文教委員会速記録第一号

平成二十四年二月十七日(金曜日)
第三委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長今村 るか君
副委員長山内れい子君
副委員長村上 英子君
理事西沢けいた君
理事島田 幸成君
理事大松あきら君
野田かずさ君
くりした善行君
畔上三和子君
高木 けい君
野上 純子君
野上ゆきえ君
小沢 昌也君
古賀 俊昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化局局長井澤 勇治君
総務部長遠藤 雅彦君
広報広聴部長櫻井 和博君
都民生活部長飯塚美紀子君
消費生活部長藤井 秀之君
私学部長石井  玲君
文化振興部長関  雅広君
都政情報担当部長梅田 弘美君
男女平等参画担当部長菊地 俊夫君
文化施設改革担当部長北村 俊文君

本日の会議に付した事件
 生活文化局関係
第一回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 生活文化局所管分
・平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 生活文化局所管分
・東京都新しい公共支援基金条例の一部を改正する条例
・特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
・東京都消費生活条例の一部を改正する条例
・東京都消費者行政活性化基金条例の一部を改正する条例
・計量法関係手数料条例の一部を改正する条例
・東京都計量受託検査条例の一部を改正する条例
・東京都高等学校等生徒修学支援基金条例の一部を改正する条例
報告事項(説明)
・東京都男女平等参画審議会答申について
請願陳情の審査
(1)二三第三七号 ゆたかな教育、私学助成の拡充に関する請願
(2)二三第四〇号 東京の全ての子どもたちに行き届いた教育を進めることに関する請願
(3)二三第四一号 教育費負担の格差を無くし、子どもたちに行き届いた教育を求めることに関する請願
(4)二三第四二号 私立幼稚園に対する公費助成の大幅増額を求めることに関する請願
(5)二三第四三号 全ての子どもに豊かな教育を保障することに関する請願
(6)二三第四四号 私立専修・各種学校の教育・研究条件の改善と保護者負担の軽減に関する請願
(7)二三第九六号 東京都男女平等参画基本条例に罰則等の法的権限を設けることに関する陳情
(8)二三第一〇〇号 女性専用車両の「専用」という虚偽表示を改めさせる意見書の提出に関する陳情
(9)二三第一〇二号 「凍結」状態を解除し「東京都平和祈念館」を一日も早く建設することに関する陳情
(10)二三第一〇三号 展示内容等の合意を得る努力を即開始し東京都平和祈念館を建設することに関する陳情

○今村委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程どおり、理事会におきまして申し合わせいたしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程どおり、生活文化局関係の第一回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、報告事項の聴取及び請願陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件及び報告事項については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 初めに、第一回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。

