじめ等、解決しなければならない問題が生じた場合、どのように学校と外部人材が情報を共有し、問題解決を図るのかお伺いいたします。

○坂本指導部長 いじめ問題に迅速に対応するためには、個々の教員が問題を抱え込むことなく、学校全体で情報を共有化し、組織的に対応することが重要であります。
 各学校では、生活指導部会や学年会等の校内組織を活用いたしまして、いじめなど児童生徒の問題行動に関する情報をスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの外部人材と教員とが共有することで、組織的な問題解決に向けた取り組みの充実を図っています。

○山内委員 スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の外部人材や教職員は、顔を合わせて日ごろから意思疎通を行っていただきたいと考えます。
 都教育委員会では、いじめに関する研究を進めていると聞いていますが、その内容がどのようなものであるかお伺いいたします。

○坂本指導部長 都教育委員会では、いじめの総合対策の一つとしまして、昨年十月から都教職員研修センターにおきまして、いじめ問題に関する研究に取り組んでおります。
 この研究は、過去の重大な事案や最近の事案をもとに、いじめが深刻な事態に至らず解決できるようにするための具体的方策や、関係機関との連携のあり方等を研究することでいじめの未然防止、早期発見、早期対応の充実を図ることを目的としております。

○山内委員 子ども自身が、人を傷つけてはいけない、いじめはいけない、また、自分自身の命も大切にしなければいけないということをしっかり理解するようなプログラムが必要と考えますが、都教育委員会の見解をお伺いいたします。

○坂本指導部長 学校では、各教科や道徳、特別活動等におきまして、児童生徒の発達段階に応じ、計画的に人権尊重や生命尊重を推進する教育活動に取り組んでおります。
 例えば、今年度新たに作成いたしましたいじめに関する指導用DVD教材を道徳や特別活動などの時間で活用いたしまして、児童生徒にいじめは絶対に許されないことを理解させるなど、他人を思いやる心や生命を尊重する態度の育成を図っております。

○山内委員 スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの存在は、子どもたちにとってワンストップの場ともなります。始業前や放課後など、子どもたちが周りの目を気にせずに立ち寄れる時間帯もぜひ検討していただきたいと思います。
 いじめの罰則規定のある条例の施行や学校現場への警察の介入などの動きがありますが、いじめが深刻化してからの対処よりも、いじめられている子に声をかけるとか、一人で悩まないでだれかに相談してみるというように、子どもたちの意識を変えて、子ども同士の支え合いの関係を育てることで、いじめが起きにくく、深刻化しにくい学校にしていくことが大切です。自分を大切にし、自尊心を持って生きることが暴力防止にもつながります。
 ファシリテーターがサポートしながら進めるワークショップ形式のいじめ防止プログラムや、ロールプレーを通して子どもが仲裁役になって問題を解決するピアメディエーションなど、子どもたち自身が考えていく取り組みも行われているようです。
 文部科学省では、教育関係のNPO法人の活動を研究し、多様な活動の実態を把握、整理するとともに、事業実施における課題やその解決方法、うまく取り組みが進んだポイント等の分析を行って事例集をまとめているといいます。こうしたNPO活用などによっても、子どもが本来持っているエンパワーメントを進めるために、各自治体が実施しやすいよう、都としても支援することを改めて要望いたします。
 次に、部活動について伺います。
 大阪市の高校では、運動部の男子生徒が顧問教諭から体罰を受けて自殺するという痛ましい事件が起きました。顧問教諭のみならず、外部指導員が部活動指導に当たっていると聞いています。
 外部指導員について、人数、人選方法、報酬、契約はどのようになっているのかお伺いいたします。

○坂本指導部長 平成二十四年度の部活動実施状況調査によりますと、運動部活動の外部指導員は、都内公立中学校で二千五百八十二人、都立高等学校で千三十一人導入されております。そのうち、公費から報償費の支出があったのは、中学校で二千三百三十二人、高等学校で八百九十六人でございました。
 外部指導員は、地域の指導者や卒業生等、学校によってさまざまでありまして、人選や契約方法等につきましても、区市町村や学校の規定や依頼などにより行われているというのが現状でございます。

○山内委員 都では、部活動の体罰をなくすために、ことし二月に部活動指導の在り方検討委員会を設置いたしました。部活動指導の在り方検討委員会について、人数、専門分野など、どのようになっているのかお伺いいたします。

○坂本指導部長 部活動指導の在り方検討委員会は、教育庁理事を委員長としまして、競技団体代表、国際審判員、スポーツ法学の専門家、弁護士、精神科医、心理学者の学識経験者六人と、行政、学校やPTAの関係者十一人の合計十八人によって構成しております。

○山内委員 この三月に実践する都内公立中学、高校等の顧問教諭に対しての研修の内容についてお伺いしたいと思います。

○坂本指導部長 都内全公立中学校、高等学校の部活動顧問教諭の代表者を対象とした体罰根絶に向けた教員研修会では、まず、東京都教育委員会の瀬古利彦委員より、体罰根絶に向けて選手から見た指導者の姿、指導者として心がけるべきこと、今後の新たなスポーツ指導のあり方について特別講演を行いました。
 次に、教育庁の担当者より、部活動の教育的意義、顧問教諭の役割、暴力、暴言等の不適切な事例、体罰の定義と裁判例、望ましい指導者像について解説を行い、改めて体罰禁止の徹底を図ったところでございます。
 本研修会を受けまして、三月中にすべての公立中学、高校において校内研修会を行うこととなっております。

○山内委員 体罰を指導の一環とする認識や、厳しい指導も必要と容認する風土等を一掃する必要があると書かれておりますけれども、具体的にはどのようにしていくのかお伺いいたします。

○坂本指導部長 学校においては、体罰によって生徒を導くことは絶対にあってはならないことであります。
 このため、体罰の根絶に向けまして、改めて教員研修により体罰禁止の周知徹底を行い、次に、このたびの調査結果をもとに、体罰の原因や背景を徹底的に調査、分析いたしますとともに、部活動指導の在り方検討委員会におきまして、暴力のメカニズムや背景を追及するとともに、生徒の意欲を高める指導のあり方等を検討し、総合的な対策を講じてまいります。

○山内委員 都教育委員会は、部活動指導に携わる教員や外部指導員による体罰等をどのように把握し、対応していくのかお伺いいたします。

○岡崎人事部長 都教育委員会は、教員による体罰等が発覚した場合には、事故者や校長のほか、被害を受けた児童生徒、目撃者など、さまざまな関係者から詳しく事情を聴取して、事実関係を明らかにした上で厳正に対処してまいります。
 外部指導員につきましては、都教育委員会が懲戒処分を行うことはできませんが、校長から指導を行うほか、状況に応じて委嘱の解除などの対応を行います。

○山内委員 東京都の考える部活動の意義についてお伺いしたいと思います。

○坂本指導部長 部活動は学校が教育活動の一環として計画、実施するものでございまして、思いやりの心、自主性や社会性などを育て、豊かな人間関係や生涯学習の基礎づくり、さらには生徒の個性、能力の伸長や体力の向上、健康の増進などを図る上で大きな教育的意義がございます。
 今後とも、都教育委員会は望ましい部活動指導を推進していくため、学校や区市町村教育委員会と一体となって体罰の根絶に取り組んでまいります。

○山内委員 文部科学省は一昨日、三月十三日ですか、体罰と懲戒との区別を明確にする通知を全国の教育委員会に出しました。結果を残すことのみに固執せず、教育活動として適切に実施されなければならないと明示し、体罰と疑われる問題があった場合には、子どもや保護者への聞き取りに加え、必要があれば第三者と協力して事実関係を調べるように求めているといっています。
 元プロ野球選手の桑田真澄さんは本の中で、自分で考えて動ける選手じゃないと首脳陣から信頼は得られないんですよ、でも、練習では絶対服従で自分のいうことを聞く選手をつくっていくわけだから、試合に勝てるわけがない、勝てないから猛練習をする、また勝てない、これは悪循環ですよねといっています。
 また、絶対に仕返しをされないという上下関係の構図で起きるのが体罰、子どもたちは一生懸命練習しているのだから、指導者はそれ以上に勉強しなくてはならない、そういう意味で指導者の意識改革が一番おくれていると思います、殴る、けるの指導方法から脱却し、科学的指導法が必要ともおっしゃっています。
 肉体的にも精神的にも、子どもの自尊心を奪うような指導はあってはなりません。スポーツが嫌いにならないような部活動における指導者の育成をしていく必要があると考え、都にそれを要望いたします。
 次に、学校の教育環境整備についてお伺いいたします。
 全都立学校に導入したICT機器を活用して、よくわかる授業を実現する必要があるとしています。東京都教育委員会は、ICT機器を整備した教育環境を活用して、児童生徒がよくわかる授業を実現するために、どのような取り組みを行っているのか、その内容を伺います。

