委員長 | 畔上三和子君 |
副委員長 | 山崎 一輝君 |
副委員長 | 山内れい子君 |
理事 | 中村ひろし君 |
理事 | 栗林のり子君 |
理事 | いのつめまさみ君 |
野上ゆきえ君 | |
関口 太一君 | |
小山くにひこ君 | |
鈴木 勝博君 | |
野上 純子君 | |
きたしろ勝彦君 | |
古賀 俊昭君 | |
村上 英子君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 比留間英人君 |
次長 | 庄司 貞夫君 | |
理事 | 高野 敬三君 | |
総務部長 | 松山 英幸君 | |
都立学校教育部長 | 直原 裕君 | |
地域教育支援部長 | 谷島 明彦君 | |
指導部長 | 坂本 和良君 | |
人事部長 | 岡崎 義隆君 | |
福利厚生部長 | 前田 哲君 | |
教育政策担当部長 | 白川 敦君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 廣瀬 丈久君 | |
人事企画担当部長 | 加藤 裕之君 |
本日の会議に付した事件
教育庁関係
事務事業について(質疑)
報告事項(質疑)
・いじめの対応状況把握のための調査の結果及びいじめの総合対策の充実について
○畔上委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の事務事業及び報告事項に対する質疑を行います。
これより教育庁関係に入ります。
事務事業及び報告事項に対する質疑を一括して行います。
本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○中村委員 それでは、教育委員会の事務事業について質問します。
まず、いじめの問題について質問します。
滋賀県大津市でのいじめを原因とした生徒の自殺、そして、教育委員会の不適切な対応が大きく報道されたことを契機に、いじめの問題がこれまで以上に報道されています。
都教育委員会では、七月に緊急で全生徒児童に調査をしましたが、その後、都内でも品川区で中学生の自殺が発生し、きのう、品川区議会に報告書が提出されたようですが、死という結果を重く受けとめなければなりません。
都議会民主党としては、いじめや虐待、体罰、事故、自殺など、原因が何であれ、かけがえのない子どもの命が失われることがないよう取り組んでいきます。
昨今、教育については、教育委員会制度など、さまざま制度についての議論がされていますが、どれだけ制度について議論しようとも、教員がいかに生徒児童に向き合うかという部分が最も重要であることは、いつの時代も変わりはありません。
最近では教員の多忙が問題になり、都教育委員会でも副校長の多忙解消に向けて取り組んでいるようですが、一般教員が子どもと接することができるような体制が必要です。
民主党政権になってから、いじめ等の学校教育上の課題に適切に対応し、教員が子どもと向き合う時間の確保を図ることにより、質の高い義務教育を実現することを目的とし、既に三十五人学級を導入し、初年度の平成二十三年度は、都では七十五校で学級増を行ったとのことです。
今後も教員が生徒児童に向き合う時間を確保できるよう、都教育委員会としても取り組んでいただきたいと思います。
さて、いじめの問題について伺います。
まず、いじめ問題の解決に向けて、学校、家庭、地域などが連携し、社会全体で取り組む必要があると考えますが、所見を伺います。
○坂本指導部長 いじめは、学校の内外を問わず、さまざまな場面で発生しているため、いじめ問題の解決には、学校、家庭、地域などが連携して取り組むことが重要であります。
都教育委員会は、九月下旬に、いじめ防止のためのシンポジウムを開催いたしまして、児童生徒から直接いじめ等の実態についての話を聞き、大人が何をすべきかについて考える機会といたしました。
また、十月上旬には、いじめ問題に関する緊急アピールをすべての公立学校の児童生徒及び保護者に配布いたしました。
○中村委員 さまざまな取り組みの方をお願いいたします。
さて、さきの七月のいじめの調査については、市区町村の数字のばらつきをどうとらえているのか伺いたいと思います。
極端に少ないところは、本当にいじめが起きていないのならそれでいいのですが、報道によれば、解決したものは計上しなかったからという自治体もあるようです。
そこで、都教育委員会は、今回の緊急調査結果の市区町村の数値のばらつきをどのようにとらえているのか伺います。
○坂本指導部長 すべての区市町村教育委員会が今回の緊急調査の目的と対応上の留意点を十分理解し、真剣に児童生徒のいじめの状況把握に取り組んだと認識しております。
今回の調査においては、数の多寡を問題にするのではなく、いじめにかかわる情報を多面的、多角的に収集するとともに、把握したすべての案件に対応していくことを目的としているものでございます。
○中村委員 滋賀県大津市の問題で問われたのは、事実の隠ぺいがないかということもあります。
さきの定例会の都議会民主党の代表質問で、いじめ問題に積極的に取り組めるような教員評価とその周知徹底に取り組むべきとの質問に対する答弁で、課題解決の過程と成果を総合的に評価するもので制度の趣旨を徹底するとのことでした。
引き続きこれはぜひ行っていただきたいと思いますが、一方では、本当にいじめがなくなるようなすばらしい取り組みをしている市区町村があるなら、理由を分析して、他の自治体と情報共有していくことも大切ですので、施策の検証を行っていただきたいと思います。
また、調査そのものは実態を調べるためだけではなく、むしろ、調査を通じて、いじめの解決に取り組むことだと認識しています。ところが、この解決ということの認識がばらばらだと、いじめた子どもに注意して終わっていたということになりかねません。
定義が大変重要だと思います。かつては、いじめそのものの定義でさえ不明確で、明確にしたら統計上の数値が大きく伸びたこともありました。
そこで、いじめが解決したというのはどのような状態を指すのか伺います。また、今回の調査で解決していない案件についてどのように対応するのか伺います。
○坂本指導部長 文部科学省の児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査によりますと、いじめとは、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じるものとされております。
いじめが解消したとは、こうしたこれまで受けていたいじめの状況が改善され、いじめられていた児童生徒の精神面での負担が解消された場合と考えております。
また、調査時において解決に至らず、指導を継続している案件につきましては、引き続き解決に向けて対応するよう区市町村教育委員会等と連携し、学校を指導しております。
○中村委員 いじめの問題が難しいのは、表面的な解決ではなくて、問題が潜在化、陰険化していくことがあります。本当に悩んでいる子どもを一刻も早く救うことが大切です。同時に、教育ですから、いじめた子どもがいじめに至る背景が何かを突きとめ、根本的な解決に至るような取り組みをお願いします。
また、今回、都教育委員会から対応についてのさまざまな取り組みが発表されました。この中にあった、いじめ問題に関する指導用DVDの内容と、どのような効果をねらっているかについて伺います。
○坂本指導部長 DVDの内容は、いじめを受けている人の気持ち、いじめはなぜいけないのかなどについて、事例をもとに児童生徒に考えさせたり、話し合わせたりするものでございます。
このDVDを活用した指導によりまして、児童生徒がいじめを自分たちの問題として真剣に考え、いじめの未然防止や早期解決につなげることをねらいとしております。
○中村委員 こうした教材については、現場で望まれるものの作成が大切です。こうした教材を配っても、現場では積まれているだけということがないとはいえませんので、これからつくるということですが、その後の検証もきちんとしていただきたいというふうに思います。
また、いじめのためだけということではありませんが、動物の飼育を行い、命の大切さ、とうとさを理解させることも、取り組みとしては重要です。
現在、動物ふれあい教室を二十校で行っているようですが、日常的に動物を飼育していない学校もあるようです。直接的には、市区町村における取り組みとは思いますが、制度的に都が支援できるような部分があれば、検討の方をお願いします。
さて、いじめ問題についてよく聞かれるのは、学校の問題だけではなくて、家庭についてはどうなのかといわれることがあります。
もちろん、いじめた子どもの家庭での教育に問題があると決めつけることはできませんし、介入することもできません。とはいえ、一般論として、共働きがふえたり、核家族化が進んだことで、家庭の教育力が落ちたといわれることもあります。
そこで、いじめ問題の解決のための学校と家庭との連携について伺います。
○坂本指導部長 いじめは、学校内外を問わず、さまざまな場面で発生しており、学校だけですべてを把握するのは困難であることから、早期発見、早期対応のためには家庭からの情報が欠かせません。
こうしたことから、いじめの解決のためには、保護者と連携し、児童生徒への指導を行うことが必要であると考えております。
○中村委員 冒頭にも述べましたが、いじめの問題は学校と家庭の役割が大切ですが、近年では、それを補う地域というところが注目もされています。
もちろん、地域の連携も薄れてきた昨今ですが、そのために、コミュニティスクールなど、地域に新たな動きもあります。地域全体で子育てができるような環境整備について、市区町村を支援していただきたいと思います。
次に、スクールカウンセラーについて伺います。
児童生徒が悩みを相談する役割として、非常に期待されます。都としても配置を進めていますが、今のスクールカウンセラーの配置状況と勤務条件について伺います。
○坂本指導部長 都教育委員会では、このスクールカウンセラーの制度ができた平成七年度からスクールカウンセラーの配置を始め、平成十五年度には、中学校全校への配置を開始しました。平成二十四年度には、小学校三百二十七校、中学校のすべて六百三十一校、高等学校百校、合わせて千五十八校へ配置するなど、着実に配置校をふやしてまいりました。
なお、東京都公立学校に勤務するスクールカウンセラーは、いずれの配置校におきましても、一日七時間四十五分、週一回、年間三十五回勤務することになっております。
○中村委員 週一回というお答えでしたが、現場からはもっとふやしてほしいとの切実な声も届いています。まだまだ配置されていないところもあるということなので、そこからだとは思うんですが、ぜひともふやすということもご検討いただきたいというふうに思います。
ただ、担任の先生にしっかりと生徒児童からの相談に対応できる力量を持たせることは前提ですが、専門性を有するスクールカウンセラーの配置については、さらに拡充することを求めます。
さて、今回のいじめ問題に対する施策の中にある都教育委員会が設置した専門家会議の目的と内容についてはどのようなものでしょうか。伺います。
○坂本指導部長 専門家会議は、学識経験者を座長に、弁護士、精神科医、臨床心理士などをメンバーとし、児童生徒の自殺予防やいじめ等の問題行動への対応のあり方全般について検討し、今後の各種施策に生かしていくことを目的としております。
この専門家会議では、教職員が正しい知識に基づく適切な対応を行うための指導上の留意点や工夫のあり方、望ましい校内体制や関係機関等との連携のあり方、効果的な学校への支援策等、児童生徒の自殺及びいじめ等問題行動に関する方策等について検討しております。
○中村委員 こうした会議等、いろいろ設置をして、本当にそれが有効なものになるように、しっかりとやっていただきたいというふうに思います。
先ほどもさまざま質問しましたけれども、教員が子どもと向き合う時間をふやすこと、そして、命の大切さを教育することというのは本当に重要になります。
また、そのためにも学校経営における校長先生の力量というのは本当に重要で、学校を訪ねたり、地域の方からお話を伺うと、校長先生によって学校がよくもなり悪くもなりという状況のようです。
昨今では、副校長を希望する教員が少なくなって、そのことが校長の質の低下につながらないように、しっかりとした人を校長に選んでいただいて、いじめ問題だけではなくて、しっかりとした学校経営をお願いしたいと思います。
それでは、次に、公教育の果たす役割について質問します。
社会でさまざまな問題が発生すると、教育はどうなっていたのかと問われることが多くあります。とはいえ、この国では、教育にそれほど高い割合で予算をつけていたわけではなかったので、教育の重要性から、高校の無償化や三十五人学級の実現などで、政権交代後、教育関連予算がふえています。
とはいえ、所得の格差がある社会では、親の所得が低いからといって子どもが十分な教育が受けられないと、貧困の連鎖に陥ってしまいます。そうしたことがないように、公教育の重要性が増しているといえます。
そこでまず、就学援助の実態について伺います。
経済的に困難な子どもたちを対象に就学援助の制度があると聞いていますが、就学援助とはどのような事業であり、どのくらいの児童生徒が受給しているのか伺います。
○谷島地域教育支援部長 学校教育法第十九条には、経済的理由によって就学困難と認められる児童生徒の保護者に対し、区市町村は必要な援助を与えなければならないと定められております。
これに基づきまして、区市町村は、生活保護を受給している世帯や受給世帯に準ずる程度に困窮している世帯を対象として、学用品費や修学旅行費など、学校生活に必要な費用を給与することとしております。この事業を実施した区市町村に対し、国は、その費用の一部を負担しております。
平成二十三年度は、都内公立学校の児童生徒の二三・五%、十八万五千七百二十六人が就学援助の対象となりました。
○中村委員 数字的に見れば、多くの家庭がこうした支援を受けているということがわかりました。
義務教育においては、経済的に厳しくても教育を受けさせる義務が保護者にあるため、就学援助という制度があるかと思いますが、高校についても、今、ほとんどの生徒が進学する時代になり、経済的事情で進学できない状況について何とかしたいとの声がありました。
そこで、民主党政権が導入した高校無償化により、高校進学を希望する生徒は経済的に厳しい子どもであっても、家庭の状況によらず進学できるようになったと考えます。都教育委員会は、授業料無償化についてどのような認識を持っていますか。伺います。
○直原都立学校教育部長 高校の授業料無償化につきましては、家庭の状況にかかわらず、すべての意志ある高校生等が安心して勉学に打ち込める社会をつくるため、国の費用により公立高等学校の授業料を不徴収とするとともに、国立、私立高校等の生徒の授業料に充てる高等学校等就学支援金を創設し、家庭の教育費の負担を軽減する制度として、平成二十二年度より導入されたものでございます。
授業料の無償化によりまして、これまで授業料の減額、免除を受けていた生活保護世帯及びそれに準ずる世帯以外についても、高等学校の就学に係る保護者の経済的負担軽減が図られたと認識しております。
都教育委員会におきましては、このような状況を受け、今後とも都立高校に対する生徒、保護者の期待にこたえられるよう、教育内容の一層の充実に取り組んでまいります。
○中村委員 次に、中高一貫校について伺います。
東京では、他県に比べて私立の中高一貫教育校が多くあります。都では、経済的な理由で私立に行けない子どもにも中高一貫教育が受けられるようにしたことも設置の理由の一つと聞いています。
現在、都内では十校設置され、私の地元の三鷹市でも唯一ある都立高校が中高一貫校になりました。まだ制度が始まったばかりなので、その評価にはもう少し時間がかかるとは思いますが、時々訪問すると、教職員も高い意欲を持って取り組んでいただき、希望を持って入学した生徒の姿を見ることができます。とはいえ、地元の三鷹市からは、高校からなぜ入学できないかとの質問を多く受けます。
そこで、中高一貫校には高校から入れるタイプと入れないタイプがありますが、その違いは何でしょうか。その配置についての理由は何でしょうか。なぜ三鷹中高一貫校は高校から入れないのか伺います。
○直原都立学校教育部長 中高一貫教育校には、一つの学校として一体的に中高一貫教育を行う中等教育学校と、同一の設置者が設置する中学校と高等学校を接続する併設型の中高一貫教育校がございます。
中等教育学校は、六年間、同一の生徒集団に対して、計画的、継続的な教育指導を行うことができます。他方、併設型中高一貫教育校は、高校段階で一部他の中学の生徒を受け入れることで教育活動を活性化することができます。
都におきましては、双方の特色を考慮し、それぞれ五校ずつ、全体で十校設置し、公立中高一貫教育を希望する都民の期待にこたえることといたしました。このうち、都立三鷹高等学校を母体として設置する中高一貫教育校につきましては、地域バランスを考慮して、中等教育学校として設置することといたしました。
なお、地域の公立中学校を卒業する生徒につきましては、私立高校と分担しつつ、生徒の希望や適性、能力等に応じて、さまざまな都立高等学校で受け入れております。
○中村委員 都の事情は、今、お答えがありましたが、導入当時、三鷹市では、コミュニティスクールを基盤とした小中一貫教育には既に取り組んでいました。当時、三鷹市からも都に意見を出していたと伺っています。都としても、地域との連携についてしっかりと考えていただくことを強く要望します。
さて、中学校は市区町村の役割ですが、そのこととの分担を考え、中高一貫校の成果だけではなく、同時に市区町村立中学校への進学率を調べ、影響も考えるのが都の仕事ではないかと思います。特に区部では私立に進学する子どもの比率が高く、区立中学校への進学率は七割しかありません。
そこで、公立小中学校でも私立に見劣りしないよう学力を身につけるよう、公教育の底上げが必要ですが、どう考えるか伺います。
○直原都立学校教育部長 都立中高一貫教育校だけではなく、公立小中学校の教育におきましても、都教育委員会と学校設置者である区市町村の教育委員会が連携し、学力調査の実施など、さまざまな学力向上策を通して、今後とも確かな学力の定着と向上を図ってまいります。
○中村委員 さて、せっかく都立高校に入学しても途中で退学する生徒もいます。さまざまな理由があるとは思いますが、学校の側面から見れば、できるだけ退学者を減らし、しっかりとした人材を社会に送り出すこと、生徒の立場に立って、親身になって人生について相談することが大切です。
そこで、平成二十三年度における都立高等学校の中途退学者の状況と、都教育委員会の中途退学防止に向けたこれまでの取り組みについて伺います。
○坂本指導部長 平成二十三年度における都立高等学校全日制の中途退学者数は千五百四十三人で、前年度と比較すると三百三十六人減少しております。また、定時制の中途退学者数は千七百九十四人で、前年度と比較すると六十三人増加しています。
主な退学の理由としましては、全日制、定時制とも、第一位が学校生活、学業不適応、第二位が進路変更、第三位が学業不振でございました。
都教育委員会は、中途退学の多い学校に対しまして、中途退学予防のための指導を行う教員の加配等を行いますとともに、中途退学防止に向けて学校が組織的に取り組めるよう、改善計画書を提出させ、個別に指導助言を行っております。
○中村委員 全日制では減っているようですが、定時制でふえているのは気になるところです。引き続きの取り組みをお願いします。
また、平成二十三年度における都立高等学校の中途退学者のうち、他の高校へ入学した生徒の状況についてもあわせて伺います。
○坂本指導部長 平成二十三年度における都立高等学校全日制の中途退学者のうち、他の高校へ入学した生徒数は二百八十七人で、前年度と比較すると二百二十九人減少しております。また、定時制の中途退学者のうち、他の高校へ入学した生徒数は七十二人で、前年度と比較すると三十八人減少しております。
○中村委員 ほかの高校への入学、いわゆる転学者の数は退学者の数の内数ということのようですが、積極的な事情があって学校を変わる生徒もいるかとは思いますが、やむを得ずという状況もあるかと思います。
大人が会社をやめたり変わったりするのに比べて、高校生が学校をやめたり変わったりするのは大変重たいことです。せっかく都立高校に入った生徒がそうした状況にならないよう、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
さて、今や高校への進学率は九七%を超えて、高校進学が当たり前となった現在にあって、都教育委員会は、どのような生徒を高校教育の中で育て、世の中に送り出そうとしているのでしょうか。
単に受験に必要な学力やテクニックだけを身につけさせ、偏差値の高い学校へ進学したとしても、本当の人間力をはぐくまなければ社会では通用しないのではないかと考えますが、ご所見を伺います。
○直原都立学校教育部長 都教育委員会は、すべての生徒が個性や適性に応じて自分の能力を最大限に発揮し、社会の中で真に自立できるよう育成するため、本年二月に新たな都立高校改革推進計画を策定いたしました。
生徒が社会の中で強く生き抜いていくためには、進路希望が進学、就職のいずれであっても、社会人として求められる能力と態度を身につけることが重要であると認識しております。
今後は、計画に基づき、いわゆる知、徳、体といった社会的自立の基盤となる力を確立させるとともに、キャリア教育を通して、生徒に将来の明確な目標を持たせ、人間関係の構築に必要なコミュニケーション能力を確実に定着させるなど、社会人としての基礎的な力を育成してまいります。
○中村委員 教育を変えるには、もちろん高校受験が大事とはいうものの、それだけに振り回されず、いかに学力や人間力をつけるかに取り組むことが重要です。
また、受験の存在が大きいのは、大学教育や大学受験が変わらなければ、その影響は当然出てきます。高等学校を所管する都として、国に対して、大学教育がいかにあるべきかということを提言することも検討していただきたいと思います。
次に、障害児の教育について質問します。
都は、ふえ続けるニーズに対応するために、第一次から三次まで特別支援計画を策定し、特別支援学校を増設する計画を立て、実行していることは評価します。
一方、複数の障害がある児童生徒の対応として、種別の違う学校が一つの学校である併置校の設置も進められています。
趣旨は理解できなくはないのですが、それに伴い、これまでは種別の違った学校なので別の学校だったのが、一つの学校になることで大規模化がなされます。ところが、どれだけ規模が大きくても、一校として職員の配置が決められると、さまざまな問題が起きるのではないかとの懸念の声があります。
そこで、特別支援学校の併置校の職員配置の見直しが必要ではないかと考えますが、見解を伺います。
○岡崎人事部長 都教育委員会は、特別支援学校に在籍する児童生徒の障害の重複化に適切に対応できる教育環境を整備し、在籍者が増加傾向にある知的障害特別支援学校の規模と配置の適正化を図るため、複数の障害教育部門を併置する学校の設置を進めてまいりました。
複数の障害教育部門を併置する特別支援学校の教職員についても、その他の特別支援学校と同様に、国のいわゆる標準法に基づく都の配置基準により人数を算定しておりまして、教諭については児童生徒数に応じた学級数に基づき算定し、教諭以外の教職員については学校単位で算定しております。
養護教諭につきましては、一校当たり一名の配置基準でございますが、児童生徒数などによる補正基準により一名の加配を行ってまいりました。今年度からは、特に大規模な併置校の現状にかんがみ、都立府中けやきの森学園の開設を機に、さらに一名の都独自の加配を実施できるよう、配置基準を改正したところでございます。
また、実際の教職員の配置に当たりましても、学校の状況などに応じて適切に対応しているところでございまして、今後とも、大規模な併置校においては児童生徒数や学校の状況などを踏まえ、教育活動に支障が生じないよう万全を期してまいります。
なお、国に対しては、児童生徒数が多く、複数の障害教育部門が併置された特別支援学校については、教職員の算定基準についてきめ細かな改善を行うよう提案しているところでございます。
○中村委員 今のお答えの中にもありました都立府中けやきの森学園、ことし四月にできたわけですけれども、私も時々訪問します。
知的障害部門と肢体不自由部門が統合されて設置をされました。その際、知的障害部門は高校だけだったのを、小中学校を増設しましたので、規模からすれば二・五校が一校になったわけです。
肢体不自由部門が三鷹市の学区になっていることもあって頻繁に訪れますが、大学のキャンパスのような広大な敷地と広い校舎で、全国でも有数の規模と聞いています。この半年間、大きな事故もないようなので安心はしていますが、事故が起きてから変えるのではなく、事故が起きないような体制の検証をお願いしたいと思います。
国の基準が想定しなかったような大規模な学校を設置することになっているので、国への提案は引き続き行っていただきたいのですが、その基準を承知で大規模校を設置したわけです。養護教諭の配置基準を一部見直したことは評価しますが、設置する前からすれば削減になってしまうということもありますので、問題が発生しないよう、国の基準が変わるまでは、都として独自の基準を、さらに実情に合わせて見直していただくことを要望します。
次に、発達障害のある児童生徒への教育について伺います。
現在、小中学校の通常の学級では、発達障害があると思われる児童生徒がふえていて、学級によっては担任の教員だけでは対応に苦慮していると聞いています。
発達障害のある児童生徒の多くは通常の学級で学んでいます。中には、週のうちの数時間を情緒障害等通級指導学級に通って特別な指導を受けていて、都の計画では、平成十三年に千百三十七人であったのが平成二十三年度には五千六百六十五人、平成三十二年度には八千八百四人と想定しているとのことです。
このように通常の学級に在籍している発達障害のある児童生徒の状況について、都教育委員会はどのようにとらえ、どのような体制整備を考えているのかについて伺います。
○廣瀬特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、発達障害のある児童生徒は、すべての学校、学級に在籍する可能性が高いと認識しております。
発達障害のある児童生徒が、在籍校や在籍学級において、より円滑に集団生活に適応していくためには、新たな特別支援教育推進体制の整備が必要であると考えております。
