文教委員会速記録第十七号

平成二十三年十一月一日(火曜日)
第三委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長今村 るか君
副委員長山内れい子君
副委員長村上 英子君
理事西沢けいた君
理事島田 幸成君
理事大松あきら君
野田かずさ君
くりした善行君
畔上三和子君
高木 けい君
野上 純子君
野上ゆきえ君
小沢 昌也君
古賀 俊昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化局局長井澤 勇治君
総務部長遠藤 雅彦君
広報広聴部長櫻井 和博君
都民生活部長飯塚美紀子君
消費生活部長藤井 秀之君
私学部長石井  玲君
文化振興部長関  雅広君
都政情報担当部長梅田 弘美君
男女平等参画担当部長菊地 俊夫君
文化施設改革担当部長北村 俊文君
スポーツ振興局局長細井  優君
理事産形  稔君
総務部長安藤 英二君
スポーツ事業部長板垣 一典君
スポーツ施設担当部長施設計画担当部長兼務佐野 克彦君
スポーツ祭東京推進部長川合  純君
大会運営担当部長早崎 道晴君
招致推進部長松永 竜太君

本日の会議に付した事件
 生活文化局関係
事務事業について(質疑)
 スポーツ振興局関係
事務事業について(質疑)

○今村委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程どおり申し合わせいたしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程どおり、生活文化局及びスポーツ振興局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○遠藤総務部長 去る十月二十日の当委員会におきまして要求のありました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元に配布しております平成二十三年文教委員会要求資料の表紙をおめくり願います。
 目次に記載のとおり、十四件の資料がございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、私立学校経常費補助(一般補助)の生徒一人当たり単価及び全国順位の推移でございます。
 平成十八年度から平成二十二年度までの過去五年間における私立学校経常費補助に係る生徒一人当たり単価及びその全国順位について、学種ごとに記載しております。
 なお、注の2に記載しておりますとおり、都では経常費補助のほか、耐震化を促進するための私立学校安全対策促進補助や、私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業費補助などにより、教育条件の維持向上、保護者の経済的負担の軽減等を図っております。
 続きまして、二ページをお開き願います。2、私立高等学校等授業料軽減助成事業の実績の推移でございます。
 都は、公益財団法人東京都私学財団を通じて、私立高等学校などに通う生徒の保護者のうち、平均的な所得以下の保護者を対象に、所得に応じて授業料の一部を助成しておりますが、この事業の実績として、平成十八年度から平成二十二年度までの過去五年間における補助総額及び補助対象生徒数の推移を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、私立学校経常費補助における授業料減免補助実績の推移でございます。
 都は、家計状況の急変などの理由により、私立学校が生徒の授業料を減免した場合には、私立学校経常費補助の中で、学校に対して減免額の一部を補助しております。
 この補助の実績について、表の左側に記載の学種ごとに、平成十八年度から平成二十二年度までの過去五年間における補助校数及び補助額の推移を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、私立高等学校(全日制)中途退学者理由別内訳の推移でございます。
 全日制の私立高等学校を中途退学した生徒数の理由別内訳につきまして、平成十八年度から平成二十二年度までの過去五年間の推移を記載しております。
 五ページをお開き願います。5、私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業費補助の実績の推移でございます。
 都は、私立幼稚園などに通う幼児の保護者の負担軽減のため、区市町村が行う保護者負担軽減事業に係る経費の一部を補助しておりますが、その補助総額と補助対象となっている延べ幼児数について、平成十八年度から平成二十二年度までの過去五年間の推移を記載しております。
 六ページをお開き願います。6、私立学校の耐震化の状況でございます。
 平成二十三年四月一日現在の都内私立学校の耐震化の状況について、表の左側に記載の学種ごとに全棟数と耐震性のある棟数、その割合である耐震化率を記載しております。
 七ページをお開き願います。東京都育英資金一般貸付の規模の推移でございます。
 平成十八年度から平成二十二年度までの過去五年間につきまして、(1)に貸付金の計画額及び実績額の推移を、(2)に表の左側に記載の区分ごとに貸付人員数の推移をそれぞれ記載しております。
 なお、平成十七年度以降は、新規の貸付事務を公益財団法人東京都私学財団に移管しておりますが、表中の括弧内の数値は、移管前に都が貸し付けを開始し、修業年限まで都が直接貸し付けを行っていたものを内数で記載したものでございます。
 八ページをお開き願います。8、東京ウィメンズプラザの相談件数の推移でございます。
 平成十八年度から平成二十二年度までの過去五年間において、東京ウィメンズプラザに寄せられた相談件数について、配偶者暴力相談とその他の相談の区分ごとに記載しております。
 また、男性のための悩み相談に寄せられた相談件数につきまして、合計欄の括弧内に内数として記載をしてございます。
 九ページをお開き願います。9、消費生活相談員数・相談件数の推移及び相談の特徴でございます。
 平成十八年度から平成二十二年度までの過去五年間につきまして、東京都消費生活総合センター及び各区市町村の消費生活相談員数及び相談件数の推移並びに各年度における相談内容の特徴についてそれぞれ記載しております。
 一〇ページをお開き願います。10、都立文化施設等に係る予算及び決算の推移でございます。
 表の左側に記載の施設ごとに平成十九年度から平成二十二年度までの予算現額及び決算額並びに平成二十三年度の当初予算額を記載しております。
 一一ページをお開き願います。11、文化振興施策に係る予算及び決算の推移でございます。
 表の左側に記載の区分ごとに、平成十九年度から平成二十二年度までの予算現額及び決算額並びに平成二十三年度の当初予算額を記載しております。
 なお、備考欄には、当該事業区分に係る主な事業をそれぞれ記載しております。
 一二ページをお開き願います。12、都立文化施設等の職種別職員数の推移でございます。
 表の左側に記載の施設ごとに、平成十九年度から平成二十三年度までのそれぞれ四月一日現在における常勤職員数について、雇用形態別及び職種別に区分して記載しております。
 一三ページをお開き願います。13、都民芸術フェスティバル等の予算及び決算の推移でございます。
 表の左側に記載の事業ごとに、平成十九年度から平成二十二年度までの予算現額及び決算額並びに平成二十三年度の当初予算額を記載しております。
 一四ページをお開き願います。14、東京文化発信プロジェクトの内容と予算でございます。
 東京文化発信プロジェクトの予算額につきまして、表の左側に記載の主要事業の区分ごとに、平成二十一年度から平成二十三年度までの三年間の推移を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○今村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○島田委員 私からは、私立学校への備蓄物資補助についてお伺いいたします。
 三月十一日の大震災では、都内の私立学校でも多くの子どもたちが帰宅困難となりました。私もあきる野市にある私立学校の役員をしておりまして、その当時、多くの生徒が残りました。電車もとまっておりましたので、基本的には保護者に学校まで来てもらい、引き渡すという対応を多くの学校はとっていると思いますが、電話の不通もあり、現場は大混乱だったというふうに思います。
 私も議会が終わった後、こちらにおりましたので、学校に電話をかけたんですけれども、電話がかからなくて、状況もわからない状況で、非常に不安を感じたのを覚えております。
 こちらの学校は、郊外の方なので、夜十一時ぐらいには生徒はすべて帰宅したということを確認しまして、私もこちらの都心部にその日は宿泊したんですけれども、次の日、土曜日、帰る電車の途中、満員電車の中、私立学校の制服を着た多くの学生が一緒に、都心から自分の自宅の方に、私は青梅線なんですけれども、そちらに帰っていく生徒を電車の中で多く拝見いたしました。
 こういうような体験をもとに考えますと、やはり子どもたちが学校にいる間に大災害が発生した場合には、帰さずに、しっかり学校で預かるということが大切だなということを痛感いたしました。
 そこでですが、防災備蓄物資購入補助が補正予算に計上されましたが、制度導入の考え方についてお伺いいたします。

○石井私学部長 三月十一日の東日本大震災の発生により、子どもたちが学校にいる間に震災が起きた場合には、学校の中で子どもたちの安全を守ることができる環境を確保することが極めて重要だと明らかになりました。
 災害発生時に必要となる備蓄物資は、本来、各学校の責任で整備すべきものでありますが、いつ起こるかもしれない震災の危険から、子どもたちの生命を守る環境を早急に整備するための緊急の取り組みとして、各学校が必要とする備蓄物資の購入に要する経費を補助することといたしました。

○島田委員 ご案内のとおり、東京に大きな被害が今後及ぶ可能性がある、いつ来てもおかしくないという状況であると思います。そうした中、防災備蓄物資購入補助、今その説明がありましたけれども、その現在の取り組みについてお伺いいたします。

○石井私学部長 各学校が必要とする水、食料、毛布などの備蓄物資の内容、整備予定時期について調査を行っており、その結果を踏まえて、平成二十三年度及び平成二十四年度の二カ年の事業として実施いたします。
 各学校ごとに備蓄している物資の種類や量は異なる状況にありますが、子どもたちの通う都内のすべての私立学校が、水、食料、毛布などの基本的な備蓄物資を整備し、子どもたちの安全を確保できる体制を構築できるよう、その取り組みを支援してまいります。

○島田委員 ありがとうございます。ぜひ整備をしてもらいたいわけでありますが、各学校でもいろいろ検討しているというふうに思います。
 そういう中で、特に都心部では緊急避難所の不足が問題となっております。都立の高等学校は避難所に指定されておりますが、私学においても、これは自分のところの児童生徒の安全が第一だというふうに思いますけれども、その上で、各学校が実情に応じて被災住民や他の帰宅困難者の受け入れを検討することも重要かなと、そんなふうに思っております。地域や社会に貢献する私学について、引き続き支援をお願いしたいというふうに思っております。
 次の質問に移りますが、私立学校の省エネ設備導入モデル事業についてお伺いいたします。
 東日本大震災を受けて、今後とも電力不足が見込まれております。省エネルギーへの取り組みが重要だと考えております。
 都議会民主党としても、第二回定例会で省エネ条例を提出、可決されました。今後は具体的な省エネの取り組みが期待されるところであります。
 私立学校において、さまざまな省エネルギーへの取り組みが行われておりますが、都は震災発生の前から私立学校に対して省エネ設備補助事業を実施しておられます。私立学校省エネ設備等導入モデル事業費補助のこれまでの実績についてお伺いいたします。

○石井私学部長 私立学校省エネ設備等導入モデル事業費補助は、低炭素型社会への転換を促進するため、率先して省エネに取り組む私立学校を支援するモデル事業として、平成二十一年度から実施しております。
 具体的には、東京都地球温暖化防止活動推進センターの省エネ診断を受けて、省エネ型の照明器具や空調設備、太陽光発電設備などを導入する私立の小中高校に対し、その経費の一部を補助するものでございます。
 平成二十一年度の実績は、十五校に対して約六千百万円、平成二十二年度は、十一校に対して約六千七百万円を補助しております。

○島田委員 二十一年度の実績が十五校に対して六千百万円、二十二年度は十一校に対して六千七百万円ということで、額的にはこれまでの実績を考えると大きくはないように思われますけれども、これは震災を受けて、現状も非常に大きく変わっているというふうに思います。
 そうした現状を踏まえて、都はこれまでの事業を緊急対策として拡充したと聞いておりますが、平成二十三年度の補正予算において、事業を拡大した経緯と内容についてお伺いいたします。

○石井私学部長 東日本大震災と、これに伴う福島第一原子力発電所事故の影響により、大幅な電力不足が見込まれたことから、私立学校における太陽光発電設備等の省エネ設備の一層の整備促進を図るため、緊急対策として補正予算で必要な措置を講じております。
 具体的には、新たに幼稚園を補助対象とし、補助率を二分の一から三分の二に引き上げました。
 また、節電目標を設定して節電教育を実施する場合には、それを条件に、補助率を五分の四まで引き上げることといたしました。

○島田委員 今ご答弁もありましたが、幼稚園にもこの対象を拡大したということや、補助率、特に節電教育を実施した場合に、それを条件にかなり補助率を上げたということは、教育内容と絡めてその設備の補助を出すということで、この点については非常に評価できるというふうに思っております。
 例えば、学校の体育館等を見ますと、まだまだ水銀灯がついている学校が非常に多いと思いますけれども、水銀灯をつけたり消すには、かなり時間が十分も二十分もかかって、学校現場では、例えば体育の授業なんか一時間目あって、二時間目なくて、三時間目あるというように、そのあいている間でも水銀灯をつけたり消したりするのに時間がかかるので、体育館の電気をずっとつけっ放しにするような、そういうところもあるというふうに聞いております。
 そういう中で、例えばLEDライト、あるいはインバーターですか、そういうものの取り組みを拡充して、学校にもそういったエネルギー効率のいいものを取りつけて、私立学校、本当に多くの学校があると思いますので、省エネ効果は非常に大きいというふうに思っております。
 さきに都議会民主党が議員提出した省エネ条例に基づきまして、積極的に省エネの取り組みを行っていただきたい、このことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

○村上委員 私からは、やはり私立学校について幾つか質問していきます、
 東日本大震災では、人的被害だけではなく、工場の損壊など、国内産業に甚大な被害が発生いたしました。
 また、福島第一原子力発電所の事故を起因とし、電力不足などにより、国内での生産活動に支障を来すおそれから、今後、企業が海外へ拠点を移す動きが加速するといわれています。これらにより、国内産業の空洞化が一層進むことが懸念され、雇用確保の見通しにも不安が広がっています。
 このような時代だからこそ、あすの日本を切り開く人材をしっかり育てていくことが求められています。これまでも多くの有為な人材を輩出してきた私立学校は、これからも重要な役割を担っていくと考えています。
 我が党は、私学振興施策を最重要施策の一つと位置づけ、その充実に取り組んでまいりました。
 そこで最初に、都における私学助成の全体像を確認する意味で、その内容についてお伺いいたします。

○石井私学部長 都は、私立学校の教育条件の維持向上、児童生徒等の修学上の経済的負担の軽減などを目的として、私学への助成を実施しております。
 その一つ目の柱は、学校助成でございます。私学助成の基幹的補助でございます経常費補助のほか、校舎等の耐震化を初めとする安全対策や省エネ設備等の導入などの施設設備に対する補助を実施しております。
 二つ目の柱は、保護者負担軽減に関する助成でございまして、保護者の経済的負担の軽減、奨学等を目的とした支援を行っております。
 このほか、教育研究費補助など、その時々の時代のニーズに即した多岐にわたる私学助成を実施しております。

○村上委員 今のご答弁で、一つ目は私学助成、二つ目が保護者負担軽減、そのほかに教育研究費補助などということで、幅広い私学助成を実施し、私学振興を推進しているとのことであります。
 そこで、具体的な内容について幾つか質問していきたいと思います。
 まず、幼稚園についてお伺いいたします。
 少子化の進行になかなか歯どめがかからない状況が続く中、少ない子どもたちを健全に育てていくことが必要です。中でも、人格の基礎が形成される幼児教育の振興は非常に重要です。にもかかわらず、国は学校法人のみを補助の対象とし、個人立などの幼稚園を対象から外しています。
 ところが、都内では半数近くの園が宗教法人立や個人立であり、それらの園に対してもしっかりと支援していかなければならないと考えます。
 都は、学校法人立幼稚園には経常費補助を行っていますが、宗教法人立や個人立などの私立幼稚園に対してはどのような支援を行っているのかお伺いいたします。

○石井私学部長 都では、個人立等の私立幼稚園が東京における幼児教育に果たしている役割の重要性を考慮し、独自に私立幼稚園教育振興事業費補助を実施しております。これにより、幼児教育の場の確保や教育条件の維持向上、保護者の経済的負担の軽減などを図っております。
 また、耐震化など、他の補助事業につきましても、学校法人立と同様に補助対象としております。

○村上委員 今のご答弁で、学校法人立と同様な補助対象としているということを聞いて安心いたしました。
 幼稚園に関しては、就園奨励費の問題もございます。民主党に政権交代した直後の平成二十二年度予算において、幼稚園就園奨励費補助が交付対象の大部分を占める所得区分で大幅にカットされました。
 我が党の強い要望により、臨時的な激変緩和措置として、都においては独自に私立幼稚園等就園奨励費特別補助を導入したという経緯があります。
 臨時的という位置づけながら、二十三年度予算においても、復活予算として継続して計上されましたが、その経緯について、国の措置と都の対応についてお伺いいたします。

○石井私学部長 国は、二十三年度予算において、三千二百円の単価見直しを行いましたが、依然として負担増は解消されていないことから、都では、負担が残る所得区分の世帯に対し、継続して私立幼稚園等就園奨励特別補助を実施することといたしました。
 負担増の解消につきましては、引き続き国に強く要望していくとともに、国の動きを注視してまいります。

○村上委員 都独自の特別補助を継続し、激変緩和を図っているということについては高く評価をいたします。もちろん、本来、国の責務で負担増の解消を図るべきものでありますが、今のご答弁を聞いた限りでは、いまだ負担増が解消されていないという実態があるということがよくわかりました。
 今後とも国に対し、是正を求めていくことを強くお願い申し上げます。
 次に、高校についてお伺いいたします。
 国は、いわゆる高校無償化を実施していますが、これも民主党政権が導入した問題の多い制度です。
 事務手続が煩雑などの問題に加え、事務費についても、国は予算の範囲内で措置するとして、全く不十分な額しか交付していません。公私間格差も広がる一方です。
 そういう状況の中で、学校に非常に重い事務費負担がかかることから、我が党の要望により、学校の事務費に対する補助が導入されました。事務費補助に関する基本的な考え方についてお伺いいたします。

○石井私学部長 都は、就学支援金の導入に伴い、新たに事務センターを設け、事務を集約し、学校の負担軽減に努めてまいりました。しかし、学校の現場では、申請書類の配布や保護者の問い合わせ対応など、まだ多くの事務が残っております。
 これらに要する経費をすべて学校の負担とすることは適切ではなく、平成二十三年度、新たに学校に対する事務費を都独自で交付することといたしました。
 もとより、就学支援金は国として実施するものであり、その事務に要する経費もすべて国の責任で措置すべきであります。
 都は、今後も引き続き事務手続の簡素化による負担軽減と事務費の全額措置を国に求めてまいります。

○村上委員 今の答弁にもありましたように、高校無償化という制度がちょうど年度がわりぎりぎりのときにあったということで、現場の混乱は大変なものがあっただろうというふうに思います。
 国の政策として導入した制度の事務経費を地方や学校にしわ寄せするなど、政府のやり方は全く無責任といわざるを得ません。都の学校の負担を軽減する取り組みは評価いたしますが、これについてもしっかりと国に対して是正を求めていくことをお願いいたします。
 さて、社会変化のスピードはますます加速しており、そうした時代の変化を超えた施策の充実が重要となってきます。
 とりわけ情報化の進展は著しく、義務教育段階からICTの活用など、情報化の進展を取り入れた教育環境を整備していくことが必要です。これも我が党の要望によって、二十三年度の復活予算において、ICT整備費補助が導入されました。
 このICT整備のものについては、一昨々年でしたでしょうか、事業仕分けで必要ないということでカットされたものを、都の方で復活して、使っていただいているということですけれども、この補助制度の内容についてお伺いさせていただきます。

○石井私学部長 高度に情報化が進んだ二十一世紀を生きる子どもたちに求められる教育を行うためには、子どもたちの学習や生活の主要な場である学校において、教育の情報化を推進することが必要不可欠でございます。
 そこで、私立学校においても、ICT教育を活用した学校づくりを都として推進する必要があり、平成二十三年度にICT整備費補助を創設し、私立小学校、中学校、高等学校における電子黒板等の整備に対しまして、その購入経費の二分の一を補助することといたしました。

○村上委員 これまでの質問により明らかになりましたが、都は私学助成の基幹的補助である経常費補助以外にも必要な支援をきめ細かく実施しており、都の取り組みを高く評価いたします。
 今後も我が党は、都の私学振興施策を積極的に支援してまいります。特に今のICTにつきましては、実は文教委員会で視察をした日本語学校に行ったときに、やはり電子黒板がありませんでした。ぜひこういったところには必要だなということは、行かれた委員の先生方は皆さん感じたと思いますけれども、あって使わない、なくて使えないという状況ではなくて、やはりしっかりとそういったものも普及をお願いしたいと思います。
 ことしは、東日本大震災が三月に発生し、都はこの事態に速やかに対応するため、六月に補正予算を編成して、私立学校における防災力向上のための施策に取り組んでいます。
 まず、学校における安全・安心を確保するためには、何よりも校舎等の耐震化が前提となります。
 都では、すべての私立学校を対象として、最大で五分の四という高い補助率を適用した耐震化による補助を実施し、校舎などの耐震化を進めてきました。
 そこで、現在の都内私立学校における耐震化の状況と、さらなる耐震化の推進に向け、都はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○石井私学部長 平成二十三年四月一日現在の都内私立学校全体の耐震化率は約七八%となり、補助制度導入前の平成十四年度末の約五三%から約二五ポイント向上いたしました。
 都では、さらに耐震化を推進するため、新たに建築士を学校現場へ派遣して、簡易耐震診断を実施し、耐震化の方法等をアドバイスするなど、耐震化計画の策定と実施を支援する事業を創設することといたしました。
 今後は、これまでも行ってまいりました耐震診断、耐震改修工事特別相談会に加え、この新しい制度を活用しまして、一層の私立学校の耐震化を推進してまいります。

○村上委員 今のご答弁の中で、耐震化率が七八%というご答弁がありました。実は、きょうの要求資料の六ページの中の数字とちょっと違っているんですが、この六ページの方は七九・四%。実は今、部長がご答弁いただいた七八%というのは、各種専修学校が入っている数字、あるいは特別支援学校が入っている数字ということでご理解させていただきたいと思っております。
 これまでも実施してきた太陽光発電省エネルギー設備等導入に対する補助については、先ほど島田理事からもご質問がありました。補助率の引き上げを行いましたけれども、防災の観点からは、補助対象についてもきめ細かな対応が必要と考えます。
 その点で、どのように制度の充実を行ったのか伺います。

○石井私学部長 新たに自家発電設備の導入につきましても、補助の対象といたしました。
 さらに、幼稚園も対象に加えたことから、他の学種よりも比較的規模が小さいことを考慮し、持ち運び可能な小型の発電機の購入も可能といたしました。
 また、太陽光発電に付随した蓄電設備も対象とすることにより、発災後、停電が発生した際に一定の電力を確保できるようにするなど、制度の充実を図ったところでございます。

