文教委員会速記録第九号

平成二十四年六月十五日(金曜日)
第三委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長今村 るか君
副委員長山内れい子君
副委員長村上 英子君
理事島田 幸成君
理事大松あきら君
理事小沢 昌也君
くりした善行君
西沢けいた君
畔上三和子君
高木 けい君
野上 純子君
小宮あんり君
野上ゆきえ君
古賀 俊昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
スポーツ振興局局長細井  優君
理事産形  稔君
総務部長安藤 英二君
スポーツ事業部長板垣 一典君
スポーツ施設担当部長佐野 克彦君
スポーツ祭東京推進部長川合  純君
大会運営担当部長早崎 道晴君
招致推進部長松永 竜太君
競技計画担当部長延與  桂君
教育庁教育長大原 正行君
次長庄司 貞夫君
理事高野 敬三君
総務部長松山 英幸君
都立学校教育部長直原  裕君
地域教育支援部長谷島 明彦君
指導部長坂本 和良君
人事部長岡崎 義隆君
福利厚生部長前田  哲君
教育政策担当部長白川  敦君
特別支援教育推進担当部長廣瀬 丈久君
人事企画担当部長加藤 裕之君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 スポーツ振興局関係
報告事項(質疑)
・国民体育大会に関連する競技会の開催について
 教育庁関係
契約議案の調査
・第百四十八号議案 都立保谷高等学校(二十四)改修工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百五十四号議案 東京都立学校における部活動中の事故に係る損害賠償請求訴訟事件に関する和解について

○今村委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○今村委員長 次に、契約議案について申し上げます。
 契約議案は、財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略をいたします。

平成二十四年六月十三日
東京都議会議長 中村 明彦
文教委員長 今村 るか殿
契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第百四十八号議案 都立保谷高等学校(二十四)改修工事請負契約
2 提出期限 平成二十四年六月十五日(金曜日)

○今村委員長 本日は、お手元配布の会議日程どおり、教育庁関係の契約議案の調査及び付託議案の審査並びにスポーツ振興局関係の報告事項に対する質疑を行いたいと思います。
 これよりスポーツ振興局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 福田施設計画担当部長は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 報告事項、国民体育大会に関連する競技会の開催についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○小沢委員 私からは、第六十八回国民体育大会競技別のリハーサル大会の開催について何点かご質問させていただきます。
 まず、この六十八回の国民体育大会ですけれども、昭和三十四年の第十四回大会以来、東京での開催は、実に五十四年ぶりということでございます。
 私は生まれてはいましたけれども、記憶にない状況でございます。このリハーサル大会が開催されるわけですけれども、会場となる区市町村及び関係競技団体の競技運営の向上を図ることと、国体及び各競技に対する関心を高め、理解を深めるとともに、国体開催の機運の醸成を図る、このことを目的として、都内四十六の区市町村、千葉と埼玉の二市町、延べ七十八の競技場で三十九競技が開催されるとのことでございます。
 この大会の主催者ですけれども、会場地の区市町村、そして、関係競技団体となっておりますけれども、主催者に対して、東京都はどのような支援を行っているのか、まずお伺いいたします。

○早崎大会運営担当部長 都は、これまで競技別リハーサル大会を行う区市町村に対し、準備業務を円滑に進めていくための手順や、留意事項などを盛り込んだ手引を作成し、区市町村連絡会議などの場で周知してまいりました。
 サッカーなど複数の区市町村で開催される競技や、ボートなど競技場の関係機関が多岐にわたる競技については、都が調整に加わるなどの支援も行っております。
 また、リハーサル大会の運営にかかる経費につきましては、区市町村に対する補助制度を設け、財政支援を行っております。

○小沢委員 手引などのソフト面の支援、また、関係機関との調整や財政支援を行っていただいているとのことでございます。
 一方、会場となる区市町村は、昨年よりさまざまな開催機運の醸成、普及啓発事業を行っております。
 各議員もそれぞれ顧問等になられているかと思いますけれども、ここに一例、墨田区ではハンドボール大会を開くことになっておりまして、昨年の八月からことしの三月までに重立った事業だけでも七事業行っておりまして、こういった開催結果記録というものもつくっておるところです。
 一部ご紹介すると、ハンドボールですので、そういったエキシビションマッチを行ったり、子どもたちに、七メータースローというのがあるんですよね。こういったものの体験をしてみたり、また、障害者スポーツ大会というのが毎年行われているんですけれども、そういったところにゆりーとに登場していただいたりしておりまして、ことしの三月に行ったゆりーとダンスの披露、これは開催地区では初めて披露されたということが報告されております。
 また、本年度に入りましても、花いっぱい運動ですとか、小学生のゆりーとダンスのチームをつくったり、また、リハーサル大会が八月九日に開かれるわけですけれども、直近の日曜日、八月五日に区民の総合体育祭の開会式を開催するなど工夫をしております。
 しかし、残念ながら、私は地元でいろいろとオリンピックとセットでこの国体のことも聞いて歩いているわけですけれども、国体が東京で開催されるという、このことすら知らない方が余りにも多いのが現実でございます。
 きのうも、この情報を得るために、夜、まちに出て聞いてまいりましたけれども、やはり同じような状況でありました。
 そこで、リハーサル大会の目的の一つでもあります開催機運の醸成を推し進めるために、都としてはどのような施策を講じているのかお伺いいたします。