そこで、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画に基づき、すべての小中学校に特別支援教室を設置し、専門性の高い教員が巡回指導することにより、発達障害のある児童生徒は在籍校を離れることなく、対人関係の改善等に向けた指導を受けられるようにいたします。
現在、小学校を対象にしたモデル事業を実施しており、平成二十八年度から小学校に対して順次導入していく予定でございます。
○中村委員 平成二十八年度から順次導入していくということですけれども、すべての小学校に導入できるようお願いをします。
今、都教育委員会の発達障害のある児童生徒を支援するための新たな特別支援教育推進体制の構築についてはわかりました。
小学校で特別支援教室の設置が進められ、発達障害のある児童が、在籍する学校で、専門性の高い教員による指導が受けられる体制が整えられることは評価できるところですが、一方では、通常の学級で教員が対応に苦慮すると、安易に特別支援教室を活用されるようになるのではないかという危惧もあります。
そこで、どのような手続により児童を特別支援教室における指導の対象としていくのか、都教育委員会の考えを伺います。
○廣瀬特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、平成二十四年度から三年間、四区市を対象としたモデル事業を実施しており、その中で、特別支援教室における指導を受ける児童の判定について、試行、検証いたします。
特別支援教室における指導の開始に当たっては、区市町村教育委員会が設置する判定委員会においてさまざまな専門家の意見を聴取し、総合的かつ適切に判定することが望ましいと考えています。
また、特別支援教室における指導の成果が高い児童については、特別支援教室における指導の終了を判定する仕組みの構築も必要であると考えております。
○中村委員 教員の力量不足によって通常学級にいられなくなるということは減らしていただきたいと思います。教員の力量の向上により、幅広い児童の対応ができるようにする視点は重要であり、欠かせません。
また、保護者も学校も、児童にとってどの学級がよいか考える際、その意見が異なることがよくあるようです。保護者も納得でき、児童にとって最善の対応ができる仕組みが構築されるようお願いをいたします。
以上で質問を終わります。
○山崎委員 きょうの報道にも、いじめの問題、品川の問題が出ておりましたが、いじめの問題について何点かお伺いをいたします。
いじめは、教員や保護者が気づかないうちに進行し、表面化してきたときには、かなり深刻な状態になっている事例が多くあります。
そうならないためには、教員は子どもたちのわずかな変化を見逃さないように、毎日の学校生活を注意深く観察をすることはもとより、子どもたちから状況を直接聞き取ったり、保護者や地域の方々から情報を積極的に収集したりするなどの取り組みをしていると聞いております。
もちろん、このような取り組みはとても大切なことですが、何よりも重要なことは、子どもたちに、いじめは絶対してはならない、いじめは絶対にしてはいけないということを強く認識をさせ、みずからいじめをしない、周りの友達にはいじめをさせないという行動に結びつけることが急務であります。子どもたち自身がいじめを自分たちの問題としてとらえ、解決に向けて真剣に考えられるよう指導をしていかなければなりません。
すれ違いざまの何げない一言や体の接触、からかいや冷やかしなど、いじめはちょっとしたことから始まることもあります。このような言動をする側にとってはちょっとしたことのつもりであっても、受ける側にとっては深刻に受けとめる場合もあります。
このようないじめの小さな芽が、やがて集団による無視や暴力、金銭の要求など、より深刻な状況に陥ってしまうこともあります。やはりいじめの未然防止や早期解決は大変重要なことであります。
そこで、このたび、いじめの未然防止や早期解決を図るために都教育委員会が作成をする指導用のDVDの教材の内容について伺います。
○坂本指導部長 都教育委員会は、児童生徒がいじめについて正しく理解し、認識を深めるための指導用DVD教材を本年度中に作成いたします。
その内容は、いじめを受けた人の気持ちはどのようなものなのか、なぜいじめをしてはいけないのか、なぜ見て見ぬふりがいけないのかなどについて、具体的な事例をもとに考えさせたり話し合わせたりするものでございます。
この教材を都内のすべての公立学校に配布し、各学校において、児童生徒への直接の指導だけではなく、セーフティー教室や保護者会等の機会を利用しまして、保護者、地域社会へのいじめに対する働きかけとしても積極的に活用するよう徹底いたします。
○山崎委員 子どもたちみずからがいじめ問題に向き合い、真剣に考えられるよう工夫された教材をつくることがよくわかりました。すべての学校がこの教材をしっかり用いて指導し、少しでもいじめがなくなることを期待をいたします。
次に、いじめ問題の実態把握についてお伺いいたします。
都教育委員会が児童生徒のいじめの実態把握について本年七月に行った調査結果によりますと、いじめと認知をした事例及びいじめの疑いがあると思われた事例、合わせて一万一千五百七件報告されたとのことです。また、九月に行った追跡調査によると、いじめの疑いがあると思われた事例のうち、約四割が実際のいじめと認知をされました。これらは、この調査をしなければ、もしかしたら見逃していた可能性もあります。
児童生徒の身近にいる教員の存在は重要であります。いじめを発見し、解決を図るためには、少しでもいじめに対する教員の対応力を向上させることがとても大切であるわけです。
そこで、いじめ問題への教員の対応力をどのように高めていくのかお伺いいたします。
○坂本指導部長 いじめにつきましては、全教職員が、どの学校でも、どの学級でも起こるという危機意識を常に持ち、発見したいじめについては徹底して対応することが重要であります。
このため、都教育委員会は、インターネットを介した誹謗中傷など、いじめの態様が多様化していることを踏まえ、これまでの発見のポイントや対応上の留意点等を見直した指導資料を新たに作成いたします。
この作成する指導資料の趣旨等をすべての学校に周知するため、都内すべての公立学校を対象としまして、本年十二月に、いじめ問題の解決に特化した研修会を実施いたします。
こうした研修会をもとに、各学校においても校内研修等を実施しまして、教員一人一人の対応力を高めていきますとともに、教員が一人で問題を抱え込むことなく、学校全体で組織的にいじめ問題に取り組む体制を強化してまいります。
○山崎委員 答弁にあったような取り組みを実施することで、教員の対応力が向上し、子どもたちへの指導に生かされることを期待をいたします。
これまで述べてきたように、いじめの発見と対応における教員の役割は重要です。その一方で、いじめの態様はさまざまであるため、教員以外の大人がいじめを最初に発見することもあります。
また、さまざまな理由により、自分自身や友達のいじめについて、担任を初めとして、教員に相談できない場合もあります。
こうしたことから、学校は、可能な限り幅広く、いじめに関する情報を収集し、把握するための体制を整えておく必要があります。
現在、多くの学校に配置をされているスクールカウンセラーは、まさにその体制の一翼を担う存在であり、子どもたちやその保護者からの多くの相談に積極的に応じ、いじめによって傷ついた心のケアにも取り組んでいると聞きます。
そこで、スクールカウンセラーの果たす役割はどのようなものなのか、また、配置の現状と今後の方針について伺います。
○坂本指導部長 スクールカウンセラーは、児童生徒や保護者からのいじめを含めたさまざまな悩みについての相談に応じますとともに、教員への助言等を通しまして、学校の組織的な相談機能の充実に大きな役割を果たしております。
平成二十四年度は、都内公立学校のうち、小学校三百二十七校、すべての中学校六百三十一校、高等学校百校の合計千五十八校にスクールカウンセラーを配置いたしました。
スクールカウンセラー活用事業は国の補助事業であり、平成二十五年度に向けて、国はスクールカウンセラーの配置を拡大する方向と伺っております。今後とも、こうした国の動向を注視しながら、スクールカウンセラーの配置を進めてまいります。
○山崎委員 スクールカウンセラーは、各学校において、いじめを初めとするさまざまな相談における中心的役割を担っていることがよくわかりました。また、スクールカウンセラーの配置についてですが、中学校の全校配置に対して小学校はまだまだ十分でないこともわかりました。
我が党は、平成二十年三月の予算特別委員会において、スクールカウンセラーの小学校への積極的な配置を求めていますが、今回、私からも改めて、これまでどおり臨床心理士などの専門性の高い人材を活用して、スクールカウンセラーの小学校への全校配置に向け尽力をされるよう強く要望をしておきます。
さて、いじめ問題解決のための教材開発、教員の対応力の向上、スクールカウンセラーの活用など、さまざまな緊急対策を行うとともに、あわせて同時に取り組まなければならないことは、いじめの問題の根本的な対応策を考えることです。このたび、都教育委員会は、いじめの総合的な研究に取り組むと聞いております。
そこで、いじめの総合的な研究の目的と具体的な内容について伺います。
○坂本指導部長 いじめ問題の根本的な対応策を考えるためには、いじめの本質をとらえた研究が必要でございます。そのため、いじめに関する総合的な研究に本年度中に取り組み、来年八月を目途に成果をまとめてまいります。
具体的な研究内容は、過去の重大な事案や最近の事案をもとに、深刻な事態に至らないようにするための具体的方策、関係機関との連携のあり方などでございます。
研究の成果を報告書等にまとめ、研究報告会を開催するなど、学校及び区市町村教育委員会に周知を図りますとともに、この研究で得られた知見をもとに、都教育委員会が実施するいじめ防止の施策に生かしてまいります。
○山崎委員 これから都教育委員会が取り組む研究が、いじめの本質をとらえ、解決に向けた具体的な方策に結びつくことを期待しております。
これまでの総合的ないじめ対策を評価するとともに、子どもたちの健全育成を図る取り組みの一層の充実を期待し、子どもを守るのは大人の責務だということをいって、私の質問を終わります。
○野上(純)委員 教育全般にわたって、約七点にわたってご質問させていただきます。
まず最初に、特別支援教育についてお伺いいたします。
都教育委員会では、都立肢体不自由特別支援学校の児童生徒の障害の重度重複化、多様化に対応するために、理学療法士、作業療法士等の外部専門家を導入し、教員との連携による教育効果を高めていく取り組みを行っております。
私は極力、入学式や卒業式、あるいは文化祭等、ご案内をいただいている特別支援学校はお伺いさせていただくようにしております。その中で、親御さん、保護者の方がおっしゃるには、いろいろな外部の専門家を導入することによって、子どもの家でのケアの仕方を理学療法士さんに教わって大変役に立ったとか、専門家のアドバイスが非常に大事だというふうに感じているというような意見が届いております。
一方、都立の知的障害特別支援学校では、児童生徒数が増加傾向にある中で、多様な障害の児童生徒が在籍をしておりまして、一人一人の障害の状態等を踏まえた指導を行うことがますます重要になってきております。
肢体不自由特別支援学校での成果を踏まえて、都立知的障害特別支援学校においても、教員と外部専門家との連携により教育を充実させていくことが必要であると考えます。
そこで、平成二十四年は、三つの都立知的障害特別支援学校において外部専門家を導入するというふうにしておりますけれども、導入した学校において、外部専門家の活用についてお伺いいたします。
○廣瀬特別支援教育推進担当部長 児童生徒の障害が多様化、複雑化している都立知的障害特別支援学校においては、児童生徒一人一人の障害の状態や程度に応じて、教育内容、方法を充実させていくことが重要でございます。このため、専門的な知識や技能を有する外部専門家の導入を図り、外部専門家の指導助言を教員による指導に生かすことといたしました。
平成二十四年度に導入した三校では、小中学部に、主として、児童生徒のコミュニケーション能力の向上や身体機能の向上を専門とする外部専門家を導入し、高等部に、主として、青年期の不安定になりがちな心理面を支援できる外部専門家と将来の企業等で働く力の育成に助言できる外部専門家を導入しております。
○野上(純)委員 今後、そういった都立知的障害特別支援学校における外部専門家の多様な活用について検討をしていただき、さらに学校の実情に合わせ充実が図られることを期待しております。
次に、小中学校の通常の学校に在籍する発達障害のある児童生徒に対する支援についてお伺いいたします。
都教育委員会は、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画において、発達障害のある児童生徒に対する指導の充実を図るために、すべての小中学校で特別支援教室の設置を進め、専門性の高い教員が巡回指導する特別支援教育構想を進めるとしております。
特別支援教育構想により、支援を必要とする児童生徒の多くは、在籍をしている学校で専門性の高い教員の指導を受けられるようになることが期待をされます。
そこで、現在行っている特別支援教室モデル事業の進捗状況についてお伺いいたします。
○廣瀬特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、特別支援教室の小学校における導入を進めるため、モデル地区として、目黒区、北区、狛江市、羽村市を指定し、平成二十四年度から三年間のモデル事業を開始いたしました。
これまで四区市では、保護者向けの説明会や教員向けの研修会を実施するとともに、平成二十五年度からの巡回指導の試行実施に向け、特別支援教室における巡回指導体制、指導内容、方法等の検討を行っております。
○野上(純)委員 このモデル事業を通じて、発達障害のある児童生徒に対する指導内容、方法の充実が図られて、通常の学級で児童生徒が安心して授業に取り組むことができるよう、体制が整備されることを期待しております。
また、このモデル事業での成果がすべての小中学校の児童生徒の支援に生かされることが重要であります。
そこで、特別支援教室モデル事業の今後の見通しについてお伺いいたします。
○廣瀬特別支援教育推進担当部長 特別支援教室のモデル事業では、特別支援教室における指導の開始、終了の手続や、児童生徒の学級担任と巡回指導担当教員との連携のあり方等、特別支援教室の活用について、実践的な試行、検証を行います。
平成二十六年度には、都教育委員会が各モデル地区の検証結果を踏まえて、全都導入に向けた特別支援教室の設置と活用に関するガイドラインを作成し、平成二十七年度に、全区市町村への周知を図ってまいります。
小学校については、平成二十八年度から順次、すべての区市町村において、特別支援教室の設置と巡回指導の導入を促進していく予定でございます。
なお、中学校につきましては、現状や課題等の把握を十分に行った上で、導入計画について検討いたします。
○野上(純)委員 特別支援教室を各学校に配置して、巡回指導を通してきめ細やかな指導を徹底していくことが大事だと思います。指導計画に関しても、絵にかいたもちにならないよう、しっかりと検討結果を反映していただけますようお願いいたします。
次の質問に移ります。次は食育です。
近年、子どもたちの不規則な食生活や栄養バランスの偏りなどから、健康への影響が懸念をされております。
また、東京では、食の生産現場が近くに見えないことから、食を大切にする心の希薄化などの問題が生じております。
学校給食法では、学校教育の達成すべき目標として、適切な栄養の摂取による健康の保持増進に加え、食事について正しい理解や望ましい食習慣を養うこと、食生活が自然の恵みによるもので、生命や自然を尊重する精神の必要性について、給食を通じて学ぶことをうたっております。
九月二十八日に、日本食育学会が開催をいたしました日本食育学会シンポジウムに参加してまいりました。特に今回は、その中で和食の必要性についてのシンポジウムとなっておりまして、この和食が、主食である米を中心にして、おみそ汁、魚や野菜、山菜といったおかずを絡めて栄養のバランスがとれた食事であり、なおかつ低カロリーであることから、世界的に日本食ブームが起きている等々の内容も反映されておりました。
また、和食は、食事という空間の中で自然の尊重という精神を表現している社会的習慣であることから、和食イコール日本人の伝統的な食文化として、ユネスコ無形文化遺産への登録申請が決定されておりまして、和食が日本の伝統文化の一つとして、多くの人々に共有されております。
あくまでも栄養のバランスのとれた食生活も大事でありますけれども、この和食をベースとした食育を通じて、子どもたちに地場産物や地域文化を学ばせるべきだと考えております。
都教育委員会では、平成二十年度はモデル地区、平成二十一年度から二十四年度までは食育研究指定地区を指定し、地域に根差した食育を推進する実践的な取り組みを行っておりますが、その先進的な取り組みと活用についてお伺いいたします。
○谷島地域教育支援部長 食育は、給食の時間のみならず、各教科等における指導においても展開されており、地場産物を利用した料理を通しての郷土愛の涵養、望ましい食習慣と健康についての考察、また、給食メニューを利用した我が国の文化や歴史への理解、さらには食料自給率に対する議論など、幅広く取り組まれております。
都教育委員会では、平成二十年度から食育研究に係る地区を指定し、そこでの先進的な取り組みを冊子にまとめて毎年配布しており、各校の食育リーダーは、これを参考に、さまざまな工夫を凝らして食育に取り組んでいるところでございます。
○野上(純)委員 このような先駆的な取り組みを各学校に広げていただいて、食育を推進していくためには、食育リーダーに対して指導助言を行う栄養教諭の役割が重要になってまいります。
そこで、現在の栄養教諭の配置状況についてお伺いいたします。
○谷島地域教育支援部長 都教育委員会は、平成二十年五月に策定いたしました東京都教育ビジョン(第二次)におきまして、平成二十年度から平成二十四年度まで、栄養教諭を区市に計画的に配置することとしております。
現在、四十一区市に四十一名、都立学校に二名、計四十三名の栄養教諭を配置してございます。
○野上(純)委員 食育リーダーの方を指導するという、あくまでも経験豊かな方を栄養教諭として配置をして、それぞれの区や市の栄養士さんに指導する立場ということで、採用に関してはなかなか枠が広がりにくいこともよくわかるのですが、これからも少しずつ拡充をしていただきたく、これは要望をしておきます。
次に、防災教育について質問させていただきます。
防災教育の補助教材について、震災から約一年八カ月を迎えようとしておりますが、防災教育をより実践的なものにしていくためには、避難訓練や防災訓練を改善するとともに、防災に関する知識についてもしっかりと指導をしていくことが重要です。また、防災知識の習得については、どのような教材で指導するかが大切だと思っております。
私は、昨年六月の文教委員会において、都教育委員会が昭和四十八年から作成しております防災副読本「地震と安全」について、配布対象の拡大の意義、活用場面等をお伺いいたしました。そのご答弁からは、都教育委員会が東日本大震災を踏まえ、子どもたちのかけがえのない命を守るために、いち早く防災教育の充実に取り組まれた積極的な姿勢が伝わってまいりました。
防災教育には教科書がない現状を考えると、「地震と安全」は継続して作成していくことが大切です。
そこで、今年度の防災教育副読本「地震と安全」の配布時期や改訂点についてお伺いいたします。
○坂本指導部長 防災教育副読本「地震と安全」は、大地震発生時の児童生徒の安全対応能力を高め、平素から地震に備える防災教育を推進することをねらいとして作成しております。
従来は、九月一日の防災の日に合わせて配布しておりましたが、東日本大震災を受けまして、昨年は七月に配布いたしました。今年度は、さらに配布時期を一カ月早め、六月に都内の国公私立学校すべての児童生徒に配布いたしました。
主な改訂点は、東日本大震災の被災地の写真を多く掲載するなど、より視覚的に訴えたこと、いざというときに自分の身を守る方法や大地震への備え、避難所でのボランティア等について、児童生徒が自分の考えを具体的に書き込めるようにしたことなどでございます。
○野上(純)委員 今年度版の「地震と安全」は、子どもたちの防災について、関心を高め、思考力、判断力を高めるような副読本に改善されていることもわかりました。
ことしの一月、東京都教育委員会は、新たな防災教育補助教材「三・一一を忘れない」を作成し、都立、公立学校の小学校五年生、中学校二年生に配布をいたしました。
私は、三月の都議会予算特別委員会で、この新たな補助教材について、防災に関する各教科が見開きで一つの題材としてまとまっており、しかも、それぞれのページの右上には、国語とか理科、道徳などの教科をあらわすマークがついていて、先生方が指導する際にどの時間で活用できるかがすぐにわかる、そういう工夫がなされていると高く評価をいたしました。
しかし、どんなによい教材であっても、それを各学校に普及啓発していくのはなかなか難しいのではないかと考えております。
そこで、小中学校版防災教育補助教材「三・一一を忘れない」の普及啓発について、また、学校での活用方法についてお伺いいたします。
○坂本指導部長 本年一月と二月に、小中学校版防災教育補助教材「三・一一を忘れない」の普及啓発を図るため、区市町村教育委員会指導主事等を対象としました活用説明会を実施いたしまして、本教材を活用した授業公開、作成の趣旨や特色、想定される活用場面等についての説明を行いました。
現在、学校では、道徳の時間や学級活動、理科等で、本教材を活用した授業が行われております。例えば道徳の授業で、本教材に掲載した写真や新聞記事、被災地の児童生徒の作文を用いて東日本大震災が発生した日のことを思い起こさせ、地震災害への備えや感謝して生きる心について考えさせる授業が行われております。また、理科の時間では、自然災害の年表や写真を活用いたしまして、地震後の土地の様子の変化について調べる授業が行われております。
今後も本教材の活用事例を収集いたしまして、区市町村教育委員会を通じて小中学校に紹介することで、本教材を活用した防災教育を推進してまいります。
○野上(純)委員 この教材が各学校において効果的に活用されていることがわかりました。
災害は忘れたころにやってくるといいます。今後も東京都の防災教育が一層充実するよう期待するとともに、二十五年度以降も副読本「地震と安全」や補助教材「三・一一を忘れない」を継続して配布することを要望し、防災教育補助教材に関する質問を終わります。
次に、理数教育検討委員会の設置などについて質問をさせていただきます。
最近、理数教育の必要性、理科離れ、いろいろなことが取りざたされております。小学校とかは理科専科の方も少ないですし、一時間の授業の中で、理科の実験器具を用意して、それを組み立てて、そして、実験器具をきれいに洗っておさめて一時間が終わるというような組み立て方も非常に大変な状況だと思っております。
先生方が理数教育を大変得意として大好きで、理数教育の定着をしっかりと図っている先生のもとには、非常に理数教育の好きな子どもたちが生まれてくるということもあります。
今年度新たに理数教育振興施策検討委員会を設置した背景について、最初にお伺いいたします。
○坂本指導部長 平成二十年に告示されました学習指導要領では、中央教育審議会の答申におきまして、教育内容に関する主な改善事項の一つとして理数教育の充実が示されたことを受けまして、理科や算数、数学について、授業時数の増加や指導内容の見直し等が行われました。
一方、平成二十三年度における都独自の学力調査の結果によれば、小中学校の理科や中学校の数学において、学力の定着状況に課題があることが明らかになりました。このような状況を踏まえまして、都として理数教育の充実を図るための施策を打ち出していく必要があるため、理数教育振興施策検討委員会を設置いたしました。
○野上(純)委員 その理数教育振興施策検討委員会で現在検討されている内容についてお伺いしたいと思います。
○坂本指導部長 理数教育振興施策検討委員会におきましては、これまで実施してきました理科支援員配置事業及びコア・サイエンス・ティーチャー活用事業に関する効果を検証しております。
また、今年度、小中学校と区市町村教育委員会を対象として実施しました、理科教育の現状と課題を把握するための調査の結果等を踏まえまして、学校と関係機関との連携のあり方を含めた今後の東京都の理数教育の基本的な考え方などについて検討しております。
○野上(純)委員 今年度、研究協力校として十五校が指定されているはずなんですけれども、この十五校での実践内容についてお伺いいたします。
○坂本指導部長 研究協力校では、児童生徒の理数に対する興味、関心を高め、基礎的、基本的な内容を定着させるとともに、科学的な見方や考え方を養うことを目的とした研究を行っております。
また、研究協力校の中には、土曜日などに理科の授業を公開する際、保護者や地域の方が薬品や測定機器を用いて生徒と一緒に観察、実験を体験している学校や、近隣の小中学校の教員同士が連携して理科の授業交流を行い、指導方法の研究をしている学校もございます。
さらに、専門性の高い教員が、観察、実験での器具の使い方や地域の自然環境の特色等について小学生に対して直接指導を行う出前授業を実施している中学校もございます。
○野上(純)委員 私の地元の葛飾区は、来年、東京理科大という大学が、区で初めての大学なんです。別の短大から大学になった大学はほかにもあるんですけれども、本格的な四年制大学としては初めて東京理科大が開校いたします。
大学からそれぞれの小中学校等に一緒に連携を図ろうというのは、なかなかそういう手だては少ないと思っているんですね。逆に地元の小中学校から大学に、しっかりと連携をとりながら子どもたちの理数教育の充実を図っていきたいということはいえると思うんですけれども、今後、理数教育の充実を図るためには、大学や企業等との連携も大切であると考えておりますけれども、都教育委員会の見解についてお伺いいたします。
○坂本指導部長 大学の教員や研究者等、専門的な知識や技術を有する人の知見を活用することは、教員の指導力を向上させることや、理数に高い興味や関心を持つ児童生徒の資質、能力をより一層伸長させることに効果的であると考えております。
都教育委員会では、これまでも多くの大学等と連携し、気象観測や植物観察の方法、DNAに関する教材開発といった内容について、専門家から教員が指導を受ける研修を実施してまいりました。
