文教委員会速記録第五号

平成二十三年三月二日(水曜日)
第三委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長原田  大君
副委員長星 ひろ子君
副委員長村上 英子君
理事新井ともはる君
理事中山 信行君
理事笹本ひさし君
吉住 健一君
桜井 浩之君
西沢けいた君
畔上三和子君
神野 吉弘君
岡田眞理子君
野上 純子君
古賀 俊昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化局局長並木 一夫君
総務部長遠藤 雅彦君
広報広聴部長櫻井 和博君
都民生活部長飯塚美紀子君
消費生活部長小笠原広樹君
私学部長石井  玲君
文化振興部長桃原慎一郎君
都政情報担当部長高橋  博君
男女平等参画担当部長萩原まき子君
文化施設改革担当部長藤井 秀之君
スポーツ振興局局長笠井 謙一君
次長総務部長事務取扱細井  優君
スポーツ事業部長安藤 英二君
スポーツ施設担当部長板垣 一典君
国体・障害者スポーツ大会推進部長皆川 重次君
大会運営担当部長西海 哲洋君

本日の会議に付した事件
 スポーツ振興局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 スポーツ振興局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第五十号議案 東京都体育施設条例の一部を改正する条例
 生活文化局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 生活文化局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十七号議案 保険業法に基づく特定保険業の認可審査に係る手数料に関する条例
・第四十九号議案 東京文化会館及び東京芸術劇場条例の一部を改正する条例

○原田委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、スポーツ振興局及び生活文化局関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これよりスポーツ振興局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、スポーツ振興局所管分及び第五十号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○安藤スポーツ事業部長 去る二月二日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます文教委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりいただきまして、資料1、スポーツ振興施策に係る予算の推移をごらんいただきたいと存じます。
 スポーツ振興施策に係る予算額につきまして、表の左側に記載の区分ごとに、平成二十年度から二十三年度までの推移を記載しております。
 一枚おめくりください。資料2、各都道府県の主な公立スポーツ施設の設置状況でございます。
 地方公共団体が設置しました一定規模以上の体育館や水泳プールなどのスポーツ施設につきまして、その設置数を都道府県別に記載しております。
 もう一枚おめくりください。資料3、スポーツムーブメントの内容と予算でございます。
 都民のスポーツ機運の醸成を目指し、都民が気楽に参加できるスポーツイベントの開催や、さまざまなスポーツ情報の発信などを行いますスポーツムーブメントの予算額につきまして、表の左側に記載の区分ごとに、平成二十一年度から二十三年度までの推移を記載しております。
 もう一枚おめくりいただきまして、最後に、資料4、地域スポーツクラブ区市町村別現況でございます。
 本年二月末日現在で区市町村ごとに設立されております地域スポーツクラブの数を記載しておりまして、合計で八十三クラブとなっております。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○原田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○西沢委員 私の方からは、武蔵野の森スポーツ総合施設について質疑をさせていただきたいと思います。
 平成二十五年の東京国体、障害者スポーツ大会の開催準備もありまして、都内でスポーツ施設の整備というものが着々と進んでいるわけでございますが、その中で規模や整備費ともにひときわ目を引くのが、この武蔵野の森総合スポーツ施設でございます。もちろん、多摩地域のスポーツの振興というものを推し進めていかなければならないというものは当然に考えるわけでございます。
 この施設の建設というものは、かねてから地元の強い要望があったものだと聞いておりますが、基本計画によりますと、国体までに完成する予定の補助競技場、メーンアリーナ、サブアリーナ、屋内プールから構成されておりまして、今年度の予算では建設工事の実施設計に着手するということになっております。
 債務負担行為として計上されているわけでございますが、総事業費というものが、一部報道などによりますと、というか、東京体育館などを参考にして二百億円以上かかるのではないかといわれている、大変大きなお金がかかる施設であります。石原都政下において最初で最後になるのか、ちょっとわかりませんけれども、大型の箱物建設というようなことがいえるのではないかと思います。
 その施設が、地元はもちろん、都民に最大の効果をもたらすものなのかどうか、整備に要する費用だけではなくて、その後の運営に当たっても収支に問題があるのかないのかというものを検証する必要があると考えます。
 お隣には味の素スタジアムがあります。知事にとってもこれは苦い思い出がある施設ではないかと思います。そもそも、この味の素スタジアム、東京スタジアムですね、金融機関から融資を受けて、第三セクターが建設して運営するスキームだったんですが、うまくいかなくて、その後に結局東京都が損切りというまではいわないまでも、三百七億円ものお金を出してスタジアムを買い取らざるを得なくなった、そういったケースがあるわけでございます。
 いうまでもなく、実施設計に取りかかるということであればその前提として、東京都として施設の運営コストや集客力を考慮した内容や規模になっているかどうか、どのような運営方法をとるのか、地元市との役割分担はどのようになっているのか、いいかえれば、赤字が出ないような合理的な経営が進められるかどうかというもの、地元にとっても多くの人に来ていただかなければならない、そういった施設ですから、将来にわたって負の遺産とならないようにしっかり検証していかなければならないと考えます。
 そこで、そもそもこの施設は赤字を出さない運営を基本方針としているということですが、収支の面からどのような施設にしようと考えているのかをお伺いします。

○板垣スポーツ施設担当部長 武蔵野の森総合スポーツ施設の運営に当たりましては、極力都民負担の軽減を図っていくことが重要な課題であると認識しております。
 このため、昨年八月に策定されました基本計画におきましても、戦略的かつ赤字を出さない運営を基本方針として掲げ、採算性に配慮した経営を行うこととしております。

○西沢委員 税金を投入することは前提になっていない施設だというふうに認識をいたします。
 この基本方針がございますが、三つ、その戦略、今ご答弁いただきました戦略的というものが書かれております。
 一つ目は、メーンアリーナなどで興行系イベントを誘致するということ。これも当然のことでございます。
 二つ目には、利用目的に応じた施設利用料金の設定とあるわけでございます。味の素スタジアムは、コンサート、興行、イベントなどで、そういったイベントを誘致して、それを経営としてやっているわけでございますが、多摩地域のスポーツ振興に貢献するというものですから、その利用に当たっての料金設定はしっかりやっていく、なおかつ赤字にならないようにということも書いてあるわけでございます。
 そして三つ目は、周辺スポーツ施設との機能的連携ということが書かれているわけでございまして、近くにあるサッカーのグラウンド、もちろん味の素スタジアムとか大きな施設もある中で、役割分担というものをしっかりと果たしていくんだというような戦略が書かれているわけでございますが、具体的な部分にはこれしか書かれていないわけでございまして、具体的なことが書かれておりません。
 そこで、現時点で、この施設の運営上の収支をどのように東京都は見込んでいるのか。例えば赤字を出さないということであれば、相応のコンサートやイベント利用が必要ではないかと思われるわけですが、コンサートなど収益を得るためのイベント利用はどの程度見込んでいるのかをお伺いいたします。

○板垣スポーツ施設担当部長 現在、アリーナ等の整備につきましては、基本設計を行っている段階でございますので、まだコスト計算等のできる状況にはございません。このため、事業収支の算定につきましては、今後、施設設計の詳細を固めた上で行っていくこととしてございます。

○西沢委員 まだ見込みができていないということでございます。しかし、本年は実施設計の段階でございます。実際に設計をしてみたら収支の見込みが全く立ちませんでしたというのでは、これは困ってしまうわけであります。
 これだけの巨額を投じてつくる予定であるわけなので、ある程度の見込みというものはしっかりあってしかるべきなんじゃないのかなというような気が私はいたします。
 お金だけではない、行政の役割として、スポーツ振興に寄与する施設をつくる、こういった意義は私も重々承知をしているわけでございますが、赤字を出さない、そういった方針であれば、民間企業と同じような発想で着手していかなければならない部分もあろうかと思います。
 民間企業が土地、不動産を持っていて、収益の見込みが実施設計をしてからでないと全くわからないということは絶対ないわけですから、それで予算の議決をするというのは、なかなか疑義を感じるところでもあります。
 仮に、地元住民のスポーツ利用が中心になりまして、コンサート利用などの収益の上がる事業が少ない場合には、赤字になってしまう可能性があります。そうならないために、地元の三市、三鷹市と府中市と調布市との間で協議の場を設置していると聞いておりますが、その検討状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○板垣スポーツ施設担当部長 地元三市とは、安定的経営に向けた連携の仕組みといたしまして、現在、都と三鷹市、府中市、調布市及び関係団体等で構成いたします経営戦略委員会を設置いたしまして、利用促進、稼働率の向上等について幅広い視点から検討しております。
 具体的には、地元市ならではの情報を収集し、平日の昼間の利用促進、あるいは企業スポーツの利用や企業広告などの可能性について検討を進めてございます。

○西沢委員 いずれにしても、これも検討中であるということでございます。
 報道などから歴史をひもときますと、この場所は米軍から日本に返還された後も、飛行場として使われていた。地元自治体からすれば、それはもちろん危険だからなくしてほしいという声が出ていた。その見返りとして、東京都の費用でスポーツ施設をつくるというようなことだと報道から読み取れるわけでございますが、自治体からすれば、それは早々につくってほしいと思うのは当たり前ですが、自治体と東京都の役割というものも含めた実のある経営委員会にしていただきたいと要望したいと思います。
 次に、運営についてお伺いいたします。
 赤字を出さない施設運営を行うということに当たりまして、例えば施設の運営主体はどうするのか。都の直営なのか、指定管理者なのか、PFIなのか、そのほかにも運営主体に関する工夫があるのかどうか。また、検討に当たって留意している点が何なのか、お伺いいたします。

○板垣スポーツ施設担当部長 本施設の管理運営に当たりましては、都のスポーツ振興施策との連携や、地元自治体や住民、団体等、地域との連携体制の構築を図っていく一方で、特に経営面では、大規模施設の効率的運営のノウハウを有することや、興行系イベントに強みを持つプロモーターなどの多様な事業主催者へのセールスとマーケティング活動が重要となってまいります。
 このため、民間が有する経営上の創意工夫やノウハウの活用によりまして、質の高いサービスと効率的運営ができますよう、最適な運営方式を検討してまいります。

○西沢委員 運営をどうしていくのかというのも、これから検討していくということでございます。
 それでは、赤字を出さない運営ということについて議論をしてまいりましたが、万一、赤字が出てしまった場合、責任を都はどのようにとるんでしょうか、お伺いいたします。

○板垣スポーツ施設担当部長 万一、赤字が出た場合の責任をどこが負うのかというお尋ねでございますが、現在、そうならないような運営のあり方を検討しているところでありまして、現時点では言及すべき段階ではないと考えております。

○西沢委員 わかりました。これも検討していくということで、では、そのほかの具体的な収益確保の検討状況についてどうなっているのか、お伺いいたします。

○板垣スポーツ施設担当部長 隣接する味の素スタジアムを初め既存の大規模スポーツ施設では、大型コンサート等の興行系イベントの誘致のほか、ネーミングライツの導入や広告看板の設置、あるいはプロスポーツチームの利用確保など、工夫を凝らしております。こうした点を十分踏まえて、今後、収益の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

○西沢委員 施設の建設に当たりましては、合理的な根拠に基づく収支の見通しをしっかりと踏まえた上で、将来にわたって赤字を出さない、そういった運営を行わなければなりません。施設のあり方、位置づけ、全体像も、そうしたさまざまな方策などを踏まえて決められるべきでありまして、実施設計の前に、今の議論で明らかにならなかったということも含めて、しっかりと明らかにしていただきたいというように感じます。
 また、収益の改善策をさらに検討するということもあわせて要望しますが、最後に、局の見解をお伺いいたします。

○板垣スポーツ施設担当部長 本施設の検討に当たりましては、多摩地域における東京のスポーツ振興の一大拠点としての位置づけを十分踏まえながら、設計の詳細が決まり次第、なるべく早い時期に収支試算を行うとともに、これまでの答弁のとおり、さまざまな視点を考慮いたしまして運営の具体化に取り組んでまいります。

○桜井委員 それでは、よろしくお願いいたします。私の方から、スポーツ祭東京二〇一三について質問させていただきたいと思います。
 平成二十五年に東京国体と全国障害者スポーツ大会を一つのスポーツの祭典として開催するスポーツ祭東京二〇一三まで、残すところあと二年余りというふうになったわけでありますが、現在、競技会場となる施設の整備など、開催に向けた準備が着実に進められているというふうに聞いております。
 全国から選ばれたアスリートたちが力とわざを競い合う、このスポーツの祭典を成功に導くために、都の総力を挙げて取り組むべきであるというふうに考えるわけですが、そこで、現在の開催準備状況について何点かお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
 まず最初に、首都東京において国体と全国障害者スポーツ大会を開催する意義についてどう考えるか、お伺いをいたします。

○皆川国体・障害者スポーツ大会推進部長 国体は、平成二十五年の東京での開催が六十八回目となります。そして、国内最大の体育・スポーツの祭典でありまして、昭和二十一年の第一回大会以来、毎年開催され、我が国のスポーツ振興に大きな役割を果たしてまいりました。
 東京で国体を開催するに当たっては、平成二十年に策定いたしました開催基本構想におきまして、国内最高のスポーツ大会、スポーツイベントとすることを目標に掲げ、人と環境に優しい大会の実現など、さまざまな工夫を凝らし、東京から新しい国体像を発信することとしております。
 一方、全国障害者スポーツ大会は、障害者スポーツの全国的な祭典であり、これを国体と一つの祭典として開催することで、スポーツを通じて障害のある人とない人の連帯の輪を広げていくというふうにしてございます。
 こうしたことに加えまして、両大会は、単なるスポーツイベントにとどまらず、全国から訪れる多くの選手や観客に地域の文化、あるいは観光資源など、東京の多様な魅力を伝えていく機会としても大変有意義な大会であるというふうに考えてございます。

○桜井委員 意義についてはよくわかりました。
 続きまして、聞くところでは、スポーツ祭東京二〇一三には、約三万人に上る両大会の選手、監督を初め多くの関係者が東京を訪れることが想定されるわけでありますが、こうした全国から集まる大会参加者に開催地の魅力を十分にアピールし、大会を成功に導くためには、おもてなしの心で温かく迎えるとともに、各競技の選手団に公平に宿舎を提供することが求められるというふうに考えます。
 そこで、このような大規模な大会を開催するに当たり、宿舎の準備はどのように行っているのか、お伺いいたしたいと思います。

