委員長 | 今村 るか君 |
副委員長 | 山内れい子君 |
副委員長 | 村上 英子君 |
理事 | 西沢けいた君 |
理事 | 島田 幸成君 |
理事 | 大松あきら君 |
野田かずさ君 | |
くりした善行君 | |
畔上三和子君 | |
高木 けい君 | |
野上 純子君 | |
野上ゆきえ君 | |
小沢 昌也君 | |
古賀 俊昭君 |
欠席委員 なし
出席説明員スポーツ振興局 | 局長 | 細井 優君 |
理事 | 産形 稔君 | |
総務部長 | 安藤 英二君 | |
スポーツ事業部長 | 板垣 一典君 | |
スポーツ施設担当部長施設計画担当部長兼務 | 佐野 克彦君 | |
スポーツ祭東京推進部長 | 川合 純君 | |
大会運営担当部長 | 早崎 道晴君 | |
招致推進部長 | 松永 竜太君 | |
教育庁 | 教育長 | 大原 正行君 |
次長 | 庄司 貞夫君 | |
理事 | 高野 敬三君 | |
総務部長 | 松山 英幸君 | |
都立学校教育部長 | 直原 裕君 | |
地域教育支援部長 | 谷島 明彦君 | |
指導部長 | 坂本 和良君 | |
人事部長 | 岡崎 義隆君 | |
福利厚生部長 | 前田 哲君 | |
教育政策担当部長 | 中島 毅君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 廣瀬 丈久君 | |
人事企画担当部長 | 白川 敦君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
スポーツ振興局関係
契約議案の調査
・第百七十七号議案 東京体育館(二十三)改修工事請負契約
・第百八十号議案 東京体育館(二十三)改修空調設備工事請負契約
報告事項(説明・質疑)
・平成二十五年冬季国体の開催について
教育庁関係
契約議案の調査
・第百七十五号議案 都立港地区第二特別支援学校(仮称)(二十三)改築工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・諮問第一号地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関する諮問について
報告事項(質疑)
・新たな都立高校改革推進計画(案)の骨子について
○今村委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○今村委員長 ご異議なしと認め、そのように決定させていただきました。
○今村委員長 次に、契約議案について申し上げます。
契約議案は、財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
平成二十三年十二月八日
東京都議会議長 和田 宗春
文教委員長 今村 るか殿
契約議案の調査について(依頼)
左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
記
1 調査議案
第百七十五号議案 都立港地区第二特別支援学校(仮称)(二十三)改築工事請負契約
第百七十七号議案 東京体育館(二十三)改修工事請負契約
第百八十号議案 東京体育館(二十三)改修空調設備工事請負契約
2 提出期限 平成二十三年十二月十二日(月)
○今村委員長 本日は、お手元配布の会議日程どおり、スポーツ振興局関係の契約議案の調査及び報告事項の聴取を行った後、教育庁関係の契約議案の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
これよりスポーツ振興局に入ります。
初めに、契約議案の調査を行います。
第百七十七号議案及び第百八十号議案を一括して議題といたします。
本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言をお願いいたします。
○野上(純)委員 東京体育館の改修工事についてお伺いいたします。
東京体育館は一九五四年に建てられて、一九五八年のアジア大会、そして、一九六四年の東京オリンピックでは水球や体操の競技会場として使用されてまいりました。
昨日も柔道のグランドスラム東京大会の決勝戦が行われており、世界体操選手権大会とか、現在も多くの世界大会とか、全国大会が開催されている会場でございます。
また、都民体育大会や全国青年大会などのアマチュアスポーツ大会も数多く開催されておりまして、名実ともに東京のスポーツ振興の拠点となる施設でございます。
しかし、一九九〇年にリニューアルしてから、早くも二十一年の歳月がたちました。最近は施設の老朽化も目立ち、また、都民ニーズも変化していることから、時代に即した改修工事が必要になったものと考えております。
そこで、今回の改修工事の主な内容についてお伺いいたします。
○佐野スポーツ施設担当部長施設計画担当部長兼務 東京体育館は、平成二年の全面改築から二十年以上が経過いたしまして、施設や設備機器の老朽化が進んでおります。
平成二十五年のスポーツ祭東京二〇一三では、東京体育館を会場といたしまして、国体の水球、全国障害者スポーツ大会のバスケットボール及び車いすバスケットボール競技が開催されますことから、このたび大規模に空調、電気、給排水等の設備更新や、施設の改修等を行うこととしたものでございます。
改修工事では、利用者からの要望に対応するとともに、ユニバーサルデザインを導入するなど、だれもが使いやすい施設となるよう整備いたします。また、設備機器の更新に際しましては、省エネ機器を採用いたしまして、省エネルギー及び環境対策への対応を図ってまいります。
この改修により、老朽化した東京体育館をスポーツ祭東京二〇一三等の大規模大会開催にふさわしい施設へとリニューアルし、スポーツ都市東京を代表する施設としてまいりたいと思います。
○野上(純)委員 この東京体育館は、スポーツ祭東京二〇一三の会場になる施設なのですから、全国から東京を訪れるたくさんの選手や、観客の皆様に大会を楽しんでもらえるような、ユニバーサルデザインに基づいた改修を行ってもらいたいと思っております。
私も、ことしの十月に第十一回全国障害者スポーツ大会、山口大会の視察をしてまいりました。中心になっている会場はもちろんのこと、それぞれの会場はすべてバリアフリーになっておりました。
特に、車いすの方々が車いすのままで競技を観戦できるように、拡張型のデッキがつくられておりました。車いすの出入りの通路をふさがないように工夫がなされておりました。
また、トイレ等もオストメート対応になっておりまして、車いす用のトイレが各階にあり、ほとんど洋式になって設置しており、エレベーターも少し大き目で、車いすが数台入れるようなものを設置してございました。
また、小部屋で横になって休めるような場所、案内をする人の休憩場所になる小部屋とかございました。
点字ブロックや手すりにももちろん点字があって、わかりやすく動けるようになっておりました。
また、パーキングパーミットを導入しておりまして、これは、この前の代表質問でも取り上げたところなんですけれども、車での障害者の移動が非常に楽になっておりました。
この山口大会を視察して、施設のバリアフリーがいかに重要であるかを感じてきたわけでございます。障害者スポーツ大会では、より細やかな配慮が必要になると思われますが、今回の改修工事で、障害者や高齢者などに対応した具体的な内容についてお伺いいたします。
○佐野スポーツ施設担当部長施設計画担当部長兼務 東京体育館では、これまでも障害者や高齢者に配慮した出入り口のスロープ設置や、メーンアリーナの車いす観客席の確保などを行ってまいりました。
これに加えまして、このたびの改修によりユニバーサルデザインを導入し、さらに使いやすい施設となるよう整備いたします。
具体的には、車いす観客スペースを現在の七席分から二十九席分に拡大するとともに、サブアリーナ出入り口のスロープ幅を拡幅いたします。
また、オストメート対応トイレを五カ所設置し、プール入り口通路等に手すりを設置いたします。
さらに、メーンアリーナ入り口前広場の舗装改修や、駐車場出入り口の自動ドア化などを行います。
また、利用者からの要望にこたえ、すべてのトイレに温水洗浄便座を完備する予定でございます。
こうした対応によりまして、障害者や高齢者などだれもがスポーツに親しめる施設を目指してまいります。
○野上(純)委員 今後も障害者や高齢者が安心して使える施設となるよう、利用者の声にも対応していただきたいと思っております。
これまでのお話で、東京体育館が障害者や高齢者などだれもが使いやすい施設として改修されることが理解できましたが、現状としては、スポーツをしたいと考えていても、障害者スポーツセンター等の利用は積極的に行ってはいましても、障害者専門施設以外のスポーツ施設の利用をためらっている障害者の方が多くいると思われます。
多くの障害者にスポーツ施設を利用していただくために、施設のバリアフリー、また、ユニバーサルデザインの情報を発信することが重要ではないかと考えますが、見解を伺います。
○佐野スポーツ施設担当部長施設計画担当部長兼務 委員ご指摘のとおり、障害者のスポーツ施設の利用促進を図るためには、施設のバリアフリー等の情報は欠くことのできないものでございます。そこで、障害者や高齢者に配慮した今回の改修の機会をとらえ、積極的な情報発信をしていくことが必要であると考えております。
具体的には、障害者がスポーツ施設を安心して利用できるよう、ユニバーサルデザインの導入やバリアフリーの状況をホームページに掲載していくことを検討してまいります。
今後は、改修工事を進めているほかのスポーツ施設等につきましても、ユニバーサルデザイン等の対応状況や施設利用に必要な情報を発信し、多くの障害者が積極的にスポーツ施設を利用できるように取り組んでまいりたいと思います。
○野上(純)委員 最後です。障害者が安心して施設を利用できるよう、きめ細かな対応を検討していただいていることをお聞きして、心強く思います。
障害者の方が気軽にスポーツを楽しむために、今後も施設の大規模な改修工事等の機会にバリアフリー対応を推進し、施設のさまざまな情報を発信していただくことを要望します。
また、今後の使用に当たっては、例えば屋内プールが来年四月一日から平成二十五年三月三十一日までは使えないとか、また、その他のメーンアリーナ、サブアリーナ等、さまざまなコーナーが来年七月一日から二十五年三月三十一日まで使えないというようなことも、今使っていらっしゃる団体等に早目に周知をしていただくことが大事だということを添えておきます。
以上でございます。
○今村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はいずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○今村委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
お諮りいたします。
本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○今村委員長 異議なしと認め、そのように決定させていただきました。
以上で契約議案の調査を終わります。
○今村委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○川合スポーツ祭東京推進部長 平成二十五年冬季国体の開催についてご説明いたします。資料をごらんください。
公益財団法人日本体育協会及び文部科学省から開催要請のあった平成二十五年の第六十八回国民体育大会冬季大会スケート競技会及びアイスホッケー競技会については、東京都が開催することといたしました。
1、経緯をごらんください。開催要請を受けましたのは平成二十三年九月二十二日でございます。その後、関係機関と調整を行うなど検討を進めた結果、開催を受諾することとし、十一月三十日に開催受諾書を日本体育協会及び文部科学省に提出いたしました。追って十二月二日、両機関から開催決定書を受領し、開催が正式に決定したところでございます。
次に、2、開催決定した競技会についてでございますが、スケート競技会、アイスホッケー競技会でございます。このうちスケート競技会については、スピードスケート、ショートトラック、フィギュアの三種目がございます。
なお、冬季大会は、このほかにスキー競技が正式競技となっていますが、スキー競技会については秋田県が開催することが既に決定しております。
3、被災地支援の取り組みについてでございますが、東日本大震災の被災地支援の観点から、スピードスケートにつきましては、福島県郡山市のスケート場において実施いたします。
最後に4、日程及び競技会場案についてでございますが、日程につきましては、平成二十五年一月二十六日土曜日から二月一日金曜日までの七日間を予定しております。
競技会場についてでございますが、スピードスケートは福島県郡山市にあります郡山スケート場、ショートトラックにつきましては江戸川区スポーツランド、フィギュアにつきましては、渋谷区にあります代々木競技場第一体育館、アイスホッケーにつきましては、西東京市にありますダイドードリンコアイスアリーナと東大和市にあります東大和スケートセンターの二施設を予定しております。
日程及び競技会場につきましては、平成二十四年三月に公益財団法人日本体育協会の承認を受け、正式に決定する予定でございます。
冬季国体につきましては、今後、関係者とさらなる調整を重ねた上、開催に向けての準備を着実に進めてまいります。
説明は以上でございます。
○今村委員長 報告は終わりました。
これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○古賀委員 本定例会の所信表明で石原知事が、平成二十五年の冬季国体を東京で開催し、スピードスケートについては福島県内で競技会を行うことを表明いたしました。
これにより、平成二十五年は、一月の冬季国体、二月の東京マラソン、秋の東京多摩国体の開催と続く、まさに、体育競技一色の一年となり、都民の関心も非常に高くなる絶好の機会、年となるというふうに思います。
また、一部競技を東日本大震災の被災地で実施することは、被災地の復興の後押しの一助ともなる、まことにすばらしい判断であると考えます。
平成二十五年の冬季国体で一部競技を被災地で実施することの意義、そして効果について、改めてお伺いします。
○川合スポーツ祭東京推進部長 平成二十五年の冬季国体は東京で開催することといたしましたが、そのうちスピードスケート競技につきましては、福島県郡山市にある郡山スケート場で実施いたします。
被災地で一部競技を実施することは、スポーツの力で人々を元気づけるとともに、被災地に活力を取り戻す契機となるものと考えております。
大会期間中には、多くの選手や観客などが会場地を訪れることになりますので、にぎわいの創出や経済的な波及効果も期待できます。
また、大会後は、国体の会場地としての認知度も高まることから、競技団体などの利用を促す効果も見込まれます。
○古賀委員 一部とはいえ、競技を被災地で行うことは大変意義ある取り組みと考えます。大会の成功に向け、全力で準備に当たっていただきたいと存じます。
しかしながら、復興に取り組んでいる郡山市は、人的にも、また財政的にも、十分に負担できる状況には決してないというふうに思います。また、同じ年の秋に予定されている国体本大会の開催に向けて準備を進めている東京都内の市や区にとっても負担になるのではないかと思います。
この新たに開催を決めた冬季国体の開催に向け、それぞれの自治体に対し、都はどういう役割と分担で準備を進めていくのか伺います。
○川合スポーツ祭東京推進部長 国民体育大会におきましては、通常、会場地となる市区町村が競技会の準備、運営を行っております。しかしながら、郡山市内で競技会を実施するに当たりましては、震災復興に取り組む郡山市に負担がかかることがないよう、都が直接大会の準備及び運営を行ってまいります。
また、都内で実施する競技会の準備、運営につきましても、大会開催まで残すところ一年余りと準備期間が短いことから、直接都が行うものといたします。
会場地となる地元自治体には、開催に向けた機運の盛り上げや、全国から訪れる選手、観客へのおもてなしなどの面で連携、ご協力をいただけるよう、今後調整を進めてまいります。
○古賀委員 都の支援については、既に適切に考えているということが今の答弁でわかりました。地元の市や区と十分連携をとって万全の体制で臨んでいただきたいと存じます。
ところで、この東京多摩国体の開催まで残すところ二年を切ったわけです。大会を盛り上げるための、各市区町村ではさまざまな行事の機会をとらえて、例えば大会を成功に導く、幸運をもたらす縫いぐるみ、ゆりーとを活用した広報活動や、各種体育競技の教室を初めとする競技普及啓発活動など、工夫を凝らしたさまざまな取り組みが行われているわけです。
このような、それぞれの地域での着実な取り組みの一歩一歩が、やがて東京全域での盛り上がりへとつながっていくと信じます。
私も、スポーツ振興局の皆さんが一生懸命取り組んでいただいているということは、十分理解をしているつもりです。ただ、もう一歩進んで、何かきっかけとなるような大きな仕掛けを行うことによって、さらに開催機運の盛り上げを図ることもできるのではないかと思います。
私として提案したいのですが、東京多摩国体はまさに大江戸体育祭です。この一大行事を盛り上げるためには、平成二十五年の一度だけ東京マラソンを多摩地域に移して実施することであります。
東京マラソンは、世界有数の大都市である東京を走り観光名所をめぐるマラソンとして人気がもう既に定着しており、地域を巻き込んだ祭りともなっているわけです。すばらしい、東京を代表する大行事であります。
しかし、マラソンの経路の設定は、特に市民マラソン大会の場合、長時間に及ぶ交通規制が必要になるため、経路に当たる沿道住民の生活への影響や、自動車の迂回路をどうするのか、詳細な検討が必要であることも東京マラソンの準備の状況をお聞きして理解をしております。
そこで、東京マラソンのような大きな影響力のある行事を多摩地域で開催することは、東京多摩国体の開催機運の盛り上げに大変有意義であるということを今申し上げているわけでありますけれども、スポーツ振興局の見解はいかがでしょうか。
