文教委員会速記録第十一号

平成二十二年九月三十日(木曜日)
第三委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長大西さとる君
副委員長星 ひろ子君
副委員長村上 英子君
理事岡田眞理子君
理事谷村 孝彦君
理事馬場 裕子君
畔上三和子君
遠藤  守君
島田 幸成君
滝沢 景一君
服部ゆくお君
遠藤  衛君
古賀 俊昭君
大津 浩子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長大原 正行君
次長松田 芳和君
理事岩佐 哲男君
総務部長庄司 貞夫君
都立学校教育部長直原  裕君
地域教育支援部長松山 英幸君
指導部長高野 敬三君
人事部長岡崎 義隆君
福利厚生部長谷島 明彦君
教育政策担当部長中島  毅君
特別支援教育推進担当部長前田  哲君
人事企画担当部長高畑 崇久君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 教育庁関係
契約議案の調査
・第百三十九号議案 都立羽村特別支援学校(二十二)増築及び改修工事請負契約
・第百四十号議案 都立練馬地区特別支援学校(仮称)(二十二)改築及び改修工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百三十四号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画(案)の骨子について

○大西委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書四件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○大西委員長 契約議案について申し上げます。
 契約議案は、財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することとなっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十二年九月二十九日
東京都議会議長 和田 宗春
文教委員長 大西さとる殿
契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第百三十九号議案 都立羽村特別支援学校(二十二)増築及び改修工事請負契約
第百四十号議案 都立練馬地区特別支援学校(仮称)(二十二)改築及び改修工事請負契約
2 提出期限 平成二十二年十月四日(月)

○大西委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の契約議案の調査及び付託議案の審査並びに報告事項に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百三十九号議案及び第百四十号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○村上委員 私の方からは、今回上程をされております契約案件について質問をさせていただきます。
 今回の契約議案の概要を見ますと、羽村特別支援学校は、予定価格が二十一億九千五百十五万円に対して、契約金額が十六億五千三百七十五万円で、落札率は七五・三%。一方の練馬地区特別支援学校(仮称)は、予定価格は十一億四千五百五十五万円に対して、契約金額が八億三千八百九十五万円で、落札率が七三・二%と二件とも予定価格と比べて七十数%と低価格での契約締結となっております。
 先日、我が党の三宅幹事長が代表質問において、第三次実施計画における再編整備についてお伺いをいたしました。
 教育長の答弁では、知的障害特別支援学校の在籍者数の大幅な増が見込まれており、あらゆる対策を講じて、教室確保に努めていく必要があるとのお答えをいただきました。
 学校施設は子どもたちが学び、活動する場であり、特に特別支援学校は、障害のある子どもたちの教育の場として、十分安全に配慮された施設でなければなりません。低入札という状況で契約することで、こうした子どもたちの安全が脅かされたり、将来に施設的な不安が発生したりすることになってはならないと思い、質問をいたします。
 今回の低入札価格での契約で、建物の質や安全性は確保されるのかどうか、お伺いさせていただきます。

○前田特別支援教育推進担当部長 財務局では、調査基準を下回る低価格での入札を行った者があった場合は、当該案件の内容に適合した履行がなされないおそれがあるか否かを判断するため、一たん落札の決定を保留しております。
 その後、調査対象者から調査資料の提出を受け、ヒアリング及び積算内容等の調査を行い、庁内部課長級を委員とする低入札価格審査委員会で審査の上、落札者とするか否かを決定するという制度を設けてございます。
 今回の二件の契約案件は、財務局の契約案件でございますが、入札価格が低価格であったため、この委員会で審査したところ、入札者の積算内容、執行体制等について特段の問題は認められなかったとのことでございます。
 財務局として、施工中の安全管理、検査体制、監査体制を強化していくとの確認を得ており、両施設の品質の確保は可能であると判断しております。

○村上委員 低入札価格審査委員会での審査を経ているということ、また、施工中の確認体制も厳しくすることで、施設の品質の確保は可能であるというお答えで、ひとまずは安心をいたしました。
 しかし、施設整備の数が十分でないばかりか、転用教室やカーテンなどで間仕切りされた教室等の活用によって、普通教室が確保されている状況が現在はあるとのことでございます。
 そこで、ぜひ、施設の品質の確保は可能であるということではありますが、特別支援学校の施設については、特に安全であり、障害の状態や特性に配慮した環境でなければならないと考えていますが、施設の改修、あるいは改築に当たって配慮していることは何なのか、お伺いさせていただきます。

○前田特別支援教育推進担当部長 文部科学省の特別支援学校施設整備指針では、特別支援教育を推進するため、障害のある幼児、児童生徒の一人一人の教育的ニーズに対応した指導、支援を考慮した施設環境づくりを基本とすることが重要であるとしております。
 都教育委員会においてもこうした指針を参考として、障害の状態、発達段階、障害特性に応じて、安全かつ快適な教育環境づくりに配慮した施設整備を行うことを基本としてございます。
 また、こうした指針を踏まえ、学校の意見なども十分配慮しながら施設整備を進めてまいります。

○村上委員 それでは、この二つの学校施設にはどのような特徴、あるいは工夫がなされているのか、お伺いさせていただきます。

○前田特別支援教育推進担当部長 まず、安全かつ快適な教育環境に配慮した上で、両校とも知的障害教育部門の高等部でございますので、実習室や木工室など、職業的自立に必要な技能などが身につけられ、就労に向けた指導や支援が可能となる施設を整備してまいります。

○村上委員 特別支援学校は障害のある子ども一人一人がその持てる力を存分に高め、生活や学習上の困難を改善または克服しながら、将来の自立と社会参加に向けて必要な知識、技能を身につけ、生きる力と意欲をはぐくむ大切な場だと考えます。
 学校施設は、子どもたち一人一人が将来の夢の実現に向けて具体的に活動する場として非常に重要な役割を担っています。
 中でも特別支援学校は、障害のある子ども一人一人の発達段階や障害特性に応じた教育活動を展開する場として、子どもたちがゆとりと潤いを持って、安全かつ快適に過ごすことのできる場でなければなりません。
 新しく整備される学校が、そこに集う障害のある子ども一人一人にとって、夢をはぐくみ、夢を実現できる場となることを期待して質問を終わります。

○大西委員長 ほかに発言はありますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○大西委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百三十四号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明聴取いたしておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。--ありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○大西委員長 次に、報告事項、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画(案)の骨子についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○庄司総務部長 去る九月十六日の当委員会において要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料の目次をお開き願います。ごらんいただきますように、今回要求のございました資料は十件でございます。
 一ページをお開き願います。1の平成二十二年度情緒障害等通級指導学級設置校及び学級数、児童生徒数、教員数でございます。
 このページから二ページにかけまして、平成二十二年度に情緒障害等通級指導学級を設置している学校及び学級数、児童生徒数、教員数について小中学校別及び区部、市町村部別にお示ししてございます。
 三ページをごらん願います。2の情緒障害等通級指導学級での指導が適切である者でございます。
 文部科学省の通知により、情緒障害等通級指導学級での指導が適切であるとされている者の障害の種類及び程度についてお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。3の平成二十二年度都立ろう学校幼稚部在籍数でございます。
 平成二十二年五月一日現在、都立ろう学校の幼稚部に在籍する児童数について、学校別にお示ししてございます。
 五ページをごらん願います。4の平成二十二年度難聴、言語障害通級指導学級設置校及び児童生徒数でございます。
 平成二十二年度に難聴、言語障害通級指導学級を設置している学校及び児童生徒数について、小中学校別にお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。5の第三次実施計画(案)の骨子のパブリックコメント受付状況でございます。
 このページから七ページにかけまして、去る七月八日に公表いたしました東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画(案)の骨子に対するパブリックコメントの受け付け状況及び主な意見をお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。6の第三次実施計画(案)の骨子の説明会におけるアンケートの状況でございます。
 このページから九ページにかけまして、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画(案)の骨子の公表に当たり開催いたしました説明会の参加者からのアンケートの状況及び主な意見をお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。7の第三次実施計画策定に伴う設置委員会の開催状況等でございます。
 東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画策定に当たり設置いたしました委員会の開催状況等をお示ししてございます。
 一一ページをごらん願います。8の障害の程度が重度である児童生徒の割合と重度、重複学級数でございます。
 過去十年間の都立特別支援学校児童生徒実態調査における障害の程度が重度である児童生徒の割合と重度、重複学級数について、障害別、学部別にそれぞれお示ししてございます。
 一二ページをお開き願います。9の平成二十二年度都立特別支援学校の保有普通教室の状況でございます。
 平成二十二年五月一日現在、都立特別支援学校で保有する普通教室について学校別にお示ししてございます。
 一三ページをごらん願います。10の平成二十二年度設置者別障害別特別支援学級の設置状況でございます。
 このページから一四ページにかけまして、平成二十二年五月一日現在の特別支援学級の設置状況を小中学校別、設置者別、障害別にお示ししてございます。
 以上で簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○大西委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○岡田委員 私からは、この特別支援教育推進計画第三次実施計画案の事業概要5と6に関して質問をさせていただきます。
 聴覚に障害のある乳幼児に対し、早期から適切な指導と支援を行うことはその後の言語能力の獲得や社会性の伸長に大きく影響するという意味で、聴覚に障害のある乳幼児の早期相談、早期支援の拠点として、ろう学校幼稚部の存続が計画されていることは評価いたします。
 しかしながら、第三次実施計画の骨子には、都全体の配置バランスを考慮しながら、身近な地域で早期に専門的な指導を受ける体制を整えるとありますけれども、ろう学校の幼稚部は現在三校三分教室六拠点が設置されているのみであります。
 三校三分教室はその近辺の在住者にとっては便利であっても、全都的な視点に立てば、ろう学校幼稚部が身近な地域に存在せず、十分かつ適切な早期支援が受けられるとは限らない、そういった意味での聴覚障害児もいるのではないかと考えられます。
 そこで、継続的に指導、支援を受けるその通学等の対象の子どもたち、乳幼児のためにも、その保護者の負担を考慮すれば、都内に存在する小中学校の難聴通級指導学級の活用も考慮に入れるべきと考えます。
 今、小学校の難聴通級指導学級は四十三学級ございます。また中学校の方では十二学級あります。そういった意味でも、通級学級の活用も考慮に入れる必要があると考えます。ご見解を伺います。

○前田特別支援教育推進担当部長 聴覚に障害のある乳幼児への早期支援は、公立、民間を問わず、地域の医療や福祉機関等においても実施されているところでございます。
 都立ろう学校幼稚部も、こうした支援の一翼を担う機関であり、この支援は、都立特別支援学校のセンター的機能の重要な業務の一つでございます。
 小中学校に設置された難聴通級指導学級も教育相談や情報提供などの拠点として機能することが可能でございます。
 今後は、都立ろう学校と小中学校の難聴通級指導学級との連携をより強化し、聴覚に障害のある乳幼児の早期発見、早期支援の充実に努めてまいります。
 また、都立ろう学校や難聴通級指導学級の教育内容等について、広く都民への理解啓発のため、区市町村教育委員会への周知にも努めてまいります。

○岡田委員 ぜひ区市町村の教育委員会との連携というのを深め、そして、難聴通級指導学級の先生方への専門性についてもしっかりと配慮をしていただきたいと思っております。
 次に、特別支援教室構想は在籍校における支援体制を整備するという点において、インクルーシブ教育の実現の視点からも、これは評価に値します。しかしながら、構想の実現に向けては、解決すべき具体的な課題も多いと考えられます。
 そこで、特別支援教室の導入に向けて検討すべき課題にはどのようなものがあると認識されておられるでしょうか、ご見解を伺います。

○前田特別支援教育推進担当部長 特別支援教室構想の実現に向けては、まず何よりも学校の設置者である区市町村との連携が重要であると考えております。
 構想の実現に向けては、指導の対象となる子どもの障害の程度や利用決定までの手続、教員配置のあり方を含む巡回指導の実施体制、特別支援教室における指導内容、指導体制、施設整備の確保など、検討すべき課題は多いと考えております。
 なお、こうした課題について検討を行うため、区市町村との緊密な連携のもとに、複数年をかけてモデル事業を実施する予定でございます。
 モデル事業の実施に当たっては、事前に検討委員会を設置し、検討すべき課題や検証の手法、モデル事業の進行計画等について十分に検討を行ってまいります。

○岡田委員 モデル事業が実施されるということでありますけれども、そのモデル事業実施の中で、そういったいろいろな検証すべき課題を、特に、現場である学校の教員や、そして通っている子どもたちの状況をしっかりととらまえた上で検討していっていただきたいと思います。
 次に、特別支援教室構想に関しての6のところですけれども、通級指導学級のように、児童生徒が在籍校を離れることなくすべての小中学校に設置される特別支援教室において、専門性の高い教員による巡回指導を受けることができる体制を整備し、在籍校における支援の充実を図るものであるとうたわれていますけれども、言語から情緒へ流れる子どもがいるのではないかということが予想されます。
 要求いたしましたこの資料の中で、いただきました資料の中で、情緒障害学級、そして難聴、言語障害学級の通級指導学級両方を見てみますと、北区の赤羽小、王子小のところでは、言語障害通級指導学級の児童数が百三名と非常に多い数が載っております。
 また、特に王子小学校の場合は、情緒障害通級指導学級も設置されているということで、直接ここの学校の先生方にもどういった内容であるかを伺ってみましたけれども、やはり今度、通級指導学級が巡回指導になるとなれば、言語障害学級から移る子どもも大分出てくるのではないかといった、そんな声も聞かれております。
 効果的な巡回指導というものを実施するためには、やはりいろいろなことを考えますと、教師の数をもっともっと増員していく必要があると考えております。
 特別支援教室構想の実現に向けて、この教員数をふやすことの必要性というものに関してはどのようにお考えでしょうか、ご見解を伺います。

○前田特別支援教育推進担当部長 巡回指導体制の整備に当たりましては、指導の対象となる児童生徒一人一人の適切な指導時数を確保するとともに、巡回指導を担当する教員の負担過重にならないような実施形態を工夫する必要があると考えております。
 巡回指導を行う教員の配置については、モデル事業の実施を通して具体的な検証を行い、効果的な教員配置のあり方について検討し、本格導入につなげてまいります。

○岡田委員 ただいま見ていただきましたと思いますが、資料によりますと、本当に言語通級指導学級に四十名を超える学級というのは、都内の中で、すべて六十二学級のうち二十四学級が四十名を超えております。
 といいますのは、四割を超えているということでございますから、やはりこれからますます障害児がふえていくと見込まれている中で、本格導入に向けては、現場の教員の声を大いに取り入れながら、しっかりした巡回指導につなげていっていただきたいと思っております。
 次に、特別支援教室構想の事業概要を見ますと、これまでの通級指導学級の機能も引き続き維持することが明記されています。
 現在、情緒障害通級指導学級では、個別指導のほかに小集団による指導も効果的に行われている、そういった状況がございます。
 そうしたことを考えますと、これから特別支援教室を利用する児童生徒は、週のうち一回は拠点校において通級指導を受けると考えてよいのでしょうか。そこで、実際に想定される指導形態について、具体的にどのように行われるのかを伺いたいと思います。お願いいたします。
   〔委員長退席、村上副委員長着席〕

○前田特別支援教育推進担当部長 現在の通級指導学級では、発達障害の児童生徒一人一人の障害の状態に応じて個別指導とグループ指導を適宜組み合わせて指導を行ってございます。
 特別支援教室導入後は、通級指導学級との役割分担を明確にし、児童生徒一人一人の障害の状態の改善に向けて、効果的な指導計画を作成することが重要でございます。
 また、学校や地域の実情、対象となる児童生徒一人一人の学習課題等に応じて柔軟な指導形態を工夫する必要もございます。
 具体的な指導形態につきましては、モデル事業の中で、研究、検証を行ってまいります。

○岡田委員 情緒障害の通級指導学級に通っている子どもたちの様子を見てみますと、本当に一人一人対応が異なる、そういった部分がございますので、そのモデル事業実施の際にしっかりと検証をしていただきたいと要望しておきます。
 最後の質問ですけれども、都教育委員会が平成十五年度に行った調査では、都内小中学校には、特別な支援が必要と思われる子どもが四・四%在籍しているという結果が公表されております。
 また骨子においても情緒障害等通級指導学級の在籍者の著しい増加への対応が重要課題として取り上げられています。
 こうした状況を考慮すると、発達障害の子どもはすべての学校、学級に存在することを前提に、支援のあり方を考えていくことが重要であると考えられます。
 そうであるならば、巡回指導よりもすべての学校に専門性の高い指導者を一名配置した方がよいのではないかと考えます。
 子どもを理解する、子ども理解というものはその子どものたった一時間の指導時間だけを見るのではなく、子どもの朝から帰りまでの休み時間の様子、そして給食を食べるときの様子など、そういったすべての全体像を把握していくことが非常に大事だと思われます。
 それは指導する側にとっても、子どもにとっても、相互の理解という意味では非常に大事なものであると思っております。
 そういった観点から、特別支援教室の設置に合わせて担当教員を一名配置するということは考えられないのでしょうか、見解を伺います。

○前田特別支援教育推進担当部長 発達障害の子どもに対する適切な指導と必要な支援を実現するためには、在籍校における体制整備が極めて重要であると考え、今回の特別支援教室構想を提案してございます。
 今回の構想では、巡回による指導を行うことを計画しており、すべての学校に担当教諭を配置することは考えてございません。巡回指導を行う教員には、特別支援教室における指導のみならず、学級担任への支援を行うなどの高い専門性が求められるため、巡回指導の拠点となる通級指導学級においてOJT体制を整備することによって、巡回指導を実施する教員の専門性の向上を図ってまいります。
 また、巡回指導時には、学級担任や特別支援教育コーディネーターとの連携を強化することなどにより、各学校の体制整備及び教育内容、方法の充実に努めてまいります。

○岡田委員 ぜひ学校の現場の教員の声や、そして保護者の声などを参考にしながら、これからの体制を進めていっていただきたいと思います。
 東京都の特別支援教育は、全国に先駆けて体制が進められているといったところもあります。しかしながら、北欧諸国などと比べてみますと、まだまだその課題は多いと考えられます。
 特別支援教育というネーミング自体、この特別が取られ、当然の当たり前の支援教育でなければならないと考えております。すべての子どもに手厚い支援教育がなされることこそが真のインクルーシブ教育になり得るのだと考えております。
 軽度発達障害の有無は紙一重であり、成人になってからLDやADHDに気がついたりといった不確定的な部分もまだまだあると思われます。
 そうしたことからも、義務教育の現場における支援教育の体制を弱者の視点に立って、そして現場機能を十分に生かした充実した、もっともっとそういった意味での東京都の教育、東京都の教育委員会が、この特別支援教育をリードする形をとっていただきたいと思っております。
 けさ、ちょうど私の携帯のメールに写メールが来ました。六年前に受け持った軽度発達障害の子どもが、きのうの運動会で非常に活躍したといった親御さんの非常に喜んだ、そういったメールでしたけれども、一つ一つのことができるできない、そういったことで一喜一憂しているお母様方のことを考えますと、やはり本当に弱者の視点に立った、そういった教育をぜひぜひ要望して、私の質問といたします。ありがとうございました。

○服部委員 東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画(案)の骨子について質問させていただきます。
 この七月に東京都教育委員会の方で、この骨子が私どもに示されました。私どももこうした今回の第三次計画、大変重要に受けとめて、先般、都議会の代表質問でも、三宅幹事長から、このことについて質疑をさせていただきました。
 教育長からも答弁もいただきましたけれども、さらに、きょうは、委員会の方で具体的に私の方から伺わせていただきたいと思っています。
 平成十六年度に第一次の実施計画が策定をされて、これまでの間に特別支援教育を取り巻く状況が大きく変わっています。
 その後、平成十九年の学校教育法の改正に伴う特別支援教育への転換、これは国の方ですが、また、知的障害特別支援学校在籍者の予想を上回る増加、または小中学校に在籍する発達障害の子どもに対する支援体制の整備など、障害のある子どもの教育をめぐって、解決をしなければならない、大変重い課題が生じてもいます。
 そこで、こうした状況の中、今回の第三次実施計画は、十年間の長期計画である東京都特別支援教育推進計画を締めくくる計画であり、これからの都における特別支援教育のあり方を展望していく極めて重要な計画であると、そのように思います。
 そこで、最初に、第一次実施計画から第三次実施計画までを貫く基本理念、このことについて改めて伺います。