○坂本指導部長 都教育委員会は、よくわかる授業を実現するために、平成二十一年度からICT機器を活用した電子教材の開発に着手し、平成二十三年度からは、ICT活用推進校十二校においても電子教材の開発を行っております。
 例えば、国語や英語ではプロの朗読やネーティブの発音が聞ける教材、家庭科や体育では実習、実技における細かな作業や模範演技の動画が見られる教材などでございます。
 さらにこうした電子教材を活用した授業を広めるために、ICT教育フォーラムを開催いたしまして、都立学校全体でのよくわかる授業を推進しております。

○山内委員 そうした取り組みの成果についてお伺いいたします。

○坂本指導部長 都教育委員会は、都立学校におけるICT機器の活用状況等を把握するため、平成二十二年度から教育用ICT機器の授業等における活用状況調査を年二回実施しております。
 平成二十二年七月と平成二十四年十二月の調査結果を比較いたしますと、例えば都立高校におきましては、ICT機器を活用した授業を受けて学習意欲が高まったと感じている生徒の割合は二七・七%から三七・七%へ増加し、学力が高まったと感じている生徒の割合は同様に一八・六%から二六・九%へと増加してきております。
 この調査結果から、ICT機器を活用した授業は、児童生徒の学習意欲や学力の向上に一定の成果があるものと考えております。

○山内委員 こうした成果を踏まえて、都教育委員会は今後どのようなICT機器を整備するのかお伺いいたします。

○松山総務部長 都立学校では、平成二十五年度にICT機器の更新時期を迎えます。更新に当たりましては、各学校の実情を踏まえ、使いやすく教育効果を高める機器を選定するため、教職員を委員に含めたPTにより検討を進めてまいりました。
 その検討結果及び最新の情報技術動向を踏まえ、全校にタッチパネル液晶を搭載した高機能なタブレットパソコンを配備いたしますほか、高等学校におきましては機器の準備時間を短縮できるよう、プロジェクターを壁かけモデルに変更いたします。
 また、特別支援学校におきましては、無線LANのアクセスポイントを全校で増設し、必要に応じてタブレット端末を活用した効果的な授業を行えるようにするなど、ICT機器や環境を整備いたします。

○山内委員 子どもそれぞれ理解力は異なります。板書を消されてがっくり来た経験を皆さんはお持ちではないでしょうか。ICT機器の活用によって、それぞれの理解力に合わせられるような画面の分割等、さまざまな工夫によって、よくわかる、そしておもしろくなるような授業になることを期待します。
 また、ICT機器のよさは、子ども一人一人に応じた進度によって学ぶペースを持つこともできます。個別授業での活用も要望しておきます。
 次に、地域における多様な活動の充実についてお伺いいたします。
 社会全体で子どもの育ちを支えるために、地域での子どもの居場所の確保とともに、子どもたちが異年齢の友達や異世代の人たちとかかわり、遊びや体験活動や交流活動を行う場を確保することが重要です。
 そこで、都教育委員会では、放課後子ども教室推進事業を実施していますが、その実施状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 放課後子ども教室推進事業は、平成十九年度から事業を開始しまして、当初は三十八区市町、四百七十五教室の実施でございましたが、区市町数、教室数ともに着実に拡大いたしまして、今年度は五十二区市町、千七十一教室となっております。来年度は五十二区市町、千百七十教室での実施を予定しております。
 都教育委員会は、すべての区市町の小学校区での設置のために、コーディネーター、安全管理員などの活動スタッフの養成を行うとともに、学習、文化、スポーツなど、さまざまな活動が展開されるよう、特色ある活動事例の情報提供等を通じまして、引き続き区市町村の取り組みを支援してまいります。

○山内委員 放課後における交流活動や体験活動は、障害のある児童生徒にとっても重要です。しかし、特別支援学校に通う児童生徒は、障害の種別や程度が多様であることから、特別な配慮が必要であり、区市町で実施している放課後子ども教室の受け入れについてはまだ多くない状況と聞いています。
 このような状況を受けて、都立特別支援学校においても放課後子ども教室推進事業等を実施していると聞いていますが、その実施状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 都立特別支援学校におきまして、障害種別に対応し放課後子ども教室推進事業を行うためには、保護者、地域住民などによる活動を安定的に実施できる体制を築く必要がございます。
 都教育委員会では、支援体制が整ったところから順次、本格実施となります放課後子ども教室推進事業を実施しており、来年度は継続の五校と新規二校を加え、七校で予定をしております。
 支援体制が十分に整っていないところにつきましては、本格実施に向けた体制づくりを進めるため、放課後等活動支援推進事業を実施しており、来年度は継続五校、新規三校の八校で予定をしております。
 今後とも、学校や保護者等のニーズを踏まえ、実施校同士の情報交換の機会を設けることにより活動内容の充実を図るとともに、未実施校には実施校の取り組みを紹介するなど支援を行ってまいります。

○山内委員 子どもが地域で他世代の子どもや大人と触れ合っていくことは重要です。また、女性が子どもを育てながら仕事を続けられるためにも、放課後の充実は必要であると考えます。
 次に、学校危機管理マニュアルについてお伺いいたします。
 二〇一二年十一月策定の東京都地域防災計画と、二〇一三年四月施行の東京都帰宅困難者対策条例を踏まえて、都教育委員会では学校危機管理マニュアルの改定を行うこととなりました。
 その中に、児童生徒の発達段階等に応じた安全指導が挙げられています。釜石の奇跡を支えた片田敏孝さんは、津波てんでんこの意味するところを深く考えてほしい、親や子を見捨てろという薄情な言葉のはずはありません、相手は必ず逃げると確信が持てる信頼関係を築くことだと思います、最初に逃げると腰抜けといわれるかもしれないが、勇気を振り絞って逃げるんだと教えました、逃げれば、それを見た人が逃げ、連鎖して多くの人の命を守ることにつながるとおっしゃっています。
 今回の危機管理マニュアルの改定では、今後の防災計画として災害発生時、自分の命を守り、身近な人を助け、さらに避難所運営補助等の行動がとれる能力を幼小中高の発達段階に応じて指導するとしています。
 そこで、いざ地震が発生したとき、子どもたちが自分自身の身を自分で守るためには、防災教育を通じてどのような力を育てていくのかお伺いいたします。

○坂本指導部長 各学校では地震発生時、落下物や転倒物から身を守ることや、押さない、駆けない、しゃべらない、戻らないの合い言葉のもと、安全に避難することの大切さを指導しております。
 こうした指導を通しまして、自分の命を自分で守れるよう、危険を予測し、回避する能力を児童生徒に育成しております。

○山内委員 先ほど挙げました片田敏孝さんは、今回の地震は大丈夫だったけれども、次の地震も同じだろうか、危ない場所を考えたり、問答を繰り返し、自分で判断し行動できる姿勢を育てるようにしなくてはならない、これを姿勢の防災教育だというのだと話していらっしゃいます。
 臨機応変に自分で判断できる力を身につけていく。これは、先ほども申し上げましたけれども、防災教育に限らず、教育として最も求められることです。
 次に、地域の防災拠点としての体制整備についてお伺いいたします。
 都立高校は、発災から七十二時間程度まで、帰宅困難者等を受け入れる一時滞在施設の候補となりましたが、今後の予定と、帰宅困難者を受け入れる際の女性や外国人等への配慮についてお伺いいたします。

○松山総務部長 平成二十四年十一月修正の東京都地域防災計画において、島しょ地域を除くすべての都立高校は一時滞在候補施設に位置づけられました。今後、帰宅困難者用の食料、飲料水、ブランケットなどの備蓄や災害時優先電話などが整備された学校から、順次、一時滞在施設として指定される予定でございます。
 都立高校が一時滞在施設として帰宅困難者を受け入れる際には、災害時要援護者に加え、女性教職員による女性用備蓄品の配布や、施設状況を踏まえた授乳室の設置、外国語に堪能な教職員の配置や外国語での施設案内の表示等、女性の視点や外国人への配慮が必要でございまして、指定に向けて準備を進めてまいります。

○山内委員 都立高校は帰宅困難者の一時受け入れに加え、地域の避難住民を受け入れる避難所としての役割も担っています。特に都立特別支援学校は障害者等の二次避難所、福祉避難所として地域からも要望が出ています。
 そこで、都立学校は地域の防災拠点としても重要な役割を果たすこととなりますが、都立学校が市区町村から避難所指定の要請を受けた場合の対応と、市区町村との連携についてお伺いいたします。