○井澤生活文化局長 平成二十四年第一回定例会に提出を予定しております生活文化局関係の議案についてご説明申し上げます。
 今回提出を予定しております議案は、予算案二件、条例案七件の計九件でございます。
 私から議案の概要をご説明させていただきます。
 初めに、予算案についてご説明申し上げます。
 まず、平成二十四年度予算案についてでございます。まことに恐縮でございますが、お手元の資料の一番下に配布してございますA3多色刷りの参考資料、平成二十四年度生活文化局所管予算案の概要の一ページ目をごらんください。
 資料表題の下に記載してございますとおり、当局の予算総額は二千百三億円で、前年度比二十五億二千九百万円、一・二%の増となっております。
 内訳につきましては、表の中ほど、歳出の欄をごらんください。
 まず、生活文化費でございます。
 管理費でございますが、職員給与のほか、管理事務に係る経費として三十七億八千三百万円を計上しております。
 次に、広報広聴費として、「広報東京都」の発行等、都政広報などに係る経費として二十八億三千六百万円を計上しております。
 都民生活費は、公益法人等の許認可、旅券発給事務などに係る経費として二十七億八千万円を計上しております。
 消費生活対策費は、事業者の指導、消費生活総合センターの運営などに係る経費として十五億四千九百万円を計上しております。
 計量検定所費は、計量法に基づく検定、検査などに係る経費として五億三千二百万円を計上しております。前年度比で大幅な減額となっておりますが、これは主に二十三年度に計上しておりました計量検定所の移転、改築工事に係る前払い金の減によるものでございます。
 次に、文化振興費は、東京の魅力を国内外に発信する各種文化振興施策の展開や都立文化施設の運営などに係る経費として百八十九億七千万円を計上しております。こちらも今回大幅な減額となっておりますが、これは主に東京都美術館の改修工事が完了することによるものでございます。
 続きまして、学務費でございます。
 管理費は、私立学校に対する指導監督などに係る経費として六億二千二百万円を計上しております。
 次に、助成費でございますが、私立学校に対する各種助成を行うための経費として一千七百六十七億八千七百万円を計上しております。前年度比で大幅な増額となっておりますが、これは私立学校省エネ設備等導入モデル事業費補助や私立学校防災用品緊急整備事業費補助、私立学校被災生徒等受入支援事業費補助など、東日本大震災の発生を契機とする防災対策等の取り組みを充実させたことなどによるものでございます。
 最後に、育英資金費でございます。奨学金の貸付事業に要する経費として二十四億四千百万円を計上しております。
 続きまして、平成二十三年度補正予算案についてでございます。恐縮でございますが、お手元の資料第2号、平成二十三年度生活文化局所管補正予算説明書の一ページをお開き願います。補正予算総括表でございます。
 表の右から二つ目、補正予算額の欄をごらんください。表の上段、歳入予算の総額は百十九億六千九百万余円でございます。表の中ほど、歳出予算の総額は八十二億二千九百万余円でございます。
 国からの交付金を活用した事業の実施や基金の積み立てに必要な経費を計上いたしますとともに、給与改定などに伴う給与費の減など、現時点で不用額になることが明らかな事項について減額補正するものでございます。
 続いて、条例案についてご説明申し上げます。引き続き恐縮ですが、お手元の資料第3号、平成二十四年第一回東京都議会定例会議案の概要をごらんください。
 恐縮ですが、表紙をおめくりいただきたいと存じます。目次に、今定例会に提出を予定しております条例案七件をお示ししてございます。いずれも現行条例の一部改正を行う条例案でございます。
 まず、1、東京都新しい公共支援基金条例の一部を改正する条例でございます。
 本条例は、国の交付金を活用して行う新しい公共支援事業に係る事業成果の公表、評価、監査等の事業が平成二十五年九月三十日まで実施できるようになったことに伴い、条例の効力を失う日を同日まで延長するものでございます。
 次に、2、特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例でございます。
 本条例は、昨年六月に改正されました特定非営利活動促進法の本年四月の施行に向けまして、法令等に基づき条例で定めることとされている手続及び事務処理等について所要の改正を行うものでございます。
 次に、3、東京都消費生活条例の一部を改正する条例でございます。
 本条例は、第二十一次東京都消費生活対策審議会答申を受けまして、消費者被害の救済を図る取り組みを強化するため、東京都消費者被害救済委員会に係る規定を改めるものでございます。
 次に、4、東京都消費者行政活性化基金条例の一部を改正する条例でございます。
 本条例は、国の交付金を活用して行う地方消費者行政活性化事業の実施期限が平成二十五年三月三十一日まで延長できることになったことに伴い、条例の効力を失う日を同日まで延長するものでございます。
 次に、5、計量法関係手数料条例の一部を改正する条例でございます。
 本条例は、計量器の検定等に係る手数料につきまして、受益者負担の適正化を図る観点から改定を行いますとともに、あわせて国の政令改正に伴う所要の規定整備を行うものでございます。
 次に、6、東京都計量受託検査条例の一部を改正する条例でございます。
 本条例は、東京都が行う受託検査等の手数料につきまして、ただいまご説明させていただきました計量法関係手数料条例とあわせて一部改正を行うものでございます。
 最後に、7、東京都高等学校等生徒修学支援基金条例の一部を改正する条例でございます。
 本条例は、国の交付金を活用した事業の実施期限が平成二十六年度末まで延長されましたことから、条例の効力を失う日を平成二十七年三月三十一日まで延長するものでございます。
 詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○遠藤総務部長 それでは、局長からの概要説明に引き続きまして、私から今定例会に提出を予定しております議案の詳細についてご説明申し上げます。
 初めに、予算案についてご説明申し上げます。
 まず、平成二十四年度予算案についてでございます。恐縮ですが、お手元のA3多色刷りの参考資料、平成二十四年度生活文化局所管予算案の概要をごらんいただきたいと思います。
 資料の二ページをお開き願います。まず、Ⅰ、私学助成、文化振興等の重点的な取組についてご説明をいたします。
 表題の下に記載してございますとおり、二十四年度の予算額は二千九億六千三百万余円で、前年度比七十億一千二百万余円、三・六%の増となっております。
 重点的な取り組みの内容についてでございますが、第一に、私学の振興等のための施策でございます。現在、都内の学校に在学する児童生徒等のうち、私立学校に在学、在園する割合は高等学校で約六割、幼稚園では九割以上を占めております。私立学校が東京の公教育に果たす役割は非常に大きいものとなっておりまして、そのため都では、都内私立学校の振興のため各種事業を実施しております。
 二十四年度も本年度に引き続き、私立学校に対する基幹的補助である経常費補助を堅持するほか、学校の安全性を高めるための耐震工事などの施設整備に関する補助や、保護者の経済的負担の軽減を目的とする事業等を実施してまいります。
 それでは、具体的な事業についてご説明いたします。
 まず、1、私立学校経常費補助でございます。
 私立学校の教育条件の維持向上、保護者の負担軽減、学校経営の健全化等を図るため、経常費の一部を補助するものでございます。
 このうち私立幼稚園につきましては、補助額の算定に用いる教職員給与の手当支給割合を引き上げるとともに、私立特別支援学校につきましては、補助率を引き上げることとしております。
 その結果、二十四年度の私立学校経常費補助は合計で一千百五十二億一千六百万余円を計上しております。
 次に、2、私立高等学校等特別奨学金補助でございます。
 私立高等学校等に通う生徒の保護者のうち、平均的な所得以下の保護者に対して、所得に応じて授業料の一部を助成し、公私格差の是正を図るもので、二十四年度は五十二億三千万余円を計上しております。
 次に、3、私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業費補助でございます。
 私立幼稚園等に通う園児保護者の負担軽減を図るため、区市町村が行う負担軽減事業に係る経費の一部を補助するもので、二十四年度は五十二億三千九百万余円を計上しております。
 次に、4、私立幼稚園就園奨励特別補助でございます。
 これは、二十二年度の国の幼稚園就園奨励制度変更に伴い、都の補助対象幼児数の約七割を占める階層で保護者負担が大幅にふえることとなったことから、保護者負担の激変緩和を図るため、二十二年度及び二十三年度において緊急的、時限的な措置として補助を行っているものです。
 しかし、来年度の政府予算案においても、依然として保護者の負担増が残っており、引き続き激変緩和を図る緊急的な特別補助を実施するため、三億七千百万余円を計上しております。
 次に、5、私立学校安全対策促進事業費補助でございます。
 私立学校の耐震補強、改築工事やアスベスト対策工事に対する補助を継続し、学校の安全化の促進を図るもので、二十四年度は八十七億八千百万余円を計上しております。
 次に、6、私立学校被災生徒等受入支援事業費補助でございます。
 東日本大震災の影響により、経済的理由から就学困難となった生徒等の授業料等への助成を通じて被災生徒等の教育機会の確保を図るもので、二十四年度は六億一千九百万余円を計上しております。
 次に、7、私立学校防災用品緊急整備事業費補助でございます。
 私立学校の備蓄物資等の購入に必要な経費の一部を緊急的に補助するもので、二十四年度は二十九億五千七百万余円を計上しております。
 次に、8、私立学校省エネ設備等導入モデル事業費補助でございます。
 私立学校のLED等省エネ型照明や太陽光発電等の整備に必要な経費の一部を補助するもので、二十四年度は十八億六千万余円を計上しております。
 次に、9、私立学校ICT整備費補助でございます。
 小中高等学校における電子黒板等の導入など、ICT整備に必要な経費の一部を補助するもので、二十四年度は五億円を計上しております。
 次に、10、私立高等学校等就学支援金でございます。
 私立高等学校等に通う生徒の授業料について一定額を助成し、家庭の教育費負担の軽減を図るもので、昨年度から公立学校の無償化に伴い、国からの法定受託事務として補助を行っております。二十四年度は二百四十三億七千五百万余円を計上しております。
 次に、11、私立高等学校等就学支援金学校事務費補助でございます。
 先ほどの私立高等学校等就学支援金の支給を確実かつ円滑に実施するため、学校設置者が行う事務に必要な経費の一部を補助するもので、二十四年度は一億四千九百万余円を計上しております。
 次に、12、育英資金事業費補助でございます。
 経済的理由により修学困難な者に対し育英資金の貸付事業を実施するもので、二十四年度は二十四億百万余円を計上しております。
 第二に、幅広い都民生活の支援と都民サービスの向上でございます。
 これは、地域の活性化に向けた町会、自治会活動を支援するほか、NPOやボランティア等の市民活動の促進と協働を推進することを目的としたものでございます。
 まず、1、災害時におけるボランティア活動支援機能の強化でございます。
 大規模災害時におけるボランティアの円滑な活動を支援する体制を確立するため、被災地のニーズとボランティアのマッチングを行うボランティアコーディネーターの育成を図るもので、二十四年度、新たに一千四百万余円を計上しております。
 次に、2、NPO法人認証・認定事務でございます。
 税制優遇を受けられるNPO法人、いわゆる認定NPO法人の認定など、来年度から新たに国から移管される事務やNPO法に基づく法人認証事務を実施するもので、二十四年度は七千七百万余円を計上しております。
 次に、3、新しい公共支援事業でございます。
 昨年度の国の補正予算において創設された新しい公共支援事業交付金を受け、新しい公共の担い手となるNPO等の自立的活動を推進する事業を実施するもので、二十四年度は三億九千七百万余円を計上しております。
 次に、4、地域の底力再生事業助成でございます。
 地域の課題解決のための取り組みを支援し、地域力の向上に寄与する事業で、二十四年度の助成総額は本年度と同額の一億円を計上しております。
 第三に、だれもが安心して消費生活を送ることができる社会の実現でございます。
 これは、消費者被害救済制度や区市町村における消費生活相談窓口の強化等により、消費生活の安全・安心を確保するものでございます。
 まず、1、公衆浴場対策でございます。
 公衆浴場のクリーンエネルギー化や耐震化を目的とした補助等各種補助事業を実施するもので、二十四年度は八億八百万余円を計上しております。
 次に、2、消費者被害救済制度の強化でございます。
 消費者被害を救済するため、東京都消費者被害救済委員会を通じて解決を図る制度を強化するもので、二十四年度は二千二百万余円を計上しております。
 次に、3、東京都消費者行政活性化基金事業でございます。
 区市町村における消費生活相談窓口の強化に向けた取り組みへの助成等を行うもので、二十四年度は一億九千六百万余円を計上しております。
 続きまして、恐縮ですが、三ページをお開き願いたいと思います。第四に、文化の創造・発信都市東京のプレゼンス確立に向けた取り組みでございます。
 これは、伝統芸能、舞台芸術等のさまざまな分野での文化事業を展開するなど、東京からの文化の創造、発信事業でございます。
 まず、1、芸術文化を活用した被災地支援でございます。
 被災地への芸術文化活動の提供及びアートNPO等と連携した被災地支援を実施するもので、二十四年度は四千八百万円を計上しております。
 次に、2、アーツカウンシル等による文化の創造・発信でございます。
 国際都市にふさわしい個性豊かな文化を創造するため、新たにアーツカウンシルを設置して、専門家を活用した芸術文化活動への支援を行うとともに、六本木アートナイト、キッズ伝統芸能体験、フェスティバルトーキョーなど、東京の文化的魅力を発信する東京文化発信プロジェクト等を実施するものでございます。二十四年度は十九億四千九百万余円を計上しております。
 続きまして、Ⅱ、都立文化施設・計量検定所の計画的な整備、改修でございます。
 表題の下に記載してございますとおり、二十四年度の予算額は九十三億三千六百万余円で、前年度比四十四億八千三百万余円、三二・四%の減となっております。
 第一に、都立文化施設の計画的な整備、改修でございます。
 当局は、多数の文化施設を所管しておりますが、これらの施設では設備や機械などの老朽化が進んでおります。今後も引き続き、財務局が二十年度に策定いたしました主要施設十カ年維持更新計画に基づき、計画的な改修等を推進していく予定でございます。
 まず、1、東京芸術劇場の大規模改修でございます。
 老朽化が著しい東京芸術劇場を全面リニューアルし、東京の新たな文化発信拠点として整備するものでございます。本年九月のリニューアルオープンに向けて二十三年度に引き続き改修工事を行う予定で、二十四年度は七十五億二千七百万余円を計上しております。
 次に、2、東京都庭園美術館等の文化施設の改修、維持補修でございます。
 東京都庭園美術館の歴史的な建物の特性を生かした改修や東京文化会館、東京都江戸東京博物館、東京都写真美術館の各施設の改修、維持補修に係る基本設計、または実施設計等に係る経費として、二十四年度は十二億三千三百万余円を計上しております。
 次に、3、江戸東京たてもの園の展示施設の整備でございます。
 兵庫県神戸市の風見鶏の館などを設計したドイツ人建築家デ・ラランデ氏が創建し、カルピス株式会社の創業者でもある三島海雲氏の三島食品工業株式会社が所有していた三島邸を江戸東京たてもの園に復元するものでございます。二十四年度は三億七千二百万余円を計上しております。
 第二に、計量検定所の移転改築でございます。
 現在、港区海岸にございます計量検定所につきましては、老朽化が著しく、改築が必要である一方、計量法に基づく業務実施のために改築に伴う業務休止が不可能であることから、移転、改築するものでございます。
 計量検定所本所につきましては江東区新砂地区に、タクシーメーター竹芝検査場は港区港南地区にそれぞれ移転、改築する計画で、二十四年度は二億二百万余円を計上しております。
 なお、参考までに都立文化施設及び計量検定所の改修等のスケジュールについて、ごらんいただいている資料の中に図表で整理してありますので、後ほどごらんいただきたいと思います。
 次にⅢ、債務負担行為でございます。
 債務負担行為として、東京都庭園美術館改修工事など合計十二件、百十一億二千三百万余円を計上しております。
 以上が平成二十四年度予算案でございます。
 なお、詳細につきましては、お手元の資料第1号、平成二十四年度生活文化局所管予算説明書をご参照いただきたいと思います。
 続きまして、平成二十三年度補正予算案についてご説明申し上げます。
 恐縮ですが、お手元の資料第2号、平成二十三年度生活文化局所管補正予算説明書の二ページをお開き願いたいと思います。歳入でございます。
 まず、上から三項目め、総務費負担金でございます。
 東日本大震災に伴う被災地、被災者への救助活動等に要した経費の財源を災害救助法に基づいて受け入れるため、八十万余円を計上しております。
 次に、学務費国庫補助金でございます。
 東日本大震災の影響により、経済的理由から就学困難となった生徒等の授業料等の助成事業に対して、国が支援する被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金事業及び経済、雇用状況の悪化により、経済的理由から私立高校生が学業を断念することがないよう、授業料減免や奨学金事業に対して国が支援する高等学校授業料減免事業等支援臨時特例交付金事業については、昨年十一月に成立した国の第三次補正予算において、ともに事業期間が三年間延長され、必要な額が措置されております。
 この両交付金を受け入れるため、合わせて九十七億二千万余円を学務費国庫補助金に計上しております。
 次に、基金繰入金でございます。
 社会資本等整備基金や新しい公共支援基金など、表に記載しております六つの基金について、後ほど歳出でご説明いたします各事業の実施及び不用額の精査等に伴い、必要な財源をそれぞれの基金から充当または減額するもので、合わせて十二億一千七百万余円を減額しております。
 次に、都債でございます。
 都税収入の減による減収補てん債の発行等に伴う生活文化費及び学務費の財源の更正として、合わせて三十四億六千六百万円を計上しております。
 続きまして、三ページをお開き願います。歳出でございます。
 まず、生活文化費の管理費でございます。本年度の人事委員会勧告に基づく給与改定などに伴い給与費を更正するもので、一億八千四百万余円の減額補正を行っております。
 次に、都民生活費でございます。
 男女平等参画施策につきまして、昨年度の補正予算で基金に積み立てた国の住民生活に光をそそぐ交付金を活用し事業を実施するもので、四千百万余円を計上しております。
 また、新しい公共支援事業につきまして、二十四年度事業の実施に向けて基金に必要額を確保するため、四億四千万余円の減額補正を行っております。
 次に、消費生活対策費でございます。
 昨年度の補正予算で基金に積み立てた国の住民生活に光をそそぐ交付金を活用し事業を実施するもので、六千二百万余円を計上しております。
 次に、文化振興費でございます。
 工事請負契約における落札差金などにより、十一億八千七百万余円の減額補正を行っております。
 次に、学務費の管理費でございます。
 給与費につきまして、本年度の人事委員会勧告に基づく給与改定などに伴い給与費を更正するもので、一千三百万余円の減額補正を行っております。
 また、高等学校等生徒修学支援基金積立金につきまして、先ほど歳入でご説明申し上げました国からの臨時特例交付金を財源に、三年間の事業期間延長分を基金に積み立てるもので、九十七億二千万余円を計上しております。
 次に、助成費でございます。
 私立学校被災生徒等受入支援事業費補助における私立専修学校及び各種学校の生徒に対する授業料等の一部を助成するもので、二億三千万余円を計上しております。
 以上が平成二十三年度補正予算案でございます。
 続きまして、条例案についてご説明申し上げます。
 恐縮ですが、お手元の配布資料の資料第3号、平成二十四年第一回東京都議会定例会議案の概要の表紙と目次をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。
 まず、1、東京都新しい公共支援基金条例の一部を改正する条例でございます。
 (1)、改正理由をごらんください。国の新しい公共支援事業交付金を活用して行う事業の実施期限は、新しい公共支援事業の実施に関するガイドラインにより、平成二十五年三月三十一日までと定められておりましたが、本支援事業の実施後に行う事業の成果の取りまとめ及び公表、評価の実施などに必要な事務及び監査等の事業が平成二十五年九月三十日まで実施できることとなりました。
 本条例は、こうした国の措置を受けまして、(2)、改正内容のとおり、条例の効力を失う日を平成二十五年三月三十一日から同年九月三十日に改めるものでございます。
 施行期日につきましては公布の日としております。
 続きまして、二ページをお開き願います。2、特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例でございます。
 (1)、改正理由をごらんください。本条例は、昨年六月に改正された特定非営利活動促進法の本年四月一日の施行に向けて、法令等の規定に基づき所要の改正を行うものでございます。
 (2)、改正内容をごらんください。今回の条例改正は、法改正により定められた制度の簡素化及び柔軟化などの規定に係る都の事務手続等を定めるとともに、新たに開始するNPO法人に係る書類を謄写する事務について、謄写手数料等を規定いたします。
 施行期日につきましては、平成二十四年四月一日としております。
 法改正の内容につきましては、(4)、特定非営利活動促進法の一部を改正する法律の概要をごらんいただきたいと思います。
 続きまして、三ページをごらんください。東京都消費生活条例の一部を改正する条例でございます。
 (1)、改正理由をごらんください。本条例は、平成二十三年十二月の第二十一次東京都消費生活対策審議会答申、消費者被害救済のあり方についてを受けて、消費者被害の救済を図る取り組みを強化するため、東京都消費者被害救済委員会に係る規定を改めるものでございます。
 (2)、改正内容をごらんください。現在、被害救済委員会へ付託することができる紛争事件は、東京都消費生活総合センターが取り扱ったものに限定しておりますが、区市町村の消費生活相談窓口及び消費者の利益の擁護を図るための活動を行う法人等で、知事が別に定める団体等が取り扱った紛争事件について、新たに付託できることとするものでございます。
 また、同委員会の機能強化のため、学識経験者の定員を現在の十二人以内から十六人以内に増員するものでございます。
 施行期日につきましては、平成二十四年四月一日としております。
 東京都消費者被害救済委員会及び第二十一次東京都消費生活対策審議会答申につきましては、(4)、委員会等についてをご参照いただきたいと思います。
 続きまして、四ページをお開き願います。4、東京都消費者行政活性化基金条例の一部を改正する条例でございます。
 (1)、改正理由をごらんください。本条例は、国の地方消費者行政活性化交付金を活用して、都が実施する消費者行政活性化事業の実施期限が地方消費者行政活性化基金管理運営要領の改正により、平成二十四年三月三十一日から平成二十五年三月三十一日まで延長できることとなったことから、本条例の効力を失う日を平成二十五年三月三十一日まで延長するものでございます。
 (2)、改正内容でございますが、条例の効力を失う日を平成二十五年三月三十一日に改めるものでございます。
 施行期日につきましては、公布の日としております。
 続きまして、五ページをごらんください。5、計量法関係手数料条例の一部を改正する条例でございます。
 (1)、改正理由をごらんください。本条例は、計量法で義務づけられた計量器の検定、検査等に係る手数料について、受益者負担の適正化を図る観点から改定を行うものでございます。あわせて、計量法施行令及び計量法関係手数料令の改正に伴う所要の規定整備を行うものでございます。
 (2)、改正内容でございますが、検定等手数料の改定額一覧にお示ししておりますとおり、温度計や体積計など七項目の手数料を改定するものでございます。
 恐縮ですが、次のページの表の中ほどをごらんいただきたいと思います。十一、計量証明検査手数料の中のロ、温度計及びハ、熱量計の二項目につきましては、政令改正によりまして検査項目から除外されましたので、削除するものでございます。
 施行期日につきましては、平成二十四年四月一日としております。
 続きまして、七ページをごらんください。6、東京都計量受託検査条例の一部を改正する条例でございます。
 (1)、改正理由をごらんください。本条例は、取引上の必要性などから、都内事業者等が自主的に受ける計量器等の検査に係る手数料について、ただいまご説明申し上げました計量法関係手数料条例の一部改正とあわせて改定を行うものでございます。
 (2)、改正内容でございますが、検査等手数料の改定額一覧にお示ししておりますとおり、おもりや温度計など十一項目の手数料を改定するものでございます。
 施行期日につきましては、平成二十四年四月一日としております。
 続きまして、八ページをごらんください。最後に、7、東京都高等学校等生徒修学支援基金条例の一部を改正する条例でございます。
 (1)、改正理由をごらんください。本条例は、国の高等学校授業料減免事業等支援臨時特例交付金及び被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金を活用した事業の実施期限が、国の平成二十三年度第三次補正予算の成立により、平成二十四年三月三十一日から平成二十七年三月三十一日まで延長されたことから、本条例の効力を失う日を平成二十七年三月三十一日まで延長するものでございます。
 (2)、改正内容でございますが、条例の効力を失う日を平成二十四年三月三十一日から平成二十七年三月三十一日に改めるものでございます。
 施行期日につきましては、公布の日としております。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○今村委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○畔上委員 六点お願いいたします。
 一つは、文化振興施策に係る予算及び決算の推移。
 二つ目は、東京文化発信プロジェクトの内容と予算。
 三点目は、都道府県別の私立高等学校授業料軽減補助です。
 それから、四点目が、都府県別の私立学校生徒納付金平均額。
 それから、五番目が、東京都育英資金の貸し付けを受けた都立高校生及び私立高校生の人数の推移。
 六番目が、高等学校等生徒修学支援基金の活用内容とその内訳。
 以上です。お願いします。

