文教委員会速記録第八号

平成二十四年六月四日(月曜日)
第三委員会室
   午後七時十五分開議
 出席委員 十四名
委員長今村 るか君
副委員長山内れい子君
副委員長村上 英子君
理事島田 幸成君
理事大松あきら君
理事小沢 昌也君
くりした善行君
西沢けいた君
畔上三和子君
高木 けい君
野上 純子君
小宮あんり君
野上ゆきえ君
古賀 俊昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
スポーツ振興局局長細井  優君
理事産形  稔君
総務部長安藤 英二君
スポーツ事業部長板垣 一典君
スポーツ施設担当部長佐野 克彦君
スポーツ祭東京推進部長川合  純君
大会運営担当部長早崎 道晴君
招致推進部長松永 竜太君
競技計画担当部長延與  桂君
施設計画担当部長福田  至君
教育庁教育長大原 正行君
次長庄司 貞夫君
理事高野 敬三君
総務部長松山 英幸君
都立学校教育部長直原  裕君
地域教育支援部長谷島 明彦君
指導部長坂本 和良君
人事部長岡崎 義隆君
福利厚生部長前田  哲君
教育政策担当部長白川  敦君
特別支援教育推進担当部長廣瀬 丈久君
人事企画担当部長加藤 裕之君

本日の会議に付した事件
 教育庁関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・都立保谷高等学校(二十四)改修工事請負契約
・東京都立学校における部活動中の事故に係る損害賠償請求訴訟事件に関する和解について
報告事項(説明・質疑)
・東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例について
請願陳情の審査
(1)二四第六号 スクールカウンセラーの採用に関する請願
(2)二四第一七号 東京都教育委員会の晴眼者とともに学ぶ視覚障害者教養講座の継続・拡充に関する陳情
(3)二四第二九号 新都立多摩図書館建設における都立図書館の資料保存機能の充実に関する陳情
(4)二四第三〇号

 スポーツ振興局関係
報告事項(説明)
・国民体育大会に関連する競技会の開催について
陳情の審査
(1)二四第一一号 オリンピック招致をやめて、招致に係る予算を防災関連に回すことに関する陳情

○今村委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、委員の所属変更について申し上げます。
 議長から、本日六月四日付をもって、野田かずさ議員が本委員会から公営企業委員会に変更になり、新たに小宮あんり議員が環境・建設委員会から本委員会に所属変更になった旨、通知がありましたので、ご報告いたします。
 この際、新任の小宮あんり委員をご紹介いたします。

○小宮委員 自由民主党の小宮あんりです。どうぞよろしくお願いいたします。

○今村委員長 紹介は終わりました。
 なお、議席はただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。

○今村委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程どおり理事会において申し合わせいたしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程どおり、教育庁関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取並びに教育庁及びスポーツ振興局関係の報告事項の聴取及び請願陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件及びスポーツ振興局関係の報告事項については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行うこととし、教育庁関係の報告事項については、説明聴取の後、質疑を終了まで行いますので、ご了承願います。
 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員の交代がありましたので、教育長から紹介があります。

○大原教育長 さきの人事異動で教育庁幹部職員に交代がございましたので、紹介させていただきます。
 教育政策担当部長の白川敦でございます。人事企画担当部長の加藤裕之でございます。当委員会との連絡に当たらせていただきます総務課長の浅野直樹でございます。
 以上でございます。よろしくどうぞお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○今村委員長 紹介は終わりました。

○今村委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○大原教育長 平成二十四年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております議案の概要につきましてご説明申し上げます。
 初めに、契約案でございます。
 都立保谷高等学校(二十四)改修工事請負契約でございまして、東京都西東京市住吉町五丁目地内におきまして、都立保谷高等学校校舎棟その他の建設工事を行うものでございます。
 次に、事件案でございます。
 東京都立学校における部活動中の事故に係る損害賠償請求訴訟事件に関する和解についてでございまして、原告との間で和解に向けた基本了解に達しましたので、地方自治法の規定に基づきまして都議会のご承認をお願いするものでございます。
 以上が教育庁関係の案件でございます。
 詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○松山総務部長 それでは、議案の詳細につきましてご説明申し上げます。
 まず、お手元の資料、平成二十四年第二回東京都議会定例会議案(契約)に基づきまして、契約案のご説明をさせていただきます。
 目次をお開き願います。今回提出を予定しております契約案は一件でございます。
 一ページをお開き願います。都立保谷高等学校(二十四)改修工事請負契約でございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は十億五百九十万円、契約の相手方は東京都豊島区池袋二丁目四十八番一号、佐田・中尾建設共同企業体でございます。工期は契約確定の日から平成二十五年十一月三十日まででございます。
 主要施設十カ年維持更新計画に基づき、老朽化した校舎棟等の改修工事を施行する必要があるものでございまして、三ページから一四ページにかけまして案内図、配置図及び各階の平面図を、一五ページに契約議案の概要を記載してございます。
 次に、お手元の資料、平成二十四年第二回東京都議会定例会議案(事件)に基づきまして、事件案のご説明をさせていただきます。
 目次をお開き願います。今回提出を予定しております事件案は一件でございます。
 一ページをお開き願います。東京都立学校における部活動中の事故に係る損害賠償請求訴訟事件に関する和解についてでございます。
 平成二十年四月十九日、東京都立足立東高等学校の生徒であった原告が、所属する同校
 陸上部のハンマー投げ競技の練習中に負傷したことについて、顧問教諭の過失があったとし、東京都に対し損害賠償を求めて訴えを提起しておりましたが、このたび、東京地方裁判所から原告及び東京都に対し和解の勧告があり、当事者双方で検討した結果、和解に向けた基本了解に達しましたので、和解条項案について、地方自治法第九十六条第一項第十二号の規定に基づき都議会のご承認をお願いするものでございます。
 和解条項案につきましては三ページに、損害賠償債務の計算書につきましては四ページにそれぞれ記載してございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○今村委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○今村委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○松山総務部長 本定例会に提出を予定しております東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例につきましてご報告いたします。
 お手元の資料、平成二十四年第二回東京都議会定例会議案(条例)の一ページをお開き願います。
 児童手当法の一部を改正する法律の施行に伴い規定を整備するものでございまして、県費負担教職員の児童手当の認定及び支給に関する事務を特別区、市、瑞穂町、日の出町、檜原村及び奥多摩町がそれぞれ処理することとするものでございます。
 施行日は公布の日からとしております。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○今村委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 ご異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○今村委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願二四第六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○坂本指導部長 請願二四第六号、スクールカウンセラーの採用に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、文京区、スクールカウンセリング推進協議会代表國分康孝さん外五千八百四十六人から提出されたものでございます。
 請願の要旨は、東京都教育委員会がスクールカウンセラーを募集する際、スクールカウンセラーに準ずる者も公募の対象とし、スクールカウンセリングの充実に努めていただきたいというものでございます。
 これに関します現在の状況でございますが、スクールカウンセラー活用事業は、児童生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識、経験を有する臨床心理士等を学校に配置し、いじめや不登校等の未然防止、改善及び解決並びに学校内の教育相談体制等の充実を図ることを目的としているものでございます。
 東京都教育委員会では、平成七年度からスクールカウンセラーの配置を国の委託事業として開始いたしました。補助事業となった平成十三年度以降も着実に配置校をふやしまして、平成二十四年度には、小学校三百二十七校、中学校六百三十一校、高等学校百校の合計千五十八校に七百四十九名の臨床心理士をスクールカウンセラーとして配置しております。
 なお、臨床心理士につきましては、平成二十三年七月現在、全国で二万三千五人が認定、登録されており、そのうち東京都の臨床心理士会に登録しているのは四千百九十人であり、東京都における配置に必要な数を充足できております。
 こうした状況の中でも、高度に専門的な知識と経験を有する人材を安定的に確保し、スクールカウンセラーとして配置するために、平成二十四年度配置のスクールカウンセラーから東京都公立学校スクールカウンセラー設置要綱を改定し、次のとおり資格要件を拡大して公募による選考を実施いたしました。
 東京都公立学校スクールカウンセラー設置要綱では、一、財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士の資格を有する者、二、精神科医、三、児童生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識及び経験を有し、学校教育法第一条に規定する大学の学長、副学長、学部長、教授、准教授、講師(常時勤務をする者に限る)または助教の職にある者またはあった者となっております。
 これまで国においては心理職にかかわる統一的に定められた資格がなく、各団体が定めた基準に基づくさまざまな認定資格が存在し、その資格要件には差が見られる状況であります。
 現在、心理職にかかわる国家資格の創設の動きが見られ、国家資格が定められた場合、国及び都のスクールカウンセラーの要綱もそれに応じた見直しが必要となります。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○今村委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○島田委員 今のスクールカウンセラーについての請願について、幾つか質疑をしたいと思います。
 昨年の新聞記事ですが、東京都の教職員が心の病で休職した割合が、全国平均よりも高いということが取り上げられたと思います。学級崩壊、集団のルールに従わない、友達がいない、学級の中で居場所がないなど、多様な課題が教育現場にあり、学校現場への要求がふえ、教職員はストレスで疲弊しているというふうによく聞いております。
 都議会民主党、我が会派では、昨年の第三回定例会で、こうした状況を踏まえ、代表質問で、カウンセラーに求められる役割と期待は非常に大きく、児童生徒の学習面や生活面も含めた予防対応のできるスクールカウンセラーが求められているというふうに指摘いたしました。
 そして、今回、請願にありますカウンセラーに準ずる者の採用については、この請願でも我が会派の議員が紹介議員になっておりますが、我が会派も多く賛同いたしまして、そしてまた、ほかの会派からもその趣旨に賛同し、カウンセラーの採用については臨床心理士のみならず、カウンセラーに準ずる者も含めて幅広く公募し、活用する旨の意見が出されております。
 このような観点から質疑をしたいというふうに思います。
 まず、学校における相談業務はどんなことをいうのか、お伺いいたします。

○坂本指導部長 スクールカウンセラーの相談業務は、いじめや不登校、問題行動の背景となっている児童生徒の不安や悩みへのカウンセリング、子育てに関する保護者への助言、援助、また、学校における相談体制を充実させるための教職員への助言、援助など、心の問題に関して深く広範囲な内容でございます。

○島田委員 今ご答弁いただきましたが、カウンセリングや相談が行われているわけでありますが、都はカウンセラーとして臨床心理士の方々を中心に採用しておられます。臨床心理士は心の病の治療ということに重きが置かれておると思います。その方法は、個人面接を中心とする心理療法が主であるというふうに思います。
 ただ、学校における相談業務は、心の病の治療もありますが、特に重要なのは、問題発生の予防、成長発達の指導であり、個別指導のみならず、時には、学校教員や保護者などと連携し、集団指導なども取り入れながら指導していくことが重要だというふうに考えております。
 アメリカのスクールカウンセラーは、ガイダンスカウンセラーと呼ばれ、臨床心理士とは区別され、多くの学校で活躍されております。
 請願にもありますが、ガイダンスカウンセラーは、学習、人格、社会性、進路、健康など、子どもの発達課題に対応し、個別面接だけでなく、教室で集団に働きかけ、集団を育てることで個の成長を促す、積極的な指導ができる専門家というふうにいわれております。
 日本のスクールカウンセリングは、これまで、不登校、いじめなどの問題処理型を主にしてきたというふうにいわれますが、現在は、学級崩壊、集団のルールに従わない、先ほど申し上げました友達がいないなど、多様な課題を解決するために、子どもの発達課題に応じた多様な対応法が求められるというふうに思っております。
 このような観点からも、準ずる者といわれているようなガイダンスカウンセラーの方々の力もかりる必要が私はあるというふうに思っております。
 では、ここでは、学校がスクールカウンセラーに期待するものとは何なのか、お伺いいたします。

○坂本指導部長 学校がスクールカウンセラーに期待していることは、配置校からの報告書等によりますと、大きく分けて三点ありまして、第一は、児童生徒とのカウンセリングを通じ、心理面から子どもが抱える問題行動の原因を見抜き、校内で教員と連携し、問題行動の予防的な対応に取り組むこと。第二は、問題行動が起きた場合には、学校の相談体制の核となり、教職員に心理の専門家としての立場からの助言を行うとともに、継続的に児童生徒の心のケアに努めるなど事後対応にも取り組むこと。第三は、学校が教育相談の充実を図り、児童生徒の指導を組織的に行う体制づくりの中心的役割になることでございます。

○島田委員 今ご答弁いただきましたが、その三つの点の中で特に学校側で望むことというのは、校内で教員と連携したり、学校の相談体制の核となる、児童生徒の指導を組織的に行う体制づくりになるというようなことで、単に相談室に閉じこもるのではなく、本当に相談室から出て、学校側とともに問題解決するというようなカウンセラーさんが学校に求められているのかなというふうに思いますが、今申し上げたとおり、現職教師が期待する活動内容は、不登校やいじめ、情緒的に不安定な児童生徒の対応のみではありません。反社会的な行動、LD、ADHDなどの問題、学級経営、学級活動の進め方など、集団的指導の視点からの援助も必要だと思います。
 児童生徒、保護者に対する講話、外部の専門機関と連携する際の窓口機能、教員研修の講師というようなことで、先ほど申し上げたとおり、カウンセラーがこの相談室の中にずっといるのではなく、時には相談室から出て、学校教職員と一体となって、学校全体のカウンセリング機能を高めていくことにつながる形で、学校全体の教育活動の向上に寄与する活動を強く求めているというような調査もございます。
 東京以外の各県では、臨床心理士以外のスクールカウンセラーに準ずる者、この方々を採用し、今述べたような学校全体の教育活動の向上に効果を上げている例が見られております。
 文部科学省は平成十三年、十四年に、カウンセラー配置による事業効果に対する検証を行い、一校当たりの問題行動の減少率を調査いたしました。この調査で、臨床心理士を中心としたスクールカウンセラーのみを配置した自治体が一一・七%問題が減少したのに対し、準ずる者を三〇%以内配置した自治体は一六・八%減少、準ずる者を三〇%以上配置した自治体では三〇・四%減少という驚くべき調査結果が文部科学省で出ているわけであります。
 この調査では、臨床心理士を中心に配置した自治体よりも、カウンセラーに準ずる者を多く配置した自治体の方において問題行動が大きく減少しているという文部科学省の結果が出ているわけであります。
 この結果ですけれども、これは都教育委員会がどのように認識しているのか、そして、なかなか難しいと思いますが、何でこんな結果が出たのか、考えられるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

○坂本指導部長 ご指摘の研究の成果については、把握しているわけではありませんのでコメントすることはできませんが、学校における教育相談はスクールカウンセラーのみが行うものではなく、教員と連携した取り組みになって初めて効果があらわれるものであると考えております。
 したがいまして、不登校等の改善等に成果が見られたことは、単に配置された人材の成果ということはできず、準ずる者と臨床心理士との比較でどちらがより効果的であるかということには、直接はつながらないのではないかというふうに考えております。