○川合スポーツ祭東京推進部長 開催機運の醸成に向けてでございますが、これまで都におきましては、広報紙の配布や、ホームページの運営を初め、各会場への横断幕、のぼり旗の掲出や、マスコットキャラクター、ゆりーとを活用した広報活動などを展開してまいりました。
 今年度からは、ゆりーとダンスに加えまして、夏祭りや盆踊りでも踊っていただけますゆりーと音頭、それから、秋には一年前イベントを始めますが、ここで、ゆりーとダンスコンテスト、それから地域特産品を活用したB級グルメ大会など、都民参加型のイベントの実施や、花いっぱい運動等の都民運動の展開など、より多くの都民の皆さんに参画していただいて、開催機運の醸成を図ってまいりたいと考えております。

○小沢委員 ゆりーと君、大活躍みたいですけれども、五月の末には、私もラジオ体操をゆりーと君と一緒に行ってまいりました。
 でも、やはりボランティアを初めとして、都民の参画を促すことが一番大事だと思っております。
 さて、この第六十八回の国民体育大会は、国体と全国の障害者スポーツ大会が、全国で初めて一つの祭典として開催される記念すべき大会であります。
 そこで、全国障害者スポーツ大会についても、国体のリハーサル大会とあわせて、広報展開を行っていくべきと考えますけれども、ご所見をお伺いいたします。

○川合スポーツ祭東京推進部長 スポーツ祭東京二〇一三は、第六十八回国民体育大会と第十三回全国障害者スポーツ大会を一つの祭典として実施するものでございます。
 これまでも広報活動に当たりましては、大会愛称やマスコットキャラクター、ゆりーと、大会スローガン、東京に、多摩に、島々に、羽ばたけアスリート、これらを統一的に制定いたしまして、両大会を一体として広報してまいりました。
 先月、都民体育大会と東京都障害者スポーツ大会、この二つの大会の合同の開会式におきましても、スポーツ祭東京二〇一三の広報活動を行ったところでございます。
 今年度から、各区市町村で開催されておりますリハーサル大会におきましても、主催する区市町村において、両大会共通のマスコットであるゆりーとが活用されるように働きかけるなど、全国障害者スポーツ大会の認知度の向上もあわせて取り組みを行ってまいります。

○小沢委員 ありがとうございます。ぜひスポーツ祭東京二〇一三は、国体と全国障害者スポーツ大会は一つの祭典であるということを周知徹底していただきたいと思います。
 さて、スポーツ祭東京二〇一三においては、公開競技、デモンストレーションとしてのスポーツ行事を含めますと、都内すべての区市町村が会場となっております。
 そこで、今回のリハーサルを開催しない区市町村において、どのような開催の機運を醸成していくのかお伺いをいたします。

○川合スポーツ祭東京推進部長 区市町村によりましては、デモンストレーションとしてのスポーツ行事のみ開催するところもございますが、そのような区市町村におきましても、既にスポーツ祭東京二〇一三の横断幕やのぼり旗を作成して、各所に設置をするなど、広報活動が展開されております。
 都といたしましては、すべての区市町村に対し、ゆりーとの着ぐるみやのぼり旗などの広報物品の貸し出しを初め、都民運動を円滑に進めるための物品の提供なども頻繁に行っております。
 また、先般行われました東京マラソンでは、全六十二区市町村の職員が、ゆりーとのコスチュームで走るなど、一体となって広報活動を行っております。
 スポーツ祭東京二〇一三をより一層盛り上げるためにも、引き続き各区市町村において、各種イベント等の機会をとらえて広報活動を展開していくようお願いをするとともに、都としての取り組みも、これまで以上に強化してまいります。

○小沢委員 ありがとうございます。ぜひオール東京で開催の機運醸成を図っていきたいと思います。そのためにはぜひ我々議員も大いに活用していただきたいと思っております。
 さて、今回ご報告いただいたこのリハーサル大会は、もちろんスポーツ祭東京二〇一三のために行うわけでございますけれども、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会の立候補都市となっている東京にとっては、あらゆる機会を活用してオリンピック・パラリンピック大会の東京招致に向けて、機運を醸成させ、国民の支持率を高めていかなければならないと思います。
 そこで、二〇二〇年、オリンピック・パラリンピック東京招致のIOC調査の支持率が、現在、残念ながら四七%と低迷している中、本リハーサル大会においても、オリンピック・パラリンピック招致に関する広報活動や、啓発活動を積極的に行い、相乗効果を得るべきと考えますけれども、ご所見を伺いまして私の質問を終わります。

○川合スポーツ祭東京推進部長 これまでもスポーツ祭東京二〇一三の広報活動におきましては、オリンピック・パラリンピックの招致の活動と連携をして広報活動を展開してまいりました。
 スポーツ祭東京二〇一三に向けました都民の方々の盛り上がりがオリンピック・パラリンピック招致につながると考えておりますことから、今後もリハーサル大会やイベント等の機会をとらえまして、一体となった広報活動を行ってまいります。