○今村委員長 ほかにありませんか。--ただいま畔上委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 ご異議なしと認めます。
 理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○今村委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○菊地男女平等参画担当部長 それでは、東京都男女平等参画審議会答申につきまして、お手元にあります資料第5号によりご説明申し上げます。
 今回、審議会の答申は二つあります。緑色を使用した資料、「男女平等参画のための東京都行動計画」の改定に当たっての基本的考え方についてという答申の概要からご説明いたします。
 資料の左上、経緯をごらん願います。平成二十三年度末に計画期間が終了し、平成二十四年度から五年間にわたる計画の改定を行うため、昨年七月十三日に知事より審議会に対し、計画改定に当たっての基本的考え方について諮問をいたしました。その後、審議会において審議を重ね、本年一月十八日に答申がなされたものでございます。
 答申は二部構成になっております。資料の左側、第一部、基本的考え方をごらん願います。主な現状認識として三点ございます。
 一点目は、少子高齢化により労働力人口の減少が進む中、多様な人材が社会に参画して活躍できるよう、新たな枠組みの構成が必要。
 二点目は、東日本大震災の影響により、東京でも家族や地域とのつながりの大切さを再認識、恒常的な長時間労働の解消など、働き方の見直しが必要。
 三点目は、被災地では、避難所の運営など、防災分野において男女平等参画の視点の重要性を認識されたとしております。
 このような現状認識を踏まえまして、次の目指すべき男女平等参画社会の実現に向けてでは、計画改定に当たり、四つの事項を中心に進めることが重要としております。
 一つ目は、働く場における男女平等参画の促進です。雇用の分野において女性の能力発揮のための取り組みの推進や、正社員と正社員以外の労働者に二極化した構造の改善が重要としております。
 二つ目は、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現です。あらゆる年代において、仕事と子育てや介護、地域活動等を両立できるよう、働き方の見直しを含む仕事と生活の調和を実現するための取り組みが必要としております。
 三つ目は、特別な配慮を必要とする男女への支援です。就職が困難な若年層、高齢者、ひとり親家庭に対し、男女平等参画の視点から支援策が必要としております。
 四つ目は、行政の役割と連携の重要性です。都は、都民や事業者、区市町村等と連携し、男女平等参画社会の実現に向けた取り組みを積極的に推進していくことが必要であるとの提言です。
 続きまして、資料の右側の第二部、行動計画に盛り込むべき事項をごらん願います。ここでは、第一部の基本的考え方を踏まえつつ、計画に盛り込むべき事項を五つ挙げ、それぞれについて現状と課題及び取り組みの方向性が示されています。
 最初に、1、あらゆる分野への参画の促進では、(1)、働く場における男女平等参画の促進、(2)、社会、地域活動への参画の促進が、2、仕事と家庭・地域生活の調和がとれた生活の実現では、(1)、仕事と生活の調和の実現、(2)、子育てに対する支援、(3)、介護に関する支援が提言されています。
 3、特別な配慮を必要とする男女への支援では、(1)、ひとり親家庭への支援、(2)、高齢者への支援、(3)、若年層への支援について提言されており、4、人権が尊重される社会の形成では、(1)、男女平等参画を阻害する暴力への取り組み、(2)、生涯を通じた男女の健康支援、(3)、男女平等参画とメディアについて提言されています。
 最後になりますが、5、男女平等参画を推進する社会づくりでは、(1)、教育、学習の充実、(2)、普及、広報の充実、(3)、推進体制について提言されています。
 以上が男女平等参画のための東京都行動計画改定に関する答申の概要でございます。
 次に、ダイダイ色を使用した資料、「東京都配偶者暴力対策基本計画」の改定に当たっての基本的考え方についてをごらん願います。
 経緯は、先ほどの資料と同様でございますので省略いたします。
 こちらの答申も先ほどと同様に二部構成になっています。
 それでは、資料左側、第一部、基本的考え方をごらん願います。主な現状認識は三点ございます。
 一点目は、配偶者からの暴力は、外部から発見が困難であり、被害が深刻化しやすいこと。
 二点目は、被害者が暴力から逃れ自立に至るまで、長期間の支援が必要な場合も多く、身近な地域での支援が必要であること。
 三点目は、子どもへの直接の暴力はなくても、暴力の目撃により心理的外傷を受けるなど、子どもへの影響は深刻であるとされております。
 このような現状認識を踏まえまして、暴力のない社会の実現に向けてでは、今回の基本計画の改定に当たり、次の二つの視点を中心に取り組むべきことが重要であるとしています。
 一つ目の視点として、相談から自立まで被害者の視点に立った支援体制の強化が、二つ目の視点として、区市町村における配偶者暴力対策の一層の充実が提言されております。
 続きまして、資料右側の第二部、基本計画に盛り込むべき事項をごらん願います。ここでは、第一部、基本的な考え方を踏まえつつ、現基本計画にある業務目標に沿って七つの事項を掲げ、それぞれ現状と課題及び取り組みの方向性が示されております。
 まず、1、暴力の未然防止と早期発見の推進では、(1)、暴力防止教育と啓発の推進、(2)、早期発見体制の充実について、2、多様な相談体制の整備では、(1)、都の配偶者暴力相談支援センター機能の充実、(2)、身近な地域での相談窓口の充実など、三項目について提言されています。
 3、安全な保護のための体制の整備では、(1)、保護体制の整備、(2)、安全の確保について、4、自立生活再建のための総合的な支援体制の整備では、(1)、総合的な自立支援の転開、(2)、安全で安心できる生活支援など五項目について提言されています。
 5、関係機関、団体等の連絡の推進では、(1)、広域連携と地域連携ネットワークの強化、(2)、民間団体との連携、協力の促進について、6、人材育成の推進と適切な苦情対応では、(1)、人材の育成、(2)、二次被害の防止など三項目について、そして、最後になりますが、7、調査研究の推進では、(1)、調査研究、(2)、加害者対策の検討について提言されております。
 以上が東京都配偶者暴力対策基本計画の改定に関する答申の概要でございます。
 なお、資料第5号の後ろに答申本文をおつけしてございますので、後ほどご参照いただきたく存じます。
 今後、これらの答申をもとに、年度内を目途に二つの計画の改定を行う予定でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○今村委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○今村委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 まず、請願二三第三七号及び請願二三第四〇号から請願二三第四四号までは、内容に関連がありますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○石井私学部長 私学助成の拡充等に関する請願についてご説明申し上げます。
 ご審査いただきますのは六件でございます。
 お手元に配布しております請願・陳情審査説明表の表紙と、もう一枚、請願・陳情件名表をおめくりいただき、一ページをごらんください。
 請願二三第三七号、豊島区の、私学助成の拡充とゆたかな教育の創造をめざす都民連絡会、村田茂さん外二万二千二百四十五人からの、ゆたかな教育、私学助成の拡充に関する請願でございます。
 二ページをごらんください。請願二三第四〇号、千代田区の、ゆきとどいた教育をすすめる都民の会、丸木政臣さん外四万一千二百九十五人からの、東京の全ての子どもたちに行き届いた教育を進めることに関する請願でございます。
 三ページをごらんください。請願二三第四一号、千代田区の、ゆきとどいた教育をすすめる都民の会、丸木政臣さん外七十万一千二百六十二人からの、教育費負担の格差を無くし、子どもたちに行き届いた教育を求めることに関する請願でございます。
 四ページをごらんください。請願二三第四二号、千代田区の、私学助成をすすめる都民の会、伊豆明夫さん外二十九万七千八百十七人からの、私立幼稚園に対する公費助成の大幅増額を求めることに関する請願でございます。
 五ページをごらんください。請願二三第四三号、国分寺市の、三多摩高校問題連絡協議会、古賀禧子さん外千九百七十二人からの、全ての子どもに豊かな教育を保障することに関する請願でございます。
 六ページをごらんください。請願二三第四四号、千代田区の、東京私立学校教職員組合連合、今井道雄さん外八千三百十二人からの、私立専修・各種学校の教育・研究条件の改善と保護者負担の軽減に関する請願でございます。
 以上の六件でございます。
 請願の要旨につきましては、説明表に記載されておりますように、私立学校の運営費等に対する各種補助の拡充、保護者の経済的負担の軽減、学校における教育環境の整備充実などに関するもので、重複する部分も多くございますことから、現在の状況につきましては、審査説明表に記載されている事項ごとではなく、請願の趣旨、内容により事項を分けて概略をご説明させていただきます。
 第一に、私立学校の運営費等に対する補助についてでございます。
 私立学校に対する助成につきましては、教育条件の維持向上、保護者の経済的負担の軽減、学校経営の健全性を高めることを目的として実施しており、その充実に努めております。
 初めに、小中高等学校と幼稚園について申し上げます。
 まず、私立学校経常費補助につきましては、私立学校の標準的運営費の二分の一を補助するという基本的な考え方に基づき補助を行っております。
 高等学校の学級規模の縮小につきましては、この経常費補助において四十人学級編制推進補助を設けるなど、その実現に努めております。各学校における具体的な教員の人数や配置の決定につきましては、設置基準に基づき、各学校の自主的な判断によって行われております。
 なお、経常費補助の算定に当たりましては、公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律等で定められた教職員数を基準として、所要の経費を見込んでおります。
 次に、私立幼稚園のうち、経常費補助の対象となっていない学校法人園以外の幼稚園に対する私立幼稚園教育振興事業費補助につきましては、学校法人園に対する私立学校経常費補助の動向を勘案しつつ、その充実に努めております。
 私立幼稚園への三歳児の就園及び教育時間外に園児を預かる預かり保育につきましては、経常費補助などにおいて就園促進補助及び預かり保育事業補助の制度を設けており、状況を踏まえ、その充実に努めているところでございます。
 また、私立幼稚園の障害児に対する特別支援教育につきましては、特別支援学校等経常費補助などを実施しておりまして、これにつきましても、状況を踏まえ、その充実に努めているところでございます。
 経常費補助の拡充につきましては、国に対して毎年、補助の充実を要望しております。
 続いて、専修学校、各種学校の関連について申し上げます。
 まず、専修学校の高等課程につきましては、運営費補助として、私立専修学校教育振興費補助を行っております。この事業につきましては、国の助成制度がなく、都が単独で補助を行っていることから、補助金の増額には一定の限界がございます。このため、専修学校の高等課程につきましては、高等学校と同様の助成制度の創設を国に要望しております。
 また、専修学校の専門課程につきましては、大学、短大と並ぶ高等教育機関という位置づけから、助成制度の創設を国に要望しております。
 続いて、私立学校の財務状況の情報公開について申し上げますと、私立学校法が改正され、平成十七年四月一日から、学校法人には、利害関係人に対する財務書類等の公開が義務づけられたところでございます。
 第二に、保護者の経済的負担の軽減についてでございます。
 私立高等学校等への特別奨学金補助につきましては、都内私立高校平均授業料から国の就学支援金支給額を差し引いた額について、所得に応じて補助率を設定し、授業料の負担を軽減しております。
 また、私立の幼小中高等学校が家計状況等の理由により生徒の授業料を減免した場合には、学校に対して補助する授業料減免制度を設けております。
 さらに、私立高等学校の入学金につきましては、保護者負担の軽減を図るため、入学支度金貸付事業を実施しております。
 私立幼稚園等への園児保護者負担軽減事業費補助につきましては、平均的な所得の都民が対象となるような支給基準の設定と所得階層に応じた補助額の設定により実施しており、対象枠の拡大や一律の入園料補助は考えておりません。
 なお、二十二年度、国の就園奨励費補助金におきまして、年収が三百六十万を超え六百八十万円以下の世帯について補助単価が減額され、保護者負担が大幅に増加したことから、都におきまして緊急対応として激変緩和措置を講じました。二十四年度につきましても、二十一年度と比べ保護者負担増が残っていることから、二十三年度に引き続き激変緩和措置を講じる予定でございます。
 第三に、私立学校における教育環境の整備についてでございます。
 耐震化が必要な校舎等に対しては、安全対策促進事業費補助を実施し、平成二十一年度には、倒壊等の危険性が高い建物に対する補助率を引き上げるなど、耐震化に係る補助制度の充実に努めております。
 また、老朽校舎の改築等につきましては、公益財団法人東京都私学財団が実施している長期で低利な施設設備資金の貸し付けに対し、利子補給を行うなど支援に努めているところでございます。
 さらに、省エネ設備等の補助につきましては、低炭素型社会への転換を促進するため、その充実に努めております。
 専修学校の施設設備の整備につきましては、私立専修学校教育環境整備費補助を実施しております。
 最後に、育英資金事業につきましては、平成二十一年度に私立の高等学校等に在学する生徒への貸付単価を増額するなど、制度の充実に努めているところでございます。
 また、専修学校に対して日本学生支援機構が実施しています奨学金事業につきましては、貸与人員、貸与月額とも充実されてきております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○今村委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○島田委員 私から、今、請願にありました私立学校の助成の拡充について質問をさせていただきます。
 私立学校は、ご承知のとおり、それぞれの建学の精神に基づいて独自の教育を行っており、公教育の重要な役割を担っているところでございます。
 今回の請願にもあるとおり、私学の助成を拡充していくことは、次世代を担う人材育成において大変重要なことと考えております。このような観点から、特に私立高等学校への助成について質問していきたいというふうに思います。
 東京都の私立高校への助成の大きな柱は、先ほど説明もありましたが、私学を経営する学校法人へ学校運営の経常経費を補助する経常費補助金と、そして私学に通う生徒の家庭に直接授業料の一部を支給する国の就学支援金制度と、都が独自に行っている特別奨学金制度がかなり柱だというふうに思っております。これらの制度を充実していくことが、私学助成にとって大変重要なことであるというふうに考えております。
 今回は、生徒の家庭に直接支給する就学支援金と特別奨学金について質問をさせていただきます。
 政権交代後、国は少子化の原因と考えられる保護者の教育負担を軽減すべく、さまざまな対策を実施してまいりました。その重要な政策が、公立高等学校への授業料無償化と私立高校に対する就学支援金の創設であります。
 二十二年度から公立高校の授業料が無償化となり、私立高校生徒の家庭には就学支援金が支給されて二年目となるわけでありますけれども、この就学支援金では、低所得世帯について、所得に応じて支援金を加算する仕組みとなっております。
 二十二年度の就学支援金制度の概要と支給人員、加算給付の状況についてまずお伺いをいたします。