○前田特別支援教育推進担当部長 東京都特別支援教育推進計画は、特別な支援を必要とする幼児、児童生徒一人一人の将来の自立と社会参加に向けて、その持てる力や可能性を最大限に伸長させ、地域社会の一員として生きていくことのできる力を育てることを基本理念としております。

○服部委員 今、伺いました基本理念や指針、これは平成十九年に国が掲げた特別支援教育の理念とも整合しているということで、その意味では、都の教育委員会はもう既にその三年前、平成十六年に策定した東京都特別支援教育推進計画の理念、これは国の制度転換に先駆けたものだと、そのように評価をさせていただきます。
 しかし、こうした長期計画は時代の変化や時々の教育課題に適切に対応できるよう方向づけを行うべきであります。
 その意味で、今回の第三次の実施計画は、重ねて申し上げますが、学校教育法の改正に伴う特別支援教育への転換、知的障害特別支援学校の在籍者の増加、あるいは小中学校に在籍する発達障害の子どもに対する支援体制の整備など、今日的課題に適切に対応した計画とすべきだと、そのように考えています。
 我が党の代表質問でもそのような質疑がなされていますけれども、第三次実施計画の基本的な考え方について、改めて伺わせていただきます。

○前田特別支援教育推進担当部長 骨子では、第三次実施計画策定の基本的な考え方として三点掲げてございます。
 第一は、すべての学校で実施する特別支援教育の推進でございます。
 特別支援教育への転換に伴い、小中学校や高等学校などに在籍する発達障害の子どもも対象に含まれることになったため、すべての学校において専門的な教育を行うことができる環境を整備してまいります。
 第二に、つながりを大切にした特別支援教育の推進でございます。
 障害のある子どもの教育内容、方法の充実に向け、学校間や地域の関係機関との連携をこれまで以上に大切にしながら、都における特別支援教育の充実に努めてまいります。
 第三に、自立と社会参加を目指す特別支援教育の推進でございます。
 職業教育や進路指導などの充実を図ることにより、働く意欲や職業的な自立に必要な知識、技能などを育て、障害がある子どもの自立と社会参加を支援してまいります。
 この三つを基本的な考え方としてございます。
   〔村上副委員長退席、委員長着席〕

○服部委員 この計画についての基本理念、あるいは指針といったものを伺いましたので、改めて、最初に、特別支援教育の課題の中で、特に通常の学級に在籍する発達障害の子どもたちへの対応も非常に重要なことです。
 発達障害の子どもたちはすべての学校、学級に在籍するといわれており、保護者の関心も非常に高く、都としても特に力を入れて対処すべきだと、そういう課題だと、そのように思います。
 今回発表された第三次実施計画案の骨子では、この発達障害の子どもたちへの対応策として、特別支援教室構想が提案をされています。
 この構想は、小中学校に在籍する発達障害の子どもが、現在の通級指導学級のように、在籍校を離れて指導を受ける、そういう方法から、在籍校において専門性の高い教員による巡回指導、こういったものを受け入れられる体制を整備するもので、保護者の要望、そしてまた、期待というものは非常に大きいものがあります。
 そこで、この特別支援教室構想の基本的な考え方について、その見解を伺います。

○前田特別支援教育推進担当部長 学習や対人関係に課題を抱える発達障害の子どもはすべての学校、学級に在籍することを前提に、支援体制の整備を図ることが重要であると考えております。
 発達障害の子どもの適応状態の改善を図るためには、在籍校や在籍学級において、学級担任の指導力の向上や学級の友達、保護者の理解推進を図ることが重要でございます。
 特別支援教室構想では、専門性の高い教員による巡回指導を実施するだけでなく、学級担任等による適時適切な指導や助言を行うことなどを通して、在籍校における支援の充実を図るものでございます。

○服部委員 今、答弁ありましたように、いろんな支援の充実を図る、特別支援教室構想の実現のために--ただ、まず関係の区市町村との連携が不可欠であるということについても、さきの我が党の代表質問においても質疑をさせていただきました。
 そこで、骨子の発表後に、この構想に関して、区市町村に対してどのような説明が行われたのか、その点について伺います。

○前田特別支援教育推進担当部長 七月八日の骨子発表以降、八月半ばまでに、区市町村教育長会を初め各区市町村の指導室課長や学務課長、特別支援教育担当指導主事及び学事事務担当者を対象にして説明会を合計十六回実施してございます。
 その中では、対象となる子どもの障害の程度や利用決定までの手続、巡回指導体制や教員配置のあり方、施設設備の確保等について意見交換を行ってきておりまして、特別支援教室構想の趣旨については理解を得ることができたと考えております。

○服部委員 区市町村への説明については、引き続き精力的に行っていただくよう要望をしておきます。
 さて、この特別支援教室構想の実現のためには、今申し上げたように、区市町村との連携のもとにモデル事業を実施するということですけれども、このモデル事業について、現時点で具体的にどのように取り組まれているのか、これも簡潔にお答えください。

○前田特別支援教育推進担当部長 特別支援教室構想の実現に向けては、指導の対象となる子どもの障害の程度や利用決定までの手続、巡回指導体制や教員配置のあり方など、検討すべき課題は多く、多岐にわたると認識してございます。
 こうした課題について検討を行うため、区市町村との緊密な連携のもと、複数年をかけてモデル事業を実施する予定でございます。
 モデル事業の実施に当たりましては、事前に検討委員会を設置し、検証すべき課題や検証の方法、モデル事業の進行計画等について十分に検討を行ってまいります。

○服部委員 こうしたモデル事業についても、重ねて申し上げますけれども、区市町村との連携をきっちりとやっていただきたいと思います。
 次に、今回の第三次実施計画について、都立府中特別支援学校、都立府中朝日特別支援学校、都立調布特別支援学校のPTAの皆さん、また、府中地区特別支援学校(仮称)を考える有志の会から、都の方にも、私どもにも切実な要望、意見が寄せられています。
 そこで、伺いたいんですけれども、発達障害のある子どもたちへの支援体制の整備とともに、今回の第三次実施計画において、確実な対応が求められている課題として、知的障害特別支援学校の再編整備があります。
 都教育委員会では、第一次、第二次の実施計画の推進を通して、知的障害特別支援学校における教室の確保にこれまでも努力はされていますが、しかし、現状では施設整備数が十分でないばかりか、転用教室とか、あるいはカーテンで間仕切りされているとか、こういった教室等の活用によって普通教室が確保されている、こういったことも現状であります。
 また、今回の計画策定に当たって実施された障害のある児童生徒数の将来推計によりますと、平成三十二年度までに、現状から約二千五百人も知的障害特別支援学校の生徒数が増加するといった結果となっております。
 今回、策定される実施計画は最後の計画だと。この再編整備案で、現状の教室不足の解消、そしてまた、増加していく知的障害特別支援学校の児童生徒を十分に受け入れることのできる教室整備を図らなければならないと思います。
 この再編整備計画策定に当たって、どのように取り組まれているのか伺います。

○前田特別支援教育推進担当部長 今回の骨子でお示しした再編整備計画では、知的障害特別支援学校だけでなく、他の障害種別の学校も含めて、特別支援学校の再編整備を行うことを通して、知的障害特別支援学校の普通教室の確保に最大限努めてございます。
 規模的には、新設校二校、複数の障害部門を併置する学校四校の設置、既設の特別支援学校の増改築については、十三校で行うこととしております。
 また、現在の久留米特別支援学校については、光明特別支援学校に病弱教育機能を移し、知的障害特別支援学校として活用していくこととしてございます。
 施設の整備に対応して、児童生徒の通学負担に配慮しながら、通学区域の調整も行ってまいります。
 このようなさまざまな手法を組み合わせることで、全都的に知的障害特別支援学校の教室数の確保に努めてまいります。

○服部委員 知的障害の特別支援学校における普通教室の確保、そしてまた、保護者の強い願い、また子どもたちにとってもそうだと思うんですけれども、今回のこの計画に対する期待は非常に大きいものがあります。ぜひとも今回の計画を実効性のある計画として、保護者の願いにこたえられるように強く要望をしておきます。
 次に、昨年の第三回定例会の本委員会で、自民党の遠藤衛委員からも、先ほどお話しした府中と府中朝日特別支援学校が統合されて、知肢併置の学校になる際の教職員の配置等について質疑がなされました。
 統合によって学校規模が大きくなるので、円滑な学校経営を行っていくためには、効率的な校務運営の工夫等について、教育委員会として、校長への適切かつ的確な支援が必要になる、そのように思いますが、見解を伺います。

○前田特別支援教育推進担当部長 大規模校において、教育の質の低下を招くことのないよう、円滑な学校運営のあり方に関する研究開発を進めてございます。
 その中で、効果的な学校運営のあり方、合理的な校務分掌組織の編成のあり方などについて検討を行っており、学校経営支援センターとの連携も図りながら学校長の学校経営を支援してまいります。

○服部委員 学校が大規模化することによって、保護者の方は要望にもありましたように大変大きな不安を抱えているんです。そういった保護者の方の不安を軽減、また解消できるように、教育委員会は校長に対する十分な支援はもちろん、保護者の方への丁寧な対応を求めておきます。
 さらに、またこれも昨年の当委員会での質問がありましたように、我が党の方から質問させていただいたように、異なる障害種別の併置校など、児童生徒数の多い学校における、いわゆる養護教諭と栄養士の教職員配置の考え方、このことについて改めてお伺いをいたします。

○岡崎人事部長 複数の障害教育部門を併置する特別支援学校の教職員につきましても、その他の特別支援学校と同様に、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に基づいて定めた都の配置基準により人数を算定しております。具体的には、教員については、障害種別ごとの学級数に基づき算定しています。
 栄養士を含む教諭以外の教職員は学校単位で算定しておりますが、養護教諭につきましては、さらに児童生徒数による補正基準によりまして加算して人数を決定しております。

○服部委員 府中地区特別支援学校(仮称)のように児童生徒数が大変多い併置校における養護教諭、それから栄養士の配置のあり方については、都としても検討を急いでもらいたい。
 そしてまた、国に対して標準法を改めるように、さきの委員会でも質問しましたけれども、その後の状況はいかがですか。

○岡崎人事部長 児童生徒数の多い併置校における教職員の配置のあり方については、これまでに開校した併置校の状況等を検証しながら、さまざまな観点から検討しているところでございます。
 府中地区特別支援学校(仮称)につきましては、児童生徒数など開校時の学校の状況を踏まえ、正規教員に加え、さらに養護教諭につきましては、経験豊富な非常勤教員の配置や賃金職員の活用、また栄養士につきましても、賃金職員の活用など必要な対応を行ってまいります。
 また、都教育委員会として国に対して、特別支援学校の栄養士及び養護教諭の定員改善要求を行いましたが、国が八月に発表した新たな教職員定数改善計画の案では、平成二十六年度以降の養護教諭の配置改善がされたところでございまして、今後、この計画との整合を図りつつ、適切な対応を検討してまいります。

○服部委員 今、標準法について答弁ありましたけれども、国が八月に発表した新たな教職員定数改善計画案は、平成二十六年度以降の養護教諭の配置改善ということで、とてもこれは待てないということで、これは都の努力と、そしてまた、我々当委員会でもこうしたことを国に強く働きかけて、標準法を改めて定数改善計画をもっと早くやってくれと。そのぐらい委員会でやっていかなきゃいけないことだと私は考えています。
 都民の期待の大きいこうした計画を着実に推進していくためには、日々生じるさまざまな課題に丁寧に、確実に対応していくことが大切です。
 こうした努力を積み重ねることにより、新たに策定される第三次実施計画が、障害のある子どもたちとその保護者の大きな期待にこたえられる計画となることを強く望んでいます。
 さて、特別支援教育は、もちろん都立学校や区市町村立学校だけでなくて、私立の学校においても行われています。都内には私立の特別支援学校が四校あります。
 私ども都議会自民党では、先般、それぞれの学校を訪ねまして、さまざまな意見交換もしてまいりました。
 平成二十年四月には、聴覚障害児のための明晴学園、これは品川区にありますけれども、大変独自なろう教育をしておられる学校として定評もあるわけでありますし、また今年度、ここにも資料がありますけれども、創立九十周年を迎えた日本聾話学校、これはライシャワー、日本の大使のご両親が創立をされたという、大正九年ですか、大変歴史のある学校でもあります。
 さらに、創立六十周年を迎えた旭出学園、これは旭出学園の「原点にかえる」という記念誌です。
 また、創立五十五周年を迎えた愛育養護学校、これも大変歴史の古い、五十年誌等も出ておりますし、恩賜財団として経営をされている。
 そういう特別支援学校があるわけですけれども、こういった私立の特別支援学校も、もちろん東京だけでなく、我が国の特別支援教育の大変先駆的な役目を果たして、今もその歴史を刻んでいるわけです。
 そこで、私立の特別支援学校の今まで果たしてきた役割、このことについてどう認識をされているか、まず教育長にお伺いをさせていただきたいと思います。

○大原教育長 ただいまご指摘のありました東京都内の私立の特別支援学校は、設置に至る経緯や設置時期はさまざまでございますが、障害のある児童生徒への教育が社会の中でまだ十分に認知されていない時代から、教育への情熱、あるいは使命感によって築き上げられた建学の精神に基づき、特色のある教育を展開されていると承知しております。
 また、多くの保護者の期待にこたえて実践されてきた、その先駆的で特色のある教育が高く評価されているというふうに認識しております。

○服部委員 今、ご答弁にありましたように、私立学校の果たしてきた役割を、先駆的で大変特色のある教育が高く評価されていることも承知していると評価をいただいたわけですが、これまた私立学校の方々も、こういった教育長の評価をいただくことが大変励みになる、私はそう思います。
 その上で、東京都が掲げる特別支援教育推進計画の理念は、当然こうした歴史のある私立学校と互いに協力、あるいは連携をすることによって、相互によりよい教育を目指すことが必要です。
 ところで、現在の私立特別支援学校では、教育の活性化のために強力な支援を東京都に求めています。
 教育内容の活性化という視点から、都内の私立特別支援学校と都立特別支援学校が連携し合うことで、私立、都立双方の教育内容、あるいは教育方法の充実につながると考えます。
 そこで、現在の私立特別支援学校との連携をしている現状、このことについて伺います。

○前田特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校と私立特別支援学校の間では、都立特別支援学校が開催する研修会に私立特別支援学校の教員が参加したり、私立特別支援学校の授業を都立特別支援学校の教員が参観するなどして、教育内容、方法に関する情報交換等を行ってございます。
 また、聴覚障害生徒海外美術体験プログラムにおける交流や、都教育委員会と特別支援学校の体育連盟や文化連盟が主催する体育大会や総合文化祭に私立特別支援学校の児童生徒の参加を呼びかけるなどして、児童生徒同士の交流が図られてございます。

○服部委員 平成十九年四月から国で始まった特別支援教育については、教育基本法の改正に伴って、四条の二項に、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるようにと、障害のある子どもの教育について条文にうたわれました。
 また、小中学校の学習指導要領には、特別支援学校との連携や個別の教育指導計画の義務づけ、こういったことも盛り込まれて、特別支援教育の広がりが見られているところであります。特別支援教育の推進に当たっては、公私立関係なく取り組んでいくべき、そういった問題だと私は思います。
 そこで、東京都における特別支援教育の充実と発展を目指す東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画(案)、これにぜひ私立の特別支援学校との連携を図る、こういったことを明記すべきであると考えますが、見解を伺います。

○前田特別支援教育推進担当部長 私立特別支援学校と都立特別支援学校が互いの特色を出し合い、互いに共有すべきすぐれた教育実践については共有し合い、共有内容を充実させることは、双方にとって有益なことでございます。
 都教育委員会では、都立特別支援学校と私立特別支援学校との連携、交流が促進されるよう、第三次実施計画の策定を進める中で、さらなる連携、交流のあり方についても検討していきたいと思っております。

○服部委員 よろしくお願いをいたします。
 私立特別支援学校は、実態は大変厳しい状況に置かれているんですね。毎年十名程度の入学者を受け入れ、大切に教育をされています。私立学校であることから、私立特別支援学校は、所管は生活文化局で、私立学校振興助成法に基づいて私立特別支援学校等経常費補助金による助成が行われていますけれども、国の方は文科省で一本なんですけどね。
 そこで、例えば私立の大学のように、一年の、入学試験などは何万人も受験をして、受験料だけでも相当な収入がある、そういった私立学校と、私立特別支援学校を一律にくくる法律、これは私は無理があると思うんですね。そこで、財政的な理由から閉校せざるを得ない、昨年は三校閉校されたようですけれども、そういった私立特別支援学校があります。
 各学校、保護者とともに障害児に寄り添って、教育こそが社会的に自立をし、そして命を守る武器となるということで学校がつくられたんです。財政的に厳しくとも、学校の資産運営、運用、また寄附、あるいは収益事業、バザーなどを工夫しながら、必死に学校を支えています。
 私立特別支援学校の所管は、確かに生活文化局でありますけれども、教育庁も教育という見地から、命を守るという見地から、生活文化局などと連携をして、個性豊かな活動を積極的に展開している私立特別支援学校を支援していくべきだと考えます。
 さて、都議会自民党は、特別支援教育の重要性を踏まえ、これまでも特別支援学校の教育現場に何回も伺って、障害のある子どもたちと保護者の皆様の意見や要望を伺って、そして教育委員会とも何度となく議論を積み上げてまいりました。
 今回策定される第三次実施計画についても、障害のある子どもたちと保護者、そして都民が真に願う特別支援教育を実現する計画でなければならないという思いから、当委員会でもさまざまな質疑を重ねてきたんです。
 そして、改めて認識を深くしましたが、この第三次実施計画は、特別支援教育を受ける子どもたちのみならず、多くの都民にとって非常に重要な計画でもあります。ぜひとも、これまでの都議会のやりとり等も踏まえて、さらに充実した第三次実施計画にしていかなければならない、そのように私は考えています。
 それでは、最後に一言申し上げますが、この計画は最後の実施計画でもあります。したがって、障害を持つお子さんと、お父さん、お母さん、あるいは家族の方、そういった期待に応じる教育庁の最後の機会でもあるわけです。第三次実施計画にかける教育長の決意を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。

○大原教育長 ただいまご指摘をいただきましたように、この第三次実施計画は、一次、二次と展開してまいりました東京都特別支援教育推進計画の最後となる実施計画でございまして、今後の東京都の特別支援教育のあり方を示す重要な計画でございます。
 今後は、都議会を初めとして、各方面からいただいたご意見を踏まえまして検討を深め、障害のある子どもたち、そして保護者の方々の期待に確実にこたえて、東京都の特別支援教育の充実を図ることができる計画となるよう、全力で取り組んでまいります。

○谷村委員 それでは、特別支援教育推進計画第三次実施計画(案)の骨子につきまして質問をいたします。
 私ども、都議会公明党も、今般発表されました第三次実施計画案骨子につきまして、一昨日の代表質問で取り上げさせていただいたところでございます。
 本日は、特別支援学校にお子さんを通わせている保護者の方々、あるいは、これから通わせる予定の保護者の方々からのご質問、あるいはご不安、ご心配されている点を中心に、知的障害の特別支援学校の再編整備、障害の異なる特別支援学校の併置化、そして寄宿舎の再編整備、そして四点目に、肢体不自由特別支援学校における外部人材の投入、この四点について、時間の許す範囲でポイントを絞ってお尋ねいたしますので、明快なご答弁をお願いいたします。
 初めに、知的障害特別支援学校の再編整備についてお伺いします。
 先日、都議会公明党といたしましても、知的障害特別支援学校における教室不足の現状を把握するべく、学校の状況視察を改めて実施いたしました。実際に、カーテン等で間仕切りをして普通教室を確保している現状を確認し、特別教室の転用や、あるいは職員室等も含めまして、早急な教育環境の改善が必要であると改めて強く感じたところであります。
 去る七月八日に発表されました第三次実施計画(案)の骨子では、教育環境の改善のため、カーテン等で間仕切りした教室の解消を進めるとしております。
 そこで、現在、知的障害特別支援学校全体では、カーテン等で間仕切りされた教室が、かなりの数存在すると思われますが、第三次実施計画にある再編整備を進めることで、一体全体、このカーテンで間仕切りされた教室は確実に解消されるのか、すべて解消されるのか、ご見解をお伺いいたします。