○村上委員 これまで伺ってきた建物と設備に対する支援策を、児童生徒を災害から守る学校としての器の整備とすれば、その中で安心して過ごすためには、学校内部の環境整備も重要と考えます。
 さきの大震災では、交通機能の麻痺により、多くの児童生徒が帰宅することができず、学校に宿泊せざるを得なかったと聞いております。
 そういった場合には、食料や水、毛布などの物資が当然必要であり、子どもたちを一定期間安全に過ごさせているためにも、学校として必要量を備蓄しておくべきです。しかし、備蓄に対する判断は各学校に任されており、その結果、水、食料、毛布という基本的な物資についても、学校により備蓄状況にばらつきがあるのが実態です。
 そういう状況を踏まえ、画一的な補助制度ではなく、実態に合わせた制度として構築するべきと考えますが、具体的にどのように進めていくのかお伺いさせていただきます。

○石井私学部長 生徒一人一万円の範囲内で、各学校の備蓄状況に合わせて柔軟に対応できるメニュー方式を採用する予定でございます。
 具体的には、基本となる水、食料、毛布を優先的に整備していただいた上で、簡易トイレ、医薬品、防寒具、ヘルメット等の防災用品についても、実態に応じて選択可能としてまいります。

○村上委員 メニュー方式、一人一万円ということで大変すばらしいご答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 そのほか、補正予算では、私立学校の防災マニュアル策定、見直し支援に要する経費を計上しています。これらの施策は、ハード、ソフト両面から、東京の私学の防災力向上をさせる総合的な取り組みとして評価しています。
 さらに、今回の大震災で、避難の重要性が改めて浮き彫りになったように、子どもたち自身の防災意識を高めていくことが何よりも大切です。
 私学では、日ごろからさまざまな防災教育に取り組んでいくとは思いますが、より充実したものになるよう、都としても積極的に働きかけをしていただきたいと思っております。
 三・一一が起きたとき、東北三県の中で、高校生が自分の身を守った後、お年寄りを高台に避難させたというようなこともニュースで拝見しています。やはり日ごろからの防災教育の必要性というものを、ぜひさらに進めていただきたいと思っております。
 また、放射能の問題についてお伺いいたします。
 先日、政府の食品安全委員会が、食品による被曝線量が生涯で一〇〇ミリシーベルトを超えた場合、健康に影響する可能性があるとの基準を発表いたしました。
 これを受け、食品ごとの規制値が決められるとのことですが、既に大震災の発生から八カ月がたっており、対応方針がなかなか示せない国には憤りを感じています。
 食の安全の確保や、いわゆるホットスポットと呼ばれる高放射線量が確認された地点への対応など、まだまだ課題はたくさんあり、親としても、子どもたちの健康を守り、親たちの不安を解消するためにも、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 私学助成における重要な施策について質問を幾つかしてまいりました。さらに、東日本大震災の発生により、重要性、緊急性の増した私学の防災力向上のための施策を取り上げました。
 こうした施策を着実に推進し、私学のさらなる発展を図り、未来の日本を支える人材を育てることが次世代に対する我々の責務であると考えます。
 今回、全会派のご賛同をいただき、私学支援に関する意見書を国に提出させていただきました。
 我が自由民主党は、今後とも私学振興に向け、多くの提言を行い、施策の充実に取り組んでまいります。
 そこで最後に、私学振興に向けた局長の決意をお伺いいたします。

○井澤生活文化局長 都内の高等学校の生徒の約六割、幼稚園に至りましては、園児の九割以上が通います私立学校は、その建学の精神に基づきまして、長い歴史と伝統に培われた独自の校風や教育理念を通じ、個性的で特色ある教育を展開しておりまして、都の公教育において極めて大きな役割を果たしているものと認識しております。
 少子化の影響などによりまして、私立学校の経営環境が厳しさを増す中、これからの日本を先導していく、まさに有為の人材を育てていく上で重要な役割を担うこれら私立学校が、これからも都民にこたえ得る質の高い教育を確保していくため、今後とも都は、経常費補助を初めとする幅広い施策を総合的に活用いたしまして、私学の建学の精神と自主性を十分尊重しながら、引き続き私立学校の振興に努めてまいります。

○村上委員 力強いご答弁、ありがとうございました。
 今、各地で私学振興拡充大会というものが開かれています。局長のご答弁の中にあった経常費の話なんですが、今現在、経常費二分の一補助ということがうたわれています。
 また、公私間格差是正という文言が、公私間格差解消というふうにして言葉が変わってきています。やはり私学振興の問題も、年を追うごとにだんだん変化をしてきているわけです。
 そしてまた、今一番問題となっているのは、子どもたちが自由に学校を選べる、そういう環境整備がなっていない。これは経済的なものもありますし、学校に通っていて、お金が払えなくなって、やめざるを得なくなったという子どもも出てきているというのも現実にはあるように聞いています。ぜひしっかりと私学振興にこれからもお取り組みいただきますようにお願いして、次の質問に移ります。
 次は、地域の底力再生助成事業についてお伺いさせていただきます。
 我が党は、平成十七年度に町会・自治会等振興議員連盟を立ち上げ、平成十九年度に地域の底力再生助成事業を実現させました。
 我が党がこれまで努力し、築き上げてきたこの助成事業が、多くの町会、自治会に活用され、目に見える成果を上げてきたものと認識しています。
 東日本大震災後、地域住民の共助や連帯の機運が高まる中で、本事業の積極的な活用を図るべきとの観点から、私は本二定の代表質問において、事業の積極的な活用をさらに申請しやすくするための改善と、本事業を活用した地域における防災対策への支援の強化の二点について要望させていただきました。
 これに対し、局長からは、地域の底力再生助成事業のさらなる普及と運用改善を図っていくとの力強いお答えをいただきました。
 そこで、この局長の答弁を踏まえて、どのような取り組みを行ってきたのかお伺いしていきたいと思います。
 まず、申請しやすくするための改善についてでありますが、高齢者の多い町会、自治会の方々からは、手続の煩雑さなどを理由に、申請にまで行き着かないという声も聞いています。これに対してどのように取り組んできたのかお伺いいたします。

○飯塚都民生活部長 書類作成になれていない町会、自治会の方々が申請しやすくするため、本年度から記入欄の一部を選択方式とするなど、申請者の簡素化を図りました。
 さらに、七月以降は、職員が申請を希望する町会、自治会に直接出向いて、申請方法の説明や具体的な事業企画のアドバイスを行うなど、きめ細かな対応を行っております。

○村上委員 ありがとうございます。直接出向いて説明をしていただいているということ、あるいはいろんなアドバイスを行っていただいているということで、大変ありがたく思っております。
 申請書の簡素化などの対応を行っていただいたということですが、さらに使いやすいものにするために、今後とも不断の見直しを行っていってほしいと思います。
 次に、地域防災力の向上のため、地域の底力再生助成事業を活用した地域の防災対策への支援の強化についてどのように取り組んできたのかお伺いいたします。

○飯塚都民生活部長 東日本大震災を通じて明らかになった地域の防災対策や節電対策の重要性にかんがみて、助成金交付要綱を改正し、これまで一団体につき、一分野一回限りとしていた制度に例外を設け、防災対策や節電対策に関する事業であれば、過去に助成を受けた団体であっても再度の申請ができるようにいたしました。
 また、町会、自治会が防災対策や節電対策に主体的に取り組めるよう、参考となる事例集を冊子にして配布いたしました。

○村上委員 制度に例外を設けて再度の申請ができるようになったということで、都として迅速な取り組みを行ったことは評価させていただきます。
 こうした取り組みにより、申請件数はふえているのかどうか、状況を伺いたいと思います。また、どのような事例が申請されたのかもあわせてお伺いしたいと思います。

○飯塚都民生活部長 先ほど答弁させていただいた取り組みを行った結果、本年第三回までの申請件数は百八十二件となり、昨年度実績である百三十四件を大幅に上回る状況となっております。このうち、防災節電対策事業では百十七件の申請があり、助成制度の活用拡大に効果があったものと考えております。
 代表的な事例といたしましては、防災対策事例として、タオルを玄関に掲げて旗がわりとし、地域の高齢者や要援護者の安否確認訓練を実施した事例や、地元の外国人が参加し、優しい日本語や多言語で避難場所を記載したチラシを活用して防災訓練を実施した事例等がございました。
 また、節電対策事例として、町会で管理する照明などをLED電球に切りかえ、地域住民に節電PRや協力を呼びかける事例等がございました。

○村上委員 知事のお言葉をかりれば、防災隣組というような表現をされておりますが、今こそやっぱり家族や地域のきずなをしっかりと構築していかなければならない時期だと思っています。
 そういった意味では、時宜を得た改善の努力によって本事業が積極的に活用され、地域の防災力向上や地域の共助の強化につながっていくことは大変喜ばしいことであります。
 我が党の強い要望により実現したこの事業が、さらに改善を重ね、より多くの町会、自治会に有効活用されるよう、今後の都の取り組みに期待して質問を終わります。ありがとうございました。

○野上(純)委員 四点にわたり質問させていただきます。
 最初に、消費者行政についてお伺いいたします。
 今、若者でいえば、携帯に関するトラブルが多くて、携帯の中につけなくてもいいオプションを契約させられて、またそれを解約しようとすると、なかなかうまくいかないような仕組みになっていたり、また、ネットショッピングで、たくさん商品を買えば送料は無料だというふうに書いてあるのに送料を要求されたりとか、最近、私の身近であったのは、使った覚えのない多額の通信料金の請求が来て、それを親御さんが、子どもが勝手にアクセスしてはいけないところにアクセスしたのだろうと、確かめもしないで料金を払ってしまったというような事例がございました。
 今、ライフスタイルや価値観が多様化しておりまして、さまざまな消費者ニーズにこたえる新商品、あるいはサービスなどが次々と登場しております。その関係で、商品やサービスの利用、購入などの取引形態も、ネットを利用する人も多く、複雑化しております。それに伴って、次から次へさまざまなトラブルもふえてきております。
 また、最近では、東日本大震災に乗じて、不安な気持ち、例えばお宅の家は耐震が厳しいから耐震診断をしましょうとか、耐震補強しましょうとかといって多額な料金を請求されたという事例とか、被災地を支援したいという気持ちを利用した悪質な勧誘とか、詐欺まがいの行為も行われております。巧妙な手口で消費者の心のすきにつけ込むような悪質な事業者が後を絶ちません。
 こうした中で、都及び区市町村の消費生活相談窓口には、日々、悪質な商法や被害について多くの消費者からの切実な相談が多数寄せられております。
 そこでまず、都内の消費生活センターにおける相談の状況と、特に被害が及びやすい高齢者の相談の特徴をお伺いいたします。

○藤井消費生活部長 平成二十二年度に、都及び区市町村の消費生活センターに寄せられました相談は十二万五千七百六件と、高い水準となっております。
 内容的には、インターネットを利用した架空不当請求等にかかわるトラブルが最も多く、相談全体の一六%を占めています。
 六十歳以上の高齢者の相談は約三万五千件と前年に比べまして六・一%増加し、過去最多となりました。平均契約金額も、高齢者は三百二十二万円と、相談全体の百九十六万円と比較して高額であり、被害が深刻化している状況であります。
 特に公社債や未公開株等の金融商品に関する相談や、貴金属の訪問買い取りに関する相談が急増しております。

○野上(純)委員 高齢者をねらった貴金属の悪質な訪問買い取り、いわゆる押し買いによる被害が急増しております。
 今、金が値上がりしておりまして、ピークをちょっと下がったぐらいなんですけれども、例えば金の入れ歯なども高く買いますよとか、ネックレスとかの貴金属も買いますよということで優しく声をかけて、一人で寂しく暮らしている高齢者たちに、自分の孫のような青年が接して、優しくして、家の中の金品をおばあちゃんが売ってしまうという事件とか、あるいは出すまで帰らないみたいな悪徳な場合とかさまざまな相談件数がございますが、この貴金属をねらった悪質な売買、買い取りについての相談件数の実績についてお伺いいたします。

○藤井消費生活部長 六十歳以上の高齢者から都内の消費生活センターに寄せられました貴金属の訪問買い取りに関する相談は、平成二十一年度が十三件だったのに対しまして、二十二年度は百七十件と約十三・一倍となっております。

○野上(純)委員 十三・一倍という、これは驚くほどの急増ぶりだと思っております。三月の大震災の後は、さらに悪質な便乗商法も発生していますので、対策が急務です。
 貴金属の訪問買い取りによる被害の対応について、被害の防止のためにさまざまな対応をとっていると思いますが、より具体的な対応策についてお伺いいたします。

○藤井消費生活部長 貴金属の訪問買い取りにつきましては、消費者が商品を売り渡す立場となることから、訪問販売等による購入者の保護を目的とする特定商取引法を適用することができません。また、消費者が事業者名を確認できないまま取引に応じているケースが多いため、悪質な事業者を取り締まることが極めて困難でございます。
 こうした中、都では、消費生活センターに寄せられる相談の急増を受けまして、不適正な取引行為が行われた疑いのある相談案件を抽出し、事業者を特定できたものにつきまして、消費生活条例により改善指導を行ったところでございます。
 さらに、本年四月二十六日には、緊急消費者被害情報を発信いたしまして、強引な買い取りや、震災に便乗して善意につけ込むなど、代表的な手口を紹介するとともに、被害に遭わないためのアドバイスを都のホームページ「東京くらしWEB」などに掲載し、被害の拡大防止のための注意喚起を図りました。
 あわせて、国に対しまして貴金属の訪問買い取りを特定商取引法の規制対象とするよう、法整備を強く要望したところでございます。

○野上(純)委員 新聞報道によりますと、国では遅まきながら研究会を立ち上げて、貴金属の訪問買い取りに新たな法的措置を講じるための検討を行っているということでございます。
 都においては、引き続き国を動かして、また国に先んじた取り組みによって、都民、特に立場の弱い高齢者が、こうした悪質事業者の被害に遭わないように努めていただきたいと思います。
 ただいまの答弁によりますと、注意喚起の方法の一つとして、ホームページの活用を挙げております。多くの人に迅速に情報を伝えられる手段として、ホームページは大変有効です。
 高齢者のことを考えると、若者のようにホームページにアクセスして使いこなすということはなかなか難しいのが現状です。やはり七十歳過ぎの方々で、インターネットを駆使している方は少ないのではないかと思っております。高齢者を情報弱者として孤立させない配慮が必要と考えます。
 そこで、ホームページを見る機会がない高齢者に対しては、どのような方法で注意喚起を行っていくのかお伺いいたします。

○藤井消費生活部長 都ではホームページに加えまして、「広報東京都」や、消費生活に関する情報誌「東京くらしねっと」といった、だれでも簡単に入手できる紙媒体も活用いたしまして、高齢者に向けた情報提供を行っております。
 また、毎年九月を高齢者被害防止キャンペーン月間と定めまして、ポスター、リーフレット等による啓発を実施しております。今年度は、新たに啓発用ポスターを、電車、バスの都内主要路線の車内に掲出するなど、集中的な広報を行ったところでございます。
 さらに、高齢者の身近な方々からの働きかけが効果的でありますことから、民生委員やホームヘルパーなど、高齢者を見守る方々を対象に、悪質商法の手口や対処法などをわかりやすく解説する出前講座を地域の求めに応じて実施しております。
 昨年は、これらに加えまして、被害防止のポイントや見守りの重要性について、具体的な情報を盛り込んだDVDを作成し、区市町村等関係機関へ配布いたしました。
 今後とも消費者被害防止のため、さまざまな手法できめ細かい普及を行いまして、高齢者が安心して暮らせるよう取り組んでまいります。

○野上(純)委員 今現在、大変先行きの不透明な時代でございますので、悪質業者はさまざまな販売方法や手口を考えてきます。それぞれの商法の特徴とか、今まで高齢者で手口にかかった事例とか、また、高齢者の方が消費者被害に遭わないように防止することが大事だと思っております。
 悪徳業者というのは、言葉が非常に巧みです。高齢者のところに行って、不安をあおるようなことをいったり、また、ひとりぼっちで寂しい孤独な高齢者に対して、大変親切に近寄って信用させて、高齢者が今までためてきたお金とか年金など、大切な財産をねらっています。
 また、高齢者は一人で自宅にいることが多いため、訪問販売とか電話勧誘販売によって被害に遭いやすいとかの特徴もあるわけでございます。高齢者を悪質事業者から守るためには、ご本人への周知はもちろん、周囲の働きかけや見守りが大切であると思います。
 ひとり暮らしの方もふえている中で、先ほど答弁にありましたけれども、地域の方たちの協力なしには、防止はできないと思っております。
 都は、身近な区市町村と連携して、地域に根差した高齢者の消費者被害防止の取り組みを推進していただきたいと思っております。
 次の質問に移ります。次は、芸術文化を通じた被災者支援についてです。
 芸術文化を通じた被災者支援については、先日、仙台に行ったときに被災者の方と話す機会がありました。そのときに、被災、発災直後というんですかね、水とか毛布とかトイレといった命を守るための物資が必要だと思っていたけれども、時間が経過するとともに、心に残っている傷、また、悲しい思いをいやしてくれる支援が欲しいということでございました。
 私も七月に石巻に行ったときには、四回目だったですかね、おもちゃを持っていきました。今まで米とか水とか食料とかはあったけれども、おもちゃというのは初めてだったので、非常に喜んでいただきました。
 ちょっとおもちゃとは違うんですけれども、被災地にアーチストというんですかね、文化芸術発信のアーチストを派遣することというのは非常に有意義なことだと考えております。
 東京都交響楽団が五月に郡山で復興支援コンサートを行いました。我が党の議員が視察したことは第二回定例会でも取り上げましたが、その後の芸術文化活動を通じた被災地支援についてお伺いいたします。

○関文化振興部長 芸術文化を通じました被災地支援につきましては、東京都交響楽団を七月に宮城県石巻市へ派遣するなど、学校や仮設住宅等の集会所での演奏会をこれまでに十八公演行ってまいりました。
 また、ヘブンアーチストも、宮城県、岩手県の被災地で子どもたちを集めまして、アクロバットですとか一輪車などが楽しめる公演を十七回行っております。
 さらに、被災三県やNPOなどと連携いたしましたアートプログラム事業にも取り組みまして、フェスティバルFUKUSHIMAにおける大ぶろしきの作製や、宮城県の雄勝法印神楽の舞の再生などを実施しております。

○野上(純)委員 被災地はまだまだ復興途上でもありまして、被災者が文化を楽しみたいという気持ちはあっても、地元の自治体ではなかなかそこまで手が回らない状況だと思っております。
 そうした中で、東京都が都響とかヘブンアーチストなどをこんなにたくさん派遣していただいたことは、東京だからこそできた取り組みであって、被災地にとっても意義があることだと感じております。
 こうした被災地への支援をより効果的に行うためには、現地のニーズを踏まえた取り組みが必要であると思います。
 実施に当たっては、どんな工夫を行ったかお伺いいたします。

○関文化振興部長 被災地での支援に当たりましては、地域ごとのニーズをきめ細かく把握するために、現地のNPOなどと意見交換を行いながら実施をしてまいりました。
 具体的には、都響は、より多くの方が楽しんでいただけるよう、クラシックの中でも、広く親しまれている曲を演目に取り入れ、演奏を行いました。
 また、ヘブンアーチストは、もともと大道芸でございますから、身軽に移動できるという特性を生かしまして、一つの公演に複数のアーチストを組み合わせることによりまして、延べ八十七組が実演を行い、約四千人の参加者を得ております。
 事業の実施に当たりましては、地域の方に広く周知するため、都の現地事務所とも連携した丁寧なPR活動にも努めてきたところでございます。

○野上(純)委員 いろいろ工夫を凝らして被災地の支援を行っているということが明らかになりました。こうした経緯を今後の事業に生かすためには、その効果を検証していくことが大切だと思っております。
 これまでの効果について、現地の声なども交えて教えていただきたいと思います。

○関文化振興部長 効果でございますけれども、例えば先ほどご答弁いたしました宮城県の雄勝法印神楽でございますけれども、これは東北を代表いたします民俗芸能でございました。
 ただ、津波で舞台が失われてしまいましたので、この神楽の存続のため、新たな舞台の製作を都が支援いたしまして神楽の舞が復活し、十月二十二日には、公演を行う運びとなりました。
 また、ヘブンアーチストを派遣した学校では、三月十一日以降全く笑うことのなかった子どもが、今回のヘブンアーチストの公演を見て初めて笑ってくれた姿を見てとてもうれしかったという声を先生方からもいただいております。
 また、つかの間の楽しい公演だったけれども、その間だけでも悲しみを忘れさせてくれてありがとうと感きわまって涙を流す年配の女性もいらっしゃるなど、被災地の方に心をいやす取り組みができたと考えております。

○野上(純)委員 大変効果があったと思っております。芸術文化を活用した被災地支援は、息の長い取り組みが必要と思います。発災から七カ月が過ぎ、これから寒い冬を迎えるわけでございますが、雪で閉ざされた東北地方の生活は、さらに困難さを増していくものと思われます。
 そうした中で、これからも楽しみを提供し、元気づける支援こそが重要と考えますが、この取り組みに対していかがでしょうか。

○関文化振興部長 今後でございますけれども、引き続き都響やヘブンアーチストの被災地への派遣を継続してまいりますとともに、地元のNPOなどと連携をいたしながら、十二のアートプログラムの事業を実施していく予定でございます。
 今後とも、芸術文化を通じまして、被災地に元気を与えることで被災地の復興を支援してまいります。

○野上(純)委員 我が党では、これまでも被災地での文化活動の取り組みを強化するようにずっと要望してまいりました。
 都が被災地ニーズ等にきめ細かく対応しながら、芸術文化活動の支援に積極的に取り組んでいることは高く評価をしております。
 今後とも、心に希望を見出せるような温かい支援に引き続き力を入れて取り組んでいただけますよう強く要望します。
 次の質問に移ります。新しい公共支援事業について質問いたします。
 平成二十三年二月の文教委員会の質疑におきまして、新しい公共支援事業について、予算規模やモデル事業の対象について質疑を行いました。この質疑を通して、都が新しい公共の場づくりのためのモデル事業など、さまざまな事業に取り組むことがわかりました。
 その中でも、特に行政とNPOが協働して、地域の諸課題解決に取り組むモデル事業が重要であると考えております。
 そこで、モデル事業を中心に、都の取り組み状況がどのようになっているのか、最初にお伺いいたします。