○小宮委員 東京国体まで、あと一年余りとなり、私も地域のスポーツ大会などで宣伝をしているところですが、そうしたスポーツ競技に参加をしている、あるいはスポーツを愛好する、そういう人たちの間でさえ、東京国体が開催されるという認識がまだまだ意外と低いことに驚かされています。
 私の住むまち、杉並では、デモンストレーションとしてのラジオ体操とガーデンゴルフが実施をされるだけなので、他の区市町村では、こんな競技が行われるんですよと、なるべく機会を見ては皆さんにお伝えするようにしています。
 八年後、二〇二〇年のオリンピック招致についても機運の醸成が課題となっていますが、せっかくこの時期に、五十四年ぶりに東京で国体が開催されるわけですから、オリンピックへのステップとして、都民に広くスポーツの魅力や関心を高める、この東京国体をそんな機会にもしていただきたいと思うところです。
 さて、各競技会を主催することになる区市町村では、東京を訪れる選手たちが日ごろの練習の成果を十分に発揮できるように準備に取り組んでいるところと伺っています。
 一方で、区市町村が全国規模の大会を開催するということは余りないことと思います。このため、区市町村にとっては、この国体という本番の前に、リハーサル大会を開催することはとても意義のあることであると思います。
 リハーサル大会の開催を本大会の成功にどう生かしていくのかという観点から、まず伺います。
 大会日程を見ると、リハーサル大会の幾つかは既に実施をされていますが、それらの大会では、本大会に向けてどのような成果があったのでしょうか。

○早崎大会運営担当部長 国体の競技別リハーサル大会として、四月に武蔵野市がラグビーフットボールの大会を開催し、五月には港区がなぎなたを、六月には小金井市が弓道のリハーサル大会をそれぞれ開催しました。
 リハーサル大会を開催した区市町村の報告によれば、実践的な運営により、主催団体、地元の体育協会、警察、消防などの組織による有機的連携が図られた。地元ボランティアの参画を得て、選手、来場者へのもてなしなどに必要な人員が確保できた。地元小学生によるのぼり旗の製作などにより、大会の盛り上げを図ることができたなどの成果が上げられています。

○小宮委員 行政と民間との連携が図られたということや、地元の小学生もかかわるなど、広い世代を通じてリハーサル大会が開催できたということは大変有意義なことであったと思います。
 リハーサル大会を開催して、いろいろな成果があったことはわかりました。一方で、当然反省すべき課題もあったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○早崎大会運営担当部長 区市町村の報告によれば、区市町村の職員や競技団体の役員などが大会実施本部を組織して、それぞれの役割を分担し運営することになりますが、一人一人が自分の担当業務だけに目が向いてしまい、全体の動きを把握していなかったため、観覧者に十分な説明ができなかったとか、駐車場の誘導案内が円滑に機能していなかった、休憩所やトイレ等の案内サインが不足していたなど、本大会に向けた課題が明らかになった事例がございます。

○小宮委員 リハーサル大会の開催で幾つかの課題も明らかになってきたというわけですけれども、これから多くのリハーサル大会が行われるということで、その成果や課題がまたさまざまいろいろと出てくると思います。
 天候により試合時間の変更が余儀なくされたり、選手や来場者に不測の事態が生じることなど、さまざまな状況があり得ると思います。
 他の区市町村の大会で起きたことが、みずからの大会運営にとって有益な情報となることもあり得ます。リハーサル大会で生じた成果や課題をすべての区市町村が共有し、それぞれの大会運営に生かしていくことが大切であると思います。
 そこで、リハーサル大会を開催した区市町村の成果や課題を集約し、区市町村に伝える役割を都が担うべきと考えますが、見解を伺います。

○早崎大会運営担当部長 国体の各競技会を成功させるためには、個々の競技に特有な運営を検証するだけでなく、ほかの会場で開催された競技会の検証結果も掌握していくことが極めて有益であると考えます。
 都としては、円滑な競技会運営となるよう、今後、各リハーサル大会における成果や課題を取りまとめ、検証結果を順次区市町村に報告することや、区市町村連絡会議などの場を活用し、区市町村に情報を提供するなど、成果や課題の共有化に努めてまいります。

○小宮委員 本大会を成功させるためにも、都は、引き続き区市町村をしっかりとサポートしていただきたいということを望んでおきます。
 次に、リハーサル大会を開催するもう一つの目的であります、冒頭にも申し上げましたが、国体開催の機運醸成について伺います。
 今定例会の我が会派の代表質問に対して、都は、リハーサル大会が始まるこの段階から、都民が楽しみながら参加のできる取り組みを積極的に展開していくという答弁がありました。
 都は、都の立場で広い視点でその取り組みを進めておられると思いますが、区市町村は、各リハーサル大会の開催を初め、地域で開催するイベントなど、さまざま大会を盛り上げるための事業を実施しています。
 こうした区市町村が行う機運醸成の取り組みに対して、昨年、第四回都議会定例会において、我が会派は、具体的な支援策を要望し、今年度から区市町村に対する補助制度が新設をされています。
 東京国体を成功させるためには、区市町村による大会開催機運を醸成するための事前の取り組みを支援していくことが重要です。
 そこで、そのような区市町村に対し、どのような財政支援を行ってきたか、また、今後行っていくのかを伺いたいと思います。