○石井私学部長 就学支援金は平成二十二年度に創設された国の制度で、所得や年齢の制限なく私立高校等に在学する生徒に対し、年額十一万八千八百円が支給されております。
 保護者の所得に応じて、生活保護、住民税非課税均等割世帯にはその二倍、それを上回りかつ年収三百五十万以下の世帯には一・五倍が支給されております。
 都では、平成二十二年度に約十八万六千人の生徒に就学支援金を支給いたしました。このうち、二倍加算の対象者は約一万一千人、一・五倍加算の対象者は約四千人となっております。

○島田委員 ありがとうございます。今ご説明いただきましたけれども、この就学支援金は国の制度でありまして、これは所得、年齢の制限なく、全在校生の家庭に十一万八千八百円と、生活保護世帯を初めその所得に応じて、それぞれ就学支援金が上乗せされて支給されているという現状でございます。
 今あったとおり、これらの金額を総計しますと、平成二十二年度決算においては、二百三十七億円ものお金が東京都の私立高校に通う生徒の家庭に支給されたということは、その家庭にとっては大変ありがたいことなのではないかなというふうに思っております。
 私も以前、これの指摘をしまして、各会派からも指摘がありますが、この支援金制度の導入に当たっては、各学校の事務負担の増加など、課題はあるかというふうに思いますけれども、中途退学者の減少、あるいは進路選択幅の拡大などの効果が見られております。
 経済的理由による中途退学者についていえば、これは民主党の文部科学部門会議のデータですけれども、全国の高等学校で平成二十一年、経済的理由による中途退学者が千六百四十七人、これに対しまして、平成二十二年では千四十三人ということで、六百人近く経済的理由による中途退学者が減っていると。全国的なデータですね。ということで、非常に大きな効果があったのではないかなというふうに思っております。
 その千四十三人の中では、公立が五百二十二人で、私立が五百二十一人ということでございますけれども、公立高校の無償化支援金は中途退学者の減少につながっているというふうに思うわけであります。
 ここでお伺いいたしますけれども、都内の私立高校で、経済的理由における中途退学者数の過去二年間の状況はどうなっているのでしょうか。お伺いいたします。

○石井私学部長 都内の全日制私立高校における中途退学者は、平成二十一年度が千七百五人、平成二十二年度が千八百九十人であり、百八十五人増加いたしました。そのうち、経済的理由による退学者数は、六十八人から六十六人へと微減しております。

○島田委員 全体的に中途退学者が百八十五人ふえているという中で、二人、経済的理由による退学者が減っているということでありますので、割合からいえば四%から三・五%に減っているということで、これは中途退学者は減っているということができるというふうに思います。
 支援金の今後の効果が期待されるところでありますが、これは私立進学者の低所得世帯加算の割合が高い三県、これは青森県、愛媛県、大分県へのアンケートでありますけれども、このアンケートによりますと、就学支援金の制度導入前に比べて、私立高校など希望に応じた進路を中学生が選択できるようになったとする市町村が七〇%、また、中学生へ教員が進路指導を行うわけでありますけれども、多様な選択肢を示しやすくなったとする市町村が六一%という回答があったわけであります。
 この就学支援金に対する効果、先ほど申し上げましたが、中途退学者の減少、そして進路選択の幅の拡大というような効果が出ているというふうに思いますので、この点でいえば、国が始めた就学支援金は大変評価すべきものと考えております。
 都は、独自に特別奨学金制度を実施しておりますので、就学金と合わせれば保護者の負担軽減はかなり充実してきているということができると思います。
 では、都が独自に行っている特別奨学金補助の概要と支給状況についてお伺いをいたします。

○石井私学部長 都は、私立高校等に通学している生徒の保護者の負担を軽減し、修学を容易にすることを目的として、私立高等学校等特別奨学金補助を実施しております。
 この事業は、平均的な所得以下の保護者を対象に、所得状況に応じて授業料の一部を補助するものでございます。
 補助単価につきましては、都内私立高校平均授業料から就学支援金を差し引いた保護者の実負担額に対して、生活保護世帯は十分の十、住民税が非課税または均等割のみの世帯はおおむね三分の二など、取得状況に応じた補助率を設定し算出しております。
 支給状況につきましては、平成二十一年度の補助対象生徒数は三万三千二百七十五人、平成二十二年度は四万九百三十七人となっております。

○島田委員 私学の平均授業料は、二十二年度で四十二万三千円ということであります。今ご説明があったとおり、生活保護世帯では、授業料は支援金と合わせると満額補助される。そしてまた、住民税が非課税または均等割世帯については三分の二など、所得に応じて補助金が支給されているということがわかりました。対象者は三万三千人から四万一千人にふえているという状況でございます。
 先ほどからも説明しておりますが、就学支援金、そして特別奨学金など、これらの制度をますます充実させて、経済的理由にかかわらず、公立、私立、自由に選択をできる環境を我々がつくってあげるということが大変重要なことではないかなと思っております。
 私学助成については、公立、私立間の格差をいかに是正していくかということが今後の大きな課題であると思っております。請願でもあるように、今後ますますの私学助成の拡充を要望いたしまして、質疑を終わらせていただきます。

○畔上委員 高校生の六割、そして中学生では四人に一人、幼稚園では九割以上が私立ということであって、東京の教育は私学なしには語れないと思います。しかし、私学の学費は保護者の大きな負担となっているのが現状であります。
 そうした中で提出されました請願、教育費負担の格差を無くし、子どもたちに行き届いた教育を求めることに関する請願を初め、私学助成などの拡充を求める請願など、今回一括議題となりました請願陳情の署名数をトータルしますと百六万六千七百六十三人と、昨年の議会では残念ながら不採択になった部分も含めて、それでもまた大変多くの方々の署名が添付されているわけです。
 私は、やはり議会も、そして東京都も、この署名の数と一人一人の切実な要求であること、この重みをしっかりと受けとめる、そのことが大変重要であるというふうに思っております。
 先日、請願者の皆さんから直接お話も伺いました。海外から帰国し、公立に入りましたが、子どもに合った学校をと途中で私学に転校しました。しかし、経済的に余裕があってのことでは決してなく、あくまでも子どものことを考えてのこと。なぜ私学はこんなに負担が大きいのでしょうか。
 また、教育費が我が家の家計の半分を占めていますと。私の給料はそっくり教育費に消えてしまいます。子ども手当に期待をしていたけれども、途中で変わって、三人目も私学希望でしたが、とても無理ですなどなど、切実な声が寄せられました。
 また、ある高校生は、親に大きな負担になっていることがわかり、大変申しわけない思いでいっぱいです。後輩たちがこんな思いで私学に通うことがないようにしてほしいと、一生懸命署名をみずから集めたその思いを語ってくれました。
 私学助成をさらに拡充していただいて、経済的理由で就学できない子どもをつくらない、この姿勢をしっかりと持っていただきたいと思います。
 具体的に幾つか提案をして伺いたいと思います。
 まず、保護者負担の公私格差の是正のための授業料無償化に向けた取り組みについてです。
 先ほど島田理事からもお話がありましたが、昨年度から国の就学支援金が支給されたことは一歩前進だと思いますが、先ほど申し上げましたように、私学の保護者の負担は今なお大きいのが実態ですし、公立は授業料が無償化となったことで、私学と公立の格差がむしろ拡大されてしまったという状況も生まれているわけです。
 報道によりますと、昨年末、民主党政権と自民党、公明党との間で、来年度予算案の組み替えを含めて高校無償化制度の見直し協議なるものが行われるとされていたわけで、大変心配をしております。
 日本の公的な教育支出は、国内総生産に占める割合は、OECDの加盟国の平均が五・二%、これに対して日本は三・四%と、データのある二十八カ国中の中で最低水準であって、もっともっと日本の教育予算は拡充すべきだというふうに思っております。
 そういう点では、ぜひ国に対してしっかりと高校無償化と私学に対する就学支援金の拡充など私学助成拡充を求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○石井私学部長 都は、これまでも私立高等学校等経常費助成費補助金を初めとする私学助成のより一層の充実を国に対して要望してまいりました。

○畔上委員 引き続き、強く就学支援金を初め私学助成の拡充を国に求めることを要望したいと思います。
 同時に、都としても私学の授業料無償化に向けて、私は取り組むべきだと思います。昨年の時点で、国の就学支援金に各都道府県の補助をプラスすることによって、年収二百五十万未満の世帯の授業料を無償にしたところは四十一道府県、年収三百五十万未満まで無償にしたのは十四県でした。
 現時点で、年収二百五十から三百五十万未満まで授業料無償の道府県数はどうなっているでしょうか。伺います。

○石井私学部長 文部科学省が昨年七月一日現在で調査したところによりますと、国の就学支援金と都道府県独自の授業料軽減助成を合わせ、年収二百五十万未満世帯の授業料相当額を補助している都道府県数は四十三、年収三百五十万未満世帯の授業料相当額を補助している都道府県数は十四でございます。
 なお、都におきましては、例えば生活保護世帯、住民税非課税均等割のみの世帯について見ますと、就学支援金、特別奨学金、育英資金を合わせると都内私立高校の学校納付金相当額を超えており、真に支援が必要な世帯に対する措置は行っております。

○畔上委員 伺っていないこともいろいろご説明していましたけれども、要は授業料無償化の道府県は昨年よりもふえているということであります。年収二百五十万未満は、実施していないのはわずか四つ、そういうことになるわけですね。
 年収二百五十万未満、それから二百五十万から三百五十万未満の世帯の授業料の無償化を都として実施した場合、昨年伺ったら十億ぐらいの費用だということですが、来年度実施した場合、どのぐらいの費用がかかるのか、見通しを伺いたいと思います。

○石井私学部長 あくまで試算でございますが、都内私立高校平均授業料まで無償化するとした場合、現在の就学支援金と特別奨学金に加えて、年収二百五十万未満世帯についてはあと約五億円、年収二百五十万から三百五十万円未満世帯についても同じくあと五億円が必要と見込まれます。

○畔上委員 合わせて十億円ということですから、都の財政力では十分できるというふうに私は思います。
 都としても、せめて私学の年収三百五十万未満の世帯には授業料を無償にするなど、私学助成の拡大を求めますが、いかがでしょうか。