○安藤総務部長 スポーツ祭東京二〇一三の開催まで残すところ二年を切りまして、その開催機運を盛り上げていくためには、多摩地域においてより積極的な取り組みを行っていきたいと考えております。
一方、委員ご指摘のとおり、大規模マラソン大会のコースの設定には、交通規制に伴います沿道住民や事業者への影響、また、自動車の迂回路対策など、多くの課題がございまして、東京マラソンの大会では、これらのすべてを解決するために、以前、四年以上にわたる取り組みが必要でございました。
そこで、スポーツ祭東京二〇一三の開催機運を醸成するため、開会式の会場であります味の素スタジアムおきまして、二万人以上の参加者を目指しますランニング大会や、東京マラソンの公式行事としての十キロレースを実施するとともに、ニュースポーツなどを紹介し、体験できる行事を開催いたします。
あわせまして、都教育委員会と連携いたしまして、中学生東京駅伝大会におきましても、スポーツ祭東京二〇一三の認知度向上へ向けた取り組みを行ってまいります。
さらに、多摩地域におきますウオーキング大会やランニング大会の開催についても検討してまいります。
○古賀委員 検討していただけるようでありますので、時間も切迫しているわけでありますけれども、期待をしております。
過去にいろいろな資料を見ていましたら、間もなく、来年になりますと箱根駅伝、大学生の力走がまた国民を沸かすというふうに思いますけれども、実は、昭和十八年に、これは皇紀二六〇三年、優勝旗にもそういうふうに書いてありますけれども、このとき、戦勝祈願を込めた靖国神社、箱根神社間の往復駅伝が行われているわけです。なぜこういうことが行われたか。昭和十八年一月五日に開催されております。
その前の、これは二十二回大会なんですけれども、二十一回大会は実は昭和十五年に行われていて、その後は国策によって東海道箱根路の使用ができなくなったわけです。
しかし、学生たちは、駅伝を途絶えさせてはならないという強い思いで、さまざまな検討を行って、資金の面等もいろいろあったんですけれども、今申し上げた昭和十八年の一月に、靖国神社大鳥居前を出発する、靖国神社、箱根神社間、往復関東学徒鍛錬継走大会、箱根駅伝を実施しました。
このように従来行われたものも、国家的なこういう切迫したさまざまな状況があっても、やっぱり続けようということで変更し、なおかつ、それを成功させたという事例もあるわけですね。参考になるかどうかわかりませんけれども、一つ申し上げて、資料として供しておきたいというふうに思います。
局長は、フルマラソンを六度完走しておられるマラソンランナーでいらっしゃる。昨年の東京マラソンは四時間五十分だったんですか、完走された。二代目局長は、まさにマラソンの鬼。聡明でもいらっしゃるけれども、文武両道でいらっしゃるわけで、ひとつ、マラソンも、知恵を絞れば多摩地域で十分、今いろいろな例は出されましたけれども、工夫次第で可能性があるのではないかというふうに思っています。
マラソン局長の英断を期待して質問を終わります。
○今村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○今村委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上でスポーツ振興局関係を終わります。
○今村委員長 これより教育庁関係に入ります。
初めに、契約議案の調査を行います。
第百七十五号議案を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○今村委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○今村委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
お諮りいたします。
本案は、異議のない旨、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○今村委員長 異議なしと認め、そのように決定させていただきました。
以上で契約議案の調査を終わります。
○今村委員長 次に、付託議案の審査を行います。
諮問第一号、地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関する諮問についてを議題といたします。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○高木委員 ただいま付託議案の諮問、地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関する諮問について、きょう質疑ではなくて、この問題についての意見だけ申し上げておきたいと思います。
本件は、そもそも事件の経緯などを聞いておりますと、疑義のないというか、争う余地のないものだというふうに私は思うんですね。にもかかわらず、こうして諮問が私ども都議会に諮られているということは、見解の相違といえば見解の相違なのかもしれませんけれども、今回のこの事件を初めとして、さまざまな公務員にかかわる不祥事といってもいいんでしょうけれども、そういう案件に対しての条例上の問題があるのではないかなというふうに私は思います。
条例を所管しているのは総務局でありますから、先日、総務局の担当者にもその旨、お話をさせていただきましたけれども、今回のケースのようなこういった事件で、都議会にかかわったり、あるいは、そのことをもう一度調査をし直さなければならないような、むだな労力がかからないように、条例の、やっぱり、ルールの整備というものをもっときちんとすべきなんじゃないかなというふうに思います。
そのことは、最終的には条例改正ということになろうと思うんですけれども、いずれにしても、公務員の、それは私たち特別職も含めてだと私は思っていますが、公務員の不祥事に対しては、いわゆる、民間の基準とか世間相場並みというような考え方は、一つあるとしても、やっぱり、それ以上であっていいはずなんですね。
特に、今回は教育公務員ですから、教育長を初めとして教育委員会の皆さんご案内のとおりですけれども、教育公務員というのは、人づくりをしている公務員だと思うんですね。ですから、こうした公務員、あるいは教育公務員といわれる方々のルール、あるいは処罰の規定、このことが、私は逆にいえば世間相場並みであってはいけないんだろうと思っています。
だからこそ、先日、総務局の担当者にもその話をし、こうしたことが改めて諮問されるようなことがないように、疑義が生じないように、争って何かを獲得できるんではないかというふうに事件を起こした人が思わないように、そういうルールの改正を私は強く求めておきたいと思います。
ですから、それは教育委員会からも、ぜひ総務局に働きかけをして、議会からそういう意見があったということは伝えながら、疑義のないルールづくりをしていただきたい。こう思っております。それをまず冒頭に申し上げておきます。
それで今、毎日毎日いろいろな、公務員の方々に関する事件や事故というのが起こっておりますので、新聞やマスコミをにぎわしていると思いますが、東京都教育庁で行われている、服務事故防止というのかな、このことについて一言申し上げておきたいと思います。
先日、その資料をいただきまして、この十二月に、信頼によってつくる服務事故のない学校という資料をいただきました。
この中身もつぶさに拝見をいたしましたけれども、事例がこの中に十程度出ておりまして、それで、つくった教育庁の皆さんはもうご案内のとおりなんですけれども、幾つか、知らない方もいらっしゃるかもしれませんので、少し披露しておいた方がいいのかなと思うんですが、次の行為はなぜやってはいけないんでしょうかという設問に対して、自分で考えなさいということになっていますね。
事例一、道端の壁に立てかけてある、かぎがかかっていない自転車、後で返すからちょっと借りていこうと思って自宅まで乗っていきました、このことがいいかどうか考えてください。こういうことなんです。
これが、同じようなことが十項目ある。長いんで余りいいませんが、こういうのがあります。何度指導しても受け入れられず、反抗的な態度をとった生徒に対して、つい力が入り過ぎて、生徒の胸ぐらをつかみ大声でどなりました、そのことがいいかどうか考えてください。
それで、見開きで、返すとそれに対する解説が書いてあるんですけれども、だから、いけないことを書いてあるんでしょうけれども、こういうことを指導しないといけないというのは、なかなか大変だなと思うと同時に、定期的にそういう意識を啓発するという意味で多分やっていらっしゃるんだと思いますが、とにかく、示しがつかないということがないようにぜひしていただきたいと思います。
私たちは、自分の学校生活などを振り返ってみましても、最初に出会う指導者というのは、家庭であれば親なんですけれども、特に学校教育の中で先生というのは、私たちの人生にとって大変重要な、その一部を占めるんだろうと思います。
自分が信頼していた先生が、例えば、そうした自転車を乗って帰ってしまって何かの、窃盗ですとか横領だとかの罪に問われるとか、あるいは暴力事件を起こしてしまうとか、そういうことが起こると、これは非常にショックなんですね。
私も高校時代にそういう経験を、私の高校でもありましたけれども、やはり、子どもたちにとっては、信頼していた先生に裏切られたという気持ちにどうしてもなってしまうんですね。
ですから、そのことが子どもたちに対する影響というのは、やはり、大きなものがあると思いますし、先ほど冒頭に申し上げましたように、人づくりをしている教育公務員の皆さんの倫理規定や、あるいはルールというのは民間並みじゃないんだ、それは一般の公務員以上に厳しいものなんだという自覚を持って、ぜひやっていただきたいなと思うし、そのことをぜひ皆さんに指導していただきたい、こう思っています。
今回の諮問には、基本的に疑いの余地はないと思いますし、ましてや、この諮問、審査請求をしたご本人に対して退職金の一部が改めて支払われるというようなことは、一〇〇%私はあり得ないと思いますけれども、そういうことも含めて、ぜひ今後、事件や事故のない、特に服務規程に関して事件や事故のない教育委員会になってほしいし、教育公務員の育成にぜひ努めていただきたいということを申し上げまして、私からは意見だけ申し上げたいと思います。
○今村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○今村委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○今村委員長 次に、報告事項、新たな都立高校改革推進計画(案)の骨子についてに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○くりした委員 このたびの都立高校改革推進計画案の大きな柱の一つとして、グローバル人材の育成を強化する方針が掲げられております。
IT技術の進展等により、研究開発のような知的労働も容易に国境を越えて行われるようになった今、以前は重立った競争相手たり得なかったBRICsを初めとする振興諸国も多くの産業に参入をし、分野によっては日本の地位を脅かすほどになってきました。
かつて電機産業は、日本の隆盛の象徴でありましたが、液晶パネルやメモリ半導体など、韓国や台湾の企業の急成長に伴い、世界シェアを大きく奪われているのが現状であります。
こういった現状を打破していくためには、日本が得意としてきた技術力に加えて、世界を舞台に交渉や情報のやり取りのできる、まさにグローバル人材の育成を行うことが急務であることについて、もはや異論を挟む余地はないと思います。
グローバル人材を育てていく上で、実践的な語学力の習得のみならず、外国文化に肌で触れることのできる海外留学をより行いやすい環境をつくっていくことは、大変重要であると考えております。
我が党の議員もこれまで提案してきたように、グローバル人材の育成を進める上で、東京都としても海外留学をより強力に推進すべきと考えますが、まず見解をお伺いいたします。
○坂本指導部長 世界を舞台にさまざまな分野や場面で活躍できる若者を育成していくことは、我が国の将来の発展にとっても、これからの次代を生きる若者にとっても、極めて重要であります。
このため、高校生の留学を支援していく都独自の新たな仕組みを開発してまいります。
○くりした委員 ただいまご答弁をいただきましたとおり、新たな留学生支援制度の創設に向けて、平成二十四年度の予算において既に要求をしている段階で、計画の中身については、これから順次検討していくと聞いております。
来年度の実施ということで、スケジュールが非常にタイトでありますが、精力的に取り組んで、熱意のある学生をより海外に送り出していけるように、充実した仕組みをつくり上げていただくことを希望いたします。
具体的には、海外の良質な学校とのパイプを築くとともに、成績だけではなくて、生徒が、その留学の経験をその後にどのように生かしていくのか、そういったプランも加味した対象生徒の選抜方法を検討していただきたいと思います。
現在の検討では、二百名を超える生徒を海外に送り出せるようにするということを想定していると聞いておりますが、地方自治体においては、これほどの規模において留学生支援制度を行っているところはないと聞きます。
今後、他の地方自治体に向けて留学支援制度の重要性を認識させる上で、試金石となる大変重要な取り組みと考えておりますので、ぜひ成功させていただきたいと思っております。
都立高校における留学生支援制度の創設に伴い、都内の約六割の高校生が通う私立学校等の生徒に対する補助についても、検討すべきとの意見が都議会でも出ておりますが、都立高校は教育庁の管轄、そして私学の助成は生活文化局の管轄、通常の制度の枠組みでは、これを一挙に実現することは困難なのが現状であるというふうに受けとめておりますが、この取り組みの重要性をかんがみて、ぜひ所管の壁を越えた、全庁的な取り組みを東京都として検討いただきたいということについて、意見として申し上げて次の質問に移ります。
国際社会で活躍する人材をつくる上では、ふだんの学校生活の中における外国語習得の強化も非常に重要であります。
本年度の都立高校白書によれば、国際的な英語力の基準となるTOEFLの成績において、日本人の受験者の平均成績は、リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングすべての分野において、比較対象の中国、台湾、韓国、インド、タイより低いという結果が出ております。これは、アジアをリードする日本の立場としては、大変危機的な結果であるといわざるを得ません。
日本人の英語力が不足していることは、複合的な要因が考えられますが、その一つとして、周辺諸国と比較し海外の人々と直接接し英語を実践的に使用する機会が少ないことが挙げられると思います。
隣の韓国においては、かつては日本と同じように読解や文法を中心とした受信型の学習が中心となっていましたが、近年では、リスニングやスピーキング中心の発信型の学習に切りかえ、日本との英語力の差をさらに広げようとしています。
日本においても、聞くこと、話すことを中心とする実践的な英語教育にシフトしている傾向は見られますが、教員育成についても時間を要することから、まだその十分な効果が出ているとはいいがたい状況であります。
私は、日本人が人材育成という課題を克服して、実践的な英語教育を実現していくために、学校における英語教育の場においても質のよい外国人教師が活躍できる場所を、機会をもっとふやしていくべきだと考えております。
そこでまず、現在、都立高校において外国人教師、いわゆるALTは、どのような形で英語教育に携わっているのかお伺いをいたします。
○坂本指導部長 都教育委員会では、昭和五十九年から外国人英語等指導補助員という、いわゆるALTを都立高校に配置しております。
このALTは、地方公務員法が規定する特別職の非常勤職員でありまして、各学校で日本人の教員とチームティーチングに当たることで、英語等の外国語指導を補助しております。
○くりした委員 ただいまご答弁いただいたとおり、ALTは特別職の非常勤職員という扱いになっていること、また、日本人の教員とチームティーチングが基本であるということがわかりました。
外国人教師単独での授業は、英語が得意ではない学生からすると間口を狭めてしまう、また、授業の質の管理が非常に難しいことなど、現状において、すべての学校で一般的に行うには時期尚早ではないかということで、この方針については、私は正しいのではないかと思います。
また、ALTはすべての授業に加わるわけではないと聞いておりますが、現在、都立高校においては、一般的にどの程度の頻度でALTの加わる授業を行っているのかお伺いをいたします。
○坂本指導部長 都立高校のすべての一年生に、年間十三回から二十三回、日本人教員とALTとのチームティーチングを行っております。
ただし、国際学科等外国語教育に重点を置いている学校につきましては、申請に基づきさらに時間をふやして配置しております。
○くりした委員 年間十三週から二十三週の間で決められているというお答えをいただきました。高校生の授業は三十五週行われておりますので、平均的なところでは、二週間に一回程度の割合でALTが授業に加わっているということであります。
これは、頻度からすると、私は、もう少し強化の余地があるのではないかというふうに感じております。実際に多くの英会話教室においては、週一回二時間以上の受講を推奨しております。
そして、この頻度をふやすとなると、ALTの質の確保も非常に重要になります。ネーティブスピーカーであれば、もちろん英語を話すことができて当然でありますが、それを日本人の学生にわかりやすく伝える技術を持った教員でなければなりません。
そこでお伺いをいたしますが、都立高校におけるALTの採用は、どのようなプロセスを経て行っているのかお伺いをいたします。
○坂本指導部長 ALTの採用につきましては、配置を希望する都立高校が学校の実態に応じて候補者を選定して、都教育委員会に具申し、都の教育委員会が採用、決定いたします。
なお、学校で候補者が見つけられない場合は、都教育委員会が適切な候補者を紹介しております。
○くりした委員 基本的にはそれぞれの学校が独自に採用して、そして、そういったことができない学校においては、都教育委員会の方で窓口となって人材を割り振る、そういったお答えであったと思います。