○飯塚都民生活部長 新しい公共支援事業については、当該事業の全般に関する検討、選定、評価を行う東京都新しい公共支援事業運営委員会を五月に設置し、この委員会での検討を経て、新しい公共の活動を推進する上での課題、取り組み方針や都が推進する施策の内容等を定めた東京都新しい公共支援事業基本方針及び東京都新しい公共支援事業事業計画を策定いたしました。
 その後、七月から事業計画に基づく新しい公共の場づくりのためのモデル事業の第一回の公募を行いました。全体で二十七件の応募があり、運営委員会による審査、選定の結果、九月に十五件を交付対象事業として決定いたしました。
 現在、第二回のモデル事業を公募しているところでございます。

○野上(純)委員 三月十一日に発生した東日本大震災を受けて、多くのNPOの方やボランティア団体が被災地に入り、さまざまな支援活動を行っております。
 こうした活動がメディアに連日取り上げられるなどして、被災地、あるいは被災者を支援するNPOの担う役割が改めて注目されております。
 一方で、このような活動を行う団体は、寄附が集まりにくいなど、資金面での苦労があります。新しい公共支援事業は、東日本大震災の発生前から国が進めてきた事業であり、大震災対応を主目的とした事業ではないことは十分に理解しておりますけれども、東日本大震災への支援において、NPO等と自治体が連携するスキームは大変有効であります。このスキームにモデル事業を活用すれば、支援の取り組みが一層進むべきものと考えております。
 そこで、東日本大震災の支援を希望する自治体とかNPO等が、新しい公共支援事業を活用できるようにするための対応についてお伺いいたします。

○飯塚都民生活部長 東日本大震災への対応に関しては、国が東日本大震災を受けて、平成二十三年四月にガイドラインを改定したことに伴い、都においても、震災の緊急性や重要性を踏まえた十分な対応ができるように事業計画を策定いたしました。
 具体的には、モデル事業について五億七千四百万円の既定予算枠の中で、一億円の震災支援枠を設定いたしました。
 そのほか、申請に当たっての要件であるモデル事業の参画者数について、おおむね五団体以上から震災対応事業に限って二団体でも可能とする緩和を行ったところでございます。

○野上(純)委員 我が党としては、第二回都議会定例会における代表質問や文教委員会の質疑を通して、芸術文化活動の提供による被災地支援の重要性を指摘して、その推進をお願いしたところであります。
 私は、芸術文化に関するノウハウを有して、地域に密着して活動を行っているNPO等の民間非営利団体と自治体とが連携して取り組む事業には、さまざまな可能性があると考えております。
 こうした活動を行っているNPOの方が被災地における文化交流事業を行うのに際して、この新しい公共支援事業のモデル事業を大いに活用することを願っております。
 一方、この支援事業は、平成二十五年三月までの二年間の時限措置となっております。平成二十三年二月の文教委員会での質疑において、もし基金に残金が発生した場合、どうなるのかという質問をいたしましたところ、このお金は国庫に返還するとの答弁でございました。都には、残額が発生しないように確実に事業執行することが求められていると考えます。
 そのためにも、この支援事業に関する周知を徹底して、より多くの団体から申請をしてもらう取り組みが重要となります。
 そこで、都として、これまで周知活動に取り組んできた経緯とか、また今後、これを広げるための取り組みについてお伺いいたします。

○飯塚都民生活部長 都では、ホームページを活用した周知を行うとともに、平成二十三年四月に区市町村及び庁内全局の担当者向け説明会を実施し、区市町村からは四十団体の参加がございました。
 七月と十月には、モデル事業への応募を希望する区市町村やNPO等向けに、より実務的な説明会を開催し、合計で百七十八名が参加いたしました。また、より着実かつ円滑な事業周知と応募を促すことを目的に、希望のあった二十一の区市町村に対して、みずから直接出向いて説明を行うなど、事業の周知に取り組んできたところでございます。
 今後とも、都のホームページ等を活用した周知や、参加者のニーズに合った説明会を開催するとともに、東京ボランティア・市民活動センター等の関係機関の協力を得ながら、新しい公共支援事業に関する周知に積極的に取り組んでまいります。

○野上(純)委員 今の答弁を聞いておりましても、都としても周知活動を初め、確実かつ円滑な事業執行に向けたさまざまな取り組みを行ってきたことがわかりました。
 新しい公共支援事業に係る交付金については、交付に至るまでの経緯はいろいろありましたけれども、国から措置されたせっかくの交付金であることから、ぜひ有効活用していただき、国庫に返さずに済むように取り組んでいただくよう要望して、次の質問に移ります。
 配偶者暴力対策についてお伺いいたします。
 配偶者暴力防止法が平成十三年に施行されてから丸十年がたちました。この間、都は、東京都配偶者暴力対策基本計画を策定して、さまざまな取り組みを進めるなど、DV対策の充実に努めてきました。
 今年度末にも計画の期間が終了するため、現在、私も委員として参加しております東京都男女平等参画審議会において計画改定に当たっての基本的な考え方について議論を進めているところでございます。
 この十年間の取り組みにより、多くの被害者が救われてきたと思いますが、審議会の場で伺ったデータによると、平成二十一年度に、都や区市町村のDV相談窓口に寄せられた相談件数は、この資料にもございますが、合計三万五千件と増加傾向にあります。
 また、一時保護件数は、年間でおおむね五百から六百件に上り、そのうちの約六割は子どもさんを同伴しているということでございます。
 加害者から逃れてきた被害者の方は、心身ともに疲れ果てている上に、住宅とか就労の確保、子どもの教育など、さまざまな課題まで抱えておりまして、一人で生活を再建し、自立に至ることは到底できるものではございません。地域の関係機関が連携して、被害者が抱える課題の解決を支援していくことが重要でございます。
 そこで伺いますけれども、被害者の一日も早い自立支援に向けて、都は、関連機関との連携をどのように図っているんでしょうか。

○菊地男女平等参画担当部長 配偶者暴力被害者の支援については、被害者の置かれている状況や抱えている課題に応じて、関係機関が密接に連携しながら適切に対応していくことが重要であります。
 このため、都は、平成十九年度に庁内各局のほか、区市町村、警視庁、医師会、シェルターを運営する民間団体等で構成する東京都配偶者暴力対策ネットワーク会議を設置し、関係機関の連携に努めてまいりました。
 今年度は、新たに民生児童委員連合会の参加も得て、さらなる連携の強化を図ったところでございます。

○野上(純)委員 ネットワーク会議は設置から五年目を迎え、今年度も参加機関の充実を図ったとのことでございます。実りある議論や情報交換を行える貴重な場として、今後も活用していただきたいと思っております。
 都は、さまざまな団体との連携強化を図っているとのことですが、被害者が生活を再建し、新しい人生をスタートする上で、とりわけ被害者に寄り添ったきめ細かい支援をすることができる民間団体の存在が欠かせません。
 都は、ネットワーク会議のほか、東京ウィメンズプラザの事業などを通して、さまざまな場面で、民間団体との協力、連携を図っておりますけれども、日ごろ被害者支援に取り組む中で、民間団体の抱えている課題をどのように認識しているでしょうか。

○菊地男女平等参画担当部長 民間の支援団体の中には、配偶者暴力防止法の整備以前から取り組みを行ってきた団体や、専門の分野に関して高い能力を有する団体もあります。
 しかしながら、多くの団体は小規模であり、人材や資金の不足から、被害者が一時保護所を出た後に、自立に向けた準備をすることができる施設の設置や、被害者と子どもを支援するプログラムの実施に思うように取り組めないことが多いと聞いております。

○野上(純)委員 ただいまの答弁で、自立に向けての準備ができる施設の設置が思うようにいかないとのお話がございました。
 いろいろな施設があるのでしょうけれども、私がとりわけ大事だと思うのは、心のケアも受けながら、自立生活に向けて練習ができる、いわゆるステップハウスの存在だと思っております。
 被害者は、一時保護所に原則として二週間しかいられませんので、民間団体が運営するステップハウスに移って、精神的なサポートを受けながら、時間をかけて社会復帰に向けた準備を行えることはとても有効な支援といえます。しかし、都内では、地価が高いことなどにより、なかなか設置が進んでいないと聞いております。
 DV被害者の自立支援をサポートするために、都内にステップハウスを少しでもふやせるよう、民間団体に対して財政的支援を行うべきと考えますが、所見を伺います。

○菊地男女平等参画担当部長 一時保護所を出た後の被害者にとって、ステップハウスは重要な役割を果たしていますが、施設の借り上げなど、立ち上げに要する初期費用が民間団体にとって大きな負担になっていると認識しております。
 都は、民間団体による自立支援の取り組みをさらに充実させるため、住民生活に光をそそぐ交付金を活用し、ステップハウスの立ち上げに要する初期費用に対して助成することができないか検討してまいります。

○野上(純)委員 ステップハウスの立ち上げに必要な初期費用への助成を検討するという答弁がございました。ぜひとも実現に向けて取り組んでいただくようお願い申し上げます。
 先ほどの答弁にありましたが、民間団体にとって財源不足とともに問題となっているのが人材不足でございます。私が団体の方から聞いた話では、心理的に不安定な状況にある被害者が自立に向けた各種手続を行うために、区市町村の窓口や子どもの学校等に出向く際に、団体の方が同行する支援の取り組みがあるそうです。こうした支援は、被害者にとって大きな負担軽減になりますが、一つの団体だけでは被害者が希望する日時に同行できないなどの対応に限界があるとも聞いております。
 もし、複数の団体が協力をしてスタッフ等を融通し合えば、被害者のニーズに合った支援を行えるのではないでしょうか。こうした事例を初めとして、複数の民間団体が協力し合い、被害者のための支援活動を広げていくような取り組みが必要と考えますが、所見を伺います。

○菊地男女平等参画担当部長 民間団体は、団体間の横のつながりが弱く、多くの場合、個別に活動しているのが実態であります。複数の民間団体が連携し、互いに不足する資源やノウハウを共有して事業を実施することは、団体の支援能力の向上、ひいては被害者の自立支援の充実強化につながると期待できます。
 このため、ご指摘のあった同行支援の事業も含め、複数の民間団体が協力し合い、新しく連携して行う取り組みへの支援についても検討してまいります。

○野上(純)委員 DV被害者への支援は待ったなしです。現在行われている男女平等参画審議会での議論や、都に寄せられた民間団体のさまざまなニーズなどを踏まえ、DV対策の充実に積極的に取り組んでいただきたいと考えます。
 昨年度の補正予算で、福祉・健康安心基金にDV対策に活用できる光交付金が積み立てられましたが、執行上の工夫もしながら、早目に活用を始めていただくようお願いいたします。
 最後に、DVとちょっと角度が違うんですが、最近の事例で、個人情報もありますので、要望をさせていただきます。
 実の子どもが高齢者の母に対して暴力を振るっているという電話がございました。近所の方々がいろいろ対応しているわけでございますが、大変体も大きく、統合症も併発しているので、危険ということで、警察の方にお連れいたしました。そして、一泊は警察のソファーで明かして、二晩目は私の友人にお願いして、そこに泊めていただいたわけでございます。
 DVというのは、配偶者からの暴力ということでございますが、これからの時代、実の娘、あるいは実の息子から、実の母とか父への暴力ということもふえてくるのではないかと思います。そうした命に危険がある場合の家庭内の暴力という意味で、それもDVかもしれないんですけれども、そういった支援も今後ともぜひ検討していただければということを要望して、質疑を終わらせていただきます。

○畔上委員 資料の作成、ありがとうございました。
 私からは、まず、私立の専修学校の助成についてです。
 雇用情勢が大変厳しい中で、高校、大学を卒業しても就職先が決まらない人たちがふえているのが現状なわけですが、こうした中で、就職を目指して具体的な技術や資格を取ろうとする生徒にとっては、専修学校は大変重要な役割を果たしていると思います。
 その専修学校在籍者においても、主たる生計者が東日本大震災で被災されたという学生が多くいらっしゃることが明らかになっております。
 今年度は、専修学校の学生は都内十四万二千五百七十四人となっていますけれども、東日本大震災により就学困難となっている都内の私立専修学校の生徒さんは何人いらっしゃるのか、把握されていたら教えてください。

○石井私学部長 五月に文部科学省が行った調査によりますと、都内の私立専修学校に通う生徒のうち、家計支持者の現住所が被災地にあり、自宅の全半壊、家計支持者の死亡または失業など、東日本大震災に起因する事情により家計が急変し、経済的支援が必要と見込まれる生徒は六百二十九人でございます。

○畔上委員 国は生徒への緊急支援として、専修学校の生徒にも授業料などの減免措置に対する補助を六月に決定いたしました。先ほどのご説明では、六百二十九人の生徒がその対象となるわけですけれども、都は十月に授業料等の納付金の減免を行った学校に対して補助を行うための申請手続を行っていて、補助は年度を越えて四月になるというふうに伺っております。
 学校側は、都のこうした手続の遅さから、授業料などの納付金減免を決断できないでいた学校もあったと伺っています。
 都は、こうした情報は速やかに周知して、被災した家庭の生徒を素早く支援する立場に立っていただきたい。これは姿勢の問題としてぜひ求めておきたいと思います。
 また、来年度以降も被災を理由として途中退学をせざるを得ない、また、新たな進学を断念せざるを得ない、こういう状況が続くのではないかというふうに心配しております。
 授業料など、減免手続は学校単位で行っていますから、来年度以降も補助が行われるかどうかがはっきりしない限り、学校も対応がまちまちになってしまうんじゃないかと心配しています。継続的な補助を求めたいと思います。
 同時に、震災や原発事故を契機に、経済環境が大きく変わってしまって生活が困窮してしまった、そういう家庭もあると思います。
 そうした家庭の生徒が、今までの専修学校に通い続けること、また、新たな進学をあきらめることのないように、授業料などの減免に対する補助対象を拡充すべきだというふうに思います。
 被災生徒の授業料などの納付金減免を行った私立の専修学校に対して、授業料等の減免補助の継続、それから拡充を求めますが、いかがでしょうか。

○石井私学部長 被災生徒に対する専修学校の授業料等減免補助は、国の被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金に基づく事業でございます。
 国は、今年度第三次補正予算案に平成二十六年度まで事業を延長する経費を計上しており、国の動向を注視してまいります。

○畔上委員 今ご説明のように、国が臨時特例交付金を第三次補正予算案で平成二十六年度まで延長するということなんですが、この継続を求めると同時に、やはり内容の拡充もぜひ求めていただきたいと思いますし、国の姿勢次第ではなく、都としても継続、拡充の強い意志を持っていただきたいと私は思います。
 現在、四百二十校の専修学校のうち、約半数の学校が何らかの経済的支援を検討されていると伺っております。そうした学校をふやす上でも、都の姿勢が問われているのだというふうに思いますから、強くその点は要望したいと思います。
 次に、専修学校に対しても防災予算を補助するということについてです。
 このたびの大震災の被害は、パソコンなどの学校の備品の破損や、卒業式が延期されたなどの学校運営にも多大な影響があったというふうに伺っております。
 また、各学校では、震災を契機に、防災備蓄の物資や自家発電設備などの購入もされたということを伺っています。
 これらの防災物資や設備は、もちろん災害時の在学生の安全確保のためということでありますけれども、区市町村と連携して、地域住民や帰宅困難者の避難先としても大変重要な役割を果たすものだというふうに思います。
 そういう点では、今回の補正予算における備蓄物資補助、これは専修学校にも対象を拡大すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○石井私学部長 中学校卒業程度を入学資格とする専修学校高等課程については、高等学校と同様に備蓄物資等購入費補助の対象としております。

○畔上委員 今ご説明のように、高等課程だけということなんですね。先ほども申し上げましたが、地域住民や帰宅困難者の避難先としての位置づけ、そのことを考えますと、やはり高等課程だけでなく、専修学校に対する補助をぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 専修学校の問題で、最後に高等課程の補助についてです。
 昨年の十一月二日の当委員会におきまして、私は具体的な事例も挙げさせていただいて、専修学校の高等課程は大変重要な教育の場であるということで、私学と同様な補助に引き上げるべきだということを申し上げさせていただきました。
 先ほどもお話がありましたが、私学も経常費補助は本当に引き上げていかなきゃいけないということは再三指摘をさせていただいておりますが、その私学と比較しても、専修学校の高等課程は、生徒一人当たりで見ますと半分以下の補助になるわけです。これは、専修学校は管理費などが認められていないという事情があるというふうには伺っておりますが、半分以下の補助なんですね。
 国の高等学校などの就学支援金が私立専修学校高等課程の生徒も対象としていることに対して、同じ私立学校である高等学校と専修学校高等課程とで運営費の補助に差があるというのは、このことをどういうふうに認識されているのか伺いたいと思います。

○石井私学部長 国の就学支援金は、教育の機会均等を目的とする生徒個人への補助であり、学校に対する運営費補助とは性格が異なると理解しております。

○畔上委員 学校に対する運営費補助だということなんですけれども、結果的には専修学校の高等課程に通う生徒の保護者の方の負担になっているというのが現状なわけですね。
 要は、実態として高等課程で学ぶ生徒たちの学費の実態から見る、このことが私は大事だというふうに思います。
 高校は行かないけれども、やはり就職に結びつく専修学校に行こうと希望を持って入学する生徒が経済的な理由で断念せざるを得ない、こういう状況をつくらないことがやっぱり都の仕事であると私は思いますし、専修学校の高等課程の学校に対する運営費の補助も、そういう点では拡充をすべきだというふうに思います。そのことを求めて、次の質問に移りたいと思います。
 次に、男女平等施策の拡充についてです。
 このたび、男女平等参画のための東京都行動計画の改定についての中間のまとめが発表されました。今後、パブリックコメントが実施されて答申が出されるということになるわけですけれども、ぜひ行動計画の中に盛り込んでいただきたいということを二点お話しして、質問したいと思います
 その一つが、働く場における男女平等参画の問題で、中小零細の自営業者の妻が法的にも慣行的にも一人前の働き手として認められていないという問題です。
 自営業者の妻の場合は、一般の就労と同じように朝早くから夜遅くまで働き続けても、産休、育休制度もありません。また、介護休暇も傷病手当もありません。だから、休暇をとるということになりますと、結局収入が途絶えてしまう、また、仕事を失うことに直結している。そういうために、やはり自営業者の妻の方たちは、本当に無理に無理を重ねて働いていらっしゃるなど、働く環境としては非常に厳しい実態があるわけです。
 例えば、ある自営業者の妻の方なんですが、この方は一日十四時間働いていたときがあったということなんですが、そのときの時給を年間の八十六万の控除として計算してみますと、時給は百七十三円というんですね。借金を返すために、その方は自分のお仕事だけでなく、弁当屋さんにも働きに行ったそうです。そうしたら、弁当屋さんに働きに行ったら時給は八百円だったというんですね。
 一生懸命働いていて、働いただけ評価され給料になって返ってくる。これが当たり前のことだと思いますが、そのことがされていない実態が自営業者の妻にはあるわけですね。それは根本的には、自営業者の妻の働きは法的にも夫の所得の一部という位置づけにされていることに起因しているからです。しかし、自営業者の妻たちは、仕事に誇りを持ち、また、頑張って働いていらっしゃるわけです。
 全商連の婦人部という自営業者の妻や、自分で営業している女性たちの団体があるんですが、その団体が二〇〇九年に九千二百人近い自営業者の妻及び女性経営者からアンケートをとったんですが、そのアンケートがまとめられていたので、それを読ませていただいたんですが、妻として共同経営者としての自覚と責任感を持って仕事に向かっていらっしゃるということが非常によくわかりましたし、営業と暮らしの場が一致しているという特徴を生かして、地域活動に積極的に参加していることもわかりました。
 男女平等参画のための都の行動計画には、均等な雇用の確保として、起業家、自営業者への支援という項目もありますけれども、自営業者の妻たちの実態や声をよく聞いて、支援の内容も具体化すべきだというふうに思いました。
 そのためには、やはり自営業者の妻たちの実態調査を行う必要があるというふうに思いましたけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○菊地男女平等参画担当部長 自営業者の妻、いわゆる家族従業者ですが、家族従業者も含みます自営業に携わる女性たちの状況につきましては、都が自営業者などと構成する東京都男女平等参画を進める会において、商店街振興組合連合会の女性部からの参画を得て情報交換するなど、機会をとらえて実態の把握に努めております。

○畔上委員 商店街の方が参加しているということは前進だというふうに思いますが、さらに実態をつかんでいただいて、さまざまな場で働く女性の声を行動計画に生かされるようにするために、きめ細かく丁寧な実態調査をぜひ実施していただきたいなと、これは要望しておきたいと思います。
 自営業者の妻たち、自営業を営む女性たちの果たしている社会的役割、これについてはどのような認識をお持ちでしょうか。

○菊地男女平等参画担当部長 お話の自営業者の妻たち、いわゆる家族従業者でございますが、東京の商工業等を支え、地域社会の活力を担っていると認識しております。

○畔上委員 そういう点では、大事な役割を果たしているという認識ですね。しかし、その役割を果たしている自営業者の妻たちは、先ほどもお話ししましたけれども、その働きが認められていないというわけです。
 とりわけ、自営業者の妻の地位を法的に低めているのが所得税法の五十六条なわけです。この前近代的な税制度を改めることは、やはり自営業者の妻の人格を認めさせる第一歩であり、また、劣悪な実態の改善につながっていくものと思います。
 そして、それは業者の妻だけじゃなくて、農漁業、こうした女性や、またふえ続けているパート、派遣、臨時などの非正規労働者の処遇改善や社会保障の拡充などにも、女性の地位向上だけでなく、まさに男性も含めたすべての人たちの地位向上にも私はつながっていくものと思います。
 私は、男女平等の観点から、自営業者の妻たちの地位向上、これを行動計画に位置づけるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○菊地男女平等参画担当部長 都は、男女平等参画のための東京都行動計画に基づき、あらゆる分野での活動において、企画、方針、意思決定段階から、女性の参画促進に取り組んでおります。
 現在の行動計画は、今年度で計画期間が終了するため、現在、東京都男女平等参画審議会において、計画改定に当たっての基本的な考え方についてご議論いただいているところでございます。