○石井私学部長 保護者負担の軽減につきましては、例えば生活保護世帯、住民税非課税均等割のみの世帯について見ますと、就学支援金、特別奨学金、育英資金の合計額は、都内私立高校の学校納付金相当額を上回っておりまして、真に支援が必要な世帯に対する措置は行っているところでございます。

○畔上委員 今の答弁はひどいと思うんですね。返済しなければならない育英資金を加算してお答えになるというのは、私はごまかしだと思うんですね。
 住民税均等割のみの世帯でいえば、授業料だけでも四万六千円の自己負担があるわけですよ。今年度の年収二百五十万から三百五十万未満の世帯の場合は、国の就学支援金と都の特別奨学金補助で補助額は三十万六百円になりますね。それでも自己負担は十二万二千四百円というふうになるわけです。そのほかに施設整備費や入学金があるわけですよ。
 ですから、やはり二百五十万未満ではもう既に四十三の道府県で実施をしていると、三百五十万未満でも既に十四のところでやっていると、なぜ東京都でこれができないのかと、私はやっぱり納得がいかないわけです。
 高校の授業料無償化は、やはり全国的な流れになっているわけですし、現に都立は無償になった。そして、私学はこれをやらないということは、本当にお金がある人が行くからだと。そういう考え方が根底にあるんじゃないでしょうか。
 私は、十億円で実施可能なんですから、直ちにせめて年収三百五十万未満の世帯の授業料無償化の補助を拡充することを強く求めたいと思います。
 入学金も大変大きな負担となっております。昨年、高校生就学支援基金を活用して、入学金などの補助も提案をさせていただきましたが、被災生徒に対する入学金補助は実施されることになりまして、これは一歩前進だというふうに思いますが、被災生徒の入学金補助はどういうふうに対応しているんでしょうか。伺います。

○石井私学部長 都が所管する私立学校の設置者が、東日本大震災に起因する事情で家計が急変した生徒等へ授業料、入学金などの減免措置を行う場合において、当該減免額の一定割合を補助する私立学校被災生徒等受入支援事業費補助を実施しております。
 各私立学校には、九月に補助の内容を周知し、被災生徒等の就学支援に取り組むように依頼をいたしました。現在、交付申請を受け付けているところでございます。

○畔上委員 現在受け付け中ということですが、ぜひお金の都合で私学をあきらめることのないように、この制度の周知徹底を求めたいと思います。
 同時に、被災者以外でも保護者の経営する会社が不況倒産したとか、給与が減ったとか、生活が厳しくなっている実態はあるわけですね。やっぱり入学金が払えずに学校をあきらめざるを得ないという深刻な実態があるわけですから、私は入学金に対する助成制度を創設すべきと考えますが、いかがですか。

○石井私学部長 都では、育英資金や入学支度金貸付事業などを実施し、保護者負担の軽減を図り、経済的理由で修学困難とならないよう努めていることから、新たな制度を創設する考えはございません。

○畔上委員 今おっしゃった育英資金、貸し付けを実施しているからという理由で拒否されているわけですけれども、あくまでも育英資金というのは財団事業の貸し付けなわけですよね。東京都は、利子補給をしているということなわけです。
 関東近県を見ますと、千葉県では年収三百五十万までは入学金は半額助成、埼玉県では年収五百万までは十万円助成、神奈川県では年収七百六十万までは九万九千円の助成をしております。
 しかも、平均の入学金が東京都内の私学の方が高いわけで、二十四万七千七百三十一円と。やはりこの負担軽減も喫緊の課題だと思います。都として、入学金に対する助成制度の導入をぜひお願いしたいと思います。
 私学の場合には、入学金、授業料のほかに、年間二十万を超える施設費などの負担があるわけです。東京私立学校教職員組合連合が昨年十月に行った学費滞納調査によりますと、都内の八割を超える私立高校で学費を九月末の時点で三カ月以上滞納している生徒が存在して、一校平均で七・一人と一昨年の六・一人を上回るなど、深刻な状況は変わっていないし、むしろ緊急に解決が求められている、そういう事態だということなんだと思います。
 先ほどご説明のあった育英資金も、無利子とはいえ返済する奨学金で高校を卒業して、借金を抱えることになるわけですね。それでも、借りる人が五年前に比べて、育英資金も実は一・五倍ふえているんです。平成十九年、三千六百三十八人が、平成二十三年、ことしは五千三百七十七人と、やはりそれだけ大変なんだということだと思うんです。
 希望するすべての子どもたちの高校進学を保障して、経済的事情による途中退学をすることがないようにすること、そのためにも私は都として、給付型の奨学金制度を創設すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○石井私学部長 都では、平均的な所得以下の保護者を対象に、返済不要の所得状況に応じた特別奨学金制度を既に実施しております。

○畔上委員 特別奨学金制度そのものは大切な事業であります。しかし、先ほど申し上げたように、それは授業料対象なわけです。保護者にとっては、入学金や施設整備費の負担も大変大きいことから、給付型の奨学金は切実な願いなわけです。
 冒頭申し上げましたように、私学は公立学校とともに公教育の大切な担い手であります。その選択を経済的理由から断念せざるを得ない、また途中での退学をせざるを得ない、そういう事態は行政の責任において避けなければならないことだというふうに思います。給付型の奨学金制度はぜひつくっていただきたいと、これは強く要望しておきたいと思います。
 私立幼稚園の保護者負担軽減も大変重要だと思います。東京都は、年収七百三十万円までの世帯に対しては、所得に応じた補助を行っております。私立の幼稚園保護者負担軽減の補助の単価の設定はいつから同額なのか、またそのときの保育料は幾らだったのか、伺います。

○石井私学部長 私立幼稚園等園児保護者負担軽減補助は、区市町村が行う保護者負担軽減事業に対してその経費の一部を補助するものであり、その補助単価については、平成十五年度から現在の単価となっております。
 平成十五年度の都内私立幼稚園の平均保育料は、二十八万八千百十一円でございます。

○畔上委員 平成十五年というのは、調べますとこれまで課税世帯は五万四千円だった補助を細分化して、年収三百六十万から六百八十万円の世帯は四万二千円、年収六百八十万から七百三十万の世帯は二万八千八百円に引き下げた年なんですね。
 ちなみに、五万四千円という金額は、平成五年、十九年前に設定された金額で、このときは所得制限がありませんでした。その後、平成八年に年収七百三十万円以上は対象外とする所得制限が導入され、そして平成十四年と平成十五年に、年収三百六十万円以上の世帯の単価を引き下げることになったわけですね。
 東京都は、先ほどご説明の中で、国の就園奨励費の改定による負担増については、激変緩和措置をとっているというご説明がありましたが、その努力をされていることはわかっておりますが、今は、平均保育料は三十一万二千九百円と、保育料だけでも平成十五年に比べて保護者の負担というのは二万五千円ふえているわけです。
 私は、補助単価の引き上げもぜひしていただきたいと思いますが、これは強く要望しておきたいと思います。
 私立幼稚園の入園料の都内平均額は幾らでしょうか。

○石井私学部長 平成二十四年度都内私立幼稚園の平均入園料は、十万二千三百三十一円となっております。

○畔上委員 これも大変大きな負担なわけです。私の地元の江東区などは、区独自に入園料については七万円の補助を行っております。しかし、各区市町村に格差が非常にあります。そういう点では、都としての補助をやっぱり検討すべきだというふうに思います。
 次に、専修学校、それから各種学校について伺います。
 八千三百十二名の署名を添えての請願になっております。請願者の方からもお話を伺いました。今回は好意的に協力してくれる人が特に多かったと、同じ学校の学生さんからたくさん集めて送ってくれた人もいたということで、それだけ専門学校や専門学校生を取り巻く状況の改善は切実なのだと改めて感じた、そういうふうにおっしゃっていましたが、私たちもそのことをしっかり受けとめなければいけないというふうに思います。
 まず最初に、専修学校専門課程、いわゆる専門学校の果たしている役割について、都の認識を伺いたいと思います。

○石井私学部長 専修学校専門課程は、大学、短大と並ぶ高等教育段階における職業教育機関として、職業人の育成等の面で大きな役割を果たしていると考えております。

○畔上委員 高等教育段階での職業教育機関であって、職業人の育成面で大きな役割を果たしているということでしたね。
 そして、経常費補助については、請願の説明のところにありましたけれども、都としては、高等教育なので国に制度の創設を要望しているというふうになっています。つまり、要するに、東京都の役割ではないという認識なわけですね。
 私は、国と都道府県の役割分担はそう単純なものではないんだというふうに思うんです。例えば私立高校は、高等教育ではなく後期中等教育ですけれども、都だけではなくて国も経常費補助を初めさまざまな補助を行っているわけです。
 逆に、大学でも都道府県立、それから市立の大学もありますし、国と地方自治体の両方がそれぞれの立場から初等、中等教育も高等教育も支えているというのが実態だというふうに思います。
 そして、専門学校の経常費補助については、今のところ、国は仕組みがないわけです。しかし、国でも専門学校の教育機関としての役割を認めて、例えば被災学生の授業料減免制度は、阪神・淡路大震災のときは専門学校生は対象外だったんですね。しかし、今回の東日本大震災では対象にする、そういった形で教育を保障する立場を前進させているわけです。
 都道府県ではどうかといいますと、全国で専門学校に経常費補助を行っている県は二十以上あるという点では、国の役割だから除外すべきではないというふうに私は考えます。そもそも私立専門学校の所管庁は、国ではなくて都道府県です。
 そして、専門学校は地域性が高いというのが特徴です。都立高校生の四人に一人は専門学校に進学しておりますし、先ほど専門学校は職業人の育成面で大きな役割を果たしているというご答弁がありましたが、関係者の方にお伺いしたら、専門学校の卒業生は地方出身でもほとんど都内で就職するといっていました。
 専門学校の就職ルートは、大学に比べてもかなり地元密着型で、東京の専門学校に全国から求人が来たりすることはないということでした。卒業したら東京で働いて、東京を支えてくれているというのが実態だというふうに思います。
 こうした点から考えますと、国に先駆けて東京都が経常費補助を行って、専門学校の教育を保障していくことが必要ではないかというふうに思います。その点については要望しておきたいと思います。
 次に、授業料の軽減措置についてです。
 これは、都から国に要望してほしいという請願になっております。授業料減免は、例えば大学生は、国立も私立も大学が行った場合は国の予算措置がありますよね。残念ながら落とされてしまいましたけれども、給付制の奨学金も文科省は要求していました。
 また、高校生や専修学校の高等課程の生徒には就学支援金制度がございます。
 一方、専門学校の学生納付金は、東京都の私学行政の冊子によりますと、二〇一〇年度で総額百二十三万円と大変高額なわけですけれども、公的な助成はないわけです。
 専門学校の経営者の方にも、東日本大震災で被災した学生の授業料減免や支援についてお伺いしたんですけれども、そのときに経営者の方はこういっていたんですね。直接被災した場合だけじゃなくて、直接被災していなくても、震災を契機に経済状況が大変になった世帯もあるんですと。そういう点では理由を問わず、低所得者世帯に対する授業料の減免できる制度を設けてほしいというふうに熱心にお話しされていました。
 私立の専修学校や各種学校の学生への授業料軽減措置も国にしっかりと要求すべきだと思いますけれども、いかがですか。

○石井私学部長 国に対し、専修学校への授業料軽減についての制度創設の要望は既にしておるところでございます。
 また、就学支援金制度についていえば、高校生等に対して教育費負担を軽減する目的で国が創設した制度であり、そのあり方については国が適切に判断すべきであります。

○畔上委員 国が判断すべきだという大変冷たいご答弁なんですが、私は国にも要望すべきだと思いますし、やはり都独自に実施することもできるわけですから、ぜひ前向きに検討していただくように強く要望したいと思います。
 次に、施設設備費の補助についてです。
 施設設備に関する都の補助として幾つかあるわけですけれども、例えば教育に使う機械や機器の購入費、パソコンのリース代など教育設備装置や図書の購入費への補助を行う私立専修学校教育環境整備費補助がありますが、この補助実績について教えてください。

○石井私学部長 平成二十二年度の教育設備装置に対する補助実績は、六十一校に対し二億二千二百万余円、研究図書等に対する補助実績は八十一校に対し六千九百万余円となっております。

○畔上委員 請願者からは、ぜひこれらの教育に必要な設備などの補助を充実してほしいと。また、国の施設の設備の補助もあるんですけれども、金額の小さなものは対象外であったりして、小規模な専修学校は申請できなかったりするので、国の補助対象外となる施設設備についての補助を行うなど、きめ細かい補助を充実してほしいという声が上がっておりました。ぜひそれにはこたえていただきたいと要望しておきたいと思います。
 専修学校、各種学校の最後になりますが、専修学校高等課程で学ぶ発達障害の生徒の予算措置について伺いたいと思います。
 都内の専修学校の高等課程には、発達障害のある生徒も在籍していると聞いていますが、都には特別な支援を必要とする子どもたちが高等課程に在籍している場合の補助制度があるわけですね。この実績を教えていただきたいと思います。