○西海大会運営担当部長 お答えいたします。スポーツ祭東京二〇一三における宿舎の準備につきましては、東京都と各競技の会場地である区市町村とで業務を分担して進めてまいります。
 まず国体でございますけれども、選手、監督を初めといたします関係者の宿舎の準備は、会場地区市町村の役割でございます。しかしながら、区市町村がばらばらに宿舎の準備を進めますと効率が悪く、また、公平な宿舎の提供にも支障を来すこととなりますので、東京都が区市町村と一体となって手配を行うこととしております。
 なお、宿泊料金につきましては、日本体育協会が一律の料金体系、いわゆる国体料金を開催の二年前に決定することになります。
 一方、全国障害者スポーツ大会でございますが、こちらにつきましては、選手、監督など関係者の宿舎の準備は東京都が行ってまいります。

○桜井委員 東京全体から見ますれば、宿舎の総数は十分にあるわけなんですが、しかしながら、会場地ごとにその数は偏りが見られるというふうに考えているわけなんですが、十分な数の宿泊施設がない区市町村も少なからずとも存在するわけであります。
 そこで、このように宿舎が不足する会場地の区市町村においては、どのように宿泊業務の準備を進めていくのかお伺いをいたします。

○西海大会運営担当部長 国体に参加いたします選手、監督、役員等の宿舎は、日本体育協会の定める国体開催基準要項によりますと、競技実施会場に近い周辺地域に選定するとされておりまして、東京都におきましても、原則として、会場地区市町村内のホテルなどを利用するということを宿泊基本方針に定めております。
 しかしながら、先生ご指摘のように、東京では宿舎の偏在が見られますので、会場地区市町村以外にあるホテルなどを利用したり、あるいは、公共施設などの宿泊可能な施設を宿舎として転用するなど、東京都と会場地区市町村とが相互に連携の上、必要な対策を講じてまいります。

○桜井委員 ぜひ、注意深く、漏れのないようにしっかりやっていただきたいというふうに思います。
 それから、先ほどご答弁にもありましたけど、国体の宿舎の準備は会場市区町村の業務というお話でありましたが、複数の競技を開催するなど、競技会の規模によっては会場地の経費負担も相当なものになるというふうに予想されるところであると思います。宿泊の準備を担う会場地区市町村の負担軽減を図るべきと考えるわけでありますけど、都の考えをお伺いいたします。

○西海大会運営担当部長 宿舎の手配を行うに当たりましては、会場地の区市町村の負担の軽減を図るため、東京都がその総経費の二分の一を負担することとしております。
 今後とも、会場地の区市町村と一体となりまして寄宿舎の準備に万全を期してまいります。

○桜井委員 それでは、最後の質問になりますが、宿舎の確保に限らず、スポーツ祭東京二〇一三の開催は、都と会場地の区市町村が、先ほども答弁がありましたけど、十分な連携を図ってその準備を進めることが重要であるというふうに思います。
 都は、競技会の運営を担う区市町村に対して十分な支援を行うとともに、大会の盛り上げのための取り組みを一体となって進めるべきと考えます。こうした観点から、どのように今後の開催準備を進めていくのか、局長の決意をお伺いいたします。

○笠井スポーツ振興局長 スポーツ祭東京二〇一三は、ご案内のように、東京のすべての区市町村、六十二の団体があるわけですけど、すべてを使って行う非常に大きな、国内で最大のスポーツイベントであります。
 先ほどから答弁にもありますように、それぞれ区市町村と東京都で役割分担がいろいろ決められております。しかしながら、やはりこれだけの大きなイベントを成功させるということになりますと、それぞれがそれぞれの仕事だけをしていればいいということでは、とてもおぼつかないと思っております。当然、その役割分担は見定めつつも、やはり都と区市町村が一緒になる。そして、区市町村相互もそれぞれが一緒になる。お互いにやはり助け合っていかなければ、とてもこれだけの大きなイベントは成功できないと思っています。
 私どもスポーツ振興局、このスポーツ祭東京二〇一三は、国内で初めて国体とそれから障害者のスポーツ大会が一緒になる大会でございまして、本当に我が国で初めての大会でございますが、こういったことも含めて、いろいろとこれから、これまで想像もできなかったような、経験したことのないようなことが多分出てくるんだと思っています。
 そういうときにも、やはり先ほども申し上げたように、都と区市町村が一体となってやっていく、これが大切なことだと思っています。
 私どもスポーツ振興局は、このスポーツ祭東京二〇一三を所管する局といたしまして、これから区市町村にでき得る限りのご支援をさせていただくとともに、やはり区市町村からお力もいただいて、一生懸命やっていきたいと思います。

○中山委員 先日は東京マラソンの運営、まことにご苦労さまでございました。また、成功、おめでとうございました。ともに喜び合いたいと思います。
 また、スポーツ祭東京二〇一三につきましては、大事な質疑がございまして、本当にこれから局が一体となって取り組まれていくことを私どもも真剣に応援してまいりたいと思います。
 ただ、本日、私、勝手ながらではございますけれども、本年度、都に新たにスポーツ振興局が誕生したことをきっかけに、都民にいかにしてスポーツを根づかせていくことができるようになっていくのか、このことについて質問を通して模索してまいりたいと思います。
 ちなみに、念のためお断りしておきますが、私自身は、中学校時代の体操部を最後といたしまして、一目見ておわかりかもしれませんが、これまで全くスポーツとは縁遠い人生を歩んできました。したがって、これから私が申し上げることは余り参考にならないかもしれません。
 ただ、それだけにスポーツへのあこがれを根本的な感情として抱いております。スポーツをたっとび、愛する人々の気持ちを大切にしたいと思いますし、都民にスポーツを浸透させていくことを通じて得られるでありましょう、さまざまな価値に着目したいと思います。
 まず、今回、テニスの聖地である有明テニスの森公園テニス施設など、新たな施設がスポーツ振興局に移管され、来年度はそれらの施設がスポーツ振興局のもと、新たに事業展開されていくことになります。
 そこでまず、これらの施設の事業展開の基本的な考え方をお伺いいたします。

○安藤スポーツ事業部長 今回移管されますスポーツ施設は、従来からスポーツ振興局が所管しておりました施設とともに一元的に管理することによりまして、各施設を利用する競技団体等、関係団体とのネットワークをより緊密にし、専門性を生かした運営を行ってまいります。
 具体的な事業展開としては、現在、例えば有明テニスの森公園テニス施設では、多様なテニス教室やテニス大会が開催されております。移管後は、公園全体を活用し、テニスを中心にしつつ、ランニング教室や体力測定会など、幅広いジャンルのスポーツを広く都民に体験してもらうイベントの開催を検討しているところでございます。

○中山委員 テニスと聞けば、多くの日本国民にとりましては、プロ選手の活躍による刺激もあるでしょうけれども、何より天皇陛下と皇后陛下とがお出会いになられたのが軽井沢のテニスコートであったという、有名なエピソードをいつでも思い起こす、特別な感慨を抱くスポーツかもしれません。
 一時は紳士淑女がお互いに相手を知り合うスポーツとして、テニスデートが大いにはやったと聞いておりますし、現在では、若い男女だけでなく、家族や地域の友人がさまざまな年代を超えてテニスにいそしんでいらっしゃると思います。
 もちろん、競技としてのテニスが気持ちよく楽しめるための施設の整備や円滑な管理運営が基本でありますが、テニスというスポーツは、スポーツ競技自体と、スポーツを通じて人と人とが出会いコミュニケーションを図る、上品な社交の手段としての機能とが一体となったスポーツとしてのイメージを抱けると思います。
 したがって、コートを借りた時間が終われば、はい、さようならとばかり、足早に施設を立ち去るのではなく、テニスルックのまま、ポンポンと打ち返されるテニスボールの音を背景に、スポーツの余韻に浸りながら会話を楽しめるように整備することも、都のスポーツ施設が提供すべき大切な役割の一つと考えます。
 このため、施設の中で利用者がくつろげる場や、スポーツ活動の情報が提供されるサービスの充実を図っていくことが必要と考えますけれども、移管される施設ではどのようなサービスの提供が行われるのかお伺いいたします。

○安藤スポーツ事業部長 理事ご指摘のとおり、スポーツの前後に交流を深めまして、人と人とのつながりを強めることは、本当にスポーツの効用の一つだというふうに考えております。
 移管される施設では、クラブハウスが設置されているなど、飲食サービスの提供や歓談の場が確保されておりますが、私ども、現在、東京体育館など、スポーツ振興局で所管している他の施設と同様に、今後、それぞれの指定管理者と連携しまして、そういった施設を創意工夫により魅力的な利用者サービスを展開できるよう取り組みまして、都民がスポーツに親しむ環境の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。

○中山委員 詳細な面は、指定管理者の選定が移管前の局で行われているということでございますので、これからだと思います。難しい面もあると思いますが、ぜひ、今のご答弁にありましたとおり、少しでも可能な限りの工夫をお願いしたいと思います。
 スポーツ振興局は、一流アスリートの育成のほかに、スポーツを楽しむ都民の気風を育て、直接都民に対してスポーツを楽しむ施設を提供する役割があります。しかし、施設の提供といっても、現に日ごろから何かしらのスポーツを既に親しんでいる都民が必要としている量のスポーツ施設を、都民が望む回数だけ利用できるように確保するとしたら、膨大な予算を要してしまいます。まして、私のように、これからスポーツを楽しむかもしれない都民のことを考えたら、必要とされる予算額はゼロが幾らあっても足りないということになります。
 もちろん、昨年の事務事業質疑で私が求めましたように、新しい施設開拓のチャンスをつかみましたときには、スポーツ振興局は逃さずに物にするべきですし、またその意欲の持続を期待するものではありますが、それでも次々と誕生させていくというわけにはいきません。つまり、残念な現実ですが、もっとスポーツ施設を利用したいのになという都民のフラストレーションをある程度解消できるようになるためには、都財政がよほど潤沢になるか、都内でも人口減少が大きく進む以外には考えられないと思います。
 ではどうしたらよいか。私は、その選択肢の一つに、スポーツ振興局が分掌するスポーツ施設において、スポーツ競技の場の提供だけではない、付加価値の提供を選択するべきと考えます。その付加価値の一つが、スポーツを通じて人々がコミュニケーションし、日常の喧騒を一時忘れて、ストレスを解消し、リフレッシュできる空間と時間の都民への提供です。スポーツを生活に取り込んだおしゃれなライフスタイルを、新しい文化として提供することといいかえてもよいかもしれません。
 もちろん、都がそうした努力に挑戦しなくても、ある種の人々には、ゴルフや釣りやマリンスポーツなどが既にそうした役割を果たしてくれているのかもしれません。また、高級な会員制施設で現にそうしたサービスを提供している事例もあると思います。しかし、その多くは、多額の費用の支払いや、まとまった休暇をとらない限り利用が難しいものであると思います。
 スポーツ振興局が提供するスポーツ施設が、一流のアスリートからも喜ばれる機能を備えた施設であるとともに、特別な人でなくても、体を鍛えることだけでなく、スポーツで汗を流したことをきっかけに、あるいはスポーツで汗を流しながら、友人や家族、親子の触れ合いやきずなを深め合う機会を設けたいという都民の期待にも配慮した施設機能をあわせ持つことは、とてもすてきな考えだと思います。
 このため、東京体育館など既存の都立スポーツ施設の中で、利用者がくつろげる場等のサービスについてはどのようなものが提供されているのかお伺いいたします。

○安藤スポーツ事業部長 理事が再三にわたりましてご指摘のとおり、私どものスポーツ施設を利用していただいた方が、利用時間が終わったらそれで帰ってしまうというようなことでは、本当に私どもの施設の存在意義がやっぱり問われるかというふうに考えております。
 現在、私どもの所管している都立スポーツ施設では、施設利用者の交流の場や情報の提供についても主要なサービスの一つと考えまして、試合の前後の歓談の場として、例えば会議室を活用してもらうとともに、施設の中に休憩コーナーを整備し、さらにレストランやカフェを設置しているところでございます。
 最近の主な取り組みとしましては、東京体育館では、サブアリーナのエントランスのレイアウトを変更しまして、カフェを設置して軽飲食を提供するようにし、また、東京武道館では、正面入り口を整備しまして、競技関係の情報交換のコーナーを設けるとともに、利用者がくつろいで歓談できるスペースなどを設置したところでございます。

○中山委員 東京体育館のカフェが大変しゃれていらっしゃるという話なので、ぜひ見に行かせていただきたいと思います。最近は、聞いたところによると、クラス会をそこで開かれている団体もあるというようなことで、大変すばらしいことではないかと思います。
 行政がつくるスポーツ施設は、ともすると、直接スポーツ競技を行う試合場に当たる空間以外は、比較的に無機質な空間として整備されており、広さや居心地の上でも、さっさと退去してしまいたくならざるを得ないような状態になりがちだと思います。しかし、スポーツの振興を通じて東京都に求められている内容は、記録や数値であらわせる競技力の向上や競技人口の増加だけでなく、健康面での貢献や人間的な潤いの回復に役立つことではないかと考えます。
 ぜひ今後は、スポーツを楽しんだ後、あるいは休憩時間に、わざわざスポーツルックをスーツやふだん着に着がえて施設の外に出かけなくても、会話や余韻を楽しめる空間を利用者に提供することも大切な役割と受けとめていただき、さまざまな機会を積極的にとらえて、そうした方向性での施設改善、または運用上の配慮の充実に努めていただきたいと思います。それが、結果的にも競技人口の増加に役立つと思います。
 さすが、東京都がスポーツに力を入れると、スポーツを文化に取り込んだ生活の創出も可能になるのかと刮目されるような取り組みを期待しております。
 スポーツ振興局が管理するスポーツ施設が提供するべき付加価値には、私のようなスポーツ初心者でも興味、関心を抱くことができるような、エントリー的な企画の充実も含められております。
 そこで、都立のスポーツ施設では、都民が一層スポーツに興味を持ち、スポーツを楽しんでもらえるようなイベント事業をどのように展開しているのかお伺いいたします。

○安藤スポーツ事業部長 都立スポーツ施設では、指定管理者が独自の工夫を生かして、各種事業を企画立案して実施しているところでございます。
 主な事業といたしましては、親子を対象としたフットサルやテニスの教室、また少林寺拳法などの武道体験、一方、都内のトップの選手の競技を近くで見てもらうスポーツ観戦招待、さらに、駒沢オリンピック公園総合運動場では、スポーツ施設と広い公園全体を活用したランニングイベントなどを行っているところでございます。
 各施設では、子どもから高齢者、また障害のある方など、あらゆる対象に向けた事業を実施することによりまして、スポーツを楽しむ人のすそ野の拡大を図っているところでございます。