○前田特別支援教育推進担当部長 第三次実施計画(案)の骨子では、新設二校、増改築十三校、他の障害教育部門との併置化四校の規模で再編整備を行うことによって必要な教室数の確保に努め、カーテン等で間仕切りした教室につきましては、すべて解消していくよう努めてまいります。

○谷村委員 すべて解消していただくように、ぜひお願いをしたいと思います。また、そういうご答弁をいただいたと受けとめさせていただいております。
 カーテン等で間仕切りされた教室がすべて解消するということは、障害のある児童生徒、教育環境の改善からも望ましいことでありますが、実際には、カーテン等で間仕切りをして普通教室を確保するだけでなく、特別教室の転用をしている現状も目の当たりにしてまいりました。
 教育活動の充実の観点からは、図工室、音楽室、あるいは多目的室などが普通教室に転用されている状況では、学習活動の実施にも大きな影響があることは申し上げるまでもありません。こうしたことは大変に大きな問題であり、早急に改善すべきであります。
 そこで、第三次実施計画においては、このカーテン教室の解消とあわせて、特別教室の転用をどのように解消していくのか、見解をお伺いいたします。

○前田特別支援教育推進担当部長 特別教室につきましては、転用の解消に努めてまいりますが、その活用実態を踏まえ、普通教室としての活用を一部継続するなどの対応をしてまいります。
 今後は、学校ごとに特別教室の活用状態を十分に精査した上で、適切な運営を図ってまいります。

○谷村委員 ぜひ学校ごとに十分精査をしていただきたいと思います。
 今回の計画におきまして、知的障害特別支援学校における教室の確保は最大の課題であり、保護者の方々からも大変強い願いの声が上げられております。第三次実施計画の着実な推進を通して、少しでも早く、子どもたちの教育環境が改善されることを願っております。
 次に、八王子盲学校の知的障害部門との併置化に関してお伺いをいたします。
 先日、都議会公明党で、視覚障害部門と知的障害部門を併置する都立久我山青光学園を視察させていただきました。
 これまで保護者の方々、特に視覚障害部門にお子さんを通わせている保護者の方々から、障害が異なる子ども同士が同じ学校で生活をすることは、安全確保の点からも非常に心配であるという声を数多く伺ってまいりました。
 しかし、実際に久我山青光学園にお邪魔させていただきまして、視覚障害部門のエリアと、そして知的障害部門のエリアは、基本的にしっかりと分けられており、保護者の方々がご心配されている、子どもの安全というのはしっかりと確保されているということがよくわかったところであります。
 そこで、第三次実施計画においても予定されております視覚障害部門と知的障害部門を併置する学校の設置、具体的には八王子盲学校への知的障害教育部門の併置化について、その計画の概要、教育環境確保の考え方についてお伺いをいたします。

○前田特別支援教育推進担当部長 八王子盲学校への知的障害教育部門の併置化に当たりましては、両教育部門の教育の質の低下や安全管理上の不安を招くことがあってはならないと考えてございます。
 学校施設の整備に際しましては、視覚障害及び知的障害それぞれの障害特性に十分に配慮するとともに、久我山青光学園の成功事例なども踏まえて、児童生徒の安全の確保と教育内容の充実を考慮した施設整備を行ってまいります。

○谷村委員 複数の障害教育部門を併置する学校の設置につきましては、都教育委員会では、これまでも第一次、第二次実施計画に基づいて、知的障害教育部門と肢体不自由教育部門を併置する学校の設置を進め、今回の第三次実施計画においても、八王子盲学校の併置化のほかにも、聴覚障害教育部門と知的障害教育部門を併置する学校として、立川ろう学校が計画対象となっております。
 併置化に当たっては、この両部門の教育の質の低下を招くようなことがあってはならないというご答弁も先ほどありましたけれども、それでは、この複数の障害教育部門を併置する学校について、併置化による教育上の効果、肯定的な教育効果というのはどのような点にあるとお考えか、ご見解をお伺いいたします。

○前田特別支援教育推進担当部長 障害が重複する児童生徒に対する教育内容、方法の研究開発において、併置校が果たす役割は大きいと考えております。
 都教育委員会では、第一、二次実施計画においても、複数の障害教育部門を生かした教育課程の研究開発を進め、教育活動事例集を作成するなどして、研究成果の普及に努めてきております。
 第三次実施計画においても、複数の障害教育部門を併置する学校の設置を行う中で、相互の専門性を生かした自立活動等の実施などの教育課程開発の拠点校として位置づけるなどして、障害が重複する児童生徒の教育内容、方法の充実を図ってまいります。

○谷村委員 それで、併置校に関連いたしまして、府中地区特別支援学校についてでありますが、私どものもとにも府中特別支援学校PTA会長、府中朝日特別支援学校PTA会長、そして調布特別支援学校PTA会長、さらには府中地区特別支援学校を考える有志の会の代表代行の方からも、切実なご意見、ご要望をいただいております。
 府中地区特別支援学校は、平成二十四年度が開校予定となっており、知的障害の学校である府中朝日特別支援学校と肢体不自由の学校である府中特別支援学校が統合された上で併置化される学校であります。
 この府中地区特別支援学校が計画化された時点での児童生徒の将来推計で、知的障害の子どもたちがさらにふえていくことが明らかになり、府中地区特別支援学校の想定規模もさらに大きくなるのではないかという懸念を抱かれているわけでございます。
 保護者の方からは、学校が大規模になることで、学校の運営管理や栄養士や養護教諭の先生方の配置について非常に不安を感じているという内容のお手紙でございました。先ほど自民党の服部先生からもありましたが、全く同感であります。
 そこで、第三次実施計画の策定に当たっては、複数の障害教育部門を併置する学校の管理や運営のあり方について、どのようなことが検討されているのかをお伺いします。
 また、この府中地区特別支援学校の保護者の方々には、ぜひ丁寧な事前の説明をお願いしたいと思っております。あわせてお伺いをいたします。

○前田特別支援教育推進担当部長 複数の障害教育部門を併置する学校については、人事管理、学校事故等の防止に向けた安全管理と学校運営のあり方などの課題がございます。
 このため、三次計画においては、併置化により学校が大規模化することに伴う学校経営や多様化する教育課程の編成管理のあり方、保健室機能や給食提供のあり方などについて、さまざまな面から検討を進めているところでございます。
 なお、府中地区特別支援学校の開校準備に当たっては、事前に保護者の方々に対して必要な情報を提供し、ご意見を十分に聞いていきたいと思っております。

○谷村委員 今、ご答弁いただきましたように、ぜひ事前に保護者の方々に対して必要な情報を提供していただきまして、さらには、ご意見を十分に聞いていただきたいと思います。
 この先行事例で保護者の方々が納得しない、あるいは不安を抱かれるというのは、この第三次実施計画でいかにすばらしい計画を推進しても、これは行き詰まってしまうと思いますので、ぜひ重ねてお願いを申し上げたいと思います。
 次に、特別支援学校の寄宿舎の再編整備についてお伺いをいたします。
 都教育委員会は、平成十六年に策定した東京都特別支援教育推進計画におきまして、当時、十一舎あった寄宿舎を五舎に再編する計画を打ち出しております。
 これまで第一次、第二次実施計画の実施過程に基づいて寄宿舎の再編が進められてまいりましたが、今回の第三次実施計画においては、城北特別支援学校と久留米特別支援学校の寄宿舎を閉舎することが計画されております。
 申し上げるまでもなく、この寄宿舎の再編は、特に保護者や都民の皆様の大変関心の高い施策であります。閉舎に当たっては、保護者及び関係機関等への十分な説明が不可欠であります。
 そこで改めて、この寄宿舎の再編整備に関する基本的な考え方についてお伺いをしたいと思います。

○前田特別支援教育推進担当部長 寄宿舎は、通学困難な児童生徒の就学を保障することを目的として設置しているものでございます。
 都教育委員会では、これまで第一次、第二次実施計画に基づく特別支援学校の配置の適正化や、スクールバスの乗車等による通学時間の短縮に努めてきました。
 今後も、第三次実施計画を着実に推進する中で、寄宿舎の再編に取り組んでまいります。

○谷村委員 基本的な考え方につきましては、今のご説明でよくわかりましたが、それでは、寄宿舎を最終的になぜ五舎に再編する計画となっているのか、なぜ五舎を残すのか。この計画はどういう考え方、どういう方向性に持っていこうとしている考え方なのか、改めてお伺いをいたします。

○前田特別支援教育推進担当部長 寄宿舎は、島しょ地区に在住する児童生徒の受け入れのため、各障害部門の寄宿舎を最低一舎確保することを前提に再編を進めてございます。
 なお、視覚障害のある児童生徒を受け入れる寄宿舎につきましては、障害特性に配慮して、四校すべての盲学校に寄宿舎を併設してございます。
 また、寄宿舎の施設整備の安全性及び機能性等を十分に確保した上で、複数の障害部門を併置する設置形態も導入してございます。

○谷村委員 寄宿舎本来の設置目的に立ち返って再編整備を進めるものであり、着実に推進していく必要があるとは考えますけれども、これまで寄宿舎を利用してこられたご家庭の中には、さまざまな事情から、寄宿舎を利用せざるを得ないケースもあることと思います。
 寄宿舎の閉舎に当たりましては、個別の家庭事情にも十分配慮していただき、円滑に計画を推進されるよう強く要望いたしておきたいと思います。
 次に、肢体不自由特別支援学校における外部人材の導入についてお伺いをいたします。
 肢体不自由特別支援学校では、児童生徒の障害の重度重複化が進んでおり、学校生活においても医療的ケア、あるいは身辺介助等に要する時間的、人的負担が大変に大きくなっております。
 都教育委員会では、こうした状況に適切に対応するために、東京都特別支援教育推進計画に基づいて、教員のみならず、理学療法士や作業療法士、介護の専門家、看護師等の複数の専門家によるチームアプローチ体制の構築を進めております。
 中でも介護の専門家及び看護師の導入については、現在、都立永福学園と青峰学園において試行を行い、検証委員会において導入の成果や課題の整理を行っていると伺っております。
 しかしながら、この検証委員会の検討経過や今後の導入計画などが具体的には発表されていないため、保護者の方々からは、介護の専門家や看護師の導入による教育効果、あるいは今後どういうふうに導入していくのか、その計画について知りたいという声が数多く聞かれるわけであります。
 そこでまず、永福学園や青峰学園における試行の現状や検証委員会における検討経過等を踏まえ、介護の専門家の導入の成果についてお伺いをいたします。

○前田特別支援教育推進担当部長 永福学園及び青峰学園では、児童生徒一人一人に十分に対応できる指導体制を組めるよう、男女比等にも配慮して介護福祉士等を配置しております。このうち、永福学園においては、教員定数十二名の職員によって二十四名の介護の専門家を導入しております。
 また、医療的ケアの充実のため、定数配置の常勤看護師に加えて、常時勤務できる看護師も配置しております。これにより、児童生徒の身辺介護に要する安全の確保や時間の短縮が図られ、教員が授業準備や学習指導に専念できる体制が整いつつあります。
 また、これまで肢体不自由特別支援学校で課題になっていた同性介助や校外学習引率の際の人員確保などにも対応できるようになってございます。
 このように、介護の専門家や看護師の導入によって教員の役割が明確になりつつあるとともに、児童生徒の安全の確保や健康の管理等の質の向上が図られてございます。

○谷村委員 教員定数十二名も縮減して、逆に二十四名の介護の専門家を導入できた。それから、学校生活の安全管理体制の充実が図られている。
 また、長年の懸案でありました同性介助、あるいは校外学習引率の際の人員確保などにも対応できるようになったというご説明だったと思いますが、肢体不自由特別支援学校における介護の専門家、あるいは看護師の導入について、永福学園や青峰学園における試行の結果から、児童生徒の安全の確保、健康の管理等の質の向上が図られつつあるというご説明でございました。
 そこで、この試行校における成果等を踏まえ、今後、他の肢体不自由特別支援学校への介護の専門家の導入計画はどのようになっているのか、その見通しをお尋ねしたいと思います。

○前田特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、現在、外部有識者や学校関係者、保護者団体や介護の専門家の代表等で構成する検証委員会を設置し、試行校における導入の成果検証や課題の整理を行っているところでございます。
 今後は、検証委員会の結果等を踏まえ、他の肢体不自由特別支援学校での導入に向け、ガイドラインを作成することとしております。
 他の肢体不自由特別支援学校への導入は、第三次実施計画に基づいて行ってまいります。その際は、保護者の方々などへの十分な説明を行い、円滑な導入が図れるよう努めてまいります。

○谷村委員 肢体不自由特別支援学校には障害の重い子どもが多く、教科の指導を専門とする教員だけでは十分に対応できないのが実情であります。さまざまな分野の専門家が相互に連携したチームアプローチを行う体制は、医療や福祉の現場では従前から導入され、治療や療育に成果を上げております。教育現場にもこうしたチームアプローチの導入を図ろうとする都教育委員会の取り組みは、全国に先駆ける画期的なものであると高く評価いたしております。
 試行実施の検証を十分に行い、どんなに障害が重いお子さんでも安心して学校生活を送り、専門性の高い指導を受けることができる教育環境をぜひ整備していっていただきたいと申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

○畔上委員 まず初めに、本日の資料作成、ありがとうございました。
 最初に、今後の流れについて確認したいと思います。
 パブリックコメントとアンケートは、九月十七日までに三百七十六人の方から六百十一件の意見が出されました。内容を見ますと、第三次計画の抜本的見直しが求められたものも多くありまして、こうした意見をどう受けとめ、どう反映させようとしているのかが問われていると思います。
 今後どのようなスケジュールで計画が出されるんでしょうか。また、寄せられた意見はどう反映させるつもりか伺います。

○前田特別支援教育推進担当部長 東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画は、教育委員会の決定を経て十一月に公表する予定でございます。パブリックコメント等に寄せられた意見につきましては、適切に計画に反映させてまいります。

○畔上委員 今、計画策定の中で反映するということですが、十一月には第三次実施計画として決定するということ。そうなりますと、抜本的な見直しの声も含めて一カ月強で検討をして反映させていくということになるわけですね。
 そうすると、議会での意見やパブリックコメント、また、PTAの皆さんからの要望など、こうした出された意見を計画に反映させていくためには、やはり丁寧な検討の時間が私は必要だというふうに思うんですが、出された意見について、どこでだれが議論をするんでしょうか。

○前田特別支援教育推進担当部長 東京都教育委員会としましては、パブリックコメントや説明会等で寄せられたさまざまな意見を踏まえて、第三次実施計画策定に向けて議論を深めてまいります。

○畔上委員 ということは、最終的には教育委員会で決めるということですね。どういう意見が反映されたのかということを都民が知ることができるのは、結局、計画の公表といった後になるわけです。
 これまでも、一次、二次の計画が進められるときには、関係者から、実際にやってみたけれども、どうもうまくいかないなどの声も含めて見直しを求める陳情などが出されたりしたこともありました。
 そういうときも、結局、計画に基づいて推進しますと、都教委は耳を傾けてこなかったわけです。だから、どうせ都教委は意見を出しても聞いてくれないんじゃないか、こんな不安の声も上がっているわけです。
 私は、やはり教育の土台である信頼関係を崩すようなやり方は改めなきゃいけないというふうに思うんです。そういう意味では、十一月の計画策定ありきではなくて、本当に十分議論して、意見が反映された計画にしていただきたい、このことを強く求めたいと思います。
 パブリックコメントや意見聴取をきちんと生かしていただきたい。とりわけ、現場の保護者の皆さんなどの声を反映させる計画にしていただきたいということを求めまして、具体的な問題について伺いたいと思います。
 まず、特別支援学校に通う子どもの人数の推計と、特別支援学校の整備について伺います。
 先ほど知的障害の子どもの増加のお話もありましたが、第二次計画では、特別支援学校に通う子どもたちの人数が、二〇一二年度の九千三百九十人をピークに、その後減少するという推計でした。だから、第二次計画までの施設整備で対応するとしていたのは九千三百九十人分ということになるわけです。
 ところが、今回、第三次で示された推計では、二〇二〇年度までに一万二千八百十人までふえるんだと、そのように推計を修正したわけです。したがって、第三次計画では、少なくともその差である三千四百二十人分の学校施設を新たに整備する必要があるわけです。
 今、教室不足が深刻で、既に三百七十八教室も音楽室など特別教室の転用で対応し、それでも不足してカーテンで仕切ったり、教室不足の解消が大きな課題になっているわけです。学校新設は待ったなしの課題です。
 しかし、第三次計画では、隣り合った学校の統合で学校数を二校減らして、その分、知的単独校二校を新設する。あとは、三校の増築と十校の改築、すなわち建てかえで対応するというふうにしているわけです。従来の五十五校という、この体制を変えない方針なんです。
 それでは伺いますが、新設校は、どこを想定して、何人の受け入れを想定しているんでしょうか。

○前田特別支援教育推進担当部長 今回新設を予定している特別支援学校の設置場所につきましては、三次の実施計画の中で明らかにしてまいります。受け入れ数については、今後具体的な施設整備を進める中で明らかにしてまいります。

○畔上委員 明らかにできないということですが、それならば、学校増改築でそれぞれの学校で何人の受け入れを想定されているんですか。

○前田特別支援教育推進担当部長 個々の学校における児童生徒数につきましても、今後具体的な施設整備を進めていく中で明らかにしてまいります。

○畔上委員 具体的な検討をなぜ明らかにできないんでしょうか。おかしいじゃないですか。人数も想定していないということですが、それならば、なぜ増改築の学校数が出てくるんでしょうか。
 例えば、新設校二校で三百人受け入れるとして、残りの三千百二十人を増築、改築を行う十三校で割ると、一校当たり二百四十人になるわけです。今でも一校二百人くらいいて、既に教室をカーテンで仕切っている学校のどこをどう改築して、どこを増築したら--大体、二百四十人と合わせると四百人以上の子どもたちを受け入れるということになるわけですね。できるんでしょうか。プール、体育館、校庭をつぶすということですか。
 例えば、品川のろう学校の跡地に、現在、知的支援学校を建設中ですけれども、この学校では敷地いっぱいに校舎を建てて、ネットを張って、屋上を校庭として設計していますが、学校をふやさずに無理に敷地内で増設しようとしたら、当然このような劣悪な教育環境をつくることになるんじゃないでしょうか。
 羽村の、先ほどお話があった特別支援学校でいえば、増築して新たに十四室ふやすという計画なんですが、現在既に十二教室不足していて特別教室を転用しているわけですね。だから、増築しても、今の子どもたちの受け入れですぐにいっぱいになってしまって、新たに子どもたちがふえる分、これからふえようという子どもたちの分は対応し切れないということははっきりしているわけです。
 私が以前カーテンで仕切った教室問題、当委員会で取り上げたときに、この児童の数の推計や学校の状況を検証することが非常に大事で、その検証を踏まえて第三次計画の策定の議論をしていきたいと答弁されていました。
 せっかく三次計画の策定に当たって、推計をわざわざやり直して、各学校の大変な状況を検証して、カーテンで仕切った教室は解消するんだというふうにしたのに、五十五校にしがみついていれば、結局、教室不足の抜本的な改善はならないどころか、さらなる学習環境の悪化になることは明らかじゃないでしょうか。五十五校を変えない、その理由は何でしょうか。