○石井私学部長 私立専修学校特別支援教育事業費補助は、心身に障害のある生徒数に応じて、学校に対して補助を行っております。
 平成二十二年度の実績でございますが、対象生徒数は百六十九人で、四校に対し六千六百万余円を補助しております。

○畔上委員 この実績は、発達障害だけじゃなくて、身体障害や知的障害、精神障害などすべての障害を合計した人数ですよね。子ども一人当たり年間三十九万円の人件費補助になっています。
 いずれにしても、四校だけということでありますから、特に特別支援教育に熱心な学校が申請しているということだと思います。
 発達障害など特別な支援を必要とする子どもたちの支援については、例えば都立高校では、来年度から支援を必要な子どもたちが多い学校に先生を加配する計画になっております。
 高等課程には、中学校まで不登校だった生徒なども多く通ってきていますけれども、発達障害の子どもは、周囲の理解が得られないなどのことから不登校になる場合も多くあるわけですね。そういう点では、高等課程にも少なからず在籍をされていると思います。
 それらの子どもたちに本当に必要な支援ができるように、請願にあるように国に要望することはもちろんなんですけれども、都としてもぜひ研究をして、制度を充実させていただきたいと要望したいと思います。
 私は、以上のことから、一括議題となりました請願陳情については、趣旨採択を主張して、質問を終わりたいと思います。

○山内委員 私からは、私立専修・各種学校の教育・研究条件の改善と保護者負担の軽減に関する請願について質問させていただきます。
 先日、フリースクール東京シューレの二十五周年記念、映画と出版記念イベントに行ってまいりました。小中学校で不登校になった子どもたち、高校で中途退学した子どもたちが、自分の気持ちに無理せず、学びたいことを自分に合った方法で学ぶ姿をかいま見てまいりました。
 その中には、資格を持ちたいと考え、専修学校に行き働いている人たちもいて、皆たくましく力強かったです。子どもたちが多様な教育を受けられる環境を整えるのは、私たちの義務であることを改めて強く感じました。
 少子化の中で専修学校高等課程に学ぶ生徒数は年々減少しておりますが、それでも五十五校に三千百七十七人の子どもたちが学んでいます。専修学校の高等課程に進む子どもは、職業意識を持って、将来の目標を持って選択した生徒や高校中退、ニートなどのさまざまな事情を抱えて再チャレンジする生徒など、今、教育の現場で一番求められている多様な学びを保障する大切な教育の場となっていると考えます。
 中学校卒業で資格が取得できる准看護師、調理師、理美容師等養成課程や文化、教養関係などでは生徒の希望が多く、多様な進路を開く役割を担っています。
 公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律、いわゆる高校無償化に基づいて、都内の高等学校に類する課程として、文部科学省令で定めている専修学校の生徒に対して授業料を助成していますが、国や都からさまざまな助成を受けている私学高校には及んでいません。
 国からの補助がほとんどない中、都の教育の一翼を担っている専修学校の環境整備など、さらなる助成が必要だと考えております。
 そこで、専修学校高等課程を対象とした私立専修学校教育振興費補助の考え方と、補助単価の増額についてお伺いいたします。

○石井私学部長 専修学校教育振興費補助は、高等課程に対して教育条件の維持向上及び修学上の経済的負担の軽減を図るとともに、経営の健全性を高めるために実施しております。
 平成二十三年度の補助単価は、生徒一人当たり十五万円でございますが、平成二十四年度予算案では、補助単価を十五万二千七百円に増額して計上しております。

○山内委員 私立の専修学校高等課程、専門課程、一般課程、四百二十校、学生、生徒は十四万六百二十人、各種学校は百六十八校、在学生は二万三千人が学んでいます。
 希望するような職業につくことが難しいこともあり、大学や短大等を卒業後、専門学校に学び直す学生も多くなってきたと聞いています。しかし、私立専修各種学校は、大学や高校に比べ公的助成金が少ないために、学費はとても高くなっております。
 都議会でも、私立専修学校、各種学校については、専門課程及び高等課程に対する新たな助成制度を設けることとする意見書を国に何度も要望しておりますが、一向に事態は改善しておりません。
 そこで、専修学校教育振興費補助を専門課程まで拡大すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○石井私学部長 専修学校専門課程は、実践的な職業教育、専門的な技術教育を行っており、大学、短大と同じく高等教育機関として位置づけられていることから、国の責任において補助制度を創設すべきと考えております。
 都では、国に対して制度創設を継続的に提案要求しております。

○山内委員 企業は、生産拠点を海外に移転し、優秀な人材は海外から求め、これまで企業が行ってきた人材育成の費用を削減し、即戦力の人材を求めています。
 四百万人以上といわれているフリーターや約百万人といわれる無職の若者たち、この対策は、単に若者個人の問題にとどまらず、これから社会を安定したものにするためにも大変重要な課題です。
 その上、働いているとはいえ、派遣やパートなど不安定な身分では、結婚どころか子どもも産めない状況を招いており、少子化対策は就業とともに将来を描けるような収入の確保も重要であると考えます。
 就職難の現在では、専門学校の全卒業生に対する就業率の比率は七四・八%にも達しており、専門学校に対する社会的ニーズは高くなっています。また、専修学校専門課程を活用した再チャレンジを支援する事業も推進しており、今後ますます職業教育の質やカリキュラムの高度化が必要であり、教員のレベル向上、研修、施設、教育環境など、一定の基準を設けて助成を行うことを要望したいと思います。
 そして、その要望を求め、この請願に対して趣旨採択として質問を終わらせていただきます。

○今村委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 初めに、請願二三第三七号をお諮りいたします。
 本件中、第一項から第三項まで、第七項、第九項及び第十項を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 ご異議なしと認めます。よって、請願二三第三七号中、第一項から第三項まで、第七項、第九項及び第十項は趣旨採択と決定いたしました。
 次に、請願二三第四〇号及び請願二三第四三号につきましては、教育庁関係もございますので、決定は二月二十日の教育庁所管分の審査の際に行い、本日のところは継続審査といたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 異議なしと認めます。よって、請願二三第四〇号及び請願二三第四三号は、いずれも継続審査といたします。
 次に、請願二三第四一号を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○今村委員長 起立少数と認めます。よって、請願二三第四一号は不採択と決定をいたしました。
 次に、請願二三第四二号をお諮りいたします。
 本件中、第四項から第六項までを趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 ご異議なしと認めます。よって、請願二三第四二号中、第四項から第六項までは趣旨採択と決定をいたしました。
 次に、請願二三第四四号をお諮りいたします。
 本件中、第三項、第四項及び第五項(1)を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 ご異議なしと認めます。よって、請願二三第四四号中、第三項、第四項及び第五項(1)は趣旨採択と決定をいたしました。

○今村委員長 次に、陳情二三第九六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○菊地男女平等参画担当部長 東京都男女平等参画基本条例に罰則等の法的権限を設けることに関する陳情につきましてご説明申し上げます。お手元に配布してあります請願・陳情審査説明表の七ページをごらんください。
 陳情二三第九六号、港区の丸橋さんから提出された東京都男女平等参画基本条例に罰則等の法的権限を設けることに関する陳情でございます。
 陳情の要旨でございますが、女性専用車両や女性限定サービスなど、事業者による悪質な男女差別を撲滅することを目的に、男女平等参画基本条例、または他の条例、条例の新設により罰則等の法的権限を設けることでございます。
 現在の状況でございますが、東京都男女平等参画基本条例は、男女平等参画社会の実現に向けて、基本理念のほか、都、都民、事業者等が相互に連携と協力を図りながら、一体となって男女平等参画施策を推進すべきものであることなどを定めております。
 また、男女平等参画施策に関する個別の施策において、条例の改定、制定により罰則等を設けるか否かは、個々の施策の実情に応じて所管部署が適切に判断すべきものであると考えております。
 なお、女性専用車両につきましては、平成十五年九月、大阪地方裁判所は同車両の導入が性別による差別であり、憲法第十四条に違反するとして大阪市等を訴えた裁判で、目的、手段の相当性、合理性が認められ、憲法第十四条に違反するとはいえないとの判断を示しており、平成十六年二月に大阪高裁が控訴棄却、同年六月に最高裁の上告棄却により判決が確定しております。
 また、女性限定サービスについては、現時点では性別による差別と判断した判例はなく、また性別による差別を禁止する法令等の規定に明らかに反しているとする公的な見解は見当たりません。
 簡単ではございますが、説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○今村委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○古賀委員 男性はだれでも経験があると思いますけれども、通勤時間帯等、慌てて電車に駆け込みましたら、周りの女性の冷たい視線を浴びて冷や汗を出した、そういう経験はだれしも一回や二回あるのではないかというふうに思うわけです。
 女性専用列車の存在自体、私は否定するものではありませんけれども、この陳情提出者のいわんとするところ、つまり、女性専用車両というものが法的な強制力がないにもかかわらず、あたかも法律に基づく強制的権限によって行われているかのごとき駅員の言動であるとか、たまたま同乗している女性乗客からの注意等を受けることが現実にあるわけであります。
 こういった現状を見ますと、任意で行われている鉄道事業者の乗客サービスが、それに従わない乗客がいたからといって、それに対して嫌悪の情をあからさまに示すということは、乗客サービス上も乗客に対するサービスという点からも、悪意がない男性乗客に対する行き過ぎた行為につながるというふうに私は思うわけです。
 ですから、男女平等参画基本条例の趣旨に照らして、こういった男女差別と性的差別と考えられるような事態に対しては、行政に対して指導を求めるというのは、この陳情提出者の意向としては、私は十分にしんしゃくすべきものがあるというふうに考えます。
 国土交通省の鉄道業務課長からこういったいろいろな事態に対して、関係運輸局鉄道部長あてに、女性等に配慮した車両についてという通達が出ているわけでありますけれども、それには、皆さんもご存じだと思いますが、女性等に配慮した車両については、安全で快適な輸送空間の確保の観点から、あくまで利用者の理解と協力のもと、輸送サービスの一つとして、各鉄道事業者の経営判断により実施されると。この車両は女性専用車と表示されているが、各社の取り扱いは女性以外でも乗車できることとされていると。
 つまり、女性以外の乗客が乗っても、別にそのことを排除する理由はありませんよという国の通達もあるわけです。ですから、そういうことが徹底されるような工夫というものがあっていいと私は思いますし、女性の感覚として、いろいろな男性に対して嫌悪感を持つということは場合によってはあるかもわかりませんけれども、男性を痴漢予備軍のような判断に基づいて、頭からこの車両には乗ってはならないという判断や、あるいはそういう制度というものが余りにもあからさまにまかり通るという現状はやはり検討すべきであろうというふうに思います。
 女性の方のいろいろ意見を聞いたものを読みますと、通勤時間帯でもがらがらあいていて楽ですとか、お化粧も自由にできますとか、そういうことが結構あるんですね。すいていて快適ですとか。
 そういう理由で、都内の列車はすし詰め状態という形のものがこのまま放置されていいのかという視点からの提案であろうというふうに思いますので、私は委員会の現時点の判断では、できれば継続して引き続き検討すべきであろうというふうにも思いましたし、また、趣旨採択ぐらいの判断はしてもいいのではないかという気持ちで意見を述べました。
 以上です。