○島田委員 この調査は、ある意味で比較をするためにやっていまして、これは準ずる者を多く配置した学校の方が、自治体の方が成果が実際に上がっているということは、重くこの調査結果を受けとめる必要があるのではないかなというふうに私は思っております。
 そして、何でこういう結果になったというふうに私なりに考えてみました。これは、先ほど、私も今ずっと申し上げてきたんですけれども、臨床心理士の方々はどちらかというと、繰り返しになりますが、個人面接を中心とした心理療法が主なんですね。活動の中心は相談室であります。そういう面で、なかなかほかの教職員の先生方と一体となった取り組みができにくいのではないかなと。これは決めつけるわけじゃないですけれども、そういうふうに考えられるのかなと。
 一方、準ずる者は、教員経験者が多く、教員現場をよく理解し、学校の現場と一体となって問題解決に取り組めることができ、この点で私はこういう成果が出たのではないかなと、そんなふうに、これは私の勝手ですけれども、思っているわけでございます。
 神奈川県の相模原市では、スクールカウンセラーを臨床心理士に限定せず、準カウンセラーを含めて広く募集し、効果を上げているということを聞いておりますし、千葉県についても準ずる者を採用して成果を上げております。
 都道府県の準ずる者の採用の表がここにあるわけですけれども、準ずる者を採用していないところは本当に一部ですね。日本の本当に多くの都道府県で、都は採用していませんけれども、カウンセラーに準ずる者をかなり多く採用しておりまして、日本全体では千百三十人の準ずる者の方々がもう既に現場でカウンセラーとしてご活躍されて、成果を上げておるという現状があるというふうに私は思っております。
 また、請願にもあるように、さいたま市教育委員会では、スクールカウンセリング推進協議会と共同して、平成十八年から二十三年の間、人間関係プログラムの実践研究を行った。その結果、小中高における不登校、暴力行為、いじめの発生件数が明らかに減少しているというデータもございます。
 文科省は、今までいったような調査なども踏まえ、臨床心理士以外の準カウンセラーを積極的に活用するよう自治体に通知しているというふうに思います。全国の生徒指導の主事の方々を東京に集めて、その中で、特に臨床心理士に限定せず、準カウンセラーを含めて、カウンセラーに準ずる者の方々を含めて公募して広く人材を集めるよう、文部科学省はこう明示しているというふうに思いますけれども、東京都では国のカウンセラーの採用の方針、特に臨床心理士だけでなくカウンセラーに準ずる者の扱いについてどう認識されているのか、お伺いをいたします。

○坂本指導部長 国もスクールカウンセラーに準ずる者については、スクールカウンセラーに当たるよりも準ずる者を配置することに合理的な理由がある場合に配置することができると規定しておりまして、優先度はスクールカウンセラーに当たる方が高いというふうに考えております。
 また、国は、どのような資格要件の人材を採用するかについては各都道府県の判断で構わないとしております。

○島田委員 ちょっとニュアンスが違うのかなというふうに思います。二十三年二月三日付の文部科学省から都道府県教育委員会あての文書では、スクールカウンセラーについては二十一年度より、地域や学校の事情を踏まえ幅広い人材の活用や配置などを行えることになっており、事業計画等の提出に当たっては、その趣旨を踏まえ、スクールカウンセラーに準ずる者についても積極的な活用を願いますという通知がされているわけであります。
 そしてまた、平成二十三年一月二十日の生徒指導担当主事連絡会議説明要旨によりますと、平成二十一年度よりスクールカウンセラー等活用事業実施要綱を改正し、これまでスクールカウンセラーに準ずる者の活用は総数の四〇%という縛りがあったところを、縛りをなくし、地域や学校の事情を踏まえ幅広い人材を活用できることにしていますと、平成二十三年度配置に当たっては、その趣旨を踏まえ、スクールカウンセラーに準ずる者についても活用願いますと。
 要するに、四〇%、今まで縛りがあったんですけれども、そういう縛りもなくして、幅広く、もっと多くスクールカウンセラーに準ずる者を使ってくださいというふうな通知も出されているわけであります。
 国の方針では、準ずる者の採用に当たっては、合理的と認められる場合に任用できるという今答弁ありましたけれども、私は、この準ずる者の方々が合理的に任用できる理由は十分にあるというふうに考えております。
 さきに示した調査では、臨床心理士よりも準ずる者を採用したときの方が問題行動が減少しているという調査の結果もあるわけであります。そしてまた、各県では、準ずる者の方たちが現場で活躍し、実績をもう既に残している。埼玉県の例を示したが、さまざまな実証実験も行われ、成果が出ているわけであります。
 東京都では、公募の際、準ずる者の方々、これは現在では応募する資格もないわけであります。応募する資格もない。準ずる者の方々が応募する資格もないわけですね。資格さえもない。
 これだけの理由があるのに、スクールカウンセラーの公募資格にもカウンセラーに準ずる方々が当てはまらないというのは、公平性の観点からいっても大きな疑問を感じざるを得ません。せめて公募され、厳正な試験で不合格というのならまだ理解できますけれども、公募資格にもないというのはどういうことなんでしょうか。
 また、先ほどの二十三年一月二十日の説明趣旨によりますと、スクールカウンセラー募集に当たっては、一部の自治体では外部団体からの推薦により選考しているところもあり、応募することさえもできない者もいて、そういった方々から不満の声があると聞いています。補助金という公金で雇用する以上、多くの方々に公募機会を与え、公平で透明な選考が各自治体においてできるようお願いいたしますというような通知もされているわけであります。
 さきに私、いいましたけれども、学校現場では多様な課題に対応できる人材が求められているというふうに思います。各学校では地域による実態が、それぞれの学校の事情があるというふうに思います。問題行動が多い学校もあれば、いじめの多い学校もあるかもしれない。進路の課題がある学校もあるかもしれません。不適応、中途退学者の生徒が多い学校も、さまざまな学校現場で課題があるわけであるというふうに思います。
 臨床心理士の方々のカウンセラーの得意分野もあるだろうし、また、先ほど申し上げましたガイダンスカウンセラーの方々の得意分野があるというふうに思います。適材適所のカウンセラー配置を行うためにも、文部科学省がいっているように、幅広い人材から公募し、そして、学校の課題に応じそれらのカウンセラーを配置することが、東京の教育レベルを上げていくための一つの方策だというふうに私は考えておりますけれども、都教育委員会のカウンセラーの公募のあり方について改めて見解をお伺いいたします。

○坂本指導部長 学校における児童生徒や保護者からの相談は多種多様でございまして、これらに的確に対応できる専門性の高い人材を配置することが、スクールカウンセラー活用事業を実施する上で第一に優先されることであると考えております。配置時間や配当校数の拡大を望む声も、高い専門性を持つ人材の配置が前提となったものと認識しております。

○島田委員 ちょっと今よくわからなかったんですけれども、もう一度お伺いしますが、それぞれに準カウンセラーも幅広く公募したらいかがかというふうにお伺いしたんですけれども、都教育委員会のカウンセラーの公募の方針について改めてお伺いいたします。

○坂本指導部長 ただいま申し上げましたように、学校における児童生徒や保護者からの相談は多様であります。そのため、スクールカウンセラーとして配置するには、専門性の高い人材を配置することが重要であると考え、現在のところ、臨床心理士をさらに拡大して、準ずる者まで拡大するということは考えておりません。

○島田委員 多種多様なということで私は申し上げて、臨床心理士の方々はどっちかというと心理的な療法にはたけているといったわけですね。それで、ガイダンスカウンセラーの方はまた集団的行動にたけていると。それぞれ学校の事情によってそれぞれ課題が違うわけですから、そうした多様な人材を求めたらどうかなというふうに私は申し上げたわけであります。
 その点についてはご回答にちょっと私は納得いきませんけれども、それでは、今の臨床心理士の方々が非常にすぐれた、そういう効果が上がっていると何か実証、先ほどちょっと私が示しましたけれども、そういう調査結果というのはあるんでしょうか。
 具体的にそういう調査があって、臨床心理士の方々は問題ないと、非常にすぐれて、いろいろな多種多様も、調査したら非常にそういう効果が出ているという結果があればですけれども、何か結果を、データなり調査結果、そういうものをお示ししていただかないと、合理的な理由のところで、何で準カウンセラーが採用されないかと、これを説明できないと思うんですよね。合理的に準カウンセラーが採用されないと、公募にもされないということであれば、何か具体的な客観データをお示ししていただかないと、ちょっと納得できないんですけれども、そういうデータ、検証結果とかそういうものがあったらお示しください。

○坂本指導部長 特別に調査をしているわけではございませんが、スクールカウンセラー配置校からは毎年報告書を受けておりまして、その報告書の中から、臨床心理士による活躍につきましての効果的な内容についての把握をしているところでございます。

○島田委員 ちょっと今の説明じゃあね、具体的な、先ほど客観的なデータといって、ないんじゃ、ちょっとなかなか難しいですね。
 私の方では、先ほどカウンセラーの、例えば全く臨床心理士だけの学校と自治体と、準ずる者が三〇%以内の学校と、それでそういう調査があるわけですね。そうしたら、逆に、臨床心理士さんが少ない学校の方が効果が出なかった、準ずる者以外を配置した学校の方が実際問題行動が減ったという調査があるわけですよね。もう繰り返しになりますが、そういう調査結果を出していただけないと、ちょっとどうなのかなというふうに私は思っているわけであります。
 それで、ちょっと時間もあれですので、スクールカウンセラーは今現状では足りているということなんですけれども、私はそもそもスクールカウンセラーの配置自体、十分でないというふうに思っております。カウンセラーの今実際の配置状況を学校種別配置割合についてお伺いいたします。

○坂本指導部長 平成二十四年度の東京都公立学校のスクールカウンセラーの配置状況でございますが、小学校については小学校総数の約四分の一に当たる三百二十七校、中学校はすべての学校であります六百三十一校、高等学校は約半数に当たる百校に配置しております。

○島田委員 今お伺いしましたけれども、中学校は一〇〇%ですけれども、高校はまだ半分程度、小学校でも少ないというようなことであります。このような観点から考えれば、カウンセラーの需要はもっとあるはずでありますし、臨床心理士さんだけでは十分でないということもいえると思います。
 そして、今はカウンセラーの行く日数というのは週に一回なんですよね。週に一回、これはちょっと足りないなと思います。
 それから、件数ですね。相談件数は、小学校で十三件、平均ですね。中学校で十一・五、高校では八・五件ということで、先ほど申し上げましたけれども、これは、相談室でこれだけの件数を扱うだけで、もうその日は終わってしまいますよね。ほかの先生方と連携したり、問題解決する、本当にそういう時間はないわけですよ。そうすると、もっと、週に一日じゃなくて、二日も三日も、本当にカウンセラーの仕事を充実させるためには必要だというふうに思っておりますし、そういうことも考えなくてはいけないというふうに思います。
 それから、カウンセラーの報酬は幾らお支払いしているんでしょうか。

○坂本指導部長 スクールカウンセラーの報酬は日給四万四千円で、これに加え交通費を東京都の規定に準じて支給しております。

○島田委員 日給四万四千円ということで、月例えば二十日間あれば八十八万円ということですよね、報酬だけで。これはかなり高額な費用になるわけでありまして、これはある県なんですけれども、準カウンセラーの時給はある県では三千五百円というようなことで、これは報酬の額ではないですけれども、準カウンセラーさんは時給三千五百円ということで、基本的にはそういう報酬というのは需要と供給のバランスで決まると考えておりますけれども、準カウンセラーさんを採用すれば大幅に供給がふえるわけであります。
 請願であるように、都内で通勤可能なスクールカウンセリング推進協議会の方が四百四十人いるというわけであります。供給がふえ、費用が下がったとすれば、同じ予算の中でもっとカウンセラーを多く配置できることも可能になるかもしれません。同じ費用の中で、週二回とか、週三回とかという、カウンセラーの日数をふやすこともできる可能性もあるかもしれないわけです。
 そういった点で、これは費用対効果というか、そういったことも考えなくてはいけないと思います。そして、今、結構優秀な先生方で、例えば退職されて再雇用というような形で、教員現場に何か活躍をしたいというような方も多くいるというふうに思いますし、そういうことをぜひ東京で--臨床心理士さんも多いということは、こういうカウンセラーさんの方々、東京の公立学校で私はカウンセラーの仕事をしたいんだと、先生をずっとやっていて長年経験があると、心理的な側面が非常に重要であると、私は東京で育ったので、この東京で何か役に立つことをやりたい、そういう方々って結構いると思うんですよ、カウンセラー。
 そういう方々をやっぱり、臨床心理士の方がいるということは、そういう方々もいっぱいいるんですよね。いろんな大学もありますし、教育系大学もありますし。その面も含めて、やっぱりもっと幅を広く、カウンセラーに準ずる者の方々も入れて公募を行っていただきたいと私は思っております。
 質疑を通して臨床心理士や精神科医など一部の方々に限ってスクールカウンセラーを公募するという合理的な説明は、ちょっと私は得られなかったというふうに思います。
 私は現状の臨床心理士の先生の方々を否定するものでないし、一定の成果が出ているというふうに思います。しかし、るる申し上げた点、他県等でも既にカウンセラーに準ずる方々が学校で活躍されているということで、東京都もぜひカウンセラーに準ずる者を含めて公募し、その中から適材適所、学校の事情に合わせて各学校に派遣することが大変重要なことだというふうに考えております。
 私のところは私学なんですけれども、校長の経験もありまして、実際、私が校長をしていたときには臨床心理士でない方、学校の先生をやっていた方ですけれども、その方を採用して、これは補助金も出ませんので自前で採用しましたけれども、非常によくやっていただいております。
 私もそういう自分の経験からいって、臨床心理士でない方々もカウンセラーを十分学校でできるというふうに思っておりますので、ぜひその点も含めて、私は今回の請願に対しましては採択ということにしていただきたいということを申し述べまして、質疑を終わりたいというふうに思います。ありがとうございました。

○野上(純)委員 請願二四第六号のスクールカウンセラーの採用に関する請願について質疑をしていきたいと思っております。
 学校にはさまざまな課題がございます。不登校とかいじめとか、学力不振、あるいは問題行動、最悪の場合は自殺ということも考えられると思います。あと、発達障害等の課題等、さまざまなことで悩んでいる児童生徒の、その行動の裏側に一体何があるのかを深く受けとめて課題解決を図って、例えば自殺を考えている子であれば、未然防止を図っていかなければいけないと思っております。一人一人の悩みを確かに受けとめ、心のケアを行うことが重要であると考えております。
 東京都教育委員会では、平成七年から学校にスクールカウンセラーを配置し、児童生徒等に対してのカウンセリングを行ってきたところでございますが、このスクールカウンセラー活用事業は、当初は国の委託事業として開始されたのですが、平成十三年度からは補助事業となりまして、現在は国が三分の一、東京都が三分の二を負担しているということでございます。
 このように、本事業は国の補助を受けて実施しているということですから、国がスクールカウンセラーとして活用するのにふさわしい人材を理解していく必要があるのではないかと思っております。まず最初に、文科省がスクールカウンセラーとはどのような資格を持った人材を採用しているのか、お伺いいたします。