○松山総務部長 東京都地域防災計画においては、教育庁の役割として、避難所の開設及び管理運営に協力することとしておりまして、区市町村長から要請があった場合には原則として承認をいたします。
 特に都立特別支援学校については、在籍する児童生徒を保護するほか、障害者等、避難所での生活が困難で、介護などのサービスが必要な要援護者を対象とした二次避難所、福祉避難所として承認いたします。
 避難所の管理運営は区市町村が行いますが、避難所指定を受けた都立学校は、区市町村の防災担当課及び地域住民とあらかじめ綿密に協議しておく必要がございます。今般改定した学校危機管理マニュアルにもその旨を記載しておりまして、各学校への趣旨の徹底を図ってまいります。

○山内委員 これからも、自治体と十分協議を進めていただきたいと要望しておきます。
 最後ですが、障害者雇用についてお伺いいたします。
 障害者の雇用の促進等に関する法律では、各都道府県教育委員会に対して二・〇%という障害者の法定雇用率を義務づけており、この法定雇用率を達成していない教育委員会は障害者採用計画をつくることになっています。東京都教育委員会の障害者雇用率は、二〇一一年六月一日時点で法定雇用率の二・〇%を満たしていなかったために、二〇一二年からの障害者採用計画を策定しています。
 二〇一二年十二月一日において、東京都教育委員会の障害者雇用率は一・六九%であり、前年の雇用率一・五八%から〇・一一%上昇してはいるものの、採用計画の実施率については、五〇%未満であることを理由として、先月の二十七日に東京労働局から障害者採用計画を適正に実施するようにとの勧告を受けています。
 そこでまず、東京都教育委員会の二〇一二年における障害者の採用実態はどのようになっているのかお伺いいたします。

○岡崎人事部長 障害者採用計画は、平成二十四年一月を始期とする二カ年にわたる計画となっておりまして、平成二十三年六月一日時点で、法定雇用率二・〇%を満たすために、不足していた障害者数、百八十人を補充するために策定したものでございます。
 平成二十四年の都教育委員会の採用者数は、教員では常勤の身体障害者が五人、教員以外の職種では常勤の身体障害者が五人及び非常勤の知的障害者が三人の以上合計十三人でございまして、採用計画の実施率は一二・三%と五〇%に至りませんでした。

○山内委員 障害者採用計画は計画どおりに進んでいませんが、予定どおり進まない理由と、今回勧告を受けたことの認識についてお伺いいたします。

○岡崎人事部長 都教育委員会は、これまでも法定雇用率の達成に向けまして、教員採用選考においては障害のある受験者も他の受験者も区別なく募集し、広く門戸を開放しておりまして、障害のある人の受験に際しては、点字や拡大文字の使用、試験時間の延長、手話通訳の配置など、受験しやすい環境を整備してまいりました。
 しかし、平成二十二年度に全国で教員免許状を取得した約十万人のうち、障害者は八十八人と大変少ないことから、教員の採用を中心とした法定雇用率の達成には一定の限界があるのが現状でございます。
 そこで、都教育委員会は、障害のある教員だけではなく、事務補助員制度を導入し、障害者の雇用の拡大に努めてまいりましたが、今回、東京労働局から障害者採用計画の適正実施勧告を受けましたことは重く受けとめてございます。

○山内委員 今回の勧告を受けて、都教育委員会は今後どのように取り組んでいくのか見解をお伺いします。

○岡崎人事部長 障害者の自立と社会参加を進めるための雇用の充実は、重要な課題であると認識しております。
 今回の勧告を踏まえ、今後の取り組みとして、教員採用選考においてさまざまな配慮を行っていることの周知をさらに充実して、採用選考の受験を促進いたしますとともに、区市町村教育委員会とも連携して、障害のある教員の採用を可能な限り拡大していきます。
 また、事務補助員制度を活用して、都立学校の環境整備業務など、新たな職場を設置するとともに、精神障害者の雇用方策を検討いたします。
 こうした取り組みを積極的に進め、法定雇用率の早期達成に努めてまいります。

○山内委員 障害者雇用については、民間でも雇用拡大の努力が求められています。行政は、民間の雇用の促進を進めるような取り組みを進めていかなければならない立場です。
 都教育庁の取り組みはなかなか進められてこなかったようですが、民間のモデルとなるよう今後の取り組みに期待をいたしまして、私の質問を終わります。

○畔上委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩といたします。
   午後三時十五分休憩

   午後三時三十分開議

○畔上委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○野上(ゆ)委員 私からは、平成二十五年二月、東京都教育委員会により取りまとめられた東京都教育ビジョン(第三次)(仮称)(案)について伺わせていただきます。
 いうまでもなく、現状の社会では本当に急激に変化をしております、政治、経済、産業、急速な高度化、グローバル化、情報化、こういった世界情勢の激変の中で、知識が社会、経済の発展の源泉となる知識基盤社会が本格的に到来しようとしていると見られております。
 また、従来いわれているとおり、昨今では日本の海洋資源、海底資源も新たな発見がニュースになっておりますが、基本的には国土の限られた広さから天然資源に恵まれていない国でございますので、そういった中では、やはり人材こそが国の宝であり、教育こそが私たちの国の将来を左右する重要課題であるというふうに考えております。そういった意味で、二十一世紀を生き抜いていける資質や能力を備えた人材の育成に対応した教育が求められております。
 しかしながら、今日では学校現場において、いじめや不登校、あるいは生徒指導上の課題への対応、あるいは特別支援教育の充実、外国人児童生徒、特に東京はそういった課題も抱えておりますので、先ほども質問がありましたICT教育、ICTの活用を初めとするさまざまな課題が急増するとともに、学力の向上や家庭、地域との連携協力の必要性も指摘されているところであります。
 そういった中で、やはりこういった学校を取り巻く環境が大きく変わる中で、学力、体力、規範意識などを確実に育成する質の高い教育がさらに求められているところです。学校教育の充実は、教育に直接かかわる教員の資質、能力に負うところが極めて大きい。それはほかの既にご質問された先生のご指摘にもあるとおりでございますので、私からは、教員研修の評価、測定との観点から、教育ビジョン、特に現職教員の資質、能力の向上について幾つか伺わせていただきたいと思います。
 まず初めに、東京都教育委員会は教員の資質、能力の向上に取り組むということではありますが、改めて教員研修の意義と目的について伺います。

○坂本指導部長 教員がさまざまな研修の計画的な受講を通して、みずからの指導力を高めることは、子どもたちの学力向上や健全育成などの推進にとって意義のあることでございます。教員研修にはOff―JTとOJTと自己啓発があり、このうちOff―JTを担っているのは東京都教職員研修センターでございます。
 都教育委員会は、教職員研修センターにおきまして、組織の一員として求められる力を育成するとともに、教科等の指導力の向上や教育課題への対応など、教員としての専門性を高めることを目的として、教員の経験や職層に応じた研修を実施しております。

○野上(ゆ)委員 このビジョンの、施策の内容について書かれておりますが、学習指導力、生活指導力・進路指導力、外部との連携・折衝力--何とか力というのが今、非常に言葉としてはやっていて、本屋さんに行くと、何々力をつけるためにまず初めにやらないこととか、そういった本がよく見受けられるんですけれども、この力という施策の言葉の使い方を見ると、非常に測定できない、何を教員に身につけていただくかということがきちんと図られるのかどうかという、少し心配をするところであります。
 特に、こういう施策の展開については、私自身は、どのように評価、測定をするのか。言葉のあれこれの定義はいろいろありますけれども、そういったこともセットで提案をしていかなければ、やはり施策の文面自体、報告書というか、自体が非常にとりとめもない、そして評価基準が幾らでもつくれる、そして教員自身の自己研さんの基軸が揺らいでしまう、ついては、東京都教育委員会が目標設定をしているところに到達ができないという結果に至るのではないかというふうに考えるところです。
 そこで、この東京都の研修センターについて伺いますが、この研修センターの研修の評価については四段階の評価を行っているというふうに伺っています。どのように研修の改善に生かしているのか、あるいは、この四段階評価で実施している理由について伺います。

○坂本指導部長 都教職員研修センターでは、教員研修の評価を行う際、カークパトリックの四段階評価を採用しております。
 第一段階は受講直後の受講者の研修に対する満足度の評価、第二段階は筆記試験やレポート等による受講者の学習到達度の評価、第三段階は受講者自身へのインタビューや校長等の他者評価による行動変容の評価、第四段階は受講者や職場の組織力、業績向上による評価となっております。
 これらの評価結果から、実施したおのおのの研修の内容や方法、講師選定等についての課題を把握して、改善策を策定し、次年度の研修に生かしております。