○今村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二三第九六号は不採択と決定をいたしました。

○今村委員長 次に、陳情二三第一〇〇号を議題といたします。理事者の説明を求めます。

○藤井消費生活部長 女性専用車両の「専用」という虚偽表示を改めさせる意見書の提出に関する陳情につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております請願・陳情審査説明表の八ページをごらんください。
 陳情二三第一〇〇号、港区の丸橋さんから提出された女性専用車両の「専用」という虚偽表示を改めさせる意見書の提出に関する陳情でございます。
 まず、1、女性専用車両という表示を改めさせるよう、国に対して意見書を提出することに関してでございますが、女性専用車両は、大都市圏の鉄道事業者において、輸送サービスの一環として平成十三年から導入され、現在は主としてラッシュ時間帯に実施されております。
 平成十五年九月に大阪地方裁判所は、女性専用車両の導入については、目的、手段の相当性、合理性が認められるとの判断を示しました。
 多くの鉄道事業者は、利用者の理解と協力のもとで女性専用車両を導入しておりますが、国土交通省は、既に女性等に配慮した車両の取り扱いについて、適切な周知、案内がなされるように各鉄道事業者を指導するよう関係運輸局にあてて通知しております。
 次に、2、都の消費生活部及び審議会において、女性専用車両の専用という表示を優先、配慮などの誤認識を生まない表示に改めさせることについて検討することについてでございますが、都は消費生活において、都民が商品またはサービスを適切に選択し、適正に使用または利用するため、適正な表示を行わせることを目的に、東京都消費生活条例により表示の義務づけを行っております。
 その対象となるサービスについては、特に取引内容が複雑でわかりにくいものなど、購入前に消費者への十分な情報提供が必要なものに限定して、東京都消費生活対策審議会の答申を受け指定しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○今村委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○古賀委員 一時、フェミニズム運動が非常に盛んになり、男女共同参画社会基本法等も制定されたわけです。
 当時のいろんな議論の先鋭的な意見を今思い返してみますと、今の厚生大臣の小宮山洋子、千葉景子、福島みずほ、こういったそうそうたるというか、大体想像つきますけれども、こういう人たちがどんなことをいっていたか。それから、上野千鶴子とか、坂東眞理子とかそういう人もいましたね。
 こういう人たちは、男性と女性は違いはある。それは出産と妊娠だけだと。ほかはすべて同じだというのが彼女たちの主張だったんですね。しかし、最近、大脳生理学とか性差に関するいろいろな研究が進んで、男性と女性は存在、権利自体はもちろん対等で平等です。これは論をまちません。
 しかし、大脳生理学とかそういういわゆる医学的な知見からすれば、生理学的な立場からすると、やはり男女には明確な違いがあるということが今はもう定説になっているわけです。
 ですから、ひな祭りとか端午の節句をやることもジェンダーフリー論者はいけないといって、それもやり玉に上げていたわけです。男が水色、黒、青のランドセルで、女性が赤のランドセルも性的に固定観念があって、社会的、文化的につくられた性差であるということをまともに議論していたんですね。
 そういう延長線上に、女性専用列車についてその人たちがどう考えるか。オリンピックや国民体育大会、スポーツ競技もそうですけれども、やはりマラソンでも男女別に走る。一緒には走らないんですね。柔道でも、レスリングでも、サッカーでも、なでしこの女性選手も男性とは一緒に試合しないわけですよ。やはり明確に違いがあるんです。
 ですから、私は、女性専用列車というものは否定しないといったのはそういった意味からなんですけれども、そういう人たちは、女性と男性の差は出産と妊娠だけだと。だから、男女混合名簿、ごちゃまぜ名簿を学校で使用しなさい、導入しなさいということも盛んにやったんですね。今、余りいわなくなった。
 女性専用列車とか女性専用外来について、本来はそういう人たちは男女を分けるもの、区別するものはいけないと本来いわなきゃいけないんだけれども、そういう点に関しては全く口をつぐんでいるのが現状です。
 ですから、私は、男女には存在、人としてもちろん対等、平等であるけれども、そういう生理学的に、また大脳生理学的にも違うということがはっきりしている以上、その点を認めた上で、こういった議論にも積極的に意見をいってもらいたいと思うんですよ。私しか意見をいっていない。だれか反論があったらいってもらいたいんだけれども。
 先ほど紹介しました国土交通省の鉄道業務課長の通達にも、各社、各鉄道事業者について、女性以外でも乗車できるということを車内放送などで周知するよう、障害者団体などからの指摘を受けており、輸送サービスの円滑な提供の観点から、適切に周知されることが必要であると。管理下の鉄道事業者に対し、女性等に--などが入っているんですね--等に配慮した車両については、各社の取り扱いについて十分周知、案内されるよう指導されたいというのが出ているわけです。
 ですから、そういうことがきちんと電車に書いてあればいいんですけれども、女性専用車という大きな張り紙がしてありまして、これもピンクで書いてある。これもフェミニストやジェンダーフリー論者は何で青にしないのかというかと思ったら、やっぱりピンクで納得しているんですね。
 女性専用車の下の方には、女性専用車は女性のお客様のほか、小学生以下のお客様、お体の不自由なお客様、その介助者の方もご乗車いただけますと書いてあるんです。
 外見上、障害者かどうかというのは、外見に障害がある方はわかりますけれども、内蔵に疾患のある障害をお持ちの方もいらっしゃる。だから、うかつに男性が乗っているからといって冷たい視線を浴びせる、あるいは詰め寄るなどということは、本来、よほど慎重でなくてはならないわけで、しかもこれはあくまで任意の制度として行われているということですので、もう少しこの陳情者のいうように、女性専用車の専用という言葉には、やはり改めるべき、検討すべきものが私はあるのではないかというふうに思います。
 ですから、もしこういう表示をするとするのであれば、例えば思いやり車両とかそういったものを、つまり社会的に弱い立場の方を優先して、男女を問わず、老人でも妊婦でも障害をお持ちの方も、そういういわゆる身体的にいろいろ弱い立場の方も優先的にすべき車両の名称を考えることが、私は極めて妥当だというふうに思います。
 女性専用車と書いてあることによって無用な混乱と、陳情者がいうような気持ちで乗車せざるを得ない、つまり快適に乗って通勤、通学したい人でも、自分の乗っている車両はぎゅうぎゅう詰め、隣はがらがら、こういうのを見ると、やはり疑問を感じるのは当然だというふうに思うんです。ぜひ今まで共同参画社会、いろいろな試行錯誤をやってきてもう既に十年以上がたつわけで、こういったところも日本人は少し賢くなっていいと思います。
 さらに、例えば日本人専用車と書いてあったらどう思いますか。中国人専用列車、車両、それから黒人専用車両。例えば、アメリカは実際にあったわけですよ。白人専用施設、そういうのがありました。今はもちろんなくなっています。場合によって、それと同じことを今日本でやっているのかもわからない。つまり性による差別が現に行われているということも指摘できる、十分そういう可能性が、今回のこの陳情者の意見からしても私は判断できるというふうに思うんですね。
 任意の協力であって、南アフリカがやっていたようなアパルトヘイト的な考えでこれを分けて、制度を最高裁の判決があったからといって、最高裁もいろいろ実際に男性とは、女性とはという裁判官の認識もあって、一つのイメージがあってこういう判決が確定したというふうに思うんです。
 ぜひ非難を浴びて廃止をしたアパルトヘイトではなくて、こういう女性専用車両という名称の表示が本質的には矛盾をはらんでいるということを、やはり文教委員会としては考えるべきだというふうに私は思います。
 できれば趣旨採択を私は主張したいと思うんですけども、いろいろ皆さんのご意向があるし、会派の意向もありますので、あえて最終的な判断は本会議まで待ちますけれども、私は一応趣旨採択すべき願意を含んでいるということを申し述べて意見にかえます。

○今村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二三第一〇〇号は不採択と決定をいたしました。

○今村委員長 次に、陳情二三第一〇二号及び陳情二三第一〇三号は、内容に関連がありますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○関文化振興部長 東京都平和祈念館(仮称)建設に関する陳情につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております請願・陳情審査説明表の九ページをごらんください。陳情二三第一〇二号、北区、「東京都平和祈念館(仮称)」建設をすすめる会代表、柴田柱馬さん外六千六百六十六人の方々からの「凍結」状態を解除し「東京都平和祈念館」を一日も早く建設することに関する陳情でございます。
 続きまして、一〇ページをごらんください。陳情二三第一〇三号、世田谷区、「東京都平和祈念館(仮称)」建設をすすめる会代表、高岡岑郷さん外一万一千二百七十七人の方々からの展示内容等の合意を得る努力を即開始し東京都平和祈念館を建設することに関する陳情でございます。
 以上二件でございますが、陳情の要旨につきましては、いずれも東京都平和祈念館(仮称)を一日も早く建設することに関する陳情でございますので、現在の状況につきまして一括してご説明をさせていただきます。
 東京都平和祈念館につきましては、平成十一年第一回都議会定例会におきまして、次のような付帯決議が付されております。
 平和祈念館(仮称)については次の事項に配慮すること。(1)、平和祈念館の建設に当たっては、都の厳しい財政状況と従来の経緯を十分踏まえ、展示内容のうち、いまだ議論の不十分な事実については、今後さらに検討を加え、都議会の合意を得た上で実施すること。(2)、東京空襲犠牲者追悼碑の早期建立に取り組むこと。(3)、東京空襲犠牲者名簿の収集、作成を平成十一年度の早期に開始すること。
 これを受けまして、平成十二年度には、東京都空襲犠牲者追悼碑の建立及び東京空襲犠牲者名簿の作成をいたしております。
 なお、東京空襲犠牲者名簿は、平成二十三年三月現在、七万九千五百三名を登載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○今村委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○畔上委員 私はこの間、二回、質疑を通じて東京都平和祈念館を早期に建設することを求めてまいりました。それは何よりも東京大空襲を初め、たび重なる空襲の被害に遭われた方々は既に多く亡くなっておられ、一日も早く戦争で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、二度と再びあのような戦争を繰り返さないための決意を込めた平和への誓いを発信する場として平和祈念館建設が求められていると考えているからです。
 このたびの陳情は、速やかに平和祈念館の展示内容についての合意を得る努力を開始してほしいというもので、合意をする努力は当然しなければならない賛成の立場から質疑を行いたいと思います。
 陳情者の一人であります映画監督の山田洋次さんは、日本を訪れる世界各国の人々のためにも、一日も早く実現をと呼びかけられていました。平和祈念館が凍結されて既に十三年もの月日がたとうとしているわけで、一日も早い平和祈念館建設というのは、平和を願う都民の悲願というべきことであると思います。
 そもそも東京都平和祈念館の建設のための土台となっているのが基本構想の懇談会報告なわけですが、東京都平和祈念館基本構想懇談会で一致した四つの基本的性格というのはどういう内容だったでしょうか。伺います。

○関文化振興部長 平成六年に策定されました東京都平和祈念館(仮称)基本計画では、平和祈念館は、一、戦争犠牲者を悼み都民の戦争体験を継承する場、二、平和を学び考える場、三、東京の平和のシンボル、四、平和に関する情報のセンターという性格を持つ施設とされております。

○畔上委員 いろいろ議論の末、戦争の悲惨さを伝え、そして命と平和の大切さを伝えることを基本的な性格としたわけですね。この東京都平和祈念館基本構想懇談会の構成には、どの会派が参加されていたのかご説明ください。

○関文化振興部長 懇談会報告を受けました平成五年六月時点の会派名で申し上げますと、都議会自由民主党、日本社会党・都民会議都議会議員団、都議会公明党、日本共産党東京都議会議員団、都議会民社党でございます。

○畔上委員 どういう祈念館をつくるのか、まさに一点に基づく超党派での粘り強い合意づくりの努力があったわけですね。私は、その目的を果たす展示内容や事業内容であることが大切だというふうに考えます。
 そこで、祈念館の建設の決定をした当初の展示内容はどう考えられていたのか改めて見直してみました。
 東京都平和祈念館基本構想懇談会の報告書には、展示内容について四つのことが書かれておりました。一つは、東京大空襲と都民の戦争体験。二つ目は、戦争の歴史。これは日本がどのように戦争にかかわってきたのか、被害の面のみではなく、犠牲を強いた側面からも取り上げること。特にアジアでの戦争のつめ跡を示す資料をアジアの各都市などから提供してもらうことも検討すべきとなっていました。そして、三つ目は平和の脅威となっている諸問題。そして、四つ目が平和に関するメッセージ。この四つが主な展示内容として書かれておりました。
 そして、この報告書の結びにこう書いてあったんですね。多様な意見があることを前提にし、その中で都民の平和を願う率直な気持ちを代弁できればと願いつつ、世界都市東京にふさわしい平和祈念館のあり方について検討したものですと。そして、この事業の実現が図られ、平和祈念館が都民の平和を願うシンボルとなる、そういう施設として世界の平和に寄与することを願ってやみませんと。こうして一致して、いよいよ本格的に建設に踏み切ろうとしていたときに、都議会で付帯決議がつけられて建設が見送られてしまったというわけですね。
 先ほどもご説明もあったんですが、一九九九年三月十一日の都議会本会議における付帯決議の内容、これを再度ご説明ください。

○関文化振興部長 平成十一年三月に平成十一年度東京都一般会計予算に付されました付帯決議の内容でございますが、平和祈念館(仮称)については次の事項に配慮すること。(1)、平和祈念館の建設に当たっては、都の厳しい財政状況と従来の経過を十分踏まえ、展示内容のうち、いまだ議論の不十分な事実については、今後さらに検討を加え、都議会の合意を得た上で実施すること。(2)、東京空襲犠牲者追悼碑の早期建立に取り組むこと。(3)、東京空襲犠牲者名簿の収集、作成を平成十一年度の早期に開始することの三点でございました。