また、大学や企業等と連携しまして、児童生徒が専門家から発展的な内容について指導を受ける出前授業を設定したり、教材開発を行う際に専門家から助言を受けたりしている学校もございます。
今後とも、学校における理数教育の充実に向けて、大学や企業等との連携を推進してまいります。
○野上(純)委員 しっかりと連携を推進していっていただきたいと思っております。
次に、都立高校学力スタンダードというのがこの中にも出ておりましたけれども、この策定の目的について最初にお伺いいたします。
○坂本指導部長 都立高校の中には、生徒の学力の実態把握が十分に行われず、担当する教員により、授業の進度や内容、評価方法が異なるなど、組織的な指導体制がとられていないという課題があります。必ずしも生徒一人一人の学力を最大限に伸ばしているとはいい切れない状況でございます。
そこで、各学校が組織的、効果的な指導と評価を行い、指導内容、方法の改善を進め、生徒の学力を伸長するためには、具体的な学習目標を設定する必要がございます。
こうしたことから、都教育委員会は、各学校が学習目標を設定する上で基準となる都立高校学力スタンダードを策定することといたしました。
○野上(純)委員 具体的な学習目標を設定する必要があるということで、都教育委員会が設定をし、各学校が学習目標をさらに設定していくということだと思うんですけれども、この都立高校学力スタンダードの内容についてお伺いいたします。
○坂本指導部長 文部科学省が定める学習指導要領では、指導する科目やその目標及び内容等について項目のみを示しております。
今回、都教育委員会が定める都立高校学力スタンダードは、すべての生徒が学ぶ科目につきまして、生徒の実態に応じ、学習指導要領で示されている内容を具体的にどこまで指導するかを定めるものでございます。
各学校は、これをもとに自校の生徒の実態に応じた学力スタンダードを設定しまして、授業の進度や指導内容、評価方法などを統一して、組織的、効果的な学習指導を行ってまいります。
○野上(純)委員 さまざまなタイプの学校があります。学力に関しても、本当に千差万別でございます。それぞれの学校の生徒の実態に応じた学力スタンダードを設定するということで、その学校の先生方が、授業の進度とか指導内容、指導方法などに特化して、同じ学校でも同じ教科の先生で指導方法が違うということがないように、その学校の独自の学力スタンダードを設定していくということでよろしいんでしょうか。そうとらえてよろしいんでしょうか。--はい、わかりました。
次に、メンタルヘルスについてお伺いいたします。
東京都の公立学校の教員の精神疾患による休職者数は、平成二十年度の五百四十人をピークとして平成二十三年度も五百二十七人と、依然高い状態が続いていると聞いております。この現状は深刻な状況であるといわざるを得ません。
都教育委員会では、教員が精神疾患により病気休暇や病気休職に至らないように、早期自覚、早期対処に重点を置いた施策を展開していることは承知しておりますが、その中でも臨床心理士などによるカウンセリングが非常に重要であると認識をしております。
都教育委員会では、平日の相談事業だけでなく、臨床心理士を活用した土曜日、日曜日の相談事業を平成二十二年度から新たに開始し、平成二十四年度からは日曜日の窓口をふやしたということですが、その実施状況についてお伺いいたします。
○前田福利厚生部長 土日相談の相談件数は、平成二十二年度は四百四十九件であったものが、平成二十三年度は五百五十二件と増加しております。さらに、相談窓口を拡充した平成二十四年度の四月から九月までの相談件数は三百六十四件であり、これは昨年度同時期の二百七十六件を八十八件上回っております。
都教育委員会では、全教職員を対象としたストレス検査など、教職員の早期自覚を促す事業を行っており、これらの対策が相談件数の増加につながっていると考えられます。今後ともメンタルヘルス対策に積極的に取り組んでまいります。
○野上(純)委員 一人でも多くそういう人が治りますように、これからも私たちもしっかりと支援をしていきたいと思っております。
では、いじめ対策について質問いたします。
いじめが原因で自殺した最初の事件というのは、一九八六年、都内の中野富士見中学校でした。教師が葬式ごっこにかかわったということでセンセーショナルに取り上げられ、地域では、おやじの会ができたり、協力体制が組まれました。
ちょうどそのころ、私は中野向台小学校に勤務しておりまして、小学校の進学先がこの中野富士見中学校でございました。当時はまだ学区域制度がありまして、この中野富士見中学校に行かないで私学に進んだ子どもたちが大変多くて、入学願書を百通以上も書いたのを記憶しております。本当に学校の評判とか評価が大いに影響を与えているということを感じました。
この中野富士見中は、その事件があった後も、教師は授業で勝負をするというタイトルで研究授業を、私も見学に行きました。その中で、教師が一生懸命授業をしているんですけれども、子どもたちががやがやがやがや騒いでる、おしゃべりをしている。教師が、おまえたち、聞けよといったら、てめえの授業なんか聞けるかいといったのをすごい思い出して、その子が机をばあんとこかして、ぱっと教室の外に出ていったのがすごく印象的で、もし自分の子どもがいたら、ちょっと入れられないなという、すごい強い印象を受けました。やっぱり学校全体が落ちついていないなということを感じたことがあります。
それから八年たった一九九四年、愛知県の東部中学校での大河内清輝君の自殺。これには旅日記という遺書が残されております。金を要求され続け、これ以上お金が用意できない段階で死を選んでいます。これは、もう壮絶ないじめ死です。
二〇〇五年九月に北海道で、日本で初めて小学生が、しかも学校の中で首つり自殺をいたしました。
先日の大津の事件では、当初、学校はいじめを認めませんでした。しかし、これは裁判を起こしたことにより警察の捜査を受ける事態に発展をしたわけです。
壮絶ないじめの渦中で、いじめられている子は親にも教師にもいわないというよりいえない状況があります。親に心配をかけたくない、報復が怖い、形を変えたいじめが定着することもあります。いじめる側も巧妙で、教師にわからないように執拗にいじめを繰り返します。暴力にしても、あざが目立たないように手口を変えたり、多くは教師に相談することにより教師にちくるという行為とみなされ、いじめは一層激しくなります。
この対応の方法で、結果として被害者が自殺に至った事件では、いじめていた子といじめられていた子を集めて仲直り、いわゆる手打ち式というんですけれども、これが一番悪い状況をつくり出しております。
一方、ボクシングの元世界チャンピオン、内藤大助さんという葛飾に住んでいらっしゃる方なんですけれども、この方も非常につらいいじめを受けておりました。それが、あるときを境にぴたっといじめがやんだんです。その要因は何か。教師がいじめの現場をみずから直接発見し、いじめていた加害者に激しく、かつ厳しく注意するようにしたために、一挙に解決したということなんですね。
現に、冒頭に挙げた四つの事件では、いじめの初期の段階で、被害者は学校の先生に相談しています。しかし、そのことの事実を先生が加害者に知らせて指導したことを契機に、いじめはより潜在化し、陰湿になったわけです。
今回の大津の事件についても、平成二十四年七月六日の朝日新聞の報道によれば、自殺の一週間ほど前に、父親は生徒から量販店で万引きしたことがあると打ち明けられております。同級生に強制されたことは否定しておりますが、父親は学校に報告をしたんですね。これを受け、担任は、この同級生の親らに事実かどうかを確認したといいます。父親は、息子はその報復を受けたようだというふうに話しています。
これらの事例は、見方を変えれば、学校の先生の対応がいじめをより深刻化している一因になっているといっても、私は過言ではないと思います。
手打ち式という、いわゆる仲直りの場を設定することについてですが、確かにこれによって、悪口とか、ぶった、ぶたれたとか、通常のいじめの大部分、恐らくは九五%は解決すると考えます。しかし、今、大きな社会問題となっている、過去に結果として被害者が自殺に追い込まれてしまったようないじめ事件では、実は、この仲直りのための会合が大きな要因であって、被害者にとっては最も危険なことであります。
これは、私の意見なんですけれども、教育長の所見を伺いたいと考えておりますが、これ、求めていないので、いいです。大丈夫です。
第三回定例会での代表質問で、私は二点主張しました。一つは、いじめはどの学校でもどの学級でも起きているという危機感を共有すること、もう一つは、いじめは絶対に許さない、いじめる側が一〇〇%悪いという、この二つの共通認識が大事だと考えております。
都内のすべての公立学校を対象にしたいじめの緊急調査で、昨年よりことしは約二倍の件数が報告されておりますが、いじめといじめの疑いを合わせて一万一千五百七件です。うちの都議会公明党でも数の件では話題になりました。
また、昨夜、事務所に電話がありまして、ネットで公表している表をごらんになった方からなんですけれども、数の違いが余りにも大きいと。例えば、この3の表の中で、大田区と世田谷区、どちらも大変大きな区ですけれども、いじめの認知件数、中学校の方ですが、大田区は百五十一件、また、世田谷区は七件なんですね。1の表では、武蔵野市、これは小学校十二校、中学校五校、合計十七校のところはたった一ですね、認知件数が一。小平市は二百六十一。これは、小学校が十九校、中学校が八校、計二十七校です。
確かに数の違いとか調査のデータ、この数の違いは余り気にしていらっしゃらないということだったんですけれども、調査のデータそのものの信憑性はどうなんでしょうか。都民の方から見れば、いじめがあるのは当たり前という認識を持つべきではないんでしょうか。
この違いについて教育庁からお聞きしたところ、少ないところは、丁寧に、聞き取りを細かく行って、これはいじめではないねということで消していって、数字が少なくなったというふうにお伺いいたしました。
しかし、きょうの新聞にも出ておりますが、品川の中学校一年生のいじめ事件でも、この中に、担任の先生が、いじめられていて大丈夫と声をかけたら、大丈夫と回答があり、いじめの事例から除外したというふうに書いてあるんですね。ここなんです、肝になるのはここじゃないかなと思うんです。
だから、子どもは、自分がいじめられているということを人に知られるのは非常に恥ずかしい行為と思っておりますし、なかなか出したくないという気持ちもあるんですね。同じレベルのことがいじめであったりいじめでなかったり、いじめを見つけようとする認識があるのかどうかということで、そのこと自体が問題ではないんでしょうか、と思います。
都民がこの結果を見たときになかなか判断ができかねないのではないかということで、数が多いことが汚点ではないわけで、周知させるのも私たち文教委員会の役割であると思っております。
区市の学校数、学級数、生徒数等の違いもありますので、合計の数の違いは多少違って当たり前なんですけれども、これは認識の違いではないでしょうか。これも私、本当は教育長にどう思われているのかお聞きしたいところですけれども、これ、ちょっと調整していないので、お答え、難しいと思うんですけれども、済みません。
○比留間教育長 今、区市町村別の数のご質問をいただきましたけれども、今回の調査のそもそもの目的は、大津の事件をきっかけにして、もう一度、学校の現場でどのような事態になっているのかを丹念に見直して、見詰めていただきたい。仮にいじめの端緒があるとするならば、それを早期の段階で対応していってほしいという、ある意味、学校現場へのメッセージも込めた調査だったわけです。
結果的に、区市町村によって数値の違いはありますけれども、その多い、少ないについてのコメントはちょっと差し控えさせていただきますけれども、今、野上先生からもお話が出ましたように、非常に数字の多い件数をご報告いただいた区市町村もございます。私は、この自治体については、非常に真摯に今回のケースに向き合っていただいた、そういう一つのあらわれではないかなというふうに高く評価したいと思っています。
○野上(純)委員 比留間教育長に非常にすばらしい答弁をしていただいて、さすがだなと思いました。
もう一つ、いじめと認識した八項目、ここに書いてあるんですけれども、その八項目のうち、金品をたかられるとか、金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりするとか、嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする。この項目は、実は犯罪に近いものじゃないかと思っております。
うちの区でもありましたけれども、集団で寄ってたかって一人の女の子を河原に連れていって裸にして、映像を撮ってネットに流したという事件がございました。これは、どれほどその女の子が傷ついたか、はかり知れません。
私個人でも、親戚の子がいるんですけれども、その子は非常に成績優秀で、生徒会とかもやっておりまして、非の打ちどころのない、すばらしい子だったんですけれども、いじめに遭って、家から一歩も出られなくなって、今、二十七歳になっても、いまだに引きこもっています。それほど一人の人生を狂わせてしまう。これがいじめだと思っております。
アンケートの結果で見ても、これを集計すると、犯罪は三けたの数となっております。今回の調査結果で、金品を盗まれたり、嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされた、犯罪につながる可能性のある案件も見られます。こうした案件への対応についてお伺いいたします。
○坂本指導部長 いじめの問題に限らず、児童生徒の問題行動への対応は、第一義的には学校の教員が保護者とともに解決していくことではございますが、問題行動の中には暴力や恐喝など、犯罪の可能性があるものが見られます。
生命や身体の安全が脅かされる、金品を強要される、暴力を振るわれるなど、犯罪行為につきましては、直ちに警察に通報するなど、警察と積極的に連携を図りながら、問題解決に向け対応を確実に行うよう、今後とも区市町村教育委員会等と一体となって学校を指導してまいります。
○野上(純)委員 今まで事例として一件でも、都教育委員会が区市に働きかけて、警察に相談を持ちかけた事例はあるんでしょうかね。これはないんじゃないかなというふうに思うんですね。これ、また後で教えてください。
次に、ネットいじめについて質問いたします。
私は、かつて、学校裏サイト、これは非公式サイトとか名前がいろいろありますけれども、について取り上げて、予防策として、都は委託会社によるネット検索が行われております。委託会社を昨年視察させていただきましたが、ネット監視は目が疲れてくるし、大変な作業だと感じております。
今は、委託会社が見つけた不適切な書き込みを都教育委員会に連絡し、都教育委員から、小学校、中学校の場合は区市の教育委員会に連絡をし、区市の教育委員会から学校に情報を伝達し、学校から死ねとかそういうことを書いているものを連絡して、学校から削除してほしいという依頼を受けて、その逆の順序を踏んで、委託会社からサイトの運営者に削除依頼をすることになっています。
逆に、これ、今、成り済ましとかいろいろありまして、ネット上で不適切な書き込みを児童生徒、保護者が見つけて、削除をしてほしいという要請があった場合、どのように対応するのか。書き込みの削除に向けた手順についてお伺いいたします。
○坂本指導部長 児童生徒や保護者から、ネット上の不適切な書き込みについて相談や削除要請があった場合、その書き込みに関する具体的な情報を聞き取りまして、学校非公式サイト等の監視を通して当該の書き込みを確認いたしますとともに、直ちにサイト運営者に対して削除要請を行っております。
また、児童生徒本人や保護者自身が直接サイト運営者に対して削除要請を行いたいという場合には、削除方法について助言しますとともに、トラブルの相談窓口を紹介するなど、早急に問題解決が図られるよう対応しております。
さらに、各学校において相談や削除要請があった場合も、適切な指導助言が行えるよう、全公立学校に配布しております教師用指導資料にも削除方法について掲載しております。
○野上(純)委員 今も実際にネットいじめで子どもたちが困っているのは何人ぐらいいるんでしょうか。その中で削除要請があったのは何人くらいなのか。これは、多分、数的には非常に少ないと思います。やっていますということなんですけれども、この数が少ないのは、手順がわからない、ほとんどが泣き寝入りになっているのではないかと思っております。
私は、さきの代表質問でこう述べました。学校におけるいじめ問題は、あくまでも教育的な配慮から、教育現場での対応が望ましいと考えますけれども、恐喝や暴行、傷害、児童生徒の安全が脅かされる場合には、警視庁と連携をとりながら対応すべきだというふうに。そのためには従前よりも一歩踏み込んで、自殺に至るような悩みを抱えている被害者やその保護者が学校の先生に知られることなく、つまり、さっきもいいましたように、学校の先生に知られると、先生は加害者を問い詰めると。そうすると、加害者が被害者に報復を、要するに被害者が報復を受けると。そういう恐怖心を持っているので、命にかかわるような場合には、直接警察機関に相談できるハードルの低い仕組みが非常に大事ではないかということを提案させていただきました。
この表の中で、先ほどから何人の方もおっしゃっていますけれども、スクールカウンセラーの存在が大変大事なのではないかと思っております。いじめ問題の対応を含めて、スクールカウンセラーの積極的な活用を図っていく必要があると思いますけれども、見解をお伺いいたします。
○坂本指導部長 学校における教育相談等の機能充実を図り、いじめや不登校等の児童生徒の問題行動等の未然防止や解消を図ることは重要であります。
こうしたことから、都教育委員会では、児童生徒の臨床心理に関して、高度に専門的な知識、経験を有する臨床心理士をスクールカウンセラーとして学校に配置しております。スクールカウンセラーの配置校からは、児童生徒の相談からいじめの早期発見につながった事例や、いじめ等の悩みを抱える児童生徒への心のケアを行った事例などの報告があり、いじめを初めとする問題行動の対応に効果を上げていると評価しております。
今後とも、こうしたスクールカウンセラーの配置の成果を生かし、児童生徒の問題行動の未然防止と解消が図られるよう、スクールカウンセラー活用事業の充実を図ってまいります。
○野上(純)委員 スクールカウンセラーの方々が積極的に問題解決に対処していただけるように、待っているだけではなく、私はアウトリーチ型の支援も含めて成果を上げていただきたいと思っております。
最後に、企業、NPOと連携した社会的、職業自立支援についてお伺いいたします。
新規事業といたしまして、都立高校生の社会的、職業的自立を支援する教育プログラムを開発することになった背景について、最初にお伺いいたします。
○谷島地域教育支援部長 都立高校の卒業生の中には、進路が未決定のまま卒業する生徒や就職後三年以内に離職する生徒が多くおりまして、将来について必ずしも明確な目標を持っておらず、職業に対する意識も希薄となっている傾向が見られます。
そこで、生徒の学ぶこと、働くことに対する意欲を引き出すとともに、実社会で必要とされる基礎的な能力や態度等を育成する必要がございます。
しかし、現在の都立高校におきまして、実際の企業活動等を熟知する教員は必ずしも多くはおりません。そのため、社会の実情に精通し、教育支援活動に実績のある企業やNPO等と連携し、生徒が体験的な学習を通じて社会や職業を実感できる実践的な教育プログラムを開発するものでございます。
○野上(純)委員 体験的な学習を通じて社会や職業を実感きる実践的な教育プログラムの開発について、今までの進捗状況についてお伺いいたします。
○谷島地域教育支援部長 開発を進めている教育プログラムは、今申しましたが、社会や職業を実感する体験的学習を通じて生徒が自分の将来の明確な目標を持ち、社会人になることへの自覚、働こうとする意欲の確立を図るものでございます。
現在、学校の要望を聞き取りながら、企業やNPO等との調整を行い、プログラム内容を検討しているところでございます。
○野上(純)委員 先ほども質疑にありましたけれども、都立高校の中途退学者数というのは、ご努力によりまして年々減少していますけれども、年間の中途退学者数、全日制と定時制を合わせると三千三百三十七人ということで、全日制が千五百四十三人、定時制が千七百九十四人ということで大変多いんですね。
一度中途退学した生徒は、新しい進路を見出すことはなかなか難しくて、目的意識を失ってしまう傾向にあります。今や、彼らがニートの温床となっているのではないかというふうに大変心配をしております。中途退学といえども、一定の期間サポートしていく必要があるのではないかと考えております。
そこで、生徒が中途退学する原因や中途退学後の状況を把握しようとするこの調査の意義は大変大きいものとも思われます。これは初めて行うものですよね。--都立高校の中途退学者に対する調査について現在の状況をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
○谷島地域教育支援部長 八月上旬に、中途退学者本人に対しまして調査票を発送いたしました。締め切りは九月末としておりましたが、現在も調査対象者からの返送がございますため、回答内容を極力集計に反映させるよう努めているところでございます。今後、その集計をもとに分析を行ってまいります。
○山内委員 まず、いじめ問題についてお伺いいたします。
子どもの自殺という痛ましい事件が後を絶ちません。事件後、教育委員会では、自殺といじめの因果関係は不明といったりしますが、重要なのは、子どもがみずから命を絶つという最悪の選択をしなくて済むようにすることです。
都教育委員会では、ことし七月、緊急調査として、いじめの調査を実施いたしました。七月十七日に通知を出し三十一日には提出を求めるという、非常に短期間で猶予のないスケジュールだったと思います。特に夏休み直前の急な調査です。都教育委員会は、滋賀県で起きた、いじめが原因でと思われる中学二年生の自殺に衝撃を受け、都内でのいじめは大丈夫なのかと緊急に調査したとの報告でした。
確かに、七月に入り、にわかにいろいろなことが新聞等で報じられるようになりました。しかし、大津の自殺は昨年十月に起きたんです。自殺やいじめの対策に本気で向き合い、対応を考えていたなら、もっと時間をかけて丁寧に、調査内容や方法、時期等が熟慮されるべきではなかったのかと思います。
そこで、改めてお伺いいたします。いじめの緊急調査をなぜ七月に実施したのか、また、調査の目的や方法などについてお伺いいたします。
○坂本指導部長 本年七月、大津市における中学生の死亡事故に関する報道を受け、都内公立学校の児童生徒のいじめの実態を改めて把握する必要性が高まりますとともに、教員の目が届きにくい夏季休業中にいじめが深刻化するのではないかという懸念もあったことから、夏季休業が始まる前に緊急に調査を実施したものでございます。
この調査は、いじめにかかわる情報を多面的、多角的に収集するとともに、把握したすべての案件に確実に対応することの重要性を教員に徹底することを目的といたしました。
各学校では、児童生徒に対してアンケートや面談を実施するなど、調査の内容や方法を工夫して、いじめの実態把握に努めたところでございます。
○山内委員 文部科学省では、各都道府県の教育委員会を通じて、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査を毎年実施しています。既に毎年、各区市町村でいじめの調査を行っているわけです。改めて調査をするならば、文科省が毎年区市町村でやっている調査の課題を整理し、解決して、丁寧なやり方をすべきだったのではないかと思います。
現場の先生や養護教諭、また、都で配置をしているスクールカウンセラーなど、子どもたちに日々接し、直面している人たちと一緒に、内容や方法を吟味しながら検討する必要があったと思います。
そして、その後、七月の調査で各学校が把握した、いじめやいじめの疑いがあるような事例についての対応状況を九月十八日に提出するよう通知を出しました。
都教育委員会では、いじめは一朝一夕になくすことは難しいという現実を認識しているとしています。できるだけ早くいじめに対応することはよいことですが、面接等を短期間に行うことで簡単に解決するものなのでしょうか。
九月のいじめの追跡調査で、どのような場合にいじめが解決されたと考えたのかお伺いいたします。
○坂本指導部長 文部科学省の児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査によりますと、いじめとは、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているものとされております。
いじめが解決したとは、こうしたこれまで受けていたいじめの状況が改善され、いじめられていた児童生徒の精神面での負担が解消された場合と考えております。
○山内委員 九月の追跡調査の結果をどのように認識しているのかお伺いいたします。
○坂本指導部長 九月の追跡調査の結果では、いじめの疑いがある案件のうちの三九%がいじめであったことが報告され、いじめと認知したものと合わせると六千六百三十七件のいじめが把握されました。このことは、いじめの疑いのあるものまで対象を広げ、丁寧に調査することによって、これまで以上にいじめの実態を把握できたと認識しております。
あわせて、いじめと認知した案件すべての六八%が解決したとの報告から、教員がスクールカウンセラーや保護者とともに、すべての案件に真摯に対応した結果と認識しております。
○山内委員 残念ながら、いじめはそう簡単にはなくならないんです。追跡調査のために数字が先行するようなことがあってはなりません。解決したとして棚上げをするのではなく、継続して見守っていく必要があります。
そこで、いじめ問題について、学校だけではなく、教育以外の専門家と連携して対応していく必要があると考えますが、今後どのようなことを行っていくのか伺います。
○坂本指導部長 いじめを初めとした児童生徒の問題行動の背景には、さまざまな要因が影響していることから、各学校は精神保健福祉士や社会福祉士等の資格を有するスクールソーシャルワーカーや警察OBなどから成る学校サポートチームなどを活用し、いじめ問題などに対応しております。