○中山委員 最後に意見を要望として申し上げたいと思います。
 かつての東京のまちは、道端で遊ぶ子どもの姿であふれておりました。私は実は病弱であったんですけれども、元気なときは近所の仲間と缶けりや石けり、馬跳び、一対一の綱引き、三角ベースの野球などを楽しんだ記憶があります。
 ところが、現在は子どもたちも大人も、スポーツ施設に赴かなくては汗を流せません。私もそうですけれども、例外は、東京マラソンに代表される市民ランナーやジョギングブームがある程度です。
 一方、バスケットボールを国民スポーツの一つとする米国では、スリーオンスリーに代表されるように、気軽に人々がまち中で体を動かす姿も見受けられると聞きます。
 しかし、年に一度の盆踊りでも苦情が出るくらいに神経質になった東京のまち中では、公園でのボール遊びが禁じられているだけでなく、壁打ちテニスをしても許されるような空間などなかなか見受けられません。そうした現状を打ち破り、スポーツと共存するまちづくりを進めるためには、行政の強力な後押しが必要です。
 例えば、バリアフリーという観点では、福祉保健局が福祉のまちづくり条例で、東京のまち並みのバリアフリー化を推進しておりますし、また環境局が気候変動対策の一環として、事業所やオフィスビルの省エネを推進しているように、スポーツ振興局も、スポーツと共存するまちづくりを具体的に進めるリーダーシップを発揮すべきと考えます。
 長年培った文化や気風が異なるため、他国の取り組みを単純に導入するわけにもいきませんので、じっくりとした検討が必要だと思いますが、この点を今後の課題として指摘させていただいて、私の質問を終わります。

○畔上委員 資料ありがとうございました。
 まず、国際スポーツ東京委員会についてです。
 二〇一六年オリンピック招致は、正規の招致活動費だけで百五十億が投入されましたが、一昨年十月に失敗に終わったわけです。知事が代表者となり設立したNPO法人オリンピック・パラリンピック招致委員会は、都の補助金二十五億と民間からの寄附金や協賛金など五十億で活動費が賄われる予定だったわけですが、民間からの資金を思うように集めることができず、広告代理店の電通から六億九千万円の借り入れをしたまま、その役割を終わったわけです。
 六億九千万の借金の返済に当たっては、招致委員会が、スポーツ振興活動に賛同する企業、それから団体からの寄附金、そういった収入や事業収入を充てて返済する、東京都の公金の投入は行わないということになっています。
 私たちは、スポーツの祭典であるオリンピックそのものにはもちろん反対ではありませんが、都民の暮らしがこれだけ大変なときに、莫大な財政負担を伴うような招致を行うべきではないということをこれまでも主張してきました。また、正規の招致活動以外にも、商店街振興や公営企業などの予算の一部が招致を最大の目的としたイベントに使われていることとか、それから招致活動の多くが電通の独占状態であったこと、また莫大な税金を投入しておきながら、その使途と支払い先の詳細が公開されてこなかったことなどの問題点を指摘してきました。
 オリンピック招致委員会は、昨年の七月に国際スポーツ東京委員会と名称を変更して、スポーツムーブメント推進の事業、そして寄附金の募集などの活動を行っているわけです。
 そこで、まず伺いたいと思いますが、六億九千万の借入金の返済に都の公費を投入しないということですが、これは国際スポーツ東京委員会に東京都の事業を委託することとか、補助金を支出することはないというふうに理解してよろしいんでしょうか。

○細井次長 国際スポーツ東京委員会は、昨年七月、招致委員会から組織名称を変更いたしまして、スポーツムーブメントの推進や国際スポーツ大会及び国際障害者スポーツ大会並びに関係諸会議の招致等に係る諸活動を行い、東京が国際スポーツ都市として発展することを目的として活動しております。
 借入金につきましては、委員会の活動に賛同する企業などからの寄附金収入や事業収入により返済する計画となっておりまして、その返済に東京都が公費の投入を行うことはございません。また、東京都から国際スポーツ東京委員会に対しまして、補助金の支出は一切行っておりません。また、事業の委託につきましても、これまでに実績はなく、今後も予定されておりません。

○畔上委員 事業の委託や補助金の支出はないということでした。それでは、国際スポーツ東京委員会の事務局の職員は何人でしょうか。固有職員とほかの団体や民間企業などからの派遣職員の人数に分けて教えてください。また、派遣職員はどこから派遣を受けているのか、都や都の監理団体などからの派遣があるのかどうかも教えてください。

○細井次長 現在、国際スポーツ東京委員会には、無報酬非常勤の事務局長のほかに五名が在勤してございます。このうち、固有の者が一名、他団体からの派遣が四名でございます。派遣されている者は、民間企業から二名、都から二名でございます。
 なお、都の監理団体からの派遣はございません。

○畔上委員 都から二名派遣しているということですね。その派遣職員の人件費はどこが負担しているんでしょうか。

○細井次長 国際スポーツ東京委員会に派遣されている者の人件費は、派遣元の団体が負担しております。

○畔上委員 地方公務員を団体に派遣する場合、その給与は派遣先が負担するのが原則なわけですよね。それを、都が職員を派遣して人件費を負担しているということになると、要するに、人件費分の補助、財政的支援を行っているということではないか、この点を指摘しておきたいと思います。
 国際スポーツ東京委員会の事業に、ユースオリンピック体験・人材派遣事業というのがありました。この事業は、東京都、国際スポーツ東京委員会、東京都スポーツ文化事業団、都体協、近畿日本ツーリストの五団体でつくる実行委員会の主催で、東京都ジュニアアスリート第一期生に選ばれた中学生二十二人をシンガポールに五日間派遣して、そこで開催されたユースオリンピック大会を観戦、視察をするというものだと伺っています。
 実行委員会の委員長は国際スポーツ東京委員会の事務局長ということです。このユースオリンピック体験・人材育成事業の費用負担はどのようになっているんでしょうか。

○細井次長 ユースオリンピック体験・人材育成支援事業につきましては、東京都ジュニアアスリート発掘・育成事業に参加しております第一期生、中学三年生が二十二名おりますけれども、これをシンガポールで行われる第一回のユースオリンピック競技大会に派遣して、現地で競技観戦や視察を行いまして、オリンピックを直接体験することで、将来の国体やオリンピックアスリートになるための意識を醸成するとともに、またシンガポールの子どもたちとともに交流をしまして、国際理解を深め、国際社会で活躍するアスリートを育成するという目的の事業でございます。
 この事業につきましては、この事業を発案しました国際スポーツ委員会や、ジュニアアスリート発掘・育成事業の主催者としての東京都、それから、先ほど畔上委員が申しましたとおり、都体協、それからスポーツ文化事業団、近畿日本ツーリストによって構成されております。
 費用負担につきましては、事業参加したジュニアアスリートの負担軽減を図るために、東京都を除く四団体に事業費を負担していただきまして、その結果、参加した生徒一人当たりの負担を三万円に抑えることができたものでございます。
 なお、東京都につきましては、ジュニアアスリート発掘・育成事業の主催者としての責任から、都の職員二名を随行させておりますので、その旅費が発生しております。
 以上でございます。

○畔上委員 事業費は都を除く四団体が負担というお話でしたが、事業費の七割、五百万円程度はスポーツ文化事業団が出していると聞いています。ジュニアアスリート事業は、今ご説明があったように、都と都体協で行っている事業なわけですね。その子どもたちを、国際スポーツ東京委員会が中心になって、シンガポールに行って、費用は主にスポーツ文化事業団が出したということでは、結局、国際スポーツ東京委員会の事業のために、東京都や、また都の監理団体である事業団がいろいろしてあげているんじゃないかという印象は否めないというふうに思うんです。
 国際スポーツ東京委員会の今年度の事業収入の計画を見ますと、五千万円というふうになっていたんですが、事業の内容を見ますと、パネル展やトークショーなどの事業が中心で、とても五千万円の収入を得ることができるようには思えませんでした。寄附金収入は四億円という見込みを持って、その収入のうち七千十万円を借入金返済に充てるんだということでありますけれども、それも可能なのかなというふうに思うわけです。
 寄附金は今のところどの程度集まっているんでしょうか。また、四億円を集める見通しは立っていらっしゃるんでしょうか。

○細井次長 国際スポーツ東京委員会が集めた寄附金の収入状況につきましては、三月末の決算前のために確定してございません。長引く景気の低迷や、委員会が設立して間もないことなどによりまして、企業からの賛同を得るのに苦戦をしているというふうに聞いております。
 しかしながら、先ほどのユースオリンピックの体験事業など民間からの協賛金や、パラリンピック写真展のブースの提供など、寄附とは異なる形での便宜を民間企業等から受けております。
 また、室伏広治さんとか、高橋尚子さんとか、それから多くのパラリンピアンなど、多くのアスリートがボランティアとして事業に参画しておりまして、スポーツムーブメントを広めていこうというような国際スポーツ東京委員会の役割は十分果たしているというふうに考えております。

○畔上委員 多くのアスリートの方がボランティアで参加しているというのは、ホームページなどを見るとわかったんですけれども、寄附金の収入状況については、現時点では答えられないけれども、なかなか苦戦されているというお話でした。
 事業規模の予定が五千万円の組織に、しかも寄附をしても、結局、電通への借入金の返済に使われるだけだということがわかっている団体に、四億円の寄附をしてくださいというのが、そもそも無理があるのではないかなというふうに私は感じております。
 いわば、六億九千万円はオリンピック招致の負の遺産なわけです。そして、二〇二〇年のオリンピック招致の可能性が完全に消え去らずにくすぶっている今の状態でありますから、NPO法人も、この六億九千万、負の遺産も無理をしてでも引きずらざるを得ないという状況じゃないかなというふうに思っています。
 ちなみに、来年度都内で開催される世界体操、これにも東京都は最大五億円という、ほかの国際大会などに比べても破格な財政支援などを約束しているわけですよね。世界体操の開催は、私はもちろん否定すべきものではないというふうに思っていますが、資料でもいただきましたように、来年度のスポーツムーブメントの予算が七億二千万、そのうち五億円が世界体操に支出する可能性があるわけですね。
 これも結局、オリンピック招致に向けて何が何でも国際大会の実績をつくりたいということから生まれた、やっぱりゆがみだというふうに思うんです。こうしたゆがみや無理をずるずると引きずるべきではないというふうに思います。
 ましてや、二〇二〇年に向けて、また同じような騒ぎを繰り返すことを都民は求めていないと思います。スポーツを振興する局としては、一部のイベントで強引に引っ張ってくるような、そういうやり方ではなく、広く都民にスポーツを、支え、振興して、本当に草の根からまた一流の選手まで、都民が文化、スポーツを豊かに享受できる、そういう方向での事業の転換をぜひしていただきたい。そのことを強く要望したいと思います。
 そして次に、総合型の地域スポーツクラブとスポーツクラブ支援について伺います。
 いただいた資料によりますと、現在、総合型の地域スポーツクラブは三十四地区、八十三クラブとなっております。私の地元の江東区でも、この春、二つ目の地域スポーツクラブが設立となります。
 都としては、設立や活動の支援、研修などの支援を取り組んでいて、本年度より新たに地域スポーツクラブアドバイザーの配置など支援をしているというふうに伺いました。地域スポーツクラブ設立支援協議会において、今後どのような支援を行うことを検討していらっしゃるんでしょうか、伺います。

○安藤スポーツ事業部長 地域スポーツクラブ設立支援協議会は、スポーツを専門とする学識経験者、地域スポーツクラブやスポーツ団体の関係者、そして学校、行政関係者などで構成される協議会でありまして、地域スポーツクラブの設立、運営に関する諸課題について、それぞれ専門的な見地から多角的な検討を行い、地域スポーツクラブの設立、育成支援策の立案に資することを目的とした組織でございます。
 本協議会での今年度の検討を踏まえまして、二十三年度より新たに、地域の大学との連携による地域スポーツクラブの設立に向けた支援策を実施することとしております。
 今後も、この協議会におきまして効果的な支援策を検討し、地域スポーツクラブの設立、育成を図り、都民が身近にスポーツに親しめる環境づくりを進めてまいります。

○畔上委員 現場からは、やっぱり場所と財政が悩みだという声を伺っています。場所については、都立学校も活用するというふうに伺いましたが、都立学校施設の活用の進捗状況はどうなっているんでしょうか。

○安藤スポーツ事業部長 地域スポーツクラブが継続して活動するためには、その活動の場を確保していくことが必要でございます。昨年七月時点の調査によりますと、都内の地域スポーツクラブのうち、都立学校を含めました学校体育施設を主な活動場所としているクラブの割合が六三・五%を占めるなど、学校施設が重要な活動の場となっております。
 このため、毎年度、都立学校施設の利用希望調査を行いまして、教育庁と連携して施設の利用を希望する地域スポーツクラブと都立学校とのマッチングを行うなど、活動場所の確保を支援しているところでございます。
 この取り組みの成果といたしまして、今年度は十二の地域スポーツクラブに対して都立学校の施設が優先的に開放されております。

○畔上委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、場所の確保に本当に苦労されていて、地元の小学校のPTAの活動と調整も苦労があるようです。また、年齢構成が地域によっても異なるんだと思うんですが、うちの方は小学生と高齢者、こういう顔ぶれで、都立学校になじみがなくて、やっぱり地元の小学校や区の健康センターなどの活用になっているというふうにも伺っております。
 都立学校の開放がどのぐらいできるかは、学校によっても異なると思いますけれども、高校のクラブ活動を保障しながら、無理のない範囲で積極的に開放、交流していただきたいということをお願いしたいと思うんです。
 また、totoは助成が二年ということであります。事業は単発ではなくて地域に根づくような取り組みが必要であって、継続的に活動する上で財政支援がどうしても必要になってくるんだと思うんです。恒久的な活動を可能とするような運営費に対する助成制度をつくる必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○安藤スポーツ事業部長 地域スポーツクラブは、住民の相互協力による地域に根差したスポーツ活動の場となるよう、その運営も会員からの会費収入を中心として自立的になされることが必要でございます。
 また、公費による助成に依存した運営では、公費助成の支援がなくなった段階で直ちに組織の存続も難しくなってくるということで、必ずしも地域スポーツクラブの持続可能な活動にはつながらないものと考えております。
 このため都では、モデル事業等の先導的な施策の事業開始に当たり、施策推進のインセンティブとしてクラブ設立経費の一部を助成する場合などを除き、運営費の恒久的な助成は考えておりません。

○畔上委員 ぜひ、総合スポーツクラブの方々や実践されている方々のご意見も聞いてほしいと思いますが、地域ではこうした総合型のスポーツクラブだけではなくて、たくさんの単一種のスポーツクラブが活動しているわけです。
 こうした自主的なスポーツクラブも、やっぱり場所の確保と財政的な悩みを抱えているわけですね。単一の地域のスポーツクラブも、やっぱり具体的な支援を求めているわけですけれども、そういった実態を把握すべきではないかというふうに考えます。
 単一種目を含むすべてのスポーツクラブの実態調査を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