○畔上委員 今、基本的考え方を議論されているというご答弁だったんですが、ぜひこの所得税法五十六条問題も女性問題として位置づけていただきたいと、これは意見として申し上げておきたいと思います。
 よく所得税法五十六条の問題は、青色申告にすればいいじゃないかとか、そういうご意見もあるわけですけれども、青色申告はあくまでも特例として認められているもので、本当の意味での働き分が認められているというものではありません。だから、全国の女性税理士連盟は、二〇〇五年八月に所得税法五十六条廃止を要望する意見書を国に上げておりますし、また、青森公立大学の田中教授は、所得税法五十六条が真の男女平等を妨げているというふうな分析をされておりました。やっぱり働きが認められないという点では、女性の地位向上という観点で撤廃すべき問題だと思いますので、ぜひそうした意見があることを認識していただきたいと思います。
 最後に、男女平等参画を推進する社会づくりの社会制度、慣行の見直しの一つとして、旧姓使用の問題です。
 総務省は、八月三十一日に地方選挙における当選証書への通称の記載についての考え方を示しました。当選証書の氏名に戸籍名が記載されていれば、当該氏名とは別に当選証書の余白などに通称を付記することは、各選挙管理委員会の判断によって行うことも直ちに問題となるものではないといたしました。
 これは八月二十八日、つい最近ですね。投票が行われた仙台市の市議選で当選された女性議員、これは超党派で十人の女性の議員の方が、当選証書は旧姓及び通称を併記できるようにと総務省に要望するように市の選挙管理委員会に申し入れたことによって明らかになったわけですが、私は、旧姓、通称を付記できるようになったことは一歩前進だというふうに評価しております。
 私自身、旧姓で仕事を続けておりますけれども、当選証書は戸籍名、夫の姓である小山になっておりまして、有権者の皆さんに一票を投じていただいた自分の名前が記載されていないことに大きな違和感を持っておりました。女性が結婚後も仕事を続けていく上で、この旧姓使用の問題は大きな問題なわけです。
 一般的な企業では、既に旧姓使用が認められているところが多くなっていますが、行政手続などはおくれているのが実情なわけです。都の職員の場合は、旧姓使用が認められているんでしょうか。

○菊地男女平等参画担当部長 都職員については、源泉徴収や給与簿など、法令や制度上、戸籍名を使用することが必要なものや、契約書や納入通知書など、対外的に法的効果を伴う行為に用いるものなどを除き、職員の申し出により、旧姓を使用することが認められています。

○畔上委員 職員も条件はついておりますけれども、旧姓使用が認められているのですから、やはり都の選管も、当選証書には旧姓、通称の付記を認めるようにしていただきたいなと、これは超党派で申し入れをした方がいいのかもしれませんが、ぜひそのようにしていただきたいなと思っております。
 私は、この問題の根本的な解決のためには、選択的夫婦別姓制度の導入などの民法改正が必要だと考えます。
 憲法二十四条は、個人の尊厳と両性の本質的な平等の上に成り立つことを保障しております。女性も男性も、社会の中で一人一人が輝いて生きていけるような社会を目指して、私も男女平等参画社会の促進に力を尽くしたいということを表明しまして、質問を終わりたいと思います。

○山内委員 私からは、三点ご質問させていただきます。
 まず、NPO支援についてです。
 地域では年々、市民活動やコミュニティビジネスが広まっております。その担い手としてNPOが活動範囲を広げておりますが、NPOは非営利ということから、すべて無償で、ボランティアによる取り組みと誤解されることがございますが、事業を通じて、働く人が報酬を受け取ることができます。しかし、現実的には、限られた資源、脆弱な運用基盤の上に辛うじて成り立っていることが多いため、事業の継続に向けた行政からの支援への期待が高まっております。
 NPOから寄せられる要望には、設立相談や運用マネジメント力の向上、人材確保や育成、資金助成金の情報提供、情報発信力等があります。中でも、NPOが継続的に運営していくための人材や資金の確保が大きな課題です。区市町村の市民活動センターでもNPO支援を行っていますが、広域的な観点から、東京ボランティア・市民活動センターの支援が必要です。
 そこで、NPOに対して、都はどのような支援を行っているのかお伺いいたします。

○飯塚都民生活部長 都は、東京都社会福祉協議会が運営する東京ボランティア・市民活動センターを通じて、NPOなどの市民活動に対し、さまざまな支援を行っております。
 具体的には、ホームページや広報紙によるNPOに関するイベントや人材募集、助成金等の情報提供のほか、新たに団体を設立する場合の手続や会計、労務、資金調達などの運営に関する相談対応、NPOのスタッフに対する研修、NPO同士の交流機会の提供、会議室の貸し出しなどを行っております。

○山内委員 NPOでは人材確保は非常に大きな問題となっておりますが、東京しごとセンターでは、NPOスタッフ体験というのが実施されており、二〇一〇年度の参加者の体験後アンケートを見ますと、NPOへの理解が深まった、NPOで働きたいなどの感想が寄せられております。
 また、スタッフ体験に協力するNPOがふえてほしい、体験を通じてNPOで働きたいと考えている人をNPOにつなげてほしいという意見もありました。
 東京しごとセンターやハローワークなどと連携して、NPOで働くことなど、理解を深める必要があります。NPOや関係団体、関係局等と協議を図り、NPOへの人材確保につなげていってほしいと要望いたします。
 次に、NPOが活動を推進していくには、身近な地域での行政支援が重要です。区市町村の市民活動センターは、中間支援組織として果たす役割は大きいです。東京ボランティア・市民活動センターは、先ほど伺ったNPOへの直接支援だけでなく、地域の市民活動センターのセンター・オブ・センターズとしての役割を担っています。
 そこで、東京ボランティア・市民活動センターは、区市町村の市民活動センターをどのように支援しているのかお伺いいたします。

○飯塚都民生活部長 副委員長お話しのとおり、東京ボランティア・市民活動センターは、NPOに対する直接的な支援に加え、広域的な立場から区市町村の市民活動センターを支援する役割を担っております。
 支援の内容といたしまして、区市町村の市民活動センターのスタッフに対する研修や運営に関する参画、助言を行っているほか、各センター間の情報交換等を開催しております。

○山内委員 東京ボランティア・市民活動センターが区市町村の市民活動センターのスタッフへの研修等を通じて、人材育成に対する支援を行っているとのご答弁をいただきました。
 NPOの活動支援をさらに促進していくには、区市町村の市民活動センターのスタッフがNPOの抱えている課題に的確に対応できるようにレベルアップを図ることが重要です。
 そこで、東京ボランティア・市民活動センターでは、どのような研修を行っているのかお伺いします。

○飯塚都民生活部長 東京ボランティア・市民活動センターでは、区市町村の市民活動センターや関係団体のスタッフを構成委員とする企画委員会を開催するなどして、区市町村の市民活動センターでニーズの高いテーマを選定し、研修内容の充実を図っております。
 具体的には、NPO法人の会計、税務、労務、資金調達の基礎知識、スタッフ、コーディネーターの役割、機能など、実践的な内容の研修となっております。
 二十二年度の研修実績は十三回で、延べ四百八十七人の参加がございました。参加者のアンケートでは、具体的な内容であり、専門知識が深められたといった声が多く、高い評価をいただいております。

○山内委員 区市町村の市民活動センターの活動は、実際には担当者の力量によるところが多いと聞いています。担当者が地域に出て、実際のNPOの活動状況を把握しているところは、相互作用で活性化していると聞きます。
 東京ボランティア・市民活動センターは、各市民活動センターが活性化するよう、地域のセンターの特徴的な情報などを集め、他の地域にもモデルとなるような活動情報を提供するなど、センター・オブ・センターズとして広域的な役割をさらに充実していっていただくよう期待しております。
 次に、今年度実施されております新しい公共支援事業についてお伺いいたしますが、NPOが抱える課題への対応でもあり、期待するところです。
 NPO等の自立的活動を後押しし、地域における新しい公共の拡大と定着を図るとしておりますが、都はどのような支援を行っているのかお伺いいたします。

○飯塚都民生活部長 都では、新しい公共支援事業事業計画の中で、NPOの活動基盤を整備するとともに、その組織運営に必要な技術、知識を高めることを目的として、基盤整備事業を実施することとしております。
 具体的には、いわゆる中間支援組織等のNPOを支援している団体の経験とノウハウを活用して、NPOの組織運営に必要な組織の強化、寄附、信頼性の向上、周知・広報の四つの分野について研修、講座を実施するとともに、より意欲のあるNPOについては、さらに個別相談や専門家派遣を行うこととしております。

○山内委員 ご答弁いただきました新しい公共支援事業の基盤整備事業も、東京ボランティア・市民活動センターと同様に大事です。しっかりとやっていってほしいと思います。
 今回の新しい公共支援事業は、モデル事業もあります。これも、NPOの活動が豊かになっていくための事業として大変期待をしております。NPO等の基盤整備の支援、地域における市民ニーズの掘り起こしの支援として、二十五年度以降も進めていっていただきたいと考えております。
 また、今後さらにNPOや市民活動が新たな局面に向けて活動の場を広げていく中で、NPO等の要望や期待に積極的に耳を傾け、地域の市民活動センターが充実していくよう、都が支援していくことを要望いたします。
 さらに、これまでの行政主体の自治体は主、NPOは従という位置づけではなく、相互理解と協力による協働パートナーシップの事業の実現をするためには、委託契約とは違う新たな契約のあり方が必要です。現在、国や自治体で模索されております対等な立場で結ぶ協働契約と呼ばれる契約についても検討していただけるよう要望いたします。
 二番目に、情報公開についてお伺いいたします。
 市民の知る権利と行政の説明責任の重要性が認識されて、行政機関の情報公開が制度化されました。東京でも、公文書開示制度を適正に運用し、都民の情報に対するニーズに的確にこたえていく必要があります。
 東京都情報公開条例に基づき、都民からの請求に応じて、都は保有する公文書の開示を行っていますが、ホームページにも掲載されております二〇一〇年度の東京都の情報公開制度の運用状況によりますと、開示件数は、二〇〇六年度以降、急激に増加しており、都民の情報公開に対するニーズの高まりがうかがえます。
 そこで、ここ五年間の公文書開示等決定件数の推移はどのような状況になっているのかお伺いいたします。また、公開請求された公文書はどのような内容のものが多いのかお伺いいたします。

○梅田都政情報担当部長 公文書開示等決定件数は、平成十八年度が四千六百二十一件に対しまして、平成二十年度は五千八百三十三件、平成二十二年度には一万六百三十八件と、この五年間で約二・三倍に急増しております。
 請求内容としましては、例年、工事設計書、建築計画概要書関係、食品営業許可台帳といった営利目的の請求が上位を占めております。
 中でも工事設計書につきましては、平成十九年度には七百二十九件であったものが、平成二十二年度におきましては五千八百九十一件と著しく増加しておりまして、昨年度は全体の約五五%を占めております。

○山内委員 開示請求が大変増加していることはわかりました。このような中でも、都は、都政に関する正確でわかりやすい情報を開示するだけでなく、適切かつ迅速に開示していく必要があると思います。
 開示請求してから開示されるまでは、どのくらいの時間を要しているのかお伺いします。また、開示までのスピードアップに向けた取り組みについて、あわせて伺います。

○梅田都政情報担当部長 情報公開条例では、開示または非開示の決定は、請求があった日から十四日以内にしなければならないと定めておりまして、この原則に従って適切に文書を交付しております。
 また、事務処理の迅速化につきましては、情報公開事務担当者に対しまして説明会や研修を行い、迅速かつ適切な開示事務について指導を行っております。特に公文書の全部または一部を開示しない決定をする場合におきましては、情報公開課が協議を受ける際に、個別具体的に指導、助言を行っているところです。

○山内委員 平成二十二年度東京都情報公開制度運用状況年次報告書において開示請求の処理状況を見ますと、非開示または不存在等により開示を行っていないケースが多数あります。中でも不存在、存否応答拒否及び却下により開示しない件数が、ここ数年、五百件から六百件あります。この不存在、存否応答拒否及び却下とは具体的にどういうものか伺います。

○梅田都政情報担当部長 不存在とは、文書を作成及び取得しておらず、公文書を保有していない場合、あるいは当該公文書が保存年限を経過したため、既に廃棄済みで保有していない場合が該当します。
 また、存否応答拒否とは、当該請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで非開示情報を開示することとなる場合に、その公文書の存否を明らかにしないで開示請求を拒否することをいいます。例えば、特定個人の病歴、あるいは犯罪の内偵捜査に関する情報に対する開示請求がこれに該当します。
 却下とは、開示請求が情報に規定する要件を満たさない場合に行うものです。例えば、広報や白書、登記簿など、開示請求の対象から除外されている公文書を請求された場合はこれに該当します。

○山内委員 平成二十二年度東京都情報公開制度運用状況年次報告書における非開示の理由別状況を見ますと、条例七条四号の犯罪予防、捜査等の情報や、二号の個人情報を理由とする非開示が多いことがわかります。
 条例では、実施機関が行った非開示などの決定に対して都民が不服申し立てを行った場合、それを東京都情報公開審査会に諮問することが定められています。非開示や一部開示の決定に対して不服申し立てがなされ、昨年度の審査会において答申されたものを非開示の理由に沿って分類すると、それぞれ何件になるかお伺いいたします。

○梅田都政情報担当部長 平成二十二年度におきます情報公開審査会の答申は三十三件ございました。
 これらの答申につきまして、非開示の理由を情報公開条例第七条に基づいて分類しますと、六号の行政運営情報が二十一件、二号の個人情報が二十件、三号の法人等の事業活動情報が七件、四号の犯罪予防及び捜査等情報が七件、五号の審議、検討または協議に関する情報が二件であり、その他不存在等は八件となっております。

○山内委員 今のご答弁によりますと、非開示のもののうち、行政運営情報を理由としているものが比較的多く不服申し立てをされており、審議、検討または協議に関する情報についても出されています。そして、審査会では、その多くが非開示は妥当とされているようです。
 しかし、さまざまな行政課題に住民の意見を反映させるためには、政策の意思形成過程の行政情報をできるだけ開示していくことが必要です。情報公開審査会に諮問されたものの中にも、政策立案の決定にかかわる情報があると思われます。
 今後、社会状況が変化し、積極的に開示するようになるもの等もあると思いますが、現時点において審査会ではどのような審議がなされているのかお伺いいたします。

○梅田都政情報担当部長 情報公開審査会における議論は、個々の不服申し立ての内容によりさまざまでございますが、政策立案に係る行政運営情報を理由に非開示を決定したものにつきましても、案件の個別事情を考慮し、都民に開示請求権を認めた情報公開条例の趣旨を踏まえた上で、厳正な審議を行っているところでございます。

○山内委員 今後、行政運営情報について開示が拡大されることを要望します。
 行政の情報が公開される度合いが高まっているといえますが、公開請求をしなくても積極的に情報提供がなされるべきであり、そのような方向に向かっていると考えております。
 情報公開をさらに進めるために、個別案件を審査する情報公開審査会及び制度の運用やあり方を検討する情報公開審議会の議論に期待します。
 最後に、ホームページでの情報提供についてお伺いいたします。
 最近、ホームページを利用して都政情報を取得することが多くなっています。都では、入り口に当たる都庁総合ホームページのほか、各局や各部が独立したホームページを持っています。ホームページの運営に当たった各局とどのように連携しているのかお伺いいたします。

○櫻井広報広聴部長 都庁総合ホームページでは、各局の報道発表資料や各局のホームページへの案内等を掲載しております。
 ホームページへの情報掲載を各局と連携してより効果的に行うため、年度当初に庁内説明会を開催し、掲載手順の確認や、掲載における留意事項の周知を行いますとともに、日常的にも緊密に連絡をとっているところでございます。

○山内委員 都が実施している協議会、懇談会のような会議は多くが公開されており、会議の開催日時等もホームページ上で公開されています。
 ところが、それを所管している局や部によって掲載する時期がまちまちで、傍聴しようと考えていても、会議実施の数日前にようやく開催日時が発表されることがあり、市民から不満の声をよく聞きます。ホームページ上において、会議開催に関する情報をどのように提供しているのかお伺いいたします。

○櫻井広報広聴部長 都庁総合ホームページ上におきましては、会議開催等の情報について、各局の報道発表を受けて掲載しております。各局から発表された資料に、都民がより見やすくなる工夫を加えるなどの作業を行った上で、発表の当日に即日掲載をしているところでございます。

○山内委員 ホームページの掲載の仕方はわかりました。
 東京都が持つ情報が積極的に公開されることによって、市民は都政のよき理解者となると思います。会議の開催日時だけでなく、ホームページに掲載される会議録や会議の資料も、局や部によって掲載時期が遅いことがあります。会議の傍聴や時期をとらえて、都政情報を取得するために、各事業の所管局が迅速に報道発表を行うことが必要です。
 例えば、会議開催情報をその何日前までに発表するとか、会議後、議事録はおおむね何日後まで、資料は会議の翌日とか、原則を決めた方がいいと思います。改善を要望して、私からの質問は終わります。

○今村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時三分休憩

   午後三時十五分開議

○今村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質問を続行いたします。
 発言を願います。

○くりした委員 私からは、当局の事務事業の一つでありますトーキョーワンダーサイトについて質疑をさせていただきたいと思います。
 生活文化局においては、先ほど野上議員のご質問の中にもあった、被災地へのヘブンアーチストの派遣など、さまざまな芸術的、文化的な活動についても力を入れていただいております。
 我々ども都議会民主党としても、これらの取り組みについては基本的に評価をしているところでございますけれども、このトーキョーワンダーサイトをめぐっては、かつて人事問題や事業運営のあり方について多くの課題が指摘をされたことも事実でございます。
 とりわけ平成十九年度においては数多くの問題が明らかとなり、都議会においても議論がなされてまいりました。我が党の議員からも、一昨年の決算委員会におきましてさまざまな角度からこれらの問題について言及して、そして、解決のために提言を行ってまいりました。
 それから二年間がちょうどたったわけでございますけれども、それらの点について、まずどういった対応をいただいたのか、確認の意味も込めて質疑をさせていただきたいと思います。
 このトーキョーワンダーサイトは、本郷、渋谷、そして青山、都内の三カ所に会場を設け、そして国内外の若い芸術家の才能を広く世に知らしめる、そういったチャンスをつくるとともに、それらの才能自身もさらに磨いていく、開花をさせていく、そういったことをねらいとした取り組みである、事業であるというふうに理解をしておりますけれども、これらの三つの会場においては、それらを実現するために数多くの展示会が開催されております。
 そして、これらの展示会の運営については、その一部を外部に委託する、そういった形式をとっておりますけれども、過日の委員会、都議会においても、この展示会で行われる委託契約の公平性が担保されていないのではないかという指摘がございました。
 その理由の一つとしては、その契約の多くが随意契約及び特命契約で占められていたこと。そして、もう一つとしては、その随意契約の中でも、ある一社の企業が大変多くの割合を占めていた、特命随意契約として占められていた。これらの理由から、競争性が担保されていなかったのではないかという指摘をされた経緯がございます。
 その指摘をされた平成二十年度の近くの状況をいま一度確認させていただきますと、平成十九年度においては、十二件ある事業の中の十一件が随意契約として結ばれていた。そして、平成二十年度においては、十五件ある事業のうちの十二件が随意契約として契約をされていた。その後の契約状況についてはどのように推移しているのか、まずお伺いをさせていただきます。

○関文化振興部長 トーキョーワンダーサイトにおけます展示の委託契約は、十八年度から移管しました歴史文化財団、こちらの方の財務規程に基づいて実施をされております。
 この規程では、百万円以上の契約は競争入札によりまして事業者を選定し、百万円未満は随意契約によることができるというふうにされております。そのうち三十万円以上につきましては、複数の事業者から見積書を徴取した上で契約を結ぶこととなっております。
 平成二十一年度の契約件数でございますが、十五件で、うち随意契約は十三件、平成二十二年度の契約件数は十八件で、うち随意契約は十五件となっております。

○くりした委員 ただいま、どういった形で契約の方式を決めているのか、あるいは平成二十一年度と二十二年度の実績についてご説明をしていただきました。やはり結果から見ると、随意契約を行っている割合というのはさして変わっていないのかなというふうに思います。
 先ほどご説明をいただいた決め方については、随意契約を行っているものについては必ず相見積もりをとっていると。その結果、ある一定の企業がやはり優秀な提案を持ってくるから、結果として、そこを毎年毎年選んでいるというふうなことであると理解をしておりますけれども、こういう流れがここ数年にわたって続いているということになりますと、やはり毎年の検討が形骸化してくるおそれもございますので、この点については引き続き留意をいただきたいと思います。
 そして、もう一点ご指摘をさせていただきました、ちなみにその随意契約の中で独占率ということでございますが、先ほど指摘のあった、これは一社に契約が偏っているのではないか。全事業の中で、この一社に発注をされている事業の割合はどのようになっているのかについて、平成十九年度においては、確認をさせていただきますと、随意契約の十一件のうち九件がこの一社によって受注をされている。そして、平成二十年度においては、随意契約十二件のうち九件が、やはり非常に高い割合の事業がこの一社によって受注をされているという経緯があったわけでございますけれども、その後はどのように推移しているのかお伺いをいたします。

○関文化振興部長 その前に、まず、このワンダーサイトに随意契約が多いのは、実は百万円未満の少額の契約が多いという事業の特質によるものでございまして、決してワンダーサイトが何か特別な契約方法でやっているとかということではないということを、まずご理解いただきたいと思います。
 お尋ねの特定の会社についての契約状況でございますが、平成二十一年度は、全体の契約十五件中十件が特定の社ということになっております。また、二十二年度は十八件中九件ということになっております。
 これらの契約につきましても、先ほど申し上げたように、競争入札によるもの、また複数見積もりによる随意契約によるものに、いわゆる財務規程にのっとりまして適正に契約の手続を行っているところでございます。