今後とも、いじめを初めとした児童生徒の問題行動の解決を図るため、教育分野に加え、社会福祉等の専門性を備えた専門家等、外部人材活用の有効性を周知していきますとともに、有識者等から成る専門家会議を開催しまして、そこで得られる知見を今後の都教育委員会のいじめに関する施策に生かしてまいります。
○山内委員 いじめの総合対策として、教育分野に加え、社会福祉等の専門性を持つスクールソーシャルワーカーを配置していくとしているところは期待したいと思っております。
しかし、学校側が幾ら加配を希望しても、二分の一の補助だけでは、希望する全校には実現できません。都として全面的な補助をするなど、支援を要望いたします。
次に、スクールソーシャルワーカーの拡充とともに、いじめに対する今後の対応として第三者的相談機能の充実とありますけれども、どのようなメンバーで構成されているのかお伺いいたします。
○坂本指導部長 都教育相談センターでは、学校だけでは解決困難な、いじめ等の緊急に対応する必要のある問題につきまして、学校や教育委員会等からの相談に応じられるよう、十二月から第三者的相談機能の充実を図ることにいたしました。相談を受ける専門家としましては、弁護士、警察OB、精神科医などを予定しております。
○山内委員 こうした調査にもかかわらず、残念なことに、九月の下旬、品川区で中学一年生がみずから命を絶ちました。
報道によりますと、七月に実施しました都のいじめ調査では把握されていなかったということです。いじめやいじめと疑われる調査の難しさ、対応の難しさを感じざるを得ません。自殺した子どもの気持ち、周囲の子どもたちの動揺を思うと、とても心が痛みます。
品川区で起きた事件に対して、都教育委員会としてどのような支援を行ったのかお伺いいたします。
○坂本指導部長 児童生徒の生命にかかわる重大な事件、事故の発生に当たりまして、これまで都教育委員会は区市町村教育委員会と一体となって原因究明等に取り組むなど、早期解決に向けて支援を行ってまいりました。
このため、今回の事故に対しましても、都教育委員会は当該の区教育委員会の要請に応じまして、心理の専門家であるアドバイザリースタッフを派遣しますとともに、都教育委員会の統括指導主事を派遣しまして、区教育委員会が取り組んでいる問題解決に向けた対応に協力するなど、積極的に支援を行ってきました。
○山内委員 各学校では、いじめに対してさまざまな努力をしていると思います。例えば湘南DVサポートセンターというところでは、他人も自分も大切にすること、信頼できる人間関係や支え合いの大切さに気づいてもらい、いじめに対して無関心な傍聴者をなくすことを目的として、神奈川県や東京都の小中学校へ出向き、プログラムを実施しているそうです。
いじめ防止プログラムというのは、講演会やワークショップの後、有志を募って、子どもたちの主体的な支え合いシステム、スクールバディー活動へとつなぎ、バディーになった子どもたちがいじめを未然に防ぐために、校内放送や新聞、演劇などの企画を自分たちで考えながら、継続した活動を行ったりしているのだそうです。
また、新聞記事によりますと、アメリカでは、高校でいじめを受けていた生徒が銃を乱射して生徒や教師を殺害する事件が起きたことから、各州でいじめ対策法が相次いでできたそうです。欧米では予防教育が主流となっていて、フィンランドでは九割の小中学校で予防教育を導入しているとも聞きます。
暗中模索で頑張っている先生方にとって、いろいろな工夫や取り組みの情報収集や提供することは大いに役立つのではないかと考えます。
そこで、これらの取り組みを他の区市町村教育委員会や学校に情報提供して共有していくことが大切と考えますが、見解をお伺いいたします。
○坂本指導部長 都教育委員会では、これまでも生活指導を担当する指導主事を対象とした連絡会や、都内の全公立中学校の生活指導担当教諭等を対象としました連絡会を開催し、東京都における生活指導上の課題や対応などについての情報交換や協議を行うことで、工夫している事例や成果の上がっている取り組みについての共有化を図っております。
○山内委員 これまでは、文部科学省の調査で出てきた子ども自身が答えたいじめの数字と教育委員会が認めるいじめの数字との差に大きな開きがあったことが指摘されてきました。それは、学校や教育委員会に、いじめがあるとは認めたがらない体質があったからだというふうにいわれております。
いじめがある学校や教育委員会は評価が下がる。だから、いじめはない。いじめはないから対応することはないという体制では、子どもたちは救われません。いじめに遭っている子どもに対しては、しっかり向き合い、あなたを絶対に守るという姿勢を貫いてほしいです。
いじめている子どもには加害者意識がないともいわれています。いじめる側の子どもが抱えている問題や背景に目を向け、子ども自身が、いじめをすることはつまらない、気持ちのいいものではないと気づくようにしていくことが重要です。
児童虐待については、虐待死が二度と起きないように、二〇〇八年、さまざまな関連機関から成る検討委員会がつくられました。
子どもの自殺、いじめによる死が二度と起きないよう、第三者機関が入り、子どもの立場に立った検討委員会の設置を要望し、また、その施策において、具体的に現場で役立ち、実行できるような施策の策定を求めたいと思います。
次に、発達障害の子どもへの支援についてお伺いいたします。
三歳児健診や就学時健診等を通じて、発達障害の診断を受けたり、あるいは疑いがあると診断されると、保護者は非常にうろたえます。発達障害という言葉は、以前に比べれば認知がされてきていますが、障害の理解や実態、対応はおくれています。
発達障害のある子どもは、集団生活や対人関係でさまざまな困難を抱えやすく、中には学校生活への不適応や不登校に至る場合があります。このため、小学校、中学校、高等学校の各段階で、一人一人の障害に応じた支援を受けられることが大切です。
そこで、都教育委員会は、発達障害の児童生徒の状況をどのようにとらえ、どのような支援を考えているのかについてお伺いいたします。
○廣瀬特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、発達障害のある児童生徒は、すべての学校、学級に在籍する可能性が高いという認識に基づき、児童生徒一人一人の成長の段階に応じて適時適切に支援するために、福祉、医療、保健、労働等の関係機関と連携した特別支援教育を推進することが重要であると考えております。
東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画に基づき、すべての小中学校に特別支援教室を設置し、専門性の高い教員が巡回指導を行う特別支援教室構想により、在籍校、在籍学級における指導と支援の充実を図るとともに、高等学校では、個別支援計画等に基づく支援の実施、進路指導の充実など、特別支援教育推進体制の整備を行ってまいります。
○山内委員 保護者にとっては診断後がスタートです。子どものあるがままを受けとめ、家庭環境や育て方が原因ではないことを理解した上で、子どもに合った支援をすることが大切です。
そこで、発達障害の児童生徒に対して、各成長の段階でどのような支援を行っていくのかを具体的にお伺いしてまいります。
小学校に入学するに当たっては、就学前で受けていた支援を就学先の小学校に引き継ぎ、継続的に支援が受けられるようにすることで、初めての集団生活での困難を軽減することができると考えます。
そこで、発達障害のある児童生徒を支援するための就学前での支援の小学校への引き継ぎと、小学校における支援体制整備についての都教育委員会の現在の取り組みについてお伺いいたします。
○廣瀬特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、就学前での支援を小学校に引き継ぐために、幼稚園や保育所等と保護者が連携して、発達の様子や引き継ぎが必要と思われる支援内容等を記載する就学支援シートを開発し、普及に努めてきました。
就学支援シートを活用することにより、小学校は事前に就学前での支援内容や方法等を知ることができ、就学後に必要となる支援をあらかじめ準備することができるようになります。
また、小学校においては、すべての小学校に設置する特別支援教室を活用し、在籍校で対人関係の改善等に向けた巡回指導を受けられる体制整備を行います。
現在、四区市を指定し、モデル事業を実施しており、平成二十八年度から小学校を対象に順次導入していく予定でございます。
○山内委員 現在は、在籍校に通級指導学級がない場合は、決まった曜日に通級指導学級がある他の学校に通います。しかし、小学生の場合、原則として保護者の送迎が必要なため、保護者が働いている場合には通わせることができません。
すべての小学校に特別支援学級や特別支援教室ができれば、週何日、特別支援教室に通うとか、この教科は通うとか、気持ちをクールダウンするために一時間だけ行くとか、その子どもに合わせることができます。
都では、特別支援教室を二十八年度から順次導入していくとのことではありますが、専門性のある先生の巡回、そして、できるだけ早い取り組みを要望いたします。
また、成長に合わせて発達障害の児童生徒が充実した学校生活を送るためには、小学校から中学校へ、中学校から高等学校へと、一人一人に必要な支援の内容や方法を引き継いでいくことが大切であると考えます。
そこで、学齢期において、発達障害の子ども一人一人に必要な支援に関する情報を学校間でどのように引き継いでいくのか、都教育委員会の現在の取り組みについてお伺いいたします。
○坂本指導部長 障害のある児童生徒が充実した学校生活を送るためには、各学校が一人一人に必要な支援の内容や方法を記載した個別の教育支援計画を適切に作成し、日常の指導に生かすとともに、進学や転学の際に学校間で確実に引き継いでいくことが重要であります。
そのため、都教育委員会では、小中学校や都立高等学校等の管理職を対象とした理解啓発資料を作成しまして、講習会や研修会を実施するなどして、個別の教育支援計画を引き継ぐことの重要性について周知を図っております。
また、現在実施している個別の教育支援計画に関する検討委員会におきまして、望ましい引き継ぎの仕方について検討を進めております。
○山内委員 個別の教育支援計画に対してのご答弁をいただきました。子ども一人一人に合わせて、教育の場面、あるいは生活、就労、そういったことを含めて総合的な個別の支援計画というのがあって、その部分の教育に関して教育庁の方で個別の教育支援計画というのがあるというようなお話を伺いました。
私の地元の国分寺市には、現在、通級指導学校は小学校で十校中三校、国分寺市独自の特別支援教室や、自閉症や情緒障害の子どものための固定級というのがあります。ただし、中学校は三校中一校しかありません。小学校はもちろんですが、中学校での設置を求める声は非常に高いものがあります。
通級指導学級に通っている子どもは、小学校では毎年四十人から六十人います。しかし、中学では十人前後になっていると聞いております。その数字のギャップにびっくりするんですが、中学校での集団生活や勉強で大変な思いはしていないか、あるいは中学の段階で不登校になってしまってはいないか、私は懸念をいたします。義務教育であればこそ、子どもたちがその子に合った最善の教育が受けられるよう願ってやみません。
次に、指導主事及び教員海外研修についてお伺いいたします。
この指導主事及び教員の海外派遣研修の目的や派遣先についてお伺いいたします。
○坂本指導部長 都教育委員会は、平成二十二年度から、諸外国の教育行政制度、教育施策、学校運営などについての調査研究や先進的な教科指導法の習得を目的に、指導主事及び教員を海外に派遣しております。
派遣先は、二十二年度がアメリカ及びカナダ、二十三年度がカナダ、二十四年度がオーストラリアでございます。
○山内委員 海外に派遣した指導主事や教員はどのような研修に取り組んでいるのかお伺いいたします。
○坂本指導部長 海外に派遣した指導主事は、大学で教育行政、学校経営等について学ぶとともに、現地の教育委員会でインターンシップを行うなど、日本と異なる教育行政制度及びその運営の実態等に関する調査研究を行っております。
また、教員は、大学で先進的な教科指導方法等について学ぶとともに、現地の学校を訪問し、授業参観や、その学校の教員とのチームティーチング等による授業実践を行うなど、指導力の向上に取り組んでおります。
○山内委員 海外派遣研修の成果の普及と、派遣した指導主事及び教員の活用についてお伺いいたします。
○坂本指導部長 都教育委員会は、毎年度、公立学校教員及び指導主事等を対象に、海外派遣研修報告会を開催するとともに、全公立中学校及び全都立学校に研修報告書を配布しまして、研修成果の普及を図っております。
海外に派遣した指導主事は、帰国後、都教育委員会の研修や都立高校生の海外派遣事業等の企画、運営に携わり、都の教育施策を推進しております。
また、教員は、若手教員の指導者や研修会の講師を務めるなど、教科指導内容、方法等の改善に取り組んでおります。
○山内委員 一人の研修に一千万円かかると聞いています。一年間の研修の期間を補う加配については、また別に予算がかかるとおっしゃっていました。研修報告は英語での報告が主で、日本語では概要報告となっていますが、それではどのように研修報告を広く普及し、有効活用していくのか、非常に疑問に思っております。
せっかく経費をかけて研修に行くのであれば、都の課題として問題となっているいじめや不登校などに対する各国の先進的な取り組みを研修するなど、研修先の検討が必要ではないかと申し述べておきます。
次に、学校における食育の推進と学校給食についてお伺いしてまいります。
学校給食における地産地消の考え方と地域産食材の使用状況の推移についてお伺いいたします。
○谷島地域教育支援部長 地場産物を積極的に学校給食に活用することは、児童生徒に地域の産業や文化に関心を持たせたり、地域において農業等に従事している方々に対する感謝の気持ちを抱かせたりするなどの教育的効果があり、積極的に地場産物を活用し、それを生きた教材として指導することは有意義なことと認識しております。
平成二十二年度の都内公立小中学校における、学校が所在する区市町村内の地場産物を学校給食で使用したことのある学校の割合は、小学校は六四・〇%、中学校は六一・五%でございまして、ここ数年、公立学校全体として増加傾向にございます。
○山内委員 栄養教諭の配置状況と、食育を進めるための栄養教諭の取り組みについてお伺いいたします。
○谷島地域教育支援部長 平成二十四年四月一日現在、四十一区市に四十一名、都立学校に二名の栄養教諭を配置してございます。
栄養教諭の職務は、文部科学省の通知では、学校給食の管理及び食に関する指導とされておりますが、都教育委員会では、各校の食育リーダーに対して支援を行う役割を独自に加えており、公開授業の実施、研修会での指導助言など、地区における食育の中核を担っているところでございます。
○山内委員 次に、学校給食食材のスクリーニング検査の実施状況についてお伺いいたします。
○谷島地域教育支援部長 学校給食におけるより一層の安全・安心を確保する観点から、都教育委員会は、文部科学省の安全・安心のための学校給食環境整備事業に基づきまして放射性物質検査機器を購入し、検査を希望する都内公立学校を対象に学校給食用食材の放射性物質検査を実施してまいりました。
平成二十四年五月七日から六月二十八日まで一学期分を実施いたしまして、六区十六市三町の学校等及び七十一の都立学校から検査希望の申し出のあった千四百の検体を検査し、二学期については十月四日から実施しているところでございます。
これまで食品衛生法の基準値を超える放射性物質は検出されておりません。
○山内委員 来年度以降の実施状況についてお伺いいたします。
○谷島地域教育支援部長 現在、その検査を継続しているところでございまして、その状況を注視しているところでございます。
○山内委員 食べるということは、栄養バランス等の健康の問題だけでなく、自然の循環や消費者と生産者の関係、自給率を含む国内の農業の政策、国際的な問題など、多岐にわたっています。
都では食育リーダーの育成を行っていますが、専門性を持っているわけではなく、十分に機能を果たしているとはいいがたいところがあると思います。
栄養教諭が食育リーダーに対して支援を行う役割を担っているとのことですが、食育の意義がどれだけ反映されているのか、都の食育が何を目指しているのかは非常にわかりにくいと思います。
学校給食において地産地消を進めることは、食育を進めるためにも大いに期待するところでありますが、放射能の影響が心配されるところでもあります。福島で農作物に放射性物質の高い値が出た際に、都内の葉物等の農産物の検査を実施いたしましたが、定期的な検査は実施されておらず、不安の声がないわけではありません。
多摩二十六市のうち、市独自で給食食材の放射能検査を実施しているところは半分にも満たないことから、今、都が実施している各学校のスクリーニングが果たす役割は非常に大きいと思います。
子どもたちが安心して学校給食を食べることができるよう、来年度以降の都の検査の継続と公表を要望いたします。
最後ですが、情報モラルの教育についてお伺いしたいと思います。
児童生徒がインターネットや携帯電話を利用してトラブルに巻き込まれたり、掲示板等で不適切な書き込みをされたりする事例が多いと聞きますが、教育委員会として、こうした問題で児童生徒が被害者にも加害者にもなることのないよう、情報モラル教育をどのように進めているのかお伺いいたします。
○坂本指導部長 都教育委員会では、毎年、トラブル、被害の事例や相談窓口を紹介したリーフレットを都内の全公立小学校三年生及び中学校一年生に配布しております。
また、誹謗中傷など、生徒からのトラブルの相談に対応できるよう、教師用指導資料を作成いたしまして、都内の全公立学校で活用しています。
さらに、ことし四月に、不適切な書き込みの具体的な事例を収録しました情報モラル啓発DVDを都内の全公立学校に配布するとともに、すべての都立学校及び希望する区市町村立小中学校に情報教育の専門家を派遣いたしまして、このDVDを活用した出前講座を実施するなど、情報モラル教育を積極的に推進しております。
○山内委員 情報モラルや消費者問題等、今、子どもたちが直面している問題を取り上げ、子どもたち同士で話し合う機会をつくるようにすることが大切です。
教育委員会で実施している精神保健などの派遣事業のほかにも、他局でさまざまなテーマの出前講座を展開しています。子どもたちにとって有意義だと思われますが、カリキュラム等が既にでき上がってからでは、なかなかそうした講座等を盛り込むことができないと聞いております。
また、学校や先生のアンテナの感度の違いによって、取り組む学校と取り組まない学校との差が出てきているともいえます。
情報提供の工夫、カリキュラムの工夫などで、生活にかかわる問題をタイムリーに取り上げ、生きる力を育てていけるよう、教育庁内や他局で実施している出前講座等をリストアップして活用しやすくなるような積極的な情報提供等に取り組んでいただけるよう要望いたしまして、私の質問を終わります。
○畔上委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたしたいと思います。
午後三時九分休憩
午後三時二十一分開議
○畔上委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○野上(ゆ)委員 私からは、まず理数系学習の推進について伺いたいと思います。
この理数系学習の推進は、二十一世紀の知識基盤社会を見据えた教育庁、あるいは文科省の取り組みの一つであると考えております。
知識基盤社会では、新しい知識や情報、技術が政治や経済、文化といったあらゆる領域での活動の基盤として重要性を増してくるというのは間違いはありません。
また、科学技術は競争力と生産性向上の源泉であり、特に東京においては、国際協力に打ちかつための人材をいかに確実に育てていくかということが非常に重要になっている中で、この理数系学習の推進ということは、非常に重要な事業の一つであると考えております。
さらにいえば、科学技術立国を目指す日本では、科学技術の土台となる理数教育の充実はもちろん欠かせないところでございます。
しかし、一方、日本の子どもの理数教科に対する関心は、国際的に見て非常に低い傾向にあります。二〇〇三年、国際教育到達度評価学会が中学二年生を対象に実施した国際数学・理科教育動向調査では、将来、自分が望む仕事につくために、よい成績をとる必要があるかという質問に対し、強くそう思う、そう思うと回答した生徒の割合は、数学については国際平均の七三%に対し、日本は四七%でありました。理科についても国際平均の六六%に対し、日本は三九%にとどまっております。
また、二〇〇六年に十五歳児、日本では高校一年生ですが、こちらを対象に実施しました経済協力開発機構の調査では、大人になったら科学の研究や事業に関する仕事がしたいと回答した生徒の割合は、OECD参加国平均の二七%に対し、日本は一七%でありました。
そのほかの設問から見ても、科学への興味、関心や楽しさを感じる生徒の割合が比較的低いことが明らかになっております。今まで、ものづくりで日本が高度経済成長をなし遂げ、この日本を支えてきたという歴史を見てみると、少し残念な結果ではないかと思われます。
そこで、東京都における小学校の理数教育、今回、理数系学習の推進ということで新規に東京都理数教育振興施策検討委員会の設置ということを進めております。小学校の理数教育を充実させるためには、小中連携とともに、高等学校との連携も考慮すべきと考えます。このことについて、まずは都教育委員会の見解を伺います。
○坂本指導部長 現在、都内の公立小中学校の一部では、教員同士が理科の授業を参観し合う等の交流を行い、指導内容や方法に関する協議会を開いております。
また、都立高校の中には近隣の小中学校の児童生徒を招きまして、授業で学習した内容をもとに、サイエンスライブといった芝居を上演して、科学の楽しさや不思議さを伝えると同時に、地球環境について考えさせる取り組みを行っている学校もございます。
今後とも都教育委員会は、区市町村教育委員会や学校と連携を図りまして、理数教育にかかわる校種間の連携を推進し、小中高等学校の各段階における理数教育の充実に取り組んでまいります。
○野上(ゆ)委員 小学校の理数教育の充実のためには、例えば科学技術館等の専門機関に協力を依頼して、外部人材を活用することも一つの方法であると考えます。
先ほど野上純子委員からも、企業や、あるいは大学との連携が非常に重要であるとの質問がありましたけれども、東京はまさに全国の中でも企業、あるいは大学が集積され、知的にも集約された土地でありますから、この利点を大いに生かしていただきたいと思います。
例えば、お台場、有明地区、ちょっと調べてみたんですけれども、ここには教育施設がたくさんあるんですよね。科学技術振興機構の日本科学未来館、そして東京都水道局の水の科学館、東京都下水道局の虹の下水道館、東京ガスのがすてなーに、東京臨海広域防災公園のそなエリア、そして東京都環境局の中央防波堤、そしてパナソニック等の民間企業が理数系の教育関連の実験施設も備えているというふうに聞いています。
既に江東区の教育委員会では、これに先駆けて、このお台場、有明地区の教育施設、集約されたこの施設と連携をして、小学校の授業に生かしているというふうに伺っております。このことについて、外部人材を活用するということも一つですが、都教育委員会の見解を伺います。
○坂本指導部長 都内の多くの小学校においては、近隣の博物館や科学館、プラネタリウム等の施設を訪問し、見学や実験等の体験活動を通して、児童の理科に対する興味、関心や科学的な見方、考え方を育てる学習を行っています。
また、校内研修においても、外部の専門機関や大学等から専門家を招聘し、教員の資質能力の向上を図っております。
今後とも都教育委員会は、理数教育にかかわる専門機関や企業、大学等との連携を図り、それらの施設や人材を学校がより効果的に活用することができるよう、区市町村教育委員会に情報提供してまいります。
○野上(ゆ)委員 理数教育推進のための外部人材について伺いましたが、もちろん教員の人材育成、質の向上が必要であることはいうまでもありません。
しかしながら、一方、小学校の教員はいわゆる文科系の教員養成学部出身者が多数を占めており、理科に苦手意識を持つ教員も多いために、実験や観察を重視する授業が十分に行えるか非常に不安があるというようにも伺っております。
文科省所管の独立行政法人科学技術振興機構が実施した二〇一〇年度小学校理科教育実態調査の結果における中高理科免許を持っていない一般的な小学校教員の意識の変化を見ると、理科が得意という教員は二〇〇八年度調査で四・一%でしたけれども、二〇一〇年度も四・九%とほとんど変化がありません。
しかし、実験や観察を取り入れた理科の授業をほぼ毎回行っているという教員は二〇〇八年度の二一・一%から二〇一〇年度は二六・八%に、また、実験したことからどんな結論が得られるかよく考えさせているという教員、そう思うとややそう思うとの合計ですが、こちらも七六・七%から八〇・一%にそれぞれ増加しています。
これは、どうして増加しているのかなというふうに見ますと、必ずしも理科が得意な教員が任命されているとは限らず、例えば持ち時間数の少ない主任クラスの教員などを理科の専科教員に充てる例もあるようです。
これについて、このアンケートを行った科学技術振興機構は、調査結果を分析した上で、理科の指導が苦手な教員が専科となっている形態では、理科学習への児童の意識の低下につながりやすいというような指摘をしております。学校の都合よりも、やはり子どもたちの教育を優先すべきであるということは、もちろんいうまでもありません。
そこで、小学校の教員に、理科に関する指導力をどのように高めていくのか伺います。
○坂本指導部長 東京都教職員研修センターでは、小学校の教員を対象として、理科の学習指導に関する基礎的、基本的な力を身につける内容から、実践的な指導力を高める内容まで、多様な研修を実施しております。
また、理科の指導力にすぐれた教員を教育研究員として指名しまして、一年間かけて指導内容や指導方法等を研究開発させ、その成果を発表会や報告書により、すべての公立小学校に普及しております。
さらに、小学校の教員免許に加え、中学校または高等学校の理科の免許を持っている者を積極的に採用するため、今年度の小学校の教員採用選考から理科コースを新設し、小学校理科教育の一層の充実を図ったところでございます。
○野上(ゆ)委員 理数教育の成果を検証するためには、子どもたちの変容を見ていくことが大切であると考えます。単に意識調査にとどまらず、検証していっていただきたいと思いますが、今後、どのような方法で検証していくのか伺います。