○川合スポーツ祭東京推進部長 都におきましては、平成二十三年度より、各区市町村が競技団体の協力を得て行う競技普及啓発事業に対し、財政支援を行っております。
 平成二十三年度には、三十七の区市町村におきまして、トップアスリートによるスポーツ教室や講習会の開催など、七十六事業が行われております。
 さらに、今年度より、来年度まで二カ年にわたる新たな補助制度を設けまして、スポーツ祭東京二〇一三の開催機運の醸成を図るとともに、その開催を長く後世に伝えることを目的に、区市町村が行う事業に対し、財政支援を行ってまいります。
 現在、申請されている事業の中では、ボランティア運営団体の設立、地域特産品グルメの商品開発、バス車両等へのラッピング、節目イベントの実施、開催記念碑の設置等、区市町村からさまざまなアイデアが提案をされてきております。
 今後、両制度を活用いたしました先駆的な取り組みや、盛り上げ効果の高い事業をほかの区市町村に紹介するなどし、より一層スポーツ祭東京二〇一三の開催機運の醸成を図ってまいります。

○小宮委員 一年近くに及ぶリハーサル大会での知見を開催自治体で共有をして、さまざまな機運醸成の取り組みも功を奏して、そして、マスコットキャラクターの都民の鳥、ユリカモメのゆりーと君ももっともっと宣伝をしていただいて、東京にしかできない、東京だからできるすばらしいスポーツ祭東京が展開されることを望んで質問を終わります。

○今村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 ご異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上でスポーツ振興局関係を終わります。

○今村委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百四十八号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 ご異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○今村委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百五十四号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○西沢委員 今回の部活動中の事故に係る損害賠償訴訟事件に関する和解について何点か質疑をさせていただきたいと思います。
 本件につきましては、もう既に報告の中でありましたハンマー投げの練習中に事故が起こると、聞くだけでも大変痛ましい事故でございます。こうした事故、最近のいわゆる重大事故の例と、その際の対応についてまずお伺いいたします。

○坂本指導部長 都立高校における生命にかかわる重大事故としましては、平成十一年、十二年にかけまして、プールのスタート台からの逆飛び込みにより、三件の頸椎損傷事故が連続して発生しました。うち一件は死亡事故でございました。
 また、平成十九年には、弓道部の活動中、放たれた矢が通りかかった生徒の側頭部に刺さるという重大事故が発生しております。
 都教育委員会は、プールでのスタート練習で事故が連続して発生したことを受けまして、すべての学校のスタート台を撤去するとともに、安全なスタートの仕方を示したビデオを作成しまして、実技講習会を行うなど、水泳指導の安全対策を講じてまいりました。
 また、弓道部の事故発生後には、弓道部のあるすべての都立高校を実態調査いたしまして、練習内容や施設等を把握し、再発防止の対応を個別に講じるなどして重大事故防止に努めてまいりました。

○西沢委員 けいこや練習中の事故、その際に対策を講じてこられたという話をお伺いしましたが、今回の事故に関しての原因の究明や検証がどのように行われていたのかお伺いいたします。

○坂本指導部長 都教育委員会は、事故発生直後から職員を学校に派遣しまして調査を開始し、その後、約一カ月にわたり現場検証、教員や生徒からの聞き取り調査を詳細に行いました。
 その上で、事故の全体像を把握した後、事故原因や過失を特定するなどの分析を行いまして、平成二十年七月四日には、調査結果報告として検証結果を取りまとめました。

○西沢委員 その際の事故はしっかりとその場で調査をして、結果報告書としてまとめたという話でありました。
 それでは、今後、こういった事故が当然ないようにする、再発防止の取り組みをどのようにされているのかお伺いいたします。

○坂本指導部長 事故発生後、陸上競技の投てき種目を含め、部活動で行われている危険性の高い競技種目につきまして、一般的な練習方法、安全確認、過去の事故事例、事故防止の具体策などをまとめた部活動中の重大事故防止のためのガイドラインを平成二十年七月に作成いたしまして、全教員に配布いたしました。
 都教育委員会は、事故防止について、毎年、校長連絡会や副校長連絡会におきまして、繰り返し徹底を図るとともに、軽微な事故が発生した場合におきましても、このガイドラインに基づいて各学校を指導しております。

○西沢委員 今回ガイドラインをつくったという話を聞きました。二十四年五月には改定されておりますけれども、ガイドラインをつくっただけにならないように現場の声をちょっと聞いてみますと、知らないという先生もいらっしゃるようであります。ですから、校長連絡会や副校長連絡会において繰り返し徹底されているということでありますけれども、つくっただけにはならないように改めて周知をお願いしたいと思います。
 それで、最後に、この和解金額の妥当性についてでございますが、この妥当性についてお伺いいたします。

○坂本指導部長 東京都は、原告が請求した損害賠償の内容と、賠償額を詳細に分析いたしまして、公判では根拠が明確なものと不明確なものを確認するとともに、東京都の損害賠償基準に基づいて損害賠償額の算出を行い、裁判所に東京都としての考えを提示してまいりました。
 このたび裁判所から示された和解金額、三千八百三十六万五千七百九十七円は、これまでの審理を踏まえ、双方の主張をもとに裁判所が算出したものであり、東京都としては妥当であると考えております。