○前田特別支援教育推進担当部長 再編整備後の学校数につきましては、十一月に発表予定の計画の中で具体的にしてまいります。

○畔上委員 今のご答弁だと、五十五校は変える可能性があるということですか。

○前田特別支援教育推進担当部長 繰り返しになりますけれども、再編整備後の学校数につきましては、十一月の第三次実施計画の中で具体的にしてまいります。

○畔上委員 何でそんなに五十五校にこだわっているんだろうか。都教委がこの骨子をつくるに当たって、特別支援学校整備検討委員会を開いたわけですね。私は、その議事録を読みました。そうしたら、わかったんです。
 議事録には、現場の校長会からも、五十五校体制を何とかできないだろうかというのが一番の意見だと書いてあるんです。にもかかわらず、五十五校に都教委がこだわっているのは、財務局の意向を踏まえてということだったんです。議事録にちゃんと書いてあるんです。子どもの学習権よりも財政を優先させるなどというのは、とんでもないと私は思うんです。
 都教委は、子どもたちの教育権を守るために、必要なものは必要なんだと、ちゃんと財務に対しても主張して頑張らなきゃだめなんじゃないですか。五十五校にこだわらず増設することを強く、必要な数はきちんと増設することを私は強く求めたいと思います。
 財政も、実際にはお金はないわけじゃないんです。東京都は、今回の会計を見ましても、今回のお金でも二兆六千億の基金もあると。そして、毎年一兆円ずつの投資的……(「それは間違っているよ。その数字は」と呼ぶ者あり)ありますよ。何をいっているの。(「財調も含めてだよ。それは」と呼ぶ者あり)そうですよ。それも含めて二兆六千億円ある。すぐに活用できる基金だって一兆二千億円あるじゃないですか。投資的経費だって毎年一兆円ずつ使っている。やっぱり私は財政の使い方の問題だというふうにいわざるを得ません。
 さて、子どもの学習権よりも財政を優先させないで、きちんと増設をしていただきたいということを強く求めたいと思います。子どもがふえても、教育条件をしっかり確保するために大切なのが施設標準であります。都教委はみずから作成した施設標準をどう考えているのでしょうか。

○前田特別支援教育推進担当部長 特別支援学校の施設整備につきましては、それぞれの学校の用地の状況や建築条件などを踏まえ、適用される法令等に基づいて必要な教室数を整備しているところでございます。

○畔上委員 学校施設の最低基準が必要だという考えはないのでしょうか。伺いたい。

○前田特別支援教育推進担当部長 繰り返しになりますけれども、学校の施設整備につきましては、用地の状況、建築条件等、与条件がございますので、そういった条件を踏まえながら、整備できる必要な教室を整備するという考え方で対応しているところでございます。

○畔上委員 みずからつくった施設標準をしっかり守っていただきたいと思います。障害別に子どもたちの特質が書かれてあって、教育上、教室はこのぐらいのスペースが必要なんだと各障害別に教室の面積基準も書かれてありますし、またプールなど共用についても、幼、小、中、高の併置校は小プールを併置するなど、施設整備のあり方がちゃんと示されているわけです。自分たちでつくった施設基準をもっと大事にしていただきたいというふうに思います。
 この施設標準をしっかり守って、学校を小規模地域密着型で増設することを求めたいと思います。そうすれば、通学の時間の短縮にもなりますし、また障害などを理由とした排除のない教育、インクルーシブ教育の前進にもつながると思います。
 次に、併置校について伺いたいと思います。
 先ほどもお話がありましたが、PTAの皆さんからも、併置になってメリットは感じないばかりか、不安と不満でいっぱいだという声を伺っています。パブコメやアンケートでも見直しを求める声が上がっていましたが、都教委はどう受けとめていらっしゃるんでしょうか。

○前田特別支援教育推進担当部長 併置化を行う特別支援学校につきましては、対象となる学校ごとに保護者等への説明会を行っておりまして、都教委としましても、PTAの代表者との意見交換を行っております。
 今後とも、併置化についてご理解が得られるよう努めてまいります。

○畔上委員 PTAの教育長あての重点要望に、大規模化を避けてほしい、また教職員の配置基準を見直して、学校規模に応じた人員配置をしてくださいとあります。
 見直しを求めているのは、生徒がふえて、大規模になって、使う体育館やプールなどの施設や特別教室は本当に利用しにくくなって、負担がふえたと。さらに、栄養士や養護教諭など教職員が減らされてしまったということから、こういう見直しを求めていらっしゃるんだと思うんです。
 都教委がいう、専門性を相互に活用する教育を行うということでしたが、果たしてできているのかという現場の皆さんを含めた検証がなされないままに、三次計画でまた新たに五つも併置校をつくるということは、私は問題だというふうに思っています。
 教職員配置の問題ですけれども、先ほどお二人の委員からもお話がありましたが、ご説明があったように、併置校の場合には、それぞれ、最初にいた学校の栄養士さんや養護教諭の先生は、併置になると半減になるというわけです。
 先ほども服部委員がおっしゃっていた国の教職員定数改善、これは前倒しをするように求めることは本当に大事なことだと思います。同時に、やっぱり国待ちにならないで、都としても改善すべきだと思うんです。
 以前、当委員会で私が併置校での教職員定数改善について求めたときに、今後の検討課題だとご答弁されていたんですが、三次計画策定に当たってどう検討したのか伺います。

○岡崎人事部長 児童生徒数の多い併置校における教職員の配置のあり方につきましては、これまでに開校した併置校の状況等を検証しながら、さまざまな観点から検討しているところでございます。
 実際の配置に当たりましては、児童生徒数など、開校時の学校の状況を踏まえまして、必要に応じ正規教職員に加え、非常勤教員の配置や賃金職員の活用などを図ってまいります。

○畔上委員 検討しているということなんですが、骨子の段階では検討結果が出なかったということですね。そういう点では、計画策定段階にはぜひご要望のあった配置をしていただきたいということを強く求めたいと思います。
 次に、病弱教育についてです。
 東京で唯一の病弱の久留米特別支援学校を光明特別支援学校に移転することは、病弱児教育を大きく後退させるものだといわざるを得ません。
 久留米の子どもたちは、心の病や内部疾患を抱えた医療との連携の必要な子どもたちであると同時に、寄宿舎に泊まって生活リズムを整えたり、心の病をゆったりとした環境の中で回復させているわけです。ですから、二十四時間看護師がいて、在勤医師もいるわけです。
 久留米の光明への移転、統合で医療体制はどうなるんでしょうか。

○前田特別支援教育推進担当部長 久留米特別支援学校の光明特別支援学校への移転に際しましては、必要な医療体制を整備してまいります。

○畔上委員 必要な体制はするということは、これまでの体制と変わらないというふうに理解したいと思います。
 病弱だけでなく、心の病を抱えた子も多いのが実情で、先ほど申し上げた医療との連携や、落ちついた静かな環境、それから生活丸ごとを見守るようなことができる単独校としての存続、拡充こそ求められていると思います。
 保護者の皆さんからは、併置校となったら病弱児に欠かせない養護教員はどうなるのか、環境の変化に対応できないで病院に入院しなければならなくなってしまうんじゃないか、行き場を失っちゃうんじゃないかと、不安が生まれているわけです。
 再編計画を見直して、病弱単独校として設置すべきだと私は思います。たとえ併置校とするにしても、教職員配置については、保護者の要望である養護教諭や栄養士など、二校分を一校分に減らすなどということはしない、そういうルールをきちんとつくるべきです。このことを強く求めておきたいと思います。
 次に、病院内教育について伺います。
 現在、病院内教育は、五月九日現在で百五十三人の子どもたちが四十八の病院内で教育を受けています。今後どのような方法での対応になるでしょうか。

○前田特別支援教育推進担当部長 現在の病院訪問教育は、肢体不自由特別支援学校から教員を派遣して実施しており、今回の病弱教育の再編では、訪問教育の実績等を踏まえ、病院内教育を行う学校の拠点化を行い、病院訪問教育の充実を図るものでございます。

○畔上委員 拠点方式でやるということですが、青梅とか武蔵村山の病院にも子どもたちがいるわけです。区部の墨東、光明、北で派遣されるとすると、多摩地域は大変だというふうに思います。また、一人一人、病気の状況や障害のあるなしでも対応はさまざまだと思います。
 肢体不自由児の特別支援学校の子どもたちが入院した場合、今と同じように、その学校の先生が訪問できるようにしてほしいという要望がありますが、私はこれは理にかなったものだと思います。三校に限定しないで、実情にかなった改善を求めたいと思います。
 何よりも、病院内の教育は、病気に対する不安を抱える子どもたちの気持ちにしっかりと寄り添い、子どもとの信頼関係を築きながら学習を保障するものですから、本人や保護者の意見を十分尊重した訪問教育にしていただきたいと思います。そのための必要な教職員の配置も求めます。
 次に、寄宿舎の問題です。
 寄宿舎は、命にかかわる大問題です。利用者の減が理由とされていますが、これまでは認められていた家庭の事情や教育的配慮は条件から外されて、先ほどご説明があったように、通学困難のみの判断となったために、寄宿舎を必要とする子どもたちまでが排除されているのが実態なわけです。
 廃舎予定の寄宿舎を利用しているあるお母さんは、母子家庭で、脳性小児麻痺のお子さんを頭に三人の発達障害を持ったお子さんを育てています。寄宿舎がなくなったら通学が難しくなって、就学保障そのものができなくなってしまいますと深刻な声を上げています。また、親の介護もあって、寄宿舎がなかったら自分は倒れてしまったという方もいました。
 都教委は、福祉で対応したいなどとしていますけれども、朝のヘルパーは本当に頼みたくてもなかなか人がいない、区としても対応が難しいという状況なんです。
 寄宿舎は就学保障とともに生きる基盤、第二の家庭としての大きな役割も担っているわけです。必要性についてのニーズの調査もやらないで切り捨てることが教育的といえるでしょうか。寄宿舎の保護者の皆さんとどのような話し合いをしているんでしょうか。

○前田特別支援教育推進担当部長 閉舎対象の寄宿舎を設置している学校では、全校説明会を行うとともに、保護者から個別に家庭事情や要望等を聞き取りながら、閉舎後の生活に不安を感じることがないよう、丁寧に対応しているところでございます

○畔上委員 転校について相談しても、検討としか回答していないなど、本当に十分な話し合いがされていないと伺っています。このまま廃止となったら、都教委がこの子の就学権を奪うことになっちゃうわけですよ。都教委としてどのような具体的な対応策を提案しているんですか。

○前田特別支援教育推進担当部長 都教委としましては、学校を通じて保護者の要望や家庭状況をきめ細かく把握し、児童生徒が居住する地元自治体と意見交換を行っているところでございます。

○畔上委員 必要な対策の見通しが見えないから、保護者の皆さんは不安の声を上げているわけです。
 区にも私も問い合わせをいたしました。一般的な情報交換はしているけれども、具体的な話はしていないということでした。まともな打開策も示せない、いいかえれば、寄宿舎はそれにかわるような代替はないということだと思うんです。だったら廃止すべきではないではありませんか。
 また、久留米では、裏山があったり自然が豊かで、ぜんそく児とアレルギー児にはよい環境であって、心のケアには必要な環境です。病弱の子どもたちには、病院と連携した、こうした環境の寄宿舎が必要です。
 光明の保護者からは、久留米の子どもが光明に入ると宿泊数が減らされたりしないか不安だという声も上がっています。
 また、城北の廃止については、東部地域の通学困難児童の就学、発達保障をどうするつもりかと、怒りと不安の声も広がっています。
 寄宿舎は存続して、寄宿舎の役割について保護者や関係者の検討組織をつくって、十分その役割を果たすことのできる体制づくりを進めることこそ、私は都としてやるべき仕事だと思います。
 大体、寄宿舎は廃舎しないでほしいという切実な陳情が出ていたにもかかわらず、この三次計画策定時には寄宿舎に対する議論はしていません。六年前の計画策定をそのまま引き継いでいるだけです。当事者の意見をよく聞く、そういう姿勢を持っていただきたいということを強く求めたいと思います。
 次に、外部人材の導入についてです。
 肢体不自由児学校の外部人材ですが、OT、PTなどの外部専門家の導入とヘルパーなどの外部人材の導入は、新たな指導体制といいますけれども、教職員削減とセットで行われてきました。
 きょうの資料でもいただきましたけれども、先ほどもお話があったように、導入で、昨年度からスタートしている永福では十二人、青峰では九人教員が減らされています。導入された学校ではさまざまな矛盾が生じていると聞いています。
 例えば、ヘルパー二級の知識や介助方法は障害児向けのものでないために、教員がヘルパーを指導しなければならなかったり、ヘルパーが短期間で交代してしまうなどの問題が起こっている。また、教員が減らされたため、担任の先生がグループでの授業に入れない場合が生じたり、先生が研修や出張に出た場合に大きな支障があるとも聞いています。
 そもそも、外部人材の導入は、現場からの要求によるものじゃなくて、これまでは大切な教育の一つだとされていた排せつや食事を、二〇〇八年に突然、これは介護業務だといって導入されたものなんです。排せつや食事は教育の一環という認識は変わったのでしょうか、伺います。

○前田特別支援教育推進担当部長 排せつや食事につきましても、学校における教育活動の一部に位置づくものと考えております。

○畔上委員 排せつや食事は教育活動の一つだという認識を示されました。これは大変重要だというふうに思います。学習指導要領にも、排せつや食事は自立活動の一つとしてしっかり位置づけられています。
 あるお母さんの話ですが、先生が毎日の排せつや食事を通じて子どもを理解することから始め、排せつや食事のときのちょっとした反応をとらえて、ふさわしい働きかけをしてくれた。そうしたら、寝たきりだった子がさまざまな表情を見せるようになって、生活にもリズムが生まれてきたそうです。本当に大事な教育だと思いました。
 それを単なる介護だとして、教員を削減するということでよいのでしょうか。保護者の方からも、外部人材の導入による教育水準の低下を痛切に感じるとの声が上がっています。こうした声をどう受けとめていらっしゃるんですか。

○前田特別支援教育推進担当部長 外部人材につきましては、肢体不自由特別支援学校の教育内容、方法の充実と、児童生徒の校内での安全管理体制の強化を図ることを目的として導入しているものでございます。

○畔上委員 保護者の皆さんの声をどう受けとめているのかというふうに伺ったんですが、答えはありません。
 先ほどの説明では、検証中ということが質疑の中でありましたけれども、検証中にもかかわらず、計画で来年度から順次導入と決めてしまうのは問題だというふうに思います。
 検証委員会の資料と議事録を拝見しました。教員が足りない状況が議論されています。例えば、介護士は自立活動の指導を行うことができないため、各グループの担任だけでは指導が実施できず、ほかのグループの担当教員が応援に入って実施している。このために、応援に教員を出したグループは、一人から二人の教員が能力差の大きい五人から十人の児童生徒の指導を行っているなどの状況が学校側から挙げられていました。
 そして、私は、この議事録を見て本当に驚いたんですが、その中で、ここで教員をふやしてしまうと、もとのもくあみであるとの議論がありました。要は、どうやったら外部人材の導入を広げて教員を削減できるのか、そういう議論になっているんですね。私は、こんなことはやっぱり認めるわけにはいかない。
 しかも、検証委員会には、障害者の父母の会の方は入っていますけれども、当事者である保護者は入っていません。都立の肢体不自由特別支援学校における新たな指導体制検証委員会にPTAの代表を加えることを求めますが、いかがですか。

○前田特別支援教育推進担当部長 検証委員会には、外部人材を試行的に導入した特別支援学校の学校長や保護者団体の代表者が参加しております。PTAの意見につきましては、学校長を通じて反映できるものと考えております。

○畔上委員 検証をこれからも行うというのであれば、私は、PTAの皆さんを入れるべきだと思います。教員削減ありきの計画では、矛盾があっても無理に無理を重ねることになるわけです。外部人材の導入に伴う教員の削減は行わないこと。検証委員会には保護者や現場の教員を加えて検証を十分に行って、本当に子どものためになる方向を示すこと。それまでは導入の拡大を行わないことを求めて、次の質問に移ります。
 重度重複障害学級についてです。
 都教委は、重い障害を持った子どもたちがこの四年間で約千五百人もふえているにもかかわらず、重度重複学級を実態どおり認可を認めずに、資料にあるように学級は一つもふえていませんでした。しかも、今回の骨子においても、重度重複学級の増設については一言も触れていません。
 PTAの皆さんから、重度重複学級枠の総数拡大と、障害の実態に即した重度重複学級数の増加の要望が出されています。都教委と保護者の認識の違いをどう説明されるでしょうか。

○前田特別支援教育推進担当部長 重度重複学級につきましては、学校との事前相談を踏まえ、校長から申請のあった児童生徒について、社会性の発達や日常生活の自立の程度などを総合的に判断して、重度重複学級への措置が適当であると認定した児童生徒数に応じて必要な学級数を編制しているところでございます。
 PTA、保護者の方々からの要望に対しては丁寧な説明を行い、理解が得られるよう努めてまいります。

○畔上委員 保護者の皆さんが求めているのは丁寧な説明じゃなくて、実態に合った配置なんです。ぜひ重度重複の実態に応じた重度重複学級の増設を直ちに行って、必要な教職員配置をすべきだということを申し上げておきたいと思います。
 次に、ろう学校の分教室についてです。
 骨子では、聴覚障害のある乳幼児に対して早期に専門的な指導を行うことは、その後の言語能力や理解力の伸長、さらには将来の社会参加に大きな影響を及ぼすとして、分教室の幼稚部の募集停止は行わないとしています。これはよいことだと考えます。
 しかし、教育環境の整備というならば、小学校以降の教育条件の整備も改善すべきだと私は思います。小学部の城南分教室は今年度から募集停止となったわけですが、その後、検証はされているんでしょうか。

○前田特別支援教育推進担当部長 城南分教室小学部の募集停止により、大塚ろう学校の小学部へ通学することになった児童につきましては、同級生の集団にもなじみ、順調に学校生活を送っているとのことでございます。

○畔上委員 やはり、ろう教育が必要だということなんです。たまたま通学バスでの通学時間が約一時間で、それでも長いと思いますけれども、よかったと思いますけれども、子どもたちの通学負担を考えると、私は、専門的なろう教育を受けたいのに受けられない事態をつくってはならないのであって、聴覚障害の専門的な教育を保障するための適正な規模の学校を必要な地域に設置することは重要だというふうに考えます。
 城南、それから江東、永福の分教室は存続して、募集停止の条件は撤回することを求めたいと思います。
 次に、高校教育についてです。
 都教委は、高等部の卒業生の就労率は年々向上しているものの、現状を分析すると、障害の軽い生徒の四〇%が企業就労していないことや、障害が重度の生徒の就職率が二〇%にとどまっているとして、職業能力の開発や、職種、職域の開発の拡充をうたっています。
 私は、職業教育そのものは大事だというふうに考えていますが、就職率で評価することに疑問を感じています。都教委は、自立というのをどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。

○前田特別支援教育推進担当部長 特別支援教育は、障害のある児童生徒の自立と社会参加を目指した教育であり、都立特別支援学校高等部においては、一般就労が可能な生徒には職業的な自立に向けた教育を行うとともに、障害の重い生徒には、障害の程度に応じて持てる力を伸長させ、地域での社会参加など、地域で生きる力を養う教育を行っております。

○畔上委員 地域社会の一員として生きていける力を培うということは、私もそのとおりだと思いますが、数字で就職率を追うようになりますとどうなるかということを非常に心配しています。
 例えば、就職活動のための整備が充実している高等部の学校も視察してきましたけれども、一年生で五つのコースをすべて体験して、二年生で二回、二週間のインターンシップを行い、三年生で就職を目指した実習をして就職を決定するという流れをつくっているんですね。じっくり取り組んで働く喜びや意欲を育てることが、果たしてこれでできるんだろうか。このスピードについていけない、そういう生徒はどうなるんだろうか、非常に私は心配になりました。
 また、就職活動のコーナーは、職場が学校にあるような本当に充実した中身だったんですけれども、片や、図書室はなくて図書コーナーということで廊下にちょこちょこっと本があったんですね。
 就職率が目標になると、やっぱり職業教育偏重になることによって、子どもたちの人格形成にとって大切にしたい基礎学力や文化や科学や芸術などの後期中等教育の保障が、私はおざなりになってはならないというふうに思うんです。ぜひその点も踏まえた高等部の教育について充実していただきたいと思います。
 また、永福の就職率が九六%というふうに書いてあったんですが、雇用形態はどうなっているんでしょうか。

○前田特別支援教育推進担当部長 平成二十一年度に永福学園の就業技術科を卒業した生徒につきましては、依然として厳しい雇用情勢ではありますけれども、契約社員等の雇用形態により就労しているところでございます。