○畔上委員 付帯決議の内容について今説明があったわけですが、合意を得た上で実施ということは、建設の中止ではなくて、あくまでも凍結されているが、合意を得る努力をしなさいよという付帯決議だったというふうに思います。ですから、やはり合意を得る努力を私たちはしていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。
 そこで、付帯決議にある、いまだ議論の不十分な事実とは何のことなのか、議事録などをいろいろ読んでみたんですが、私は二つのことがいわれていると思いました。
 一つは、東京は軍事都市だったのかという問題です。東京はかつて帝都と呼ばれていました。宮城、つまり皇居があって、大元帥陛下である天皇に直属する最高の統帥部がある大本営がありました。そして、政府があり、翼賛国会があり、軍事基地があり、軍用機を製造していた中島飛行機工場や軍艦を製造していた石川島造船所など、多くの軍事工場があるなど、侵略戦争を推進していく政治的、軍事的拠点となっていました。
 非道な大量爆撃によって罪のない人たちが殺された事実、そしてその戦争を起こしてしまった拠点として東京が位置づけられていた事実は、否定しようもないことだというふうに思います。
 東京大空襲の惨事について、当然、空襲を受けても原因が日本側にあるというような展示はいかがなものか、こういった発言が以前の文教委員会でもございましたが、東京大空襲のような惨事が仕方がなかった、そんなことをいってるんじゃなくて、なぜ悲惨なあのような事態が起こったのか、戦争のあらゆる事実を私たちは知るべきなんだと。そして、その動かすことのできない事実をしっかりと受けとめていくことが首都東京のあるべき姿の創造、平和の発信都市としての土台を築くものなんだというふうに思うんですね。
 いま一つ、アジア太平洋戦争がどういう戦争だったかという問題もありました。あの戦争は、やむにやまれぬものだったと主張する方たちもいます。当時の帝国国策要綱、また天皇の宣戦の詔書には、自存自衛のためと書いてあります。だから、やむにやまれぬ戦争だったんだというふうに主張される方もいるようですけれども、この宣戦の詔書でさえも自存自衛とは日本の国土、国民を外敵から守るためとは書いていないんですね。
 このままでは東亜安定に関する帝国積年の努力が失敗すると、戦争をここまでやってきてそんな失敗を認めたら、帝国の存立そのものが危うくなるんだと。つまり自存自衛とは、日本の侵略主義的な本質を実証する言葉にほかならないというふうに思うんです。
 一九四五年に敗戦したアジア太平洋戦争がどういう戦争であったのか、この戦争をどう見るのか。これは、これからどう生きていくのかという問題にも深くかかわる問題であって、私は決してあいまいにしてはならない問題だというふうに思います。
 いうまでもなく、日本国憲法は戦争への反省を基礎に置いて成立されたものです。一九九五年の村山談話、そして一九九八年の日韓共同宣言、そして日中共同声明、二〇〇二年の日朝平壌宣言、二〇一〇年の韓国併合百年首相談話、すべて侵略と植民地支配という用語を使っておわびをしたように、一九四五年に終わった戦争は紛れもない侵略戦争であって、朝鮮、台湾に対して植民地支配を行ったということを明確にしているわけです。これは国際社会での共通認識なわけです。
 戦争で多くのとうとい命が奪われたという事実、その戦争がなぜ起こったかという事実を受けとめることこそ大変大切だというふうに思いますが、その歴史の事実に背を向けて、日本は正しい戦争をやったんだ、やむにやまれぬ戦争だったんだという自存自衛論を持ち込むことは、日本を平和を目指す世界の流れから切り離そうとすることにつながる大変危険なものだと私は考えます。
 悲惨な戦争体験を未来にどのように引き継いでいくのか、このことを真剣に考えるならば、おのずと基本構想懇談会の四つの基本的性格を土台にした平和祈念館が建設されるべきであることは明瞭ではないでしょうか。ですから、付帯決議にある、いまだ議論の不十分ななどという理屈で平和祈念館建設をこれ以上おくらせるわけにはいかないと思うんです。
 私の地元江東区には、民間団体の人たちの運動によってつくられた戦災資料館がありますが、平和について学ぶ貴重な資料館となっています。こうした平和祈念館が公的につくられて、貴重な寄贈されたたくさんの資料を展示していただきたいと切に願うものであります。
 現在、資料については、保存されて都や区市町村の展示会のみの貸し出しとなっていて、寄贈された方々の意思を考えれば、一日も早く常時展示されることが求められているんだと思います。
 繰り返しになりますけれども、付帯決議はあくまでも建設を中止するものではなく、展示内容の合意を得て実施するというわけですから、議会はもちろん、都としても建設のための努力が求められているのだと思います。
 戦争の惨禍を語り継いで、平和と命のとうとさを伝える平和祈念館建設を早期に実現するために、私は陳情を趣旨採択すべきだということを主張して、質疑を終わりたいと思います。

○古賀委員 今、一方的な歴史観が述べられたんですけれども、私はその見解を異にいたしております。
 そもそも平成十一年と平成十年の一般会計予算に対する付帯決議がなぜついたかということを、当時の委員会に私も所属しておりましたし、過去、この委員会でも当時を振り返って記憶をたどりながらやりとりいたしました。
 一つ大きな問題であったのは、平和祈念館という名前については、私たちは、それは都民の気持ちがそこに表現されているというふうに思いますけれども、実際にこの展示内容を検討した建設委員会というのがあるんですけども、委員二十名、この中には、座長もある特定の学会に所属した人でありましたし、都民の公募委員として五人の人が選ばれたんですけれども、その五人の公募委員は、いずれもばりばりの左翼活動家なんですね。都教組の役員、あるいは原水協の事務局次長、それから反核家族新聞発行人、それから大学生ということで一名入っていましたけれども、この人は高校生のときに平和の集い実行委員というのをやっています。
 それから、日本婦人会議の中央常任委員とか、いずれも特定の歴史観、あるいは政治思想を持った人が都民を代表するという形でこの建設委員会に入り、そしてそこでつくられたのが具体的な展示内容であったんですけれども、これは東京大空襲を容認、肯定するものでありました。
 東京空襲を企画したのはカーチス・ルメイというアメリカの司令官ですけども、極端な白人優先主義者で、有色人種に対してはひどい偏見意識を持った人でありましたけれども、この人は従来アメリカがやっていた軍事施設、先ほど出た武蔵野の中島飛行機の工場空爆とか、そういう軍事工場に対するピンポイントの爆撃では成果が上がらないということで、下町を中心に、全面的に東京を焼き畑にするという作戦計画を立てて、アメリカというのは実にしたたかな国で、開戦前から日本の家屋の研究もやっていたわけです。
 いつ風が一番強く吹くのか、その季節はいつか、そして建物はどういう構造になっているか。木と紙でできている、これを焼き払うにはどういう計器が必要かということも研究を重ね、その結果、当時、ちょうど三月十日、陸軍記念日でもありましたので、この日、東京は風が一番強く吹く日であるということから、この日をねらって数百機のB29で、開発したガソリンをゼリー状にした爆弾、焼夷弾で焼き払うことを計画するわけです。
 明らかにアメリカの国際法に違反する非戦闘員に対する攻撃であって、これはアメリカの戦争犯罪であることは間違いないわけです。日本が国際法違反し戦争犯罪を犯したのではなくて、アメリカが戦争犯罪を犯した。しかも、この展示内容はアメリカの戦争犯罪に加担する内容になっていた。
 つまり下町では、女性であろうと子供であろうと、軍事工場で働いて兵器を生産している、ボルトをつくっている、ナットをつくっている、ワッシャーをつくっている全部戦闘員だという強引な説明でこの空爆を正当化するわけです。その結果、非戦闘員の多くの都民、約十万人の方が数時間の間に、また業火の中でとうとい命を亡くしていくわけです。これは明らかな戦争犯罪です。
 これを東京は軍事都市であったという今まで聞いたこともない、歴史で習ったこともない言葉をもって、軍事都市東京、だから東京は空襲を受けたという正当化する内容の展示が行われようとしていた。
 しかも、具体的に企画会社で丹青社という会社がこれを請け負って基本計画のようなものをつくるんですけども、ここは大阪の同じような平和資料館のようなピースおおさかというのがあるんですけども、それから長崎の平和祈念館でも実績があった会社です。
 ここでは実際ありもしない中国共産党、あるいは国民党がつくった、いわゆるやらせの反日ビデオ、こういったものをさも実写であるかのように映像化する。あるいは、どこのだれがどうやって起こした事件かわかりませんけど、全く出所不明の写真を持ってきて、このようなひどい虐殺が行われたというようなにせ写真を並べて展示をやった会社でありました。
 こういうことから、当時の文教委員会で、やはりこのまま建設を進めることは問題がある、つまり日本を一方的におとしめる展示、目に余る歴史偽造、こういったことは許すべきでないということから付帯決議がつくという経過があったわけです。
 遺族の皆さん、ご家族の皆さん、私は何回もこの場でお名前を出しておりますけれども、林家三平さんの奥さんであった海老名香葉子さんともお話をいたしました。あの方は家族、たしかお父さんやお母さん、それからご兄弟も亡くしておられると思います。六人ぐらいのご家族を亡くしておられるんですけれども、慰霊の気持ちを持って、都民が、またその家族の人たちが手を合わせる場所をとにかく一日も早くつくってほしいのですということが切実な私どもの願いですということを何度もおっしゃいました。
 それを受けて、私たちは当時委員会で先ほど申しましたような経緯があって、それでは慰霊碑をつくらなければいけない、一刻も早くつくろうということで、横網町公園、あそこは関東大震災であそこに逃げ込んで亡くなられた場所で、本来は別の場所がいいかなという意見も私は出したりしたんですけれども、実際は、横網町公園というのは空襲で亡くなられた方はほとんどいらっしゃらないというふうに私は聞きました。
 ですから、ほかの都の施設、公園等が候補地としてどうかという意見もいったりしたんですけれども、結果的にはご遺骨もまだ慰霊堂の中にありますので、あの場所をということで、先ほどのご報告にあったように、東京都の力で平成十三年の三月に竣工した空襲犠牲者を慰霊するための碑が建設されて、これで一つの遺族の皆さん、ご家族の皆さんのご意向にはこたえたし、また、名簿の作成についても取り組むことを求めておりましたけども、これについても先ほど七万三千数名の名簿が今集まっているということですけども、あの慰霊堂の下に入り口があって、小さな扉から入っていくとその名簿が並んでいます。そういうふうに可能なことは、私どもはきちんと都として都議会はその責任を果たしたというふうに思っています。
 それから、憲法のこと云々というお話がありましたけれども、これも前にいったと思うんですが、日本国憲法を制定するとき、日本共産党の国会議員は全員反対したんですよね。なぜ反対したかというと、私有財産が認められているとか、それから参議院があるのはおかしいとか、国会の議事録を読めばわかりますけれども、日本共産党は、日本国憲法は日本民族の存立を危うくする、憲法九条は民族の存立を危うくするといって反対したんですよ。長生きした人がいましたね、野坂参三、あの人の会議録を読めばちゃんとそれが書いてあります。発言があります。
 ですから、憲法云々ということを今ここで持ち出してこの平和祈念館と結びつけることには、先ほどの議論には無理がある。
 それから、大東亜戦争については、先ほど別の名称を何かいわれましたけれども、アメリカは大東亜戦争という名称を使うことを日本に対して禁止しました。昭和二十七年の独立回復までそれを守ることはやむを得なかったと思いますけども、日本が戦ったのはアジアの各国の人たち、アジアの民族の人たちではなくて、そこに三百年、四百年と植民地支配していた国と日本は戦ったんですね。ですから、それぞれの当時の元首、あるいは大統領や首相になった人たちも日本に対する感謝の言葉を述べている人がたくさんいます。
 戦争が終わって十年たってバンドン会議というのがありました。インドネシアで開かれたアジア、アフリカの指導者がみんな集まった。ネールとか周恩来とかスカルノとか、みんな集まって、日本も呼ばれたんですよ。
 しかし、いろいろ怒られるだろうなと思って行くのをちゅうちょしていたんですけども、日本の代表が行ったら大歓迎を受けるんですね、よく来てくれたと。日本のおかげでおれたちは、アジアの各国は、有色人種はこうやって独立できたと。胸を張ってこの会議に来てくれたことを感謝すると。
 バンドン会議という、アジア、アフリカの国のこと、最近は開かれていませんけども、有色人種の国々の先ほど申し上げたような指導者、ネールとかスカルノ、中国、周恩来、皆、日本に感謝したんですよ。
 しかも、日本と戦った相手国のアメリカの最高司令官のマッカーサーは、日本が大東亜戦争を戦ったのはセキュリティーのためと書いてあるんです。日本は安全保障上、戦わざるを得なかったということを敵の大将がいっているわけです。私がいっているんじゃない。
 昨年来られたブータンの国王ご夫妻が国会で演説をされました。アジア、アフリカの地域のために、日本はこの地域を開くために大きな役割を果たしたことを自分のお父さんや、その前の代の祖先から聞いていると。つまり、日本は大きな犠牲を払ってアジア、アフリカのために戦ったということは、昨年の十一月、国会で、ブータン国王の演説の中にちゃんと含まれているんですよ。
 ですから、私たちが一方的な歴史観で、違う歴史観が述べられてもそれは構いません。しかし、これをまとめるというのは大変ですね。引き続きこの付帯決議を私たちがやはり今話し合いをすることはやぶさかでありませんけれども、これを解除して建設に着手するという環境ではとてもないということで、この陳情については同意しかねるということです。

○今村委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 初めに、陳情二三第一〇二号を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○今村委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二三第一〇二号は不採択と決定をいたしました。
 次に、陳情二三第一〇三号を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○今村委員長 起立少数と認めます。よって、請願二三第一〇三号は不採択と決定をいたしました。
 請願陳情の審査を終わります。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 請願陳情について申し上げます。
 本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分については、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時二十三分散会

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