○坂本指導部長 理数教育の成果につきましては、児童生徒の理科や算数、数学にかかわる実態から検証していく必要があると考えております。
都教育委員会では、これまでも都独自の学力調査を実施しまして、理科や算数、数学における学力の定着状況や、理科の授業が楽しい、算数の授業がわかるといった学習に関する意識を把握してきました。
今後とも都独自の学力調査の結果をもとに、児童生徒の実態の変容を分析していくことで、東京都における理数教育の成果について、継続的に検証を行ってまいります。
○野上(ゆ)委員 他県では、外国のスーパーサイエンススクールと提携をして理数系学習の推進をしたり、東京都内でも立教大学と豊島区との連携をして、地域から理数系学習の推進をしていこう、底上げをしていこうというような取り組みはもちろんありますけれども、もう少し東京が持っている資源、人材というものを活用できるのではないかと私は思っております。
先ほども申し上げましたけれども、一番注目しているのは、やはりお台場、有明地区の集積した教育関連施設ですね。今、文科省が推進しております学びのモデルエリア地区というものを設定して、ぜひああいった民間、あるいは大学、研究機関との連携を深めて、東京都に住んでいらっしゃるお子さんの潜在的な力を底上げしていただきたいと思っております。
こちらは要望にとどめておきますが、そういった取り組みを東京はできますから、ぜひ連携を深めて、授業、あるいは教員の資質向上に努めていただきたいと思います。
次に、放課後子ども教室の推進事業について伺います。
放課後子ども教室は、文科省の社会教育事業としてスタートしたものであり、二〇〇七年度より全国で実施、展開されているものです。当時ですが地域教育力の低下や完全学校週五日制の実施、そういった背景の中で、小学校の教室等を活用し、子どもの社会教育を担うことを期待された事業であると認識をしております。
そこで、幾つか質問をさせていただきます。
まず、東京都の放課後子ども教室のこれまでの取り組みについて伺います。
○谷島地域教育支援部長 事業開始当初の平成十九年度の放課後子ども教室の設置状況は、三十八区市町四百七十五教室でございますが、五年後の平成二十三年度におきましては、五十一区市町一千九教室となりました。
放課後子ども教室の実施状況は、古くて恐縮ですが、平成二十二年度の調査結果によりますと、一教室当たり年間百七十二日実施され、延べ七百八十九万三千百八十三人の子どもが参加いたしました。一教室一日当たりの平均参加人数は約四十八人となっております。
また、障害のある子どもが参加している教室の割合は全体の一五%でございます。
使用施設は、学校が九八・三%、その他の施設、一・七%でございます。
○野上(ゆ)委員 放課後子ども教室の理想形というのは、行政主導から各地域の団体、個人を主体として運営が図られる、あるいは老若男女の枠を超えた地域コミュニティの形成に貢献できる事業となることが国の計画でも示されているところです。
そういった中で、地域のコミュニティで障害のあるお子さんが参加されていたり、学校を利用しているのが九八%と非常に喜ばしい数字ではあると思います。
しかし、このような事業をもう少しきちんと地域の団体、個人が運営できるようにした完成形というんでしょうかね、自立した形にする事業とするためには、やはり保護者や地域の人たちに、事業目的の理解を得ることが必要になってくると思います。
さらに、最も大きな課題は、限られた財源と人材、特に予算面ではなかなか厳しいというふうに伺っておりますが、人材面でも、例えば指導に当たる大人の確保や、今後さらに児童数が減ってくると、運営面でどういうふうになるのかなという、そういった懸念を克服するために、どのような事業展開が必要になるかということを東京都でも少し検討する必要があると考えております。
そこで、区市町村における放課後子ども教室の現状は何と認識しているのでしょうか。また、それをどのように把握しているのか伺います。
○谷島地域教育支援部長 現在の放課後子ども教室の現状をかんがみまして、当教室の運営に係る大きな課題といたしまして、教室運営を担うコーディネーター、安全管理員、学習アドバイザーなどの人材の確保、育成と聞いております。
都教育委員会は、毎年実施しております区市町村担当者を対象とする放課後子ども教室事業担当者会や、現地調査などの機会を通じまして、課題の把握に努めているところでございます。
○野上(ゆ)委員 この放課後子ども教室は、従来から実施されていた放課後児童クラブ、こちらは厚生労働省が所管し、一般的に学童保育というふうに認識されているものですが、この学童保育事業との関係性、あるいは連携が必要であるというふうに考えます。
学童保育機能の充実の裏で、ともすると埋没しがちな放課後子ども教室でありますが、活動すること自体が目的となり、一部ではカルチャーセンター化してしまっているということも伺っております。
社会教育事業としての放課後子ども教室の本来の目的、そして地域の自立した運営を促すというすばらしい目的を達成するためには、行政同士の例えば教育所管部門、あるいは福祉の所管部門との連携が必要であるというふうに考えます。
そこで、東京都教育庁は、福祉保健局との連携はどのように行っているのでしょうか、伺います。
○谷島地域教育支援部長 都教育委員会は、放課後子ども教室の地域における定着、促進につきまして、広域的な観点から検討、協議するため、東京都放課後子ども教室推進委員会を設置し、区市町、学校、地域の代表者のほか、学童クラブを所管している福祉保健局にも委員を委嘱するなど、関係機関と連携を図っているところでございます。
○野上(ゆ)委員 学童保育事業とどのように役割分担し、連携していくのか、都の見解を伺います。
○谷島地域教育支援部長 学童クラブは、保護者が労働等により昼間家庭にいない、小学校に就学しているおおむね十歳未満の児童に対し、適切な遊び及び生活の場を与えるものでございます。これに対し、放課後子ども教室は、広く地域の子ども全般を対象に、子どもの安全で安心な居場所の提供として設置されております。
両事業は、子どもたちの安全で健やかな活動場所の確保という目的では共通していることから、都教育委員会が実施する放課後子ども教室のスタッフ養成研修に、福祉保健局を通じまして、学童クラブのスタッフに参加を呼びかけるなど、連携を図っております。
また、区市町では、放課後子ども教室と学童クラブの共通事業として、昔遊びの伝承会やクリスマス会などを実施している例もあると聞いております。
○野上(ゆ)委員 この放課後子ども教室に期待されることは、今答弁にもありましたように、多様な地域住民ができるだけ多くの活動に参加する体制づくりにあるというふうに思っております。
公民館や児童館など、従来の社会教育施設のように、専門の指導員ではなく、地域住民が活動するということは、子どもの居場所づくりという視点においても大きな意味を持っていると考えております。
しかしながら、だれでも活動できるという気軽さが、一方では事業の大きな一つの課題となっているのも事実です。現場で活動するスタッフの多くが子どもの安全・安心な居場所をつくるという事業目的については理解しているものの、その事業背景となる地域コミュニティや教育力の低下、あるいは、さらにいえば地域とのつながりの必要性に関しては認識をしていないということもあります。
なかなか地域住民に対して、スタッフとしての専門性を過度に求めるということは、放課後子ども教室のよさである幅広い地域住民の活動の機会としての可能性を狭めるおそれもありますが、とはいえ、この放課後子ども教室にかかわる人材の育成というものが必要であると考えます。
そこで、コーディネーター等の人材育成研修を都はどのように行っていくのか伺います。
○谷島地域教育支援部長 都教育委員会では、教室運営にかかわるコーディネーターを初め、安全管理員やボランティア等のスタッフを対象に、地域人材の発掘、活用方法、子どもの発達理解や障害理解、レクリエーション指導の方法などを内容とする人材育成研修を毎年実施しております。平成二十三年度は計十一回の研修を実施いたしました。
○野上(ゆ)委員 放課後子ども教室を運営するために、有用な事例の収集や必要な人材確保の方法などを、都として横断的に提供できる役割を果たすべきと考えます。
それぞれ基礎自治体がこの教室を運営しておりますけれども、なかなかお隣の区でどういうような運営をしているか、あるいは人材の確保のあり方、それを区市を越えて情報を提供できるのは、まさに東京都だけであると私は考えております。
そこで、横断的に提供できる役割を都が果たすべきと考えますが、見解を伺いまして私の質問を終わります。
○谷島地域教育支援部長 都教育委員会は、ホームページ、東京都生涯学習情報や広報誌「みんなの生涯学習」等で各地域における特色ある活動事例を紹介するとともに、放課後子ども教室事業担当者会やコーディネーターを初めとするスタッフ向けの研修会の中で、放課後子ども教室の運営ノウハウ等を提供しており、今後とも区市町村の取り組みを支援してまいります。
○関口委員 私からは、小中学校における外国語活動について、まずお尋ねしたいと思います。
二〇一一年度から、小学校の五年生からの外国語活動、いわゆる英語授業必修化がスタートいたしました。昨年六月の一般質問でも、私はこの問題を取り上げました。ようやく必修化となったということでありまして、例えば韓国では既に九七年から、中国でも二〇一〇年から、それぞれ小学校三年生からの英語授業の義務化が始まっておりますから、遅きに失した感はあるものの、国際競争力という意味では、日本の英語力をどう増していくのかという意味において、国が一歩足を踏み出したということに私も大いに期待し、この動きを後押しをしてまいりたいと思っておりますが、導入から一年半が経過いたしました。
この外国語活動の必修化の効果や課題について、都教委はどのように考えているのか見解をまず伺います。
○坂本指導部長 小学校で外国語活動の授業を受けてきた生徒について、中学校からは、ことしの一年生は以前よりも英語を聞くことになれている、また、英語で積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度が身についているなどの声が聞かれており、小学校での活動の成果が上がっていると考えております。
都教育委員会が平成二十三年度、二十四年度に都内全公立小学校を対象に行った外国語活動の実施状況に関する調査によりますと、多くの学校が教師の英語力や具体的な評価の場面及び方法に課題があると回答しております。
○関口委員 必修化になる従前から、年間それぞれ何時間かは外国語授業が総合学習の時間を用いてやられてきたというところで、既に中学校に入った段階で、以前よりは英語を聞く力が増したというコメントを中学校側から得ているということで、一定程度の効果は必ずあるんだろうなというのを改めて認識をしております。
また、課題につきましては、教師の英語力の問題、評価の問題等々が挙げられております。特に、私は教員の英語力というところに着目をしておりまして、そもそも小学校の先生は、教員採用試験で英語という科目がなぜか一問しかありませんし、そもそも英語力というものを求められておりませんから、教員の先生が現場で自分の英語力が課題だと思うのはいたし方ないと私は考えておりますが、そうした状況も踏まえて、小学校の外国語授業では、この間、英語力を補うという意味でALT、アシスタント・ランゲージ・ティーチャーが活用されております。
このALTは、いわばネーティブでありますから、ネーティブの発音や雰囲気に子どもたちが直接触れることの効果を期待してALTが活用されているわけでありますが、現在、都内の小学校におきましても、ALTがもちろん導入はされているものの、地域によってばらつきがあるのが実態であります。
週一時間、年間三十五時間、すべての外国語授業の時間においてALTを導入している地域もあれば、逆に一時間もALTの活用をしていない地域もあります。なぜ地域間でこのような差が生じているのか伺います。
○坂本指導部長 小学校学習指導要領では、外国語活動の指導については、学級担任の教師、または外国語活動を担当する教師が行うこととなっており、その際、ネーティブスピーカーの活用に努めるとともに、地域の実態に応じて外国語に堪能な地域の人々の協力を得るなど、指導体制を充実することとされております。
こうしたことから、各区市町村教育委員会では、児童や教師、地域の状況に応じまして、ALTの導入時間を独自の判断により決定していると考えております。
○関口委員 このALTの導入の差については、各区市町村独自の判断であるということでありますが、私はこのALTの導入時間の差が子どもたちの英語の音声、音へのなれ親しみの差につながることになりかねない、そうならないかということを心配するわけであります。
ALTを全く導入していない地域においては、当然、教師の英語力を補うためのALTを導入していないわけでありますから、それにかわる代替策というものがもちろん講じられなくてはならないと思いますが、そのALTを導入していない地域においては、例えばALTを補うものをどういう策として、案として講じているのかお伺いします。
○坂本指導部長 ALTを全く導入していない、または導入時間の少ない区市町村の学校では、地域に在住する外国語に堪能な人材の協力を得たり、文部科学省が作成、配布しましたCDやDVDなどの視聴覚教材を活用したりしております。
また、教師は都教職員研修センター、区市町村教育委員会主催の研修会、校内研修会等を通しまして、みずからの英語力等の向上に励んでおります。
○関口委員 今、代替策についていろいろとお話がございました。ネーティブのALTのかわりに地域の英語に堪能な方であったりCDであったりテレビであったり、そうしたものを活用して、ALTではない形で英語の授業の質を上げようと努力をされているということでありますが、都教育委員会としては、そうした代替策がとられているのであれば、つまりALTの導入がなくても、子どもたちにとっての英語の音に対するなれ親しみにその後差が生じないと考えているのかご見解を伺います。
○坂本指導部長 ALTの導入時間が少ない学校では、英語に堪能な地域人材の協力を得たり、視聴覚教材を活用したりして、児童に多くの英語を聞かせるなど、英語の音声に対する児童の興味、関心を喚起するような活動を多く取り入れております。
このように、ALTの導入時間が少ない学校におきましても、英語の音声への親しみを児童がはぐくむことができるよう、指導体制の工夫をしていると考えております。
○関口委員 子どもの視点に立った際に、小学校の段階でネーティブの発音や雰囲気に直接触れることの効果は大きいのではと私は考えますし、また、文科省の示しております学習指導要領におきましても、外国語活動の指導の際には、原則としてALTの活用がうたわれていることも、そのあらわれであろうかと思います。よって、地域間でALTの活用度合いに余りにも差が生じている状況というのは、決して好ましいことではないと私は考えます。
一方で、外国語活動の必修化が昨年度から開始をしたということで、去年、五年生だった子は今六年生でありますから、まだ小学校二年間の義務化を経ていないわけでありますし、学校現場におきましても、必修化になって以降、試行錯誤の状態にあると思われます。
その意味で、ALT導入の差が、子どもたちにどういう影響を及ぼすかという検証と同時に、都教育委員会としては、ALTの適切な導入時間、教員の英語力の向上、あるいは効果的な授業のあり方など、外国語活動の最適モデルを研究し、各学校現場に周知徹底していく必要があろうかと考えますが、見解を伺います。
○坂本指導部長 都教育委員会では、小学校外国語活動推進委員会の構成を今年度から拡大しまして、区市町村教育委員会及び小学校長会の代表を委員に加え、外国語活動に関する検討を行っております。
この推進委員会の協議を踏まえまして、ALTや地域人材の導入時間、外国語活動の実施上の課題、校内研修の実施状況などについて調査いたしまして、既に望ましい外国語活動のあり方について検討しております。
さらに、東京都教育研究員小学校外国語活動部会や、今年度から設置いたしました小学校外国語活動開発委員会におきましても、効果的な外国語活動の指導内容、方法について研修しているところでありまして、その結果につきましては、すべての公立小学校に周知してまいります。
○関口委員 都教育委員会として、小学校での外国語活動の義務化を受けての質の向上をどうやっていくのかという意味におきましては、昨年、私も一般質問でも取り上げて以降、こうした今ご答弁にありましたように、さまざまな協議体をつくり、いろんな方がそこに入り、最適モデルを研究されているということで、頼もしいなと思っておりますし、そこで得られたさまざまな結果というもの、あるいは発見をされた課題というものは、すべての公立小学校に周知徹底していただき--周知徹底していただいた、それで、以上終わりというわけじゃなくて、その後、現場でそれがどのように活用されているのかも含めて追いかけしていただきたいと、このように改めて申し上げておきます。
さて、必修化以降、私も昨年及びことし、地元小学校の外国語授業を視察しておりますが、小学校におきまして、ともに見学をした親御さんから、例えばこの外国語活動の授業が、自分の子どもが幼稚園のときに英会話教室で習ったレベルと変わらないよねとか、そういう声が上がるほど、授業の中身については、さらなる充実を目指していく必要が、緊急という意味で必要であろうかと思っております。
さらに、五年生と六年生の授業を見ましたが、五年生と六年生の授業におきましても、同じような内容になっておりまして、必修化となった以降、五年生と六年生の二年間で、どういう英語スキルを子どもに教えるのかという目標があいまいになってはいないかと、そんな心配もしております。
また、昨年の一般質問で取り上げましたが、今度は中学校に上がった段階で、中学校一年生の約半年間の英語授業と、小学校六年生のときの外国語活動の授業が、また同じ焼き直しになってはいないかということ、心配の声、現場の校長先生もそうおっしゃっておられましたが、私もそのように感じました。
このように、小学校で義務化が始まり二年間、五年生、六年生、どういう英語を子どもたちに教えて、それを踏まえて、中学校三年生ではどういう英語を今度はさらに教えて、それを高校にどのようにつなげていくのかという小中高の公教育における英語学習の全体像をはっきりと示して学校現場に落とし込んでいく必要があるなあと強く感じました。
特に英語授業における小学校と中学校間の意見交換や連携の少なさもこれまた指摘をされております。この義務教育段階で英語教育が、英語学習がより効果的なものとなるために、英語学習の全体像の明確化、あるいは小学校、中学校の情報交換、連携強化が求められ、これはまさに全体をコーディネートする都教委の役割であると私は認識をしておりますが、改めて全体をコーディネートする都教委の役割について、どのように認識をお持ちか見解を伺います。
○坂本指導部長 小学校学習指導要領では、外国語活動の目標は、中学校、高等学校等における外国語科の学習につながるコミュニケーション能力の素地の育成となっております。
また、中学校学習指導要領では、外国語科の目標は、小学校外国語活動ではぐくまれた素地の上に、コミュニケーション能力の基礎を養うこととなっております。
そのため、現在、中学校英語科教師による小学校外国語活動の授業参観や小学校外国語活動及び中学校英語科における指導方法等に関する小中学校合同の研修会等が行われております。
都教育委員会は、こうした小中学校の取り組みを踏まえまして、学習指導要領に示された英語教育の目標や内容に関する指導資料、小中学校の連携を踏まえた英語教育のあり方などを示したリーフレットを引き続き作成、配布いたしまして、各学校が適切な教育活動が実践できるよう区市町村教育委員会と連携して指導してまいります。
○関口委員 都教委として、都内の小中学校及び高校、数多くありますけれども、コーディネートするといってもかなりの対象になりますから、一筋縄にはいかないと思いますが、皆さん方の知恵を集結していただいて、東京から輩出する子どもたちは、まさに小学校英語、中学校英語、高校英語を学び、学習指導要領等々で示されている子どもの英語スキルというものが到達できるような形をぜひつくっていただきたいということを改めて強く要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
次に、都立中高一貫校についてお尋ねしたいと思います。
中高一貫校は、学力検査ではなく、適性検査で選抜が行われており、その分、入学時点での生徒の学力には差があるともいわれております。基本的に中学校三年間、高校三年間の六年間という長い年月を同じ学校で過ごすわけでありますが、六年間で生徒の学力の差が広がらないかという心配の声もあります。
この点について、都教委はどのような対策を立てているのかお伺いいたします。
○直原都立学校教育部長 都立中高一貫教育校では、英語や数学などについては、前期課程の中学段階から習熟の程度に応じた授業を展開し、基礎学力の充実や学習の深化を図っております。
さらに、朝の始業前や放課後の補習及び長期休業期間中の補講を行うとともに、生徒一人一人の学習理解度に応じた指導計画を作成するなど、個々の生徒に応じてきめ細かい対応を行っております。
○関口委員 今ご答弁でもございましたように、生徒一人一人の学習理解度に応じた指導計画を作成するなど、きめ細かく対応されているということでありました。
私もその調整の中で、実際、学力の差があってついていけなくて、途中でやめた子がもしかしているのかというような数字も出してもらいたいということでお願いしたところ、そういう例は、学力を理由にして学校をやめる、違うところに行くというのは例はないというお答えでありましたから、それは今のご答弁どおり、しっかりやられているんだなあと認識をしております。
さて、都立中高一貫校の倍率が余りにも高くて、その人気ぶりが報道されております。都民にそれほど期待をされているということは非常にいいことだと思います。その人気の高さの要因の一つが、東大に何名合格したかということが挙げられると思いますが、こうしたことから、中高一貫校が、あたかも国公立大学合格を目標とした進学指導重点校のように思われがちではないのかと私は思っております。
日比谷高校などの進学指導重点校と中高一貫校の設置目的を見てみますと、進学指導重点校においては、難関国立大学等への進学希望も実現させることのできる学校と明記されている一方で、中高一貫校は、六年間の一貫した教養教育を行うことで、個の確立を図り、生徒の個性や創造性を伸ばすことや、ゆとりを大切にした教育活動という言葉が明記されております。
このことからも、中高一貫校と進学指導重点校では、明らかに教育方針が異なるわけでありますが、今年度より、さまざまな声もあったのを踏まえて、中高一貫校に対しても進学重点校と同等の教育環境を整備することとなったと聞いております。
しかしながら、中高一貫校はそもそも進学第一ではない学校であり、また、先ほども申し上げたとおり、学力検査ではなく、適性検査による選抜方式をとっていることから、入学段階において、生徒間に学力の差が存在をしております。
このような状況で進学優先がさらに促進されると、学力の差がさらに拡大していくことが心配をされているわけでありますが、このことについてのご見解を伺います。
○直原都立学校教育部長 中高一貫教育校は、教養教育を重視し、各校が特色ある教育を行うことを通じて、社会のさまざまな場面、分野で信頼されるリーダーとなり得る人間の育成を目指しております。生徒は、こうした教養教育を受け、自分の将来の夢や希望とその実現に向けた挑戦意欲を培っております。
生徒が自分の夢や希望を実現するためには、大学において、さらに広い知識と深い専門性を身につける必要があり、大学入試に合格しなければなりません。
このため、中高一貫教育校では、教養教育を基本としつつ、生徒一人一人の希望や学力に応じて大学への進学指導に取り組んでいることから、そのことで生徒間の学力差が拡大するといった懸念はないものと考えております。
○関口委員 今ご答弁でございましたように、関口の心配はご無用だということでありますので、進学重点校と同じようなサポート環境にありながらも、いわゆる中高一貫校の設立目的にのっとった、今ご答弁の生徒一人一人の希望や学力に応じたという言葉をぜひ改めて深く認識をしていただいて、さらなる取り組みを期待したいと思っております。
さて、中高一貫校は、先ほどから申し上げておりますとおり、人気ぶりが報道される一方、進学指導重点校とは異なるんだということを私も先ほど申し上げました。
しかしながら、白鴎高校から東大に何名合格したかということなど、東大合格ということが大きく報道されることで、中高一貫校はあたかも有名国立大学合格者数が評価対象となる進学重点校であると誤解されやすいのではないかということも指摘をさせていただきました。
そうした状況では、進学指導重点校を目指すような学力の高い子どもたちばかり、つまりは国公立大学を目指すような学力の高い子どもたちばかりが中高一貫校を目指すようにならないかとも心配をするわけであります。
中高一貫校はあくまでも、学力の格差はあっても、多様な人材が集うことを期待している学校であると私は認識をしておりますし、教育方針も進学指導重点校とは異なり、個の確立、生徒の個性や創造性を伸ばす学校であるという教育方針を明確にうたっているわけでありますから、その崇高な教育方針、設置目的というものを今後誤解されないように、児童や保護者に明確に、さまざまな場面を通じて伝えていく必要があろうかと思いますが、ご見解を伺います。
○直原都立学校教育部長 教養教育を重視し、社会のさまざまな場面や分野で信頼されるリーダーとなり得る人間を育成するなど、都立中高一貫教育校の設置目的や目指す教育について、都教育委員会は、パンフレットやホームページなどにより広く周知を図っております。
また、各校におきましても、学校説明会や授業公開、パンフレット、ホームページなどを通して、日本の伝統文化を広く学んだり、地域の豊かな自然や文化、歴史を学ぶなど、自校の特色ある教養教育とともに、都立中高一貫教育校の目指す教育について、受検を希望する児童や保護者に対して広く説明しております。
今後もあらゆる機会をとらえて、設置目的や育てたい生徒像などの都立中高一貫教育校の教育理念などについて、さらに周知を図ってまいります。