それぞれの学校の裁量でALTの選定を行っているということで、各校には適切な人材を確保する能力が問われることとなります。
ALTの採用、活用について都教委が定めている、外国人英語等教育補助員配置要領を拝見いたしましたが、ALTの質を保つ上での規定としては、ALTは英語主要国の大学卒業以上、またはそれと同等程度の学力を有することや、刑罰を受けたことのないこと等が条件として挙げられておりますが、ティーチングスキルの質を確保するための具体的な規定が見当たりません。
無論、そこに大きな問題があれば免職できることも規定をされておりますが、生徒たちが実際に授業を受ける前に、そういった問題点を明らかにするとともに、最低限の品質を保つためにALT向けに、日本人に対してどのように講義をすればわかりやすく教えられるのかの心得として、ティーチングスキルの講習を一部の授業数を使っていくことも有効ではないかと考えます。
さて、私としては、都立高校において学生の実践的な英語力を伸ばしていく上で、ALT活用の拡充と、さらに厳格な質の確保が必要であると意見をさせていただきましたが、教育庁として、都立高校においてより実践的な英語力を培っていくことをどのようにお考えであるのかお伺いをさせていただきます。
○坂本指導部長 新しい学習指導要領では、教員が生徒に英語で授業を行うことで英語に触れさせる機会をふやすとともに、授業を実践的なコミュニケーション能力の育成場面として位置づけております。
今後も、読むこと、書くことだけでなく、話すこと、聞くことを加えた総合的な英語力を育成していくために、ALTを有効に活用した言語活動を充実させるなど、さまざまな場面を想定した効果的な英語の授業を行えるよう指導してまいります。
○くりした委員 生徒が英語に触れる機会をふやしていくという方針や、ALTの重要性についてご理解をいただいているということは、大変ありがたいことだと思います。
外国語に限らず、教育においては結果を出すのに時間がかかります。しかし、十年後、二十年後、国家の盛衰を決めるのも教育であることは疑いようのない事実であります。
日本が国際社会で認められ、そして経済的にも競争力を高めていけるように、本日質問させていただいたような留学生支援制度や、学校の授業における英語教育の充実によって、世界の舞台で活躍できる人材の育成にとりわけ力を入れていただけることを強く要望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○野田委員 それでは都立高校における学力の定着と伸長について、何点か質問いたします。
先日、新たな都立高校改革推進計画案の骨子が発表され、この中で、都立高校は真に社会人として自立した人間を育成することが強く求められており、そのために生徒一人一人の潜在能力を顕在化し、伸ばす教育を実践していく必要がありますと述べられております。
生徒を学力、道徳性、体力の、知、徳、体のバランスがとれた人間に育成し、社会に送り出していくことが、まさしく都立高校の使命ではないでしょうか。
知、徳、体の、いずれも社会で自立するための基盤となる力として必要なものですが、本日は骨子の中の主題な課題と取り組みの方向の冒頭にある、学力の定着と伸長について、いわゆる知の部分について伺います。
改革推進計画案の骨子に先立ち発表された都立高校白書には、社会のあらゆる活動の基盤として、新しい知識、情報、技術が一層重要性を増す時代を迎え、都立高校は生徒に基礎的、基本的な知識や技能とともに、それらを活用し課題を解決していく力、主体的に学力に取り組む態度を身につけさせることが必要であると記されております。
いわゆる知識基盤社会において、高校生が生涯にわたり学習し自己実現を果たしていくためには、まずは、在学期間中に基礎学力をしっかり身につけておくことが肝要であると考えております。
そこで、都教育委員会として、都立高校における学力向上の取り組みにどのような課題があったと認識しているのか伺います。
○坂本指導部長 多様な進路希望を持って都立高校に入学してくるすべての生徒に対して、学力を初めとする個々の生徒の能力を最大限に伸ばし、一人一人の進路希望を実現できるようにしていくことは都民の願いであります。
都立高校の中には、これまで生徒の学力の実態把握や教員間での指導方針等の共通認識が十分でなく、一部の教科では授業の到達目標は進度がそれぞれ教員に任されているなどの課題がございました。
また、生徒が学習につまずいていても組織的な対応が十分でなく、授業の内容を理解できないままの生徒もおり、基礎学力の定着に課題がある学校もございました。
○野田委員 今のご答弁を伺い、都立高校には組織的に学力向上に取り組む体制が十分には構築されていないことがわかりました。
そうした課題を解決するために、都教育委員会は、学力向上開拓推進事業を開始したと伺っております。その内容とその成果について伺います。
○坂本指導部長 都教育委員会は、平成二十二年度から三年間にわたり、学力向上開拓推進校として十五校を指定いたしました。
推進校では、高校入試等のデータ分析に基づいた生徒の学力の実態把握、到達目標等を定めた学力向上推進プランの作成、その到達度をはかるための学力調査の実施、調査結果に基づく当初プランの改善といったサイクルの中で、授業改善と生徒一人一人の学力向上に取り組んでおります。
推進校からは、生徒の学力について具体的なデータ分析に基づいて把握しようという共通認識を一層深めることができ、教員の意識が高まった、教員が指導内容、指導方法の見直しを図ったところ、生徒の学力の定着に一定の効果が見られたとの報告がございました。
こうしたことから、本年度から推進校の研究成果をもとに、すべての都立高校で学力向上開拓推進事業を開始いたしました。
○野田委員 既に一定の成果が上がっていることが報告されているようですが、この事業をさらに充実させ、都立高校の生徒の学力を向上させていくために、今後どのような取り組みを進めていくのか伺います。
○坂本指導部長 本年度推進校の取り組みについて、外部の有識者を交えた検討委員会で評価、検証を行っており、その結果をまとめた報告書を全校に配布するなどして、各校の学力向上に向けた取り組みの改善充実を支援してまいります。
また、各学校が目指す学力の到達目標に加え、今後は学校の設置目的に応じて生徒に最低限身につけさせるべき学習内容の習得レベルを明確にし、校内で統一的な指針による授業を実施することで生徒の学力を保障していく仕組みを構築し、各学校に導入してまいります。
こうした取り組みを通して、学力向上開拓推進事業をさらに充実させ、都立高校の生徒の学力向上に努めてまいります。
○野田委員 各学校がそれぞれの設置目的に応じた学力を生徒一人一人に確実に定着させ、次代を担う都立高校生が将来に向けて自信を持っていけるよう、都教育委員会として学力向上の取り組みの充実をお願いいたします。
次に、都立高校における理数教育の充実について伺います。
石原都知事は所信表明で、小学校における科学教育の充実について述べられておりましたが、科学技術の発展に対する国民の期待は大きく、科学技術の発展は我が国の根幹にもかかわるところです。
天然資源に乏しく、また、今後も人口減少が見込まれる我が国が、将来にわたり科学技術で世界をリードしていくためには、次代を担う才能豊かな子どもたちを継続的、体系的に育成していく必要があります。
二〇〇六年に実施されたPISAの国際学力調査によると、例えば理科学習の目的意識の強さに関する質問に肯定的な回答をした生徒の割合は、OECD加盟国の平均が六七%に対して日本は四二%。また、科学の楽しさを感じている程度についての質問に肯定的な回答の割合は、OECD平均が五〇%に対して日本は三六%と、我が国は諸外国と比較して、科学について学ぶことに興味を持ち理数系の勉強が楽しいと答える子どもたちの割合が極めて低い水準にあります。
このため、学校教育において、理数科目への関心を高め、理数好きの子どもたちのすそ野を拡大するとともに、すぐれた素質を持つ子どもを発掘し、その才能を伸ばす科学技術の土台となる理数教育の充実が求められております。
そこで、都立高校における理数教育の充実に向けたこれまでの取り組みについて伺います。
○坂本指導部長 都立高校では、数学、理科の授業において、生徒が確かな学力を身につけられるよう、習熟の程度に応じた少人数指導や、興味、関心や進路希望に応じた選択授業を実施しております。
また、スーパーサイエンスハイスクール及びサイエンスパートナーシッププロジェクト事業に指定された都立高校では、生徒に科学技術、理科、数学に対する興味、関心と知的探求心等を育成する取り組みを行っております。
さらに、都教育委員会では今年度初めて、京都大学と連携して都立高校生を初め、都内の高校生七百五十名を対象に、世界で初めてiPS細胞の作製に成功した山中伸弥教授から高校生が直接話を聞くことのできる講演会を実施したり、科学の甲子園東京都予選会を開催し、科学に関する知識等を競い合わせたりして科学に関する興味、関心を高めさせております。
これらの取り組みを通し、理科好きの高校生のすそ野を拡大するとともに、すぐれた素質を持つ生徒を発掘し、その才能を伸ばすよう努めてまいります。
○野田委員 都教育委員会として、理数好きの子どもたちのすそ野を広げるためのさまざまな取り組みを実施していることが理解できました。このような取り組みで大切なことは、子どもたちを指導する教員の力量が重要であると考えます。
そこで、理数系の教員の授業力を向上させるために、都教育委員会のこれまでの取り組みについて伺います。
○坂本指導部長 都教育委員会では、これまで都内の大学と連携して理数系教員指導力向上研修を実施するなど、理数教育の根治的な課題と、その解決方法や、生徒の関心を引き出し科学的な探求心を高める指導法などについての研修を実施し、理数系教員の授業力の向上を図ってまいりました。
また、東京都高等学校数学教育研究会、東京都理科教育研究会等、都の教員で組織する教科等の研究団体に対して、教育研究普及事業を実施し、研究活動の促進、活性化を図るとともに、研究成果の普及を支援してまいります。
さらに、昨年度から新たに教育研究員事業を実施して、その中に高等学校数学部会と理科部会を設け、数学、理科における教科教育の中核となる教員の育成に取り組んでおります。
○野田委員 教員に対するさまざまな取り組みを行っていることもわかりましたが、これからも都立高校における理数教育を一層充実させる必要があると考えます。
そのためには、これらの事業に加え、授業で実験や観察を通して生徒の興味、関心を引き出しながら、体験的、問題解決的な学習を充実させるなど、理数好きの生徒をふやすとともに、すぐれた素質を持つ生徒の才能を伸ばす必要があると考えます。
そこで、都立高校における今後の理数教育の充実に向けた取り組みについて伺います。
○坂本指導部長 都教育委員会では、今後もこれまで行ってきた理数教育に関する取り組みを充実発展させるとともに、観察や実験等を活用した体験的、問題解決的な学習をさらに充実させる指導方法や、カリキュラム等を研究開発してまいります。
また、各種科学コンテスト等に積極的にチャレンジしていく理数好きの生徒を育成していくため、科学研究部や環境委員会など、各校の部活動や生徒会活動等で取り組んでいる理数教育にかかわる生徒の活動に対する支援をしてまいります。
さらに、都教育委員会が中心となり、小学校、中学校、高等学校の関係者や、大学、企業、NPO等と連携、共同する機関を設置し、理数教育の充実に関する検討を行ってまいります。
○野田委員 答弁を伺い、これまで及び今後の都立高校の理数教育の取り組みについて理解しました。
東京から科学技術で世界をリードしていく人材を継続的、体系的に育成するとともに、理数好きの子どもたちのすそ野を拡大するため、都立高校における理数教育の充実に今後も都教育委員会として全力を挙げて取り組んでいただきますよう要望いたしまして、質問を終えます。
○野上(純)委員 私も最初に、学力の定着と伸長についてお伺いいたします。野田委員と内容がかなりダブりましたので、ダブったところを省略して。
数学的なリテラシー国際調査として、OECDの国際学力テストの結果では、ダブったところは省略して、ダブっていないところだけいいますと、二〇〇〇年では日本の国は一位だったんですね。二〇〇三年では六位、二〇〇六年では十位、そして二〇〇九年では九位、これは、三年ごとに調査を行っておりまして、今のところ、ちょっと低迷をした状態が続いているということですね。知事も、所信表明の中で、小学校における科学教育の充実について述べられております。
きのうたまたまテレビで高専ロボコン二〇一一の優勝戦を見て、たまたま優勝戦のところだけなんですけれども、見る機会がありまして、被災地である福島高専と仙台高専名取キャンパスというところがちょうど決勝戦で戦っておりまして、結果的には仙台高専名取キャンパスが優勝したわけでございます。
こうした創意工夫と知恵と団結力で、どのチームも青春をかけてというんですか、取り組んできたという満足感があらわれておりまして、たとえ敗れてでも来年こそは優勝を目指しますという前向きなコメント等があり、石原知事が「新・堕落論」の中で、今の若者は無気力と弱劣化があるというような表現とは逆に、目的のためにお互いに知恵を出し合って協力し、また、試行錯誤を繰り返しながら粘り強く取り組んでいる姿に、見ていて涙が出るというのか、私たちも感動を禁じ得なかったんですけれども、やはり、こうしたロボコンに見られるように、科学技術に対する教育というのがすごく大事ではないかと思っております。
小学校、中学校で理数系学問で培ってきたこの基礎学力を磨いて、都立高校においてさらに理数教育の充実を図っていくことが重要だと思っております。先生の教え方とか、また、科学実験の楽しさ、そういった細かいこといかんで教科の好き嫌いが分かれたりする経験はだれしも持っているかと思っております。
できれば、小中学校で理数系の学問が得意だった子どもたちに、そのまま好きな教科として高等学校でも続けて、好きでいていただきたいと思っております。そのためには、理数教育に携わる教員が、それぞれの教科ごとの研究とか研修を熱心に行い、魅力のある授業力、授業力を向上させて、教員同士で切磋琢磨していくことが大切だと思っております。
そこで、都立高校の同じ教科を教える教員が切磋琢磨し、教科指導について研究や研修を行っていく仕組みについてお伺いいたします。
○坂本指導部長 都教育委員会では、昨年度から実施している教育研究員高等学校数学部会と理科部会において、教材開発や授業研究を中心とした研究の成果を報告書にまとめ、全都立学校に配布するとともに、研究成果発表会を実施して、その内容の周知を行っております。
また、研究事業や協議会、発表会を行って、理数系教員等の指導力の向上を図っている教科等の研究団体に対し、指導主事の派遣や研究発表会の周知等、研究活動の活性化に向けた支援を行っています。
さらに、進学を特色とする学校間で、相互に自由に授業を参観するシステムを構築しまして、教員の教科指導力の向上を図れるよう努めております。
○野上(純)委員 理数教育の充実を図るために、都立高校の教員が、理科とか数学など同じ教科ごとに他の学校の先生方と研究、研修を行って、教科指導の充実を図っているということがわかりました。
これらの取り組みを通して研究、研修を行った教員が、その成果を校内において同じ教科の教員とともに生かしていくことが大切です。
そこで、学校内における同じ教科での指導法の研究等の取り組みについてお伺いいたします。
○坂本指導部長 すべての都立高校では、高校入試等の結果分析に基づいた生徒の学力の実態把握、到達目標を定めた教科別学力向上推進プランの作成、到達度をはかるための学力調査、調査結果に基づく推進プランの改善に至る取り組みの中で、生徒の実態に応じた指導法の研究を行っております。
また、都教育委員会では、今年度から新たに、校内における教科研究の活性化を図るために、難関大学入試問題分析集を作成し、すべての都立高校に配布いたしました。教員からは、分析集を活用して教科で研修を行うことができた、日常の授業改善に向けて大変勉強になったという声が寄せられております。
○野上(純)委員 難関大学入試問題分析集というのを作成してすべての都立高校に配布したという実績は、すばらしいと思っております。各学校において教科指導の方法について共有し、研究、研修していくことがわかりました。
未来を担う科学技術系人材を育てるためには、理数教育の充実を図る取り組みとして、文部科学省から都立高校四校が指定されておりますスーパーサイエンスハイスクールの取り組みが重要な役割を果たすのではないかと考えております。
そこで、スーパーサイエンスハイスクールに指定されている都立高校の取り組みの内容と、成果を広く都立高校全体に広めていく取り組みについてお伺いいたします。
○坂本指導部長 スーパーサイエンスハイスクールに指定されている都立高校四校は、科学的思考力を高め国際社会に活躍するリーダーを育てる教育の研究開発や、探求力を育成する学習指導法の開発などの研究テーマを設定し、理数教育に関して先進的な実践研究を行うとともに、理科、数学に重点を置いたカリキュラムの開発、大学や研究機関等と連携した研究などの取り組みにより、国際的な科学技術系人材を育成することを目指しております。
これらの取り組みの成果として、都立小石川中等教育学校の生徒がポーランド科学アカデミー主催の国際物理学論文コンテストに入賞を果たすなどしております。
都教育委員会では、平成二十年度からスーパーサイエンスハイスクール東京都指定校合同発表会を実施しまして、都内のすべての指定校九校が研究発表や意見交換を行う機会を設け、都立高校等に成果の普及啓発を行っております。
○野上(純)委員 都立高校の理科、数学の教員を中心とした教科指導の充実と、スーパーサイエンスハイスクールにおける取り組みの成果の普及によって、理数教育が一層充実することを期待しております。
次に、八ページにありますⅠ-2、道徳性の涵養の4の情報モラル教育の推進について、意見表明させていただきます。
この学校非公式サイト、いわゆる学校裏サイトといわれるものですけれども、インターネット上で学校の生徒らが立ち上げている掲示板など、いわゆる学校裏サイトによるトラブルがまだまだ後を絶たない状況でございます。
東京都は先ごろ、児童生徒によるインターネットの適正な利用を促すために、事例集と手引を作成し、都内すべての都立高校や公立小中学校などに配布したとお聞きしております。