○畔上委員 非正規、不安定雇用だというのが実態です。それは本人の努力の問題じゃなくて、地域の障害者雇用に対する支援体制の不十分さなどによるものも多分にあるのが実態だと思います。
 そうした課題を踏まえずに、企業就業率の向上を図ることを強調して、一面的に企業の就業率を成果として求めることは、障害のある子どもの進路指導に大きな問題を引き起こすことになるんじゃないでしょうか。
 私は、障害者の雇用水準の向上や劣悪な労働条件の改善など、東京都としても取り組むことを都教委としてもぜひ提案するとともに、学校の自主的な、また主体的な教育課程づくりを尊重していただきたいということを求めたいと思います。(発言する者あり)
 最後に、特別……(発言する者あり)委員長、谷村委員の不規則発言を指導してください。

○大西委員長 皆さん、ご静粛にお願いいたします。

○畔上委員 最後に、特別支援学級についてです。
 教室を設置しても教職員が配置されなければ十分な教育は行えないと現場から不安の声が上がっています。
 先ほどご説明では、特別支援教室付の教職員はいないということです。教職員の増についてはモデル事業を進める中で検討をというお話がありましたが、そうなりますと、現行の通級学級の教職員定数は、都教委としては検討してふやす可能性があるということでしょうか。

○前田特別支援教育推進担当部長 今回の骨子でお示しした特別支援教室構想は、通級指導学級の教員が巡回して指導を行うという形態をとっておりまして、今後の具体的な教員の配置の考え方についてはモデル事業の実施を通して検証してまいります。

○畔上委員 ぜひ増員していただきたいと思います。都内の通級学級は、この五年で倍、千八百三十一人から四千六百四十七人にふえています。固定学級も四千八百五十五人から七千百四十人に、子どもたちの数がふえています。
 保護者の皆さんからは、先生が工夫してもなかなか手が回らない、子どもがふえて落ちつかなくなってしまった、子ども同士のトラブルもふえたという声も寄せられています。
 一人一人の子どもたちの学習権、発達をする権利が脅かされている実態に目をつむって、通級学級の教職員が特別支援教室を巡回するというのは、私は非常に非現実的なものだというふうに思うんです。
 先ほどもモデル事業の中で検討するということでありましたけれども、ぜひその点、区市町村ともよく議論して行っていただきたいというふうに思います。
 通級学級や固定学級の実態、やっぱりこれを本当によく私は調べる必要があるんじゃないかと思っています。数は先ほども資料で出していただきました。数は調べているわけですけれども、じゃ、現場で本当にどういう状況になっているのか、先生たちがどんな状況になっているのか、子どもたちがどういう状況か。やっぱり実態をしっかりとつかむ必要があると思うんですが、いかがでしょうか。

○前田特別支援教育推進担当部長 特別支援教室構想につきましては、小中学校の設置者である区市町村の理解と協力が不可欠でございます。今後、モデル事業の実施を通じて実態把握に努め、区市町村との連携を深めてまいります。

○畔上委員 都教委は、子どもが動くのではなく先生が動くのだと先ほどもおっしゃっていましたが、私は、すべての学校に特別支援教室をつくるんであるならば、例えば、都教委は、先ほどのお話があったように、小中学校の四・四%の子どもが特別な支援を必要としているわけですから、子どもも先生も動かないで済む、すべての学校に通級学級をつくる方がより教育条件は向上するんじゃないかというふうに思います。
 固定学級や通級学級の設置校をふやしてほしい、教職員の配置基準をふやしてほしい、こういった声、こういう要望にこたえる計画に見直していただくことを強く求めたいと思います。
 一人一人の子どもたちの発達と成長を保障するには、私は、先ほども財政のお話ありましたけれども、お金がかかるというのは当然だというふうに思います。にもかかわらず、財政を優先するやり方、これは根本的に見直さなきゃならないと思います。
 障害児がふえているのに、子どもの増加に見合う予算にこの間もしてきませんでした。例えば、子ども一人当たりの特別支援学校の運営費は、今から六年前の計画策定当時より減額されているのが実態なんです。でも、先ほどいったように、都の財政規模は一般会計でも六兆円を上回っている、基金も相当にあるという点では、障害児の教育のさらなる拡充は可能だというふうに思います。
 都教委は、一人一人の子どもを大切にして、その子どもの実態にふさわしい教育の場を用意することは行政の責務だとした教育行政の原点に立ち返って、施策を充実させて、三次にわたる特別支援教育推進計画を抜本的に見直して、障害のあるすべての子どもたちに行き届いた教育を保障する立場で、私は財務ともしっかり話し合っていただかなきゃならないと思いますし、また、保護者や関係者、都民の声を十分生かした計画に見直していただきたいというふうに求めたいと思います。
 私は、骨子の抜本的見直しをして、学校整備や教職員の配置などをしっかりと充実させ、これからの十年間の障害児教育の前進にふさわしい計画策定を行うことを強く求めて、質問を終わりたいと思います。

○大西委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時八分休憩

   午後三時二十五分開議

○大西委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○星委員 よろしくお願いいたします。
 東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画(案)の骨子についての質問をさせていただきますが、このたび示された第三次実施計画(案)の骨子では、すべての学校ですべての教員がかかわるという特別支援教育の理念を具現化すべく、区市町村における教育体制の充実に向け、すべての小中学校の特別支援教室の設置が挙げられました。
 これは、情緒障害等通級に通う発達障害の児童生徒が、平成二十一年度に比べて平成三十二年度には四千六百四十七人から八千八百四人にふえるという推計が出ていることに対する教育環境の改善に向けてのことであるというふうに認識をいたします。
 子どもが動くから教員が動くといったコピーはとても聞こえがいいですけれども、現実、多くの課題があると思います。特に発達障害の児童生徒が大幅にふえていく推計の中で、構想にある個別指導等の実施や通級指導学級教員による巡回指導など、これまでの人員体制できちんと対応できるのかということについては甚だ不安がありまして、これに対して多くの保護者からご意見が寄せられております。
 また、学校現場で特別支援教育におけるリーダー役であるべき特別支援教育コーディネーターについては、これまでその役割を十分果たしてこられたか、何が足りないか、詳細な検証が必要だというふうに認識いたします。
 まず、特別支援教育における重要なキーパーソンとしてのコーディネーターの存在について幾つかご質問をさせていただきたいと思います。
 東京都は、コーディネーターに対して研修を実施されていると思いますけれども、その研修の仕組みと、その研修の成果を区市町村の小中学校に対してどのように反映しているのか、お伺いをいたします。

○高野指導部長 特別支援教育コーディネーターに関する研修は、東京都教職員研修センターにおいて平成十六年度から平成二十一年度まで、各区市町村教育委員会から推薦を受けた教員を対象にいたしまして、発達障害の理解の深化や校内委員会の運営、地域の関係機関との連携のあり方等について実施してまいりました。
 平成二十二年度からは、特別支援教育コーディネータースキルアップ研修といたしまして、これまで特別支援教育に関する研修等で身につけました力をさらに高めることを希望する教員を対象に、演習や事例検討を含むより実践的な研修を実施しております。
 こうした研修を受講した特別支援教育コーディネーターは、所属校の特別支援教育の推進はもとより、区市町村における特別支援教育コーディネーターの研修の講師を務めるなどいたしまして、域内の各学校の特別支援教育の担い手を育てるなど、研修の成果を上げてまいりました。

○星委員 はい、ありがとうございます。
 ただ、今の答弁だと、すべてのコーディネーターが都の研修を受けるのではなくて、いわゆる区市町村教育委員会から推薦を受けた教員という、代表者という方が研修を受けて地域での育成に当たるというようなお答えをいただきました。
 そうなると、地域のコーディネーターのリーダー的な役割の方がいらっしゃって、その方の責任はかなり重いというふうに私は推察をいたします。そもそもコーディネーターは、すべての現場の教員がそれぞれの立場で兼務だというふうに聞いていますけれども、かなり過重な労働と責任というふうになりはしないかというふうに心配しますが、校内できちんと役割を果たすことができているかどうかというところがとても重要だと思いますけれども、特別支援教育コーディネーターが活躍できるように、校内では何らかの工夫がされているのでしょうか。ご協力が得られているのでしょうか。それについて見解を伺います。

○高野指導部長 特別支援教育コーディネーターは、担任と連携いたしまして、発達障害のある児童生徒の実態把握に努めるとともに、校内委員会の運営、地域の関係機関との連絡調整を進めるなど、多様な役割を担っております。
 このため、各学校における特別支援教育の推進に当たりましては、校長の指導のもと、特別支援教育コーディネーターを中心に、校内のすべての教員が協力いたしまして、組織的に一人一人の児童生徒の指導や支援に取り組む必要があると考えております。
 また、こうしたことにつきましてリーフレット等にまとめまして、周知徹底を図っているところでございます。

○星委員 具体的にどのような協力体制かというところがいま一つ見えにくいんですが、組織的にそういうような仕組みになっていて、校長の指導のもと、協力体制をつくって行っているというようなお答えですが、コーディネーターの本来業務、いわゆる相談、相談が基礎ですけれども、あるいは個別計画やさまざまないわゆる個別指導計画、教育支援計画、あるいは校内の研修の企画、あるいは関係機関との連絡調整など、さまざまなお役があるわけですけれども、お聞きしましたところ、さまざまな立場の方がコーディネーターをされていると。これは、副校長から教務主任、通常の学級を持っていらっしゃる方もそうだし、養護教諭の方もコーディネーターをされているということで、いわゆるコーディネーターとしての本来業務とそもそもの立場というところの中で、非常に大変な責務というか、仕事量ではないかなというふうに思います。
 そこで、各学校の特別支援コーディネーターの業務の実態把握についてはどのように認識していらっしゃいますでしょうか。

○高野指導部長 小中学校の特別支援教育コーディネーターの活動状況につきましては、所管する区市町村教育委員会が学校訪問や研修会、協議会などを通しまして把握し、課題等があればその都度、必要な支援を行っているところでございます。
 一方、都教育委員会は、区市町村教育委員会の指導主事との連絡協議会などで、特別支援教育コーディネーターの活動状況について報告を受けまして、必要がある場合には都として支援の方策について指導、助言しているところでございます。

○星委員 三次の骨子を見させていただいた中で、特別支援学校に関しましてはもともとノウハウをお持ちなのでそう心配はしていないんですが、いわゆる普通校の小学校、中学校においての特別支援教育の推進に関しまして、コーディネーターはとても重要な役割だというふうに思いますし、ここのところが、まさにかなめの部分がしっかりと機能していれば、いろいろなことがうまくいくというふうに思います。
 このことについて、実はとても声が多くて、なかなか大変そうだよという現場の声は保護者からもいただいているものですから、ぜひこのコーディネーターの方たちの実際の生の声とか現状、どのような課題をお感じになっていられるだろうかみたいなことの調査を、私は早急に実施をしていただきたいというふうに思います。これは要望いたします。
 次に、今度は個別指導計画についてお伺いをいたしたいと思います。
 特別支援教育では、一人一人に応じた教育を進めるために個別指導計画を策定することというふうになっています。小中学校における個別指導計画の作成状況と、その活用方法はどのようになっているのか、お伺いをいたします。

○高野指導部長 個別指導計画とは、特別な支援を必要とする児童生徒に対しまして、実態把握を踏まえまして、指導目標や指導内容、方法を記した計画でございまして、保護者の協力を得て担任が作成するものでございます。
 平成二十一年度には、都内公立小学校において八七%、公立中学校において七〇%の学校が個別指導計画を作成しておりまして、小中学校ともに作成率は毎年増加傾向にございます。
 各学校では、作成された個別指導計画をもとに、教員同士が児童生徒の指導課題や配慮事項などにつきまして共通理解を図ることにより、組織的な指導、支援に努めているところでございます。

○星委員 たしか特別支援コーディネーターの設置はほぼ一〇〇%だというふうにお聞きしておりますけれども、個別指導計画に関しましては小学校で八七、中学校で七〇%ということですから、作成をされていないというところの学校について、どういう実態にあるのかということをお聞きしたいのですが、なかなか難しければ、その原因につきましては後日、資料か何かでお示しをいただければいいと思います。
 いずれにしましても、区市町村の状況についての詳細な実態把握というものをしていただいて、それがその三次に反映をされるということが私は大切なことだと思いますので、作成されていない学校、あるいは先ほど申し上げましたようなコーディネーターの実態、意識調査などもぜひぜひ進めていただきたいということを要望させていただきます。
 次に、小中学校の特別支援教育を推進するための体制の整備についてお伺いをいたします。
 第三次の実施計画では、知的障害特別支援学校の再編、区市町村では在籍校における支援体制の整備など、配置計画における違う障害の併置計画、全校に特別支援教室設置、情緒障害の通級からの巡回指導などが示されています。
 私は、そもそも教育現場においては十分な人手が保障されるべきと思いますけれども、それがまず基本であるというふうに考えますが、特別支援教室における教員の配置のあり方についてはどのようなお考えなのでしょうか。

○前田特別支援教育推進担当部長 特別支援教室構想の実施に関する教員の配置につきましては、モデル事業の実施を通して具体的な検証を行い、効果的な教員配置のあり方について検討してまいります。

○星委員 モデル事業の実施を通してというようなお答えで、この三次の中では示されておりませんし、本日のこの間の質疑でもなかなか人的なものの増員ということについては明確なお答えが出ているわけではありませんが、ぜひ私は今後、あくまでも最低限でやっていくという考え方ではなくて、やはり余裕のある人員配置というところでお願いをしたいというふうに思います。
 そこで、資料をいただいた区市町村別の特別支援教育の支援員についてちょっといろいろ見させていただいて、私は驚いたんですけれども、これは国の地方交付金と市区町村の財源でやられていて、都の管轄ではありませんけれども、この東京全体で見ましたところ、かなり自治体の規模、これは児童生徒数の規模の違いはもちろんあるにせよ、自治体によってとても手厚いところとそうでないところの差が私はあるように思うんですけれども、この辺のところはやはり東京都の役割としては、全体の底上げをどうしていくかというところの目線で考えていただきたいというふうに思います。
 私は、ぜひぜひ市区町村の状況もよく見ていただいて、これは区市町村の力量や熱意なんだからということであきらめないでいただいて、後押しをするという役割を担っていただければというふうに思います。これは強く要望させていただきます。
 質問を続けます。
 私は、全教員が特別支援教育に対して理解をしていただけるということが本当に大事なことだというふうに思いますが、一般教員の特別支援教育に関する研修の受講状況と今後の研修のあり方についてどのようなお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

○高野指導部長 東京都教職員研修センターにおきましては、平成十六年度から公立学校の一般教員を対象とした特別支援教育に関する研修を実施しておりまして、平成二十二年度につきましては十講座開講いたしまして、約二千百名の教員が受講しているところでございます。
 また、都教育委員会は、区市町村教育委員会や学校の要請に応じまして、平成二十一年度は特別支援教育を専門とする指導主事を延べ百二十八回学校の研修会等に派遣いたしまして、各学校の研修を支援してきたところでございます。
 今後とも、研修センターが行う研修を引き続き実施いたしますとともに、指導主事の派遣を通して各学校の校内研修を支援することによりまして、すべての教員が特別支援教育に関する資質を高めるようにしていきたいと思います。

○星委員 従前から私は思いますけれども、東京都は非常に専門的なところの中の部分での研修や情報提供というのはとても一生懸命やられておりますし、すぐれているというふうに私は思うんですが、ただ問題は、そういったツールをきちんと区市町村の教員の方たちが使いこなせているのかなというようなところ、あるいは研修が受けやすい環境にあるのかなというようなところの部分だと思います。
 今、全体で二〇一〇年度は二千百名の教員が受けられたということですが、二〇〇四年度からの積み上げで、全体延べ人数でどのぐらいの教職員の方が特別支援教育に対してスキルを高めるための研修を受講されたのかということに対して、私はとても興味があるんです。
 文科省の二十年度の九月一日を基準日にしての調査というところでは、これは日本全体なんで、東京都は恐らくもう少し多いというふうに期待をしたいと思いますけれども、まだ五〇%、半数の教員しか特別支援教育に関しての研修を受けていない、あるいは校長、副校長などの管理職に至っても、六六%というような状況が最近の発表でわかりました。
 もうこの時点からは二年近くたっているのでさらにふえているはずですが、やっぱりこの状況では、私はこの国の特別支援教育というものが非常に心配です。私は、ぜひぜひ実態を把握していただいて、まだ受けていない教職員の方がいらっしゃったらば、ぜひ受けるよう、あるいは受けにくい環境にあるようならば、その対策も含めて研修を充実していただきたいということを要望いたします。
 次に、都立高校における特別支援教育についてお伺いをいたします。
 実は、都立高校における特別支援教育なんですが、今回三次に示されたものを見ますと、正直申し上げまして、内容が非常に薄いというか、少ないというふうに私は実感を持ちます。
 以前、昼夜間定時制の問題を取り上げさせていただいたときに、いわゆる定時制に勤労青少年ではなく、働かなくともいわゆる軽度の発達障害だとかというところの中の部分で、普通校の受け皿がないという中で、昼夜間定時制に行かざるを得ない、それを余儀なくされている子どもたちが少なからずいらっしゃるということを指摘させていただいたし、実は私が指摘させていただく以前に、もう既に東京都教育委員会の方では、いわゆる都立高校の改革の一連の中の定時制をどうしていくかというところの中で、この問題は大きな課題として取り上げられていますよね。それにしては、今回の骨子には都立高校、普通校においての受け入れをどうしていくかということが余り鮮明ではありません。
 書かれている中では、チャレンジスクールなどへの支援策がありますね。あとは職業訓練などの充実、それと小中学校では触れられていなかったいわゆる特別支援コーディネーターの機能強化みたいなところは書かれておりますけれども、私はこの三次の高校のところが非常に手薄いんではないかなという実感を持ちますけれども、都立高校における特別支援教育の充実には今後どのように取り組まれていくのか、まずお伺いをいたしたいと思います。

○前田特別支援教育推進担当部長 都立高等学校におきましては、各学校で指名された特別支援教育コーディネーターを中心に校内体制を整備し、個別指導計画等を活用した指導を充実させているところでございます。
 今回お示しした骨子におきましては、チャレンジスクール等の学校においての指導を充実させることをうたっているところでございます。

○星委員 子どもたちが行きたい高校にやっぱり行きたいんですよね。発達障害と知的なおくれでなく、適切なサポートがあれば十分普通校に通える子であっても、三次計画の中ではチャレンジスクールしか見当たらない状況で、チャレンジスクールというのは数が限られていますので、私は受け皿がまだまだ不十分だというふうに思いますので、ぜひぜひ都立普通高校においての特別支援教育というものをどうしていくのかというのも、もう少し中身を濃くしていくことを期待いたしまして、そのことを要望いたします。
 最後になりますが、特別支援学校の通学負担の軽減について質問させていただきます。
 昨日も一般質問の中で質問が出ていたようですが、現状七十数分かかったのが六十何分で、十分間の短縮がされたということ、私は非常にご努力が反映された結果だというふうに評価いたしますが、しかしながら、やっぱり六十分といっても、実はバス停までさらに時間を費やすということがありますよね。これは、実質六十分ということではないというふうに思いますので、どの子も一人一人に合った教育を受けられるという理念とは裏腹に、統廃合、拠点化、大規模化などにより、児童生徒の学校へのアクセスの問題が、私は今の推進計画によって、さらに困難な事態を引き起こしているのも現実だというふうに思います。
 これまでも分教室、寄宿舎の廃止などにおける保護者たちの悲痛な訴え、第三次推進計画説明会の場面で今後の不安を訴える声など、障害を持った子どもたちに手厚い教育を行っていくはずの計画が、そもそも通学しにくさという課題を棚上げにしたままでは、私は理念が生きたものにならないというふうに感じます。
 学習を受ける権利を持つ子どもたちに、もっと基本的なこととして学校へのアクセスの問題は一日も早く解決すべき問題であるというふうに考えます。
 こうした実態において、スクールバスの通学時間最長六十分以内というのは、私は評価をしたくない現状だと思います。なぜならば、健常の子どもたちが越境入学を申請する際、よく区市町村においていわゆる境目あたりに住んでいる、実は徒歩数分で区域外の学校に行けるようなことも含めて、いわゆる越境入学、さまざまな諸事情でそういったことを地域の教育委員会に申請をされるということがありますよね。そういうケース、実態がありますけれども、そういった中で、まずは、結局、学校区に行ってくださいというふうな指導がされると思うんですけれども、この指導のマニュアルをちょっと見る機会がありました。
 そうしますと、区域外に通うことのデメリットというものがるる書かれているんですね。安全性への不安や、地域でのコミュニケーション減少など、詳細に地域外、学区外ということは子どもたちにとって非常にデメリットがあるんだということが書かれていて、そのことをもとに、保護者の方をまず説得をされるということが現状に行われているようですけれども、健常の子どもたちにはそういう指導。しかし、障害を持っている子どもたちは、身近な地域どころか、遠隔地に通うことを余儀なくされているというのが実態です。私は、このことはとても問題だと思います。
 私は今後、特別支援教育推進計画を進めていく上で、学校への通学困難者の問題をまずどう解決していくのかということを考えていくことが重要だと思いますけれども、所見についてお伺いをいたします。