○野上(ゆ)委員 独立行政法人教員研修センターの「教員研修の手引き」、成果をどのように評価するかというところでも、やはりお話のカークパトリックの四段階評価ということが記されています。
 しかし、一方で、この四段階評価には幾つか課題があるということも記されています。これを読みますと、教員研修においては定型的な評価にとらわれず、多面的、総合的な評価が工夫されている。研修の成果を数値化するなど、目に見える形で明らかにする評価方法は難しい面もあるが、国においても実践的な研究が行われている。
 つまり、この四段階評価の上に、本来というか、カークパトリックの四段階評価というのは一九七五年に提示された、編み出されたというんでしょうか、評価ですから、もう二〇〇〇年に突入をして、アメリカでもさまざまな企業がこれを用いて改善をして、研修の評価基準を見直しているところです。
 例えば、この四段階評価の上にもう一つ、五段階評価を加えて、研修が投資に合ったものかどうかを考える。あるいは、研修の測定をするに当たって、投資額と比較する効果、つまり教育現場でいえば、生徒の学力にどのくらい効果をもたらしたかとか、あるいは、先ほどこの研修の目的である、お答えいただいた組織の一員として求められる力を育成する、項目を細やかに立てなきゃいけないですから、こちらを数値化するのはなかなか難しいとは思いますけれども、しかしながら、いずれにしても、予算を立てて研修センターを運営し、そして教員に研修を行う、これは地方自治法で決められていますから、研修を行うのがもちろん当然といえば当然なんですけれども、それに対する、生徒に対してどのくらいの効果があったかということを、やはり一定の成果としてあらわさなければいけないんではないかというふうに考えます。
 そこで、教員研修の事業評価について、第三者機関を含めた客観的な評価が必要であると考えますが、それについて意見を伺います。

○坂本指導部長 教職員研修センターでは、一つ一つの研修のねらいを設定し、受講者の研修報告書やレポート、論文、所属校での聞き取りなどから次年度の改善策を構築しております。
 また、これらの改善策を踏まえまして、学識経験者や民間企業、PTA代表等の委員から、学術的見地を生かした助言や民間企業の視点から見た改善点、保護者の立場から期待すること等について、意見や要望を聴取する第三者評価であります研修・研究評価委員会を設置しまして、それぞれの研修におけるねらいや内容に関する課題を明らかにし、次年度の研修がより効果的なものになるよう毎年改善を図っております。
 さらに、区市町村教育委員会教育長、幼稚園、小中高等学校及び特別支援学校の校長会代表、教育庁各部の部長等から、行政上の課題や区市町村や学校の視点から今求められていることを聴取する関係者評価であります運営協議会を行い、研修体系の構築にも役立てております。

○野上(ゆ)委員 済みません、一つ質問を飛ばしましたが、研修センターについてですが、平成二十四年度の予算と研修の実績及び平成二十五年度の予算要望の内容について改めて伺わせてください。

○坂本指導部長 平成二十四年度東京都教職員研修センターの教員研修に係る予算額は、約三億四千万円でございます。
 平成二十四年度、都教職員研修センターでは、二百七十八講座の教員研修を実施いたしまして、延べ約二万五千人の教員が受講いたしました。平成二十五年度は、理科に関する研修を八講座から三十七講座に拡大いたしまして、理数教育の充実を図るために、新たに約九百四十万円を予算計上いたしました。

○野上(ゆ)委員 そうしますと、これは単純計算をして、三億四千万円を延べ二万五千人で割ると、大体一人当たり一万三千円強になりますね。研修センターの規模は十二人から、大きいところだと三百人クラスの講座もあるんでしょうか、そうすると、三十人とか四十人とかの研修を大体、予算三十万から四十万で一講座二日、あるいは一日運営しているということになりますね。
 そうすると、やはりここである程度の、今、予算を単純に割っただけですから、もちろんこの中にはほかの施設運営費、人件費は入っていませんが、しかしながら、研修センターというのは民間でも幾らでもあるんです。教員研修センター、あるいは教科教育についての研修センターも民間で行っています。
 そう考えると、やはり東京都独自で運営をしている研修センターについて、費用対効果がきちんと上がっているのかどうかということの検証も一つ、本来であれば私は必要だと思います。
 そこで、この研修に参加している教員の評価というのはどのように行っているんでしょうか。また、人事考課の中でどのように評価というものを位置づけているか、あるいは反映しているのか伺います。

○加藤人事企画担当部長 教員の人事考課制度は、自己申告と業績評価の二つの柱で構成しており、自己申告で設定した目標を達成する過程で発揮された能力、意欲、実績を評価する仕組みとなっております。
 自己申告においては、職務目標やキャリアプランの達成に向けて、研修などの能力開発の目標を設定することとしており、その際、できるだけ数値化を図るように求めております。
 業績評価においては、研修意欲や研修成果を評価の着眼点としており、受講を通じて得られた成果を評価しております。
 したがいまして、単に教員が研修に参加したことをもって評価されるのではなく、それが職務の遂行にどう生かされ、どのような成果を上げたかという着眼点を持って評価されるものでございます。

○野上(ゆ)委員 ちょっと実はかみ合っていないところがあって、どのような成果を上げたかという着眼点を持って評価ということは、このどのような成果を上げたかという指標というものが教育庁にあるのかどうかということなんですよね。
 つまりは、恣意的に、先ほどこの質問の冒頭で申し上げましたけれども、指導力、人間力はどういった形ではかるのか。生徒たちにすれば、一発の入試の試験、学力で高校入試、大学入試、将来の進路がほぼ一回の試験で、学力で決まる世界です。
 しかし一方で、教師の方はどうですか。指導力、人間力、力という測定できない学力の向上や、あるいは指導力技術の向上という、そういった本来の専門性を高める部分では測定はされないんではないか。そういった評価測定の方法も今後重要な研究というか、検討課題に私はなってくると思います。
 例えば、社団法人日本教育工学振興会が毎回文科省で委託をされて、教員研修評価改善システムの事業の研究をしております。その報告書の中で、もちろん教育関連の施設の研修の研究をしているんですけれども、その項目の中で、民間の企業の取り組みも載せているんです。
 つまりは、人事評価と研修の展開の方法がやはり連携をされて、そして現場に戻ったときに、企業ですから顧客なんですけれども、実際の生徒にどのような影響を与え、どのような成果が発揮されたかということをきちんと測定をしましょうという一例がここに載っているんですね。
 あとは、例えば、海外の教育機関の例ですけれども、今、シンガポールの国の教員研修においては、一人一人の教員の資質を上げるための研修プログラムが重点的に組み込まれている。
 一方で、オーストラリアのメルボルンでしたか、そこで行っている教員研修については、教員研修を行って、そしてその成果をどこで測定するかというと、学校経営がうまくいっているかということで、この教員研修、つまりは教員自身の評価が決まるということになっています。
 だから、どこに評価を置いて、どこで測定をするかということが一人一人の教員の能力、資質向上の、どういうふうに訓練をして、どういうふうに研修を組み立てていくかという、研修のプログラムの組み立てにも大きく反映すると私は思っています。
 特にこの振興会の研究書を見ていると非常におもしろいんですけれども、例えば二〇〇五年の「ニューズウイーク」誌で取り上げられたアメリカのモンゴメリー郡の教育委員会の研修プログラムなんですけれども、このモンゴメリー郡というのは、アメリカでも挑発的な教育プログラムの実績によって、全米でも非常に高い生徒の学力をたたき出したということなんですね。
 もちろん、このアメリカの郡は大体千葉市ぐらいの人口ですし、あるいは全米有数の裕福な層が割合比較的にいる自治体ですから、教育レベルがもともと潜在的には高いレベルがあるとか、あるいは治安がいいことももちろん要因としてはありますよね。そういったことから非常に、研修プログラムをどういうふうに行えば、そして評価、測定をどのように行えば生徒の学力が上がり、全米でもトップランクに最多ランクインさせていると。
 トップ二十校のうちの二校、トップ八十校のうちの五校、これは二〇〇五年度の実績ですが、教員の研修プログラムをどのように行って、測定、そして評価をどういうふうに行って、事前の評価、そして事後の評価をどのように行うかということが非常に重要であるというふうな示唆をされております。
 ここのモンゴメリー郡の教育委員会は、マサチューセッツ州にある教育専門のコンサルタント、あるいは民間の教育機関と一緒に教員の研修プログラムを委託開発しているんですけれども、そういった意味で、この評価測定においては、やはり先ほど申し上げたとおり、四段階評価ではなくて、五段階までの評価をしている。つまりは、生徒にどのような影響を及ぼし、どのような成果を上げてきたかということが非常に重要なことであるというふうに、研究調査を発表しております。
 そこで、この東京都の研修センターの指導者、教員の指導をする者ですけれども、その評価についても非常に私は重要だと思っています。研修の指導者の評価というのを東京都教育委員会はどのように行っているのか伺います。

○坂本指導部長 東京都教職員研修センターでは、研修を企画、運営する担当者が実際に研修の場面を観察いたしまして、指導者について、講演や演習の内容、また、わかりやすさなどを評価するとともに、受講者アンケートを実施しまして、総合的に評価しております。