○安藤スポーツ事業部長 地域におけますスポーツの振興を図るためには、都民のだれもが身近な地域でスポーツに親しめる環境を整えていく必要がございます。このため都は、子どもから高齢者まで幅広い都民が参加できる複数種目の地域スポーツクラブの設立、育成に力を注いでおります。
 これらの地域スポーツクラブにつきましては、毎年度、文部科学省が都を通じて区市町村に対して行う実態調査にあわせまして、都としても独自に調査項目を追加して調査を行うなど、その実態の把握に努めているところでございます。
 なお、単一種目のスポーツクラブにつきましては、東京における地域のスポーツ活動の状況把握の観点から、都が隔年で実施している調査の中で、種目ごとのクラブの数や登録人数などの調査を行っているところでございます。

○畔上委員 草の根のスポーツを広げる観点で単一種のスポーツクラブについても、数の把握だけじゃなくて実態もぜひ調査をしていただきたいと思います。
 スポーツ施設の整備についてでも要望が大変強いわけですね。都の昨年暮れの十二月十五日の第五回インターネット都政モニターアンケートでも、都のスポーツ行政への期待することの一位がスポーツ施設の整備だったわけです。
 これは、引き続き拡充を求めたいと思いますが、先ほど中山委員もおっしゃっていましたけれども、同時に環境整備というのは、建物だけではないというふうに思います。例えば公園の安全なマラソンコースとか、遊具の工夫なども大変重要だというふうに思っています。
 そういう点では、公園緑地部など他局とも連携をして、だれもが気軽にスポーツができる、そういう環境を整備していただきたいということを要望いたしまして、私の質疑を終わります。

○岡田委員 私からは、スポーツ施設の移管について、先ほどの全員の質問と重複しない範囲で二点お伺いをいたします。
 まず、平成二十三年度から、港湾局所管の海上公園内にある有明テニスの森公園テニス施設と若洲海浜公園ヨット訓練所の二施設をスポーツ振興局に移管するということですが、これまで長年港湾局で所管していた海上公園内のスポーツ施設をスポーツ振興局に移管する意義についてお伺いいたします。

○安藤スポーツ事業部長 スポーツ振興局では、東京のスポーツ振興施策を一元的に推進し、一層の充実強化に取り組んでおりまして、区市町村を超える大きな大会や国際大会なども開催できる広域的な施設を所管しております。
 一方、各局が所管しておりますスポーツ関係施設のうちで同等の規模、機能を持つ施設につきまして、今回移管を受けまして当局で一元的に管理することによりまして、一層スポーツの振興、都民サービスの向上、効率的運営を図る考えでございます。
 移管予定の有明テニスの森公園テニス施設及び若洲海浜公園ヨット訓練所の二施設につきましては、その施設のみで国際規模のスポーツ大会を実施できる大規模な施設でございます。
 移管によりまして、これまで私どもスポーツ振興局が持っております競技団体とのネットワークを活用し利用調整の一元化、世界選手権大会などの国際スポーツ大会の誘致促進を図ることが可能となり、都民がスポーツに親しむ環境の一層の充実を図ることができるようになります。

○岡田委員 両施設とも世界的な国際規模のスポーツ大会が実施できるといったところからも意義はわかりました。移管によって都民への直接の影響はないと思われますけれども、都民がより一層スポーツに親しみ、さらにサービスの向上が図られていくことを期待いたします。
 さて、先日の東京マラソンも非常に盛大に行われまして、私も自分の住まいの近くを走るものですから、ベランダからですが、ちょっと応援をさせていただきました。そして、私の住まいのそばには佃大橋があるものですから、その佃大橋の手前の陸橋を上がるところが最大の難関、最後の難関といわれているところでありますので、そこを上がり切ったところ、橋にかかったところで皆からの、応援の人たちの歓声が非常に上がるところなんですけれども、特に障害のあるランナーの方、車いすの方の活躍というのはすばらしいなと思って見ておりました。
 障害の有無にかかわらずスポーツに親しむことというのは、非常に大事だと思われます。そういったことからも、今回、北区と国立市にある障害者スポーツセンターを福祉保健局から移管するということですけれども、やはり障害者の施設といいますと、どうしても福祉保健局をイメージしてしまいがちであります。この移管に関して、スポーツ振興局は、これらの施設を今後どのように運営していこうとお考えなのか、所見をお伺いいたします。

○安藤スポーツ事業部長 障害者スポーツには、障害のない人にとってのスポーツと同様、日常生活の中で楽しむスポーツから競技スポーツまで幅広く、スポーツの持つ意義は、障害のある人、ない人にとって変わるところはないものと考えます。スポーツ振興局におきましては、障害の有無にかかわらず、だれもがスポーツに親しめるよう、スポーツ施策の一環として、一体的にその振興を図ってまいります。
 障害者スポーツセンターは、障害のある方々の健康増進と社会参加を促進するため、都における障害者スポーツ振興の中核施設としての役割を果たしてまいりました。今後もこうした意義を引き継ぎまして、利用者が楽しく、安全に、快適に利用できるよう支援するとともに、利用者の個別の状況、ライフステージ、ライフサイクルに応じました支援プログラムの提供や、競技大会を目指す方を対象としたスポーツ支援を行うなど、障害者専用のスポーツ施設としてのメリットを最大限に生かして運営を図ってまいります。

○岡田委員 今のお言葉にありましたように、やはり障害のある方もない方も関係なくということで、特に障害のある方の健康を維持するためでも、こういったスポーツ施設というのは非常に大事だと思われます。
 すべての人がアスリートを目指しているわけではなく、日常的にスポーツに親しみやすくするということが非常に大事だと思いますけれども、まちの中を見ますと、一般市民は利用できるスポーツの施設って非常に多くあると思うんですね。
 私の住まいの近くでも公的なプールが歩いてすぐのところにございますし、また、スポーツジムも歩いて十分以内のところに三カ所もあるような、そんな状態で、とても恵まれていることだと思うんですけれども、障害のある方にとっては、やはりなかなか施設が少ないのではないかなということを感じております。
 これからも、せっかくこのように移管されるのをいい機会に、障害者のための、スポーツのできる、本当に気軽にスポーツができる施設をもっとどんどんつくっていただけたらと思っております。
 また、最後に要望なんですけれども、この北区と国立市にある障害者スポーツセンターをインターネットで調べてみました。その中に、運営についての第三者評価というのがあったんですけれども、これは個々にいろいろな評価が出ておりましたけれども、総括したところを印刷して出してみましたら両方とも同じものが出てきたんですね。よく中を、実際視察に行かなければいけないとは思っているんですけれども、施設の概況と、それから、職員なども違いがあるわけですから、もう少し、評価の結果も別々に出していただけたらと思っております。最後にそれを要望させていただきます。

○野上委員 障害者スポーツについてお伺いいたします。
 先日の東京マラソンの大成功、大変おめでとうございます。晴天にも恵まれて、初めてのチャリティー枠もあり、さらにグレードアップしてできたのではないかと思っております。車いすマラソンのスタートも大変に圧巻でございました。知事のあいさつも久しぶりによかった。
 他県の公務員の方が日本人では優勝されて、記録もすばらしくて、実業団ではなく民間人が日本人としては一番トップだったということで、マスコミには注目をされて、だれもが主役になれる東京マラソンのイメージにもつながったのではないかと思っております。関係者の皆様の努力に敬意を表すものであります。
 昨年七月のスポーツ振興局設置を機に、都は、障害のある人もない人も、だれもがスポーツに親しむスポーツ都市東京を目指し、障害者スポーツをスポーツ施策として一元的に推進する体制を整えました。このことは大変にすばらしいことであると思っております。
 前回、十一月四日の文教委員会事務事業質疑におきまして、地域における障害者スポーツを支える人材の育成、あるいは障害者スポーツに関する情報発信について質疑をさせていただきましたので、きょうは、障害者が身近にスポーツを楽しめる場づくりについて質疑をさせていただきたいと思っております。
 今までの調査の中で、障害者を対象にした東京都障害者スポーツ協会の調査というのがありますが、なかなか区市町村の身近な施設の利用が進まないというような状況もあります。
 障害者の方が地域で日常的にスポーツを楽しむことができるようにするためには、やっぱり身近な地域の施設などを活用したスポーツ教室を開催するなど、スポーツ実践の場づくりを進めていくことが重要であると思いますが、今後の都の取り組み状況についてお伺いいたします。

○安藤スポーツ事業部長 障害者スポーツの普及を図り、すそ野を拡大していくためには、ご指摘のとおり、身近な地域において障害者がスポーツに親しめる環境を整えることが重要であると考えております。
 そのため新たに、これまで都における障害者スポーツ事業の展開を担ってまいりました東京都障害者スポーツ協会の中に障害者スポーツ開拓推進員を設置しまして、地域における障害者のスポーツ活動の場を開拓してまいります。
 障害者スポーツ開拓推進員は、区市町村や地域スポーツクラブなどを積極的に訪問しまして、地域における障害者スポーツの現状やニーズを把握し、例えば区市町村の施設を活用した障害者スポーツ教室の実施を提案するなど、地域での障害者スポーツ振興の取り組みを支援いたします。
 これらによりまして、区市町村等の身近な地域における障害者スポーツの場づくりを推進してまいります。

○野上委員 障害者スポーツの場が地域に広がっていくように、ぜひこの開拓推進員の方にはしっかり頑張っていただきたいと思います。
 こうした仕事を進めていくためには、障害者スポーツに関する知識とかノウハウを有したそれなりの人材が必要と考えますけれども、この開拓推進員に求められる人材像というんですか、どういう人を充てるのかとか、また、人数をどれぐらい配置していくのかという今後の予定についてお伺いいたします。

○安藤スポーツ事業部長 障害者スポーツ開拓推進員は、地域の現状やニーズを踏まえて的確な障害者スポーツのプログラムを提案していくことになります。そのため、開拓推進員に求められる要件としましては、障害者スポーツ全般に関する知識はもとより、障害の種別、程度に応じたスポーツクラブを提案できる専門的知識を有していること、また、障害者スポーツの現場におきまして実務経験を有していることなどが挙げられます。
 今後、協会の中において人材を選抜しまして、人数につきましては三人程度を予定しているところでございます。

○野上委員 地域で障害者スポーツの場を開拓する先駆的な三人の方たち、これから区市町村とのコーディネーターを行う、この開拓推進員の果たす役割は重要だと思っております。
 一方、障害者スポーツの取り組みを継続させていくためには、実際にスポーツ教室等の現場でスポーツに取り組む人を支援、指導するような人材も必要であります。こうした役割は、現在、障害者スポーツ指導員という方が担っておりますけれども、スポーツ振興局の調査によると、都内区市町村のスポーツ施設において障害者スポーツ指導員を配置しているのは四・八%というデータもありまして、地域のスポーツ施設における障害者スポーツ指導員の配置というのはまだまだ進んでいない、これからだということがいえると思います。
 この開拓推進員の方は、障害者スポーツ活動を継続できるような環境を整備するために、こうした課題に対して真剣に取り組んでいかなければいけないわけですが、その点に関してお伺いいたします。

○安藤スポーツ事業部長 開拓推進員は、障害者スポーツ教室などの場づくりとして、具体的な企画の提案にあわせまして、実際に指導に当たりますスポーツ指導員、障害者スポーツ指導員の派遣のコーディネーターを、バンクに登録されている指導員の中から行うことを予定しております。また、立ち上げ期におきましては、教室の運営に必要な障害者スポーツ指導員の派遣に伴う費用の支援も行う予定でございます。
 こうしたことによりまして、区市町村等の身近な地域において障害者スポーツの場が新たにつくられ、継続的な取り組みとなるよう支援してまいります。

○野上委員 障害者スポーツの振興のためには、一つは場づくり、人材の育成、情報発信、これらを体系的、また継続的に推進していくことが重要であります。都として障害者スポーツの方向性を明確にしながら進めていく必要があります。
 我が党の本会議の代表質問において、長期的な指針の策定の重要性を主張し、都は今後、障害者スポーツ振興の指針となる中長期の計画の策定に向け、準備を進めていきますという答弁がございました。具体的に、この策定作業の準備ですね、どのように進めていくのかをお伺いして質問を終わりにします。

○安藤スポーツ事業部長 障害者スポーツを普及し根づかせるためには、体系的、継続的な取り組みを進めていく必要がありまして、その指針となる中長期計画の策定は極めて重要でございます。
 そのため、都はスポーツ振興審議会のもとに障害者スポーツに係る専門部会を設置し、障害者スポーツに関して専門的知見を有する学識経験者や障害者スポーツの指導に長く携わってきた有識者、地域スポーツ関係者、行政関係者などから多角的かつ専門的なご意見、ご知見をいただきながら策定作業を進め、二十三年度中の公表を目指してまいります。

○原田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上でスポーツ振興局関係を終わります。

○原田委員長 これより生活文化局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、生活文化局所管分、第四十七号議案及び第四十九号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○遠藤総務部長 去る二月二日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元に配布してございます平成二十三年文教委員会要求資料の表紙をおめくり願います。
 目次に記載のとおり、五件の資料がございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、文化振興施策に係る予算及び決算の推移でございます。
 表の左側に記載の区分ごとに、平成十九年度から平成二十一年度までの予算現額及び決算額並びに平成二十二年度及び平成二十三年度の当初予算額を記載しております。
 なお、備考欄には、当該事業区分に係る主な事業を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、東京文化発信プロジェクトの内容と予算でございます。
 東京文化発信プロジェクトの予算額について、表の左側に記載の主要事業の区分ごとに、平成二十一年度から平成二十三年度までの過去三年間の推移を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、都道府県別私立高等学校授業料軽減補助でございます。
 平成二十二年度の各都道府県における授業料軽減補助の実施状況について、こちらのページから八ページまで記載しております。
 恐れ入りますが、九ページをお開き願います。4、都道府県別私立高等学校生徒納付金平均額でございます。
 平成二十二年度における授業料、入学料、施設設備費といった生徒納付金の平均額について、都道府県別に記載しております。
 一〇ページをお開き願います。5、東京都育英資金の貸し付けを受けた都立高校生及び私立高校生の人数の推移でございます。
 平成十七年度から平成二十一年度までの過去五年間における東京都育英資金の貸し付けを受けた都立高校生及び私立高校生の人数の推移を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○原田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○西沢委員 私から、過日、新しい公共についての交付金について議論がありましたが、今回それだけではなくて、住民生活に光をそそぐ交付金というものが交付されているということなので、今回、予算に関連して質疑をさせていただきたいと思います。
 国が地方公共団体に交付します住民生活に光をそそぐ交付金の、まず概要について伺います。また、住民生活に光をそそぐ交付金は、東京都及び市区町村に幾ら交付されるのかお伺いいたします。