○前田特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、これまでも東京都特別支援教育推進計画第一次、第二次実施計画に基づき、特別支援学校の配置の適正化と通学区域の調整、スクールバスの増車等による通学負担の軽減に努めてきました。
 今後も、通学区域の調整やスクールバス運行コースの設定の工夫などにより、通学負担の軽減に努めてまいります。

○星委員 もう一問残していました。申しわけありません。今のご答弁は余り温かいご答弁ではありませんでしたが、今後も引き続きこの問題は質問させていただきたいと思います。
 最後には、保護者への啓発について少しお聞きをさせていただきたいと思います。
 特別支援教育を推進していくには、地域の学校に通う子どもたちの保護者はもちろん、私は、障害を持つ持たないに限らず、保護者や、あるいは子どもたちの特別支援教育というものに対しての理解、協力というものが大きなかぎではないかと思いますが、第三次実施計画ではすべての学校に特別支援教室を置くという計画にもなっていますので、このことはこれからとても重要になってくると思います。
 まず、この啓発、理解をどういうふうに高めていくのかということについてどのように取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。

○前田特別支援教育推進担当部長 これまでも第一次、第二次実施計画の中で、保護者への理解啓発事業についてはその実施に努めているところでございます。
 第三実施計画においても、保護者を含む都民の特別支援教育に対する理解が進むよう、理解啓発資料の作成や情報提供、相談の充実などに取り組んでまいります。

○星委員 最後に意見を申し上げます。
 今後、地域や区市町村がいかに自分たちのまちの子どもたちに対して、よりよい教育環境をつくっていくかということが重要になると思いますけれども、現実では区市町村でやっぱりかなり格差があるんではないかなという実感を持っていますし、先ほど申し上げましたように、東京都の全体の底上げをするというところの責務はとても大きいものだと思います。
 この春にオランダに視察をさせていただいて、そこにおけるいわゆる日本の特別支援教育に当たる政策が、向こうではリュックサック政策というふうにいわれていまして、一人一人の子どもたちがリュックサックの中にいわゆる予算を詰め込んで、それで学校を選べる仕組みになっているんですよね。
 学校側は十分な予算を背負ってその子が来てくれるのでとても歓迎だし、ほかの子どもたちにもとてもいい影響を与えるというようなところがありまして、見させていただいたときに、普通学級の中にダウン症のお子さんがお一人いらっしゃいましたが、あの子がリュックサック政策なんですよというふうに校長先生がおっしゃいました。パソコンか何かをやられておりましたけれども、先進国ではそういった取り組みをしています。
 私は、この特別支援教育は極めてインクルーシブな教育に向けてのことで、理念、ビジョンはとてもすばらしいと思います。しかし、実態がなかなかそこまでいかない。これは、行政もそうですけれども、私は人々の意識も含めて、まだなかなか障害というものに対しての十分な理解が進んでいないのが現状だと思いますが、理念を実現すべく、ぜひぜひ今後も努力していただきたい。そしてまた、現状の実態と乖離しないような計画を作成していくことを切にお願いを申し上げまして、意見を終わらせていただきます。

○滝沢委員 私の方からも質問させていただきたいと思います。
 今回の第三次実施計画ということでの大きなテーマとして、市区町村における特別支援教育体制の充実ということが掲げられていて、現在、都内の区市町村立の小中学校には特別な支援を要する児童生徒が増加傾向にある。
 区市町村にとっては、それぞれ工夫しながら対応していくということですけれども、そこで、幾つか小中学校に関連する事項について質問していきたいと思います。
 現在、各小中学校には、特別支援教育を推進していくために特別支援教育のコーディネーターを担う教員がいらっしゃいますけれども、都は三次計画の中で、すべての小中学校に特別支援教室を設置するという考え方を示しておりますけれども、特別支援教育の実際の運営については、通級指導学級から巡回教員だけではなくて、各小中学校にいる特別支援教育コーディネーターの役割が今後非常に重要になってくると思いますけれども、どのように考えられているか、お伺いしたいと思います。

○前田特別支援教育推進担当部長 第三次実施計画(案)の骨子では、特別な支援を要する子どもが在籍する学校すべてで特別支援教育を推進していくこととしております。
 このため、校内委員会、校内研修の企画、運営、関係機関等との連絡調整、保護者からの相談窓口等の役割を担っている特別支援教育コーディネーターの役割は非常に重要であると考えております。

○滝沢委員 ただいまご答弁いただいた中で、保護者からの窓口相談、大変な役割を今後担っていく特別支援教育コーディネーターの役割がさらに重要であるということのご認識をいただいたわけでございます。
 また、特別な支援を要する子どもたちには適切な支援を行っていくために、学校の教員だけで対処法などを考えるのではなくて、臨床心理等専門家やいろんな方の見地からの協力が不可欠だと思いますけれども、どのように考えられているのか、お伺いしたいと思います。

○前田特別支援教育推進担当部長 特別な支援を要する児童生徒の障害の程度の把握や望ましい教育的対応のあり方については、心理学の専門家などからも専門的意見をもらい、指導内容や方法等について助言を得ることは有効と考えております。

○滝沢委員 いろいろな指導内容、方法等を外部からも聞いていくということで、今それについては有効だということでのご答弁をいただいたわけでございますけれども、市区町村で小中学校の通常学級の特別な支援を要する児童生徒を支援するために、特別支援教育支援員の配置を行ったり、必要に応じて施設の整備のための改修等を行っているとなっています。
 しかしながら、市区町村の特別支援教育への取り組みに格差が生じている実態があるというふうに思っておりますし、都として、発達障害のある子どもたち等、特別な支援を要する子どもたちにも適切な指導、支援を行っていくということが重要であると思いますけれども、これについて考え方をお伺いしたいと思います。

○前田特別支援教育推進担当部長 第三次実施計画(案)の骨子では、発達障害のある児童生徒への支援体制の整備のため、特別支援教室構想を打ち出しているところでございます。
 この構想は、都として小中学校における発達障害のある児童生徒の支援体制のあり方を示したものでございまして、今後、区市町村と連携し、小学校を対象とするモデル事業を行う予定でございます。
 モデル事業の検証結果につきましては、広く区市町村に周知を図る中で、区市町村における特別支援教育体制の整備に努めてまいります。

○滝沢委員 特別支援教育の支援の体制というのは、市区町村における整備に努めていくということですけれども、市区町村の特別支援学級に在籍する障害のある子どもたちがいらっしゃいますけれども、こうした子どもたちは、学校に置いていかれる放課後子ども教室になかなか参加しにくい状況にある。
 そこでですけれども、特別支援学級に在籍する児童が放課後子ども教室に積極的に参加できるようにするために、放課後子ども教室での受け入れ促進策を講じるべきだと思っておりますけれども、東京都の考え方をお伺いしたいと思います。

○松山地域教育支援部長 放課後子ども教室は、放課後や週末等に地域住民の参画を得て、特別支援学級の児童を含め子どもたちの安全・安心な居場所を設け、多様な体験や交流活動等の機会を提供する事業でございます。
 本事業では、各地域の状況に応じ、区市町村がそれぞれの判断で安全管理員や学習アドバイザーをふやすことによって、障害児の受け入れにも対応できるようにしております。
 また、都教育委員会では、安全管理員や学習アドバイザーなどを対象に、障害児受け入れのための知識、技術の習得を図る研修を実施し、資質向上に努めてきたところでございます。
 今後も引き続きこうした取り組みを充実させますとともに、障害児受け入れの先進的な取り組み事例などの情報提供を行い、区市町村を支援してまいります。
 また、国に対しても、放課後子ども教室への障害児受け入れの促進につながるよう、人的配置にかかわる助成の拡充を要望してまいります。

○滝沢委員 ぜひ積極的な放課後子ども教室に参加できるような体制の構築に向けてご尽力いただきたいと思います。
 次に、特別支援学校の再編整備に関する事項について質問していきたいと思います。
 第三次実施計画では、知的障害特別支援学校の再編整備として、普通教育部門を併置する学校づくりに取り組むということになっておりますけれども、八王子盲学校や立川ろう学校で知的障害教育部門との併置化、知的障害の特別支援学校と肢体不自由の支援学校との統合、併置化が示されていますけれども、まず複数の障害教育部門を併置する学校における校長や養護教諭、栄養士や用務主事、事務職員など、教職員の配置の考え方についてお伺いしたいと思います。

○岡崎人事部長 複数の障害教育部門を併置する特別支援学校の教職員についても、その他の特別支援学校と同様、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に基づきまして定めた都の配置基準により人数を算定しております。
 具体的には、教諭については障害種別ごとの学級数に基づき算定しております。校長、栄養士、用務主事、事務職員など教諭以外の教職員は学校単位で算定しておりますが、養護教諭は、さらに児童生徒数による補正基準などにより加算して人数を決定しております。

○滝沢委員 次に、併置校化によります障害のある子どもたちにとってどのような教育的なメリット、第三次配置計画(案)の中での併置化を行う学校の教育について、それぞれの教育部門の専門性を相互に活用する教育を行うというような形での明記はされていますけれども、障害の重複化にどう対応していくのか。専門性や相互に活用する教育とは具体的にどういうものなのかをお伺いしたい。

○前田特別支援教育推進担当部長 併置校におきましては、各障害部門の専門性を生かし、児童生徒一人一人の実態を多面的に把握するとともに、指導方法や教材、教具などを工夫し、一人一人の障害の状態に即した教育活動を一層充実することができると考えております。
 例えば知的障害教育部門には、知的障害に加えて情緒障害や発達障害などに関する専門性のある教員がおり、聴覚障害教育部門には音声や文字、手話などのコミュニケーション手段に関する専門性のある教員がおります。
 こうした専門性のある教員が合同の事例検討会などにおいて相互に意見交換し、生徒の実態把握や指導方法の検討を行い、日々の授業における指導にその成果を反映させることが可能となります。

○滝沢委員 併置校において、先ほどは教職員の配置についてお伺いしたんですけれども、一校一校の教員の配置を、東京都においては併置化していくことによりまして、教職員の数が減ってしまうということなんですね。
 ですから、東京都は併置化によって、今までの授業や学校での生活内容と、これから併置化になって通う児童の方々、子どもたちがどういった学校での時間を過ごしていく、その中でのどういった面で支障が出るのか出ないのかというのをやはりしっかり検証していくということが必要だと思うんです。
 ですから、足りなくなった分、もしも一校一校で必要だった方々が併置によっていろいろな条件、もしくは国の制度や東京都の配置基準などによって少なくなってしまって、一校一校だったら、学校の中で、教育的な中で受けられたものが受けられなくなるとか、やはりそういった面での不安、そういった面をしっかりとやはり、一校であったり、併置になったときにどういう対応ができるのかということをまず説明するなり念頭に始めていかなければ、やはり今後、併置に対しての不安感というのはぬぐえないんだと思うんです。
 先ほど教職員の配置についてお伺いしたのは、そういう考え方のもとに、東京都が併置化していくんだということによって教員が少なくなって、過ごす教育的な内容がどう変化するのか、やはりそれをしっかりと説明するといったことが、この計画案の中にも明記することが必要になってくるんだと思うんです。
 次に、第三次実施計画の策定に当たって、障害のある児童生徒数の推計が行われておりますけれども、知的障害特別支援学校の在籍数が今後大幅に伸びていくと結果が出ています。
 また、この推計に基づいて、教室確保策、知的障害特別支援学校再編整備が明示されまして、新設、増築、改築、併置など方策が示されておりますけれども、今回示された再編整備の内容が確実に、今後、児童生徒数に対応できる教室数の確保がなされているのか、お伺いしたいと思います。

○前田特別支援教育推進担当部長 今回の骨子策定に当たって実施した障害のある児童生徒の推計によると、知的障害特別支援学校に在籍する児童生徒が、平成三十二年度までに約二千五百人増加していくことが明らかになっております。
 骨子で示した知的障害特別支援学校の再編整備案は、この推計結果を踏まえ、今後増加していく児童生徒を受け入れていくために必要な教室を確保するとともに、カーテン等で間仕切りされた教室を解消し、教育環境の改善を図るものでございます。

○滝沢委員 現在、肢体不自由の府中特別支援学校と知的障害の府中朝日特別支援学校は、第二次実施計画で統合し併置化される計画で、平成二十四年度の開校に向けて準備が進んでいるというふうに聞いておりますけれども、この二つの学校はもともと一つの学校であったという経緯がございまして、過去に分離されたという学校で、また再び再編されるということで、都教委の設置やその方向性の一貫性というのがやはりどういうところなのかなというふうに思うところもあるんですが、保護者の方から見れば、今回の併置化、意義について疑問を感じる方もいらっしゃると思うんです。
 そこで、この二校が再び統合されまして、併置化されることになった理由をお伺いしたいと思います。

○前田特別支援教育推進担当部長 特別支援教育への転換を機に、障害のある児童生徒を取り巻く状況は大きく変化しており、都においても、知的障害特別支援学校における在籍者数の増加や児童生徒の障害の重度重複化への対応等が求められているところでございます。
 こうした状況変化を踏まえ、東京都特別支援教育推進計画では、個に応じた新たなタイプの学校づくりとして、複数の障害教育部門を併置する学校を設置していくこととしたものでございます。
 なお、併置に当たりましては、それぞれの障害種別における教育の専門性を十分確保するとともに、児童生徒の障害特性に応じた適切な学習環境を確保してまいります。

○滝沢委員 今ご答弁いただきましたように、ぜひ児童生徒の障害の特性に応じた適切な学習環境を確保していく、これを進めていただきたいと思います。
 最後の質問になりますけれども、今後、推進計画に基づいて学校の併置化校を進めていく場合には、併置化の教育的メリットを生かすことができる校舎など、施設整備を行うとともに、子どもたちが学校で安全に過ごすことができる設備を整えるべきだと考えております。
 また、この整備に当たっては、保護者や児童生徒の意見、学校関係者などの意見も十二分に聞いていく必要があると思うんです。本来、お子さんを通わせている保護者の方々がどの施設的に不備があるかというのは、やはりアンケートで、三次計画の前に保護者の方々にお集まりいただいて、自分の子どもたちにとってこの学校の施設がどうなのかという意見をやはり先に吸収するという方が、施設改修でしたり改築するときの一つのいい情報源になると思うんです。
 エレベーターが欲しいとか、もしくはトイレの事情が、やはりこのままでは改修してほしい、もしくは私どもの学校にはスクールバスがないんで、ぜひスクールバスが欲しいとか、スクールバスがなくて、最寄りのバス停から自分の学校に行くまで点字ブロックが不足しているなど、やはりその学校によっていろいろな条件があると思うんです。
 ですから、三次計画の中で、本当にそこの学校の主役というのはそこに通われる児童の方々であって、その児童の方々にとって、併置化や、これからの三次計画の中で過ごす、その環境がどうなのかということをやはり主眼に置いていただきたいと思いますけれども、東京都の考え方、都教委の考え方をお伺いしたいと思います。

○前田特別支援教育推進担当部長 併置校における学校整備につきましては、それぞれの障害教育部門の専門性ある教育活動が十分に実施できる環境の整備が必要でございます。
 そのため、それぞれの障害教育部門に必要な教室の確保を行うとともに、両部門が共用するエリアとそれぞれが専用する部分を区分し、児童生徒の動線を考慮し、学校生活上の安全確保を図っております。
 また、併置化に伴う学校施設の整備に当たりましては、保護者等の意見について十分に配慮していきたいと考えております。

○遠藤(守)委員 公明党の遠藤であります。どうぞよろしくお願いいたします。
 第三次実施計画案の骨子、テーマでありますけれども、自治体がつくる計画について、今、私なりに今日的な意義ですとか課題、または今後どうあるべきかということを個人的に勉強しているんですけれども、行政計画というのは勉強するにつけ本当に大変だなと。
 というのは、そもそも計画ですから、現時点において将来のことを推定して対策を立てて、当たり前ですけれども、そこにこの計画の第一の難しさがあり、そして、なおかつ今回テーマとなっているのが特別支援教育であります。
 この特別支援教育については、いうまでもなく、ますますこれに対する期待や、またはニーズ、そしてそうしたものに基づいての、将来的にひょっとすると想定以上の需要というものが拡大するということも十分に考えられる中であっての今回の第三次実施計画ということであります。
 こうした観点に立てば、さまざま課題、または注文というものがあると思いますけれども、今日までここにこぎつけた都教委の皆さん、また先ほどご報告ありましたさまざまな検討委員会で汗をかいていただいた関係者の皆さん、また、きょうもこの委員会にお運びいただいておりますけれども、熱心な保護者の皆さん、学校関係者の皆さんにまず敬意を表したいと思います。
 その上で、事前の方の質問と重なる部分もありますので、四点について質問をさせていただきたいと思います。
 第一点目は、第三次計画策定のすべてのベースになっております将来推計についてであります。
 都が実施した障害のある児童生徒数の将来推計では、十年後の三十二年度には特別支援学校の在籍者が現在より約二千七百人増となり、小中学校においても発達障害の子どもを含む情緒障害等通級指導学級の利用者が約四千人、そして知的障害特別支援学級の在籍者が約千八百人、それぞれ増加することが明らかになっているわけであります。
 この推計は、先ほど申し上げましたとおり、今後、都における特別支援教育を推進していく上で最も基礎的かつ重要なデータであり、第三次実施計画における特別支援学校の施設整備や、または後で触れますけれども、特別支援教室構想等もこの推計をもとに検討が進められたわけであります。
 その意味で、この推計の方法が十分に信頼性があり、そして、推計結果が確実であることがこの第三次実施計画の実効性を担保、保障するといっても過言ではないと思います。
 そこでまず、この第三次推進計画策定に当たって示されている障害のある児童生徒数の推計はそもそもどのような方法で行われたのか、説明を求めたいと思います。

○前田特別支援教育推進担当部長 今回の推計は、平成二十一年度の教育人口等推計報告書や、特別支援学校及び特別支援学級の在籍児童生徒数の実績、特別支援学校中学部や高等部へ入学した者の入学者出身内訳などを基礎資料として使用しております。
 また、過去の実績数の推移を傾向分析し、統計的手法である回帰分析とコーホート分析を用いて推計しております。
 さらに推計に当たっては、愛の手帳の交付数や保育園での知的障害がある幼児数の増加状況と在籍者数との関連要因についても調査を行っているところでございます。

○遠藤(守)委員 答弁によれば、相当な精緻な方法で推計、専門家の方も当然入った上での推計だと思います。
 しかしながら、冒頭触れたとおり、この特別支援教育をめぐる環境の変化によっては、この推計値と現実の数が乖離するということも十分考えられると思います。今回、計画期間が三年から六年に延長されたといったことも思い合わせると、計画の期間中であっても、見直しを行う必要があると考えます。
 計画期間中における推計の見直しや、またはさまざまな施策の修正について、基本的にどういうお考えを持ってこの計画策定に臨まれたのか、お示しいただきたいと思います。

○前田特別支援教育推進担当部長 今回の推計では、特に増加傾向にある知的障害のある児童生徒については、学年進級時や学部進学時の増加率等についても分析し、その結果を加味した精緻な推計を行っているところでございますが、計画期間を六年間に延長したことから、平成二十六年度以降の実際の児童生徒数の推移を注視しながら、今回の障害のある児童生徒数の推計について、適宜見直しを行っていくことを考えてございます。