○野上(ゆ)委員 参加している教員自身の評価の方法はいかがでしょうか。

○坂本指導部長 研修に参加した教員につきましては、校長は研修終了後、その内容を報告させるとともに、校内研修会等の機会を活用いたしまして、教員会で研修内容の共有化に努めさせ、学校全体の指導力の向上につなげております。
 さらに校長は、授業観察を通じまして、研修前と研修後の授業の進め方等の変容を把握しまして、研修の成果を評価しております。

○野上(ゆ)委員 研修センターのプログラムを受講する教員については、事前の評価の測定、そして研修を受けた後の評価測定、そして一定期間置いた後、どのような効果があったかということも含めて、継続的なプログラムの提供もそうですけれども、トータル的な教員のキャリアといったら変ですけれども、教員自身の自己能力の開発や、あるいはライフプランに合わさったキャリア形成の育成を支える上でも、そういった事後の評価測定というのが非常に重要だと私は思います。
 今までのお話を聞いておりますと、評価の基準、あるいは測定の方法というのがまだ確立はされていない。どこも確立はされていないんですけれども、それは、それぞれの国や、あるいは地方自治体、鳥取県なんかも事例が載っておりますけれども、いろんな県の中で試行錯誤しながら、教員の能力の養成には測定と検証をセットでプログラムを開発するということが重要であるというふうにやはり思いますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、教員が研修を通して学んだことをどのように生かしているのか、いわゆる生徒の効果測定というのを現状ではどのように行っているのか確認をいたしまして、私の質問を終わります。

○坂本指導部長 研修に参加しました教員は、研修終了後にその内容を校長に報告するとともに、校内研修会等の機会を活用しまして、研修の成果等を他の教員に還元しております。
 また、校長は授業観察を通しまして、わかりやすい教材の作成、提示、子どもの発言の引き出し方、効果的な発問の仕方など、研修前と研修後の授業の進め方等の変容を把握し、研修の成果を評価しております。
 今後とも、都教委員会は、各学校が教員の研修の成果を児童生徒の指導に反映し、学力の向上や健全育成などの推進に資することができるよう、区市町村教育委員会や学校に対して指導助言をしてまいります。

○関口委員 私からは、まず英語教育の推進についてお尋ねしたいと思います。
 これまで、小学校における英語授業のあり方についてさまざまな課題を指摘し、議論を行ってまいりました。
 そのうちの一つが、小学校教諭の外国語授業の指導力についてであります。
 そもそも、この場で申し上げましたとおり、小学校教諭には採用試験においても英語という科目がないように、英語力をそもそも求められておりません。そうした中、外国語活動の必修化が導入されましたが、小学校教諭が授業現場において四苦八苦していることは想像にかたくないですし、実際私も授業現場を視察し、そんな状況を見てまいりました。
 そこで小学校では、小学校教諭の外国語授業の指導力を補うために、ネーティブ講師の活用などが展開がされています。
 しかし、このネーティブ講師、いわゆるALTの活用時間については各地域で大きなばらつきがあることは、さきのこの委員会でも指摘をしてまいりました。年間三十五時間すべての授業でALTを活用している学校地域もあれば、年間に一度も活用しない地域もあり、こうした状況に対して、都教委として何かしらの手当てが必要であるとも指摘をしてまいりました。
 まず、この点に関してお尋ねしたいと思います。来年度に向けて、小学校教諭の外国語活動の指導力向上のために、都教委としてどういう施策を展開する予定であるのかお伺いします。

○坂本指導部長 小学校学習指導要領、外国語活動では、指導計画の作成や授業の実習については、学級担任の教師、または外国語活動を担当する教師が行うこととございますことから、学級担任等、外国語活動を担当する教員に外国語活動について適切に指導できる力を育成していくことが重要であります。
 そのため、都教育委員会は、外国語指導助手、いわゆるALTの協力がなくても、小学校教員が単独で外国語活動の授業を適切に指導する力を身につけられるよう、地域の外部人材が有している外国語等の知識や能力を活用する小学校外国語活動アドバイザー活用事業を平成二十五年度から導入する予定でございます。

○関口委員 今し方、来年度からの新たな施策展開として、ALTの協力がなくとも外国語活動の授業を適切に行えるようにするため、アドバイザーを活用するというようなご説明がありました。
 また、学習指導要領にそもそも担任の先生、小学校の先生がみずから外国語授業を担当できるようにするというのが原則である旨の学習指導要領の説明もありましたが、一方で、同じ学習指導要領にはALTの活用というのも当然うたわれておりまして、だからこそ、この間、ALTの活用の時間の格差について、ばらつきについて質疑をしてきたわけであります。
 このたびの新規事業につきましては、当然、ALTを活用していない学校や活用時間の低い学校を対象にしていくべきであると考えますが、どのような学校に派遣をしていくのか見解を伺います。

○坂本指導部長 現在、都内の多くの公立小学校で導入しているALTは、児童にとって外国語を使ってコミュニケーションを図ろうとする意欲を高める効果がございます。また、ALTとのチームティーチングは、教員にとって英語による授業の進め方や英語の発音を習得する場ともなっております。
 都教育委員会が平成二十四年度に都内全公立小学校を対象に実施した調査から、年間三十五時間ある外国語活動の授業のうち、ALTの活用時間が十時間以下の学校が三百校程度あることがわかりました。
 都教育委員会は、区市町村教育委員会との連携のもと、この三百校から毎年百校ずつ指定しまして、外国語活動アドバイザーを活用した指導方法や教員の指導力向上を図るための研究を行い、その成果を全都に広げてまいります。

○関口委員 今し方のご答弁で、ALTの活用時間が年間十時間以下の学校を対象にしていくということが確認されました。
 特にALT、ネーティブとのチームティーチングの効果は明らかでありまして、よって、今回のアドバイザーについては、そうした効果、ALTを活用することによる効果を意識した上で、アドバイザーを派遣する授業というものを展開していく、この必要があろうかと思っております。
 そこでお伺いしますが、アドバイザーの役割及びどのような人材を想定しているのかお尋ねします。

○坂本指導部長 外国語活動アドバイザーの役割は、実際に小学校教員の授業を参観し、外国語活動の指導計画や教材の作成を支援したり、授業で頻繁に使われるあいさつ、指示、発問に関する英語の表現や授業の展開方法などについて助言したりすることにより、小学校教員の外国語活動に関する指導力の向上を図ることでございます。
 アドバイザーにつきましては、英語教員の経験者、外国生活の経験者、外国語に堪能な方などの学校の近隣に在住している外部人材の活用を考えております。

○関口委員 今回のこの新しい施策展開によって、小学校教諭の外国語活動の指導力向上につながることを大いに期待しております。
 また、この間ずっと私が英語教育の推進について何度も取り上げてまいりましたが、そもそも私がこの問題意識を持つきっかけになりましたのは、私が中学生時分のころでしたでしょうか、父親にいわれたある言葉がありまして、父は戦前の昭和十六年の生まれなんですけれども、当時中学生だった私に対して、おまえの英語の授業はいつからやっているのだと。中学校からですと答えたところ、おれの時代の英語教育と全く同じようなことをやっているのかと、何をやっているんだと私は怒られた記憶があるんですけれども、そのときに英語教育に関する問題意識、つまり、当時と私が中学生時分では、国際化という点において背景、環境が全く異なっているにもかかわらず、変わらない英語教育の状況について問題意識を強く持つに至ったわけであります。
 また、先般この質疑をするに当たりまして、知人の大学生の友人に、スイスで仕事、駐在をしている友人と話したところ、スイス在住のほかの駐在員、マイノリティーの駐在員、スイスではスリランカであったりロシアであったりチェコ、そうした方々の駐在員はみんな英語を普通に使いこなしているそうです。
 その理由を私の知人が訪ねたところ、中学、高校で習うからだよと、日本人は習わないのと聞かれたそうであります。私の知人は返答に困ったといっておりましたが、まさに今、東京都としては、都教委としては、東京の子どもたちが世界の若者と伍せる、世界の若者と渡り合える子どもを育てようと、こういう理想、理念のもと、さまざまな英語教育を推進しているものだと思います。
 私も大いに賛同しているところでもありますし、英語教育において東京モデルを確立するんだという、それぐらいの気概を持って、さらなる取り組みをしていただきますことを強く要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、教員のメンタルヘルスの現状についてお伺いしたいと思います。
 文部科学省の調査によれば、平成二十三年度中にうつなどの心の病、精神疾患で休職した公立学校の教員の数は全国で五千二百七十四人となっており、先生の休職が児童生徒に対して与える影響は大きいものがあると考えます。
 東京都における教員の精神疾患による病気休職者数の推移について伺います。

○前田福利厚生部長 精神疾患による教員の病気休職者数は、平成十九年度が四百十六人、平成二十年度五百四十人、平成二十一年度五百三十二人、平成二十二年度が五百十九人であり、平成二十三年度は五百二十七人となっております。
 このように平成二十年度が最も多い人数となっており、その後、大きな増減なく推移しております。