○小笠原消費生活部長 住民生活に光をそそぐ交付金は、国の平成二十二年度補正予算によって創設された交付金であり、それによれば、これまで住民生活にとって大事な分野でありながら光が十分に当てられてこなかった分野に対する地方の取り組みを支援するもので、平成二十三年度、二十四年度の二年間の時限で対応するものとされております。
 総額は全国で一千億円であり、地方消費者行政、DV対策、自殺予防等弱者対策などの分野で活用されるものでございます。
 都に対する交付金額は五億円で、このうち消費者行政の分野には一億六千七百万円を充てることとしております。区市町村に対しましては、都に対する交付金とは別に約八億円が国から交付される予定でございます。

○西沢委員 今回、都については五億円が来て、そのうち消費者行政分野について一億六千七百万円が充てる部分であるというようなご答弁がありました。
 これは、二年間、来年度と再来年度で使う、そういった一億六千七百万円でございますが、以前に、同じように消費者行政活性化交付金という形で二十一年度、二十二年度、二十三年度の三年で使う十二億円の交付金があります。これと今回の光をそそぐ交付金の違いについて教えていただきたいと思います。

○小笠原消費生活部長 光交付金は、国から都及び区市町村へそれぞれ交付されます。一方、地方消費者行政活性化交付金は、都が区市町村分も含め、国から一括して受け入れたものでございまして、平成二十一年度から都みずから事業を実施するとともに、区市町村につきましては、申請に基づき都が交付額を決定し、助成しております。
 この二つの交付金は、国が指定する利用可能な事業メニューなどの仕組みの面では異なりますが、消費者行政の充実を図るという点で基本的な違いはないというものでございます。

○西沢委員 仕組みの面では違いがあるということですが、基本的には変わらないということでありました。
 交付金の名前は違うかもしれないんですが、二十一年度、二十二年度、二十三年度の三年以内で使う十二億円は、聞くところによると、三億円を都で使って、ざっくりとです、九億円が市区町村に交付されるというもの。そして、二十三年度と二十四年度で使う今回の光の交付金の方は、来年、再来年度で一億六千七百万円をここで使うというようなことだと整理します。
 消費者行政活性化交付金については、このときは、これとこれに使いなさいということで、十二のメニューが書いてある要綱というものがあったというふうに聞いておりますが、今回、光交付金の方は、要綱はあるものの、メニューが書いていないということで、総務大臣の記者会見で、例えば消費者相談、消費生活センターなどの経費、これは当然人件費なんかも含みますというふうな答弁があるだけで、何に使うかというものが明確に定められているものではないというふうに聞いていますが、これで間違いないでしょうか。

○小笠原消費生活部長 二つの交付金は、消費者行政の充実を図るという点で基本的な違いはありませんが、地方消費者行政活性化交付金は、区市町村の申請に基づき都が額を決定して助成するもので、都と区市町村を合わせて総額が十二億円でございます。一方、光交付金のうち一億六千七百万円は、都の消費者行政に充てることとした額でございまして、区市町村には別途国から交付されます。
 交付金の対象事業につきましては、それぞれの要綱によって定められており、地方消費者行政活性化交付金では十二の事業メニューが掲げられている一方、光交付金では地方消費者行政に係る事業とされております。

○西沢委員 今回の光の交付金の方は、地方消費者行政についてとだけ書いてあるということなわけですよね。
 ですから、ご答弁にもありましたけれども、今回一億六千七百万円が入ってくるというのは、都で独自に事業が行える、以前来た地方活性化交付金の十二億円のうち三億円と九億円に分かれて、三億円を都が使っている、ここにプラスされるというようなイメージかと思います。
 これは、昨年の十二月に決定したもので、先日の中途議決した際に、ひとまず基金として積んでおきましょうというような状況であるわけなんですね。
 ですから、これから使い方を考えていくということだと思うんですが、この交付金を活用して、都及び市区町村はどのような事業を展開する予定なのかをお伺いいたします。

○小笠原消費生活部長 都は、平成二十三年度も地方消費者行政活性化交付金を活用いたしまして、消費者行政の充実を図ることとしております。
 さらに、今般の光交付金も利用いたしまして、消費者被害防止のための普及啓発などを予定しておりますが、具体的な事業につきましては、今後検討してまいります。
 区市町村につきましては、光交付金は各自治体ごとに交付されるものでございまして、それぞれこの交付金の趣旨に沿ってみずから判断し、事業を実施することとなります。

○西沢委員 今回の一億六千七百万円は、市区町村にではなくて、東京都独自でこれを使う、その方向はこれから考えていきますよというようなことだと思います。
 結局は、昨年十二月に本当に突然降ってわいたようなお金なわけなんですよね。効率よく、とりあえず三億円これまで使っていた中で、プラスして同じようなものを使うということも考えられると思うんですが、メニューがないわけですから、本当に独自で自由に消費者行政という枠の中で使えるということですから、既に皆さんの中でご検討だと思うんですが、創意工夫することができるということなので、改めて工夫をして使っていただきたいということを要望して、質問を終わらせていただきます。

○吉住委員 私の方からは、先ごろ飯田橋の東京区政会館で写真で振り返る東京二十三区の昭和・平成と題する写真展が開かれ、戦後から今日に至るまでの東京二十三区のさまざまな写真が展示されていました。
 この写真展のことがNHKのニュースや新聞などでも取り上げられまして、大変盛況であったというふうに聞いております。
 この写真展は、都が所有する都政記録写真を活用した企画であったということでございますが、そこで都政記録写真について幾つか伺います。
 まず、都政記録写真とはいかなるものなのか、例えばだれが撮ったかということを含めまして、どのような写真がどのくらいあるのか、基本的な事項について伺いたいと思います。

○櫻井広報広聴部長 都政記録写真とは、昭和二十二年から現在に至るまで、都のカメラマンが都政の動きや東京のさまざまな姿を撮影した記録です。
 大まかな分類といたしましては、都の事業や行事に関する写真、東京の風景やまち並みの写真、航空写真などとなっております。全体で約四万八千点ございます。
 これらは、都政の広報や各局の事業PR等に活用いたしますとともに、都民情報ルームでの閲覧や貸し出しにより、都民の利用にも供しております。

○吉住委員 ただいまの答弁をお聞きしまして、都政記録写真には、戦後間もなくからの時期、都政の歴史や東京の風景の変遷などを振り返る上で貴重なものも多く含まれているということがよくわかります。
 それで、約四万八千点ということでございますが、これだけ膨大な数の写真でございますので、博物館の資料などと同じように適切に整理、保管することによって、いつでも活用できるようにしておくことが重要だと思います。
 そこで、都政記録写真をどのように整理、保管されているのかお伺いします。

○櫻井広報広聴部長 都政記録写真は、従来、フィルムを専用の収納庫におさめるとともに、プリントした写真をアルバムにまとめて保管してまいりました。
 従来のフィルムのままでは経年劣化や損傷のおそれもありましたことから、昨年、全体約四万八千点のうち、資料価値の高い二万点をデジタルアーカイブ化、すなわちデジタルデータに移行いたしまして、データベースとしての検索機能を向上させ、都民情報ルームで都民がより便利に閲覧できるよう環境を整備したところでございます。

○吉住委員 わかりました。デジタルアーカイブ化をしたことによって、都政記録写真を保管、活用する体制を整備したことは、大切な資料の存在にきちんとした光を当てたという意味において、とても意義のある取り組みだったと思います。
 冒頭で、飯田橋で行われました写真展についてお話ししましたけれども、これも含め、都政記録写真を活用した取り組みをこれまでどのように進めてこられたのかお伺いします。

○櫻井広報広聴部長 まず、昨年三月、デジタルアーカイブ化を機に都政記録写真を広くPRするため、都議会議事堂内のギャラリーで東京・あの日・あの時と題する写真展を開催いたしました。四日間で約五千人以上が来場するなど、大変好評をいただきました。
 また、この写真展で展示した写真百枚を編集いたしまして、ホームページ上でウエブ写真館として公開いたしますとともに、写真集を昨年七月から販売し、その売り上げは、現在約四千部に上っております。
 さらに、お話しのとおり、ことし一月には、東京区政会館で千代田区、特別区協議会とともに写真展を開催し、延べ八日間で約六千人の方々にご来場いただいたところでございます。

○吉住委員 わかりました。早速、私もこの本を買わせていただきまして、拝見しておりますが、こういったまとまっているというのは大変いいことだと思います。
 それで、デジタルアーカイブ化を機に都政記録写真の活用の可能性が広がったこと、また写真展の開催や写真集の発行など、さまざまな形でPRが展開された結果、都政記録写真が都民にとってより身近なものになってきたことがわかりました。
 この都政記録写真のさらなる活用に向けて、今後どのような取り組みを進めていこうとしているのかお伺いします。

○櫻井広報広聴部長 今後は、これまでの写真展で使用した写真パネルを都内区市町村を初め公的機関等に貸し出すことなどにより、都政記録写真を継続的にPRいたします。
 また、ホームページ上のウエブ写真館をより充実させ、都政記録写真を見ていただける機会の拡大を図ってまいります。
 さらに、都政記録写真を利用していただける範囲を現在の教育や文化等から広げる方向で検討するとともに、写真データによる提供等が可能となるよう、新たな規定の整備に向けて取り組んでまいります。

○吉住委員 ぜひとも、こうした取り組みをしっかりと進めていただきたいと思います。
 私も、日本人というのは、海外から日本人のイメージ図をかかれると、写真をぶら下げている観光客の姿というのがよく日本人特有の姿として描かれますが、そういう意味で、写真には本当に不思議な力があると思っております。
 例えば東京のある地域の写真があるとすると、年配の方にとってはそれが非常に懐かしい過去の記録をよみがえらせるものであり、過去を知らない者たちにも、昔はこうだったんだという感動を与えることができます。
 この本の編集後記のところに、これを一年前ごらんになった方が会場内で担当者の方に、思わず涙があふれてきた、あのころのことを思い出しましたなんていうことを声をかけられたという記述があるんですが、本当に写真というのは物すごい力を持っていると思います。
 それだけに、世代を超えた地域への愛着、地域の連携をはぐくむメディアになり得るといっても過言ではないと思います。
 今後は、例えば町会が中心となって行う地域のさまざまなイベントや取り組みなどにも写真を貸し出すといったような形で、地域の活性化にも都政記録写真を役立てていただくことができれば大変好ましいのではないかと思いますが、見解を伺います。

○櫻井広報広聴部長 都政記録写真は、都政の動きとともに東京のさまざまな地域の多彩な表情を記録してきたものです。したがって、これを活用して地域の活性化にも役立てることは重要であると考えております。
 今後、区市等との連携も図りながら、例えば防災、歴史教育、まちづくりなど、町会を初めさまざまな主体によって行われる地域のイベントや取り組みにも写真パネルを貸し出す等の対応ができるよう検討してまいります。

○吉住委員 地域の底力再生事業助成を活用して、今年度、二つの町会、あるいは連合会の方で自分たちが写した地域の過去と現在の写真を展示したイベントが開催されたと聞いております。
 こうしたことから、都政記録写真を活用したいという地域のニーズは潜在的に高いとも思われます。幸いにして地域の底力再生事業助成も都政記録写真も同じ局の事業でございますので、連携していっていただければと思います。
 都政の記録写真が都政の、そして東京の記録として次世代にも継承していくべき大切な財産であることの重要性を踏まえ、地域の活性化にも寄与するような形で都政記録写真の活用とPRが一層推進されることを期待して、発言を終わります。

○野上委員 最初に、先日、ニュージーランドのクライストチャーチで大規模な地震がありまして、日本から語学留学をしている学生を含めて、いまだに日本人二十八名の方々の安否が依然として確認されていないということでありますが、都内にも留学生を初めとして多くの外国人が暮らしていますけれども、地震の経験のない外国人の方もたくさんお見えになっております。
 大規模地震等の災害発生時に、状況が理解できないために適切な行動がとれないでパニックに陥るということも予測されます。このため、外国人を対象とした防災訓練を実施することが重要だと思われます。
 東京都はこれまで外国人のための防災訓練を実施してきたということなんですけれども、その取り組み状況と、また、参加者数の実績についてお伺いいたします。

○飯塚都民生活部長 都では、東京都地域防災計画の中で、災害時に東京都外国人災害時情報センターを設置し、被災外国人に関する情報の収集や提供を行うこととしております。
 平成十八年度から情報センターを中心とした支援体制の機能検証と、外国人への防災知識の普及を目的として防災訓練を行っております。今年度は、一月十八日に区や消防、警察などの参加協力を得て、江戸東京博物館をメーン会場として実施いたしました。
 具体的には、外国人と防災語学ボランティアによる災害時を想定した通信訓練や、地震災害の知識に乏しい外国人を対象とした起震車体験、倒壊建物からの救出訓練、AEDを使用した応急救護など、多様な訓練を実施したところでございます。
 当日は、各国大使を含む外国人が四十カ国三百四名、防災語学ボランティア四十九名、国際交流協会等二十七名、区市町村、警察、消防など関係職員百十二名と、これまで最多の四百九十二名が参加いたしました。

○野上委員 四百九十二名の大勢の方が参加して開催されたということで、東京に暮らしている外国人の状況を的確にとらえて、今後とも、効果的、実践的な訓練を引き続き実施していただきたいと思っております。
 先ほどの答弁の中で、防災語学ボランティアが通信訓練を行ったという話がございます。阪神・淡路大震災の教訓から、語学力があるボランティアが重要であると考えております。都における防災語学ボランティアの登録者数及び対象言語数の推移と、また、ボランティア募集の方法についてお伺いいたします。

○飯塚都民生活部長 都では、平成八年から災害時に被災外国人等を支援するため、一定以上の語学力を有する都民や外国人を東京都の防災語学ボランティアとして登録しております。
 登録者数は、制度創設時である平成八年度は、十六言語三百八名でありましたが、平成二十三年二月末現在では、十八言語八百三十六名となっております。
 ボランティアの募集については、東京都のホームページや、区市町村、外国人支援団体等との会議の場を通じたPRとともに、九月一日の防災の日に合わせて「広報東京都」に募集記事を掲載するなど、多様な機会をとらえて募集活動を行っております。

○野上委員 多くの都民の方々が多様な言語でボランティア登録をしていることがわかりました。引き続き周知、広報を続けていただきまして、広範な都民の参加を進めていただきたいと思っております。
 いつ起きるかわからない災害に常日ごろから備える体制をつくり、外国人が東京で安心して学び、働くことができる環境の確保をお願いしたいと思います。
 次に、配偶者暴力対策について質問をさせていただきます。
 東京ウィメンズプラザの費用として、九億二千八百六万一千円という予算計上がなされております。
 配偶者暴力に対する社会的認識が高まるにつれて、都内の相談機関に寄せられているDV相談の件数が年々増加しているわけでございます。特に被害者にとって身近な相談窓口である区市町村の件数も伸びが大きくて、平成二十一年度には、区市町村全体で二万二千件近くもの相談があったと聞いております。
 DV被害を潜在化させないためにも、また、相談を適切な支援に結びつけていくためにも、身近な地域で適切に相談を受けられる体制をつくっていくことが大切ではないかと思っております。
 区市町村における相談体制を強化するために、都は、人材育成の面での支援を行っていく必要があると考えますが、現在、都の取り組みについてお伺いいたします。