○西沢委員 何よりも事故のない対策というものが必要でありますが、万一の場合は理解をいただく努力と誠意というものが必要なんだろうというように感じます。
 この三千八百万円という和解金の妥当性というものはなかなか難しいのかと思いますが、東京都の算定基準に基づいて、そして、今回は裁判所から示された額だという話でございます。
 被害に遭われた方々と私どもが直接話しているわけではないんですけれども、この額でいいと納得をされるというところはちょっとわかりませんけれども、個別個別の考えの中では納得されないというケースもあるんじゃないのかというように思います。何よりも誠意と努力が必要なのではないかと思います。
 それから、この調査の報告書とかガイドラインの件でございますけれども、今後事故がもちろんない、再発防止に努めていらっしゃるということですが、スポーツや武道であったり、こうしたけいこの中では事故がつきものでもございます。
 生命にかかわる事故というものが、万が一、今後起きた場合には、例えば第三者の目を多分に取り入れるような工夫をされてもいいんじゃないのかなと個人的には思います。
 これまでも第三者の方のご意見を聞いて、ガイドライン等をつくってこられたというようにも思いますが、もし今後もあるようであれば、そうしたことも考える必要があるんじゃないかと思います。
 というのも、先般の議会の中では、柔道の必修化があるというところで、全会派一致で意見書を提出いたしました。
 その中では、いわゆる地域の、そういった知見をお持ちの体育協会さんであったり、柔道整復団体の方々のご意見なども、より指導に生かすべきだというような意見書、これは都議会でも全会派一致で出しましたので、こうしたものと今回のケースと必ずしも同じことではありませんけれども、こうした外部の目を取り入れるというような工夫も再発防止につなげられるのではないかということを申し上げて質問を終わらせていただきます。

○高木委員 付託議案に対する質疑を行わせていただきます。
 私は、この事故で被害に遭われた生徒のご家族が北区在住ということもありまして、事故発生直後から、お子さんのけがの様子や治療費などについてのご相談を受けておりました。このため、生徒の回復状況や家庭の経済的な負担について、実はずっと心配をいたしておりました。
 今回、損害賠償について議案として提出をされまして、事故発生から既に四年が経過をいたしております。この間のご家族の心情やご苦労を考えますと、やはり学校において二度とこうした重大な事故を発生させてはならないと思うわけであります。
 そこで、都議会として、この付託議案、議決をするに当たりまして、本訴訟の早期解決と重大事故の再発防止の観点から何点かご質問をさせていただきます。
 この事故はもう既に四年たちまして、委員会の先生方、委員の皆さんも知らない方がいらっしゃると思いますので、この事故の概要について、改めてまずお伺いをさせていただきます。

○坂本指導部長 本件事故は、平成二十年四月十九日午後、都立足立東高等学校の校庭におきまして、陸上部四人の生徒がハンマー投げと円盤投げの練習をしていたところ、十四時四十分ころ、生徒の投げたハンマーが、当時二年生の被害生徒の前頭部を直撃したというものでございます。
 それまで学校は、投てきする生徒が大声で、行きますと周囲に知らせ、周りの生徒は、はいと答えてハンマーを見るようにしていました。
 また、指導者は、落下地点に生徒がいないかを確認して、投てきを許可するなどのルールを定め、励行しておりました。
 しかし、事故当日、投げた生徒は前方を確認せずにハンマーを投てきし、被害生徒は、投てきサークルから四十二メートル先のハンマーが落下する最も危険な場所に後ろ向きに立っていたということでございます。
 また、顧問教諭は別の方を見ていて、生徒たちの行動を見ておらず、このようなことが重なって、発生した事故でございます。

○高木委員 スポーツには、けがや事故はつきものというふうによくいわれますが、スポーツそのものが危険なわけではありませんで、大きなけがが起きるのは練習の仕方や指導のあり方、そういうものが問題なのだろうというふうに思います。
 部活動において、練習の決まりを守ったり、生徒同士が互いに安全を確認したりすることが大切であり、そうした基本的な約束事が守られなければ、事故は起こるべくして起こることになるというふうに思います。
 特に指導する先生は、長年の経験から練習中のさまざまな危険を事前に排除すべき立場にあると思います。しかし、大きな事故というのは、指導者がふだん注意していることや確認すべきことを怠ったときに往々にして起こるものだというふうに思います。
 今、事故の概要を説明していただきましたが、日ごろのルールが守られなかったにせよ、広い校庭の中で、信じられないことが起こるものだなと思いました。
 次に、事故発生時の対応と、その後の被害生徒の状況についてお伺いをいたします。

○坂本指導部長 事故発生後、顧問教諭は直ちに一一九番通報いたしました。救急車により被害生徒は東京女子医科大学東医療センターに搬送されまして、十六時三十分ころ手術を開始し、二十一時二十五分ころ無事に終了いたしました。
 被害生徒は、頭蓋骨骨折及び脳挫傷という重傷を負いましたが、奇跡的に回復いたしまして、平成二十年八月二十一日には退院いたしました。
 視覚と嗅覚に後遺障害を残しましたが、二学期には通学もできるようになり、現在では大学に通学しております。