○くりした委員 今、財務規程にのっとって適正にやっているのだというふうにお答えをいただきましたけれども、これについては、二年前の質疑においても恐らく同様のご答弁をいただいたと思います。
 それは事実なんでしょうけれども、財務規程自体が、そもそも三十万円以上、そして百万円以下の案件については相見積もりだけで随意契約を結べるという規定がそれぞれどうなんだというふうな指摘もございましたので、この点については確認をさせていただきました。
 そして、結果もお伝えいただきましたけれども、全体からの割合で見れば、これについては下がってきているようでありますけれども、この会社が受注をしているという数でいえば、これはほぼ変わっておりませんので、同じ事業についてはこの会社が例年受注をしているということも可能性としてはあるのかなと思っております。この点については、競争原理がしっかりと働くように、これからも注意をいただけるようお願いを申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 このワンダーサイトという事業がどれだけ都民に受け入れられているのか、一つの指標となる来場者の推移についても二年前の質疑において指摘をされてまいりました。
 平成二十年度の決算委員会においては、同じ会場で行われている異なるイベントの来場者もそれぞれ一件としてカウントする。例えば、ワンダーサイトの本郷の会場においてはフロアが分かれているわけでございますけれども、そこで三つイベントをやっていたのであれば、一人の方が来場しても来場者としては三人としてカウントする、そういうことが、過日、委員会においても指摘をされてまいりました。
 これは、本来の趣旨からすれば外れてしまっているのではないか、そういった指摘がなされてまいりましたけれども、現在においてもこのカウント法については残念ながら変更されていないということですので、こういった前提でこの来場者についてお聞きをしてまいりたいというふうに思います。
 今、お話をさせていただきました、平成二十二年度の各館、本郷、渋谷、青山においてどれだけの展覧会の開催日数が、この事業ベースでいうと行われているのかということについてお伺いをしたいと思います。

○関文化振興部長 平成二十二年度の各館の展覧会等の開催日数でございますが、ワンダーサイト本郷が延べで四百六十六日、ワンダーサイト渋谷が延べ二百六十四日、ワンダーサイト青山が延べ五十一日というふうになっております。
 作品を展示することが中心でございます本郷、渋谷と、館に滞在しながら芸術創作活動を行うレジデンス機能を有する青山とは事業の性格が異なりますので、開催日数を一概に比較できるものではないというふうに考えております。

○くりした委員 ご説明をいただきました。本郷については、三百六十五日を延べで四百六十六日で超えている。つまりは、やはり一つの会場で複数のイベントを行ったら、これは複数としてカウントしている、その結果が出ているのかなというふうに思います。
 合計するとこれは七百八十一日で、過去、質疑のなされた平成二十年度においても八百件というふうにいわれておりますので、それからほとんど変わりなく推移をしているのかなというふうに思います。
 さて、これをはかっていく上で、もう一つ、分子になる方、つまり来場者の方がどれだけこのワンダーサイトを訪れたかということでありますけれども、平成二十二年度においては各館どれほどの入場者数があったのかについてお伺いをさせていただきます。

○関文化振興部長 平成二十二年度の各館の利用者数でございますけれども、ワンダーサイト本郷が一万四千三百七十六人、ワンダーサイト渋谷が一万四千七百八十九人、ワンダーサイト青山が千九百十六人となっております。
 なお、ワンダーサイト青山については、このほかにレジデンス事業で滞在するアーチストもいらっしゃいます。

○くりした委員 昨年の来場者数をすべてお答えいただきました。先ほど、その前の質問でお答えをいただいた延べ日数です。これを割ると、各館の一日当たりの入場者数のイメージというものが大体つかめてくるのかなというふうに思います。
 それを計算させていただきますと、本郷については一日当たり三十・八人、渋谷については一日当たり五十六人、青山については一日当たり三十七・五人という計算になるかと思います。
 イベントによって、もちろんこれはそれぞれ偏りがあると思いますので、一概にはいえませんけれども、こうやって押しなべてみると、一つの展示会に訪れていただく方というのは、大体三十人から六十人の間程度ということであります。
 これは実は平成二十年度に質疑があったときとさほど変わっておらず、その質疑のときにも実は同様の質疑が行われて、若手アーチストをいかに鍛えていくかが、世に知らしめていくかがこれは重要な指標であるので、一概に来場者数だけでは評価はできません、難しいんです、そういったお答えをいただいたかと思います。
 しかし、翻って、それらの若い才能がどれだけ世にアピールすることができたのか、これは、やはり各館を訪れていただく来場者数の方に比例をしていくものだというふうに私は思いますので、この点については、私は各館すべての館において決して多くはない入場者数なんじゃないかなというふうに思っております。これについては、もう少しアピールをする努力が必要なのではないかなと思っております。
 さて、もう一つ、この事業全体の費用対効果をはかる上で重要な指標になる、どれだけのお金がこの事業に費やされているのか、そういった点でございますけれども、現在、このトーキョーワンダーサイトは、先ほどお答えいただきましたとおり、東京都歴史文化財団に事業運営を委託されているところでございます。ただし、その費用については、そのほとんど全額を東京都が補助金として支出をしているということであります。
 平成二十三年度、このトーキョーワンダーサイトにおける補助金総額と各館ごとの内訳についてご質問をいたします。

○関文化振興部長 トーキョーワンダーサイトに対します平成二十三年度の補助金は、総額が約三億三千百万円となっておりまして、その内訳は、ワンダーサイト本郷が約一千四百万円、渋谷が二千四百万円、青山が約二億九千三百万円となっております。

○くりした委員 ただいま各館の内訳をお答えいただきましたけれども、お答えいただいた中で、ワンダーサイト青山における金額がワンダーサイト事業全体のうちの八八・五%を占めているということで、突出しているということがわかりました。
 このワンダーサイト青山については、平成十八年度に開場されたアーチストインレジデンスという特殊な施設、先ほど答弁にもありましたけれども、そういった特殊な施設でありますので、これについてもう少し掘り下げていきたいと思います。
 アーチストインレジデンス事業というのは、各国の優秀なアーチストを国内に宿泊させることによって、芸術家同士の交流や、あるいは地域とのつながりを通して海外芸術と日本とのつながりを創出していく事業で、海外ではヨーロッパを中心に行われている事業であります。
 私もインターネットでもこのアーチストインレジデンス事業についても調べましたので、ちょっと抜粋をさせていただきたいと思いますけれども、こちらには、アーチストインレジデンス事業とは、国内外の芸術家を一つの地域に一定期間滞在させて創作活動をさせる制度や事業である。第二次大戦後に欧米などで始まり、日本では一九九〇年代に自治体などが地域振興や活性化の一つとして取り組み始めたことで広がりを見せてきた。文化庁も自治体と協力をして、九七年から二〇〇四年まで、十八の地域でアーチストインレジデンス事業を行ってきた。
 芸術家たちは、滞在期間中、創作の過程を公開したり、地域の人々と交流しながら作品を制作する。美術館や画廊といった閉じた空間から、芸術家と作品が社会へ飛び出すだけでなく、地域の人々の協力を得て共同で作品制作をするケースも多い。茨城県や山口県やそういったさまざまなところでも、このアーチストインレジデンス事業が行われているということでございますけれども、このワンダーサイト青山は都心において初めての本格的なアーチストインレジデンス事業を試みた、そういったケースだというふうに聞いております。
 私も過日、青山の方を訪問させていただきましたけれども、表参道駅から歩いて数分の、国連大学のちょうど後ろあたり。非常にいいところに立地をしておりまして、東京都が土地信託事業として銀行に経営を委託しているコスモス青山という建物の一部を借りて、アーチストの宿泊施設として使っているというふうな形になります。
 建物の三、四、五階を借り切って、その中に、四階、五階がアーチスト用の住居、宿泊施設になっている。そして、三階においては、アートスタジオやイベント用の部屋が数室あるのと、事務局用の部屋があるというふうなつくりになっておりました。
 宿泊施設としては四階、五階の二フロアで十六部屋用意されており、その中においては、一Kの部屋もあれば、数人が同時に宿泊することのできる部屋もあるというふうなことでありました。
 今、このワンダーサイト青山について簡単なご説明をさせていただきましたけれども、日本においては、私もこれは実は調べるまで存じ上げませんでした。アーチストインレジデンス事業は、決してまだ定着しているものとはいい切れません。システムをより具体的にするために質問させていただきますけれども、このワンダーサイト青山におけるレジデンス使用者がどのように海外から集められているのか、また、どのような国からどれだけの人材が集まっているのかお伺いをいたします。

○関文化振興部長 ワンダーサイト青山に滞在いたしますアーチストの選定でございますが、各国のレジデンス機関、同じようなところですね、そういうところで大使館等の協力のもと、推薦や公募を行い、最終的には選考委員会を経て決定する場合、それから、二国間プログラムで相手都市から派遣されるアーチストを受け入れる場合などがございます。
 二十二年度の実績で見ますと、二十三カ国百二人の滞在者がありまして、内訳を地域別で見ますと、ヨーロッパが四七%、アジアが三七%、オセアニアが六%、南北アメリカが五%、中近東五%となっております。

○くりした委員 世界各国から優秀なアーチストが推薦、公募、それでもって選考委員会を経て決定をされる、または二国間の交流プログラムの中で宿泊に来るということでありました。二十三カ国百二人の滞在が平成二十二年度にはあった。
 これらの海外アーチストの宿泊料は、ワンダーサイトが持つ。つまり、彼らは無料でこれに宿泊をする、そういうことができるといったことでありますが、このワンダーサイト青山におけるレジデンス使用者においては、この住居のほかにどういった支援が供されるのか、それについてお伺いをいたします。

○関文化振興部長 ワンダーサイト青山では、滞在アーチストに対します支援として、レジデンス事業としては一般的ではございますけれども、お話しのあった住居の提供のほかに、制作費の支給、作品の制作及び発表の場の提供などを行っております。

○くりした委員 これは、海外のアーチストからすると非常にうれしい取り組みなんじゃないかな、外国に来て、居住環境については無償で提供してくれるということなので、非常にうれしい支援なのではないかなというふうに思います。
 しかし、先ほどこちらの説明にもございましたとおり、もう一つのアーチストインレジデンス事業の柱として、地域の方々とつながって、そして我々日本の人間もこれらの海外アーチストから、その芸術に触れて、文化的な影響を受けていく、そういったもう一つの目的があるかなというふうに思っております。
 今度は翻って、この海外アーチストへの支援が、日本の一般市民の方々、あるいは国内のアーチストに対してどのように貢献をしているのかについて、見ていきたいというふうに思っております。
 この海外のアーチストの方々がこれらの宿泊施設に泊まってどういったことを行っていくのか、どういった作業をされるのかということでございますけれども、それぞれのアーチストについては、私も伺いましたけれども、小さな部屋があてがわれて、そしてそこで自身の作品をつくる作業を行っていくということでございます。
 そして、月に一日、オープンスタジオという日が設けられて、その日には一般都民の方々も、一般都民だけじゃないですね、一般の方々もこれを見に来ることができる、アーチストの方々と直接触れ合うことができるということであります。私が訪問したときにも、アーチストの方が部屋で作品をつくっているというところでありました。
 また、一部のアーチストについては、ほかのワンダーサイトにおいて、その作品を展示するという機会もあるというふうに聞いております。
 私は、ワンダーサイト青山の施設を拝見して、正直に申し上げると少し残念に感じたんですけれども、なぜならば、ワンダーサイト青山が地域の方々からすると非常に隔絶した環境にあるんじゃないかというものを肌で感じてしまったからでございます。
 建物自体が、先ほど申し上げましたとおりコスモス青山というところの一部にございまして、それの中に入るにもオートロックのインターホンがありまして、そこであけていただかないと中に入ることさえ通常時にはできない。私もインターホンを押して、都議会議員だということがわかって初めて入れていただいたわけでございます。
 つまり、何がいいたいかと申し上げますと、そこに滞在する海外アーチストの方々は、そのレジデンスの中においては、オープンスタジオは除いて制作期間中においては、そこにいる事務局の方と、あるいはそこにいる日本人のわずかなアーチストと接するのみであると、それがわずかに触れ合う日本人であるということが、私は非常に残念だというふうに思いました。
 先ほど申し上げたオープンスタジオについても、月一日、これは公開されるのみであります。先ほど一日当たり三十七・五人と、来場者を青山についても試算させていただきましたけれども、これについては、オープンスタジオや不定期で行うトークイベント、これらの来場者数を調べたものがベースになっております。
 先ほど、こちらの資料というか、アーチストインレジデンス事業の趣旨からお話をさせていただきましたけれども、地域の方々との触れ合いという意味では、私はまだまだ大きな課題があるのではないかというふうに感じてまいりました。
 また、費用対効果、費用という意味でも、この施設は、青山については、本郷、渋谷と比べても非常に高い対価を支払っているのが現状でございます。
 ワンダーサイト青山において、支給されている金額総額については、先ほどお伺いした二億九千三百万円であるというふうなことですけれども、これについては、事務局の方々の人件費であるとか、そういったことも含まれておりますので、施設の賃料として純粋に幾らかかっているのか、次にお伺いをいたします。

○関文化振興部長 平成二十三年度のトーキョーワンダーサイト青山における施設の賃借料は、約九千三百万円というふうになっております。

○くりした委員 それと比較になるわけでございますけれども、海外アーチストが、このワンダーサイト青山においてレジデンス滞在者として利用した平成二十二年度の実績についてお伺いをいたします。

○関文化振興部長 平成二十二年度のレジデンスの延べ滞在日数でございますが、四千百十七日、またイベントの入場者数も千九百十六人ございました。

○くりした委員 延べ日数でということでございますけれども、これは、例えば同じ方が二日連続で宿泊されたら二人としてカウントするという数え方でございます。つまり、百二人のアーチストが昨年泊まられたということですが、合計でこれらの方々が四千百十七泊されたというイメージになるのかと思います。
 施設の使用料から見ると、もちろん事務局の部屋も三階には一部存在をするわけですけれども、それらを差し引いても、一人のアーチストの宿泊料を考えると、一泊二万円前後という計算になるわけですけれども、これらについては、食事や、あるいはホテルなどで行われているベッドメーキングなどは全く含まれていないというふうに聞いております。
 私も見てまいりましたけれども、部屋も非常に簡素化なつくりになっております。これをアパートと同じというふうにサービスとして考えると、月一Kでも五十万、六十万円という金額になりますので、場所は青山の一等地でございますから当然といえば当然なんですけれども、率直にいって、一般の感覚からすると、これは部屋の内容と照らし合わせると少し高額なんじゃないかなというふうに思っております。
 私、訪問したときに、このワンダーサイト青山、あるいはワンダーサイト全体の館長であります今村さんとお話をしてまいりました。今村さんがお話をするには、海外のアーチストの交流、このレジデンス事業を通してたくさんの交流があって、そしてそこで若いアーチストの才能が開花をしていったと、そういうお話をたくさん語っていただきました。
 もちろん、それについては、私もすばらしい取り組みだというふうに思いますし、これまで続けて盛り上がってきた事業でございますので、ぜひ続けてほしいと、そのようにも申し上げましたけれども、先ほど申し上げましたとおり、幾つかの点においては、私は課題はあるというふうに思っております。
 一つは、費用のことについてでございますけれども、先ほど質問をして、答弁いただきましたけれども、イベントの際に、それほどたくさんの方々、来場者の方々が集まられているわけではないと、こういったことである以上、賃料が非常に高額な青山にこのレジデンス施設がある、そういった必要性は果たしてあるのかなというふうに率直に感じました。
 先ほど、インターホンを押さないと中にも入れないというお話をさせていただきましたけれども、そういった建物の仕組みの都合もございまして、地域と触れ合いという意味では、このワンダーサイト青山というのはまだまだ大きな課題があるのじゃないかなというふうに私は思っております。
 また、海外の方々がこの日本において日本らしさを感じるといった意味合いにおいては、私は、都心から少し離れていたとしても、賃料がもう少し安くて、そして文化の薫りを感じられる、例えば浅草や両国にあってもいいんじゃないかなというふうに思っております。
 もう一つの点なんですけれども、非常に形として残りづらい、評価をしづらい芸術というものを扱うわけでありますから、もちろんなかなか指標として結果を残すことは難しいんですけれども、やはりこれが税金で運営をされているからには、都民の方々にこういった事業を東京都が補助金を出して行っていて、そういったものをしっかりと納得していただける形にしていかなくてはならない。
 それからすると、先ほど指摘をさせていただきました入場者数が決して多くはないと、あるいは、オープンスタジオについても、月わずか一日しか行われておりません。これについては、都民、あるいは一般の方々と触れ合う機会をもっとふやして、そして、都民の方々から見ても、この事業についてしっかりと形になっているじゃないかというふうなご理解をいただけるような形にしていくべきじゃないかなというふうに思っております。
 最初に申し上げましたとおり、若手の芸術家を育てるという趣旨については、私は十分に理解をされるところであるというふうに思っておりますし、これからもしっかりと続けていっていただきたいと思っておりますので、継続的にこれが都民の理解を得て続けていけるように、先ほど私が、あるいは前の議会においてほかの議員が指摘をさせていただいたような点についてもご留意いただいて、そしてご提言をいただきたいと最後にお願いを申し上げまして、私からの質疑を終わらせていただきたいと思います。

○野田委員 それでは、最初に伝統芸能の振興について伺います。
 我が国の伝統文化、風習が危機的な状況にさらされております。剣道や柔道などの武道、また、和食、日本料理、また、先般、逝去されたアップル社のスティーブ・ジョブズ氏が熱心であったとされる禅など、古来より長い歴史の中で培われてきたものに対して、韓国においては、その発祥がすべて韓国であるなどとの対外的な主張を展開しております。
 こうした行為を放置していては、我が国固有の文化を果たして守っていけるのか大変危惧するところであり、改めて我が国の伝統文化に対する若い世代の関心を高めていく必要があります。
 一方、東日本大震災により、東北地方で受け継がれてきた多くの郷土芸能も危機にさらされていると聞いております。郷土芸能やお祭りなどの伝統文化は、地域コミュニティを維持する上で重要な役割を果たしており、人々の心の支えにもなっております。復興をなし遂げるためにも、地域から文化を立て直すことは重要であります。
 東京にも、各地に郷土芸能が数多く存在し、それが東京の文化の魅力の一つにもなっております。
 郷土芸能は、各地域で受け継がれ、はぐくまれてきた貴重な伝統文化であります。まずは、こうした生活の一部となっている地域の郷土芸能に光を当てることが重要と考えます。
 都はこれまで、都内の郷土芸能の振興のためにどのような取り組みをしてきたのか伺いたいと思います。

○関文化振興部長 郷土芸能は、それぞれの地域に根差した特色ある貴重な伝統文化でありますことから、都といたしましても、東京に残された多彩で豊かなこれらの文化を保存、継承していくことは重要であると認識をしております。
 そのため都は、都民芸術フェスティバルの中で、東京都民俗芸能大会を開催し、広く都民の方に公開する機会を提供してございます。平成二十二年度までで四十二回を既に数えまして、これまでに都内にある郷土芸能を二百三十以上紹介してまいりました。

○野田委員 地域の文化が芸術の域まで発展したのが伝統芸能であります。伝統芸能をはぐくみ東京の文化を豊かにすることは、都市の魅力をさらに高める上でも重要であります。
 伝統芸能には、それが持つ芸術性はもとより、わび、さびに象徴される和の心や、人として当たり前の素養であるしつけや礼儀作法など、日本人が見失ってはいけない大事な要素が内包されていると思います。
 そこで伺いますが、こうした江戸から東京へと続く日本文化の礎ともいうべき伝統芸能の継承、発展のために、都はどのように取り組んでいるのか伺いたいと思います。

○関文化振興部長 今日、伝統芸能に身近に触れる機会が失われてきておりまして、伝統芸能の継承、発展のためには、子どもから大人までその魅力を知ってもらうことが重要であると認識をしております。
 そこで都は、都民芸術フェスティバルや芸術文化発信事業助成で、邦楽、日本舞踊、能楽などの公演に助成し、その活動を支援してまいりました。
 また、子どもたちのためには、キッズ伝統芸能体験によりまして、邦楽、日本舞踊、能楽などの分野で、半年にわたりプロの実演家の方から指導を受ける事業を実施しております。
 大人向けにも、広く伝統芸能の魅力を知っていただくため、東京発・伝統WA感動事業によりまして、多数の魅力ある公演を実施しております。

○野田委員 都が伝統芸能の継承、発展に向けたさまざまな取り組みを行っていることがわかりました。
 明治以降の西洋文化偏重教育と戦後の海外文化の大量流入により、日本の伝統芸能を支える社会的基盤が失われつつあると考えます。国際社会において、海外に出る日本人が自国の歴史や文化をしっかり語れないようでは、我が国固有の文化を守ることは到底できません。
 今、この時点で日本人が日本の伝統芸能の魅力と価値を再認識し、伝統芸能の再興に真剣に取り組まなければ、取り返しのつかないことになると考えます。
 そこで最後に、都は、伝統芸能の継承、発展のために今後どのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

○関文化振興部長 近世に江戸で開花いたしました伝統芸能は、日本の文化を象徴するものでございまして、東京の芸術文化を発信していく上でも重要な資源でございます。
 こうした伝統芸能の継承、発展のためには、観客や実演家、公演会場の減少などの現状を踏まえた対策が必要でございます。
 今後、新たな観客層を掘り起こし、伝統芸能の魅力を向上させるための具体的な方策や、伝統芸能に含まれる日本人としての素養を身につけ、普及させていくための社会的な基盤づくりに向けた方策を検討するなど、さらに施策の充実に努めてまいります。

○野田委員 次に、外国人学校への運営費補助について質問をいたします。
 けさの産経新聞の一面で取り上げられておりますが、タイトルが朝鮮学校、有名無実の理事会、総連が議事録偽造とあります。朝鮮学校が朝鮮総連の支配下にあることが改めて明らかにされております。
 記事の中で、拉致被害者を救う会の西岡会長は、朝鮮総連が支配する実態を調査せずに補助し続けてきたことは重大な問題、自治体は学校認可の見直しに踏み切るべきだとの発言をされております。
 この数カ月の間、産経新聞が朝鮮学校問題を集中的に取り上げており、朝鮮学校に対し、全国二十七都道府県が平成二十二年度に支出した補助金総額は約四億円で、前年度に比べ約一億五千万円減ったことが明らかにされました。
 無償化問題で朝鮮総連と直結した反日思想教育や経営実態が表面化し、各地で補助金を見直す動きが相次いでおります。東京都においても、石原知事の英断により補助金支給を停止しており、大いに評価したいと思います。
 それでは、質問に入ります。
 最初に、都の外国人学校に対する運営費補助の内容について確認いたしたいと思います。