○関口委員 私がこのことを取り上げたのには、多くの小学校に子どもを通わす親御さんから、中高一貫校のことについていろいろ聞かれて、その親御さんたちも私が今質問で取り上げたような、進学重点校じゃないのみたいなニュアンスをお持ちで、倍率も高いし、東大合格何名というのがにわかに報道されるし、そうした情報が入ると、やはりそういうふうに誤解をしてしまうのかなと改めて認識を私もしたところですから、文教委員会でこの質疑をさせていただきました。
きょう、改めて明確に設置目的の違いであったり、あるいは学力の差につながらないかという指摘に対しては、生徒それぞれに応じて指導を行っていくから心配ご無用というようなご答弁もいただきましたので、今お話があったように、さらに中高一貫校の崇高なる設置目的、教育理念というものを現場で保護者の方々に、あるいは行きたいと思っている子どもたちに対して、わかりやすく明確にお伝えいただきたいということをご要望を改めて申し上げまして、私の質疑を終了させていただきます。
○村上委員 先ほど野上委員の方から、副読本、あるいは補助教材を使った防災教育のお話がありましたけれども、私はまた別の観点から防災教育の推進について質問させていただきます。
東日本大震災発生から、早いもので一年八カ月が過ぎました。この間、首都直下地震の被害想定が本年四月に示され、今月には東京都地域防災計画が策定されます。いざ大震災、大地震が東京を襲ったときを想定して、自分の命は自分で守る力を育てることは最も大切な防災教育ですが、同時に幼児や高齢者など、身近な人を助け、避難所や帰宅支援ステーションなどが設置された際には、その運営に積極的に参画できる力についても求められている、このように思っております。
特に、これからの防災教育においては、地域に貢献できる人材、身近な人の助けになろうとする人材の育成をこれまで以上に重視するべきです。
というのも、今、各自治会の構成員は高齢化しています。そのような中で、高校生に対する期待は非常に大きなものがあります。震災発生時に高校生が避難所の運営の補助などの活動に参加するようになれば、地域住民の皆さんは、高校生が来てくれて助かった、高校生がいてよかった、こんなことで感謝をしていただけるのではないでしょうか。とりわけ障害のある方、ご高齢の方にとっては、どんなにか心強いことだと思います。
高校生が、いざというとき他の人の助けとなるためには、防災に関する知識、技能を高めるとともに、防災に関するさまざまな体験を積むことが必要と考えます。
そこで、今年度から都立高校で実施している一泊二日の宿泊防災訓練のねらいについてお伺いいたします。
○坂本指導部長 生徒が将来の日本を担う人材となるためには、人と人とのつながりや連帯感、自己有用感を持ち、社会の一員としての自覚を高める必要がございます。
昨年三月の東日本大震災の際、都立高校は帰宅支援ステーションとして、多くの帰宅困難となった都民を受け入れました。また、約八千人の生徒が帰宅困難となり、学校にとどまりましたが、これらの生徒の中には、帰宅困難者に対する物資の配給の補助に従事し、その活動が利用者から認められ、社会に貢献する喜びを実感した者もいました。
こうしたことから、災害発生時に、まず自分の命を守り、次に身近な人を助け、さらに避難所の運営など、地域の防災活動に貢献できる自助、共助の心を持った人材を育てることをねらいとして、すべての都立高校で一泊二日の宿泊防災訓練を行うことといたしました。
○村上委員 今年度から始まった事業でありますから、年度の途中でこれから実施する学校もあると思いますけれども、現時点で把握している限りで構いませんので、これまで宿泊防災訓練を実施してわかった成果と課題についてお示しください。
○坂本指導部長 都立高校百七十九校のうち、十月末までに一泊二日の宿泊防災訓練を実施した百六十三校では、首都直下地震等を想定して、区市町村の防災担当部署、消防署、警察署、自衛隊等との協力を得た取り組みを行いました。
こうした取り組みによる成果としましては、備蓄食料や非常用毛布を利用した宿泊訓練、AEDによる心肺蘇生や応急搬送などの訓練を通して、生徒に被災した場合の心構えや対応方法、他者の役に立つことができるとの思いをはぐくむことができたことなどが挙げられます。
他方、生徒に地域からの期待が高いことを理解させ、災害時に自分ができることを十分に考えさせるとともに、具体的な行動に移すことができるよう、今後一層の充実を図ることが必要であると考えております。
○村上委員 すべての都立高校で実施をするこの宿泊防災訓練というのは、全国的に見ても例を見ない、そんな取り組みだと思いますけれども、今後もぜひ継続をしていくべきと考えますが、一泊二日の宿泊防災訓練の今後の取り組みについてお伺いいたします。
○坂本指導部長 今後は、今年度の取り組みの検証を行いまして、学校が立地する地域の特性や実態を踏まえ、避難所等の運営補助訓練や、地域の町会や自治会などと連携した訓練を取り入れるなど、内容の改善を図ってまいります。
このことによりまして、一泊二日の宿泊防災訓練を通して、生徒に人と人とのきずなの大切さを認識させ、社会の一員としての自覚を高めさせ、災害発生時には、まず自分の命を守り、次に身近な人を助け、世のため、人のために尽くし、社会の要請にこたえる人材を育成してまいります。
さらに、この宿泊防災訓練の成果を都内公立学校の児童生徒の防災教育に活用できるよう、区市町村教育委員会等、広く教育関係者に働きかけてまいります。
○村上委員 全校の一泊二日の宿泊防災訓練の実施に加えて、都教育委員会では、今年度新たに防災教育推進校十二校を指定いたしました。私の地元の渋谷区でも、第一商業高校が指定を受けました。
第一商業高校では、生徒が被災地の東北を訪れ、実際に被災した現地の高校生との交流などを通して、地震が発生したときに、高校生の自分たちは何ができるか、何をするべきかを学ぶよい機会となったと聞いています。
そこで、改めてこの防災教育推進校事業のねらいについてお伺いいたします。
○坂本指導部長 都が四月に発表しました首都直下地震等による東京の被害想定報告書によりますと、東京湾北部地震では、約九千七百人の死者が想定され、主な原因は家屋の倒壊と火災となっております。この被害を最小限にするためには、延焼の防止や迅速な救出など、地域の初期対応が重要であります。
そこで、地域の担い手となる高校生には、自助、共助の心を持ち、避難所の運営など、地域の防災活動に貢献することに加え、災害発生時に積極的に初期消火や人命救助を行うなど、地域で活動できる力を身につけることが求められています。
こうしたことから、自校の防災だけでなく、近隣住民の安全を支える高い社会貢献意識と実践力を持ち、災害時に的確な活動を行える人間を育てることをねらいとしまして、防災教育推進校事業を実施しております。
○村上委員 今のご答弁を聞いて、防災に対する意識を高めるだけではなくて、災害時に的確な活動を行える人間を育てるというねらいは大変すばらしいことだと思います。
このねらいを実現するために、今年度の推進校では、具体的にどのような取り組みを実施しているのか伺います。
○坂本指導部長 防災教育推進校に指定された十二校では、現在、自校の防災に関する取り組みの企画や立案を行う生徒による防災活動支援隊を結成したり、防災に関する研究所等を訪問したりするなどして、学校全体で防災に関する社会貢献意識を高めております。
また、東京消防庁消防学校での宿泊防災訓練を通しまして、初期消火方法や、傷病者の緊急搬送法などを学び、さらに上級救命技能を習得するなど、防災に関する実践力を培っています。
来年二月には、これらの推進校の取り組みを都立高校へ普及啓発いたしますとともに、広く都民に発信することを目的としまして、防災教育発表会を実施いたします。
○村上委員 さまざまな取り組みを通して、地域防災の担い手となる高校生を育成するということは大変重要であり、この事業をさらに拡充、拡大させていただくことが必要だと思います。
来年度は推進校事業をどのように改善をしていくのかお伺いいたします。
○坂本指導部長 一年間の指定が終了する今年度末に、推進校の取り組みを検証いたしまして、成果と課題を明らかにしてまいります。
その上で、来年度の推進校につきましては、さらに生徒が社会貢献意識や実践力を身につけられるよう、取り組みの充実を図りますとともに、より多くの生徒が取り組めますよう、規模を拡大するなどして、防災に関する都立高校生の社会的要請や期待にこたえてまいります。
今後も生徒の防災に関する意識や実践力を高め、高校在学中だけでなく、卒業後もそれぞれの地域で防災に貢献できる人間を育成してまいります。
○村上委員 防災教育推進校十二校の成果に期待をいたします。
さて、都立高校における防災教育の先進的な取り組みについてはよくわかりました。それに加えて、都教育委員会では、すべての都立学校に防災教育推進委員会を設置したと伺っています。
今年度から全都立学校で設置している防災教育推進委員会について、設置のねらい、構成委員、活動計画についてお伺いいたします。
○坂本指導部長 東日本大震災の避難所の運営には、同じ被災地の中学生や高校生たちがボランティアとして積極に取り組んだ事例がございました。
本年四月に、全都立学校二百五十七校に設置しました防災教育推進委員会は、こうした東日本大震災の事例を踏まえまして、首都直下地震に備えて、地域と連携した防災教育や児童生徒に自助の力と共助の精神をはぐくむ防災教育に関して検討することをねらいとしております。
委員会の構成委員としましては、校長を委員長といたしまして、学校近隣の消防署員や消防団員、自治会の代表者、学校所在地の区市町村防災担当者、保護者等でございます。
各学校から提出されました実施計画によりますと、自校の避難訓練や防災訓練等に委員が参加して改善点をまとめたり、児童生徒や保護者対象の防災教育講演会を企画したりするなどの活動が計画されております。
○村上委員 今後、各学校の防災教育推進委員会が都立学校と地域との防災のかけ橋となるように指導助言をお願いいたします。
冒頭申し上げましたが、災害が発生したときに、幼児や高齢者など、災害弱者への支援も含めて、地域住民に頼りにされるような高校生をぜひ育ててください。そして、やっぱり地域とのコミュニケーションをもっととる機会をぜひお願いをしたいと思います。今後も都教育委員会の防災教育の推進に期待をさせていただきます。
次の質問に移ります。
次に、学校における外部人材の活用について質問いたします。
学校が現在直面する多様な課題に対応していくためには、学校の教員のみではなく、多く、広く、さまざまな分野から協力を得て人材の活用を図っていくことが必要と考えます。
都教育委員会では、外部人材活用のための具体的な取り組みとして、人材バンクを設置したと聞いています。その取り組み状況についてお伺いいたします。
○岡崎人事部長 学校の教育力を高めるには、さまざまな分野のすぐれた外部人材を積極的に登用し、教員と外部人材が連携しながら、それぞれの専門性を発揮させることが有効でございます。
都教育委員会では、学校における学習指導や部活動の充実を図るために、平成二十二年度に教育庁人材バンクを設置いたしました。この人材バンクは、都教育委員会が教員退職者やスポーツ指導者などの人材をスケールメリットを生かして広域的に確保し、専門のコーディネーターが学校の求める人材を適時に紹介する仕組みでございます。
この人材バンクを利用することによりまして、各学校が求める専門性の高い人材を的確に提供しますとともに、探す手間や時間などの負担を軽減しているところでありまして、平成二十二年度は約七百人、平成二十三年度は約三千四百人を紹介したところでございます。
○村上委員 学校によって児童生徒の状況や地域の実情も異なっており、学校が必要とする人材は、学校ごとに異なっていると考えます。
コーディネーターの人数も限られている中で、学校が求める人材を的確に把握し、マッチングするため、どのような取り組みをされているのかお伺いいたします。
○岡崎人事部長 ご指摘のとおり、外部人材の紹介に当たりましては、学校のニーズや地域の実情を的確にとらえまして紹介することが重要でございます。
このため、地区ごとに組織化され、地域や学校の特性などに精通している退職校長会と連携いたしまして、よりふさわしい人材を紹介できるよう努めているところです。
具体的には、二十九人の退職校長を地区ごとにアドバイザーとして委嘱しまして、紹介依頼のあった学校の特色、求める人材の資質能力、児童生徒の状況、地域の特性などを踏まえ、教育庁人材バンクのコーディネーターと情報を共有しながら、適切な人材の紹介に取り組んでおります。
さらに、学校及び外部人材から活動状況をアドバイザーが聞き取るなどいたしまして、より効果的な外部人材の活用に結びつけておるところでございます。
○村上委員 私は先般、都の教育活動に尽力されて、ご卒業された校長先生方とお話をする機会がありました。退職後、再任用や非常勤教員を終えた先生の中には、まだまだお元気で、教育に携わっていきたいという強い情熱を持っておられる方がたくさんいらっしゃると伺いました。
そうした先生方が豊かな教職経験を生かして、学校において活躍できる機会がふえていくということは、東京の児童生徒の教育活動に大きな力になると考えます。
退職された校長先生方の会員組織である退職校長会は、会員の親睦、互助を深め、生涯学習の充実を図るとともに、東京都の教育を支援することを目的としている団体であり、現在、教育支援の事業として、現職教員対象の研修会などにも取り組んでおられます。
そこで、都教育委員会として、今後とも退職校長会と連携をし、積極的な活用を検討していくべきと考えますが、ご所見を伺います。
○白川教育政策担当部長 豊富な知識や経験を持っている退職校長の活用は、教員の人材育成や校務改善など、学校が抱えるさまざまな課題に対応する上で有効と考えております。
学校での教育活動を効果的に支援していくために、地区ごとに組織化されている退職校長会の利点も生かしながら、新たな連携のあり方を検討し、退職校長の積極的な活用を図ってまいります。
○村上委員 学校の教育力を高めるために、教員だけではなくて、さまざまな分野の方々と協力をしながら取り組んでいただきたいと思います。
今後も都教育委員会における外部人材の活用の推進に期待をして質問を終わります。
○栗林委員 先ほど我が党の元小学校の副校長先生もされていた野上純子委員より、かなり掘り下げたリアル感のある質疑がございました。私の方からは、十数年前の公立学校でお世話になった保護者の視点も少し交え、質問させていただきたいと思います。
初めに、この報告、まとめていただいた、いじめの総合対策の中から何点か伺わせていただきます。
先ほどからかなり重なる点はございますけれども、まず初めに、スクールカウンセラーについて、配置状況と成果について伺わせていただきます。
○坂本指導部長 都教育委員会は、平成二十四年度、都内公立小学校三百二十七校、すべての中学校六百三十一校、高等学校百校に臨床心理に関して、高度な専門知識や経験を有する臨床心理士をスクールカウンセラーとして配置しております。
スクールカウンセラーの配置校からは、配慮が必要な児童生徒への具体的な指導のポイントが理解できた、スクールカウンセラーからの助言等により、教員の教育相談技術が向上したなどの報告がありまして、スクールカウンセラーの配置は、学校内の教育相談体制等の充実に効果を上げていると認識しております。
今後ともスクールカウンセラーと教員が連携し、いじめや不登校等、問題行動の未然防止から早期発見、早期対応、その後の心のケアまでの総合的な取り組みにより、教育相談体制の充実が図られるよう、スクールカウンセラー活用事業を推進してまいります。
○栗林委員 ぜひ、配置状況はかなり限られてはいますけれども、やはり相談に来るのを待つだけではなくて、相談者がいないときは学校内を回りながら、孤立した子どもがいないかとか、積極的に学校の隅々までサーチライトを照らすような、そういう役割もあわせてしていただけるのがスクールカウンセラーではないかと思いますので、積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
次に、東京都いじめ相談ホットライン、この二十四時間対応についてお伺いをいたします。
この相談ホットラインは、どのような資格や、また経験を有している方が担当されて、そしてどのような対応をされているのか伺わせていただきます。
○坂本指導部長 東京都教育相談センターでは、平成十九年二月から二十四時間対応の東京都いじめ相談ホットラインを開設いたしまして、都内の国公私立の児童生徒や、その保護者、都民からいじめに関する相談を受けております。
相談に応じる者は、臨床心理士等の心理の専門家や校長経験者などでありまして、相談者の話を聞きながら、心のケアや解決への道筋をアドバイスしております。
都教育相談センターは、相談内容が深刻な場合には、相談者の了解を得た上で、区市町村教育委員会等へ情報提供し、その対応が適切に行われているか把握し、問題解決に向けた支援を行っております。
なお、今年度は、いじめに関して相談できる機関の周知を徹底するため、すべての学校の児童生徒に行き渡りますよう、二十四時間対応の東京都いじめ相談ホットラインの電話番号を記載しました相談窓口紹介カードを追加配布する予定でございます。
○栗林委員 やはり一人でも多くの児童生徒にこういった制度があるということを知ってもらい、そのSOSをキャッチしていただきたいと思います。
やはり二十四時間対応というところが大変重要でありまして、普通の行政がやっていらっしゃる相談窓口というのは、大体五時とか八時とか、遅くても十時とかで終わってしまうんですが、やはり夜中にこういった問い合わせをしたくなるケースが多いと聞いています。
夜回り先生で有名な水谷修先生が、やはり一番相談事が多いのが深夜の時間帯だということでもございました。ぜひ、このカードの配布を拡充するということでございますので、一人でも多くの人に届くよう努めていただきたいと思います。
次に、問題解決に向けた第三者的相談機能の充実の体制について伺わせていただきます。
これは、どのような相談を受けて、またどういう資格、立場の方が対応しているのか伺わせていただきます。
○坂本指導部長 都教育相談センターでは、学校だけでは解決困難ないじめ等、緊急に対応する必要のある問題につきまして、学校や教育委員会等からの相談に応じられるよう、平成二十四年十二月から、専門家等を活用しまして、第三者的相談機能の拡充を図ることにしております。
相談を受ける専門家としましては、弁護士、精神科医、警察OB、行政書士、民生児童委員などを予定しております。
○栗林委員 学校や、区市の教育委員会に対応する相談機能ということですが、やはり問題解決にはかなり難しい事例も多く、専門家の助言が必要なこともあると思いますので、この制度もしっかり利用できるように、学校、また区市の教育委員会に情報提供をしっかり伝えていただきたいと思います。
次に、スクールソーシャルワーカーの事業の概要と成果について伺います。
○坂本指導部長 スクールソーシャルワーカー活用事業は、児童生徒の生活指導上の課題に対応するため、教育分野に加え、社会福祉等の専門的な知識や技術を用いて、児童生徒が置かれたさまざまな環境へ働きかけたり、関係機関等とのネットワークを活用したりして、問題を抱える児童生徒に支援を行うものであります。
平成二十四年度は、十二区十七市二町の三十一区市町で取り組んでおりまして、本事業の事業費に対する東京都の区市町に対する補助割合は二分の一となっております。
実施地区からは、スクールソーシャルワーカーが学校と児童相談所等とつなげ、連携し取り組んだ結果、児童虐待や児童生徒の問題行動の未然防止、早期発見、早期対応が図られた、また、スクールソーシャルワーカーの保護者や教職員に対する支援、情報提供により、組織的な対応につながったなど、児童生徒の健全育成上の課題解決に成果が上がっていたと報告を受けております。
○栗林委員 やはり一番重要なのは、教職員の対応力ではないかと思います。いじめに特化した教員研修というものを計画されておりますけれども、これはどういう内容なのか伺わせていただきます。
○坂本指導部長 都教育委員会は、新たにいじめ発見のポイントや対応上の留意点等をまとめた指導資料を作成しまして、この資料の趣旨等をすべての学校に周知するために、いじめに特化した研修会を本年十二月に実施いたします。
本研修会は、都内すべての公立学校の生活指導を担当する主幹等の教員を対象として開催するとともに、研修に参加した教員が、各学校において、校内研修等の機会を活用して、研修内容をすべての教員に周知することとしております。
こうした取り組みによりまして、すべての教員の対応力を高め、学校全体でいじめ問題に取り組む体制を整えてまいります。
○栗林委員 ここが大変重要ではないかと思います。専門家のお話とか、また従来の研修会等も行うと同時に、やはり斬新な企画もぜひ行っていただきたいと思います。
教職員の中には、子どものころに、やはりいじめを経験した、そういう体験をお持ちの先生もいるのではないかと思いますし、また、そうしたさまざまな体験をもとに、エッセーとか、エール集などをつくっていただきながら、そういうものを発信していくことも大事ではないかと思います。
ジェントルハートという、いじめ等でお子さんを亡くされた親の会でつくられている団体がありますが、その講演とか、展示をしている会場に行くと、そこの場を訪れただけで、いじめ、だめだよというのが、どの心にも芽生えてくるというか、そういう団体もございますし、さまざまなNPOとか外部団体等々の力もかりながら、子どもたちの心に届くメッセージを送れるような、先生たちの心をほんの少しでも和らげ、そして豊かにさせて取り組めるような、そういう栄養を教職員にも与えていけるような、ぜひそういう研修会にもしていっていただきたいと思います。
いじめのこの報告書の最後に、先ほども触れられておりましたけれども、やはりデータが出ておりました。自分のところのデータというのは、やはり一番気になるところでございまして、見たところ、非常に数が少なかったので、人口も多いのに、学校数も多いのに、何で少ないのかと思いましたので、ちょっと、関係者というか、少し聞いてみたところ、やはりこれは一例一例をかなり細かく丁寧に、事例を一つずつやっていったというような、時間をかけて、対応をどうすることが一番いい対応なのかということをやりながら出させていただいた経緯もあるということでございましたけれども、先ほど教育長がいっていたように、これはほかと比べる数字ではないということですね。それぞれの教育現場の実態を浮き彫りにして、そこで、その現場に置かれている一人一人がどういう対応をしてもらえるのかという、そういったことに目を向けることが、やはりこの調査の目的ではないかと思います。
この先、追いかけていくことも重要ではないかと思いますけれども、このいじめの調査結果から、やはり数字では判断できないさまざまな背景があり、また、さまざまな対応があるという、教育庁は、こういった各学校の取り組みに対して、数字だけで判断することのないような、減点法ではなく、加点法でぜひ評価をしていただきたいと思います。
現場で一生懸命頑張る教職員にエールを送ることが、さらに頑張り、意欲につながっていきます。そして、その意欲が子どもたちに通じることになります。いじめゼロを目指して、さらなる取り組みを期待いたします。
それでは、次に事務事業に入らせていただきます。
初めに、学校経営に関連して伺わせていただきます。
この質疑の事務事業の概要の中の四ページと四一ページに関連しますけれども、まず基盤となるのが学校でございます。
そこで、校長がリーダーシップを発揮して、学校経営を行うマネジメントシステムについて伺わせていただきます。
都立高校が生徒を真に社会人として自立した人間に育成するためには、校長のリーダーシップのもと、教職員が一丸となって生徒を育成する学校でなければならないと思います。
都教育委員会は、校長がリーダーシップを発揮して、自立的な学校運営を行うために、PDCA、計画、実行、評価、改善、このサイクルに基づくマネジメントシステムによる組織的取り組みを推進していると伺っていますけれども、この具体的な仕組み、また取り組みはどのように行われているのか伺わせていただきます。
○直原都立学校教育部長 校長のリーダーシップのもとで、都立学校が組織的、計画的に教育活動を展開するため、各校は毎年度当初、学校経営計画を策定し、目指す学校像を明らかにするとともに、学習指導、生活指導、進路指導などの教育活動の目標と、それを達成するための具体的方策や数値目標を明確にしております。
都教育委員会では、校長がリーダーシップを発揮して、学校経営計画を実行できるよう、学校経営支援センターが学校の実態に応じた機動的できめ細かい指導助言を行っております。
都立学校は、当該年度の教育活動を終えた後、目標の達成度などにより、教育活動の自己評価を行うとともに、課題を明らかにした上で、学校経営報告を取りまとめ、翌年度の学校経営計画に反映させて、さらなる教育活動の改善充実を図っております。
○栗林委員 校長がリーダーシップを発揮していても、やはり教職員が動かなければ学校の改革というのはなかなか進んでまいりません。
教職員がこれまで以上に組織的に教科指導や校務を行うため、都教育委員会としては、どのような取り組みをしているのか伺わせていただきます。
○岡崎人事部長 各学校において改革を推進するためには、校長の強いリーダーシップのもと、教員が学年や教科の壁を越えて、組織的に学校運営を行うことが重要でございます。
都教育委員会はこれまで、目標管理の手法を取り入れた人事考課制度の実施や、主幹教諭や主任教諭の制度を導入し、校長がリーダーシップを発揮しやすい環境を整えてまいりました。
しかしながら、一部の学校におきましては、依然として学校を組織として機能させようという意識が希薄であったり、教職員間で目標の共有化が図られていなかったり、十分なコミュニケーションがとられていないといった課題も指摘されております。
そのため、都教育委員会は現在、外部の専門的調査機関を活用いたしまして、主幹教諭や主任教諭を中心とした教職員の業務内容や業務の進め方、校務の役割分担、教職員の意識などに関する調査を行っているところでございます。
今後、この調査の結果を分析し、校長のリーダーシップが生かされる組織マネジメント向上策を取りまとめ、来年度、モデル校において効果の検証を行ってまいります。
○栗林委員 教職員のやる気を引き出し、また学校現場の運営を担う校長の立場は大変重要であります。リーダーシップとは、お手本を示す人と、たしかガルブレイス博士がいっていたかと思うんですが、思い出します。
校長が独自の経営方針で伸び伸びと力を発揮し、そして教職員が校長の教育に対する熱き思い、また姿勢、行動、これがお手本になって学校が一つになってくるのではないかと思います。自信を持ち運営できるような環境づくりが大事でございますので、しっかりサポートをしていただきたいと思います。