○坂本指導部長 文部科学省は、スクールカウンセラー活用事業の実施に当たりまして、その実施要領の中で、スクールカウンセラーとして三つの専門家を挙げております。第一は、財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士、第二は、精神科医、第三は、児童生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識及び経験を有し、学校教育法第一条に規定する大学の学長、副学長、学部長、教授、准教授、講師(常時勤務をする者に限る)または助教の職にある者またはあった者でございます。

○野上(純)委員 一番最初にいわれました、財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士は、これは国家資格ではないということ、あくまでも財団法人の認定資格であるという資格なわけです。
 文科省がスクールカウンセラーとして適した人材として、臨床心理士、あるいは精神科医を挙げているということはよくわかりました。今回請願を出されている方々が創設されましたガイダンスカウンセラーという資格は、スクールカウンセラーに準ずる者というものに当たるということなんですね。このスクールカウンセラーに準ずる者というものの規定があるわけですが、文科省が示すスクールカウンセラーに準ずる者というのはどのような人材を指すのか、お伺いいたします。

○坂本指導部長 文部科学省は実施要領の中で、スクールカウンセラーに準ずる者として三つの要件を示しております。
 第一は、大学院修士課程を修了した者で、心理臨床業務または児童生徒を対象とした相談業務について一年以上の経験を有する者。第二は、大学もしくは短期大学を卒業した者で、心理臨床業務または児童生徒を対象とした相談業務について五年以上の経験を有する者。第三は、医師で、心理臨床業務または児童生徒を対象とした相談業務について一年以上の経験を有する者でございます。
 また、文部科学省はその実施要領の中で、このスクールカウンセラーに準ずる者については、スクールカウンセラーに当たるよりも準ずる者を配置することに合理的な理由がある場合に配置することができると規定しております。

○野上(純)委員 スクールカウンセラーに準ずる者についての規定は、特別な資格がなくても、大学もしくは短期大学を卒業した者で、心理臨床業務または児童生徒を対象とした相談業務について五年以上の経験を有する者と、スクールカウンセラー等活用事業実施要領に記載をされております。
 私ごとで恐縮なのですが、私は目黒にありました都立教育研究所でスクールカウンセラーの中級というのを取得いたしました。これは約一年かけて、毎週土曜日の二時から五時まで、夏季合宿等も含めますと約三十単位で取得をいたしました。また、教育現場で学校教育相談を五年以上担当いたしましたので、準ずる者に該当するかどうか、どうなんでしょうかね、わからないんですけれども、就職のためにいっているのではないんですけれども、専門的にカウンセリングについて何冊も本を出している、この請願にあります國分先生のような大変ご高名な先生等、現場の中で事例研究を通して、また現実の問題と格闘しながらカウンセリングの技法を磨いてきた人、いろいろなさまざまな人がいるわけで、カウンセリングの技法にもかなり差があることも事実だと思うんですね。
 特によく現場でいわれるのは、元気いっぱいの校長とか副校長の管理職だった方が退職をして、教育センターとかに再就職をして、子どもが不登校だからちょっと行ってよというので行ったら、余計悪化してしまったと。それはごくごく一部ですよ、みんなというわけじゃなくて、ごくごく一部の方だと思うんですけれども、本当に専門性がないがゆえに、かえって相談事例を悪化させてしまう等の苦情も寄せられていることも事実だと思っております。
 この専門性については、かなり幅があるんじゃないでしょうかね。先ほど質疑の中で、現在も東京都で小学校三百二十七、中学校一〇〇%、六百三十一校、高等学校百校、合計千五十八校にスクールカウンセラーを配置しているという説明がありました。まだまだ、例えば特別支援学校にも配置をしていただきたいという要望等もございます。子どもの心のケアに当たったり、保護者から子育てに関するさまざまな相談に応ずるなど、高い専門性がないととても務まらない仕事だと思っております。
 相談する立場から考えても、安心して相談できる人材であるかどうかということが大変重要なポイントになるのではないでしょうか。東京都では、スクールカウンセラーとしてどのような人材を任用しているのか伺います。

○坂本指導部長 スクールカウンセラーは、学校において日常的に児童生徒の心の悩みや保護者からの相談に応じるとともに、万が一、学校で事件、事故が起こった場合には、事故後の児童生徒の心のケアにも当たるなど、児童生徒や保護者の心理面からのサポートに大きな役割を果たしております。
 こうしたことから、スクールカウンセラーは臨床心理について高度に専門的な知識や経験が必要であり、心理学を専攻する大学院修士課程の修了を応募要件とします臨床心理士をスクールカウンセラーとして配置しております。

○野上(純)委員 東京都では、高い専門性と幅広い知識と経験を備えた人材として、心理学を専攻する大学院修士課程の修了を応募要件とするという臨床心理士をスクールカウンセラーとして配置してきているということです。一定のレベルの担保というんですか、それを保つために、こういう基準を設けているということだと思っております。
 先ほどの現在の状況についての説明によりますと、東京都の場合、高い専門性を持った人材を安定的に確保することができていますよと、また、現在、スクールカウンセラーの配置に必要な数は充足できているということをおっしゃっておりました。このため、学校における教育相談の質が維持をされていると。それから、児童生徒や保護者が安心してさまざまな問題をスクールカウンセラーに相談できる環境が整えられているということをおっしゃっておりました。
 この間に至るまでも、私も何回かスクールカウンセラーについても質疑をさせていただきまして、できれば一つの教室を与えられてじっとしているのではなくて、たまにはアウトリーチ型で、不登校で悩んでいる、いろんな問題を抱えているところにも出かけていって相談できるようにしてほしいということも要望してきたところでございます。
 またもう一つ、東京都では、臨床心理士という高い専門性を持った人材であっても、一年契約で、毎年選考を受けなければならないという厳しい条件で採用しているということでございます。
 教育現場でもスクールカウンセラーの質が問われ、これは一年ごとの契約であるがゆえに身分は全然安定しません。そのことがかえって、継続して採用されるためには、かなり努力をして、効果がある、人気がある、子どもたちに好かれる、地域の人に大事にされるというような、人格を保っていけるというんではないかと思っております。
 このことは、東京都教育委員会がいかにその質を大切にしているかのあらわれではないと思っております。これからも各学校における教育相談の質の維持を図るために、すぐれた人材の確保をお願いしたいと思っております。
 しかし、一方、子どもの問題行動の背景は多種多様であり、複雑化、深刻化していることから、健全育成上の課題を解決するためには、学校生活において課題の見られる子どもへ直接指導するだけではなく、保護者への支援も行うことも必要ではないかと思います。
 また、協力してくれる人材も、スクールカウンセラーに限定することなく、それぞれの専門性を生かして、さまざまな面から協力していただけることは、学校にとってまことに心強いことだと思っております。現在、こうした学校の教育活動への協力の機会は、東京都に限らず、区市町村においても多く存在するのではないかと思います。
 スクールカウンセラーに準ずる者という、そういう準ずる者の方々の中にも、東京都のスクールカウンセラーとしてではないとしても、児童生徒のために力を発揮していただくことがとてもありがたいことだと感じております。スクールカウンセラーに準ずる者が児童生徒の健全育成の推進のために活動できる場についてお伺いいたします。

○坂本指導部長 東京都教育委員会では、平成二十三年度から、児童生徒への直接の指導だけではなく、その保護者からの相談にも応じる人材としまして、家庭と子どもの支援員の配置を、保護司、民生児童委員や教員OB、心理学系の大学院生等の協力を得て行っております。
 また、学級の荒れ等の問題に対応する人材としまして、都教育相談センターが問題行動サポートスタッフを派遣する事業を行っておりまして、学校や区市町村教育委員会の要請に応じて教員OBや心理の専門家等を派遣しております。
 さらに、区市町村教育委員会で独自の心理職の採用を行っているところもございまして、こうした事業に多くの方々の協力を得ることが、児童生徒の健全育成の推進に欠かせないことだと考えております。
 今後とも区市町村教育委員会と連携し、より一層幅広い人材を活用できるようにしてまいります。

○野上(純)委員 この事業は平成二十三年度から始まったものですけれども、児童生徒への直接の指導だけではなく、その保護者からの相談にも応じる人材として、家庭と子どもの支援員もこれからの大事なカウンセラーの仕事になるものと思われます。
 それからまた、問題行動サポートスタッフも、いざというときに現場に駆けつけてくれて学校をサポートする、また先生をサポートしてくれる、児童生徒をサポートしてくれるという制度として、専門性を生かした活躍の場があることもわかりました。
 それから、区市町村教育委員会で独自の心理職の採用を行っているところもあるというような情報を的確に示していただき、準ずる方々がそれぞれの場所で実力を発揮していただくことによって、この活躍の場も大いに広がっていくものと思われます。
 臨床心理士が治療の分野のプロということで、例えば夜尿症で悩んでいるとか、チック症とか、過去にその原因を求めて、今に至るまでの自分の内面に目を向けて治療していく、解決していく、そういう方途を持っているのが臨床心理士というふうに私は思っているんですけれども、例えば箱庭療法とか睡眠療法とか夢分析など、自分の内面に目を向けて治療していく、そういう治療法には臨床心理士は大変に向いていると思われます。
 しかし、学校教育現場の中で、現在の生活で直面している問題について、例えば人とのかかわりをどうしたらいいかとか、集団とのかかわり、それから、家族との人間関係をどう図っていくのかとか、また地域社会の中でのかかわりという、かかわり論に関しては、成長発達を目的とするスクールカウンセリングではちょっとどうなのかなというふうに思っております。こういうところはガイダンスカウンセラーの先生方が得意とされている分野ではないかと思っております。
 とにかく、情報を積極的に周知していただくことを通して、さまざまな専門性を持った人材の活用が一層推進されると思います。児童生徒の健全育成に結果的にいかに役立つかが大事だと思っております。
 今回請願を出された方々については、こうした東京都の児童生徒の健全育成にかかわるさまざまな取り組みの中で、ある程度実績を積んでいく必要があるのではないかと思っております。現時点での専門性等に対しての評価等がまだまだ未知数であるということで、多分、採用する東京都としても、実績がない中で、いきなりスクールカウンセラーとしての採用と申し出られても、なかなか判断が難しいのではないかと思っております。
 とにかく、さまざまな場面で自分たちの実績を都の枠組みの中で積んでいただいて、やっぱりすばらしいカウンセリングをしてくださるのはガイダンスカウンセラーの方なんだなという、このガイダンスカウンセラーの方はかなり厳しい資格要件を持っている先生方だという、この評判が積み重なっていくことが大事ではないかと私は思います。
 また、先ほど心理職に対する国家資格創設の動きがあることの話もありましたが、こうした国の動向も含めて、これから国がどういうふうにこの資格を決定するかはまだわかりませんので、現時点でのスクールカウンセラーの応募要件にかかわる判断につきましては、私どもは継続審査を求めたいと思います。
 以上でございます。

○畔上委員 それでは、私からも何点か伺います。
 以前、当委員会で私は、文科省が行った学校の相談体制の充実に関するアンケート調査結果では、八割を超える高等学校からスクールカウンセラーの配置、充実を求める声が上がっていること、また相談内容は、不登校にかかわった相談を初めとして、最近は発達障害、精神疾患、リストカットなどの自傷、こういった多岐にわたっていることなどを示して、小中高の全校配置を求めてまいりました。
 都教委もスクールカウンセラーにつきましては、学校内の教育相談体制などの充実に大変効果を上げているという評価をされていて、この間、スクールカウンセラーは充実されてきたわけです。
 こうした中で、ことし一月に発表されました総務省の児童虐待の防止等に関する政策評価書におきましても、小中学校の担当者の八〇・五%が児童虐待の防止などのためにスクールカウンセラーの配置は有効、どちらかといえば有効と回答していることもわかりました。
 さらに、被災地でもスクールカウンセラーは大変大きな役割を発揮している、そういう報告が各地から上がっております。ますますスクールカウンセラーの位置づけが高まっているということを感じているところです。
 先ほど公募方式に変更したというご説明がありましたが、これまでは臨床心理士会の協力を得て募集をして、各学校のスクールカウンセラーを配置していたと。こういう方法を変えて、公募方式にしたということでありましたけれども、そうしますと、公募にした理由は一体どういう理由だったのか、教えていただきたいと思います。

○坂本指導部長 スクールカウンセラーを公募にした理由につきまして、今後の配置校の拡大に伴い、これまでと同様な相談水準を維持しつつ、より安定的に人材を確保するために、公募による選考を導入したところでございます。

○畔上委員 もっと専門性を上げるためだというお話ですが、公募方式をとった結果、臨床心理士だけでなく、ほかの職種の応募が実際にあったのでしょうか。あったとしたら、どのような職種の方がスクールカウンセラーの応募をされたのか、応募状況についてご説明ください。

○坂本指導部長 平成二十四年度東京都公立学校スクールカウンセラーの選考に対しまして、臨床心理士が千六名、大学の教授等が三名の、合計千九名の応募がございました。

○畔上委員 公募方式にして門戸が広がったということは一歩前進だというふうに思います。
 しかし、先ほどもお話があったように、都教委はスクールカウンセラーに準ずる者、いわゆる学校心理士や教育カウンセラーなどのガイダンスカウンセラーは応募することを認めていないということであります。そして、その理由として、準ずる者をスクールカウンセラーとして配置する需要がないからというふうに先ほどご説明していましたが、それはどのような調査によってそうした判断をしたのか、その判断の根拠を示してください。

○坂本指導部長 学校で起きる問題は多種多様であるため、特定の分野に特化した人材ではなく、あらゆる課題に対応できる人材を配置することが必要であります。
 東京都では、こうした学校のニーズにこたえることができる高度に専門的な知識と経験を持つ臨床心理士等で、配置に必要なスクールカウンセラーの数を充足できている状況でありまして、スクールカウンセラーに準ずる者まで広げる必要はないと考えております。

○畔上委員 今のご説明ですと、臨床心理士は都内にたくさんいるから、準ずる者まで活用する必要がないんだという認識なんだなというふうに思いました。
 もちろん、こうした臨床心理士の方の個別相談活動、先ほど来、皆さんからもお話がありましたが、こういう活動が非常に大事だということは、私自身も感じております。
 二〇〇九年の三月に教育相談等に関する調査研究協力者会議では、学校などにおける教育相談の一層の充実が必要だという報告書をまとめておりましたが、それを受けて、先ほど来お話があったように、文科省はスクールカウンセラーの活用事業実施要領の改正を行ったわけですよね。
 この文科省のスクールカウンセラー等活用事業実施要領は、今までは、スクールカウンセラーに準ずる者の枠をこれまでの採用人数の四割までとしていたものを廃止して、合理的理由がある場合には準ずる者を配置することができるんだと、つまり必要なら準ずる者が多くてもいいですよという規定にしたわけですね。そのことをどのように受けとめていらっしゃるんでしょうか。伺います。

○坂本指導部長 スクールカウンセラーとして任用する人材につきましては、準ずる者の割合を一律に数値による枠として設定するのではなく、各自治体の実態に応じて任用できるものとしたものと受けとめております。