○萩原男女平等参画担当部長 東京都配偶者暴力対策基本計画は、区市町村における配偶者暴力対策の充実を中心的視点の一つとしており、都は区市町村における相談体制の強化のため、人材育成の支援を行っております。
 具体的には、東京ウィメンズプラザにおいて、新たに就任した区市町村の相談員が基本的知識を身につけるための講座を開催するほか、相談員の対応能力と専門性の向上を図るため、相談員が担当する困難事例に対し、専門家が助言を行う機会の提供などを行っております。

○野上委員 相談窓口の周知も必要なことですが、日本人だけではなく、外国人からの相談もふえておりまして、区市町村では、日本語がうまく話せない外国人被害者への対応に大変に苦慮しているという話も聞いております。
 先ほどの防災に関する外国人支援と同じように、DV対策においても、言葉の問題などから孤立をし、被害が深刻化しやすい外国人への対応を充実していくことが必要と思われます。都の、区市町村への支援としての取り組み状況についてお伺いいたします。

○萩原男女平等参画担当部長 区市町村が外国人被害者に適切に対応できるよう、東京ウィメンズプラザでは、外国語の通訳が配偶者暴力に関する基本的知識を身につけた後に登録し、区市町村の依頼により派遣する仕組みを平成二十二年度に創設したところでございます。現在の登録者数は五十三名であり、十二言語にわたっております。
 また、平成二十三年度には、外国人被害者からの相談に利用できるよう、外国語に翻訳した相談シートを作成いたしまして、区市町村に配布する予定でございます。

○野上委員 翻訳相談シートがあれば、これを見せながら、通訳がいなくてもとりあえず対応できるのではないかなと思っております。これ、期待をしております。
 東京ウィメンズプラザというのは、都の配偶者暴力相談支援センターとして、区市町村支援と新しいニーズへの対応にも積極的に取り組んでいることがわかりました。
 東京ウィメンズプラザは、都のDV対策の中核となる施設として、その重要性を増していると考えますが、これまでに果たしてきた役割や成果について、都の認識についてお伺いいたします。

○萩原男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザは、都民に開かれた総合相談窓口として、平成十四年度から二十一年度までの八年間で延べ四万件に上る配偶者暴力に関する相談に対応し、被害者の救済と生活再建のための支援に取り組んでまいりました。
 また、配偶者暴力に対する都民の理解を深めるための講演会の開催や、被害者の身近な地域で被害者支援に携わる関係者への各種研修を行うほか、区市町村への支援や民間支援団体への助成など、都における被害者支援の拠点施設として、さまざまな取り組みを実施してきたところでございます。
 今後とも、区市町村、警察、民間支援団体等の関係機関と連携しながら、配偶者暴力対策の充実を図ってまいります。

○野上委員 次に、有料老人ホームに関する消費生活行政の取り組みについて質問させていただきます。
 有料老人ホームの契約とか解約をめぐるトラブルが非常に多くなってまいりまして、新聞紙上などで報道されており、社会問題化していると思っております。
 平成二十一年度に全国の消費生活センターに寄せられた有料老人ホームに関する相談件数は四百件を超えており、その八割が契約や解約に関する苦情相談で、中でも入居一時金の返還などのトラブルが目立って多いと聞いております。
 高齢化が急速に進んでいる中、ついの住みかとして有料老人ホームを選択しようとする高齢者の方が安心して施設との契約を結び、入居生活を送れるよう、消費者の立場に立った取り組みが必要であると考えております。
 そこでまず、東京都の消費生活総合センターに寄せられた有料老人ホームに関する相談の状況についてお伺いいたします。

○小笠原消費生活部長 消費生活総合センターに寄せられた有料老人ホームに係る相談は、平成二十一年度が七十九件、平成二十二年度は十二月末までに三十一件となっております。
 具体的な相談事例といたしましては、短期間で退去することになったが、入居一時金の返金がされなかった。契約書には、一日でも入居すると入居一時金は戻らないとの記載があるが、不当な契約ではないかというものや、入居一時金を支払ったが、十九カ月後に入院のため退去したところ、入居期間の計算と原状回復費用の内容が不明確であり、入居一時金のかなりの部分が返金されなかったなど、解約時の入居一時金に関するものが多くなっております。

○野上委員 都においても、入居一時金に関する相談が多いということでございます。
 しかし、消費生活総合センターにこのような相談が寄せられても、入居一時金について、法令による規制が必ずしも十分ではないことから、センターの相談員による対応のみではなかなか解決しがたい場合もあります。
 こうした案件に対応するために、東京都には、東京都消費者被害救済委員会という仕組みがございます。
 そこで、この東京都消費者被害救済委員会の基本的な役割と、有料老人ホームについて、これまでに付託された案件の数と、付託に至ったトラブルの原因はどんなものがあるのかについてお伺いいたします。

○小笠原消費生活部長 東京都消費者被害救済委員会は、都民から寄せられた苦情や相談のうち、都民生活全体に大きな影響を及ぼすおそれがある案件について、あっせんや調停を行うことにより、公正かつ速やかに紛争解決を図るために設置されております。
 お尋ねの有料老人ホームにつきましては、平成二十年度から三件が付託されており、いずれの案件も、入居期間が短いにもかかわらず、入居一時金が納得のいく形で返還されないことから紛争に発展したものでございます。
 なお、三件の付託のうち二件はあっせん解決いたしまして、一件は現在処理中でございます。

○野上委員 東京都消費者被害救済委員会に付託された有料老人ホームに係る案件は、いずれも入居一時金という同じ原因によるトラブルであります。この問題に多くの高齢者が直面し、本当に困っている様子がよくうかがえます。
 有料老人ホームの入居一時金問題については、トラブルの増加を受けて、厚生労働省が法的規制の強化を図ろうとする動きも出ております。都は、状況に応じて国への提言や要望を行う必要性もあるかと思います。その際、国が実効性のある対策をとれるよう、現場の声を知る都から実情を伝えていただきたいと思います。
 しかし、有料老人ホームの問題は、都民にとって解決すべき喫緊の課題であります。都はこれ以上、被害が拡大することのないよう、国の動きを待つことなく、必要な取り組みをしっかりと進めていくべきであります。
 これらの取り組みをより的確に進めていくためには、消費生活行政を所管する生活文化局と有料老人ホームを指導監督する福祉保健局とが連携する仕組みをきちんと構築していくことが重要と考えますが、見解を伺います。

○小笠原消費生活部長 都は、これまでも複数の局にまたがるさまざまな課題に対して、より的確に対応するため、関係局による横断的な組織である特別対策班を設置いたしまして、取り組みを進めてまいりました。
 有料老人ホームの問題は喫緊の課題でございますことから、福祉保健局と特別対策班を二月に設置いたしまして、連携強化の仕組みを整えたところでございます。
 今後は、都民から両局に寄せられるさまざまな相談情報などを共有いたしまして、それぞれの持つ法令の権限を駆使した行政指導、有料老人ホームに関する都民への情報提供や注意喚起などを図ってまいります。

○野上委員 有料老人ホームの利用者である高齢者の方は、ただでさえ情報量や交渉力といった面で事業者に比べて弱い立場に置かれております。泣き寝入りしている消費者もいるのではないかと思っております。新たな連携の強化に期待するので、消費者トラブルの未然防止、拡大防止が図られるよう、しっかりと取り組んでいただきたいと思っております。
 次に、公衆浴場対策について質問させていただきます。
 数年前になりますでしょうか、おふろ屋さんが火災に遭いまして、ちょうどそのおふろ屋さんの周りの都営住宅におふろが設置されていないということで、ぜひもう一度この公衆浴場を開始していただきたいということで、いろいろな資金繰りを初め相談に乗ったことがあるんですが、結局は、最終的にはその場所が駐車場になってしまっておふろ屋さんがなくなった。そして、その都営住宅の方々は、かなり遠くの公衆浴場まで通わなくちゃいけないということで、今なおご苦労なさっていることがございます。
 そういった意味で、公衆浴場は、公衆衛生の確保を初めとして、都民の健康維持と地域のコミュニティの場としてなくてはならないものでございます。しかし、都内の公衆浴場は、利用者の減少とか後継者の不足、施設の老朽化などによって、年間四十件から五十件が廃業しておりまして、右肩下がりで減少の一途をたどっております。
 また、公衆浴場離れは、家庭ぶろの普及による利用者の減少もありますけれども、最近では気軽に温泉気分が味わえるスーパー銭湯が家族客でにぎわっているほかに、フィットネスクラブですね。これ、毎月一万円を超える金額でしょうけれども、フィットネスクラブに行けば、毎日そこにサウナも銭湯というかおふろもついているということで、フィットネスクラブを銭湯がわりに利用している人も多くて、公衆浴場を取り巻く経営環境はますます厳しくなってまいります。
 そうした中で、東京都は施設の整備を中心に、各種補助制度を設けて、公衆浴場の経営安定化に取り組んでおります。中でも、利用者の安全のための浴場の耐震化補助とか、また環境負荷の少ない都市ガスへの転換を推進するクリーンエネルギー化の補助については、今日的な課題にかなった事業であると思っております。
 私の地元葛飾区では、耐震化補助制度を活用した浴場は六件、またクリーンエネルギー化の補助制度を活用した浴場は四件と伺っておりますが、大切な事業であり、都としてこの補助制度の活用を一層推進していくべきと考えます。
 この点につきましては、昨年十一月の文教委員会で中山理事が質問を行いまして、耐震化、クリーンエネルギー化に対して、補助事業をまだ活用していない経営者の方々に利用済みの事業者の体験談を交えた講演会などをしていくべきだというふうに提案されましたけれども、その後の取り組みの中でどのようなことを行ってきたのかお伺いいたします。

○小笠原消費生活部長 耐震化及びクリーンエネルギー化促進のため、都は浴場組合役員の研修会に出向き、両事業の活用を依頼いたしましたほか、組合と連携いたしまして、浴場経営者の個別相談会を実施してまいりました。
 また、地域別説明会を実施いたしまして、実際に補助制度を活用した浴場経営者から施工内容や費用などについて詳しく話をしてもらう機会を設けたところでございます。
 こうした取り組みによりまして、今年度の実績は、耐震化は四十四件、クリーンエネルギー化は十八件となる見込みでございます。
 今後とも、浴場組合と協力いたしまして、地域に積極的に出向き、浴場経営者の方々にわかりやすくアピールするなど、これら補助制度の活用を働きかけてまいります。

○野上委員 この事業促進に向け、着実に取り組まれていることがよくわかりました。今後とも、より一層普及促進に努めていただけるようお願いいたします。
 公衆浴場対策には、これらのほかにも、健康増進型公衆浴場改築への補助制度などがあります。健康増進型への改築を行ったことで、公衆浴場を拠点として、高齢者の介護予防やひとり暮らしの方が地域でつながりを持てるようになったという話も聞いております。こうした補助制度についても、今回の説明会や相談会の場を利用して働きかけることで、さらに活用を促していけると考えております。
 今後とも、浴場組合と協力をして、地域に積極的に出向いて、創意工夫を凝らしたPRを行うことで、各種補助制度の活用を促し、公衆浴場の経営安定化に寄与していただくことをお願いして、次の質問に入ります。
 最後は、都民芸術フェスティバルについてでございます。
 今、非常に都民の生活が厳しいということで、文化芸術に割くお金のゆとりがなくなっているのではないかと危惧される面もございます。オーケストラ団体などのいろいろな話を聞いておりましても、チケットの売れ行きが悪いとか、厳しい経営が続いているということをこの前もお聞きいたしました。
 こうした苦しい時代にあって、都民が身近に芸術文化に触れ、心の豊かさを取り戻すことができるようにするために、行政の積極的な取り組みが重要であると思っております。
 都は、従来から芸術文化の振興を図るとともに、都民芸術フェスティバルというのを実施しておりますが、これは昭和四十三年から今日に至るまでの長い期間、ずっと行政と芸術文化団体が手を携えて取り組んできているという事業です。歴史的に古いんですけれども、この役割は大変重要で、この事業の意義がますます高まっているのではないかと思っております。
 前回もちょっと事務事業質疑において、都民芸術フェスティバルの規模と実績について伺ったところなんですが、この事業のさらなる拡充を願う立場から幾つかお伺いいたします。
 まず、都民芸術フェスティバルの二十三年度予算は幾らなんでしょうか。

○桃原文化振興部長 都民芸術フェスティバルの平成二十三年度予算額でございますが、二十二年度と同額の約一億五千万円となっております。

○野上委員 国の方が事業仕分けの中で、芸術文化団体への助成金を削減しようという動きがありまして、それでも都は前年と同じ予算を確保し、芸術文化団体を支えているということでございます。都民が多様な芸術文化に触れる機会の確保に努めていることは評価していきたいと思います。
 次に、都民芸術フェスティバルは、オーケストラとかオペラとかバレエとか、それぞれ十一分野の公演に対して助成を行う事業と伺っておりますが、このフェスティバル参加公演はどのように決めているんでしょうか。
 また、助成金の決定はどのように行っているのか、その内容、区分ですかね、それについてお伺いいたします。

○桃原文化振興部長 都民芸術フェスティバルは、東京都と東京都歴史文化財団が共催によって事業を実施しております。
 参加公演につきましては、歴史文化財団が専門家で構成する審査会を設置しておりますが、そこで団体からの申請に基づきまして、公演の事業計画の内容を審査した上で選定をしております。
 助成額につきましても、この審査会においてそれぞれの公演に要する事業予算や公演内容等を勘案し、決定をしております。

○野上委員 都民芸術フェスティバルというのは、都民が気楽にすぐれた舞台芸術に親しめる機会を提供する、要するに安い料金で、質の高いものを提供するということで、そのことが非常に重要な目的となっていることでございますが、この参加公演の選定に当たっては、公演の内容ですかね、それが果たしてそれにそぐうものかどうかということもあわせて、どのような観点から選定しているんでしょうか。