次に、五一ページにあります学校問題解決事業について伺います。
学校問題解決サポートセンターですけれども、このセンターは、学校で対応するのが困難な問題に対し、専門家に力をかりて、学校の負担を軽くし、そしてその分、児童生徒に対する教育に校長、教職員が全力で向き合えるようにサポートする機関と理解し、期待をしているところです。
そこで、平成二十三年度、学校問題解決サポートセンターに寄せられた相談者別の相談件数とその主な内容について伺います。
○坂本指導部長 平成二十三年度、学校問題解決サポートセンターに寄せられた相談は、全部で二百四十八件でございました。
その相談者別内訳は、保護者が九十五件、学校が六十五件、区市町村教育委員会が十八件、地域の方が七件、その他、都外の教育関係者や一般市民などが六十三件でございました。
相談の主な内容は、児童生徒への指導に係る学校の対応への不満に関する案件が百十二件、児童生徒同士のトラブルから学校への苦情に発展したケースが十七件、部活動、学校行事などに関する苦情が九件、放課後や休日の学校外での児童生徒の行動に対する苦情が四件、その他、都内公立学校以外からの相談や学校問題以外の相談などが百六件でございました。
○栗林委員 学校現場の校長、また教職員の負担を軽くするために、このサポートセンターの役割は大変重要だと思いますが、相談はかなり幅広く受けていただいているようでございますが、さらにサポートセンターの周知と利用促進にぜひつなげていただきたいと思います。
次に、三五ページにあります特色ある学校づくりを推進するの中から、チャレンジスクールについて伺わせていただきます。
チャレンジスクールは、さまざまな理由により、小中学校で不登校経験を持つ生徒の学ぶ意欲を支援するために設置された学校であり、近年では、入学者の七割程度が不登校経験者であると聞いています。
チャレンジスクール入学後の中途退学の状況はどのようになっているか伺わせていただきます。先ほど質疑の中でも、全日制、定時制の中途退学について報告がありましたけれども、このチャレンジスクールではどうなっているか教えてください。
○直原都立学校教育部長 チャレンジスクール五校の中途退学率は、平成二十三年度で七・九%でございました。チャレンジスクールの中途退学率は低下傾向にあるものの、全日制高校の平均中途退学率一・三%と比べ依然として高い水準にあり、一層改善すべき課題であると認識しております。
○栗林委員 やはり最後まで、卒業するまで、生徒さんたちをサポートしていくには、かなり頑張っていただかなければいけないと思うんですけども、ことし、あるチャレンジスクールの卒業式に伺わせていただいたんですが、あるクラスの担任の先生が、普通は卒業生の名簿を見て名前を読み上げると思うんですが、その担任の先生だけは、名簿を見ないで、一人ずつ卒業者の顔を見て名前を読んで、最後は先生の声も詰まり、生徒たちも泣き出すという光景に出会いまして、本当に卒業するまでの間、どれだけ担任の先生たちは頑張って努力をして子どもたちをここまで成長させて、一つの姿からそれを理解することができましたけれども、やはり少しでも中途退学であきらめることなく、卒業まで進めるよう、しっかりサポートをお願いしたいと思います。
先日、不登校生のお子さんを持つ親の会の方たちとお会いしたときに、小学校、中学校不登校で、チャレンジスクールに進んで、やはりどうしても行けなくなるお子さんもいて、そうなった場合に、そこで中退してしまった場合に、そこでもうすべてシャットアウトで、親が一生懸命その後の道を探さないと、なかなかその先に進めないという話を聞きました。
たまたまそのお子さんは、親御さんが一生懸命調べて、塾を見つけて、そこに入れて大検を取って、大学進学まで希望を持てるようになったと話していましたけれども、何と月二十万、やはり塾の費用はかかるということでございました。やはりチャレンジスクールで、少しでもそこを乗り越えて、また学び続けられるような環境は大変重要だと思います。
そこで、チャレンジスクールに入学しても、学校不適応などの理由で、残念ながら退学してしまう生徒がいるということでありますけれども、一たん退学しても、再度チャレンジして、そのチャレンジスクールへ入学するようなことは可能なのでしょうか。
○直原都立学校教育部長 チャレンジスクールでは、高校の中途退学者を対象とした入学枠を設けており、中途退学者の再チャレンジを支援しております。
また、チャレンジスクールの入学者選抜では、学力検査や中学校からの調査書によらず、作文や面接により、生徒の学ぶ意欲を重視した選抜を行っております。
今後もさまざまな理由でつまずいた生徒が自分の夢や希望に向かって再チャレンジできるよう、基礎学力の定着や、福祉活動などの体験的な活動を通じた豊かな人間性の育成など、入学した生徒の進路実現を図るための取り組みを引き続き推進してまいります。
○栗林委員 先日、ノーベル賞を受賞された山中教授が、大勢の高校生を前にして、こういうお話をされていました。失敗するほど幸福は来る、若い間はいっぱい失敗をして、たくさん挫折してくださいと。すばらしいメッセージだと思いました。
でも、その受け皿が必要です。挑戦し続けられるような受け皿、まさにこのチャレンジスクールはそういう役割を担っていただきたいと思います。長い物差しで考えて行動できる環境をぜひ提供していただきたいと思います。
それでは、最後に学校支援ボランティア推進協議会の設置、促進について伺わせていただきます。これは三ページに出ております。
我が国の社会情勢は大きく変化をしており、これまでの知識、また経験だけでは乗り越えることが難しい時代となってきています。こうした時代にあって、将来を担う子どもたちは、何よりも主体的に、そして創造的に生きていく力が必要であります。他者との人間関係を築き、協調したりする中で役割を果たし行く力や、いかなる状況においても、みずから考え、判断して、そして困難な局面を切り開いていくことができる力を身につけることが極めて重要です。
そのためには、子どもたちがみずから好奇心を広げて、さまざまなことにチャレンジしていく環境も必要であり、学校における教育活動といっても、さまざまな知識や経験を持つ地域の方々の参画を得て、多様な体験活動など、幅広い教育を行うことも求められています。
また一方で、団塊の世代はリタイアをし、地域で活躍できる機会がふえてきております。そうしたことから、学校活動を支援するすそ野も広がってきています。教育は学校だけでなく、家庭、地域など、社会の連携も重要であります。
地域によって多少温度差はあるようですけれども、私が先日伺った小学校では、しっかり地域がかかわっていて、親を支える役割、教職員を手助けする役割、そのボランティアの代表の方はいっていました。校長や教職員の人が児童生徒のために、しっかり向き合う時間をつくってもらいたい、そのために学校をサポートするだけといっていらっしゃいました。理想的な取り組みだなと思いました。そういうことからも、学校支援ボランティアは大変重要であります。
そこで、地域の人々が学校を応援する仕組みである学校支援ボランティア推進協議会は、平成二十年度から始まっていますが、現在の実施状況について伺います。
○谷島地域教育支援部長 学校支援ボランティア推進協議会は、区市町村が実施主体となり、小学校、または中学校を単位として設置され、地域コーディネーターが中心になって、学校ニーズに応じ、地域住民や保護者等をボランティアとして募り、学校の教育活動を支援しております。
具体的な活動内容としては、国語や算数の授業補助のほか、読み聞かせ、登下校時の子どもの安全確保などがございます。
平成二十年度開始当初は、十八区市の小中学校二百六十九校で実施されましたが、平成二十四年度は二十一区市七百十校の実施計画でございます。
○栗林委員 この学校支援ボランティア推進協議会の取り組みは、地域コーディネーターが中心となって展開されているようですけれども、学校数が着実に増加していても、取り組みを行っている自治体数は余りふえていないように思います。
このような取り組みを一層推進していくためには、中核的な役割を担うコーディネーターの充実が求められますが、都教育委員会として、どのように取り組んでいるのか伺わせていただきます。
○谷島地域教育支援部長 地域コーディネーターは、PTAのOBや町会関係者等が担っており、学校や地域の実情ばかりでなく、教育活動を支援する企業やNPO等の活動にも精通していることが必要でございます。
そこで、本協議会の取り組みを一層推進していくためには、地域コーディネーターの能力の向上とともに、増員も求められております。
都教育委員会は、研修や地域コーディネーター同士の情報交換会の実施、先進的な活動事例の紹介、さらには企業やNPO等との交流機会も提供し、地域コーディネーターの知識、能力の向上を図っております。
また、本協議会の普及啓発資料を作成し、学校やPTA等に配布することにより、地域コーディネーターへの理解を深め、新たな人材の発掘を図るなど、そのすそ野の拡大にも努めているところでございます。
○栗林委員 子どもは国の宝であります。二十年後、三十年後の、これから少子高齢化社会に向けていく大変な日本を支えていくのが今の子どもたちであります。今の教育に力、そして予算をつけることは、未来への投資でないかと思います。教育庁の今後の活躍を期待し、質問を終わります。
○小山委員 私からは、四点についてお伺いをしたいと思います。これまで他の委員から、さまざま質疑をされてまいりましたので、重複する部分がありますけども、簡潔に行いたいと思いますので、何とぞよろしくお願いしたいと思います。
まず、中高一貫教育校についてであります。
私立の中高一貫校が進学、生活指導、部活動等に実績を上げてきた中で、公立学校でも中高一貫教育を受けたいという子どもや保護者の希望にこたえるために、一般の中学校、高等学校、または中高一貫教育校のいずれも選択できるよう、平成十八年度から平成二十二年度までに白鴎、両国、小石川など、都立中高一貫教育校を十校開校してまいりました。
学校数が十校にふえた平成二十二年春から、志願者数は一万人前後で推移をしておりまして、ことしの春の各校の応募倍率は六倍から八倍と軒並み高倍率で、都民の期待の高さをあらわしていると感じております。
そこで、改めて都教育委員会は、中高一貫教育でどのような教育を目指していくのかお伺いをいたします。
○直原都立学校教育部長 都立中高一貫教育校は、使命感、倫理感、社会貢献意識、我が国と郷土に対する愛着と誇りなど、日本人として持つべき資質を備え、社会のさまざまな場面、分野で信頼されるリーダーとなり得る人間の育成を目指しております。
このため各校では、生徒が六年間継続した学校生活を通して、学校行事や部活動などにより、同級生はもとより、先輩、後輩と交流し、互いに切磋琢磨する機会を設け、豊かな人間性と社会性をはぐくんでおります。
また、教養教育を重視した特色ある教育活動により、生徒の個性や創造性を伸ばしております。
具体的には、母体となる高等学校の伝統や地域の特色を生かして、日本の伝統文化理解教育、理数教育、国際理解教育など、文化と自然、社会について、深く学ばせる教育活動に取り組んでおります。
○小山委員 ただいま都教育委員会の中高一貫教育校で目指す教育理念、教育方針というものを確認させていただきました。
では、この理念、方針に対し、実情がどうであるかというその点を見ていきたいというふうに思います。
多くの都民から期待をされております都立中高一貫教育でございますけれども、初めて開校した白鴎高校を含め、既に四校で卒業生が輩出されております。卒業生の進学状況を見てみますと、難関国立大学を初め着実に進学実績を上げております。
厳しい入学選抜を経て、中高一貫教育校に入学した生徒やその保護者の中には、こうした実績を上げた進学指導に対して、大いに期待する方が多いのもまた事実でございます。
そこで、都教育委員会は、都立中高一貫教育校の進学対策についてどのように考えているのかお伺いをいたします。
○直原都立学校教育部長 都立中高一貫教育校では、適性検査により入学者を決定しているため、多様な生徒が在籍しております。
また、中高一貫教育校は、社会のさまざまな場面、分野で信頼されるリーダーとなり得る人材の育成を目的としており、生徒一人一人の適性や将来の希望によって進学先も多様でございます。
その中には、難関国立大学等に進学を希望する生徒も少なくないことから、多様な進学希望への対応の一つとして、その実現に向けた進学指導を行うことも必要となっております。
そのため、都教育委員会では、都立中高一貫教育校においても、都立高校の進学指導重点校などと同様に、組織的、計画的な進学指導を推進することができるよう、今年度から各校の進学対策の取り組みに対する支援を行っております。
○小山委員 私は今、教育委員会の方から実情を伺いました。この実情自体に関しては、私は否定しているのではなくて、どちらかというと肯定的にとらえております。やはり十分な基礎、基本の学力がなければ、子どもたちの潜在的な可能性というものを摘んでしまうおそれがある。そういったことにつながることもありますので、やはり学力向上であるとか、この進学対策というのは、私は必要だと思っております。
しかし、先ほど関口委員からもありましたように、本来、この学校で果たすべき役割の部分としては、日本人として持つべき資質を備えて、社会のさまざまな場面、分野で信頼されるリーダーとなる、そういった人間を育成していくんだという、やはり崇高な理念を掲げていらっしゃるということがありますので、ぜひとも、これはこういった進学ということの指導と同時に、やはり首都東京が行う教育として冠たるものを示していっていただきたいと、このように思います。
そこで、このような中高一貫教育校には、進学指導を初め、多様な期待が寄せられておりまして、それにこたえ、学校経営を行う校長先生は、また大変な重責だと思います。
都立学校の中には、民間企業出身の方もおりまして、中高一貫教育校の校長先生の中にも、そういった民間企業出身の方がいらっしゃいます。これまで教員としての経験がない民間人校長が学校経営に取り組むに当たり、さまざまなご苦労や課題があるということを聞いております。
また、私の方にも都立立川国際中等教育学校におきまして、保護者からもさまざまな声が寄せられている現状もございます。
そこで、都教育委員会は、民間人校長に対して、これまでどのような支援や指導を行ってきたのかお伺いするとともに、今後の対応についてお伺いをしておきたいと思います。
○直原都立学校教育部長 都教育委員会では、民間人校長が持てる経営力を着任直後から遺憾なく発揮し学校経営に当たることができるよう、校長任用前に、職務に必要な教育制度や都が進める教育改革等の研修を実施したり、三カ月程度、配置予定校で授業、行事等を実地で学ばせております。
また、学校運営に精通した実力のある副校長や主幹教諭等を配置するなど、人的な支援も行っております。
着任後は、校長が円滑な学校経営を行うことができるよう、地域連携や保護者対応のあり方、学校の組織運営や教員の人事管理などについて、学校経営支援センター職員が学校を訪問し、指導助言を行っております。
さらに、学校のタイプ別に、共通の課題に対して情報交換や意見交換を行う校長連絡会を開催し、他の校長にも相談できるようにしております。
今後も民間人校長がその経営能力を十分に発揮して、教育の充実に貢献することができるよう、指導助言を行ってまいります。
○小山委員 ただいまご答弁いただきましたように、民間人校長を任用された大きなポイントは、やはり経営感覚というものを学校の中でも十分働かせて、真に求めるべき教育が行われるようにということだというふうに理解をいたしております。
そういった点で、民間人校長、今までの経験がない分、いろいろなサポートや支援というものが必要であることも、これもまたいうまでもないことだと思っております。さまざま、民間人校長を任用した背景を十分踏まえた上で、やはり今現状起こっている課題であるとか問題に対して、適切に対応がとれるよう、ぜひ都教育委員会のさらなる支援をお願いしておきたいと思います。
それで、子どもたちが本当によりよい教育環境の中で、先ほど申し上げました中高一貫教育校や民間人校長の任用があった中において、すばらしい教育が受けられるように十分な対応を要望して次の質問に移りたいと思います。
次に、放課後子ども教室推進事業について伺います。この点も先ほど質疑がありましたので、簡潔に。
この放課後子ども教室推進事業は平成十九年度から始まっておりますけれども、現在の都内における実施状況について伺います。
○谷島地域教育支援部長 放課後子ども教室推進事業は、区市町村が実施主体となり、放課後や週末等に、主に小学校を活用して、子どもたちの安全で安心な居場所を設け、地域の方々の参加を得て、学習、文化、スポーツ活動など、さまざまな体験や交流活動の機会を提供するものでございます。
平成十九年度から事業を開始し、当初は三十八区市町四百七十五教室の実施でございましたが、平成二十四年度は五十二区市町一千七十一教室の実施計画でございまして、区市町数、教室数ともに着実に拡大をしております。
○小山委員 ただいまお答えいただきましたように、区市町村数、さらに教室数ともに拡大をしておりまして、当初の平成十九年からすると、教室数においては二倍超となっていることに関しましては、地域それぞれの取り組みが充実していることであるということで、評価をしたいと思います。
放課後子ども教室事業の活動については、さまざまな活動プログラムを実施している教室から、自由活動を中心にしている教室など、さまざまでございます。
また、この五年間の実施を経て、幾つかの課題が明らかにもなってまいりました。先ほどご答弁の中から、その課題を都側の視点から幾つか挙げられておりましたけれども、特にその運営をしている団体等の視点からいいますと、実は課題として顕著なことがございます。
それはどういったことかと申し上げますと、それぞれのお子さんを預かるに際して、たくさん生徒が来るような充実した内容の教室に関しては、人材、人的資源も含めて、かなり対応が必要になってくる。つまり、それは財政的な部分でもかなり厳しいという実態がございます。
逆に、正直に申し上げて、ただ単なる見守りだけで終わっているところは、実は参加数が少のうございまして、それは当初予定されていた予算内で十分消化ができるという実態がございます。
このように、放課後子ども教室事業の充実促進を図るには、多様な活動が用意されていることは当然でございますが、このように活発に活動している教室ほど、その運営について人的、また経費的に苦慮しているところが多いという状況がございます。
そこで、都としてこの放課後子ども教室事業での活発な活動を促進するために、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○谷島地域教育支援部長 放課後子ども教室では、地域の実情に応じたさまざまな活動が行われておりますが、その中には、レクリエーション活動を通じて、運動が苦手な子どもに身体を動かすことの楽しさを体験させたり、英語の絵本の読み聞かせなどにより、自然に英語に触れる機会をつくるなど、創意工夫を凝らした活動があることも承知しております。
そこで、内容を工夫し、他の模範となるような活動を厳選しまして、文部科学大臣表彰の推薦を行ったり、都のホームページ上で事例を紹介するなど、先進的な活動の普及啓発に努めております。
また、平成二十四年度から、子どもたちの学力向上、体力向上を目指した特色ある活動の促進を図るために、学習アドバイザー等に係る補助金を増額しております。
今後とも放課後子ども教室の活発な活動を積極的に支援してまいります。
○小山委員 ありがとうございます。ただいまご答弁の中にありましたように、やはり学力向上や体力向上を目指している、そういった大変努力をしている団体に関しては、本当に参加人数が多いという実態がございます。ですので、そういった頑張っている団体がどうしても予算上の面で苦慮されたり、人的確保で大変苦慮されているという状況がありますので、こういった点を東京都として、ぜひとも支援をお願いしておきたいというふうに思います。
続いて、小中学校の部活動支援についてお伺いをいたしたいと思います。
特にここでお伺いをいたしますのは、東京都の代表として、全国大会に出場した小中学校の部活動の支援についてでございます。
実は、私の地元府中市では、先日十月二十八日に、第六十五回の全日本合唱コンクール全国大会に府中第四中学校が東京都支部の代表として出場いたしまして、金賞を受賞することができました。これは鹿児島県での開催でございましたが、東京都の代表として、日ごろの練習の成果を十分に発揮できたものだと、地元市としても大変喜んでおります。
こういった市区町村立小中学校におきましても、児童生徒の自主的、自発的な参加によりまして、さまざまな部活動が行われておりまして、児童生徒は、日々スポーツや文化等に親しんでおります。
そして、先ほど申し上げたように、その中には東京都の代表として全国大会に出場し、優秀な成績をおさめている児童生徒もございます。これは毎年いろいろな事業がございますので、当然私の府中市だけでなく、ここにいらっしゃる委員の先生方の各地元の学校での部活動ということも、多分、多数これまで出場等されていらっしゃると思います。
このような、東京都を代表して全国大会に出場されております小中学校の部活動等のこういった成果を十分情報発信をしたり、また、発表の場を設けたりするなど、やはり東京都の代表として出ておりますので、都として何らかの支援があってしかるべきと考えますが、見解をお伺いしたいと思います。
○坂本指導部長 都教育委員会では、部活動等の対外活動におきまして、全国規模のコンクールや競技会等で著しい成果を上げた個人、組、団体に対しまして、表彰を行っております。表彰式におきましては、受賞した児童生徒の中から、代表による演技や演奏を行う機会を設け、広く成果を発信する場としております。
今後とも区市町村教育委員会と連携しまして、こうした事業を継続しますとともに、小中学校の部活動の情報収集に努め、著しい成果を上げた児童生徒について情報を発信してまいります。
○小山委員 ぜひ市や区の教育委員会との連携のもとに、東京都を代表するような部活動にさまざまな支援をしていただけるよう求めておきたいと思います。
次に、いじめ対策について伺います。
教員の多忙感という観点から、私ども中村理事の方からも、この点について質疑がありました。特にこの二十年間ですが、国の教育制度改革に伴う事務量の増大ですとか、あるいは家庭や地域の教育力低下に伴う保護者対応等、学校全体が多忙であるということは恐らく皆さんも共通の認識をお持ちだというふうに思っております。
そういった中におきまして、やはり学校現場でいじめを察知するためには、先ほど野上純子委員の方からもありましたように、やはり現場の担任教員が子どもたちと向き合う時間をしっかり確保する必要があると思っております。
子どもたちと時間を共有することにより、一人一人の子どもたちの状況がわかり、いじめを察知することができるのだと考えております。現場の教員が察知することができれば、その課題解決に向けて直ちに対応ができます。そのために、学校全体で効率的な学校運営を行うことが重要であることもいえると思います。
都教育委員会では、本年三月に小中学校の校務改善推進プランを作成しておりますけれども、学校における業務の効率化をどのように推進しているのかお伺いをしたいと思います。
○岡崎人事部長 校務改善は、教職員がより組織的に校務を行い、効率的な学校運営体制を構築することで、教職員全体でさらなる教育の充実を図っていくための取り組みでございます。
小中学校の校務改善推進プランでは、例えば仕事の前さばきをする経営支援部の設置や、教職員の役割分担の明確化、非常勤や外部人材の活用、調査や報告の縮減、IT機器の積極的な活用、校務のマニュアル化や引き継ぎ書の作成など、業務の効率化や省力化を推進する施策として提案しております。
また、人材育成による個々の教員のスキルアップや、行政と学校の役割分担の見直し、学校の経営方針や情報の共有化なども有効でございます。
こうした取り組みによりまして、教職員が組織的かつ効率的に仕事を進められるようになると考えておりまして、区市町村教育委員会と連携しながら、都内全小中学校で校務改善に取り組めるよう、都教育委員会としても積極的に支援しておるところでございます。
○小山委員 ただいまお答えをいただきましたさまざまな内容で取り組みをされていらっしゃるということでございます。ぜひ、今お話しの部分が新たな事務量につながったりしないように、本当の意味で、真の意味で、学校現場にとってよい推進プランになるようにお願いをしておきたいと思います。
それで、何よりも現場に、先ほどお話がありましたけれども、担任の現場の教員が現場に居合わせるということがいじめを防ぐ上で、あるいはいじめを解決する上で最も大事なことだというふうに思っておりますので、その点につながるようにお願いをしておきたいと思います。
最後に、いじめに対する教員の対応力向上という観点から伺います。
昨今、教員の察知する力、体感する力が低下しているといわれております。それは、実は私、存じ上げている教職課程の大学教授からお話を伺ったんですが、教職課程の授業の中で先生が、昔であれば黒板、板書でしょうけれども、ホワイトボードに向かって物を書いていると。授業が騒々しいと。昔であれば、先生がうるさいというふうに感じたら、後ろを向かずとも、その教職課程の生徒はしんと静まり返ったと。それは、前の先生を見てそういうものを察知する力が、かつてはあったんではないか。
ところが、今は騒がしくて、後ろを向いて静かにしなさいといって初めて静かになると。これが将来教員を目指す、先生方になるということを、その大学の教職課程の先生は心配をしておりました。
そういった教員の察知する、体感する力ということで、実は教員がいじめを察知するための研修、そういった点で、今後東京都としてどのような取り組みをしていくのかお伺いをさせていただきたいと思います。
○坂本指導部長 すべての教員が、どの学校でも、どの学級でもいじめは起こるという危機意識を常に持ち、児童生徒のわずかな変化も見逃さないように、いじめの早期発見、早期対応を図ることが重要であります。
都教育委員会は、これまでいじめ発見のポイントや、対応上の留意点等を示した指導資料を作成、配布しまして、各学校の校内研修等で活用するよう、区市町村教育委員会等と連携し、取り組んでまいりました。