○畔上委員 実態に応じてやればいいんだよということであります。先ほどもお話がありましたけれども、文科省は二〇一一年二月三日に各都道府県教育委員会に対して、スクールカウンセラーの活用事業に関しての事業計画書提出の依頼の中で、地域や学校の実情を踏まえて幅広い人材の活用や配置も行い、準ずる者の積極的な活用をお願いしたわけですね。先ほどもそのお話がるるありました。そして、去年の一月二十日にも、生徒指導の担当指導主事連絡会議、ここでも同じようなお願いがされたわけです。
 なぜこうして繰り返し準ずる者の積極的な活用がお願いされているのかというのは、私はやっぱり学校現場からの需要の高さのあらわれであると同時に、すべての子どもたちを対象とした問題発生の予防と、成長発達の指導を行うガイダンスカウンセラーの重要性の認識が深まっているから、だから、そういう積極的に活用してほしいというお願いが何回もされているんじゃないでしょうか。
 子どもたちの状況、学級の状況、学校の状況について情報収集して、分析して、子ども及び環境への援助について計画する。こういう資料を作成して指導に生かすという形をとっているわけですけれども、先ほど来お話があったように、さいたま市でも既に活用されているわけです。
 そもそも、文科省が準ずるという言葉を使っていますけれども、これは学校心理士などの方が臨床心理士よりもスキルが低いんだとか、それから簡単な資格なんだとか、そういうことでは私はないと思うんですね。やっぱり両方とも、先ほどのお話もありましたように、民間資格なわけです。だから、やっぱり子どもたちや学校へのアプローチの仕方の違い、ここが私は準ずる者との違いだというふうに思うんです。そういう点では、制度が確立する、そういう経緯の中で、準ずるという表現が出てきたんだというふうに伺ってもおります。
 子どもたちをめぐる環境というのは本当に厳しくなっております。格差と貧困の拡大、そして親子や友人関係を築きにくい、そういった困難さ、先の見えない不安、こういったものを抱えて子どもたちは大変苦しめられています。個別指導も大変重要で、これまで臨床心理士の方々が果たしてきた役割も大変大きいわけですけれども、同時に、それだけにとどめずに、その子どもたちを取り囲む環境の総体を改善する取り組みも私は必要になっているんだというふうに思います。
 スクールカウンセリングは多様な対処法を必要としている、この認識はあるんでしょうか。伺います。

○坂本指導部長 学校で起きる問題はさまざまでありまして、それらへの対処法も多種多様でございます。そのため、スクールカウンセラーには特定の分野に特化した人材ではなく、あらゆる課題に対応できる人材を配置することが必要であります。このため、都教育委員会は、高度に専門的な知識と経験を持つ臨床心理士をスクールカウンセラーとして配置しております。

○畔上委員 今ご答弁がありましたように、学校で起こる問題は本当に多種多様で、あらゆる角度からのカウンセリングが求められているんだと思います。
 現在のスクールカウンセラーの配置状況、先ほどお話がありましたが、都内でも中学校ではすべての学校に配置になりましたけれども、週一回と。本当に二回にしてほしいというのは校長会からも要望が出されております。
 また、高校はまだ配置は半分です。それから、小学校では約四分の一の配置状況であります。個別指導と同時に、グループ対応や学校組織に対する支援、こういったこともできるスクールカウンセラーもやはり必要だというふうに思います。
 私はスクールカウンセラーの募集枠そのものを広げて、準ずる者も含めて採用して、さらなる学校相談体制の拡充を図る、そのことがやっぱり今求められているし、請願者の意図でもあるというふうに思います。そういう点では請願の採択を主張して質問を終わりたいと思います。

○山内委員 幾つか質問させていただきます。
 これまでのスクールカウンセラーの配置状況や勤務日数等、平成二十四年度から公募による選考を実施した理由についてお伺いいたします。

○坂本指導部長 平成二十四年度の東京都公立学校のスクールカウンセラーの配置状況でございますが、小学校は二五%に当たります三百二十七校、中学校は全校の六百三十一校、高等学校は五三%に当たる百校の合計千五十八校となっております。
 スクールカウンセラーは週一回、一日七時間四十五分、年間三十五回勤務しております。
 今後の配置校の拡大に伴い、これまでと同様な相談水準を維持しつつ、より安定的に人材を確保するために、公募による選考を導入いたしました。

○山内委員 スクールカウンセラーの役割についてお伺いいたします。

○坂本指導部長 スクールカウンセラーは、学校におけるカウンセリング等の機能の充実を図り、いじめや不登校等の児童生徒の問題行動等の未然防止や解消に資することを目的としまして、児童生徒へのカウンセリング、子育てや生活指導に関する保護者への助言、援助、カウンセリング等について教員や保護者への助言、援助などを行っております。

○山内委員 学校や保護者からは、相談体制の拡充、相談室の整備、相談しやすさ、予防的対応等の要望が寄せられています。また、スクールカウンセラーからも、学校や保護者との連携などの要望が寄せられています。都立高校の校長先生からは、拡充してほしいという要望も聞いております。
 また、保護者からも全校配置の要望は高く、都からの配置が無理ならば、PTA会費でスクールカウンセラーを雇うことはできないのかという切実な声さえあります。スクールカウンセラーの配置を拡大してほしいという要望が寄せられておりますが、そこで、こうした現場の声をどのように受けとめているのか、お伺いいたします。

○坂本指導部長 都教育委員会では、この制度ができた平成七年度からスクールカウンセラーの配置を始めまして、平成十五年度から中学校の全校配置、平成二十年度から小学校への配置、平成二十三年度からは小学校及び高等学校への配置を大幅に拡大するなど、スクールカウンセラーの配置の拡充を求める声にこたえるべく、着実に配置校をふやしてまいりました。

○山内委員 これまでにスクールカウンセラーについての調査等は実施しておられるのか、お伺いいたします。

○坂本指導部長 学校からの報告書によりますと、学校で起きる問題は多種多様であるため、特定の分野に特化した人材ではなく、あらゆる課題に対応できる人材を配置することが必要であると考えまして、臨床心理士等の高度に専門的な知識と経験を持つ人材を学校に配置することで、学校の要望にこたえております。

○山内委員 子どもを取り巻く状況がますます複雑で、悩みを抱えている子どもがふえている中、スクールカウンセラーの役割は重要さを増しています。
 これまで東京都は、全国の五分の一の臨床心理士が登録しているから数は足りているとして、スクールカウンセラーは財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定にかかわる臨床心理士のあっせんで配置してきました。
 しかし、配置校の拡大に伴い、今年度から応募要件を精神科医、児童生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識及び経験を有し、学校教育法第一条に規定する大学の学長、副学長、学部長、教授、准教授、講師または助教の職にある者またあった者の公募による選考を導入いたしました。この公募としたことに一定の評価はいたします。
 今回の請願は、文部科学省の選考の範囲内で東京都の公募対象を広げてほしいというものです。文科省は、臨床心理士だけでなく、スクールカウンセラーに準ずる者、つまり心理臨床業務または児童生徒相談を対象とした相談業務についた経験のある者も、スクールカウンセラーの選考の対象としてよいとしています。
 学校現場や保護者から日常的にスクールカウンセラーを配置してほしいという強い要望があるにもかかわらず、いまだに全校配置になっていないばかりか、配置されている学校でも週一日では到底足りていません。東京都は、学校の要望にこたえていると説明をいたしますが、要望に十分こたえているとはいえません。
 この問題を解決するためには、まず実態を把握し、課題や要望を明らかにするため、児童生徒、保護者、スクールカウンセラー、学校関係者等、アンケート調査を行うことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○今村委員長 発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立を願います。
   〔賛成者起立〕

○今村委員長 起立多数と認めます。よって、請願二四第六号は、採択と決定をいたしました。

○今村委員長 次に、陳情二四第一七号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○谷島地域教育支援部長 陳情二四第一七号、東京都教育委員会の晴眼者とともに学ぶ視覚障害者教養講座の継続・拡充に関する陳情について説明申し上げます。
 本陳情は、豊島区、東京視覚障害者協会代表栗山健さん外百一人から提出されたものです。
 陳情の趣旨は、東京都教育委員会の晴眼者とともに学ぶ視覚障害者教養講座を継続、拡充し、視覚障害者の社会教育を推進していただきたいというものでございます。
 これに関します現在の状況でございますが、晴眼者とともに学ぶ視覚障害者教養講座は、視覚障害者に対し、教養を高め日常生活を豊かにするための学習機会を提供するとともに、晴眼者と視覚障害者との相互理解を図り、視覚障害者の自立と社会参加を促進するため、広域的行政の役割として東京都教育委員会が実施しているものでございます。
 平成二十三年度の実績は、年十二回、各定員五十名で実施いたしまして、年間の定員数六百名のところ、参加者数は四百七名でございました。
 テーマの設定や講師等の講座内容及び実施規模につきましては、当事者のニーズや過去の実績等を踏まえ、実施回数の設定や最新の情報等を障害者にわかりやすく伝えるための資料の工夫など、内容の充実を図っております。
 また、広報につきましても、ホームページへの掲載方法を改善するなど、さらに広く周知を図っております。
 今後とも、参加者のアンケート等を踏まえ、ニーズに合わせたテーマを設定するなど、内容の充実に努めてまいります。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○今村委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○くりした委員 私からは、この陳情に関して意見を述べさせていただきます。
 このたびの陳情は、平成二十四年度の計画の中で、これまで年十二回であった視覚障害者教養講座を十一回に縮小するとの方針が示されたことに対して、視覚障害に関する社会教育が後退することへの危惧が生まれたことから寄せられたものと理解をしております。
 平成二十三年度の取り組み実績と厳しい都財政の状況も勘案してこのたびの回数設定がなされたことは理解できることでありますが、同時に都として、こういった、このたびに寄せられたような不安を丁寧に払拭していくことも大切なことだと思います。
 内容の充実を図るとともに、参加者をふやすよう周知徹底を図っていくこと。また、参加者数が拡大をした際には、再度回数の拡充を検討すること。またそれらを、不安をお持ちの方々にしっかりと説明していくことを要望し、私からの意見とさせていただきます。

○畔上委員 この陳情について、私たち議員のところに、点字によるお手紙もたくさんいただきました。そして、直接お話も伺いました。
 視覚障害者の方々は、同年齢の市民と平等に生活し、社会に参画するためには、三つの不自由と三つのおくれを克服しなければならないといわれました。
 三つの不自由とは、歩行移動の不自由、情報の入手、発信の不自由、就労の不自由で、三つのおくれとは、障害を補う制度と技術開発のおくれ、視覚障害者の持つ障害の啓発と理解のおくれ、差別と偏見などに基づく人権と民主主義のおくれだということです。そして、これらを克服するためには、障害者権利条約の理念と具体化が不可欠なことと同時に、まず視覚障害者自身が学ぶことが大事で、その学びの大事な役割を果たしているのが教養講座なんだということでありました。
 だから、この大切な教養講座の回数を減らすといわれて大変なショックを受けておられる様子でした。この教養講座はぜひ継続して、むしろ拡充して視覚障害者の社会教育を推進してほしいんだという思いから陳情となったと伺ったところです。改めて、長年続けられてきたこの教養講座が、視覚障害者の皆さんにとって本当に大事な生涯学習としての役割を果たしているということを、私自身、学ばせていただきました。
 そこで伺いますが、今年度から視覚障害者の教養講座を一回減らしたその理由というのは何でしょうか。

○谷島地域教育支援部長 視覚障害者教養講座のテーマや講師等の講座内容及び実施規模につきましては、障害者団体の要望や過去の実績等を踏まえ、実施してきたところでございます。
 年間の参加者数は、平成二十二年度四百七十一名、平成二十三年度四百七名であり、過去五年間で見ても五百名に達した年度はなく、年一回分減らした年間十一回の実施、定員五百五十名でも参加者の受け入れには十分余裕がございます。教養講座の効率的、効果的な実施の観点から、平成二十四年度の実施回数は十一回としたところでございます。

○畔上委員 講座参加の過去の実績で回数を減らしたということだったわけですが、定員の八割程度の参加の実績があるのに、定員満杯ではない、だからというのは、私は視覚障害者の方々のことを深く理解していないのではないかといわざるを得ないんですね。
 視覚障害者の方たちは、落ちる、つまずく、ぶつかる、迷うとよくいうそうですけれども、都内の道路や交通事情を考えたら移動には大変なご苦労をされているわけです。
 先日も都内で、視覚障害者の方がホームから転落してけがをされました。この間、ホームからの転落事故で亡くなるという悲しい事件も起きています。
 視覚障害者の方の講座で七割から八割の参加というのは相当なことであって、ましてや雨など降ったり風が強かったりしたら、外出すること自体大変なことなわけですね。だから、実施回数を減らせば参加率がふえるか、そういう単純なものではないわけです。
 そういった意味では、場所によっては参加できない、天候によっては参加者が減る、こういったことがあるのですから、私は参加率で評価するのは視覚障害者の講座にはふさわしくない、そのことをしっかり受けとめていただきたいと思うんです。
 しかも、実際、月一回の日曜日の昼間の講座、ずっと経年的に見てみますと、昨年度は震災の影響もあってか、一昨年に比べて減っているようですけれども、ここ数年、参加者はふえているというふうに伺っています。
 この講座は、都の広報とともに「点字毎日」という視覚障害者の中では一番メジャーな新聞に広告を出していらっしゃるということを聞きましたが、都内各地から幅広い年代の方々が参加していらっしゃるというふうに伺っています。せめて昨年度実績の月一回という回数は減らさないように求めたいと思います。
 また、テーマや講師などの講座内容について、これは充実を図ってきているんだという先ほどご説明がありましたが、その充実内容というのは具体的にはどういうことでしょうか。

○谷島地域教育支援部長 視覚障害者団体からの要望や講座参加者のアンケートの回答等を踏まえてテーマを設定するなど、講座内容の充実を図ってまいりました。今後とも文化財等に触れることができる会場の設定や体験的な内容を取り入れるなど、内容の充実に努めてまいります。

○畔上委員 この講座の魅力を視覚障害者の方々に伺ったんですが、一つには、点字の資料を用意してもらえるということだということでした。区市町村などのほかの講座では、点字の資料まで用意してくれることはないということであります。
 視覚障害者の方は、一般の教養講座にも参加することがあるそうですが、点字を打つ音がうるさいとほかの参加者からどなられたり、点字を理解していないために、その教養講座の講師からも音を立てないようにと注意を受けて戸惑ってしまったという経験も伺いました。
 また、視覚障害者の人数といいますか、総数そのものが多くありませんから、例えば都立の視覚障害の特別支援学校の生徒数、幼稚部から専攻科まで三百人いないわけですね。区や市の単位だと結局参加者が少なくて継続できない、継続しないということになってしまうわけです。だからこそ、都教委が続けられている教養講座は、視覚障害者の皆さんにとって点字の資料で深く理解もできるし、安心して参加できる本当に貴重な生涯学習の場なわけですね。
 資料の工夫という点では、確かに内容の充実も一つだと思います。それはぜひ続けていただきたいという点なんですけれども、先ほど申し上げた実施回数の改善ですね。これとともに、やっぱり講座の内容については、もっと参加者のニーズにも対応する講座内容の充実が求められているんじゃないかと思います。
 社会教育法では、国及び地方公共団体の任務として、すべての国民がみずから実際生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成するよう努めなければならない。また、国民の学習に対する多様な需要を踏まえ、これに適切に対応するために必要な学習の機会の提供及びその奨励を行うことにより、生涯学習の振興に寄与することとなるよう努めるものとするとしています。
 さらに、生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律では、学習に関する国民の自発的意思を尊重するよう配慮するとしていました。つまり、受け身に与えてもらうだけではなくて、国民みずからが学ぶ主体として成長していけるようにすることが大事だということなわけですね。
 参加者からは、また、視覚障害者団体からも講座内容の希望は聞いていますという今ご説明がありましたが、内容を決めることにも、また、講師を決めることにも障害者の人たちがやっぱり参画をして、主体的に講座にかかわる。これが私は大事なんじゃないかと思うんです。
 講座の内容と講師は、今、だれが選定されているんでしょうか。視覚障害者の教養講座の内容選定と講師選定の委員会に視覚障害者の方にも参加していただく、そのことを提案しますが、いかがですか。