○石井私学部長 平成七年度から実施している私立外国人学校教育運営費補助は、外国人学校の教育条件の維持向上及び外国人学校に在学する児童生徒に係る修学上の経済的負担の軽減を図ることを目的として、学校設置者に対し補助するものでございます。
 補助対象校といたしましては、都知事が認可した私立各種学校で、専ら外国人を対象とし、我が国の幼稚園、小学校、中学校または高等学校の課程に相当する課程を有する外国人学校となっております。

○野田委員 次に、昨年度、平成二十二年度補助対象となった外国人学校数とその内訳を伺います。また、朝鮮学校が都内に何校あるのか確認したいと思います。

○石井私学部長 平成二十二年度の補助対象校数は、都内全体で十七校、主として欧米系の児童生徒を対象とするインターナショナルスクール等が十四校、韓国学校が二校、中華学校が一校でございます。そのほか、都内にある幼稚園、小学校、中学校または高等学校の課程に相当する朝鮮学校が十校ございます。

○野田委員 それでは、今年度予算化された外国人学校に対する運営費補助額を確認したいと思います。そのうち、朝鮮学校分についてもお答えいただきたいと思います。

○石井私学部長 私立外国人学校教育運営費補助の平成二十三年度予算額は、約一億二百万円でございます。そのうち、朝鮮学校分としては約二千三百万円と見積もっております。

○野田委員 報道によりますと、神奈川県の朝鮮学校に対する補助金支出をめぐる調査で、学校側が県に提出した歴史教科書は、調査を切り抜けるために訂正したダミー版であり、実際使用されている反日的な歴史教科書とは別のものを提出したとの報道がなされております。
 朝鮮学校は、このように偽造工作を行い、朝鮮総連の下部組織であることが明らかである以上、都は運営費補助そのものを廃止すべきと考えます。
 また、ほかの補助対象校についても、使用している教科書を取り寄せるなど、その教育内容を確認すべきと考えております。
 そして、これらの外国にある日本人学校に、現地の地方自治体から一体どの程度の補助金がおりているのか、相互主義の観点からも確認することは必要ではないでしょうか。
 外国人学校運営費補助については、朝鮮学校問題と含めて、聖域とせず、支給が適正か否かを調査検討することを要求し、質問を終了いたします。

○野上(ゆ)委員 私からは、文化施設の障害者対応について伺わせていただきたいと思います。
 先ほどから、ほかの委員からも質問の中にも出ましたけれども、文化の醸成というのはなかなか時間がかかり、それを継承するということは非常に難しいところでございます。
 しかしながら、どうして行政が文化施策を予算を割いて守らなくてはいけないかという根源的なところは、先ほどほかの委員からの質問の中にもありましたけれども、社会基盤を安定的に支えるため、特にここ東京、大都市における成熟した社会を支える上で、文化的、創造的活動というのは、社会、福祉固有の視点から、社会自体の健全な存続のために必要であるというふうに考えております。
 つまりは、社会の構成員すべてが、個人の自主的活動による内面的な成長も含めた、そういった文化的というんでしょうか、みずからがこの地に生まれてきたことを確認するという意味でも、そういった活動が必要であるというふうに考えております。
 そこで、都立の美術館、博物館について伺いたいと思います。
 都立の美術館、博物館というのは、年間五百万人ほどの方が利用されているというふうに伺っております。公立の施設は、だれにとっても利用しやすいということが大切であるとは思っております。それは、構成員である障害を持っている方にとっても同様にいえると考えます。
 そこで伺いますが、障害者の利用に対する都立の美術館、博物館の基本的な考え方について伺います。

○北村文化施設改革担当部長 都立の美術館、博物館におきましては、障害の有無にかかわらず、大人から子どもまで訪れるすべての方が展示内容をよりよく理解し、楽しんでいただけるように努めることが重要であると認識しております。
 そのため、障害者にも楽しめる企画に努めるとともに、施設面ではバリアフリーに配慮するなど、障害者が気楽に訪れることができる美術館、博物館となるよう取り組んでおります。

○野上(ゆ)委員 おっしゃるとおりだと思いますし、社会教育法、法律の上でも、すべての国民があらゆる機会、あらゆる場所を利用して、みずから実際、生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成するように、国や地方自治体は努めなければならないということを規定しております。
 また、憲法では、すべて国民はひとしく教育を受ける権利を有するというふうに規定をされております。
 これらのことは、だれしもが知識としては持っているところでございます。しかしながら、障害を持っている方については、その形態や行動面に見られる外見的な、平均的な状態からの隔たりに目を奪われてしまうことが多く、彼らが当然、通常の人間的ニーズを持つ存在であるということ、そして彼らが現在の社会ではそのニーズを満たすのに特別の困難を持つ普通の市民であるということに気がつかないでいることが多いという現状があります。
 福祉保健局の事業概要平成二十三年度版に添付をされております障害者施策推進部事業関連統計によりますと、東京都内で身体障害者手帳交付者数、平成二十三年三月三十一日現在、総数は四十五万九千二百人です。視覚障害者三万九千十三人、聴覚障害者四万四千五十七人、言語障害者六千九百八十九人、肢体不自由者二十四万八千六百八十七人、内部障害者十二万四百五十四人ということで、総数が四十五万強おりますし、また、愛の手帳交付者数を見れば、一度から四度まで六万九千八百七人と、これだけの障害を持っている方が東京にはいらっしゃるということでございます。
 そこで、具体的に何点か伺わせていただきますが、まず、都立の美術館、博物館への来館者のうち、障害を持っている方というのはどのくらいなんでしょうか。

○北村文化施設改革担当部長 都立の美術館、博物館では、障害者手帳を持参した方には観覧料を免除しております。平成二十二年度において、この免除制度を利用した方は約十一万人となっております。

○野上(ゆ)委員 今の答弁の中の障害の減免者の中には、どういった方が構成に含まれますか。改めてちょっと確認をさせていただきます。

○北村文化施設改革担当部長 先ほど答弁いたしました十一万人の中には、いわゆる身体障害者手帳、愛の手帳等の手帳をお持ちの方と、さらに、博物館、美術館に見えられたときに付き添いの方もいらっしゃいますが、その方についても免除の対象としておりますので入っております。

○野上(ゆ)委員 これだけの利用者、そして付き添いの方も含めて利用されているということがわかりました。
 先ほども申し上げたとおり、総数にしたら、精神障害者保健福祉手帳交付者数も含めれば、大体、約六十万人ほどの障害を持っている方がいらっしゃるので、今後の文化施策の展開については、やはり障害者文化の存在もしくは障害者文化の社会的位置づけの重要性という視点を持って少し施策を進めていく、あるいは、東京都の文化施設については少しこういったことを考慮しながら、施設整備、あるいはソフト面での整備が必要だというふうに考えております。
 障害を持っている方々が美術館、博物館を利用するには、まずスロープや点字ブロックの設置など、館内をスムーズに移動できるようにすることが大切ではあります。これも福祉保健局から何点かこれまでも推進計画が出ておりますが、こういったハード面については、徐々に東京都のあらゆる施設、そして東京都の美術館や博物館でも、かなり障害を持っている方でも自由に気軽に入れるようになってきていると思います。入り口の部分については非常にすばらしい取り組みをしていると思っています。
 その上で、一方で、ソフト面ではどうでしょうか。展示を楽しんでいただくためには、作品を肌で感じられるように工夫するということが重要です。
 私は先日、シカゴ美術館に行ってまいりました。そこで視覚障害者向けの作品に触れることができるタッチギャラリーというのを見ました。
 障害の中で視覚障害者という方は、もちろん何かを見ることができない、光とやみの区別がない世界の中で生きていらっしゃるので、触感、さわって何かを感じるということに非常にたけているということですね。
 このタッチギャラリーというのは、本物の作品が別のフロアにあって、そして別のフロアにそのレプリカの彫刻であるとか、あるいは気軽にさわれるような、本物はなかなかさわれないですので、そういった展示がされております。
 これはもちろん視覚障害者の方だけではなくて、お子さんが実際にどういうふうな美術の勉強をするとか、あるいはスケッチをするとか、そういったことにも非常に活用されているというふうに伺っております。
 また、点字による説明や、教育を受けた専門ガイドの説明もあります。もちろん視覚障害者には、事前に予約をとれば案内をしてくださるということでございます。
 そこで、タッチギャラリーに限らず、都立の美術館、博物館ではそのような展示というのはあるのでしょうか。伺います。

○北村文化施設改革担当部長 江戸東京博物館には、視覚障害者でも展示品を感じていただける、手で見る展示のコーナーがございます。日本橋などの大型展示品の縮小模型や、浮世絵の輪郭線をかたどった作品を設置してございまして、視覚障害者が手で触れることで展示内容を理解できるようになっております。

○野上(ゆ)委員 タッチギャラリーに限らず、ほかの都立の美術館では、障害を持っている方が展示を楽しめる取り組みというのは行っているのでしょうか。

○北村文化施設改革担当部長 現在改修中のため休館しておりますけれども、東京都美術館では、年四回程度、障害者を対象とした特別鑑賞会を開催しております。
 車いすの方や視覚障害者などがゆっくり鑑賞できるように、一般の方が入らない休館日を利用し、ボランティアによる作品解説をつけ、年間二千人程度の参加がございます。

○野上(ゆ)委員 二十三年間、千葉盲学校で美術を担当していた、当時の日本女子大学の西村先生という方がいるんですけれども、その先生が、日本では視覚障害の方がまずは美術大学に入学することができない。もう一つは、美術の授業というのが盲学校にはあるんですけれども、卒業してからも制作を続けたいというふうに思っても、作品を制作し続けるという場所がなかなかないということです。
 ある障害を持った方がいらっしゃるんですが、その方は先天性の緑内障で、小さいころは少し見えていたんですけれども、十歳のときにはもうすべて見えなくなってしまいました。その方が東京の六本木にあった麻布美術工芸館に行って、障害を持っている方向けのワークショップがあったので、八年間それを続けておりました。いろんな、さわったり、もちろんご自身でも制作をしていたんだと思います。
 その方が後々、サンフランシスコのギャラリーでも個展を開くようになり、発表の場を広げていると。触覚世界のおもしろさを目の見える人にもぜひ伝えたい、そして見た人がさまざまな感想や解釈を返してくれるのも興味深い、それを自分の作品の中に生かしていきたい、見える世界と見えない世界のやりとりを通じて何か新しい世界をつくり出していきたいというふうに述べています。
 これこそがやはり文化の真髄というか、今、盛んにコミュニケーションが大切だというふうにいっていますけれども、内在される何か共通点を、世代を超えて、そして、健常者であるとか、障害を持っているとかということを超えて、共通のもので感じ取って、お互いに感性を響き合わせるという活動をされております。こういったことを真っ先に東京都が、成熟した都市の中で場を提供するということは非常に重要だと私は考えております。
 そこで、美術館、博物館では、さらに何か障害者向けの展示場の工夫というのを検討されているんでしょうか。伺わせていただきます。

○北村文化施設改革担当部長 東京都美術館では、先ほど答弁しました特別鑑賞会の充実について、現在、専門家の意見を聞きながら検討を進めているところでございます。
 また、江戸東京博物館でも、視覚障害者がより体感し楽しめるよう、手で見る展示の充実について、館内において検討しております。

○野上(ゆ)委員 江戸東京博物館のさわれる展示ですが、浮世絵自体をさわれるということで非常にすばらしいと思います。今よく浮世絵の展示があるんですけれども、お子さんや、あるいは障害を持った方でも、でこぼこがあるということを知らない方が多いんですよね。
 あれは本来は凹凸があって、いろんな色を重ねてできているので、平面上の作品では本来ないんですけれども、実際にさわったことがない方々は、浮世絵というものが一般の水彩画のように平面上になっていると錯覚する方もまだいらっしゃるようですので、そういった取り組みというのはぜひ続けていただきたいと思います。
 また、展示品については、予算上の制限もあって、一斉に取りかえるということはなかなか大変だとは思いますけれども、シカゴ美術館のように本物に触れる、あるいは本物に準じたレプリカをきちんと都民に示すような作品をそろえていただきたいと思います。
 これはまさに、障害を持っている方だけではなく、未来を担う子どもたちにも楽しく、そして興味を感じさせる、そして本物を見る目を育てるという意味で非常に重要なことだと思っておりますので、ぜひそういった取り組みを要望いたしまして、私からの質問を終わります。

○今村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 ご異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。

○今村委員長 これよりスポーツ振興局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○安藤総務部長 去る十月二十日の当委員会におきまして要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます文教委員会要求資料をごらんください。表紙を一枚おめくりいただきまして、資料1、スポーツ振興事業に係る予算及び決算の推移をお開き願います。
 都のスポーツ振興事業に係る予算額及び決算額につきまして、平成十九年度から平成二十二年度までの四年間の推移、そして平成二十三年度の予算額について記載してございます。
 なお、予算額はいずれも当初予算額となってございます。また、平成十九年度から平成二十一年度までは旧生活文化スポーツ局所管分、平成二十二年度以降はスポーツ振興局所管分を記載してございます。
 一枚おめくりいただきまして、資料2、主な都立体育施設における国際大会及び全国大会の開催実績をお開き願います。
 当局が所管しております主な都立体育施設における国際大会等につきまして、平成十八年度から平成二十二年度までの実績と主な大会名を記載してございます。
 一枚おめくりいただきまして、資料3、スポーツ施設の指定管理料の推移をお開き願います。
 当局が所管しております八つの施設の指定管理料につきまして、それぞれ平成十九年度から平成二十三年度までの五年間の推移を記載してございます。平成十九年度から平成二十二年度までは決算額、平成二十三年度は当初予算額となっております。
 なお、有明テニスの森公園テニス施設及び若洲海浜公園ヨット訓練所は港湾局から、東京都障害者総合スポーツセンター及び東京都多摩障害者スポーツセンターは福祉保健局から、平成二十三年四月一日にスポーツ振興局に移管されております。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議お願い申し上げます。

○今村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○島田委員 私の方からは、オリンピックの招致に関連しまして、まずスポーツを通じた被災者支援についてお伺いをいたします。
 さきの第三回定例会でオリンピック招致の決議が民主党、自民党、公明党によってなされました。今後は、各市町村議会での決議、そして国会での決議というような形で各レベルでの意思決定、そして来年の二月には申請ファイルの提出というように、具体的に招致活動が進行していくというふうに思われます。
 先日、国会議員で構成されます民主党のスポーツ議連がありまして、会長は谷亮子参議院議員で幹事長が鈴木寛参議で、元文部副大臣でございます。
 このスポーツ議連でJOCのヒアリングがありまして、私もオブザーバーで行ってまいりました。その際、JOCの福田副会長だったと思いますが、いっていたのは、オリンピック招致については、一つとして、超党派で活動を進めてほしいということ、そして二番目としては、支持率を上げてほしいと、そして三番目としては、総理大臣のリーダーシップを発揮してほしいというようなことをおっしゃっておりました。
 私も全くそのとおりに思いますし、野田総理大臣もきっと頑張っていただけるというふうに思っておりますが、特に、第二の支持率を上げることにおいては、都議会民主党の代表質問であったように、招致の意義、理念をしっかりと都民に理解をしていただくことが本当に重要なことであるというふうに思っております。
 被災地においては、復興がなかなか進んでいないのが現状であります。今回の招致理念には、大震災被災地への復興の支援に寄与する、被災地の方々にスポーツの力により夢や希望を与えるということであります。
 また、招致に関する都議会民主党による代表質問においては、被災地の復興支援について伺ったところ、都は、招致期間中もアスリートを派遣し、スポーツの力で子どもの心のケアをするなど、被災地と連携して、経済的な視点も含めて具体的な支援策を検討していくというふうに答弁をされております。
 復興支援という招致理念を具現化する実際の取り組みが期待されるところであると思います。
 このような状況の中、スポーツ振興局では、既に被災地へのアスリート派遣事業を実施しておりますが、これまで実施してきたアスリート派遣事業について、実績をお伺いいたします。

○板垣スポーツ事業部長 都は、東日本大震災で被災された方々が夢や希望を持てますよう、スポーツの持つ力を活用し被災地復興を支援するスポーツを通じた被災地支援事業を実施しております。
 その一つとして、被災三県にアスリートを派遣しスポーツ教室などを行い、被災地の子どもたちに体を動かす機会を提供するアスリート派遣事業を開催しております。
 この八月には、福島大学を会場といたしまして、故郷を離れ県内の他の高校で学ぶ、いわゆるサテライト高校生を対象に、ソフトボール、バスケットボールなど四種目で事業を実施し、ボランティアを含めた三百五十九名が参加いたしました。このイベントには、ソフトボール元日本代表監督の宇津木妙子さんを初め、各競技のトップアスリートを派遣いたしました。
 参加した高校生たちは、離れ離れになっている仲間と久々に会い、アスリートの指導のもとミニゲームを行うなど、一緒に汗を流すことでお互いのきずなを再び深めることができました。
 また、同じく八月には、岩手県で中学生を対象にバレーボール、剣道などの四種目でスポーツ教室を開催いたしました。元全日本女子バレーボール監督の柳本晶一さん、世界剣道選手権優勝の寺本将司さん等のアスリートを岩手県に派遣いたしまして、トークセッションや、アスリートから直接指導を受けるスポーツクリニックを行い、ボランティアと合わせて三百十七名が参加をいたしました。
 子どもたちは、世界を相手に戦ってきた技術を少しでも身につけようと真剣なまなざしで臨んでおりました。

○島田委員 非常に丁寧なご答弁をいただきまして、ありがとうございます。一緒に汗を流すことで、お互いのきずなを再び深めることができたというような感想もありましたけれども、このような有名なトップアスリート、宇津木さん、あるいは剣道の寺本さんや、元バレーボールの監督の柳本さんですか、このような方々が被災地の皆さんを勇気づけるということは、非常にすばらしいことだなというふうに思います。
 ストレスが非常にたまっておりますし、心のケアも叫ばれると思います。私も、実際には行けませんでしたけれども、写真で拝見して、非常に子どもたちが熱心に指導者の話を聞く様子なども写真をいただいてうかがえます。
 スポーツの力で子どもの心のケアをして、夢と希望を与えるということと同時に、このような東京都の支援活動を幅広く都民にも紹介し、スポーツ振興の重要性を都民に理解していただくことが大変重要であると考えておりますが、実際に参加した子どもたちの声はどうであったのか、また、今後の予定についてお伺いいたします。

○板垣スポーツ事業部長 参加した中学生、高校生からは、久々にクラスの友達と再会しうれしかった、日光の下で思い切りスポーツできることがうれしい、ふだんやったことのないような練習ができてよかった、学校の校舎や施設が全く使えなくなり練習が制限されているので、きょうは思い切り練習できてうれしい等の感想がございました。
 このように、スポーツで体を動かすことや、アスリートと直接触れ合うことで、子どもたちに少しでも元気になってもらうことができたのではないかと考えております。
 今後は、十一月に福島県いわき市、宮城県石巻市で開催予定であり、引き続き被災地の子どもたちに勇気と希望を与えてまいりたいと考えております。

○島田委員 ありがとうございます。十一月にもまた、今年度さまざまな事業が行われるということでございますけれども、今後は、お伺いしたアスリート派遣事業をさらに発展させ、招致活動にもどう結びつけていくか、そしてまた、これを都民に広く知っていただくこと。招致理念を理解していただくとともに、招致の機運を高めていくことが大変重要であると考えております。
 この事業は、もともと民間のNPO法人などと連携して事業を行っているようであります。JOCも、都との振興事業などで被災地へのアスリート派遣事業などを行っているというふうに思います。今後は、JOC等と連携し事業を行うことも考えられます。今後の活動に期待しまして、次の質問に移ります。
 次は、霞ヶ丘の国立競技場についてお伺いいたします。
 前回、文教委員会において、我が会派、西沢委員の質問で、国立霞ヶ丘競技場については、文部科学省が二〇一九年ラグビーワールドカップや国際大会の招致が可能な規模での建てかえに向け調査費の概算要求を行ったことから、都は、二〇二〇年オリンピックでのメーンスタジアムとして活用することを検討していくとの答弁がありました。
 国が行うこの大規模な事業を実現していく上で、都としての取り組みも必要であると考えております。こうした中、現在の国立霞ヶ丘競技場の周辺地区内で建てかえを進めていくためには、都市計画法や公園法等による用途地域の高さ制限などの規制があると聞いております。
 これらの課題に、局としてどのような対応をしていくのか考えをお伺いいたします。

○佐野スポーツ施設担当部長施設計画担当部長兼務 国立霞ヶ丘競技場の建てかえに向けての検討は、国及び独立行政法人日本スポーツ振興センターが主体となって取り組むものと考えております。
 都といたしましては、国等と連携し、事業の推進に向け協力してまいりたいと考えております。
 理事ご指摘の法令規制などの課題があることは認識しております。当局といたしましては、規制等を所管する庁内関係部局、あるいは関係区と国等との協議が円滑に進むようサポートしてまいります。

○島田委員 担当の部局がこれを主にやっていくのはわかりますけれども、ぜひ、その関係部局と国などとの協議が円滑に進むよう、このスポーツ振興局の役割は非常に大きいと思っておりますので、その点よろしくお願いを申し上げる次第でございます。
 そしてまた、今後、この建てかえに向けた施設の計画が進む中でございますが、オリンピックのメーンスタジアムとしての活用を期待する都としては、国に対してどのような要望を求めていくのか、局としての考えをお伺いいたします。

○佐野スポーツ施設担当部長施設計画担当部長兼務 オリンピックのメーンスタジアムとして活用するためには、IOCのテクニカルマニュアルや、陸上、サッカーなどの国際競技団体等の規定により求められる条件など、大会開催に必要なさまざまな要件がございます。
 局といたしましては、国等に対し、これらの要件に合ったメーンスタジアムとして整備されることを求めていきたいと考えております。