○関口委員 今ご答弁にございましたように、五百四十人から五百二十人台の間を推移しているということで、これは分析によるんでしょうけれども、高どまりしているのかなと、このようにも私は認識をしております。
 このような状況を受けて、都教育委員会は、教員のメンタルヘルスへの対応についてどのような考え方を基本として取り組んでいるのかお伺いいたします。

○前田福利厚生部長 精神疾患は本人の自覚がないままに重篤化することが多いことから、早期自覚、早期対処を基本としてメンタルヘルス対策を推進しております。
 具体的には、医療機関等への受診相談を促すため、全教職員を対象としたストレス検査を行うとともに、専門医や臨床心理士による土日を含めた相談、臨床心理士の講師派遣、初任者や副校長昇任者に対するカウンセリングなどを実施し、メンタルヘルス対策の充実を図っております。

○関口委員 早期自覚、早期対処を基本としたメンタルヘルス対策を推進されているということで、事前予防を基本とされているということだと思います。
 このような事前にさまざまな取り組みを行われているということは十二分に理解をいたしておりますが、一方で、先ほどの数字からも明らかなように、精神疾患による病気休職者は高どまりの状況が続いております。
 都教育委員会は平成二十二年五月にリワークプラザ東京を設置し、休職中の教員に対して職場復帰訓練の支援を進めていると聞いております。訓練では、専門医による面接を踏まえ、訓練の開始や終了時期について慎重に判断するとともに、臨床心理士と経験豊富な校長OBなどが学校を訪問し、教員の状況に応じた復帰訓練プログラムの作成、あるいは訓練の段階に応じた指導助言を行っているとも聞いております。
 しかしながら、そのような手厚い手厚い取り組みを行っても、復職した教員が再び休職する実態があろうかと思います。私も以前勤めていた企業、会社でもありましたが、一度精神疾患になって会社を休むようになった方が半年後ぐらいに戻ってこられて、また仕事をされる中で再び同じような心の病にかかり、また休職をするという例を、四年の企業経験でありますが幾つか見てまいりました。
 つまり、せっかく復職をされたとしても、残念ながらそうした心の病に再びかかってしまい、再休職する実態が学校現場でもあろうかと私は認識しております。そこで、再休職を防ぐためにどのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。

○前田福利厚生部長 リワークプラザ東京では、職場復帰訓練の内容を踏まえ、教員や学校に対して、復帰に当たって留意すべきことについて指導助言を行っております。
 復帰後も、体調管理が必要な教員などについては、区市町村教育委員会や学校経営支援センター等にも訓練時の状況に関する情報提供を行うとともに、復帰後の早い時期に臨床心理士などが学校へのフォロー訪問を行い、教員の状況に応じた支援を行うなど、再休職の防止に努めております。

○関口委員 さまざまな形で再休職の防止にも取り組んでおられることはわかりましたが、一つ指摘をし、注意しておきたいのが、一度復職した小中学校の先生、教員が事前にさまざまな段階を踏んで教壇に立つものと思われますが、例えば中学校の先生であれば、教科の担当として復職する場合と、そもそも担任、クラスを持つ場合があろうかと思いますが、担任の先生というのは教科を教えるのみならず、求められている役割は、生徒の悩みを相談を受けたり、教科を教える以上のさまざまな役割、大きな責任があろうかと私は認識をしているんですけれども、その意味で、担任として復職した先生、教諭がその後、再び休職となるようなことがあれば、これは児童生徒に与える影響はかなり大きいのではないかと思っております。
 私も実際、小学校三年生のころでしたか、いろいろ理由があったんですけれども、担任の先生が三カ月ぐらいたった後に休まれて、半年間ぐらい違う先生が担任を持たれたことがありまして、子どもながら残念だなと、これからもっと先生と仲よくしたいのになというふうに思った記憶があるぐらいですから、やはり担任の先生が一度復職をされて、また再び休職をするということは、生徒に与える影響が大きいのではないかと、このように私は認識をしております。
 この点に関して東京都教育委員会はどのように認識をし、取り組んでいるのかお伺いいたします。

○前田福利厚生部長 担任を持つ教員が年度途中で再度病気休職に入ることは、児童生徒に与える影響が大きいものと考えております。
 そのため、校長は職場復帰訓練を活用するなど、本人の回復状況を見きわめるとともに、復帰直後の教員は健康状態が必ずしも万全な状態とはいえない場合もあることから、本人の希望や主治医の意見も参考にし、復職後の配置や校務分掌について適切に配慮しているところでございます。
 今後とも、学校、区市町村教育委員会、都教育委員会がより密接に連携し、再休職の防止に取り組んでまいります。

○関口委員 今のご答弁の中でも、担任を持つ教員が年度途中で再度病気休職に入ることは児童生徒に与える影響が大きいと考えている旨のご答弁がありました。まさにその認識は私と同一でありますので、その認識に基づいて、今やられているであろう再発防止取り組みをさらに進めていっていただくことを要望しておきたいと思います。
 また加えて、再休職防止のためには、再休職をする例や数、そうしたことも把握することが必要でないかとも私は考えます。このような例や数などを今後の再休職防止の取り組みにも生かしていけるような状況がつくれないものかと。その点も今後ご検討いただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 さて、次は、病院内教育についてお尋ねしてまいりたいと思います。
 さきの一般質問でも我が会派の岡田議員が取り上げた課題でありますが、少し深めてまいりたいと思います。
 分教室、病院の中にあるいわゆる学校でありますが、分教室は週五日の授業を受けられるのに対して、訪問教育というものは週六時間と聞いております。病院に入院して教育を受けたいと考えている子どもにとって、教育条件が入院した病院によって大きく異なることは問題であるという、私も認識を持ちました。
 できる限り分教室での教育を受けられるようにすべきと考えます。まず、東京都が考える分教室を設置するための条件をお伺いいたします。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 病院に入院している児童生徒の教育は、病院内に設置した分教室における教育と、教員がベッドサイドを訪問して行う病院内訪問教育の二つの形態で実施しております。
 このうち、病院内分教室の設置の条件は、病状が安定し、恒常的に学習が可能な一定数の児童生徒が在院していること、教室、職員室等の施設の提供を得られること等でございます。

○関口委員 今のご答弁の中で、分教室を設置するためには一定数の子どもが在院していること、これが一つの必要条件であるというお話があったかと思います。
 現在、病院内教育、病院の中にある学校の中で、最も子どもの数が少ないところ、そして、最も子どもの数が多い訪問教育を実施している病院の児童生徒数はそれぞれ何人であるのかをお伺いいたします。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 平成二十四年五月一日現在、最も人数の少ない病院内分教室の在籍児童生徒数は七人、訪問教育において最も人数の多い病院の児童生徒数は八人でございます。

○関口委員 今のご答弁のとおり、訪問教育の在籍児童生徒数の方が分教室の在籍児童生徒数を上回っている病院が実態としてあるということがわかりました。
 私の知っている病院では、今ご答弁にありましたように、最も子どもの数が少ない分教室と同じぐらいの人数で訪問教育が実施されており、教育を受ける子どもたちのために、分教室設置のもう一つの条件である教育のスペースまで確保できるといわれています。
 人数もいわばクリアし、スペースも確保できるんだといっている病院があるわけですが、こういう病院に対して分教室を設置できないというのはなぜなんでしょうか。ご所見をお伺いいたします。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 現在、在籍の児童生徒数が七人と、最も児童生徒数が少ない病院内分教室も、開設時には十四人が在籍して、一学級六人で学級編制を行っておりました。
 その後、入院期間が短くなった等によりまして、在籍する児童生徒が少なくなりましたが、分教室として維持しているところでございます。

○関口委員 今のご答弁では、現在少ない七人の分教室においては、開設当初は十四人が在籍をしたんだと。だから、訪問教室の八人は十四人を満たしていないから分教室になれないんだというようなご答弁であったかと思います。
 ということになれば、生徒数の一定数という一つの条件が十四人なのかということにもなるわけでありますが、例えば、今行っている訪問教育のある病院が、八人のところが十四人に達すれば、病院内の教室、院内教室というものも設置が可能になるんでしょうか。お尋ねいたします。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 病院内分教室の設置につきましては、先ほどお答えをしたとおり、病状が安定し、恒常的に学習が可能な一定数の児童生徒が在院している等の条件を総合的に勘案し、適切に対応しているところでございます。