○谷島地域教育支援部長 視覚障害者教養講座の内容及び講師選定に当たりましては、あらかじめ運営協力団体である視覚障害者団体からの要望を聴取した上で、地域教育支援部講師等選定委員会を設置し、選定をしているところでございます。

○畔上委員 これまでも講座のテーマは、視覚障害者と防災、総合福祉法というタイムリーなものもあれば、スポーツや音楽鑑賞など、文化に関するテーマなど多彩に行っていることは伺っておりますが、最近は、自然エネルギーについて学んでみたいとか、放射能について知りたい、また、自分たちの医療にかかわりの深いTPPについても勉強してみたいと、こういったさまざまな要望も出ていると伺っています。
 こうした参加者の自発的な意思を尊重する講座にすることこそ、やはり生涯学習の振興に資するというふうに考えます。ぜひ視覚障害者の方々のこうした自発的な意思を尊重していただきたい、そのことを強く要望して、陳情の趣旨採択を主張して終わりたいと思います。

○山内委員 晴眼者とともに学ぶ視覚障害者教養講座を見ますと、講座によっては参加者が多い講座があるようですが、どのように企画を立てているのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 視覚障害者教養講座については、あらかじめ運営協力団体である視覚障害者団体からの要望を聴取しつつ、より多くの方に受講してもらうため、都教育委員会において特定の学習分野に偏らないよう調整し、内容及び講師を決定しております。

○山内委員 我が国においても、ようやく障害者の社会参加が進みつつありますが、まだまだ十分ではありません。
 このような状況のもと、今年度に十一回に削減する計画ですが、これまで同様、実施してほしいという陳情について都はどのように受けとめているのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 本事業は、視覚障害者に対し、日常生活に必要とする諸知識や技術等の学習機会を提供するための重要な事業であると認識しております。
 今年度の実施に当たりましては、規模を年十一回としましたが、過去の年間十二回開催してきた実績においても、年間十一回分の定員五百五十名に達した年度はなく、受け入れには十分余裕がございます。
 今後とも講座については、視覚障害者団体からの要望を踏まえ、触れたり、体感することのできる場所の選定や体験的な学習を取り入れるなど、内容の充実を図ってまいります。

○山内委員 障害があってもなくても当たり前に暮らし、当たり前に社会参加できる社会が求められています。
 教養講座のテーマを見ますと、人気が高いのは、川柳を楽しむ、視覚障害者のための手軽でおしゃれなクッキング、東京藝術大学の赤れんがに触れ、新奏楽堂でのコンサートを楽しむ、茶道体験など教養や趣味、また、視覚障害者、老人ホームの実際など将来の生活にかかわる内容、また、都営交通百年博見学というのもありました。障害のある人みずからが楽しめる場の提供が重要と考えます。
 先日、私は、国立新美術館のセザンヌ展に行きました。そのとき、女性二人が絵画を見ながら、何かひそひそ話されているんです。輪郭や色、形などを耳元でささやいていらっしゃいました。よく見ると、お一人が目の不自由な方だったんです。こうして絵画を楽しむことができるんだということを私も改めて知りました。
 当事者が運営や企画に参加することで、当事者の要望と、こうすれば要望をかなえられるという工夫や提案が生まれ、企画のマンネリの打破や参加の活性化にもつながると思います。ぜひとも社会参加の機会を阻害するようなことがないように要望いたします。

○今村委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立を願います。
   〔賛成者起立〕

○今村委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二四第一七号は、不採択と決定をいたしました。

○今村委員長 陳情二四第二九号及び陳情二四第三〇号については趣旨が同一でありますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○谷島地域教育支援部長 陳情二四第二九号及び三〇号、新都立多摩図書館建設における都立図書館の資料保存機能の充実に関する陳情について説明申し上げます。
 本陳情は、東京の図書館をもっとよくする会代表大澤正雄さんと、都立図書館を考える会代表石井紀子さんからそれぞれ提出されたものでございます。
 本陳情の趣旨は、1、都民の貴重な財産である蔵書を保存する書庫を確保し、将来の蔵書の増加に対応するスペース拡充を可能とすること。2、平成二十四年度から新都立多摩図書館の運用開始まで、都立図書館が一冊しか所蔵しない資料を保存するスペースと管理、出納する体制を確保することという二点について、新都立多摩図書館の建設計画において取り入れ、実施していただきたいというものでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、都立図書館は広域自治体の図書館に期待される高度、専門的なレファレンス機能を発揮し、区市町村立図書館や都民のニーズにこたえるため、区市町村立図書館では収集が困難な専門書や高価本などの多様な資料を収集することにより、都民サービスの一層の向上を図っております。
 そのため、都立中央図書館と都立多摩図書館での重複した資料の収集、保存を行わず、資料収集、保存は原則一点とすることとしております。
 この一点保存の方針に基づき、都立図書館で複数所蔵している資料は除籍し、区市町村立図書館や公立学校などの公共機関で再活用を進めているところです。
 また、都立図書館の資料は、利用者の調査研究に資するため、原則として百年間保存としております。ただし、江戸後期から明治初期の貴重資料である特別文庫資料や東京資料などについては、後世に伝えるため、永年保存としております。
 なお、発行から三十年をめどに資料の点検を行い、内容が古くなり、必要度が著しく劣ったものについてはこの時点で除籍することとしております。
 こうした考え方を踏まえまして、新都立多摩図書館の運用開始まで都立図書館の資料を保存するために必要な管理、出納体制を確保するとともに、新都立多摩図書館の基本設計に当たりましては、中長期的に必要となるスペースを確保するとともに、管理、出納する体制を充実させてまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○今村委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○西沢委員 改めまして、中央図書館の方に先日行ってまいりました。その中で現場の方のお話も聞いてきまして、現場の、特に働いている職員の方々であったり、司書の方のお話などを聞く中で、図書というものを大切に扱うと、保存して管理していくということに対しての熱い思いも私には伝わりましたし、もちろん館長の思いというものも私は感じることができ、そういった皆様が図書館を運営されていることに感謝を申し上げた上で質疑をさせていただきたいと思います。
 二〇〇二年の都立図書館のあり方検討委員会というところで今後の方針が示されたわけでございますが、二〇〇二年の都立図書館のあり方検討委員会報告以降、これまで除籍した資料数、再活用数、廃棄数をお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 平成二十三年度までの十年間で、除籍数は約三十三万冊であり、そのうち再活用されたもの約二十万冊、廃棄されたもの約十万冊、再活用を検討しているもの約三万冊となっております。除籍した資料は、主に区市町村立図書館や公立学校の図書として再活用を進めております。

○西沢委員 十年間で三十三万冊の除籍ということで、年間にすると大体三・三万冊ということでありますが、すべて廃棄されているわけではなく、区市町村の図書館であったり、公立学校の図書としても二十万冊活用されているということを確認させていただきました。
 それで現在、除籍と呼ぶそうですが、図書館からこういった別の場所に移すと、もしくは廃棄するという除籍を実施しているのは、どのような資料を対象に行っているのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 都立図書館では、収蔵対策の一環として、当面、同一資料が複数ある、いわゆる重複本を中心に除籍に取り組んでいるところでございます。

○西沢委員 現在、除籍している資料は、重複本が中心とのことでございますけれども、重複本以外にはどのような資料があるのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 除籍は、重複本のほか、汚れたり、壊れてしまい、修復困難で、資料的価値が著しく下がったものについてもその対象としております。

○西沢委員 わかりました。重複本のほかには、汚れたものとか、修復困難なもので資産価値が著しく下がったものと確認させていただきました。このことは後でまた触れさせていただきますが、現在所蔵している資料の重複本というものはどの程度あるのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 中央図書館と多摩図書館では、平成十三年度まで区部と多摩地域をそれぞれ地域分担してサービス提供していたため、同一の資料を重複して購入しており、少なくとも十万冊以上の重複本があると推計をしております。

○西沢委員 重複本は、十万冊は最低あるということを確認させていただきました。
 質問を続けさせていただきますが、二〇〇六年の都立図書館改革の具体的方策という資料がございます。この中で、資料の保存に対する基本的な考え方ということで、永久に保存するものと百年保存するもの、三十年をめどに点検していくものというものが分けられてあるわけですが、この年限、原則として百年間、先ほども説明の中にありました原則として百年間保存するとありますが、この原則としてというところで、例外というものがどのようなものがあるのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 百年間保存の例外としては、特別文庫資料や東京資料のような貴重な資料を永年保存としております。また、発行から三十年をめどに点検を行い、内容が古くなり、必要度が著しく劣ったため、発行後百年を待たずに除籍する資料や、汚れたり、破損したりして、使用に耐えなくなった資料もその例外でございます。

○西沢委員 発行後百年を待たないで除籍する資料に、汚れたりして使用に耐えなくなったもの、これも百年を待たないで除籍するということであります。
 今回の陳情の中でも、なるべく本を捨てないでほしいという思いが伝わるわけでありますが、資料に耐えなくなったということであれば、その前に貸し出し禁止であったりとか、その保存は既にやられているんだと思うんですが、そういった措置を改めて工夫して、できるだけそういった例外をつくらないように要望させていただきたいと思います。
 そして、永久的に保存するという特別文庫資料や東京資料でございますが、特別文庫資料、東京資料は永久に保存するという大事なものだということだと思いますが、具体的にはどのような資料のことを指すのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 特別文庫資料とは、江戸後期から明治中期にかけての貴重な資料でございまして、例えば重要文化財に指定されている江戸城造営関係図のような絵図面から地図類、和書、にしき絵、すごろくなどであり、約二十六万点を所蔵しております。
 また、東京資料とは、明治元年以降に出版されました江戸と東京に関するあらゆる分野の資料であり、例えば明治期の地図や電話帳、東京市の時代から現在までの都政資料、都及び区市町村の広報紙などであり、図書約二十万冊、雑誌、新聞等約二千六百書を所蔵しております。

○西沢委員 貴重な資料のお話をしていただきました。国会図書館法にもあるように、発行した、出版した本というものを国会図書館でストックされているわけでありますが、こうした重要な資料というのは、まさに都立図書館の役割として重要なものであるというように私も考えます。
 特に、江戸文化というものに関しての研究に、都立図書館を含めた希書が重要な役割を今後も果たすことがあると思いますから、こういった貴重な資料、特別文庫資料、東京資料というものを、永久保存という体制を改めてしっかりとしていただきたいというように感じます。
 それから、発行三十年をめどに点検を行って、内容が古くなったり、必要度が著しく劣ったものを除籍するということでありますが、先ほどからあります内容が古くなり、必要度が著しく劣ったものというのは、具体的にどのようなものを想定しているのかをお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 内容が古くなり、必要度が著しく劣ったものとは、継続的に更新されている目録等で、オンラインデータベースなどの代替検索手段があり、保存資料を参照することなく情報取得が可能なものや、類似の図書が多い分野のものなどを想定しています。

○西沢委員 今思えばもうちょっと具体的にあったらいいなと、答弁いただいたらいいなと思いますが、要するに、オンラインデータベースなどで、ほかにその内容を知ることができるものであると、そういったものに関しては、必要度が著しく劣ったと判断するということだというふうに認識をします。
 同じように、類似の図書が多い分野なども想定しているということですが、具体的に類似の図書が多いというのは何なのかという疑問も出てきますから、職員の皆様の方で、類似の図書が多いと判断してどんどん捨ててしまうというような疑念を持たれないような工夫をしていただきたいというように思います。
 続いて質問を続けます。
 新多摩図書館、新しく多摩図書館ができるということでありますが、これは設計段階ということですが、収蔵能力がどの程度になるのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 多摩図書館の移転改築に先立ち、基本設計業者を選定するプロポーザル契約の公募を行いましたが、その際、業者に示した設計概要では、開架書庫分を含む蔵書数は、約二百八十万冊としたところでございます。
 現在、基本設計を進めており、具体的な収蔵能力は今後明らかにしてまいります。

○西沢委員 まだ詳細はわからないが、二百八十万冊入るというようなことでありました。
 約二百八十万冊ということですが、これからどれくらい図書がふえていくのかというのも重要であります。
 先日行った際には年間約五万冊の図書を買っているという話で、これに加えて雑誌も購入していると聞いておりますが、この雑誌を図書に換算して考えた場合は、図書何冊相当に当たるのか。それも含めて、今現在、図書をどれくらい持っているのかをお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 通常、都立図書館では、雑誌三冊を図書一冊分と換算しておりますので、その例によりますと、一年間で、図書と雑誌を合わせて図書約八万冊相当を受け入れております。
 また、現在の蔵書数ですが、約三百万冊を所蔵しておるところでございます。

○西沢委員 現在、都立図書館の収蔵能力というのが、中央図書館が約二百八万冊、多摩図書館が百三万冊で、合計三百十一万冊の収蔵能力があるということです。
 今ご答弁いただきました範囲だと、三百万冊今持っているということですから、残り十一万冊しかないと、単純に計算すればそういう形になります。
 十一万冊で年間ではどれくらいの図書を買っているのかとお伺いしたところ、今の答弁でも八万冊と聞きましたから、一年とちょっとぐらいしか、もうもたないんじゃないかと、単純に考えると、そういうふうに心配をしてしまうわけでありますが、二十八年度に新たな図書館、多摩図書館を開業するということですから、それまでももたないんじゃないかという不安がありますが、その新多摩図書館ができるまでどのようにしていくのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 現在、重複本を中心に年間約三万冊の除籍を行っておりますので、都立図書館全体での年間の純増数は約五万冊、四年間で二十万冊となります。
 そうしますと、現在の三百と足しまして移転時の所蔵数が三百二十万冊となります。収蔵能力は、先ほどご説明しましたように、約三百十万冊でございます。不足する分につきましては、民間倉庫を活用することとしております。