○島田委員 今、ご答弁にありましたとおり、IOCのテクニカルマニュアル、陸上、サッカーなどの国際競技団体の規定、これらの要件を満たしていくことは、本当に重要であるというふうに思います。
 また、霞ヶ丘の競技場でありますけれども、国の競技場であるわけでありますけれども、東京都にある競技場でありまして、先ほどのヒアリングの際も、現場の使い勝手が余りよくないというような声もJOCのヒアリングのときにありました。
 そしてまた、三月十一日以来、東京都の防災計画の見直しが行われているというふうに思います。特に都心部における一時避難所不足は、喫緊の課題ともいえます。
 新しく国の施設を建てかえるならば、この競技場を都、あるいは区が防災上の拠点としてどう位置づけるか、そしてまた、どう活用していくのか、そんなことも必要があるならば地域の要望をまとめて、国に上申していくこともあるかもしれません。この点もあわせてご検討をお願いいたしまして、次の質問に移らさせていただきます。
 次は、東京マラソン財団の運営についてお伺いいたします。
 昨年、東京マラソン事業は、組織委員会から、東京マラソン財団設立とともに同財団に移管されております。この件について私は、昨年六月、文教委員会において質疑を行いました。その後、二月の予算委員会においても、山口拓議員からも関連の質疑がありました。本日は、今までの課題を整理しながら質疑を行いたいというふうに思います。
 まず、東京マラソン財団化への、その当時の局の方針として三つあったというふうに思います。一つ目が、多彩な事業展開を通じて、多くの要望や期待にこたえることが可能であるということ。二番目として、経営の自立化や効率化が促進され、都の財政負担が縮減されるということ。そして三番目として、都の指導監督が及ぶ監理団体となることで透明性を向上させるという三つの点が財団の設立の方針としてあったというふうに思います。
 この三つの観点から質問させていただきます。
 まず、多彩な事業展開でありますけれども、財団法人になり、新たな事業としてどんな事業を行っているのか、まず初めにお伺いいたします。

○安藤総務部長 東京マラソン財団では、財団設立後の新たな事業展開としまして、ことし二月に開催しました東京マラソン二〇一一におきまして、東京マラソンの価値を活用し、これまでなじみの薄かった寄附文化を我が国に根づかせる契機となるよう、我が国で初めて本格的なチャリティー制度を導入いたしました。
 この結果、総額で七千万円以上の寄附が寄せられ、日本障害者スポーツ協会などの団体や、東日本大震災の復興支援に寄附を行ったところでございます。
 また、東京マラソンの魅力をより高めるために、東日本大震災復興支援をテーマにしたファンランや、公認コースを予定した十キロメートルのランニングイベントを開催し、今月にはハーフマラソンの大会を開催する予定でございます。
 さらに財団では、ランニングスポーツの普及浸透を推進するため、東京マラソンの公認会員組織を創設し、現在、十八万人を超える登録者に対しましてランニングイベントの紹介やランニングの楽しみ方の情報を提供しているところでございます。

○島田委員 今お伺いしまして、多彩な事業展開をされていると私も思います。特にチャリティーについては、我が国初めての、本格的なマラソンに導入したということで、これは大いに評価できるところでありますし、これについては、一億円以上の寄附が寄せられているという成果も出ているというふうに思います。
 また、復興支援をテーマにしたファンランですか、こういうことも行われるということで、評価したいというふうに思います。先ほど答弁にもあったように、財団では、ことし三月に義援金一千万円をいち早く被災地に送ることを決め、先日、その一千万円を送ったということであります。
 チャリティーなど慈善事業に力を入れるのと同時に、今後も被災者の救援、あるいは被災地の復興支援の点にも配慮して事業を行ってほしいと考えております。
 次に、経営の自立化、効率化、財政負担の縮減についてお伺いをいたします。財団の組織について、都の職員の派遣状況、天下りはないのかをお伺いいたします。

○安藤総務部長 東京マラソン財団は、評議員会と理事会を設置し、理事会のもとに執行機関として事務局を設けております。
 評議員会は、出捐団体でございます東京都及び日本陸上競技連盟から、計八名により構成をしております。
 理事会は、国際マラソンロードレース協会会長でございました帖佐寛章理事長を初めとしまして、高橋尚子氏や金哲彦氏など三十九名の理事で構成しておりまして、このほかに二名の監事を設置しております。
 事務局の職員数は、非常勤職員を含め十三名でございまして、うち都派遣職員は四名でございます。都派遣職員につきましては、昨年度までは五名でございましたが、本年四月から四名に減らしたところでございます。
 なお、都からの関係者はすべて現職の職員でございまして、その中で、財団から給与の支給を受けている者は、事務局における四名の職員のみでございます。

○島田委員 都は、既にこの財団に八億円の基本金と、そして毎年一億円の交通規制告知費、そして、今まであったように都は組織委員会に五名の職員を派遣しておりまして、その分の人件費を負担しているわけであります。
 前回の答弁では、都は大会運営の一層の充実を図り、運営に携わる都の職員の数を今後見直していくという答弁がありました。今回は、都の職員を五名から四人に人数を削減したということは評価できると思います。
 財団の人件費の状況を見ると、常勤職員のところでございますが、平均給与は五百九十万円ということで、平均年齢四十八歳ということでございます。先ほど文教委員会で教育庁の所管する監理団体、埋蔵文化財団がありましたけれども、八百万以上だったと思います。その給与に比べると抑えられたということでございますが、今後も人件費の抑制について努めていただきたいというふうに思っております。
 次に、大会運営費の縮減はできたのか、この点についてお伺いいたします。

○安藤総務部長 財団では、二月の本大会に要する経費について、着実に運営費の縮減を図っております。
 一方、東京マラソンを世界最高水準のマラソンに発展させるため、チャリティーの導入や、新たなランニングイベントなどの実施によりまして、これまでにない経費が必要となっております。
 そのため、例えばチャリティー事業の運営に当たりまして、今年度からスポンサーを獲得するなど、民間資金の活用についても取り組んでいるところでございます。

○島田委員 財政の経費のところは、少し今まで以上にかかっているということは、ちょっと問題かなという点はありますが、経費縮減に努めてほしいというふうに思います。
 そして、特に今回は、民間資金の積極的活用を図りながら収入の方が少しふえているということで、その点は評価したいと思いますけれども、経費の縮減、そして収入をふやすというご努力をしていただきたいと思いますが、特に、この経費の削減についてでございます。
 私たちは前から、これ、電通さんに丸々一括発注していたわけでありますけれども、これを分割発注に切りかえたらどうかというご提案を今までさせていただいたというふうに思います。それらの提案を受けて、財団の発注については、一括発注から分割発注に切りかえたということであります。その状況について、そしてその効果についてお伺いいたします。

○安藤総務部長 従来、スポンサーの獲得と大会運営に要する業務、いわゆる収入面と支出面の両方につきまして、一括して広告代理店に契約しておりました。
 今年度からは、収入面と支出面を分離いたしまして、さらに、支出面であります大会運営業務を広報関係と二月における本大会の運営業務、さらにEXPO関係などに分割しまして、広く公募し、プロポーザル方式により競争性を確保したところでございます。
 この結果、支出案件につきましては、財団が直接各事業と契約することによりまして中間経費を縮減しております。さらに、収入面でありますスポンサーの獲得につきましても、これまでは一社だけであったものを、複数の代理店を指定することによりまして、多くのスポンサーが獲得できるようにするなど、財団の効率的な経営に努めているところでございます。

○島田委員 東京マラソンは、国内で初めての大規模なスポーツイベントであり、立ち上げの時期には十分なノウハウを有する企業に任せる必要があったと思いますが、回を重ねるにつれ、そのノウハウが主催者にも蓄積されているというふうに思います。そういう中、契約のあり方の考え方を変えて、一括発注から今回分割発注に切りかえたということは評価できると思います。
 経費の削減が、お話を伺いますと厳しいと、いろんなところを見直しても厳しいという中で、中間経費の部分を削減できたということは大きいというふうに思いますし、また、複数の代理店を指定したことによって多くの協賛金を獲得できることにつながっていると、収入面がそれでふえているということでございます。非常に評価できるなというふうに思っております。
 この点でいえばですけれども、オリンピック招致、今あるわけでありますが、代表質問であったように、今回招致経費を半分に縮減するということでございます。招致経費についても、このマラソン財団の分割発注の方式をぜひ参考にして、都議会民主党が今まで電通への一括発注について疑問を呈しておりましたけれども、ぜひこのような形で分割発注に切りかえて、努力、経費の節減、あるいはスポンサーの獲得、このようなことにぜひ引き続きよろしくお願いしたいというふうに思っております。
 そしてまた、次は透明性の向上についてお伺いいたします。
 この東京マラソン財団では、都の監理団体として情報公開制度を導入し、理事会をメディアに対して公開するなど、財団運営の透明性の確保に努めておると聞いております。
 契約に関する情報公開に関しては、前回の委員会で、都の監理団体、指導基準を上回る取り組みを行っていくということは確認されたというふうに思いますが、その基準を上回る取り組みについてお伺いいたします。

○安藤総務部長 東京マラソン財団では、二〇一一大会の運営経費につきまして、指導基準によりまして、一億円以上の契約に関する契約件名と契約の相手方を公表したところでございます。
 一方、財団は、他の団体とは異なりまして、公の道路を使い多くの都民の理解と協力をいただき実施する大規模イベントを開催していることから、より一層の情報公開の取り組みが必要と考えております。
 このため、二十三年の決算時には、指導基準を上回る公開に向けて、財団と調整を進めてまいります。

○島田委員 基準を上回る公開に向けて、財団と調整を進めるということでございまして、今までのいろんな、過去の組織委員会からの引き継いだ部分とかもあって、なかなかすぐにはいかないと思いますが、ぜひこの取り組みを進めていただきたい、今そういう、前向きに進めるという話を伺えたと認識しております。
 ぜひよろしくお願い申し上げたいと思いますが、この点につきましては、基準を上回る公開ということでございます。一億円があるわけでございますけれども、どのあたりまで基準を上回る取り組みを行うのか、もう一度お伺いしたいと思います。

○安藤総務部長 これから財団との調整になってまいります。団体の業務の性格の特性、あるいは都における各団体の取り組み状況、こういったことも踏まえまして、具体的な数値をこれから検討してまいりたいと考えているところでございます。

○島田委員 今後の取り組みを期待しておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。
 最後に意見でございますが、三・一一以来、危機管理が非常に注目されております。万が一、地震や津波などの自然災害でマラソンが行えなくなった場合、この保険は免責となるわけであります。この場合は、都が出資した八億円の基本金が取り崩される可能性もございます。
 今、財団の状況、財務状況を見ますと、留保資金が非常に乏しいのが現状だというふうに思います。
 今後とも経費の縮減による留保資金をふやしてほしい、何かのために備えていただきたい、そのためには経費節減、よろしくお願いいたします。
 大会中に大きな災害が発生した際の危機管理は、規模によりますが、一義的にはコース沿道に所在する日比谷公園を初め広域避難所にランナーを誘導することになると聞いております。
 その後は、自治体の指示に従い対処するということでございますが、危機管理マニュアルの整備などをして、万が一の際に対応できるよう、危機管理対策の充実もあわせてお願いを申し上げまして、質問を終わります。

○野田委員 それでは、私からは、オリンピック招致と国体について何点か伺います。
 先日、十月十八日に都議会において、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の東京招致を決議したところであります。国家間の熾烈な戦いであるオリンピック・パラリンピック招致をかち取るためには、今後、都市だけではなく、国やスポーツ界、経済界などが一丸となった国家を挙げての総力戦を展開する必要があります。
 九月十五日に発足した招致委員会において、各界を挙げた招致活動を行うとしていますが、今後具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。

○松永招致推進部長 委員ご指摘のとおり、オリンピック・パラリンピック競技大会の招致は、国家の総力を挙げて取り組むことが重要であります。招致委員会は、JOCを初めとするスポーツ界を中心に、国、経済界などの参画も得て、オールジャパンの招致体制をつくってまいります。
 具体的には、招致委員会の中に評議会を設け経済界やスポーツ界を代表する方々、また、国の関係者などに参画いただき、理事会に対して助言や意見等をもらうことで招致活動に対する支援をいただくこととしております。現在、これらの方々に参画を依頼しており、今月末に第一回の評議会を開催する予定でございます。
 その後も、幅広い分野の代表者に評議会のメンバーとして参画を依頼し、順次、評議会の体制を拡充してまいります。

○野田委員 国を挙げての招致体制をしっかりと築き、平成二十五年九月七日のアルゼンチン・ブエノスアイレスで開催都市決定をぜひかち取っていただきたいと思います。
 そして、同じ月の九月二十八日からは、スポーツ祭東京二〇一三が開催されます。スポーツ祭東京二〇一三は、第六十八回国民体育大会と第十三回全国障害者スポーツ大会を一つの祭典として開催する初の取り組みであり、大いに評価をしております。
 このスポーツ祭東京二〇一三は、国民体育大会の正式競技三十七、公開競技三、デモンストレーションとしてのスポーツ行事五十、全国障害者スポーツ大会の実施競技十三など、都内六十二すべての市区町村において何らかの競技種目を実施いたします。
 先月行われました、おいでませ山口国体では、十九の市町で大会が開催されましたが、東京では六十二もの市区町村で大会が行われるということで、まさに、これまでにない規模の開催となります。
 これだけ多くの自治体がかかわる大会を成功させるためには、都が主体的に、会場となる市区町村との調整を進めていくことが重要であると考えます。市区町村とどのように連携して準備を進めていくのか伺います。

○川合スポーツ祭東京推進部長 スポーツ祭東京二〇一三の開催準備を進めていく上で、市区町村との連携は重要と認識しております。大会開催に当たりましては、都が開会式、閉会式の準備、市区町村が各競技会の準備を競技団体とともに担当いたします。
 都は、市区町村が各競技会の開催準備を円滑に進められるよう、競技会運営の基本方針を示すとともに、定期的な連絡会議の開催や、職員が市区町村に出向いていって意見交換を行うなど、市区町村との連絡調整に努めております。
 今後とも市区町村と十分連携し、開催準備に取り組んでまいります。

○野田委員 競技会を円滑に運営するためには、選手、監督、役員等の大会参加者の宿泊や、観客を含めた輸送に加え、医療救護、衛生対策、警備、消防対策など、大会を支えるさまざまな取り組みが必要であります。
 こうした取り組みを進めるに当たっては、例えば医療救護活動には医療関係者の協力が欠かせないと考えます。我が党には、東京都医師会や東京都柔道接骨師会など医療関係者を初めさまざまな団体から、地元市区町村が行う競技会の運営に協力したいとの声が数多く寄せられております。
 こうした団体の力もかりて大会準備に当たるべきと思いますが、考え方を伺います。

○川合スポーツ祭東京推進部長 競技会の開催準備を進める上では、競技団体だけではなく、医療関係などの各種団体の協力をいただくことが大切でございます。都は、各競技会の運営を担う市区町村の準備状況の把握に努めるとともに、こうした団体からの申し出があった場合には、市区町村に対して適切に情報提供を行ってまいります。
 今後とも関連する団体の力もかりて大会の準備に万全を期してまいります。

○野田委員 ただいまご答弁をいただいたように、市区町村との連携はもとより、さまざまな団体の力をかりて大会をぜひ成功させていただきたいと思います。
 ところで、大会の開催まで残すところ二年を切り、来年度からは国民体育大会の競技別リハーサル大会が始まるなど、いよいよ開催に向けた準備も本格化します。最後に、大会の成功に向けて、スポーツ祭東京二〇一三を担当する理事の決意を伺い、質問を終了します。

○産形理事 スポーツ祭東京二〇一三は、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会を一つの祭典として開催し、障害のある人もない人もともにスポーツに親しむことのできる社会を目指す取り組みとして開催するものでございます。
 また、この大会は、単なる競技会の開催にとどまらず、多摩・島しょの豊かな自然や、歴史、文化、観光資源など、東京の魅力を全国に発信する絶好の機会となります。
 都庁内の連携はもとより、都内六十二すべての市区町村、そして競技団体を初めとするさまざまな関係団体と十分に連携を図るとともに、大会運営ボランティアなどの都民参画を進め、都民、国民にスポーツの夢と感動を伝える大会とすべく、スポーツ祭東京二〇一三の成功に向け全力を挙げてまいります。

○野上(純)委員 障害者スポーツ振興事業について質問をさせていただきます。
 第十一回の全国障害者スポーツ大会、おいでませ山口で開催されたんですけれども、参加をさせていただきました。その中で、警備に当たっているボランティアの方々とか、看護師などの医療関係者の方々、それから、それぞれの障害に応じて手話通訳とか、要約筆記者とか、実に多くのボランティアスタッフの方々の数に驚いた次第でございます。
 障害のある人は、心身のさまざまな制約から外に出る機会が少なく、家に閉じこもりがちになっている場合が多いです。特に、中途で障害に遭った人は、自分の障害を受け入れて前向きに生きるまでにかなり時間がかかると思っております。大変な努力の結果だと思います。
 また、糖尿病から失明をした方とか、聴覚機能を失った方々とか、特にコミュニケーション手段をとるのが難しい方々もいらっしゃいますけれども、そうした方々が、障害のある人がスポーツを行うことによりまして、外出する機会がふえてスポーツ仲間など、他者との交流も生まれてきます。
 障害者の方々がスポーツ活動を行うことは、社会参加や自立の促進にもつながり、障害者スポーツの振興は大きな意義があると感じております。
 私は、ことしの第一回定例会の文教委員会におきまして、今後の障害者スポーツ振興の中長期計画について質問をいたしました。障害者スポーツを普及し、根づかせるには、体系的、そして継続的に進めていく必要があります。その指針となる計画の策定は極めて重要であります。
 さきの答弁では、スポーツ振興審議会のもとに障害者スポーツ専門部会を設置し、策定作業を進めるとのことでございました。そこで、現在の計画策定の進捗状況についてお伺いいたします。

○板垣スポーツ事業部長 障害者スポーツ振興に係る計画の策定につきましては、本年四月に障害者スポーツの専門家や地域スポーツ関係者、行政関係者などを委員とした障害者スポーツ専門部会を設置いたしまして、計画策定に向けた検討を行っているところでございます。
 これまで専門部会を二回開催し、都における障害者スポーツの現状や障害者スポーツ振興の方向性等について、委員から意見聴取を行ってまいりました。
 委員からは、障害のある人もない人もスポーツを始めるきっかけづくりが必要、また、障害者スポーツ振興の初期の段階では、障害者スポーツや障害についての理解が非常に重要などの意見をいただいております。
 今後、専門部会及び審議会におきまして、現在実施中の実態調査等の結果も踏まえながら審議、検討を重ね、今年度中の計画策定、公表を目指してまいります。

○野上(純)委員 今年度中の策定を目指して検討を重ねているということでございます。今年度から計画策定とあわせて、新たな障害者スポーツ振興事業を開始しております。
 これに関連して、障害のある人がスポーツに親しんでもらうための方策も検討しているということで、障害者が身近な地域でスポーツを楽しむことができるようにするために、区市町村や地域スポーツクラブなどと連携をして、障害者が区市町村の身近な施設を利用したり、地域スポーツクラブに障害者も参加するなどによって、障害者がスポーツに取り組める場を広げていくことが必要であると感じております。
 私が以前委員会で質問した際には、新たに設置する障害者スポーツ開拓推進員の方が区市町村などを訪問し、地域における障害者スポーツの場の開拓を進めるということでございました。私の地元の葛飾区でも、知的障害者の水泳教室の参加者枠を身体障害者にも拡大する取り組みが実現したと聞いております。
 このような取り組みを含め、現在、事業の進捗状況についてお伺いいたします。

○板垣スポーツ事業部長 ご指摘の取り組みは、障害者スポーツコーディネート事業として実施しているものでございます。この事業は、東京都障害者スポーツ協会に設置されました障害者スポーツ開拓推進員が、区市町村のスポーツ主管部署や、地域スポーツクラブなどを個々に訪問いたしまして、それぞれの地域ニーズを把握しながら、それにふさわしいスポーツ教室等を企画、提案し、実施までのサポートを行うものでございます。
 実施に際しましては、障害者スポーツ指導員の派遣のコーディネートも行いまして、継続的な取り組みとなるよう支援しております。
 これまでに、開拓推進員が二十七の区市町、地域スポーツクラブを訪問いたしまして、このうち、ご指摘の葛飾区の事例を含めまして、十九団体において三十二の事業の実施に結びついております。

○野上(純)委員 障害者スポーツの場がそれぞれの地域で広がっていくよう、開拓推進員には今後もぜひ頑張っていただきたいと思っております。
 このような取り組みを都内全域に広めていくことが非常に大事だと思います。取り組みの成果として、こうしたらうまくいったとか、成功例とか、失敗例もかなり参考になるのではないかと思いますので、開拓推進員が訪問できなかった区市町村などもありますので、少しでも多くの地域で推進するためにコーディネート事業の成果を広く共有すべきと考えますけれども、都は、このコーディネート事業の成果、普及の方策について、考えていることについてお伺いいたします。

○板垣スポーツ事業部長 開拓推進員が区市町村等を訪問し、事業の企画、実施に結びつけることができた事例の中から、他の地域でも活用可能と思われるものを障害者スポーツ事例集として今年度中に取りまとめ、区市町村や地域スポーツクラブ等に説明、配布してまいります。
 地域で障害者スポーツ事業を企画、実施する際の参考情報や留意点を共有することによりまして、地域における障害者スポーツ教室等の開催を促進してまいりたいと考えております。

○野上(純)委員 今後も各区市町村や地域スポーツクラブで障害者スポーツの取り組みが進むようにコーディネート事業の拡充なども検討していってもらいたいと思っております。
 そして、こうした振興事業について、現在策定中の計画にきちんと位置づけるなどして、障害者スポーツ振興を着実に進めていっていただきたいと思っております。
 山口で感じたことは、障害者スポーツ大会で、国体の方にかかわった方が今度は障害者スポーツの方で応援をしているという実態がございました。この障害者スポーツ大会が成功するか否かは、一つのスポーツを実行する人たちのすそ野を広げていくことだと思っておりますので、ぜひこうした推進事業を着実に進めていっていただきたいことを要望して終わります。