今から三年前になりますかね、都内の公立学校を対象とした都の調査によりますと、学校裏サイトや中傷メールなどを複数の人に送るように促すチェーンメールによるトラブルを経験した児童生徒の割合が、高校で十人に三人、中学校で四人に一人、小学校では十人に一人、特別支援学校では五人に一人に上っておりました。
八月に、都の委託を受けて実態調査をしている会社を訪問させていただいて、裏サイトじゃなくて学校非公式サイトというんですね、について現場を視察させていただきました。
これは、個人間のメールなどはなかなか見ることができないために、ここの会社の担当者は、なかなかチェーンメールへの対応は難しいと指摘をしておりました。また、裏サイトについては、監視していることが気づかれるとパスワードを設定されて、他者から見られなくなってしまうケースもあると説明をしておりました。
外部専門家による情報モラルの干渉もしておりますけれども、この入札が一年契約のために、今までその業者が培ったノウハウが翌年度に生かされないこともあります。入札制度なので、仕方がないんですけれども、次々と形を変えて、隠語の変化があるので、チェックするのが難しいということもあると思います。しっかりと単年度の成果というんですかね、培ったものは次年度に生かせるような工夫をしていただきたいことを要望しておきます。
次に、Ⅱ-1、職業的自立の醸成ですね。一〇ページのところですね。中途退学者の編入学制度についてお聞きいたします。
中途退学率は年々減少している状況でありますけれども、残念ながら中途退学者が多い学校もまだまだあるのが現状でございます。
一度中途退学した生徒は、新しい進路を見出すことが難しく、目的意識を失ってしまう傾向にあります。このような状況に対し、もう一度学校で学ぶ機会を得られることは大きな支援となります。
そこで、既に学校をやめてしまった中途退学者の方がもう一度勉強したいと考えたり、何らかの事情で在籍している学校が合わないで、新たな環境で勉強をやり直したいと考えたとき、どのような方法があるのかお伺いいたします。
○直原都立学校教育部長 中途退学者や進路変更を希望する生徒等が新たな進路を選択することができるよう補欠募集を実施しております。中途退学者については学年の初めである第一学期の補欠募集に、転学を希望する高校在籍者については各学期の補欠募集に応募することができる仕組みとなっております。
また、高校入学後の不適応を防止する観点から、第一学年第二学期の補欠募集については、定時制課程や通信制課程から全日制課程への転学、工業科から普通科への転学など、異なる課程や異なる学科間の転学も可能としております。
○野上(純)委員 こうした情報はすごく貴重なものですので、ぜひ、新たなスタートを切れるように、中途退学者の方々に周知徹底を図っていただきたいことを要望いたします。
この2のキャリア教育についてですけれども、私は、年金教育を都議会の中で一番最初に取り上げた関係で、このことについてはちょっと意見表明させていただきます。
この年金教育は、授業を見せていただくと、最初にグラフが出てきまして、正規と非正規で生涯賃金がどれぐらい違うのかという導入で入っていきます。そうすると、その授業を受けた子どもたちはとってもびっくりしておりまして、同じような勤務実態で正規職員と非正規職員では生涯賃金がこんなに違うのかということで、初めて驚いて、仕事をするということに興味、関心が芽生え始めるということがありました。
ですから、いろいろな専門分野の方、多数の人材の方がいらっしゃいますので、いろいろな方を講師として学校現場に派遣することが大事だと思っております。
年金教育なら、例えば社会保険労務士の先生方がボランティアでやってもいいですよというような声もあって、うちの葛飾区は、ずっと社会保険労務士の先生方が希望のある学校に出向いて、授業をしていってくださっております。
また別の角度から、先生方がモンスターペアレントという理不尽な要求を突きつけられて困っている場合なんかは、行政書士の先生方、あるいは弁護士さん等、そういった相談体制を構築しておくことが大事だと思いますので、このことについては意見表明させていただきます。
次に、一二ページのⅢ-1、教員の資質・能力の向上のところについて質問させていただきます。
都立高校改革では、生徒一人一人の潜在能力を顕在化し、伸ばす教育を目標としております。そのためには、教育に直接携わる教員のプロ意識の涵養を図り、資質、能力を向上させることが重要であると思います。
新たな都立高校改革推進計画案の骨子の中では、教員の資質、能力の向上に関して、さまざまな取り組みの方向が示されておりまして、そのうち、教員のプロ意識の涵養を図る取り組みとして、指導教諭の導入等を検討するとあります。
そこで、指導教諭について、職の内容、役割について確認をしておきたいと思います。
○白川人事企画担当部長 指導教諭とは、平成十九年の学校教育法の改正によりまして学校に置くことができるようになった職でございます。
具体的な職務は、みずから授業を受け持ち、所属する学校の児童生徒等の実態等を踏まえまして、教育指導の改善及び充実のために他の教員に対して必要な指導及び助言を行うものでございます。
○野上(純)委員 この骨子の中では、教員全体のプロ意識の涵養や専門性の向上を図るために指導教諭を導入するとしておりますが、その意図は何でしょうか。
○白川人事企画担当部長 都教育委員会は、これまでも教育に対する熱意と使命感、豊かな人間性と思いやり、組織人としての責任感、協調性などを東京都の教員に求められる教師像として明示いたしまして、各種研修、主幹教諭や主任教諭を活用した職場内研修、OJTなどによりまして、学習指導、生活指導、進路指導など、さまざまな指導力を向上させるため、みずから成長できる環境を整えてきたところでございます。
今後は、教員のみずから育つ意識を引き出しまして、教員全体のプロ意識の涵養や専門性の向上を図ることを目的といたしまして、実践的指導力にすぐれ他の教員に対する高い指導力を有する指導教諭の導入などを検討してまいります。
○野上(純)委員 高い指導力を有する指導教諭の存在も大変大事なんですが、一方では、実力のある教員として成長していくためには、新規採用段階から教員として必要な資質、能力を身につけさせる研修が必要だと思います。
そこで、東京都における新規採用教員の研修制度についてお伺いいたします。
○坂本指導部長 都教育委員会では、高い資質と能力を持った若手教員を育成するため、平成二十二年度から、法定研修である初任者研修と、東京都が独自に実施してきました二、三年次授業研究を統合した東京都若手教員育成研修を実施しまして、採用から三年間で系統的、段階的に教員としての基礎的、基本的な知識、技能を身につけさせております。
この東京都若手教員育成研修では、東京都教職員研修センター等の校外における研修とともに、所属校で行われる校内における研修を通して、教員として必要な学習指導力、生活指導力、進路指導力、外部との連携、折衝力、学校運営力、組織貢献力の四つの力を身につけさせております。
○野上(純)委員 新規採用段階からの教員の計画的な研修はとても大切なことでありますけれども、特に、日常の職務遂行を通して人材育成を行うOJTを学校全体で組織的に推進していくことが重要でございます。
OJTを充実させるための今後の取り組みについてお伺いいたします。
○岡崎人事部長 都立高校におきましては、平成二十二年に改定したOJTガイドラインに基づきまして、主幹教諭や主任教諭が中心となって若手教員に対する組織的なOJTを実施しております。
現在、OJT推進モデル校を二十三校指定いたしまして、職務を通じた組織的な人材育成を拡大させているところでございますが、都立高校全体では取り組みが不十分な学校も見られます。
そこで、都教育委員会がすぐれたOJTを実践する学校の実例をもとに、OJTの診断基準を新たに作成いたしまして、全校の取り組み状況を順次診断し、適切な助言を行い、都立高校全体で効果的なOJTが実施されるよう努めてまいります。
○野上(純)委員 最後に、一三ページの6、教員のメンタルヘルス対策のところ、これで終わりです。
都立学校の教員のうち、平成二十三年十二月一日現在、精神疾患による病気休職数は九十名に上ると聞いております。この中で、既に一年以上休職されている方が二十九名ということであります。
新たな都立高校改革推進計画案では、教員の資質、能力の向上の中で、教員に対して早期自覚、早期対処に重点を置いたメンタルヘルス対策を実施するというふうにありますけれども、精神疾患により病気休職に入ると長期の休職になり、なかなか復職できないのではないかと思います。
そのためには予防に重点を置くことが重要ではないかと思っておりますが、平成二十三年度から実施しておりますストレス検査の意義と仕組みについて伺いたいと思ったんですけれども、これは予定しておりましたっけ。予定していないですよね。済みません。このストレス検査、まだ始まって間がないので、また次の予算委員会か何か。(「通告制じゃないんだから、いいんだよ」と呼ぶ者あり)大丈夫ですか。そうですか、いいですか。じゃ、ちょっと済みません、意義と仕組みについてお伺いします。
○前田福利厚生部長 うつ病など精神疾患は本人の自覚がないままに重篤化することが多いことから、早期自覚、早期対処を基本として教員のメンタルヘルス対策を行うことが重要でございます。
このため、都教育委員会は、東京都立学校職員健康管理規則を改正し、今年度から都立高校を含めたすべての都立学校において、精神疾患予防の観点からストレス検査を実施することとしました。
この検査は、定期健康診断の際に、ストレス問診票を個人ごとの封筒に入れて配布、回収し、解析結果を本人に通知して、その結果によって専門家への相談や受診などを勧めるものでございます。
なお、都内のすべての公立小中学校についても同様のストレス検査を都教育委員会が主体となって今年度から実施しております。
○畔上委員 都立高校改革の今後十年間の長期計画を策定するということでありますが、教育現場の意見をよく聞いて、これまでの改革推進計画を検証して、十分な議論を行うことが新たな計画策定の大前提でなければならないというふうに思います。
しかし、今回の新たな計画策定に当たっては、都議会では十月四日の都立高校白書の報告があって、本日骨子の報告の質疑、二カ月後の来年二月にはもう計画策定と、大変急ぎ足の計画策定となっています。
教育委員会でも白書が報告されたのが九月二十二日で、そこでの議論、議事録を見ますと、白書が今後の都立高校のあり方の検討の一つのたたき台である。また、現場の先生方の衆知を集めて今後あり方を検討することが必要だというご意見も出ておりました。本当に私もそのとおりだというふうに思います。
今後、わずか一カ月弱の意見募集を経ての計画策定ということになるわけですが、大事な都立高校のあり方をこんな短時間で、しかも、これまでの十五年間の推進計画ではいろいろ課題、また問題が山積しているという事態があるのに、なぜこのような拙速に新たな都立高校改革推進計画を策定しようとしているんでしょうか。伺います。
○直原都立学校教育部長 都教育委員会では、これまでの都立高校改革推進計画に基づき、都立高校の再編整備などの改革を進めてきたところでございますが、この間に改正された教育基本法の理念の実現や、新しい学習指導要領への確実な対応が必要となっております。
また、我が国の社会状況や若者の意識も大きく変化していることから、都立高校には、真に社会人として自立した人間の育成を都民から強く求められております。
これまでの都立高校改革の成果の検証や、都民や生徒に対する都立高校への意識調査を踏まえ、本年九月に都立高校白書を公表し、都立高校の現状とさまざまな課題を明らかにしたところでございます。
都教育委員会では、これら都立高校が抱える課題の解決を図り、都民や社会の期待にこたえるため、新たな都立高校改革推進計画を策定することとしたものでございます。
○畔上委員 その白書も、果たして都立高校の現状の分析や課題のとらえ方がどうなのかと、もっと教育現場での検証が必要だと、白書の報告の際にも指摘させていただいたところなわけですけれども、私も改めて十五年前の計画策定、さかのぼって調べてみました。
そうしましたら、少なくとも、大学生や都立高校PTA代表などによる都立高校長期構想懇談会を立ち上げて、都立高校の視察も行って、一年かけて議論をされているんですね。つまり、都教委がその後それをどう組み上げてきたかはまた別の話ですが、曲がりなりにも現場の教職員や都民参加の議論の場があったわけです。
現場の教職員の東京都高等学校教職員組合からも、行き過ぎた統廃合の結果、定時制二次募集で応募が募集を上回り多数の不合格者が出ていることや、教職員の精神疾患による休職がふえている、こういう背景に学校の管理運営の強化があることももっと直視してほしいと、そういった趣旨から計画は破綻しているなどの学校現場の実態を総合的に検証すべきだという見解も示されているわけです。
やはり、子どもたちの置かれている現状や、学校現場での実態から出発した十分な検証と議論こそ必要ではないでしょうか。教育委員会では、いつこの計画について議論されて、どのような意見が出たのか伺います。
○直原都立学校教育部長 新たな都立高校改革推進計画の検討に当たりましては、都教育委員会において議論を重ねてきたところでございます。
議論の中では、例えばキャリア教育について、大学を卒業しても就職が難しく、生徒が将来に対して不安を抱く中で、どのように生徒へ指導していくのかを問題として意識すべきであるや、教員の資質、能力について教員が自信を持って指導できるよう後押ししていくことが重要であるなど、さまざまな意見が出ております。
○畔上委員 今、議論を重ねてきたというご答弁をされたんですけれども、議事録はまだ出ていませんでしたが、教育委員会のこの間の議題をずっと見たんですが、議論は十一月二十四日のわずか一回なわけです。
新たな計画策定に当たって、やはり、教育現場の実態を総合的に検証して、子どもたちと直接かかわっている学校現場の教職員を初め、都民参加で都立高校の今後のあり方について十分な議論を本来行うべきじゃないでしょうか。いかがですか。
○直原都立学校教育部長 都民からの意見募集につきましては、新たな都立高校改革推進計画案の骨子を策定した十一月二十四日から十二月二十二日までの間、広く意見を募集しているところでございます。
また、本年九月に公表した都立高校白書につきまして、全都立高校の教職員から意見を募集し、例えば、生徒の職業的自立意識の醸成のためインターンシップなどの職業体験を充実していくべきであるや、NPOなどの外部の人材を活用すべきであるなど、具体的な提案を含む意見が出されております。
○畔上委員 意見や要望を聞いていらっしゃるということですが、白書で報告があった意識調査では、グローバル化に対応できる人材育成や規範意識など、都教委の問題意識に沿った設問は多かったんですが、そういう中でも保護者の皆さん、また都民の皆さんからは、都立高校への期待は何かということについては、やはり、基礎学力をつけてくれる、近い、それから経済的負担が重くないということだったわけで、そうした意見などが、この都立高校改革の推進計画の骨子にきちんと反映されているとはとても思えないわけですね。
今後十年間という長期にわたる都立高校の計画なわけですから、やはり、学校現場を含めて、しっかりと十分な議論を経て、学校現場に希望と元気をもたらすような計画を策定していただきたいと、そのことは意見として述べておきたいと思います。
以下、具体的な取り組みについて何点か伺いたいと思います。
まず、学校運営についてなんですが、今回新たに教科主任の導入と職務の明確化となっていましたけれども、具体的にはどういうことでしょうか。
○直原都立学校教育部長 都立高校における教科指導の取り組みについて、同一教科内でも教員間の指導方針等の共通認識が十分ではなく、授業の進度や内容も異なっている学校も多いなどの課題がございます。
生徒一人一人の能力を最大限伸ばす学校づくりを推進するためには、学校で教科指導を組織的にマネジメントする仕組みを構築し、校内で統一的な教科指導を実施する必要がございます。
このため、教科主任制度を導入し、職務を明確化することにより、教科ごとの指導体制、指導方針の統一化と教科間における指導方針の連携を図ることを考えております。
○畔上委員 現在でも学科主任がいると思うんですが、新たに導入するというのはどういう意味なんでしょうか。学科主任との関係を教えてください。
○直原都立学校教育部長 現在置かれている学科主任は専門高校において置かれているもので、普通科高校における、いわゆる数学ですとか、国語ですとか、さまざまな教科ごとの主任は制度的には設けられてございません。今回、新たにそのようなすべての教科につきまして主任制度を導入していくことを検討することとしてございます。
○畔上委員 わかりました。となると、都教委の管理運営規則に学科主任も載っていますけれども、教科主任というのも載せる、位置づけるということでしょうか。
○直原都立学校教育部長 制度化の方法につきましては、今後検討していきたいと考えております。
○畔上委員 改めて私もこの都立学校の管理運営規則を読んだんですけれども、今でもたくさんの主任があるわけですけれども、その規則に位置づけるという点については、さらに新しい主任が生まれるということになると思うんですね。その辺はちょっと問題があるんじゃないかというふうに思っております。
先ほど指導教諭の導入を検討というお話もありましたが、そうすると、指導教諭というのは一体だれが任命するんでしょうか。それから、主幹との関係はどうなるんでしょうか。学校内での位置づけ、主幹制度との関係、その辺について伺います。
○白川人事企画担当部長 指導教諭は都教育委員会が任命する職でございまして、所属する学校の生徒の実態等を踏まえまして、主幹教諭や主任教諭と協力しながら他の教員に対しまして教育指導に関する指導、助言を行う教員として活用することを検討してまいります。
○畔上委員 今、主幹と主任と協力しながらというお話でありましたが、そもそも私は教育とは一方的な教えや教えられの関係ではないというふうに思います。子どもたちからももちろん学び、それから先生同士も、教育の専門家であるという点で対等で双方向の関係があって、そういう関係を豊かに進めてこそ、本当に子どもたちにとってよい、豊かな教育を進めることができるんじゃないかというふうに思います。