○西沢委員 民間倉庫を活用していくということであります。そして、除籍していく方針の方は重複本を中心に取り組んでいるというお話がありましたから、民間倉庫はお金もかかりますし、限度もあるんでしょう。
 そうした中で、重複本、二冊ある同一の資料の一冊を廃棄することを中心に何とかしのいでいくというように、私、理解をいたしました。ただ、かなりいっぱいいっぱいの状況であるということもよくわかりました。
 そこで、今、百三万冊入る多摩図書館が新たに二百八十万冊になるということでありますが、新たな多摩図書館の建設によって、今後の都立図書館全体として所蔵冊数の増加分に耐え得る収蔵スペースを確保すべきであるというように考えます。
 新図書館が、まだわからないということですが、仮に約二百八十万冊の収蔵能力を確保できたとして、どれくらいの期間収蔵が可能と考えているのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 多摩図書館の収蔵能力が約二百八十万冊確保できた場合、移転時の多摩図書館の蔵書数に中央図書館の増加分を加味すると、都立図書館全体の収蔵能力は約百六十万冊程度増加いたします。
 これは、現在と同規模の資料を購入し続けたとしても、今後十万冊以上有していると推計されます重複本及び発行後三十年をめどに必要度が著しく劣った資料を除籍していくこととしており、中長期にわたって十分な収蔵能力と考えております。

○西沢委員 百六十万冊収蔵能力が上がるということでありますが、八万冊毎年買って三万冊ずつ除籍をしていけば五万冊ずつふえていくと。計算すると、単純だと三十二年ぐらいになるというようなことで、それ以上はいっぱいになっていくと、これは先ほど答弁がありましたが、重複本、十万冊と推計されていますけれども、これでも追いつかないというような話になる。必要度の著しく劣ったものから除籍をせざるを得ない、こういう状況になっていくことが明らかになっているわけであります。
 もちろん、未来永劫、本を一冊も捨てるなというのは、かなり無理な話かと思いますが、今のこれだけ蔵書数がふえたとしても、百年、二百年安心だというようなものではないというようなことがわかります。
 そうすると、陳情者の心配されるのはもっともなところでありまして、必要なものまで、本当は貴重な資料なんだけれども、そういったものまで捨てられてしまうんじゃないのかというように思ってしまうところは確かなんじゃないのかなというように私は思います。非常に心配になってしまうところはあろうかと思います。
 ですが、今、新たにデジタル化であったりとか、そういった工夫もできることだと思いますし、新たな図書館に関しては、これからまた、具体的には、図書の配置、陳列の仕方というものも工夫をされていくと聞いておりますので、当面は重複本を除籍していくということはわかりますが、将来的にも工夫をして、できるだけ貴重な都民の財産である図書を守っていくということを改めて要望させていただいて、質疑を終わらせていただきます。

○野上(純)委員 陳情二四第二九号と三〇号の新都立多摩図書館建設における都立図書館の資料保存機能の充実に関する陳情について、質疑をさせていただきます。
 まず最初に、中央図書館と多摩図書館での重複した資料の収集、保存は行わないということで、両館の資料収集は原則一点としていますが、そうした方針をとっている理由についてお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 平成十四年一月に都立図書館のあり方検討委員会において、新たな都立図書館の運営体制と機能をお示ししたところでございます。
 具体的には、中央図書館を都立図書館の中心館とし、都立図書館二館が一体となって、効率的な運営とサービスの充実を図るため、両館の関係を地域分担から機能分担に変更し、それぞれが異なる役割を果たすようにいたしました。
 これに伴い、中央図書館と多摩図書館での重複した資料の収集、保存は行わないこととしたところでございます。

○野上(純)委員 中央図書館、多摩図書館の二館が一体としての図書館として機能を発揮していくということはよくわかりました。
 それでは、中央図書館と多摩図書館で、それぞれの機能については、どう違いを持たせているのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 中央図書館は、都立図書館の企画運営の統括機能といった中心館としての役割とともに、都民への高度な情報サービスの提供という観点から、必要な資料や情報を必要な人に的確に案内する、いわゆるレファレンスサービスを高度専門的に実施し、都市東京に関する情報の提供や、都民等の活動への情報支援、区市町村立図書館への協力支援事業を重点的に展開しております。
 また、多摩図書館では、児童青少年資料を中心とするサービスの提供や、学校の読書活動等への支援事業を行うとともに、一般的なものから学術的、専門的なものまで、広範囲に雑誌を収集する全国でも先例のない、東京マガジンバンクを設けております。

○野上(純)委員 それぞれが機能分担をしていることを確認しました。
 中央図書館と多摩図書館の両館で本の収集を一点しかしないということになりますと、所蔵はどちらか一方の図書館ということになり、例えば、中央図書館に行って閲覧したい本が、実は多摩図書館に収蔵されているということもあります。
 機能分担しているので、大まかにはこの本は中央図書館に、この系統の本は多摩図書館と分類されているということなのですが、せっかく予測をして中央図書館に出向いたときに、多摩の方に置いてあったということでは、二の足を踏んでしまうというようなこともあると思うんですが、そうした場合の都民へのサービスについてお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 都立図書館では、都民から電話やメール等での照会に対してレファレンスを行うとともに、インターネットでも都立図書館の資料検索が可能となっております。
 このため、委員ご質問の例示でいいますと、中央図書館で多摩図書館所蔵の図書を利用したい場合には、電話やメール、インターネット等で事前に申し込みをいただき、図書の準備ができ次第、都立図書館から利用者へ連絡し、利用していただくことができます。
 また、区市町村立図書館で都立図書館の資料を利用したい場合には、区市町村立図書館に申し込みを行っていただくと、都立図書館から区市町村立図書館に資料を送付し、利用することが可能となっております。

○野上(純)委員 区市町村立図書館でも都立図書館の資料を利用できるとのことでございましたが、都立図書館は図書館の図書館といわれておりまして、区市町村立図書館にもさまざまな支援を行っております。
 この支援の内容について具体的にお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 都立図書館では、区市町村立図書館が所蔵していない、あるいは入手することができない資料について、都立図書館から必要とする資料を貸し出し、利用者に提供する協力貸し出しを実施しており、都立図書館の協力者が全区市町村図書館の拠点館を週に一回の割合で循環し、資料の貸し出しや返却を行っております。
 このほか、区市町村立図書館の依頼に応じて行う協力レファレンスや、区市町村立図書館職員の資質向上を目指した職員研修の実施などとともに、都立公立図書館の蔵書を横断的に検索できるシステムを構築し、区市町村立図書館の相互対策の促進も図っているところでございます。

○野上(純)委員 平成十八年に公表されました都立図書館改革の具体的方策では、都立図書館の資料について、利用者の調査研究に資するために長期保存することとし、原則として百年間保存するというふうに書いてあります。
 そこで質問ですけれども、百年経過を理由として除籍された本はあるんでしょうか。

○谷島地域教育支援部長 現在までに、都立図書館の資料として、発行後百年を経過したことを理由に除籍した実績はございません。

○野上(純)委員 では、発行から三十年をめどに点検を行って、内容が古くなり、必要度が著しく劣ったものについては、この時点で除籍とするというふうにあるんですけれども、具体的にはどのようなものが対象になるのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 発行後三十年をめどに除籍対象となる資料の例として、継続的に更新されている目録等で、オンラインデータベースなどの代替検索手段があり、保存資料を参照することなく情報取得が可能なものや、パソコンの操作書などのような入門書、実用書、実務書等で類似の図書が多い分野のものなどがございます。

○野上(純)委員 また、平成十八年に公表されました都立図書館改革の具体的方策の中では、江戸後期から明治初期の貴重資料である特別文庫資料や東京資料等については、後世に伝えるため、永年保存としております。
 永年保存するものはやはり東京にとって重要な資料であるからだと思いますが、その本が永年保存とすべき貴重な本なのか否かの判断基準についてお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 都立図書館は、司書資格を有する職員を八十二人擁しておりまして、都立図書館の責任において資料の内容、貴重性や保存状態などを総合的に検討し、最終的に永年保存するか否かを決定しております。

○野上(純)委員 基準となるものは人の判断、判断基準は八十二人の司書資格を有する方々の責任において永年保存するのか、廃棄するのかを決めるという確認でいいですね。
 都立図書館の年間の図書購入の予算はどれくらいなんでしょうか。

○谷島地域教育支援部長 平成二十四年度の年間図書購入予算額は約三億二千万円でございます。

○野上(純)委員 三億二千万円ということで、一冊、高い本も安い本もあります。平均して約四千円、この本を年間購入すると冊数は八万冊ということになります。
 限られた予算の中で必要な資料を効果的に収集していくことは大切でありますけれども、図書館に対する寄贈本も資料収集方法としては有効と思います。
 現在、都立図書館でも図書の寄贈制度を持っているようですけれども、この本の寄贈を受け付けるガイドラインについて伺います。

○谷島地域教育支援部長 都立図書館では寄贈図書について、東京都立図書館寄贈資料取扱方針及び寄贈申出資料の受付に関するガイドラインを策定、公表し、寄贈図書の受け付けを行っております。
 寄贈を受け付ける資料は、東京都立図書館資料収集方針に基づいて、国や地方公共団体、研究機関等が刊行する調査研究書や郷土、特に東京に関する資料、都立図書館で欠号している雑誌のバックナンバーなどであり、都立図書館が現に所蔵していない場合に限っております。
 昨年の例で申しますと、京丹後市教育委員会が発行いたしました京都府京丹後市寺社建築物調査報告書の寄贈をいただいたところでございます。

○野上(純)委員 貴重な本は知的遺産です。知的財産といえます。都立図書館二館で除籍した本の扱いについてお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 除籍した図書等は、汚れたり壊れたりした資料を除き、区市町村立図書館や公立学校等へ提供することを基本として、資料の再活用を図ることとしております。
 平成二十三年度までの十年間で除籍した資料、約三十三万冊のうち約二十万冊の再活用を図っております。

○野上(純)委員 約三分の二の本が除籍した後に再活用されているということで、これは大変にすばらしいことだと思っております。
 陳情者によれば、都立図書館では、非図書資料も含めて年間約八万冊の図書を購入しており、毎年本がふえていく中で収蔵庫の確保も重要であり、今後の都立図書館の保存スペースの確保について計画をされているところだと思いますが、このことについて具体的にお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 多摩図書館の移転改築に係る基本設計業者を選定するプロポーザル契約の公募の際、多摩図書館の収蔵能力として開架書庫分を含む蔵書数を約二百八十万冊とお示ししました。
 現在、基本設計を進めているところであり、具体的な収蔵能力は今後明らかにしてまいりますが、この収蔵能力の拡大とともに、重複本及び発行後三十年をめどに点検し、必要度が著しく劣った資料を計画的に除籍していくことにより、中長期にわたって必要な収蔵スペースを確保できるものと考えております。

○野上(純)委員 二百八十万冊の本を収蔵できるということで、今後、約三十五年ぐらいは収蔵できるんではないかと思っておりますが、それ以上ふえてしまうと収蔵するのが困難になってくるのではないかと心配もいたします。
 そのときには、また新たな収納方法を考えていくしかないということで、現在の保存は書籍の保存ということで、紙をベースとした、いわゆる本を保存していると思うんですけれども、収蔵スペースという観点から、将来的には、本の内容のデジタル化も必要だと思っております。
 デジタル化については著作権の課題等もあるので、いろいろ難しい面もありますけれども、今後そういった計画があるんでしょうか。

○谷島地域教育支援部長 現在、江戸後期から明治時代初期までの資料的価値が高く、広く公開することで調査研究に資することが可能な資料については、当該資料が著作権法の対象外であることもあり、これまで計画的に電子化を進めてきております。電子化を行った資料は、貴重資料画像データベースとして、都立図書館のホームページ上で広く公開を行っているところでございます。
 著作権法が保護の対象としている資料につきましては、一般的には資料の複製物を作成できませんが、欠損、汚れ、破損部分の保管、あるいは損傷しやすいなどの特別の理由がある場合には、法の範囲内において電子化に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、資料の電子情報化につきましては、法律の改正状況などを注視しつつ、適切に対応してまいります。

○野上(純)委員 最後です。
 今までの質疑を通して、要旨である、1の都民の貴重な財産である蔵書を保存する書庫を確保し、将来の蔵書の増加に対応するスペースを拡充すること、2の一冊しか所蔵しない資料を保存するスペースと管理、出納する体制を確保することは達成されたものと思い、これは継続審査とさせていただきます。

○今村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
   午後九時二十七分休憩

   午後九時四十二分開議

○今村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 審査を続行いたします。
 発言を願います。

○畔上委員 先日ある都民の方から、今から七十年前の雑誌で大変自分の人生にとってかけがえのないものがあるので、再び読み返したいと思ってだめもとで都立図書館に問い合わせたら保存されていましたと。さすが都立図書館だと感銘したというお話を伺いました。
 図書館に行けばわかる、見つけられるという信頼感、安心感があるということは、大変大事なことだと感じています。そういう意味でも、本陳情で述べられているように、資料保存機能、これは都立図書館運営の基盤です。その機能をしっかりと確保することが求められているのだと思います。
 しかし、都教委は、以前は一タイトルにつき二点収集していたものを、十年ほど前に一点収集にして、複数あるものを大量に除籍しました。そのとき、区市町村を初め、図書館の関係者から大きな批判の声が上がって、除籍した本が廃棄されたり散逸したりしないようにと、町田市が一時まとめて引き取りました。最終的には、本を民間団体が引き取って保存するという運動にまで発展したわけです。
 二〇〇六年に出された都立図書館改革の具体的方策では、これまで永久保存としていた資料の保存年限を原則百年とする、発行から三十年たった時点で点検して、内容が古くなったり必要度が著しく劣ったものについては三十年でも除籍するという方針が出されたわけです。このときも、書庫がいっぱいだからというけれども、それなら書庫を拡充してほしいという都民の声が上がったわけです。
 百年といえば、例えば夏目漱石が亡くなったのが一九一六年、九十六年前です。百年前の図書資料といったら、むしろ文化的に貴重な財産だといえるんじゃないでしょうか。さらに、三十年前といえば一九八二年ですが、三十年では評価の定まらない、そういった本、いっときは忘れられていても再び注目される、そういった本もたくさんあるんじゃないでしょうか。
 また最近は、インターネットの検索システムが整ったこともあって、以前なら書庫に眠っていた本も貸し出される機会がふえていると伺っています。きちんと資料が保存されている図書館の存在が、一部の専門家だけでなく幅広い都民のさまざまな興味や関心、知的要求にこたえて、文化活動を支えるものとして新たな輝きを放っているというのが、そういう時代になっているというのが今じゃないかと私は思います。
 こうした経緯を考えれば、陳情者の方がせっかく多摩図書館を新しく建てるんだったら将来を見据えた十二分な書庫を確保してほしい、そして都民の知的財産として図書館の役割を発揮できるようにしてほしいと願うのは当然だというふうに思っております。
 そうした立場から何点か伺います。まず、話が前後するようで申しわけないんですが、陳情項目の2の、新多摩図書館が開館するまでの資料保存スペースについてです。現在の都立図書館の収蔵余力がどのくらいあるのか改めて伺います。

○谷島地域教育支援部長 現在の都立図書館の収蔵能力は、中央図書館が約二百十万冊、多摩図書館が約百万冊、合計約三百十万冊となっております。一方、都立図書館の所蔵数は約三百万冊でございます。したがって、現在の都立図書館の収蔵能力から所蔵数を差し引きますと約十万冊となります。