○関口委員 分教室設置の要件が人数だけでもなく、スペースだけでもなく、その他もろもろのいろんな諸条件を総合的に勘案して、設置するかしないかを最終的に判断するんだと、こういうご答弁であったかと思います。
 しかしながら、現実的問題として、現状、訪問教育の授業時間数と分教室の授業時間数が大きく乖離しているというのは、現状として今あるわけです。同じ子どもです。私も実は小学校一年生のときに半年近く入院したことがあるんですけれども、そのときこういう制度があったかないかはちょっとわからないんですが、私はこういう制度は使わず、学校を休むという形になっていましたが、親戚のお姉さんが見舞いによく来てくれて、算数や国語などを教えてくれたんですね。そのときの時間が物すごく楽しかったんです。
 そういう思いがあるからこそ、この訪問教育の子どもたちが、きょうは体の調子がよくて勉強したいなと思ったときにも、一日二こましかないから受けられない場合が必ずあるんだろうなと。そういう子どもにとっては、分教室のような教室も別枠であって、先生もいて、一日五時間、六時間、五こま、六こま授業があれば、そういう勉強をしたいなと思ったときに行けるのになと。
 そういう現状が子どもたちに今存在をしているんであれば、何かしら解決していくべき方策を我々大人は考えていかなくちゃいけないんじゃないかと、こういう問題意識できょうこの質問に立たせていただいているわけでありますが、今申し上げたとおり、訪問教育では週六時間、一方で、病院内教室では一日五こま、六こまある。その大きく授業時間数が乖離している現状に対して、都はどのように解決していこうとしているのかお伺いいたします。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 病院内訪問教育は週三回、一回二時間、教員が児童生徒のベッドサイドまで訪問し、一対一で児童生徒の状況に応じたきめ細かな授業を行っております。
 現在は、病院に最も近い肢体不自由特別支援学校から教員を派遣しておりますが、今後、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画に基づき、訪問教育を実施する学校を拠点化し、多様な教科に対応できる十分な教員を集中的に配置するなどして、教科指導を充実してまいります。
 また、訪問教育に加え、今後、ベッドにいながら、病状に応じて無理なく自学自習することが可能なパソコンを活用したeラーニングを導入することにより、学習内容の定着、学習意欲の向上、学習習慣の確立などを図ってまいります。

○関口委員 今、病院内訪問教育に対しては、拠点化をすることで教科指導を充実していくんだというご答弁がありました。あるいは、eラーニング、パソコンなどを活用したもので、これでも対応していくんだというご答弁がありました。
 それはそれとして、取り組みとしては、訪問教育を受けている病気の子どもたちの学習する機会を少しでも与えてあげようという思い、そこから派生した施策展開であると私も認識をしております。
 一方で、今のご答弁では、教科指導の充実ということにありました。私としては、充実はもちろんでありますが、さらには、今、週六時間、一日二こまというこま数も、一こまでも二こまでもふやせるような最大限の工夫を拠点化に当たってはぜひお考えいただきたいということを強く要望いたしまして、以上、私の質問を終わります。

○中村委員 では、来年度予算と条例改正、教育ビジョンに関して質問します。
 教育にはさまざま施策がありますが、基本となるのは教員が児童生徒に教えるということで、その他の政策はそれを支える制度になります。そのため、教員の資質が大変重要になります。いじめや体罰の問題でも教員の資質が問われています。
 今議会には、議案として指導教諭の設置による条例改正が提案されていますので、関連して、人事や組織について、以下質問いたします。
 学校においては、校長と他の教員という、いわゆるなべぶた型の組織といわれていたのが、組織力での対応強化ということで、ピラミッド型に変わってきました。制度そのものにはそれぞれ長所、短所があるとは思いますが、現場で子どもが好きでずっと教えていたいという教員が、より働きやすくすることも大切です。
 組織の強化により管理が厳しくなったともいわれますが、現状の認識をお伺いします。

○加藤人事企画担当部長 学校におけるさまざまな課題を迅速かつ的確に解決するためには、教員個々の力を向上させることはもとより、組織的な対応強化を図っていくことが必要不可欠であります。
 都教育委員会では、教員の意欲を引き出し、能力を発揮させるため、主幹教諭や主任教諭の職を設置するなどの人事制度の充実や、組織的な学校経営を行うための体制整備等を推進してまいりました。
 児童生徒の能力を最大限伸ばすためには、教員一人一人が強い情熱と高い指導力を持ち、校長のリーダーシップのもと、学校全体が一体となって教育に当たる取り組みを一層推進することが必要であると認識しております。

○中村委員 ぜひ教員一人一人が意欲を持って取り組めるようお願いいたします。
 さて、副校長が足りないといわれて久しい中、原因は多忙から試験を受けないということだけではなく、教員の年齢構成がちょうど管理職になる層が少なかったということもあるようです。
 時間の推移で改善はされるようですが、現時点では、全体の年齢構成は三十歳前後と五十歳前後が多く、四十歳前後は少ないというM字型になっているため、多い年齢層が退職をすると、採用のときにまた大量採用するため、偏りが続いてしまいます。
 民間人校長を採用することの是非ということはありますが、それとは違って、社会人の経験を踏んだ教員資格を持った中高年層についての中途採用を真剣に考える必要があります。教員試験の年代層を広げるというだけではなく、別枠で採用することも考えられます。
 教育の経験がなく、民間の経験だけでいきなり校長にするならば、社会経験を踏んだ教員資格のある人に教育現場に入ってもらい、ある程度現場を踏んでから管理職になる方がよいと思います。こういった採用についてのご所見を伺います。

○岡崎人事部長 都教育委員会は、社会人経験を積んだ優秀な人材を幅広い年齢層から確保する目的で、民間企業等の社会人経験者を対象とする特例選考を実施しておりまして、平成二十一年度に実施した選考からは、年齢制限を五十九歳まで引き上げたところです。
 別枠で採用することにつきましては、数は確実に確保できるものの、応募者倍率が低い場合には合格者の質が求める水準に達しないおそれがあることから、一次選考は論文のみでありますが、二次選考の面接以降は一般選考の受験者と競争させる特例選考の方式をとっております。
 社会人経験者の受験者を増加させるため、社会人を対象とした説明会を実施するほか、今月から新たに専用のツイッターを使った情報発信や就職情報会社を通じた募集などの取り組みを行ってまいります。こうした取り組みを通じまして、社会人経験を積んだ優秀な人材を積極的に採用してまいります。

○中村委員 取り組みをしていただいていることはわかりましたが、年齢構成が一律、偏らないようにという取り組みから考えると、やはり枠を広げるということで、それで長短あるとは思うんですけれども、やっぱりそういうところもしっかり採用しているんだということを示すことも新たな人材の掘り起こしになるかと思いますので、そういった取り組みの方もさらにお願いしたいというふうに思っています。
 さて、組織とともに教育職員の人事考課制度について伺います。
 学校現場だけが特殊ではないとはいえ、営利企業とは違うため、業績評価は難しいものがあります。都議会民主党は、いじめへの対応をしてほしいという視点から、平成二十四年第三回定例会の代表質問の中で、業績評価がいじめの隠ぺいにつながらないよう述べました。
 これはいじめの問題だけではなく、児童生徒の学力を含めて、最初の状況をきちんと把握できていないと教員の評価が正しくされません。原因はそれだけではないと思いますが、予算の関係もあり、校長が四段階の絶対評価を行っても、教育長が五段階の相対評価に再編する際に、どうしても不満が残り、意欲の低減につながるとの指摘もあります。人事考課制度の課題と成果をどのように認識しているのか伺います。

○加藤人事企画担当部長 都教育委員会は、教員の資質、能力の向上及び学校組織の活性化を図ることを目的として、平成十二年度から自己申告と業績評価の二つの柱で構成する人事考課制度を導入しております。
 校長、副校長は、自己申告により、年間を通じて教員一人一人の課題や目標、適性や改善すべき点等を把握し、面接等により適切な指導助言を行うことで教員の資質、能力の向上につなげております。また、絶対評価、相対評価の双方を通じて教員の頑張りを昇任や給与に反映させることにより、教員一人一人のモチベーションの向上を図っております。
 今後は、引き続き評価制度の向上に取り組むとともに、評価結果を適切に処遇に反映させることで教員の意欲と努力に一層こたえることが必要であると認識しております。

○中村委員 この人事考課制度が導入されて十年以上が経過をしますので、検証する時期にも来ているかと思います。外部の有識者などの意見も聞きながら検証していただきたいと思います。
 さて、教員の評価をする校長そのものの質というのはその分、大変重要です。とりわけトップマネジメントが重要な組織に変わってきたこともあり、教員の評価もするのですから、その重要性はますます増しています。
 例えば、私、三鷹市内の小中学校、高校をよく訪問するんですが、学校というのは校長によって本当に変わるものだというのが実感されます。
 三鷹市では、今、全校がコミュニティスクールになっているんですが、そもそもこれが始まったのは、一人の校長の裁量で始められて、その後学校が変わって、それを受けて、今度は教育委員会が市の方針にしました。教育委員会の指導というのも大切なんですが、現場での指導者は大変重要で、やろうと思えばかなりのことがそこでできます。ただ、残念ながら時々首をかしげてしまうような校長もいないとはいえません。
 校長の役割と、さらにどのように人材を確保し、質の向上を図っているのか伺います。