都教委は、これまでも職員会議中心の学校運営から企画調整会議中心の学校経営だというふうにして二〇〇三年度から主幹制度を導入しました。二〇〇九年度からは主任制度を導入したわけですね。
統括校長、校長、副校長、主幹、主任、教諭と、こうやって階層化したわけですが、職員会議では、挙手により意向を確認することまで禁止して、マスコミからも東京の先生は気の毒だと書かれるほどの管理体制をつくってきたわけです。上意下達の関係、ピラミッド型の組織にしてしまったわけですね。
一般の先生は主任教諭と教諭に二分されて、結局、給与にも差がつけられてしまっているわけです。そのことが本当に都立高校の教育にとってどうなのか。やっぱり、ここはしっかりと総括する必要があると思うんです。
例えば、ある都立高校の先生に伺ったんですが、以前は仕事のことでわからないことがあれば、隣の席の先生に気軽に聞いて教えてもらったと、ところが、今ではそういう雰囲気が学校の中にないと、若い先生は副校長か主任に聞くように指導されていると、しかし、副校長や主任は自分を評価する人でもあって、こんなことを聞いたら能力がないと思われちゃうんじゃないかなと、そういういろいろ気になって、とても気軽には聞けないというわけなんですね。
学校現場がこんなに萎縮してしまって、果たしてよい教育ができるんでしょうか。今回の都立高校改革推進計画の骨子では、さらに、先ほどの指導教諭など階層化をしてしまうわけです。教職員の管理強化、ましてや、それが高校の教員の力の最も発揮しどころである教科の指導、こういうところまで入り込んでいけば、教員の教える意欲もそがれてしまうし、教育の劣化につながってしまうのではないかというふうに私は思うんです。
そういう点では、私はやはり、教職員の自由濶達な議論と、教職員の合意と共同こそ重要だというふうに考えますが、いかがですか。
○直原都立学校教育部長 学校経営は、校長のリーダーシップのもと、主幹教諭が中心となって校長の経営方針を教職員に周知徹底するとともに、教職員の建設的な意見を吸い上げて組織的に行われるべきものであると考えております。
○畔上委員 校長のリーダーシップのもと学校運営が行われるというのは、私は当然のことだというふうに思うんですが、そのリーダーシップの中身と階層化が問題じゃないかというふうにいっているわけです。
校長のリーダーシップというのは、やはり、経営者じゃなくて教育者としてのリーダーシップだと思います。専門性を持った各教員の合意と共同を引き出し、意欲を支える力が校長としてのリーダーシップではないでしょうか。トップダウンで決めて、ただ実践しなさいというやり方は、私はやるべきでないというふうに考えます。
次に、規範意識の育成について伺います。
規範意識が低下しているという問題意識が白書の中にも書かれていて、十月四日の文教委員会で、私はこの問題で、単なるマナー教育の問題ではないということを指摘させていただきました。その点を繰り返すことはいたしませんが、今回大変気になったのが、組織的に統一した基準による生活指導という記述でした。
そこで伺いますが、組織的に統一した基準による生活指導とは、具体的にどのようなことを考えていらっしゃるんでしょうか。基準は都教委が作成するんでしょうか。
○坂本指導部長 組織的に統一した基準による生活指導とは、規範意識や公共の精神の醸成とその向上を図り、社会人として持つべき基本的なマナーやルールを生徒に身につけさせることを目的とした基準を作成して行う指導でございます。今後、都教育委員会がその基準を作成し、各学校に示してまいります。
○畔上委員 去年、都教委が作成した都立学校生活指導実践事例集というのを見せていただきました。内容は、頭髪指導や服装指導、携帯電話の校内への持ち込みなどについての指導例だったわけです。
こうした事例は、それぞれの学校や地域によって課題も指導の方法も異なり、一律にできるものではないことはいうまでもありません。
それなのに、今、ご答弁では基準を都教委がつくるというふうにおっしゃったと思うんですが、もし都教委がこの基準をつくるというふうになったら、各学校の状況をみずから無視することになって、場合によっては基準がひとり歩きして、決まっているんだから従えというような指導、つまり、取り締まりにもつながっていくのが世の常じゃないでしょうか。私はそれはとんでもないことだと思いますよ。
そもそも、以前は都立高校の校則についていえば、生徒会で自分たち自身、生徒自身の話し合いを通じて納得しながら決めていったわけです。同じ都立でも、私服の学校もあれば、制服の学校もあるのです。服装の基準や髪の毛の長さの基準なども、かんかんがくがくの議論の末に、各学校で生徒会の中で話し合って築いたわけです。(「だから、だめだといっているんだよ」と呼び、その他発言する者あり)委員長、ちゃんと注意してください。
生活指導の実践事例集を読んで、生徒たちの自治というのは一体どうなっちゃったんだろうというふうに、私は正直びっくりしたわけなんですが、さらに上から統一基準を押しつけるようなことをしたら、みずから社会の一員として何が大事なのか考える力などつくはずないと思うんですね。
本来生徒たちが高校生としてどうあるべきか、みずから考えていける教育、生徒だけじゃなくて、もちろん先生方や保護者、地域の皆さんの考え方や価値感もそれぞれで、簡単に一致するものではないのは当然なわけですね。それを丁寧に話し合って考えていく、そういうことを本来大切にすべきだということを意見として述べておきたいと思います。
次に、グローバル人材育成の中で、国際社会に生きる日本人としての自覚と誇りを養うというふうになっていましたが、何をもって自覚と誇りとするのか伺います。
○坂本指導部長 郷土を理解し、愛する心を醸成していくことによって、日本人としての自覚と誇りを養うことができると考えております。そのために、今後も日本史の必修化や、都独自の日本史科目「江戸から東京へ」の開発、普及、日本の伝統文化理解教育の推進等により、多様な文化を尊重できる態度や資質をはぐくんでまいります。
○畔上委員 かみ合っていないようですが、都教委もご存じのように、何をもって自覚と誇りを持っているのかと定義することはできないわけですね。
これを定義して評価することは、心の中、内心に踏み込むことになるわけで、教育基本法の改定の議論のときにも、一部の小学校六年生の社会科の通知表の評価項目にあった国を愛する心情は姿を消しました。定義できないことが学習指導要領に入っていること自身、矛盾なわけですが、このことを指摘しておきたいと思います。
次に、定時制課程の学校についてです。
三部制の定時制高校の問題については、これまでも学力や体力だけでなく社会性を学ぶ大事な時間、空間をつくりにくい、こういう問題を抱えている、そのことを私も指摘させていただいてきましたが、都教委自身、この三部制については課題を抱えているというふうにおっしゃっていましたし、そのことを認め、問題の検証を進めるとされていました。
計画の骨子には、三部制定時制高校が抱える課題の検証を行うと書いてありましたけれども、どのような方法で検証を行うつもりなのか伺います。
○直原都立学校教育部長 都立高校白書を作成するに当たりまして、これまで進めてきた都立高校改革の成果と課題について、都民、保護者、生徒などを対象とした意識調査や学校でのヒアリングを実施するとともに、教職員からも広く意見を聞くなど、多角的な視点から検証を行ったところでございます。
三部制の定時制高校が抱える課題については、今後も学校の意見を聞きながら、さらに検証を進めてまいります。
○畔上委員 今、学校の意見も聞くということであります。現場の保護者、それから教職員の意見も十分聞いていただきたいと思います。
三部制の定時制高校については、教育や学校運営上の問題だけではなく、入試の応募倍率が高く、不合格となる生徒が多いことも解決しなければならない問題だと思いますが、その認識を伺いたいと思います。
○直原都立学校教育部長 都教育委員会では、生徒の進路希望や能力、適性、興味、関心に対応できるようさまざまなタイプの学校を設置し、都立高校の特色化を進めてまいりました。
このうち、新たなタイプの昼夜間定時制高校を初めとする幾つかの学校につきましては、入学者選抜における応募倍率が高くなっておりますが、これらの学校が都民ニーズに合致し多くの都民から支持されていることによるものと考えております。
今後、応募倍率の比較的低い学校についても教育内容の改善充実に努めるとともに、各都立高校の教育活動の特徴や、具体的な入学者選抜方法等について情報提供を行い、適切な進路選択を支援するなどの取り組みを進めてまいります。
○畔上委員 あわせて、これまでの都立高校改革推進計画によって定時制高校が半減させられて、全日制も統廃合が進められ、全日制に入りたくても入れない、それから少人数で丁寧に対応してくれる定時制も入れない、こういう事態をつくり出してしまったこと、そのことも私はしっかり総括しなければならない問題だというふうに思います。
ぜひ、そのことをしっかり総括していただいて、やはり、必要な定時制、全日制をふやすことも求めたいと思います。
次に、就学機会の提供の問題です。
在京外国人生徒対象枠は、このたび、田柄高校にふえることになりましたが、枠のある都立高校が多摩地域には今ないこと、それから全日制普通科しかないこと、それから入試倍率が高いこと、つまり、希望者に比べて枠がまだ小さいという現状を踏まえて、枠を拡大する方向で検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○直原都立学校教育部長 今後は、中学校における日本語指導が必要な在京外国人生徒数の動向や、都立国際高校、都立飛鳥高校に加え、新たに募集枠を設置する都立田柄高校を含めた三校の入学者選抜の応募状況等を勘案し、募集枠のあり方について検討を進めてまいります。
○畔上委員 募集枠のあり方については検討を進めるということでありますので、ぜひ実態に合った募集枠に拡充することをお願いしたいと思います。
在京外国人枠での入学者の学習を保障するためには、外国人生徒担当の専任教諭、また通訳を配置するなど、指導体制を充実することが必要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○岡崎人事部長 在京外国人生徒枠のある都立高校につきましては、多様な外国人生徒に対するきめ細やかな指導を行うために、教員を一人配置しております。
また、学校の実情に応じまして、いわゆる取り出し授業を行うために、語学に堪能な時間講師を配置しているところでありまして、今後とも適切に対応してまいります。
○畔上委員 私どもも飛鳥高校に視察に行かせていただきましたけれども、やっぱり、せっかく高校に入ってもその後のフォローがしっかり整っていないと、さまざまな困難を乗り切れないで、結局、中途退学などの事態になりかねない、そういう状況もあるわけですね。そういう点では、ぜひ生徒たちの実情に合った教職員の配置を求めたいと思います。
最後に、新たな高校増設を求めたいと思います。
二〇〇二年の新たな実施計画の際にも、既に我が党の議員や都民から、都教委の生徒減を理由とした都立高校の統廃合は破綻しており、統廃合の中止と臨時増学級での対応ではなく学校の増設をと指摘されてきたわけですが、それを無視して統廃合を推進し、臨時増学級で生徒増に対応してきたわけですね。
私も、この間、臨時増学級というけれども、臨時の域をとうに超えているじゃないかということを何回も指摘してきたわけですが、そして学校増設を求めてきたんですが、都民からもそういった増設の陳情なども出されているわけです。
そうした総括もしないで、今回の計画では、十年後には公立中学の卒業生はさらに五千五百六十五人もふえると、六割が都立に来るとすれば、単純計算では十四校分もふえると、にもかかわらず、空き教室を活用した臨時増学級で対応するんだというふうにしているわけです。
では、一体、現在、都立高校の普通教室の空き教室というのは幾つあるんでしょうか。
○直原都立学校教育部長 都立高校におきましては、学級減により普通教室にあきが出た場合には、少人数指導のための講義室や会議室、教材室として使用するなど、学校施設を有効に活用しております。
○畔上委員 結局、現時点での空き教室の数もいえないということですね。
これまでも講義室や会議室、教材室などをつぶして臨時増学級で対応してきた結果、多展開の授業を縮小せざるを得ない、行事を見直すなどの教育への影響が出ていると聞いているわけですね。
都教委が九月に発表した中学校保護者への調査でも、都立高校に不足していると思うもののうち改善を要する点として最も多かったのは何かというと、施設や設備を充実させることというふうになっていたじゃありませんか。どうして、こういうことには正面から受けとめられないんでしょうか。
生徒増は長期にわたり続く、これはもうはっきりしているわけですから、ふさわしい教育環境を整えるために、既存校の学級増じゃなくて本当に学校の新設で対応する、教育条件の整備の推進計画、私はそういう計画こそ策定すべきだというふうに思います。そのことを申し上げて質問を終わりたいと思います。
○山内委員 都立高校白書では、子どもの能力を着実に伸ばし真に社会人として自立した人間を育てることを都立高校の使命であるとしています。
真に社会人として自立した人間を育てるという観点から、今回の報告事項である新たな都立高校改革推進計画案の骨子について、以下、質問させていただきます。
まず、中途退学者等に対する支援についてです。
せっかく希望を持って入学したのに、さまざまな理由でやむを得ず退学せざるを得なくなるのは、社会的な損失ではないかと思います。
そこで、中途退学率は減少しているとはいえ、依然として中途退学者が多い現状の中で、二〇一〇年度中途退学者の状況はどうなっているのかお伺いいたします。
○坂本指導部長 都立高等学校全日制課程における中途退学者は千八百七十九人で、前年度と比較すると百九十七人減少しております。また、定時制課程における中途退学者数は千七百三十一人で、前年度と比較すると七十四人の減となっております。
主な退学の理由としましては、全日制、定時制課程とも第一位が学校生活、学業不適応、第二位が進路変更、第三位が学業不振となっております。
○山内委員 生徒が自分はこうしたいという新たな目標ができて退学をするなら、私は応援したいと思います。しかし、学校生活や学業に対する不適応でやむを得ず退学しなくてはならない子どもは、できる限り何とかして支援すべきです。
学業不適応、学業不振に関しては補習など各学校が対応すると聞いておりますが、都としても生徒に合わせて実施されるよう各学校に指導することも重要ではないかと考えます。
また、学校生活の不適応など心のケアに関しては、日常的に相談できる人や場があること、また、教師や友達、親にも打ち明けられない子どもたちに対しては、わずかに発せられるシグナルを受けとめる能力が学校に求められます。
例えば、保健室や養護教諭、スクールカウンセラーなどは、子どもたちの心を受けとめる大きな一助となっておりますが、本年度の定時制課程を含めたスクールカウンセラーの配置の状況はどうなっているのかお伺いいたします。
○坂本指導部長 平成二十三年度の都立高校へのスクールカウンセラーについては、チャレンジスクール、エンカレッジスクール、昼夜間定時制高校のほか、中途退学率が高い学校、問題行動等が多く発生する学校や、心理的なケアを必要とする生徒が多く在籍する学校など、定時制・通信制課程十一校、全日制・定時制課程併置校三十八校を含め、必要性の高い百校に重点的に配置しております。
○山内委員 スクールカウンセラーは増配置されているようですが、まだ七十四校が切望していると聞いております。
配置された学校でも、一週間に一日しかいない現状に対し日数をふやしてほしいという要望や、全日制、定時制を併置している学校では、一人のカウンセラーが時間をずらして対応している現状を改善して充実してほしいという要望もあります。
また、スクールソーシャルワーカーなどの心理的、医学的な観点から、学校の枠を超えて生徒たちを支援できるようにすることも重要と考えます。
ともかく、生徒が相談したいと感じたときに応じられるように、人や場が必要です。都では、二〇〇八年度から二〇一〇年度、青少年・治安対策本部で東京都ひきこもりセーフティーネットモデル事業を実施いたしました。
社会とのつながりを失いひきこもり状態になってしまうことを未然に防ぐとともに、ひきこもりの早期発見、早期対応までの一連の支援体制を整備するもので、社会全体で支えていく仕組みとして効果が出ています。
教育、福祉、保健医療、就労支援等の行政分野や、関係機関、地域団体等が緊密に連携して、セーフティーネットを構築していく対策が進みつつあります。都立学校においても、さらなる対策が求められております。
そこで、やむを得ず中途退学してしまった生徒は、学生という身分を失うだけではなく学校との接点も失い、何もしない日々が続き、やがてはひきこもり状態となり、自分の存在に否定的になってしまう心配もあります。そうならないよう、中途退学した生徒を支援する必要があると考えますが、見解を伺います。
○谷島地域教育支援部長 高校を中途退学してしまいますと、学校という大きな学習環境が失われることから進路意識や目的意識が希薄になるなど、自分らしい生き方を実現することが困難となりがちでございます。
そこで、中途退学者に対しましては、社会的、職業的自立のために必要な能力や態度を身につけさせるため、復学や次の進路のサポート等を行うなど、再チャレンジの仕組みを検討してまいります。
○山内委員 ぜひとも再チャレンジの仕組み、検討をお願いしたいと思います。
次に、進路未決定の卒業生に対する支援についてお伺いいたします。
厳しい経済情勢の中、新卒大学生ですら就職活動が難航している現状が報道されています。ましてや、進路が決まらずに高校を卒業する子どもたちは、自力で職を探すのは非常に難しい状況にあると思います。不安定な雇用に疲弊してしまわないよう支援が必要です。
そこで、進路が未決定のまま卒業する生徒を一人でも少なくするために、高校在学中にさまざまな体験活動を通したキャリア教育が重要と考えますが、これまで都立高校においてどのようにキャリア教育を推進してきたのかお伺いいたします。