○高木委員 事故後に手術を成功に導きました東京女子医科大学東医療センター、脳外科医の先生方の高度な技術が功を奏して、一命を取りとめたのは奇跡としかいいようがないのではないかなと思います。
 しかし、一年もたたないうちに学校に通学できるようになったのは、東京都リハビリテーション病院の的確な回復指導もあったというふうに聞いておりますが、何をおいてもやっぱり被害生徒本人の生命力の強さ、そして、その家族の懸命な看病があったからこそ、現在に至ったのではないかというふうに思います。
 ぜひこれから社会生活を力強く送っていただきたいなというふうに願っているわけであります。
 保護者の方からは、生徒の左目の視力は、〇・一に低下をした。そして、嗅覚については全く消失ということを聞いています。そのような後遺障害を残しながらも、元気に大学生として現在勉学に励んでいるということですが、失われた機能というのはやはり回復をいたしません。
 保護者には、これまでの経済的負担も大変大きかったんでしょうし、将来にかかるであろう負担のことを考えれば、不安な毎日を送っていらっしゃるのではないかと想像するわけであります。
 今回の事故に当たって、被害生徒側から示された損害賠償額と東京都のさまざまな規定から導き出される賠償額とがなかなか調整が進まずに裁判で解決するという事態になってしまったことが大変気にかかっておりました。
 そこで、損害賠償に対する被害生徒と東京都の対応の経過について伺います。

○坂本指導部長 事故発生直後から被害生徒の損害賠償については、東京都と被害生徒の代理人である弁護士との間で話し合いを続けてまいりましたが、東京都の損害賠償基準に基づいた金額の提示について了解が得られず、交渉が思うように進みませんでした。
 そうした中、平成二十三年四月、被害生徒から、六千三百七十万二千四百二十八円の賠償を求める損害賠償請求訴訟が東京地方裁判所に提起されました。
 平成二十三年十月までの間、事実関係等について三回にわたって口頭弁論が行われましたが、平成二十三年十二月には、裁判官から和解を勧める話があり、平成二十四年一月には、双方に和解額の提示がございました。
 その後、双方がそれぞれ検討いたしまして、平成二十四年三月十五日、東京地方裁判所において、東京都、被害生徒ともに和解について基本了解に達したところでございます。

○高木委員 損害賠償については、学校の設置者である東京都としてできる限りのことをしていくべきと考えます。
 このたび裁判所による和解について双方が基本了解に至ったということは、被害生徒のご家族にとって重大な決断をされた結果なんだろうというふうに推察をいたします。このため、我々としてもこの結果を真摯に受けとめるべきだと思います。
 そこで、学校においては、このような事故が再び起こらないよう都教育委員会はどのような対策を講じていくのかお伺いいたします。

○坂本指導部長 都教育委員会は、事故直後から学校へ職員を派遣しまして、事故原因等の調査を開始し、平成二十年七月四日には、事故調査報告をまとめるとともに、部活動中の重大事故防止のためのガイドラインを定め、全都立学校及び公立中学校に配布し、部活動の重大事故防止の徹底を図ってまいりました。
 今後とも、部活動が安全に行われるよう、運動部活動指導者講習会を実施するなどして、都立学校や区市町村教育委員会の指導助言を行い、事故の再発防止の徹底に努めてまいります。

○高木委員 この事故では、学校側の初期対応にも問題があったというふうに私は思っています。
 保護者の方からも、私は再三ご相談を受けておりましたが、そのことで精神的に大変苦しんでいたということは事実でございまして、そういう意味で、学校の初期対応、つまり、事故が起こって、それ以降のことですね。特に初期対応というのはいつまでをいうのかあれですけれども、学校側に対する保護者のご提言やご要望やそういうものを聞くという姿勢において非常に問題があったということは、保護者の方からも私は再三お話をいただきました。
 今後、学校の教員には、今回の事故を教訓として、日々の教育活動の安全対策や安全指導に積極的に取り組んで、万が一事故が発生したら適切な対応をとれるようにぜひ心がけていただきたいと思いますし、やっぱりそういう教員であってほしいなというふうに思います。
 また、教育委員会においては、生徒たちが安心して学校生活を送り、充実した活動が行われるよう、施設や設備面を含めた教育諸条件の整備だけでなく、指導者の安全に対する意識をさらに高めて、万全の配慮のもとに指導に当たるよう一層の安全対策を講じてほしいと思います。
 本来、事故についての対応というのはお金で解決することが最良というふうには思いません。しかし、今回、被害生徒やご家族には治療費だけでも相当な負担となっております。そして、精神的、肉体的苦痛や、後遺障害に対する慰謝料、あるいは後遺障害を負ったことによる将来の補償などを含めて解決をしていくことが大切であると思います。
 私は、被害生徒とそのご家族のためにも、このたび裁判所から勧められた和解について、速やかに成立をさせて、遺漏なく今後の手続を進めていくべきであると考えています。
 先般、被害生徒及びご家族の方にもお会いする機会がありました。ある地域の連合町会の運動会でございました。お子さんも、被害生徒も元気に走って運動会に参加しておりました。
 お母様は、その運動会のアナウンスの司会をされておりまして、いろいろ思いはあったけれども、今こうして被害を受けたうちの子も元気に頑張っていますよというふうにご紹介をいただいて、それ以前にもその被害生徒の方に私はお会いしていますが、大変元気に活動されていたのを非常にうれしく感じたわけであります。
 ですから、今申し上げたことをぜひ教育委員会は、早急に進めていただくようお願いをしておきます。
 最後になりますが、このような事故は二度と起こしてはならないと思いますけれども、一方で、事故を防ぐ意識ばかりが前面に出てしまって、それにより活発に行うべき教育活動を萎縮させてはやっぱりいけないんだろうというふうに思います。
 大原教育長におかれましては、今期でご退任ということで、大変長い間ご苦労されましたことを心から敬意を表します。大原教育長は在任期間中、都立学校の改革や学力向上を非常に熱心に手がけられたこと、そして、子どもの体力向上にも取り組んでこられたということを私たちは大変心にとめておりますし、そのことに対して非常に敬意を表しております。
 きょう、実は委員の先生方のお手元に配布をさせていただきました資料のように、この間の取り組みの成果が少しずつあらわれてきているというふうに思っています。
 このように教育行政を安定的かつ大きく前進をさせてきたことに対して、教育長に対して私、文教委員の一人として、大変敬意を表しまして、その労をねぎらいたいというふうに思います。
 そこで、子どもの体力の低下は我々も心配をしております。これまでの体力向上の取り組みについて振り返っていただきながら、大原教育長の所見をお伺いをして、最後の質問といたします。