○桃原文化振興部長 都民芸術フェスティバルは、質の高い公演を都民の皆様に低廉な料金で提供することが事業目的となっておりますことから、参加公演の選定に当たりましても、この点を最も重視して審査を行っております。
 その上で、日ごろ芸術文化になじみの薄い都民の方々にも気軽に公演を楽しんでいただけるよう、公演中に作品の解説を行ったり、せりふの字幕をつけることなどにより、公演内容をわかりやすくする工夫を行っているか、また託児サービスの導入などにより、来場される方々に対する配慮を行っているかなどについても重要な要素として審査を行っております。

○野上委員 さっきの託児サービスとか、歌舞伎の字幕サービスとか、多くの都民の方が舞台公演を鑑賞していく上で非常にプラスになるような施策も行っているわけでございますが、最後に、観客からはどのような評価を得ているのかということと、その声を都としてどう受けとめているかについてお聞かせください。

○桃原文化振興部長 まず、観客の皆様からの評価でございますけれども、二十一年度の公演時に実施をいたしましたアンケート結果におきまして、約九割の方から満足、またはやや満足のお答えをいただいております。
 能楽の公演では、五つの流派が一堂に会する唯一の機会であったこと、オペラの公演では、日本での上演機会が少ない演目が見られたことなど、多彩なプログラムを提供したことが評価されるとともに、バレエの公演では、初めて見る子どもたちにも役立つよう、公演の前に解説を実施するなど、親しみやすい工夫がなされていることなどが高い評価につながったものと考えております。
 都といたしましては、この事業に対する都民の期待が大きいものと認識しておりまして、今後とも都民芸術フェスティバルを着実に推進してまいります。

○野上委員 今後とも、都民芸術フェスティバルを通じて、都内で活躍、活動する多くの芸術文化団体が安定的に質の高い公演を続けることができ、都民がその成果を十分に享受できるよう事業の拡充を求めて、質問を終わります。

○畔上委員 資料の作成、ありがとうございました。
 それでは、まず第四十九号議案からお願いします。
 この議案は、芸術劇場の中会議室を展示ギャラリーに変更するもので、条例の料金表の中会議室の項目を削除するというものであります。そして、中会議室を改修してつくった展示ギャラリーには、既に条例上存在する展示ギャラリーの項の額が適用されることになるというふうに伺いました。
 そうなりますと、現在の中会議室の利用料の上限額が四万八千二十円、展示ギャラリーになりますと、利用料金の上限額が十三万一千六百十円と大幅に上がることになるわけです。
 知事の承認が必要とはいえ、指定管理者の判断で今の三倍近い料金まで設定が可能にはなるわけですね。それでは大変な負担増もあり得るんではないかと大変心配になりますけれども、実際はどうなのか、利用料金の設定の考え方、これをお示しください。

○藤井文化施設改革担当部長 東京芸術劇場におきます施設の利用料金は、指定管理者である東京都歴史文化財団が条例で定められている上限額の範囲内であらかじめ知事の承認を得た上で定めるという、委員のお話しのとおりの定め方でございます。
 具体的な料金につきましては、歴史文化財団が設定する中で、その算定に当たって、既存の展示ギャラリーと同じ考え方のもとで、面積や設備等を勘案して定めるというふうに聞いております。

○畔上委員 今、中会議室としての条例上の利用料金、一日四万八千二十円ですけれども、実際には三万四千円で貸し出されているわけですね。展示ギャラリーになると、今の利用料より高くなるということでしょうか。中会議室より。

○藤井文化施設改革担当部長 区分が、利用として会議室と展示ギャラリーと使用方法が違うということの中で、施設の設備等が当然施設によって違っておりますので、それに応じて実際の歴史文化財団が設定する際には考慮するということになりますが、基本的な部分につきましては、利用者が過大な負担にならない料金設定を行うということが従前から行われておりますので、そのような考え方のもとに今後も進めていくというふうに聞いております。

○畔上委員 展示ギャラリーとなることは、利用者などの要望もあると思いますので賛成いたしますが、今、負担にならないようにというお話がありました。そういう点では、都民の芸術文化活動を支援する立場で、ぜひその点は負担増にならない料金設定でお願いしたいというふうに思います。
 この劇場でのコンサートなど、私も何回か行ったことがあるんですけれども、やっぱり都民の貴重な発表の場だなというふうに思っております。そういう点では、公共施設としての役割をしっかり発揮していただきたいということを申し上げまして、次の質疑に移ります。
 次に、悪質業者対策についてです。
 悪質業者対策を行うことで、多発、深刻化する消費者被害をなくすことは重要なわけです。悪質業者を市場から排除する上で、取り締まりの強化とともに、適正指導を東京都として取り組んでいらっしゃるわけなんですが、その拡充も強く求められていると思います。
 最近も、私、こんな相談が高齢者の方からありました。友人の紹介であったので信用して、一生懸命こつこつためてきた貯金三百万を、金融商品を買って失ってしまったということなんですね。
 消費者行政の拡充強化については、昨年の事務事業質疑で質疑した際に、都からは、悪質業者を排除する取り組みとして体制強化を行って、近県との連携も行い、昨年度は二十八件の行政処分を行ったというふうにご報告されました。最近の悪質業者被害の特徴はどういうものなのか、ちょっと伺いたいと思います。

○小笠原消費生活部長 消費生活センターに寄せられた消費者トラブルを見ますと、ひとり暮らしの高齢者や社会経験の浅い若者が悪質事業者のターゲットになっており、未公開株などの金融商品やインターネット上のもうけ話による被害などが目立っております。

○畔上委員 そうした悪質な業者を取り締まるということが、業者全体の質の向上につながっていくんだというふうに思います。そういう点では、さらなる取り締まりの強化を求めたいと思います。
 また、過大な広告表示が消費被害を広げていて、消費者への注意喚起とともに、やはりこうした広告表示の適正化が大切だと思います。この広告表示の適正化についてはどのような取り組みをされているのか伺います。

○小笠原消費生活部長 広告表示は、消費者が商品やサービスを購入する際の重要な判断材料であることから、都はこれまでも適正な表示が行われるよう、さまざまな事業を展開しておりまして、都内の小売店舗などにおける表示の適正化を図るため、職員による立入調査を実施するほか、都民二百人を消費生活調査員に委嘱し、その報告に基づき行政指導を必要に応じて行っております。
 また、近年のインターネットショッピングが拡大している状況を踏まえまして、年間二万件のインターネット上の広告を監視する事業を行い、不当表示の排除に取り組んでおります。
 このような監視指導に加えまして、広告表示の適正化に向けた事業者の自主的な取り組みを促すため、通信販売を初め幅広い分野の事業者を対象にコンプライアンス講習会を開催しております。

○畔上委員 これも生活相談で受けたんですけれども、その被害はやっぱりインターネットの過大広告だったんですね。今のご説明をいただいて、インターネットの監視などもかなり積極的に取り組まれているということがわかりました。被害防止を図るための消費者団体訴訟制度もできたわけですけれども、この現状と課題について都はどのように考えていらっしゃるかも伺います。

○小笠原消費生活部長 消費者団体訴訟制度は、内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体が、不特定多数の消費者に影響するような不当な契約行為について、事業者に対し差しとめを求める交渉や裁判を提起することができるという制度でございます。
 都内には二つの適格消費者団体があり、この制度を活用して、事業者に対する積極的な申し入れを行っております。これによりまして、多くの事例におきまして、事業者は自主的に業務を改善しているところでございまして、消費者被害の未然防止に効果を上げていると考えております。
 都は、申し入れや訴訟などに必要な消費生活相談情報を提供するなど、引き続き、適格消費者団体を支援していく考えでございます。

○畔上委員 契約内容の改善を業者に求めて、訴訟する前の段階で、三十六の業者がそれに応じた実績もあるというふうに伺っています。そういう点では、適格消費者団体との連携をぜひ強化していただきたいということと、それから、訴訟の助成ですね。財政的な支援も含めて、ぜひ検討していただきたいということを要望したいと思います。
 次に、東京大空襲の犠牲者名簿の収集についてです。
 一夜にして十万人もの命を奪い、また下町一帯を焦土と化した東京大空襲の悲劇がありました三月十日が近づいております。私の地元江東区では、三万一千六百八十一人の方がこの東京大空襲で亡くなりました。家族や親戚など身近な人たちを失った方が私の周りにも多くいらっしゃるんですが、私自身もおじがこの大空襲で亡くなりました。
 こうした悲劇を二度と再び繰り返さない、この思いを込めて、また亡くなった方々を供養する思いを込めて、三月十日には都の平和の日を初め、大空襲を語り継ぐつどいや追悼式などが行われているわけです。
 今、東京都では、東京大空襲の犠牲者名簿作成に取り組んでいらっしゃるわけですが、昨年の三月の時点で七万九千百五十八人の方のお名前が登載されているというふうに伺っています。東京大空襲の犠牲者の名簿の収集、この周知は今どのようにされているんでしょうか。

○桃原文化振興部長 名簿収集の周知につきましては、都では記事をホームページに掲載いたしますとともに、「広報東京都」や東京空襲資料展のポスター、チラシなどを通じまして、名簿登載への呼びかけを行っております。
 また、都内の区市町村や他の道府県に対しても、名簿収集についての周知に協力していただけるよう依頼をしております。

○畔上委員 家族も親族も亡くなってしまった方も多いと思うんですね。そういう中で申し出の申請状況はどうなっているんでしょうか。

○桃原文化振興部長 東京空襲犠牲者名簿につきましては、平成十一年度からその作成に取り組んできておりますけれども、毎年一月から十二月までの一年間でお申し出があった方々のお名前をまとめて名簿に登載することとしております。
 平成二十二年におきましては新たに三百四十五名の方からお申し出があり、その方々のお名前を追加いたしますと、平成二十二年十二月末現在における名簿登載者数は合計七万九千五百三名分となります。

○畔上委員 新たに申し出をされた方も意外と多いんだなと思ったんですが、名簿の保管と管理は、墨田区の横網町公園の中にある東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑、この中に保存されているわけですね。申出書の周知徹底は、先ほどご説明あったんですけれども、さらに都としても積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 また、昨年の三月の委員会で、私は、この大空襲を初めとするたび重なる空襲を受けた東京で平和祈念館をつくって、資料の整理と研究に早く着手するようにという思いで、収集した資料の管理と保存について質疑をしたわけです。祈念館の建設とともに、都民から収集した資料等を民間の展示会、例えば平和のための戦争展など、こういったところで活用できるようにすることも大事だと考えているんですが、いかがでしょうか。

○桃原文化振興部長 収集した東京空襲関連資料につきましては、展示の客観性の確保や資料保全の観点から、都が実施する東京空襲資料展で活用を図るほか、都内の区市町村が主催する事業に限り貸し出しを行っております。
 これまで遺族会などが区市町村との共催で事業を実施した場合につきましては、貸し出しを行ったことがございます。

○畔上委員 行政が主催または共催したものに限ってということで貸し出しをされているということですね。やはり広く一般の方々に公開してこそ、私は資料提供してくださった方の思いにこたえることになると思いますし、また亡くなった方々の供養にもなると思いますので、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。
 今、世界では、昨年五月に開かれました核不拡散条約の再検討会議を一つの契機にして、国連の事務総長も交渉開始を呼びかけるなど、核兵器の廃絶の世論と運動が広がっているわけです。侵略戦争という負の遺産をきちんと総括することも、歴史を前に進め、平和と友好を広げるためには避けて通れないことだというふうに思います。
 国際都市東京においても、戦争の惨禍を語り継いで、平和と命のとうとさを伝え、平和を発信する、そういう祈念館の建設に私も努めていきたいということを申し上げまして、終わりたいと思います。

○星委員 私からは、消費者行政について二点ほどお伺いをしたいと思います。
 今日の社会では、ライフスタイルや価値観が多様化し、さまざまな消費者ニーズにこたえる新商品やサービスなどが次から次へと登場しています。また、インターネットや携帯電話などの普及は、商品やサービスの利用や購入などの取引形態にも大きな変化をもたらしています。
 このように私たちの消費生活を取り巻く環境が目まぐるしく変化している中で、消費者トラブルも多様化しています。携帯電話やインターネットによるもの、霊感商法や押し売りなどの悪質商法、通信販売によるトラブル、商品の表示の偽装、食品やサプリメントによる健康被害、このような消費者トラブルが発生したとき、消費者の相談に乗り、解決の手伝いをするのが国民生活センターや都道府県、市区町村の消費生活センターなどの消費生活相談窓口です。
 しかし、平成二十年度の国民生活白書によれば、消費者被害に遭った人の約三割がどこにも相談しておらず、国民生活センターや消費生活センターに相談した人というのは約一四%にとどまっています。こうした現状を踏まえ、住民が安心して消費生活を送るためには、身近な消費生活相談窓口の充実強化が重要です。
 これまで市区町村は、各自治体に寄せられる声や消費者被害の状況などに応じて相談機能の充実を図ってきたところですが、東京都においても、平成二十一年度から、消費者行政活性化基金を活用して消費生活相談窓口の強化などを支援しています。
 そこでお聞きしたいのですが、基金により区市町村の消費生活相談窓口はどのように充実してきたのか、窓口の設置状況、施設の整備充実、相談日数の増加や時間延長などの状況についてお伺いをいたします。

○小笠原消費生活部長 平成二十一年度からこれまでに、区市町村は基金を活用して消費生活相談窓口の拡充に積極的に取り組んでおります。窓口の設置状況につきましては、大島町が新たに相談窓口を設置したことで、現在、都内すべての区市と四町に相談窓口が設置されたことになります。
 施設の整備充実につきましては、十六区市町において、窓口をより住民に利用しやすくするため庁舎一階への移転や相談ブースの増設などを行っております。
 また、相談日数の増加や時間の延長につきましては、十一区市において実施をいたしまして、相談サービスの拡充を図っております。

○星委員 この基金により市区町村の相談窓口の充実に拍車がかかってきたことは理解できました。しかし、市区町村の実態を個々に詳しく調べてみますと、まだまだ十分でない自治体があるように思います。
 近年、新手の悪質商法や商品、サービスの安全に関する事故などが後を絶たず、住民に身近な市区町村の相談窓口がしっかり機能することへの期待がますます高まっていると思います。
 そこで都は、これまで以上に基金を市区町村に優先的に配分し、相談機能の充実強化のための自主的な取り組みを支援するとともに、専門的知識やノウハウの提供など、支援の充実に積極的に取り組むべきと考えますが、東京都は平成二十三年度、消費者行政活性化事業に基金の活用の最終年度として約六億円を計上しています。このうち、市区町村へはどれだけ配分されるのでしょうか。また、東京都はどのように市区町村を支援するのかお伺いをいたします。