○畔上委員 それでは、現在の年間増加冊数、また、新多摩図書館が開設される二〇一六年度の時点での都立図書館の所蔵の冊数はどのぐらいを見込んでいらっしゃいますか。

○谷島地域教育支援部長 平成二十三年度の受け入れ資料数は、雑誌を図書に換算いたしますと、全体で図書約八万冊でございまして、除籍数が約三万冊でございます。したがって、都立図書館における一年間の資料の純増加冊数はおおむね五万冊程度となります。
 毎年約五万冊が多摩図書館移転までの四年間に増加していくと仮定した場合、現在より約二十万冊の増加となります。これを現在の所蔵数約三百万冊と合わせますと合計約三百二十万冊となります。

○畔上委員 今のご説明でも、三百二十万ということは、新図書館が開設までに十万冊分の書庫が足りないということになるわけです。先ほどのご答弁では、民間倉庫を活用するというご説明でありましたが、そのスペースをしっかりと確保して、管理、出納する体制の確保を求めたいと思います。
 それから、今のご答弁では、一年で三万冊、四年間で十二万冊も除籍することを前提の計算をされていました。この間、三十三万冊も複本等を除籍したわけです。そして今、一タイトル一冊しか買っていません。なぜ十二万冊も除籍できるのか。
 先ほど、除籍できる複本は少なくとも十万冊はあると推計しているというご答弁がありました。そういう複本のリストというのは、それではあるんでしょうか。リストの資料は出せるんでしょうか。

○谷島地域教育支援部長 都立図書館におきまして図書検索システムを構築しておりますが、重複本の検索等につきましては、実物等の一部確認も必要でございますので、あくまで推定ということで先ほど十万冊というお答えをいたしました。

○畔上委員 それでは、十万冊というのは、あくまでも推計だということですね。リストはないけれども、百歩譲って複本は十万冊だということでありますから、単純計算ですが、発行してから三十年を目安に資料の点検を行って、内容が古くなり必要度が劣ったものというのは二万冊除籍するというふうになるわけですよね。今の計算でいけば。
 たった一つしかない図書資料、これは年月がたつほどむしろ調査研究には貴重な資料となるわけで、少なくとも一タイトル一冊、これしかない資料、図書は除籍するなどということは行わないように要望したいと思います。
 次に、収蔵の、蔵書の増加に対応するスペースの拡充についてですが、先ほど新多摩図書館の収蔵容量、これは、設計概要では約二百八十万冊だというご説明がありました。そして今後具体的に明らかにしていきたいというご答弁でした。
 ということは、いつこれを明らかにするんでしょうか。基本設計でそのスペース、そして蔵書冊数を明らかにするということでよろしいんでしょうか。

○谷島地域教育支援部長 基本設計では床面積が明らかになりますが、蔵書につきましては、図書の収蔵方法によりまして多少の幅がございます。そういう意味で基本設計が終わった段階で直ちに収蔵能力が確定するわけではございません。

○畔上委員 ということは、実施設計の中で明らかになるというふうに理解してよろしいんでしょうか。

○谷島地域教育支援部長 収蔵能力につきまして、基本的にはそのように考えておりますが、まだその段階に至っておりませんので、本日の段階で確答はいたしかねます。

○畔上委員 今の収蔵能力が百万冊のところが、設計概要での二百八十万冊となったとしますと、百八十万冊ふえるということになるわけですね。先ほど、除籍前提でもちますよというご説明があったんですけれども、複本というのはもう除籍してしまっているわけですから、毎年八万冊ふえるわけですね。そうすると結局、新多摩図書館が開設してから二十年ぐらいしかもたない。そういうことになるわけです。私は、その先どうするんだろうかと大変心配です。
 都立の多摩図書館の長期収蔵計画、これはやっぱりしっかり持つべきだと思うんですが、いかがですか。

○谷島地域教育支援部長 多摩図書館の移転改築に伴う収蔵能力の拡大とともに、重複本や、発行後三十年を経過し必要度が著しく劣った資料を計画的に除籍することにより、都立図書館全体としての中長期に必要となる保存スペースを確保できると考えております。

○畔上委員 今のご答弁は保存の基本的な考え方に沿ったご答弁だったわけですが、私は改めて過去の議事録を読んだんです。永久保存するとしていた本を一タイトル一冊にした十年前ですね。二〇〇二年二月十九日の文教委員会の議事録を読みますと、そうはいっても必要のある資料については複本も設けますと。つまり、一冊でなく二冊所蔵するというふうになっていたわけです。
 ところが、その四年後の二〇〇六年の改革の方策では、複本は精査の徹底をすると。つまり、二冊あるものは徹底的に除籍して一冊にすると変わってしまいました。
 そして今、三十年経過した資料で必要度が著しく劣った資料を計画的に除籍すると。つまり、三十年で不要と判断したものは除籍するというふうになるわけですね。結局、書庫の都合で収蔵方策が変わってしまう、保存の対象が狭められていると、これは私は大変不安なことだというふうに思います。
 むしろ、都内に一つしかない、そういう図書、本、及び資料についてはきちんとストックをして調査研究に資するのが都立図書館の本来の役割じゃないんでしょうか。どうなんでしょうか。

○谷島地域教育支援部長 中央図書館と多摩図書館とが一体となって効率的な運営とサービスの充実を図るため、両館での重複した資料の収集、保存は行わないこととするとともに、保存年限の考えをお示ししたところでございます。
 今後とも都立図書館は、都の広域的、総合的な情報拠点としての役割を果たしてまいります。

○畔上委員 その広域的、総合的な情報拠点としての役割を果たせないんじゃないかというふうにいってるわけです。
 二〇〇六年の都立図書館の改革の収蔵対策によりますと、中期的な対策として資料の媒体変換の収蔵施策を行いますよといっています。電子化、CDなどによるデータ化、先ほどもご説明がありましたけれども、これは有力な収蔵手段だと私も思いますが、現時点では、先ほどのご説明では、法制上、都に著作権があるものに限っての電子化しかできないわけですよね。そうすると、都に著作権のないほかの媒体変換の計画というのは、具体化、あるんでしょうか。

○谷島地域教育支援部長 現在、江戸後期から明治時代初期までの資料は著作権法の対象外であることから、資料的価値が高いものにつきまして計画的に電子化を進め、ホームページ上での公開を行っているところでございます。
 一方、著作権法の対象となります資料については、例外はありますが、一般的には資料の複製物を作成できる状況ではございません。今後、法改正の状況などを注視しつつ、それに応じて適切に対応してまいります。

○畔上委員 つまり、一般の資料については電子化の具体的計画は今のところないわけですよね。やはり今の現状では、紙媒体での資料の保存スペースをきちんと確保することが必要なわけです。
 港区にある都立の中央図書館についてですけれども、同じく二〇〇六年の都立図書館改革の収蔵対策によりますと、長期的には中央図書館の改築において、都立図書館として目標とする収蔵能力を備えた新館の建設を目指すというふうにこの改革ではなっていました。現段階で中央図書館の改築計画はあるんでしょうか。

○谷島地域教育支援部長 現時点で中央図書館の改築計画はございません。
 なお、現在、多摩図書館の移転改築を進めているところであり、その中で都立図書館としての役割を果たすために中長期的に必要となる収蔵スペースを確保していくこととしております。

○畔上委員 今のところ都立の中央図書館の改築計画もないと。なおさら新多摩図書館の収蔵能力を高めなければならないし、図書資料を除籍せざるを得ないというようなことにならない、そういう長期収蔵計画の策定を強く求めたいと思います。
 区市町村立の図書館との関係でも都立図書館としての役割が強く求められているのに、協力図書の貸し出しもこの間減少をしております。この五年間で協力貸出数が減少している、これはなぜなんでしょうか。

○谷島地域教育支援部長 都立図書館では、区市町村立図書館を支援するため、都内公立図書館の蔵書を横断的に検索できる図書館横断検索システムを構築し、ホームページ上で公開する一方で、区市町村立図書館相互における資料の貸借を促進するなど、図書館のネットワークづくりに取り組んでおります。
 また近年、区市町村立図書館の蔵書数も充実してきております。こうした取り組みによって、協力貸し出しの件数は減少しておりますが、都内公立図書館全体の利便性はむしろ向上してきていると考えております。

○畔上委員 協力貸出数の減少は利便性の後退です。東京は区市町村立図書館も多くあること、これはそのとおりだというふうに思いますが、都立図書館とは役割が異なる部分もあって、都立だからこそ持っている図書資料があるわけです。
 先日、五月十九日付の朝日新聞に、都立図書館の蔵書保管効率化についての記事がありました。「たった一冊しかないと、図書館員は保管と貸し出しの板挟みに苦しむ」とありました。私もそれが実態ではないかと思いました。
 その記事の中でも、元図書館長で大学教授の方が図書館の図書館たる都立図書館は万が一のことも考え、複数保管すべきだ、こう指摘されていましたが、私もそのとおりだと思いました。一タイトル一冊という方針は本当にどうなのか、改めて検証して、本来見直しこそすべきだと考えます。
 少なくとも、都内には一冊しかない、そういう図書資料を三十年で精査するなどと除籍することは絶対にやってはならないことだと思います。区市町村立の図書館の資料の除籍について事前にお伺いをいたしましたら、合わせて年間約百八十万冊が除籍、廃棄されているということでありましたが、貴重な、都内に一冊しかないものが廃棄されているんじゃないかという懸念も当然生まれてくるわけです。その点の連絡調整はどうしていらっしゃるんでしょうか。

○谷島地域教育支援部長 都立図書館では、都内の全公立図書館の蔵書を網羅した検索システムを公開しており、区市町村立図書館においても都内の全公立図書館の蔵書状況を調査することが可能でございます。
 区市町村立図書館も資料の除籍、廃棄に当たっては、このシステムを活用し資料の希少性などに十分留意しているものと考えております。
 なお、都立図書館と区市町村立図書館とで構成される東京都公立図書館長連絡会などを活用して情報共有にも努めているところでございます。

○畔上委員 区市町村でも一冊しかない希少な図書や資料、これかどうかというのは、捨てる前に、廃棄する前に考えているでしょうということで、連絡調整はするといっても最終的には区市町村の姿勢次第ですよというご答弁だったわけです。
 私は、都内の資料保存について、やはり都がしっかりイニシアチブを発揮することが重要なんだと考えます。ほかの県立図書館はどうなのか、一部調べてみました。
 例えば愛知県立の図書館の今年度の方針を見ましたら、役割分担として市町村で購入した資料、図書も最終的には県立図書館で保存、そして管理する方針を打ち出していました。滋賀県立図書館においても、県全体の資料保存能力を高めるために、県が市町村立の図書館にあって県立図書館にないものは県立図書館に受け入れて、県で一冊は必ず残すんだと。ちなみに、本や図書はすべて永久保存をするということでありました。
 都立図書館も都全体の資料保存能力向上に努める必要があると思いますが、いかがですか。

○谷島地域教育支援部長 区市町村立図書館の資料の収集、保存方法は、各自治体がそれぞれの実情に合わせて定めているものでございますが、都立図書館では、区市町村立図書館職員の専門知識や製本技術の向上のための研修を実施し、情報提供などの支援も行うことにより、区市町村立図書館の資料保全能力の向上に努めているところでございます。

○畔上委員 残しておきたい本の修理は教えますよと。しかし、残すかどうかは、結局は区市町村の判断ですよということなわけですね。
 私はもっと都教委として、都立図書館が都内の図書資料の保存に力を発揮する、そういう姿勢を持っていただきたいというふうに思います。そして、都全体の資料保存能力を高めるために、都内公共図書館が所蔵する資料のデータの集積と調査を都が責任を持って進めるとともに、愛知や滋賀のように最終的には都が保存するスペースをきちんと確保するとか、あるいは区市町村が保存する場合であってもきちんと協定を結ぶとか、都民の財産として確実に保存と活用がなされるようにしていただきたい。そのことを強く要望したいと思います。
 陳情は趣旨採択すべきだということを申し述べまして、質問を終わります。

○山内委員 幾つか質問いたします。
 都立多摩図書館の施設整備の概要によりますと、都立多摩図書館分として現収蔵庫スペース約百万冊分が満杯となり、約二十万冊を外部の民間倉庫に保管、収蔵庫の限界を超えている状況と記載があります。
 現在、中長期的に都立図書館に必要な収蔵能力を備えた収蔵庫を設置するため、二〇一六年三月を目標に都立多摩図書館の移転計画、施設整備が進められて、ことし七月に基本設計、その後、実施計画に着手すると聞いています。
 そこで、新多摩図書館の建設に当たって、今後都立図書館として必要な保存スペースを確保していくことが必要ですが、どの程度を必要と考えているのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 多摩図書館の移転改築に係る基本設計業者を選定するプロポーザル契約の公募の際、多摩図書館の収蔵能力として、開架書庫分を含む蔵書数を約二百八十万冊とお示ししました。具体的な平米数、蔵書冊数につきましては、現在基本設計を進めているところでございまして、今後明らかにしてまいります。

○山内委員 先ほど申し述べました概要によりますと、保存部門の面積、平成二十三年一月に公表した都立多摩図書館の施設整備についてを見ますと、保存部門の面積は四千平米としましたというのは、それはよろしいでしょうか。

○谷島地域教育支援部長 平成二十三年一月に公表いたしました都立図書館の施設整備についてでは、保存部門の床面積として四千平米とお示ししたところでございます。

○山内委員 都立図書館の役割は、広域的かつ総合的に資料及び情報を収集、保存し、都民の調査研究及び区市町村立図書館を支援することであり、図書館の図書館としての役割を担うとしています。
 今後の都立図書館のあり方等の報告によりますと、平成十四年度には都立図書館三館蔵書数二百五十八万冊、平成十五年度末には中央図書館が、平成十八年度末には多摩図書館が満杯になる見込みであるとか、平成十六年度末現在、都立図書館所蔵能力は三百十二万冊で、収蔵状況は二百八十八万冊であり、限られた書庫スペースでは数年後に満杯になってしまう見込み。
 都立図書館に課せられた役割を適切に果たしていくためにも貴重資料の保全を図るとともに、今後の収蔵対策を早急に検討する必要があるとされ、収蔵計画を検討し、中期的な所蔵対策としては、書庫棟の新たな建設計画の推進、長期的には将来中央図書館の全面改築時、都立図書館の機能を十分に果たすことができる規模の収蔵能力を備えた新館の建設を目指すとしていました。
 そこで、都立図書館の年間資料購入数、現時点での所蔵数、収蔵能力はどのぐらいあるのか、また、都立日比谷図書館の千代田区移管に際して、都立図書館が所蔵すべき図書については移管されずに実際に都立図書館として保存しているのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 都立図書館では、雑誌を図書に換算いたしますと、図書約八万冊相当の資料を受け入れており、所蔵数は約三百万冊となっております。
 また、図書館の収蔵能力は、中央図書館が約二百十万冊、多摩図書館が約百万冊、合計約三百十万冊となっております。
 日比谷図書館移管時におきましては、その当時の所蔵する図書をそのまま移管いたしました。