○坂本指導部長 都立高校においては、大学への体験入学や企業における就業体験、卒業生や企業経営者による進路講演会などを取り入れたキャリア教育に関する年間指導計画を作成し、教育活動全体を通じて主体的に進路を選択していく能力と、望ましい勤労観や職業観を身につけさせております。
○山内委員 キャリア教育を充実させているにもかかわらず、就職が未決定なまま高校を卒業する生徒もいると聞いております。就職が未決定のまま卒業する生徒にどのような対応をしているのかお伺いいたします。
○坂本指導部長 平成二十二年十月に文部科学省が調査し、同年十二月に公表された高等学校卒業予定者の就職内定状況に関する調査によりますと、高校生の就職内定率は例年を下回るなど、厳しい雇用状況があることがわかりました。
このため、各学校に就職指導の徹底を依頼するとともに、就職を希望しているにもかかわらず就職が決まらないままの生徒に対し、卒業後もハローワークと連携しながら就労相談や求人情報を提供する支援体制を整えました。
○山内委員 では次に、学校の社会参加についてお伺いしたいと思います。
都立高校では、施設開放や公開講座などが行われておりますが、地域の方々に学校に来ていただくだけではなく、学校から地域に出ていくことも必要です。都立高校では、地域の防災訓練に高校生も参加し避難する際に利用できる校内施設を案内するなど、地域住民の方々は、日ごろかかわりを持たずにいた生徒との距離が縮まったととても喜んでいらっしゃったと聞いております。
また、都立第五商業高校では、地域の市民活動に参加したり、近隣の保育園で実習をしたり、国際交流をしたり、三十以上の社会体験のコースを設け、さまざまな生き方を感じること、すごいと思える人に出会うこと、人とのかかわりの心地よさを感じてもらうことなどをねらいとして実施していると聞いております。
事前、事後の学習などもあり、先生方は非常に丁寧に指導してくださっております。生徒たちは、本当に生き生きとした顔をしていますし、地域の方々からも大変評価されているようです。
開かれた学校を実現するためには、このように学校が積極的に地域と連携していくことが必要です。都では、地域と連携した社会参加を行っていると聞いておりますが、生徒の社会参加の現状と成果についてお伺いいたします。
○坂本指導部長 東京都では、平成十九年度からすべての都立高校に奉仕の授業を導入し、各学校ではさまざまな社会体験活動を行っております。平成二十二年度には、高齢者施設での介護や地域行事への参加、NPO法人との協働等、延べ百五十七校の学校が地域と連携した取り組みを行っております。
平成二十三年九月に、都立高校生を対象に実施したアンケート結果によりますと、約六割の生徒が奉仕の学習の後も、今後も積極的にボランティアに参加したいと回答するなど、みずから進んで社会に貢献しようとする意欲が見られ、一定の成果が上がっていると認識しております。
○山内委員 先生方の中には、地域との連携に対する意識の温度差があり、活発に地域社会と連携をしていた先生が異動して、地域との連携が低迷してしまったという話も聞いております。
そこで、教員の地域連携に対する意識の向上やノウハウの継承が必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
○岡崎人事部長 教員には、学習指導、生活指導、進路指導といった力だけでなく、外部との連携、折衝力などが求められておりまして、副委員長ご指摘の地域連携に対する意識の向上は、開かれた学校づくりを推進する上で不可欠であると認識しております。
外部との連携、折衝力は、学校からの情報発信や保護者、地域からの情報収集を行う中で培われますことから、その力や意識の向上を図るためには、まず地域連携を公務の中にきちんと位置づけて、日ごろから校長のリーダーシップのもと、担当の教員を初め全教職員が一丸となって地域社会とパートナーシップを築く仕組みをつくることが重要でございます。
その上で、若手教員にも地域連携の仕事に積極的に参画させ、先輩教員の知識や経験をOJTを通じて継承しております。
こうした取り組みによりまして、都立高校と地域の連携を一層推進してまいります。
○山内委員 それでは、最後に、パブリックコメントについてお伺いしたいと思います。
現在、この新たな都立高校改革推進計画案の骨子について意見募集が実施されています。しかし、今回のパブリックコメントに対して、教育庁は個別の回答はしないと聞いております。
意見が寄せられた以上、反映した場合はどのように反映されたのか、また、反映しない場合はその理由など公表すべきと考えますが、見解を伺います。
○直原都立学校教育部長 都教育委員会では、新たな都立高校改革推進計画の策定に当たり、都民からの意見を計画に反映させるため十一月二十四日に計画案の骨子を公表し、一カ月の期間を設定して意見募集を行っております。
意見募集の期間終了後には、都民からいただいた意見の集約を行い、それに対する都教育委員会の考え方を明らかにすることとしております。
○山内委員 東京都の教育行政は、さまざまな改革を行っておりますが、中高一貫校等、心配や懸念する声もあります。そして、この推進計画は、学力、体力、道徳、技術、奉仕という言葉が強化されています。
教育における現場とは、地域であり、学校であり、社会です。生徒一人一人が自由で責任のとれる独立した人格が身につくようにするためには、広く声を聞き、取り入れていくことを求めて、質問を終わらせていただきます。
○今村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
午後三時九分休憩
午後三時二十一分開議
○今村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
○西沢委員 私の方から、知事主導で破壊的な教育改革を議論し発信するということで、教育再生・東京円卓会議が設置されたわけであります。この円卓会議は、各界の有識者を招いて、単に教育制度にとどまらず、経済、国際文化、スポーツなど幅広い視点から議論すると聞いております。
先月開催されました第一回の会議の議事録を拝見させていただいた中で、例えば全寮制の中高一貫制の取り組みであったり、外国語のコミュニケーション能力など、人材育成を目指す公立学校の幅広い話が出されておりますが、例えばその一つの中でも高校生を最低半年くらい外国に留学するシステムをつくってはどうかといったような提案もなされているわけであります。
この留学については、今回の新たな都立高校改革推進計画の骨子の中でも、グローバル人材の育成という事項の中で、本日も議論がありましたが、次代を担うリーダーを計画的かつ継続的に育成していくために、高校在学中の留学や卒業後の海外大学への進学を支援する仕組みを開発するとしているわけであります。
関連がございますので、教育再生円卓会議における議論についてちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。
現在、都教において検討している都立高校改革の部分と重なるわけでありますので、この都教における都立高校改革の検討と、教育再生円卓会議との関係についてお伺いいたします。
○直原都立学校教育部長 教育再生・東京円卓会議は、先月、第一回会議が開催され、次代を担う人材の育成について、知事と有識者三名が議論したところであり、今後も引き続き、従来の制度や常識、慣行にとらわれない、大所高所からの議論が行われるものと考えております。
円卓会議で出された意見につきましては、都教育委員会としても受けとめ、今後の都立高校改革に生かしていきたいと考えております。
○西沢委員 知事が破壊的に教育を変えるというような発言がございまして、例えば大阪で橋下知事、当時の知事と府の教育委員会がいわゆる対立するような軸、こういったものが懸念されるわけでございますけれども、今回、今のご答弁がありましたが、教育委員会として受けとめて今後の都立高校改革に生かしていきたいというように考えているということで、この円卓会議との関係、これを反映していくというようなご答弁をいただき、安心いたしました。
続いて、先ほど山内副委員長からもございましたパブリックコメントについて少しかぶらない程度で質疑、質問を一問だけさせていただきたいと思います。
このパブリックコメントは、十一月二十四日から十二月二十二日まで、広く意見を聞くということでございますが、とかくパブリックコメント制度というものは、制度があるからひとつ手続的にやったというような形にとらわれないで広く意見を聞く必要が本当にあるんだと思います。
それで、十二月二十二日が締め切りでございますが、この計画案は今後十年の長い改革案になる重要なものですが、策定は今月末に締め切って、再来月の二月には決定してしまうということでございますから、大変短い間でどう意見を反映していくというのが気になるところでございます。
この意見募集について、都民から多くの意見をいただくために、どのように告知をしているのか、また、その意見をどのように計画に反映させていくのかということについてお伺いをいたします。
○直原都立学校教育部長 都教育委員会では、計画案の骨子の公表の後、都教育委員会のホームページに全文を掲載するとともに、テレビやラジオでの広報を行っております。
また、東京都公立高等学校PTA連合会や、東京都中学校長会を初めとするさまざまな団体に対して、計画案の骨子に基づき、今後の都立高校改革の方向性について説明し、ご意見を伺っているところでございます。
今後、都民から寄せられた意見を踏まえて、計画案の骨子の内容の充実を図り、新たな都立高校改革推進計画の策定を進めてまいります。
○西沢委員 ただホームページに載せただけだとかそういったことではなく、PTA連合会や学校長会を初めとした団体に直接伺って説明をしているという話はよろしいのかと思います。ただのガス抜きみたいな形にならないように努めていただきたいと要望させていただきます。
続いて、この中の教員の資質、能力の向上についてお伺いをいたします。
こちらも先ほど野上純子委員の方から少し議論がありましたが、その部分ではなく、違う視点の部分で質疑をさせていただきたいと思います。
まず、新たな都立高校改革推進計画の骨子で掲げられております教員の資質、能力の向上については、教育現場における社会経験のある人材の重要性という点がございます。
この部分で幾つか質問をさせていただきますが、学校というのは、とかく社会との交流が狭くなりがちで、ともすると現実の世界から遊離した閉鎖的な社会に陥ってしまうということがあるといわれております。今後は、地域に開かれた学校運営や学校の組織力を高めていくためにも、豊かな社会経験を積んだ優秀な人材を確保していくということが重要であると考えます。
現在、都教委では、教員の採用選考において社会人選考を実施していると聞いておりますが、社会人選考における合格者の人数と、全体の合格者に占める割合はどれくらいなのかお伺いをいたします。
○岡崎人事部長 民間企業等での豊かな社会経験を持った優秀な人材を採用し、社会との交流が少なくなりがちな学校現場におきまして、企業等で培った能力や経験を活用することは有意義なことと考えております。
このため都教育委員会では、教員の採用選考において、社会人経験者を対象とした区分を設けておりまして、今年度に実施いたしました採用選考における合格者は三百四十五人で、全体合格者三千九百八十三人の約九%を占めてございます。
○西沢委員 採用された人の約一割が社会人経験だというようなことでございます。比較的多いのかなという気がいたしますが、この社会人経験を積んだ教員というのは、豊かな経験を積んで優秀であるというようなことが前提なのかなという気がしますが、これらの社会人経験を積んだ採用された教員が実際どのように評価されているのかお伺いいたします。
○岡崎人事部長 社会人選考を経て採用した教員と一般選考により採用した教員との採用後二年目の業績評価を比較してみますと、各評価項目ともに社会人経験者の方がややすぐれているものの際立った差は認められませんでした。
しかし、社会人経験者の中には、実社会の経験をキャリア教育に生かすなど、実践的な教育で実績を上げている方もおられます。
今後とも、社会人としての豊かな知識や経験が選考結果に一層反映されますよう選考方法の改善に努めてまいります。
○西沢委員 際立った差が認められなかったということなんですけれども、比較的実践的な教育で実績を上げている人も多いというようなことでございます。つまり、やはり社会経験を積まれた方の採用というのが有意義であるというようなことがいえるのではないかと思います。
ご答弁にありましたように、選考結果に一層反映されるよう選考方法の改善を行いとあります。大量採用のこの時代ですから、九%の採用人数ですけれども、これがふえていくということで認識をいたします。これから社会人をもっともっと活用していくというような都教育委員会の方針だということを確認させていただきました。
これから新規採用ではなく、今既に採用した教員の育成という観点からお伺いをいたします。
今回の改革案の中にもございましたけれども、企業などに長期間教員を派遣する、長期間の長期社会体験研修というものを実施しているということでございますが、まず初めに、この研修の目的と、派遣対象としている教員についてお伺いをいたします。
○岡崎人事部長 長期社会体験研修の目的は、教員を学校以外の組織に一年間派遣いたしまして、さまざまな体験を積ませ、これを通じて得た物の見方や考え方を学校現場に還元し、教育が抱える諸課題に適切に対応する能力を養成することでございます。
派遣する教員は、将来、学校経営において中心的な役割を担うこととなる教育管理職候補者から選抜しております。
○西沢委員 将来中心的な役割を担う教員の教育管理職候補者を対象ということでございますが、現在の派遣研修では具体的にどのような部署に派遣して、どのような効果が上がっているかをお伺いいたします。
○岡崎人事部長 現在の派遣先は総合商社、自動車メーカー、公益財団法人などのほか、東京都教育庁を含む都の各局でございます。
これらの組織の一員となり、日々の業務を通じまして、対人折衝、組織運営、人材育成の手法など、学校運営に応用できる能力を習得いたします。
その後、学校管理職となりまして、これらの能力を学校で実地に生かし、さまざまな教育課題に対しまして組織的に解決を図っているものと認識してございます。
○西沢委員 ちょっと気づいたんで具体的にお伺いしたいんですけれども、今、総合商社や自動車メーカーとか公益財団法人や都庁の本庁舎へ教員を、社会人経験というか、民間へということで派遣していると聞きましたが、これはスーパーとかホテルとかファストフードとかの接客業に派遣はしていますか。もしわかればお伺いしてもよろしいでしょうか。
○岡崎人事部長 残念ながらサービス業等には現在派遣してございません。
○西沢委員 ありがとうございます。二〇〇四年八月十三日の読売新聞の記事なんですが、ご承知の方も多いと思いますが、神奈川県で、スーパーで接客、異業種体験、お客最優先、教育も同じという記事なんですが、学校の先生がイトーヨーカドーに派遣されて研修、これも短期間なんですけれども、この記事の中での成果で、学校では生徒にあいさつをしてもらって当たり前、ここではお客様から会釈をしてもらうだけでうれしいといった感想であったり、授業ではうつろな生徒の目がアルバイトの話になると急に輝き出す、そんな光景を何度も見てきたわけですが、今なら何となく生徒のことを理解できる気がしているというような、こういった成果があるということがこの新聞で取り上げられております。
私自身も学生時代アルバイト、接客業をしてきましたけれども、学校の先生がとかく本当に狭い社会の中で、広くそういったことというのが(「何をやったんですか。接客」と呼ぶ者あり)私ですか。ガソリンスタンドで接客をしたんですけれども、ありがとうといっていただいたりとか大変経験にもなった記憶があります。
私自身がすごいというつもりはないし、私は教員でもないんですけれども、そういった教員の派遣先の一つとして、こういった接客業は私は有意義なんじゃないかなと思いますので、ひとつ検討していただきたいなということを要望させていただきます。
それで、もう最後です。今回の骨子では、この長期社会体験研修を若手教員へ拡大するというようなことでございますが、その意図についてお伺いをいたします。
○岡崎人事部長 学校において日常的に起こる問題に対しまして組織的に解決する力を培うためには、若いころから外部との連携、折衝力や学校運営力、組織貢献力を鍛える必要がございます。
そこで、将来、学校運営の中枢を担うことのできる優秀な若手教員につきましては早期に選抜して、この長期社会体験研修に参加させまして、企業等の組織運営手法、スピード感覚、危機管理意識などを学ばせ、学校の組織力向上に貢献させていきたいと考えております。
○西沢委員 さまざまな学校の課題を組織的に解決していくためには、こういったさまざまな角度や見方や考え方ができる教員を採用するということは、民間企業の視点を入れながら育成していく、非常に大事である、重要であるというように感じます。
今回質問した社会人選考や長期社会体験研修、円滑な学校経営の推進に資することはもちろん、実社会体験に基づいた授業の実践など、学習指導力を初め教育力を高めるという観点からも極めて有効であるというように考えます。
若手教員の中の将来の管理職ということですが、もう少し広げて、私は、予算の関係もあると思いますが、採用された教員全員にこういった体験をしていただくぐらいのものが必要なのではないのかなというように考えております。そういったことを要望をさせていただいて質問を終わります。
○大松委員 私の方からは、先日発表をされました新たな都立高校改革推進計画案の骨子の中のグローバル人材の育成について伺います。
既に他の委員の方々からも同様の質問が出ておりますので、簡略に質問をさせていただきます。
グローバル化が急速に進みまして、世界を舞台に活躍できる人材の育成が求められている一方で、若者の内向き志向が指摘をされております。また、海外で活躍する力を養う最も有効な機会であります海外留学についてさえ、意欲が乏しく、否定的だともいわれているわけでございます。
東京都教育委員会といたしまして、なぜ留学に対して後ろ向きなのか、その原因を見きわめながら留学を促し、そして支援をしていく取り組みが必要でございます。