○小笠原消費生活部長 都は、これまでも基金の活用に当たりましては、区市町村に重点的に配分することとしておりまして、平成二十三年度においても、区市町村の要望を受け、五億七千八百万円余の消費者行政活性化基金事業のうち、約九割に相当する四億九千五百万円余を区市町村への助成金に充てる予定でございます。
 この基金により、区市町村は、案内板の設置やラッピングバスによる消費生活センターの周知や、展示コーナーの設置による相談窓口の充実など、それぞれの実情に合わせた相談機能強化に取り組む予定でございます。
 一方、都は、相談員の実務能力のレベルアップを図るための実践的な研修会や、消費生活に関する情報をオンラインで提供する消費生活相談支援サイトの充実などにより、区市町村の相談事業を支援していく考えでございます。

○星委員 ありがとうございました。東京都は、この間本当に努力をされているというふうに私も認識をしております。
 しかしながら、市区町村の方の主体性というところの中の部分では、まだまだだなというふうに思っているんですが、東京都と市区町村が緊密に連携し、それぞれの役割をしっかりと果たしていくことが必要と考えておりまして、特に相談員の専門性を高めることも大事ですけれども、何よりも市区町村も相談に対して待ちの姿勢ではなくて、地域にどんどん出向いていったり、さまざまな機会を通じ住民と接触し、啓発PRなどをして、相談事業の活用を促す努力をするべきだと思います。
 今後、東京都においては、区市町村の先駆的な取り組みを行っている、そんな事例をぜひPR、広報していただきたいというふうに思います。市区町村の取り組み強化を後押しすることをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

○中山委員 それでは、私から、先ごろ中途議決の対象にもなりました東京芸術劇場の改修についてお伺いしたいと思います。
 あくまで私見でございますけれども、芸術文化の振興を担う施設というのは、少なくとも二つの種類の共存共栄を果たしていかなければならないと考えております。
 一つは、芸術文化の最先端を担い立つ文化人との共存共栄であり、もう一つは、その施設が存在する地域社会、地域の人々との共存共栄でございます。その二種類の共存共栄が東京芸術劇場においてどのように果たされていくのか、その観点から本日の質問を行いたいと思います。
 東京芸術劇場は、クラシックコンサートと演劇、それぞれの専用ホールを持った芸術文化の拠点となる文化施設でございます。平成二年のオープンから二十年が経過して、建物や舞台設備の老朽化が著しいため、この四月から一年半の休館に入り、改修工事を行うこととなりました。
 東京芸術劇場は、二年前から日本を代表する演劇人である野田秀樹さんを芸術監督に迎え、体制を強化したと聞いております。改修に当たりましては、野田秀樹さんのような演劇の専門家の方々や音楽家の方々がその力を十分に発揮できるよう、工事内容にこれらの専門家の意見を十分反映すべきと考えますが、どのように改修に反映されているのかお伺いいたします。

○藤井文化施設改革担当部長 演劇用ホールにつきましては、野田芸術監督を初め、多くの舞台芸術の専門家などの方々と意見交換を重ねまして、客席や舞台設備の設計に意見を反映させてまいりました。
 具体例といたしましては、客席数が約八百席ある中ホールにおきまして、どの客席でも役者のせりふが聞き取りやすいよう、ホールの形状の変更を行いました。
 また、舞台の天井から大道具や照明をつり下げる装置につきまして、映像や照明を多用する最新の演出手法にも十分対応できるよう、必要数や設置位置、最大荷重などの改善を図ったところでございます。
 音楽用の大ホールにつきましても、定期演奏会などで数多く利用している東京都交響楽団や読売日本交響楽団に音響実験の協力を得て、音質がよりやわらかくなるように、壁面の一部を木材に変更するなど、音楽家の意見を反映させたところでございます。

○中山委員 今、ご答弁をお伺いしまして、すばらしいなと思いました。形状を今までの馬蹄形的なものから変えたということですよね。ホールの形によっては反響がふくそう化して、音が明瞭に聞こえない、せりふが明瞭に聞こえないという課題があったところを直されたりとか、それから照明をつり下げる装置、バトンについても、一トンとか二トンとかという特別な大変な照明でも対応できるようなものを備えていらっしゃるとか、そうしたことをお伺いしました。
 また、壁面の一部を木材に変更するということは、小さいころあこがれた高いスピーカーは木製だったかなとか思った次第ですけれども、本当にそういった事柄が、野田秀樹さんのような、あるいは野田さんもそうですけれども、現在活躍している文化人の方々の意見を聞くことができたからこそ取り入れることができたんではないかと思います。
 野田さんは、日本だけでなくて、お伺いしたところによりますと、世界的にも外国の地で、外国の芸術家と一緒に舞台の演出家として成功に導いたりされて大変活躍していらっしゃる。そうした一流の文化人の方々は、若手文化人の育成を強く願っていらっしゃると思います。その若手文化人の育成の拠点となっていくのが東京芸術劇場のような文化施設であると思います。
 したがいまして、文化施設の発展というのは、すぐれた文化人の文化を愛する情熱と一体となって発展していくべきと考えております。その意味で、どの国でも、それぞれの地域の文化を担い立つ文化人の方々と綿密に連携し合いながら文化施設は存在しているんだと思います。
 また、文化人に対する称賛の仕方もいろいろあるかもしれません。いろいろな賞状を送るとか、そういうのはあるかもしれませんけれども、それ以上に、その方の考えに基づいて、文化を担い立つ後継者を育成していく、その舞台となる施設というものの成長に対して、大きくアドバイスをちょうだいする立場というのをお願いしていく。これは、ある面ではその文化人の方にとっても大変誇り高いことであるのではないかと思います。
 そうした意味で、指揮者であれば小澤征爾さんがオーケストラの存在する地で大変大事にされているのと同じように、日本の文化人の方々、また東京の文化人の方々と一体となって、ぜひ都の東京芸術劇場も整備を進めていっていただきたいし、また、文化交流に役立つこれからの活躍を願って、工事の無事を願いたいと思っております。
 あわせて、専門家の意見をたくさん聞いて、改修内容に反映させている点をお伺いして安心した次第ですけれども、文化施設が芸術文化の拠点として認められて評価を得ていくためには、地域と連携することが不可欠でありまして、近隣住民への配慮が大切であります。やはり文化施設が文化施設である以上は、地域から愛されていなくちゃいけないと思うんですね。地域の人たちから隔離されたといいますか、地域の人たちが親しみを持てないようなものでは困りますし、そういう意味では、近隣の方々への配慮というのは大変大切だと思います。
 特に、今回改修される東京芸術劇場は池袋駅前にありまして、敷地内をふだんから多くの人が通行していらっしゃいます。また、隣接する池袋西口公園で行われている地域のイベントには、芸術劇場の敷地も利用していると聞いております。この点、改修工事期間中は、地域の方々にも少なからず影響が出ると思いますが、どのような対応を考えていらっしゃるのかお伺いをいたします。

○藤井文化施設改革担当部長 東京芸術劇場の改修に関しては、これまでも設計段階から近隣住民の方々に向けた工事説明会を実施してまいりましたが、今月中にも工事の詳細に関する説明会を改めて実施する予定でございます。
 近隣住民への具体的な配慮といたしましては、通行する方々や西口公園でのイベント開催に大きな支障が出ないよう、工事期間中に設置する仮囲いフェンスの設置範囲を必要最小限にとどめることとする予定でございます。
 また、工事現場の防音対策を徹底いたしますとともに、大きな音の出る作業時期につきましては、地域のイベントと重ならないよう配慮してまいりたいと思います。

○中山委員 これまでも随分配慮されてきたということですよね。お伺いしたところ、池袋西口公園の土地と東京芸術劇場の土地というのは区分がなくて、地域の方々が池袋西口公園で開催されているお祭りとかイベントは、東京芸術劇場の敷地も食い込んでやっていらっしゃるそうですけれども、東京都は文句もいわずに、心広く協力をされてきたということもお伺いしております。
 また、その上で、今お話がありましたような答弁でありましたように、配慮をしていくということでございまして、ぜひ工事期間中も地域の方々から、工事の一日も早い無事の完成を待ち望まれて、そして、再びご利用いただけるときには、地域の方々に愛される施設として発展していくことを願っております。
 これまで以上に地域の方々に親しまれた存在として多くの注目を集めて、東京芸術劇場の改修が終了し、二十周年を迎えた以降、ますます発展していくことを願って、質問を終わります。

○古賀委員 先ほど、仮称だったと思いますけど、平和祈念館の質疑がありましたので、ちょっとそれに関して、一、二聞かせていただきたいと思うんです。
 これはもう十年以上前のことで、私、この文教委員会で、かなり激論が交わされ、当時、一般会計予算に付帯決議もつけて一定の決着を図ったという経緯があるんですね。今、名簿のことや空襲犠牲者を追悼慰霊するということでの視点でのお話でありましたので、私もその点については、追悼の気持ちを都民が、国民がひとしく持つということでは異論は全くないわけです。
 私は東京都平和の日の検討委員会の委員も長くやっておりまして、当時のことを思い出してみますと、もう十年以上前なんですが、落語家の林家三平さんの奥さんの海老名香葉子さんなんかともいろいろお話しする機会がありまして、そのときのお話では、とにかくご家族を亡くされている遺族の立場でおっしゃるのは、我々遺族や関係者が空襲犠牲者に対して手を合わせて追悼する場を一日も早くつくってくださいということでありました。その願いは当然達成されなければならないわけで、それは都に限らず国にも大きな使命があるというふうに思います。
 ただ、これがなぜ問題になったかといいますと、展示内容が具体的に委員会に報告されて明らかになった時点で、この委員会での記録を読めば皆さんもおわかりいただけると思うんですけれども、たしか東京は軍事都市であったと。軍事都市東京という言葉が使われていたと思いますけれども、軍事都市であったから、当然の報いとしてアメリカ軍の攻撃目標となって空襲を受けた、つまり、国際法に違反をする一般民間人に対する大殺りくである東京大空襲を正当化する立場での展示が行われるという内容であったわけです。
 その点が大変大きく問題になり、遺族の方や関係者の方とも集会を開いたり、陳情、請願を出したり、横網町公園での都のたしか測量か何か、説明会か何かにも大勢の皆さんと一緒に私は参加した記憶があります。そういったことで、都議会の中では、ほとんどの大多数の会派だったと思いますけれども、付帯決議をつけて、この問題に一定の結論を出したということでありました。
 ですから、私は別に通告も何もしていない、これは通告質問とかじゃないので、当時の一般会計予算の予算特別委員会、それから本会議でつけた議会としての付帯決議について、もしわかればその内容をここで確認させてもらいたいと思うんですけど、いかがでしょうか。

○桃原文化振興部長 仮称東京都平和祈念館の建設につきましては、平成十一年第一回都議会定例会におきまして、次のような付帯決議が付されているところでございます。
 平和祈念館(仮称)については、次の事項に配慮すること、一、平和祈念館の建設に当たっては、都の厳しい財政状況と従来の経緯を十分踏まえ、展示内容のうち、いまだ議論の不十分な事実については今後さらに検討を加え、都議会の合意を得た上で実施をすること、二、東京空襲犠牲者追悼碑の早期建立に取り組むこと、三、東京空襲犠牲者名簿の収集、作成を平成十一年度の早期に開始すること。
 以上が付帯決議でございます。
 なお、東京都はこれを受けて、十二年度には空襲犠牲者追悼碑の建立及び東京空襲犠牲者名簿の作成をしております。

○古賀委員 当時の記録を読めばもっと正確にいえると思うんですけれども、たしかこれを請け負っていた丹青社といったと思うんですけれども、いわゆる展示をいろいろ企画した会社は、長崎の平和資料館とか大阪のピースおおさかという、いわゆる平和資料館、祈念館のようなものをやはり手がけていらして、そこにも実際には存在しなかった戦時中のにせの写真を使ったり、説明が非常に反日的であり自虐的である内容が含まれているということで、大阪や長崎でも問題になったことがありました。
 その会社が同じように引き受けて、展示内容をかなり具体的に決めた。しかし、その際、建設委員会の検討結果を踏まえてつくったということだったんですけれども、その委員の中には、これはどう見てもという、ある特定の歴史観に偏った、例えば都教組の活動家の人とか、反核何とか団体とか、そういう団体の人が含まれていたと記憶をしています。
 そこで議論されたことが展示内容に反映したということに結果的になるんですけれども、余りにも遺族や関係者の皆さんの思いとはかけ離れたものであったために、議会で大変大きな問題になり、私も等閑に付すべきでない重大な問題であるというふうに思いましたので、本会議等でもたしか発言したと思いますけれども、議論を重ねたわけです。
 ですから、本来、国が何かやるということであれば、それはそれで私どもが直接関与するということは、間接的になってくるわけでありますけれども、少なくとも東京都が、公正な歴史的な立場で、歴史観に立って進めるということでなかった、その軌道の修正を図ったということで、議会は議会としての役割を果たし得たというふうに思っています。
 ですから、この東京大空襲を企画したアメリカの戦略爆撃の司令官をやっていたのはカーチス・ルメイという、これは札つきの人種差別者で、日本人は動物以下だというような思いがあって、結局、紙と木でできている日本の家屋は焼夷弾を落とせばすぐに燃えてしまうということで、三月十日というのは陸軍記念日だったわけで、その日をねらって、風の強い日をねらって、逃げ道をふさぐような形で焼夷弾を投下して、十万人の皆さんの非戦闘員の命を奪ったという大変悪逆非道な司令官だったわけです。それを、当然空襲を受けても原因が日本側にあるような、そういう内容の展示というのは、これは大きな禍根を将来に残す問題であったというふうに私は思います。
 こういう経過は、私は今思い出しただけでそういうことを記憶しているんですけれども、現時点では、いわゆる平和祈念館の建設については、都側としてはどんな見解、認識を持っておられるか。それを念のため聞いておきたいと思うんですけど。

○並木生活文化局長 都といたしましては、平成九年から十一年にかけまして、当時の都議会におきまして、平和祈念館(仮称)の展示内容などをめぐりまして議論があり、それで展示内容に係る歴史認識や見解に相違があった。そして、大方の合意が得られずに付帯決議がなされたというふうに理解しており、その重みは十分認識してございます。
 したがいまして、平和祈念館(仮称)の建設につきましては、都議会で改めてまた一定の審議と合意がなされなければ対応は非常に難しいと、このように考えてございます。

○古賀委員 これで終わりますけど。都議会の付帯決議に従って、名簿の収集も現に始まって、先ほどのご答弁では七万九千名以上の犠牲者の方の名簿が集まっている、またおさめられているということですし、海老名香葉子さんがおっしゃっていた、遺族の皆さんや関係者の皆さんが静かに手を合わせて、鎮魂の気持ちで亡くなられた方を追悼する施設も議会の決議に従ってできているということ、議会としてきちんと都議会はその役割を果たし、また、都側もそういった認識に立って行政を展開した、都政が展開されたということを確認しておきたいと思います。ありがとうございました。

○原田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時四十六分散会

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