さらに、本年十二月には、いじめ問題の解決に特化した研修会を開催いたしますとともに、この研修に参加した教員が各学校において校内研修等の機会を活用して、研修内容をすべての教員に周知することで、教員の対応力を高めてまいります。
○小山委員 今取り組みをされている研修等々、これがそういったいじめを察知する点につながるように、ぜひさまざま取り組みをしていただきたいと思います。
そして、何よりも、いじめは絶対に許さないという信念のもとに、現場の教員を第一に、都教育委員会や市区町村教育委員会、学校、さらには地域の連携のもとに、このいじめの総合対策をぜひとも進めていただくようお願いをしておきたいと思います。
そして最後に、私は、比留間教育長のもとに、このいじめの調査をされたということは大変評価をしたいというふうに思います。先ほど教育長から答弁がありましたように、これが各市や区が真摯に向き合う、そういった機会になればということを私も共感し、また、この問題に対してともに取り組んでいくことを申し上げまして、質問とさせていただきます。
○きたしろ委員 念願の文教委員会、この場に参りました。よろしくお願いをいたします。
前知事とはいろいろ本会議場でやっておりましたけれども、この現場で皆さんとお話しするのは初めてですので、基本的なことだけを三つお伺いをさせていただきたいと思います。
まず最初に、日本人としての誇りを持つ教育についてお伺いをいたします。
親思う心にまさる親心、正直のこうべに神宿る、公をもって私を滅すなど、古くから伝わることわざには、私たちが大切にすべき宗教観や価値観が込められています。
しかしながら、日本の現状はどうでしょうか。不法占拠が続く北方領土や竹島、国際法上有効な根拠なしに中国が自国領土だと主張している尖閣諸島のように、私たちの領土は他国の脅威にさらされているにもかかわらず、私たち日本人の多くは、みずからの国をみずからが守るといった消防団ですら持っている気持ち、私たち、基本的な価値感まで忘れ去っている、まさに平和ぼけといわざるを得ません。
日本人が二千有余年にわたり培い、大切に受け継ぎ、つくり上げてきた価値観は、残念ながら大きく損なわれているのが現状だと思います。日本人としての価値感を持ち、誇りを取り戻すためには、まず日本の伝統文化をとうとび、受け継ぐ心を育てていく必要があると考えます。
そこで、伝統文化をとうとぶ心をはぐくむ教育について、都教育委員会の取り組みをお伺いいたします。
○坂本指導部長 都内の公立学校では、学習指導要領に基づき、国語では和歌、俳句等のリズムや季節感、音楽や総合的な学習の時間では和太鼓などの和楽器の音色や響き、部活動等では武道や茶道等の礼儀作法など、日本の伝統文化のすばらしさを体験的に学ばせています。
都教育委員会では、教材集などの指導資料の発行や、実践発表会の開催などによりまして、日本の伝統文化をとうとび、郷土や国に対する愛着と誇りを持たせる教育に取り組んでまいりました。
また、地域の伝統文化を継承するすぐれた活動を継承している児童生徒を表彰することで、活動意欲の向上を図るとともに、活動内容を広く都民に普及しております。
今後とも都教育委員会は、子どもたちが日本の伝統文化のよさを理解し、それらを尊重する心をはぐくむ教育を推進してまいります。
○きたしろ委員 ぜひこれからも日本の伝統文化をとうとび、受け継ぐ心をはぐくむ取り組みの推進をお願いいたしたいと思います。
さて、日本の大切な伝統文化が損なわれてきたことと同様に、我が国の歴史は軽んじられてきてしまいました。それは、戦後教育の義務なき自由や履き違えた個人主義の教えなどによるものです。
平成十一年八月に、国旗及び国歌に関する法律が制定されたものの、当時、多くの若者は、君が代を国歌とは認識しておらず、若者が君が代を国歌として認識し始めたのは、平成十四年に日本と韓国が共同開催した二〇〇二年FIFAワールドカップ以降だろうと私は感じております。
古今和歌集には、君が代と大変よく似た和歌がおさめられております。それが君が代の原点と考えられていることも知らず、いまだに君が代を大相撲千秋楽の歌だと認識している者もいると聞いております。
そこで、学校教育での国旗や国歌の指導についてお伺いをいたします。
○坂本指導部長 児童生徒に国旗・国歌に対して正しい認識を持たせるとともに、それらを尊重する態度を育てることが重要であります。学校では、学習指導要領に基づき、社会科や音楽科、特別活動において、国旗・国歌の指導を行っております。
特に、特別活動における儀式的行事である入学式や卒業式では、学校生活に有意義な変化や折り目をつけ、厳粛かつ清新な雰囲気の中で新しい生活への展開の動機づけを行い、学校、社会、国家など、集団への所属感を深める上でよい機会となることから、入学式や卒業式等においては、その意義を踏まえ国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとされています。
このことを踏まえまして、都教育委員会は、平成十五年十月二十三日付通達、入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施についてを発出するなど、学校における国旗・国歌の指導について、学習指導要領に基づき適正に行うよう指導しているところでございます。
○きたしろ委員 そういう指導をされているにもかかわらず、それができないからといって、東京都に対して裁判をするような教師もいるやに聞いているところです。学習指導要領に基づいた指導が一層充実するようお願いをいたしておきたいと思います。
以前、都議会の答弁の中で、石原前都知事が、日本とアメリカが戦ったことすら知らない大学生がいるという話をされていました。国旗や国歌の指導はもとより、日本人がこれまでにつくり上げてきた我が国の歴史を正確に理解し、みずからの考えを持つことは非常に重要なことだと思います。
特に、自虐史観に基づき、日教組が行った戦後教育などにより、歪曲された近代や現代の歴史を事実に基づいて正確に理解することは大変重要なことだと思います。
例えば、初めに近代や現代の歴史を正しく学び、その上で、古代から現代に向かって学習する方法も有効ではないかと私は考えております。
そこで、現在行われている日本の近現代についての学習の状況をお伺いいたします。
○坂本指導部長 生徒が我が国の現代社会の形成過程とその特色を十分認識するためには、近現代の学習が重要であります。新学習指導要領では、中学校の歴史的分野や高等学校の日本史において、近代と現代の特色をとらえることができるよう、内容構成を改善するとともに、具体的事例に基づいた学習、思考や表現を重視した学習を進めることとしております。
また、都立高校におきましては、平成二十四年度から日本史を必修化しまして、すべての生徒が卒業までに日本の近現代について学習することとし、東京都独自の日本史科目「江戸から東京へ」の教科書を作成いたしました。
なお、近現代の学習が重視されていることから、大学入試センター試験等におきましても、近現代の内容について出題されております。
○きたしろ委員 現在の学習指導においても、近代や現代の歴史を重視し、正確に指導しているということがわかりました。今後とも、そのような指導の推進をぜひお願いをしておきたいと思います。
これからを生きる子どもたちが我が国の歴史を正しく理解できるよう、教育委員会や学校が工夫を重ねていくことを望み、質問を終わります。ありがとうございました。
○古賀委員 東日本大震災からの復興が進まない中で、復興予算の流用が問題になったり、外交でも、今お話がありましたように、我が国の国家安全保障上のゆゆしき問題がさらに悪化するような事態も今起きているわけで、現政権の八方ふさがり、行き詰まりは明らかでありますけれども、悪いニュースばかりではことしはなかったというふうに思います。
一つは、ロンドン五輪で七月から八月、夏、暑い時期に開催されましたけれども、日本人選手の感動的な活躍もありました。
もう一つは、先ほどちょっとお話が出たんですけれども、ノーベル賞を受賞された山中伸弥京都大学教授、新型万能細胞の作製で大変偉大な実績を残されたということで、今後の課題はまたたくさんあるわけでありますけれども、ノーベル賞を受賞された。これは大変我々に希望、勇気を与えることし最大のニュースであったのではないか。まだこれから少しありますけれども、そんな気がいたします。
私がすばらしいと思ったのは、この山中教授の記者会見であります。日の丸の支援に感謝というふうに新聞にもちゃんと見出しで出ておりましたし、具体的には、その受賞が決まった夜の京都での記者会見で、私は無名の研究者だった、日の丸のご支援がなかったら、すばらしい賞は受賞できなかった、このように述べておられるわけです。
記者会見で、お父さんに感謝し、お父さんに会いたいと。自分が医者になることを勧めてくれた父親にも感謝したいということを述べておられたし、国に感謝したし、大学の同僚にも感謝するという言葉を記者会見で淡々と述べておられたわけです。日本人としてのたしなみとか品格にあふれた記者会見だったというふうに私は思います。
まだまだこういう日本人がいる。口だけ達者で目立ちたがり屋の、そういう政治家が目立つ中で、やはりこういう日本人に我々は学ぶべきものが多々あるのではないかというふうに思うわけです。
私は、日の丸に感謝ということから、きょうの事務事業質疑では、国旗に関して、その掲揚について実際どのような対応をなされているのかお聞きをしようと思った次第です。
今お話がありましたように、国旗・国歌の取り扱いについては、平成十五年の十月二十三日の通達によって、かなり改善の方向に進んできた。きたしろ先生ご指摘のように、そういう学習指導要領であるとか、さらにはこういう通達を守ることができなくて、逆に裁判まで起こすなんていう、とんちんかんな理解しがたい教師も一部いるんですけれども、これはごくごくわずかで、かなり正常化、是正の方向に今日、教育委員会の努力もあって進んできているというふうに思います。
そこで、具体的な質問を行っていくわけですけれども、こういう山中教授のような方がいらっしゃるのとはまた反対に、ことしは国旗を毀損する、追放する大きな出来事があったというふうに思います。
それは、八月二十六日に、静岡県御殿場市の東富士演習場で毎年実施されております自衛隊による総合火力演習が行われました。自衛隊のこういう演習では、最初に兵士によって守られた国旗が入場して、全員参加者は起立をしてそれを迎え、演習が始まるわけです。まさに何を守るか、国を守るというその象徴としての国旗の入場は、大変大事な一つの式典でのやらなければいけない手順だというふうに思っておりましたけれども、自衛隊の総合火力演習始まって以来、野田首相が最高指揮官、自衛官のせがれと自負していますけれども、ことしは国旗がなかったんです。無国籍の状態の、仙石さんという人は暴力装置といいましたけれども、日本の国軍である自衛隊のふだんの演習、そして装備、そういうものを国民の皆さんに披露する場で、今まで毎年行われていた国旗の入場もなかったし、国旗の掲揚もなかったんです。最高指揮官が判断したとしか考えられないわけですけれども、一方で、こういうことが現実に今行われているということです。
我々は、身近な東京都政の中で、この国旗・国歌等の取り扱いについて、その正常化に取り組んできたわけで、実際に、きょうは掲揚についてどのようなことが現実、今、対応されて行われているか、そのことを確認したいというふうに思います。国旗の掲揚についてです。
平成十一年八月十三日、国旗及び国歌に関する法律が制定されて今年で十三年が経過いたしますが、我が国の国旗はいうまでもなく日章旗、日の丸であります。長年の慣行によって日章旗、日の丸が国旗であることが広く国民の認識として定着していることを踏まえて、法律によって定めたわけです。
法律には、慣習法と実定法、成文法があるわけですけれども、法律がないから国旗を認めない、国歌を認めないという政治勢力がいたために、じゃ、この法律で定めようということになったわけであります。校長先生の自殺などもありました。
そもそも国旗とは、国家の尊厳を表象する標識としての旗であります。我が国の国旗である日章旗は、太陽を形どったもので、日出る国、日の本、すなわち日本という国の語、国語にも通じるものであります。我が民族の理想と悠久の歴史を余すところなく表現しているわけです。
古来日本では、白色は清浄潔白を示すものとしてとうとばれており、日章旗の白は、純白の曇りを知らぬ理知の光と神聖、純潔、平和などの観念をあらわしています。
また赤は、まことに純なるもの、赤誠とか汚れのないまことの心を赤心というように、人の真心、すなわち愛情、誠心誠意、善行の美などを意味しているわけです。
さらに、日章旗の円、丸は、始まりも終わりもなく、終始変わることのない円満な徳と、太陽のような無限の包容力を示し、それは永遠の繁栄と平和の心をあらわしています。
このようなすばらしい旗の歴史は古くから既に用いられており、建武のいにしえ、後醍醐天皇の笠置山の行幸にも皇室守護の旗印として用いられています。七百年以上昔の元寇の国難に際しても、この日の丸は使用されました。
僧日蓮、日蓮大聖人も軍旗として日章の旗の意匠を考案しました。つじ説法もやったんですけれども、ちゃんと日の丸を掲げて、日蓮は今でいう街頭演説をやったわけです。その後、武田信玄、上杉謙信、伊達政宗、豊臣秀吉、織田、山田長政もこの旗を用いました。
国旗・国歌法成立以前から、国の旗として掲げてくれた我々の祖先の美的感覚、自然観、それから先ほどお話のような宗教観、価値観、今さらながら敬意を表するとともに、国旗、日章旗をなお一層敬意を持って取り扱っていかなければいけないと考えます。
現在、都立高校において、学習指導要領に基づき、入学式、卒業式等の公式行事は国旗を掲揚することは承知しておりますが、また実施されていますが、国旗を掲揚するための国旗掲揚塔について伺います。
都立高校には、国旗掲揚塔が全校に果たして整備されているのかどうか、いかがでしょうか。
○直原都立学校教育部長 都立学校の良好な教育環境を確保するために定めました施設整備標準の中に、国旗掲揚塔の設置場所や仕様等を規定しておりまして、都立学校全校に国旗掲揚塔を整備しております。
○古賀委員 すべての都立学校に掲揚塔があるということでありますが、私の近所にも都立高校があります。皆さんの各先生方のところも存在していると思いますけれども、私の事務所の近所にある都立高校では、せっかく掲揚塔があるんですけれども、常時掲揚はされていません。
東京都議会の正面玄関、都庁の第一庁舎、それから第二庁舎もありますけれども、毎日国旗と都旗が掲揚されています。今後の課題として、常時掲揚の実施に向けた努力を求めておきたいと思います。
先日、中野区の区議会で、これは十月の二十二日本会議において、区立学校での日の丸の常時掲揚を求める請願が採択されております。つまり公立学校、区立の学校で常時国旗を掲揚してもらいたいという請願が採択されたわけです。こういう自治体の動きもありますので、ぜひ一つの課題として教育委員会においてはお考え願いたいと思います。
そこで、入学式等の式典の会場では、舞台の正面に国旗とともに都旗をあわせて掲揚するということに実施指針等でなっているわけでありますけれども、都立学校において、卒業式、入学式の国旗等の掲揚は、具体的にどのような配列にしているのかご答弁願います。
○坂本指導部長 平成十五年十月二十三日付通達、入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施についての実施指針には、国旗とともに都旗をあわせて掲揚する、この場合、国旗にあっては、舞台壇上正面に向かって左、都旗にあっては右に掲揚すると示しております。
これは国際儀礼上、右上位が原則であることから、国旗の掲揚について、我が国の象徴としての国旗を右側に、団体旗である都旗を左側に掲揚する、つまり会場から舞台壇上正面に向かって見ると、左側に国旗、右側に都旗を掲揚すると定めたものでございます。
なお、国旗、都旗に加えて、校旗を掲揚する場合は、正面に向かって中央に国旗、左側に都旗、右側に校旗を掲揚することになります。
○古賀委員 改めて入学式や卒業式などの都立学校における国旗や都旗等の掲揚の順番について今確認をしたわけですが、儀式的行事における国旗や都旗等の取り扱いについては、国旗に対して正しい認識を持たせ、それを尊重する態度を育てるためにも、先ほどから出ております平成十五年十月二十三日通達及び実施指針に基づいて、適正に実施するようにこれからも留意してもらいたいと存じます。
さて、国際化の進展により、海外からお客様を迎えての会議、それから食事会等、懇親の会が民間でも最近行われるようになりました。都立学校などでも、海外から短期留学生を受け入れている事例もあると伺っております。
そこで伺うわけでありますけれども、日本国旗と外国国旗を同時に掲揚する場合、掲揚配列の基本的な考え方があるのかどうか、その点いかがでしょうか。
○坂本指導部長 国家間の儀礼上の約束をまとめました外務省儀典官室の国際儀礼によりますと、日本で二国間の国際会議等を行う場合、外国に敬意を表すという意味から、掲揚塔に向かって左の上位に外国国旗を、右の下位に日本国旗を掲揚するとされております。
我が国を含め、三カ国の国旗を同時に掲揚する場合は、通常、日本国旗を中央に配し、他の二カ国の国旗は、国連方式による国名アルファベット順に従って、向かって左側に先の順位の国旗、向かって右側に後の順位の国旗を掲揚するとされています。
また、四カ国以上の国旗を掲揚する場合は、通常、国名アルファベットに従いまして、向かって左から右側へ順に掲揚いたします。
なお、掲揚する国旗の数が奇数の場合は、日本国旗を中央に配し、外国国旗を国名アルファベット順に、中央より向かって左側から左右交互に掲揚する方法もあるとされております。
○古賀委員 最近、国際交流ということで、最近に限ったことではありませんけれども、子供たちの国際交流事業等で国旗を掲揚して、相手国の皆さんとさまざまな行事を行うことが割と頻繁に行われているわけでありますので、今、ちょっとお聞きすると非常にわかりづらいかもわかりませんけれども、原則をのみ込めば非常に簡単明瞭なんですね。
国際儀礼について相手に敬意を表すること、それから同格者を平等に遇することなどに基づいてきちんと定められているということを、ぜひ我々もさまざまな行事に参加することがありますので、その点、もし聞かれたらちゃんと教えることができるくらいの教養としての知識は持ってもらいたいというふうに思います。
私も、今、都議会の立場でもありますし、日野市の体育協会の方の責任者もやっておりますので、立場上、さまざまな種目の市民体育大会とか、いろんな行事に、開会式とか、そういうものに出ることが多いんですけれども、その際、今の原則が必ずしも守られていない場合があるわけです。国旗が正面に向かって左ではなくて右に掲揚されている場合とか、また国旗に加えて参加団体の旗を掲揚する際に、どういう順番で掲揚したらいいかということで聞かれることがよくあります。
平成二十六年八月には、全国高等学校総合体育大会の総合開会式が東京で開催されます。全国高等学校総合体育大会において、いろんな団体旗とか主催の自治体とかの旗が出るわけですけれども、この総合体育大会における国旗などの掲揚の配列についてはどのように決まっているのかお尋ねいたします。
○坂本指導部長 公益財団法人全国高等学校体育連盟が主催いたします全国高等学校総合体育大会は、平成二十三年度から複数の都道府県で合同開催することになったため、総合開会式では、国旗、全国高体連旗及び複数の都道府県旗を掲揚することになりました。
平成二十六年度に東京都、千葉県、神奈川県、山梨県で合同開催いたします全国高校総体の総合開会式では、国旗を正面中央に高く掲揚し、主催者の団体旗を右上位の原則に基づき、国旗に向かって左側から左右交互に掲揚いたします。
なお、主催者の団体旗の配列順は、全国高体連総合開会式を行う東京都に続きまして、全国地方公共団体コードの順に、千葉県、神奈川県、山梨県の順となります。
○古賀委員 高等学校教育の一環として行われる全国高校総体には、選手として参加する高校生とともに、大会運営を担う高校生も多数参加するということを聞いております。つまり、お手伝いとしてもたくさん高校生が参加するわけです。
とりわけ総合開会式は正々堂々と、持てる力を精いっぱい発揮することを誓う場でもあるとともに、厳粛な雰囲気のもとに行われる式典のあり方を学ぶ場でもあるわけです。
高校生がこうした機会に我が国の国旗である日章旗、日の丸を尊重するとともに、外国国旗についても敬意を払える、国際社会に通用する常識を持った国民として成長していくことを心から願うものです。
きょうは、国旗、日の丸に関して掲揚、掲示について伺いましたが、先般成立している国旗及び国歌に関する法律の中で、国歌君が代についての条文の表記と歌詞の表記について最後に触れておきます。
この法律は、私、問題点が条文表記では二つあると思うんですけれども、これは既に国旗・国歌法が審議された平成十一年七月の衆議院内閣委員会で、西村眞悟代議士が細かく指摘をしている点でもありますけれども、なかなか一般の方にはこの法律の残された課題のようなもの、もっとはっきりいえば問題点については、十分な人口に膾炙したものがないだけに、この点を最後に触れておきたいというふうに思います。
この国旗・国歌法は非常に短い法律で、皆さんご存じだと思いますけれども、国旗は、日章旗とする。これは第一条ですね。第二条は、国歌は、君が代とするとなっているわけです。ということは、平成十一年八月十三日に、日章旗とする、初めて決まったような条文の書き方なんですね。国歌は君が代とする。国旗・国歌法によって初めて決まったという解釈も成り立つわけです。
この点は、やはり先ほどきたしろ先生がおっしゃったように、国歌君が代の元歌は古今和歌集、今から千百年以上前につくられた日本で最初の勅撰和歌集の賀歌の部に出てくるわけです。千年以上の歴史のある歌であって、何も平成十一年に決まったわけじゃないわけですよ。
ですから、本来であれば、国旗は日章旗であるというような表現にすべきだというふうに私は思います。そういう指摘も内閣委員会で行われているんですけれども、お役人は、そういう考え方もありますけれども、必ずしもそうはならないみたいな、のらりくらりで結局逃げ切ったんですね。
ですから、国旗を日章旗とするという表現は、日の丸も先ほど申しましたように長い歴史がある、君が代についても同時に千年以上のこれだけ歴史があるものが、何か平成十一年に初めて決められたようなことになる。つまり慣習法によって既に長い歴史があるにもかかわらず、そのような解釈が成り立つということは、この法律の一つの問題点ということがいえるわけです。
それから、歌詞の表記については、先ほど申しましたように、古今和歌集に元歌はあるわけですけれども、別記第二というところに、君が代の歌詞及び楽曲ということで出ております。そこには古歌というふうに書かれております。古歌ということは、今つくったわけじゃないということが明らかですし、歌詞の中の「いわおとなりて」というところが現代仮名遣いになっているんですね。これはやはり問題だということを私は指摘せざるを得ないわけです。
漢字で書けばよかったんですね。本来、万葉仮名で「伊波穂」と書いて、万葉集は漢字で書かれていますから、全部漢字を当てているわけで、「いわお」はそういう漢字を当てているわけです。また、ほかの字を当てたのもありますけれども、つまり元歌を考えて尊重すれば「いわお」にはなり得ないんですね。現代仮名遣いで書くということは、極論すれば間違いということになってしまうわけです。
そういうことを、ここで指摘をしておきたいと思うんですけれども、ちょっとだけ少し詳しくいっておきますと、君が代の歌詞の本来は「いはほ」と書くのが正しいわけです。これは昭和六十一年の七月に出された現代仮名遣いという内閣告示第一号と内閣訓令第一号に基づいて、この歌詞をつくったということを役人は答弁しているんですね。しかし、現代仮名遣いの告示されたものの中には、この仮名遣いは、語を、ことばですね、現代語の音韻に従って発音するとおりですね、書きあらわすことを原則とし、一方、表記の慣習を尊重して一定の特例を設けるものであると規定しているわけです。つまり特例がある、何も音韻どおりに書かなくてもいいということをこの現代仮名遣いの内閣告示はきちんと書いているわけです。
さらに続けて、歴史的仮名遣いは、明治以降、現代かなづかい、これは昭和二十一年の内閣告示三三号の行われる以前には、社会一般の基準として行われたものであり、歴史的仮名遣いというのはそういうものだと。今日においても歴史的仮名遣いで書かれた文献などを読む機会は多い。歴史的仮名遣いが我が国の歴史や文化に深いかかわりを持つものとして尊重されるべきことはいうまでもないと。
つまり古歌と法律には書いてある。千百年以上前の歌の、そういうものは尊重しなさいというふうに内閣告示には書いてあるんですけれども、これをそのとおりやっていないわけです。あくまで音韻どおり書くということでこの法案は出されて成立して、今の内閣の主要閣僚の中にも、これでも反対したのが何人もいるんです。しかし、必ずしも完璧ではなかったということを問題意識として教育委員会の皆さんは持っていていただきたいというふうに思うわけです。
つまり君が代というのは、歌詞は文語文なんですね。口語文じゃない。現代文のうち口語文は現代仮名遣いのやり方で書きなさいということですから、これは本来「いはほ」と書くべきであったし、それができなかったら漢字であらわすべきだったんですね。「巌」というやつ。そういう課題があるということを、皆さんぜひ理解しておいていただきたいと思います。
いわゆるこの君が代の歌詞は和歌なんですね。和歌ですから、口語文ではなくて文語文なので、千百年以上の歴史の重みというものを忘れて、今の、読みやすいからこう書いたというような感覚で歴史を断ち切るようなことがあってはいけない。
ことしは古典の日ということが参議院で八月に全会一致で可決されて、初めて十一月一日を迎えたわけですけれども、平成二十年の源氏物語千年を記念して、議員立法で古典の日というものが制定されたわけで、やはり古典というのは文化の源泉ですので、国歌君が代の歌詞を見る際にも、ぜひそのもとはどうなのかということをきちんと踏まえた上での指導や、そういう議論というものがあっていいというふうに思います。そのことを申し上げて私の質問を終わります。
○畔上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○畔上委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時三分散会
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