○岡崎人事部長 校長は学校を代表し、学力向上や健全育成、地域との連携、いじめや体罰の根絶などのさまざまな課題の解決に向けてリーダーシップを発揮して、学校経営を行っております。
 校長に昇任するためには、副校長を三年以上経験した者がまず校長選考を受験します。この校長選考の倍率は、平成二十四年度の全校種平均で約三・五倍と厳しい関門となっております。そして、翌年度には校長職候補者研修を受講しまして、校長任用審査を受けます。この審査では、学校経営力、人材育成力、外部折衝力など、校長として必要な資質の有無を最終確認いたしまして、適格と判定された者には翌年度以降、校長となる資格が与えられるものでございます。
 そして校長任用後は、東京都教職員研修センターや区市町村教育委員会が校長研修を毎年実施いたしまして、幅広い識見を養うとともに、さまざまな教育課題への対応力や組織的な学校経営を推進するマネジメント能力を高めさせるなど、校長として必要な資質、能力の向上を図っておるところでございます。

○中村委員 校長になるところの倍率が高いということなんですが、副校長でないと校長の試験は受けられないわけですから、副校長になるところの倍率がそんなに高くならないというところが問題だと思いますから、そういったところ、いろいろな取り組みをしていただいていると思うんですが、よりよい人材確保という点では、校長だけではなく、副校長というところの人材確保も含めて取り組んでいただきたいと思います。
 さて、今議会では条例改正が提出され、指導教諭が新規で設置をされることになりました。教員の指導力向上のために指導する教員ということだと思います。まずは、どのような制度か、そして四月一日からはどのように配置をし、最終的な姿としてどのように配置をしていくのか伺います。

○加藤人事企画担当部長 指導教諭は学校教育法に定める職であり、模範授業等の実践を通じて、他の教員に対して教科指導の改善、充実のための指導助言を担う職でございます。
 都教育委員会は、すぐれた指導技術を持つ教員の授業を見せて研究させる仕組みづくりにより、教員がみずから成長しようとする意欲を引き出すとともに、相互に競い合って成長する組織風土を培うため、新たに実践的な指導技術と高い志を持つ教員を指導教諭の職に任用してまいります。
 都立高校及び都立特別支援学校には、本年四月より、教科ごと、障害種別ごとに指導教諭を合計十四名配置する予定でございます。今後は、計画的に、高校で約八十名、特別支援学校で約四十名の指導教諭を配置し、模範授業等の取り組みを通じて個々の教員の指導力と意欲を高め、教員の授業力を向上させてまいります。

○中村委員 次に、この指導教諭について、制度をつくるときの検討経過を少し伺いたいと思います。
 指導教諭は独自の選考試験ではなく、主幹教諭と同じ試験のようです。学校には校長として全体をマネジメントするのが得意な教員もいれば、子どもに教えるのが得意な教員もいます。よく野球でも、名選手が名監督とは限らないのと同じです。企業でも、研究にすぐれた人が、むしろ専門職としての待遇を与えられて取り組む人もいます。
 この指導教諭は、なぜ主幹教諭と同じ試験での任用としたのか、専門職として別の任用ルートにすることは検討されなかったのか、人数的に校長を目指す人が主幹教諭になるための試験ととらえられ、本当に指導にすぐれた教諭は受験しないのではないかなどの懸念があります。検討経過とそれらについての見解を伺います。

○加藤人事企画担当部長 各学校において授業の質を高めていくためには、学校経営計画に基づき、学校全体で組織的に学習指導の改善と指導力向上に向けた人材育成に取り組んでいく必要があります。
 指導教諭は組織的、計画的なOJTの核となることが求められていることから、組織運営について主幹教諭と同等の力量が求められます。そのため、組織運営に係る知識、能力と他の教員に対する指導力について能力実証を行った上で、教科指導力をあわせて持つ教員から任用することが必要であるとの結論に至ったものでございます。
 今後、指導教諭の設置目的や職責について周知を図り、人材の掘り起こしを行うとともに、引き続き教員一人一人の意欲と適性を踏まえた任用配置を行ってまいります。

○中村委員 四月からは都の学校に配置ということと、あと一年おくれて市区町村には配置をするようですが、どのような配置をするのか伺います。
 都全体で小学校二百十人、中学校百三十人という計画のようですから、各市区町村ごとに全教科の配置ではないようです。優秀な教員であれば、どの自治体でも求めてくると思いますし、不公平になってもいけません。配置の考え方について伺います。

○加藤人事企画担当部長 区市町村に指導教諭を配置する際には、小中学校における人材育成の特性や、区市町村ごとの実情を踏まえた指導教諭の活用ができるように配慮していく必要があります。
 配置に当たっては、区市町村の規模にかかわらず、安定的に指導教諭の人材確保ができることや、模範授業等への参加の交通の便など、指導教諭の活用の利便性を考慮する必要があることから、さまざまな配置の方法について、区市町村と協議を進めているところでございます。

○中村委員 指導教諭について伺いました。新しい制度ですので、この制度の導入によって、より教員の指導力が高まることは期待したいと思っています。
 さて、学校現場には都の職員の教職員と市区町村独自の採用の教職員がいます。これは、市区町村は独自の採用とはいえ、同じ現場で働いているのですから、市区町村に介入するというわけではないまでも、各自治体がどのような体制で取り組んでいるかの把握は必要ではないかと思います。
 今回、スクールカウンセラーの配置をしていただいたことは評価しますが、聞いてみると、これまで市区町村の独自採用がどうであったのかということは、都の教育委員会の方ではわかっていなかったということです。
 新しい制度をつくる場合、やはり現状把握は必要です。少し例は違うかもしれませんが、学校への冷房機器の設置においては、市区町村の仕事とそのままほうっておいたら、気がついてみれば区部は一〇〇%に近くて、市町村が二〇%余りと格差が大きかったため、都の支援で、ようやく多摩地域でも完備に近づいてきました。
 教職員の配置でも、仮に著しい体制の差があるようなら、都としても財政が厳しい自治体を支援するということも考えていかなければならないのではないかと思います。まずは現状把握が必要だと思いますが、こういったことについての見解を伺います。

○岡崎人事部長 独自に教員を採用している区市町村は、都内六十二区市町村のうち、品川区と杉並区のみでございまして、杉並区は現在、新たな採用は行っておりません。
 都内の公立小中学校の教員につきましては、都教育委員会が一括して採用いたしまして、各区市町村に必要な人数を配置するとともに、給与費については国と都が負担することで、財政力に差がある区市町村間で義務教育水準に格差が生じないようにしてございます。
 各区市町村独自の教員採用は、各自治体の施策選択の判断及び財政負担に基づき行っていると認識しております。

○中村委員 さて、次の質問に移ります。
 近年、教育現場における多様な課題にこたえるため、地域が支える教育の大切さがいわれています。先ほど三鷹の例も述べましたが、コミュニティスクールといわれていますが、さまざまな定義はあるんですが、学校運営協議会を設置しているという点が法的な一つの位置づけだとは思うんですが、都内では六区五市において、小学校百十校、中学校五十五校がコミュニティスクールになっています。三鷹市では、先ほど述べたように既に全校がコミュニティスクールになっています。
 この学校運営協議会を設置することで、教員の採用や転任などについて、地域が市区町村教育委員会を経由して都教育委員会に意見を述べることが可能となり、任命権者である都教育委員会は意見を尊重しなければならないという制度があります。
 自治体の規模にもよるので、教員の人事権をすべて市区町村に移管するのは難しいと思いますが、この制度は教育の分権としてもっと活用されてもよい制度だと思います。そこで、学校運営協議会からの教員の人事に関する意見について、都教育委員会ではどのように対応しているのか伺います。

○岡崎人事部長 都教育委員会は、小中学校に設置されました学校運営協議会において、教職員の採用、異動等に関する意見がある場合には、区市町村教育委員会を経由してその内容を伺ってございます。
 その上で、こうした学校運営協議会のご意見や、各校長及び区市町村教育委員会の人事構想を丁寧に聞き取りまして、翌年度の教職員の配置に可能な限り反映しているところでございます。今後とも、学校運営協議会からの意見については尊重してまいります。

○中村委員 ご答弁ありがとうございます。最近ますます重要になった地域の教育参加において、学校運営協議会制度を採用すると、人事面でも教育の分権化が進みます。
 優秀な職員の任用や育成が何より大切ですが、同時にそれを支える地域の教育力の向上も大切だと思いますので、今後のさらなる取り組みの方を要望いたしまして、質問を終わります。

○畔上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案及び本件に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○畔上委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十五分散会

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