○山内委員 済みません、ちょっと私の聞き間違え、移管前に既に都立図書館の所蔵、移管--済みません、もう一度、日比谷図書館の所蔵について、お伺いしていいですか。

○谷島地域教育支援部長 日比谷図書館の千代田区への移管につきましては、移管前に収蔵状況を調査した上で、当時の移管時期の所蔵する図書を千代田区にそのまま移管いたしました。(「移管したんですね」と呼ぶ者あり)千代田区にです。
 日比谷図書館が所蔵していました資料につきまして、貴重なものにつきましては移管前に既に都立図書館の所蔵としておりました。したがって、移管時にはそのまま移管したところでございます。

○山内委員 一方、資料購入については、平成十八年の具体的方策に都立図書館の収集方針、選定基準に合致する資料は平成十七年度中に約三万六千冊出版されているけれども、その約六割に当たる約二万一冊しか購入できていないという現状があるという記載があります。
 そこで、記載当時の資料購入予算と現在の資料購入予算の変化はあるのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 資料購入予算につきましては、平成十七年度当時は約一億八千万円でございました。平成二十四年度は約三億二千万円となっております。

○山内委員 これまでにどれだけ除籍、再活用、廃棄してきたのか、また現時点では複本はどのぐらいあるのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 平成二十三年度までの十年間で除籍数約三十三万冊でございまして、そのうち再活用されたもの約二十万冊、廃棄されたもの約十万冊、再活用を検討しているもの約三万冊となってございます。また、少なくとも十万冊以上の重複本があると推定しております。

○山内委員 現時点では複本のみ除籍しているということですが、発行から三十年を目途に点検を行い、内容が古くなり必要度が著しく劣ったものについてはこの時点で除籍しているとしていますが、都立図書館に一冊しかない資料も対象とするものなのか、また、だれがどのように選定し決定していくのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 都立図書館は、司書資格を有する職員八十二人を擁してございまして、都立図書館の責任において永年保存を除くすべての資料を対象に、その内容、貴重性や保存状態などを、総合的に検討し適切に判断してまいります。

○山内委員 複本を除籍することによって、区市町村立図書館との協力貸し出しの際、当該資料が都立図書館で不在になるために来館者が閲覧できないとか、レファレンスで資料に基づいた回答ができないという課題が出てきているとも聞いております。
 都立図書館の資料は、保存とともに広く利活用されることも大切です。平成十四年の今後の都立図書館のあり方での方針決定以降、都立図書館の区市町村立への協力貸し出しに変更はあったのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 都立図書館から区市町村への協力貸し出しの期間につきまして、平成十六年に三十五日間から二十八日間に短縮を図ったところでございます。これは、多くの区市町村立図書館の利用者への貸出期間が二週間であること、都立図書館と区市町村立図書館の間での往復に要する期間が二週間程度であることなどを考慮し、実態に合わせた期間の設定を行ったところでございます。
 また、資料の破損防止の観点から、一部の貴重本などは区市町村立図書館の図書館内の閲覧にとどめるなどの見直しもあわせて行いました。

○山内委員 外部倉庫に二十万冊保存しても、なお現時点でさえあと約十万冊で収蔵能力を超えてしまいます。年間八万冊収集し、複本は約十万冊ということは、一冊しかないものを除籍対象にしていくことが見えております。
 新多摩図書館の二百八十万冊の収蔵能力は、一見、現多摩図書館の収蔵能力百万冊に比較して余裕ができるように見えますが、年間八万冊収集していくことを考慮すると、開館後二十年待たずに底をつく計算にもなります。外部倉庫の拡充を含め中長期収蔵計画が必要と考えますが、そこで、今後の都立図書館全体の収蔵計画の見通しはあるのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 多摩図書館の移転改築に伴い、収蔵能力を拡大するとともに、今後、重複本及び発行後三十年をめどに、必要度が著しく劣った資料を計画的に除籍していくことにより、都立図書館全体として中長期にわたり必要な収蔵能力を確保してまいります。

○山内委員 都立図書館は毎年自己評価を行っています。自己評価にとどまることなく、第三者の評価も加えるべきと考えますが、見解をお伺いします。

○谷島地域教育支援部長 都立図書館自己評価結果を公表するに当たりまして、外部の有識者で構成されます都立図書館協議会の場で説明し意見をちょうだいしております。委員の意見は協議会の意見として取りまとめ、ホームページにおいても公表しているところでございます。

○山内委員 現在、中央図書館と多摩図書館で重複して収蔵している複本の除籍、区市町村立図書館への再活用を実施していますが、区市町村立図書館にも余裕はなく、いずれは廃棄せざるを得なくなる可能性があります。
 また、複本の精査後に実施するとしています発行後三十年たった資料の計画的除籍の危機が迫っています。内容が古くなったものや必要度が著しく劣った資料とは何か、果たしてそれをだれが選定し判断するのか、除籍した資料はどうするのか、蔵書構成、収集、除籍は適切か、都立図書館の資料のみならず区市町村立図書館の資料を含めた東京都全体の資料保存のあり方は適当か、多くの疑問がわきます。一冊しか保存しないことから協力貸し出しでの不都合も生じています。これでは都民の要望にこたえられているとはいいがたいのではないでしょうか。
 昨年の都立日比谷図書館の千代田区移管、都立多摩図書館の移転、施設整備と、都立図書館は大きなさま変わりをしています。市民団体からは、共同保存図書館という提案もあると聞きます。自己評価だけではなく第三者機関など、専門家、市民、関係諸団体等と協議し、都全体の資料保存の中核となって将来にわたる都民の利用に応じることができるよう、改めて検討する必要があると思います。
 先日、新聞でこんな記事を読みました。東日本大震災では、南三陸町や陸前高田市の図書館が津波で壊滅し貴重な地域資料が失われた。図書館の図書館たる都立図書館は万が一のことも考え、複数保管すべきだ、私はこの陳情に賛成を表明し、質問を終わります。

○今村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、いずれも継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二四第二九号及び陳情二四第三〇号は、いずれも継続審査といたします。
 請願陳情の審査を終わります。
 以上で教育庁関係を終わります。

○今村委員長 これよりスポーツ振興局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、スポーツ振興局長から紹介があります。

○細井スポーツ振興局長 職員紹介の前に、お許しをいただきまして、ご報告並びに一言御礼を申し上げます。
 去る五月二十三日、カナダ・ケベックで行われましたIOC理事会におきまして、東京は二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の立候補都市に選定をされました。これも、都議会の皆様方のご協力によるところが大きく、この場をおかりして、厚く御礼を申し上げます。
 私どもの最終目標は、来年九月七日にアルゼンチン・ブエノスアイレスで行われますIOC総会におきまして開催都市をかち取ることでございます。これからも、なお一層気を引き締めまして、国内世論の盛り上げ、立候補ファイルの作成、国際招致活動など、全力を傾けてまいります。引き続き都議会の皆様方のご指導、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、四月一日付の人事異動により異動のありましたスポーツ振興局の幹部職員をご紹介申し上げます。
 スポーツ施設担当部長の佐野克彦でございます。競技計画担当部長の延與桂でございます。施設計画担当部長の福田至でございます。
 以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○今村委員長 御礼と紹介は終わりました。

○今村委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○早崎大会運営担当部長 国民体育大会に関連する競技会の開催についてご説明申し上げます。
 恐縮ですが、お手元配布の資料の表紙を一枚おめくりいただきまして、右肩に資料第1号と打ってございますA3判、国民体育大会に関連する競技会の開催と書いた資料をごらんいただきたいと思います。
 初めに、資料の左側にございます第六十七回国民体育大会関東ブロック大会についてご説明いたします。
 この大会は、国民体育大会に出場する関東ブロック代表を決定する大会で、毎年、関東八都県の持ち回りで実施し、今回は東京都で開催するものでございます。
 まず、目的でございますが、一点目として、ことしの秋に開催されます第六十七回国民体育大会、ぎふ清流国体の関東ブロック代表を決定するものでございます。また二点目として、スポーツの交流を通じて参加各都県の親睦と友情を深め、あわせて地域のスポーツ振興と地方文化の発展を図るものでございます。
 次に、主催でございますが、公益財団法人日本体育協会、東京都、関東ブロック各県教育委員会、関東ブロック各都県体育協会、関東ブロック各実施競技団体及び会場地区市町となっております。
 次に、実施規模でございますが、全三十三競技を都内三十二区市町、都外三市町、延べ五十八競技会場で開催いたします。
 続きまして、資料の右側をごらんいただきたいと思います。第六十八回国民体育大会競技別リハーサル大会についてご説明いたします。
 こちらは、いよいよ来年秋に開催されます第六十八回国民体育大会、スポーツ祭東京二〇一三のリハーサル大会で、原則として一競技につき一回開催するものでございます。
 まず、目的でございますが、一点目として、競技を行う会場地の区市町村及び関係競技団体の競技会の運営能力の向上を図ることにあります。また、二点目として、都民の国体及び各競技に対する関心を高め、理解を深めるとともに、国体開催の機運の醸成を図ることにございます。
 次に、主催でございますが、会場地の区市町村及び関係競技団体となっております。
 実施規模でございますが、全三十九競技を都内四十六区市町村、都外二市町、延べ七十八競技会場で開催する予定となっております。このうち十一競技につきましては、先ほどご説明させていただきました第六十七回国民体育大会関東ブロック大会を兼ねて実施いたします。
 なお、陸上競技、馬術、クレー射撃の三競技につきましては、現在日程などにつきまして調整中でございます。
 最後に、競技日程及び会場等でございますが、第六十七回国民体育大会関東ブロック大会については別紙1として、また、第六十八回国民体育大会競技別リハーサル大会につきましては別紙2として一覧表にまとめてございますので、後ほどごらんいただければと存じます。
 ただいまご説明させていただきました両大会につきましては、今後、関係者と緊密な連携を図り、大会の着実な準備と円滑な運営に努めてまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○今村委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○今村委員長 次に、陳情の審査を行います。陳情二四第一一号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○松永招致推進部長 お手元に配布しております資料第2号、請願・陳情審査説明表を一枚お開きください。陳情二四第一一号、オリンピック招致をやめて、招致に係る予算を防災関連に回すことに関する陳情についてご説明申し上げます。
 一枚おめくりください。本陳情は、西東京市にお住まいの天野敬也さんから提出されたものでございます。
 陳情の要旨でございますが、都において、オリンピック招致をやめて、招致に係る予算を防災関連に回していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、オリンピック・パラリンピック競技大会の開催は、日本の閉塞感を打破し、人々、特に若者に、夢や希望、感動を与えるものでございます。また、東京だけでなく、日本全体に大きな経済効果をもたらします。さらに、大会開催という共通の夢が日本人を結びつけ、震災からの復興を後押しするものであります。
 都は、スポーツ界や経済界、被災地からの要望、都民からのご意見などを総合的に判断し、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック招致に立候補いたしました。
 一方、防災対策につきましては、都はこれまでも最重要課題と位置づけまして、地域防災計画に基づいて都市インフラや建物の耐震化を着実に進めております。また、都の長期都市戦略である「二〇二〇年の東京」におきましても、さらに、都市の防災力を向上させるため、防災上重要な建築物の一〇〇%耐震化など、さまざまな施策に取り組んでいるところでございます。
 それらの取り組みに加えまして、二〇二〇年東京大会におきましては、耐震基準を上回る強度の競技会場を整備するとともに、地震に伴う津波に備えるため、臨海部の選手村や競技会場の整備予定地では、必要に応じて防潮堤の設置や盛り土を行ってまいります。
 さらに、各競技会場の避難誘導や医療救護等の計画を策定するなど、ハード、ソフト面ともに万全な震災対策を講ずることで安全な大会運営を実現できるものと考えております。
 都としては、今後とも招致理念や開催意義、さらに大会開催時の安全性等を広くアピールするとともに、前回招致の経験やノウハウを最大限活用して、効率的な招致活動を行うことで、都民、国民の皆様のご理解を求めてまいります。
 簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○今村委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○古賀委員 本陳情に関し意見を申し上げます。
 東日本大震災では、非常に多くのとうとい命が失われました。また、地震に伴う津波の影響で福島第一原子力発電所事故が発生し、いまだに多くの方々が避難生活を余儀なくされているなど、被災地が復興し被災者が通常の生活を取り戻すまでにはまだまだ長い厳しい道のりが予想されます。
 東京においても第二の関東大震災発生の可能性が示唆されておりますが、先ほど理事者側から説明があったとおり、東京都ではこれまでも防災対策を都政の重要課題として位置づけ、昨年十二月に策定した長期計画である「二〇二〇年の東京」などに基づき、防災上重要な建築物等の耐震化の推進、木密地域の不燃化事業、防災共助事業など、さまざまな防災対策を強力に推進しております。
 さらに、オリンピック・パラリンピックにおいても競技会場の耐震化や津波対策など、さらなる防災対策がとられるとのことでした。オリンピック・パラリンピックは、ただ単なる世界的大規模な体育競技大会ではなく、昭和三十九年東京大会の開催が東京や日本の姿を大きく変貌させたように、都市や国家をも変革させる大きな力を有しております。時代は違えども、平成三十二年大会も成熟を遂げた東京がさらに機能的で安全な都市に生まれ変わる大きな契機となり得ます。
 さて、去る五月二十四日、東京都はイスタンブールとマドリードと並び平成三十二年オリンピック・パラリンピックの立候補都市に選定されました。当日発表されたIOC国際オリンピック委員会作業部会報告書では、開催意義や理念、都市部に集約された競技会場配置、日本国政府による力強い支援、東京都の持つ財政力、都市基盤などについて非常に高い評価がされておりました。
 招致活動はこれから本番を迎えますが、今後も都議会を初め、国、東京都、招致委員会、日本オリンピック委員会などの体育界、経済界など、ありとあらゆる関係機関が密接に連携して、国内の招致機運の醸成を初め、招致活動を強力に推進し、ぜひとも平成三十二年大会の東京、そして日本での開催を獲得したいと熱望しております。
 そして、オリンピック・パラリンピックの持つ大きな力で東京都民、日本国民、特に被災地の方々に夢や希望、元気を与えるとともに、東日本大震災でご支援をいただいた世界じゅうの皆様に平成三十二年大会を通じて、復興、再生を遂げた日本をごらんいただく機会としたいと考えております。
 ところで、今夜は、月が地球の陰に入る部分月食、先日は金環日食と、多くの人たちが空を見上げ、天空で繰り広げられた壮大な自然、天然の麗しき妙技に引き込まれました。
 地上でも去る五月二十二日、世界一の電波塔、大江戸電波塔、東京スカイツリーが完成、開業し、宇宙の天体劇と同様に私たちは天を仰ぎました。大規模自然災害、経済、景気の下落、政治、政権の機能不全と、何かと内向き、下向きになりがちな国の現状を見るとき、今こそ日本国民が一致協同して大空に希望の光を見たように前向きに上を見詰めて前進する一大行事として、また、心躍る機会としてオリンピック・パラリンピックの招致を考えるべきだと思います。
 よって、この陳情には賛同できません。
 以上です。

○今村委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○今村委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二四第一一号は、不採択と決定をいたしました。
 陳情の審査を終わります。
 以上でスポーツ振興局関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分については、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後十時三十四分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る