○大原教育長 まず、今回の足立東高校の部活動の事故に関しまして、文教委員会の先生方には大変ご心配をおかけいたしました。心からおわびを申し上げたいと存じます。
 そして、私たちも職員一同、二度とこのような重大事故が発生しないように、教育活動をきちんとやりたいということで、再発防止、安全対策の充実に万全を期してまいりたいと存じます。
 今回の和解につきましては、被害者、その保護者の方から歩み寄りをいただいて、基本的な了解がいただけたところでございます。ぜひとも、議会の方の承認がいただけますようにお願いを申し上げたいと存じます。
 ただいま、高木先生から大変温かい、そして身に余るお言葉をいただきました。本当にありがとうございました。
 そして、私の重要なテーマと考えておりました東京の子どもたちの体力向上について振り返って説明をする機会を与えていただきました。ありがとうございます。簡単に説明をさせていただきます。
 資料につきましては、先生のお手を煩わせまして、お手元に配らせていただいたものを利用させていただきたいと思います。
 恐れ入りますが、二枚目の方を先にごらんをいただきたいと思います。これが東京の子どもたちの、あるいは日本の子どもたちの体力の変遷をあらわしたグラフでございます。
 上段が男子、下段が女子、そして、それぞれの上の段のカーキ色が日本、ブルーの字のが東京でございます。
 種目は五つ、時計の十二時の方向が握力、そして右回りに反復横跳び、千五百メートル走、五十メートル走、そしてハンドボール投げ、この五種目について、子どもたちの体力がピークであったといわれております昭和五十三年の数字、それぞれの種目の平均を百としたときに、その後どういうふうに動いていったかということでございます。
 まず、一番上のグラフの動きを横にごらんをいただきますと、昭和五十三年から基本的には平成二十年まで低落傾向にございましたが、平成二十三年にはややこれが持ち直してきている。これが中学校二年生の日本全体の体力の姿でございます。
 では、東京はどうかといいますと、そのすぐ下のブルーに白抜きのところをごらんいただきますと、昭和五十三年に、既に全国平均よりも体力が劣っております。
 そして、右へずっとたどっていただきまして、いまだに、平成二十年から二十三年のところをごらんいただきましても、体力の低下傾向に歯どめがまだかかっていない状況がございます。これが男の子です。
 下の段、女の子を見ていただきますと、やはり同じように、昭和五十三年から平成二十三年に向けて、体力そのものは低下傾向にございますけれども、その下の東京の女の子、一番下の段と比較していただきますと、まだ日本全体の姿の方が体力の低下が少なくて済んでいるという状況にあります。
 特に女子については、時計でいうと十時の方向、左斜め上、これはハンドボール投げをあらわしておりますが、ここのへこみぐあいが大変大きい。
 この五種目、例えば握力は力、反復横跳びは敏捷性、千五百メートル走は持久力、五十メートル走がスピードというふうに一種目一能力をあらわしているんですが、このハンドボール投げだけは二つの能力を一遍にあらわしている。
 一つは、瞬発力といいますか、ボールをぴゅっと投げる力と、そして体全体を上手に組み合わせて、足、腰、肩、全部の腕、力を上手に使わないとボールが遠くへ投げられないということで、運動全体の巧緻性、巧みに、緻密に体を操る能力。この二つを一遍に表現している種目といわれております。
 これが悪いと、ボールを使ったスポーツが全部苦手になりますし、ラケットを使ったスポーツが上手にできないということになるんだそうでありまして、体力全体が下がっていることも問題ですけれども、運動能力そのものが下がっているということで非常に問題があるというふうに認識をしております。
 じゃ、子どもたちの状況が日本全体でどうかということで、ちょっと一ページ目に戻っていただきたいんですけれども、この表は、左から右に平成二十年、二十一年、二十二年というふうに四カ年の子どもたちの体力テストの結果を単純に順番として四十七都道府県の中で東京都がどういう位置にいるかということをあらわしたものでございます。
 一番左側が平成二十年度でございまして、これがまた左右に分かれていて、左側が小学校五年生男子、女子、右半分が中学二年生の男子、女子というふうになります。
 下から十番目までのところにちょっと色を塗ってありますが、まず、小学校でごらんをいただきますと、平成二十年には、男の子がこの色を塗ったところに入っております。女子は色を塗ったところの一つ上にいる。
 それが平成二十一年度には、男の子も大分上に上がり、女の子もワーストテンよりはちょっと上に上がったということで、以下右へたどっていただきますと、その表の中に赤い線が入っておりますけれども、これが全国の平均値です。小学校五年生についてはワーストテンを抜け出して、少しずつ全国平均に向かっていっているという姿が見てとれます。