○遠藤(守)委員 それでは、次いで、今回の三次計画における対応課題の第一に掲げられております知的障害特別支援学校の再編整備についてお伺いをいたします。
 これについても、今回の推計結果をもとに計画がされているわけであります。この再編整備案では、いただいた資料にもあるとおり、新設校の設置を初め、増改築または併置化などさまざまな手法を使いまして、今後の子どもたちの増加に対応できる教室を確保し、いわゆるカーテン教室等の解消にも努めると、このようになっております。
 保護者の方は、この再編整備案の実現に熱い期待を寄せる一方で、これまでの第一次、そして第二次の実施計画のように、推計値と実際の数字に乖離が生じ、それによって学校教育の最も基本中の基本である教室が十分に確保できなくなるのではないかと、こうした懸念もあるわけであります。
 今回の推計については、丁寧に、精緻に行われたことは、さきの答弁でよく理解できますが、計画はあくまでも将来に向かってのものであることから、今後の児童生徒数の動向によっては、計画内容を見直すこともあらかじめ想定しておく。いわば計画と現実に乖離が生じた場合に備えて、対処方針をしっかりと計画の中に内在させておくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。

○前田特別支援教育推進担当部長 今回の計画では、先ほどご説明申し上げました推計をもとに、知的障害のある児童生徒数が平成二十二年度から平成三十二年度の長期間にわたって大幅に増加していくことを踏まえて、実施計画の計画期間を三年間延長し、さらに学校建設等につきましては、平成三十二年度を目途とする計画期間を設定しておりまして、この期間を十分に活用しながら、教室整備、施設整備を進めていきたいというふうに考えてございます。
 推計の見直しによりまして、児童生徒数の推計値に大きな変更がある場合には、計画内容について必要な修正を加えることはあり得るとは考えておりますが、現時点では想定しておりません。

○遠藤(守)委員 今の答弁は、推計に対する都教委の信頼性というもの、確実性というものを裏を返せば十分に裏づけた答弁であると思います。
 誤解のないように付言しておきますけれども、私が今繰り返し申し上げているのは、直ちに示された計画について見直すべきであると、このようにいっているわけではもちろんありません。
 将来のことも十分踏まえて、その際は、的確な迅速果敢な行動ができるようにその備えをしておくべきであると、このような注文でありますので、付言をさせていただき、次の質問に移らせていただきます。
 次は、発達障害のある児童生徒のための特別支援教室構想についてであります。
 この骨子の中では、特別支援教室はすべての小中学校に設置すると、このような基本的な考え方が示されておりますけれども、実際の導入に向けたモデル事業の実施については、小学校が対象とされております。いわば中学校に対して具体的な記載がないわけであります。
 小学校で教育が中断するというわけではもちろんありません。中学校における発達障害のある生徒への支援体制は、今後どのように整備しようと考えているのか、お伺いいたします。

○前田特別支援教育推進担当部長 中学校期における発達障害の生徒の支援に当たっては、思春期の心の成長と発達に十分に配慮する必要がございます。
 情緒障害等通級指導学級の利用実態も、週当たりの指導日数や時数などの点において、中学校と小学校とは大きく異なり、生徒一人一人が示す障害の状態像や心理状態等も一様ではございません。
 また、小学校に比べて三倍程度存在する不登校生徒の中にも、発達障害を有すると思われる生徒が相当程度いるものと推測されております。
 こうしたことから、中学段階における支援体制の整備につきましては、現状を十分に調査研究した上で、小学校を対象として実施するモデル事業の経過を踏まえながら、生活年齢や心理等にも配慮した支援体制のあり方について検討を進める必要があると考えてございます。

○遠藤(守)委員 小学校でのモデル事業と並行して、中学校段階における支援体制の整備についても調査研究していくと、こうした趣旨だと理解いたしました。
 それでは最後に、高校生についてであります。
 中学を卒業した発達障害の生徒の多くは高等学校へ進学いたします。このため、発達障害の生徒の自立と社会参加を支援するためには、高等学校における特別支援教育体制の充実が大変重要である、このように考えております。
 先ほど星副委員長の質疑でも言及がありましたけれども、高等学校における特別支援教育の充実については、チャレンジスクール等が舞台、受け皿になって、そこを対象に進路指導体制の充実や、または特別支援教育コーディネーターの機能強化を図ると、このようにうたわれております。
 しかし一方で、このチャレンジスクールにはチャレンジスクールの設置目的というものがあったわけで、チャレンジスクールが特別支援教育の受け皿となるのはなぜなのであろうかという素朴な疑問もあるわけです。
 そこで、なぜチャレンジスクールを対象とするか、ご説明を伺いたいと思います。

○前田特別支援教育推進担当部長 チャレンジスクールには中学時代に不登校傾向のあった生徒などが進学してきており、こうした生徒の中には、発達障害を有すると思われる生徒が相当程度在籍していると思われております。
 また、文部科学省が実施した調査の結果や学校現場からの聞き取りによると、チャレンジスクールや昼夜間定時制高校には特別な支援が必要と思われる生徒が相当在籍しているものと推測されております。
 これらの学校においては、この相当程度在籍する発達障害の生徒に対して、特別な指導と支援の充実が求められていることから、都教育委員会としても具体的な対応を行う必要があると考えたものでございます。
 なお、チャレンジスクールでは、都立高等学校における指導内容、方法の充実に関するモデルを構築するとともに、都立特別支援学校との連携強化によって就労支援の充実なども図ってまいります。

○遠藤(守)委員 いずれにしても、この第三次実施計画、十一月に決定、公表して動き出すわけでございます。その着実な実施によって、障害のある子どもたち一人一人に応じた教育が適切に行われることを期待し、質問を終わります。ありがとうございました。

○大津委員 思えば本当にこの長い、十年間の長期計画でありました東京都特別支援教育推進計画でありましたが、最初、平成十六年に計画を策定し、第一次、第二次と来て、七年目に当たることし、また第三次ということになってきております。
 思い起こせば、第一次実施計画では、知的障害が軽い生徒を対象とした高等部職業学科を設置し、職業的自立に向けた職業教育の充実に取り組む一方、ろう学校の再編整備においては、学校数を八校から四校三分教室に減らしたことや、学部の再編を行ったことにより、幼児、児童生徒の通学負担が、つまり通学時間が相当ふえたということで、あのころもたくさんの保護者の方々が心配をした経緯があります。
 そういう中で、私たち議員も党派を超えて、当時の文教委員会でも質問をしてもらったり、また本会議でも質問をしたり、それ以外のルートでも働きかけて、保護者の要望等に配慮をして、三つのろう学校を分教室化し、当面は卒業までと、当面は存続させる対応をとったという経緯があの当時ありました。
 第二次計画では、自閉症の児童生徒で編制した学級における指導を導入し、障害の特性に応じた教育内容、方法の充実を図る取り組みを進める一方、新しい永福学園等新設もできた一方、特別支援学校の再編整備の過程においては、複数の障害教育部門を併置した学校の設置による学校規模の大規模化や併置校における管理運営のあり方などが課題になりました。
 そして今回、第三次なわけで、知的障害特別支援学級が二つ新設されるということがある一方、やはり問題になってくるのは、寄宿舎が全面的に廃止をする、なくなる久留米養護学校と城北特別支援学校の寄宿舎、この二つが完全閉舎をする件ではないかと思っています。
 第三次になりましたけれども、やはりこういった計画を円滑に遂行するためには、二つ課題があるかと思います。それは一つ、都庁内においては、こういう概要設計が昔からあるにしても、どうしても発表されるのが、詳細設計において具体的に閉校される寄宿舎の名前ですとか、合併併合される学校ですとか、そういった具体情報が、第三次なり、二次なり、その計画の直近といいますか、数カ月前といいますか、半年前といいますか、そういった時期に起きる。よって、非常に不安が増大をして、たくさんの方々が心配してきた経緯があります。
 したがって、私たち議員も変わったり、行政の中の顔ぶれもかなり変わったりする中で、一人でも何人かでもずっと一次、二次、三次を見守る防人ではありませんが、整合性、あのときはこうで、このときはこうだった、それを最初から最後まで見届ける人も、要るのかどうかも含めてぜひ配置をしていただきたいと思いますし、それが不可能な場合には、引き継ぎ等で、完全に情報が次の世代まで伝達されるという人の体制づくりもぜひお願いをしたいところです。
 二つ目は、不安に思うような情報ほど早目早目に情報公開をし、その不安を取り除く具体策をともに知恵を出し合って考えながら、円滑に計画を遂行していっていただきたい。
 その二点が、もう三次になってしまいましたけれども、この七年、私どもも一緒に時を過ごしてくる中で感じる点であります。
 きょうは、第三次として一番問題になるであろう寄宿舎全面閉舎が久留米と城北であります。久留米は移動といいますか、病弱児が世田谷の光明に移るという計画でありますので、特に全面閉舎をする城北について、具体的にどのような策を施していただけるかを質問したいと思います。
 足立区といいますと大西委員長も在住しております地区でもありますが、城北についての寄宿舎の件であります。
 これは全部閉舎をするということで、大方予想はされていたものの、両親にしてみれば、入学をするときにはまさかこうなるとは思わなかったというケースがほとんどだと思います。
 閉舎に当たりまして、じゃあ自宅から学校まで泊まり込みではなく、ちゃんとどのようにスクールバス等で円滑に学校に通えるのか、その環境づくりにおいても重要です。その送迎に要する保護者の時間的、身体的負担が大きくなるなどのケースが想定をされます。
 そこで、都教育委員会におかれましては、寄宿舎閉舎後に児童や生徒や保護者にかかる通学負担の軽減について、スクールバス等の配置はどのように考えているのか、見解をお伺いします。

○前田特別支援教育推進担当部長 寄宿舎閉舎後の通学負担の軽減についてでございますけれども、現在、学校と緊密な連携を図りながら、寄宿舎に入所している個々の児童生徒の通学事情の把握に努めているところでございます。
 今後は、乗車時間の短縮やスクールバス停留所までの送迎にかかる保護者の負担に配慮し、スクールバスの配車のあり方、運行コース設定の工夫など、さまざまな対策について学校と協力しながら検討を進めてまいります。

○大津委員 ぜひこれをお願いしたいと思います。入学するときにはこういうふうに思わずに入っている場合が多いので、バスの余り長い、長時間通学にならないよう、また運行コース等、卒業までの間、そんなに何年もあるわけではないのですから、きめ細かく対応をお願いしたいと思います。
 第二点ですが、スクールバスも自宅の前まではとめることができない路地に住んでいる方もいます。また、特に問題になるのは、ひとり親家庭でその人が常勤で毎日夕方、夜まで働いているケースかと思います。
 そういう場合には、家からバス停まで送る人、また迎えに行く人、そして親が夜、働きから帰ってくるまでの間、見ていなくちゃいけない人等、自力では手配できない方も多いかと思います。
 こうした人的サポートは、区のサービスだと聞いておりますが、例えば都が足立区とこうした支援に対してどういったことができるかを、連携をしながら前向きに協議をしていただきたいと思います。
 その中で、足立区の中でも予算やいろんな問題があるのであれば、都がその分ちゃんと支援をして、やっていける状況をぜひつくっていただきたいと思います。
 寄宿舎閉舎後には、子どもが早い時間に帰宅するようになってしまうため、放課後支援などを含む何らかの福祉的サポートがなければ、家族の生活スタイルも見直さざるを得ないような状況も生じてくるはずです。
 こうした事態を招かないためにも、寄宿舎の閉舎に当たっては、保護者に対して事前に十分な説明を行うとともに、地域、自治体とも緊密な連携を図りながら、家庭事情に応じて個別の支援を行うことができるような対応策を講じていただきたいと思います。所見を伺います。

○前田特別支援教育推進担当部長 寄宿舎の閉舎に当たりましては、個別の家庭事情にも配慮し、児童生徒が居住する自治体とも緊密な連携を図りながら計画を進めることが大切であると考えています。
 現在、学校と連携を図りながら、地元自治体と児童生徒の状況等について意見交換を行っているところでございます。
 寄宿舎閉舎後の生活に保護者が不安を感じることのないよう、今後も地元自治体と緊密な連携を図りながら、児童生徒の個別の事情に応じた福祉的サポートに関する連絡調整に努め、計画の円滑な推進を図ってまいります。

○大津委員 そうした子どもたちも卒業すれば、家庭に、家に帰らなくてはなりません。そういう意味では、今後、障害がある子どもやその保護者に対する支援体制の整備に向けて、関係部局や関係機関等と積極的な連携を進めることを期待しています。
 家に戻り、どういうところで働く、そしてどんな人生を送っていくか、家庭との関係、社会との関係、本当に大切なことだと思いますので、そうしたことを少しでも東京都としてバックアップをしていただきたいと思います。
 そして、最後になりますが、十一月になると、毎回、一次、二次で出している厚手の冊子が発行されると思います。その中には、きょう私ども議員がいろいろと触れたテーマ、いろんな提案、そうしたのを一つでも多く書き込んで明記をしていただき、その中で来年の春に向けて具体的にいろんな策を施していっていただけることを切に望みまして、質問を終わらせていただきます。

○島田委員 私の方からは、肢体不自由特別支援学校における新たな指導体制の整備についてお伺いしたいというふうに思います。
 特別支援推進計画第三次実施計画において、肢体不自由特別支援学校における外部人材を活用した新たな指導体制の整備を計画しております。委員の中からもこの点については数多く質問がありました。
 我が会派としても、代表質問で大沢幹事長が質問をしておりましたが、第三次計画の成否は、教員の質の維持向上にかかっているというふうに考えております。この第三次計画については、会派としても大変重要なものとしてとらえております。
 そういう中、肢体不自由特別支援学校における新たな指導体制の整備につきましては、今まで永福、青峰学園において先行導入をしてきているわけであります。その中でも成果があるということで、先ほど谷村委員の質問の答えにもありましたように、教員が授業の準備ができるようになったとか、学習指導に専念できるようになったといった環境も整えつつあるというところでございます。成果も出ているということでございます。
 そんな中、新たな指導体制整備については、永福学園、青峰学園における試行検証結果を十分に踏まえながら、順次導入を進めていくということであります。
 検証委員会についてお伺いしたいというふうに思います。
 この検証委員会のメンバーの構成を見ますと、都教委の委員が多いことに気づきます。このメンバーを見ると、二十一名中九名が都教委の委員になっておりますし、また学校運営については、保護者の協力、理解が不可欠であると思います。検証委員会の委員には現役の保護者の委員が入ってない。先ほど畔上委員の指摘もありました。
 この検証には、幅広い層からの意見を取り入れるということが大切であると思います。この委員の構成を今後見直すことを考えているのか。その辺の委員の構成についてお考えをお伺いいたします。

○前田特別支援教育推進担当部長 検証委員会の構成メンバーには、教育委員会の職員だけではなく、肢体不自由特別支援学校の校長や外部委員として社会福祉法人代表者や保護者団体代表者が入っているところでございます。
 今お話のありましたPTA等のご意見につきましては、学校長や保護者団体の代表を通じて委員会に反映できるものと考えておりまして、当面、構成メンバーを変えることは考えておりません。

○島田委員 構成メンバーを変えるつもりはないということでございますが、やはり現場の声、または外部の声、幅広い意見を取り入れることは非常に大切だと思いますので、ぜひともその辺を含めて、今後委員の構成を検討していただきたいというふうに思っております。
 それからまた、検討内容についてでございます。検証委員会は、今まで五回開催されております。新たな指導体制の課題が協議されているわけであります。その中で、専門家の導入の四つの視点、安全管理体制の強化が図られていたのかどうかとか、あるいは役割分担が明確になっているのかどうか、あるいはプロの視点が生かされているのか、あるいは授業の質は大切なことだと思うんですけれども、向上しているのかとか、こういうことを中心に検証されております。
 しかし、検証委員会の議事録を拝見させていただきました。今後、しっかりそういうことを検証していくにはまだまだ時間がかかるのではないかと。特に教員と外部人材の役割分担の検証がまだなされていないようであります。
 今後、新たな指導体制の拡充をしていくために、検証委員会の今後の方向性、スケジュール、そしてまた保護者への検証内容の情報公開をどのように行うのか、お伺いしたいというふうに思います。

○前田特別支援教育推進担当部長 検証委員会では現在、教員と介護の専門家の具体的な役割分担、教育効果を高めるための連携のあり方などについて検討を行っているところでございます。
 今後は、検証結果を踏まえてガイドラインの作成に取り組んでいく予定でおります。
 保護者への情報提供につきましては、検証結果やガイドラインの作成など、一定の成果が出た段階で随時行っていく予定でございます。

○島田委員 今ありましたけれども、ガイドラインはどれぐらいをめどに作成するおつもりであるのか、お伺いしたいというふうに思います。

○前田特別支援教育推進担当部長 ガイドラインにつきましては、介護の専門家と教員の役割分担についてかなり精緻な内容についての検討をしていきたいと思っていまして、まだ一定の時間を要するものと考えてございます。

○島田委員 今後はこの計画では順次導入校を拡大していくということでございますので、早急に検証委員会のまとめ、あるいはガイドラインの作成をしていくべきだというふうに私は思います。
 担当の前田部長が委員長を務めておると思いますので、そのまとめ、それから保護者への検証内容の情報公開を図りながら、ぜひ前に進めていっていただきたいというふうに思います。
 また、人事配置でございます。新たな指導体制整備に伴い、教員の配置を見直しているというふうに思います。永福学園の例でありますと、自立活動の専門教諭を十二名削減して、その分、介護士を含めた専門家を二十四名プラス配置したと聞いております。
 ただ、この点に関しましては、保護者や現場教員から、自立活動の専門教諭が減員したこと--永福では十二名減っているわけであります。こういった点でマイナス要素も多いという声が上がっております。
 新たな指導体制整備に当たっては、適正な教員の数、介護士、看護師などの外部人材との割合を含めた人事配置をどういうふうにお考えになっているのか、お伺いいたします。

○前田特別支援教育推進担当部長 肢体不自由特別支援学校には、教科指導等を中心に担当する一般教員と、自立活動を中心に担当する専門教員が基準に基づいて配置されております。
 現在試行を行っている学校においては、専門教員の定数一名の削減に対して複数の介護の専門家を導入し、児童生徒の安全確保体制の強化を図っております。
 自立活動の指導体制の強化という観点から、教員配置のあり方については引き続き検討してまいります。

○島田委員 教員配置のあり方については、今ありました自立活動の指導体制の強化という観点、ぜひここを大切に置きながら、この観点を重く置きながら、今後、人事配置、その点をお考えいただきたいというふうに思っております。
 そしてまた、採用される外部人材についてお伺いしたいわけでありますけれども、採用される介護士の資格はヘルパーの二級以上というふうに聞いております。
 介護士については、高齢者を対象とする方が多い、障害児の介護を行う方は少ないと聞いております。導入に当たっては、どのような研修が行われ、どのような形で導入されるのか。
 また、実際に現場で介護業務に従事する職員は、子どもたちから見れば学校の職員と同じであり、教育というものを十分に理解した上で、子どもたちに接することが必要だと考えております。その点について、研修についてもあわせてお伺いいたします。

○前田特別支援教育推進担当部長 今回の試行導入に当たりましては、導入前の一カ月間、実際に勤務する学校での実施、研修期間を設け、児童生徒理解や教員との意思疎通を図っております。
 また導入後も、必要に応じて各学校において研修を実施し、障害のある児童生徒や特別支援学校の教育内容等についての研修を深めております。
 本格導入に向けましては、こうした研修の実施体系や内容の工夫等も重要な検討課題であると考えておりまして、試行における検討を踏まえ、よりよい研修方法について整備してまいります。
   〔委員長退席、星副委員長着席〕

○島田委員 次に、外部人材の契約期間についてお伺いしたいというふうに思います。
 保護者からは、外部人材の導入に当たっては、単年度の契約ではなく、継続的に同じ人が確保できるようにしてほしいという声が数多くあります。
 今後、導入に当たっては、継続的で安定的な制度としていくことが大変重要であると考えますが、この点に関してお伺いいたします。

○前田特別支援教育推進担当部長 今回のチームアプローチ体制は、教員と外部人材が連携して、児童生徒一人一人に応じた指導の充実を図っていく体制であり、授業や学校における日常的な活動の安定的運営という観点から、専門性の高い人材を継続的に確保することが望ましいと考えております。

○島田委員 今ご質問申し上げましたが、介護士の研修、それから継続的に採用していくことも、今、導入時期でありますので非常に大切なことであると思いますので、ぜひともよろしくお願い申し上げます。
 最後に、導入校の選定についてお伺いします。
 今後、この新たな指導体制を順次拡大を計画されております。拡大していくに当たっては、その導入校、学校はどのように選定されるのか、その基準についてはどのように考えているのか、お伺いいたします。