○畔上委員 資料の作成、ありがとうございました。私からは、スポーツ基本法とスポーツ施策の具体化について伺いたいと思います。
 ことしの通常国会で成立しましたスポーツ基本法は、六月二十四日に公布されて、八月二十四日から施行となりました。同法は、これまでのスポーツ振興法を全面的に改正したものとなりました。
 基本法の主要な性格は、スポーツ振興のかなめとなる国と自治体の責務と施策の基本を規定するものとなりました。重要なことは、国と自治体がその責務を自覚して基本法に基づいたスポーツの振興策を進めていくことだと考えております。
 そこで、まず伺いますが、法制定に基づいて、これまでの都のスポーツ振興計画は見直しが行われるんでしょうか。

○板垣スポーツ事業部長 都は、平成二十年度に策定をいたしました東京都スポーツ振興基本計画に基づきまして、だれもが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しむことができる社会を基本理念として、これまでも積極的にスポーツの振興に取り組んでまいりました。
 また、昨年度には、国に先駆けて、スポーツの専管組織であるスポーツ振興局を設置いたしまして、障害者スポーツを含めたスポーツ振興施策を一体として推進しております。
 このため、都は、スポーツ基本法施行の前から既にスポーツ振興基本計画の障害者スポーツ編となる中長期計画の策定作業を全国初の取り組みとして進めているところでございます。
 なお、今後、国におきましてスポーツ基本法に基づいてスポーツ基本計画が策定されれば、これに応じて、必要があれば措置を講じてまいります。

○畔上委員 今のご説明は、国に先駆けてやっていますよというご説明だったと思います。スポーツ基本法では、第一に、スポーツ推進のための基礎的条件整備、第二に、多様なスポーツ機会の確保のための環境整備、そして第三に、競技水準の向上を図る、この計画を義務づけております。この立場からの検証は、私はやっぱり今する必要があるというふうに思っております。
 その検証の基本ですが、やはり都民の各層のスポーツ要求が基本だと思いますが、都民の各階層のスポーツ要求を把握する上で、都としてどのような取り組みをされているのか伺います。

○板垣スポーツ事業部長 都は、平成十九年に実施いたしました都民の体力及び地域でのスポーツ活動に関する意識調査や、平成二十一年に実施いたしましたスポーツ・運動に関する世論調査などを通じて、都民のスポーツ活動に関する意識や活動実態を把握してございます。
 今後とも都民のスポーツ活動に関する意識等の把握に努めてまいります。

○畔上委員 各種スポーツ団体はもちろんなんですが、スポーツに参加したくてもなかなか取り組めないという都民の声にもぜひ耳を傾けていただきたいなと思います。
 先ほど野上委員からもお話がありましたけれども、中長期計画策定中ということで、実態調査も行っているというお話でしたが、障害別の要求もいろいろさまざまですし、また、丁寧な要求の把握にぜひ努めていただきたいなというふうに思います。
 例えば、ある自閉症のお子さんを持つお母さんから聞いたんですが、体を鍛えてあげたいと思って、一緒に近所のプールに行くんですけれども、外から見れば障害が全くわからない、見えないということで、もう体も大きな息子に母親が寄り添っていると変に思われないかと他人の目が大変気になって気を使うことが多くなっているということで、結局、遠い障害者スポーツセンターまでその方は行っていらっしゃるというお話がありました。
 ほかのお母さんたちも、奇声を上げてしまったりすることによって、肩身の狭い思いをしたとか、いろいろそういう声も伺っています。そういう点では、ぜひそういった方たちのスポーツ要求の声もしっかり聞いていただきたいと思いますし、また、視覚障害者の方たちからは、目が見えないので、どうしても運動不足になってしまうと。
 プールに行きたいと思うんですけれども、視覚障害者の場合は、更衣室も介助者が必要になってくるし、プールの中でも、体に触れてもらわないと、そういう指導でなければいけないので、男性の場合は男性の指導員じゃなくちゃいけないし、女性は女性の指導員が必要になるということで、指導員も視覚障害者の場合は大変不足しているということで、一般のプールには、なかなか気軽に行けるような仕組みになっていないというお話がありました。
 とりわけ、そういう点では、スポーツをする上で困難の多い方たちの意見、こういった方たちの意見もしっかり聞いて、ハード、ソフト両面での施策の拡充を具体化していただきたいと思います。
 このたびスポーツ基本法では、基本理念に、スポーツは国民の権利としたことは大変重要だというふうに思っています。スポーツは国民の権利との根拠を改めて問うならば、日本国憲法の生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利の十三条から、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利の二十五条にあるというふうに思いますけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。

○板垣スポーツ事業部長 スポーツ基本法前文の、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことはすべての人々の権利であるという既定の憲法上の解釈につきましては、国からの指針や凡例なども示されていないところでございます。
 いずれにせよ、都としては、スポーツ振興基本計画に基づきまして、都民のだれもが生涯にわたってスポーツに親しみ、健康的な生活を送ることができるスポーツ都市の実現を目指しておりまして、これはスポーツ基本法の趣旨に合致しているものと考えております。
 今後とも積極的にスポーツの振興に取り組んでまいります。

○畔上委員 そういう点では、スポーツの享受は、今もお話がありましたけれども、青少年はもとより、女性も高齢者も障害者も、そして競技に打ち込んでいらっしゃる選手も、幸福で豊かな生活を営むために、国民の基本的な権利として保障されるという新しい時代を切り開いていくことになると思うんです。
 とはいっても、それを現実のものにしていくには、簡単なことではなかなかないと思います。都民のスポーツ参加率を見ましても、ヨーロッパなどの先進諸国が六〇%前後に比べて、平成十九年度の都の調査でも都民の三九・二%、全国平均よりは上なんですけれども、三九%にとどまっております。
 都のスポーツ振興計画では、二十八年度には六〇%目標というふうになっていますが、どのような基礎的な条件整備を図って目標を達成しようとしているのか、その点、伺います。

○板垣スポーツ事業部長 都は、地域スポーツクラブの設立、育成支援を初めといたしまして、身近でスポーツを始められる場の確保や四万人を超える都民が参加するスポーツ博覧会東京などの参加型スポーツイベントの企画、ウエブサイト、スポーツTOKYOインフォメーションを活用したスポーツ情報の発信など、スポーツを始めたくなるきっかけづくりを推進しております。
 また、平成二十五年度に開催されますスポーツ祭東京二〇一三では、都民が気軽に参加できるデモンストレーションとしてのスポーツ行事を五十種目実施する予定でございまして、スポーツを始める大きなきっかけとなると考えております。
 これらの取り組みを通じまして、今後とも、都民のだれもがスポーツに親しめるスポーツ都市東京の実現を目指してまいります。

○畔上委員 きっかけづくりということで、それは大事なことだと思うんですが、継続もやはり大事なんだと思います。
 そういう点では、指導員の育成、増員や身近なスポーツ施設の拡充は必要不可欠な課題だと思います。指導員などの施設の配置計画、それから身近なスポーツ施設整備計画をもって、ぜひ施策の拡充、具体化をお願いしたいなというふうに思います。
 そして、より根本的には、やっぱり長時間、不規則労働や不安定な雇用、低賃金などによって、スポーツができる自由時間が極めて制限されていることや、生活費からスポーツに必要な費用を切り詰めなければならないといった都民の厳しい生活実態の改善がなされていかなければならないのかなと思っております。
 スポーツ基本法では、第二条で、スポーツの自主的かつ自律的活動を堅持し、不当に差別的扱いをせず、あらゆる活動を公正かつ適切に実施すると明示したことは、法の精神として大変重要なことだと思いますが、条文だけ見ると当たり前のことのように思えるんですが、現実は、使用料金の関係で小規模なクラブや高齢者、障害者はクラブがなかなか使いづらくなっているという声なども伺っています。
 スポーツ活動やクラブの扱いに差別を持ち込まないという点では、国会でも法案審議の中で議論になったと伺っています。そして、二十一条では、スポーツクラブを特定しないで支援するよう位置づけがされたわけですね。
 現在、都の立場は、総合型地域スポーツクラブの育成が中心となっているわけですが、スポーツ基本法にのっとって、都内にある四万三千を超える自主的なスポーツクラブの育成プランもつくって、自主的なスポーツも育成する立場を私はとるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○板垣スポーツ事業部長 ご指摘の約四万三千のスポーツクラブの育成についてでございますが、このうち半数以上は各地区の体育協会やレクリエーション協会加盟の団体でございまして、登録人数で見ますと全体の九割を超えております。これらのクラブに対しましては、東京都体育協会等を通じまして、ジュニア育成などの支援を行っております。
 また、残りの団体のうち、地域住民みずからが主体となって運営に当たる地域スポーツクラブについては、設立、育成を支援してございます。
 このほか、東京体育館など都立体育施設におきまして、小規模な団体でも参加できる指導者向けの研修、講習会等を提供してございます。
 今後とも区市町村の協力も得ながら、スポーツ団体の育成に取り組んでまいります。

○畔上委員 地域スポーツクラブも大切なんですが、今、体育協とレク協に加盟している方は九割ということなんですが、これは人数だと思うんですが、加盟していないクラブも一万七千以上あるわけですね。総合型地域以外の自主的な単一のスポーツクラブ、こういうクラブに入っている方が非常に圧倒的なわけです。
 そういう点では、やっぱりスポーツ基本法の精神で、都として自主的なスポーツクラブの育成プランをしっかり持っていただきたいと、これは要望しておきたいと思います。
 都民の生活基盤の中にスポーツをしっかりと根づかせていくためには、都のいう、だれでも享受できるスポーツ体制の整備、ハードもソフト面も必要なわけです。
 そのための都立スポーツ施設の役割は大きいわけですが、東京体育館も、駒沢オリンピック競技場も、東京武道館、辰巳国際水泳場も、先ほどいただいた資料にもありますように、五年前に比べて国際大会や全国大会開催がふえていて、都民の自主的なスポーツ大会が開催しにくくなっているのが実態ではないでしょうか。そのことに対する認識はいかがでしょうか。

○佐野スポーツ施設担当部長施設計画担当部長兼務 都立スポーツ施設は、都民の自主的なスポーツ活動の場であるとともに、国際大会や全国大会、全都的な大会を開催する場でもあります。
 国際大会や全国大会は、都民がスポーツ活動の成果を発表したり、一流選手のわざや技術を間近に見ることにより、さまざまな形でスポーツに親しむことができる機会となっております。
 都立スポーツ施設における国際大会、全国大会の開催回数は、平成十八年度の九十四件に対しまして二十二年度は百十六件と増加しておりますが、大会などで施設を利用した利用者の数も、平成十八年度の約二百八十八万人から二十二年度は約二百九十二万人と、震災の影響はあったものの四万人ほど増加しております。
 こうしたことから、より多くの都民がスポーツに参加したり観戦するなど、スポーツに親しむことができたものと考えております。

○畔上委員 利用者はふえているというお話でしたが、私も観戦するスポーツそのものは別に否定しているつもりもないし、大変いいことだと思うんです。しかし、施設の総量が少ない中で、結果的には都民のスポーツ大会が追いやられてしまっているわけですね。これで本当に都民のスポーツ権を保障できるのかなというふうに思うわけです。
 自主的なスポーツクラブも、体育館の利用など抽せんがありますけれども、たくさんの応募があって、やっぱり外れることが多々あって、スポーツ大会などの行事を組むことに非常に困難を来しているというふうに伺っています。
 区市町村立の施設については、区民や区の大会、それから区内の団体優先のところが多いわけです。都大会など広域的な大会は、やはり都立施設で対応できるようにすることが基本なんじゃないかというふうに思うんです。
 国際大会や大規模な全国大会を東京に持ってくることはよいわけですが、せっかく都民のスポーツ参加や意欲をそぐ結果にならないように、基本的に不足しているスポーツ施設の拡充を求めたいと思います。
 学校施設や校庭も大切なスポーツのための施設なわけです。小学校、中学校、また都立学校では、地域への開放や、子どもたちへのスポーツクラブの育成などに大いに力を発揮しているわけですけれども、現実を見ますと、区立の小中学校で、土日や夜間も警備員さんや用務員さんが配置されているところは割合と気軽に貸してくれるんですが、機械警備になっていると、どうしてもかぎのあけ閉めができないということで、安全管理の問題でなかなかかけ声だけでは進まない事情があるというふうに伺っています。
 もちろん学校というのは、学校そのものの役割があるということもあるわけですけれども、やはり私は、都として、局として、とりわけ都立学校の開放をどう積極的に行っていくのか、教育庁ともぜひ連携して推進をしていただきたいと思います。そのことを求めまして、私の質問を終わります。

○山内委員 私の方からは三点質問いたします。
 まず、障害者スポーツの振興について伺います。
 都は、スポーツを始めたくなる、もっと親しめる東京の実現と生涯を通じたスポーツの振興を目指し、働く世代、高齢者、そして障害者のスポーツの振興を進めるための施策を実施しています。
 特に障害者が身近なところで気軽にスポーツに参加することは、当たり前の楽しみであり、リハビリや健康増進にもつながります。しかし、障害者が日常的にスポーツをする場は少ないのが現状です。
 そこで、障害者が日常生活の中で気軽にスポーツを楽しめるようにするため、まず、障害のある人のスポーツの場を確保することが必要ですが、都の取り組みをお伺いいたします。

○板垣スポーツ事業部長 障害のある人のスポーツの場としては、北区十条にございます東京都障害者総合スポーツセンター及び国立市にございます東京都多摩障害者スポーツセンターの二施設のほか、東京体育館や東京辰巳国際水泳場などの都立体育施設におきましても、障害者を対象としたスポーツ教室の開催などによりまして、障害のある人のスポーツの場の確保に努めてございます。
 あわせて、障害者スポーツ施設はもとより、都立体育施設においても障害者の個人利用に際して利用料金を免除しており、障害のある人のスポーツ活動を支援してございます。

○山内委員 今、ご答弁いただきましたが、都立の障害者スポーツセンターは、北区と国立市の二施設ですね。障害のある人が身近な地域でスポーツを楽しむためには、区市町村などの取り組みを都との連携で促していくことも大切です。
 車いすを利用する人は、地域のスポーツ施設や学校の体育館を利用しようとしますと、体育館のフロアが傷むなどの理由で、いまだに断られたり、土足厳禁の体育館に入ることに、ご自身に遠慮があったりするとも聞いております。また、福祉施設を借りようにも、本来スポーツ施設ではないので、スポーツには不適切であったりするようです。
 そこで、障害者スポーツの取り組みを進めるためには、地域においても受け入れを促進していく対策が必要であると考えますが、都はどのような対応をしているのかお伺いいたします。

○板垣スポーツ事業部長 ご指摘のように、身近な地域で障害者スポーツの取り組みを広げていくためには、都立施設と同様、区市町村の施設におきましてもさまざまな配慮が必要であり、その取り組みを推進していく地域のキーパーソンの存在が重要であると考えております。
 このため都では、区市町村の行政職員やスポーツ推進委員、地域スポーツクラブ関係者等を対象といたしまして、障害者スポーツへの理解を深め、地域での取り組みを促すためのセミナーを開催しております。
 具体的には、障害のあるアスリートや、障害者スポーツの現場で長年指導に携わっている有識者等を講師といたしまして、障害のある人にとってのスポーツの意義や障害者スポーツの紹介など、地域での取り組みを促す契機となるような内容としてございます。
 今後は、講義型のセミナーを修了した者が、よりステップアップができるよう、障害者スポーツ用具を使った実技指導や障害別の対応方法など、より実践的な内容も加えていく予定でございます。
 各地域で、こうした方々が育ってくることが、地に足のついた障害者スポーツの環境づくりとなると考えておりまして、今後もこうした取り組みを通じて、地域における場の確保に努めてまいります。

○山内委員 ご答弁ありがとうございます。障害児、障害者の中には、スポーツはしたいけれども、近くにスポーツをする場が少ない、民間施設でスポーツをしようとすると、介助者が必要で費用がかかるなどの理由でスポーツをあきらめている人たちがたくさんいらっしゃいます。
 障害のある人が一人でも多く、身近な地域で気軽にスポーツに親しむことができるよう、障害者スポーツの場の設備、障害者スポーツを支える人材の育成、確保、障害者スポーツの情報発信など、環境づくりを進めていくことが重要です。
 特に場の確保は大きな課題ですが、小中学校の開放などさまざまな取り組みをすることはもちろんですが、その中でもスロープやトイレなどの設備の点で課題も多いと聞いております。地域や自治体だけに頼るのではなく、一向に進まないこともありますので、都の支援が必要です。
 また、都立公園の中にあるスポーツ施設や都立学校など、東京都の施設は所管がそれぞれ違うようなのですが、障害者が利用できるように、都は関係局と連携していくように要望いたします。次の質問に移ります。
 都立スポーツ施設のサービス向上についてお伺いをいたします。
 都立のスポーツ施設は、指定管理者制度の導入によって、利用者へのサービス提供については指定管理者が主体となって行っていますが、どのように利用者のニーズを把握し施設の運営に反映させているのかお伺いいたします。

○佐野スポーツ施設担当部長施設計画担当部長兼務 施設運営におきまして、利用者のニーズを把握することは重要でございます。
 指定管理者は、利用者ニーズを把握するために、利用者懇談会や利用者アンケート調査を実施するとともに、館内に投書箱を設置いたしまして、常に利用者の声を聞くよう努めております。
 都は、これらの方法で集約した利用者の声を指定管理者連絡会などで指定管理者より報告を受け、対応策を検討しております。こうした利用者の声にこたえ、施設内の案内表示を工夫したり、談話スペースを設けるなど、さまざまな改善を行ってきております。
 今後も利用者ニーズの把握に努め、よりよい施設の運営に努めてまいります。

○山内委員 障害者にとっても、都立スポーツ施設が使いやすい施設にするべきと考えますが、都の考えをお伺いします。

○佐野スポーツ施設担当部長施設計画担当部長兼務 改修時期を迎えた東京体育館や東京武道館などの都立スポーツ施設では、改修工事に先立ち、競技団体や社会福祉協議会などの利用団体にアンケート調査を行い、利用者ニーズの把握を行っております。
 改修工事では、老朽化した設備や機器の更新を行うほか、ユニバーサルデザインを導入し、障害者も含めた、だれもが使いやすい施設となるよう考えております。
 具体的には、トイレの改修やスロープの設置、車いす用の観客スペースの拡大などを行う予定でございます。

○山内委員 ぜひ当事者である障害者の方々のご意見も聞き取っていただきたいと思います。
 東京都では、障害者スポーツ振興基本計画の策定に向けて、ことし四月から障害者スポーツ専門部会を開催し、日常のスポーツ参加率を含めた、障害のある人の運動、スポーツに関する実態の把握についてなどの調査を行うと聞いております。また、区市町村のアンケートも既に実施したとのことです。
 それらの調査から得られた情報をぜひ活用し、障害者が日常的にスポーツを行うことができる環境を整えていっていただきたいと要望いたします。
 最後に、東京マラソンについてお伺いいたします。
 東京マラソンの前身の一つである東京シティロードレースは、十キロメートルの距離を一般と障害者が走り、制限時間も初心者が参加しやすい市民マラソンでした。
 東京マラソンは、ランニングスポーツの普及振興を通じて、都民の健康増進と豊かな都民生活の形成に寄与することを目的にしているとのことですが、東京マラソン二〇一二において、障害者の枠が設定されております十キロメートルのレースが見直しされたようですが、その経緯についてお伺いいたします。

○安藤総務部長 東京マラソンは、七時間の制限時間など、初心者にとりまして走りやすい世界有数のマラソン大会でございます。
 一方、マラソンそのものは、長距離を長時間走り続ける身体的に負担が大きい競技でございまして、日ごろからトレーニングを積み、体調に留意しながら参加することが必要でございます。
 そこで、東京マラソン財団では、ことしからランニングイベントを都内各所で開催し、ランナーのレベルアップを図る機会を提供することといたしました。
 これにあわせまして、四月の財団の理事会におきまして、より多くのランナーがフルマラソンに参加できるよう、十キロの定員を見直しし、フルマラソンの定員をふやす検討を進めることを提案したところでございます。
 その後、六月の理事会におきまして、さまざまな人がともに走れることが東京マラソンの大きな魅力の一つであることから、フルマラソンへの参加が難しい障害者と、年齢制限によりフルマラソンに参加することのできない十六歳から十八歳の方々のために、十キロメートルの競技を引き続き実施することを決定しました。

○山内委員 十キロメートルレースの見直しで、障害者枠は引き続き実施されるようですが、障害者以外は十六歳から十八歳に限られ、フルマラソンは無理でも走りたいと思う方々が参加できなくなったということだと思うんです。市民マラソンというもともとの趣旨が若干薄れてしまうようで残念に思っております。
 二〇一一年の大会からチャリティー制度が始まりました。そこで、チャリティーを導入した趣旨と仕組みについてお伺いいたします。

○安藤総務部長 東京マラソンは、日本を代表する一大イベントに成長しました。このような東京マラソンの価値を活用し、寄附金を受け付け、社会に直接貢献するという新たな一面を大会に加えまして、これまでなじみの薄かった寄附文化を我が国に根づかせる契機となるよう、二〇一一大会からチャリティー制度を導入したものでございます。
 チャリティーの仕組みにつきましては、つなぐという言葉をキーワードに、家族、未来、命、夢というテーマを設定しまして、寄附者の方には、そのテーマを選択していただき、十万円以上の寄附をされた方のうち希望者の方にチャリティーランナーとして東京マラソンに参加することを可能にしたものでございます。
 なお、来年の二〇一二大会では、現在、既に一億円以上の寄附が寄せられているところでございます。

○山内委員 協力団体の選定をどのようにしているのかお伺いいたします。

○安藤総務部長 東京マラソン財団では、協力団体の選定に当たりまして、外部有識者で構成いたしますチャリティー委員会を組織して設置しております。
 協力団体は、公益性の高い財団法人、もしくは認定NPO法人の中から、東京マラソン財団によるチャリティーの趣旨を理解していただける団体を、チャリティー委員会の意見を踏まえまして決定しているところでございます。

○山内委員 寄附した人はチャリティーランナーとして東京マラソンに参加することができ、募集人数は三千人とのことです。
 二〇一一年の大会の申込状況から考えると、寄附した人はほとんど参加することができるという仕組みに思います。
 非常に多くの申し込みがあり、倍率の高いマラソン定員の中で、チャリティー枠が別に設けられておりますが、これでチャリティー本来の趣旨が伝わるのでしょうか。チャリティー制度については慎重な議論をしていただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。

○今村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○今村委員長 ご異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上でスポーツ振興局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時三十七分散会