この骨子には、都教委が高校在学中の留学を支援する仕組みを開発するとあります。その内容について伺います。
○坂本指導部長 本年九月に都立高校生を対象に意識調査を行ったところ、今後留学をしたいかという質問に対し、否定的な回答をした生徒は約半数に上り、その理由として、留学に興味を引かれない、能力に自信がないなどを挙げていることがわかりました。
このため都教育委員会では、広く高校生等に海外で学ぶ意義や留学に向けた手順などの情報を提供するとともに、海外生活に必要な語学力やたくましさを身につけさせる事前学習を受けさせ、その上で留学させる都独自の新たな仕組みを開発していくことで、海外留学にチャレンジしようという生徒を後押ししてまいります。
○大松委員 留学をする前に事前学習を行うなど、そうしたきめの細かい取り組みは必要でございます。
また、高校生が一年間留学するためには、最も安価な交換留学制度を利用できたとしても、百数十万円以上の費用がかかるといわれております。留学支援の仕組みをつくる際には、この親御さんの経済的負担ができるだけ少なくなるような取り組みをお願いするものでございます。
その上で、高校在学中に留学をしない生徒さんも含めまして、すべての高校生の英語力、英語によるコミュニケーション能力の向上に努めていかなければなりません。
そのためには、授業の中でネーティブスピーカーと直接話をする活動が有益でございます。現在の都立高校におけるALTの活用状況について伺います。
○坂本指導部長 都教育委員会は、英語教育の充実を図るため、昭和五十九年から都立高校に英語を母国語とする外国人を外国人英語等教育補助員、いわゆるALTとして配置しております。
平成二十三年度は、全日制、定時制、通信制、中高一貫教育校合わせて二百三課程に延べ二百九十九人のALTを配置しております。
ALTは、日本人教員とチームティーチングを行い、ペアやグループでの対話練習など、生徒の言語活動での指導補助のほか、音読の模範提示や生徒の発音指導を行っております。
ALTを配置した都立高校では、生徒がALTとの直接的なコミュニケーションを通して、英語の学習に意欲を持ち、英語を積極的に聞いたり話したりする態度や能力を身につけるなど、成果が報告されています。
○大松委員 私の長女も今、私学の高校に通っておるんですけれども、中学校のときにアメリカ出身のネーティブスピーカーの教員の先生がいらっしゃいまして、娘にいわせると、毎日一回、その先生に必ずしゃべりかけることを目標にしておりまして、学校の先生は大変迷惑をされていたと思いますけれども、おかげさまで、成績はともかく、英語に対して大変大好きで、意欲的に勉強に取り組むようにさせていただきました。
学校には常時、こうしたネーティブスピーカーの方がいらっしゃって、生徒さんがいつでも話しかけ、会話ができるような環境を整えることが大切でございます。各学校における外国人補助員の活用と、都教委による学校への一層の支援を求めておきます。
また、先ほど高木先生からもお話がございましたけれども、やはり教員の資質の向上が大切でございます。グローバル人材の育成のためには、まず教員自身がその力を磨いていかなければなりません。
教員の海外研修が昨年度から復活をいたしまして、このほど、その一期生の研修生が帰国をされまして、東京都の新たな教育政策の企画立案に努められるなど、活躍されていることの報告を受けております。
こうした研修生を今後大切に育てられまして、さらなる派遣制度の拡充を求めまして、私の質問を終わります。
○島田委員 私からも新たな都立高校改革推進計画の骨子について質問をさせていただきます。先ほどもありましたが、幾つかダブる質問等もありますので、観点も変えたりして質問させていただきたいと思います。
先ほどもありましたが、教育再生円卓会議では、東海地方の私立の全寮制の中高一貫校の取り組みが紹介されておりました。その中で、海陽学園の葛西先生が、幼稚園のお受験や塾通いによる弊害を取り上げ、ゆとり教育の中で基礎力を身につけさせ、特に人間関係の原体験を持たせる仕組みをつくることによって、読書力もあり、空想力もあり、人との関係もうまくいくような体制をつくることが大事だということをおっしゃっておられました。
家庭や地域の教育力の低下がいわれておりまして、全寮制で、親元や地域から離れ、特別な教育を受けることの重要性は理解できますが、この特別な教育を受けられるのは、高額所得のある一部の人々に限られているのが現状であるというふうに思います。
私も、海陽学園のモデルになっておりますイギリスの上流階級の子弟が通うイギリスの名門のパブリックスクール、イートン校、これは私立の学校でありますけれども、そのイートン校に行ったことがありますが、名門の全寮制学校から学ぶべきことは多々あるというふうに思いますが、果たして公教育が同じようなことをできるかは疑問が残ります。
都教委では、過去に全寮制の都立高校である秋川高校、私の地元ですけれども、秋川高等学校を設立しましたが、既に廃校となっており、失敗に終わっております。都議会民主党の代表質問でもありましたが、今、教育機関が教育のすべての面倒を見るのではなく、家庭教育や地域の教育力をかりることが、今、本当に求められているのかなというふうに思っております。
都教委は、さまざまなタイプの学校を教育改革で設立してきましたが、都立高校改革の中で、全寮制の学校についてどう考えるのかお伺いをいたします。
○直原都立学校教育部長 平成十八年度に開校しました都立大島海洋国際高校におきましては、島外の生徒を含む大半の生徒が寄宿舎に入居し生活しており、現代の若者に不足しがちなこらえ性や規範意識を学校全体ではぐくんでいくという理念のもと、現在、教育活動に取り組んでおります。
全寮制の学校には、異なった年齢の生徒が生活をともにすることによる交流を通じて、確かな学力とともに、社会の中で生きていく上でのコミュニケーション能力、協調性、リーダーシップなどを醸成する効果があるといわれております。このような全寮制の学校での取り組みについては、学ぶべきところがあると考えております。
○島田委員 今、答弁にもあったとおり、こらえ性や規範意識を学校全体ではぐくんでいくということは非常に大切だなというふうに思っておりますが、例えば新しく全寮制の学校をつくるという計画は、今のところはないのかなというふうに思いますが、知事は今回の円卓会議で、破壊的な教育改革とおっしゃっております。
私は、この言葉にいささか疑問を持っております。教育は百年の計といわれまして、長年の積み上げが大切なのかなと。
教育現場では、次から次へと新しい政策が課せられ、現場で疲弊の声が聞かれているというのが現状ではないかなと思っております。破壊的な教育改革という言葉のインパクトはありますが、実際どんな教育改革なのかも何も示されていないのが現状であります。
このような中、今回の都立高校改革では、社会的自立の基盤となるために知育、徳育、体育のバランスのよい教育が重視されております。知、徳、体のバランスのよい教育は、極めて当たり前なことであると思いますが、今、必要なのは破壊的な教育改革よりも、当たり前のことを当たり前にやるということが本当に重要なことではないかなと考えております。
これらの観点を踏まえまして幾つか質問をさせていただきます。
最初に、学力についてお伺いいたします。
先ほども質疑がありましたが、教育の基本には知、徳、体のバランスが大事であり、特に知育、すなわち学力、特に都立高校においては、進学後や社会人になる前に基礎学力を身につけることが重要であるというふうに思います。
日本の高校生は大学の進学率が高いわけでありますが、特に都立高校の白書を見ますと、都立高校では平成八年、大学進学率が二七・三%だったのが、二十一年ではこの十数年で五〇・四%、二人に一人が大学に進学しているというのが今の都立高校の現状であります。
近年、大学での専門的な教育内容についていけるだけの基礎学力がない生徒が多く、問題になっております。大学でもAO入試や推薦入試の広まりとともに、一方で大学の勉強についていけない学生が多いことから、学力を重視した選考を採用すべきとの声も出ております。
このような現状を踏まえ、今回の都立高校改革でも学力の定着と伸長を最初に挙げ、各学校の設置目的に応じた学習到達度基準を明確にし、校内で統一的な指針による授業を実施することで、生徒の学力を保障するというふうになっております。
まず、お伺いいたしますが、各学校の設置目的に応じた学習到達度基準とはどのように設定するのかお伺いいたします。
○坂本指導部長 都教育委員会は、平成二十二年度から指定校十五校において、本年度からはすべての都立高校において学力向上開拓推進事業を開始いたしました。この事業の中で、各学校は高校入試等の結果分析から、入学当初の生徒の学力実態を把握し、目指す学力の到達目標を定めた学力向上推進プランを作成しております。
今後は、このような取り組みに加え、学校の設置目的に応じた教科別学習到達度の基準を設定してまいります。
○島田委員 その基準なんですけれども、結構重要だというふうに私は思っておりまして、特に先ほどからもあるとおり、学校の先生方や、それから生徒の理解、実態に合った到達基準の設定が大切なのかなというふうに思いますし、到達基準を設定する際にはわかりやすい基準が求められるのかな。
例えば先ほど来、グローバル教育とありますけれども、例えば英検二級をとか、一級、準一級とか、そういうわかりやすい指標にすると到達目標がわかるということで、それに向かってどうすればいいのかということがわかると思います。
あるいは、大学進学からいえば、今のセンター入試だとか、そういうわかりやすい指標をある程度その中に入れた方がいいのかなと。
また、そういう学校ごとにいろんな状況がありますので、例えば基礎学力の統一試験を都立で、都教委の方で開発してやるとか、それぞれのレベルに応じたわかりやすい到達基準を設定するのが大事かなと、そんなふうに思っております。
そして、教科ごとの学習到達度基準の明確化、その到達に向けて努力することは大変重要なことだというふうに思いますが、一方でその到達基準を設定した場合、基準に到達できなかったらどうなるのかという問題があると思います。
現在の都立高校、特に先ほども退学率のことが問題になっておりましたが、中堅校から底辺校の退学率が高いことはたびたび問題になっております。都立高校の白書によりますと、平成二十年に入学した生徒の卒業までの状況を見ると、三年間の間に中途退学した生徒の割合である未卒業率が一〇%以上の学校が十五に及んでおります。これは、三百人生徒が入学した場合は、卒業するまでに三十人が退学するという現状があるわけです。そういう学校が都内で十五校あるということは、大きな問題だというふうに思っております。
中途退学の理由では、先ほどもありましたが、五五%近くが学業不振や学校生活、学業不適応とのことであります。
ちなみに、学力による退学の理由はそういうことなんですけれども、経済的な理由の退学率は、民主党の高校無償化政策によって平成十七年度から二十二年度にかけては、都立では、二・六%だったのに対し〇・二%と。私立では、四・九%だったのが三・五%ということで、都立においては退学者が七十七人から四人ということで、非常に大きく減っていると。経済的な理由で退学が減っているということは、民主党の政策が非常に有効であったというのはちょっとつけ加えておきます。
いずれにせよ、到達基準に達しない生徒がいる場合、その生徒をきめ細かくフォローし、すべての生徒に都立高校で社会で自立するための基礎学力を身につけ、卒業してもらうということが重要であるというふうに思います。
学習到達度基準を明確にすると同時に、その基準を上回るレベルアップの教育の体制、そして学習到達度基準に達しない場合のフォローアップの体制、この構築が到達度基準をつくるのとセットでこの体制をつくることが重要だというふうに考えておりますが、局の考えをお伺いいたします。
○坂本指導部長 各学校では習熟度別授業を行い、生徒の習熟の程度に応じて学習できるよう工夫したり、土曜日や長期休業日に講習等を実施したりして、生徒それぞれのレベルに応じて学力の定着と向上を図っております。
特に、学習のおくれが生じた生徒がいた場合、補習をしたり、レポートを提出させたりするなどの追加の指導を行い、生徒を一定のレベルまで引き上げております。
こうした生徒のレベルに応じた指導体制を各学校で充実するよう、今後とも指導してまいります。
○島田委員 今ありましたが、先ほど教科主任制度のことについてはありましたが、私は逆にしっかり教科主任という人を位置づけて、そして、その教科、例えば英語科なら英語科教科主任のもとにチームで統一的な指導、今まで確かにばらばらな指導だったのを、統一的な指導で全体の学力を上げていくんだという組織も本当に大切だと私は思っております。
そして、次に、先ほどもありましたが、理数教育についてお伺いいたします。
今回の学習指導要領の改訂でも重視しているのが理数教育の充実でありまして、知事の所信演説でも、PISA、OECDの国際学習到達度調査によれば、外国と比べて我が国では、科学への興味、関心や科学の楽しさを感じている生徒の割合が低いなど、若者たちの間で理科離れが起こっていて、このままでは日本の国力の源たる技術の開発も衰えかねないという非常に危惧の念が示されているわけであります。
私、たまたま昨日、私の地域は工業地帯が集積している地域もありまして、日立国際電気の方々にお伺いしましたが、ものづくりの人材では、逆に今、地方の生徒を採用している。本当は、地元でいいものづくりの人材があれば、今、地産地消という言葉もありますけれども、地域の人材を入れたいのに、逆に地方の方がいいんだと。都内の特に工業高校のことをいってましたけれども、工業高校のいい人材がいないというようなことをいって、何とかしてくださいと、地域でいい人材を育てたいんだというふうな話がありました。本当に科学技術の充実の必要性が今、求められているところだというふうに思います。
今回の都立高校改革でも、このような観点から理数教育の充実が挙げられております。特に、実験や観察等を通じた体験的、問題解決的な学習を通じての生徒の思考力、判断力、表現力を伸長させるために必要な授業方法やカリキュラム等について研究する云々というふうにあります。
ただ、現状はどうでしょうか。都立高校の教育課程表を何校か私も拝見させていただきました。ある学校では、高校の二年生段階で文系と理系に分かれている学校があったり、あるいは、理系の理数の科目が少ない学校もありました。
私は、将来、社会に出たときのこと、物の見方を養うためにも、すべての普通科都立高等学校では、文系や理系に偏るのではなく、文理融合したカリキュラムにすべきだと考えております。
私も実は高校時代、余り理数が得意じゃなかったんですけれども、どちらかというと文系人間だったんですけど、社会に入ってみると、科学的な思考が大切なのかなということを、社会に入ってからあのとき勉強していればよかったということを非常に感じるわけでありまして、理数科目については科目、時間数に各校ばらつきがあります。
実験や観察などを行うには授業時間が必要になりますが、実態はなかなか時間がなく、実験室に行かないで教室での授業で済ましてしまうところも多いというふうに聞きます。
そこでお伺いしますが、都立高校教育課程での理数系科目の時間配当、実験施設などの現状をお伺いいたします。
○坂本指導部長 各都立高校は、高等学校学習指導要領に基づき、学校の特色に応じた教育課程を編成しております。高校を卒業するために必要な単位数は七十四単位以上で、そのうち普通科高校における理数系の単位数は、おおむね数学で九から十六単位、理科で八から十四単位でございます。
また、実験施設につきましては、都立高校の施設整備の標準を定め、理科関係では物理、地学教室、化学教室、生物教室等を整備することとしております。
改築や改修により新たな理科関係教室を整備する際には、各学校の教育課程の特色に応じた教室を設置するなど、理科教育の充実に努めております。
○島田委員 今あったとおり、学習指導要領では、普通科高校の理数系の単位はおおむね数学で九から十六単位、理科で八から十四単位ということで、例えば理数系科目で見ると、十七単位で全部理数系でまとめてしまう学校も可能だし、あるいは三十までとってもいいという学校、本当に幅があるわけですよね。各状況によって、生徒の状況もあると思いますけれども。
これは理科離れがあるわけでありますけれども、やはりこういう教育をしたいんだと、理数系を伸ばすためにはもっと理系を、生徒の現状もあると思いますけれども、学校ではそこを多くするとか、そういう戦略的な考え方が必要なのかなと、そんなふうにも思っております。
そしてまた、お伺いしますが、現在、都立高校における進路選択において理数系に進む生徒の現状をお伺いいたします。
○坂本指導部長 都立高校の大学進学者に占める理系大学への進学者の割合は、ここ数年、二五%程度で推移しているところでございます。
○島田委員 理数系に進む生徒の割合が二五%ということであります。
それで、特に私が今見ているのは、文科省の統計調査で、工学部に進む学生の割合が平成十三年度は一八・六%だったのが、二十三年度には一五・四%になっております。また、理学部においては三・六から三・二というふうになっているわけですね。理学部、工学部において、学部に進む生徒が減ってきているという現状があるわけです。
これは、先ほどいっているように、石原知事の危惧もあるように、こういうところをよく見て、例えば今ここでいわれているんですけれども、エネルギーの問題とかいわれています。そういったときに、例えば環境技術が必要だから、そういうところに送り込むためにはどうしたらいいのかと、そういうような戦略を考えなくてはいけないのかな。
社会の実態に合って、特に東京都ではいろんな状況がわかるわけですから、そこに向けてどうしたらいいのかという戦略を立てる必要があるのかなというふうに思っております。
特に今回、民主党は、高校の無償化のときに、これは所得制限はなしに全部無償化したわけであります。この理念は崇高でありまして、これは所得に限らず、私学もそうですけれども、公立学校に入った生徒は、将来、国のためや地域のために貢献するんだという非常に広い、本当に崇高な理念のもとに今回、高校無償化をやっているわけです。