 実は私たちが、この子どもの体力を把握したときに、平成二十四年には子どもたちの体力をせめて全国平均にまで持ち上げよう、そして、十年後には昭和五十三年の全国平均にまで東京の子どもたちの体力を持ち上げようという目標を立てました。
 小学校の五年生については、何とかそういう方向に向かってきているような期待が持てるんですが、まだ右半分の中学生をごらんいただきますと、下の方にずっと張りついたままということで、ここにはまださらなる私たちの努力をする余地があるというふうに思っております。
 子どもたちの体力がいかに重要かということはもう申すまでもないことですけれども、学力とどういう相関があるかということもちょっと調べてみました。それがこの三枚目の表でございます。
 グラフ全体の横方向に学力、縦方向に体力をとっておりまして、赤い線が十字に入っておりますが、これが平均ということになります。
 したがって、四つに区分されたこのグラフの中の、右上の分野、第一象限に当たるところは体力、学力ともに高い。反対に、左下側の第三象限に当たるところは体力、学力ともに低い。こういう状況にあります。学力と体力には何らかの相関関係があるんじゃないかというふうにいってよろしいかと思います。
 そして、東京は右下にいます。右上、はるか高みに、秋田とか福井がおりまして、私たちも何とかここに到達したいということを思っているわけでございます。
 そして、体力というのは別に学力だけに、あるいは運動能力だけにとどまるものではないということが、その次のページに、体力の構造という資料で表現させていただきました。これは、東京大学の猪飼先生が分類をされたものでございまして、体力というのは、実は身体的要素と精神的要素に分けることができるというのがポイントだと思います。
 私たちは、身体的要素の中の、しかも、行動体力のみが体力というふうについとらえがちでありますけれども、実は精神的要素の中の行動体力、意志だとか判断、意欲、こういった人間が生きていく上で非常に大切な要素というのが体力の中に含まれる。そして、困難に打ちかっていく、耐えるところは耐えていくという防衛体力についても広い意味での体力に含まれるんだということが、この分類からわかったわけでございます。
 そして、これを何とかするためにということで、平成二十一年五月くらいから、今、説明させていただきました資料を持って、各区市町村全部回りました。
 そして、ずうずうしいお願いでしたけれども、首長さんとそれぞれの教育長さんに一緒にいてほしい、同席してほしい、そこで、この子どもたちの体力の状況を説明して、首長さんにも、子どもたちの体力というのは、もう教育委員会任せ、学校任せではどうにもならないところに来ておりますので、ぜひ一丸となって子どもたちの体力向上に協力していただきたいというお願いをいたしました。
 そして、すべての区、市を回りまして、すべての首長さんからも一緒にやろうという力強いお言葉をいただいたところでございます。
 そのときに、一番最後のページになりますが、これもついでに持っていきました。これは区市町村名を入れておりませんけれども、六十二区市町村の体力がどういう分布になっているかということをあらわしたものでございまして、かなり上の方に赤い線がありますが、これが全国平均です。
 全国平均までいっている自治体は余りない。特に中学校ではほとんどない。それより下の方にブルーの点線がございますけれども、これが東京都の平均です。
 この資料をお見せしますと、必ず首長さんは、おれのところはどこだというふうにおっしゃっていただきまして、上からウン十ウン番目ですというようなことをいうと、私たちが単純に説明するよりももっと切実な問題意識を持っていただくことができました。
 こういうふうに私たちとしても一生懸命取り組んできたわけですが、実はそのときに、首長さんにもお願いしたのは、例えば子どもの遊び場がない、遊ぶ時間がないということはいろんなところでいわれておりますけれども、まちの片隅にある小さな公園だとか広場というところが全部ボール禁止、バット禁止、ひどいときは子どもの騒音がうるさいから立入禁止。これでは子どもたちが遊びを通じて体力を向上させるチャンスも場所もないということになりますので、その辺についてもご配慮をお願いしたいということも申し上げてきたところでございます。
 そして、今、結果を先にごらんいただきましたけれども、中学生についてはまだ、まだまだやらなければいけないことがたくさんあると思います。私たちも、子供の体力向上推進本部というのをつくりまして、各界の先生方からいろんなご意見もいただいております。
 文教委員会の先生方におかれましても、改めて東京の子どもたちの体力の状況を再確認いただいて、私たちに対して、引き続き厳しいご指導、ご鞭撻を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

○今村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時二分散会

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