○前田特別支援教育推進担当部長 現在試行を行っている永福学園と青峰学園は、開校と同時に介護の専門家の導入を行いましたが、第三次実施計画においては、既存の肢体不自由特別支援学校への導入を拡大してまいります。
 既存校への導入に当たりましては、児童生徒数、学級数等の学校規模や施設整備や地域事情などを総合的に勘案して、対象となる学校を選定してまいります。
 また、既存校への円滑な導入が可能なように、事前に学校内の体制準備を行うとともに、保護者にも十分に説明を行ってまいります。

○島田委員 今ありましたとおり、その導入に当たっては、学校内の体制準備、そして保護者の理解、それから説明、非常に大切なことであると思いますので、ぜひその点をしっかりして、導入する場合は導入していって、新たな指導体制が効果的に現場で運営されるよう心からお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

○馬場委員 初めに、第三次実施計画策定の基本的な考え方についてお伺いいたします。
 骨子では計画策定の基本的な考え方の一つに、すべての学校で実施する特別支援教育の推進を掲げ、全都的な視点に立って役割分担を明確にした支援体制を構築するとしております。
 そこで、これまでの体制をどう明確化するのか、具体的に伺います。

○前田特別支援教育推進担当部長 特別支援学校を設置する東京都と特別支援学級を設置する区市町村が役割分担をし、教育環境の整備と教育内容、方法の充実を図っていくことが必要でございます。
 また、今回提案した区市町村における特別支援教室、通級指導学級、固定学級の役割分担を明確にした重層的な支援体制の整備など、今後はそれぞれの教育の場の機能と役割を明確にした支援体制の整備が重要になると考えてございます。

○馬場委員 この役割分担、私も重要だというふうに思っております。それにはどういうふうな体制の整備をしていけばいいのか、まずはこれまでどういう形で来て、今、どういう状況にあり、将来はどういうふうに考えていったらいいのかということが今回、一次、二次、三次という形での計画にしっかりあらわれていなければならないというふうに思っております。
 ところが、骨子の一番最初のところにありますように、第二次実施計画の作成に当たって実施した児童生徒数推計では、平成二十四年度を境に児童生徒数が減少するという結果を得ていたようですが、実際には特別支援学校在籍者は推計の結果を上回る増加を続けているということです。
 そのために、第三次実施計画の策定に向けた児童生徒数の推計に当たっては、統計的な手法の見直しなどを行ったとあります。先ほど遠藤守委員から、この辺の手法についてのご質問がありました。
 それでは、なぜこれほどまでに推計値を誤ったのか。児童生徒数の推計の問題点についてお伺いいたします。
   〔星副委員長退席、委員長着席〕

○前田特別支援教育推進担当部長 今回推計の見直しを行うことになりましたのは、特別支援教育への展開により特別支援教育への理解が深まり、期待が高まったと。そういったことにより、知的障害特別支援学校に入学してくる児童生徒数が大幅に増加した。こういった状況を、第二次実施計画策定時の推計作業に適切に反映できなかった。こういったことが見直しを行うことになった理由と考えてございます。

○馬場委員 では、第一次、第二次実施計画の策定に当たって実施した推計結果と異なり、今回実施した児童生徒数の推計では、在籍者のさらなる増加が示されている背景はどのような理由が考えられるということでしょうか。ご見解を伺います。

○前田特別支援教育推進担当部長 最も増加が著しい知的障害特別支援学校の在籍者の増加の具体的な背景としては、知的障害が軽い生徒を対象とした高等部職業学科の設置や、自閉症の教育課程の研究開発など、東京都特別支援教育推進計画に基づく諸施策の実現によりまして、特別支援学校の教育に対する理解が深まったといったことが背景にあると推測しております。

○馬場委員 今回、私どもにいただきました骨子の冊子ですね。三ページのところに図表1として障害のある児童生徒数の推計という形で載せられております。これだけの資料で、今のご説明で私どもにどう変化があったかというのを、これからどうすればいいのか、なぜこんなふうな数字になったかということはわからないんですね。このことの説明は、実は余りありません。
 私もこれだけのこの図表1をどういうふうに理解したらいいかと思いまして、とりあえず前の第二次の在籍者数の推計というところと比較をしてみました。
 まず、特別支援学校ではほとんど変わらず、今お話のありましたように--ここの数値でもある、わかりやすいように平成二十七年度の推計値で比較をしてみました。第二次で出されている平成二十七年度の推計値と今回の三次で出されている合計の数字ですが、それを比較してわかったのは、今ご答弁がありましたように、視覚、聴覚、肢体、それから知的障害の小学部、中学部ではほとんどふえていません。
 例えば知的障害のところの二十七年度、八千八百十一名でしょうか、これはトータルで書かれていて、第二次のところでは小学部、中学部、高等学部というふうに分かれているのでよくわかるのですが、そのトータルが六千二百三十名。今回八千八百十一名であれば、どこが二千五百名ですか、ふえているかというのをもう少しきちんと数字で出していただければ、どこが問題なのか、これからどこをしていくのかというのがもう少しよくわかるのではないかというふうに思わざるを得ません。
 また、この図表1もとてもわかりにくいというふうに思いました。例えば特別支援学校のところでは、高等部まで含めた数字であって、その下の小中学校の特別支援学級については、もちろん小学校、中学校のトータルの数字。つまり、どういう子どもたちがどう動いているのかというのがこの図表1ではよく見えてこないという状況にあります。
 私が今回、この数字策定に当たっての基礎となる資料として、自分が認識したいと思っていろいろ見たわけですが、今申し上げましたように、知的障害の特別支援学校の高等部が、ほとんど増員の数になっている原因といったらいいでしょうか。
 病弱や特別支援学級などの数はふえていないんですが、これもまた表のあらわし方が、在籍者数の推計という書き方の資料と、それからここでいっている将来の推計というのは、在籍者数なのか、本当にニーズのある数字なのかというのもわからなくて比較ができない。
 つまり、今回の第三次に向けてどういうふうに私どもが読み取ればいいのかというところについての、とてもわかりにくい今回の冊子になっているということで、これからの正式な決定の折にはもう少し資料が出ると思いますが、その辺のところで、今後どういう計画を立てていくかということも含めて、また私も含めていろんな方がこの計画をどう受けとめたらいいかということのためには、そうしたいろんな、皆さんが今回の案を立てられた資料というものがあるはずだと思いますので、そうした実数を公表していただきたい。それをもって関係者が本来のこれから第三次計画はどうあるべきかというのを考えていくべきだというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。

○前田特別支援教育推進担当部長 十一月の本計画発表の段階では、一次、二次実施計画と同様になりますけれども、都立特別支援学校在籍者数の推移等、小中学校別も含めて、図表について発表していきたいというふうに考えてございます。

○馬場委員 今ご答弁いただきましたように、決まった数、在籍者数なり、在籍者の推計ということと、本当にニーズがあるかどうか、どういうふうに子どもの数がふえてくるのかというのがイコールではないということですらはっきりどこかに書いていただかないといけないのかなと。これからそれぞれに質問していきますが、そのことをまず申し上げておきます。
 次に、それでは具体的な質問に入っていきたいというふうに思います。
 知的障害特別支援学校の再編整備というところが事業概要の1にあります。これは先ほどご説明がありましたので、私からは併置校等の適正な学校規模、併置をする利用とか、実際に今併置になっている学校の保護者の皆さんにお聞きしても、併置のメリットは余りないというふうにお話があります。
 しかし、都教委として併置をしていく。さっき府中の話もありましたが、大規模、小規模それぞれあるというふうに思いますが、適正な学校規模、校長先生一人として運営をしていく上での適正な規模等を含めてどんなふうにお考えでしょうか。

○前田特別支援教育推進担当部長 併置化する学校の学校規模でございますけれども、建築条件や地域事情、施設設備の収容能力、さらには障害種別等によってそれぞれ異なるものになるというふうに考えてございます。

○馬場委員 それは当然のことですが、先ほどのご答弁にもありましたように、それとは別に、学校を一校とすれば、校長先生一人という学校教育法のもとでやらなければならないわけですから、今挙げられたそうした条件のところに、学校運営をしていく上での規模というのがあってもいいのかというふうに私は思います。
 大規模にするということは、はたから見れば効率性がいいのではないかというふうにとられがちだと思いますが、大規模にするメリットがあるのであれば、重複のお子さんと、またこれからのインクルーシブ教育で多様な方が一緒に教育を受けるというのは、ある意味必要なことだというふうに私も思っています。それであれば、きちんと必要な加算をしていく、そうした基準を今後検討されるという先ほどのお話でしたので、ぜひお願いをしたいと思います。
 それから、次に事業概要の2に挙げられております職業教育の充実について伺います。
 障害者自立支援法の基本、だれでも働いて自立をしたい。高等部における職業教育はそういう意味で大事なことだと私も思っています。
 しかし、企業就労に限らず、自立に向けたどういう仕事、仕事に対する考え方とか、そういう意味での職業教育、それから企業に合わせた子どもをつくるという教育もあるかとは思いますが、子どもの個性に合わせた仕事を考えていく。さまざまなそうした取り組みが必要だというふうに思います。
 まず、中学校卒業後の生徒の進路の状況について伺います。

○前田特別支援教育推進担当部長 平成二十一年度の公立学校統計調査によりますと、公立中学校卒業生の進路状況は、卒業生総数七万三千五百二十七名に対して、進学者総数が七万一千五百五十六名であり、その内訳は、都立高校への進学者が四万三千八百三十四名、率にして六一・三%、私立、国立等高校への進学が二万六千三百八十七名、率にして三六・九%、都立特別支援学校への進学者が八百五十三名、率にして一・二%となっております。
 ただし、都立特別支援学校への進学者の割合は、昭和六十二年度には全体の〇・四%であったものが、平成二十一年度には一・二%に増加しております。

○馬場委員 ありがとうございます。
 今の数字で今回の件に関係するというところであれば、都立特別支援学校への進学者が八百五十三名、一・二%。それはふえているというお話でした。それが先ほどの数字で欲しかったところで、要は高等部がふえているという、中学からの卒業生の進路として、高等部がその受け皿になっているということです。
 障害が軽い生徒が多い特別支援学級から、今の中学から進学の受け皿になっている高等部。今回、永福学園の話も出ましたが、職業学科の企業就労率が九六%という成果が出されています。今後、そういう意味で期待が大きく、受験の倍率も大変高いというふうに伺っております。
 しかし、地域の受け皿として、継続して就職率を保つには、企業の理解、つまり一回学校から一年とか二年とか行って、それでまた転職をするというようなことをしないためには、企業の方の理解、また地域の理解というのが必要だというふうに思います。
 就職後の見守りについては、教員がジョブコーチの役割を半年か一年か見守り人として担っていると伺っております。しかし、それだけでは長期にいかないわけですから、ほかの産業労働局等、他局との連携についてどういうふうになっているか伺います。

○前田特別支援教育推進担当部長 障害のある生徒の就労支援につきましては、現在も産業労働局等と連携を図りながら、企業向けセミナー等の理解啓発事業を実施しているところでございます。
 また、新たな職種や職域の開拓、現場実習先の確保等に向けて、民間を活用した企業開拓も進めております。
 今後、第三次実施計画においても、障害のある生徒の職業的な自立を推進するため、全都的な視点に立った就労支援体制の整備に努めてまいります。

○馬場委員 それでは、次に事業概要の4、病弱教育の再編について伺います。
 第三次の骨子では、東京都の実情に即した病弱教育の再編というふうに提起されております。
 そこで、都において病弱教育の考え方についてまずお伺いします。

○前田特別支援教育推進担当部長 現在、都においては、病院に入院する児童生徒の教育は、近隣の肢体不自由特別支援学校から教員を派遣して行っております。
 また、唯一の病弱特別支援学校である久留米特別支援学校では、寄宿舎を併設し、慢性疾患等により二十四時間の医療、生活規制を必要とする児童生徒の教育を行っております。
 こうした都の病弱教育は、病院内教育を肢体不自由特別支援学校が実施しているために、病弱教育としての位置づけがあいまいになっていることや、久留米特別支援学校においては、在籍者数の減少によって、児童生徒の適切な学習集団の規模を確保することが困難になっているといった課題がございます。
 今回の病弱教育の再編は、これらの課題の解決と病弱教育の専門性の確立を図ることを目的としたものでございます。この再編を実施することにより、都の実情に即した病弱教育の専門性を確立できるものと考えております。

○馬場委員 今お話ありました病弱教育の専門性の確立等を久留米が大きく担ってこられました。十八年には保護者の皆さんのご要望もあって高等部もつくり、そういう意味では拠点としての役割を果たされてきたというふうに思います。
 久留米の山田校長先生は、全国の特別支援学校病弱教育校長会の会長もお務めいただいております。PTAの方からも、久留米がなくなり、肢体不自由特別支援学校三校に病弱教育部門として併置するという今回の案では、病弱教育専門の校長がいなくなり、今までの東京の病弱教育が分散をされてしまうのではないか。情報の共有や、全国への対応などが低下をするおそれがある、十分果たせないのではないかと、そんなご心配の声が上がっています。
 全国校長会では、三月に病気の児童生徒への特別支援教育のための「病気の子どもの理解のために」という冊子を発行されております。私もここにたくさんいただいてまいりました。理解のためにという冊子から、さまざまな病気の、白血病、脳腫瘍というようなそれぞれの病気ごとの問題、そうしたことの取り組みを東京都としても進めてきております。
 ご答弁の中に病院内教育の話がありました。しかし、一方では、そこを充実していただくことはもちろんなんですが、実はここでも取り上げているのが、病院外で長期に欠席している児童生徒の中で、病気を理由に長期欠席をしている子どもの調査がされました。
 その報告では、小学校では千百四十三名、中学校では千七十名というふうに、これは二十一年度の概数だと思います。つまり、入院をしている子どもと、今までであれば久留米なりサービスを受けられている子どもはいいんですが、その子どもしか病弱教育の対象にしてこなかったという問題が実は今後あるというふうに今いわれております。
 先ほどから申し上げている今回の特別支援学校、特別支援の対象の病弱のところの数字も、在籍者の数でしか多分推計をされていないのではないかというふうに思います。
 その意味で、こうした病院外、またこれからは学校外の子どもたちで病弱特別支援を必要とする子どもが多くあるということをぜひご認識をいただきたい。その子どもたちは、それぞれ小学校、中学校に在籍をしているということで、そうした区市町村へ病弱の教育の支援というものが必要だというふうに考えております。そのことについてご見解を伺います。

○前田特別支援教育推進担当部長 小中学校に在籍する病気を有する児童生徒の場合、周囲の理解不足によって、学校生活に支障を生じるケースも少なくないと聞いております。
 こうしたことから、これまでも東京都特別支援教育推進室や久留米特別支援学校が中心となって研修会を実施したり、区市町村教育委員会の訪問を行ったりするなどして、小中学校に在籍する病気の子どもの理解啓発を図ってきました。
 今後も病弱教育の再編後も、引き続きこうした取り組みを行い、病気のある子どもへの理解推進に努めてまいります。

○馬場委員 ありがとうございます。私も今回この話を伺って、地域で病気のために学校になじめない、行かれない子どもがたくさんいるということに心を痛めました。
 心身症、精神疾患、希少疾患等で子どもたちがいることにしっかり--だからこそ久留米がもしどうしてもだめなのであれば、併置される病弱教育の部門のところで今までの東京の、全国できちんと一緒にできていた体制が弱体化しないような体制をぜひとも三次の中で、病弱教育の中でしっかり担っていただきたいということを要望します。
 最後になりますが、事業概要7、先ほどから出ております都立高等学校における特別支援教育の充実というところで伺います。
 先ほどから申し上げておりますように、発達障害のお子さんが小中学校の通常の学級に在籍を多くしていらっしゃいます。先ほどいろいろ申し上げましたが、三ページの図表1のところで、この増加率というのはやはりびっくりするほどです。
 例えば二十一年から二十七年の倍増してくるというところ、それからそこから先はそんなにふえていないという推計なのですが、そうしたことも含めて、先ほどから申し上げておりますように、その理由も含めて、対策も含めてなんですが、ここで特別支援教育の充実という形で出されているのが一般の高校への支援ということだというふうに思います。
 先ほどと同じで、どういう状況に今あるのかと。どういう中学生がどういう高校に、どういう形で入っているのか、東京都はどういう受け皿で今、現状あるのかというのを私なりに数字を調べてみました。
 つまり、障害のあるお子さんも含めて、今進学率は九七%、一〇〇%まではいっていないけれども、ほとんどのお子さんが高校に行く。特別支援学校の中等部のお子さんは、そのまま高等部に上がるというふうに通常考えられます。
 それから考えますと、私の二十一年の推計では、中等部の生徒が四百人、知的の高等部にいらっしゃいます。中学校の特別支援学級にいらっしゃる知的の方が、大体固定級の方が七百数十名だと思いますが、高等部に進学するのではないかというふうに思われます。
 発達障害のお子さんは、私の推計ですが、通級で約五百人、それから、普通学級にいらっしゃる生徒さんが三百人。今の両方を合わせますと、今のところ知的の高等部に入学される方が千三百人程度でしょうか。
 それから、発達障害のお子さんで、一般の高校、ここに出ております普通高校、チャレンジ高校、定時制に入られるお子さんが約八百名ぐらいかなというふうに思っております。
 こうした状況の中で、これから第三次計画で先ほどからお話があるような学校をふやす、教室をふやすということが、要するにだれの、どういうお子さんのための受け皿をつくっていくのかというのを、やはりはっきり今回の第三次計画で出していくべきだというふうに私は思っております。
 ここで先ほども質疑がありましたので、私からは、普通の高校へ、つまり高等部に入るお子さんと普通学校に入るお子さんを私どもはどんなふうに考えたらいいのだろうかというところです。
 それで、きょうの資料もいただきましたが、パブリックコメントの中にも、発達障害の特別支援学校をつくってほしいという意見、高等学校内における特別支援体制の充実を進めてほしいという意見と一緒に、チャレンジスクールは特別支援教育のための学校ではないというコメントも書かれております。
 つまり、これからの一人一人のお子さんが高等学校をどんなふうに選んで--もちろん、その前の小学、中学部とありますが、そうしたところをどんなふうに選んでこられるのか。そこについて、すべて特別支援学校の高等部で受け入れていくということについては、今回の第三次のテーマでもありますインクルーシブ教育、共生の教育ということから考えると、一般の地域の小中学校で育ったお子さんが、特別支援学校の高等部に入ってくるという形でいいのかどうか。そこは、職業教育に特化して、しっかりしてくれるからという意味で選んでいくのであれば、そういう学校も私も必要だというふうに思います。
 ですので、学校をどこにどういうふうにつくっていくのかということが、今回の三次で問われていることだろうというふうに考えています。
 その意味で、一番最後の最初のところにありますが、これは教育長にぜひお答えをいただきたいというふうに思っておりますが、特別支援学校の今回の第三次実施計画の平成二十八年度をさらに三十二年度に継続期間というふうに小さくコメントが書かれております。
 今私が申し上げましたように、今後どういう形でこの特別支援学校を全体の教育の中で位置づけていくのか。そして、一般の普通高校に対してのサービスという形でどこまで何を考えていくのか。それが、多くのこれから自立をしていく障害の生徒さんに対しての一人一人の責任だと。ここで最初に出ておりますように、すべての子どもの教育をしっかり担うということになるんだというふうに思っていますので、第三次のところでぜひとも大原教育長のご意見を伺って、質問を終わらせていただきます。

○大原教育長 考えなければいけない要素が実はもう一つあると思っております。それは、十年間継続してやってまいりました都立高校の改革推進計画が、平成二十二年度で計画期間が終わります。今年度です。
 この後どうするかという問題と、それから特別支援についての第三次実施計画との整合性をどういうふうにとっていくか。その整合性をとるために一番大事なのが、それぞれの先生方からもご質問がありました推計です。どんな子どもたちがこれから先どういうふうにふえていくのか、あるいは横ばいなのか、減るのか、そこをしっかり見きわめた上で、根底には都立高校そのものの改革をどうするかというこれから先のテーマを裏に持ちつつ、三次計画をしっかりと固めていきたいというふうに思っております。

○大西委員長 ほかに発言はございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十七分散会

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