そういうことを考えて、どういう人材が今社会で必要なのかということをよく考えて、そして戦略的にこういう学部に送り込むとか、こういう学科に送る、そのためには今、実際何をすべきかということをしっかり考えて、今後、理数系の充実を行っていただきたいというふうに思っております。
特に、先ほども理数系教育におきましては、文部科学省が指定するスーパーサイエンスハイスクール、SSHがあります。この事業は、将来の国際的な科学技術人材の育成を目指し、理数教育に重点を置いた研究開発を行う学校を指定するもので、都立は日比谷高校を初め四校が事業の指定を受けております。
これらの事業により、実際に理数系科目の関心が高まり、高等学校卒業進路選択において理系や工学系、農学系、保健系に進む希望者がふえているという成果が実際に出ているわけであります。
上位校でこのようなスーパーサイエンスハイスクール、SSHの取り組みを広げることは大事だというふうに思いますが、私はそれだけでは不十分だというふうに思っております。都立高校全体で理数系に関心のある生徒が減っているのが現状であります。
特に、今回の都立高校白書でも、中堅校の活性化が課題となっております。レベルの高いSSH、スーパーサイエンスハイスクールといかないまでも、比較的実施が可能なサイエンスパートナーシッププロジェクト、SPPがあるんですけれども、都立中堅校にとっては、これらのプロジェクト、事業に参加することにより、理数教育に関心を持つ生徒をふやすことも大切だというふうに考えております。
理数系の充実は、先ほど質問がありましたので、繰り返し質問はいたしませんが、ぜひ今申し上げたような点も含めて、今後検討していただき、理数系教育の充実を図っていただきたいというふうに思いまして、次の質問に移らせていただきます。
次は、都立高等学校改革の推進計画では、新しいタイプの高校を設立し、成果や課題が検証されているところであります。
教育全般の課題の中で、小一ギャップや中一プロブレムなど問題提起がされ、都教委でも教員加配など対策を講じております。区市町村においては、小中一貫教育の取り組みが行われております。
特に私は、教育の連続性、一貫教育に注目しておりまして、文教委員会でもこの課題に対したびたび質疑を行ってまいりました。
都教委は、新たなタイプの公立校の一つとして、中高一貫教育校を設立いたしました。都立中高一貫教育校を設立することにより、六年間を通じた一貫教育の中で、教養教育を行い、総合的な学力を培うとともに、個の確立を図り、個性と創造性を伸ばしていくことしと、都立白鴎高校を初め十校の一貫校を設立したわけであります。
都立高校白書の中で中高一貫校の課題としては、学校教育法施行規則第六十五条七及び第六十五条十四に基づき、入学時に学力検査を実施しないことや、高校段階に進む時点で入学選抜を実施しないことにより、生徒間の学力差や生徒の学習意欲の低下、いわゆる中だるみへの懸念も生じております。
また、中学段階で、高校のカリキュラムを先取りするなどの特例も認められておりますが、その範囲が一部に限られ、十分に活用できていないなどの課題がございます。
今後、都教育委員会は、これらの課題をどう克服し、中高一貫教育を推進していくのかお伺いいたします。
○直原都立学校教育部長 都立中高一貫教育校では、入学者決定に際して、将来のリーダーとなり得る人間を見出すため、学習活動への適応能力、学ぶ意欲、課題発見や課題解決能力などの適性を評価するため、適性検査を実施しております。
また、中高一貫教育校においては、生徒間の学力差への対応が課題となっており、現在、習熟度別授業などの多様な指導形態を導入するとともに、放課後や始業前及び長期休業期間中の補習、補講などを通じて、生徒一人一人にきめ細かな指導を行っております。
さらに、いわゆる中だるみ対策としましては、中学校段階と高等学校段階との接続に当たる時期に、海外語学研修等の学校行事を取り入れたり、他の高等学校の入試問題を使用した実力テストを課すなどの取り組みを行っております。
今後は、教育課程の特例の活用方法等についてさらに検討し、総合的な学力を培うための計画的、継続的な教育活動を一層展開してまいります。
○島田委員 今、答弁がありましたけれども、ぜひそのような形で、中高一貫教育をまたすばらしい学校に推進していってもらいたいというのと、これは私がちょっと気づいたところですけれども、中高一貫教育がこの中でありましたけれども、高校と大学の連携というのが今回の推進計画の中で余りなかったのかなというふうに思います。
国分寺高校だったですかね、大学の先生が高校に来て、大学との連携を図るというような学校も幾つかありまして、ぜひそういう教育の連続性、中高、高大、こういったところで、これは先ほどの戦略ともかかわってくることだと思います。
特に理系なんかは、大学の先生が、もし高校で実際の大学の授業を教えてくれれば、理数系に興味を持つ、本当に大学で勉強したいと、高度な科学技術について勉強したいというふうな生徒も出てくるかというふうに思いますので、大学との連携も視野に入れて、今後、高校改革等も進めていただきたいと思っております。
そして、次に、入学者選抜制度についてお伺いをいたします。
高等学校の入試制度全般を簡単に振り返ってみると、一九七〇年代には生徒の急増期を迎えまして、高校を増設するとともに、画一的な入試を行っていたというふうに思います。
一九九〇年代からは、逆に生徒の減少、高校の再編、新しいタイプの学校の設立とともに、入試においては、多様化、多元化に変化してきております。
そして、現在は、多様化の入試の一部を見直しているというのが現状かなというふうに思っております。
他県の公立入試の現状を見ると、入試日程を繰り上げたり、あるいは先ほど学力の問題がありましたけれども、全受験機会に学力検査を実施したりとか、あるいは前期選抜募集枠の拡大、これらを行ってきているというのが他県の入試選抜の状況であるというふうに思います。
そしてまた、このような現状から、専門家にお伺いしたところ、現在の都立高校選抜入試の課題としては、入試期間の長期化による弊害、長期化してしまえば、授業時間が減ってしまうとか、そういう問題もあるわけですね。早い段階で決まった生徒と遅い段階で決まる生徒がいたら、そこで授業がなかなかしにくくなるといったような問題もあると思いますけれども。
そしてまた、進学上位校の推薦のあり方を見直すべきとか、学力試験一本でもいいのではないかと。逆に、底辺校では、推薦を拡充してもいいのではないかなど、さまざまな意見があるわけでありますが、都立高校の入学選抜における課題に、都教委はどのように対応していくのかお伺いをいたします。
○直原都立学校教育部長 都教育委員会では、これまで多様な能力、適性や関心、意欲を持つ生徒が、いかに自分に合った進路を的確に選択することができるようにするかの視点から、学区の廃止など、さまざまな制度改善を図ってまいりました。
推薦に基づく選抜は、制度を導入して十五年が経過し、改めて制度の趣旨が十分に生かされているかについて検証することが必要となっております。
このため、現在、外部の有識者、中学校及び高校の校長、保護者を交えた検討委員会を立ち上げ、推薦に基づく選抜の必要性、生徒の能力を的確に把握する検査方法などについて検討しているところでございます。
今後、さまざまな意見を十分聞きながら、推薦に基づく選抜の改善を図るとともに、幅広く入学者選抜制度全体の検証を行ってまいります。
○島田委員 今、入学選抜については、さまざまな角度から幅広く検討しているということでありますので、先ほどいろんな意見がありましたので、それらの意見も取り入れながら、今後、ぜひ検討していっていただきたいと思っております。
最後に、今後の都内の公立中学校の卒業者数でありますけれども、平成二十三年度の七万七千人から、平成二十八年度は八万人近くまでふえていくと、日本の人口は減少しておりますが、都内の人口が増加しているため、中学の卒業生は、この五年間で三千人ぐらいふえていくというような状況もあるわけであります。
今後、高校への進学を希望する意欲と熱意のある生徒を一人でも多く受け入れられるよう、適切な募集枠を設定していくということであるというふうに思いますが、これには私立学校などとの協議や地域バランス、施設条件などの課題があると思います。
今後、都教委は、公立志向や公立中学校卒業生の増加に対し、どう対応していくのかお伺いいたします。
○直原都立学校教育部長 東京では、高校の生徒数の約半数を私立高校が占めております。そのため、東京都では、昭和四十六年度に公私連絡協議会を設置し、以後これまで、公私間で相互の連携を図りつつ、生徒数の増加への対応を初めとするさまざまな教育課題に対応してまいりました。
今後とも公私間の緊密な連携のもと、高校への進学を希望する意欲と熱意のある生徒を一人でも多く高校教育に受け入れていくよう努めてまいります。
○島田委員 先ほどの調査もありましたけれども、中学校の生徒が増加していくということであります。生徒増を公私間で調整しながら対応していくのが基本だというふうに思います。そのためには、公私間の格差を解消することが大事だと思っております。
都議会民主党は、継続的に求めておりますが、国の就学支援金の拡充や都の特別奨学金の拡充、これらをして、私学にも多くの生徒を受け入れやすい環境をつくることが大切であります。
公平公正な中での公私間の切磋琢磨、競争原理を働かせるというのが重要であるというふうに思っております。そのことをつけ加えさせていただきまして、質疑を終わります。ありがとうございました。
○野上(ゆ)委員 私からは、新たな都立高校改革推進計画案の骨子に関連いたしまして、職業的自立意識の醸成及びキャリア教育に関連して幾つか質疑をさせていただきたいと思います。
本日の毎日新聞に、キャリア教育が高校の教科にということで、文科省の会議でキャリア教育を高校普通科の教科や科目とすることなどを求める提言をまとめたというふうに報道されております。
厚生労働省などの調査によると、〇七年三月に卒業して就職した高校生のうち、三年以内に離職した割合は四〇%というふうに報道されておりますが、都立高校の就職者の割合の推移を見ますと、平成十九年では都立高校全体の生徒うちの一三・四%、平成二十年、一二・六%、平成二十一年、一〇・八%ですから、都立高校から直接就職をするという生徒は、年々、若干ながら減少している。
また、厚労省の数値を当てはめると、この数値のうち、例えば平成二十一年、一〇・八%ですので、都立高校で当てはめれば一〇%の四〇%ですから、都立高校のうちの就職した方の大体四%ぐらいは三年以内に離職をしているんではないかなというふうなことが予測はされます。
そもそも職業的自立意識の醸成ということで、キャリア教育が必要とされてきたのは、平成十一年十二月の中央教育審議会答申で、初等中等教育と高等教育との接続の改善についての中です。その中で、学校と社会及び学校間の円滑な接続を図るためのキャリア教育を、望ましい職業観、勤労観及び職業に関する知識や技能を身につけさせるとともに、自己の個性を理解し、主体的に進路を選択する能力、態度を育てる教育とうたっております。
平成十一年、キャリア教育という言葉が文科省で使われてから、一方で、日本の社会の情勢も大きくというか、経済状況も大きく変わってきたということはいうまでもありません。超少子高齢化がやってまいりますし、産業、経済の構造が大きく変わってきたということは、本当にいうまでもなくいわれているところでございます。
そういった中で、主として非典型雇用というか、流動性、流動化がある雇用面で、主に若年層の方が多くついている、特にフリーターの増加ですね、若年層に非典型雇用が増大したというのが労働問題でも出ておりますし、また同時に、これは従来の教育システムの機能不全の結果であるというふうなことも一方では認識をされているところでございます。
したがって、若年者の雇用の拡大とともに、職業訓練というか、職業観や勤労観の必要性や学校教育の充実というのが、今、文科省でも、あるいは全国的な教育の研究所や、あるいは教育機関でも主張されているところでございます。
しかしながら、その際に必要な能力や育成方法というのは確立しておりません。残念ながら、これまで文科省が説いてきて、そして、大学でもキャリアカウンセリングやキャリア教育をやってきた実績を見ますと、キャリア教育を行ってきたからといって、なかなか一概に就職に結びつかない。先ほども申し上げたとおり、経済状況がこういうところですから、どうしても教育のところ、大学、高等機関でもキャリア教育を導入してもなかなか出口が見えないという現状も一方であるというふうに聞いております。
そこで、きちんと考えなくてはいけないのは、公立高校でキャリア教育というものを導入する意義というか、導入して、どのように目標設定をしていくかということが非常にこれから重要になってくると思います。
もちろん、今回は骨子の案ですから、今後きちんと目標設定も含めて明らかにされるところであるとは考えますけれども、今、もう大学全入時代になりまして、ほとんどが大学に進学する。そういった中で、公立学校において、教科教育の時間を割いてまでキャリア教育を行う、あるいは教員免許を持たない者が学校に来て指導していくという意味をきちんと位置づけなくてはいけないというふうに考えております。
そこで、この骨子は、自立に向けた支援を目指す教育プログラムを企業やNPOと連携して開発、実施するというふうに書かれておりますが、その理由について見解を伺います。
○谷島地域教育支援部長 産業、就業構造が大きく変化している中で、都立高校には、生徒が実社会を知り、社会的、職業的自立に向けて、必要な能力や態度を身につけさせるための機会を積極的に設けることが求められております。
しかし、現在の都立高校には、実際の企業活動等を熟知する教員は必ずしも多くはございません。そのため、社会の実情に精通し、教育支援活動に実績のある企業やNPO等との連携により、教育プログラムを開発し、実社会での経験を生かして、具体的に生徒を指導できる人材を社会人講師等として活用することを考えております。
○野上(ゆ)委員 特にキャリア教育については、労働市場から要望された人材を教育機関というか、学校教育に求めているような側面があるというふうに考えています。
例えば、経済産業省が組織した社会人基礎力に関する研究会の中間の取りまとめにもあったんですけれども、従来は学校教育的な学力と社会人基礎力は相関性があり、企業は学力を見れば、社会人基礎力も判定することができた。つまりは、採用時の選抜は学力評価でよかったんですね。
しかし、昨今、二つは乖離し、企業は学力とは別に、社会人基礎力を評価するようになっている。基礎学力や専門知識とは別に、あるいは人間性、基本的な生活習慣とは別に、コミュニケーション能力や積極性のような社会人基礎力というのが求められているというふうにまとめています。
こうした能力というのは、これまでは、従来、家庭とか、あるいは地域社会で自然に身につくというふうに考えられていたために、どういうことが能力かということは余り明確にはなっていなかったと思います。教育の課題とは考えられていなかったはずです。
しかし、これをやはり多少なりとも明確化し、学校教育、あるいは生涯教育の中で育成していくという必要が出てきたということはどういうことなのかということを考えますと、先ほど個性を重視した教育という言葉がありましたけれども、一九八〇年代に、臨教審で、個性、自由、自立、自己責任、自発性、みずから学ぶ意欲、個性重視の原則というのがありましたが、こういうのを非常に進めてきた一方でなぜか、これは皆さん、多分理解できると思うんですけれども、自由とか自立、そして自己責任、みずから学ぶということを教えてきたはずなのに、一方でこういったコミュニケーション能力、積極性、なぜ働かなきゃいけないか、そういったことを教えなくてはいけなくなったということを、一方で反省というか、きちんと検証をしなくてはいけないと思っています。
ましてや、一番最初に申し上げたとおり、キャリア教育の一方で、やはり学校はきちんと教科教育をしなくてはいけないと思います。基礎的な勉強があってこそ、大学に進まれる方がほとんどですから、きちんと教科の教育をするということが必要だと思っています。
指導者である教員の資質や専門性の向上が、極めてより重要になってきたといっても過言ではありません。つまりは、将来像を描き、それに向けての現在の準備と努力という図式を中心にキャリア教育をするのではなくて、今現在、二十年先のキャリアデザインというのもなかなか難しいですから、そういったことよりも、今ある課題勉強や部活、活動に全力で取り組むことによって、その課題解決から見えてくる将来像、それを通じて将来像を描いていく。専門知識そのものではなく、専門を学ぶ過程で身につけた専門の学び方というものを、やはり学校できちんと教えていくことが私は必要だと思っております。
そこで、教員の教科指導の研修についてどのような取り組みが行われてきたのか、改めて伺います。
○坂本指導部長 都教育委員会は、教科や今日的な教育課題について、専門的な知識、技能を習得し、実践的指導力を育成するために、東京都教職員研修センターにおいて、教科等教育課題研修を行い、教員の教科指導力の向上に努めております。
さらに、平成二十二年度から、すぐれた指導力を有する教員を教育研究員として指名し、一年間かけて教科の研究をさせ、その成果をすべての都立高校に周知してきました。
また、教科等の教育研究団体との連携を図りまして、教科指導力の向上のための研究を支援するなどの取り組みを行っております。
○野上(ゆ)委員 現在の労働市場の秩序というものを大前提として、そこに適応するような若者というか、学生をつくり出していくのではなく、みずからのキャリア形成の主体であるというような自覚が持てるようにする。そのためには、学生みずからが、職業、労働の世界にこぎ出していく際の武器となる、職業的に意味のある力量、つまりは、これは教科の教育だと思いますので、ぜひとも学校外の教育資源活用、人材活用は非常に大切だと思いますけれども、やっぱり教員の方々のプライドにかけて、そこは教科教育にきちんと力を入れていただきたいと思います。
以上です。
○今村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○今村委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時三十五分散会
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